厚生委員会速記録第十一号

平成二十五年十月九日(水曜日)
第七委員会室
午後一時三分開議
出席委員 十三名
委員長まつば多美子君
副委員長塩村あやか君
理事遠藤  守君
理事和泉 武彦君
理事山加 朱美君
山内  晃君
栗山よしじ君
田中  健君
和泉なおみ君
今村 るか君
ともとし春久君
野島 善司君
大山とも子君

欠席委員 一名

出席説明員
福祉保健局局長川澄 俊文君
次長梶原  洋君
技監前田 秀雄君
理事藤田 裕司君
総務部長中川原米俊君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長高橋 郁美君
生活福祉部長高原 俊幸君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長浜 佳葉子君
障害者施策推進部長山岸 徳男君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長篠原 敏幸君
事業調整担当部長手島 浩二君
医療改革推進担当部長笹井 敬子君
医療政策担当部長村田 由佳君
地域保健担当部長松浦 慎司君
生活支援担当部長望月 秀夫君
施設調整担当部長枦山日出男君
事業推進担当部長廣瀬  豊君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長古屋 正裕君
感染症危機管理担当部長清古 愛弓君
病院経営本部本部長醍醐 勇司君
経営企画部長和賀井克夫君

本日の会議に付した事件
意見書について
福祉保健局関係
請願の審査
(1)二五第一二号 生活保護法の一部「改正案」を再提出しないことを求める意見書の提出に関する請願
付託議案の審査(決定)
・第百六十九号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・議員提出議案第十五号 東京都保育所建設用地取得費補助条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○まつば委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書中二件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。
 一般用医薬品の販売に関する意見書(案)
 政府は、本年六月十四日に閣議決定した「日本再興戦略」において、一般用医薬品について、インターネット販売を認めることとし、その際、消費者の安全性を確保しつつ、適切なルールの下で行うこととする方針を示した。
 これを踏まえて、国において設置された検討会において、本年九月、インターネット販売か対面販売かを問わず、薬剤師等の専門家による関与の下 で、使用者の状態等を適切に確認できること、医薬品の必要な情報を分かりやすく、かつ確実に購入者側が理解できるように提供すること、適正使用を促すこと等の一般用医薬品の販売ルールや、偽販売サイト・偽造医薬品への対応がまとめられたところである。
 今後、消費者の健康と安全を守る観点から、事業者に新たな販売ルールを確実に遵守させるとともに、偽販売サイト等への取締りを強化していく必要がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、一般用医薬品の販売に関し、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 薬剤師等の専門家による購入者への情報提供を確実に行い、購入者がそれを十分理解した上で使用できることなど、安全管理に配慮した販売ルールを徹底するため、必要な法令の改正を行うこと。
二 改正された法令が適正に運用されるよう、インターネット販売の事業者に対する指導や偽造医薬品の取締りの強化に向けて、必要な措置を講ずること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十五年十月 日
東京都議会議長 吉野 利明
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
宛て
 国立ハンセン病療養所の療養体制等の充実に関する意見書(案)
 強制隔離を骨格とする「らい予防法」は、平成八年に廃止されたが、ハンセン病患者は長きにわたり、施設入所政策により社会から隔絶される苦痛やこれに起因する差別と偏見にさらされてきた。
 現在、国立ハンセン病療養所の入所者の平均年齢は八十二歳を超え、高齢化や障害の重度・重複化に対応した医療・看護・介護体制の強化が喫緊の課題となっている。
 平成二十一年四月に施行された「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」では、その基本理念において、ハンセン病問題に関する施策は、国の隔離政策による被害を可能な限り回復することを旨として行われなければならないとしている。
 また、平成二十一年七月には衆議院、平成二十二年五月には参議院において、「国立ハンセン病療養所における療養体制の充実に関する決議」が全会一致で可決された。
 国は、国会決議に基づき、国立ハンセン病療養所の入所者に対し、療養の質の向上を図り、地域社会と共生しつつ、良好かつ平穏な療養生活を営むことができるようにするため、十分な医療・生活を最後まで保障し、ハンセン病問題の真の解決を図る責任がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、国立ハンセン病療養所において、入所者の実情に応じた定員及び療養体制の充実に万全を期すよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十五年十月 日
東京都議会議長 吉野 利明
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
宛て

○まつば委員長 本件は、議長宛て提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 また、本日審査予定の請願二五第一二号関係の意見書につきましては、本請願の採決結果を踏まえまして、委員会終了後に理事会において協議いたしますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○まつば委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の請願の審査を行った後、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 請願の審査を行います。
 請願二五第一二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高原生活福祉部長 お手元にお配りしております請願審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 表紙、目次をおめくりいただき、一ページでございます。
 整理番号1番、請願二五第一二号、生活保護法の一部「改正案」を再提出しないことを求める意見書の提出に関する請願は、豊島区の東京都生活と健康を守る会連合会会長、坂口忠男さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、平成二十五年六月の国会で廃案となった、基本理念の否定につながる生活保護法の一部改正案を、秋の臨時国会に再提出しないことを求める意見書を国に提出いただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 国は、生活保護法について、地方との協議を経た後、平成二十五年一月の、社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書を踏まえ、生活保護法の一部を改正する法律案を、さきの第百八十三回国会に提出いたしました。本法案は、衆議院で一部修正され、可決されましたが、参議院において、国会期間中の審議、議決が整わず審議未了となり、廃案となりました。
 生活保護法は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮する全ての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低程度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としております。また、この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないとしております。
 生活保護法の一部を改正する法律案におきましては、こうした生活保護制度の基本的な考え方を維持しつつ、今後とも生活保護制度が国民の信頼に応えられるよう、就労による自立の促進、不正受給対策の強化、医療扶助の適正化等を行うための所要の措置を講ずることとしております。
 本法案では、申請書の提出及び必要な書類の添付に関する規定を法律上設けることとしておりますが、この規定は、調査を法律に基づいて実施するのであれば、申請に際しても、保護の決定に必要となる事項を法律上明確にする必要があるという法制上の整合性を図るためのものであると国は説明しております。
 現在でも、省令で、申請は書面を提出して行うこととされており、国は、申請事項や申請様式も含め、現行の運用の取り扱いは変更しないとしております。
 また、保護申請の意思が確認された者に対しては、速やかに保護申請書を交付するとともに、申請手続についての助言を行うことや、保護の申請書類が整っていないことをもって申請を受け付けないことのないよう、法律上認められた保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎むべきであることについては、改正後も何ら変わるものではないとしております。
 本法案では、保護の開始時に、扶養義務者に書面で通知することも規定しておりますが、この規定は、扶養義務者に対して報告を求めることや、家庭裁判所を活用した費用徴収があり得ること等から、法制上の整理として、その対象となり得る扶養義務者に対して、事前に親族が保護を受けることが把握できるようにするためのものであると国は説明しております。
 現在でも扶養の照会は行っており、国は、この通知の対象となり得るのは、福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる、極めて限定的な場合に限ることにし、その旨を厚生労働省令で明記する予定といたしております。
 なお、平成二十五年五月に、国際連合経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会から、国に対して、公的な福祉給付の申請手続を簡素にするため、及び申請者が尊厳を持って取り扱われることを確保するための措置を講じること等を内容とする見解が出されましたが、この見解に対し、厚生労働大臣は、平成二十五年六月二十日の参議院厚生労働委員会の質疑の中で、指摘の趣旨も踏まえつつ、適切に保護がなされるように努めていきたいと答弁しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いをいたします。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○和泉(な)委員 この生活保護の一部改正案は、六月の国会で、参議院の審議未了のために廃案となったものです。
 生活保護行政をめぐっては、申請の意思を明確に示しても、親や兄弟に面倒を見てもらいなさい、書類がそろわないと申請できないなどとして申請書を渡さない水際作戦や、扶養義務者への通知が保護申請に対する萎縮効果を及ぼす、受給開始後もさまざまな理由で打ち切りを示唆され、日常の生活が制約されるなど、現行法のもとでもさまざまな問題が指摘されています。
 以前、心臓病を患って仕事をやめ、生活に困って相談に見えた方に、私は生活保護の受給を勧めました。しばらくして、同じ方から、また相談がありました。支給が決定した後、猛暑のさなか、病院までの坂がきついので、友人の車を借りて診察に行ったことが原因で、生活保護を打ち切られるという通知が来たということでした。役所から、生活保護を受けているのに、たとえ借りたものであろうと、車なんか乗り回していいと思っているのかといわれたそうです。
 役所とも交渉して、生活保護は継続されることになりましたが、まるで自分が罪人になった気分だった、生活保護を受けるということは、こんなにも惨めな思いをしなければいけないことなのかと嘆いていました。直接私が相談を受け、聞いた話です。現行法下の運用が、生活保護受給者に対する人権侵害ともとれるような扱いを蔓延させて、餓死や孤立死まで生む深刻な事態、これだけではなく、たくさん生んでいるんです。
 現行法のもとでも、書類がそろわないことを理由に申請書を渡さない、親や兄弟に扶養してもらいなさいとして申請書を渡さない、そのような、いわゆる水際作戦といわれるようなことが行われていることは、厚生労働省の現行の実施要領が指摘するとおり、申請権の侵害に当たると思いますが、いかがですか。

○高原生活福祉部長 現在、国の実施要領において、保護の相談に当たっては、相談者の申請権を侵害しないことはもとより、申請権を侵害していると疑われるような行為を厳に慎むこととされてございます。
 都内の福祉事務所では、相談者の状況をよく聴取し、生活保護制度の趣旨、保護を受ける要件などを説明した上で、保護申請の意思が確認された方には速やかに申請書を交付し、現在、省令の規定に基づき、書面の提出を受け、受理しているところでございます。
 その過程において、親族の状況や扶養の可能性の有無などを確認することもございますが、これは、もとより申請を抑制することを目的とするものではなく、相談者の生活状況を把握し、今後の支援に生かしていくためのものでございます。
 都では、同要領に基づき、必要な方々に適切な保護が行われるよう、各種会議、研修及び指導検査等を通じて、福祉事務所に対し、指導助言を行っているところでございます。

○和泉(な)委員 申請に対して明確な意思表示をしているのにもかかわらず申請書を交付しない、これが申請権の侵害に当たるものだというふうに解釈していると理解いたしました。
 生活保護は、憲法二十五条の生存権に基づく生活保障であり、権利です。生活保護の受給は肩身の狭いこと、恥ずかしいこと、そういう概念が自治体の窓口にも広がるようなことがあってはならないと思いますので、この点を、都としてしっかり指導を徹底していただきたいと思います。
 今回の改正案は、これまで省令や施行規則で運用上の取り扱いにとどめてきた申請書や必要書類の提出を要保護者に義務づけています。さらに、保護の開始の決定に際し、扶養義務者への報告を求め、扶養義務者まで、収入や資産を官公署、金融機関、保険会社や雇い主等に調査されるということになっています。
 しかし、生活保護制度の見直しについて、生活困窮者対策と一体的に検討することとして設置された、先ほど、現在の状況の説明の中にもありましたが、社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会、ここでも、本当に保護が必要な人が受けることができなくならないように、また、家族関係の悪化につながらないように特段に留意すること、扶養義務の強化は、家族への扶養照会がなされるなら生活保護は受けたくないといったことにならないかが危惧されるといった意見が出されているところであり、運用に当たっては特に慎重に行うことが必要であるという意見が出ています。
 また、五月に法案が閣議決定されたことを受け、五月十七日に日本弁護士連合会が、五月二十九日に日本司法書士会連合会が、相次いで廃案を求める会長声明を発表し、さらに、五月二十七日には全国青年司法書士協議会が、生活保護法改正法案に対する意見書を採択して、廃案を求めています。
 反対の理由として、水際作戦を合法化するものであること、扶養義務者による扶養を事実上、要件化し、今以上に生活保護の利用が困難なものになることを共通して挙げています。弁護士会も司法書士会も、この間に行ってきた生活保護一一〇番などに寄せられた深刻な相談から、このような反対の意思を明確に示しているんです。
 今回の法改正は、今まで法定化されていなかった申請書の様式化や扶養義務者への通知を法律条文に明記することとなり、生活保護が必要な人々の申請意思がますます萎縮するものになると思いますが、都としてどのように認識していますか。

○高原生活福祉部長 さきの国会における改正案は、必要な人には確実に保護を実施するという基本的な考え方を維持しつつ、今後とも生活保護制度が国民の信頼に応えられるよう、就労による自立の促進、不正受給対策の強化並びに医療扶助の適正化等を図ることが主な改正内容でございます。
 また、国は、改正案において申請書の提出等について規定しておりますが、現在でも、省令上、申請は書面を提出して行うこととされており、申請事項や申請様式も含め、現行の運用の取り扱いは変更しないとしております。
 さらに、保護の開始時に、扶養義務者に書面で通知することも規定しておりますが、これは、福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われる場合に限るとし、その旨、省令で明記する予定としております。
 こうしたことから、現行の取り扱い等に変更はないものと認識してはおりますが、今後とも、国の動向を注視してまいります。

○和泉(な)委員 現行でも書面を提出して行うこととしているということですが、法律に明記される以上、申請の拒否が今以上に広がったり、扶養義務の強化が行われることが懸念されるのは当然です。
 平成十三年十月十九日の大阪高裁判決や、平成二十五年二月二十日、さいたま地裁判決では、明確に、申請の意思表示があれば口頭でもできることとされていて、申請書の提出や必要書類の提出が保護の要否判定の要件とはなっていません。
 また、扶養義務についても、申請があった後に、扶養家族の有無や援助の可否を確認すればよいものです。必ず扶養義務者とされる者への通知や照会を直接する必要があるというものではありません。
 申請権を侵害するような行政対応こそ改められるべきであり、国は、現在も続いている水際作戦の根絶にこそ力を入れるべきです。申請のハードルを上げるような内容となっている改正法案は、国会に提出するべきではないと考えます。
 よって、この請願二五第一二号は採択されるべきだという意見を表明して、発言を終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○まつば委員長 起立少数と認めます。よって、請願二五第一二号は不採択と決定いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。

○まつば委員長 これより付託議案の審査を行います。
 初めに、第百六十九号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。よって、第百六十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、議員提出議案第十五号を議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 この際、発言の申し出がありますので、これを許します。

○山内委員 議員提出議案第十五号、東京都保育所建設用地取得費補助条例について、反対する立場から意見を申し上げます。
 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する中において、都議選で我が自民党が掲げたスローガン、東京を世界で一番の都市にするためには、女性が安心して子供を産み育てられる環境を整備し、女性の社会進出を促進していくことが必要であることは論をまたないでしょう。
 都は、そのため、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、地域のニーズを踏まえ、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援し、二年連続して一万人を超える保育サービスを整備してきました。都のさまざまな支援策を活用し、今年度、区市町村が整備する保育サービスは、当初計画より五千人分多い一万五千人分となる見込みであります。
 子育て家庭の母親の就業状況はさまざまであります。都心まで通勤し、フルタイムで働く方もいれば、家の近所で短時間勤務を求めている方もおります。都内待機児童の保護者の六割は、パートタイムの方や今後働きたいと考える方が占めると聞いております。
 限られた予算の中で待機児童ゼロを早期に実現するためには、認可保育所はもちろんのこと、認証保育所や家庭的保育、パートタイムの方も利用しやすい定期利用保育など、保護者のニーズに合った多様な保育サービスにより、サービスの総量をふやしていかなくてはなりません。
 また、そのサービスの提供主体も、社会福祉法人に限らず、株式会社、NPO法人など、さまざまな主体により、それぞれの特性を生かした質の高いサービスをふやしていくことが、今求められております。
 しかしながら、今回の共産党の条例案は、相変わらず認可保育所の整備のみに固執し、昨年一年間に新設した民間の保育所の半数近くは株式会社立であるという現状や、公立、私立合わせた新設の認可保育所のうち、八五%は土地や建物の賃借によって整備されている実態を無視して、区市町村と社会福祉法人だけを対象とする、土地取得のための補助を実施するものであります。
 提案された補助条例の年間の予算規模は、五十億円。共産党は、これにより、土地購入費が一カ所四億円として、一年間で百人定員の保育所を二十カ所確保でき、四年間で八千人分の保育の受け皿を確保できると主張しておりますが、今申し上げた保育サービスの整備の現状からして全く現実味のないものであり、待機児童解消を進める具体的な効果は見込めません。
 例えば、同じ五十億円の予算を、土地購入だけではなく、既に都が実施している定期借地権の活用促進策によって賃借した場合、同じ四億円の土地としても、一年間で五十カ所、五千人分、四年間で約二万人分の受け皿を確保することが見込め、どちらの方が費用対効果があるかは明らかであります。
 以上のような補助効果の低さに加え、条例案提出に当たっての手続上の問題も指摘せざるを得ません。議会が予算を伴う条例案を出す場合には、あらかじめ執行機関との連絡を図り、財源の見通し等意見の調整をすることが、地方自治体の財源規律上、必要であるにもかかわらず、共産党は執行機関との協議を何ら行うこともなく、年間五十億円もの多額の財源の見通しが全くないまま提案を行っており、無責任きわまりなく、こうした提案は、単なる売名行為といわれても仕方がないのであります。
 予算は、湯水のように使えるものではありません。最少の経費で最大の効果を得るように、執行機関の取り組みをチェックするのが、議会の重要な役割であります。
 以上のことから、本条例案には反対であることを強く申し上げます。
 以上です。

○遠藤委員 それでは、私からも、共産党提出の東京都保育所建設用地取得費補助条例案について意見を申し述べたいと思います。
 改めていうまでもなく、保育のニーズはさまざま、多様であります。ゼロ歳児保育や二時間を超える延長保育など、大都市特有の保育ニーズに対応していくには、認証保育所など、さまざまな保育サービスが必要であります。
 過日の質疑でも紹介したように、例えば、一例を上げれば、働く母親の要望が強い、二時間以上の延長保育の実施率は、認証保育所は一〇〇%でありますけれども、認可保育所は二割を下回っている、こういう現状があるわけであります。
 我々都議会公明党は、認可保育所はもとより、認証、認定こども園、スマート保育、保育ママなど、多様なメニューを総動員していかなければならない、このような立場に立っております。
 以下、質疑で明らかになりました本条例案の具体的な不備について、何点か指摘をさせていただきたいと思います。
 まず、補助の対象と効果の問題であります。本条例案では、認可保育所を整備する区市町村と社会福祉法人に限定して、用地購入に係る費用を助成、補助するものと、このようにしております。しかし、先ほどありましたとおり、現状、昨年一年間に新設した認可保育所の八五%は、土地または建物を賃貸したものであります。
 さらに、国は、多様な主体による保育サービスの拡充を積極的に推進する方針であり、区市町村も、こうした方針のもと、認可保育所についても積極的に株式の参入を進めているところであります。実際、昨年度の実績では、株式会社が民間の認可保育所の半数近くを占めているわけであります。
 共産党は、特別養護老人ホームに対しては、以前、都は土地取得補助をしていたことから、今回これを準用した考えのようであります。確かに特養は、以前は自己所有の土地にしか設置できなかったために、土地の取得費を補助しておりました。しかし、今は賃借した土地にも特養を設置できるようになり、この取得費補助は既に廃止をされているわけであります。
 以上のことから、年間五十億もの巨費を投じてどれだけの効果があるのか、甚だ疑問であるといわざるを得ません。
 これ以外にも、我が党は質疑の中で、土地取得費への補助は、保育所の設置促進の目的を超えて、設置者の資産形成に資するものとなること、中でも、社会福祉法人への補助は、仮にその法人が解散した場合、国庫に帰属することになり、それは結果的に都から国への財政支援につながることを指摘いたしました。しかし、その際、驚くべきことに、共産党から、社会福祉法人は倒れないということが基本なわけですとの全く根拠のない見解が示されたわけであります。
 なお、予算を伴う条例を出す場合の執行機関との事前調整の問題もクローズアップされました。これについて質疑では、理事者側から、当然、予算に関係するものについては事前に調整を図るというのが、昭和三十年代に出された行政実例の解釈でありまして、今もこれが最も解釈として運用しているものだというふうに私どもは認識をしている、こういう旨の答弁がなされました。我々も、今回の条例案が、予算案の提案権は知事に専属する、これを定めた地方自治法に抵触するおそれがあると、このように考えます。
 繰り返しになりますけれども、喫緊の課題である待機児童解消に向け、我が党は、地域の保育ニーズに対応して、認可保育所を初め、大都市特有のニーズに対応した、認証保育所や認定こども園、保育ママなど、多様な保育サービスを拡充していくことこそ必要だと、このように認識をいたしております。
 以上の理由から、都議会公明党は本条例案には反対である旨を表明し、意見表明とさせていただきます。

○大山委員 日本共産党都議団を代表し、議員提出議案第十五号、東京都保育所建設用地取得費補助条例について、賛成の意見を述べます。
 先日の質疑では、さまざまなご質問をいただき、ありがとうございました。
 ことし四月、認可保育園に申し込んでも入れない子供たちが全都で二万一千三百六十人、昨年より千五百人以上もふえているとき、待機児解消は喫緊の課題です。
 私たちは、待機児解消のためには、総合的な対策が必要だと考えています。その点では、自民党の代表質問で都有地活用の促進を要望されましたし、厚生委員会では定期借地で認可保育園をふやそうとおっしゃっていました。私たちも大いに賛成です。同時に、私たちは、認可保育園も、認証保育所も、小規模保育も、質の底上げを図るために、施設の拡充と職員の待遇及び配置の充実を進めることを求めてきました。
 厚生委員会の質疑で、自民党さんは、認可保育園はもちろんのこと、公明党さんは、認可保育園はもとよりとおっしゃっているように、ぜひこの条例の成立を初め、ご一緒に保育施策の総合的な拡充のために力を尽くそうではありませんか。
 今、事の緊急性、重大性から見たら、待機児解消についてやれることを最大限実施することが必要です。この立場で、今回は保育園を整備する際の用地費を補助する条例を提案しました。
 きょうは、質疑の中で触れられたことについて幾つか述べます。
 認可保育園でも、最近、開設するところで園庭がないところがふえているから、必ずしも園庭は必要ではないという意見が出されました。園庭が確保できない原因の大きな部分は、土地を確保することが困難なことです。園庭は、保育の質を支える重要な要素の一つである物理的環境であるだけに、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例にも、その四十一条二項に、満二歳以上の幼児一人につき、屋外運動場の面積にあっては三・三平方メートル以上とすることと明記されています。
 条例本則を実現することができるようにすることこそ東京都の役割であり、保護者や保育関係者の願いです。どの子も豊かに育ってほしいという保護者の願いを実現するためにも、ぜひ用地費の補助を実現し、より確保しやすくするようにしていこうではありませんか。
 代表質問、一般質問で提案してから議案提案すべきだとの指摘がありました。私たちは、用地費補助について、二〇〇三年には予算特別委員会で、二〇〇九年第二回定例会では代表質問でも取り上げ、要求してきました。二〇〇九年以降でも、厚生委員会で三回取り上げ、予算組み替え提案もしてきました。しかし、都は実施しようとせず、今日の事態を招いています。
 認可保育園増設の都民要求が大きく広がっているときに、そして少子高齢社会を乗り切るために、事態を前に切り開く条例を提案することは、議員としての重要な役割ではないでしょうか。
 予算を伴う条例提案について議論になりましたが、首長が条例を提案する際は、あらかじめ予算上の措置が的確に講ぜられる見込みを得なければならないとされていますが、議員提出議案の場合は、行政実例でこの制限はないとしています。執行機関の長との事前調整が必要ということになれば、事実上、議員の議案提出権を大きく制約することは明らかです。
 議会の活性化のために議員の議案提出権を活用することは重要であり、だからこそ、自治法改正において、議員定数の八分の一から十二分の一に要件が緩和されたのです。その趣旨に照らしてみても、予算を伴う議案についても、広く議員による議案提出権を保障することこそ必要です。
 また、社会福祉法人が解消する場合、その資産は国庫に入ってしまうから、東京都が国に財政支援することになるという議論がありました。しかし、これについては、社会福祉法三十一条三項で、残余財産について、社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者のうちから選定しなければならないとなっており、東京都や都内の他の社会福祉法人に帰属させることは可能です。
 保育所建設用地取得費補助条例の提案は、多くの都民の方々から歓迎されています。委員の皆様、ぜひともご賛同いただきますよう心からお願いを申し上げまして、意見表明といたします。
   〔野島委員「委員長、議事進行」と呼ぶ〕

○野島委員 もう質疑が終わって、これ、討論の場でしょう。それを、質疑を補足するような、あるいは人の討論を取り上げてそれに反論するようになったら、これ、質疑の全部やり直しですよ。
 討論というのは、質疑を踏まえ、それに対する賛否を問うのが討論なんですよ。それを、あたかも補足するような、あのときはこういう答弁をしたと、それから、これこれこういう事実があるとか、それは質疑そのものだよ。こういう委員会運営はあってはならないですよ。
 大体、提案者は、提案理由の説明ができて、質疑も受けられるのに、それを、質疑を終結して、その後の討論でそういうふうな、討論は自由だけれども、今聞いている限りは、改めて反論したり、改めて提案理由の説明じゃないですか。そういう委員会運営というのはおかしいと思いますよ。

○まつば委員長 今、野島委員からご意見をいただきました。

○野島委員 だから、もうきょうはいいけれども、大体、委員会で、議事先例、そういうのはあるの。

○まつば委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○まつば委員長 速記を再開してください。
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後一時四十分休憩

   午後四時五十分開議

○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 審査を続行いたします。
 発言を願います。

○今村委員 都議会民主党を代表して、議員提出議案第十五号、東京都保育所建設用地取得費補助条例について述べます。
 東京では、リーマンショック以降、家庭の収入減のため都内で共働き世帯がふえ、都心部を初めとしてファミリー型マンションの建設が進み、子育て世帯が転入し続け、待機児童数が増加し、保育ニーズが高まっています。ことし四月現在、東京都内の区部十九区、多摩地域十八市では待機児童数が五十名以上となり、昨年と比べ待機児童をふやしている自治体も多く見受けられます。
 こうした課題に鑑みて、民主党政権時代では、社会全体で子供、子育て家庭を支援する、地域子ども・子育て支援事業の実施や、総合こども園の設置などを内容とした、子ども・子育て支援新制度を二〇一五年度から始めると決め、現在、多様な保育ニーズに応えるための準備が進められています。
 都においては、都市部の事情に見合った認証保育所の整備を促進するとともに、今年度からは、国の支援制度に先駆けて、短期間で開設可能な空き店舗などを活用する小規模保育、スマート保育の整備支援や、幼稚園での預かり保育に取り組む市区町村を支援するなど、多様な保育サービスの整備を行っています。
 都内で保育を必要とする子供たちの多様なニーズに対応するためには、保育所建設用地の取得を優先的に進めるばかりではなく、都市部の事情を考えた空きスペース、借地などの活用や、事業者側が運営を円滑にできるような施設整備への支援などが必要です。
 東京都内各地の地域事情を踏まえて、多様な子育て、子育ち環境の整備を推進していくことが重要であり、当議案に反対であることを述べ、私たちの意見表明といたします。

○塩村委員 議員提出議案第十五号に反対の立場から意見を述べます。
 この議案は、土地購入費の補助を都がするものですが、その対象を市区町村と社会福祉法人に限っております。
 私たちみんなの党は、保育の質の確保を大前提に、待機児童の解消に株式会社やNPOの参入を提唱しております。民間の活力を生かしながら多様な保育を提供し、競争原理で質とサービスを磨いていきつつ、現代の多様化したライフスタイルに合う事業者を、子供と保護者など利用者に選択してもらうべきだと考えます。補助の対象から株式会社やNPOを排除するべきではありません。
 よって、補助の対象を市区町村と社会福祉法人に限定している、この議員提出議案第十五号に反対であることを述べ、意見表明といたします。
 以上です。

○まつば委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○まつば委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第十五号は否決されました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○まつば委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○まつば委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。

○まつば委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、川澄福祉保健局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○川澄福祉保健局長 お許しをいただきまして、当委員会所管両局を代表いたしまして、一言御礼のご挨拶を申し上げます。
 本定例会でご提案申し上げました議案につきましては、ただいまご決定をいただき、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で頂戴いたしました貴重なご意見、ご指摘等につきましては、今後の事業執行に反映させてまいりたいと存じます。
 また、病院経営本部とも、より一層緊密に連携を強めまして、さらなる施策の充実に努めてまいる所存でございます。
 今後とも、より一層のご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、お礼のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○まつば委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十五分散会

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