厚生委員会速記録第四号

平成二十三年三月一日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長くまき美奈子君
副委員長たきぐち学君
副委員長松葉多美子君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
理事今村 るか君
田中  健君
栗林のり子君
中村ひろし君
小磯 善彦君
三原まさつぐ君
大山とも子君
野島 善司君
増子 博樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長別宮 浩志君
経営戦略・再編整備担当部長齊藤 和弥君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出 病院経営本部所管分
・第十八号議案 平成二十三年度東京都病院会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十二号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例

○くまき委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、病院経営本部所管分、第十八号議案及び第七十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 去る二月七日の本委員会におきまして要求のございました資料につきまして、お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料に基づきまして、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員(平成二十三年二月一日現在)など十一点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員(平成二十三年二月一日現在)でございます。
 (1)は都立病院、次ページの(2)は公社病院における医師の診療科別定数及び現員を記載しております。
 三ページをお開き願います。2、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員(平成二十三年二月一日現在)でございます。
 (1)は都立病院、(2)は公社病院における職種別職員定数及び現員を記載してございます。
 四ページをお開き願います。3、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
 (1)は都立病院、(2)は公社病院における看護要員の採用者数及び四月一日から三月三十日までの退職者数と、三月三十一日の退職者数につきまして、平成十七年度から平成二十一年度までの推移を記載しております。
 五ページをごらんいただきたいと思います。4、都立病院及び公社病院における研修医受け入れ状況でございます。
 (1)は初期臨床研修医について、次ページの(2)は後期臨床研修医について、それぞれ平成二十一年度及び平成二十二年度の定数を病院別に記載してございます。
 七ページをお開きいただきたいと思います。5、都立病院におけるPFI事業にかかわる経費の推移でございます。
 平成十九年度から平成二十三年度までのPFI事業にかかわる経費の推移を、各事業別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。6、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
 一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費につきまして、平成十九年度から平成二十三年度までの推移を病院別に記載しております。
 九ページをごらんいただきたいと思います。7、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
 一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費につきまして、平成十九年度から平成二十三年度までの推移を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8、都立病院における経営指標の推移でございます。
 平成十九年度から平成二十三年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載してございます。
 一一ページをごらんください。9、各公社病院における経営指標の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの各公社病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載してございます。
 一二ページをお開き願います。10、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
 平成十九年度から平成二十三年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載してございます。
 一三ページをごらんください。11、全国の自治体病院における標準出産費用(分娩料、新生児室使用料、新生児管理保育料)でございます。
 平成二十二年六月に実施した調査に対して回答のありました自治体について標準出産費用を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、大きく二点、包括外部監査と、都立松沢病院の再整備について質問します。
 まず、包括外部監査について質問します。先般、包括外部監査報告書が公表され、監査対象である都立病院及び財団法人東京都保健医療公社病院の財務事務の執行と経営管理について、二十三の指摘と四十八の意見が付されました。都知事は、二月十日の定例記者会見で、包括外部監査について質問されると、十年近くたって病院だけがまだこのていたらくだと述べられました。知事はこのようにいうのですが、病院経営本部のこの十年間の取り組みをお答え願います。また、包括外部監査で多くの指摘があったのですが、どのように受けとめて対応していくのか、伺います。

○黒田経営企画部長 平成十一年度の外部監査の指摘や意見につきましては、順次改善に努めまして、平成十七年度までに外部監査人にも確認を受けた上で、すべての事項について対応をしてきたところでございます。
 一方、診療報酬制度の相次ぐ変更や景気の低迷など、医療を取り巻く急激な環境変化の中にありましても、医療サービスの向上を目指して都立病院改革を進めてまいりました。しかしながら、専門的知識や経験が豊富なベテラン職員の大量退職などの影響もございまして、結果として、事務管理について十年前と同様の指摘を再度受けることとなりました。
 このため、病院経営本部では、今回、指摘、意見を受けたことを重く受けとめ、外部専門家によるアドバイザリーチームを組織いたしまして、日常的な指導や監督を受けながら、事務処理を改善してまいります。とりわけ早急に対応が必要な未収金の滞納整理につきましては、実務の専門チームを編成して取り組みを強化することで未収金額の縮減を図ってまいります。
 さらに、事務の専門性が大きな課題となっております医事部門につきましては、外部人材の登用や職員の意識改革など、専門性の高い職員の育成にも、これまで以上に力を注いでまいります。

○中村委員 監査結果は重く受けとめて、ぜひとも改善に努めていただきたいと思います。
 さて、記者会見や議会での答弁など、この間の知事の発言を聞いていて違和感を感じるのですが、自分に全く責任がないような他人ごとの話をしています。また医師である院長の上にCEO、すなわち最高経営責任者を置くことも話されました。私は都知事こそが最高責任者だと思っていましたが、違うということでしょうか。知事と病院経営本部長と院長の責任と役割がどうなっているのか、お答え願います。

○黒田経営企画部長 知事は、都民の信託を受けまして都政全般を統括する責任者でございまして、さまざまな行政分野におきまして都民サービスを提供する役割を担ってございます。病院経営本部長は、知事の補助機関として都立病院の管理及び運営のために必要な事務をつかさどりまして、本部の責任者として所属職員を指揮、監督する役割を担ってございます。病院長は、各病院の運営に関する現場の責任者でございまして、それぞれの病院が担うべき医療機能を果たすべく、病院経営を行うことを役割としてございます。

○中村委員 CEOを置くかどうかは別にして、知事が都政全般を統括する責任者であることは間違いありません。だれに責任があるかの議論を都庁内でするのはいいのですが、都民に対する責任は知事が負うものだと思います。
 さて、公営企業会計は本来独立採算とはいえ、一般会計からの繰り入れがあります。これは利益だけを追求するのではなく、公立病院の役割があるからだと思います。もちろん甘い経営であってはならないのはいうまでもありません。都立病院の役割をどのように考えているのか、伺います。

○黒田経営企画部長 都立病院の基本的な役割は、感染症医療などの法令等に基づき対応が求められる医療や、難病、精神科身体合併症医療など、一般医療機関におきまして対応が困難な医療等の行政的医療を提供することでございます。こうした医療は、たとえ不採算でありましても、都立病院は、将来にわたり安定的かつ継続的に都民の方に提供していかなければならないと考えてございます。このため、診療報酬の新たな加算の取得など収入の確保や支出の見直しによる収支バランスの確保と、医療サービスの向上と両立を図りながら、不断の改革を推進してまいります。

○中村委員 お答えいただいたように、公立病院としての役割を果たしながら、不断の改革に取り組んでいただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、都立松沢病院の再整備について伺います。平成二十年一月に策定された第二次都立病院改革実行プログラムをもとに、都立松沢病院は精神医療センターへと再整備がなされます。改めてその意義を伺います。建物が老朽化したから建てかえるというだけではないと思いますので、現状の課題にどのように対応していくのかを含めて、再整備の意義をご説明願います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 近年、統合失調症やうつ病、神経症、ストレス障害、薬物、アルコール依存症、認知症など、精神疾患患者が増加しており、その対策が社会的に喫緊の課題となっております。このため、松沢病院ではこれらの課題解決を図っていくため、急性期の精神科医療を中心に再編整備することとしております。具体的に申しますと、他の医療機関では対応困難な精神科救急医療、精神科身体合併症医療、薬物、アルコール依存症などの精神科特殊医療など、行政的医療を充実強化するとともに、医療機能の向上と、病棟の集約化を図ってまいります。

○中村委員 都立病院なので、当然に行政的医療を担うのですが、病床数が従来施設と同規模の八百九十七床となっています。長期入院者の退院促進がいわれる中、都立病院が率先して病床数を減らすことが必要だという意見もあります。とりわけ実行プログラム制定後に、福祉保健局で障害福祉計画が制定されているのですから、その間、さらに社会的入院の削減の流れが一層進んでいると思います。社会的入院をどのように減らしていくのか、ご所見を伺いたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 長期入院患者の退院を促進するため、まず、退院援助などの相談業務や、看護師、精神保健福祉士、いわゆるPSWなどの多くの職種による訪問看護、地域の福祉施設などとの退院調整会議の実施などを行ってまいります。
 さらに、生活リズムの確立や対人関係能力の向上などを目指す精神科デイケアを実施してまいります。また入院時から医療福祉相談や作業療法など、院内各部門と積極的に連携し、新たな長期入院患者の発生防止に努めてまいります。

○中村委員 長期入院患者の退院は大変なことですが、退院援助への取り組みや、新たな長期入院患者の発生防止に努めることで、長期的には社会的入院のための病床数を減らしていけるよう取り組んでいただきたいと思います。
 さて、実行プログラムには、包括的地域医療サービスとして、多職種によるアウトリーチサービスを取り組むとあります。地域で暮らすために、福祉保健局もモデル事業を行い、これから本格化しますが、都立病院としてどのような役割を果たしていくのでしょうか、伺います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 今後の訪問介護や、訪問診療など、地域生活への支援につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたPSWを中心にしまして、地域の医療機関、福祉施設、行政機関などとの各種協議会の開催ですとか、症例検討会及びケア会議の開催などについて積極的に取り組んでまいります。
 さらに、地域の医療機関や関係機関に対して情報を発信するなど、福祉保健局と連携して、包括的地域支援サービスの普及、拡充に努めてまいります。特に、地元の精神障害者生活支援連絡協議会や、退院促進連絡会議などの地域ネットワークを積極的に構築してまいります。

○中村委員 地元の世田谷区や、その近隣市区の関係者にとっては、松沢病院への期待は大きいと思いますので、積極的な取り組みをお願いします。
 さて、昨今、リストカットや大量服薬などの自傷行為で病院に運ばれる方も多いと聞きます。まずは外傷を治すため外科の病院に運ばれるようですが、その後は精神的な治療が必要となれば松沢病院でも治療をすることになります。他の都立病院と連携する中、自殺防止の取り組みを積極的に行う必要があると思います。
 また、自傷行為に限らず、精神と身体の合併症の対応は大きな課題だと思います。東京の救急搬送時間が長い要因の一つに、こうした課題もあるようです。
 そこで、松沢病院として、他の都立病院との連携の中で、自傷行為を含め、身体合併症について積極的に取り組む必要があると思いますが、ご所見を伺います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 これまでも、都の精神科患者、身体合併症医療事業の一環として、都立では松沢病院を初め、多摩総合医療センター、広尾病院、墨東病院、公社は豊島病院におきまして、精神科身体合併症患者の夜間休日救急医療を実施してまいりました。松沢病院は、今後もこうした身体合併症医療事業を実施していくとともに、救命救急治療の必要な患者については、他の都立総合病院と連携しまして、総合病院は身体的治療を行い、松沢病院は身体的治療後における精神科治療を積極的に行うことによって、精神科身体合併症患者の受け入れ拡大を図ってまいります。

○中村委員 自傷行為を含めた身体合併症への対応は大変ですので、民間病院では対応が難しいケースも多くあると思います。精神病院としての松沢病院だけではなく、他の都立、公社病院を含めて、東京都全体でのより一層の体制強化をお願いします。今後、社会的状況から精神疾患の患者はますますふえ、東京都のセンター的機能を果たす役割は大きくなります。東京都全体の政策は福祉保健局が担っていますが、現場を持った病院経営本部としては、しっかりと連携して東京都としての政策に生かしていただきたいと思います。今後、精神医療センターとして、東京都の精神保健行政における役割と方向性を伺って質問を終わりたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 これまでも、病院経営本部としましては、精神科救急医療を初め、精神科身体合併症医療や、認知症医療など、福祉保健局と連携した精神保健施策を担ってまいりました。今後、精神科医療に関する新たな課題が発生した際には、福祉保健局と積極的に連携、協力して、都における精神科医療のセンター的役割を果たしてまいります。

○三原委員 ただいまの中村委員の質問と、それから答弁にも出てまいりましたけど、さきの本会議で、包括外部監査報告が出ましたので、その中で私がかなり、ちょっと気にしていたことが載っておりましたから、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
 実は、昨年の当委員会で、私は個人未収金、これについてどうするかという議論をさせていただきました。結論からいえば、欠損処理をして債権放棄をすべきではないでしょうかということを申し上げたんですけど、実は議員の立場では、非常に、実は発言をちゅうちょした点もあったんです。
 それは、一般的にいえば、まず個人未収金が発生しないように病院内で努力するということが一つと、やむを得ず発生したら、その未収金をしっかり回収しなさいと、こういうのが我々の立場であろうと、こう思っていましたから、それを、さらに踏み込んで、欠損処理した方がいいですと、債権放棄をやりなさいというのは、議員としていかがなものかなというのを正直考えたんですが、でも、やっぱりこれは議員の立場でもそういう考えがあっていいんではないかなと思って申し上げたんですけど、そのときに、外部監査をやられているかどうか、私、承知していなかったものですから、このたび外部監査の報告を聞いて、その中で、包括外部監査、いわゆる公認会計士のような立場の方も、欠損未収金を債権放棄しろと、そうすべきだということを明確にいっておられますので、そこで、もう一遍そこを踏み込んで、皆さんにお尋ねをしておきたいなと、こう思ったわけでございます。
 もちろん皆さん、読んで承知のことでございますけど、包括外部監査報告では、不納欠損と考えられる債権を欠損処理すべきだと、こう明確に指摘をしております。去年の委員会の記憶ですから正しくないかもしれませんが、過年度分と当年度分を合わせると、平成二十年は二十二億ぐらい、二十一年は二十億ぐらい未収金があると、こういうご報告でした。二十億とか二十二億って、都政は十二兆円とか十三兆円という議論をやりますから、余りぴんとこない部分もありますけど、よく考えてみると、地方の小さな自治体では年間の予算が二十億とか二十五億とかというまちがあるわけですから、それに該当するような未収金があるということは、これはかなり真剣に考えなきゃいけないということでございまして、先ほどのご答弁の中にもそのことは触れておられました。
 そこで、じゃあその二十億だとか二十二億という中に、内容もいろいろありますから、大変高額なのもあるでしょうし、きっと少ないのは、千円とか二千円というのもあるのではないかという気がいたします。そういうことも踏まえて考えますと、包括外部監査ですら債権放棄をすべきだということでございますから、まず、そういう指摘を受けて、病院経営本部としてはどうお感じになっているか、さらに突っ込んだご意見を聞いてみたいと思います。

○別宮サービス推進部長 ただいま先生の方から、昨年の本委員会でご指摘のございました債権放棄についてご質問いただきまして、個人未収金の現年度、過年度分を合わせました数値等をいっていただきましたけれども、まず都立病院の個人未収金は私債権でございまして、これを放棄するためには、相当程度の回収努力や、時効の経過等の要件を満たしているかなどにつきまして、制度所管局の承認を得る必要がございます。
 このため、現在相当程度の回収努力を行った幾つかの案件につきまして、制度所管局と協議を行っておりまして、債権放棄が認められれば、不納欠損処理を行うこととしてございます。包括外部監査でも指摘されていることでございまして、自己破産であるとか、出国が確認されている外国人の未収金などにつきまして、着実に債権放棄を行ってまいります。

○三原委員 皆さん方のお考えはそれで間違っているわけではありませんし、努力はしておられると思いますけど、今、話に出てきました東京都の債権管理条例、またそれを扱う施行規則といいますか、それを私も読んでみて、もうちょっと踏み込んだ議論をしたいなと思ったんですけど、私は法律の専門家じゃありませんから、十分理解ができてないかもしれませんけど、大ざっぱにいうと三つの段階があるといいますか、三つの扱い方があるような気がするんですよ、その債権管理条例でいくと。
 それは何かというと、条例の十条では、徴収停止という表現をしているのが一つあります。これは、支払うべき方がお仕事もやめてしまって、再びそういう仕事をやらないだろうということで、資金力がないといいますか、あるいは所在不明でかつ差し押さえをして強制執行しても、その強制執行の代金の方が高くついて回収金額が少ないというような状況、あるいはまた極めて少額で取り立てるために動く費用よりももっと少ない金額だと、こういうのは徴収停止をする、こう書いてあるんですね。停止を求めることかできるといいますかね。
 さらに踏み込んで、十二条では、履行期限から十年経過したものは、しかも、資力がないというようなことがはっきりすれば免除するということを書いています。そして、最後に十三条で、消滅時効にかかわるようなものは債権放棄をすると、こういうふうに、大ざっぱに三つの分け方をしていると、私はこの条例を読んで思うんですね。
 このことについて、病院経営本部と議論したこともありませんし、財務局と議論したこともないのでわかりませんが、実はここのところ、ぜひ病院経営本部として突っ込んで法律の専門家とも相談をされ、かつ財務局、主税局とも議論してもらいたいと思うんですけど、施行規則なんかを見てみますと、徴収停止とか徴収の免除とかというところは、別に財務局長は主税局長と相談しろとは書いてないんですよ。私債権の放棄をするときは、二局長ときちっと相談するというふうに書いてありますから、解釈の仕方の違いもあるでしょうけど、まず、たくさんある未収金の中から徴収停止にできるものは徴収停止にする。さらに支払い免除するというのは、支払い免除する。そういうものを個別にまた出して、そして最終的にそれらを債権放棄していくかどうかということになるわけで、そうすると、ただ一くくりで二十二億二千万とか、二十億三千万とかと、こう我々いってますけど、その中にはきっと、徴収停止をすることができるもの、あるいは免除することができるもの、さらには債権放棄を手続しなきゃいけないものというふうにあるという気が私はしています。
 したがって、その辺まで突っ込んで、まず病院経営本部で議論してもらいたいと思いますし、あわせて財務局や主税局とも相談をしてもらいたいなと、こう思うんですが、そういった私なりの解釈で間違っていれば教えていただきたいし、そういう議論を今までやってきているのかどうか、あるいはまたやってみたらどうかという私の提案に対して、病院経営本部として、どうお考えであるか。これから、病院がそれぞれちゃんと採算性をとりながらやっていこうという中で、この未収金について、大きな足かせになってはいけないなというふうに思うものですから、あえて申し上げているんですが、いかがでしょうか。

○別宮サービス推進部長 徴収停止、免除、放棄等につきまして、先生のご意見、ご見解ありがとうございます。まず、現状、都立病院の個人未収金は一万円未満の少額債権が全体の半数を占めております。そういう特徴がございまして、現行制度のもとでは、金額の多寡にかかわらず同様の回収努力が求められておりまして、人員や費用対効果の面などからすべての債権を同一に扱うことは困難ということでございます。
 このため、こうした観点を踏まえながら債権放棄の要件等につきまして、制度所管局と協議をしていくところでございます。こういった、債権放棄の要件等の協議の中で、執行停止などにつきましては、債権放棄につながることが前提ということになりますので、制度所管局の理解がやはり必要ということになりますので、指摘のご趣旨も踏まえまして、今後、そういった対応のあり方につきまして検討してまいりたいと考えております。

○三原委員 突然申し上げたことですから、特別なお答えはないと思いますけど、ぜひ次の機会には、突っ込んだ議論をされた成果を教えていただきたいと、こう思いますので、申し上げましたように、徴収停止、徴収免除、そして債権放棄、そういう三段階の対応の仕方を具体的にどうするか、またそれによって金額が、未収金が二十二億とか二十億とかというものが、うまく三つに分けて考えるようなことができるのかどうか、その辺も含めて次回の議論を楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

○松葉委員 私からは、東京都立病院条例の一部を改正する条例に関して質問をしたいと思います。
 昨年九月に発表されました、厚生労働省の平成二十一年医療施設調査・病院報告の概況によりますと、平成二十一年十月一日現在の医師数は、十九万一千百二十五人で、前年に比べて、三千百七十七人、約一・七%とわずかに増加をしております。
 その一方で、一般病院の施設数を診療科別に見ると、産婦人科、産科を標榜する施設は千四百七十四施設で、平成二年以降最低となっております。また福祉保健局が公表している資料によれば、平成二十年九月三十日現在の東京都内で分娩を取り扱う医療機関は、百七十九施設で、平成二年以降では最低となっております。医師数についても、平成十八年に比べ四十二人増となっていますが、出生、一千人当たりの産婦人科医師数は、平成十八年の十三・九人に比べ、十三・七人となっており、依然、産婦人科医不足が続いているという現状であります。このように、分娩を取り扱う医療機関数が減少し、また産科医の数も減少していることから、安心して安全に出産できる体制が望まれております。
 また、一方で、都内の低出生体重児の出生率が、昭和五十五年には五・二%であったものが、平成二十年には九・六%に増加するなど、リスクを伴う分娩が増加をしております。こうした状況のもとで、産科医療体制における都立病院の基本的役割をどのように認識をされているのか、最初に伺います。

○別宮サービス推進部長 産科医療体制におきます都立病院の役割でございますけど、一般の医療機関では対応困難なリスクの高い分娩に対応することが、総合診療基盤を有する都立病院の産科医療における基本的な役割であると認識しております。
 このため、墨東病院に加えまして、大塚病院、多摩総合医療センターと小児総合医療センターに総合周産期母子医療センターを整備いたしました。またこの二月に、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが、母体救命対応総合周産期母子医療センター、いわゆるスーパー総合周産期センターに指定されるなど、周産期医療体制の充実強化を図ってまいりました。

○松葉委員 一般の医療機関では対応困難なリスクの高い分娩に対応することが基本的な役割であるという認識とのご答弁でございましたが、それでは、都立病院におけるリスクの高い分娩の割合はどの程度なのか。また、母体胎児集中治療管理室、M-FICUの利用実績はどのようになっているのか、伺います。

○別宮サービス推進部長 平成二十一年度、都立病院での分娩件数は約二千七百件でございますが、帝王切開などのハイリスク分娩が四割を超えております。また、M-FICUは三病院合わせますと二十四床ございますが、平成二十二年四月から十二月までの実績を見ますと、一日当たり平均二十二・一人ということで、非常に高い稼働状況となってございます。

○松葉委員 都議会公明党は、都民の方が安心して安全に出産できるように、周産期医療体制の整備を繰り返し都に対し要望してきたところであります。これを受けて病院経営本部においては、三つの総合周産期母子医療センターを整備、運用し、リスクの高い分娩に対応するという役割を着実に果たしているということを評価するものであります。
 また、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが、最後のとりでともいうべき、いわゆるスーパー総合周産期センターの指定を受けたことから、ハイリスク分娩における都立病院の役割はますます高まるものと考えております。そうした高度な技術を要する周産期医療を提供していくには、ハード面の整備だけではなく、人材の確保が必要不可欠であります。
 全国的に産科医不足がいわれる中にあって、都立病院では、産科医業務手当の創設等の処遇改善、さらには育児短時間勤務制度などの弾力的な勤務形態の導入や、医師アカデミーの開校等による充実した研修体制の構築などにより、産科医の確保、定着に取り組んできております。こうした中で、今回の利用者負担に関する都立病院条例の改正案が提案されているわけでありますが、この改正の基本的な考えについて伺います。

○別宮サービス推進部長 公共サービスでありましても、特定の方のみが利益を受ける場合には、そのサービスの対価を負担していただくのが原則でございます。都立病院では、分娩料など健康保険が適用されない自由診療部分につきましては、この受益者負担の原則に基づき、使用料を定めて適正な負担をお願いしてまいりました。
 平成十二年度の前回改正後、都立病院では、産科医の確保、定着対策として、業務手当の創設など処遇改善を実施してまいりました結果、人件費等の分娩コストが増加したことから、適正な負担を求めるため、条例を改正するものでございます。

○松葉委員 ご答弁では、人件費が増加したことなどから、都立病院条例を改正し、分娩料等の金額を見直すということでありますが、改正内容について、それでは具体的に何点か伺います。
 これまでは分娩料については、時間内、時間外、休日、深夜の時間区分を設け、金額を設定していましたが、今回の改正案ではこの区分を改め、一律の金額とすることとしていますが、まずその理由について伺います。

○別宮サービス推進部長 これまでは、診療報酬制度及び職員の給与体系に照らし合わせまして、時間区分を設けてまいりましたが、陣痛から出産までに長時間かかることが多く、算定の基礎となる人件費の区分と分娩料が合致しないこと、また、わずかな時間の違いで料金が異なるとのことから、不公平感を生んでいる面がございました。
 このため、既に自治体病院や民間病院におきまして、一本化している病院もあることから、これらの問題を解消するために、一律の料金とするものでございます。

○松葉委員 それでは次に、新生児介補料と新生児室料を一本化し、新生児管理保育料とした理由について伺います。

○別宮サービス推進部長 これまでは、新生児室の使用料である新生児室料と、入浴や授乳などのケアにかかります料金である新生児介補料を別々に設定してございましたが、母子同室が一般化する傾向にあることを踏まえまして、新生児管理保育料として一本化するものでございます。また、既に二十七の道府県、十四の政令指定都市で、新生児介補料と新生児室料を一本化しております。

○松葉委員 分娩料の区分を改め、一律の金額とすること、また新生児介補料と新生児室料を一本化するという理由については理解をいたしました。
 その上で、条例案では、分娩料を十五万七千円、新生児管理保育料を一日七千円とすることとしておりますが、実際に入院をして出産をするに当たっては、入院費や検査、食事など、さまざまな費用が必要になることと思います。それでは、条例改正後の都立病院での出産費用の総額はどのぐらいになる見込みなのか。またあわせて、都内の公立病院の状況はどうなのか、伺います。

○別宮サービス推進部長 条例改正後の都立病院での出産費用の総額についてでございますが、正常分娩で七日間の入院の場合、四十二万円程度と試算しております。なお、出産育児一時金が四十二万円であることから、結果として大半の方が実質的な負担なしに出産することができるというところでございます。
 また、都内の公立病院、七病院ございますけれども、における出産費用の総額は四十二万円から五十万円台となってございます。

○松葉委員 ご答弁によると、改正後の都立病院の出産費用が、都内の公立病院と比較して、同等から低いということがわかりましたけれども、分娩料の改正がこういったことから必要であったとしても、既に分娩予約をされた方に対して配慮する必要があると考えます。また、これから出産を考えている方に対しても十分な周知が必要であると考えますが、所見を伺います。

○別宮サービス推進部長 既に分娩予約をされた方に対する配慮と、これから都立病院での出産を考えている方に対し、十分な周知を行う必要があることから、条例改正の施行につきましては十月一日を予定してございます。

○松葉委員 都民の生活が苦しい中であり、都民として受け入れられないというお気持ちもあるかと思います。片や、ご答弁にありましたとおり、医師確保や、大事なハイリスクの医療が守られなければならないということも事実であります。
 病院経営本部におかれましては、今後とも都立病院が周産期医療体制において中心的役割を果たすとともに、他の医療機関との密接な連携を通じて、都民の方が安心して安全に出産できるような役割を十分に果たしていただくとともに、都民の方への丁寧な説明をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○大山委員 私は二つの項目です。今の分娩料のことと、それからがん対策です。
 まず分娩料ですけれども、都立病院の分娩料、新生児介補料、新生児室料の値上げの条例ですね。現在、分娩料が一回八万六千円、時間外が十万四千円、休日、深夜が十二万二千円です。それを一律十五万七千円にするということですね。新生児室使用料と新生児介補料、これ合計すると現在は四千九百円ですが、それを一緒にして新生児管理保育料として七千円にするというものです。値上げ率で見ると、分娩料が約一・三倍から一・八倍、新生児管理保育料は約一・四倍もの値上げになります。
 分娩料と新生児介補料、新生児室料の値上げの根拠は何でしょうか。

○黒田経営企画部長 まず分娩料についてでございますが、平成十二年度の前回改正後、都立病院では産科医の確保定着対策として、業務手当の創設など処遇改善を実施してまいりました。この結果、人件費等の分娩コストが増加したことから、適正な負担を求めるために改正をするものでございます。
 新生児管理保育料につきましては、母子同室が一般化する傾向にあることを踏まえまして、新生児介補料と新生児室使用料を一本化しまして、新たに設定したものでございます。料金につきましては、診療報酬での入院基本料額を基本に、実情を踏まえまして算出したものでございます。なお、他自治体の状況を見ますと、道府県及び政令指定都市の平均額は七千四百円となっております。

○大山委員 わざわざ最後に平均は七千四百円ですというのは、七千円だから、こっちの方が安いですよということをおっしゃりたかったのかなと思いますけれども、都道府県別の出産費用、これ民間も公立も含めた出産費用という一覧表があるんですけれども、それぞれの県の中央値で比べると、どうかということなんですね。
 東京の出産費用の中央値は五十四万三千二百十五円です。そうしますと、都立病院の今値上げで提案しているものは、この中央値の七七%になるんですね。川崎市はどうか。神奈川県は、これで見ますと五十一万二千九百五十円が中央値ですから、川崎市はこの平均中央値の七六%です。仙台市は、やはり県で見ると中央値が五十万五千八百五十二円ですから、仙台市は七五%。神戸市は中央値の七〇%ということなんですね。ですから、東京よりも、中央値よりも低い割合になっているところの自治体があるんだということです。
 値上げの根拠に、業務手当の創設など処遇改善を実施してきた結果、人件費等の分娩コストが増加したこと、これを挙げていましたけれども、人件費コストを分娩料に反映するとなりますと、医師などの処遇改善をすればするほど分娩料を上げなきゃならないということになっちゃいますよね。医師などの評価というのは、処遇改善と給与などで正当に評価すればいいことなんです。
 とりわけ若い人たちの雇用が不安定になっている中で、経済的困難はますます拡大しています。少子化対策の観点からいっても、出産にかかわる経済的負担を少しでも軽くする、安心して出産できるようにする、これは都立病院として大切な役割だと思いますけれども、どうですか。

○黒田経営企画部長 一般の医療機関では対応困難なリスクの高い分娩に対応することが、総合診療基盤を有します都立病院の産科医療におけます基本的な役割であるというふうに認識しております。今回の改正によりまして、分娩料につきましては、コストに対して適正な負担をしていただくことになりますが、結果的に出産育児一時金の範囲内でございまして、新たな持ち出しにはならないということでございます。
 都立病院で出産された一部の方だけが、適正な負担なしに出産育児一時金よりも著しく安い費用で出産できるということは、社会全体の公平性の観点からは適切ではないというふうに認識してございます。今回の改正によりまして、結果として地域との協力関係が進み、安心して産み育てる医療体制の構築につながるものであるということで考えてございまして、このことは少子化対策にも資するものであるというふうに考えてございます。

○大山委員 驚くべきことですよ。分娩料などを引き上げることが少子化対策に資する。本当にびっくりです。料金を上げて、地域との協力関係を進ませる、そんなことをいっていましたけれども、どういうことなのかと。
 地域連携というのは、料金が上がろうが、下がろうが、それは基本的にやることでしょう。出産にかかる費用は、基準がないだけに、公的病院である都立病院は一つの基準なんですよね。都立病院としての役割を投げ出すものだといわなきゃいけません。都立病院で出産した方と違う病院で出産した方が不公平だ、こうおっしゃいますけれども、高いところに合わせなさいと、そういうことなんでしょうか。
 出産をするために五十万円も百万円もかかるということ自体が、尋常なことだといえるのかということなんですよ。もちろん、都立病院のこの料金だけで解決できることではありません。だから、福祉施策として、だれでも安心して経済的な心配なく出産できる制度にしていくことが重要だと考えているわけです。
 出産をめぐっては、さまざまな費用がかかりますよね。健診の費用は補助が始まりました。しかし、一番大きいのは出産のときにかかる費用です。そのほかにも、マタニティー用の洋服や下着は用意しなきゃいけませんし、生まれてくる赤ちゃんのために服や下着やおむつやおふろグッズやお布団や家具やおもちゃ、また産院に行くころになったら、おなかが大きくなったらついついタクシーも必要です。陣痛など緊急な事態にもタクシーを使う可能性というのは大きいわけで、さまざまな費用がかかるんですよね。
 先ほど、出産育児一時金の範囲内だ、そう答弁しましたけれども、出産育児一時金は二〇〇九年の十月から、それまでの三十五万円から四十二万円に引き上げられました。都立病院で通常の出産にかかる費用は、現在は三十四万円から三十八万円ですね。今までも、三十五万円の出産育児一時金は、ほとんどそのまま出産費用として消えていたわけですけれども、やっと四十二万円に引き上げられたかと思ったら、思ったのもつかの間ですよ。出産育児一時金は、そっくりそのままいただきますよ、そういうことなんですよね。分娩料値上げには反対です。
 もう一つ、がん対策です。がん登録ですけれども、がん登録には院内がん登録と地域がん登録ということがありますけれども、地域がん登録の準備が来年度から始まるということになるわけですね。地域がん登録については、二〇〇四年に、がん登録では歴史がある大阪にも調べに行って、かち議員が、東京でも地域がん登録をというふうに取り上げたとき、そのときには、地域がん登録は個々の患者ごとの医療情報を集約することによって、罹患率の測定、それから受療状況の把握などを行って、がん対策に資するということの認識はあるけれども、その実施に当たっては、登録制度の確保などさまざまな課題があると考えていると答弁しているんです。そのさまざまな課題を整理しながら、やっと来年度は準備が始まるということですから、重要な前進だと思っています。
 がん登録、もう一つ、院内がん登録についてです。駒込病院は、都内に二カ所ある都道府県がん診療連携拠点病院の一つです。駒込病院の院内がん登録の体制ですけれども、どのようになっているでしょうか。

○黒田経営企画部長 駒込病院における院内がん登録の体制でございますが、院内がん登録につきましては、医事課病歴係が担当しておりまして、常勤三名と登録作業の委託職員二名体制で実施しております。その場所は、病歴室の一角を区分けして使用しているところでございます。

○大山委員 事務職三名と登録専門の委託職員で二名、それが係として院内がん登録をやっているということですね。これ、院内がん登録実務者研修会の共通テキストアンド関連マニュアルというものなんですけれども、この中、つまり標準的に院内がん登録はこうですよということですけれども、これには体制づくりというところがまずありまして、まずは院内がん登録室を設置することになっているんですね。さらに、院内がん登録の設置場所、担当部署の明確化とともに、担当者の決定確保というのがあります。院内がん登録室長が必要ですけれども、室長は医師が推奨される、医師がなるのが適切ですよということになっているんですね。駒込病院の院内がん登録は、室にもなっていないということですから、室長を置こうにも置けないということなんですね。
 例えば大阪府立病院の、同じ公立病院ですけれども、大阪府立病院の院内がん登録は、責任者が医師で、企画調査課長さんです。実務責任者もやはり医師で、課長補佐ですね。電算処理がオペレーター一名、事務処理が主事さん一名、登録作業は保健師一名、診療情報管理士が一名、登録作業者二名という体制で、専門職もきちんと配置して、室長さんも実務責任者も医師ということなんですね。
 ほかはどうかというと、群馬県立、やはりここ県立ですけれども、がんセンターのがん登録室長は副院長さんですから、もちろん医師です。都立病院のがん登録は他県と比べても、大きくおくれをとっていると残念ながらいわなければなりません。
 駒込病院は、その特徴として、ホームページを見ますと、がん、感染症医療に重点を置いた総合的な病院であること。平成十四年三月に厚生労働省から全国で初めての地域がん診療連携拠点病院の指定を受けており、地域の医療機関等との緊密な連携に努めている、こう紹介しているんですね。全国でも初めて地域がん診療連携拠点病院の指定を受けているということですから、むしろおくれをとるどころか、全国をリードする役割を果たさなきゃいけないんではないでしょうか。
 院内がん登録は、病院で診断されたり治療されたりしたすべての患者さんのがんについての情報を、診療科を問わず病院全体で集め、その病院のがん診療がどのように行われているかを明らかにする調査で、この調査を複数の病院が同じ方法で行うことで、その情報を比べることができるようになって、病院ごとの特徴だとか問題点が明らかになるもの、これが期待されているわけですね。
 病院にかかったすべての患者さんという幅広い対象に調査を行いますから、病院のがん診療の特徴がよくわかるということなんです。それだけに、病院の中での位置づけを高めていくことが必要なのではないでしょうか。ぜひ、今後どう拡充していくのか、検討をしていただきたいと要望しておきます。
 駒込病院はがん診療拠点病院ですけれども、その指定要件として、がん対策情報センターが実施する研修を修了した専任の院内がん登録実務者の一名以上の配置が求められています。計画的に人材育成、確保を図る必要がありますけれども、どういう経過になっていますでしょうか。

○黒田経営企画部長 がん登録実務者研修につきましては、がん登録の標準化と普及とを図ることを目的といたしまして、国立がん研究センターのがん対策情報センターで実施されている研修でございます。がん診療連携拠点病院につきましては、その研修のうち、院内がん登録初級者研修を修了したがん登録実務者を配置することが指定要件となってございます。
 駒込病院におけます院内がん登録実務者研修受講状況につきましては、初級修了者が七名、さらに上位のレベルであります中級修了者が一名となっております。またそのほかに二名が初級研修を受講中でございます。

○大山委員 計画的に人材育成も行っていっていただきたいということと同時に、業務量が増大しますので、それに見合った人員増も適切に行っていただきたいということを申し上げておきます。
 がん診療拠点病院として、駒込病院内のことだけでなくて、都内の医療機関が実施する標準院内がん登録の指導や関東甲信越ブロックが実施する院内がん登録研修会などへの講師派遣なども考えられるわけですけれども、それはどうなるんでしょうか。

○黒田経営企画部長 標準院内がん登録の指導及び院内がん登録研修会などへの講師の派遣につきましては、現時点では国等から具体的な計画は示されていないことから、今後の課題になるというふうに考えてございます。

○大山委員 ぜひ人材も育成しながら、積極的に対応していただきたいと思います。
 駒込病院は緩和ケア病棟が開設されますけれども、より専門的で総合的な相談に対応するためには、専従の相談員の配置が求められていると思うんですね。やはりがんということでは、しかも緩和ケアですから、本当にいろんな細々したことから専門的なことまでたくさんの、家族も含めて相談があると思うんですけれども、専従相談員の配置、これは必要だと思いますが、どうですか。

○黒田経営企画部長 医療についての相談は、現在、医療相談室の相談員が対応してございますが、来年度開設予定の緩和ケア病棟に専従の相談員を配置するかどうかということにつきましては、今後の状況を見ながら対応を考えてまいります。

○大山委員 今後の状況を見ながらといっても、来年度スタートするわけですから、これもぜひ患者さんや家族の方々へのしっかりとした対応ということでも、ぜひ、設置というか、専門医の配置をお願いします。
 今後の課題だとか、今いろいろとおっしゃいましたけれども、診療拠点病院として、東京のがん診療の拠点としての役割を積極的に果たしていくためにも、ぜひ拡充をしていっていただきたいということを述べて終わります。

○田中委員 私からは、包括外部監査の報告に関して、これまではどちらかといえば未収金の件で多々議論がありましたが、別の観点で、薬剤の共同購入、また都立病院、公社における院内保育の現状について質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、薬剤の共同購入でありますが、この報告書によりますと、都立病院また公社病院では、医薬品等についてこれまで共同購入を実施し、購入単価の低減に努めてきたということであります。まずそこで、都立と公社の共同購入の導入の経緯、またその目的について伺います。

○別宮サービス推進部長 材料費のコスト削減を図り、また契約事務の効率化を図るために、各病院で購入しておりました医薬品などを、本部において一括して購入することといたしまして、都立病院では平成十八年度から共同購入を実施いたしました。また公社病院では、平成十九年度から事務局において一括購入を開始しております。スケールメリットによりまして、全体として購入単価の低減を図っております。

○田中委員 今、スケールメリットという話が出ました。たくさん買うことによりまして経費の低減を図ってきたということでありますが、その効果を発揮するためには、具体的にはどのような取り組みができて、また行ってきたのかを伺います。

○別宮サービス推進部長 スケールメリットの発揮のために、本部では、各病院で使用する医薬品などを共通化するための検討会を設置いたしまして、薬効、用途ごとに品目を選定いたしまして、一品目当たりの数量をふやす取り組みを実施してきたところでございます。

○田中委員 そんな中で、今回の監査によりますと、都立と公社の薬剤の購入価格に差があるということが指摘をされていましたが、どうしてこのような結果が生じたのか、伺います。

○別宮サービス推進部長 病院の設置主体が異なるために、都立病院と公社病院は別々に契約しております。したがって、購入量の違い、スケールメリットの違いということにもなりますが、などが単価に影響すると考えております。

○田中委員 この指摘の中にも述べておりまして、法的制約があって、都立と公社は別々に共同購入を進めている。それしかできないということであったんですが、一般的に考えると、都立から公社になって、さらに民間の感覚もしくは経営が導入されて、それで薬剤が上がったということを聞くと、素人ながらに、どうしてなんだろうということを思ってしまい、今回質問をさせてもらいました。
 都立と公社、法的制約があるとはいえ、協力することによって、これまでいってきましたスケールメリット、たくさん買うことによって単価を下げていくということを生かすことができるかと思うんですが、それについてはさらにどうでしょうか、伺います。

○別宮サービス推進部長 法的制約ということでございますが、地方自治法は地方公共団体が民間と共同で契約するということを認めていないということ、また薬事法は、販売業の許可を得た者でなければ、有償無償問わず医薬品を授与することを禁止しているということ。さらに、地方公務員法上、契約予定価格については守秘義務が課せられているということがございます。
 しかしながら、スケールメリットを生かすことは、都立、公社双方にとって有用であることから、現行法令の範囲の中で、契約期間や契約手続などにつきまして、両者で情報交換などを図ってまいります。

○田中委員 これまでは両者共同での業者との交渉、また情報の交換等もされていないようだと報告書に書かれていましたが、今の答弁の中では、まず情報交換から、できることから行っていくということでありますので、すぐにこの効果が出るかどうかというのはわかりませんが、一歩前進かと思いますので、ぜひこれを機に大いにスケールメリットの発揮できる協力体制を築いていっていただきたいと思います。
 さらに、この監査報告の中には、比較的多く使用された薬剤の購入単価とその購入量を、都立病院と公社病院で比較した表が記載されています。これを見ると、例えば、どういうものかわからないんですが、シナジス筋注用という、注射に使う薬品でしょうか。これは都立では十二万八千九百円、公社では十三万五千九百五十一円。この安い方の単価で購入できた場合は、この数を除すると、五十六万四千八十円が、この差額が生まれたということであります。
 さらに、この監査の中では五品目について、購入の価格、また単価の高いものを例示して挙げておりました。それによりますと、この五品目だけの購入差額を合計してみますと、七百九十九万八百八十五円。このようにして、かなり差があるわけであります。仮に都立病院の安い単価で購入できた場合、公社へは医薬品に対して補助金も出ているということでありますが、この補助金の削減にどのようにつながるのか、伺います。

○黒田経営企画部長 公社へ交付いたします補助金所要額は、医薬品の購入額ではなく、実際に使用いたしました医薬品分のみ金額で計算しており、また、医薬品の購入時期と使用する時期とにはいわゆるタイムラグがございます。このため、一概にはいえないことではございますが、お話の五品目につきましては、医薬品の購入価を下げることによりまして購入額を縮減いたしますことは、補助金の削減につながると考えられます。

○田中委員 実はこれ五品目だけだったんで、全部の薬品を比較して計算しようと思ったんですが、実に、薬剤、検査試薬また診療材料を合わせると、共同購入、八千から九千品目にも及ぶということでありまして、すべてを計算、局にも頼んだんですが、できなかったということでありますが、今、概算で、その購入価格を下げることで補助金の削減につながるということはいっていただきました。
 薬剤については、前回私は質問の中で、都立病院においてジェネリック医薬品についても取り組みを進めて、現在薬剤費を抑え、また公費の投入を減らす取り組みをしていることも質問させてもらいました。ぜひ、都は、公社の薬剤費購入価格を下げることによって、さらに積極的に都から公社への協力をすることで、公社に対する補助金の削減につなげて、今まで以上にこの共同購入というものについての成果を上げられることを期待し、また私たちも常にチェックをしていきたいと思っております。
 次に移ります。次は、院内保育の業務運営委託契約ということについてお聞きをします。今回のこの監査の中で、都立病院また公社において、院内保育の利用が大変低いということが指摘をされております。病院内の保育制度は重要な役割を担っていることはもちろんのことでありますが、どうしてこのような利用が低い現状になってしまっているのかをまず伺います。

○黒田経営企画部長 院内保育室の運営委託契約は、年度ごとの指名競争入札でございまして、前年度のうちに保育事業数を計画しております。とりわけ女性医師や看護師などは、年度当初からの利用に限らず、随時の利用を希望する者も多いところでございます。女性医師、看護師とも依然として確保が厳しい状況が続いておりまして、そうした職員のニーズに速やかにこたえるためには、ある程度の予備数、いわゆるバッファーが必要となると考えてございます。そのため、結果として計画数と比べて、実際の保育児童数が少なくなるということが起こると考えてございます。

○田中委員 そもそもこの院内保育というのは、どのように都立病院の中で整備が進んできたのかというのをお聞きしたいと思いますが、これまでの経緯、また今日に至るまでの変遷を伺います。

○黒田経営企画部長 都立病院の院内保育は、昭和四十四年四月の五病院で事業開始されまして、四十四年度中に八病院まで拡大いたしました。病院の改築等に合わせながら、昭和六十三年十月の時点では、十三病院で事業開始をしておるところでございます。

○田中委員 今、四十四年からということで、四十年近くの歴史がある中で、院内保育の事業は長きにわたり行われてきて、ここ数年の問題ではないということはわかります。
 その中で、具体的に、それでは質問に入らせてもらいますが、特にこの指摘の中では府中病院について取り上げられておりました。府中病院は定員が一番多く、定員四十人に対して、利用実績は十一・六人という指摘を受けておりました。これは額で計算すると、この委託費が二千九百五十万円、これ定員一人当たりの委託料は七十三万七千五百円の計算で契約がされておりますが、実際、先ほどいいました四十人に対し十一・六人ですから、保育児一人当たりに直すと、二百五十四万三千百三円の委託費がかかっていたということになります。
 これを聞くと、どうしてこうなってしまったんだろうということが疑問になります。定員と実績が、この例は特に顕著で、余りにも乖離をしておりますが、その理由を伺います。

○黒田経営企画部長 府中病院の院内保育は、府中病院だけではなく、神経病院、府中療育センターを含めまして、定員四十名で運営してきたところでございます。院内保育室を利用する職員は女性医師や看護師が多いわけでございますが、いずれもほぼ特定の職員が利用しているのが現状でございます。
 このうち看護師につきましては、交代制勤務を採用しておりまして、例えば二交代制勤務の職員の場合、夜勤を含めて週の勤務は七日で四回が基本となってございます。このため、勤務以外の日まで院内保育室に子どもを預ける必要はなく、日によって保育児数にばらつきが生じております。
 一方、平成二十二年度の包括外部監査報告書に記載されてございます平均保育児数は、年間の保育児の延べ人数を年間の開室日数で除したもの、割り算したものでございまして、まさに平均の人数であるために、数字的には乖離の幅が大きくなってしまってございます。
 現在の多摩総合医療センターになってからでございますが、小児総合医療センターも合わせまして、定員五十四名で院内保育室を運用しているところでございます。

○田中委員 日によってかなり多いときと少ないときがあって、それを単に平均しただけでということでありますが、この報告書を見ますと、余りにその乖離がひどくて、ここで大きなむだ遣いがされているんじゃないかというような指摘というか、感じを受けてしまいますので、今の説明を聞いて、そのような現状があるということはわかりました。
 しかし、まださらにありまして、さらに公社の豊島病院においては、十四人の定員に実際一人ないしは二人、これは一人、二人同じ方だというので、先ほどの例とは当たらないんですが、単純に除すのは適切かわからないんですが、一人当たり七百四十五万になってしまったということであります。
 これに関しては、実態に合った契約が、余りに乖離しているので指摘がなされて、委託契約の変更が途中でなされました。定員十四名に対して一人ないしは二人だったものに対して、五人へと変更したということはこの報告書の中でも指摘をされています。
 しかし、金額的には余り減額にならずに、この契約書を見ますと、千四百六十四万円で委託契約を受けていたのが、千二百五十四万円と、二百十万円の減でしかなかったということであります。十四人から五人と、本当でいうならば、単純に保育児さんの人数が半分以下になったならば、その委託契約も半分以下になるんじゃないかと、これも素人ながらに思うんですが、どうしてこのような結果になってしまったのか、伺います。

○黒田経営企画部長 院内保育室の運営委託料は、児童の定員に応じまして必要となる保育士数等に基づきまして積算されております。また、児童の定員に応じて必要となる保育士数につきましては一定の基準がございまして、これは認可外保育施設指導監督基準というものなんでございますが、これに基づきまして算出しているところでございます。
 ご質問ございました豊島病院の場合は、契約時には十四人の利用を見込んでいたわけでございますが、実際にはそれだけの利用実績がないために、年度途中の八月に、保育する児童の定員を十四人から五人に契約変更したところでございます。この契約変更に当たっての保育士の数というところなんでございますが、必要となる保育士数は、児童定員十四人の場合は三人、しかし、定員五人の場合であっても二人必要と、この監督基準に基づきましてこういう規定がございますので、契約変更により減少した人件費は一名分だけでございました。
 また、年度途中の八月に契約変更したことから、児童の定員を変更した期間であります八カ月相当分について、一名の人件費を減額したということでございます。

○田中委員 今のを聞きますと、単純に人数を減らしただけではなかなかその額に差は生まれず、この保育の運営が難しいということがわかったんですが、今でこそ企業においても社内保育のような動きが進んできたんでありますが、この都の院内保育は、先ほど答弁をしてもらいましたが、実に昭和四十四年、四十年以上も前から取り組んできた事業であります。これは、子どもを持っても働くことを、進んでいける環境を整備し、または求めることとしては、モデルともなり得るような歴史を持っているわけであります。
 この中で実績が、今るる質問させてもらいましたが、常に一〇〇%使っているというのはあり得ないわけで、いつでも子どもを産んでも仕事が続けられる、また子どもを持つ人がいつでも、この都立また公社で働くようなことができる職場をつくっていくことが第一であることは、この質疑の中でもわかりますし、また私も理解しておりますが、これだけ都内において、今、保育所の整備が望まれ、もしくは待機児童がいる中では、やはりそうはいっても適切な契約が望まれているところであります。
 契約に関しては、前年度踏襲のような方法ではなくて、この中でも述べられておりますが、毎年の運営の委託において結ぶ際には、十分に院内保育の利用の見込みですか、いつ生まれるかというのは一年前からわかるわけで、またどのぐらいの人が来るかという見込みを、四十年という長きにわたりやっておりますから、これまでの経験やこれまでの傾向を見ながら、ぜひ実態をしっかりと調査して、その実態に合った契約を結ぶことを取り組んでいただきたいと同時に、今では社内保育などにおいては、近隣で働く人、また近隣に勤務をする人にも開放をするようなところも出てきております。これが都立病院や公社病院でできるかというのは、また法律の問題や制度の問題があるかと思いますが、そんなことを検討する中で、ぜひこの院内保育が、このように指摘をされ、むだというか、大きな公費が投入されているなどと指摘されないように、これからの改善を求めて、質問を終わりたいと思います。以上です。

○野島委員 それでは、小児総合医療センターについて何点かお伺いいたします。
 この小児総合医療センターは、平成十三年に都立病院改革が打ち出されて以来、開設に至るまで、この委員会でもさまざまな議論を積み重ねてきたわけであります。記憶をたどってみますと、設置条例に対する修正案というのも出てまいりました。総じていえることは、この小児総合医療センターの目指すところ、それからその機能、こういったふうなものについてはそんなに否定的な意見はなかった。むしろ肯定的であったなと思っております。
 ただ、これに伴って、世田谷の梅ケ丘、八王子、そして清瀬小児が廃院されると。むしろこれを残せと、いわば二兎を追えというふうなニュアンスの中で、限られた医療資源の中でそれが可能なのかどうか、こんなところが論点だったというふうに今、記憶を呼び起こしているところであります。
 この間、執行側でも二次にわたりまして都立病院改革実行プログラムを策定いたしまして、これを着実に進めてきた。こういう中にあって新しい医療体制が確立され、ちょうど一年前のきょうになりますか、三月一日に多摩総合医療センターとともに開設された。こんな経過をたどっているわけであります。
 これをやっていく中で、何名の医師の要員が必要だ、看護師は何人だ、こういうお話も何度かお聞きをいたしました。医師不足、看護師不足がいわれている中で、これは大変な作業であったわけでありますけれども、混乱もなく開業された関係者の皆さんのご努力に心から敬意を表しておきたいというふうに思ってございます。
 医療を取り巻く厳しい環境の中で重要なことは、一次、二次、三次というふうにいわれるわけですが、それぞれの医療がそれぞれの役割を果たしながら、医療環境に見合った効率的な医療提供体制を常に確保し、良質な医療を都民へ提供を続けるということだろうというふうに思っております。それが、ただ単に都立病院をここをなくしてここに集約するとかいうことじゃなくして、都立病院改革の本旨だろうというふうに思っておりますし、東京発の医療改革であるというふうに私は受けとめておる次第であります。
 そこで、開設後一年が経過いたしましたこの小児総合医療センターの運営状況についてお伺いいたします。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターにつきましては、昨年三月の開設以降、段階的に診療規模を拡大いたしまして、一月の入院で見ますと、一日当たりの入院患者でございますけれども、開院当初の四月に比べ、七〇%増の四百二・五人に上っております。外来は四〇%増の、一日当たり六百十八・七人となってございます。未稼働の病棟は一病棟残すのみでございまして、現在二十三年度の全病棟のオープンに向けた調整を行っているところでございます。
 また、三次救急医療対策として、小児専門の高度な治療を行うことができる医療機関として、昨年九月からこども救命センターの運営を開始しているところでございます。小児ICUいわゆるPICUといった重症系病棟につきましても、稼働率が高くなってきておりまして、患者さんのリカバリーを行えるHCU病棟を昨年十二月に稼働したところでございます。
 周産期医療につきましては、三月の開設以来高い実績を保っておりまして、一月はNICUが一日当たり二十三・九人、利用率が九九・七%。GCUは同じく一日当たり三十九・〇人、利用率が八一・二%となっておりまして、ほぼフル稼働の状態でございます。さらに本年二月には、多摩総合医療センターとともに、母体救命対応総合周産期母子医療センター、いわゆるスーパー周産期センターとして指定を受けたところでございます。

○野島委員 今伺いまして、順調に推移をしていることを聞いて安堵いたしております。小児総合医療センターは、小児救急あるいは周産期医療など、都立病院改革の目的である行政的な医療の中心的な役割を確実に推進しているなというふうに今受けとめたところであります。
 一方、新センターの運営と同時に重要なのは、先ほども申し上げましたように、私は清瀬小児の地元選挙区でありますが、移転後の小児医療体制がきちんと運営されているのかどうか。特にあの清瀬小児というのは物すごい存在感があったんですね。細かい数字は申し上げませんが、都民も含めて埼玉県民が五割近くを利用するとか、そういうふうな大変大きな、あるいは歴史を有する病院があっただけに、これは不安になるのが当然だというふうに思っております。
 そういう中で、この小児総合医療センターを開設するに当たっては、地域の小児医療を確保するためにさまざまな対応を行ってきました。これには地元の医師会の皆さん、特に小児科の先生を中心として、我々はどういうふうに対処していったらいいのか。あるいはそれがただ単に一市のみならず、二次医療圏の中での医師会の皆さんの連携、こういったふうなことで、私もその議論の中に入れていただいたような経緯があったわけであります。
 いわゆる多摩、清瀬市というのは、東久留米もそうなんでありますけれども、北多摩北部地域を初め地域の医療を確保するためには、一次医療を担う医院の先生方やクリニック、そして二次医療を担う中核病院との連携が重要であることは論をまたないわけでございます。北多摩北部地域では、共同事業としては都内で初めてだったんですけれども、小児初期救急を地元の四市と五医師会が協力をして、多摩北部医療センターとの連携のもとで実施をしてきた、こういう経過もあるわけであります。
 医療が高度専門化していくことは重要でありますが、三次医療が二次医療を支え、二次医療が一次を支える、これが私は医療連携の基本であろうというふうに思っておりまして、四市、五医師会の共同事業、そこに多摩北部医療センターがかかわってくる。そして府中がある、こういうようなことは極めて重要なことだろうと思っております。
 これがうまくいきませんと、いわば軽症な患者さんが、言葉は悪いんですが、コンビニ的に病院を利用するよというようなところもいわれていることは事実であります。軽易な患者がそういうふうな小児総合医療センター等に殺到いたしますと、本来の役割を果たさずに、みんながよくわからないけれども、それぞれが対応し合って、いわば、せっかく医療の選択と集中ということでやっていくことが水の泡に帰してしまうんじゃないかなというふうに思っているわけであります。
 そういう意味で、北多摩北部地域での二次医療の中核を担っている多摩北部医療センター、これは特別連携病院というふうにネーミングしていると思いますが、要するに連携をそれだけ機能していくよと。それは多摩北部医療センターと、三次としての小児総合医療センターのみならず、地域の一次医療の先生方とも極めて連絡を密にしておるし、二次医療というのはあるんだけれども、それは突然に二次医療が必要になるんじゃないんだと。常日ごろの子どもたちの生活の実態であるとか、そういうことをちゃんと親御さんがやっていかなければ、そういう事態になっちゃうんだから、そういうふうなこともあって、むしろ地域に積極的に、言葉が適切かどうかわかりませんが、そういう医療の面から見た本来の子どもの育て方のあり方も提供していこうという、こんな力強い言葉を私は関係者の皆さんからお伺いしたケースがあるんです。
 それで、この多摩北部医療センターが現在どんな状況になっているのか、お伺いいたしたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 北多摩北部地域の小児医療につきましては、お話しのように、清瀬小児病院移転後、多摩北部医療センターが二次医療の中核病院としてその役目を担っております。平成二十二年四月から二十三年一月までの小児の外来患者数でございますが、一日当たり五十・六人、入院患者は一日当たり二十・九人となっておりまして、病床利用率は約七割となっております。また救急患者数は一日当たり二十一・二人となっておりまして、このうち、ただいまお話のございました五医師会の協力を得て実施をしております小児初期救急平日夜間診療は、一日当たり五・五人となっておりまして、着実に小児救急の受け皿として機能しているものと認識しております。

○野島委員 ありがとうございました。実は北多摩北部地域は一次医療機関が少ない地域でもあるんですね。清瀬市というのは病院のまちといわれておりまして、二次医療機関が相当数あるんでありますけれども。数的に人口から割り出してきて、小児科の数がどうだとか何とかということになりますと、これは少ないというのが実態として出てくるんです。かといって、別に地域の小児医療が崩壊しているという意味じゃないですよ。そういう土地柄だということでありまして、だからこそやはりほかの地域に先駆け、医療連携を推進してきた、こういう経過もあるわけであります。
 ここでの取り組みをさらに磨きをかけて、北多摩北部地域の小児医療が確保されるよう、引き続き連携、これをキーワードに、一次、二次、三次をしっかりとつなぐ、そこのキーマンとして病院経営本部に活躍をご期待をいたしたいというふうに思っております。
 そこで、小児総合医療センターの開設によりまして、小児三次救命救急や総合周産期母子センターなど、これまで多摩地区に不足していた高度な医療を提供できるようになったということは、先ほどの答弁でもわかりました。多摩の小児医療を向上させるためには、個々の医療圏について充実を図っていく必要もあるわけであります。今後、限られた医療資源の中で、冒頭も申し上げましたけれども、初期、二次、三次といった、それぞれの医療機関の役割による縦の連携、そして地域の中核病院を基本とした横の連携を重層的に結びつけながら、多摩地域全体の小児医療の充実を図っていただきたいというふうに思っております。
 最後に、多摩地域全体の小児医療充実に向けた病院経営本部長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

○川澄病院経営本部長 小児総合医療センターの開設は、平成十三年の都立病院改革マスタープランの策定以来、長年にわたり都議会の先生方のご支援、ご指導をいただき、また地元自治体、医療機関関係者の協力をいただきながら進めてきた都立病院改革の大きな成果であったと考えております。
 先ほどご指摘をいただいたとおり、小児病院移転後の地域の小児医療の確保は大変重要な問題であり、全力を挙げて取り組んでまいりました。清瀬小児病院移転後の北多摩北部地域における新たな取り組みとしまして、地域の小児医療水準の向上などを目的として、医療人材の育成を行う地域小児医療ネットワーク事業、また、IT技術を活用して地域医療機関の空床情報や患者状態を把握し、重症小児救急に迅速に対応することを目的とした多摩小児医療ネットワーク事業を、地域医療再生計画に基づくモデル事業として進めているところでございます。
 また、八王子地域におきましては、八王子市が小児病院跡地を活用し、平成二十三年四月に小児精神一般小児科外来診療所、発達障害支援施設を、六月に重症心身障害者通所施設、障害者歯科診療を開始すると報告を受けております。また、昨年四月に新たに開設した南多摩病院の小児科についても順調な運営をしているとのことでございます。
 小児医療につきましては現在も全国的な医師不足でございまして、医療資源が限られた状況であることに変わりはございません。引き続き、地元自治体や地域医療機関の関係者の協力をいただきながら、多摩地域全体の小児医療体制の充実に努めてまいります。

○小磯委員 財団法人東京都保健医療公社の運営について質問をいたします。
 公社病院は、平成二十一年度に豊島病院の公社への運営移管を行ったことから、六病院体制となり、ほぼ二年を経過しようとしております。この六つの公社病院は、それぞれの地域で地域の医療機関との連携を推進するとともに、地域に不足する医療を提供しており、救急医療、また、がん医療、脳血管医療等を重点医療としております。中でも救急医療はすべての公社病院が重点医療に掲げ、東京都指定二次救急医療機関として、休日全夜間診療事業を実施しております。
 そこで、今回、都が推し進めている救急医療に関して質問をさせていただきます。まず、救急医療の東京ルールに関して確認をいたします。
 東京で救急搬送された年間約六十万件のうち、九四%は速やかに運ばれております。しかし、全体の六%に当たる約四万件が、搬送先の病院がスムーズに決まらず、搬送困難ということでございます。都はこの状況を改善し、より大きな安全を実現するために、救急医療の東京ルールを定め、地域の医療機関が相互に協力連携して救急患者を受け入れることとし、平成二十一年八月から開始をしたわけでございます。
 そこで、公社病院の救急医療の東京ルールへの参加状況について、まずお伺いをいたします。

○黒田経営企画部長 公社病院は、ただいま先生からお話がございましたとおり、地域への救急医療の提供を重要な役割の一つとしてございます。公社病院の救急医療の東京ルールへの参加につきましては、各病院の医師の確保状況、地域の救命救急医療センターや大学病院等の状況、さらに、この東京ルールへの地域医療機関の参加状況を踏まえながら進めてまいりました。
 現在、平成二十一年九月から豊島病院が、二十二年七月から荏原病院が、二十二年九月から多摩北部医療センターの三病院が参加しているところでございます。

○小磯委員 豊島病院、荏原病院、そして多摩北部医療センターの三つの病院が、この東京ルールに参加しているとのことでございます。そうしますと、東部地域病院、大久保病院、多摩南部地域病院の三病院は、東京ルールに参加していないということになるわけでございます。これらの公社病院が参加していない理由は何なのか、お伺いいたします。

○黒田経営企画部長 東部地域病院や大久保病院は、救急医療体制や救急患者の受け入れを積極的に行っている状況にはございますが、同一の医療圏内におきまして複数の地域救急医療センターが東京ルールに参加していることから、参加に至ってございません。また、多摩南部地域病院につきましては、必要な医師数が確保できていないことなどから参加に至っていないということでございます。

○小磯委員 私の地元であります南多摩医療圏は、都内の医療圏の中でも人口、面積とも最大級でございます。こうした状況の中にあって、この東京ルールに参加している病院は、日本医科大学多摩永山病院の一病院だけであります。そういうことから、他の医療圏、また都道府県を越えて救急搬送される、そういう割合も実は多くなっております。地元では、多摩南部地域病院を初め市民病院、また大学病院などの積極的な対応を期待しているところでございます。
 そこで、多摩南部地域病院の診療体制の整備に向け、公社はどのような取り組みをしてきたのか、また都はどう支援してきたのか、お伺いいたします。

○黒田経営企画部長 多摩南部地域病院の医師の確保に当たりましては、初任給調整手当、救急業務に対応した手当の新設など、処遇改善を図ってきましたほか、東京医師アカデミーによります研修医の育成等を行ってまいりました。また、看護師の確保に当たりましては、初任給調整手当の新設、二交代制勤務導入の拡大、七対一看護基準の取得など、働きやすい環境の整備を図ってきたところでございます。
 こうした公社の取り組みのほか、東京都といたしましては、診療体制の整備に向けまして、多摩総合医療センターから内科医を派遣しまして、消化器内科診療体制を強化するとともに、非常勤医師の派遣によりますリューマチ膠原病外来の充実等、人事交流を通じた支援を行ってきているところでございます。引き続き、都からの支援とあわせまして、多摩南部地域病院の診療体制の充実に取り組んでまいります。

○小磯委員 昨日の福祉保健局におきますこの委員会での質疑で明らかになったわけでございますが、南多摩医療圏におきましては、固定の日本医科大学多摩永山病院に加えまして、当番型の地域救急医療センターを指定して、東京ルールの充実強化を図っていくと、そういう答弁がございました。
 多摩南部地域病院が地域の医療機関と協力をして、南多摩医療圏の救急医療の充実に向けて、ぜひともこの地域救急医療センターとして積極的な役割を果たしていただけるよう、提案したいと思います。
 次に、精神科救急医療についてお伺いいたします。先月公表されました東京ルールの実施状況を分析いたしました平成二十二年度東京都救急搬送実態調査結果、速報でございますが、それによりますと、全救急搬送患者に占める軽症患者の割合の減少、また受け入れ照会回数が一回で搬送先医療機関が決定した割合の増加など、いわゆるこの東京ルールによる一定の改善が伺えたわけでございます。
 一方で、平均救急搬送時間は、平成二十年調査と比較して、三から四分長くなっており、この理由の一つとして精神疾患が挙げられております。こうした状況を見ますと、精神科救急の体制整備が課題の一つと思われます。
 私も地域の救急病院の院長先生とお話をしたときに、どうしてもやはり地域救急医療センターに手を挙げるには、いわゆる精神科救急の方を受け入れたとしても、救急を終えた後、次の病院に転送できる、そういう体制が整わないと、なかなかこれは現実的には厳しいんだという、そういう話をされておりました。
 都は、精神科救急医療を精神科夜間休日救急診療事業として、都内全域を四ブロックに分けまして、初期救急、二次救急、緊急医療に分類し実施しており、公社豊島病院は、この都が実施している精神科夜間休日救急診療事業のうち、精神保健福祉法第二十四条に基づく緊急措置入院や医療保護入院等を中心に行っていると聞いております。今年度はさらに精神科救急の充実を図るために、精神科救急入院料、いわゆるスーパー救急ができるよう、工事を進めていると聞いております。
 そこで、豊島病院において、このスーパー救急を行うということでございますが、どのような機能向上が図られるのか、お伺いをいたします。

○黒田経営企画部長 スーパー救急は、個室を五〇%以上整備いたしました質の高い医療環境の中で、密度の高い人員配置をすることによりまして、患者さんの症状に応じた、良質で手厚い医療を集中的に提供していくものでございます。また、入院後の早い段階から退院に向けての個別支援を行うことなどから、より一層、早期の回復を図ることが可能となります。公社豊島病院におきましては、病棟改修工事を年度内に終え、来年度にスーパー救急の導入を目指していくと聞いてございます。

○小磯委員 救急医療体制の整備は、都民にとって安全・安心の源となるものでありまして、公社病院が地域から期待される医療分野でもございます。引き続き一層の充実を図るよう、都から指導をお願いいたしまして、質問を終わります。

○栗林委員 私の方からは、小児総合医療センターの児童・思春期精神科の外来について質問させていただきます。
 都議会公明党は、予算編成に対する要望として、高度、多様化する都民ニーズに迅速かつ的確に対応する、一般の医療機関では対応が困難とされている行政的医療、この充実など、さまざまな医療課題に積極的に取り組む必要があることを要望させていただいております。
 具体的には六点の項目に分け要望しておりますけれども、その中の一つに、医療の質の向上と患者サービスの充実強化、これを挙げさせていただいております。特に専門外来の充実、また、うつ病への対応など、具体的に挙げております。
 そこで、精神医療分野での患者の動向を見ますと、厚生労働省の患者統計の傷病分類別に見た施設の種類別推計外来患者数という統計が出ておりまして、この中の精神及び行動障害の傷病のデータを見ますと、平成十七年度と平成二十年度を比較しているデータではあるんですけれども、外来患者数は約八千人ふえています。平成十七年が約二十二万四千人、平成二十年度には二十三万二千人ということで、約八千人の増加。また、一般診療所の増加率も高い傾向が見られています。平成十七年度では十一万二千人、二十年度では十二万人ということで、約一万人増加しているという傾向でございます。こうしたことを考えますと、児童・思春期、この精神外来患者も増加傾向にあるのではないかと思います。
 そこで、オープンしましてそろそろ一年目を迎えると思いますが、小児総合医療センターの児童・思春期精神外来、開院以来、多くの患者さんが訪れ、なかなか初診診療の予約がとりにくいと、一時は大変とりにくいと聞いておりました。最近は少し解消されたとも聞いておりますけれども、まずこの小児精神医療は、特に診療時間もほかの診療科と比べてやはり時間が大変長くなるのが一般的かと思います。このような診療状況の中で、都はどのような対応策を図っているのか、まずお伺いをさせていただきます。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターの児童・思春期精神科外来につきましては、月百四十人程度の患者さんが心の問題を抱えて来院しております。先ほどお話がございましたように、小児精神の外来は他の診療科に比べまして、患者さんの背景にあるさまざまな状況を幅広く把握するため、診療時間は一人に一時間程度を要しまして、その結果、外来の予約待ちが生じたことも事実でございます。
 特に初診の患者さんには問診時間を要することや、せっかく予約をしても、残念ですが、当日にキャンセルしてしまう患者さんが一割程度いらっしゃることも要因となったと認識してございます。小児総合医療センターでは、こうした状況が患者さんの病態の悪化につながらないように、対策チームを設けまして内部努力を行いまして、月七十人程度いる緊急患者の対応を行いながら、初診予約枠をこれまでの月百三十人程度から、約一・五倍に当たる月二百人程度に拡大したところでございます。
 また、院内のシニアレジデントによる発達障害の初診診療枠を月十六人、新たに設けるとともに、初診時の問診アンケートを事前に発送し、提出していただくことで診療時間の短縮を図ってまいりました。さらに、せっかくの初診診療枠がキャンセルによってむだにならないよう、初診予定日が近づくと、病院からの確認の電話、いわゆる予約の確認、リコンファームを行うことも検討し始めました。
 このような内部努力を行うことによりまして、開院当初は初診予約待ちがございましたが、徐々に解消されつつあり、現在では改善されております。今後も限られた医療資源を効率的に活用し、病院の持つ診療能力を最大限発揮してまいります。

○栗林委員 積極的な改善策を打ち出していただきたいと思います。やはりお子様なので、体調とかさまざまな事情で急なキャンセルということも、ほかの科よりも多い状況というのは理解はされるんですが、やはりせっかく時間を確保していただいて、それがむだになってしまうということは大変に残念なことなので、また引き続きの改善策をお願いしたいと思います。
 小児精神科医療は、一人の患者さんに多くの時間を必要とする診療でございます。小児総合医療センターの医師を初めとした関係者の皆様の努力は本当に感謝するところでございますけれども、今後の小児精神科医療の運営について、近年、子どもや思春期の人たちを取り巻く環境は大変複雑化といいますか、社会状況も含めて複雑化しております。空気汚染、化学物質とか、またインターネットから来る情報のはんらんとか、また家庭環境の複雑化など、大変厳しい社会状況というのもございます。新聞報道では頻繁に不登校とか家庭内暴力等々、取り上げられております。
 このような背景には家庭や社会の問題もあり、また思春期という不安定な時期に起こりやすいのが小児精神医療の特色でもあるかと思います。児童期また思春期は将来に影響を及ぼす重要な時期であり、疾病が軽度なうちに早期に対応していくことが重要であると考えます。先ほどのご答弁にもございましたけれども、初診を早く受けられることは、気づきの段階で相談や治療を行うことが可能になり、その症状を悪化させないことにつながる有効な手段でもあると思います。
 子どもを取り巻く環境はまだまだ改善されていない。引き続き小児精神疾患の患者数は増加する傾向にあるということも予測されます。そういったことを考えまして、小児総合医療センターでは、今後どのように小児精神医療というものに対応していくのか、伺います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 小児精神医療は、成長過程にある子どもについて地域社会全体がそれぞれに役割を分担し、協働することが重要であると考えております。また緊急性、専門性の観点から、小児総合医療センターの診療を必要とする患者さんに対しては、できるだけ早期に診療の機会を提供していくことが必要であるとも認識してございます。
 こうしたことを踏まえまして、小児総合医療センターでは、精神医療における急性期を脱した時点で、かかりつけ医である地域の医師に円滑に引き継ぐとともに、患者さんに関する情報交換を密に行うなどして、医療連携のさらなる強化に取り組んでまいります。

○栗林委員 先ほど野島先生も、清瀬の小児病院の廃止ということで、清瀬を代表しておっしゃっておりましたが、私も梅ケ丘病院がある、地元が世田谷なものですから、地元の立場でもやはり、梅ケ丘病院の廃止という方向性が打ち出されたときに、利用されていた地域住民の皆様から大変不安と混乱の声が寄せられたところから、私もかかわらせていただき、当事者の皆様のお声も伺いながら、じゃ、その不安をどうしたら安心に変えることができるのか、現場の中でも動かせていただいてまいりました。
 そこで、世田谷区では、梅ケ丘がこれからこの地域からなくなるということを考え、東京都の補助もいただきながら、モデル事業という形で、発達障害の地域支援のネットワーク、この構築に動き出しました。平成二十一年の四月に成育医療センターの敷地の中に、区が国からの土地をお借りしまして、その一角に、一階、二階は二十四時間対応の認可保育園、そして三階が発達障害相談・療育センター、通称げんきというセンターをつくりました。それに合わせまして、区内五カ所に子育てステーションという子育てのための拠点がありますが、その五カ所で発育相談、この相談体制も広げました。そうしましたら、昨年からは、この五カ所のさらに二カ所で療育もするようになりました。
 一つのセンターを中心に、五カ所の相談体制、そしてプラス二カ所の療育体制、これも整うことができ、また最近は小児の精神に対応する地域のクリニックもふえてきているというお話もございました。やはりこういう地域でちょっとしたときに相談に行けるところ、また地域で療育もすぐに受けられる、こういう環境を整えることがあわせて大事かと思います。
 これは東京都のモデル事業ということで支援もいただきながら構築をしておりますが、福祉保健局との連携ということも必要になってくるのではないかと思いますが、こういう地域支援ネットワークを各区市町村の中でも展開できるように、やはり支援することも重要ではないかと思います。
 病院経営本部におかれましては、病院の経営が一番の柱の事業になってくるかと思いますけれども、やはり跡地ということも大変大事なテーマでございます。この場では議論はできませんけれども、梅ケ丘の小児病院の跡地に関しましても、梅ケ丘という地域は福祉のまちなんですね。福祉施設がたくさんあって、まち自体も、障害とかそういった理解のある地域にもなっておりまして、ユニバーサルデザインにもなりながら、福祉のモデル地域にもなっております。そういったところでの梅ケ丘病院の跡地というのは大変注目もされておりまして、世田谷区でも今さまざまな、障害、子ども、そして高齢者、福祉の拠点整備ということで今いろいろな調査、そして提案等もまとめて、これから東京都に要望も始まってくるのかなと思うんですけれども、そういったときには積極的に区市町村、世田谷区とも連携をとっていただきながら、そこにさらなる安心拠点が誕生して、この事業の終わりではないかと思いますので、引き続きの取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時五十三分散会

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