厚生委員会速記録第十六号

平成二十二年十一月二十四日(水曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長くまき美奈子君
副委員長たきぐち学君
副委員長松葉多美子君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
理事今村 るか君
田中  健君
栗林のり子君
中村ひろし君
小磯 善彦君
三原まさつぐ君
大山とも子君
野島 善司君
増子 博樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
次長吉岡 則重君
技監桜山 豊夫君
総務部長梶原  洋君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長中川原米俊君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長藤田 裕司君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長雜賀  真君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
医療改革推進担当部長高橋 郁美君
医療政策担当部長山岸 徳男君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長中山 政昭君
担当部長小室 明子君
事業推進担当部長角田由理子君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長鈴木 達夫君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
健康安全対策担当部長中谷 肇一君
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長別宮 浩志君
経営戦略・再編整備担当部長齊藤 和弥君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
請願の審査
(1)二二第二四号 広尾病院を都立のままで存続・充実することに関する請願
(2)二二第三五号 旧都立清瀬小児病院跡地の緑地保全に関する請願
 福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
・東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
・プール等取締条例の一部を改正する条例
・東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
・東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
・東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
・東京都立心身障害者口腔くう保健センターの指定管理者の指定について
・東京都障害者総合スポーツセンター外一施設の指定管理者の指定について
・東京都練馬就労支援ホーム外一施設の指定管理者の指定について
・東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
・東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
・東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
・東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
・東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
・東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
・東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
報告事項(説明)
・都立身体障害者福祉工場の民間移譲について
請願の審査
(1)二二第二三号 障害者自立支援法による医療費窓口負担額の助成に関する請願
(2)二二第二五号 「被爆者の子」(被爆二世)の医療費助成に関する請願

○くまき委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の請願の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承願います。
 また、本日は、請願の審査について多くの方の発言が予定されております。それぞれの質疑等の内容につきましては、極力重複を避けていただきたいと思います。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 請願の審査を行います。
 初めに、請願二二第二四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 それでは、資料1、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 整理番号1、請願二二第二四号についてご説明申し上げます。
 この請願は、港区の広尾病院を都立のままで存続・充実させる会代表青山愛子さん外九千二百八十一人から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都立広尾病院を都立直営のまま充実強化し、地域の医療要望に十分こたえられる病院にしていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立病院がその基本的役割でございます行政的医療を将来にわたりまして安定的かつ継続的に提供していくためには、都立病院にふさわしい経営形態につきまして検討していく必要がございます。
 第二次都立病院改革実行プログラムでは、経営形態の変更については具体的な言及はしておらず、地方独立行政法人の制度上の課題や都立病院の運営状況を踏まえて詳細な検討を行うとともに、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は十分な検討を行っていくこととしております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大山委員 広尾病院を都立のままで存続・充実することに関する請願ということで、五月三十一日のこの厚生委員会では、都立墨東病院の独立法人化を中止して都立直営で医療の充実を図っていただきたい、こういう陳情を審査しました。ほとんど同じ趣旨です。
 つまり、どういうことかというと、都立病院改革実行プログラムの中に地方独立行政法人について検討を行うとされているために、その該当の病院がある地域の方々は、本当に心配しているということなんです。
 五月三十一日には、黒田経営企画部長さんが、病院経営本部の経営企画部総務課が中心となって国の動向や他の自治体病院での地方独立行政法人の導入状況や、現在の都立病院の経営形態である地方公営企業法の一部適用以外の経営形態について情報収集をしている、こういう答弁でした。そのときから半年もたってはいないんですけれども、現在はどのようなことを行っているんでしょうか。

○黒田経営企画部長 現在も、引き続き国の動向や他の自治体病院におけます地方独立行政法人の導入状況など、地方公営企業法一部適用以外の経営形態につきまして情報収集をしているところでございます。

○大山委員 現在も情報収集をしているんだということですよね。独立行政法人だけじゃなくて、現在の都立病院の経営形態である公営企業法一部適用以外のものに関して情報を収集していますということですね。どういう収集ですかともらったものは、これ、三枚になっていますけれども、今年度から地方独立行政法人化したという県もあります。二十二年からというのが一番新しいところですけれども、地方独立行政法人はこうですけれども、国立病院は既に独立行政法人化しているわけですね。そこがどうなっているのかというのを見ることは重要だと思っています。
 これ、「エコノミスト」という雑誌ですけれども、二〇〇九年の九月一日付の「エコノミスト」です。ここには、大きな見出しで、国立大学病院、今年度八割が赤字の見込み、研究体制も崩壊に瀕している、こういう記事が載っています。これを裏づけるようなものが、これは国立大学医学部長会議からの要望書という二〇〇九年のものです。
 それで、これには何が書いてあるかといいますと、大学病院への運営交付金の増額を要望する、こういって、各地域医療において、最後のとりで病院の役割を務める大学病院への運営費交付金は、この六年間で五百八十四億円から二百七億円にまで減額された、約三分の一に減らされたんですね。それでも何とか病院経営をもたせようと、どうしたか。これは、大学病院経営の現状に関する報告書というのもついています。
 この補助金の減額によって、労働基準法に抵触するほどの診療労働によって、手術件数を増加させ、在院日数を減らし、営利中心の運営を行った。それが医師の疲弊につながった。その結果、各大学での研究力が大幅に低下し、研究論文数の減少となってあらわれた。医療の質はその国の研究力によって支えられているので、このままでは日本の医療は世界から取り残されたものになりかねない、このように大学病院経営の現状に関する報告書、医学部長会からの報告書はそういっているんです。国立大学病院の独立行政法人化は惨たんたるものだと、日本の医療さえも、医療の前進にも非常に重大な影響があるんだということですね。
 病院経営本部は、情報収集した地方独立法人化したところについて、どう評価しているんでしょうか。

○黒田経営企画部長 病院経営本部といたしましては、そもそも他の自治体等の取り組みを評価する立場にはございませんが、先行事例につきましては、いまだ実施期間が短く、運営状況などの詳細な情報が少ないため、客観的に導入効果を分析、検証する時期にはないと考えております。

○大山委員 地方独立行政法人化は、まだ今年度からというところが多いからということですけれども、国立大学病院、それから国立病院は、既にもう六年、七年たっているわけですよね。それについての情報収集もぜひやっていただきたいし、きちんと検証しなきゃいけないと思っています。
 と同時に、私、新宿ですけれども、国立国際医療研究センターって研究センターまで、研究までついちゃったんですけれども、ことしから独立行政法人になりました。もう一つ大学病院がすぐ近くにあるんですけれども、どっちかというと国立病院は庶民の病院だったわけですよ。ところが、独立行政法人になってどうなったかというと、分娩料上がる。新生児介補料というんですか、これも上がりました。それから、紹介状がなかったら五千二百五十円払わなきゃいけないんです。都立病院、千三百円ですよね。
 最近、病院を改築しました。改築をきっかけにどういうことになったかというと、差額ベッドの割合が、改築前は一三%程度だったんです。それが、改築後は約四割が差額ベッドになりました。私、料金表どうですかともらいました。一番高いところが、何と一部屋、一日でですよ、十四万円。いや、本当に、これが独立行政法人化かと思いましたよ。
 国立病院機構というのは、五年連続、経常収支、黒字を達成しています。しかし、黒字のおかげで医療の複雑高度化に追いつかない人員配置、病棟の大規模化による効率化、不採算病床の削減や患者負担の増加など経営合理化が進められて、結局、患者さんと働く人たちにしわ寄せがもたらされているんです。そのことは、独立行政法人国立病院機構、平成二十一年度業務実績の評価結果、これは一番新しいものですけれども、この中にもちゃんと書かれているんです。
 引き続き医師、看護師等の人材確保が必要であるとともに、事務職やコメディカルの配置抑制が既に限界に達していることも踏まえると、医療現場に対する総人件費改革、つまり、総人件費抑制ですよね、一律の適用はもはや困難であり、早期撤廃を望む、このように二十一年度業務実績の評価結果、評価委員会からこういうのが出されているんですね。これらの事実を直視して、早々に、一般地方独立行政法人の検討などはもうやめよう、撤回しよう、それが東京都としてのとるべき道だと思っています。
 同時に、住民の皆さんが心配しているのは、都立病院改革実行プログラムで一般地方独立行政法人について検討する、こう書いてありますから、病院経営本部は情報収集しかやっていない、そういうけれども、本当にそうなんだろうか。自分たちが知らないまま事が進められてしまうんじゃないか、それが心配なんですよね。ですから、墨東病院の地域からも、それから広尾病院の地域からも同じような請願陳情が出てきているんです。
 病院経営本部がこのことに関して何をしているのかとか、どう考えているのか、これは適宜、随時住民の皆さんに知らせていくということが重要だと思いますけれども、どうですか。

○黒田経営企画部長 都立病院は、将来にわたりまして都民の皆様に対しまして安定的かつ継続的に行政的医療を提供できるよう、都立病院に最もふさわしい経営形態を検討していく必要があるというふうに考えてございます。このため、先ほども申し上げましたが、現在、国の動向や他の自治体病院におけます地方独立行政法人の導入状況などにつきまして情報収集をしているところでございます。
 これまでも、都民の皆さんに対する説明責任を果たすため、第二次都立病院改革実行プログラムの進行管理等を行っております経営委員会の資料及び議事録等について、ホームページに公開するなど、情報提供に努めてきているところでございます。

○大山委員 国が独立行政法人化してどうなったのかということも含めて、きちんと評価、分析してもらいたいと思います。都民に対して安定的かつ継続的に行政的医療を提供できるようにするということだったら、経営形態の検討をしているというよりは、自治体病院として不採算の医療でも安定的に提供する、それから、都民が安心してかかれるようにするためにも、医療費の心配をなくして、医師、看護師を初め、医療人材の養成だとか確保だとか定着、そして、病院としての条件整備を積極的に行うことこそ本来の自治体の役割ではないかと思います。
 それにしても、都立病院改革実行プログラムで都が何をやっているのかということは、常に都民の皆さんの目に見れるようにしておいていただきたいということを要望して終わります。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○くまき委員長 起立少数と認めます。よって、請願二二第二四号は不採択と決定いたしました。

○くまき委員長 次に、請願二二第三五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 資料1、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の二ページをお開き願います。
 整理番号2、請願二二第三五号につきましてご説明申し上げます。
 この請願は、清瀬市の清瀬の自然を守る会会長富田公三さん外一万二千二百二十二人から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都において、旧都立清瀬小児病院跡地のアカマツ林などを保全、保護していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、清瀬小児病院の跡地につきましては、平成二十三年度から二十四年度にかけまして、既存施設の解体、撤去工事を行う予定でございます。
 この際に、既存樹木等につきましては、解体工事に影響のない範囲でできる限り保護に努めてまいります。
 施設等解体後の土地利用計画につきましては未定でございますが、土地利用計画が決まるまでの間、樹木等の管理につきましては、剪定や雑草の除去を行うほか、アカマツにつきましては、特に松枯れ防止措置を施すなど、適切な管理を行ってまいります。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○今村委員 それでは、私の方から、この請願についての確認も含めて質疑をさせていただきたいと思います。今、説明がありましたけれども、この地域は、ここだけではなくてアカマツが茂っている地域であるということでありますので、地域の皆さんにとっては大変親しみのある樹木であるというふうにも伺っているところであります。
 清瀬小児がなくなって、その跡地がどうなるのかということは大変大きな関心事だと思いますけれども、そこで、まず東京都全体として、広域自治体としての都の基本的な緑地の考え方、さらには、跡地の緑地、特にアカマツについてはどのように評価をなさっているのかお聞かせいただきたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 都は、「十年後の東京」への実行プログラムの中で、残された貴重な緑を守るため、計画的かつ戦略的に緑を保全する施策を区市町村と合同で展開するとしております。
 また、緑確保の総合的な方針を区市町村と合同で策定し、緑確保の取り組み等を進めるための施策を提示してございます。
 さらに、一定規模以上の開発に当たりましては、東京都の自然の保護と回復に関する条例におきまして緑化基準を定めております。病院経営本部としても、それらの施策を踏まえて、清瀬小児病院跡地の緑地やアカマツについても対応していくものと認識しております。

○今村委員 今ご答弁をいただきましたけれども、緑地の保全というものは、その一つの地域だけではなくて、当然、清瀬市だったら清瀬市、さらにはその周辺、そして東京都は、今まさにご答弁があったとおり、区市町村と共同してということでありますけれども、つまり、広い範囲でこの緑地を考えていかなければならないというふうに思います。
 もう既に排出権取引など含め、民間は海外の緑地の確保、こういったことにも今、力を入れているというような状況でありますから、当然、東京都は、今の基本的な施策を推進していただけるというふうに確認をさせていただきました。
 それらの考え方を踏まえて、跡地の緑地、アカマツについても対応するということでありましたので、今後は当然、病院経営本部だけではなくて、環境局や都市整備局、建設局、さらには財務局などと十分協議を行うべき重要な課題だというふうに思いますが、東京都の見解をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、都は、緑地の保護については重要な課題と認識してございます。今後、跡地の計画を検討するに当たりまして、地元の意向を十分伺いながら進めるべき課題として考えております。

○野島委員 この清瀬の緑の関係です。
 今、黒田部長の説明の中で、土地利用計画については未定だが、土地利用計画が決まるまでの間、樹木等の管理は云々かんぬんと、こういうことであります。
 読んでのとおり、この請願は、ただ病院経営本部が持っている間だけこのアカマツを含む緑が守られればいいよということじゃなくして、その先に向けての話なので、いささか質問するのも隔靴掻痒の感がするのですが、この緑をどうしていくかという入り口というのは、実は僕はこの病院経営本部だというふうに思っているんです。
 そんなふうなこともありまして、かつてもこの件につきまして、この厚生委員会や予算特別委員会でも質問はしたんです。ただ、当然のことながら、まだ清瀬小児病院が運営中のことでありましたし、さて、その後どうする、どうするというのはいささか不謹慎のきわみを免れない、こんな思いもありまして、抑制的に、しかし、地元の思いを受けとめながら何点か質問したこともございます。
 それで、いろいろ清瀬小児病院については賛否もございました。私、地元ですから、ここもよく通るんですけれども、平成十三年の夏の選挙が終わってから都立病院改革についての答申が出され、それを踏まえて都立病院改革マスタープラン、それを改定し、長いことかけて府中に移設をしたわけです。今はもう空き家になってるというふうに思っているんですが、現在どんなふうになっているのかと、こんな思いで、まず現状どうなっているのかということと、財産上の扱い、後で質問もしたいと思うんですが、病院経営本部としては、ことしなり、来年なり、再来年なりでどんなことをここでおやりになるのか。病院事業はもちろんないことは知っておりますが、いわゆる財産処分上の問題、管理処分上の問題でどんなことをやるのか、そんなところをまず冒頭お聞きしたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 現在の清瀬小児病院の跡地につきましては、本年二月に病院を閉院し、診療棟や併設していた教育施設などの建物を残した状態にございます。
 また、これらの建物や敷地を管理するため、管理区域をフェンスで養生しまして、機械警備を行っているところでございます。
 今後の予定でございますが、本年度中に解体工事の実施設計を行いまして、来年度、平成二十三年度から二十四年度にかけて建物の解体をする予定でございます。

○野島委員 公有財産の管理の一定のルールがあるから、所管の病院経営本部できれいにしてそれで売るのか、あるいは普通財産として戻すのか、その辺のことは別にいたしまして、いずれにせよそういうルールに従って今のお話のようなことをやっていくということだと思います。
 できるならば、建物は利用可能な部分は、その先がまだ見えないから何ともいいようがないんだけれども、利用できるものは利用したらいいんじゃないかなと、それも有効利活用の一つだと、こんなふうに思っているんです。例えばここで清瀬東高校というのがありまして、これは二万三千平米ぐらいの敷地と上物があったんです。全部壊す予定になっていたんだけど、清瀬市がそこを買い取って生涯学習センターに使うんだというようなことで、上物の解体をやめて上物を譲渡したと、こういう経過もあるんですね。
 それも一つの有効利活用なんですが、いずれにしても、あそこの部分というのは耐震強度が足りないというふうな部分もあったり、病院ということで、どういったようなつくりになっているかわかりませんが、必ずしも一般的な使い方がなかなか困難なのかなというふうにも聞いておりますし、仮に耐震補強をして使えるようになるということになりましても、その補強に莫大な金がかかるのかなと、こんなことも推測をしています。
 そういう意味では、病院経営本部においては、病院利用としては用途を終了していくことでございますけれども、四万八千平方メートルあるんですね。そして、アカマツなんかが結構立派な松であります。松くい虫というのは物すごい勢いで全国を制覇しまして、松くい虫がついていないのは青森ぐらいじゃないかといわれていたんですが、青森も陥落しちゃったんじゃないかなと思うんですが、いずれにしても大変気になるんですね。
 病院経営本部が、病院経営が終わったから、いいかげん節にというと語弊がありますが、適当に管理していって、松を残そうと思ったら実は松が全部--あの松くい虫というのは物すごく、次から次へと伝播していくんですよね。アカマツがなくなっちゃったよなんていうことになっても困りますので、市の方、あるいはこの請願もアカマツ林の保全を何としても、清瀬の、ここ、実はたしか松山という地名なんですよね。正直なところ、病院ができる前というのは雑木林というのはアカマツの林だったんですよね。そんなこともあって、思い入れがかなり強いというふうにも伺っていますが、今後のアカマツ林の管理についてどういうふうにしていただけるのか、お伺いをしておきたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 ただいまご指摘にございましたように、アカマツ林の一部には、ことしの猛暑による水不足であるとか、松くい虫による被害のために枯れた松も散見されております。
 このことから、病院会計として管理が必要な期間、松枯れ対策などを実施して、跡地とともに適切に管理をしてまいります。

○野島委員 ぜひそうしてください。本当に一本やられると次から次へというのが正直なところあるんですよ。
 病院経営本部が今持っている所管財産ですよと、こういうことだろうと思うんです。有効な方法はそんなに多くないと思うんです。
 一つは、今も病院経営本部が持っているわけだから、病院経営本部所管の事業をあそこでやる。あるいは、病院経営本部、医療関連の事業の拡大があってそれをやるとか、廃止しちゃったけど清瀬小児病院がやっぱり必要だから清瀬小児病院をもう一回つくるとか、そういうことはまず考えられないだろうというふうに推測するわけです。
 そうすると、二つ目は、病院経営本部とていろんな事業をやっておりますし、相当莫大な設備投資をしているわけですから、そのお金が必要だと。したがって、それを売却して、お金が入ってきて、起債の償還に充てたいと、こういうこともあるだろうというふうに思います。
 と同時に、聞く限りにおいて、病院経営本部が持っている財産は企業財産ですから、普通の行政財産とは違って、普通財産に戻して売却する場合にも、当然、一般会計の方から低廉譲渡した場合には、病院経営本部の低廉譲渡はあり得ないと思いますので、その差額をもらわなきゃいけないとか、いろいろなしち面倒くさいことがいっぱい出てくると思うんです。その辺で、病院経営本部が専ら病院経営本部として使っちゃうよということと、あといったのは、今、会計間の処理を行って、都の視点で、病院経営本部とかじゃなくて、オール都庁の視点で事業計画を作成して都民の貴重な財産を運用していくと。あるいは、有効な活用をよりしていくということだろうと、こんなふうに思っているんです。
 そんなことをいいますと、病院経営本部が単独で解決できる問題ではないと。これは冒頭申し上げましたように、隔靴掻痒の感がする質疑になっちゃうというところに行き着くわけでありますけれども、都全体で検討を行わなければいけないというふうに思っているのですが、入り口はここでというふうに申し上げました。
 そんな観点から、今後の跡地活用方法について、病院経営本部としてどういうふうにお取り扱いをいただけるのかと、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 清瀬小児病院が移転した後の跡地は都民の貴重な財産でございまして、公営企業会計で事業を行っている都立病院にとっても同様でございます。
 また、群生するアカマツ林も貴重な緑であると考えてございます。清瀬小児病院の跡地の活用につきましては、今後とも、地元清瀬市の要望なども伺いながら検討してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。もう終わります。
 実は、先ほど今村理事の方から緑という視点でお話を伺いました。頭上から見たことがあるんです、私ね。それから、あの辺の緑マップとか、いろんなものを取り寄せてみたんですが、あそこには清瀬の病院外、病院外と僕らはいうんですが、病院とか福祉施設が相当数多くあるんです。そうすると、極めて空閑地が多くて、そこが緑のスペースになっておるというようなことで、私は相当な価値があると。恐らく都内全体をブロッキング化していったら、あのくらいの緑被率の高いところはないんじゃないかなというぐらいの、そのくらいの緑被があるんです。
 それから、すぐ近くには清瀬高校というのがありまして、これも学校ですから、もちろんグラウンドには木は生えていませんけど、周りにはたっぷりした植栽もあったり、あるいは、この隣接が東村山の例のハンセン氏病の全生園というのがあるんです。この全生園については東村山市分なんですが、もちろん国の管轄なんですが、東村山市はここを人権の森として保全してほしいという要望を持っているんです。この緑も相当なものです。
 それから、もうちょっと目を転じて西南の方に行きますと、多摩北部医療センター、ここを中心とする緑も相当なんですね。したがって、点的なものじゃなくして、面的な広がりから相当緑が保全できるというふうに思っていますし、先ほどもいいましたけれども、ここの住所名は松山があって、竹丘というのがあるんですね。それから梅園という、松竹梅なんです。そのくらい清瀬の市民の皆さんの、自然に対する愛着の深いところだというふうに思っています。
 それから、そういう関係もありまして、実はさっきいった、いわゆる清瀬、病院だとか福祉施設等のインフラ、これが相当あるんです。社会事業大学も、ここが大学持っております。そういうことを考えますと、そういう部分を有効利活用したような何らかの事業ができるのではないかなというふうに思っています。
 実は、清瀬市の発展というのは、ある種、東久留米もそうなんですが、準農村地帯から清瀬市が病院を多く誘致して進めてきた関係で、銀座通りというのは病院外のことを銀座通りというんですね。要は、最初にそこに人が張りついて商売が始まったり、人の流れができたと、こういうところでありますので、ぜひそういうふうなところも大事にしてほしいし、清瀬の市長がいつも誇りにいっているのは、都市ランキングで上位にいくんですね。行革の度合いがどうだと、そういうのがありますけど、実はこういう福祉施設であるとか、病院の数であるとか、そういうので非常にランクが高いんですよということを誇りにしております。
 そんなことで、ぜひ二つ目は、病院だとか福祉施設だとか、そういうインフラを活用できるような何らかの事業があるのではないかなというふうなものが二つ目。
 それから、有効利活用する場合の事業主体の問題なんですね。私、さっき緑の問題をいいました。これは、ただ単に清瀬市だけの緑であれば、それは清瀬市が公園にするなり、緑地にするなりできるわけでありますけれども、財政力もさることながら、やっぱり僕はこれは大きな都民の財産だと、ここも含めて、全体としての緑のゾーニングをしていくときにですね。
 そんなところも思っておりますので、事業主体はやっぱり東京都がやるべきだろうと僕は思っているんです。もちろん東京都が何をやるか、そして東京都がそれを直接やるか、あるいは、この指とまれ方式でそういう事業を展開していくのか、いわば、その二つをベースに先駆的な事業を進める必要があるだろうというふうに思っております。
 また、東京都というと話がでか過ぎるよ、あるいは、現実利用形態としてはいかがなものかと、オール東京とはいえですね。これは清瀬小児の話と同じで、清瀬小児という名前がついて清瀬にあるから、清瀬の人たちや我々も便利に使ったけれども、実は東京都全体の小児病院資源なわけですね。
 今度は、逆にいいますと、ここに都が先駆的にやったって、おれたちは使えないんじゃないかというふうな気持ちが出てくる地域が当然あると思うんですが、ここは実は五市で広域行政圏というのを持っているんです。そこの中に医療福祉関係の仕事でも広域的にやるということで、これを東京都がバックアップしていくということもいいというふうに私も思っているんです。
 以上、私の演説を終わりますが、そんな思いもありますので、冒頭申し上げましたように、どこにどういうふうに質疑をしていったらいいか、正直なところ難しいんですよ、これ。この後の話ですから。跡地利用をどうするか。
 ぜひこれから、さっき部長の方からも要望を伺いながら検討していくと、もちろん一局だけの検討じゃないというふうに思いますので、今申し上げたようなことをぜひ念頭に置いていただいて、事あるごとに、そんな意見も厚生委員会でも出ております、あるいは地元がこういう緑を保全しろと、しかし、これは将来にわたっての請願の内容なんですよというようなことを含めて、市民に対して、立つ鳥跡を濁さずということで、清瀬小児病院の跡地の緑地の問題、積極的な取り組みを心からお願いして私の質問を終わります。ありがとうございました。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。よって、請願二二第三五号は趣旨採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○くまき委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 枦山事業調整担当部長は、公務のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○杉村福祉保健局長 平成二十二年第四回東京都議会定例会に提出を予定いたしております福祉保健局関係の議案につきまして、ご説明を申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案五件、事件案十一件の合計十六件でございます。
 初めに、条例案についてでございますが、町田市が保健所政令市となることに伴いまして、東京都町田保健所を廃止するほか、所要の規定整備を行うものでございます。
 次に、事件案についてでございますが、当局が所管いたします公の施設の管理運営を行う指定管理者の指定を行うものでございます。
 なお、提出議案の詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○梶原総務部長 それでは、条例案及び事件案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十二年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。
 ご審議をお願いいたします条例案は、すべて町田市が保健所を設置することに伴いまして、所要の規定整備を行うものでございます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 町田市が保健所を設置することに伴いまして、東京都町田保健所を廃止する必要があることから、別表中の東京都町田保健所の項を削除するものでございます。
 整理番号2、東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例でございます。
 大気汚染に係る健康障害者に対する医療費助成の認定事務を町田市が行うことに伴いまして、別表中の東京都町田保健所大気汚染障害者認定審査会を設置する東京都町田保健所の項を削除するものでございます。
 整理番号3、プール等取締条例の一部を改正する条例及び、二ページに参りまして、整理番号4、東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 両条例に規定しております事務を町田市が行うことに伴いまして、規制の区域から町田市を除くものでございます。
 整理番号5、東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例でございます。
 感染症の診査に関する協議会の事務を町田市が行うことに伴いまして、別表中の東京都町田保健所感染症の診査に関する協議会を設置する東京都町田保健所の項を削除するものでございます。
 以上、町田市が保健所を設置することに伴い改正いたします五条例は、いずれも平成二十三年四月一日から施行することとしてございます。
 続きまして、事件案についてご説明申し上げます。
 ご審議をお願いいたします事件案は、すべて地方自治法二百四十四条の二第六項に基づきまして、公の施設の指定管理者の指定についてお諮りするものでございます。
 三ページをごらん願います。
 それぞれ、公の施設の名称及び所在地、指定管理者の名称及び主たる事務所の所在地、指定の期間を記載してございます。
 指定の期間につきましては、公募を実施の上、五年間の指定期間としておりますが、今後、民間移譲を予定している施設につきましては、現指定管理者に三年間の指定期間としております。
 それでは、個々の事件案についてご説明いたします。
 初めに、整理番号1と2は医療施設でございます。
 1、東京都リハビリテーション病院につきましては、指定管理者は社団法人東京都医師会、指定期間は記載の五年間でございます。
 2、東京都立心身障害者口腔保健センターにつきましては、指定管理者は社団法人東京都歯科医師会、指定期間は記載の五年間でございます。
 整理番号3以下は障害者児の施設でございます。
 3、東京都障害者総合スポーツセンターほか記載の一施設につきましては、指定管理者は公益社団法人東京都障害者スポーツ協会、指定期間は記載の五年間でございます。
 四ページをお開き願います。
 整理番号4は身体障害者授産施設でございます。
 東京都練馬就労支援ホームほか記載の一施設につきましては、指定管理者は社会福祉法人東京援護協会、指定期間は記載の三年間でございます。
 整理番号5から10は知的障害者通勤寮でございます。
 5、東京都江東通勤寮、6、東京都大田通勤寮、8、東京都豊島通勤寮及び9、東京都立川通勤寮の指定管理者は社会福祉法人東京都知的障害者育成会、7、東京都葛飾通勤寮の指定管理者は社会福祉法人原町成年寮、六ページに参りまして、10、東京都町田通勤寮の指定管理者は社会福祉法人つるかわ学園で、指定期間につきましてはいずれの通勤寮も記載の三年間となっております。
 整理番号11、重症心身障害児施設でございます。
 東京都立東大和療育センターにつきましては、指定管理者は社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会、指定期間は記載の五年間でございます。
 議案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十二年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案をご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大山委員 二つお願いします。
 一つは、町田保健所及び多摩地域の各保健所の職種別人員配置状況。
 もう一つは、九九年度以降の都立施設の廃止、民間移譲の状況です。

○くまき委員長 ただいま大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○くまき委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○芦田障害者施策推進部長 お手元の都立身体障害者福祉工場の民間移譲についての資料に基づき、今後の取り組みについてご説明させていただきます。
 1の民間移譲を行う対象施設は、東京都葛飾福祉工場、東京都板橋福祉工場、東京都大田福祉工場でございます。
 施設の所在地、定員及び開設時期については記載のとおりでございます。
 現在の運営形態につきましては、管理委託による運営をしております。
 2の目的でございますが、社会福祉法人の自主性や創意工夫を生かした、より弾力的かつ効率的な施設運営を行い、利用者サービスの向上を図ることでございます。
 3の運営法人の選定につきましては、選定基準を定め、適切な社会福祉法人を特命により選定し、同法人による運営といたします。
 4の財産上の取り扱いでございますが、建物については、当面、無償貸付するものとし、その後、譲与または法人みずからが建てかえを行うこととしております。
 5の今後のスケジュールにつきましては、平成二十二年度中に特命により運営法人を選定いたします。
 また、平成二十三年度中に自主運営への準備をし、平成二十四年三月三十一日から運営法人に移譲及び新体系に移行してまいる予定でございます。
 以上、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。

○くまき委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大山委員 一つは、各福祉工場の事業実績。
 それから、各福祉工場の人員配置状況。
 それから、各福祉工場の運営委託費の推移、これは五年間でいいです。
 最後は、各福祉工場が現在の内容でそのまま新体系に移行した場合の支援費の額。
 以上です。

○くまき委員長 ただいま大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○くまき委員長 次に、請願の審査を行います。
 初めに、請願二二第二三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○熊谷障害者医療担当部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いまして、整理番号1、請願二二第二三号、障害者自立支援法による医療費窓口負担額の助成に関する請願につき、ご説明させていただきます。
 整理番号1、請願二二第二三号、障害者自立支援法による医療費窓口負担額の助成に関する請願は、荒川区の高松智朗さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、障害者自立支援法--以下法と申します--が廃止され、法により生じている窓口負担がなくなるまで、都において、障害者の医療費の負担額を無料に近づけるよう助成をしていただきたいというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、障害者自立支援法では、精神疾患があり、通院による精神医療が継続的に必要な方が、法で定める自立支援医療(精神通院医療)を申請し認定された場合には、医療費が助成され、原則一割の定率負担となります。
 また、所得水準や疾病、症状、高額な治療の継続の要否に応じて、負担上限月額が設定されており、区市町村民税非課税世帯で、本人の収入が八十万円以下の場合は、負担上限月額は二千五百円、本人の収入が八十万円を超えた場合には五千円となります。
 一定の負担能力がある場合でも、継続的に相当額の医療費負担が生じる場合には、負担上限月額が設定されています。
 これに加え、東京都では、自立支援医療における精神通院医療が、精神障害者の地域での安定した生活に果たす役割の重要性を考慮し、区市町村民税非課税世帯については、自己負担額を全額無料とする独自の軽減策を実施しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○中村委員 障害者自立支援法による医療費窓口負担額の助成に関する請願に関して質問します。
 障害者自立支援法については、三障害の施策の統合という利点はあったものの、自己負担の増加等の問題点があり、当初からその見直しを求める声がありました。
 そのため、民主党は、二〇〇九年の衆議院議員選挙のマニフェストでは、その任期中に実現させる政策として、障害者自立支援法を廃止して障害者福祉制度を抜本的に見直すと公約しました。
 さらに、二〇一〇年の参議院議員選挙のマニフェストでも、応能負担を基本とする包括的な障害者総合福祉の法律を制定すると公約を発展させました。
 そして、現在、政府ではその実現に向けた取り組みを進めています。そうした背景を前提にして質問します。
 まず、冒頭、改めて精神障害者が通院した際の窓口負担を定めている制度の変化について伺います。
 障害者自立支援法以前の旧精神保健福祉法三十二条による通院医療費公費負担制度から、障害者自立支援法による自立支援医療制度へ制度がどのように変わったのか、伺います。

○熊谷障害者医療担当部長 旧精神保健福祉法第三十二条では、精神障害者の通院医療について、医療保険と公費負担とで九五%を負担し、残り五%を本人負担としておりました。
 障害者自立支援法では、精神障害者の通院医療費について、原則として医療保険と公費とで九割負担し、利用者が一割の定率負担をすることとしております。
 また、低所得者への負担軽減策として、医療保険が同じ世帯の所得水準及び病名ないし治療方針に基づく高額な治療の継続の要否に応じて負担上限額を設定しております。

○中村委員 制度の変化について伺いましたが、基本的な本人負担が五%から一〇%になったとのことです。
 次に、都内における精神疾患の方の人数と自立支援医療を受けた方の人数を伺います。
 また、増加傾向にあるとも聞きますが、どのような傾向にあるのでしょうか。
 また、都の当該負担額は、自立支援法施行の前後でどのようになったのか、決算額を伺います。

○熊谷障害者医療担当部長 都民の精神疾患患者数につきましては、厚生労働省が三年ごとに行っている患者調査の推計値によりますと、平成十七年二十八万四千四百人、平成二十年が二十九万四千人で、この間、九千六百人の増、三・四%の増加となっております。
 自立支援医療における精神通院医療の認定を受けた方、認定者数は、平成十七年度に十二万二千五百十九人でございます。これは、旧精神保健福祉法三十二条による医療費公費負担制度の認定者数でございます。新制度になりました平成二十年度は十二万七千七百五十三人で、五千二百三十四人の増、四・三%の増となっております。
 精神通院医療の決算額は、旧精神保健福祉法三十二条による医療費公費負担の決算額については、平成十七年度約百五十五億円でございます。自立支援法施行後の平成二十年度の精神通院医療の決算額は、平成二十年度で約百七十八億円、約一四・八%の増となっております。

○中村委員 精神疾患は増加傾向にあるとのことです。近年、特にうつ病の方がふえていると聞きますが、ストレスが多い現代社会、とりわけ人口が密集する東京都では、心の健康は大きな問題です。
 また、都でも大変重要な問題との認識のもとで、財政的にも多くの負担をしていることもわかりました。
 さて、自立支援法施行の際には、医療費の自己負担分が五%から一〇%にふえているということで、当事者から法改正への声が多く出ました。そこで、東京都では、独自の施策で所得が低い世帯への軽減策を導入し、区市町村民税が非課税の方は窓口負担をゼロとしました。
 請願では、軽減策が適用されなかった場合について問われていると思いますが、診療控えなどの影響があったのか、都の認識を伺います。
 また、都の独自制度による軽減策が適用され、影響がどの程度緩和されたと考えるのかもあわせて伺います。

○熊谷障害者医療担当部長 自立支援法施行後の自立支援医療における精神通院医療の認定を受けた方の数は、先ほど答弁申し上げたように増加傾向にあります。
 また、平成十八年度の都独自の軽減措置分を除いた一人当たりの給付額が十二万三千八百円と前年度に比べて二%減でしたが、診療報酬自体がマイナス三・一六%改定であったことを勘案いたしますと、減少傾向は読み取れません。
 したがいまして、制度改正による受診抑制、診療控えの影響はなかったものと認識しております。
 平成二十一年度の精神通院医療の給付決定人数は十三万六千五百七十人であり、そのうち、生活保護の世帯を含め七万二千三百九十一人、全体の五三%の方については無料となっており、区市町村民税非課税世帯に対する都独自の軽減策の適用者は四万一千九百十五人、全体の三一%となっております。

○中村委員 制度をつくる際には公平性も大切ですし、財政的な制限もあります。しかし、重大な問題として取り組まなければならない課題であれば優先して取り組むこともありますので、そのためにも当事者の生活実態や意見については、区市町村や医療関係者を通じて、もしくは直接聞いたりするなどして把握しておく必要があります。引き続き状況の把握と、それに基づいて対応するよう努めていただきたいと思います。
 また、この自立支援医療については、申請することで軽減がされるのですが、対象の方に十分広報されているのでしょうか。制度の活用が十分に図られる必要がありますが、当事者への告知や広報の方法と実情を伺います。

○熊谷障害者医療担当部長 障害者自立支援法に基づく自立支援医療費制度の開始時及び制度の変更時には、特に個々の医療機関に対し情報提供を行うことなどにより、対象者への周知を図ってまいりました。
 また、多くの医療機関の窓口では、対象者に対し、精神通院医療の仕組みの説明や申請手続等のサポートを行っており、丁寧に周知されております。
 都が発行する自立支援医療費制度、精神通院医療に関するリーフレットを、区市町村の精神保健福祉相談の窓口や福祉事務所、東京都医師会等に配布しておりますほか、ホームページにも掲載しております。
 リーフレット以外にも、障害者自立支援法のサービス利用についてや「社会福祉の手引」など、各種福祉、医療制度等を周知する冊子に本制度に係る内容を掲載するなど、周知を図っております。

○中村委員 負担がふえる場合は自動的にすべての方が対象になるのですが、負担を減らす場合は申請主義になっていることが多くあります。ご自分の判断で申請しないということでしたらよいのですが、知らなくて申請できなかったということがないよう、引き続き周知をお願いします。
 また、自立支援医療については、医療費の負担以外に問題はないのでしょうか。引きこもって病院に行けなかったり、通院しても短時間しかカウンセリングが受けられなかったり、多くの患者がいるため次の診療までの間が随分とあいたり、治療、ましてや自立につなげるには困難とも思われるケースの話も聞きます。
 また、薬物療法で出された薬の服薬管理ができない状態では、治療の効果も薄れてしまいます。精神疾患の医療については、このようなさまざまな声を聞きますが、重要なのは身近な地域で継続して適切な治療を受けられるようにすることであり、そのために都はどのような対応をしているのか、伺いたいと思います。

○熊谷障害者医療担当部長 精神科医療におきましては、精神障害者が適切な医療をタイミングよく受けられるような支援体制が重要であります。東京都地方精神保健福祉審議会での議論を踏まえ、今年度、医療中断などにより地域における安定した生活の継続が困難な精神障害者に対する訪問型支援をモデル実施しているところであり、その評価、検証結果を踏まえて本格実施を目指してまいります。

○中村委員 ご答弁いただきました訪問型支援は、今後重要になります。社会的入院をされている方々の退院促進を進めるためにも、訪問型支援は欠かせません。モデル事業から早期に本格実施に展開ができるよう取り組んでいただくことを要望します。
 また、精神疾患については、重症化してから医療を受けるよりも、早期発見、早期支援の方が重症化を防ぎ、早期の社会復帰も期待できます。ちょうど本日、二十四日の夜にも、先ほど話がありました東京都地方精神保健福祉審議会の合同部会が開会されるようですが、施策の推進を望みます。
 精神疾患については、当事者の医療費負担の軽減も当然重要な課題ですが、同時に、適切な治療を受け、重症化を防ぐような施策を展開することも重要であると考えますが、所見を伺います。

○熊谷障害者医療担当部長 精神疾患患者について、早期発見、早期支援により重症化の防止を図ることは重要であります。現在、東京都地方精神保健福祉審議会では、身近な地域で症状に応じた適切な治療が受けられるような精神科医療体制について議論しており、その議論の中で、精神障害者を地域で支えるために、早期発見、早期支援に向けた、より効果的な取り組みについても検討していただいているところであります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。請願の提出に当たり、精神疾患に関する医療制度についても質問しました。
 先ほども述べましたが、心の健康の問題はこれからますます深刻になっていくとも予想されます。医療費の本人負担についてはもちろん軽い方がよいのでしょうが、都として独自の軽減策が採用されていることがわかりました。
 また、同時に、医療費以外にも多くの課題もあり、今後、自立支援のためには就労支援等を含めて施策の一層の展開が望まれます。
 現在、障害者自立支援法の抜本的な見直し作業が進められ、障害者総合福祉法への改正を目指した取り組みが行われていますが、精神疾患が国民病ともいえるほど大きな問題になりつつある今、精神疾患対策基本法の制定を目指す動きもあります。東京都としても、こうした動きを見据えつつ、都民の心の健康の保持増進に努めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○大山委員 私も質問します。
 今の質疑の中でも、東京都は、区市町村民税非課税世帯には自己負担額をゼロにしている、こういうわけですけれども、この請願にある、具体的な例が幾つか載っているわけですけれども、この中にある具体的な事例では、実際に二カ月で十三万円ほどの年金収入でも、それから、働けなくても月額五千円、一万円の医療費の負担があるんだと。所得の条件が世帯だから、本人は収入なくても医療費の負担が出てくるわけですよね。収入認定を自立支援法で世帯にしたこと、これは本当に批判が多くて、結局、成人になっても親が面倒見なさいということで、批判が大きかったことですよね。
 区市町村民税が課税されて、所得割額が三万三千円未満だったら月額五千円、それから三万三千円を超えると月額一万円の負担となってしまいますね。これが、東京都でいう中間所得層だということなんですけれども、中間所得層の中の一と二の境目、つまり、月額の負担が五千円か一万円かの境目というのは、区市町村民税所得割額が合計三万三千円という世帯になっているわけですけれども、ここの請願の中身にある、本人の障害年金は二カ月で十三万円、ご両親と三人暮らし、そういうケースですと、親御さんの収入はどれぐらいになるんですか。

○熊谷障害者医療担当部長 ご両親の収入が、年金、給与収入、事業収入や不動産収入など、さまざまなケースがあり得ますが、ご両親とも年金収入のみの場合を仮定いたしますと、一方が約三百七万円、もう一方が老齢基礎年金七十九万二千百円、ご両親の収入は合計で約三百八十六万円となります。
 なお、本人の収入も加えた世帯の収入は約四百六十六万円となります。

○大山委員 中間所得層と聞くと、ああ一定のね、結構高いのかなと思いますけれども、結局、その年金の収入だったら、両親の片方が三百七万円、そして、もうお一方は七十九万二千百円、ご両親で合計したって三百八十六万円、本人は二カ月で十三万円ということですから、これが中間所得層なんだと、こういうわけですね。
 この程度の収入でも、親が面倒見なさいということなんですよね。親が年金生活で、少しでもこの額よりも多く収入があれば、月額一万円の負担だということなんですよ。月額三十万そこそこの収入で三人暮らしして、少しでも多くなれば一万円の医療費負担なんだと。親御さんだって、年金生活になれば介護保険料だって天引きされますし、それから、医療費だってそれなりにかかるんですよね。そんな中で、親御さんが面倒を見なさいよということなんですよ。
 請願の中にある男性のケース、ある男性というケースですけれども、休養中であり、会社員ということですから、前年度の収入に係る負担だから、多分一万円なんだということなんだと思うんですよね。しかし、現在の収入は厚生年金で、二カ月で十万円です。お母さんの年金、一カ月五万円です。
 例えば、都営住宅の家賃なんかの場合だったら、失業したり収入が減った場合は、申告すればその次の月から減額された家賃になりますよね。これはなかなかいい制度だと思うんですよ。実態に合わせた、収入に合わせた負担ですから、応能負担だということでは非常に重要だと思っているんです。
 福祉保健局も、医療費負担については、収入が減った場合、今みたいに前年度の税金で住民税に係る負担額ですから、そうじゃなくて、例えば失業しちゃったとか、収入が減っちゃったっていう場合は、前年度の収入ではなくて、申告してもらって、直ちに減った収入での適用にするべきなんじゃないかと思いますが、どうですか。

○熊谷障害者医療担当部長 自立支援医療における精神通院医療の利用者の負担上限額につきましては、障害者自立支援法施行令に基づき、医療保険上の同一の方の世帯の直近の区市町村民税で判定することとされています。
 同じ医療保険に加入している場合であっても、配偶者以外であれば、税制と医療保険のいずれにおいても、障害者を扶養しないことにした場合には別の世帯とみなすことが可能となる場合もあり得ます。
 国の制度を踏まえ、都は、独自の負担軽減策として、区市町村民税非課税世帯につきまして、利用者負担額が無料となるように助成しております。

○大山委員 区市町村民税非課税世帯については、東京都独自にそういう制度を持っているわけですから、直近の区市町村民税で判定するということなんだけれども、急な収入の減少に対応して減額しましょうということは、東京都が今、非課税世帯には減額しているように、東京都が決めればそれはできることなんですよね。自立支援法が実施される前は、精神医療については本人の窓口負担はありませんでした。ですから、経済的な心配はしないで、安心して治療を受けることができたんですよね。
 先ほど、前の方のご答弁に受診抑制はないというふうに答弁されていましたけれども、この請願にあるように、いかに負担感があって、親の世話にならなきゃならない、そういう心の負担もあるわけですよね。通院だとかデイケアに行こう、社会復帰を目指そうという方たちの応援をしなきゃいけない東京都なわけですから、この請願のような方たちの声にも率直に耳を傾けるべきだと思います。
 と同時に、精神疾患に関して早期の治療が有効で、また、きちんと治療すればかなりの部分で改善されるということからも、治療の中断、それから、東京都が応援しなきゃいけないのに心の負担をさせるようなことは避けるべきだと思いますし、自治体の役割としては早期に、また、治療を中断させないことへの支援というのが大きな役割だと思います。
 働いていても、休職したり失業してしまうこともあるわけですから、収入が不安定になりがちなだけに、この請願の趣旨はきちんと酌んで、制度が前に進むようにするべきだという意見を述べて終わりにします。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○くまき委員長 起立少数と認めます。よって、請願二二第二三号は不採択と決定いたしました。

○くまき委員長 次に、請願二二第二五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○住友保健政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、請願二二第二五号は、文京区の社団法人東友会会長飯田マリ子さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例で規定された、被爆者の子の医療費助成が、条例の趣旨に沿って実施されるよう、その更新手続を緩和していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 被爆者の子、いわゆる被爆二世の医療費助成制度は、東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例に基づき実施しており、対象者は、都内に住所を有し、被爆者健康手帳を所持する者の実子としております。
 医療費制度については、まず、東京都原爆被爆者健康管理手当等認定委員会において、申請書や診断書などに基づき、医学的見地から審査を実施し、その結果を踏まえ都で認定を行っております。
 認定要件は、細胞増殖機能障害など十一障害のいずれかを伴う疾病に罹患し、六カ月以上の医療が必要なことであり、認定期間は一年間です。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○くまき委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○早坂委員 「被爆者の子」(被爆二世)の医療費助成に関する請願について伺います。
 ことしは、広島と長崎に原爆が投下されてから六十五年目に当たります。被爆者のうち、およそ七千人が現在、東京都内にお住まいで、平均年齢は七十五歳を超えています。国の原爆関係の援護施策には、被爆者健康手帳の交付や各種手当の支給などあります。
 また、医療費に関して、健康手帳を持っている被爆者本人に対して医療費助成が行われています。
 一方で、本請願にあります被爆者の子ども、いわゆる被爆二世に対しては、国の施策として医療費助成制度はなく、都道府県に対して健康調査の委託をしているのみであります。
 東京都では、昭和五十一年から、被爆二世の皆さんに対して医療費助成を実施しています。では、東京都以外の自治体で医療費助成の実施状況はどのようになっているのか、伺います。

○住友保健政策部長 現在、東京都以外で被爆二世の医療費助成を実施しているのは、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市、それと大阪府摂津市、吹田市の一県五市でございます。

○早坂委員 全国的にも医療費助成を実施している地域は極めて少ないようです。今回の請願の趣旨は、医療費助成の更新手続を緩和してほしいとのことでありますが、その一つの方法として、更新期間の延長を--先ほどのご説明では、東京都では更新期間は一年間とのことですが、請願者である東友会からは、神奈川県では更新手続は必要ないとお聞きしております。東京都以外で医療費助成を実施している自治体、一県五市ではどのような取り扱いになっているのか、伺います。

○住友保健政策部長 都では、認定された方に対して医療券を交付しておりまして、受診の際に医療機関の窓口で医療券を提示すれば、原則として自己負担分を支払う必要はない、いわゆる現物給付という方式で医療費助成を行っております。
 一方で、都以外の県、市では医療券の交付は行っておらず、受診時には医療機関の窓口で患者一部負担を一たん支払っていただきます。後日、県、市に対して直接請求して払い戻しを受ける、いわゆる償還払いという方式をとっております。
 したがいまして、都のような認定期間という考え方はございませんが、医療機関の窓口で自己負担分を支払う都度、医療機関に支払い証明書を交付してもらい、自治体に対して費用を請求するという手間が生じることになります。

○早坂委員 東京都以外は償還払い方式とのことですが、償還払いは患者さん自身が一度、自己負担分を立てかえて支払わなければなりませんし、払い戻されるまで、少なくとも一、二カ月はかかります。東京都が行っている窓口負担のない現物給付の方が患者さんにとって明らかに利便性が高いゆえに、認定された方に対して医療券を交付する現在のやり方を今後も続けるべきと考えます。
 多くの医療費助成制度では、認定期間を定めて医療券を発行しているように思いますが、現在、東京都が実施している医療費助成制度のうち、認定期間をなくして、一度認定したら最後まで更新の必要がないという制度はあるのか伺います。

○住友保健政策部長 難病医療費助成、小児慢性疾患、心身障害者医療費助成制度など、多くの制度は認定期間が一年間ですが、大気汚染医療費助成制度は認定期間が二年間となっております。
 都が実施している医療費助成制度で、認定が無期限という制度はございません。

○早坂委員 被爆二世の医療費助成以外の制度でも一定の期間を区切って認定しているとのことですが、これは助成対象者をきちんと管理し、適正な助成を行うために必要なことだと考えます。
 例えば、都外に転出されれば東京都の医療費助成制度は当然使えなくなりますが、助成対象でなくなった方が医療券をいつまでも所持しているのは好ましいことではありません。
 また、仮にその方が死亡した場合でも、その医療券自体は残ることになります。もちろんそのような状況になれば医療券は使えませんので、医療費の請求は上がってくることはなく、実害はありませんが、一方で、事業主体である東京都には登録者がどんどん膨らみ、一体何人の方が医療費助成の対象なのか、人数の把握ができないことになってしまいます。事業の管理上、医療券の期限を廃止することが好ましいこととはいえません。
 しかし、大気汚染の医療費助成については二年間の認定期間ということですから、この制度に倣って、認定期間を延長することは可能ではないのかと思います。そうすれば、更新のたびに主治医に診断書を書いてもらう手間も少なくなり、被爆二世の負担はかなり軽減されることになります。
 したがって、今後、認定期間を延長すべきと考えますが、ご見解を伺います。その場合、いつごろから延長が可能なのか、その見通しについてもあわせて伺います。

○住友保健政策部長 医療費助成の実施に当たりましては、今、委員からご指摘のとおり、疾病が治癒すること、あるいは、対象者が死亡することなどもあることから、認定期間を設けることは必要であると考えております。
 しかし、被爆者二世の医療費助成につきましては、十一障害を伴う疾患であり、慢性に経過することが多いなどの特性を踏まえて、認定期間の延長も考慮する必要があると考えております。
 なお、被爆二世の医療費助成の認定期間の延長に当たりましては、東京都で実施している医療費助成制度の医療費の支払い等の事務を一括管理しております医療費助成事務システムの改修等が必要になりますことから、認定期間、実施時期等につきましては、今後、検討を進めてまいります。

○早坂委員 東京都の医療券の登録をしている被爆二世は、およそ六千人です。ぜひ認定期間の延長を早急に検討していただくようお願いをいたします。

○小磯委員 被爆二世の医療費助成というのは、今、早坂委員の質問の中にもありましたように、いわゆる東京都独自であり、そしてまた、全国でも極めて行っている自治体が少ないということで、大変評価できるんじゃないかなと思っております。
 また、ほかの医療費助成制度と同様、助成を受けたいという方の申請に基づいて行われるものでございます。医療券を発行された方は、平成二十一年度には五百十七件とのことでございます。請願者によれば、医師による克明な検査結果などの記載が必要な診断書の提出が求められるとのことでありますが、診断書が必要なその理由についてお伺いしたいと思います。

○住友保健政策部長 被爆二世への医療費助成の認定に当たりましては、東京都原爆被爆者健康管理手当認定委員会の委員が専門的立場から審査を行っております。診断や治療方針等が適切であるか判断するためには、医師が記入した詳細な診断書が必要であると考えております。

○小磯委員 現在は、新規申請の場合も、そしてまた、更新申請の場合も同じ様式の診断書が必要なんでしょうか。

○住友保健政策部長 現在は、新規申請の場合も更新申請の場合も、規則で定めている同じ様式の診断書を添付していただくこととしております。

○小磯委員 認定審査を公正に行うためには、診断書の提出が必要であるということは理解できます。また、無理のない範囲であれば、またその主治医にもご協力いただけているんだというふうに思います。
 しかし、被爆二世の方々も、現在は最高齢の方で六十四歳でありますが、だんだんと年齢が上がっていけば、医療費助成を申請する方もふえてくるということも考えられます。もし手続が簡略化できるのであれば、申請者本人の負担も減りますし、また、都としての事務改善につながるのではないかなというふうに思います。
 平成二十一年度の医療券の交付件数は五百十七件でありますが、このうち新規が何件で、更新申請が何件だったのか、お伺いします。

○住友保健政策部長 平成二十一年度の認定者数五百十七件の内訳は、新規申請が九十五件、更新申請が四百二十二件でございました。

○小磯委員 新規と更新との件数を伺いますと、圧倒的にこの更新の申請の数の方が多いわけでございます。医療費助成の対象となる疾患は六カ月以上の医療を必要とすると、それが認定の要件でありますので、慢性疾患の方が多いものというふうに思います。実際には何年にもわたって治療を続ける方がほとんどで、更新申請が多いことは当然であります。
 医療費助成の対象となっている病気が慢性疾患であれば、新規申請時には必要だとしても、更新申請の際には改めて診断の根拠まで確認する必要はないのではないかと考えます。
 更新時の診断書の簡略化について、どのような様式が適当か、専門家の意見を聞きながらできるだけ早く検討し、手続を簡素化すべきと考えますが、所見を伺います。

○住友保健政策部長 医療費助成の適否を医学的見地から判断するためには診断書が必要であり、特に、初回申請の際には詳細な診断書に基づき厳正に審査する必要があると考えております。
 多くの疾患が慢性に経過するという委員のご指摘も踏まえまして、認定委員会の意見を聞きながら、どのような記載内容が必要か、早急に検討を行いまして、診断書の様式の改善に努めてまいります。

○小磯委員 現在の診断書というのは、取り寄せて見させていただきましたが、かなり詳細な診断書を記入する必要があるということでございます。被爆二世の医療費助成の更新申請について、煩雑な手続を少しでも緩和していただきたいというふうに思います。
 特に、更新時の診断書の簡略化については、余り手間がかからずにできることだと思いますので、できるだけ早く実現すべきであるということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。

○大山委員 大分、今のお二人の質疑の中で明らかになってきているので、重ならないようにします。
 この請願に関連して、ことし九月に、被爆者の子への医療費助成について、都が条例の解釈を誤ったという新聞報道がありました。がんの手術を受けて経過観察中の被爆二世が医療を受けることが必要だと診断されていたのに、医療費助成の申請をしたけれども非該当になっていたことが明らかになって、都は解釈を誤ったということだったわけですけれども、この新聞報道の中では、同様のケースで助成終了としてしまった対象者がいないか確認しますと、こう書いてあるんですけれども、確認して対応はしたんでしょうか。

○住友保健政策部長 まず、さきの新聞報道についてご説明させていただきます。
 本年九月の被爆二世の医療費助成に関する報道は、委員、今お話しのとおり、経過観察のみのものを助成の対象外としていることにつきまして、一部の新聞に、都が条例解釈を誤ったと掲載されたものでございます。
 被爆二世の医療費助成に関する都の条例規則では、医療費助成の要件として、六カ月以上の医療を必要とする者としておりまして、都では、医療の範囲は、原則として投薬や処置等の治療が必要な者といたしまして、経過観察のみの場合は対象外としていたものでございまして、都としては条例の解釈の誤りとは考えておりません。
 一方で、平成二十一年五月に国の原爆に関する訴訟の東京高裁判決が出されました。この判決の中で、医療を必要とする者の中に経過観察を含めることが妥当であるとの考え方が示されたことや、都の認定委員会の意見などを踏まえまして、認定基準を新たに策定し、平成二十二年十月から適用とすることといたしました。
 この認定基準では、造血機能障害など十一種類の障害を伴う疾病により、六カ月以上の治療及び経過観察を含む医療を受けることが必要と認められた者を医療費助成の対象とすることといたしました。
 新たに策定した認定要領に基づきまして、ことしの四月以降に非認定となった方を対象に再審査を行いまして、新たに認定した方には既に医療券を交付しております。

○大山委員 再調査を行って、新たに認定したんだということですよね。
 それで、そうすると、施行規則の申請書の様式の中のこの裏面に、この医療費助成制度についての中に、六カ月以上の治療を必要とすると、治療をというふうに書いてあるわけですけれども、これは改善されたということなんでしょうか。

○住友保健政策部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、都では、六カ月以上の医療の範囲を投薬や処置等を必要とする治療中であるということから、その判断に基づきまして、申請書の様式につきましても六カ月以上の治療というふうに表記しておりました。
 今後、規則で定める様式等については、新たな認定要領に基づき、改定してまいります。

○大山委員 ちゃんと改善をしていくということで確認したいと思います。
 それで、請願の内容は、先ほどからお話ありましたように、一つは様式による診断書の簡略化の検討ということで、さっきからお話ありましたように、びっしりなんだと。最初は、新たな申請のときは必要なんだけれども、二回目以降は簡略化できるんじゃないかということで、改善に努めますというご答弁がありましたし、それから、更新期間についても、例えばがんなどは、手術すれば大体五年程度が経過観察期間になるようですし、心筋梗塞なんかだったら、残念ながら一生ものといわなければならないということでは、請願にあるように、疾病によって更新期間を延長することは十分可能だし、先ほどの答弁の中でも、なるべく、今後、検討をしていくんだという答弁がありましたので、それでお願いしたいと思っています。
 二回目以降の取り扱いだとか更新期間について、次回の更新の時期には間に合うように検討して、改善するということでいいんでしょうか。次回というか、なるべく早くというのは、来年度の更新には間に合うようにということでいいんでしょうか。

○住友保健政策部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、被爆二世の医療費助成の認定期間の延長に当たりましては、東京都で実施しております医療費助成支払いの全体の事務を一括管理しております医療費助成事務システムの改修等も必要となります。認定期間、実施期間等につきましては、今後、検討を進めさせていただきたいと考えております。

○大山委員 じゃあ、なるべく早く改善していただきたいという意見を述べて、おしまいにします。

○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○くまき委員長 異議なしと認めます。よって、請願二二第二五号は趣旨採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十一分散会

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