厚生委員会速記録第十七号

平成二十四年十一月二十六日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長大津 浩子君
副委員長遠藤  守君
副委員長くりした善行君
理事滝沢 景一君
理事早坂 義弘君
理事三原まさつぐ君
加藤 雅之君
しのづか元君
岡田眞理子君
伊藤まさき君
ともとし春久君
三宅 茂樹君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長川澄 俊文君
次長梶原  洋君
技監前田 秀雄君
総務部長中川原米俊君
指導監査部長高原 俊幸君
医療政策部長浜 佳葉子君
保健政策部長高橋 郁美君
生活福祉部長小林 秀樹君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長桃原慎一郎君
障害者施策推進部長山岸 徳男君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長篠原 敏幸君
事業調整担当部長萱場 明子君
医療改革推進担当部長笹井 敬子君
医療政策担当部長小林 幸男君
地域保健担当部長松浦 慎司君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長枦山日出男君
事業推進担当部長廣瀬  豊君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長鈴木 達夫君
感染症危機管理担当部長清古 愛弓君

本日の会議に付した事件
 福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例
・東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例
・東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
・東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例
・東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例
・東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
・東京都病院及び診療所の人員、施設等の基準に関する条例
・障害者自立支援法施行条例
・児童福祉法施行条例
・東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
・東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
・専用水道事務等の受託について
・東京都府中合同庁舎(二十四)改築工事請負契約
陳情の審査
(1)二四第五四号 生活保護申請者に対する保護決定までの取扱いの条例作成等に関する陳情
(2)二四第六〇号 小石川四丁目の都整備事業による障害者施設の建設反対に関する陳情
(3)二四第六三号 心身障害者の医療費の助成に関する条例等に関する陳情
(4)二四第六四号 保険でより良い歯科医療の実現を求める意見書の提出に関する陳情

○大津委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○川澄福祉保健局長 平成二十四年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回、ご審議をお願いいたします議案は、条例案十三件、事件案一件、契約案一件の合計十五件でございます。
 初めに、条例案についてでございますが、いわゆる地域主権改革に伴う関係法律の改正により、福祉施設等の運営基準等を都道府県が条例で定めることとされたことを受けて条例の新設や改正を行うものや、東京都児童相談センターの移転に伴い、位置に係る規定を改めるものなどがございます。
 次に、事件案についてでございますが、いわゆる地域主権改革に伴う水道法の改正等により市に移譲する専用水道に関する事務等について、八王子市及び町田市を除く二十四市から当該事務等の一部を受託するため、東京都及び二十四市が協議により規約を定めるものでございます。
 最後に、契約案についてでございますが、東京都多摩府中保健所等が入居しております東京都府中合同庁舎の改築工事を行うものでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中川原総務部長 それでは、条例案、事件案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十四年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。まず、条例案についてでございますが、整理番号1から、四ページの整理番号10までの十条例につきましては、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律、昨年四月に成立いたしました、いわゆる第一次一括法及び昨年八月に成立いたしました、いわゆる第二次一括法の施行等による福祉、衛生関係の各法令の改正に伴いまして、指定障害福祉サービス等の事業や指定障害者支援施設等の運営基準等を都道府県が条例で定めることとされたことを受けまして、条例の新設、改正を行うものでございます。
 整理番号1、東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例、整理番号2、東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例、整理番号3、東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例から、二ページに参りまして、整理番号4、東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例、以上の四条例は、障害者自立支援法の改正に伴いまして、指定障害福祉サービスの事業や、指定障害者支援施設などの人員、設備及び運営等に関する基準を定めるものでございます。
 これらの条例は、平成二十五年一月一日から施行することとしております。
 次に、整理番号5、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 児童福祉法の改正に伴いまして、障害児入所施設等の設備及び運営に関する基準を定めるほか、乳児院及び母子生活支援施設の職員配置の基準を改めるものでございます。
 この条例は、障害児入所施設等の設備及び運営の基準に係る規定につきましては、平成二十五年一月一日から施行し、乳児院及び母子生活支援施設の職員配置の基準に係る規定につきましては、平成二十五年四月一日から施行することとしております。
 整理番号6、東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例及び、三ページに参りまして、整理番号7、東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例でございます。
 両条例は、児童福祉法の改正に伴いまして、指定障害児通所支援の事業及び指定障害児入所施設に係る人員、設備及び運営に関する基準を定めるものでございます。
 これらの条例は、平成二十五年一月一日から施行することとしておりますが、整理番号6の条例のうち、基準該当通所支援に関する基準に係る規定につきましては、平成二十五年四月一日から施行することとしております。
 整理番号8、東京都病院及び診療所の人員、施設等の基準に関する条例でございます。
 医療法の改正に伴いまして、病院及び診療所に関する基準を定めるものでございます。
 この条例は、平成二十五年一月一日から施行することとしております。
 整理番号9、障害者自立支援法施行条例及び、四ページに参りまして、整理番号10、児童福祉法施行条例につきましては、障害者自立支援法及び児童福祉法の改正に伴い、指定障害福祉サービス事業者等及び指定障害児通所支援事業者等の指定の欠格事由に係る規定を定めるものでございます。
 これらの条例は、平成二十五年一月一日から施行することとしております。
 整理番号11、東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例でございます。
 国民健康保険法の一部を改正する法律の施行に伴いまして、東京都国民健康保険調整交付金の総額等に係る規定を改めるほか、平成二十四年度から平成二十六年度までにおける東京都国民健康保険調整交付金の東京都普通調整交付金及び東京都特別調整交付金の総額に係る特例を設けるものでございます。
 この条例は、公布の日から施行することとしております。
 整理番号12、東京都児童相談所条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都児童相談センターの移転に伴いまして、その位置を改めるものでございます。
 この条例は、平成二十五年二月十八日から施行することとしております。
 五ページをごらん願います。整理番号13、東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 いわゆる第二次一括法の施行による水道法の改正を踏まえまして、小規模貯水槽水道等の衛生管理に関する事務が都から市に移譲されること及び当該事務を都が八王子市及び町田市を除く二十四市から受託することに伴いまして、条例の適用範囲を改めるものでございます。
 この条例は、平成二十五年四月一日から施行することとしております。
 続きまして、事件案についてご説明いたします。
 六ページをお開き願います。整理番号1、専用水道事務等の受託についてでございます。
 ただいま、条例案の整理番号13、東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例においてご説明申し上げました、いわゆる第二次一括法の施行による水道法の改正等に伴いまして、都から市に移譲されることとなりました専用水道に関する事務等について、都が八王子市及び町田市を除く二十四市から当該事務等を受託するため、地方自治法に基づき、都と二十四市が協議により規約を定めるものでございます。
 受託する事務の内容といたしましては、専用水道に関する事務のほか、先ほどの条例に規定する小規模貯水槽水道等の衛生管理に関する事務に相当する事務などがございます。
 続きまして、契約案一件についてご説明申し上げます。
 本契約案は、財政委員会に付託の上、本委員会でご調査いただくものでございます。
 お手元の資料、平成二十四年第四回東京都議会定例会契約案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。東京都府中合同庁舎(二十四)改築工事でございます。
 昭和四十七年に建設した東京都府中合同庁舎は、築四十年が経過し、老朽化が進んでいるため、改築工事を行い、安全かつ良好な環境で保健所業務、建築指導事務、都税事務を行うことができる施設を整備するものでございます。
 工事場所は府中市宮西町でございます。敷地面積は二千七百六十七・六六平方メートルでございます。建物の構造は鉄骨づくり(一部鉄骨鉄筋コンクリートづくり)、階数は地下一階、地上五階でございます。工事の規模でございますが、入居施設は、多摩府中保健所、多摩建築指導事務所開発指導第二課、立川都税事務所府中都税支所、延べ床面積は六千四百二十八・四八平方メートルでございます。保健所部分につきましては、検査室、健診室、会議室、相談室などを設置することとしております。
 次の二ページに施設の案内図を、三ページに配置図をそれぞれ記載してございます。
 四ページをお開き願います。本工事請負契約の概要をお示ししてございます。
 契約金額は十一億四千四百五十万円で、契約の相手方は南海辰村・東武谷内田建設共同企業体でございます。工期でございますが、契約確定の日から平成二十六年十月三十一日まででございます。契約の方法その他につきましては記載のとおりでございます。
 なお、五ページ以降に議案の内容を記載してございますので、ご参照いただければと存じます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大津委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大山委員 一つお願いします。
 地域主権一括法に伴って提案されている条例の基準について、新旧基準の対照表なんですけれども、都単独事業でやっていたものが、新しい基準になってどうなるのかということもわかるようにお願いします。

○大津委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 ただいま大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○大津委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情二四第五四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○小林生活福祉部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1番、陳情二四第五四号、生活保護申請者に対する保護決定までの取扱いの条例作成等に関する陳情は、新宿区の原正明さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、都内の福祉事務所が、所持金がない生活保護申請者に対し、保護決定が出るまでの間、最低限の状態の緊急的確保として、生活費の貸し付けや簡易宿泊所の料金の貸し付け等を行うことを約定(条例)等により明文化していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 都内の福祉事務所におきましては、生活保護に関する相談があった場合、相談内容を伺い、生活保護を初めとするさまざまな制度の案内を行いますとともに、保護の申請の意思を確認してございます。
 保護の申請があった場合は、申請者の収入等の状況を十分に確認した上で、生活保護法第二十四条に基づき、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対しまして、申請のあった日から十四日以内に書面により通知を行ってございます。扶養義務者の資産状況の調査に日時を要する等、特別な理由がある場合には、書面にその理由を明示した上で、三十日以内に決定し、通知しております。
 申請者が社会通念上放置しがたいと認められる程度に状況が切迫している、いわゆる急迫した状態にある場合には、保護の要件等に該当するかどうかにかかわらず、生活保護法第四条第三項に基づき、必要な保護を行っております。
 また、申請者が居住地を有しない場合には、社会福祉法第二条第三項第八号に規定する無料低額宿泊所等の紹介や保護施設の利用等により、一時的な居所や食事等の確保を図っております。
 このほか、手持ち資金を有せず、保護の決定までの生活に困窮する場合には、東京都社会福祉協議会が実施している緊急小口資金や、区市や地区社会福祉協議会が実施している応急的な資金の支給、貸し付けなどを活用することができます。
 なお、保護の申請がない場合でも、要保護者が急迫した状況にあるときには、保護の実施機関は速やかに、生活保護法第七条及び第二十五条に基づき、職権をもって保護の種類、程度及び方法を決定し、保護を開始しております。
 都は、実施機関に対しまして、必要に応じて技術的助言を行うなど、保護の適正実施の確保に努めております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大津委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大山委員 私からは、意見を述べます。
 この陳情は、生活保護にかかわるものです。そこで、生活保護をめぐる状況はどのようなものであるかということについて、まず明らかにしたいです。
 雇用が壊され、貧しい年金が充実されるどころか、ますます切り下げられる中で、生活保護を初めとするセーフティーネットの果たす役割は、ますます重要になっています。ところが、この間、歴代政府のもとで一貫して生活保護の利用抑制策がとられてきました。このため、我が国の世帯貧困率は全世帯の四分の一を占めているにもかかわらず、現に生活保護を受給している世帯の比率は三%程度、捕捉率は一〇%ちょっとにすぎません。
 私は、国や自治体が、生活保護の切り捨てから、生活保護の権利保障、雇用や医療、住宅などのセーフティーネットの確立、拡充などに取り組む方向に転換することが求められていると思います。
 都内の生活保護受給者は毎年増加し、二〇一〇年度は十九万五千百十世帯となり、二〇〇〇年度の一・九倍にふえています。高齢者世帯が依然として四三%以上を占めているのは、年金や医療などの社会保障の貧しさが高齢期の生活を困難にしているからです。地方自治体の東京都には、生活保護に直接ならないためにも、医療や住宅、介護を初め、福祉施策を厚くすることが求められています。
 また、最近の特徴は、世帯に働いている人がいるにもかかわらず、生活保護を受給する世帯がふえていることです。失業や不安定雇用による低所得です。捕捉率の低さを認識し、漏給を防ぐための努力が求められています。
 さて、この陳情の願意は、保護決定まで、所持金がなかったら貸し付けを行うよう明文化してほしいということです。私は、区の福祉事務所や生活と健康を守る会の皆さんにも、いろいろ話を伺いました。福祉事務所では、所持金がなければ、緊急で法外の貸し付けをしているとのことです。また、お金は持っていますかと聞かれて、大体貸してくれるとのことでした。それぞれの福祉事務所は、本人が困らないようにしているが、そのやり方は、それぞれの福祉事務所、自治体で制度は違うとのことでした。
 したがって、一律に規制するより、それぞれの自治体で現実的に改善していくことが求められており、本陳情には賛成することはできません。
 生活保護に関しては、本来、受給すべき人が受給できていない漏給対策に心を砕くことが必要です。その一方で、貯金が三千四百万円もあるのに不正受給をしていた人が逮捕されたなどというニュースもありましたが、このようなことはあってはならないことです。
 同時に、ケースワーカーの増員、福祉事務所のケースワーカーの専門性を高めるための支援の強化--ケースワーカーの仕事量も、また、相談自体も複雑多岐にわたっているだけに、ケースワークの仕事を側面から支援するために、就労支援員や精神保健福祉士の配置などへの支援をさらに拡充するべきであることを要望し、意見といたします。

○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二四第五四号は不採択と決定いたしました。

○大津委員長 次に、陳情二四第六〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山岸障害者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2番、陳情二四第六〇号は、文京区の小石川四丁目都有地障害者施設設備計画反対の会代表の三宅貴仁さん外二百八十二名の方から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、小石川四丁目都有地への障害者施設建設の計画を中止し、白紙撤回していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 都は、障害の種別にかかわらず、また、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害者本人が希望する地域で安心して暮らせる社会の実現を目指して、グループホーム等の地域居住の場や通所施設等の日中活動の場など、障害者の地域生活を支える基盤整備を積極的に進めておりまして、現在、施設整備費の設置者負担を八分の一とする特別助成を行っています。
 また、地価の高い東京では、用地確保が大きな課題であることから、都は、未利用の都有地を活用した施設整備も進めております。整備に当たっては、地元の区市町村の利用希望を踏まえた上で、事業者を公募し、五〇%減額した賃料で定期借地権設定契約を結び、貸し付けており、障害福祉サービスでは、これまで五カ所でグループホームや生活介護などの整備を進めています。
 本件では、文京区の希望に基づき、生活介護、就労移行支援、共同生活援助、共同生活介護を提供する障害福祉サービス事業所を一体的に整備することといたしまして、こうした障害福祉サービスは、現在、主として社会福祉法人により担われていることから、長期にわたって安定的、継続的に適切なサービスを提供する体制を確保するため、これらの事業について一年以上の運営実績のある社会福祉法人を募集しました。
 事業者決定の流れは、平成二十三年十一月三十日に事業者公募を開始し、最終的な申請書提出期限を二月一日といたしました。これに先立ち、事業者説明会を十二月十三日に実施し、六法人が参加、その後、十二月二十二日に応募意思を示す申込書が三法人から提出され、最終的に二法人から具体的な事業計画書類が提出されました。その後、文京区において、外部委員を含めた審査会において法人の組織運営や財務状況、事業計画等について審査した後、東京都の審査会においても審査を行い、平成二十四年四月二十六日に借り受け事業者を決定しました。
 都と区は、これまで六回、住民説明会を開催し、また、事業者においては施設見学会等を実施するなど、障害福祉事業に関する住民理解の促進に努めております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大津委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大山委員 意見を述べます。
 都有地活用での障害者施設建設の計画を中止してほしいという陳情です。
 理由の中にあります、運営事業者の応募資格を一年以上運営している社会福祉法人と限定して、理由なく他の民間事業者を排除しているとありますけれども、福祉施設を運営するときに、応募資格を一年以上運営している社会福祉法人と限定することについては、安定的な運営が望まれることからも当然のことといえます。
 競争原理が必要といっていますけれども、障害者の人権保障、発達保障はもちろん、質を確保するためには職員の十分な配置や専門性が重要なのですから、例えば、競争入札だといって低価格が優先されるようなことがあれば、質の低下に直結するといわざるを得ません。
 また、書かれている補助金は、仕組みとして国と都と区が出すのは当然ですし、地価が高いところでつくるのですから、地代については、都と区が協力しなければ福祉施設はできません。
 さらに、障害者の通所施設や居住施設は、環境のよい郊外で、地価の安いところでも可能などと述べていますが、住みなれた地域で暮らしたいという当たり前の居住の自由さえも奪うものといわなければなりません。
 また、迷惑行為や犯罪行為を含む、問題行動を起こす確率の高い知的障害者という記述がありますが、何を根拠にこのようなことがいえるのでしょうか。このような意見に賛成することはできません。
 そうはいっても、近所の皆さんと仲よくやっていくことが重要ですし、不可欠です。新宿でも、知的障害者グループホームができるときに大変な反対があって、苦労したケースもありましたけれども、でき上がって、利用者も入居して、お互い知り合っていくうちに、今では町会の中に自然に入っているという状況です。
 東京都は、区と協力して、引き続き、住民の皆さんの疑問などがほぐれるように丁寧に対応していってほしいということを求めて、意見といたします。

○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二四第六〇号は不採択と決定いたしました。

○大津委員長 次に、陳情二四第六三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高橋保健政策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3番、陳情二四第六三号は、豊島区の特定非営利活動法人東京腎臓病協議会会長の木下久吉さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、心身障害者医療費助成を、六十五歳以降の新規障害者で住民税非課税者も対象にすること。第二に、心身障害者福祉手当を、六十五歳以降の新規障害者も支給対象にすること。以上の二点でございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 都は、老人保健制度や障害基礎年金制度、介護保険制度の導入など、国の社会保障制度が充実したこと等を踏まえ、制度間の整合性の確保や負担の公平性の観点から、平成十二年に、都議会でのさまざまな議論を経て、福祉施策の見直しを行いました。
 その中で、心身障害者医療費助成制度及び心身障害者福祉手当については、国の特別障害者手当に準じて所得制限基準の見直し等を行うとともに、六十五歳以上になって初めて障害者になった者は、老人保健制度や介護保険制度等の高齢者施策の枠組みの中で対応することといたしました。
 現在、六十五歳以上の障害者の医療については、後期高齢者医療制度の障害認定を受けることにより同制度が適用され、その場合、住民税非課税者については、原則として自己負担が一割となるほか、高額療養費の自己負担限度額も低く設定されています。また、保険料については、所得に応じた軽減措置がなされています。
 なお、後期高齢者医療制度加入者が人工透析を受ける場合は、特定疾病に係る高額療養費制度に加え、都独自の難病医療費等助成制度の対象となるため、自己負担は生じません。
 心身障害者福祉手当は、在宅サービスが不足する中、在宅で生活する障害者とその家族の経済的、精神的負担の軽減を図るため、昭和四十九年十月に都独自に創設した制度ですが、平成十二年の介護保険制度の導入を受け、同年八月から六十五歳以上の新規申請を対象外にしています。
 現在、六十五歳以上の障害者に対する在宅サービスは、原則として介護保険制度により提供されており、同制度においては、社会福祉法人等が提供する訪問介護など十五サービスについて、利用者負担が軽減されています。さらに、都は独自に、こうした軽減策をすべての事業主体に拡大するとともに、訪問介護などを加えた二十五サービスを対象に実施し、低所得者の負担軽減を図っています。
 なお、障害者の所得保障は基本的に国の役割であることから、都はこれまでも他の自治体と連携し、手当や年金制度の改善などを国に要望しています。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大津委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。

○滝沢委員 心身障害者の医療費の助成に関する条例等に関する陳情審査に対しまして、意見を述べさせていただきます。
 老人保健制度や障害基礎年金制度、介護保険制度の導入など、国の社会保障制度の変遷によって生じてしまった現状は理解をしております。六十五歳以降の新規障害者への対策は、財源の手当てなども含め、今後、検討の余地はあるものと考えます。
 以上で本陳情に関する都議会民主党としての意見といたします。

○早坂委員 心身障害者医療費助成制度などについて伺います。
 まず、心身障害者医療費助成制度は、本来なら国民健康保険で個人負担三割のところ、心身障害者に関しては、この制度により一割の自己負担、かつ自己負担上限を、通院の場合、月額一万二千円に定めるものであります。また、住民税非課税の場合には、個人負担はありません。この心身障害者医療費助成は、すべての都道府県で行われている制度でありますが、その助成内容はまちまちです。
 次に、心身障害者福祉手当は、該当者に月額一万五千五百円を支給するものであります。こちらは全国で十三の都府県で行われていますが、その支給対象も金額もまちまちであります。
 いずれも、美濃部都政時代の昭和四十九年にしたものであります。これらの制度は、平成十二年に大きな見直しがされました。その際に議論された心身障害者医療費助成制度及び心身障害者福祉手当に関する見直しの内容について伺います。

○高橋保健政策部長 心身障害者医療費助成制度及び心身障害者福祉手当は、昭和四十九年に、国の社会保障制度が不十分であったこと、また、在宅サービスが不足していたことから、それを補完する趣旨をもって開始されたものでございます。
 その後、国の年金制度や医療保険制度等が充実されるなど、社会経済状況が大きく変化し、また、障害者の地域生活を支援するサービスの一層の充実が強く求められておりました。
 平成十二年の見直しは、社会経済状況の変化への対応、国の社会保障制度との整合、負担の公平性の確保などの観点から、経済給付的事業を見直す一方、福祉サービスの量的、質的な充実に向け、施策の転換を図ったものでありまして、都議会でのさまざまな議論を経て、福祉施策全体の見直しを行ったものでございます。
 その中で、心身障害者医療費助成制度につきましては、六十五歳以上になって初めて障害を持った方を対象から除外し、住民税課税者には一割の自己負担金を導入するなど、制度改正を行いました。
 また、心身障害者福祉手当も同様に、六十五歳以上の新規申請者を対象外としたものでございます。

○早坂委員 平成十二年の見直しでは、六十五歳以上になって初めて障害を持った人をこの制度の対象外としました。その理由について伺います。

○高橋保健政策部長 六十五歳以上の高齢者に対しましては、高齢者独自の医療制度である老人保健制度や、介護を要する方にさまざまなサービスを提供する介護保険制度など、国において、高齢者を社会全体で支える仕組みが整備されてまいりました。
 こうしたことを踏まえ、平成十二年の見直しに当たっては、このような国の社会保障制度との整合性も考慮し、六十五歳以上になって初めて障害を持った方につきましては、高齢者施策の枠組みの中で対応することとしたものでございます。
 なお、若い時期から障害のある方につきましては、六十五歳まで健常であった方と比べまして、さまざまな差異があるため、引き続き制度の対象としております。

○早坂委員 心身障害を持った人に対する行政サービスとして、現金給付は、実は最も安直な施策だと私は考えます。バリアフリー、すなわち、障害を持った人が健常者と同じように暮らすために、バリア、障壁をなくすには、お金を渡してそれでおしまいでは、いうなれば行政の責任を放棄したようなものであります。
 この制度の見直しが行われた平成十二年は、介護保険がスタートした年であります。これにより、六十五歳以上の高齢者は介護サービスという現物支給を受けられることになり、高齢者施策は大きく進展しました。
 一方で、現金給付の面からは、当時は老人保健制度で、現在は後期高齢者医療制度で、六十五歳以上で一定の障害を持つ人は、医療費の個人負担が三割から一割に軽減されることになっています。
 すなわち、現状において、六十五歳以上で初めて障害を持った人に対しては、高齢者施策で対応できるといえます。
 平成十二年の制度の見直しは、単に医療費助成にとどまらず、東京の福祉を全体として充実し、将来的にも安定的に運営するために、さまざまな議論を尽くした上で行われたものであります。
 したがって、今回の陳情には、自民党として賛成することはできません。今後もこの制度を安定的に運営していただくことを強くお願いいたします。

○大山委員 私も、幾つか質疑をしながら意見も述べます。
 その前に、今、経済的給付が安直というようなお話がありましたけれども、東京都は、この経済的給付の見直し、それから医療費助成の見直しで、老人医療費助成を廃止し、老人福祉手当も廃止しました。しかし、東京都も、この経済的な給付事業については、子ども医療費助成については中学生まで制度を拡大するなど、必要性を認めてきたからこそ広げてきたことだと思っています。ヨーロッパなどでいえば、家賃、それから子育てなどについても、経済的な給付はもう当たり前という状況だということを、まず最初に述べておきます。
 先ほど説明がありましたように、六十五歳以上になって初めて障害者になった者は、老人保健制度や高齢者施策の枠組みで対応することとしたといいますけれども、陳情者の皆さんが、この陳情で強調したいことは、同年齢の住民税非課税者でも、一割の自己負担がある者とない者とが生じていること。同じ年齢でも、障害発生年齢で格差が出るのは不合理ということなんですね。
 透析導入患者の平均年齢は毎年増加していて、二〇一一年度の平均導入年齢は六十七・八歳になっていますから、六十五歳を超えてからの導入患者も多くいるということです。医療費でいえば後期高齢者医療制度となり、六十五歳以上の障害者も、透析患者の皆さんも適用になりますけれども、後期高齢者医療費は一割負担です。透析については負担はありませんけれども、後期高齢者はほかの医療については一割負担なわけですね。
 陳情の理由の中に、六十五歳までに資産形成が十分になされている者は決して多くはなく、老後に不安を抱いている者が大多数である、とありますように、東京の高齢者の国民年金の平均受給額は、月額わずか五万四千円余りです。東京都福祉保健基礎調査によりますと、都内の高齢者の約四人に一人は、年間百万円に満たない収入しかありません。
 平成二十二年の国民生活基礎調査では、高齢者世帯で、一一・一%は貯蓄がゼロ、三九・三%、約四割の世帯は四百万円未満の貯蓄しかありません。病気になったり、けがをして一たん入院などしてしまえば、あっという間になくなってしまう貯金の額だといえます。これでも東京都は、高齢者は資産形成が十分なされているという認識なんでしょうか。

○篠原企画担当部長 まず、国民年金の平均受給額のお話がございましたが、国の老齢基礎年金は、そもそも老後の生活のすべてを支えるものとして設計されているものではございませんで、個人の貯蓄や私的年金など、自助努力もまた、老後の生活を支える重要な手段と考えられております。
 次に、高齢者の所得という点では、国民生活基礎調査によりますと、平成二十二年の世帯一人当たり所得で比較しますと、全世帯の平均が二百七万三千円。一方で、高齢者世帯の平均は百九十一万七千円でございまして、大きな差とはなっておりません。
 次に、資産という点で見た場合に、平成二十四年の高齢者白書によりますと、世帯主が六十五歳以上の世帯の平均貯蓄額は二千二百五十七万円でございます。全世帯平均が千六百六十四万円ですから、約一・四倍。しかも、世帯主が六十五歳以上の世帯のうち、一六・一%が四千万円以上の貯蓄を有すると。これは、全世帯では一〇・二%ですので、比較すれば高い水準ということになっております。
 それから、住宅・土地統計調査によりますと、資産の代表的なものでございます持ち家世帯の率について見ますと、全世帯の持ち家世帯率は六〇・九%でございますが、高齢者世帯では八割となっておりまして、高齢者の資産はこのような状況にあると認識しております。

○大山委員 いまだに高齢者の収入だとか貯蓄が平均額といういい方をすること自体、福祉保健局として本当に何を考えているのかと。高齢者の収入にしても貯蓄にしても、差が大きい、一番低いところと高いところと、非常に差が大きい、これが常識じゃないですか。しかも、先ほど、高齢者世帯の一世帯当たりの平均貯蓄額は全世帯平均よりも多い、こう答えましたけれども、東京の高齢者の調査なんですか。

○篠原企画担当部長 全国の調査のデータでございます。

○大山委員 資産の形成はできている、そんなことをいいながら、東京の高齢者の実態の把握さえもしていないわけじゃないですか。それでどうして資産形成が進んでいるなんていえるんでしょうか。無年金者の人がどれぐらいいるのか、幾ら聞いたって東京都は調査をしませんよね。福祉保健局としてそんなことでいいんでしょうか。まずは都民の実態を把握するべきです。
 高齢者世帯で、貯蓄がない世帯は一一・一%で一番多い割合です。しかも、制度改悪をしたころ、二〇〇一年の国民生活基礎調査では、高齢者世帯の中では貯蓄がないという方が八・七%です。ですから、制度を改悪した時期よりも現在の方が、貯蓄ゼロの世帯がふえているんです。四百万円以下の貯蓄の世帯は三九%ですから、大体二〇〇一年のころも四割近くいました。
 高齢者は一部に日本経団連の米倉氏のような方もいますから、平均貯蓄額は高くなるんですよ。平均貯蓄額、さっきおっしゃった六十五歳以上は二千二百五十七万円、これ以上あるような方がどれぐらいいるんですか。貯蓄がわずか四百万円未満の方が約四割です。中には貯蓄ゼロの方が一一・一%。しかも制度改悪したときよりも貯蓄ゼロが多くなっているという現実を直視するべきです。
 その上、前年度に比べて貯蓄が減ったという高齢者世帯は四四・一%です。そのうち六六・一%の世帯は、貯蓄が減った理由は日常生活費への支出です。つまり、貯金を切り崩して生活しているということなんですね。いつまで生きるのか、生きられるのか、どんなに心細いでしょうかということに思いをはせてもらいたいと思います。
 心身障害者福祉手当は、経済的、精神的負担の軽減を図るために創設した制度であり、在宅サービスは、原則として、現在は介護保険制度により提供されておりということなんですけれども、どうでしょうか。
 立川市は、市内で起こった高齢のお母さんと娘さんの共倒れのケースから教訓を引き出そうということで調査を行いました。その調査の目的は、高齢の母と娘の遺体が発見されたケースでは、要介護認定を受けてはいても、本人の希望により介護保険サービスを利用せず、家族により介護が行われていましたということで、介護認定を受けていながら、介護サービスを利用していない方々の状況を把握する調査を実施しました。
 介護保険サービスを利用していない六百七十九人の方のうち、四十一人、約六%の方が、利用料の支払いが困難、こう答えています。介護保険は、経済的負担の軽減はしていないんです。陳情にあるように、六十五歳以降の新規障害者も心身障害者医療費助成と心身障害者福祉手当の支給対象とすることは、先ほどの東京の高齢者の生活実態を直視するなら当然です。
 陳情は採択することを求め、発言といたします。

○大津委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○大津委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二四第六三号は不採択と決定いたしました。

○大津委員長 次に、陳情二四第六四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○小林医療政策担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号4番、陳情二四第六四号、保険でより良い歯科医療の実現を求める意見書の提出に関する陳情は、新宿区の「保険でよい歯を」東京連絡会世話人、矢野正明さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、次の三点について、国に対し意見書を提出していただきたいというものでございます。
 第一に、医療費の患者一部自己負担を軽減すること。第二に、有効性、安全性の確立されている技術を速やかに保険導入すること。第三に、「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の具体化を急ぎ、一層、充実強化すること。以上の三点でございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 第一についてでございますが、医療費の一部負担金につきましては、健康保険法で定められており、現在の一部負担割合は、医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するとともに、各制度、世代を通じた給付と負担の適正化を図る観点から定められております。
 第二についてでございますが、診療報酬につきましては、保険者や医師、歯科医師、学識経験者等の委員で構成される中央社会保険医療協議会において審議され、国がその答申を受けて改定する制度となっております。
 平成二十四年度の歯科診療報酬の改定では、在宅歯科診療に対する評価や、歯周病及び歯内療法に関する技術に対する評価が引き上げられたほか、インプラント義歯等の先進技術、新規医療技術が新たに保険導入されるなど、患者の生活の質に配慮した歯科医療に関する診療報酬の充実が図られたところでございます。
 第三につきましては、歯科口腔保健の推進に関する法律第十二条に基づく基本的事項は、平成二十四年七月に告示され、その中で、国及び地方公共団体が施策等を推進するために必要となる基本方針や具体的な目標、計画が示されております。
 なお、東京都では、既に平成五年から都独自の歯科保健目標を設定するとともに、達成度の評価を行っており、現在は、平成二十三年一月に策定した東京都歯科保健目標、いい歯東京の達成に向け、施策を推進しているところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○大津委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大山委員 保険でより良い歯科医療の実現を求める意見書を提出してほしいという陳情です。例えば、虫歯にしても、我慢していれば自分で治せるものではありませんから、経済的な理由で歯科診療が受けられないということは深刻なことです。
 全国保険医団体連合会の調査では、患者さんの経済的理由が原因と思われる治療中断事例について、あったとの回答数が、医科は四九・六%、歯科は六四%で、歯科での治療中断が特に多いんですね。二〇一〇年に行った受診実態調査と比較しますと、あったが一七・三ポイント増加して、なかったというのは一八・六ポイント減少しています。経済的な理由で治療を中断せざるを得ない状況があるということを、どう認識していますか。

○小林医療政策担当部長 都は、平成十二年に、西暦二〇一〇年の歯科保健目標を定め、かかりつけ歯科医による歯周疾患の予防、早期発見、早期治療を推進しており、この間、小学生、中学生及び高校生が虫歯にかかっている割合は毎年減少しております。
 七十五歳から八十四歳の都民のうち、自分の歯を二十本以上有している方の割合も、平成十二年の二七・〇%に比べ、二十一年には五〇・七%にふえるなど、都民の歯の健康状態は大幅に改善されておりまして、歯科診療医療費の抑制につながっているものと考えております。
 一方、厚生労働省が毎年発表している国民医療費の状況では、人口一人当たりの歯科診療医療費につきましては、平成二十年度が二万二百円、二十一年度が二万百円、二十二年度が二万三百円と、ほとんど変化がございません。ご質問では、経済的な理由で歯科治療を中断しているとのことでございますが、こうした状況を見ますと、保険診療で歯科受診が大幅に減っているとは推測できません。
 なお、医療費の一部負担金につきましては健康保険で定められており、現在の一部負担割合は、医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するとともに、各制度、世代を通じた給付と負担の適正化を図る観点から定められているものでございます。

○大山委員 経済的な理由で大幅に減っているとは考えられないということは、少しは減っているという認識なんでしょうか。実際に、患者さんの経済的な理由が原因と思われる治療中断事例について、医師が、あった、こう回答しているんですね。その割合は、医科よりも歯科の治療中断が特に多いわけです。ですから、やはり、これもきちんと東京都として、都民の歯科と、それから経済的な負担についての調査というのも、把握というのも、やらなきゃいけないことじゃないんでしょうか。
 東北大学の学生が発表した調査結果では、所得格差が補綴治療、詰めたりかぶせたりですよね、その格差に明瞭にあらわれています。六十五歳以上の高齢者で補綴治療を受けている人を世帯収入別に分析すると、年収五十万円未満の最低所得層以外では、所得の低い人ほど補綴治療を受けている割合が低いことが明らかにされています。所得の高低がストレートに補綴治療に反映されるというものです。
 例えば、年収四百万円以上だと七七・四%が補綴治療を受けていますが、年収が低くなるにつれて歯科受診が抑制されて、五十万円から百万円未満の年収だと五六・二%しか受けていません。四百万円以上だと七七・四%ですから、大きな差があります。
 歯科診療でもう一つの課題は、保険がきかないものが多くあって、大きな負担になることです。国民医療費が、歯科診療医療費が減っているということですけれども、国民医療費には、保険外負担は含まれていないですね。
 私も、ことしの夏、糸切り歯と、その奥の歯を入れるとき、口を開けると見えますよといわれて、保険がきかないセラミックを入れたんですけれども、知り合いも、一人は十五万円といわれて諦めましたと。もう一人は二十五万円といわれ奮発したと、こういうんです。お金がなければ我慢せざるを得ないではありませんか。しかも、一カ所や二カ所じゃないわけですね。医療技術や歯科材料が進歩しているのですから、それを反映させた保険適用にすることです。
 全国保険医団体連合会が行った、全国一万人以上から寄せられた歯科医療に関する市民アンケートでは、保険のきく範囲を広げてほしいと答えた方が九一・六%に上りました。
 保険でよい歯科医療の実現を求める意見書は、十一道県議会、五百六十一市区町村議会で採択されているとのことです。
 この陳情は採択して、都議会からも、だれもが安心して、お金の心配が要らない保険でよい歯科診療が受けられるように、意見書を上げようではありませんか。

○大津委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○大津委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二四第六四号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十六分散会

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