厚生委員会速記録第五号

平成二十四年三月二十二日(木曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長松下 玲子君
副委員長遠藤  守君
副委員長吉住 健一君
理事田の上いくこ君
理事山加 朱美君
理事三原まさつぐ君
小林 健二君
柳ヶ瀬裕文君
たきぐち学君
野島 善司君
斉藤あつし君
ともとし春久君
増子 博樹君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
総務部長梶原  洋君
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長藤田 裕司君

本日の会議に付した事件
意見書について
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 厚生委員会所管分
・第五号議案 平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・第十七号議案 平成二十四年度東京都病院会計予算
付託議案の審査(決定)
・第六十号議案 東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十一号議案 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十二号議案 東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
・第六十三号議案 東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例
・第六十四号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例
・第六十五号議案 東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十七号議案 東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十八号議案 興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第七十九号議案 東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第八十号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十一号議案 東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
・第八十二号議案 東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第八十三号議案 東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第八十四号議案 東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
・第八十五号議案 東京都障害児通所給付費等不服審査会条例
・第八十六号議案 東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・第八十七号議案 東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
・第八十八号議案 東京都知的障害者援護施設条例を廃止する条例
・第八十九号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例を廃止する条例
・第九十号議案 東京都肢し体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
・第九十一号議案 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・第九十二号議案 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
・第九十三号議案 東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
・第九十四号議案 東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
・第九十五号議案 東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
・第九十六号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
・議員提出議案第一号 東京都がん対策推進条例
・第六十四号議案に対する修正案
請願の審査
1 二三第三九号 東京の子どもたちの安心・安全を保障する保育施策の拡充に関する請願
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○松下委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書中一件については、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

こころの健康基本法(仮称)の早期制定を求める意見書(案)
 現在、うつ病や認知症などの精神疾患患者数は、全国で三百万人を超えており、急増状態にある。また、年間三万人を超える自殺と精神疾患との密接な関わりや児童期のこころの健康問題も指摘されている。こころの健康と精神疾患の問題は、国民の生命、健康及び生活上の重大な問題となっている。
 また、こころの健康と精神疾患対策に関しては、一般医療との格差の是正、精神科救急の充実、身体合併症への対応、認知症患者の増加など高齢化社会への対応、地域生活を支える保健福祉サービスの基盤整備や職場・学校におけるメンタルヘルスの充実など、重要かつ広範な課題が山積している。
 こうした中、平成二十三年七月の社会保障審議会医療部会において、精神疾患に係る医療の機能分担や地域連携体制が、医療計画に新たに必須事項として記載されることとなった。
 精神疾患は、誰にでも起こり得る疾患であるとともに、当事者や家族の生活に多大な負荷を与えるものであることから、今後も引き続き、必要な財源や社会資源の確保を進めていかなければならない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、精神保健医療福祉の総合化と速やかな強化・充実を図るため、こころの健康と精神疾患対策に関する基本理念や施策推進の基本となる事項を定める「こころの健康基本法(仮称)」を早期に制定するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十四年三月 日
東京都議会議長 中村 明彦
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣 宛て

○松下委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書については、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○松下委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案及び請願の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分、第五号議案、第六号議案及び第十七号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言願います。

○増子委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十四年度予算に係る議案について意見の開陳を行います。
 厳しい財政環境の中、一般会計の予算規模は、前年度比一・四%減の六兆一千四百九十億円と四年連続の減になり、政策的経費である一般歳出も、前年度比一・三%減の四兆五千二百三十一億円に抑制されています。投資的経費については、前年度比一・二%増の八千五百七億円として、新たな雇用や需要の創出などにも配慮されたものとなっています。
 事務事業評価においては、報告団体への支出などにも対象範囲を拡大し、百九十八件を見直し、約二百二十億円の財源を確保するとともに、歳出を精査して約一千百六十億円の事業費を削減しています。こうした取り組みを通じ、基金の取り崩しを最小限に抑えたことは、不安定な都税収入に支えられている都財政を運営する上で当然のリスク管理であり、評価するものです。
 昨年三月に発生した東日本大震災は、都政のあらゆる分野に新たな課題を投げかけました。そこで、都は、こうした都政環境の変化を反映した都市戦略「二〇二〇年の東京」計画を発表し、大震災を乗り越え、日本の再生を牽引するとしています。
 本予算案では、首都直下地震や三連動地震へのさらなる防災対策の強化、災害に強く環境負荷の少ない省エネルギー型の都市づくりや、放射能対策などに戦略的な対応を行うとしています。また、急激な円高に苦しむ中小企業を支え、雇用を守る取り組みを行うことや、子どもや子育て家庭への支援などについても、確実に取り組むとしています。
 一方で、住宅耐震化の対象拡大、救急搬送時間の短縮に向けた取り組みやがん対策など、医療に対する都民ニーズの多様化や、高齢化、高い失業率などに迅速に対応し、真に都民の安心を得るためには、さらなる施策の充実が必要です。
 また、都の財政運営にとって重要な課題である法人事業税の暫定措置廃止については、国の社会保障・税一体改革大綱において、撤廃に向けた方針が明記されました。しかしながら、今なお、その実現には乗り越えるべきハードルや異論があり、私たちも撤廃が完全に実現するまで、引き続き国に対する取り組みを行ってまいります。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
 まず、福祉保健局について申し上げます。
 一、事業所内保育所は、待機児童の多いゼロ-二歳児の受け入れが多いこと等も踏まえ、補助終了後の継続性や新規参入可能性を高めるため、必要な事柄について検討すること。
 一、病児、病後児保育施設が不足している地域への整備促進も含め、病児、病後児保育事業の拡充を図ること。
 一、待機児童解消のため、引き続き保育所の新設、分園の開設等、保育サービスの拡充に取り組むこと。あわせて保育の質の確保に向けて取り組むこと。
 一、保育所の耐震化を引き続き推進するとともに、建物全体での耐震改修までは難しい保育所については、耐震シェルターの設置を促進するなど、子どもたちの安全確保に取り組むこと。
 一、児童虐待対策について、児童相談所の職員、児童福祉司の増員、さらに広報、PR活動を強化し、虐待通報の認知度を上げるなど、一層の取り組みを推進すること。また、一時保護施設の拡充についても検討すること。
 一、里親、里子がきめ細やかな支援を受けられるサポート体制を構築すること。さらに、早期から自立に向けた支援を実施するとともに、措置解除後の支援についても、しっかりと取り組むこと。
 一、ひとり親家庭支援については、在宅就業支援事業の活用を進めるため、ひとり親等の在宅就業に関するニーズ、課題を調査するなど、さまざまに工夫して取り組むこと。
 一、改正消防法令による自動火災報知設備や消防機関への火災通報装置の設置が義務づけられ、既存施設の経過措置も平成二十三年度末までとなっているため、消防法令の遵守や消防設備の新たな整備費補助制度について事業者に周知するとともに、障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランにおける特別助成などを引き続き支援すること。
 一、障害者の区市町村就労支援事業については、就労定着支援相談や特別支援学校との連携支援等の相談件数の増加に応じた業務対応を強化すること。
 一、障害者のサービス等利用計画作成に従事する相談支援専門員の養成拡大のため、研修指定事業者の拡大に向けて取り組むこと。
 一、地域住民に直接かかわる歯科保健業務について、各市町村において適切な歯科保健サービスが提供されるよう、都保健所の歯科衛生士は、必要に応じて支援するとともに、市町村の歯科衛生士と連携すること。
 一、療養病床の機能強化研修に取り組むとともに、療養病床の整備を一層促進するため、さらに取り組むこと。
 一、都独自の死亡率目標設定、緩和ケアチーム、緩和ケア外来が数多く運営されるよう、緩和ケア人材育成を一層推進するとともに、認定看護師、専門看護師等の専門人材の育成支援、精度の高い地域がん登録実施など、がん対策推進に一層取り組むこと。
 一、精神障害者への訪問型支援、アウトリーチを早期に全都で実施するため、取り組むこと。
 一、精神身体合併症への対応として、都の実態に即した精神身体合併症救急医療体制のあり方を早急に検討すること。
 一、認知症疾患医療センターの指定、運営に当たっては、センターと区市町村との連携体制を支援するとともに、地域包括支援センターとの連携等、介護保険サービスとの連携構築についても、しっかりと取り組むこと。
 一、HIV、エイズ対策として、HIV検査の受診促進に向け、働き盛りの二十代から四十代を中心とした都民への普及啓発、広報の充実を図ること。
 一、国民健康保険事業の円滑な運営に努めるとともに、運営費補助を行うこと。国保組合についても引き続き補助を行うこと。
 次に、病院経営本部について申し上げます。
 一、今後とも、医師の確保、育成の取り組みを継続し、麻酔科医を初めとした、必要な医師を確保できるよう取り組むこと。
 一、入院患者への口腔ケアについて、歯科衛生士の配置や看護師への講習など、質の向上に取り組むこと。
 一、医薬品や診療材料の購入価格を下げる工夫を引き続き行うこと。
 一、高度専門的医療提供体制の確立、患者サービスの向上のため、引き続き専門看護師や認定看護師の養成を進めること。
 一、多摩小児総合医療センターにおいて、小児救急患者の救命対応や地域の二次医療機関とのネットワークを構築するとともに、こども救命センター並びに多摩小児医療ネットワークの運営を充実させること。
 一、墨東、大塚、多摩総合、小児総合の各都立病院における周産期母子医療センターの安定的な運営のため、地域の実情に応じ、周産期医療ネットワークグループなど、しっかりとした連携体制を構築すること。また、多摩総合、小児総合で指定を受けた、いわゆるスーパー総合周産期母子医療センターの運営を行うとともに、NICU病床を確保するため、NICUを必要入院児の在宅への移行支援事業を実施すること。
 一、医療法に定める四疾病五事業に精神疾患が加わることに合わせ、都立病院においても精神科医療の充実を図ること。また、松沢病院で認知症疾患のセンター的機能を担うこと。
 一、医療安全対策を充実強化するため、インシデント・アクシデント・レポートをIT化すること。また、リスクマネジメント研修を実施すること。
 一、IT化の推進、情報セキュリティー対策を推進すること。都立病院で扱う個人情報をしっかりと守るため、院内LANを整備、充実するとともに、個人情報保護対策を不断に見直し、強固な情報セキュリティー環境を実現すること。
 一、八王子小児病院、清瀬小児病院、梅ケ丘病院の再編整備により、地域の医療機能が低下しないよう、引き続き十分な対策を実施していくこと。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○山加委員 東京都議会自由民主党を代表いたしまして、当厚生委員会に付託されました平成二十四年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 平成二十四年度予算は、厳しい財政環境が続く中で、都民の安全・安心を取り戻す確かな手だてを講じるとともに、東京の成長と発展に向けた取り組みを戦略的に推進するものとなっています。
 とりわけ注目すべきは、歳出総額を抑制しながらも、経済波及効果の高い投資的経費を八年連続で増加させている点です。
 同時に、事業評価を初め、むだをなくす取り組みを徹底して行い、基金残高を八千三百億円確保するなど、今後の備えも講じています。
 真に必要な施策の推進とそれを支える財政基盤の堅持という、二つの課題を両立させたものとなっており評価するものです。
 今後も都税収入の好転が見込めない中、将来にわたり責任ある財政運営を行っていくためにも、自己改革努力を不断に進め、堅実な財政運営に徹することを望みます。
 最後に、現下の都民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、各局とも、施策の目的をできる限り早期に達成するべく、迅速かつ着実な予算執行に努められるよう強く要望いたします。
 次に、福祉保健局関係について申し上げます。
 一、「二〇二〇年の東京」への実行プログラム二〇一二に基づく施策を着実に進められたい。
 一、災害の発生直後から迅速かつ円滑に医療を提供するため、災害医療コーディネーターの設置や、都内すべての病院の耐震化の促進、通信連絡手段の確保など、災害医療体制の強化に努められたい。
 一、ハイリスクの妊産婦や新生児、重篤な小児救急患者に係る高度な医療を確保するため、NICU病床の増床に取り組むとともに、妊産婦や新生児のリスクに応じた医療体制や、こども救命センターを中心とした小児医療機関が相互に連携するネットワークの充実に努められたい。
 一、救急医療の地域ネットワークにおいて、救急患者受け入れの調整及びみずからも患者の受け入れを行う東京都地域救急センターの充実を図るなど、救急医療の東京ルールの安定的な運用に努められたい。
 一、超高齢化社会に備え、切れ目なく医療、介護サービスを受けられるよう、区市町村の在宅療養推進を支援するとともに、在宅療養環境の整備に努められたい。
 一、小児科、産科等の医師について、将来にわたって安定的な確保が可能となるよう、医師の勤務環境改善や、都独自の医師奨学金制度など、積極的な対応を図られたい。
 一、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院の拡充及び機能強化を図るなど、都全体のがん医療提供体制の充実に努められたい。また、平成二十四年度に開始する地域がん登録について、登録の充実を図るための体制を整備されたい。
 一、介護人材不足の解消に向け、新卒学生等の介護職場への就職支援など、介護人材確保対策の充実に努められたい。
 一、特別養護老人ホームの計画的な整備を進めるとともに、身近な地域での在宅サービスの基盤整備を図るため、区市町村が行う地域密着型サービス拠点や訪問看護ステーションの整備を図られたい。
 一、ケアつき住まいの整備促進及びシルバー交番の設置促進に努められたい。
 一、特養経営支援事業などにより、特別養護老人ホームに入所する医療的ケアが必要な方々への支援を充実されたい。
 一、平成二十四年度に限り取り崩す介護保険財政安定化基金のうち、東京都分については、中長期的な視点に立って活用を図られたい。
 一、児童虐待防止への理解と協力を広く働きかけるため、普及啓発の一層の推進を図られたい。
 一、児童養護施設や養育家庭で育つ児童への相談、援助等の充実を図り、児童の自立支援の一層の強化を図られたい。
 一、養育家庭に対する支援を強化するため、児童相談所の体制強化を図るとともに、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業の充実を図られたい。
 一、待機児童の解消に当たっては、保育の実施主体である区市町村が行う取り組みを広く柔軟に支援されたい。また、認証保育所のさらなる設置促進や家庭的保育の共同実施、病児保育の充実などに取り組み、保育サービスの拡充を図られたい。
 一、保護者ニーズの高い開所時間延長に対応する都型学童クラブの設置促進を図られたい。
 一、障害者が地域で安心して生活するためのグループホーム等のサービス基盤について、引き続き整備促進を図られたい。
 一、区市町村において、障害者が災害時等に周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのヘルプカードの作成が進むよう、ガイドラインを作成するとともに、普及啓発に努められたい。
 一、抗インフルエンザウイルス薬、個人防護具等の備蓄や地域医療体制の確立を図るなど、対策に万全を期されたい。
 一、放射能に対する都民の不安解消のため、検査体制の充実により、食の安全・安心の確保に努めるとともに、都民に対しわかりやすく情報提供するなど、対策を着実に推進されたい。
 次に、病院経営本部関係について申し上げます。
 一、都民の医療ニーズを的確に見据えながら、患者中心の医療の実現と、高水準で専門的な医療を幅広く都民に提供できる体制を構築するため、都立病院改革を着実に推進されたい。
 一、小児総合医療センターは、こども救命センターとして小児専門の高度医療を担うとともに、多摩北部医療センターなどの二次医療機関では救命治療が困難な小児重篤患者を、二十四時間三百六十五日受け入れるなど、多摩地域の小児医療及び周産期医療を担う最後のとりでとしての役割を確実に果たされたい。
 一、区東部保健医療圏における新型インフルエンザなどの新興感染症の発生に備え、感染症医療の拠点である墨東病院において、他の病棟から独立した感染症病棟及び外来の整備を進めるとともに、大規模流行期に必要な医療を確実に提供するため、地域医療機関等との連絡体制を構築すること。
 一、東日本大震災を踏まえ、都立病院は、災害拠点病院として中心的な役割を果たせるよう、関係機関との連携を強化するとともに、自家発電設備の設置等によるライフラインの強化を行うなど、災害対応能力の一層の向上に努め、首都直下型地震などへの備えに万全を期されたい。
 一、松沢病院は、平成二十四年五月の新館稼働に向け、引き続き建設工事を着実に進めるとともに、急性期精神科医療や、精神科身体合併症医療等の精神科特殊医療を担うなど、一般の精神科病院では対応困難な専門性の高い精神疾患に対応することにより、精神科医療の拠点としての役割を果たしていくこと。
 一、急性期医療、高度専門医療に積極的に取り組み、安定的で良質な医療サービスを提供していくため、次代を担う若手医師を育成、確保する東京医師アカデミーによる臨床研修の充実を図るとともに、看護師を初めとする医療人材の確保、定着対策を引き続き講じること。
 一、財団法人東京都保健医療公社は、医療機能や医療資源の相互補完や、医師の派遣を初めとする医療人材の交流等について、病院経営本部との間で相互連携を推進させることで、さらに充実した地域医療を提供するとともに、経営力の強化にも取り組まれたい。
 以上、都議会自由民主党の意見開陳を終わります。

○小林委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成二十四年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 平成二十四年度の一般会計当初予算案は、都政史上初の五年連続都税収入減収という厳しい財政環境の中、歳出総額が抑制されたものとなっており、政策的経費である一般歳出は、前年度比一・三%減の四兆五千二百三十一億円と、二年連続の減となっています。
 しかし、その中身を見れば、施策を厳選し、限られた財源を重点配分することで、都民の負託に的確にこたえるものへと練り上げられた予算となっていることがうかがえます。
 具体的には、依然として日本経済の低迷が続く中、雇用創出効果や中小企業の受注機会の拡大など、景気対策にも密接に連動する投資的経費を八年連続で増加させております。また、公明党が一貫して充実を求めてきた福祉と保健の分野については、金額、構成比ともに過去最高としています。
 加えて、防災力強化やエネルギー対策など、東日本大震災により浮き彫りとなった東京の新たな課題にも積極果敢に対応するものとなっています。とりわけ、全国自治体の先頭に立って、災害廃棄物の受け入れを推進するなど、引き続き被災者、被災地支援にしっかりと取り組む姿勢は、高く評価するものであります。
 都財政を取り巻く環境が厳しさを増す中において、このような予算を編成できたのは、都が公明党と手を携え、複式簿記・発生主義による新たな公会計制度も活用しながら、事業評価を初めとした都庁の自己改革努力を重ね、堅実な財政運営に徹底して取り組み、財政の対応力を培ってきたからにほかなりません。
 平成二十四年度予算案においても、むだをなくし、個々の施策の効率性や実効性を高める取り組みを徹底するとともに、都債や基金を適切に活用するなど、まさに施策展開とそれを支える財政基盤の堅持とのバランスのとれた予算案といえます。
 厳しい財政環境が当面続くことが見込まれますが、いかなる状況にあっても都民生活を守っていけるよう、今後とも将来に向けて責任ある財政運営に努めることを強く望むものであります。
 あわせて、予算の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効率的、効果的に行うことを要望します。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、福祉保健局関係について申し上げます。
 一、「二〇二〇年の東京」への実行プログラム二〇一二に基づく施策を着実に進めること。
 一、認知症への地域医療の支援や、認知症ケアの向上、若年性認知症の人やその家族のため、ワンストップ相談窓口を設置し相談体制を強化するなど、認知症対策を総合的に推進すること。
 一、特別養護老人ホームの整備促進に努めるとともに、高齢者が身近な地域で暮らし続けられるよう、認知症グループホームやケアハウス、小規模多機能拠点などの地域密着型施設の整備に対する支援の充実を図ること。
 一、ひとり暮らし高齢者の在宅生活の安全・安心を確保するため、シルバー交番の計画的な設置を進めること。
 一、保育所待機児童の解消に向けて、区市町村が地域の実情に応じて実施する事業を広く柔軟に支援すること。また、多様な保育ニーズに対応するため、大都市特性に合わせた独自の基準を持つ認証保育所の設置促進や、病児保育の充実、家庭的保育事業の共同実施に対する支援など、取り組みの充実を図ること。
 一、社会的養護のもとで育つ子どもの自立を促進するため、児童養護施設や養育家庭における自立支援の体制を強化すること。
 一、養育家庭への支援体制を強化するため、児童相談所の支援を一層充実させるとともに、里親支援機関を全児童相談所に拡充の上、土日、夜間を含めた体制整備を図ること。
 一、障害者が災害時などに、周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのヘルプカードの普及促進を図ること。
 一、障害者の地域生活を支えるため、グループホーム及び通所施設などのインフラ整備を推進すること。
 一、ハイリスクの妊産婦や新生児を受け入れるため、周産期母子医療センターやNICUの整備を図るなど、二十四時間体制で対応できる周産期医療システムを整備、拡充すること。特に、整備のおくれている多摩地域においては、重点的に対応すること。
 一、重篤な小児救急患者を迅速に受け入れるため創設した、こども救命センターを中心に、円滑な救急搬送システムの安定的な運用に努め、確立すること。
 一、都民のがん医療水準向上を図るため、がん登録センターにおいて、院内がんデータの収集分析を行うなど、院内がん登録の推進に努めるとともに、平成二十四年度に開始する地域がん登録について、登録の充実を図るための体制を整備すること。
 一、女性の健康を総合的に支援することを目的とした三月の女性の健康週間において、女性のがんについての普及啓発の取り組みを充実させること。また、子宮頸がん予防ワクチンに対する正しい知識の普及を行うこと。
 一、救急搬送に対する都民の不安を払拭するため、救急患者の受け入れを調整する地域救急医療センターの充実を図り、救急患者の円滑な受け入れに努めること。
 一、医師、看護師などの医療人材の効果的な確保策を推進すること。小児科、産科の専門医や地域医療を担う医師を養成するため、奨学金制度の取り組みを進めるほか、病院勤務医離職防止のため、勤務環境改善に向けた取り組みを図るとともに、離職した医師の再就職支援を推進すること。
 一、新型インフルエンザに備え、抗インフルエンザウイルス薬、個人防護具などの備蓄や、強毒型にも対応した地域医療体制の構築を進めるなど、万全の対策を講じること。
 一、介護人材不足の解消に向け、新卒学生等に対する資格取得の支援や、有資格者の再就職支援を実施するなど、介護人材確保対策の拡充を図ること。
 一、大規模災害の発生時における都民の安全・安心に資する医療提供体制の確保に向け、地域の実情に応じた医療救護体制や、災害拠点病院の通信連絡手段の整備など、災害医療体制の強化に努められたい。
 一、都民が身近な場所で安心して在宅療養できる仕組みを構築するため、地域の実情を踏まえた区市町村の在宅医療の取り組みを支援するとともに、病院、診療所、訪問看護ステーションなど、地域の在宅療養を支える関係者のネットワーク構築に努められたい。
 一、食の安全・安心を確保するため、放射能検査体制の充実を図るとともに、都民への情報提供に努めること。
 次に、病院経営本部関係について申し上げます。
 一、都立病院は他の医療機関との連携を強化するとともに、高度多様化する都民の医療ニーズに迅速かつ的確に対応し、一般の医療機関では対応困難な行政的医療の充実など、さまざまな医療課題に積極的に取り組むこと。
 一、新型インフルエンザ対策として、平成二十一年度から医療資器材等整備三カ年計画に基づき確保してきた医療資器材などについては、適切な保管体制及び迅速な配送体制を整備することで、再流行を想定した万全の備えを行い、公的医療機関としての役割を果たすこと。
 一、東日本大震災を踏まえ、大規模災害発生時の迅速な初動体制を確保するとともに、診療機能を維持するためのインフラの強化や、発災後、一定期間が経過した後も継続的に医療を提供していくための事業継続計画、BCPを早期に策定し、都民の生命を守る最後のとりでとしての役割を果たすこと。
 一、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院へ新たに導入した最新の放射線治療機器については、効果的に活用することにより、病態に応じた治療や、身体的負担が少ない治療の一層の充実を目指すとともに、他の都立病院への導入も検討するなど、がん医療の水準向上に努めること。
 一、平成二十三年度に開講したクリニカルフェロー研修コースについては、引き続き専門臨床能力や総合診療能力を一層研さんするなど、将来の都立病院の中核を担うトップレベルの臨床医を育成し、さらに医療の質の向上を目指すこと。
 一、多くの優秀な看護職員を採用し、都立病院の医療の質向上を目指すとともに、東京看護アカデミーによる研修を引き続き充実させることで、認定看護師、専門看護師の養成派遣研修や、助産師資格取得支援など、看護職員のキャリア開発を支援すること。
 一、財団法人東京都保健医療公社は、医師及び看護師の確保を強化し、地域の中核病院として、救急医療を初めとする地域の医療ニーズに的確に対応すること。
 以上をもちまして意見の開陳を終わります。

○大山委員 日本共産党都議団を代表して、二〇一二年度予算案について意見を述べます。
 都民の暮らしは、雇用の破壊、社会保障の切り捨てなどで、子育て世帯も高齢者も若者も、ますます困難な状況になっています。こんなときだからこそ、東京都には、都民の福祉、暮らしを守る地方自治体本来の役割をしっかり果たすことが問われています。
 ところが、福祉予算は過去最高だといいますが、増額の主な内容は、介護保険給付費負担金など義務的経費の自然増や、国の補正予算対応、子ども手当見直しに伴う地方負担増などによるものです。福祉の分野別に見れば、高齢社会対策から障害者施策、医療政策、健康安全、施設整備など、今年度当初予算に比べ軒並み減らされています。深刻な看護師不足の中、都立看護専門学校の授業料は二五%、年額五万三千円もの値上げが計画され、都内唯一の大型児童館である東京都児童会館、内部障害者の職業訓練施設である清瀬園は廃止されます。
 介護保険、後期高齢者医療の保険料値上げを抑制するための財政安定化基金の活用は予算化されていますが、値上げ幅を若干減らすにとどまり、このままでは、二十三区国保料も含め負担増が押し寄せます。
 日本共産党都議団は、都民の暮らし、福祉最優先の予算にすることを求めるものです。
 福祉保健局関連です。
 一、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料を軽減するため、区市町村、後期高齢者医療広域連合及び国保組合への財政支援を抜本的に拡充すること。
 一、NICUの整備を促進するとともに、周産期連携病院、多摩新生児連携病院をふやすなど、周産期医療、小児救急医療体制を拡充すること。NICUを、多摩地域でも二次医療圏ごとに整備すること。
 一、介護者、介助者の孤立化防止と総合的支援策の確立に向け、実態調査及び要望調査を実施すること。
 一、小児科の休日・全夜間救急診療事業の委託料を拡充し、都内六十カ所に向け、整備を促進させること。
 一、地域における災害医療体制強化に向け、中小病院に対し、応急資器材等の整備費補助を実施すること。
 一、がんによる痛みや苦痛を和らげるため、情報提供や相談を行う在宅緩和ケア支援センターをふやすなど、がん医療を拡充すること。また、がん検診の無料化や受診率向上に取り組む区市町村を支援するなど、予防体制を拡充すること。
 一、都の計画どおり療養病床の増床を進めるため、運営費補助を実施するなど支援を拡充すること。
 一、深刻な医師不足の打開に向け、離職している医師の再就職を促進するドクターバンクを設置すること。
 一、看護学校の授業料値上げは撤回し、奨学金制度の充実を図ること。廃止した看護専門学校を再開または新設するなど、定員をふやすこと。
 一、都の保健所に感染症担当保健師を増配置することを初め、新型インフルエンザ等への対応を強化すること。
 一、脳ドックの利用料助成を実施する区市町村に支援すること。
 一、難病相談・支援センターを多摩地域にも設置すること。
 一、被爆者の高齢化による相談件数の増加等に対応するため、健康指導委託費を増額すること。
 一、心身障害児者医療費助成の六十五歳以上の新規受け付けを再開し、段階的に制度の拡充を進めること。
 一、乳幼児医療費助成の所得制限を撤廃すること。
 一、都の義務教育就学児医療費助成の通院一回二百円の一部負担をなくし、入院だけでなく、通院も無料にすること。また、高校生年齢までの医療費無料化を実施すること。
 一、七十五歳以上の医療費の無料化を進めること。
 一、生活保護世帯に対する熱中症対策としての冷房機器設置支援及び熱中症対策を実施する区市町村に対する補助を来年度も継続すること。
 一、コミュニティバス運行費の助成の要件を緩和するとともに、運行開始から三年限りの運行補助を五年に延長すること。区部の路線も補助対象にすること。
 一、民間アパート等を借り上げることにより、仕事と住まいを失った人等への一時宿泊施設を確保すること。無料低額宿泊所の改善を進めるため、公設施設を整備する区市町村への整備費補助を実施すること。
 一、特別養護老人ホーム経営支援事業を増額、拡充するとともに、特別養護老人ホーム整備を促進すること。また、定期借地権の一時金に対する補助を増額、拡充するとともに、用地費助成を再開すること。
 一、低年金の高齢者も認知症グループホームに入れるように、家賃補助を実施すること。
 一、小規模多機能型居宅介護施設の利用促進に向け、宿泊利用料の軽減補助を実施すること。
 一、老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能施設など、地域密着型サービスの整備予算を増額、拡充すること。
 一、特別養護老人ホームの待機者に介護手当を支給すること。
 一、シルバーパスは、所得に応じ三千円パスを発行し、住民税課税者の負担を軽減するとともに、多摩都市モノレールを対象交通機関とすること。
 一、都型学童クラブの補助対象に公設公営施設を加えること。
 一、ひとり親家庭の当事者団体等が実施する相談支援事業に対し補助を行うこと。
 一、不育症相談事業を実施すること。
 一、里親支援のあり方検討会(仮称)を設置すること。
 一、都立児童養護施設に個別ケア職員等を配置し、専門的機能を強化すること。
 一、私立保育園の職員の確保、定着を促進するため、サービス推進費を拡充し、職員の経験年数加算を再開すること。
 一、都立児童会館の存続、再開に向けた検討会を設置すること。
 一、都庁で行うチャレンジ雇用の対象を、視力、聴覚障害、内部障害、発達障害者等にも拡大し、対象人数をふやすこと。
 一、心身障害者福祉手当を増額するとともに、精神障害者にも適用すること。
 一、視覚、聴覚の両方に障害がある盲ろう者の通訳介助者派遣事業の派遣時間数を抜本的に増額するとともに、盲ろう者支援センターを多摩地域にも設置すること。
 一、広域的利用や個人のみでなく、集まりの場の主催者が利用できる都独自の要約筆記者派遣事業を再開すること。また、都の手話通訳派遣事業を再開すること。
 一、難聴の高齢者、障害者の社会参加促進に向け、携帯型磁気ループを設置する区市町村の購入費を補助すること。
 一、内部障害者授産施設、都立清瀬園の再開に向けた検討会を設置すること。
 一、精神障害者と家族への多職種訪問型支援、アウトリーチ支援を拡充すること。
 一、食品を初め放射能検査体制強化のため、検査機器の増設、専門職員を増員すること。また、保育園などの給食食材の放射能検査を支援すること。
 一、保育所待機児解消に向け、認可保育所の整備を促進するため、用地費助成を実施すること。また、公立保育所の増設を促進するため、国により一般財源化された整備費補助を都独自に実施すること。
 一、都内避難者の孤立防止や総合相談窓口などの支援を拡充するとともに、都民と同様の行政サービスを受けることができるよう、支援を強化すること。乳幼児及び子どもの医療費助成は、現物給付にできるよう、区市町村と相談すること。
 病院経営本部です。
 一、都立病院の運営は直営を堅持して拡充し、地方独立行政法人化はしないこと。
 一、都立病院へのPFI導入はやめること。駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、松沢病院のPFIは、契約解除を検討すること。
 一、がん医療などに高度に対応できる医療技術職員の計画的な養成のために、医療技術者アカデミー、あるいはコメディカルアカデミーを開設すること。
 一、がん患者の在宅療養支援のため、がん在宅医療支援チームをつくって実施すること。
 一、松沢病院を初め精神科がある都立、公社病院で、多職種で構成したアウトリーチチームを実現すること。
 一、早期に医療につながる、また、患者を理解することなどに有効な、小中学生から、心の病気に関する学習ができるように、病院の事業として積極的に取り組むこと。
 一、都立病院で院内助産所、助産師外来を実施すること。
 一、都立病院、公社病院の医師の待遇改善、七対一看護基準の実施を推進し、医師、看護師、薬剤師等の配置をふやすこと。
 一、八王子市内に都立、公立の小児病院を開設する検討を行うことを初め、多摩地域及び区部の小児医療、周産期医療、障害児医療を拡充すること。また、小児精神科については、梅ケ丘病院の跡地での外来診療を開始すること。
 一、都立病院での自家発電施設整備を促進し、災害医療体制を拡充強化すること。
 以上です。

○松下委員長 以上で予算に対する意見開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見については、委員長において取りまとめの上、調査報告書として議長に提出いたしますので、ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○松下委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第六十号議案から第七十一号議案まで及び第七十七号議案から第九十六号議案まで並びに議員提出議案第一号を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 ただいま議題となっております議案中、第六十四号議案に対し、大山委員から修正案が提出されました。
 案文はお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

   〔修正案は本号末尾に掲載〕

○松下委員長 これを本案とあわせて議題といたします。
 提出者の説明を求めます。

○大山委員 第六十四号議案、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例案に対する修正案の提案説明をいたします。
 本条例案は、条例本文で、ゼロ歳児及び一歳児の保育室の面積を、一人当たり三・三平方メートルとなっているものを、附則によって、国が指定した自治体は、年度途中においては一人当たり二・五平方メートルに縮小してもよいとなっています。
 私が提案した修正案は、この附則を削除することにより、一人当たり面積の縮小を認めないというものです。
 厚生委員会の質疑で明らかになったことは、保育室の面積についても、かつての都基準を都内の区市町村は継続して実施しているということです。ゼロ歳児、五平方メートル以上が八割を超えるということは、ほとんどの自治体が、都基準はなくされても、その基準を継続しているということです。福祉保健局が答弁するように地域の実情に応じて展開するようなレベルではなく、東京全体の標準となっているのです。
 子どもたちの安全や豊かな成長発達を保障するため、保育の現場からも支持されず、都内自治体からも反対されている面積基準の緩和は、条例に書き込むべきではありません。したがって、削除するものです。
 ご賛同、よろしくお願いいたします。

○松下委員長 説明は終わりました。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○大山委員 日本共産党を代表し、知事提出第六十四号議案、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例外九議案に反対し、他の議案には賛成、議員提出議案第一号、東京都がん対策推進条例に賛成する立場から意見を述べます。
 第六十四号議案は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の制定により、都の条例に委任されたことに伴い、児童福祉施設の設備及び運営の基準を制定するものです。
 そもそも、施設の設置運営基準は、利用者のよりよい処遇を保障するものでなければならず、児童福祉法でも常に向上させることが求められているものです。ところが、保育所の設置運営基準でいえば、かつての都基準が、全都的に見ても東京の最低基準になっているにもかかわらず、それを下回る国の政令どおりの条例提案でしかありません。
 とりわけ重大な問題は、現場も圧倒的多数の都内自治体も反対している、年度途中での面積基準緩和を条例化しようとしていることです。子どもたちの心身の健やかな成長発達を保障するためには、面積基準の拡充こそ求められています。よって、本条例に反対するものです。
 第六十一号議案から六十三号議案は、高齢者施設の設備及び運営の基準です。特養ホームなどの廊下幅を一・五メートル以上と、国の基準より狭いものとなっています。一・五メートルでは、手すりも必要ですから内のりはさらに狭く、とても車いすはすれ違うことさえできません。
 第八十一号議案は、都立看護専門学校の入学料、授業料、寄宿舎使用料の値上げです。事業別財務諸表を活用した評価では、看護師不足の状況に対し、医療、介護の現場を支える質の高い看護師を安定的に養成することが課題だと述べているにもかかわらず、授業料等の値上げをすることが結論になっているもので、安定的に養成が必要なら授業料の値下げこそ必要です。
 第八十六号議案は、東京都心身障害者福祉センターの中にある肢体不自由者更生施設を廃止するものです。中途で身体が不自由となった方を主な対象として、入所により集中的に日常生活動作訓練や生活管理能力訓練等の社会的リハビリテーションサービスを提供し、利用者の生活力の向上と早期の社会復帰を支援している重要な施設であり、高次脳機能障害の自立支援では、先進的に実践してきたところです。
 その機能を東京都練馬障害者支援ホームに移転するとしていますが、心身障害者福祉センターの更生施設は、入所しながら、生活支援、福祉サービス、復帰支援などを、熟達した多職種の専門職によって提供していた都内で唯一の施設です。練馬に新たに設置することは否定しませんが、当施設を廃止する理由にはなりません。高次脳機能障害の方などの自立支援に向け、増設こそ必要です。
 第八十七号議案は、清瀬療護園を民間移譲のため条例の対象施設から削除するものであり、反対です。知的障害者通勤寮については、これまで果たしてきた重要な役割や機能を今後も十分に維持、継続できるよう、都として支援を強化するよう求めておきます。
 また、八十九号議案は、内部障害者の就労支援にとって重要な役割を果たしてきた東京都清瀬園を廃止するものであり、我が党は存続を求めてきました。
 第九十五号議案は、身欠きフグに限り、フグ調理師以外の者も取り扱えるようにするという条例です。食品安全審議会の検討部会での審議においては、毎回、複数の委員からさまざまな心配が出され、答申案を決める検討部会のときには、フグ加工品の安全性が確実に確保できるか、部会案では不安があり、本答申案に反対することを退席という形で示した委員が二人、採決は十二名の部会委員のうち、当日は十一名出席、二人退席したので八名で採決を行い、賛成が七名、反対が一名という結果でした。つまり、十二名中、賛成は七名ですから、辛うじて過半数という事態でした。
 このような状況での答申案であること、その上、この条例の提案者本人である知事が、記者会見で怖いねといっているとんでもない状況です。これでは、到底都民に責任を持って賛成することはできません。
 最後に、議員提出議案第一号、東京都がん対策推進条例です。がん医療の充実は切実な課題であり、がん対策を進める上でも、がん対策推進の基本条例制定は重要なことであり、私たちも、二〇〇八年度予算要望以来、条例の制定を要望してきました。今回提案された条例は、質疑でも明らかになったように不十分なものですが、まずは一歩踏み出すことを重視して賛成します。
 今後、患者、家族などを初め、都民の意見を反映させ、さらに充実した条例にしていくために今後も努力していくことを表明し、意見表明といたします。

○松下委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、議員提出議案第一号を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○松下委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第一号は否決されました。
 次に、第六十四号議案を採決いたします。
 まず、大山委員から提出された修正案を、起立により採決いたします。
 本修正案に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○松下委員長 起立少数と認めます。よって、修正案は否決されました。
 次に、原案について起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○松下委員長 起立多数と認めます。よって、第六十四号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第六十一号議案から第六十三号議案まで、第六十五号議案、第八十一号議案、第八十六号議案、第八十七号議案、第八十九号議案及び第九十五号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○松下委員長 起立多数と認めます。よって、第六十一号議案から第六十三号議案まで、第六十五号議案、第八十一号議案、第八十六号議案、第八十七号議案、第八十九号議案及び第九十五号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第六十号議案、第六十六号議案から第七十一号議案まで、第七十七号議案から第八十号議案まで、第八十二号議案から第八十五号議案まで、第八十八号議案、第九十号議案から第九十四号議案まで及び第九十六号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松下委員長 異議なしと認めます。よって、第六十号議案、第六十六号議案から第七十一号議案まで、第七十七号議案から第八十号議案まで、第八十二号議案から第八十五号議案まで、第八十八号議案、第九十号議案から第九十四号議案まで及び第九十六号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○松下委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願二三第三九号を議題といたします。
 本件については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 請願二三第三九号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○松下委員長 起立少数と認めます。よって、請願二三第三九号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。

○松下委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松下委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○松下委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。

○松下委員長 この際、所管局を代表いたしまして、杉村福祉保健局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○杉村福祉保健局長 お許しをいただきまして、当委員会所管両局を代表いたしまして一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 本定例会でご提案申し上げました議案につきましては、ただいまご決定をいただきまして、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でちょうだいいたしました貴重なご意見、ご指摘等につきましては、今後の事業執行に反映させてまいります。
 また、病院経営本部とも、引き続き緊密な連携を図りまして、さらなる施策の充実に努めてまいります。
 今後とも、より一層のご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○松下委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十二分散会


修正案の提出について

第六十四号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例
 右議案に対する修正案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成二十四年三月二十二日

(提出者)
 大山とも子

厚生委員長 殿

第六十四号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例案に対する修正案

 第六十四号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例案の一部を次のように修正する。
 附則中第二項を削り、第三項を第二項とし、第四項から第八項までを一項ずつ繰り上げる。

(提案理由)
 保育所の居室面積を常時適切に確保する必要がある。

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