厚生委員会速記録第二号

平成二十三年二月十八日(金曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長くまき美奈子君
副委員長たきぐち学君
副委員長松葉多美子君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
理事今村 るか君
田中  健君
栗林のり子君
中村ひろし君
小磯 善彦君
三原まさつぐ君
大山とも子君
野島 善司君
増子 博樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
次長吉岡 則重君
技監桜山 豊夫君
総務部長梶原  洋君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長中川原米俊君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長藤田 裕司君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長雜賀  真君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
事業調整担当部長枦山日出男君
医療改革推進担当部長高橋 郁美君
医療政策担当部長山岸 徳男君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長中山 政昭君
担当部長小室 明子君
事業推進担当部長角田由理子君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長鈴木 達夫君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
健康安全対策担当部長中谷 肇一君
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長別宮 浩志君
経営戦略・再編整備担当部長齊藤 和弥君

本日の会議に付した事件
 福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第五十八号議案 東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都妊婦健康診査支援基金条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都子宮頸けいがん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例
・第百一号議案 平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第百四号議案 平成二十二年度東京都母子福祉貸付資金会計補正予算(第一号)
 病院経営本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百一号議案 平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 病院経営本部所管分
付託議案の審査(決定)
・第五十八号議案 東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都妊婦健康診査支援基金条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都子宮頸けいがん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例
・第百一号議案 平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為厚生委員会所管分
・第百四号議案 平成二十二年度東京都母子福祉貸付資金会計補正予算(第一号)

○くまき委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局及び病院経営本部関係の付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第五十八号議案から第六十二号議案まで、第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分及び第百四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 最初に、東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例及び関連する補正予算について伺います。
 今回の改正では、現行の基金条例である地域密着型サービスの拠点等の整備費補助が増額されたことや、介護基盤の整備などに加え、地域支え合い体制づくり事業という介護支援体制にかかわる緊急整備を目的とした事業が新たに盛り込まれていますので、その関係で幾つか質問します。
 まず、地域密着型サービス拠点の整備費補助単価が増額されたことについてですが、補助対象となる施設について、都内の直近の整備状況について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスは、原則として区市町村の住民のみが利用できるサービスで、区市町村が指定、指導監督の権限を持ち、その整備については、区市町村がみずから策定する整備計画に基づき進めるものでございます。
 地域密着型サービスの整備状況ですが、平成二十三年二月一日現在で、小規模特別養護老人ホームについては五施設百三十一名分、小規模ケアハウスについては二施設四十九名分、小規模老人保健施設については二施設五十名分、認知症高齢者グループホームにつきましては三百六十四施設五千五百五十四名分、小規模多機能居宅介護事業所については七十六施設となっております。

○中村委員 理念として掲げるほど地域密着型サービスが進んでいないのではないかと思います。
 ただいまの答弁にあったように、特に整備が進んでいない小規模特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護について、どのような課題があると認識しているのか伺います。

○狩野高齢社会対策部長 小規模特別養護老人ホームにつきましては定員が二十九人以下と定められており、介護報酬など、安定的な施設運営を行うことは困難な制度となっております。
 また、小規模多機能居宅介護につきましては、登録定員の上限が二十五名であることや、宿泊室にあきがあった場合でも登録者以外は利用できないなど、運営上の制約が多い制度でございます。
 このため、都は、国に対し、小規模な施設であっても運営が成り立つよう、施設の定員規模に応じた段階的な介護報酬の設定や、小規模多機能居宅介護の登録定員の上限撤廃などについて提言を行っているところです。

○中村委員 この補助単価の増額により、具体的にどの程度の施設整備が進むのかについては、土地が確保しやすいかなど、さまざまな要素があるため、単純なものではないと思います。しかし、特別養護老人ホームの入所待機者が多くいる中、特養の整備は費用も時間もかかるため、地域密着型サービス拠点への期待は大変大きいといえます。
 この増額がきっかけとなり、事業者が積極的に参入するよう、都として周知に努めることを要望しておきます。
 次に、地域支え合い体制づくり事業についてですが、まずはその内容を伺いたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 地域支え合い体制づくり事業は、高齢者の生活の安心を確保するため、自治体や住民組織、NPO等の協働により実施する取り組みを支援することにより、地域の日常的な支え合い活動の体制づくりを推進することを目的として創設されたものでございます。
 本事業の補助対象としては、例えば、地域住民が主体となって行う高齢者の生活支援の先進的な事業の立ち上げや、NPOの設立準備、その活動に必要となる拠点の整備や、活動の担い手となる人材育成などを予定しているところでございます。

○中村委員 事業内容はわかりました。では、今回の平成二十二年度補正予算でどのような事業を実施するのか、その内容を伺います。

○狩野高齢社会対策部長 本事業は、区市町村が、地域やその地域に居住する高齢者の状況や課題等をより的確に把握するため実施する日常生活圏域ニーズ調査に対して補助するものでございます。
 この調査により、区市町村は地域の課題をこれまで以上に的確に把握し、平成二十四年度からの第五期介護保険事業計画の精度の向上を図るとともに、個々の高齢者の状態に合った地域支援事業等を実施していくことが可能になります。
 調査経費として一区市町村当たり五百万円を基準額とし、補助対象自治体としては十区市町村を予定しております。

○中村委員 介護保険の保険者である市区町村が地域における介護ニーズを的確に把握できなければ、サービスの需給のミスマッチにつながります。
 見守りや配食サービスなどの介護保険制度以外のサービスである生活支援サービスは、さまざまな主体により提供されており、地域の特性もあります。このため、市区町村が日常生活圏ごとにニーズを調査し、その圏域内で必要なサービスを把握することは大変に重要なことであることを改めて指摘しておきます。
 さて、三カ年にわたり検討し、今年度をもって終了する東京の地域ケアを推進する会議の報告書がまとまると聞いています。そこで、会議での議論とこの地域の支え合い体制づくり事業の関連について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 お話の東京の地域ケアを推進する会議では、高齢者が要介護状態になっても地域で暮らし続けていくために必要な取り組みの検討を行い、来月には報告書を取りまとめる予定でございます。
 報告書では、東京の地域包括ケアの実現に向けた理念を、みんなでつくり出す三百六十五日二十四時間の安心とし、その理念を実現するための基本方針として、地域の力、民間の力によるサービス需要への対応、都民一人一人が老後に対して主体的に臨むことなどを掲げております。
 今後、東京の地域包括ケアを具体化するために、この地域支え合い体制づくり事業の活用を区市町村に積極的に働きかけてまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。地域での支え合いについての取り組みが今後なされることになりますが、地域住民が主体となっての事業ですから、予算をつければすぐにできるという簡単な問題ではありません。施設介護は財政的な限界もありますし、何より地域に住み続けたいという当事者の思いにこたえるためにも、在宅介護や住民による支え合いが可能な地域社会をつくっていただきたいと思います。
 都においては、この条例改正による補正予算によって引き続き市区町村を支援することを要望し、次の質問に移ります。
 次に、東京都子宮頸けいがん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例の制定と関連の補正予算について質問します。
 都議会民主党は、会派内にがん対策プロジェクトチームを設置し、がん対策に取り組んできました。昨年の都議会第一回定例会の代表質問においても、早期発見、早期治療のための検診率の向上を主張するとともに、子宮頸がんワクチンの接種推奨と公費助成を求めました。また、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンについても、子育て中の保護者から公費助成を求める多くの声をいただいてきました。
 今回、政府が補正予算を組み、公費助成を行うことになったのはそうした声にこたえるものです。
 最初に、接種についての自己負担の金額について伺います。
 これまでも、子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンを接種したくても自己負担が大きくて大変だという声がありました。これまで自己負担としてかかっていた費用はどれくらいなのでしょうか、お伺いします。
 また、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施により、自己負担はどのくらいになるのでしょうか、あわせて伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児肺炎球菌ワクチンの三つのワクチンにつきましては、これまでいずれも任意接種であり、医療機関によって接種価格は異なっておりました。
 おおむねの接種価格でございますが、子宮頸がん予防ワクチンは、標準接種回数が三回で、一回当たりの接種費用は一万五千円から一万七千円、Hibワクチンは、標準接種回数が四回で、一回当たりの費用が六千円から八千円、小児肺炎球菌ワクチンは、接種回数が四回で、一回当たりの接種費用は八千円から一万円と聞いております。
 また、子宮頸がんワクチン接種緊急促進事業の実施に当たりましては、接種費用や助成内容は区市町村ごとに定め、実費徴収も可能であるということから、自己負担はさまざまでございます。

○中村委員 次に、制度について伺いたいと思います。
 既に市区町村で先行しているところは、自己負担が少なくなるように公費助成を行っていたところもあったようです。しかし、市区町村も財政状況が厳しい中、自治体によって取り組みに差が出ていました。予防接種の事業そのものは市区町村の事務とはいえ、住む場所の違いで大きな差のないよう、政府による財政支援が求められてきました。
 今回の事業において、国や自治体の負担についてどのようになるのかを説明願います。

○前田感染症危機管理担当部長 本事業におきます負担割合は、国二分の一、区市町村二分の一となっております。
 なお、区市町村負担分につきましては、地方交付税措置がとられております。

○中村委員 さて、これまでは市区町村の政策判断で取り組みに差があったため、同じ都内に住んでいても、その場所によって対応が違っていました。
 今回の事業によって、公費負担の割合については、各自治体の判断での差は残りますが、実施そのものについては、すべての自治体での実施が実現すると想定されます。
 もちろん、この時期の補正予算ですから、今年度に対応が間に合う自治体、来年度から始める自治体などがあるとは思います。
 そこで、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施見込みについて伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 本事業の平成二十二年度の実施予定でございますが、子宮頸がん予防ワクチンは二十八区市町村、Hibワクチンが三十五区市町村、小児肺炎球菌ワクチンが十五区市町村でございます。
 なお、平成二十三年度につきましては、すべての区市町村が実施をする予定でございます。

○中村委員 昨年十月に国の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会は、三ワクチンについて、予防接種法上の定期接種に位置づける方向で急ぎ検討すべきであると提言しています。
 都としても、国に対してそれを求めていくことが必要と考えますが、ご所見を伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 都は、これまでも、Hib、肺炎球菌など、予防接種法の対象となっていない疾病ワクチンの評価や位置づけなど、定期接種化を含め、予防接種全般のあり方について検討するよう、国に提案要求をしてまいりました。
 また、お話の予防接種部会等の動向も踏まえまして、都は、九都県市首脳会議等を通じて三ワクチンの定期接種化を図るよう、国に対して要望を実施したところでございます。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。今後も都民の健康のため、引き続き働きかけをお願いします。
 以上で質問を終わります。

○松葉委員 子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業について伺います。
 対象ワクチンは、子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンとされております。
 この子宮頸がんにつきましては、二十代、三十代の若い女性に多く、この年代での罹患者数が近年増加をしております。年間一万五千人以上の方が罹患をされ、三千五百人以上の方がとうとい命を落とされております。このがんにつきましては、ワクチン接種と検診で予防ができるがんといわれております。
 また、Hibと肺炎球菌は、子どもの細菌性髄膜炎を初めとする重篤な感染症の二大病原菌とされております。中でも細菌性髄膜炎は、特に二歳未満の子どもにかかりやすく、発症した場合には、運動麻痺、精神遅滞などの後遺症を残したり、死に至ることもある重篤な感染症でございます。細菌性髄膜炎の患者数は、年間、Hibによるものが四百人から七百人、肺炎球菌によるものが約百五十人と推定をされております。
 このHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種によりまして、細菌性髄膜炎にかかるお子さんが減少する、そういった効果が期待をされているわけでございます。
 私ども都議会公明党は、この三ワクチンそれぞれにつきまして、代表質問や一般質問等で取り上げまして、公費助成をすべきであると主張をさせていただきました。
 それを受けまして、都は、ワクチン接種の公費助成を行う区市町村に対して、包括補助による支援を開始しております。Hibワクチンにつきましては平成二十一年度から、子宮頸がん予防ワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンについては平成二十二年度から、医療保健政策区市町村包括補助事業を開始し、支援を開始したわけでございますが、この接種促進事業を実施しています区市町村それぞれの状況につきまして、まず伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 平成二十二年度の医療保健政策区市町村包括補助事業による接種促進事業の区市町村それぞれの実施状況でございますが、ヒトパピローマウイルスワクチン、いわゆる子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、七区四市二町六村で計十九自治体となっております。また、Hibワクチンにつきましては、十八区十二市三町六村で計三十九自治体、小児肺炎球菌ワクチンにつきましては、二区四村で計六自治体となっております。

○松葉委員 この包括補助事業によりまして、区市町村におけるワクチンの助成が進んだことは、この間の東京都の取り組みを評価するものでございます。
 そうした中での基金の設置ということなんですけれども、この子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業と、これまで行ってきた区市町村包括補助事業の区市町村の負担割合に違いがあるのかどうか伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 お尋ねの二つのいずれの事業とも、区市町村の割合は二分の一でございます。
 ただし、子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種促進事業、本事業につきましては、接種事業は医療保健政策区市町村包括補助事業の選択事業の一つでございます。したがいまして、他事業のケースとあわせて一定額の範囲内で補助をする仕組みとなっております。それに対しまして、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業につきましては、ワクチン接種事業単独の補助事業となっております。

○松葉委員 都内の全区市町村でワクチン接種に対する公費助成が実施され、対象年齢のお子さんたちすべてにワクチンを受ける機会が確保されることが重要であると考えます。
 平成二十三年度の子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施見込みはいかがでしょうか。

○前田感染症危機管理担当部長 平成二十二年十一月二十六日に国の補正予算が成立したわけでございますが、その後、東京都は本事業の実施主体である区市町村に対して説明会を開催するなど、事業の速やかな開始を促してまいりました。また、包括事業を活用している区市町村に対しましては適切な情報提供を行い、円滑な移行の支援に努めてまいりました。
 その結果、平成二十三年度には全区市町村で、三ワクチンすべてについて本事業が実施される見込みでございます。

○松葉委員 それでは、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業により、医療保健政策区市町村包括補助事業のこの三つのワクチン助成のメニューはなくなることになるのか、伺います。

○住友保健政策部長 ただいまお話しの包括補助事業は、ほかの公的補助制度の対象となっていない事業につきまして、区市町村の創意工夫による取り組みを支援することを目的としております。
 子宮頸がん予防ワクチン、それからHibワクチンにつきましては、すべて接種緊急促進事業の対象となりますため、平成二十三年度の医療保健政策区市町村包括補助事業の対象とはなりません。
 ただし、小児用肺炎球菌ワクチンにつきましては、五歳以上九歳以下は、先ほどのワクチン接種緊急促進事業の対象とならないため、この事業の終了まで引き続き包括補助事業の対象とする予定でございます。
 なお、二十三年度の包括補助事業の予算総額は今年度と変更ございませんので、区市町村は、ほかの事業の実施に活用することが可能でございます。

○松葉委員 ただいまご答弁いただきましたが、包括補助事業の目的については理解をいたしました。
 助成制度がスタートをしても、このワクチンの正しい知識や有効性等を、子どもたちや保護者の方々に理解をしていただくことが非常に重要だと思います。
 一昨日の一般質問で、私は、子宮頸がん予防ワクチンについての有効性等を接種対象者である女子中学生及び広く都民に普及啓発すべきと主張いたしました。それに対しまして、杉村福祉保健局長より、ホームページや講演会、女性の健康週間等を通して普及啓発をするとのご答弁をいただきました。着実に進めていただくことを改めて申し上げておきます。
 また、今後は、包括補助事業が他の事業に有効に活用されますように、区市町村に働きかけをいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○大山委員 私も、まず最初に、東京都子宮頸けいがん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例について質問します。
 国が、子宮頸がんワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種に助成するための基金のための支出をして、東京都がその基金を積み立てて区市町村に支出するための条例なわけですけれども、この三つのワクチン接種、予防接種については、私たちも長年要望してきたことですし、重要な前進といえますから、この条例には賛成です。
 都民の要望も多くて、今もお話ありましたけれども、Hibワクチンを昨年度から、それから子宮頸がんと小児用肺炎球菌ワクチンは今年度から、医療保健政策区市町村包括補助事業の中の予防接種促進事業の対象に入れたということですね。ということは、東京都もこの三つの予防接種の必要性を認めているからということだと思っています。
 それで、東京都は支出していたわけですけれども、国から基金が丸ごと来て、半分は区市町村、半分は国が基金から出すということですから、今まで東京都が包括補助で出していたものを出さなくていいと、よくなってしまうということですね。
 今年度の補正から、来年度は国の基金事業で予防接種を補助するということですけれども、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業は、公費カバー率九割となっています。
 これは、国が示した各対象ワクチンの基準単価の公費カバー率が九割だから、一割は実費徴収すると、自己負担してもらうということなんでしょうか。

○前田感染症危機管理担当部長 国は、今般事業の制度設計に当たりまして、国として公費助成する範囲として、事業費の九割を公費カバー率と設定したところでございます。その額を上限として助成をすると説明しています。したがいまして、制度上、保護者の負担を一割と定めているわけではございません。
 本事業におきましては、接種費用や助成内容は、先ほども答弁をしましたが、区市町村ごとに定め、実費徴収も可能であるということから、自己負担額はさまざまでございます。

○大山委員 国の制度設計としては、九割は公費でカバーしましょう、あと一割は、今答弁あったように、その一割の分は区で持ちましょうとか市で持ちましょうとかというところもあるし、それから、丸々一割負担してもらいましょうというようなところもあるということですから、自己負担額というのは自治体によってさまざまだということですよね。
 実際、今年度、医療保健政策区市町村包括補助事業で実施している自治体は、Hibワクチンが三十九自治体、小児用肺炎球菌が六自治体、子宮頸がんが十九自治体ですけれども、その自己負担額はゼロという自治体もあるし、それから、あと一定の額を自己負担してもらっているという自治体もあるわけですね。ですから、それこそ今でも各自治体によって、一部負担は、保護者負担はさまざまだと。
 条例の補足資料で見てみると、国の基準単価は、子宮頸がんが一万五千九百三十九円、Hibワクチンが千八百五十二円、小児用肺炎球菌が一万一千二百六十七円です。子宮頸がんは三回接種、Hibと肺炎球菌は四回ずつ接種しなければなりませんから、そうしますと、一割の自己負担でも一万二千八百三十円ですね。それで、Hibと肺炎球菌はゼロ歳から一歳児にかけて接種するということになっていますから、保護者も若いですから、経済的にも大変な時期だということは周知のとおりと。
 東京都は子ども医療費助成をしているわけですけれども、それは、経済的な問題で医療を受けられないことがないようにということなわけですよね。ましてや病気になる前に予防するというのが非常に重要なことですから、予防のための予防接種を、自己負担があるということで遠ざけてはならない。受けたいけれども経済的な問題で受けるということを遠ざけてはならない、あってはならないことだと思っています。
 基金の事業でも自治体によって無料であったり徴収するというところもあるであろうということが予測されるわけですから、東京のすべての子どもたちに平等に予防接種の機会を保障するためには、やはり東京都という広域自治体の役割というのは大きいわけですね。
 国と区市町村は九割の二分の一ずつ出すわけです。ですから、東京都が保護者負担というか残りの一割を出せば、保護者負担は基本的にはなくて済むということになりますから、東京都としても検討するべきだと思いますけれども、どうですか。

○前田感染症危機管理担当部長 繰り返しになりますけれども、本事業は、国が、接種費用や助成内容を区市町村が定める仕組みとしたものでございまして、実費徴収も可能としております。都といたしましては、国の方針に基づき基金運営を行うこととしておりまして、都独自の財政支援策は考えておりません。

○大山委員 国のいうとおりにやるんだということでは、自治体としてはいかにも情けないと思うんです。東京都の自治体としての役割というのを本当に発揮するときだと思いますよ。
 東京都は、Hibワクチンを昨年度から、それから子宮頸がんと小児用の肺炎球菌ワクチンは今年度から、包括補助の中で、予防接種促進事業で区市町村に出してきたわけですよね。財政的にだって、二年間は出してきたものを、東京都はもう出さなくていいということになるわけですから、一割分ぐらい東京都が負担したって当たり前のことだと思いますので、意見として述べておきます。
 次に、二十二年度補正予算の福祉保健局所管分です。
 今回の補正は、第一には、国からのさっきの基金も含めて、支出金を受け入れるための増額、それからもう一つは、二番目には、本来だったら決算のときに不用額として出すものを、先に補正で減額するというものですね。
 通常だと決算のときに不用額とするものを、執行見込みがないから先に減額補正する、それでほかに使うということについては、一概に否定するものではありません。しかし、今回のをよく見てみますと、事業の精査だけで、不用額の減額で二百五億円にもなるんですね。
 不用額が出ること自体は、いろんな理由がありますからやむを得ないものもあります。しかし、せっかく都民の福祉保健とか医療の充実のために使うことで予算をつくったものですから、どうして執行が少なかったのかということを検討して、次に生かしていくことが求められていると思います。なぜ減額補正するほどの不用額となってしまったのか。原因を明らかにして、次に生かすということが求められていますので、その立場から幾つか質疑します。
 減額事業の一覧、出してもらいましたけれども、まず目が行ってしまうというか、気になるのは、義務教育就学児医療費助成、いわゆるマル子ですよね。これ、約二億六千万円も減額になっているんです。都の制度は所得制限もある。外来は一回二百円の一部負担もあるわけです。二十三区だと大体、所得制限もないし、自己負担もないというところですけれども、所得制限をなくすと幾ら必要で、外来一回二百円の自己負担をなくすと幾ら必要になるのかという数字を教えてください。

○住友保健政策部長 義務教育就学児医療費助成事業は、子育て世代の医療費負担軽減を図り、少子化対策を一層推進するという観点から、福祉施策として実施しているものでございます。
 一部自己負担や所得制限の考え方ですが、医療保険制度が相互扶助の精神でつくられていることや、ほかの医療費助成制度におきましても一部自己負担や所得に応じた自己負担を設けていることなどを総合的に勘案すると、一定の自己負担、所得制限を設ける必要があると考えております。
 仮に、通院一回当たり二百円の自己負担を設けなかった場合、平成二十一年十月から平成二十二年一月診療分の実績をもとに推計をいたしますと、影響額は二億円でございます。
 同様に、所得制限を設けなかった場合、平成二十二年度予算額等から推計した影響額は約十九億円でございます。

○大山委員 窓口負担なくしたら約二億円、所得制限なくしたら約十九億円。医療費の自己負担、世界の流れというのは、もうやはり窓口負担はゼロというのが大きな流れなわけですよね。偶然でしょうけれども、今回不用額として削減する二億六千万円あれば、一回二百円の外来自己負担はなくすことができるというぐらいの額だということですね。
 額が大きいということでは、五億円以上の削減額の事業を出してもらいましたら、十一事業で約百二十六億円になります。その中には、周産期医療システムの整備が約七億円の減額であったり、医療施設耐震化緊急対策事業が約二十四億円の減額であったり、児童手当が約二十億円の減額となっています。
 国の制度が概算要求段階から変更になって、それが当初予算には反映できなかったというものもありますし、周産期医療システムの整備などもさらに進めていってほしいものですけれども、かなりの不用額となっていると。国の制度に伴って不用額が出たものなどは、不用額として減額するだけじゃなくて、より充実したものにすることなども考えられるのではないかと思っています。これは意見です。
 もう一つ、執行率が低いというのも問題だと思うんですけれども、執行率がなぜ低いのかというのを、やはり考えなきゃいけないと思います。使いにくい制度じゃないのかとか、現状と合っているのか、合っていないのかとか、また、周知されているのか、いないのかとか、それぞれ検討することが求められていると思っています。
 例えば、高齢者の基盤整備のおくれについては、代表質問でもただしたわけですけれども、ショートステイは圧倒的に不足していることはもう皆さんご承知のとおりですけれども、二、三カ月先でないと予約もできないという状況です。
 ショートステイの整備費補助の執行率が二〇%なんですね。この執行率の低さというのはどのような理由を考えているんでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 ショートステイにつきましては、これまで特別養護老人ホームの整備に当たり定員の一割以上の併設を義務づけ、一床当たり四百三十万円の補助を行ってきたところでございます。今年度からは、ショートステイを単独で整備する場合や有料老人ホームなどに併設する場合にも補助対象を拡大し、一床当たり三百八十七万円の補助を行っております。
 平成二十二年度の当初予算では、この単独型のショートステイとして百二十六床分の整備を見込んでいたところ、実績は二カ所五十床分となりました。これら二カ所の整備につきましては、いずれも工事が二カ年度にまたがるため、今年度は工事出来高がそれぞれ一〇%及び五〇%となっております。そのためショートステイ整備費補助につきましては、当初予算から約二億六千万円を減額する補正予算案を提出させていただいたところでございます。
 今後とも、この補助事業の活用によりショートステイの整備促進を図るため、引き続き説明会の開催等により区市町村及び事業者に周知を図ってまいります。

○大山委員 今までは特養ホームだけ、併設の場合に整備費を出していたけれども、特養ホーム以外のところにも、つけるための整備費の補助を出す。これは重要なことだと思っていますし、もっと進めていってもらいたいと思っているわけですよね。
 今年度からの事業だから、スタートが遅かったから今年度予算執行は少ないんだということなんですけれども、それにしても百二十六床分の予算で五十床だと。まだまだ周知もされていないから周知もするんですと、これも重要なことなわけですけれども、補助単価が本当にこれで大丈夫なのかとか、それから運営費はどうなのかとかということも含めて、さらに使いやすい制度にしていくためにはどうしていくのかということも検討してほしいと思います。
 年度の最終で減額補正すると、結局、予算を落とすだけということになってしまうわけですね。せっかく福祉保健局で都民の福祉のために使うんだという予算として計上しているわけですし、やむを得ない理由で不用額が出るというのはありますから、不用額となることが明らかなものは、例えば三定だとか四定で補正して、都民が、もう切実な緊急の要求、あるわけですよね。その要求実現のために補正予算を組む。だから年度内に使えるような補正予算を組むことも考えるべきだと思いますけれども、どうですか。

○日置企画担当部長 議決予算の執行におきましては、予算編成時点では、先ほど来からありますように、想定できなかった需要の変化によりまして不用額が見込まれるものがあれば、また予算に不足が生じる場合など、さまざまでございます。
 そういうもので、必要に応じ予算事務規則に定める手続を経まして、不用額が見込まれる事業から流用を行うなど、適切な対応を行っているところでございます。こうした年間を通じました予算の執行管理を行った上で、歳出予算総体としての執行見込みを立てまして、税収動向等も見定めた上で最終補正予算案を提案しているところでございます。

○大山委員 やはり、いかに都民のために都民のお金を使うかということだと思うんですよね。例えば、盲ろう者の通訳介助者派遣事業など、当たり前の生活を送るのに不可欠な通訳介助者派遣時間が圧倒的に足りなくて、今年度は登録者はふえたのに派遣時間は去年と同じだから足りなくなっちゃって、十一月ごろからもう、一人当たりにすると一カ月二十時間で、一日当たりにしたら四十分程度しか使えない。だから何とか年度内の派遣時間を緊急にふやしてほしいんだというようなこともあったわけですよね。
 例えば、そういう要望だとかも含めて、流用でできるんだったら流用でやってもらいたいし、意思があれば、福祉保健局がきちんと意思決定すればできることなわけですから、盲ろうの通訳派遣事業だけじゃなくて、さらにほかの切実な都民要求も、三定だとか四定で補正すれば十分対応できることだと思いますので、ぜひそれはやってもらいたいと思っています。
 補正のもう一つ、母子福祉資金貸付金の増額ですけれども、これはひとり親家庭の重要な施策の拡充ですので、賛成だという意見を述べておきます。
 以上です。

○たきぐち委員 東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例に関連をいたしまして質問いたします。
 平成二十二年の自殺者数が、十三年連続で三万人を超えました。国が、平成十八年六月に自殺対策基本法を制定し、翌年に自殺総合対策大綱を取りまとめたことを受けて、東京都は、平成十九年七月に自殺総合対策東京会議を設置するなど、自殺総合対策に取り組んでおり、これまでも議会でさまざまな角度から議論がなされているところだと思います。
 東京都では、平成十年以降、二千五百人を超える方がみずからの命を絶っており、平成二十一年の自殺者数は二千八百六十二人となっております。NPO法人や専門家など、民間の有志が実施をした自殺実態千人調査の報告書を見ますと、自殺者の年齢や職業など、地域によってその特性が大きく異なることがわかります。
 東京都の取り組み方針でも、東京の自殺死亡率は全国平均よりも低いが、女性が全国平均を上回っていること。三十歳代以下の割合が全国よりも高く、自殺者の約三分の一を占めること。高齢者の自殺死亡率は低下傾向にあるが、高齢者人口が増加する中で、六十五歳以上の自殺者数が増加していることなどの特徴を挙げております。
 こうした東京都の自殺の実態をどう認識をし、どのような対策を講じているのか、伺います。

○住友保健政策部長 都内では、今お話がございましたように毎年二千五百人以上の方が自殺で命を絶っており、深刻な状況であると認識しております。
 自殺は、さまざまな悩みにより心理的に追い込まれた末の死であり、予防するためには社会全体で対策に取り組む必要があります。そのため、都は多様な分野の機関の参画を得て自殺総合対策東京会議を設置し、総合的な自殺対策に取り組んでおります。
 その東京会議のもと、普及啓発・教育、早期発見・早期対応、遺族支援の取り組みを三本柱といたしまして、それぞれの分野で関係機関が連携して取り組みを進めております。
 お話の比較的若い年代を対象とした対策としては、企業の衛生管理者等を対象にゲートキーパー研修を行うなど、働き盛り世代の自殺予防に取り組んでおります。

○たきぐち委員 三つの柱によって、自殺総合対策を効果的に推進しているというお話でありました。
 これは、いいかえれば、良好な健康状態を保つための一次予防、自殺予備軍をサポートする二次予防、自殺未遂者や残された方をケアする三次予防ということに分けての対策といえるんだと思います。
 若い方の対策としてゲートキーパー研修等に取り組んでいるということでございますので、東京都の実態を踏まえた上で、引き続き対策を講じていただきたいと思います。
 今回の条例改正は、国の地域自殺対策緊急強化交付金の期限延長に伴うものでありますが、当該基金においてどのような事業が実施可能であるのか、伺います。

○住友保健政策部長 地域自殺対策緊急強化基金は、国が幾つかの事業メニューを示し、その中から公共団体や民間団体等が実施事業を選択することとされております。
 国から示されている事業メニューは、対面型相談支援事業、電話相談支援事業、人材養成事業、普及啓発事業、強化モデル事業の五つの事業でございましたが、今回、この事業メニューにうつ病医療体制強化事業が追加され、精神科医と一般かかりつけ医の連携強化や精神科医療関係者への研修等が対象事業とされました。

○たきぐち委員 二十一年度からの交付金五億八千万円を基金に積み立てて、二十二年度予算が二億七千万円。事実上二十二年度からの活用だと伺っておりますが、今ご答弁のありました、この事業メニューの中から選択をしていくということでありますが、具体的に、この基金をどの事業に活用しているのか。また、今後、当該基金をどう生かしていく方針なのか、伺います。

○住友保健政策部長 都では、従来から行っている人材育成や普及啓発等の事業に基金を活用することに加えまして、今年度から自殺相談ダイヤルを開始いたしました。また、区市町村では、ゲートキーパー養成や自殺予防の講演会を開催するなど、地域の特性を踏まえた事業を実施しております。
 今後の基金の活用につきましては、区市町村や民間団体への支援に活用するほか、都として人材育成、相談事業等に積極的に活用してまいります。

○たきぐち委員 先ほど申し上げました千人調査の分析では、自殺で亡くなった方の七割の方が自殺する前に何らかの専門機関に相談をしており、そのうちの六割が自殺する一カ月以内に相談をしているということがわかっていることから、基金を活用した自殺相談ダイヤルの設置は有効な施策かと考えます。民間団体等が実施している相談ダイヤルの補完的な役割を果たしているという議会での答弁も確認をいたしましたが、専門性の高い相談員によって効果があらわれることを期待しております。
 自殺には、多様かつ複合的な原因及び背景があり、一人の自殺の背景には、平均四つの危機要因が重なり合っているといいます。つまり、自殺を防ぐためには、平均四つの相談機関による連携、四つの支援策の連動が必要だといえます。
 例えば、失業して住居を失い、多重債務に陥って、うつ病を発症してしまった方が生きる道を選択するためには、精神科でうつ病の治療をしながら、法律の専門家のところで債務の法的整理を行い、ハローワークで雇用促進住宅への入居手続をして、さらに求職活動をしなければならない。せっぱ詰まった状態にある人がこれらを自力で行うのは至難のわざであると、これは論文からの抜粋でありますけれども、こうした状況が想定されるわけです。
 今回の事業メニューに、新たにうつ病医療体制強化事業が追加されたことは、こうした実態を背景にしたものと考えますが、相談機関の連携、支援策の連動が重要だと思います。今年度の基金事業二億七千万円のうち、区市町村や民間団体への支援は一億二千三百万円となっております。第四回定例会で、我が党の新井議員が一般質問した際には、三十四区市町村が基金事業を活用しているということでありましたが、その後、三十九区市町村にふえていると伺っております。
 複数の危機要因を取り除くためのセーフティーネットの網を機能させるためには、行政の縦割りを超えた取り組みと、多様な関係機関、団体、地域との連携の強化が一層必要になってくるかと思いますが、所見を伺います。

○住友保健政策部長 都では、福祉、保健、医療、法律、労働問題など、さまざまな分野の相談機関の参画を得て、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを構築し、連携を図って相談事業に当たっております。区市町村におきましても、地域の相談機関等が連携して、相談者を適切な相談窓口につなぐための相談支援ネットワークの構築が必要であり、都では、先駆的な取り組み事例を紹介するなど、区市町村に取り組みの働きかけを行っております。

○たきぐち委員 区市町村ごとにネットワークを構築していくことは極めて重要だと考えております。現在、自殺対策に特化した事業を実施している自治体や、ほかの事業の中で関連事業を実施している自治体など、区市町村における自殺対策の取り組み状況は異なるかと思います。二十三区で自殺死亡率の高い三区、これは平成十六年から十八年の三年の平均でありますけれども、この三区は、ことし四月当初には基金事業を活用する予定はなかったということで、区市町村によって自殺対策に対する意識の温度差があるのではないかと考えております。
 先ほどお話にありましたゲートキーパーの養成であったり、あるいは今回新たなメニューとして追加をされましたうつ病の医療体制の連携、こうした観点からも、身近な人の気づきによる早期発見、早期対応、すなわち二次予防を強化するためには、区市町村ごとの対応がさらに強化されることが望ましいと考えておりますが、都の役割と区市町村の役割をどうとらえているのか。また、今後、区市町村に対してどのような支援を行っていくのか伺います。

○住友保健政策部長 自殺対策におきましては、区市町村は、地域住民への普及啓発や相談者の悩みに応じた適切な支援を行える連携体制づくりなどの役割を担っております。一方、都は、みずから広域的な取り組みを実施するほか、区市町村や民間団体の取り組みを支援する役割を担っております。
 都といたしましては、今後も、区市町村や民間団体等に対して情報提供や人材育成を行うことなどにより支援を行い、総合的な自殺対策を推進してまいります。

○たきぐち委員 新年度予算を見ますと、基金を活用した区市町村への支援は増額が図られているようであります。今ご答弁がありました情報提供や人材育成、一次予防から三次予防まで、区市町村においてネットワークが確立されるように、都として働きかけていただきたいと思います。
 基金条例に関連して、都の自殺対策について伺いました。自殺が個人的な問題であると同時に、社会構造的な問題であって、先ほど申し上げました民間の有志がまとめた白書では、九八年三月ショックということが述べられております。
 これは、日本で自殺が急増したのが九八年の三月、九七年度の決算期であるという事実が明らかになったということです。九七年度決算というのは、私も当時、市場調査の仕事をしておりましてよく覚えておりますが、北海道拓殖銀行、山一證券が相次いで経営破綻した、その年であります。以来、東京では、自殺者数が二千五百人を超える状況が続いております。
 こうした深刻な状況を少しでも改善するべく、区市町村に働きかけ、民間団体との連携を強化しながら、都としてとり得るべく施策を講じていくことを要望いたしまして、質問を終えます。

○栗林委員 では、私の方からは、第六十号議案の東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の改正について伺います。
 何点か確認も含めてお伺いしたいと思いますけれども、この基金は、従来の国の交付金である介護基盤緊急整備等臨時特例交付金の拡充に加えて、新たに介護支援体制緊急整備臨時特例交付金というものが創設されたことから、条例の改正が必要になったということと伺っています。
 そこで、まず第一点目としまして、本条例の改正に伴いまして拡充される事業と、また、新たに追加をされる事業というものがあると思います。その内容を教えていただきたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 基金条例の改正に伴いまして拡充される事業は、地域密着型サービス拠点等の整備費補助単価の増額でございます。
 例えば、定員二十九人以下の小規模特別養護老人ホームでは、定員一人当たり補助額が三百五十万円から四百万円に、認知症高齢者グループホームや小規模多機能居宅介護では、一施設当たり補助額が二千六百二十五万円から三千万円となります。
 また、新たに追加される事業は、認知症高齢者グループホーム等防災改修等支援事業であり、地震等防災対策上必要な補強、改修を行った場合、一施設当たり一千三百万円を基準として補助することとなっております。
 さらに、高齢者などの生活の安心確保のため、地域の日常的な支え合い活動の体制づくり事業についても助成することとしております。

○栗林委員 今ご説明いただきましたけれども、介護基盤整備を促進するために補助の単価を増額するということは大変喜ばしいことでありますし、積極的な活用が必要になってまいります。
 そこで、今回、国が本基金において補助単価を増額したという、その目的、意図というものはどういうところにあるのか、確認のため伺わせていただきます。

○狩野高齢社会対策部長 本基金の目的は、国の交付金を活用し、区市町村が策定しました平成二十一年度から二十三年までを一期とする、第四期の介護保険事業計画に盛り込まれた小規模特別養護老人ホームや小規模多機能居宅介護などの整備量に、平成二十四年度から二十六年度までを計画期間とする第五期計画以降の整備量を先取りして、さらに一年分を上乗せし介護基盤の整備を図ることでございます。
 そのため、今年度の補正予算におきまして、これら地域密着型サービスのさらなる整備促進を図るため、助成単価の引き上げを図ったものでございます。

○栗林委員 今のご説明をいただきまして、この基金は、平成二十三年度が最終年度ということになっているということでございました。大変限られた期間の中で、この基金が有効に活用されなければならないと思います。特に認知症高齢者グループホームなど、まだまだ基盤整備がおくれている、こういった介護基盤がこの基金を活用して着実に整備がされるよう、都はどのような取り組みをお考えになっているのか伺います。

○狩野高齢社会対策部長 本基金による助成事業は、お話のとおり、平成二十三年度をもって終了することから、都は区市町村に対し、本事業の趣旨を周知し、積極的な活用を働きかけているところでございます。
 しかし、この助成事業の対象は、原則として平成二十三年度末までに竣工する事業とされており、仮に平成二十三年度中に着工しても年度内に竣工しないものは対象外となります。このため、都は国に対し、本事業の延長について提案要求しているところであり、引き続き国に働きかけてまいります。

○栗林委員 今お話にありましたように、着工しても竣工しなければ活用できないという、非常に期間が短い基金でもございますので、ぜひ積極的な活用を進めていただきたいと思います。
 高齢者の方は、やはり一番望んでいらっしゃるのは、住みなれた地域で、安心して暮らし続け、ついの住みかとして、やはりそういった選択をする方が、この間もアンケート調査で八〇%近くいるという数字も出ておりました。私の地元世田谷でも、いろんな高齢者の方と接するたびに、やはり介護が必要になっても、さまざまなサービスを利用してこの地域に住んでいたいわという方が、高齢者の方がたくさんおいでになっています。
 昨年の十月の厚生委員会の事務事業質疑の中でも触れさせていただきましたけれども、未利用の都有地の有効活用、これが大変重要になってくると思います。基金がせっかく用意されても、今一番問題なのは、土地が確保できない点でございます。やはり、都有地の有効活用をしていただきながら、介護サービスのより一層の基盤が整備されますように要望しておきます。
 また、この基金の有効活用と都有地の積極的な活用により、ますます地域密着型のサービス拠点の整備を促進していただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○小磯委員 東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例について質問いたします。
 厳しい経済情勢と、地域における自殺対策の強化を図るために、都道府県に地域自殺対策緊急強化基金をつくったわけであります。依然として、平成二十二年の自殺者数が、十三年連続して三万人を超え、都でも二千五百人以上の方がみずから亡くなるなど、深刻な状況でございます。
 いわゆる自殺の原因として、経済的な理由というのは大変大きいわけでございますけれども、失業率が上昇すると自殺率も高まる、そういう傾向にあるそうでございます。両者には正の相関関係があるということでございます。特に我が国は、他のOECD諸国と比べて、自殺率と失業率、また所得の不平等、そういった経済要因との関連が強いことが最近の研究で判明をしているということでございます。そういう意味からいたしますと、現在の状況というのは、自殺率が高まる、そういう危険性がまだ高い、そういう状況にあるんだというふうに思っております。
 国は、そういったことで地域自殺対策緊急強化基金管理運営要領を改正し、その事業実施期間が一年延長ということでございますが、まず、これまでの区市町村の基金事業の中で、地域の実情に応じた先駆的な取り組みがあればご紹介をいただきたいと思います。

○住友保健政策部長 自殺対策緊急強化事業は、自殺を考えている人の個々のニーズに応じたきめ細かな相談支援等を地方自治体等が地域の実情を踏まえて実施することとされております。
 平成二十二年度に区市町村が実施した先駆的、特徴的な取り組みの例を挙げますと、薬局の薬剤師を対象に研修を実施し、ゲートキーパーの役割を担っていただく取り組みや、ハローワークや消費者センター、保健所等が連携して、働き盛りの世代を対象とした相談会を実施するなどの事例があり、それぞれの区市町村が創意工夫のもとに事業を実施しております。

○小磯委員 平成二十二年度に基金事業を実施した区市町村は、六割を超えているということでございます。取り組み内容は、人材養成事業や普及啓発事業が中心でございまして、区市町村の庁内を挙げての取り組み、また、関係機関を取り込んだネットワークづくりまで踏み込んで実施しているところは少ないようでございます。
 全区市町村において、基金事業を活用した自殺総合対策に取り組めるように支援をすべきと考えますが、見解を伺います。

○住友保健政策部長 都では、自治体の自殺対策担当者等を対象といたしました連絡会を開催し、先駆的な取り組み事例の情報提供を行うことなどにより、区市町村の取り組みの促進を図っております。
 特に、さまざまな悩みを持つ相談者が問題に応じた支援を受けられるようにするためには、多様な分野の相談機関が連携して適切な相談窓口につなぐことが重要でございます。そのため、都内すべての地域で相談支援のネットワークが構築されるよう、区市町村に対して働きかけを行っております。
 また、基金事業の補助申請がない区市町村に対しましても、それぞれの地域の社会資源の状況や自殺の実態等をお聞きしながら、個別に基金の活用を働きかけております。

○小磯委員 こうした基金を活用しての、社会全体としての自殺対策の機運を高めていく取り組みも大変重要でございます。
 都では、九月と三月を自殺対策強化月間として、自殺防止東京キャンペーンを実施しております。例年三月には自殺者数が増加する傾向にあることから、この三月にも重点的に普及啓発を行う必要があるわけでございます。
 私の隣の神奈川のある市では、九月でございますけれども、駅の近辺で相談窓口を紹介するチラシの配布を行ったり、また、自殺予防週間で啓発用のポスターを掲示し、公用車にステッカーを張る、そういったキャンペーン、また、命の大切さをテーマとする標語を市民から広く募集と、そういったさまざまな取り組みをしているわけでございますが、都としても、三月の自殺対策強化月間には取り組みを強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○住友保健政策部長 ことしの三月の自殺対策強化月間では、七日から十三日までの一週間を特別相談週間と位置づけまして、心の悩みを持つ人や自死遺族に対する電話相談を民間団体と連携して実施いたします。特別相談期間中は、各団体が相談時間を延長するなど、体制を強化して相談を受けることとしております。
 都では、今年度は、自殺相談ダイヤルを特別相談期間中はフリーダイヤルとするほか、主要駅近くの会議室等を会場に、勤労者を対象とした臨床心理士等が直接相談を受ける対面相談会を実施いたします。さらに、新聞六紙に特別相談の案内を掲載するほか、鉄道事業者と協力して、主要駅の駅頭でのキャンペーンやトレインチャンネルを活用した啓発事業を実施いたします。

○小磯委員 かなり、三月の自殺対策強化月間の取り組みというのが強化されるということを伺いまして、大変期待をしておるところでございます。
 また、自殺の要因はさまざまございますけれども、うつ病との関連性が高いということは、もう間違いのないことであろうというふうに思っております。去年、私ども都議会公明党も、実は、うつ病、そして、うつ病を治療していくための認知行動療法ですね、これの取り組みを先進的にやっておりますところの鹿児島県の方に視察に行ってまいりました。
 鹿児島のさつま町というところでは、いわゆる特定健診受診者を対象に心の健康度評価表というのを使いながら、うつ状態を早期に発見して、そして、相談や訪問などの支援を行っておりました。
 それから、鹿児島市の方に参りまして、鹿児島県精神保健福祉センターの方に伺いまして、いろいろとお話を伺いました。保健所の職員、そしてまた相談事業に当たる支援者を対象に、認知行動療法の研修を実施していたわけでございます。この研修を受けた保健師等からは、考え方を整理して対応できるようになったということで、効果を実感できる、そういった感想を聞くことができました。医師だけでなく、心理職や看護師等を含めたチーム医療が重要である、また、基本研修だけでは不十分で実地指導が必要である、そんなさまざまな意見も伺ったわけでございます。これについては、昨年、我が党の代表質問でもさせていただいたところでございます。
 そういったことで、都は、人材育成にこうした認知行動療法を取り入れるべきであると考えますが、所見をお伺いいたします。

○住友保健政策部長 認知行動療法は、精神疾患に対する有効な治療法の一つで、自殺対策においても、その考え方を活用することが必要と考えております。
 そのため、来年度、自殺相談ダイヤルの相談員を対象とした研修のプログラムに、認知行動療法について取り入れることを予定しております。相談員が認知行動療法の知識を身につけることで、精神疾患を持つ相談者の方々への対応力の向上が期待されるものと考えております。

○小磯委員 ただいま、人材育成に認知行動療法を取り入れるということをお伺いして、高く評価をするものでございます。
 自殺対策は、単発的な取り組みではなく、継続的に実施する必要がございます。都では、二十三年度以降、この基金を活用した自殺対策をさらに拡充すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○住友保健政策部長 都は、来年度も基金を活用して、区市町村や民間団体の自殺予防の取り組みを支援いたしまして、地域での自殺対策の強化を図ってまいります。また、自殺相談ダイヤルについて、現在十四時から二十二時までとなっております相談時間を翌朝の六時まで延長し、相談体制の強化を図ることを予定しております。
 自殺対策は、さまざまな分野の関係者が連携して継続的に取り組むことが大切であることから、これらの取り組みを進めることにより、官民一体となった総合的な自殺対策を積極的に推進してまいります。

○小磯委員 自殺対策は生きる支援であり、自治体、民間団体、教育関係者など、さまざまな分野の関係者が連携して取り組んでいくことが重要でございます。単に基金の期限が一年延長されるだけでなく、地域における自殺対策がさらに強化されることを期待するものでございます。
 先ほどお話をいたしました自殺相談ダイヤルは、相談先へのつなぎなど、相談者の積極的な支援を特徴としております。相談を受けるだけでなく、必要に応じて出かけて支援する、アウトリーチといいますかね、そういったことも、今後ぜひとも検討をしてもらいたいというふうに思っております。
 NPO法人の自殺対策支援センター、ライフリンクによりますと、人が自殺に至る背景には、先ほどもございましたが、失業による生活苦、また多重債務、うつ症状など、大きく四つの要因があり、複雑に重なり合っておるそうでございます。地方自治体と民間の関係団体、医療機関なども連携を密にして、複合的な問題を抱える一人一人の症状に的確に対応する体制が必要でございます。
 また、実際、ライフリンクの調査では、亡くなる前に相談機関を訪ねていた人は七割以上に及ぶということでございますので、悩みに悩んだあげく、生きるすべを求めて相談窓口にたどり着いた人々を救えなかったということも重い現実としてあるわけでございます。
 そういった意味で、政治的、社会的な支えがあれば自殺は避けられる死であるということもいえるわけでございます。そういった意味で、これからもしっかりとこうした対策を、取り組みをお願いしたいと思います。そういったことで、私の質問を終わります。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。

○くまき委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○くまき委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第五十八号議案から第六十二号議案まで、第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分及び第百四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第五十八号議案から第六十二号議案まで、第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分及び第百四号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。よって、第五十八号議案から第六十二号議案まで、第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分及び第百四号議案はいずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十六分散会

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