厚生委員会速記録第七号

平成二十四年六月四日(月曜日)
第十三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長吉田康一郎君
副委員長遠藤  守君
副委員長吉住 健一君
理事山加 朱美君
理事三原まさつぐ君
理事増子 博樹君
小林 健二君
柳ヶ瀬裕文君
たきぐち学君
田の上いくこ君
野島 善司君
斉藤あつし君
ともとし春久君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
次長真田 正義君
技監桜山 豊夫君
総務部長梶原  洋君
医療政策部長中川原米俊君
保健政策部長前田 秀雄君
生活福祉部長小林 秀樹君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長桃原慎一郎君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長浜 佳葉子君
事業調整担当部長萱場 明子君
医療改革推進担当部長高橋 郁美君
医療政策担当部長山岸 徳男君
地域保健担当部長松浦 慎司君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長高木 真一君
事業推進担当部長秀嶋 善雄君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長鈴木 達夫君
感染症危機管理担当部長笹井 敬子君
特命担当部長清古 愛弓君
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長藤田 裕司君
サービス推進部長別宮 浩志君
経営戦略・再編整備担当部長齊藤 和弥君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
・平成二十三年度東京都病院会計予算の繰越しについて
陳情の審査
(1)二四第三五号 都民のいのちを守り、災害に対応できる東京の医療を充実することに関する陳情
(2)二四第三六号 都立墨東病院を今後も都直営で存続させ、医療の充実を求めることに関する陳情
 福祉保健局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
・東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
請願陳情の審査
(1)二四第二号 公的年金の改悪に反対する意見書の提出に関する請願
(2)二四第三号 看護師等の大幅増員と夜勤の改善で安全・安心の医療・介護を実現することに関する請願
(3)二四第四号 身体障害者手帳交付に該当しない中等度難聴児に対する補聴器購入費用等助成に関する請願
(4)二四第五号 慢性疲労症候群患者への支援を求める意見書の提出に関する請願
(5)二四第二八号 東京都北児童相談所の一時保護決定に関する陳情
(6)二四第三五号 都民のいのちを守り、災害に対応できる東京の医療を充実することに関する陳情

○吉田委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○吉田委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び病院経営本部関係の報告事項の聴取並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項については、説明聴取の後、質疑終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、本部長より紹介があります。

○川澄病院経営本部長 四月一日付で当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 当委員会との連絡を担当させていただきます総務課長の谷田治でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○吉田委員長 紹介は終わりました。

○吉田委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、契約の締結について報告を聴取いたします。

○藤田経営企画部長 工事請負契約につきまして、お手元にお配りをしております契約締結報告書に基づき、ご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。一ページには総括表をお示ししてございます。この総括表に基づきまして、ご説明させていただきます。
 番号1は、都立墨東病院の増築及び改修工事に係る請負契約でございまして、契約の相手方は戸田・京成・坂田建設共同企業体、契約金額は三十一億八百万円でございます。
 なお、本契約の概要につきましては、二ページに記載しておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○吉田委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○吉田委員長 次に、平成二十三年度東京都病院会計予算の繰り越しについて、報告を聴取いたします。

○藤田経営企画部長 平成二十三年度予算の繰り越しにつきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十三年度予算繰越説明書をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。
 病院経営本部は一般会計と病院会計を所管してございますが、予算繰り越しの対象は病院会計のみとなってございます。
 二ページをお開き願います。建設改良費繰越についてでございます。
 対象となりました事業名は、都立病院建設改良事業でございます。
 病院経営本部といたしましては、平成二十三年度内に円滑に事業が終了するよう努めてまいりましたが、工事の調整に不測の日時を要しましたため、右から四列目に掲載いたしました七千百九十八万余円を平成二十四年度に繰り越して継続実施することといたしました。繰越理由等は説明欄に記載のとおりでございます。
 以上、大変簡単ではございますが、平成二十三年度の予算の繰り越しにつきましてご説明を終わらせていただきます。

○吉田委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○吉田委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情二四第三五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○藤田経営企画部長 それでは、資料、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 整理番号6、陳情二四第三五号についてご説明申し上げます。
 この陳情は、豊島区の、東京の保健衛生医療の充実を求める連絡会代表、氏家祥夫さん外六千百九人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、次のことを実現していただきたいといたしまして、第一項、医療の低下を招く都立病院の地方独立行政法人化の検討を取りやめ、都直営で充実することというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立病院がその基本的役割である行政的医療を将来にわたり安定的かつ継続的に提供していくためには、都立病院にふさわしい経営形態について検討していく必要がございます。
 第二次都立病院改革実行プログラム、計画期間が平成二十年度から二十四年度までになりますけれども、ここでは経営形態の変更について具体的な言及はしておらず、地方独立行政法人の制度上の課題や都立病院の運営状況を踏まえて詳細な検討を行うとともに、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は十分な検討を行っていくこととしております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○柳ヶ瀬委員 陳情二四第三五号について、幾つか事実確認をさせていただきたいというふうに思います。
 この要旨の中には、都において次のことを実現していただきたいということが書かれています。医療の低下を招く都立病院の地方独立行政法人化の検討を取りやめ、都直営で充実することということが書かれているわけでございますけれども、今簡単にご説明がありましたが、独立行政法人化の検討を取りやめということが書かれているわけですけれども、現状、都において都立病院の独立行政法人化、この検討を行っているのかどうか、また、それはどこかに書かれているものなのかどうか。この点について、まずはお伺いしたいというふうに思います。

○藤田経営企画部長 病院経営本部では、都立病院の経営に関して充実を図りますため、都立病院経営委員会を設置しているところでございます。都立病院が将来にわたり都民に対して安定的かつ継続的な行政医療が提供できるよう、平成十九年に今後の都立病院の経営形態のあり方について同委員会に検討を依頼しまして、同年十一月に報告書が提出されているところでございます。
 第二次都立病院改革実行プログラムにおきましては、独立行政法人化の検討には言及しておらず、最もふさわしい経営形態や地方独立行政法人の制度上の課題などについて、詳細な検討を行うこととしているところでございます。

○柳ヶ瀬委員 これは言葉の問題なのかもしれませんけれども、今ご説明があったとおり、独立行政法人にするということを決めて、その方向で今何がしかの検討をしているということではないということだろうと思います。
 ただし、今の都立病院がそのままでいいのかどうかということを、経営形態を検討していかなければいけないという中で、この独立行政法人についても、制度上の課題について検討を行っているところだというふうに認識をしたわけでございますけれども、その中では、これは二十四年度までの実行プログラムにおいて詳細な検討を行うということになっているわけですけれども、現状、この都立病院の運営状況を踏まえた詳細な検討はどの程度進んでいるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

○藤田経営企画部長 第二次都立病院改革実行プログラムにおきまして、都立病院の新たな経営形態の検討として、現状と課題などを掲げているところでございます。
 現在は、他の自治体などの導入状況や事例等を情報収集している状況でございます。

○柳ヶ瀬委員 情報収集しているところだということですけれども、一定の検討を終了して報告を出すということになるだろうと思いますので、またその報告を見てみたいというふうに思いますけれども、現状、病院の独法化に関して、国やほかの地方自治体の動き、これはどうなっているのか、参考までにお聞かせいただければと思います。

○藤田経営企画部長 厚生労働省所管の病院につきましては、平成十六年四月に特定独立行政法人といたしまして国立病院機構というふうになってございます。また、国立がん研究センターを初めといたします六つの研究センターが、平成二十二年四月にそれぞれ個別の独立行政法人というふうになってございます。
 各自治体の動向につきましてですが、総務省の平成二十三年九月三十日時点の調査では、対象病院が八百九十七病院ございまして、このうち五十一病院が独立行政法人となっている状況がございまして、その後、九病院がふえ、現時点におきましては六十病院というふうになってございます。

○柳ヶ瀬委員 今の現状をお伺いしていると、自治体の病院に関しても、この独立行政法人化は進んでいると。多分これからも進めていく方向なんだろうなということはうかがえると思います。
 ですから、この陳情を出された皆さんが、地方独立行政法人化がこれから進んでいくのではないかということを懸念されているということは、よくわかることであります。
 ただ、先ほどの答弁でもあったとおり、東京都としては経営形態をまだ広く考えている途中であり、そのうちの一つとして独立行政法人というものも入っておるという段階だというふうに認識をしております。
 それでは、この独立行政法人化というものが、果たして悪いことなのかどうかというところが、次のポイントになってくると思います。そこで、ここの陳情の要旨には、医療の低下を招くことになるのではないかというふうにご懸念をされていると思うんですけれども、独立行政法人化すると医療の低下を招くということがあるのかどうなのか、その点について、今のご認識をお伺いしたいと思います。

○藤田経営企画部長 病院経営につきましては、医療法人を初めといたしまして、さまざまな経営形態がございます。
 公立病院では、地方公営企業法を全部適用した病院、それから指定管理者制度による経営の病院、それから地方独立行政法人の病院などがございますけれども、独立行政法人化することが、それ自体が医療の低下を招くことには全くつながらないというふうに考えてございます。

○柳ヶ瀬委員 医療の低下を招くことになるのではないかと懸念されているということは、どこかにその事例があるのかどうかということ、これ、都としてはよく検証していただきたいというふうに思うんです。
 東京都では、かつての老人医療センターと老人総合研究所が独立行政法人化して、現状、長寿医療センターとなっているわけですけれども、ここで医療の低下的なもの、こういったものが見られたのかどうか、また、独立行政法人化した長寿医療センターというものをどう評価しているのか、その点についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

○藤田経営企画部長 外部有識者から成ります東京都地方独立行政法人評価委員会が評価をいたしました、平成二十二年度の、ちょっと長くなりますが、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書によりますと、各評価項目でございますけれども、S、A、B、C、Dの五段階で評価することとなってございまして、医療に関する評価項目につきましては、S、これは年度計画を大幅に上回って実施しているという評価のものでございます。次に、A、年度計画を上回って実施している、それから、B、年度計画をおおむね順調に実施しているとした評価項目、いずれも、医療に関する評価項目はこういったS、A、Bの評価となってございまして、独法化によって医療の低下があったとはいえないというふうに考えられると思います。

○柳ヶ瀬委員 この独立行政法人化の先例として、東京都では長寿医療センターがあるということですけれども、長寿医療センターに関しては、現状の評価の中ではこういった医療の低下ということは見られないということ、これはわかりました。
 ただ、医療の低下というのはなかなか判断がしづらい。あらゆる側面から考えていかなければ評価しづらいところだというふうに思います。ですから、現状の評価、これに頼るというか、これでいいんだということではなくて、さまざまな多面的な評価、それをこれからも実施していただきたいというふうに思いますけれども、現状の都立病院の直営でやるメリットとデメリット、これをどのように考えているのか。この点について、お聞かせください。

○藤田経営企画部長 平成十九年十一月の都立病院経営委員会の報告の中でございますけれども、都立病院の直営のメリット、デメリットに関係する部分といたしまして、職員としての身分は安定している反面、人材確保に向けた独自の給与体系の設定が困難であること、経営状況や職員の業績が処遇に十分反映されないため、インセンティブが働きにくく、経営感覚、コスト意識が醸成されにくいといった課題があるというふうに述べられてございます。

○柳ヶ瀬委員 今、デメリットの部分だけをおっしゃったというふうに思うんですけれども、安定して継続的な運用をしていくという意味では、都立病院の方がメリットということもあると思います。ただ、都立病院、今おっしゃったように、独自の給与体系の設定が困難であったり、働く人のインセンティブが働きにくいといった側面も考えられると思います。
 ですから、今、経営委員会の中で、今後の経営形態がどのようなものがふさわしいのかということ、こういったことを常に考えていくということは大事だというふうに思います。それは、この独立行政法人化ということも含めて検討していくことが必要なんだろうなというふうに私は考えています。
 ただ、この陳情に出てきましたように、医療の低下を招くということがあってはなりません。都立がこれまで担ってきた、継続して安定的な行政的医療を提供するといったこと、これをどれだけ引き継いでいけるのかということが経営形態の一つの大きな判断になるだろうというふうに思いますので、その点だけはしっかりと引き継ぎながら次の新たなステップを考えていただきたいということ、これを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。以上です。

○吉住委員 私からは、本陳情に関連しまして、まず、全国も含めた公立病院改革の流れを押さえておきたいと思います。
 平成十九年十二月にさかのぼりますが、総務省は、公立病院改革ガイドラインを策定し、病院を設置する地方公共団体に対し、公立病院改革プランを策定するように要請をいたしました。この中では、病院の果たすべき役割及び一般会計負担の考え方、経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しなどを検討することが求められています。
 翻って、都立病院は、国に先駆け、平成十三年に都立病院改革マスタープランを策定し、これを核として改革を推進し、再編整備事業を初め患者中心の医療等に取り組み、我が党もこれにかかわる事業を支援してきたところでございます。
 総務省の要請した公立病院改革は、現在どのように進んでいるのか、今回の陳情にかかわる経営形態の見直し状況についてお伺いしたいと思います。
 総務省が要請した公立病院改革で、経営形態の見直しは、全国レベルではどのように行われているのかお伺いします。

○藤田経営企画部長 総務省が平成二十三年九月三十日に公表しております公立病院改革プラン実施状況等の調査結果によりますと、公表時点での対象病院が全国で八百九十七病院、そのうち地方公営企業法の財務規定適用の病院、いわゆる一部適用というふうに申し上げている病院でございますが、こちらが四百三十九病院、同法の全部適用、全適といっておりますが、全部適用の病院が三百四十五病院、指定管理者制度を採用しておる病院が六十二病院、それから地方独立行政法人となっているものが五十一病院となってございます。
 また、調査時点以降に経営形態の見直しを予定している病院を見ますと、地方公営企業法全部適用へ移行予定の病院がさらに十八病院、同様に指定管理者制度が十一病院、それから地方独立行政法人は九病院の増というふうになってございます。
 その結果、現在、地方独立行政法人の数について申し上げますと、六十病院という状況になってございます。

○吉住委員 全国の公立病院改革の経営形態の見直し状況についてはわかりました。
 地方公営企業法の適用を受けて運営している病院が約八五%程度、地方独立法人化を選択した病院は約七%、このほかに、診療所へ移行した病院や民間へ病院を譲渡した病院も十病院ほどあると聞いております。さまざまな理由や異なる地域特性の中で、このような経営形態になっていることと思います。
 都は、都の置かれている状況の中で改革を進めてきたわけで、都立病院改革は、都民に対する医療サービスの向上を図るために、一、都立病院の基本的な役割、二、患者中心の医療の推進のための具体策、三、再編整備の考え方とスケジュール、四、財政ルールなどを明らかにしたものです。これは、後に出された総務省の公立病院改革ガイドラインで求めたものと同様の内容となっています。まさに都立病院ではマスタープランに基づく実行プログラムという具体的な事業計画を策定し、不断の改革を行ってきたわけです。
 このように、都民に医療サービスを提供するに当たって重要なことは、安定した経営と医療人材を確保しながら民間病院などとも連携を図って、良質な医療を継続的に提供することです。都立病院は、採算性などの観点から民間医療機関で提供することが困難な医療を提供することが求められており、果たすべき役割を明確にすることが重要です。また、救急医療、周産期医療に代表される行政的な医療には一般会計からの支援も必要なことですが、同時に経営の効率化も求められます。
 都立病院では、今後変化する医療環境に的確に対応した良質な医療を提供することこそが重要であると思いますが、そのためにどういう取り組みが現在進められているのか、伺いたいと思います。

○藤田経営企画部長 副委員長ご指摘のとおり、都立病院は将来にわたり安定的かつ継続的に行政的医療を提供するといった基本的な役割を担っておりまして、限られた医療資源を有効活用した、効率的、効果的な病院運営が求められております。
 また、急速に進行する少子化、超高齢化社会の到来、将来的には人口減少社会の到来等の状況を踏まえ、都立病院が今後果たすべき役割、医療、臨床機能、それから規模の検討等が必要であるというふうに考えております。
 これらを検討いたしますため、専門家会議として設置をしております都立病院経営委員会の委員構成を拡充いたしまして、都立病院の基本的役割について、それから地域医療機関との協働について、それから経営力の強化についてなど、外部の専門家から意見を聞いているところでございます。
 今後とも、都立病院が都民ニーズに適切に対応した医療サービスを提供していくための検討を行う中で、また、並行して最もふさわしい経営形態についても検討してまいります。

○吉住委員 今回の陳情の中におきましては病院の経営形態だけが取り上げられておりますが、そのようなことではなく、地域において真に必要な医療が、安定した経営のもとで継続して医療が提供できるような十分な検討をして、あわせて、さらなる経営の効率化が図られるように要望したいと思っております。
 地方の方で、財政が逼迫したところが継続できないということになって、しかし、決めたところが住民投票になるですとか、そういうことがあってはならないと思っております。
 そういう意味では、これまでの努力を不断の努力として、今後も、経営形態に関しても医療の低下にならないように検討していただくことを要望しておきたいと思います。
 こうしたことから、今回提出された陳情につきましては反対の立場であるということを表明して、質問を終わりたいと思います。

○大山委員 私からも、都民のいのちを守り、災害に対応できる東京の医療を充実することに関する陳情の一番の項目について質疑します。
 この陳情は、次の陳情の一番の項目とも重なりますけれども、都立病院の地方独立行政法人化の検討を取りやめ、都直営で充実するということを求めています。都立病院を独立法人化しないで都立として充実させてほしいという請願陳情は、これまでも、この墨東病院の関係からも、これで三回目ですか。広尾病院の関係からも、昨年も出されています。それほど都民は危惧しているわけですね。
 この間、現場の実態を無視した効率化やコスト削減などが、さまざまな形で押しつけられてきました。平成十一年度の包括外部監査、初めての包括外部監査ですけれども、人件費がやり玉に上げられて、常勤医の人員削減、看護師や事務職員の給与減や医師の報酬減などが行われて、とりわけ産科、小児科の医師不足が深刻になって、墨東病院の、最後のとりでともいえる総合周産期母子医療センターで、直ちに重篤な妊婦を受け入れることができずに、妊婦さんが亡くなるという事例さえ起こってしまいました。
 同じ平成十一年度の包括外部監査で、委託契約について、給食調理委託、収納業務委託、中央滅菌材料室作業委託なども、毎年異なる業者にすることは効率性や正確性に問題が生じる可能性はあるが、経済性、効率性を担保する上で数年に一度の見直しが必要、こういう指摘がされました。
 これを受けて、基本は競争入札ということで、調理業務についても五年に一度は競争入札を行うことになったわけですね。広尾病院では、今年度からの給食調理業務委託が、競争入札によって、結局、価格の低いところが落札しました。入札経過調書を見ますと、今までの業者よりも一千万円も低い価格で落札しました。低価格が最優先されたことによって、いかに大変なことになったのかということなんです。
 結局、四月当初、定時に給食が出せずに、朝食はおくれる、そうするとまた昼食はおくれ、夕食が夜の九時過ぎになったりということで、糖尿病の患者さんなどは定時にちゃんと食事をしなければ、血糖値の関係もあるので、自分で食事に行ってもらったということなど、治療食であるにもかかわらず患者にも大きな影響があったわけです。献立を簡素化して、看護師さんも応援して何とか出したと聞いていますけれども、これは事実ということでいいですね。

○別宮サービス推進部長 広尾病院では、本年四月一日から給食調理の委託業者が交代したため、開始直後におきまして、定時配膳の遅延や献立を変更するなど、一部食事の提供に混乱が生じ、病院職員が支援したことがございました。
 この業者から契約に関する辞退届の提出がございまして、四月末日の履行をもって契約を打ち切っております。五月一日より別の業者が受託し、現在、安定的に給食の提供を行っているところでございます。

○大山委員 結局、今までの業者に業務委託をし直したということですね。
 広尾病院の栄養科というのは、広尾の島メニューとかいって、東京の島料理をもとに特別治療食を提供できるようにアレンジして好評を得ていたり、出産した方へのお赤飯など、本当に充実して、温かい給食で信頼を得ていたのに、その信頼も台なしになってしまったといえます。
 来年度に向けて、価格だけでなく、より総合的な評価で判断することが求められると思いますが、どうですか。

○別宮サービス推進部長 契約方式の改善に向けまして、治療の一環として位置づけられます病院給食の重要性に十分配慮した、よりふさわしい調理業務委託の発注方式のあり方につきまして、既に関係局と検討を開始しているところでございます。

○大山委員 コスト削減だけを優先したら大変なことになってしまうということが証明されてしまったということなんですね。
 こんな事態になっているのに、経営委員会では、相変わらずコストの削減が検討の一つの柱になっています。コストの削減だけを最優先するようなことがあってはならないと思います。まして命を預かっている病院ですから、コスト削減、効率化の--病院ですね。コスト削減だとか効率化、これの最たるものが独立行政法人化ではないでしょうか。
 経営形態の検討について伺いますが、平成二十年の第二次都立病院改革実行プログラムの一〇二ページに、独立行政法人についてメリットを挙げて、制度的には最も柔軟な経営形態となっている、こう書かれています。現在も、この考え方は変わりがないんでしょうか。

○藤田経営企画部長 第二次都立病院改革実行プログラムにもございますとおり、独立行政法人については、制度上、地方公共団体から独立した法人であり、自主、自律的な事業運営や独自の意思決定が可能、また、人事、給与、服務面において、病院の実情に見合った制度設定が可能であるところでございます。
 また、財務面におきましても、予算単年度主義の概念がないため、事業運営の機動性、弾力性が向上するなど財政や契約面で自由度が増し、より経済性を発揮できるなど、非公務員型の一般地方独立行政法人は、制度的には最も柔軟な経営形態というふうになってございます。
 なお、都立病院の役割は、都民の医療に対する期待にこたえ、より質の高い医療サービスを提供していくとともに、将来にわたり安定的かつ継続的に行政的医療を提供することでございまして、都立病院の基本的な役割を果たしていくことが経営形態の検討の前提であるというふうに考えてございます。

○大山委員 制度的には最も柔軟な経営形態なんだということは変わりないけれども、より質の高い、将来及び基本的に安定的に運営していかなきゃいけないということもあるんだということですね。
 同時に、同じ実行プログラムの次のページ、一〇三ページには、地方独立行政法人には以下の課題もありますとして五点の課題を挙げていますけれども、一つ一つの課題はどうなっているでしょうか。

○藤田経営企画部長 同プログラムに掲げてございます五点の課題についてでございますけれども、まず他の自治体の状況でございますが、これは先ほど来申し上げてございますけれども、総務省の、平成二十三年九月三十日時点の調査対象となる全国八百九十七病院のうち、現在六十病院が地方独立行政法人となっておりまして、その比率は約七%でございます。
 次に、二つ目の課題でございます。心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関、これを行うためには、非公務員型の地方独立行政法人は運営ができませんでしたけれども、この点につきましては、平成二十一年四月に、既に指定を受けた医療機関については非公務員型であっても開設者を国等とみなす旨の規定が設けられたところでございます。
 次に、財政面での二つの点の課題でございます。まず、運営費交付金の一律削減を課される例があることや、原則として法人独自で長期資金調達ができないという点については、現在も課題としては変わってございません。
 最後に、地方独立行政法人への移行に当たってはということでございますが、法人へ引き継がれる職員が安定した医療サービスを提供するために、職場環境の整備に配慮する必要があるという点は、現在も課題としては変わっていないというふうに考えてございます。

○大山委員 全国的にも、独立行政法人になる自治体立の病院は、予定を入れても、今おっしゃったように、わずか七%だということですから、全国的にも非常に慎重だということですね。
 財政面に係る二点、一律削減のおそれがあるとか、あと独自に資金調達できないというような、この財政面に係る二点というのは重大なんですよね。課題としていることは、国の独立行政法人の運営では、国の財政面からの効率化が前面に出ている例もあります。それが前面に出ているという例として、都の財政状況によっては影響を受けるおそれがあるということですよね。
 実際、国の財政面からの効率化でどうなっているかといいますと、毎年出されている独立行政法人国立病院機構の業務実績の評価結果では、総人件費を抑制するために、技能職の退職不補充、非効率病棟の整理集約、事務職の削減、給与カーブの変更などで、平成十八年度から二十二年度まで二百六十六億円削減しています。つまり人は減らす、もうからない病棟は廃止、統合するということが行われているわけですね。不採算部門こそ国が責任を持って提供しなければならないのに、それさえも投げ捨てているという状況になっています。
 そして、平成二十二年度の独立行政法人国立病院機構の業務実績の評価結果では、黒字経営の陰で、患者の目線に立った安全かつ良質な医療を提供し、国立病院機構に求められる役割を果たしていくためには、医師、看護師等の人材確保が必要であり、事務職やコメディカルの配置抑制が既に限界に達している、医療現場に対する総人件費改革の一律の適用はもはや困難であり、早期改善を望む、こう書いてあります。これは二十二年度のにも書いてありますし、その前の年のにも書いてあったし、その前の年のにも書いてあったんですよね。まさに人件費抑制は限界だということなんです。
 独立行政法人という一番の効率化を進めると、安全で良質な医療を提供することさえ困難になるという見本がここにあると思います。ですから、地方独立行政法人化についての検討はもう取りやめることだと思います。
 次に、ことし二月に開かれた経営委員会議事録には、各病院との意見交換、四月ぐらいをめどに経営委員会の先生方と委員長との意見交換をするとなっていますけれども、これはどうなっていますか。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 各都立病院長との意見交換についてでございますが、五月までに実施済みでございます。

○大山委員 院長先生からの意見交換は五月にしたんだと。院長先生の意見ももちろんなんですけれども、現場ではさまざまな専門職で成り立っているわけですから、現場の意見、これをきちんと聞くことが重要だと思いますが、この現場の意見はどう聞くんでしょうか。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 都立病院経営委員会は専門家会議として設置されておりまして、さまざまな立場の外部の方々からご意見を伺っているところでございます。
 各病院との意見交換に当たりましては、あらかじめそれぞれの病院におきまして、院長の適切なリーダーシップのもと、各部門の専門職との間で十分な意見交換や検討を行っていただいたものと理解しております。

○大山委員 なかなか大きな病院ですし、院長先生が全部把握するというのも大変なことなんですよ。ですから、きちんと院長先生の話を直接聞くのはもちろん必要ですし、それから現場のお医者さんだとか看護師さん、コメディカル、事務職などの意見も率直に聞くことが重要だと思います。
 そして何より、独立行政法人化については多くの都民の皆さんが心配をして、反対しているわけですから、この声をしっかり受けとめることが第一番です。ですから、この陳情は採択をすべきだということで、質疑は終了、終わりです。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、本件につきましては、福祉保健局所管分もございますので、決定は福祉保健局関係の審査の際に行い、現在のところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二四第三五号は継続審査といたします。

○吉田委員長 次に、陳情二四第三六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○藤田経営企画部長 それでは、資料、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の三ページをお開き願います。
 整理番号7、陳情二四第三六号につきましてご説明申し上げます。
 この陳情は、墨田区の、都立墨東病院を直営で存続させる会代表、安田茂雄さん外八千九百七十人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都立墨東病院において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 まず、第一項でございますが、東日本大震災の発生にかんがみ、災害拠点病院としての役割を果たすため、一般地方独立行政法人に移行せず、今後も現行の都直営で存続することというものでございます。
 次に、第二項でございますが、医師、看護師の欠員を一刻も早く補充し、医療の充実を図ることというものでございます。
 次に、第三項でございますが、産科一般、分娩の受け入れ体制を充実することというものでございます。
 最後に、第四項でございますが、差額ベッドの増床や料金の引き上げ、入院時預かり金など、新たな患者負担を拡大しないことというものでございます。
 現在の状況につきましてでございますが、第一項についてでございますけれども、都立病院がその基本的役割である行政的医療を将来にわたり安定的かつ継続的に提供していくためには、都立病院にふさわしい経営形態について検討していくことが必要でございます。
 第二次都立病院改革実行プログラム、計画期間、平成二十年度から平成二十四年度まででございますが、ここでは経営形態の変更について具体的な言及はしておらず、地方独立行政法人の制度上の課題や都立病院の運営状況を踏まえて詳細な検討を行うとともに、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は十分な検討を行っていくこととしております。
 次に、第二項でございますが、医師については、確保と定着に向けまして勤務条件の改善や福利厚生の充実を図ったほか、平成二十年度から東京医師アカデミーを開講し、若手医師の確保、育成に取り組んでおります。
 また、看護師につきましても、採用試験の簡素化を行うなど、その確保に努めるとともに、高度な知識、技術を習得する研修体系の整備や資格取得支援の取り組み、卒後臨床研修の実施などにより定着を図っているところでございます。
 続きまして、四ページをお開き願います。
 次に、第三項でございますが、墨東病院では、総合周産期母子医療センターとして、常時、母体、新生児搬送受け入れ体制を有し、母体の救命救急への対応、ハイリスク妊娠に対する医療、高度な新生児医療等を担っており、受け入れ体制のさらなる充実のため、産科医確保に努めております。また、休日、夜間に関しましては、地域の医師会の協力を得ながら受け入れ体制を整えております。
 さらに、院内では、入退院支援に係るコーディネーターや産科医療クラークを配置するなど、受け入れ体制充実に向けました取り組みも行っているところでございます。
 最後に、第四項でございますが、個室使用料を含む保険外併用療養費は、患者の受ける医療サービスの選択肢を広げるとともに、利便性を向上させるものとして診療報酬制度上認められているものでございます。
 都立病院では、厚生労働省告示に基づき、個室使用料など保険外併用療養費の徴収に当たっては、事前にサービスを希望する患者等に十分な説明を行い、患者自身の自由な選択と同意を書面等で確認し、患者サービスの向上に努めております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大山委員 質疑します。
 都立墨東病院を今後も都直営で存続させ、医療の充実を求めることに関する陳情ということですけれども、地域の皆さんの願いは、墨東病院は都立のまま存続して医療の充実をしてほしい、この熱い思いなんですね。それは、今回、署名の数を見ますと八千九百七十人、過去の二回合わせますと、延べ約三万四千筆というんですね。ですから、これらに込められた思いというのは重く受けとめてもらわないと困ります。
 墨東病院は、そのホームページで、病院の特徴として、区東部医療圏において最大規模の都立総合病院であり、三次救急医療を含む東京ER・墨東や、周産期医療など複数のセンター的医療機能を担い、区東部保健医療圏を中心とする区部を対象に、基幹的な医療機関としての役割を果たしていますと、こうあります。このように、区東部保健医療圏での基幹病院として、都立墨東病院があります。それは墨東病院の沿革というので述べているように、墨東地域における唯一の公的医療機関として開設され、現在も安心してかかれる都民の病院です。
 墨東病院は、最新の数字を見ましたら、外来患者八一%が江東、江戸川、墨田の東部地域の三区ですね。入院患者が七五%、その三区で占めます。つまり、陳情者の方々は、地域の医療のとりで、住民の命綱となっていると話されておりました。だからこそ、都立で東京都が果たしてきた役割を、引き続き責任を持ってやってほしいというのが都民の皆さんの願いなわけです。
 この陳情にもあるように、災害との関係でも、災害拠点病院としての役割を果たす上でも、効率化を前面にすることは心配があります。
 例えば、都立病院経営委員会が二月に出した中間の検討報告には、医薬品、診療材料の見直しや在庫管理手法、医薬品、診療材料定数の見直しなど着実な取り組みを積み重ねていくことが重要であると、こうあります。
 東日本大震災でも、医薬品や診療材料の不足というのは非常に深刻だったわけですね。コスト削減だけを先行させては、災害時対応はできないわけです。震災時に供給するようにといっても、交通も混乱することは必至ですから、それぞれの病院で十分な医薬品や診療材料があることが必要です。大震災時には、平常時の最低限の在庫では対応できないと思いますが、どうなっているんでしょうか。

○藤田経営企画部長 委員ご指摘の冒頭の部分でございますけれども、都立病院経営委員会の中間報告では、経営力の強化ということの中で、日常の病院運営にかかわるコスト削減の取り組みが重要であるというようなことで、ベンチマークによる新たなコスト削減、あるいは余分な在庫を持たないというようなこと、あるいはDPCデータを活用してそういった分析を行うべきであるというようなことが報告されているところでございますので、委員のご指摘のとおり、災害時の医療等についてご指摘をいただいたものではないというふうに思ってございます。
 災害時の医薬品の確保の状況でございますけれども、都立及び公社病院におきましては、災害時には院内在庫を優先的に使用する、あるいはランニングストック方式によりまして、最低三日分の医薬品や診療材料を備蓄しているところでございます。
 また、首都直下地震のような大規模な災害時には、都では、地区薬剤師会との連携のもと、被災地内の区市町村に医薬品ストックセンターを設置することを地域防災計画上定めてございます。また、さらに不足する場合には、そこから供給を受けることを想定しているというような状況でございます。

○大山委員 院内在庫を最低三日分ということなんですけれども、さっきもいいましたけれども、東日本大震災では、かなり医薬品、診療材料、厳しかったということを考えますと、本当にそれでいいのかということも含めて、どの程度必要なのかということ、それから、交通はほとんど麻痺状態であろうということも含めて、どの程度必要なのかということも含めて、今後も検討してほしいと思います。
 先ほど述べました平成十一年度の初めての外部監査で、人件費が高過ぎるとやり玉に上げられて、とりわけ産科、小児科の医師を初めとする急激な人材不足は深刻でした。つらい経験からも学び、回復してきたわけですけれども、墨東病院のホームページに、職種別の定員と現員が掲載されておりまして、助産師の定員が四十五名で現員が三十九名、六人の欠員だというふうになっていました。
 周産期医療センターであります墨東病院の助産師が六名欠員になっているということは、これ、深刻なんですけれども、ホームページの時点もあるんでしょうけれども、現状はどうなっていて、今後の確保の展望はどうなっていますか。

○藤田経営企画部長 委員ご指摘の数値につきましては、平成二十二年度の定数の状況のお話かと存じますけれども、その後、取り組みをいたしまして、墨東病院の平成二十四年度の助産師の定数は四十六でございます。五月一日現在、直近の現員でございますけれども、常勤職員四十三名、再任用短時間職員二名で、合計四十五名となってございます。
 助産師の確保につきましては、高度な知識や技術を取得する研修体系の整備、あるいは看護師として採用された職員が助産師資格を取得し、助産師となるための支援を行うなどの取り組みを、引き続き行っているところでございます。

○大山委員 ホームページで今出ている時点よりは確保は進んだということですけれども、二年間かかって、短時間職員も含めて、まだ定員を満たしていないというわけですから、産科一般、分娩の受け入れの体制を充実するためにも、引き続き努力してほしいと思っていますし、医師の定数が今年度百六十人になったけれども、百五十一・五人というのが現員だということですけれども、これについても本当に人材養成を含めて努力をしてほしいと思います。
 安心してかかれる病院というのは、経済的な負担についても安心できる病院ですね。都立病院での、差額ベッドを徴収する、いわゆる特別療養環境室のベッド数の実数と割合は、平成二十年度と今年度を比べるとどうなっていますか。

○別宮サービス推進部長 都立病院におけます特別室の病床数と総病床数に占めるその割合でございますが、平成二十年度と二十四年度ということでご質問でございますが、平成二十年度は四百五十四床で八・四%、平成二十四年度は四百六十四床で九・三%となっております。

○大山委員 四年間で十床ふえて、約一%の増加だということですから、じわじわふえているというところでしょうか。これが独立行政法人になると、収益の向上ということで、患者の負担増は大変なことになっています。
 二〇一〇年に独立行政法人になった国立国際医療研究センター、分娩料や新生児介補料も上がりました。紹介状がなかったら、五千二百五十円が必要です。都立病院は千三百円ですよね、今もね。
 病院の改築をきっかけに、差額ベッドの割合が、改築前は一三%だったんですが、改築後は約四割が、国立国際医療研究センターは差額ベッドになってしまいました。料金表を見ますと、一番高いところが、何と一部屋一日十四万円なんです。収益の向上というと、こういうことになっちゃうんですよね。
 ところで、よくトラブルになるのは、救急で搬送されても、この病室しかありませんといわれて、あれよあれよという間に同意書にサインして、高い差額ベッド代を払わざるを得なかった、こういうことが結構あるんですね。都立病院や公社病院は、特別室しかあきがなくて治療上必要な場合や、病棟の管理上の必要から患者の選択によらず特別室になった場合など、患者の自由な選択による同意がない場合は、特別室に入っても差額ベッド料を取っていないと思いますけれども、それでいいですね。

○別宮サービス推進部長 患者の自由な選択による同意がない場合は、特別室料は取れないものでございます。

○大山委員 引き続き、ここしかあいてないなどと、あいまいなまま差額ベッド料を徴収するようなことはないよう厳格に守っていただきたいと思います。
 ところで、公社病院の公社活性化プランⅢ、第三次中期経営計画なんですけれども、二十四年の三月、ことしの三月に出しているものです。この中で、未収金発生防止の徹底として、保証金制度の導入、有料個室患者などを対象に入院保証金制度の導入を図ります、こう書いてあって、今年度からこれは実施しているんでしょうか。

○藤田経営企画部長 東部地域病院におきまして、有料個室を希望された方に室料のみ五日分を入院の際にあらかじめお支払いいただくという仕組みを、本年四月から試行ということで、試みの実施でございますけれども、始めているところでございます。
 四月の実績では二十四件となっており、支障なく手続をしていただいているというふうに聞いております。

○大山委員 入院保証金を取るというのは、初めてのことですよね。
 例えば、分娩料の値上げのときは、公社病院から先に値上げをして、その後、都立病院も値上げをしました。都立病院の果たす役割からいっても、保証金制度は導入するべきではないと思いますけれども、どうですか。

○別宮サービス推進部長 入院保証金につきましては、入院保証金そのものが未収になった場合への対応や、また、未収金発生抑制の効果などを検証する必要があるというふうに認識しております。

○大山委員 未収金問題では、経済的な問題で払いたくても払えない、さまざまな事情もあります。国民健康保険料は値上げが続き、東京社会保障推進協議会の調査では、収入は減ったのに保険料が上がった世帯が四六%に上っています。お金が心配で通院回数を減らしたということなど、受診抑制も起きているんですね。
 都立病院の役割は、経営委員会の中間のまとめの報告にあるように、都立病院の基本的な役割として、行政的医療の提供という役割は、やはり今なお非常に重いというふうに考えております、こう引き続き求められていることですね。つまり、経済的に困難であっても受診抑制が起きないようにするために、都立病院の果たす役割は大きいわけです。
 都内四十七カ所の病院などが実施している無料低額診療事業の役割は重要です。
 実施している病院でお話を伺いましたけれども、ぐあいが悪くても病院に通うお金がなくて、無料低額診療でやっと医療に結びついた方がたくさんいる、最近は若い人もふえているとのことでした。地域におけるセーフティーネットの役割を果たしていますと話しておられました。むしろ、無料低額診療事業を都立病院や公社病院でも実施できると思いますが、いかがでしょうか。

○別宮サービス推進部長 無料低額診療事業は、社会福祉法に基づく社会福祉事業として位置づけられておりまして、その実施につきましては、都立病院や公社病院の役割や経営に与える影響、地域医療機関との医療連携のあり方や機能分担、また加えて、国の動向など、さまざまな課題があると認識しております。

○大山委員 無料低額診療事業は、社会福祉事業ですよね。そういう位置づけですから、社会福祉法人の病院が実施すれば、固定資産税の免除があります。しかし、今、医療法人の病院も、この無料低額診療に踏み出しているんですね。それは経済的な理由で医療にかかれない患者をなくしたい、そういう思いからです。都立病院、公社病院が率先して実践することこそ求められているんではないでしょうか。
 最後に、確認しておきたいんですけれども、墨東病院の非常用の自家発電、津波の心配がある地域なのに地下にある設計ですけれども、屋上にも自家発電装置を設置するということでいいわけですよね。ちょっと確認だけ。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 墨東病院で現在進めております増築棟では、東日本大震災の教訓を踏まえまして、災害対応能力を増強させるため、建物上部に発電機を設置する予定となっております。

○大山委員 わかりました。
 ということで、この陳情も採択することを求めて、終わりにします。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○吉田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二四第三六号は不採択と決定いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 議事の都合により、五分間休憩をさせていただきます。
   午後二時五分休憩

   午後二時十分開議

○吉田委員長 では、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長より紹介があります。

○杉村福祉保健局長 それでは説明に先立ちまして、このたびの人事異動によりまして、当局幹部職員の交代がございましたので、新任幹部職員を紹介させていただきたいと存じます。
 特命担当部長の清古愛弓でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、指導監査部長の松浦和利は、本日、病気療養のため、委員会を欠席させていただくことをご了承をお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○吉田委員長 紹介は終わりました。

○吉田委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○杉村福祉保健局長 平成二十四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明を申し上げます。
 今回、ご審議をお願いいたします議案は、条例案五件でございます。
 お配りいたしました資料は、平成二十四年第二回東京都議会定例会条例案とその概要でございます。
 それでは、平成二十四年第二回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例でございます。
 昨年四月に成立いたしました、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律、いわゆる第一次一括法の施行による介護保険法の改正に伴い、指定介護療養型医療施設の人員や設備、運営に関する基準を都道府県が条例で定めることとされたことを受けまして、条例の新設を行うものでございます。
 本条例は、平成二十四年八月一日から施行することとしております。
 次に、整理番号2、東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例から、整理番号3、東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例及び、二ページに参りまして、整理番号4、東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例までの三条例につきましては、介護保険法施行規則等の一部を改正する省令の施行による関係省令の改正に伴いまして、療養病床等の転換に係る経過措置の期間を延長するなどのほか、所要の規定整備を行うものでございます。
 施行の日でございますが、いずれの条例も、公布の日から施行することとしております。
 最後に、整理番号5、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例につきましては、介護保険法施行規則の改正等に伴いまして、介護サービス情報調査手数料に係る介護サービスの区分を改めるものでございます。
 本条例は、公布の日から施行することとしております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十四年第二回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○吉田委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二四第二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○浜企画担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願二四第二号、公的年金の改悪に反対する意見書の提出に関する請願は、豊島区の全日本年金者組合東京都本部委員長、金子民夫さん外二十九名から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、地方自治法第九十九条に基づき、公的年金の特例水準解消、二・五%削減を行わないことを求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 年金額は、現在、原則として毎年度、物価や賃金の変動に応じて自動改定する仕組みとなっています。
 しかし、平成十一年から十三年に物価が下落した際、本来であれば、平成十二年度から十四年度の年金額は三年間の累計で一・七%の引き下げとなるところ、当時の厳しい社会経済情勢のもとにおける年金受給者の生活の状況等を考慮し、特例的に年金額を据え置く措置、物価スライド特例措置が講じられました。
 この特例措置により、実際に支払われる年金額は、本来より高い水準となったため、平成十六年の法改正において、この特例水準について、賃金、物価の上昇に伴って解消する措置が講じられました。その後、賃金、物価の下落傾向が続いていることにより、年金の本来水準と特例水準との差は縮まらず、平成二十三年度現在、両者の差は二・五%となっています。
 平成二十四年二月十七日に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱においては、年金に関する現行制度の改善の中で、物価スライド特例分の解消として、かつて特例法でマイナスの物価スライドを行わず年金額を据え置いたこと等により、二・五%、本来の年金額より高い水準の年金額で支給している措置について、早急に計画的な解消を図るとされており、平成二十四年度から二十六年度の三年間で年金額を引き下げる法案が、平成二十四年通常国会に提出されています。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大山委員 質疑します。
 この請願は、特例水準解消、二・五%削減を行わないように意見書を出してほしいという内容です。
 今の説明にもありましたように、平成十一年から十三年に物価が下がったが、当時の厳しい社会情勢のもとにおける年金受給者の生活の状況等を考慮し、据え置いたということなんですね。このことは、五月三十日の国会でも、物価下落時に、厳しい社会情勢や年金受給者の生活に配慮して年金額を据え置いたのが始まりというふうに、小宮山厚労大臣は答弁しています。
 この出発点が重要だということなんですね。年金生活の高齢者は、この間も年金額は下げられ、天引きされる介護保険料、国保料、後期高齢者医療保険料は、ことしも値上げです。毎年出ている、平成二十三年度、「都民のくらしむき」の調査では、無職高齢者世帯、つまり年金ですね、多分ね--無職高齢者世帯は、収入より支出が上回り、預金の取り崩し等によって補われているものと考えられる、こうなっています。
 年金生活者の、とりわけ国民年金生活者の生活実態をどう認識しているんでしょうか。

○浜企画担当部長 高齢者の方の生活実態はさまざまでありまして、個々の方の所得や健康の状況に応じて、例えば、要介護高齢者の方には介護保険制度、病気の方には医療保険制度で対応するというように、それぞれ制度の中で、必要に応じて、減免等の制度も含めまして必要な対応を行うというのが社会保障制度全般の基本的な考え方でございます。
 年金を含めた社会保障の制度は、給付と負担のバランスも含めまして、基本的に国の責任で対応すべきものでございます。

○大山委員 高齢者の生活実態がかなり厳しくなっているというのは、東京都の調査でも明らかになっているわけですよね。それから、高齢者の生活実態、とりわけ都内の高齢者が受給している国民年金の平均額というのは、月額五万四千二百六十一円です。全国の都道府県で二十七位、つまり平均以下なんですね。一九九九年には、少ないながらも全国平均額は上回っていて、全国で六位でした。
 また、高齢者の所得については格差が大きいというのも周知のとおりで、所得格差を見るジニ係数を見ますと、他の年齢層に比べて、六十歳以上は所得格差が大きいです。とりわけ七十五歳以上だと、平成二十年は十四年や十七年より格差がより大きくなっています。収入がより低くなっている方も多くなっているということですね。
 さっき、特例水準をどうして設定したかといったら、平成十一年から十三年に物価が下がったけれども、社会情勢や年金受給者の生活に配慮して据え置いたんだというわけですから、七十五歳以上で、平成二十年は十四年や十七年より格差が大きくなっているわけですから、当然配慮しなきゃいけないわけですよね。
 しかも、二・五%というのは十年をかけて生じたものです。それを三年間で解消するというのは、力ずくでやるようなものです。所得保障は基本的に国の責任ということで、いつもいいますけれども、都民の暮らしはそれでは守れないわけです。
 高齢者は年金をもらい過ぎだということなんですけれども、この間も高齢者は負担増を強いられてきました。平成十六年、政府が、基礎年金の国庫負担二分の一の財源だといって、年金課税強化と定率減税の縮減、廃止で二兆六千億円、また、公的年金控除の見直しによる増収、老年者控除廃止による増収は合わせて二千四百億円です。十年間で総額二十兆円、年金世帯には二兆四千億円以上もの増税を強いてきたと。しかも、これらの増税も、結局、基礎年金に使われず、流用した上、五月三十日の国会では岡田副総理が、財源をきちんと確保できていなかったので、今回、消費税を充てるなどと答弁していますけれども、全くひどい話です。
 厚労省のホームページで、プレス発表文書の中に、日本の高齢者でも低所得や自己負担率が受診抑制と関連という論文が載っていました。それは、所得百六十万円未満の低所得者ほど、費用が原因で受診抑制になっているということが明確に出ています。年金を削減すれば、それ以上に深刻な影響が出ることは明らかだと思います。
 したがって、請願は採択をして、都議会としてみんなで国に意見書を出しましょうということを呼びかけて、終わりにします。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○吉田委員長 起立少数と認めます。よって、請願二四第二号は不採択と決定いたしました。

○吉田委員長 次に、請願二四第三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中川原医療政策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2番、請願二四第三号、看護師等の大幅増員と夜勤の改善で安全・安心の医療・介護を実現することに関する請願は、台東区の東京地方医療労働組合連合会代表、岡本学さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、次の三点について、国に対し意見書を提出していただきたいというものでございます。
 第一に、看護師など夜勤交代制労働者の労働時間を一日八時間、週三十二時間以内とし、勤務間隔を十二時間以上あけること。
 第二に、医療、社会保障に関する予算を先進国、OECD加盟国並みにふやし、医師、看護師、介護職員等を大幅にふやすこと。
 第三に、国民、患者、利用者の負担を減らし、安全・安心の医療、介護を実現することという三点でございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 第一についてでございますが、我が国におきましては、看護職員を含めた労働者の労働条件は労働基準法により定められており、労働時間に関しては原則として一週間について四十時間、一日について八時間を超えないこととされております。
 第二、第三についてでございますが、医療、介護を含めた社会保障制度の枠組みについては、社会経済状況の変化を踏まえ、負担と給付のバランスに考慮して、国において定めるべきものでございます。
 都におきましては、医師、看護師、介護職員等の医療、介護サービスを担う人材確保のため、育成研修や資格取得、復職支援等のさまざまな事業に取り組んでおります。
 また、国に対しまして、看護職員の確保、定着に向けた十分な財源確保、小児科など不足する分野の医師の早急な確保や勤務環境改善に向けた診療報酬の一層の充実、介護職員の育成、確保や専門性向上のための支援強化など、実効性ある総合的な対策を講ずるよう提案要求を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大山委員 昨年も、看護師の大幅増員と夜勤の改善の内容で請願が出されています。昨年、福祉保健局の答弁では、看護師の労働実態について、都は調査していないけれども、就業規則や職員の一週間の勤務時間などについては確認しているということでしたが、依然として看護師は不足しています。
 昨年の大規模な調査で、看護師の健康破壊が進んで、母性保護に関しても、切迫流産や流産を初め、母性が守れない職場になっていることが明らかになったことを指摘しましたけれども、東京都は、母性保護、母性健康管理は労基法や男女機会均等法で守られていると考えている、こう答弁して、全く実態を見ようとしないものでした。
 その厚生委員会が昨年の六月十五日でした。その二日後の六月十七日に、厚生労働省は、各都道府県知事あてに、五局長連名で、看護師等の雇用の質の向上のための取り組みについてという通知を出しました。この通知は、厚労省内の局が横断的につながったこと、看護職種に絞った内容になっていることなど、画期的なものとなっています。
 通知は、結婚、出産、育児など生活上の理由と、超過勤務が多い、休暇がとれないなど業務の過重性を理由に、年に十二万五千人の看護職員が離職していることを指摘して、働き続けられる具体的な対応策をとるように求めています。
 看護師を志して、学校にも行って、国家資格を取得しても、働き続けられないということは、本人もそうですけれども、社会にとっても本当にもったいないことだと思います。
 通知は、職場づくり、人づくり、ネットワークづくりの三点からの取り組みを示して、職場づくりの中では、長時間労働、勤務時間、間隔時間の改善を求めています。
 都知事あてに出された通知ですが、この通知を受けて、都としてはどのような取り組みをしているんでしょうか。

○中川原医療政策部長 都はこれまで、平成二十三年度から二次保健医療圏に設置いたしました就業協力員が中小病院を巡回訪問いたしまして、看護職員の確保や定着に向けた勤務環境の改善を支援するほか、新人研修体制の充実について助言を行っております。
 また、今年度から、東京労働局の労働時間に関するコンサルタントとも協力して、その取り組みを強化しております。
 さらに、東京労働局が主宰する看護師等の雇用の質の向上に関する委員会に参加いたしまして、研修会の企画等を行うなど、労働行政との連携に取り組んでおります。

○大山委員 労働行政と連携をとるということですね。
 通知は、看護師等の勤務環境の改善を図り、看護業務が就職先として選ばれ、健康で生きがいを持って能力を発揮し続けられる職業となることを進めるためには、医療行政と労働行政が共通認識を持ち、関係者がそれぞれの立場で、勤務環境の改善等に向けて可能なものから取り組んでいく必要がありますと述べています。福祉保健局は、労働行政ではないからなどといわないで、今のように、きちんと労働行政とも連携をとりながら、しっかりとやってもらいたいと思います。
 夜勤ですけれども、夜勤は有害業務だとして、諸外国ではILO夜勤条約やEU労働時間指令などに基づいた規制が行われて、労働者の健康と生活を保持しています。しかし、日本ではILO条約の批准もしていない、おくれた状況です。それだけに、都議会が患者、利用者の安全と、看護師などの健康を守るために、国に対して意見を上げていくことは重要です。
 日本医労連は、毎年、夜勤実態調査を実施しています。この調査では、二交代夜勤が増加傾向にありました。厚労省の調査でも、二交代夜勤のうち、看護要員の六四%は十六時間以上の長時間夜勤となっています。
 三交代勤務でも、夜勤でも、月九日以上の夜勤を行っている看護職員は二六・二%、四人に一人以上が月に九日以上の夜勤をやっているわけですが、月に八回というのが、そこまでですよというのが通常ですが、九回というと、八回だと週に二回夜勤だけど、九日以上となると、週に三回夜勤をするということも出てくる、三回以上ですよね。だから、一日置きにやる週もあるというような状況です。
 このような夜勤勤務状況の中で、健康破壊と母性さえも守れない状況が続いています。通知にあるように、労働行政と認識を一致させながら、働き続けられない状況を改善することに全力を尽くしてもらいたいと思います。
 同時に、看護師の圧倒的な増員が切実に求められています。看護師の需給状況について、平成二十三年の時点では、全都で二千六百人の不足、二十七年の需給均衡を目指すというわけですけれども、その見通しと実際の到達はどうなっていますか。

○中川原医療政策部長 都はこれまで、看護師の養成、定着、再就業を施策の柱に、総合的な看護職員の確保に取り組んでおります。
 都内におきましては、看護師養成所等の卒業生は、平成二十二年度で約四千八百人であり、近年増加傾向にございます。
 また、離職者や潜在看護師が多いことから、都は、定着と再就業に重点的に取り組んでおります。
 平成二十三年度から二次保健医療圏ごとに配置いたしました、先ほど申し上げた就業協力員によります中小病院の看護師職員の確保や、定着に向けた取り組みへの支援、身近な地域の病院での再就業研修や相談を実施した結果、昨年度は、再就業研修を受講した約三百六十人のうち、約半分が再就業を果たしております。
 さらに、今年度からは、新たに就職相談会を開始し、看護師確保を一層支援してまいります。
 こうした取り組みにより、平成二十七年度の需給均衡を目指してまいります。

○大山委員 平成二十七年度の需給均衡を目指すということですけれども、いつも需給計画どおりに充足されたことがないですよね。需給計画があって、それで実際の供給は常に下回る、平行線がこの間も続いてきたのが現状です。
 にもかかわらず、看護師確保の柱の、先ほどの養成、定着、再就業ですけれども、その養成については、この間、看護学校の統廃合を進めて、平成十一年度には十一校あった都立看護専門学校を、現在は七校にしてしまいました。養成人数も、三年課程、二年課程を合わせて千二百七十人だったのに、今では五百六十人です。東京都はまずこのことを反省しなければならないと思います。切実に求められている看護師の養成が柱と認識されているわけですから、必要なら、看護専門学校を増設することも含めて力を入れることを求めておきます。
 この請願については採択を求めて、終わりにします。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○吉田委員長 起立少数と認めます。よって、請願二四第三号は不採択と決定いたしました。

○吉田委員長 次に、請願二四第四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○芦田障害者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3番、請願二四第四号、身体障害者手帳交付に該当しない中等度難聴児に対する補聴器購入費用等助成に関する請願は、千代田区の日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会会長、荒牧元さん外九千八百四十二名の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、身体障害者手帳交付に該当しない中等度難聴児に対して、補聴器購入費用等の公的助成制度を創設していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、難聴は、耳の聞こえの程度により、重度、中等度、軽度に分類され、一般的には両耳の聴力レベル、聞き取れる最小の音が七十デシベル程度以上が重度、五十デシベル程度が中等度、三十デシベル程度が軽度といわれています。
 そのうち、七十デシベル以上の重度難聴児は身体障害者手帳の対象となり、手帳の取得により、障害者自立支援法による補装具費支給制度を利用することができますが、中等度難聴児に対する国の公的助成制度はございません。
 都が、ことし二月に道府県及び政令指定都市に対して行った調査によれば、平成二十四年度は十府県十政令市が、身体障害者手帳の対象とならない難聴児に対し、独自に補聴器購入費用を助成しています。また、都内では千代田区及び大田区が助成しています。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○斉藤委員 それでは、確認で何点か伺います。
 実際に、このような請願の内容の場合の、請願の人たちに支援を行う場合に、この件名にありますような手帳交付に該当しないというところが、非常に支援のハードルになるんじゃないかと思うんですけれども、どのような手法ならば支援できる可能性があるというのか、シミュレーションで結構ですので、東京都の見解を伺いたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 今回、請願として提出されました身体障害者手帳に該当しない中等度難聴児に対する補聴器購入費用等助成につきましては、先ほどご説明いたしましたとおり、国の公的助成制度はございませんが、一部の自治体で独自に補聴器購入費用を助成しております。子どもの聴覚障害をそのままにしておくと、言語の習得におくれが生じる、発話能力や言語の理解力、表現力の発達がおくれるなどの影響が生じるといわれておりまして、今後、助成を実施している自治体の状況等を把握し、支援について検討していきたいと考えております。

○斉藤委員 それでは、子どものこういうような聴覚障害については、早期に発見して、適切な支援を早期に始めることが、子どもの言語発達にとって重要だというふうに思います。しかしながら、子どもは成人と違って、障害があっても自発的な訴えをするというような期待がなかなか持てませんので、この子どもの聴覚障害の早期発見のための取り組みについて、これをお伺いします。

○桃原少子社会対策部長 区市町村におきましては、三、四カ月や一歳半などの時期に乳幼児健診を実施しておりますが、この中では、月齢や年齢に応じた音への反応について、保護者への問診や子どもの診察などを行うなど、聴覚障害の疑いのある子どもを早期に発見する場として大きな役割を担っております。
 また、あわせて母子健康手帳等に子どもの聴覚に関して記載することによりまして、保護者に対し、日ごろの子どもの様子から気になることがあれば保健機関などに相談するよう呼びかけております。これらの乳幼児健診の結果や保護者の相談内容から、聴覚障害が疑われる場合につきましては、保健機関から専門の医療機関での精密検査へつなげているところでございます。
 都といたしましては、子どもの月齢や年齢に応じた子どもの聴覚の発達状態をわかりやすく記載したリーフレットの作成などを通じまして、区市町村の取り組みを支援しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。ぜひ健診の方をしっかり、また、細かく、精度を高くできるように、区市町村への支援も本当にお願いいたします。
 今の二点の確認を受けて、一言申させていただきます。
 今回、中等度ということで、私も、実際これを研究されていて、なおかつ請願にもかかわられている方、医療機関の関係者の方にお話を伺ったところ、年齢が上がるにつれて、周囲とのコミュニケーションが難しいために、学習はもちろん友人関係や生活全般の不自由というものが出てきて、これは場合によっては孤立やひきこもり、または周囲から知的に障害があるのではないかというふうな誤解とか、少し大きくなれば、就労の困難、場合によっては生活のしづらさから、うつになってしまうような例もあるというふうに聞いています。
 この難聴というものについては、別の原疾患の併発で出るというのもありますし、または別の疾患の薬物治療のときの副作用など、患者の障害が難聴単独であるとは限らない例が多いことも、患者や家族の負担が大きいというものにつながってくるそうです。また、特に別の疾患や障害に併発した例なども含めて、障害への対応の意見の相違から親が離婚をしてしまい、母子家庭になっているケースというのも時々あるため、経済的苦境に立っているという家庭もあるというふうに聞いております。
 そういう意味では、この数十万円の負担というものが、家庭によっては大変重いために、適切な時期に補聴器購入を見送る人がいるとも聞いています。一時的な購入のおくれが生活困窮の固定化につながるとしたら、大変もったいない話です。また、このようなものが早期に発見できれば、ちょっとした支援の後押しで自立できるということで、残念な事例にならないためにも、すき間を埋めるような制度が必要かと思います。
 ちなみに、都議会民主党の方では、東京都の補聴器の購入補助については賛成するものではありますが、加えて課題として、東京都にとどまらず、こういった難聴の当事者にとっては同様の課題が全国的にもあるというふうにとらえておりますので、こういった医療関係者からの聞き取りを踏まえて、手続窓口の面では地方自治体の協力というのは必要になるかというふうに思っておりますけれども、国に対して、補聴器購入の支援並びに早期に補聴器を装用しないまま学齢期を迎えた子どもにも適切な支援が行われるよう、難聴児の言語発達の実態を把握し、その対応策を検討するようにという趣旨の内容で、要望書を既に野田総理大臣、さらに小宮山厚生労働大臣、平野文部科学大臣あてに作成して、特に厚生労働大臣につきましては、会派の議員団で直接届けたところであります。
 最後に、この聴力障害のほか、視力障害や発達障害などにおいても、早期発見とその後の適切な対応に、一時的にはお金がかかっても、将来自立できるように投資をしていくことで、生活のしづらさが軽減でき、自立が可能になっていくというふうなケースが多いというふうに考えておりますので、東京都としても、今後、早期発見のための健診事業のほか、教育庁とも連携をして、学習環境、もしくは生活支援といった部分について整備をしていくことを最後にお願いして、私の方からの質問は終わります。

○野島委員 簡単にお伺いいたします。
 今ほど、斉藤委員の質疑とやりとりの中で、根幹の部分は理解をいたしました。どのくらい難聴児がいるのかということは、これは手帳がない限り--手帳があれば受けられるということなので、その他ということで、これはもう推計しかないだろうというふうに、推計というか、推測しかないので、この辺の答弁は結構でございます。
 ただ、この請願の代表者が、東京都地方部会、耳鼻咽喉科の専門的な知見を持った方だろうというふうに思っておりますし、私どもの幹事長以下三役も署名しておりますので、ちょっと入れ込んで、この施策を実現していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 実は私も中途失聴者なんです。左耳の聴力ゼロなんですよ。これは突発性難聴というやつに三十六歳のときにかかりまして、発見がおくれたものですから、聴力がゼロになっちゃったんです。聴覚神経までやられちゃっていますのでゼロなんです。したがって、私は補聴器をつけてもこっちは聞こえないんです。
 ただ、人間の音というのは体から受ける部分があって、聴覚神経は二本ありますから片一方にいくということで、別に生活上の支障はないんですね。ただ、これにかかったときに一番つらかったのは、バランスが狂うんですね。もう三十六歳ですから、言語は習得は一応していた、それにしては話がへたなんで、習得し切れてなかったのかと思いますけれども、それは無理なんですね。どんな状態になっているかといいますと、体のバランスが狂うものですから肩凝りがすごかったです。
 あとはコミュニケーションがやっぱり不足、不足とはいわぬですな、うまくとれないんですね。例えば、こっち、今、柳ヶ瀬委員が座っているけれども、大山さんが大きい声で話しているときはわかるんですよ。ひそひそ話はまずこっちは聞き取れない。そういうことですね。だから、したがって、私はいろいろな生活の中で気をつけているのは、悪い話とか難しい話はこっちの失聴しちゃった方の左側でやってくれよと。話を聞かなくて済みますから。いい話とか、得になる話はこっちでしっかり聞きますよと、こういうふうに生活を、生活というか、聴覚機能を分けて使っている。そんなことはどうでもいいんです。どうでもいいんですけれども。
 やっぱり、特にこれは小さいお子さんですと、その辺をうまく表現できなかったり、やっぱり言語能力を高めていかなきゃいけない大事な時期に、本当、つらいと思います。両方ならば両方に補聴器を入れればいいし、聴覚障害かどうか、それがどういうふうな状況の中で、どうなっているかわかりませんけれども、やっぱり聞けるにこしたことはないと思います。補聴器もこのごろ物すごく、ピアス型のやつがあったり、いいやつがあるらしいので、余り気にせずにつけられるというところがあるようです。
 それで、先ほどの早期発見、子どもに何デシベルという、難聴のときに検査しますけど、僕ら大人なら比較的聞こえる、聞こえないがあるんですが、やっぱり子どもはなかなか難しいと思うんですね。だけど、いろいろな方法で早期発見できるというふうに先ほど伺いましたし、それによって、この補聴器をつけることによって、難聴児の言語の発達に資するようになれば、これにこしたことはないので、ぜひこういったふうな難聴児の言語の発達を支援するため、この請願の趣旨に沿って支援をしていくべきだろうと、こんなふうに思うんでありますけれども、その辺の見解をお伺いしておきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 子どもの聴覚障害をそのままにしておきますと、言語の習得におくれが生じる、発話能力や言語の理解力、表現力の発達がおくれるなどの影響が生じるといわれております。また、都が道府県及び政令指定都市に対して行った調査によれば、平成二十四年度は十府県十政令市におきまして、手帳の対象とならない難聴児に対し、独自に補聴器購入費用を助成しており、都内では千代田区と大田区で助成をしております。
 早期の補聴器使用、療育の開始が、難聴児の言語発達に効果があることもわかってきており、難聴児やその保護者に必要な支援につきまして、他の自治体等の状況等も踏まえて、今後検討していきたいと考えております。

○野島委員 じゃあ、どうぞよろしくお願いいたします。
 あと一個、余計なことなんだけれども、人間の体というのは不思議なもので、僕はこっちが聞こえないものですから、こっちの耳が聞こう、聞こうとするんですね。そうするとこっちの耳が立ってくる。
 以上、現実に失聴した者の立場をお話し申し上げて、ぜひ子どもたちを救っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしまして、終わります。

○大山委員 今、お二人からるるあったわけですけれども、二〇〇四年には、先天性もしくは幼少期から難聴がある場合、軽、中等度難聴であっても、言語発達や学業、さらには情緒発達にまでも深刻な問題を与えることがあるという報告がありました。
 事例研究は少ないんですけれども、軽、中等度難聴児への補聴器の適用に関する事例研究というのがありました。対象児が四名といって少ないんですけれども、全員が補聴効果を示して、小さい音を聞き取ろうとする姿勢や、全員が聞き違いや聞き返しが減ったというものでした。
 一口に軽、中等度難聴といってもさまざまですけれども、例えば、幼児期に、聞こえる友達とよくヒーローごっこをやるわけですよね。ヒーローごっこで遊んでいるんだけれども、二人でやっているときはわかるけど、ほかの子も入ってきて三人、四人になっちゃうと、だれが何をやっているのか、だれが何の役なのかということもわからなくなってしまって、結局その子は抜けちゃって遊べないわねという話になったり、小学校に入っても、クラスの雑談が聞き取れないので、みんなが一斉に笑っても、どうして笑ったのかわからないというような状況が報告されています。
 軽、中等度難聴児の暮らしにくさについて、先ほどから、子どもの聴覚障害をそのままにしておくと言語の習得がおくれるとかということをおっしゃっていましたので、そういう認識なんだということなんですが、やはり聞こえにくい方が二十になって話しているのが文章にあったんですが、この方は地元の小学校に入学して、健聴の学校に行っていた子の一番苦しいところは、先生が黒板に書きながら勉強を教えているときだと思います、どうしても、後ろを向かれると、今まで必死に聞いて覚えようとしているのが一気にわからなくなってしまいました、こう語っていました。
 ですから、補聴器をきちんとつけるということが非常に重要なわけですけれども、新生児聴覚スクリーニング検査で中度や軽度の難聴も早期に発見できるようになっていると伺っていますが、軽、中等度難聴の子どもたちがどのぐらいいるのか、それからどのような困難を抱えているかなど、東京都は、やはり実態をまず把握する必要があるんじゃないかと思うんですが、どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者手帳に該当しない難聴児の人数は把握をしておりません。
 一方、難聴児が必要な支援につながるよう、区市町村におきましては、乳幼児健診等で聴覚障害の疑いのある子どもの早期発見に努めるとともに、保護者に対しまして、母子健康手帳や都が作成したリーフレット等を通じ、子どもの聴覚に関心を持ってもらい、気になることは相談するよう呼びかけを実施しております。

○大山委員 相談してくださいということでいっているということですが、軽度、中等度難聴については、ある程度反応があったり、おくれながらも言語発達が見られたりするので、対応がおくれがちであるとの指摘もされています。より早期からの働きかけを進めるためにも、先ほどおっしゃっていた乳幼児の定期健診などと連携して把握する、それから状況も把握するということも含めて要望しておきます。
 また、軽、中等度難聴児の多くが、友達と、難聴だとか補聴器のことが原因でトラブルを経験している、こういう報告もあります。教育委員会とも連携して、難聴だとか補聴器についての啓発なども行うように求めておきます。
 既に十府県十政令市が実施しているということですけれども、この請願は採択して、東京都も制度がスタートできるようにすることを求めておきます。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 異議なしと認めます。よって、請願二四第四号は採択と決定いたしました。

○吉田委員長 次に、請願二四第五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○前田保健政策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号4番、請願二四第五号は、練馬区の、慢性疲労症候群(CFS)をともに考える会代表の篠原三恵子さん外一名の方から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、東京都議会より、国に対して次の内容の意見書を提出していただきたいというものでございます。
 第一に、厚生労働省にもう一度、慢性疲労症候群専門の研究班を発足させ、重症患者の実態を調査し、この病気の真の原因を研究すること。
 第二に、慢性疲労症候群が深刻な器質的疾患であるということを認め、医療関係者や国民に周知させ、全国どこでも患者たちが診察を受けられる環境を整えること。
 第三に、だれもが人間らしく尊厳を持って生きる権利を守る立場から、制度の谷間に置かれた難病、慢性疾患患者の実態に即した福祉制度が確立するよう、当事者の意見を十分酌み取ること。以上の三点でございます。
 現在の状況について説明させていただきます。
 第一につきましては、平成三年度から平成八年度にかけて、厚生省が厚生科学研究費特別研究事業等において研究班を設置し、慢性疲労症候群について実態の把握や病因、病態の解明に関する研究が行われました。
 また、平成二十一年度から二十三年度までは、厚生労働科学研究の障害者対策総合研究事業において、慢性疲労病態についての評価や診断法に関し、公募による研究が実施されました。
 第二につきましては、平成三年度から平成八年度までの研究において、自覚症状を中心とした慢性疲労症候群の診断基準の試案作成等が行われました。
 平成二十一年度から二十三年度までの研究は、客観的な疲労マーカーを用いて慢性疲労病態を評価し、客観的な診断法を確立することを目的として実施されており、平成二十三年度の研究成果は発表されておりませんが、平成二十二年度の報告では、平成二十三年度までは慢性疲労病態を診断するための客観的な評価方法を確立し、疲労診断指針を作成する予定となっております。
 第三につきましては、国は、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえ、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)案を第百八十回国会に提出しており、衆議院で可決され、現在、参議院で審議中です。この法律に規定する障害者には、治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者を加えることとしております。
 なお、衆議院厚生労働委員会においては、制度施行に当たっては、難病患者に対する医療、保健、研究、福祉、就労等の総合的な支援施策について、法整備を含め早急に検討し、確立することという附帯決議が付されています。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○斉藤委員 それでは、何点か確認で伺いたいと思います。
 この慢性疲労症候群、日本でも少し、最近ニュースの方でちょこちょこ紹介されるようになりました。これは日本では慢性疲労症候群、略称CFSというんですが、こういった名前で紹介されていますけれども、イギリス、カナダ、オーストラリア、ノルウェーなどでは筋痛性脳脊髄炎、MEというふうに呼ばれているんです。二〇一一年十月の、比較的最近ですよね、ジャーナル・オブ・インターナル・メディシン誌に、専門委員会による診断基準というのが、ME-ICCという名称で出ているんですけれども、発表されております。一定の病態と原因について研究が進んでいるというものですし、また、いろいろな資料からも精神疾患と誤解されやすいようですけれども、実際にはそうではないだろうというふうな感じで、私もちょっと資料を読ませていただいたら、そういう印象を受けました。
 この請願では、難病指定のお願いというものではなくて、この請願者の方にも、私、直接お会いしまして、野島先生の家の近くの方らしいんですけれども、実際には、精神疾患や性格だったり、怠け病というか、怠けではないかというふうなことで随分つらい思いをされたというふうなことで、そういったことで、精神疾患ではないということを確認した上で広く知ってほしいという患者さんの思いというものがあるというふうなことでお話をされていました。残念ながら、名称からしてみても誤解されやすい疾患ですし、内容的にもなかなか、個人的な、いわゆる怠け病じゃないということを自分で証明するのが非常に難しい疾患であるようです。
 ただ、国内外では幾つか、もう既に慢性疲労症候群の診断基準というのが発表されているようなんですけれども、それらの基準の中で、精神疾患との関係性についてどのように扱われているのか、東京都の所見をぜひ確認したいと思います。

○前田保健政策部長 慢性疲労性症候群の診断基準と精神疾患との関係でございますが、例えば、アメリカでは、米国疾病対策センター、CDCによる症例定義があり、国内では、厚生科学研究の研究班が作成した慢性疲労性症候群の診断基準の試案等がございます。いずれにおきましても、精神疾患であることが明らかな場合には慢性疲労症候群とは診断しないこととしており、精神疾患とは区別されております。

○斉藤委員 ありがとうございます。ちょっとこれについては後でぜひ意見を、私なりのコメントをつけたいと思うんです。
 次に、ちょっと確認をするんですが、実際に進行してきますと、この請願代表者の方についても全身が動けなくなってまいります。日常生活能力、ADLの低下、または重度な生活の困窮、こういうものが見られてまいります。実際に、この請願代表者の方もストレッチャー型の車いすなので、ほとんど、お会いしたときに横になっているような状態でございました。このような場合に、症状の推移があって、障害というには症状の固定がなかなかしていないことが、障害として認定すること自体難しいんじゃないかなというふうに想像できるんですけれども、公的な支援を受けるには、現在の制度でどのような手だてをして公的な支援を受けるようになっているのか、そこを伺いたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 お話のような、全身が動けなくなり、ADLの低下が見られるような場合には、身体障害者手帳の対象となる場合がございます。
 身体障害者手帳は、身体障害者福祉法及び東京都身体障害認定基準に基づきまして認定を行いますが、具体的には、筋力低下などの所見、日常生活動作能力の状況、また、一定以上の症状が継続している期間など、申請者の障害の状態全般に照らし、審査、認定いたします。
 身体障害者手帳の交付を受けた方は、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスなどの支援の対象となります。

○斉藤委員 ありがとうございます。この請願代表者の方についても、手帳を申請して実際にとるのがなかなか大変だったらしいです。症状が非常にはっきり固まっていないということと同時に、この病気自体の説明が非常に難しかったということもあるのかもしれませんけれども、手続に大変じれったい思いがあったということなので、ぜひこのあたりについては、東京都の方に、今後、柔軟に同様の疾患の方に対して支援をしていただければというふうに思っております。
 先ほど、慢性疲労症候群の国内での基準試案についても答弁がございました。この症状基準という、この病気の症状の一つの基準、標準というものについては、実際にこの病気になったことの結果として、精神神経症状というものがある場合があるというふうな意味で症状自体も入っているんですね。しかし、もとにある疾患としては除外すべき疾患として、悪性腫瘍、がんとか、自己免疫疾患などとともに精神神経疾患も挙げられている。つまり、もとの疾患で精神神経疾患があるとこの病気じゃないけれども、この病気になったがゆえに精神神経疾患、つまり精神病を患っているということはありますよというようなことをいっているんです。
 つまり、この請願者の方も大変つらい思いをしたという話を聞いている中で、周りには理解をされない、怠けているんじゃないかというふうに責められて、また、病院に行っても診断が定まらない、治療法もないというふうな中で、非常に精神的な負担が積み重なってきて、長い時間をかけていろいろな病院に行って、診断が出るころにはうつ状態になるぐらい、非常につらさが抜けなくなってしまうということがあるということで、この診断基準を見ると、最初の疾患の中に精神疾患がないことが条件だけれども、決してこの病気になったからといって、精神症状が不安定になっているからといって、これを除外するものじゃありませんよと、結果としてうつになったりすることがありますし、それを認めますよというふうなことをいっております。原因にうつがなくても、結果としてうつが出てしまうことがあります。それについては、別にうつがあるからといって、この病気じゃないというものではありませんよというふうな意味なんですね。
 そういう意味では、非常にこの診断基準、患者の気持ちや実態を想定した配慮がある基準だなというふうに思っております。これらの疾患のありようについて、研究がより進んで、また、より多くの人に知ってもらうようにするというようなことが大切だと思いますので、その部分についても、東京都の方に、ぜひ、この疾患の広報活動にも努力をしていただきたいというふうに、最後お願いいたしまして、質問を終わります。
 以上です。

○山加委員 私からも、この慢性疲労症候群患者への支援を求める意見書の提出に関する請願、請願者が私の地元練馬区でありますので、何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 私は、自分自身が障害四級、四級というのは、一下肢維持機能の全廃、私は右の股関節の全廃から人工股関節を入れておりますので、障害程度は四級の認定を受けているわけでありますが、そのこともありまして、障害当事者の立場から、さまざまな障害者が直面する課題に取り組んでまいりました。
 ことし三月の予算特別委員会では、外見からは一見して障害があることがわからない方々が日常生活でさまざまな不便を強いられることのないよう、そのような方々への理解を促進すべく、都として、外見からわかりにくい障害を持つ方々への統一したマークの作成をすべきであることを提案いたしました。今、そのマークの作成が進んでいる途中ではないかと思っております。
 さて、今回の請願にある慢性疲労症候群については、全国では約二十四万人の患者さんがいるといわれております。厚生労働科学研究疲労研究班のホームページによりますと、慢性疲労症候群とは、これまで健康に生活をしていた人が、対人的、物理的、生物学的な総合ストレスがきっかけとなり、ある日突然、原因不明の激しい倦怠感に襲われ、それ以降、強度の疲労感とともに微熱、頭痛、脱力感や、思考力の障害、躁うつ等の精神神経症状などが長期にわたって続き、健全な社会生活が送れなくなる疾患とあります。
 請願書を読ませていただいて、私が特に心を痛めましたのは、ほとんどの患者さんが、職を失うほどの深刻な病気でありながら、いまだ慢性疲労症候群について、医師も含めて周囲の理解が進まず、偏見と無理解に苦しんでいるという点であります。
 私自身、冒頭申し上げましたが、不慮の事故によって、私も三十五歳のときに、ある日突然、障害を持つ身となりました。しかし、このように外見では一見して障害者とはわからない。こうして立っていても、右足は人工股関節が入っておりますから、左足、片方の足だけで体重をかけて立っております。また、まち中で普通に歩くことはできますけれども、長い信号で、途中信号が変わってしまうと、走れないためにクラクションを鳴らされたり、何をもたもた歩いているんだと罵声を浴びせられたりいたします。そしてまた、家を出るときも、目的地に、和式のトイレが使えませんので、そのお店のトイレが和式なのか、洋式なのか、また、階段があるのかないのか、いすがあるのかないのか、そんなことも一つ一つ、家を出るときに先方にお電話をして確認しながら出かける。いざ行ってみると、座いすはあるけれども座れなかったりとか、さまざまな、まち中、生活の中で不自由な思い、そして時には不愉快な思いをすることが少なくありません。
 ですから、この慢性疲労症候群について、原因究明が進まずに難病としてなかなか認定がされていない中で、患者の皆様が周囲の理解を得られず、日常生活で私のようにさまざまな苦しみを抱えているのかなと思いますと、本当に過酷でつらい思いをされているんだなと大変、私自身のようにつらくなる思いがいたします。こうした立場から、何点か質問をさせていただきます。
 まず、慢性疲労症候群に関する研究についてですが、この疾患はWHOにおける国際疾病分類では神経系疾患に分類されているとのことでありますが、我が国における研究の状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○前田保健政策部長 国内では、平成三年に厚生省の疲労調査研究班が発足し、自覚症状を中心とした慢性疲労症候群の診断基準の試案が作成されたところでございます。その後、厚生労働科学研究等において、慢性疲労症候群の原因や病態の解明、検査法等に関する研究が行われております。
 平成二十一年から三カ年では、慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的な診断法を確立することを目指して調査研究が進められているところでございます。なお、厚生労働省によれば、さらなる研究が必要であるため、今年度の厚生労働科学研究においては、慢性疲労症候群の実態調査と、客観的診断法の検証等に関する研究が実施される予定とのことでございます。

○山加委員 次に、慢性疲労症候群の診療体制についてですが、慢性疲労に苦しむ患者の皆様にとっては、十分な診療が受けられる環境を整えることが切実な要望であり、慢性疲労症候群に関する診療体制の整備が望まれる、そう思います。また、この疾患に対する偏見や無理解の解消のためには、心因性の疾患ではなく器質的疾患であると認められることが要望されていますが、器質的疾患であると証明されるためには、どのような条件が整うことが必要であるのか、お伺いいたします。

○前田保健政策部長 慢性疲労症候群の原因としましては、ウイルス感染、内分泌異常、免疫異常、脳神経系の障害など、さまざまな説がございます。
 器質的疾患であると認められるためには、こうした疾患の原因についての解明が進められるとともに、臓器や神経などの組織に生じた異常により引き起こされる疾患であることが医学的に証明される必要がございます。
 具体的には、画像診断や血液検査などを用いた客観的な診断法を確立することが求められ、現在も研究が進められているところでございます。

○山加委員 慢性疲労症候群の解明については、なかなか難しい問題があるということは理解をいたします。
 次に、福祉制度についてですが、慢性疲労症候群では、その症状が重くなってくると、日常生活にも支障を来し、例えば、車いすが必要になるなど、さまざまな支援や福祉サービスが必要となってくる方がいると伺っております。
 そこで、重複するかもしれませんが、確認したいのですが、現在、身体障害者手帳、補装具などの福祉サービスは、障害の原因が慢性疲労症候群のように診断基準の確立していない疾患、原因不明であるといわれる疾患である場合であっても、症状に応じて対象となるのかどうか、お伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者手帳は、身体障害者福祉法及び東京都身体障害認定基準に基づき認定を行っております。
 具体的には、障害の原因となった疾患のみで判断するのではなく、筋力低下などの所見、日常生活動作能力の状況、また、症状が継続している期間など、申請者の障害の状態全般に照らし、審査、認定を行っております。
 車いすなどの補装具につきましても同様に、障害者自立支援法や国の示す指針等に基づきまして、個々の身体状況や生活環境を十分考慮に入れて判定を行っております。

○山加委員 障害の状態全般に照らして対応がとられるということは了解をいたしました。
 しかし、慢性疲労症候群は、まだ診断基準も確立されておらず、個々の症状を理解してもらうことが難しい実態もあると思います。疾患の実態に即した支援策が講じられるためには、その病態の解明が進むことが何よりも大切であります。そして、患者の皆様が置かれている困難な状況を、さまざまな機会を通じて広く外に向けて発信をしていく、世の中に啓発をしていくことも必要であると思います。
 一日も早く、この慢性疲労症候群並びに患者の皆様のことが、周囲の方々に、一人でも多くの方に理解をされ、社会に認知されることを切に望みます。そのためには、この疾患に関する科学的な研究が何よりも前進し、原因究明が進められることが何よりも必要であると考えます。
 局として、今後ともできる限りの知恵を絞って取り組んでいただきたいことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○小林委員 私も、この本請願につきまして意見を申し上げさせていただきます。
 私は、本年三月十九日の厚生委員会におきまして、慢性疲労症候群について質問をさせていただきました。その際にも申し上げましたが、過去の都議会の議事録で、この疾病についての質疑が確認できたのは、平成四年三月十八日の衛生労働経済委員会における公明党の曽雌久義議員の質問でありました。以来二十年が経過をしましたが、ここ最近では、この疾病を取り上げたテレビ、新聞も多く見られます。また、私が確認できただけでも、本年三月時点で、慢性疲労症候群の支援を求める意見書を採択した議会は、都内では、豊島区、東久留米市、三鷹市、また、奈良県、栃木県、青森市、相模原市、十和田市、宇都宮市でありました。今後、厚生労働省も、慢性疲労症候群という名を冠した研究班を発足させるとも聞き及んでおります。
 請願者である慢性疲労症候群をともに考える会の篠原代表ともお話をさせていただきましたが、身体的苦しみとともに、正しく社会的認知が進んでいないがための偏見による心の苦しみも大変多く抱えておられます。
 請願の理由にも記されている、慢性疲労症候群の正しい認知を広めることが、今、大切ではないかと考えます。その意味において、国の研究の進展を見守りつつ、今でき得ることを前進させるためにも、本請願については、趣旨採択を求めたいと思います。
 以上です。

○大山委員 私も意見を述べておきます。
 請願代表者から直接私もお話を伺いましたけれども、今までもるる出ているように、慢性疲労症候群という病名から受ける印象とは大きく違う深刻な病気であることがわかりました。
 彼女は三十二歳で発病して、突然の強い疲労感、関節の痛み、激しい頭痛など、症状が何日たっても治らずに、幾つもの病院を回り、専門の病院で診断されたのが慢性疲労症候群、その後二十一年間もの長い間、病状も理解されず、六年前からは寝たきりの生活で、食事も一人でとれず、ヘルパーさんや家族の介護を受けて生活しているとのことです。自分の意思では思うように体が動きません、一時的に起き上がったり動かしたりしても、力を入れ続けることができず、その状態を保つことができません、筆を持っても指先に力が入らない、全身が衰弱している感じですと、本当に深刻な状況を話しておられました。
 しかし、寝たきりになってしまったので、車いすを申請に市の窓口に行ったけれども、診断書を出しても慢性疲労症候群で寝たきりになるというのは信じてもらえず、何度もやり直した結果、二年かかって、ようやく車いすを出してもらったとのことでした。
 ほかの患者さんも見た目は普通の人と変わらないので、ハローワークで相談しても理解してもらえず、怠けているんじゃないかといわれるなどの訴えもたくさん寄せられています。
 厚労省が研究することは本当に重要だと思っています。患者数が二十四万人といわれていることですが、診療を行っている医師も非常に少なく、この病気の認知度も低いわけですから、原因もわからずに職を失ったり、休めば治ると医師にいわれてしまったり、苦しんでいる方々も多いとのことです。
 アメリカでは、テレビ、ラジオのCM、ホームページ、パンフレットなどで啓蒙活動をしています。イギリスでも、保健省がホームページで慢性疲労症候群の紹介をしており、必要な情報を提供しています。
 二〇一〇年の四月の国会での質疑で、我が党議員の質問に、厚労大臣が、実態把握に取り組むこと、広報についても強化したい旨の答弁はしています。東京都としても、現時点でできる広報も含めて、ぜひ取り組んでもらいたいと思います。
 また、先ほど障害者総合支援法で前に進むようないい方をされていましたけれども、国は難病に関しても、すべての難病を入れるとはいっていないわけですから、国に福祉政策の充実について意見書を出すことは重要です。ぜひ請願を採択して意見書を出していきたいということを述べておきます。
 東京都にも、現状でできる広報など、積極的に進めていくことを求めて終わります。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 異議なしと認めます。よって、請願二四第五号は趣旨採択と決定いたしました。

○吉田委員長 次に、陳情二四第二八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○桃原少子社会対策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 九ページをお開き願います。
 整理番号5番、陳情二四第二八号、東京都北児童相談所の一時保護決定に関する陳情は、板橋区の中山英雄さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、SOS、私の子どもを解放していただきたい、私の子どもを返していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都では、法令に基づきまして、児童の保護を適切に実施しております。児童福祉法第三十三条の規定により、児童相談所長は、虐待や放任等により緊急に児童を保護する必要があると認めるときは、児童養護施設に入所させるなどの措置をとるまでの間、児童を一時保護することができるものでございます。一時保護の決定に当たりましては、児童福祉法施行細則第十七条の四の規定に基づきまして、保護者へ通知し、説明を行っております。
 なお、児童相談所長の決定に不服がある場合につきましては、行政不服審査法第五条の規定に基づきまして、知事に対して不服審査請求をすることができるものでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○たきぐち委員 この陳情は、一時保護の決定に関するものであります。
 昨今マスコミ等でも報道されているとおり、一時保護のおくれや解除後の死亡、あるいは重大な障害などは、取り返しのつかないことでありまして、絶対にあってはならないと思います。
 先日発表されました児童福祉審議会の児童虐待死亡事例の検証部会の報告書においても、虐待通告によって乳児院に一時保護されていたゼロ歳の女の子が、措置解除から約二週間後に救急搬送され、重篤な障害が残るけがを負って、父親が逮捕されるという事例が報告をされております。
 我々といたしましても、日々厳しい案件と向き合っている皆さんには、深刻な事例に毅然と対処していただきたいと求めているところでもあります。また、事例の中には家庭の複雑な事情があって、夫婦間の子どもの取り合いのような場合には、一方が事実無根、あるいは通常の叱責を殊さら虐待と訴えたり、さまざまなケースがあろうかと思います。
 そこで、確認の意味で、一時保護の一般的な手続などについて何点か質問をしたいと思います。
 まず初めに、一時保護はどのような場合に実施をするのか。また、虐待のおそれがあるということで一時保護される子どもは年間どれぐらいいるのか、伺います。

○桃原少子社会対策部長 児童福祉法第三十三条では、児童相談所長が必要と認める場合には、児童を一時保護することができると規定されておりまして、児童相談所長は、保護者の虐待や放任など児童の安全を確保する必要がある場合に一時保護を実施しております。
 虐待による一時保護の件数でございますけれども、平成二十年度におきましては六百九件、同じく二十一年度におきましては六百十七件、二十二年度は七百二件となってございます。

○たきぐち委員 児童の安全を確保する必要があるときに実施をされる、児童福祉法三十三条に基づく行政処分ということだと思いますが、緊急的な措置だろうと認識をしております。また、その数は年々増加をしておりまして、一時保護の施設の収容率は九八・六%、ほぼ一〇〇%に近い状況だということで、先日の予算委員会の中でも、この施設をいかに拡充していくのかということで議論があったかと思います。
 いうまでもなく、緊急的な一時保護を行う場合には、専門機関として児童相談所の迅速な対応が求められると思いますが、どのようなプロセスを経て一時保護は決定されるのか伺います。

○桃原少子社会対策部長 児童相談所におきましては、近隣住民や学校、保育園などから虐待の疑いがあるとの通告を受けた場合、児童相談所長、児童福祉司、児童心理司をメンバーといたします緊急受理会議を行いまして、児童や家庭状況に関します調査方針を決定いたします。この方針に基づきまして、これらの状況調査を速やかに実施をいたしまして、虐待の種類や程度、児童の状況や家庭環境を把握し、それに基づいて児童に関するリスクの評価を行い、一時保護を決定することとしております。

○たきぐち委員 通告を受けて、緊急受理会議で調査方針を決めて、そして、調査に基づいてリスク評価をして、決定するというご説明でありました。この児童虐待への対応というのは、各区市町村の子ども家庭支援センターを第一義的な窓口として、児童相談所と連携して取り組んでいるわけでありまして、近隣住民や学校などから通告があるケースにつきましても、子ども家庭支援センターに通告があるケースと、児相に直接通告があるケースがあろうかと思います。
 子ども家庭支援センターと児童相談所で定めている基本ルールというのを拝見しますと、子ども家庭支援センターがかかわっている事案で一時保護の必要性があると判断された場合、児童相談所に送致することで一時保護の依頼をし、児童相談所は、支援センターの意見や初期調査を踏まえながら、みずからも十分な調査をして、一時保護の可否を決定するとしてあります。
 この基本ルールでいきますと、一時保護に至るまでの決定というのが慎重に進められているという印象を持ちますけれども、一方では、決定のスピード感も求められているかと思います。この基本ルール、東京ルールというそうでありますが、通告があった場合に、四十八時間を目安に、安全確認チェックリストや、あるいはリスクアセスメントシート、これを、共有化を図りながら安全確認のタイミングを見定めるということも、あわせて定められているところであります。
 児童相談所のマンパワーが不足をしていると指摘されておりまして、今、児童福祉司の増員も含めて施策が講じられているわけでありますけれども、いかにこの情報を共有できるかということが、確実性と迅速性を持った対応を図るためには重要になってくることはいうまでもないことだと思います。
 家庭支援センターの方とも話をしたことがありますけれども、例えば、性的な虐待などの場合に、児童に対して同じような聞き取り調査を実施することが適切であるのかと、いろいろと連携には課題もあるということも伺ったところであります。児相の新規採用もふえている中で、一時保護を決定する際には、家庭支援センターと児相との連携をしっかりととった情報の共有というものを求めておきたいと思います。
 この一時保護が決定しますと、おおむね一カ月程度の期間を保護所で過ごすと聞いておりますけれども、その間はどのような対応がなされるのか伺います。

○桃原少子社会対策部長 児童相談所におきましては、一時保護を行った後、児童に対する聞き取りや保護所における生活の様子を観察することを通じまして、児童の状態を把握いたします。同時に、保護者に対する面接の実施や家庭訪問、さらに、保育園や学校などの関係機関への訪問を行うことを通じまして、家族関係や養育環境などの調査を行っております。
 これらの調査結果を踏まえまして、児童の心理面や行動面の状況、親子関係や家庭環境などを総合的に検討いたしまして、家庭復帰や児童養護施設への入所など、その後の援助方針を適切に決定しているところでございます。

○たきぐち委員 虐待の種類、あるいは程度によって、期間等々、対応が異なってくると認識をしております。特異なケースとして、児童みずからが警察や児童相談所に虐待を受けているという通報をして一時保護された後に、児童が事の重大さに気づいて、話が大げさだったということで、一日で帰宅をすることもあると伺いました。ただ、一般的には、その児童の言動を観察するのに一時保護をした後、児童がまずその環境になれるのに一週間ほどを要して、その後の様子を心理面や行動面から調査をするということで、一定の期間が必要だということも伺いました。
 こうした一時保護をされたことによって、保護者から見ますと、子どもが突然いなくなるということによって、場合によっては、怒り、驚き、そして不安を抱くことになろうかと思います。保護者の中には、一時保護に同意をしないで意見が並行してしまうケースもあると聞きます。保護者の気持ちもしんしゃくをして、保護者に対する丁寧な対応、一時保護に至った理由や経緯の説明、一時保護した後の児童の様子の伝達など、状況に応じてしっかりと対応するべきと考えますが、所見を伺います。

○桃原少子社会対策部長 一時保護につきましては、基本的には、児童や保護者に説明を行った上、その同意を得て実施することとしておりますが、虐待事例のうち、傷やあざが確認され、そのまま放置すれば児童の身体に危険が及ぶおそれがあるなど、緊急を要する場合につきましては、児童の安全確保を最優先すべきものでございますことから、保護者の同意を得ずに一時保護を行っているところでございます。
 同意を得ずに一時保護を行った場合につきましては、速やかに保護者との面接を実施いたしまして、一時保護に至った理由や今後の支援方針などにつきまして説明を行うなど、丁寧な対応を図っているところでございます。また、同時に、保護者から児童の様子や親子の関係、家庭環境などについてもお話を伺うこととしております。その後においても、虐待の再発防止について共通の理解を築いていくため、一時保護期間中において、保護者との面接を継続的に実施しております。

○たきぐち委員 基本的には、保護者の同意を得て実施をするけれども、身体に危険が及ぶおそれがあるなどの緊急を要する場合には、保護者の同意を得ずに一時保護を実施するということでありますが、保護者が同意するケースの方が、むしろなかなか少ないのではないかなと予想します。
 私も最近、ある相談を受けまして、これは三歳の女の子で、すねにあざがあるということで家庭支援センターから訪問があって、白血球の病気の疑いがあるから病院に行くよう指示があって、地元の病院に行って、その後、駒込病院にも行って、血液検査や尿検査も行って結果を連絡したと。
 その後、六日後ぐらいに、保育園にいるときに児童相談所から一時保護したという連絡があって、両親はそれに驚いて、面談の際に、その理由であったり、あるいは証拠、あるいは経過の説明等々を求めたけれども、緊急性があったと、法に基づいていると、不服がある場合には裁判所に訴えることができる、ただ、勝つ見込みはないし、結審するまでには費用も月日もかかるというふうにいわれたという相談を受けました。
 結果的には、一時保護されてから十六日後に家庭に戻されまして、担当者からは、私が聞いたところでは、虐待は認められなかったけれども、あざの原因が特定できないから、引き続き見守っていくというような話でありました。
 実は、私は二年ほど前にも、そのときには生後六カ月の女の子の突発的な転倒事故で一時保護になったケースで相談を受けました。これは東京じゃなくて埼玉の事例だったんですが、そうはいっても、客観的にこういった話を聞くと、何かしていたんではないかというふうにどうしても感じてしまうと思いますし、また、相談者の話には主観が入っているわけではありますけれども、素人の私でも、ご両親の話を聞きますと、信頼性があるのか、ないのか、あるいは相談者の人となりというものを自分なりにはわかる部分もあると思っております。
 このいずれのケースでも、何とか自分がやっていないということを認めてもらおうと、時系列で詳細を思い出して、書類にまとめていろいろ説明をしたと。私もお話を聞いておりますと、何ともいえない気持ちになったわけでありますけれども、生後六カ月の女の子のケースでは、もう少し医学的な見地からの説明があってもよかったんじゃないかなと個人的には感じましたし、今回の三歳の女の子のケースでも、もともとセンターから指示があって、病院に行って、その診断も届け出をして、協力的にしていたんだけれども、一時保護になってしまって、その一時保護された後の説明というのが、なかなか納得のいくものではなかったというような思いもあります。
 ただ、そうはいっても、一時保護するということは、恐らく決定的な理由があったわけでありまして、先ほどのご答弁の中で、同意をしないで一時保護を行った場合には、一時保護の理由や今後の方針等を丁寧に説明するということでありましたので、ぜひこういったケースの場合には、ご両親に対して丁寧な説明をするということが重要だということを改めてお願いしたいと思います。
 この一時保護した後、家庭に戻るケースと、あるいは引き続き家庭を離れ、児童養護施設などで生活をする場合など、さまざまなケースがあるわけでありますが、一時保護の後、児童相談所はどのような援助を行っていくのか伺います。

○桃原少子社会対策部長 児童相談所におきましては、一時保護の後、親子の関係が改善され、虐待のリスクが軽減されたものと認められる場合につきましては、家庭に児童を帰した上で、引き続き来所や家庭訪問などによる指導を行うこととしております。
 一方、親子の状況の改善が図られず、虐待再発のリスクが依然高い場合など、一定の期間、児童を家庭から離すことが必要な場合につきましては、児童養護施設への入所や里親への委託などの措置を行うこととしております。
 児童養護施設などに措置された後におきましては、家庭への復帰に向けまして、保護者への指導や児童と保護者の面会などを継続的に実施いたしまして、親子関係の修復に取り組んでおります。

○たきぐち委員 一時保護の一般的な手続などについては理解をいたしました。本件についても、こうした手続に沿って対応されているのか伺います。

○桃原少子社会対策部長 本件につきましても、ここまでにご答弁申し上げたとおり、一時保護に係る手続や保護者への説明につきまして、適切に実施をしておるところでございます。

○たきぐち委員 冒頭申し上げましたとおり、一時保護のおくれであったり、虐待の見過ごしによって、最悪は子どもの死亡にもつながるわけでありまして、子どもの安全、保護が第一であるということはいうまでもありません。
 ただ一方で、社会が虐待に敏感になればなるほど、一時保護した後で虐待の事実が認められないというケースも生じてくる、そういう可能性もあるんだと思っております。
 そこで重要になるのが、先ほどご答弁いただきましたけれども、一時保護を決定する際の虐待のリスクの評価だと思います。一時保護を適切かつ速やかに実施するには、リスク評価や調査能力の向上が不可欠であって、児童相談所の専門性がますます問われることになると考えますが、この点について最後に所見を伺います。

○桃原少子社会対策部長 一時保護は、児童相談所にとって最も重要な機能の一つでございまして、先ほど申し上げた家庭等の調査から虐待のリスク評価に至る一連の過程におきまして、区市町村などの関係機関との連携を密にしながら、児童福祉司、児童心理司などの専門の職員が、児童の心身の状態や家庭環境などを確認いたしまして、適切な対応を図ってきているところでございます。
 今後とも、集合研修であるとか、OJTの充実を図ることによりまして、調査を担当する職員一人一人のさらなる専門性の向上を図り、それを踏まえた協議とリスク評価を適切に行い、迅速かつ的確に一時保護を実施してまいります。

○たきぐち委員 この児童虐待については、これまでも議会でいろいろと議論がされていて、社会全体でこの小さい命を守っていこうというその意識は、さらに深めて、広めていかなければいけないと思います。
 ただ同時に、そうした風潮が広まれば広まるほど、例えば、通告はされたけれども、実際にそれをどう判断するのかというところが、大変、専門性が求められてくるんだろうと思いますし、積極的に保護していこうという姿勢は、当然、私もするべきだと思っておりますけれども、あわせて、リスク評価の確実性というのを高めていったり、あるいは一たん一時保護した後の保護者への十分な説明ということも配慮しながら取り組んでいただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二四第二八号は不採択と決定いたしました。

○吉田委員長 次に、陳情二四第三五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中川原医療政策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号6番、陳情二四第三五号、都民のいのちを守り、災害に対応できる東京の医療を充実することに関する陳情は、豊島区の、東京の保健衛生医療の充実を求める連絡会代表、氏家祥夫さん外六千百九人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第二項、地域で不足している小児、周産期、精神科(児童・思春期)医療及び救急医療体制の一層の充実を図ること。
 第三項、医師、看護師の確保、養成のために、都として取り組みを強化することというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 第二項についてでございますが、都は東京都保健医療計画に基づき、小児医療、周産期医療、精神科医療及び救急医療の充実強化を図っております。
 小児医療につきましては、区市町村が実施する初期救急事業に対する支援を行うとともに、入院が必要な救急患者に対し、二十四時間体制で診療を行う救急医療機関を確保するため、休日・全夜間診療事業等を行っております。また、二十一年度から、小児の休日・全夜間診療事業に参画する医療機関の医師確保への支援や小児科医師を医療機関に派遣する大学への支援を行う、小児医療体制緊急強化事業に取り組んでおります。
 さらに、平成二十二年度から、重篤な子どもを迅速に受け入れ、高度な救命治療を行うこども救命センターを都内四カ所に整備するとともに、当センターを中核とした二次医療機関との連携や、地域を支える医師の人材育成などを行っております。
 周産期医療につきましては、平成二十二年十月に東京都周産期医療体制整備計画を策定し、平成二十六年度末までにNICUを都内全域で三百二十床整備する目標を定めて着実に整備を進めており、平成二十四年四月一日現在、二百八十二床を確保しております。
 また、NICUの安定的な運営及び整備促進を図るため、二十二年度から周産期母子医療センター運営費補助や増床する場合の施設整備費補助を大幅に拡充したほか、都内を八つのブロックに分け、周産期母子医療センターを中核とする周産期医療ネットワークグループを構築し、高度な医療を提供する病院から診療所までがリスクに応じて役割分担し、適切な医療を提供しております。
 精神科(児童・思春期)医療につきましては、都立小児総合医療センターに児童・思春期精神科を設け、都における小児医療の拠点として、心と体の両側面から総合的な高度専門医療を提供しております。
 また、子どもの心診療支援拠点病院事業を実施し、医療、福祉、教育など、子どもの心にかかわる地域の関係機関に対する支援を行っております。
 救急医療では、初期救急医療につきまして、実施主体である区市町村の取り組みを包括補助等により支援しております。
 二次救急医療につきましては、休日・全夜間診療事業により、内科系、外科系の診療が三百六十五日二十四時間対応可能な救急医療機関を整備しております。
 また、三次救急医療として、生命危機を伴う重篤な救急患者を受け入れる救命救急センターを二十五施設確保し、その運営を支援しております。
 さらに、平成二十一年八月から、救急医療の東京ルールに基づく搬送調整を開始し、迅速、適切な救急医療体制の確保に取り組むとともに、救急相談センター、シャープ七一一九では、都民が救急車を呼んだ方がよいか迷ったときなどに対応するため、医師、看護師等による相談体制を三百六十五日二十四時間確保しております。
 第三項についてでございますが、都におきましては、医師を養成、確保するため、平成二十一年度から大学医学部入学生を対象とした特別貸与医師奨学金及び五年生を対象とした一般貸与医師奨学金の貸与を行っているほか、勤務医の負担軽減を目的とした医師勤務環境改善事業などに取り組んでおります。
 また、看護師の確保につきましては、都が策定した看護職員需給見通しを踏まえ、養成、定着、再就業対策など、総合的な施策を推進しております。
 平成二十三年度から、二次保健医療圏ごとに配置した就業協力員が、看護職員確保が困難な中小病院を巡回訪問し、多様な勤務形態の導入や研修体制の充実のための支援を行っており、二十四年度からは、合同就職相談会の開催や認定看護師の資格取得支援を行うなど、一層の充実強化を図ってまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○吉田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○吉住委員 東京都は、突発不測の傷病者が、いつでも、どこでも、だれでも、症状に応じた適切な医療が受けられるという理念のもとに、初期、二次、三次の救急医療機関の体系的な整備を進めてまいりました。また、平成二十一年八月には、東京ルールに基づく搬送体制を実施し、地域救急医療センターの指定についても、開始当初の二十六カ所から、全都七十六カ所へと拡大されています。
 しかしながら、高齢化の進展等により、東京都の救急搬送患者数は、平成二十年の約五十八万三千件から、平成二十三年には約六十三万八千件と大幅な増加傾向にあります。また、救急医療にも、専門医による専門的な治療を求めるといった都民意識の変化も見られます。
 こうした状況に対応していくためには、地域での医療連携や適切なネットワークの構築が必要不可欠です。地域救急医療センターを中心とした一層の取り組みを期待しております。
 救急と同様に、周産期医療も、都民が安心してお産をするためのセーフティーネットとして非常に重要であります。現在の厳しいハイリスク分娩の状況に十分対応できているのか、都民の関心も高くなっております。
 NICUの満床状態は以前より改善されてはきていますが、まだ十分ではないと聞いております。これはNICUの数そのものの不足に加え、長期入院児によりNICUのベッドが占有されてしまうことなども要因であるとお聞きしております。
 そこで、NICU整備とその活用について、都の取り組みについて伺います。

○中川原医療政策部長 都におきましては、ハイリスク妊産婦や低出生体重児の増加等を踏まえまして、出生一万人に対し三十床を基本として、平成二十六年度末までにNICU病床の三百二十床の整備を目標としており、運営費補助や増床する場合の施設設備整備費補助につきまして、平成二十二年度から補助率を三分の二から六分の五へ大幅な拡充を行い、整備を着実に進めております。
 また、NICUの整備に加えまして、病床の有効活用も重要であることから、都では、NICUからの円滑な退院に向けた支援に関するモデル事業を、平成二十二年から二年間、区東部地域を中心に実施いたしました。
 モデル事業の成果を踏まえ、在宅移行支援病床の運営や、在宅移行に向けた支援を行うコーディネーターの設置に対する補助等を行うこととしており、今後、NICUからの円滑な退院に向けた支援を一層推進してまいります。

○吉住委員 運営費あるいは整備費の大幅な拡充、NICUからの円滑な退院に向けた支援、あるいはコーディネーターの配置など、さまざまな事業を行っていることがわかりました。
 次に、医師と看護師の確保及び養成についてお聞きします。
 医師については、産科や小児科など特定の診療科での医師不足や、病院勤務医の長時間勤務などの厳しい勤務環境が課題といわれてきました。国においては、平成二十二年度に策定した新成長戦略において、医師養成数の増加や勤務環境等の改善、看護師等の活用促進を盛り込むとともに、平成二十四年の診療報酬改定において、救急、産科、小児、外科の急性期医療を適切に提供し続けることができるよう、病院勤務医等の負担軽減、処遇改善の一層の推進を図っています。
 そこで、都における医師確保策の現状について伺いたいと思います。

○中川原医療政策部長 平成二十一年度から、地域医療を担う医師の養成を目的に医師奨学金を実施し、これまで、医学部入学時から六年間貸与を行う特別貸与医師奨学金は、三大学六十九人、医学部五年次から二年間貸与を行う一般貸与医師奨学金は、十一大学四十三人が貸与を受けております。
 医師が不足している小児医療、周産期医療、救急医療、僻地医療の医師を確保するため、貸与を受けた学生が、卒業後、これらの分野に一定期間従事した場合は、奨学金の返還を免除することとしております。
 また、島しょ・多摩地域の医療を担う医師の確保のため、自治医科大学の卒業医師や東京都地域医療支援ドクターとして雇用した医師等を、島しょや市町村の公立病院に派遣しております。
 さらに、病院が行う当直体制の見直しや、医師の負担軽減のためのチーム医療推進、女性医師の再就業支援等の取り組みを支援し、勤務医の離職防止と定着を図っております。

○吉住委員 奨学金の実施、あるいは特定の分野の医師の不足を解消するための免除制度、さまざまな取り組みが行われていることがわかりました。
 次に、看護師について伺います。
 看護師につきましては、都が策定した看護職員需給見通しにおいて、平成二十三年度時点で約二千六百人の不足となっており、とりわけ中小病院では看護師の確保が課題となっています。また、看護師の離職率は依然として高く、勤務環境の改善や職場を離れた方の復職支援など、看護師がより長く職場で活躍できるような対策を進めることが重要です。
 そこで、都における看護師確保の取り組みについて伺い、質疑を終わります。

○中川原医療政策部長 都はこれまで、看護師の養成、定着、再就業を施策の柱に、総合的な看護職員の確保に取り組んでおります。
 都内における看護師養成所等の卒業生は、平成十八年度と比べ、平成二十二年度では約三百人増の四千八百三十八人であり、増加傾向にございます。また、離職者や潜在看護師が多いことから、都は定着と再就業に重点的に取り組んでおります。
 平成二十三年度から、二次保健医療圏ごとに就業協力員を配置いたしまして、中小病院を巡回訪問して、看護職員の確保や定着に向けた勤務環境の改善や新人研修体制の充実について助言を行っており、昨年度は三十六施設を支援いたしました。
 今年度は、東京労働局の労働時間の見直し等に係るコンサルタント事業とも協力して、勤務環境改善への支援を強化してまいります。
 また、再就業に向けました研修や相談につきましては、身近な地域の病院で受けられるようにしておりまして、昨年度は都内二十九病院で約三百六十人が研修を受講し、そのうち約半分が再就業を果たしております。
 さらに、今年度は、新たに就職相談会の開催や認定看護師の資格取得支援を実施し、看護師確保を一層支援してまいります。

○大山委員 それでは、都民のいのちを守り、災害に対応できる東京の医療を充実するということですが、災害対応ということでは、地域医療を守る、充実させることが重要であるということは、東日本大震災の教訓でもあります。
 陳情の二項目、地域で不足している小児、周産期、精神科(児童・思春期)医療及び救急医療体制の一層の充実を図ることという項目ですけれども、本当に切実です。陳情の文書にもあるように、小児科を標榜する病院が八年間で四十八病院も減っていること。そんな中で、都立三小児病院も統廃合されたわけです。
 東京都は、平成二十六年度末までに都内全域でNICUを三百二十床整備する目標を定めていますが、二十三年度末では二百八十五床が目標でしたが、実際には二百八十二床です。二十四年度末、今年度末で三百床が目標ですから、今年度は十八床ふやさないと、目標との関係では追いつきません。これは見込みはあるんでしょうか。

○中川原医療政策部長 平成二十二年十月の周産期医療体制整備計画策定時に二百六十一床であったNICU病床数は、平成二十二年度末には二百六十四床、平成二十四年四月現在二百八十二床となっており、順調に整備を進めております。
 周産期母子医療センターにNICUを増床する場合の施設設備整備費については、平成二十二年度から補助率を三分の二から六分の五へ大幅に拡充しており、平成二十四年度末三百床の目標に向け、今後も着実に増床を図ってまいります。

○大山委員 着実にしっかりと、目標をきちんと達成していくために全力を尽くしてもらいたいということと、あとNICUですから、すべての都民をなるべく短時間で救急搬送できるようにするには、やはり地域医療の充実です。
 せめて、各二次医療圏内にNICUが必要です。北多摩北部二次医療圏は、清瀬小児病院の廃止でNICUがなくなってしまいました。西多摩、それから島しょにもNICUは一床もありません。今後の整備計画には、二次医療圏ごとの整備をきちんと位置づけるべきだと思いますが、どうですか。

○中川原医療政策部長 都におきましては、ハイリスク分娩や三次救命救急医療を中心に担う周産期母子医療センターを中心にNICUを整備しており、東京都全域を一つの圏域として整備を進めております。限られた医療資源のもと、周産期医療機能が適切かつ円滑に提供されることが必要であることから、総合周産期母子医療センターを中心とした周産期医療ネットワークグループを各ブロックに構築し、一次から三次までの周産期医療施設が、リスクに応じた役割分担や、それに基づく医療機関相互の連携体制を強化しております。
 これに加えまして、都では、平成二十一年三月から、緊急に母体救命処置が必要な妊婦等につきまして、迅速に受け入れ先を確保する母体救命搬送システムを、また、同年八月から、周産期搬送コーディネーターによる搬送調整の仕組みを運用し、救急搬送体制の充実強化を図っております。
 また、NICUからの円滑な退院に向けた支援なども実施しており、引き続き、東京都全域を一つの圏域として周産期医療体制の整備を推進してまいります。

○大山委員 東京都全体を圏域としてということと、周産期母子医療センターを中心にNICUを整備するということなんですけれども、周産期母子医療センターを中心にブロックを分けている。そのブロックの分け方は、区部は、二次医療圏ごとになって、一つのブロックになっていますよ。しかし、多摩地域は、多摩ブロックとして五つの二次医療圏を一つにしていること自体おかしいじゃないですか。
 その上、NICUの整備は、東京都全体が一つの圏域などというのですから、東京都のご都合としかいいようがありません。限られた資源だといいますけれども、その限られた貴重な資源をなくしたことの責任は大きいわけです。
 医師の育成、確保を初め、多摩地域も区部と同様に、二次医療圏ごとの周産期体制にできるように努力すべきです。今年度じゅうに次期の保健医療計画を策定することになっていますね。次期計画では、東京都全域が一つの圏域ということ自体を抜本的に見直して、二次医療圏を基本に、よりきめ細かい圏域ごとに整備する方向に転換することを強く求めておきます。
 青年や思春期の精神科医療の体制整備も重要です。松沢病院に早期支援青年期外来が開設されて、自宅や学校へのアウトリーチにも取り組むなど成果を上げています。しかし、きめ細かい支援を行うため、受診できるのは世田谷区及び世田谷区に隣接する地域に住む青年に限定されています。都内すべての地域をカバーできるよう、病院経営本部と連携をとり、都立病院や公社病院にも早期支援青年期外来、ユースメンタルサポートセンターを開設するとともに、民間病院での開設を支援する必要がありますが、どうですか。

○熊谷障害者医療担当部長 若年者の精神疾患の予防や悪化防止に対しましては、精神保健福祉センターや保健所におきまして、本人及び家族などを対象とした思春期、青年期相談を実施し、早期に医療機関など必要な支援機関につながるように取り組んでおります。
 また、心の不調を感じた場合、まずは内科など一般診療科を受診される傾向が見られることから、かかりつけ医と精神科医が緊密に連携し、専門的医療につなげることが有効でございます。
 そのため、都は昨年度から、地域ごとに一般診療科医師を対象として、精神疾患や精神保健医療の法制度などに関する研修を行うとともに、一般診療科医師と精神科医師による合同症例検討会を実施しており、こうした地域での取り組みを、今年度はさらに広げてまいります。

○大山委員 思春期は人の一生の中で、心の変調を最も体験しやすい時期といわれています。精神疾患はこの時期に多く発症していますが、適切な支援や治療につながらないまま症状が悪化するケースが少なくありません。答弁されたように、早期発見、早期治療が極めて重要なわけです。
 松沢病院のユースメンタルサポートセンターは、こうした課題に対応するために開設されました。答弁されたように、精神保健福祉センターや保健所は重要な役割を果たしているだけに、人員配置も含め、より拡充が求められています。一般診療医師と精神科医師による合同症例検討会なども重要だと思います。
 同時に、都立病院での実践が既にあるわけですし、実際、全国的には民間のクリニックでも、医師や精神保健福祉士、看護師、作業療法士、介護支援専門員など多職種でのチーム、さまざまな専門職が必要に応じてアウトリーチなども行っているのですから、きちんと位置づけて、民間病院でも実施できるように、都として支援するべきです。
 児童精神科についても深刻です。こころの健康政策構想会議のワーキンググループ報告集では、児童精神科医と診療施設が圧倒的に不足していると報告されています。梅ケ丘病院を廃止してしまったことが大きな痛手となっています。世田谷区の梅ケ丘病院跡地利用基本構想・調整プラン(素案)というのが出ていますが、ここでは、都立梅ケ丘病院が小児精神専門病院であったことも踏まえ、専門医療と連携して精神障害者の地域生活を支える支援体制への配慮も求めている、こうなっています。これらの要望にも前向きにこたえるように要望しておきます。
 三つ目の項目の医師、看護師の確保については、今までの質疑の中で述べたとおりです。
 この陳情を採択することを求めて、終わりにします。

○吉田委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○吉田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二四第三五号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分で、執行機関に送付することを適当と認めるものについては、これを送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十一分散会

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