厚生委員会速記録第九号

平成二十三年六月二十九日(水曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長くまき美奈子君
副委員長松葉多美子君
副委員長早坂 義弘君
理事たきぐち学君
理事山加 朱美君
理事三原まさつぐ君
田中  健君
栗林のり子君
中村ひろし君
今村 るか君
小磯 善彦君
大山とも子君
野島 善司君
増子 博樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
総務部長梶原  洋君
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長黒田 祥之君

本日の会議に付した事件
 意見書について
付託議案の審査(決定)
・第百七号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為厚生委員会所管分
・第百九号議案 平成二十三年度東京都病院会計補正予算(第一号)
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○くまき委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書三件については、いずれもお手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

介護報酬改定に関する意見書(案)
 介護保険制度における介護報酬については、サービス提供地域ごとの人件費の地域差を反映させるため、特別区を含む五つの地域区分を設定し、各区分ごとに報酬単価の上乗せを行っている。
 しかし、地域区分の設定や上乗せ割合は、地域の実情に即したものとはなっていない。大都市部では、事業運営に必要な土地や建物の取得費及び賃借料等の物件費が高額であり、こうした地域差を考慮しないことは合理性を欠くものである。
 平成二十一年四月の介護報酬改定では、大都市部の事業所ほど給与費が高く経営を圧迫する傾向にあることを踏まえ、上乗せ割合の一部引上げが行われたが、不十分な上げ幅にとどまり、地域区分そのものの見直しには至らなかった。
 現在、国において、平成二十四年四月の介護報酬改定に向けた検討が行われているが、地域区分については、人件費のみならず物件費などの地域差も十分に調査し、分析した上で、より細分化を図るとともに、実態に応じた適切な上乗せ割合にするなど、その在り方を抜本的に見直す必要がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次期介護報酬の改定に当たっては、地域区分の設定及び上乗せ割合において、大都市の実態を適正に反映させるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十三年七月 日
東京都議会議長 和田 宗春
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣  宛て

無料低額宿泊所の適正化を図るための設置基準等の法的整備に関する意見書(案)
 都内の無料低額宿泊所は、平成二十三年三月三十一日現在、百七十八施設、定員五千五百五十四人となっている。無料低額宿泊所は、従来、生計困難者に無料又は低額な料金で宿泊所等を利用させる事業として社会的な役割を担ってきたが、近年のホームレスの急増に伴い、主に居住地のない元ホームレスの被保護者等の経過的居所として、宿泊に加え、食事の提供等の付加サービスを行うところが増加している。
 現在、無料低額宿泊所は、社会福祉法で届出制となっているが、設置基準等について法的規制がない。このため、都独自のガイドラインを設けて、宿泊所の質の向上を図ってきたところである。
 しかしながら、無料低額宿泊所の中には、入所者のプライバシーの問題や不透明な事業経営など運営等に課題のあるものも存在することから、入所者の適正な処遇を確保し、質の向上を図る必要がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、無料低額宿泊所について、早急に届出制、設置基準の見直しなど法的整備を行うよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
 平成二十三年七月 日
東京都議会議長 和田 宗春
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣  宛て

被災者生活再建支援制度の拡充に関する意見書(案)
 東日本大震災では、都内においても、住家等に全壊、大規模半壊、半壊などの甚大な被害が発生した。とりわけ、液状化現象が予想を超える広がりで発生し、道路などの陥没、住宅の傾斜や沈下、建物のひび割れ、下水道管の破損などの被害が生じた。公益社団法人地盤工学会の調査によると、東京湾岸地域の被害面積はJR山手線の内側の面積の半分以上に相当する約四十二平方キロメートルで、世界最大ということである。
 東京を含む関東地方の広範囲で液状化による被害が発生したことを受け、国は本年五月二日、より多くの被災者が支援金を受給できるよう被災者生活再建支援制度の認定基準を緩和した。これは、支援金の支給対象に液状化による住宅被害を初めて加えた点で一歩前進である。
 しかし、当該制度は、都道府県では百世帯以上、市町村では十世帯以上の住宅が全壊と認定されなければ適用対象外となるため、都内で適用された自治体はない。
 適用対象外となった自治体の一部では、独自の制度を創設し被害住宅の改修や地盤改善への支援に乗り出しているが、被害者の健康への影響や経済的負担は依然大きく、国が支援対象の範囲や支援内容を更に拡充することが求められる。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、被災者の生活再建への支援をより実態に即したものとするため、被災者生活再建支援制度の適用要件を更に緩和し、支援対象の範囲等を拡充するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十三年七月 日
東京都議会議長 和田 宗春
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
防災担当大臣  宛て

○くまき委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。

○くまき委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分及び第百九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○大山委員 日本共産党を代表して、議案についての意見を述べます。
 第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)及び百九号議案、平成二十三年度東京都病院会計補正予算(第一号)の両議案は賛成です。
 しかし、被災地、被災者支援に全力を挙げること、都民の命と健康を守り抜く立場での震災対策、放射線対策などの観点から見ると不十分であります。
 一般会計補正予算は、在宅療養患者の実態調査や、外部バッテリーや自家発電の設置、高齢者を熱中症等から守る緊急対策、放射線測定体制及び情報提供体制の充実などを初め、我が党が要望してきたことが取り入れられており、一定の前進は見られます。
 しかし、東日本大震災の被災範囲が広大であり深刻であること、自治体の機能そのものまで壊滅的な被害を受けている自治体もあることなどを考慮すれば、保健師、医師、看護師、児童福祉司、福祉職など、今後、ますます現地では必要になってくるにもかかわらず、現状の職員の中でのやりくりでしかないことが明らかになり不十分です。
 放射線対策では、前進はあるものの、都民の命と健康を守り抜く立場に立てば不十分です。とりわけ、低レベルの放射線被曝についての福祉保健局の立場は、すぐには健康に影響がないというものであり、都民の、とりわけ子どもたちの命と健康を将来にわたって守り抜く立場とはいえません。改めて、国際的な到達点に立つべきことを申し述べておきます。
 引き続き、さらなる補正予算、また、来年度の予算での抜本的な充実を求め、意見表明といたします。

○くまき委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分及び第百九号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。よって、第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分及び第百九号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○くまき委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○くまき委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。

○くまき委員長 この際、所管局を代表いたしまして、杉村福祉保健局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○杉村福祉保健局長 当委員会所管両局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 本定例会でご提案申し上げました議案につきましては、ただいまご決定をいただき、まことにありがとうございました。
 今回の委員会では、ご審議の過程におきまして、東日本大震災における被災地の支援、そして、都の防災対策の強化などにつきまして、多数のご意見、ご指摘をちょうだいいたしました。これらのご意見、ご指摘につきましては、今後の事業執行に適切に反映させてまいりたいというふうに考えております。
 また、病院経営本部とも、より一層緊密に連携を強めまして、さらなる施策の充実に努めてまいる所存でございます。
 今後とも、よろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○くまき委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時六分散会

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