厚生委員会速記録第四号

平成二十二年三月十八日(木曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長門脇ふみよし君
副委員長野上 純子君
副委員長吉田康一郎君
理事早坂 義弘君
理事斉藤あつし君
理事三原まさつぐ君
栗林のり子君
柳ヶ瀬裕文君
新井ともはる君
佐藤 由美君
橘  正剛君
山加 朱美君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長牛島 和美君
経営戦略・再編整備担当部長斎藤 真人君
参事梅田 弘美君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
  予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 病院経営本部所管分
・第十九号議案 平成二十二年度東京都病院会計予算
  付託議案の審査(質疑)
・第七十八号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例

○門脇委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上とお聞きしておりますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○門脇委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、病院経営本部所管分、第十九号議案及び第七十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料についての理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 去る二月十九日の本委員会におきまして要求のございました資料につきまして、お手元にお配りしてございます資料に基づきましてご説明を申し上げます。
 まず、要求のございました資料につきまして、資料1、厚生委員会要求資料に沿いましてご説明をさせていただきます。
 資料は、目次にございますように、1、北多摩北部医療圏内における四市五医師会の小児初期救急患者実績など十点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、北多摩北部医療圏内における四市五医師会の小児初期救急患者実績でございます。
 多摩北部医療センター及び佐々総合病院におけます小児初期救急患者数につきまして、平成十七年度から平成二十一年度までの実績を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、多摩北部医療センター小児科二次救急(入院)実績でございます。
 多摩北部医療センターにおけます延べ入院患者数と、救急患者として受診し入院した患者の数、すなわち二次救急患者数につきまして、平成十七年度から平成二十一年度までの実績を記載してございます。下の注の2に記載してございますが、平成二十一年度は、平成二十二年一月までの実績を記載してございます。
 三ページをごらんいただきたいと思います。3、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員(平成二十二年二月一日現在)でございます。
 (1)は都立病院、次の四ページ(2)は公社病院におけます医師の診療科別定数及び現員を記載してございます。下の注の2に記載してございますが、育児短時間勤務職員は〇・五人として現員換算をしてございます。
 五ページをお開き願います。4、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員(平成二十二年二月一日現在)でございます。
 (1)は都立病院、(2)は公社病院におけます職種別職員定数及び現員を記載してございます。
 六ページをごらんいただきたいと思います。5、都立病院及び公社病院におけます看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
 (1)は都立病院、(2)は公社病院におけます看護要員の採用者数及び四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数につきまして、平成十六年度から平成二十年度までの推移を記載してございます。
 七ページをお開き願います。6、都立病院におけますPFI事業にかかわる経費の推移でございます。
 平成十八年度から平成二十二年度までのPFI事業にかかわる経費の推移を各事業別に記載してございます。
 八ページをごらんいただきたいと思います。7、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
 一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費につきまして、平成十八年度から平成二十二年度までの推移を病院別に記載してございます。
 九ページをお開き願います。8、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
 一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費につきまして、平成十八年度から平成二十二年度までの推移を記載しております。
 一〇ページをごらんください。9、各公社病院における経営指標の推移でございます。
 平成十六年度から平成二十年度までの各公社病院における経営指標の推移を、入院別、外来別に記載しております。
 一一ページをお開き願います。10、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
 平成十八年度から平成二十二年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
 順次、発言をお願いいたします。

○新井委員 今回、私からは、都立病院の情報セキュリティー対策についてお伺いをしたいと思います。
 この情報セキュリティーというのは、広い意味では、紙の媒体を使ったものであったりとか、ファクス、またウイルス対策、さまざまなものがあります。今回は、USBメモリーを使った、そのことに対する対策についてお伺いをしたいと思います。
 都立病院におきまして、患者さんの診療情報初め、個人情報が数多くあります。そういった観点からも、情報セキュリティーを考えるということは大変重要なものでございます。しかしながら、先月二月に、都立の広尾病院にて、個人情報を保存しましたUSBメモリーが紛失するという事件がありました。
 病院経営本部では、患者情報のセキュリティー対策としてどのような対策を講じてきたのか、お伺いをいたします。

○牛島サービス推進部長 まず、情報セキュリティー対策を適正かつ確実に行うために、病院経営本部情報セキュリティー実施手順を作成しまして、情報の管理体制や職員の守るべきルールを定めて、その周知徹底を図ってきました。また、職員一人一人の意識啓発を図るために、都立病院全職員を対象に、個人情報管理に関する研修を実施するとともに、各都立病院において、個人情報管理チームによります定期的な管理状況の巡回点検を行ってきました。さらに、私物のUSBメモリーを院内に持ち込んだり使用することを禁止し、公費で調達しておりますUSBメモリーにつきましても、認証機能つきのものにしたほか、自宅のパソコンであっても、ウイニーなどのファイル交換ソフトの使用を禁止するなど、情報セキュリティーに関する取り組みを強化してまいりました。

○新井委員 これまでもそういった情報対策、講じてきたかと思います。しかし、そういった対策を講じたにもかかわらず、都立病院では、平成十九年で五件、平成二十年度では二件、平成二十一年度では一件と、全く減るどころか、セキュリティーのそういった事故は絶え間なくあるというのが現状でございます。この八件のうち四件がUSBメモリーを紛失する事故でありまして、毎年毎年、発生しているという状況であります。
 今回のこの広尾の事故では、当直の勤務中の医師が、臨床研究で使用するためのデータをほかのパソコンに移すためにUSBメモリーを使用した際に紛失したと聞いています。今回発生しました紛失事故の原因は何だと考えますでしょうか。

○牛島サービス推進部長 今回の事故では、業務の繁忙に紛れて、USBメモリーへの十分な注意が行き渡っていなかったこと、また、紛失を防止するためのストラップをつけずに管理していたことなど、職員のセキュリティー意識に欠ける点があったということが紛失につながったものと考えております。
 しかし、今回の事故におきましては、使用目的や手続について定められた手順がおおむね守られておりまして、また、紛失したUSBメモリーが公費調達した認証機能つきのものであったことから、個人情報が外部に漏えいするという可能性は極めて低いものでした。現時点でも、流出の事実は確認されておりません。

○新井委員 そういった情報の徹底等をしています。それでまた、これまでもそのUSBメモリーを認証機能つきのものにするなど、セキュリティーの強化が図られてきたということではございますが、このセキュリティーの意識が希薄なようでは、事故をなくすことができません。今回の紛失事故を受けとめて、改めてどのような対策を講じるのかお伺いします。

○牛島サービス推進部長 今回の事故を踏まえまして、全都立病院に対して、USBメモリーの管理の徹底など、情報セキュリティー対策を再度周知徹底いたしました。また、全職員を対象に緊急自己点検を実施して、各職場内におけるすべてのUSBメモリーについて、ストラップの装着を含め、管理状況の再確認を行い、適切な管理の徹底を図っております。引き続き、職員一人一人の意識改革を繰り返し促すとともに、点検を強化するなど、再発防止に継続的に取り組んでまいります。

○新井委員 職員の意識改革など、改めて再発防止策をとったことはわかりました。USBメモリーを使用する限りは、幾ら研修、点検を徹底したとしても、紛失をゼロにすることは大変難しいと考えております。そもそも病院では、何のためにUSBメモリーを使用しなければならないのでしょうか。

○牛島サービス推進部長 病院におきましては、医療の質や医療従事者の資質の向上を図るために、日常的な研究活動が必要でございます。その際に、異なるネットワーク間での診療データの受け渡しや、学会発表のときのデータの運搬のためにUSBメモリーを使用することが必要でございます。

○新井委員 研究データなどの移動にUSBメモリーが必要なことはわかりました。しかしながら、患者さんの個人情報は極めてセンシティブなものであり、その紛失、漏えいはあってはならないことだと思います。そのためには、できるだけUSBメモリーを使用しないようにすることが重要だと考えていますが、いかがでしょうか。

○牛島サービス推進部長 個人情報の利用と紛失のリスクを考え合わせますと、ご指摘のとおり、USBメモリーの使用を抑制することが必要だと考えておりますが、完全になくすということは困難でございます。このため、院外への持ち出しにつきましては、データを匿名化した上で、管理者の許可を得て行うことになっており、このルールをさらに徹底してまいります。
 院内でのデータ移動につきましては、USBメモリーを使用しないようにするには異なるネットワークをつなぐ必要があり、その際、新たにセキュリティー上の問題が生じるという課題がございます。いずれにしましても、引き続き改善策について検討してまいります。

○新井委員 USBメモリーの登場によって、昔使われていましたフロッピーディスクに比べて大変大容量の電子データを容易に持ち運ぶことができます。昔はフロッピーディスクですと一・四メガ、今はこういった小さなUSBメモリーであっても四ギガ、八ギガと大変大容量のものを運べることになっております。
 このUSBメモリーは便利さがありますが、その反面、その形状、こういった小さいものですから、常に、紛失してもおかしくはございません。紛失した場合には、大量のデータの流出の可能性があり、一たん漏えいしたデータは回収することが大変極めて困難でございます。個人情報の保護の観点からも、USBメモリーをなるべく使用しないようにすることが必要だと考えています。そのための方策を今後検討してもらいたいと思います。
 また、USBメモリーの使用に当たっては、USBメモリー自体を媒介しましたウイルス感染にも注意する必要があります。例えば、USBメモリーにウイルスが感染しています。感染したこのUSBメモリーを院内のパソコンに挿せば、そのパソコン自体、また、そのパソコンにつながっているネットワーク自体にウイルスが蔓延することになります。そういったUSBメモリーを媒介したウイルス対策に関しましても、継続したセキュリティー対策に取り組んでいただきたいと思います。
 以上で私からの質問を終わりにします。

○山加委員 私からは、都立病院の看護師に関して何点かお伺いをさせていただきます。
 これまで我が党は、都立病院が都民に期待される役割を果たしていくためには、すぐれた施設整備と、そしてそれ以上に、医師、看護師等の医療人材を質、量ともに確保、育成しなければならない、そんな観点から、医師、看護師の確保、育成についてさまざまな提案をさせていただきました。
 中でもとりわけ看護については、私自身、本会議、また、この厚生委員会の場で幾度となく、勤務条件の改善、七対一看護基準の導入、二交代制勤務の拡大、また、採用活動の強化、定着化対策の実施など、具体的な提言を行ってまいりました。
 そして本定例会における我が党の代表質問に対しまして、本部長は、採用活動の強化により、例年の二倍の看護師が確保できるめどが立ったこと、そしてまた、育成対策として、来年度から東京看護アカデミーの運用を開始することを旨とする答弁をされたわけであります。さらに、業務に着手した手当の新設等、勤務条件の改善も行われると聞いております。
 七対一看護基準については、既に三病院が導入をしております。また、二交代制勤務も着実に増加するなど、我が党が提案してきたこの総合的な確保、育成対策が具体的成果として実を結んでいる、このことは大変喜ばしいことと思っております。そしてまた同時に、これまでの病院経営本部のご努力に敬意を表したいと思います。
 とはいえ、全国的な看護師の不足状況は依然として深刻な状況にまだあるわけであります。これが急速に改善することは考えにくいわけでありますが、しかし、来年度もことしの成果を踏まえた看護師確保、そしてまた育成対策を強力に推し進めていく必要があることはいうまでもないことであります。
 そうした中で、来年度の看護師確保に向けて、この確保の土台となるのはやはり採用選考の抜本的な改正だと思いますが、この改正を行うと伺っております。そこで、今回の採用選考改正についてのその主な内容とねらいについて、まずお伺いをさせていただきます。

○黒田経営企画部長 今回の採用選考改正の最大のポイントは試験の簡素化でございます。現在、看護師は医療の高度化、専門化に伴いまして、四年制大学での養成が増加しつつあります。しかし、大学卒程度に対する従来の選考では、小論文と面接に加えまして、教養試験及び専門試験が課されておりまして、受験生に大きな負担感を与え、このことが都立病院が選択されない一因ともなっておりました。
 このため、今回の改正では、教養試験及び専門試験を廃止しまして、かつ、これまで大学卒程度と専門学校卒程度の二つに分かれていた選考区分を統合いたしました。これによりまして、受験者のさらなる増加が期待できるとともに、より一層人物重視の選考が可能となると考えております。
 なお、採用者の知識、スキルにつきましては、この間強化を図ってまいりました都立病院の教育訓練体系によりまして十分付与ができるものと考えております。
 また、中途採用につきましては、年齢制限を四十五歳未満から六十歳未満に引き上げまして、受験者の増加と経験豊かな即戦力の看護師の一層の獲得も目指していくこととしてございます。

○山加委員 教養、専門試験の廃止、そして年齢制限の引き上げによる受験の間口を広げて、採用後もすぐれた看護師を育成していくという考え方は、高度専門化する医療に対して、必ずしも現在の大学、専門学校の教育が追いついていないのではないかという指摘もある中で、大変実践力のある信頼できる看護師を医療現場に安定的に確保する上では有効な方策であり、また、高く評価ができるところであります。ぜひとも今回の改正の周知徹底を図っていただき、多くの受験者を集めていただきたいと思います。
 さて、その育成に関しては、来年度から東京看護アカデミーとして運用を開始するとのことでありますが、この東京看護アカデミーの特徴と、これまでの看護師の研修体系との相違点についてお伺いをさせていただきます。

○黒田経営企画部長 看護学生の病院選択理由の上位に必ず挙げられますのが、卒後の研修体制がしっかりしていることでございます。都立病院の研修体系は、全国に先駆けました新卒看護師臨床研修制度の導入や、認定看護師、専門看護師資格取得支援制度など、その充実した内容が従来より外部の関係者から高く評価されてきたものでございます。しかし、これに甘んずることなく、新卒看護師につきましては、高度な臨床能力を段階的に身につけるために、また、中途採用看護師につきましても、スキルに応じた研修が行えるよう、カリキュラムの一層の充実を図ったところでございます。
 このほか、新たに助産師資格取得支援制度や海外派遣研修を導入するとともに、今年度後半から実施しております再就職支援研修につきましても、看護アカデミーに位置づけるなど、研修体系全体の充実を図ることとしたものでございます。

○山加委員 看護アカデミーは、従来の研修をブラッシュアップするとともに、新たに助産師資格取得コースや海外派遣研修といった新たな研修を付加した総合的な体系的な研修体制であるということが今のご答弁で理解できたわけであります。また、結婚、出産、育児などで長く看護業務から離れていた、そんな方たちのための復職支援研修もアカデミーの中に設けたということであります。
 看護師が不足する中で、潜在看護師の掘り起こし、これは極めて重要なことであります。看護アカデミーのノウハウを生かして、非常勤として勤務しながらリカレント教育を受け、本格的な復職につなげていくというこの本研修、まさに私は公的医療機関としての役割にふさわしいものといえると思うわけであります。
 ちなみにこの復職支援についてですが、昨年後半から既に実施していると伺っているわけですが、その実績についてお伺いをいたします。

○黒田経営企画部長 復職支援制度は昨年の九月から都立病院でスタートいたしまして、この二月までに計四名の方が受講されておりまして、このうち一名が都立病院に常勤として、一名が非常勤として就業をしております。その他一名につきましても、診療所への再就業を検討するまでの成果が得られているところでございます。

○山加委員 約半年で四人との実績とのことでありますから、この復職支援を看護アカデミーに位置づけたことで、今後一層受講者がふえることを期待申し上げたいと思います。
 また現在、看護師以上に不足が指摘される助産師についても資格取得支援を行っていくということでありますが、このことは、将来助産師を目指す看護師にとっては非常に魅力的な制度ではないかと考えます。そして、アカデミーでは、来年度から海外派遣研修も実施するということでありますが、災害医療やがん医療など、まさに世界の先進的な医療を学ぶ機会ができたということは画期的であると思いますが、この海外派遣研修のねらいというのは何なんでしょうか。

○黒田経営企画部長 都立病院におきましては、災害医療、がん医療、感染症医療、救急医療等、高度な行政的医療に取り組んでおりまして、医師につきましては、海外の著名な病院や大学で研さんを積んだ者が少なくございません。このため、医師とともにチーム医療の核となります看護師につきましても海外派遣研修を導入いたしまして、海外の医療現場や医療事情を実際に見聞きし、国際的な視野から、都立病院の看護を見詰め直す機会を付与することといたしました。このことで都立病院の看護師のモチベーションや資質の向上が期待できると考えております。

○山加委員 多彩な育成メニューを持つこの看護アカデミー、二十年度からスタートしている東京医師アカデミー同様、医療関係者からは評価され、また、人材の確保、育成に大きく貢献すると考えられると思います。また、こうした総合的、重層的な取り組みこそが高度専門医療を担う都立病院に期待される役割ではないかとも思います。ぜひとも看護アカデミーをしっかりと運営し、定着を図っていただくことをお願いしたいと思います。
 そしてまた最後に、今年度の取り組みの総括と、今後に向けた看護師の確保、育成に対する本部長の強い決意を伺いまして、質問を終わらせていただきます。

○中井病院経営本部長 これまで山加委員には、本会議や委員会の場で、看護師の確保、定着に向けたさまざまなご提言をいただいてまいりました。これらのご提言を踏まえ、私どもといたしましては、働きやすい勤務環境を創出するための七対一看護基準の積極的導入や二交代制勤務の拡充、さらには、病院と本部とが一体となった採用活動や病院を挙げての定着対策など、多様な確保、定着対策に総力を挙げて取り組んでまいりました。
 この結果、代表質問でもご答弁申し上げましたとおり、看護師不足が深刻な中でも、来年四月には例年の二倍の看護師を採用でき、全都立病院で定数を超える配置が可能となる見通しでございます。この三月には、多摩総合医療センター、そして小児総合医療センターが開設するということもあり、この一年の採用活動については、我々としても本当に危機的な意識を持って、全組織を挙げて取り組んでまいりました。
 しかしながら、ちょうど昨年の今ごろ、この時期には、本当に予定どおりの充足ができるんであろうか、この深刻な看護師不足の中で難航をきわめるのではないかという、そういった危ぶむ声も確かにあったわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたとおり、予定どおり、あるいはそれを上回る充足ができたというのは、これは厚生委員会の先生方のご支援、ご指導のたまものであるということで、改めてこの場をおかりして感謝申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
 今後は、先ほどご質問いただきました東京看護アカデミーを戦略的な柱として、看護人材の安定的確保と実践力のある人材の育成にさらに力を入れてまいりたいと考えております。山加先生のご指摘にもありましたとおり、高度専門化する医療の中で、実践力のある看護師の育成はますます重要となっております。
 しかしながら、現行の文部科学省や厚生労働省の法令、方針のもとでは、大学、専門学校における教育には大きな限界があるのが現状でございます。例えば、過密なカリキュラムからくる実習時間の不足、あるいは無資格者に対する実技指導の大きな制約などでございます。こうしたことから、医療現場における実践的、体系的な人材育成システムの充実が喫緊の課題となっております。看護師がみずから成長でき、病院全体で育てていくという東京アカデミーは、まさにこれにこたえようとするものであります。都立病院の看護人材の確保は、量と質のいずれも十分なものにしていく必要がありますが、とりわけ看護の質の向上については、これでよしというところはなく、常によりよい看護を目指して努力しなければならないものでございます。
 その意味で、東京看護アカデミーはこの四月にスタートいたしますが、その後も、改善、充実をさらに継続していく所存でございます。そして、平成二十年度にスタートした東京医師アカデミーとともに、都立病院の将来の発展を力強く支える車の両輪となるよう目指してまいります。今後ともご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

○野上委員 がん医療に関連して、都立病院での取り組みについてお伺いいたします。
 最近、テレビのコマーシャルも流されていますけれども、がんは実に男性の二人に一人、女性の三人に一人がかかって、そのうち二人に一人ががんで亡くなるという、非常に、がんが日本人の死因のトップを占めているということで、これはほとんどの方がもう知っていらっしゃる事実でございます。
 私たちの党は、今までさまざまな機会を通して、がん対策の強化についてさんざん訴えてきた経過がございます。国の方でも、前政権のときなんですが、平成十九年の四月にはがん対策基本法というのを制定いたしました。これにも、多くの現場を訪ねながら、いろいろな資料を集めながら、こういう現場での声を国に上げてがん対策基本法というのができました。これに基づいて、東京都でも、平成二十年の三月に東京都がん対策推進計画というのが出されたわけでございます。
 計画の中では、東京都全体でがんの医療水準を向上させるために、拠点病院を中心とした連携体制の構築を図るということになっておりまして、国の方でも都道府県がん診療連携拠点病院を設定しなさいということで、二つの病院が設定をされておりますし、地域がん連携拠点病院は東京には十二カ所、また、東京都独自で認定をしている認定がん診療病院が十カ所ございます。都立病院では、駒込病院が、この二つあるうちの一つの都道府県がん診療連携拠点病院に指定されております。がん対策に関してまさにその中心的な役割を果たしてきたのが駒込病院だと思っておりますが、この駒込病院でのこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 駒込病院におけます都道府県がん診療連携拠点病院としてのこれまでの取り組みでございますが、駒込病院では、東京都がん診療連携協議会の設置運営、院内がん登録のデータの収集、分析、評価、また、地域連携の推進など、都におけるがん医療ネットワークの中心としての役割を担い、人材育成を担当いたします癌研究会有明病院とともに役割分担をしながら取り組んでまいりました。
 具体的には、協議会のもとに四つの部会、がん登録部会、研修部会、クリティカルパス部会、相談・情報部会、この四つの部会を設けまして検討を進めてきているところでございます。
 このうちがん登録部会の関連では、昨年三月に駒込病院を含みます十四のがん診療連携拠点病院の二〇〇七年分のがんのデータが国立がんセンターへ提供され、現在、そのデータの返却を受けている最中でございまして、今後、この部会におきまして評価、分析を進めていくことになります。
 また、クリティカルパス部会の関連では、本年一月に五大がん地域連携クリティカルパスの試行版というものを作成いたしまして、これを二月から運用することを既に発表しておりまして、これは去る予算特別委員会で東京版医療連携手帳としてご紹介があったものでございます。

○野上委員 今のご説明で、本当に駒込病院ががん登録、また地域連携の推進など、まさに東京のがん医療ネットワークの中心としての役割を果たしてきたことがよくわかりました。また、我が党はがん対策推進のために、がん実態の把握が不可欠であり、そのためにはがん登録が重要であることを繰り返し繰り返し訴えてきたわけでございます。
 院内がん登録の目的と、そしてまた駒込病院は、いつからこのがん登録について、どのように取り組んできたのかについてお伺いいたします。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 がん登録は、がん患者の罹患、転帰その他の状況を登録し分析するものでございまして、がん対策の評価や企画立案の際の基礎資料にもなるなど、重要な役割を担うものでございます。このうち、院内がん登録は、各病院のがんの診断、治療を受けた全患者の情報を標準登録様式と申します一定の様式に登録をして行うということになっております。これによりまして、各病院間の治療成績を統一した基準で把握することが可能になります。やや平たく申しますと、週刊誌、雑誌などにいろいろな特集が組まれておりますが、いい病院、悪い病院、こういうのは観点が違いますのでかえって迷ってしまう場合がありますが、統一した基準で把握するというのは、そういうメリットがあろうかというふうに思います。
 駒込病院では昭和六十年から院内がん登録業務を開始しておりますが、その際、開設時の昭和五十年にさかのぼって症例登録を開始いたしました。したがいまして、駒込病院で診断もしくは治療を行ったすべてのがん患者の情報がデータベースになっております。
 院内がん登録業務を開始した当初は入院患者さんのみを対象として行い、氏名、性別、住所などの患者基本情報、病名、入退院日を登録するとともに、登録患者について、その後の状況でございます予後調査の実施をしてまいりました。その後、二〇〇三年に国立がんセンターから標準登録項目、いわゆるナショナルスタンダードというべき項目が初めて示されまして、現在はがんのステージや組織診断なども追加された二〇〇六年版の標準登録項目、これにございます四十九項目を満たす院内がん登録が拠点病院には求められております。駒込病院では、こうした制度的な変遷にも対応しまして、システム整備や事務処理体制上の工夫を行いながら、これまで対応をしてきているところでございます。

○野上委員 駒込病院の歴史から見ると、ほぼ開設以来、三十年ぐらい前からがん登録を行ってきたというすごい実績があるということだと思います。あとはがん対策の基本資料となるがん登録を推進していくためには、拠点病院での院内がん登録の精度を上げることが重要であります。
 中でも大きな関心を集めるのは、三年生存率、また、五年生存率であります。この算定のためには予後調査が必要不可欠でございます。例えば大腸がん等では、東京都医療連携手帳などには三カ月ごと記録をするような形でつくられております。それが約五年間続いて記入されるようになっておりますし、乳がんの方も同じくこれも十年間記入できるようなものがつくられております。
 そこで、予後調査では、退所された後の患者さんの予後調査について、どれぐらいの水準で捕捉していくのか、また、拠点病院である駒込病院としての取り組みについて伺いたいと思います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 拠点病院では、例えば五年生存率では、二〇〇七年の登録データが初回データでございますので、五年経過した後の時点でその生存率を把握することになりますが、予後調査は登録がん患者の生死の状況を把握する精度の高い統計でございまして、患者の消息判明率で九五%以上が必要とされております。
 駒込病院では、日常的には外来受診歴、入院歴などの診療情報検索及び院外死亡届によりまして、生存確認日の更新、死亡日の登録などを行うとともに、一年以上受診、入院のない患者さんにつきましては、最終受診時の区市町村あてに住民登録状況照会を行いまして、生死状況を把握するというようなこともやっております。
 しかしながら、登録患者数の増加に対応した予後調査件数の増加や、住民基本台帳や外国人登録の情報照会での情報の入手や手数料負担の問題など、消息判明率九五%以上というものを維持していくことには多くの困難が伴っているのが実態でございます。
 都道府県がん診療連携拠点病院であります駒込病院は、こうした取り組み実績をもとに、そのノウハウを他の拠点病院にも広げていくことが求められておりまして、精度の高い院内がん登録が可能となるよう、院内がん登録部会の運営などを通じて積極的な取り組みを行ってまいります。

○野上委員 確かに九五%以上、情報を入手していくというのは本当に大変なことだと思っております。そのままずっと、退院した後元気で過ごして、情報とかがとれるといいんですけれども、なかなか住民票をたどっていってもその方に会えなかったりとか、それから外国人の方も結構多くなってきておりますので、本当に大変な取り組みだなというふうに感じております。相当な苦労を重ねてこられて、実績を積み重ねてこられたのではないかと思います。
 また、駒込病院でさえも、情報の登録の精度を上げていくためには、一病院では解決できない問題もあります。しかし、これまでの駒込病院が行ってきたこの院内がん登録の取り組みは、ほかの拠点病院がこれから取り組まなければならない、例えば五年生存率の把握の仕方などについても必ず役立つものであると思います。駒込病院は今後も拠点病院としての中心的役割を果たして、がん対策のさらなる推進に貢献するためにも、着実にその取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 都立病院でのがん医療の推進という意味では、今回、多摩地域の拠点として開設した多摩総合医療センターに対する期待も大きいものがあります。多摩総合医療センターは、これまでの府中病院時代から多摩地域唯一の都立の総合病院として、がん医療にも大きな役割を果たしてきました。そこで、この多摩総合医療センターでさらにがん医療を充実させるための整備状況について改めて伺います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 がん医療では、がんの進行状況や状態に応じまして、手術療法、化学療法、放射線療法などを組み合わせました集学的治療の実施が求められております。今月一日に開設いたしました多摩総合医療センターでは、まず、手術室を九室から十五室に拡充を図り、がん医療においても手術への対応力を高めております。また、需要が増加しております外来化学療法に対応いたしますために、ベッド数を八床から二十七床へと大幅にふやしまして、外来科学療法センターとして運営していくことといたしました。さらに、リニアックを一台増設し二台体制としており、さまざまな放射線治療を実施できる体制を整えたところでございます。なお、院内がん登録につきましては、府中病院時代の平成二十年度から本登録を開始してございます。

○野上委員 この手術室とかベッド数とかリニアックとか、いろいろ整備の面でも、かなり質的にも量的にもがん医療に対する整備が拡充されたということですね。多摩地域の住民の方にとっても喜ばしいことでありますけれども、今まで以上に多くの症例数が積み重ねられるということで、結果としても、これまでお話しした院内がん登録の推進という意味でも大いに期待できるものだと思います。
 これだけの役割を果たしている、また今後の発展が期待される多摩総合医療センターですけれども、都のがん医療対策の中で拠点病院にはまだ指定されておりません。今後、多摩総合医療センターは、地域がん診療連携拠点病院を目指していくべきと考えますが、所見を伺います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩総合医療センターでは、これまで以上に高度で専門的ながん医療を提供できるよう、先ほど申しましたとおり、施設の整備拡充を図ってまいりました。ソフト面では、院内がん登録の推進のほか、がんに関する情報提供の推進等、相談支援体制の整備も進めてきておりまして、来年度早期には、都制度であります東京都認定がん診療病院に認定される見込みでございます。
 今後、さらなる治療体制の充実、地域の医療機関との連携体制の強化、さまざまな職種にわたる医療従事者の育成を図ることで、国制度であります地域がん診療連携拠点病院を目指した取り組みを進めてまいります。

○野上委員 最後です。私もこの多摩総合医療センター、開設前にその施設を視察させていただきましたけれども、非常に立派な施設で、さまざまなところでいろいろな工夫がなされておりまして、もうため息をつきながら、はあはあ、すごいねとかいいながら見させていただいた経緯がございます。多摩に住んでいらっしゃる地域の皆様にとっても心強い病院になっていると思います。多摩総合医療センターが東京都の中で地域がん診療連携拠点病院に指定されて、多摩地域において名実ともにがん医療の拠点的役割を果たしていただけるよう、積極的な取り組みを進めていただくことをお願いして、私の質問を終わります。以上です。

○大山委員 マスクで失礼いたします。
 予算の審査ということでは、来年度予算の最大の問題は、都立清瀬、八王子小児病院、それから梅ケ丘病院の廃止となっている予算だということが最大の問題です。三月十六日付で廃止条例が施行されたわけですけれども、都民の皆さんは納得していません。今定例会中も連日、都議会前で都民の皆さんが座り込みをする。そして、存続を求める署名は合わせるともう六十三万筆を超える、そんな状況です。新たな請願と陳情も、今定例会でも付託される。その署名の数はさらに積み上げられている。それらのことからも、都民の皆さんの意思はもう明確だといわなければなりません。
 三小児病院についてはこの間も議論してきて、府中に小児総合医療センターという巨大な病院をつくったとしても、地域の小児救急に大きな穴があくということ、それから、NICUについては多摩の地域での整備計画さえ持てない、そんな状態になってしまったことも明らかになりました。また、小児精神科については、小児総合医療センターでは建物さえ別にしなかったひどさ、行き先のない患者をつくっていることなど、さまざまな問題が明らかになってきました。
 私、この問題を通じて、東京都という自治体の姿勢として一番問題だ、そう思っているのは、東京都が都民の声を全く聞こうとしない、都民がどういう状況になっている、それを知ろうともしない、それが最大の問題だと思っています。
 私たちのところにもいろいろな方から電話がかかってきます。二月十八日にも、五十代の女性の方から電話がかかってきました。この方のお嬢さんは八王子盲学校に通っているんですね。
 どういう内容だったかというと、娘が小児病院に通っていたが--八王子小児病院ですね、通っていたが、担当のドクターから市内の小児科のクリニックを紹介された。月一回検査と投薬で通うが、運転免許を持っていないので、タクシーで片道千二百円、往復だと二千四百円かかる。私は月一回だからまだいいが、もっと多い人もいるんじゃないでしょうか。薬をもらうのも調剤薬局で一時間待ち。娘は多動で動き回り、時々奇声を上げたりするので一時間も待っていられない。小児病院では薬も早目に出せるよう、特別に体制をとってくれました--くれてたんですね。クリニックのドクターは娘が小さいときからお世話になっているので心配ないけれども、小児科、内科のクリニックなので、一般の患者さんににらまれたり、ちらっと見られたりして、すごく感じが悪い。小児病院では、周りがみんな同じなので安心できた。クリニックに通うのに、娘は月一回、学校を六時間目に早退しなければならない。家は小児病院の近くなので、今までは早退の必要なくいつでも通えた。私たちにとって、病院一つなくなるのは大変なこと。親亡き後にこの子をだれが見てくれるのか心配。政治家の皆さんは、こういう大変なことを知らないのではないか。きちんと話を聞いて決めてほしかった。小児病院があるからということで、区内から市内に引っ越してきた人もたくさんいる。そういう人たちはどうすればいいのか。本当に子どもたちの命が助からないことになる--こう切々と語っていらっしゃいました。
 患者や家族に思いを寄せたことがあるんでしょうか。自治体として、住民に心を寄せる、これ基本だと思うんですよね。だからこそ、東京都に求められているのはこの基本的な姿勢なんです。
 きょう、ちょっと具体的に伺いたいのは、成人になったダウン症者のことです。本会議で、清水都議の代表質問で、小児総合医療センターは二十を過ぎた患者は診ないので、八王子小児病院の廃止で、二十を超えたダウン症の患者は府中のセンターで、これまでのような診療を受けられるのか、こう質問しました。中井病院経営本部長は、府中の医療センターで診療することになるケースは当然あり得ます、こう答弁しています。具体的にはどういうことなんでしょう。ちょっとはっきりいってください。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 本会議における本部長の答弁でございますが、これは、八王子小児病院を受診している患者さんの診療先につきましては、年齢や疾病にかかわらず、病院の医師による患者さんの症状についての判断、また、ご家族との相談、こういったものの上で決めているということでございます。したがいまして、二十歳を超えた成人のダウン症の患者さんにつきましても、年齢や疾病にかかわらず、これと同様の対応に基づいた結果、結果として小児総合医療センターでの受診が望ましいという結論になれば診察をすることはあり得ます。
 小児総合センターで診る患者さんは、そういう意味では確かにおりますけれども、具体的にどういう場合に診るのかということにつきましては、医者の判断及び患者さん、患者さんのご家族とのご相談ということですから、これを客観的、機械的に線引きできるものではございません。ダウン症の患者さんは合併症を発症する場合が多いというのは定説でございますけれども、したがいまして、ダウン症そのものよりも合併症の状況、これは千差万別でございます。それによってどのような医療機関が適切かという判断がなされる場合が多いので、これらにつきましてはケース・バイ・ケースであるということが結論だといえると思います。

○大山委員 いろいろおっしゃいましたけれども、つまり、ケースによっては成人になっても小児総合医療センターで受けるということでいいんですね。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 ただいま申しましたように、病院の医師による患者の症状判断、家族とのご相談などを経て、小児総合医療センターで診察するケースはもちろんございます。

○大山委員 ケースはあるということですね。代表質問の答弁のときに、府中の医療センターで受診することになるというふうにおっしゃいましたけれども、府中の医療センターということは、多摩総合医療センターも含まれるということですよね。ずっとの流れで見ると、小児は十八歳までは小児総合医療センター、成人は多摩ですよというふうに切り分けているわけですが、先ほども合併症があるのが定説だから、どのように対応するのかというのは、大人のところでもやるんだというようなことですけれども、そうしたら、多摩総合医療センターに大人のダウン症の患者を専門に診ている--小児病院だったらダウン症の患者を遺伝外来で、専門外来で診ているわけですけれども、そのようなお医者さんはいるんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 府中で診ることがあるといいますのは、多摩総合医療センターなのか、小児総合医療センターなのか、これもケース・バイ・ケースということになろうかと思います。
 多摩総合医療センターに大人のダウン症を専門に診ている医師はいるのかということですけれども、多摩総合の内科でダウン症の患者さんを診察している医師はおります。これは先ほど申しましたように、ダウン症を診察するのか、ダウン症の患者さんが併発しているさまざまな疾患を診察するのかということで、意味合いは大きく変わってくるわけでございまして、だからこそ、多摩総合医療センターで診るのか、小児総合医療センターで診るのか、どなたが診るのかということは、患者さんの対応によって変わってくるということを、先ほど来申し上げているわけでございまして、それがケース・バイ・ケースという意味でございます。

○大山委員 結局、多摩総合医療センターには、専門的にダウン症の遺伝外来はない、そういう専門に診ているお医者さんはいないんだということですよね。
 成人したダウン症の患者を、どうして小児科で診る必要があるのかということについて、八王子小児病院で長くダウン症の患者さんを診てきたドクターに、私、話を伺ってよくわかったんです。小児病院は本来、年齢制限があります。しかし、子どもの病気は、小児期を過ぎても病気を引きずる子どもがいて、例えばダウン症や、てんかんや、腎臓や、心臓の病気などだっていうんですね。腎臓や心臓の病気は、大人になったら、大人の内科などにスムーズに移行できるんだけれども、ダウン症やてんかんなどは、大人の内科で診ている、大人のダウン症を専門で診ている医師はいないんだ、そういうことなんですよね。
 話を聞いたお医者さんも、ダウン症が大人になったらどうなるのか、わかっていなかった。診察する中で、診療する中で学んでいったんだっていうんですよね。大人になったらこうなるというのは、まさに最近わかってきたこと。寿命がだんだんだんだん延びてきて、今、新しい問題としてわかってきたことなんだということです。
 国立小児病院でも、キャリーオーバーの子どもたちを抱えてどうするのかということが問題になって、結局どうしたかというと、成人になっても診ることができるように成育医療センターという名称にしたんだっていうわけですよ。都立病院でも今、同じことが起こっているわけです。
 成人のダウン症者、二十代になると、程度の強弱はあるけれども、九割の方が白内障になる。それから、女性は甲状腺の病気、男性は痛風になることが多いんですって。中高生になったら、必ず痛風や甲状腺、肝臓、糖尿などの合併症に対する注意が必要になりますというんですね。身体だけじゃなくて精神的な面も退行現象が出ることがあって、日常的な生活でアクティビティーが落ちることだとか、昼夜逆転したりということがあったり、人と話ができなくなるということもあらわれるというんですね。それはどういうことがきっかけになるかというと、例えばいつもの作業所の職員が転勤でいなくなっちゃったとか、ペットが死んじゃったとか、親しくしていた人が亡くなってしまった、そういう精神的なショックがきっかけになるというんですね。
 こうやってダウン症、治すことはできない病気なんだけれども、新たな課題があらわれる中で、お母さんたちの心配や悩みを、家庭のことなども含めて聞くこと、それも医師の重要な役割だというんですよね。その場合に、その医師が一人一人のダウン症者の大きくなったバックグラウンドを知っているか知っていないか、これは非常に重要なんだというんですよ。
 このお医者さんだけが、そういっているんじゃないんですね。こういう本を見つけました。「ダウン症者の豊かな生活 成人期の理解と支援のために」、これを見ても、成人期、特に健常者では最も疾患率が少ない年代においても、ダウン症成人ではさまざまな疾患がある。しかし、しかしなんです。小児科はダウン症の医療について多くの知識を持っていますが、内科医は必ずしも十分でないことも多く、また、知的障害があることの理解も十分でないことから、ダウン症の成人の人たちは、自分の健康について相談、診療を受ける適切な機関を求めています--こうなっているんですね。成人期を迎えたダウン症者にとって、小児科医が引き続き診療を継続することが重要だ、私はすごくそう思いますけれども、どう認識していますか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 大山先生のおっしゃっていることの一つのポイントは、先ほども出ました大人のダウン症を専門に診ている医師がいるかいないかということであろうかと思います。先生ただいまご披露されました見解は一つの見識なんだろうというふうにも思いますけれども、大人のダウン症の患者さんは、先生もいみじくもおっしゃいましたように、腎疾患、心臓疾患あるいはてんかんと、いろんな疾患がございます。それをどういう医者がどの患者さんを診るのがふさわしいかと、こういったことにつきましては、それはまさにケース・バイ・ケースでございまして、それをどこで診なきゃいけないというのは一つの線引きをし、ある病院で抱えるということではなく、ケース・バイ・ケースで患者さんを紹介する。これは他の疾患についても、そういうことは行われているわけでございまして、それぞれ疾患の状況は違いますけれども、患者さんとの相談の上でケース・バイ・ケースで対応するということなんであろうというふうに思います。

○大山委員 ケース・バイ・ケースだっていいますけれども、ダウン症の子どもたちの幼児期の身体的合併症についてはかなり調べられてきて、健康管理のスケジュールも確立している。しかし、成人期のダウン症者の健康管理をどのようにしていくかは、まだ確立されていないんだ、それは認めますよね。だからこそ、東京都の都合で、大人になったから多摩総合だ、そういう話にはならない。そんな中で、結局、今まで診ていた小児科のドクターが、自分が診療に行っているところで診るようにしたり、それから個人的なつてで、成人したダウン症者の行き先を探すしかなかったんですよ、今回。
 この先生だって、どれぐらい紹介されたんですかといったら、三、四十人はキャリーオーバーの患者さんを紹介したり、自分で診察しているところに引き継いだりしたというわけですよね。東京都が廃止しちゃうということに関して、個人的なつてでやるしかない、それは本当におかしなことだと思いますよ。まだまだ、未確立な成人期のダウン症者に対して、小児科医が継続して診られるように、小児総合医療センターでも診るようにしていった方がいいんじゃないんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 二つ前の答弁で申し上げたかと思いますけれども、府中で診るというのは、多摩総合で診るのか、小児総合で診るのか、これはケース・バイ・ケースだというふうに、たしか申し上げたはずですので、大人になったら多摩総合ということではございませんので、くれぐれも誤解のないように、恐縮ですが、お願いをいたしたいと思います。
 いずれにしましても、小児総合センターで診るのか、多摩総合で診るのか、あるいは他の医療機関を紹介するのか、これは患者さんの立場に立って、あるいは臨床上の判断に基づきまして医師が判断し、相談の上決めていくというものですから、非常に多種多様な合併症がある患者さんにつきまして、ドクターと、ご本人なりご家族の方がご相談の上決めていくということは、これは必然的な流れなんではないかというふうに思います。

○大山委員 丁寧な対応をしてもらいたいと思いますし、それから、寿命が延びてきたというのは新しい問題ですから、やはりこれは東京都としても、今後、ダウン症者に対して、成人期のダウン症者に対しての医療をどうするのかということは、やはり地域の医療という点でも、それから、東京都の都立病院の医療ということにしてもきちんと検討する、今後の問題だと思っています。
 梅ケ丘の関係ですけれども、清水議員の代表質問で、梅ケ丘病院廃止については、もともと少ない児童青年精神科の医療機関ですから、病院探しが深刻なことを取り上げました。発達障害を診てもらえるクリニックをやっと探したけれども、二十分で七千円もかかったことや、世田谷区内のクリニックでは、梅ケ丘病院の移転が公表された昨年の夏ごろから患者がふえ始めて、現在は受診するのに半年待ち、この事態をどう受けとめているか、そう質問したら、中井病院経営本部長は、病院の医師がご家族等とよく相談しながら、個別に適切な対応を行っていると答弁されましたね。本当に全く実態を把握していないとしかいいようがありません。
 梅ケ丘にお子さんを通わせている家族の方々、お手紙たくさんいただきました。この方は、何て書いてあるかというと--思春期はとても独特です。デイケアは毎日行くところ、なるべく近くなければならない。環境を変えることは大きな障害になります。思春期は本人自体、何がふぐあいかがわからない場合も多いので、周りが感じて暮らしていかなければなりません。梅ケ丘では思春期のプログラムが充実しており、大人になれていくことを、社会復帰するための課題として実践しています。社会参加の手だてを探しているんです。都立で子どもの専門病院があるということは、親の安心はもちろん、医師や看護師、心理、保育士など、専門職の教育の意味もある養成機関になってきたはずです。府中の環境は広大な敷地に近代設備の大病院があるだけです。住民の顔が見え、ゆったりと歩ける商店街や散歩コースにも、ほど遠いのです。子ども、特にデリケートな思春期の子どもの環境を無理やり変化させることになります。梅ケ丘を移設するということは、医療、看護の内容、質から不可能だと感じます。医療充実の目的で府中センターがオープンすることはよいことだと思います。しかし、清瀬、八王子同様に梅ケ丘をつぶすことの理由にはならないと思います。趣旨が違います。--私も、そのとおりだと思います。
 この方のお子さんは、もう十八歳を過ぎているんですね。ですから、府中の小児総合医療センターには行けないんです。それで、主治医に紹介された入院施設のある病院は、もういっぱいなので受け入れ拒否や、思春期の専門員はいません、それでもいいですか、そういうお返事でした。都立大塚病院の思春期デイケアは、小規模で既にいっぱい、また年齢も十五歳までなので、我が子は入れません。東京都や先生たちも、次の病院は自分で探すようにといいます。実はこの年末年始、梅ケ丘に入院予定でしたが、梅ケ丘は三月閉じるから、もう入院させられないといわれて本当に困りました。ようやく昭和大烏山病院に、専門医はいないが年末年始だけの一時預かりならといわれながら入れてもらいました。そして、入院保証金十万円といわれました。大人が目が離せない状況の毎日で、何とか払うことができたからいいけど、都立との差をつくづく感じました。私だけではない、この不安感は、子どもにも不安定さが出るという心配もあります。発達障害や思春期の精神障害を診れる先生を探すことはとても困難です。四十年もの間に培われた地域住民の方々の理解、都会にありながらも落ちついた環境は、ほかではかわれない、かけがえのないものです。梅ケ丘の大切な医療水準を残していただきたいんです--そう切々と訴えています。
 多分、もう一人の方は小学生だと思うんですけれども、梅ケ丘病院は、障害の研究、支援において全国でも有数のすぐれた機関と聞きました。以前の住所から世田谷に転入するとき、医師から紹介されて本当にうれしかったものです。それまで医者や相談機関に通っても具体的な療育トレーニングが受けられるとは限らず、どこへ行くにも娘の障害の状況や求めているサービスが何かを説明せねばならず、いら立ちを覚えていたからです。それは障害者の家族にならなければ実感できない悩みです--そう語っています。
 病院経営本部にも同じようなお手紙も行っているかもしれません。話も聞いているかもしれませんが、患者や家族、こんな思いをさせている。痛みを感じないんですか。どうなんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院の、例えば発達障害の患者さんにつきましても、先ほどのダウン症の患者さんと同様でございまして、医師の判断及びご家族との相談に基づきまして医療機関を紹介しているということに変わりはございません。
 また、梅ケ丘病院が連携しております小児精神の医療機関、これは区部に三十六カ所、うち世田谷区は十二カ所ございますが、多摩に十六カ所、都内合計五十二カ所ございますが、こういった医療機関と連携をしながら患者さんをご紹介するというようなことも可能であり、また現実に行っているわけでございます。
 ただいまの先生のお話の中に、年齢が過ぎた方というような例も取り上げられていたかに思いますけれども、疾患にかかわらず、キャリーオーバー医療についての私ども病院経営本部というか、考えといたしましては、これは第二次都立病院改革実行プログラムにうたったものでございまして、一昨年、二十年の厚生委員会でも、かち先生にご答弁をしております。
 内容は、小児期に発症し、成人になっても診療が必要な患者への円滑な対応を図るため、原則として、患者が十六歳から十九歳までの間は、小児総合医療センターが多摩総合医療センターや脳・神経難病医療センター、これは神経病院のことでございますが、その他医療機関等と密接な連携を行いながら治療に当たります、その後は--いわゆるキャリーオーバーのことですが、二十歳以降、役割に応じた最適な医療環境を提供する施設に円滑に引き継ぐとともに、必要に応じて共同で診療を継続しますという方針を、ここで表明しているわけでございます。
 前段で申しました十六歳から十九歳までの間は、府中キャンパスにある病院が連携してと申しましたけれども、これも徐々に体制を整えていく中で、可能な疾患からやっていくという姿勢でございますし、後段の二十歳以降の引き継ぎ、また共同で診察を継続するということも、これはダウン症であれ、発達障害であれ、どのような疾患の対応によって、どういったお医者さんを紹介し、また共同で診療するのが適切なのかということを個別ケースに即して考えていくというのが私どもの考えでございます。

○大山委員 紹介しているとか、考えているとかっていっていますけど、実態が違うというのは今いったとおりじゃないですか。紹介した病院で断られているんですよ。紹介されたって長く待つんです。勝手に病院を閉鎖するから、通院には時間的、体力的な負担がかかります。通院は仕事を丸一日休むことになるでしょうし、娘も新しい場所になれるには時間がかかります。往復に時間がかかれば、行くのを渋るのを無理やり引っ張っていくこともあるかもしれません。障害児にとって無理やり行動させられることは情緒を不安定にさせ、二次障害を引き起こす引き金になるので注意が必要です。
 結局は、新しい病院や相談機関を探し、手続や状況説明を一からやり直していくしかないんでしょう。それも予約に空きがあればの話です。この地域でも、世田谷ですね、障害児者のいる家庭からの相談はふえているようですし、児童相談所で愛の手帳の交付を受けるにも数カ月の予約待ちを要するのが現状です。紹介している、やっているっていうけれども、実際は患者さんや家族に、こんなしわ寄せを寄せているんですよ。
 大塚病院で児童精神科外来、既に開設しているんだとかということも答弁もしていますけれども、一体、例えばやっているといっている大塚の外来診療を受けるのに、どれぐらい待てば受けられるんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 大塚病院の児童精神科外来の予約でございますが、児童精神科外来の予約は、診療予定月の二カ月前の初日から受け付ける体制をとっております。実態としましては、受け付け開始日から数日で初診の予約枠は現在埋まっているという状況にございます。しかしながら、予約枠が埋まった場合には、次の予約開始時期、次月の時期をご案内しておりますけれども、そのような患者さんがどのぐらい予約待ち状況にあるかというようなデータとしては把握してございません。

○大山委員 結局、二カ月後の予約をとるのに、かけて、数日で埋まるわけですよ。そうしたら、その次の月といったら、また二カ月後ですよ。その次の月ですよ。民間のクリニックも半年待ちですよ。ぐあいが悪いときに、すぐに診てもらえない、どんなにつらいことでしょうか。
 東京都精神医学総合研究所の西田淳志医師、きのうも紹介しましたけれども、イギリスの精神障害者の早期支援、家族支援のことで講演しています。その中で、イギリスでこの制度が始まるきっかけをつくった少女の話が話されているんです。イギリスでの十年以上も前の話ですけれども、精神科で治療を受けようとすると非常に待ち時間が長かった。ウエーティングリストといって、一カ月も二カ月も待っていないと受診できないという独特な条件がありましてと、こういっているんです。十年前で一カ月、二カ月。今、東京で最低二カ月先の予約でしょう。どう考えているんですか、この状況を。どう改善しようとしているんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 大塚病院の児童精神科外来に関しましては、今定例会の代表質問で他会派の先生にお答えをしておりますけれども、今後、状況を踏まえながら、初診、再診の診療枠の設定の仕方など、運営方法の工夫を図るとともに、専門医師の増員など診療体制の強化に向けた検討を行っていると、このように申し上げたところでございます。

○大山委員 絶対的に小児精神科の医師が少ないという中で、梅ケ丘が医師の養成も含めてやってきた、核になってきたわけですよね。とにかく、ふやすということはいいですよ。とにかく、今の状況を改善するためにもふやすということ。それから、病院を転院しなきゃいけないということが、いかに子どもたちにとって負担になるのかというのは、患者さんや家族の方々が異口同音にいっているわけですよね。そういうこともきちんと都民の声を、それから患者さんや家族の声をしっかりと受けとめなきゃいけない、それが東京都に求められていることですよ。
 小児総合医療センターが既に開設されたわけですけれども、そちらも診療を受けた方々から、何人かの方々から話を聞いてみました。例えば、おふろ。入院した人が、五歳児ぐらいの身長だから、中学生なんだけど、おふろに入れるのも--おふろは、入院のときの病棟には、新生児用と、それから普通の一般用しかないんですって。小児病院のときは、五歳児ぐらいの背の高さだってちゃんと入れるような、自分で入れるようなところがあったけど、結局、親が足を突っ込んでいないとシャワーしか浴びられないんだと。あと、医療用の物品でも、多くの種類をそろえられないから、同じテープでも、かぶれちゃうテープと、かぶれないテープがあるわけですけれども、その子によってはかぶれちゃうとかというのもあるけれども、いろんな種類がそろえられないんですよねという、そんな初歩的なことまで起こっているわけですよ。
 設計についてはPFIでやったわけですね。患者や家族の声、聞かずにやっているから、こんな初歩的な、おふろの設備に対してまで、いいかげんなことになっちゃうということなんですよね。それも、やはり都民の声を聞かない東京都の責任だといわざるを得ません。
   〔委員長退席、野上副委員長着席〕
 電話が通じない。これは何人もの方からいわれました。例えば、入院した子がいたから、自分の子どもが入院したから朝六時過ぎに電話したら、つながらないんです。六回電話したんですけど、音声案内で、しばらくお待ちくださいといって、しばらく待っていたら、おかけ直しくださいといって流れて切れちゃったんです。電話がつながらないのは怖いですよね。もう着がえて直接病院に行こうと思っていたら、やっとつながったので行かなくて済んだんだけどということなんですが、この方は朝でしたけれども、朝だけじゃないんですね。
 それから、受付の手間取りの問題、これも問題です。例えば、小児精神なんですけれども、受付、十時半ごろに来たんですけど、十二時半ごろまで、二時間ほどかかりました。どの科にかかるのかとか、カルテをつくって、診察券をつくってもらって、そういうのにとても時間がかかったんです。結局、きょうは受診できないということで、二カ月後に予約をとって改めて来ることになったんです。二カ月後までいっぱいだということで、まあ精神科は待つのは当たり前なのかもしれませんが、きょうは手続だけで全く診てもらえなかった。せっかく子どもを連れて、予約したにもかかわらず、紹介状を持って行ったのにもかかわらず、手続だけで二時間もかかって結局診てももらえないで、診察もしてもらえないで帰らざるを得なかった。これは一体どういうことなんですかね。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 例えば電話でございますけれども、開設当初、三月一日以降、しばらくの間は電話が込み合っていて診療予約なりをとりにくかった状況があるといったことは事実でございます。その後回線及び代表電話の交換手などをふやしまして、また、医者が外線にかけるようなケースもありますので、そういったケースを排除するためにPHSを解除するなどいたしまして、その後は徐々に電話がつながりにくいという状態は解消をしてきております。このことを初めとしまして、今後、病院の運営全般にわたりまして定期整備してまいります。
   〔野上副委員長退席、委員長着席〕

○大山委員 さっきの、せっかく紹介状を持って行ったのに診察もしてもらえなかった、これはちゃんと後で調べておいてください。
 ERに行ったのに、どうなったかということなんですね。ERは、救急車でも入ってくるけれども、自分で車で連れて行ったりということもあるわけですね。この方は、ERに行ったのに、まず初診の手続をしろっていうんですね。それで三十分かかりました。それから問診が始まったんです。それって普通は逆じゃないですか。まず問診して緊急性がないのを確認してから受け付け手続に三十分かかってもいいですけど、救急車で来ないと手続から始めるんじゃ、時間がかかり過ぎですよね。骨折だからまだよかったですけど、どうなんですか。受け付けが終わるまで医療が接しないなんて変ですよ。まずは問診優先してほしい、そういっているわけですね。ERで急いで行くにもかかわらず、この状況だと、この方は骨折だったから、まだ命にはかかわりませんでしたけど、緊急のときには命にもかかわるんじゃないんでしょうか。どうなんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 患者さんの状態がどのようなことなのか、そのときの判断によると思いますので、ただいまの先生のお話だけで何とも判断しにくいものであるというふうに思います。

○大山委員 何が問題かというと、ERに来たのに、患者さんを診ないで、お医者さん、医療につなげる前に、受け付けで三十分もとどまってなきゃいけない。幾らトリアージだ何だとかいったって、それはそんなところで、受け付けするのに、医療につなげるまでに三十分もかかっていたんじゃ、トリアージも何もならないでしょうと私はいっているわけですよ。これだって、ちゃんと実態を把握して改善をしてもらいたいと思っています。
 都民の皆さんは、三小児病院の廃止については納得していないんですよ。東京都にとって、過ちは、過ちては改むるにはばかることなかれ、そういう言葉もありますけれども、本当にはばからないで過ち認めて、きちんと地域医療も拡充するという立場に立ち返らなきゃいけないと思ってますし、都民の声をとにかくきちんと聞くという立場に立ち戻らなきゃいけないと思います。
 今定例会で付託された存続を求める請願陳情、新たに付託された分は六月の議会前の厚生委員会で審議されることになりますね。子どもたちの命と健やかな成長がかかった問題なんです。引き続き、私は都民の皆さんと一緒に力を合わせていくことも述べて質問を終わります。

○吉田委員 私から、医療スタッフの処遇という問題についてお伺いをいたしてまいります。
 健全な病院運営を進める上で重要なことは、医療スタッフの確保ということは一つ大変重要であります。私は、一昨年の各会計決算特別委員会の分科会において、お医者さん、医師の給与について、全国水準と比較すると大変な状況にあるんだということをお聞きして、その上で給与面や教育体制のほか、勤務環境など総合的な改善の必要性について申し上げたわけであります。現在では、医師の宿日直手当は三万円と、当時と比較してほぼ倍増されました。また、産科や救急に対応する医師などは過酷な勤務を強いられているといわれる診療科においても、産科医業務手当や救急医療業務手当が新設されるなど、医師については給与面での改善が進んできていると、このように認識をしております。
 しかしながら、もちろん医師の確保ができれば、それで十分かといえば、そういうわけではありません。このたびの二十二年第一回定例会予算特別委員会の我が党の代表質問におきまして、我が党は、チーム医療における専門性を持つ看護人材の活用が医療崩壊を食いとめる上で重要な役割を果たすのではないかと申し上げまして、病院経営本部長は、都立病院が持つ高度な医療機能を十分発揮していくためには、専門分野において卓越した能力を持つ専門看護師や認定看護師の存在が不可欠だと、このように答弁をされています。
 そこで、専門看護師と認定看護師には、どのような種類があって、都内の医療機関に資格者は何人程度いらっしゃるのか、ここ五年の推移もあわせてお伺いをいたします。

○黒田経営企画部長 現在、社団法人日本看護協会が認定しております専門看護分野は、がん看護や精神看護など全部で十種類ございます。また、認定看護分野は、救急看護や皮膚、排せつケアなど全部で十九種類ございます。都内医療機関で勤務する専門看護師は、がん看護、精神看護等、九種類でございまして、平成十七年度の三十五名から年々増加しまして、平成二十一年度は九十名となってございます。認定看護師は、救急緩和ケアなど十七種類でございまして、平成十七年度の三百六名から年々増加いたしまして、平成二十一年度は八百六名となっているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。この五年間で専門、認定、それぞれ約二・五倍ふえているというわけであります。高齢化が進んだ日本では、生活習慣病や合併症を持つ患者が増加をしておりまして、複雑高度化した疾病構造に対応する必要が生じているといえます。
 それでは、都立病院に勤務をする専門看護師と認定看護師には、どのような種類があって、資格者が何人程度いるのか、都内の医療機関と同じように、ここ五年間の推移もあわせてお伺いをいたします。

○黒田経営企画部長 都立病院で勤務しております専門看護師は、がん看護、精神看護等三種類でございまして、平成十七年度は三名、平成二十一年度も三名となってございます。認定看護師は、感染管理、救急、がん性疼痛看護など十種類でございまして、平成十七年度は十名、平成二十一年度は三十一名となっております。専門看護師は同数でございますが、認定看護師は約三倍にふえているところでございます。

○吉田委員 わかりました。都立病院においても専門看護師や認定看護師が配置されていて、認定看護師については三倍ふえているということがわかりました。必要に応じてということだと思いますので。しかし、ただ単に資格を持っていらっしゃるというだけでは意味がないわけでありまして、その資格を活用していただく、どう活用していただくのかということが重要であります。
 そこで、都立病院で、そうした専門看護師や認定看護師をどのように活用していただいているのか、また、病院運営にどのように寄与しているのか、お伺いをします。

○黒田経営企画部長 専門看護師や認定看護師の資格取得者は、院内でその専門性を生かした業務を行っているところでございます。例えば、感染管理認定看護師は、疫学、微生物学、感染症学等や関係法規に関する最新の知識を基盤に院内感染対策室で業務を行っております。各施設の状況に合った効果的な感染管理プログラムを構築しまして、それが確実に実践されるように、院内すべての職場、職員をサポートしております。
 また、専門看護師や認定看護師は、特定の専門看護分野のリーダーとしまして、病棟スタッフをサポートするコンサルテーションを行うほか、病院経営本部研修や院内研修の講師を務めるなど、看護技術を組織的に高める活動にも従事をしております。
 なお、専門看護師、認定看護師を専任配置いたしますと、医療レベルや患者サービスの向上になるのはもちろんのことでございますが、診療報酬上の加算も加えられまして、病院収支の改善にも貢献しているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。専門看護師や認定看護師の方々、院内で、その専門性を生かして、それぞれの配置場所において非常に重要な役割を果たしていただいて、そしてまた、病院の経営にも資するものだということがよくわかりました。
 そうした状況も踏まえまして、他の医療機関と比べて、この専門看護師や認定看護師の方々の処遇がどうなっているのか。また、産科における医師には、今年度から産科医業務手当が新設されているわけですが、同じく助産師の方に対する処遇、とりわけ給与面において、その役割に見合った扱いがなされているのか、お伺いをいたします。

○黒田経営企画部長 まず、専門看護師と認定看護師についてでございますが、これまでは資格を有していない一般の看護師と同様の給与体系となっておりまして、特段の処遇は行われておりませんでした。しかしながら、平成二十二年度から特定看護分野従事手当が新設され、専門看護師や認定看護師の資格に基づき、がん看護や感染管理など、特定の専門看護分野の業務に従事した場合には、新たに日額七百五十円の手当が支給されることとなりました。
 なお、現状では都立病院の専門看護師、認定看護師は、特定の専門看護分野の業務に週一回から週二回程度、従事をしておりまして、これは月額で試算いたしますと、三千円から六千円の手当支給となります。これは国立病院機構の病院が、認定看護師に月額三千円、専門看護師に月額五千円、それぞれ資格手当として支給されているものと、ほぼ見合ったものになるというふうに考えております。
 続きまして、助産師についてでございますが、こちらも平成二十二年度から分娩介助業務手当が新設されまして、助産師が分娩介助の業務に従事した場合には、新たに一回につき三千円の手当が支給されることとなったところでございます。

○吉田委員 都立病院においても、専門看護師や認定看護師だけでなく、助産師に対しても特殊勤務手当が支給されるということで、大変厳しいお仕事をされている中、今後の看護師さんの育成や助産師さんの確保が大いに期待できまして、また、有能な人材が安定的にそろうことで都立病院の高度で専門的な医療提供体制が継続的に確立され、患者サービスのさらなる向上というものにつながると思います。
 国立の病院の方で資格手当として月額で支給されているものに対して、都立の方では仕事をするたびにというインセンティブになるような手当の支給ということも、これはかえっていいのではないかというふうにも思います。
 最後に、専門看護師や認定看護師の今後の育成の方針についてお伺いいたします。

○黒田経営企画部長 認定看護師の養成につきましては、平成十五年度から毎年五名程度ずつを養成してきたところでございますが、医療の高度化や院内における看護師の果たす役割が増大しているという現実を踏まえた一層の取り組み強化が必要と考えております。
 具体的には、今後、専門看護師は各都立病院に一人ずつ、計八人の養成を目標として、外部の教育機関への派遣を行ってまいります。また、認定看護師につきましても、これまでより養成のペースを引き上げまして、毎年十人から十五人程度を養成してまいります。こうした取り組みによりまして、都立病院の看護の質やチーム医療の一層の向上を図ってまいります。

○吉田委員 都民の命を守る、本当に大切な仕事をしていただいている各医療スタッフの皆様の質の向上あるいは処遇の改善、引き続き、私どもも関心を持って、お取り組みについて応援をしてまいりますので、しっかりと頑張っていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。

○早坂委員 都立病院における療養環境について伺います。
 インターネットの普及などにより、さまざまな情報を容易に入手することができるようになり、医療内容だけではなく、療養環境や費用まで含めて病院間の比較を行った上で病院を選ぶ時代になっています。都立病院の再編整備事業については、医療環境の変化に適切に対応しながら、病院機能を維持することはもちろんのこと、将来にわたって都民の期待にこたえ得るよう、高い水準の病院を実現していくことが必要であります。
 行政的医療の安定的供給を使命とする都立病院が都民から選ばれる病院であり続けるためには、再編整備事業が、医療機能の面だけでなく、療養環境や患者サービスの面でも、その充実強化を図るものでなければなりません。特に入院については、さまざまな不安を抱えながら、日常とは異なった病院という空間で療養しなければならないことから、その環境整備を図っていかなければなりません。
 昨年、私は、多摩総合医療センター、小児総合医療センターを視察いたしました。そのときの印象としては、空間的にゆったりとしており、また庭園もあり、落ちついた雰囲気で患者さんが入院生活を送ることができることを確信いたしました。
 そこで伺いますが、今回、再編整備を行った病院では、入院環境がどのように改善されたのでしょうか。

○牛島サービス推進部長 入院環境につきましては、入院中の大半を過ごす病室の見直しを図りまして、今まで主に六人部屋であったものを四人部屋に変更しております。また、院内に広い休憩スペースを設けて、患者さんや面会の方がゆったりくつろげる空間を確保するなど、療養環境を整備いたしました。さらに、患者さんの気分転換や、ご家族などとのくつろぎの場として利用していただけるように、売店、レストラン、カフェなどの院内利用施設につきましても充実を図りました。

○早坂委員 病室には、一般の病室のほかに個室もあります。以前は一般の病室を利用することが当然のことであったと思われますが、近年では、プライバシーを気にされたり、入院中であっても少しでもリラックスしたいという気持ちの方がふえるなど、患者さんやご家族の意識も変わってきています。事実、私の周りにも、一定の金額を負担してでも個室を希望する方がふえています。
 今回の再編整備によって、こういった有料の個室の数はふえたのでしょうか。また、他の公立病院の状況はどのようになっているか、伺います。

○牛島サービス推進部長 患者さんのご希望により利用していただきます、いわゆる有料個室についてでございますけれども、今回の再編整備によって、多様なニーズにこたえるために有料個室の数をふやしました。この結果、都立病院の病床数に対する有料個室の割合は、平成二十一年度当初の八・三%から平成二十二年度当初は九・五%となりました。また、他の公立病院の状況についてでございますが、総務省自治財政局発行の地方公営企業年鑑に全国の都道府県立病院の全病床数に対する有料個室の割合が示されておりまして、直近では平成十九年度が九・九%でございます。

○早坂委員 再編整備事業により、患者さんの多様なニーズにこたえるため、有料個室の数が全国水準までふえたことは大変結構だと思います。しかし、気になるのが、その料金であります。使用料が高額であると、個室を利用したくても利用できない人も出てまいりますから、必ずしもニーズにこたえているとはいえません。
 さきの厚生委員会において、この個室使用料について条例改正の提案がありました。その内容は、再編整備に伴って、これまでより広い個室を整備したため、個室使用料の上限額を改めるとの説明でありましたが、これまでの上限額である一万八千円を上回る有料個室は幾つできたのでしょうか。また、新しい上限額の二万八千円の有料個室とは具体的にはどのような部屋なのか、伺います。

○牛島サービス推進部長 これまでの上限額を上回る有料個室は、多摩総合医療センターで三室、駒込病院で四室、合わせて七室を整備することにしております。また、上限額の二万八千円の設定を予定しております個室は、多摩総合医療センターの二室でございます。いずれも現行の上限額である個室の約二倍の面積で三十平方メートル程度ございます。そして、トイレとシャワーまたはバスのついた産婦人科の個室でございます。
 都立病院の個室使用料は、主にその占有面積をもとに算定しておりまして、今回の条例改正は、これまでより広い個室に見合った使用料を新たに設定するためのものでございます。なお、既存の病院の個室使用料については現行どおりでございます。

○早坂委員 有料個室については、さまざまなニーズに対応するためには、数だけの問題ではなく、今回のような広い部屋を用意することも必要であると考えます。出産に当たっては家族の立ち会いを希望する方もふえており、周りを気にせず家族で過ごせる広い部屋のニーズは高いと思います。
 ところで、個室については、患者さんが希望する場合だけでなく、治療上の必要などから個室を利用する場合もありますが、このような場合でも、患者さんは個室使用料を支払わなければならないのでしょうか。

○牛島サービス推進部長 個室使用料の徴収につきましては、法令で患者さんの希望により使用した場合に限られておりまして、都立病院におきましては同意書で使用の意思を確認しております。このため、ご質問のように、患者さんの希望ではなく、症状が重い場合や感染管理上必要な場合など、治療上の必要性から使用した場合には個室使用料は徴収しておりません。

○早坂委員 この質疑を通して、今回の条例改正が都立病院の再編整備事業によって療養環境の向上を図るためのものであること、すなわち、既存病院の個室使用料の値上げではないことがわかりました。この三月にオープンした多摩総合医療センター、小児総合医療センターについては、多摩地域の医療機能を向上させる牽引車としての役割を、また、現在改修中の駒込病院については、都のがん医療の拠点病院としての役割を十分に発揮すること、そして都立病院については、都民から選ばれる病院として、医療機能を一層向上させるとともに、患者ニーズに的確にこたえ、アメニティーの充実にも努めていただくようお願いをいたします。

○門脇委員長 少し早いのですが、議事の都合により、おおむね十五分休憩いたします。
   午後二時四十三分休憩

   午後三時開議

○門脇委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○橘委員 私の方からは、財団法人東京都保健医療公社豊島病院の充実について質問いたします。
 私は先月、都議会公明党の同僚議員とともに豊島病院を視察いたしました。今回の視察は、豊島病院が昨年四月に都立病院から東京都保健医療公社に運営を移管した後、地域医療連携の状況はどうなっているのか、また、脳卒中を中心とした地域連携クリティカルパスの運用状況はどうなのか、それから周産期医療の取り組みはどうなっているのかといったものを、公社移管後、約一年を経た現状を調べてみたいと思いまして、そうしたものを中心に確認をさせていただきました。この病院現場での視察も踏まえて、何点か質問をいたします。
 豊島病院の公社への運営移管の目的の一つに、地域の中核病院として地域医療への役割強化、これがうたわれたわけですけれども、まず、この点に関するこれまでの取り組みと具体的な成果について伺います。

○黒田経営企画部長 豊島病院は、地域医療機関との緊密な連携を図るため、平成二十一年四月に豊島病院運営協議会を設置しまして、地域医療連携室を中心に地域の医療機関との連携づくりを進めてまいりました。これまで連携医として地域の医師六百二十一名の登録を得ております。また、二十二年二月末現在で、紹介率六七・三%、逆紹介率四三・八%となるなど、地域医療支援病院の承認要件を満たした状況となっております。二十一年四月には五床の開放型病床を設置しまして、翌五月に開放型病院の認定を受けました。二十二年二月末現在で、地域の診療所等との連携医と共同診療三十一件を実施しているところでございます。また、二十年四月からは脳卒中患者に地域で継続的な治療を行う脳卒中地域連携クリティカルパスの運用を開始しておりますが、公社化後の二十一年六月には、さらに糖尿病に関する地域連携クリティカルパスの運用を開始いたしました。この結果、糖尿病に関しましては、これまで七件のパス適用実績がございます。
 救急医療の取り組みにつきましては、二十一年八月から、いわゆる救急医療の東京ルールで定めております区西北部保健医療圏における七つの地域救急医療センターのうちの一つとしまして、搬送先が決定しない場合に、救急隊と並行して地域内の救急医療機関の連絡体制を基盤として調整を行い、二十二年二月末現在で二百二十件の実績がございます。
 豊島病院では、こうした取り組みを重ねまして、二十二年度中に地域医療支援病院の指定を取得することを目指しているところでございます。

○橘委員 豊島病院が、今お話にありましたように、開放型病床を整備し、また共同診療も行い、地域クリティカルパスを通じて地域医療機関との連携を進めるなど、意欲的に新たな取り組みに挑戦しております。この様子がよくわかりました。地域医療への貢献を高める努力を行ってきた、この点については高く評価したいと思います。
 私たちが視察した際にも、病院の幹部の方から種々お話を伺いました。例えば、公社化したことによって医師の自覚が違ってきた、あるいは地域連携に力を入れることによって病床利用率も上がっているといった話、それから積極的に紹介、逆紹介に取り組むようになったといった声をたくさんお聞かせいただきました。まさに地域の拠点病院として地域医療の充実に意欲的に取り組んでいる様子や、限られた医療資源を効果的に生かそうという医療連携などに具体的な成果を上げている状況が、私たちが視察した状況でもよくわかりました。
 さて、先日の予算特別委員会で、私は地域医療連携を取り上げました。その際、退院後の対応、それから転院先の入所先、退院先や入所先、この紹介、それから治療費用の問題など、患者や家族のさまざまな相談に対応する医療ソーシャルワーカーの重要性を指摘いたしました。
 特に診療報酬の改定などによりまして在院日数の短縮が進んできており、医療ソーシャルワーカーが行う患者の退院や転院のための病院、施設の紹介業務、これは一段と重要になってきていると思います。豊島病院においても、医療ソーシャルワーカーは定員三人のところ四人配置し、円滑な転院、退院業務に努めているとのことでありました。たまたま、そこの場所にいらっしゃいました医療ソーシャルワーカーの方にお聞きしましたら、自分たちで足で稼いで情報を集め、そういった患者さんのサービスのために努めておりますといったお話もそこで伺いました。
 これは豊島病院の話ではないんですけれども、退院を勧められたけれども、転院先の紹介もなくて、どうしたらいいかわからないといった悩みを受けたこともございます。また、病院が紹介してくれた転院先に見学に行きましたら、病室料金が非常に高くて、とても入れなかったと。こういう状況というのは、情報というのは事前に教えてくれたならば、わざわざ休みをとって見に行く必要もなかったのにといったお話も伺ったことがございます。これはレアケースではなくて、こういうケース、たぐいの話は結構たくさんあるのかなというふうに私は実感しております。
 患者や家族が入退院や定員などで悩まなくても済むように、その患者の症状とか、それから経済的な状況に合わせた的確な情報を提供することが、これからは大事になってくるなと私は感じております。
 そこで、豊島病院では、紹介先の医療機関等の情報をどういうふうに把握して患者や家族に伝えているのか。また、他の公社病院、都立病院における情報把握、それから情報提供体制、どうなっているのか、現状の取り組みについて伺います。

○黒田経営企画部長 豊島病院の医療相談室では、転院先を紹介するために必要な病院、施設の所在地や規模、医療機能などの基本情報につきましてデータベース化を行っているところでございます。患者さんの転院先の調整は事例ごとにさまざまでありますことから、このデータベースを活用しまして、MSWが患者さんや家族の意向、状況等を踏まえながら、転院できそうな医療機関や福祉施設を一つ一つ当たりましてマッチング、調整を行っているところでございます。その際、転院先の空床情報、個室使用料金、受け入れ可能な病状や看護度、患者さんの経済状況や家庭環境などにつきましては相手方と十分な情報交換を行いまして、患者さんや家族の方にも、その情報を提供した上で紹介を行っているところでございました。
 こうした取り組みは、他の公社病院や都立病院におきましても同様でございまして、可能な限り患者さんの事情に合わせた適切な対応ができるように努めているところでございます。

○橘委員 入院して治療をしていただいて、そしてようやく退院できたと喜んでいたそのやさきに、今度、転院先がなかなか見つからないとか、それから入所先が見つからない、その後どうしたらいいのかという、それで悩んで、せっかくよくなったと喜んでいたその直後に、今度、新たな悩みが出てくる、こういったことも多々あるわけですけれども、そうしたことがもうないように、すべて退院から、転院先から、それから入所先から、それが安心できるような体制になったら、本当に患者さんにとっては、また都民にとってはありがたいなという、そういった行政的医療への感謝がやっぱり出てくると思います。そうした体制をしっかりつくっていただきたいと要望しておきます。
 次に、周産期医療について伺います。
 豊島病院は平成二十年十月に分娩を再開いたしました。当初はリスク管理を必要とする出産を中心に取り組んで、現在は正常分娩にも対応して、今後は段階的に出産件数を伸ばしていくという計画だと聞いております。二年前の分娩再開の当初、月五十件程度の出産を扱うことが可能かと私は思っておりました。いろいろな体制とかお聞きましたら可能かなというふうに私は感じたんですけれども、実際はそうなっていないようであります。
 このことは、やはり医師不足という事情もあって、やむを得ないかなということも思ったんですけれども、先日視察に伺った際、いろいろお話を伺いますと、もっと積極的に受け入れを行う余地があるというふうに私は感じました。GCUなどの設備を有効活用していくためにも、地域との連携を密にして受け入れ件数をふやしていく努力をしていくべきだと私は考えております。
 そこで、分娩再開後の豊島病院の分娩件数の推移と、今後、分娩件数をふやしていく可能性があるのかどうか、見解を伺います。

○黒田経営企画部長 分娩を再開いたしました平成二十年十月当初は月十件程度でスタートいたしましたが、直近の二十二年一月には四十九件、二月には四十三件の実績となっておりまして、三月には四十件、四月には三十七件の分娩予約を受け付けております。豊島病院では産科医師を五人確保しておりまして、予約状況のホームページでの表示、入院時の環境を事前に把握してもらうための病棟見学の実施、また、要望の非常に多い夫立ち会い分娩の開始など、患者さんのニーズをとらえた取り組みを行っているところでございます。このような努力を引き続き行うとともに、分娩受け入れ件数の増加に努め、地域のニーズにこたえていきたいと考えております。

○橘委員 地域の中核病院としての役割を果たしていくためにも、ぜひ月五十件以上の分娩を目標に努力していただきたいと思います。
 次に、豊島病院におけるがん医療について伺います。
 がんに対する患者の意識は、治療中心の医療だけでなく、患者の価値観を尊重する対応など、さまざまであります。豊島病院は、都立病院及び公社病院の中で唯一、緩和ケアの専門病棟を有しており、緩和ケア医療に力を入れているとのことでございました。また、先進的な取り組みも行っているとのことでございました。そこで、豊島病院における緩和ケア医療の特徴、先進性について伺います。

○黒田経営企画部長 多くのがんの患者さんは、さまざまな身体的な痛みだけではなく、精神的な苦痛を抱えております。このため、豊島病院では、ただいま橘委員からお話がございましたように緩和ケア専門病棟を設置しまして、終末期だけでなく、治療の早期段階から、医師や看護師、MSW、栄養士、薬剤師などで構成されるサポートチームが、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛や、また、スピリチュアルペイン、これは自分の生きる意味や死後の不安などで苦しむことでございますが、これらに対して幅広いケアを行っております。また、入院治療だけではなく、患者さんの希望により一時的な外出、外泊、また在宅療養を選択することが可能となるように、さまざまな痛みに対するコントロールと適切なサポートを実施しているところでございます。

○橘委員 今お話ありましたスピリチュアルペインというのは、私も現場で説明をいただきまして非常に関心を持った次第なんですね。このことも含めまして、緩和ケア医療というのが、今後ますますがん患者がふえていく中で重要になってくると思います。
 視察した際に、がん医療の関係者の視察が豊島病院に相次いでいるという、そういったお話も伺いました。やはり患者の尊厳を優先させる、こうした先進的緩和ケアの医療が、それを希望する多くの都民に提供されるよう、都として一段と力を入れて取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 さて、豊島病院では、看護師採用にさまざまな工夫をした結果、年度途中の採用者も増加して、この三月には七対一の看護基準を取得することができたと聞いております。手厚い看護体制は患者サービスを一層向上させるものであり、ぜひ堅持していっていただきたいと思います。
 一方で、診療科によっては病床利用率も、瞬間的ではありますが、一〇〇%を超えるところがあったというふうに聞いております。病床の確保に苦労しているとの説明も、そのために確保に苦労しているという、そういう説明もありました。これまで豊島病院では段階的に病床を開設してきましたけれども、二つの病棟はまだ開設されておりません。看護師の採用数が増加した、この機をとらえて、開設していない病棟を早期に開設していってはどうかと考えますが、見解を伺います。

○黒田経営企画部長 豊島病院では、病院での独自採用や看護学校訪問など、看護師確保に積極的に取り組んできました結果、平成二十二年四月には、昨年同期の約一・六倍となります三十三人を採用できる見込みとなってございます。この新規採用の看護師に対しまして、臨床研修、習熟訓練を行った上で病棟に配置することによりまして、この夏には未開棟の病棟を一病棟開棟できる見込みでございます。この未開棟病棟の開棟によりまして、さらなる医療サービスの向上が図られるものと考えておりますが、引き続き、このサービスの向上に努めていきたいというふうに考えております。

○橘委員 豊島病院が都立病院から公社に運営移管されるときには、さまざまな議論が行われまして、一部にはやっぱり反対意見もございました。私は公社移管に賛成する立場で、その後、移管後も豊島病院のサービスがどれほど向上しているのか、関心を持って見てまいりました。
 その中で、やはり利用者の声を聞くのが一番正確だろうと思いまして、豊島病院の利用者については、出会ったときには詳しく私は聞くようにしております。そうしましたら、大方、豊島病院の利用者は、すごく、前よりも随分使いやすくなった、そしてまたサービスがよくなったといった声をたくさんいただきました。やはり患者さんというのは、自分が治療を受けている立場上、サービスの向上が図られているのかどうか、これはやはり敏感に、私以上に察知しているようでございます。
 そういった面では非常にいい方向に向かっているのかと思っておりますし、また、これが、豊島病院変わったよとか、豊島病院はすごくよかったよというので、そういった声が口コミでやはり広がるんですね。これがまたいい効果が出ていると思いますし、行政的医療への信頼度を増すことになっていると思います。小さな取り組みであっても、患者本位にサービスを向上していくと、これが口コミで広がっていく、そしてまた病院の信頼度も高まっていくという、そういった循環になっていくと思いますので、この点、地域医療、それから地域医療連携の拠点として、ますます機能を発揮していかれることを希望いたしまして、質問を終わります。
 以上であります。

○野島委員 小児病院関係でお伺いをいたします。
 三月一日に府中の多摩メディカルキャンパス内に、多摩総合医療センター、そして小児総合医療センターがオープンをしたわけでございます。長い歴史がございまして、平成十三年七月の都立病院改革会議報告、これを受けまして、行政として十三年十二月には都立病院改革マスタープランを策定したわけであります。そして、十五年一月の都立病院改革実行プログラム、その後の二十年一月の第二次都立病院改革実行プログラム、これを着実に推進し、この過程の中で、議会においても、これをよしとする立場、ノーとする立場、よくわからないけれども何となくノーという立場とか、さまざまな議論をし、あるいはまた、地元市医師会を初め、多くの関係者の皆さんのご協力をいただきながら今日に至ったわけでございます。医療を取り巻く厳しい条件の中で、本来の都立病院改革の役割を果たしていくと。もっと大きくいいますと、日本の医療制度を東京発で変えていくんだ、こんな大命題だったろうというふうに思ってございます。それを厳しい条件の中でなし遂げた中井病院経営本部長を初め関係各位に、心から感謝を申し上げておきます。
 私がこの問題にかかわったのは--清瀬小児病院というのが、実は私の選挙区なんですよ。私が都議会議員になって初めて遭遇した課題だったんです。都の職員と接触したのは、実は都立病院会議報告を受けて、これから病院改革やっていきたいと、こういうことで都の職員と初めて会いました。それだけに印象深い課題であったわけでございます、私にとってみれば。恐らく賛否両論どころか大きく揺れ動くだろうと、この議論は。そういう話は、私はほおかむりをしていたかった。しかし、現実起きて、これからの東京の医療をどうするというとき、これは取り組まなきゃいけない課題だというようなことで取り組みました。清瀬小児は大きな存在感があったんです。都民はもちろん、地元医師会、あるものがなくなるというのは、やっぱりだめなんですよ。基本的にだめなんです。なぜそうなんだということをわかってもらわなきゃだめ。と同時に、しからば、それはなくなってもこういう本来のあり方に向かっていくんですよという理念がなければ、とてもとても理解されるものではないというふうに思っておりました。
 私は、そういう意味で都立病院改革の方向は正しい、着実に進めるべきだと、これが一つの課題でありました、私にとっても。一方、あと一つは、今申し上げました大きな存在感。病院がなくなってしまうわけでありますから、地域の一次、二次、こういった医療体制をどう整えていくか、この二つの課題を私はしょい込んだというふうに認識をいたしたところであります。
 そこで、この間、この二つの課題に病院経営本部は積極的に取り組んでいただきました。大反対ということでステッカーまで受付に張った医師会、こういう実情もあります。あるいは議会からも、あるいは地元市の執行側からも反対という意向が寄せられてきたわけであります。しかし、そういう中でしっかり取り組んでいただきまして、本当にありがとうございました。
 その中で、例えば一つの成果として、移転後、この地域医療をどうするんだということから出てきたのが、多摩北部医療センターを拠点とする四市五医師会共同の小児初期救急なんですね。これが実は、この制度そのものは福祉保健局マターなんですね。何もあそこだけの課題じゃないわけですよ。ところが、地域の実情をよく知って、病院経営本部が先頭になって福祉保健局を後押ししながら実現させていただいたわけであります。あと一つは、そこの多摩北部医療センターの小児科の開設と、こういうことであります。
 そこで、まずお聞きをしたいと思うんですが、そういう意味では、今回のこのオープンが、一つ目の課題の到達点だろうというふうに私は思っております。そこで、この三月一日に開院した小児総合医療センター、これまでどのような診療実績があるのか、その状況についてお伺いいたしたいと思います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターは、開院した三月の第一週には、切れ目ない医療が求められます周産期、救急部門の開設を最優先に行いまして、救急部門は一日平均六十五名の患者さんを受け入れております。二週目からは清瀬、八王子等で行っておりました専門外来を開始し、三週目からはそれを大幅に拡大しており、今週の月曜日には四百名を超える外来患者を受け入れ、入院患者数は百二十九人に達しております。
 また、NICUや小児ICUの患者も順調に伸びており、開院直後から、多摩総合のM-FICUに多摩地域各市から母体搬送されました妊婦の出産も相次いでおります。
 以上のように、開院前の計画どおり、順調に診療実績を上げております。

○野島委員 一カ月ですから、当然のことながら完全稼働までプログラムを組みながら着実に進めていく必要があるだろうというふうに思っております。
 実は私ども、内見をさせていただきまして、その後、関係者の二人、市の公の立場の人とか、いろいろな人に会って聞いてみたんですよ。その人たちの一人はお医者さん、内見をした人です。この方からは、いや、すばらしい病院だと。建物が新しいということじゃないですよ。産科と連携をしながら周産期医療ができる、あるいは難病に向かった場合には、ほかの診療科目との連携もできる、ああいうところで私は医師としての腕を上げていきたい、医師としての腕を振るっていきたいということなんですね。いわば、この改革の方向は正しかったんです。しかし、その方は、現に地域医療に携わっている方です。すばらしいよと。しかし、私の与えられた役割は、地域の一次医療をしっかりやっていきますよ、ぜひ二次医療、三次医療との連携を今まで以上に強めていってください、こういうお話でございました。
 あと一人は、都立小児病院に勤める看護師の方でございます。私の知り合いなんですね。その方の話を伺いました。職場が変わりますと。選択肢としては、彼女には三つあったはずであります。退職をして、今、看護師は引く手あまたですから、ほかに行くこともできますね。それから、北部医療センターに転籍するなり何なりすることもできる。だけど、彼女は、ここの府中を選びました。通勤距離的には時間がかかります。しかし、あの施設の中で安心して看護師という立場の仕事ができるから選んだというんですよ。そういうところがあるんですね。この一つの方向性も、この言葉からも、私はこの改革は間違ってなかったというふうに思っております。
 そこで、しかし、物事の初めは、いろいろ課題が出てくるのは当たり前なんです。いろいろ受け付けの問題だとか、待ち時間の問題だとか、それぞれ病院、この患者はどうするんだとか、いろいろなことがありました。それは、この改革の方向に従って課題の解決に向けて取り組んでいくことは当然なんですね。いわば、制度とかなんとかというのは、理想型をつくるけれども、現実におろしてみたときに必ず、必ずですよ、どこか、間違いとはいいません、本来組んだシステムに必ずしも合致しないものが出てくるというのは、これは病院経営だけじゃないんです。すべてにわたってそうですから、それは改革の方向をしっかりと認識し、その中で解決していただきたいというふうに思いますので、ぜひいろいろな問題も、これからもご協議をいただきながら、一生懸命、お互いに取り組んでいく必要があるだろうというふうに、私は議会の場からも思っておりますので、ぜひ本部長、よろしくお願いをいたします。
 ところで、二つ目の課題であります。
 清瀬小児の廃院が、なくなるということが、あたかも地域の小児医療を崩壊させてしまう、こういったふうな、まあ言葉は悪いけれども、プロパガンダもあるんですね。現にきょうも、実は私の執務室からは外がよく見えるんです。都立三病院の存続をという横断幕で、そこに、子どもたちの生きる権利を奪わないでと。私も、このスローガンには全くそのとおりだろうというふうに思っております。私の卑近な例なんですが、私の長男も都立清瀬病院にお世話になったんです。入院して手術をいたしました。それは地域のお医者さんにかかって、ここでやってもらいなさいよと、こういうことです。それで清瀬小児病院にお世話になった。だから私も、そういういい病院、何でなくすんだという、当たり前の話になっちゃうんですね。ところが、今になって思うと、それは実は清瀬小児病院に二次として入院をしてやらなくても、北部医療センタ--当時なかったですよ、北部医療センター、小児科ないですから--地域の二次医療機関で可能だったんですね。それは連携がはっきりしていれば、三次医療に迷惑をかけないということになるわけですね。そういう仕組みをつくっていかなきゃいけないだろうということで、この例を持ち出しました。
 それから、私もよわい六十歳を過ぎまして、孫に恵まれました。この孫が、この間、病気になりました。地域の小児科に行きました。多分、こういうことだろうから、これでいいと思いますよ、だけど、幼い命だから、念のために紹介状を書くから、清瀬小児病院に行って診てもらってください、こういうお話でございました。診てもらった結果、入院をするまでのことはありませんと。地域のお医者さんの見立ては正しいですよ、こういう方向で治療をしてもらってください、地域で引き続きお医者さんのお世話になってください、そして、定点観測的に私どもの役割が果たせるというところがあるから、それはそれで来てくださいよ、こういうことなんですね。一段の問題は一次機能が機能したということ。二つ目は、二次医療機関、清瀬小児がその当時ありましたから、それはちゃんと機能したんです。しかし、それがなくなっても、多摩北部医療センターでできる話なんですね。そういう連携がちゃんと整っていれば、私の孫も安心して成長させることができると、こういうことであります。
 したがって、これから清瀬小児、さっき申し上げました二つ目の課題、移転後における多摩北部医療センターの実績は数字的にどうなっているのか、こんなところをお伺いしておきます。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 本日のお手元の資料にもございますように、多摩北部医療センターにおきます平成二十一年度の初期救急患者及び入院患者の実績は、清瀬小児病院移転準備に伴います救急移行等により増加を示しております。各地域の医師会を通じまして多摩北部医療センターへの救急移行が周知されていることもございまして、移転準備が本格化しましたことしに入りまして、初期救急患者数は一月、二月ともに百名を超し、入院患者数も六百名から七百名台で推移をしております。
 なお、患者数は増加しておりますものの、地域の医師会の皆様、中核病院であります公立昭和病院や多摩北部医療センターの連携協力によりまして、小児病院移転前後におきましても特段の問題がなく対応できております。

○野島委員 府中に集約した三次医療は、当初の予定どおりの実績を上げていくと、こういうことであります。一次、二次の連携も進んでいる、こういうことをこの数字が物語っているというふうに私は認識をいたしております。すなわち、今二つの課題について、あるいは方向性についてご答弁をいただきました。これまで取り組んできたセンターの建設という政策判断、それから地域医療の確保のために、いろんな知恵を出しながら、地域が汗をかきながら、それをちゃんと病院経営本部がバックアップしながら進めていくという方向性は全く間違っていなかったというお答えをいただいて、私の当初のこの課題に対する判断、これは決して間違っていなかったという、こういうことだろうというふうに思っております。
 さて、去年の第一回定例会に、関連の条例が提出をされました。当時、斉藤理事が提案者ということで、十分質疑をしたかったんだけど、修正条例なんで、何か質疑をしちゃいけないよということで、簡単に意見だけ付したのを記憶いたしております。
 実は、ああいう施設設置条例というのは、ある意味、ここにどういう施設をつくりますという、そこだけをとらえると無味乾燥なんですね。しかし、それは何のために、何を目的として、どういう事業をやるから施設をつくるということなんですね。それは、都立病院改革マスタープランがあって、一次、二次で、あるいはいろんな段階で事務事業報告をいただいた、あるいは陳情請願が出てきて、その議論で当局も答えて、その集約があの条例なんですね。あのとき、共産党さんの主張は、府中の新センターは段階的にやれと、たしか三病院は維持して段階的にやれと、こういうことでありました。過去の質疑の中で、共産党さんが新しくできる府中の病院について肯定的な議論をされたというのは、私は記憶にないんです、長いこと厚生委員会にいるけれども。(発言する者あり)うん、だから記憶にないんですよ。肯定したという記憶がない。出口ベースで府中は府中でやれ、段階的だ、三病院を残せと、そういう制度がつくれるのかどうかと、こういうことの議論というのはさんざんしてきたはずであります。まあ、いいです、過去形のことをとやかくいっているんじゃないから。
 一方、民主党さんは、地域医療が確保されるまで三病院の閉院を見送れ、こういうことでありました。しからば、民主党さんもいいんですよ、府中は府中で結構だ、見送れという話ですね。見送ったときに、どういうふうに一次、二次、三次も含めたトータルとしての多摩地域の小児医療を充実させるんだと、このことは全く見えなかったですね、残念ながら。
 そこで、まあ私にいわせると、実は、あれは設置条例の修正じゃないんですよ。政策変更なんですよ、政策変更。今まで民主党さんは了としてきたんですよ。そうなんですよ、了として来たんです。だったらば、しっかり新しい条例として提案、条例提案権あるんだから、すりゃいいんですよ。いわば、判断を逃げたんです、私がいえば。機会があったら公開討論会でも何でも応じますから、どうぞお話をしてください。いいですか。
 そういうふうな経過で、もしということをいうと、あの当時でもそうでありました。さらに七百人の職員が必要だ、こういうことであります。あるいは、そのために全国的に不足している小児科なり看護師さんをどうやっていくのか。目的の達成というのは実現できなかったというふうに思ってます。それで、多摩の小児医療の充実が確認できるまでといったのかな。しからば、多摩の小児医療の充実というのはどのレベルなんですか。しからば、それを執行委任しちゃっているんです、あの条例の中で。判断するのは知事なんですよ。知事が判断してくださいというんです。だから、多摩の小児医療の充実に向けては、さっきいったように、こういう府中キャンパスの中にこれをつくっていきますと。ね、そうでしょう。そうなんですよ。で、二つ目の課題についても対応しますから、そういう中で知事が執行判断を僕はされたと思うんですよ、仮にあの条例が通っても。そういうふうな条例なんです。条例の解釈論ですから、これ以上は申し上げませんが。
 現に、そういうことで、私どもの地域でも、移転をするという問題を契機に、しからば、これから地域における一次医療の役割、あるいは地域を超えた二次医療圏における役割について、実は関係の、特に直接携わるお医者さんが、いろいろ議論してくれているんです、協議会とか、そういういろんな場面で。そういう意味では、ちゃんとしたそういう今後の医療体制のあり方に対しての素地を、実はこの課題がつくってくれたと、こういうことであります。
 そこで、これが私は一つの到達点だろうというふうに思っております。この到達点に立って、東京都は、多摩の小児医療の一層の充実のために、今後どういう政策をやっていくのか。民主党さんも大変なご理解をいただきまして、要請文をお出しいただいて、それを病院経営本部がしっかり受けとめて、わかったと、それはこれから充実させていこう、こういうふうなことで、このスタートができたということを民主党さんに心から感謝も申し上げておきたいというふうに思っております。
 まあ、そんなことで、北多摩北部地域を例に挙げて、医師会や中核病院との連携、新センターが果たす役割について、改めてお伺いしておきたいと思います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児科医の深刻な不足など、厳しい医療環境の中にありまして、限られた医療資源を最大限有効活用するためには、さまざまな医療機関が、それぞれの役割分担のもと、密接に連携し合うことが極めて重要でございます。北多摩北部地域におきましては、五つの医師会や地元市などで構成されます小児初期救急医療体制の協議会があり、市域を超えた協力のもと、二次医療を行う多摩北部医療センターなどの中核病院と地域医療の横の連携体制を構築しております。そして、多摩北部医療センターと小児総合医療センターが人的交流を初めとしたさまざまな医療連携を密接に行うことで、縦の連携体制を充実させてまいります。
 今後は、この縦横の重層的な連携をさらに強固にしていくことが地域の小児医療の一層の充実に必要なことから、例えば先ほど述べました協議会には、中核病院を初めとしまして、私ども病院経営本部、福祉保健局、東京都保健医療公社など、都の関係者もメンバーとして参画しております。積極的に連携強化に取り組むべく、参加しているところでございます。多摩北部医療センターを通じた地域の連携策の支援も同時に行ってまいるという考えでございます。
 また一方で、小児総合医療センターは、多摩地域の高度専門的な小児医療を提供する拠点としての役割を踏まえ、多摩の各地域の小児医療体制とのネットワークの構築に努めてまいります。

○野島委員 もう終わりにします。ありがとうございました。
 冒頭申し上げました、実は私は、この都立病院改革というのは、今後の日本の医療のあり方、これをどういうふうに変えていくんだ、そのことが国民負担を含めて、あるいは、それぞれの医療機関が重層的、有機的に連携をしながらやっていかなければ、国民負担は、だれでも、どこでも、いつでもかかれる病院を全部かなえていったら、国民負担なんかできっこないです。そういう意味では、僕はこの都立病院改革というのは、冒頭申し上げた意味で、日本の医療制度改革だというふうに思っております。その前段の一つが、私は今回のステージだったというふうに思うんですね。まだまだ多くの課題をしょっております。一つのステージの到達点だけれども、課題はまだ出てきますよ、それは。それは途中で申し上げたとおりなんです。と同時に、今の答弁がございました。新しい二つ目のステージを、なお一層加速させていかなきゃいけないと思うんですね。
 そういう意味では、最後に、もし病院経営本部長の決意があればなんて失礼ですけど、お考えがあったらお聞かせください。

○中井病院経営本部長 ただいま野島委員から、都立病院改革マスタープラン以来の、この間に至るさまざまな経過につきまして、ご説明と、またご感想、ご意見を賜りました。顧みまして、この間の長きにわたる取り組みというのは、私ども病院経営本部にとっても、大変いろいろなことがあり、いろいろな思いがあり、この三月一日をこういう形で迎えられたということについては、本当に感慨深いものがございます。おかげさまで、平成十三年からのこの取り組みに首尾一貫してご支援、ご協力をいただきました議会の先生方には、本当に感謝をしてやまないわけでございまして、改めて深く感謝を申し上げる次第でございます。
 地域における小児病院の転出後のありようについても、地元の自治体、そして医師会等々、関係者の方々との何度にもわたる協議を重ね、あるときは難航し、デッドロックに入るような状況もございましたが、都議会の先生方のご支援もいただく中で、そういった難局も乗り越え今日にたどり着くことができたわけでございます。
 いろいろご意見、ご議論もいただきましたが、この小児病院の移転前後を通じましても、いずれの地域においても混乱もなく、大きな問題もなく推移しているわけでございまして、府中の二つの病院の順調な運営とあわせまして、各地域のこの円滑な移転ができた、平穏な地域医療が行われているという現実を見まして、本当に胸をなでおろす、そういった実感を今持っているわけでございます。
 重ねて申し上げますが、本当にここまで来れたのは、首尾一貫して応援をしてくださいました都議会の先生方のご支援、ご指導のたまものと、そういうふうに考えております。本当にありがとうございました。今後とも多摩地域の、そして東京の小児医療のますますの充実のために全力で取り組んでまいる覚悟でございます。ありがとうございました。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十八分散会

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