厚生委員会速記録第六号

平成二十二年五月三十一日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長門脇ふみよし君
副委員長野上 純子君
副委員長斉藤あつし君
理事柳ヶ瀬裕文君
理事早坂 義弘君
理事三原まさつぐ君
栗林のり子君
新井ともはる君
佐藤 由美君
橘  正剛君
山加 朱美君
吉田康一郎君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長庄司 貞夫君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長市川郁美子君
施設調整担当部長飯塚美紀子君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
参事枦山日出男君
参事角田由理子君
参事高橋 郁美君
参事中川原米俊君
参事雜賀  真君
参事熊谷 直樹君
参事中谷 肇一君
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長別宮 浩志君
経営戦略・再編整備担当部長斎藤 真人君
参事梅田 弘美君

本日の会議に付した事件
 副委員長の辞任及び互選
 理事の互選
 病院経営本部関係
請願陳情の審査
(1)二二第四号 都立八王子小児病院の存続を求めることに関する請願
(2)二二第一四号 都立墨東病院の地方独立行政法人化計画を中止し、都直営による医療充実に関する陳情
(3)二二第一八号 都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院廃止の再検討と小児医療充実に関する陳情
(4)二二第三一号 都立駒込病院のPFI事業見直しに関する陳情
 福祉保健局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
請願陳情の審査
(1)二二第八号 心身障害者福祉手当の増額に関する請願
(2)二二第一八号 都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院廃止の再検討と小児医療充実に関する陳情
(3)二二第三〇号 医療療養病床を持つ医療機関への運営補助等に関する陳情

○門脇委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 まず、傍聴人の数につきましてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○門脇委員長 初めに、吉田康一郎副委員長から、副委員長を辞任したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり辞任を許可することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、申し出のとおり、吉田康一郎副委員長の辞任は許可されました。

○門脇委員長 次に、吉田康一郎副委員長の辞任に伴い、副委員長一名が欠員となりましたので、これより副委員長の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○新井委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○門脇委員長 ただいまの動議にご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、よって、副委員長には、斉藤あつし理事をご指名申し上げます。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、副委員長には、斉藤あつし理事が当選されました。
 斉藤副委員長から就任のごあいさつがあります。

○斉藤副委員長 本当に図らずも副委員長になりました。委員長を支えて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○門脇委員長 次に、斉藤あつし理事の副委員長就任に伴い、理事一名が欠員となりましたので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○新井委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○門脇委員長 ただいまの動議にご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、よって、理事には、柳ヶ瀬裕文委員をご指名申し上げます。これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、柳ヶ瀬裕文委員が当選されました。

○門脇委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますので、ご了承をお願いいたします。

○門脇委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介をいたします。
 まず、議事課担当書記の大久保偉久真さんです。
 続いて、議案法制課の担当書記の矢野菜詠子さんです。
 両名の方、よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○門脇委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承をお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の請願陳情の審査を行いたいと思います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取した後、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承をお願いいたします。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、中井病院経営本部長より紹介があります。

○中井病院経営本部長 四月一日付で当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 サービス推進部長の別宮浩志でございます。当委員会との連絡を担当させていただきます総務課長の児玉英一郎でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○門脇委員長 紹介は終わりました。

○門脇委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二二第四号及び陳情二二第一八号は内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 それでは、資料1、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 整理番号1、請願二二第四号についてご説明を申し上げます。
 この請願は、八王子市の都立八王子小児病院を守る会代表矢代美知子さん外八千八百四十七人から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都立八王子小児病院を存続させていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立病院は、全国的な医師不足の深刻化など、医療環境が一層厳しくなっている状況の中にありまして、限られた医療資源を最大限に有効活用し、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供することを基本的役割としております。
 都立八王子小児病院につきましては、都における良質な小児医療サービスの確保を図るため、都立清瀬小児病院及び梅ケ丘病院と統合し、心から体に至る総合的で高度専門的な医療を提供し、都の小児医療の拠点となる小児総合医療センターとして本年三月一日に開設いたしました。
 八王子小児病院転出後の地域の小児医療体制の確保につきましては、地域の中核病院であります東海大学八王子病院及び東京医科大学八王子医療センターにおきまして、小児病床十二床を確保しまして、小児総合医療センターの医師を確保するなど、関係医療機関等と連携しながら、地域の住民の皆さんが安心して医療を受けられる体制の整備を図ってまいりました。
 また、小児総合医療センターでは、隣接する多摩総合医療センターと一体となりまして、総合周産期母子医療センターを運営し、NICUを増強するとともに、これまでの小児病院では対応できなかった母体の受け入れが可能となり、多摩地域の各方面から母体搬送や新生児ドクターカーによる搬送の受け入れを行っております。
 二ページをお開き願います。
 整理番号2、陳情二二第一八号についてご説明を申し上げます。
 この陳情は、新宿区の東京の保健衛生医療の充実を求める連絡会代表四谷信子さん外四千百七十五人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨についてでございますが、都において、次のことを実現していただきたい。第一項、都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の廃止をやめ、再検討して存続させること。第二項、都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の外来診療の縮小や病院閉鎖は中止し、行き場のない患者が生まれている問題を都が責任を持って早急に解決することというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院につきましては、都における良質な小児医療サービスの確保を図るため、これらの三病院を統合し、心と体に至る総合的で高度専門的な医療を提供し、都の小児医療の拠点となる小児総合医療センターとして本年三月一日に開設いたしました。
 小児総合医療センターは、隣接する多摩総合医療センターと一体となりまして総合周産期母子医療センターを運営し、NICUを増強するとともに、ほぼ毎日、多摩地域の各方面から、母体搬送やドクターカーの搬送によります患者さんの受け入れを行っております。
 また、小児専門のERや小児ICUの設置によりまして、高度で専門的な小児救急医療にも対応しております。
 小児精神医療につきましても、これまで梅ケ丘病院が担ってきた医療機能のほか、心の疾患に伴う体の症状や合併症、慢性疾患を持つ子どもの心理的問題への対応なども行っております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○吉田委員 よろしくお願いいたします。ただいまの請願陳情二本に関連して、小児三病院移転後の地域の後医療の状況についてお伺いをいたします。
 都は、多摩地域における救急小児医療体制の整備のため、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を移転統合し、府中に小児総合医療センターを開設して、現在、大体三カ月が経過したところであります。
 私ども民主党は、この三病院移転後の地域の後医療の確保が大変重要であるという観点から、特に清瀬市及び八王子市における地域医療への影響について、さまざまな関係者から幾度となくヒアリングを行うなどして緊急の要請を行って、局からも回答をいただいたところであります。
 小児医療は、地域での初期医療、中核病院を軸とした二次医療、そして三百六十五日いつでも重篤な患者さんの受け入れが可能な三次医療、これが機能的に連携することが大変に重要であると。そしてそのことが、多摩あるいは区部も含めて、小児救急医療体制を支える大切な基盤であると考えています。
 そこでまず、この二つの清瀬小児、八王子小児の後医療の状況、それから梅ケ丘病院が担っていた小児精神医療の体制などについてお伺いをして、三病院の移転後もしっかりと、移転後の地域の後医療の状況、医療が確保されているのか確認をしてまいりたいと思います。
 まず、北多摩北部圏域の医療体制は現在どのように確保されているのか、お伺いをします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 北多摩北部圏域の医療体制でございますが、多摩北部医療センターの小児病床を本年二月一日から、二十五床から三十五床に増床し、受け入れ体制を確保してございます。
 また、同じく同センターにおきまして、小児救急医療を充実させるため、ことしの三月から小児救急の当直を二系列で行う体制を確保し、実施をしてございます。
 さらに、多摩北部医療センターを特別連携病院と位置づけ、小児総合医療センターとの医師の交流を行うなど、密接に連携しながら小児救急医療体制の確保を図っております。

○吉田委員 わかりました。多摩北部医療センターを中核病院とした小児救急医療の体制が確保されていると。そして、多摩北部医療センターが、小児総合医療センターの医師との交流などを通じて密接な連携を維持していくという、こういうご答弁をいただきました。
 これ、もうちょっと細かくお聞きしていくんですが、子どもは急に熱が出たり、急にぐったりしたり、非常に予想のつかない症状があって、親は大変心配するわけであります。したがいまして、二十四時間対応できる医療機関が地域にあるということが、この地域の安心を確保することにつながるわけであります。
 そこで、清瀬小児病院移転後における多摩北部医療センターの夜間・休日救急外来の実績ですね、どのような状況になっているのか。また、清瀬の小児病院が実際に運営をしていたときにはどのような実績であったのか、お伺いをします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 平成二十二年三月の一日当たりの患者数は十七・九人、四月は十八・八人でございました。
 なお、清瀬小児病院における平成二十一年度、これは四月から二十二年二月の閉院までの実績でございますが、一日当たり二十九・六人となってございます。

○吉田委員 今、具体的な患者数をお聞きしますと、清瀬小児の実績に比べて多摩北部医療センターの実績が少ないようでありますが、そうすると、地域の患者さんの医療が確保されているのか心配になるわけですが、これ、どのように理解すればいいのか、ご説明をお伺いします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 地域の患者さんにつきましては、一次医療は地域の医療機関、専門的医療は小児総合医療センターにおいて、それぞれ担われているというように考えております。
 二次医療につきましては、多摩北部医療センターのほかに、例えば公立昭和病院において、清瀬小児病院移転後の三月、四月の救急患者実績を見ますと、前年同期比と比べまして、一日当たり約二名程度ふえたというふうに聞いております。これらの中核病院において、受診機会が適切に確保されているというふうに考えております。
 このほか、清瀬市に隣接する所沢市の所沢市市民医療センターでは、清瀬小児病院の移転後の対応も含め、昨年十月から従前の準夜帯に加えて週四日深夜帯の救急診療を実施しており、従前よりも患者数がふえているというふうに聞いております。
 これら総合的、また多様な受け皿によりまして、清瀬小児病院移転後の地域医療は確保されていると理解しております。

○吉田委員 これまで清瀬小児病院では、外来の約四割の患者さんが埼玉県から来られていたと、受け入れていたと聞いておりますので、隣接する埼玉県の所沢市市民医療センター、こういうところでもこの小児救急医療体制が強化されると。あるいは、昭和病院においても患者さんはふえていると。いろいろなことで清瀬小児の移転後の状況が、地域としてきちんと確保されているんだと、こういうご説明でございますので、今後とも小児総合医療センターとの連携に努めていただきながら、地域の皆さんが安心できるように努めていただきたいと思います。
 次に、八王子地域の医療体制はどういう状況であるのか、お伺いいたします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 本年四月から東海大学八王子病院及び東京医科大学八王子医療センターが小児科病床を各六床、計十二床増床いたしました。また、南多摩病院においては、ことし四月から小児科外来診療が開始され、六月からは小児科病床十床を新設し、救急及び入院受け入れを開始すると聞いてございます。

○吉田委員 特に、新しく南多摩病院に十床新設されるということにつきましては、関係者のご努力に感謝を申し上げるところであります。しかし、ハード面が整備されても、医療の担い手として小児科の医師を確保していなければ、地域の皆さんに安心・安全な医療は提供できないわけであります。
 そこで、八王子地域の中核病院において小児科の医師をどのように確保するか。都は、この点についてどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 両大学病院の各六床の増床に当たりましては、両病院に対し、小児総合医療センターから常勤医師各一名を派遣し、受け入れ体制の整備に寄与したところでございます。
 また、南多摩病院につきましては、都立病院を退職した小児科医三名を就職あっせんするとともに、シニアレジデントを当直要員として送るなど、人材の確保を強力に支援してまいりました。
 今後とも、八王子地域の中核病院と密接に連携を図り、地域医療の確保を支援してまいります。

○吉田委員 ただいまのいろいろなご答弁で、八王子地域についても、八王子小児が廃止された後、都も努力しつつ他の病院の努力を支援していただいて、医療の確保に努めていただいているという状況について理解ができました。
 次に、梅ケ丘に関連して、小児精神科医療、これについてお伺いをいたします。
 八王子、あるいは清瀬とちょっと若干異なって、地域の医療確保というだけでなく、都内全体の小児精神科医療を確保するという大事な役割を梅ケ丘は担ってきたわけであります。これまで病院経営本部では、大塚病院に児童精神科を開設するとともに、小児総合医療センターで対応するというご説明をいただいてまいりました。本日のご説明にもございました。
 そこで、大塚病院の児童精神科外来及び小児総合医療センターの小児精神患者の受け入れ状況について、お伺いいたします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院移転後の区部の小児精神患者の受診を確保するため、昨年十月から大塚病院に小児精神科外来を開設しておりまして、開設から三月までの外来患者数は三百八名となっております。
 また、梅ケ丘病院は、移転に当たりまして連携をしている小児精神の医療機関に患者さんを紹介するとともに、状況に応じて小児総合医療センターで外来、入院を受け付けておりますが、これらの患者さんも含め、現在、小児総合医療センターの外来患者数は、梅ケ丘病院時代と同程度の一日当たり約百四十人、入院患者は九十名程度となっております。

○吉田委員 ありがとうございます。梅ケ丘病院での入院の実績は、一日当たり平均で百七十人程度であったと聞いております。小児総合医療センターの小児精神の入院は現在九十名程度とのことですが、今後どのように対応していくということなのか、お伺いいたします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターの病棟につきましては、新人看護師の教育などを経まして、早期に、精神部門につきましては、二百二床のフル稼働を目指しております。その間、外来患者さんの症状に応じまして、入院が必要な患者さんについては入院枠を確保するなど、医師の判断に基づいて適切に対処してまいります。

○吉田委員 わかりました。小児総合医療センター、今後フル稼働に向けてとにかく頑張っていただいて、小児精神科の患者さんも本当に安心して医療が確保されていく、こういう状況になっていくことを改めてお願いをしてまいります。
 今回の三病院の廃止、そして小児救急医療体制を支える基盤づくり、小児総合医療センターの開設をきっかけとして、それぞれの地域で、都も一生懸命努力をされて、新たな地域医療の体制が着実に強化されて、受け入れ体制をつくっているということが確認をできました。
 都民の声という、都民の皆様の声を都庁が一生懸命お聞きをして、その声を各局に知らせるという、こういう制度もありますが、ここにちょっと確認をしましても、この三病院の廃止、移転統合に関連してこういうふうに困っていると、具体的なお話は都民の声の方に届いていないということも聞いております。
 それにしても、やはり地域の皆さんはいろいろご不便、ご不満、そういうのもある中で、東京都全体の初期医療から三次医療までの機能的な連携を東京都は一生懸命やっていくということで、我々も一生懸命に応援をさせていただきますので、引き続き、医療の確保、ご努力をいただきますようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

○野上委員 十六年ぶりに風邪を引きまして、声がちょっと変なんですけど、済みません。
 私も、小児精神医療について質問をしていきたいと思っております。
 今まで梅ケ丘病院というのが小児精神医療に対しては一翼を担ってきたという経緯がございました。このたび小児総合医療センターが開設をされまして、小児精神医療においても、これまで梅ケ丘病院が担ってきた医療機能の部分ですよね、心の疾患に伴う体の症状、心と体の両方の処置をこの小児総合医療センターの方では始めるということで、今までよりも機能強化をして、多くの子どもたちのケアに努めていくわけでございますが、私からは、この小児三病院の移転に伴う課題の中で、特に大塚病院の児童精神外来に絞って、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の十月に開設をして以来、私も、いろいろなご相談があると、大塚がいいよということで大塚の電話番号をお教えして、ここはいいですよというのでかなりコマーシャルはしたんですけれども、なかなか予約をとるのに時間がかかるという返事が返ってくる場合が多かったんですね。
 すごく多くの患者さんを一度に受け入れているということで、大変頑張っていらっしゃる現状はよくわかったんですけれども、大体初診の予約が二カ月待ちという当初の予定がございまして、これはかなりの体制強化が求められるんではないかということで、この前の第一回定例会でも、中嶋幹事長がこの点について質問させていただきました。
 その後、大きく改善されたということをお聞きしておりますが、どういうような対策をとられたんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 大塚病院の児童精神外来におきましては、ことしの四月より常勤医師を二名体制から一名増員し、三名体制としております。さらに、初診、再診枠の曜日ごとの設定を見直し、効率的に予約を受けられるよう改善を図りました。これらによりまして、初診枠はそれまでの月四十人から月八十八人へと、二倍強の枠を設定することができております。

○野上委員 お医者さんを一人ふやすということは、本当に大変なご努力があったかと思うんですが、増員することと、それから診療枠を設定したということで初診枠が大幅にふえたということですけれども、その結果として、予約の状況はどのように変わったんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 例えば五月二十日現在で見た場合ですが、三名の医師によりまして予約日は異なりますけれども、最も長い医師で六月十四日の初診予約がとれている状況でございまして、ほぼ一カ月以内に予約が可能となっております。

○野上委員 この予約の待ち時間も大幅に改善されたということでございます。また、一番最初に初診の枠を一人九十分にふやしたとか、あるいは再診枠を十五分、大体標準枠ということなんですけれども、初診枠の九十分で大体いろいろな状況を把握していただいて判断をしていただけるような、長時間にわたる初診枠が確保できたというようなことも大きな効果ではないかなというふうに思っております。
 それから、大塚病院の児童精神外来というのは、一つには梅ケ丘病院移転後の受け皿であることはもちろんですけれども、また、今の子どもたちを取り巻く環境の変化から見て、この児童精神分野というのは、医療の分野において非常に充実させていかなければいけない大事な分野ではないかと思っております。大塚病院においても、今後も予約待ちの短縮あるいは受け入れ規模の拡大など、状況に応じて適切に対応していただくことをこれからも要望して、質問を終わります。

○大山委員 この二つの請願陳情は、清瀬小児、八王子小児、そして梅ケ丘病院の存続を求めるものです。きょうも多くの皆さんが傍聴にいらして、そして、この請願陳情の審査を見守っているわけです。三つの小児病院は、現在廃止はされてしまいましたけれども、皆さん、あきらめていないということなんですよね。東京都が三つの小児病院を廃止することについて、新聞や週刊誌でたくさん取り上げられましたよね。それから、テレビでも廃止することについて批判的に取り上げられました。
 八王子小児病院を守る会のまとめの冊子をいただいたんですけれども、会の取り組みを振り返ってこう書いてあります。一市民としてできること、それは、やはり署名ということで訴え、会のギネス記録は一時間で四百二十八筆で、行列をつくって協力していただいた、自分は小児病院で命を救われた、子どもがお世話になったと存続の思いは共感を広げましたとあります。いかに都民にとってかけがえのない病院だったかということではないでしょうか。
 今、三つの小児病院を東京都が廃止をして、小児総合医療センターがオープンして、患者や家族がどうなっているのかということなんです。私、小児総合医療センターに四月に行ってみました。びっくりしたんです。外来に行き、それで病棟にも行ってみようと思ったら、エレベーターはちゃんと上下するんですよね。しかし、エレベーターホールから病棟に入るところの自動ドアがあかないんです。病棟に出入りするには専用のカードがなければ扉があかないということですけれども、どうして自由に出入りできないようにしているんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターにおきましては、部外者の方が病棟等に出入りできないようにすること、また、入院している子どもさんたちが勝手に出ていくようなことがないように、子どもの安全確保のためにも病棟の入り口のエレベーターホールをセキュリティーエリアとしております。入院した子どもさんのご家族の方には、入院時の申請によりまして一家族一枚のセキュリティーカードを事前にお渡しし、それによって病棟にお入りいただくというような形をとっております。
 なお、来訪者の方々、面会者の方々は、受付において、からだ病棟についてはカードで入っていただく。また、こころ病棟につきましてはカード方式ではなく、インターホンで看護師等を呼び出していただきまして入っていただくと。セキュリティー上、そのような体制をとっているところでございます。

○大山委員 関係のない人が出入りできないように、それから子どもが勝手に出ていかないように、安全の確保なんだということですよね。私、多摩の大人の方はどうかなと思って行ってみました。こちらは別に、病棟にも自由に出入りできるんです。関係のない人が出入りできないようにするというんだったら、大人の方の多摩総合医療センターだってセキュリティーカードが必要だということなんじゃないんでしょうか。しかし、そっちはやっていない。つまり、どういうことかといったら、子どもが勝手に出ないようにということなんじゃないんですか。まるで閉鎖病棟です。それでないと安全が保てない、そんな状況になっちゃったということですよね。問題はなぜこんなことをしなければならないのかということなんです。
 私は、昨年十一月の請願陳情の質疑のときに、都立病院改革会議に梅ケ丘病院から出されたレポートで、細心の注意が求められる小児精神病疾患患者にとっての良好な治療環境を確保するためには、一般の小児病院や成人の精神病院とは組織的にも物理的にも独立していることが望ましい、こうなっていたにもかかわらず、小児総合医療センターは組織的にも物理的にも独立していないということを批判しました。
 病院経営本部は、建物は独立していないけど、内部の設計や動線等については、治療上の独立性を確保するような形で設計上の工夫をしているから大丈夫なんだ、そういっていました。しかし、オープンしたら、実際は閉鎖病棟にしなければ子どもの安全も図れない。
 梅ケ丘病院のときには、院外に行くといえば梅ケ丘病院の敷地の外に行く、これが院外ですよね。現在の病院では五階のフロアだけで、子どもたちは五階の病棟から一階の売店に行くときでさえも先生の許可を得なければならないんです。療養環境がよくなるどころか後退している。小児精神科を組織的にも物理的にも独立させなかったことが、結局、子どもたちを閉鎖病棟に押し込める、そういうことになったんじゃないんでしょうか。どうなんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 病棟にセキュリティーをかけておりますことは、入院している患者さんの安全確保のためでございまして、いわゆる閉鎖病棟というのは、治療上の必要があって開放病棟、閉鎖病棟というふうに分けているというふうに私どもは理解しておりまして、これが閉鎖病棟と同じというふうには理解はしておりません。
 梅ケ丘病院が小児総合医療センターに移転するに当たっての経緯につきましては、大山先生よりこれまでも何度かご質疑をいただきましたけれども、病院改革プラン以降の梅ケ丘病院の医師等との相談を経て現在の設計に至っているわけでございまして、梅ケ丘病院の医師、看護師等もそれに従って病棟運営をしていると。それについて特段の支障はないものというふうに考えております。

○大山委員 五階のフロアにセキュリティーをかけ、閉鎖しなきゃいけない。自由に出入りできないようにする。子どもが外に出ないようにする。そうしなければ安全確保できないんでしょう。とりわけ五階では、インターホンで呼び出さないと来訪者も中に入れないわけですよね。相談して、現場ではとりわけ問題ないといっていますけれども、子どもの立場に立って直視するべきだと私は思いますよ。本当に現場で矛盾がないのかというのも、きちんと直視してください。
 それぞれの小児病院が廃止されて、子どもたちはどうなっているのかということ、これは重要なことです。まず梅ケ丘病院ですけれども、梅ケ丘病院の患者の行き先はどうなっているでしょう。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院の患者さんは、医師の判断及び患者家族との相談によりまして、引き続き小児総合医療センターで受診をするか、または他院を紹介するという対応をとってございます。
 紹介先としましては、梅ケ丘病院が連携しております都内五十二カ所の医療機関があり、また、入院患者さんにつきましては、移転時において約五十人を小児総合医療センターに再入院、入院予約を行っております。直接移送した患者さんが十三名でございますので、約六十名は早期に入院をしたという状況でございます。
 その他、場合によっては、入院患者さんにつきまして、まずは小児総合医療センターの外来を受診し、その後、状況を見ながら入院適用となって、後に入院していただくというようなケースもございます。
 また、これとは別に、先ほど吉田委員に申し上げましたけれども、大塚病院の児童精神科外来では、平成二十一年十月開設以来、三月までの初診患者数は、先ほど申しましたように三百八名でございますが、そのうち梅ケ丘病院に受診歴のある患者さんは百三名ということになってございます。

○大山委員 そうなんだというふうにさらっといいますけれども、一人一人の患者さんがどうなっているのかちゃんと把握しているんでしょうかということを、私は非常に疑問に思っています。
 梅ケ丘病院を守る会の方々が、梅ケ丘病院廃止後の状況について、住所を把握できている百五十四人にアンケートを郵送して、六十四人から返送されてきました。梅ケ丘病院が廃止後の診療先に困ったことはありませんか、それから東京都への要望はありますか、その他、自由意見欄がありますけれども、多くの方が、もう回答欄にびっしり書いてきているんですよ。
 例えばアンケートに回答を寄せている方の二十五人、全体が六十四人から返送されて、それらの方のうち二十五人が小児総合医療センターに通院していました。通院時間が長い、待ち時間が長く疲れ果てているというのが正直な声です。
 例えばどういうのがあるかというと、梅ケ丘病院でも通院に時間がかかり、さらに待ち時間、薬をもらうまでに一日がかりでしたが、府中になってからは今までの倍以上の時間になりました、高速も渋滞が多くてとても困っています。
 それから、初診受付まで一時間待ち、カルテができて呼ばれるまで一時間かかる、午前中の診察なので学校を休ませる、診察が終わるまで二時間三十分以上かかり、子どもはもう終わりにしたいと、電車で通うと乗りかえもあり片道二時間かかり、本人はもう行かないというので、なれない道ですが車を運転しています。
 この方、町田市からです。今まで通院には一時間半かかっていましたが、今度はさらに遠く二時間かかります、気短な患者の精神状態が悪化します、医療センターの建物も、威圧感があり落ちつけません、それから、待ち時間が長いこと、次回の予約までの日数が一カ月以上になる、医師が少ないんでしょうか、心配しています。
 そのほかにも、駐車場から病院まで離れているので、重度の二人を連れていくのは大変です、梅ケ丘は駐車場の車内にも待たせておくことも可能でしたので、困難を感じています、十八歳と十六歳の重度のお子さんを持っていらっしゃる方です。
 本当に親子ともども、もうくたくたになって通院している状況なんですよ。このような状況を把握しているんでしょうか。どうですか。

○門脇委員長 ちょっと待ってください。大山委員、恐縮ですけど、そのアンケートは、ちょっと冒頭聞き逃したんですが、どういったアンケートですか。

○大山委員 守る会の方々のアンケートです。

○門脇委員長 守る会の、はい、失礼しました。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 先ほど申しましたとおり、梅ケ丘病院の患者さんにつきましては、小児総合センターに入院または外来通院と。また、その他都内の小児精神の医療機関にご紹介をするという対応をとっておりまして、それぞれ適切に対応しているというふうに私どもは考えております。
 先ほど吉田委員から、都民の声の方には、特段、小児病院の移転統合、いいようによれば廃止というものにつきましての苦情というものはないようだというふうにお話がございまして、大変ありがたく思っておりますが、都民の声まで調べる余裕はございませんでしたけれども、私どもの病院経営本部の局広報担当では、日々いろいろな病院の苦情を受け付けております。医者の対応に不満があるとか、職員の応対が悪いとかさまざまございますけれども、小児病院の統廃合の問題につきましては、この数カ月間を拾ったときに開院前で一件、それから三月の開院後に一件のいわば苦情というものが寄せられております。
 日々たくさんの苦情が参りますが、小児医療センターに関する苦情というのはその二件でございまして、かいつまんで申しますと、病院が廃止されることに伴って予約がとりにくくなっているという苦情をいただいておりまして、それぞれ個別対応をしたところでございます。
 この患者さんたちのおっしゃっている内容の中に、小児病院が移転した、あるいは移転する、今の清瀬、八王子などが廃止されるということなのでそのようになっているのではないかというようなご指摘をいただいておりますが、日々たくさんの苦情が寄せられる中で、この一月から現在までの間で、開院前後を通じて二件の苦情はいただいていると、そういう状況でございます。

○大山委員 矛盾だとかというのは、黙っていたら埋もれちゃうんですよ。それを、苦情はないからといって問題ないんだと考えているといったって、守る会の皆さんの、これだけじゃないですよ。ほら、見てください、これ。それぞれびっしり書いてありますよ。こうやってどうですかって聞いたら、こんなに大変な状況がたくさん出てくるわけです。それをちゃんとくみ上げる。自分たちがやったことで、子どもたちが、患者や家族がどうなっているのか。それを、待っているだけで苦情はないんだなんていういい方は、非常に私は心外というか、よくない姿勢だと思います。
 それで、交通費だって大変なんですよ。例えば豊島区から通っている方は、一回で一人当たり往復千円かかる。一人じゃ行けないわけですね、親と行くので二千円、月二回行くわけです。うつ状態のときは、通院するのに大変困難です、デイケアに通うのは困難なので、都で梅ケ丘のような外来、デイケアをつくってほしい、もう切実な声がぎっしり書かれているんですよ。
 せめて、待っているんじゃなくて、小児総合医療センターに通院している患者がどういう状況になっているか、要望はありませんかと。アンケートなどで、病院経営本部みずからが積極的に把握することを求めますが、どうですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターを初めといたしまして、病院に寄せられる要望、または病院経営本部に寄せられる要望等を踏まえまして、今後とも適切に対応してまいります。

○大山委員 要望を待っているんじゃなくて、積極的に、どういう状態になっていましたかということを、リアルに病院経営本部自身が把握してもらいたいと思います。
 今のは、小児総合医療センターに行った方です。小児総合医療センター以外の病院に転院した方たちは、新しい医師との信頼関係、経済的な負担、診療内容などの不安を出されていました。成人の精神科クリニックに通っているという方が十六人いました。十代の前半でも成人のクリニックに通っている患者もいました。
 例えば、医師との信頼関係ができるまでに時間がかかると思います、病院が変わるということで不安定になりましたとか、七歳からずっと同じ医師に診てもらっていたので経過すべてを理解しておりましたが、昨年から転院した診療所では今しか診ていただけず、先がとても不安です、今も本人との戦いの日々ですという十八歳の患者の方です。
 サンマータの処方、これ、薬だと思いますけれども、今はできるけれどもいつやめさせられるかわからず、そのときは自費を請求するといわれ転院を勧告され、また病院を探している、転院した先でもまた探さざるを得ないという状況だと、普通の病院でゆっくり話を聞いてもらうのは無理です、薬だけでなく心のケアをしていただきたいわけです、遠くの病院は、本人にも家族にも費用、時間とも負担が大きいです、それから、成人の子どもがやっと一人で通えるようになったんですが、病院が変わったため、まだ一人では怖くて通えず、うつ病の母が同行しています。
 まだまだたくさんあります。転院先は決まったものの、患者にも家族にも、梅ケ丘を廃止しなければ必要ない、大き過ぎるほど大きなストレスをかけている、これはもう明らかなんです。これは、今のところは行っている方。それから重大なことは、どこにも行けていない患者が、この調査では六十四人中五人もいたことなんです。行き先が見つからない患者がいるということは把握していますか。どうですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院では、先ほど来申し上げておりますとおり、患者さんにつきましては小児センターのほか、各種の医療機関を紹介しているわけでございまして、その後、患者さんとそれぞれの主治医の関係の中で受診が行われているというふうに理解をしております。
 ただいまのようなお話、私ども、決して待っているつもりはございませんので、よろしければ、ぜひ局広報の方にお尋ねをいただきたいと思います。

○大山委員 患者と主治医でちゃんとやっていると、理解しているといったって、この六十四人の中でも五人が、行き先が見つからない患者がいるんですよ。どこにも行けていない患者や家族はどういうことになっているか。どこの病院に行ってよいかわからない、府中は遠いし、医療費も高いので、経済的にも体力的にも大変だ、新しい環境になれるのに苦労する特性を持つ我が子が、新しい病院になれさせるのに不安を感じる、十一歳の患者さんですよ。
 それから、緊急の場合、梅ケ丘病院では早い対応をしてくれたが、どこに診察に行けばよいか困った、府中の小児医療センターは交通の便が悪くて、体も大きくなった子どもを連れていくには大変不便です、民間の療育機関は医療費が高額で、診察を受けることを考えてしまう、こういっています。
 十一歳の患者さんの親御さんは、まだ診察できていません、次に通う病院がない、そういっているんです。それから、これからどこにも行けない、これからどうすればいいかわからない。結局、治療を中断しているということなんですよね。
 今からでも、梅ケ丘に通院していた患者がどうなっているのか、すべての患者を把握して必要なフォローをすべきです。待っているだけじゃなくて、病院経営本部が積極的に把握することが必要ですが、どうですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院から他院を紹介したという例は、今回に始まったことではなくて、これまでずっと続いてきているわけでございます。
 例えば、平成十八年から二十年度の三年間で見ますと、梅ケ丘病院は小児精神疾患の病院でございますから、平均在院日数は百日以上超えておりまして、比較的長い期間入院をされる方も多いのは事実でありますけれども、それでも、先ほどお話にありました百七十人程度の常時入院患者さんがおられる中で、四百名程度の患者さんは新しく入院をし、同じ数の患者さんが退院をしているという状況がございます。患者さんが入れかわっているということが実態としてあります。
 もちろん、その後再入院するというケースがあることは承知をしております。しかしながら、四百人程度の患者さんが新たに入り、また出ていくという先は、在宅でしばらく様子を見るでありますとか、小児精神の疾患を診られる病院に引き継ぎ、紹介をすると。またこちらの方に戻ってくるというようなこともあり、他の医療機関と連携をしまして外来や入院患者を受け入れたり、他院紹介をしたりという患者の行き来があったと。これは、これまでもこれからもそうでございます。
 小児総合医療センターにおいても同様でありまして、外来機能を持つ大塚病院、これが新しくできました。それから、他の発達障害等疾患を診ている医療機関との連携のもとに、小児総合医療センターで診ることが必要とみなされる患者さんにつきましては、医師の判断で診察をしていく、これが基本姿勢でございます。

○大山委員 今までだって、ほかを紹介したことがあるんだなんていうのは、それはそうでしょうよ。そういう人たちはそっちに転院した方がよりいいだろうと思って、梅ケ丘があったんですよ、そのときは。しかし、今は梅ケ丘を、病院経営本部が廃止をしちゃったんですよね。転院したって、またここに戻ってきたいと思えば戻ってこれたわけですよね。
 しかし、今は梅ケ丘をなくしちゃったために、さっき読み上げた人でも、幾つだと思いますか。一人は十一歳、それから十四歳、それから十一歳、十七歳ですよ。梅ケ丘病院が継続していれば、安心して外来で診療を受けられたわけですよ。そういう道を閉ざしておいて、理解してますとか、やってますとか、そういうことじゃないんですよ。だから、きちんと矛盾を掘り起こしてほしいと。だから、東京都みずからが招いた患者や家族の困難を解決する義務があるんですから、待っている姿勢じゃなくて、ちゃんと、積極的にどうなっているのかというのを把握しなきゃだめですよ。
 これらの問題を解決するには、やはり梅ケ丘病院の再開なんですよ。せめて梅ケ丘で外来だけでもと守る会の方々がいうのは当然ですよ。松沢があれだけ広い敷地があるんだから、その敷地の一部で小児精神外来、開設してほしいということも、そういう要望だって当然じゃないでしょうか。小児精神科が最初から少ないのに、東京と三重しかなかったわけですよね、病院は。それなのになくしてしまったわけですね。小児精神科を組織的にも物理的にも独立させなかったということが、さっきいったように、患者と家族に大きな負担をかぶせていくことになったということはもう明白なんですね。梅ヶ丘病院は、まだまだ使える病棟もありますし、プールや体育館もあるわけですよね。ですから、直ちに再開することを求めておきます。
 八王子小児病院についてです。八王子小児病院を守る会にさまざまな声が寄せられています。病院経営本部が八王子小児病院の代替だといっているのが、東海大八王子病院と東京医大八王子医療センターですね。--(三百二十四字削除)--東海大も東京医大も大混雑しているんですね。病院経営本部が代替だといっている病院が、どういう困難な状況で診察しているのか、どういう状況なのかというのは把握しているんでしょうか。どうですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 --(九十一字削除)--東海大八王子病院、それから東京医大八王子医療センター、両病院におきましては、四月から両病院とも小児科病床を六床ずつふやしましたため、入院患者数は多少の伸びを示しておりますけれども、それ以外の外来、救急につきましては、八王子小児病院移転前後で変わりない水準で推移をしております。
 つけ加えて申しますと、昨年の十一月、また、ことしの三月と厚生委員会でたびたびご質疑いただいておりますけれども、これまで私どもに求められておりましたのは、八王子の二つの大学病院の六床の増床というのは本当にできるのかと。それは予定ではないかと、見込みではないかと。南多摩病院についても医師の確保ができていないではないかというようなご指摘をたびたびいただいてまいりました。私どもは、公式の場で申し上げられる段階になるまでは、予定である、見込みであるというような申し上げ方をせざるを得ないわけですから、そのように申し上げてまいりましたけれども、結果として、この現在に立ち至っている状況というのは、四月に六床ずつの病床を整備いたしました。
 また、吉田委員にお答えしましたように、六月からは、外来のみならず救急も含めて、南多摩病院が病床を稼働させるという状況に立ち至っていると、そういう段階に来ているということを改めて申し上げたいと思います。

○大山委員 --(百六十八字削除)--八王子小児病院の隣に重症心身障害児のデイケアのこあらくらぶがありますね。十八人が通っていて、先日というか、四月の二十八日に、八王子市内の障害者団体、障害者児の団体が、合計八十二団体だそうですけれども、八王子障害者団体連絡協議会が主催する議員との懇談会が開催されて、超党派の市議さんや都議が呼ばれたと。そのときにこあらくらぶのお母さんたちが、都立病院府中移転に伴う問題点ということで発言したんですよ。
 八王子小児病院がなくなって一カ月半で、既に府中の小児総合医療センターに四人が入院し、他の三人が小児ERを利用しました。ぐあいが悪くなってから入院に至るまでに、今まで必要としなかった努力を要し、入院後も着がえを届けるなど、面会にもこれまでの数倍の労力を要したとのことです。
 どういうことかといいますと、発熱したり--重症心身障害児ですよ、発熱や嘔吐など、ぐあいが悪くなった重症心身障害児を受け入れる病院が八王子市内にないということなんですね。発熱や嘔吐している重症心身障害児を保護者一人で車に乗せたとしても病院には行けないんですよ。両親で府中まで連れていくけれども、小さい兄弟を残しては行けないので家族総出で行ったというんですね。八王子小児病院は、レスパイトなんかでも入院を受け入れてくれたので、介護疲れのときも、保護者が急病などのときも、ベットがあいていれば、当日でも受け入れてくれて、お母さんたちには大きな支えだったんです。それがなくなったんです。
 そんなことで、こあらくらぶの会員のうち、二家族が八王子から府中病院の近くに転居したんです。一家族は、頻繁に府中に通わなければならないということで、八王子市内に夫と息子さんを残して、府中病院の目の前のアパートに重症児とそのお母さんが転居しました。もう一家族は、一家五人で府中に引っ越したんです。重症児を抱えた家族に、八王子小児病院をなくしたために、こんな負担を強いているんです。こういうのご存じでしたか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 八王子小児病院に通院、入院をしておりました重症心身障害系の患者さんにつきましては、何人かの患者さんは小児センターで診察をする。また、その他の患者さんにつきましては、やはり他の医療機関に引き継ぐという対応をとっておりますけれども、引き継ぐに当たりまして、八王子小児病院時代からそれぞれの医療機関と十分に調整を図ってお願いをしているところでございます。
 その後、いろいろな状況で小児センターを受診せざるを得ないというふうな事態に至った場合には、センターで受け入れるという体制をとっているわけでございまして、これまでの方針どおりに進めてきているところでございます。

○大山委員 方針どおりに進めてきたことが、重症児や、それから家族に引っ越しまでさせる、そんな事態になっているんですよ。これに目をつぶっちゃいけないと思います、東京は。お母さんたちは、八王子から消えてしまった小児病院の存在の大きさを改めて感じています、こう述べているんです。私もそれが偽らざる実感だと思いますよ。
 東京都は、東京都がやってきたことの価値をしっかりと認めて受けとめるべきなんですよ。何も八王子から小児病院の土地が消えたんでも、梅ケ丘や清瀬から消えたんでもありませんから、小児病院を再開させるために、この請願陳情は採択するべきだという主張をして終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、請願二二第四号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、請願二二第四号は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情二二第一八号につきましては、福祉保健局関係もございますので、決定は後ほどの福祉保健局所管分の審査の際に行い、現在のところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二二第一八号は継続審査といたし、後ほど審査をいたします。

○門脇委員長 次に、陳情二二第一四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 それでは、先ほども説明させていただきました資料1をごらんいただければと思います。厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の三ページ目をお開きいただければと思います。
 整理番号3、陳情二二第一四号につきましてご説明申し上げます。
 この陳情は、墨田区の都立墨東病院を直営で存続させる会代表安田茂雄さん外一万二千八百八十四人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨についてでございますが、都立墨東病院の地方独立行政法人化計画を中止し、都直営で医療の充実を図っていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立病院がその基本的役割であります行政的医療を将来にわたり安定的かつ継続的に提供していくためには、都立病院にふさわしい経営形態について検討していくことが必要でございます。
 第二次都立病院改革実行プログラムでは、経営形態の変更につきまして具体的な言及はしておらず、地方独立行政法人の制度上の課題や都立病院の運営状況を踏まえて詳細な検討を行うとともに、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は十分な検討を行っていくこととしております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 それでは、本件について発言をお願いします。

○斉藤委員 それでは一点だけ、確認の意味を込めまして質問をいたします。
 今の病院経営本部からの説明でちょっとわかりにくかったところがありましたので確認いたします。この陳情自体の表題の中には、地方独立行政法人化計画を中止しというふうにありますから、普通にこの件名の部分だけ注目しますと、既存に計画があるというふうな印象を持つんですけれども、実際には、今、説明を聞いてみると、つまりは経営形態を検討する計画があるのは確かだけれども、陳情表題の件名のような具体的な既存の独立行政法人化計画というのはないというふうに説明を聞くと解釈できるんですが、その解釈でよろしいんでしょうか。

○黒田経営企画部長 第二次都立病院改革実行プログラムでは、経営形態の変更については現行言及しておりませんでして、具体的な既存の独立行政法人化計画という意味におきましては、そのような計画はございません。

○大山委員 この陳情は、都立墨東病院の独立行政法人化を中止して、都直営で医療の充実を図っていただきたいというものですね。平成二十年一月の第二次都立病院改革実行プログラムでは、一般地方独立行政法人について検討を行うとされていますが、その後、いつ、だれが、どういう場で、どういう内容の検討を行ってきたんでしょうか。

○黒田経営企画部長 都立病院は、将来にわたりまして、安定的かつ継続的に行政的医療を提供するといった基本的な役割を担っておりまして、限られた医療資源を有効活用した効率的、効果的な病院運営が求められております。このため、現在、国の動向や他の自治体病院におけます地方独立行政法人の導入状況など、地方公営企業法一部適用以外の経営形態について情報収集をしているところでございます。

○大山委員 今、国の動向や他の自治体病院における経営形態について情報収集しているところであるということなんですけれども、今のところは検討段階じゃないんだと。検討というより、情報収集しているんだということですね。その情報収集というのは、課内で職員がやっているということでいいんでしょうか。

○黒田経営企画部長 地方独立行政法人の導入状況など、経営形態についての情報につきましては、病院経営本部経営企画部総務課が中心となって行っているところでございます。

○大山委員 総務課がやっているんだということなんですけれども、第二次都立病院改革実行プログラムは平成二十四年度までの五カ年計画ですね。今後、一般地方独立行政法人について、どういう日程で、だれが、どういう場で、どういう内容の検討を行う予定というか、計画なんでしょうか。

○黒田経営企画部長 第二次都立病院改革実行プログラムでは、経営形態の変更について具体的な言及はしておりませんが、地方独立行政法人の制度上の課題や都立病院の運営状況を踏まえて、詳細な検討を行うとともに、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は十分な検討を行うこととしております。

○大山委員 計画期間中はということなんですけれども、その検討というのは、おしまいは計画期間中ですけど、どういう日程で、だれが行う計画になっているんですか。

○黒田経営企画部長 検討についてでございますが、期間については先ほどもご答弁申し上げましたように計画期間中というふうに考えております。病院経営本部経営企画部総務課が中心となりまして、先ほども申し上げましたが、国や他団体の状況についての情報収集ですとか導入事例の検証を行ってまいります。

○大山委員 二十年度から二十四年度までの計画で、二年間も検討するといいながら、何を検討しているかもいえない、これからどうしようとしているかもいえない。あずさ監査法人という、独立法人化、独法化などを進めている側の人でさえも、こんな本の中で、各経営形態の経営実績を比べた限りでは、経営形態の見直しが必ずしも経営の改善につながっていないように思われます、こういっているわけですね。独法化を進めている側の人でさえも、経営形態の見直しが必ずしも経営改善につながってはいないんですよ、こういっているわけですね。地方独立行政法人の検討などをやめて、直営の都立病院として拡充することを求めます。
 がん医療に関してなんですけれども、墨東病院がある東部地域には、地域がん連携拠点病院も東京都認定病院もありません。この地域は高齢化も比較的進んだ地域でありますが、墨東病院がこの地域でのがん医療の拠点病院として役割を果たしていくべきだと思いますが、どうですか。

○黒田経営企画部長 二点についてお答えさせていただきたいと思います。
 まず、一点目の経営形態の検討でございますが、都立病院は、効率的、効果的な病院運営を図っていくことを使命としておりまして、都立病院の基本的役割を果たしていくために最もふさわしい経営形態について検討していくことが私どもの使命というふうに考えております。ご確認のために改めて答弁させていただきます。
 今ほどご質問いただきましたがん医療拠点病院についてでございますが、墨東病院は、区東部保健医療圏を中心とする区部の基幹的な医療機関としての役割を果たしてきておりまして、これまでも、がん医療についても地域の中核病院としての機能を果たしてきております。今後も引き続き地域の期待にこたえることができるよう、がん医療に取り組んでいきます。

○大山委員 経営形態について確認の意味で発言されましたけど、二年間もやって、まだ検討段階にも入っていないんだと、情報収集しているんだということですし、それから経営形態が変わったって改善にはつながらないんですよと進める側の人もいっているわけですから、そういう検討をするむだなことじゃなくて、直営で充実するようにということをやっていった方がずっと非常に積極的なんじゃないんでしょうかねと、ご確認の意味で私も発言します。
 それで、がん医療については、今後もこの地域の中核病院として役割を果たしていくんだということですけれども、がんの治療も、内科的な治療を求められてきていますけれども、外来化学療法など薬剤師さんなどスタッフも増員して、さらに拡充することが求められていますが、どうですか。

○黒田経営企画部長 墨東病院では、これまでも薬剤師を増員して、病棟、外来の抗がん剤の調整を行うなど、体制整備を進めてまいりました。引き続き、都民の医療需要や医学の進歩に的確に対応したがん医療提供体制としていきます。

○大山委員 引き続き充実強化して、増員もしてやっていっていただきたいと思います。
 都立病院として、都民に、地域の住民の皆さんに信頼されている墨東病院ですから、わざわざ経営形態などの検討など、医療の充実とはかかわりのないものにエネルギーを割かないで、医師や看護師の養成や確保、働き続けられる条件整備などにこそエネルギーを注いでほしいと思います。そうすることがより医療充実になる道だし、都民の信頼にこたえる道だということを述べて終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二二第一四号は不採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、陳情二二第三一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 それでは、資料1、先ほどもごらんいただきました厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の四ページをお開きいただきたいと思います。
 整理番号4、陳情二二第三一号についてご説明を申し上げます。
 この陳情は、文京区の都立駒込病院を存続・充実させ地域医療を守る会代表高橋勲さん外七千十八人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨についてでございますが、都において、次のことを実現していただきたい。第一項、都立駒込病院のPFI事業を早急に見直すこと。第二項、都立駒込病院をがん・感染症医療に特化するのではなく、地域医療を支える病院として、総合診療基盤を充実することというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、まず第一項についてですが、がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業におきましては、病院の改修や、これまで都が個別に委託してまいりました警備、清掃等の施設の維持管理業務、医療事務などに加えまして、医薬品、診療材料の調達などの業務をPFI事業者が一括して行い、民間のノウハウ等を活用して患者さんのサービスの向上を図ることとしておりまして、運営事業開始から一年間、順調に経過したところでございます。
 なお、病院経営や診療業務そのものなど病院運営の中核の部分につきましては、これまでと同様に都が責任を持って行っております。
 次に、第二項についてでございますが、駒込病院では、現在進行中の整備運営事業におきましても、総合診療基盤に支えられた、より専門性の高いがん、感染症を中心とする医療を提供するため、医療機能の拡充に努めてきておりまして、今後も引き続き都民の幅広い医療ニーズにこたえてまいります。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 それでは、本件について発言をお願いいたします。

○斉藤委員 それでは、何点か伺います。PFIについて特に伺います。
 PFIは、プライベート・ファイナンス・イニシアチブの略で、文字どおり公共施設等の設計、建設、維持管理、運営に民間の資金や経営能力、技術的能力を活用することによって公共サービスの提供を行う手法であります。この目的については、支出を抑えながらサービスを向上させるためというふうになっております。PFIのスキームについては、それぞれの事業ごとに事業内容等に応じた方式を選択できることになっているというふうにも聞いております。
 ところで、自治体病院については、やはり行政的医療、そしてまた災害拠点対応など、さまざまなミッションを確実に実行するという役割が求められているため、PFI事業によって民間企業のような手法を病院運営のすべてに用いるということは当然無理でしょうと思います。にもかかわらず、PFI事業によって民間に丸投げされているという誤解があるようであります。これについては、先ほどいったようにスキームが幾つかあるということらしいんですね。
 また、PFI方式導入の先例として知られる高知、そして近江八幡の病院において、開院したものの、結局、契約が解除されてしまって破綻と報道された事例がありますから、そこから東京都の病院PFI事業は本当に大丈夫なのかという声が上がっているということなのでしょう。
 そこで伺うんですけれども、がん・感染症医療センター整備運営事業を初めとする都の病院のPFI事業において、先行導入したこの二つの病院の事業と他市の事業と比べ、どのような事業スキーム上の違いがあるのか、ここを確認したいと思います。

○梅田参事 PFI事業により事業を実施する際には、財務面、法務面、技術面等の検討を行いまして、事業方式によってその事業に最もふさわしい手法を選択することが重要です。
 そうした点を踏まえ検討を行った結果といたしまして、都の病院PFI事業については、お話にありました先行導入した自治体の事業との主な違いとしては、事業期間と資金調達における違いがございます。
 事業期間につきましては、先行導入した自治体の事業では三十年程度でございましたけれども、都の事業では、医療環境、あるいは社会状況の変化等を勘案して、約半分の十五年程度としております。
 資金調達につきましては、先行導入した自治体の事業では、施設整備費に民間資金を導入しているとされておりますけれども、都の事業におきましては、都債を活用して民間資金よりも低い金利で資金を調達しているところでございます。

○斉藤委員 それでは伺います。つまり、都の病院事業については、さまざまな環境変化を見越して事業期間を先行導入した自治体のおよそ半分として、また資金については、都債を活用していると。より低い金利で資金も調達できたというふうなことがいえるわけです。特に都債を活用した資金調達については、民間資金と比べて相対的に金利が低いというふうに見込まれるということで、この先行した自治体については、残念ながら資金調達に係る金利負担が重荷になっていたという面があるというふうには聞いております。
 平成十一年にこのPFI法が制定されているわけなんですが、この法律は、正式名称として、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律という名前になっているわけなんですが、つまりはこの民間資金の活用というのは、PFIの大きな特徴だということが、名前を知ってわかる話であります。その一方で、先ほどの説明では、資金調達の面では都債を活用しており、駒込病院がそのように都債を活用しているので、民間の資金源にはなっていないということです。どちらかといえば、そういうふうな話を、資金の出どころを聞いてしまうと、都立という冠が示すとおり、都立直営的な要素が非常に強いんじゃないかなという印象を持つわけです。
 そこで、またもう一つ、ちょっと伺いたいんですが、事業の実施期間について確認をいたします。事業期間十五年という答弁ですけれども、都の通常契約ならば単年度契約になるところが普通、一般的な事業ではあるわけです。ただ、単年度じゃなくて、今回の十五年のような長期間の契約によって、事業者が継続して安定して事業ができるというメリットがあります。その一方、長期間にわたる、民間企業が運営事業を行うということで、都立病院の運営に関する都の責任が大きく低下するんじゃないかという心配の声が上がってくるというわけです。
 そこで確認をしたいんですけれども、PFI事業の導入に伴って、都はSPCを初めとする事業者をどのようにコントロールし病院運営について責任を果たしているのか、そこを伺います。

○梅田参事 PFI事業は、従来の仕様発注と異なりまして、性能発注でありますので、都が求める業務が達成されているかどうかを評価するモニタリング制度を制度として組み込んでおります。
 ご質問の、都がどのように責任を果たしているかということにつきまして、第一点は、このモニタリングを活用いたしまして、SPCに対し、都の求める業務水準を確実に履行させることです。駒込病院におきましても、モニタリング制度を通じて業務水準の確実な履行を図っているところでございます。
 また、第二点としましては、SPCに対しまして、業務を担う各企業が持つノウハウを吸い上げ、病院運営に貢献するように促すことです。この点におきましては、例えば駒込病院の診療材料の調達に当たりまして効率的な調達方法についてSPCから提案を求め、既に一部において実施しているところです。

○斉藤委員 今の答弁では、民間企業が包括的に運営業務を引き受けることによって丸投げになっていると、そういうようなことは実際にはなく、駒込病院については都が責任を持ってSPCの業務をチェックしているということです。また、SPCの持つノウハウを運営に生かすことができるというのが理想なのは確かでしょう。
 では、伺うんですけども、PFIを導入しても、都が病院の運営に責任を持っているということは何ら変わらないということは確認できたわけなんですが、都民の中には、都が病院運営に責任を持っていることを、よくわからない、知らないという声が依然としてあるように感じております。これにつきましては、私どもの会派の地元の都議も大変心配をしているところであります。
 しかし、その一方で、私どもが感じるのは、これまでも病院は外部委託をして、その中で物品調達や業務委託というものをやってきたわけなんですが、それをPFIという形に、今回、駒込病院については包んだという感じがする、そういう印象を受けるということです。
 そうしたことが本来のPFIとの違いを、本来というか先行事例になったPFIとの違いというものを解釈しにくくさせてきたんじゃないかなということを思うんです。そして、PFIの導入が始まった時期というのは、ちょうど財政再建団体の転落が危惧された、現実味を帯びてきた時期で、全庁的に喫緊の課題として財政再建がございました。その中で、PFIを華々しく導入するという国主導の命題があった時期でもあります。
 そして、このような背景の中で、都庁内外の雰囲気から委託業務によるコストカットを、PFIという名のもとにコストカットしていくと、そういうような手法が何か進められるような、そういったことをした方が全体的にイメージがいいんだよというような、そんな事情もあったんじゃないかなということを、私どもは考えるところであります。PFIと表現をし、それによってかえって都民が運営への疑念を持つということになれば、当然のことながら、今申しましたような声になってしまうんではないかということを思っています。
 そうした不安を抱く都民や、もしくは地元の方、地元の人も都民ですから、不安を抱く都民に、都はこれまでどのように疑念解消に取り組んでいたのか、もしくはいるのか、ここを最後に確認します。

○梅田参事 都はこれまで、都立病院として都が責任を持って病院を運営していくことにつきまして、パンフレットを作成したり、あるいはホームページに掲載するなどして、周辺区の協力も得ながら、都民の方々への周知を図ってきたところでございます。
 例えば、駒込病院の改修工事の開始に当たりまして作成したパンフレットでは、QアンドAを掲載して、PFI事業によって駒込病院は都立病院でなくなってしまうのではないでしょうかという問いに対しましては、改修工事が終了しても、都立病院として、都がみずから運営を行いますという答えを入れまして、都民の方々の疑問にお答えしているところでございます。
 今後とも、ホームページ等を活用しながら、多くの都民の方々に周知し、ご理解をいただけるよう努めてまいりたいと思います。

○斉藤委員 ちょっと最後は意見になるんですけれども、駒込周辺の部分では、以前よりPFIはちょっと心配という声がありました。病院経営本部としては、必ずしもPFI、PFIと、何でもPFIみたいにいう必要というのは余りなかったのかなという気がするんですが、実際には、結構その名称が先行して、イメージについてしまったのではないかなと。また、そのときに東京都の病院経営本部の事情ではなくて、東京都全体の事情として、PFIというものを各局それなりに導入をしていくという雰囲気があったんではないかなというふうに思います。
 今、話を聞きますと、資金について民間というイメージが強いPFIにおいて、実際には都債のような、東京都がコントロールできる部分の資金の調達の方法と、全く民間導入というふうな、手法のといえば少し極端な差がある資金調達の方法があるにもかかわらず、PFIというくくりの中に入ってしまうと、やっぱりどうしても似たものに見えてしまうというのがありますので、この部分の誤解を積極的にとっていくようないい方を、また都民にわかりやすいいい方をしていくべきではないかということは、これは地元の都議の方からも、以前から考えていたことだということで、私どもも、今回の質問をするに当たりましてアドバイスを受けました。
 ぜひともそのあたりを踏まえて、きちんと都民にとってイメージが入りやすい手法で、またいい方で、きちんと伝えていくということは、これは患者さんの信用という点でもプラスになる話でございますので、そこは病院経営本部はしっかりと自分たちの病院のイメージを損なうことなくPRをしていただきたいと思っております。最後は要望といたしますので、よろしくお願いします。

○大山委員 この陳情は、PFIを早急に見直すこと、それから地域医療を支える病院として総合診療基盤を充実することという陳情です。現在、診療を行いながら病棟の改修をやっているわけですが、騒音だとか振動がかなり激しいようです。仮設棟をつくっていますけれども、仮設棟一、これは現在、何に使っているんでしょうか。

○梅田参事 仮設棟一につきましては、現在、主に患者さんや職員が利用する食堂、あるいは理美容室等として使用しております。

○大山委員 現在は食堂だとか理美容室だという、病室以外のものに使っているわけです。その仮設棟一に病室をつくる改修工事をするようですけれども、なぜ必要になったんでしょうか。

○梅田参事 本事業の特徴であります診療を継続しながらの改修工事を行うに当たりましては、工事による影響などを考慮した上で、できる限り診療機能を維持したいと考え、仮設棟一に病床を整備するものでございます。

○大山委員 病室にする予定がなかった仮設の建物ですから、病室にするためには、それなりの配管なども必要です。いかにも、外から見ても仮設のプレハブというような建物なんですけれども、病院にとっては長い工事期間の一時期ということなんでしょうけれども、患者さんにとっては入院するのはその時期だけです。ちょうどその仮設のところに当たっちゃえば、それはその人の駒込病院なわけですけれども、そう何回も入院するわけではありませんから、その方にとっては仮設のプレハブの病室なんです。
 つまり、本来は病室にするつもりがなかったプレハブの建物だけれども、工事を進めてみたら、想定していた工事のやり方ではできなかったということなんです。きちんと見通しを持った工事をするということは、診療しているし手術もするような現場ですから、そういうところだからこそ、工事の計画ややり方について、現場とより綿密な話し合いが必要だということなんではないでしょうかということなんです。
 次に、看護体制の充実についてなんですけれども、七対一看護体制がいわれて、都立病院でも、総合病院で残っているというのは駒込病院と多摩総合医療センターです。駒込病院の七対一看護体制は、いつ実施する予定なんでしょうか。

○黒田経営企画部長 七対一看護基準につきましては、平成二十年第四回都議会定例会におきまして、積極的に導入の拡大を図っていく旨の答弁を行っておりまして、その方針で取り組んできたところでございます。駒込病院につきましても、この方針に基づき導入に向けた準備を進めておりまして、準備が整い次第、実施いたします。

○大山委員 準備が整い次第というのは、今年度中にも実施できる見込みがあるということなんでしょうか。

○黒田経営企画部長 七対一看護基準の取得に当たりましては、具体的な、この取得基準に向けては、病棟の看護体制や、また稼働の状況等、さまざまな要素をもとに実施することが必要となっております。これらの看護体制、その他について、現在検討しておるところでございまして、その検討ができ準備が整い次第、実施するものでございます。

○大山委員 さまざまな要素が絡み合うんだということなんですけれども、看護体制と病床数というのは切り離せないわけですが、現在、診療しながら病棟改修、改築工事を行っている駒込病院ですけれども、工事の進行状況によって病床数が当然変化すると思いますが、現在の病床数が何床で、今後、工期によってどのように変化するんでしょう。

○梅田参事 駒込病院の現在の病床数は約七百四十床となっております。また、今後の病床数につきましては、性能発注ということで、平成二十三年九月の全面供用開始後の病床数が改修する前と同じ八百一床を予定しておりますが、それまでの病床につきましては、現在検討しているところでございます。

○大山委員 現在が七百四十床で工事の途中経過だと。最終的には改修前の八百一床になるけれども、これから工事が本格的にまだまだ実施されているわけですが、工事によって、今の七百四十床がさらに減った形で、八百一床復活するということの理解でいいんですか。

○梅田参事 駒込病院の改修工事につきましては、性能発注ということで、先ほども申し上げましたとおり、平成二十三年九月の八百一床ということを、事業要求書で定めておりますが、それまでの間の病床につきましては、今後、病院、それから事業者とで協議することになっております。

○大山委員 性能発注だから、途中経過はわからないということなんでしょうか。それはちょっと病院を運営していく上で非常によくない状況なんじゃないでしょうか。八百一床で全面改修する際、七対一看護を実施するには、看護師を何人増員する必要があるんでしょう。また、どのようにその看護師の増員分を確保していく計画なんでしょうか。

○黒田経営企画部長 七対一看護基準の実施に必要な看護師数は、先ほどの答弁の中でもお話をさせていただきましたが、病棟の看護体制や稼働状況等によって決まってくることから一概にいえないものでございます。そして、看護体制につきましては現在検討しているところでございます。
 看護師の確保につきましては、これまでも何度かご説明を申し上げてございますが、採用選考の簡素化、実施回数の増、地方選考の実施、また、既に定評のあります研修体系の一層の充実のほか、二交代勤務体制の導入拡大、二十四時間保育の実施、育児短時間勤務制度の導入による働きやすい職場環境づくりなど、総合的、重層的な取り組みを行ってきているところでございます。

○大山委員 どれくらい確保するのかということもどうもはっきりしないわけですけれども、それにしても看護師確保というのは重大です。今、働き続けられるような方策も取り組みをするんだということですけれども、新人で入ってきて、すぐに一人前で働ける職場ではないわけですから、一気に新規採用では現場は回らないわけです。本来だったら、やはり定数以上にきちんと加配で採用して、十分に研修できる期間をとって、現場にもなるべくしわ寄せがないようにすることが求められているわけですけれども、同時に中途採用も行って、徐々に増員していくなどの方法もとるようにしてほしいと要望しておきます。
 ちょっと伺いたいんですけれども、シーツ交換や清掃、あとクラークなどの業務を行っているSPCの委託労働者に対して、病院の都の看護師などの職員が直接指示することはできるんでしょうか。

○梅田参事 昭和六十一年の労働省告示第三十七号、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準に基づきまして、原則として本事業を実施する協力企業等の従業員に対しまして、都の職員が直接指示することはできません。

○大山委員 そのできないっていわれていることが実際にはやられているんです。医療の現場では、清掃業務などでも、病室を掃除するということがあるわけですから、患者さんの状況などは、その日の業務内容に影響します。シーツ交換はSPCの仕事です。SPCの人は患者にタッチすることはできませんから、痛みがある患者さんのシーツを交換することはできないわけです。このベットとこのベットは都の職員がやるから、こっちのベットはSPCの職員にやってほしい、こういうとき、本来だったら都の職員はSPCのデスクに電話をして、このベットとこのベットはSPCにやってもらいたいということを伝えるわけです。そうしたら、SPCの職員から、協力企業の職員に指示が出るという三角関係になるわけです。
 しかし直接、都の職員がSPCの職員に指示をしているわけです。例えば、それから緊急入院があるとき、看護長に連絡が入るわけです。今から緊急入院があるから、カルテとベットネームの準備を直接クラークに指示するわけです。清掃については、通常のものはいいけれども、例えば手術に出た患者のところの床を、こっちをふいておいてねと、そこをふいて、こっちのベットをそこに入れてと、こういう指示というのは直接するわけです。つまり、都の職員が直接指示しないと、病院の業務は成り立たないということなんです。東京都が法令違反になる状況をつくり出しているということじゃないんでしょうか。違いますか。

○梅田参事 先ほど大山委員からお話がございましたリネン交換につきましては、患者さんの状況に関する情報を共有することによりまして、適切に医療作業業務を遂行するということを行っております。こうした取り組みにつきましては、例えば、院内で開催いたしましたテーマ別改善運動委員会におきまして、事業者が発表し、院長を含む審査委員の審査により、その効果について評価を得ておるところでございます。
 また、患者さんの退院につきましては、その予定を協力企業の責任者が看護長から提供を受けるなどして、事業者みずからがスケジュールを立てて業務に対応するようになっております。
 また、急な退院に際しましては、予定の変更に関する情報の提供を受け、作業スケジュールの変更を事業者みずから行って対応しているところであり、こうした仕組みによりまして、医療作業業務が適切に運営されているというふうに考えておるところです。

○大山委員 そんなことをいいますけれども、現場で情報を共有して、テーマ別改善運動をやって、きょうは、五月三十一日は多分この患者さんは手術に行くだろうからとか、多分この人は痛くなるだろうから、じゃあ五月三十一日には、この人はベットのシーツは交換できませんよとか、そういうことになるんでしょうか。そういうことはならないんですよ。
 現場で緊急入院があったら、すぐにそこを整えてねというのを、直接指示しなかったら回っていかないし、それからお掃除、こっちの掃除をやっておいて、それでこっちのベットをあっちから動かしてねというのだって、テーマ別で共有して、その日のことが動くかといったら動かないわけです。業務を委託するということはそういうことなんですよ。マニュアルどおりで済むことは問題ないかもしれませんけれども、しかし、実際にいつもと違う掃除の仕方をするとか、痛みがあったり動かしたりできないとき、どの患者さんがそういう状態か、そういうのはマニュアルにも書いてありませんよね。
 そんなときに、それでなくても忙しい現場の看護師さんだとか、目の前にSPCの職員がいるのに電話まで走っていって、現場の状況が見えないSPCのデスクに指示をして、それを今度はSPCのデスクが、実際に仕事をするSPCの職員に指示をする。まるで長い伝言ゲームを忙しい中でやっているようなものじゃないですか。そんなことをやっていられないわけです。
 委託というのは、偽装請負状態になるということは必然的なことだといわざるを得ないんです。コミュニケーションをとり合って、患者の良好な療養環境をつくることが、患者へのよりよいサービスというものじゃないんでしょうか。それができない、しようと思えば偽装請負状況になる、これは東京都がつくっているということなんです。
 もう一つ、PFIによって、東京都自身がワーキングプアをつくっているという問題です。いろんな求人広告が入るわけです。これも駒込病院内とか、それから南北線本駒込駅徒歩六分、田端からバス五分ということは駒込病院です。こういうところを見ますと、月曜から金曜、八時半から十七時十五分、土日祝日は八時半から十二時三十分、パートで時給八百五十円から、契約社員は月給十四万三千三百円、社会保険については記載がない。こんな条件で生活が維持できるのかと。できないですよね。求人広告が毎月のように出ているということは、常に人手不足、ワーキングプアでは働けないんです。ですから、PFI事業に関連して、こういうことが起きているということなんです。
 陳情は採択することを求めて終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立をお願いいたします。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。
 よって、陳情二二第三一号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 この際、議事の途中ですが、両局の入れかえ等もございますので、おおむね十五分休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時四分開議

○門脇委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、局長及び幹部職員に交代がありましたので、杉村局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。
 福祉保健局長に就任いたしました杉村栄一さんをご紹介いたします。

○杉村福祉保健局長 五月十六日付で福祉保健局長に着任をいたしました杉村栄一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 私ども福祉保健局では、急激に変化する社会環境に迅速かつ的確に対応し、都民が安心して暮らし続けられるよう、大都市東京にふさわしい福祉、保健、医療施策を積極的に展開し、さらなる充実を目指していく所存でございます。
 門脇委員長を初め、委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、説明に先立ちまして、四月の人事異動によりまして、当局幹部職員の交代がございましたので、新任幹部職員を紹介させていただきたいと存じます。
 まず、生活福祉部長の庄司貞夫でございます。生活支援担当部長の市川郁美子でございます。施設調整担当部長の飯塚美紀子でございます。最後に、医療改革推進担当参事の高橋郁美でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○門脇委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○門脇委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○杉村福祉保健局長 平成二十二年第二回定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案二件でございます。
 お配りいたしました資料は、平成二十二年第二回東京都議会定例会条例案とその概要でございます。
 それでは、平成二十二年第二回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくり願います。整理番号1、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都女性福祉資金貸付事業は、国の母子寡婦福祉資金貸付事業に準拠しながら実施しているものでございます。今回の改正は、女性福祉資金貸付事業の充実を図るため、国制度の改正に合わせまして、技能習得資金等の貸付限度額を引き上げるものでございます。本条例は公布の日から施行いたしますが、改正後の限度額は、平成二十二年四月一日から適用することとしております。
 次に、整理番号2、東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例でございます。
 医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律の施行による高齢者の医療の確保に関する法律の改正を踏まえ、後期高齢者の保険料率の増加の抑制を図るため、東京都後期高齢者医療財政安定化基金に係る拠出率及び処分の特例を設けるものでございます。この条例は、公布の日から施行することとしております。条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十二年第二回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言をお願いいたします。

○大山委員 二つお願いします。
 一つは、都道府県別後期高齢者医療保険料の改定前と改定後がわかるように、一人当たり保険料、それから均等割保険料、それから平均的厚生年金受給者の保険料。
 それからもう一つは、都道府県別の後期高齢者医療保険料の滞納率をお願いします。
 以上です。

○門脇委員長 ほかに。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 ただいま大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、大山委員と調整の上、ご提出のほどお願いいたします。

○門脇委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二二第八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○芦田障害者施策推進部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願二二第八号、心身障害者福祉手当の増額を求める請願書は、豊島区の東京視覚障害者協会代表者栗山健さん外八百四十四名の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、心身障害者福祉手当を増額していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、心身障害者福祉手当は、障害者の経済的、精神的負担を軽減し、在宅生活を支援するために、都と区市町村とが一体となって昭和四十九年十月から実施している制度であり、区部については、昭和五十五年から財調算入されています。支給対象者は二十歳以上で、障害程度が身体障害者手帳一、二級の身体障害者、愛の手帳一度から三度の知的障害者、脳性麻痺または進行性筋萎縮症を有する者です。支給額は、制度開始時に月額五千円であったものが、数度の改正を経て、現在は月額一万五千五百円となっています。
 手当や年金制度などの所得保障は、基本的に国の役割であり、都は、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランを策定し、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しているところです。
 障害者の所得保障について、都はこれまでも他の自治体と連携し、手当や年金制度の改善を国に要望してきました。現在、国においては、障がい者制度改革推進本部を設置し、障害者制度に関し検討を開始しており、引き続き他の自治体と連携し、障害者の所得保障の充実について国に働きかけてまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について、順次発言を願います。

○新井委員 心身障害者福祉手当は、障害者の経済的、精神的負担を軽減し、在宅生活を支援していくために実施していく制度です。本来、こうした手当や年金制度など、所得保障はどこに住んでいてもひとしく給付が受けられるよう、国の役割として、国が責任を持って制度の充実を図るべきものであると考えています。その一方で、住民にとって身近な地方自治体の役割は、障害者が地域で自立しながら、安心して暮らせるためのサービス基盤を整備していくことであると考えています。
 そうした中で、請願理由では、視覚障害者の方がなかなか仕事につけないということがいわれていることから、私は障害者に対する就労支援が十分されているのかという観点から、何点か質問させていただきます。
 私の地元の日野市にも、障害者就労支援センターが設置されています。既に四十六区市に設置されているということであり、地域に暮らす障害者にとって、最も身近な就労支援機関であるといえます。しかし、その業務は多忙を極めており、少人数で運営されているところでは、利用者から電話がかかってきたとしても、すぐに対応できないということがあると聞いております。
 そこでまず、障害者就労支援センターがどのような業務を、どのような体制で実施しているのか、必要なスタッフを十分確保できるのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者就労支援センターは、一般就労を目指す障害者を対象に、職業相談や企業とのマッチング、定着へのフォロー等の就労支援と、日常生活や将来設計等の生活支援を一体的に提供する機関でございます。就労支援センターには、就労支援、生活支援の各分野で利用者支援を行うコーディネーターを、それぞれ一名以上常勤職員として配置することを基本としております。
 さらに、就労を目指す人材の掘り起こしや、職域開拓等を担う地域開拓促進コーディネーターの配置も進めているところでございます。職員配置数につきましては、上限を設けておらず、事業主体である区市町村が、その人口規模や支援対象者数等の実情に応じて必要な人員を配置することができることになっており、都は各区市の人員配置数に応じて必要な人件費を支援しているところでございます。

○新井委員 障害者就労支援センターの職員配置に対する都の支援が地域の実情に応じて行われていることがわかりました。しかし、各区市町村の障害者就労支援センターが提供するサービスについては、各自治体によって格差を生じさせることなく一定の水準を確保していく必要性があると思いますが、そのため、都はどのような取り組みをしているのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者就労支援センターにおけるサービスの水準を確保するためには、事業に取り組むスタッフのスキルアップを図るとともに、その取り組み事例等について情報を共有していくことが効果的と考えております。
 そのため、都は、就労支援センターを初めとする就労支援機関の職員等を対象に研修を行う就労支援体制レベルアップ事業を実施し、障害特性に応じた適切な支援や企業側の要請に的確に対応できる人材の育成を図っております。
 さらに、ハローワークや東京しごと財団などの団体も加え、各区市の就労支援センターが参加する意見交換の場を設定し、障害者を取り巻く雇用情勢等の最新情報や困難事例への対応等について情報を共有し、すぐれた事例につきましては、各就労支援センターの取り組みに反映できるよう普及を図っているところでございます。

○新井委員 障害者就労支援センターが提供するサービスの質についても、一定の水準が確保できるよう引き続き支援していただきたいと思います。
 ところで、障害者就労支援センターは、障害者への支援とともに障害者を受け入れる立場にある企業への働きかけも行っています。このことについても伺いたいと思います。
 平成二十一年六月一日現在における都内企業の雇用率は一・五六%で、いまだ法定雇用率一・八%を達成できない状況です。特に、都内企業の七四%を占める従業員数五十六人から二百九十九人の中小企業については〇・八六%です。
 一方、ことし七月に改正障害者雇用促進法が施行され、法定雇用率を達成していない企業を対象とした納付金制度の適用範囲も、従業員数二百一人以上の中小企業にまで拡大されることになっています。このことをきっかけに障害者雇用を検討する中小企業が増加することも予想されますが、こうした中小企業における障害者雇用に向けた取り組みを支援していくことも都の大切な役割だと思います。
 産業労働局では、障害者を雇用する中小企業や特例子会社を設立する企業に対し、財政支援を取り組んでいると聞いています。福祉保健局においても、就労支援センターの企業に向けた支援について広く周知していくことにより、企業の障害者雇用を促進する必要性があると思います。
 そこで質問ですが、中小企業の障害者雇用を促進するため、就労支援センターの活用が進むよう都はどのような取り組みをしているのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 障害者就労支援センターでは、障害者雇用に取り組む企業に対し、障害者の適性に応じた業務内容の提案、定着に向けたノウハウの提供等の支援を行っております。今後、障害者雇用を促進していくためには、法定雇用率未達成企業を中心に就労支援センターの認知度を高め、その活用を一層促進していくことが大切であると考えております。
 そのため、産業労働局、教育庁と連携して、法定雇用率未達成企業を対象とした企業向けセミナーを開催し、就労支援センター等の支援を受けて、障害者雇用を開始した企業の実際の取り組み事例や実習の活用などについて紹介をしております。
 また、企業向けに就労支援センターの取り組みを紹介するDVDを本年三月に作成し、職員が企業を訪問する際に持参をして人事担当者に実際に視聴してもらうなど、その活動のPRに努めているところでございます。

○新井委員 障害者就労支援センターの企業支援に向けた機能を最大限に発揮できるよう、その取り組みについて引き続き積極的にアピールしていってほしいと思います。また、そのことによって、就労支援センターの社会における認知度が高まっていくことが、そこで働くスタッフのモチベーションを高めていくことになると思います。積極的な取り組みを要望いたします。
 障害者就労支援センターの活動に期待するところは大きく、ほとんどの区市では設置されていますが、まだ設置していない市や町村もあります。都は今後どのように対応していくのか、お考えを伺います。

○芦田障害者施策推進部長 都は第二期障害福祉計画に基づきまして、平成二十三年度までにすべての区市町村で就労面と生活面の支援を一体的に提供する障害者就労支援センターを設置することを目指しております。今後とも、まだ設置していない市や町村に対し、その地域の実情等にも配慮しながら、早期に設置することを働きかけてまいります。

○新井委員 ぜひ障害者就労支援センターを、まだ設置していない自治体に対し継続的に働きかけていただきたいと思います。
 冒頭でも申し上げましたが、就労支援センターの業務は多忙をきわめており、しかも決して減ることがないと聞いております。利用者の定着に向けた支援を継続する一方で、新たに就労を希望する人がいれば支援を始めなければなりません。就労支援センターの取り組みについて、例えばスタッフ一人当たりの担当件数や電話応対での工夫などの実情を把握し、区市町村に情報を提供してその積極的な取り組みを促しながら、引き続き支援していただくようお願いしたいと思います。
 最後になりますが、地域の福祉施設を利用する障害者の一般就労への移行に向けた取り組みについて質問いたします。
 平成二十年度の都立特別支援学校高等部の卒業者千百六十三人のうち就業者は三百九十七名で、年々その割合は高まってきているとはいえ、約三四%にとまっており、その一方で、いわゆる福祉的就労に従事する人は六百六十八名で約五七%とまだ多く占めております。就労移行支援事業所、就労継続支援事業所など地域の福祉施設の利用者を企業就労につなげるため、都はどのような取り組みをしたのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 福祉施設を利用している障害者を一般就労につなげるためには、障害者が企業での就労体験を通して働くイメージを持ち、自信をつけるとともに、企業が受け入れ経験を通して障害者雇用に対する不安感を払拭し、両者の相互理解を深めていくことが大切であると考えております。
 そのため都は、平成二十一年度から福祉施設を利用している障害者を企業における実習の体験を通じて一般就労につなげていく障害者職場実習ステップアップ事業を実施しており、昨年度は、これまで障害者雇用の実績がなかった企業も参加し、今後の実習先の新たな開拓につながったところでございます。
 さらに、平成二十二年度は、離職した障害者の再就職を支援するとともに、これまで障害者雇用の実績が少なかった中小企業の雇用を促進するため、法定雇用率未達成の中小企業で実習を行う離職障害者職場実習事業を新たに開始いたします。
 今後とも、こうした実習の機会の確保に積極的に取り組み、福祉施設を利用している障害者を一般就労につなげていくよう努めてまいります。

○新井委員 障害者が仕事につき職場に定着していくためには、きめ細かく、かつ継続的な支援が必要です。就労定着のためには、就業、生活の両面による支援が必要であり、かつ職場訪問や就労者との日常的なつながりの場の設定による定期的な声かけが必要だと思います。
 今後とも、地域における障害者雇用を推進していくため、都が就労支援策を一層充実して取り組んでくださることを要望して質問を終わりにします。

○大山委員 この心身障害者福祉手当に関しては、第一回定例会では精神障害者を対象に拡大してほしいという陳情が審査され、今回は増額してほしいという請願ですね。
 心身障害者福祉手当は、一九七四年に月額五千円から発足して、七九年に一度上がらなかったことはあるんですけれども、創設以来毎年五百円ずつですが上がっていました。九六年に一万五千五百円になって、それから現在まで変わらないで丸十三年たったわけです。
 先ほどの福祉保健局の説明では、手当や年金制度などの所得保障は基本的に国の役割で、障害者が地域で暮らせるためのサービス基盤の整備が都の役割なんだということですけれども、手当や年金制度なんかは国の役割なんだという認識というのはちょっとおかしいんじゃないかと思っています。
 障害者基本法ではその十三条で、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない」、こうなっていますよね。第四条では国及び地方公共団体の責務として、「国及び地方公共団体は、障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援すること等により、障害者の福祉を増進する責務を有する」と、こうなっていますね。
 障害者の自立及び社会参加を支援するということについて、手当というのは非常に重要な役割を持っているわけです。これらは国と地方公共団体の責務であって、必要な施策を講じなければならないわけですね、ねばならないわけです。だからこそ、東京都心身障害者福祉手当に関する条例では、その目的で、心身障害者の福祉の増進に資することを目的とするとしているんですね。東京都の責任を果たそうとしているわけです。心身障害者福祉手当をより充実させるということは東京都の役割だといえます。
 同時に、二月の厚生委員会で心身障害者福祉手当について芦田部長さんは、重度の身体障害者、知的障害者に対するサービスの提供が十分でない時期に創設された、その後、順次、地域で暮らし続けるためのサービスの充実が図られてきた、実際にサービス量は拡大してきている、こう答弁されているんですね。九六年度と現在で視覚障害者への福祉施策について、具体的に事業とその量についてどうなっているんでしょうか。何をもってサービス量が拡大しているとご答弁されているんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 視覚障害者に対するサービス量の拡大というお話でございますが、例えば視覚障害者が社会参加をしていくための必要なサービスとして、盲導犬の実働頭数につきましては、平成八年度末で七十二頭であったものが平成二十一年度においては九十九頭になっております。また、視覚障害者が外出するために必要なガイドヘルパー、移動支援につきましては、当初のガイドヘルパー派遣事業から、支援費制度においては移動介護事業、そして障害者自立支援法においては区市町村地域生活支援事業の移動支援事業と制度の変遷はあるものの、平成八年度に年間延べ二十九万二千五百六十時間であったものが、平成十六年度には六十万三千九百三十二時間、平成二十年度は推計値ではございますが、七十五万九千八百四十三時間と年々サービス量が拡大をしております。
 また、日常生活用具につきましても、障害者自立支援法におきまして、区市町村地域生活支援事業の必須事業に位置づけられておりますが、新しい機器の開発に合わせて、視覚障害者にとりましてより利便な用具が追加されるなどの充実が図られているところでございます。
 さらに、平成十五年から開始しました区市町村障害者就労支援事業では、現在、障害者就労支援センターを四十六区市で設置し、障害者の就労支援に取り組んでおります。また、平成七年三月に東京都福祉のまちづくり条例を制定し、視覚障害者誘導用ブロックを初めとした誘導設備や案内設備の整備を促進するなどバリアフリー化を進め、視覚障害者の社会参加を促進してきたところでございます。

○大山委員 東京都の役割はサービス基盤の整備なんだといっているわけですけれども、サービス量が拡大しているのは何ですかといわれたときに、盲導犬の実働頭数が七十二頭から九十九頭になった、ガイドヘルパーが二十九万二千五百六十時間から七十五万九千八百四十三時間になったんですと。就労支援についてはまだまだ不十分ですよとさっき質疑があったわけですけれども、例えば盲導犬九十九頭とおっしゃいますけれども、視覚障害者、手帳を持っている方だけでも三万八千五百四十八人ですよね。ガイドヘルパーだって視覚障害者の方々一人当たりにしたら、年間で二十時間にもならないわけですよね。とても威張れるような状況ではないといわざるを得ません。
 そればかりではなくて、施策は削られ、負担はふえているということなんです。石原都政のもとで特別養護老人ホームの視覚障害者、マッサージ師への都加算補助制度が廃止されました。陳情の文書にも、百三十六人勤務していたけれども、現在は六十人と書かれています。この都加算を廃止する前の年の平成十一年度の予算特別委員会の議事録を見ると、約二百五十人のうち百五十人、六割が視覚障害者、こうなっています。
 視覚障害者の方々がどうしてこの特養へのマッサージ師の配置にこだわるのかといえば、特養の利用者サービスの向上はもちろんですけれども、視覚障害者が特養ホームに学校で身につけてきたあんまやはり、きゅうの技術を生かして働くことができる、そういう大きな励みになっていたわけですよね。就労支援にもなっていたわけですよ。一石二鳥の制度として定着していました。多くの施設で、理学療法士や作業療法士と連携して、リハビリ室などになくてはならないスタッフとして活躍して利用者から喜ばれていたんです。それを介護保険発足を口実に都加算をやめてしまいました。福祉タクシー券なども多くの自治体で額が減らされたというところがあります。
 減らされただけかといったら、負担はふえてきたんですね。障害者医療費は無料だったわけですけれども、自立支援医療として基本は一割負担ですね。視覚障害者ならではの便利な日常用具、さっき日常用具は、種目は広げているんだということですけれども、機械があればかなり便利な生活ができるということでは、日常生活用具というのは非常に重要なんですよね。音声体温計、音声体重計、これは普通だったら一家に一台、見てわかるものがあればいいわけですけれども、視覚障害者だったら音声じゃないとわからないわけですよね。だからそれが必要なわけです。視覚障害者用のパソコンソフトも要るし、点字のいわゆる電子手帳のようなものなどもあるわけですね。日常生活用具にも、非課税者や生保の方は無料ですけれども、課税されたら三割負担で、基準額を超えたら自己負担が発生する、これも負担がふえたということですね。
 さっきガイドヘルパーの派遣実績は多くなったと答弁されましたけれども、視覚障害がなければガイドヘルパーは要らないわけですよ。普通の状態になるのにお金がかかるわけですよね。東京都が都の役割だといっているサービス基盤の整備は不十分、そればかりではなくて、実施していた施策は削る、しかも負担はふえてきているというのですから、福祉手当の額を上げてほしいというのは当然の要求だと考えますが、どういう認識なんでしょう。

○芦田障害者施策推進部長 先ほどお話ししましたとおり、手当や年金制度などの所得保障は基本的に国の役割でございますことから、都はこれまでも他の自治体と連携して年金制度の改善など、障害者の所得保障の充実を国に要望してまいりました。
 今後とも、引き続き他の自治体と連携して国に働きかけてまいります。

○大山委員 もちろん国に働きかけるのはいいですよ。しかし福祉手当は上がらない、それから施策は削る、それから負担は大きくなるということですよね。それなのに、だからこそ福祉手当は増額することが必要なんだと。国の役割なんだというけれども、それは障害者基本法からいったって、国と地方公共団体がやらなければならないわけですから、その認識はちょっと変えてもらいたいと思います。
 実際、視覚障害者の生活はどうなっているかということなんですけれども、視覚障害者の収入の種類とどのぐらいの割合になっているのかというのを教えてください。

○芦田障害者施策推進部長 視覚障害者の収入の種類、その割合でございますが、平成二十年度東京都福祉保健基礎調査、障害者の生活実態によりますと、平成十九年中の視覚障害者の収入の種類とその割合、これ、主なもの三つまでの複数回答でございますが、年金、恩給が七五・四%、手当が二三・六%、賃金、給料が一八・七%などとなっております。

○大山委員 その東京都の調査でさえも、ほとんどの視覚障害者は年金と手当で生活しているということなんですね。東京都が都加算で特別養護老人ホームのマッサージ師に視覚障害者雇用を促進していたように、積極的に雇用を拡大するどころか、東京都自身が職場を狭めてきたわけですね。また、病院マッサージの求人も激減している。この原因の大きなものは、診療報酬が八一年以来変わっていない低さがいわれているわけですけれども、話を聞きながらゆったりと施術することが望ましいけれども、どんどんどんどん、はい、次、次とやらなきゃいけないということなんですよ。
 開業していても、保険の申請は事務処理が大変ですし、墨字は見えないわけですから、事務の人を雇うほどはもうからない。だから保険は使わないという状況になってしまう。
 マッサージの開業をしている方もかなり厳しくなっていて、ある視覚障害者の治療院では、九六年から比べると今はお客さんが約六割に減ってしまう。当然収入も九六年に比べると約六割に減ってしまったということなんですよね。ですから、こんな状況の中で、社会参加、文化活動というのは、本当にほど遠いという状況になっています。
 例えばコンサートに行きたいなと思うわけですよね。これ、普通の要望ですよ、要求ですよね。しかし、視覚障害者がガイドヘルパーさんと一緒に行こうと思ったら、交通費はJRなら半額で行けますけれども、チケットはガイドヘルパーさんの分と二枚買わなきゃいけないわけですよね。だから高ねの花になっちゃうわけなんですよ。福祉手当が生活費になっていて、生活が縮こまってきている。この団体の、東京視覚障害者協会の方々も、若いメンバーもいるわけですけれども、九一年に結婚を祝う会をやって以来、三十代の人も結婚しないで、自分で自立できなければ結婚しようという気にもならないわけですね。自立心も出てこないというわけなんですよ。
 この東京都が施策を削る、それから職場を狭める、それから負担は大きくなる、だからこそ福祉手当、引き上げてくださいというわけですよね。国に働きかけているとさっきもおっしゃっていますけれども、具体的にはいつ、どのように何を働きかけているんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 国への働きかけでございますが、例えば平成二十年五月の八都県市首脳会議におきまして、法の附則にある障害者の所得保障について早急に検討を行い、対策を講じることという要望をしております。
 また、昨年は、平成二十一年七月の全国主要都道府県民生主管部局長連絡協議会におきまして、附帯決議にある障害者の所得保障については、障害基礎年金の増額や年金受給前における所得保障制度を充実することという要望をしております。

○門脇委員長 大山委員、そろそろ時間でございますので、まとめてください。

○大山委員 はい。今、八都県市とあと主要なところと一緒にやっているんだということですけれども、結局、国に年金の増額を求めているということは、所得保障しなきゃいけない、それから生活ということを認めているということなわけですから、必要性を認めているということなんですから、こういうことこそ国に率先して手当を増額するということを実践してほしいと思います。
 と同時に、その所得保障が基本的に国の役割という認識は改めてください。法でも、国及び地方公共団体の責務だとしているわけですから、ぜひ認識、改めていただくように要望して、この請願は採択することを求めて終わりにします。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択することに賛成の方はご起立をお願いします。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、請願二二第八号は不採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、陳情二二第一八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○吉井医療政策部長 整理番号2、陳情二二第一八号、都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院廃止の再検討と小児医療充実に関する陳情は、新宿区の東京の保健衛生医療の充実を求める連絡会代表四谷信子さん外四千百七十五人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいといたしまして、第三項、小児救急やNICU充実のため、多摩地域でも全都域でも身近な地域ごとの整備計画をつくり、大幅増設を進めることというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 都は、医療法に定める医療計画に加え、保健、医療、福祉の連携に関する取り組みを示した基本的かつ総合的な計画でございます東京都保健医療計画を策定し、救急医療、周産期医療、小児医療など事業別に医療体制に係る施策の方向性を定めております。
 また、平成二十二年一月に東京都地域医療再生計画を策定いたしまして、小児医療や周産期医療などにつきまして一層の充実を図ることとしております。
 小児救急医療につきましては、これまで区市町村が実施する小児初期救急診療事業に対する支援を行うとともに、入院が必要な救急患者に対し二十四時間体制で診療を行う救急医療機関を確保するため、休日・全夜間診療事業等を行ってまいりました。
 また、昨年度から、医療資源が不足する圏域を対象とした緊急支援といたしまして、小児の休日・全夜間診療事業に参画する医療機関の医師確保への支援や、小児科医師を医療機関に派遣する大学への支援を行う小児医療体制緊急強化事業に取り組んでおります。
 本年度は、重篤な子どもを迅速に受け入れ、高度な救命治療を行うこども救命センターを新たに整備するとともに、当センターを中核といたしまして、地域の医療機関相互の連携のためのネットワークを構築していくこととしております。
 多摩地域の小児医療につきましては、本年三月に開設した都立小児総合医療センターを中核といたしまして、地域の医療機関がそれぞれの機能を発揮し、重層的に連携を図っていくことなどにより、安心・安全な小児医療体制を確保してまいります。
 次に、周産期医療でございますが、都は、NICU病床につきまして都全体を一つの圏域といたしまして、出生一万人対三十床を基本に、平成二十六年度末までに三百二十床を整備する目標を定めました。今後は、本年夏を目途に中長期的な東京都の整備方針である周産期医療体制整備計画を策定することとしております。
 NICUを増床する場合の整備費の補助率を充実するとともに、周産期母子医療センターの不採算を解消するため、運営費補助を大幅に拡充し、NICUの整備促進を図ってまいります。
 また、リスクに応じた役割分担のもとに周産期医療を確保するため、都内の各地域で周産期医療ネットワークグループを立ち上げ、連携体制の構築を既に進めております。多摩地域の周産期医療につきましては、都立多摩総合医療センター、小児総合医療センターの開設によりまして、NICU二十四床、M-FICU九床を確保し、都内最大の総合周産期母子医療センターとして本年四月から運営を開始しております。
 また、従来の新生児ドクターカーに加え、新生児も搬送できる小児ドクターカーを配備して多摩全域を網羅するなど、周産期医療体制の確保を図っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いします。

○大山委員 この陳情は、都立三小児病院の廃止をしないでほしいというものの中の一つの項目ですね。小児救急やNICUの充実のために、多摩地域でも身近な地域ごとの整備計画をつくって大幅な増設を求めています。そのためには、清瀬や八王子小児病院を廃止してはならないということなんですね。
 きょうはNICUについて質疑します。
 八王子小児病院と清瀬小児病院を廃止して、新たにNICUの広大な空白地域をつくったことは許しがたいことです。東京都は、NICUに関して、国の引き上げられた整備目標を受けて、平成二十六年度末までに三百二十床を整備する目標を決めました。しかし、都全体を一つの圏域として整備していくと述べていますけれども、都全体を一つの圏域とするというのは、とても身近な地域とはいいがたいことです。NICUについて、都全体を一つの圏域とする積極的な理由は何ですか。

○吉井医療政策部長 極低出生体重児などのハイリスク児の医療は、NICU病床で集中治療を行います。
 東京都は、その医療圏域につきまして、保健医療圏計画におきまして三つ定めてございます。一つは、一次保健医療圏と称するものでございまして、医療で申し上げれば、頻度の高い一般的な傷病の治療の確保、これを区市町村単位でございますけど、一次保健医療圏として設定をしてございます。
 それから、入院医療を主に対応する、そうした入院医療体制の確保ということで、都内十三でございますけれども、区市町村合わせましたところの二次保健医療圏というものを設定してございます。
 先ほどございましたNICU病床など高度な医療につきましては、そうした一次、二次の連携のもとに、全都的な医療提供という視点から、都の全域を一つの圏域として整備することとしてございます。
 先ほどもちょっと申し上げましたが、そうした観点から、東京都は昨年度、NICU病床を、東京都全域を一つの圏域といたしまして、平成二十六年度末までに三百二十床まで増床することを目標として掲げたところでございます。
 さらに申し上げれば、そのための運営整備、そうした促進のために運営費補助や増床を伴う場合の補助についても大幅拡充をいたしました。
 もう一つ申し上げれば、こうしたハイリスクの医療への提供体制の整備とあわせまして、各地域におきまして周産期母子医療センターを中核とするわけでございますけれども、ハイリスクに至ることのないよう、地域の診療所等々、比較的ミドル的なリスクの高い分娩を取り扱う病院とが重層的に機能に応じた役割分担と連携を進める、そうした周産期医療ネットワークグループ、こうしたものについても構築を既に進めているところでございます。

○大山委員 いろいろ答弁しましたけれども、積極的な理由っていうのはないわけですよね。ただ三次高度医療だからということですね。せめて、二次医療圏じゃないんでしょうか。国だって周産期医療体制整備指針、これで、地域周産期母子医療センターの施設数について、一つまたは複数の二次医療圏に一カ所、または必要に応じてそれ以上整備することが望ましいと書いてあるわけです。NICUは三次医療だから、全都を一つの圏域にするなんてことは、国だっていっていないわけですよね。しかも、ことし一月二十八日付で、国は周産期医療体制整備指針を改定して、わざわざNICUを備える小児専門病院等であって、都道府県が適当と認める医療施設については、産科を有していなくても差し支えないものとする、こう回答しています。清瀬小児や八王子小児病院に産科がないから、廃止しちゃうなんていう理由は成り立たないわけですよね。
 NICUは、区部には十七施設百七十七床ありますけれども、多摩地域には四施設五十一床しかありません。これだけでも、NICUが二十三区の地域に偏在しているということは明確です。同時に、NICUが必要なのは出産直後です。新生児ですから、もう一分一秒の差が、命が助かるかどうかの分かれ道になるということになるわけです。それだけに、東京都を一つの圏域などということではなくて、地域ごとに、せめて二次医療圏ごとの目標をきちんと設定することが東京都の役割なんじゃないんでしょうか。
 二次医療圏は、区部は七医療圏、多摩では五医療圏ありますけれども、二次医療圏でNICUがない医療圏はどこですか。

○吉井医療政策部長 先ほども申し上げましたが、NICUのような高度な医療機能につきましては、都全域を一つの圏域として整備をするということで、全都的な視点から医療を確保するというところで東京都は対応してきたところでございます。
 その上で、二次保健医療圏での状況ということでございますので、お答え申し上げますと、二十二年四月一日現在、多摩地域でのNICUのない二次医療圏は、西多摩圏域、それから北多摩西部圏域、北多摩北部圏域の三つでございます。
 なお、これらの圏域につきましては、先ほどちょっと地域周産期医療センターというお話がございましたけれども、ミドルリスク患者の受け皿といたしまして、周産期連携病院を指定して、休日や夜間における救急搬送受け入れ体制の確保を行うなど、先ほど申し上げましたネットワークグループを構築いたしまして、リスクに応じた役割分担と連携を進めているところでございます。

○大山委員 全都的な視点で見るんだっていったって、身近なところになかったら、命が助かるか助からないかってことになっちゃうわけですよね。障害が残るか、たくさん残るかどうかということの分かれ道にもなっちゃうわけですよ。今お答えあったように、区部では、二次医療圏ごとに見れば、NICUがない二次医療圏というのはありません。しかし、多摩地域では、五つの二次医療圏のうち、NICUがあるのは二つの医療圏のみで、西多摩二次医療圏、それから北多摩西部、北多摩北部二次保健医療圏には、ただの一つのNICUもないんです。北多摩北部二次医療圏には清瀬小児がありましたから、新たな空白が生まれたというわけです。NICU空白の二次医療圏の面積は、東京の総面積の三四%になります。広大な空白です。明確な多摩格差といわなければなりませんが、どう認識していますか。

○吉井医療政策部長 先ほど申し上げましたNICUにつきましてでございますが、まず一点、多摩地域におきましては、今般開設をいたしました都立多摩総合医療センター及び小児総合医療センターでございますけれども、NICU二十四床とM-FICU九床。さらに申し上げれば、GCUにつきましては四十八床ということで、これは国内有数、都内最大の周産期医療機能を持つ病院として、四月一日、総合周産期医療として発足をしたところでございます。
 そしてまた、新生児にも搬送できる従来の新生児ドクターカーに加えまして、新たに新生児にも対応できる小児用ドクターカー、これを小児総合医療センターに、いわゆるドクターカーを複数配備いたしまして多摩全域を網羅したところでございます。
 さらに申し上げれば、多摩地域においては周産期連携病院、これの指定を拡大するということで、NICUの管理を必要としないけれども、比較的リスクの高い新生児を受け入れる病院、こうしたものについても新たに指定をしていく予定でございます。
 いずれにいたしましても、いわゆる搬送体制についてもドクターカーの配備等を行い、さらに申し上げれば、リスクがそうした形で高まることのないよう、日常的な連携を初期の診療所、それから病院等も含めて重層的な連携を構築するということで、多摩におきましては、六つのサブグループと申しましょうか、そうした連携のネットワークグループを発足させて、杏林大学、それから多摩小児総合医療センターと連携する、こうしたような仕組みについても既に対応を図っているところでございます。

○大山委員 連携するといったって、もちろんリスクが高まらないように対応するというのは重要ですよ。しかし、今いった連携するといったって、結局多摩地域には、府中の小児総合医療センターと杏林ですよね。それから、町田にもNICUができましたけれども、府中に巨大なものが、最大のものをつくったっていいますけれども、遠かったら、結局助かる命も助からないんじゃないですか。
 多摩格差について聞いたんですけれども、多摩格差については一言も答弁にはありませんでした。この多摩格差の問題というのは、東京都が平成二十二年からの五カ年計画で周産期医療体制整備計画、これをつくるために開いている周産期医療協議会でも問題になりましたよね。これは第三回の議事録です。この中を私は読んでみました。
 日赤医療センター周産期小児センター長の杉本先生が、東京都の抱えている問題の一つは、多摩地区と二十三区との格差、医療施設の偏在の問題というのがある、NICUのベットでは、現在の時点で、二十三区は出生一万人に対して二十八近くの数になるが、多摩は一万人に対して十二、搬送問題が起きていることの多くの部分は、偏在によって多摩地区で受け入れできないものを二十三区に運ばざるを得ないという搬送問題がある、都は何か考えているのか、こう聞かれて、東京都はいろいろしゃべってはいますけれども、その後、昭和大学の岡井教授、この委員会の会長さんですよね、何と受けたか。杉本先生のいわれるとおり、そう述べて、ふやすときに地域のことを考えて、その格差をなくすような方向でふやす、どこの病院にNICUを設置するのか、数をふやすというときに、都心で集中してやっているところに、またということではなくてということですよね、こう発言しています。この委員の発言や会長の発言をどう受けとめているんですか。

○吉井医療政策部長 ただいまの周産期医療協議会における先生方のやりとりというのは確かにございました。現実に数字的な部分で申し上げれば、今いったように、圏域の地域単位で申し上げれば、それは、多摩地域がNICU病床を行う医療機関の数が少ないと、これは事実でございます。ただ、今その段階で申し上げるために、私ども東京都がハイリスクの周産期医療を実施するという、そしてまた、医療を充実していくということの第一歩として取り組みを始めたものが、先ほど来申し上げましたけれども、多摩小児総合医療センターにおける、いわゆるNICUにつきましては、十五床から二十四床にふやすというようなことも含めて対応を図ったところでございます。
 まして、さらに申し上げれば、先ほど来申し上げておりますが、五圏域の六病院、中核になる六病院でございますけれども、そことの連携も図りながら、リスクに応じた提供体制を確保するということで、周産期医療協議会における論議の承認も含めたこうした対応を図ったところでございます。

○大山委員 東京都が開いている協議会の中で、委員が発言する、そして会長がそのとおりだと、そういう発言をやっぱりきちんと受けとめなきゃいけないと思うんですよね。と同時に、東京都周産期医療協議会に出されている周産期医療体制整備計画の骨子案、これには、NICU増床計画として、年次別または地域別と書かれているではありませんか。地域別での計画をつくるということじゃないんですか。

○吉井医療政策部長 先ほども申し上げましたが、現在、いわゆる三百二十床の整備計画ということで目標を定めたところでございまして、現在、周産期医療協議会等の論議も含めて、夏ごろまでに周産期医療整備計画を策定する予定でございます。
 その中で、ある意味、先ほど来申し上げました周産期の高度医療を提供するという観点からは、全都的な支援も含めた医療提供を行うという観点から計画を策定していくという形になるのではないかと思いますけれども、現在検討中ということでございます。

○大山委員 全都的な視点でというのは、やはり東京のどこに住んでいても、安心して出産できる条件整備、これを全都的にきちんと整備していくっていうのが東京都の役割ですよね。しかも、これ、今さっきの骨子案というのは、第四回の二十二年三月二十九日の周産期医療協議会の中に出された骨子案ですよね。ですから、きちんと地域別、せめて二次医療圏の整備を、目標をきちんと立ててやらなきゃいけないと思います。NICUは不採算の医療ですから、東京都が率先して行うことが求められているわけです。だからこそ、あったものをなくすなどというのはもってのほかだと。東京都みずからが実施するのが一番早道なわけです。医師を確保して清瀬や八王子を再開することと陳情は採択することを求めて終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立をお願いします。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二二第一八号は不採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、陳情二二第三〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中川原参事 整理番号3、陳情二二第三〇号、医療療養病床を持つ医療機関への運営補助等を求める陳情は、新宿区の東京保険医協会会長拝殿清名さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 まず、第一項でございますが、医療療養病床整備計画、二万八千七十七床を実現するため、実効性のある施策を講じることというものでございます。
 次に、第二項でございますが、地域に必要な療養病床を存続させるため、医療療養病床を持つ医療機関への運営補助を行うことというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、まず第一項でございますが、都は、一般病床から療養病床への転換等を図るため、独自の施設整備費補助を平成二十年度から実施しており、平成二十二年度からは一層の推進を図るため、補助率を二分の一から四分の三に引き上げました。
 また、療養病床を有する医療機関が患者の多様な医療ニーズにこたえられるよう、機能強化を図るための研修を平成二十一年度から実施しております。この研修で取り上げている急性期病院からの速やかな転院受け入れ等の後方病床機能に対しまして、平成二十二年度診療報酬改定におきまして評価項目が新設されたところでございます。
 これらの取り組みとあわせまして、国に対し、療養病床確保の方針を明確に示すよう、引き続き求めてまいります。
 次に、第二項でございますが、国民皆保険制度のもとにある我が国では、その医療費は本来、診療報酬で運営されるべきものでございます。
 都は、医療療養病床に係る診療報酬の評価の充実につきまして、これまで国に対し提案要求してまいりましたが、平成二十二年度診療報酬改定では、療養病床に係る入院基本料の見直しや後方病床機能を評価した加算の新設などが行われたところでございます。
 国はこのたびの診療報酬改定に関し、慢性期入院医療のあり方を総合的に検討するため、一般病棟や療養病床、障害者病棟を含めた横断的な実態調査を行うこととしております。
 都としては、都内の医療療養病床を有する医療機関への影響を踏まえた上で、療養病床の診療報酬につきまして、国に対し必要な働きかけを行ってまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○斉藤委員 それでは、簡単に何点か伺います。
 陳情事項一について伺うんですけれども、医療療養病床を増床するに当たって、具体的な施策が必要であるという点については私も理解ができます。できましたら、こういった施策の増強ということについていえば、既存施策の効果測定をした上で、さらに施策を増強していくというのが段階的には手順がいいのではないかなというふうに思っております。
 確認なんですけれども、説明にあったように、今年度、東京都としては、今までの施策に加えて、さらなる強化ということで、それぞれに対して補助率を二分の一から四分の三への引き上げを行ったばかりというふうな段階であるということで解釈をしてよろしいんでしょうか。

○中川原参事 斉藤副委員長お話しのとおり、都は、医療療養病床の増床のため、平成二十年度から施設整備費補助を開始いたしまして、今年度、補助率を二分の一から四分の三に引き上げたところでございます。
 医療機関に対しまして、さまざまな機会をとらえ、療養病床の増床を働きかけているところでございます。

○斉藤委員 東京都の方につきましては、以前からこの委員会の中でも少し話題にしましたけれども、過去の政府の方針にちょっと逆らった形で、東京都の方が実際に、なるべくこの医療療養病床のプラスの整備をということで努力していることは伺っておりますし、また今回、二十二年度まだ始まったばかりですけれども、この中で、補助率を引き上げをしたところというところで、多分恐らく、時期的には、効果がどのくらい出ているかというのを、やっと集計ができるところにあるかないかというぐらいの段階じゃないかなというふうに思っております。
 また、そういうことを踏まえてもう一点伺うんですけれども、今回の陳情の文面を見ますと、病院の運営基盤そのものへの補助というような印象を受ける文面になっているのかなというふうに思います。恐らく東京都としては、これまで、いわゆる運営基盤そのものへの補助ということではなくて、むしろプラスアルファ、何か推奨されるべき事業を行った場合に、そこに補助をしていく、こういった部分で不足をしているから、その部分、補うようにふやしてほしいというようなサービスを病院側が行った場合などは、それについて付加をしていくというふうな姿勢を貫いてきたということは私も伺っております。現在もその部分の姿勢は変わっていないというふうなことで東京都の姿勢は確認しますが、そのような理解でよろしいんでしょうか。

○中川原参事 各保険医療機関の運営基盤である医療費につきましては、国民皆保険の制度のもと、診療報酬で運営されるべきものというふうに考えております。
 なお、都につきましては、療養病床を有する医療機関が患者の多様なニーズにこたえるため、機能強化研修を実施しておりまして、この研修で取り上げております急性期病院から速やかな転院受け入れ等の後方病床機能に対しまして、このたび診療報酬改定において評価項目が新設されたこともありまして、この研修には、経営の安定化を図る取り組みにつながる効果もあるというふうに見込まれると考えております。

○斉藤委員 ちょっと二点確認いたしましたが、今のところ、二十二年度の新事業が始まったばかりというところでありますので、私としては、少しその効果を見て、少しその整備が進めば、また現状の部分を進めていくというものがありますし、なかなかこれでも十分に数がふえないというふうになりましたら、そのときには、さらに、じゃ、どのような施策をとっていくか。それこそプラスアルファの施策を講じた方がいいのではないかというふうな検討と、また推進に入っていく必要があるんじゃないかと思います。
 そのことを踏まえて、現状ではなかなか、この二十二年度、始まっている補助率のアップというものについての効果が、まだちょっと読み込めないのかなと。効果を判断するには少し早いのかなというふうに思っているところでありますので、引き続きこのあたりの検証をお願いしたいと思います。
 以上です。

○野上委員 同じく、陳情二二第三〇号を行いたいと思います。
 最近、相談の内容で、病院を探してほしいんだけれどもという中に、例えば胃瘻の方とか、また、食事経鼻胃管という、要するに鼻からチューブを入れて胃に達している経腸栄養の方とか、たんの吸引が必要な方とか、寝たきりで褥瘡を持った方、認知症で徘回をする人、最近ふえてきているのが、うつ病を抱えている高齢者、それから、気管切開あるいは気管内挿管の方とか、終末期を迎えている方とか、いろいろな受け入れ困難事例の方が相談に来られる方が多いわけでございます。
 急性期を脱して症状が改善されれば、病状固定ということで、家族は患者さんを引き取る必要があるわけです。けれども、そういった余裕のない方も多いのが現状でございます。医療難民といわれている人の受け入れはますます大変な状況になっておりまして、例えば独居老人の方が増加をしているとか、また高齢化による老老介護等深刻な事例がたくさん出てきているわけでございます。
 二〇〇六年の六月に、通常国会の中で医療制度改革関連法が成立し、介護療養病床を二〇一二年の三月で廃止をすると。医療療養病床も大幅に削減をするという国の方針が出たわけでございます。救急搬送先が決まらない大きな理由としても、この後方病床の不足ということが挙げられるのではないかと思います。急性期を脱した患者さんを受け入れてくれる療養病床は絶対に必要であって、この受け入れ先の確保がなされていない現状があると。かといって、ひとり暮らしの高齢者をそのままほうっておくわけにもいかないと。そういった意味で、介護療養病床あるいは医療療養病床の存在が大変に大きいと思っております。
 こういった現状をよく理解しております東京都といたしましては--最大限に褒めているわけですけど、目標を掲げて、二〇一二年までに二万八千七十七床という、国とは逆の方向で計画を打ち出して、積極的に医療療養病床をふやしていこうという方針を固めたことは非常にすばらしいと思っております。
 しかし、今回、一定の中で、うちの中嶋幹事長が、療養病床はなかなかふえないんじゃないのという質問をしたわけです。現状は、医療機関にとって余りにも不確定な要因が強くて、積極的に整備に乗り出す環境にはなっていないと。したがって、医療機関の意欲を促す療養病床整備のための支援が必要でありますといったら、安藤前局長が、来年度補助率を現行の二分の一から四分の三に引き上げるということも少しいわれたわけです。
 確認の意味で、最近の療養病床数の推移についてお伺いいたします。

○中川原参事 医療療養病床と介護療養病床を合わせました療養病床の総数は、毎年八月一日現在の数値でございますけれども、平成二十年では二万一千六百二十九床、平成二十一年では二万一千五百八床と減少傾向にございます。
 そのうち、医療療養病床の数につきましては、平成二十年、一万三千八百二十床、平成二十一年、一万四千六十四床でございまして、増加傾向にございます。

○野上委員 一応最終目標が二万八千七十七床になっているということで、現在、この医療療養病床だけに関していうと、これが一万四千六十四床ということで、これから約二倍の数が必要なわけです。介護療養病床がすべて医療療養病床に転院した場合でも、この目標達成には、あと約七千床という、大変大幅な増床が必要なんです。現時点では決してこれは楽観できる状況ではないかなというふうに思っております。
 東京都が今回、補助率を二分の一から四分の三に引き上げた。そして、どれぐらい手が挙がって病床数を確保できるかどうかはまだまだわかりませんけれども、まだもう一つ、都は、補助事業などを通して医療機関の生の声を聞く機会も多いと思います。医療機関側が療養病床の増床に踏み切らない要因などもあると思うんです。そういったことをよく調べながら、効果的に増床策をとる必要があると思いますが、これはいかがでしょうか。

○中川原参事 医療機関が増床に踏み切らない要因でございますけれども、数度にわたる国の方針転換がございまして、経営見通しが不透明なことなどから、国の動向を注視している医療機関が多い傾向にございまして、そういうことから療養病床の増床は進んでいない状況にございます。
 このため、都といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、国に対し、療養病床を将来に向けて安定的に確保する旨の方針を明示していくよう求めております。
 また、療養病床の施設整備費補助の補助率を二分の一から四分の三へ引き上げるとともに、医療機関にさまざまな機会をとらえて積極的な活用を促しているところでございます。
 さらに、ソフト面の支援といたしまして、療養病床を有する医療機関が患者の多様なニーズにこたえるための機能を強化し、あわせて経営の安定化も図れるよう、療養病床機能強化研修を実施してございます。研修では、がん患者の痛管理のほか、急性期病院からの速やかな転院受け入れや在宅療養患者の急変時の一時受け入れなどについて取り上げてございます。これらの内容は、今回の診療報酬改定で新たに評価されたこともあり、医療機関の研修に対するニーズが高いことから、研修のさらなる充実を図っていきたいというふうに考えております。

○野上委員 確かに国の方針がころころころころ動いていたのでは、経営の見通しというのが立たないと思うんですね。だからこれはどうするのか。よろしくお願いします、民主党さん。
 東京都としては、運営費補助ということで二分の一から四分の三ということは、四分の一ふやしたという、すごい補助率のアップなんですね。ここで、やっぱり国の方針がぴしっと決まると、手を挙げて変換をする方も確かに多いんじゃないかと思っております。
 それともう一つは、機能強化研修というのがあって、この療養病床がさまざまな症状の患者さんに対する受け入れ機能を拡大することで、切れ目のない医療連携の中で安心して医療を受けられる都民の方がふえることになりますので、意義は大きいと思います。
 確かにほかの県に比べれば、東京は土地の購入代金も高いし、人件費も結構高い、診療報酬は低いと、何かいろいろ見合わない課題も多いですけれども、この療養病床機能強化事業という、約三百万円ですかね、今年度ついておりますけれども、医療療養病床に保有する医療機関の医師や看護師に対して、慢性期疾患のさまざまな症状に合わせた治療メニューをふやすための研修をするということで、これで質の向上を図っていかれるのではないかと思っております。
 この機能強化研修で取り上げているような患者受け入れに対しても、診療報酬点数がついたということですが、この療養病床に関する今回の診療報酬改定の概要についてお伺いいたします。

○中川原参事 本年四月の診療報酬改定の特徴の一つといたしまして、医療連携に関する取り組みに対する評価の充実が図られておりまして、療養病床にかかわる部分は、入院基本料や連携関係、リハビリテーションなど多岐にわたってございます。
 その主な内容でございますが、入院基本料は、より医療やケアの必要性の高い患者を積極的に受け入れる病棟に関しまして全般的な引き上げが行われております。機能強化研修メニューにあるような急性期病院からの転院受け入れ、あるいは、在宅療養患者の受け入れ等に対する評価の新設、退院時の介護との緊密な連携に対する評価の新設、MSWなどによる退院調整に対する評価の拡充、療養病床でも実施されているリハビリテーションに関する評価の充実などが含まれてございます。
 こうした診療報酬改定を踏まえました都内のある医療機関の試算ではございますけれども、全体的な改定影響額といたしまして、二・二一%の増収を見込んでいるということもございます。
 このように、診療報酬改定は、各医療機関の提供する医療の特色などによりまして影響が異なることから、実態把握が必要なことから、国は実態調査を行う予定というふうに聞いてございます。
 都におきましては、都内の医療療養病床を有する医療機関への影響も踏まえた上で、療養病床の診療報酬につきまして、国に対し必要な働きかけを行ってまいります。

○野上委員 最後ですが、高齢患者などが長い療養生活を安心して送るためには、切れ目のない医療連携体制が必要だと思います。この療養病床の増床や機能の拡充が効果を最大限発揮するように、療養病床と急性期病院や在宅医療、介護との連携を促進するような取り組みをあわせて行うことが重要であります。それが救急医療を滞らせない医療提供体制全体を守ることにもなると思います。
 我が党は、これまで療養病床の拡充とともに、地域連携パスの活用、あるいは、転院の際の調整役である医療ソーシャルワーカー、MSWの拡充などを訴えてまいりました。医療病床の確保と円滑な連携の双方の取り組みをバランスよく進めてもらいたいと思います。
 以上です。

○大山委員 療養病床に関する陳情は、昨年の第四回定例会のときにも審査したわけですけれども、いかに切実なことなのかということだと思っています。
 都内の療養病床数、さっきからも出ていますけれども、医療と介護合計で十九年は二万千六百五十床、二十年が二万千六百二十九床、二十一年は二万千五百八床。小声でさっき減少傾向ですといっていましたけれども、三年間でふえるどころか百四十二床減ってしまいました。したがって、二十四年度末時点で二万八千七十七床を目指していると、三年間で六千五百六十九床ふやすことが必要だということですね。
 今までの三年間では、ふやすどころか百四十二床減らしてしまったわけですから、三年間で六千五百六十九床をふやすというのは、並みの努力では実現できないということだと思うんです。東京都は、療養病床についての都みずからの目標について、都としてどのような手だてをとって、見通しはどうなっているんでしょうか。

○中川原参事 都におきまして、平成二十年三月に策定いたしました東京都医療費適正化計画におきまして、平成二十四年度末までの療養病床数の目標値を二万八千七十七床と定めてございます。
 そこで、都につきましては、先ほども申し上げましたけれども、療養病床の新設や一般病床から療養病床への転換を図るため、施設整備費を、独自の補助を平成二十年度から実施しており、今年度からは一層の推進を図るために補助率を二分の一から四分の三に引き上げたところでございます。
 さらに、療養病床を有する医療機関が患者の多様なニーズにこたえられるよう、機能強化を図るための研修を二十一年度から実施したところでございます。
 数度にわたる国の方針転換があって、経営見通しが不透明なことから、国の動向を注視している医療機関が多い傾向にございますが、国に対して明確な方針を示すよう求めるなど、必要な働きかけを行いながら、引き続き、療養病床の増床に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○大山委員 整備費の補助率を上げたということは、これは評価できることだと思うんです。しかし、昨年度までの三年間で、ふえるどころか減らしてしまったわけですから、具体的に今年度から三年間で六千五百六十九床を増設できる、さっき見通しといったんですけれども、みずからの目標を達成できる見通し、あるんでしょうか。

○中川原参事 先ほどお答え申し上げましたとおり、施設整備費補助の充実、拡充を図るとともに、療養病床の機能強化研修等も通じまして、医療機関に対しまして療養病床の増床につきまして、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○大山委員 見通しについてはなかなかご答弁できないわけですけれども、なぜ療養病床が減ったのか、その原因を明らかにして解決することが求められているんじゃないでしょうか。
 療養病床を持っていたけれども、病院の建てかえを契機に、回復期リハ病床に転換した病院に話を聞いたんです。二〇〇六年に特殊疾患加算を外したのはかなりダメージだったと。これは療養型で障害者を受け入れしているところに加算されていたらしいんですけれども、これをなくされちゃったのはかなりダメージだったというんですね。この先どうするか、かなり悩んだんだけれども、苦渋の選択で、結局、回復期リハ病床に転換したわけですが、やはり四百名の訪問診療だとか、訪問看護を合わせると七百人患者さんを持っていらっしゃる。これだけの在宅患者を抱えていると、療養型の病床というのは必要で、何とか在宅で支えているけれども、具合が悪くならなければ入院することできないし、医療が必要だと特養ホームのショートステイなどは利用できないので、介護疲れなどの受け入れ先が必要だから、療養病床を本当は維持したかったんだということなんですよね。
 療養病床の必要性というのは切実なわけですけれども、この病院で、近隣の病院にどうしようと考えているかと、療養病床を持っている近隣の病院に聞いたら、ほとんどのところが差額ベット料を上げることで対応するということだったらしいんですよね。この病院は、差額ベット料を取っていません。
 十一月の委員会で、中川原参事さんが、入院費用につきましては、まず、診療報酬で賄うことが必要であり、国が十分な評価を行うべきだと、こう答弁していますけれども、結局、低い診療報酬の中で、差額ベット料として患者負担を大きくするしかないというのが、これが実態なんですよね。この実態、どう認識していますか。

○中川原参事 医療費の根本に係る運営費につきましては、診療報酬で考えるべきものというふうに基本的に考えております。

○大山委員 差額ベット料で運営を賄うしかないという状況になっているのをどう認識しているかということを伺ったんですけれども、差額ベット料がどうなっているか調査したことあるでしょうか。
 これ、保険医協会の調査なんですけれども、東京都において、地域連携クリティカルパスが進まない最大の要因に差額ベット代が高いことが挙げられ、東京都内には転院できずに、都外に転院する例が多数出現している。クリティカルパスが進んでいる熊本県では差額ベット代が低くて、多くの場合、患者負担を余り気にせずに、患者の状態に応じた連携が可能で、東京の状況とは異なっている、こうなっているんですね。
 例えば、四人部屋で、東京で三十日間入院すると、差額ベット料だけで十一万三千七百九十円なんです。熊本では三万八千五百二十円ですから、東京では四人部屋でも熊本より七万五千二百七十円も一カ月入院したら多く負担しなきゃならないんですね。
 さっき話した療養病床をなくした病院は、差額ベット料を患者さんから徴収していませんから、そうやって患者負担をふやさないで頑張っている病院が撤退せざるを得なくなっているということなんですよ。
 診療報酬の低さが療養病床を減らし、差額ベット料を引き上げざるを得なくさせて、患者負担をふやす。入院したくても経済的な問題で入院できない、または、都外に入院せざるを得ない患者さんを生み出すという事態になっています。
 二〇〇九年の七月八日、慢性期入院医療包括評価調査分科会に報告された療養病床のコスト調査結果というのが出されていて、医療区分一の場合は、ADL区分一の場合で一人一日につき千百九十二円の赤字、ADL区分二で一人一日につき三千四百五十九円の赤字、ADL区分三だと一人一日につき三千二百十七円の赤字であることが判明しているんですね。入院させればさせるほど赤字になってしまう。これでは療養病床が減っていくのは当然だと思うんですけれども、都はどう認識しているんでしょうか。

○中川原参事 診療報酬制度の対象になります医療療養病床の病床数につきましては、先ほども申し上げましたけれども、このたびの診療報酬改定前におきましても、平成二十年の一万三千八百二十床から、平成二十一年の一万四千六十四床と増床傾向にございます。医療療養病床につきましては、増床傾向にございます。
 また、国は、今お話しの療養病床コスト調査だけではなくて、医療経済実態調査におけます療養病床を有する病院の収益率がプラス三・四%というような調査結果やその他の各種調査結果等を踏まえまして、本年四月に診療報酬改定を行ったところでございます。
 今般の療養病床に係る改定項目は、入院基本料について、より医療やケアの必要性の高い患者を積極的に受け入れる病棟に関し全般的に引き上げているだけでなく、急性期病院からの転院受け入れに対する加算の新設やリハビリ、連携などへの評価拡充など、多岐にわたってございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、都内にある医療機関の試算では、全体的な影響額といたしまして、二・二一%の増収を見込んでいるというようなところも聞いてございます。
 このように診療報酬改定は、各医療機関の提供する医療の特色などによりまして影響が異なりますために実態把握が必要であります。そのことから、国は実態調査を行おうとしていると聞いております。
 都におきましては、都内の医療療養病床を有する医療機関への影響も踏まえた上で、療養病床の診療報酬につきまして、国に対し必要な働きかけを行っていくというふうに考えてございます。

○大山委員 コスト調査結果だとか、それからほかのことを踏まえて、ことしの四月に国が改定をしたんだと。実態調査をこれからやるんだと。
 しかし、これで本当に大丈夫なのかということなんですよ。これから検証ということなんでしょうけれども、診療報酬の表を私も見てみました。入院基本料一という表ですね。これは医療区分二と三の患者さんたち。つまり、より医療を濃厚に提供する必要がある患者さん。例えば、経管栄養、それから中心静脈栄養だとか、がんの末期の患者さんなどが多いわけですが、その医療区分二と三ですね。この患者さんが全体の八割以上いて、看護職員が二十対一の配置にする医療機関の場合のこの診療報酬の表が入院基本料一ですね。医療の濃淡だとか、ADLの状況によって、その表が九種類の診療報酬になっていますが、その九のうち、五つは値上げになりますが、四つは値下げになっているんですね。全国保険医団体連合会の調査では、医療療養病床入院患者の四分の一は医療区分一だったんです。ですから、医療区分二と三の患者が八割以上いなければ、この基本料一の診療報酬は使えませんね。医療区分二と三の患者が八割未満の医療機関が適用される基本料二という診療報酬の表では、九つの診療報酬のこの単価のうち、九つのうち八つはマイナスになっています。
 実際、二〇一〇年、ことしの四月一日現在の療養病床入院基本料の届け出数を、関東信越厚生局東京事務所閲覧資料から算出してみると、入院基本料一が四三%、入院基本料二が五七%でした。つまり、低い基準の入院基本料二の届け出が多いわけです。約六割の病床が診療報酬改定によって引き下げられていることになります。結局、六割の療養病床の診療報酬がさらに低くなってしまう。これでは、ますます療養病床が維持できない、ますます差額ベット代が上がるのではないかと心配せざるを得ないわけですが、どう考えますか。

○中川原参事 療養病床の入院する患者さんにつきましては、もちろんADL区分一、二、それから医療区分一、医療区分二、医療区分三というふうにございまして、それは大山委員ご指摘のとおりでございますが、その病院の中でどのような患者さんが入ってくるかということにつきましては、それぞれの病院のそのときの状況にもよりますし、先ほど申し上げましたとおり、今回は入院基本料だけでなくて、連携だとか、リハビリテーションのそういったものも拡充されるなどありますし、先ほどの急性期病院からの受け入れ等の新設等もございました。そういうことも、全体と含めまして、それぞれの病院の中で運営していくということになろうかというふうに考えてございます。

○大山委員 それぞれのといいますけれども、四月一日の実際の届け出数で約六割のところが入院基本料二なんですよ、五七%が。さまざまな加算があるとおっしゃいましたけれども、例えば今回の改定で、救急・在宅等支援療養病床初期加算ですか。一日につき百五十点が新設されて、一般病床からの転院、それから介護施設等や自宅から療養病床に入院した場合、入院の日から十四日間を限度として算定できる。医療関係者は、連携を重視したこの加算は大変評価できるといわれているわけですけれども、療養病床は、長期入院が多くて最初の十四日間しか算定できないため、その加算はもちろんいいですよ。それにしても、やはり基本点数の引き上げが必要だといっているわけです。
 医療機関では、入院させればさせるほど赤字になってしまうにもかかわらず、医療区分一でも退院させられない状況が少なくないんですよね。どういう人が退院させられないかというと、東京保険医協会の調査があります。胃瘻や糖尿の治療、経管栄養、軽い譫妄だとか、それから独居のため介護保険内ではサービスが足りないが自費での支払いが困難で退院できずにいる。たくさん書いてある。こういう患者さんたちが大勢いるわけですね。だからこそ、診療報酬を適正なものに引き上げることを国に求めることは、もちろん重要です。しかし、差額ベット代が他県に比べて余りにも高過ぎる。結局、患者にしわ寄せが来ているということなんですよね。
 さっきは熊本と比較しましたけれども、個室は余りにも差があり過ぎですから、ちょっと比較しませんけれども、庶民が使いやすい四人部屋でも、隣の神奈川県よりも一日当たり四百九円、千葉県よりは千三百三円、山梨県よりは二千百九十円高いのが東京の四人部屋の差額ベット代なんですよ。これが東京の特徴なんです。お金がなければ、山梨や群馬に行くんです。東京の高齢者が住みなれた東京を離れて遠くへ行かざるを得ない。こんなことでいいわけはないですよね。
 東京都は、療養病床の必要性を認めているからこそ、整備費の補助率を上げているんですから、本気になって運営費を、東京都だからこそ都独自で補助すること、これが必要だと要望して終わります。採択を希望して終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立をお願いします。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二二第三〇号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十四分散会

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