委員長 | くまき美奈子君 |
副委員長 | たきぐち学君 |
副委員長 | 松葉多美子君 |
理事 | 早坂 義弘君 |
理事 | 山加 朱美君 |
理事 | 今村 るか君 |
田中 健君 | |
栗林のり子君 | |
中村ひろし君 | |
小磯 善彦君 | |
三原まさつぐ君 | |
大山とも子君 | |
野島 善司君 | |
増子 博樹君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 杉村 栄一君 |
次長 | 吉岡 則重君 | |
技監 | 桜山 豊夫君 | |
総務部長 | 梶原 洋君 | |
指導監査部長 | 松浦 和利君 | |
医療政策部長 | 中川原米俊君 | |
保健政策部長 | 住友眞佐美君 | |
生活福祉部長 | 藤田 裕司君 | |
高齢社会対策部長 | 狩野 信夫君 | |
少子社会対策部長 | 雜賀 真君 | |
障害者施策推進部長 | 芦田 真吾君 | |
健康安全部長 | 鈴木 賢二君 | |
企画担当部長 | 日置 豊見君 | |
事業調整担当部長 | 枦山日出男君 | |
医療改革推進担当部長 | 高橋 郁美君 | |
医療政策担当部長 | 山岸 徳男君 | |
地域保健担当部長 | 宮垣豊美子君 | |
生活支援担当部長 | 市川郁美子君 | |
施設調整担当部長 | 中山 政昭君 | |
担当部長 | 小室 明子君 | |
事業推進担当部長 | 角田由理子君 | |
障害者医療担当部長 | 熊谷 直樹君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 鈴木 達夫君 | |
感染症危機管理担当部長 | 前田 秀雄君 | |
健康安全対策担当部長 | 中谷 肇一君 |
本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)
○くまき委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○梶原総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、全部で十七項目となっております。
初めに、一ページをお開き願います。小児科・産科・産婦人科標ぼう医療機関及び医師数の推移といたしまして、小児科などを標榜する病院数、診療所数及び医師数について、一ページから二ページにかけまして平成十年のもの、三ページから四ページにかけまして平成十五年のものを、五ページから六ページにかけまして平成二十年のものをそれぞれ区市町村ごとに記載してございます。
七ページをごらん願います。国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、平成二十年度から二十二年度までの加入世帯数などについて、区市町村ごとに八ページにかけまして記載してございます。
九ページをごらん願います。国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、所得割、資産割、均等割及び平等割に区分し、平成十六年度から二十二年度までの区市町村ごとの推移を、一一ページにかけまして記載してございます。
一二ページをお開き願います。国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、平成十九年度から二十一年度までの減免件数について、区市町村ごとに記載してございます。
一三ページをごらん願います。国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、平成十九年度から二十一年度までの一部負担金減免件数について、区市町村ごとに記載してございます。
一四ページをお開き願います。国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、平成十七年度から二十一年度までの対象世帯数、滞納世帯数及び収納率について、区市町村ごとに記載してございます。
一五ページをごらん願います。国民健康保険への東京都支出額といたしまして、特別区、市町村及び国民健康保険組合について、平成十六年度から二十年度までの支出額を記載してございます。
一六ページをお開き願います。区市町村における障害者自立支援法に係る利用者負担独自軽減策の実施状況といたしまして、軽減策を実施している自治体数とその内訳及び未実施の自治体数を記載してございます。
一七ページをごらん願います。介護保険施設等の定員・病床数及び高齢者人口に対する割合といたしまして、六十五歳以上の高齢者人口、施設ごとの入所定員、または病床数及び高齢者人口に対する割合について、都道府県ごとに記載してございます。
一八ページをお開き願います。療養型施設数及び療養病床数の推移といたしまして、施設数と病床数の推移を、医療保険適用と介護保険適用に区分して記載してございます。
一九ページをごらん願います。認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、待機児童に関する新定義、旧定義に分け、定員、年齢別の入所児童数及び待機児童数について、区市町村ごとに平成二十年から二十二年まで、それぞれ四月一日、十月一日現在のものを、二八ページにかけまして記載してございます。
二九ページをごらん願います。認可保育所における常勤・非常勤従事者数及び非常勤従事者比率の推移といたしまして、平成十六年度から二十年度までの推移をそれぞれ記載してございます。
三〇ページをお開き願います。認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、平成十七年度から二十一年度までの平均経験年数別の施設数を記載してございます。
三一ページをごらん願います。後期高齢者医療制度における保険料の軽減対策といたしまして、均等割及び所得割について、平成二十二年度の軽減対策を記載してございます。
三二ページをお開き願います。基本健康診査と特定健康診査の比較といたしまして、検査項目及び自己負担金を徴収している区市町村を記載してございます。
三三ページをごらん願います。がん検診において自己負担金を徴収している区市町村数の推移といたしまして、平成二十年度から二十二年度までの区市町村数について、がん検診ごとに記載してございます。
三四ページをお開き願います。重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、(1)には看護師の定数及び現員の推移を、(2)には短期入所の運用状況の推移を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○くまき委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
本日は、多くの方の質疑が予定されております。それぞれの質疑の内容につきましては、極力重複を避けていただきたいと思います。効率的かつ円滑な委員会運営に、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
それでは発言を願います。
○中村委員 それでは、大きく四点について質問します。高齢者施策、障害者施策、低所得者対策と中国残留邦人問題の四つについて質問します。
最初に、高齢者福祉について質問します。
平成十二年に介護保険制度が創設され、十年が経過しました。この間、要介護認定者は、約十七万六千人から四十二万四千人と二・四倍に増加し、介護サービス利用者も約十万六千人から三十四万七千人と三・三倍に増加するなど、制度は着実に定着してきました。
また、平成十八年には軽度の要介護者の増加などを踏まえ、介護予防事業の導入や地域密着型という新たなサービスの創設、さらには、地域の総合相談機関である地域包括支援センターの創設など、大幅な制度改正が行われました。
現在、平成二十四年に実施される診療報酬改定と介護報酬の同時改定に向けて、国において介護保険制度の見直しが検討されています。しかし、新たな見直しを行うには、その前提として前回の介護保険制度の改正で創設された事業の検証をしっかりと行うことが必要です。
そこで伺いたいと思います。平成十八年の制度改正で導入された地域密着型サービスのうち、夜間対応型訪問介護については、先般、会計検査院が国の交付金を受けたにもかかわらず、既に廃止した事業所があったと指摘しました。鳴り物入りで創設された新しいサービスにもかかわらず、そのような指摘をされたことには驚きました。
そこで、都内における交付金の交付実績と事業者の廃止や休止の状況について伺います。
○狩野高齢社会対策部長 夜間対応型訪問介護とは、夜間に利用者宅を定期的または通報を受けて随時訪問し、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話を行うものでございます。
平成二十年度における国の区市町村に対する交付金は、この夜間対応型訪問事業所を創設または既存建物を改修して整備した場合、補助額は一施設当たり五百万円でございます。また、事業に必要な備品購入費等諸費用に対する補助額は、一施設当たり三千万円となっております。
これまでに都内で開設された事業所は三十七カ所でございます。このうち、国の交付金の交付を受けたものは二十九カ所、補助額は八億二千九百七万円となっております。このうち、交付金による補助を受けた施設のうち、一カ所が平成二十二年三月末に廃止、六カ所が平成二十二年十月二十五日現在、休止中でございます。
○中村委員 状況はわかりました。それでは、その夜間対応型訪問介護事業所が開設しても廃止や休止に追い込まれる原因を、都はどのように考えているのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 夜間対応型訪問介護について、国は制度導入当初、この事業の想定利用者数を三百人から四百人としておりました。しかし、平成二十年の都内事業所の平均利用者数を見ますと約四十三人であり、当初想定利用者数の約一割強となっております。その結果、平成二十年には十二カ所の事業所が休止しました。
このように、国が当初想定した利用者数と実際の利用者数の大きな乖離が廃止や休止の原因の一つと考えられます。
なお、平成二十一年には、事業者の努力により、平均利用者数は百名を超え、休止していた事業所も現在五カ所が再開しております。
○中村委員 国は次期介護保険制度の改正をにらみ、新たなサービスを導入しようとしています。都は夜間対応型訪問介護の二の舞にならないよう、国の要求を注視すべきことを指摘しておきます。
次に、介護予防事業を含む地域支援事業について伺います。
同じく平成十八年の制度改正で創設された地域支援事業において介護予防事業が導入されました。介護予防事業が生活機能の低下を早期に把握し、状態の軽減や悪化を防ぐという理念は理解できます。しかし、事業への参加率が低いなど、理念と現場の間にギャップがあると感じています。今後、市区町村において創意工夫を凝らした効果的な事業展開を図っていくべきと考えます。
そこで、地域支援事業全体の現状と課題について伺いたいと思います。まず地域支援事業の目的と事業内容、都の実績額はどのようになっていますか。伺います。
○狩野高齢社会対策部長 地域支援事業は、介護保険に該当しない方が、要介護や要支援の状態になることを予防するとともに、可能な限り地域で自立した日常生活を営むことができるように支援することを目的として創設されました。地域支援事業には、すべての区市町村が行う介護予防事業や地域包括支援センターの運営費といった必須事業と、各区市町村の判断により実施される、例えば、家族介護者支援事業などの任意事業があり、区市町村の責任のもとに実施をされております。
この事業に必要な費用は、介護保険法に基づき、保険料と公費から成る地域支援事業交付金により賄われております。平成二十一年度の事業費は百五十七億八千六百十二万円で、このうち、都は交付金として二十六億八千二百五十五万円を負担しております。
○中村委員 地域支援事業は、総給付費の三%という枠組みの中で行われていますが、一律の上限を撤廃すべきであるという意見も聞きます。
そこで、都内の市区町村における課題を伺いたいと思います。
○狩野高齢社会対策部長 介護保険法施行令により、地域支援事業には、介護給付費見込み額の三%以内という上限が設けられております。しかし、東京都の調査によると、平成二十一年度は、都内二十四の区市町村で地域支援事業に要する予算額が不足し、一般会計からの負担を行っており、上限枠の設定が、地域の柔軟な事業展開が十分にできていない可能性がございます。
そこで、都は、地域支援事業について、区市町村が地域の実情に応じて積極的に事業展開できるよう、十分な財政措置が図られるよう国に緊急提言しております。
○中村委員 地域主権の視点に立てば、保険者である市区町村が独自の裁量で地域の実情に応じた事業が展開できる仕組みが確保されるべきであると思いますので、そういったことも述べておきます。
次に、地域包括支援センターについて伺います。
高齢者の見守り機能など、在宅の高齢者が地域で安心して生活を続けられるためには、地域包括支援センターが中心的な役割を果たすべきだと考えます。
そこで、地域包括支援センターの目的と都内における設置の状況を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 地域包括支援センターは、高齢者や家族からの相談に応じるとともに、医療や介護などのサービスが適切に提供されるよう、関係者の連絡調整を行うことを目的に創設された機関でございます。区市町村が直営または委託により実施しており、平成二十二年十月一日時点で都内に三百六十四カ所設置されており、直営が二十五カ所、委託が三百三十九カ所決まっております。
○中村委員 地域包括支援センターは地域の拠点機関として大きな期待をされてきましたが、その一方で介護予防ケアプランの作成に忙殺されるなど、十分に機能を発揮できていない現状があります。
そこで、地域包括支援センターの課題について伺います。
○狩野高齢社会対策部長 都の調査によりますと、地域包括支援センター職員の業務時間の約四割弱が要支援者の介護予防ケアプラン作成に割かれているとの結果が出ております。そのため、高齢者の実態把握や認知症の相談といった総合相談業務や高齢者虐待対応などの権利擁護業務、地域のネットワークづくりなどの役割が十分に果たせていない現状がございます。
介護予防ケアプラン作成に当たっては、居宅介護支援事業所に委託することが可能となっておりますが、委託件数に制限が設けられていること、報酬単価が要介護者に比べて著しく低いことなどから、委託しようとしても、受託してくれる居宅介護支援事業所が得にくいという問題がございます。
そのため、都は、地域包括支援センターがケアプランを必要に応じて外部委託し、総合相談業務などに集中して取り組むことができるよう、委託件数制限の撤廃等、報酬単価の見直しを国に提言しております。
○中村委員 地域包括支援センターの機能の充実に向けて、制度の仕組みを再構築する必要があるということも指摘をしておきます。
さて、介護保険制度の改正の議論において、その柱となるのが地域包括ケアの方向性です。地域包括ケアとは、高齢者の住宅を基本に、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めたさまざまな生活支援サービスが日常の生活の場で提供できる体制のことです。
地域には、制度としての介護保険や医療保険のサービスだけではなく、ボランティア団体の活動などがあります。しかし、これらは断片的に存在していて、必ずしも有機的に連動していません。都では今年度より、シルバー交番設置事業を開始しています。ネーミングは少しいまいちだと思うんですが、我が三鷹市でも一カ所で実施をしておりまして、高齢者の見守りの拠点として、大変期待をしているところでもあります。
そこでまず、このシルバー交番設置事業の概要と現状について伺います。
○狩野高齢社会対策部長 シルバー交番設置事業は、昨年度立ち上げました少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームの中で、地域全体にケアつき住まいと同様の安心を提供できる仕組みとして提案されたもので、本年度より事業を開始いたしました。高齢者などからの相談にワンストップで対応するとともに、訪問や安否確認などにより、安心・安全を確保する取り組みでございます。本年度は三鷹市で一カ所、墨田区で二カ所の計三カ所で実施しております。
○中村委員 市区町村には、地域の拠点として地域包括支援センターを初め、独自の取り組みが行われているかと思いますが、このシルバー交番設置事業の位置づけと設置促進に向けた取り組みについて伺います。
○狩野高齢社会対策部長 シルバー交番設置事業は、地域包括支援センターがその機能を十分に果たせていない状況の中で、地域包括支援センターの機能を補完する東京都独自の取り組みでございます。
地域包括支援センターや、例えば三鷹市で行われております、住民がみずから見守り支え合う、共助の仕組みづくりとして実施している地域ケアネットワークといった区市町村独自の取り組みと連携し、地域の実情に応じて実施することで、高齢者の見守り機能の充実などに大きな役割を果たすことができると考えております。
都は、今月十五日に、区市町村向けに、こうした先進的な取り組みを行っております墨田区、三鷹市による事例報告会を開催したところであり、引き続き区市町村へ働きかけを行い、設置促進に努めてまいります。
○中村委員 ただいまの答弁にもありましたが、地域包括支援センターや区市町村といかに連携していくかが重要だと思います。予算上はまだ枠がありますので、そういった設置の促進に努めていただきたいと思います。高齢者の見守り機能として有効に機能するよう、しっかりと取り組みを進めていただくことも要望いたします。
さて、高齢者を取り巻く環境や生活の状況はさまざまであり、当然、高齢者の生活を支える手だても多種多様です。つまり、介護保険のサービスだけでは高齢者の生活を支えることは困難なわけです。
そこで、食事の用意や日常生活上のちょっとした困り事など、介護保険外サービスの充実が必要と考えますが、認識を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 地域において高齢者の在宅生活を支えるためには、見守りや食事、外出支援など、多様な生活支援サービスが必要でございます。しかし、これらすべてのサービスを介護保険制度で行うことは、だれにも起こり得る介護事故に対処するために、四十歳以上の国民が連帯して保険料を負担する保険制度の趣旨から申しますと、必ずしも適切ではありません。
このため、NPOや民間事業者などの多様な主体によるサービスを、介護保険制度と組み合わせて提供することが必要であると認識しております。こうした保険外サービスについては、区市町村が、先ほど申し上げました地域支援事業などにより地域の特性を踏まえ、創意工夫を生かして行っており、さらに都は、独自に区市町村包括補助事業により支援しております。
○中村委員 介護保険には制度の限界ということもありますので、それを見据えて、高齢者の生活を支えていく視点ということも不可欠であるということを述べておきます。
さて、今後高齢者人口が増加し、それに応じて介護サービスも増加していきますが、介護にかかわる人材の確保も急務です。本年八月の介護関係職種の有効求人倍率を見ますと、東京が二・〇七と、全国平均の一・三二を大きく上回り、いまだに人手不足が続いている状況です。
そこで、昨年十月から、介護職員の賃金改善を目的とした介護職員処遇改善交付金事業が実施されています。本事業により、介護職員の待遇改善がどの程度進んだのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 平成二十一年度の介護職員処遇改善交付金の申請状況は、サービス種類別に事業所数を集計いたしますと、対象事業者数七千三百六事業所のうち、五千四百六十六事業所が申請しております。平均賃金改善額は、国が当初想定しておりました介護職員一人当たり月一万五千円とほぼ同額でございました。賃金改善の方法は、事業所により異なり、基本給や一時金手当など、さまざまな形で改善しております。
○中村委員 介護職員の賃金が一定程度改善していることはわかりました。介護職員の待遇改善のため、この事業を着実に実施していただくことを要望しておきます。
この項目の最後として、都の市区町村に対する支援について伺います。
市区町村では介護保険の保険者として、また高齢者福祉の実施主体として、高齢者施策を計画的に推進していく立場にあります。しかし、市区町村が作成した計画を見ますと、介護保険料を算定することに重点が置かれ、介護保険以外の福祉サービスをどのように進めていくかなど、不十分な点があります。
例えば、ひとり暮らしで身寄りがなく、社会的に孤立している高齢者の福祉などは、単なる経済的給付で解決するものではありません。東京都は、広域自治体として、市区町村がこのような介護保険の範疇におさまらない高齢者の多様なニーズの把握等、適切な対応ができるよう支援していくべきだと考えますが、所見を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 区市町村は、地域の特性を踏まえて優先的に取り組むべき重点事項を、みずからの判断により選択して介護保険事業計画等に位置づけなければなりません。
来年度策定をする第五期介護保険事業化計画においては、日常生活圏域ごとに、どのような支援を要する人々が、どの程度存在するかを調査する日常生活圏域ニーズ調査を行うこととされております。この調査により、地域や高齢者の課題等をより的確に把握し、必要なサービス量を盛り込んだ精緻で実効性のある事業計画の策定につながるものと考えております。都はこのような区市町村の取り組みに対して、今後とも支援してまいります。
○中村委員 冒頭申し上げましたとおり、介護保険制度は着実に定着はしてきていますが、二〇五五年には生産年齢人口、一・三人で高齢者一人を支える超高齢社会が到来します。こうした社会環境の変化に応じた制度の改正は不可欠ですが、十八年度改正の轍を踏まないよう、調査やデータに基づいた実現可能性のある現実的なものでなければなりません。東京都は、市区町村に対する支援を一層強化するとともに、引き続き国に対しては、市区町村や事業者の現場の実情を踏まえた現実的な提言を行っていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
次は、障害者施策についての質問です。
まずは、平成十八年四月に障害者自立支援法が施行されて、どのような影響があったのか伺いたいと思います。
当初、自己負担の増加ということが盛り込まれたため、障害当事者から不安の声が多く出たのですが、施行後、数年を経て、実際には生活はどうなったのでしょうか。また、この法律は、知的、精神、身体の三障害の施策の一元化が特徴とされていますが、実際にはどのようになったのでしょうか。法制定について功罪さまざまいわれていましたが、都としての認識を伺います。
○芦田障害者施策推進部長 障害者自立支援法の施行により、身体、知的、精神の三障害共通の制度となるとともに、NPOなど多様な事業主体の参入により、グループホームや日中活動の場など、福祉サービス基盤の整備が促進されております。また、施設サービスを日中活動の場と住まいの場に再編し、障害者がサービス利用を組み合わせて選択することが可能となりました。
利用者負担につきましては、利用者は、サービス利用量と所得に応じて一定の負担を負うこととされましたが、国は、障害者の負担を軽減するため、平成十九年四月から、負担上限月額の引き下げ等の利用者負担軽減措置を実施してきました。さらに、平成二十二年四月から、低所得者に係る障害福祉サービス及び補装具の利用者負担を無料としたところです。
都は国に対し、利用者負担について、今後も必要に応じた軽減措置を検討することとあわせて、障害者の自立支援に関する法制度については、障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとするよう、提案要求をしているところでございます。
○中村委員 障害者の生活実態については、引き続きまして注視をしていただきたいと思います。
次に、小規模作業所などのいわゆる法外施設についてですが、平成二十三年度までに障害者自立支援法に基づく法内施設に移行することが求められていますが、小規模で経営が不安定であることから、法内化が大変難しいとの話も聞きます。小規模作業所の法内化に当たり、何が課題であり、事態をどのように受けとめ、都はどのように対応しているのか伺います。
○芦田障害者施策推進部長 都としましては、法外の小規模作業所が障害者自立支援法に基づく新体系事業に移行することで、国から財政支援を受けて経営が安定し、法人として事業の透明性や公益性が発揮され、利用者支援の一層の充実が図られると考えております。
こうした観点から、小規模作業所の平成二十三年度末までの法内化を促進しておりますが、法内化に際しまして、法人格の取得や施設経営のノウハウ、施設設備基準の充足、利用者数の確保などが課題となることが多いことは認識をしております。
そのため、法内化に際して必要な施設改修や備品購入に要する経費の助成、法人格取得や団体運営について、知識及び経験を有するスタッフの派遣によるノウハウの提供、定員の充足に向けた小規模作業所同士の統合の促進等の支援策に取り組んでいるところでございます。
さらに、法内施設に移行した後も、障害者自立支援法に基づく報酬に加えて、都が運営費の一部を補助しております。今後とも法外の小規模作業所が早期に法内化し、経営の安定を図ることができるよう、引き続き支援を行ってまいります。
○中村委員 小規模な作業所は、その規模拡大への不安や、また規模拡大のために他の作業所と統合されるということは、運営方針の違いから余り望まれているとはいえないようです。小規模のままなら、市区町村事業の地域生活支援事業もあるのですが、自治体の財政などの問題から、こちらへの移行もスムーズではないようです。引き続き小規模な作業所が成り立っていくよう、支援をお願いします。
さて、都は平成二十一年度から二十三年度までの三年間を対象に、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランを策定しました。障害者が地域で居住する場として計画目標を定め、グループホームの整備が行われていますが、障害者や家族のニーズにこたえられる状況でしょうか。整備状況を伺いたいと思います。また、その整備の目標数値の算定については市区町村からの集計と聞きますが、それは入所希望者の実態に即した調査がなされているのでしょうか。伺います。
○芦田障害者施策推進部長 都は、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランにおきまして、平成二十一年度から二十三年度までの三年間で、障害者のグループホーム、ケアホームの定員を、千六百四十人ふやすこととしております。
初年度に当たる平成二十一年度におきましては、グループホーム等の定員数は五百四人増加し、平成二十一年度末の定員数は四千四百二十三人となっております。
また、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランを含む第二期東京都障害福祉計画の策定に当たり、都はサービスの利用状況や障害者等のサービス利用に関する移行、入所施設などからの地域移行促進という考え方を踏まえて、区市町村と調整を図った上で、都の目標数値を定めているところでございます。
さらに、第二期東京都障害福祉計画の策定に当たりましては、障害を持つ当事者を含む外部の委員から構成される、東京都障害者施策推進協議会の提言を受けて策定をしております。
○中村委員 東京都全体の数値目標の達成も重要ですが、地域的な偏りや障害の種別による状況なども考慮し、希望される方の入所が図れるようお願いします。とりわけ、各自治体での財政状況により可能な目標数値なのか、実際の希望者のニーズに即した調査なのかについてはしっかりと確認し、実態の的確なニーズの把握が計画に反映されるようお願いします。
また、グループホームの整備について伺いますが、東京は特に土地が高いため、その整備に困難が伴うとも聞いていますが、都としてどのような支援をしているのか伺います。
○芦田障害者施策推進部長 都は、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランに基づき、グループホーム等の整備費の事業者負担を半分に軽減する特別助成を実施し、整備を促進しております。
また、障害者グループホームにおきましては、賃貸物件の賃借料や整備に係る事業者負担などの経費は、利用者が支払う家賃に反映されることとなります。このため、都は、利用者に対する家賃助成等を行っている市町村に対し、障害者グループホーム等、支援事業などにより財政的な支援を行い、利用者負担の軽減を図っているところでございます。
○中村委員 グループホームの整備については、社会福祉法人であったりとか、当事者団体、また、親の経済的支援を望めなかったり、親からの自立を望む方々による整備の動きなど、さまざまです。都としても、支援策があるということですが、ぜひそうした方々への支援と丁寧な相談体制をお願いいたします。
さて、先ほども述べましたが、障害者自立支援法の特徴の一つは三障害の一元化でしたが、実際には精神障害者が十分なサービスを利用できているのでしょうか。知的や身体に比べてまだまだ不十分との声も聞きますが、状況を伺います。
また、精神障害者の地域移行、地域定着を進める上では、発症後、早期の対応や入院患者に対する退院促進支援、地域生活支援などの各段階での支援が必要ですが、これらの取り組み状況についても伺います。
○熊谷障害者医療担当部長 障害者自立支援法の施行により、三障害のサービス提供の仕組みが一元化され、グループホーム、ケアホームや地域活動支援センターなどの相談支援事業所の整備が進んでおります。また、都は、グループホームなどの整備費の事業者負担を軽減する特別助成や障害者施策推進区市町村包括補助事業を実施しており、精神障害者が利用できるサービスが充実してきております。
さらに、都においては、精神障害者の地域移行、地域定着のための取り組みを進めており、平成十八年度から、十二カ所の委託事業所に配置したコーディネーターが、協力病院へ出向き、入院から退院に向けた支援などを行う退院促進支援事業を実施しております。
また、東京都地方精神保健福祉審議会の意見具申等を踏まえて、今年度、医療の中断により症状が悪化し、地域での安定した生活が困難な精神障害者に対して、精神保健福祉センターの医師、保健師等の専門職チームが、区市町村や保健所と連携して訪問等の支援を行うアウトリーチ支援モデル事業を実施しております。審議会では、引き続き精神障害者を地域で支えるための具体的取り組みについて検討しており、精神疾患の早期発見、早期対応についても、現在、議論を行っているところであります。
○中村委員 心身障害については、長期の社会的入院が問題となり、退院促進支援をしていただくことも大変重要な施策ですが、そうした状況にならないよう、早期の発見や対応への取り組みが、今後、一層充実することも望まれます。現在、審議会で議論されているとのことですが、国の方でも施策を進めていますので、都としても対応していただくようお願いします。
さて、障害者にとっては、地域で生活するためには就労が大変重要であり、引き続きの支援をお願いします。しかし、就労だけでなく、また、さまざまな場面での差別も懸念されます。
都としては、障害者の差別をなくすためにどのような取り組みを行っているのでしょうか。差別禁止条例を制定することも一つの方策であると考えますが、見解を伺います。
○芦田障害者施策推進部長 都はこれまで、どんなに障害が重くとも、障害者がみずからの人生のあり方を選択、決定し、人間としての尊厳を持って生活できるよう、就労支援や障害福祉サービス基盤の整備など、障害者の自立を支援する具体的な施策を着実に積み重ねてきました。また、福祉のまちづくり条例により、ハード面での整備を推進するとともに、障害に対する都民の理解を深めるため、障害者週間における普及啓発活動などを実施しております。
ご質問の障害者差別禁止条例につきましては、差別の定義をどのようにとらえるかなど多様な意見があり、運用の難しさが指摘されております。また国は、平成十九年九月に署名した障害者権利条約の批准に当たっては、障害者差別を禁止する理念が規定されている障害者基本法など、関連法令の改正も予定していると聞いております。今後とも、都は、国の動向を注視し、的確に対応してまいります。
○中村委員 ご答弁ありがとうございました。今回、障害者自立支援法施行から数年を経たことを受けて、全般的な状況を伺わせていただきました。
現在、障害者自立支援法の見直しが国の方で議論されていますが、多くの課題を解決するためにも、早急な対応について私も自治体議員の一人として望んでいます。制度がたびたびかわり、障害当事者や家族支援団体など、これまでも混乱をしてきた場面はありましたが、今後も国の動向を見据えて、障害のある方が地域で安心して暮らせるような取り組みをお願いしたいと思います。
次に、低所得者対策として、生活安定化総合対策事業について伺います。
この事業は、知事が知事選の前に打ち上げた低所得者に対する都民税の軽減という公約が、姿を変えて制度化されたという経過がありました。平成二十年度から三カ年の事業ということで行われましたが、その実績と成果はどうだったのでしょうか。生活保護の生活水準よりも、場合によっては低い所得の方々も含めて、低所得者対策として有効だったのでしょうか。対象となる方々にこの制度が知られ、そうした方々がサービスを受けることができたのか伺います。
○市川生活支援担当部長 東京都は、平成二十年度から区市町村などと連携して、真に困窮している都民の方々がみずから生活安定への道を切り開けるように、国に先駆けまして生活就労支援等を重層的に講じる生活安定化総合対策事業を実施してまいりました。
平成二十年度から平成二十二年九月末現在の実績といたしましては、生活安定応援事業では、相談件数十万二千六百十八件、生活サポート貸付事業の貸付件数は千七百十八件、チャレンジ支援貸付事業の貸付件数は六千九百四十四件、住居喪失不安定就労者サポート事業の事業登録者数につきましては二千百九人、介護人材育成支援事業におきます資格取得者数は二千三百九十八人、就職者数は千三百三十四人となってございます。
なお、産業労働局が実施しております就職チャレンジ支援事業では、平成二十二年七月末までの実績ではございますが、職業訓練受講者数が三千九百四十人となってございます。本事業では区市町村との連携によりまして、地域レベルでの多くの相談を受け、資金貸付職業訓練や就労につなげてきたところでございます。また、低所得の家庭の子どもたちの進学に寄与するなど、緊急総合対策として一定の役割を果たしてきたと考えております。
また、事業の実施に当たりましては、区市町村の福祉部門や教育部門、社会福祉協議会などの関係機関と連携するとともに、電車広告を初めましてさまざまな広報媒体を活用し、対象者への事業周知を徹底して行ってきたところでございます。
○中村委員 生活保護の水準ぎりぎりの生活の方や、また、場合によっては生活保護以下の水準の方でも、受給を望まず自立されている方もいます。最終的には生活保護というセーフティーネットはあるのですが、財源の問題の側面からとらえると、国の事業ですので、市区町村の財政を圧迫しているという側面もあります。だからといって困っている人を窓口で追い返すこともできませんので、そういう状態にならないための対策が今後とも必要です。
そこで、この三カ年ということで始まった生活安定化総合対策事業ですが、今後は継続をしていくのでしょうか、また、制度の改善など考えているのか伺います。
○市川生活支援担当部長 生活安定化総合対策事業は、平成二十年度から緊急総合対策三カ年事業として実施してきたものでございます。このような都の先駆的な取り組みがありまして、国は昨年度、住居等に困窮している離職者に対する職業訓練、生活給付、資金貸付、住宅手当などの第二のセーフティーネットを構築いたしました。今後の施策の方向性につきましては、こうした国施策の動向や経済、雇用情勢等を踏まえまして、都として区市町村とも連携しながら、適切に対応してまいります。
○中村委員 現在、日本全体で自殺が三万人を超える異常事態が続いていますが、貧困と自殺との関係をどう考えていますでしょうか。借金や失業が原因でうつ病になり、自殺をするということも多いと聞きます。自殺対策という観点からも貧困対策を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
○市川生活支援担当部長 自殺の背景には、健康問題や家庭問題、失業や経済的問題などの多様な要因が複雑に絡み合っているとされております。東京都はこれまでも、労働や精神保健、法律機関等のさまざまな関係窓口との連携も図りながら、低所得離職者等に対する福祉施策を実施してきたところでありまして、引き続き施策の推進に努めてまいります。
○中村委員 自殺をされるというのは、よほど追い詰められている方々ですから、死を選ばないまでも、苦しんでいる方ははるかに多くいると推測されます。お答えいただいたように、自殺の要因は多様であると思いますが、直接、間接に貧困が絡んでいることも多くありますので、その動向を見据えて貧困対策の強化をお願いします。
最後の質問として、次に中国残留邦人問題について伺います。
私は長年、中国残留邦人の支援活動に取り組み、帰国支援や日本語教育、生活相談を行ってきました。本件は、都議会、平成二十一年第四回定例会にも文書質問を行いましたが、現状と課題の確認をするために、以下質問します。
そもそも中国残留邦人は、終戦の混乱や冷戦などの国際情勢のもとで、何十年も中国に残留を余儀なくされた方々です。最近は余り報道されなくなりましたが、日中国交回復後のころは、訪日調査による肉親との涙の対面が報道されていましたが、実際にはこの問題は、その帰国後の生活にありました。帰国がおくれたこともあり、戦後六十五年を経過しましたが、いまだに言葉や生活習慣の違いにより苦労され、また、数十年の歳月が、問題は子どもや孫にまで拡大してしまいました。国の責任と補償を求めて、国家賠償請求訴訟も起こされましたが、国との和解がなされ、国の責任は棚上げになりましたが、法律が改正されて新たな支援策の導入がされました。
そこでまず、現在都内には何人の中国残留邦人が住まい、家族を含めると支援給付受給者は何人いるのでしょうか。また、新支援法の本格施行から約二年半が経過しましたが、それにより生活がどのように改善されたのでしょうか。現状と課題をどう受けとめているか伺います。
○市川生活支援担当部長 平成二十二年三月末現在、都内に居住し、いわゆる中国残留邦人等支援法による支援給付を受けて受給されております中国残留邦人等とその配偶者の数は二千五人でございます。
支援給付を受給していない中国残留邦人等の正確な人数を把握することは困難でございますが、平成二十年三月二十一日時点での国の資料によりますと、都内の中国残留邦人等は千四百七十人でございました。また、平成十九年十一月に改正されました支援法の趣旨は、ご苦労を重ねてこられた中国残留邦人等の方々に、祖国で心安らかな老後の日々を送っていただくことと理解しておりまして、本格施行から約二年半が経過し、経済的には老後の生活の安定が図れたものと考えております。
しかし、子どもの言葉の問題や地域住民との交流が進まないなどの課題もあり、都と区市町村とが連携して、地域の日本語教室や交流事業等に気軽に参加できる仕組みを整え、社会的自立を促していくことが重要と考えております。
○中村委員 市区町村では、制度が生活保護に準拠していることもあり、生活福祉部門での対応が多いと聞いています。生きるだけではなく、よりよく生きるために、地域の中での支援がより求められています。市区町村の地域支援事業の取り組みはどうなっているのでしょうか。また、支援団体のない自治体も多く、地域福祉との連携をさらに進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
○市川生活支援担当部長 地域生活支援事業は、中国残留邦人等の自立を支援するため、地域における支援ネットワークの構築、日本語学習者への支援、通訳の派遣等を行うことによりまして、地域の一員として普通の暮らしを送れるように支援する事業でございます。
この事業の実施主体は、原則として区市町村でございますが、都としても区市町村に対して、支援連絡会や研修を定期的に開催するなどにより、取り組みの拡充に向けた働きかけや支援を行っており、地域の方々との日本語交流事業や日本語学習を支援する事業、通訳等派遣事業など、多くのメニューに取り組む区市町村も出てきております。
また、地域に支援団体のない区市町村においても、音楽会や日本語学習の実施、民生児童委員や町会、自治会との交流など、中国残留邦人等のニーズを踏まえるとともに、地域資源も活用しながら創意工夫した取り組みを行い、地域での居場所づくりや生きがいづくりに努め、地域社会との交流を図っているところでございます。
○中村委員 国の援護対象が同伴で帰国した二世家族に限定されてはいますが、家族の別離から始まった問題だけに、呼び寄せ家族の問題は切り離すことができません。
特に、中国残留邦人の二世は高齢化しており、就労も困難な状況にあります。国の援護事業ではなくても、地域福祉という観点から、日本語学校への補助を都単独事業で行ってきたように、都や市区町村の単独事業と組み合わせることで支援を行うこともできると考えます。
中国残留邦人の二世の課題を都としてどう受けとめ、対策を講じるのか、見解を伺います。
○市川生活支援担当部長 中国残留邦人等の二世にとりましても、社会的、経済的自立を図る上では、日本語習得や就労が課題となっております。中国残留邦人等と同伴帰国した二世につきましては、国の制度として、地域生活支援プログラム事業の中で、日本語教室等の紹介や就労支援等が受けられることになっております。中国残留邦人等と同伴帰国せずに後から永住帰国した二世につきましては、都が独自に、民間団体等が実施する日本語指導事業に対し助成を行い、受講料無料で学習できる日本語教室を確保しているほか、生活相談員制度を設け、自立定着の促進を図ることを目的に、日常生活等の諸問題に関する相談、助言、指導を行っているところでございます。
○中村委員 ご答弁ありがとうございました。戦後処理問題は本来的には国の責任ですが、さまざまな社会状況のもと、地方には仕事も支援団体もないことから都心部に集まる傾向にあり、とりわけ東京都には多くの方が住んでいます。当事者の声を国に伝えて政策の改善を求めていただきたいのと同時に、地域で家族とともに安心して暮らすことで、本当に帰ってきてよかったと思えるよう、地域福祉という観点からも東京都の支援の充実をお願いして、質問を終わります。
○山加委員 委員会質疑は限られた時間の中での貴重な質疑であります。百二十分というわけにはまいりませんので、私は、二十分程度の中で質疑をさせていただきます。
まず、指導検査についてと社会福祉法人について、何点かお伺いをさせていただきます。まず、指導検査ですが、福祉サービス事業者への指導についてお伺いをさせていただきます。
平成十二年に社会福祉法、介護保険法が施行されて、あれからはや十年が経過をしたわけであります。制度が発足した当時、平成十二年は都内の要介護高齢者は約十七万六千人ほど、それが十年たった今、その数、平成二十二年度には約四十三万三千人と、二倍以上に増加をしてまいりました。
そして、この増加する介護ニーズに対応するために、NPO法人や企業など、多様な事業主体が参入し、その介護サービスが量的に拡大をしてきたわけであります。
例えば、訪問介護事業所は平成十二年当時、約一千百事業所であったものが、今年度、平成二十二年には約二千七百事業所と、ざっと計算して二・五倍程度までふえてきているわけであります。
都は、当然でありますが、この増加してきた訪問介護事業所に対して、介護サービスが適正に提供されているかどうか、指導検査を実施なさっていらっしゃいます。当然、この二千七百近くの事業所があるわけでありますが、本来ならすべての事業所に指導検査を実施することが理想とは思いますけれども、一年間ですべての事業所に実地検査に行くということは到底困難であると思います。
そこで、まずお伺いいたします。指導検査対象の訪問介護事業所を毎年どのように選定をしているのか。そしてまた、指導検査の結果、事業所においてどのような問題が多いのでしょうか。
○松浦指導監査部長 訪問介護事業所に対します指導検査対象事業所の選定方法でございますけれども、訪問介護事業所に対しまして、苦情や内部告発、これらが都や区市町村などに寄せられますけれども、その内容から実地検査の確認が必要と思われる事業所をまず選定いたしまして、早期に検査を実施いたします。
また、事業者指定以降、指導検査を実施していない事業所や前回の指導検査の際に指導した項目の改善が不十分な事業所、これらを選定しまして指導検査を実施しているところでございます。
次に、指導検査で多く認められた問題事例でございますけれども、平成二十一年度で申し上げますと、訪問介護計画でございますが、これはケアマネジャーが作成したケアプランに沿って作成されるわけですけれども、その計画の中で、訪問介護の目的を達成するための具体的なサービス内容が明確でないもの、また、必要に応じて訪問介護計画を見直していないというような事例がございます。
さらに、事業者がサービス担当者会議などで利用者の個人情報を用いる場合には、これは同意が必要でございますけれども、あらかじめ利用者の同意を文書でもらっていない事例などがございまして、改善するよう指導しているところでございます。
○山加委員 部長からも、今、問題事例を何点かお伺いいたしましたが、私も現場から、訪問介護事業、これはまず第一に、サービスをいかに迅速に提供するかが求められるわけでありますが、そのために、そのことを優先したため、訪問介護計画の内容が不十分であったり、また、実際のサービスを見直して提供したけれども、計画内容を見直すのを後回しにしてしまったなどの事業所もあると伺っております。
また、運営基準を守っていると思っていたけれども、省令や国通知で示されている運営基準が細か過ぎて、なかなかその基準を理解していなかった、また、たびたび変更があるので情報に追いついていけなかった、そんな現場の声もよく耳にいたします。
平成十八年の介護保険法改正によって、この指導検査権限が区市町村にも付与されたわけでありますが、そこで、事業者への指導を充実するためには、区市町村に指導検査の技術的支援をするなど、さらに都は、連携を深める必要があると思いますが、所見をお伺いいたします。
○松浦指導監査部長 お話のとおり平成十八年の介護保険法改正によりまして、区市町村にも都と同様に指導検査権限が付与されているところでございます。
そこで、区市町村が効率的に指導検査を実施できるよう、まず、技術的支援といたしまして、区市町村の職員に都が実施する指導検査に同行してもらう、そういうこととともに、指導検査の実施に係る手引を作成いたしまして、区市町村に配布しているところでございます。
また、区市町村の職員に対しまして、指導検査のノウハウの研修を実施するとともに、平成二十一年度からでございますが、二区八市の職員を派遣研修生としてそれぞれ六カ月間受け入れまして、実践的な研修も実施しているところでございます。
また、区市町村が実施する指導検査に係る事務の一部を法人に委託するということができるようになりましたけれども、都におきましては、全国に先駆けて、都全体を対象とする区市町村事務受託法人というものを指定いたしました。区市町村は、当該法人の活用によりまして、訪問介護事業所等に対する指導検査を開始したり、取り組みを拡充させたりしております。
さらに、区市町村は、指導検査を実施し、その検査結果を区市町村と協議しまして、必要に応じまして、当該事業所の改善を促進するための実地検査を都が行うということなど、区市町村をバックアップしているところでございます。
今後とも、ご指摘のとおり、区市町村とさらなる連携を図りまして、東京都全体における、より効果的、効率的な指導検査を実施してまいります。
○山加委員 私は、福祉現場の質、また、福祉サービスの質を底上げするためにも、公正公平に指導する都の指導検査の重責は、大変皆様の期待を担っている、そう思っております。介護事業の適切な運営のために、どうかこれからも区市町村の連携をさらに充実し、指導検査を重点的、また、効果的に実施していただくことをお願い申し上げたいと思います。
次に、社会福祉法人について何点かお伺いをさせていただきます。
私は、ことしの三月の厚生委員会で、社会福祉法人経営適正化事業について質問をさせていただきました。その際、学識経験者などで構成される社会福祉法人経営適正化検討会が設置され、その検討会において、社会福祉法人の経営適正化のためには、理事会機能を強化させることと、また、法人が抱えている課題の早期発見、早期対応が重要であるとしているとのご答弁をいただいております。
社会福祉法人が財務上、経営がうまくいっていない場合には、当然のことでありますが、収入増を図る、また、費用の節減をするなどの早期の対応が必要となってくるわけであります。
今年度、この検討会で、社会福祉法人の財務分析手法を検討しているとお伺いしております。この財務分析手法は民間でも行われているわけでありますが、社会福祉法人となりますと、少し異なった独自のものとなるのではないかと思っております。社会福祉法人の経営に財務上の問題があるかどうかをはかる指標として、どのようなものが検討されているのでしょうか。
○松浦指導監査部長 財務分析のための経営指標にはさまざまなものがございます。社会福祉法人独自の財務上の課題を発見するための有効な指標を検討するために、まず、都内の社会福祉法人から提出されました平成二十年度の決算書を分析しております。その結果、有効な指標といたしましては、事業活動収支計算書からは、当該年度の事業活動の収支差額、それから次期繰越活動収支差額、これらはもとよりでございますが、人件費の比率や事業収入に対する借入金比率などがございます。
また、貸借対照表からは、まず、短期的に経営が安定しているかどうかという点では、流動資産、これは現金預金や未収金などでございますが、これと流動負債、短期借入金や未払い金などでございますが、この流動資産と流動負債の比率などのものがございます。
また、長期的に経営が安定しているかどうかという点でございますが、そういう点では、土地建物、備品などが固定資産でございますけれども、この固定資産が基本金などの純資産や設備資金借入金などの固定負債で賄われているかというような、こういう指標が社会福祉法人の財務分析において有効なものではないかというふうに検討しているところでございます。
○山加委員 これも現場の声でありますけれども、理事会機能を強化させるために、社会福祉法人の理事が当該法人の財務状況をチェックしようと決算書を見ても、なかなかその経営状態がいいのか悪いのか、また、経営状況が適切なのかどうかがわからない、自己チェックがなかなか難しいという声を私はよく耳にいたします。
社会福祉法人経営適正化検討会で、この経営状況をチェックできる経営指標とその標準値、また、要注意ラインなどを検討していただき、社会福祉法人の理事が当該法人をチェックできるようになることが望ましいと考えるわけでありますが、所見をお伺いいたします。
○松浦指導監査部長 経営状況のチェックでございますけれども、都内の社会福祉法人の中には、理事会が施設長に法人の経営とか事業運営を一任していたと、そういうことをしたために経営が悪化してしまったというような法人もございます。
社会福祉法人経営適正化検討会におきまして、このような法人など、課題ある法人を早期に発見し、早期に対応する仕組みについて検討しておりますけれども、そのために、まず都内にあるすべての社会福祉法人の決算書をもとに財務分析を行っております。その分析では、社会福祉法人のさまざまな経営指標の平均値を算出しまして、それを参考に、経営指標のうち、社会福祉法人独自の経営状況をチェックできる有効な指標を検討しているというところでございます。
例えば、先ほど申し上げました流動資産と流動負債の比率、すなわち流動比率でございますけれども、精査が必要となる要精査水準というのは一〇〇%未満と。これが八〇%未満になりましたら要警戒水準になるというようなラインを明らかにしてまいりたいと思っております。
これは、東京都における課題のある法人の早期発見のツールとして活用することはもとより、今、山加理事のご指摘を踏まえまして、社会福祉法人の理事によります自己チェックにも活用できるようなものにするよう目指してまいりたいと思っております。
○山加委員 ぜひともこの有効な経営指標を検討し、わかりやすいガイドラインとして公表していただくことを期待を申し上げます。
都民の方々が安心してサービスを利用するためには、この社会福祉法人を初めとする福祉サービス事業者が適正な福祉サービスを持続的、また、安定的に提供することが求められるわけであります。そのためにも、東京都は、今後とも、この指導検査の重点化を図り、ぜひ効果的な検査を実施するとともに、社会福祉法人を初めとするサービス事業所をきめ細かく指導していただくことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○小磯委員 私の後に大変長い長い質問が控えております。多分、短く、半分ぐらいになるんじゃないかと思うんですが、私の方はなるべくコンパクトに質問をさせていただきたいと思います。
脳脊髄液減少症--交通事故など大変大きなショックによりまして、頭部への強い衝撃が原因で脊髄液が漏れるという、それによって起こる病気で、患者さんは、頭痛、目まい、そして倦怠感など、さまざまな症状に苦しんでおられます。治療法としてはブラッドパッチ療法が有効で、早期の適切な治療が大切といわれております。
私も患者の会の皆さんとよくお会いをする機会がございますが、本当に患者さんたちは長年苦しんでおられる方が大変多うございまして、本当にこの療法が保険適用することを、今、我々は強く望んでいるわけでございます。
そして、この脳脊髄液減少症について、国において平成十九年四月に研究班が発足して、現在、中間報告をまとめるために必要な百例近い症例数が集まっていると聞いております。
また、これまで患者を支援する会を中心に行政機関に働きかけを行ってきた結果、ほとんどの道府県で、脳脊髄液減少症の情報提供に関する情報がそれぞれの自治体のホームページに掲載をされております。
ついせんだっても、都議会公明党として、知事と、そして教育長のもとに申し入れをさせていただいたところでございます。都としても、都のホームページに脳脊髄液減少症について掲載し、積極的に情報提供を行うべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
○住友保健政策部長 現在、東京都難病相談支援センターのホームページに、さまざまな疾患の医学的情報等を掲載するページを新たに開設することを検討しております。その中に、脳脊髄液減少症につきましても情報を掲載することとしておりまして、内容といたしましては、疾病の概念や研究の進捗状況などを掲載する予定でございます。
あわせて、患者団体等、関係団体のご了解を得まして、それぞれの団体のホームページと相互リンクを張ることも検討しております。
○小磯委員 今まで、この要望については、なかなか前向きな答弁がなかったんですが、今回、都がホームページに掲載するということでございまして、大変大きな前進であるというふうに喜んでおります。
ブラッドパッチ療法を実施している医療機関の情報などは患者会が把握しており、患者会のホームページとリンクを張ることで、情報を欲しがっている患者さんには情報が伝わりやすくなると私も思っております。今後、掲載する情報については、患者会の方々とも十分に相談をしていただいて、よりよい内容にしていただくことを要望したいと思っております。
続きまして、町田市の保健所政令市移行についてお伺いをいたします。
この問題については、東京都と市の間で協議を進めてきた結果、昨年十一月に移譲事務などについて基本的に合意し、ことしの八月の地域保健法施行令改正によって、平成二十三年四月には、いよいよ町田市保健所が誕生することとなりました。
都内では、これに先立って、お隣の八王子市が平成十九年に保健所政令市に移行をしておりますが、この八王子の移行後の状況、これについてお伺いをしたいと思います。
○宮垣地域保健担当部長 八王子市の保健所政令市移行後の状況についてでございますが、八王子市では、従来から実施していた市としての保健衛生業務と移行により新たに担うこととなった保健所業務との一元的実施によりまして、市全体として保健衛生行政の向上が図られたと認識をしております。
なお、都では、市との合意によりまして、五年間の専門職の派遣などの人的支援及び財政支援を行っております。
○小磯委員 町田市議会が、昨年、そして本年と意見書を出しております。その意見書の中にこういう文言が出ております。
今回の保健所政令市への移行は、中略、保健所の移管を都が提案したことに端を発している。中略、東京都は、町田市が円滑に保健所政令市へ移行できるよう人的にも物的にも最大限の配慮をすべきであり、かつ移行後の保健所運営が支障なく行われるよう、さまざまな支援を行うことは当然である。最後に、町田市議会は、東京都に対し、保健所政令市への移行時のみならず、移行後の保健所運営が円滑に行われるよう、人的かつ財政的な支援を最大限求めるものであると。
こういう意見書を議決しておるわけでございまして、我々、町田市選出の都議会議員としても、この町田市の保健所が本当に移行になっても、しっかりと東京都が支援をしていただけるという体制をぜひとも要望するものでございます。
そこで、町田市では、市の保健所の設置によって、精神障害により地域での生活が困難なケースへの対応、また、墓地経営の許可など、大変難しい案件もあるわけでございます。
これまで、都の保健所が実施してきた業務を市みずから行うことになるわけでございますが、市の保健所がこれからの業務に適切に対応できるよう、都がバックアップしていくことが重要である、こう思うわけでございますが、都の所見を伺います。
○宮垣地域保健担当部長 都は、保健所政令市移行への準備といたしまして、町田保健所等での市職員の方の事前研修の実施に加えまして、移行後も、専門職を中心といたしました都職員を派遣いたしまして、市が新たに実施をいたします業務の円滑な引き継ぎを進めていくこととしております。
また、町田市が地域におけるさまざまな課題に的確に取り組めるように、市の保健所の業務を担う人材の育成を支援していきますとともに、都として必要な技術的助言を行ってまいります。
○小磯委員 町田市が保健所政令市に移行することで、市の保健衛生行政の向上につながることが期待される一方で、また財政面も含め、市の負担は軽くはございません。移行後も市の保健所の運営が支障なく行われるよう、都が支援していく必要があると考えますが、この点についていかがでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 都では、町田市との保健所政令市移行についての基本的合意に基づきまして、激変緩和措置としての五年間の財政支援を行うこととしております。
また、市の保健所と同じ保健医療圏の都の南多摩保健所との連携、協働等により、町田市、さらには圏域全体の保健サービスの向上が図られるよう、都として支援を行ってまいります。
○小磯委員 町田市の保健所政令市移行というのは、本当に、私が都議会議員になったときから、この議題がございました。しばらくちょっと延長のようなときもあったわけでございますが、今、石阪市長になってからこの保健所政令市については、しっかり市としてやっていこうと、そんな体制で、今、準備を進めておるわけでございます。我々もしっかり応援してまいりますので、都としてもよろしくお願いを申し上げたいと思います。
それから続きまして、国保の一部負担金減免制度についてお伺いをいたします。
こういう国民健康保険における一部負担金減免の措置があるにもかかわらず、なかなか市区町村で、この件数がいっていない、もしくは、もう多摩の方ではほとんど利用していない、そういう実態があるわけでございます。そんなことで、私も、ずっとこれについてはお伺いをしたいと思っていたわけでございますが、この医療機関の窓口で支払う一部負担金については、低所得世帯の場合、支払いが困難になることが多いわけでございます。
一方、一部負担金には、減免制度がありますが、全国的にも余り活用されていないとのことでございます。
都内各区市町村国保における一部負担金の平成二十一年度の減免件数についてお伺いをいたします。
○宮垣地域保健担当部長 国民健康保険における一部負担金の減免制度は、委員がおっしゃったとおり、被保険者の方が、災害、失業、その他特別の事情により一時的に生活が困窮した場合に、医療機関を受診する際の窓口で支払う一部負担金の全部、または一部を免除する、そういう制度でございます。国民健康保険法第四十四条に基づきまして、保険者であります各区市町村が条例、または要綱などにより行っております。
平成二十一年度の都内の区市町村国民健康保険の一部負担金の減免件数でございますけれども、特別区では十八区で百十一件、市町村では三市で十五件、合計で百二十六件となっております。
○小磯委員 今の答弁でありましたように、二十三区では十八区、それから多摩では三市だけがこの一部負担金減免をやっているということでございまして、これは市とか区で、区はあるんですかね、市なんかでは条例とか要綱も定めていないところがあるようでございます。
そういうことを受けまして、平成二十二年九月には、国が市町村に対しての減免の基準に関する通知をしたということでございます。今回、厚生労働省から出されました一部負担金減免取り扱いの通知について、その内容をお伺いいたします。
○宮垣地域保健担当部長 一部負担金減免の取り扱いについて、国は、災害、失業、その他特別な事情により収入が著しく減少した場合などを対象とすることを今まで示してきたわけですけれども、収入の減少の認定に当たっての具体的な基準は示しておりませんでした。そのため、区市町村が要綱等で独自に基準を定めておりました。
今回の通知は、国が収入の減少についての具体的な認定基準を初めて示したものでございます。この通知によりますと、認定基準として、少なくとも、入院治療を受ける被保険者が属する世帯、世帯の収入が生活保護基準以下で、かつ預貯金が生活保護基準の三カ月以下、この二つのいずれにも該当する世帯については減免対象に含めるものとされております。
○小磯委員 今回の国の通知によりまして、認定基準の明確化が図られたとのことでございますが、都内の減免実績は百二十六件と、大変少ないというふうに思います。これは、一部負担金の減免制度が被保険者に知られていないためであると考えます。
今回の国の通知を機に、都としても、区市町村に対して被保険者等への周知徹底をぜひ図っていただいて、制度を利用しやすくするよう促すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 都は、今回の国通知について、その内容を踏まえて、減免制度を適切に運用するよう、保険者である区市町村に対しまして、国民健康保険担当課長会等において説明を行っております。
また、減免制度に関する被保険者への周知につきましては、これまでも各区市町村が被保険者に配布をいたします「国保のしおり」などに記載するなど、それぞれ行ってきたところでございます。
今後、国の通知内容を踏まえまして、都として、改めて制度の周知徹底を図るよう、各区市町村に対して指導助言をしてまいります。
○小磯委員 ぜひ、この区市町村に、指導助言の中で工夫して、被保険者の方々が本当にこれをわかったと、そういう制度があるんだということを気づいていただけるような周知徹底をお願いをしたいというふうに思います。
また、きのうの新聞報道では、無料低額診療制というのがあって、病院そのもので所得の少ない人が病気やけがで診察を受けたときには、医療費が無料になったり、安くなったりする、そういう制度もあるわけでございますけれども、今、私が質問したのは、国保という面で、こういう減免措置がありますので、ぜひ積極的な働きかけをお願いしたいというふうに思います。
続きまして、救急医療についてお伺いをいたします。
昨年、福祉保健局が救急についての東京ルールを導入いたしました。救急隊員が搬送先の医療機関と連携をとり、五回までに決まらない場合、二次保健医療圏の地域救急医療センターが救急隊や総合指令室と連携して搬送先を探すことになったわけでございます。
私どもは、これによって東京の救急体制は格段に安心度が高まったと思っているわけでございますが、ルールが導入されてどのように評価をされているか、お伺いします。
○中川原医療政策部長 東京ルールによる搬送調整開始後、選定困難事案における医療圏内の受け入れ率の変化について見てみますと、ルール開始以前でございます平成二十年九月から平成二十一年二月の六カ月間の受け入れ率は五五・五%でございました。ルール開始後の同期間におきましては七九・九%となっておりまして、より身近な地域での受け入れ割合が二四・四ポイント上昇してございます。こうしたことから、地域救急医療センターを中心としたネットワークが機能しているものと認識してございます。
また、全搬送件数の六%程度と予想しておりました選定困難事案につきましては、東京ルール開始後の実績では約二%にとどまっていることから、救急患者を地域で受けとめるという東京ルールの目的は、各救急医療機関におきまして着実に浸透しているものと受けとめております。
○小磯委員 東京ルールが導入されまして、安心度が増したと都は評価しているということだと思います。私も、大方の項目で、この東京ルールについては評価しておりますが、残念ながら、救急車が通報を受けてから患者さんを病院に届けるまでの搬送時間については、これまでよりかえって時間がかかっているという実態がございます。これの原因をどのように認識をしているのか伺います。
また、改善へ向けての努力をすべきでございますが、見解をお伺いいたします。
○中川原医療政策部長 搬送時間につきましては、大都市東京特有の実態が影響しているものではないかというふうに推測してございます。
こうしたことから、東京ルール開始後の東京の救急医療の実態を把握することが重要だというふうに考えまして、救急医療機関の協力も得ながら、東京消防庁と連携して、九月末から一週間、東京ルール事案を含めたすべての救急搬送実態について調査を実施したところでございます。
この実態調査では、これまでの統計では明らかになっていない大都市東京特有の救急隊の活動環境、例えば、高層マンション、オートロック、地下街などが救急患者の搬送時間にどの程度影響を与えるのかについても分析を行うというふうに考えております。
調査結果につきましては、東京ルール検討委員会におきまして評価、検証してまいります。
○小磯委員 ぜひともこの実態調査、そして、それに基づく評価、検証をしていただいて、よろしくお願いを申し上げます。
ところで、南多摩保健医療圏では地域救急医療センターの受け入れが少ないこと、また、この医療圏内での受け入れも少ないわけでございます。これは、南多摩保健医療圏に地域救急医療センターに指定されている病院が少ないのが要因だと思っております。南多摩保健医療圏に地域救急医療センターの増設をすべきであると思いますが、見解をお伺いいたします。
○中川原医療政策部長 南多摩医療圏では、東京ルールの開始に当たりまして、固定型の地域救急医療センターを一カ所指定し、圏域内の他の二次救急医療機関との連携のもと、運用を開始いたしました。
運用開始後の実績を他圏域と比較いたしますと、圏域内の二次救急医療機関の受け入れ率は四三・七%と高いものの、他の圏域への流出する割合が四〇・九%でございまして、この割合が多い状況にございます。
都では、南多摩医療圏の体制強化を図るため、圏域内の二次救急医療機関等が参画する地域救急会議の中で、地域救急医療センターと連携して各救急医療機関の意向を確認しながら、固定あるいは当番型の地域救急医療センターへの参加を働きかけているところでございます。
今後とも、地域救急医療センターや救急医療機関等と連携を図りながら、南多摩医療圏における東京ルールの安定的運用に努めてまいります。
○小磯委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、児童デイサービスについてお伺いをいたします。
お母さんたちが働きながら子育てをしやすい環境づくりという点で、障害をお持ちの小学校、中学校生の放課後をどう面倒を見るかということで、民間の事業所を中心とした児童デイサービスが役割を果たしているわけでございます。
まず、放課後対策としての児童デイサービスの実態を、都はどのように認識しているでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 児童デイサービスは障害者自立支援法で定めるサービスであり、未就学児童が七〇%以上の一型と、七〇%未満の二型がございます。平成二十二年九月現在、一型、二型合わせて、都内に六十八カ所の児童デイサービス事業所がございます。
障害者自立支援法施行当初は、就学児中心のデイサービスは経過的な制度とみなされておりましたが、平成二十一年四月から現在の児童デイサービス二型となり、報酬単価も大幅に改善されたところでございます。この児童デイサービス二型につきましては、区市町村地域生活支援事業の日中一時支援事業などとともに、障害児の放課後活動等を支える重要な役割を果たしていると認識しております。
○小磯委員 障害児の放課後対策は大変重要な施策でございます。国は、平成二十年に障害児支援の見直しに関する検討会を実施し、同年七月に報告書が発表されましたが、その中にも、子どもの発達に必要な訓練や指導など、療育的な事業を実施するものについては、放課後型のデイサービスとして新たな枠組みで事業を実施していくべきであるとして、その必要性が述べられています。
そのことを踏まえ、昨年、ことしと国会に提出された障害者自立支援法及び児童福祉法改正法案の中には、放課後等デイサービス事業の創設が入っていましたが、廃案となってしまいました。しかし、学齢期になっても、訓練などの機会を得られることは障害児の成長のため、必要だと考えます。
学齢期のデイサービスの充実について、都として国に強く働きかけるべきと考えますが、所見をお伺いします。
○芦田障害者施策推進部長 学齢期のデイサービスは、訓練や療育を必要とする障害児にとって大きな役割を果たすものと認識しております。都は、児童デイサービスを新規に立ち上げる事業者に対し、障害者自立支援法の円滑施行のための基金事業により、療育のための機器購入等の開設準備経費を平成二十一年度より補助しているところでございます。
学齢期のデイサービスについては、今後、さらに充実を図る必要があると考えておりますが、ご指摘のとおり、放課後等デイサービス事業の創設は、障害者自立支援法及び児童福祉法の改正法案が廃案になったことにより、見送られたままでございます。
都は、学齢期の障害児童の放課後等を支える事業として、運営に必要十分な報酬単価を設定した上で、新たな類型のデイサービス等を法に位置づけることについて国に提案要求をしております。今後とも、国に働きかけていきたいと考えております。
○小磯委員 次に、盲ろう者への支援ということでお伺いをいたします。
都議会公明党は、この盲ろう者支援については、その重要性をたびたび問題提起し、そして、都に対し、支援の充実を訴えてまいりました。都も我が党の要請にこたえていただきまして、平成二十年度より、盲ろう者通訳介助者養成事業に対する補助を実施し、平成二十一年五月に、全国で初めて設置された盲ろう者支援センターに対する補助を行うなど、盲ろう者に対する支援を前進させてきました。
そんな中、気がかりなのは、まだ盲ろう者支援センターの支援につながっていない盲ろう者の存在でございます。大田区では、盲ろう者支援センターで行われている支援について、区内在住の盲ろう者に周知する取り組みを行っていると聞いておりますが、その後の状況についてお伺いをいたします。
○芦田障害者施策推進部長 委員お話しのように、大田区では、身体障害者手帳所持者で、視覚と聴覚の両方に障害のある方を対象に、区民向けに作成した盲ろう者支援センターのリーフレットを郵送するなど、周知についての取り組みを行っております。この取り組みによりまして、大田区が連絡をとった方からセンターに相談があるなど、新たな支援につながっております。
盲ろう者への周知につきましては、区市町村が地域できめ細かく取り組んでいくことが重要であると考えております。都としましても、大田区の取り組みについて区市町村等に周知し、各区市町村における同様な対応についてお願いをしているところでございます。
○小磯委員 平成十八年の国の推計によりますと、盲ろう者の方々が全国で二万三千二百人、都内は、その一割として二千人を超える方々が存在すると考えられるわけでございます。
我が党は、ことしの第一回定例会の代表質問で、区市町村と連携した盲ろう者に対する支援センターの周知について提案いたしましたが、その後の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○芦田障害者施策推進部長 都は、区市町村に対しまして、地域の盲ろう者を把握し、盲ろう者支援センターについて周知を図るよう依頼するとともに、支援センターとの連携について働きかけを行ってまいりました。その結果、荒川区において、区の職員が支援センター職員とともに戸別訪問を行うなど、支援センターと区市町村の連携が進みつつあります。
今後、そうした具体的な事例についても区市町村に周知するとともに、区市町村職員等を対象とした講習会を実施するなどにより、さらに取り組みが進むよう努めていきたいと考えております。
○小磯委員 この支援の対象となる盲ろう者の方々がふえる中、都としても、この支援を充実すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○芦田障害者施策推進部長 都は、平成八年度に、盲ろう者通訳介助者派遣事業を開始して以来、通訳介助者の派遣時間の拡大、通訳介助者養成事業や盲ろう者支援センターに対する補助の開始など、着実に事業の充実を図ってきました。
また、盲ろう者支援センターの周知について、支援センター開設以来、盲ろう者の方々に直接対応する区市町村職員や民生児童委員に対し、さまざまな機会を活用して協力を働きかけてきたところでございます。
今後とも、通訳介助者派遣事業等について、実情を踏まえ、適切に対応するとともに、盲ろう者支援センターや区市町村と連携し、盲ろう者に対する支援の充実を図ってまいります。
○小磯委員 ことしの第一回定例会で、我が党の代表質問に次のように答弁をされております。一つは、区市町村と共同した学習会、交流会の開催、職員を対象とした講習会、そしてもう一つは、全国で初めてとなる体系的な人材養成プログラムの作成ということでご答弁をいただいております。ぜひ実現へ向けてご努力いただきますよう要望いたします。
認知症疾患医療センターについてお伺いをいたします。
都内でも何らかの認知症の方の数というのが、平成十六年で二十三万人、平成二十年で二十九万人、平成三十七年で推定で五十二万人ということで、平成二十年から一・八倍ということでございます。
また、認知症の方で見守り支援の必要な方というのが、平成二十年で二十万人でありますが、平成三十七年では三十八万人ということで、一・九倍ということでございまして、認知症高齢者の方々への医療支援、そして地域での支援というのが大変大事な課題となってきているわけでございます。
まず、認知症高齢者への医療支援体制の整備に向けて、これまで都としてどのように取り組んできたのか、お伺いをいたします。
○狩野高齢社会対策部長 都におきましては、認知症になっても、認知症の人と家族が安心して暮らせるまちづくりを推進することを目的として設置しております認知症対策推進会議のもとに、医療支援部会を設置し、認知症の人と家族を支えるための医療支援のあり方について検討を行ってまいりました。
認知症対策推進会議からは、認知症高齢者が地域で安心して生活を継続できるようにするためには、かかりつけ医を中心とした医療支援体制を地域で構築していくことが必要であるとの報告をいただいております。
また、都は、かかりつけ医の認知症対応力の向上を図るための研修を実施するなど、地域における認知症医療体制の整備を図っております。
○小磯委員 こうした中、東京都は、認知症対策推進会議に部会を設けまして、認知症疾患医療センターの指定に向けた検討を始めたわけでございますが、その理由についてお伺いをいたします。
○狩野高齢社会対策部長 今後、認知症高齢者が一層増加することが見込まれる中で、かかりつけ医と認知症専門医療機関、さらには医療と介護の緊密な連携がこれまで以上に必要となってまいります。認知症疾患医療センターは、認知症に関する専門医療を提供するとともに、地域の医療と福祉との連携の中核を担う機関であることから、認知症に係る関係者の連携を一層推進するため、センターの整備の検討を開始したものでございます。
整備に当たりましては、東京の認知症医療や介護サービスの実態を踏まえ、このセンターが担う役割を明確にする必要があることから、部会におきまして、センターとして整備する医療機関の数、センターが取り組む具体的な事業内容、地域の医療機関との役割分担や連携方法等について、現在、検討を行っているところでございます。
○小磯委員 私も、このあり方検討部会の資料を、目を通させていただきました。その中に、さまざまな委員の方の意見の一覧というのがございまして、本当にこういう意見のとおりなんだろうなというのがございました。
例えば、ひとり暮らしや認認介護がふえてきている中、認知症の人は自分から受診しようとはしないので、ケアマネジャーや家族の人が困ってしまって、どうしようもなくなっているという状況が現在起きている。
また、鑑別診断、初期対応については、専門医にお願いしたくても月に二回ぐらいの往診しかできなくて、一番大変な時期をずっと待っていなければならない状況がある。
また、早期からの退院支援ということについては、特養とか老健とかで、他の方の迷惑になるような認知症の方を受け入れてくださらない状況があるとか、また、地域における受け入れ体制の整備の中には、センターがまず話を受けて、いかに他科と連携して入院として受け入れるかという点に期待するとか、また、入院ベッドの確保が主体となる、そのためには、都内の空きベッドの集中管理が求められると。本当にこの意見については、私もいろんなところからの相談を受ける中で、そうだなという感を深くしているわけでございます。
そういった意味で、今回の認知症疾患医療センターの創設へ向けての検討というのは、大変重要であるというふうに思っております。認知症の早期発見、早期対応が必要でございますが、そのためには認知症の方々の身近にいるかかりつけ医やケアマネジャーなどが連携協力して対応していくことが必要でございます。都内各二次保健医療圏にセンターを設置するとともに、地域における医療連携など、センターがより一層深めていく役割を果たすべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 都内のそれぞれの地域地域において、認知症支援に係る関係機関が緊密に連携していくことが重要でございます。現在、検討部会におきまして、地域の医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャー等の連携体制を構築することが、認知症疾患医療センターが担うべき重要な役割であるとの指摘がされております。
今後、本部会の検討結果を踏まえまして、認知症疾患医療センターの整備を進め、かかりつけ医と専門医療機関の連携や、医療と介護の連携の強化に努めてまいります。
○小磯委員 ぜひともこの認知症疾患医療センターの整備ということについて、東京都として強力に進めていただきたいことを申し上げて、私の質問を終わります。
○くまき委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時三十七分休憩
午後二時五十一分開議
○くまき委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大山委員 私は、盲ろう者の支援について、重症心身障害児者の通所施設について、清瀬園について、国民健康保険について、そして、最後に高齢者のデイサービスとそれをめぐる状況についてということで質疑をしていきたいと思っています。
まず、盲ろう者への支援についてなんですけれども、盲ろう者や多くの方々の運動で、東京都盲ろう者支援センターがオープンしたことは大変重要なことです。先日、支援センターを訪ねました。通訳介助者を派遣してもらうために登録する盲ろう者も、昨年度の八十八人から、ことし十月一日現在で九十四人にふえました。盲ろう者友の会を紹介する冊子、これ、こんなすてきなのができていましたけれども、この中には、社会の中で精いっぱい力を発揮したいと望んでいます、学び、働き、交流し、皆とともに暮らすという、生きている実感のある人生を送りたいと願っています、こう書いてあります。せっかくできた盲ろう者支援センターが役割を果たせるように、東京都が責任を果たすことが重要です。
盲ろう者にとって通訳介助者、これは日常生活を送るにも、社会参加するにも欠かすことができない存在です。生後一カ月で化膿性中耳炎で聞こえなくなった男性は、十六歳のとき網膜色素変性症になって、四十歳のころ視力が低下して、現在は見えません。ひとり暮らしをしていますが、困っていることは、例えば、料理をするのに材料が必要なんですけれども、買い物をするとき、新鮮な食品、賞味期限も見たい、衣類も服だとかサイズを選びたいわけです。こんな日常生活をするにも通訳介助者が一緒にいるということが大切です。この方はホームから転落したり、それから道路を一人で歩いていて自転車にぶつかってしまったこともあります。危険なことを避けるためにも、通訳介助者は必要です。私たちが当たり前にしている生活を送ることを、盲ろう者にも当たり前に保障することはもう当然のことです。
ところが、当たり前の生活を送るのに不可欠な通訳介助者派遣時間が圧倒的に足りません。今年度の派遣時間数は、昨年度と同じ三万九百四十時間です。しかし、通訳介助者を派遣してもらうために登録している盲ろう者は、昨年度は八十八人でしたが、ことしは十月一日時点で九十四人です。登録者がふえたことは喜ぶべきことです。今年度は四月から七月の利用時間が昨年同時期より四千時間ふえました。今後、都が予算化した三万九百四十時間の範囲でおさめようとするなら、一人当たり一カ月二十時間ぐらいに抑えなければならない、こういうわけです。一カ月二十時間ということは、一日当たりにしたら四十分です。社会とつながるのは一日わずか四十分だけ、そういうことなんです。年度内の派遣時間を緊急にふやす必要があると思いますが、どうですか。
○芦田障害者施策推進部長 盲ろう者通訳介助者派遣事業の派遣時間数につきましては、平成二十一年度に三万九百四十時間とし、平成二十年度の二万三千六百六十時間から大幅にふやしております。今年度につきましては、これまでの実績等からこの時間数で対応できるものと考えております。
○大山委員 大幅にふやしたといいますけれども、もう既に人がふえていて、一日当たりにしたら四十分しか社会とつながらないんです。想像できますか。想像してください。今後の動向を見る必要があるんじゃないんですか。
○芦田障害者施策推進部長 今年度につきましては、この時間数で対応できるものと考えておりますが、通訳介助者の派遣実績は月によって相当違いがあるため、今後の派遣時間数等については随時把握をしていきたいと考えております。
○大山委員 ぜひ、きちんと把握していってほしいと思います。そして、必要だったら当然対応しなきゃいけないわけです。今年度予算で決められた、委託契約で定められた派遣時間の範囲が実態と合わなくなってしまっているんです。派遣を受けようという登録者がふえるという喜ばしいことが、率直に素直に喜べるようにすることが都の役割ではないでしょうか。盲ろう者にとって普通に日常生活を送る上で欠かせない通訳介助者なんです。しかも、支援センターが独自に対応することは非常に困難です。センターも不本意ながら節約するよう呼びかけています。現在のペースでいくと五千時間はオーバーするというんです。千三百円掛ける五千時間ですから、このままのペースでいくと、六百万円の赤字になってしまう。自己資金二千万円の支援センターですから、やっていけなくなるということなんです。そもそも派遣時間数自体が少ない。少な過ぎるんです。
〇九年度から、先ほどもおっしゃいましたけれども、二万三千六百六十時間から現在の三万九百四十時間に増加しました。しかし一人当たりにすると、本年度は、年間三百二十九・一時間です。一日当たりにすると、わずか五十四分です。支援センターは、せめて現在の一・五倍は必要だといっているんです。年ごとの登録者数で派遣時間を決めてほしいんだ、そうともいっています。このままだと大幅に制限しますといわざるを得ない、本当はそんなことはいいたくないんです、そうおっしゃっていました。今の登録者数は九十四人で、最低四万五千時間程度あれば比較的制限しなくてもいいんです。一人当たり五百時間程度一年間にあれば、そうおっしゃっていました。当たり前の社会生活を送るために必要な派遣時間を保障するために、登録人数に応じて時間数をふやしていくことが今後求められると思いますけれども、どうですか。
○芦田障害者施策推進部長 都は、登録利用者数等を勘案しながら派遣時間数の増を図っており、先ほど申し上げましたように、平成二十一年度には大幅に時間数をふやしております。今後とも適切に対応していきたいと考えております。
○大山委員 適切に本当に対応してほしいんですよ。今年度はどう対応するんですか。このままでは利用時間を制限せざるを得なくなります。補正予算を組んででも、利用抑制という事態を招かないようにするべきだと思いますが、どうですか。
○芦田障害者施策推進部長 先ほど申し上げましたように、今年度については、この時間数で対応できるものと考えておりますが、今後とも、派遣実績については随時把握をしていきたいと考えております。
○大山委員 ちゃんと把握して、足りなくなるんだったら、ちゃんと対応してほしいんです。平成二十一年度に大幅にふやしたと、さっきからおっしゃいますけれども、その後登録者や利用者がふえているんです。一人一日当たり五十四分しかないのに、時間数が足りなくなるから、さらに派遣を抑えてくださいね、そういわざるを得ないつらさ、想像しているでしょうか。派遣時間数の動向について随時把握していくんだとおっしゃいましたので、いざというときにはちゃんと手を差し伸べてください、そう要望しておきます。
平成十九年度に東京盲ろう者友の会の調査では、視覚と聴覚の両方の障害が身体障害者手帳に記載されている東京都内の盲ろう者は八百二十一人、こう調査しています。通訳介助者派遣事業に登録している人は、現在九十四名ですから、わずか一割というところなんです。
盲ろう者友の会の冊子には、盲ろう者を対象とした支援サービスがあるという情報が、視覚と聴覚の両方に障害があるゆえに、本人のもとに届かないことが大きな原因だ、そう述べています。私もそのとおりだと思いますけれども、都はどう認識していますか。
○芦田障害者施策推進部長 盲ろう者に支援センター等についての情報を伝え、必要な支援を受けられるようにすることは重要であり、そのためには、盲ろう者の方々に直接対応する区市町村に取り組んでいただく必要があると考えております。
都は、盲ろう者に対する支援策の周知について、先ほど小磯委員に答弁申し上げたように、区市町村等に対し、さまざまな機会をとらえ働きかけているところでございます。
○大山委員 ですから、盲ろう者支援センターでは、視覚と聴覚の重複した身体障害者手帳を持っている方々に訪問して情報を伝えている。訪問してみて初めてひとり暮らしの人もいるということもわかるわけですよね。そうやって大切な事業なんだと周知を働きかけているんだということですから、十分認識しているんだと思います。盲ろう者支援センターで個別訪問するわけですけれども、そのときに、周知を働きかけているとはおっしゃるんですけれども、やはり区市によって濃淡があるわけです。支援センターの方が訪問したときに、きちんと都から区市に情報がきちんと行っていれば非常にスムーズなんだと、こういうわけです。
ですから、都としてどういうふうに具体的に応援していくんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 都は区市町村に対し、盲ろう者支援センターと区市町村が連携して盲ろう者への周知に取り組んでいる、先ほど答弁申し上げました荒川区のような先行的な事例について紹介し、そうした取り組みを広めていきたいと考えております。
○大山委員 もちろん周知しているんだということなんですけれども、まだまだ区市町村で温度差があるということですので、引き続きよろしくお願いします。
そして、盲ろう者支援センターはさまざまな活動をしているわけですが、交流会や学習会、相談事業、専門人材育成、いろんな活動をしています。昨年の十月から毎週木曜日に生活技術向上学習会を開催しているというんですね。編み物をしたり、ウオーキングをしたり、お料理をしたり、コミュニケーションとして盲ろうの人たちが、毎週木曜日、楽しみにしているわけです。みんな家の中でとても苦しくて、一人では外出できないので、通訳介助者の支援は必要で、以前は情報が少なかったけど、今は学習会で情報を得ることができるんだと、こういうわけですね。
ところが、この学習会の参加費を徴収した方がいいのではないかと東京都がいってきたというんです。ことしの十月から材料費を徴収するということなんです。もう始まったんです。材料費を支払うこと。十月を前にして少ない収入で参加しようか迷っているという人が少なくない状況だったというんです。実際、有料になったら利用者が減ってしまいました。編み物、材料費なんですけれども、二百円なんです。東京都にとって二百円というのは安いわけですけれども、その編み物には、前は十二、三名来ていたんです。しかし十月、二百円徴収するようになったら、五、六名に半減しちゃったというんです。
実は、一カ所しかありませんから、交通費も往復で千五百円かかるとか、二千円かかるという方もいらっしゃるわけですよね。お話を聞いた理事さんも八王子に住んでいらっしゃるわけですから、片道一時間半ぐらいかけて来るわけです。全都から来ているわけですから、そうやって交通費だけでも大変なんです。東京都にしてみたらわずか二百円なんですが、収入が少ない盲ろう者にとっては、そのことが貴重な生活技術向上学習会から足を遠ざけて、永遠に続く静かな夜と盲ろう者の方はおっしゃっていますが、そこに東京都がまた押し込めようとしていることになっちゃうんです。どう考えているんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 盲ろう者支援センターの事業を利用する際、利用料はかからないこととなっております。ただ、学習会で編み物や陶芸などを行う場合、材料費等については、利用者に負担していただいているというふうに聞いております。
○大山委員 今までは徴収していなかったんですよね。都から徴収した方がいいといわれたので、やむなく徴収することにしたんだということなんです。そういうふうに盲ろう者支援センターからは聞いています。そうすると、今のご答弁ですと、都としては徴収しなくていいということなんですよね。
○芦田障害者施策推進部長 学習会につきましては、盲ろう者支援センターが実施する事業であり、材料費等を利用者に負担していただくかどうかは、センターの運営主体である特定非営利活動法人東京盲ろう者友の会が判断するものと考えております。先ほどの編み物を例にとりますと、マフラー等、自分用の作品を編むときに使用する毛糸について材料費をいただいておりますが、利用者が自分で好みの毛糸を持参して参加することも可能であると聞いております。都としましては、そうした自分の作品のための材料費については、利用者に負担していただくこともあるのではないかと考えております。
○大山委員 しかし、判断するのは、盲ろう者友の会が判断するんだということですから、盲ろう者友の会の判断が優先するんだということなんですよね。団体の自主的な判断でいいということですよね。そして、もちろん運営費補助の算定では、材料費は徴収しないという設定にしてほしいと思っています。
職員の問題です。通訳介助者派遣事業が二〇〇一年度から始まって、その当時は登録者五十九人でした。年間派遣件数は、二千七百件だったものが、昨年は八十八人の登録者で六千九百九十九件ですから、派遣件数では二・六倍になりました。今年度はさらに登録者がふえています。また、相談事業も学習会も盲ろう者の社会参加には不可欠です。事業量も事務量も大幅にふえているのに、専従職員は相変わらず一人です。ですから、身を削っての仕事になっているということなんです。
職員をふやしてほしいと、こういう要望があるわけですが、それは切実なわけですが、どう考えていらっしゃいますか。
○芦田障害者施策推進部長 都は、平成八年度より通訳介助者派遣事業を実施し、派遣時間の拡大を図るとともに、平成二十一年度からは盲ろう者支援センターに対する補助を開始したところでございます。通訳介助者派遣事業は、このセンターで行う通訳介助者養成事業や、盲ろう者の訓練相談事業などと一体的に運営することにより、安定的かつ効果的な運営を目指すことができるものと考えております。今後とも事業の推移を見ながら適切に対応してまいります。
○大山委員 推移をちゃんと見ていただければ、これはふやさなきゃいけないんじゃないかということだと思うんです。通訳介助者派遣事業はふえて、相談も掘り起こしの事業も、先ほど非常に、積極的にやることは東京都としても評価しているわけですから、掘り起こしをすれば当然事業量はもっとふえます。
ですから、安心して都内のすべての盲ろう者に支援事業があることを伝えていくための仕事ができるように、職員増員についてもこたえていくよう再度要望して、盲ろう者については次に移ります。
重症心身障害児者の通所施設に関連してです。
重症心身障害児者の通所施設は、在宅での暮らしに欠かすことができない事業です。重症心身障害児者の通所施設には、人工呼吸器装着者や酸素吸入者、それから気管切開施行者など、医療ケアを必要としている利用者が多く通っています。今後も、このような医療ケアというか、看護ケアを必要とする利用者がふえることが予想されて、重症度も高くなっています。
現状の看護師配置では限界を超えているということがいわれていますが、どう認識していらっしゃるのか。また、配置基準を改善することが求められていますが、どうですか。
○芦田障害者施策推進部長 重症心身障害児者の通所事業についてでございますが、都は平成八年度の国の補助制度の開始に先駆けて、昭和六十三年度に事業実施要綱を定め、通所事業の充実に取り組んでおります。国の事業の要綱には明示されていない職員配置数につきましては、都独自に二対一の基準を定めて看護師等の配置を確保するなど、国の補助基準額を上回る委託料を各施設に支弁をしております。
さらに、平成二十二年度からは、民間の通所施設や短期入所施設において、超重症児者等の受け入れのため、高い看護技術を持つ看護師を受け入れ促進員として配置する場合に、その配置費用を助成する事業を実施しているところでございます。
○大山委員 職員配置は二対一なんだということで、きちんと基準を持っているというのは重要です。その職員配置の職員には、看護師だけじゃなくて、福祉職を初め、理学療法士だったり、作業療法士や言語療法士や心理職なども必要なわけですよね。いろんな職種の方が必要なわけです。通所利用者の状況というのは、年々、さっきも申し上げたように看護ケアが必要な方がふえています。
例えば、みどり愛育園の場合ですと、みどり愛育園の通所の場合、どういうふうにふえているかといいますと、看護ケアが必要な利用者が、二〇〇六年には二十八名中二十六人でした。二〇一〇年は三十九名中三十七名が医療ケアを必要としています。呼吸管理をする利用者も増加していて、酸素吸入者は、〇四年は五人だったのが今年度は十三人です。ですから約三倍に近い増加です。人工呼吸器を装着している方は、〇四年は二人だったんですが、今年度は九人ですから、もう四倍以上にふえている。吸引を必要とする方は十七人から三十四人ですから、ちょうど二倍になりました。利用者の定員も増加して、一日当たり、成年部は〇四年は二十三人でしたが、今年度は三十七人にふえています。
さっきご答弁されていた、二十二年度から、ことしからですね、超重症児等受け入れのために、受け入れ促進員として配置費用の助成をしているんだということですけれども、その加算で、これだけ看護ケアが必要な通所者がふえているみどり愛育園の場合は、どの程度の看護師がふえたんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 受け入れ促進員につきましては、通所定員に対する超重症児者の登録者の割合が高い民間施設を助成の対象としております。みどり愛育園につきましても助成の対象となっておりまして、超重症児者等の受け入れ状況に応じて費用を助成しております。年間の助成額は、看護師一名分の配置費用に相当するものと考えております。
○大山委員 看護師一名程度ということですよね。圧倒的に足りないということは明確なんです。重症度が進んでいるところには、それに合わせた看護師の増配置をさらに拡充をする必要があります。看護ケアが必要な利用者は、今、具体例で挙げたみどり愛育園だけではありません。また重症度が進んでいることもみどり愛育園だけの話ではありません。基本の人員配置を上げるように求めておきます。
重症児者の通園施設というのは、例えば西多摩療育支援センターのもえぎができて、一時期、週の五日間通園できるというように通園の日数が確保できましたけれども、再び最近、一人当たりの通園日数を減らさなければならない状況になってきているんですけれども、この状況をどう認識していらっしゃいますか。
○芦田障害者施策推進部長 現在、都内には医療型十六施設、地域施設活用型九施設、合わせて二十五の通所施設があり、合計定員数は四百二十二名となっております。通所日数につきましては、利用者の心身の状況や家庭状況等を踏まえて調整が必要になる場合があると認識をしております。重症心身障害児者通所事業につきましては、東京都障害者計画におきまして、平成二十一年度から二十三年度までの三年間に百五人分の定員を確保することとしております。今後も在宅で生活する重症心身障害児者の方が身近な地域の中で日中活動の場が確保できるよう、通所施設の整備に取り組んでまいります。
○大山委員 利用者の心身の状況や家庭状況等を踏まえて調整が必要になる、これ、もちろん本人が、通所の日数が確保されていて、ぐあいが悪いからきょうはお休みということだったらそれは別に構わないわけです。しかし、一週間の通園日数、基本の通園日数を減らすような相談をしなければならないという状況なんです。きちんと生活リズムを整えることは重要で、毎日通園するということは重要なわけですよね。しかも、週に三日しか通えない。人数が多いから調整しなきゃいけないといって、あなたは週に三日ですよ、月水金だけですよということになったら、一日体調が悪くて休んだら、ほとんど一週間のうち登園できない、通園できないという状況になってしまうわけなんです。
また、利用者が四十代、五十代になってきていることは、そのお母さん、お父さんたちは、六十代、七十代になっているわけです。お母さんたち、気持ちは若いけど体がついていけない、こういうわけですね。腰を痛めたとか、通院しながら介助しているとか、また、親御さんの介護をしながらやっているんだという方も出てきているわけです。だからこそ、在宅で超重症の方々も過ごせるようにするための支援をさらに充実することが求められているわけです。
通園できる施設を増設することが求められていますが、どうですか。
○芦田障害者施策推進部長 先ほど申し上げましたとおり、平成二十一年度から平成二十三年度までの三年間に、百五人分の定員を確保することとしております。従来からの医療型通所施設について規模増を図るほか、障害者福祉施設に看護師等を配置し、比較的軽度な医療的ケアの必要な重症心身障害者の受け入れを行う、地域施設活用型施設の整備にも取り組んでいるところでございます。
また、施設整備を促進するため、設置者に対し施設整備費等の補助も行っております。今年度はこれまでに地域施設活用型施設一カ所、定員五名を確保しておりますが、二十三年度までのさらなる増設を目指して、現在関係機関と協議中でございます。
○大山委員 東京都障害者計画で、平成二十一年度から二十三年度までの三年間で百五人分を整備するんだということですね。今年度は地域施設活用型で一カ所、定員五人を確保したんだということですが、通園の施設、実際に二十一、二十二、二十三年度までの計画ですが、今年度までに幾つふえて、あと二十三年度までに幾つふえるんでしょうか。そのうち医療的な看護ケアができるところはどれぐらいあるんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 重症心身障害者の通所事業につきましては、東京都障害者計画におきまして、平成二十一年度から二十三年度までの三年間に百五人分の定員を確保することとしております。二十一年度から、これまでに医療型、一施設五人分、地域施設活用型、三施設十五人分、合わせて四施設二十人分を整備しております。引き続き目標達成に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
なお、新規開設の四施設にはすべて看護師が配置されておりまして、看護ケアに対応可能となっております。
○大山委員 三年間の目標が百五人分ですということなんですが、三年計画のうち、二年間、もう三分の二過ぎるわけですが、二十人分ということですから二〇%にも到達していないという状況です。看護師が配置されているから、医療ケアも四施設とも大丈夫ということなんですが、地域施設活用型だと病院が併設されていませんから、超重症の方はやはり通えないんですよね。近くに通所ができるというのは重要ですから、地域に通所施設ができることはさらに促進させてほしいですけれども、しかし、余りにも足りない、それから目標にも達しないというのは、もう明確ではないでしょうか。
今後、特別支援学校を卒業する子どもたち、この人数というのはわかっているはずです。今後五年間で、高等部を卒業して重症心身障害児者施設に通所するであろう人数、この人数は何人と推計しているんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 教育庁の平成二十一年度公立学校統計調査報告書によれば、特別支援学校高等部の重度重複学級在籍者は四百四十四名となっております。学年別の人数は明らかになっておりませんが、おおむね毎年百人から百五十人程度の方が卒業されると考えております。
なお、本年四月に重症心身障害児者の通所施設に入所した人数は六十八人であり、また前年度の退所者は三十五人でございました。
○大山委員 少なくても、今後五年間で、重度重複学級、四百四十四人が卒業するわけです。今でも、もう通園日数を調整しなきゃいけないという状況の中で、五年間で四百四十四人卒業予定ですから、どう受け入れようというんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 都は、重症心身障害児者が住みなれた地域で安心して生活できるよう東京都障害者計画に基づきまして、重症心身障害児者の通所施設の整備を進めております。今後も通所施設の整備を進めてまいります。
○大山委員 進めてまいりますというのはいいわけです。進めていってもらわなきゃ困るんです。しかし、三年間で百五人の計画で整備するという計画が、二年たっても二割も進んでいないわけです。百人から百五十人卒業しているわけでしょう、一年間に。
ですから、新しい計画も、目標を達成するために具体的にどうしようとしているんですか。具体的にどうするのか示してください。
○芦田障害者施策推進部長 先ほどから申し上げておりますように、東京都障害者計画に基づきまして整備を進めているところです。現在の計画の目標達成に向けて、区市町村や関係機関と現在協議を進めているところでございます。
○大山委員 目標達成に向けて全力を尽くすというのは当然なんですけれども、余りにも追いつかないというところでは、やはりきちんとやってもらう。どうしたらいいのかというのは、もっと工夫しながらというか、ちゃんと本気になってやっていかなきゃいけないことなんですよね。圧倒的にふやさなければ、重症児者の在宅生活は守れないというところまで来ているんじゃないんでしょうか。いつまで在宅で介護できるかわからない、自分が体が動かなくなったらどうすればいいのかと、お母さんたちは、もうせっぱ詰まっているわけです。また親なき後はどうなってしまうのか、こう心配しているわけです。
通所施設はとにかくつくろうという計画ですが、入所施設はつくらないという方針になっていますが、入所者が亡くならなければ新たには入所できない、こういう状況になっています。超重症者等が希望すれば施設やグループホームに入所できるという安心も必要です。ですから、看護師の養成、確保を初め、通所施設はせめて目標を達成できるように圧倒的に増設することなんです。入所施設の設置も切実です。ですから、そのためにも入所、通所とも、東京都みずからが設置することにも改めて踏み出すべきだと、踏み出すときだということを求めておきます。
次ですけれども、清瀬園です。
東京都清瀬園は、東京都が設置して、民生児童委員が中心になって設立した社会福祉法人東京都民生委員薫風会が受託、運営している、いわゆる公設民営の身体障害者更生施設です。当初は、結核回復者の社会復帰施設として開設しましたが、現在はさまざまな内部障害者の方々が利用しています。事業概要で就職先を見ると、一般事務、設備管理、研究開発、清掃、臨床検査、パソコン画面でレイアウトなどをするOTPオペレーターなどなどと、この数年さまざまな企業や病院に就職しています。先日、私も清瀬園に行ってきました。これ、生徒さんたちがパソコンを使って雑誌やポスター、パンフレットをつくっているんですけれども、これは生徒さんたちがつくったものです。
この清瀬園を廃止するというわけですけれども、廃止する理由というのは何なんでしょうか。東京都は、どういう経過で廃止を決めて、その方針はどこで明らかにしているんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 東京都清瀬園は、昭和三十一年に結核回復者のための施設として開設し、その後、昭和四十二年の身体障害者福祉法の一部改正により、内部障害者更生施設に移行し、中軽度の内部障害者の入所更生施設として一定の役割を果たしてきました。その後、障害者の地域移行が進められる中、平成十八年の障害者自立支援法の施行により、入所施設は、重度障害者に対応するという目的が一層明確化されました。また地域における障害者の多様な就労支援策が拡充する中、東京都清瀬園については利用者の減少が著しく、今後も増加が見込まれないことから、平成二十四年三月末の指定管理期間の終了とともに廃止をすることといたしました。東京都清瀬園廃止の方針につきましては、本年七月に指定管理者である社会福祉法人に示した後、施設の利用者を初め、区市町村、関係団体等への説明を行ってきたところでございます。
○大山委員 ことし七月に法人に都の方針を示して、利用者を初め、区市町村関係団体へ説明したんだということですね。関係団体に説明済みということなんですけれども、結核回復者を中心とした団体である東京都患者同盟は、東京都に対する来年度予算要望で、清瀬園の事業廃止に反対だと表明をして、清瀬園は結核回復者など内部障害者が利用できる施設で、多数の内部障害者が職業訓練を受けて社会に復帰してきました。今後とも、多くの内部障害者の社会復帰のために利用できるよう、施設を存続していただきたい、こう要望しているわけです。
東京都腎臓病協議会は、清瀬園について、内部障害者の就業前の訓練機関を閉鎖しないでください、こう要望しています。また、東京都難病団体連絡会は、難病患者の社会自立に向けての支援として、内部障害者更生施設、東京都清瀬園に結核回復者と同様に入所できるよう、厚生労働省に通知を出すよう働きかけてくださいと要望しています。清瀬園の役割を評価して、難病患者にも門戸を広げてほしい、こう要望しているわけです。
これらの団体の要望、説明したんだといいますけれども、こうやって要望が出ているわけです。この要望をどう認識して受けとめているんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 三団体からは、おっしゃるような要望をいただいておりまして、東京都患者同盟、東京都腎臓病協議会に対しましては、本年七月以降、個別に廃止の経緯等を丁寧に説明を行ってまいりました。また、東京都難病団体連絡会に対しましては、現行の法体系のもとで東京都清瀬園は身体障害者手帳所持者が利用する施設であり、難病の方たちの施設利用は困難であること、また厚生労働省への要望も困難である旨、説明をしております。
○大山委員 丁寧に説明をしたんだっておっしゃいますけれども、東京都は説明しましたが、団体は納得していないわけですよね。だから要望書を出しているわけです。先ほどの答弁の中に、障害者自立支援法の施行によりといっていますけれども、自立支援法はまれに見る悪法だということで廃止予定ではありませんか。自立支援法のもとで内部障害者独自のニーズに対応する入所施設はどんどんなくなっています。全国五カ所の内部障害者の入所更生施設のうち、既に二カ所は新体系の生活介護に移行しました。あと二カ所も、平成二十三年度末に新体系に移行する予定で、東京都の浅川園は、養護老人ホームへの移行を予定しているということです。
ですから、内部障害者専用の施設は全国でも清瀬園しか残らないんです。都が計画しているように、清瀬園を廃止したら、内部障害者の職業訓練、一カ所もなくなってしまいます。都独自事業としてでも存続させることが必要なんじゃないんでしょうか。
さらに、入所施設は重度対応だから廃止なんだ、そう答弁しましたが、清瀬園に私たち伺いました。そのとき、就職が決まったという女性にお話を伺ったんですが、この方は、体力的に通うのは無理、医者からも通うんだったら体がもたないといわれたんです。入所して受けられたのでよかった、こう語っておられました。入所施設でなければ、この方は学ぶことができなかった、就職もできなかったということですよね。清瀬園があったからこそ就職も決まり、在宅での仕事ができるようになったんです。廃止の理由として全く成り立たないといわざるを得ません。
HIVの免疫不全の患者さんもここで職業訓練できる、これは重要なことなんです。医療のバックアップの必要な内部障害者の方にとって、清瀬園のような入所施設は必要なんです。利用者の減少が著しいといいますけれども、職業訓練などは時代によって必要とされる職種も変わるし、利用者の要望もあります。比較的需要の高い、また人気のあるコースなどを設定する。そういう工夫をして存続させることは検討しなかったんでしょうか。
○芦田障害者施策推進部長 東京都清瀬園では、これまでも利用者ニーズや社会需要等に合わせて訓練科目や訓練内容の見直しを行ってきました。しかし、これらの見直しを行った上でも、なお入所施設のニーズ減少は著しく、地域における障害者の多様な就労支援策が拡充する中、利用者の増加は望めず、平成二十二年四月一日現在、定員百四十名に対して利用者は二十二名となっております。
○大山委員 これまでも、利用者ニーズに合わせて訓練科目や訓練内容の見直しをしてきたと答弁されましたけれども、今まで一番人気が高くて、平成十六年度には利用者が四十七人いた臨床検査技術のコースを廃止したために、その部分がゼロになったんですよね。人気が高い科目を廃止して利用者が減少したからなどという理屈は立ちません。校舎も見学させてもらいましたが、臨床検査技術の教室はそのまま残っています。
臨床検査技術科を廃止したのは、講師が来ていた、隣接していた薫風会の病院が廃止になったからということなんですけれども、講師をほかから呼ぶことだって考えられます。臨床検査技術だけでなく、医療系の職種、コメディカルは今後も必要とされるんじゃないんでしょうか。障害者の皆さんが障害者のためのサービス提供を行う事業、これも今、注目されているんです。そういうような事業についての講習を実施するなど、新たなニーズに対応する魅力的なコースを新設して、利用者を拡大する努力が求められています。
希望者が少ないということなんですが、清瀬園といっても、当事者でもわからないし、内部障害者更生施設といってもなかなかわからないわけです。ここは福祉サービス第三者評価も毎年受けています。ほとんどの評価がAということになっているんです。二十一年度評価結果を見ましたら、利用者調査結果で、調査結果全体コメントでは、全体コメントというのがあるんです、職員は就職に対するアドバイスはもちろん、面接にも同行してくれた。利用者がこう書いているわけです。職員は親身に働いてくれ、動いてくれて心強いなど、内部障害を持っている方々が働いていくために大きな役割を果たしているし、頼りにされているんです。同時に、利用者のコメントです。ここは資格が取れて就職に結びついていることを宣伝すべき、こういうコメントが取り上げられていました。第三者評価でも、もっと宣伝した方がいい、こういうことを促しているということじゃないんでしょうか。知らせる方法も、工夫が必要なんじゃないですか。
○芦田障害者施策推進部長 東京都清瀬園では、内部障害者に施設の事業内容を周知するため、平成六年から施設の広報紙であります「清瀬園だより」を年に数回発行し、平成二十一年度は患者団体や医療機関、区市町村等、約千三百カ所に配布いたしました。また、平成十一年度にはホームページを開設し、利用希望者が直接情報にアクセスできるよう努めてきたところです。さらに平成十七年度からは、年に数回、施設見学会を開催し、利用希望者などが直接施設を見学できるようにしてきました。施設見学会の案内は患者団体、医療機関、特別支援学校、区市町村など、約千三百カ所に送付をしておりますが、平成二十一年度は六回開催し、約六十名の参加者がございました。
このほかにも、患者会の講演会や関係機関等を訪問し、施設のPRを行うなど、これまでも多様な方法により積極的に施設の存在を周知してきたところでございます。
○大山委員 知らせているんだというわけですけれども、知らせているつもりでも伝わらなかったら元も子もないわけですよね。さっきの、利用者がもっと知らせた方がいいんじゃないかと、こういうぐらいですから、そうなんですよ。
実際、清瀬園に行ったときに話を聞けた利用者も、清瀬園のようなところを五年間探したというんですよ。厚労省のだとハローワークには出ているんです。しかし、清瀬園は出てこない。名前もわからないし、探せなかったというんですね。患者団体に自分の名前を登録して初めて情報を出してくれたと話していたんです。すべての方が患者会に登録しているわけではないでしょうし、必要としている方々がいるということは、廃止などしてはいけないということなんです。廃止の方針は取り下げて、どう生かしていくのかということを検討することこそ必要であることを述べておきます。
次は、国保です。特別区の国保について伺います。
今までも国保料が高くて払えない、滞納したために、資格証や短期保険証になってしまって、病気でも病院に行けないなど、多くの問題が噴き出ていました。
このグラフ、東京都国民健康保険の事業状況に出ていたものです。この下から二番目のグラフは何かというと、特別区の現年度分の保険料徴収率、平成十年度からもうずっと下がっているんです。ちょっと上がって、またぐっと下がっているんですね。この平成十年度からずっと減少傾向だったわけです。十九年度から二十年度では、二・八五ポイントも下がっていて、八二・四九%の収納率です。
この状況の中で、特別区国民健康保険制度について、ことし、どのような検討をしているんでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 特別区では、本年一月の特別区長会におきまして、平成二十三年度から、保険料の賦課方式について、税制改正の影響を大きく受ける住民税方式から、影響を受けにくい旧ただし書き方式へ変更する方針を決定しております。国民健康保険制度では、この旧ただし書き方式が保険料の所得割賦課の原則となっており、全国的にも九八%の市町村が既に採用しております。
また、都内においては、特別区を除くすべての市町村が既に旧ただし書き方式を採用しております。
○大山委員 今、特別区では、平成二十三年度から旧ただし書き方式へ賦課方式を変更する方針を決定したんだと答弁されました。特別区が旧ただし書き方式へ賦課方式を変更する方針を決定といいましたが、現在は、区長会の内部で方針を決めたという話ですよね。任意団体であります区長会が、事前に議会に諮る仕組みもなくて、区民や都民参加もないまま、国保料算定の基本にかかわる方針を決めていく区の国民健康保険運営協議会だとか、区議会に提案されるときには、区長会で決めましたということで、もう既定事実のようになっているんですね。そういうやり方は抜本的に改善する必要があると思っています。
旧ただし書き方式にするという賦課方式の変更も条例事項ですよね。ですから、今後、来年の第一回定例会で各区議会の議決がなければ賦課方式を変えることはできません。だからこそ今、この賦課方式が変わったらどうなるのかということを区民、都民の皆さんに知らせることが重要なんじゃないんでしょうか。
今の住民税方式では、その世帯に合わせたさまざまな控除が反映しますが、旧ただし書き方式では反映しません。保険料の賦課方式を現在の住民税方式から旧ただし書き方式にすると、どのような影響があるんでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 旧ただし書き方式への移行について区長会で決定したというのは、方針として決定したということで、当然、その後、各保険者がそれぞれのご判断で決定するということになっております。
ただ、区長会は協議機関でございますので、一定そういう方針を決めたということでございます。
旧ただし書き方式を採用する場合ですけれども、これは所得に対して保険料の賦課をするということになるため、これまで住民税が非課税で、所得割が賦課されなかった世帯でも、所得に応じて賦課される場合はございます。
その一方、中間所得者層に所得割の負担が偏っております住民税方式と比べると、旧ただし書き方式は、所得に応じて幅広い世帯が負担するため、より公平に保険料を賦課できるものとなります。
現時点では、二十三年度の実際の影響額は不明でございますけれども、賦課方式の変更に伴い保険料負担が増加する階層に対しては、特別区では、経過措置として二年間の保険料の減額措置を講じる予定というふうに聞いております。
○大山委員 中間所得者には減額になるんだというようなことですが、旧ただし書き方式では、公的年金控除の必要経費と基礎控除は認められていますが、扶養控除を初め、各種控除については控除されないために、障害者がいる世帯だとか、低所得者で多人数の世帯ほど大きな負担になってしまうわけですね。
事実、板橋区が、〇九年度の国民健康保険料を旧ただし書き方式によって試算した結果を見てみましたら、住民税賦課方式と比較して、加入世帯の三一・九%が負担増になります。二人以上の世帯では六八・七%の世帯が負担増となって、四人以上世帯では減額になる世帯は皆無でした。
また、所得階層で見ると、二人世帯で増額となるのは、一円から三百万円未満の世帯で一四・二%、三人世帯の場合は、増額となるのは一円から六百万円未満の所得階層で六・二%です。
実際、武蔵野市は、今年度から旧ただし書き方式になりました。契約社員として働きながら一人で障害のある三十代のお子さんを育てている五十八歳の女性、昨年度の保険料は約六万四千八百円だったんです。それが、今年度は、何と二十七万四千円になってしまいました。この方の場合、昨年の所得は三百万円、昨年度までの住民税方式なら、障害者や扶養の控除、寡婦控除、こういう控除後の課税標準額による市民税をもとに算出した保険料でしたが、旧ただし書き方式では、所得から基礎控除の三十三万円だけしか引けないからです。四倍以上になった保険料ですが、これでも、さっきご答弁されていた激変緩和措置を講じているんですね。ですから、本当だったらもっと高くなるんです。
こういう事態が起きることを都としてどう考えているんでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 国民健康保険事業は、保険者である区市町村の判断により運営されております。今、お問い合わせの件は、武蔵野市の個別のケースですので、それについてはちょっと私どもも事実はわかりませんのでお答えできませんが、保険者がどのような保険料賦課方式の変更、もしくは採用するか、その対応策等については、保険者である各自治体において検討し、判断されるものと考えております。
○大山委員 区市町村の判断なんだということですけれども、実際、今のは具体的な事例なわけです。そして、低所得者や控除が多い方や、それから、世帯が多ければ安くなる人はいないわけですよね。保険料負担がふえてしまう、そういう賦課方式なんですよ。低所得、障害者、一人親、それから世帯人数が四人以上の方々、そういう方々の保険料負担がふえてしまう賦課方式なんですね。二年間の激変緩和だけで解決できる問題ではありません。
都として、区民、都民への情報提供、情報公開をするとともに、保険料値上げをしなくて済むよう、区市町村国保への財政支援を行うことを強く求めておくものです。
保険料とともに大きな負担となっているのが医療費の窓口負担です。これまでも何度も取り上げましたが、例えば、歯科保険医協会が行った受診実態調査では、六百四名の会員さん、歯医者さんですね、の回答のうち、経済的理由による中断があるというのが四五%にも上っているんです。このようなときに、医療費の一部負担金の減免を拡充することは重要です。
国は、各都道府県に対して、医療費の一部負担金の減免について通知の一部改正を出しました。そして、国の基準は最低限のもので、市町村がさらに上積みをすることが望ましい、こう答弁しているんですね。
都内の自治体の減免の状況はどうなっているでしょうか。国の示したものと比較してどうなっているでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 一部負担金の減免制度は、先ほど小磯委員にもお答えしたとおり、国民健康保険法第四十四条に基づきまして、保険者である各区市町村の判断により行われているものです。
国が出しました通知の中では、世帯の収入の認定基準として、生活保護基準以下であることとしておりますけれども、各区市町村の基準はそれよりも緩和されている場合が多くございます。
また、国の通知では、預貯金について生活保護基準の三カ月程度の保有を認めておりますが、預貯金など資産に関する取り扱いは各区市町村ごとに個別に判断をされておりまして、保険者である各区市町村ごとに異なっている部分でございますため、一概に国通知の内容との比較はできません。
○大山委員 国が最低基準を初めて示したということは重要なんです。そして、都内の区市町村では、収入の認定基準は国よりは緩和されているという状況です。
資料で出してもらいましたが、さっきも出ていましたが、昨年度の窓口負担の減免状況、わずか百二十六件、非常に少ないと思うんですが、どのような理由があると考えていらっしゃるんですか。
○宮垣地域保健担当部長 一部負担金の減免制度は、もともと災害、失業、その他特別の事情により一時的に生活が困窮した場合に、窓口での支払いの一部負担金を減額、または免除するものでございます。
減免に当たりましては、各区市町村がみずから定めた基準にのっとりまして、みずからの判断により行っているところです。
○大山委員 各区の判断なんだということですけれども、それにしても、この三年間、市町村はほとんどゼロですよね。
私、新宿区出身ですけれども、新宿区も、昨年、一昨年はゼロなんです。どうしてゼロなんでしょうと区に聞いたら、相談に来る方は、話を聞いていると、ほとんど生活保護の対象になる方たちばかりだったから、福祉事務所の窓口を紹介して生活保護受給になったというんですね。
しかし、一部負担金の減免の収入基準は、大体特別区の共通基準ですけれども、生活保護基準の一・一五倍なんですね。それだとほとんど生活保護基準と同じということなんです。ですから、この収入基準を、例えば、都内の小中学校の就学援助の基準、平均すると生保基準の一・三程度ですよね。そのくらいは必要だということではないんでしょうか。
しかし、年間何人ぐらい相談に来るのかというのは、統計をとっていないので区でもわかりませんというんですね。つまり、相談に来る人は、生活保護受給ができるくらいにならないと減免の相談にも来ないということですから、貯金もなくなってから、やっと来るんですね。そこまで追い込まれなくても減免できますよ、そういうメッセージを行政として出していくというのが重要なことだと思っています。
都民は、医療費負担で苦しんでいるわけですから、都として、せめて都民にPRぐらいするというのは必要だと思っています。
さっき、周知について、これまでも国保のしおりだとか、指導や助言をしているんだという答弁がありました。幾つかの自治体のホームページでお知らせを見ましたが、どこも、どの程度の収入の人が対象になるのかというのは、ホームページを見ただけでわからないんですね。お問い合わせくださいと、こうなんですよ。
ですから、自分が該当しそうだなと思わないと、なかなか問い合わせしてみたいと、こう思わないわけですね。せめて、自分は該当しそうだということがわかるようなお知らせにした方がいいと思うんですが、東京都もそういう方向で指導助言していただきたいと思いますが、どうですか。
○宮垣地域保健担当部長 先ほども小磯委員にお答えしましたとおり、一部負担金の減免は、保険者である各区市町村がみずからの判断により行うもので、被保険者の方への周知につきましても各区市町村が行っております。
東京都としては、被保険者への周知を図るよう、区市町村に対して引き続き指導助言をしてまいります。
○大山委員 さっき、そのように答弁されたから、具体的にこういうのはどうですかといったわけですから、ちょっと考えて答弁していただきたいなと思います。
ですから、せめて区市町村に指導助言するときには、具体的に、こうしたらどうだろうかとか含めて、自分が該当するんだということがわかるような、やり方どうですかみたいなことで、ぜひ、話し合いといいますか、やっていっていただきたいと思っています。
最後ですけれども、デイサービスで宿泊をさせる事業者について。
在宅で暮らしていた高齢者がいざというときに行く場所がない、これはもう本当に深刻です。
高齢者のご夫婦で、奥さんが夫を介護していたんですが、その奥さんが入院してしまったために、認知症も少しあるご主人を介護する人がいなくなっちゃったんです。緊急にどこかに入所しなければということになったんですが、いろいろ探しても、特養ホームには直ちには入れません。老人保健施設も予約でいっぱいです。ショートステイも、もう何カ月も待つ、すぐには利用できません。そんなときに、デイサービスの事業者ですが、宿泊もできるところがあるということで、わらにもすがる気持ちでそこを利用しました。
その施設で、その夫は深夜に急変して、緊急搬送中に心肺停止となりました。搬送先のお医者さんが、その方の足のすねに骨が見えるほどの傷があったことを見つけました。搬送したときについたような新しい傷ではないということなんですね。
私も、娘さんから写真を見せてもらいましたが、足のすねとすると、この骨のところをずっと傷が赤くなっているというのがわかるんです。それだけの傷というのはかなり痛いと思うんですよ。それなのに、いつ、どこで、どのようにして、その骨が見えるほどのけがをしたのかと疑問に思った娘さんが、お父さんが入所していたときの状況を施設に聞きました。しかし、記録もなくて、傷には気づかなかったとのことなんです。
間もなくお父さんは死亡するんですが、娘さんは、施設にいたときにどのような状況だったのか説明を求めましたが、そのときの職員も管理者も退職していて、何もわからない、そういう状況でした。記録も説明もなく、どうしても納得ができないということで、思い切って国保連に苦情を提出したんです。
国保連が苦情申し立てを受けて、それで事業者を調査して、指導助言しましたという報告書、ここにあります。私も見せてもらいましたが、読ましてもらいましたが、ちょっと黙って見過ごすわけにはいかない、そういう状況です。
この通所事業所は、清水の郷デイサービス十条というところです。まず、最初に伺いますけれども、この事業所を指定したのはだれですか。つまり、介護保険の事業所として開設することを許可したのはだれでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 居宅サービス事業所は許可ではございません。介護保険法に基づく指定は、居宅サービス事業については都道府県の業務でございます。
○大山委員 事業所の指定は、都道府県、だから東京都石原知事がやったんだということですよね。
開設者の定款、従業者の勤務体制、勤務形態、管理者の経歴、運営規定、利用者からの苦情への対応などについて、申請書類を東京都に提出させて、審査を行って、東京都の石原慎太郎知事が指定通知書を発行しているんですね。事業者指定をして開設を許可した東京都の責任も果たす必要があります。
清水の郷デイサービス十条の介護サービス利用に関する苦情に対し、東京都国民健康保険団体連合会が調査を行って、平成二十二年九月十日付で、介護保険法第百七十六条第一項第二号の規定に基づく指導及び助言を行った。その主な指摘事項は、次のようなものでした。
第一に、事業者には契約書と重要事項説明書のほかには契約等に係る記録がなく、いつ、だれに、どのような説明をして、重要事項説明書等の交付を行い、いつ契約に至ったのかについて確認できなかった。
第二に、重要事項説明書に他事業所の管理者名が記載されているなど、職員体制には実際と異なっている点があった。
第三に、管理者を初め、従業者の定期的、計画的な研修は行われていなかった。
第四に、国保連の調査に対し、同事業所は、通所介護計画を、いつ、だれが、どのように作成し、交付したかなどについては不明と回答したとされています。
第五に、通所介護計画の内容は個別性がなく、具体的なサービス内容について記載がなかった。つまり、だれにでも使える介護計画ということですよね。そう指摘されています。
第六に、事業所にはアセスメント記録がなく、どのような情報をもとに通所介護計画書が作成されていたのか確認できなかった。
第七、同事業所では事前のアセスメントを行わず、初回の受け入れの際にも、職員への情報提供等カンファレンスを行っておらず、いつ、だれが、だれからの具体的な介護サービスについての要望を受けたのか記録がなかった。また、サービス提供についてマニュアルが定められておらず、服薬、入れ歯等の管理を初め、どのようなサービス提供を行うかについて具体的な書面での指示もなかった。
第八、同事業所には下肢の傷の有無、つまり足のすねの骨が見えるほどの傷があったのか、なかったのかについても記録がなく、事業所としてどのような健康管理等を行っていたのか確認できなかった。
第九は、同事業所は、生活相談員や介護職員などの業務分掌もなく、業務内容や責務が不明確な上、管理者等の交代も頻繁な中で、研修についても計画的、定期的に行っていなかった。
第十、苦情対応について、急変時の記録がなかったことや、事業所内での連携を図るためのシステムが構築されておらず、だれがどのような対応を行っていたのか、記録はほとんどなかったと指摘されています。
これらの指摘事項は、それぞれが極めて重大な内容だと思いますが、都はどう認識しているんでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 まず、行政法の基本的な知識ですので、許可と届け出による指定は違いますので、一定の要件を満たした場合には指定をしなければならないというのが行政法の規定でございまして、許可ではございません。
お話の介護サービス事業所に対する国保連のさまざまな指摘についてですけれども、大山先生ご指摘のように、これは国保連が介護保険法の百七十六条の第一項第二号に基づいて事業所に行った指導助言でございます。
国保連は、介護サービス利用者からの事業者等の利用にかかわる苦情の相談、申し立てを受けて、調査の上、指導助言を行うこととされております。事業者は厚生労働省令で、三十六条で国保連の指導助言に従って必要な改善を行わなければならないというふうにされております。その調査結果については、申立人に対して通知するとともに、保険者である区市町村等に対して連絡することとしております。
当然、保険者である区市町村は、介護保険法七十六条等に基づいて、必要があるときは、事業所に立ち入り監査することができるというふうに規定をされております。
お話の事業所に対する指導については、既に当該保険者が国保連の指導を踏まえまして、事業所に対して是正に向けた指導を行っているところです。
○大山委員 許可なんていっていないでしょう。ちゃんとよく聞いていてくださいよ。事業所を指定したのはだれですかといったんですよ。よく聞いていてください。私が最初にいったのは、いいますよ、ちゃんと。初めに伺いますが、この事業所を指定したのはだれですか、そう聞いたんです。
国保連が事業者に対し指導助言をしている。そして、保険者と都にも調査書を送付したんですよね。それから、必要があれば保険者が指導なんだ。既に保険者が指導している。そう答えましたけれども、私が聞いたのは、今、十項目挙げたこれらの指摘は極めて重大な内容だと思うけれども、どうなのか。重大だと考えているが、どうなのか。そう聞いたんですよ。ちゃんと答えてください。
○狩野高齢社会対策部長 何度でも申し上げますけれども、保険者である区市町村は、介護保険法七十六条等に基づいて、必要があるときは事業者に対して報告、もしくは帳簿書類の提出を命じ、事業者に対して出頭を求め、または当該職員に関係者に対して質問させ、もしくは事業所に立ち入り、その設備もしくは帳簿書類その他の物件を検査させることができるというのが介護保険法の規定でございます。当然、保険者である区市町村がそうした対応をすべきものでございます。
○大山委員 だれが対応するのかと私が聞いているんじゃないんですよ。重大な問題だと考えるが、どうなんですか。重大なのかどうか、どういう認識なんですかと聞いているんですよ。ですから、それに対して答弁してください。
○狩野高齢社会対策部長 先ほど答弁したとおりでございます。
○大山委員 国保連が指導助言しているから、都は黙って見ていればいい。指導するのは保険者の責任である。全く無責任じゃないですか。
東京都は、この調査結果について、どういう経過で知ったんですか。国保連が東京都に調査結果を送付したとさっきおっしゃいましたけれども、単に送付したんじゃなくて、今回の調査結果は、わざわざ国保連から担当者が東京都に来て、直接その内容について説明したんじゃないんですか。違いますか。
○狩野高齢社会対策部長 国保連では、苦情申し立てに対する調査結果について、東京都に文書をもって連絡しております。
○大山委員 この清水の郷デイサービス十条の通所介護事業所、この清水の郷デイサービス十条に対する指導助言、この紙を、これについて、いつもは送付するだけでしょう。しかし、この清水の郷デイサービス十条については、直接、国保連の人が、担当者が持ってきたんじゃないんですか。そう聞いているんです。持ってきたのかどうか、ちょっとちゃんと答弁してください。
○狩野高齢社会対策部長 国保連の調査結果の連絡については、文書を持参する場合もあれば、郵送する場合もあります。
○大山委員 違うの、だから、この文書は持ってきたんですねと聞いているんです。どうなんですか。
○狩野高齢社会対策部長 ただいま答弁したとおりでございます。
○くまき委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○くまき委員長 速記を始めてください。
○大山委員 円滑なる運営を--ちゃんと答弁してくれないからでしょう。ちゃんと答弁してください。ちゃんと聞きますよ。清水の郷デイサービス十条、この指導助言についての紙を持ってきたんですね。これについて持ってきたのか、持ってこなかったのか、直接持ってきたのか、持ってこなかったのかということを答弁してくださいといっているんです。一般論じゃないです。
○狩野高齢社会対策部長 この文書にも、なお書きが書いてありまして、個人情報の取り扱いについては十分留意されたいというのがいつも付記されておりますので、これについて、ただいまご質問のあったようなことに個別にお答えする考えはございません。
○大山委員 どうしてそんな事実さえもいえないんでしょうかね。
国保連は、普通だったら、東京都と、それから苦情申請者に送付するだけですよね。しかし、国保連は、今回については重大な問題だと考えたから、わざわざ担当者が東京都に出向いて、直接報告をして説明する必要がある。国保連にも聞きましたよ。ちゃんと国保連の担当者が行って説明をしたんです。書面だけでは伝わらない部分もちゃんと説明しなきゃいけないから説明に行ったんです、こういっていましたよ。だから、国保連も非常にこのケースは重大だと、そういう認識だということなんじゃないんですか。
しかも、今回の事業所の本部は株式会社マッスルパワーというんですね。介護には素人の建設業者で、その上、京都の事業者です。私が京都府に問い合わせをしました。平成二十年六月から京都市下京区で事業実施していましたけれども、人員の問題で保健所の指導を受ける事案があって、それに対応できなかったので半年間で撤退したとのことなんですね。運営指導は保険者の区市町村の役割だといいますけれども、こうした他県の本社に対する指導、東京都がしかるべき役割を果たす必要があるのは当然です。今回の問題で見過ごすことができないのは、デイサービスの通所介護事業所が保険外で、何ら規制を受けない形で格安料金で宿泊事業をしていることなんです。
国保連の指導助言でも、介護保険サービスに引き続き、宿泊を伴う利用者へのサービスを提供している現状からも、より一層の配慮を行い、早急に管理者を初めとする職員の計画的な研修、マニュアルの整備などを行って、介護サービスの質の向上を図るよう求めていますね。
私は、清水の郷デイサービス十条に行って話も聞き、様子も見せてもらいました。一戸建てのごく普通の民家ですよ。東京都指定をもらいましたよというのがちゃんと書いてありました。
夕方の六時二十分ごろ伺ったんですが、既に夕食は終わり、部屋には布団も敷いてありました。玄関入ってすぐの十畳の部屋にはお布団二枚、ベッドが一台設置されていて、ソファーも二つ置いてあるんですね、だんだんとね。その隣の六畳の部屋には、ベッド二台が占領していました。奥の部屋にも二人泊まっています。
その日は、ちょうど行った日は、宿泊する人が少なくて、七人だからこの程度なんですけれども、宿泊は十人だから十畳の部屋はあと布団をもう一枚、ですから、もう布団と布団の間がない、密接する形で敷いて、二台のソファーも寝るために使うんだというんですよね。男女混合の雑魚寝状態でした。宿泊のための施設設備を整えていない通所事業所で宿泊事業を実施するんですから、このような、男女の別なく、雑魚寝のような事態が生じてしまうんですね。
このような実態はどう把握しているんでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 保険者であります区市町村は、通所介護事業所の運営の延長として、例えば宿泊サービスを行っている実態があれば、保険外サービスであっても必要に応じて状況を把握することは可能でございます。
また、こうした介護保険外サービスの利用に際しましては、ケアマネジャーは、厚生労働省の運営基準に定めるところにより、保険外サービスの利用に対しても適切なケアマネジメントによりケアプランに位置づけることが求められております。
さらに、少なくとも月一回の利用者との面接やサービス担当者会議などにより、事業所や利用者の状況を把握する立場にございます。
したがいまして、保険者やケアマネジャーが適切に把握すべきものと考えております。
○大山委員 東京都は把握していないということですね。
職員の労働条件もひどいんです。この日に泊まりの職員は、普通の勤務の日勤をして、そのまま泊まりに入って、翌日は帰れるんですかといったら、また日勤だというんですよね。しかも職員は、もうお布団いっぱいですから、どこに寝るんですかといったら、台所の食卓に突っ伏して寝るんだ、月に六回は泊まりがあるといっていました。
こういう実態はどう把握しているんですか。
○狩野高齢社会対策部長 職員の勤務条件については、労働基準法か関連法令にのっとって各事業所が定めるものでございます。事業所における労働基準の遵守状況に関する指導監督については、労働基準監督署において行っております。
都は、介護保険の新規指定、指定更新を行う事業者に対して、研修会を実施し、介護従事者の労働条件の確保、改善について啓発活動を実施するため作成された介護労働者の労働条件の確保、改善のパンフレットを活用して事業者への周知を図っております。
○大山委員 ここのを把握していないということですよね。そんなことで利用者の安全守れないですよ。労基法に基づいて実施している事業者ならこんなところで問題にはなりません。
東京都が指定したデイサービスで働いている職員が、夜通し丸々二日間働いているんですよ。夜ほとんど眠れない職員が高齢者の介護に携わる。都が指定した事業者で保険外の事業を行って、そこでどんな勤務をしていても知らん顔。そういう意味では、保険内の事業が適正に実施できるのか、それが問われていることです。
清水の郷だけでも都内に三カ所の事業所があります。しかも、清水の郷だけではなくて、通所介護事業者による格安宿泊事業は、何ら規制されないままどんどんふえています。
東京都は、介護保険外でふえ続けているデイサービスの事業者の宿泊サービスに関して、どのように把握し、どう認識しているんでしょう。
○狩野高齢社会対策部長 介護保険事業所の中には、介護保険サービスのほかに、例えば訪問介護における病院の付き添い介助などの保険外サービスを提供したり、宅老所という名称で、デイサービスと保険外の宿泊など、さまざまなサービスを柔軟に組み合わせて提供している事例は全国にございます。
介護保険事業所の運営実態を把握することは、基本的に保険者である区市町村の役割であり、通所介護事業所の運営の延長として宿泊等のサービスを行っているのであれば、保険外サービスであっても、必要に応じて区市町村が状況を把握することは可能でございます。
○大山委員 どのように把握し、どう認識しているのかといったわけですけれども、今回の事案で亡くなった方は、二カ月連続して宿泊していました。一泊二千百円です。ほかの事業者は、何とこれ料金表ですけれども、お泊まり利用料金概算見積一覧表というのがあるんですよね。一泊、何と八百円です。ネットカフェや簡易宿泊所よりも安いんです。しかも、三十泊三十一日、そういう料金設定があるわけですから、実態としては入所施設なんですね。
こういう事態が広がっていることを東京都はどう受けとめているんでしょうか。サービスの質が心配だとは思わないんでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 こうした事業所がふえている理由ですけれども、これはあくまで科学的に分析をしたわけでありませんので推測ですけれども、既存の通所介護事業所の多くは、サービス提供の時間帯が基本的に午前九時から午後五時までに限定されているなど、多様なニーズに必ずしも十分対応し切れていないということで、利用時間の延長や必要に応じて宿泊もできるなど、柔軟なサービスを保険外で提供する事業所がふえてきているものと考えられます。
都では、認知症高齢者の在宅生活を支援するために、平成二十一年度から、認知症対応型通所介護事業所における早朝夜間の利用時間延長等宿泊サービスについてのモデル事業を既に実施しております。都のモデル事業を踏まえて、国におきましても、平成二十三年度の予算要求において、宿泊つきデイサービスの制度化を提案しているところでございます。
○大山委員 ちゃんと質問したことに答えてくださいよ。こういうネットカフェや簡易宿泊所よりも安いような状況で、入所施設化しているんですよ。ほとんど入所施設化しているわけですよ。
先日、私たちが行ったときにも、清水の郷デイサービス十条に泊まっている人は、男性一人いて、もう二年以上だというわけですよね。もう一人の女性の方もお話を伺ったら、夏から泊まっている、こういうわけですね。東京都がデイサービスで指定したところで、しかも男女混合の雑魚寝状態なんですよ。
三重県では、デイサービスでの夜間の宿泊について、通報があったので、早朝立入調査を行って、六畳だとか八畳に四人で寝ている。デイサービスセンターで何年も泊まっていて、住居のようになっていたなどということがわかって、いろいろあって、行政処分をしたということなんですよ。清水の郷デイサービス十条も同じような状況ではないんですか。
他県ではきちんと指定した責任を果たしているんじゃないでしょうか。少なくとも東京都もこういう対応が求められるんじゃないんですか。
○狩野高齢社会対策部長 何度も申し上げますように、保険者である区市町村は、通所介護事業所の運営の延長として、宿泊サービスを行っている実態があれば、保険外サービスであっても必要に応じて状況を把握することは可能でございます。
また、先ほど申し上げましたように、介護保険外のサービスの利用についても、介護支援専門員は、適切なケアマネジメントによってケアプランにきちんと位置づけることが求められておりますし、少なくとも月に一回の利用者との面接とかサービス担当者会議などによって状況を把握する立場にございます。
保険者である区市町村が、介護保険法の七十六条等に基づいて、監査の結果、事業者が法七十七条の指定の取り消し等に該当すると認めるときは、都道府県知事に通知しなければならないとされており、そうした通知があれば、都道府県は介護保険法七十六条に基づく監査を行い、必要に応じて、法七十六条の二、七十七条に基づく改善勧告、命令、指定の取り消し等を行うことができることになっております。
○大山委員 指定した事業所でこういうことが起きているんですよ。しかも、他県では、指定した責任を果たしているじゃありませんか。
区の職員に聞いたんですが、利用者がデイサービスについている宿泊を使う理由というのは主に二つだというんですね。一つは経済的な問題です。ショートステイより安いんです。介護度によって違いますが、一割負担で千円ちょっとですね。それに部屋代と食費。もう一つの理由はショートがとれないから。デイサービスで宿泊をさせるところは、高齢者のネットカフェ、そう呼ばれているといっていました。
国保連の報告もあるんですから、夜間の職員体制がどうなっているのか、どのようなところで宿泊しているかなど、都としてまずは調査することが必要なんじゃないんですか。
○狩野高齢社会対策部長 ご指摘のように保険者が認識をしているのであれば、法七十六条に基づいて、保険者である区市町村は立入調査を行うことができることとされております。
○大山委員 都が指定している、他県ではちゃんと責任を果たしているわけですよ。幾ら書類がそろっているから指定せざるを得ないなどといっているんじゃなくて、現状を調査するところから出発するべきですよ。
デイサービスの事業所で宿泊もさせるところがふえていますけれども、都内で幾つぐらいあって、どれぐらいの方々が利用しているんでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 介護保険外のサービスについては、行政に対する届け出や報告の義務は課せられておりません。
○大山委員 本当にいつまでそういうことをいっているのでしょうかといわざるを得ないですよ。少なくとも幾つかの県では、指定した責任を果たそうとしています。三重県だとか兵庫県などでは、デイサービス事業者が宿泊する場合の要綱をつくっているんですよ。他の自治体の取り組みも参考にしながら、とにかく実態把握することが先決です。
東京都は、デイサービス事業者が宿泊をさせていることに関して、問題意識、持っていたんじゃないですか。〇八年には三回、わざわざ区市町村の介護保険担当者を集めて、デイサービスで宿泊させている事業者についての情報を提供して、情報交換しているじゃありませんか。事業者を指定した責任があるからこそ、情報提供して、情報交換の会議をわざわざ行ったんじゃないんですか。違うんでしょうか。
二〇〇八年の六月、東京都がその会議のときに出た質問に対して区市町村に送付した文書をもらいました。そこには、今後の対応についてという項目があって、今後、実地検査を行う場合は、区市町村と東京都が共同して一斉に対応することとし、こう書いてあるんですよね。清水の郷デイサービス十条の問題について、区と共同してどう対応したんですか。
○狩野高齢社会対策部長 いわれるまでもなく東京都は、保険者である区市町村に対して、介護サービス事業者の実態を的確に把握し、適切なケアマネジメントにおいて保険外サービスが利用できているかどうか確認をするように指導しております。
○大山委員 これ、こういう文書をわざわざ東京都が出しているんですよ。区市町村の介護保険担当課長殿、今後の対応についてということで、区市町村と東京都が共同して一斉に対応することとし、あらかじめ区市町村に対し説明を行った上、実施したいと考えている、窓口は、福祉保健局指導監査部指導第一課が対応する、そう書いてあるんですよ。
にもかかわらず、清水の郷デイサービス十条の件では、区と国保連と一緒にデイサービス十条に行って調査をして、国保連が指導助言したことについて、国保連から東京都に説明をしに行ったわけですよね、文書を持って。都がどう動いたかは、対応の仕方も含め、区は何も聞いていません。共同して一斉にというんだったら、都も約束を果たすべきじゃないんでしょうか。
もう一つ見過ごせないのはフランチャイズの問題です。清水の郷もフランチャイズ、本部があって、三カ所あるわけですけれども、宿泊事業を行っている通所介護事業者にはフランチャイズが目立つわけです。初期投資が少なくて、介護報酬と宿泊費で安定した収入が入るということで、建設業だとか飲食業から参入しているわけですね。異業種から参入するフランチャイズの事業者に対しては、とりわけ重点的な指導監督を行うこと、これを求めておきたいと思います。
事は高齢者の尊厳にかかわることなんです。東京都が介護事業者を指定した責任を果たして、もうけを優先して高齢者も働く人もないがしろにするような状況は正すことを求めておきます。
以上です。
○たきぐち委員 私からは、三点にわたりまして質問をさせていただきます。
初めに、救急医療、東京ルールについて伺います。
先ほどの質疑の中で、東京ルールについての効果が、ご答弁ありました。地域での受け入れ率が高まっている、選定困難事案が六%から二%に減少しているというご答弁でありましたが、搬送時間につきましては改善をされておりません。九月の末から一週間、活動環境等と詳細を調査したということでございますので、その調査を分析し、搬送時間の短縮に向けて引き続き取り組んでいただくよう、冒頭、要望したいと思います。
東京ルールが円滑に運用できるか否か、それは地域救急医療センターの存在がかぎと考えております。第一回定例会一般質問で取り上げたときには、十二の二次医療圏のうち、八医療圏での取り組みにとどまっておりました。その後、地域救急医療センターの拡充にどのように取り組んできたのか伺います。
○中川原医療政策部長 地域救急医療センターについてでございますけれども、東京ルールの開始に当たりまして、二次救急医療機関に対しまして、個別に地域救急医療センターとしての指定の意向を確認の上、ルール開始の八月三十一日までに八医療圏で二十八カ所を指定したところでございます。
その後、実施圏域の増加にあわせ、地域救急医療センターを順次指定したほか、既に東京ルールを実施している医療圏におきましても、新たに地域救急医療センターとして参画意向のある医療機関を指定しております。
これに加えまして、今年度、地域救急医療センターの診療体制のさらなる強化を図るための支援を充実しております。こうしたことによりまして、本年十月一日現在、都内十二の全圏域で五十九カ所に指定を拡大しております。
今後とも、圏域内の一層の連携強化を図るため、二次救急医療機関などが参画する地域救急会議におきまして、地域の実情に応じて医療機関の意向を確認しながら、固定、あるいは当番型での地域救急医療センターへの参加を働きかけてまいります。
○たきぐち委員 既に実施している医療圏での医療機関の拡充と同時に、未実施だった医療圏での取り組みを進め、十二医療圏すべてで地域救急医療センターが設置されたことは評価をいたしたいと思います。
東京ルールの適用事案には、対応の難しい搬送先選定困難事案、つまり、精神障害者、独居認知症の高齢者、アルコールを大量に摂取した方、路上生活者など傷病以外の部分で対応が困難なケースが多いことがわかっております。
地域救急医療センターに指定されている医療機関の理事長にも、その実情を伺ったことがあります。特に、精神障害者に関する受け入れは極めて難しく、精神障害者全体の施策とも密接にかかわっているかと思います。
こうした問題を解決するためには、精神科との連携、さらに、福祉部門との連携が極めて重要だと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
○中川原医療政策部長 東京ルールに基づく搬送調整事案の中には、困難な背景を有するケースが相当数含まれておりまして、こうした事案に対しましては、救急医療機関だけでなく、関係機関の協力が必要であるというふうに考えております。
このため、各地域で開催する地域救急会議におきまして、例えば、区西南部医療圏では三区の福祉事務所が、北多摩南部医療圏では五市の警察署が、さらに、北多摩北部医療圏では精神科の三医療機関がそれぞれ参画して、患者の受け入れ時や退院時に各機関がその役割に応じた支援を行うよう検討を重ねております。
今後とも、地域の課題解決に向けまして、地域救急会議に関係機関の参画を働きかけるなど、一層の連携強化を図ることにより、東京ルールの円滑な運用に努めてまいります。
○たきぐち委員 各医療圏で開催する地域救急会議に、福祉の担当者や精神科医療機関、あるいは警察関係の方が参加し始めた圏域があるということでございました。こうした関係者と情報共有を図ることによって、受け入れ先である医療機関の負担も軽減され、連携が強化されることが期待できると思います。
私の地元の荒川区は、区東北部医療圏に属しておりますが、今の中には入っていなかったかと思います。昨年の八月以降、準備会も含めて四回の地域救急会議が開催をされてきたというふうに伺っておりますが、この区東北部を初め、まだこうした関係者が加わっていない医療圏につきましても、福祉の担当者や精神科の医療機関、あるいは警察の関係者など、関係機関の参加を強く働きかけていただきたいと思います。
次に、児童虐待について伺います。
耳をふさぎたくなるような児童虐待が後を絶ちません。昨年の四月に大阪市西淀川区で小学校四年生の女の子、ことし一月に江戸川区で小学校一年生の男の子、三月には奈良県桜井市で五歳の男の子、そして、埼玉県蕨市で四歳の男の子、六月に福岡県久留米市で五歳の女の子、そして、大阪市西区で三歳の女の子と一歳の男の子のきょうだいがとうとい命を失いました。私も、八歳、六歳、三歳の子どもがおりますので、こうした事件が報じられるたびに、自分の子どもの年齢と重ね合わせまして、胸が締めつけられる思いであります。
小さな命を守るために、あらゆる施策、最善の対策を講じることが急務だと考えます。虐待防止には、家庭と直接接する医療機関との連携が重要です。医療機関における児童虐待の早期発見、早期対応を促進するため、都としてどのように取り組んでいるのか伺います。
○雜賀少子社会対策部長 児童虐待を早期に発見する上で、子どもの診療を通じ、日常的に子どもに接する医療機関の果たす役割は大変大きいものがございます。
都では、病院が児童虐待の事例に適切に対応できるよう、平成十九年度より、都内の病院に勤務する医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどを対象とした研修を実施しており、平成二十一年度には延べ六百八十七人の医療従事者が参加しております。
また、地域での連携を促進するため、これまで地区医師会単位で実施してまいりました医師、歯科医師向けの研修に、今年度から児童相談所や子ども家庭支援センターの職員なども参加し、児童虐待に対する知識の共有を図り、一体的な対応力を強化するなど、医療機関と連携した虐待対応力向上に取り組んでいるところでございます。
○たきぐち委員 今年度から地区医師会単位で実施してきた医師、歯科医師向けの研修に、児童相談所や子ども家庭支援センター職員が参加して対応を図っているということでございました。
二十一年度の虐待相談を経路別に見ますと、近隣、知人が三五%と最も多く、子ども家庭支援センター一四・二%、家族一二・四%、学校九・八%、警察等八・五%、医療機関三・二%の順となっています。
医療機関は、日々多くの患者の診断をしているという実情や、虐待の通告に抵抗感を持っている小児科医が多いという意識調査もありまして、医療機関経由の相談の比率が低いと推察できます。
病院としても、児童虐待の判断は大変難しいものがあるかと思います。医師個人に虐待の判断をゆだねるのではなく、病院全体として児童虐待の判断を行うべきであり、児童相談所としても、専門家の意見を求めるなど、適切な対応に取り組むべきだと思いますが、都の取り組みを伺います。
○雜賀少子社会対策部長 医療機関からの児童虐待通告につきましては、非常に重篤な案件も少なくないということから、児童虐待について迅速で適切な対応をするということは非常に重要であります。
このためには、専門的な知識と組織的な判断が必要でございます。このため、都では、平成十九年度より、医療相談所が直接産科、小児科を有する医療機関に働きかけまして、院内虐待対策委員会の設置を推進しております。平成二十二年八月現在、三十二の医療機関がそうした委員会を設置し、組織的対応を行っております。
また、児童虐待に対する専門的知見が求められる事例の増加に対応するため、平成十八年度より、児童相談所におきまして、法医学の専門的知識を有する医師や実績の豊富な児童精神科医を協力医師に指定しまして、専門的見地からの意見や診断を得てございます。今年度は、協力医師を昨年度より五人ふやしまして、十五人としたところでございます。
さらに、乳幼児揺さぶられ症候群、あるいは、子どもを病人に仕立て上げます、いわゆる代理によるミュンヒハウゼン症候群、そういった医学的に非常に高度な判断が求められるこういう事例につきましては、複数の専門家から助言をいただきまして、より的確な対応ができるよう努めてございます。
○たきぐち委員 昨年、これは都内の事例ではないんですが、ある方から相談を受けました。当時、ゼロ歳六カ月の乳児、男の子なんですが、母親がテーブルにつかまり立ちをしようとした状況を確認しながら、一瞬目を離したすきに背後から大きな音がして、後頭部を二回強打したところを目撃しました。すぐにクッションの上に寝かせて、人工呼吸をしながら一一九番をして、病院に搬送され、CT検査が行われて硬膜下血腫という診断があって、病院から警察そして児童相談所に通告がなされて、児童相談所から、これは突然ということだったんですが、面談があって一時保護の決定がなされたということです。
母親は、子どもが病院にいる間は毎日病院に通って、医療行為の必要がなくなったということで、二週間ほどたって乳児院に移送されました。乳児院では、子どもと面会することができずに、母乳を自分で届けたりする中で、子どもが肺炎球菌にかかってしまって、そして小児医療センターに運ばれたということです。この間、何度も児童相談所の担当者とは面会をし、ゼロ歳六カ月の乳児にはつかまり立ちは不可能だといわれたら、日付入りのビデオを見せたり、室内の状態を確認してほしいと警察に懇願したり、また今後事故が起きないよう、この親御さんの両親と話をし合ったり、一日でも早い帰宅を願う中で、結果として六カ月後に両親のもとに帰ってきたということであります。生後間もない子どもを事故に遭わせてしまったという罪悪感と、その子どもが目の前にいないという不安、一日一日が母親にとっては何かをしていなければ精神的におかしくなってしまう、どこに助けを求めていいかわからないという、こういう切実な思いを伺ったところでございます。
現在は、こうしたことを忘れようと平穏に暮らして、子どももすくすくと成長しているというふうに伺っております。
今、医療機関との連携ということで、本当に医学的な高度な見地というのが大事になってくるんだと思います。虐待の早期発見のためにあらゆる施策を講じて、体制の構築に全力を尽くしていかなければいけないと思いますが、一方で虐待のおそれがあると判断された後も、もしかしたら虐待ではないかもしれないという、そういうわずかでも可能性がある場合には、慎重にかつ保護者の心情にも配慮した取り組みが求められてくるのではないかなと思っているところです。
大変難しい問題だと思いますけれども、こうした事例も起こり得るということを、ぜひ認識をしていただきたいと思います。その上で児童虐待防止に向けた決意を改めてお聞かせいただけたらと思います。
○雜賀少子社会対策部長 委員ご指摘の個別のケースにつきましては、私はちょっと判断できませんけれども、児童虐待での通告のうち、約三割近くにつきましては虐待被害、つまり虐待がなかったというようなケースもございます。その意味では、通告に対しても慎重な対応が必要であると考えております。
ただ、一方で医療機関からの通告につきましては、非常に重篤な虐待の事例も少なくないということから、医療機関からの対応につきましては、迅速かつ的確な対応が必要であると考えております。
児童虐待防止法が平成十二年度に施行されました。十年になりますけれども、その後、児童福祉法の改正などにおきまして、区市町村が、児童家庭相談の第一義的窓口になること、あるいは児童相談所の立入調査権限の強化など、児童虐待の防止に向けた制度改正が行われてまいりました。しかし、残念ながら児童虐待の相談件数は、いまだ増加が続いております。ただ、これは一方で、児童虐待への都民の関心の高まりということを示しているともいえるかと考えております。
都では、この間、児童相談所の抜本的な改革に取り組みまして、児童福祉員の大幅な増員、虐待対策班の設置、協力弁護士の各児童相談所への配置など、児童相談所の体制を強化してまいりました。さらに、区市町村には虐待対策ワーカーを配置した先駆型の子ども家庭支援センターの設置を推進するなど、これまでも国に先駆けたさまざまな取り組みを行ってまいりました。今後、さらに児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応に取り組みますとともに、虐待を受けた児童のケアやその後の家庭復帰に向けた支援など、児童虐待の防止に向けた総合的な取り組みを強力に進めてまいります。
○たきぐち委員 確かに重篤な事例ということで、医療機関からの連絡があったんだと思います。今後、児童相談所の体制強化をしていくということでありますので、さまざまなケースに対応できるように、ぜひ専門性を高めていただきたいとお願いをいたします。
次に、動物行政、ペットについて伺いたいと思います。
平成十七年に動物愛護管理法が改正され、国の基本指針に基づいて、都道府県の計画策定が義務化されました。これを受けて、都は、それまでの総合基本計画を見直し、平成十九年に東京都動物愛護管理推進計画を策定して、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向けての取り組みをされております。少し細かくなりますが、現状を伺っていきたいと思います。
都は、行き場を失ったり、負傷した動物、犬、猫、ウサギ、鶏、アヒルなどを引き取っているということでありますけれども、ここでは犬と猫に絞って、まず、都における引き取り頭数及び、それが飼い主からの引き取りなのか、拾得者からの引き取りなのか、その内訳と最近の傾向について伺います。
○鈴木健康安全部長 都では、動物の愛護及び管理に関する条例によりまして、真にやむを得ない逼迫した理由があると認めたときに限り、所有者や拾得者から犬、猫を引き取っております。引き取り以外にも、犬の捕獲ですとか負傷した犬や猫の保護、収容などがありますが、これらも含めた、平成二十一年度の犬、猫の取り扱い総数五千八百九十八頭のうち、引き取りの頭数は四千九百六十九頭でございます。
その内訳ですが、所有者からのものが九百七十八頭、拾得者からのものが三千九百九十一頭となっております。
○たきぐち委員 東京都動物愛護相談センターに収容されて、引き受け先が見つからない犬、猫は殺処分されるというわけでありますが、犬、猫の殺処分数は減少傾向にあると聞いております。
ここ十年間の犬、猫の殺処分数の傾向と、減少しているのであれば、その理由、また動物が収容されてから処分されるまでの期間及び所有者への周知方法を伺います。
○鈴木健康安全部長 平成二十一年度の犬、猫の取扱数のうち、致死処分数は四千二百七十四頭となっております。十年前の平成十一年度の致死処分の数は一万三千八百四十六頭でありまして、これと比較すると約七割減少しております。
○たきぐち委員 収容されてから処分されるまでの期間と所有者への周知方法も伺いましたので、お願いします。
○鈴木健康安全部長 約七割致死処分数は減少しておりますが、この減少の理由ですが、都が区市町村や関係団体と連携して取り組んだことによります責任を持って飼い続けることなどの適正飼育や、室内飼いの普及、飼い主のいない猫対策による子猫の減少、新しい飼い主等への譲渡率の向上などが考えられます。
また、所有者の判明しない犬、猫が収容されてから処分されるまでの期間は、都条例の規定によります公示期間を含めて七日間以上となっております。また、所有者への周知方法につきましては、公示のほかに、東京都動物愛護相談センターのホームページに収容した犬、猫の種類、収容した場所、収容日などの情報を画像とともに掲載いたしまして、迷い犬、迷い猫を探している飼い主が情報を検索しやすくすることによって、飼い主への返還の促進を図っているところでございます。
○たきぐち委員 センターのホームページに情報が掲載されているということでありますけれども、このこと自体、まだまだ知らない方が多いかと思いますので、さらなる周知徹底をお願いしたいと思います。殺処分数が減少しているのは譲渡率が高まっているということが要因の一つだと伺っております。
譲渡率の向上に向けて、都は具体的にどのような取り組みをされているのか、また、譲渡される犬と猫の割合について伺います。
○鈴木健康安全部長 都は、飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のあるボランティア団体、現在、計二十四団体ございますが、この団体と連携いたしまして、譲渡対象者の拡大を初め、健康などに問題が見られる場合であっても、治療等によって回復できるものは譲渡対象とするなど、犬、猫の譲渡率向上への仕組みを構築しております。平成二十一年度は、譲渡した犬、猫の約八割がこれらの団体を通じて新たな飼い主に渡っております。
二十一年度に譲渡された犬は四百九十頭で、その譲渡率は約六三%となっております。同様に譲渡された猫は四百五十九頭、その譲渡率は約一〇%となっております。
○たきぐち委員 飼い主のいない猫対策については、都は区市町村に対してどのような支援を行っているのか、また、その実績を伺います。
○鈴木健康安全部長 平成二十一年度の犬、猫の致死処分数、約四千二百七十四頭の約七割は、飼い主のいない猫が産み落とした生後間もない子猫であり、育成困難なため、譲渡ができないものでございます。こうした猫をふやさないために、都は区市町村と連携し、飼い主のいない猫への取り組みが始まったばかりの地域や、効果的な対策が編み出せずにいる地域に対しまして、研修会への講師派遣など支援を行っております。
さらに平成十九年度から区市町村包括補助事業によりまして、飼い主のいない猫対策を行う区市町村を支援しており、現在、十四区、十三区市町村でこの事業を活用した取り組みを進めております。
○たきぐち委員 地域猫の活動に取り組んでいる方と以前話をしましたけれども、こういう方々は、支援助成される以前というのは、自費で避妊手術や去勢手術を行っていたということであります。殺処分の数を減らすためには、こうした地域猫の活動のサポートを引き続きお願いをしたいと思います。
続いて、殺処分の方法について伺います。
以前、増子委員から、現行の炭酸ガスを用いた方法では、動物に恐怖心を与えることから、麻酔薬を用いた安楽死措置に変更できないかと意見、要望をいたしましたが、改めて、都の所見を伺います。
○鈴木健康安全部長 都では、返還、譲渡できなかった動物の致死処分については、国が指針の中で示しております、主に炭酸ガスを用いた方法により実施をしております。現在、国において動物の愛護及び管理に関する法律の見直しが進められておりまして、その中で、犬、猫の致死処分方法も検討されることになっております。都は、この検討の推移を見守ってまいります。
○たきぐち委員 麻酔薬を用いる場合の課題とされる、獣医師職員のケアについては、PTSD対策を取り入れた研修の充実や、一日当たりの処分頭数の規定をつくることによってクリアできるのではないかという提案もさせていただいております。都として、引き続き検討していただきたいと要望をいたします。
殺処分される犬、猫をさらに減少させるためには、一義的には飼い主の責任だとは思いますが、動物販売業、これにはペットショップやブリーダー、インターネットによる取り次ぎ等が含まれるかと思いますが、こうした動物販売業への対策も重要だと思います。
都における登録施設数はどのように推移しているのか。また、販売店が犬、猫を仕入れる際には、仕入れ先が動物愛護管理法に基づく登録を受けているのかの確認が重要だと思います。販売店にはどのような事項が法的に義務づけられているのか伺います。
○鈴木健康安全部長 動物販売業の登録施設数は、動物取扱業の登録制度が全国的に導入されました平成十八年度には千二十三施設ございましたが、二十一年度には千八百六十四施設へと増加をしております。販売業に対しましては、動物の仕入れ等を行うに当たっては、相手方が法に基づく登録を含む動物の取引に関する関係法令に違反していないことを聴取すること、相手方の登録番号等の取引状況について台帳を作成し、これを五年間保管すること、また施設の構造や動物の管理方法等に関する基準を遵守することなど義務づけられております。
○たきぐち委員 こうした販売店に対する法的、義務づけがしっかりと遵守されるように、都はそれらの店舗をどのように指導しているのか伺います。
○鈴木健康安全部長 都は、施設基準や動物の適正な管理について指導を行うため、動物取扱業の事業所に定期的に立入検査を行うとともに、都民からの情報などに基づき、問題のある事業所には速やかに立入検査を実施しております。また、動物取扱業の登録申請時には、動物取扱責任者の選任が必要ですが、都では、条例によりまして、動物取扱業者の質の向上を目的として、事前に責任者研修を受講させ法令遵守の徹底を図っております。
○たきぐち委員 いろいろと細かい点にお答えいただきましてありがとうございました。今、空前のペットブームでもありますけれども、子どもの数をペットの数が超えたといわれている中で、動物といかに共生する社会をつくっていくかというのは大きな課題だろうと思っております。
最後に、少し話はそれるんですが、アメリカでプリズンドッグというプログラムがありまして、これは、犯罪者が犬を介助犬に育てるプログラムというのがあるようです。これをやりますと、初めて犯罪者が愛情を受けたということで、再犯率が極めて低いという報告も上がっております。こんなところにも、人と犬が共生するためのヒント、知恵があるのではないかと思います。引き続き、都として動物行政に取り組んでいただくことをお願いをいたしまして、質問を終わります。
○くまき委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後五時三分休憩
午後五時三十四分開議
○くまき委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○三原委員 大変長時間、理事者の皆様もご苦労さまでございます。局長のご答弁がないのは申しわけないので、後で最後にお尋ねしますから、私の話を聞いておいていただければ全く大丈夫です。
今月は臓器移植の普及推進月間になっているわけで、間もなく終わります。実は、臓器移植については、私は平成十七年の都議会で発言をさせていただいた経緯があります。その当時は、私の勝手な解釈なんですけど、都議会議員さんはだれも臓器移植なんかについては関心を持ってもらえないという感じのときでした。ところが、法改正もあったりしたからでしょうけど、せんだっての第三回定例会では、委員長みずから臓器移植のことをご発言なさいましたし、第一回の定例会でも公明党の議員さんがご発言だったというふうに承知をしています。
この臓器移植の問題は、極めて、余り政治的なことではありませんけど、重大な問題だと私は関心を持ってずっとやってきたわけですけど、今までなかなか議員さん方にもそういう発言をしていただく方がいなくて残念だったんですけど、そういうお二方がことし出たということで、私はもう大変うれしく思っているところなんです。
きょう、このことを質問するのに、何だか合わせたみたいに、十九歳の女性の方でしたか、臓器移植をするのに日本ではもう待てないので、状況がちょっと悪くなったものですから、どうしてもアメリカへ行って手術をしたいと。それには一億六千万円かかるというんですよ。今まで、いろんな善意の皆さんのご協力もあって、六千万ちょっと集まったそうですけど、まだ約一億ぐらい足らないので、国民の善意の皆さんのご協力をいただければありがたいということで新聞報道がありました。
実は、私の議会で取り上げた発端というのは、過去にも何度かこのように、国民の善意にすがらなければ日本ではもう対応できないと。したがって、外国へ行くには寄附をお願いしたりしてやるという例が幾つもあって、その都度、新聞にも載りました。テレビでも流しました。だけど、きょうの新聞だって小さく出ていますから、しかも全紙に出ているんじゃなくて、私は読売で見たんですけど、恐らく一紙か二紙なんでしょう。そうすると、忙しい方はそんなところまで見ないですから、なかなかご協力してあげようというところには行き着かないですよね。
したがって、私が一番最初から思っていることは、一億円からのお金がなければ、その人の命が救えないと。片や、だから悪い言葉でいうと、お金持ちは命が助かりますよと、だけど貧乏人は命助かりませんと、こういっているのと同じなわけですよ。それは、もう日本の社会構造として極めていけないと、命に大小はないわけですから。
したがって、こういう事態にならないように早く何らかの手を打つべきだと思って、私はあらゆる機会で発言してきましたけど、ただ、私が発言したからいくというわけじゃないので、私、総理大臣でも厚生労働大臣でもないですから、いかないんですけど、ただ国民、都民の皆さんがそういうことに非常に関心を持ってもらうことが重要だなと思って、いってきたわけです。冒頭申し上げたように、そういうことに関心を持っていただく都会議員さんが出てきたということは、私は大変いいことだと、こう思っているんです。
ただ、臓器移植にはいろいろ問題はありますから、それは後ほど話をするとして、普及月間も終わりますけれども、今までも毎年十月にやってくる、委員長さんはグリーンで都庁舎をライトアップしたらどうだとかというご発言だったように覚えていますけれども、この普及推進に、どういうふうに今までやってきたのか、予算はどういうふうに使ってきたのか、担当の部長から教えてください。
○住友保健政策部長 都では、区市町村や患者団体と協力いたしまして、臓器移植の重要性を伝えるリーフレットや臓器提供意思表示カードを広く配布するなど、普及啓発に努めてまいりました。また、地域における臓器移植の普及定着を図るために、臓器移植コーディネーターを配置いたしまして、都民に対する正しい知識の普及や関係機関への情報提供等を行っております。平成二十二年度の予算は約千七十万円でございます。
○三原委員 ことしの予算は一千万円ということですが、これは第一回定例会で公明党の議員さんがコーディネーターをふやさなきゃいけないじゃないかというご提案があったと思いますけど、たしか、それにこたえてコーディネーターが一人、東京ではふえたように聞いておりますから、大半がそういうことに使われているんだろうと思うんですけど、実際に私が平成十七年に質問したときも、いわゆる臓器提供意思表示カードというものを八十万余、都民にも配布していますというようなことでございました。
それから、いろんな広報に載せるとか、都の、ある機会をつかまえては、そういうことを普及啓発していますと、こういうことでございましたけど、じゃあ、一千万円のことをいわなくてもいいですけど、毎年そういうふうにやってきて普及啓発が進んでいるかどうか、大げさにいうと、その効果を検証しているのかなというところが、ちょっとやりっ放しというイメージがあるので、もしわかれば伺いたいと思います。
○住友保健政策部長 都では、平成十八年度から二十一年度までの間に、臓器提供意思表示カードを十九万八千枚配布しておりまして、平成十七年度までの配布分八十二万枚と合わせますと、約百二万枚を既に配布しております。
臓器提供の意思表示の方法には、この意思表示カードに提供の可否を記入する方法のほかに、平成十九年からインターネットによる登録も可能になっております。また、そのほかに健康保険の被保険者証の裏側に記入できるようになっているもの、それから運転免許証の裏面にも最近では印刷されるようになってきておりますので、そこにも記載が可能になっております。
意思表示をしている人の数というのは、正確には把握できませんけれども、インターネットを通じて登録した人数につきましては、日本臓器移植ネットワークで把握しております。全国の登録者数でございますけれども、ことしの四月末の時点では約五万九千人ということでございましたけれども、ことしの九月末時点、約五カ月の間で七万七千人とふえておりますので、普及啓発の効果はあったものと考えております。
○三原委員 効果が出てきているということはいいことだと思いますし、また、なかなか検証を簡単にできる案件ではないので、難しいとは思いますが、そこで間違ってはいけないのは、この臓器移植については法改正のときも大変な議論がありました。
一つは、脳死をもって人の死にするかどうかという医学上の問題です。それから二つ目は、宗教的な問題、あるいはまた、その人の人生感とか倫理感とかというのがありますから、そういう問題。それから、特に法改正がされてから昨今の一番の話題は、家族の意思疎通がどうなっているかと、ドナーになられる方と、その家族とがどういう意思疎通があったかというような問題があります。
したがって、なかなか難しいんですけど、要は、一番重要なのは家族の意思疎通なんていうのは、家族でそういう話をするかどうかということにあるわけですから、これはまさしくしてもらわなきゃだめですよね。してもらうように仕向けていくのが、私は啓発普及活動だと、こう思っているんですが。
ちょっと失礼かもしれないんで、お差しさわりがなかったら、議員さんで意思表示カードを持っている方はありますか。--おられない、あ、いいんですよ、無理して挙げるとまた問題がありますから。私はそういう演説をする以上は持っています、持っているんでうそも隠しもない。これ、ちょっと古いんですよ。今、これじゃないんですよね。私は平成十一年から家内のサインも入っていますから、ずっと持っているんですけど。
ちなみに申しわけない、お差し支えなかったら、理事者の皆さん、五十人ぐらいおられるので、意思カードを持っておられる方ありますか。--あ、ある、はい、わかりました。いいです、別に手を挙げてもらわなくてもいいんです。
というのは、手を挙げるというようなことをさせるのが、ある意味で強制だったり、圧力だったりというようなことになって、あ、あの人は挙げたけど、あの人は何だ、あいつは持っていないのかとかいうことになったらいけないんで、挙げられなくてもいいんですけど、要は、一番重要なのは、こういうパンフレットがありますけど、カードがついているこういうパンフレットを、例えば都会議員百二十七名にきちんと配って、これを持って帰って、まず自分がこれを読んでみて、臓器を提供しようかどうか自問自答してみるということは、まず一つ要るんです。その次は家族の人と話してみると。それは万が一のときですから、そういう話を前もってしておくというのも妙なんですけど、でも、臓器を提供することによって、また一人の命が完全に救われるということは、ある意味で、非常に私はいいことだと思いますから、家族で相談してみるというのはいいことで、だから、私が一番きょう申し上げたいのは、都会議員全員に委員長さんとか局長の名前で、これ上げますから、お持ち帰りされて、よくご家族でご相談してくださいと手紙をつけて渡す。恐らくこれを手にとっていない人、いっぱいいると思うんです。どこかに置いてありますというんだけど、なかなか置いてある場所がすぐわかるわけじゃないですから。まず一つはそれ。
それから、都の職員の人、いわゆる職員のほかに警察官もあれば消防官もあり、学校の先生もありで、そういうのを全部入れると十六、七万人になるでしょう。そういう方が全員手にとってみて、どうするんだということを考えるのが一番いい普及推進活動だと私は思うんです。
この中には、提供しませんという欄もありますから、それに丸をつけて持っていてもそれは意味が大変あります。もちろん、いろんな臓器を提供しますと印をつければ、それもまた意味があります。十七年のときに、石原知事にいったんですよ、僕。カード上げますから、あなたも意思表示してくださいと。知事は考えますって持って帰ったんですけど、その後、お持ちかどうか私も聞いてみたことない。だから、わからないんですけどね。
冗談に、政治家の人は臓器提供だめだよといわれたんですよ。どうしてといったら、政治家腹黒いからといわれた。ジョークですけどね。いわれた人も冗談でおっしゃったんですけど、それぐらいに世間で話がちゃんと通じ合えば、このカードを普及する意味で価値があると、こう思いますから、ぜひ、議員さん、東京都の職員、そうした人たちにこのカードを配ってみて、家族やご本人自身が考えてみるという機会をつくっていただくのが一番いい普及推進活動だと思いますので、そこで、局長に、もし私の申し上げたことで何かお考えあれば聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
○杉村福祉保健局長 今、三原委員からご指摘をいただきましたけれども、今月は普及月間でございまして、私も先日、上野文化会館の隣で、実はティッシュペーパーと風船を一緒に、臓器提供カードを一時間ほど配らせていただきました。
今、ご指摘いただきましたけれども、私も七月二十三日付で署名をしているんですが、残念ながら家族とまだ話していませんので、ご指摘を受けて、きょう、夜、早速家族とちょっと相談をしてみたいなというふうに思っています。
今、先生からご指摘がございましたように、さまざまな方法が今ございまして、この単体のカードじゃなくて、東京都も、昔、保険証の裏にこういう署名ができるようなものもございましたし、さまざまな方法を考えて、これからますます普及に、私どももぜひ努力をしていきたいなというふうに思います。今いったような、一つの、保険証の裏というのは、また関係機関との調整も必要ですけれども、我々福祉保健局としても、さまざまな方法で一生懸命努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○松葉委員 初めに、重症心身障害児者対策について質問いたします。
私は、先日、我が党の小磯議員とご一緒に、あきる野市にあります西多摩療育支援センターを視察させていただきました。ここには、診療所、身体障害者療護施設、さらには重症心身障害児者通所施設があり、自然に囲まれた環境の中で安心して生活を送っていらっしゃる様子を拝見いたしました。
また、重症心身障害児通所施設の保護者の方々ともお話をさせていただきました。
そこで、実態を含めて何点かお伺いしたいと思います。
保護者の方々のお子さんが通っていらっしゃるのは、都からの委託事業としての重症心身障害児者の通所施設もえぎであります。ここは、西多摩地域の重症心身障害児者が通っていらっしゃいまして、楽しく、豊かな生活を築くことを目標に、日々さまざまな活動に取り組んでいます。このような通所施設は、重症心身障害児者を持つご家族にとっても大きな意味を持ちます。
保護者の方はこう語っておられました。ある方は、通所施設があるというのは本当にありがたい、子どもには外に行く楽しみとなっており、命を長らえていると思います。また、ある方は、子どもにとって楽しい場所がある、毎日通える場所がある、これからも今までどおりのサービスを受けれるようにお願いしたい。また、ある方は、介護は二十四時間です、体の向きを変えるため、腰が痛く、いつも寝不足です、また、発作が一日十回ぐらい起きます、落ちつかないような日常ですとも語っておられました。
在宅での療育は、ご家族にとっては、二十四時間、緊張感の中で生活を送られておりまして、しかも、人工呼吸器をつけた重症心身障害児の方の適切な処置も要求されております。そのようなご家族にとって、一日数時間でも安心して預けられる場所があることで、ご家族の負担はどれだけ軽減されていることでしょうか。また、通っていらっしゃるお子さんにとっても、日常生活動作や運動機能低下防止等の訓練を行うことは大変重要なことだと思います。都は、在宅での療育に取り組む重症心身障害児者やその家族への支援策として、重症心身障害児者の通所施設の充実を図る必要があると考えます。
そこで、まず、お伺いいたしますが、重症心身障害児者が利用できる通所施設の整備状況はどのようになっているのか伺います。
○芦田障害者施策推進部長 平成二十二年四月一日現在、重症心身障害児者通所施設は、都立施設や区市の施設、民間施設への委託なども含め二十五施設あり、その内訳は、医療型十六施設、地域施設活用型九施設で、定員は四百二十二名となっております。
都は、平成二十一年度から、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランにより、施設整備費の特別助成を行うなど、通所施設や日中活動の場の充実に取り組んでおります。この中で、重症心身障害児者につきましても、医療型施設における通所事業の拡充を図るとともに、比較的軽度の医療的ケアを必要とする重症心身障害児者を対象として、地域の既存の障害児施設を活用する地域施設活用型通所施設の設置を区市町村へ働きかけるなど、利用者の状況に応じた整備に取り組んでいるところでございます。
今後も引き続き、重症心身障害児者支援の充実に努めてまいります。
○松葉委員 努力をされていることはわかりましたけれども、ぜひとも、通所施設の定員がふえますよう、さらなるご努力をお願いしたいと思います。
あわせて、在宅療育を支援するためには、住みなれた地域でご家族ともども安心して暮らせることも何より大切でございます。そのためには、すべての区市町村に重症心身障害児者が身近に通所できる施設を整備していただきたいと思います。さらなる区市町村への働きかけにつきましても強くお願いをしたいと思います。
次に、実際に、在宅で療育をしている場合に、ご家族の疾病などで家を留守にせざるを得ない状況もあります。このようなときに役立つのが短期の入所でありますショートステイです。一時的に重症心身障害児者を施設に預けることで、ご家族はさまざまな用事等ができますし、また、精神的な負担軽減にも大きく寄与すると思われます。
しかし、このショートステイを利用するには、何カ月も前に申し込んでも、ようやく利用できることもあれば、利用できないこともあるようでございます。ましてや、家族に急病人が出た場合や重症心身障害児者の急な病変の場合、緊急時にショートステイが利用できないとの声もありました。
このようにショートステイを利用したくてもなかなか利用できないという、そういう困難な理由は何でしょうか、伺いたいと思います。
○芦田障害者施策推進部長 ショートステイにつきましては、都立の重症心身障害者施設の六十八床に加え、都独自の病床確保事業により、民間施設や医療機関に三十二床を確保しておりまして、都内で合計百床を確保しております。
このような状況の中で、重症心身障害児施設におけるショートステイの受け入れには、各施設において、申込者の重症度やそれぞれの施設の利用状況などに応じて、事前に調整した上で受け入れを行っているところでございます。
なお、緊急の場合につきましては、できる限り可能な範囲で対応しております。
○松葉委員 通所施設やショートステイは常時医療を必要とする方からの申し込みが増加し、受け入れの調整等に苦慮していることはわかりますけれども、医療の進歩により、重症心身障害児者のご家族も高齢化をしてきております。西多摩療育支援センターの保護者の方の中には七十歳代の方もいらっしゃいました。他の重症心身障害児者施設においても同じ傾向があると伺っております。このようにご家族の高齢化は深刻であります。
また、利用者の手厚い医療ケアの必要性の増大といった課題を解決するために、都として、先を見据えて施策を講じる必要があると考えます。
都は、在宅で療育をなさっている方々へのさらなる支援を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。
○芦田障害者施策推進部長 近年、在宅の重症心身障害児者につきましては、人工呼吸器や栄養チューブの装着など、常時、医療を必要とする方が増加しておりまして、通所施設やショートステイの施設においても医療的ケアの充実が求められております。
このため、重症心身障害児者の施設で働く看護師を対象に、呼吸管理等への高い技術の習得に向けた研修を実施し、看護技術の一層の向上を図るなど、看護師確保緊急対策事業を実施しております。
さらに、通所施設や短期入所施設におきまして、濃厚な医療的ケアを必要とする超重症児者等の受け入れのため、高い看護技術を持つ看護師を受け入れ促進員として配置する場合に、その配置費用を助成する事業を実施しているところでございます。
また、都では、経験豊富な看護師が家庭を訪問して、家族の方に看護技術の指導や訪問看護などの活用に向けた支援などを行う在宅重症心身障害児者訪問事業などの医療サービスを独自に実施をしております。
今後とも区市町村や関係機関と協力して、重症心身障害児者のライフステージに応じた支援の充実に努めてまいります。
○松葉委員 厚生労働省では、重症心身障害児者通所事業などの見直しが検討されていると聞いております。在宅で療育をしているご家族が大変不安を感じていらっしゃいます。重症心身障害児者が、医療的なケアの充実を図りながら、安心して豊かな在宅生活を送れるように、そして、ご家族の高齢化に伴う、年々増大する精神的、身体的な不安を少しでも軽減するために、都独自の施策をこれからも図っていただくとともに、都は、国へ強く働きかけを行っていただくことを要望いたします。
次に、食物アレルギー対策について伺いたいと思います。
昨年度の東京都の調査では、食物アレルギーの子どもが在籍をする保育園、幼稚園は、都内全体の約七割に上り、過去三年でアナフィラキシーが起きた施設は一割を超えているという調査結果でございました。
食物アレルギーの対応は、家庭だけでなく、保育園や幼稚園においても適切な対応を行っていく必要があります。
そこで、保育園や幼稚園に対する、これまでの都の取り組みについて最初に伺います。
○鈴木健康安全部長 保育所などでの食物アレルギー対策について、都は、平成十九年度から保育所や幼稚園の職員に対し、食物アレルギーを含むアレルギー全般についての基礎的な知識や施設における子どもへの対応方法に関する研修を実施しております。
また、より実践的な対応ができるよう、ことしの三月、食物アレルギーを持つ子どもに対する日常生活の配慮や緊急対応などをまとめた食物アレルギー日常生活緊急時対応ガイドブックとDVDを作成しまして、都内すべての保育所などに配布をいたしました。
○松葉委員 今ご答弁いただきました平成十九年度から実施をしている研修会についてでございますが、保育園や幼稚園等の職員に対して、アレルギー対応に必要な基礎的な知識の向上を図っているということでございますが、その研修の具体的な内容について伺います。
○鈴木健康安全部長 アレルギーを持つ子どもへの配慮や保護者からのアレルギー相談に対応できるよう、保育所や幼稚園の職員を対象に研修を行ってまいりました。研修は三日間で、保育所などの職員が小児ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの基礎的な知識をアレルギー専門の医師などから習得できるような内容とし、平成十九年度から昨年度まで、三年間に延べ千百九十一名が受講しました。
今年度は、三百名を対象に三日間行うこととし、従来のアレルギー全般に関する医師の講演に加えまして、アレルギー対応食に関する取り組み事例の情報提供など、保育所等からのニーズに対応した研修を行う予定でございます。
○松葉委員 アレルギー全般の基礎的な知識を学ぶということは非常に重要なことだと考えております。三年間で延べ千百九十一人の方が研修を受けられたとのことで、今年度も三百名とのことで、取り組みを評価いたしたいと思います。
昨年の第二回定例会の我が党の代表質問で小磯議員が取り上げさせていただきましたが、食物アレルギーについて、都として共通のガイドラインや個別対応のカードなどを示すべきというふうに提案させていただきました。それに対しまして、ガイドブックを都内すべての保育所、幼稚園に配布するとの答弁がありました。
そして、ことし三月に作成された食物アレルギー対応ガイドブックは、食物アレルギー個別取り組みプランを掲載しています。また、DVD、アナフィラキシーそのときどうするというのが、アナフィラキシーについての基礎知識や対応方法、自己注射薬エピペンの使い方まで学習できる内容になっており、全国の模範になるガイドブックであると高く評価するものです。
そこで、このガイドブックを今後どのように活用していくのか、お伺いしたいと思います。
○鈴木健康安全部長 食物アレルギーを持つ子どもが保育所や幼稚園で安心して過ごせるようにするためには、現場において、食物アレルギーに適切に対応できる人材育成や、保育所等の職員と保護者、医師とが連携をして、日常の生活管理等の体制づくりが必要でございます。
そこで、保育所等における食物アレルギーへの対応能力の向上を図るため、関係各局や区市町村と連携しながら都内すべての保育所等を対象とし、今年度から五カ年計画で、ガイドブックに基づく実務研修を実施することとしております。
この実務研修において、子ども一人一人の情報を保育所等の職員、保護者、医師が共有するための生活管理指導表の活用方法やアナフィラキシー症状を起こした際の迅速かつ適切な緊急時対応を実践的に習得させることで、保育所等での食物アレルギー対策の充実に取り組んでまいります。
○松葉委員 五カ年計画で実務研修を行うということです。DVDがあるとはいえ、ガイドブックだけでは十分な理解が得られない側面もあります。直接研修を受けることで理解が進むことと思います。
また、今後ですけれども、ヒヤリ・ハットというような、冷やり、はっとしたような事例などがあった場合には報告していただいて、アドバイスをするなど、そういったフィードバックをする取り組みも考えていただけたらというふうに思います。
アナフィラキシーにはエピペン、アドレナリン自己注射製剤の投与が必要でございますが、現状では、保育所等での使用はいろいろな問題があると聞いております。都の対応について伺いたいと思います。
○鈴木健康安全部長 アドレナリン自己注射は、医師以外には本人か家族しか使えないものでございますが、アナフィラキシー症状の発症時には迅速な対応が求められます。救急救命士については、救命処置として平成二十一年三月にこの使用を認められましたが、幼稚園、学校においては、児童生徒がアナフィラキシー症状を発症した際、教職員がこのアドレナリン自己注射による緊急対応を行うことについて、医師法に違反しないとの判断が平成二十一年七月に国から示されております。
しかし、保育所におきましては、本人も保護者も対応が困難な場合におけるこのアドレナリン自己注射の使用につきましては、国からの判断は現在示されておりません。
こうした状況を踏まえまして、都は、保育所におけるアドレナリン自己注射の取り扱いに関する法的な位置づけを早急に明確化し、現場の体制に即した緊急処置の基準を策定するよう、国へ提案要求を行っております。
○松葉委員 国の動向を見ながら適切な対応をお願いいたしたいと思います。それまでの間は主治医との連携や、また消防との連携も大事だと思います。救急救命士は、今ご答弁ありましたが、アドレナリン注射を使用することが可能であります。そういったことの周知も含め、対応をお願いいたします。食物アレルギーは命にかかわることでもあり、さらなる取り組みの推進を要望いたします。
続きまして、がん対策について質問をいたします。
公明党は、女性特有のがん対策に取り組んでまいりました。特に、子宮頸がん予防ワクチンの早期承認を国会において取り上げてまいりました。ようやく昨年十月に承認をされまして、ワクチン接種の公費負担についても、子宮頸がん予防法案を国会に提出するなど、国において求めてきたところでございます。
先日来、国において、子宮頸がん予防ワクチン無料接種を始める方針との報道がなされております。都は、国に先駆けて、都議会公明党の主張を受け、包括補助制度で支援を開始し、子宮頸がん予防ワクチンの普及に努めています。
そこで、公費助成の現状と都の区市町村に対する支援について、まず最初にお伺いします。
○住友保健政策部長 子宮頸がん予防ワクチンの接種につきましては、今年度は二十二区市町村で公費助成の実施を予定しております。九月末までの段階で、杉並区や渋谷区、東大和市、昭島市、檜原村、三宅村など、十五区市町村が公費助成を開始しております。
都におきましては、今後、包括補助の申請があった区市町村に対して補助を実施する予定でございます。
○松葉委員 今後とも、国の動向も見ながら、全区市町村で無料接種が実施できますように、都としてもご努力をお願いしたいと思います。
ワクチン接種の促進を図るには、ワクチンについて都民に正しく理解してもらうことが大切であります。子宮頸がん予防ワクチンの接種により、子宮頸がんの約七割を予防できるといわれており、一次予防であるワクチン接種と二次予防である検診の受診により、ほぼ一〇〇%子宮頸がんは予防できるといわれております。
そこで、区市町村による普及啓発や公費助成の取り組みが進むように、都として積極的に情報提供を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○住友保健政策部長 子宮頸がん予防ワクチンの接種促進のためには、まず、がん予防対策に取り組む区市町村に対して十分な情報提供を行う必要があります。このため、都は、今年度、区市町村や学校の教職員等を対象といたしまして専門家による講演会を開催しましたところ、約三百人が参加いたしました。
○松葉委員 私も本年の第一回定例会一般質問で取り上げさせていただきましたが、専門家による講演会を開催されたとのことであり、これについては評価するものです。やはり専門家による正しい知識の普及を図ることが最も重要であると考えます。今後の取り組みも期待をしております。
現状、子宮頸がんは、二十歳代から四十歳代の比較的若い世代でかかる人がふえております。乳がんは、かかる方も死亡する方もふえております。これらのがんの死亡率を減少させるためには、早期発見、早期治療が重要であり、そのためには、検診受診率を上げることが不可欠であります。子宮がん検診と乳がん検診について、職域を含めた最新の都民の受診率について伺います。
○住友保健政策部長 平成二十一年度に実施しました東京都福祉保健基礎調査の結果では、職域を含めた都民のがん検診受診率は、子宮がん検診につきましては三二・〇%でございまして、平成十八年度の二三・五%から八・五ポイント増加しております。乳がん検診につきましては、平成二十一年度調査では二八・五%で、平成十八年度の二二・八%から五・七ポイント増加しております。
○松葉委員 今ご答弁ございましたが、子宮がん、乳がん検診の受診率は、がん対策推進計画の策定後、高くなってきております。昨年から始まった乳がん、子宮頸がんの無料検診クーポン券の事業等の効果もあり、高くなってきているものと考えますが、目標とする五〇%にはまだ届いておりません。受診率をさらに上げていくためには、がん検診の重要性について、都民に対する積極的な普及啓発や情報提供を行うことが有効な手段の一つと考えられます。
乳がん検診の大切さを伝える東京都のピンクリボン運動の取り組みにつきましては、十月一日の都民広場でのイベント開催を中心に、ことしで六年目の実施となりました。ことしの十月一日の都庁都民広場でのピンクリボンin東京二〇一〇には、私も参加をさせていただきました。会場にはさまざまなブースの出展があり、また、山田邦子さんのトークなど盛りだくさんの内容で、乳がん検診を呼びかけるイベントとして充実した内容でございました。
乳がん検診の受診率向上のためには、こうしたピンクリボン運動を毎年継続しながら効果的に都民の関心を一層高めていくことが重要と考えますが、今年度の乳がん月間における都の取り組みについて伺います。
○住友保健政策部長 都では、十月の乳がん月間を中心に、ピンクリボン運動の取り組みといたしまして、区市町村や関係団体、企業等と連携いたしましてさまざまな取り組みを進めておりますが、今年度十月一日には、都庁広場でのイベントや都庁舎のライトアップ、交通広告等を実施いたしました。
また、今年度は新たに地域で実施されている乳がん検診、子宮がん検診の情報につきまして、区市町村ごとに記載したカードを作成いたしまして、イベント等で都民に配布いたしました。
○松葉委員 私もイベントで、私の地元の杉並区のカードをいただきましたが、わかりやすく検診情報が記載されており、大変に有効なカードであると感じました。
また、子宮頸がんにつきましては、平成二十二年第一回定例会での私の質問に対しまして、三月の女性の健康週間に子宮頸がんの罹患率が高い二十歳代、三十歳代を対象として重点的に普及啓発を行うとの答弁がありましたが、その後、具体的な取り組み内容はどうなっていますでしょうか、お伺いいたします。
○住友保健政策部長 平成二十二年三月の女性の健康週間には、若い女性を主な読者層とする無料情報誌に子宮頸がんに関する特集記事を掲載し、区市町村や関係機関のほか、都内の大学や美容室、駅などに配布いたしました。
今年度につきましても、昨年度と同様に、情報誌に子宮頸がんの情報を掲載する予定でございます。
○松葉委員 「ジェイヌード」という無料情報誌でございましたけれども、掲載の後、私のところにも、興味を持った内容であったと、そういった声が届いてまいりました。
ぜひとも、今年度の女性の健康週間の取り組みの充実、そして、毎年継続して実施をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○田中委員 私からは発達障害について、また認知症対策について、そして住宅医療についての三点についてお聞きをしたいと思います。
発達障害についてまずお聞きをします。
発達障害のある人は、身近にいるものの、社会の中では一般的にはまだ十分に知られていないのが現状であります。外から見えにくい障害ともいわれております。
そのような中、この発達障害支援モデル事業というのが十九年度から二十一年度で行われて、本年の三月でちょうど終わったところであると聞きました。この事業の目的、そして成果についてまず伺います。
○芦田障害者施策推進部長 発達障害者の支援に当たっては、早期に発見し、それぞれの支援ニーズや成長段階に応じた一貫した支援を行うことが重要でございます。そのための有効な支援手法を開発するため、平成十九年度から二十一年度まで、五区市でモデル事業を実施いたしました。モデル事業におきましては、発達障害児支援のノウハウを持つ臨床心理士等が保育所等を巡回指導することにより、保育士の早期の気づきや支援力が向上した例が報告をされております。
また、児童本人が受けた支援の情報を蓄積するサポートファイルを作成し、家族や関係機関との間で情報の共有を図るとともに、コーディネーターを中心に、障害福祉部門、保健所、子ども家庭支援センター、学校などの関係機関が連携し、カンファレンスで支援方針を調整することなどで、切れ目のない支援体制が整備された例も見られました。
これらの取り組みによりまして、地域において早期の発見と医療機関や療育機関、学校などによる適切で継続的な支援が可能となり、他の区市町村の参考となる実践例を示すことができたと考えております。
○田中委員 今のモデル事業の中でも保育所、また幼児のことについて特に取り上げてもらいましたが、幼稚園や保育園などの集団の場で、少しずつ気になる子がふえているということをお聞きしました。特に、四歳や五歳ぐらいから問題になり始めて、小学校に入るとこの症状が明らかになってくるということです。
それによって、子ども自身の自尊心の低下、また理解できない授業がだんだんとつまらなくなったり、最終的には不登校へとも発展していくということであります。
このようなもの、軽度の発達障害、正式ではないと思いますが、軽度の発達障害というふうにいわれておりまして、この対応が特に問われております。
東京都においては、東京都の発達障害者支援センターというものがありますが、これ、なかなか地域地域、それぞれ個別の対応にまで問われると、その対応は難しいと思っております。各市区町村ごとに、この発達障害の支援の場が今求められていると思いますが、これの設置や、もしくは幼児期から学童期に至るまで継続的な支援が必要ということでありますが、その組織づくりが求められております。都の考え方をお聞きします。
○芦田障害者施策推進部長 発達障害者に対しましては、身近な地域における継続的な支援体制の整備が必要でございます。
都は、平成二十一年度までのモデル事業の成果を踏まえ、今年度から、区市町村における発達障害者の早期発見、早期支援体制整備の支援策を、区市町村包括補助事業を活用し実施をしております。
具体的には、区市町村における早期発見、早期支援のための連携システム構築に向けて、専門相談機能や関係者間の調整機能等を担う発達障害支援の拠点の設置や、保育所、幼稚園等への巡回指導、専門職の配置等の取り組みに対し支援を行っております。
○田中委員 私の地元の大田区でも、わかばの家という、知的障害児や身体障害児の通所施設が一カ所あるわけでありますが、これも受け入れの定員が大変少なく、毎日通うわけでもなく、まだまだ十分ではありません。この地域の支援拠点の強化が強く望まれております。
先ほどおっしゃっていただきましたが、今年度から区市町村の包括補助事業になるということで、各地区ごとにこのような拠点が多くつくられて、その対応が強化されることを望んで、次に移りたいと思います。
この発達障害児を見る場合、幼児期、小学校入学、それぞれのライフステージの切れ目、節目節目で途切れることなく、継続して支援する仕組みづくりは重要だと思っておりますが、その支援を支えるような専門のスタッフがいなければ、この支援の効果は十分に上がりません。
発達障害自身、一九八〇年代以降に社会にまだ認知されたばかりであって、国の支援法も十七年度から施行されたばかりであります。医師の間においても治療がまだ難しい、また医師によっては、自分が医学部にいたときにこのようなことを習っていないということで、わからないという方もいらっしゃるのが現実です。
都として、この現状をとらえ、どのように取り組んでいくのかお聞きします。
○芦田障害者施策推進部長 発達障害者支援には、本人や家族への支援だけでなく、支援者への専門的助言や関係者間の調整も担えるスタッフが必要でございます。
そのため、都は、今年度、区市町村等の相談支援者や病院等の医療従事者向けに発達障害者の乳幼児期や学童期などのライフステージを通じた支援力向上を図るための専門研修を開始したところでございます。
これにより、例えば、支援対象児の小学校入学のようなライフステージの移行時に、入学前と入学後の関係者による情報の共有化や連携を図るコーディネート役なども担えるような専門的人材を育成し、各区市町村における一貫した発達障害者支援体制の整備を推進してまいります。
○田中委員 これまでの質問の中で、支援の拠点、組織づくり、また、今おっしゃってもらいましたが、専門スタッフの整備について聞かせていただきました。この発達障害児の支援に当たっては、ご自身本人の支援だけではなく、やはり一番は、それを支える家族の支援をどうしていくかというのがさらなる重要な問題だと思っております。
お話を聞きますと、就学前のお子さんをお持ちの方は、幼稚園に入園をやんわりと断られたり、地域の児童公園にもなかなか行きづらいと。小学校に入学しても、どう育てていいのか、また、集団生活になりますから周りに迷惑をかけているんじゃないかと、そういうことがあって学童保育にも入りづらいと。さらに、小中と進み、高校進学においても、進路指導できる先生もなかなかおらず、進路に関する情報も少ないと。どのステージにおいても親御さんの孤立感というのを、どの人に聞いてもすごく感じたわけでありますが、このような支える家族の支援というものに対して、どのようにして特に支えていくか、都の考えをお聞きしたいと思います。
○芦田障害者施策推進部長 発達障害者支援におきましては、本人だけでなく、保護者への支援も大変重要でございます。保護者が子どもの障害を理解し受け入れるためには、支援者は保護者の悩みや不安を受けとめ、具体的な接し方などの助言を行うとともに、状態に応じて精神面をサポートすることが必要でございます。
モデル事業では、臨床心理士などが保育所や幼稚園を巡回し、保護者の相談に応じる取り組みのほか、子ども家庭支援センターにおける親子での遊びを通して子どもへの対応を学ぶ場の提供、また、臨床心理士による保護者のストレス軽減方法の講習会の実施、保育士向けの保護者支援の手引書の作成など、さまざまな取り組みが行われております。
その結果、保護者の子どもへのかかわりにもよい変化があらわれたなどの成果が報告されております。
都は、このような先駆的取り組みを他の区市町村に紹介するとともに、区市町村の相談支援体制整備に対する包括補助事業を活用して、身近な地域における家族支援体制の充実を図ってまいります。
○田中委員 冒頭にも述べましたが、まだこの発達障害、議会等ではもう他の委員、多くの人が取り上げているところでありますが、社会的認知も低く、これからの対応が望まれているところでありますし、モデル事業を聞くと、今もかなり詳しく述べてもらいましたが、いい結果が出ているということでありますので、今度の包括補助によって、各市区町村で、それぞれこの対応が進むことを望んで、次の質問に移りたいと思います。
次は、認知症対策についてであります。
認知症は、だれにでも、ここにいらっしゃる皆さんすべての人にもなる可能性があって、ある意味とても身近な病気であります。
これまで都も認知症対策を取り組んできたところであると思いますが、まず、現在の都の認知症に関する現状とその認識を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 何らかの認知症の症状を有する高齢者は、平成二十年に実施しました都の調査によれば、都内で約二十九万人、六十五歳以上人口の約一割に上るものと推計されております。今後、高齢者の増加に伴い、認知症高齢者もさらに増加すると見込まれます。
また、独居、夫婦のみの高齢者世帯が増加する中、ひとり暮らしの認知症高齢者など、周囲からの支えがないと生活できない高齢者も増加してまいります。
こうしたことから、認知症の人とその家族が地域で安心して暮らせるよう、普及啓発などを通じた認知症の人と家族を支える地域づくり、医療や介護の支援体制の整備など、総合的な対策を進めていくことが極めて重要でございます。
○田中委員 それでは、現在、認知症の人を受け入れるような入所施設というのはどのような施設があって、また、それぞれどのくらいの定員数があるのかを伺います。
○狩野高齢社会対策部長 認知症の人が利用できる代表的な施設といたしましては、認知症高齢者グループホームがございます。平成二十二年十月一日現在、都内には三百五十一施設、五千三百三十三人分が設置されております。
また、特別養護老人ホームにおいても認知症の方が多く入所しておりますが、この特養の設置数は、四百六施設、三万六千百八十人分でございます。
○田中委員 今、その数をお聞きしましたが、やっぱり現在いらっしゃる人に比べると全然足りないと思うんですね。都内で、今、二十九万人という推計をいわれました。先ほど、小磯委員の方からもこの質問をされていましたが、平成三十七年、団塊の世代がちょうど七十五歳を超える年だということでありますが、この年には五十二万人、今の一・八倍ということ、推計も出ております。
このような施設、有料老人ホーム、または認知症グループホームというのは、あっという間に今の定員数を超えてしまう。さらにいうと、この老人ホームや、また認知症のグループホームにおいても、その認知症の度合いによってもなんですが、なかなか受け入れてくれない施設も少なくないということも聞いています。これ、施設に特に悪意があるわけではなくて、まだ認知症に対応できるスタッフや機能というものが十分に備わってないというのが現状であるということもお聞きしております。
都としては、この認知症の人たちを受け入れる施設の拡充に向けて、どのような取り組みができるのか、また、していくつもりなのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 都は、少人数の家庭的な環境で生活する認知症高齢者グループホームや特別養護老人ホーム設置促進を図るため、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域について、施設整備費補助単価を最高一・五倍に加算するなどの措置を講じております。これらの施設を整備する事業者に対しましては、未利用の都有地の減額貸し付けを行うなど、整備促進に努めております。
また、スタッフの問題ですけれども、施設における認知症ケアの質の向上に向けて、認知症介護現場におけるチームケアの中心となる人材の育成を目的として、認知症介護実践者研修を実施しております。研修では、認知症介護に関する実践的な知識及び技術を習得するため、六日間の講義、演習を通しまして、受講者がみずからのケアを見直し、その改善に向けた取り組みをみずからの現場で実習を行うものでございます。平成二十二年度は年十回開催し、延べ八百人が受講する予定でございます。
○田中委員 都としては、この受け皿というものをしっかりと整備していくこと、そして、今おっしゃってもらいましたスタッフのさらなる研修の増加によって、研修を積み重ねた、ケアできる人たちをふやすことを望んでおきたいと思います。
また、一方、認知症の高齢者というのは、そもそも、自宅で生活している人がほとんどであると思っております。在宅で暮らしている認知症高齢者対策というのがさらに必要であります。家族のだれかが、もしかしたらうちのおじいちゃん認知症かなと思ったときに、なかなかこれを相談するというのは難しいと思うんですけど、近所の人にいうのもはばかって、また、医者にいうのもどうかというときに、どうしたらいいかというのが一般的な人たちの悩みかと思います。
そういった場合、今の現状では、行政的には地域包括センターに行くということになっているかと思います。先ほどのほかの委員の質問にもありましたが、地域包括というのは、介護予防を初めいろんなことをやっていまして、さまざまな業務で手いっぱいだということも一方ではあります。認知症に対する十分な対応ができていない、また実際、包括に勤めている人も、なかなか認知症まで、自分たちで対応するのは難しいという声も聞いております。
もちろん、一義的には、じゃあ、包括の人員超過を図ればいいじゃないかということになりますが、一般的な介護相談だけでなくて、認知症の医療的側面にも精通したスタッフの育成、配置が求められておると思っております。いうならば、ナビゲーターというか、水先案内人というか、だれもが、うちの、自分でいうならお父さんがそうであるかなと思ったときに、いえる、相談できるような専門の人のこれから配置が求められると思っておりますが、そのようなことについて都の考えを伺います。
○狩野高齢社会対策部長 医療や介護など、さまざまなサポートが必要な認知症の高齢者を地域で支えていくためには、お話の地域包括支援センターが地域の専門医療機関や、かかりつけ医、ケアマネジャー、介護事業者等関係機関とのネットワークを構築し、こうした社会資源を活用して対応していくことが重要でございます。
都といたしましては、地域包括支援センターの主任ケアマネジャーなどがこうした医療職との連携に不可欠な、基本的な医療的知識を習得できるよう、昨年度から東京都医師会の協力を得まして、在宅医療サポート介護支援専門員研修を行うなど、資質の向上を図っているところでございます。
○田中委員 地域包括の主任ケアマネさんがやるということなんですが、やはり地域包括にすべて任せるというのは大変で、先ほどからも申していますが、介護、あと予防、また精神、さらに今回の認知症、さらに虐待の対応までしなきゃいけないということなので、ぜひ、現場を見ながら柔軟な対応をしていただくことを望みたいと思います。
その連携という中で、住宅で暮らす認知症の人の生活を支えていくためには、家族の気づきというのが一番スタート、初めかとは思うんですが、身近にいるかかりつけ医、毎日、胃が痛いといって通ったり、足が痛いといって通ったりしているかかりつけ医がそれぞれいらっしゃると思うんですが、その人たちの役割というのが極めて重要であることが指摘をされております。
都は、このかかりつけ医の認知症対策の向上に向けては、これまでどのような取り組みを進めてきたのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 身近な地域の中で認知症の人の身体疾患の治療状況や生活環境を把握することができるかかりつけ医の役割は、大変重要でございます。
都はこれまで、かかりつけ医を対象に、認知症の早期発見、早期対応の重要性を理解し、地域の中で家族とともに高齢者本人を支えていくための認知症対応力の向上を目的とした研修を実施してまいりました。
さらに、こうしたかかりつけ医への専門的立場からの支援や地域の関係機関との連携の推進などを行う認知症サポート医の養成も行ってきたところでございます。
○田中委員 まさに、かかりつけ医といっても、専門的知識にまだまだ乏しい人が多く、また、認知症のサポート医という制度もあるということですが、これもお聞きしますと、東京都が三百人ぐらいと。これから増加が見込まれるところであります。ぜひ、このような医療的ネットワークに対して対応できる人材の育成を、これはなかなか東京都だけができるものではありません。医師会等、専門家を含めて連携をしていただきたいと思います。
そして、最後の認知症における質問なんですが、認知症においては、日々、多くの症状が出たり、変わってきているというのも事実であります。例えば、私もこの前受けたセミナーでは、譫妄というのがありまして、これはある意味、幻覚症状らしいんですが、これは脱水症状でも起きてしまうというんです。
ことしの夏、特に暑い夏が続いて、高齢者の脱水症状や亡くなってしまうという方も多く、その事件がありましたが、そのようなときに、水を飲まなくて脱水症状が起きて、幻覚が見えて、そのまま水を飲んで治った後、認知の症状があらわれるというようなことが、今、起きているそうであります。
そのようにして、医学の進歩にあわせて、この認知症も新しい学問でありますので、フォローアップする研修を常に続けていくことが大切かと考えています。そのような体制をどのように整えているか、都の見解を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 都では、平成二十一年度から、認知症サポート医が最新の医学的知識に基づく認知症の人への医療対応について知識を深めるとともに、地域の医療資源の状況を踏まえて、地域連携の推進を一層図ることを目的として、認知症サポート医フォローアップ研修を実施しております。
認知症になっても、地域で安心して暮らし続けられるよう、かかりつけ医を中心とした地域の医療機関の認知症対応力の向上を図ってまいります。
○田中委員 認知症対策というのは、認知症の人を支える地域をつくったり、医療や介護の、先ほどいった基盤の整備、そして人材育成、極めて多岐にわたる事業だと思っております。世界に類を見ない超高齢社会が来る、さらに東京はその先端を走るということもありまして、対策を急いでいただくことを要望しまして、最後、在宅医療の質問に移りたいと思います。
東京都は、急性期を脱した後の医療の提供体制として、療養病床と並んで在宅医療というのを大きな柱として基盤整備の必要性を掲げてこれまで取り組んできました。これまでの在宅医療推進の取り組み状況について、まずお聞きをしたいと思います。
○高橋医療改革推進担当部長 都では、二十年度から二十一年度にかけて、三百六十五日二十四時間安心のネットワーク構築を目指す、在宅医療ネットワーク推進事業を初めとするモデル事業などを実施してまいりました。
また、十九年度から、先駆的な在宅医療の取り組みについて、区市町村包括補助事業へのメニュー化を行っております。
今年度は、効果的な在宅医療の基盤整備を推進する在宅医療連携推進事業を、大田区、調布市、小平市の三地区で実施しております。この事業では、在宅医療連携調整窓口を設置しまして、病院や在宅医療スタッフからの相談対応や在宅医、訪問看護師等の紹介、関係者間の調整を行い、病院から在宅医療への円滑な移行を進めてまいります。
○田中委員 二十二年度の、今年度からのモデル事業ということで、大田、調布、小平という三事業が今始まったということでありますが、もともと、私、地元、大田でありますが、この大田においては、医師会が独自に進めてきたものでありまして、大田においては蒲田、大森、田園調布という三つの医師会があるんですが、その三つの医師会が蒲田を中心としてそのような窓口をつくって、地域資源を生かしていこうと。
例えば、大田区でいうならば、往診や訪問の診療を行う医療機関が二百十四、訪問介護ステーションが三十、訪問介護事務所が百十八あって、これをすべて、その医師会が窓口になって連携をしていこうと進めてきた役割をしてきました。さらに、それを東京都のモデルとして、今回、二十二年度やっていくということをお聞きしました。そうなりますと、在宅医療の連携調整窓口と正式にいうと思いますが、大変可能性を秘めた試みであって、都内、それぞれの地域地域にあるそのような資源を、窓口一つでネットワークでつなげるということであります。
一方、先ほど挙げました地域包括支援センターがありまして、これは介護においての一般的な窓口ということでありますが、私たちは医療においても介護においても、どこの窓口がいいんだろうと、一カ所がいいんじゃないかということがあるんですね。
ですから、一方では、この調整窓口は大変可能性があるんですが、一方では、介護の場合に行く包括支援センターがあって、医療と介護の垣根がない方が一番いいんですが、そのような、ないような関係を築くためには、この二つ、どのように連携を進めていくのか、お聞きをします。
○高橋医療改革推進担当部長 在宅療養患者は、医療と介護サービスの両方を利用する場合が多くなっております。
このため、本事業の窓口では、病院から在宅に移行する際、地域包括支援センターと連携しまして、介護サービスと医療資源を組み合わせたり、地域の介護関係者からの医療に係る相談を受けるなど、地域の医療と介護を結ぶ役割を担います。これによりまして、在宅療養生活の継続と質の向上を目指してまいります。
○田中委員 まず、どっちに行くかということはなかなか難しいかと思うんですけど、先ほどの、認知症のときもありましたが、包括支援センターに余りに役割が集中してしまって、今、手いっぱいだと。そういうことをいいました。ぜひ、この事業としては、在宅医療ということの側面からの相談窓口ということでありますが、医療と介護をまたいで、このような相談窓口、連携窓口ができるということが、もしも可能であって、スムーズにいくならば、先ほどいった、すべて包括に集中する、もしくは行き場所がわからないということに対して一つの解決策になる可能性があるんじゃないかと思っております。ぜひ、これからの推移を見守り、また、結果についても、この委員会等でも報告がいただければと思っております。
そのような観点から、都における在宅医療推進の取り組みについて、今後の展開をお聞きします。
○高橋医療改革推進担当部長 在宅医療推進に当たりましては、住民に身近な区市町村が地域の医療資源と介護サービスを総合的にコーディネートすることが必要であります。
都は、東京都在宅医療推進会議におきまして、医療機関や介護関係者、区市町村等と都のモデル事業を含めた先行事例を評価、検証し、そこで得られた成功要因や在宅医療推進の具体的な方策を区市町村に示し、区市町村が主体的に地域の実情に合った仕組みづくりに取り組むよう、積極的に働きかけてまいります。
あわせて、昨年度から、病院と在宅医療、介護関係者がお互いの方針や技術等について理解を深め、相互に顔の見える連携体制を構築できるよう、在宅医療相互研修を実施しており、引き続きこうした研修を行い、在宅医療の環境づくりを支援してまいります。
○田中委員 三点について、発達障害、また認知症、そして最後は在宅医療ということについての質問をさせていただきましたが、この三点とも、今、モデル事業がやっと終わり、または引き続き行っているところもありますが、今度はそれを各市区町村に落として、そして地域地域でその拠点を、または人材づくりをしていこうというところであります。もちろん、すべてがうまく、スムーズにいくとは思いませんが、その事業を東京都がまず率先して行い、そして地域に落としていくというのを、私たちは、委員会でも始まったばかりでありますから、見守りながら、また恐らく、現場の声というのは、いろんな不満や、また障害があると思っております。それをしっかりと委員会で伝えることをここで決意しまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○早坂委員 療養病床について伺います。
病院は大きく分けて、急性期の患者さんを対象にした一般病床と慢性期の患者さんを対象にした療養病床に区分されます。このうち、慢性期の患者さんを対象にした療養病床は、さらに医療に重点を置いた医療療養病床と介護に重点を置いた介護療養病床に区分されます。
国は、平成十七年に発表した医療制度改革大綱で、この二つの療養病床を再編していく方針を打ち出しました。すなわち、医師、看護師不足に代表されるように、限られた医療資源の有効活用を図るため、医療の必要性が少ない人を対象にした介護療養病床を廃止し、介護療養型老人保健施設、すなわち、病院ではなく、老人保健施設に転換を進める一方で、医療の必要性が高い人には医療療養病床に移っていただくというものです。
高齢化が進めば進むほど、医療サービスを長期間必要とする慢性期患者が増加します。医療療養病床は慢性期患者のリハビリや療養の場として欠かせないものであります。
東京都は、平成二十年三月に策定した東京都医療費適正化計画において、策定当時一万三千床だった医療療養病床を、平成二十四年度までに二倍の二万八千床にふやす目標を立て、整備促進に取り組んでいます。現在の状況について伺います。
○山岸医療政策担当部長 都内の療養病床数は、平成二十二年八月一日現在で二万一千五百二十床でございます。このうち、医療療養病床は一万四千四百五十床、介護療養病床は七千七十床となっております。
医療費適正化計画策定時の医療療養病床数は一万三千百二十二床でしたが、これと比較いたしますと、医療療養病床は約千三百五十床の増加、介護療養病床は約八百五十床の減少、総数では約五百床の増加となっております。
○早坂委員 今のご答弁では、この二年余りで国が廃止を目指す介護療養病床は減り、医療療養病床がふえ、したがって、より医療が必要な人への医療サービスの提供はふえているといえます。
しかしながら、総数としては、目標達成は全く不可能な状況です。整備が進まない理由はどこにあるとお考えか伺います。
○山岸医療政策担当部長 現在、凍結とされております介護療養病床の廃止について国の動向が明確でないこと、本年四月に国が実施した療養病床の転換意向等調査によれば、二十四年度の医療、介護報酬同時改定の方向性を見てから判断したいため、転換予定を未定としている病院が多いこと、こうしたことなどから整備が進んでいないものと認識をしております。
○早坂委員 国は、介護療養病床の介護療養型老人保健施設への転換を意図してきましたが、都内における転換は、わずか一施設が予定されているのみにすぎず、実際には全く進んでいません。
国が平成二十二年四月に実施した調査でも、介護療養病床からの転換意向について、およそ六〇%が未定と回答しています。現場では様子見をしている介護療養病床が多いようです。介護療養病床から介護療養型老人保健施設に転換すると、一般に医療機関は受け取る介護報酬が下がると見込まれること、そして、将来的に利用者一人当たりの床面積を広げなければならないので改修などに費用がかかると見込まれています。この二つが転換が進まない大きな理由だと思います。
加えて、国が昨年十一月、予定どおり介護療養病床を廃止すると、現在、介護療養病床を利用している高齢者の行き場所がなくなってしまうという認識に基づき、介護療養病床の廃止をしばらくの間凍結したことにあります。
すなわち、今後の介護療養病床の国の方向性が明確にされていないのです。このような状態では、医療機関も将来の展望が描けず、医療療養病床や介護施設への転換も進みません。
東京都は、国に対し、引き続き医療療養病床の必要性を主張するとともに、国が早急に医療療養病床確保の方針を明示することを強く働きかけていくよう要望します。
それと同時に、東京都としても、積極的に医療療養病床の確保に取り組むため、医療療養病床の新設や一般病床からの転換を促進していく必要があります。東京都の取り組みについて伺います。
○山岸医療政策担当部長 平成二十年度から医療機関が療養病床の整備を行うために必要な改修、改築及び新築に要する工事費等を補助する療養病床整備事業を実施しておりますが、二十二年度は、補助率を二分の一から四分の三に拡充をいたしました。補助申請がなされた病床数は、平成二十年度から二十一年度は約三百床の申請でしたが、拡充後の二十二年度は、現時点で七百床となっております。
○早坂委員 施設整備についての支援策を伺いました。今年度から補助率を四分の三に拡充したことにより申請件数も伸びてきているようですので、東京都としても、補助金が有効に活用されるよう、制度の周知に努めてもらいたいとお願いいたします。
今後、医療療養病床の果たす役割としては、急性期の治療を終えた人の療養の場としてだけでなく、がんの緩和ケア、維持期のリハビリなど、さまざまな症状に合わせた対応が求められています。多様な患者のニーズにこたえるためには、施設面だけではなく、提供する医療サービスの質の向上が一層重要になると考えます。東京都の支援策について伺います。
○山岸医療政策担当部長 平成二十一年度から療養病床を有する医療機関のスタッフ等を対象に、医療、ケア技術等に関する機能強化のための研修を実施しております。二十一年度は、がん患者の疼痛管理と、急性期を脱した患者の円滑な受け入れとケアの二コースを実施いたしまして、約二百名の参加を得ました。今年度は、在宅医療との連携などについても研修内容に加えるなど、さらに充実を図る予定としてございます。
○早坂委員 がん患者への疼痛管理や在宅療養患者の受け入れなど、これから医療療養病床に求められる機能について研修を実施し、今年度はさらに内容の充実を図るとのご答弁でした。ぜひ、研修結果が現場で生かされるよう検証を行いながら、効果的に実施していただきたいと存じます。
また、機能強化により、多様な患者を受け入れられるようになることは、経営の安定化にもつながることであり、これから医療療養病床の整備を検討している医療機関を後押しする効果もあると思いますので、周知に努めていただきたいと思います。
ところで、介護療養病床から介護療養型老人保健施設への転換に対し、東京都では、国の交付金に加え、平成二十年度から独自の補助制度を実施しています。その内容は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設を整備する場合よりも手厚いものとなっています。介護療養病床の利用者、すなわち、医療必要度は高くないが要介護度は高い高齢者が安心して生活できる場の確保は、これからも間違いなく必要です。東京都は、介護療養型老人保健施設への転換を希望する医療機関に対して、今後とも、現行の補助制度の継続と適切な支援を行うようお願いをいたします。
○栗林委員 それでは、私の方からは、保育サービス、養育家庭制度、そして高齢者の新たな住まいに関することから質問させていただきます。
初めに、保育サービスについて伺います。
いよいよ、明年四月入園に向けまして、認可保育園の入園申し込みの手続を十一月、十二月ぐらいをかけてするという保護者の方が、今、保育所入園に向けての準備に動かれているときではないかと思います。保育園の入園のための活動を保活というふうに最近はいわれているようです。就活、保活、婚活、いろいろありますが、保活といわれているようでございます。
保育園待機児童問題を解決するためには、東京都もさまざまな施策に取り組み、また、区市町村も何とか来年四月入園時には、希望する方全員が入園できるようにと力を入れているところでございます。
私の地元、世田谷区も、やはり一番待機児童が多い区ということで、私立の認可保育園の分園、これは学校施設、特に中学校等の敷地内に分園をということで、千五百人枠拡充するということで今取り組んでおります。何とか来年こそは待機児問題を解消する、そういう意気込みで取り組んでいただいておりますけれども、我が党も積極的に取り組みを推進してまいりました。
この四月より新規事業としてスタートした、事業概要の一八二ページにも出ておりますけれども、定期利用保育事業があります。定期利用保育事業は、保育園の入園ポイントの低いパートタイム労働者とか、また、お仕事を探しているときの求職活動のときに利用ができる保育サービスであります。働き方も多様で、また、生活スタイルに合わせて選択が求められている時代です。多様なサービスを提供するためには、認可保育所とか認証保育所の定員の拡充とともに、勤務日数をふやさなければポイントが上がらないというご苦労だとか、無理にポイントを上げたりすることなく利用できるのが、この定期利用保育事業であります。しかし、なかなか設置が進んでいないとも伺っております。
初めに、都がことし創設した定期利用保育事業の現状と今後の見込みについて伺わせていただきます。
○角田事業推進担当部長 定期利用保育事業についてでございますが、委員ご指摘のとおり、この事業は、保護者の就労形態の多様化に対応いたしまして、パートタイム労働者等にも利用しやすい保育サービスとして、東京都が今年度新たに創設をしたものでございます。
これまで区市町村に対し、説明会の開催や個別訪問等によりまして、本事業の実施に向けた働きかけを行ってまいりました。現在、既に一つの区で実施がされ、五つの区市で準備が進められているところでございます。今後とも、さらに多くの区市町村が本事業を実施できるよう、さまざまな機会を通じて働きかけてまいります。
○栗林委員 ぜひ、このような施設が整備されていかなければ、入園ポイントの低い人が従来の一時保育を週三回利用すると、月の利用料が五万から六万かかるようになります。また、次に、認証保育園にあきができて入園できたとしても、月六万から七万ぐらいかかってしまう。所得の低い世帯が高い利用料金を払わなくてはならないというような事態が生まれます。
現在の制度では、認可保育園はやはりポイント、母子家庭はポイントが高くつきますけれども、ポイントの高いフルタイムで働いている、両親が正社員、こういった方たちは収入も安定し、安定した利用料金の、安い利用料金の認可保育園に、高いポイントですからどんどん入れます。非正社員であるパートとかアルバイトとか休職中の人は、ポイントが低くなりますから、高い利用料金を払って保育サービスを利用するという、まさに所得の低い非正規の社員の人が、認可保育所を利用する正社員よりも保育料を多く支払わなければならないという不公平が生じているのが実態でございます。ですから、こういう定期利用保育事業を積極的にぜひ進めていただきたいと思います。さらに、課題点を明らかにして進めていただきたいことを要望いたします。
また、多様なニーズにこたえるためには、小規模で家庭的な保育も必要です。特に、ゼロ歳から二歳児までは家庭的な保育を求める方が多くいらっしゃいます。そのニーズにこたえているのが保育ママや保育室であります。今日まで培ってきた実績とかキャリア、役割は大変大きいものがございます。そうした保育を担ってきた保育室ですけれども、これが認証保育所に移行ということが求められております。
しかしながら、現在、移行が難しい保育室は、さまざまな課題を抱えています。また、保護者からは現在の保育室で引き続き預かってほしいという声も多いと聞いております。
そこで、そのような状況の中、都は、保育室の移行支援について、どのように取り組んでいるか伺わせていただきます。
○角田事業推進担当部長 地域の多様なニーズに対応するためには、小規模で家庭的な保育サービスの提供も重要であるというふうに認識をしております。都は、従来よりその一端を担ってきた保育室のサービス水準向上のために、保育室の認証保育所への移行を促進してきておりまして、改修経費等に対する補助なども実施をしております。
今年度からは、これに加えまして、共同実施型の家庭的保育モデル事業、これは家庭的保育事業者、いわゆる保育ママさんが何人かで共同して相互に支援しながら保育サービスを提供するという、そういう事業でございますけれども、この事業への移行であるとか、また、先ほどご答弁申し上げました定期利用保育事業への移行につきましても、区市に働きかけを行っているところでございます。今後とも、区市と連携をしながら、保育室の認証保育所等への移行について支援をしてまいります。
○栗林委員 今、求められていますのは、やはり多様な保育サービスであると思います。保育ママ、保育室、認可保育園、認証保育園、認定こども園、ベビールーム等々、働き方が多様化していますので、多様な保育サービスを提供するということが求められております。一定の安全基準をクリアした施設をしっかり支援することも必要ではないかと思います。
そこで、問題になりますのが運営費のコスト、余り子どものことにコスト、コストというのは何かなとは思うんですけれども、やはり、ここに大きな差がございます。例えば認可保育園ですけれども、ゼロ歳から五歳までの平均をとりますと、認可保育園の場合、平均ですが、一人につき公立では運営費約二十二万円、私立は十五万円といわれております。特に、ゼロ歳児に関しては、公立保育園でゼロ歳児一人に充てる運営コストですが、今、平均五十万といわれています。保護者の方からは、自分たちの収入よりも預ける子どもの方に費用がかかっているとは驚いたなんていう声も伺いますけれども、やはり、民営化、民営化ということをただ簡単にいうのではなく、もちろん、安全な、安心な保育サービスというのは大前提でございますけれども、一七七ページのところに、東京都の認可保育所の現況ということで出ておりました。公立が九百七十七カ所、私立が七百六十三カ所ということで、まだ東京都の場合は公立の方が多い割合を占めておりますが、全国的に見ますと、かなり、全国的には七〇%、八〇%ぐらいは民営化が、今、設置されているのが多い流れでございます。
こういった運営コストということも考えましたら、やはり公平性ということからも、しっかり(「安上がりということか」と呼ぶ者あり)じゃないです、しっかり検証した上で、保護者の意見も伺いながら、こういう運営コストも含めた上の、これからは保育サービスのあり方なり設置というものも大事になってくるのではないかと思います。
そして、私は公営の保育園の担う役割というのは、また、新しい時代に新しい役割があるのではないかと思います。
例えば、民間の保育施設は、定員が割れますと経営上大変です。運営するのに大変です。でも、公立はいつも満員なんですね。本来であるならば、民営が満員になって、公立はいつも少しゆとりがあって、途中で引っ越しをしてきて入りたい人、公立の小学校は途中で転校してきたら入れないということないですよね。それと同じように、途中転校したり転居してきた方でも待つことなく入れる、また、障害のあるお子さんたちの保育園も対応できるとか、今は、五十七日から現場復帰するという働く女性もふえてきています。そういった場合は、保育園というのは生まれてからじゃなきゃ申請ができないという、でも、五十七日から復帰する人は出産前にもう決めておきたい、預かってくれる保育園をもう決めておきたいというのが本音です。
そういったさまざまな今の保育サービスでは担い切れていない部分を、公立保育園というのは今後担いながら、そして、その地域の保育の拠点というような、モデルというような、中心拠点というような役割もこれからは求められているのではないかなと思います。さまざまな保育サービスを提供いただきたいことを要望させていただきます。
次に、養育家庭制度について伺います。
最近ですが、私、二カ所、養護施設を視察させていただきました。どこの施設も満員という状態で、また、複雑な家庭環境も背景にあることから、お一人のお子さんの入所期間が長くなっている、それが最近の特徴ということでありました。
養育家庭制度は、さまざまな事情で親と一緒に生活することのできない子どもが施設では味わえない生活体験ができて、家庭というぬくもりを感じることのできるすぐれた制度であります。都は、この間、社会的養護が必要な子どもたちが家庭的な雰囲気の中ではぐくまれ自立できるように、養育家庭などによる少人数での家庭的養護を推進しております。
これまでどのような取り組みを行ってきたのか、また、その結果、養護家庭の登録家庭数、委託家庭数、委託児童数がどのようになっているのか伺わせていただきます。
○雜賀少子社会対策部長 子どもの育ちの基本は家庭でございまして、養育家庭は、社会的養護が必要な子どもに対し、育ちの場としての温かな家庭を提供しているものでございます。残念ながら、さまざまな事情で実の親と一緒に生活できない子どもたちでございますけれども、そのような子どもたちであるからこそ、こういう家庭で生活させてあげたいと切に思っているところでございます。このためには、広く都民にこの制度を知ってもらうことにより登録数の拡大を図ること、実際に登録されている家庭に児童の委託を促進することが必要であると考えております。
都は、十月、十一月を里親月間といたしまして、区市町村と連携しながら、養育家庭がみずからの子育ての喜びや苦労を語る体験発表会の開催、それから、ポスターによる啓発、広報紙やテレビ、ラジオ番組を活用した取り組みなどを集中的に展開しまして、養育家庭への登録の推進を図っております。
また、委託促進につきましては、子どもができるだけ小さい時期に養育者との愛着関係を形成することができるよう、乳幼児及び低年齢の児童につきましては、原則、養育家庭への委託を基本としてございます。特に乳幼児は、三カ月ごとに施設と児童相談所が情報交換を行いまして、委託の機会を逃さないように努めております。
こうした取り組みの結果、平成十一年度、二十一年度の年度末で比較しますと、登録家庭につきましては二百三十七家庭から四百四十家庭へ、委託家庭につきましては百四十五家庭から二百五十八家庭へ、委託児童につきましては百九十八人から三百八十九人ということで、着実に登録家庭の増加、あるいは児童の委託促進が図られているところでございます。
○栗林委員 養育家庭を受けてくださっている方は、善意から熱意を持ち取り組んでくださり、大変なご苦労もあると思います。社会的養護を必要とされる子どもたちは、虐待や育児放棄など、複雑な家庭環境の中で育ってきたこともあり、養育家庭に預けられてから対応が難しくなったり、また、発達障害などのケースで養育上問題が発生する場合もふえているようでございます。
しかし、養育家庭の窓口である児童相談所は業務が多忙で、なかなか対応いただけない場合もあるとも伺います。
そこで、都は、養育家庭に対してどのような支援を行っているか、また、今後、支援をどのように拡充させていくか伺います。
○雜賀少子社会対策部長 都では、児童相談所が中心となりまして、養育家庭への支援を行うこととしてございます。各児童相談所、十一カ所ございますけれども、そこに養育家庭担当の児童福祉司を専任として配置するほか、都独自の養育家庭専門員を配置しまして、定期的な訪問指導等を行い、養育家庭への支援に取り組んでおります。
また、養育家庭が集まって気軽に悩みを相談し合える里親サロンの開催や、ベテランの養育家庭の方による個別電話相談などを、養育家庭の当事者団体であります東京養育家庭の会を中心として実施してございます。
これに加えまして、平成二十一年二月からは民間の団体と連携しまして、民間団体のノウハウを生かしながら、児童相談所の支援を補完し、養育家庭への支援を充実することを目的としまして、里親支援機関事業をモデル実施してきております。
具体的には、乳幼児の養育や家族支援に実績のある乳児院に委託しまして、子育て経験のない養育家庭に対しましては、養育体験の機会を提供するほか、委託をしております養育家庭に対しましては、希望に応じて里親による訪問支援のコーディネート等を行ってまいります。今後一層、養育家庭への支援の充実を図ってまいります。
○栗林委員 よろしくお願いいたします。着実に養護家庭数も拡充している、伸びているということで熱心に取り組んでいただいていると思います。
先日、里親さんの代表の方に何名かお会いしましたけれども、やはり、困難事例にぶつかったときにすぐ相談できる、そこを一番求めていらっしゃるようでした。本当に皆さん、善意で、本当に善意で取り組んでいただいていますので、ぜひそういった相談対応を的確にしていただくことをさらに重視していただければと思います。
また、先日、私は松葉副委員長と一緒に、福岡市のこども総合相談センター、えがお館というところを視察させていただいたんですが、そこでも、里親制度なんですが、すばらしい取り組みをされていました。
里親制度推進事業というのをつくっているんですが、ここでやはり、先ほど部長おっしゃっていただいたように、触れ合い--お盆の時期なんですが、里親行事とか、これは養護施設とか乳児院に入所している子どもが家庭の事情で一時帰宅できない、こういったお子さんたちをその間だけ預かってもらえる、そういうボランティアさんがいるようなんですね。また、里親制度の広報啓発として、里親さん自身に対する里親講座も三カ月に一度ぐらい開催し、また、その他の広報ということで出前講座、これは市民の方のところに、いろんなお集まりのところに出前講座をしながら、里親さんの意識、啓蒙運動といいますか、というのをしているようです。また、里親養育支援共同事業といって、市民参加型の里親普及事業もされているようでした。NPOに委託をしてなんですけれども、地域の方にかかわってもらうような参加型の里親普及事業、また、里親のフォローということで、里親開拓のために制度の理解、申し込みの援助、また、地域における里親や里子世帯への支援体制もやっていました。また、市民フォーラムも半年に一度ぐらい開催をされています。それと、里親、里子の支援体制ということで、里子の家庭教師とか、引っ越しのときのお手伝いとか、市民を巻き込んで、市民、地域がみんなで里子を育てていこう、そういう意識のもとで、この里親制度推進事業というものも取り組んでいらっしゃると伺ってまいりました。
一部の事件、事故が報道されますと、全体がそのようなイメージになり、せっかく頑張っている方たちまでがイメージの低下ということで、大変残念な事態も招く結果にもなりますので、防止するということはもう当然のこととして、より一層の支援をお願いしたいと思います。
それでは、最後に、高齢者の新たな住まいの中から、都市型軽費老人ホームについて何点か伺います。
十月二十五日の新聞に出ておりました、都市型軽費老人ホームの整備状況についての報道がありました。記事の内容は、低所得者の受け皿として整備を進めている都市型軽費老人ホームだが、個室の狭さ、採算性への不安から事業に魅力がないということが書かれていました。しかし、この制度は、さまざまな基準を緩和して、利用料金を抑制して、月々十万円強ということで対応できるという待望の施設でございます。大変期待も大きいところです。成功するかどうかが、今後の高齢者の所得と住まい、そして、介護に至るまでのモデル事業ではないかと思います。
初めに、そもそも都市型軽費老人ホームとはどのようなものであったか、確認を込めて伺います。
○狩野高齢社会対策部長 昨年の三月に、群馬県渋川市のいわゆる未届け有料老人ホームで火災が発生し、都内の利用者七名がお亡くなりになりました、いわゆるたまゆら問題への対応として、特別区長会から二度にわたり、低所得の要介護高齢者の受け皿づくりの要望が提出されました。
それを受けまして、都は、地価の高い都市部において、要介護度が比較的低い低所得の高齢者も利用できる施設として、お話のように、居室面積や職員配置等の基準を緩和した都型ケアハウスを提案し、国に対して、規制緩和と財政支援を提案したところでございます。
これを受けて、国は、本年四月に厚生労働省令を一部改正し、都市型軽費老人ホームの制度を創設いたしました。この施設の整備対象地域は地価の高い都市部に限定されており、東京都におきましては、原則として首都圏整備法で規定する既成市街地に該当する二十三区、武蔵野市、三鷹市の一部が対象地域となります。また、この都市型軽費老人ホームは、国と都からの補助を受けまして、区市町村が施設整備を行う事業者に補助を行う事業であり、区市町村の予算措置が必要でございます。
○栗林委員 都市部のひとり暮らしの低所得高齢者の問題は、今後も非常に重要な問題であると思います。自主的な事業が開始されましたけれども、その後、区市の取り組みがどのような状況か伺います。
○狩野高齢社会対策部長 現在、六区が都市型軽費老人ホームの整備に取り組んでおります。平成二十二年度当初予算措置を行っていた区が三区、うち、既に事業者公募を実施した区が二区でございます。また、当初予算措置はしておりませんが、補正予算対応により事業者公募を実施中の区が三区あり、うち一区につきましては、本年中の着工が確定しております。
○栗林委員 既に半年が経過しておりますけれども、区市の対応が思わしくないようです。これまでなかなか事業が進まなかった要因は何でしょうか、伺わせていただきます。
○狩野高齢社会対策部長 本事業は、先ほども申し上げましたとおり、特別区長会要望も踏まえまして創設された事業でございますが、区市におきましては、本事業を実施するための当初予算措置等の準備がなされていなかったことが一つの要因として挙げられます。
また、四月に、都市型軽費老人ホームの規定を定める厚生労働省令の一部改正があったものの、国から事業内容の詳細を示す老健局長通知が出されたのが六月下旬ということで、国からの情報提供のおくれもございました。
そのほかの要因といたしましては、都市型軽費老人ホームを単独で整備する場合には、地価の高い都市部においては用地の確保が難しいことが挙げられます。
○栗林委員 事情はよくわかりました。でも、先ほども述べましたように、このような軽費老人ホームが整備されることを待ち望んでいる高齢者もたくさんいらっしゃいます。今後、都はどのようにこの事業を進めていくか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 都はこれまでも、区市に対しまして、副区長会や部長会の場において、施設整備費の補正予算対応などの要請を繰り返し行ってきましたが、引き続き本事業に積極的に取り組むよう働きかけてまいります。
さらに、都市部における土地の有効活用を図るために、例えば、高齢者専用賃貸住宅や認知症高齢者グループホーム、さらには特別養護老人ホームとの合築など、多様な手法により整備を進めてまいります。
なお、事業者に対しましては、これまでも説明会などで、再三、都市型軽費老人ホーム事業の周知を図ってきたところでございますが、今後、社会福祉事業の中心的な担い手であります社会福祉法人に対して、本事業への取り組みを強く働きかけてまいります。
○栗林委員 先ほど紹介した新聞記事の最後にコメントを出されている立教大学の高齢者福祉の橋本教授も、軽費老人ホームは経営が大変だと、公有地の無償貸与など、経費を抑える工夫があればもっと進むのではないかというようなコメントも出されておりましたので、今後に期待させていただきます。
次に、介護保険施設の整備促進について伺います。
先ほども指摘がありましたけれども、地価が高い東京では、施設を建設するための用地確保が困難であります。介護保険施設全般の整備を進めるためには、都有地を初めとする公有地の活用を積極的に進めるべきであります。
そこでお尋ねいたします。これまでに未利用の都有地を活用して、高齢者の福祉施設を整備した実績はどのようになっていますでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 都は、平成十五年度から都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を開始いたしました。事業開始以降、都有地を活用し、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなど、六カ所を整備しております。また、現在、都有地を活用した施設整備につきまして、公募中の案件が二カ所ございます。
○栗林委員 まだ少ないかなと思うんですが、また、都は、区市町村所有の土地を、その活用を推進する、促進するための支援も必要ではないかと思いますけれども、その辺の支援はいかがですか。
○狩野高齢社会対策部長 都は、平成十九年度から、区市町村が区市町村有地を事業者に貸し付け、独自の施設整備費補助を行う場合に、包括補助事業によりまして、一施設当たり補助基準額二億円の二分の一を上限として補助し、整備を促進しているところでございます。これまでの実績は、特別養護老人ホーム四件、介護老人保健施設一件、軽費老人ホーム一件でございます。また、今年度の補助予定は二件でございます。
○栗林委員 活用が可能な資源はフル活用していただいて、ぜひ推進していただきたいと思います。
私の地元、世田谷区でも、都有地や区有地を活用した施設整備が行われています。公有地といっても、土地の大きさはもう大小さまざまです。土地が狭ければ狭いなりに、例えば五百平米に満たない土地であっても、認知症のグループホームとか、また、小規模多機能型居宅介護の施設などは建設が可能です。
また、世田谷区内には多くの都営住宅がありまして、順次、今、建てかえということも、建てかえの時期も迎えるようです。都営住宅の建てかえの際に生じる空き地、このようなものも面積があれば、都特別養護老人ホームとか、ショートステイの施設なども整備することが可能です。今後は、未利用の都有地だけでなく、都営住宅建てかえの余剰地なども含めて、積極的に活用を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 利用予定のない都有地を活用した介護保険施設等の整備を図るため、庁内関係各局の間で土地情報の共有を図るとともに、区市町村とも緊密に連携し取り組んでいるところでございます。
本年の七月には、財務局から、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業に活用可能な土地が示されました。これを受けまして、福祉保健局では、土地の所在区市町村に利用意向を確認しているところでございます。現在、認知症高齢者グループホームなど、施設整備を希望している複数の区市町村と調整を行っております。
なお、都市整備局におきましても、都営住宅の建てかえに当たり、事業に支障のない範囲で地元区市の要望を踏まえ、多様な主体による福祉施設の整備を促進しており、今後とも連携して取り組んでまいります。
○栗林委員 ぜひ積極的な取り組みを、関係所管とも連携をとっていただきながら推進していただきたいと思います。
先ほどお話があった都営住宅の建てかえで、今、世田谷区でも池尻住宅の建てかえにあわせて、認知症のグループホームに小規模多機能がこのたび設置できたというふうなことにもなりましたし、また、現在、成城団地、下馬団地、都営住宅の都有地に期待するところが大変大きいものがございます。
ぜひ、今後ますます単身の高齢者人口がふえていくということも考えまして、関係機関との連携を深めながら、ぜひ公有地の有効活用を進めていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○今村委員 それでは、本日の委員会、最後の質疑になりますけれども、よろしくおつき合いいただきたいと思います。
我が党では、本年五月に、行政刷新会議ワーキンググループによる事業仕分けを行い、生活衛生指導費助成金と全国生活衛生営業指導センターを主に検討いたしました。また、六月十日には、厚生労働省の省内事業仕分け、行政事業レビューで、都道府県の生活衛生営業指導センターもあわせて検討されております。これらの議論の中では、補助金や事業のあり方、また人件費の高さなどについて、幾つもの疑問が出されております。そこで、今回、東京都生活衛生営業指導センターの事業についてお聞きをいたします。
当センターの基本財産は四千七百万円余りで、東京都は一千七百万円を出資し、出資率は三六%でありますけれども、一九八〇年設立当時は約半分を占めていたとのことです。現在の職員は五名、一名が事務を担い、残り四名の経営指導員のうち、三名は東京都の元職員であり、一名は銀行関係者と聞いております。東京都からの単独補助事業費は、二〇〇九年度、約一千九百万円、嘱託職員等の給与として約五百五十万円、また、都の委託事業費が約百八十万円となっております。
そこで、今回は、国庫補助金等ではなくて都単独の補助で行われている生衛業振興事業の目的と、そして、センター経由でこの事業を実施している理由についてお伺いをいたします。
○鈴木健康安全部長 都民の日常生活に極めて深い関係があります飲食店ですとか、理容、美容、クリーニング、宿泊、公衆浴場等、生活衛生関係営業の業種には、経営基盤が脆弱な中小零細事業者が非常に多い状況にあります。都内約二十一万施設ございますが、これは経営悪化によりまして衛生水準が損なわれることが懸念されます。生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律、この法律に基づきまして、事業者の経営の健全化、衛生水準の向上、消費者の利益の擁護を図ることを目的として、全都道府県に生活衛生営業指導センターが設置されておりまして、このセンターが行う経営指導事業等に対しまして、国及び都が補助事業を行っております。
今村理事お尋ねの都単独の補助事業でございますが、補助事業の目的としまして、センターの事業を通して、先ほど申し上げました経営の健全化ですとか、消費者の利益擁護を図ることにありますが、この事業を通して公衆衛生の向上、増進を図るということに尽きます。都の単独補助は、大都市東京での生活衛生関係営業に生ずるニーズに対応するために、センターが行う事業を支援することを通して公衆衛生の向上に資するものでございます。特に、経営環境が厳しい現在、その役割は大変重要になっていると考えております。
また、このセンターの事業実施のメリットということでございますが、生活衛生関係営業の十七業種につきましては、それぞれ生活衛生同業組合を設立しておりまして、センターが行う生活衛生営業振興事業は、これら複数の同業組合が連携、協調して事業を行うことが効果的でありまして、同業組合を正会員として、同業組合間を調整する役割を担う財団法人の指導センターが事業を企画、運営することによって、円滑で効果的な事業実施を図ることができる、こんなふうに考えております。
○今村委員 ただいまご答弁をいただきましたけれども、生活衛生、そしてまた、それぞれ中小、特に小さな零細事業者である皆さんの経営の安定化等、目的については何ら異議を挟むものではありませんけれども、先ほど申し上げたとおり、このセンターでなければいけない理由、また、このセンターや財団法人を通すことによって、実は人件費等に補助などが使われる、そういったことが国でも問題になったようでありますし、例えば、東京都が単独で補助をしている事業、消費者懇談会は年一回、センター側がセンター職員と、懇談内容によってその担当の組合の皆さん、また、消費者側は消費者団体や生協団体の代表者のみの、まあ代表でありますから、ごく限られた人数で行われております。
また、異業種、複数業態による連携、共同の推進は、計画書の提出のみで実績報告がなされていないというふうに聞いておりますけれども、地域福祉モデル事業などは、都内三自治体で、五年から七年続けて同じ区で行われておりますし、社協と、または社協をベースとした地域の皆さんと共同して、意見交換や参加店への利用促進を図り、お店を利用すると、一団体三千円の補助が出る事業というふうに聞いております。生活衛生関係営業経営情報化促進事業は、いわゆるパソコンなどの講習やIT、また事業者の皆さんの事業所への出張サポートでありますけれども、これらはすべてその事業が委託をされておりますけれども、これらはすべて随契で契約が行われているというふうにお聞きをしております。
こうしたことについて、もう少し本来の目的にあって、また、さらにいえば、この同業組合の皆さんに直接、より多くの税金、またはメリットが生かされるような取り組みができるのではないかというふうに私は考えますけれども、これらはセンターでなくてはどうしてもできないのかどうか、都の見解と、これからの事業の見直しについては検討されているのかどうかをお伺いします。
○鈴木健康安全部長 ただいま先生お話しの中で実績報告がなされていないということですが、報告は都として受けております。今お尋ねの都の補助金の交付する相手などについてでございますが、指導センターは十七業種の経営相談指導や融資相談を同業組合の組合員、非組合員の区別なく行っているほか、同業組合のニーズについても、さまざまな場で意見交換を行っており、各同業組合や業種の実情を最もよく把握をしております。このため、生活衛生営業振興事業の実施主体として、指導センターが最も適しております。
また、事業内容につきましては、その時々のニーズを踏まえ見直しを行ってきたところであります。
なお、生活衛生営業指導センターの事業は、国庫補助事業と、それから地域の実情に応じて都道府県が行う都道府県の単独補助事業とで構成されており、さらにセンター独自の事業もございますが、このうち国庫補助事業のあり方につきましては、今村理事お話しのとおり、国の事業仕分けですとか、省内事業仕分けで俎上にのっているというところを聞いております。都としては、国におけるこの議論の推移を見守りつつ、引き続き生活衛生関係営業の衛生水準の確保と経営の安定化に努めてまいりたいと思います。
○今村委員 目的は同じだと先ほどから申し上げておりますけれども、例えばそれぞれ、営業形態が小さな事業者が多いわけでありますけれども、いただいた資料によりますと、生活衛生同業組合の事務所、そこには専門の職員さんが、少ないところから多いところまでありますけれども、それぞれいらっしゃいます。または、全国の組織と一緒になっているところもあるわけでありますし、何もセンターがすべて音頭をとってやらなければいけないのかどうか、東京都並びに、これらの組合の皆さん、または複数の組合の皆さんが共同して、お互いに事業発展のために努力をされることもできるのではないかというふうに、組合の中の皆さんからもお話を聞いているところでありますので、一言つけ加えさせていただいて、次の質問に移りたいというふうに思います。
旧政権の二〇〇八年度の緊急総合対策以来、この間、国の特例交付金などにより臨時特例的な各種の基金が創設されております。福祉保健局においても、二〇〇八年度に安心こども基金、そして、妊婦健康診査支援基金を設立するとともに、障害者自立支援対策臨時特例基金の積み増しを行ったほか、二〇〇九年には介護職員処遇改善等臨時特例基金を初めとする六つの基金が新たに創設をされました。
一方、これらの臨時特例的な基金については、いずれも終了時期が設定されております。大半の基金が二〇一一年度末までの時限設置とされております。事前に伺ったところによれば、現在、国の経済対策などに伴い創設された福祉保健局の所管する基金は九基金で、その積立総額は一千三百五十二億円余りでありますけれども、その執行状況を見ますと、二〇〇九年度までに執行したもの及び二〇一〇年度予算に計上したものを差し引いた今年度末の基金残高見込み額は七百三十億円余りで、執行率は四六・一%ということであります。基金の設置期限を考えあわせると、残念ながら、執行状況は低調であるといわざるを得ません。
そこで、これらの基金は、都が直面する課題に対処していく上で貴重な財源であり、最大限活用すべきだと思いますけれども、基金事業に取り組む都の基本姿勢についてお伺いをいたします。
○日置企画担当部長 ただいまお話にございましたが、都は、国の経済対策に伴いまして、子育て、医療、介護等の分野で九つの基金を設置しております。これらの基金は、福祉保健行政を積極的に展開する上で貴重な財源であり、この財源を活用し、各種施策の充実に取り組んでおります。
具体的には、待機児童解消区市町村支援事業におきまして、基金財源の活用に加えまして、都独自の財源を投入し、保育事業者の開設準備経費の負担を八分の一まで軽減しているほか、定期借地を利用して特別養護老人ホームを整備する場合の一時金につきましては、基金事業として国が認めている補助金と同額を都独自に補助するなど、より積極的な事業展開を図るための施策を講じております。引き続き、これらの基金を活用して施策の充実に努めてまいります。
○今村委員 都民生活の課題にこたえるために基金を積極的に活用していこうというのが都の基本認識と聞いて、同じ認識で安心をいたしましたが、しかしながら、そういう認識のもとで取り組んでいるにもかかわらず、執行状況が好ましくないのが現実です。全国平均を問い合わせしたところ、おおむね五〇%程度というふうにお聞きをしております。これより都は若干低いようであります。
そこで、執行率が低い理由と都として積極的に活用していくための対応策について伺います。
○日置企画担当部長 基金を活用して執行できる事業につきましては、都みずからが実施主体となるもののほか、区市町村や福祉事業者、それから医療機関等が実施する事業に対して都が支援するものも多くございますから、これらの補助事業者に対しまして、説明会を通し基金事業の積極的な活用をお願いしているところでございます。
しかしながら、基金の設置から執行までの期間が短く、補助事業者側が十分な検討期間を確保できず、また、初年度は執行が低調に終わりがちであること、それから基金終了後の財政措置の取り扱いが明確でないため、区市町村にとって将来的な財政負担に対する懸念があることなどから、基金枠を満たすだけの補助金申請が上がってこないという状況にございます。また、一つの基金内部におきましても、使用目的別に上限金額が設定されているケースがございまして、この使用目的別の上限額が区市町村のニーズに一致していないというような問題もございます。
このため都といたしましては、国に対しまして、円滑な事業執行が可能となるよう速やかな情報提供をするとともに、基金終了後の財政措置を明確にすること、それから基金事業の執行に当たっては、地方自治体の意見を踏まえ柔軟な運営が可能なものとすることなど、都独自に提案要求しているほか、大都市等と連携して要望活動も行っております。引き続き国への働きを行うとともに、区市町村や各事業者団体に対する説明会を通しまして、基金事業の周知に努め、その積極的な活用を求めてまいります。
○今村委員 せっかくの財源でありますので、有効に活用できるよう引き続き補助事業者や国への働きかけを行っていただきたいと思います。
また、過日、我が党は円高やデフレの克服に向けて、経済対策として四兆八千五百十三億円規模の補正予算を編成することを閣議決定いたしました。聞くところによれば、福祉保健局が所管する基金については、一部の基金を除いて積み増しが行われる予定であります。都民の健康と福祉を増進させるとともに、都民の経済を活性化する上でも貴重な財源でありますので、この財源を最大限活用できるよう、都議会民主党としても、さまざまな機会を通し政府に働きかけてまいりますし、福祉保健局としても、より一層積極的な取り組みをされることを要望し、次の質問に移りたいと思います。
次に、社会福祉法人の指導監査についてお聞きをしたいと思います。
現在、都内には約千の社会福祉法人があり、東京の福祉向上のため法人設立理念のもとに活動をされております。都では、これら社会福祉法人に対し指導監査を実施しており、指導検査の結果、文書指摘、口頭指導及び助言指導を行っておりますが、文書指摘と口頭指導の内容については都に記録が残りますけれども、助言指導については記録等を残しておりません。助言指導の内容が検査員個人により違いがあるようにもお聞きしておりますけれども、公正、公平な指導を行うために、検査を行う職員に対してどのような指導を行っているのか、まずお伺いします。
○松浦指導監査部長 都における指導検査でございますけれども、都が定める詳細な指導検査基準に基づきまして実施しております。指導検査の結果でございますが、関係法令、通達に違反する場合は、その内容によりまして、文書指摘または口頭指導ということにしております。さらに助言指導というものを行っておりますけれども、これは法令、通達等に適合している場合でも、水準の向上のためのアドバイスということで行っているものでございますので、記録してございません。
東京都では、毎年度、検査を行う職員に対しまして、関係法令や指導検査基準などに関する研修を実施しまして職員の資質の向上を図っております。今後も、指導検査におきまして、検査員によってばらつきが生じないようにこの検査員研修をさらに充実させていただきまして、指導検査を実施してまいります。
○今村委員 ぜひ研修をしっかりと行っていただいて、いい指導監査が行われるように努めていただきたいというふうに思いますけれども、社会福祉法人はそれぞれの理念に基づいて設立をされているわけでありますから、そうした法人の歴史や、また理念というものをしっかりと理解した上で、ぜひ現地に赴いていただきたいというふうに一言申し添えておきたいと思います。
それでは、社会福祉法人経営施設等の財務分析強化事業というものを、都は二〇〇九年度より行っておりますけれども、改めてこの事業の目的と、二〇〇九年、二〇一〇年の二年間実施した結果について、見えてきた課題についてお伺いをいたします。
○松浦指導監査部長 財務分析強化事業でございますけれども、毎年度、社会福祉法人から提出される決算状況報告書によりまして、財務状況を調査分析し、経営上の問題や施設運営に係る不適正事例の早期の発見と迅速な改善を行うということを目的としているものでございます。
財務分析の結果、早急な改善が必要と認められる場合には、財務分析を踏まえた効果的な指導検査を実施しております。見えてきた課題でございますけれども、先ほど山加理事のご質問にも答弁させていただきましたけれども、財務上の問題を早期に発見することが重要でございまして、そのために社会福祉法人の経営状況をチェックできる有効な経営指標というものを検討していきまして、都における課題のある法人の早期発見のツールとして活用できるようにしていくというふうに考えております。
○今村委員 財務分析強化事業とともに、都は、同じく社会福祉法人経営適正化事業を行っているところでありますけれども、改めて、この社会福祉法人経営適正化事業の目的を伺い、また、検討を行っている中で、どのような問題点や課題があると認識しているのか、あわせてお伺いいたします。
○松浦指導監査部長 社会福祉法人経営適正化事業でございますけれども、理事会運営とか事業運営などの課題を抱える社会福祉法人の経営機能の強化などに向けた方策について検討し、対応策を講ずるということを目的としております。
昨年七月に、学識経験者などから構成されます社会福祉法人経営適正化検討会というものを設置しまして、検討しておりますけれども、法人経営適正化のためには、理事会や監事機能の活性化、法人本部機能の充実とともに、法人の課題の早期発見、早期対応が重要な課題ということを指摘されているところでございます。
これを受けまして、現在、役員機能強化研修を実施したり、社会福祉法人の課題を早期発見、早期解決できる仕組みを構築するためのモデル事業というものを実施しているところでございます。
○今村委員 これら社会福祉法人に対する東京都の姿勢というものは、東京都内の法人も大きな関心を寄せているわけでありますけれども、今お聞きをしたように、財務分析強化事業ですね、法人適正化事業の目的、重点は、どちらかというと、措置から契約に変わった、この大きな社会福祉制度の流れの中で、経営や財務が余り芳しくない、そういったところによってサービスの低下が起きないような、そういったところに重きを置いているような感じがいたします。
しかし、社会福祉事業というものは、例えば戦後の混乱期から、政府や行政がまだまだそうした人たちに手を差し伸べることのできない時代から、一部の篤志家、そして海外や、または日本でいうならば仏教の関係、または海外のキリスト教団体など、多くのいろいろな人たちによって社会福祉の向上が図られてきたわけであります。そうした中で、社会福祉法人が設立されていくということになっているわけでありますから、第一種社会福祉事業のように、国や東京都、そして社会福祉法人は、ともに社会福祉、そして福祉の向上のための同じパートナーだというふうに私は考えております。
そういった観点から、しっかりとこのような事業を単に経営や金銭的な問題だけに重きを置いていますと、今後、法令等が改正されるかどうかはわかりませんけれども、これら福祉事業がすべて民営化、または株式会社でも行われるような、そんな印象も受けるわけであります。これは少しいい過ぎかもしれませんけれども、ぜひ東京都においては、こうした、ともに福祉を進めるパートナーとして、ぜひ私は局長に、これからの社会福祉法人を東京都としてどのように育てていくのか、その目標や決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○杉村福祉保健局長 社会福祉法人は、公益性と非営利性等を備えた法人として、税制上などのさまざまな優遇措置が設けられておりますことから、社会福祉事業の中心的な担い手として、先導的かつ質の高い福祉サービスに取り組む役割が求められております。
介護保険法の施行等を機に、福祉の分野に民間企業やNPO法人等の多様な事業主体が参入している中、社会福祉法人には、地域福祉の主たる担い手として、地域福祉への積極的な貢献や地域福祉を支える人材の育成など、公益性、公共性の高い法人であるからこそできる事業への積極的な取り組みが、これまで以上に強く期待されているというふうに考えております。
東京都は、良質な福祉サービスの持続的かつ安定的な確保に向けまして、健全な経営ができるよう、今後とも社会福祉法人の適切な指導と育成に取り組んでまいります。
○くまき委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○くまき委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時五十三分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.