厚生委員会速記録第十号

平成二十三年九月二十日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長くまき美奈子君
副委員長松葉多美子君
副委員長早坂 義弘君
理事たきぐち学君
理事山加 朱美君
理事三原まさつぐ君
田中  健君
栗林のり子君
中村ひろし君
今村 るか君
小磯 善彦君
大山とも子君
野島 善司君
増子 博樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
次長真田 正義君
技監桜山 豊夫君
総務部長梶原  洋君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長中川原米俊君
保健政策部長前田 秀雄君
生活福祉部長小林 秀樹君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長桃原慎一郎君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長浜 佳葉子君
事業調整担当部長萱場 明子君
医療改革推進担当部長高橋 郁美君
医療政策担当部長山岸 徳男君
地域保健担当部長松浦 慎司君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長高木 真一君
事業推進担当部長秀嶋 善雄君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長鈴木 達夫君
感染症危機管理担当部長笹井 敬子君
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長藤田 裕司君
サービス推進部長別宮 浩志君
経営戦略・再編整備担当部長齊藤 和弥君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
 福祉保健局関係
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
・平成二十二年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
請願陳情の審査
(1)二三第七号の二 都民のための食肉処理場を整備するまで八王子食肉処理場を存続させることに関する請願
(2)二三第二七号の二 都民と犬猫との共生に関する陳情
(3)二三第三六号の一 放射性物質による汚染からの子どもたちの安全な生活の保障を求めることに関する陳情

○くまき委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、川澄病院経営本部長から紹介があります。

○川澄病院経営本部長 八月一日付で、当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 経営企画部長の藤田裕司でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○くまき委員長 紹介は終わりました。

○くまき委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○藤田経営企画部長 東京都債権管理条例第十三条に基づき、病院経営本部が平成二十二年度に実施した私債権の放棄について、ご報告させていただきます。
 お手元配布の資料、厚生委員会報告事項をごらんください。
 一ページをお開き願います。平成二十二年度に放棄した私債権は、東京都立墨東病院診療料等で、六件、金額は百五十三万八千九百六十円でございます。当該債権は、墨東病院を受診した際の診療料や分娩料等でございまして、平成十六年度から平成十九年度までに発生し、債務の履行が滞っていた債権でございます。債務者に対し、催告、交渉、各種調査など、徴収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、消滅時効に係る時効期間が平成十九年度から平成二十二年度までに経過したこと、債務者についても行方不明などの状態で、実質的に回収不能であり、時効の援用の確認を得ることができないことから、平成二十三年三月に放棄を実施したところでございます。
 以上、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。

○くまき委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○くまき委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、杉村福祉保健局長から紹介があります。

○杉村福祉保健局長 それでは、説明に先立ちまして、このたびの人事異動によりまして、当局の幹部職員の交代がございましたので、新任幹部職員を紹介させていただきたいと存じます。
 次長の真田正義でございます。生活福祉部長の小林秀樹でございます。少子社会対策部長の桃原慎一郎でございます。健康安全部長の中谷肇一でございます。企画担当部長の浜佳葉子でございます。事業調整担当部長の萱場明子でございます。地域保健担当部長の松浦慎司でございます。事業推進担当部長の秀嶋善雄でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○くまき委員長 紹介は終わりました。

○くまき委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○浜企画担当部長 お手元の資料、厚生委員会報告事項をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。東京都債権管理条例第十三条に基づき福祉保健局が平成二十二年度に実施した私債権の放棄について、ご報告させていただきます。
 平成二十二年度に放棄した私債権は、旧東京都多摩老人医療センター診療料二件で、十三万三千百二十一円でございます。番号1及び2の旧東京都多摩老人医療センター診療料でございますが、それぞれ平成十一年度及び平成十五年度に診療を行った際の診療費の自己負担分として債権が発生して以来、債務の履行が滞っている債権でございます。
 債務者に対し、催告、各種調査など、徴収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、消滅時効に係る時効期間がそれぞれ平成十八年度及び平成二十一年までに経過していること、また債務者が死亡、または行方不明の状態で実質的に回収不能であり、時効の援用の確認を得ることができないことから、平成二十三年三月に放棄を実施したところでございます。
 以上が私債権の放棄についての報告でございます。

○高木施設調整担当部長 続きまして、平成二十二年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの業務実績評価結果につきまして、ご報告申し上げます。
 お手元に配布しております資料、厚生委員会報告事項の二つ目、平成二十二年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価についてをごらんください。
 まず、資料の五ページをお開きください。地方独立行政法人制度の概要を記載しております。1の地方独立行政法人の定義でございますが、記載にありますとおり、地方独立行政法人法に基づき、地方公共団体の対象事業を効率的、効果的に行わせるため、地方公共団体が設置する法人という定義となっております。
 2の地方独立行政法人制度の仕組みと議会との関係でございますが、資料右側の括弧にありますように、議決事項、条例事項、報告事項の三つに分類して表示しております。今回は、このうち、〔3〕地方独立行政法人評価委員会の二つ目の項目、評価委員会が法人の業務実績を評価について、評価委員会により評価が実施され、その結果が知事に報告されましたので、当委員会に報告事項としてご説明させていただくものでございます。
 それでは三ページにお戻りください。1の評価制度の概要でございますが、ただいま申し上げましたように、地方独立行政法人法に基づき、外部有識者十七名から成ります東京都地方独立行政法人評価委員会の評価を受けることとなっており、健康長寿医療センターにつきましては、この評価委員会の中にある三つの分科会の一つである高齢者医療・研究分科会において評価を実施いたしました。平成二十一年四月の法人設立以後、今回が二回目の評価となります。
 次に、2の評価方針と手順でございます。中期計画の事業の進行状況を確認すること、法人の業務運営の改善、向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績報告書をもとに、法人に対するヒアリング等を実施いたしました。
 3の評価の概要でございますが、評価は、項目別評価と全体評価について実施しております。まず、項目別評価については、高齢者の特性に配慮した医療の確立と提供、高齢者医療・介護を支える研究の推進、効率的・効果的な業務運営などの分野における計三十項目につきまして、事業の進捗状況、成果を五段階で評価したもので、その結果は、資料三ページの枠内に、(1)項目別評価として示しております。
 評定S、年度計画を大幅に上回って実施しているとされたものは、高齢者急性期医療の提供及び高齢者がんの病因・病態・治療・予防の研究の二項目。評定A、年度計画を上回って実施しているとされたものは、認知症医療への取り組み、老化メカニズムと制御に関する研究、外部研究資金の獲得など十二項目。評定B、年度計画をおおむね順調に実施しているとされたものは、血管病医療への取り組み、高齢者の健康長寿と福祉に関する研究、個人の能力・業績を反映した人事・給与制度など十六項目。評定C、年度計画を十分に実施できていない、及び評定D、業務の大幅な見直し、改善が必要であるとされた項目はございませんでした。
 次に、全体評価につきましては、四ページをお開きください。(2)全体評価として主な意見を記載しております。全体評価は、項目別評価を踏まえつつ、中期計画の進行状況全体について評価したものです。
 アの総評として、全体として年度計画を順調に実施しており、おおむね着実な業務の進捗状況にあると評定されました。その他、総評といたしましては、独立行政法人化の二年目を迎え、初年度は体制づくりにとどまっていた事項においても、着実に進展が見られるとともに、新たな取り組みにも着手し、順調に事業を実施した。法人経営においては、独立行政法人化のメリットを発揮した効率的な組織運営により、収入増やコスト減の効果があらわれている。初年度に続き良好な収支状況を維持しており、健全な法人経営が行われているという評価となっております。
 イの都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項といたしましては、急性期病院として、重症救急患者を受け入れる体制を整え、とりわけ東京都脳卒中救急搬送体制に参画する医療機関として、t-PA治療を積極的に行ったことを高く評価するなどの意見となっております。
 ウの法人の業務運営及び財務状況に関する事項といたしましては、経営判断を迅速に行うための機関として、常務会を新たに設置し、高齢者の医療や研究の需要に機動的に対応する体制を強化させているなどの意見となっております。
 エの中期目標、中期計画の達成に向けた課題、法人への要望といたしましては、中期目標の達成に向け、各部門における事業実施に当たっては、都民の立場に立った効果の検証を行いつつ、より効果的な実施方法、体制を選択していくことが重要であるなどの意見となっております。
 以上が評価結果の主な内容ですが、詳細はお手元の資料、平成二十二年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書をごらんいただきたいと存じます。
 以上をもちまして、平成二十二年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの業務実績評価に関する報告を終わらせていただきます。

○くまき委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大山委員 八種類です。
 一つは職員の職種別、雇用形態別定員、九九年以降です。二つ目は決算の推移、これも九九年以降。それから三つ目は退職者の推移、職種別を五年間。四番目は役員の報酬、給与。手当等も含めてお願いします。五番目は非常勤職員の給与の状況。六番目は病床数の推移、これは五年間で診療科別でお願いします。七番目は医師、看護師の定数と現員、これも診療科別で最新のものをお願いします。八番目は経営指標の推移、これは五年間で結構です。
 以上です。

○くまき委員長 ただいま大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○くまき委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二三第七号の二を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中谷健康安全部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いまして、ご説明させていただきます。
 整理番号1番、請願二三第七号の二、都民のための食肉処理場を整備するまで八王子食肉処理場を存続させることに関する請願は、八王子市の八王子食肉処理場協同組合代表理事、遠藤雄行さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において都内畜産農家経営の安定を図るための食肉処理場の整備について、次の事項を実現していただきたいというものでございます。
 内容は、八王子食肉処理場が稼働している間、都は八王子市食肉衛生検査所へ派遣している職員を引き揚げないことというものでございます。
 現在の状況でございますが、八王子市は、平成十九年四月に保健所政令市に移行したことに伴い、と畜場法に基づく、と畜検査事務も行うこととなり、食肉衛生検査所も市の所管となりました。都は市の保健所政令市移行に伴う激変緩和措置として、市と協定を締結し、平成十九年度から二十三年度までの五年間、市へ運営費補助を行うとともに職員を派遣しております。
 八王子市食肉衛生検査所への職員派遣もこの協定に基づき行っているものであり、平成二十三年四月現在獣医七名、技能四名を派遣しております。
 市は平成二十三年度をもって八王子食肉処理場の完全閉鎖を決定しており、平成二十三年六月三十日付で、八王子市長から運営主体である八王子食肉処理場協同組合代表理事に対し、食肉処理施設の平成二十四年度以降の貸し付けの継続はできない旨、通知しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。
 よって請願二三第七号の二は継続審査といたします。

○くまき委員長 次に、陳情二三第二七号の二を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中谷健康安全部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いまして、ご説明させていただきます。
 整理番号2番、陳情二三第二七号の二、都民と犬猫との共生に関する陳情は、新宿区の斉藤君子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいというものでございます。
 内容は犬、猫の殺処分を禁止することというものでございます。現在の状況でございますが、都では犬、猫の致死処分数の減少のため、譲渡率の向上及び飼い主のいない猫対策に取り組んでおります。譲渡率の向上策として、都は犬、猫の譲渡活動に実績のあるボランティア団体、計二十七団体と連携して、譲渡対象を拡大するなどの仕組みを構築しており、平成二十一年度には、犬四百九十頭、猫四百五十九頭、計九百四十九頭の譲渡を行っております。
 また、育成困難なため譲渡できない子猫をふやさないよう、区市町村包括補助事業により、飼い主のいない猫対策を行う区市町村を支援しており、平成二十一年度は十三区十三市町村が、本事業を活用した取り組みを実施しております。
 こうした取り組みの結果、平成二十一年度の致死処分数は四千二百七十四頭となり、平成十一年度の致死処分数一万三千八百四十六頭と比較すると、十年間で約七割減少しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○中村委員 都民と犬猫との共生に関する陳情につきまして質問します。
 陳情の審査に当たり民主党の議員で、東京都動物愛護相談センターを見学しましたが、ご対応ありがとうございました。また、ちょうど本日、九月二十日から二十六日は動物愛護週間に当たり、先週の週末にも東京都は上野公園でイベントを開催されました。ご担当者の方は、お疲れさまでした。
 陳情は犬、猫の殺処分を禁止することを求めています。動物愛護管理法では、基本原則はみだりに殺すことなく、人と動物との共生への配慮を求めていますが、一方で、できる限り苦痛を与えないとしながらも、やむを得ず殺す場合の規程もあります。動物への愛護を前提としつつ、飼い主のいない犬、猫などへの施策等を質問して審査したいと思います。
 動物に関しては、都民にもさまざまな考え方があり、私のところにもさまざまな意見が寄せられます。ペットブームや家族構成の変化などにより、動物を大切にする方も多いのですが、一方では動物が好きでない方もいます。そこで最初の質問として、都は動物愛護に関する事業については、どのような考え方に基づいて取り組んでいるのか伺います。あわせて致死処分については、やむを得ない状況での実施と推察しますが、考え方について伺います。

○中谷健康安全部長 都の動物愛護に関する考え方についてでございますが、都は、東京都動物の愛護及び管理に関する条例、及び東京都動物愛護管理推進計画におきまして人と動物の調和のとれた共生社会の実現を目指すことをうたっており、動物の致死処分数の減少に向けまして、捕獲、収容数の減少や返還、譲渡数の拡大に向けたさまざまな取り組みを行っているところでございます。しかしながら育成困難な子猫、新しい飼い主を探すことが困難な高齢な動物、安楽死せざるを得ない負傷動物など、譲渡に適さない動物につきましては、致死処分せざるを得ないというふうに考えております。

○中村委員 致死処分についての状況を伺いました。ただ、先ほども述べましたが、できる限り苦痛を与えない方法でとされています。これまでも民主党の議員からこの点についてたびたび指摘していますが、炭酸ガスを用いた方法から、麻酔薬を用いた安楽死措置への変更についても検討していただきたいと思います。
 次に、致死処分の状況について伺います。先ほど、現在の状況についての説明がありましたが、平成二十一年度で四千二百七十四頭と、十年間で七割減少したとのことでした。都の取り組みや都民の動物に対する考え方の変化など、さまざまな要因があったと思いますが、その主な要因について伺います。

○中谷健康安全部長 都はこれまで飼い主の適正飼養に関するモラルの向上、ボランティア団体との連携による譲渡対象動物の拡大、飼い主のいない猫対策による子猫の減少、こういった施策に取り組んできておりまして、こうした取り組みが致死処分数の減少に結びついていると考えております。

○中村委員 致死処分の減少は飼い主のモラルの向上が要因の一つとのことでした。しかし、飼い主のいない動物の問題は、一部の飼い主の身勝手な行動が原因としてあります。飼い主に責任ある対応をさせるために、都はどのように取り組んでいるのか伺います。また、ペットショップがふえていますが、動物を販売するに際してどのような責任を負っているのでしょうか。それに対して都がどのように監督をしているのかを含めてお伺いします。

○中谷健康安全部長 都は犬や猫の飼い主に対しまして、適正な飼い方等を徹底するための講習会やパンフレットの配布など、普及啓発の取り組みを実施しております。また、ペットショップなどの動物販売業者には購入者が動物を適正に飼養できるよう、販売時に動物の特性や飼育上の留意点等を文書で説明することや、動物の適正な取り扱い、施設基準の遵守等が法律で義務づけられております。
 これら動物販売業者に対しましては、本年四月に動物愛護相談センターにおける監視班を増班いたしまして、定期的な立入検査を強化するとともに、年一回以上の受講が義務づけられております動物取扱責任者研修などを通しまして、指導監督や普及啓発を行っているところでございます。

○中村委員 さて、一昨日、三鷹市でも市民団体によって地域猫についてのセミナーが開催され、私も参加してきました。心ない飼い主等のために犬や猫を原因としたトラブルが地域で起きていることから、都内各地でも市民団体が活動しています。動物については、住民にも好きな方、嫌いな方がいて意見が分かれますが、飼い主のいない猫を何とかしなければならないということは共通の課題です。
 たまたま自分の近所に動物が捨てられ、ごみを荒らされ、ふん尿をされたときには、その方にとっては本当に深刻な問題になります。東京都の平成十八年度の調査によると、猫は八十四万頭が飼育され、飼い主のない猫の数は約十五万頭と推計されています。大変大きな数字です。そのため、住民や市民団体が飼い主のいない猫への対応として不妊去勢手術を行うのですが、経済的な負担も大きくなっています。そのため、市区町村が飼い主のいない猫について不妊去勢手術実施への助成をするに当たり、都は包括補助をしていますが、その趣旨と効果について伺います。

○中谷健康安全部長 現在、致死処分となる犬、猫の大半を占めるのが飼い主のいない猫が産んだ子猫でございます。飼い主のいない猫に対する不妊去勢手術はこうした子猫を減らすために有効なことから、都は平成十九年度から区市町村における取り組みに対しまして、包括補助制度による財政面での支援を行っております。こうした取り組みが致死処分数の着実な減少に結びついているというふうに考えております。

○中村委員 包括補助制度によって飼い主のいない猫対策を行い、市区町村は十三区十三市町村が取り組みを展開しているとの説明がありました。実際には、二十三区では独自の財源で事業を行っている区も含めると、大半の区が事業を行っているようです。一方、多摩地域では独自の財源で事業を行っている市町村はわずかなために、全体では半数に満たない自治体しか事業を行っていません。都のさまざまな事業において、二十三区と多摩地域の格差があるのですが、こうしたところにも基本的な財政力の差があらわれています。包括補助や、市町村総合交付金のさらなる拡充が望まれます。とりわけ住民への支援は自治体ごとに違うため、内容が十分でない場合、住民の経済的な負担も大きくなってしまいます。自治体の施策が充実するよう、都の一層の支援を要望します。
 また、都福祉保健局によると、猫に関する苦情が年間約一万件寄せられているとのことです。動物が原因で起こる近隣トラブルは都市における大きな問題となっています。そこで、こうしたトラブルへの対策として地域猫の取り組みがあります。都は地域猫の取り組みについて、どのように考えて取り組んでいるのでしょうか。また、猫に対する感情は人によって違うのですが、地域から理解が得られない状況でのえづけについては、トラブルになることも多いようです。最近では、迷惑なえづけを禁止する条例を定める自治体もあるようです。都としてはどのように考えて対応しているのか伺います。

○中谷健康安全部長 まず、飼い主のいない猫対策についてでございますが、致死処分数や猫に関する苦情を減少させるために、地域のボランティア団体等が飼い主のいない猫をふやさない各種取り組みを住民との理解と協力を得て実施いたしまして、あわせて地域の衛生環境の確保を図るものでございます。具体的には不妊去勢手術の実施や、町内会、自治会等との会議の開催、トイレの整備、普及啓発等を実施するものでございまして、区市町村はこれらの取り組みを支援するものでございます。
 飼い主のいない猫対策について、都は地域が主体となり、猫を命あるものだという考え方で地域の合意のもとに、地域で猫を適正に管理していくということで進めていくべきものと考えており、包括補助事業などにより、区市町村を支援していくことにより、飼い主のいない猫対策を推進しております。また、適正な管理等を行わずに飼い主のいない猫にえさを与えることは、周辺への迷惑やトラブルの発生につながるため、都はえさを与える人がえさの食べ残しの処理や、トイレの管理など地域の衛生環境への配慮を自覚するよう、パンフレット等により啓発活動を行っているところでございます。

○中村委員 ご答弁ありがとうございます。地域猫への取り組みは、周りの住民の理解がなければ近隣トラブルも発生しかねません。より一層の広報、啓発活動を要望します。
 さて、陳情者の犬、猫の殺処分を禁止することという趣旨は、心情的には理解できます。しかし、この間の都の取り組みや都民の協力で減少してきたのですが、最小限やむを得ず致死処分を行っている状況もあるようです。無責任な飼い主をなくすなどの一層の取り組みをし、致死処分をしなくても済む状況をつくる努力をすることを要望して質問を終わります。

○山加委員 私からも、都民と犬猫との共生に関する陳情に関して、何点かお伺いさせていただきます。
 私も猫を二匹飼っておりまして、十四歳と八歳であります。十四歳というと、人間でいうと七十歳、八十歳ほどになるんでしょうか。敬老の日には我が家の猫もお祝いをさせていただきました。
 また、昨年、助からないかもしれないという大変大きな大病をいたしまして、もうそのときには寝ずの看病をいたしまして、今、元気に家の中を走り回っております。ペットというよりもはや家族の一員でありまして、私にとってはなくてはならない存在であります。動物を飼っているほとんどの方がそうであろうかと思います。
 しかし、中にはテレビのコマーシャルでちょっとかわいい犬や猫を見た、また、通りがかったペットショップでかわいい子猫と目が合ってしまった、そんなことで思わず買ってしまった、そんな方もいらっしゃるのではないかと思います。
 生涯にわたって飼い続けること、不妊去勢の手術、そして、病気になったときどういう治療をするか。そして子猫のときはかわいいわけでありますが、必ず、うちの猫ちゃんも十四年たてば高齢者であります。高齢動物の世話も大変であります。飼い主としての責任や負担が生じることをあらかじめきちんと認識せずに購入してしまう、そんな方が少なからずいるのもまた事実であります。
 飼い主の勝手な都合で動物を不幸にしないためにも、飼い主みずからが動物を適正に飼養し、致死処分に至る動物を生み出さないように徹底することがとても大切なことであります。
 私はこれまでに、平成十四年三月のこの委員会質疑、そしてまた、平成二十年の第一定例会本会議では、動物の致死処分数を減少させることを訴えさせていただきました。この私の主張は東京都動物愛護管理推進計画にも、飼い主の社会的責任の徹底、致死処分数減少への取り組みという形で盛り込まれています。致死処分数を減少させるには、何よりも飼い主の責任を徹底させることが必要であることはいうまでもないことであります。
 そこでまず、飼い主の責任の徹底について、改めまして都の取り組みをお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 今、山加理事の方からお話がございましたとおり、山加理事からはこれまでたびたび議会でもご質疑をいただきました。また、貴重なご提言もいただいているところでございます。
 都では犬、猫を飼っている都民を対象に、法令の遵守を含めた飼い犬及び飼い猫の適正飼養についての基本事項を掲載いたしました犬猫手帳、こういったものでございますけれども、これを平成二十年度から三万五千部作成をしてまいりました。東京都獣医師会とも連携いたしまして、都民が犬や猫を飼い始めてまず来所すると思われる動物病院を中心に配布いたしまして、今年度、さらに二万部の増刷を予定しております。
 また、動物愛護相談センターでは、譲渡を希望する都民を対象とした講習会を実施しているほか、区市町村が主催する犬や猫の飼い方教室等に職員を派遣するなど、適正飼養について普及啓発を行っております。
 平成二十一年度の開催実績は、センターの講習会が千七十回、区市町村が行った飼い方教室等が三十六回となっております。これらの取り組みによりまして、飼い主からの引き取り数は、成犬--大人の犬でございます、小犬、成猫、子猫のいずれも減少しているところでございます。

○山加委員 犬猫手帳、私も持っておりますけれども、ことし二万部増刷ということでありますが、やはり増刷するだけでなく、そういうものがあるんだよということをまだ知らない方がいらっしゃいますので、ぜひその啓発もあわせて進めていただきたいと思います。
 飼い主からの引き取り頭数は減少しているようでありますが、中にはどうしてもやむを得ない事情によって飼養が困難となって、都に引き取り依頼をする場合も当然あるかと思います。また、動物愛護センターが獲得した動物、あるいは拾得者から引き取った犬、猫の場合は、最終的に飼い主に返還されないという、そんな事例も多いと思います。
 これらの犬、猫については新しい飼い主への譲渡率、この譲渡率を向上させることによって、これもまた致死処分数の減少につながると考えられるわけでありますが、先ほど、都はボランティア団体と連携して譲渡の拡大に取り組んでいるというご説明がありました。このボランティア団体と具体的にどのような連携を図っているのか、伺います。

○中谷健康安全部長 都は、犬または猫等の譲渡実施細目というのがございまして、これに基づきまして選定いたしました飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のあるボランティア団体と連携いたしまして、譲渡率の向上に取り組んでおります。
 健康または性格に問題が見られる犬や猫等でございましても、治療や一時飼養の過程で解決できるというふうに動物愛護相談センターが判断した場合には、ボランティア団体へ譲渡するなど、これまで対象となりにくかった犬、猫等も譲渡の対象とする仕組みを構築しております。
 都が連携しているボランティア団体数は、平成十九年度、十六団体でございましたけれども、平成二十三年七月現在で二十七団体へと増加しているところでございます。

○山加委員 次に、致死処分数の約七割、これは飼い主のいない猫が産み落とした生後間もない子猫であります。子猫は育成が大変困難なために、なかなか譲渡が難しいといわれているわけであります。
 このような子猫をふやさないようにするため、先ほども飼い主のいない猫対策、答弁ございましたけれども、都は、区市町村が実施しているこの飼い主のいない猫対策に、さらに、もう少し詳しい都の支援があれば伺わせていただきたいと思います。

○中谷健康安全部長 もう少し詳しいというお話でございます。都は、区市町村と連携をいたしまして、動物担当者会議等を開催いたしまして、飼い主のいない猫対策の成功事例に関するノウハウの共有を図るとともに、取り組みが始まったばかりの地域、あるいは効果的な対策が見出せない地域における講習会等に講師を派遣するなど、積極的に支援を行っております。
 また、平成十九年度から区市町村包括補助事業を活用いたしまして、飼い主のいない猫対策を行っている区市町村を財政面で支援しており、本事業を活用している自治体は、平成十九年度九区八市町村から、二十一年度は先ほど申し上げました十三区十三市町村へと増加しているところでございます。

○山加委員 次に、こうした平常時の対応はもちろんなのですけれども、災害時における動物対策も大変重要であります。
 ことしの三・一一、東日本大震災発生時には、福島第一原子力発電所から半径二十キロ圏内に設定された警戒区域からペットを一緒に同行できずに、泣く泣く避難した住民の方が大勢いらっしゃいました。そのため警戒区域内では、これらの残されたペットの犬や猫が野良犬、野良猫となって区域内を徘回している様子が何度となくテレビで報道されておりました。
 私はこれらの警戒区域内に残された被災動物について、都が職員を派遣し、福島県と連携して、他の自治体に先駆けて保護活動を実施した、そのことを大変、評価いたしております。
 その保護内容は大変だったと聞いております。この野良犬となった放浪犬の保護が難航すればするほど、時間がたてばたつほど、そこからまた新たな小犬、子猫が産まれてくるわけであります。そしてその小犬、子猫がさらに小犬、子猫を産めば、それは孫犬、孫猫ってなるのでしょうか、どんどん人間を知らない、本当の意味での野生化をしてしまうわけでありますね。時間がたてばたつほどこのような形になります。そしてまた、そこから新たな動物由来の感染症も、新たな課題として発生してくると思うんです。
 そこで、災害の状況にもよりますけれども、いつ起こるかわからない有事に際して、飼い主がペットを同行して避難するということはとても大切であり、重要なことであります。
 その際には、区市町村等が開設する避難所もペットの同行避難に対応する必要があるわけですが、そこで今回の東日本大震災の対応を踏まえまして、今後の震災時の動物対策について、都がどのようにお考えか、伺います。

○中谷健康安全部長 都は災害発生時に備えまして、先ほどご紹介いたしました犬猫手帳などを用いまして、飼い主に対し同行避難の重要性や、同行避難するためには日ごろからの準備というものを周知徹底しているところでございます。
 また、区市町村に対しまして、動物の飼育場所の確保など、避難所における動物の取り扱いを具体的に定めたマニュアルの作成を働きかけております。
 さらに災害時に動物の円滑な保護や飼養を行えるように、東京都獣医師会や動物愛護団体との協力体制というものを強化してまいります。
 都は本年十月にこれらの関係団体と連携いたしまして、都内に避難している東日本大震災被災者が同行した犬、猫を一時的に収容するための施設を設置いたします。
 施設の設置や運営を通じて得られるさまざまな経験につきまして、今後の都における災害時の動物対策に生かしてまいります。

○山加委員 同行避難が周知徹底されても、やはり災害の状況によっては連れていきたくても行けない、そんな事態も考えなければならないと思います。災害はいつどのような形で起こるのか予想ができないわけであります。万が一、首都東京で災害が発生した際には、飼い主が安心してペットを同行して避難することができるように、どうか対策の整備を徹底してお願いしたいと思います。
 また、飼い主への適正飼養の普及啓発の強化、ボランティア団体との連携による譲渡対象動物の拡大などの取り組みによって、平成二十一年度の致死処分数が平成十一年度と比較すると、この十年で一万三千八百四十六頭から四千二百七十四頭に、約七割、この十年で減少している、このことは高く評価するところであります。
 今後ともどうか区市町村、東京都獣医師会、またボランティア団体と連携し、致死処分数の減少をより一層推進するとともに、災害時の被災動物への充実、このことを充実させることにより、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指すことを強く要望して、質問を終わります。

○栗林委員 それでは私の方からも陳情二三第二七号の二、都民と犬猫との共生に関する陳情について何点か伺わせていただきます。
 私ども公明党も犬、猫の殺処分ゼロ、これを目指すということで、今日までも動物愛護ボランティア団体さん等々からたくさんの声を受けて、さまざまな取り組みも行ってまいりました。
 先ほど山加理事、中村委員からもお話がございましたけれども、やはりこの致死処分の減少に向けた取り組みの一番大きなポイントは、やはり飼い主の責任が重たい、重要な課題ではないかと思います。飼い主の責任のもとで、途中で飼育放棄することを防いで、適正に飼い続けることができる、それが重要でございますが、しかし、やむを得ない事情で飼育が困難となって、動物愛護相談センターに引き取りを依頼する場合もあると思います。そのような飼い主からの犬、猫の引き取り状況について、現状を伺わせていただきたいと思います。

○中谷健康安全部長 飼い主からの犬や猫の引き取り状況についてのお尋ねでございますが、東京都における飼い主からの犬及び猫合わせた引き取り数でございます。平成十一年度二千五百九十三頭、平成二十一年度九百七十八頭となっておりまして、こちらも六割以上減少しております。
 そのうち小犬の引き取り数でございますが、小犬の引き取り数は平成二十一年度に初めてゼロ頭というふうになりました。飼い主における適正飼養の意識が高まっていることを反映しているものというふうに考えているところでございます。

○栗林委員 飼い主からの引き取りも、特に小犬の数が減少しているということは大変評価できますし、また、十年間で七割も減少したということは、これは大変評価できると思います。
 しかしながら平成二十一年度の致死処分数は四千二百七十四頭となっており、いまだかなりの頭数が処分されている現実がございます。この致死処分されている内訳はどのようになっているのか教えていただきたいと思います。

○中谷健康安全部長 平成二十一年度致死処分数の四千二百七十四頭につきまして、犬、猫それぞれの処分数でございますが、犬が二百八十一頭。そのうち、その内訳は成犬二百七十二頭、小犬が九頭でございます。
 猫につきましては、三千九百九十三頭。その内訳でございますが、成猫八百二十八頭、子猫三千百六十五頭でございました。
 致死処分数の多くを占める子猫三千百六十五頭は、ほとんどが飼い主のいない猫が産んだ育成困難な子猫でございます。

○栗林委員 今ご報告いただきましたように、やはり致死処分数を減少させていくには、この飼い主のいない猫が子猫を産まないということが大事かと思います。それにはやはり、不妊去勢手術を行うことが有効でございます。
 ここにもあるとおり不妊去勢手術をいまだ実施していない区市も何市かございますが、ここのまだ実施していない区市に対して、今後、都としてはどのような支援をしていくお考えがあるか教えてください。

○中谷健康安全部長 都は区市町村に対しまして、包括補助事業におきまして飼い主のいない猫対策に係る町内会、自治会等との会議の開催や、捕獲箱の借り上げ等の費用とともに、不妊去勢手術の助成事業への補助を行っております。
 不妊去勢手術の助成を実施していない区市町村に対しましては、さまざまな機会を通じまして、飼い主のいない猫対策の必要性について周知を図るとともに、動物担当者会議等におきまして、補助制度の説明や具体的な活用方法等を紹介いたしまして、包括補助事業の活用を促しているところでございます。

○栗林委員 引き続き、まだ実施をしていない区市町村への働きかけもよろしくお願いしたいと思います。
 都も動物愛護の観点から、極力、致死処分をなくすことに力を入れていただいております。私も動物愛護相談センターが地元の世田谷にございますので、何度かお邪魔させていただいたことがございますが、本当にセンターが、ボランティア団体さんと連携をとりながら譲渡したり、そして、新しい飼い主のもとで暮らす仕組み、そういったことを一生懸命努力されている。本当にその姿には頭が下がる思いでございました。
 これは直接都の事業ではありませんけれども、昨年私たちが小笠原島に視察に行った際に、現地でお話を伺って、大変感動したお話だったんですけれども、小笠原では希少動物の卵等々を野生化した野猫が荒らしていくということで、これが大変問題になっておりました。
 ところが、この野生化した野猫を地域の方と、そして、東京都の獣医師会と自治体とが連携を取り合いまして、捕獲してきて、その野猫を調教して人が飼えるような状態にまでなったのを、東京都の獣医師会がこちらに連れてきて、そして飼い主を探して譲渡するという、そういう取り組みがされておりました。
 村の中にねこまちという拠点もつくられておりましたけれども、みんなで力を合わせてすばらしい仕組みをつくっていらっしゃいました。
 この取り組みが今回の世界自然遺産の登録をされる際にも、何と調査団が小笠原島に来たときに大変この取り組みがすばらしいということで評価を高めることにも通じたというふうに伺っております。
 今回の陳情は禁止という言葉が使われておりまして、万が一感染の危険性など、そういう実態に遭遇した場合に、反対に都民の命を守ることができなくなる場合もございます。趣旨は大変重要でございますので、命を大切にする社会を築くことからも、飼い主責任、また、不妊去勢への助成制度、また、命を大切にする飼育教育等々、横断的な取り組みが必要かと思いますので、都はどこまでも犬、猫の殺処分ゼロを目指す、この決意で取り組んでいただくことを要望して質問を終わります。

○大山委員 いろいろ質疑もありましたので、私は意見だけ述べさせていただきます。
 私も殺処分をしなくてよいというような状況にしていくということ、これは大賛成ですし、その方向で、今、東京都も、ボランティアの皆さんたち、団体とも連携して殺処分が十年間で七割減少しているというのは重要な進歩だと思っています。
 今、やはり犬、猫が人為的な繁殖によって供給過多になっているというのも、こういうのも課題だと思っています。ですから、引き続きボランティア団体の皆さんと譲渡ということ、犬、猫は、ペットは譲渡を受けると、犬、猫が欲しくなったら愛護センターに行くというのが普通の状況になるような情報提供とか周知だとかということも、やっているんでしょうけれども、さらに充実させていっていただきたいと思っています。
 あと、養育困難なために、赤ちゃんが産まれたのに、飼い主のいない猫の産まれた赤ちゃんは養育できないということで殺処分ということになりやすいということですけれども、この避妊去勢手術などへの助成は、十三区十三市町村ということで、さらに広げていっていただきたいと思っています。
 ドイツでは捨てられた犬、猫は殺さないということで、ゼロになっているということなんですね。やはりこういうことも含めて、本当にさらなる致死処分減少のために、さらに拡充していっていただきたいと思っています。という要望をして、意見といたします。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二三第二七号の二は不採択と決定いたしました。

○くまき委員長 次に、陳情二三第三六号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中谷健康安全部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3番、陳情二三第三六号の一、放射性物質による汚染からの子どもたちの安全な生活の保障を求めることに関する陳情は、北区のほっと村代表、古賀由希子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質による汚染から子どもたちの生活を安心なものにするために、行政における生活保障の一環として、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、都内の教育施設、児童遊園、公園など、子どもが頻繁に出入りする空間、土壌及び水中の放射線値及び放射能核種の測定を実施すること。
 第二に、都独自の放射線測定に係る安全規定値を設定し、それを超過した場合の対策を定め、実行すること。
 第三に、国へ東京電力福島第一原子力発電所の事故による、子どもたちの安全性にかかわる情報を開示するよう求める意見書を提出することという内容でございます。
 現在の状況でございますが、第一につきましては、都では健康安全研究センターにおいて、空間放射線量の測定及び降下物、雨やちり等の放射性物質核種分析を毎日実施しております。
 現在、モニタリングポストの空間放射線量は、一時間当たり〇・〇六マイクロシーベルト程度と事故前の範囲内におさまっております。
 土壌からの放射線量の状況については、空間放射線量を地表に近い地点で測定することにより把握できるとされております。このため、六月に地表面から五センチメートル及び一メートルの高さで、都内百カ所の空間放射線量を測定したところ、一時間当たり〇・〇二から〇・二〇マイクロシーベルトの範囲内でございました。
 また、池などの水中の放射性物質については、ちりや雨などの降下物に由来するため、降下物中の放射性物質を測定することにより把握することができます。
 三月十八日から毎日、健康安全研究センターで測定している降下物中の放射性物質については、三月二十一日にセシウム134が五千三百ベクレル、セシウム137が五千三百ベクレル、三月二十二日に沃素131が三万六千ベクレルの高い値を示して以降、急激に減少して推移し、五月十五日以降は、八月五日にセシウム134とセシウム137を合わせて十・四ベクレル、六日に八・四ベクレル検出された以外、検出されておりません。
 さらに、小型の測定器を貸与するなど、区市町村が実施する空間放射線量の測定を支援しております。
 第二につきましては、放射性物質への対応は、すべての国民の健康、安全にかかわることであり、本来、国において安全基準や対処方針を示すべきものであります。
 こうした考え方に立って、六月十日、九都県市首脳会議として、国に対し放射線の安全基準の設定などを緊急要望したほか、都独自に、六月十四日に福島県以外の学校、幼稚園、保育所等における放射線量の安全基準値の設定を求める緊急要望を行っております。
 第三につきましては、六月十日に、九都県市首脳会議として、東京電力福島第一原子力発電所事故に関する迅速かつ正確な情報公開を徹底することを国に緊急要望しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田中委員 陳情二三第三六号の一、質問させていただきたいと思います。
 まず、この陳情においては、第一に都内の教育施設、また児童遊園、公園など、子どもが頻繁に出入りする空間における放射能の測定が求められておりますが、この福祉保健局所管においては、これに該当する施設にはどのようなものがあるか、まずお答えください。

○中谷健康安全部長 福祉保健局が所管いたします子どもを対象とした都立施設といたしましては、児童福祉法に基づく児童養護施設、あるいは児童自立支援施設などがございます。

○田中委員 それらの、今説明いただきました施設においては、これまでどのような放射能に対する対策がとられてきたんでしょうか。

○中谷健康安全部長 都がこれまで実施してまいりました空間放射線量のモニタリング結果を踏まえまして、特段の対策はとっていないという状況でございます。

○田中委員 今回のこの児童福祉施設だけではなくて、これまでも、都が所管する、所管は違うのでありますが、ここに出てくる都立高校や、または都立公園についても特段の対策はとらないということを、これまで都側としてはいってまいりました。
 もちろん都が直接都内の施設、もしくは都内じゅうをすべてはかるべきとまで私はいいたいと思っているわけでありませんが、あくまで今回の陳情においては、影響を受けやすいとされている子どもが頻繁に出入り、または利用する施設においては、ここだけでも責任を持ってはかってほしいと、はかるべきであると。あるいは、市区町村の支援をすべきであると私は考えております。
 これに関しては、最後の質問でももう一度質問したいと思いますので、まずここでは、ぜひそのような支援ないしは都としての責任をとっていただくことを要望させていただきたいと思います。
 先ほどの説明の中にもありましたが、福祉保健局として、これまで責任を持って取り組んできたものとしては、モニタリングポストによる測定が報告されてきました。この件について、詳しく伺っていきたいと思います。
 都はこれまで、空間放射線量のモニタリングをどのように進めてきたのか、これまでの経緯を伺いたいと思います。

○中谷健康安全部長 今、田中議員の方からお話がございましたとおり、都は健康安全研究センターのモニタリングポストにおきまして、事故後直ちに空間放射線量の二十四時の連続測定をしております。測定結果を一時間ごとにホームページ等で公表しております。また、地上一メートルの高さの空間放射線量を毎日測定、公表してまいりました。
 また、健康安全研究センターのモニタリングポストを含む都内七地点の測定結果につきまして、五カ所の街頭ビジョンで情報を提供しております。
 六月には空間放射線量の測定を拡充いたしまして、都内全域百カ所で測定を実施し、測定結果を公表しております。
 また、七月から九月にかけては、島しょ部におきましても十一カ所で空間放射線量を測定いたしまして、結果を公表しております。
 さらに、区市町村が行う空間放射線量の測定を支援するために、希望する区市町村に対しまして測定器を貸与し、区市町村からの相談に助言等を行っているところでございます。

○田中委員 このモニタリングポストに関しては、私もたきぐち理事や中村委員とともに、この健康安全研究センターを見学、また説明を受けさせていただき、これまで詳細なデータをずっと蓄積し、測定し続けてきたことは理解しております。
 しかし、震災後の心配されたこの空間放射線量から、現在は内部被曝や今回の陳情のように子どもを取り巻く環境、さらにはホットスポット等へと、多くの都民の不安は移っていると思っております。それに対しては、これまでの対応では不十分であり、このモニタリングポストに関しても、そのような不安を少しでも払拭できるように利用していくべきだと考えております。
 そんな中で、前回の補正において、このモニタリングポスト二基の増設が決まったところであります。設置場所に関しては、どこに設置されるのかが議論になっているかと思いますが、進捗状況はいかがでしょうか。
 また、二カ所の増設の後に、国からも四カ所の増設が認められました。もう少し早くこれが来ればよかったのかなと思っているんですが、結果的に六台、新しくモニタリングポストができるわけでありますが、どのような考えのもとで配置し、また活用していく計画であるかお聞きします。

○中谷健康安全部長 今後の増設する六基のモニタリングポストの設置場所ということでございまして、その設置場所につきましては、都内の空間放射線量をより広域的かつ迅速に把握するために、地理的なバランス、あるいは人の生活空間の高さといったものを勘案いたしまして検討を進めてきております。

○田中委員 さらっと地理的なバランス、人の空間、生活空間ですか、高さというふうにいったんですが、もうちょっと具体的に、せっかく六基ふえてそれが私たちとしては大変正確にはかれる、また信頼できる値として、これまで都としても使ってきたモニタリングポストでありますから、人の生活空間と今答弁がありましたけれども、具体的にいうとどういうことであるのかということをお聞きしたいと思います。

○中谷健康安全部長 設置場所の高さということで生活空間というお話をさせていただきましたけれども、生活空間と同じ地上一メートル程度の高さというふうに考えております。
 モニタリングポストの設置場所につきましては、国より、旧来からその周囲に高い建物がない平たんな草地等の地上、または屋上等の比較的高い場所というふうにされてきたわけでございます。この考え方に変更はないわけでございます。
 そういう意味で、健康安全研究センターに置くということでは、当時、高さについていろいろ議論がされましたけれども、ここでいう屋上等の比較的高い場所に置かれているというのが今の健康安全研究センターの設置場所でございます。
 今後増設する六基のモニタリングポストにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、地上一メートル程度の高さということでございますので、当然にこのモニタリングポストの設置場所ということから考えると、一メートル程度の高さとするに当たりましては、周囲に高い建物がない平たんな草地等の地上に設置するということになろうかと思っております。

○田中委員 設置場所については、ぜひ皆さん、早く決まって、その連絡を待っていると思いますので、一日も早くその決定をしていただき、報告をいただきたいと思います。
 先ほどの説明の中にありましたモニタリングポスト、さらにその次、都内百カ所の測定をしたということは、私たちの記憶にも新しいわけでありますが、この都内百カ所の測定場所というのはどのように選定されて実施されたのか、その進捗も伺います。

○中谷健康安全部長 都内百カ所の測定場所の選定ということでございます。都内の全域を四キロメートルメッシュで区分いたしまして、区市町村の意向を踏まえて、各区分ごとに原則一カ所の地点を選定いたしました。トータル百カ所ということでございます。
 なお、測定地点につきましては、国の考え方によりまして、公園の広場や学校の校庭など、周囲に建物や塀、樹木などの障害物がなるべくない場所というふうにしたところでございます。

○田中委員 その百カ所を測定した後に、区市町村に機器を貸し出して、さらに詳しく市区町村に調べていただいているということですが、この区市町村に貸し出した機器の活用状況、現在はどのようになっているかお答えいただきます。

○中谷健康安全部長 都では小型の測定器を八十五台購入いたしまして、これは島しょ部も含めてでございますが、ほぼすべての区市町村に希望がございまして貸与しております。
 区市町村は地域の実情に応じまして、それぞれの判断により、学校、保育所、公園など各施設の空間放射線量の測定を実施しております。測定結果については、ホームページ等で公表されているところでございます。

○田中委員 この区市町村への貸し出しというのは、百カ所では賄い切れないところを各区市町村に責任を持ってやってもらうということでありまして、望ましいことではあって、さらに技術的な支援もこれから継続をしていくということでありますが、貸して終わりではなくて、ぜひとも市区町村ごとの結果をまとめたり、その対策のばらつき、各区によっては、学校をはかっているところもあれば、公園をはかっているところもと、その判断は任せているということであります。ぜひそのばらつきをなくして、東京都内どこに住んでも、また、どこに移動しても安心して情報が得られる後押しをしたり、都としてさらなる展開を望むところでありますが、その対策についてはいかがでしょうか。

○中谷健康安全部長 貸与した測定器による測定につきましては、実施主体でございます各区市町村が測定の場所や高さ、頻度等を判断の上実施し、適切に公表するものというふうに考えております。測定結果の報告を求めるということは、都としては考えておりません。
 都は、区市町村からの測定結果などにつきまして、さまざまなご相談がございます。そういった場合には、適宜助言等を行って支援しているという状況でございます。

○田中委員 この区市町村に報告を求めるというか、区市町村に報告を上げさせろとか、そういう意味ではなくて、貸し出した責任もありますし、貸し出した区市町村がどのような調査をして、どのような問題があったり、もしくは要望が上がっているのかというのを都としてぜひ把握をしてほしいということで質問させてもらいました。
 仕事をふやして、取りまとめに皆さんが尽力するのは余りいいことではありませんが、ぜひ、貸し出して終わりというのではなくて、そこから積極的に情報の収集に取り組んでもらいたいと要望させていただきます。
 これまでの質疑の中で、この福祉保健局としては、これまでモニタリングポストの定点観測、百カ所測定、また区市町村への測定器貸し出しと対策を進めてきたということでありました。しかしながら、冒頭にも述べましたが、放射能においては都民の多くがいまだに不安を抱え、特に子どもさんに関しては、成人した私たちに比べてその放射能の影響を受けやすいといわれております。
 最後に、今後、都としては、この子どもというキーワード、取り巻く環境を守るためには、どのような対策が必要であると考え、また取り組んでいく予定なのかお聞きします。

○中谷健康安全部長 都におきましては、各区市町村が行う測定を支援するために、これまでの小型測定器に加えまして、保健所により精密な測定器を配置するなど、引き続き支援体制の充実に努めてまいります。また、教員等の学校関係者を通しまして、児童生徒や保護者の放射線に対する理解がより深まりますよう、講習会を実施してまいります。
 こうした取り組みによりまして、放射線のリスクの程度や必要な対応に関する情報を積極的に提供してまいりたいというふうに考えております。

○田中委員 最後に意見としていわせてもらいますが、先週の末、東日本大震災における東京都の対応と教訓ということで発表がなされて、きょうも私たち会派で説明を受けました。この中にも、放射性物質等による影響の対策ということでページが割かれております。
 その中で一つ、都の体制整備等という項目があり、これまでは都民の不安の払拭に向けて各部署が連携して迅速かつ臨機応変に適切な対応を実施してきた。そうであるけれども、今回の経験を踏まえて、全庁的な体制を迅速に構築できるよう、都の各部署の役割等について改めて検討していく必要があるというふうに述べられております。だれもがこの放射性物質等の影響には不安を覚えておりまして、部署が違うからとか、担当が、また管轄が違うからということではなくて、ぜひ、ここで述べられているように全庁的に取り組んでいただいてもらうことをまず要望して、さらに、今いろんな情報が飛び交っておりまして、何が正しいのか、何に頼っていいのかという現状でありますから、やはり先ほどのモニタリングポスト等、正確に、またこれまでずっと継続的に調べてきて、そのデータをもとに私たちも判断し、対策を進めてきましたので、ぜひ、何が正しいかという判断ができるように、正確な状況を提供していただき、都民の不安の払拭に全力で取り組むことを要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。

○大山委員 まず、この陳情の一番目の項目は、都内の教育施設、児童遊園、公園など、子どもが頻繁に出入りする空間、土壌及び水中の放射線値及び放射能核種の測定を実施することということで、先ほどのご説明にあったように、毎日測定しているとおっしゃっていた健康安全研究センターでのモニタリングポストは、地上十八メートルで、高さ一メートルですから十九メートルということになるんでしょうけれども、それはそれで大気圏内の核実験が行われていたときにいち早くキャッチするための役割として設置されたわけですから、それはそこがよかったわけですよね。
 しかし、今必要なことは何なのかということだと思っています。現在の値が毎時〇・〇六マイクロシーベルトということですけれども、水素爆発前は一時間当たり大体〇・〇三ぐらいかなと。だから、やや高目で推移しているという状況だと思っています。
 地上一メートルと五センチでの放射線量も、東京都は、福祉保健局は六月に一回だけ都内百カ所をはかったわけですけれども、先ほどもご答弁ありましたように、公園なら広いところの中心ではかるというわけなんです。福祉保健局が六月に測定した百カ所では、さっきご説明がありましたように、〇・〇二から〇・二〇毎時マイクロシーベルトだったということなんですが、私たち、この間、何回か百二十八カ所やって、その後は東部中心にやって、それから八月の二十五日から九月三日で、保育園だとか幼稚園だとかに入らせていただいて、それで細かく測定しました。
 そのとき、同じ保育園の中でも、園庭の中心部一メートルの高さのところでは〇・一三毎時マイクロシーベルトだったんですけれども、砂場の中央部に行くと毎時〇・二四マイクロシーベルト。園庭の中の雨水ますのところではかりますと毎時〇・五七マイクロシーベルト。で、砂場があって、その砂場のそばに平均台が置いてあるんですけれども、その下の砂のところ五センチではかると〇・四八毎時マイクロシーベルトだったんですね。
 公園、保育園などでホットスポットが都内でもあるということが明らかになってきているわけですけれども、どう認識しているでしょうか。

○中谷健康安全部長 先ほど大山議員の方から健康安全研究センター、十八メートルというお話がございましたけれども、先ほどもご説明させていただきましたが、その二十四時間の連続測定とあわせて、地上一メートルで、これも精密な機器で測定をしております。地上一メートルの数値とモニタリングポストの数値、さほど数値は変わりません。そういう意味では、高いところにあっても、通常の私どもがどの程度汚染されているのかという状況を把握することはできるかなというふうに考えてございます。
 ただいまのご質問でございますけれども、同じ敷地内でございましても、今お話のございました雨水ますの内部や滑り台の降下部などにつきましては、周囲から雨水が流れ込みやすいところでございます。また、泥や土がたまりまして、周囲より放射性物質が付着しやすいということがございますので、線量が高くなる可能性はあるということは認識しております。

○大山委員 そうなんですよね。周囲よりも付着しやすい、たまりやすい、だから測定地点によっては測定結果が異なると。つまり同じ公園でも、同じ保育園でも幼稚園でも、放射線量が高いところと低いところがあるというわけですよね。しかし、福祉保健局が百カ所はかったところは、なるべく障害物がないところで測定して。それで目安にはなると思うんですよ。しかしそれだけでは全く不十分だといわざるを得ません。
 公園の真ん中だけで子どもたちが遊ぶわけではありませんし、お母さんたちが知りたいのは、子どもたちが遊んでいるところ、呼吸するときに内部被曝だって危険があるわけですから、子どもたちが遊んでいるところの放射線量がどうなっているんだろうかというのが知りたいわけですよ。
 滑り台も滑りますし、道路の端っこにだって行くわけです。先日も、公園で私たちがはかっていたら、公園のセミを一生懸命とっているわけですよね。そうすると、下には、草が、雑草がいっぱい生えているわけなんですけれども、チョウチョウも捕まえて、草原で遊んでいるわけですよね。赤ちゃんはバギーに乗せられていたら、より地面に近いわけですから、道の端っこにも行くわけですから、より近いところで呼吸をしているということなんです。
 まずは細かくはかることが実態を把握することだと思います。特に赤ちゃんや子どもたちが利用するところが多いところを中心にやっていく必要があると思います。
 私たちは測定して比較的高かったところを専門家の先生と一緒に除染してみました。例えばある保育園の滑り台の下が〇・四一マイクロシーベルト・パー・アワーだったんです。その部分の土を大体五センチぐらいスコップで除去してみました。そうしたら、〇・四一だったのが〇・一七マイクロシーベルト毎時に下がりました。出入り口の側溝の上部、側溝というか、道の端っこになって、ふたがかかっているというか、バギーなんかががたんがたんといかないようになだらかにしているふたがかかっているんですけれども、それを外して、たまっていた砂を除去した後に、水を流してブラシをかけながら掃除したんです。そうしたら、〇・三四だったのが〇・二一マイクロシーベルトに下がりました。詳細に測定することがまず出発だと思いますけれども、どうですか。

○中谷健康安全部長 区市町村は、地域の実情に応じまして、それぞれの判断によりまして、学校、保育所、公園など各施設の空間放射線量の測定を実施しております。
 都といたしましては、今後とも空間放射線量のモニタリング体制を強化するとともに、区市町村が行う測定につきましても、これまでの小型の測定器に加えまして、保健所により精密な測定器を配置するなど、引き続き支援体制の充実に努めてまいります。

○大山委員 東京都は、今後ともモニタリング体制を強化するんだということなんですけれども、それだけでは不十分なんですね。例えば都立公園は東京都が細かく測定しないので、区民からの要望で、例えば足立区は都立中川公園の放射線量を測定しました。それがね区が東京都にお願いしてはからせてもらうという状況だったんですって。本当におかしいと思うんですよね。同じ敷地内であっても、測定地点の周囲の状況によって測定結果は異なるというふうに認識していらっしゃるんですから、都立公園などは東京都が責任を持って細かく、子どもたちの行動様式に基づいて測定することが必要だと思いますけれども、どうですか。

○中谷健康安全部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、都としてはモニタリング体制を強化している、測定のために各区市町村に貸し出しをした測定器で各区市町村においても、今事例もお出しいただきましたけれども、各施設のより詳細な測定を行っているというふうに認識しております。各施設管理者において、この測定については適正に判断がされるものというふうに認識しております。

○大山委員 人ごとじゃいけないと思うんですよね。都立公園を東京都がはからないし、そこではからせてくださいってお願いしなきゃ区もはかれないような状態というのは、やはりおかしいと思うんですね。だから東京都が区市町村任せにするんじゃなくて、東京都の施設だっていっぱいあるわけですから、そこはきちんと都が責任を持って細かくはかるべきだと思います。
 水中の放射性物質については、ちりや雨などの降下物に由来するから、測定しなくてもわかるというように先ほどおっしゃっていましたけれども、例えば、私、新宿ですけれども、おとめ山公園というところには池があるんです。カエルもいるんです。ザリガニだっているんです。子どもたちはその池が好きなんです。そこの池の水の放射線量はどうなっているかわかるんでしょうか。都立の公園にも、例えば戸山公園にも池があります。そこはショウブか何かが咲いているんですけれども、そこはどのぐらいの放射線量なのか、これ、わかるんですか。

○中谷健康安全部長 先ほど申し上げましたとおり、降下物に由来するということで把握ができるというふうに申し上げました。この部分については、今、池というようなお話がございましたけれども、当時プールが安全なのかということで大分議論になっておりました。
 そこでこれまでのちりや雨による降下物、これの積算のデータというのが健康安全研究センターの方にございますので、それをもとに、プール水の濃度がどうなっているのかと。ずっとたまっているわけですから、雨が降り、ちりが降りということでたまっているわけですから、それを積算したらどうなるかということで積算をいたしましたところ、全く問題のない数値だということで、実はこの計算の方法も含めましてホームページの方に掲載しております。したがいまして、それをごらんいただきますと全く問題がないということがおわかりになるかというふうに考えております。

○大山委員 風の吹き方だとか、それから花粉の飛ぶのに似ているといわれていますけれども、花粉の飛び方だとか、モニタリングしているところに落ちるものと、それから実際の池と、池だってよどんでいるところもあるし、それから流れ出すところもあるわけですよね。だからやはり、実際に地面だって、水の流れる、たまるところは高いんだということをおっしゃっているわけですから、池だってきっと真ん中と端っこと違うんじゃないんですか、予測ですけれどもね。だから、やはりはからなければ実際のところはわからないということなんですよね。
 ですから空間線量についても、それから水についても、まずはホットスポットを発見して対応することではないでしょうか。
 東京都内だと、区部東部が高目であるということは認識されているわけですけれども、例えば新宿区内だって、地域によっては保育園の砂場で〇・一三マイクロシーベルトの値が出ていたり、さらにもうちょっと西の方の東大和の小学校の校庭が毎時〇・二三マイクロシーベルトであったというんですよね。ですから予断を持たずに、まずは細かく測定することだと思います。区市町村への支援体制の充実といいますけれども、それは何を指しているんですか。

○中谷健康安全部長 区市町村への支援体制ということでございます。先ほどご答弁申し上げましたとおり、これまでも小型の測定器を貸与してきたわけでございますが、それに加えまして、保健所により精密な測定器を配置するなど、支援体制の充実に努めていくという考えでございます。

○大山委員 小型の貸し出しと、それから保健所に新たに配置するということなんですね。二番目の、学校や幼稚園や保育所等における都独自の放射線測定に係る安全規定値を設定し、それを超過した場合の対策を定め、実行することということなんですね。
 これは区市町村への支援も含めてだということだと思うんですけれども、例えば学校、幼稚園、保育所等における放射線量の安全基準値を早急に策定するように、それからその費用を国が負担するようにということで、九都県市首脳会議で六月十日に、それから十四日には、都単独でも政府に対して要望を出していますよね。
 基準を決めて、必要なところには除染をする必要があるということを認識しているからだと思うわけですが、既に砂場の砂の入れかえなど、自治体独自に判断して実施しているところもあります。
 さっきいいましたけれども、足立区では、一時間当たり〇・二五マイクロシーベルト以上を除染の対象として、砂場の砂の入れかえなどを実施しています。その足立区は国や都が除染の方法や、除染が必要な一定の基準を示してくれないので、区独自に判断して実施しているが、国が全国レベルで判断することはあっても、東京都は都の基準を示してほしい、こう区の幹部の方が述べています。
 国に要望することはもちろん重要です。しかし、既に対応している自治体があるわけですし、子どもたちの被曝を最小限に抑えるためには急ぐ必要があります。国待ちにならないで、都独自に基準をつくることが求められていますがどうですか。

○中谷健康安全部長 先ほど来の質疑の中でもお話をさせていただいておりますけれども、安全基準値につきましては、これは放射性物質による健康影響という部分では、これは国民すべての方々の健康の安全に係る部分ですから、これについては国が責任を持って設定すべきというふうに考えているところでございまして、そういった観点から、九都県市あるいは都としても独自に要望してきたということでございます。
 また、今、大山議員の方から除染についてというお話がございましたけれども、この除染につきましては、八月二十六日に国におきまして、除染に関する緊急実施基本方針というものが示されております。また同日に、放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法というものも成立しております。
 今後、こういった内容は、また国において詳細な運用等について検討がなされまして、通知が発出されるというふうに聞いております。そういった中で、また対応について図られていくというふうに認識しております。

○大山委員 国が責任を持つのは当然なんです。しかし、いまだに詳細な方針は出てないわけです。ですから、既に区ではもう砂場の砂を入れかえたりし始めているわけですよ。基準をつくる。それで、既に砂場の砂の入れかえなどを実施している区では、測定にも空間線量じゃなくて、砂場の砂の測定をお願いしていますから測定にもお金がかかっているわけですね。除染にもお金がかかっているわけです。
 しかし、国や都は財政負担をしていない。区が勝手に基準を決めて、勝手に除染していると思っているんだろうかといっています。財政負担を都に要望したいと話していました。除染の方法や、除染したものの置き場などについては、専門家の協力を得て検討して、ガイドラインなども示すことが必要だと思っています。
 砂場の砂を入れかえるにも、私たちの調査では、例えば足立区ですと、〇・二五マイクロシーベルト一時間当たりというのを基準にして砂を入れかえています。〇・二五を超えるところというのは、例えば公園の側溝で〇・三二だとか、砂地で〇・二九とか、それから、住宅地内のくぼ地の排水口のところだと〇・五八とか、これ、私たちが測定した足立区内の幾つかの公園だとかというところだけでも〇・二五という足立が決めた基準を超えているところが、二十カ所もあるんですよね。区市町村は、検査にも、さらに除染をするにもお金がかかるわけです。都は財政的な支援もして、一日も早く対応できるようにすることが求められていますけれども、どうですか。

○中谷健康安全部長 大変恐縮ですが、先ほどご答弁申し上げましたとおり、先般八月二十六日に除染に関する緊急実施基本方針が示されておりますし、また特別措置法も成立している。また、その詳細については、これは一月一日の施行ということになっておりますが、国において運用等について定められるというふうな状況でございます。そういった枠組みの中で、今後対応がなされるというふうに考えております。

○大山委員 今、国待ちなんですよね、結局ね。もちろん、国がきちんとてきぱきとやるというのは重要です。しかし、子どもたちは、今を生きているんです。先行してやっている自治体があるわけですから、ちゃんと都としても責任を果たすべきだと思います。
 国に対して意見書を出したということももちろん重要です。と同時に、国に出すんだったら、きちんと東京都でも何ができるのか、基準もきちんと相談したり、それから除染の方法も専門家と一緒に相談したりしながらつくっていくということが求められていると思っています。
 今回の陳情は、空間線量、それから水の中ということが中心でしたけれども、今、お子さんたちを持っているお母さん、お父さんたちは、食べ物からの内部被曝のことが非常に心配になっているわけです。この間、衆議院の参考人としての意見表明をした児玉龍彦氏も、今は流れ作業でモニタリングができる、イメージングできるものもすぐにでも開発できるんだ、実用化できるんだということをいっているわけですから、もちろん国が研究をしなきゃいけませんが、東京都としても都が持っている力を最大限出して、民間の人たちとも協力しながら開発していくということが重要だという意見を述べておしまいにします。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件中、第三項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二三第三六号の一中、第三項は趣旨採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十六分散会

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