委員長 | まつば多美子君 |
副委員長 | 塩村あやか君 |
副委員長 | 早坂 義弘君 |
理事 | 遠藤 守君 |
理事 | 和泉 武彦君 |
理事 | 山加 朱美君 |
山内 晃君 | |
栗山よしじ君 | |
田中 健君 | |
和泉なおみ君 | |
今村 るか君 | |
ともとし春久君 | |
野島 善司君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 川澄 俊文君 |
次長 | 梶原 洋君 | |
技監 | 前田 秀雄君 | |
理事 | 藤田 裕司君 | |
総務部長 | 中川原米俊君 | |
指導監査部長 | 飯塚美紀子君 | |
医療政策部長 | 小林 幸男君 | |
保健政策部長 | 高橋 郁美君 | |
生活福祉部長 | 高原 俊幸君 | |
高齢社会対策部長 | 中山 政昭君 | |
少子社会対策部長 | 浜 佳葉子君 | |
障害者施策推進部長 | 山岸 徳男君 | |
健康安全部長 | 中谷 肇一君 | |
企画担当部長 | 篠原 敏幸君 | |
事業調整担当部長 | 手島 浩二君 | |
医療改革推進担当部長 | 笹井 敬子君 | |
医療政策担当部長 | 村田 由佳君 | |
地域保健担当部長 | 松浦 慎司君 | |
生活支援担当部長 | 望月 秀夫君 | |
施設調整担当部長 | 枦山日出男君 | |
事業推進担当部長 | 廣瀬 豊君 | |
障害者医療担当部長 | 熊谷 直樹君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 古屋 正裕君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 醍醐 勇司君 |
経営企画部長 | 和賀井克夫君 | |
サービス推進部長 | 中野 透君 | |
経営戦略担当部長 | 野瀬 達昭君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
報告事項
・契約の締結について(説明・質疑)
・私債権の放棄について(質疑)
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十九号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・都立障害者支援施設及び都立障害福祉サービス事業所の民間移譲について
・第一期中期目標期間地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
・第一期中期目標期間地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター事業報告について
・平成二十四年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第十五号 東京都保育所建設用地取得費補助条例
○まつば委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○まつば委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○まつば委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項の聴取を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○和賀井経営企画部長 動産の買い入れ契約につきまして、お手元にお配りしております契約締結報告書に基づき、ご報告申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。このページの総括表に基づきまして、ご説明させていただきます。
番号1は、都立墨東病院において使用いたします高精度放射線治療システムの買い入れでございまして、契約の相手方はグリーンホスピタルサプライ株式会社、契約金額は四億九百八万円で、契約の方法は一般競争入札でございます。
番号2は、同じく都立墨東病院において使用いたしますIR-CT装置システムの買い入れでございまして、契約の相手方は株式会社八神製作所、契約金額は一億九千七百十九万円で、契約の方法は一般競争入札でございます。
なお、本契約の概要につきましては、二ページ以降に記載しておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○まつば委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、既に説明を聴取しております報告事項、私債権の放棄についてとあわせて、一括して行います。
これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○まつば委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
理事者の欠席について申し上げます。
清古感染症危機管理担当部長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
初めに、付託議案のうち、知事提出議案の審査を行います。
第百六十九号議案を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○和泉(な)委員 この条例改正案は、全国七カ所の特区で実施していたものを国の省令改定で一般することになったために条例改定を図るものです。
条例改定の内容では、高齢者向けの小規模多機能施設に定員があいている場合に、障害児が通ってよいということにするものです。しかし、障害児の発達保障のための業務を専ら行う職員というのを置かず、児童受け入れの際に、そちらに専念する義務もなく受け入れるということなります。
小規模多機能の人員配置は、デイサービス部分では利用者三人に一人の介護職で、資格要件はありません。介護職のうち、一名は看護師資格が必要、訪問については一名以上の配置となっています。そのほかに、管理者と支援計画をつくる職員が必要ですが、小規模多機能自体の職員配置も決して十分とはいえない状況です。
そこで伺います。福祉保健局の調査では、都内では実施するところはない、しかし、国の省令に基づき、条例で定める必要があるからということですが、福祉保健局は、この条例をつくったら、積極的に進めようとしているのでしょうか。
○山岸障害者施策推進部長 今回の条例改正は、国の省令改正に伴うもので、地域において児童発達支援、放課後等デイサービスが提供されておらず、サービスを利用することが困難な障害児に対して、一定の要件を満たした小規模多機能型居宅介護事業所がサービスを提供できるようにするためのものでございます。
区市町村に行った調査によりますと、現在のところ、障害児の受け入れを予定している小規模多機能型居宅介護事業所はございませんが、今後、区市町村から事業実施に関する相談等があった場合には適切に対応してまいります。
○和泉(な)委員 都として積極的に進めるようなことではないということですね。
東京では、高齢者の施設があいているどころか、足りないというのが現状ですから、実態に合わないし、あいているから障害児を入れればよいなどというものではありません。積極的に進めるようなことではありませんから、その姿勢は維持していただきたいと思います。
都内の放課後等デイサービスは、現在、二百四十カ所、就学前の子供たちの児童発達支援事業所が百三十三カ所となっています。小規模多機能は、ことし九月一日付で百三十カ所、二〇一〇年度末では七十六カ所で、ふえてはいますけれども、それぞれ十分なものではありません。
東京都がやるべきことは、放課後等児童デイサービス自体をふやすことです。質の確保をしながら、数もふやしていけるように要望しておきます。
なお、この条例は省令改定に従うべき基準によるものなので、反対はしません。
以上です。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○まつば委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について及び都立障害者支援施設及び都立障害福祉サービス事業所の民間移譲についてに対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 このたび、日野療護園、東村山福祉園の障害者支援施設と、大田通勤寮、葛飾通勤寮の障害福祉サービス事業所が民間委譲されるとのことで、特に、私、地元であります大田通勤寮について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
この大田通勤寮は、現在、大森西という地域にありまして、開設が昭和五十年、四十年近くたつ施設であります。私も前期の厚生委員会のときに見学に行かせていただき、確かに建てかえの必要性を感じておりました。
今回の民間移譲に当たり、移転をするということを聞いています。現在ある場所でなく、移転をする理由はどのようなものか、まずお聞きをいたします。
○山岸障害者施策推進部長 現在の大森西の大田通勤寮敷地には、通勤寮と大田福祉工場の二施設がございまして、両施設とも老朽化が進んでいるため、建てかえが必要でございます。
しかし、建築基準法の日影規制などによりまして、大田通勤寮と大田福祉工場の両施設を現地で建てかえることは困難なため、近隣に移転適地のない大田福祉工場を現地で改築し、大田通勤寮を大田区東六郷の都有地に移転改築することとしたものでございます。
○田中委員 この通勤寮の役割というのは、会社などで働いているか、働くことができる知的障害者に、就労定着、対人関係の調整や余暇の活動、健康管理、自立に必要な援助、支援を行うことにより社会適応能力を高め、円滑な地域への移行を図るための施設とされています。つまり、その場所での生活とともに、会社への通勤の役割があるかと思います。
このたび、今、大森西から東六郷の方に移るということで、利用者が通勤等に不便となること、もしくは支障となるようなことがないかというのが気がかりであります。
これについては、東京都としてはどのようにお考えでしょうか。
○山岸障害者施策推進部長 移転先を選定するに当たりましては、軽度とはいえ、知的障害者の方が職場に通勤をしているため、通勤しやすさという点に配慮をいたしました。
現在、利用者の方は京浜急行電鉄の平和島駅を利用して通勤しておられ、移転後も同じ沿線の京急蒲田駅が最寄り駅となるため、今までとほとんど変わらず通勤することができると考えております。
○田中委員 通勤に関しては、不便がない同じ路線であるということを今お聞きしましたが、住みなれたところから場所が変わるのは、障害のあるなしにかかわらず、これは少なからず精神的にも影響がある可能性もあります。ぜひとも利用者への配慮は慎重に行っていただきまして、丁寧に行うことを要望いたします。
また、移転先の東六郷地域においては、新しい施設ができるということで、地域の理解を得ることも必要と考えております。地域の皆さんとはどのような調整がなされているのか、これまでも含め、お聞きしたいと思います。
○山岸障害者施策推進部長 本年九月に地元の自治会役員会でご説明をし、その後、近隣住民と隣接する高齢者施設に個別に訪問して、説明をいたしました。その他の住民の方には、自治会の回覧板で周知していただくこととしております。
説明の内容は、大田通勤寮の移転改築の経緯、民間移譲に伴います運営事業者の公募、今後の施設整備等の全体計画と、現在の大田通勤寮の概要等でございます。特に、通勤寮の事業を理解していただくために、利用者の一日の生活の流れや具体的な支援内容についてもご説明をいたしました。
説明の結果、特に反対意見はなく、今後、運営法人の決定後に、通勤寮の建設工事の説明会などを実施する予定でございます。
○田中委員 この移転先は、現在、コインパーキングになっておりまして、都有地の有効活用という意味では、コインパーキングよりも、このような福祉施設ができることは、また、新築されることは望ましいことであります。
ですので、ぜひとも今後、この建設工事説明会も運営法人の決定後に行われるということでありますので、この際にも、丁寧な説明と地域との意見交換、これを徹底していただきたいと思います。
また、この六郷地域は、この施設ができる目の前にも介護老人保健施設や大田ナーシングホームがあり、また、近隣にも都立の城南特別支援学校もあり、それぞれ地域との連携を大切にしております。
ぜひ通勤寮も地元との連携を大切にしていただき、地域の皆さんにも支えてもらえるような施設になることを最後に要望して、質問を終わります。
以上です。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
○まつば委員長 次に、報告事項、第一期中期目標期間地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について外健康長寿医療センター関係の報告事項二件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布しております。
資料について理事者の説明を求めます。
○中川原総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように一項目でございます。
一ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの全病床数、費用徴収を行うこととしている病床数及び料金といたしまして、センターの全病床数、費用徴収を行わない病床と費用徴収を行うこととしている病床それぞれの数及び費用徴収を行うこととしている病床の料金について記載してございます。
以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
続きまして、過日の委員会におきまして、報告事項について説明が十分でない事項がございましたので、ご説明させていただきます。
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの第一期中期目標期間事業報告につきましてご説明申し上げます。
この事業報告につきましては、地方独立行政法人法の定めるところによりまして、中期目標の期間が終了いたしました際に、健康長寿医療センターが事業報告書を作成し、知事に提出いたしますとともに、これを受けまして、当委員会にご報告いたすこととなっているものでございます。
先日お配りいたしました事業報告書は、第一期中期目標におきまして定めてございます項目ごとに、平成二十一年度から平成二十四年度までの四年間における健康長寿医療センターの業務実績を取りまとめたものでございます。
以上をもちまして、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの第一期中期目標期間事業報告に関する説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○遠藤委員 公明党の遠藤です。昨年に続きまして、厚生委員会に連続で籍を置くことになりました。
この一年でありますけれども、議会と執行機関、それぞれ役割は違いますけれども、しっかり呼吸を合わせて、少子高齢化は最大の課題でありますので、都民の負託に応えられる有意義な仕事をしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、議題について何点か質問をさせていただきます。
先日提出をいただきました、独法化した健康長寿医療センターの第一期中期目標期間が終了いたしたわけであります。頂戴した報告書、評価書によれば、この期間中の、二十一年度から二十四年度までの経営期間中の取り組みは、こう書いてありました。おおむね着実な業務の進捗状況にあると、このように総評をされていたわけであります。質問の前に、まず、この期間中、こうした取り組みに全力で当たっていただきました関係者全ての皆さんに敬意と感謝を申し上げたいと、このように思っております。
この平成二十五年四月に第二期がスタートしたわけであります。ことしの六月には新たな施設への移転も完了したわけであります。ご案内いただきましたけれども、都議選が重なっておりまして、まだ残念ながら新しい施設は見ていないですけれども、ぜひ早くここを見たいなと、個人的には思っております。
この新施設への移転によって、医療の提供という点では、例えばハイブリッド手術室を設置したことなどから、これまで以上に高度な医療が提供されるようになって、患者の皆さん、また、家族の皆さんの療養環境も向上したんだろうと思います。
そこで、まず初めに、医療の質という観点で質問させていただきたいと、このように思います。
この報告書の中には、客観的または科学的な根拠に基づく医療の提供という記載がございます。具体的に申しますと、第一期中期目標期間事業報告書、二五ページ、この中期目標のくだりにこういう記載がありました。いわく、高齢者医療を提供する専門病院として、客観的な根拠に基づき、個々の患者に適切な医療を選択し、より質の高い医療を提供するため、科学的な根拠に基づく医療、EBMの確立を発信すると、このように目標には書いてありました。
それを受けて、中期計画には同じようなくだりで、高齢者医療の質をはかるのに適したクオリティーインディケーターのあり方及び科学的根拠に基づく医療、EBMの確立を目指すと、こう書いてあったわけであります。
そこで、クオリティーインディケーター、そのまま訳せば、質をはかるということでありますけれども、このクオリティーインディケーターという言葉の概念、また、意味はどういうものなのでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 クオリティーインディケーターについてでございますが、これは医療や看護の質を定量的に評価するための指標でありまして、さまざまな医療現場のデータを解析し、医療の改善に役立てるために用いるものでございます。
提供する医療の質の向上を目的とし、例えば、入院患者の歩行中の転倒やベッドからの転落の発生率、専門看護師数や認定看護師数等の指標の測定結果を時系列で把握し、改善につなげるものでございます。
○遠藤委員 今説明ありました。医療や看護の質を定量的に評価する指標であって、さまざまな医療現場のデータを解析して医療の改善に役立てると、こういうことでありました。
医療の改善に役立てるとあわせて、これは裏を返せば、患者側から見れば、そのインディケーターを使って、どこの病院がすぐれているのか、または、自分に適しているのかということをはかるための物差しになるんだろうと、こういうことだと思います。
では、次いで、このクオリティーインディケーターですけれども、フランス等では、病院の格付がこれによって行われているということであります。さらに、イギリスでは国としてクオリティーインディケーターを示すなど、いわば国家レベル、国レベルで測定結果を公表、また、活用しているようであります。健康長寿でもこの取り組みを始めたということでありますけれども、日本全体、この国ではどういう考え方に基づいて取り組みが進められているか、説明していただきたい。
○枦山施設調整担当部長 日本では、平成二十二年度に厚生労働省が、医療の質の評価・公表等推進事業として開始しており、平成二十二年度から二十四年度までに独立行政法人国立病院機構など六団体が参加しており、傘下病院に働きかけをしております。
現在、センターでは自主的に取り組んでいるところでございますが、現時点では、この事業に参加するかどうか検討中でございます。
○遠藤委員 二十二年度から二十四年度まで、三年間かけて国で行われていると。健康長寿でも、国の取り組みでは参加していないけれども、独自に取り組みを進めていると、こういうことであります。
それでは、健康長寿医療センターでは、このクオリティーインディケーターの確立に向けて、この四年間、いかなる取り組みをしてきたか、ご説明していただきたいと思います。
○枦山施設調整担当部長 センターにおけるこれまでの検討状況でございますが、クオリティーインディケーターの確立のためには、指標をどのように設けるのか明確にしておく必要があることから、各診療科、各部門におきまして、診療実績や経営に関するデータなどのさまざまなデータを収集、把握してまいりました。
患者にとって最も身近な部門の一つであります看護部において、医療安全の確保、患者満足度の向上のための活動をより深めるため、先行して平成二十二年度に看護の質向上委員会を設置し、集めたデータをもとに、看護の質評価指標の作成に取り組んでおります。
今後、この活動も踏まえまして、各診療科の診療実績や種々の経営指標がモニタリングできるよう、医療、経営全般を対象とした指標の作成に取り組み、第二期中にクオリティーインディケーターの確立を目指します。
○遠藤委員 今、部長の方から、一期での成果を含めて、最後に、第二期中に云々と、こういう答弁がございました。
第二期の中期計画の中にも、このようなくだりがあります。いわく、医療の質の指標を検討、設定し、センターの医療の質の客観的な評価、検証を行うとともに、医療内容の充実に活用していくと、このような記載があったわけであります。
高齢者専門の急性期病院という、このセンターの特性を踏まえた指標、クオリティーインディケーターが確立され、実現されれば、それはすなわち高齢者の医療とはかくあるものであると、こういうような指標にもなる有意義な取り組みだろうと、このように思っております。
その意味でも、決して急げばいいというものではないと思います。粗雑なものになってはいけませんので、急げばいいというものではないですけれども、ぜひ今期、二期の期間中にこの成果を見せていただきたいと、このように思います。
といいますのも、繰り返しになりますけれども、やはり高齢者、また、家族の方、どの病院に--特に都内は高度な医療機関が集中しているというのが都の医療の現状で、これはいい側面であると同時に、裏を返せば、どの医療機関に行けば的確な診療が受けられるかと迷ってしまうというのも、一般の都民の方々の状況だと思いますので、これはひとつ……。そんなわけで、今、新聞でも何とかランキングだとか、こういうものもあるわけでありますけれども、こういうものが決して信用ならないといっているわけでありません。先ほど申し上げましたとおり、客観的かつ科学的な根拠を示すという意味では、センターがこうしたものを確立するという意義は大きいと思いますので、ぜひ鋭意取り組んでいただきたいと、このように思います。
次に、このセンターのもう一つの柱であります、研究という分野について質問させていただきたいと思います。
新施設への移転を契機に、これまで以上に、研究活動の成果を臨床の現場につなげていくことが期待されているわけであります。頂戴しました三種類の報告書を読んで、研究といっても、大きく分けると、自然科学系の研究と社会科学系の研究といったところに分けられるのではないのかなと思います。
テーマも多岐にわたっておりますので、私が関心を持った事例について、社会科学の分野と自然科学の分野ということで、それぞれ一つずつお聞きしたいと思っております。
まず初めに、この社会科学系の研究でありますけれども、これは非常に多くの成果が出ております。一連の成果の様子が、老年学公開講座、これは都民向けの講座であります。私も不肖、こういうものがあるというのはこれまで知らなかったんですけれども、わけあって老年学講座のパンフレットを、直近のやつなんですけど見せていただいて、これは都民の皆さんがもっと活用して、読んでいただければ、高齢者の皆さんを中心に健康増進につながるものだなということで、こうしたもののベースとなっているのが健康長寿のさまざまな社会科学の研究の分野であると、このように思いました。実感をいたしました。この中では、長寿医療センターと自治体との共同研究が行われておりまして、こうした研究は他の自治体にも大きな参考になる、このような取り組みでございました。
そんな中で、私の地元でありますけれども、大田区と共同で地域の高齢者の社会的孤立に関して縦断調査を行っていると、こういう記載がありました。日ごろから高齢者の社会的孤立、これについては、今、孤独死、孤立死云々かんぬんという言葉に象徴されるとおり、社会的にも大きな関心を持たれている事項だと思います。
この大田区とセンターで共同で行いました調査、結果はどんなものであったのか説明してもらいたいと思います。
○枦山施設調整担当部長 社会的孤立に関する調査の内容についてでございますが、この調査は、大田区内の約二千五百人の六十五歳以上の単身世帯の高齢者を対象に、見守りサービスの利用状況と利用意向等について、郵送で行いました。
調査結果によりますと、既往歴のある人では見守りサービスの利用意向が強く、健康等に不安のある人は今後の利用を希望していることがわかりました。
しかしながら、見守りサービスの利用率は、全般的に低水準にとどまっておりまして、サービスの利用を広げていくことが課題であるということが明らかになっております。
○遠藤委員 見守りサービスを利用している方は限定されていると。東京都及び基礎的自治体は、力を挙げてこのサービスをどう広げるか、これが課題だということであります。
その一方で、高齢者の皆さんをサポートする、地域住民の皆さんが行う、地域の高齢者の皆さんの見守りについては、孤立死リスク者早期発見、残念ながら、みとられることなくお一人で亡くなられていく、こうした孤立死の方のリスクを早期発見するためについて、見守りポイントチェックシート、こういうものを開発して利用しているというような記載がありますけれども、これは具体的にどんなことをやっているんでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 孤立死リスク早期発見のチェックシートについてでございますが、第一期中期目標期間におきまして、大田区や埼玉県和光市の協力によりまして、地域住民や関係機関向けの孤立死リスク者の早期発見のための高齢者見守りのポイントチェックシートを作成し、その妥当性を検証いたしました。
このシートは、高齢者との会話、服装や身だしなみ、様子や発言、居宅の外観などに対して、住民が日ごろから関心を払うことにより、認知症の発症や体調不良などが把握できるものでございます。
現在、大田区や和光市におきまして、高齢者の孤立や孤立死を防ぐための見守り活動の促進ツールとして住民等に配布し、地域包括支援センターへの情報提供の目安とするなど、活用が始まっております。
○遠藤委員 こういうような有意義な調査を行っているセンターの研究員が委員として参加して、福祉保健局では見守りの仕組みづくりや具体的な対応方法について、昨年度やって、今年度、高齢者等の見守りガイドブックというのを作成しました。私も読ませていただきましたけれども、これは非常に価値のある仕事だなと思いました。非常にいい内容だと思います。
ところが、こうしたさまざまな行政の、いわば網にかかる方はいいんですけれども、こうしたサービス、支援から漏れてしまう高齢者というのがいらっしゃるわけであります。こうした方々をどう把握して、そこに手を打っていくか、これもまた非常に重要な取り組みでありますけれども、この辺のところは、センターではどんな取り組み、また、研究をされてますでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 行政のサービスや支援から漏れてしまっている高齢者に関するセンターの調査研究は、千代田区との共同によりまして、要介護や要支援の認定を受けていない区内在住の六十五歳以上の高齢者約三千人に対して、郵送により調査を行っております。
調査票が返送されてきた高齢者につきましては、生活機能、歩行機能、認知機能、心の健康、人とのつながりの五つの領域につきまして、個人の機能低下の程度を評価し、機能低下の予防、回復に向けたアドバイス表と介護予防事業の案内を個別に送付しました。
調査票が返送されてこなかった約四百人の七十五歳以上の高齢者については、こうした人こそフォローしなければならないことから、訪問看護師による訪問調査を実施しました。
○遠藤委員 そうですね。返ってくる人はいいと。だけれども、返ってこなかった人に手当てをするということで、郵送で掌握をかけたということは有意義だと思います。
いずれにしても、今回、やりとりしましたけれども、いわばこの社会科学の研究分野においては、研究成果を具体的に、フィールドワークというんですかね、そういうのも含めて、自治体とも協力しながら、着実に成果が上がっているということがわかりました。
こういう取り組みは、公的な研究機関である健康長寿医療センターの、まさに本来の役割だと思っておりますので、引き続き、ぜひ効果のあるこうした研究の取り組みを進めていただきたいと、このように思います。
次いで、社会科学があれば、一方、自然科学の研究成果、これについて伺いたいと思います。私もにわか勉強ですので偉そうなことはいえませんけれども、ぜひ問題提起ということで聞いていただきたいと思います。
私が関心を抱いたのは、高齢者のがんの病因、病態に関する研究であります。私の父親も、残念ながら七年前にがんで他界いたしました。私の周りにも、この間、がんと闘病されている方がたくさんいらっしゃいますので、関心を持っています。
その中に、今回、平成二十三年度に食道腺がんの新たな病理診断基準が有用であることを証明した研究が載っておりました。この研究の成果は、米国の消化器学会の食道がんの定義として国際基準に追記された、それとあわせて、その研究成果は逆流性食道炎の研究会の学術大会でも特別奨励賞を受賞した、こういう大きな成果を上げているということであります。
なぜ食道がんなのかということで、事前に聞きましたところ、食道がんといっても、おおむね二つの概念があって、一つは扁平上皮がん、粘膜等々の表面にできるのが一つと、もう一つ、今回、研究テーマになっている腺がん。腺がんというのは、こうした組織の中でも分泌物が出る腺、穴というんですかね。日本人は、前者の扁平上皮がんがこれまで多数を占めていた、九割以上は扁平上皮がんであったようでありますけれども、食の欧米化等々に伴って、腺がんの方がふえてきていると。これから、それは増加の線を描くだろうということで、この食道腺がんを研究するということは有意義であると、こういうことであります。
そこで、この研究内容、どんなものであったか説明してください。
○枦山施設調整担当部長 食道腺がんの新たな病理診断基準に関する研究についてでございますが、これまで食道腺がんは、食道の粘膜が腸の上皮組織のようになった組織から発生するとされてきたところでございます。
センターの研究により、組織が腸の上皮組織化することは必須ではなく、別の要素ががんの母体となっていることがわかったものでございます。
このことにより、これまで行われておりました多数の検査が必要ないとした研究でございます。
○遠藤委員 わかりました。
同じく、がん研究の分野でもう一つ関心を抱いたものに、がんの発生とテロメアなる物質の短縮、短くなること、これに関して研究をされております。
テロメアというのは、染色体を保護するための末端部分にあるもののようでありますけれども、これまでこの件に関する研究成果、どんなものがあったか答弁いただきたいと思います。
○枦山施設調整担当部長 先生お話しのとおり、テロメアとは、細胞内の核の中の染色体の末端部にある構造で、染色体を保護するためのものでございます。テロメアは、細胞が分裂するごとに短くなります。したがって、分裂を繰り返す細胞では、加齢とともに短くなり、一つの老化指標となるものでございます。
このテロメアが短縮することで、テロメアの機能不全と染色体の不安定性を引き起こし、老化に伴うがんの発生原因の一つとなると考えられていることから、センターではテロメアの研究を続けてまいりました。
その結果、口腔がんや食道がんでは、テロメアが短縮すると発生しやすくなることがわかっており、現在、テロメアを過度に短縮させる因子の解明に取り組んでいるところでございます。
○遠藤委員 テロメアが短くなるのは、大部分は加齢で起こると、こういった答弁だったと思います。
それでは、加齢にもよるんだと思いますけれども、それを短縮させる要因をずっと調査してきた、研究してきたといいますけれども、加齢以外に、ほかの要素で、何かこのテロメアを短縮させる要因が明らかになったんでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 テロメアを短縮させる因子についてでございますが、センターが現在行っている研究の中では、アルコールの過度の摂取はテロメアを短縮させることがわかっております。
このアルコールの過度の摂取は食道がんの原因となるとしましたセンターの研究成果が、病理学領域で影響のある「ジャーナル・オブ・パソロジー」という学術誌に掲載されました。
○遠藤委員 非常に耳の痛い答弁だと思っているのは、私だけではないんだろうと思います。アルコールが、過度はいけませんよと、こういうことでありますね。
今後、その他の因子も、要因も解明されていくことが期待されると思いますけれども、今、がんの話でありました。しかし、それ以外に、このテロメアの短縮、短くなること、これはがん以外のどんな疾患とかかわってくるのか、どういう研究成果が出ていますでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 平成二十二年度からの研究において、糖尿病とテロメアの短縮との関連を解明いたしました。
高齢者疾患ではございませんが、平成二十四年度には、胆道閉鎖症患児の肝細胞のテロメアも短縮していることを明らかにしております。
○遠藤委員 がんと糖尿病にテロメアの短縮がかかわっているという成果、あわせて、高齢者ではないけれども、胆道閉鎖症にもかかわりがあるという成果が出ているということでありました。
いずれにしても、これまでの、今、社会科学の話と自然科学の話、二つ、私の関心に基づいて聞かせていただきましたけれども、こうした研究、特に後者の自然科学の分野でありますけれども、長期にわたる地道な研究の活動が積み重なっていればこその成果であるということを改めて実感いたしました。
がんばかりだけでなく、その他のセンターの重点医療など、心臓疾患とか脳疾患とか、いろいろあると思いますけれども、病態解明や診断法の開発について、一層の研究成果を期待したいと思います。
いずれにしても、公的な研究機関として、今後も、医療もそうですけれども、もう一つの柱である研究にしっかり取り組んでいただいて、高齢者に特有の疾病の予防と、何より健康長寿の寿命の実現に向けまして、より一層奮闘していただきたいことをお願いしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○和泉(な)委員 我が党は、昨年の質疑で、在宅療養への支援について、介護や看護をしている方のレスパイトも含めて一層の拡充を要望しました。健康長寿医療センターが地域連携を進める中で、新しい施設に移転した後、在宅療養支援の受け入れを開始したことは大変重要です。
在宅療養支援の病床は、何床確保してあるんでしょうか。また、在宅療養支援病床では、どんな場合に入院できるんでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 健康長寿医療センターの在宅医療連携病床は、在宅療養を継続するため、かかりつけ医の依頼に応じて患者を一時的に受け入れる病床であり、現在、十床確保しております。
患者の病態が変化したときに、低栄養、褥瘡、嚥下機能の評価、病態や治療方針の再評価を行い、在宅療養を継続するための助言を行うためのものでございます。
具体的な利用手続でございますが、センターにあらかじめ登録したかかりつけ医が、みずから訪問診療を行っている患者について、入院が必要と判断した場合に受け入れるものでございます。
○和泉(な)委員 在宅療養を行う場合には、患者さんのケアというのは、やはりどうしても家族の力に負うところが大きいというのが現実です。
看病や介護を苦にした不幸な事件も数多く起きています。患者さんを抱えた家族が地域社会の中で孤立しないようにする、家族が患者さんの人間としての尊厳を大切にして、心豊かに患者さんと接し、ともに地域で生活するためには、家族にもやはり人間らしい生活、休養が保障されることが必要だと考えます。この在宅療養支援病床への受け入れは、レスパイトとしての効果もあると思います。
地域のクリニックからも、以前は板橋区医師会病院しか在宅療養支援病床を確保している病院がなかった、健康長寿医療センターが在宅療養支援病床を確保してくれたのは大きな安心で、ありがたいというお話も聞きました。
今後も、在宅療養支援病床活用促進も含めて地域連携を充実させていただくよう、また、ほかの病院にも広げていただくよう要望します。
続いて、研究での外部資金の調達について伺います。
外部資金の調達の獲得努力が、単年度の事業評価書でも中期目標の事業評価書でもAと評価されていますが、企業からの資金調達のために本来の基礎的な研究が後景に追いやられるということがあってはならないと考えます。
この点について、都はどのような見解を持っているでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 健康長寿医療センターは、高齢者の健康増進、健康長寿の実現を目指し、老化メカニズムと制御に関する研究、高齢者の自立促進や介護予防などの研究を行っております。
基礎研究を初め、臨床に活用できる研究、社会科学的研究など、健康長寿医療センターの研究テーマに沿った内容で国や企業と共同研究を行い、その成果を都民に還元しております。
受託研究等によって、これまで行ってきた基礎的な研究がおろそかになるということはございません。
○和泉(な)委員 ぜひとも、今後もしっかりと本来のテーマに沿った研究を続けていただきたいし、都は外部資金の調達にばかり頼ることなく、今後も研究に必要な財政支援、しっかりと行ってほしいと思います。
次に、患者負担の問題についてです。
高齢者は、今、年金が削られ、国民健康保険料、介護保険料、後期医療保険料は値上げが続いて、その上、物価が上がり、本当に大変です。暑い夏もなるべく冷房をつけない、暗くても昼間は電気をつけない、中には食事を一回減らしている、私は、そんな苦労をして日々の生活を成り立たせているという高齢者をたくさん見てきました。
健康長寿医療センターは、病院の建てかえを機に、差額ベッドの徴収を開始しています。病床の総数を五百六十九床から五百五十床へと減らしました。そのうち、差額ベッド代がかかる病床は幾つでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 個室使用料の取り扱いは、都立老人医療センターの時代や地方独立行政法人後の第一期中期目標期間においても定めておりました。しかし、重症対応、無菌治療対応など、医療上必要な個室として使用し、個室使用料は徴収しておりませんでした。
新施設においては、高齢者の血液疾患に対する移植手術の需要に応えるための無菌治療対応個室など、医療上必要な個室をふやすとともに、入院中の患者の療養環境に配慮した有料個室を百四十室設置しております。
○和泉(な)委員 旧施設のときより、全体で十九床減った。そのうち、差額ベッドが百四十床、差額のないベッドは四百十床、差額ベッド代の要らない病床数は百四十減ったということなります。
新しい病院への移転後、差額のない病床が満室であるがために、やむを得ず差額ベッドに入院するというような事例はありましたでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 新施設におきましては、患者の療養環境向上のため、有料個室を設定しましたが、有料個室の利用は本人の同意が前提でございます。
他の病室が満床で、やむを得ず個室使用料を支払って入院したという、お話のような状況は発生しておりません。
○和泉(な)委員 今のところは大丈夫ということですね。しかし、旧施設のときには差額ベッド代を徴収していないわけです。医療上必要がある場合には、無料で個室に入れた。差額ベッド代の心配をせず、誰でも安心して個室に入院できたんです。
差額ベッド代は、きょういただいた資料を見ても、一番安いベッドでも一日一万一千円。私は先日、長寿医療センターに訪問して、そのときにお話を伺いましたところ、平均入院日数は約十六日でした。ですから、ベッド代だけでも十七万六千円の負担になってしまいます。本人が希望しないのに、差額ベッドしかあきがなくて高い費用がかかるということがあってはならないと思います。
万が一、本人が希望しないのに、やむを得ず差額ベッドに入院する場合は、差額ベッド代は取るべきではないと考えますが、どうですか。
○枦山施設調整担当部長 有料個室以外が満床の場合において、救急患者や術後患者等、医師による治療上の必要があると判断した場合等には、有料個室に入院しても個室使用料を徴収してはおりません。
○和泉(な)委員 治療上必要があるという場合には当然のことですが、きちんとこれは維持してほしいと思います。
差額ベッド代の徴収は本人の同意が前提だということでございましたが、私は葛飾におります。葛飾では、慈恵医大青戸病院が建てかえをして医療センターになりました。以前、この医療センターに救急搬送された地域の方から、無料の病床にあきがないから、やむを得ず個室に入ったところ、差額ベッド代が一日二万五千円かかるといわれた、入院のときにいろいろと書かされた書類の中に差額ベッドの同意書が入っていたらしいが、よくわからなかった、払わなければいけないのかという相談を受けたことがあります。このようなことはあってはならないと思います。
差額ベッドの徴収を行う場合、単に同意書への記入をもってよしとするのではなく、丁寧に説明し、納得を得るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○枦山施設調整担当部長 患者の療養環境向上のため、有料個室を設定しておりますが、有料個室の利用は本人の同意が前提でございます。
○和泉(な)委員 そうなっていない実態が広がっている、そのトラブルが多いがために、厚生労働省は、平成十八年三月十三日、保険局医療課発〇三二六第二号の通達で、特別療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないとしています。ぜひこの部分については徹底していただくようお願いします。
さらに、差額ベッドに入院するときには、入院保証金が十万円かかります。これは、退院のときに差額ベッド代と相殺されるということですが、都立病院や公社病院では、入院保証金は不要となっています。増収や未収金対策で差額ベッド代や入院保証金を徴収するということではなく、無料低額診療を導入するなど、低所得者への支援を行うことこそ必要だと思います。
健康長寿医療センターは、その歴史をたどれば、困窮者の生活援助制度に端を発し、養育院の歴史を今に受け継ぐ公共性の高い病院です。この歴史と精神を大切にするならば、ぜひこの無料低額診療を検討していただくよう要望して、終わりにします。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○まつば委員長 次に、付託議案のうち、議員提出議案の審査を行います。
議員提出議案第十五号を議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
○和泉(な)委員 議員提出議案第十五号、東京都保育所建設用地取得費補助条例の提案説明をいたします。
この条例は、認可保育園を整備するために用地を購入する際にかかる用地費について、区市町村と社会福祉法人に用地費の補助をする条例です。
待機児問題は深刻で、東京都も最近の四年間で認可保育園を二万四千人分増設したことは重要な前進といえます。しかし、ことし四月一日現在では、認可保育園に申し込みながら入れなかった乳幼児は全都で二万千三百六十人、昨年同日よりも千五百人以上ふえていますから、まだまだ足りません。
安心できる保育園に入れなければ、働き続けることはできません。だから、環境も整った認可保育園をたくさんつくってくださいということが保護者の願いです。働く意欲があるのに子育てで働けない、これは本人にとってだけでなく、社会にとっても不幸なことです。少子高齢社会を乗り切るためにも、今、認可保育園を思い切って増設することが求められています。
認可保育園をつくるときに、東京で大きなネックになっているのが土地の確保です。ですから、私たちは、この間も都有地、国有地の活用を求めてきました。引き続き、より活用しやすいようにすることはもちろんです。同時に、土地が高くて手が出ない、二の足を踏んでしまうことも多いですから、土地代への補助をして、保育園をつくるための土地を購入しやすいようにと、この条例を提出しました。
補助の対象は、区市町村と社会福祉法人です。新設の場合と、定員増を伴う増築を行う場合を対象にします。
補助基本額は十億円を上限としました。補助する場合は、買った土地の値段と十億円を比べて低い方の額に対し、区市町村には二分の一、社会福祉法人には四分の三を補助します。
つまり、土地の価格が四億円で、社会福祉法人なら三億円、区市町村だったら二億円を補助するということです。十二億円の土地代だったら、基準額が十億円ですから、社会福祉法人なら七億五千万円の補助となります。
実施については、周知期間も必要ですから、来年四月からとしました。
以上です。
○まつば委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○栗山委員 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する中で、都議選で自民党が掲げたスローガン、東京を世界で一番の都市にするためには、女性が安心して子供を産み育てられる環境を整備し、女性の社会進出を促進していくことが必要だと思っております。そのためには、保育サービスを拡充し、八千人を超える待機児童を早期に解消していかなければなりません。
子育て家庭の母親の就業状況はさまざまです。都心まで通勤し、フルタイムで働く方もいれば、家の近所で短時間勤務を求める方もいます。都内待機児童の保護者の六割は、パートタイムの方や、これから働きたい方が占めていると聞いております。
限られた予算、財源の中で、認可保育所はもちろんのこと、認証保育や保育ママ、パートタイムの方も利用しやすい定期保育利用など、保護者のニーズに合った多様な保育サービスで、サービスのバリエーションをふやしていかなければなりません。また、そのサービスの提供主体も、社会福祉法人に限らず、株式会社、NPO法人など、さまざまな主体により、多くの可能性を考えて、それぞれの特性を生かした質の高い保育サービスをふやしていくことが、今求められていると思っております。
そこで、今回、共産党から提案された条例案について、まず一点目、お伺いします。
補助事業は要綱で実施するのが一般的ですが、わざわざ条例化することによって、行政側の予算編成権の硬直化をさせるものではないでしょうか。まず、行政側と議会が議論をし、行政側に予算編成をさせるべきではないでしょうか。行政と議会の議論もなく、今回の都議選で条例提案権を得たからといって、いきなり条例提案するのは乱暴ではないでしょうか。代表質問、一般質問でこのような提案はされたことがあるんですか。
まずは、行政側と議論もなく条例化する必要性についてお伺いします。
○大山委員 どうも、質問していただきましてありがとうございます。お答えをさせていただきたいと思います。
私たちは、この間、認可保育園を大幅に増設することが、お母さんたちやお父さんたちの保育要求にかなうものだと思っています。
もちろん、認証保育所や、それから、いろいろなそのほかのサービスの補完的役割はもちろん評価をしておりますし、そしてこの間も、だからこそ、例えば認証保育所などの認可外の保育園への処遇改善についても、私たちも要望してきましたし、東京都も実施したという経過があります。と同時に、この間、都有地、国有地の活用、それから貸し付けなども含めてやってきたわけですけれども、やはり抜本的に認可保育園を中心にふやすということについては重視していきたいと思っています。
ですから、保護者の要望、都民の皆さんの要望を実現するためにも、具体的に条例提案として行ったものです。
○栗山委員 前段の部分は、私の前文の部分に答えていただいたのかなとは思うんです。質問の趣旨としては、まず順序としては、代表質問や一般質問や、いろんな議論を行政側としてから条例化していくのが筋じゃないんですか。いきなり条例化していくという、その必要性についてお伺いしているんですが。
○大山委員 この間、あらゆることを駆使して、もちろん国有地、都有地の活用を含めて提案もしてきました。そして、これまで会議の議場でも求めてきました。同時に、市長会の皆さんからは、予算要望で、ぜひとも土地を買う場合の補助をつくってほしいという要望もございますので、これは会議でも求めてきましたし、市長会からの要望も出ているということでは、とりわけ問題ではないと思っております。当然の延長線上のものだと思っています。
○栗山委員 私も一期目で最初なんですけど、お伺いした話では、今まで代表質問、一般質問で共産党さんからそういう提案はなかったということはお伺いはしていたんです。その点についてはもう深掘りはしません。
では、次に、具体的にこの内容について、まずお伺いしたいんですけど、この条例の土地取得補助に関する予算規模及び、この条例でどのぐらいの保育所が新たに区内にできて、どのぐらいの受け皿ができると考えているのか、お伺いしたいと思います。
○大山委員 私たちは、予算規模で年間五十億円を考えています。その根拠ですけれども、社会福祉法人が土地を購入して認可保育園を設置した最近の実績は、二〇一一年度が三件、そして二〇一二年度が四件です。区市町村は、二〇一〇年度から一二年度までの三年間で六件購入をしています。本条例で取得費補助を行いますと、当然この規模は、実績はふえるということになります。ですから、当面、年間二十件、各千人。つまり、社会福祉法人十件、区市町村十件、そして、総所要額は年間五十億円と見積もっています。
ですから、この土地助成だけで増設するわけではなくて、土地助成では五十億円と見積もっております。
○栗山委員 予算規模が五十億円というお話が出たんですけど、当然、今、土地取得補助の実施には予算措置が必要です。予算提案権は知事に専属するものですし、十分ご存じだと思いますけど、地方自治法二百二十二条では、地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならないとあります。この趣旨を踏まえれば、議会の議員が予算を伴う条例案等を提出する場合には、あらかじめ執行機関との調整の上、財源の見通しを得ていく必要があると私たちは考えます。
財源の見通しについて、きちんと執行機関と調整をしているのか、また、どのような財源を考えているのか、そこら辺をお伺いしたいと思います。
○大山委員 今、委員がおっしゃっていたのは、予算を伴う条例だから、地方自治法第二百二十二条に抵触するんじゃないかということだと思いますけれども、旧自治省の見解であります昭和三十一年九月二十八日の行政実例では、議員提出議案の場合、この制限はないとしています。自治法二百二十二条違反ではないわけですね。また、識者の中には、長が再議に付さない以上は、予算措置を講じる義務がある、執行機関の長と事前調整が必要ということは、自治法百十二条一項の趣旨に反するとの見解もあります。
そもそも、自治法百十二条第一項では、議員の議案提出権を規定するとともに、予算についてはこの限りではないとして、議員による予算案の提出権は認められていません。そのもとで、予算を伴う条例案について、執行機関の長との事前調整が必要という立場を厳格にとるなら、事実上、議員の議案提出権を大きく制約することは明らかですから、適切ではないと思います。そういうことです。
同時に、この土地の助成は年間五十億円、そして、四年間で二百億円ということですけれども、東京都の六兆円規模の財源からすれば、到底、十分出せるという額だと思っています。
○栗山委員 別に、私は、違反するなんて一言もいっているわけじゃなくて、年間五十億、今、四年間で二百億とおっしゃっていた。ですから、当然、どこかから財源を持ってこなきゃいけない話ですよね。その財源のつかみもなく、この条例の提案をされているのか、お伺いしたいと思います。
○大山委員 やはり、地方自治体としての役割をどう果たし、そして予算をどう編成するかという問題だと思っています。
先ほど委員からもお話ありましたように、少子高齢対策は重要で、女性の社会進出も保障しなきゃいけないということもおっしゃっているように、その中で、やはり認可保育園を増設するということは喫緊の課題、緊急かつ重要な課題だと思っています。だからこそ、今、思い切って、五十億円ですからね。(発言するものあり)五十億円です。私たちは、毎年、そういう立場で予算の組み替え提案を出しています。今年度の予算の組み替え提案の中でも、この予算は、予算組み替えに出してますから、五十億円を計上しています。不要不急の経費を削れば、十分可能だと思っています。
○栗山委員 もう一回だけ聞きますけど、組み替えについて具体的に、年度じゃなくて四年間で二百億という、四年間の見通しでお考えなんですか。四年間の財源の見通しについて、まずお聞かせいただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○大山委員 年間が五十億円の予算です。それで、私たちは、不要不急のものを削ったら出ますよということで、毎年三%程度の予算の組み替えで、この五十億円の組み替えも含めた、本当に数%の組み替えでも成立する組み替えを提案しています。それは、予算の裏づけもきちんととったものです。ここから削って、こっちに持ってくるということも含めて、きちんとした裏づけを持った予算の組み替えで、五十億円を(「削ったところはどうなっちゃうんだよ」と呼ぶ者あり)削ったところというのは、それは不要不急のものはきちんと(発言する者多し)不要不急のものをきちんと削れば、十分可能です。
○栗山委員 具体的なことが出てこないので、もうこれ以上この件についても深掘りしないですけど、毎年毎年出しているというのはわかるかもしれないですけど、四年間の予定で立てているんだから、四年間の財源の見通しを立てるのが当然必要なことだと思うんですけれども、これについては具体的に話が出ないので結構なので。
次に、昨年一年間に新設した民間保育園の四五%は株式会社でした。株式会社が参入しているから、今、認可保育園の整備が進んできていると私たちは思うんですが、区市町村と社会福祉法人だけで、今後の待機児の受け皿を確保できる見込みがあるのか、その数字的根拠があれば教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大山委員 認可保育園を増設していく--この三年間につくった認可保育園、先ほどおっしゃったように、株式会社の参入も多くなりました。そして、同時に、園庭がない保育園が、自分の園の園庭だけで賄えずに、近くの公園を代替にしているという園も、実はふえてきています。
これは何といっても、やはり土地の問題なんですね。ですから、認可保育園をつくるというときに、やはり土地の問題がネックになっている。そのために、都有地、国有地の活用とともに、この認可保育園への土地助成をすることによって、認可保育園の増設は促進されると思っています。
○栗山委員 私がいっているのは、今、民間保育園を昨年設置した四五%が株式会社の中で、何で区市町村と社会福祉法人だけなのか。もっといろんな可能性を広げた方がいいんじゃないですか。株式会社とか、NPO法人とか。そこら辺についてお聞きしたかったんですけど。
○大山委員 社会福祉法人と区市町村に限定したのは何なのか、どういう理由なのかということなんですけれども、税金を投入するわけですから、厳密にしなければなりません。安心こども基金の整備費補助について見ますと、社会福祉法人が対象なんです。それは、躯体部分は資産形成になるからなんですね。安心こども基金に倣って、対象は区市町村と社会福祉法人にしました。
ですから、社会福祉法人と区市町村に限ったのはそういう理由です。
○栗山委員 資産形成になるという部分はわかりますけど、当然、社会福祉法人だって解散すれば、今度は国庫に帰属するということで、東京都が国に補助するという逆支援になる部分もありますし、何よりも、今回の条例の提案の大きな趣旨は、いかにして受け皿をふやすかという意味では、設置主体の受け皿もふやした方がいいんじゃないですか。いかがなんですか。
○大山委員 やはり公費の支出ですから、慎重にせざるを得ないということと、それから、安心こども基金でも、資産の形成については本当に慎重なんですよね。ですから社会福祉法人であり、財団法人とかもありますけれども、同時に、安心こども基金は厳密だなと思ったのは、躯体部分は、安心こども基金は社会福祉法人なんですよね。借りている施設の場合、内装は資産形成にならないから、株式会社にも、社会福祉法人以外にも出すんですね。しかし、自社のものについての内装は、安心こども基金は、資産の形成になるから出さないんです。
だから、やはり本当にこの条例をきちんと、まずは成立させていただいて、認可保育園をつくる加速をさせていただきたいと思います。
○栗山委員 また同じ話の繰り返しになっちゃうんですけど、もう一度だけ聞きますけど、これの一番の大きな目的は、今、待機児童がふえている中で、いかにしてその受け皿をつくるかということで、そのためには、いろんな可能性を秘めたところに、より補助を出して、受け皿をふやしていくのがいいんじゃないですかというのがまずあるのと、それと、今回、認可保育園に限っていますけど、私らが最初いったように、認証保育とか、保育ママとか、こども園とか、定期利用保育とか、いろんなニーズがあると思うんですね。そういうところに、いろいろと可能性を広げていくべきではないんですかね。
○大山委員 もちろん、多様なサービスを質的に充実を進めるということは重要ですし、そういう多様な保育サービスの土台を支えるのは、やはり何といっても認可保育園なんです。
それで、まずはこれを成立させていただいて、一歩進めていく。しかも、認可保育園を増設するというのは、この用地費補助条例だけで考えているわけではなく、なるべく選択肢をふやそうということで、都有地、国有地、それから補助条例を提案するということなんですね。圧倒的多くの保護者の皆さんが望んでいるのも、やはり園庭もある認可保育園ということなんです。ですから、本条例はそこへ重点的に支援をしようということなんです。
ことし、杉並から始まって、都内各地に広がった異議申し立てでも、認可保育園に入りたいということなんです。やはり、まず第一に、この声に応えることが必要だと思っておりますので、まずはこれを成立させていただいて、そのほか、もっとどうするのかというのは、さらにご相談したいと思います。
○栗山委員 今、土地の購入にこだわって条例提案されていますけど、実際、昨年一年間で新設した認可保育所の八五%は、土地建物を賃貸したものだということをお伺いしております。既に都が実施している定期借地利用とか、土地の購入より安価で安く済む、その分、当然いろんな受け皿がふえていくんじゃないのかなというふうに思うんですけど、そこら辺はいかがでしょうか。
○大山委員 まさに、選択肢を広げるということなんです。やはり借地が多いという現状があります。同時に、私がお話を伺いました社会福祉法人の園長先生も、社会福祉法人は、土地は自己所有することが望ましい、今は土地が高くて、購入したくても手が出ないから、やむなく借地にしているんです、土地助成があればうれしいと話しておられました。これは、この方だけではなくて、多くの方々から共通した声が寄せられています。厚労省も、土地所有が原則ですというふうにいっていました。選択肢を広げるということで、よろしくお願いいたします。
以上です。
○栗山委員 別に定期借地でも事業ができないわけじゃないし、定期借地で補助金を出せば、その分、数はふえていくと思うんですよね。別に土地の購入にこだわる必要は全くないと思うんですけど、そういう意味では、賃貸借の物件をふやすことによって数をふやしていく方が、より今のニーズに応えられると思うんですけど、まず、その部分も含めて、それと、今、女性の社会進出が進んで、保育園が現状足りないのかもしれませんけど、これから少子高齢化が進む中で、いろいろ行政ニーズも変わってくると思うんですよ。そういう意味では、賃貸にしてフレキシブルに対応していった方がいいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○大山委員 先ほども申し上げましたけれども、やはり選択肢を広げるということなんですね。もちろん、借地に関しても、もっと頭金部分の助成を拡充するとか、それから、月々の支払いは、やはり借地であっても、東京は土地代が高いですから、月々の返済もかなりの負担になるんですね。ですから、今回は別に借地に関しては提案していませんけれども、その購入だけにこだわっているわけではないんですね。
ですから、借地に対しても、より一層制度を拡充しようということだったら、ぜひご一緒にそういう面もやっていこうではありませんかということと同時に、子供の数がやがて減少していくということですけれども、子供の減少を抑えるという点からいっても、認可保育園の整備は不可欠です。少子高齢化は国家の存亡にかかわる問題ですから、それこそ強力な対策が必要です。
同時に、いまだに日本は、女性はM字型雇用だというのは、もうご承知のとおりです。女性の就業率を今後大幅に引き上げていくことも求められていますから、保育園が過剰になるという心配はないと考えています。ですから、借地、借家も活用しつつ、用地取得による整備をさらに進める支援が求められているわけです。
なお、ご心配の、将来的にもしも待機児童が解消されていれば、その時点で見直しを行うのは当然のことですし、加えていえば、保育園というのは、保育に欠ける子供がいつでも受け入れてもらえないとその役割を果たしませんから、定数がいつもいっぱいというのでは困るわけですね。ですから、そういうことです。
以上です。
○栗山委員 緊急の課題として、待機児童解消に向けては、我が党としては、地域の保育ニーズに対応している認可保育園を初め、大都市特有のニーズに対応した認証保育所や認定こども園、保育ママなども含めた、さまざまな保育サービスを拡充していくことが必要だと思っていることを発言して、質問を終わります。
○遠藤委員 私からも、共産党提出の条例案について、何点か質疑をさせていただきたいと思います。大きなところは、今、自民党さんが言及した点であります。ダブったところは割愛をして質問させていただきたいと思います。
今、やりとりの中で一つポイントになっているのは、整理すると、現在の地方自治法上、予算の提案権は知事にしかないということは明らかでありますけれども、では、予算を伴う条例を出す場合、当然、予算関係ですから、あらかじめ事前に執行機関と相談することの是非について、議論を聞いていると、双方は、自民党さんは、それは必要であるというこれまでの法解釈、大山委員は、その必要はないという話だったと思いますけれども、意見は割れているわけですね。見解は割れている。
これ、今、地方分権のさまざまな動きがある中で、主流はどうなっているんですかね。局の皆さん--聞いてませんでした、どなたか、理事者の方で。
○梶原次長 現在の地方自治法上の解釈のお話だというふうに思います。
現在の地方自治法上、予算提案権というのは、これはもちろん知事にしかございません。しかし、だからといって、予算を伴う条例が議会から出せないということも、これはもちろんございません。ただ、予算を伴う条例を出す場合に当たっては、当然、予算に関係があるということで、事前に執行機関と相談することが必要であるというのが、行政実例上、出されているものだというふうに理解をしております。
行政実例の中で、当然、予算に関係するものについては事前に調整を図るというのが昭和三十年代に出された行政実例の解釈でありまして、今もこれが最も解釈として通用しているものだというふうに、私どもは認識しております。
○遠藤委員 基本的には私もそうです。(傍聴席にて発言する者あり)ちょっとうるさいよ。私もそのとおりだと思っております。みずから、この地方自治法に抵触するおそれが強いと--だとはいっていません。ではないかと、おそれが強いと、こういう立場であります。
そもそも、この種の議論は、前回のがん対策推進条例でもやったと思います。その節は、大山委員もこの席におりましたので、恐らく、この種の話のときに、みずからの主張は余り積極的に発言をされなかったんだろうと思っておりますけれども、今回、議案提出権を持たれたということで、そうした観点に立って話されているんだろうと思います。
共産党の皆さんは、先ほどの大山委員の発言にもありましたとおり、認可保育所をとにかくふやさないといけないんだと。いみじくも、その他のものは補完である、こういういい方をされましたけれども、私はそれは、補完であるという考え方というのはいかがなものだろうかと思います。できれば、それが中心であることはベストでありますけれども、そうなっていない、そういう状況にないというところで、そういう中で、それぞれがいいところを補いながら、都の保育サービスを提供していくということでありますから、まずもって、その他のものは補完であるという考え方は、私たちは、いかがなものかと思っております。
我々は、認可はもとより、認証、認定こども園、さらにはスマート保育、保育ママなど、多様なメニューを総動員して、この少子化対策をしていかなければならない、このように思っております。
例えば、働くお母さんの要望が強い、高い、二時間以上の延長保育の実施率でありますけれども、認証保育所は一〇〇%やっていますね。認可保育所はどれぐらいやっているか、おわかりですか。大山委員、どうぞ。
○大山委員 二時間以上の認可保育園の実施率は一八・七%ですね。それだけでいいんですか。
○遠藤委員 いいです。そうですね。おおむね二割弱ということであります。
そういった意味では、事ほどさように、それぞれのサービスに利点があるわけであります。繰り返しになりますけれども、何が何でも認可保育所という考えは、現実になじまないんではないのかなと、このように思っております。
先ほどの自民党さんの質疑にありました、この条例制定による補助の効果がなかなか確認できていない、できないということが、今のやりとりで明らかになったと思いますので、別の観点から何点か質問させていただきたいと思います。
今回、条例案では、区市町村への助成になっていると。ただ、施設の整備費、さらに運営費は、三位一体の改革によって既に税源移譲されて、一般財源化されているわけでありますけれども、こういう考え方とこの条例案というのは整合がないのではないかと思いますけれども、これについてどう整理されておりますでしょうか。
○大山委員 今、公立保育園は、運営費と整備費が一般財源化しているということなんですけれども、私たちは、公立保育園へも、一般財源化ではなくて、きちんと補助で行うべきだと思っています。ですから、この土地助成については、区市町村、そして社会福祉法人への補助ということにしています。
この区市町村への補助ですけれども、現在も、区市町村が新たに土地を購入して、社会福祉法人に無償で貸しているという自治体もかなりあるんですね。ですから、区市町村が購入をして、無償で社会福祉法人に貸し付けるというケースも十分考えられることですし、それは、整合性はあると思っています。
先ほどの多様な保育の問題ですけれども、ゼロ歳児保育や延長保育、十三時間保育を、認証保育所は一〇〇%やっているということなんですけれども、認可保育園のゼロ歳児保育の実施率は年々上がっているんです。最新のデータでは、約八割がゼロ歳児保育を実施しています。ゼロ歳児保育を実施していない園というのは、やる気がないのではなくて、増築が必要なことが多いんですね。
例えば、私、新宿の出身ですけれども、ゼロ歳児保育の制度ができていなかった一九六七年以前につくったところは、一歳児からの園だったんです。ですから、敷地も狭くて実施が難しかったので、ちょうど出れば隣地を買い足して、増築して、今では公立園は全園ゼロ歳児保育を実施しています。したがって、この用地費補助があれば、より実施しやすくなる力になるということですので、ぜひご賛同をよろしくお願いいたします。
延長保育の実施率ですけれども、これも同時に高くなっています。
〔遠藤委員「委員長、聞いてない、聞いてない、そんなことは聞いてない」と呼ぶ〕
○まつば委員長 大山委員、質問の答弁をお願いいたします。
○大山委員 じゃ、ちょっと締めですね。ですから……
〔発言する者あり〕
○まつば委員長 今、その質問は遠藤理事からしておりませんので、一旦、着席をしてください。
○遠藤委員 それでは、次、聞きます。建物は経年で減価償却されるわけでありますけれども、土地はされないわけであります。したがって、土地取得への補助は、保育園の設置促進の目的を超えて、設置者の資産形成に資するものとなりますけれども、それについてはどういう考えの整理をしていますでしょうか。
○大山委員 資産形成にならないように、社会福祉法人と区市町村にいたしました。
○遠藤委員 社福への補助は確かに、最終的にその法人が解散した場合、国庫に帰属するわけでありますけれども、となると、間接的に、都からのそういう補助が、最終的には国への財政支援という、こうしたことになると思いますけれども、この辺のところはどう考えていますでしょうか。
○大山委員 基本的に、社会福祉法人は倒れないということが基本なわけですから、もしも解消しなきゃいけない事態があれば、先ほど委員がおっしゃったように、国庫に入るということですね。しかし、これは個人の資産の醸成にはならないということだと思っていますし、同時に、かつて特別養護老人ホームの用地費補助要綱がありましたけれども、これも同様な補助対象としておりました。
○遠藤委員 先ほど来、五十億は大した金じゃないといったり、さらに、社福は基本的には倒れないといったり、議論の前提としていることがいかがなのかなと私は思います。五十億は大変な都民のお金です。税金です。社福も、恐らく倒れないからいいんだと。こういうのは、条例ですから、責任を持って出してもらいたい、このように思います。
そして、今話された、以前は特養にもやっていたと、土地取得費を助成していたんだと、だから今回も同じなんだ、こういう理屈だと思いましたけれども、確かに特養は以前、自己所有の土地にしか設置できなかったという背景があったから、そこに助成をしていたわけですけれども、今は貸借した土地にも特養を設置できるようになったわけであります。そういう変化があるから、その取得費の補助は廃止したわけであります。
先ほど、自民党さんのやりとりでもあったとおり、昨年一年間に設置した認可保育所の八五%は、土地または建物を賃貸したものであるわけであります。賃貸物件を活用した認可保育所の整備が進む中、この条例がどれだけ効果があるのか。これは、私は、先ほどの予算の関係も含めて大いに疑問があると、このように思っております。
繰り返しになりますけれども、喫緊の課題である待機児童解消に向けて、我が党は、地域の保育ニーズに対応して、認可保育所を初め、大都市特有のニーズに対応した認証保育所、さらに認定こども園、保育ママなど、多様な保育サービスを拡充していくことこそが必要であるという立場になっております。
これで終わりますけれども、五十億の発言、さらに、社福はつぶれないであろうからと、本当にこういう安易な考え方で条例を提案されるのはいかがかと思います。
以上。(大山委員発言を求む)いいよ。
○まつば委員長 質問をしておりませんので、次の方に移ります。
○ともとし委員 私は時間が短いので、端的にお答え願いたいんですが、さっき、ずっと答弁している内容を聞いていますと、要するに、今日まで予算編成については、共産党の方でその状況がおかしいなと思うのは全部組み替えして、提案をして、本予算については不賛成という方向性でずっと来ましたよね。今回もそういう方向性ですか。
要するに、この条例案が通っても、もし他のものに対して共産党として相入れない、そういう状況があれば、これは組み替えで出すという方向性で、この条例案について、必ずしも自分のところとしては責任持って予算案を成立させるような、そういう方向性でいかなくてもいいんだという内容ですか。要するに、二十六年度の予算についても組み替えを出すことが前提になっているんだと。(傍聴席にて発言する者あり)ばかいってるんじゃないよ。これは二十六年度の予算についていってるんだよ。そんなことも知らないで傍聴してたんじゃ、しようがないじゃないか。
○大山委員 もちろん、この条例が成立しましたら、予算案として入れていただきたいと思います。
二十六年度も組み替えするのかというのは、予算案がまだ出ていない段階ですので、それはちょっとこの場では申し上げることはできませんが、私たちは、五十億円というのは、六兆円に比べたら、喫緊の課題を解決するためには(「そういういい方してないだろう」と呼ぶ者あり)そういういい方、そういうことをいったんです。で、社会福祉法人は、倒れないということが、継続性が求められているのが社会福祉法人ですので(発言する者多し)ということです。
○ともとし委員 共産党の出してきているこの条例案というのは、要するに、その条例案を何としても通しながら、そして本予算の中でそれを進めていくというよりも、パフォーマンス的に出して、そして本予算の中でこれから精査する、そういう内容になるのかもしれませんけれど、今までとそのやり方は変わりませんよと、そういうことだというふうに思うんですよ。
局の方にちょっと聞きたいんですけど、認可保育園は、園庭がなくては認可保育園ではないというような、何かそういう規定があるんですか。
○浜少子社会対策部長 認可保育園につきましては、必ずしも敷地内に園庭がなくても、かわりの機能が確保できれば設置基準を満たすということになっております。
○ともとし委員 先ほどの答弁の内容を聞いていても、認可保育園にすれば園庭ができる、だから子供に対して非常にいいんだという、そういうような答弁があったんですが、前提はないんですよ。それは共産党が思いつきでいっていることだけであって、それは園庭があればあったにこしたことはないですよ。今、東京のそういう状況の中で、隣に公園があれば、それを十分に利用している、そういう認可保育園もありますし、認証保育園もあるし、保育ママもそういうような条件で使っているというところはたくさんあるんです。認可保育園だから園庭がなきゃいけないなんていうことじゃないんですよ。認識が違うんじゃないですか。
○大山委員 この三年間でつくった認可保育園は、確かに園庭がない、それから園庭が不足して、代替で公園とあわせて認可をとらざるを得ないという保育園がふえています。しかし、保育園の役割は、保護者の就労を保障するということと同時に、子供たちの、乳幼児の成長発達を保障する、これが重要なんです。
今、園庭がないからだめと、園庭がないことが前提ではありません。基本は園庭がある、しかし、これは規制緩和によって、近くにかわるべきものがあればよしと、それは規制緩和なんです。そして同時に、認可保育園が、土地の問題で園庭がある分まで買えないから、借りられないから、やむなく園庭なしの認可保育園になっているんです。
今、子供の体力、運動能力は大問題になっています。これは文科省の実態調査でも、子供の体力を比較した場合に、文科省ですから幼稚園ですけど、戸外遊びを十分にしている、園庭がある幼稚園の方が運動機能の面ではすぐれているという結果も出ています。ですから、園庭があることを前提にして、それを東京で進めていくために、この条例も出す、都有地、国有地も使う、それから借地も借家も工夫しながらやっていく、これが子供たちの豊かな成長発達を保障する道だと思っていますので、選択肢の一つとして、この条例をぜひともよろしくお願いいたします。
○ともとし委員 共産党の理論はわかったけれど、認可保育園だと体力が増進されて、それ以外のところじゃ体力がそれだけ落ちてしまうんだという、そういうデータはあるの。
○大山委員 ですから、戸外遊びを大いにする、それには園庭がついているのが、園庭遊びをたくさんしているところが……
○ともとし委員 データがあるかどうかと聞いているんだよ。
○大山委員 そのデータはあります。
○ともとし委員 どこにあるの。
○大山委員 文科省のデータがあります。
○ともとし委員 文科省のデータって、じゃ、出してみて。
○大山委員 認証保育所でどうか、認可保育所でどうかということではありません。しかし、認証保育所でも、よりよい保育環境にしていくというのは、保育の質を上げていく道です。
○ともとし委員 時間がないから、僕は与えられている時間が十分しかないものですから、もう十分になっちゃうのかなと思うんだけど、要するに、大山さんのその理論でいくと、認証だとか、保育ママだとか、スマート保育だとか、いろんなものがあるけれど、それに対しての冒涜だよ。そっちだったら全然、要するに(傍聴席にて発言する者あり)うるさいな。体力が増進しないと。
認可保育園も、認証保育園も、保育ママも、あるいはスマート保育も、いろんなところを我々は視察に行っています。でも、十分に元気でやっていますよ。その意味では、今ずっといろんな答弁されていますけれど、必ずしも当たらない。状況的に非常にいいかげんな条例であるというふうに認識をさせていただきました。
以上。
○野島委員 繰り返しはやめます。大ざっぱな話だけ。あとは実情として、この条例を定めることによって、待機児童の解消が進むよと。答弁の中では選択肢の一つだと、こういう話でございました。物事をやっていく上で選択肢をふやすというのは、私は大変いいことだと思っております。
一方、自治体は限られた予算の中でやっていくわけですから、その補助効果が出なければならないわけです。共産党のように、何事もプロパガンダでいっているのは、それは政党の主張としてはいいけれども、一自治体がこれを受けて条例を定め、予算を措置するというときにはそうはいかないんです。
したがって、実態がどうなのか、補助効果がどうなのかと、こういったところを精査しなきゃいけないというふうに思っております。これは全体像ですから、財政論と保育事業をどう進めていくか。これについては、僕はやりとりをする気はありません。
ただ、今まで聞いていて、ちょっと私、疑問に思うのは、社会福祉法人は、はねたところで、国庫帰属するからそれは問題ないんだと、こういうことですよね。しかしこれは、そうなりますと、地方自治体、東京都の補助金が、社会福祉法人を通じて国に行っちゃうんですよ。これは財政規律からすると、どう考えたっておかしいんですよね。だから将来、条例というのは、これ、変えればいいんじゃないか、そのとおりなんです。
しかし、そういう国とのかかわりの中で、財政規律を侵すような、例えばこういう実例があるんです。学校の用地を買いました、そこに国有、無地番地が入っていたと。これをそのまま使っていて見つかったら、金出せですよ、金出せ。同じ教育をやっているんだから、自治体も国も同じじゃないかというわけにはいかないんですよ。共産党が天下をとれば別かもしれないですが。私は、その財政規律が何としてもおかしいなと思っているんですが、それがまず一点。おかしくないというなら、おかしくないといってください。
おかしくないということは、前提として私どもは、これ、来年四月から施行というふうに伺っております。やっていくに当たって、現行与えられた制度なり行政慣例、行財政運営の国、地方を通ずるあり方からいっておかしいと思うから、その限りにおいて、将来、可変するから、そんな話はどうでもいいですから、おかしいか、おかしくないのか。要は、財政規律がおかしいんじゃないかというふうに私は思うんですね。そんなところを、ひとつ最初にお聞かせをいただきたいというふうに思っております。
いうまでもなく、地方自治は二元代表制ですから、執行権限もないし、財政権もないんですね。国は議院内閣制ですから、ある意味では、自分たちで法律をつくり、自分たちで財源を用意しちゃうんですよ。しかし、地方はそうじゃないですから、そういう意味においては、財政との関係では、かなり緊張感を持ってやらなきゃいけない。
先ほど次長が答弁したように、法律上は、僕は何もおかしいと思っていないですよ。ただ、行政実例として--私どもは、提案して、実行して、成果を見届けて何ぼというのが条例提案権だと思っているんですね。そういう意味では、ともとし委員指摘のように、単なるパフォーマンスといわざると得ないというふうには思っていますが、それは政治論ですから答弁は要りません。財政規律の問題だけ教えてください。
○大山委員 ほかの補助に関しても、社福法人の躯体などは、社福の資産になるものはあるわけですよね。土地、それから社会福祉法人ですね。それで、個人の資産にならないように、安心こども基金でも、躯体の部分は社会福祉法人に限っているわけですね。
○野島委員 だから、それは資産形成じゃないのかよ。
○大山委員 だから、それはそれとして、特養ホームの……
○野島委員 それはそれとしないよ。
○大山委員 いやいや、それは躯体も資産形成になります。と同時に……
○野島委員 何が資産形成になるの。
○大山委員 償却しちゃうからならないというわけですよね。同時に、特養ホームの要綱でも、これは同じ土地助成をしていました。
○野島委員 僕は、来年四月一日から施行だから、過去はどうだということじゃなくて、現行の法令の中で財政規律を侵すんじゃないかという質問をしているんだから、侵さないなら侵さないといってくれればいいんです。
○大山委員 侵しません。
それで、やはり効果がどうかということが重要だというふうに、おっしゃるとおりだと思うんです。この効果は、やはり土地が高くて買えないという場合に、選択肢をふやすということもいいことだとおっしゃいましたが、買いたいのに買えないというところで前へ進めるためには、これも条例として出す。これはパフォーマンスではなく、きちんと要望を実現するための具体化です。
○野島委員 わかりました。わかりましたというのは、答えになっていないということがわかったということ。
行政実例も含めて、この財政規律の問題、何か執行側で思うところがあったら。別にこれは行政実例ですから、共産党さんが行政実例を調べて問題ないといっているのかどうかわからないんだけど。なければいいです、なければ。特になければいいです。
○まつば委員長 理事者の方、ございますか。
○梶原次長 先ほど、予算提案権の話の中で行政実例を持ち出しました。ちょっといいますと、議会が予算を伴う条例の提案または修正を行い、それを議決することは違法であるか、違法でないとすれば、不当であるかどうかというのを、昭和三十二年に栃木県が聞いたものに対して、議会が予算を伴うような条例その他の案件を提出する場合においても、地方自治法の規定の趣旨にのっとって、あらかじめ長との連絡を図って財源の見通し等意見の調整をすることが適当であるという行政実例が出ていて、それに基づいて私どもは行政を進めている。
つまり、財政規律とは、その限られた財源をいかに、どのように効果的に配分するか、それを考えて、長が予算を調製して、そして執行すると。その予算の調製権に対して、通常、私ども、予算を伴う条例の提出権限はあると思いますが、今回の場合、補助金を支出しろという条例については、財政規律上、いろいろと問題が生じるのではないかというふうに危惧しているところでございます。
○野島委員 わかりました。多分、実例を調べても出てこないと思いますよ。要は、法律論の中からどういう解を導き出して、どういう予算編成をしますよというようなことですから、仮にそういうことが想定される場合には財政支出はしませんというのが、これが行政側ですよ。したがって、共産党さんが問題ないということは、問題がないんじゃなくて、実情としてはないんじゃないかなという気はしますよ。実情としては。行政実例としては。
ただ、やっぱりそれは、国、地方を通ずる行財政の枠組みの中から逸脱していると僕は思う。将来、変えればいいんじゃないかというんだけど、四月一日ですから、現行の中でどう考えるかということをやっていかなきゃ、これ、議論が成り立たないので、これはいいです。
それで、選択肢をふやすということで、実効性の問題がありました。
世の中には、あった方がいい制度と、あってはならない制度と、どっちでもいいやという制度の三つがあります。これは、ある意味では、あったらいいなという制度なんです。あったらいいなですよ。ただ、そこに公金の支出という、補助ということが出てくる。したがって、財政効果が、いわゆる補助効果が出ていかなければ、ただ単なるお題目にすぎない。したがって、実効性の担保がとれないような政策は東京都はやらない。議会が勝手なことをいっていますから、僕も含めて。いいんです、それは。しかし、一方、団体意思の決定はそうはいきませんから、そういう意味では難しいと。
市長会の話がございました。市長会もお金があったらいいのは当たり前ですよ、それは。誰だってお金はあった方がいいんです。じゃ、実態はどうかということにちょっと触れたいと思います。これは実態ですから。
例えば、この制度でも、区市町村が土地を買う場合には補助裏が必要になります。大山議員は、五十億は大したことないという話でした。待機児童を抱えるような自治体というのは、東久留米なんていうのは特に弱小自治体です。そういう中で、補助裏を用意することはできません。できませんと私がいうのはおかしいですけれども、実例を申し上げます。
日本共産党は、現職市長に対して、公立保育園は公立保育園として存続するということを申し上げて、支援をいたしました。ふたをあけてみました。結果、できません。なぜなのか。補助裏がとれないんです。それは自治体の裁量権の問題ですから。しかし、裁量権の問題に対してやっていくということになって、実態を執行側が調べて、効果が出てこないよということになれば、単年度補助で財政効果を求められる財政支出なんかできないですよ。それが一つ。なぜそうなのか。
あと一つ。ランニングが高コスト過ぎて、後年度負担が多過ぎる。だからやらないんです。日本共産党は、今でいう指定管理者、いわゆる公設民営にも徹底して反対いたしました。私は、市の助役をやっていたとき、それを乗り切りました。
効果が全然違うんです。したがって、今は、よっぽどのところじゃなきゃ公立保育園の選択肢なんて出てこないです。社福という選択肢は出てきますよ。
そういう意味では、私は何も、そういうところの財政規律の問題等含めて、そこに限定する必要はないんじゃないかというふうには思っております。
あと一つ。環境が整ったと。土地が高いから買えないという事情は、実態として、イニシャルとランニングと両方あるんです。じゃ、これをどう埋めるんですかということです。また補助金出しますか。一般財源化されました、市立の場合には。ランニングが高いですよと。だから、そこも今度は補助する。さっきいってたよね、それも出すべきだと。そういうつくりをすれば安心してやれますよ。だけど、それは本来あるべき姿じゃないんですね。そんなところを私は疑問に思っています。
いわば実態に合わないということを申し上げておきたいと思いますし、財政規律の問題も、四月一日からと、プロパガンダで一方的にいっている分はいいんですが、団体意思決定するということになりますと、冒頭申し上げた、補助効果に対しての説明が当局がつかない。だって、何もデータがないんだもの。だから、ここに、必要な事項は規則で定めますよと、規則をつくるときには、補助効果に対して、実態がこうだから、ここに補助を出せばこういう効果が出る、保育園でいけば、待機児童解消に役立つという理屈が立たなきゃいけないでしょう。それがないんですよ。それで実態はどうか。市町村事業、社福に補助金を出しても、市町村なんか、これ、できない。多分やらない。やる可能性があるのは、一〇〇%助成、それからランニングも一〇〇%見ますよと。でなければ、怖くて手が出せません。
したがって、プロパガンダはいいけれども、実効性を伴わない、補助効果が明確に出てこないということを、私はこの条例を見て思っております。答弁は結構でございます。
あと一つ。大変ありがとうございました。認証保育所も評価をいただきました。オリンピックは、きのう、日本共産党さんも賛成ですというふうにいいました。オリンピックは反対じゃないけど二〇二〇年は反対だと、こういうことを私は聞いていた経過があります。それは大変いいことなんです。状況の変化の中で、変節なんていうのはとんでもない話。政策が進化したというふうに捉えればいいわけです。
ですから、ぜひ共産党さんも、夢は夢として追ってもいいけれども、もっと現実に即して、限られた予算の中ですから、これが無尽蔵に金が降ってくればいいですよ。限られた予算の中でやるときには、冒頭、認証保育所についても選択肢の一つとして--従前は、補完的なものだと、言葉尻を私、捉えるつもりはないです、補完的なものだという話でした。きょうは選択肢を広げているんです。補完というのは、あるものがあって、それでは足りないから、これを押し込むんです。選択肢を広げていただいたんです。
ここに議事録、発言録を持ってきたんだけど、かつては、補完的役割を否定するものではありませんという、極めて消極でした。これからは積極的にお認めいただけますか。そのことだけお聞きしておきます。
○大山委員 私たちは、やはり子供たちの豊かな成長発達を保障するという点からいえば、きちんと園庭もついた認可保育園をつくれるように、これを中心に据えるということに変わりはありません。その場合に、それだけでは足りませんから、認証保育所だとかも含めて、質も向上させながらやっていくということは否定していません。
この用地費の補助条例については、やはり市長会からの要望もあります。と同時に、いろいろな方からも既に問い合わせが来たりしています。(発言する者あり)
以上です。
○野島委員 だから、僕は答弁求めなかったでしょう、市長会がどうのこうのなんて。求めちゃいますか、市長会にも。自民党もやりますよ。公文書で、じゃ、この制度つくるから、あなた方、ちゃんと補助裏を用意できるのかと、将来のランニングについて心配せずにできますかといったら、市長会、震え上がりますよ。共産党が市長をとっているところなら別だ。共産党が市長をとっているところでも、現実に財政運営をやっている責任があると、そんな無責任なことはいえないとなりますよ。
だから、僕はそんなこと答弁求めていないんだよ。要は、今まで補完的ということで認証を認めて、消極的に、せざるを得ないといっていたわけだ。そうですね。ここに書いてあるんだよ。補完的な役割を否定するものではありません、これは消極なんです。
きょうは、選択肢を広げますよということです、さっきの答弁は。選択肢を広げたんですよ。選択肢を広げているのは、少なくとも優劣なしに並べるから選択肢を広げるんです。優劣がついていたなら、選択肢の一つとして補完的な意味合いなんです。言葉のあやは要りません。
したがって、今後、認証保育所制度もしっかりと、そんなのは積極的じゃなくてもいいから、それなりの役割は認めていきましょうということになるのかどうか。そこだけでいいですから。
○大山委員 先ほどから申し上げていますとおり、認可保育園を中心に据える。やはり、保育の施策の基本は認可保育園です。それだけでは、もちろん足らないというのがありますから、認証保育所だとか、保育ママだとかも含めて進めていきましょうということです。
○野島委員 だから、その言葉のロジックでいうと、それは補完的なんだよ、補完的。こうなってくると言葉のあやだから、これ以上いいません。
それで、やっぱり日本共産党は今に至っても認可保育園至上主義なんだな、残念ながら。世の中変わっているんだけど。状況変化にもっと適応した方がいいよ。
認可保育至上主義ということはよくわかりました。その上で、私は実態を申し上げました。それで、四月一日から施行ですよと、財政規律の問題も申し上げました。かつ、最大のことは補助効果です。こういう実態から考えて、共産党のいう、選択肢を広げたというプロパガンダについてはわかりましたが、本来、条例の持つ、とりわけ補助金は補助効果がどう出現するか、それも極力早いうちにであります。八千人の待機児童が早い段階で解消すると。
認可保育園をつくるのに大体何年かかるか、わかりますか、用地から何から。(発言する者あり)そんなものじゃいきませんよ。もっと実態を勉強してください。
終わります。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時十一分散会
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