厚生委員会速記録第十七号

平成二十二年十二月九日(木曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長くまき美奈子君
副委員長たきぐち学君
副委員長松葉多美子君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
理事今村 るか君
田中  健君
栗林のり子君
中村ひろし君
小磯 善彦君
三原まさつぐ君
大山とも子君
野島 善司君
増子 博樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
次長吉岡 則重君
技監桜山 豊夫君
総務部長梶原  洋君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長中川原米俊君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長藤田 裕司君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長雜賀  真君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
事業調整担当部長枦山日出男君
医療改革推進担当部長高橋 郁美君
医療政策担当部長山岸 徳男君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長中山 政昭君
担当部長小室 明子君
事業推進担当部長角田由理子君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長鈴木 達夫君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
健康安全対策担当部長中谷 肇一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十八号議案 東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
・第百六十九号議案 プール等取締条例の一部を改正する条例
・第百七十号議案 東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十一号議案 東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
・第百九十七号議案 東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
・第百九十八号議案 東京都立心身障害者口腔くう保健センターの指定管理者の指定について
・第百九十九号議案 東京都障害者総合スポーツセンター外一施設の指定管理者の指定について
・第二百号議案 東京都練馬就労支援ホーム外一施設の指定管理者の指定について
・第二百一号議案 東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
・第二百二号議案 東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
・第二百三号議案 東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
・第二百四号議案 東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
・第二百五号議案 東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
・第二百六号議案 東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
・第二百七号議案 東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・都立身体障害者福祉工場の民間移譲について

○くまき委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○くまき委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 なお、本日は多くの方の質疑が予定されております。それぞれの質疑内容につきましては、極力重複を避けていただき、効率的かつ円滑な委員会運営に皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案から第百七十一号議案まで及び第百九十七号議案から第二百七号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梶原総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料(議案)をごらんいただきたいと存じます。
 資料は目次にございますように、全部で二項目でございます。
 一ページをお開き願います。都保健所の職種別職員定数といたしまして、都が設置しております保健所ごとに職種別の職員定数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。平成十一年度以降の都立福祉施設の廃止・民間移譲の状況といたしまして、平成十一年度以降に廃止した施設及び民間移譲した施設、それぞれにつきまして、年度、種別、施設名及び時期を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、町田市の保健所政令市移行に伴う問題につきまして、質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 この問題は、かれこれ約四年ぐらい前、私が町田の市議会にいたときからずっと話があった問題であります。市議会にいたときから大きな問題になっていたのは、身近なところで保健行政が行われるというメリットとともに、逆に町田市は不交付団体でもありましたし、やっぱり財政的にこれを抱えるとなると、よくいわれたのが一般的に大体五億ぐらい予算がかかるということでありまして、それに見合うだけの市民サービスができるのかどうか、ここが一番大きな問題になるんだというふうに思います。この間、真摯に東京都と、そして町田市と話し合いが進められてきたというふうに思いますけれども、まずは協議の状況について確認をさせていただきたいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 町田市の保健所政令市移行につきましては、都と市の間で平成二十年五月に保健所政令市移行に関する協議会を立ち上げ、これまでに協議会を五回、幹事会を八回開催しております。協議会等におきましては、保健所政令市への円滑な移行を目指して、移譲事務、人材育成、保健所の土地建物の取り扱い、財政支援等について、市との協議を重ねてまいりました。その結果、都は五年間の財政支援及び三年間の都職員派遣を行うとともに、保健所の土地建物につきましては、用途指定を付した上で無償譲渡することとしております。

○今村委員 保健所の運営に当たっては、財政的な支援を、この間いろいろと協議をしていただきまして、東京都からも、今、報告があったとおり、いろいろと支援をしていただくということになっておりますけれども、運営の面においても、例えば都立としての町田保健所が、今、運営をされているわけですけれども、同じ圏域の中に南多摩保健所というのがあります。ここから町田保健所が行っておりました歯科相談等を職員が来て行っているという状況がございました。当然、これが町田に移管をされてしまいますと、町田保健所で運営をしなければいけないわけでありますので、そういった人的な支援なども当然していただかなければならないというふうに考えます。
 市保健所に移行した後も引き続き、例えば圏域であります南多摩保健所からこうした支援が受けられるのかどうか、大変気になるところでありますので、このことについても確認をさせていただきたいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 現在、町田保健所では、障害者歯科相談を行っております。業務の実施につきましては、障害の特性に応じて適正に対応する必要がございます。そのため、都は、移行後の町田市保健所にノウハウをきめ細かく引き継ぐなど、町田市の事業が円滑に実施されるまでの間、必要な支援を行ってまいります。

○今村委員 移行に当たり、都と市の間では移行に係る具体的な諸条件などについて協定を締結するというふうに聞いております。市保健所運営に関して、移行後に、現在、協議をしている内容以外の想定していない課題などが発生することも考えられます。都として、今後、市の要望を聞きながら、しっかりとした支援をしていただきたい、このように思っているところであります。大変、これからの町田市の保健所政令市に向けて大きな問題になるかというふうに思いますので、この件に関しては、ぜひ、局長みずからご答弁をいただきたいというふうに思いますが、お願いいたします。

○杉村福祉保健局長 私が都庁に入りまして最初の職場が八王子保健所でございまして、私が保健政策部に在籍していたころに八王子保健所の市移管があったということで、大変因縁深いものを感じておりますし、そういうこともありまして、私は保健所のあり方について、この間ずっと問題意識を持って当たってきたつもりでございます。私が勤務していたころと現在の保健所の業務内容というのは大変大きく変わってきておりまして、当時は保健所の中でも、いわゆる乳幼児健診とか、三歳児健診とかいった母子保健事業というものが大変多くの位置を占めていたわけですが、現在では、それが全部、区市町村に移管をされております。そのかわりといいますか、感染症予防の分野ですとか、あるいは食品、医薬品の安全確保、そういった役割はますます保健所の役割として大きな位置を占めてきているのではないかなというふうに考えております。
 また、最近では自殺対策ですとか、あるいは地域医療など、そういった取り組みも保健所の事業として大変大きな位置を占めているというふうに考えております。今、申し上げました自殺対策ですとか、あるいは地域医療への取り組み等については、最近では区市町村もかなり積極的な取り組みを始めておりまして、こうした点からいえば、市にとりまして、保健所の医師、あるいは看護師などの専門職と一体になって、こうした事業を進めていくという大変大きなメリットがあるのではないかなというふうに考えております。
 また、町田市の場合は市民病院も持っておりますので、病院と保健所がこれまで以上に連携をいたしまして、例えば在宅医療を強化するなど、市民の生命と健康を守る取り組みを強化充実する体制が可能になるものではないかなというふうに考えてございます。
 担当部長の答弁にもございましたが、町田市の保健所政令市への移行に当たりましては、東京都は保健所の円滑な運営のために必要な財政的、人的な支援を行いますけれども、今村理事のただいまのお話にもありましたように、移管後、新たな課題が発生するということも十分考えられますので、二十三区の保健所、そして八王子の保健所と同様に、経過措置期間中か否かにかかわらず、保健所間における緊密な連絡体制を講じますとともに、町田市とも積極的な意見交換、情報交換を行いまして、さまざまな課題を解決してまいりたいというふうに考えております。

○早坂委員 指定管理者の更新について伺います。
 平成十九年の地方自治法改正により導入された指定管理者制度は、それまで公共的団体などに制限されていた公の施設の管理について、民間の能力やノウハウを幅広く活用し、住民サービスの向上と施設の効率的な運営を図るため、広く事業者を募り、民間も含めた法人、その他の団体に管理を代行させることができるとしたものであります。
 例えば、図書館や体育館の運営を例に考えた場合、それをどうしても公務員が行わなければならないという必然性はなく、民間のさまざまな創意工夫により、利用者にとってより使いやすいものになれば、都民にとって有益なものだと思います。
 東京都においては、平成十八年度から指定管理者制度がスタートし、昨年、特命により指定管理者の指定を行った施設を除き、今回が初めての更新となります。我が党では、平成二十年に入札契約制度プロジェクトチームを立ち上げ、指定管理者制度における課題について議論を行い、指定管理施設において都民サービスを一層向上させていく取り組みや、指定管理者への適切な指導監督の重要性などについて提言してまいりました。指定管理者制度は、応募する民間の事業者同士がさまざまなアイデアやノウハウ、コストなどを競うことで、最も適切な事業者を選定するということが考え方の基本であります。
 しかし、福祉保健局の指定管理者制度では、幾つかの施設については一つの法人だけを選定対象として指名する、特命による選定を行っています。これによると、競争性は確保されないことになりますが、どのような理由からこのような選定を行っているのか伺います。

○枦山事業調整担当部長 指定管理者の選定については、都民サービスの向上と施設の効率的な運営を目的として広く事業者を募る趣旨から公募を基本としており、特命は個々の事情により設定しております。
 福祉保健局においては、今後、民間移譲することを視野に入れている施設について、利用者に対する支援の安定性などの観点から、指定管理者を選定するときと、その後民間移譲をするときとで頻繁に運営事業者が交代することを避ける趣旨から公募によらず特命としております。

○早坂委員 今後、民間移譲を予定している施設について、処遇の安定性を確保するため、すなわちころころ運営事業者がかわると利用者に混乱が生じるような場合には、競争によらず現行指定管理者を特命するということでありました。
 では、一度入った事業者は、このような場合、無条件で更新されることになるんでしょうか。もし仮に特命した法人が、局の求める水準に達しないと判断される場合にはどうするのか伺います。

○枦山事業調整担当部長 福祉保健局では、特命の場合も公募の場合と同様に、事業者に対し指定管理期間中の収支計画や人員計画、サービス実施計画などを記載した事業計画書や運営実績などの提出を求め、外部委員を含めた選定委員会において審査を行っております。また、選定委員会において、事業者からヒアリングを行うなど、公募の場合と同様の選定過程を経た上で候補者の選定を行うとともに、審査には職員の人材育成の仕組みや施設の質の向上、地域との連携に対する積極性など一定の水準を設けており、その水準に達しない場合は、指定管理者として選定しない仕組みとしております。

○早坂委員 特命の場合も、公募の場合と同じように適切な選定過程が確保されているというご答弁でありました。
 次に、公募対象の施設について伺います。
 福祉保健局が所管する公の施設は、医療施設や社会福祉施設など、個別法により運営主体が社会福祉法人などに限定されており、また提供するサービスも高齢者のケアや、障害者や児童の自立を支援するなど、専門的なノウハウを必要とすることから、指定管理者を広く募ってもたくさんの法人が応募して競争するということはなかなか難しいのではないかと思います。
 今回、指定管理者候補として選定されたのは、いずれも現行の指定管理者でありますが、それ以外の法人から応募があったのか。また、結果として同一法人が引き続き管理運営を担う場合においても、サービスのさらなる向上が期待できるのか、伺います。

○枦山事業調整担当部長 本年六月から八月まで公募を行った結果、いずれの対象施設についても、応募法人は現行指定管理者のみでございました。応募が一法人であっても、外部委員を含めた選定委員会において、これまでの運営実績や今後のサービス実施計画などを総合的に審査し、一定の水準以上に達したものとして、次期指定管理者の候補として選定を行っております。現行指定管理者であっても、外部委員を含む選定委員会の審査を受けるに当たり、現在提供しているサービスやコストの面など改めて見直すこととなるため、今後の利用者サービスの向上に向けた一層の創意工夫や経営改善への取り組みが期待できるものと認識しております。

○早坂委員 近年、指定管理者が入った公の施設での重大事故が相次いでいます。一つだけ例を挙げて紹介すると、平成十八年に埼玉県ふじみ野市で指定管理者が入った市営プールで死亡事故がありました。流れるプールの吸水口に、防御さくがしっかり固定されておらず、小学生がそこに吸い込まれ死亡したという事件であります。そばにいた母親が子どもの手を握ったけれども、吸引力に負けてそのまま吸い込まれてしまったといわれています。指定管理者として入っていた会社は、市役所に無断でさらに下請会社に管理を委託していました。
 既に最高裁で結審していますが、ここで注目すべき点は、指定管理者のみならず市に対して厳しい監督責任が問われたということであります。判決では、市が業者に委託したということは、市みずからがその手でプールの安全性を完備することに加え、業者を使って安全性を確保する手段をも得たという点で、市は二重に責任を果たさなかったといっています。つまり指定管理者に任せたのだから、後の責任は全部そちらでという理屈は通らないということです。現在でも、一部には指定管理者バラ色論がまかり通っているようです。しかし、指定管理者や市場化テストなど、民間活力を導入する取り組みを進めるに当たっては、行政による評価、監督、つまりチェック機能を発揮することが極めて重要であります。市場化と公共関与はセットだということを、ここで改めて確認しておきたいと思います。
 今回、指定管理者の候補者として挙がっている法人は一定の水準をクリアしたものだということは理解しました。東京都は、施設の設置者として、指導監督責任をしっかり果たし、これからの指定管理期間において都民が安心して利用できる施設運営を確保すべく、引き続きさらなるサービス向上に取り組んでいただきますようお願いいたします。

○小磯委員 町田市の保健所移管について質問をいたします。
 町田市も保健所を設置するということで、町田市の保健所設置についての基本的な考え方というのを、二〇〇八年十一月にまとめておられます。そして、その中に町田市が行う保健所業務ということで、業務の考え方について、保健所の業務は多岐にわたり、約八十種類、千六百項目が存在すると。大変な項目でございますけれども、東京都が行っている保健所業務をそのまま引き継ぐのではなく、次の四つの視点で町田市が実施するべき保健所業務を判断していきますということで、その四つの視点というのが、一つは、法律や政令等に基づき町田市において実施することが規定されている業務、二つ目が、窓口が一元化され利便性が向上する業務、三番目、市民ニーズや地域特性にこたえられる業務、四番目、市の関連する業務との統合により行政効率が向上する業務ということで、町田市さんとしては保健所業務の判断をしていくということでございました。
 これまでの間、協議会を何回も持たれたということで、町田保健所で行われる事務というのが決定したんだと思いますが、東京都町田保健所で行われていた業務がすべて町田市の保健所で行われるのかどうか、その点について確認をしたいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 先ほども申し上げましたが、町田市の保健所政令市移行につきましては、都と市の間で平成二十年五月、保健所政令市移行に関する協議会を立ち上げまして、その中で移譲事務につきましても、市との協議を重ねてきたところでございます。協議の結果、町田市としては、現在、町田保健所で行われているすべての事務を引き継ぐということとなっております。

○小磯委員 市民サービスという観点からいえば、本当に現在、都の保健所で実施している業務は市においてもしっかりやっていただくことが大事だというふうに思っております。そして、またこの中に書いてございますけれども、保健所の主な職名と資格ということで、職名が例えば保健所長であったり、また医療監視員であったり、薬事監視員であったり、かなり専門性の職種が列記をされているわけでございます。
 そういった意味で、人的な支援ということで、しばらくの間、東京都から町田市保健所に専門職の派遣というのが行われるというふうに伺っております。そうした専門職の確保と育成、東京都から町田市にどのような職種の職員を何年間派遣するのか、また派遣期間終了後も何らかの支援があるのか、その辺について確認をしたいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 都では、町田市との基本的合意に基づきまして、医師、保健師、衛生監視などの専門職を中心に、二十三年四月の保健所政令市移行以降、三年間の職員派遣を行う予定としております。また派遣期間終了後は、東京都が従来から実施をしております保健行政に従事いたします区市町村職員を対象としている各種の専門研修や、技術的助言などによりまして、町田市保健所の人材育成などを支援していく予定としております。

○小磯委員 市としては、三年間の派遣が終わった時点で町田市独自でしっかりと運営をしていくというのが基本的な今の考え方だというふうに思います。そういった意味では、これから来年の四月からの移行期間の三カ年が、市にとっても、また都にとっても、人材という意味で大変大事な期間であると思いますので、その辺の対応をよろしくお願いを申し上げます。
 そしてまた、これも今、今村理事からございましたけれども、保健所の財政ということでございまして、これも市の方で十九年度決算から試算すると次の額が見込まれますと、歳入ということで約一億円、歳出ということで、人件費、事業費などで約四億円、それ以外に試験検査、動物業務等の歳出が二億円見込まれるということで、歳出が六億円と。そうしますと、保健所運営経費として約五億円の財政負担が生じるということになるわけでございます。これについて、改めて、都のどのような支援になるのか、お伺いをします。

○宮垣地域保健担当部長 都では、町田市の保健所政令市移行に伴って、五年間の財政支援を行うこととしております。その内容として、総事業費に対する補助率として、一、二年目は三分の二、三、四年目は二分の一、五年目は三分の一としております。

○小磯委員 町田市が保健所を移管されるということについての保健所設置の意義というのを掲げております。その意義ということについて、一つは、健康危機にかかわる情報が国から直接市に伝達されることになって、迅速的確な初動体制の構築等が図れること、二つ目として、保健所機能が推進エンジンとなり、自助、互助、公助の健康づくり施策を展開していくことができる、三番目、保健所がコントロールタワーとなって、市のさまざまな計画に健康の視点を盛り込み、健康なまちづくりを進めていく等を挙げているわけでございます。
 三年ぐらい前の保健所長さんが、禁煙を物すごく推進する方でございまして、この方が町田の保健所長になりましたら、一挙に町田市の禁煙のいろいろな施策が進みました。そういった意味で、さまざまな計画に健康の視点を盛り込むというのは大変大事なんだというふうに思っておりますけれども、保健所政令市移行により保健所が市民にとってより身近な存在となることは有意義であると考えますが、都として町田市が保健所を持つことになる、その意義をどのように考えておられるか、伺いたいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 都としては、町田市が保健所を設置することにより、市が従来から実施してきた保健衛生業務と新たに実施することとなる保健所業務を一元的に実施することができるようになり、一貫した保健サービスの提供が可能になると考えております。また、町田市の福祉施策とも十分連携した総合的な保健施策を展開するなど、市の保健衛生サービスの向上が期待されます。

○小磯委員 町田市が保健所政令市に移行した後も都と市が連携しつつ、そして一番大事なのは市の保健サービスを向上させてこそ、保健所政令市になる意義があるというふうに思っております。都は市の保健衛生行政に対して、今後とも十分な支援を行っていくべきと考えております。局長の決意をお伺いして終わりたいと思います。

○杉村福祉保健局長 先ほど、保健所の仕事が昔と大きく変わっているというふうに申し上げましたけれども、例えば新型インフルエンザなどの対応につきましては、個々の保健所の個別のきめ細かい対応というよりも、東京都、そして区市町村が一体となりまして、いかに速やかに効果的な対応を行うことが極めて重要だというふうに考えております。
 このためには、まさに二十三区の保健所、あるいは八王子保健所も含めて、すべての保健所が正しい情報を共有するということ、そして緊密な連携体制をとるということが大変重要だというふうに考えております。こうした意味では、委員ご指摘のとおり、都と町田市が日常的に十分な連携を図りながら、そして意思疎通をしながら対応に当たるということが不可欠でありまして、速やかな情報の提供はもちろんのこと、医師等の人事交流を含めて、都として支援をしてまいりたいというふうに考えております。
 また、自殺対策あるいは精神衛生対策、地域医療といった点を考えますと、市が地域の特性を十分に踏まえて、市民病院ですとか、あるいは子ども家庭支援センターといった施設と十分に連携を図りながら、独自の施策を進めていくということが重要だというふうに考えております。東京都は全都的な保健衛生行政を進める立場といたしまして、こうした市の取り組みにつきまして、南多摩保健所を初め、精神保健福祉センターですとか、そういう専門機関ですとか、あるいは東京都医師会などの関係団体とも連携をいたしまして、将来にわたり町田市の保健所が円滑に運営できるよう支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

○小磯委員 ただいまの局長のご答弁で、町田市の保健所政令市移行も、その後もしっかりと支援をしていただけるということを伺うことができました。引き続いて都として最大限のバックアップをお願いいたします。

○大山委員 私も、保健所政令市になる町田市への保健所の移管ということで、地元の皆さんも質疑されましたので、重複を避けましてしたいと思います。
 町田市が保健所政令市になって市に保健所を移管する、それ自体は賛成です。したがって、この移管が住民サービスを低下させることなく、より充実できるようにという立場で質疑したいと思います。
 私、町田市の人口、改めて見ましたら四十二万人。四十万人を超えるということで、八王子市に次いで二番目に多い人口なんです。そして、面積は七十一・六三平方キロですから、どのぐらいかというと、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、この五区を合計すると、七十一・六七平方キロですから、ほぼ同じということで、四十万人を超え、その五区を合わせたぐらいの広大な広さを持つ町田市、これが町田保健所一つの担当区域になるということです。東京都の保健所として、この間ずっと業務に習熟して積み重ねてきたものを市に移管するということですから、市としては、精神保健を初め、それから飲食店などの営業の許認可とか、監視指導、それから感染症法による感染症患者に対する入院移送だとか、市が初めて行うような事業というのもたくさんあるわけです。
 この間の質問で、三年間で移行するということで、都の職員を派遣するということなんですけれども、何人初年度に派遣をして、どのように移行していくのかということを具体的にお願いします。

○宮垣地域保健担当部長 都では、二十三年四月の町田市の保健所政令市移行にかかわる人的支援としまして、医師、保健師、衛生監視等の専門職を中心に、三年間の職員派遣を行うこととしております。その間に保健所業務に関するノウハウ等の引き継ぎを図ることとしております。移行初年度であります平成二十三年度につきましては、十八名の職員を派遣する予定で、三年間で順次、市の職員の方へ切りかえを進めてまいります。

○大山委員 初年度は十八人が都からの派遣職員ということですね。市の職員の採用状況によって順次減らしていくんだという移行の仕方だと。出していただいた資料の1を見ますと、町田保健所の職員定数は現在三十八人なんです。町田市の職員で、現在、町田保健所に派遣されている市の職員、昨年度から派遣されている方が四人、ことし派遣されている市の職員は九名ということです。つまり、来年度移管された町田保健所は、三十八人のうち十八人は都からの派遣ということでベテランの職員が行くわけです。あと新人と二年目で約四割を占めるということなんです。一つの事業所で四割が新人と二年目というのは、やはり職場の運営自体も、もちろん組織としての運営自体も大変なことです。それだけに東京都の手厚い支援が求められています。
 例えば、食中毒が発生したときの対応などは、市の職員が調査に行く場合は、一緒に行ける都の職員というのは派遣されている職員だけということですね。しかし、そのようなこと以外でさまざまなケースでどう対応するかということについては、ケースについての見方だとか、判断の仕方だとか、何を基準にするかとか、どう考えるかとかということについて、三年間という期間が定められているだけに、応援体制も含め検討するべきだと考えますが、どうですか。

○宮垣地域保健担当部長 都では、先ほど申し上げました市で既に採用している職員も含めまして、平成二十一年度から環境監視や保健所業務に関する移行前の研修を実施いたしまして、市職員の育成を図っております。また、保健所政令市移行後の三年間の都職員派遣期間中には、都派遣職員が市の保健所職員と日々協力しながら、その中でさまざまなケースに対応し、対応能力を高めていきます。また、派遣期間終了後も必要に応じて専門研修、また技術的助言等を行ってまいります。

○大山委員 一緒に仕事をしながら引き継いでいく、それから習熟してもらうということはもちろん重要ですし、それから三年間でやはり一定のレベルまで到達するということでは、一緒に同行しなくても技術的な支援だとか、どう対応するかとか、会議なども含めて、現地に応援に行くことも含めて対応することを求めておきます。
 既に保健所を移管した八王子市と東京都は、保健衛生事務事業に係る東京都・八王子市協定書というのを結んでいますけれども、その中には、感染症の集団発生だとか食中毒の大規模な発生などのときの協力体制なども協定の中に入っているわけです。先ほども話し合いの中でということがありましたけれども、つまりこの協定書を、町田市とも同様のものを結ぶということでいいわけですね。

○宮垣地域保健担当部長 委員がおっしゃいました感染症の集団発生や食中毒の大規模な発生時等の都の応援体制につきましては、既に特別区及び八王子市と協定を締結しております。町田市との間でも同様に締結をする予定です。

○大山委員 ということで協定は結ぶと。何といっても地元の皆さんが心配しているのは、保健所という専門職で成り立っている事業所ですから、どの職種が欠けても成り立たないということで、公衆衛生医師を初めとした専門職の確保について、都はどのように支援しようと考えているんでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 町田市におきましては、先ほどお答えしましたとおり、既に平成二十一年度から、衛生監視等の専門職を順次採用し、必要な職員の確保を行っております。また都では、二十一年度から町田保健所等で市の職員を受け入れて事前研修を実施しておりますほか、移行後も三年間、都職員の派遣を行うなど、支援をしてまいります。

○大山委員 確かに、町田市は二十一年度から食品監視、環境監視、薬剤師、保健師、獣医師などを採用しています。しかし、公衆衛生医師は今のところ採用していないようです。三年間移行期間があるといっても、やはり市が努力しても確実に確保できるとは限らないわけで、三年たったらもうおしまいということではなくて、市と相談しながら対応していくことが求められていると思っています。公衆衛生医師を初め、各職種、少人数の職場ですから、都との人事交流も重要だと思いますが、どうでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 公衆衛生医師につきましては、特別区及び八王子市への保健所移管以降、都、区、市の間で人事交流をもう既に行っております。町田市につきましても同様に協力をしてまいります。また、その他の専門職等を含めまして、都と区市町村の職員派遣研修制度に基づきまして、市職員の派遣研修を受けることもできることとなっております。

○大山委員 町田市も特別区や八王子市と同じように、人事交流が公衆衛生医師についてはできるんだということです。他の職種についても検討してもらいたいと思っています。同時に、公衆衛生医師については、東京都の保健所でも公衆衛生医師の確保は大きな課題だと認識しているんです。東京都が養成も含めて努力することが、東京都全体の、市の保健所も、都の保健所も含めて、区の保健所も含めて、きちんと人材確保をしていくという上では、養成も含めて努力していくということを求めておきたいと思います。
 全都的なレベルアップを図るためにも、最新の情報での研修などは不可欠です。都としても協力することが求められていますが、研修についてはどうでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 先ほども保健所の専門職種の職員に対する人材育成、支援というところでお答えしたところですけれども、東京都では従来から保健衛生行政に従事する職員を対象とした各種の専門研修や技術的助言などを通じて、区市町村職員の専門性や対応力の向上を図っているところです。町田市保健所に対しましても、同様に専門研修や技術的助言等を行ってまいります。

○大山委員 研修も町田市も同様に対応するんだということですね。市職員も初めての保健所の業務ですし、東京都の派遣職員も日常的な業務をこなしながらの引き継ぎなわけですから、三年間というのは本当に大変な集中する時期だと思うんです。今後とも市と協力、それから相談しながら、今は想定していないことでも、今後必要なときにはどんどん協力をしてほしいということを求めておきます。
 次は、指定管理者の指定の問題です。
 二百から二百六号議案というのは、東京都練馬就労支援ホームと大泉就労支援ホーム、それから江東、大田、葛飾、豊島、立川、町田の通勤寮、これの指定管理者の議案です。
 私、この部分について質疑をしたいんですが、指定管理者の指定に当たって、議会の議決事項で対象となる事項は、公の施設名、それから指定管理者及び指定の期間です。指定管理者については、東京都知的障害者育成会だとか、それから原町成年寮だとか、それからつるかわ学園とか東京援護協会とか、指定管理者については異論はありません。しかし、期間について、議決の重要な要素ですから質疑をしたいと思います。
 二百から二百六号議案は、今、申し上げたように、六カ所の知的障害者通勤寮と二カ所の身体障害者授産施設の指定管理です。これらの施設に関して、選定方法として、利用者支援の継続性及び事業運営上の安定性を確保する必要があるとなっていますが、この継続性、それから安定性を確保する必要というのはどういうことなんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 今回、特命で指定管理者候補の選定を行いました施設は、平成十八年に策定されました福祉・健康都市東京ビジョンで民間移譲の方針が決定しているため、民間移譲までの間、頻繁な法人交代を避け、利用者支援の継続性及び事業運営上の安定性を確保する必要があることから、特命で選定したものでございます。

○大山委員 頻繁な法人交代を避ける、それは運営上の安定性を確保する、利用者支援の継続性を確保する必要があるからなんだということなんですけれども、頻繁な法人交代を避けるとおっしゃいますけれども、視覚障害と他の障害が重複している方々の大泉就労支援ホーム、これは昭和五十九年に開設されて、直営でずっと運営をされてきました。平成十一年に東京都社会福祉事業団に運営委託され、平成十八年には現在の東京援護協会に運営委託をしました。利用者支援にとっては継続性が必要などといいながら、東京都自身が既に三回も運営主体をかえてきたんです。いっていることとやっていることが違うといわざるを得ません。指定期間について、総務局が出している指針では、原則が五年、最長十年、下限が三年となっていますけれども、これらの施設で三年という理由は何ですか。

○芦田障害者施策推進部長 民間移譲を方針とする施設につきましては、頻繁な法人交代を避け、利用者支援の継続性及び事業運営上の安定性を確保するため、現行指定管理法人を特命し、指定管理期間は三年としたところでございます。

○大山委員 そんなことをいいますけれども、指定管理者の指定に関する東京都の指針、指定期間に関して、特に利用者との関係で長期的に安定したサービスが求められる施設については最長十年とする、こうなっているんです。みずから継続性、安定性をいいながら三年だと。民間移譲をする方針だから三年なんだということですね。特命にした理由は何ですか。

○芦田障害者施策推進部長 東京都指定管理者選定等に関する指針によれば、特命による選定が可能な場合の要件の一つといたしまして、民間移譲等の方針が決定している施設とされております。通勤寮は民間移譲を方針とする施設であるため、頻繁な法人交代を避け、利用者支援の継続性及び事業運営上の安定性を確保する必要があることから、特命としたところでございます。

○大山委員 民間移譲だから、予定しているから特命、民間移譲を予定しているから期間は三年間、しかも処遇の安定性を確保する必要があるからと、非常に矛盾があるんじゃないでしょうか。
 あともう一つ、自立支援法での新体系への移行は二十四年四月一日までに行うということになっていますけれども、指定管理と民間移譲と新体系への移行の関係というのはどうなっているんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 今回、特命の施設は平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間の指定管理期間となります。新体系への移行につきましては、練馬就労支援ホーム及び大泉就労支援ホームにつきましては、指定管理期間の更新と同時に新体系に移行をいたします。また通勤寮につきましては、平成二十三年度末の経過措置期間までは旧知的障害者福祉法の施設として運営し、指定管理期間の中で新体系に移行することになります。

○大山委員 つまり新体系に移行することは、民間移譲とは別のものだということでいいわけですね。同時に新体系に移行する必要があるといっても、例えば通勤寮が新体系に移行するということは非常に困難だという状況ですよね。全国でも、全国の数字ですけれども、昨年十月一日までに通勤寮が新体系に移行したところはわずかに二二・二%でしかないんです。それは新体系に当てはまるところがないからなんです。しかも、報酬が幾らになるのかもわからない。他の機能を持たせるとか、事務部門は専担にしようかとか、それぞれの施設でどうしたらよいか考えているわけですけれども、今後、法がどうなるのかも不透明なわけです。
 平成十九年度という、ちょっと古目なんですけれども、通勤寮の事業計画なんです。通勤寮の持つ職場定着、育成、リハビリテーションを一体的に提供する機能は、自立支援法の新体系には用意されておらず、新体系に移行しようにも行けない状況である、こう、ある一つの通勤寮の事業計画には書いてあります。同じ事業計画の中に、利用者のニーズから見ると、通勤寮の持つ就労と生活の一体的支援機能は、青年期への成長過程にある利用者にとっては極めて高いニーズがある、こう述べているんです。私もそのとおりだと思いますが、どう認識していらっしゃいますか。

○芦田障害者施策推進部長 都の通勤寮は、主に特別支援学校を卒業、または児童養護施設を退所した比較的若い中軽度の知的障害者が利用しております。そのような利用者に対し、就労継続のための支援や金銭管理などの生活支援を実施しており、若年層の知的障害者の就労自立に重要な役割を果たしていると認識をしております。

○大山委員 重要な役割を果たしている、就労継続と生活支援、重要な役割を果たしているんだということなんですね。現在の通勤寮が果たしている、この重要な役割を継続していくにはどうすればいいのかということを、施設と相談しながら東京都が主体的に考えなければならないことだと思っています。ですから、新体系に無理やり押し込め、しかも新体系に移行すると現在の委託費からはどれぐらいになるのかもわからない。それでは通勤寮が果たしてきた役割が果たせなくなりかねないと思っています。それなのに、民間移譲を前提に三年間の指定期間とする、それは余りにも無責任だと思わざるを得ないです。
 就労支援ホームや通勤寮という施設の性格からいっても、利用者支援の継続性及び事業運営上の安定性を確保するということが非常に重要だということですよね、さっきからご答弁されているように。新体系への移行も指定管理とは連動しないということも明らかになりました。ですから、東京都がやるべきことは、民間移譲を前提にして指定期間を三年などとするのではなくて、安定性、継続性が重要な施設だからこそ、新体系に移行せざるを得ない場合も、東京都が責任を持つということなんです。民間移譲を前提で三年間の指定機関として不安定にするのではなくて、もしも指定管理だというのだったら、むしろ最長の十年にすることだと私たちは考えています。という意見を述べて終わりにします。

○中村委員 それでは、議案二百号から二百六号の議案について質問いたします。
 まず、東京都練馬就労支援ホームと東京都大泉就労支援ホームの社会福祉法人東京援護協会への指定管理者への指定の議案について質問します。議案調査のために、たきぐち副委員長と田中委員とともに練馬就労支援ホームを見学し、お話を伺ってきました。
 まず最初の質問として、東京都練馬就労支援ホームと東京都大泉就労支援ホームはどのような施設ですか。改めて両施設の役割と法的な位置づけを伺います。

○芦田障害者施策推進部長 東京都練馬就労支援ホーム及び東京都大泉就労支援ホームは、障害者自立支援法に基づく施設でございますが、同法の経過措置の適用を受けている旧法指定施設で、改正前の身体障害者福祉法に規定されていた身体障害者授産施設でございます。身体障害者授産施設は、身体障害者手帳を持っている十八歳以上の身体障害者で雇用されることの困難な人等に対して、入所または通所による訓練、生活指導及び授産作業を行う施設でございます。

○中村委員 現在、障害者自立支援法は国で見直しを進めていますが、現在の法律では平成二十三年度中に新体系に移行しなければなりません。今後、就労支援ホームはどのようなサービス体系になっていくのか伺います。とりわけ、今回の指定管理の指定は平成二十五年度までですので、指定期間中に期限を迎えます。新体系への移行においても、利用者の生活に支障がないようにしなければなりません。現状の入所者は定員五十名で、生活支援と作業支援の両方を受けていますが、今後どのようになっていくのでしょうか、伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者自立支援法による経過措置では、平成二十三年度末までに新体系サービスへ移行することが求められております。東京都練馬就労支援ホーム及び東京都大泉就労支援ホームは、定員五十名の旧法適用の身体障害者授産施設として運営をしてまいりましたが、新たな指定管理期間となる平成二十三年四月から新体系サービスへ移行することを条件に、指定管理者の募集を行ったところでございます。
 新体系への移行先としましては、具体的には、東京都練馬就労支援ホームは、施設入所支援が定員五十名、生活介護、定員二十名、自立訓練、機能訓練、定員三十名に移行をいたします。また、東京都大泉就労支援ホームは、施設入所支援、定員四十名、生活介護、定員四十名。これに加えまして、新たに通所部門として、就労移行支援、定員十名、就労継続支援B型、十名に移行をいたします。また、両施設それぞれにおいて、空床型の短期入所一名を実施いたします。
 現在、入所している障害者は、今後、障害者自立支援法に基づく支給決定を受けた上で移行先のサービスを利用するほか、利用者の希望により地域への移行なども考えられます。新体系の移行に当たりましては、利用者の意向を尊重し、安心してサービスが受けられるよう円滑な移行を図ってまいります。

○中村委員 安心してサービスが受けられるような移行を図るということを確認させていただきました。時代の変化とともに制度は変わりますが、何より利用者の生活に支障がないよう重ねて要望しておきます。また、両施設とも平成十八年以前から、東京援護協会へ運営を委託し、平成十八年から五年間は指定管理者として指定してきました。同協会へのこれまでの施設運営の評価と施設の実績について伺います。

○芦田障害者施策推進部長 東京都では、指定管理者に対し、毎年、東京都指定管理者の管理運営状況評価を実施し、その結果を公表しております。この評価は、東京都指定管理者による公の施設の管理運営状況について、管理の履行状況、安全管理、法令遵守、サービスの利用といった観点から、指定管理者の業務実施状況等について、第三者の視点を含めた評価を行い、その結果を今後の施設管理運営に反映していくことで、都民サービスの向上を図ることを目的としております。
 両施設の評価結果でございますが、平成二十一年度は、S、A、Bの三段階評価のうち、A評価となっており、管理運営が良好であった施設とされております。具体的には、大泉就労支援ホームについては、利用者に対する毎日のバイタルチェックの実施や体重測定結果等の統計的な分析を行うことにより、効果的に利用者の栄養状態を把握していること、練馬就労支援ホームについては、一週間程度の体験入所を実施するほか、職員が新規入所者の状況把握に努め、入所者の不安解消につなげていることなどを主な評価内容としております。

○中村委員 運営は良好であるとの評価であったとのご答弁でした。指定管理者制度については、都が運営に直接は関与しなくなってしまうので、今後も評価と検証をしっかりと行い、常によりよいサービスを目指していただきたいと思います。
 また、民間事業者によって、よりよいサービスを提供できるよう、制度の長所を生かすとともに、一方では、都も現場からの声を受ける機会をふやし、都の政策に生かすことが必要です。都立施設としての認識は持ち続けていただきたいと思います。
 今回の特命の理由は、今後、民間移譲を予定しているため、利用者支援の継続性及び事業運営の安定性を確保する必要があるとされています。平成十八年に策定された福祉・健康都市東京ビジョンで民間移譲の方針が出されました。新体系への移行がある中で、民間移譲して経営が成り立っていくのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 平成十八年に策定した福祉・健康都市東京ビジョンでは、身体障害者授産施設については、利用者の状況などを踏まえ、施設のあり方を見直した上で、施設体系の変更や運営面での統合等を進め、順次、民間移譲を行いますとされており、今後、条件が整った段階で民間移譲する予定であるため、特命で指定管理者の選定を行いました。
 両施設とも、平成二十三年四月から新体系サービスへ移行し、平成二十六年三月までの三年間を指定管理施設として運営していきますので、この間に運営状況を十分に見きわめ、条件整備に努めてまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。民間移譲して経営が立ち行かなくなってしまえば、入居者が困ってしまいます。その見定めについては慎重にお願いします。
 また、障害者自立支援法によって地域移行が進められていますが、高齢になった方が地域で暮らす際、地域で孤立することなく生活していけるよう引き続きの支援をお願いして、次の質問に移ります。
 次に、通勤寮の指定管理者の指定に関して、江東、大田、豊島、立川、葛飾、町田の六施設、六議案について一括して質問します。この議案も調査のために、大田通勤寮に見学をし、お話を伺ってきました。
 まず、最初の質問として、知的障害者通勤寮の概要について伺います。

○芦田障害者施策推進部長 知的障害者通勤寮は、障害者自立支援法に基づく施設でございますが、同法の経過措置の適用を受けている旧法指定施設で、改正前の知的障害者福祉法に規定されていた知的障害者通勤寮でございます。
 知的障害者通勤寮は、愛の手帳を持っている十五歳以上の就労している知的障害者に対し、居室その他の設備を利用させるとともに、独立及び自活に必要な助言指導を行うことを目的としている施設で、利用期間は原則三年となっております。
 都内には六通勤寮が設置されており、すべて都立施設でございます。定員は六通勤寮合計で百八十五名となっており、平成二十二年十月一日現在の利用者は百六十五名となっております。

○中村委員 次に、指定先についてですが、この六施設とも、平成十八年以前から今回の議案の指定先に運営を委託し、平成十八年度から五年間は指定管理者として指定してきました。これまでの施設運営の評価と施設の実績について、こちらも伺います。

○芦田障害者施策推進部長 先ほどの練馬就労支援ホーム及び大泉就労支援ホームと同様に、指定管理者に対し、毎年、東京都指定管理者の管理運営状況評価を実施し、その結果を公表しております。
 各通勤寮の評価結果でございますが、平成二十一年度は、S、A、Bの三段階評価のうち、各通勤寮ともA評価となっており、管理運営が良好であった施設とされております。
 具体例として、例えば、江東通勤寮では、利用者、職員が町会の活動に参加し、地域で生活していく上で大切なことを学ぶよい機会としていること、豊島通勤寮では、利用者の目線に立った説明と情報提供を心がけ、利用者の自己決定を尊重する支援に努めていることなどを主な評価内容としております。

○中村委員 通勤寮についても良好との評価であったとのご答弁でした。就労支援ホームでも述べましたが、都としても検証と評価をしっかりと行っていただきたいと思います。
 また、もし万一、異変の兆しがあるようでしたら、すぐに現場に足を運び、よりよいサービスが提供できるようしていただくことも要望しておきます。
 通勤寮には、児童養護施設を十八歳で出た後に入ってくる方も多くいると聞きます。知的なハンディを持つ方が児童養護施設を退所し、帰る家庭もない場合、通勤寮はとても大切な場所だと聞きます。通勤寮の入所者のうち、どれくらいの方が児童養護施設からの受け入れになるのでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 平成二十一年度における知的障害者通勤寮全体の入寮者数は六十三名であり、そのうち、児童養護施設からの入寮者は二十六名、全体の約四割を占めております。

○中村委員 さまざまな状況下で入所してくる方がいると思いますし、児童養護施設からの入所だからと予断を持つことは必ずしも適切でない場合もありますが、その人の持つ心の傷や精神状況に異変があったとき、それを理解するには、これまでの家庭環境も理解することが必要な場合もあります。
 通勤寮では、入所に当たり、児童養護施設から必要に応じて情報提供を受けるなど、適切に対応されるとも聞きました。通勤寮は、こうした個人情報も扱うため、大変重い責任のある仕事を担っているわけです。今後とも、引き続き連携を図り、利用者支援の充実に努めていただくことを申し述べます。
 また、児童養護施設を退所し、帰る家庭のない方であっても、通勤寮の利用期限は三年です。利用者は、三年間の利用が終わった後は、通勤寮から地域に移行し、多くはグループホームで地域生活を送ると聞きました。地域での生活を支える上でも、退所した後も通勤寮が大きな役割を果たすことが重要であるとともに、利用者の地域移行にはグループホームの整備充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 通勤寮は、就労している中軽度の知的障害者に対し、社会性を高める生活訓練などの生活支援や、職場訪問などによる職場定着支援を提供しております。三年間の利用期間が終了した利用者は、グループホームやアパートなど、地域生活に移行することとなりますが、地域での生活を定着させるためには、引き続き地域での支援が重要でございます。通勤寮におきましても、退所した利用者等の地域生活を支援し、定着させるため、生活支援ワーカーを設置し、退所後も金銭管理などの支援を行っております。
 また、障害者のグループホーム、ケアホームにつきましては、平成十七年度末で二千六百四十五人の定員を、平成二十三年度末までに五千五百十四人にすることにしております。そのため、都は、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランに基づき、整備費の事業者負担を二分の一に軽減する特別助成を実施して、整備を促進しております。初年度に当たる平成二十一年度においては、グループホーム等の定員数が五百四人増加し、平成二十一年度末の定員数は四千四百二十三人となっており、おおむね計画どおり進んでいると考えております。今後とも計画数の達成に向けて積極的に整備を進めてまいります。

○中村委員 通勤寮の退所後の居住の確保は大変重要です。グループホームの計画的な整備については、引き続きよろしくお願いします。
 次に、通勤寮の障害者自立支援法での新体系サービスへの移行について伺います。
 平成二十三年度までの移行が定められていますが、どのようなサービスに移行するのでしょうか。新体系に移行すると、国の給付費が低いため、運営が厳しいと聞きます。国にその必要性を訴え、具体的にどのような働きかけをしてきたのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 国は、障害者自立支援法における通勤寮の移行先として、宿泊型自立訓練を想定しております。この宿泊型自立訓練は、夜間の居住支援の場を提供し、生活訓練を行うものでございますが、その利用期間は原則二年であり、現在の通勤寮の三年に比べて短いことに加え、職員配置や運営費の面でも基準が低く設定されております。
 このため、都は、国に対し、知的障害者通勤寮からの自立は三年程度を要していることから、宿泊型自立訓練の利用期間を三年まで可能とし、その間は十分な報酬単価とすること、また、通勤寮における日中の就労支援や就労継続支援部分の機能を付与し、その報酬を充実することを提案要求をしております。

○中村委員 通勤寮は、東京都が早くから独自の施策として取り組み、重要な役割を果たしていますので、新体系への移行についても施策が生かされるよう、今後の国への提案をしていただきたいと思います。
 また、その後には障害者福祉総合法の制定という動きもあるようですので、そうした際にも当事者の声をしっかりと伝えていただくことを要望します。
 今回の特命の理由は、今後、民間移譲を予定しているため、利用者支援の継続性及び事業運営の安定性を確保する必要があるとあり、先ほど質問した就労支援ホームと同じになっています。平成十八年に策定された福祉・健康都市東京ビジョンでは、通勤寮についても民間移譲の方針が出されていますが、これまで東京都が先進的に取り組みを行い、また、現状の法体系に合致しないことから、民間に移譲すると経営が成り立たなくなるおそれがあります。民間移譲を行うに当たっては、当然、現行のサービス水準が守られ、民間事業者が運営できる条件が整うことが前提と考えますが、いかがでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 民間移譲については、平成十八年に策定した福祉・健康都市東京ビジョンに基づき、条件が整った段階で民間移譲する予定でございますが、三年間の指定管理期間の運営状況を十分に見きわめるとともに、今後も通勤寮の機能を維持できるよう、さまざまな機会を活用して国に働きかけてまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。これも先ほどの就労支援ホームと同じですが、民間移譲して経営が立ち行かなくなってしまえば、入所者が困ってしまいます。その見定めについては慎重にお願いします。
 最後に、障害者の就労支援について福祉保健局長に伺います。
 今回、議案である就労支援ホームと通勤寮について質問しました。通勤寮については、国への積極的な提言が必要となります。また、地域移行や自立を唱えても、実際に障害者の就労の受け皿はまだまだ十分とはいえないという問題もあります。何よりそうした制度の変化が当事者に大きな影響がないようにしなければません。
 最後に、障害者の就労支援について、局長に今後の施策展開と決意を伺って質問を終わります。

○杉村福祉保健局長 東京都は、第二期障害福祉計画におきまして、障害者が当たり前に働ける社会の実現を目指し、働く機会を拡大するとともに、安心して働き続けられるよう、さまざまな就労支援策を進めております。企業への一般就労の促進のため、就労面と生活面の支援を一体的に提供する区市町村障害者就労支援事業を実施いたしますほか、企業等での就労を体験する実習事業や企業向け普及啓発セミナーなども実施をいたしております。
 また、本会議の場でも答弁をいたしましたが、都が設置を進めております区市町村の障害者就労支援センターにおきましても、さまざまな障害者の就労継続を支援する取り組みが行われております。
 さらには、福祉施設で働く障害者の工賃の引き上げを目指しまして、東京都工賃アップ推進プロジェクトに基づき、福祉施設の経営努力を促すため、生産性の向上に向けた設備整備に対する補助、複数の福祉施設による共同受注の促進、施設職員の意識改革を図るセミナーなど、さまざまな事業を実施いたしているところでございます。
 今後とも、関係各局や区市町村、そして企業、経済団体、ハローワーク等の関係機関、関係団体と連携をいたしまして、こうした取り組みを積極的に推進し、障害者の就労支援に取り組んでまいります。

○たきぐち委員 私からは、東京都障害者総合スポーツセンターと東京都多摩障害者スポーツセンターの指定管理者の指定に関して質疑を行います。
 先日、北区十条台にあります東京都障害者総合スポーツセンターを視察してまいりました。競技用の車いすやレース用の車いすに乗せていただきまして、貴重な体験をさせていただきました。
 今回、両センターの指定管理者候補者として、公益社団法人東京都障害者スポーツ協会が決定をいたしました。公募で一団体のみの応募だったということでございますが、これまでの五年間、同協会が指定管理者として両センターを運営してきて、引き続き選定するに当たり、事業主体の適格性、事業計画の妥当性の観点から、どのような点を評価し、どのような点が課題ととらえているか、評価を伺います。

○芦田障害者施策推進部長 指定管理候補者につきましては、外部委員と行政機関関係者による選定委員会において、書類審査及び事業者ヒアリングなどを実施し、選定を行いました。
 選定に当たりましては、現行指定管理者としての実績があり、障害者スポーツに関する専門性が高いこと、スポーツ教室や個別支援プログラムの作成など、施設利用者の支援とともに、地域での障害者スポーツの振興に力を入れており、障害者スポーツの普及促進への寄与が期待できることなどが評価されたところでございます。
 一方、財政基盤の強化、人事制度等については課題があるという意見もございました。

○たきぐち委員 これまでの実績や障害者スポーツに関する専門性の高さ等が評価されたということでございました。
 全国の障害者スポーツセンターを見ましても、各地域の障害者スポーツ協会などの公益法人や社会福祉法人である社会福祉事業団のような団体が指定管理者や委託事業者として選定をされ、運営をされているようであります。一定の専門性やノウハウが必要だということは理解をいたしております。
 一方で、財政基盤や人事制度が課題ということでありました。二十一年度の指定管理料は、総合スポーツセンターが三億五千九百十七万円、多摩スポーツセンターが三億四百十六万円、合計で六億六千三百三十三万円ということであります。ノーマライゼーションの推進やバリアフリーの促進が社会的な要請の中で障害者スポーツへの理解も進んでおり、取り巻く環境が変化をしている中で、指定管理者に対して、当然ながら、サービスの向上を求めていくと同時に、都として、効果的な財政支出が求められているかと思います。局の考えを伺います。

○芦田障害者施策推進部長 都は、障害者スポーツセンターにつきまして、利用者サービスの向上及び効率的な運営を図ることを目的に指定管理者による管理運営を行うこととしております。
 指定管理者の募集に当たりましては、事業計画書等の提出を求め、施設の質の向上に向けた取り組みや地域との連携等について、障害者スポーツセンターの指定管理者にふさわしい取り組みがなされるか、効率的な運営がなされるか等について審査を行い、指定管理者候補者を決定したところでございます。

○たきぐち委員 第三者評価を拝見いたしますと、利用者から、おおむね高い評価を得ております。また、熱中症対策や安全確保への取り組み、あるいは第三者による苦情調整委員会を設置して利用者の声に対応するなど、改善点への対応も図っているようであります。
 しかし、重要なのは、実効性がどう上がるかということだと思います。ほかにかわる団体がいないとはいえ、これから五年間の管理運営を任せる以上、効果的な運営がなされているか、施設の設置者として、その責任を果たしていただきたいと思います。
 両施設とも利用者は増加傾向にあると伺っております。その内訳は、肢体不自由な方が五〇%強、知的障害の方が二〇%強ということであります。利用者が増加している要因は何か伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者スポーツセンターの利用者につきましては、総合、多摩ともに、指定管理が始まった平成十八年度と比較して増加をしております。
 増加の理由としましては、障害者の社会参加の機会がふえていること、パラリンピック等により、障害者スポーツへの理解が進んだことに加え、リハビリテーションから健康の維持増進、競技力の向上など、幅広い利用目的に対応できるよう、スポーツセンターの機能の充実を図ってきたことなどが挙げられます。また、平成十八年度の障害者自立支援法の施行以降、精神障害者の利用がふえていることも一因と考えられます。

○たきぐち委員 障害者の社会参加や障害者スポーツへの理解が進んでいることは、歓迎すべきだと思います。
 平成二十年度の障害者の生活実態調査によりますと、障害のために、あきらめたり妥協したことという問いに対して、身体障害者の方の回答では最も多いのが、旅行や遠距離の外出、これは四一・五%。これに次いで、スポーツ、文化活動、二四%が多くなっております。今後より一層、両センターが果たすべき役割は大きくなってくるんではないかと思っております。
 利用者を地域別に見ますと、当然ながら、センターの周辺、隣接区、隣接市が多くなっております。二十年度の個人利用で見ますと、総合スポーツセンターでは、所在地である北区の方が約三六%を占め、隣接する板橋、豊島、足立を加えた四区では七割を超えております。一方、多摩スポーツセンターは、所在地の国立市が一九%、隣接する府中、国分寺、立川、日野、この四市を加えると約六割を占めております。
 両センターが障害者スポーツ振興の核となる施設として、さらに広範囲の方が利用できるような工夫が必要だと思いますし、また広域スポーツセンターとしての機能の拡大を図るべきだと考えますが、見解を伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者スポーツセンターにおいては、初めて利用する方が気軽にスポーツを楽しむことができるよう、利用相談を行うとともに、初心者のためのスポーツ教室等を実施し、「東京都広報」やスポーツセンターのホームページなどにより周知を図っております。また、利用者の利便性向上のため、送迎バスの運行を行っております。今後とも、できる限り多くの方にスポーツセンターを利用してもらえるよう、工夫をしていきたいと考えております。
 さらに、スポーツセンターを利用できない方であっても、スポーツに親しんでもらえるよう、スポーツセンターから区市町村に情報提供や技術協力、器具の貸し出しを行うなど、身近な地域での障害者スポーツの普及を進めてまいります。

○たきぐち委員 協会がことし二月に策定をしました東京における障害者スポーツ振興計画でも、スポーツを始めたくなるような場の整備、スポーツを続けられるような場の整備が課題として挙げられております。今ご答弁ありましたが、より多くの方に利用していただけるような工夫、あるいはスポーツセンターを利用できない方に対しても、技術協力や器具の貸し出し等で行っていくということでございましたので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 障害者が気軽にスポーツを楽しむには、生活圏内にある身近な場所で活動できる環境づくりが求められているかと思います。両センターでは、各種講習会や地域スポーツ振興支援事業を行っておりますが、具体的な内容と成果について伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者スポーツセンターでは、重度肢体不自由者も参加できるボッチャや車いすテニスなどを初めとした障害者に適した多様なスポーツの普及に努めております。また、障害者の方が気軽にスポーツを楽しむためには、身近な地域にスポーツができる場所があることが望ましいため、障害者が地域の中でスポーツを楽しめるようにすることを目標としております。
 そのため、障害者スポーツセンター利用者の支援とともに、区市町村や地域の団体と共同で開催するボッチャや車いすバスケットなどの障害者スポーツ体験講習会やスポーツ大会などを実施するなど、地域での取り組みを進めているところでございます。こうした取り組みについては、次第に区市町村等の理解が進み、開催地域、回数等が増加していることから、成果は上がってきていると考えております。

○たきぐち委員 区市町村等の事業の開催地域や回数が増加しているということでございました。先日お話を伺ったところでは、これは総合スポーツセンターですが、二十三区の中で江戸川と中野以外の二十一区では、何かしらの事業を実施しているというお話でありました。まだ取り組んでいない二区についても、ぜひ働きかけを行っていただきたいと思います。
 こうした区市町村との連携強化を図って、区市町村で障害者スポーツ事業を拡大をしていくためには、指導員の派遣や障害者スポーツの機運の醸成が必要だと思います。区の担当者からも、そうした観点での都のお取り組みに対する期待のお話も伺っております。そのためにどのような取り組みを行っていくのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 身近な地域に障害者スポーツを普及させるためには、障害者スポーツを支える人材の確保や区市町村の理解が重要であると認識をしております。
 障害者スポーツセンターでは、区市町村の行事にスポーツセンター職員を参加させるとともに、障害者スポーツ指導員、スポーツボランティアの養成講習会の実施、スポーツ施設、学校、行政等を対象とした障害者スポーツの普及のための講習会の開催などにより、障害者スポーツ人材の育成を図っているところでございます。
 また、東京都としましても、スポーツセンターと連携し、区市町村や特別支援学校などに障害者スポーツの普及について働きかけており、今後とも取り組みを充実させていきたいと考えております。

○たきぐち委員 総合スポーツセンターでは、ほとんどの職員が上級指導員の資格を取得しており、また新たに、健康運動士の資格取得にも取り組んでいるというお話でした。区市町村によってその取り組みにも温度差があるかと思いますが、こうした資格取得者の派遣などを含めて、都が主導的な役割を果たして、障害者スポーツ人材の育成を図っていただきたいと思います。
 障害者スポーツに対する考え方は、東京都スポーツ振興基本計画で定められております。基本計画では、障害者スポーツの振興は、レクリエーションや競技スポーツとしての意義にとどまらず、障害者の自立支援促進や社会参加の推進、障害への理解促進といった側面においても、大変重要な役割を果たしているとされております。
 どちらかというと、この指定管理の案件についても、スポーツ振興局、新たに設置をされましたが、この所管といえなくもないわけでありますけれども、重度障害者への対応や、あるいは介護予防の支援といった観点では、福祉保健局が主導的な役割を果たしていくべきだと思います。福祉保健局としても、障害者スポーツの振興に積極的に努めるべきと考えますが、所見を伺います。

○芦田障害者施策推進部長 本年七月十六日のスポーツ振興局の設置により、スポーツ関連事業については、障害者スポーツも含め、スポーツ振興局が所管することとなりました。スポーツ振興を専管する局が設置され、また、第六十八回国民体育大会と第十三回全国障害者スポーツ大会とを一つの祭典として行うスポーツ祭東京二〇一三の開催が正式決定されたことにより、今後、都における障害者スポーツがこれまで以上に盛んになると考えております。
 障害者スポーツには、障害の特性を踏まえた配慮が必要とされることから、今後とも障害者福祉を所管する局として、障害者スポーツの充実に取り組むスポーツ振興局と連携協力をしてまいります。

○たきぐち委員 障害者スポーツに関しては、スポーツ振興局が所管するというご答弁でありました。現段階で、この障害者スポーツ施策の中心施設といえるこの両センターは、福祉保健局の所管でありますから、ぜひ局を超えた取り組みをいただきたいとお願いをいたしたいと思います。
 先日、視察をしてまいりまして、現場の方にいろいろと施設のご説明をいただきました。約一時間ぐらいのご説明だったんですが、その担当者の利用者へのちょっとした対応というか応対であったり、あるいはその姿勢であったり、私自身は、利用者目線で対応している、好感の持てるものでありました。
 しかし、この東京都障害者スポーツ協会の会長、事務局長、そして両センターの所長は、都の職員のOBであると聞いております。専門性が求められているとはいえ、これらの役職がすべてOBでなければ務まらないということもないでしょうし、あるいは両センターの所長が都のOBである必要性についても、今後議論の余地はあるかと思っております。都の監理団体とか報告団体ではありませんが、指定管理を受けている団体が、都との関係や、あるいは運営の透明性などの観点で誤解を受けないように、誤解を受けることのない組織であるべきだと最後に指摘をさせていただきまして、私の質問を終えます。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○くまき委員長 次に、報告事項、都立身体障害者福祉工場の民間移譲についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梶原総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料(報告事項)をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、全部で三項目でございます。
 一ページをお開き願います。東京都身体障害者福祉工場の事業実績(平成二十一年度)といたしまして、三つの福祉工場それぞれにつきまして、総収入額を記載してございます。
 二ページをお開き願います。東京都身体障害者福祉工場の人員配置状況といたしまして、三つの福祉工場それぞれにつきまして、障害者従業員、非障害者従業員及びそれらの合計を記載してございます。
 三ページをごらん願います。東京都身体障害者福祉工場の運営委託費の推移といたしまして、三つの福祉工場それぞれにつきまして、平成十七年度から平成二十一年度までの各年度の運営委託費を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 今回、特命で民間移譲を行うと今報告のありました身体障害者福祉工場について質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、それぞれの工場におけます従業員の定員とその現員、現在働いている人の数、また平均の給与、またそれぞれの宿舎には職員宿舎というのがありますが、職員宿舎の使用状況、また業種等の概要について伺います。

○芦田障害者施策推進部長 都立身体障害者福祉工場は、東京都葛飾福祉工場、東京都板橋福祉工場、東京都大田福祉工場の三福祉工場が設置されており、障害者従業員の定員は、三福祉工場で合計百五十名のところ、本年十月一日現在で合計八十一名となっております。
 平成二十一年度の平均給与の月額は約二十六万七千円でございます。
 三福祉工場の職員宿舎は、合計三十五室設置をしておりますが、現在利用している障害者従業員は十三名となっております。
 三福祉工場の業種でございますが、葛飾飾福祉工場は防災用品の開発、製造及び販売、各種作業服の製造等でございます。また、板橋福祉工場は、マイクロフィルムスキャン、CD-ROM作成等の情報処理サービス、大田福祉工場はオフセット印刷を営んでおります。

○田中委員 今、定員百五十名のところがトータル八十一名だという報告でありました。さらに、今し方報告してもらった中には、板橋は五十名のうち十七名ということで、大変に実際は少ないのが現状だということがよくわかります。
 さらに、職員宿舎というのも、私は大田の福祉工場を見学してきましたが、ほとんど現在利用がされておりません。都としては、この現状というのをどのように認識しているのか。また、福祉工場のサービスのあり方というのがこれからどのようにあるべきかと考えているのか、所見を伺いたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者福祉工場は、障害者の雇用が十分でない時代に、重度の身体障害者で作業能力はあるが、職場の設備、構造、通勤時の交通事情等のため、一般企業に雇用されることが困難な者に職場を与え、生活指導と健康管理のもとに、健全な社会生活を営ませることを目的として設置されたものでございまして、障害者に就労の場を与える上で、大きな役割を果たしてきたと認識をしております。
 福祉工場は、民間移譲と同時に、障害者自立支援法に基づく新体系サービスに移行をいたしますが、移行先のサービスとしては、就労継続支援A型が想定をされます。このサービスは、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、適切な支援により、雇用契約等に基づき、就労する者につき行われる生産活動、その他の活動の機会の提供等の支援でございます。
 今後は、就労継続支援A型を中心に、地域のニーズを踏まえながら、就労継続支援B型、就労移行支援などの事業をあわせて実施をすることにより、より障害者の雇用が促進されるような事業所になることが望ましいと考えております。

○田中委員 まさに今答弁の中でも、役割を果たしてきたという過去形の発言がありまして、当時はやはり住むところもなく、探すのも難しく、職住一体の施設という役割を果たしてきたのは、確かに私もそれは大きな役割だったと思っておりますが、これからあり方というのが問われてくるときだと思っております。
 その中で、今ありましたように、民間移譲と同時に、障害者の自立支援法の新体系のサービスに移るということでありますので、この新体系サービスについて質問を進めたいと思います。
 この福祉工場は、民間移譲とともに新体系に移るわけでありますが、民間移譲後、各工場に支払われる公費というのがどうなるかというのは、大きな注目するところでありますが、ある意味では減るんじゃないかという考えもあります。その現状についてはどうでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者福祉工場は、運営費に占める公費の割合が小さく、総収入に占める公費の割合は、平成二十一年度実績で平均四・一五%となっており、おおむね独立採算に近い経営を行っております。
 身体障害者福祉工場の新体系への移行先サービスは、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援を予定しておりますが、移行先サービスにつきましては、民間移譲を契機に、応募する法人が民間移譲の趣旨を踏まえ、具体的な移行先サービスを提案し、外部委員を含め、選定委員会で審査をすることとしております。
 移行先サービスが決定していない現時点で、今後の公費の額を試算することは困難でございますが、福祉工場は、これまでもおおむね独立採算に近い経営が行われてきたため、新体系サービスに移行した場合も、十分経営できる事業計画が提案されると考えております。
 なお、新体系に移行することにより、訓練等給付費のほか、平成二十三年度から新たに区市町村から補助される予定の補助金収入が見込まれます。また、これまで民間移譲した施設と同様に、都の建物を無償で貸し付けている間は、建物維持管理費の一部を補助する予定となっております。

○田中委員 今、公費の部分は四・一五%というのがあったんですが、この売上高は、行政の仕事を請け負ってきて、ある意味で都と二人三脚でやってきたという経緯もあるかと思います。
 ちなみに、古いデータしかなかったんですが、平成二年の財政委員会のデータですと、都の三工場への特命随契の占める割合というのは、受注率は葛飾で一〇%、板橋で四〇%、大田で五〇%と大変高い割合を占めていました。このようにしてやってきた経緯があって、もちろん独立採算、自助努力というのは、もう民間移譲するわけで当たり前なんですが、やはりこれについて心配となるのは、どの工場も同じかと思っております。
 しっかりと民間移譲でやっていけるような体制を、今補助のお話もありましたが、構築していただいて、常に都と連携をとりながら、個々の移管を進めていっていただきたいと思っております。
 その中で、この大田福祉工場を視察したときに、印刷工場は城南島にあって、ことしの六月に新しくできたということをお聞きしました。ちょうど今、移譲を行う前でありますが、その中で新しい工場をつくったということでありましょうか。その経緯についてを伺います。

○芦田障害者施策推進部長 東京都大田福祉工場は、昭和五十年に大田区大森に大森工場を設置し、運営を社会福祉法人東京コロニーに委託をいたしましたが、昭和五十九年に港区海岸の都営住宅の一階部分に分工場として浜松町工場を設置いたしました。浜松町工場が入居していました都営芝浦第一アパートは昭和三十六年の建設であり、老朽化が非常に進んでいることから、取り壊しが予定されているため、浜松町工場も移転をすることが求められたところです。
 一方、福祉工場につきましては、福祉・健康都市東京ビジョンに基づき、民間移譲を行う方向で運営方法の見直しを進めてまいりました。これらの状況を踏まえ、浜松町工場を一時仮移転することとし、城南島に仮設工場として設置をしたものでございます。

○田中委員 都営住宅の取り壊しに伴うものだというのはわかるんですが、民間移譲にしても、さらに都営住宅は三十年代ですか、できていたということで、突然わき出た話ではなくて、長年の中での計画があったんだと思います。
 城南島の仮設工場を、私、地元、大田ですので、外から見てきましたが、とても立派な施設であって、仮設とは思えないほどの施設でありました。一時的に今回は土地を借りて、これは港湾局から借りているというのをお聞きしましたが、取り壊してしまう、先ほどあったように、仮移転の仮設工場でありますから、取り壊してしまうということでありますが、もう少し計画的にできなかったのかなというのが感想であります。
 同時に、何かこの施設、私、外見しか見ていないのでわからないんですが、何か利用はできないのかとも考えました。ぜひ検討をいただきたいと思います。
 同時に、これは城南島の工場の話だけではなくて、各工場とも設立当時の施設で大変老朽化しております。他の工場も含めて、今後、施設の建てかえについてはどのような計画になっているのかお答え願います。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者福祉工場は既に築三十五年を経過しており、施設設備が老朽化しているため、民間移譲後五年以内に法人みずからが建てかえを行うこととしております。
 民間移譲後の建てかえにつきましては、法人みずからが運営しやすいような建物への建てかえを促進するため、既存建物の解体は都が行うとともに、建てかえ経費の八分の七を特別に補助する仕組みとしております。

○田中委員 なかなか今請け負っている社会福祉法人では、すべて建て壊し、さらに建て直すしかできないと思いますので、そのような補助をしっかりと整備していただいて、そして今、どれも古くて、もう少しうまく使えば大変利用価値があるんですが、先ほどもいいましたように、職員寮はほとんど使われていないような現状なので、ぜひ新しい施設のもと、福祉工場が活動するのを望んでおります。
 そして、今まで質問をしましたのは、この民間移譲の今回の目的というのが、より弾力的かつ効率的な施設運営を行うというような目的で今回報告に上がっておりました。
 この民間移譲によって、具体的にこの弾力的かつ効率的なというのはどのようなことができるようになるのか、さらにいえば、最終的にはこの利用者のサービスの向上が図れるかどうかというのが大変な問題かと思うんですが、どのようなこれから活動ができるようになるんでしょうか、お聞きします。

○芦田障害者施策推進部長 都立施設の民間移譲に当たりましては、都立のサービス水準を維持した上で、民間事業者による創意工夫や自主性の発揮により、利用者一人一人のニーズに合わせたきめ細かで効率的な施設運営が実現できると考えております。
 具体的には、より弾力的な人事管理が可能となること、また、柔軟で迅速な予算執行が可能となり、現場の実態を踏まえて策定した事業計画が早期に利用者サービスに反映できること、さらに、地域ニーズに応じた新たな取り組みが期待できることなどでございます。福祉工場におきましても、これまでの事業運営のノウハウや成果を踏まえた上での新体系サービスの提案や、地域のニーズを踏まえた事業展開などを期待しております。

○田中委員 そもそも障害者自立支援法ができたときに、この厚労省の障害福祉計画を見てみますと、大変楽観的なことが書いてあるんですが、まず、障害者に労働をあっせんする、就労者がふえる、訪問系やデイサービス系の人がふえて施設入所者が減る、現在、福祉工場で働いている人三千人が、五年後には雇用型の就労者三万六千人になるという、大変にそのような見通しが書かれていて、法律的には、働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう福祉側から支援というふうに書いてあるんですね。
 これは、国はやっぱり現場がないんで、大変に大きな話をしているんですが、私たち都は、このようにして現場を抱えていますので、ぜひこの障害者の雇用支援という意味では、福祉工場というのは、ある意味すごく自主独立して生活できる環境というのをこれまでつくってきて、それを実践してきた施設だと思っております。実際、人数は減ったといえ、大田の福祉工場でお話を聞きますと、年収は約三百万円、さらに障害がある人でもない人でも同じような管理職の試験も受けて、実際、障害を持って管理職で働いている方もいました。民間移譲をして、今まで以上に障害者の人たちが柔軟に働き、また生活ができるということでは、この障害者雇用支援のモデルの事業になり得る可能性があるんだと思っております。
 それにしては、まだまだハードの部分や、これからの移行がどうなるかにかかっているかと思いますが、ぜひ都の協力連携を進めていただいて、実践をしていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○大山委員 質問します。労働意欲と作業能力がありながら、身体の状況とか作業上の設備や構造及び交通事情などのため、一般企業に雇用されることの困難な障害者の雇用対策として、葛飾福祉工場は防災、避難用品が中心、大田は印刷、そして板橋福祉工場は情報処理が中心の工場だということですね。
 先ほどの答弁で、障害者雇用が困難な時期にと答弁されていましたけれども、今、これだけ雇用が破壊されて、障害者の雇用が大変なわけですから、ますます重要な役割を果たすべきというか果たさなきゃいけないし、果たす施設、福祉工場だと思っています。
 また民間移譲が出てきたわけですけれども、先ほどのやりとりの中で、より弾力的かつ効率的な施設運営というのは、さっきの答弁によると、民間事業者による創意工夫や自主性の発揮によって、利用者一人一人のニーズに合わせたきめ細かで効率的な施設運営が行われるというようなことを答弁されていましたけれども、そうすると、これは当たり前だと思うわけですけれども、公立の施設だってどこの施設だって、創意工夫だとか自主性だとか、それから一人一人のニーズに合わせるというのはごく当然だと思うんですけれども、今はそうではないというんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 現在でも管理運営委託施設の中で、障害者の特性に応じた工場の運営がなされていると考えております。

○大山委員 今でもできているんだというんだったら、あえて民間移譲というのは別に必要ないんじゃないですか。大体、民間事業者による創意工夫や自主性の発揮っていって、葛飾の福祉工場、防災用品、避難用品、本当にたくさん、種類も豊富だし、それだけじゃなくて、作業服はいろんな種類があったり、白衣があったり、寝装品があったり、カーテンがあったり、カーペットやブラインドだとか繊維製品、いっぱいやっているわけですよね。衛生局が開発したという犬の散歩用のふんの処理袋までつくっているみたいですね。大田だとか、もう印刷不況の中で本当に奮闘していると思いますよ。それで、民間移譲、今でも特性踏まえてやっているんだっていうんだったら、全く民間移譲やる必然性はないと思っています。
 ところで、この間の運営委託費の推移、資料で三番目で出していただきましたけれども、八千万円台から九千万円台、運営委託費が出されているわけですが、合計すると二億六千万円ですね。このうち国と東京都は幾らずつ出しているんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 三福祉工場に対する平成二十一年度の管理委託料の総額は、約二億六千九百万円でございます。このうち、国からの補助金が約六千六百万円、残りが都の補助金ということになります。

○大山委員 つまり、東京都は約二億二百万円の委託費を出しているということなんですよね。だから、障害者の雇用をきちんと確保するという非常に重要な役割を果たしているところに、この委託費を出しているということですね。
 民間移譲とともに新体系への移行、計画されていますが、全く同じ事業内容で移行するという前提だったら、それぞれの工場への国、それから東京都からの支出、支払いは幾らになるでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 先ほど、現在の管理運営施設の中においても、障害者の特性を踏まえた運営がなされているとお答えしましたが、民間移譲後は、さらに、これまでの事業運営のノウハウや成果を踏まえた上での新体系サービスの提案や地域のニーズを踏まえた事業展開などが期待されます。
 福祉工場が新体系サービスに移行する場合のサービス及び定員は、これから法人から提出される事業計画を外部委員を含む選定委員会で審査した上で決定するため、現時点で試算することは困難でございます。
 仮に、大山委員ご質問のように、身体障害者福祉工場が現在の定員で障害者自立支援法の就労継続支援A型に移行したと仮定し、訓練等給付費のほか、平成二十三年度から新たに区市町村から補助される予定の補助金を加えた額は、三福祉工場合計で約二億四千万円と試算ができます。これに加え、都としても、これまで民間移譲した施設と同様に、都の建物を無償で貸し付けている間は、建物維持管理費の一部を補助する予定でございます。

○大山委員 民間移譲をするんだということを報告しているのに、その後の運営費が幾らになるのか、それも試算するのは難しいんだ、本当、無責任だと思いますよ。それで、二億四千万円というのは、五十人の障害者の場合ですよね。障害者も障害者ではない人も一緒に働いているのが福祉工場なわけです。しかも、東京都が現在出している委託費は約二億二百万円。民間移譲したら、さっき、前提が就労支援A型、それで障害者の人が五十人ということで、各工場が五十人ということで試算してくれたので見れば、東京都は四分の一出せばいいということですから、約五千五百万円で済んじゃうんですね。
 自主性や創意工夫、今だってできているんだというわけですから、結局、東京都の支出を大幅に削減するだけと。しかも、それぞれの工場がそれぞれで積み重ねてきた現在の事業を着実に継続していくことが重要なわけですよね。にもかかわらず、それができない。新体系に無理やりはめ込もうとすること自体が、私は誤りだと思っています。ですから、東京都独自事業としてでも、責任持って安定的に運営できるようにすることを求めておきたいと思います。
 それで、ちょっと最後にいっておきたいのは、さっきの議案の方の資料の二番目で、平成十一年度以降の都立福祉施設の廃止・民間移譲の状況という一覧表を出していただきました。
 石原都政になって以降、十二の施設、都立施設が廃止をして、二十三の都立施設を民間に移譲しました。例えば児童養護施設、今本当に足りなくて、もう満杯状態ですけれども、二カ所も廃止をしています。それから、忘れられないのは成東児童保健院ですよね。病気を持ちながら、養護が必要な子どもたちの施設を廃止する。廃止をして行き先がもうみんななくて困っていて、とうとう一人の子は一生に一回の小学校の入学式に出られなかった。そんなことを東京都はやってきたんですよね。現場があることが東京都の強みなんていうことを石原知事は事あるごとにいっていますけれども、その現場をどんどん切り捨てていっている、それがこの間の都政だと。
 もうこんな路線からは転換をして、東京都自身が現場を大事にする方向にかじを切りかえようということを、担当の福祉保健局がちゃんと主張してほしいと私は思っています。ということを述べて質問を終わります。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時五十四分散会

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