厚生委員会速記録第十三号

平成二十五年十一月二十一日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長まつば多美子君
副委員長塩村あやか君
副委員長早坂 義弘君
理事遠藤  守君
理事和泉 武彦君
理事山加 朱美君
山内  晃君
栗山よしじ君
田中  健君
和泉なおみ君
今村 るか君
ともとし春久君
野島 善司君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長川澄 俊文君
次長梶原  洋君
技監前田 秀雄君
理事藤田 裕司君
総務部長中川原米俊君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長高橋 郁美君
生活福祉部長高原 俊幸君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長浜 佳葉子君
障害者施策推進部長山岸 徳男
君健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長篠原 敏幸君
事業調整担当部長手島 浩二君
医療改革推進担当部長笹井 敬子君
医療政策担当部長村田 由佳君
地域保健担当部長松浦 慎司君
生活支援担当部長望月 秀夫君
施設調整担当部長枦山日出男君
事業推進担当部長廣瀬  豊君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長古屋 正裕君
感染症危機管理担当部長清古 愛弓君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)

○まつば委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中川原総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますのでご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で十三項目となっております。
 初めに、一ページをお開き願います。国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、平成二十三年度から二十五年度までの加入世帯数などについて、区市町村ごとに二ページにかけて記載してございます。
 三ページをごらん願います。国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、所得割、資産割、均等割及び平等割に区分し、平成二十二年度から二十五年度までの区市町村ごとの推移を、四ページにかけて記載してございます。
 五ページをごらん願います。国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、平成二十二年度から二十四年度までの減免件数について、区市町村ごとに記載してございます。
 六ページをお開き願います。国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、平成二十二年度から二十四年度までの一部負担金減免件数について、区市町村ごとに記載してございます。
 七ページをごらん願います。国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、平成二十年度から二十四年度までの対象世帯数、滞納世帯数及び収納率について、区市町村ごとに記載してございます。
 八ページをお開き願います。国民健康保険への東京都支出額といたしまして、特別区及び市町村について、平成十九年度から二十三年度までの支出額を記載してございます。
 九ページをごらん願います。介護保険施設等の定員・病床数及び高齢者人口に対する割合といたしまして、六十五歳以上の高齢者人口、施設ごとの入所定員または病床数及び高齢者人口に対する割合について、都道府県ごとに記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、待機児童に関する新定義、旧定義に分け、定員、年齢別の入所児童数及び待機児童数について、区市町村ごとに、平成二十三年及び二十四年についてはそれぞれ四月一日、十月一日現在のものを、平成二十五年については四月一日現在のものを、一九ページにかけて記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。認可保育所における常勤・非常勤従事者数及び非常勤従事者比率の推移といたしまして、平成十九年度から二十三年度までの常勤従事者数などの推移を記載してございます。
 二一ページをごらん願います。認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、平成二十年度から二十四年度までの平均経験年数別の施設数を記載してございます。
 二二ページをお開き願います。重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、(1)には看護師の定数及び現員の推移を、(2)には短期入所の運用状況の推移を記載してございます。
 二三ページをごらん願います。都有施設における集団補聴設備等の配置状況等といたしまして、集団補聴設備等の配置対象及び都有施設における配置状況等につきまして、それぞれ記載してございます。
 二四ページをお開き願います。社会福祉施設等及び病院の耐震化状況といたしまして、(1)では社会福祉施設等、(2)では病院につきまして、それぞれ耐震化の状況について記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 本日は事務事業質疑でありますので、私が今まで当委員会におきまして発信をしてまいりましたテーマの中から、三つほどに絞りましてお伺いをさせていただきたいと思います。発信後の、それまでの取り組み、これまでの取り組み、そしてまた、今後、新たな、どんな展開をしていただけるのか、そんなことも含めて伺いたいと思っております。
 まず、今月、理事者の皆様方全員が、児童虐待防止のオレンジのこのネームバンド、そしてまた、オレンジリボンはつけていただいていますよね。児童虐待防止推進月間でありますので、まず、児童虐待についてお伺いをさせていただきます。
 次代を担う子供たちは社会全体の宝であり、その健やかな成長は誰もが願うところであります。しかしながら、一方で、幼い身体を傷つけ、また、心にも深い傷を生涯にわたって残す児童虐待が深刻化をしております。大人の暴力にあらがうこともできず、かけがえのない命が奪われる重篤なケースも後を絶ちません。
 国の調査によれば、二百余りある全国の児童相談所で受けた相談件数は年々増加をし、昨年度、二十四年度では六万六千件に上っております。児童相談所を初め、区市町村の子供家庭支援センター、保育所、学校など関係機関は懸命に取り組んでいることと思いますが、さらに各機関がそれぞれの役割を果たしながら、切れ目のない支援を続けていくことが必要であります。
 また、社会全体が子供を虐待から守るにはどうするか、私たち都民一人一人が問題意識を持って行動することが求められています。
 子供の未来を奪う児童虐待は、決して許されるものではありません。私はこれまで、機会あるごとにこの問題を取り上げてまいりました。児童虐待をめぐる状況が厳しさを増す中、改めて、その現況について幾つか質問をさせていただきます。
 まず、対応の中核を担う児童相談所の虐待相談の現状について、相談件数や一時保護を行った児童の数はどのように推移をしているのか伺います。

○浜少子社会対策部長 都内十一カ所の児童相談所が虐待の疑いで受理した相談件数は、平成二十年度が三千二百二十九件、二十一年度が三千三百三十九件、二十二年度が四千四百五十件、二十三年度が四千五百五十九件、二十四年度が四千七百八十八件となっております。
 相談受理件数のうち、調査の結果、虐待の事実が認められなかった割合は全体のおおむね二割となっており、二十四年度では四千七百八十八件中、千八十三件について虐待の事実が確認できませんでした。
 虐待により一時保護所に保護した児童の数は、二十年度は六百九人、二十一年度が六百十七人、二十二年度が七百二人、二十三年度が七百八十人、二十四年度が八百四十七人となっております。

○山加委員 今のご答弁を伺いますと、児童虐待の件数は増加の一途をたどっている、そして、親子を一時的に分離する一時保護も、相談件数と同様に急増していることがわかりました。
 児童虐待は、まず初期の対応が大変重要であります。家庭訪問による安全確認など、迅速な対応が必要であります。また、一時保護を行った際には、子供の気持ちや心理的背景、家庭環境などを調査しながら、親子関係を修復して子供を家庭にお返しをし、当面の間は親子の分離が必要な場合には、施設入所や里親委託を行いながら家庭への復帰を支援するなど、まさに短期的にも長期的にも、さまざまな援助を行っていると聞いています。
 たとえ件数が増加したとしても、ケース一つ一つに、まさに気が抜けない、実にきめ細やかな対応が求められると思います。児童虐待が年々深刻化する中で、対応の中核を担う児童相談所に求められる役割は今後も極めて重要であり、それを支える体制ももっと強化をしていかなければなりません。
 そこで伺いますが、児童相談所が、これまでどのように体制強化を行ってきたのか、具体的に伺います。

○浜少子社会対策部長 相談支援の中心を担う児童福祉司については、平成二十三年度に十一名、二十五年度には十三名の増員を図り、定数を百九十六名に、児童心理司については、二十四年度に十一名増員し、定数を六十五名といたしました。
 そのほか、専門的な知識や経験を活用するため、二十四年度から、警察官のOBである虐待対応強化専門員や、保健師の資格を有する医療連携専門員を新たに配置し、さらに二十五年度には、経験が豊富な児童福祉司のOBを児童福祉相談業務指導員として配置して、新任職員の育成や研修の充実を図っております。
 また、増加する一時保護需要に対応するため、二十五年四月の江東児童相談所の開設等により一時保護所の入所定員を二十四名増員し、百九十二名といたしました。
 今後とも、増加する児童虐待に的確に対応していくため、引き続き必要な体制強化に努めてまいります。

○山加委員 状況に応じて、年々着実に児童相談所の体制を強化していることがよくわかりました。児童相談所に求められる役割はますます大きくなることから、今後とも、児童福祉司、児童心理司の増員を含め、体制強化にはぜひとも努めていただきたいと思います。
 次に、児童虐待防止の普及啓発について伺いたいと思います。
 児童虐待は、地域で孤立している子育て家庭に生じることが多いといわれていますが、虐待に至る心配のある家庭を早期に発見し、地域で支えていくためには、関係機関はもとより、一人でも多くの住民に児童虐待防止に対する理解を深める取り組みが重要であります。
 最初の答弁で、受理した相談件数の二割は虐待が確認できなかったとありましたけれども、これは逆に、地域の方々が今まで以上に虐待への関心を持ち、心配な状況があれば即座に相談を寄せてくださっていることのあらわれであると思います。普及啓発を続けてきた一つの大きな成果であると思います。
 しかし、虐待を未然に防止するためには、さらなる普及啓発の取り組みが必要であることはいうまでもありません。私は、常にこのオレンジリボンを三百六十五日つけております。これは何度もお話をしておりますが、当初、栃木県で起きた、幼い兄弟が橋の上から投げ落とされ、命を奪われてしまったことを契機に始められたもので、児童虐待をゼロにするという強いメッセージが、このオレンジリボンには込められているわけであります。
 都は、毎年十一月を児童虐待防止推進月間、オレンジリボンキャンペーンとして定め、まさに今月、集中的な取り組みを行ってくれております。
 しかし、前にも申し上げましたが、児童虐待が深刻化している現状では、年々増加の一途をたどっているわけですから、十一月に限らず、年間三百六十五日、普及啓発に取り組んで、このオレンジリボンに込められた虐待防止のメッセージを広く都民にしっかりと届けていく必要があると思います。
 また、社会の意識をもっと高め、民間企業の力をお借りし、取り組みをより一層推進することも重要と思います。
 児童虐待防止に向けた普及啓発について、これまで都はどのように取り組んできたのか伺います。

○浜少子社会対策部長 児童虐待の防止は社会全体で取り組むべき課題でありまして、区市町村の子供家庭支援センターや民生児童委員、保健所、学校など地域の関係機関と連携して、一人でも多くの都民に理解を深めていただけるよう、広く児童虐待防止を訴えることが必要でございます。
 都は、十一月の児童虐待防止推進月間を中心にオレンジリボンキャンペーンを実施し、集中的にイベント等を企画するとともに、啓発グッズの作成、配布を行うなど、区市町村や民間団体等と一体となって取り組んでまいりました。
 具体的には、リボンやリーフレットの街頭での配布や商店街イベントでのPR活動、サッカーやアメリカンフットボールなどプロスポーツの公式戦でのキャンペーン活動などを通じて、広く一般都民に児童虐待防止を呼びかけております。
 さらに、今年度は児童虐待防止オレンジリボンキャンペーンを一層推進するため、新たにオリジナルキャラクターを作成し、東京地下鉄のメトロビジョンでの動画放映やウエブサイトを活用した広報、民間企業へのポスター掲示の協力の取り組みなどを行っております。
 今後とも、区市町村や企業、関係団体等との連携をさらに強化し、年間を通じた普及啓発活動に精力的に取り組んでまいります。

○山加委員 今のご答弁で、オレンジリボンキャンペーンにおいて、都がさまざまな取り組みを行い、また、今年度は一段と取り組みを強化し、普及啓発を進めていることがよくわかりました。
 先ほど申し上げたように、私は以前よりこの趣旨に賛同し、一人でも多くの方にこの問題について関心を持ってもらえるように、一年を通じてオレンジリボンをみずから身につけてPRをいたしております。児童虐待防止の重要性を訴えているわけであります。
 ただ、その一方で、活動していますと、残念ながら、このオレンジリボン、これ何ですかという質問が、やはりいまだにございます。まだオレンジリボンに対する認知度が不足しているなと思わずにはいられないわけであります。
 都も、十九年度から七年間にわたって継続しているわけですから、先ほど、ことしは新たなキャラクター、OSEKKAIくんですか、どんどん、おせっかいをしようというOSEKKAIくんのマーク、新たなキャラクターの活用ということでありますけれども、今後とも、こうしたいろいろな工夫を行いながら、このオレンジリボンの意味を一人でも多くの人に知ってもらい、また、行動してもらえるように、さらなる取り組みを行う必要があると思います。
 そのためには、繰り返し申し上げますが、児童虐待防止推進月間、今月十一月だけでなく三百六十五日、年間を通じて継続的に防止運動を実施していくとともに、民間企業への働きかけなどをさらに強化し、協力してもらえる団体を拡大していくことが重要と考えます。
 このことを改めて都に要望いたしまして、そして子供たちが虐待によって決して傷つくことなく、その笑顔が絶えることのないよう、関係機関はもとより、私たち一人一人が何を行うべきか、何ができるのか、いま一度求められていることを強調させていただき、次の質疑に入ります。
 今や命あるものとしての動物、特に犬や猫を飼っている方は多く、私も猫派で二匹ほど、十六歳と十歳ですから、かなりの高齢の猫であります。ペットは家族の一員として、時にというか、いつも、常に心の支えとなり、生活に潤いと喜びを与えてくれる、なくてはならない二匹の猫の存在が、私にもございます。
 東京都が平成二十三年度に実施した飼育実態調査によれば、都民が飼う犬及び猫の飼育数は約百七十万頭と推定され、これは都内の十五歳未満の子供の数を大きく上回っている状況であります。このように、私たちの生活にとても身近な存在となったペットですが、飼い主が愛情を注ぎ、きちんとしつけを行い、不妊去勢手術や病気の治療、また、高齢になったペットの世話など、ペットの命ある限り、責任を持って飼い続けることにより、致死処分に至るペットを生み出さないように努める飼い主の責任がとても重要であります。
 都は、平成十九年度に動物愛護管理推進計画を策定し、さまざまな取り組みを進めてきました。私はこの間も、平成二十年の第一定例会本会議で、致死処分数を減少させることについて--このことは、日本は国際社会の中で先進国でありながら、ちょっとおくれをとっていると思います。また、平成二十三年度の厚生委員会でも、飼い主の責任の徹底、ボランティア団体との連携、また、東日本大震災への対応を踏まえた震災時の動物対策について訴えてまいりました。
 そこで、これまでの取り組みでどのような成果を上げたのか伺いたいと思います。

○中谷健康安全部長 都は、平成十九年度に策定をいたしました動物愛護管理推進計画に基づきまして、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指して、飼い主や事業者の責任の徹底、致死処分減少などの課題に取り組んでまいりました。
 適正飼養の徹底を図るため、飼い主に対する適正飼養講習会を行うとともに、都と区市町村の動物担当者会議等を設け、共通の普及啓発資材の作成や配布等を行ってまいりました。
 また、都内約三千九百の動物取扱業者に対しましては、都独自に評価基準を設けてランク分けをし、重点的かつ効率的な監視指導を行ってまいりました。
 さらに、犬や猫の譲渡を拡大するため、都内のボランティア団体を通じた譲渡を推進してまいりました。都が連携している団体数は、平成十九年度の十七団体から、現在、三十五団体と倍増している状況でございます。
 これらの取り組みの結果、動物の引き取り数の半減並びに致死処分数の五五%削減という目標につきましては、平成二十四年度の時点で、いずれも目標を上回る約六割の減を達成いたしました。返還、譲渡率につきましては、犬は八五%以上に増加という目標に対し約八〇%、猫は一〇%以上に増加という目標に対し約一七%の大幅な増加ということになっております。

○山加委員 計画に掲げた目標のうち、致死処分数の減少は既に達成をし、猫の返還、譲渡率は大幅に目標を上回ったということですが、このことは、都が区市町村、動物愛護推進員、また、関係団体等と協力、連携をして、ペットを生涯にわたり適正に飼養するという飼い主の意識を向上させてきたこと、また、譲渡に当たっては、受け取りの場の機会が広がるよう、都内各地で活動する譲渡団体としっかりと連携をしながら、都が着実に取り組んできた結果であり、私は高く評価できると思います。
 都はこれまでも、全国に先駆けて、このようにさまざまな取り組みを進めてきています。
 国においては、動物愛護管理法及び動物愛護管理に関する基本指針が改正され、本年九月一日から施行されています。
 このたびの改正では、動物の致死処分がなくなることを目指して、終生飼養の責務が明記されました。
 また、動物取扱業においては、犬猫等の販売業に係る規定が設けられるとともに、これまで対象でなかった非営利のNPO法人なども、動物を一定数以上取り扱う場合には、第二種動物取扱業としての届け出が義務化されました。
 災害時の対応としては、動物の同行避難が基本指針に明確に位置づけられ、地域の実情に応じて体制を整備することとしています。
 このように、改正動物愛護管理法及び基本指針は、飼い主にも事業者にも一層の責務を求める内容となっているわけであります。
 そこで、動物愛護管理法並びに基本方針の改正を受け、都はどのような課題認識があるのか伺います。

○中谷健康安全部長 ただいま山加理事からお話がございましたように、今回の法律及び基本方針の改正のポイントとして挙げられております終生飼養の徹底、動物取扱業者による適正な取り扱いの推進、そして、災害時の対応強化に取り組むに当たりまして、都としては以下のような課題があるというふうに考えております。
 まず、致死処分のさらなる減少を目指した施策の発展に向けまして、飼い主の適正飼養、終生飼養を徹底していくために、動物愛護推進員による動物教室の拡充など、区市町村やボランティア等と連携した普及啓発の充実が不可欠でございます。
 また、動物の引き取り数を減らすため、飼い主のいない猫対策を一層推進するとともに、返還、譲渡を拡大するためには、多様な団体との連携の仕組みづくりを進めることが重要でございます。
 動物取扱業者に対しましては、犬猫等販売業に義務化されました健康安全計画の策定など、法改正を踏まえた監視指導をより一層徹底するとともに、事業者が動物を適正に取り扱うことや、顧客に適正飼養等の説明責任を果たすことが肝要であることから、動物取扱業に携わる人材の育成が必要でございます。
 さらに、区市町村の同行避難等の体制整備の支援など、災害発生時の対応の強化が求められるところでございます。

○山加委員 大変心強い答弁をいただきました。動物に優しい町は人にも優しい、動物に優しい国は人にも優しい国である、私はそう思っています。終生飼養の徹底、譲渡の推進などにより、致死処分数のさらなる減少を目指すことが重要であります。
 ところで、さきの伊豆大島における台風被害では、多くのとうとい命が奪われました。被災された方々には改めて心よりお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りしたいと思います。
 そして、現地では多くの方々が避難を余儀なくされましたが、動物については、地元の動物病院、東京都獣医師会などの協力を得て、動物の同行避難が実現をしたと聞いております。
 これは、私が、平成二十三年の第三回都議会の定例会、厚生委員会におきまして、東日本大震災の対応を踏まえ、災害時の体制整備を要望した内容でございます。これを都が地域防災計画に具体的に盛り込んでいただき、実を結んでいただいたことを大変うれしく思っております。今後とも、より一層充実していただければと思っております。
 さて、現在、都は東京都動物愛護管理審議会を設置し、今後の動物愛護管理行政のあり方を検討中と聞いておりますが、そこで、審議会における検討状況、今後の予定についてお尋ねをいたします。

○中谷健康安全部長 平成二十四年八月、東京都動物愛護管理審議会を設置いたしまして、東京都における今後の動物愛護管理行政のあり方について諮問をさせていただきました。
 審議会のもとに小委員会を設置し、現行推進計画に基づくこれまでの取り組みの評価と法改正を踏まえまして、適正飼養の推進、動物取扱業の規制強化、犬及び猫の引き取り数の一層の減少、災害発生時の動物救護体制の充実強化など、三回にわたって検討いただき、平成二十四年十二月の第二回審議会では中間報告がまとめられたところでございます。
 その後、国から示されました基本指針の改正をも踏まえまして、致死処分数のさらなる減少を目指した取り組みの推進など、今後、都が取り組むべき課題と施策の方向性について、小委員会でさらに検討を加えまして、本年十月の第三回審議会で答申素案がまとめられました。
 今後、パブリックコメントを経まして、第四回審議会において最終答申をいただき、今年度中に動物愛護管理推進計画の改定を行う予定でございます。

○山加委員 私の近所では、最近、お年寄りがペットと散歩をするときに、飼っていたワンちゃんが高齢になってしまったので乳母車に乗せたり、また、途中でワンちゃんを、お散歩というか、だっこをして歩いていますと、散歩なのかなと思ったりいたします。しかし、大変ほほ笑ましい光景でございます。
 ペットが家族の一員から地域の一員として位置づけられ、今まで以上に人々とともに幸せに暮らすことができる社会を実現することが必要と思います。こうしたことによって、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けて、世界に誇れる都市東京を目指すことにつながるのではないでしょうか。
 都内には、さまざまな活動を行っている動物愛護団体があります。区市町村、動物愛護関係団体、ボランティア団体等の連携を今まで以上に一層強化し、終生飼養、適正飼養を力強く推進することによって、人と命あるものとしての動物との調和のとれた共生社会の実現を要望して、最後のテーマに移らせていただきます。
 ヘルプマークについてお伺いいたします。
 私は、昨年の予算特別委員会、一般質問で、外から障害のあることがわかりにくい方、助けを必要としている方などの統一したマークが、今まで社会には一つもありませんでしたので、ぜひとも都として統一したマークを作成し、不自由さを抱えていても安心して外出できるよう、障害のあることがわかりにくい方への理解を社会で一層促進していくことを提案しました。
 都がそれを受け、その年の十月にはヘルプマークを具体的に作成し、このマークですね、作成をしていただきました。自民党も、当時、野島前幹事長以下執行部が大変強力な後押しをしてくれたわけであります。
 交通局も全面協力をいただき、都営大江戸線で優先席へのステッカー表示、また、ヘルプマークの配布等の取り組みを開始したことについては、大変迅速に対応していただいたことを高く評価いたしております。
 そこでまず、ヘルプマークに関するこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○山岸障害者施策推進部長 都は、義足や人工関節を使用している方など、援助が必要な方のためのヘルプマークを作成し、昨年十月より、都営大江戸線の優先席へのステッカー掲示や車両内へのポスター掲示等を開始いたしました。
 さらに、本年七月からは、大江戸線での取り組みを、都営地下鉄全線、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー及び都営バスの、全ての都営交通に拡大して実施をしております。
 また、広く都民の方々への周知を図るため、区市町村に対してポスター掲示やチラシ配布等の普及啓発への協力を依頼するとともに、民生委員、児童委員、区市町村長会、関東鉄道サービス連絡会議、一般社団法人東京バス協会等の関係団体等に対して取り組みへの理解を求めてまいりました。
 さらに、スポーツ祭東京二〇一三における来場者に対するPRチラシ配布や、東京都障害者総合美術展でのポスター掲示など、さまざまなイベントの機会を捉えて普及啓発を図ってまいりました。

○山加委員 このヘルプマークの普及啓発については、まさに局の壁を越えて、福祉保健局と交通局の取り組みにとどまらず--私、昨年度は警察・消防委員会におりましたので、全警察、消防がこのポスター掲示をしていただき、そして全警察官、消防隊員全員がこのことを認知してくれています。
 障害を持つと、やはり外で事故に遭ったとき、例えば救急車が来る、警察官が来てくださる、そのときに、このマークが荷物についていれば、この方はどこか不自由なところを持っているんだなと、そのことをまず最初にわかっていただけることが、障害を持つ者にとっては大変心強く、また、安心して外出できるということにつながってまいります。警・消委員会は非常に頑張ってくれました。
 そしてまた、都営交通なんですが、どの駅員に聞いても、このマークを知らない人はいませんでした。ヘルプマークを下さいというと、どこにあるかも教えてくださり、そしてまた、きめ細かく、どこか手をおかしするところはありますかと大変丁寧な対応をして--徹底して下までおろしてくれております。
 今、ご答弁の中で、区市町村に対してもポスター掲示の協力を依頼していると答弁ありましたけれども、実は、残念ながら、私の練馬区などはまだ福祉事務所にポスター掲示すらしていない。恐らく、確かに課長会等で皆さんに認知をしていただいたんだと思いますけれども、そこから先は、区市がどうするかは任せるよではなくて、やはりこれは東京都が発信をした初めての新たな福祉のマークであるわけですから、ぜひとも再三にわたって気を配っていただけたらなと、私は思っております。
 各局の大変大きな協力により、啓発が進んでいるわけであります。そしてまた、私のところには、他県の市議会議員からも問い合わせが来ております。これからも、都の方にもあるかもしれません。移動するときは、東京都民がこれをつけて他県に行く場合もあるし、また、他県の方が東京都でこのマークを見ることもあるわけですから、ぜひとも、さらに強く、深く取り組みを進めるべきと考えております。
 ヘルプマークについて、今後どのように取り組みを進めていくのか、改めて所見をお伺いいたします。

○山岸障害者施策推進部長 ヘルプマークにつきましては、より多くの方々にご理解いただけるよう、継続してさまざまな普及啓発に取り組んでいく必要があると認識しております。
 このため、来月の障害者週間におきましては、障害者週間のポスター、ふれあいフェスティバル、東京都提供番組を活用した普及啓発に取り組むこととしております。
 さらに、来年度以降については、これまでに取り組んできた普及啓発に加えまして、今後の新たな取り組みとして、多様な場所におけるヘルプマークの活用や普及啓発を図ることができるよう、区市町村と連携した事業の実施を検討するとともに、都営交通以外の実施路線の拡大について、関係部署と調整を進めているところでございます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、障害や障害のある方々についての都民の理解を深めるためにも、ヘルプマークの取り組みが重要であると考えております。
 今後とも、ヘルプマークが広く理解を得られるよう普及啓発の取り組みを進めることにより、障害の有無にかかわらず、全ての都民がともに暮らす地域社会の実現を目指してまいります。

○山加委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致が決定しました。世界で類を見ない超高齢社会を迎えている我が国であります。障害の有無にかかわらず、年をとれば誰もが、どこかしら体が不自由になってきます。
 東京に訪れた海外の皆様に、身体のハンディキャップを抱えた方はもちろんでありますが、高齢者、小さなお子様、妊産婦の方、認知症、精神障害を有する方など全ての方が安心して、外出に不安を感じることなく社会参加できる、外に出かけることができる、まさに点と点を結んだ面的なユニバーサルデザインに基づくバリアフリーを展開し、首都東京の福祉の質の高さ、都の取り組みについて、海外に向けてアピールできる絶好の機会だと思っています。その一つが、私は、東京発信のこのヘルプマークであると思います。
 全国に、そして海外でも通じる福祉のマークになるよう、さらに迅速に取り組みを進めることを強く要望して、私の質問を終わります。

○遠藤委員 では、私も質問させていただきます。
 皆さんは、決算の審議これあり、また、きょうは事務事業質疑、または続く四定の準備、大変お疲れなんだと思います。ここから見ていてもよくわかります。けれども、やはり健康、福祉の増進は都民の最大の願いであると思いますので、ともに力を合わせてやっていきたいと思います。
 時間も限られておりますので、私は、ワンテーマ、一つに絞って、きょうは質問させていただきたいと思います。
 きょうは、脂質異常症、いわゆる脂のとり過ぎ、これの予防、とりわけ子供のそれについて質問させていただきたいと思っております。
 近年、肥満など、小児、子供の生活習慣病がいろいろ問題になって、指摘をされているわけであります。これらの原因は成人と同様に、いわゆる食の欧米化が大きな要因であると、とりわけ動物性の食品、特に動物性の脂肪、これは飽和脂肪酸ともいわれておりますけれども、この消費がふえたためであると、このようにもいわれております。
 成人の場合には、例えば、たばこを控えるとか、アルコールを控えるとか、または運動を習慣づけるとか、いろんなトータルな取り組みが、こうしたものの予防や、または改善には有効である、もちろん、このようにはいわれております。そういった意味で、この生活習慣病の予防の一つには、この動物性の脂肪の摂取を控えることが重要なファクターの一つであると思うわけであります。
 現に、これは、国民栄養調査によりますと、一九四六年から一九九〇年の期間の観察で、全穀類、米の消費量は著しく減少し、その一方、牛乳、乳製品、肉類の消費量は著しく増加しており、食生活の欧米化が認められている、したがって、禁煙、標準体重の維持、動物性脂肪、コレステロール摂取の制限、塩分摂取の制限、魚、野菜、果物の摂取をふやして、毎日三十分以上の有酸素運動などを日常的に取り入れることが、動脈硬化性疾患の予防の基本になると、このようにもいわれております。
 厚生労働省のホームページにおきましても、この飽和脂肪酸、いわゆる動物性脂肪のとり過ぎについては注意するようにという趣旨が特出しで掲げられておるのは、皆さんもご案内かと思います。
 この点、学校現場における食育という観点でいえば、とりわけ学校給食が重要であると思っております。学校給食のあり方については、いうまでもなく教育庁の所管でありますけれども、事は都内の児童生徒の健康に関する重大なテーマの一つであると思いますので、きょうは、厚生労働省等、国の見解を含めて、何点か確認と質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、学校給食で出される食物の栄養内容の基準は、厚生労働省が策定をする日本人の食事摂取基準によって、学校給食でどういうものを出すか、どの程度出すか、こういうところが定められていると思いますけれども、これは事実でしょうか。間違いないでしょうか。

○高橋保健政策部長 学校給食実施基準に関する文部科学省の通知、平成二十五年一月三十日付の文部科学省スポーツ・青少年局長通知でございますが、これによりますと、学校給食摂取基準は、厚生労働省が定めます日本人の食事摂取基準を参考といたしまして、その考え方を踏まえるとともに、各種調査の結果を勘案し、児童及び生徒の健康の増進及び食育の推進を図るために望ましい栄養量を算出したものであるとされてございます。

○遠藤委員 今の答弁では、厚労省が示している日本人の食事摂取基準を参考とし、それを踏まえた上で、各種調査等々もそこに加味をして、トータルで何が望ましいかということを規定して、それに基づいて出しているということだと思います。
 次に、専門家によれば、先進国の学校給食実施基準、日本では文科省が定めておりますけれども、そこには動物性脂肪の限界が、一日でというか、一食でというか、これがアッパーですよというように記載があるようですけれども、日本の場合には総脂肪、脂肪といっても、今、議論に上げている飽和脂肪酸だけじゃなくて、いろんな種類の脂肪がありますけれども、日本の場合には、このトータル、総脂肪の制限しかないと。
 これは、今、申し上げた日本人の食事摂取基準、繰り返しになりますけれども、厚生労働省が示しているもの、そのうち飽和脂肪酸の食事摂取基準の十七歳以下の欄が空欄になっていることによって、そういうふうに、給食のガイドラインとなっている学校給食実施基準の中には示されていないんではないかといわれておりますけれども、それはどうでしょうか。

○高橋保健政策部長 先ほどご答弁させていただきましたように、文部科学省の学校給食摂取基準は、厚生労働省の日本人の食事摂取基準を参考にしているものと認識してございます。
 日本人の食事摂取基準におきましては、飽和脂肪酸は重要なエネルギー源であると同時に、摂取量が少なくても多くても、生活習慣病のリスクを高くするということが示唆されているために、三十歳以上について目標量を設定してございます。
 若年者につきましては、飽和脂肪酸摂取量と生活習慣病の関連は余り明らかではないのですが、大学生のときに血清コレステロール値が高い集団で、その後二十七年から四十二年間の循環器疾患や総死亡率が多かったという報告もあることから、十八歳から二十九歳につきましても目標量を設定してございます。十七歳以下については設定しておりません。

○遠藤委員 私もその表を取り寄せてみたんです。皆さん方に見えるかどうかわかりませんけれども、一日の摂取の中で、十八歳以上については全ての栄養素の中から、これぐらいとっていいですよみたいなことが書かれているわけですけれども、この飽和脂肪酸については、確かにゼロ歳から十七歳まではブランクになっているんです。
 ところで、平成二十三年の三月、ですから二年前の三月になりますけれども、学校給食における児童生徒の食事摂取基準策定に関する調査研究協力者会議、こんな会議があったようでありまして、そこで取りまとめられた報告書にはこう書いてあります。脂肪酸の種類が特定なものに偏らないように、食品の組み合わせに配慮することが必要であると、当たり前のことをいっているんですね。
 平成二十三年の三月ですから、今から二年前に出されて、当たり前のことが、なぜ今ここでいわれているかというのも一つポイントだと思うんですけれども、いずれにしてもこう書いてあるんです。
 文部科学省からは、今、私がいったことを、学校給食の実施に当たって参考にするように、都道府県教育委員会等に対して通知がされているということであります。二十三年の三月、二年前です。このことについて、改めてしっかりと教育委員会に通知しなさいよということをいっているんですけれども、この報告内容について、福祉保健局としてはどんな見解を持っておりますでしょうか。

○高橋保健政策部長 お話の報告書では、脂質について、細胞膜の主要な構成成分でありまして、必須脂肪酸の供給源として大切な栄養素と位置づけた上で、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸のバランスが特定のものに偏らないように配慮する必要があるとされておりまして、福祉保健局といたしましても、いろいろな栄養素をバランスよくとることが食事の基本であるというふうに認識をしております。
 都は、健康推進プラン21に基づきまして、バランスのよい食事について普及啓発を行っているところでございます。

○遠藤委員 今、答弁ありましたとおり、脂肪酸の中には、飽和脂肪酸これあり、また、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸と、さまざまなものがあるということであります。これをちゃんとバランスよく組み合わせないとだめですよということですね。
 でも、報告書にいわれていることも、今、部長が答弁されたことも、失礼ながら、いってみれば、当たり前のことを提案して、当たり前のような答弁であるわけであります。私は、今、なぜ二年前にこういったことが改めていわれるかという、この行間のところを、しっかりと受けとめる必要があるんではないかと思います。
 ところで、多くの学校現場における給食では、牛乳が提供されております。この学校給食における牛乳の提供については、学校給食法にくだりがあるわけであります。学校給食法の目的は割愛しますけれども、その中に、給食は三種類あると。
 一つは、完全給食と呼ばれているもので、読むと、完全給食とは、給食内容がパンまたは米飯、お米ですね、そして、ミルク及びおかずである、これを完全給食というと。
 給食の二つ目の概念で、補食給食。これは、今申し上げた完全給食以外の給食で、給食内容がミルク及びおかず等である給食を補食給食というと。
 そして最後、三つ目の概念として、ミルク給食。このミルク給食とは、給食内容がミルクのみである給食をミルク給食というと。この三つのカテゴリーであると。
 牛乳という言葉を使わないで、ミルクという言葉を使っているというのは、この法律が制定されたのが昭和二十九年という、こうした時代の背景もあるのではないのかなと思いますけれども、いずれにしても、どのカテゴリーであっても、しっかりとミルクは飲みなさいよという規定になっているわけであります。
 後からちょっと議論になりますけれども、政府はあくまでも、そのミルクの中でも成分を調整していない牛乳、いわゆる全乳を原則としているわけであります。
 私は、学校給食においては、児童生徒の健康面を考慮して、少なくとも、飽和脂肪酸の少ない低脂肪牛乳だとか無脂肪牛乳の供給、提供が必要ではないか、こういう立場に立って、きょうは質疑をさせていただいております。
 なお、この議論については、国会でもかなり議論になっておるようでございます。主に質問主意書等で、国会議員の先生方が政府に対して、私と同じような問題意識のもとで質問を投げかけております。これは横に置きますけれども。
 繰り返しになりますけれども、文部科学省は学校給食での全乳の提供を原則としておりますけれども、では、全乳に含まれている脂肪の摂取と健康影響について、医学的な立場から所見を聞きたいと思います。
 部長はドクターでもあるということでお聞きしておりますので、部長の立場と、そしてドクターの立場というのは混然一体としておると思いますけれども、それを踏まえて、医学的な見地から所見を伺いたいと思います。

○高橋保健政策部長 牛乳だけを毎日大量に飲むというような偏った食事をしていれば別なんですけれども、一日一本というような一般的な全乳摂取をしているということが健康に悪影響を与えるというような科学的な報告は承知しておりません。牛乳には体に必要な必須脂肪酸も含まれております。また、飽和脂肪酸であっても、生活習慣病との関連が指摘されておらず、体に必要なものもございます。
 こうしたことを踏まえれば、低脂肪牛乳や無脂肪牛乳を導入した場合には、体に有用な必須脂肪酸についても同時に減少させることにつながるというふうに認識しております。

○遠藤委員 答弁は、問題ないと、こういうことだと理解します。
 この点については、平成二十二年三月十六日、参議院内閣委員会での当時の鈴木副大臣の答弁はこうあります。設置者がそれぞれに適切に検討し、判断されるべきものと。何を判断するかというのは、法律に基づいて全乳にするもよし、低脂肪または無脂肪を導入するもよし--文科省の副大臣としては、設置者がそれぞれ適切に検討し、判断されるべきものだといっています。
 一方、農水省は、これは供給サイドとの協議を踏まえたんでしょう、全乳による供給原則の緩和も可能としております。緩和することも、それはいいですよと。
 そういった意味では、両者の見解というのは、現場の判断に任されているといえるんだと思います。
 繰り返しになりますけれども、学校給食における無脂肪、低脂肪牛乳の提供について、改めて健康という観点から、福祉保健局の見解をお聞きしたいと思います。

○高橋保健政策部長 学校給食につきましては、教育庁の判断が尊重されるべきでありまして、福祉保健局としてお答えする立場にはございませんが、先ほど申し上げましたとおり、現在までの研究では、牛乳の種類をあえて変更しなければならないという科学的な根拠はないというふうに認識をしております。

○遠藤委員 科学的な根拠はないと。そうなんだろうと思います。ホームページをのぞけば、それを進めるべきだという意見があり、それは反対であるという意見もあります。科学的根拠というのはそういうものだろうと思います。
 しかしながら、今、現在の日本の、そして特に子供たちの食生活の現場を見たときに、これは自戒を込めていいますけれども、我が家でもやっぱり脂、こうした動物性脂質に偏っているなというのは、率直な感想として受けるわけであります。
 したがって、この原則、学校給食では全乳ということでありますけれども、全体の子供たちの食生活の中で、この栄養素が不足しているということならば、それは学校給食でしっかりとやるべきだということで、それは意義があるんだろうと思いますけれども、全体としてとり過ぎであるという社会状況の中で、あえてそれを科学的な根拠がないから今のままでいいんだというよりも、減らすために努力をしていくということが必要であると、このように思っております。
 先ほど、国民栄養調査のくだりは、ちょっとご紹介をさせていただきました。その中にもあるとおり、塩分の摂取制限については、日本では広く浸透して、大分、食塩のとり過ぎは控えようという国民的な合意もできておりますし、また、食品会社等々も、その辺、気配りした商品開発、提供をしているんだと思いますけれども、やはり脂、特に動物性脂肪、飽和脂肪酸については、余りこの辺がアナウンスをされていない、知識がないがゆえに、知らず知らずのうちにとっているということもあるんだろうと思います。
 私がなぜこんな質問をさせていただいたかというと、都議選が終わって、健康診断を改めて受けて、悪いところがここだと思って健康診断を受けたんですけれども、遠藤さん、それは年相応で別に異常はないですと。それよりも、あんた、むしろ脂のとり過ぎに注意した方がいいですよと、こんな指摘を受けて、私も改めてこれについて勉強したり、また、いろんな方と会って話を聞かせていただきました。
 いずれにしても、繰り返しになりますけれども、この飽和脂肪酸については、まだまだ都民の理解が不足していると思いますので、この辺しっかりと、福祉保健局として、私の立場と福祉保健局の考えとは、いささかずれているようでありますけれども、この普及啓発については今後しっかりやっていただきたいと、このことを要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○和泉(な)委員 私は、きょうの事務事業質疑、三点の問題についてご質問します。
 まず初めに、学童保育クラブの待機児童についてです。
 我が党は、この間、条例の提案や都有地の活用など、認可保育園の待機児をなくすための提案も行い、繰り返し求めてきました。条例案は採決に至らなかったものの、都が公表した都有地の活用も含めて、今後、保育園の増設が進むことを多くの都民が期待しています。
 そこで、もう一つの保育である学童クラブ、この待機児童についても、今年度、千七百五十三人の待機児童数と、大変深刻な状況だと思います。東京都は、平成二十二年度から五年間の保育計画をつくっていますが、その中で、学童クラブの登録児童数を十万四千人にしようという数値目標を掲げています。
 そこで伺います。この保育計画がスタートした時点、平成二十二年度の登録児童数は何人ですか。また、現在は何人にふえたんでしょうか。

○浜少子社会対策部長 平成二十二年五月一日現在の学童クラブの登録児童数は八万四千九十五人、二十五年五月一日現在は八万六千八百三十五人でございます。

○和泉(な)委員 計画スタートから三年半が経過していますが、今のご答弁ですと、この間にふえたのは、わずか二千七百四十人、計画達成までにまだ一万七千人以上足りていないということになります。五年間で登録児童数を二万人ふやそうと目標を立てて、三年半経過したところで、あと一万七千人足りていない。かなりおくれているんじゃないかと思うんですが、保育計画の最終年度となる来年度までに達成するために、どのような対策を考えていますか。

○浜少子社会対策部長 都は、従来から、学童クラブの登録児童数の増加が図られるよう、区市町村に対する働きかけを行うとともに、学童クラブの整備に向け、新設や改築、新設に必要な備品等の購入に係る補助や子供家庭支援区市町村包括補助事業等により、区市町村が地域の実情に応じて学童クラブを設置できるよう支援しております。

○和泉(な)委員 三年半かかって二千七百四十人しかふえなかった。それなのに、従来どおりのことをこれからもやりますということでは、到底達成できないんじゃないでしょうか。区市町村が地域の実情に合わせてという答弁ですが、本当に実情に合わせて実施していたら、待機児童は減るはずじゃありませんか。
 けれども、学童クラブに入りたくても入れなかった児童数が、平成二十二年度は千三百三十九人、翌年平成二十三年度には千五百十一人、平成二十四年度には若干減って千四百四人になりますが、今年度は一気にふえて千七百五十三人です。さらには、区市町村任せにした結果、放課後子ども教室へ一本化を進めようという自治体も出ているんです。
 例えば、新聞にも取り上げられた板橋区ですけれども、平成二十一年度から、あいキッズと称して、両親が働いていて保育に欠ける子供のための学童クラブと、放課後の子供の居場所を確保する放課後子ども教室が一体に進められてきました。こういう市区町村は多いと思うんですが、ところが、ここは二〇一五年度までに学童クラブ事業と子ども教室事業を一本化してしまって、学童クラブをなくしてしまうという計画が、ことし八月に発表されて、事業者や保護者に大きな不安が広がっています。
 そもそも意義の違う学童クラブと子ども教室を一本化する、そういう傾向を、都としてどのように認識していますでしょうか。

○浜少子社会対策部長 学童クラブは、保護者が就労等により昼間家庭にいない場合に、小学校に通う子供たちに遊びや生活の場を提供し、健全な育成を図る事業でございます。
 一方、放課後子ども教室は、保護者の就労等にかかわらず、全ての子供を対象として、地域の方々の参画を得て、勉強やスポーツ、文化活動等を行う取り組みでございます。
 いずれも子供たちの安全で健やかな活動の場を確保するものであり、実施方法については、区市町村が地域の実情に応じて判断しているものでございます。

○和泉(な)委員 行っても行かなくてもいいし、途中で帰ってきてもいいというのが子ども教室なんです。これは保育に欠ける児童の健全な育成を図るという学童クラブの役割を担えるものじゃありません。両親がともに働く家庭にとって、安心して預けられる学童クラブはなくてはならないものです。
 さらに、障害のある子供や、家庭のさまざまな事情から大人の支援を必要とする子供にとっては、経験豊かな指導員が必要です。学習障害や発達障害など、育ちに困難を抱えている子供がふえているということも、多くの保育関係者、学校関係者から聞いています。学童クラブに通う子供たちには、時間の過ごし方というだけではなく、健全な育成のための環境が必要なんです。
 この学童クラブの役割をどのように認識していますでしょうか。

○浜少子社会対策部長 学童クラブは、先ほども申し上げましたとおり、保護者が就労等により昼間家庭にいない場合に、小学校に通う子供たちに遊びや生活の場を提供し、健全な育成を図るという役割を担うものでございます。

○和泉(な)委員 繰り返しのご答弁でしたので、私も繰り返させていただきますが、まさに子供たちにとっては生活の場であり、健全な育成を図る役割がある、そこが子ども教室とは決定的に違うんです。学童クラブは、子供たちがただいまといって、学校から帰ってくる場所なんです。
 私は、都が導入した都型学童クラブ、これは公立の学童クラブが対象外になっているという点が残念ですが、それでも、面積や職員の配置、資格など、一定の基準を都として定めたことを評価します。
 厚生労働省も、二〇一五年から学童クラブについて一クラス四十人までとする、職員を各クラス二人以上配置して、そのうち一人は指導員の資格者とするなどを義務づける方向で動き始めたようです。場所や人材の確保を支援する新たな施策も用意するとなっています。せっかく質の確保で先導役を担った東京都なんですから、量もふやすために、補助率や補助単価の引き上げなど、国に先駆けて積極的な対策をとるよう強く要望します。
 続いて、区東北部のがん診療について伺います。
 区東北部は、地域連携拠点病院も東京都独自の認定がん診療病院もなく、部位別がん診療連携協力病院も大腸がんで認定を受けている病院が二つあるだけです。東京都のがん対策推進基本計画は第一次改定で、全体目標に、がんによる死亡者の減少、全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の向上、ここに新たに、がんになっても安心して暮らせる社会の構築と加えました。
 がんになっても安心して暮らせるためには、地域でのがん診療の質の向上は欠かせないのではないでしょうか。この立場から質問します。
 東京都が平成二十四年度から導入した部位別のがん診療連携協力病院で、放射線治療機器の設置が認定基準となっているがんは何でしょうか。

○村田医療政策担当部長 東京都がん診療連携協力病院の認定要件の中で、放射線治療に関する機器の設置を求めているのは、肺がん、乳がん、そして前立腺がんでございます。

○和泉(な)委員 肺がん、乳がん、前立腺がんについては、医師や技師が確保できたとしても、症例数が多くても、放射線治療機器が設置されていなければ、部位別がん診療連携協力病院には認定されないということですね。
 では、伺います。区東北部における放射線治療機器を配置している病院は、どこに、どのくらいありますか。また、区東部や区西北部には幾つあるでしょうか。

○村田医療政策担当部長 区東北部二次保健医療圏においては、まず足立区にある一般財団法人博慈会、博慈会記念総合病院にリニアックが設置されております。
 また、区東北部二次保健医療圏では六施設、区西北部二次保健医療圏では七施設に、それぞれ配置をされております。

○和泉(な)委員 ただいまのご答弁、区東北部に六施設とおっしゃいましたか--区東北部には、博慈会記念病院一カ所しかないんじゃありませんか。

○村田医療政策担当部長 改めてご答弁させていただきます。
 区東北部には、今申しました、足立区にあります一般財団法人博慈会、博慈会記念総合病院一施設にリニアックが設置されております。
 また、区東部二次保健医療圏では六施設、区西北部二次保健医療圏では七施設に、それぞれ設置されております。

○和泉(な)委員 区東部には六施設、区西北部には七施設、これに対して、区東北部はたった一施設しかないんです。これは明らかに少な過ぎます。区東北部のがん診療が大きく立ちおくれているといわざるを得ません。この状態をどう認識しているんでしょうか。

○村田医療政策担当部長 都内には、高度ながん医療を提供できる医療機関が多数ございます。また、交通網も発達をしておりますことから、みずからの疾病や症状に応じまして、二次保健医療圏を超えて受療することが可能な状況となっております。
 こうしたことから、都は、国が指針に基づき指定します、がん診療連携拠点病院に加えまして、都独自に東京都認定がん診療病院、また、東京都がん診療連携協力病院を認定し、地域の医療機関と連携して、がん診療体制の整備を進めているところでございます。
 区東北部二次保健医療圏につきましては、東京都がん対策推進計画の中で、隣接する区中央部二次保健医療圏にございます日本医科大学付属病院を、当該医療圏を担当する地域がん診療連携拠点病院として位置づけており、この地域の医療機関と連携をしながら高度な放射線治療を行うなど、適切ながん医療を提供しているところでございます。

○和泉(な)委員 ちょっと私、今の答弁は、ああ、そうですかというわけにいかないんです。都に高度ながん医療を提供できる医療機関が中央部にたくさんあるのは知っています。
 日本医科大学付属病院が区東北部の高度がん診療を担当するということですけれども、日本医科大学付属病院は文京区千駄木にあります。そして、どの駅からも歩いて七、八分かかります。葛飾からこの千駄木に行くには、金町、亀有、綾瀬、いずれかの駅まで、十五分に一本程度のバスに乗っていくか、京成線で町屋に出て、千代田線に乗りかえて行くことになります。
 交通網が発達しているといいましたが、縦横無尽に電車や地下鉄が走っているような地域の話をしているんじゃないんです。余りに冷たい答弁なんじゃないですか。都がそのような姿勢で、どうやって全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減を図り、がんになっても安心して暮らせる社会を構築するというんでしょうか。
 がんで新橋の慈恵医大本院まで通っている方は、副作用でおなかが緩くなりがちで、電車で通院すると、途中で何度も電車をおりなければならない、普通の倍くらい時間がかかってしまう、帰ってきても、だるいのと疲れるのとで寝込んでしまって、何もする気力が湧いてこないと話をされていました。
 どこに住んでいても、都民が安心して、身近なところで高度ながん診療を受けることができる、都は都民にその責任を負っているんじゃないでしょうか。みずからが、がん対策推進計画に全体目標として掲げているではありませんか。
 区東北部に放射線治療機器を設置している病院がない。そのために、地域医療連携を患者の大きな負担によって成り立たせることになっている。この現実を正面から受けとめてください。そして、区東北部において極端に整備がおくれているがん診療を解消するために、東部地域病院にもリニアックの整備に財政支援を行うよう、強く求めたいと思います。
 三つ目です。原発事故の影響による子供の健康調査について伺います。
 原発事故による放射能被害から子供を守るための取り組みが、さまざまな自治体で行われています。
 昨年度は、宮城県が全額県の負担で、予備調査ではありますが、問診、触診、視診、甲状腺エコーの検査を丸森町で、ホールボディーカウンターが栗原市で、千葉県我孫子市ではホールボディーカウンターの測定費用の一部助成など、各自治体で子供の健康を守るために行われているこの取り組みをどう認識していますか。

○中谷健康安全部長 それぞれの自治体の判断により行われているというふうに認識しております。

○和泉(な)委員 子供の健康を気遣い、子供たちの未来を放射能で曇らせない、そういう自治体として当たり前の判断に、都は学ぶところはないんでしょうか。そういう意味で、どう認識していますかとお聞きしたんです。いかがですか。

○中谷健康安全部長 ただいまご答弁申し上げたとおりでございます。

○和泉(な)委員 現在でも、放射線量の高い場所は多く残っています。
 葛飾区では、ことし六月、日本共産党葛飾区議団が測定したところ、区道上で、地上一センチメートルで六マイクロシーベルト、地上一メートルで〇・五五マイクロシーベルトと、高い数値が測定され、その後、区は除染を行いました。
 ことし九月にも、市民団体が都立水元公園で測定したところ、地上一メートルで〇・二三マイクロシーベルト以上の地点が、十五地点中八地点ありました。
 このような状態の中で暮らしている子供たちの健康への影響を、都はどのように認識していますか。

○中谷健康安全部長 都は現在、都内八カ所に設置いたしましたモニタリングポストで、二十四時間継続して空間放射線量を測定しております。現在の測定値は、原発事故前の範囲内となっております。
 これらの測定結果はホームページで速やかに公表させていただくとともに、シンポジウムを開催するなど、積極的な情報提供にも努めております。また、都民からの電話相談にも、専門相談ということで窓口を設けまして応じております。
 今後とも、こうした取り組みを継続いたしまして、都民の安全・安心を確保してまいります。

○和泉(な)委員 私は、今までと同じ取り組みでは不十分だということを指摘しているんです。私が指摘したのは、葛飾区全体が高い上、その中でも局所的に線量が高いところがあるということです。八カ所のモニタリングポストでは、局所的な汚染はわかりません。しかも、我が党の指摘で除染せざるを得なくなった都立水元公園は、都は当初、大丈夫だといい続けていたではありませんか。
 大体、都内八カ所という設置数もまるっきり少ないと思いますが、この八カ所のモニタリングポストというのはどこにあるんでしょうか。

○中谷健康安全部長 都は、都内の空間放射線量をより広域的かつ迅速に把握するために、地理的なバランス、あるいは人の生活空間の高さといったものを勘案いたしまして、八カ所に設置をしております。
 その八カ所の内訳でございますが、新宿区の東京都健康安全研究センター、二つ目が江東区の東京都産業技術研究センター、三つ目が大田区の羽田空港内、四つ目が足立区の都立舎人公園、五つ目が江戸川区の都立篠崎公園、六つ目が八王子市の首都大学東京、七つ目が調布市の調布飛行場、八カ所目が小平市の東京都薬用植物園、以上八カ所でございます。

○和泉(な)委員 放射線量が高い東部地域の中でも、さらに高い葛飾にはないわけですね。現在の測定値が原発事故前の範囲内だというなら、水元公園に設置して測定してからいっていただきたいと思います。
 昨年七月には、特別区長会から、局所的汚染箇所への対処を求める要望書も提出されています。子供たちの健康に対する影響を心配する親たちから、健康調査を行ってほしいという声も多く上がっているんです。都はこの声に応えて、健康調査を実施する自治体に補助を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○中谷健康安全部長 ただいまのご質問にお答えする前に、和泉委員の方から、通常の範囲内に戻っているのであれば、水元公園を測定してはどうかというお話を賜りましたので、私ども、先ほど来、モニタリングポストのお話をしてございますので、その意義も含めて、今の現状についてもう少し詳しくご説明させていただきたいと思います。
 モニタリングポストによる空間放射線量の連続測定でございますけれども、住民の方々が長時間滞在する通常の生活空間における空間放射線量を測定するものでございます。
 さらに、各区市町村におきましては、それぞれ独自の判断によりまして定点を設置いたしまして、定期的に空間放射線量の測定を行っており、そうした各区市町村の測定結果については、先ほどお話ししました八カ所のモニタリングポストの測定結果とおおむね符合しております。
 したがいまして、最近のモニタリングポスト八カ所の測定結果、これはホームページの方に毎日二十四時間掲載しておりますが、〇・〇三から〇・〇八マイクロシーベルト・パー・アワーでございますが、これは都内全域の通常の生活空間における放射線量をあらわしているというふうに考えてございます。
 ちなみに、葛飾区が最近測定いたしました空間放射線量の定点測定結果、〇・〇六から〇・一五、あるいは〇・一三とか〇・一一といったような場合もございますが、江戸川区に設置しているモニタリングポストの測定結果、〇・〇八マイクロシーベルト・パー・アワーとおおむね符合しているというふうに認識してございます。
 今のご質問でございますが、都として補助すべきというお話でございますが、今お話ししましたように、八カ所の空間放射線量の現在の測定値は原発事故前の範囲内となっているわけでございます。
 また、食品についても、国の仕組みに基づきまして、生産地において農産物等の放射性物質の検査が行われております。またさらに、都独自に、小売店に流通する野菜類や、子供が継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を実施しておりまして、国内産食品から基準を超えたものはございません。
 こうしたことから、都として、現時点で特段の健康調査が必要とは考えておりません。

○和泉(な)委員 実際に、尋常ではない高さの放射線量が測定されているということを、具体的な数値もお示しして指摘しました。先ほどの区道上の六マイクロシーベルト、これは通学路です。子供たちの通学路です。もし都民の多くが日常生活を行う場所というんだったら、それぞれの民家のお宅にも、ご本人たちの了承をとってモニタリングポストを設置したらどうですか。そのぐらいやらなければ、本当に高いところはわからないと思います。
 放射性物質が風に舞って、移動して、滞留する場所を変えながら、高い放射線を出し続けているんです。その中で日常を過ごしている子供たちの健康に、心配ありません、影響はありませんと、本当にいい切ることができるんでしょうか。できるはずがないでしょう。今まで何も検証、研究してこなかったんですから。そういう蓄積がないんですから。だからこそ、安心なら安心であることを確認して、心配な場合にはデータを蓄積して、継続的に検査を受けることが必要ではないかと思うんです。
 子供たちの夢や希望が放射能によって閉ざされることのないよう、都が責任を持って健康調査の対策を行うよう重ねて強く要望して、質問を終わります。

○田中委員 五点質問させていただきたいと思います。
 一点目、食品偽装についてお伺いをします。
 食品の表示について、偽装の表示というのが全国で相次いでおります。東京都においても、ホテルにとどまらず、百貨店のレストラン、食品売り場でも次々と発覚をしております。あそこもか、あそこもかということで、毎日の報道に皆、飽き飽きしている現状かと思いますが、業界全体のモラルがどうなっているんだろうといったことを思うのは、私だけではないと思います。
 レストランのメニューの偽装表示を防止するために、消費者庁は、景品表示法に基づくガイドラインを早期に策定し、表示の適正化に向け、体制を強化するといった方針が報じられております。
 一方、今年度になって、私の地元大田区なんですが、スーパーマーケットで販売されていた豚肉の産地偽装がJAS法違反として公表されております。食品表示は幾つもの法律があり、わかりにくいものだと感じております。
 メニュー表示以外の、小売販売されている食品について、どのような表示制度があって、また、都はそれに対してどのように普及啓発活動を行っているのか、都の取り組みをまず伺います。

○古屋食品医薬品安全担当部長 食品表示は、事業者から消費者へ食品に関する情報を提供する手段の一つで、食品衛生法やJAS法などのさまざまな法律により、その目的に応じた表示事項が規定されているところでございます。
 例えば、健康被害を防止するための情報として、食品衛生法に基づいてアレルギー物質や保存方法などの表示を、また、商品選択の情報として、JAS法に基づいて原材料や原産地の表示などが規定されているところでございます。
 こうした表示は、いずれも消費者にとって重要な情報であることから、事業者に対し、パンフレットの配布や、毎年、食品の適正表示推進者育成講習会を開催するなど、表示制度についての啓発を行っているところでございます。

○田中委員 小売販売されている食品の産地の表示というのは、今の答弁で、JAS法により規定をされているということでありますが、この食品表示の問題が長引けば、これから年末に向けて買い物に行ったり、いろんな年末の忙しい時期になってきて、大変に買い物にも悪影響が及ぶおそれがあるんだろうと思っておりますし、食品の信頼性にも影響しかねない問題であります。
 都は、先ほどの中でも、このようにして取り組みの中では育成を、なおかつ監視も行っているということでありますが、このJAS法に基づく食品の表示について、どのような監視や指導を行っているのか、その実績を伺います。

○古屋食品医薬品安全担当部長 JAS法に基づく監視指導につきましては、食品衛生監視指導計画の重点事項の一つに位置づけているところでございます。平成二十四年度は、延べ二十六万四千七百七十一品目の表示検査を実施しているところでございます。
 表示検査につきましては、店頭における目視検査に加え、計画的な買い上げによる遺伝子検査、国からの情報に基づいての調査などを実施しているところでございます。不適正な表示を発見した場合、関係機関と連携して、改善指導や公表などの措置を講じております。
 今年度も、多種多様な食品が大量に流通する年末に合わせ、適正表示を徹底するため、表示の一斉監視指導を実施してまいります。

○田中委員 年間二十六万品以上の調査をしているということで、その数の多さには、私も聞いて大変驚いたのでありますが、そうはいっても、東京の全ての品目を調べるというにはとても追いつかないと思います。やはり根本的な問題、もしくは求められるものとしては、食品を扱う業界全体が、襟を正して消費者の信頼回復に努めることであると思っております。
 引き続きの表示の適正化に向けて都ができることは、このJAS法に基づく、ないしは食品衛生という立場からの監視や指導ということでありますが、徹底して、私たちが安心して食品を買えるといった状況をつくっていただきたいと思っております。
 次に移ります。二つ目は、大島の災害に対してであります。
 台風二十六号による伊豆大島の土石流災害から、十六日でちょうど一カ月がたちました。
 死者は三十五人に上り、四人が今も行方不明という状況であります。家屋の損害は、全壊が七棟を含め二百二棟、百人以上が島内外に避難をしているというのが今の現状です。
 私も十八日に、月曜日でありますが、現地を訪れて町長や大島支庁を訪問し、また、大島社会福祉協議会災害ボランティアセンターのもとで、実際にボランティアの皆さん、当日は百人ほどいて、前日の土曜日、日曜日は四百人にも上る人がボランティアに来ておりましたが、実際に被害者の泥かき等を行ってまいりました。このセンターが、東京都社会福祉協議会との連携で運営されている姿も見てまいりました。
 ちょうど一カ月がたった中、福祉保健局としては、この大島の災害対応について、この間、どのような取り組みをしてきたのか、実績を伺います。

○中川原総務部長 福祉保健局では、十月十六日発災直後から、総合防災部や現地の大島支庁、島しょ保健所大島出張所を通じ、状況確認を行うとともに、翌十七日には局内で情報共有を図り、局を挙げた支援体制を確立するため、局長をトップとした局対策会議を立ち上げました。
 この間、福祉保健局が実施してきました被災地支援は多岐にわたっておりまして、多少お時間をいただき、主な被災地支援を申し上げたいと存じます。
 まず、医療救護活動といたしましては、都立病院や民間医療機関と連携し、発災当日の午後から東京DMATを派遣し、四日間に及ぶ医療救護活動を実施するとともに、都立広尾病院での患者受け入れとして、七名の重傷者のヘリコプターによる医療搬送及び台風二十七号の接近に備え、十四名の大島医療センターの入院患者等の搬送を実施いたしました。
 次に、避難住民対応といたしまして、避難所での健康指導、衛生管理指導や、福祉避難所での要援護者支援のため、保健師及び介護職員を派遣いたしました。また、台風二十七号の接近に備えまして、島外避難を希望された高齢者等の要援護者の避難に際しましても、医師、看護職員等による健康状態の確認や移動支援を実施するとともに、竹芝桟橋での下船支援のため、職員の派遣を行いました。
 避難された方々のうち、特に介護等の必要な方々については、都立施設に加え、民間の特別養護老人ホーム等の協力も得ながら、二十八名の受け入れを行いました。
 次に、先ほど、山加理事の質疑にもございましたが、動物の同行避難対応といたしましては、現地避難所等で使用するためのケージを搬送するとともに、島外避難された方の同行動物について、獣医師会や地元の動物病院の協力を得て、一時保護を行いました。
 被災された住民等の心のケアについては、精神保健福祉センター等から専門職員を派遣し、心と体の健康相談等の支援を行ってまいります。
 物資につきましては、都の備蓄品から、アルファ化米や哺乳瓶、調製粉乳などの支援を行ったほか、断水被害の発生した水道施設の被災状況確認のための職員を現地に派遣いたしました。
 さらに、被災された住民の方の生活再建支援策として、被災者生活再建支援法適用による国の被災者生活再建支援金の支給、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害援護資金の貸し付けに加え、都単独の支援金の支給及び貸し付けを実施することとしておりまして、昨日より局から職員を派遣しており、大島におきまして、本日から相談窓口支援を行っております。
 また、十月十九日からは、日本赤十字社東京都支部及び東京都共同募金会とも協力して義援金の募集を実施しておりまして、先日、十一月十五日には、第一回の東京都義援金配分委員会を開催いたしました。

○田中委員 発災直後から本日までの活動を述べてもらいました。まとめてもらったとはいえ、大変に盛りだくさんであり、多くの活動を福祉保健局中心となってやっていただいたということが、私も含め、委員の皆さんにもわかってもらえたのかと思っております。
 また、この話を聞いている中で、延べ百人以上の福保の職員の人も現地に赴き、いろんな活動をしてきたというお話も聞きました。まだまだ復興途中ということで、これからがまた大変かと思いますが、ぜひこれまでの活動をさらに進めていただきまして、引き続きの支援を求めたいと思っております。
 その中で、今、十五日には第一回の東京都義援金配分委員会が開催されたということが答弁でありました。この委員会の中ではどのようなことが決まったのか、また、今後の計画を伺いたいと思います。

○飯塚指導監査部長 東京都義援金配分委員会は、地震などの災害により被災した都民に対する義援金の配分を適正、公平に行うために設置されております。
 ただいま総務部長が答弁したとおり、伊豆大島等で発生した台風二十六号による災害を受け、都では十月十九日から義援金の募集を開始し、全国からたくさんの志をいただいております。
 こうした中、第一回の配分委員会を十一月十五日に開催いたしました。
 配分委員会では、災害救助法が適用された大島町に全額配分すること、第一次配分額を一億五千七百万円とすること、大島町からの意向を踏まえ、人的被害については、死亡者と行方不明者のいる世帯及び災害障害見舞金の給付対象となった方を、また、住家被害については、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊となった方を配分対象とすることを決定いたしました。
 義援金に関する今後の計画についてでございますが、今回の第一次配分額を十一月中に大島町にお渡しし、それ以降は、十二月末、一月末時点での金額を、配分委員会の決定を経て、それぞれその翌月に配分する予定でございます。

○田中委員 これからの課題というのは、先ほど来から出ておりますけど、被災された方の再建支援かと思っております。答弁では、支援制度においては、都単体の支援金支給制度を設けることもお聞きしましたし、また、きょうから相談窓口に都の職員、専門家が派遣されたということも伺いました。
 今後も、義援金が被災者の今後の生活の後押しとなるように、もう町とも密に連絡をとっているということも聞いておりますが、迅速な対応を求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、感染症対策について伺います。
 昨年から始まった風疹の全国的な流行は、ことしに入ってからさらに患者数が増加をし、ニュースでもたびたび取り上げられておりました。大変な状況であるとうかがえるところではありますが、このところは少しその報道もおさまったかなということで、患者数もやや減少傾向にあると聞いております。
 現在は、実際にどのような状況であるか、まず伺います。

○清古感染症危機管理担当部長 都内では、昨年七月ごろから患者数が急増し、本年二月以降は毎週百名を超す患者が報告され、四月下旬の最も患者が多かった週では百七十七名の患者が報告されました。
 その後、患者数は徐々に減少し、十月以降は週当たり一桁の患者数となっておりますが、流行が今後続く可能性もあることから、引き続き、注意深く発生状況を監視しております。

○田中委員 この風疹について、最も注意をしなければならないことというのは、妊娠中の女性が感染することによって、おなかの赤ちゃんが先天的な病気にかかる、先天性風疹症候群の発生であるといわれております。
 風疹の大規模な流行が続く事態を受けて、東京都としては、ことしの三月から、この先天性風疹症候群の発生防止のため、緊急対策として、妊娠を予定または希望する女性などへのワクチン接種を実施する区市町村への補助事業を開始いたしました。
 この補助事業の、これまでの緊急対策の実施について伺います。

○清古感染症危機管理担当部長 都の緊急対策の発表以降、各区市町村において実施体制が整えられ、現在、都内全ての区市町村において、先天性風疹症候群の発生防止のためのワクチン接種を受けることができます。
 区市町村から報告されております九月末日までの接種実績では、合計で九万人強の方たちが緊急対策の事業を活用して、既に接種を受けられております。

○田中委員 これは男性でも、二十代、三十代の接種を受けていない世代が危ないということで、私自身もその九万人の一人になるかと思うんですけど、予防のためのワクチン接種を受けて対策を行った一人であるんですが、多くの人が予防の必要性を感じ、ワクチンを接種しようとしておりました。
 その一方で、ワクチンの需要の急激な増加に供給が追いつかず、現場では混乱も生じ、一時はワクチンが足りなくなるんじゃないかといった報道までされました。
 予防接種が円滑に行われるためには、このワクチン供給が安定的に行われるようにする必要があると思いますが、どのような対策がとられているのか伺います。また、現在、風疹の予防ワクチンの絶対数それ自体、供給状況はどのようになっているのか、あわせて伺います。

○清古感染症危機管理担当部長 ワクチンは、法律に基づく定期予防接種の対象者を中心に接種需要を見込み、計画的に生産されることから、急激な需要の増加に対応し、短期間に生産量を増加することは難しく、このため、ワクチンの不足が見込まれる状況となった場合には、より必要性の高い方の接種を優先し、そのためのワクチンを確実に供給することが求められます。
 風疹の予防接種は、定期予防接種として、一歳になった子供と小学校入学前の一年間の子供にまず確実に接種を受けさせることが重要であり、また、このたびの緊急対策の対象者への接種を速やかに行うため、これらの方たちへの接種のためのワクチン供給を、区市町村や接種を担当する医療機関、医師会、医薬品卸売事業者の関係者の協力のもとに優先的に確保する体制を整えました。
 また、定期予防接種や緊急対策の接種対象者以外の方については、都内医療機関などの関係機関に対し、適宜、風疹の抗体検査の実施と組み合わせた対応をとっていただくよう依頼したところです。
 ワクチンの需給状況については、本年春から夏にかけてのワクチン不足が懸念された時期においても、都内においては、子供たちが定期予防接種を受けられなくなるような大きな混乱を生じることはなく、現在は、ワクチンの需要に対して供給が不足する見込みも解消された状況にあります。

○田中委員 この風疹の流行というのは、今の答弁の中でもありましたが、現在はかなり鎮静化をしているようでありますが、これまで予防接種をまだ受けていないという方も私の周りにたくさんおりますし、再度、この流行に対して引き続きの警戒を怠ってはならないとも考えております。
 また、ワクチンの供給体制もそうであります。このワクチンになると、以前は--私も前々回、厚生委員会でありましたが、インフルエンザのときもこのワクチンの話題が問題になって、いざ大きな流行が起こったときに適切に対応するため、あらかじめ対策を、準備をしておくことが、また、行政と医師会や薬剤師会やさまざまな区市町村との連携が必要ということは常にいわれております。今回もそのような優先的確保体制を整えたということでありますので、ぜひ今後も関係機関等の協力を密にしていただき、しっかりとした備えをしていただきたいと思います。
 一方で、予防接種で防げる病気について、きちんと接種を受けておくということは、都民一人一人が感染症に備えるという意味で大変重要なことであります。都民の予防意識に訴えかける情報提供や啓発なども大きな役目だと思っておりますので、ぜひ引き続きの取り組みを要望したいと思っております。
 次に移ります。地域包括ケアシステムについて伺います。
 日本は諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進んでいることは、どの委員も、また、ここにいらっしゃる方も同じ認識かと思っております。六十五歳以上の人口は現在三千万人を超えて、二〇四二年には三千九百万人でピークを迎えるともいわれています。
 このような中、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年をめどに、重度な要介護状態となっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築というものが、国の政策として昨年度から始まり、進められているところであります。
 その中で、都としては九月に、大都市における地域包括ケアシステムの実現に向けた介護保険制度の見直し等に関する緊急提言を行ったばかりであります。まず、このような提言をするに至った経緯を伺います。

○中山高齢社会対策部長 平成十二年に創設されました介護保険制度におきましては、制度発足以降、三年に一度、制度改正、報酬改定が行われてきております。都はこれまでも、時期を捉えて、国に対し提言を行ってまいりました。
 現在、我が国では、今後の社会保障制度のあり方について、本年八月に取りまとめられました社会保障制度改革国民会議報告書で示された方向性に沿いまして、さまざまな議論が行われております。介護保険の分野では、平成二十七年四月の制度改正に向け、社会保障審議会介護保険部会等におきまして具体的な検討が行われております。今月末には、介護保険制度改正に関する部会の意見が取りまとめられる予定でございます。
 そこで、都は本年九月、都内における大幅な高齢者人口の増加が見込まれる中で、大都市東京の実態に即した地域包括ケアシステムの実現が可能となるよう、緊急提言を行ったものでございます。
 具体的な内容ですが、地域包括ケアシステムを支える介護基盤の整備促進に向けた三つの提言、給付の効率化、重点化に係る一つの提言、サービスの質の確保に係る一つの提言、住所地特例に関する一つの提言の、合計六つの提言となってございます。

○田中委員 その提言については私も読ませていただきました。内容は今説明があった六項目であって、それぞれ確かに重要な視点であると思いますが、この地域包括ケアシステムの実現のためには、地域におけるサービス基盤の充実が必要不可欠だと考えています。中でも、住宅サービスを支える定期巡回・随時対応型訪問介護看護や小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスに関する提言に私は注目しました。
 そこで、都はこれまで、地域密着型サービスの整備促進について、さまざまな促進策を講じてきました。この提言の中でどのようなことを目指していくのか、講じてきた実績とこれからの方向性をお聞きしたいと思います。

○中山高齢社会対策部長 地域包括ケアシステムの実現のためには、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスの充実が必要でありますことから、都はこれまで、国の交付金に加えて整備費を加算することや、土地所有者がみずから建設し、事業者に貸し付ける場合にも補助を実施するなど、独自の取り組みにより整備促進を図ってまいりました。
 また、医療と介護の連携に際して重要な役割を担う訪問看護師の育成につきましても、独自に作成したOJTマニュアルを活用した、訪問看護ステーションの管理者や指導者に対する研修の実施などを行っております。
 今後とも、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの実現を目指して、地域密着型サービスを初めとする介護基盤の充実に取り組んでまいります。

○田中委員 私も地元大田区で、医師会や歯科医師会、薬剤師会を初めとする医療関係者の人たちと一体となって、この地域包括ケアシステムがどのようにすれば機能できるのかと、いろんな課題があり、さらにまだ始まったばかりでありますから、手探りの中でありますが、勉強会等で議論をしております。皆さん、何とかこの六項目を、地域包括ケアシステムの中でうまく機能できるようにということで取り組んでいるところでございます。
 この議論の中で、今、施設の問題について話しました特別養護老人ホームなどのような施設整備も、もちろん大事ではあるんですが、この理念にもあるように、やはり誰もが、できれば住みなれた自宅で安心して暮らし続けられることが理想であります。
 こうした世の中を実現するために、先ほど、都の独自加算方式の整備促進をしているということがありましたが、引き続きこの支援をしていくことを要望するとともに、国に対しては、都のような大都市における、全国一律ではできない制度というのがたくさん、この問題だけではなく、診療報酬の一律の問題ももちろんありますし、土地が少ない、土地が高い、また、高齢者がこれから集中してくるといった東京都独自の課題をしっかりと国に伝えて、また、今回の提言を行って、これからも恐らく委員会の中で議論となってくるかと思いますので、さらにこの制度を進めることを要望しまして、最後の質問に行きたいと思います。
 最後の質問は、生活習慣病対策であります。
 毎月送ってもらっています東京都の広報誌の「福祉保健」の中で、九月号でありますが、たっぷり野菜を食べよう、生活習慣病予防という広報がされておりました。糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の予防は重要な課題となっておりますと。そのため東京都では、平成二十五年三月に東京都健康推進プラン21(第二次)を策定して、生活習慣病の予防に取り組んでいるということであります。
 都民の死因を見ますと、第一位のがんを筆頭に、第二位が心疾患、第三位が脳血管疾患となっており、生活習慣病が都民の命、健康を守るための最優先の課題であることはいうまでもありません。特に、食生活や運動は健康づくりの基本であると考えますが、これについて、ここでも大きく宣伝をしておりますが、具体的な取り組みについて伺います。
 また、関連して、今年度、あわせて行われております食生活改善普及運動についても伺います。

○高橋保健政策部長 都は、健康推進プラン21におきまして、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を総合目標に掲げ、都民の健康づくりを推進しております。
 都民の健康状況を見ると、四十歳から七十四歳の都民の三人に一人は糖尿病または予備軍であり、生活習慣病の予防は健康づくりを進める上で最大の課題でございます。
 がん、糖尿病を初めとする生活習慣病の予防、重症化予防を推進するためには、日ごろの生活習慣の改善、特に食生活と運動に関する取り組みが重要でございます。そのため、野菜の摂取量をふやすことや減塩、運動や家事の時間を工夫した運動量の増加など、プランに基づいて日常生活で負担感なく実践できる生活習慣の改善をわかりやすく漫画で作成しましたパンフレットを配布するなど、都民に働きかける取り組みを進めております。
 また、毎年九月に食生活改善普及運動を実施しておりますが、今年度は、パネル展示や、栄養士養成施設等を対象とした、野菜を多く使用した低カロリーメニューの募集、紹介、ホームページ等を活用したさまざまな情報提供を行ったところでございます。

○田中委員 答弁の中で、都民の三人に一人が糖尿病、また、そのためにはやっぱり食生活だということがありました。先ほど、遠藤委員からも幾つか給食という観点で話がありましたが、それに関連するとは思うんですけど、やはりこの食生活というのが、この間、日本は大きく変わってきたというのが問題だと思っております。
 先ほどもありましたが、食の欧米化によって、今までの野菜から、肉や牛乳や乳製品などの動物性脂肪の多い食品が増加をしてまいりました。これによって、先ほどの糖尿病も大きくふえることとなり、それによって肥満、また、動脈硬化によって起こる心疾患や糖尿病、乳がん、大腸がん、前立腺がんが急増しているともいわれております。
 そのためには、やはり早期発見や早期治療といわれておりますが、最も肝心なのは、病気にならないための予防の観点であります。先ほど答弁にありました、栄養のバランスや塩分、糖分のとり過ぎの注意等、もちろん生活習慣病の予防にはなりますが、今、学会や国会でも話題になっております動物性脂肪に関しては、都としてもまだまだ対策がおくれていると、私も同じ問題点で質問をさせていただきます。
 昨年六月に、日本動脈硬化学会が、脂肪の中でも特に飽和脂肪酸が動脈硬化性疾患のリスクを高めるということを発表しました。この中のガイドラインでは、この予防をするために生活習慣病を改善するということで、肉の脂身や乳製品や卵白を抑えて、魚や大豆製品の摂取をふやすと。当然、日本人がこれまで食べてきた食生活ではあるんですが、これを提言しております。
 さらに、今年度は厚生労働省のホームページでも、脂質異常症を防ぐ食事として、飽和脂肪酸一に対して、いわゆる不飽和脂肪酸というのを倍以上とること、また、高コレステロールの人は、コレステロールを多く含む食品を控えるということを挙げております。
 東京都として、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の予防や重症化予防を推進するため、食生活ということをいっておるんですが、この広報誌も、とにかく野菜を食べましょうと、野菜、野菜で、一日三食で五皿の野菜ということで、五皿の野菜を掲げてあるんですが、そうはいっても、なかなか野菜を食べない人は食べないわけでありまして、それ以外の、今までの食生活や食習慣が変わっているということもあわせて啓発し、医療の立場から、また、私たち都民の健康を守る立場から情報提供するのが大きな役目であると思っております。
 また、食事は、先ほどの給食ではないんですけど、幼少から形成されるといわれておりますから、大人だけではなく、子供を持つ親御さんにもさまざまな啓発が必要かと思っておりますが、都としての考え、また、取り組みを伺います。

○高橋保健政策部長 日本におけます大規模な疫学研究におきましては、飽和脂肪酸の摂取量の増加と心筋梗塞等の動脈硬化性疾患の増加には、必ずしも関連が認められておりません。逆に、飽和脂肪酸摂取量の少ない場合に、脳出血の増加が見られております。
 これらのことも踏まえまして、厚生労働省では、科学的根拠に基づき、日本人のための食事摂取基準を定めておりまして、脂肪酸に限らず、さまざまな栄養素について望ましい摂取量を示すとともに、バランスのよい食事を推奨しております。
 都では、こうした科学的根拠に基づく基準も踏まえ、東京都健康推進プラン21において、生活習慣改善のための栄養、食生活に関する目標として、適切な量と質の食事をとる人をふやすということを掲げまして、成人の一日に必要な野菜の量、塩分、脂肪エネルギー比率などを具体的に示し、普及啓発を行っております。
 また、生活習慣の形成期であります幼児期から健全な食生活を身につけさせることが重要であることから、保護者と子供がともに食事に関する知識を正しく身につけられるよう、三歳から五歳までを対象に、一日に何をどれだけ食べたらよいかをわかりやすく示した東京都幼児向け食事バランスガイドを作成いたしまして、それをもとに、親子で楽しく遊べる、こまの形をした教材を作成いたしました。
 これらを区市町村、保健所に配布するとともに、そのこまの内容や活用方法等につきまして具体的に示した指導者向けマニュアルも作成しまして、母子保健事業や幼稚園、保育所等における活用を促しているところでございます。

○田中委員 もろもろと説明を受けたんですが、昔から、野菜を食べようというのは、多分、何十年も同じようにいっていまして、それでもなかなかどころか、今、生活習慣病はさらに大きな問題となっております。もちろん、そこに今いった飽和脂肪酸だけでなく、いろんな問題があるかと思うんですけど、何が問題なのかと、それを総合的にさまざまな見地から検証してもらって、ぜひ予防というものにさらに力を入れていただくことを要望して、質問を終わります。

○塩村委員 私の方からは、まずは待機児童問題についてお伺いをいたします。
 就学前児童人口の増加や保育所入所申込率の増加により、申込者数も大きく増加をして、待機児童数は都内で八千百十七人と増加をしています。私の地元の世田谷区におきましては八百八十四人と、都内でも待機児童数が一番多い区となっております。
 厚生労働省は、待機児を、一、入所を申し込んだのに認可保育所に入れない、二、認証保育所など自治体独自の保育施設に入所した場合は含まないなどと定めており、保護者が求職中の場合や育休明けの扱いなどは各自治体に判断を任せているのが実情で、都内におきましても、待機児童数という数字だけを見ても、何が基準で、実態に即しているのかいないのかは微妙といわざるを得ません。
 本年度、杉並区は、子供を預けられないためにやむを得ず仕事をやめたり、育児休業を延長したりする場合は待機児とみなしていなかったケースでも、親が保育所への預け入れを望んでいる実態に即し、待機児に含めると変更しました。従来の数え方では九十四人だった待機児が、新たな数え方では三倍以上の二百八十五人となったわけです。
 東京は待機児童が多く、六月の都議選でも一つの争点となりました。この待機児童問題に対応するために、都は、東京スマート保育、スマ保も打ち出したわけです。東京都は、このように極めて積極的に待機児童問題に取り組んでいるわけですが、待機児童の定義を持っておらず、おのおのの区市町村が報告をしてきた数を発表しております。
 認証保育所、スマ保の導入もあり、今後は待機児童数も減ってくると期待されますが、待機児童は東京が抱える大きな問題の一つとして、都独自の基準を示し、発表するなど、検討はしているのでしょうか。

○浜少子社会対策部長 保育サービスは区市町村が実施主体でありまして、認可保育所の入所対象となる児童の基準をそれぞれ条例等で定めております。
 区市町村は、保護者の認可保育所以外のサービスの利用実態や求職活動の状況等の実情をきめ細かく把握しており、待機児童数についても、こうした実情を踏まえ、国の定義に基づいて把握しているものでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。都は、せっかく積極的に待機児童問題に取り組んでいるわけですので、区市町村の定義も大切にしつつ、都として一律の定義を持つことも一つの方法だと思っております。
 続きまして、動物愛護問題について質問させていただきます。
 私は、動物ボランティアとして二十代から活動してきました。まず、ペットの生体販売と八週齢規制についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定いたしました。今回、五輪のキーワードは成熟で、その具体的な形は文化国家としての日本だと新聞等で報道されております。日本は、不景気とはいえ、高度な技術を有し、経済発展の進んだ、紛れもなく先進国でありますが、残念ながら文化面でまだまだ発展途上の分野があります。その一つが動物愛護と福祉です。
 先進国の多くがペットの生体販売をしておりません。しかしながら、東京を含む日本のペットショップでは、ショーケースに子犬と子猫が入れられて販売されております。オリンピックで欧米から来た観光客がペットショップを見たら、驚く人も多いはずです。
 ドイツなどでは、動物愛護と福祉の観点から子犬販売週齢規制をしています。犬の保護に関する条例の中で、子犬を八週齢まで母犬から引き離してはならない、また、やむなく引き離すときは、八週齢まで同胎犬と一緒に過ごさせることと規定をしております。もちろん日本のようにペットショップの店頭で生体販売されることはなく、ブリーダーから飼い主のもとへ販売、譲渡されています。免疫だけではなく、行動、成長の急加速を見せるといわれる八週齢まで母犬や兄弟と一緒に過ごすということが、問題行動を起こす確率も低下をさせ、また、動物福祉的にもいいということはいうまでもありません。
 しかし、日本は、ことし九月に施行された改正動物愛護法の中で、八週齢規制については附則がつくことで逃げ道をつくってしまっています。
 そこでお伺いします。東京都は、ペットの生体販売と八週齢規制をどのように考えているのかお聞かせください。推進計画の中に八週齢の大切さを伝える文言を入れたり、国より先取りをすることが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。

○中谷健康安全部長 ただいま塩村副委員長の方から、動物の取り扱いについて、ドイツとの比較を挙げてお話をいただいたところでございますが、我が国日本においては、動物の販売や取り扱いについては、動物の愛護及び管理に関する法律の中で定められております。
 動物の生体販売については、法改正により、動物取扱業に犬猫等販売業が新設をされまして規制が強化されたことから、監視指導を強化し、動物の適正な取り扱いを図ってまいります。
 今お話のありました八週齢でございますが、出生後五十六日を経過しない犬及び猫については、法改正では、販売、そして販売のための引き渡しや展示が禁止されました。ただし、制度を円滑に施行し、全ての犬猫等販売業者にこの内容を遵守してもらうため、附則により、平成二十五年九月一日、これは改正法の施行でございますが、その施行時から三年間は、出生後四十五日、それ以降、別に法律で定めるまでの間は、出生後四十九日を経過しない犬及び猫の販売等を禁止するという規定になってございます。
 なお、国は、今お話もございましたが、早期の親等からの引き離しが問題であるものの、昨今の飼育環境の変化や取り扱われる品種の変化を踏まえ、どの程度の日数が最低限必要であるかは十分解明されていない部分があり、一方、規制の遵守のためには、生年月日の証明など、販売規制の担保措置についても充実させる必要があるというふうに説明をしております。
 したがいまして、今後、国は、親等から引き離す理想的な時期について調査、検証し、それに基づき日数を定めることとしております。
 こうした法改正及び附則の内容、そして国の考え方等に鑑みるならば、現行の法体系の中で、都として、法律を上回る規制を条例で定めることはできないというふうに認識をしております。
 また、推進計画については、当然、法の中身が改正されておりますので、先ほども素案を取りまとめたという状況でございますから、その内容についてはどういうふうに盛り込むかということは、今後についてまた検討していくということでございまして、これまでも検討してきたということでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。
 八週齢規制につきましては、麻布大学獣医学部教授、中央環境審議会動物愛護部会委員の太田光明教授は、たかだか二、三年で調べられるものではない、イギリスを初め欧米では経験値によりいわれ、そして既に法に取り入れられていると力説されております。
 条例等につきましては、八週齢ではないんですけれども、多頭飼育、今回これも審議会等で話題に上りましたが、国の方針に従っていろいろ審議したんですけれども、新潟等では既に条例になっております。都でできないということはないと思いますので、検討していただけたらと思います。東京からぜひ積極的な姿勢をお願いしたいと思います。
 次に、動物取扱業の監視指導についてお伺いをいたします。
 昨年度、ペット業者に対して行った監視指導の数、そして事前連絡なしに行った監視指導の数はどのぐらいなのでしょうか、お願いいたします。

○中谷健康安全部長 動物取扱業には、新規登録と更新登録、こういった制度がございますが、そういった場合には事前に日程を連絡した上で監視指導を行っており、その他の監視指導については事前の連絡は行っておりません。
 平成二十四年度の監視指導の件数は三千百九十五件であり、そのうち事前連絡なしに行った監視指導の件数は千六百八十三件でございます。

○塩村委員 ありがとうございます。一昨年度のアンケートによりますと、回答した都民の半数が東京都に望むことは、ペット業者に対しての監視指導という結果でした。これは、いかに都民の多くが、ペット業者に対して多少なりとも何らかの不安を持っているということになるのではないでしょうか。悪質な業者が減るよう、今後もしっかりと監視指導をお願いいたします。
 続きまして、マイクロチップの普及啓発についてお伺いをいたします。
 マイクロチップとは、動物の個体識別を主な目的とした電子標識機器です。直径二ミリ、全長約十二ミリと、とても小さいもので、注射で動物に挿入いたします。うちの猫二匹にも入っております。これが入っていると、リーダーをかざしたときの個体識別番号で身元が判明します。
 現在、東京都は、マイクロチップに関しては区市町村への補助を行っています。資料によりますと、年々装着はふえていますが、情報が入っていないなど、飼い主の装着後の理解が不足をしている状態です。
 災害時の迅速なペットの返還のためにも推進をしていくべきだと考えますが、この状態を鑑み、区市町村に対して指導や要望等は行っているのかお伺いをいたします。

○中谷健康安全部長 動物に所有者明示をすることは、災害時など、動物が逸走してしまった場合の飼い主への返還に意義があることから、都としては、犬の登録時に交付される鑑札や迷子札等の外見上わかりやすい方法により所有者明示を行うとともに、マイクロチップ装着などの対策をとることについても、パンフレット等により普及啓発をしております。
 都は、区市町村がマイクロチップの普及事業に取り組めるよう、区市町村包括補助事業により財政支援を行うこととしており、その説明会においても内容の周知を図っているところでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。鑑札も有効だと思いますので、マイクロチップも鑑札も推進を続けていただきたく思います。
 マイクロチップですが、せっかく予算を計上し、推進をしても、飼い主の知識が足りず情報が空だったり、引っ越し等で情報が変わったにもかかわらず届けていないのでは意味がありません。このあたりの普及啓発を今後の課題としてお願いをいたします。
 続きまして、動物愛護推進員についてお伺いをいたします。
 愛護経験が豊富でボランティア精神にあふれた、すばらしい方々が選任されていますが、一般にはまだ浸透し切っておらず、より活用していくべきだと考えます。動物愛護推進員の方々の昨年の活動実績をお伺いいたします。
 また、推進員の方々をより活用すべく、その具体的な方法を何か考えているのか、方向性をお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 現在、都内全域で約三百人の動物愛護推進員を委嘱しており、推進員は、都や区市町村等と連携し、活動をしております。
 昨年度の活動実績でございますが、動物の適正な飼養方法の個別相談対応を行った方が百九十九人、飼い主のいない猫対策へ支援をした方が百二十六人、譲渡の支援を行った方が百二十人などとなっております。
 また、活用すべき具体的な方法とその方向性という話でございますが、動物愛護推進員の活動は、動物の愛護及び管理に関する法律により、適正飼養について住民の理解を深めること、住民の求めに応じて繁殖防止措置の助言をすること、災害時に国または都道府県が行う施策に協力することなどが規定をされております。都は、推進員の地域での活動が広がるよう、区市町村に対し、各推進員の活動内容を情報提供しております。
 現在、先ほどもご答弁申し上げました動物愛護管理審議会におきまして、推進員を今後さらに活用するため、推進員独自の動物教室の取り組みの支援や、災害時の動物救護における推進員との連携協力等について検討いただいております。
 今後とも、動物愛護推進員との連携協力により各種事業を進めてまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。ぜひ検討を重ねていただきたく思います。
 続きまして、広報グッズ等についてお伺いいたします。
 現在、都民の皆様に配布をしている愛護グッズはどんなものがあるのでしょうか。また、平成二十四年度にかかった費用をお知らせください。

○中谷健康安全部長 お尋ねいただきましたので、私の部屋に置いておりますパンフレット等、これだけのものがございます。動物愛護や動物由来感染症に関しますパンフレット、リーフレットのほか、飼い主のマナー等を訴える犬型と猫型の普及啓発プレート、こういうようなものでございますが、町を歩きますと家先につり下がっているようなものでございます。マナーの関係を含めて、いろいろ訴えかけているところでございます。
 また、東京都だけではなくて、各区市町村でも独自でつくられている分もあろうかと思いますが、そういったもの。
 また、愛護に係るキャッチコピーを入れたボールペンやマグネットクリップということで、ちょっとなかなか見えないと思いますが、人と動物との共生社会を目指してとか、あと、これはちょっと古いものですが、不幸な犬猫をなくすために不妊去勢手術を、一緒に生きるすてきな仲間と、ちょっと猫のあれが入っておりますが、こういう、かわいいクリップなどのグッズを毎年作成いたしまして、イベント等で都民に配布をしているところでございます。
 また、平成二十四年度に要した費用は約二百三十万円でございます。

○塩村委員 ありがとうございます。二百三十万円とのことで、限られた予算の中で効果的に活用されていると思います。
 埼玉ではこのようなステッカーをつくっておりまして、私、携帯の裏に張っているんですが、手帳にはもっと大きなものも張っております。これも多分、とても安くできると思いますので、費用対効果も考えて、今後はより検討していっていただきたいと思います。
 次に、動物愛護センターについてお伺いをします。
 東京の区部には動物愛護センターが、大田区の城南島出張所、そして私の地元世田谷区の本所の二カ所がございます。多摩地区にもございますが、私が視察をしたのが城南島と本所ですので、区部の愛護センターを中心に質問をさせていただきます。
 この二カ所の動物愛護センターですが、その役割をお答えください。

○中谷健康安全部長 本所と城南島出張所は、共通業務として、動物取扱業の監視指導、特定動物の飼養許可、犬の捕獲等を行っております。これら共通業務に加えまして、本所で行っている主な業務は、飼い主からの犬猫の引き取り、譲渡事業、動物教室等でございます。
 一方、城南島出張所は、共通業務に加えまして、負傷動物の収容と治療、動物由来感染症の調査、亡くなった犬猫等の焼却を行っております。

○塩村委員 まとめるとこうなると思います。本所は、都民がセンターに来て動物愛護を学んだり、動物と触れ合ったりする場、城南島出張所は、負傷動物の治療や調査、そして殺処分と焼却、つまり役割分担がある程度できているように感じます。現実は、ちょっと考えてみますといかがでしょうか。
 本所は駅から二十分以上もあり、来所者のための駐車場もないような状況です。これでは休日に家族で訪れようとしても、なかなか難しいのではないでしょうか。現状は、決して都民に親しまれている愛護センターとまではいえないと思われます。
 城南島は車がないと来られない場所でもあり、本所に比べれば敷地は広く、駐車場のスペースは確保できると感じます。スペースだけを考えれば、家族連れが車で来所できるわけですし、本所と城南島出張所の機能を逆にした方がまだよいのではないでしょうか。
 ここでもう一点、欧米と比べておくれている動物愛護や福祉の分野がほかにもあります。それは殺処分の方法です。東京では年間二千頭以上もの犬や猫が殺処分をされています。動物愛護団体やセンターの職員の方々の努力で、東京都はその数が年々減少していますが、ゼロにはなっておりません。
 ドイツでは、ティアハイムと呼ばれる施設で、事情により手放された動物たちは次の飼い主を待ちます。そこでは基本的には殺処分は行われず、日本のように生体販売も町なかにないため、多くの家庭はティアハイムを休日に訪れ、犬と猫を引き取っていきます。
 日本でも、命あるペットたちの処分を極力回避し、譲渡数を今よりも上げ、限りなく殺処分をゼロにしていくことが望ましいと考えます。
 しかしながら、動物愛護センターの譲渡事業を知る人でも、なかなか平日の日中に家族でセンターに足を運ぶことは難しく、結果として、土日も営業しているペットショップで購入をしている家庭が多いと思われます。
 殺処分ゼロを目指し、新施設が昨年オープンした新潟県動物愛護センターを初め名古屋市、下関市などは、土曜、日曜ともに開園をし、譲渡会等を開催して県民や市民への譲渡に努めています。
 このように、動物愛護に力を入れているといわれている自治体の多くが、土曜日、日曜日に愛護センターを開園しています。東京都も、殺処分されるペットを減らし、譲渡率を上げ、殺処分ゼロを目指すために、都民が動物愛護センターに足を運び、譲渡事業を利用しやすいよう、土曜日と日曜日も愛護センターを開園するべきだと考えますが、その予定はありますでしょうか。

○中谷健康安全部長 都は、昭和五十五年四月に犬又は猫等の譲渡実施要綱を定めまして、全国に先駆けまして、動物愛護団体の協力を得ながら、円滑かつ適正な譲渡に取り組んでまいりました。
 都は、飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のある三十五のボランティア団体を登録いたしまして、都内全域で活動しているこれら登録団体を通じて動物の譲渡を行っております。登録団体を通じて個人へ動物を譲渡する団体の譲渡は、都の譲渡実績の約八割を占めております。
 これら登録団体の多くは、譲渡を受けようとする個人に対しまして、土日も含めて、身近な場所で譲渡を受けられる機会を提供しております。
 今後とも、身近に譲渡と飼い方相談などを受けられるよう、登録団体の拡大を図ってまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。東京は殺処分の数も、犬に限って見てみれば二百頭弱と減っており、団体に譲渡をしている効果が確実に出ていると思います。
 私が知る限り、まだまだ団体譲渡を積極的に活用できていない自治体もありますので、この点においては大いに評価をしたいと思います。ありがとうございます。
 しかし、今の答弁を聞く限り、ただでさえ厳しい状態の、私も含めなんですが、ボランティアさん頼みととれなくはなく、動物愛護センターの務めとしては少しいかがなものかなとも思います。土曜日、日曜日も開所し、都民に親しんでもらうべきだと私は考えます。
 理想は、センターで多くの家族や都民に動物と触れ合って引き取っていただき、飼育になれている動物愛護団体などは、一般では譲渡が難しい、現在では処分の対象となってしまうような犬と猫を引き取っていただき、殺処分ゼロを目指すべきだと考えます。もう一歩進んだ譲渡方法を一緒に模索していただきたく思います。
 続きまして、動物の殺処分の方法をお伺いいたします。
 現在、東京では、譲渡されなかった犬猫など、年間二千百頭以上もの動物たちが殺処分をされています。
 その処分について、動物愛護法第四十条第一項に、動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えないようにしなければならないとあります。
 現在の東京の殺処分の方法をお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 都における動物の致死処分方法については、国が平成七年に策定をいたしました、動物の殺処分方法に関する指針で示された方法でございます炭酸ガスの吸入または麻酔薬の注射により行っております。

○塩村委員 ありがとうございます。
 二酸化炭素を使った炭酸ガスの殺処分は全て苦痛が伴わないのかという点に言及をさせていただきます。
 日本動物福祉協会の山口千津子獣医師によりますと、これは審議会の委員の方でもあります。現在、東京都が導入している、炭酸ガスを用いた殺処分機は、二酸化炭素が一番いい濃度で効いた場合には、確かに苦痛は少ないかもしれませんが、機械も老朽化をしていれば、毎回その状態になるとはいい切れないとのことです。
 先進的なセンターとして有名な下関市などは、完全に安楽死であるセボフルランを用いた吸入麻酔剤での殺処分機を導入しました。この機械は初期投資に三億円以上もかかりますし、メンテナンスの費用もかなりかかります。すぐに導入できるものではありません。
 そこでお伺いいたします。現在の殺処分機と遺体を焼くための焼却炉のメンテナンスと運営費には、一体幾らかかっているんでしょうか。
 また、欧米では、病気等で、施設でやむを得ず殺処分を行う場合、ペントバルビタールという静脈注射で殺処分を行っております。東京都が使用している静脈注射の種類と総費用と頭数をお知らせください。平成二十四年度でお願いいたします。

○中谷健康安全部長 まず、メンテナンスと運営費の件でございますが、平成二十四年度の処分機と焼却炉のメンテナンス費用は約百五十万円でございます。
 なお、運営費につきましては、動物愛護相談センターの管理運営経費の中で行われており、致死処分と焼却にかかる経費のみを算出することはできません。
 次に、殺処分に使用した静脈注射の関係でございますが、現在、動物愛護相談センターで致死処分に使用している静脈注射の麻酔薬は、ペントバルビタールナトリウムでございます。
 平成二十四年度に静脈注射に使用した麻酔薬の費用は約十八万円であり、致死処分した動物の頭数は千四十七頭でございます。

○塩村委員 ありがとうございます。殺処分機のない愛護センターもふえてきている中、東京都もコストと動物福祉を踏まえて、殺処分の方法の見直しの検討等もたまに行っていただきたいと思います。
 続きまして、動物愛護センターの建物の強度やファシリティーについてお伺いをいたします。
 災害の多い昨今、気になるのが建物の強度です。動物愛護センターの耐震化の状況をお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 動物愛護相談センター本所は、管理棟が新耐震基準施行後の平成二年に竣工し、また、昭和四十九年に竣工した業務棟についても、耐震診断により耐震性を有するとの評価を受けております。
 また、動物愛護相談センター多摩支所と城南島出張所は、新耐震基準施行後に竣工した建物であり、全ての建物が耐震性を有しております。

○塩村委員 ありがとうございます。愛護センターは耐震性を有しているとのことですが、新耐震はたしか昭和五十六年ぐらいだったと思います。本所は来年で四十年、城南島出張所は三十年が経過し、ぱっと見、老朽化が否めない状況ではあると思います。
 私も視察に行きましたが、うわさに聞いていたとおり、積極的に来たくはないと感じる施設でした。建物が老朽化し、暗いのが原因だと感じます。
 開所後、大規模改装などリニューアルを行いました時期と内容をお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 動物愛護相談センターの各所、三所でございますが、その果たすべき役割と機能を確保するために、これまで必要に応じて施設の整備を行ってまいりました。
 本所では、平成二十年度に動物舎の個別空調への切りかえ工事を実施いたしました。
 城南島出張所においては、平成十九年度から平成二十一年度にかけて、動物由来感染症の予防対策強化のための施設や小動物のための治療室を整備するなど、施設改修を行ってきたところでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。城南島出張所に関しましては、地盤沈下で数年ごとに入り口の階段が一段ずつふえているような状況でもあります。先ほどの答弁に、必要に応じてとありましたので、そろそろ次のことを考えてもいいんじゃないかなとも思いますので、検討をお願いいたします。
 先ほど述べましたとおり、現在の東京の愛護センターは、なかなか足を運びにくい場所にある上、老朽化が激しく、余り行きたいとも思えない雰囲気です。
 そこでお伺いいたします。都民が足を運びやすい場所に、簡易化した小さな動物愛護サテライトの検討や導入の予定はあるのでしょうか。

○中谷健康安全部長 都は、飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のあるボランティア団体、先ほどもご答弁申し上げましたが、こういった団体を登録いたしまして、これらの登録団体を通じて動物の譲渡を行っております。
 現在、登録団体は都内全域で三十五団体でございます。これらの登録団体は、譲渡を受けようとする個人に対しまして普及啓発と飼い方指導も行ってございまして、身近な場所で譲渡を受けられる機会を提供しております。
 今後とも、登録団体との連携を強化し、譲渡の拡大を図ってまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。動物愛護センターの現状を鑑みて、都民が身近に感じられる動物愛護サテライトの導入をぜひお願いしたく思います。そこで団体譲渡をした動物たちが新しい飼い主を探すようなイベントを、まずは毎週末に行うことで、子供たちが小さいときから動物愛護を感じ、成長してもらうこともできるはずです。
 最後に、今までの質問に通じるのですが、中途半端な改装などで変に手を入れて、このまま親しまれない愛護センターのままよりも、都民の皆様に親しまれる先進的な愛護センターにすべく、建てかえを視野に入れ、コンセプトから見直す時期に来ているのではないでしょうか。
 そこでお伺いいたします。動物愛護のために税金を投入するのかという人もいるかもしれません。しかし、ペットが家族の一員としてふえてきている現在、その反対の考えの方も多いはずです。
 そこで、動物愛護の方々の気持ちを形にし、反対の方々の税金を使用しての事業を少しでも軽減するために、動物愛護センターの建てかえ時に、動物愛護基金、つまり寄附を集めるというのはどうでしょうか。それは制度的に可能なのかどうか、また、検討の余地はあるのかどうかをお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 地方自治法の規定では、地方公共団体は、条例を制定することにより、特定の目的のために基金を設けることは可能でございます。
 動物愛護相談センターは、動物の愛護及び管理に関する法律及び狂犬病予防法に基づいて都が行うべき事業を実施していることから、建てかえ等の経費に基金を活用することは考えておりません。

○塩村委員 ありがとうございます。現在、建てかえ等に基金を活用することは考えていないということですが、今決めてしまうのではなく、そのときの状況や、いろいろ見ながら柔軟に対応してみてはいかがでしょうか。
 何度も申しますが、センターは老朽化しておりますし、建てられた時代とはいろいろ変わり、役割も変わってきています。それができたときの名前は、多分、犬の抑留センターというような名前だったと思いますが、名前も変われば役割も変わってきていると思います。
 二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されます。オリンピックを一つのきっかけとし、ペット発展途上国といわれている日本が、成熟した正真正銘の先進国となるよう、東京都からぜひ変わっていただきたく思います。
 今後も、東京都、そして福祉保健局の職員の皆様のさらなる努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩

   午後三時四十六分開議

○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 私からは、精神疾患患者の皆さんの地域生活支援について質疑を行いたいと思います。
 精神疾患患者の数は、近年、本当に急増しております。これは糖尿病患者よりも多いということでありまして、平成二十三年には全国で三百二十万人を超す水準であり、都内の患者数は約二十八万人と推計をされております。増加している理由としては、職場における鬱病の増加や、高齢化による認知症の患者の増加などが考えられております。
 このような状況の中、今年度から始まった新たな保健医療計画では、がんや脳卒中といった四疾病に新たに精神疾患が加わり、五疾病五事業として施策の展開を図ることになりました。
 また、国の調査では、国民の二五%、四人に一人が、生涯のうちに鬱病等の気分障害、不安障害及び物質関連障害のいずれかを経験していることが明らかになっております。
 このような精神疾患は、保健医療計画に新たに加わった疾患ですが、五疾病の中で最も患者数の多い疾患であるとともに、都民に広くかかわる疾患となっているといっても過言ではなく、その取り組みの重要性はますます高まっていると考えられます。
 ところで、一口に精神疾患とはいっても、その疾病の内訳は、統合失調症、鬱病、認知症など多岐にわたっております。また、疾病によって入院、外来の内訳に特徴が出るなど、精神疾患の医療体制の充実を図るためには、これらの現状をしっかりと把握しておくことが重要であります。
 そこで、都内における精神疾患患者について、入院、外来の疾病別の内訳がどのようになっているのかをお伺いいたします。

○熊谷障害者医療担当部長 平成二十三年の国の患者調査によりますと、都内の精神疾患による入院患者約二万六千人のうち、統合失調症圏が約一万三千人で最も多く、全体の五二%、約半数を占めております。続いて、認知症など器質性精神障害が約七千人で全体の約二八%。鬱病など気分障害が約二千人、約八%の順となっております。
 一方、外来患者約二十五万七千人のうち、鬱病など気分障害が約八万三千人で全体の約三二%を占めており、続いて、認知症など器質性精神障害が約五万人、統合失調症圏が約四万八千人、パニック障害など不安障害が約四万六千人と、それぞれ全体の二割弱の割合となっております。
 このように、入院患者の内訳は、その約半数を統合失調症圏が占め、鬱病など気分障害は八%にしかすぎないことに対して、外来患者の内訳になりますと、鬱病など気分障害が全体の三分の一を占めるなど、入院、外来によって疾病の内訳が異なっております。

○山内委員 今の答弁で、入院患者と外来患者の現状に違いがあることが十分にわかったと思います。
 とりわけ、入院患者は統合失調症の患者さんが多くを占めているということであります。入院医療中心から地域生活中心へという基本理念のもと、現在では、長期の入院患者のうち、地域の受け入れ体制が整えば退院可能な方々の地域移行を促進し、入院を長期化させないための取り組みが求められております。
 このためには、退院後も地域で安定した生活を送るために、どのような支援を行っていくかということが非常に重要ではないかと考えられます。
 また、個人差はありますけれども、精神疾患は発症や症状の変化に周囲や本人も気づきにくく、また、重症になるほど病識が薄れ受診を拒むなど、適切な支援に結びつきにくいというところに傾向があります。精神疾患患者の中には、未治療や医療中断などのために地域での生活が困難なケースもあります。
 これらに対応していくためには、医療の導入と生活支援、そして生活環境との調整を一体的に進めるような支援が必要であります。
 東京都では、精神疾患患者の地域生活を支援するための取り組みの一つにアウトリーチ支援があると思いますけれども、このアウトリーチ支援の施策ですが、どのような取り組みなのかを、確認の意味で伺いたいと思います。

○熊谷障害者医療担当部長 都が実施しておりますアウトリーチ支援は、精神障害者またはその疑いのある方のうち、未治療や医療中断などのため地域社会での生活に困難を来しており、通常の受診勧奨や福祉サービスなどの利用の勧めに応じない方を対象として、訪問型の支援を実施しております。
 具体的には、三カ所の総合精神保健福祉センター、中部総合精神保健福祉センター、多摩総合精神保健福祉センター、それから下谷にございます精神保健福祉センターにおきまして、医師、保健師、福祉職などの多職種のチームを専任で配置いたしまして、チームの職員それぞれの専門性を生かし、保健所などの依頼により、病状の見立てや生活状況の把握、医療の導入、本人、家族へのサポートなどの支援を行っております。
 平成二十四年度の支援対象者数は二百六十六人であり、実施に当たっては、区市町村、保健所などと連携しながら、患者の地域生活の安定化を目指しております。

○山内委員 私なんですけれども、過去に、岡山県が行っている、いわゆる精神患者に対するACTの取り組みを視察した経験があります。このACTというのは、英語でいうとアサーティブ・コミュニティ・トリートメントの略でありまして、これは、日本語では包括型地域支援という意味なんです。
 このACTなんですけれども、一九七〇年代からアメリカのウィスコンシン州で初めてモデル事業が行われて、その後なんですけれども、欧米、オーストラリアやイギリス、フィンランドで取り組みがなされているということです。
 この取り組みなんですけれども、重い精神障害を持つ方が住みなれた場所で安心して暮らしていけるように、さまざまな職種の専門家から構成されるチームが支援を提供していくものであります。
 具体的には、利用者の方が希望する生活を実現していけるように、それぞれのニーズに応じて支援し、もし病状が再発するなどの危機の場合にも、そのサインに気づいて、利用者の方が早目に対処できるように支援をするということであります。
 このようなACTの取り組みは、若干の違いはあると思われますけれども、国内では京都や千葉県でも取り組みを行っております。
 このACTと東京都が行うアウトリーチ支援は、どちらも多職種のチームによる支援ということで、それぞれの専門家が加わり精神疾患患者の方を地域で支えていく手法は同じであるため、名称が異なるだけで同じような印象を受けるのですが、違う点というものをここで明らかにしていただきたいと思います。

○熊谷障害者医療担当部長 先生お話しのACT、包括型地域生活支援でございますが、原則的には、重度の精神障害者である利用者の方と支援チームが契約を交わして、医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士等の多職種による訪問支援を行うものでございます。主に民間の医療機関などが独自に取り組んでおり、きめ細かい訪問が可能な範囲に区域を限定している場合が多うございます。
 一方、都のアウトリーチ支援は、未治療や治療中断者等、通常の受診勧奨や福祉サービスなどの利用の勧めに応じない方を対象として、保健所や区市町村などと連携し、多職種によるチームを組んで訪問し、病状の見立てや生活状況の把握、医療への導入、本人、家族へのサポートなどの支援を行うものでございます。
 ACTも、都のアウトリーチ支援も、多職種チームで実施するという点では似ておりますが、ACTは原則として契約に基づく包括的支援であることに対して、都のアウトリーチ支援は、同意が得られない段階から行政による支援を行い、医療などにつなげていくという点で異なっております。

○山内委員 ACTと都のアウトリーチ支援は、ともに多職種による専門チーム支援という点で非常に有効であるとともに、その違いも今の説明でわかりました。
 一方、国においても、地域移行、地域生活を可能とする地域の受け皿の整備のために、新たな取り組みの一つとして、平成二十三年度からアウトリーチ推進事業をモデル的に実施しております。
 このような動きを見ていると、精神疾患患者が地域で安定した生活を送っていくために、私は、民間や行政による多職種の専門家チームがさまざまな形で支援を行っていく取り組みが大きな流れになっていくんではないかと思っております。
 一方で、この東京都は、一千三百万人都民を抱える、全国に類を見ない大都市です。ほかの道府県とは違いまして、東京としての特殊性も踏まえると課題もあると思います。
 そこで、現在の国の動向と東京都における課題を踏まえながら、今後のアウトリーチの取り組みを都としてどのように認識されているのかをお伺いいたします。

○熊谷障害者医療担当部長 現在、国が実施しておりますアウトリーチ推進事業は、都道府県が実施主体となって、民間の医療機関などに委託して行うモデル事業であり、国は事業の結果などを踏まえ、将来的には、民間病院等での実施に向けて一般制度化を目指しております。
 国は、推進事業の委託先を原則として民間精神科病院としておりますが、都内では精神科病院が多摩地域に偏在しているということから、都が実施する場合、地域によって差が生じかねないという課題がございます。また、未治療者への支援について、都のアウトリーチ支援は対応しておりますが、国の推進事業は原則として対応していないといった課題もございます。
 このような課題がございますが、今後、都においても、精神疾患患者の地域生活支援の取り組みを強化していく上でアウトリーチのニーズは高くなっていくことから、今後とも国の動向を注視しつつ、民間と行政が役割分担をしながら連携を進めていく必要があると認識しております。

○山内委員 今の答弁にあったように、現時点での課題や一般制度化に向けた国の動向など、すぐに対応が可能というわけではないでしょうけれども、今後、国の動向を注視しながら、その課題を一つずつ解決していくことが必要で、都における特殊性や課題を十分踏まえながら、アウトリーチ支援の充実を図っていただきたいと思います。
 また、私の地元の品川区では、都の障害者施策推進区市町村包括補助事業を活用し、精神障害者地域生活安定化支援事業を民間事業者に委託して実施しております。
 主な事業内容は、退院後の治療中断の防止や服薬管理の支援、精神科医による定期的な家庭訪問や、当事者を含めた勉強会を行うなど、継続した地域生活が送れるように支援をしております。精神障害者の方に地域で安定した生活を送っていただくためには、こうした地域包括的なサービスが有効であり、これを進めていかなくてはならないと思います。
 これは地域支援という観点からなんですけれども、これからは、患者さんで治癒された方にケアをしていくということが重要ではないかと思っております。
 そういった方々に、今後は東京都の方から、例えば就労支援、こういったものを支援していただくようなことを行っていただいて、こういった方が治癒された後、人並みに地域で生活ができるようなバックアップ体制といったものが確保されればということで、これは要望にいたしますけれども、今後、身近な福祉サービスを担う区市町村と広域の医療体制整備を行う東京都の連携がさらに促進されていくことを期待いたしまして、この質問を終了させていただきます。

○大山委員 私からは、保育のこと、重心の通園バスのこと、それからインターネット依存のこと、そして療養病床のこと、この四つの課題について質疑を行いたいと思います。
 まず、保育です。
 国は、税と社会保障の一体改革だといって、子供分野では、子ども・子育て新制度を二〇一五年四月から実施するというスケジュールを出しています。しかも、財源を消費税増税に求めると。消費税を来年四月から上げられたら、日本の経済も国民の暮らしも大変なことになるということは多くの方々が指摘しているとおりですし、消費税増税の撤回、延期を求める声が過半数を超えているのが各種の世論調査の結果です。
 しかも、消費税を財源にするということになれば、保育をより充実したいなら消費税増税ということになってしまいます。こんな本末転倒なやり方はきっぱり撤回するよう、国に求めるべきです。
 しかも、国が保育の財源として確保するといっている消費税から〇・七兆円、そのほかから〇・三兆円が確保できるかというのは全く不透明です。
 例えば、国保財政に、同じく税と社会保障の一体改革の議論で、区市町村国保に二千二百億円の公費投入といっていましたのが、来年は五百億円のみだというわけです。いろいろいいたいことはありますけれども、きょうは、新制度と東京都独自の施策との関係だけに絞って質疑をします。
 まず、新制度と認証保育所の関係です。
 先日、第一回の東京都子供・子育て会議が開催されましたので、傍聴に行ってみました。そのとき、認証保育所の代表でメンバーになっている方から、国は新制度でも認証保育所を給付の対象にしない中で、認証保育所制度がどうなるのか心配する発言がありました。認証保育所の皆さんの心配はもっともなんです。
 認証保育所制度は、新制度になっても継続してほしいというのが切実な願いになっていますけれども、東京都独自事業として継続すると約束できるわけですね。

○浜少子社会対策部長 ゼロ歳児保育の実施や十三時間開所など、大都市特有の保育ニーズに応える認証保育所は、待機児童の多くを占める低年齢児を中心に受け入れ、育児休業明けなど年度途中の入所ニーズにも柔軟に対応しており、東京の保育施策としては不可欠なものになっております。
 都は、認証保育所が新たな子ども・子育て支援制度の中に位置づけられるよう、国に強く求めているところでございます。

○大山委員 国に強く要望しているんだということなんですけれども、東京都は認証保育所制度をつくってからずっと国に要望してきているのに、いまだに国は対象にしないわけですね。
 とりわけ、保育室から認証保育所に移行せざるを得なかったところ、地域で信頼されて活動してきただけに、保育室制度の存続を求める声が多くありました。しかし、東京都は保育室制度をなくしてしまいました。このような、つい最近の苦い経験があるだけに、また保育室制度の二の舞になるのではないかと心配しているわけです。
 いっておきますけれども、年度途中の入所ニーズに対応するのは、認証保育所だって認可保育園だって当然のことです。実質的に年度途中で入園できないのは、圧倒的に保育園が足りないからにほかなりません。
 認証保育所の園長先生に話を伺いました。例えば、国が出した小規模保育のB型で基準単価を比べますと、ゼロ歳児については現在の認証保育所とほぼ同じだけれど、一歳児以上になると現在より低くなってしまうということなんです。給付金がどうなるのかわからないので、認可保育園になってもどうなるかわからない、しかし、A型の分園型だったら何とかやっていけるんじゃないかとおっしゃっていました。
 そのためには、核となる認可保育園が必要です。認証保育所が認可保育園に転換しようというときの支援は、どんなことを考えていますか。

○浜少子社会対策部長 認証保育所に限らず、認可保育所の移行を目指す認可外保育施設に対して支援を行う区市町村に対しまして、今年度から安心こども基金による補助を実施しております。

○大山委員 つまり、認可保育園を目指す認可外保育施設に対して、五年間は、認可保育園の基準を満たしていなくても、認可保育園と同等の補助をするということですね。
 認可外保育施設は、ビルの一部だったり、園庭が確保できなかったりしているわけですが、せっかく認可保育園にするんですし、子供の成長発達を保障することを第一に考えれば、一定のスペースが求められます。認可保育園をつくるためには、やはり、この間ずっと問題になっていますけれども、土地の確保がネックだということです。
 都としては、どうしようとしているのでしょう。

○浜少子社会対策部長 平成二十四年度に開設した認可保育所は六十七カ所ございますが、そのうち土地を自己所有しているのが十カ所、六十七カ所のうちの約一五%、土地や建物を借用しているのが五十七カ所、約八五%でございます。
 認可保育所の整備は、土地を取得するのみでなく、土地や建物の賃借によっても行うことが可能となっております。
 都では、地価の高い都市部での整備促進のため、未利用の都有地を保育所用地として減額して貸し付けるほか、民間の土地を保育所用地として利用する際の定期借地に要する費用への補助を実施しております。

○大山委員 まず、都有地、国有地の活用をするんだと。これをさらに進めるためには、速やかな情報提供と、より廉価にすることが必要です。
 今答弁されました、定期借地による認可保育園を整備する補助がありますね。第三回定例会のときも、借地の制度でふやせばいいという議論もありました。この定期借地への費用の補助も重要な制度です。
 定期借地権利用による認可保育所整備促進事業補助金の実績はどうなっていますか。

○浜少子社会対策部長 平成二十三年度は二件、二十四年度は二件でございます。

○大山委員 昨年度、一昨年度とも二件ずつだということですね。
 実績がいま一つなんじゃないかと思いますけれども、福祉保健局としては、この実績をどう評価、分析していますか。

○浜少子社会対策部長 定期借地権を活用したものは各年二カ所ずつではございますが、安心こども基金を活用して土地や建物の賃借料への補助を行っておりまして、平成二十四年度に土地や建物の賃借により開設した五十七カ所のうち二十九カ所が、これらの補助を活用しております。
 また、都は、施設整備費の補助についても、安心こども基金に加え独自の補助も行うことで、開設に係る区市町村や事業者の負担軽減を図るなど、保育所の設置が進むよう、さまざまな方法で支援をしております。

○大山委員 さまざまな制度があるうちの一つなんだということですね。私たちも、多様な補助のメニューがあることが重要だと考えています。
 定期借地権利用による認可保育園整備の実績をいただいたわけですけれども、これは公示価格の二分の一が補助基準額になりますが、区市町村の補助額と補助基準額を比較して少ない方の額が補助額になりますね。
 二十三年度は葛飾区が二カ所、それから昨年度は杉並区が一カ所、そして、この三つのケースは公示価格の二分の一と区の補助額はほぼ同じ額ですが、一カ所、市がありました。この市の場合は、補助基準額が約九千六百万円ですけれども、市の補助額が約四千八百万円ですから、補助額は、都と市、合わせて四千八百万円となってしまいました。
 第三回定例会の議論では、区市町村は裏負担があったら手が出せないんだという発言もありました。今お話ししたように、市の補助額は補助基準額より下回っています。自治体の財政力などによるところが大きいのではないでしょうか。
 区市町村の負担をより軽減すれば、補助を受ける側も区市町村の補助額に縛られることがなくなりますし、区市町村も安心して事業者に補助を受けてくださいといえるんじゃないんでしょうか。どうですか。

○浜少子社会対策部長 先ほども申し上げましたとおり、さまざまな手法を通じて、区市町村による保育所の整備が進むよう支援をしております。

○大山委員 区市町村を、さまざまなメニューで補助しているんだというのはいいんです。だから、もっと使いやすくするためには、今述べたように、市の負担が厳しいんだということがあるわけです。
 それで、区市町村の主体的な判断を保障することと、それから区市町村の補助の負担を軽減することは相反することでもありませんし、むしろ財政的な問題で断念してしまったり、額を減らさざるを得ない状況になるということは、区市町村が主体的な判断をできなくするものじゃないんでしょうか。
 実際に、この市の担当者に聞いてみました。担当者も、制度自体は助かっているんです、実際、財政的に厳しいので補助基準額までは出せなかった、だから都がもう少し出してくれればとおっしゃっていました。
 東京都が区市町村の負担をより軽減することが、広域自治体としての区市町村の格差を埋める道です。区市町村の負担をより軽減することを求めておきます。
 そして、子供の育ちを保障することです。そのためには、保育士が安定して働き続けられることが不可欠です。
 認証保育所の職員の勤続年数や、各認証保育所の離職率はどうなっているでしょう。

○浜少子社会対策部長 そうしたデータはございません。

○大山委員 子供の豊かな成長発達を保障する基本というのは、子供と保育士の安定した信頼関係があってこそです。そのためには、職員が安心して働き続けられることを保障することなんです。
 ですから、今の現状がどうなっているのか、離職率がどうなのかということをきちんと把握すること、まず、認証保育所もそうですが、認可保育園も含めて、離職率などの調査をぜひ実施していただくことを求めておきます。
 もう一つ、認可保育園への都加算とサービス推進費の話です。
 国の新制度との関係で、認可保育園についても幾つか確認しておきたいわけですが、東京の保育は、よりよい保育をしたい、子供たちの豊かな成長を保障したいということで、低過ぎる国基準を、例えば一歳児は国基準六人に一人ですけれども、そうではなくて五人に一人の保育士配置に、それからゼロ歳児保育をする園には保健師または看護師の配置を、長時間保育するためには交代勤務が必要だから保育士二名とか、それから保育内容充実のために、年齢別の配置だけでなくて一人から二人のプラスの配置をするとか、それから調理師も国基準を上回る配置にするというように、東京都の独自の基準をつくってきました。
 同時に、職員が安定して働き続けられることが、子供たちの保育の充実のためには重要だということで、同じ年齢、同じ経験年数なら私立でも公立でも同じ賃金になるように、公私格差是正事業がありました。残念ながら、都基準は廃止され、公私格差是正事業もサービス推進費に改悪されました。
 そうはいっても、子育て推進交付金とサービス推進費補助があるから東京の保育があります。子育て推進交付金は、今述べたように、一歳児保育の保育士配置を子供五人に対して一人の配置とすることを初めとして、旧都加算の十三項目が交付金の対象となっています。市町村には交付金として、そして区部には都区財調の算定根拠として入っています。これがあるから、区市町村は都基準が廃止されても旧都基準の配置を継続することができているんです。
 保育の新制度になったとしても、保育の質を確保するための補助を実施することは、制度的には可能ですね。確認します。

○浜少子社会対策部長 子育て推進交付金は、平成十八年度に都加算補助制度等を廃止し、全ての子供と家庭を対象とした支援施策の充実を図るため、再構築して創設したものでございます。
 この交付金は、子育て支援の主体である市町村が、地域の実情に応じて創意工夫により施策を展開できるよう、市町村の児童数と子育て支援施策の実績に基づいて交付をしております。
 子ども・子育て支援新制度における給付の水準や内容につきましては、現在、国の子ども・子育て会議で議論されておりまして、都の施策については、この結果を踏まえて検討する必要があります。
 なお、都が必要に応じて区市町村に対する独自支援を行うことは、制度的には可能でございます。

○大山委員 これ、都内の六十七名定員の認可保育園の一カ月の収支なんです。国基準の運営費、いかに低いかというのがわかるんですけれども、これが月額約六百七十四万円で、区加算が約七百三十三万円になっています。
 運営費は、この園でいえば国基準の倍額、約倍ですね。区加算の内容というのは、年齢別の加算、それから保育内容充実加算、それから十一時間開所、つまり交代ができるような加算などです。いかに国基準が低過ぎるかというのは明らかです。保育水準を維持するためには不可欠な補助です。
 また、調理師の配置などは、アレルギー児の対応なども含めて重要な増配置です。現在の加算があって初めて増配置ができています。また、障害児を受け入れるにも、国基準では配置されていません。このような現在の東京の保育水準を下げるようなことはあってはならないということを強く指摘しておきます。
 新制度については、保育のあり方を根本から変えてしまうということからいっても、私たちは実施には反対です。しかし、たとえ新制度になったとしても、せめて現在の保育水準を維持するためには、制度的には可能なのですから、支援を継続することを求めておきます。
 サービス推進費についても、保育の質を確保するために重要な役割を果たしています。サービス推進費のような運営費を補助することは、新制度になっても制度的には可能ですね。

○浜少子社会対策部長 サービス推進費は、福祉サービスの質の向上を目的に、都として望ましい保育水準を確保するとともに、都民の多様なニーズに対応した施設の努力、実績に対して補助するものでございます。
 子ども・子育て支援新制度における給付の水準や内容につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現在、国の子ども・子育て会議で議論されておりまして、都の施策については、この結果を踏まえて検討する必要があります。
 都が必要に応じて独自支援を行うことは、制度的には可能でございます。

○大山委員 国が今、検討しているところだからということなんですけれども、それにしても制度的には可能だということですよね。
 保育の質を最低限維持することが求められています。質を保証する基準として国際的に一致していることは、部屋の広さや園庭の確保、保育士などの配置、子供集団の規模、保育の質を保証する基本を、せめて維持することが必要だと思いますけれども、どう認識していますか。

○浜少子社会対策部長 保育サービスを提供するに当たっては、施設基準や職員配置基準だけでなく、保育に携わる者の知識や技術を裏打ちに、事業者が保育内容に創意工夫を凝らし、利用者ニーズに応えていくことが必要です。
 子ども・子育て支援新制度における保育の質の確保、向上については、現在、国の子ども・子育て会議で検討されており、この検討結果を踏まえ、国から給付の水準や内容が示されるものと考えております。

○大山委員 今の東京の保育水準を最低限維持するのが必要なんじゃないんですかと、そういう認識を問うたんですけれども、釈迦に説法ではありますけれども、保育園の役割というのは、子供たちの発達保障と保護者の就労保障です。
 利用者のニーズというのは、保護者のニーズということだったら、今、多くの保護者の願いは、安心できる保育園に預けることです。つまり、保育の質の確保です。保育の質を保障する施設設備基準、それから人員配置基準はもちろん、子供集団の規模が子供の成長発達を保障するためには重要であることなどは、国内でも、国際的に見ても、最新の知見といえることです。
 国が保障することはもちろんですけれども、今でも、さっきいったように低過ぎる国基準に甘んじることなく、都独自の補助などは制度的には全く矛盾はないのですから、東京がリードして保育内容充実のために財政的支援を行って、せめて最低限、現在の保育水準を維持できるよう補助を継続することこそ必要であることを要望しておきます。
 次は、重症心身障害児者の通園です。
 重症心身障害児者の通所施設は、二〇一二年度から区市町村事業になりましたが、これまで東京都の委託事業として実施してきた事業の水準を継続させるために、東京都として、国の低過ぎる給付費に加えて、重症心身障害児者通所運営費補助制度で対応していますね。これ自体、非常に重要な補助であり、都の取り組みは評価しています。
 東京小児療育病院には、通園みどりがあります。ここに通うことによって、利用者が生活を楽しみ、さまざまな経験をして人生を豊かにし、発達を保障され、生活のリズムを保つことができます。重症心身障害児者にとって、なくてはならない事業です。
 同時に、毎年、特別支援学校を卒業しますから、通所したい人数はふえます。
 また、処遇内容も医療も向上していますから、東京小児療育病院の通園みどりに通う利用者も年齢が上がって、現在、一番の年長者は四十八歳です。したがって、親御さんも当然、高齢化しています。
 通園事業になくてはならないのが、通園のためのバス送迎です。現在は六人乗りマイクロバス六台で送迎して、職員が二名添乗しているわけです。通常は生活支援員、状況によって看護師が同乗するので、重症の利用者も通園バスは利用できます。これは重要なことです。
 利用者の健康状態は、青年部は四十二名の利用者のうち、超重症者が二十一名、準超重症者が十七名、利用者の九〇%以上が超重症、準超重症者です。
 実は、現在そういう、通園している青年部の人たちが、週に一度の割で自主送迎が必要になっています。親御さんも六十代、七十代になってきていますし、慢性の睡眠不足を抱えながらの自主送迎ですから、一言で自主送迎といっても大変なことです。
 呼吸器をつけていて--お母さんがいうんです。お母さんが運転して通園するんですけれども、振動で呼吸器が外れるので、様子を見ながら必要なときには車をとめるが、なかなかタイミングよく停車できないこともあると。
 車椅子が大きくて、お母さん一人で車に乗せるのは大変なことなんです。雨が降ったら乗せられない。背中がS字に曲がっているので、気管を押してしまって呼吸ができなくなってしまったこともあるんだそうです。アンビューを押しながら運転、本当に怖かったとおっしゃっていました。
 たとえ週一回だとしても、余りにも危険な送迎だとは思いませんか。

○山岸障害者施策推進部長 重症心身障害児者の施設への通所等に際しては、人工呼吸器を装着した利用者等もおり、個々の利用者の身体状況に応じた配慮が必要となります。
 このため、都は、送迎にかかる経費を含む運営費補助単価を設定し、国基準の給付費に上乗せすることにより支援をしております。

○大山委員 個々の利用者の身体状況に応じた配慮が必要だということですね。そのとおりで、配慮が必要だし、対応が必要なんです。だから私は、自主送迎の実態が危険な送迎ではないんですかと聞いたんです。
 そもそも配慮が必要だし、医療的な対応も必要な利用者が多いから、福祉保健局は頑張って、バスで送迎できるように都独自の補助を確保しているんではないんでしょうか。その基本からいったら、人工呼吸器やたんの吸引が適時必要な利用者を、お母さんが運転する車で、たとえ週一回でも通園させるというのは違うんじゃないんでしょうか。
 先月、ぎっくり腰になったというお母さんは、自主送迎の日に、ぎっくり腰ですから連れていけずに福祉タクシーを頼んだら、往復六千円だったんです。でも、福祉タクシーを頼んでも、ぎっくり腰でも、その福祉タクシーに本人一人で乗せるわけにはいかないんです。ですから、ぎっくり腰で腰が痛いお母さんも一緒に行ったんです。もう涙が出てきたとおっしゃっていました。
 親御さんだって、体も疲れ切ってるんです。車に乗せれば十五分から二十分ぐらいのところなんだけれども、たんが上がってきて、たんがいっぱいになるから、とらなきゃならないんですけれども、なかなか車をとめることもできない、こんな話が次々出てくるんです。
 ちゃんと正面から、こういう実態、どういう状況になっているのかを把握するべきなんじゃないんでしょうか。ちょっとそういう認識を、もう一回ちゃんと正面から答えてください。危険過ぎるんじゃないんですかという認識を、もう一回、改めて聞かせてください。

○山岸障害者施策推進部長 先ほどもお答えいたしましたように、重症心身障害児者の通所に際しましては、人工呼吸器を装着した利用者等もおられますので、個々の利用者の身体状況に応じた配慮が必要と考えております。
 このため、都としては、都独自に補助単価を設定して国基準の給付に上乗せすることにより支援をしているところでございます。

○大山委員 同じことを答えてくれとはいっていないんです。どういう認識ですか、危険過ぎるんじゃないんですか、そう聞いたわけですよね。本当に状況をきちんと把握してもらいたいと思います。そうでないと、せっかくちゃんと配慮が必要な人たちに配慮を持って通園バスの保障もしたというこの東京都独自の事業が、本当に生きてこないと思うんです。
 バスを増車するしかないんじゃないんでしょうか。都として支援するべきですけれども、どうですか。

○山岸障害者施策推進部長 都といたしましては、医療的ケアや送迎手段の確保が必要となる重症心身障害児者の障害特性に配慮いたしまして、先ほどもお答えいたしましたような都独自の支援を既に実施しているところでございます。

○大山委員 バスを増車しないと自主送迎が解消できないんですけれども、バスを新たに増車するための支援をすることが必要なんじゃないんでしょうか。どうですか。

○山岸障害者施策推進部長 送迎に当たりましては、各施設において、バスの確保だけではなく、バスの駐車スペースや添乗する職員の確保、各利用者の居住地、身体状況を考慮した送迎ルートの設定など、さまざまな観点からの調整が必要であり、各施設において、こうしたことを勘案しながら送迎を行っております。
 通所時の送迎については、各事業者がご家族との協議の上で具体的な送迎方法について決定し、利用契約を締結されているものと認識しております。

○大山委員 ルートの問題は、家がいろいろあるわけですから、ルートをつくるのは難しいですよ。それから、駐車スペースだって、リースだったら預かってもらえばいいわけですけれども、あと人の配置だって必要です。
 しかし、今、現実に自主送迎が危険な状況で行われているわけです。ですから、既に補助はやっているんだというだけではなくて、バス一台ふやすということになれば、やはり超重症者、準超重症者が全体の利用者の九割以上を占めるわけですから、生活支援員だとか、今でも足りない看護師なども増員が必要になるかもしれないわけです。だから、なかなか施設としては、バス一台増車しようといったことに踏み切れないんじゃないんでしょうか。
 ですから、きちんと状況を施設からも聞いて、どうしたらいいのか、ちゃんと話し合って改善してほしいということを要望しておきます。自主送迎をしなくて済むように、できるように、より一層のというか、きちんと把握して支援してほしいということを要望しておきます。
 次ですけど、インターネット依存です。
 ネット依存については、私、先日の病院経営本部の事務事業質疑でも質疑しました。しかし、保健福祉行政としても切っても切れないものですから、きょうも質疑したいと思います。
 ことしの八月、厚労省の研究事業で、中高生のインターネットの病的使用が五十一万八千人と推計した研究が発表されました。総務省情報通信政策研究所が公表した調査結果では、高校生の六割が依存傾向を示しているとの報告がされました。
 福祉保健局として、若者のインターネット依存についてどう認識していますか。

○熊谷障害者医療担当部長 平成二十四年度の厚生労働科学研究費補助金による未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究の中で、インターネット依存に関する調査を実施し、インターネットの病的使用について、全国の中高生で五十一万八千人と推計されていることは承知しております。
 また、平成二十五年六月に総務省情報通信政策研究所が公表した調査結果によりますと、ネット依存傾向は高校生が六〇%と最も高く、大学生、社会人では減少していることも承知しておりますが、精神医学の中でインターネット依存という概念はいまだ確立された疾患概念ではなく、現時点で、世界的に認められました診断基準や科学的根拠に基づいた治療方法はないものと認識しております。

○大山委員 インターネット依存という概念はいまだ確立されていないとおっしゃいますけれども、研究はかなりされていますね。
 そもそもインターネット依存の研究では、一九九三年にアメリカの精神医学者、ゴールドバーグという人がインターネット依存障害という名称で問題提起しています。その後、元ピッツバーグ大学の女性心理学者、ヤング氏が九八年に「インターネット中毒」を刊行して、日本でも翻訳されています。ヤングのネット依存度の尺度は、先ほどの質問で述べた総務省の調査でも参考にしているわけです。
 その後もアメリカの研究は続いて、韓国では、二〇〇六年の実態調査で韓国全体の人口の九・二%、特に青少年の場合、一四%が中毒状態であることが示されて、国家的問題だとして取り上げる方向になりました。
 日本でも、東大の橋元良明氏らが二〇〇一年に調査をしています。論文などもかなり出ていて、東京都青少年問題協議会に出された資料の中で、携帯電話依存で十五論文、インターネット依存で二十七論文、メール依存で十三論文、そのほかネットやオンラインゲームなどで九論文が検索されています。これは日本人の論文だけです。
 全国で五十一万八千人ですから、都内でも、約一割としても五万人以上いることになります。実際に、都内でネット依存の診療をしています成城墨岡クリニックの墨岡医師に、私も話を伺いに行きました。墨岡医師は、ネット依存症の定義はまだ確定していませんが、少なくとも、ネットによって日常生活や社会生活に障害が起こってくること、ネットが手元にないとパニック状態になるなどが問題といっています。
 また、ヤングのスケールは古いもので現状に合わないから、新しい診断基準をNPOエンジェルズアイズと一緒につくっているということなんです。
 墨岡クリニックのネット依存での初診患者は年々増加して、昨年は二百三十二人でした。ことしは既に昨年の人数を超えているとのことなんです。久里浜医療センターの樋口院長にもお話を伺いましたけれども、予約しても、初診は十一カ月先になってしまうとのことでした。
 伺いますけれども、ネット依存を診察できる医師の養成、治療できる医療機関をふやすなどの対応が欠かせません。早急に取り組むべきですが、どうですか。

○熊谷障害者医療担当部長 先ほど申し上げましたように、精神医学の中でインターネット依存という概念はいまだ確立された疾患概念ではなく、現時点で、世界的に認められた診断基準や科学的根拠に基づいた治療法はないものと認識しております。
 国立病院機構久里浜医療センターにおきまして、平成二十三年七月に開設されたネット依存治療研究部門では、他の依存症治療で培った専門性をもとにネット依存の治療方法の確立を目指してネット依存治療を行うとともに、ネット依存に関する研究と最新の治療情報の収集を実施しているものと認識しておりまして、その動向を注視してまいります。

○大山委員 国の動向を注視するということなんですけれども、手をこまねいている状態ではありません。
 墨岡医師は、本人は依存だと思っていないから、家族が心配して相談に来ることが多いんですと。重要なのは、本人をいかに治療に乗せるかで、ここまでが大変なんだということなんです。しかし、一度治療の場に乗れば、あとは認知行動療法を利用したカウンセリングの繰り返しで、比較的治療はスムーズにいくことが多いです、こうお話ししていました。
 相談についてです。二〇〇二年から、ネット依存に関して予防活動やネット依存アドバイザーの養成などもしているNPOエンジェルズアイズや、NPO子どもとメディアなどが相談活動を行っています。
 親や家族がおかしいなと思ったときに相談できる窓口が必要です。電話相談も大事です。実際に診療している医師や活動しているNPO団体などと協力して、東京都として相談窓口を設置することが必要ですが、どうですか。

○熊谷障害者医療担当部長 精神保健福祉センターや保健所におきまして、本人やその家族を対象に心の健康に関する相談を受け付けておりまして、インターネットの過度の使用に起因すると思われるご家族の不安なども相談の対象となっております。
 例えば、ご家族から、ゲームに没頭して昼夜逆転している、授業についていけないなどといった相談に対しては、本人やご家族の背景を整理した上で、対応方法についてアドバイスを行っております。

○大山委員 インターネット相談と看板は掲げていなくても、不安になった家族から相談があって、アドバイスしているわけですね。重要なことです。
 実際、エンジェルズアイズでは、二〇〇二年から昨年までで、ネット依存の相談は約四百件に上り、チャット依存による相談は、二〇〇六年ころには深刻な悩みとして寄せられていたとのことです。最近は、SNSの利用過多による家庭崩壊の相談がふえてきているとのことです。
 学生の相談内容では、学力低下、集中力低下、視力低下、鬱状態、不安感、いらいら、物事への関心の喪失などです。社会人も、働く意欲の低下、優秀な人材の損失、仕事時の集中力の低下による事故、作業効率の低下などなどが相談として寄せられています。こんな実態があるわけですね。
 相談を受けているからこそ実態が把握できるわけですから、都としてもぜひ取り組みをしていってもらいたいと思っています。要望しておきます。
 昨年十二月から始まっている第二十九期東京都青少年問題協議会に、青少年のインターネット・携帯電話への依存について、これが諮問されています。先ほどの墨岡医師も委員として参加し、NPO法人エンジェルズアイズの代表も、参考人として専門部会の中で意見発表しています。
 教育の分野もあるし、最近は乳幼児期からスマホやタブレットが使われていますから、就学前からの問題になっています。ですから、局横断の対応が求められているといえるわけです。
 青少協は来年早々に中間報告を予定しているとのことですが、福祉保健局としても、子育て分野、予防など保健の分野、医療体制などの分野など、かかわるところが多くあります。青少協とも情報交換しながら、福祉保健局としても、積極的に取り組むべきですが、どうですか。

○篠原企画担当部長 複数の分野にまたがる質問ですので、局の施策を調整する立場からお答えさせていただきます。
 東京都青少年問題協議会は、学識経験者のほか、都内自治体の首長の方、都議会議員の方々、関係行政機関に加えまして、庁内の関係局も参画しておりまして、福祉保健局も委員として参加しているところでございます。
 青少年のインターネット、携帯電話への依存につきましては、都として必ずしもまだ十分に把握できていないということから、この協議会におきましては、現在、専門部会を設けまして、幅広く専門家から意見を聞くなど、この問題の現状と、子供の心身に及ぼす影響を調査研究している段階でございます。
 福祉保健局としましては、委員としての立場から、この協議会に参画してまいります。

○大山委員 ぜひ積極的に取り組んでほしいと思います。
 今、ネット依存の問題は青少年だけではありません。
 ベネッセ教育総合研究所が、乳幼児の親子のメディア活用調査を、ことし七月に発表しています。スマホを持っている母親が、ゼロ歳児では六九・九%ですから約七割です。一歳児の母親は六三・九%です。母は、授乳しながらスマホを見ているとか、地下鉄の中でぐずる子供をスマホを与えてあやす。人間的な信頼関係はどうなるんだろうと心配になるわけです。
 電車の中で子供にスマホを持たせている風景も目撃するのですけれども、先ほどのベネッセの調査では、タブレット端末を一日一時間以上使っている二歳児が一割以上いるんです。バーチャルな世界に乳幼児期から浸っていたらどうなるのか、社会としても初めてのことです。
 日本小児科医会は、スマホに子守をさせないでというポスターをつくることになったとのことです。親も子供と一緒に成長して親になっていくのですから、子育て支援、遊びの提供、さまざまな専門家との相談など、親子が気軽に行ける、それから孤立させない支援もますます必要になってくるのではないでしょうか。
 だからこそ、福祉保健局も待ちの姿勢ではなくて、せっかく青少協で議論を始め、知事本局、青少年・治安対策本部、総務局、それから生活文化局、福祉保健局、産業労働局、教育長、こういうメンバーなわけですから、総合的に取り組めるよう積極的に役割を果たしてほしいという要望を述べておきます。
 最後ですけれども、療養病床です。
 東京都保健医療計画がことし三月に改定されて、東京の保健医療をめぐる現状が分析されています。高齢化が進むこと、単身の高齢者の割合がさらにふえることなどが予測されています。これらに対応した、高齢者になっても、単身でも、低所得でも、誰もが安心して暮らせる東京をつくることが大きな課題です。
 この中で、在宅療養の希望の有無を聞いています。脳卒中の後遺症や末期がんなどで長期の療養が必要になった場合、理想として自宅で療養を続けたいかということを聞いたところ、そう思うの割合が四二・一%なんです。そう思うと答えた人に、実現可能だと思うか聞いたところ、実現可能だと思うと答えた方は二二・三%、実現は難しいと思うと答えた方が五九・七%。つまり、本当は自宅で療養したいけれども、そのうちの約六割の方々が、今の状況では難しいと考えていらっしゃるんです。
 どこで過ごしたいか、本人の希望を最大限保障できるようにすることは東京都の仕事です。実現が難しい理由をこの調査の中で聞いていますけれども、家族に負担をかけるから、この割合が最も多くて、七三・六%に上ります。
 伺いますけれども、療養病床は在宅療養する場合にも大きな役割を果たしていますけれども、どう認識していますか。

○村田医療政策担当部長 療養病床でございますが、長期にわたり療養を必要とする患者さんに加えまして、急性期医療を終えた後の医学的管理が必要な患者さんを受け入れております。
 また、在宅療養における後方支援病床としても重要な役割を果たしております。

○大山委員 急性期医療を終えた後の受け入れ先としても、また、在宅療養における後方支援病床ということでは、看護している家族の負担軽減にも重要な役割を果たしているということですね。
 この療養病床についてなんですけれども、前期の医療費適正化計画では、療養病床を二〇一二年度末までに、つまり昨年度末までに、二万八千七十七床整備することになっていましたが、これ、どうなっていますか。

○村田医療政策担当部長 療養病床の数でございますが、平成二十五年四月一日現在、介護療養病床と医療療養病床を合わせまして二万二千三百十一床となっております。

○大山委員 介護療養病床と医療療養病床を合わせて二万二千三百十一床だということなんですね。目標が二万八千七十七床ですから、目標に五千七百六十六床届いていないわけなんですけれども、目標が達成できなかった原因はどう分析していますか。

○村田医療政策担当部長 国は、介護療養病床につきましては、当初、平成二十三年度末に設定しておりました転換期限を平成二十九年度末までに延長し、廃止することとしております。
 一方、医療療養病床に関しましては、一般病床から転換する際、一病室当たりの定員が医療療養病床では四人以内とされておりますことから、仮に五人部屋以上の一般病床からの転換に当たりましては病床数を削減しなければならないということなどが、さらなる整備促進を図りにくい要因となっております。
 こうしたことから、都では、国に対しまして、医療療養病床を将来に向け安定的に確保する方針を国の責務として速やかに明示するとともに、医療療養病床を地域の実情に応じて整備促進できる仕組みとするように提案要求をしているところでございます。

○大山委員 国の方針が揺れていることだとか、それから、一般病床から療養病床に転換する場合に病床数が減ってしまうことも、病院の経営には厳しいから大変なんだというようなことですね。
 国が介護療養病床はふやさないんだという方針は明確なわけですね。しかし、東京都がふやそうとしているのは医療療養病床ですから、それは左右されないわけですから、着実にやればいいわけです。
 私たちは、この経営問題については、以前の質疑の中でも、東京は地代や家賃や人件費が高いので、療養病床入院基本料が低いために差額ベッド代で補填せざるを得ない状況があるんだということを指摘して、運営費補助の実施も求めてきたところです。
 また、保健医療計画では療養病床の重要性を認めていますよね。先ほども重要だとおっしゃってましたけど、保健医療計画の中でも、急速な高齢化の進展が見込まれる中、高齢者にとって安心な医療供給体制の実現のために必要な医療療養病床を確保することが求められています、こう書いているんです。
 計画的にふやすためには、目標を設定する、目標に向かって努力するということが重要なわけですけれども、前期は医療費適正化計画で目標を設定していたわけですが、今回の療養病床の整備目標はどうなっていますか。

○村田医療政策担当部長 平成二十年三月に国が示しました医療費適正化に関する施策についての基本的な方針において、療養病床数を目標として設定することとしておりました。
 このため、都としては、医療の効率的な提供の推進に関する目標として、第一期医療費適正化計画の中で療養病床数の目標を設定したところでございます。
 しかし、昨年九月の医療費適正化に関する施策についての基本的な方針では、医療の効率的な提供の推進に関する目標から療養病床数が削減をされたところでございます。
 このため、第二期の医療費適正化計画では、療養病床数の目標は設定をしておりません。

○大山委員 国が整備目標をなくしたからといって、東京都も整備目標を持たないなどといっているのでは、余りにも主体性がないんじゃないでしょうか。
 必要性も認めて、確保することが求められていると、みずから述べているわけですから、療養病床の整備目標をみずから持つべきだと思いますけれども、どうですか。

○村田医療政策担当部長 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、国はこれまで、介護療養病床や医療療養病床に関する考え方を数度にわたり変えてきております。また、現在、療養病床を含めました病床のあり方について検討しているところでございます。
 こうしたことから、都としては国の動向を注視しているところであり、整備目標は定めてはおりません。
 都は、急速な高齢化の進展を踏まえまして、高齢者にとって安心な医療提供体制の実現のために、医療療養病床の整備促進に向けた取り組みを実施しております。
 具体的には、改築、改修経費の負担軽減策として、平成二十年度から独自の施設整備費補助を実施し、二十二年度には補助率を二分の一から四分の三まで引き上げているところでございます。
 また、平成二十三年度からは、一般病床から医療療養病床への転換後の経営上の不安解消策としまして、転換を検討している医療機関に対して転換後の収支シミュレーションを提示するなど、経営コンサルティングの専門家による支援を実施しているところでございます。

○大山委員 整備改修費の補助を上げたんだとか、コンサルティングしているんだということなんですけれども、整備改修費の軽減策を充実させるということは重要ですから、さらに充実させるということと同時に、さっきもいいましたけど、転換後の経営が厳しくなるというのは、経営コンサルティングの専門家による支援をするぐらいですから、東京都も認めているということなんでしょうか。
 コンサルティングでは運営費は出ませんから、整備した後、安心して、患者さんの負担も大き過ぎないで済むように、運営費の補助を実施することを改めて要望しておきます。
 そして、福祉保健局は、厚労省に対して医療療養病床の充実を求めているわけですよね。ですから、自分で求めているんだから、都が率先垂範していくべきです。そのためにも、整備目標を明確にして、計画的に整備が進むように、さらなる支援をすることを要望して、終わります。

○今村委員 都民福祉向上のための都民ニーズを的確に捉え、施策を展開する上で、都民の参画は必要不可欠であります。福祉保健局は、都民の参画を仰ぎ、さまざまな施策を展開しております。逆にいえば、都民の信頼なくして成り立たないといえるのではないでしょうか。
 そんな中で、みずほ銀行の不正融資事件などは記憶に新しいところでありますけれども、先日も、逗子市役所でのストーカー被害に遭われていた女性の個人情報が漏えいしたことや、柏市ではDV被害に遭われている女性の住所がわかるものを加害者の夫へ郵送してしまうという、自治体に関する事件が報道されました。大変遺憾なことですが、本来ならば考えられないようなことが起こり得るという教訓を忘れてはなりません。
 東京都は二〇一一年十月、東京都暴力団排除条例を施行、その目的には、都民生活に反社会勢力が介入していることから排除し、安全かつ平穏な生活の確保と健全な社会の発展に寄与するとあります。
 現在では、自治体のイベントに出店する場合、市民一人一人の免許証のコピーを提出し、反社会勢力とのかかわりがないかなど、警察署を通じチェックするほどにその取り組みが進められています。
 福祉保健局においても、都民福祉の向上をもって社会の発展に貢献されておりますが、その上で、反社会的な勢力、人物がかかわるようなことがあってはなりません。そのような観点から質疑をいたします。
 福祉保健局では、福祉保健にかかわる調査、審議などを行うため、多くの附属機関を設置し、外部の専門家や公募による都民に参画をしていただいています。
 そこで、公募の委員はどのような手続に基づいて選任されているのか伺います。

○中川原総務部長 附属機関は、地方自治法第百三十八条の四の規定に基づきまして、民間の専門家等の専門的知識や経験の活用や、行政への民意の反映、あるいは公正、慎重な執行の確保のため設置しております。
 幅広く各方面の意見を聞く上で、公募委員は重要な役割を担っており、特にその必要性が高い附属機関におきまして、都民を委員として公募しております。
 委員の選任に当たりましては、公正を確保することが重要でございます。各附属機関の公募委員につきましては、公募要綱に基づき募集され、審査会などによる総合的な選考を経て、適切に選任しております。

○今村委員 適切な手続を経て選任されていることは確認できました。
 私たちの社会は、多くの方の協力によって支えられています。保護司や民生児童委員は、それぞれ法務大臣、厚生労働大臣の任命によるものですし、福祉保健局は多くの事業者と契約、委託なども行っています。ここでは、地域において行政機関と連携し、実際に地域福祉の重要な役割を担っている民生委員について伺います。
 地域住民の身近な相談相手となり、行政との橋渡し役として多種多様な活動を行っている民生委員の役割は、今日ますます重要になっています。各自治体で働いていらっしゃる民生委員は、都内で総計何人ぐらい選任されているのか、また、どのような人物が選任されているのか伺います。

○高原生活福祉部長 民生委員は、平成二十五年七月現在、一万百九十八人が選任されております。
 また、民生委員の適格要件につきましては、民生委員法第六条において、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、かつ、社会福祉の増進に熱意のある者と規定されてございます。
 都では、これに基づき、東京都民生委員・児童委員選任要綱において、社会奉仕の精神に富み、人格識見ともに高く、生活経験が豊富で、常識を持ち、社会福祉及び民生委員の活動に理解と熱意がある者、あるいは、地域の実情に精通し、かつ地域住民の信望があり、住民が気軽に相談に行ける者などと規定をしているところでございます。
 一方、民生委員の不適格な者として、職業その他従事している事業が多忙である者、また、留守がちな者、高齢や傷病のため、民生委員として職務を遂行することが困難な者などと規定をしてございます。

○今村委員 これだけの数を確保することは、各自治体、また、地域の住民の方々の協力がなくては成り立たないことと思います。その一方で、その責任の重たさから、候補者の確保が困難になっているというふうに聞いております。
 そこで、どのような手続を経て選任をされているのか伺います。

○高原生活福祉部長 民生委員の選任につきましては、民生委員法第五条により、区市町村に設置された民生委員推薦会からの推薦に基づき、都知事が東京都社会福祉審議会の意見を聞いた上で厚生労働大臣に推薦をし、大臣が委嘱をするとされてございます。
 なお、候補者の選任に当たっては、都の要綱において、町会、自治会、福祉活動を行うボランティア団体、NPO法人、保健医療団体等、多方面から幅広く推薦を得るなど、人材の確保に努めることと規定しております。
 また、解嘱についても、法第十一条において、職務を怠り、または職務上の義務に違反した場合、民生委員たるにふさわしくない非行があった場合等には、厚生労働大臣は、都道府県知事の具申に基づき、解嘱をすることができると規定されてございます。

○今村委員 民生児童委員さん、保護司さんを初め、地域で活動している、そうした福祉に携わる皆さんの働きには、この場をかりて改めて感謝を申し上げますとともに、せっかくの働きに水を差すようなことがあってはなりません。
 既に東京都においては、都営住宅の入居の条件や、また、契約においては、反社会的勢力とのかかわりがあった場合には、即刻、解約、解除できるという項目があります。
 今、質疑で明らかになったとおり、適正な選任手続を経て行っているので、そうした者が入る余地はないというふうに理解をいたしますけれども、改めて、福祉保健局は、警視庁を初め東京都全体で、行政にかかわる施策に反社会的な勢力がかかわることのないよう今後も注意をし、東京の福祉の発展に努めていただくよう要望をしておきます。
 次の質疑に移ります。
 残念ながら、全国で昨年度、虐待対応件数は六万六千八百七件、東京都では四千七百八十八件、市区町村では七千五百七十三件と年々増加し、十年前と比較しても倍以上となっています。
 都も、児童相談所の機能強化、警察、自治体を初めとする関係機関との連携強化などを行ってきました。そうした中でも、実親などの養育を受けることが困難な場合、児童養護施設など社会的養護下での生活となります。
 そこで、東京都における、社会的養護を必要としている児童数、児童養護施設の入所児童数、養育家庭などへの委託児童数の推移を、過去三年分について伺います。

○廣瀬事業推進担当部長 親のいない児童や、さまざまな事情により家庭で生活することができない、社会的養護を必要とする児童は、平成二十二年度は三千九百六十一人、二十三年度は三千九百二十五人、二十四年度は三千九百六十人となっています。
 このうち、児童養護施設へ入所している児童は、平成二十二年度は三千八十一人、二十三年度は三千七十一人、二十四年度は三千九十五人であり、地域の中で家庭的な雰囲気で養育するグループホームへ入所している児童は、それぞれ七百二十四人、七百五十四人、七百七十八人となっております。
 また、養育家庭やファミリーホームへの委託児童は、平成二十二年度は四百十三人、二十三年度は四百六人、二十四年度は四百二十五人でございます。

○今村委員 社会的養護下にある児童においても、家庭的な環境下で生活することが児童の成長に大変重要と私は考えます。
 今のご答弁で、児童養護施設での児童数は変わりがないものの、養育家庭やグループホームの入所児童数は着実に増加をしており、家庭的養育の推進が東京都の努力により図られていることが理解できました。
 一方で、いまだ多くの児童が児童養護施設で生活を送っております。都は、児童養護施設の小舎制、小規模化にどう対応しているのか、過去三年間の推移もあわせて伺います。

○廣瀬事業推進担当部長 児童養護施設本体の小規模化につきましては、国制度を上回って、小規模のユニットケアの運営ができるよう、専門機能強化型児童養護施設制度により支援を行ってまいりました。これにより、児童養護施設本体の小規模化は、平成二十二年度は百二十七カ所、二十三年度は百三十三カ所、二十四年度は百六十七カ所と、年々増加してきているところでございます。

○今村委員 福祉保健局を初め、児童養護施設を運営している法人などの協力もあり、児童養護施設の小規模化も着実に進んでいることが理解できました。
 ここで改めて、小規模化の効果を、一方で課題もあるというふうに考えますが、福祉保健局はどのように認識しているのか確認をさせていただきたいと思います。

○廣瀬事業推進担当部長 施設の小規模化は、子供にとって、家庭に近い生活体験が持ちやすいことや、集団生活によるストレスが少なくなり、生活が落ちつきやすいなど、養育上の効果は大きいところでございます。また、子供の生活に目が届きやすく、個別の状況に応じ柔軟な対応がとりやすいなど、職員の支援にも効果があらわれてきております。
 一方、職員一人で、さまざまな課題を抱える子供たちにそれぞれ個別の対応が求められるとともに、多様な役割を担う必要があり、負担感が生じやすいなどの課題もございます。

○今村委員 小規模化を進めて、社会的養護下にある児童の生活環境をよりよくしていくためには、今お聞きした課題にも対処し、改善していかなければなりません。
 福祉保健局は、今後どのように取り組み、社会的養護下にある児童の生活、ひいては福祉の向上を図るのか伺います。

○廣瀬事業推進担当部長 子供の健やかな成長のためには、できる限り家庭的な環境と安定した人間関係のもとで、一人一人の子供の状況に応じた個別的な対応を行い、養育することが重要でございます。
 平成二十五年度から、発達障害など個別的な援助が必要な子供への手厚い支援が行えるよう補助職員を配置し、ケアの充実を図ってまいりました。
 現在、児童福祉審議会の専門部会において、社会的養護のあり方について検討を行っており、これらの状況を踏まえ、適切に対処してまいります。

○今村委員 ありがとうございました。
 児童相談所への虐待相談件数の増加は氷山の一角といわれるように、潜在的に多くの課題、問題を抱えた家庭、保護者がいたものがあらわれてきたものとも考えられます。事実、幼い子供が命を落とすような虐待などの事件が報道されると、地域からの通報がふえるとの統計もあると聞きます。
 今年、児童相談センターが開設され、一時保護所の定員も八名ほど増員されたものの、社会的養護を取り巻く環境は、グループホーム、養育家庭などの定数は増加しているものの、一時保護所や児童養護施設の定数はほぼ変わりがありません。
 一方で、子供の福祉を支えているのは、その優しい手、担い手がなければ成り立ちません。児童福祉司の数は増員しているものの、政令に定める人口四万人から七万人に一人基準で推移をしております。児童福祉司一人当たりの児童数は、全国最多の六万五千七百九十七人となっているところであります。
 児童相談所での児童福祉司の取扱件数は九十件程度と、百件を超えていた数年前よりは改善されたものの、複雑で大変な課題を抱えたそれぞれのケースを受け持つ、児童福祉司を初めとする関係者の苦労は大変なものがあると推察されます。その取り組みと努力には心から敬意を表します。
 いうまでもなく、我が国の成長は子供なくして語ることはできません。一方で、子供の健やかな成長を育むためにはセーフティーネットも必要になります。近年の虐待、ネグレクトなどの取扱件数を考えるならば、一時保護所、社会的養護施設、その中でも小舎制やグループホーム、養育家庭などの数と、その担い手となるマンパワーをまだまだふやさなければならない状況と考えます。
 この質疑を終えるに当たり、改めてソフトとハードともに充実されるよう要望して、終わります。

○栗山委員 大きく二点についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、認証保育についてお伺いします。
 多様な保育ニーズに的確に応えていくために、平成十三年度に都独自の基準を設定した認証保育制度が創設され、十二年がたちました。昨日、十二歳になった私の長男を十年前に、認証保育の草創期に預かってもらったところでございます。その後、今、七歳になった次男のときには制度変更もあり、認証保育へのニーズも高まり、預けることはできず、無認可保育に預かってもらったところでございます。
 認証保育へのニーズは年々高まり、今では、大都市の保育ニーズを反映するためには、なくてはならない保育サービスとなっております。
 そこで、認証保育制度が都民の多くの保育ニーズに応えられるためにも、よりよい制度になるためにも、幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、認証保育は、待機児の九割を占めるゼロ歳児から二歳児までの低年齢児を定員の半数以上設定することを義務づけるなど、待機児対策として今や不可欠な存在となっています。実際に個々の認証保育所の年齢別の定員を見ると、やはりゼロから二歳の定員が多いようです。
 そこで、認証保育所の定員設定の基準について、改めて確認をいたします。

○浜少子社会対策部長 認証保育所に対しては、ゼロ歳児の定員を必須とするとともに、定員の半数以上をゼロ歳から二歳児とすることを求めております。
 ゼロ歳から二歳児の定員をちょうど半数とする場合、例えば、ゼロ、一、二歳をそれぞれ五名とする計十五人、三、四、五歳もそれぞれ五名とする計十五人の、総計三十人の定員の設定とするなど、全ての年齢区分を同一人数の定員とすることも可能でございます。

○栗山委員 ゼロ歳から二歳の待機児童が多いため、各区市町村は低年齢児を中心に保育サービスの整備をしているのではないかと思います。その結果、地域によっては年齢ごとの保育サービスのバランスがうまくとれず、現に、保育施設を利用できていた方が、三歳児の持ち上がりで保育サービスの利用ができないという非常事態が起きることが懸念されます。もちろん、ゼロ歳や一歳の待機児もゆゆしき問題ですが、既に子供を預けて就労している方が三歳以上で保育サービスを中断されれば、退職するしかないという大変なことになります。
 定員の半数以上を低年齢児に設定しなければならないという認証保育所の基準は、待機児童の状況全体を見ればいたし方がない部分もあるかもしれませんが、地域のニーズに応えるために、三歳以上児の保育の受け皿についても考慮すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 三歳以上の児童についても、平成二十五年四月現在、三歳児が七百五十二人、四歳以上の児童が百五十四人、計九百六人の待機が発生しております。認証保育所の新規認証の際の審査会におきましては、三歳以上児の定員設定が少ない場合には、認可保育所など近隣の保育の受け皿について確認するなど、区市町村に対しまして、三歳以上児の移行先についての配慮を求めております。
 今後とも、安心こども基金の活用に加えて、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減する都独自の補助制度や、未利用都有地の貸し付けなどを通じまして、地域の実情に応じて区市町村が行う認可保育所、認定こども園、定期利用保育の整備など、三歳以上児を含む保育サービス拡充の取り組みを支援してまいります。

○栗山委員 三歳以上児の受け入れとなりますと、今後、中心になるのは、認可保育園や認定こども園などになるのかなというふうに思うところでございます。
 今後、認証保育につきましても、認定こども園への移行も含めて--認定こども園について少しお伺いしたいと思います。
 認定こども園には四つの類型がありますが、認証保育園が移行する認定こども園としては、地方裁量型認定こども園が主なものと考えられます。
 そこでまず、全国及び都内の地方裁量型認定こども園の数についてお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 地方裁量型認定こども園の数は、平成二十五年四月一日現在で、全国三十三カ所、このうち都内は十カ所となっております。

○栗山委員 低年齢児に待機児童が多いという状況もあって、二歳未満の低年齢児を中心に受け入れている認証保育所ですが、認定こども園であれば、二歳未満も三歳以上も、どちらも本格的に受け入れられる施設ということになろうかと思います。
 都内の地方裁量型認定こども園数は、全国的に見れば少なくありませんが、地域によっては三歳以上の待機児童も大きな問題となっている中、地方裁量型認定こども園も多様な保育サービスの一つとして拡充すべきではないかと考えております。
 そこで、認証保育所が地方裁量型認定こども園の認定を受ける場合の支援策についてお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 現在、地方裁量型認定こども園に対する国の支援はございません。
 そのため、都は独自に、地方裁量型認定こども園の認定を受けるために必要な施設の改修等に対する支援を行う区市町村に対しまして、事業者負担を八分の一まで軽減する補助を実施しております。また、認定こども園の認定を受けた場合には、認証保育所補助と同額の運営費補助に加え、教育機能に対する補助も行っております。

○栗山委員 認証保育所も、認可保育所や幼稚園などの補完的な意味合いから、多様な保育ニーズへの受け皿として、今、非常に成長しているのではないかというふうに思っております。認証保育所は、もともと幼児教育にも熱心な施設や事業者も多いことから、待機児童対策としてだけでなく、幼児教育の振興という意味でも意義のある認定こども園の認定を受けることは、事業者にとっても、利用者にとっても好ましいことではないかと思っております。
 新制度を見据え、都は今後、区市町村とも連携し、地方裁量型認定こども園をどのように推進していくのかお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 新制度では、国は、地方裁量型認定こども園も含め全四類型を財政支援の対象にすることとしており、現在、国の子ども・子育て会議で制度の詳細が検討されているところでございます。
 都は、今後明らかになる支援内容を踏まえながら、区市町村の取り組みを引き続き支援してまいります。

○栗山委員 認定こども園にしても認証保育所にしても、今、都民にとっての大切な保育サービスですので、今後ぜひ育てていっていただきたいなというふうに要望しておきます。
 続きまして、特別養護老人ホームについて質問いたします。
 都は現在、平成二十四年度から二十六年度までを期間とする第五期高齢者保健福祉計画を定め、必要な介護サービスについて計画的に整備を進めています。この計画において、特別養護老人ホームについて見ますと、平成二十六年度末の必要入所定員総数を四万五千五百十六人としており、三カ年において五千四百三十二人分を整備する計画となっております。
 都は、特別養護老人ホームを整備する事業者に対する整備補助制度を設けているなど、さまざまな支援策を講じながら、計画実現に向け取り組んでいます。しかし、高齢者の増加傾向は続いており、特別養護老人ホームに入所申し込みを行っている高齢者はかなりの数になります。
 都の調査によれば、入所申込者数は約四万人であるとお伺いしておりますが、これはどういった状況を示す数字であるのか、まずお伺いいたします。

○中山高齢社会対策部長 都が平成二十二年に行いました調査では、特別養護老人ホームの入所申込者の実数は四万三千六十人でございました。この方々の要介護度の内訳を見ますと、要介護四以上の方が二万二千三十二人、要介護三以下の方が二万一千二十八人で、約半数ずつとなってございます。また、要介護四以上の方のうち約六割は、介護保険施設や病院、社会福祉施設などに入所している方々でございました。
 このように、入所申込者の要介護度の程度や生活状況はさまざまでございまして、調査で把握した実数であります四万三千六十人の全てが、特別養護老人ホームに直ちに入所が必要な方の数を示しているものではないと考えております。

○栗山委員 都内の特別養護老人ホームの定員数は、平成二十五年十一月一日時点で四万百五十人となっています。既に約四万人分の定員が確保されているわけですが、入所申し込みをしている人もいれば、施設の性格から、当然退所される方も数多くいると思います。
 特別養護老人ホームは、都内全体で、年間でどのぐらいの方が新たに入所が可能になるのかお伺いいたします。

○中山高齢社会対策部長 特別養護老人ホームに既に入所されている方につきましては、医療機関に入院される方、あるいはお亡くなりになる方がおります。こうした理由により、一年間に特別養護老人ホームを退所される方の数は、これは概算ですが、定員約四万人の二割程度となってございます。また、施設の新規開設も進んでおりまして、近年では、毎年一千五百人分程度の新たな定員増がございます。
 これらの退所者数と定員増を合わせれば、都内全体で、年間でおおむね一万人の方が新たに特別養護老人ホームに入所可能であると考えております。

○栗山委員 今の答弁で、新たに年間約一万人が入所可能になることがわかりました。また、入所申し込みをしている約四万人全てが最優先で入所しなければならない方ではないようですが、今後も高齢者が増加していく状況を踏まえ、引き続き、強力に整備を進めていく必要があります。
 また、大都市特有の問題として、都内、特に区部にあっては整備に適した広さの土地を確保することは困難となっており、このことが、整備を加速することができない一因ともなっています。整備をより進めていくためには、従来にない新たな発想も必要ではないでしょうか。
 その一つの事例として、杉並区では、静岡県の南伊豆町に区民向けの特別養護老人ホームを建設する構想を持っていると聞いております。杉並区が南伊豆町に特別養護老人ホームを整備する構想とはどのようなものなのかお伺いいたします。

○中山高齢社会対策部長 杉並区の計画でございますが、杉並区におきましても、特別養護老人ホームの入所申込者が多数存在しております。このことから、区では、区内において施設整備を進めることに加え、区外に所有する区有地も活用することを検討しているものでございます。
 具体的には、杉並区が静岡県南伊豆町に所有する区有地に、杉並区民と地元住民が優先的に入所することができる、定員六十から八十人程度の特別養護老人ホームを整備する計画であると伺っております。

○栗山委員 杉並区が構想している施設の概要について説明がありましたが、都外に保有する区有地を有効活用しながら、杉並区民が優先的に入所できる特別養護老人ホームを整備するといった、従来にない発想だと思います。
 杉並区のような取り組みは、特別養護老人ホームの整備を促進する有効な手段として、一般的に活用される手法になり得るのかお伺いいたします。

○中山高齢社会対策部長 高齢者が安心して生活することができるようにするためには、医療や介護、生活支援サービス等を日常生活の場で適切に提供していくという地域包括ケアの考え方に立ち、在宅サービスと施設サービスをバランスよく整備していくことが必要であると考えております。
 国におきましては、本年五月から九月にかけ、都市部の高齢化対策に関する検討会が開催されまして、その中で、杉並区の構想についても議論されました。この検討会の報告書では、杉並区が構想しているような手法について、杉並区と南伊豆町のように、かねてより住民同士のつながりが深く、自治体間連携が進んでいる場合については、一定の理解を示すものとなっております。
 一方で、地方の市町村が不特定多数の都市部からの入所を期待して特別養護老人ホームを整備しようとすることにつきましては、高齢者の意思に反して入所を強いるおそれがあることなどの理由により、慎重であるべきと報告書ではうたっております。

○栗山委員 都外に都民向けの特別養護老人ホームを整備することは、一般的な手法として活用することは、現在では難しいことがわかりました。しかしながら、都市部で特別養護老人ホームを初めとする介護基盤の整備を加速するためには、従来の仕組みから一歩踏み出した、新たな利用の手法を工夫することが求められていると思います。
 都は、本年九月三十日、国に対して、介護保険制度に関する緊急提言を提出しています。その中で、特別養護老人ホームの整備促進についても触れられていますが、その内容についてお伺いいたします。

○中山高齢社会対策部長 国への緊急提言でございますが、先ほどもご答弁いたしましたとおり、平成二十七年度に予定される介護保険制度の改正を視野に入れ、国に対し、具体的な検討項目として、六点について提言を行ったものでございます。その中で、特別養護老人ホームの整備に関しては二点提言しております。
 一点目は、社会福祉法人が特別養護老人ホームを整備する際の資産要件の緩和についての提言です。現状におきましては、特別養護老人ホームを整備する場合、土地の賃借は認められておりますが、建物は自己所有でなければならないこととされております。一方で、認知症高齢者グループホームなどにつきましては、建物の貸与を受けて運営することが可能となっておりまして、整備の促進に大きく寄与しております。
 この提言では、特別養護老人ホームについても、建物の貸与を受けて運営することを可能とするよう求めたものでございます。
 二点目ですが、複数の区市町村が共同して特別養護老人ホームを設置し、利用する仕組みの構築についての提言です。現在では、広域型施設である特別養護老人ホームについては、自治体ごとの定員枠を設定できない仕組みとなっております。
 この提言では、貴重な施設整備用地の有効活用を図る観点から、近接する区市町村同士が共同で特別養護老人ホームを設置し、利用する仕組みを構築することを求めているものでございます。
 今後とも、都は、さまざまな機会を捉えまして、介護基盤整備の促進に向け、国に対して必要な提言を行ってまいります。

○栗山委員 大変時宜にかなった提案であるのではないかと思っております。
 都も、特別養護老人ホームの整備促進のため、さまざまな取り組みを検討していることがわかりました。
 私の地元目黒区においても、特別養護老人ホームの入所申し込みをしている高齢者は九百五十六人となっております。今後も、さまざまな手法を活用して、特別養護老人ホームの整備に努めていかなければなりません。
 今ご紹介のあった緊急提言にもある共同利用施設について、例えば、目黒区民のために、近接地の自治体同士の共同利用の仕組みに加えて、多摩地域に共同利用施設を整備することなども、ニーズがあるならば選択肢として検討してもいいのではないかと思っております。
 今後、我々都議会自民党といたしましても、特別養護老人ホームの整備促進に向けて、政策推進総本部などの議論を踏まえ、政策提言をしていきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○野島委員 保育関係でお伺いをいたします。
 平成二十年度に法人事業税の一部国税化ということがございました。そのとき、十二だか十三だかの重点項目を国に対して要望した。その中に、この認証の法内化というふうなものもあったというふうに記憶をいたしております。
 国は今、今度は法人住民税部分まで手を出して取っちゃおうという。ただ、全国的に見ると、税源と財源の闘争ですから、東京は多勢に無勢なんです。それはそれでそっちへ置いておいて、そこで、この認証保育所を認可保育所と同様に位置づけて、法内化、あるいは十分な財政措置、どちらでもいいんです、金目としてちゃんと使えればいいわけですから、そんなことで協議をしてきたと思うんですが、その辺の成果についてお伺いをしておきたいと思います。

○浜少子社会対策部長 平成二十年度からの実務者協議におきまして、都は、認証保育所の役割や成果を繰り返し主張してまいりました。この成果といたしまして、二十一年度から、認証保育所も休日、夜間保育、一時預かり等で国庫補助の対象となったほか、二十三年度には、認可基準を満たす認証保育所の運営費が補助対象とされました。
 また、本年度、国は、安心こども基金の対象として、五年間で認可保育所に移行するという前提のもとではございますが、認証保育所などの認可外保育施設への補助を追加するとともに、小規模保育について、保育士の配置基準を五割に緩めた類型を設けました。

○野島委員 成果は幾つかあったというふうに、今伺いました。
 ただ、例の保育従事者の待遇改善事業というのがありましたよね。あれは認証はだめよということで、都単で補正処理したというふうに記憶しておりますけれども、いずれにしても、認証保育所そのものが法内の制度と認められていけば一番いいわけでありますけれども、なかなかそれは困難だろうというふうに思っております。
 そこで、平成二十七年度から開始される国の子ども・子育て支援制度において、認証保育所はどういうふうに制度として位置づけられていくのか、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○浜少子社会対策部長 国の子ども・子育て会議で新制度の設計が議論されておりますが、現在議論されている基準では、現行の認証保育所がそのまま移行できるものとはなっておりません。
 このため、認証保育所の位置づけにつきまして、引き続き、国に対して強く要望してまいります。

○野島委員 いろいろご苦労いただいていると思いますが、私は、法内の制度として認証をそのまま認めましょうというのは、まず困難だろうと思うんです。児童福祉法というのが措置という概念でずっと来ているわけでありますし、待機児童問題というのは、特にゼロ、一、二ですよね。これは大都市問題ですよ。地方はそんな問題ないんだよね。大体、ゼロ歳児がそんなにたくさんいないんだから。高齢化しちゃってるんだから。
 大都市問題なので、僕は、厚労省の政務官と話したときに、特区にしてくれというふうなところをいろいろお願いしたんですよ。でも、厚労省の姿勢は固いと、こういうことでありまして、ぜひ、そんなことも含めながらやっていかなきゃいけないと思っております。いずれにしても、法内制度に移行するのはなかなか困難だろうと思っております。
 そこで、じゃ、認証保育制度をどうするのと。例えば、十三時間開所だとか、ゼロ歳児受け入れ、こういったふうな大都市特有のニーズに合ったものに対応してきたわけでありますから、これをどうしていくのかというのは、さっき、大山委員もいろんなことを話してましたけれども、考えていかなきゃいけないというふうに思っているんです。
 それで、要は、さっきの答弁の中で、移行する施設も、移行に向けてやるところには、補助制度をやって動かしていきましょうよというようなところがあったわけでありますし、認可保育所に移行するという前提のもとであるけれども、ちゃんと財政支援はしていきましょうというふうなことがいわれているわけでありますから、この際、認証のいいところはどんどん向こうに吸収してもらうと。それだって、なかなか足らず前があるわけですよ。それは都単事業として展開していくと。
 トータルとして、東京の保育事業がゼロ歳児対応も含めて質の高いものになっていくというふうな仕組みを考えていった方がいいと思うんです。ただ、それを余り考え過ぎて明確に出しちゃうと、東京は富裕団体だから勝手にやれという話になっちゃう。だから、これは答弁は要りません。そんな下心を持って、したたかに交渉してください。お願いいたします。
 それで、私の考えを述べさせていただきたいと思うんです。答えは要りません。答えは来年の予算書で出してください、予算づけをして。そうすれば答弁の煩が省けますから。
 例えば、これから五年で認証から認可に移行しますよという施設もあります。それは移行なんだけど、改めて認可という園をつくるわけだよね--そういうことですよね。
 それから、もちろん市町村が事業主体、こういうことになるわけでありますけれども、市町村も、公設公営でやるというのは、これからまずやらない。無理なんですよ。この指とまれで募集をしていくというケースが圧倒的に多くなるなと僕は踏んでるんです。
 そんなことで、そういうときに、ぜひ、こういうふうないい制度をつくったところで認可に動いていくというところを、ちゃんとしたその募集要項というのかな、そういうところに項目として出したらいいと思うんです。
 例えば、募集要項の中に、一つには産休、育休明けの枠。これは、預ける時期というのは年度初めなんだよね。途中でなかなかできないということで、じゃ、年度初めに合わせて出産するかというと、出産して育てて、年度初めでなんて、それは無理な話なんです。だから、中途で受け入れられるような枠をちゃんと設定すると。
 自民党的には、極力、乳児、幼児は自分の手の中で育ててほしいと思っているんです。だから、産休、育休制度をもっと充実しろとか、そういうのは国制度ですから、国に対して働きかけをしていきます。
 要は、そのタイムラグを埋めるような枠をつくりますよというふうなところ。すなわち、例えば六月なら六月とか。そうすると、スタッフそろえておかなきゃ、これは金目の関係が出てくるんだけれども、そういうことをやってくれるとか。
 それから定員枠。これを見てもわかるように、さっきいったように、大都市の保育、東京の保育というのは、ゼロ、一、二問題なんですね。したがって、その定員枠を多くとると。全体の定員のうちに定員枠を多くとりますと。あるいは、ゼロ、一、二に特化して、それからその先は、認定こども園とか総合こども園制度というのが何かいろいろ議論されているけれど、そっちにシフトできるような受け皿をつくっておいて、保育事業としてはゼロ、一、二に特化していくというふうなところ。そこまでいかないにしても、さっき栗山先生がいっていたけど、ゼロ、一、二歳だって三歳、四歳になっちゃうんだから、全くつくらないというわけにいかないと思うので、その辺はバランスの問題があるんだけど、その枠を設定するようなこと。
 それから、後でも触れるんだけれども、元気高齢者に保育現場に入ってもらうと。保育士の皆さんも六十五歳再任用とか何とかで、その後、働く場所というのか、それがあった方が生きがいになるから、お金の問題は別にして生きがいになるんで、そういうふうな活用ができるようにする。すなわち、保育事業者をそこに入れられるというふうにしていく。そうすると雇用機会の確保になるから、これは産業政策というか、産労マターともいい形になると思うんですよ。
 そういったふうなこととか、あとは、さっき管外措置の話を、保育園じゃなくて特養でやってた、あれと同じ考えを入れたらいいと思うんですよ。自治体でやる保育事業ですから、ほかのところはだめよね。東久留米なら東久留米でやるけれども、管外保育、管外措置の枠は、協定すれば今でもできるわけよね。だから、そういうものをゼロ、一、二歳でも多くやっていくよというふうなこと。例えば(発言する者あり)いいから、いいから。俺はおとぎ話をしているんじゃないんだから。共産党はおとぎ話だから。
 例えば、世田谷、杉並、こういったところは隣接しているわけですよね。そうしたら、共同設置とはいわぬが、お互いに協定を結んでその枠を多くとっていくというふうなところ。
 あとは、このごろ保育士の皆さんが現場を離れちゃうというのは、ある種、モンスターペアレントの問題もあるやに聞いているんですよ。預けておいて、ああじゃこうじゃ、共育てだからというふうなことで、いろんなことをおっしゃる。そういうふうな対応に嫌気が差しちゃう。学校の教育の現場でもそういったのはあるんだよね。とりわけ若い保育士さんというのは対人関係になれていないから、これは難しいから、そういう対策をちゃんとやるとか、そういうことを項目に入れると。
 もちろん、全項目じゃなくていいわけですよ。だって、待機児童ゼロとか、そういうところがあるんだから。そんなところにそんな項目で縛りをかけていく必要はないから、メニュー化して、かつ、その地域の実情に応じたインセンティブをつけたメニューをそろえると。それで募集をかけるというふうなところをやったらどうかなというふうに思っております。
 いずれにしても、地域のさまざまなニーズを、多様化する保育ニーズをどうやって把握して保育所をつくっていくか、こういうことだろうと思っております。
 そういうことで、こんなことを区市町村にぜひ働きかけてほしいというふうに思っております。働きかけるのは口先介入ですからお金は要りません。じゃ、それを具体的にどうするのということの中で、例えば、さっき、都有地の活用で賃借料をもっと安くしろ、安くしろという話もありました。僕はそれをやってもいいと思うんですよ。ただ、単純にそこをやっていくということになると、ゼロ、一、二対策をやっていくときに、財源として効率的に使えないわけよね。したがって、それは、そういう項目をちゃんとしたところは、都有地の貸し付けを減額してあげましょうというふうなところも、ひとつ考えたらいいと思っております。
 それから、さっき、子育て推進交付金とサービス推進費の話がありました。これ、いろんなメニューがあると思うんだけど、こういうメニューに対応するために、質的に、量的に拡充をしていくというふうなこと、あるいは、その中でできなければ、特出しでこの部分はつくるよと、どうぞ使ってくださいよというふうなところを全体の中の項目に入れておいた方が僕はいいと思う。使い勝手がいいから。そんなこと。
 それから、前、先駆的な事業に対しては、三年間十分の十、それから、その後二年間が半分になっちゃったんだっけ、その後はなくなっちゃうという基金があったよね。あれがこの対象になるかどうか、僕はわからないんだけど、もし対象になるんであれば、そういう基金をつくること。これは取り崩し型基金だから、基金をつくってそこから出してあげるという支援をしていくというふうなところ、こういうことでやっていく必要があると。
 施策は、さっきいったように、メニューはいろいろあるけど、それをちゃんと実現していくには、そういう財源担保をしてやらないとこれは進みませんから、そんなことをやっていただきたいなというふうに思っております。
 それから、都有地の活用ということで、これは今、私ども自民党の推進本部でもやっているんだけれども、例えば、結果的に出てきたやつというのかな、変ないい方だけど、そうすると、まず庁内でさらすよね。それから地元にさらしますよと。どこもなければ売却しますよと。これが大体、都の都有地の有効利活用だと思っているんです。そういったようなことを、今度、目的的にやっていったらどうだというようなところ。
 それから、国も、国有財産、例えば国家公務員の宿舎とか何とかを開放するっていっているわけですよ。そういう情報を一元化していくことと、例えば都有地も、都営住宅の建てかえなんかは地域開発要綱があるから、それで生み出せる形になっていると思うんだけど、そこにもっとバイアスをかけて、これは保育所だけじゃなくて障害者施設もそうなんだけど、それから、さっきいった特養もそうなんだけれども、そういう福祉基盤整備型土地バンクをつくるとか、そういうふうなことをやっていってほしいなと思っているんです。
 そこで、そんなことをやりながら、インセンティブをつけた形じゃないと、ただばらまくことになっちゃいけないと思うんです。ゼロ、一、二を解消していくというふうなところにインセンティブを与えていくような募集要項と財源のあり方を、ぜひ検討していただきたいと思っております。
 そこで、これはハードの分ですが、保育従事者の基準の問題がありますね。それで、その辺のところについてお伺いをしていきたいと思っておりますので、まずその基準についてお伺いしたいと思います。

○浜少子社会対策部長 国事業における保育従事者の基準ですが、今回、新しく国の方で検討された新たな基準としては、小規模保育の基準で、A、B、Cの三類型が設けられております。A型は保育士十割、B型は五割以上、C型は家庭的保育のグループ型として実施されるもので、保育士資格は求められません。このうち、B型の保育従事者のうち資格を持たない方とC型の従事者につきましては、家庭的保育従事者向けの基礎研修を受講することが義務づけられております。

○野島委員 わかりました。
 この間、読売新聞に、動き出す小規模保育という記事が載っておりました。これは仙台の事例を捉えているんですけれども、家庭的な保育を継続できる反面、それが終わった後の受け皿をどうしてくれるのと。さっきの認定こども園の関係で、どういうふうにつないでいくんだという不安もあるわけですよね。
 そんなところで、今回は、保育士の問題を取り上げていきたいというふうに思っております。
 二〇一七年度末で約四十六万人の保育士が必要だと、約七万四千人の保育士が不足とされているオールジャパンということであります。都内では約二万二千人が不足するであろうというふうなことになります。それで、認証から認可に移行すると、さっきいったように、基準的には十分の十でやらなきゃいけないから、そこもまた保育士の需要が発生するということで、保育士の争奪合戦というか、そんなことも聞こえてくるような実情があるわけであります。
 私は、だから保育士を確保しろというのは、なかなか困難なことだろうと思っておりますし、保育の質というのは、専門家である保育士でなければできないとは思っていないんです。子育てですから。専門家である保育士でなければならないということにはならないと思うんです。(発言する者あり)ならないんです。
 それで、例えば、多様な人材を活用して、研修等を活用していけばいいんですよ。例えば、今の小規模保育の中でも、それぞれ保育士の割合というのは決められていますよね。いったように、分園型はもう一〇〇%だよと、あるいは基準なしというケースもあるわけです。そういうところに、ちゃんとした保育従事者、保育士じゃないですよ、保育従事者がいますよということをやっていけばいいんですよ。
 それで、これからは、研修等を活用した人をもっと活用するようなことを、例えば、今、認可外保育施設は、職員のテーマ別研修、こんなことで質の向上に努めてくれるわけです。そうやって、終わったところでの証明はされるというふうに伺っているんですけれども、もう一歩進めて、その研修とか、あるいはカリキュラムの中に、児童心理とかアレルギー対策、これは喫緊の課題ですから、こういうふうな形のものの研修、そういったふうなことをやった場合には、ちゃんと修了証書を出すと。
 もう一個踏み込めば、準保育士とはいいません、認証保育士とか、東京都の研修を受講して認定保育士とか、そういうことをちゃんとやると。それを東京都がやるかどうか。社会福祉協議会がやる--あそこは実施部隊じゃないから難しいんだけど、公益社団化した団体が取り組んで、自分たちの資格としてやると。じゃ、現場をどう動かすのと。専修学校、各種学校があるわけですよ。そういうところで、そういうものをやってもらうとか、そういうものをつくっていったらどうかなというふうに思っておるんです。
 それで、さっきいった元気高齢者の問題も、子育ては、例えば、おじいちゃん、おばあちゃんがいて、親御さんがいるわけだ、当然ね。親御さんは怒るけれども、そのときに、おじいちゃん、おばあちゃんの懐に飛び込むような、そういう子育てというのは、僕は物すごく大事だと思うの。情緒豊かになりますよ。
 それと、モンスターペアレントの問題が出たけれども、やっぱり年寄りというのは人間関係が熟練しているんですよ。だから、うまく対応できるとか、そういうところがあるわけだから、そういうことと元気高齢者の就労機会の確保と、こんなことでやっていければと思っているんです。山内委員は働くイクメンで選挙を当選した。俺は年も年だから、イクじい、イクばあ制度をつくろうと、これを選挙で訴えてきた。だから、そんなこともやっていきたいというふうに思っております。
 いろいろ提案をいたしました。いわば大都市東京の保育ニーズ、とりわけゼロ、一、二にどう対応していくか。単に施設をつくればいいんじゃない、単に保育士を確保すればいいんじゃないということであります。インセンティブをつくり上げて、そこに対して財源の有効利活用を、いわば選択と集中をしない限り、この問題は解決していかないです。のんべんだらりんと用地費助成を出せとか、そういうことじゃなくて、用地費助成を出すなら出すで、借地権は五割、やっていたけれども、こういうことで借地権でやるのであれば、もっと補助を出すとか、そういうことを考えていったらいいと思うんです。
 そういうトータル的なことで、局長の決意というか、見解だけお伺いしておきます。

○川澄福祉保健局長 今、野島委員の方から、多岐にわたり、数多くの示唆に富む意見をいただきました。保育の問題につきましては、喫緊、緊急の課題ということで、私どもも、しっかりと知恵を出して取り組んでいきたいというふうに思っております。
 特に、認証の問題につきましては、引き続き、国の方に対しては強く求めてまいりますけれども、認証が果たした役割とか機能とか、そういったものは新制度の中に生かすように、また知恵を出して働きかけていきたいと思っております。
 確かに認証保育所制度によって東京の保育サービスが引き上げられたわけですから、こういった質も今後向上させていくように取り組んでいきたいというふうに思っております。
 また、保育人材の確保につきましては、いろいろご意見いただきましたけれども、これについても、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、今後とも、地域の実情に応じて保育サービスの拡充に取り組む区市町村を、さまざまな手法で支援してまいります。都民の多様な保育ニーズにしっかりと応えてまいります。

○野島委員 ありがとうございました。
 終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十九分散会

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