厚生委員会速記録第三号

平成二十四年三月十九日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長松下 玲子君
副委員長遠藤  守君
副委員長吉住 健一君
理事田の上いくこ君
理事山加 朱美君
理事三原まさつぐ君
小林 健二君
柳ヶ瀬裕文君
たきぐち学君
野島 善司君
斉藤あつし君
ともとし春久君
増子 博樹君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
次長真田 正義君
技監桜山 豊夫君
総務部長梶原  洋君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長中川原米俊君
保健政策部長前田 秀雄君
生活福祉部長小林 秀樹君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長桃原慎一郎君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長浜 佳葉子君
事業調整担当部長萱場 明子君
医療改革推進担当部長高橋 郁美君
医療政策担当部長山岸 徳男君
地域保健担当部長松浦 慎司君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長高木 真一君
事業推進担当部長秀嶋 善雄君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長鈴木 達夫君
感染症危機管理担当部長笹井 敬子君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十号議案 東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十一号議案 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十二号議案 東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
・第六十三号議案 東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例
・第六十四号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例
・第六十五号議案 東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十七号議案 東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例
・第六十八号議案 興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第七十九号議案 東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第八十号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十一号議案 東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
・第八十二号議案 東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第八十三号議案 東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第八十四号議案 東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
・第八十五号議案 東京都障害児通所給付費等不服審査会条例
・第八十六号議案 東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・第八十七号議案 東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
・第八十八号議案 東京都知的障害者援護施設条例を廃止する条例
・第八十九号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例を廃止する条例
・第九十号議案 東京都肢し体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
・第九十一号議案 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・第九十二号議案 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
・第九十三号議案 東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
・第九十四号議案 東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
・第九十五号議案 東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
請願の審査
(1)二三第三九号 東京の子どもたちの安心・安全を保障する保育施策の拡充に関する請願
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 東京都がん対策推進条例

○松下委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松下委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○松下委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十四年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十四年三月十五日
東京都議会議長 中村 明彦
厚生委員長 松下 玲子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(木)午後五時

(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十七号議案 平成二十四年度東京都病院会計予算

(別紙2省略)

○松下委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の予算の調査、付託議案及び請願の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案及び請願の審査を行います。
 第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案、第六号議案、第六十号議案から第七十一号議案まで及び第七十七号議案から第九十五号議案まで並びに請願二三第三九号を一括して議題といたします。
 予算案及び付託議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料及び請願について理事者の説明を求めます。

○梶原総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。資料は目次にございますように、全部で九項目となっております。
 一ページをお開き願います。二次保健医療圏別NICU病床整備状況といたしまして、都内各二次保健医療圏のNICU病床数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。療養型施設数及び療養病床数(医療保険適用・介護保険適用)の推移といたしまして、施設数と病床数の推移を、医療保険適用と介護保険適用に区分して記載してございます。
 三ページをごらん願います。地域密着型サービスの事業所数の推移といたしまして、認知症対応型共同生活介護につきましては平成十四年から二十三年まで、その他の地域密着型サービスにつきましては、創設された平成十八年から二十三年までの各年につきまして、事業所数の推移を記載してございます。
 四ページをお開き願います。宿泊サービスを実施しているデイサービス事業所の届出状況といたしまして、平成二十四年三月一日現在の届け出及び公表数を記載してございます。
 五ページをごらん願います。平成二十二年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業の平成二十二年度の区市町村ごとの補助額につきまして、六ページにかけて記載してございます。
 七ページをごらん願います。保育所の設備・運営基準に関する東京都児童福祉審議会の検討経過といたしまして、本定例会に提出いたしました条例案に規定をしてございます、保育所の設備、運営基準について、東京都児童福祉審議会においてご検討いただきました経過を記載してございます。
 八ページをお開き願います。都立看護専門学校の授業料減免件数の推移といたしまして、平成十八年度から二十二年度までの授業料減免件数の推移を記載してございます。
 九ページをごらん願います。都立看護専門学校の学校数及び定員数の推移といたしまして、平成十一年度から二十三年度までの学校数並びに三年課程、二年課程及びその合計の定員数を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。区市町村別補装具(補聴器)交付決定件数といたしまして、補装具費について、都内各区市町村の障害児、障害者別の交付決定件数を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○秀嶋事業推進担当部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 一ページをお開き願います。整理番号1番、請願二三第三九号、東京の子どもたちの安心・安全を保障する保育施策の拡充に関する請願は、新宿区の、公的保育・福祉を守る東京実行委員会代表の橋本宏子さん外十八万二千五十七人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、早急に待機児童を解消するため、認可保育所の新設、増改築を次のように進めていただきたい。
 (1)といたしまして、新設、増改築を進めるための予算を増額すること。
 (2)としまして、都有地と都の施設の活用を積極的に進めること。
 (3)としまして、公立保育所整備のための補助制度を創設すること。
 第二に、保育所の子どもの健やかな成長を保障し、安全を確保するために、職員配置や居宅面積などの最低基準を引き上げる条例をつくること。
 第三に、子ども・子育て新システムの法制化に反対し、保育に対する公的責任を維持、拡充するよう国に対して意見書を提出すること。
 第四に、民間保育所職員の賃金、労働条件を改善するために、都独自の補助制度を創設することという内容でございます。
 現在の状況でございますが、第一につきましては、都は、東京都保育計画において、平成二十二年度からの五年間で保育サービス利用児童数を三万五千人ふやすことを目標に定め、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育事業など、地域のさまざまな保育資源を活用して、保育サービスの整備を進められるよう支援を行っております。
 第一の(1)につきましては、認可保育所の新設、増改築に対しては、安心こども基金による支援に加え、平成二十二年度から少子化打破緊急対策事業の一つとして、事業者及び区市町村の負担を軽減する都独自の支援策を実施しております。
 第一の(2)につきましては、平成二十年三月から、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業の対象施設に認可保育所を加え、都有地及び都の建物についての貸付料を五〇%減額しております。
 第一の(3)につきましては、公立保育所の整備費については、平成十八年度に区市町村へ税源移譲されております。
 第二につきましては、認可保育所の設備及び運営に関する基準については、平成二十三年四月に、地域の自主性及び自主性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律が成立したことに伴い、平成二十四年四月から都道府県等の条例に委任されることとなりました。都は、児童福祉審議会における審議結果を踏まえ、条例案を策定し、平成二十四年第一回定例会に提出しております。
 第三につきましては、子ども・子育て新システムについては、少子化社会対策会議において、子ども・子育て新システムに関する基本制度が決定されましたが、その内容は、喫緊の課題であります待機児童問題を根本的に解決する仕組みとなっておらず、また、認証保育所など地方独自の創意工夫や地域の実情を考慮したものともなっておりません。都は、三歳未満の低年齢児の受け入れ促進や就労形態の多様化への対応、地方の裁量拡大、認証保育所への財政措置について、国に緊急提言しております。
 第四につきましては、都は、区市町村の創意工夫により、保育サービスの充実も含めたさまざまな施策を地域の実情に応じて展開できるよう、子育て推進交付金や子ども家庭支援区市町村包括補助などにより独自の支援を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○松下委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 それでは、まず最初に、行政から出されております条例案について発言をさせていただきます。
 東京都ふぐの取扱い規制条例については、既に流通している身欠きフグに限定した改正であります。
 これまで東京都は、飲食店においてフグ調理師によるフグ調理を厳格に守ってまいりましたし、また、これまでも都内飲食店での中毒事故というのが全くゼロというふうなことでもありませんので、会見での記者の質問に対して回答した知事を初め、調理師や消費者の中に心配をされる方がいらっしゃるというのも、非常に気持ちもわかるところであります。改正する以上は、不安視される方への懸念を払拭できるよう、安全管理、情報管理、さらには広報等、東京都には努力をしていただきますよう要望しておきます。以上は要望だけでございます。
 続きまして、質問に入りたいと思います。
 保育所の面積基準に関する条例案が出ておりますが、昨年、厚生労働省は、保育所待機児童問題の解消策として、二〇一二年四月から二年間、用地確保が難しい東京都などの主に都市部、一二年度につきましては三十五市区が対象になると思いますが、これに限り、認可保育所の面積基準を独自に設定できるように方針を決めました。これまでは、サービスの質確保を理由に、全国一律の基準を維持してまいりましたが、地方からの要望も強く、税と社会保障の一体改革で保育サービス量の確保を見込む二〇一四年度までの特例として基準緩和に踏み切ったとのことです。
 保育施設の一人当たりの最低基準面積は国が一律に定め、ゼロ歳、一歳児は一・六五平方メートル、はいはいを始めたところであれば、匍匐が始まったところでは原則三・三平方メートルということですが、二歳児以上は同じく一・九八平方メートルとしております。
 今回、厚生労働省は、まず一つ目として、待機児童が百人を超える、そして二つ目として、住宅地の公示価格の平均額が三大都市圏の平均額を上回る自治体に限る、以上の二つの条件を出して独自の基準設定を認め、二〇一二年度時点で条件を満たす都内の自治体数は十五区九市ということで、独自の基準が決められるようになっております。
 しかし、面積基準の緩和については、当然のことながら詰め込み保育となるんではないかという懸念があります。保育士の目が子どもに届かない事態ともなりかねないといった保護者からの心配の声もある以上、子どもの安全の視点からも、条例案について幾つか確認をしたいと思います。
 まず一点目としては、地域主権改革一括法で、保育所の面積基準は、厚生労働省令で示す基準には従う必要があるものの、自治体が条例で定めることとなり、都は最低基準として、ゼロ、一歳児、一人当たり三・三平方メートルと定めた上で、国が定めた地域、期間について、年度途中に限って二・五平方メートルまで緩和すると決めています。
 そこでまず初めに、確認をするんですけれども、この条例における、この規定の趣旨について伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 居室面積基準の緩和は、大都市における急増する待機児童の問題を背景に、待機児童解消までの一時的措置としながらも、国がその必要性を認め、法律に規定したものでございます。都は、一人でも多くの待機児童が入所できるよう、認証保育所の実績を踏まえ、特にニーズの高いゼロ歳児、一歳児を年度途中に入所させる場合に、保育の実施主体である区市の判断で、児童一人当たりの基準面積を弾力的に運用できるようにしたものでございます。

○斉藤委員 それでは、二点目を伺います。こういったいわゆる待機児問題に対して、ある程度の解決をしていこうというところなんですけれども、目的が達成できるかどうか、具体的に確認をしていきたいと思います。
 面積基準の緩和によって、どのような効果が見込めるのか、これを伺います。できれば、できるだけ具体的に例などを挙げていただければさらにいいんですが、そのような形でご説明をいただければと思います。

○秀嶋事業推進担当部長 例えば、年度当初に最大限まで児童を受け入れた保育所におきましても、基準面積を弾力的に運用することによりまして、年度途中のゼロ歳児や一歳児の受け入れが可能となります。これによりまして、転居や育児休業からの復帰など、年度途中に発生する保育ニーズに柔軟に対応することができるものでございます。
 同じ面積基準を適用しておりますA型の認証保育所では、昨年十月一日時点で、約半数に当たります二百五十程度の施設で、年度途中の基準面積の弾力的運用によりまして、合計でゼロ歳児、一歳児を約千名受け入れているところでもございます。

○斉藤委員 それでは、年度途中に面積基準を緩和することで定員数自体は増となりますということですが、その際の保育士の増加分、必要な人件費が増加してくるというふうなことになりますので、その増加分についての費用負担についてはどのようになるのか伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 保育所運営費負担金は、入所児童数に応じて算定するため、年度途中に受け入れた児童の保育に要する人件費についても、負担金により支払われるものでございます。

○斉藤委員 それでは、多分、今ちょっと現状のイメージを確認したところなんですが、恐らくこういった条例改正の中で、年度途中にいろいろな部分で規制が緩和されますよと、増員的な、少しプラスアルファの枠が出ますよというふうなことがある程度わかりますと、利用されている方というか、待機されている方というふうになるかもしれませんが、大変注目をされると思うんですね。
 一般的に、認可保育園では、ゼロ歳から一歳、一歳から二歳と、年度初めの年齢により四月から定員が微増というふうなことになってるんですが、条例ができて定員の弾力化が年度途中に行われることによって、これまで四月から増加していた分が年度途中の何月かに前倒しになるだけなんではないかというふうに思う、印象を持つこともあると思うんですね。
 もちろん、年度途中に、認可保育園については、これまでほとんど入ることが、実際にはできなかったことが多いですので、待機児童解消につながるというふうな印象も、もちろん持つんですけれども、弾力化分のみで四月からは年齢が一つ上がることによる増加分を先取りするような形だけでは、つまり、年度初めのところの申し込みを大体、冬ぐらいに行うわけなんですけど、その申し込みをするのに、もっと早くから、単純に年度途中から入所の申し込みをするというふうな前倒しみたいな形に、利用される方が手続を進めるというふうなことがあると。
 もしも、例えば変な話、入れたら、そのままずっと、年度末までいて、当然いますので、その後ちょっと早目にこの保育園に入るチャンスが得られるというふうな感じで理解をされる場合があると思うんですが、育児休暇明け、新年度から保育園入所を希望する方のニーズには、必ずしも全部こたえることができないのではないか。
 つまり、待機児童自体は非常に多いですから、そういった方が殺到する可能性があると。弾力化をねらってですね。なおかつ、その方たち全員の希望にはこたえることができないというふうなことに、やはり結果的にはなってしまうのではないかと。そういう意味では、弾力化というふうにいっても、なかなか限界があるんではないか。そういうふうなことが懸念されます。
 年度が変わるときに、認証保育所から認可保育所に転園する例はあるといっても、認可保育園はほかの自治体への転居などがない限り、一度入ることができると小学校入学前まで、ゼロ歳から入ると、ちょうど六年間同じ保育園に通うという傾向があると思われます。
 つまり、年度途中から増員になると、かえって育休を早目に切り上げて、保育園に四月より前に入所させようというふうなことになってしまうのではないか、大変そこが気になりますので、弾力化をした際に、実際にはどういう形で、どういうふうなニーズに対してどういうふうにこたえていくというふうになるのか、伺いたいと思います。

○秀嶋事業推進担当部長 基準面積の弾力的運用は、年度途中に発生する保育ニーズに対応するための措置でございます。従いまして、基準面積の弾力的運用により入所が可能となる児童数の範囲内で、該当する区市が地域における保育ニーズに照らして特に優先的に入所させるべき児童を受け入れるのでございまして、次年度以降の受け入れ枠も考慮しながら入所決定するものでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。非常にちょっと、緊急性が高いような事案が来た場合に、現実、じゃあどう対処するかというふうなところで、過去かなり悩んでいたケースがありますので、そういった部分をかなり配慮した弾力化の活用というふうな形になるんじゃないかなというふうな印象を受けました。
 ぜひ、待機児解消のために、年度途中の弾力化というのも、それもまた一つ、方策として大事です。保育所の新設、分園の開設等、保育サービスの拡充が欠かせないというのには変わりはないと思います。また、待機児童解消とあわせて保育の質の確保がもちろん大切だというのは当然であります。そのようなことで、これからも保育施策について取り組んでいただきたいと思います。
 また、重ねて昨年の三月の震災時には、保育所は緊急のことでありながらも機転をきかせて、最後の保護者が帰ってくるまで、日をまたいで、保育士さんを初め関係者の皆さんが子どもを園で見て、お迎えが来るのを待つというふうなことで、頑張っておられました。そうした園や保育士の皆様のご努力に、しっかり敬意を、私どもは払っていきたいと思いますし、また、この場をかりて感謝をしたいと思いますので、ぜひともその部分についても、東京都の方もしっかり支えていただければというふうに思います。
 さて、では条例改正については質問は以上でございますが、続きまして、福祉保健局の所管事務事業に関して全般聞いていきたいと思います。
 まず最初に、東京都内の医療観察法における通院医療などについて、地域での支援体制について伺います。
 この医療観察法に基づく専門病棟については、私のおります小平市の国立精神・神経医療研究センター、こちらは私、歩いて行けるぐらい近いところにあるんですが、ここに六十六床ございます。世田谷区の都立松沢病院には、三十三床の専門病棟がございます。一方、指定入院期間を終えて退院した後、またはその処遇審査の結果、入院ではなくて通院が適当と判断された際に、この医療観察法の対象患者が通う指定通院医療機関は、都内において病院が十七、診療所が二の合計十九カ所に、今なっております。
 処遇対象者数で見ると、平成十七年の医療観察法施行時から、二十三年の末までの入院決定数は全国で千四百五十九件で、うち六百七十二件は入院している状態から退院が許可されて、現在通院となっているということです。都内に限っていえば、入院は百七十五件で、通院については七十一件、人口からして当然全国一位の患者数というふうなことになっておりますね。
 そして、ただ、この制度は本来、社会復帰を目指す制度でありまして、入院期間の標準は一年半とされており、これは私も、地元のセンターがつくる際に、このようなことで国の方から聞いております。その後、この一年半の後に通院治療となります。今後も患者は退院してきますので、通院医療機関を必要とする患者はふえると思われます。その場合、通院先が身近にある方が、一般的には通院しやすくて医療中断が避けられるわけなんですが、一方で、地域生活をする以上、支援にかかわる関係者の幅の広がり、それぞれの支援力というものも同時に求められてまいります。
 そもそも、この制度は国が実施主体であり、国も診療報酬でかなり優遇していますので、入院外来双方の指定医療機関の整備に努力をしているようでありますが、東京都として、関係機関の理解を広めることや、さらには地域の支援力向上に向けた取り組みについて、今現在どのように頑張っているのか、所見を伺います。

○熊谷障害者医療担当部長 国の実施いたします医療観察法制度は、心神喪失または心神耗弱の状態で重大な他害行為を行った精神障害者につきまして、再発防止を図り、社会復帰を促進するための制度でございます。保護観察所がコーディネーター役となり、指定医療機関や精神保健福祉の関係機関と連携して、必要な援助を調整し、計画に沿って処遇を実施しております。
 医療観察法の対象者が、通院処遇やそれに引き続く地域生活を安定的に過ごすためには、地域の保健、医療、福祉の関係機関の連携による支援体制が重要でございます。そのため都では、都立の専門機関でございます精神保健福祉センターが、関係機関に対し、処遇上の助言や社会資源などの情報提供を行うとともに、医療観察法に関する研修を実施しております。この研修におきましては、指定通院医療機関ではない医療機関の職員の方も含め、保健所や障害福祉サービス事業所などに広く参加を呼びかけ、医療観察法制度や通院処遇の対象者を支える地域連携の重要性などの理解を図っております。
 今後とも、これらの取り組みを通じて、地域の支援力の向上に努めてまいります。

○斉藤委員 この制度に関しては、東京都内の中で、入院の施設については二カ所、そのうちの一カ所であります私の地元の精神医療研究センターについては、日本で最大級の病床数を誇っております。地域の行政についても、この医療機関については、日々連携をとって情報交換もしておりまして、今のところつつがなく運営もしているようでありますが、一方で、やはりこういった非常になかなかほかでは見られない大きな課題を持った医療機関について、地元の選出の議員としても、より多くの皆様にご理解をいただいてご協力をいただけたらと切に願っております。東京都の方についても、引き続きのご協力をお願いしたいと思います。
 それでは続きまして、やはり精神についてなんですが、精神身体合併症の救急の今後について、二つほど伺います。
 先日、東京消防庁の救急担当の知人と話しておりましたら、救急搬送先の医療機関の確保と選定については、本当にもう目いっぱいやっていて、もう全く余裕がない、大変だというふうなことで、大変、苦労を聞いたところなんですね。そのような中で、東京都が救急搬送する上で、受け入れ病院選定に時間を要していた精神科の身体合併症患者の受け入れに対応すべく、対応可能な医療機関を指定する、調整困難患者、いわゆる身体合併症の患者ですね、こちらの受け入れ医療機関支援事業について伺います。
 これにつきましては、私の知人と話をする中で出た話題では全くないんですけれども、こういった事業を進めることで、現場の救急隊、もしくは救急外来、医療関係者、もしくは消防関係者の皆さんの負担もかなり軽減ができるのではないかというふうなことで質問をいたします。
 休日夜間に身体合併症患者を積極的に受け入れる役を担う連携病院についてはこれからなんですが、この事業の中心となる拠点病院について、一カ所については既に決まっているというふうに聞いております。この事業の運営実績について、現在どのようになっているか、そこを伺います。

○中川原医療政策部長 都は、昨年十二月から、救急医療の東京ルールの安定的運用を図るため、東京ルールによります搬送調整の対象となりました救急患者で身体合併症を有する精神疾患患者に対応するため、こうした患者を受け入れる事業を開始いたしました。本事業によりまして、精神科医師の配置と空床を必ず確保する受け入れ拠点病院といたしまして、独立行政法人国立国際医療研究センターを指定いたしまして、先週の三月十六日までの実績は二十件となってございます。
 このうち、医師同士の相談や情報交換で終了したものが十件、相談の結果、受け入れ拠点病院に、これは国立国際医療研究センターでございますが、搬送されたものが十件、さらに搬送後、同病院に入院となったものが四件となってございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。思ったより、多分イメージよりは、こういったいわゆる困難ケース自体が幸いに少なくて済んでいるということで、大変難しいところまでいかずに、最終的にはかなりうまく搬送ができているというふうな印象なんじゃないかと思います。
 そうはいっても、今後、この精神の身体合併症患者のいわゆる救急搬送に関しては、やはり不断の努力が必要になってくると思うんですけれども、現在、こういった合併症患者の受け入れをスムーズにするため、国の方もいろいろ対策は練られているということは、ちょっと私も耳にしております。つまりいろいろな角度から、診療報酬だったり、いろいろな形で、今まで救急搬送の中で比較的時間がかかってしまっていた、もしくは搬送先自体がなかなか見つからないといったことで、救急全体の流れをどうしてもスピーディーにできなくなってしまった部分が、的確に搬送先を見つけることで、もしくは搬送対応を見つけることでスムーズにするということは、この後もおそらく進んでいく話、やらなきゃいけないことだと思うんですが、ただ、こういった国の動きとか、東京都は独自でもちろんやっている部分も、先ほどのものも含めていろいろあって、これらを、政策をどういうふうにまとめていくか、ある意味それぞれの角度から入ってくるけれども、最終的に搬送がうまくいくようにというふうな目的のために、いろんな整理や工夫というのは、事業や対策の重複がないようにということで進んでいくべきところなのかもしれません。
 今後は、精神身体合併症救急について、どのように検討をしていくのか、東京都の所見を伺います。

○熊谷障害者医療担当部長 都は、精神身体合併症救急医療につきまして、精神症状及び身体症状とも一定程度重いケースを都立など五病院で受け入れているほか、東京ルール事案の対象となったケースに関する調整困難患者身体合併症受け入れ支援の事業を、昨年十二月から開始しております。
 また、東京都の地方精神保健福祉審議会では、これらの事業の実施状況を踏まえ、精神症状と身体症状の双方の症状に応じた円滑な救急患者の受け入れや、急性期治療後を引き継ぐ診療連携について議論が行われております。
 国におきましても、昨年九月に、精神科救急医療体制に関する検討会の報告書が取りまとめられ、精神身体合併症医療体制における精神科と身体科の診療科間連携の重要性が指摘されております。今後、この報告書を踏まえ、各都道府県に対して、精神科救急医療体制の整備に関する指針を示すとしております。
 このような地方精神保健福祉審議会の議論や国の発表する指針を踏まえまして、都の実態に即した精神身体合併症救急医療体制のあり方を検討してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございました。今までこういった課題について、救急の現場などでは、大分どうしても時間がかかってしまう場合もあって、ほかの救急要請に対してどういうふうにこたえて、こたえるべくですね、やはりスムーズな搬送というものを考えなきゃいけなかったという長い歴史があるんですけれども、ここに来て、こういった問題に対して着目をされ、一定程度早い段階で救急搬送先が決まるということは、これも望ましいことだと思っておりますので、ぜひ今後ともさまざまな事業の部分の整理と工夫を重ねながら、一番スムーズな制度をつくっていただければというふうに思います。
 さて、救急の話が出ましたので、病院の話に行きたいと思います。
 練馬区の光が丘病院の展望について、ここで伺いたいと思います。
 練馬区の日大光が丘病院については、日本大学が撤退して、地域医療振興協会が四月からその病院を継承して、建物を使って病院運営をするという話であります。この間、大変、報道などでも報道されましたし、話題になったものであります。
 これまで日大光が丘病院というのは、医療、特に小児医療の大きな受け皿として、割と知られた存在でございまして、この病院が撤退をして、予定される次の病院に事業継承というものがうまくいかなかったり、また、患者受け入れの能力がダウンをすれば、当然、練馬区の医療もそうですけれども、その周辺自治体の医療体制に対して大変大きな影響を与えると思っています。
 ただ、練馬区の中でこの問題を解決しないと、結局どうなるかといったときに、もちろん、練馬区側の方の負担というのは当然、非常に負荷がかかるということはあるんですけれども、結局その分の患者は、患者についての問題というのは、練馬区そのものには、東京都の福祉保健局そのものにいくというのではなくて、結局、民間の病院を含めた周辺病院の外来や病棟、特に救急外来の医師や看護師に過剰な負担となってまいります。
 先ほどちょっと救急隊の話もしたんですけれども、結局、そこの搬送の部分が決まらないと、消防庁初め救急搬送にかかわる関係者の皆さんの負担にはね返ってしまって、この部分については、練馬区の話のように一見報道される場合が多いんですが、これはむしろ練馬区に限らず、練馬区の周りの医療機関、もしくは練馬区の中でほかの医療機関に関して非常に余波を受けて、そこの部分の負荷が大きくなるということは、私にとって大変懸念をする部分であります。
 例えば、私の地元の公立昭和病院、こちらは加盟しているのが八自治体あるんですけれども、西東京市を挟んで練馬区に接しておりますので、急患がふえるのではないかということも大変心配ですし、今でもかなり限界に近い、武蔵野市の武蔵野日赤病院などにも患者がふえるという可能性を考えてしまうわけです。
 また、これらの患者を運ぶために、まさにその搬送先確保でも限界まで努力をしている消防庁の救急の現場司令室部門の負担は相当なものになるのではないかというふうに懸念しております。引き継ぐ時期となる四月の第一週以降の患者の新規受け入れ、または救急外来の継続については、一定程度の空白期間が発生するのかどうか、ここも大変気になるところでありますし、特に、急患の受け皿が長い期間にわたってなくなるのではないかという心配も当然かと思います。
 東京都については、練馬区光が丘病院の運営主体変更についてどのように対応しているのか、さらには、後継法人について、救急医療については、どのような計画を持っているのか、そこをご披瀝いただきたいと思います。

○中川原医療政策部長 都は、練馬区、日本大学及び公益社団法人地域医療振興協会に対しまして、円滑な引き継ぎの実施を指導するとともに、引き継ぎ計画書等を早急に提出するよう求めてまいりました。
 この三月十三日、地域医療振興協会から都に対しまして、病院の開設許可申請に先立ちます事前相談計画書が提出され、現在、都は、本計画に基づきまして、日本大学、地域医療振興協会との間で十分な引き継ぎを行うよう、継続して指導してございます。
 また、日本大学練馬光が丘病院は、指定二次救急医療機関として、小児科を含め、休日全夜間診療事業に参画しておりますが、新たな運営主体でございます地域医療振興協会におきましても、救急の専任医師を配置する救急科を新設するとともに、他の診療科とも連携して、四月一日から二次救急医療機関の指定を受け、同事業に参画することとしております。

○斉藤委員 それでは、練馬区光が丘病院の運営主体の変更によって、過剰な負担にならないかという部分で、このあたりが大変気になる中で、同時にどのように、それが負担になるならない双方含めて、当然、周辺の病院については、これに対して注目をしてるとは思います。
 そこで伺うんですけれども、東京都では、これらの病院に対しての配慮というのは当然必要なんですが、そのほかに、産科についても過去、東京は産科が、特に出産ができる病院自体が少ないという状況がございまして、大変課題が大きくなりました。
 これまで日大は、小児科救急の受け入れ能力の高さというのが評価されておりますが、正常分娩を中心に産婦人科も標榜して地域の出産を担ってきたわけです。そこで、産科の医療体制については、四月以降どのようになっていくのか、都の所見を伺います。

○中川原医療政策部長 産婦人科は、常勤、非常勤を合わせまして、医師四名、助産師十一名の体制で、妊婦健康診査等を四月から開始し、本年十月ごろから分娩を開始する予定になってございます。分娩開始に当たりましては、医師、助産師を増員するとともに、近隣の周産期母子医療センター等と円滑に連携し、産科診療を実施する予定であると聞いております。

○斉藤委員 四月からすぐに分娩開始というふうなことではありませんが、四月から検査の形で受け入れた妊婦さんに対しては、十月ごろが多分出産というふうな時期になるというふうなことなので、秋ぐらいから分娩を開始するということです。一時的にちょっと、それまでの能力を全く維持できているというふうなことも、また、いいづらい部分かと思いますが、ただ、途中で担当者が変わるというのは、なかなか出産において、もちろんほかの病気においてもそうですけれども、当事者にしてみれば大変不安な部分でありますので、最初の検査段階から同じ医療者が診ること自体は、私も悪いことではないと思いますし、また、望まれる部分かと思います。
 ただ、その間の出産に関して、やはり周辺の医療機関に関して、若干の負担を、負荷がかかる可能性が残っているということについては、大変懸念をしているところであります。
 そこで、ほかの医療機関に対して、やはり、ちゃんと情報を提供して意見交換をしているということは、これは以前、東京都が三小児病院を一緒にした際も、私は求めたところであります。なかなか東京都として、必ずしもどこまで発言が外に向かってできるかというのは、早い段階になればなるほど難しいところがあることは承知をしておりますが、それでも周辺病院に対する情報提供と対策の想定については、これはやはり早くからしていかなければならないというのは事実だと思います。
 周辺医療機関への情報提供に関して、これまで東京都がどのようにこの間取り組んできたか、また今後、どのように周辺病院に対して配慮をして情報提供していくのか、今後の対策について所見を伺います。

○中川原医療政策部長 都は、練馬区日本大学及び地域医療振興協会に対しまして、周辺の医療機関等への情報提供について、適切な対応を求めてまいりました。特に救急医療につきましては、都は練馬区からの依頼を受けまして、区西北部二次保健医療圏のほか、隣接する五つの二次保健医療圏に所在するすべての救急告示医療機関や、指定二次救急医療機関、さらには東京都医師会を通じまして、地域の医師会に対しまして、新たな病院運営の開始前である三月三十一日までの数日間、救急患者の受け入れにつきましての協力の依頼を行ってまいりました。
 さらに、先週金曜日の三月十六日には、区西北部二次保健医療圏内の指定二次救急医療機関や消防署などが参画いたします地域救急会議におきまして、この会議につきましては、地域医療振興協会にも出席していただきましたけれども、この会議で改めて、救急医療体制の確保について万全を期すよう、直接依頼いたしました。
 今後とも、都は、運営主体への引き継ぎが円滑に行われるよう、練馬区、日本大学、地域医療振興協会を支援していくとともに、地域の医療機関に対しまして、必要な情報を提供してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。うちの地元の公立昭和病院につきましても、建てかえのときなどは、やはり一定期間、救急の受け入れができないと。新しい患者さんをふやすと、どうしても、患者さんそのものの療養体制や治療に、十分な対応ができないときに受け入れてしまうと、かえって患者さん自身に迷惑がかかってしまうということもありますので、過去にも救急医療機関が、例えば引っ越しとか、何かの事情で空白期間をつくって、最低限の範囲でつくって、ほかの病院に協力をその間お願いするということは、私も過去に例がたくさんあることは存じ上げております。
 ただ、そうはいいましても、今のところの部分では、三月の末の空白期間の、数日間というふうなことでありますが、なるべくその部分も、そういった必要な空白については、患者の保護という点で頑張っていただく、もちろんきっちりやっていただくとともに、同時に、長い期間、救急患者の受け入れに穴が出るようなことがないようにということで、地域のほかの医療機関に対して情報提供をしっかりして、多くの医療機関の皆さんに協力がいただけるようにするというのは、まさにこれは東京都が俯瞰的に見てできることじゃないかと思いますので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
 今、そういうふうに頑張っていくということでお話しいただきましたので、そこはもう継続していただくと同時に、また、かなり当事者に近い練馬区に対しても、しっかりこの後、指導する機会を持って発言をしていただければというふうに思っております。
 それでは、続きまして歯科医について伺います。
 最近目にする機会の多い歯科医院のインプラントやホワイトニングでございます。
 規制緩和もあって、近年では開設者名、地名、建物名に加えて、治療内容も広告の対象になっておりますが、ただ、現状としては、ホームページ開設及び記載内容については広告の対象外とされて、まさに広告というふうなことで理解をしないということですね。広告の対象外とされて、ホームページの内容については特に制限はされていないということなんですね。
 もちろん、必要な都民への歯科関連の情報発信、これは歯医者さんが一番詳しいわけでございますし、それぞれがホームページをつくって情報発信をするというのは、必要な健康衛生管理の啓蒙の上では大変大きな媒体であると思いますが、しかしながら、場合によっては、情報提供という、情報発信という範囲ではなくて、過剰な宣伝のようなものになってしまっているのもあるようです。また、看板媒体ではなくて、駅頭でのチラシ入りのポケットティッシュを配布するような例もあるようです。
 昨今のインプラント治療については、技術が十分でない施術者によってトラブルがあったというような報道も結構されており、技術のある歯科医師による慎重な判断による施術が望ましいというふうに考えます。特にインプラントは広告可能な歯科治療ですが、自由診療であることや、標準的な価格を示して広告する必要があることから、歯科のインプラント、ホワイトニング等に関する広告について、誇大な表現がないか、不適切な内容がないか、そういうのをチェックすることは大事だと思うんですけれども、これらが、こういったものが発見された場合には、どのような指導がされているのか、東京都の現状を伺います。

○中川原医療政策部長 歯科医院等診療所の広告につきましては、医療法で広告可能な事項が示されておりまして、その内容に関する指導は保健所が行っております。不適切な広告が発見された場合には、保健所がその内容を確認し、医療法に違反しているおそれがあるときには報告を命じ、または立入検査を実施し、その結果、違反が認められた場合、広告の中止や是正命令を行うこととなってございます。
 なお、お話のような診療所のホームページにつきましては、医療法上の広告とはみなされていませんけれども、不適切な内容が発見された場合には、保健所が指導を行っております。

○斉藤委員 大変まじめな歯科医師の方から見れば、こういった、ややもすると誇大ではないかと思われるような内容がホームページなどで散見されると、大変心配をしてしまいますし、歯科医師そのものに対する信頼も損なってしまうんじゃないかという心配も当然かと思いますので、ぜひとも当局において、保健所による指導を継続して頑張っていただきたいと思います。
 ところで、福祉保健局では、保健、医療、福祉といった都民の生活に密接にかかわるさまざまな施策を展開しており、それらを現場の第一線で実行しているのは保健所であり、また、その中には多くの専門職種が配置されております。その中には、歯科衛生士さんもいらっしゃるというふうに思うんですけれども、東京都の保健所における歯科衛生士の配置と、歯科保健に関する業務内容について伺います。

○山岸医療政策担当部長 都の保健所には、各所一名程度、歯科衛生士が配置されておりまして、障害者施設に対する歯科健康管理の支援や、要介護高齢者等の摂食・嚥下機能支援の取り組みを推進するなど、地域特性に応じた歯科保健事業を実施しております。

○斉藤委員 歯科健診を初め、地域住民に直接かかわる歯科保健業務については、市町村の責務というふうにされています。ただ、こうした事業を実施するために、多くの市町村においては、常勤または非常勤の歯科衛生士が配置されているというふうに聞いております。
 都民がひとしく歯科保健サービスを受けるためには、都民に直接、接する役目を負う市町村の歯科衛生士は、歯科保健医療に関する正確な情報や知識、技術を身につけなくてはなりません。なかなか業務は忙しいとは思いますが、こういった部分についてやっぱりきちんと新しい情報を入れなきゃいけないわけなんですが、そこで、東京都の保健所の歯科衛生士が市町村の歯科衛生士と連携して事業を実施する上で必要な支援を行うことというのはまさに重要だというふうに私は考えますけれども、実際この連携はどういうふうに行っているのか、行っていれば、それそのものがどういう連携なのか、東京都の所見を伺います。

○山岸医療政策担当部長 都の保健所は、管轄いたします二次保健医療圏内の市町村の地域保健対策を支援することが業務の一つでございます。
 具体的には、管轄の圏域内市町村の歯科衛生士に対しまして、歯科衛生士としての専門的な知識や技術を習得するための研修を実施しているほか、年数回の連絡会の開催や日常的な情報提供を行いますなど、市町村が実施する歯科保健活動を支援しております。

○斉藤委員 今、保健所については、区の方は直接区に一カ所、また、多摩地域でも大変大きな市に関しては業務の移管も含めて市に一カ所ということでありますが、まだ私の小平とか、野島先生のところもそうだと思うんですが、保健所が何市かに一カ所というふうなことで、保健所の部分も、必ずしも自治体と同数がない場所は多々ございます。
 そういう意味では、保健所の方でしっかり市町村の歯科衛生士さんと連携を組んで、相乗効果でよりいい結果が得られるよう、ぜひ東京都の方にも引き続き頑張っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、医療の話が続きましたが、少し障害者福祉の方に移っていきたいと思います。
 障害者グループホームの補助について伺います。
 障害者グループホームについては、東京都が大変大きな補助をしておりまして、それも功を奏しまして、各地にかなり新規施設が続々と開設をしております。ただ、開設をする際に、事業者としては、それまで福祉保健局とやりとりを進めている機会が多いわけで、当然でございます。大体、いきなりグループホームをつくるという方もいらっしゃるかもしれませんが、それまでさまざまな障害者施策に事業として取り組んでいるところも大変多いですので、ふだんから福祉保健局とのつながりというものが濃いということは当然ございます。
 ただ、こういったふうにグループホームなど、こういう箱物のそういった施設的な福祉事業を行うというふうになった場合に、いざ設計というふうになった場合に、消防署と、基準に基づく防火設備の設置などで、交渉というか、いろいろ指導を受けて、いろいろこういうふうなことを考えています、こういうふうな場合はどうですかというふうなことで、やりとりをすることになるんですね。事業者としては、それまでの接点が少ない消防機関と調整をするというのは、相応の--調整をするんですが、その際に自動火災報知機とか、余りふだんからなじみがない物品の、備品の価格を見ながら、それなりの値段、それなりにちょっと高いわけなんですが、そういった相応の価格の設備導入の予算を確保しつつ、基準に合ったものをつくっていかなければならないというふうなことになります。
 事業者がグループホームを障害者の新しい自立した住まいとして考えていたという点でも、この消防法にのっとったものを設備として入れなきゃいけないというのは、なかなか気持ちの切りかえというか、頭の切りかえが難しいところなんですが、グループホームの事業者が、そういったことで、消防設備設置は、予算的にも、設計的にも、ちょっとふなれな分野だというふうにいえるようです。
 消防法令は平成二十一年四月に改正されて、グループホームやケアホームでも面積や利用状況に応じた消防用設備等の設置義務が強化されたわけなんですけれども、必要な消防設備を設置するということ自体は、もちろんこれは事業者として当然の責任だと、責務であるということでありますけど、事業者にとってはこの部分の整備は、なかなか、気持ち的にも、また、予算的にも負担だなと感じる場合があるようです。
 都が、消防法令を遵守してグループホーム等の整備をする事業者を、情報提供も含めて支援していくというふうなことであれば、事業者も大変助かると、ありがたいというのが正直なところだと思うんですが、こういった、福祉保健局の専門ではないですけれども、グループホームを、施設をつくるという上で必要な情報についてはどのように支援ができるか、見解を伺います。

○芦田障害者施策推進部長 平成二十一年四月に改正されました消防法令では、より重度の障害者が多く利用するグループホームやケアホームにつきまして、自動火災報知設備や、消防機関への火災通報装置等の設置が義務づけられますとともに、既存の施設に対しましては、平成二十三年度末までの経過措置が設けられました。
 そのため都は、事業者に対しまして、これらの消防設備の整備費補助制度について周知を図り、消防法令の遵守について支援をしてまいりました。
 また、平成二十四年度からは、主に重度の方を対象とするケアホームを創設する場合には、通常の施設整備費に加え、消防設備に要する費用の補助を新たに実施いたします。グループホーム等の開設予定事業者に対しましては、毎年実施しております説明会の場を活用し、消防法令の内容や新たな補助制度について周知を図ってまいります。

○斉藤委員 なかなか消防法令については、福祉保健局としては余りいい過ぎてもいけない部分もあるのかもしれませんが、しかしながら、情報提供という点でご協力をいただければ、事業者としては大変助かるということでありますので、引き続きよろしくお願いをいたします。
 さて、このグループホームですが、自立支援法における障害者のグループホームやケアホームというのは、給付費水準が、運営してる側から見れば大変厳しいと、低い水準であるということで話を伺っております。
 平成十八年十月に新法への移行がなされましたが、国基準報酬では、現実、まだこの東京においては運営が不可能だというふうに感想を漏らす方が、事業者がたくさんいらっしゃいます。
 ただ、この事業者においては、実際には東京都の厚い支援、これは別に厚生委員会だからよいしょしようという話では全然なくて、本当にいってました--東京都の方の支援が大きくて、本当に感謝していると。実際、会計数字なんかもちょっと見させてもらったりすると、本当に東京都の補助の比率というのが非常に高いのがよくわかって、いや、これはちょっとびっくりですねという話をしたこともあります。
 このように、補助が今後も続くといいなというのは当然、事業者から見れば思いなんですけれども、実際に続くかどうかが大変心配だというのもまた事実であります。基礎となる国の支援の水準が向上されれば大変安心なわけですが、そういうのは、もちろんいろいろな形で要望を出してるんですけれども、一方で、東京都の補助についてはぜひ続けてほしいというのが正直なところでございます。
 入所施設から地域移行への推進も今後図っていく上で、東京都からの国への報酬水準向上の働きかけについてどのように行ってきたかなど、所見について伺います。

○芦田障害者施策推進部長 都は、障害者を支える人材確保や良質なサービス提供のため、サービス全般にわたり基本的な報酬の改善を行うよう、国に対しまして繰り返し提案要求を行ってまいりました。
 また、昨年九月には、人件費や土地取得費、物件費等が高額である大都市の実情を適切に反映できるよう、地域区分ごとの報酬単価の上乗せ割合を見直すこと等につきまして、国への緊急提案を行ったところでございます。平成二十四年度障害福祉サービスの報酬改定におきましては、全体で改定率がプラス二・〇%とされており、また、地域区分につきましても、従来の五区分から七区分に見直される予定でございます。

○斉藤委員 二十四年度については報酬改定がありましたので、これがどういうふうにプラス影響していくかというのは今後見ていく部分でありますが、そうはいっても東京都の補助については、大変ありがたく使わせていただいているということで承っております。
 現在、東京都については、障害者施設を整備しようとする事業者に対して、障害者もしくは障害児施設整備事業、自立支援基盤整備事業及び障害者通所施設等整備費補助など、さまざまな補助制度によって補助を行っております。
 グループホームなどについては、設置費負担を半分に減らす特別助成に対して事業者の期待というのはほんとに高いわけなんですけれども、特別助成が継続されれば今後も活用したい事業者というのは、実際にはかなり多いんじゃないかなと思われますが、気になる平成二十四年度以降の展開について、これを確認したいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 都は、第一期及び第二期の東京都障害福祉計画の中に、地域生活基盤の整備促進策を盛り込み、グループホームや通所施設等の整備を進めてまいりました。
 こうした取り組みを一層推進するため、現在策定中の第三期計画におきましては、障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランを新たに定め、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を引き続き実施することなどで、平成二十四年度から三年間で、グループホーム千六百人分を含む障害者の地域生活基盤を、約四千八百人分整備してまいります。

○斉藤委員 今後三年間については、継続して頑張っていくということであります。事業者から見れば、その後の部分も正直知りたいところだと思いますので、ぜひさらに次のスパンのときに、先々の計画がある程度見えたところで、事業者の方にはなるべく早い段階でお伝えいただければというふうに思います。
 さて、それでは障害者の就労支援について伺います。
 障害者の区市町村就労支援事業については、現在、四十八区市町に支援事業拠点が設置されました。就労支援が大きく前進するとともに、新たなニーズの掘り起こしも進んでいるというふうに、ある意味評価を聞いております。
 東京都の取り組みに、関係者からの評価は高いようですが、就労定着支援相談や特別支援学校との連携支援を含めた相談件数については大変急増しており、つまりそれだけニーズもあったし、実際に皆さんこの事業に対して大変活用していると、期待も大きいということだろうと思うんですが、相談件数自体は急増しております。
 これについて、相談件数がふえた分、業務が追いつかず、マンパワーの不足が各就労支援センターにおいてはかなり叫ばれているというふうに聞いております。今後の業務対応の強化という、これはふえた分、当然強化しなきゃいけないと思うんですけれども、その強化についてどのように考えているのか、都の所見を伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者就労支援センターには、就労支援及び生活支援を担う職員をそれぞれ配置することとされておりますが、その数に上限は設けておらず、事業主体である区市町村が地域の実情に応じて必要な人員を配置することができ、都としましても支援を行っております。また、平成十九年度から配置が始まりました、就労を希望する障害者の掘り起こしや企業開拓等を担う地域開拓促進員につきましても、区市町村に働きかけて設置を促進しているところでございます。
 これらの取り組みによりまして、就労支援センターの職員配置数は増加しております。さらに、就労支援機関の職員等を対象とした研修により人材育成を図るとともに、各就労支援センターやハローワーク等が参加する意見交換の場を設定して、それぞれの機関の先駆的な取り組み等について情報共有を行うなど、センターの機能強化を図っております。
 今後とも、区市町村と連携して、就労支援センターの体制の強化に向けた取り組みを進めてまいります。

○斉藤委員 これは当事者もしくは関係者から見て、大変評価があるがゆえに期待をされるというところでありますので、引き続き頑張ってください。
 それでは、続きまして、障害者の福祉施設に限らない話なんですが、民間の福祉施設に関して、民間福祉施設修繕費補助という補助制度がございます。これに民間福祉、社会福祉施設、これは保育園とか児童施設なんかも入ってくるんですが、こういった施設に対しては、修繕などの施設整備費を補助する制度として、こういった制度がございます。防災設備の整備や、地域交流スペースの整備や、さらには中規模修繕が補助の対象となるというふうに聞いております。この中で修繕というと、何となく僕らの中では、もとの状態に戻さなきゃいけないのかな、戻すようなことだけが修繕なのかなと、そういうイメージがあります。
 ただ、現実、三十年、四十年してから、こういった施設というのは、直さなきゃいけない、修繕しなきゃいけない、もうちょっと二十年ぐらいでも壊れやすいところは修繕というふうになると思うんですが、しかしながら、そういったものを工事しようと思うと、全く当時と同じものというのは、当然、時代的にないわけですね。そういうときに、結局、今修繕をするこの時期に、この時代に応じた機器を導入する方が、現実には値段も安くて、機器としての性能もすぐれているということがあると思います。
 例えばその中で、社会福祉法人が修繕する機会に合わせて、そこの修繕するところの照明器具を、LED照明などの省エネ型の機器に変えようと、導入しようというふうなことがあったとします。そういった例などがあった場合に、環境への配慮や省エネというのは世の中の流れでございますし、実際、LED照明なども値段も安くなったりします。
 こういった場合に、本来的には先ほど申しましたように、条件としては防災設備や地域交流スペースに、さらに中規模修繕というふうな対象になっているわけなんですが、実際にそういった環境への配慮や省エネへの配慮という部分で、世の中の流れに合わせて照明器具などを部分的に変える場合に、この補助制度を活用することについては、実際には可能なのかどうか、ここを所見を伺います。

○浜企画担当部長 民間社会福祉施設設備改善整備費補助は、利用者の処遇の充実及び地域交流の促進を図ることを目的に、民間社会福祉施設の施設や設備改善の整備費の一部を補助するものでございます。
 具体的には、国庫補助の対象とならない防災設備の設置、地域交流等のための施設または設備の整備、小規模で簡易な整備を除いた一千万円未満の施設設備の改修、改装の経費を補助対象としており、補助に当たっては、具体的な事業計画や緊急度などを考慮いたしまして、予算の範囲内で採択を行っているものでございます。
 本補助事業は、児童養護施設などの入所施設や保育所や障害者の就労移行支援施設など、社会福祉施設の修繕を広く補助対象としておりますが、省エネ機器の導入のみを目的として行う工事は補助対象としておりません。個別のケースにつきましては、具体的な計画を見ないと判断できないところでございますが、一般論で申し上げれば、補助対象となる施設設備の修繕の際に、設備を省エネ対応の機器に更新することは、何ら差し支えないものと考えております。

○斉藤委員 ありがとうございます。大変、ある意味、柔軟な解釈ということで、事業者側の方にとっても活用しやすいものになればいいなと思っています。
 さて、残り二問でございますが、以前、私がほんとは一般質問でやりたかったぐらい気にしてたテーマ、話なんですけれども、介護保険の請求に関して伺います。
 介護保険制度を使って介護サービスを行っている事業所というのは大変ふえておりまして、ただ、全体的には大きな会社もあるんですが、小さな会社もたくさん地域にございまして、まさに地域密着の中小企業として、日中、まちを歩いていると、デイサービスの車は本当に目につくような感じになってまいりました。いかに事業者が多いかということがわかりますし、また、それを利用する高齢者が多いというのも当然のことながらあるわけなんですが、こういった障害者福祉施設についても、いろいろな事業者の立場から、いわゆる少ないコストであっても有効に効果が上がるような形で、また、その事業者としても、多くの雇用が生まれたりするようなことになれば、関係者の皆さん含め、社会的にも非常に意味があるというふうに思いましたので、こういったいろいろな事業者が運営しやすいようなあり方について幾つか質問させていただきましたが、それに関連して、もう一点気になるところがございまして、これを伺います。
 ケアを、実際に介護事業者が設置した際にサービスを提供すると、そのサービスをこういうふうにやりましたよ、ケアプランどおりにやりましたよということで、東京都の国保連合会の方が請求を受ける業務をやっております。介護報酬の全額の中の九割が、診療報酬審査支払事業などを東京都が補助している東京都国民健康保険団体連合会、以下、国保連と略称しますが、こちらに請求をして、翌日には振り込みをしてもらうと。それも振り込み額が大変、事業者運営において非常に大きいところが、九割ですから当然大きいところは多いんですが、そういったところで、まさにこの支払いがちゃんと予定どおりされないと、雇用をしているヘルパーさん初め、関係者の皆さんに給料を払えないというふうなことになってしまうので、大変、この請求業務というのは、介護全体の事務から見れば一つの事務ですけれども、非常に事業者にとっては、まさに死活問題の大事な業務でございます。
 締め切りが毎月十日にやってまいりますので、なるべく、それにおくれないようにということで、どこも頑張って、その時期になると事務はてんてこ舞いというのが大体一般的なんですが、この請求は、実は、いまだISDN回線でなければできないというふうなことがあるんですね。ISDNというのは、IDSLやIP電話の普及で利用世帯が大変に今減少していて、何より現在、店頭で販売されているパソコンについては、ISDNを余り使えない、六十四ビットって、これ、パソコンのビットなんですが、六十四ビットという仕様がほとんどなんですね。
 国保連への請求が、ISDNの回線しか使えませんよと限定されているために、どこの事業所も古いパソコンを後生大事に壊さず使って、それが壊れちゃったら請求が送れなくなってしまうので、翌月の収入が絶たれてしまうという大変困ったことになるので、新しいパソコンを買っても、ISDN回線の古いパソコンだけは処分せずに、ずっとそこで使っていて、ほんとにその月の中で請求するときだけそのパソコンを稼働させるというふうなことで、古くなっても何とか壊さないようにということで延命をさせているというところがありますね。
 実際には、このISDN自体は、現在になってみれば、今にしてみれば、通信速度が大変おそくて、事業所によっては、インターネットの別回線をわざわざ引いているということで、先ほど申しましたように、大変に今、中小企業の支援なども東京都は頑張って、またそれが非常に大きな雇用になったりするわけなんですが、そういうふうに苦労している一方で、こういった事務的な複雑さ、煩雑さ、また、時代おくれみたいな部分の中で手間自体がふえて、事業者の負担になっているところもまだ残っていて、いろんな制度融資なんかも東京都は頑張ってますけれども、一方でその事業者の負担というものについて、改めてチェックをこまめにしていって、これについてはもうちょっと変えてみた方が当事者も便利、事業者も助かるし、事業効果も大きくなるんじゃないかということは、少しチェックをしていくべきなんじゃないかなというふうに思いますが、これもその一つの例なんじゃないかなと思います。
 実際に、六十四ビット用のISDNのターミナルアダプタというのがやっと出まして、新しいパソコンでもISDNが使えるというのが、若干、今後見込めるところなんですが、これもちょっと遅きに失したという部分もあります。
 また一方で、これに関して、国の方の制度も大分、ほんとは直さなきゃいけなかったんですが、なかなか予算がとれずにおくれていたという、東京都だけではない事情もございますので、これについては課題として発言をさせていただきました。
 この部分はこの部分で課題としてあるんですが、それとは別に、特に現実的な解決が急がれるというのがありまして、仮にISDNが使えなかった、使えないですよと、もしくはパソコン壊れちゃいましたという事業所に関してはどういうふうに請求業務を送るかというと、この場合は記録媒体を郵送する方法になるんですね。それで、国保連からいってきている方法については、フロッピーディスクかMOで郵送しなさいというふうにいっているんですね。
 フロッピーディスクは、議会局なんかはいっぱい持ってるんですけど、あれ、全部ストックということで、実際に聞いてみると、去年、フロッピーディスクって製造販売がもう既に終わっているんですね。
 MOに至っては、もともとの普及率が非常に低いので、僕も余りMOといわれてぴんときませんでしたが、しかしながら、このフロッピーディスクかMOで郵送せよと、ずっと前からいっていて、ほんとにフロッピーディスクが販売されなくなってしまった以降も、去年販売がとまってますのに、去年の冬ぐらいもまだそんなこといっているわけです。実際に売ってないもので送れというふうにいっているのでは、ちょっと幾ら何でもそれは事業者に対して、都内にいっぱい事業者はいますから、果たしてそれで本当にいいのかと。そして、そういうのがつい最近まで、国保連のホームページでもそういうふうに書いてあったんですね。ご存じのように、フロッピーディスクは昨年の三月に生産中止で、今はどこも、新宿の大手の家電量販店に行っても、ほとんど販売しておりません。
 国保連が東京都そのものでないにせよ、東京都の方から補助が出ております。
 ただ、これは介護保険に対してではなくて、医療費の診療報酬の請求業務に関して補助が出ておりますので、この介護保険事業そのものに東京都の補助が出てるわけじゃありませんけれども、しかしながら、六千ぐらいは--多分、都内介護事業者はもっとかもしれません--ありますが、それに、あまたある事業所に対して、国保連側の方は自分たちのルールに合わせるようにといって、売ってないものを使うように指示するというのは、これはちょっと幾ら何でも問題じゃないかと思います。
 そこで、例えばもっといい方法があったんじゃないか。例えば、フロッピーディスクをもう既に持ってない、ストックしていたものは全部使ってしまった、そういったところに対して、例えばCD-ROMとかリムーバブルディスクを送ってくださいと。国保連の方で一回そのCD-ROMかリムーバブルディスクでデータを、請求情報を取り込んで、フロッピーディスクにリーダーで読み込むというふうなことを、ちょっと面倒ですけど、仮にそういうふうにすれば、売ってないものを使えなんていうことは一々いわなくても済んだんじゃないかというふうに、ちょっと私は思っております。
 そんなようなことで、過去、こういった介護事業者が国保連に対して郵送により介護報酬を請求する場合、紙やフロッピーディスクの郵送による請求ではなくて、一般に普及しているこういったCD-ROMやリムーバブルディスクの請求情報の郵送ということで国保連が自前でやれば、もっとこういった問題は少なくて済んだし、また、事業者側の方も、パソコンの部分などについて悩みを少なくすることができたんじゃないかと思いますが、これはちょっと今まで工夫が足りない、もちろん国保連の方の工夫が足りないというところもありますが、東京都の方も何かもう一言いって何かいい方法を考えるというふうなことをすれば、中小企業としても大変ありがたかったんじゃないかなというふうに思うんですが、これについて所見を伺います。

○中山高齢社会対策部長 介護給付費の請求方法は、国の省令及び通知によって定められております。介護事業者が、東京都国民健康保険団体連合会、国保連合会と呼んでおりますけれども、この国保連合会に対し、介護給付費を請求する際に通信回線を使用しない場合は、ただいまお話ありましたように、紙、磁気テープ、光磁気ディスク--MOです--またはフロッピーディスクを使用するということに限定されております。
 そのため、国保連合会といたしましても、国民健康保険中央会を通じまして、国に記録媒体をふやすこと等の改善を要望してまいりました。平成二十四年四月サービス提供に基づく五月請求分から、CD-Rの使用が可能になる見込みでございまして、事業者にとりましては事務の効率化が図られる予定でございます。
 現在、国保連合会では、このような請求方法の見直しに対応できるよう、ただいまお話のありましたような方向で準備を進めております。東京都としましては、今後とも介護保険事業の運営において重要な役割を担う国保連合会に対しましては、必要かつ適切な指導助言を行ってまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。CD-ROMについては今度の五月請求分から使えるということで、ちょっとほっとしたところであります。もともと方法は省令で決まっているということで、国の方の、厚生労働省の方も、ほんとはもうちょっと現状の情報なんかを集めている中で対応がもっと早ければよかったということはもちろんあるんですが、逆に東京都の国保連というのは全国から見ても一番大きな組織体で、県レベルでいうと、やはりどうしても事業者が一番多いですから、当然、発言力も一番あったと思いますので、ここはもう少し、こういった事態を一年近くも放置しないで迅速にやっていただきたかったなというのが正直な感想でございますけれども、今後、またこういった介護福祉関係の事業者の利便性と、そしてまた同時に、その事業を行っていく上で、制度がその事業者にとって、むだといっていいかわかりませんけど、事業運営をよりコストを抑えながらも、サービスの方に傾注できるような体制をつくるという上で、事務的な部分で各事業者のさまざまな課題とか煩雑さみたいなものは、やっぱり助けていかなければいけないというふうに思っております。これはむしろ福祉に限らない話なんですけれども、ただそういった意味では、ちょっとこういうようなことがあれば、やはり早期に対処していただければと思います。
 介護保険の事業者は、今申し上げましたように大変ふえておりますので、ぜひ東京都の方からも気がついた点をどしどし提案していただけますよう、お願いを申し上げます。
 それでは最後の質問です。東京都の相談支援従事者研修に関してでございますが、これは障害者自立支援法の施行後に、それまでの障害者に対する福祉サービス、ケアマネジメント福祉サービスをある程度うまくアレンジメントしていく障害者のケアマネジメント研修というものが廃止されまして、新たに相談支援従事者研修というのが事業化されたんですね。
 さらに、平成二十四年度、来年度からは、相談支援事業の充実目的で、体制強化、支給決定プロセスの見直し、サービス等利用計画作成の対象者の大幅拡大というものが予定されているんですけれども、ただ、相談支援事業の充実については、地域の障害者の意向に基づく、地域の障害者自身の希望、もしくはこういうふうにしてほしいと、もしくはこういう目的があるので手をかしてほしいと、そういった意向について、地域生活の実現をするための必要なサービスを導いていくと。つまり、こういうふうに、サービスの組み合わせで、障害者自身が生活できるようなケアをうまくつくっていく、ケア体制をつくっていくという、この相談支援従事者をつくっていく当事者であります、相談支援従事者を養成する研修、この修了者をふやすということが、大変、この障害者の自立生活の中で大事なんじゃないかと思います。
 できれば、規模が小さくなってもいいので、開催回数がふえてくれるといいなと。この研修自体の回数がふえるといい、つまり、相談できる、このサービスを提供するプランニングをしてくれる人が、こういった研修がふえることでたくさん増加するというのがいいと思うんですけれども、東京都は、相談支援従事者研修の事業者指定制度を開始したんですけれども、二十四年の二月現在で、この研修をできる、研修を教える方の事業者さんが、まだ一事業者しか指定されていないので、大変心配をしているんですね。
 今後の研修指定事業者の拡大について、どのように検討しているのか、考えているのか、所見を伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者自立支援法等の改正によりまして、サービス等利用計画の作成対象が大幅に拡大されることから、計画作成に従事する相談支援専門員をさらに養成していく必要がございます。
 このため都は、本年一月から、知事が指定する事業者も研修を実施できるよう、事業者指定制度を開始し、申請を受け付けております。
 今後、都は、この指定制度につきまして事業者説明会やホームページで周知するとともに、障害者の相談支援を行っている地域活動支援センター等に対し、国の指導者養成研修を修了した者など、研修実施に当たって中心的な役割を果たすことができる人材を紹介するなど個別に働きかけ、指定事業者の拡大に取り組んでまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。ちょっとまだ始まったばかりの部分もありますので、今後、注目をしておりますし、また、ぜひふえてほしいなと思っています。
 今回、いろいろ、事業者について、多少ちょっと細かい部分が多かったとはいえ、それぞれ事業者がちょっとずつ悩んでいる部分について、今回いろいろなところに取材をする中で質問をさせていただきました。
 こういった事業運営自体、全体としては東京都は、先ほどグループホームで例を挙げましたように、非常に手厚く、頑張る機会を与えていただいているという点では、その部分についてはよくやっているところという評価も随分いただいておりますが、やはりそういった中で、事業者そのものが、ぜひ自分たちのいろいろな運営していく中での悩みについて、微に入り細に入り気をかけていただければという思いはありますので、ぜひとも、今後とも現場の声をたくさん聞いて、この制度のさまざまな微修正に役立てていただければと思います。
 以上で質問を終わります。

○吉住委員 私からは、初めに、都のがん対策推進計画について伺います。
 がん関連に関しましては、後ほど議員提出議案の審査もございますので、ここでは予算案に盛り込まれております推進計画についてお伺いをいたします。
 都は、平成二十年に、がん対策推進計画を策定し、着実にがん対策を進めてきています。そもそも、なぜ都は条例ではなく計画を策定し、がん対策を進めてきたのかを伺います。

○山岸医療政策担当部長 都は、平成十九年四月に施行されましたがん対策基本法の規定に基づきまして、東京都がん対策推進計画を策定することといたしました。
 策定に当たりましては、学識経験者や医療関係団体、患者団体代表などにより構成いたします東京都がん対策推進協議会を立ち上げまして、さまざまなご議論をいただき、同年十二月のパブリックコメントを経て、翌二十年三月に推進計画を策定いたしましたものでございます。

○吉住委員 さまざまな関係団体、また、医療に関する学識経験者、患者団体、そういったようなところのヒアリングを踏まえ、この計画は都の特性を踏まえたものとして、がんの予防と早期発見、高度ながん医療の総合的な展開、患者、家族の不安の軽減、がん登録と研究の推進と、四つの分野別目標を明示したものになっております。
 この目標達成に向けて、都はさまざまな取り組みを進めていますが、分野別目標の達成状況について伺います。

○山岸医療政策担当部長 都は、お話しの四点を計画の分野別目標として掲げ、総合的ながん対策に取り組んでまいりました。その結果、早期発見のためのがん検診につきましては、地域、職域を含め、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんのいずれにおいても、計画策定時と比較して、七%から一五%、受診率が上昇しております。
 がん診療連携拠点病院等の高度ながん医療を都民に提供する病院につきましては、既に昨年四月に三十四カ所の整備目標を達成しております。がん患者や家族の不安を軽減し、生活の質を高めるために、緩和ケアに精通した医師を育成する目的で実施しております研修の修了者につきましては、平成二十年度末で百八十六名でありましたものが、平成二十三年十二月末時点で、二千八百九十一名と大幅に増加しております。
 さらに、がん登録につきましては、各拠点病院等の登録データの収集及び分析に取り組んでおりまして、この実績を踏まえ、本年七月からの地域がん登録の開始に向けまして、都立駒込病院内に地域がん登録室の整備を進めているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、全体目標の一つとして掲げております七十五歳未満のがんの年齢調整死亡率は、この五年間で約一〇%減少いたしております。

○吉住委員 都の計画に基づく取り組みは着実に成果を上げており、二十四年度の計画期間終了後は、そうした成果を踏まえ、さらにがん対策を充実させていく必要があります。特に、この緩和ケア、百八十六名だったものが二千八百九十一名と大幅に増加をしております。こうしたこともさまざまなニーズや関係団体との協議、また、協力関係によってなし得たことであろうかと思っております。
 さて、都は、今後、新たな推進計画の改定作業を行うとのことですが、その基本的な考え方、スケジュールについて伺います。

○山岸医療政策担当部長 都は、がん医療の専門家を初め、関係団体、患者団体代表により構成する東京都がん対策推進協議会におきまして、医療提供体制や相談支援体制のあり方など分野別に十分ご議論いただき、都民の意見も聞きながら、平成二十五年三月を目途に、がん対策推進計画を改定いたす予定でございます。
 次期計画では、これまでの施策の成果を踏まえた上で、高齢化に伴うがん死亡者数の増加、治療方法の充実や緩和ケアに対する患者、家族のニーズの高まりなど、現行計画策定後の状況の変化を的確に反映させますとともに、国の動向も踏まえながら、都の特性を反映した数値目標や、その達成に向けた施策を盛り込む考えでございます。

○吉住委員 平成二十年にがん対策推進計画を策定する際に、学識経験者や医療関係団体、患者団体と協議し、実効性のある計画が立てられたこと、また、次期計画策定に当たっても、がん医療の専門家や患者団体の意見を聞きながら、これまでの計画の実施成果を検証した上で、都の特性を反映した数値目標に沿って策定されることが理解できました。
 今後とも、がん予防、がん対策の観点から、都民の健康施策が充実することを期待しております。
 続いて、食の安全について伺います。
 近年、弁当の路上販売が都心区を中心に急増していると聞いておりますが、スーパーなどで弁当を売るには許可が必要とお聞きしております。路上販売される弁当については、どのような規制があるのかを伺います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 弁当を売り歩く営業につきましては、都の食品製造業等取締条例で、食品衛生上の危害発生を防止する観点から、行商として規制の対象としております。具体的な規制内容といたしましては、保健所への届け出、行商を行う際に、鑑札を持ち歩き、記章を見やすいところにつけること、防虫、防じんの設備のある容器を使用することなどの衛生基準の遵守等を定めております。
 こうした行商人に対しましては、条例で定める衛生基準等の遵守状況の確認のため、都、特別区、保健所設置市である八王子市と町田市の保健所が、それぞれの地域において監視指導を行っております。

○吉住委員 行商については、都が条例で規制し、監視は各区や保健所設置市が行うとのことですが、地域によっては、弁当の路上販売に問題があると聞いています。こうした状況の中、都、区、市が一体的に条例を運用していくために、都はどのように対応しているのか伺いたいと思います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 行商に限りませんが、食品衛生に関する条例や規則の改正等施策の見直しに当たりましては、都区協定や都市協定に基づきまして、その内容を協議する仕組みが設けられております。
 また、都、特別区、保健所設置市が一体的に監視指導を行うため、必要に応じて検討会を設置し、協議しております。都心区を中心に弁当を売り歩く営業が急増した際にも検討会を設けまして、食品衛生上の問題点を洗い出して対応策を検討し、都、区、市が合意した方針で指導を行っております。
 食品衛生の問題は、一地域にとどまることなく、都内全域に影響が及ぶことから、今後とも、特別区などとも連携協力して、円滑、適切に食品衛生の向上を図ってまいります。

○吉住委員 ワゴンと売り子だけで各地に配置しまして、トラックで弁当を輸送し、販売している業態というものがふえているとお聞きしております。この都庁の付近でもそのようなものを見かけました。お店を持つことができないというよりは、お店を持って販売するよりも、ワゴンを置いておいて、そこに売り子を派遣し、弁当を配送した方が非常に安く販売できる、そのようなこともあるのかもしれません。
 一部の区役所の--これは新宿区じゃございません。私は新宿選出ですけれども--保健所の調査では、いわゆる固定店で販売しているものよりも、若干菌の量が多いですとか、そういったような調査結果が出たという話も聞いております。ただ、等しい条件で調べられたかどうか、その辺、定かでございませんので、それを特にここで問題視することはございませんが、今後も現場の自治体とも協議しながら、検討会、協定などを通じてしっかりとした管理をお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、ふぐの取扱い規制条例の改正について伺います。
 フグは有毒な物質が含まれる食品でありますから、その取り扱いについては厳しい規制が必要となっております。
 このため都では、昭和二十四年に全国に先駆けて条例を制定し、フグ調理師試験制度の導入や、フグ調理師以外の者にはフグの取り扱いを禁止するなど、フグによる食中毒の防止を図ってまいりました。
 また、フグ料理や築地市場でフグの流通に携わる業界団体も、都の施策に協力をし、力を合わせてフグの事故防止に努めてきております。
 このように、行政と事業者が協力することで、これからも都民が安全に、安心してフグを食べることができるものと考えますが、今般、なぜこの条例を改正するのか、理由を伺います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 近年、食品流通の変化に伴い、フグにつきましても、生産地で有毒部位を除去したフグ加工品がさまざまな形態で流通しております。具体的には、刺身やちり材料など、そのまま食卓に提供できるまで加工されたものと、内臓と皮を取り除いただけの、いわゆる身欠きフグがございます。
 都では、これらの加工品のうち、フグの刺身やちり材料等につきましては、フグ調理師以外の者でも販売することを認めておりますが、飲食店での提供は認めておりません。つまり、都民がフグの刺身やちり材料をスーパーで購入し、家庭で食べることはできますが、フグ調理師のいない飲食店では食べることができないということでございます。
 身欠きフグにつきましては、近年、消費者向けに、生産地において肝臓などの有毒部位が確実に除去された安全な製品が広く流通するようになっております。しかし、現行の条例では、フグ調理師以外の者には、一切、販売や飲食店での提供を認めておりません。
 このようなフグの流通状況の変化に対応するため、フグ加工品に係る規制の見直しが必要と判断いたしました。

○吉住委員 改正の理由はわかりました。規制を見直すに当たっては、広く意見を聞く必要があると思います。これまでにどのような検討を行ってきたのか伺います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 フグ加工品の安全性を合理的かつ確実に確保するため、その規制のあり方について、都民、事業者及び学識経験者を委員とする東京都食品安全審議会に諮問いたしました。
 審議会では、慎重な質疑を重ね、中間のまとめを公表し、意見募集を行った上で、昨年七月に答申が取りまとめられたところでございます。その答申を踏まえ、安全なフグ加工品については、届け出などの義務を課した上で、フグ調理師以外の者にも取り扱えるよう条例改正を提案いたしました。

○吉住委員 検討の中で、フグ料理関係の業界団体から、これまでにフグを取り扱ったことのない者が、制度を十分に理解した上で、安全なフグ料理を提供できるのかという心配の声もあったとお聞きしております。このような意見については、どう取り入れたのか伺います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 今回の条例改正では、フグ調理師以外の者が、新たにフグ加工品を取り扱う場合にも十分な安全を確保できるよう、保健所への届け出や仕入れ記録の保存等を義務づけております。
 また、保健所に対しましては、届け出者が制度を十分に理解できるよう、遵守事項を説明することを義務づけております。
 こうした条例の規定に加えまして、制度が定着するまでの間、新たにフグ加工品を取り扱おうとする者に対しましては、届け出前に、都が開催する講習会を受講するよう求め、制度の確実な運用の徹底を図ってまいります。

○吉住委員 関係団体、関係者のさまざまな意見を取り入れ、この制度がつくられたことはわかりました。
 今後もフグによる事故の防止を図るため、引き続きフグ関係の業界団体とも連携し、制度の運用に万全を期されたいと思います。講習会なども普及をしっかりとお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○小林委員 初めに、放射能対策についてお伺いをいたします。
 東日本大震災より一年が経過をいたしました。
 満一年となる三月十一日、私は、福島県相馬市の第一回相馬水産加工復興フォーラムに行ってまいりました。近海高級魚の漁業が重要な産業である相馬市は、海への放射能汚染水の放流により、風評被害など、復興への長い道のりを余儀なくされておりました。
 被災地はもちろんのこと、東京においても、放射能問題は重要な課題であります。今まで経験したことのない事態だからこそ、都民の皆様は大きな不安を抱えておられます。私のもとにも、この一年間、心配のお声やご要望を数多くいただいております。多くの皆様が口にされていたことは、原発事故発生直後の国の混乱、また、それに基づく情報の錯綜などにより、何を信じていいのかわからないということでありました。大変デリケートな問題であるがゆえに、この問題については慎重かつ丁寧な言動が求められます。そして、問題の重要性からすれば、迅速かつ的確な対応が求められてきます。こうした観点から、改めてこの一年の都の対応について確認をさせていただきます。
 都は、原発事故発生直後から電話相談窓口を設置していますが、これまでどのくらいの相談件数があったのか、そして、どのような点に都民の関心があるのかをお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 都は、原発事故発生直後の平成二十三年三月二十一日に、放射能に関する電話相談窓口を設置いたしまして、これまでに約六千七百件の都民等からの問い合わせに対応してまいりました。問い合わせの内容といたしましては、当初は水道水や食品に含まれる放射性物質の検査結果や、降雨時の外出を控えるべきかなどの相談が多くございました。
 その後、原発事故をめぐる状況や、マスコミ報道等によりまして、相談内容は多様化してきてございます。現在、件数は一日数件と減少傾向にございます。
 こうした状況でございますけれども、依然として、食品の検査結果や健康影響など、食品に関する関心は高いという状況でございます。

○小林委員 食品の検査、また、健康影響などについての関心が高いとのことですが、私のもとにも多くのお声をいただく中、特に若いお母様方を中心に、食品に関すること、特に子どもが摂取することによる内部被曝を心配するお話をたくさんお聞きしております。この内部被曝の問題は、今までも幾度となく議会でも取り上げられておりますが、内部被曝に対する今日までの都の対策についてお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 内部被曝は、放射性物質を含む空気、水、食品などを体内に取り込むことによって起こります。呼吸による内部被曝につきましては、大気中の浮遊じんを考慮する必要がございますが、昨年の四月上旬以降、都内の測定結果を見ますと、おおむね不検出の状況が続いております。
 水につきましても、浄水場における検査結果で、四月上旬以降、放射性物質は検出されておりません。
 先ほど来お話が出ております食品につきましては、暫定規制値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づきまして、出荷制限等を実施する仕組みが国において構築をされております。
 都は、これに加えまして、小売店に流通する食品につきまして、都民が日常的に摂取する野菜類や子どもが継続的に摂取する乳製品などを中心に、モニタリング検査を独自に実施しておりまして、これまで実施いたしました四百八十八の検体から、暫定規制値を超える放射性物質は検出されておりません。

○小林委員 冒頭にも申し上げましたが、都民は何を信じていいのかわからないというのが率直な思いであります。何より行政が心して取り組んでいかなければならないのは、正確な情報や知識が都民のもとに確実に伝わっていく取り組みであると思います。都は、原発事故直後より、都民の健康に影響がないか、生活に支障がないか、さまざまな検査、調査を実施してこられたわけですが、改めて、都民に正しい情報、知識を普及するために都が行ってきた取り組みについて確認をさせていただきます。

○中谷健康安全部長 都は、都民の不安にこたえるため、電話相談窓口に加えまして、ホームページで流通食品や水道水の測定結果、空間放射線量などの最新データを迅速に公表しております。現在、健康安全研究センターの放射能に関するホームページへのアクセス件数は、一億件を超えている状況でございます。
 また、本年度の六月及び三月、実は昨日、シンポジウムを開催いたしましたところ、五百名近くの多くの方がお見えいただきましたが、放射能に関するそうしたシンポジウムを開催しております。都民が放射能について正確に理解できるよう取り組んでおります。
 今後とも、都民に対する迅速でわかりやすい情報提供に努めてまいります。

○小林委員 ありがとうございます。この一連の放射能の問題については、私もお母様方とお会いをする中、大変に敏感になっておられることを痛いほど感じます。都内の放射線量がどうなっているのか、食品の影響は、子どもの健康に心配はないのかなど、ありとあらゆる視点で不安を感じているのが現実であります。ご自分たちでさまざまな情報を収集し、自分たちにできることはないのかを模索もされています。
 ある意味、非常時の今だからこそ、私たち議会、そして行政に身を置くものは、いたずらに不安をあおるのではなく、厳格に真実を追求し、慎重を重ね、的確な言動が何より求められてくると思います。その意味において、先般報道されました、都議会議事堂内で行われた内部被曝検査のデモ体験は、大変に残念でなりません。医師法や薬事法への抵触の疑義が指摘をされていますが、都議会民主党が行った記者会見の席上、この体験会を呼びかけた四人の議員は純粋な思いから動いていることをぜひ理解してほしいとの発言があったと聞き及んでおります。もし、この一連の行動を、純粋な思いで行動したというのであれば、都議会議員としての議席をお預かりしている以上は、その純粋な思いの裏には厳然と責任が伴わなければなりません。断固たる覚悟がなければなりません。この責任と覚悟に裏づけられないのであれば、それは純粋な思いではなく、軽率な無責任な言動である、こう申し上げなければなりません。
 今、私たちが取り組まねばならないことは、都民の皆様の不安の声に真摯に耳を傾け、必要な対策を着実に推進していくことであります。まだまだ先の見えない状況の中、都としても、都民の皆様の心に敏感にアンテナを張りめぐらせて、一層の安心・安全を実感していただける施策の推進を強くお願いしたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 昨年十二月に、慢性疲労症候群で苦しんでおられる男性より、お便りをいただきました。外見からは症状がわからず、仮病のように判断されることがありますが、本人にとっては、毎日、一日じゅう体じゅうが痛く、頭痛や手足のしびれに襲われるとのことです。この病気の社会的認知度が低く、誤解を生じていることや、これから体の痛みや気力がもとに戻るのか不安を感じながら、日々生活をされているそうです。
 都としても、この病気に対する原因究明や、治療法の確立、患者が社会的な生活を過ごせるような制度の確立に尽力してもらいたい、患者の不安感を取り除くことが、回復にもつながっていくことだと考えますと結ばれておりました。
 また、先週には、某テレビ局で、障害者総合支援法案が閣議決定されたとの報道を受けて、難病指定のない病気の患者に不安の声と題して、慢性疲労症候群をともに考える会の代表の篠原三恵子さんが紹介をされていました。そもそもこの慢性疲労症候群は、今から二十八年前の一九八四年、アメリカ・ネバダ州、タホ湖畔で二百人に及ぶ難治性の風邪が流行し、その病態をまとめて慢性疲労症候群と名づけられたことに淵源があるといわれておりますが、都として、この慢性疲労症候群をどのような病気と認識されているのかお伺いをいたします。

○前田保健政策部長 慢性疲労性症候群は、厚生労働省の研究班によりますと、原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、その後、強度の疲労感とともに、微熱、頭痛、抑うつなどが長期間続き、健全な社会生活が送れなくなるという疾患でございます。
 病気の原因といたしましては、生活環境ストレス、ウイルス感染、免疫異常、内分泌異常、あるいは脳神経機能異常などさまざまな説がございますが、いまだ明らかとなっておりません。
 したがって、根本的な治療法はなく、対症療法が主体となっております。

○小林委員 公明党にも、患者の皆様から多くのご要望を今日までいただいております。一昨年には、慢性疲労症候群患者の会の皆様とともに、我が党の斉藤鉄夫衆議院議員が、当時の長妻厚生労働大臣あてに、慢性疲労症候群の研究促進を求める五万八千九百九十二人の署名簿を厚生労働省に届け、研究促進を要望しました。
 また、昨年には、公明党の障害者福祉委員会と、難病対策プロジェクトチームに所属する国会議員が、慢性疲労症候群をともに考える会の方々とお会いし、医療、福祉体制の整備を求める要望をいただきました。都議会においても、同僚の斉藤やすひろ議員、そして私が、先ほどの篠原代表からお話を伺わせていただきました。
 国においても、この病気に対して全く手つかずではないと思いますが、一層の取り組みが必要ではないかと思います。
 そこで、日本における慢性疲労症候群の実態、研究はどのようになっているのかお伺いをいたします。

○前田保健政策部長 平成三年に厚生労働省の疲労調査研究班が発足いたしまして、自覚症状を主体とした診断基準の試案を作成いたしました。その後、客観的な診断基準の策定を目指しまして、疫学調査等さまざまな方面から研究されてまいりましたが、現在も疾病としての概念は十分確立されておらず、研究が継続中でございます。
 日本における実態といたしましては、平成十六年の研究報告で、調査対象者の約〇・三%がこの試案の診断基準に該当しており、この割合を用いました試算では、日本における十五歳から六十五歳までの慢性疲労症候群の患者数は約二十四万人と推定されておりますが、実態は不明でございます。

○小林委員 このいわゆる難病といわれるものは五千以上あるといわれておりますが、この慢性疲労症候群は研究のまだ途上でありまして、まだ難病という概念にも位置づけられておりません。先ほどご紹介をしたお手紙をいただいた方もそうですが、社会から誤解されていること、また、今ご答弁にもありましたが、まだまだ疾病概念が確立されていないことから、いい知れぬ不安を患者の皆様は抱えておられます。
 医学の分野におけるさまざまな病気に対する原因の究明や、治療法の確立、そして、政治の分野における苦しんでいる方々への支援、これらは車の両輪のように進んでいかなければならないと思いますが、まずは、患者の皆様の声をお聞きすること、そして、一緒に考えていくことが何より大切ではないかと考えます。
 そこで、この難病とは位置づけられていない慢性疲労症候群の方々が相談する際にはどのような相談窓口があるのか、お伺いいたします。

○前田保健政策部長 都では、難病相談・支援センターにおきまして、既に指定された難病に限定することなく、日常生活、療養生活におけるご相談に対応しております。平成二十三年度の慢性疲労性症候群についての相談件数といたしましては、気軽に相談できる場所はないか、同じ病気の人と知り合いたいなど、七件でございます。
 また、保健所等におきましても、特定の疾病だけでなく、さまざまな健康不安のご相談に対応しております。

○小林委員 ありがとうございます。慢性疲労症候群の患者さんの中には、症状が重くなると生活に支障を来し、さまざまな支援や福祉サービスを必要とする方々も多いとのことです。
 慢性疲労症候群をともに考える会の篠原代表は、かつて、身体障害者手帳を取得し、当初は普通の車いすを使用していましたが、症状が重くなり、今は寝たままの状態で移動できる、リクライニング・ティルト式手押し型車いすを使用されているそうであります。しかし、この車いすにかわる際も、症状に対して提供する福祉サービスの見解がさまざまあり、窓口で大変にご苦労されたと伺いました。
 また、障害者手帳が取得できないために、福祉サービスの申請もできず、家族の助けに頼らざるを得ない患者さんも多いとのことであります。
 確認の意味でお伺いをさせていただきますが、身体障害者手帳や補装具など福祉サービスは、慢性疲労症候群など疾病自体の原因などは不明でも、障害の状態に応じて対象となるのかを確認させていただきます。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者手帳は、身体障害者福祉法及び東京都身体障害認定基準に基づき、認定を行っております。
 具体的には、障害の原因となった疾患のみで判断するのではなく、申請者の障害の状態全般につきまして、身体障害者福祉法別表に掲げる障害に該当するかどうか、法並びに認定基準に照らし、審査認定を行っております。
 補装具につきましても同様に、障害者自立支援法や国の示す指針等に基づき、判定を行っております。

○小林委員 ありがとうございます。私、今回、この病気について取り上げるに当たって、過去の都議会の議事録を調べてみました。本会議、委員会などで、慢性疲労症候群という言葉自体は幾つか散見されましたが、具体的にこの病気について質疑をされていたものが一件だけありました。
 それは今からちょうど二十年前の一九九二年、平成四年三月十八日、当時の衛生労働経済委員会において、私ども都議会公明党の大先輩であります曽雌久義議員が質問をされておりました。曽雌議員は、当時の厚生省が示していた慢性疲労症候群の診断基準の内容や、アメリカにおけるこの病気の発生状況、今後、衛生局としてどう対応していくのかをただして、最後に、今後、現代の不思議な病気といわれている慢性疲労症候群がどういうふうになっていくのか、関心を持って見守っていきたいと思っておりますので、ひとつ衛生局におきましてもよろしくお願いしたいと思いますと結んでおられました。
 残念ながら、曽雌議員は平成十五年に急逝されましたが、ご存命なら、今でもこの病気のことを気にかけておられたのではないかと思います。
 この質問から二十年たった今、慢性疲労症候群については、いまだ解明されないことも多く、より一層の研究促進が待たれるところであります。テレビや新聞などでも取り上げられ、少しずつ病名が認知されてきているとはいえ、患者さんの立場になってみれば、ますますこの病気に対しての社会の温かなまなざしが必要になってくると思います。
 今後、都の職員の皆様も、慢性疲労症候群の患者の方と直接お会いし、ご相談を受ける機会もあるかもしれませんが、社会から誤解を受け、体のみならず、心も傷ついておられる方もいらっしゃいますので、ぜひとも温かく丁寧な対応をしていただきたいと思います。
 先日、目にした書物に次のような言葉がありました。一つの事柄から何を感じとるか、人の苦悩に対して想像力を広げることから同苦は始まるのである。同苦とは、同じ苦しみということです。この言葉は、目下の最大の課題であります東日本大震災の復興にとっても、また、福祉施策にあっても大事な視点であると感じました。
 ともに苦しむ、ともに悩むという原点に立脚して、慢性疲労症候群を初め、多くの病気で苦しんでおられる方々に少しでも安心をしていただけるよう、今後も取り組んでいきたいと思いますので、ぜひとも福祉保健局の皆様のお知恵もおかしをいただきたいと心からお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○松下委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時二十一分開議

○松下委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大山委員 私は、保育の問題、それから放射能対策、それから家族などをケアしている方々への支援、そして、都内避難者への支援ということで、テーマは四つということで質疑したいと思います。
 まず、請願と条例にかかわりまして、保育の問題についてです。
 請願が出ているわけですけれども、十八万二千五十七人という本当に大勢の方々が、この請願を支持して、何としてもということで要望があるということです。
 まず、資料で、きょう出していただいた資料の七ページ、6という資料で、保育所の設備・運営基準に関する東京都児童福祉審議会の検討経過というのを出していただきました。
 これを見ますと、平成二十二年の十一月四日に児童福祉審議会の本委員会で、ゼロ歳、一歳の居室面積について、専門部会を設置して検討するということを決めて、三回、検討会を開いたわけですけれども、国が指定した地域で、二歳未満児一人当たり三・三平米以上を、年度途中だったら二・五平米に小さくできるという都の提案について、区長会を代表して出ていた委員は、区長会の意見として反対だと表明したことを初め、社会福祉法人の保育の現場の委員からも反対意見が出て、結局、一つの意見としてまとめることはできませんでした。これはもう重大なことです。
 待機児解消がこの議論の出発点で、先ほどの答弁の中でも待機児の解消だということがあったわけですが、伺いますが、ゼロ歳児と一歳児の乳児室または匍匐室の面積が一人当たり三・三平米から二・五平米に小さくなると、具体的に何人受け入れがふえるんでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 受け入れ枠の拡大についてでございますが、面積基準の弾力化の規定を活用して受け入れ枠をふやすかどうかも含め、保育の実施主体でございます区市が、地域の保育のニーズを踏まえて適切に判断するものでございます。

○大山委員 つまり、何人待機児が解消できるか、そんな見通しもなく、とにかく国がいうとおり、年度途中では三・三平米から二・五平米に小さくできるようにしてしまおう、そういうことですね。
 一人当たり三・三平米というのは畳二畳分です。二・五平米は一・五畳分です。寝るのも食べるのも遊ぶのも、一人当たり一・五畳ということです。ゼロ歳児だったら、産休明けの子もいるし、はいはいを始めた子もいるし、はいはいをたくさんさせることが重要です。はいはいをいかに充実させるかで、立ち上がり、歩くことの基礎となる全身の力を養っているわけです。だからこそ、今、東京ではなかなか住宅事情も厳しいし、若いわけですから、せめて保育園できちんと、思い切ってはいはいできる場所を確保すること、これは基本的なことです。
 例えば、一人当たり三・三平米の部屋は、ゼロ歳児だと九人定員というところが多いわけですが、九人で十八畳の部屋に、子ども九人と保育士が三人です。これでも狭いわけですが、二・五平米でよいとなりますと、十二人の子どもと保育士は四人ですね。十八畳の部屋に十六人がいる。一畳に一人程度、赤ちゃんと保育士がいる。そういう光景、想像してみてください。ゼロ歳児だったら、同じクラスに、さっきもいいましたけれども、産休明けの子もいるし、はいはいする子もいるし、立ち上がって伝い歩きをする子もいるし、よちよち歩きを始めた子もいます。そんな子たちが、一人分一畳程度のところにいる。まだ首も座らない赤ちゃんの安全のためにはベッドも必要です。そんなに狭いところにベッドを置いて、片や歩き回る子、ぶつかったり踏まれたり、トラブル耐えませんよ。落ちついてじっくり遊び込む、それもできないですね。とても安全さえ保証できないような状況ではないでしょうか。
 全国社会福祉協議会保育部会が厚労省の委託を受けて調査した、機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業で、日本の最低基準は、世界のレベルではまさに最低であるということが明らかだと指摘しています。この調査は、調査の目的の中で、児童福祉施設最低基準における保育所の基準について、時代の変化に応じた保育の提供のために必要な環境、設備基準について検討を行った、検討に際しては、これまでの最低基準の考え方、つまり、保育の設備を乳児室、匍匐室等の部屋の面積等の構造基準から規定するだけでなく、乳幼児の発達と生活の営みと教育の場、保護者支援の場として保育所をとらえ、そこで必要とされる保育所保育指針に基づく保育を行うために最低限必要な施設設備基準等を明らかにすることを目的として実施しましたと、こう述べているんですね。厚労省の委託で行われた調査です。本当だったら、これを参考にして、最低基準の検討を行うべきなんです。
 保育現場からは、狭くなることで子どもたちへの影響が心配だという声がたくさん出ています。ゼロ歳児は、はいはいや寝返り、伝い歩きなど、成長によっていろいろな体の発達を保障することが必要です。部屋が狭くなれば、寝返りしている子のそばで伝い歩きの子がいるなど、ということになります。保育士がちょっと目を離したすきに危険なことも--だから、都内自治体だって、面積基準の縮小には極めて否定的です。
 待機児が多いということで指定された区と市、でも、その多くが実施予定なしとしています。
 昨年の十二月五日現在で、都内では二十四区市の該当自治体のうち、現時点では採用しないといったのは一区、十五の区市は、はっきり採用しないと答えています。その理由は、緩和すると保育環境の悪化となる、保育水準を切り下げることは好ましくない、保育の質の確保や子どもの成長の観点等からなど、子どもの成長発達を保障する立場から採用しないという判断をしているわけです。
 伺いますけれども、保育現場からも、それから、該当する自治体からも、保育水準を確保するための懸念、心配が出されていることについてどう考えているんですか。

○秀嶋事業推進担当部長 実際、保育を実施しております区市町村が、実際の今の待機児の動向ですとか、そういうようなものを見ながら判断するものというふうに考えております。

○大山委員 それぞれの自治体で決めることなんだということですけれども、児童福祉法では、第四十五条で、最低基準は、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準を確保するものでなければならない、こうなっているわけです。今回の条例でも、ちゃんと書いてあるじゃないですか。最低基準の向上、これもいっています。知事は、最低基準を常に向上させるよう努めるとともに、こうなってるにもかかわらず、最低基準を向上させるどころか、最低基準をさらに低下させることを率先して進めているということではないんでしょうか。
 都内の認可保育園の現在のゼロ歳児、一歳児の一人当たりの面積の利用実態はどうなっていますか。

○秀嶋事業推進担当部長 児童福祉審議会の審議に先立ちまして、平成二十二年九月一日現在で調査しました結果によりますと、ゼロ歳児では平均で五・七五平方メートル、約八割の児童が五平米以上となっておりますが、一歳児につきましては平均で三・七九平方メートル、おおむね半数の児童が三・三平方メートル以上、三・五平方メートル未満となっておるところでございます。これは、待機児童問題が最も深刻な一歳児につきましては、多くの保育所で既に面積基準いっぱいに児童が入所していることを示しているというものでございます。

○大山委員 今だって一歳児は面積基準いっぱいに入ってるんですよね。ゼロ歳児一人当たりの面積が五・七五平米。五平米以上が八二%を超えるというのは、都内の保育園は、その広さが標準になっているということなんじゃないんですか。
 東京都には、国基準を超えた認可基準がありました。その基準が、ゼロ歳児五平米、一歳児は三・三平米ですね。
 私たちは、ことしの二月に都内区市町村にアンケートをお願いしました。そのとき、その回答の中に、当市では現在、東京都保育所事業実施要綱に基づき、ゼロ歳児五平米、一歳児三・三平米の面積基準を採用している、こういう記述がありました。つまり、都基準を継続して実施しているということなんですよね。ゼロ歳児五平米以上が八割を超えるというのは、ほとんどの自治体が、都基準はなくなっていても、その基準を継続しているということなんです。こういう頑張りこそ、東京都が応援することではないでしょうか。
 ほかの自治体でも、東京都が面積緩和を行い、最低基準を引き下げたとしても、当市としては、保育の安全と快適な保育環境の確保のために現状の面積基準を確保する予定ということだとか、多くのところが面積基準切り下げに反対の意思表示をしております。ほとんど支持されていない面積基準の緩和はやめるべきであるということを強く指摘しておきます。
 条例ですけれども、最低基準に関する条例をつくるために、児童福祉審議会に意見を聞くということだったわけですが、児童福祉審議会では、最低基準に関する議論のほとんどは基本の部分ではなくて、今、質疑をしました、二年間に限る、国が指定した自治体への面積基準の緩和の問題がほとんどでした。
 国が出した省令で、条例をつくる際に各自治体が従うべき基準と参酌すべき基準と標準というのがありましたね。従うべき基準には、保育士の配置基準や調理員の配置、保育室の面積、調理室の必置、食事の提供方法の特例、保育の内容などがあります。そのうち、条例に書き込まれているものと、人員配置基準を初めとして、条例には書き込まれずに、規則にゆだねているものがありますけれども、同じ従うべき基準であっても、条例と規則と両方あるわけですね。どのような基準で条例と規則に分けたんでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 施設として設置すべき設備、どのような資格を持つ職員を配置するか、保育時間などの基本的な事項については、議会において審議していただく条例に規定しております。
 その上で、設備の面積、職員の人数、保育所の開所時間などの細目は規則に委任することを条例に規定し、これに基づき規則を定めております。

○大山委員 どんな職員配置をするかとか、保育時間だとかというものは条例だけれども、面積が何平米だとか、職員配置が何人だとかということは規則にゆだねるんだということなんですが、じゃ、条例と規則、どう違うのか説明してください。

○秀嶋事業推進担当部長 条例とは、地方公共団体が、地方自治法第十四条の規定に基づき、法令に違反しない限りにおいて、その事務の処理に関し、議会の議決を経て制定するものでございます。
 規則とは、地方公共団体の長が、地方自治法第十五条の規定に基づきまして、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し規定するものでございます。
 本条例につきましては、施設として設置すべき設備、配置する職員の資格などの基本的な事項について条例に規定し、設備面積や職員数などの細目については規則に定めることとしております。

○大山委員 つまり、条例は、今回のように議会に付託されて議論ができますけれども、規則は、知事が認めれば、議会にかけなくても、変えようと思えばいつでも変えられるということですね。それだけに、重要なことは条例で決めておくことが必要です。
 児童福祉審議会でも、保育の質ということが議論されましたが、保育の質を支える要素、これは何でしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 国は、社会保障審議会少子化対策特別部会の保育第一専門委員会におきまして、保育の質を支える主要な要素といたしまして、まず一つといたしまして物理的環境、こちらは施設設備の機能、面積といったものでございますが、二つ目といたしまして保育者の配置等、三番目といたしまして保育内容、こちらは養護、教育といった内容でございます。四番目といたしまして保育者の質、専門性の四つを挙げております。
 都におきましても、都が条例で定めます認可保育所の基準について審議していただいた東京都児童福祉審議会の専門部会におきまして、この四つを保育の質を支える要素として紹介しております。

○大山委員 東京都は、東京都の児童福祉審議会に、国の社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会での資料、この資料ですね。これを示しました。
 その保育の質を支える要素の一番に、物理的環境、施設設備の機能、面積等、こうあるわけです。都内自治体も現場も、保育の質を支えるためには面積基準が重要だと考えているからこそ、さらに縮小するなど許されない、そういうことなんですね。
 そして、この保育の質を支える保証となるのが最低基準なのですから、保育の質を支える要素、これらの要素は、少なくとも条例に書き込むことが重要です。
 私、すべて調べ尽くしたわけじゃありませんが、少なくともネットで見つけられた範囲、各条例を、提案されている条例を見ました。そうしたら、各府県は、従うべき基準のところは条例にちゃんと書き込んでありましたよ。人員配置基準も、それから部屋の広さも。
 職員については四十三条にあります。そこには、保育士、嘱託医及び調理員を置かなければならない、そして、保育士の員数は規則で定める、こう規則にゆだねてしまっています。保育士を何人配置するかが、先ほど答弁された保育の質を支える要素であるにもかかわらず、条例では定めない。先ほど、細目は規則なんだと答えましたけれども、人員配置基準は細かいことではなくて、保育を支える要素の重要な一つなんじゃないでしょうか。どう考えているんでしょうか。

○梶原総務部長 まず、条例と規則の違いをもって、あたかも規則にしたことが恣意的に変更可能だからおかしいというようなご指摘をいただいてますので、まず、そもそも論としての条例と規則というのの考え方をご説明させていただきたいと思います。
 条例というのは、自治立法権に基づきまして普通地方公共団体が定律する自治立法でございまして、規則も条例と同様に普通地方公共団体の自治立法というふうに解されています。
 今回、都が定めることとなった施設設備や運営に関する基準は、既にこの保育に関していえば、国の省令により、従うべき基準、標準、参酌すべき基準の三つの基準に分類されています。これは委員お話しのとおりであります。つまり、従うべき基準とは、全く私どもが条例、規則、いずれにしたとしても、何ら変えることができない、従うべき基準であります。条例等を策定するに当たっては、この一つ一つの規定が、これらの三つの基準のいずれに該当しているかなどを勘案して、施設として設置すべき設備、配置する職員の資格などの基本的事項については条例に制定し、設置面積や職員数などの細目については、すべて条例の委任という形で規則に定めることをしたわけであります。
 規則も、先ほど申しましたように、法令の範囲内で定めるものです。また、設置面積や職員数などの最低基準は、従うべき基準として自治体の裁量が及ばないということになっているわけであります。こうしたことから、規則に定めたからといって、あたかも都民の不利益になるような、あるいは行政が恣意的に変更できるものではないということは、これは立法上も地方自治法上も疑いのないというところであります。
 こうした条例及び規則への規定の仕方というのは、それぞれの自治体なり、あるいは法律と政令、省令の関係というのもそれぞれあるわけですが、それぞれの自治体の考え方というのもある。
 今回の条例の規定の仕方については、その考え方を、私どもも国に確認しながら策定したものでございます。これは、総務部の方で文書係を持ってまして、文書法規を所管しているという立場で私の方から答えさせていただきました。(大山委員「ちょっと質問に答えてください、ちゃんと」と呼ぶ)ですから、質問は次です。

○秀嶋事業推進担当部長 調理員の配置基準の関係でございますけれども、条例の第四十……(大山委員「保育士です」と呼ぶ)保育士……(大山委員「もう一回質問いいましょうか」と呼ぶ)はい。

○大山委員 保育士を何人配置するかは、保育を支えている、保育の質を支える要素であるのにもかかわらず、条例は定めないわけですね。先ほど、細目は規則だと答弁されましたけれども、人員配置基準は細かいことなんかじゃなくて、保育を支える要素の重要な一つなんじゃないんですか、こう聞いたんです。答弁お願いします。

○秀嶋事業推進担当部長 条例において、基準の基本的な事項について定めるとともに、規則にゆだねる範囲を規定しているところでございます。保育士に関しましても、同様に解すものでございます。

○大山委員 ちゃんと質問にきちんと答えてくださいよ。保育を支える要素の重要な一つなんじゃないですかと私は聞いてるんです。
 それから、先ほど総務部長が答弁されましたけれども、法令の範囲内だから、規則はこれ以上改悪できないんだと、切り下げることはできないんだといいましたけれども、それはね、結局、法令の範囲内でしか、法令の範囲が最高だという考え方じゃないんですか。国のいいなりでしか定めようとしない、それよりももっとよくしようという観点がないからですよ。
 東京都が自分たちで児童福祉審議会に出した資料でも、保育の質を支える要素の二つ目は、保育者の配置等、そうなっているんですね。規則にゆだねていますけれども、その規則に保育士の配置はどうなっていますか。これ、数ですから、ちゃんと普通に答えてください。

○秀嶋事業推進担当部長 児童福祉審議会に示している資料の中では、ゼロ歳児については三対一、一歳以上、三歳未満児につきましては六対一、三歳児については二十対一、四歳以上については三十対一というふうに規定しております。ただし、保育所一につき二人を下ることはできないというようなことも書いておるところでございます。

○大山委員 保育の質を支える基本的な要素であるにもかかわらず、規則にゆだねておいて、その規則も出さないで審議しなさいっていう方が乱暴な話ですよ。結局、今ご答弁しましたけれども、国基準そのままをただ規則にするというだけじゃないですか。
 東京では、保育士の配置についても、例えば一歳児は、国基準は子ども六人に保育士一人ですけれども、都内の認可保育園は、かつての都基準である--さっきもある市はその実施要綱どおり、都基準どおりやっているんだというのがありましたけれども、一歳児は五人に一人の配置が当たり前です。それから、長時間の保育を保障するための保育士の増配置、それから保育内容充実のための配置、これも基本になってます。それ以上に増配置している保育園もあります。
 伺いますけれども、最低でも、現在の東京の保育水準を支えている現実の基準を最低基準とすることが、東京都の役割なんじゃないですか。

○秀嶋事業推進担当部長 東京都といたしましては、今回の条例化に当たりまして、国の最低基準を新たに都の基準として定めるということではございますが、あくまでも、国の省令等に従うとともに、やはり保育を実施いたします区市町村の選択肢というようなものも広げるような形で、現下の待機児童対策に資するような形の基準というものが必要ではないかというふうに考えております。

○大山委員 東京都は国の省令に従うだけ。
 従うべき基準について、国は全国知事会の問い合わせに答えて、国が出した従うべき基準を上回った基準にすることはどんどんやっていいですよ、そういうふうに答えているんじゃないですか。(「妨げない」と呼ぶ者あり)妨げないね。はい。妨げないっていうことは、やっていいですよってことなんですよ。
 例えば、京都市が提案した条例案には、ちゃんと保育士の数は、乳児おおむね三人につき一人以上、これは同じですね。一歳児は五人に一人。国基準が六対一ですから、これは京都府の条例は国基準を上回っています。また、二歳児は六対一、それから、三歳児は十五対一が京都です。国は二十対一ですから、これも京都の方が国基準の省令よりも上回った基準になっています。四歳児も京都府は二十対一、国基準は三十対一です。東京都も三十対一ですね。それから、五歳児は京都府は二十五対一、そして国基準は三十対一です。ですから、国基準よりも、条例の中にきちんと保育士の配置基準を書き込み、そして、省令を上回る配置を条例で定めているんです。これが現在の京都市の配置だから、そのまま条例に書き込んだわけですね。
 こうやってよくしていかなければ、国がいってることだけの仕事しかやらないんだったら、東京都が条例を決める意義がないんじゃないですか。
 調理師だって、配置するとは条例に書いてありますけれども、何人配置するかは書いていません。調理師も、国の基準を超えて、東京では、ゼロ歳児がいる園では調理師の配置をふやしています。それが東京の保育の基準になっているからですね。調理師の配置基準はどうなっていますか。

○秀嶋事業推進担当部長 条例第四十三条では、調理業務の全部を委託する施設を除き、調理員を置かなければならないと規定しておりまして、現行の国の最低基準と同様のものとなっております。

○大山委員 置かなければならないだけで、何人の保育園だったら、何人置かなきゃいけない、そんな基準もないわけですね。大体百人ぐらいの子どもたちがいる給食をつくるのに--離乳食もありますよね。離乳食だったら、前期も中期も後期もあるし、アレルギーの子どもたちだって多いわけですよ。きちんと調理員の人数を確保することが、この質を支えていく大きな役割を果たすわけです。
 アレルギーの子どもたちの食事などが、何十年も前から東京で先進的に実践できているのは、調理師がきちんと配置されているからなんです。きちんと東京の現状を生かした配置基準を書き込むべきです。
 条例には、保健師もしくは看護師の記述は全くありません。都内のゼロ歳児がいる認可保育園で、保健師もしくは看護師を配置していないところというのはあるんでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 保健師または看護師の配置は、認可保育所の人員基準にはなく、把握してございません。

○大山委員 どういう人員配置になっているかさえも把握していない。ゼロ歳児がいる園で、保健師もしくは看護師が配置されていないような認可保育園はありませんよ。保育園は、子育てをめぐって、専門職が配置されているところが重要なんですね。
 保健師や看護師は、子どもたちの日常の健康管理、それからお母さんたちからの健康面での相談、それからアレルギーだとか感染症だとか、親御さんたちのメンタル面での病気などもふえています。
 子どもたちが朝登園して、湿疹なのか感染症なのか判断するのも保健師さんや看護師さん。専門的な立場からの健康管理、健康相談をやっているのが保健師あるいは看護師です。
 東京のゼロ歳児がいる認可保育園で、保健師もしくは看護師が配置されていないところがあったら、もう教えてほしいぐらいです。どうして保健師もしくは看護師の配置を条例に書かなかったんでしょうか。

○梶原総務部長 これも、条例、規則の基準の部分がありますので、私の方からお答えさせていただきますが、おっしゃるとおり、従うべき基準というのは最低限のことを決めているのであって、それを上回る条例をつくるということは可能だというのが委員のご指摘だと思います。
 ただ、京都市の場合は、これは市みずからが保育園の設置主体でありますから、市みずからが決めて、市みずからがその設置基準というのをやっていけばいい。
 東京都が条例をつくるという部分の中で、あるべき論を考えるというのはもちろんでありますけれども、区市町村がどのように認可保育所をつくっていくか、それはそれぞれの実施主体の考え方というのはもう一方であるわけです。五・五平米でやるのか、三・三平米でやるのか、現実の中でもそういうことがあります。それから、それぞれの人員配置についても、それぞれの中でやる。
 したがって、私どもの今回の条例のつくり方というのは、あくまでも最低基準を定める、それが国の基準で最低基準であった部分を定めた上で、区市町村の考え方によってさまざまな、いわゆる保育の実施主体であるさまざまな考え方をとってもらえばいい。もちろん、その中で、年度途中の中で弾力化をして受け入れるということを考えるところもある。これは、先ほど質の話がありましたけれども、認証保育所の中でそういうことを現実にやっている実績を踏まえた上で、そういうことも可能だと。ですから、区市町村がそういう判断をして、保育の実施主体がすれば、そういうことになる。
 一方で、都独自の高い基準をつくっていくということは、区市町村が今までやってきた保育というものをできなくなるということもあり得るわけです。
 我々は、七千人、八千人の待機児が現在いるということの中で、いかにその待機児解消をやっていくかということで、サービスの拡充、それから、さまざまな施策を打っていく中で、この弾力的な運用というのも待機児解消の一つになるという考え方のもとに、今回は基準をつくっているということにご理解をいただきたいと思います。

○大山委員 京都市は、市がやっているからこうやってできるんだっていいますけれども、東京都は、きちんと東京の子どもたちに責任を持つわけですよ。最低基準をつくれば、それを保障するために東京都だって財政的にも責任を負う、これが常識ですよね。それを引き下げるというのは、東京都はここまでしか責任持ちませんよ、ということなんですよ。地方自治体が、きちんと東京都が--しかもね、架空の水準を制定しなさいよっていうんじゃなくて、今、私がいっているのは、さっき総務部長は、高い基準を定めたら、それが実施できない区市町村が出るみたいなことをいいましたけれども、私がいっているのは、今の東京の基本的な、標準的な認可保育園の保育士の配置、調理師の配置、保健師もしくは看護師の配置、これが当たり前になっていて、みんな実践しているんだから、今の水準を最低水準にすることが東京の実態に合っているんじゃないんですか、そういってるわけですよ。それぞれの自治体が、できなくなる、それを引き下げることに力をかすんじゃなくて、引き上げることに力をかすべきなんですよ。待機児を解消するっていうんだったら、詰め込むんじゃなくて、きちんと認可保育園をもっと増設する、それが道でしょう。
 それで、東京の保育をよくしようと思って、みんな積み重ねてきた基準ですよ。認可保育園の標準として定着しているレベルを、勝手に東京都が後退させた条例にしてしまっているだけなんです。それは国の範囲から一歩も出ようとしない、そこに問題があるんです。
 幾つか指摘しましたけれども、東京の認可保育園では、提案されている条例や規則で定められた職員配置以上に、保育士、保健師または看護師、調理員、用務員、栄養士などを配置している。それは必要だから配置しているんですね。これらの条例以上の加配、これらのというのは、今いった、東京都が定める条例以上の職員、加配された職員についての財政的支援はどうなるんですか。

○秀嶋事業推進担当部長 都は、保育サービスの充実も含めたさまざまな施策を地域の実情に応じて展開できるよう、市町村に対して、子育て推進交付金により支援を行っているところでございます。
 特別区については、都区財政調整制度の中で必要な財源を確保されているところでございます。

○大山委員 人員の配置基準も、東京都内の認可保育園っていうのが普通に配置されている基準なんですから、今答弁された地域の実情に応じてなどというレベルじゃないんですね。全都的に、かつての都基準で人員配置、もしくはそれ以上で配置しているわけですから、当然、東京の保育の最低基準として条例制定すべき基準です。
 保育室等を二階以上に設ける場合の基準、これは四十一条の三ですけど、都内では、二階建て以上の保育園が多いわけですし、ビルの中に認可保育園を設けるところもあるわけですから、条例できちんと定めておかなきゃならないと、これは指摘しておきます。
 避難訓練なんですけれども、これは総則の中に入っています。第一章の総則には、非常災害対策、その中で、避難訓練及び消火訓練は、これも規則に委任されています。
 昨年の三月十一日は、東京でもかなりの揺れがありました。しかし、月一回の避難訓練をやっていたからこそ、子どもたちも慌てず落ちついて避難できたということを多くの関係者から聞いています。三月という年度末で、子どもたちもかなり成長してきた段階での時期だったのも幸いしたと思いますけれども、それこそ、いつあるかわからない震災です。四月の新入園児がまだ落ちつかない時期にでもあったら、それは大変な状況だと思います。だからこそ、毎月一回の避難訓練で、職員がどう行動するのか、きちんと積み重ねておくことが欠かせません。
 保育士はゼロ歳児三人に一人の配置ですから、歩けない子たちを、職員は総出でおんぶもしなければなりません。子どもたちにとっても、毎月の避難訓練で見通しを持つことだとか、保育士の指示に集中することなどを学んで、大人の適切な行動と声かけとあわせて、初めて安全な避難ができるわけです。
 伺いますけれども、このように、欠かせない毎月の避難訓練ですけれども、規則ではどうなっていますか。

○秀嶋事業推進担当部長 月一回の実施というふうに規定する方向で検討しております。

○大山委員 規則で月一回やるということが定められているんだということですが、命にかかわるものですから、条例できちんと定めておくべき重要なことだと思います。
 幾つか内容的に指摘しましたが、児童福祉審議会でも、議論したのは面積基準のことがほとんどというか、ことだけといってもいいぐらいです。一月五日、最後の本審議会のときも、各委員から、本来なら特別な専門部会をつくって、時間をかけて議論すべき、今後、都としての水準のあり方を検討するということを、附帯決議でもいいのでしてほしいという旨の発言があったり、都としては、内容的にも最低基準だと。将来これ以下にしてもらったら困る、高めるようにしてほしいだとか、これだけのことを決めるには短い時間など、条例自体をきちんと時間をかけて議論すべきという意見が次々に出ました。本当にそのとおりだと私も思います。
 私のところにも、皆さんのところにも多分来たと思いますけれども、現場の職員の皆さんからこんなにたくさんの声が寄せられています。その中にも、今の基準でもいっぱいいっぱいなので、もう下げないでください、基準を考えるときは、保育者や利用者の人たちに聞いて考えてくださいと。本当にそのとおりだと思います。
 条例案を提出して、パブコメをした県だとか政令市も多いです。東京都は、とにかくつくってしまえという状況で、国のいうとおり、しかも条例に書くべき基本的なものさえも規則にゆだねてしまう。
 ことしの四月一日に法は施行されますが、経過期間があって、来年の四月から実施すればいいということになってますよね。

○秀嶋事業推進担当部長 法令では一年間の経過措置は置かれております。

○大山委員 条例の内容について、保育園を初め、ほかの児童福祉施設について、それぞれ児童福祉審議会できちんと議論して、都民の声もきちんと聞いて、条例を提案すべきです。この条例は撤回して、出し直すべきだと思います。指摘しておきます。
 新システムについてですけれども、国が新システムの目玉改革の一つとしていた幼保一体化、これは議論が迷走しました。名前は同じこども園ですけれども、こども園という中には、どのような種類の施設が入るんでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 今月二日に政府の少子化社会対策会議において決定されました子ども・子育て新システムに関する基本制度によりますと、こども園とは、学校教育と保育を一体的に提供する総合こども園のほか、幼稚園、保育所、それ以外の客観的な基準を満たした施設のことであり、その総称であるとされております。

○大山委員 今は保育園と幼稚園があって、認可外施設があるわけですね。ところが、新システムでは、名前は同じこども園でも、幼稚園と保育園の両方の機能を果たす総合こども園、それから、三歳以上の保育をしないこども園は、保育所タイプのこども園。保育園は、三年間の間にすべての園が、この保育所タイプのこども園か、総合こども園のどちらかに移行させられるわけです。
 一方、幼稚園は、新システムに入ろうが、そのまま幼稚園として存続することも認められています。こども園には、認可外の施設のこども園も、こども園給付の対象となるわけです。到底、一体化とはいえないような複雑な制度になってしまいました。しかも、総合こども園では、待機児の大半を占めるゼロ歳から二歳児の保育を義務づけないということになりましたから、何のために一体化するのか説明ができなくなっています。
 また、すべての子どもに幼児教育を保障することが強調されていますが、今さら強調するようなことではなく、現在だって、保育園でも幼稚園でも、乳幼児の生活の保障である養護と教育を保障する、子どもたちの成長発達を保障するのが役割なわけですから、この点でも、一体化で何を変えるのかがはっきりいえなくなっています。制度自体が複雑で矛盾したものといわなければなりません。
 この新システムで重大なことは、保育園入所の区市町村の責任が大きく後退することです。新システムになった場合の区市町村の責任と役割はどうなりますか。

○秀嶋事業推進担当部長 国が決定しました基本制度によりますと、区市町村は、新システムにおいても、これまでどおり実施主体としての役割を担い、子どもや家庭の状況に応じた適切な給付の実施、区市町村の関与による利用支援、計画的な基盤整備などの権限及び責務が示されておるところでございます。

○大山委員 つまり、保護者の状況に応じて保育の必要量を決めて、給付の量を決めるということですね。保護者がこども園に入所、利用するまでに、どのような手順が必要になるでしょう。

○秀嶋事業推進担当部長 国が決定しました基本制度によりますと、保育を必要とする子どもの場合、保護者が区市町村に認定申請を行い、区市町村の認定を受けた後、保護者がみずから施設を選択、契約する仕組みとなっております。
 定員以上に応募があった場合、施設は、国が定める選考基準に基づき、選考を行うことになりますが、家庭の状況や保護者の就労状況等に基づく保育の必要度に応じて選定されます。
 なお、当面、保育需要が供給を上回り、待機児童がいる場合には、保護者は区市町村に利用希望を提出し、区市町村が利用調整を行い、利用可能な施設、事業者をあっせんすることとされております。

○大山委員 利用調整するということになってますといってますけれども、現在は、児童福祉法二十四条で、区市町村は、保育に欠ける子どもを保育所で保育しなければならないという義務規定になっていますから、保護者が区市町村に申し込みをすれば、区市町村は、保護者の希望を踏まえて入所先を決めて、区市町村の責任で保育が提供されるわけです。
 ところが、新システムでは、区市町村の保育の実施義務がなくなるわけです。ですから、保護者は、区市町村から、あなたは何時間ですよと認定を受けたら、自分で保育園を探して、保育所と直接、入所の契約をしなければならないわけです。区市町村は基本的には関与しないで、入所できなくてもそれは保護者の自己責任になって、補助金も支給されません。満員だったら、何カ所も何カ所も回って、自己責任ということですね。
 こんなことですと、産休なり育休が明ける前に子どもを保育園に預けようとしたら、産休中や育休中に保護者が必死でこども園を探し回らなければならないということです。おちおち休んでられないんじゃないかと思うんですが、どうですか。

○秀嶋事業推進担当部長 国が決定しました基本制度によりますと、こども園等の利用を希望する保護者は、区市町村から保育の必要性について認定を受けた後、保護者がみずから施設を選択し、施設と契約する仕組みとなっております。
 また、利用契約における区市町村の関与といたしまして、障害児など特別な支援が必要な子どもの利用あっせんや、当面、待機児童がいる場合の保育の必要度に応じた利用調整、さらに、虐待が懸念されるが、保護者が進んで保育を利用しない場合など、契約による利用が困難と判断した場合の措置による入所利用などが示されているところでございます。

○大山委員 幾らあなたは必要性がありますよ、何時間ですよといっても、行く先がなければだめなんですよね。入れないわけですよね。
 例えば、数年前に、東中野駅のところにできて、二カ月間で閉鎖した認証保育所の事件がありましたけれども、そのときは、児童福祉法二十四条がありますから、区が保育所で保育しなければならないという義務がありましたから、区が必死に保育園を探しました。しかし、新システムになったら、保護者が自己責任で次の日からの預け先を見つけなきゃならないということになるんでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 こちらの件につきましては、区市町村が引き続き保育の給付について確実な給付というものを求められておりますので、あのような事態が生じた場合につきましても、責任を持って探さなければならないことにはなるのであろうというふうに考えられます。

○大山委員 本当にそんなことをいっていいんですか。実施義務がなくなるんですよ。実施義務がなくなるのに、探さなきゃいけないことになるんじゃないでしょうか。そんなこと大丈夫ですか。本当に探してくれるんですか。

○秀嶋事業推進担当部長 国が決定しました基本制度によりますと、給付の保障という形で区市町村の責務がうたわれておりますので、その文言をどのように解釈するのかと、その点に尽きるのではないかというふうに思います。

○大山委員 そうすると、二十四条はなくなっても、保育の実施義務はあるということなんですか。

○梶原総務部長 済みません。これもちょっと法律論の話になってくるんですが、まず前提として、子ども・子育て新システムというのは、まだ国の段階で、概略といいますか、大枠が決まって、これから国会でどういう審議をされるのかという考え方のところです。ですから、私どもが仕入れている情報というのは、あくまでも国がいろいろ説明をしている中で得られた知識でお答えをしているということですから、子ども・子育て新システムが私どもがつくっているシステムならばいいんですが、国がつくっているシステムの中で、いろんな仮定のもとにご質問されても、なかなかお答えするのは難しいというのが今の現実であります。
 ただ、今のお話を聞いていますと、介護保険制度ができたときに、介護保険制度というのは、旧来、措置の世界であったわけです。措置の世界で、老人福祉法の中で、要は必要としている人を、行政が、この人は特養に入れるんだという仕組みだったわけです。それが、あくまでも特養との契約の世界になったわけです。その契約の世界になって、しかし、その中に老人福祉法というのは、措置というのが残りました。つまり、本当に真に必要な場合については特養に入れることができる。それは今でも条項は残っています。
 多分、そのときに大山先生いらっしゃいますけど、そのときも、措置制度をなくすことによって、公的責任の放棄だというふうに介護保険制度に非常に反対なさったという記憶がございます。じゃ、今それがどういう世界になっているかと。それは相対の契約になっているわけです。そうすると、多分、これだけ特養の待機者がいるじゃないかと、こういう話になってくると思うんですが、これは今の保育の世界でも同じであって、そのために、我々は、認可保育所、認証保育所、さまざまな保育サービスをつくって、行政としては頑張っている。
 ですから、そこで行政の責任が放棄されるか放棄されないかという、公的責任が放棄されるから、これから保育がもっとひどくなるんだという、ある種の仮定の議論というのを余りここでやってもしようがないと思いますし、私どもがやるべきものは、認可保育所なり認証保育所なり、保育サービスを、まずサービス基盤を整備していくことだというふうに認識しております。

○大山委員 今、サービス基盤を整備する、保育所をつくっていく、それが責務なんだというのは、それは本当に重要なことですよ。だから、東京都は頑張って、きちんと財政的な支援ももっと拡充して、認可保育園を思い切って増設する、それをしっかりとやってもらいたいと思っています。
 政府は、事業者側に利用の申し出を拒んではならないという応諾義務を出すから大丈夫、こういってますけれども、応諾義務といっても、理由があれば拒否できる、そういう程度のものなんですよね。ですから、今、特養ホーム待機者が、介護度四だって五だって、百人ぐらい待ってるとかという状況があるわけですね。ですから、やはり本当に責任を持つようにするんだというんだったら、東京都からもきちんと実施義務を外さないでほしいということぐらいいってもらいたいと思っています。
 新システムでは待機児解消がねらいとなっていますけれども、新システムになると、どのように待機児は解消されるんでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 国が決定しました基本制度によりますと、新システムでは、一定の基準を満たした施設をこども園として指定する指定制度の導入により、多様な事業主体の参入を促し、保育サービスの量的拡大が図れるとされております。
 しかしながら、現在示されております基本制度では、総合こども園に三歳未満児の受け入れを義務づけておりません。短時間の保育サービス利用者の受け皿確保の対策も不明となっております。
 このため都は、先日、保育制度改革に関する緊急提言を国に提出したところでございます。

○大山委員 結局、待機児解消といっても、新システムにしただけでは解消どころではないということですよね。保育の給付量が決まっても預ける先がなければ、結局、保育園には入れません。パートタイム労働者もだれもがというようにいいますけれども、結局、就労によって保育の給付量が決まりますから、預けられたとしても、子どもにとっては親の就労時間による細切れの保育になってしまいます。現在は、保護者の就労と子どもたちの発達保障が基本になっていますから、こんな細切れにはなりません。
 あともう一つ、十六日の参議院予算委員会で、小宮山洋子厚労相は、待機児童の人数を把握するとは法律に書かない、こう述べたんですね。待機児童の人数すら区市町村が把握しなくなるということを認めました。待機児童さえ把握しないのでは、待機児解消などできないと思いますけれども、どうですか。

○秀嶋事業推進担当部長 国が決定しました基本制度の中には、特段、待機児童を把握する、しないということについて触れておるものではございませんので、私どもの方で、まだその点について関知しておるわけではございませんが、少なくとも、先ほど答弁がありましたとおり、まずは量的拡大というものを通じた上で待機児の解消を図るということを心がけるとともに、先日、国に対して提言しました緊急提言というものに従いまして、国の方も進むべきであるというふうに考えておるところでございます。

○大山委員 待機児が何人いるのかということ自体、把握しなくなってしまったら、本当に待機児解消などなくなっちゃうわけですよね。幾つつくろうかということも把握できなくなるわけですから、今答弁されたように、それから、さっき総務部長が答弁されたように、認可保育園をきちんと増設して、量的拡大を図っていってもらいたいと思います。
 一つとしていいところがないどころか、就労を保障することも、子どもたちの成長発達を保障することも、両方とも破壊してしまうような新システムですから、都道府県議会では、三十二の議会で四十の意見書が可決されているんです。もちろん、内容は反対と懸念。二度にわたって意見書を出しているのは八議会もあります。区市の議会からも、全国から反対や撤回を求める意見書が出されています。東京都内でも、二十一の区や市の議会から二十四の意見書が出されています。こんな状況で法案を出すこと自体、異常なことだといわなければなりません。
 待機児解消は、何といっても、認可保育園の圧倒的な増設で解消するしかないわけです。
 私たち、区市町村の来年度の申込児童数の調査をいたしました。一月末時点の人数ですけれども、ゼロ歳児の申し込みが昨年度よりさらに多くなっている自治体は十五区十一市、一歳児の申込数が昨年度より多くなっているのは十四区十市です。二〇〇九年に認可保育園を増設した数は三十五園でしたね。二〇一〇年は六十園。二〇一一年の実績と来年度の予算では、何園増設する予定なんでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 平成二十四年四月の設置数でございますけれども、現時点で区市町村から得た情報によりますと、昨年に比べて五十六ふえる見込みということでございます。

○大山委員 来年度の予算……。

○秀嶋事業推進担当部長 来年度の予算につきましては、現在集計中でございます。

○大山委員 集計中だとかっていうか、予算、見積もり出したわけですから、何園で出したんですか。

○秀嶋事業推進担当部長 来年度は予算上、八千人増と見積もっておるところでございます。

○大山委員 六十一ぐらいですよね。それで、二〇〇九年度から安心こども基金と東京都の補助金、補助率アップが始まったわけです。二〇〇九年は十六園、その前の年、二〇〇八年は十六園の増設でした。やはり、国と東京都の整備費への補助率がふえたことが、増設数にストレートにあらわれているわけですよね。
 区市町村に、待機児解消、認可保育園の増設について、都への要望を伺いました。継続的な財政支援、それから都有地の貸し付け、国有地の無償提供など、財政支援等、土地への支援は、ほとんどの自治体が要望しています。同時に、公立保育園の整備費にも補助を復活してほしいということは、ことしもまたありました。同時に、運営費の補助制度の充実が要望されています。区市町村の切実な要望に、ぜひともこたえることを求めておきます。
 国家公務員宿舎跡地などの使われていない国有地、もしくは独立行政法人が所有している土地は都心区にも多いんですね。認可保育園の用地として使いたくても、市価であると、こういわれてしまうわけです。それでは区市町村は使いたくても使えません。これらの土地の自治体への安価な提供を国に求めること、それで、都としても支援することを求めますが、どうですか。

○秀嶋事業推進担当部長 都は、国に対しまして、貸付料の減額を行うよう、既に平成二十二年の秋から提案要求しているところでございます。
 また、安心こども基金を活用した保育所緊急整備事業におきまして、平成二十三年度から、工事期間中の土地貸付料についても補助を行っておりまして、これは国有地も対象となっておるところでございます。

○大山委員 要望しているということですけれども、さらなる努力をしていただきたいということを述べて、次の質問に移ります。
 放射能対策です。
 予算特別委員会で、とりわけ子どもたちの内部被曝を最小限に抑えるために、私たちが実際、測定した土壌の調査結果をもとに質疑をしましたが、内部被曝については、福祉保健局が責任を持つと思うんです。
 改めて伺いますが、放射能対策について、福祉保健局と環境局はどういう役割分担になっていて、内部被曝防止は福祉保健局の所管事項ということでいいのでしょうか。

○中谷健康安全部長 内部被曝についての所管というお話でございますが、内部被曝については、先ほどのご答弁でも申し上げましたとおり、空気、水、食品、いろんな対象のものがあるわけでございます。
 これにつきまして、空気については、大気中の浮遊じんということで、これは独立行政法人の産業技術研究センターというところが測定をしております。
 また一方、水については浄水場で検査をしているということでございまして、基本的には水道局の方で所管をしていると。
 私どもが主たる所管ということで対応しておりますのが、食品ということでございます。
 内部被曝というと、さらに空気中の放射線量の話があるわけですが、基本的に私ども、文部科学省の委託調査ということで、健康安全研究センターの方で昭和三十二年から検査を実施してきているわけですが、私どもの方としては、空間放射線量については、一般の環境中の空間放射線量ということを所管しております。
 あえて申しますならば、今、いろいろとホットスポットというようなところがあるわけですが、これについての除染に係るモニタリング、あるいはそれへの対応というのは、環境局が対応するというふうに考えております。

○大山委員 今ご答弁されたように、本当に内部被曝一つとっても、福祉保健局、環境局以外にも、産労局や水道局や下水道局、多くの局がかかわっていますよね。ところが今、全庁的な司令塔がないという状況じゃないんでしょうか。例えば、放射能対策本部のような全庁横断的な体制を確立するよう、まず要望しておきたいと思います。
 内部被曝ということでは、健康という点からいえば、やはり福祉保健局は、食べ物は主としてですけれども、土を、空気で、呼吸で取り込んだり、それから土を子どもが食べたりするわけですから、そういう点での内部被曝という点でも、福祉保健局は、やはりきちんと対応してほしいと思っています。
 一キロ当たり一万ベクレルだとか二万ベクレルという土壌が、つまり一・六キロ程度で放射線管理区域からは持ち出せないほどのものが、人が生活する環境の中に点在しているということを、どう考えているでしょうか。

○中谷健康安全部長 まず、土壌中の放射性物質についてでございますが、今、一万ベクレル、二万ベクレルというお話がございましたが、これにつきましては、地表から低い地点で空間放射線量を測定することにより把握するということになってございます。
 そういう意味で、空間放射線量測定ということでございますが、これは同じ敷地内にありましても、やはり空間放射線量というのは、ご案内のとおり均一ではございません。放射性物質が付着しやすい場所というのはございますので、そういったところが線量が高くなる可能性があるというふうに認識をしております。
 今、委員の方から、放射線管理区域、あるいは放射線障害防止法というふうなお話がございますが、基本的に、今回の原発事故による土壌中の放射性物質については、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律というものは適用されません。そういう中で、先ほど申し上げましたとおり、空間放射線量を測定することによって把握するというふうになってございまして、私どもとしては、空間放射線量のモニタリングの充実を図るということで、地表面から受ける健康影響を把握できるというふうに考えてございます。

○大山委員 今答弁されたように、同じ敷地内であっても、空間放射線量は均一じゃないわけですよね。だから、環境省だって、局所汚染を早く調べて、局所の汚染を発見してくださいとガイドラインを出したわけですよね。
 空間放射線量ではかるんだといいますが、私たちが、あるものを高目のところをとって調べたら、水元公園だとか、東綾瀬公園だとか、江戸川の土手下など、子どもたちが本当に日常的に遊ぶところで、そういう高い値が出たということなんですよね。だから、やっぱりこれは、きちんと受けとめてもらわなきゃいけないと思っています。
 大人と子どもの放射線に対する感受性の違いというのは、どのように認識しているでしょうか。

○中谷健康安全部長 国際放射線防護委員会、よく出てまいりますが、ICRPというふうに申しておりますが、そこでの疫学調査から、百ミリシーベルトの被曝をした場合には、がんによる死亡者数が〇・五六%上昇するというふうに推定をされております。
 しかしながら、大人、子どもにかかわらず、百ミリシーベルト以下での健康影響については明らかになっていないというふうにしているところでございます。

○大山委員 私は、大人と子どもの放射線に対する感受性の違いをどう認識していますかって伺ったんです。それなのに、はっきり答えてくれないわけですね。
 それでは伺いますが、四月から実施される食品についての新基準では、乳児用食品は大人より厳しい基準とされました。この理由はどう考えているんでしょう。

○中谷健康安全部長 今、大山委員の方からお話がございましたが、その新基準を策定するに当たって、食品安全委員会というところでさまざまな議論がされておるところです。いろんな過程の中で報道等もされましたので、各委員の皆様方にもご案内あろうかと思いますが、その中で、小児の期間について、感受性が成人より高い可能性があるというふうな記述がございます。しかしながら、この記述については、あくまでも、生涯におおよそ百ミリシーベルト以上の放射線を受けた場合のことであるというふうに記述がしてありまして、百ミリシーベルト未満の場合の健康影響について言及することは、現在得られている知見からは困難というふうにしております。

○大山委員 私が聞いてるのは、この新しい基準は、子ども、乳幼児の食品を別に定めたのは、どういう理由なんですかと聞いたわけですよ。(資料を示す)これ、食品安全部基準審査課ですけれども、この食品の新たな基準値の設定について、特別な配慮が必要と考えられる飲料水、乳児用食品、牛乳は区分を設けていくわけですから、乳児用の、子どもに食べさせる食品は特別な配慮が必要だ、そういうことなんじゃないんですか。
 福祉保健局がこんなこともちゃんと答えられないという態度では、都民の、とりわけ子どもたちの健康は守れないと思いますよ。今、盛んに百ミリシーベルト以下のことをいっていますけれども、さっきおっしゃいましたICRPだって、低線量における疫学データが不十分であっても、生物実験データや細胞レベルでの知見をあわせて検討するなら、百ミリシーベルト以下の被曝に対して、閾値なしとするのが、これで安全だという値がないとするのが適切である、こう明確に述べているじゃないですか。つまり、ここまでなら安全だという値がない、これはもう国際的な常識なんです。同時に、よくわからない部分に対しては、予防原則の考え方で臨むのが、行政のとるべき基本姿勢です。放射線被曝のリスクを極力回避する立場に立たなければならないということを厳しく指摘しておきます。
 住民の健康に責任を持つべき行政として、内部被曝を最小限に抑えるという立場にしっかり立つことが求められていますが、どうですか。

○中谷健康安全部長 先ほどのICRPの考え方について、大山委員からご披露ございましたけれども、私どもとして、一点お話をさせていただかなきゃいけないのは、ICRPが、閾値なしというふうにしているのは、あくまでも仮説でございます。したがいまして、百ミリシーベルト以下の健康影響は明らかになっていないというふうにしているわけでございます。
 先ほど、百ミリシーベルトで、がんの死亡者数の〇・五六%の上昇ということをお話ししましたけれども、ICRPも、ならば、直線的にそれが比例するというふうに考えた場合に、例えば、十ミリシーベルトであれば〇・五六ではなくて〇・〇五六というふうになりますし、一ミリシーベルトであれば〇・〇〇五六というふうになるわけですが、こういった考え方はとるべきでないということは明確にいっているわけでございます。
 今のご質問でございますが、内部被曝についてでございますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、放射性物質を含む空気、水、食品などを体内に取り込むことで起こるわけでございます。
 呼吸による内部被曝については、大気中の浮遊じんを考慮する必要がございますが、昨年の四月上旬以降、都内の測定結果を見ますと、おおむね不検出の状況が続いているわけでございます。
 水につきましても、浄水場における検査結果で、四月上旬以降、放射性物質は検出されておりません。
 食品につきましては、暫定規制値を超える農産物が流通しないよう、生産地での検査結果に基づきまして、出荷制限等を実施する仕組みが国で構築されております。
 都は、これに加えまして、小売店に流通する食品について、都民が日常的に摂取する野菜類や子どもが継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を独自に実施しておりまして、これまでに実施した四百八十八の検体から暫定規制値を超える放射性物質は検出されておりません。

○大山委員 もう世界の常識なんですよね。百ミリシーベルト以下での健康被害はないということは明らかになっていないわけですから、科学者の意見が分かれているんです。しかも、閾値はない、これなら安全だという値はないということが大勢になってるわけですよね。科学者の意見が分かれているときに行政がとるべき態度は、安全の予防原則に立つというのは、これ当然じゃないですか。福祉保健局がどうしてこういうことを認識しないのかと思いますよ。
 それで、本来の答弁は、内部被曝を絶つことがしっかり求められているんじゃないかということについては、例えば、余り口から浮遊じんはないって答弁してましたよね--あ、してませんか。失礼しました。食べ物のことをいってたんですね。だから、百ミリシーベルト以下のことです。
 それで、食べ物からの被曝を最小限に抑えるということが重要なわけですけれども、都としても、市場に入ってくるものは、最大限検査することが必要で、今までは四百八十八検体やったわけですね。東京都の市場を通るものについては、頻度がどれぐらいで検査していますよとか、この値はこうですよと、これ、発表すれば、都民はその結果を受けて、みずからの判断で食品を選べるんですよね。食品の市場に出回っているものも、徐々に頻度を高くしていく努力が必要だと思いますが、どうですか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 食品につきましては、暫定規制値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づき、出荷制限等を実施する仕組みを国が構築しております。
 国は、四月から、より厳しい新基準値を施行するほか、検査計画の考え方を見直し、これまでに集積されました検査結果を踏まえ、対象品目や検査頻度を詳細に定めるなど、生産地において、よりきめ細かく放射性物質の状況を把握することとしております。
 都は、生産地での検査に加えまして、小売店に流通する食品につきまして、先ほど委員ご指摘のとおり、今年度は既に四百八十八検体のモニタリング検査を独自に実施しており、その結果につきましては、速やかに都のホームページで公表しております。
 来年度も、都内の小売店に流通している食品のうち、都民が日常的に摂取する野菜類や新たに基準が設定される乳児用食品、子どもが継続的に摂取する乳製品等を中心に、千百検体について検査を実施する予定でございます。

○大山委員 流通している食べ物は、今年度は十一月から実施したわけですよね。ですから、五カ月間で五百検体。来年度は一年間で千百検体ということは、ちょっと検体数が少なくなるということなんでしょうか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 今年度と来年度は大体同様の規模というふうに考えてございます。

○大山委員 五カ月で五百検体、一年間だと千二百かなと、こう思いますけれども、もちろん生産地で測定することが効率的であるということはいうまでもありません。しかし、そうはいっても、頻度はそれほど高くないわけですから、市場でも、出てきたものでも、流通したものでもはかる、それも努力して、やはり東京都でも数をふやしていくということが必要だと思っています。
 生産地で測定することが効率的なわけです。三十キロの米袋ごと十五秒ではかれて、下限値十ベクレル、そういうスクリーニングができる機器ができたわけですよね。
 都からも、国にお米の全量検査をするよう申し入れるべきじゃないかと思いますが、日本人としては、牛肉よりずっと大量に食べているお米ですから、国に申し入れるべきじゃないでしょうか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 委員ご指摘の検査機器についてでございますけれども、米を対象としておりまして、生産地において、同じ大きさの米袋を大量に流れ作業で検査するというものでございますが、この機器、まだ発売もされておりませんし、今、いろいろとデータをとっているという段階でございます。
 いろいろと新しい検査機器も出ますけれども、国におきましては、こういう機器を使いながら、検査計画をきちんとつくって、その中で検査を実施しているというふうに考えております。

○大山委員 今、調整中だということですけれども、五月には発売できるということで、生産地でも、もう既に導入しようかというところもあるわけですよね。ですから、牛肉だけでなく、お米についても、ぜひ国にも申し入れてもらいたいと思いますし、東京都で検査した場合は、放射能検査をした食品には線量表示だとか検査済みマーク--牛肉だけでなく--張る制度を導入することも要望しておきます。引き続き、頻度高く、市場に出てきたものを測定するように求めて、次に移ります。
 家族などをケアしている方々への支援です。
 ことしに入ってから、立川市で、二月には障害児とお母さんが、それから三月には高齢のお母さんと娘さんが亡くなっているのが、死後一、二カ月たってから発見されるという事例が続きました。障害児と高齢者の違いはありますけれども、両ケースとも、介護していたお母さん、娘さんが先に亡くなって、介護を受けていたお子さんとお母さんが、なすすべなく衰弱して亡くなってしまうという痛ましいケースでした。同じような状況で、家族や近親者が介護、看護、療育しているケースは多く、今後も同じようなことがほかでも起こる危険性は否めません。
 福祉保健局は、このような介護者、看護者をどう認識し、支援をしているんでしょうか。

○浜企画担当部長 複数の分野にまたがるご質問でございますので、局の施策を調整する立場でご答弁申し上げます。
 例えば、認知症のような場合には、妄想や徘回などさまざまな症状が出たりするなどして、その方の介護を担うご家族の負担は決して少なくないと思います。
 介護保険制度は、こうした従来、家族が担っていた高齢者の介護を社会全体で支えることを目的として創設されたものでございます。
 また、障害者につきましても、支援費制度、障害者自立支援法など、社会全体で障害者の生活を支える仕組みが構築されております。
 介護者等を支える具体的な支援につきましては、見守りや話し相手を行うホームヘルパーを派遣する取り組みや専門相談員が心のケアを行う取り組み等を行っている区市町村に対し、都は、包括補助事業により支援を行っております。また、このほか区市町村が地域支援事業を活用して、家族介護者の交流会や介護教室を実施することや、地域包括支援センターや地域活動支援センター等におきまして家族の相談に応じるなど、さまざまな取り組みを行っております。

○大山委員 今回の事例は、やはり今までの取り組みでは不十分だということを示しているんですね。介護保険と自立支援法が、今答弁されたとおりに理想どおり実施しているんだったら、こんな痛ましいことは起こりませんよ。介護保険は、保険あって介護なしの状況。自立支援法は、自立には役立たないと廃止が合意されて、政権交代があったんじゃないんですか。現実をまず直視してほしいと思います。
 伺いますけれども、一体、今度のケースで何を学び、何を教訓としているんでしょうか。

○浜企画担当部長 実際に、要介護の方を抱えているご家族の実態につきましては、例えば、サービスの実施主体である区市町村が、介護教室や家族の交流会、障害者の当事者団体や家族の会などと定期的に意見交換等を行うなど、実態やニーズを把握して事業に取り組んでおります。
 都は、こうした地域の実情を踏まえた取り組みを行う区市町村を、包括補助事業等により支援しております。
 今回のケースでは、区市町村のこうした実態の把握が行き届かなかった面もあるかということで、この反省に立って、それぞれの区市町村において、よりきめ細かな実態把握の方法を検討していると聞いております。

○大山委員 こんな痛ましいケースから学んで、今後に生かしていかなければ、亡くなった方々に報いることはできないと思ってます。まずは、介護などをしている方々の実態を把握することが先決です。
 都として、区市町村と協力して、実態の調査、ニーズの引き出しをすることが重要じゃないんでしょうか。

○浜企画担当部長 先ほどの答弁と重複をいたしますが、まず、具体的な実態やニーズの把握につきましては、既にサービスの実施主体である区市町村において取り組んでおりまして、これは区市町村の役割として取り組んでいただくべきことと考えております。
 都は、こうした実態把握を踏まえた、区市町村の地域の実情に合った取り組みを支援してまいりたいと考えております。

○大山委員 区市町村の問題にしてはいけないんですよね。都内にどれほど同じようなケースの方々がいますか。その方たちは、どこに、どんな暮らしをして、どんなことに困っていて、どんなことを望んでいるのか、調べたことがあるんでしょうか。
 家族など無償の介護者の実態を知り、必要な施策につなげようと実施された全国調査が昨年の七月に発表されています。この調査は、ケアということを広くとらえて、要介護高齢者や、身体、知的、精神などの障害者の介護、難病などの看病、病児や障害児の療育など多様なケアを担っている人をケアラーと想定しました。全国五地区で、東京では杉並区が調査対象地区でした。有効回答数が一万六百六十三とかなりの調査ですね。調査の結果、ケアラーのいる世帯は約二割でした。そのうち、二人に一人強が介護、四人に一人が看病、八人に一人が子どもの療育などに当たって、四人に一人は複数の人をケアしています。つまり、障害児を抱えながらお母さんの介護をしているとか、そういう複数のケアをしている方が四人に一人いるんですね。
 時間的、精神的に拘束され、生活に制約を受けている現状も浮き彫りになりました。十二人に一人は二十年以上ケアしています。八人に一人は協力してくれる人がいないと答え、ケアによる勤務時間減少、転職、退職、休職などで、三人に二人は収入が大いに減ったとしています。体に不調を感じている人は二人に一人。四人に一人以上が心の不調を感じながら、その六三%が受診していません。介護がかなりの負担、非常に大きな負担を合わせると二三%になります。五人に一人が孤立感を抱いています。
 ケアラーが望む支援は、気軽に休息や休養がとれる機会がとても欲しい、こういう方が三〇%、また、在宅介護者手当がとても欲しいが四七%、また、年金受給要件に介護期間を考慮がとても欲しいという人が四五%など、経済的支援も望んでいます。ケアを踏まえた勤務体制づくり、それから、介護休暇制度の普及と利用の促進など、仕事と介護の両立支援策も切実な要望になっています。
 今回の二つのケースにも当てはまることですけれども、本人緊急時の要介護者へのサービスは、とても欲しいと答えた方が五四%、要介護者へのサービスや制度の充実を四七%の人がとても欲しい、こう答えました。調査から見える大まかなケアラーの実態と要望、今述べましたけれども、やはりこのような把握がまず必要なんじゃないんでしょうか。どうですか。

○浜企画担当部長 個別のケースの把握につきましては、区市町村が第一義的に取り組んでおりますが、総体的に必要なニーズへの対応といたしまして、東京都といたしましては、在宅で高齢者や障害者の方々の介護等を担う家族の負担を軽減するための制度も所管しておりまして、例えば、介護分野では小規模多機能型居宅介護やショートステイについて都独自に補助を行うなど、在宅介護サービス整備に取り組んでおります。
 また、障害者分野では整備費の特別助成をするなどして、日中活動の場を確保する通所事業や家族の休養を支援する短期入所事業などの整備に取り組んでおります。
 総体的なニーズを踏まえた対応には取り組んでおります。

○大山委員 総体的なニーズを踏まえたっておっしゃいましたけれども、こういう調査をやったことっていうのはあるんですか。

○浜企画担当部長 東京都として個別のニーズの調査を行ったことはございません。サービスの実施主体である区市町村が、まず第一義的にニーズの把握を行うべきというふうに考えております。

○大山委員 東京都が、やはり今回のケースから学ぶ、それから教訓を生かすということは、やらなきゃいけないことだと思います。
 今回の立川の二つのケースがそうであったように、ケアしている方の健康問題は、今の調査からもわかるように深刻なんですね。この、今紹介した調査では、身体的不調を四八・四%の方が、つまり、二人に一人が訴えています。四人に一人以上は心の不調を訴えているわけですけれども、七割の方は病院に通院しながらケアを続けています。心の不調については、受診している方は三割以下、さっきもいいましたけれども、そうなんですね。休息や休養は欠かせませんし、リフレッシュできるような時間を確保することも重要だと思いますけれども、どうですか。

○浜企画担当部長 先ほどもお答え申し上げましたが、東京都といたしましては、ご家族の負担を軽減するために、ショートステイや在宅介護サービス整備、また、通所事業、短期入所事業などの整備に取り組んでいるところでございます。

○大山委員 整備に取り組んでいるといいますけれども、緊急なときも対応できるんでしょうか。

○浜企画担当部長 ご家族の方の通院や急なお出かけにも対応することを想定しているサービスでございます。

○大山委員 想定はしているけれども、実際は、緊急なとき、ショートステイはなかなか使えないというのが現状なんじゃないんですか。家族のケアのために仕事をやめざるを得なかった方も、先ほど紹介した調査では一割を超えています。勤務時間を減らすなどの状況も見られて、収入の減少に大きく影響することが明らかになりました。経済的な支援も重要ではないでしょうか。

○浜企画担当部長 都ではこれまで、高齢者保健福祉計画や障害福祉計画等に基づきまして、福祉サービスを必要とされる方がサービスを利用できるよう、計画的にサービス基盤の整備を進めてきております。
 その中では、先ほどお話ししましたように、ご家族の負担を軽減するためのサービス基盤の整備も取り組んでおりまして、引き続き取り組んでまいります。
 経済的な支援につきましては、万一、介護を要する方を家族に持つ方が職を失った場合には、国の労働政策である失業給付がございますし、また、さらに生活が困窮した場合は、生活保護制度が用意されております。

○大山委員 生活保護が用意されてますって簡単にいいますけれども、実情をきちんと把握してもらいたいと思いますよ。介護基盤の整備を計画的にしていくといっても、例えば、介護している娘さんがぐあいが悪く、大分体調悪くなったから特養ホームに申し込んだけど、さっきも待機者の問題が話題になりましたが、順番が百番台だったと嘆いていたり、要介護四でも五でも順番待ちですよ。グループホームは、ふやすといっても、それでも整備率は全国最下位。小規模多機能型介護は、宿泊の利用料がとても高くて利用し切れない。介護基盤を整備しているといっても、圧倒的におくれているわけですよね。
 国が、政府が学んだといっている、ドイツの介護保険には経済的な給付があるわけですから、そのぐらい、国がやらないんだったら、東京都がやったらいいじゃないですか。
 ちょっと伺いますけれども、災害時に援護が必要な方の対策としても把握しておくことが必要です。地域福祉推進区市町村包括補助の災害時要援護者支援事業で、災害時要援護者支援台帳をつくっているけれども、三年間の時限の補助で、二十四年度で終了となってしまうようですけれども、この台帳をつくるには時間がかかるので、私たちの調査では、八つの市が期間の延長を要望しています。
 この台帳をつくることが、要援護者とケアラーの状況を把握するきっかけにもなるんじゃないんでしょうか。期限の延長ぐらいはするべきだと思いますけれども、どうでしょうか。

○梶原総務部長 今、災害時要援護者のお話は総務部の所管でありますので、お話をさせていただきます。
 私ども、区市町村に対して、今回の東日本大震災を踏まえて、改めて災害が起きたときの要援護者の全体計画、これは区市町村としてどういうような対策をとっていくのかということが一つ、それから、あとは、それぞれの人たち、つまり個別の人たちに着目をして、例えば障害の方、高齢の方、そのAさん、Bさんに着目をして、どういうサービスを提供していけばいいかと、そういう個別計画をつくってほしいということでお願いをしています。
 また、今回、要援護者の中に、例えば難病であるとか、そういう方々も含めて、個別の支援計画をつくろうと。
 まさに私どもは、今までそういう指針だとか個別計画に対して、全体計画に当たって指針をつくってまいりました。それを、区市町村の中でつくっていただくようにということでお願いをしてきた。今年度は、さらにそれをつくるよう働きかけているところであります。
 何年度まで延長するというお話がありましたけど、私どもは、区市町村にできるだけ早くつくっていただくことが区市町村の責務だというふうに考えております。

○大山委員 できるだけ早くつくるというのは、震災がいつあるかわからないという点では、一生懸命早くつくるというのは重要なことだと思いますよ。しかし、やっぱり個別の状況をきちんと把握するという点では、時間もかかるわけですから、ちゃんと区市町村には支援をしてもらいたいと思います。
 今回の予算特別委員会に提出された資料では、孤独死や孤立死も年を追ってふえています。監察医務院における、ひとり暮らしの者の検案数は、平成十三年が三千七百九十六人、十五年が四千百二十五人、十九年が五千四百八十九人、直近の二十二年度は六千三百八十三人です。また、栄養失調による死亡者も、平成十三年の三十四人から二十二年には五十五人にふえて、このうち六十歳以上の方が四十三人、実に七八%を占めています。こうした問題の打開は、都政の切実な問題であり、課題であり、都の対応、対策を抜本的に拡充するよう求めておきます。
 区市町村と協力して、今後どうするのか、この立川の二つのケースから何を学び、生かすのか、検討を深めてほしいと思います。
 いずれにしても、高齢者、障害者などで縦割りでやっている状況ではありません。先ほどの調査にもあったように、一人で障害児を抱えながら高齢の親を介護しているような状況もあります。どんな種類の介護や看護であっても、共通する介護者の状況を改善するために、ケアラーの視点に立つ施策を、高齢や障害、子ども、難病などの垣根を越えて、共通の課題として取り組んでほしいということを要望しておきます。
 最後に、都内に避難している方への支援です。
 都内に避難している方々は、一年近くがたちます。夫は福島に残って仕事をし、母と子で東京に避難しているケースも多いです。夫とは、子どもからすればお父さんとは、多い家族でも月に三、四回ぐらいしか会えません。
 先日、二人の息子さんを持つお母さんが、四歳の息子は、夫が東京に来て、福島に帰るとき、玄関で見送るときには、ばいばいって明るくいうけれど、夫が玄関を出てから、布団に潜って丸くなって、声を殺して泣いていた、私がごめんねっていうと、お母さんのせいじゃない、こういったっていうんですね。やはり小学生を持つお母さんは、疲れてしまって帰りたいと思うことがあるが、安心して帰れるまでは帰っちゃいけないなと思うと話していました。子どもたちの健康を考えて、何とか頑張ろうという状況なんです。だからこそ都は、東京にいる間は安心してくださいといえるような支援をしなければならないと思います。
 経済的にも、福島との二重生活ですし、乳幼児や小中学生のお父さん、お母さんですから、まだ若いので、収入もそれほど多くありません。例えば、会社員をしている夫の収入が月額二十万から二十三万。通常の通勤などのガソリン代が月に二万五千円、福島と東京を一往復すると約一万円。月に二、三回往復するというんですね。常磐道は高速道路料金が無料になっているけれども、首都高は往復千四百円かかる。携帯電話だけでも一万五千円ぐらいはかかるっていうんですね。
 こうした避難生活を送っている方々に、何か困っていることはと聞きますと、一番に出てくるのは、ほとんどの方が住まいのことで、帰る見通しがつくまではここに住んでいられるようにということなんです。これ、もっともなことです。
 その次に出てくるのが、子ども医療費を窓口負担がないようにしてほしいということなんです。福島にいたときは、東京と同じように、子どもは窓口負担なしで医療を受けることができていました。ところが、東京に避難している今は、医療機関の窓口で一度、三割分を払って、領収書を添付して、申請者に記入して、地元の自治体に送るわけですね。病院もあちこちだし、薬局などもあるし、ついたまってしまう、申請してから振り込まれるまで半年もかかるっていうんですね。一度窓口で立てかえるのは大変なことなんだということを口々に話してくれます。経済的にも結構大変な状況にもなっているんですね。
 予防接種だとか、要介護認定だとか、乳幼児健診だとか、妊婦健診だとか、法律で決まっている事務については、避難先の自治体が提供するということになっています。乳幼児医療費助成や子ども医療費助成は、法定の事務ではなくて、地方自治体が独自に行っていることです。
 この自治体独自に実施している事業について、国は、各自治体の判断により、避難者に自治体独自のサービスを提供した場合には、特別交付税の措置を講じることとしています。現在は償還払いになっている避難者の乳幼児及び子ども医療費助成について、東京都は現物支給を行うことができるように取り組むべきではないでしょうか。

○前田保健政策部長 避難先の自治体が、住民に対して独自に行っている乳幼児医療費助成等の行政サービスを避難者に対して提供する場合には、国は、ご指摘のとおり、所定の特別交付税措置を講ずることとしております。
 このため、この制度を実施します区市町村が、乳幼児医療費助成及び義務教育就学児医療費助成を避難者に対して実施した場合には、国の財政措置を受けることができます。
 こうした財政措置が講じられることができることにつきましては、実施主体である区市町村に既に十分周知しております。

○大山委員 つまり、避難している先の区市町村が、乳幼児医療費助成や義務教育就学児医療費助成を避難している子どもたちにも使えるようにすれば、その区市町村には、国から財政措置があるということですね。
 東京都がその制度があることを区市町村に周知しているとご答弁しましたが、実際に、マル乳、マル子の制度を避難者にも使えるようにしている区市町村というのは幾つあるんですか。

○前田保健政策部長 こうした特例法に基づきます対応につきましては、各自治体の独自の判断としているものでございまして、都として実施状況を把握してはおりません。

○大山委員 知らせるだけで実施状況は把握もしていない。私たちが把握している限りでは、現物支給になっている自治体はないようです。どうして実施できないのかとか、どうしたら実施できるのか、こういうことを、東京都は周知するだけじゃなくて、把握しなきゃいけないと思うんです。被災者に支援するんだっていうんだったら、区市町村にただ知らせればいいということではなくて、今いったように、実施できないならその理由を把握して、東京都ができることはないのか、知恵を出すことじゃないんでしょうか。
 例えば、国から財政的には補てんされるけれども、いつになるかわからないし、財政的にも厳しいからできないというんだったら、区市町村が出すマル乳やマル子の自己負担分を、一時、東京都が立てかえればできるというなら、やればいいことです。区市町村が実施できるように、何が障害になっているかを都がまず把握して対応すべきだと思いますが、どうですか。

○前田保健政策部長 都内の避難者に対しまして現物給付を行うためには、対象者の把握の設定、あるいは医療機関、審査支払い機関、あるいは地元自治体との調整など、さまざまな課題があり、容易に実施できるものではございません。

○大山委員 自治体独自でやっている施策についても、やるんだったら、国は財政的に補てんしますよ、こういってるわけですから、やはり安心して避難生活が送れるようになるためには、やはり東京都が、じゃ、どうしたらできるようになるんだろうということを、しっかり把握したり、知恵出したりしてもらいたいと思っています。
 それで、都内でも、自治体によってサービスに差があるようなんです。
 例えば、江東区は避難している人が多いようで、対応が早いようだといっていましたが、世帯全員に、年齢に関係なく都営交通の無料パスを配布してくれています。都内での移動は公共交通機関ですから、重要な支援だと思っています。
 港区は、早く保育園に入れるようにしてくれたり、なるべく普通の生活になれるように支援してくれているんだといっていました。仕事も区がつくったり、紹介してくれたりしていると。
 積極的な区市町村の取り組みが他の自治体でも実践できるように、都としても支援するべきだと思いますが、どうですか。

○前田保健政策部長 繰り返しになりますけれども、こうした区市町村独自のサービスにつきましては、各区市町村が現状に応じて対応することと考えております。

○大山委員 せっかく広域自治体なんだから、東京都がしっかり受け入れてますよっていっているわけだから、区市町村と相談してやるべきですよ。
 先日、同じ住宅に避難していた方が、小さな子どもが三人いるお母さんと子どもが、いわき市に帰ったっていうんですよ。決定的だったのは、子どもが次々にインフルエンザにかかって、下の二人の子が発熱しているときに、上の子も熱が出ましたよっていって学校から呼び出しがかかって、発熱している二人の子どもを自転車の前と後ろに乗せて、熱を出した上の子どもを迎えに行ったんです。これが決定的になったんじゃないかと同じ住宅の方は話していて、自分たちも力になれなかったことを残念がっていました。
 私も、せっかく東京に避難してきた方が、心身ともに疲れ果てて帰らざるを得なかったことに、何もできなかったことがショックだったわけですけれども、何かのときに子どもを預かってもらえると助かる、例えば、上の子の学校の行事や集まりだとか保護者会などがあるときに、結局行かないで済ませてしまうっていうんですよね。明るい時間なら下の子も留守番させておくこともできるけれども、暗くなるとひとりぼっちにはさせられない、こんなときに子どもを見てくれるサービスがあるといいのですが、これらも区市町村にお任せということではなくて、都が仕組みをつくるなど、都が音頭をとって、区市町村と相談しながら進められるようにすべきだと思いますが、また同じ答弁をするんでしょうか。どうですか。

○萱場事業調整担当部長 東京都内に避難されていらっしゃいます被災地の方々、避難者の方々に対する支援でございますが、先ほど保健政策部長がご答弁申し上げたように、基本的には、まず市区町村が行っております。
 現在、ちょっと手元の資料で答えさせていただきますと、秋に、都内二十三区、二十六市、六町村に対して、今、避難者の方々に対してどのような施策を行っていらっしゃいますかというふうなアンケートを行わせていただいたときに、一番多くは、相談窓口を設置して、今対応している最中でございますということでございました。
 私ども、東京都の社会福祉協議会を通じて、また、このように相談窓口を設置していらっしゃる区市町村を通じて、今、区市町村に避難されている都内避難者の方々が、どういうニーズがおありなのか--今、大山委員おっしゃったような、そういうふうなニーズがあるかもしれませんが、逆に、都内避難者の方々、本当に、年齢層も性別も、また、事情もそれぞれ異にしていらっしゃいます--どのような施策をとるのがよいか、区市町村がやるべきことであれば、どのように東京都がサポートすればいいのかというのを、今まさに相談を受け付けながら探っている最中でございます。
 ご存じかと思いますが、例えば、区市町村だけではなくて、私どもも福祉相談総合窓口の設置、また、母子の方々の相談を受け付けておりますし、孤立化防止支援事業も所掌しております。
 これらを通じて、広く都内避難者の方々のお声を聞いている最中でございます。

○松下委員長 大山委員、おまとめください。

○大山委員 はい。終わります。もう終わります。
 今、相談窓口もやってます、これもやってますっておっしゃいました。本当に、おっしゃったとおり、年齢層もいろんな状況ですし、事情もいろんな状況ですから、本当にニーズを積極的に把握して、避難している方々が頼りになる東京都だっていうふうに思えるような、実質的なというか、支援を一層充実させていただきたいと思います。
 以上です。

○田の上委員 私からは、事業内保育所について質問させていただきます。
 平成十五年に成立した次世代育成支援対策推進法は、都道府県や市町村のみならず、事業主にまで行動計画の策定を義務づけました。その後、二十一年の改正があり、従業員数百一人以上の企業に行動計画の策定と周知が義務づけられたのはご案内のとおりです。
 ワークライフバランスにつながる仕事と子育ての両立において保育施設が重要であることはいうまでもありませんが、公的責任のみならず、企業の責任においても、両立支援に取り組むことが必要です。
 しかしながら、事業所内保育所は、保育士などの雇用にコストがかかる、福利厚生では一部にしか恩恵が行かないと不公平感があるなど企業内での課題があります。事業所内保育所の設立の障壁を低くするために公的支援があると考えております。
 東京都では、都内の事業所が設置する保育施設への補助制度として、事業所内保育施設事業と院内保育事業運営費事業がありますが、それぞれの事業の目的をまず伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 事業所内保育施設支援事業は、従業員の児童のための保育施設の経費の一部を都が補助することによって、従業員の仕事と子育ての両立を支援することを目的としております。
 院内保育事業運営費補助事業は、都内の病院及び診療所が、医療従事者の児童を保育する施設を設置した場合、その経費の一部を都が補助することによって、医療従事者の離職防止及び再就職の促進を目的としております。

○田の上委員 事業所内保育施設支援事業は、仕事と子育ての両立の支援ということで、院内保育事業の場合は、医療従事者の確保ということで確認をさせていただきました。
 事業所内保育所の補助は時限であり、少子化打破緊急対策の終了する平成二十四年度末で新規申し込みを終了する予定です。平成十九年度から二十四年度までの六年間で百五十事業所が利用する目標でしたが、最新の利用状況はどのようになっているのでしょうか。この事業が待機児童対策に資するものなのか、福祉保健局の見解を伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 事業所内保育施設支援事業の補助対象施設を利用する事業所数は、平成二十三年度末で八十六を見込んでおります。また、本事業の児童の利用状況は五百七十人でございますが、約八割が待機児童の多いゼロ歳から二歳児となっておりまして、待機児童解消策としても寄与しているところでございます。

○田の上委員 平成二十三年度末で八十六事業所とのことです。目標からすれば、さらに促進が期待されるところです。
 また、低年齢児において、待機児童解消策として寄与しているということでございました。先ほどもご答弁にありましたが、事業所内保育所の利用は、ゼロ歳から一歳、二歳と低年齢児が多く見られます。認可保育園に入園できなかった低年齢児が利用するので、待機児童の解消に貢献した形となっていますが、幼児教育や集団保育での学びが必要と考える保護者は、やがて認可保育園へと子どもを移動させる傾向があると聞いております。つまり、保育士の数が必要な、ゼロ、一、二歳児で事業所内保育所は忙しく、保育士一人当たり、より多くの児童を保育できる年齢の子どもは、ほかの施設に行ってしまいます。赤字を抱える事業所も多いのではないかと考えます。改めて福祉保健局の事業所内保育所における年齢別の児童数及び設置主体別内訳について伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 平成二十三年度の利用児童数五百七十人の内訳でございますが、ゼロ歳児が百四十二人、一歳児百五十四人、二歳児百三十四人、三歳児八十四人、四歳児三十五人、五歳児十八人、六歳児三人となってございます。
 また、施設は四十四カ所でございますが、設置主体別の内訳では、株式会社が二十四、社会福祉法人二、大学三、医療法人八、学校法人、財団法人、その他の法人がそれぞれ一、保育事業者による設置が四となっております。

○田の上委員 大企業は五年間の運営費補助、中小企業は十年間の運営費補助ですが、この制度が終了前なので、補助事業が終わっても、事業所内保育所の運営がどれくらい継続できるのかが課題です。
 私が幾つか事業所内保育所を回ってヒアリングをしている中では、運営が厳しいところが多い印象です。運営費は大企業が二分の一、中小企業が、初めのうち三分の二、六年目以降三分の一というふうになっています。現在でも赤字と思われるところが多いのに、補助を終了したら継続できないのではないかと懸念いたします。
 継続性や新規参入可能性を高めるために必要な事柄について検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○秀嶋事業推進担当部長 事業所内保育施設支援事業は、企業の次世代育成に対する取り組みを支援することでワークライフバランスを推進し、仕事と子育ての両立ができる雇用環境の整備を加速するため、時限的に創設された事業でございます。
 さらに、少子化打破緊急対策の保育分野のメニューの一つに位置づけて期間の延長を行っておりまして、その中で、地域の児童を保育することによって経営の安定化が図られるよう制度を改正したところでございます。

○田の上委員 先ほど来、ゼロ歳から二歳児の待機児童対策には貢献している旨のご答弁もございます。少子化打破緊急対策のメニューとして期間延長を行っているとのことですが、ぜひ補助事業も継続していただきたいと要望いたします。
 事業所内保育所が、ワークライフバランスを含めた福利厚生的な役割を果たしているのに対し、院内保育所は、看護師などの人材確保を目的としています。先ほどのご答弁でも、事業所内保育施設事業を利用している医療法人が八施設あるとのことでした。病院、診療所の場合、どちらの補助制度も選べるようになっています。
 ここで、院内保育所として扱うべき分野の事業について所見を伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 院内保育は、医療従事者の離職防止及び再就職の促進を主たる目的といたしておりまして、都内の病院及び診療所に従事する医師、看護師などの医療従事者のために保育施設を運営する事業を対象としております。

○田の上委員 現在、事業所内保育事業を利用している病院、診療所は、補助終了後に院内保育の補助事業に移行するということができるのでしょうか、伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 院内保育の補助基準を満たす場合には、事業所内保育施設支援事業の補助期間終了後、利用することが可能となっております。

○田の上委員 人材確保のために赤字覚悟で行っている施設が多くあります。設備もさながら、保育士や看護師を雇用することなども加わり、事業を維持するのは大変厳しいと聞いております。しかしながら、医療従事者を利用者とする補助事業として、院内保育事業運営費補助事業に移行ができるということで確認をさせていただきました。
 国の予算編成に対する東京都の提案要求では、面積基準などの緩和を求めていました。東京都の事業所内保育所の課題と設置促進の考え方について伺います。

○秀嶋事業推進担当部長 都は、事業所内保育所の設置促進に当たって、認証保育所の基準を基本的に踏襲した事業所内保育施設支援事業を創設し、これまで四十四カ所の施設を開設してまいりました。
 また、事業主が単独で保育施設の設置が困難な場合などに、保育サービス事業者や貸しビル事業者等を設置主体として認めるなど、さらなる設置促進のために制度を改善してきたところでございます。
 一方、国制度では、施設全体の面積について、児童一人当たりの床面積が七平米以上、有資格者の割合が十割などの基準や、設置主体が事業主に限定されているなどの規定がございます。
 このため、都は、事業所内保育所の設置促進のためにも、国の制度の見直しや設置主体の拡大が必要であると考え、国へ提案要求を行っているところでございます。

○田の上委員 東京都では、面積基準等のみならず、事業所が保育施設設置が困難な場合の対応策も提案しているということです。子ども・子育て新システムでは、自由度を持って、地域の実情に応じた給付サービスを提供することになっています。事業所内保育についても、大都市東京ならではの特性に合わせた基準が柔軟に認められるよう、働きかけが必要と考えております。
 事業所内保育所は、居住地域にある保育施設と異なり、例えば、電車通勤の方には、小さな子どもを抱えて利用するのが困難というデメリットもありますが、一方で、急激に子育て世帯のふえてきた都市部の地域では、認可保育園に入園できなかった子どもを預けられるという、働く保護者にとってありがたい施設でもあります。
 今後も事業所内保育施設の運営が円滑に行われ、次世代育成支援の企業の役割分担が果たせるよう、事業所内保育施設の補助事業が今後も継続されることを要望して終わります。

○山加委員 私からは、第一号議案についてお伺いいたします。
 私は、去る十五日の予算特別委員会で申し上げましたけれども、日本は、世界に例を見ないスピードで、そして、世界に類を見ない超少子高齢社会を迎えております。福祉ニーズも多様化する中で、そのニーズに対応する福祉サービスを施策化し、充実をしていかなければなりません。
 しかし、それだけでは不十分であります。都民が必要な福祉サービスを利用できるためには、福祉サービスを提供する担い手が、その役割をしっかりと果たすことが重要であります。
 二〇〇〇年の介護保険法の施行を機に、福祉サービス提供者として、在宅サービスを中心に民間企業、また、NPO法人など、さまざまな多様な事業主体が参入をしてまいりました。しかし、社会福祉法人は、過去においても、そして現在も、そしてこれからも社会福祉事業の主たる担い手であり、そのことは変わりません。地域における福祉サービス提供の貴重な資源であります。それだけに、社会福祉法人が地域福祉をさらに担っていくためには、法人の財政基盤がしっかりとしていなければなりません。
 そこで、社会福祉法人についてお伺いをいたします。
 社会福祉法人は、公益性と非営利性を備えた法人として、さまざまな税の優遇措置を受けていますが、確認の意味で、どのような優遇措置があるのでしょうか。

○松浦指導監査部長 社会福祉法人に対しましては税法上の優遇措置がございますが、その社会福祉法人が行う事業のうち、社会福祉事業につきまして、国税においては、法人税、登録免許税、地方税におきましては、事業税、市町村民税、都民税、固定資産税、不動産取得税などが原則非課税となります。

○山加委員 今ご答弁をいただきましたが、社会福祉法人には、民間企業やNPO法人にはない、本当にたくさんなさまざまな税の優遇措置があります。ですから私は、この優遇措置を生かして、ぜひ地域福祉の向上にさらに貢献をしていただきたいと考えております。
 都内の社会福祉法人は、東京都に対して、毎年度、決算報告書を報告しているわけであります。例えば、介護保険事業のみを経営している社会福祉法人というのは、どのくらいあるでしょうか。
 それともう一点、法人における平成二十二年度末における余剰金、平均額はどのくらいあるでしょうか。

○松浦指導監査部長 まず、都内における介護保険事業のみを経営している法人数でございますけれども、平成二十二年度におきまして百五十ございます。
 二十二年度末の剰余金の定義でございますが、さまざまございますが、その一つとして、当期末支払い資金残高というものがございます。これはどういうものかといいますと、法人設立から二十二年度末までの資金収支差額の合計でありまして、流動資産から引当金を除く流動負債を差し引いた額となります。
 社会福祉法人の事業規模によりまして、この当期末支払い資金残高の額はさまざまでございますけれども、都内における、介護保険事業のみを経営している社会福祉法人の平均額につきましては、約四億四百万円ということになります。

○山加委員 介護保険事業のみを経営している都内の社会福祉法人は、特別養護老人ホームを一カ所経営しているか、また、複数経営しているかなど、その事業規模によって差はあると思うんですけれども、平均で約四億円の余剰金があるということが、今の答弁でわかりました。
 福祉サービスにおいても、サービスを向上しつつ、効率的に運営していけば、余剰金を生ずることは当然であります。重要なことは、私は先ほども申し上げましたけれども、さまざまな税の優遇措置を受け、そしてまた、社会福祉事業の主たる担い手であるわけでありますから、これを地域福祉の向上のために有効に利用してもらいたいということであります。
 私は、予算特別委員会でも、日本の将来推計人口によれば、日本は人口減少時代を迎え、高齢比率は上昇するものの、高齢者人口そのものは三十年後をピークに、その後減少していくということを申し上げました。しかし、地域に視点を転じますと、区市町村別では地域差があると思います。また、高齢者数の推移においても地域差があると思いますが、例えば、二十三区においてもばらつきはあるのでしょうか。

○松浦指導監査部長 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によりますと、区市町村別の将来人口は二〇三五年まで推計されておりまして、二〇一〇年から二〇三五年の推移で申し上げますと、六十五歳以上の高齢者人口で、二十三区において増加数が一番多い区は練馬区となりまして、十七万八千人から二十九万五千人と約十一万七千人増加し、率にしますと約六六%増というふうに推計されております。
 一方、近隣の北区におきましては、七万九千人から八万六千人と約七千人の増と推計されていまして、増加率は二十三区では一番低く、約九%増というふうにとどまります。
 このように、増加数、増加率で地域差がございます。

○山加委員 練馬区は私の地元なんですけれども、二十五年後、私もその中に、六六%の中に入っているのかなと思いますが、高齢者が約六六%ふえる。現在、練馬区は人口七十二万ですから、減少が減っていけば、二十五年後に二十九万五千人になるということは、一対一という割合になってまいります。また、お隣の北区が約九%しかふえない。九%と六六%、これはかなり大きな開きだと思います。ばらつきがあることがわかりました。
 介護保険法の改正で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの新しいサービスが創設され、介護保険外のサービスでも、高齢者地域見守り事業や、また、配食サービスなど、社会福祉法人には、地域福祉の向上のために、地域の特性に応じた事業展開があると思います。しかし、中長期の計画性もなく、目先の計画だけで新しい事業に進出すると、経営が困難になることも当然あると思います。また、現在、経営している事業の将来性も継続的に検証する必要があると思います。
 社会福祉法人が地域福祉の向上にさらに貢献していくためには、各社会福祉法人が中長期計画を策定の上、事業展開していくことが重要であります。
 先日の予算特別委員会で、ことしの夏ごろを目途にマニュアルを作成し、中長期的な事業計画の策定を働きかけていくと都から答弁をいただいておりますが、マニュアルには、人、物、金などの面で、法人の強みと弱みをしっかりと判断した上で中長期計画を策定することを盛り込むべきと考えますが、所見を伺います。

○松浦指導監査部長 特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人の例で申し上げますと、中長期計画を策定するには、まず、外部環境としまして、介護保険法の改正、それから報酬改定など行政の動向、地域の人口構成の変化、特別養護老人ホームの待機者数など、福祉ニーズの動向などを把握する必要がございます。
 また、内部要因としましては、その社会福祉法人の職員の年齢構成、また、資格の有無など人材の現状、さらには法人の財務状況や今後の収支見通し、建物設備の更新時期などについて分析する必要がございます。
 次に、山加理事ご指摘のとおり、福祉ニーズなどの外部環境が当該社会福祉法人にとって有利か不利か、また、新しい事業を展開するのに内部要因としての人材とか資金が十分かなどの、法人の強み、弱みというものを見きわめる必要がございます。そして、現在、経営している事業の検証とか、新しい事業の展開の是非を判断しまして、その実現に向けたスケジュールを中長期的に定めていくことになると思います。
 こうした仕組みを、ことしの夏を目途に、具体的な事例を加えまして、わかりやすくマニュアル化してまいります。

○山加委員 ありがとうございました。こうした中長期計画の策定マニュアル、企業や病院のためのものはよく見かけますが、社会福祉法人のためのものは余り見かけません。
 ぜひ、いいマニュアルを作成し、都内のすべての社会福祉法人に対して都が積極的に指導していただき、また、他県からも、ぜひ見本となるような、すばらしいマニュアルをつくっていただきたいと思います。
 質問を終わります。

○松下委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時四十分休憩

   午後六時十分開議

○松下委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○遠藤委員 よろしくお願いいたします。
 私の方からは、平成二十四年度一般会計予算中の在宅療養について、これが一つ。そして、条例案であります、ふぐの取扱い規制条例の改正、これについて、二点について質問させていただきたいと思います。
 初めは、在宅療養についてであります。
 在宅療養者、これには、もう皆様ご案内のとおり、高齢者、または障害者、重症心身障害児、そして難病患者など、さまざまな方が含まれておりますけれども、本質疑では、その中でも特に人数の多い高齢者を対象としていることをあらかじめお断り申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。
 厚生労働省の大谷医政局長は、二月二十九日、都道府県の担当者会議であいさつをされました。その中で、今後の在宅医療、介護の連携について、予算、診療報酬、地域医療計画等のあらゆる行政手法を総動員して在宅医療を進める、このように述べておられました。そして、来年度、すなわち二〇一二年度を「在宅医療・介護あんしん二〇一二」をスローガンに掲げて、広く広報を展開していく、このような意向を示されたようであります。
 さらに、大谷氏は、別に、急速な高齢化で在宅医療が緊急課題なのは、むしろ都市やその周辺とも指摘をし、東京こそ、その最たる喫緊の課題を抱えていると、このように思うわけであります。
 ところで、都は、平成二十年の保健医療計画に、在宅医療の取り組み、これを掲げて以降、他に先駆けて、在宅療養体制の構築に向けてさまざまなモデル事業をこれまで実施してまいりました。
 私もあらかじめ、この在宅療養推進のための課題と今後の方向性について、いただきました。この中に、都がこれまで取り組んできたさまざまなモデル事業の検証結果ですとか、また、成果が書かれております。こうした取り組みによって、都における在宅療養の支援体制は整備されつつあると思いますけれども、この在宅療養の推進を全都的に展開していくには、区市町村と東京都、それぞれの役割と取り組みを明確にする必要があると思います。
 そこでまず、これまで行ってきたモデル事業などの取り組みを通じて、区市町村と東京都、それぞれの役割と取り組みについて、どのように整理し、位置づけたのか、お伺いしたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 都は、平成二十二年十月に在宅療養推進会議を設置し、都のモデル事業や区市町村の先駆的取り組みについて検証を行い、在宅療養推進のための課題と今後の方向性とともに、区市町村と都の役割や取り組み内容を具体的に示しました。区市町村は、都民に最も身近な行政機関であることから、地域における二十四時間安心の在宅療養推進体制を構築する主体的な役割を担うこととしております。
 具体的には、医療や介護の関係者など他職種による協議会の設置、病院から在宅療養への円滑な移行と在宅療養の継続を調整するための窓口の設置、地域の協力病院による後方支援のための病床確保、この三点を重点的な取り組みとして位置づけております。
 一方、都は、このような目指す姿の具体像、都や区市町村、医療機関等の役割、推進体制等を示し、その環境整備に取り組むとともに、区市町村への働きかけや支援を行うこととしております。

○遠藤委員 高齢者の方が住みなれた地域で安心して在宅療養を行うには、区市町村の主体的な取り組みが重要であることは、今の答弁で明らかとなりました。
 中でも、今の答弁によりますと、区市町村の具体の取り組みとして三つあると。一つが、他職種、医療と介護等々の関係者による協議会の設置。二つ目が、病院から在宅療養への移行と継続を調整する窓口の設置。そして三つ目、それらの後方支援のための病床の確保。この三つが、区市町村が主体的に取り組む重点的な取り組みだと、こういう整理だと思います。
 それでは、今申し上げました区市町村の取り組み、現時点でどこまで進展しているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 昨年八月に実施しましたアンケート結果によりますと、在宅に関する協議会を設置している区市町村は十八カ所、在宅療養支援窓口を設置している区市町村は十九カ所、後方支援病床を確保している区市町村は十カ所となっております。
 このほかにも、現在、協議会や支援窓口の設置についての問い合わせも来ておりまして、来年度から取り組みを検討している区市町村も多いという状況にございます。

○遠藤委員 今、協議会を設置しているのは十八カ所、支援窓口は十九カ所、後方支援病床は十カ所と、こういう数字が挙げられました。
 それでは、今挙げた数字、これを東京都としてどう評価しているのか、お伺いしたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 先ほどお答えいたしました数字ですけれども、昨年八月の時点での、既に取り組んでいる区市町村の数でございます。これ以降も、区市町村の方を直接訪問してお聞きした状況であるとか、電話での問い合わせなどでお聞きした状況などを勘案いたしますと、在宅療養を推進するというその必要性については区市町村も認識をしておりまして、その取り組みは着実に浸透しているものというふうに評価しております。

○遠藤委員 東京都もこれまで一生懸命サポートした結果が今の結果だと思いますけれども、東京都は区市町村へのサポートや環境整備を一層充実させていく必要があると思いますけれども、現在の具体的な都の取り組みについて、答弁を求めたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 都は、先ほどお答えいたしました区市町村が実施する協議会、窓口、病床確保の三つの取り組みや、地域の特性を踏まえて独自に企画する取り組みなどに対しまして、包括補助事業により支援を行っております。
 また、在宅療養の環境整備として、患者が病院から在宅療養へ円滑に移行できるよう、病院スタッフと在宅療養スタッフとの相互研修を実施しております。
 さらに、今年度から、地域における医療と介護の連携を強化するため、介護職は医療知識を、また、医療職は介護知識をそれぞれ正しく理解するために、研修や症例検討会などを新たに開始しております。
 これらの取り組みに加えまして、介護支援専門員を対象とした在宅医療サポート研修や介護職員のスキルアップ研修を行うなど、在宅療養患者を支えるさまざまな職種に対する人材の育成や確保を図っているところでございます。

○遠藤委員 東京都が目的を明確にして、ねらいを定めて取り組んでいるということはわかりました。今後ともぜひ精力的に取り組んでいただきたい、このように思います。
 ところで、区市町村は、介護に関しては実施主体として、介護保険制度が導入されて以降もさらにですけれども、実施主体として明確に位置づけられているわけであります。基盤ができているわけでありますけれども、医療に関しては知識が不足をしており、多くの自治体では、どのように今喫緊の課題であります医療と介護を連携させていけばいいのか、この辺のノウハウがいささか不足しているという現状もあると思います。
 そこで、在宅療養の取り組みの、今後より一層の拡大に向けて、こうした区市町村を一層積極的に支援していくべきと思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 在宅療養の取り組みを広げていくためには、各区市町村の状況を把握するとともに、適切に情報を発信していくことが重要であることから、都は、今後、区市町村との事務連絡会を定期的に開催してまいります。
 この連絡会では、都が実施している事業や国の方針などについて情報提供を行うとともに、先行して取り組んでいる区市町村の具体的な事業内容の紹介により、それぞれの課題や解決方法について意見交換を行うことを予定しております。
 また、地域で在宅医療に携わる医師をふやしていく必要があることから、在宅医や訪問看護ステーション等がチームを組むことによって、二十四時間安心の訪問診療体制を確保する取り組みに対して、来年度から新たに支援を行います。
 こうした取り組みによりまして、在宅療養を地域で推進していくための環境を整備し、区市町村に積極的に働きかけてまいります。

○遠藤委員 在宅で療養を続ける高齢者、また、家族にとっては、医療サービスも介護サービスも、一人の人間、また、家族においては違いはない、切り離すことができないと思います。そこで、区市町村も都も、縦割りではなくて、高齢者、また、家族の立場に立って、組織がしっかりと連携して対応していくことが重要であります。
 そこで、今後、この在宅の取り組みの拡大に向けて、都は区市町村との事務連絡会を定期的に開催すると、このような答弁がありました。これ、非常に地味な取り組みであります。ネーミングも事務連絡会ということで、極めて地味な取り組みだと思いますけれども、私は非常にこの取り組みが重要であると、このように思います。
 したがって、都の横断的な取り組み、具体的には、医療政策部と高齢社会対策部がしっかりと連携を取りながら、この事務連絡会が功を奏するように、ぜひ取り組んでいただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、冒頭述べましたとおり、高齢社会がまさに待ったなしのこういう状況の中にあって、これからは、医療と介護の連携を全都的に面で広げていくことはもちろん重要でありますけれども、その取り組みを加速しなければいけない段階に来ていると思います。そのために大事なことは、中長期的な課題をとらえて、いつまでに、何をなす、何を実行するか、この目標を定めて、計画的かつ具体的にその取り組みを、歩みを進めていくことだと思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 来年度は、平成二十五年度から今後五年間の保健医療行政の指針となる保健医療計画を改定する重要な年でございます。
 国は、次期計画策定に当たりまして、在宅医療の体制構築に係る指針を示し、在宅医療については医療計画に定める他の疾病事業と同様に、都道府県が達成すべき目標や施策等を記載することとしております。
 都といたしましても、ひとり暮らしの高齢者や高齢者だけの世帯の増加など、大都市が抱える課題を踏まえ、人材の確保、育成や都民を含めた関係者の意識啓発など、施策の一層の充実を図っていかなければならないと考えております。
 このため、今後、区市町村の意見等を踏まえながら、都と区市町村がなすべきことを十分に議論し、次期計画において目標を定め、在宅療養の取り組みを一層進めてまいります。

○遠藤委員 次期保健医療計画の策定、改定作業というんですかね、それが二十五年度からのスタートに向けて、来年度始まるということでありますので、この計画も本当に大事な計画であると思いますので、ぜひ現場を持っている区市町村との連携も密にしながら、また、情報共有をしながら、この計画をしっかりとしたものになし遂げていただきたいと、このように思います。
 今回、質問をするに当たりまして、私の地元大田区の二十あります地域包括支援センターの、ある一カ所を訪問してまいりました。そこで、在宅療養の現状と課題について、関係者のご意見を聞いてまいりました。時間がなかったので、一カ所のお一方のご意見なので、これがすべてというわけではありませんけれども、その人の話の中でかいま見えるのは、日々、現場を持ちながら、限られた人数、マンパワーで多様な課題に対応していると、しっちゃかめっちゃかであるというのが現状だということを痛感いたしました。あわせて、東京都のモデル事業を受けたり、また、国からいろんな指針が出て、それを求められたりということで、そうしたことも対応しなければならないと、こういうことでありました。
 したがって、今後、私が痛感したことでありますけれども、医療と介護という、全く近いようで遠い、この二つをしっかりと地域で連携していくというのは、推進していくというのは、ここにも書いてありますけれども、(資料を示す)地域における強力なリーダーシップを発揮する人がいないと、なかなかこれは進まないなと。いろんなモデル事業をやってもそうですけれども、結局、モデル事業倒れで、具体のものが何も進まないということが懸念をされますので、ぜひこうした現場の声もしっかりと踏まえて、取り組みを進めていただきたいと思います。
 先日、皆様方も読んでいると思いますけれども、週刊社会保障という週刊誌がありますけれども、この中で、慶應義塾大学の清家篤塾長がこんな論を書いておりました。この言葉は、マサチューセッツ工科大学のアーネスト・バートン教授が述べられた言葉であります。
 この教授は何といっているかというと、中世のペストによる人口減少は、人々にとって予想外の驚愕であった、しかし、現在の人口減少、高齢化は、はっきりと予想のつくものであり、それにどう対処すべきかも明らかである、このようにマサチューセッツ工科大学のアーネスト・バートン教授がいっておられたということで、この言葉を受けて、清家塾長はこのように述べております。
 中世の人がペストによる人口減少に正しく対処できなかったとしても、それに後世の人が苦情をいうことはできないであろう、しかし、現在の明らかな高齢化に対して適切な対応をせず、後世代に重い負担を負わせているとしたら、後世に批判されても仕方がない、このようにいっておられました。私もこの言葉に同感であります。私もというか、現在のこの高齢化の中にあって、政治行政に携わる者、後世に批判を受けない、この取り組みをしっかりとして進めていくべきであると、このように思いました。
 局長は、この問題について、大変造詣と、また、思いが深いと、このように聞いておりますので、平成二十四年度、何か、これにかける思いがあればお伺いしたいと思いますけれども、どうでしょうか。

○杉村福祉保健局長 今、在宅療養について、さまざまな点でご指摘をいただきました。私も日々感じていることもご指摘いただいて、大変ありがとうございます。
 今、幾つか重要な点があったわけですけれども、まず、今の高齢化の中において、介護サービスと医療サービスが一体となっていかなくてはいけないという点で、我々も、今回の高齢者保健福祉計画の中では、そういった点をまず第一に見据えて計画を現在策定しているつもりでございますし、来年度改定の議論がございます東京都保健医療計画の中でも、そういった点を明確に位置づけていきたいというふうに考えております。
 今、副委員長からご指摘をいただいた、いわゆる在宅療養推進会議での報告書に基づきまして、現在、医療政策部と高齢社会対策部、両方の職員がそれぞれ区市町村を訪ねておりまして、うちも、先ほどご指摘がございましたけれども、医療を担当する医療政策部と介護を担当する高齢社会対策部が両方で行っておりますし、また、区市町村に対しても、常に両方の組織と話をするということで、現在、介護と医療が一体となった仕組みづくりに対して、鋭意努力をしているところでございます。
 また、先ほど大田区の話がございましたけれども、大田区は大変、私がいうのもあれですが、医療と介護、あるいは病診連携、あるいは病院と薬局の連携とか、非常に先進的な取り組みをしているところでございまして、我々も大分参考にしているところでございますけれども、何といっても大事なのは、さまざまな機関の連携だというふうに思っていますので、我々とすれば、区市町村が主体的な役割を当然とっていただかないといけないんですが、区市町村だけではなくて、地区医師会--当然ながら区市町村と地区医師会が一体となった形で、それを基本的にした上で、在宅サービスの基盤をこれからどんどんつくっていきたいというふうに考えております。
 以上です。

○遠藤委員 本当に局長の魂こもった決意発表、ありがとうございました。
 福祉保健局の皆さん、常日ごろ、私たちも接しさせていただいて、本当優秀な方々ばかりだと思います。その中でも、特に医政と高齢社会の皆さんは優秀だと、このように思いますので、ぜひ、二掛ける二は四ではなくて、大いに奮闘していただいて、まさに皆さん方のご努力が、東京の本当に大変な課題であります高齢化を在宅で支える仕組みの未来がかかっているといっても私は過言ではないと思いますので、局挙げての取り組みを改めて期待申し上げます。
 また、先ほど局長から大田区のことも言及していただきました。
 先日、松原区長ともお会いして、この件について意見交換いたしました。区長も同様に、大田区の取り組みは誇るべきであるものと、このようにいっておられました。
 しかしながら、その反面、現場に行くと、そうでもないんじゃないのかなということもありますので、私も大田区でありますし、柳ヶ瀬委員も大田区でありますので、ぜひ連携して、大田区でモデルとなるような、こうした取り組みをしっかりとやっていきたいと、このように思っております。
 次いで、付託議案であります、ふぐの取扱い規制条例、これについて申し上げたいと思います。
 先ほども議論ありましたけれども、知事が定例会見において、この条例に関する質問について、みずから、ちょっと怖いなと、このように発言がありました。私もでしょうけど、特に福保の皆さんは、新聞、または会見を見て、あちゃと思ったと思います。
 しかしながら、今回の改正で、専門的な知識、技術がない人がフグを取り扱う、このように改正されるわけでありますけれども、知事と同じように、ちょっと怖いんじゃないのかなと、このように率直に考えを持っている方、思いを持っている方というのは都民の中にもいらっしゃると思います。安全なフグ料理が都民にとって身近なものとなり、食べるチャンスが拡大するということは私も賛成でありますけれども、何よりも優先すべきことは、都民の食の安全、これをしっかりと確保するということであります。条例の改正によって、安全性に問題が生じるということがあっては、決して決してならないわけであります。
 繰り返しになりますけれども、今回の改正内容は、安全に加工されたフグについては、これまで取り扱うことが認められていなかった専門的な知識、技術、これをもっていない方に対しても、その取り扱いを認めるということが改正の趣旨でありますけれども、何点か確認のため質問をさせてもらいたいと思います。
 先ほど来の質疑でもありましたけれども、フグの加工品、これには刺身やちり材料だけじゃなくて、内蔵と皮を取り除いただけのものもあると、このようなことでありました。このようなものを、知識のない人が、安全に加工された製品かどうか、どのようにして見分けることができるのか、これについて答弁を求めたいと思います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 内蔵と皮を取り除いた、いわゆる身欠きフグでございますが、フグ調理師以外のものが取り扱える身欠きフグは、確実に有毒部位が除去されたものに限定いたします。
 さらに、安全な身欠きフグか容易にわかるよう、新たに、フグ調理師が処理した身欠きフグに、有毒部位が確実に除去されたものであることや処理者の氏名などを表示する仕組みを導入いたします。
 また、都外の生産地で加工され、都内に流通する身欠きフグについては、その自治体の長が認めた有資格者が責任を持って同様に表示した身欠きフグに限定し、都内で加工されたものと同様に安全を確保することといたしました。

○遠藤委員 安全なフグ加工品を区別する仕組みをつくるということはわかりました。
 ところで、フグの調理師がいらっしゃる店舗に、知事が発行する認証書を掲示する制度がありますけれども、これまで都民は、この認証書によってフグの調理師がいる店であるということを認識して、それによって安心してここで食べることができると、そんなことになっていたわけでありますけれども、今後、フグの調理師を置かずにフグ料理を提供するお店、ここを都民が安心して利用できるように、どんな仕組みが考えられているのか、お伺いしたいと思います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 フグ調理師以外の者が新たにフグ加工品を取り扱う場合は、あらかじめ保健所に届け出ることを義務づけ、届け出者に対して、保健所は届け出済み票を発行することといたしました。
 また、認証書と同様に届け出済み票の掲示を義務づけておりまして、都民に対しましても、安全なフグ加工品を取り扱っている店であることがわかるような仕組みでございます。この仕組みを都民が理解できるよう、ホームページなどの広報媒体を活用し、周知してまいります。

○遠藤委員 フグ調理師がいるということを知らせるのは認証書というのがあると。今回の改正で、保健所への届け出済み票、これがしっかりと掲示をされていれば、それをもって、その店の利用者は安心してその店で食べていいと、こういう理解でよろしいですか--はい。いいということですので、制度についてはわかりました。
 今後、この改正により、生産地で加工されたものが多く都内に流通されるということになりますけれども、一方、生産地に対して、東京都の改正をしっかりと周知していくのが重要だと思いますけれども、この辺、今後どう取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 生産地の自治体に対しまして、都の新しい制度の説明をするとともに、事業者への制度周知と表示の徹底の指導について協力を依頼いたします。
 また、都といたしましても、生産地の自治体と連携して講習会を行うなど、生産地の事業者に対しまして、制度の周知と理解を図ってまいります。

○遠藤委員 これまで、東京都のフグの取り扱いというのは全国一厳しいものであったと、このように聞いております。今回の改正は、それに関する規制を大きく変更する、いってみれば緩和する内容になっていると思います。
 先ほど冒頭紹介した知事の、自分はちょっと怖いなと、これは裏を返せば、行政当局に、しっかりと事故がないように厳格にやっていくべきであると、こういうメッセージだとも理解できます。
 十月一日の施行日ということで伺っております。今後も都民の食の安全を確保するために、十分に制度の周知を行って、絶対にフグの中毒が起こらないようにしていただきたい、これを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○三原委員 長時間ご苦労さまでございます。それでは、大きく二つのことで、一つは災害弱者支援について、もう一つは薬事法の問題について伺いたいと思います。
 災害といっても、地震とか、津波とか、あるいは大雨を含んだ台風とか、あるいはことしのように大変な積雪があったり、自然災害を含めていろいろありますから、地震に限って、いろいろお話を伺いたいと思います。
 また、災害弱者といってもいろいろありまして、病弱の方、既に入院している方、さらには高齢者の方、障害者の方、乳幼児、極めて範囲が広いので、どこに焦点を絞って災害弱者というかという問題もあると思いますけど、私は、医療体制と高齢者と、参考に障害者、この三点についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年の東日本大震災を受けて、東京都は秋に補正予算、そして今度、二十四年度の予算も、災害対策というような側面から、かなり強力な予算体制を組んでおられると、このように思うんですけれども、幾ら予算をつけても、想定外の災害もありますから、難しいとは思いますけれども、地震を中心に幾つかお尋ねいたしたいと思います。
 まず、医療施設は何としても耐震補強がなされていなきゃだめでございますので--最近できた医療施設は、ちゃんと震度七でも大丈夫ということになっているはずでしょうけれども、従前のものは非常に耐震強度が弱いということもあり得ると思います。
 従前もそういうことについて指導はしてきていますけれども、去年の秋の補正で、来年の、二十四年度の予算を含めて、医療施設の耐震補強はどういう状況になっているでしょうか。

○中川原医療政策部長 災害拠点病院につきましては、本年四月から新たに耐震化に取り組む一施設を含めまして、災害拠点病院七十施設のすべてが耐震化に取り組んでおります。
 また、その他の病院につきましては、平成二十三年の調査によりますと、これまで約八割の施設が耐震化に取り組んでおります。
 都では、今年度の補正予算及び来年度予算案におきまして、東日本大震災の教訓を踏まえ、耐震化の補助対象を、従来の災害拠点病院などから、すべての病院に拡大しておりまして、来年度は、現在、三十施設が新築建てかえ等を予定してございます。

○三原委員 ありがとうございました。災害拠点病院は、一つだけはまだ対応があるでしょうけど、ほぼ大丈夫ということですから少し安心いたしましたし、一般の病院等が八割、耐震補強ができてきているということですから、さらに入念に、ひとつご指導していただいて、とにかく東京じゅうの医療施設は全く大丈夫ですというふうにすることが都民の安心への一歩だと、こう思いますからお願いいたします。
 そこで、今度は、病院の施設の中で、昨年の震災で非常な教訓だったのは、非常発電設備があるかないかということだったわけでございますけど、補正予算等でもそういうことに対応することに、たしかなっていたと思いますが、非常用の発電設備について、拠点病院と一般病院と、どんな状況でしょうか。

○中川原医療政策部長 災害拠点病院につきましては、現在、全施設が既に自家発電設備を整備してございます。また、その他の病院につきましては、平成二十三年の調査では、回答のあった施設の中で約八割の施設が自家発電設備を整備してございます。
 都では、今年度の補正予算及び来年度予算案におきまして、東日本大震災の教訓や都内での計画停電等を踏まえまして、医療施設の自家発電設備の設置につきまして、補助対象を、従来の災害拠点病院などから、すべての病院に広げておりまして、来年度は、現時点におきまして、五十九施設が予定してございます。
 訓練につきましてでございますが、今後、病院スタッフが災害時に自家発電設備を迅速かつ的確に稼働させることができるよう、全病院を対象とした説明会におきまして、各病院の防災訓練などに、実践に即した自家発電設備の操作訓練を盛り込むことを、積極的に働きかけてまいります。

○三原委員 かなり発電装置が進んでいるようですから、大変結構なことなんですけど、お話があったように、機械は据えつけても、実は特定の人だけが動かしてみて大丈夫というふうになっているケースが多いんですね。だけど、災害はいつ来るかわかりません。昼の職員が全部そろっているようなときに起こればいいですけど、夜中の零時ごろだったら職員がほとんどいませんし、土曜、日曜でも担当者がいないということもあるわけですから、せっかくの設備ですから、だれでも、きちっと稼働できるように、日ごろからしっかりと各病院に対して指導してあげてください。
 マニュアルもあるんですけど、マニュアルをしまっているところがまずわかりませんから--しまってあるところはわかるんだけど、その戸棚をあけるかぎがどこにあるかわからない。これが現実ですよ。ですから、何度も訓練して、宝の持ちぐされにならないように、というより、これ、命がかかってますから、したがって、きちっとやっていただくようなご指導をお願いしておきます。
 それから、この間、医療コーディネーターというようなものを、たしか東京都が三名任命されたと思いましたけど、東京DMATというものの編成があるはずですが、そういうものをどう動かすかということを、医療コーディネーターの方が災害時には指揮されるんだろうと思いますけれども、東京DMATの編成とか、それから、どれぐらいの人数なのか、それから装備はどういうものを持っているのか。
 それからもう一つ、これは私、不勉強でしたけど、医療救護班というのが別にまたあるそうでございますが、これは何班ぐらいが東京都内で編成されるようになっていて、どう運用することになるんでしょうか。

○中川原医療政策部長 東京DMATは、医師一名、看護師等二名で編成されました災害医療派遣チームでございまして、今年度三月一日に三病院を拡充し、現在は二十五病院、隊員八百二十五名の体制となってございます。
 大震災等の大規模災害が発生した際には、東京消防庁とともにチームを組み、被災現場に出場し、傷病者の救命処置等の現場活動を行います。その装備につきましては、医療資器材、ユニホーム等の整備に加えまして、東日本大震災の教訓を踏まえ、現場活動が長時間に及んだ際の野営資器材や衛星通信機器等を搭載した災害時医療支援車を、今年度十台、来年度十五台導入することとしております。
 一方、東京都医療救護班は、医師一名、看護師一名、事務その他一名の編成を基本といたしまして、東京都医師会、日本赤十字社、都立病院など計二百三班の体制となってございます。
 この救護班は、大規模災害時に応援要請があった場合などにおきまして、区市町村が設置します医療救護所や医療機関等に派遣し、傷病者へのトリアージ、応急処置等の医療救護活動を実施することとなってございます。
 このたびの東日本大震災では、東京DMAT、十八チーム、五十六名、医療救護班、百四十六班、五百六十九名を派遣いたしたところでございます。

○三原委員 なかなかいい体制が整いつつあると思いますので、ぜひひとつ万全な体制にして--都内で発生する場合も、そういう人たちが動いていただかなきゃいけないし、また、他県で発生したりした場合も、そういう応援体制ができるということは非常に重要だと、こう思います。
 特に、今、車両を新規に装備するということですが、これは非常にいいことですよね。絶えずそういうものが用意されていれば、非常に移動がしやすい、活動がしやすい、こういうことになりますので、これはぜひ着実に進めていただいて、成果が出るように、そういう事故がない方がいいんですけど、万が一のときには成果が出るように、ひとつお願いしたいと思います。
 今もお話し申し上げましたけど、災害が発生すると、都内で発生した場合は隣県から応援をいただくこともあるでしょうけど、逆に周りで、隣接県で発生すれば東京から応援に行くという、その相互の応援ということが重要なんだと思うんですけど、まず一つは、東京都内の災害拠点病院とか一般病院とかに分けて、隣接県で大災害があった場合に、院外患者といいますか、そういう傷病者の方を受け入れるという数字が事前に確認できていた方が、万が一のときに他県と折衝したりするのに大変役立つのではないかと、こう思いますので、まず一つは、都内における拠点病院、それから一般病院で受け入れがどれぐらいできるかということを把握しておられるか。
 さらには、二十三区と三多摩では少し状況が違うような気がしますから、二十三区側で災害が起きたときは多摩の方で助けてもらう、多摩の方で災害があれば二十三区側が受け入れるとか、都内でも相互にやった方がいいと思うんですけど、そういうことについて検討されたことがあるかどうか、お願いします。

○中川原医療政策部長 都が災害拠点病院に対しまして実施しました調査では、ベッドにもなりますし、担架にもなるという、ベッド兼担架を会議室に設置するなど、病床の臨時拡大を行った場合、入院患者以外に約一万七千名の傷病者を収容できることとなってございます。来年度は、大規模災害時の重症度に応じた円滑な搬送体制を検討するため、災害拠点病院以外の病院にも調査対象を拡大する予定でございます。
 また、近隣県との相互応援体制についてでございますが、現在、九都県市におきまして、災害時相互応援に関する協定を締結しており、都内の医療機関で傷病者の収容ができない場合には、この協定に基づき、他県市へ応援要請を行うこととなってございます。
 一方、都内の二十三区と多摩地域の相互応援体制につきましては、現在、東京都災害医療協議会において検討しておりまして、例えば、首都直下地震の際には、二十三区の傷病者や入院患者を多摩地域の収容可能な医療機関へ搬送することが必要であるため、各機関が所有するヘリコプター、車両等の搬送手段の具体的な割り振りや調整手順などを事前に定めてまいる所存でございます。

○三原委員 ありがとうございました。かなりの院外患者の受け入れができる体制が整う可能性があるということがよくわかりましたので、必要最小限でいいですけど、都民の皆さんにも少しそういうことが、準備体制は整っていますということがわかっている方が、より安心感につながるかなという気がいたしますので、わざわざPRすることではありませんが、折に触れて、特に消防団とか、あるいはそういった防災関係の方には知っていただくように伝えてもらえばと、こう思います。
 それからもう一つ、東日本大震災のとき、私はただテレビで見ていての感じですけど、医薬品とか器材が非常に足らないというのが出てきました。今のように、院外患者をどっと入れたりしても、医薬品の備蓄がなかったらだめですよね。医薬品の中にも使用期限みたいなのがあるでしょうから、たくさん置いておけばいいというものでもないと思いますけど、ある程度そういうものを都が指導したり援助したりして整えておくという必要があるような気がしますが、どうですか。

○中川原医療政策部長 現在、都では、発災直後に対応するため、災害拠点病院七十カ所、備蓄倉庫八カ所、都立学校二百四十五カ所におきまして、約二十四万人の傷病者に対応する医薬品及び医療資器材を備蓄してございます。
 また、各区市町村では、医療救護所の傷病者に対応するため、二日分の医薬品等を備蓄することになってございます。
 区市町村や医療機関で医薬品等が不足する場合は、都は、要請に基づき、備蓄品を拠出するとともに、都と協定を結んでいる東京医薬品卸業協会等に医薬品等の調達要請を行うこととしております。
 今後は、大規模災害時に、二次保健医療圏内の医療機関や医療救護所におきまして、緊急に調達が必要な、または数が少ない医薬品等を融通する状況も想定されるため、東京都地域災害医療コーディネーターが圏域内の関係機関と調整し、必要な医薬品及び医療資器材を迅速かつ適切に配分する体制を構築してまいります。

○三原委員 災害のときにはそういった傷病者の方をどう動かすかという搬送手段も実は議論しなくちゃいけないので重要なんですけど、それは少し別な分野も係りますから、医療体制についてはそこまでにしておきたいと思います。
 同じように、高齢者の施設、特別養護老人ホームとか老人保健施設とかありますけど、こういうところにも、ぜひ臨時に入所させてほしいというような要請は、この間の東日本大震災でもありましたけど、実際に都内の特養、あるいは老健施設で、会議室をつぶすとか、あるいは特別な部屋を用意するとかということでベッド数をふやして、高齢者の方を臨時に収容する--収容するといういい方はちょっと不自然ですけど、入っていただくという対応について伺いますが、まず、その数はどうでしょうか。

○中山高齢社会対策部長 都内高齢者施設の数と定員でございますけれども、平成二十四年二月一日現在、特別養護老人ホームは四百十六施設、定員三万七千九十八人、介護老人保健施設、百六十七施設、定員一万七千五百六十八人でございます。

○三原委員 全体の数はわかりましたが、この施設に少し余裕を見て臨時に入っていただくというのが、今の数字よりももっとふえてくるんでしょうか、どうでしょうか。その辺の検討されたことありますか。

○中山高齢社会対策部長 現実的には、入所率という点では、ほとんど満杯に近い状態でございます。
 ただ、昨年三月十一日の東日本大震災の直後、都内の特養及び老健施設に対して、緊急の受け入れ枠の調査をしました。その合計の数字は一千百八人でございまして、緊急の事態におきます定員を超える受け入れというのは、私どもも想定をしておりますし、施設の方でも、昨年の震災を踏まえて検討をしているという状況にございます。

○三原委員 なかなか病院と違って、高齢者の人を臨時に受け入れるということは難しい条件たくさんあると思いますし、そこで働いている職員の方をどういうふうに支援するかという問題もありますから、そう簡単ではないと思いますけれども、しかし、今のお話で、千百人ぐらいは臨時に受け入れる可能性があるということですから、これなども実は重要な数字だと思います。
 そこで、震災対策の一つで、非常電源、これは高齢者施設でどういうふうになっているか非常に気になるんですけれども、補正予算でも発電機の設置について補助金を出すというようなことを議論いたしましたが、高齢者施設での非常電源について状況を教えてください。

○中山高齢社会対策部長 高齢者施設におきます非常電源の確保対策としまして、人工呼吸器等医療機器の作動に必要な自家発電装置の緊急整備補助事業を、国庫補助に上乗せした三分の二の補助率で実施しております。
 平成二十三年度の実績としましては、特別養護老人ホームが百二十七施設、介護老人保健施設が三十一施設の補助の見込みでございます。その結果、特別養護老人ホームは約八割、介護老人保健施設は約六割に非常用電源が確保される見込みでございます。
 来年度も引き続き補助事業を実施しまして、未整備の施設に対し、積極的に整備を働きかけてまいります。

○三原委員 非常用電源といっても、これ、大きく二つあると思うんですけど、病院や何かの非常用発電というのは、病院全体に電気を供給するという意味で大がかりですけど、特別養護老人ホームなんかの場合の非常用電源というと、通路の非常灯とか、あるいは人工呼吸器のような器材を使っている方がおられればそういうものとか、特定のところに補給するということになるんだと思うんです。
 前回、東日本で被災された方はもっと過酷で、そんなことを議論してもしようがないでしょうけど、実際に高齢者施設で計画停電なんかがあって非常に困ったのは、エレベーターが動かないというのが致命的だったんですね。食事を食べに来てくださいといったって、エレベーターでおりてきてもらって食べるという人は、エレベーターがないと、階段をおろすというのは大変な作業ですね。逆に、食事を運んでいくというのも大変な作業。
 したがって、エレベーターが動く発電力が欲しいと、こういうことなんですけど、局の方にもいろいろご指導を受けましたけど、いわゆる発電装置をつくるとなると、敷地内のどこに置いて、どういう機械をつけてやるかということで、なかなか高齢者の施設にうまくそういうものが入るようになってないんですね。病院だってなってないと思いますけど、病院の方がまだ敷地が広いとか、いろいろ条件がいいんです。
 だから、これから特養なんかをつくっていくというときには、そういう問題も含めて、自家用発電装置をつけてないと認可しませんというわけにはいかないでしょうけど、そういうものを将来つけるというスペースを考えて建設をさせるというような指導が必要だなというふうに思っていますので、ここは非常用電源と申し上げたので、エレベーターまで動かすという意味でなく、広い意味の発電機でお考えだと思いますが、将来にわたっては、そういう問題もあるということを局の方でぜひ考えておいてもらいたい、こう思います。
 ところで、先ほど、万が一の災害のときの受け入れは千百人ぐらいと、特養に限っての話でしょうけど、伺いましたが、これも局のご指導で極力たくさん受け入れてもらえるように考えてもらえばいいのではないか、特にそういう必要があるのではないかという気がいたします。いつまでも、高齢者の、しかも介護の必要な方が、避難所にずっといるというわけにもいきませんので、じゃ、仮設へ移るといっても、これもまた大変なことでしょうから、しばらくの間、特別養護老人ホームのようなところ、あるいは老人保健施設、そういうところにいていただく手だてを考えるのが重要だと、こう思うんです。
 そこで、私はくどくど申し上げているんですが、昨年の災害のときの経験でもう一つお尋ねしておきますけど、高齢者の方を介護保険施設のようなところへ入れよう、例えば特別養護老人ホームに入れようという相談をしても、介護保険で介護が何度なんだろうかとか、介護保険の手続はできるんだろうかというと、東北の方、被災されていて行政がストップしてますから、全く介護の対応ができないですね。そうすると、そういう人を受け入れたら、今度、市区町村側がどうしようかって話になって困っちゃうなというんで、そこで話がとまってしまっているんですね。
 だから、介護保険の認定とか、あるいはそういうことに対する内容の照会とか、行政自体が混乱している場合はできないということがありますので、そこを弾力的に運用して、東京都などが中に入って、とにかく非常事態だから施設に入居させて面倒を見ろと、こういう対応をぜひ考えてもらいたいと思いますが、そこはどうでしょうか。

○中山高齢社会対策部長 介護サービスを利用する際は、原則、要介護認定を受けている必要がございます。東日本大震災では、この要介護認定の被保険者証を持たずに避難された高齢者も多く、当初、大変混乱をいたしました。国は氏名住所等の確認のみで介護サービスを受けられることとしまして、都はこうした情報を都内の区市町村や介護サービス事業者に速やかに提供してまいりました。
 しかしながら、発災後しばらくは被災地の自治体の被害も大きく、十分な認定調査や認定審査会が行えず、避難先において新たに介護が必要になった方や状況の悪化した方などの認定が速やかに行えないなど、さまざまな課題が残っております。
 これらの課題の多くは、法令に大震災のような事態が想定されていないため、国が認定手続等の弾力化を示すまで対応できなかったということが原因の一つとして挙げられます。
 そのため、今後、都におきましては、大震災が生じた場合は、国や関係機関と調整しながらも、緊急避難的な措置が必要であれば、現場の状況を見きわめながら、制度を超えた柔軟な対応により介護サービスの提供が滞ることのないように努めてまいりたいと考えております。
 また、都は、今回の対応を踏まえまして、災害時には財政面の担保を含めまして、自治体間で円滑な事務手続が速やかに行えるよう、必要な措置を講じることを国に提案しておりまして、そのための法令の整備等を引き続き提言してまいります。

○三原委員 仰せのように弾力的に運用してもらいたいと思います。事務手続なんかは後から幾らでも遡及して、さかのぼって対応できるわけで、とにかく今すぐ高齢者に施設の中に入っていただいて、少し長期の避難をしていただくということの方が重大なわけですから、事務的なことは後からでも処理できるということを念頭に、行政側がしっかり指導してもらいたい、こう思います。
 もう一つの、震災や何かの社会的弱者、障害者の方でございますけど、これは、傷病者の方は病院、高齢者の方は特養のような施設とかいいますけど、障害者の方は障害にもいろいろ種類といいますか、ありますので、そう簡単に議論できないのかなという気はいたします。
 ただ、しかし、こういった障害者の方に対する災害時の支援体制をどういうふうにするかということについても、しっかり整っていなくちゃいけないと思いますが、一般論になりますけど、局のお考えを聞かせてください。

○芦田障害者施策推進部長 障害者の中には、移動が困難な視覚障害者や肢体不自由者、また、コミュニケーションに支援が必要な聴覚障害者など、さまざまな障害をお持ちの方がおられまして、災害時には個々の障害者の状況に応じたきめ細かな支援が必要となります。
 都は、災害時に障害者が必要とする支援や障害特性に応じた対策などを具体的に示した、災害時要援護者への災害対策推進のための指針などを作成し、災害時要援護者対策を行う区市町村の支援に取り組んでまいりました。
 また、避難支援プランの作成経費等や公共機関における聴覚障害者等に配慮した非常時避難誘導設備の整備につきましても、区市町村包括補助事業において財政支援を行っております。
 昨年、障害者団体に対しまして、障害特性に応じた必要な支援内容や区市町村との連携状況について調査を実施いたしました。現在、その調査結果を踏まえまして、区市町村が災害時要援護者対策を進める上で必要な視点や障害者団体との協力体制のあり方を取りまとめておりまして、今後、区市町村に対し、取り組みを働きかけてまいります。

○三原委員 なかなか難しいということはよくわかります。私なんかも専門的でないんですけど、ただ、障害者の方が一次避難所から二次避難所へ--ある程度、市区町村が手話通訳の方とか専門家をそこに集めておけば、そこへ来ていただければ、普通の避難所のようなところにおられるよりも、うまくケアができるというようなことがあるのではないかなと思うんですけど、二次避難所的なこと、障害者専門にそういう対応をする場所を確保するというような考え方、あるいはそういう対応はあるんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 二次避難所、いわゆる福祉避難所は、通常の避難所や自宅で生活することが困難で、特に介護や医療が必要な障害者等に対し、身辺介護、生活支援等の総合的な保健福祉サービスを提供するため、あらかじめ区市町村が社会福祉施設等を指定することになっているものでございます。平成二十三年三月現在、都内六十二区市町村のうち、五十一の区市町村において福祉避難所を指定しております。
 先ほど答弁申し上げましたように、昨年、障害者団体に対して調査を実施いたしましたが、その中で、福祉避難所において、それぞれの障害特性に応じた必要な設備や支援内容についての要望が障害者団体からも寄せられており、これらを取りまとめて区市町村に示していきたいと考えております。
 また、本年二月に東京都障害者施策推進協議会から出された第三期の障害福祉計画の策定に向けた提言では、災害時における障害者支援の具体的な取り組みの例として、福祉避難所の指定を初め、災害時要援護者名簿の整備、災害時要援護者一人一人に対応した個別計画の策定、さまざまな手段による情報、コミュニケーション支援等が挙げられておりまして、現在策定中の第三期東京都障害福祉計画に盛り込んだ上で、区市町村に働きかけてまいります。

○三原委員 どうもありがとうございました。ちょっと時間のこともありまして、余り細部にわたってお尋ねできなかったんですけど、我々、震災対策、地震だということになると、耐震補強とか、あるいは道路の警戒だとか、さらにはレスキュー隊がどうとかという話になって、比較的華やかなというかハードの面が多くて、実際に現場へ行くと、実は弱者対策というのが本当は一番重要なんだろうなという感じがいたします。
 したがって、警察や消防や建設局というところは、ハードの部分をぼんぼん打ち出してきていると思いますけど、福祉保健局だけがしっかり災害時の社会的弱者を助けるという立場ですから、十二分に市区町村と連絡をとって、対応を密にしておいていただいて、万全を期しておいても、なかなかそのとおりにはいかないということになるんでしょうけど、少なくとも万全を期してありますよということが都民に発信できれば、都民はまた少し安心をするということになりますから、どうぞ引き続いてしっかりお願いをしたいと思います。
 次は、薬事法上のことでお尋ねしたいと思いますが、せんだっての本会議で民主党の議員の方だったと思いますけど、脱法ドラッグを聞いていただいて、大変よかったなと思います。その後、一般質問でも公明党の方が質問してくださるようになっていたので楽しみになったら、何か実際はご質問ならさなかったというんで残念だったです。
 実は、ここにおられる方は比較的お若い方だからよくわからないんでしょうけど、十年前は脱法ドラッグといったってだれも関心持ってくれなかったんですよ。私が平成十四年に本会議でそれを訴えたら、知事も余りよく知らないようなことをいって、これじゃだめだなと。東京の大都会で、とんでもないことが見えないところで起こっているのに、これは東京都を挙げて頑張らなきゃだめだということを私一人訴え続けたんですけど、今の方はみんなそんなことはないんですけど、昔の局長さん方はなかなかうまく反応してくれなくて、知事やなんかとちょうちょうはっしやり合って、足かけ三年で、やっと平成十七年ですか、条例ができたわけでございます。
 条例ができたら、国の方もさすがにみっともないと思ったんですかね。にわかに法律を変えて、東京都の条例がなくても大丈夫ですよというようなことをいうわけですけど、これは石原知事がいつもいっている、東京が国を動かすという典型的な例で、東京都がやったから国が動いたんですけど、しかし今回、十年たって、そういう議論が少し、先生方にも理解されて、質問もしていただけるようになったので、まことにありがたいと、こう思っているんです。
 ただ、本会議質問ですから、余り突っ込んだことまで議論できなかったので残念だなと思っているんですけど、要は、私は、眠っている条例を何も眠らせておく必要はないんじゃないかと、こう考えているもんですから、きょうもあえて取り上げました。
 まず、東京都が実際に販売しているところへ買いに行って、それを持って帰って検査されますね。皆さんは行ったことないでしょうけど、私も質問する都合があるから買いに行きましたよ。とてもおっかなくて、こんなところへ買いに来る人はどういう人なんだろうかと、そういうところですよ。ですけど、薬事監視課の人たちは、ご苦労に、そういうところをちゃんと回って買ってくれているので、大変ありがたいことなんです。
 買ってきて、実際に分析をして、これは薬物であるということになれば国に進達して、国の方がそれを最終的に大臣指定薬物にすると、こういう手順だというのは私もわかっているんですけど、かなり時間がかかるように聞いているんですけど、ちょっとその辺を詳しくいってくれますか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 市場で試買いたしました製品から未規制薬物の構造式の解明や生体への影響調査などに一年前後かかっております。その後、この情報を外部の有識者から成る専門調査委員会で審議をいたしまして、その後、国に情報提供しております。
 国は、この東京都の情報や独自の調査結果をもとに、薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催し、薬事法に追加する指定薬物を審議いたします。
 都が国に提供しましてから法規制につながるまで、数カ月かかっております。

○三原委員 そうすると、都が買ってきて、都が分析して、審議会のようなところに答申して、それを国に伝達して、国がまた審議会みたいなのにかけて、それで薬事法上の薬物というところへ指定する、省令か何かで指定するということになっているんでしょうけど、一年以上かかるということですか。ちょっともう一遍、その辺をきちっと。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 市場で私どもが試買しました製品から、全く新しい成分、これが発見されてから国の指定薬物の指定まで、一年から一年半かかっております。

○三原委員 ご苦労されて分析されているんだから、簡単にいっちゃいけないでしょうけど、一年とか一年半かかって指定したんじゃ、それはもう、よくいうイタチごっことかというような結果にならざるを得ないですよね。それは、皆さん方の努力が足らないんじゃないけど、手続上そうなっちゃうということなんでしょうけど。
 私は、都がせっかく条例をつくってやっていたんだから、都は独自で動いた方がいいと思うんですよ。それで、条例をきちっと読んでみると、第二条の七項のところに、第二条というのは議員の皆さんにわかるようにいっているだけの話で、職員の人はわかっているんでしょうけど、第二条は、薬物というのは大麻とか覚せい剤とか麻薬とか向精神薬とかアヘンとか、こういうものだって書いてあるんですけど、そこに掲げるもののほか、これと同等の興奮、幻覚、陶酔その他これに類する作用を人の精神に及ぼすもの、これを乱用することによって人の健康に被害が生ずると認められるものというんです。これを今まで分析して、国に出して指定してもらっていたんですけど、既に指定してあるもの以外に、そういうその他のものでもいいですよと書いてあるんですね。しかも第十二条一項には、知事がそれを指定すれば薬物になりますと書いてあるんだから、これを引用して、十二条一項に基づいて知事の薬物指定にしちゃえば、国のなんか待つ必要ないんですよ。この条例でいけるんですよ。
 もちろん、それは勧告とか命令とかなんとか、いろいろ難しい手順もあるかもしれませんけど、要は、こういうもので、まちで、その辺で売っているやつはばちっといくよという姿勢が出てくると思うんですけど、第二条の七項と十二条の一項を応用して、知事指定薬物をどんどんしていくということで対応できるんじゃないですか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 違法ドラッグは、店舗だけではなく、インターネットでも広く販売されることから、都内だけの規制ではなく、全国的な規制に結びつけるため、国への情報提供を優先してまいりました。
 条例や法での規制により、一たんは繁華街から違法ドラッグが減少いたしましたが、数年前、脱法ハーブと称する薬物が海外から流入し始めたのを契機に、これらを専門的に取り扱う店舗が、今年度に入って都内で急増しております。
 最近、使用者が救急搬送されるなど健康被害も発生しており、より迅速に市場から排除することが必要でございます。
 そのため、委員ご指摘のように、今後は国への情報提供に加えまして、先行して知事指定薬物に指定することを検討してまいります。

○三原委員 全くそのとおりですから、ぜひひとつ、部長お願いしますよ。
 それでもう一つは、これは本会議の答弁なんかにもあったように記憶しますけど、外国から間もなくこういうものが日本にも来そうだよというのを外国から買って、早く分析して、指定薬物にしておくとか、あるいは、そういうものを全部データベース化して取り締まりやなんかをもっとスムーズにやれるようにしておくとか、そういうことも重要なんですけど、私はちょっと素人でよくわかりませんが、皆さん方の説明を聞くと、ある薬物の構造形式をちょっと変えたものが出てくると、それは別のものだから、指定薬物になってないから逮捕できないとか、ちょっと変えるという非常に頭のいいやり方をされて、抜け道にされてしまうと、こういうんですけど、私は、一番核になる、一番基本になる薬物はそう変わらないんじゃないかと思うんですね。とんでもないものを次々発見するとは思えませんから。
 だから、一番核になる薬物については、もう指定しておいて、そこから枝葉が出てきて、いろんなのも出てくるんでしょうけど、その核になる薬物があれば、もう全部だめですよというふうにやる方法がもう一つあるのではないかと。知事指定薬物でやるというのと、核になる成分のものを先に指定しておくという、二つの手法を取り入れるべきだと思いますが、どうでしょうか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 委員お尋ねの件は包括指定という制度かと思いますが、現在、市場に蔓延しています脱法ハーブと呼ばれる薬物は、主に大麻に含まれる成分に類似した化学構造を持っており、一つの薬物を規制しますと、構造式を少し変えただけの新たな薬物が海外から流入しております。そのため、基本的な化学構造が同じ薬物を包括的に規制するという包括規制という考え方がございます。
 しかし、包括規制につきましては、どこまでを類似の化学構造として規制の範囲に定めるのか議論がございます。また、仮に包括規制を導入したといたしましても、基本的な化学構造そのものを変更した場合には対応できないという課題もございます。
 こうした課題を踏まえまして、現在、国におきましては、包括規制の導入に向けた検討を行っていると聞いておりまして、国の動向を注視してまいります。

○三原委員 国の動向も注視していかなきゃいけないと思いますけど、脱法ドラッグに関する限りは、国は当てになりませんから、都が優先していくと。
 それで、インターネットで販売があったりして、東京都内じゃなく、ほかの地域でそういう拠点を持っているような人に対する取り締まりが難しいとか、いろいろ問題はあるんだと思いますよ。ですけど、とにかく、どんどんそういうふうに東京は積極的に取り締まっていくよという姿勢が出れば、それはよその県も同じようなことを考えてくれるでしょうし、国の方もちゃんとそういう姿勢に向いていくと思いますから、ここはやっぱり、いろいろ大変なことがあるとは思いますけど、東京都が率先して脱法ドラッグ対策をすると、こういう姿勢でどんどん進んでもらいたいと思いますので、重ねて今後の対応をお願いしておきます。
 そこで、薬事法上、厚生労働省と福祉保健局の薬事監視課と同じようなお立場なんでしょうけど、そこでちょっとお尋ねをしたいと思いますが、薬事法では医療機器や何かについても指定していると。先ほどご質問した薬物の指定もありますけど、医療機器の指定もあると、こういうんですけど、具体的にはどういうことになっていますか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 薬事法上、医療機器とは、疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具であると定義されております。

○三原委員 治療、予防、身体の構造に影響があるというんですけど、なかなか微妙ですよね。だから、病院やなんかにある医療機器というのは何となくそうかなという気がしますけど、身近なもので何か我々が、ああ、それも医療機器なのというようなのはありますか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 医療機器というのは大変いろいろなものがございまして、例えば、家庭で使われています体温計ですとか、あるいはコンタクトレンズ、それから家庭用の電気治療器というマッサージ機器、こういったものも医療機器で、と同時に、手術用の器具器械ですとか、大変いろいろなものがございます。

○三原委員 ちょっと今びっくりしました。体温計が医療機器というんで。しかし、コンタクトレンズでも医療機器というんだそうですからびっくりしました。
 そういうふうに、医療機器ということになると、治療、予防、あるいは身体への構造に影響するという機器だから、生命に直接間接かかわってくると、こういうことになると思うんですけど、当然、これは医療機器ですというのを、大臣とか知事とかに許可をもらわなきゃいけないんじゃないか。それから、それをつくる人は製造許可、販売する人は販売許可とか、何かそういうものがないと、どこまでがちゃんとした医療機器で、どこからが医療機器じゃなくなっちゃうのかってよくわからなくなりますから、製造、販売、それから賃貸とか、そういうものについてどういう規制がありますか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 薬事法上、医療機器を製造、輸入、販売、賃貸するには許可を得る必要がございます。
 また、個々の医療機器につきましては、人体に与える影響の程度に応じまして、承認、認証、または届け出が必要となります。

○三原委員 まず、医療機器という承認があって、製造許可があって、販売許可があって、賃貸の許可、許可というんだか何だかわかりませんけど、そういうものまで全部何らかの形で行政の縛りがかかっているということが改めてわかりました。
 そこで、先ほどちょっと小林委員からも質問ありましたけど、内部被曝について検査をしたというようなことが報道されておりました。私は、報道の部分しか全く承知してませんけど、QRSという機械だというんですけど、報道によれば、この機械で、髪の毛ではかるんだか、手で握ってみてはかるんだかよくわかりませんけど、そういうものではかると、まず一つは、都民が最も今心配している放射能の内部被曝が判断できると。それから、そのほか、ちょっと私、不思議な気がしますけど、アレルギーだとか、がんだとか、心理機能というんですかね、そういうものまで判定できるような機械だというんですけど、そんな立派なものがありゃ、もっとどこでもあると思うんですけどね、この騒ぎになるんですから。余り聞いたこともないので。
 ただ、一番の問題は、先ほどちょっと伺ったように、そういうものが、つまり、治療とか予防とか検査とか、そういう機械が世の中に出回っているとすれば、それは医療機器でなきゃならないだろうなと単純に思うんですけどね。医療機器ということかどうか--新聞報道によると、福祉保健局が調査はしますといっておられますから、まず医療機器かどうか、その辺はどうですか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 量子共鳴分析器、QRSというふうに呼ばれておりますが、QRSの説明書によりますと、QRSは、全身の臓器、器官、組織等の機能性や、悪性腫瘍、アレルゲン、ウイルス、細菌、心理機能などの体への影響を評価することで診断や治療を行うことを目的としております。
 そのため、QRSが薬事法に規定する医療機器に該当するか否か、厚生労働省に文書で照会したところ、該当するという回答を得ております。
 なお、QRSは医療機器としての承認等を受けていないと聞いております。

○三原委員 私も素人でよくわからないんですけど、医療機器だと国がいっているんだけど、しかし、医療機器としては承認を受けていないと今おっしゃいましたから、それは何なんでしょうね。素人っぽくいうと、それは研究機械だと。だから、私なら、私が何か発明して、これは治療に使えるんだけど、まだ世間に公にしてないから私の研究用ですとでもいうのかなと思いますけど、ただ、研究用にしては、この報道が正しいかどうかわかりませんけど、つくって研究している人じゃない人が借りたり、借りた人がまた検査してお金を取ったりというようなことをやっているというんでね。だけど、医療機器の承認もとらないで、製造許可もないんでしょうな、そういうことになれば。要らないと思っているんでしょうけど。それから、賃貸の許可もない。ないない尽くしが、さも医療機器のように見えてしまうというのは、これは非常に問題があるなという気が私はします。
 そこで、医療機器でないものが、さも治療とか予防とか検査のような形で貸し出されたりして使われ、かつお金を取ったりしているということは薬事法に抵触しませんか。

○鈴木食品医薬品安全担当部長 新聞報道を受けまして、直ちに、記事に掲載されておりました企業、団体に対し、事実確認のための調査を行っております。その結果、QRSを製造販売した企業が新たに判明したため、QRSが医療機器に該当するという国の回答をもとに、この企業に対しても調査を実施いたしました。
 これまでの調査で確認した内容をもとに、これらの関係した企業、団体が薬事法違反に該当するか否か、現在、国に確認を求めているところでございます。

○三原委員 私もその報道の範囲しかわからずに申しわけないんですけど、ただ、この委員会でも質問がありましたように、今、都民も放射能汚染、内部被曝ということは非常に敏感に感じて心配しているところです。そういうところへこういう、ノーベル賞ものの発明なのかもしれませんけど、もっと逆をいえば大インチキの機械かもわからない、そういうものが余り横行してはよくないという気が私はします。
 当然、国が、これは医療機器ですねといっているんだから、医療機器の申請をされたらいいし、製造許可も取られたらいいし、販売や賃貸の許可も取られたらいいんで、それをしないで都民の間に広まるということがあったら、これは逆に都民を不安に陥れる、こういう感じがするんです。
 そこでちょっと、理事者の皆さんの中に、お医者さんたくさんおられると思うんですけど、ちょっと手を挙げてみてくれますか、医官の方--随分おられるね、後ろに。わかりました。済みません。
 これ、我々素人が議論したってしようがないんですけど、ぜひお医者さんの立場で、こういう機械があることを知っておられるのか、知っておられなかったか。もし、あるとすれば、それについて、直接機械を触られたことはないでしょうから、伝聞の範囲、報道の範囲でしょうけど、何か医者としてのお考えがあるに違いないなと、こう思うんですけどね。
 五、六人おられましたが、代表して桜山技監、申しわけない。通告はしてませんが、一言、何か感想を聞かせてください。

○桜山技監 先生ご指摘の機械は、不勉強でございまして、今回の報道があるまで私も存じ上げませんでした。
 ただ、従来からいろいろな検査機器、あるいは検査機器と称するものがありまして、我が国の医療の原則であります診療の自由というのがございます。これは、いろいろな検査機器、あるいは治療法もそうですが、一番最初に出たときには、やはり広く一般に認められていないものですけれども、その中から新しい治療法、新しい検査法が出るだろうということで、医療機関がそういう検査を行う場合にはかなり裁量が認められているという原則でございます。
 このお話のQRSという機械ですか、髪の毛を使っていろんなことを調べるというふうに私も認識しておりますが--一部は何か電極を触るというのもあるようですけれども--髪の毛を使ったりする検査をして診断に役立てようというのは、検査を受ける方への負担が少ないものですから、従来からいろいろな研究がなされてきております。
 そういう意味では、このQRSを開発された方も、それなりに一生懸命努力して研究開発されたのかなとは思うんですが、放射線量の測定ということでいえば、私が聞き及んでいるこの機械の方式では放射線の測定はできないと思いますし、また、内部被曝といいますか、放射線の健康影響、あるいは先生お話にもありました、がんの健康影響などについても、この方式ではちょっとそれを測定することはあり得ないかなというふうに私ども思っております。
 先ほどいいましたように、新しい検査法で、中には有用なものもあると思いますけれども、ちょっと疑問に思われたら、かかりつけの先生ですとか、あるいはかかりつけ薬局、あるいは保健所などにもご相談いただきますと、ある程度、客観的な評価が聞けるのかなと思っております。
 お答えになりましたかどうかわかりませんが、こんなことでよろしくお願いいたします。

○三原委員 突然で済みませんでした。技監のお話でどうだというんじゃなくて、ここに、我々、厚生委員会でいえば、これだけの理事者の中にお医者さんが五人も六人もおられるということをまず認識しなきゃいけないということが一つ。それから、厚生委員会だと病院経営本部もありますから、その後ろには本当に何百人というお医者さんがおられるわけですね。だから、医学的な問題で何か我々が行動を起こそうと思ったら、そういう局側の医官と相談をするということが大前提にあるべきだと私は思ったから、医官に、あえて技監にお話を聞いてみたかったわけでございます。
 政治的な主義主張とか学問の発表というなら、人それぞれですから、説得できる場合もあるし、説得できないときもありますけど、事医学上の安全にかかわるようなものというのは、我々がかかわるときには極めて重い責任を持って行動しなきゃいけないということを改めて認識しました。
 同時に、また、会場が東京都の施設、特にこの報道によれば議事堂のどこかを使われたというんですけど、これは都民から見ると一番--日ごろは余り政治家を信用しないんですけど、会場が都庁のどこかというのはえらい信用しますよね。そういうことをやっぱりもっと真剣に考えなきゃいけない。
 極めて、いいたとえではありませんけど、あえていえば、我々政治家は選挙というのをやりますから、時々、選挙違反ではないかということで、警察の内々の調べを受けるようなことがあります。もしそういうことがあったとしたら、その議員は警察・消防委員になるべきではないですね。警察が調べても全く嫌疑不十分でございましたというのもあるし、警察が送っても地検の方が不起訴にする場合もあれば、起訴猶予にする場合もありますから、それは全くシロだということになりますけど、でも、やっぱり警察の調査を受けたりしたら、警察・消防委員になって警視総監を相手に議論しませんよ。つまり、それはもう警察と議員との間の信頼関係が一応区切れてるというふうに私は思いますからね。
 だから、厚生委員であれば、あるいは都会議員であれば、こういう医療関係の問題があったり、都民の不安があれば、東京都の医官に相談をする。これが一番のスタートでなきゃいけないなと、こう思います。
 したがって、これがもし薬事法上、医療機器としての承認を得ず、賃貸だの何だのという形で、さらにいろいろとあちこちで行われていれば、法律上の問題も出てくるわけですから--法律上の問題が出る出ないにかかわらず、我々は政治的に、議員としての責任をちゃんとしていかなきゃいけない。それは先ほどの委員のご質問の内容と同じですけど、しかと心得るべきだと、こう思いましたので、あえてちょっと取り上げてみたということでございます。どうも答弁ありがとうございました。終わります。

○野島委員 第六十四号議案及び請願二三第三九号、この保育に関して何点かお伺いいたします。
 私、保育の喫緊の課題は、もちろん、保育所をたくさんつくっていくということだろうというふうに思っておりますけれども、待機児童の解消、特に保育問題というのはゼロ、一、二、どこかのコマーシャルじゃないけど、ゼロ、一、二なんですね。そんなところの対応を--都の特色から来る、例えば、極めて人口が流動的であるとか、あるいは通勤も含めて長時間勤務になるから長時間保育をしてくれとか、あるいは就職したいんだけど年度途中だったからどうするとか、こんなさまざまなことがあると思うんですが、そういう入所希望にこたえていくために持てる保育資源をどう活用していくか、それも今回ばか長い法律なんで法律の名前はいいませんが、分権一括法で、各区市町村が保育について独自性を発揮しなさいと、こういうことでありますので、独自性を拘束することなく進めていくことだろうというふうに思っております。
 先ほどの大山委員の質疑では、今回の条例は、条例というのは幅広く、いわゆる法体系という意味では、都の持っている規則なり施行細則なり基準なりさまざま、オール込みでありますけれども、これが都が進めてきた保育の質の低下を来すと、あるいはこの条例は国のいいなりではないかと、こんなおしかりもあったわけであります。
 守るべきは守る、しかし、冒頭申し上げました東京の特性の中で、変えるべきものは変えていかなければ行政の進歩というのはないわけでありますし、そのことは都民の期待にこたえられないと、こんな前提に立ってお伺いをしたいと思います。
 まず、ざっくりした話で恐縮なんですが、今回の条例によって、今までの保育事業の風景が変わってしまうのかどうか、この辺を最初にお伺いをしておきたいと思います。

○秀嶋事業推進担当部長 これまで国が省令で定めてきた規定が都道府県の条例に委任されまして、それに基づき、今回、条例、規則を定めるものでございます。
 これまで都において提供されてきました適切な水準を定めるものでございまして、従前とほぼ変わらないものということでございます。

○野島委員 別に風景が変わるということでは、風景なんていうと抽象的な言葉ですけど、風景が変わるもんじゃないということを確認いたしました。
 それで、この保育事業に関しては、恐らく児童福祉法というものが頂点にあって、それからいろんな省令だとかあったり、あるいは今回のように各自治体が定めて、また、条例の下にいろんな規則とかをつくって一つの体系をつくり上げていくというふうに思うんですけれども、今回の都が定めるこの条例、規則も含みますので広い意味での条例において、現行の国基準を上回るもの、それから国基準を踏襲するもの、それから法令の制約がありますから下回るようなものというのはつくれないと思うんですけれども、国基準を下回るものはないと思いますけれども、それぞれについてお伺いをいたします。

○秀嶋事業推進担当部長 国基準で従うべき基準とされた事項で都独自に上乗せしているものとして、乳児室、匍匐室の面積がございます。国基準では、乳児室は一人当たり一・六五平米、匍匐室は一人当たり三・三平米となっていますが、都基準では、乳児室、または匍匐室の面積を一人当たり三・三平米としています。
 また、国基準では二歳未満を入所させる保育所に必置とされています医務室について、都は二歳以上を入所させる保育所にも必置としております。
 その他の基準につきましては、基本的に国基準を踏襲しております。
 乳児室、または匍匐室の面積基準につきましては、本条例案では年度途中に緩和することを認めてございますが、この措置は国が待機児童解消までの一時的措置として基準緩和を認めたものを受けたものでございます。
 委員ご指摘のとおり、今回の条例案で国基準を下回るものはございません。

○野島委員 わかりました。数字が切り下げられるから、それはややもしますと質の低下につながるとか、いろんな意見もあって、それは意見としては、話としてはわかるわけでありますけれども、都の基準というのは今までのものをしっかり踏襲しながらやっていくと、こういうことだというふうに思っております。
 あと一つ、お伺いするんですけれども、実は昔、国基準があり、都の加算があり、市町村加算で勝手なこと--勝手なことなんていっちゃいけないです、各市町村とも独自の施策をやってきたんです。(発言する者あり)うん、本当、やってきたんですよ。そういうもので、しからば今回これをつくることによって、そういうことが切り下げられるのか。さっきの分権一括法の中では、独自性は認めていきなさいよということであるがゆえに条例化をしなさいよと、こういうことだろうというふうに思っておりますが、区市町村の基準や、あるいは区市町村が独自につくるといったって国基準を切り下げてつくるわけにいかないわけですから、そういったような中で拘束をするのかどうか、こんなところをお伺いしておきます。

○秀嶋事業推進担当部長 今回の都条例で定めます内容は、都が定めています保育所設置認可等事務取扱要領の内容と基本的に同じものでございまして、これまでの区市町村の取り組みを踏まえたものとなっておるものでございます。
 面積基準の緩和につきましては、待機児童解消のための弾力的運用を一部可能とするものでございまして、区市町村の取り組みを拘束するものではございませんで、むしろ待機児童解消に向けた区市町村の取り組みの選択肢を広げる効果があるものでございます。

○野島委員 わかりました。区市町村の選択というのは選択としてあっていいと思うんですね。ただ、それはオール東京で定めて、それ以上のものはみずからの責任と負担においてやってもらわなければ、広域行政としての東京都の役割を果たせないわけでありますから、そういう形のものというのは、僕はむしろ正しいというふうに思っております。
 それで、例えば、これは実態の話なので質問には当たらないんですけれども、各市町村とも保育事業をこれからどうしていくかというのは呻吟していると思うんですね。財源がきつくなる、そういう中で、独自の基準を持っていたけれども、それを切り下げるのはどうしたらいいんだろうとか、大変悩みの多いところなんですね。切り下げるというんじゃなくて、基準を変えるというふうに言葉を変えます。
 そういう中で、例えば選択肢としては、今までは公設公営でやっていたけれども、この指とまれで民間福祉施設を、民間の法人を誘致してやっていくと。そのことによって、この基準になるよと。そのことで基準は確かに落ちるかもしれないけれども、全体として保育事業を拡大し、かつ市民の要望にこたえるという、こういう手法もやっているところでありますから、拘束するものではないということで、ぜひ各市町村とも独自性を発揮しながら、それはどんどんやってもらったらいい。ただ、その泣き言を東京都にいったってしようがないんだから、そういうふうなことだと私は思っております。
 しからば、今回上程している本条例の最大の特色は何なのか、この点についてお伺いいたします。

○秀嶋事業推進担当部長 今回の条例案では、待機児童の問題が深刻なゼロ歳児、一歳児において、面積基準を一部緩和しております。基準面積を弾力的に運用し、既存施設を有効に活用することによりまして、認可保育所増設までの一時的なつなぎでや、年度当初に最大限まで入所児童を受け入れた施設での緊急入所措置が可能となるものでございます。
 先ほどご答弁申し上げたとおり、待機児童解消に向けた区市町村の取り組みの選択肢を広げる効果があるものでございます。

○野島委員 待機児童の実情を考えれば、さっきいったんだけど、そういう時代背景の中で変えるべきものは変えていかないと、行政の進化というのはないんですよね。(発言する者あり)意見は意見として--私、質問中だから静かにした方がいいよ。同郷の出身だから。そういうことで--どこまでいったかわかんなくなっちゃった。こういうふうに待機児童の解消していかなけりゃ--その方法の一つとして弾力化ということも方策であると、こういうことだろうというふうに思っております。
 都の認証保育所、これは面積基準の弾力化を先行して行っている施設であります。都の認証保育、十年たちました。ゼロ歳児保育、あるいは十三時間開所など、大都市東京の保育ニーズに適応したサービスを提供しているわけであります。
 そこで伺いますが、待機児問題が最も深刻な、ゼロ、一歳児において、認証保育所と認可保育所の利用児童数はどうなっているのか、また、年度途中の受け入れ状況はどうなっているのか、その実績と、そのことが待機児童の解消に向けどのような役割を果たしているのか、お伺いをいたします。

○秀嶋事業推進担当部長 平成二十三年四月現在の利用児童数は、すべての年齢では、認可が約十七万九千人、認証が約一万七千人でありまして、認証は認可の約十分の一であるのに対しまして、ゼロ歳児、一歳児では、認可が約四万一千人、認証は約九千人でございます。認証は認可の五分の一を上回っている水準でございます。
 また、年度途中に受け入れた児童数は、平成二十二年十月時点で申し上げますと、すべての年齢では、認可が約二千九百人の増、認証は約三千百人増でございまして、認証が認可を上回っております。特にゼロ歳児、一歳児では、認可が約千四百人増、認証は約二千八百人増で、認証は認可の二倍でございます。
 このように、認証保育所は、低年齢児の受け入れや産後休業や育児休業明け等の年度途中の受け入れなど、大きな役割を果たしておるところでございます。

○野島委員 今の実績を伺うと、もしという言葉が許されるなら、もしということでいえば、認証保育所制度、都の単独事業ですけれども、これがなかった場合には、都内の待機児童の問題はより深刻になったのではないかというふうに、数字の上からは明らかであります。認可保育所だけで、あるいは公立保育所で専らそれをやるべきだといったところで、それは絵にかいたもちですよ。現実を見せられ、現実にどういう需要があるのか、それに対してできなければ方法を変えていくという手法をとりませんと、都民の期待にこたえられないだろうというふうに思っております。
 ところで、都は、待機児童の解消に向けて、いろんな保育ニーズ、多様な保育ニーズにこたえるために、来年度から三年間で、認可保育所だけではなく、多様な保育サービスを組み合わせて、利用児童数を二万四千人分ふやすと。どういうふうなサービスを組み合わせることによって、この目標を達成しようと考えているのか、お伺いいたします。

○秀嶋事業推進担当部長 東京における多様な保育ニーズにこたえるには、認可保育所だけでなく、待機児童の解消に大きな役割を果たしている認証保育所はもちろんのこと、認定こども園、家庭的保育など、多様なサービスを拡充していくことが必要でございます。
 そのため、都はこれらのサービスを総動員して、来年度からの三年間で、利用児童数を毎年八千人、計二万四千人ふやすこととしております。

○野島委員 わかりました。さっき、面積基準の緩和をすることが詰め込み保育になるよと、どうするんだという話がありましたけれども、既に認証保育所、これは認められる立場だからそういうふうな話になって、理論的には正しいと思うんですけれども、認証保育所で十年以上にわたって既に実践しているわけですね。国は、国基準で標準とされた事項について、合理的な理由がある範囲内で、地域の実情に応じた都独自の基準を設定してもいいですよと。都独自の基準というのは、何も東京都だけじゃなくて、ほかの市町村にも当然該当していくわけでありますけれども、ある意味では、認証保育所の弾力条項というのかな、今度、条例本則に認可保育所も入るわけですね。そういったふうなことが、ある意味では、今申し上げた、国の標準とされた事項を合理的な範囲で変えてもいいですよということになると思うので、認証保育所がある意味では国の保育制度に、今回も国の制度にはなりませんでしたけれども、風穴を少しはあけたのかなと思うんですね。ですから、これからもこういう地道な積み重ねをしながら、もちろん適正に運営していくということを指導監督しながら、そういうふうな形で進めていただきたいというふうに思っております。
 それと、国のいいなりだからそうなっちゃうんだよということに尽きちゃう議論もあると思うんですけれども、例えば、標準とされた事項について合理的な範囲でということになりますと、国も想定をしているんですね。だから時限ですよと。だから地域限定、行政区域を限定してますよね、これ、できるところを。たしかそれで間違いないよね。だから、国の想定している範囲、国は、東京都が独自でこういうふうにやっていくんだけれども、それは東京都のいろんな事情に合わせて、今回、法令が許す範囲内でやったと、こういうことで解釈してよろしいんですか--といううなずきがありましたので、終わります。

○松下委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松下委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後八時休憩

   午後八時十四分開議

○松下委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 次に、議員提出議案第一号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○田の上委員 議員提出議案第一号、東京都がん対策推進条例の提案理由を説明させていただきます。
 毎年三万人もの方が亡くなっているがんについて、東京の特性に合ったがん医療、療養対策を一層進めていかなければなりません。
 東京都は、これまでも施策を推進してきておりますが、それでもなお、東京のがん死亡率は全国平均より高く、早期発見、早期治療のために重要な検診受診率も三割台に低迷しています。
 男性の二人に一人、女性の三人に一人が、がんにかかるといわれております。こうした中で、すべての都民が、がんについて学び、考え、みずから予防と早期発見につながる行動を率先してとれるような機会をつくっていきたいと考えます。
 そして、がんにかかっても、適切な医療を選び、苦痛を軽減し、住みなれた地域で良質な医療が受けられるよう、この条例を制定することによって都民にも浸透させ、がん対策を一段と加速し、拡充することが必要と考えております。
 そのため、本条例案は、東京都、都民、保健医療関係者、事業者の責務を明らかにするとともに、がんの予防及び早期発見、科学的知見に基づく適切ながんに係る医療、その他のがん対策の基本となる事項を定める内容としています。
 以上が提案の趣旨であります。
 本委員会において十分ご審議の上、議員の皆様のご賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

○松下委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 ご発言願います。

○吉住委員 先ほどの予算質疑のとおり、がん対策は、今の法体系の中で着実に進んでいると考えております。自民党としましても、がん対策は主要課題の一つであり、これまでも代表質問で幾度も取り上げてまいりまして、その意見や提言を酌み取っていただいてまいりました。いわば都と議会は一体となって、がん対策の推進に取り組んできたとの自負がございます。
 さて、都が独自の条例を制定する場合、その条例が都にふさわしいものかどうかが一つの大きな判断基準となります。この条例案を見るに、その内容は、他県の条例に比べて先駆的な内容も盛り込まれており、その点では大都市東京にふさわしいといえるかもしれません。
 ただ、私はそれ以前に、都の条例として、都の地域の特色を反映させているかどうかについて、この条例案は大きな問題も含んでいると考えております。
 まず、がんの医療体制の整備であります。
 国のがん対策推進基本計画では、がん診療連携拠点病院を、原則として二次医療圏におおむね一カ所程度整備と書かれています。一方、がんに限らず、医療について、都の最大の特徴の一つは、高度な医療機関が集積しているところにあります。
 こうしたことから、自民党は、平成十九年第三回都議会定例会代表質問において、都内に高度のがん診療を担える病院が数多く存在することから、首都東京のがん医療を充実させるためにも、これらの病院の有する機能を活用し、都民に必要な医療水準を確保すべきであるとして所見を伺い、福祉保健局長は、都民に必要な診療体制を整えるためには、国指定のがん拠点病院だけでなく、ご提案のように、専門的ながん医療を担える病院の活用についても検討を行うと答弁しました。
 都は、がん対策推進協議会での検討、パブリックコメントを経て、がん診療連携拠点病院に加え、都独自に認定がん診療病院を指定することとし、東京都がん対策推進計画に盛り込みました。
 また、その後、拠点病院、認定病院を合わせて、平成二十四年度末までに三十四カ所整備するという目標を掲げ、今年度初めに一年前倒しで達成したことは、先ほどの質疑で理事者から答弁があったとおりであります。
 このように、がん診療体制の整備は、これまで行政と議会が一体となって推進してきたものであり、都は、これらの拠点病院、認定病院を中心にがん対策を進めていくことが基本となっています。
 ところで、民主党の条例案を見ると、拠点病院、認定病院については何ら触れられておりません。条例案の第九条には、がん医療の充実とありますが、この条例案の中で、拠点病院、認定病院はどのように位置づけられるのか伺います。

○斉藤委員 まずは、質問の冒頭で大変先駆的な条例案ということで評価いただきましたことについてお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 そして、第九条の中で、がん医療の充実というところの、医療機関についてのご質問であります。第九条の中に、がん拠点病院またはがん認定病院、この名称が具体的に書かれていないということであります。
 委員おっしゃるとおり、都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、東京都認定がん診療病院は、専門的、集学的ながん医療の提供等を行う医療機関の整備を図るとともに、連携協力体制をつくってきた、非常に重要な医療機関、施策というふうに私どもも思っています。
 拠点病院につきましては、地域のがん医療を牽引する中核的な存在であり、拠点病院の整備等によって、医療の均てん化は、ここ数年非常に進んだものというふうに認識をしております。
 また、各病院では、この指定を受けるために、施設設備整備、職員の確保、育成など、非常に苦労して体制をつくり上げているということも、私ども伺っております。
 ただ、一方で、私どもの方としましては、約四年にわたって現場の方を取材してまいりまして、もちろん拠点病院は頑張っている、認定病院も頑張っていることは、現場の方の医師を含む医療関係者から話を伺ってきたところですが、一方で、まさに先ほど委員会の中で質問もございましたけれども、訪問の医療のほか、さまざまなケースワーカーなどの苦労、本当に頑張って--拠点病院、認定病院、そしてそれから、また患者さんが本当に在宅に戻って、そして場合によっては残念ながら亡くなるまで、さまざまな医療機関が、医療関係者が現場で努力をされているというのを間近に見まして、もちろん東京都の特性の部分として、この病院の種別を載せることは当然考えたわけなんですが、一方で、どの医療が一番ということはもちろんありませんし、そのことを私どもも、逆にそういったふうに一般の方に理解をされるのがどうなのかというふうな議論も重ねてまいりました。
 もちろん、その病院の名を入れて差し支えないというふうな意見は当然あるかと思うんですが、私ども、この条例案をつくるに当たりまして、すべてのがんと闘う、もちろん患者さんもそうなんですけれども、しかしながら、その一方で、がんと闘う医療機関すべての方が、それぞれまさに、つかさつかさで努力をされている姿を見て、どれを抜き出すというところで大変な議論をしたんですが、実際には、その部分で、それを特出しして書くということに対しても慎重になるべきというふうに判断をいたしまして、この条例案につきましては、拠点病院並びに認定病院について、その単語を入れておりません。
 ただ、皆さん、ぜひこの委員会の中で、この部分についてご意見がありましたら、また賜っていきたいというのが正直なところでありますが、しかしながら、私どもの判断というのはそのような形で、今回、条例文の中には入っていないということでご理解いただければと思います。

○吉住委員 わかりました。いろんな議論があって、判断をされて、載せなかったということの経過がわかりました。
 それで、その経過の中で、いろんな現場を四年間にわたって見ていらっしゃったとのことでございました。例えば、その病院の院長先生ですとか、あるいは病院側の方の意見というのは聞いたことはあったでしょうか--個人的な知り合いから聞いたかどうか、あるいは組織としての病院に聞いたか、その点、特に深い意味はないです。

○斉藤委員 この間、主に病院については、もちろん緩和ケアなどの専門的な病棟も見させていただきましたが、同時に並行して、責任ある立場、特に院長にお会いできるときにはお会いして、実際に、病院としての運営という部分と同時に、一医療者としてのさまざまな経験についてお話を伺わせていただきました。
 これにつきましては、かなり広い範囲、区部もそうですが、多摩地域の奥の方まで--奥なんていうと失礼ですね、多摩地域の西の方にも行きまして、いろいろお話を伺ってまいりましたけれども、その医療の充実の中に、医療機関として、拠点病院、認定病院を初め大きな病院から、まさに本当に患者と向き合うのが中心というような診療所までお話を伺って、この医療機関の中に包含をする形で載せさせていただきました。
 以上でございます。

○吉住委員 これまで整備した拠点病院、認定病院が条文に盛り込まれていないということは残念かなという気がしております。
 都内のがん医療の特色ともいえる病院でございますので、このところをどのように特化していくか、その点の酌み取りといいますか、にじみ出すもの、そういったようなものを--確かにあらゆる関係者がとうとい努力をされているのはもっともであります。しかし、東京都として条例をつくる以上、何かを特化するとか、そういうことはなかったのかなという、これは見解の相違でございます。
 これらの病院の方々の意向、あるいは医師会、そういったようなところに公募で申し込んでいただいて認定病院になっていただいたり、そのための条件を整えていただいたり、いろんなご苦労もおかけしておりますので、その点を本当に理解していただいているのか、これはなかなかわからないところでございます。
 次に、区市町村との関係について伺います。
 条例の中に、区市町村に関係する条文が幾つかございます。特にがん検診のところでは、区市町村が実施するがん検診の充実とあります。この趣旨そのものはいいことで、ぜひやってほしいと思います。
 しかし、問題となるのは、この条例上、区市町村をどのように位置づけていくかでございます。
 都の特色として、二十三区並びに八王子、町田市、それぞれ保健所を有しています。それ以外の市町村においては、都の六つの保健所が管轄をしております。がん検診は健康増進法を根拠に各区市町村が行っているものですが、がん対策における保健所の役割は、各区市町村においてさまざまなものがあります。
 保健所を有する区市と、保健所を有しない市町村とは、おのずと役割が異なってくるはずでございますが、条例案では一言で区市町村とくくっています。特別区、八王子市、町田市との関係はどのようになるのか、お伺いしたいと思います。

○斉藤委員 区市町村との役割分担というか、関係についてのご質問であります。
 確かに副委員長ご指摘のとおり、区市町村との適切な役割分担によってがん対策を推進することというのは、非常に重要なポイントだと私も考えております。
 特にこのがん検診やがん予防に関する取り組みというのは、特に住民から見てもそうなんですが、直接には区市町村が行うものであります。しかし、一方では、東京、特に市町村、この部分では、多少、区の方が若干少しはゆとりがあるのかなというふうなところでありますが、一方で、特に市町村の検診などにかかるリソース、ちょっとわかりやすくいえば人材とか、その部分の情報の蓄積、そしてまた予算的なものもあるかもしれません。そしてまた、いわゆるキャパシティー、それができる能力、これについては、やはり限られているものがあります。
 その中で、特定保健指導など新たな業務が発生している昨今では、市町村もしくは区も含めて、区市町村に求めるばかりではなかなか進まないのも事実であります。自治体の中に保健所があるというところは、その保健所との連携ということはもちろんあるわけなんですが、東京都の方の保健所が複数の市にまたがっているような場合には、なおこのリソース、つまり人材などを含めた資源というものについては、おのずと限界が出てくるということは事実であります。
 そこで、本条例案では、区市町村間のギャップを埋めて、都全体でがん検診を推進し、検診精度の向上を図るために、都による区市町村支援を定めております。また、行政だけではなかなか進まない面が、特に区市町村だけでは進まない面という部分もあることから、これらに加えて、都による非常に広い範囲での普及啓発活動、そしてまた都民運動の推進などなど、社会風土づくりについても進めていくというのが東京都のできるもの、そして、東京都だからこそ支援するものというふうな形をとっております。
 以上でございます。

○吉住委員 ご説明を伺いました。今のご説明、区市町村によって、それぞれ持っている人材というか、職員の人数、それから予算、情報量、ノウハウの蓄積、いろんな差があるので、それを埋めるために都が直接かかわっていこうと、できるだけ具体的にかかわっていこうということなんだろうかと思います。
 それで、例えば、私のいる新宿区なんかですと、新宿区の中でも十の出張所があって、それぞれにやっぱり特色がありまして、その中で、ここの地区はこういうことをしないと検診をなかなか受けてもらえないですとか、そういう取り組みを、今、出張所ごとで競いながらやっています。これはやっぱり都ができるような仕事じゃないと私は思うんですね。
 役割分担というのは、自治体の置かれたいろんな状況があると思うんですけれども、やっぱり、この条文だとちょっと粗っぽいんじゃないかなというか--例えば、都がどこまでできるのか、あるいは市区町村がどこまで望んでいるのか、そういったようなこともやはり酌み取った上でのものでなければ、なかなか実効性が担保できないんではないかと思います。なかなか難しい問題だと思います。
 これは、他の衛生部門にかかわる都の条例、昼間、私、質疑でお弁当の行商、それからフグのこと、やらせていただきましたけれども、こういったような条例も、特別区、八王子市、町田市との関係は常に、直接、都が保健所を持っているところと、持っていないところと、やっぱりいろんなことがあります。
 それで、私の地元の新宿区の保健所では、例えば、健康推進課と区民健康センターでがん検診の申し込みを受け付けていて、健康診査、健康相談などは、牛込など四つの保健センターが担当、区の保健所は東京都から独立しており、区によってがん対策の担当部署もそれぞれ違うようです。
 都として条例をつくるのであれば、がん医療に携わる関係団体や区市町村の意見をしっかりと把握した上で、さまざまな都の特殊性をしっかり反映したものでなければならないと思います。
 この条例案の策定に当たり、医師会等の関係団体あるいは区市町村とはどのような調整を図ったのか、また、その過程の中でどういったような意見があったのか伺いたいと思います。

○斉藤委員 今、新宿区の話を例にとりながら--私も学生時代、社会調査の実習ということで新宿区にいましたので、恐らく吉住副委員長のおっしゃる、いわゆる地域的にかなり性格が違うというのは、私も現場の方をそのとき見させていただいて、大分、新宿駅周辺と、必ずしもすべての区が同じ性格を持っているわけではないというふうなことは大変よく理解できます。
 そして、その中で、区市町村からの意見聴取についてなんですが、前期十七期にも医療PTという、医療プロジェクトチームというのを会派内でつくりまして、また、今期十八期になっても、同じく医療プロジェクトチーム、その後、二〇一〇年、二〇一一年と第一次、第二次がんプロジェクトチームを構成しまして、足かけ四年で調査活動をしてまいりました。
 さらには、議会内外での日々の調査活動から抽出された課題への対応として、条例案の作業を行ってまいりました。時には各議員の地元の自治体の方に、特に区や、もしくは市町村の住民の健康管理もしくは健康増進といった施策を行っている部署についても、直接聞き取りという形で個別の調査もやってまいりました。
 超高齢社会に向かっていく東京において、総合的、効果的ながん対策推進の一助となるよう、現時点での科学的根拠がある医療、または予防に官民ともに傾注し、がん対策を総合的に推進できるようにすることを目的として、新設条例として、これを提案したものでございます。この過程において、各議員のそのような個別の調査の積み重ねというものを、かなり長い期間にわたって、前半の方でつくってきたものであります。
 また、その中で、地元の医療関係の団体の方にも個別で調査をしまして、もちろん、ほかの医療テーマについても聴取する部分もあったんですが、このがんについても、その中に含んだ形で調査をしてまいりました。
 それでも、東京都議会として、東京都議会という大きな枠でさらに意見聴取をするということについて、ぜひその必要性があるというふうなご意見、もしも賜れば、私どもとしては皆さんと一緒にやっていきたいという姿勢を持っておりますので、よろしくお願いいたします。

○吉住委員 四年間にわたりまして、先輩方が大変な蓄積をされながら、PTの中でいろんな研究をされたこと、非常にすばらしいことだなと思っております。
 ただ、今お話にもございましたが、必要があれば調査をするということでございますが、やはり条例として提案されておりますので、できれば事前に調査しておいていただきたかったなと思っております。じゃ、この点については、そのぐらいにしておきますかね。
 なお、本来でしたら、先ほどの質問の後段は、意見としてはどういう意見があったかご提示いただければということを申し上げましたが、必要があればやるということでございますので……(「ちゃんと聞いた方がいいよ、医師会とどういうやりとりがあったか聞いた方がいい」と呼ぶ者あり)そうですか。じゃ、関係団体、区市町村の中で、条例にはこういうことを盛り込んでもらいたい、こういうことに困っているので条例をつくってもらいたい、何か具体的なご提言がありましたらお願いいたします。

○斉藤委員 具体的な意見ということで、例えば、これはちょっと場所にもよるんですけれども、がん治療については、その地域の中で、本当にその地域の人たちがあそこの病院に行けばというふうにいえるぐらい、大変、内容的に高度ながん医療を持っているけれども、なかなか広い、いろんな形で、報道、マスコミ等で最近、医療機関のランキングみたいなものが出ていたりするけれども、実際にそういうのを見て、患者さんがそこに偏ってしまうときがあると。
 ただ、本当にその方がご高齢であったり、もしくは本当に体調が悪くなって、今まで遠くのところまで通っていて治療をして、外来などの通院の中で治療をしていて、そこはそこで理解できるけれども、本当にいざ動くのも、通院するのも大変、特に遠くに通院するのが大変となった場合に、やはり地域の医療機関として最後、頼ることになると。そういった場合に、それまでの治療経緯というものが余りわからない中で、医療関係者がその方を本当の意味で診てあげようと思っていても、なかなか十分に診れないということについて非常にじくじたる思いがあると、そのような意見もいただきました。
 これはつまり、医療の均てん化ということもあると同時に、正しくその方の生活に寄り添った形でがん医療をやっていくにはどうしたらいいかということについて、ご意見をいただきました。
 また一方で、各部位のがんを、がんの専門医が一生懸命がんを治すということは同時にあるんですが、その方自身が合併症をたくさん持っていらっしゃったり、もしくは合併症といわなくても並行して別の病気を持っていらっしゃる。そうすると、内科、外科を初め、ほぼすべての分野に関して、そちらの方も治しながらがんを治していくというふうなことを並行して進めなければならない。そういった場合に、がんのことの部分では非常に評価が高いけれども、ほかの科目がどうしても十分でないという場合が、そういう医療機関もございますので、そういったところになると、やはり治療がバランスよく十分に、しかも適宜できないということがあります。
 こういったものに関して、他科をある程度充実させているような、がん治療ができる医療機関というのが望まれるということが課題としてあるけれども、実際にはなかなかすべての医療機関がそのような形になっていないというのが課題であるということはありました。
 また一方で、がん治療をする中で、これはある程度高齢者の方の患者さんをイメージされているかと思うんですが、療養の病床を初め、いわゆる後方病院というものに、退院をさせて、少し急性期の部分についてはベッドをあけたいと、その方が患者さんにとっても負荷が少ないということがあっても、なかなか後方病院自体の確保が難しい。
 これはまさに救急の搬送などとも同じ課題になってしまうんですが、そういった意味で、後方病院などの充実というのは、自分たちのがんを一生懸命--がんに対して評価を得ている病院から、ほかの病院をつくる、ほかの病院に対して強化をしてくれというふうなことはなかなか直接的に伝わりづらいし、また、それをコントロールできるわけでもないけれども、ぜひそこをしっかりやってもらわなければ困ると。そうしないと、実際には、なかなかがん医療が回っていかないというふうな課題もいただきました。
 また、看護師不足--認定看護師についても、いわゆる化学療法の認定看護師や乳腺の認定看護師などがいるんですが、こういった人たちがなかなかいない、また、これに対する専門の報酬体系がないために、いわゆる本当に患者さんのためにサービスをしたかという形での看護というふうになってしまうというのが残念であると。
 また、医療器具の請求を制度上行えないケースなどもあって、医療機関の負担というものについて非常に課題があると、そのようなことをいただきました。
 かなり全体から見れば一部でございますが、具体的にそういった話の中で、私どもも知識、情報を蓄えてまいりました。
 ただ、条例文にするに当たって、余り細かい部分について、当然のことながら書けるものではありませんので、ある程度包含した形で条例案をつくってまいりましたことがございますので、ご理解いただければと思います。
 以上です。

○吉住委員 こうした条例をつくる際には、当事者の意見を聞くというのは基本中の基本でございまして、いろんな活動を通じてやってこられたという説明もございました。そうぜす、そういった作業をせずしてつくられた条例には、やはり実効性ということを考えると不安がございます。
 先日の予算特別委員会の中で、門脇委員から、大阪府の条例は国や次期計画を先取りしたという発言がございました。確かに大阪府の条例は、当時としては先駆的な取り組みが随所に盛り込まれていました。
 しかし、先日公表された国の次期がん対策推進基本計画の考え方には、小児がん拠点病院の整備や喫煙率の目標設定など、大阪府の条例よりも先駆的な取り組みが示されています。
 都は、今回の国の新しい考え方を次期計画に取り込むのか伺いたいと思います。これは局側に質問です。

○山岸医療政策担当部長 先般、国は、がん対策推進基本計画の変更案というものを示しておりまして、この中で、現行計画の分野別施策をさらに充実させるとともに、新たな課題として、働く世代や小児へのがん対策の充実などを盛り込んでおります。
 都は、がん医療の専門家を初め、関係団体、患者団体代表より構成する東京都がん対策推進協議会におきまして、医療提供体制や相談支援体制のあり方など、分野別に分科会を設置いたしまして、課題ごとに検討を加えた後、都民のご意見もいただきながら、平成二十五年三月を目途にがん対策推進計画を改定いたします。
 次期計画におきましては、これまでの施策の成果を踏まえた上で、国の新しい考え方も十分踏まえながら、都の特性を反映した目標や、その達成に向けた施策を盛り込む考えでございます。

○吉住委員 この条例のもととなります基本法は、がん対策基本法でございます。その第四条には、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するとあります。また、第九条の四項には、厚生労働大臣は、がん対策推進基本計画の案を作成しようとするときには、関係行政機関の長と協議するとともに、がん対策推進協議会の意見を聞くものとするとあります。また、これらについては、五年ごとに見直しをすることが規定されております。
 今回の都の新しい計画に関しましても、五年の時限が来てやるところでございますが、そのタイムスケジュールでいくと、国から出てくるのが、国の方で決定しますのは、これはまた来年度に入ってからなんですね。それを受けて、東京都もいろんな基本計画をまた練り直していかなきゃならないわけですが、都が、国が新たに変更案を出してきたものについても関係団体と協議をし、また、がん対策に取り組む市区町村との協力関係によって構築された信頼関係に基づいて、二十五年度以降の次期計画を、またこれを策定するところだという状況です。
 今回の条例案は、喫煙率の目標設定や小児がんの拠点整備など、国の基準の中で、盛り込まれていないものもございます。今、この条例をつくったとしても、次の都の推進計画ができれば、条例自体が時代おくれになってしまいます。
 また、東京の医療の特性についても載っていないということがございました。
 また、区市町村との関係についても、今後聴取するというようなお話もございました。関係団体との調整の中で、先ほどの認定病院のこともございますが、本当に自分たちのことが反映されなくていいのかどうか、そういったようなこともございます。
 自民党としては、がん対策は重要である、大切な施策であるということが基本精神の中にございます。しかし、今回、都の特殊性の反映や関係団体との調整がとられていない、また、今、もととなる基本法に基づいた国の基本計画がこれから出てくる中で、私たち東京都の方もそれに対応する計画を立てているという、このタイミングの中で出てくるということが、非常に、立法上の基本的なそごといった根本的なところで不備があるのではないかと思います。そのような事情で、賛成するわけにはいかないと申し上げたいと思います。
 私自身、父親をがんで亡くしておりますし、母親もがんになって、お医者さんの治療で二回にわたって手術をしていただき、今、五年以上、寿命を伸ばしております。そういう意味では、がん対策は非常に、都民にとって必要な施策であると思いますが、今回の条例には、先ほどのような理由で賛成するわけにはいかないということを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

○遠藤委員 それでは、公明党を代表して、民主党提案のがん対策の条例案について、何点か質問させていただきたいと思います。
 我が党はかねてより、がん対策の推進に重大な関心を持ち、本会議を初め、関係委員会で重ねて取り組んで、取り上げてまいりました。回数だけで比較するのはどうかと思いますけれども、都議会の質問で、がん対策、これを最も頻繁に取り上げてきたのは、恐らく我が党公明党であると、このように自負をいたしております。それだけ関心を持っているあかしの一つであろうと、このように思います。
 今、吉住委員からもお話ありましたけれども、実は私の父親も、六年前に肝がんで他界をいたしました。ですから、生きていたときには患者家族の一員として、そして、現在では遺族、この一人として、さまざま、理事者の皆さんにも、時には厳しい注文をしてまいりました。こうしたがん対策については、会派的にも、また、個人的にも大変深い関心があるテーマであります。
 今、吉住委員の方から、主に策定のプロセス、これについて質疑がありましたので、私は、条例の一つ一つについて、特にここが問題ではないかということを何点かお話させていただきたい、このように思います。
 具体の質問に入る前に、大阪府の条例について、予算委員会で門脇委員からお話がございました。いわく、大阪府のがん対策の推進条例は大変いい条例であると、この条例が我が党公明党の大阪府議団の提案であったことを、ご丁寧にご紹介をいただいたわけであります。確かに大阪府の条例は、肝炎肝がん対策や女性特有のがん対策、また、後で話しますけれども、小児がん対策の充実などが盛り込まれて、他県の条例と比べて、内容は充実、すぐれていると、このように私も思います。
 また、門脇委員は、このようにもおっしゃられました。いわく、平成二十二年三月に、公明党府議会議員団から議会運営委員会の理事会において条例制定の提案があり、同年九月に、公明党府議会議員団から条例のたたき台の提示があり、その後、パブリックコメント等があって、制定をしたと、このように紹介をされました。本人、うなずいていますので間違いないと思います。
 この門脇委員の発言を受け、私も早速、大阪府の議員団に問い合わせをいたしました。その問いに対して、こう述べていました。これは大阪府の場合ですけれども、提案から制定まで一年をかけており、会派間はもとより、関係団体との調整、パブリックコメントを行うなど、幅広く意見交換をした上で策定をいたしましたと。さらに、大阪府の条例は全会一致で可決をしようと、こうした思いがあり、何よりも条例の制定に向けたプロセスを大事にしたと、これを最重視したと、このような話でございました。
 ところが、今回、都議会民主党の条例案は、議運理事会で提案表明されたのが二月の二十四日、正式に提案があったのは三月七日の議運であると、このように承知をしております。
 私は、何をもって、門脇委員が我が党の大阪の例を取り上げたのか、これは意図はよくわかりませんけれども、それに比べて、この拙速さ一つとっても、条例の趣旨を説明し、内容についてさまざまな観点から議論を重ねていくつもりがあったとは思えないわけであります。
 大阪府の公明党議員団の対応と比べて、私は、明らかに合意形成、この過程で、いささか手を抜いていたといわざるを得ないと、このように思います。実は、今回提案をされております民主党の条例案、こうした手抜き作業の結果が条例の随所に見えると、私はこのように思います。
 具体的に申し上げます。一つ目、第七条、これに受動喫煙の防止が書かれております。
 民主党の方から事前に、公明党を含めて各会派に配布された条例案には、当初、禁煙の推進、これが明記をされておりました。しかし、最終案では、突如その記載が削除されております。
 先日、先ほど来議論になっておりますけれども、国のがん対策基本計画の変更案が発表されました。ホームページでも出ております。多分ごらんになったと思いますけれども、その中には、喫煙率の低下と受動喫煙防止を達成するための施策等をより一層充実させると、このように書いてありました。その上で、具体的に、成人の喫煙率を平成三十四年度までに一二%、そして、未成年者に至ってはゼロ%とする新たな数値目標が設定をされておりました。
 がん予防のために、禁煙が重要な要因であることはいうまでもないと思います。また、繰り返し、お名前を挙げて恐縮ですけれども、門脇委員がおっしゃられた、大変すばらしい条例と、このように評価をいただいた大阪府の条例においては、受動喫煙防止のために、健康増進法第二十五条の努力義務を有する全施設、その他の多数の者が利用する施設における禁煙を推進することが明記されております。
 ところが、民主党提案の条例案の第七条には、受動喫煙の防止が書かれておりますけれども、受動喫煙の防止のために講ずる措置として、禁煙を希望する者に対する禁煙支援、これが掲げられております。禁煙を希望する者に対する禁煙支援というのはちょっとよくわかりません。
 いずれにしても、がん予防という観点からは、国の計画のように喫煙率の低下や未成年の喫煙をなくすことが本案の中に盛り込まれていないのは不自然であると、私はこのように思います。
 質問です。条例の中で喫煙率の低下をうたわないのはなぜか。あわせて、禁煙の推進が突如削除されたのはなぜか。それぞれ答弁を求めたいと思います。

○斉藤委員 遠藤副委員長より、喫煙率の低下が入っていないこと、そしてまた、当初の条例案にあった禁煙の推進が突然削除されたことについて、質問を二点いただきました。
 先ほど遠藤副委員長より、遠藤副委員長の会派が質問を多数されているのは、私どもも重々承知をしておりますし、また、門脇議員より予算委員会の中で大阪府についてお話をしたのも、また、この部分に関して、事実は事実、非常に工夫されて努力をされていることについて、私ども、敬意を払っておりますし、また、まさに闘うべき相手はがんそのものであって、決して政治的なスタンスで語り尽くせるものではないということについて、当時、門脇予算委員より言葉が出たものだというふうに思っております。そのような形で、敬意を払いながら答弁をしたいと思います。
 なぜ喫煙率の低下について触れていないのかという話なんですが、確かにご検討をお願いいたしましたときに、議会を初めとして皆様に、あくまで案でございますので、もちろん修正については柔軟に対応したいということは、事前の説明よりお話をさせていただきました。
 私どもとしましては、こちらのものにつきましては、条例案がある程度固まりましたところで、都議会民主党のホームページなどを通じまして、関係者の皆様の目に触れることができるように広報させていただきました。また、その中で、当然のことながらご意見もお寄せいただくというお願いもさせていただきましたし、また、実際に、それを見てご意見をいただいたこともございます。
 また、その中で、ある程度、部分的に修正をしているわけなんですが、まず喫煙率に関してですけれども、この条例に関しましては、第二条の二項に、死亡率の低減目標というものを書かせていただいております。もちろん、こちらの方の最終目標としての死亡率の低減目標というのを漏れなく記入したいということはあったんです。そしてまた、一方で、喫煙率に関しては、最終的にはその死亡率のところを目標として掲げているということは大事だけれども、もちろん、これ自体が禁煙もしくは受動喫煙を防止する条例ということではないので、どこまで書き込むかということについて議論がございました。
 こうした中で、喫煙の方の目標というのも、いろんながん発生のファクターの中の一つというふうなことを考える中で、最終的に死亡率の低減目標というのを入れていこうというふうなことでまとまりまして、その中で、同時に喫煙率の低下、もしくは喫煙率の低下目標というものについては、最終的な死亡率の低減到達ということで包含させていただいたというふうな経緯がございます。
 また、各会派にもご説明しましたし、いろんな団体、いろんな方にもご意見をいただきました、この死亡率低減のファクターについては、自然減、検診受診率向上、喫煙率低下、医療の均てん化などによって達成していくものでありますので、死亡率の低減目標をしっかり定める中で、当然、喫煙率の低下についても目標数値を含め、定めるべきものと考えております。
 さらに、当初、条例案にあった禁煙の推進に関してなんですが、実は、議論の過程の中で、六条の第一項、喫煙、食生活、飲酒、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響等がんの予防に関する普及啓発というのがありますが、そしてまた、第四条の都民の責務もそうですけれども、自分が生活をする上で飲酒や食生活というものに気をつけて、特に食生活については、喫煙と並ぶがんの発生の要因として同程度高いものだというふうにいわれているんですが、こういった生活習慣が健康に及ぼす影響などをきちんと考えながら、自主的に取り組むということをここに書かせていただいております。
 したがって、自主的な部分についての喫煙がここにあった中で、受動喫煙の防止という第七条が、いわゆる禁煙の推進という中で、片っ方の方は自発的に注意するもの、片っ方の方につきましては受動喫煙という、自分では吸いたくないけれども吸わされてしまうという、そういった自分の希望ではなくて、自分の意思ではなく、全く環境によって喫煙をするというのは、少し性格が違うものであろうという議論がありまして、七条の中での禁煙推進については、四条もしくは六条との見合いの中で、どの程度やっていくかという議論がございました。
 また、禁煙を希望する者に対する禁煙支援というのは、禁煙をしたいと思っている喫煙者というのが一定程度おりまして、まさに東京都のがん推進計画の中を見ますと、その人たちがきちんと禁煙することによって、喫煙率が一〇%下がるというような話も載っております。
 したがいまして、まず自分の、なかなか依存的な性格もありますので、自分の意思では禁煙をしなきゃいけない、した方がいい、したいというふうな方がいらっしゃる中で、まさにそれを後押ししていくという部分と、そしてまた同時に、同じように吸いたくないけれども、これをあくまで環境的に吸わされてしまっている人に対して、第七条の中で性格的にまとめていこうというふうなことで、この第七条を修正したものであります。
 したがいまして、事前の説明の中でもありましたように、ある一定程度のご意見を聞く中で、もちろん、示したけれども修正をしないとなりますと、公表する中で、ご意見をくださいといいながら、実際には変えないというふうなことになってしまいますと、当然のことながら、それはアリバイ的な話でありますが、私どもは全くそういうふうな考えではなく、他会派の方も含めてご意見を賜りたいという正直な気持ちから提言をしたものであります。
 修正については、もちろん当初から変更し過ぎてもいけないという、変更し過ぎない方が理想的なのは私ども承知をしておりますけれども、そのような経緯で、より皆さんの意見が包含できるような形で修正を加えたという経緯がございますので、ご理解をいただければと思います。

○遠藤委員 いろいろおっしゃられましたけれども、私、持ち時間、一応あらかじめ決まっていますので、あらかじめ委員長、お断りしておきますけれども、答弁が長いから、予定よりはみ出てもどうこういわないでください。
 がん対策の推進条例である以上、喫煙率の低下が盛り込まれていないというのは、いろいろ、今、説明ありました。ありましたけれども、それが盛り込まれていないというのは、国の方針とも比較してかなり後退している。理由はいろいろあると思います。ホームページを開いて、いろんな団体から、関係者から、いろんな声があったんだと思います。それで修正したというのは、それは御党の考えだから、それはいいと思いますけれども、客観的には後退したイメージがあると、このように思います。
 また、受動喫煙防止についても、都は、健康増進法に定めるもののほかに必要な対策を講ずると、これはあるけれども、こう書いてありますけれども、では具体的にどうするのかということは記載がないわけであります。
 私は、この喫煙、また、受動喫煙の問題、都民生活に深くかかわる問題であると思います。先ほど、喫煙の場合には本人結果だと、受動喫煙の場合には自分が吸わないから特に取り上げたと、このようにいっておったと思いますけれども、私は物の道理からいえば、まず禁煙の推進、これが最初にあって、派生的に受動喫煙防止、これが来るんだと、そう思います。
 火のないところに煙は立たないと、このようなことわざがありますけれども、たばこの煙がないところに受動喫煙はないわけであります。私はノンスモーカーであります。ですから、今の説明は、はっきりいって全く理解できない。全く理解できない。
 また、こうした事柄を何の説明もなく削除してしまうやり方は、そもそも多数の理解を得てがん対策を進めていこうという姿、これが欠如しているのではないかと、あえて苦言を申し上げたいと思います。
 次いで、小児がんについて質問させていただきたいと思います。
 これについては、第十二条に書いてあります。私は、この条例案を見て最も気になったのは、この小児がんの部分であります。十二条には一項から四項までいろいろありますけれども、特にこの三項の小児がん患者の療養中の学習、復学等に関する支援と、このように書いてあります。
 なぜ、小児がん患者について、療養中の学習、そして復学等への支援だけを特出ししたのでしょうか。お伺いします。

○松下委員長 簡潔にお願いします。

○斉藤委員 小児がんにつきましては、特出しをした部分ですが、小児がんというのは、がんの種類の中で、小児がんというふうなことで分類できるがんというのは割と限られております。
 ただ、小児がかかるがんというのは、白血病を初め脳腫瘍、骨肉腫など複数ありますけれども、必ずしも小児だけかかるものではなくて、割と成人になってからも罹患をする場合が多いものですから、これはもちろん小児という、また、成人という区切りをするんではなくて、このがん医療の充実の中で、小児もかかるがんについて、対策を含め研究を進めていくというふうに考えました。
 ただ、小児の場合は、その十二条の中に、小児がんの患者の療養中の学習、復学等に関する支援とありますが、十三条につきましては、社会生活上のという中で、就労支援などについても入っています。当然、小児については就労というふうになりませんが、逆に、教育に関しては、義務教育の場合に復学できないということはないわけですが、復学をスムーズにしたり、もしくは退院から登校までについては、自宅で療養しながら戻るというふうなことも考えております。
 そういった教育を受けさせるというものについては、我々大人は教育を受けさせる義務がございます。また、子どもは教育を受ける権利があります。そういった点からすれば、成人の就労とは少し性格を異にするものと考え、この小児がん患者の療養中の学習、復学というものについて、治療、研究については医療の充実の方に含むとして、ただ、この教育に関しては、やはり小児がん患者の特有の課題として、こちらの方に提示させていただきました。
 以上です。

○遠藤委員 小児がん患者、小さいお子さんですから、文字どおり、療養中の学習、復学というのは大変重要であるし、私はそれは否定しているわけではありません。
 今、委員の方からお話ありまして、小児がんというのは、白血病、脳腫瘍、悪性リンパ腫など、依然として子どもの病死順位第一位であって、年間約三百人のとうとい命が失われているということであります。
 ただ、最近の医療技術の進歩によって、昔は不治の病とされていたわけですけれども、おおむね現在では七割以上の方が長期生存をされるという、こうしたデータがあるわけであります。そういう意味では、療養中の学習、復学に特化するというのはいかがかなと思います。
 具体的に申し上げますと、仮に病気が治癒した場合でも、発育、発達の障害や臓器の障害など、晩期の合併症を発症することがあるわけであります。さらに、これは小児の患者さん個人にとっては、今お話にもありましたけれども、将来的な進学、進路の問題もありますし、さらには就職、または女性であれば出産という、こうしたケースも当然あるわけであります。
 一方、その家族にとっては、長期の入院による家計の負担、または、小児がんは特殊な病でありますので、それに関する相談、また、残念ながらお子様が亡くなった場合には、子どもを亡くした家族へのハートを中心とする支援、さらには小児がんの理解と偏見をなくすための広報など、さまざまな課題があると思います。
 まさに、患者、家族に長期的かつ多岐にわたる支援をすることが必要だと私は思います。
 国が検討を進めています小児がん拠点病院の整備については、都の医療機関がその一翼を担うことは間違いないと、私はこのように思います。国が全国的な視点で方針を打ち出すのをただ待つことなく、都の体制整備について検討を開始する必要があると、このように思います。
 こうしたことから、私たち都議会公明党は、平成二十一年第三回定例会の代表質問で、この小児がん対策の充実を取り上げ、都においては、次のがん対策推進計画に、小児がん、これをしっかりやるということを明記して、重層的に取り組むべきことを求めております。
 その際、私は小児がん患者の家族にもお会いしてまいりました。本当にさまざまな不安や、また、困難に直面している。学習、復学も確かに重要な課題でありますけれども、なぜそれだけが条文に掲げられているのか理解ができません。
 都は、現在策定中の国の計画を踏まえて、平成二十五年三月を目途にがん対策推進計画を改定すると、このように聞いております。次期計画の策定に当たっては、東京都がん対策推進協議会における課題ごとの検討を進め、都民の意見を募ると、このようにしているということで聞いております。
 小児がん対策については、新たな施策の展開が求められることから、我が党の提案を受け、福祉保健局は検討を開始したと、このように聞いております。十分に検討し、議論し、東京にふさわしい小児医療体制、小児がん対策、これについて次期計画に明記して、着実に推進していくことこそ重要であると、このように思っております。
 最後に、がん登録についてお伺いをいたします。
 これは十四条であります。もう既にご案内のとおり、がん登録については、医療機関が行う院内のがん登録、そして、都道府県が主体となって行います地域がん登録、この二つがあるわけであります。
 十四条にはがん登録の推進に関する条文がありますけれども、ここでうたっているのは、果たして院内がん登録なのか、それとも地域がん登録なのか、明らかではありません。これについてどう整理をされたのか、お伺いしたいと思います。

○斉藤委員 がん登録に関してのご質問であります。
 ご存じのように、がん登録につきましては、院内がん登録、地域がん登録、あと、場合によっては臓器がん登録というのもあるらしいんですが、これについてはかなり研究的な意味合いも強く、主に知られているのは、院内がん登録及び地域がん登録ということであります。
 今回、このがん登録というものについて、もちろん、この条例文策定の際に、議論した際に、院内がん登録と地域がん登録、最初はちょっと分けて表記をするようなことも考えておりました。
 ただ、院内がん登録につきましては、実際に地域がん登録を実行した場合に、既に拠点病院では院内がん登録ということは行っておりますし、また、東京都の方も、各病院の院内がん登録についての一定程度の基本的な形というものの統一というものについて、かなり苦労されているというふうに私どもは聞いておりましたので、こういった拠点病院の部分については、院内がん登録と地域がん登録の活動が一部重複をする部分があるというふうなことで、二つに分けるということについて議論を重ねてまいりましたが、実際に試行錯誤する中で、この条例の文言としての表現について、都民にわかりやすい表記というふうなこともあって、あえて分けなくても問題はないというふうなことの、また、この条例文としての解釈についても行き当たりまして、最終的にこのような表記にさせていただきました。主なものとしては地域がん登録を意識しておりますが、一部、院内がん登録についても含まれているということで、このような形にさせていただきました。
 以上です。

○遠藤委員 今、答弁ですね、都民の理解を得やすくするために、院内がん登録と地域がん登録を分けなくていいと、そういう判断をしたと、間違いないですか、それ。そういったと思いますけど、そう理解……どうですか。

○斉藤委員 再度答弁いたします。
 都民にわかりやすい表記というものを目指したものであります。
 ただ、この条例の文言として、あえて分けなくても問題はないということがありましたので、私どもとしましては、このがん登録というふうな形にさせていただきました。

○遠藤委員 私はそれは大いに異議があると思います。
 というのは、地域がん登録と院内がん登録、それぞれの課題があって、それぞれの課題について、医療現場では、また、それぞれ個人的にも、それぞれをどう向上させようかということで現場は一生懸命やっていますよね。だけど、それなのに、東京都が出すその条例で、都民に理解を得やすいというその理由一点をもって、院内がん登録と地域がん登録を分けないというのは、これは私はむちゃくちゃだと思いますよ。
 地域がん登録は、がん対策を総合的に進めていく上で重要な要素であることは論をまたないわけであります。しかし、さっき答弁もあったかと思いますけれども、医療機関に届け出義務はなくて、マンパワー不足の理由から院内がん登録の整備が不十分であると、こうしたことも実際に課題として上がってくるわけです。
 御党も、私、記憶定かではないですけれども、いかに地域がん登録を拡大するか、そのためにどうすべきかというのを、さまざま、御党は真剣に提案をされてきたと思うんです。その中にあって、今の、都民理解のために両方一緒でいいと判断したというのは、私は大いに問題ありだと思います。
 繰り返しになりますけれども、我が党は、地域がん登録の推進について、これまで国に法制化を強く求めてまいりました。そのかいもあって、先日、国の次期がん対策推進基本計画には、がん登録の法的位置づけの検討も含めて、がん登録の精度向上について記述が盛り込まれたわけであります。
 私は、最優先すべきことは、都道府県単位の条例制定ではなく、まず国が全国統一のがん登録の制度を構築することであると、このような考え方のもと、さきの代表質問でも、都として国にこのがん登録の法的整備を強く求めていくべきであると、このような提案をさせていただきました。
 短い時間でありますけれども、以上、禁煙の推進、そして小児がんのいわゆる取り扱い、そして最後のがん登録と、これについて、条例に基づいて一つ一つチェックをしてまいりましたけれども、分析をしてまいりましたけれども、どうも一つ一つの点について、国の動向ですとか、または都の実情、さらに患者、家族の意向を踏まえて十分な検討がされたとは私はとても思えない。
 さきの吉住議員の発言にもあったように、都独自の、東京都認定がん診療病院の整備は、全国に先駆けて、私たち議会、これは民主党さんも含まれております--私たち都議会と行政が築き上げた取り組みであります。こうした東京の特性を生かした、東京ならではの取り組みを次期計画にも盛り込み、推し進めていかなければならない、このように思います。
 我々議会が今なすべきことは、我々議会の衆知を集めて、現行の都のがん対策推進計画をより効果的なものにすること。いいかえるのであれば、この計画を絵にかいたもちにしてはならない、そのための努力を尽くすことであって--屋上屋を架すような条例、また、今の議論で明らかになっておりますけれども、大変不備が多いです。
 この条例を制定することはないと、このように表明して、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○大山委員 がんは、全国的にも、東京においても、以前から死因の第一位で、日本人の三人に一人はがんで亡くなる状況となっています。
 このような中、以前、国は三次にわたる対がん戦略を策定して推進していましたが、その取り組みは、欧米諸国に比べ、大きく立ちおくれていました。また、東京都もその当時、自治体としての総合的ながん対策の計画方針さえ持っておらず、対策の抜本的な充実強化が求められていました。
 こうした問題意識から、私たちは、二〇〇四年二月、宮城県で在宅ホスピスケア推進事業について聞き取りを行い、同年八月には大阪府庁及び府立成人病センターを訪ね、地域がん登録を初めとしたがん対策事業の調査、視察を行いました。
 さらに、国の動向を初め最新の情報を入手、分析しながら、都議会で提案を進めてきました。がん対策推進の基本条例についても、二〇〇八年度の予算要望以来、条例の制定を要望してまいりました。
 ですから、私は、提案されました条例をよりよくする立場で、幾つか質疑をしていきたいと思います。
 予算特別委員会で、先ほどから話題になっていますけれども、大阪府の条例に学んだとおっしゃっていました。やはり大阪府立成人病センターが全国でも先進的に頑張っていて、地域がん登録なども、二〇〇四年に私たちが伺ったときには既に充実した内容で実践されていました。このような現場での積み重ねがあるからこそ、見本にするべき条例となっているのではないでしょうか。
 まず、患者への支援です。
 がんにかかるということは精神的にも大きなプレッシャーですし、仕事が続けられるかということも含め、経済的な負担も大きいものです。せめてお金の心配を軽減して治療に専念できるようにするということは重要なことです。
 見本にされたという大阪府の条例は、患者等の支援として、その十六条に、府は、がん患者の療養生活の質の向上及びがん患者の身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安その他のがんに伴う負担の軽減に資するため、医療機関等と連携し、次に掲げる施策を講ずるものとすると、府の役割を明確にして、患者、家族の支援として、相談体制の整備、患者、家族等で構成された団体の活動への支援、就労への支援、ここまでは、提案された条例では、大阪府の条例と内容的にはほぼ同じです。その後に、大阪府の条例は、がん患者の療養生活の質の維持向上及びがんに伴う経済的負担の軽減に関し必要な施策と明記しています。
 経済的支援は療養生活を送る上で非常に重要だと思いますけれども、なぜこの部分、条例案に入れなかったんでしょうか。

○斉藤委員 がん患者の経済的負担に関する質問でございます。
 現在、既存の制度を使って、かなり、もちろんがんに限らない場合も多いんですが、実際に病院の中で、経済的な負担の軽減ということに取り組んでいるという部門がございます。
 また、第十二条については、がん相談支援センター、こっちの整備、こちらの方が入っておりますが、がん相談支援センターにおいて、これは一般の病院ですと医療相談室などにおいて、経済的な負担の軽減という手続について、医療ソーシャルワーカーを中心にアドバイスをしておりますが、がん相談支援センターについても、同様にさまざまながんの療養に関する相談ということを受けております。
 また、その中で、経済的な負担というものについての軽減、もしくは就労に対する相談というのも一部行っております。これにつきましては、がん相談支援センターに関する資料などはこのセンターの方から出ておりますが、その中の一つの事例としても紹介をされております。
 既存の制度を使った中での経済的負担の軽減ということについて図っていきますが、一方で、そこの制度にたどり着くまでが一番難しいところであります。そこにつきましては、この相談支援センターを活用した療養生活の質の維持向上というふうなことで図っていきたいと考えました。
 ただ、就労に関しましての経済的な向上の、もしくは維持については、社会生活上の不安の軽減という第十三条において述べさせていただきますので、この二つの点をあわせて経済的な維持向上ということに、私どもはここに包含させていただいたというふうな結論に至っております。

○大山委員 既存の制度を使うということなんですけれども、せっかくがん対策推進条例をつくるのですから、やはり重要だと思うから既存の制度を使うとおっしゃってるんでしょうから、きちんと、せっかく見本にしたのは明記してあるわけですから、経済的な支援についても明記した方がいいと思います。
 事業者の責務についてなんですけれども、これについても、提案された条例案でも項目としてはあるのですけれども、その内容は、従業者にがん検診の重要性についての啓発と受診の勧奨にとどまっています。
 例えば、鳥取県や、群馬県や、秋田県や、京都府や、大分県や香川県、この六県は、事業者の責務について、がん検診を受けやすくすることを初め、従業者が罹患したときの治療や療養の保障と、状況に応じて就労を継続できるような環境を整えること、また、家族が罹患したときには看護できるように環境を整えることなどが中心です。
 啓発、受診勧奨にとどまらず、従業者及び家族の治療、療養、看護の保障と、状況に応じた就労の継続こそ事業者の責務として入れることが必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○斉藤委員 事業者の責務についてということであります。
 この事業者の責務として、がんを患ったときに休みをとれるとか、看護のために休みをとれるようにするとか、そういった部分も含めて、この事業者との関係というものもございます。
 委員ご指摘のとおり、がんを患ったために仕事がなくなるというようなことがないようにしなければなりません。京都府においてはそうした規定が置かれたということで、個々の規定について、京都府のことを参考にしながら、どうすべきか、私どもも検討いたしました。
 特にこの問題については、長期の入院、長期の外来での通院加療、病気休暇がふえ、手術や化学療法による容貌の変化や体力低下、身体機能の低下など、就労を継続する上での困難が発生し、閑職に追われたり、自主退職をせざるを得なくなるということがあるということも私どもは聞いております。
 もちろん、事業者、雇用者が労働関係法規を遵守し、病気療養に対する合理的配慮をしていただくことが欠かせませんが、同僚の理解、さらには、医療でも体に負担の少ない、いわゆるオーダーメード医療、土日や夕方からでも受診できる外来等の推進によって、変わるもの、調整できるものがあるかと思います。
 したがって、事業者の責務として独立して定めるのではなく、医療の推進、療養生活の質の維持向上、社会生活上の不安軽減、都民運動の推進の中に含めて考えさせていただきました。確かに委員ご指摘の点については、がん条例の制定によってしっかりと推進していくべきものと考えております。
 具体の文言に関して、またご意見を賜れればというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

○大山委員 せっかく独立して事業者の責務というのもあるわけですから、やはりきちんとやった方がいいというご意見ならば、きちんと書いた方がいいと思います。
 がんの研究なんですけれども、これ、欠かすことができません。研究の推進は、大阪府と京都府が明記しています。大阪府については、希少がんや難治性がん等がんの本態解明、革新的ながんの予防、診断及び治療に関する方法の開発その他の先進的な医療の導入に向けた研究について情報収集するとともに、その研究を促進するために必要な施策を講ずるものとするというふうに、本態解明、予防、診断、治療と、全面的な研究を位置づけています。
 東京ですから、人口も集中しているこの東京としては、やはり研究をしっかりと位置づけることも非常に意義あることだと思いますが、いかがでしょうか。

○斉藤委員 がん研究に関してですが、私どもは、がん医療の充実、第九条の四項の中に、希少がん、難治性がん等がんの本態解明、がん並びにその起因要素となる生活習慣病及び遺伝病の予防、診断及び治療に関する方法の開発その他の先進的ながん医療の導入に向けた研究の促進という文言を入れさせていただきました。
 若干その表現の部分では変わっていますが、条例については詳細についての包含ができる体系をとるというふうなこともありますので、この四項としてまとめさせていただきました。

○大山委員 これが研究に位置づけられているんだということなんですね。より充実させていく必要があると思います。
 と同時に、先ほども小児がんの対策も質疑されていましたけれども、肝炎肝がん対策や女性特有のがん対策、そして小児がん対策などを取り出して、個別の対策を条例に明記しているところもあります。県もね。
 肝がんの場合は、肝炎ウイルス検診を受けることによって発病しにくくする対策がとれるということもありますから、取り出して、肝炎肝がん対策ということを位置づけるということの意義があると思いますが、これについてはどうですか。

○斉藤委員 今、肝がんの事例を挙げて、個別のがんについての話ということでありました。
 また、私どもにつきましても、このがん条例をつくる中で、例えば、歯科医師の先生方などは、やはり口腔がんというのが自分たちの仕事の中で非常に身近ながんであり、その発見をできるようにということで努力をされてたり、また、私も、知り合いの、同じ四十代の知人が膵臓がんで、発見されてから早期に、数カ月で亡くなっているというようなことがあって、皆それぞれ、かかわった者が、それぞれ自分の身近ながんにおいて特出しをするということの想定もされました。
 ただ、ご存じのように、全細胞に関して、ほとんどの細胞でがんは発生する可能性があります。その部分でいえば、すべてのがんにおいて、それぞれ思いがあるというのも事実であります。
 また、特に大阪府のところについては、先ほど予算委員会での話も出ましたが、大阪府については参考にさせていただきましたけれども、この中に肝がん、肝炎の部分がございました。大阪府につきましては、肝臓がんの死亡率が大変高いということもこの大阪府の中のデータで私どもも伺っておりまして、そういった中で、大阪府の事情というものが反映されたものかなというふうに思っております。
 ただ、今申しましたように、東京都につきましては人口が多く、また同時に、多少、数として少ないがんであっても、相当数、そのがんについては患者さんがいらっしゃる。その中で、そこを特出しするという部分について、どこまでが適切かという議論をさせていただきました中で、この希少がん、難治性がんも含めたがん研究という形で、がん治療、がん医療ということで包含をさせていただきました。そのような背景がございます。ご理解いただければと思います。

○大山委員 すべてのがん、あるわけですけれども、肝がんをというのは、肝炎ウイルスの検診を実施すれば、なるべく発病しないようにできるということがあるので、特出しをという提案をしたわけです。
 見直しのことなんですけれども--見直しじゃなくて、附則に検討ということで、四年以内に検討を加えることが書かれていますが、具体的にはどのように検討するのかということと、四年以内となっていますけれども、よりよいものにということでは、できるだけ早く見直すということが求められていますけれども、どうでしょうか。

○斉藤委員 確かに見直しについては、必要に応じて、もうちょっと早いサイクルでということでありますが、今回、四年を目途にというふうな形ではなくて、四年以内というふうなことで若干幅を持たせております。
 これについては、がん医療についても、さまざまに、今までの医療の基本的なものについて、若干、時期が来れば変わる場合があるということは、当然、私どもも考えております。
 ただ、余りサイクルが早過ぎますと、ちょっと条例として、しょっちゅう改正、頻繁な改正というふうなことを視野に入れなければいけませんので、ある程度、四年以内ということで、二年でも三年でも、ある程度、必要に応じて変更ができるような形に、検討の結果、させていただきました。

○大山委員 二年でも三年でもということですけれども、今もいろいろ会派から提案が出ているわけですので、そんなことも含めて、四年以内ということで前倒しをしてということも考えられると思います。
 検討して、所要の措置を講ずるとなっていますけれども、所要の措置というのは、条例そのものの見直しも含まれているという理解でよろしいんでしょうか。

○斉藤委員 今、大山委員おっしゃるとおりでございます。

○大山委員 簡潔なご答弁ありがとうございます。
 見直しには、がん患者団体だとか、当事者の意見を広く聞くことがとりわけ大事だと思いますけれども、その点についてはどうですか。

○斉藤委員 そのとおりでございます。
 今回、都民の意見や当事者の意見というのは非常に大事だと考えております。また、現在もがん対策推進協議会の方については患者団体代表が入っておりますが、それに加えて、この条例の中に入っています都民会議、いわゆる広報広聴活動というようなイメージでいいかと思いますが、都民会議の開催、さらには都民運動の推進によって、医療者と患者、あるいは、まだ患者ではない都民との意見交換や相互理解を進める、都の施策に対しての理解を求めたり、また逆に、都の施策に対する要望も反映されるべきだと、また、されていくものだと考えております。
 いまだにがん難民といわれているような、治療や説明に納得できない、また、家族の死後も後悔を抱えて苦しみ続けるという方がいらっしゃいます。医療の側に変わってもらわなければいけないというふうに考えている方もいらっしゃいます。
 双方がよく理解し合えるようなコミュニケーションの場、機会をふやし、建設的な関係を築くことが、都民、患者、または医療関係者にとってのこれからのがん医療向上につながるのではないかと考えておりますが、今回の条例につきましても、がん患者の団体の方にも意見を当然いただいて、文言の部分のチェックをしております。
 以上でございます。

○大山委員 まずは条例を設置し、前へ進めて、都民、とりわけ当事者、関係団体などの皆さんと一緒に、今後さらに改善、充実させていく立場であるということを述べて、終わりにします。

○野島委員 私が最後ですから、冷たい目線は承知の上で、三十分ということで終わらせたいと思いますが、質問取りには応じましたけれども、答弁の骨子、聞いておりませんので、ちょっと時間はどうなるかわからないということを、あらかじめ委員長、了承しておいてください。
 それで、まず端的にお聞きしますが、これは執行条例だというふうに思いますが、執行条例という位置づけで間違いはございませんか。

○斉藤委員 この第一条に書いてあるとおりでございます。

○野島委員 後ほどお聞きしますが、第一条に書いてあるとおりというのは、執行条例というのは、法令に根拠を持つか、法令に根拠を持たないけど都が独自にやっていくのか、こういう枠組みがまずできるんですね、条例というのはね。
 それで、書いてあるとおりというのは、等という表現が使ってあるのね、等と。予算執行していく上で、条例に基づいてやりますよという、等のところがぼやっとしてるというのはまず考えられないと。ここはここでいいです。
 実は、行政法規というのは、僕はいつも思っているんだけど、砂をかむような味気なさだと思ってるんです。物すごく。だから、さっき提案理由を聞いて、それから、今、条例の個々のやりとりをお聞きしました。これ、みんな、なるほどな、なるほどな、なんです。もっともだということに尽きちゃうんですね。ところが、条文になってきたときに、極めて無味乾燥な条文になっちゃうわけですよ。
 だから、逆にいうと、そこに含まれていますとか、これから類推してくださいとか--しかし、行政執行はそうはいかないんだね、これは。予算の裏づけは何ですかと聞かれたときに、条例なのか、あるいは、ただ単なる補助要綱に基づくものなのか、こういういろんな予算づけが出てきます。しかし、予算の裏づけのない条例は、長は提案してはいけないというのは地財法にも書いてあるんですよ。自治法には、議会は条例提案できますと、これも書いてあります。
 だから、その辺、行政実例としてどうなのかなということが非常に重要なポイントだというふうに僕は思っているんですよ。議会提出議案として出すときにね。
 そこで、今、実はここで、施行規則は都が定めなさいと、要するに執行側が定めなさいと、こういうことだよね。この条例が成立いたしますと、仮に成立したとして、これが執行側に送られます。執行側に送られて、執行側がわかったということでやる場合には、東京都知事の告示か公示、そういう行為をもって、本条例は東京都という団体の意思になるわけです。今さらなことをいうようだけれども。
 そうしますと、私どもは、都議会民主党が提案したがん条例は、具体的に政策としてこういうものを求めていますよというふうなところが知りたいわけ。そこで、施行規則の概要でも示してくれといったわけです。何も文章にしなくてもいいから、概要でも示してくれよというふうに質問取りに応じたわけですけれども、その辺は概要をできれば文書で示してほしいというふうに思っておりますが、その辺はどうなんでしょうか。

○斉藤委員 表現につきましてはどうしても無味乾燥になってしまうというふうな部分については、野島委員、大変含蓄がある、ねぎらいのような発言に、大変ほっとしております。
 質問の、施行規則について、文書でなくても、ある程度知りたいというふうなご要望についての問いでございますけれども、条例につきましては、今回、施行期日については十月の一日ということで、当然、私どもとしましては、施行日までに規則ができていれば了とされるということについても確認をしておりますし、また、条例によっては、規則ではなく運用で実態化されるという場合もあるというふうに聞いております。
 先ほど委員会の予算審議の中で、大山委員と東京都のやりとりの中で、この規則と条例のやりとりなどもございましたけれども、私どもとしましては、この条例と、必ずしもその規則というのはセットではないというふうに理解をしておりましたので、そのようなことで、条例の方を出させていただいたということでございます。

○野島委員 よくわかりました。よくわかりましたというのは、私は、その答弁が執行側の答弁であれば了とするんです。ただ、執行側はこういう条例出しますよと、考え方はこういうことに基づいてますよと、具体的にはどういう施策をしますよというのをやりとりするんです。多分、委員会なり本会議でも。いわば、それが規範となって、こういう条例出すけど、議会の皆さんの意見がこういうふうな形で帰ってきて、それも含めて施行規則なり何なりやっていって実効性を担保するというのが、これが行政の手続ですよ。
 そうすると、僕は、だから文章で示せなんていってない。大綱だけでも教えてくれと。例えば、市町村との協議はどうするのか。それから、仮に百歩譲って、いろんな意味で個々の条文から出てきなさいよと、こういうことでありますけれども、今までの答弁を聞いてると、その辺の条例からにじみ出てくる部分というのは、具体的な施策というのはないんだよね、残念ながら。
 そこで、民主党の代表質問がありました。結びは、東京の特性に合ったがん医療、療養対策を進めたいということの条例の必要性ですと。これはさっきの提案理由でもその旨、述べられたわけです。その中でいっているのが、死亡率の引き下げの目標のさらなる低下だと。これが一つ。
 それから、喫煙率の低下の目標値の設定がないじゃないかと。今の計画の中にはね。
 それから、緩和ケアとか、がん登録がどうのこうの伺ってますが、私は、こういうことからすると、類推解釈として、東京都のがん条例にないものをくっつけていくんだよと、横出ししていくよと、あるいは上乗せしていくよということであれば、この辺はさっきの質疑にもあったけれども、明確に打ち出さなければ、この条例の提案理由をなしていないんです。
 それから、そのとき局長、答弁してるんだよね。要するに、今まで都が計画した、推進した施策や国の動向を踏まえて、都の特性を反映した数値目標やその達成に向けた施策について検討し、来年度改定をいたします推進計画に定めてまいりますと。
 いわば、行政側としては、このがん条例に関するもの、がん条例に関するものというか、がんに対するものは、この計画の推進の精度をさらに上げることによってがん対策をやっていこうというのが、僕は、行政側の今の態度だと思うんです。
 それはなぜ正しいかというと、これだけいろんな関係者がいる、あるいは別の法規がある、したがって、そういうものを包含した形で計画という中で位置づけておくことによって推進していく方がより効果的だという、こういう前提に立っての答弁だというふうに僕は勝手に推測しているんですよ。異論があったらいっていただければ結構でありますが。
 それと、あと一つ、これは新聞記事の引用だけで申しわけないんですが、予特の総括質疑で、手がたい目標値の設定を行い、まじめに取り組む姿勢は理解しますよと。それから、議員の立場からすると、伸びしろを多く見積もって、ある程度チャレンジングな姿勢で目標を掲げることも二元代表制の中で必要だと、こういうことをうたっているわけです。それが今回のがん条例を提出することですよと。
 そうしますと、私は、議会の立場からするとということは十分理解できます。今の自治法なり行政実例の中で、実は議会が条例提案することは大変なことなんですよ。生半可じゃないという、そういう大きな意志があるという前提で、議会の議員の立場からするとということになっているんですね。局長の答弁は本会議と同じでした。
 いわば、法があって、それに基づいて法定計画でがん対策推進計画による施策の充実を図っていくよと。それで、改定の時期も来年度ですか、二十五年度から新しい年次に入っていくわけですね。そういうことでさらに前進していくという、こういう当局の立場を私は了としているんです。
 それで、さっき執行条例かどうか聞いて、答えいただいてたかな--執行条例だよね。それで、執行条例ですから、やっぱりある程度、具体的な話できちっと答えてもらわないと困るなというふうに思っておりまして、今まで聞いていたんです。ただ、具体的な話はありませんでした。包含をしていますと。ここと、ここと、ここと、ここと、ここで読んでくださいよと、こういう話でございまして、これは正直なところ、執行側に送られて、知事が再議に付さなくて、このとおりやれといわれたときに、執行側は仕事のやりようがないんだよな。仕事のやりようがないんですよ。都の独自の施策を。経過がいずれ入ってくる部分は別ですよ。民主党さんは何を考えてこの条例を出したんだろうという憶測、推測だけで、いや、この条文じゃないか、いや、あの条文じゃないかと、いや、それはあのときの議会答弁の中に入ってくるよというふうなことになっちゃうんだよね。
 したがって、私は原理主義者といわれているところがあるんだけどね、第一条に等という話が出ているんですけれども、この、等というのは何を意味しておるんでございましょうか。

○斉藤委員 ありがとうございます。第一条に、これ、基本法等とありますが、この表記については、もちろん、がん対策基本法のほかに、健康増進法、さらに医療法、介護保険法などの関係法令が入っていると私どもは考えております。

○野島委員 わかりました。要は幅広いいろんな法律があって、それらを踏まえた計画をつくるという当たり前の話だと思うんです。ところが、条例が成立しますと、その根拠を求められるんですよ。それで、法令には上位法があって、それを受けて計画なり、あるいは都が条例を持っている部分もありますよね。それから、そういうことじゃなくて、補助金の要綱なり、補助金交付細則なり、その中でやっていくケースもあるわけですね。
 それで、等というふうなもので、そういったふうな法律を指しているわけですか。そうすると、がん対策基本法等の等の中には、これは、都の持っている推進計画がありますね、今。それは含みますか。

○斉藤委員 条例そのものについては、その基本計画を参考にする部分が多分にございますが、この第一条の表記に関していえば、法律を前提に、この、等の中に法律を含めておりますので、計画そのもの--法律をこの、等というふうなことで、複数の法律を入れさせていただいております。

○野島委員 僕が聞いたのは、推進計画を東京都が今持ってますよね。その推進計画というのは、この、等に入りますかどうかということなんです。入るなら入る、入らないなら入らないと。

○斉藤委員 この計画につきましては、第一章の第二条の都の責務の中で、その位置づけ、その計画との関係性についての説明をしております。
 第一条のこの、等については、計画ではなく法律を含んでおりまして、計画をこの中では含んでいないというふうな形、等の中に含んでいないということです。

○野島委員 ちょっと質問するのに不明で申しわけないんですけれども、国の基本法の中には、都道府県のがん対策の推進計画を策定しなさいというのがありますよね。たしかあるはずですよね。それで、基づいて法定計画をつくったわけでしょう。その法定計画を外しちゃうということになると--外しちゃうんでしょう。入んないんでしょう、推進計画は。
 さっき、等の範囲で法令を挙げたから、その法令の中のがん対策基本法という国の法律があるんだけれども、その中では都道府県がつくりなさいよという義務づけをしているわけだよね。その計画というのは、入るんですか、入らないんですか。

○斉藤委員 基本的に、そのがん対策基本法の中に、確かに各都道府県についてはこの計画をつくることというようなことで書いてあります。
 もちろん、この基本法についてのっとっていれば、この計画そのものに対して、当然のことながら、この基本法に基づいて計画をつくるということについては、私どもも了としております。
 ただ、その基本計画そのものを、この条例については、がん基本法等の趣旨を踏まえという中の、等の中に、この計画の、実際に東京都のがんの計画の中身について、その趣旨を踏まえるかといわれれば、法律の方の趣旨を踏まえるというふうに考えております。
 以上でございます。

○野島委員 法の読み方というのは、おれが改めていうまでもなく、いろんな類推解釈だとか、反対解釈だとか、いろいろあるわけよね。文理解釈というか、条文を素直に読んでいくと、都道府県はつくりますよと。今回は、この等にはそれは入っていませんと。したがって、東京都のがん対策は、どっちが、例えば、この条例が優先するのか、いや、基本計画なのか、あるいは、基本計画とこれは、一体じゃないな、並行してやるものなのかと、これがわからないんです。行政執行の中で。
 聞いてる意味、おわかりいただけますか。おれもよくわからないで質問してるから悪いんだけど。

○斉藤委員 それでは、基本的に計画の上位に条例が位置するものと理解をしております。計画には詳細が書いてありますが、それに対して、条例はそれらを包含する位置づけにあるというふうなことで理解をしています。
 ゆえに、計画の方向性が条例と異なっているということがないようにしていくことが必要だと思っていますし、また、計画と条例の方向性が違う場合には、計画を直さなければならないというのが原則論なんだろうというふうに思っています。
 そこから手かせ足かせになるといったご指摘をいただくということに当然ならないように注意するというのが大事なわけなんですが、本条例案に限っていえば、方向性として異なるものを意図してつくっているものではございません。
 大変、繰り返しになって恐縮ですけれども、この条例を制定することによって、都民にも、がんのさまざまな対策、さらにはがんの要因、予防施策などについて浸透させて、がん対策を一段と加速させ、そして、拡充することを目的としてご提案させていただきました。
 以上でございます。

○野島委員 後の話は、さっき提案理由で聞きましたから結構です。
 私がこだわっているのは、法体系の中でどういうふうに位置づけるんですかと。こういう位置づけがあるから予算がつきますよと、こういう位置づけがあるからこういう細則を決めますよと、こういう位置づけがあるから、例えば、ほかの法律との関係で条例ができた場合に、がんに関してはこれが特別立法になるわけだよね。特別にこれが優先するわけですよ。そのほかの条例との整合性がどうなのかということも当局というか、執行側が考えなきゃいけない。だから、等という意味を聞いたわけ。
 極めてファジーな形でしか答弁がないんだよね、残念ながらね。含まれるのか、含まれないのか。基本計画が、がん対策推進計画が、含まれないなら含まれないでいいんですよ。含むとするのか、含まれないとするのかということだけを確認したい。
 全体のムードの中で含まれてるか含まれてないか判断してくださいといわれたって、これ、判断のしようがないの。条文だから。

○斉藤委員 先ほど答弁の中で少し説明させていただきましたけれども、計画に対して、条例はそれらを包含する位置づけにあるというふうな形でございます。この計画、そういう意味では計画が含まれているということでありますが、この、等の中に含まれるかどうかという部分については、法律の方を基本に考えております。
 ただ、この法律の中に、がん対策基本法の中に計画をつくるというふうなことで入っておりますので、そういう意味で、この計画よりも上位に位置しているというふうに理解をしております。

○野島委員 全体の雰囲気の中で考えろと、こういう答弁のようでございますけれども……。要は、等に入ってませんよと。したがって、その、等は、これから、この推進計画によるですか、がん対策推進計画に基づき、こういう施策をしなさいよということですな、第二条は、都の責務は。そういうことだよね。そうでしょう。
 含まれるといった途端に、これが上位法になっちゃうわけだよね。計画のね。含まれないというと、都単の事業をやっていくようなものなのか、いや、条例とこの計画がパラレルというのかな、二本立てでやっていきなさいよと。そうすると、都単事業というのが出てくるだろうと、さっきの、僕が代表質問と予算の総括の話を聞いていて、ちょっとつけ加えたわけなんだけれども。そうしますと、いわば、さっき吉住委員の方から都の独自性、特色ということがありましたけど、これは書かれていないと。
 それから、一つは、行政間連携の話だと思うんだよね。行政執行というのは、ただ単に都がやる、あるいは都が押しつけるということじゃないので。
 答弁を聞いていると、自治体をリードせよと。それはもう広域自治体として当然のこととして受けとめるんですが、ある種、都単独事業を展開せよみたいなニュアンスの話が答弁の中であったわけ。ニュアンスですよ。今、正しく議事録、見ていないから。
 そうしますと、それは何を想定しているのか、そんなところをお伺いいたしたいと思います。

○斉藤委員 第十五条の方にも載せておりますが、がん都民会議、または第十六条、都民運動の推進という部分がございます。これにつきましては、内容によっては市区町村の方と協力をするという部分はありますけれども、一方で、東京都の方として独自で動く部分も発生するというふうに思っております。

○野島委員 うん、それはさっきの答弁で聞いたわけ。そうすると、どういう効果が、効果というか、問題が出てくるかというと、さっき吉住委員いったように、行政体というのはそれぞれなんですね。広域自治体として都が単独事業としてやるというなら、それはそれですっきり読めるわけ。ところが、実際問題としてはそういうケースというのはないんで、例えば補助事業やるにしたって、これ、補助裏どうするかといったときに、市町村というのは大変苦しんでいるわけですよ。そういう中でどうするのか、人的にそれを担保できるのか、こういったふうないろんな課題があるというのが一つね、さっきの質問聞いてて。
 それから、喫煙率の関係、さっき遠藤副委員長の方でお話がございました。これは、なるほど、等を踏まえればそうなるんだろうというふうには思うんです。つくりとしてね。ところが、やっぱり行政執行というのはそういうわけにはいかないんだよね。だったら、これ、別表で起こすとか、その辺の工夫というのは、僕はあってしかるべきだろうと。別表で、第一条にいうがん対策基本法等は、これこれこれこれ、これこれこれこれと読みますよと。
 だけれども、現実に施策をやっていく中で、等というファジーな表現で条例をつくるというのは、あいまい過ぎちゃうんじゃないかなというふうに思います。それは見解の違いじゃないんです。
 あと一つ、お伺いしたいんですが、これからの東京都のがん対策については、計画の見直しをしたりして、より一層充実させ、拡大をしていきますよと。そのことが、がん対策として、条例をつくるよりもより実効性の高い行政執行を担保できる、予算の裏づけも担保できる、そういう事業になりますよというふうな趣旨の、今までの当局側の説明だというふうに、私、受けとめているんですが、それでよろしゅうございますね--はい。
 それで、規則を執行委任しているんだよね。議員提出条例ですから、細々したことや規則についていうというのは、いささか私も申しわけないと思っているんですけれども、これは、冒頭あったように執行条例ですから、そこを聞いたわけなんですけれども、規則を執行委任して、施行日は十月一日と、こうなっているんですね。
 さっき、並行的にやるからいいんだよということからすれば、なるほどと思わぬことでもない。しかし、一方、並行的にやるにしても、長側の意思決定は、改定計画を着実に実行することと、平成二十四年度は改定計画の見直しをして二十五年度以降のものをつくりますよと、こうなっているんです。それはよろしいですよね。
 そうしますと、施行日を十月一日にしてるんです、これ。それで、さっきの、等の中に、計画は含まれておりませんと。そうすると、この条例に基づいた計画を改めてつくって、十月一日に施行しなきゃいけなくなっちゃうわけです。
 どういう現象が起こるかというと、要するに、現行のがん対策基本計画だったっけ、都の持っているのは。(「推進計画」と呼ぶ者あり)うん、その推進計画が、ある段階で、いや、それは行政が勝手に基本計画やってる話、議会が提出した条例は十月一日施行、だから、整合性がとれなくなっちゃうんですよ。
 独立だから勝手にやっていいというふうに、計画とは関係なく勝手にやりなさいと、そういう行政というのは、僕はないと思うんだよね。
 だから、冒頭、執行条例なんですかと聞いたのはそこなんですよ。執行条例という話だから、そこを詰めてくると、行き当たるのはここの辺の、要するに条例をつくっても、十月一日から三月三十一日の間に何もしないということになりますと、条例を施行して--これ、施行期日を何で長委任にしなかったの。長委任にしちゃえば逃げられるんだよ、答弁も。
 だから、そういうふうな形でね、何でそこは、施行規則は委任して、施行日は委任しなかったのか。結果として、今持ってる行政計画と、条例がさっきの答弁にあったような形で、具体的な答弁はなかったんだけど、あれやれ、これやれという条例なんだということであれば、それをやらないという空白期間ができちゃうんです。空白の期間が。だから、その辺はどうお考えなのかと。修正しちゃいますか。

○斉藤委員 第一条については、確かに、等の部分については、法律を包含する意味での等となっております。ただ、第二条の都の責務につきましては、東京都につきましては、いろいろな協力及び連携を図りつつ、がん対策基本法第十一条第一項の規定により都が策定する東京都がん対策推進計画に基づき、東京都の特性に応じた施策を実施する責務を有するというふうに、この計画とこの条例の位置関係について示させていただいております。
 特に、先ほどの第一条の、等の中に、がん対策基本法が入っている中で、この計画をつくるということが、この法律の中に当然入っているわけなんですが、一方、そのつくった内容に関しては、第二条の中で実行していくというふうなことで関係性を示させていただいています。
 また、この本条例案に限っていえば、限っていえばというか、本条例案については、方向性として異なるものを意図してつくっているものではありませんので、このところについては、全くパラレル、もしくは全く関係がないような形にはならないと思います。
 同時に、この期日についての考え方ですが、私どもとしては十月一日ということで提案をさせていただいておりますけれども、この内容によっては、この期日に関しては、また皆さんのご意見をいただきたいということも思っております。
 以上でございます。

○野島委員 修正してもいいよという意味なんだろうけれども。今まで話があればね、そりゃあいろんな話ができただろうけど、ここにこうやって提案されてると。改めてどうですか、撤回して出し直しませんか--いやいや、まあ、それはいいや。冗談だから。
 要するに、それほど執行条例というのは難しい話なんですよ。だから僕は、最初に、いや、宣言条例ですよと言ってもらっちゃったら、これは極めて気楽なんだよね。行政の持ってる計画と条例が並行ですよと。すると、法体系の中で極めてあいまいになっちゃうんだよね。上位法ということになると、法定で定めなさいという計画がそれを踏まえちゃうことになるから、これは法体系をなさないと。
 それで、苦し紛れの答弁かどうかよくわからないけれども、並行することによってどういう問題が出てくるかと、この辺をしっかり詰めていかないと、難しい話だと思うんですよ。それは今の施行日の問題にしてもね。
 要するに、行政が何もやりませんよと、施行はしたけれども、何もやりませんよとなると、行政の不作為が生じちゃうんですよ。抽象的だから、監査なんか出ないと僕は思いますよ。だけど、行政の不作為で、行政がやらないということが、不法とはいわぬが、ある種不当になっちゃうんですよ。当を得てない、当を当ててないという、正鵠を得てないということになっちゃうんですね。いい話はいいよと、だめな話はだめだよと、こういうふうな形にはなりませんから、不法、不当のそしりを免れないような、委任と条例の施行期日の問題というのは出てくるだろうというふうに思っております。もう過ぎたのかな。

○松下委員長 いえ、そうでもないです。

○野島委員 ああ、そうですか。
 そんなことでですね、いろいろ議論をしてきました。要は、僕は広い意味で、計画も法定計画ですから規範だと思ってるんです。条例がなくしても、その規範という枠の中で計画をしっかりつくる。そのときに、公明党さんがいったみたいな、議会にいろんな提案したことも生かしていきますよというふうなことが、私は、がん対策に一番重要なことだと思います。
 とりわけ、市町村との関係というのが、仮に都単事業でやりますよといった途端に、市町村は楽になっちゃうんですよ。東京都はでかいお土産というか、物を持っちゃうと。それが、がん対策基本法の基本のところで、いや、そういうケースもあるし、ああいうケースもあるよということじゃなくて、実効性を高めていく執行条例であれば、規則にうたう前に関係機関とよく調整して、こういうものは重要なことだから、これは都単事業で広域自治体としてやるという判断をするのか、あるいは市町村事業として補助事業でやるのか。そのときに、法定計画に基づいているから、国からそれなりの財源が入ってくるのか。こういう枠組みになるわけですよ。
 そういうものをいろいろ精査しないで、条例を執行条例として、議員提出という立場はわかる。わかるけれども、形として、最後は団体意思を形成しなきゃいけないんですよ。それで執行して何ぼの世界なんですよ、行政というのは。ただ議会が提案したから、いろんな議論があって、ああ、議論があったねじゃ済まない。長が一度、団体の意思としてこの条例を認めるということになるとね。
 したがって、そういう意味では、極めてその不成熟ということと同時に、時系列等をいささか考慮しない条例であるということ、それから、等というふうなあいまいな表現で、いや、答弁の中でわかってくれという部分じゃなくして、それはそれで明確に出していかないと、根拠法令なり、法令というのは、何も国の法律だけじゃないですよ。いろんな施行規則だとか、国も省令持ってますから。政令も持ってますから。そういう中でのものと、そごを来してきちゃう可能性も十二分にあるというふうに推測を、予測をされますので、条例についてはもう一度ね、提案--修正にも話が随分及んでおりますから。ぜひ撤回されて、もし修正ということであればその段階で、私どもも--先ほど答弁ありましたように、目指す方向は一緒なんですよ。どっちからのものですかといったときに、やっぱりいろんな仕組みを十分に駆使してやらなきゃいけないと思いますので、この条例を撤回して、改めて協議する気持ちはございますか。どうですか。

○斉藤委員 撤回については考えておりませんが、ご一緒にやっていきたいという部分については、まさにそれは最初から気持ちは一緒でございます。

○野島委員 私は、議員提出議案を撤回するかどうか聞いたんじゃないんですよ。一緒にやっていきたいなら、いろいろ意見があったから改めて出し直します、撤回をしますというなら話としてわかりますよ。我々は出しましたと、いろいろな意見がありましたと、聞きますけど撤回はしませんということでしょう。修正がどうのこうのいってるけど、本体をいじる修正というのは、修正になじまないんですよ。よく修正、修正というけれども、本体をいじるのは、条例を設定する意味合いと、行政効果をどう求めるかということで本体を出すわけで、そこのいじくりをやって、一緒にやっていきますというのはあり得ないということだけ申し上げて、撤回する意思がないということを確認しましたので、質疑を終わります。
 以上です。

○松下委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松下委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十時十四分散会

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