厚生委員会速記録第七号

平成二十二年六月十一日(金曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長門脇ふみよし君
副委員長野上 純子君
副委員長斉藤あつし君
理事柳ヶ瀬裕文君
理事早坂 義弘君
理事三原まさつぐ君
栗林のり子君
新井ともはる君
佐藤 由美君
橘  正剛君
山加 朱美君
吉田康一郎君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長庄司 貞夫君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長飯塚美紀子君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
参事枦山日出男君
参事角田由理子君
参事高橋 郁美君
参事中川原米俊君
参事雜賀  真君
参事熊谷 直樹君
参事中谷 肇一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百二十二号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・第百三十二号議案 東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例

○門脇委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○門脇委員長 本日はお手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百二十二号議案及び第百三十二号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、一項目でございます。
 一ページをお開き願います。後期高齢者医療制度の保険料額及び保険料収納率といたしまして、均等割保険料額、平均的な厚生年金受給者の保険料額、一人当たり保険料額及び保険料収納率につきまして、都道府県ごとに記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 順次発言をお願いします。

○新井委員 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例について質問をさせていただきます。
 離婚や配偶者の死などさまざまな事情でひとり親家庭となるケースがふえています。特に、子どもと母親で構成する母子世帯の割合がふえており、長引く不況下、家計の悪化や子育てと仕事の両立で窮地に追い込まれる場合も多いと聞きます。
 このようなことからも、ひとり親家庭に対する国と都のサポート体制について考えなければならないと思います。母子家庭の方や配偶者のいない女性の方々が経済的に自立して安定した生活を送るために、必要な資金をお貸しする制度を充実し、都民にもっと活用されるべき制度にしていただきたいという観点から、幾つか質問をいたします。
 国事業であります母子福祉資金貸付事業の貸付規模が年間約三十八億八千五百万と聞きますが、東京女性福祉資金の貸付規模は年間約七千万円と聞きます。この資金の貸付規模が小さく、利用件数が少ないのはなぜでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 都の女性福祉資金は、国の母子福祉資金の対象外でございます二十歳以上の子を扶養する配偶者のない女子や寡婦等を対象としております。国の母子福祉資金制度を補完する役割を果たしておりまして、都では市町村部を対象として実施をしております。
 なお、区部におきましては、実施主体は特別区でございまして、都区財政調整制度により財源措置をしております。

○新井委員 女性福祉資金は種類として十一種類ありますが、幾つかの貸付相談窓口へヒアリングしたところ、修学や就労支援などの教育費のために借りている人が多いと聞きました。このことについては都はどのように考えていますでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 母子世帯におきましても他の世帯と同様、子どもの教育費の負担が大きいことのあらわれであるというふうに考えてございます。

○新井委員 教育のニーズが多いということですが、教育ということは母子世帯だけでなく、父子世帯においても切実なニーズだと思います。父子家庭の人は現在どのように対応しているんでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 父子家庭で教育に要する資金の貸し付けが必要な世帯の場合でございますが、高等学校等への進学には東京都育英資金等、大学や短期大学等へは独立行政法人日本学生支援機構の奨学金等を現在ご利用いただいているというふうに聞いてございます。

○新井委員 母子や父子などのひとり親に対して、経済的に自立して安定した生活を送っていただくために必要な資金をお貸しする制度について、父子家庭においては母子家庭とは違う制度を使うことを理解しました。
 しかし、都民からしますと、目的は同じでありますから、いろいろな制度があり、それぞれの制度の違いがわかりづらいと思います。今後、母子福祉資金と女性福祉資金を統合するとともに、将来的には父子家庭も対象とすることはできないんでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 母子福祉資金は、母子及び寡婦福祉法に基づきます国の制度でございます。一方、女性福祉資金は、都の条例に基づく都独自の制度でございます。それぞれの資金は、根拠法令や資金の原資となる財源、貸し付けの対象が異なっておりまして、その統合は難しいというふうに考えてございます。また、父子家庭を対象とすることにつきましても同様の考えでございます。

○新井委員 東京都女性福祉資金貸付は、父子は対象外です。母子世帯にはこうした貸付制度がありますが、父子世帯には制度がありません。仕事と育児の両立で母子世帯と同様に負担が大きいにもかかわらず、父子世帯が対象外になっている背景にはさまざまな理由があると考えられます。父子世帯も大変という現状がありますので、将来的には何かしらの対策を設ける必要性があると考えております。そのことを要望しまして、私からの質問とします。ありがとうございました。

○橘委員 私からは、百三十二号議案、東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例改正案について質問いたします。
 東京都後期高齢者医療広域連合の平成二十二年度の保険料は、平成二十一年度に比べまして四・九四%アップしております。今回の保険料率の改定に当たっては、何らの措置も行わなければ、都の広域連合で一一%程度の増加が見込まれていたことを見ますと、保険料率がかなり抑制されているなというふうなことがいえるかと思います。
 今回の条例改正は、平成二十二年度と二十三年度の保険料率の増加を抑えるために、保険料の未納や給付費の見込み誤りによる財源不足に対応するという財政安定化基金の本来の目的に加えまして、保険料の増加抑制のためにも交付することができるようにすると、そういう趣旨のものであります。広域連合による保険料の設定に際し、今回の措置によってどのような効果があるのか、これについてまず伺います。

○宮垣地域保健担当部長 後期高齢者医療財政安定化基金でございますが、この基金は本来、保険料の未納や給付費の見込み誤りによる財源不足に対応するため、都道府県が設置するもので、国、都、広域連合が三分の一ずつ積立額を負担しております。
 今回の条例改正は、委員がおっしゃったとおり、基金を保険料の増加抑制のために利用できるよう基金の目的を追加するとともに、必要な額を積み立てるため拠出率を変更するものでございます。
 これを行うことによりまして、広域連合は保険料を算定する際、あらかじめ基金からの取り崩し額を収入に見込むことで保険料の増加を抑制することが可能となります。
 具体的には、平成二十年度、二十一年度の保険料率と比較しまして、平成二十二年度、二十三年度の保険料につきましては、均等割は三万七千八百円に据え置き、所得割につきましては、六・五六%から七・一八%へ〇・六二ポイントの上昇はいたすわけですけれども、この上昇の幅に抑えることができたということでございます。

○橘委員 今のお話で簡単にいいますと、今後の保険料率とか、それが見通しが立つようにできると。別ないい方をすれば、安心できるように少しは前進するといった措置だと思います。
 拠出率については、当然、都の広域連合と協議を踏まえての結論だと思いますけれども、この協議の中では、さまざまな技術的な手法も駆使しながら努力がなされたというふうに聞いておりますけれども、その協議の状況も含めて、今回の拠出率となった経緯について説明をお願いします。

○宮垣地域保健担当部長 今回の条例改正の経緯、広域連合との協議の状況も含めてというお話でございますけれども、国が平成二十二年度の後期高齢者医療の保険料改定に当たりまして、全国的にかなりの幅の保険料の増加が見込まれたということで、法改正を前提に基金を利用して、平均保険料の増加率を五%未満とするように都道府県の方に協力を求めてきたところでございます。
 都は、国の協力要請を受けた後、広域連合とも十分協議を重ねまして、その上で国が法改正をするということで、国の法改正を踏まえまして、高齢者の方々の不安や混乱に配慮し、特段の措置として、今回基金の取り崩しに不足する額を確保するために拠出率の引き上げをすることとしたものでございます。

○橘委員 東京都とあと広域連合は協議の上で財政安定化基金の積み増しによる対応を決めた、そういう経緯はわかりました。さまざまなご努力をされたというのはよくわかりますけれども、ただ単に積み増しをしたからそれでよしというものではなくて、やはり広域連合は広域連合としていろんな努力もしていかなきゃなりません。その広域連合で、ほかに財政的対応、どのようなことを行ってきたのか、これをご説明いただけますか。

○宮垣地域保健担当部長 広域連合は今回の平成二十二年度、二十三年度の保険料率の算定におきまして、平成二十年度、二十一年度の広域連合の剰余金として六十一億円が見込まれていたわけですが、この六十一億円を充当することとしまして保険料の増加抑制を図っております。

○橘委員 今答弁にありましたけれども、今回の保険料率というのは、基金への拠出率の引き上げもあります。それに今度剰余金の活用、これも手当てとして行ったという、それによって低く抑えることができたという、そういったいろんな工夫によって、努力によって、こういう低く抑えることができたという、そういう結果になったかと思います。
 広域連合も運営上の努力をさまざま行ってきたと思いますけれども、具体的にどのような取り組みをしているのか。また、東京都はこれに対して、広域連合に対してどういう支援を行ってきたのか、質問いたします。

○宮垣地域保健担当部長 広域連合の運営上の努力ということでございますが、あと東京都の支援ということでございますけれども、広域連合では、医療費の適正化を図るためレセプト点検などを実施しております。また、被保険者の方の健康の保持増進を図る観点から健康診査事業を推進しております。東京都は、広域連合に対する支援として法定負担を行うほか、健康診査事業に必要な経費の三分の一の補助を行っておりまして、今後も事業運営に対する助言など必要な支援を行ってまいります。

○橘委員 ところで、後期高齢者医療制度については、国は現行制度を廃止して新たな制度をつくるという、そういった動きをしているようでありますけれども、これは今マスコミでもさまざまに報道はされていますけれども、直接やはり関係してくる東京都として、こういった動きをどのように把握しているのか。そして、現在どのような検討状況にあるのか、お答えいただきたいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 国は昨年十一月に、有識者や地方団体等の代表者会から成る高齢者医療制度改革会議を設置いたしまして、この会議において新たな制度についての検討を行っております。国が示しておりますスケジュールでは、改革会議において、本年夏に中間取りまとめを、年末には最終取りまとめを行うとしております。平成二十三年春に新制度の法案成立を予定し、平成二十五年四月に新しい制度を施行するとしております。

○橘委員 後期高齢者医療制度がスタートして二年が経過しましたけれども、保険料の軽減措置などの改善を重ねる中で定着しつつある、これもまた事実です。しかしその一方で、新たな制度への移行が模索されているという、そういう不安定要素も抱えているというのがこの制度の悩ましいところだと私は思います。
 高齢者の医療制度については、医療費の増大に対応するための議論やさまざまな政治的な動きも繰り返されてまいりました。例えば民主党さんは一昨年の五月、社民党、国民新党、共産党の三党とともに、後期高齢者医療制度を廃止して旧来の老人保健制度に戻す法案を提出いたしました。そして、参院では可決したわけですね。こういった動きもございました。
 ところが、老人保健制度に戻すとしながらも、その後は現在の制度を、後期高齢者医療制度を廃止して新たな制度をつくろうとしている。この先また変わるのではないかという不安を国民はこうした動きを見ると抱いているのではないかというふうに私は思います。現行の制度というのは、財政運営の責任や世代間の費用負担が明確であるなどの多くのメリットがあると私は思います。仮に、新しい制度に移行しようとするならば、やはりこれらのメリットを十分生かした制度にすべきだというのが私の基本的な考えであります。
 後期高齢者医療制度については、ことしの夏に、先ほどありましたけれども、中間取りまとめが出されれば、新制度にするのか、それから現行制度を存続させるのか、そういったことをめぐりまして白熱した議論が展開されることになると思います。
 そうした中で、全体的な高齢者医療の現場を担う自治体が、実態を踏まえた意見を現場から表明していくことが私は大事であると思います。そうした観点から、今後の高齢者医療制度のあり方について、都はどのような基本的な認識をお持ちなのかお聞きしまして、質問を終わります。

○宮垣地域保健担当部長 新制度への認識と都としての対応というご質問でございますが、それにお答えします前に、今回は保険料に対する基金条例の改正ということですので、ちょっとその点を一言認識を述べさせていただきたいと思います。
 そもそも医療保険制度は、相互扶助の精神にのっとり運営されるものでございまして、加入している方は、病気やけがをした場合には保険給付を受けることができる。その一方、その方の所得などに応じて保険料を負担することとなっております。
 保険制度として財政運営を行う以上、給付費総額に見合う収入の確保は必要でございます。根本的な問題として、社会保障制度における負担と給付のバランスの議論が必要かというふうに考えております。
 その中で、高齢者の医療制度について今見直しをされているということでございますけれども、我が国の本当に社会保障制度の根幹にかかわる問題だというふうに認識をしております。
 新しい高齢者医療制度につきましては、高齢者の方が安心して医療を受けられるよう、また財政的に安定して持続可能であること、また世代間の負担が公平であること、そういったことが必要であると考えております。将来にわたり国民皆保険制度が維持されるように、国の責任において十分に議論を尽くすべきと考えております。
 また、知事会等と連携して、都として適切に対応していきたいと考えております。

○大山委員 私も、後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例について、質疑をしたいと思います。
 後期高齢者医療制度につきましては、今もお話ありましたけれども、国民の大きな反対で廃止法案が昨年参議院では可決して、廃止を公約した民主党政権になったんですから、直ちに廃止と、これが国民の願いであるわけです。しかし、にもかかわらず、廃止は四年後に先送り、そして保険料まで値上げ、これはもうとんでもないといわなければなりません。
 高齢者医療制度の問題点、いろいろあるわけですけれども、まず目的からして私はおかしいと思っています。老人保健法では、その目的を国民の老後における健康の保持と定めていましたけれども、後期高齢者医療制度では、医療費の適正化の推進、これに目的を変えました。
 あと、人を年齢で機械的に区別をする高齢者の人権を無視した世界に例のない差別医療制度であるということ。それから、加入者全員が亡くなるまで保険料を払い続けなければならない制度であるということ。それから、医療費の値上がりに伴って二年ごとに自動的に保険料が上げられる制度であること。それから、保険料を強制的に天引きすること。診療報酬で差別をして、医療給付を抑制して、医療制限の仕組みが存在することなど、ほかにもありますけれども、あるわけですね。国民の審判からいっても、廃止して老人保健法に戻さなければならないことなんですけれども、せめてこの時点で保険料を抑えるということが求められています。
 今回の条例改定は、保険料増加抑制のために財政安定化基金に積立金を積み、それを取り崩して均等割保険料の増加を抑えるということですね。均等割の値上げをしないということは、これは重要であり、本議案には私は賛成です。しかし、均等割の据え置きだけでは極めて不十分だといわざるを得ません。
 さっき要求資料で出していただいたこの一覧表を見ましても、一人当たりの保険料、これが東京は八万八千四百三十九円、これ、全国一高いんですね。一人当たりの平均保険料を国の指示だと五%未満にするようにということでしたね。局から最初に説明のときにいただいた資料では、一人当たり平均保険料は、二十一年度と比較し四・九四%上昇ですから、五%ぎりぎりいっぱいまで値上げをしたということです。
 一人当たりの保険料が昨年までは東京より高かった神奈川県。神奈川県は、均等割も所得割も値下げをしました。ですから、一人当たりの保険料は東京が断然トップになりました。
 値下げできているのは神奈川県だけではありませんね。出していただいた資料で見ますと、均等割保険料を値下げしているのは、埼玉県、京都府、和歌山など九県あります。一人当たり保険料が下がっているところは、埼玉、神奈川初め十五県もあります。多くの県が均等割、それから所得割も値下げをしているということなんですね。
 東京も本当に保険料は値上げしなければならないのかということなんです。二〇〇八年度の、平成二十年度の決算が出ていますから、それをもとに質疑したいと思うんです。
 二〇〇八年度は当初予算があって、二次補正しています。当初予算と二次補正の予算、それぞれ幾らでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 平成二十年度の都広域連合におけます後期高齢者医療特別会計の当初予算額は約八千四百十八億円、二次補正後の予算額は約七千八百七十九億円でございます。

○大山委員 つまり、当初予算からもう予算段階で約五百三十九億円の減額になっているんですね。それが一つです。
 それから、広域連合の二〇〇八年度の今の特別会計の歳入と歳出の決算額はそれぞれ幾らになっていますか。

○宮垣地域保健担当部長 済みません。ご質問にお答えする前に、先ほど委員の方から、東京都の来期の広域連合の保険料が非常に全国的に見ても高いというお話がございました。確かに、東京都は所得の高い被保険者の方が多いので、額からいえば高くなってしまうんですけれども、率からいいますと、決して高いレベルではございません。
 例えば標準的な厚生年金受給者の例で見ますと、全国でも四十位、安い方から見れば何番目でしょう、七番目ですね。ということで、決して高い料率とはなってございません。それぞれの広域連合の財政状況、剰余金等の状況等を踏まえて、それぞれの広域連合で保険料については決定をしています。
 先生ご質問の二十年度の後期高齢者医療特別会計の歳入と歳出の決算額ということでよろしいんですね。(大山委員「そうです。」と呼ぶ)都広域連合の平成二十年度後期高齢者医療特別会計決算における歳入ですけれども、約七千八百七十五億円、歳出については七千六百五十七億円となってございます。

○大山委員 決して高くないんだなんてことをいいますけれども、一人当たりの保険料額というのは断然トップなわけですよ。八万八千四百三十九円。それから、例えば広域連合のホームページには、例えばというか、いろんなケースの場合の保険料算定例というのがありますよ。
 例えばですよ。単身七十七歳。七十七歳で公的年金三百万円収入。その人は年間の保険料は十四万三千三百円払うんですよ。もう本来だったら、七十七歳、お疲れさまでした、そういわなきゃいけない年齢の人が、年金の三百万が多いですか。三百万から十四万三千三百円払っているんですよ。そういうところに心を寄せなきゃいけないと私は思います。
 もとに戻りますけれども、つまり、決算すると約百八十七億円の余りが出たんです。保険料算定のもとになった当初予算から見ると七百二十六億円も下がっているんです。使わなかったということですね。当初予算と決算の差、七百二十六億円は一体どこにいったんでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 差額についてでございますけれども、補正予算を組みまして、当初見込んでいた医療給付費の額と実績を踏まえた見込み額との間の差が生じたため、広域連合の方では約五百四十億円の減額補正を行っております。
 また、平成二十年度決算の剰余金につきましては約二百十八億円でございますけれども、その多くが国や都の交付金等の精算により生じたものであり、その返還に充てるものと聞いております。

○大山委員 五百四十億円の減額補正、これ、やったのも年度末ですよね。剰余金の二百十八億円、これのほとんどは、つまり国や東京都に返還するということですね。
 歳入の項目というのは、国と都と区市町村からの公費、それから七十五歳未満の働く世代のこの負担、保険料の負担として出されている後期高齢者支援金、それから七十五歳以上の方々の保険料ですね。国と都には返還されるわけですけれども、高齢者にも、それから働いている世代にも返還はされません。
 歳出に関してはどうでしょうか。特別会計の歳出で一番割合が大きいのは、何といっても保険給付ですね。当初予算と決算額の差は幾らになるでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 平成二十年度の医療給付費について、広域連合の当初予算は約八千二百五十七億円、支出済額は七千四百七十三億円でございます。

○大山委員 つまり、保険給付費が当初予算では八千二百五十七億円、支出済額が七千四百七十三億円ですね。結局、保険給付が七百八十四億円も当初の予定よりも縮小したということですね。
 一方、補正予算でふえているのは何かなと思って見ましたら、基金の積立金です。当初予算では六十八億円でしたけれども、四十三億円が上乗せされて百十一億円の貯金になりました。使い残した分は国や東京都に返還をする。貯金は百十一億円になった。
 高齢者が保険料をどのぐらい払っているのかというのは、さっきも一例を出しましたけれども、そもそも年金が年間十八万円未満、この方たちは天引きされませんけれども、月額一万五千円ぐらいしかない年金の収入の人も、三千七百八十円の保険料を払っているわけですね。
 例えば本人は八十歳で公的年金は七十九万円。お子さんが五十五歳で世帯主で、営業所得が三百九十万円。自分の年金は七十九万円しかありませんけれども、この方は年間三万七千八百円の保険料を払うんですよ。
 それから、シルバー人材センターで働いて、公的年金が二百八万円、シルバーセンターの分配金が八十万円、こういう方も八万八千円の保険料になってしまうんですね。
 後期高齢者医療制度にかかわる費用の国と都と区市町村、それから後期高齢者の保険料、それから働く人たちの保険料の本来の割合と二〇〇八年度決算での実際の負担割合はどうなっているでしょう。

○宮垣地域保健担当部長 後期高齢者医療の窓口での患者負担を除きました費用の財源ということですけれども、国、都道府県、区市町村からの公費、これが五割でございます。それから、現役世代からの支援金、これが四割。それから、高齢者の保険料ということで、これが一割となっております。そのうち公費部分につきましては、国と都道府県、市町村がそれぞれ四対一対一の割合で負担することとなっております。
 平成二十年度の実績でこの割合がどうなったかというご質問でございますが、平成二十年度の費用につきましては、そのうちの一部、平成二十一年度に精算をされ、確定されることになっておりまして、お尋ねの負担割合につきましては、現時点では不明でございます。

○大山委員 基本的には高齢者の保険料が一〇%、働く人たちからの保険料が四〇%、国は三三・三三%、区市町村と東京都はそれぞれ八・三%ずつということですね。
 二十年度分は二十一年度に精算するものがあるから、決算額からは割合は出せないということなんですけれども、今の二十年度の決算額で見れば、高齢者の保険料は本来だったら一〇%の分担だけれども、一四%です。働く人の保険料は、本来だったら四〇%の分担ですけれども、四六%です。国は、本来だったら三三・三三%ですけれども、二五%。それから、東京都は八・三%ですけれども、七%。区市町村も七%です。
 公費と保険料と半分ずつなんだ、これが原則ですよね。しかし、そういっているにもかかわらず、高齢者と七十五歳未満の人たちの保険料で六〇%にもなっているんですよ。公費は少なく、都民の負担は大きい、そういうことじゃないんでしょうか。
 公費と保険料を本来の割合にすれば、国は二十年度だったら二千五百六十四億円出さなければならないわけですから、実際に出した額との差は六百二十三億円にもなるんです。東京都だって国に合わせて減らしていますから、本来の割合を出せば六百四十億円出さなければならないんですが、やはり九十億円も少ないんです。東京都は国に合わせて割合を低くするんじゃなくて、保険料を値上げしないという観点からいっても、本来の割合でちゃんと出して責任をとる。そして、剰余金の返還は求めないで、その分で保険料の軽減に充てる、それこそ東京都の役割なんじゃないでしょうか。どうですか。

○宮垣地域保健担当部長 都の役割としてというお話でございましたが、公費の負担割合が実績として原則的な負担割合よりも動く要因としては幾つかございます。
 例えば、現役並みの所得の方の医療給付費については公費負担が行われない。また、国が負担しております普通調整交付金につきましては、各都道府県間の被保険者の方の所得の差によりまして、減額もしくは増額ということで調整をされております。
 東京都の場合は、先ほども申し上げましたとおり、非常に所得の高い方が多いということで交付額は減額をされております。ですから、実績として必ず基本的な割合になるということは、それは決算等を見ないとわからないということでございます。
 それから、先ほど剰余金の返還を求めずにというお話がございましたが、広域連合は独自の団体として判断をし、議会で承認して運営をしております。その中で、剰余金につきましては、むしろ広域連合自身が努力をして次期の保険料等に反映させる。今回の保険料の値上げ抑制に使われたように、例えばそういったところへ活用される。もしくは、広域連合の運営に使われるというものだというふうに認識をしております。
 また、東京都や国への返還は、もともとの保険制度の中のルールでございまして、これにつきましては、きちんとルールを守っていただかざるを得ないというふうにお答えをしたいと思います。

○大山委員 今は剰余金などでやっているけれども、不十分だからこの質疑をしているわけですよね。均等割だって所得割だって減額している、値下げしている自治体はほかにもあるんだということは、皆さんから出していただいた資料でも明確です。均等割を抑えたけれども、これだけじゃ不十分だからということで質疑をしているわけですね。
 例えば、保険料、剰余金は返すのがルールなんだ。そしたら、きちんと東京都がその分出せばいいわけですよ。
 もう一つですけれども、後期高齢者医療制度、もちろん廃止することが一番なんです。継続しているから少しでも負担を軽くする努力が求められているわけですね。
 一つは、保険給付費の見積もりですけれども、二〇〇八年度は当初予算の見積もりよりも保険給付費が九・五%減ったんですね。多く見積もり過ぎたということなんです。しかし、その次の二〇〇九年度の保険給付費は、多く見積もり過ぎた二〇〇八年度の当初のものの一〇三・一、二〇一二年度は、多く見積もったところの二〇〇八年度の一〇七・五で見積もっていますから、さらに過大な保険給付の見積もりだといわなければならないわけですね。
 もう一つ、当初予算と決算の差額と決算での黒字を合わせた七百二十六億円、二〇〇八年度の平均被保険者数、百八万一千人で割りますと、一人当たり六万七千百六十円なんですね、年間ですよ。つまり、この金額を第一期の保険料として徴収しなくてもやっていけたはずなんだということなんですよ。さらに、国に正しい負担割合を求めればさらに保険料を安くできるんです。そうすることこそ、東京都の姿勢だといえると思うんですね。
 そもそも所得割の保険料を据え置く場合、あと幾らかかるんでしょうか。

○門脇委員長 答弁を受けますが、大山委員、予定時間を過ぎておりますので、まとめてください。

○宮垣地域保健担当部長 この質問につきましては、本年第一回定例会の質疑におきましても共産党の清水ひで子議員の方から、百五億円あれば値上げをしなくて済むのではないかというご質問をいただいております。
 お尋ねの平成二十二年度、二十三年度保険料の料率の所得割額を据え置く場合の必要額は、都広域連合では約百五億円としてございます。

○大山委員 あと百五億円あれば、均等割の据え置きだけじゃなくて所得割も据え置くことができるということなんですよね。東京都の財政力だったら十分可能です。私は、都として広域連合に百五億円の財政支援を行って、所得割の保険料を据え置いて、さらに値下げに向けた努力を行うことを求めて質問を終わります。

○斉藤委員 それでは、私の方から二点伺います。
 後期高齢者医療制度に関しては、先ほど、政権の方でも今廃止、そしてまた新制度の樹立に向けて準備を進めているところであります。今回、条例改正に当たって、財政安定化基金を使うということで、この基金の本来の趣旨からすれば、こういうときに使うというのはそのとおりかなというふうに思います。
 ただ、確認ということで、そもそも後期高齢者医療制度に関して、単純に、これはむしろ政治的な意味合いじゃなくて、医療現場を見ていれば、七十五歳以上の方だけで医療をまとめてしまえば、当然一人当たりの単価はほかの年代に比べてはるかに高いですし、幾ら実際に亡くなられる方がいらっしゃっているからといっても、医療費がその世代だけを見ていれば上がっていくということは、かなり可能性の高かった話かなというふうには思います。
 本来、制度を始めた当初は、各自治体に対してそういうふうに医療費が単純に上がってしまうということを考えたときに、どういったところで、本来ならば、保険料が上がり過ぎないように、財源を確保できるようにというふうな部分をどうやって財源を賄うかという話になっていたのか。当初の制度の仕組みの説明については、東京都はどういうふうに伺っていたのか、そこを伺いたいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 後期高齢者医療制度の設計に当たりまして、国は高齢者の医療給付費について、高齢世代と現役世代の負担を明確化することにより、負担関係の公平化、透明化を図ることとしておりました。
 後期高齢者医療の窓口での患者負担を除きました費用の財源ですけれども、これは先ほど申し上げた、大山委員にもお答えしたとおり、国、都道府県、区市町村の公費と現役世代からの支援金、高齢者の保険料ということで、その割合は五対四対一となっております。医療費が増大した場合につきましても、この割合でそれぞれが負担するということになっております。
 なお、高齢者の人口比率が高まる、それに応じまして、高齢者の保険料の負担割合を高め、現役世代からの支援金の負担割合を低減する、そういう仕組みも組み込まれております。

○斉藤委員 つまりは、財政安定化基金を使うというのは、もともと当初予定されていた方法そのものではなくて、今回、対症療法的に保険料の抑制という点で使う手法であるということはわかりました。もちろんこれ自体が、今回について、こういう方法もやむを得ないところかなというふうに理解をしております。
 さらに、ちょっと確認なんですけれども、後期高齢者医療制度を含めて、それぞれの健康保険、さらにはこういった医療に関する保険会計というものについては、それぞれ直接的な関係というのも場合によってありますけれども、後期高齢者から、実際には他の国保なんかについては間接的な関係でしかないと思います。
 実際、今回条例改正を行うに当たって、区市町村の国保の特別会計、こういったものに影響を与えるという可能性はあるのかどうか、そこを確認したいと思います。

○宮垣地域保健担当部長 区市町村の国民健康保険への特別会計に対する影響があるかどうかというお尋ねでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、今回の条例改正は、後期高齢者医療財政安定化基金を今までの給付費の見込み誤りであるとか、そういった財源不足に対応するものから、実際の保険料の増加抑制のために利用できるようにということで、基金の目的の追加と拠出率の変更を行ったものでございます。
 都は、国の法改正を受けまして、特段の措置として今回の条例改正を行うこととしておりますけれども、この条例改正の区市町村国保会計への影響につきましては、先ほど後期高齢者医療の費用負担の割合の中で、現役世代からの支援金というのを取り上げたかと思いますが、この支援金の中に区市町村国保も負担をしております。しかし、この条例改正自体は、その支援金の負担割合を変えるものではございませんので、区市町村の国保の特別会計に影響を与えることはございません。

○栗林委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 質問に入ります前に、今、後期高齢者医療制度の議論になりましたけれども、やはり負担ということだけにとらわれてしまうと、やはりその先にあります安心というものが必ずセットであるべきものだと思います。
 やはり高齢者になってから治療を受けたり入院する機会も多くなり、現制度では高額医療、限度額制度、こういったもので、病気になっても入院しても、負担が少なくて安心ができるということもかなり喜ばれている制度でございます。やはり、こういったことももっと理解をしていただく取り組みも必要ではないかなと思います。
 私の方からは、第百二十二号、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例の方で三点伺わせていただきたいと思います。
 先ほどの質問とも重なるところがありますので、確認も含めてということでお伺いさせていただきたいんですが、今回この制度も、今、女性の自立に向けた、母子の自立、また女性の福祉資金等々たくさんの制度があり、メニューも多く広がってまいりましたが、そもそもこの女性福祉資金というものはどういった環境の人が対象で、どのような内容なのか、そういった確認も含めて制度をもう一度確認させてください。また、貸付対象や貸付内容はどのようになっているのか伺います。

○吉岡少子社会対策部長 東京都女性福祉資金でございますけれども、これは女性に対して女性福祉資金を貸し付けることにより、その経済的自立と生活意欲の助成を図り、女性の福祉増進に寄与するものでございます。国の寡婦福祉資金にかえ、先駆けまして昭和三十三年に開始した制度でございます。
 貸し付けの対象でございますが、二十歳以上の子を扶養している配偶者のいない女子及び寡婦等でございます。
 また、貸し付けの内容でございますけれども、修学資金、就学支度資金、生活資金、技能習得資金など十一種類がございます。

○栗林委員 それでは、今までの貸付実績ですけれども、この点はどうなっているか。実績と、またこの制度の意義というものをどういうふうに考えていらっしゃるか教えてください。

○吉岡少子社会対策部長 平成二十年度の貸付実績でございますが、貸付件数は百十六件、貸付金額は約六千八百万円となっております。そのうち修学資金が八十三件、約五千二百万円と最も高い割合を占めております。
 その意義でございますけれども、大学や専門学校に進学したお子さんが二十歳になってから修学資金を必要となった場合でございますが、子の年齢要件で国の母子福祉資金の対象にはなりませんが、東京都はこの女性福祉資金で貸し付けができるふうにしてございます。
 また、国の寡婦福祉資金貸付制度におきましては、本人のみを貸付対象としている就職支度資金を子が就職する場合も対象とするなど、国制度よりも対象を広く設定し、より幅広い支援を行っております。

○栗林委員 ありがとうございます。やはり大事なことは、自立に向けてのサポート、こういったことも大変重要だと思います。母子家庭のお子さんの教育とか教育費、大半が修学資金ということでございましたけれども、やはりお子さんの教育とか、また自立のためにこの制度は大変有効な施策であるということはわかりますけれども、またこの中に、十一の種類の中にも技能習得資金というものもございます。こういったものをもっともっと活用していただくと、母親本人の力にもなってくると思いますので、こういった方向の支援もさらに力を入れていただきたいと思います。
 母子家庭の環境の中で、母親が安定した収入を得られるということは、やはり大変重要な点ではないかと思います。母親がそういう技能習得等々、母親自身が力をつけるという点に対してどのような対応を考えていらっしゃるかお伺いします。

○吉岡少子社会対策部長 ご指摘のとおり、母子家庭の母の自立に向けましては、安定した就労につながる資格や技術を身につけることが重要でございます。都では、就労相談、自立促進講習会など、就労支援を行う母子家庭等就業・自立支援センター事業を実施しております。
 さらに、この平成二十二年度におきましては、ひとり親家庭に対し、個別にきめ細かな就労支援を行う相談窓口、T-hopや、仕事と家庭の両立を図りやすい働き方としての在宅就業の支援を行う窓口、はあと立川を開設したところでございます。
 今後とも、資金貸付も含めて、多様な支援策を組み合わせながら、母子家庭の自立の支援を図ってまいります。

○栗林委員 ありがとうございます。今後もさらにメニューを拡大していただきながら、多様な支援策をお願いしたいと思います。
 やはり資格を持つ、また手に職を持つとか専門性を身につけるということは、大変安定した収入、自立につながることになると思いますので、やはり自信を持って生きていけるような展開をしていただきたいと思います。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十四分散会

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