厚生委員会速記録第三号

平成二十二年三月十七日(水曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長門脇ふみよし君
副委員長野上 純子君
副委員長吉田康一郎君
理事早坂 義弘君
理事斉藤あつし君
理事三原まさつぐ君
栗林のり子君
柳ヶ瀬裕文君
新井ともはる君
佐藤 由美君
橘  正剛君
山加 朱美君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長庄司 貞夫君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
参事枦山日出男君
参事角田由理子君
参事大久保さつき君
参事中川原米俊君
参事飯塚美紀子君
参事雜賀  真君
参事熊谷 直樹君
参事別宮 浩志君
参事中谷 肇一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
  予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 平成二十二年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成二十二年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
・第七十号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都障害者支援施設等に関する条例
  報告事項(質疑)
・東村山老人ホームの民間移譲について

○門脇委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○門脇委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十二年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十二年三月十五日
東京都議会議長 田中  良
厚生委員長 門脇ふみよし殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員会から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(金)午後五時

(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成二十二年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成二十二年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十九号議案 平成二十二年度東京都病院会計予算

(別紙2省略)

○門脇委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案、第六号議案、第七十号議案から第七十七号議案まで及び報告事項、東村山老人ホームの民間移譲についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 初めに、お手元の厚生委員会要求資料(議案)をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、全部で八項目となっております。
 一ページをお開き願います。乳幼児に対する医療費助成の実施状況といたしまして、区市町村ごとに、所得制限の有無などについて記載してございます。
 二ページをお開き願います。義務教育就学児に対する医療費助成の実施状況といたしまして、区市町村ごとに、所得制限の有無及び助成内容について、三ページにかけまして記載してございます。
 四ページをお開き願います。学童クラブにおける指導員の資格の状況といたしまして、保育士または幼稚園教諭などの資格を有する指導員数を学童クラブの運営主体ごとに記載してございます。
 五ページをごらん願います。学童クラブにおける平日の終了時刻の状況といたしまして、平日十八時までに終了するクラブ数、または十八時一分以降に終了するクラブ数を運営主体ごとに記載してございます。
 六ページをお開き願います。学童クラブにおける実施場所別クラブ数といたしまして、児童館、児童センターなどの場所で実施しているクラブ数を運営主体ごとに記載してございます。
 七ページをごらん願います。認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、平成十六年度から平成二十年度までの平均経験年数別の施設数を記載してございます。
 八ページをお開き願います。情緒障害児短期治療施設の設置状況といたしまして、都道府県及び政令指定都市、中核市ごとの施設数を記載してございます。
 九ページをごらん願います。障害者施策推進区市町村包括補助事業における各事業別実績及び実施自治体数といたしまして、事業ごとに金額及び実施自治体数を記載してございます。
 続きまして、お手元の厚生委員会要求資料(報告事項)をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、一項目でございます。
 一ページをお開き願います。都立養護老人ホーム及び軽費老人ホームの施設数・定員数の推移といたしまして、平成十二年度から平成二十一年度までの施設数、定員数を記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行いますが、冒頭、委員長から一言お願いがございます。
 本日は長時間の審議が予定をされておりますので、委員及び理事者の皆さんにおきましては、円滑な質疑にご協力をいただけるよう、よろしくお願いをいたします。
 なお、本日は聴覚障害をお持ちの方が傍聴にお見えになっております。途中、席の移動等があるかと思いますが、これもご了承をいただきたいと思います。
 それでは、発言をお願いいたします。

○斉藤委員 それでは、私の方から、長時間になるといけませんので、なるべく説明的な部分ははしょりながら、質問はしっかりとしていきたいと思います。よろしくお願いします。
 最初に、中途難聴、そして聴覚障害者の介助の団体利用について伺います。
 障害者の福祉サービスについて、自立支援法の改定のときに並行して法対象にならないサービスについては、地域生活支援事業として実施されるようになりました。その中で、OHPを使うことも含めた要約筆記事業、これがこの地域生活支援事業になったんですけれども、これは、中途難聴、中途聴覚障害になった方にとってみれば、なかなか手話を使うのが難しい場合に、手話通訳よりも理解しやすく、障害者同士の相互理解、また社会生活において大変不可欠な存在の事業であります。
 ただ、この要約筆記を要するような、または通訳を要するような感覚器障害によるコミュニケーションの障害というのは、他の身体障害と異なる性格がございまして、特に団体で利用するということができるという点が、ちょっと普通のつきっきりの障害の介助と違うところであります。
 今回伺いたいのは、この団体もしくはグループ利用についての話なんですけれども、ちょっとその前に、前提として何点か伺わせていただきます。
 この地域生活支援事業に指定されるサービスというのは、市区町村の事業となるわけなんですけど、必ずしもすべての事業がすべての区市町村に存在しているわけではないというのが、ちょっと困ったところなんです。この地域生活支援事業への移行の際に、東京都の説明では、レベルを下げないということでありましたけれども、なかなか市区町村の協力をお願いするという点で課題があるようです。
 東京都は、要約筆記事業を行っていない市区町村をどのように把握しているのか、それをまず伺いたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 要約筆記者の派遣事業につきましては、平成二十一年四月現在、二十三区と二十二市合わせて四十五区市で実施をしております。したがいまして、四市と町村部は未実施となっております。
 なお、複数の区市町村にまたがる広域的なグループ活動に対する派遣につきましては、全区市で実施をしております。

○斉藤委員 それでは、要約筆記に限らないことなんですけど、こういった地域生活支援事業に移ったときに、まだ市区町村で事業をやっていないというところが出てくると思うんですが、そういった住民の皆さんはどのようにそれがない中で生活をしているのか、また、対応策について、わかっていれば教えていただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 事業を実施していない市町村につきましては、家族などの支援を受けていると考えられます。
 なお、平成二十一年度に未実施の市町村におきましては、住民からの要望があれば、実施する用意があると聞いております。

○斉藤委員 私も、今回質問するに当たっていろいろやりとりをして、改めてわかったことなんですけれども、要するに、サービス自体は用意をしていないけれども、実際にそのサービスと同様のことが、さっきいったグループ派遣事業なんかに関しては全自治体でやっているという話なんです。これなんかについても、どこかでそういったサービスを使って、その市の住民であったけれども、事業としてやっているという標榜がなくても、自治体に請求をすればお金を後で出しますよという、ちょっと不思議なサービスの請求になっているんですね。これ、なかなか一般的には使いづらいものだと思います。実際にその事業がありますよというふうに標榜していないところで、実際に使って請求したときに、やっぱり断られるんじゃないかとか、そういうふうに申請の場面でちゅうちょするというのが、むしろこれ、感覚的に普通だと思うんですね。
 そこで、要約筆記のグループ派遣事業について伺うんですが、こういう要約筆記に限らないんですけれども、コミュニケーション障害の場合に、たまに大勢の利用者が一堂に会する会合とか会議みたいなものがあったときに、会場への移動は別に介助者が要らないと。そこに着いたときに双方のコミュニケーションができるようにということで、そこで初めて介助者が必要になってくる、サービスが必要になってくるということがあるんですね。
 この場合に、グループ派遣、団体利用という点が非常に意味が出てくるということで、かつてこのグループ派遣事業というのは、東京都の方でやっていたというふうな経緯がございます。
 地域生活支援事業になったことで、各市区町村に話が移っていったんですけれども、その際に、市区町村で、今いったような表向きサービスがないとかというふうに対応が異なっている点が、このグループ派遣の部分で、全く、ちょっと便利さが同じではないと、不便さを感じるというふうに聞いております。
 当時の東京都の事業について、グループの派遣ということを踏まえて、当時の様子について教えていただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 聴覚障害者のコミュニケーション支援の一つであります要約筆記者派遣事業につきましては、平成十八年度までは都が実施をしておりましたが、障害者自立支援法により、障害のある人々に身近な区市町村が一元的にサービスを提供することになり、平成十八年十月から区市町村の地域生活支援事業の必須事業に位置づけられました。
 都は、それまでの実施状況を踏まえ、区市町村が実施体制を整えるまでの間、激変を緩和するため、平成二十年度末まで引き続き派遣センターに委託をして本事業を実施することといたしました。その際、平成十九年度から、個人に対する派遣は区市町村が実施し、都は十人以上のグループに対する派遣を実施することとしたところでございます。

○斉藤委員 このグループ派遣の場合に、来た人の実績の部分で、どうもその後、案分をして請求するというふうな形になっているらしいので、東京都全体では、このグループ派遣事業というのは一つ担保している部分であるという答弁なんですけれども、一方で、実際に申請する際に、やっぱりそういった各市区町村の方で少し対応にずれがあるという点が、実際に今まで東京都が一括でやっていたという部分に比べて不便になっている、ちょっとなかなか頼みづらくなっているという経緯があるようでございます。
 特に、今、当時の東京都の事業については、十人以上のグループに対して派遣を行っているという話なんですが、なかなか、でも実際に--これはどんな会合でもそうなんですが、場合によっては事前に十人集まるかどうか、九人かもしれないし、十人かもしれないという微妙なところで会議をすることは当然ありますし、これはもうだれでもそうです。
 そしてまた、実際に、その当時の十人というのがどういう根拠だったかというのは、ちょっと私もよくわからないんですが、余り理屈としてわかりやすい数字じゃないのかなと思います。仮にこの当時の事業を東京都がやっていて、また今のような市区町村対応の部分があってというふうになりますが、東京都でまた再び一括でできるというようなことはあるのでしょうか、そこを聞きたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 本事業につきましては、区市町村事業として定着し、利用実績もふえていることから、区市町村事業として継続をしていきたいと考えておりまして、都事業に戻すことは考えておりません。

○斉藤委員 やはり区市町村の方でそれぞれに定着をしているというところもあるし、もちろんさっきいったみたいに、ないところもあるけれども、しっかり前からやっているところもありますので、そういうふうな理屈をおっしゃるのはよくわかります。
 では、この団体利用もしくはグループ派遣事業といっていいかもしれませんが、この利用に利便性を求めた上で伺うんですが、要約筆記者の場合は、要約筆記者は少なくていい場合もあります。来た人全員にちょうどあてがうというものでは必ずしもない場合が多い。そしてまた一方で、時間が長くなった場合、これは要約筆記をOHP等に使っていたりするとそうなんですが、要約筆記者の手の負担、またはOHPのような光を使う場合は目の負担、結構大きくて、一人でずっとやっているという筆記者じゃなくて、こういう場合はチームでローテーションを組めるような感じで、複数の筆記者がどうしても必要になってくると。このような体制でやるわけですから、長時間の会合になればなるほど、当然、料金はトータルとして高くなってくる。そうすると、余り利用者申請数が少ない場合ですと、本当に一人一人の利用者の負担が非常に大きくなってくるわけですね。
 さらに、こういう場合があるそうなんです。会合をやるという場合に、事前に何人だれが来るのかわからない。もしくは、自由参加ですよということで、準備をした上で、人を、参加者を求めるような場合に、企画者だけでまず利用申請をするというふうなことになっちゃうんですが、ところが、今いったみたいに、長時間になると利用金額も非常に大きくなってくるわけです。
 もう一つ大きいのは、これは地域生活支援事業そのものの話ではありますけれども、その利用者一人に対して何時間というふうに、市区町村ごとに月間で利用時間数が決まっていると。金額が高くなっちゃいけないというのは当然ですけれども、時間数にもともと制限がありますから、同じ人が何回か申し込んだら、自分の生活のためにこの事業を使用する時間というのがなくなってしまう。それだと、本当にもうにっちもさっちもいかなくなってしまうわけですね。こういったことを考えると、なるべく多くの人に分担、負担を広げて、一人当たりの案分を小さくしたいという事情があります。
 また、終わった後に、実績で申請するというのができるところもあるんですが、ちょっとそういうのを好まない自治体もあるようです。一方で、さっき申しましたように、表向きは標榜していない、事業がないというふうな形になっている。ところが、後で申請したらお金を払いますよというところもあるんですけど、これはなかなかちょっと、最初が頼みづらいという方もいらっしゃる。
 もう一つは、障害者手帳を持っていない高齢難聴者という方がいらっしゃいます。これは手帳を持つほどじゃないという判断をして生活されているんですが、こういった方も参加をしたい場合がある。このような場合は、参加をした際に、こういった要約筆記とかOHPの筆記とかいうものがあればとても便利だという方がいらっしゃる。そういった方にも広く参加を呼びかけたいという企画がある場合がある。
 そういうことを考えていると、グループ派遣というのは非常に便利なんだけれども、このグループ派遣、より便利になるように求めていきたいんですけれども、それ自体の便利さを求める上で東京都の所見はどのようなものか、伺いたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 本事業の利用に際しましては、あらかじめ参加者が区市町村に申請を行うこととなっておりますが、都が事業実施していたときにおきましても、区市町村ごとの利用者数を把握して、その人数を申請することとなっておりましたため、大きな変更はないものと考えております。
 実際の運用につきましては、利用者の都合等で急に予定が変更となることが考えられますが、当日に参加者の名簿を修正することも可能となっておりまして、その最終的な名簿に基づいて区市町村に請求をすることとしております。
 また、区市町村によりましては、利用回数や時間の上限を設けているところもございますが、日常生活に必要があるときなど、利用内容に応じて実情を踏まえて運用されておりまして、日常生活に困難を来すようなことはないように対応していると考えております。
 本事業につきましては、既に区市町村事業として定着していることから、都事業として実施することは考えておりませんが、利用者が使いやすい制度としていくため、本事業の運用に当たりまして、可能な限り柔軟な対応をするよう区市町村に働きかけてまいります。

○斉藤委員 大分、東京都の方としては、柔軟にということが姿勢としてあるということでありますので、その上でもう一つちょっと要望したいと思うんですが、現行の利用手続も、市区町村によって、多分その担当者によっても大分やりとりの雰囲気が違うんじゃないかということはよくあることであります。ですから、そんなところでそごが出ないようにするということは大事であります。
 特に手続についても、現実に即した簡易な方法で、なおかつ団体利用というのが上手に実現できるように、各自治体間で統一された対応をしてほしいと思います。そういった統一された事業申請方法、またはその受給方法、これが確立できるように、東京都で統率をとって各市区町村の方に指示を出していくということを改めてお願いしたいわけですが、そのところについて、所見を最後に伺います。

○芦田障害者施策推進部長 複数の区市町村の利用者が参加する聴覚障害者のグループ活動に対する要約筆記者の派遣と案分方式による経費負担の仕組みは、区市で既に定着しているものと考えております。
 さらに、平成二十二年度からは、対象となる基準につきまして、一人一人に要約筆記を派遣するよりは、四人以上のグループの場合は三人の要約筆記者の派遣で足りるため、現在区市町村からの委託先となっております要約筆記者派遣センターの提案によりまして、今年度までの利用条件であります十人以上のグループから、四人以上と要件を緩和して、より利用者の利便を図り実施する予定であり、既に区市にも説明をしております。
 今後も、要約筆記者派遣センターや区市町村と調整しながら、使いやすい制度としていくよう、全区市町村に対しさらに取り組みを働きかけてまいります。

○斉藤委員 この要約筆記の話ばかりが地域生活支援事業の課題ではありませんので、ほかの事業も含めて、ぜひ全市区町村に働きかけというのを続けていただきたいと思いますし、その部分で、また現場でいろいろそごがあったら、東京都の方からまた指導していただきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、精神障害者の事業の変更についてです。
 精神保健福祉センターについては、地域の関係機関への支援を一層強化するために、来年度に訪問型事業のモデル実施を行うということで、病室及びホステルについては来年度末に廃止するということであります。この辺の話については、予算委員会で宇田川議員の質問からもありましたけれども、このホステルを運営している中で、これまでのホステルの課題、それについて改めて確認をしたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 中部総合精神保健福祉センター及び多摩総合精神保健福祉センターの病室及びホステルにつきましては、これまで精神科病院からの退院時に中間施設として生活訓練等を行ってきましたが、社会資源が未整備な状況におきましては、一定の役割を果たしてきたものと考えております。
 しかし、病室の利用期間を合わせると平均一年を超えていることから、利用できる障害者の方が限られているなどの課題があると考えております。

○斉藤委員 今、私も初めて平均の利用日数を聞いたら一年を超えているという、平均で一年超えていますから、かなりの長いもので、事実上、ショートステイとかとは全く違う感覚になってしまっていると。実際にこれを今まで使っていた人は、どうしても一度使えば、正直いって、腰が落ちついちゃうぐらい長いわけですから、今まで使っていた人から見ると、ホステルがなくなるというのは大変心配をされるというのは、これはわかるわけです。
 そこで、ホステルがなくなることによって、これまで利用していた方の不安について、こういった不安に伴うニーズ、これについてどのように今後担保をしていくのか、そこを伺いたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 都は現在、精神障害者退院促進支援事業におきまして、精神科病院に入院をしている精神障害者の方を直接地域に移行する支援を進めているほか、精神障害者が生活するためのグループホームや訪問看護事業所、地域活動支援センターⅠ型等の相談支援事業所の設置など、地域生活基盤の整備を促進することによりまして、安心して地域で生活するための支援を行っているところでございます。
 なお、病室及びホステルの廃止後は、訪問型支援の一環として、地域に住む精神障害者が入院には至らない程度の症状の悪化があった場合に、短期的に利用できる施設として活用することを検討していくこととしております。

○斉藤委員 私の方も、いろいろ経験の中から、大体ふだん、割と入院施設--病棟を持っているような病院にかかっているような地域で生活している精神障害者なんかは、調子が悪くなったりすると病院の方で短期に入院させてもらったりということで、地域に戻ってくるということがあります。そういう人はある程度駆け込み先があっていいんですけれども、多分そういったことは、なかなか難しい方が利用されていたんじゃないかと思いますので、ぜひその部分で俯瞰的にサポートができるよう取り組んでいただきたいと思います。
 重ねて、この地域で生活する、在宅生活をしている精神障害者に対してのサポート体制についてもう一つ伺うんですけれども、以前、不動産の業界の皆さんと食事したときに、こういうことをいっていたんです。市から生活保護の方を、住居を探してくれといって頼まれて、入れたと。ところが、生活保護になったけれども、実際にはその背景には精神障害があって、保護になったと。そういった方を入れたときに、結局、せっかく市に対して協力をしてあげたというふうに自分で前向きにやったんだけれども、精神障害があるということに対しての情報が全くなかった。結果的に、不穏行動に対して十分な対応ができなかった。また、周辺の人もかえってその人の言動に振り回されたりというような話が、またトラブルが大きくなってしまった、そういうようなケースがあったと。
 大家さんや不動産管理会社にとっても、協力をしたいという思いでやっていたわけですが、実際にどう対応していいかわからなかった。こういうときにはどういうふうにしたらいいか、こういう質問があったので、ぜひ答えていただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 精神障害者の方が病状悪化等によりまして、アパートの家主等の周囲の方が対応に困った場合には、一義的には地域活動支援センターや保健所等の関係機関が相談窓口になり、支援を行っていくということになります。
 特に地域での対応が困難な事例につきましては、関係機関の要請によりまして、精神保健福祉センターが専門的な技術援助や助言等を通じた支援を行っているところでございます。

○斉藤委員 今、一義的にはというお話だったんですけれども、確かに一義的ではなんですね。ただ、残念ながら、市の方は、ご存じのように、保健所五市に一カ所とか--四市に一カ所か、とにかく何市かに一カ所というふうなことで、保健所の窓口といったら遠いものになっている場合もあります。もう一つは、地域活動支援センターについても、自分のところで計画をつくっているような、その障害者のサポートというか、サービス計画なんかをつくっているところだったら、かなり情報を持っているというのがあるんですけれども、全くそこがかかわっていない、聞かれて初めて情報を集めなきゃいけないというような場合もありますので、あくまで一義的にはですけれども、なかなかちょっと即応というのが難しいケースもあるようです。
 実際、この相談の事例では、精神障害者の方の情報提供がなくて適切な対応がとれなかった、困ったという話であります。実際には、病院なんかにいるような、もしくは、ドクターなんかにいわせれば、こういった情報というのは非常に判断の大きな材料になるので、情報を集めるというのは非常に重要なんですが、一方で、逆にこの場合は、市役所の方も、多分、個人情報保護ということがあって、市役所の立場からいわせれば、勝手なことはいえないと。ましてや医療関係者でもない、福祉関係者でもない人にいえないというのは、多分、市役所の理屈としては正しいんでしょうけれども、実際には、この不動産屋さんのように、まさにその方の生活を大きく支援していく立場にある人から見れば、自分たちも協力をしようと思っているのに、それはどういうつもりなんだというふうに怒りたくなってしまうのは当然のことだと思います。
 また、それによって自分の信用を落としたり、自分がけがをしたり、もしくは余計な時間をとられたりというふうなこともあるわけで、その覚悟もできないというんじゃ、もう全く対応のしようがないというふうにおっしゃるのは当然かと思います。
 これに、なかなかすべてにこたえることはできないと思うんですが、どのように精神障害者の情報を得て支援していくことが可能なのか、ここを伺いたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 精神障害者が地域で適切な支援を受けていくためには、障害の状況や必要とされるサービスの内容などの情報を、関係機関等が把握することが重要であると考えております。
 地域で生活している精神障害者の相談支援につきましては、地域活動支援センターⅠ型等の相談機関が担っておりまして、これらの相談支援機関が、障害者の了解を得た上で必要な情報を関係機関や関係者に伝えることにより、適切な支援につなげていくことが必要であると考えております。

○斉藤委員 それでは今度は、今、精神の話をしましたけれども、ちょっと身体障害者の話に移りたいと思います。身体障害者療護施設の自立支援法への移行について伺います。
 この身体障害者療護施設というのは、現在都内に九カ所、うち七カ所が社会福祉法人、二カ所が都立というふうになっています。聞いたところによると、自立支援法への移行が、この七カ所全部、なかなか進んでいないようです。身体障害者療護施設には、常時の介護だけじゃなくて、医療的な治療や看護も必要とする方が多く入所しておりますので、新体系移行にすると、医療的ケアに対する方針がどうも十分じゃないというような話を聞いておりまして、その移行後に現行のサービスについて維持できるかどうかわからないという不安が、移行をためらう理由になっているんじゃないかというふうに聞いております。
 そこで伺うんですけれども、自立支援法への移行に伴って、現在のこの身体障害者療護施設、どのような形になっていくか教えてください。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者療護施設は、常時介護を必要とする者を入所させて、治療及び養護を行う施設でございます。設備基準では、医療法に規定する診療所の設置を求めており、他の入所施設と比べ、より医療的な治療や看護を要する方を多く受け入れております。
 障害者自立支援法によりまして、三障害共通の制度となり、サービス体系が機能別に再編されたために、身体障害者療護施設は、知的障害者の入所更生施設などと同様に、夜間サービスの施設入所支援に日中活動の事業を組み合わせた障害者支援施設へと移行することになります。
 なお、新体系移行後には、診療所の設置基準が規定されていない取り扱いとなっております。

○斉藤委員 新体系移行のときは、診療所の設置基準の規定がないということで、少しハードルが下がったようなご答弁でした。
 ただ、入所されている方というのは、今までいた方がそのまま生活されるわけですので、制度が変わっても今のサービスで要らないものが出てくるとかいうことではないと思います。ここで、そういったことを考えちゃうと、どうしても施設側から見たときに、新体系への移行に不安を持っちゃうというようなことは理解できるところです。
 さらに、この民間施設に対しては、サービス推進費、これ、私、予算委員会の中でも質問しましたけれども、都の独自の補助については、今までも民間施設として恩恵を受けていたわけなんですが、この制度、近く再構築するということであります。
 そこで伺うんですけれども、この療護施設が新体系に移行した場合、医療面での支援に関する都の補助は、サービス推進費の、今回の、実際には二十三年度の再構築によってどのようなものになるか、そこを確認したいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 サービス推進費の再構築に当たりましては、身体障害者療護施設が移行後に行う、より手厚い医療的なケアを要する方を受け入れるといった取り組みに対して、医療的ケア充実加算、特定疾患等対応加算を設ける予定でございます。
 これらの加算を活用することで、利用者の状態に応じて医師や看護師または理学療法士などを配置することが可能となり、医療面でのケア体制が確保できるものと考えております。
 今後も、社会状況や都民ニーズの変化を的確にとらえた、より効率的、効果的な施設運営に資する仕組みとなるよう、適切に対応してまいります。

○斉藤委員 それでは、少しテーマが変わりますけれども、NICUについて聞きたいと思います。
 NICUについては、おとといの予算委員会の中でネットの西崎議員も少し質問をしておりましたけれども、今回、NICUの退院後のスムーズな地域生活もしくは家庭生活というものを意識した上で、来年度、モデル事業を実施するということであります。
 この来年度実施するモデル事業で、コーディネーターを配置し入院中から在宅への移行に向けた支援を行うというものについてですが、こういったコーディネーター、地域の医療機関との連携に加えて、福祉サービスとの連携も担うような形になると思うんですけれども、現在の東京都の見解、方針というものをお聞かせください。

○吉井医療政策部長 NICUに入院している子どもが円滑に在宅に移行するためには、保健、医療、福祉の関係機関が連携をいたしまして、家族に対する支援、訪問看護などのサービスを提供していく必要がございます。
 本モデル事業におきまして、都立病院が、都立墨東病院で行うわけでございますけれども、そこに配置いたします看護師、MSWによるNICU入院児支援コーディネーターは、それぞれの能力を生かしながら、子どもや家族の状況に応じまして、病院と診療所や訪問看護ステーション、さらには療育施設など、各関係機関と連携し、在宅療養に必要な福祉を含めました指針やサービスを調整する役割を担ってまいります。

○斉藤委員 病院の方の体制としては、医療ソーシャルワーカーとか、もしくは看護師、医療ソーシャルワーカーの場合は社会福祉士なんかが多いんだと思うんですが、そういった専門職を、少し専門の分担を考えながらやっていくようであります。
 NICUの問題というのは、これは退院が済めばいい話ではなくて、その後の福祉のサービスがだんだん手厚くなってくるという流れがあります。長期入院をしていたお子さんには重い障害を持つ子どもも当然多く、中には、身体でも知的でも両方とも重複して重症になっているというお子さんもいらっしゃいます。成長後も、食事、排泄すべてにわたって家族の献身的介護というのが必要になってくるんですが、こうした在宅の重症心身障害者もしくは障害児を支援するために、日中活動の場、訓練の場というものを提供するような、通所サービスや介護する家族に対して休息を提供するような、レスパイトになるような短期入所、ショートステイなどの充実というのは非常に重要だと思います。
 この重症心身障害児または者の入所施設をすぐにたくさん整備するなんてことは難しいと思います。東大和療育センターができた後に東部療育センターができるまで随分時間がかかっていますから、あれだけの大きな施設ですと、なかなか現実的にはおいそれとふやせないというのはよくわかります。
 ただ、今、手を打つべきとして、こうした在宅支援の拠点というものを、あそこまで大きくなくてもいいけど、あそこまで立派じゃなくてもいいけど、やはり地域に整備していくということが必要になってくると思います。
 そこで伺うんですけれども、在宅で生活する重症心身障害児または者が利用できる通所と短期入所の整備状況について伺います。
 また、今後どのようにしたらこうした施設が拡充をすることができるのか、これについてお答えいただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 都は、平成二十二年三月現在でございますが、常時医療的ケアを必要とする重症心身障害児者に対応できる医療型の通所施設十六施設のほか、比較的軽症の重症心身障害児者を対象とする地域施設活用型の通所施設八施設を整備しておりまして、総定員数四百十五人を確保しております。
 地域施設活用型通所施設と申しますのは、区市町村に対する施設整備補助によりまして、身近な地域に重症心身障害児者の日中活動の場を整備するものでございます。
 今後の整備目標でございますが、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランにおきまして、平成二十一年度から平成二十三年度までの三年間で、医療型もしくは地域施設活用型の通所施設につきまして、百五人の定員増を目指しているところでございます。
 また、ショートステイにつきましては、都立の重症心身障害児施設に六十八床を置くほか、都独自の病床確保事業によりまして、民間施設や医療機関に三十二床を確保しており、都内で合計百床を確保しております。
 今後も、利用状況などの実情を継続的に把握しつつ、重症心身障害児者支援の充実に努めてまいります。

○斉藤委員 最後に、ちょっと要望をいわせていただきます。
 きょうは全体的に要望が多かった感じがあるんですけれども、冒頭申しましたような、市区町村に対して要約筆記事業、もちろんほかの生活支援事業もそうですけれども、なるべく市区町村で窓口での対応が変わらないように、ぜひとも統一感を持って指導をしていただきたいと、これを改めてお願いをいたします。
 もう一つ、高齢者福祉に関して、介護保険では、多摩地域と島しょ部というのはもともと報酬単価が同じなんですが、多摩の私からいっても、島の方のいろんな不便さというのは大変気になっているところであります。特に、特別養護老人ホームなどについては、現在、東京都の単独補助で島しょ加算補助金と特別加算補助金がついた形になってはおります。当然のことながら、多摩地域よりもはるかに専門資格者の確保などは運営課題が多いですし、コストがかかる、手間がかかるという課題も大変多いのが、島の高齢者福祉の現状だと思います。
 私ども、東京都も本来報酬単価でそういったものを賄っていくべきというふうに考えていると伺っていますし、継続して国の方に要望しているということなので、私ども党としても、一緒になってこの部分を国にちゃんと伝えていく責任があるなというふうに考えております。
 ただ、ちょっと予算審議ということなので一言加えるんですけれども、福祉保健局はそういった部分で今頑張っているんですが、なかなか財務局の方も、歳出の平成二十二年度予算も最終的にはこの加算については付与しているわけなんですけれども、結局は、最終的に復活予算になっているケースが非常に多くて、多分、現場の人たちは、はらはらどきどきが続いているんじゃないかと思います。
 そういう意味では、必要性というのはよくわかっていますし、ただ、どうしても財務局になかなかそれが伝わっていないような感じというのはありますので、継続して局長には、予算の確保という点で、二十二年度、それを超えて二十三年、二十四年も頑張っていただきたいと思いますし、私どもも、国に対してはしっかり申してまいりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 局長、笑っていただいているので多分大丈夫だと思いますが、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○山加委員 私からも、今、斉藤理事からも質疑がありましたが、在宅の重症心身障害児者に対する支援についてお伺いをさせていただきます。
 私ども都議会自民党は、昨年の四定の代表質問におきまして、NICU等に入院している重症心身障害児に対する早期支援の充実、また、短期入所及び通所サービスにおける超重症児者等の受け入れ促進など、ライフステージに応じた在宅支援の充実を要望させていただきました。
 これを受けて、都が「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇において、在宅重症心身障害児者の新たな支援策を掲げたことを高く評価させていただきたいと思います。
 生まれたばかりの我が子が重い障害を持って生まれた場合、ご家族のご心痛は察して余りあるものがあるわけであります。まして子どもがNICUなどの高度な医療機関に入院している場合には、退院後、自宅での療養生活について、ご家族は大変大きな不安をお持ちと思います。
 この退院後の生活に向けたご家族の不安を少しでも軽減し、安心して在宅生活に移行できるようにするためには、私は、入院中からまさに精神的なサポートを含めた支援を実施することがぜひとも必要と思うわけですが、そこで、NICU等の入院児に対する早期支援の充実のために具体的に都はどのように取り組むのか、お伺いをいたします。

○芦田障害者施策推進部長 都はこれまで、重症心身障害児の家庭に看護師を派遣して、医療的ケア等につきまして技術的指導や助言を行う在宅重症心身障害児者訪問事業を実施してまいりました。
 来年度からは、NICU等に入院する重症心身障害児が在宅生活へ円滑に移行できるよう、入院中からの相談支援を新たに実施をいたします。
 具体的には、看護師資格を持つ在宅療育支援員が病院を訪問して、病院のスタッフや地域の保健師等と連携して退院後の生活の支援体制づくりを行います。
 また、退院直後から都の訪問事業のサービスが受けられるよう調整を行うとともに、人工呼吸器を使用するなどの医療ニーズの高い子どもの場合には、訪問の回数をふやすなどの手厚い支援を行ってまいります。

○山加委員 入院中に、在宅療育の専門の看護師が退院に向けた支援を行う、そしてまた、退院直後は、家庭訪問をしてご家庭に子どもの医療的ケアの仕事を行うという、こうしたまさに連続した早期支援の体制を組んでいくということで、ご家族にとっては大変心強いことと思うわけであります。
 重症心身障害児は、退院後も継続的な医療が必要であるわけでありますが、在宅療育を長期間にわたって安定的に続けていくためには、やはり訪問看護ステーションなどのサービスの利用が欠かすことはできないわけであります。
 しかし、この重症心身障害児を診ることができるこの訪問介護ステーションというのは、まだ非常に少ない現状なんですね。
 そこで、この重症心身障害児に対応できる地域の看護人材の育成、確保について、都はどのように取り組んでいくおつもりでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 地域の訪問看護ステーションが重症心身障害児の看護に対応できるよう、都がこれまで訪問事業等で蓄積してきたノウハウを生かして、在宅療育の研修の実施やマニュアルの作成等を行ってまいります。
 また、重症心身障害児を支援する保健所等との連携会議を実施することによりまして、地域での支援体制の強化に取り組んでいきます。今後とも、地域の行政機関や医療福祉施設と連携して、在宅で生活する重症心身障害児の早期支援に努めていきたいと考えております。

○山加委員 ぜひともこの訪問介護を担う人材の確保がしっかりとできるように、取り組みに期待をしております。
 そして、これまでの答弁を伺っておりますと、早期支援についても、また訪問介護ステーションの人材育成についても、これまで実施してきた訪問事業のノウハウを活用して取り組まれるということでありますけれども、実効ある取り組みを着実に実施していくためには、これまでの訪問事業とあわせた事業体制の強化が必要になることと思います。
 そこで、都はどのような体制でこの事業を実施していくのでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 都はこれまで、訪問事業につきまして、区部と多摩地域ごとにそれぞれ別の社会福祉法人に委託して事業を実施してまいりました。
 来年度からは、訪問サービスをより効率的に提供できる体制を整備するため、都内全域を統括する重症心身障害児在宅療育支援センターを設置いたします。これにより、看護人材を有効活用して訪問事業をより一層充実するとともに、NICU入院児の在宅移行支援の充実や地域の訪問看護人材の育成など、早期療育支援の体制を整備してまいります。

○山加委員 実施体制も強化をされるということですから、取り組みが着実に進むことをご期待を申し上げたいと思います。
 ところで、私の地元は練馬区なんですが、重症心身障害児の通所施設がございます。天気のいい日には、お子さんを車いすに乗せて散歩している光景などを目にするわけでありますが、ご家族や施設の職員の方々が送り迎えをされて、そして子どもたちの目が本当に輝いている。そんな姿を見るたびに私は感動を覚えるわけでありますが、同時に、日々介護に当たられるご家族のご苦労、また、それを乗り越えていらっしゃったその困難を思うと、本当に頭が下がる思いがいたします。
 そして、何としてもこの福祉の向上、都の施策の充実を図っていかなければならない。そのために、気持ちを新たに頑張らなければならないと思うわけでありますが、重症心身障害児者の方々が、地域の中でご家族とともに安心して生活をしていくためには、こうした通所や短期入所などのサービスの利用が不可欠であるわけであります。
 特に近年は、在宅で過ごす重症心身障害者の中で、人工呼吸器や経管栄養などの濃厚な医療が必要な、いわゆる超重症児者等の方が増加をしているわけであります。
 短期入所や通所の場でも、こうしたニーズへの対応が求められていると聞いているわけでありますが、そこで、都は、短期入所や通所における超重症児者等の受け入れ促進にどのように取り組んでいくのか、伺わせていただきます。

○芦田障害者施策推進部長 都はこれまでも、重症心身障害児者の短期入所病床確保事業や通所施設への整備費補助等によりまして、短期入所や通所事業の拡充に努めてきたところでございます。
 また、今年度から、重症心身障害児施設で働く看護師を対象とした専門研修を実施し、特に医療ニーズの高い超重症児者等に対応できる人材の養成を行っております。
 さらに、来年度からは、民間の短期入所施設や通所施設等において、超重症児者の受け入れのために、高い看護技術を持つ看護師を受け入れ促進員として配置する場合に、この配置費用を助成する事業を実施いたします。
 これによりまして、超重症児者等を受け入れるための施設の体制整備を支援し、重症化が進む在宅の重症心身障害児者の一層の受け入れ促進を図ってまいります。

○山加委員 今、ご答弁によりまして、大変きめ細かく対応を検討していただいたことに感謝を申し上げたいと思います。どうか対策の実効が上がり、重症心身障害児とそのご家族に対する支援が今後ますます充実することを期待いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、福祉サービスの質の向上についてお伺いをいたします。
 介護保険制度や障害者への居宅、通所サービス、また保育所などのサービスにおいては、社会福祉法人とともにNPO法人や企業など、まさに多様な事業主体が参入し、福祉サービスが量的に拡大をしてきたわけであります。
 しかし、都民福祉の向上のためには、量の拡大とともに、サービスの質の向上、このことが大変重要なわけであります。都は全国に先駆けまして、平成十五年からこの福祉サービス第三者評価を開始しております。この制度は、第三者である評価機関がサービスに対する利用者の意向やサービス内容、また組織マネジメント等を評価することで、サービスの質の向上に向けた事業者の自主的取り組みを促進するとともに、利用者がサービスを選択するための情報提供することを目的としていると認識をいたしております。サービスの質の向上に向けた自主的な取り組みの促進、サービスを選択するための情報提供、いずれをとっても、できるだけ多くの福祉サービスの事業者がまずはこの第三者評価を受審していただくことが重要なわけであります。
 そこでお伺いをするわけでありますが、制度開始以来、これまでにこの第三者評価を受審したことがある事業者の割合はどのくらいでしょうか。施設サービスと居宅サービス、それぞれでどのくらいなのか、お伺いをいたします。

○松浦指導監査部長 平成二十年度末までに福祉サービス第三者評価を受審した事業者の割合で申し上げますけれども、この施設サービス、これには特別養護老人ホームや障害者施設、認可保育所、認証保育所など、約三千二百の事業者がありますが、これら施設サービスの事業者全体の受審率は七四・〇%でございます。
 また一方、居宅サービス、これには介護保険制度における訪問介護とかデイサービス、ショートステイという事業で、約一万七百の事業者がございます。これら居宅サービス事業者全体の受審率は一一・三%でございます。

○山加委員 第三者評価を受審したことがある事業者の割合、施設サービスの事業者が七四・〇%、この数字もまだまだ低いなと思う数字でありますが、居宅サービス事業者、これが一一・三%、かなり低い数字だなと思います。
 この第三者評価、受審したいけれども、受審すると手間暇がかかる、それから料金が高い、そして、企業が受ける負担に伴うメリットがなかなか感じられない、そんな現場の声を私はよく耳にするわけでありますが、しかし、サービスの選択に資するという点では、この受審率の低い居宅サービス事業者の第三者評価の受審率を向上させること、これは不可欠であると考えます。
 そもそも、居宅サービス事業者の受審率の低い要因につきまして、都は把握されていらっしゃるのでしょうか。また、それに対して都がどのような対策をとっているのでしょうか。

○松浦指導監査部長 まず、施設系サービスに比べまして、居宅サービス事業者の受審率が低い要因でございますけれども、居宅サービスの事業者は経営形態、事業規模が多様でございまして、施設系サービスと同様の組織マネジメントに関する項目など、評価項目の体系がそぐわない面があったこと。また、訪問介護などの事業者におきましては、事務担当者が配置されていないところが多く、受審する上で業務負担があるためというふうに推測しているところでございます。
 そこで今年度から、従来の標準的な評価手法とは別に、組織マネジメントに関する評価項目を省略いたしました利用者調査とサービス項目を中心とした簡易な評価手法、これを導入いたしまして、訪問介護、通所介護などの居宅サービス事業者がいずれかの手法を選択できるようにして負担軽減を図っているところでございます。また、区市町村が居宅系サービス事業者に対しまして第三者評価の受審費用を補助する場合におきましては、東京都はその当該区市町村に対しまして、地域福祉推進区市町村包括補助事業で財政支援をしているところでございます。

○山加委員 ぜひとも、事業者の立場に立ってこの居宅サービス事業者の受審促進に向けた取り組みをさらに進めていただきたいと思います。
 さて、この第三者評価制度ができてから、平成十五年ですから七年近く経過をしているわけでありますが、この間、一定程度の受審実績が当然蓄積されてきたと思うんです。その受審実績の蓄積をサービスの選択に資するように、都民にわかりやすく情報提供する工夫が必要と思うわけでありますが、そしてまた、評価を受けることで自主改善の取り組みが進むことを考えると、この評価項目の内容をそろそろ見直す時期に来ているのかなとも考えるわけであります。第三者評価制度の改善に向けた取り組みと、そして都の所見をお伺いしたいと思います。

○松浦指導監査部長 まず、福祉サービス第三者評価結果の公表についてでございますけれども、とうきょう福祉ナビゲーションというインターネットサイトに公表しております。今、山加先生ご指摘のとおり、公表している評価結果をよりわかりやすく、活用しやすくすることが重要でございます。そこで、評価制度の説明や画面表示の解説を充実するとともに、評価結果概要の欄におきまして、当該事業者の評点と同一サービス全体の評点の平均、この両方をグラフで表示するようにいたしました。この結果、当該事業者における評価項目別の強み弱み、これがわかるとともに、同一サービス全体の平均との比較ができるようになっております。
 また、評価項目につきましては、お話ありましたように、第三者評価を開始してから七年目を迎えております。この間、介護報酬改定や、新しい保育所保育指針の施行などがございまして、これらを考慮するとともに、これまでの評価結果、評価項目ごとの取り組み状況の分析や検証を踏まえまして、さらに活用しやすく、よりよい評価項目、評価基準とするために、学識経験者や事業者代表の意見を聞きながら改定してまいります。
 平成二十二年度からは、特別養護老人ホーム、認可保育所、認証保育所の三つのサービスについて、この新しい評価項目に基づく評価を開始いたします。また、他のサービスの評価項目につきましても、今後順次見直しを行ってまいります。

○山加委員 ぜひとも、都は全国に先駆けてこの制度をスタートさせたわけでありますから、この第三者評価制度がさらに有効な制度となることを要望して、次の質問をさせていただきます。
 社会福祉法人についてお伺いをいたします。
 介護保険制度などの居宅サービスにNPO法人や企業など多様な事業主体が参入してきていますが、福祉サービスの主な担い手、やはり中心は依然として社会福祉法人であります。平成二十二年度予算案に社会福祉法人の経営強化事業として、社会福祉法人の経営改善及び法令違反の解消に向けた判断基準を策定し、対応策を講じることによって福祉サービスの水準確保を図るとあります。
 そこでまず、都内に社会福祉法人が今どのくらいあり、その社会福祉法人ができた経緯、さまざまであろうかと思いますが、どのような経緯で設立されてきたのか、まとめていただければと思います。

○松浦指導監査部長 まず、都内にある社会福祉法人の数でございますけれども、平成二十一年四月一日現在、九百九十六法人ございます。
 これらの社会福祉法人が設立された経緯でございますけれども、さまざまな経緯で設立されております。まず、戦前戦後からの民間の篤志家や慈善事業者、これらが、昭和二十六年に社会福祉事業法が制定されましたが、そのときに社会福祉法人の格を取得したものや、障害者など当事者により設立された団体から社会福祉法人に転換されたもの、また、医療法人が福祉事業を営むために参入したために創設したものがございます。
 また、制度改正が契機になったものもございまして、介護保険制度を契機に社会福祉事業を開始するために新たに創設されたものや、障害者自立支援法を契機にいたしまして、法内施設とするために創設されたものがございます。
 またさらに、近年におきましては、民間企業が社会的責任を果たす、いわゆるCSRの一環としまして、福祉事業に参入するために創設されたもの、また、個人や企業が土地や財産を有効活用するため新たに創設されたものというようなものがございます。

○山加委員 東京都は社会福祉法人に対して指導検査を実施していますけれども、平成二十年度における主な指摘事項として、経理事務処理が不適切、理事会などの開催が不適正、事業経営の管理体制、計画性が不十分などがあるとお伺いをしております。法人経営にこうした不適切な事情が生じる背景として、どのようなことがあると都はお考えなのでしょうか。

○松浦指導監査部長 お話のとおり、不適切な指摘事項がある社会福祉法人が少なからずございます。東京都は昨年七月に、学識経験者、弁護士、公認会計士、社会福祉協議会、区市職員などで構成されます社会福祉法人経営適正化検討会というものを設置いたしまして、多様な福祉ニーズに対応した良質なサービスが持続的かつ適切に提供されるために、社会福祉法人の経営機能の強化、経営基盤の確立など、経営の適正化に向けた方策などについて検討しているところでございます。
 この検討会の中で、こういう課題のある社会福祉法人の背景について議論されまして、まず、法人や事業の経営を理事長、施設長に任せきりにしており、理事会、評議員会が形骸化していると。また、監事による内部監査機能が果たされていないこと。
 二番目としまして、一つの施設だけを運営している社会福祉法人の中には、財政基盤が弱く、スケールメリットが見込めない法人がある。また、介護保険法などによりまして、措置制度から契約制度に移行いたしましたけれども、自立的な経営にふなれな社会福祉法人にとりましては、こうした変化に対応できず、厳しい経営環境になっていると。また、組織や事業をマネジメントする機能が弱い社会福祉法人があるなどが背景として挙げられているところでございます。

○山加委員 ご答弁によって、さまざまな課題を抱えている法人があるということがわかりますけれども、では、この社会福祉法人経営強化事業では具体的にどのようなことを実施していく予定なのでしょうか。

○松浦指導監査部長 先ほど申し上げました社会福祉法人経営適正化検討会におきまして、法人経営の適正化のために、理事会や監事の機能を活性化させるとともに、法人の事業をマネジメントする、いわゆる法人本部の機能を充実させること。また、社会福祉法人の抱えている課題をできるだけ早期に発見し、早期に対応することなどが重要であるというふうに指摘されております。
 そこで、平成二十二年度の社会福祉法人経営強化事業といたしまして、まず第一に、理事や監事が求められる役割をきちんと果たし、理事会機能を向上させるための役員機能強化研修を実施いたします。
 第二に、社会福祉法人の課題を早期に発見する基準や、課題解決に向けた方策を作成いたしまして、幾つかの法人でモデル実施といいますか、その試行を行いまして、それを検証し、課題の早期発見、早期解決の仕組みを構築していくということとしております。さらに、社会福祉法人の適正な経営のためには区市町村と連携することが重要でございまして、そのために、区市町村が社会福祉法人に関与する、その関与のあり方に関するガイドブックを作成いたします。
 こうしたことなどによりまして、社会福祉法人経営の一層の適正化を支援していく考えでございます。

○山加委員 福祉サービスの利用者が安心して必要な福祉サービスを継続的に利用できるためには、この社会福祉法人を初めとするサービスの提供事業者が経営機能の強化、経営基盤の確立など、経営の適正化に努めることが最も重要と思うわけであります。
 東京都は、経営適正化検討会での検討内容を受けた社会福祉法人経営強化事業を引き続き実施をいたしまして、この指導検査による改善指導、福祉サービス第三者評価を受けた法人の自主改善と相まって、社会福祉法人が適正な経営のもとにより質の高いサービスを提供できるように、どうか指導、支援をしていただきたいと思います。
 また、制度上に課題があれば、例えば、社会福祉法人に対する指導に関する規定の充実など、国に提案要求すべきものは国にしっかりと要求していくということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○野上委員 私の方からは、最初に、要約筆記事業についてお伺いいたします。
 障害に至った経緯はさまざまですけれども、人生の途中で聴力を失ってしまうということは大変につらいことですし、また、人とのコミュニケーションがとれない状況は仕事等でもかなり厳しいものがあると思います。
 特別支援教育では、例えば手話とか口語、口語というのは口の形を見て何を話しているのかを知る方法ですけれども、幼いころから学習をしてきているコミュニケーションの伝達手段がありますけれども、中途で失聴された場合は、会話の手段は筆記が中心になるのかなと思っております。また、一対一あるいは少人数でお話をする場合には、紙に書いて、それをお互いに見せ合ってコミュニケーションをとることができますけれども、大勢で会議形式の場合には、中心者の人の発言内容を要約して、例えばオーバーヘッドプロジェクター、OHPのような機械で拡大をして共通のコミュニケーション手段として使うことが、一番手っ取り早くて皆さんが理解できる方法だと思っております。
 中途失聴、難聴者のコミュニケーションの支援の一つであります要約筆記者派遣事業、これについては先ほど議論がありましたので、ちょっと飛ばします。十八年度までは東京都が実施主体であったと。十九年度から障害者自立支援法で区市町村事業になったと。それでも東京都は、二十年度は経過措置として、都の事業として実施をしてきた。二十一年度からは、要約筆記者派遣事業が、全面的に東京都から区市町村事業として案分方式という形で実施をされるということに決まったということなんですが、実施主体が都から区市町村に変わっても、東京都が実施してきた方法とほぼ同様に利用できるように、区市町村、あるいは要約筆記者の派遣センターとの間で調整を行ってきたという先ほど答弁がございました。
 しかし、利用者の方からは、事前に参加者の名簿を出さなくてはならない、それが利用の制約になっているという声もあるんですね。このことについて東京都のお考えをお聞きいたします。

○芦田障害者施策推進部長 グループ派遣を都事業として行ってきたときには、事前に区市町村ごとの利用者を把握して、その人数を申請していただくこととしておりました。区市町村が実施主体になっても、区市町村ごとの利用者を把握して申請することにおいて、都事業のときの申し込み方法と比べても大きな変更はないものと考えております。
 本事業は、他のコミュニケーション支援事業と同様に、利用に際しましてはあらかじめ参加者の居住する区市町村に申請を行うことが前提となっております。また、参加者の都合等で急に利用者が変動することも考えられますが、当日に利用者の名簿を修正することも可能となっておりまして、その最終的な名簿に基づいて、派遣センターが各区市町村に請求をすることとしておりますことから、事前の申請方式を求めることが利用の制約になるとは考えておりません。

○野上委員 確認すれば、参加者の都合で急に欠席をしたり、あるいは申し込んでいない人が急に参加をしても、当日に利用者の名簿を修正できるし、その最終名簿を使って派遣センターが各区市町村に請求することができるということですよね。だから、五十人とか百人とか大きな会場で参加した人が、必ず自分の区市、名前等を記入して会場に入るようにするとかの確認が大事ということだと思います。そうすると、特定の区市ばっかりで派遣通訳の費用を負担するということはなくなるということでよろしいでしょうか。確認をしておきます。
 それともう一つ、区市町村によっては利用回数の時間の制限があるということを聞いております。東京都の事業で実施していたときはこのような制約はなかった。特に役員の方とか、かなりこの通訳派遣事業をたくさん使う方が利用回数を全部使ってしまったとか、時間も全部、自分の分は使ってしまったときに、その方が例えば急に病気になったりとか、日常生活で使いたいのにもう全部使ってしまったというようなときに、要約筆記が利用できなくなるということはないんでしょうか。そこら辺をお聞きいたします。

○芦田障害者施策推進部長 まず最初の点でございますが、派遣センターが区市町村に請求をするときには、最終的な利用者の名簿に基づいて、その利用者が居住する区市町村に案分をして請求するということになっておりますので、特定の区市町村に請求するということではございません。
 また、二点目でございますが、この事業は、各区市町村が地域の実情等に応じて実施をしていくものでありますことから、区市町村によりましては、利用回数や時間の上限を設けているところもございますが、病気などで病院にかかるときや日常生活に必要があるときなど、利用内容に応じまして実情を踏まえて運用されており、日常生活に困難を来すようなことがないように対応していると考えております。

○野上委員 ぜひ日常生活に支障がないようにお願いしたいと思っております。
 次に、障害者自立支援法では、都道府県は市町村の地域生活支援事業の実施体制の整備状況やその他、地域の実情を勘案して関係市町村の意見を聞いて、市町村にかわって事業を行うことができるという一文があるんですが、このことについて都の考えはいかがなんでしょうか。
 もう一つ、盲ろう者、これは視覚、聴覚両方に障害のある方々へのコミュニケーションの支援は、都道府県が地域生活支援事業として、東京都が主体実施なんですけれども、同様にこの要約筆記事業を東京都が実施するということは考えられないんでしょうか。先ほどは考えられないといっていたんですけど、どうでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 まず、盲ろう者支援の事業についてでございますが、この盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業につきましては、障害者自立支援法に基づく都道府県の地域生活支援事業に位置づけられております。また、利用者数も少なく、地域での支援体制がまだできていないことから、東京都が事業実施をしているものでございます。
 それから、市町村の地域生活支援事業についても、市町村にかわって事業を行うことができるというような規定はございますが、要約筆記者の派遣事業につきましては、グループへの派遣についてはすべての区市で既に実施をしております。また、利用実績につきましても、都事業として実施していたときと比べてふえておりまして、各区市において定着をしていることから、引き続き区市町村が実施していくべきものと考えております。

○野上委員 盲ろう者というのは、これから区市での把握をする状況なので、東京都が一括して支援することが望ましいと思います。ぜひこの要約筆記事業については、事業者の方が使いやすい制度にしていただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
 次は、精神障害者地域生活支援についてお伺いいたします。
 この精神障害者の施設での社会的入院から、地域での自立と社会参加という流れがあって、より一層、地域で生活する精神障害者を支えるための取り組みがこれまで以上に求められていると思います。
 先日、葛飾区にあります精神障害者を対象とした就労支援施設と地域活動支援センターを視察させていただきました。就労支援施設では、細やかな作業をしていたり、日ごろはパンをつくって、それを売って、障害者の方々が焼いたパンを売る場所を昨年、葛飾区でも開所して、そこで売りに出しているということで、あいにくちょっと水曜日お休みということで見学することはできなかったんですけれども、さまざまな営業活動をしておりまして、仕事、ハローワークなどの研究機関との連携のもと、利用者と相談しながら就労に向けての必要なプログラムを提供しておりました。就職活動の支援、また就職後のサポートなども行っており、こうした施設は自立をした生活を目指す障害者にとっては、精神障害者にとっては、これからますます重要だなということを感じた次第であります。
 また、就労支援施設と併設されていた地域活動支援センターは、いつもはここに卓球台が置いてあったところなんですが、そこに机といすを用意していただいてお話をお聞きすることができたんですけれども、このセンターにも来られる人は二通りあって、みずから進んで来ている人と、もう一つは、家庭内でずっと引きこもっていて、保護者の方がレスパイトという要素もあって連れてきて、そこで過ごすということ、この二通りあるということをおっしゃっておりました。
 しかしながら、相談を受けられる方が何かあれば必要なサービスにつながることが必要なんですけれども、家に引きこもってぐあいが悪くなっても、医者にかからず必要な医療すら受けずに入退院を引き返す例も多いということで、ぜひこの訪問サービスの充実が必要ということでした。
 このようにぐあいが悪くなった精神障害者を支えて、適切な医療につなげるため、来年度新たに都内で三つの精神保健福祉センターで訪問型支援のモデル実施が予定されているので、この事業について何点か伺います。
 このアウトリーチモデル事業というんですかね、を実施する精神保健福祉センターの基本的な役割と、その主な事業内容について伺います。

○芦田障害者施策推進部長 精神保健福祉センターは、精神保健福祉法に基づきまして都道府県に設置される機関でございまして、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及の促進、調査研究、精神障害者に関する相談指導のうち、複雑または困難なものなどを行うこととされております。精神保健福祉センターでは、精神保健福祉に関する専門相談、普及啓発、区市町村等関係機関に対する技術援助のほか、デイケア等の通所訓練なども行っております。

○野上委員 予算書を見ると、未治療や治療中断で症状が悪化し、家庭内や地域で問題行動があるなど、地域定着が難しい精神障害者に対して、このアウトリーチ支援チームが出かけていって、要するに、地域生活の安定化を図って、関係機関の職員に対しても援助支援技法の普及を図るというすばらしい制度なんですけど、かなり専門的なことを行っている方が行かないと厳しいかなと思うんですが、この職員の職種についてお聞きいたします。

○芦田障害者施策推進部長 精神保健福祉センターの職員は、精神科医師のほか、保健師、看護師、心理士等の専門職種を配置しております。

○野上委員 この精神保健福祉センターは、これまで培ったノウハウを生かして、地域活動支援とか関係機関支援を重視する方向に機能転換をし、その一環として、訪問型支援のモデル事業を行うとのことですが、このモデル事業の実施目的についてお伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 このモデル事業につきましては、地域で生活している精神障害者が、医療の中断等により症状が悪化して地域定着が難しい事例について、地域の関係機関と共同して家庭等に訪問することにより、安定した地域生活の継続を図ることを目的としております。あわせて、地域関係機関と連携して支援することを通じて、区市町村等関係機関の支援対応力の向上を図るものでございます。

○野上委員 この事業によって支援する精神障害者の方はどういう人というか、どういう状況にある人を対象として行うんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 本事業の対象者でございますが、未治療や治療中断など、医療機関にかかっていないために、家庭内や地域で問題行動がある方や、措置入院を繰り返している方、あるいは病院から退院した後に生活が不安定になった方など、地域生活を続けていくことが困難になった方を支援していく予定でございます。

○野上委員 この事業は具体的にどのような形で実施されるのか、実施内容についてお伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 この事業は、区市町村の要請に基づいて、精神保健福祉センターの医師や保健師などの専門職チームが、区市町村との密接な連携により、支援対象者の事例検討を行った上で訪問調査を行い、支援方針を決定いたします。治療の必要のある方に対しましては、治療のための通院や入院を支援するとともに、日常生活を送る上での相談、助言、地域活動支援センターなど、関係機関との支援ネットワークによる地域生活安定化に向けた支援を行っていく予定でございます。

○野上委員 この精神保健福祉センターの専門的なノウハウを活用したモデル事業であることがよくわかりました。
 精神障害者を地域で支えていくためには、身近な地域における支援体制の整備が重要であります。区市町村の対応力の強化が不可欠です。この事業を通じて地域の対応力をどう強化していくのか、所見を伺います。

○芦田障害者施策推進部長 本事業は、区市町村や保健所との密接な連携のもとで、精神障害者を訪問支援していくものでございまして、事例を通じて地域における困難事例に適切に対応できる人材の育成を進めてまいります。また、精神保健福祉センターは専門機関として、区市町村等関係機関職員を対象に支援ノウハウについての研修を行うこと等によりまして、地域の対応力の強化を図っていきたいと考えております。

○野上委員 このモデル事業の内容はよくわかりました。
 この事業を実施する中で、より効果的な支援手法を検討していただいて、なるべく早期に本格実施をしていただきたいと思います。この精神保健福祉センターや地域の関係機関が密接に連携して支援を行うことにより、地域で生活する精神障害者支援のより一層の充実を期待しております。
 次の質問に移ります。若年認知症についてお伺いいたします。
 この若年性認知症の支援につきましては、二千二百二十九万五千円という予算がついております。都内には六十五歳未満で発症する若年性認知症の方が約四千人いると推計されております。しかし、都内には約二十九万人いると推計されている認知症高齢者の方に比べれば、極端に数が少ないために、今まで若年性認知症の特有の課題と支援策について、なかなか十分な検討がされてこなかったという現状がございます。
 こうした中で東京都は、若年性認知症特有の課題に配慮した支援策を検討するため、平成二十年に若年性認知症支援部会を設置したとお伺いしております。
 そこでまず、ことしの二月に支援策の検討を終えた若年性認知症部会では、そこでどのような提言がなされているのか、お伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 お話しの若年性認知症支援部会では、若年性認知症の本人、家族の実態調査や、区市町村の相談窓口と介護サービス事業者に対する対応状況等についての調査を行うとともに、家族、関係者からのヒアリングなどを行いまして、生活上の課題について分析したところでございます。
 その結果、若年性認知症の方の支援におきましては、単に症状への対応策のみを考えるのではなく、生活全般を支援する視点で施策を構築すべきであることが指摘されてございます。
 また、若年性の認知症は、原因の疾患が多様で症状も大きく異なる一方で、個々の疾患の発症数は少ないことから、疾患ごとの対策を講じることは非効率的であると。そこで、若年性認知症の多岐にわたるニーズに既存の医療介護サービスが柔軟にこたえられるようにする必要があることなどが提言されております。
 具体的には、情報提供や相談体制の充実、相談、早期診断など医療分野における取り組みの促進、介護サービスの質の向上、それから就労や職場における支援、経済的支援の五つの分野について具体的な対応策が提言されてございます。

○野上委員 この前、私も若年性認知症を支援する会に参加させていただいたんですけれども、かなり東京都では、前向きにいろいろな対策をやっているという、全国の方が駆けつけてきたんですが、東京都を非常に褒めておりました。その中で、東京都で二十一年度から若年性認知症支援モデル事業というのを実施しているんですが、このモデル事業の事業内容、そしてそのねらいについてお伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 若年性認知症支援モデル事業は、認知症高齢者とは異なる若年性認知症特有の課題に対するサービスのあり方を検討するため、公募により二事業者を選定し、今年度から三年間実施することとしております。江戸川区では、特別養護老人ホームなぎさ和楽苑におきまして、特養のスペースを活用して就労型のデイサービスを実施し、若年性認知症に適した個別性を重視したプログラムの開発に取り組んでおります。
 また、目黒区のいきいき福祉ネットワークセンターにおきましては、若年性認知症の人の家族の介護保険や障害福祉など、多岐にわたる相談をワンストップで受けるとともに、情報の提供、関係機関との連携、それに各種手続の支援などを行い、本人、家族の支援についてのノウハウを蓄積することを目的として事業を実施しているところでございます。

○野上委員 若年性認知症については、発症時にばりばり仕事をしていたという、そういうような方が多いために、企業や職場での対策を推進することは極めて重要だと考えております。しかし、若年性認知症の人の数が少なくて、企業において、この支援のノウハウ、そういうものもなかなか蓄積されていないことから、企業においては若年性認知症対策の推進を企業の自助努力にゆだねるしか方法がないんですね。
 そこで、最後にこうした観点から、来年度にどのような取り組みを行うのか、具体的な方策について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 ご指摘のとおり、企業における若年性認知症への理解を深め、支援体制を構築することは、この病気の早期発見、早期診断に大変有効であり、早急に取り組むべきであると考えております。そこで、職域保健や企業のメンタルヘルス対策の核となっております産業医に対しまして、若年性認知症について研修を実施し、早期発見と企業内の支援体制の構築を図ってまいります。これにより、当該企業における就労の維持や、傷病手当金等の円滑な支給手続などにも寄与するものと考えております。

○野上委員 「明日の記憶」という映画がありましたけれども、そのモデルとなった方も、前の前の会には来ていらっしゃって、まだちょっとおっしゃっておりましたけれども、やはり企業の中で、この産業医対策ってすごく大事じゃないかなと思っております。年をとると、だれしも認知状況が出てきまして、歌手の名前とかなかなか出てきませんけど、こういうのとまた違って、若年性認知症というのは、人格までだんだん破壊されるという大変厳しい状況なので、こうしたしっかりとした手だてをしていただければと思っております。
 次に、自殺対策についてお伺いいたします。
 まだまだ厳しい状況が続いておりまして、不況と自殺というのが折れ線グラフで見ると関係性が深くて、こういうような経済状況とか、また、雇用情勢、なかなか好転していないということで、昨年、二〇〇九年度には全国で三万二千七百五十三人の方がみずから命を絶っていると。毎日九十人の方が自殺で亡くなっているという現状がございます。
 東京都の自殺者数は、ここ何年間は二千七百人前後で推移しているということなんですが、例年三月は企業の決算期ということで、一年の時期で三月が一番自殺が多い月ということで、東京都では三月を自殺対策強化月間と位置づけて、毎年キャンペーンを行ってきております。
 国の方も、やっとことしから三月を自殺対策強化月間と位置づけて、広告等によるキャンペーンとか開始しておりますし、また、つり革広告とか、お父さん、眠れていますかとテレビでも放映をしている状況です。
 東京都では、キャンペーン月間には講演会とか広報といった普及啓発活動に加えて、自殺や多重債務等の相談機関が連携して、特別相談として、普通よりも相談時間を延長するなど、相談体制を強化しております。自殺を考えなくてはならないほど悩んでいる方にとって、電話相談というのは最後の最後に頼るところではないかと思っております。自殺予防を進める上で大変重要な役割を担っております。
 この特別相談以外の通常の自殺に関する電話相談は、これまで、いのちの電話とか、自殺予防センターとか、こころの耳とか、こころの健康相談統一ダイヤルとか、また、子どものチャイルドラインとか、たくさんやっているんですね。民間団体が中心となって悩みを持つ方々の声を受けとめてきておりますが、これらの電話の相談では深刻な相談が多いことから、一件当たりの相談時間が長くなって、時間帯によってはなかなか電話がつながらないということもあります。電話回線をふやして対応しようとしても、相談員は主にボランティアでやっておりますので、なかなか育成するのに時間がかかるということもあって、すぐに体制を強化することは難しいと聞いております。
 このような状況を受けて、私は昨年の第四回定例会の厚生委員会で、都として自殺予防の電話相談体制の強化を図るべきであるという質問をいたしましたが、今回、平成二十二年度予算に東京都自殺相談ダイヤルを計上していただき、都として新たな電話相談事業に乗り出そうとしていることは高く評価いたします。
 そこで、この事業に関して何点か質問いたします。この電話相談の役割と目的について、まず最初にお伺いいたします。

○住友保健政策部長 自殺の背景には、心の問題や経済、家庭の問題など、さまざまな問題が複雑に絡み合っており、それぞれの専門相談機関はあるものの、当事者にとってはどこに相談すべきかの判断は必ずしも容易ではありません。平成二十二年度に新たに開始する東京都自殺相談ダイヤル、こころといのちのホットラインという名称でございますけれども、これは自殺を考える相談者の背景にある複雑な問題を受けとめ、これを解きほぐした上で、適切な専門機関に確実につなげていくことを目的としております。
 現在、民間団体等が実施しております電話相談を補完する意味からも、比較的電話がつながりにくい午後二時から十時までの間、相談を実施する予定でおります。

○野上委員 まず悩みを一義的に受けとめる窓口として電話相談を実施することは、自殺予防に必ず資するものと期待されます。できるだけ早い時期の開設が待たれますが、一方で、相談を効果的にするためには質の高い相談員が求められると思います。相談員の育成、また、相談員の確保を早急に行って、早期の開設を目指すべきと考えますけれども、所見を伺います。

○住友保健政策部長 電話相談員の育成につきましては、今年度から創設されました地域自殺対策緊急強化基金を活用いたしまして、技能向上のための研修を開始しております。
 具体的には、自殺予防の電話相談員として働く意思のある臨床心理士、精神保健福祉士等を対象といたしまして、実習も含めて十日間の研修を行うもので、今年度中に約五十名が研修を修了する予定でございます。自殺相談ダイヤルでは、この研修修了者も活用して相談員を確保いたしまして、平成二十二年四月中の開設を目指してまいります。

○野上委員 四月中の開設ということで、一日も早いこの事業の開始を望んでおります。
 自殺を考える方の背景には、多重債務、雇用や労働、心の問題、また多岐にわたる問題があります。これらの問題を一つ一つ解決して、ほぐれた糸を解きほぐすようにして解決をしていかなければならないのですけれども、本人はどこに相談したらよいのかわからないことが多いと思います。
 先ほどご答弁がありましたけれども、自殺相談ダイヤルでは、相談者の悩みを確実に専門相談機関につないでいくということですが、受けとめる側の専門相談機関との連携協力体制がなければ問題の解決にならないと思います。都ではこれまで、相談機関同士のネットワークの構築を進めてきています。このネットワークも活用することにより、自殺相談体制の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。

○住友保健政策部長 都では、自殺の背景となるさまざまな要因について、相談機関が連携して解決を図る体制といたしまして、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを構築しております。自殺相談ダイヤルでは、相談者のご希望を伺い、了解を得た上で、このネットワークに参加しているさまざまな分野の専門相談機関に直接連絡をとるなど、より確実に橋渡しを行い、相談者の問題解決に向けてサポートすることとしております。そのため、自殺相談ダイヤルと相談・支援ネットワークの連携体制を構築いたしまして、自殺予防に向けた相談体制を強化してまいります。

○野上委員 ぜひネットワークを活用して、関係機関としっかり連携をとり合っていただきたいと思います。
 また、事業開始に当たっては、都民への周知、これも大事な観点かと思っております。今後、電話番号も決められると思いますが、覚えやすい番号を工夫していただき、あわせて事業についての周知も広く行っていただきたいと思っております。また、この電話相談事業とあわせて、身近な人の異変に気づき、しかるべき機関へつなげる役割を果たすゲートキーパーの養成と、かかりつけ医へのうつ診療充実強化研修なども重要です。これらの既存の事業についても引き続き推進し、自殺対策の一層の強化を図っていただくよう要望します。
 次の質問に入ります。
 次は動物対策でございます。これは、一三八ページに予算案が載っております。現状なんですけれども、今、子どもの数よりもペットの数の方が多い、こういう実態があります。多くの動物が各家庭で飼われているかも、はかり知れないわけでございます。また、子どもが育った後の空の巣症候群という、心が空っぽになってしまって、生きる意欲がわかないときに犬とか猫を飼うことによっていやしの効果が抜群といわれているわけでございます。
 しかし、飼っている人の高齢化に伴いまして、散歩に連れていけなくなったとか、転勤でやむなく、どうしてもここに捨てないといけないとか、いろいろな事情が発生いたします。
 私の住んでいる水元公園にも、三月の終わりから四月になると、多くの犬がつながれたまま放置してあります。犬は帰巣本能がありますので、かなり戻ってくる確率が高いんですが、戻ってこないようにしっかりとつながれている、本当に見ていてかわいそうだなと思う現状が多々あります。
 全国の犬の登録数というんですか、それが六百八十万頭いるそうですけど、東京都の犬の年間登録数はおよそ四十七万頭となっております。一方、全国では年間三十万頭を超える犬とか猫が殺処分されております。しかし、東京都では、殺処分の数を何とか減らしていこうとの思いで、多くの工夫をしながら取り組みを行って、殺処分される数はかなり少なくなっていると聞いております。大体、全国の数の十分の一が東京都の数というイメージがあるんですが、三十万頭殺処分されていると三万頭ぐらいかなというイメージがあるんですけれども、いろいろ工夫をしてきた都の取り組みと東京都の年間の殺処分数についてお伺いいたします。

○鈴木健康安全部長 都は、犬、猫などの飼い主に対しまして、命ある動物を適正に飼い養う適正飼養の普及啓発、安易な飼養の放棄を原因とする引き取りの抑制、それから、収容した動物の譲渡事業を推進する、これらの取り組みによりまして、致死処分数の減少に努めております。
 その結果、平成十年度には一万五千頭を超えていた犬、猫の処分数は、平成二十年度には五千六百八十六頭にまで減少いたしました。このうちおよそ七割の四千百九十四頭は、拾得したものから引き取った出生後間もない子猫で、育成困難なため譲渡できないものであります。こうした猫をふやさないためにも、区市町村が行う不妊去勢など、地域における飼い主のいない猫対策に対して都として財政支援を行い、子猫の処分数の減少に努めております。

○野上委員 引き算をすると、子猫以外で殺処分される数が千四百九十二頭ということだと思います。
 それともう一つ、ちょっと関連して、狂犬病についてですけれども、数年前までは一〇〇%の予防接種ができていましたけれども、今なかなか狂犬病の予防接種、一〇〇%に達していないということがあります。狂犬病になると確実に死に至るということで、かなり危険な要素があるわけですけれども、狂犬病の予防接種は本来、飼い主が責任を持って実施すべきものだと思いますが、登録が年一回から生涯一回へという改正もあって、残念ながら、かつての接種率に比べて近年は減少傾向にあります。
 東京都の狂犬病予防接種率の現状と接種率向上に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○鈴木健康安全部長 平成二十年度の都内の犬の狂犬病予防注射の接種頭数は三十五万三千六百四十七頭であり、同年の犬の登録頭数四十七万二千二百八十三頭に対して、接種率は約七五%となっております。
 都はこれまで、東京都獣医師会、区市町村及び動物取扱業者などと連携いたしまして、動物病院での登録や注射などの手続の簡素化、また飼い主に対する普及啓発、販売時に新たに飼い主となる人への説明の徹底など、接種率の向上に向けた取り組みを進めております。

○野上委員 東京都のホームページを見ますと、収容した動物の情報とかが出ております。いろいろの状況がわかるように出ておりますけれども、ある程度の期間載せて、引き取り手がいなかったら多分それは消去してしまうんでしょうけれども、この東京都のホームページの内容についてお伺いいたします。

○鈴木健康安全部長 都では、飼い主から離れて迷ったり負傷したりした犬、猫などを動物愛護相談センターに収容しております。収容した犬、猫等につきましては、センターのホームページに動物の種類、収容した場所、収容日などの情報を画像とともに掲載をしまして、迷い犬、迷い猫などを探している飼い主が情報を検索しやすくすることによりまして、飼い主へのご返還の推進を図っております。

○野上委員 この収容以外にも、飼い主から直接引き取った犬とかもあると思うんですが、飼い主に返還できなかった犬も含め、それらの犬はどうなるんでしょうか。

○鈴木健康安全部長 安易な飼養の放棄を抑止する観点から、引き取りをその飼い主から求められた場合には、まず、みずから新しい飼い主を探す努力、これを求めまして、真に引き取らざるを得ない逼迫した状況に限り、有料で引き取っております。あわせて、都では動物の生命を尊重し、できるだけ生存の機会を与える観点から、収容後、飼い主に返還できなかった犬や飼い主から引き取った犬について、都が開催する譲渡会、それから登録された動物愛護団体を通じた譲渡事業、これらを推進しているところでございます。
 平成二十年度は二千百八十五頭の犬の収容等を行い、このうち飼い主に返還された犬は千百九十七頭でした。残りの九百八十八頭のうち五百七十三頭、約五八%ですが、この犬については新たな飼い主に譲渡できております。最終的に譲渡に適さないと判断されたものにつきましては、やむを得ず処分をしております。

○野上委員 どの犬も最終的に譲渡をしてもらいたいんですけれども、どのような犬が最終的に譲渡に適さないと判断され、殺処分されるんでしょうか。

○鈴木健康安全部長 攻撃性が強いなど、人及び社会環境に順応性がない犬等は譲渡にはどうしても適さないと判断し、やむを得ずできるだけ苦痛を与えない方法により致死処分をしております。
 なお、これまで申し上げてきました飼い主に対する適正飼養の普及啓発、安易な飼養放棄の抑止、譲渡事業の推進等の取り組みにより、平成十年度には二千二百九十三頭であった犬の処分数は、平成二十年度に四百十五頭に減少しております。今後とも処分数がさらに減少するように努めてまいります。

○野上委員 動物を、その動物が亡くなるまで最終飼養することは、子どものころから命の大切さを学ぶことが必要であり、そのための動物ふれあい教室というのは非常に重要な事業と考えております。四千四十七万円の事業でございますけれども、動物ふれあい教室の実施内容についてお伺いいたします。

○鈴木健康安全部長 動物ふれあい教室は、児童期から動物に親しみ、命の大切さを体感することで、動物愛護精神を養うとともに、動物による事故防止、感染症予防を図る目的で実施をしております。小学校低学年を対象に、平成二十年度には都内六十二カ所の小学校で開催をいたしまして、合わせて三千四百二十人の児童の参加がありました。動物ふれあい教室では、犬の心臓の音を聞かせることですとか、実際に犬にさわってみる体験などを織りまぜた学習としておりまして、今後も内容を工夫しながら実施してまいります。

○野上委員 私の実家でも犬を飼っているんですが、その犬は、実は保健所に行く前の犬を、おいっ子がどうしてもかわいそうだ、うちで飼いたいといって引き取った犬をいまだに飼って、十二歳になるんですが、ちょっとよぼよぼしているんですけれども、飼っております。(発言する者あり)まだ元気でかわいいんですけれども、だんだんそうなってくると思うんですけど--いいたいことは何かというと、最後に動物の殺処分をしない国とかもありまして、例えばドイツなどは犬を飼うときに、最初に登録料、税金ですか、そういうものを納めていただいて、最終的に自分でどうしても飼えなくなった場合には、引き取って晩年までしっかりと面倒を見てくれるシェルターがあるんですね。この殺処分にされるような、人にかみつくどうもうな犬とかも引き取ってくれて、豊かな余生を送らせてくれるというんです。文化が違うので何ともいえないんですけれども、ここは団体とか企業の寄附で、このシェルターが行っているということなんです。最終的には殺される犬がゼロになるように、今後とも努力をしていっていただきたいということを要望しておきます。
 最後になりますが、住居喪失不安定就労者サポート事業についてお伺いいたします。
 今回、インターネット端末利用営業の規制に関する条例、新たにこれが制定されまして、インターネットカフェ等の営業者に対して、本人確認義務等が課せられることになりました。この規制により、身分証明書を持たずに本人確認ができない住居喪失不安定就労者がインターネットカフェ等を利用できない場合、TOKYOチャレンジネットで対応することになると思うんですが、TOKYOチャレンジネットの現在の実績についてお伺いいたします。

○庄司生活支援担当部長 都はインターネットカフェや漫画喫茶などに寝泊まりしながら不安定な雇用形態で就労する方々に対しまして、全国に先駆け平成二十年度より、生活安定化総合対策事業の一環といたしまして、生活、居住、就労の相談や資金貸し付けを行う住居喪失不安定就労者サポート事業、いわゆるTOKYOチャレンジネット事業を実施しております。
 平成二十年四月の事業開始から本年二月末現在までに、電話やメール等による問い合わせは六千八百九十九件ありまして、来所し継続的な相談のための登録を行った方は千七百八十四人でございます。このうち、住宅資金などの貸し付けを受けた方は二百八十七人、求人を紹介し就職に至った方は三百九十九人でございます。

○野上委員 私も警察・消防委員会の人たちと一緒に、このインターネットカフェの視察というか見学に行かせていただきました。一番最初に行ったインターネットカフェというのは、身分証が要らないインターネットカフェなんですね。そこにいらっしゃる方たちと--次に行ったところは、ちゃんと自分の身分証明書を登録して、何月何日何時から何時までこのパソコンを使ったのはだれだということがはっきりとわかるインターネットカフェだったんですね。ちょっと内々で話したんですけど、やっぱり、雰囲気が全然、客層が違うなっていうのをちょっと感じたんですね。
 そういった意味で、何というのかしら、このインターネットを利用していろいろな犯罪等が行われている現状であれば、そういう、このパソコンでだれが発信したということがわかるように、犯罪抑止につながるのではないかなって、私は個人的にはそう思うんですけれども。
 確かに、その寝泊まりしている人がたくさんいるインターネットカフェで、そういう事業が始まると、その人たちがうわっと追い出されてしまう。そうなってくると大変だということで、この福祉保健局の出番というような感じになってくると思うんです。この住居喪失不安定就労者サポート事業を初め生活安定化総合対策事業に、今後ともしっかりと福祉保健局が取り組むべきと考えます。そこで局長の決意を伺うのが一つ。
 もう一つ、この児童ポルノですね。この、みだりに所有しない責務を負うという児童ポルノの所持についても、警察・消防委員会の方でも、きょうやっているんだと思うんです。この児童ポルノっていうのは、自分の子どものヌード、裸を親が撮って、それを売り買いをしているというこの現状っていうのは。自分の子どもの裸を撮って自分で見るのはそうでもない、かわいいなと思うね、先ほどいってましたようにかわいいなと思う人もいるのかもしれない。それを売り買いに使ってるっていうのは、これは私はもう最大の児童虐待ではないかなというふうに思っているんですよ、思うんです。
 そういうこともありまして、あわせて安藤福祉保健局長にお伺いいたします。私の質問はこれで終わります。

○門脇委員長 二つとも局長ですね。

○野上委員 はい、二つとも。

○安藤福祉保健局長 今日の大変深刻な経済雇用情勢の中で、生活に困窮していらっしゃる都民の方が、みずから生活安定への道を切り開けるようにということで、国に先駆けてお話の生活安定化総合対策を行ってまいりました。
 引き続き、本当に支援が必要な方々について、みずから生活安定への道を切り開けるように、そして、都民がそれぞれ活躍して明るい展望が持てる社会の実現に取り組んでいくというのが使命だと思っています。そのため、インターネットカフェ等で寝泊まりしている方々に対しましては、これからも就労支援や生活支援など、生活の実態を踏まえた的確な支援を講じていきたいと思います。
 青少年の健全な育成に関する条例の一部改正についての見解でありますけれども、本会議でもご質問いただきましたが、性的虐待は子どもの心に大変大きな傷を残しますので、その未然防止が重要であるというふうに思います。
 ポルノグラフィーの被写体などを子どもに強要したり、あるいは性的行為を見せることなどは、やはり性的虐待であるというふうに思いますので、お話の条例は、性的虐待の防止対策の一つというふうに、一つになり得るのではないかというふうに私は考えております。

○門脇委員長 質疑の途中ですが、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時十二分開議

○門脇委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○大山委員 私からも質疑させていただきます。予算の審議、付託議案そして報告事項です。大変情けない格好で申しわけございませんけれども、よろしくお願いします。
 私からは、まず要約筆記者派遣事業、それから自立支援法の新体系に移行するための条例に関して、それから精神保健センターのこと、それから東村山老人ホーム、それから国保、そして保育ということで、順次、なるべく重複は避けて簡潔にいきたいと思います。
 まず、要約筆記者派遣事業なんですけれども、きょうも先ほども二人の委員の方から質疑がありましたし、私も二月十九日の厚生委員会でも少し触れましたけれども、改めて重なりを避けて質疑したいと思います。
 要約筆記者派遣事業、十八年度までは東京都が実施していましたから、都内すべての聴覚障害者、聴覚障害者団体が利用できる制度でした。しかし、十九年の四月から要約筆記者派遣事業は、区市町村の必須事業だからということで、東京都は実施しない、広域利用は参加者が居住する区市町村が案分するんだということを、二月十九日の委員会でも答弁をしておられます。
 しかし、先ほども、傍聴の方、大勢いらっしゃいましたけれども、東京都が要約筆記者派遣事業を廃止してしまったために、中途失聴、難聴者のコミュニケーション保障を奪っていること、それから、当事者にとっては使いづらい制度になっているということなんですから、やはり改善していくということが求められているわけです。
 難聴だとか聞こえづらい方というのは、私たちの周りにも多くいらっしゃいますし、加齢による聞こえづらさなども含めて、とりわけ高齢になってからですと、なかなか手話を覚えるのも大変です。ですから、当事者の方々、字にしてくれる要約筆記者というのは、中途失聴の方にとってはとても使いやすいものです。だからこそ当事者の方々は、東京都がこの事業を廃止してしまったということに本当に困っているということなんですね。
 基本的なことですけれども、東京都は、要約筆記が中途失聴者、難聴者にとって、個人としても、それから集団であっても有効なコミュニケーション方法だという認識でしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 要約筆記によるコミュニケーション支援は、手話を理解できない中途失聴、難聴者にとりまして効果的なものであると認識をしております。

○大山委員 重要なコミュニケーション手段なんだという認識ということは確認をするということと、先ほど、実施していないところでも希望する人がいれば実施する用意はあるんだというのが各自治体だという答弁もありましたけれども。やはり実施していないところではぜひ実施してほしいということを東京都が促していくことも重要だと思っています。
 今回は、いわゆるグループ派遣といいますか案分方式の問題です。中途失聴、難聴者は、住んでいる地域を超えて集まり話し合うことがしばしばなんだというのは、東京都中途失聴・難聴者協会のホームページを見ても、その活動は全都の方々を対象としています。昨年度までは東京都のグループ派遣制度を利用することができましたけれども、今年度からはグループ派遣制度も廃止になりました。それにかわるものとして、参加者が個別に住んでいる区市町村に利用申し込みをする案分方式にせざるを得なかったということですね。
 この案分方式の欠点が二つ挙げられていて、一つはさっきからも話が出ているけれども、十人前後目安にしている。これについては、派遣協会が四人以上でも派遣できるんですよという答弁がありました。これは改善になるのかなと思いますので、ぜひ、こうやって積極的に改善していってもらいたいと思います。
 もう一つの重大なことは、参加者が事前に確定できない集まりでは、だれが事前に申し込むか把握できなくて、要約筆記の準備に不安があるんだということですね。そのため集まりの主催者は、事前に間違いなく参加する人を探し利用の申し込みをお願いするなど、大変な作業を強いられているということについて先ほど質疑がありました。このような負担を強いるということが、聞こえない、聞こえにくい方々が少しずつ広げてきた社会参加に対する大きな妨げをつくるものだと思わないのかという質問がありましたけれども、それについても、東京都が実施していた申込方法とほぼ同じなんだと。だから、名簿を修正することも可能だから、利用の制約になるとは考えていないと先ほど答弁されました。
 東京都が実施してきた申込方法とほぼ同じなどといっていますけれども、東京都がやっていたとき、わざわざ名簿を事前に提出などさせていたんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 グループ活動への要約筆記者の派遣を利用するに当たりましては、あらかじめ参加者の区市町村に申請を行うということになっておりますけれども、東京都のときの申込方法につきましても、申請者が区市町村ごとの利用者数について把握をして、その人数を申請することとなっておりましたので、大きな変更はないものと考えております。

○大山委員 私が聞いたのは--人数を申請することになっているといったわけですよね、名簿は提出する必要はありませんでしたよねっていうことなんです。

○芦田障害者施策推進部長 都が事業を実施していたときの申込方法については、人数を申請するということで、名簿の提出までは求めておりません。

○大山委員 主催者が大まかな集会の参加者数を把握するというのは、これは常識なんですよね。部屋がどの部屋にしようかとかっていうことも含めてありますから、それは当然ですから、人数どれぐらいというのは、それは大まかな把握というのはできるんですよ。しかし、名簿を提出するというのは、基本的に大まかな把握とは別次元の話になるわけですよね。中途失聴・難聴者協会の皆さんは、特に東京都の場合、住んでいる区市町村を超えて交流し集まることが毎日の生活なわけです。そのようなさまざまな区市町村から集まる人たちに対する情報保障を求めていたわけですね、いるわけですね。それにこたえてきたのが東京都の要約筆記者のグループ派遣の制度なわけです。
 結局、不特定多数の中途失聴者、難聴者が集まる場合、事前に参加者が確定できないために、一部の中途失聴、難聴者のみが、各居住区市に派遣を依頼する形をとらざるを得ません。さっきも出てましたね。その結果、参加者が五十人でも百人でも、特定の区市のみが通訳費用を負担することになって、区市にとっても不公平なんですということなんですね。
 東京都は、このような当事者からの要約筆記者派遣の案分方式の弊害の意見、これについてどのように把握していますか。

○芦田障害者施策推進部長 ご質問の、案分方式の弊害について把握しているのかというお尋ねでございますが、この案分方式につきましては、区市の地域を超えて利用する場合に、利用者の住まいの区市町村が共同して要約筆記者を派遣して、区市町村が応分の負担をするようにしたものでございます。
 実際の運用に当たりましては、利用者の都合等で急に予定が変更となることなどが考えられますが、そのために当日の参加者の名簿を修正することも可能となっておりまして、その最終的な名簿に基づいて区市町村に請求することとしておりますから、このことが利用の制約になるとは考えておりません。

○大山委員 そんなことをいっていますけれども、当事者が、区市の応分の負担にもなっていないということだし、それから、非常に使い勝手が悪いんですよって、こう声を上げているわけですよね。どうして聞こうとしないのかというのが非常に不思議です。
 要約筆記もそうですし、基本的な考え方として、要約筆記もそうなんですけれども、手話通訳もそうですけれども、コミュニケーションというのは一人では単独では成り立たないわけですよね。皆さんも経験すると思いますけれども、聴覚障害者の中に手話を使えない自分が一人いるとき、自分はコミュニケーション障害者だってことを実感するわけですよね。みんなが楽しそうに手話でおしゃべりしていても、何が楽しいのかわからないし、私が話すことを伝えてもらおうとすれば、要約筆記の方に要約筆記してもらったり、手話通訳者が必要なわけですね。
 だから、コミュニケーション支援というのは、耳が聞こえない人のためだけではなくて、そこにいるすべての人たちがコミュニケーションするために必要な支援なんですよね。ですから、要約筆記者派遣を、コミュニケーション支援を、個人の支援だと位置づけること自体が誤りだと思っています。
 だからこそ、参加者全員を代表する形で、集まりの主催者が要約筆記の利用申し込みをできるような制度にすることが求められているわけです。
 都として、このような要約筆記派遣制度を実施すること、これが求められていると思いますが、どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 この事業につきましては、区市町村地域生活支援事業の必須事業としてのコミュニケーション支援事業に当たりまして、その利用に際しては、他のサービスと同様に区市町村が利用者の状況を把握することが基本となります。
 この事業について、平成二十一年度におきましては、ニーズのある区市町村では事業実施ができておりまして、とりわけ区市町村が共同して全体投影方式による要約筆記者を派遣するこのグループ利用の仕組みにつきましては、全区市町村が協力して実施する体制が整備されて定着をしております。利用実績もふえていることから、都がこの事業を区市町村にかわって実施していく考えはございません。

○大山委員 定着しているっていうことを、よくいえるかと思うんですけれども、定着していたのは、東京都がやっていた要約筆記者派遣事業ですね。定着していたのは、責任者が申し込めば使えた団体利用です。東京都がそれを区市町村の事業だといって、二〇〇七年度には個人利用をやめて団体利用をグループ派遣にし、二〇〇八年度にはグループ派遣を案分方式にしたわけです。
 障害者自立支援法は、市町村の地域生活支援事業の実施体制の整備の状況、その他の実情を勘案して、区市町村の意見を聞いて、当該市町村にかわって市町村の地域生活支援事業の一部を行うことができるということになっているわけですよね。都としても、区市町村の必須事業だから、そんな硬直的なことをいっているんじゃなくて、個人利用だって区市町村だって、もうやっていていいわけですよ。
 東京都も、主には団体利用を中心にきちんと利用者の実情を把握して、都としての事業に踏み切ればいいじゃないですか。どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 先ほどからご答弁申し上げておりますように、この事業については区市町村の事業実施の体制が既に整備され、定着し、利用実績もふえております。また、より使いやすい制度にするために、要約筆記者の派遣センター等とも調整しながら、あるいは区市町村にも働きかけをしながら対応しているところでございますので、都がこの事業をかわって実施する考えはございません。

○大山委員 かわってじゃないんです。東京都も団体派遣を実施すればいいんですよ。それで、区市町村の必須事業であっても、そうやって踏み切ればいいわけですし、東京都が行っていた最後の要約筆記者、グループ派遣の予算、見てみたら、〇八年度は四百万円ですよ、予算。こんなわずかなこともできないのかと、本当に情けない状況です。
 中途失聴者の団体の方々がさっきも傍聴に来ていましたけれども、報告ですと六人の要約筆記者の方が一緒に見えたわけですね。耳が不自由だっていうことだけで、議会の傍聴一つとっても、これだけの準備をしなきゃいけないわけですよね。本来だったらいつでも、耳が不自由な方でも傍聴をしようと思えばいつ来てもいいですよ、OHPもありますよ、それから磁気ループだってあるから補聴器の人も聞きやすいですよって、そういう、やはりユニバーサルデザインにしておくべきだと私は思います。
 それにしても、さっきからいろんな方にも答弁していますけれども、区市町村の必須事業だから東京都はやらないというんじゃなくて、やはり、これだけ各会派も取り上げ、それから当事者の方が使いにくいんだっていってるわけですから、せめて当事者の方々から意見だとか何が困っているのかとか聞き取る、それぐらいはやってもいいんじゃないんでしょうか。どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 この事業に限ったことではございませんが、東京都が行う障害者施策につきましては、障害当事者あるいは障害者団体等から意見を聞いた上で実施をしているところでございます。

○大山委員 それならば、これだけの意見が、使いにくい、それから団体派遣してほしいということが出ているわけですから、ぜひとも当事者の団体の皆さんから意見を聞いて、改善していく方向で検討していってもらいたいと思います。
 次に、身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例と、知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例と、東京都障害者支援施設等に関する条例、これは、身体障害者の五施設と知的障害者の三施設を--自立支援法の新体系に移行するための条例改定で一体なものですね--自立支援法の抜本見直しということがいわれているこの時期に、どうして急いで移行させる必要があるんですか。

○芦田障害者施策推進部長 国は、平成二十五年八月までに障害者自立支援法を廃止して、制度の谷間がなく利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくるとして、具体的な事項につきましては、障がい者制度改革推進本部等で検討するとしております。障害者自立支援法におきましては、平成二十四年三月末までに新体系サービスへ移行することが義務づけられておりまして、全国的にも四五・五%の施設が既に移行をしておりまして、国も引き続き新体系サービスへの移行の促進を図るとしているところでございます。
 これらのことから、都としましては、新たな法制度ができるまでは現行法に基づいた新体系サービスへの移行が必要と考えておりまして、原則として都立障害者施設については、新体系サービスへ移行をしていく予定でございます。

○大山委員 二十四年三月末までが義務づけなんだ、それから今、検討している最中、だから別に急ぐ必要はないと思うんですね。それで、八つの施設のうち大きな変化があるのは、東京都視覚障害者生活支援センターですね。うちのすぐ目の前なんですよ。この自立支援センターは、私の先輩議員で緑内障から失明した元議員がここにお世話になりまして、今ではもう白いつえを使ってどんどん外に歩いていくし、声楽を習ってコンサートまでしているという、点字まで読めるようになっちゃったというね、目は見えなくなったけど、自立したり、それから社会生活を積極的に送る上で本当に重要な施設だと実感しています。よく路上も、白杖を持って訓練をしている人たちが毎日いらっしゃいます。この視覚障害者生活支援センターは、現在、入所訓練と通所訓練がありますが、通所のみにするということですが、その通所のみにしてしまうという理由は何でしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 視覚障害者生活支援センターは、主として中途で視覚に障害を受けた方に対しまして、歩行訓練や日常生活上必要な訓練を実施することにより、障害者が自立した生活を送ることを目的とした施設でございますが、これまで入所定員三十名、通所の定員が十四名で運営をしてきたところです。この数年間、入所利用の希望者が大幅に減少し、今後も新たな利用者が見込めない状況であることから、入所を廃止して、利用者の多い通所に特化したものでございます。

○大山委員 確かに入所の利用者は減っています。しかし、この減り方には特徴があるんですね。平成十六年は十五人、十七年度は十四人、ですからこれ、ほぼ横ばいといっていいんですけれども、平成十八年になると、急にそれが六人になるんです。十八年度から何があったかといえば、自立支援法による利用者負担が変わったんですね。利用者負担は十七年度と十八年度でどう変わったんでしょうか。わかりやすいように、低所得者と一般世帯で比べてください。

○芦田障害者施策推進部長 障害者自立支援法の施行によりまして、利用者負担は所得に着目した応能負担から、サービスの量と所得に着目した応益負担の仕組みとなり、また食費、光熱水費等についても実費負担となりました。
 そのため、障害者自立支援法施行前と施行後の利用者負担を比較いたしますと、例えば住民税非課税世帯のうち、障害基礎年金二級のみの場合、低所得一という区分に該当いたしますが、平成十七年度は三万二千円の利用者負担であったものが、平成十八年度は三万一千八百三十円と、百七十円減少しております。
 また、住民税非課税世帯の中で、障害基礎年金一級のみの場合、低所得二という区分の場合ですが、平成十七年度は三万二千円の利用者負担であったものが、平成十八年度は四万五千二百四十円と、一万三千二百四十円の増となっております。
 また、住民税課税世帯の場合、これは障害基礎年金等の所得が百二十五万一千円、総収入に換算しますと三百二十一万九千円の場合でございますが、平成十七年度は三万二千円の利用者負担であったものが、平成十八年度は七万二千五百七十円と、四万五百七十円の増となっております。

○大山委員 結局、一般世帯でも年収が三百二十一万っていうの、ぎりぎりで課税されている人ですよね。その方々が一カ月三万二千円で利用できていたのに、七万二千五百七十円、倍以上。半年入所すると約四十四万、これは大きいですよね。入所利用者が減ったというのは、費用負担の大きさも影響が大きいといわざるを得ないわけです。自立支援法だと、入所定員の最低が三十人ですね。支援センターの方も、お話を伺いますと、三十人の入所定員を埋めるのは困難だと、十人、二十人でも認めてくれるというんだったらまた違ってくるんですがねと、こう話していらっしゃいます。
 やはり、自立支援法と利用者の実態との乖離が問題なんだと思うんですね。だからこそ、自立支援法の抜本改定という、今、このような、法と実態の乖離についても積極的に都としても国に上げていくべきだと思います。入所部門がなくなるということは給食がなくなるということで、要望があればお弁当の手配はするんですけれども、途中で失明した方が訓練しに通ってきているところで、お昼に食堂などに行って、入って食事をするということ自体、大変なことなんですよね。ですから、決して急ぐ必要ないといわざるを得ないと思います。
 中途失明する人の原因というのは、大体糖尿病だとか緑内障だとか、網膜変性症などといわれていますけれども、このセンターでは、まず一人で歩けるようにすること、また点字だとか音声パソコンの学習、それから調理、裁縫など、その人に合わせて訓練しているというんですね。来年度からは新たに就労移行支援で十人始めますということで、復職のためのノウハウだとか、就労に結びつくようにしたいとおっしゃっていました。通所のみにしてしまうということですから、通いたいと考える方が通えるように保障することが、東京都としては責任があるわけです。
 視覚障害者の移動支援、これは区市町村の地域生活支援事業ですね。各区市町村でガイドヘルパーの制度には差があるのが現状です。このセンターに通所する場合も、全面的に、一年ぐらいですから、どうぞ使ってくださいって認めている区もあれば、なれるまでの一、二カ月程度という自治体もあるということなんです。どの自治体に住んでいても通所のときにガイドヘルパーが欲しいというときにはつけることができるように、都としても責任があると思いますけど、どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 ガイドヘルパーの事業は、屋外での移動が困難な障害者等に対しまして、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出の際の移動を支援する事業で、区市町村の地域生活支援事業の移動支援として実施をしているところでございます。本事業は区市町村の地域生活支援事業であることから、通所の際にガイドヘルパーの利用を認めるかどうかは、各区市町村が地域の実情に応じて判断をしていくべきものと考えております。
 なお、視覚障害者生活支援センターでは、自力で通所することも訓練の一環と考えておりまして、訓練開始時にはガイドヘルパーを利用する利用者もいらっしゃいますが、最終的にはガイドヘルパーの支援なしで通所することが可能となっております。

○大山委員 入所の部分をなくしておいて、通所だけにしておいて、その通所のためのガイドヘルパーは区市町村の判断なんですというのは、ちょっとそれは無責任だと思います。一カ月で使える時間数が決まっていて、それを超えると自己負担しなければならないという自治体もありますよ。通所の場合はせいぜい一年程度で、平均すると八カ月から九カ月くらいの人が多いというんですね。
 このセンターの人にも聞きました。ガイドヘルパーを必要なときにつけられるというのは、規制、この時間までだとか、あと一、二カ月でおしまいだとかという、そういう規制がなくて、必要なときにつけられるというのは、自分で選択できる、その余地をきちんと保障することが重要なんだとセンターの人もいっているわけですよ。一人で行ってみたいというときにはヘルパーさんを頼まなくてもいいし、頼みたいときには、時間だとか期間で制限するようなことがないように、東京都としてもきちんと通所の保障というのは責任を持ってもらいたいと思います。
 もう一つは、中途失明者が社会に参加し、自立した生活を送ることができるように、必要な人を自立支援センターにつなげるための施策です。中途失明の方々が生活支援センターに通うかどうかというのは、なかなか踏ん切りがつかない、そういうところもあるらしいんですね。生活支援センターも体験訓練なども行っていて、体験訓練に参加した方は、大体半数ぐらいは通うようになるというんですね。その体験訓練の存在をどこで知るのかといいますと、区市町村です。
 視覚障害者のための講習会や訓練事業の二十年度の実績、もらいましたけれども、歩行訓練だとかパソコンなどの講習だとか便利グッズの紹介など含めて、研修やセミナーなど、何らかのことを行っている自治体は十六区、四市です。仲間ができるとか、こんな便利なものがあるんだとか出てきて、仲間がいるから社会に出ていくことができるんだ、こういうことなんですね。
 この各地域での事業を充実させていく上で重要な役割を果たしているのが、都立障害者センターで実施している福祉、医療関係者向けのセミナーだっていうんですね。このセミナーを受けた自治体で、生活支援のセミナーが始まったり、区市でのセミナーに参加した方が東京都視覚障害者生活支援センターを知って、通所するきっかけにもなっているんです。さらに、この障害者センターでの事業を拡充することが求められていますが、どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 心身障害者福祉センターで行っておりますセミナーは、中途視覚障害者の相談支援に携わる区市町村の職員や地域の関係機関職員、医療関係者等を対象に実施をしておりまして、障害の理解を深め、相談支援のノウハウなどを提供しているところでございます。今後とも引き続きセミナーを実施し、中途視覚障害者に対する相談支援の普及及び質の充実を図ってまいります。

○大山委員 ぜひ積極的に進めていっていただきたいと思います。中途失明者の年間出現数はどれぐらいなんですかねって聞いたら、大体、推計すると二百九十六人程度と、三百人ぐらいの方が、やはり中途で失明しているんだということですから、そういう方たちのぜひ社会参加、自立支援ということで、引き続き拡充していっていただきたいと思います。
 次ですけれども、総合精神保健福祉センターのことです。
 先ほども質疑ありましたけれども、現在、中部総合精神保健福祉センターには、社会復帰病室定員二十名とホステル四十室、設置されていますね。この施設ができた背景には、七〇年代、そのころ入院中心で、松沢病院に入院している人が、なかなか退院できないし、退院させるにしてもどうしていいかわからない。そんな中で、家族会が知事に要望書を提出して、家に戻る前の生活訓練の場として設置されたと、全国的にも注目されたものだと聞いています。
 社会復帰病室では自己管理ができるようにするための病室で、服薬についても、自分で飲む意義も理解して、病状も理解して、精神症状が出かかったときに相談することができます。その後、ホステルという、いわゆるアパートのような六畳一間の部屋が一人一人に用意されていて、アパート生活の疑似体験ができる。日中は作業所などに行って、人とのつき合い方やストレスの対処法などを職員と一緒に力をつけていくところと聞いています。実際、アパートに出ていった後も難題がありますから、しばらくは職員がフォローして、いつでも相談できる体制になっていて、地域の保健師さんにその後、つなげていくという事業ですね。
 地域での生活に移行するために重要な役割を果たしてきた事業だと思いますけれども、福祉保健局はどう認識していますか。

○芦田障害者施策推進部長 中部及び多摩総合精神保健福祉センターの病室及びホステルにおきましては、これまで精神科病院を退院した方などを対象に生活訓練等を実施してまいりましたが、社会資源が未整備な状況において、精神障害者の円滑な地域移行に一定の役割を果たしてきたと考えております。

○大山委員 本当に頼りになる存在としてあるわけですね。この入所の部分を、四月から新規入所の受け付けを停止して、来年の三月で廃止するということですけれども、どのような経過でこの事業をなくすことになったんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 地域で生活する精神障害者の中には、医療の中断により入退院を繰り返すなどの困難な事例も生じており、地域における対応力の強化が課題であることから、精神保健福祉センターは、地域の関係機関への支援をより一層重視する方向に機能転換をすることといたしました。その一環としまして、平成二十二年度から、区市町村や保健所との密接な連携のもと、困難事例に対応できる医師、保健師等の専門職チームが地域に出向いて支援を行う訪問型支援モデル事業を実施することとしております。
 また、センターの病室及びホステルにつきましては、地域への移行支援やグループホーム等の地域生活基盤の整備が進んできたことから、来年度末に廃止をすることとし、そのノウハウを訪問型事業の本格実施に活用することとしております。

○大山委員 精神障害者の地域生活を支えるために、地域への移行支援だとかが進んできたんだとか、それから訪問型にモデル実施をするんだということですよね。精神疾患については、世界的には地域ベース、それから地域でのサポートという状況にはなっている。これは事実ですし、私たちもその方向には賛成です。
 しかし、日本や東京の現状はどうかということなんですね。精神科の病床数は、世界的には七〇年代以降、病床数はどんどん減っていますけれども、日本は高どまりという状況です。国際的には中間施設の段階は終わっているといわれていますけれども、日本ではまだまだといわれています。
 イギリスなどでは地域ケア体制が充実しているということになっていますが、例えば人口三十三万人のクロイドンというまちの地域ケア体制でいうと、八つの地域に分けていますから、基本的なケアを担う地域精神保健チームが、医師や看護師、心理士などを含めて十人の専門職がそれぞれの地域を基本的に担っていて、そのほかに積極的アウトリーチチーム、家族治療チーム、早期介入チームなどが、さまざまなチームが活動しているんですね。
 東京都精神医学総合研究所の西田淳志氏が家族会で講演した講演録も読ませていただきましたが、イギリスでは十年ほど前から精神疾患を国民の三大疾患の一つに位置づけて、予算も思い切ってつけて取り組みを始めたというんですね。地精審の中間報告にある精神科医療ネットワークモデル事業を多摩と区部の二圏域で実施するということですけれども、モデル実施などの規模だとか期間、それから予定というのはどうなっていますか。

○芦田障害者施策推進部長 来年度から実施を予定しております地域における精神科医療のネットワークづくりのためのモデル事業は、精神障害者が身近な地域で必要なときに適切な医療を受けられる体制整備を図るものでございまして、区部及び多摩のそれぞれ一カ所の二次保健医療圏で行い、期間は二年間を予定しております。

○大山委員 これからつくっていくという事業なわけですね。これからモデル実施ということなんですよね。地域ケア体制を充実する、より専門性の高いチームだとか各機関との連携も組み立てていくことが必要です。だからこそ、地精審でも、今後、議論を深めるべき事項として六項目を挙げているわけですけれども、挙げられたその議論というのは、これからなわけですね。にもかかわらず、先に入所の事業の廃止だけを決める、これはちょっとおかしいんじゃないかと。
 入所の部分は来年度末で廃止ということですけれども、現在、入所して利用している方は何人いらして、また入所待ちの人もいると聞いていますけれども、どれぐらいの方が待っていらっしゃるんですか。

○芦田障害者施策推進部長 平成二十二年二月末現在で申し上げますと、中部総合精神保健福祉センターの病室の利用者は二十人、ホステルの利用者は二十五人でございます。また、病室及びホステルの待機者は四十五人となっております。また、多摩総合精神保健福祉センターで申し上げますと、病室の利用者が十七人、ホステルの利用者が二十九人、病室の待機者が二十一人となっております。

○大山委員 利用者も大勢いる、それから利用者を超える待機者が中部にも多摩にもいるということですね。しかも、待機者として把握していないけれども、予定していた方々というのはもっといるんですね。
 ちょうど主治医の先生と中部総合精神保健福祉センターの病室とホステルを使って自立していこうかと相談していたお医者さんのところに、ファクスが来たというんですよね。それには、見学会で入所訓練部門の利用をご希望の皆様へという中部総合精神保健福祉センター所長名で、平成二十三年三月三十一日をもって病室、ホステルの業務は終了することとなりましたと書かれていたわけです。病室、ホステルについて、入所訓練は平均所要日数が一年を超えることや、現在でも利用申し込みを済ませて相談中や利用待機中という方が多数おられます、こうプリントに書かれているんですね。希望者が後を絶たないっていうことなんですよ。しかも、地域におけるグループホーム、ケアホームの整備や地域活動支援センターの設置など、生活基盤の整備が進んでいると書いてありますけれども、グループホーム、ケアホームの定員は、福祉保健局の資料でも千六十七人ですね。これがあいているというわけではありませんから、とても十分といえる数字ではありません。
 まだまだ、これからモデル実施が始まるというときに、現在、地域移行に役立っている事業を先に廃止することはありません。訪問してサービスするにしてもやり切れない部分、ぐあいが悪くなってしまって家族との冷却が必要な場合もあるし、バックアップ機能としても、病院ではない、入所できるようなところが必要です。
 モデル実施が二年間の予定だったら、そのモデル実施の実績なども検証して、社会復帰病室とホステルの役割をどう転換していくことが必要なのか検討することが求められているんじゃないんでしょう。どうでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 病室、ホステルを開設したのは、中部総合精神保健福祉センターが昭和四十七年、多摩総合精神保健福祉センターが平成四年でございますが、まだそのころは社会資源がほとんどなかった時代でございました。現在、精神障害者のグループホーム、ホームヘルプ、ショートステイについては、大幅に拡充をしてきているところでございます。そういったことから、病室及びホステルにつきましては来年度末に廃止をいたしますが、そのノウハウを訪問型事業の本格実施に活用をしていくとともに、見直し後の施設につきましては、症状の悪化などにより一時的に地域生活が難しくなった場合に、短期的に利用できる施設として活用していくことを検討してまいります。

○大山委員 もちろん、一時的に地域生活が難しくなったときに、短期的に、病院っぽいところじゃなくて、普通の住居のようなところで休息できるということは重要です。だからといって、待機者がさっきご答弁されただけいる、それから待機者になっていなくても、これから利用しようと相談していた人もいっぱいいる。そんな中で、必要とされている病室とホステルをさっさとやめてしまっていいということはないと思うんですよね。
 この事業を利用していた都民の方からお手紙が来ました。中部総合精神保健福祉センターのホステルが来年三月に閉鎖され、訪問に切りかえられる通知が二月中旬、知らされました。社会復帰へのステップとして大きな役割と安心を担っていたものですが、今後、訪問に切りかえる旨ですが、その内容は全く示されていません。ご心配されているんですね。
 先ほどの西田淳志氏の講演の中でも、早期支援サービスというのは、ユーザーもしくは家族の視点に立って何が必要かということを明らかにするという活動から生まれてきた、こうあるわけです。利用者に何の相談もなく一方的に通知を出す、信頼関係をも壊すようなことじゃないんでしょうか。モデル実施や、それを踏まえた今後のあり方については、利用者や家族会の方々と相談しながら実践していくことが求められていますが、どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 今後の訪問型のモデル事業の実施あるいは施設の具体的な活用につきましては、関係機関等の意見も聞きながら検討をしてまいります。

○大山委員 今後、関係者等の意見も聞きながらやっていくんだということですけれども、地域移行だとか、地域支援が一朝一夕で仕組みとして動いていくわけじゃないわけですよね。イギリスだって十年。だからこそモデル実施を東京都も行うといっているわけですから、しっかりモデル実施をしながら、当事者や関係者とも相談しながら、病室やホステルを並行して使いながら、地域中心に移行していくことが求められていることだということを述べておきます。
 次ですけれども、東村山の老人ホームです。
 この東村山の老人ホーム、ここは養護老人ホームですね。養護老人ホームを建てかえて、現在の六百六十三人の定員から二百人に、入所定員を三分の一以下にしてしまうというわけです。高齢者の住まいの問題がクローズアップされて、東京都も少子高齢社会にふさわしい高齢者の住まいのプロジェクトチームまでつくって力を入れているというときに養護老人ホームを縮小するということ、これはもう逆行しているとしかいいようがありません。東村山老人ホームは、老人福祉法に基づく施設が養護老人ホームですから、つまり六十五歳以上で環境上の理由及び経済的理由で居宅において養護を受けることが困難な方が入所できる措置施設ですね。
 第一には、経済的な理由ということで見るとどうでしょうか。高齢者の生活保護受給者は増加しています。福祉保健局の統計で見ますと、一昨年と昨年の十二月の数字で見ると、高齢単身者が約六万五千人から約七万一千人と、とりわけ高齢単身の生活保護受給者がふえているんですね。
 東京民主医療機関連合会が二〇〇七年に高齢者生活実態調査を発表しました。六十五歳以上の方々に訪問して、面接で聞き取った約二千人の調査です。この調査からわかったのは、第一には貧困。月収十万円以下が全体の四割で、収入階層別の健康状態は、収入が低いほど健康状態が悪いということもわかりました。介護認定を受けながら、利用料が高くて利用していない人も多いこともわかりました。第二には、高齢者の孤独。三割の高齢者が外出をほとんどしない、全くしない、心配事があるけれども相談相手がいない。七十五歳以上では、さらにこの状況が深刻になったという調査が発表されました。
 介護保険法施行以来、高齢者の問題は介護問題として関心が集中してきたわけですが、高齢者の抱える問題は、今るる述べたように貧困、それから住居、医療、孤立などさまざまな問題を抱えているし、それらに対応することが重要だと考えますが、どう認識していますか。

○狩野高齢社会対策部長 都では、医療や介護のほか、高齢者の日常生活を支えるさまざまなサービスが身近な地域で適切に提供できる体制づくりを進め、だれもが住みなれた地域で生活できるよう取り組んでおります。
 例えば要介護度が比較的低い低所得の高齢者の住まいの確保や、区市町村によるひとり暮らし高齢者の安否確認や見守りの事業等についても支援をしているところでございます。

○大山委員 高齢者の抱えるさまざまな問題に対応することは重要だということですよね。養護老人ホームは、貧困、住居、医療、孤立など、さまざまな生活問題を抱えた高齢者が入所できる施設です。ますます役割は大きいといえます。
 昨年の三月十九日、ちょうど一年前、群馬県渋川市の静養ホームたまゆらで火災が発生して、十名もの高齢者が犠牲となりました。群馬県にある施設ではありましたが、入所者の多くが都内の生活保護受給者でした。
 その後、福祉保健局は、昨年の六月五日に生活保護受給者の有料老人ホーム等の利用実態調査を発表しましたが、有料老人ホームに入所している方が千八十人、そのうち都外に七百六十五人が法外施設に入所していることがわかったわけですね。ヒアリングの結果として、親族の援助が得られない単身高齢者で、認知症、精神疾患等と思われる人が多く、このことにより、生活管理、家事や金銭管理、服薬管理等ができず居宅生活が継続困難となった事例が多いとなっていますが、まさに養護老人ホームを必要としている状況ではないんでしょうか。介護度が高い人が多かったようですけれども、必要な支援が受けられずに介護度が上がってしまったということは考えられます。
 待機者が少なくなっていることを定員を減らす理由にしていますけれども、養護老人ホームの必要性は低くなるどころか、ますます高くなっているということではないんでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 都内の養護老人ホームの入所待機者数は、平成十年度末の二千九百七十人をピークに、平成十二年度の介護保険制度創設以後、在宅サービスの充実に伴い毎年減少しており、平成二十一年十二月現在では六百九十八人と、ピーク時の四分の一以下となっております。措置権者である区市町村からは、新規申請者は比較的短期間に入所しており、直ちに利用する意思がなく将来への不安から申し込んでいる方が約三割、それから先ほど委員がおっしゃいましたように、措置事由である環境上の理由及び経済的理由という措置事由に該当しない方が約三割申し込んでいるという状況だというふうに聞いております。
 さらに、平成二十年九月には、東村山老人ホームのすべての待機者四百七十三名について、悉皆調査を実施いたしました。その結果、既に他施設に入所済みであったり、入所意思がなくなったなどの理由により、二百六十二名が入所希望を取り下げました。その後、さらに待機者の状況把握に努めてきたところ、本年二月現在では待機者は六十九人まで減少しております。以上でございます。

○大山委員 そんなこといいますけど、養護老人ホームの入所者のうち都外で委託している人数、〇九年の十二月で二百六十五人。二百六十五人も都外の養護老人ホームにお願いしているんですよね。
 福祉保健局は二〇〇四年九月に、養護老人ホームのあり方についてという提言を出しています。その中には、都内養護老人ホームの過去五年間の推移を見ると、入所者、待機者数とも減少しているが、東京には大都市特有の社会問題であるホームレス問題があるとして、劣悪な環境で心身機能が摩耗し、また就労も困難な高齢者ホームレスについては、養護老人ホームへの入所が、身の回りの生活で必要なことをできる限り自分で行うという意味での自立を支援する重要な手段になると、養護老人ホームの必要性を認めているわけですけれども、この提言は撤回したんでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 高齢ホームレスへの対策として、これまで緊急一時保護センターや自立支援センターによる自立支援の取り組みや、平成十六年から開始をしましたホームレス地域生活移行支援事業による居宅での生活支援が進んできており、養護老人ホームを希望する高齢者ホームレスは減少しております。
 ちなみに地域生活移行支援事業では、戸山公園や新宿中央公園等のブルーテントからアパート等の居宅に移った方が約二千人おりますし、ちょうどこの提言がされた平成十六年には、東京都内のホームレス数は五千五百名でしたけれども、平成二十一年の調査では、たしか半減して二千七百人になっているというふうに聞いております。
 一方、区市町村からは養護老人ホームにおける要介護高齢者の受け入れ体制の支援について要望が寄せられており、養護老人ホームに求められる役割は変化してきているというふうに認識をしております。

○大山委員 撤回してはいないわけですよね。そして、要介護者の受け入れ体制の支援を要望している。それから、今まで入っている人、いろんな困難を抱えている人、いろんなタイプの人が入所するわけですから、それは検討する必要があると思いますよ。
 さらに提言では、本人の申し出を待つよりも、行政機関が的確にニーズを把握して迅速に対応することを求め、養護老人ホームへの入所はこうした対策の一つであり、精神疾患などを抱えている場合などはこの必要性が一層増すことになると、行政による適切な対応を求めているんですね。
 今さらになって東京都は高齢者の住まいについていい出していますけれども、高齢者の大切な養護老人ホームや軽費老人ホームを減らしてきたのは東京都自身ですね。先ほどこの資料で出してもらいましたけれども、都立養護老人ホーム及び軽費老人ホームの施設数、定員数の推移、見ればもう一目瞭然です。平成十二年度には五カ所、定員数千五百人ありましたけれども、養護老人ホーム、十四年度に伊豆山老人ホームを廃止して、十六年度に吉祥寺と大森老人ホームを民間移譲、十九年度には板橋老人ホームを廃止、現在一カ所、六百六十三人の定員に激減させたんです。より自立した生活を送っていた軽費老人ホーム、二百十人居住できていたものを、十六年度で廃止にしてしまったんですね。
 東京都の勝手な縮小、廃止に、その都度、入所していた高齢者は翻弄されてきました。熱海湾を臨む高台に温泉つきの伊豆山老人ホーム、私も行ってみました。本当にいいところです。そこを廃止して潮見老人ホームに高齢者を引っ越させたんですよね。現在の東村山老人ホームには、板橋老人ホームに入所していた方も引っ越してきました。しかも、今回の廃止計画は余りにも唐突です。昨年十月八日に入所者に対して、青葉棟の老朽化と都市計画道路が建設されるからという理由で桜棟への転居をお願いしましたね。同年十一月九日には各区市町村に対して、転居実施に伴う入所停止についての情報提供をしています。
 二〇一〇年、ことしになって二月二日付で、東京都東村山老人ホームのあり方について、これが唐突に出され、現在の定員六百六十三人から二百人の定員に減らして民間移譲する計画を発表しました。その二日後に出した東京の福祉保健の新展開二〇一〇で、東村山キャンパス内に要介護者を受け入れる民設民営の養護老人ホームのモデルとして平成二十二年度以降整備を進めますと書き込む。本当に乱暴なやり方だと。廃止、縮小計画を当事者には相談したんでしょうか。

○飯塚参事 本年三月二日、東村山老人ホームにおいて説明会を開き、入所者の方々に対して、東村山老人ホームの民間移譲及び平成二十七年度を目途に廃止すること、定員規模の縮小計画について説明を行いました。これは大きな説明会でしたが、その後、フロアごとに説明を行い、入所者の方々の疑問や不安な点に対しても、誠意を持って回答、説明を行っております。
 今後、運営事業者の決定や新たな施設の整備計画の決定などの機会をとらえて、入所者の安心と理解を得られるよう、十分な説明を実施してまいります。

○大山委員 伊豆山から潮見に移されたり、それから板橋から東村山に移されたり、それから、昨年の秋には建てかえるから桜棟に移動してくださいねっていわれたと思ったら、今度は縮小、廃止です。もう本当に目まぐるしいというか、どうしたんだろうということですよね、入所している人にとっては。しかも、今、説明しましたっていいましたけれども、廃止、縮小計画を決めてからの説明ですよね。入所している方々とも相談もしないで、余りにも身勝手なやり方といわざるを得ません。都民不在です。上から押しつければ、それで済むというものではありません。
 もう一つの問題は、特定施設化を図って、都内特定施設養護老人ホームのモデルとして取り組むとともに、柔軟で効率的な運営を実現できるよう民間移譲だというわけですね。特定施設化ということは、介護保険のサービスを施設として申請して受け入れるということですね。現在、東京都内の養護老人ホームで、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定申請をしているところはあるんでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 現時点で都内では、特定施設入居者生活介護の指定申請をしている法人はございません。全国では平成十九年十月一日現在、九百五十八の養護老人ホーム中、約三百七十の施設が外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受けております。都としては、施設の建てかえ時の整備費補助などを活用して、外部サービス利用型特定施設に転換誘導していきたいというふうに考えております。こうした取り組みにより、養護老人ホームをひとり暮らしが困難な低所得で中軽度の要介護高齢者の受け入れを促進するよう進めてまいります。

○大山委員 東京ではただの一カ所も指定申請していない、これが事実なんですよ。なぜかということですよ。東京都社会福祉協議会の高齢者施設福祉部会は、地域福祉推進に関する提言二〇〇九で、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定申請を受けるところが皆無である理由を、指定を受けた場合の収支計算からして経営が成り立たないためであり、国の政策と現場の実態との乖離が大きいと述べています。東京では経営さえ成り立たないんですね。
 柔軟で効率的な経営を実現するから民間移譲などといいますけれども、民間社会福祉施設を運営している東京都社会福祉協議会の高齢者施設福祉部会が、経営が成り立たないといっているんです。全く現場実態を無視した机上の空論ではないんでしょうか。どう認識しているんですか。

○狩野高齢社会対策部長 全国の養護老人ホームの四割で既に特定施設として経営をしていることから見ても、条件によっては安定的な経営は可能だというふうに考えております。特定施設の経営収支について検討したところ、要介護者を一定程度受け入れることで安定的な経営が可能であるというふうに考えております。もう既に東村山老人ホームを含めて都内養護老人ホームの要介護者の割合は三割を超えております。必要な介護サービスを適切に提供するため、特定施設として指定を受けるなどの取り組みが求められているというふうに考えております。
 ちなみに東社協の高齢施設福祉部会の皆さんといろいろ意見交換をしておりますけれども、その中で彼らがいっているのは、現在の養護老人ホームは、職員が非常に高齢化をしているために人件費が高い。それから、高齢のために介護のスキルがないとかいうような理由で、今のままでは転換が困難であるというふうにいっているわけですので、まさに条件を変えて、これからやはり社会福祉法人の使命にかんがみて経営改革をすれば、こういった取り組みは十分可能だというふうに認識しております。

○大山委員 職員配置が薄過ぎるというのは、それはありますよ。同時に、養護老人ホームの支援員の仕事には、見守り、声かけ、指導、注意、職員と一緒の自立支援などがあるわけですね。支援内容のうち介護保険で対応できるものは、利用者への支援の一部にすぎないわけですよ。夜間のおむつ交換や状態見守り等は、現実には介護保険では対応できないから、結局のところ支援員が手を差し伸べるんだと。
 で、養護老人ホーム利用者に対する支援は、介護保険のサービスではカバーできないことが多くあること、これを述べています。さらに養護老人ホームは、ひとり暮らしが困難な高齢者のほか、ホームレスであった方や精神疾患患者の受け皿であったり、高齢者虐待による緊急避難場所としてのセーフティーネットの役割も果たしていますね。
 しかし、大都市東京の現状を踏まえた上の養護老人ホームのあり方や役割について、検討する場がないのが現状なんです。そういっているのが東京都社会福祉協議会の高齢者施設福祉部会ですね。東京都における養護老人ホームのこれからのあり方を検討する検討委員会の設置を求めているじゃありませんか。安易に民間移譲して、外部サービス利用型特定施設入居者生活支援のモデル施設などということではなくて、東京における養護老人ホームの今後のあり方を、高齢者の実態に即して検討する場を関係者とともに持つことこそ求められているんじゃないんですか。

○狩野高齢社会対策部長 都はこれまでも、養護老人ホームのあり方の検討を行う中で、各施設や区市町村に対して施設の入所状況等の調査をお願いし、意見を聞きながら進めてきているところでございます。施設長会議ですとか区市町村の高齢主管課長会等で、適宜情報提供も行ってきたところでございます。
 平成二十年には、先ほども申し上げましたように、利用者のサービス向上の観点から特定施設化を提案し、この間、数度にわたり意見交換をしてきたところでございますし、平成二十一年三月十九日のたまゆらの火災後には、東社協の養護分科会に赴きまして、この火災を受けて、養護老人ホームとして低所得単身中軽度要介護高齢者を積極的に養護老人ホームで受け入れるよう、養護を経営する社会福祉法人の使命として取り組むべきであるという提案もしてまいりました。
 今後とも、養護老人ホームが都民ニーズに真にこたえられるよう、強力に働きかけてまいります。

○大山委員 調査してきたんだとかっておっしゃいますけど、二〇〇四年九月に養護老人ホームのあり方について提言を出した以後に、集団的にきちんと議論したり調査したりしたことないですよね。もしも本当に東京都のこの姿勢を認めているんだったら、どうして東社協のその高齢者施設福祉部会が、東京都における養護老人ホームのこれからのあり方を検討する検討委員会の設置を求めるんですかね。ですから、きちんと今の実態を見てどうあるべきかというのを、ぜひ現場と議論して検討する場所を設置することが順当だと思います。
 もう一ついいたいのは、こうやって高齢者の住まいを奪っておいて、都型の軽費老人ホームなどといって、一人当たりの部屋を四畳半でつくってよい。これはちょっとおかしいですよね。土地代が高いからといって狭いところで我慢しなさいということなのかと。
 しかも、たまゆら火災からちょうど一年、つい先日は札幌市のグループホームでの火災で、また高齢者が犠牲になりました。九人の入所者に夜勤の職員が一人だけ。健康で文化的な生活を営む基本的な保障を東京都がきちんと果たすべきときで、東村山老人ホームは縮小ではなくて、老朽化だったら順次建てかえて、規模が大き過ぎるんだったら、より小規模な単位での建物に工夫するとかいろいろしながら、東京都として責任を持っていくことを求めておきます。
 次、国保ですけれども、国民健康保険料、もう今でも高くて払えない--国保料の収納率、特別区では、十六年度が八四・四一%ですね。その後、八四%、八五%前後で推移しますけれども、二十年度は、前年度の収納率よりも二・八四ポイントも下がって、八二・五〇%になりました。二割近い家族が保険料を納められないということなんですね。今年度の保険料は、給与所得者で三百万円の年収だと、夫婦で十四万四千七百十二円の保険料。家族が一人ふえると均等割が一人分ふえますから三万七千二百円加算されます。
 東京新聞の三月十二日の記事ですけれども、「国保料滞納『無保険』受診遅れ三十三人死亡」、こういう見出しのショッキングなニュースが報道されています。これは民医連の報告書ですけれども、考察の第一に、無保険者の増大化となっています。短期証六、資格証四、無保険事例が二十三であり、二十七件、七割以上が保険証も資格証も保持されない事例だった。国保料の滞納で保険証を失った世帯はかわりに資格証明書が交付されるが、失業後、手続ができなかった、非正規雇用の際、加入しなかった、させてもらえなかったなどの事例があったということで、いろいろな死亡例が報告されています。
 そればかりじゃありません。東京で板橋区で二十九歳の男性ですけれども、仕事はしているんです。雇用されているんですけれども、額面と実際に受け取る額が全然、乖離がどんどんどんどんあるんですね。二十何万の額面だけれども、いつも手元には、最終的には八万ぐらいになっちゃってるわけですよ。いわゆるワーキングプア。食べるのがやっと。額面は多いですから減免も申請できません。国保料も国民年金保険料も払えなくて滞納していて、毎月のように督促状が届いていました。区役所に行って分納する約束もしたんだけれども、結局支払うことができませんでした。差し押さえもあり得るという厳しい督促状が送られてきて、保険証のかわりに資格証が送られて、その一カ月後にみずから命を絶っています。男性の部屋には、国保料の督促状の束が置かれていました。破り捨てられた督促状も部屋には残されていたそうです。命と健康を守る国保が命を奪っている。
 二〇〇八年度の市町村国保の保険料収納率の全国平均が初めて九割を切ったということで、厚労省の担当者も衝撃であったと語っています。民医連の調査でも、直接の原因は国庫負担削減により生じた高過ぎる保険料、経済不況による所得の落ち込みによると分析しています。払えない国保料というのは東京だけの問題ではありません。国民健康保険制度は、国庫負担を五割として制度設計されたわけですけれども、徐々に国庫負担率が削減されて、その分、国民健康保険料が都民の生活実態とかけ離れて高くなっています。
 国保料を下げるためには、都として国庫負担の引き上げを国に求め、だれもが払える保険料にすることが必要だと思いますが、どうですか。

○宮垣地域保健担当部長 国民健康保険制度における医療給付費の負担割合は、公費五割、保険料五割とされており、その制度設計は変わっておりません。この公費五割については、都道府県調整交付金が創設されました平成十七年度以降は、国が四三%、都道府県が七%を負担しております。
 なお、これまでの国保制度の変遷を見ますと、退職者医療制度や保険財政共同安定化事業などが創設され、国保の財政規模全体が膨らんだ結果、相対的に国庫負担が歳入に占める割合、それが小さくなっております。医療給付費に対する国庫負担率が削減されているものではございません。したがって、国庫負担率の引き上げについて、国に提案要求する考えはございません。

○大山委員 歳入に対する割合が減っているんですよね。国民健康保険事業年報で見ますと、一九八四年には国庫負担率が四九・八%だったものが、二〇〇七年度にはわずか二五%になっているんです。その間に、一人当たり保険料がぐんぐん上がっています。きちんと直視すべきです。
 この保険証がない、それから保険料を払えない、医療費を払えないということが、命には直結しないですけれども、歯科医師からも深刻な状況が報告されています。まさに国の、口の中が崩壊している。保険証がない、治療費が払えないため治療を控えてきた。家も仕事もない、口の健康、これは全身の健康を左右する。だから八〇二〇運動も東京都だって推進してきたわけですよね。にもかかわらず、保険証がないために、それから医療費が払えないために、こんな状況になっているんだと。
 しかも、来年度の特別区国保料の値上げ。一人当たり六千円以上もの値上げです。これは後期高齢者医療制度と一緒に始まった前期高齢者交付金を国に返還するため、そのうちの五十億円を保険料で賄おうとしているからです。これはいっときのことなんです。
 今回だけのことだから、例えば国に対して分割清算にしてもらうとか、東京都が五十億円を貸し付ける、考えられるあらゆる手だてを尽くして、今の現状の中で値上げをしなくて済むようにするべきだと思いますが、どうですか。

○宮垣地域保健担当部長 平成二十年度に国から区市町村に概算交付されました前期高齢者交付金は、平成二十二年度に清算することが定められておりまして、国は、法令上の規定がないため、分割清算は不可能であるとしております。また、国民健康保険事業は保険者である区市町村の判断により運営されており、来年度の二十三区の保険料については既に特別区長会で了承されております。本件について、都として保険料の値上げを避けることを目的とする資金貸付を行う考えはございません。

○大山委員 清算の仕組みが、都民の命よりも優先するものなのかということなんですよ。都民がいかに医療から遠ざけられているのか直視すべきだと再度求めて、次の質問に移ります。
 最後、待機児問題です。
 待機児問題は、本当にこの数年大変な状況になっているわけですけれども、つい先日、三月十二日と十三日、全国の保育問題協議会が保育所ホットラインを設置しました。二日間で寄せられた電話、二百六件中九十五件が東京からです。約半数が東京から寄せられたわけですね。それだけ東京の実態が大変だということなんです。電話相談を担当した方にも話を聞きましたが、昨年、一昨年と比べても、この電話をかけてくる人たちの生活実態の厳しさ、これが本当に切実だったというんですね。そうなんですって。
 私たちは、ことしも保育施設に関する調査、全都のすべての自治体にお願いをして、すべての自治体から回答をいただきました。
 第一には、認可保育園の整備の問題です。四月からの認可保育所入所に備えて年末から申し込みが始まって、一月末日でどれぐらいの申込者がいるのか。昨年の同じ時点と比べますと、申込者数は二十三区だけでも三千七百四十七人増加して三万九千百八十九人になりました。昨年でも認可保育所に申し込んで認可に入れなかった乳幼児は九千九百九十一人ですから、ことし、今年度末で、昨年より定員は千七百二十三人ふえていますけれども、希望者は三千七百四十七人ふえています。ですから、認可保育所の入所希望者に見合った定数増とはいえないわけですね。
 今回、全都の区市町村の調査をしてみて重要だと思ったものの一つは、認可保育園の増設の取り組みが多くの自治体で始まっているということです。二十年度と二十三年度を比較しますと、江東区が十二カ所、練馬区が七カ所増設になり、中央区でも三カ所増になっていました。また、二十六年度末までの計画ですと、二十三区中十区が増設計画を持っているということなんですね。保育に欠ける子どもたちは認可保育所で保育しなければならない、ねばならない。児童福祉法における自治体の義務を果たすための努力を応援する、これが東京都の大きな役割です。
 今回の調査では、認可保育所整備のため都への要望があれば記入してください、こう質問をしました。その中で一番多かったのは安心こども基金、それから待機児童解消区市町村支援事業の延長と拡充についての要望でした。認可保育園を創設するためには、財政支援は第一番だということですね。二十六年度までの認可保育所の増設計画を聞きましたが、二十四年度以降、二十六年度末までの計画を持っているところだけでも十一区九市あります。
 これらにこたえるために、国にも要望して、東京都の区市町村支援事業もより拡充して延長することが求められていますが、どうですか。

○吉岡少子社会対策部長 保育所整備につきましては、平成二十一年度から安心こども基金を財源に補助をしております。基金による支援は平成二十二年度末までの時限措置となっておりますことから、平成二十三年度以降も継続する整備事業につきましても対象とするよう、国に対して改善を要望しております。
 また、待機児童解消区市町村支援事業につきましては、少子化打破緊急対策事業の実施期間である平成二十四年度末まで延長するとともに、平成二十二年度から補助率引き上げの要件を緩和するなど充実を図ることとしております。

○大山委員 国には要望しているんだと。区市町村だって認可保育園をつくるには見通しが必要ですから、二十二年度から補助率の引き上げの要件を緩和するという充実も図るんだということですけれども、期間の延長と抜本的な予算の増額、それから補助率の引き上げなどが必要です。
 公立保育所への整備費と運営費について、国も都も一円も出していないということは二月の厚生委員会でも明らかにしましたが、この一般財源化がいかに待機児解消に逆行しているかは、調査でもますます明らかになりました。二月のときに部長さんは、公立保育所の整備費や運営費について補助してほしいという項目は、特別区長会、東京都市長会からも出されていない、こう答弁していますが、私たちの調査では昨年も要望として遠慮がちながら出ていましたが、ことしは昨年の調査よりも公立保育園への補助を求める自治体がふえている、これが特徴です。調査の項目に、私たち、書いたんじゃないんですよ。公立保育園の補助はどうですかって、そんな誘導的な質問をしたわけじゃないんです。一般的に、認可保育所整備のため都への要望があれば記入してくださいという質問項目の中に書かれていたんです。いかに切実な要望なのかということですね。
 ある市では、認可保育所のうち公立保育所については、国の三位一体の改革の一環として平成十六年度から建設費及び運営費が一般財源化されました。このことは特に地方交付税不交付団体である当市にとっては非常に大きな財源負担を強いられており、待機児解消のための認可保育所整備に重大な支障を来しています、つきましては財源措置について、公立保育所設置状況と待機児童数など、各団体の実情による配分方式に見直すなどの配慮を国に働きかけていただくことを要望します、本当に控え目ですよね。公立保育所への補助がないために待機児解消に重大な支障になっている、明らかじゃないんでしょうか。この切実な声をどう認識していますか。

○吉岡少子社会対策部長 再三この委員会で申し上げておりますとおり、公立保育所の整備費補助につきましては平成十八年度から一般財源化されております。また、待機児童解消区市町村支援事業によりまして、三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む自治体に関しましては、本来、区市町村が負担すべき額も二分の一に軽減するなど、都独自の補助を行っているところでございます。

○大山委員 再三いっているっていいますけれども、この区市の声をどう認識するのかということですよ。待機児解消に本当に責任を持つのかということですよ。やむにやまれずこういう要望ですといっているわけですよね。結局、今の答弁は、私立保育園の整備に出しているんだからその分助かるでしょう、そういうことですよね。
 しかし、区市町村がいっているのは、公立保育所が多い中で、公立保育所への補助の復活なんです。別の市の担当者も、私立、法人に対する施設整備及び入所児童数の弾力的運用は限界に近づいているので、公設民営及び公設公営の保育所整備に対する安心こども基金の適用を検討していただきたい、こういっているんです。これは昨年の十月に、東京都社会福祉協議会保育部会が発表した私立保育園の調査結果と符合しますね。
 東社協保育部会の調査では、保育所を新設する上でのハードルや課題として、定員の弾力化は既に進め、分園や新園をつくろうにも適切なスペースが確保できない、事業主負担分が用意できない、人材確保が困難、こうなっているんです。私立保育園もぎりぎりまでやっているわけですね。
 したがって、直接自治体が保育所整備をしたいが、公立保育園には整備費も運営費も補助がないために困難な事態になっているんだということですよ。公立保育園の一般財源化が待機児解消の大きな障害になっていること、そういうことじゃないんですか。

○吉岡少子社会対策部長 公立保育所の整備に関するお尋ねでございますけれども、公立保育所に対する補助は既に一般財源化されており、従来、国や都が負担していた部分につきましては、必要な税財源はすべて区市町村に移譲されております。税財源が既に移譲されております以上、東京都は公立保育所の整備について補助を行うことは考えておりません。

○大山委員 今本当に、夫が失業して子どもを預けなきゃ働けない、働けなかったら生活ができない、そういう問い合わせがホットラインにたくさん来ているわけですよね。その子どもたちを、それから若いお母さん、お父さんたちをどうするのか、それをまず第一に考えるべきなんじゃないですか。一般財源化は決まっちゃっているんだから、税財源はもう移譲されているんだから、それは仕組みではあるかもしれませんよ。しかし、区市町村が何ていっているかぐらい、ちゃんと耳を傾けるべきですよ。国に対して、一般財源化を撤回して補助制度に戻すよう求めるぐらいしたらいいじゃないですか。

○吉岡少子社会対策部長 三位一体改革は、地方にできることは地方にという理念のもと、国の関与を縮小し地方分権を一層推進することを目指し、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税の見直しの三つが一体として行われたものでございます。公立保育所の国庫補助金の一般財源化につきましても、国と地方との調整の結果まとめられたものでございます。国に対して、公立保育所の一般財源化を撤回し補助制度に戻すよう求めることは考えておりません。

○大山委員 そんなこといっていますけど、一般財源化するとき関係者の大きな反対があったんですよ。にもかかわらず、それは強行されました。公立保育園と民間保育園の割合を比較した場合、公立保育園の比率が--ある市の記入ですよ、公立保育園と民間保育園の割合を比較した場合、公立保育園の比率が高い本市では公設保育園に対する整備費補助がないため、老朽化した保育園を改築しての受け入れ枠の拡大がなかなか進まない現状がある、とりわけ公立保育園への整備費や運営費を求めているのは市なんですよ。やはり財政力が弱い、しかし、きちんと待機児解消したい、そう思うけれども財政力が厳しいんだ、だから、一般財源化じゃなくて補助に戻してほしいんだ、そういっているわけですよね。せめて自治体が何をどういうふうにしたいのかということぐらい、聞くぐらいの耳があってもいいんじゃないでしょうか。
 第二は、緊急対策です。認可保育所を圧倒的に増設することと同時に、今、入れない子をどうしてくれるんですかという切実な願いに緊急にこたえることも自治体の重要な役割です。各自治体がさまざま工夫している姿がいろいろ伝わってきました。幼稚園の空き教室や都の空き施設を利用した保育室や、認可保育園の建てかえのために使っていた仮園舎をそのまま暫定的に活用するなど緊急対策もふえています。
 都は、来年度予算でパートタイム労働者向け保育サービスの提供ということで定期利用保育事業を計画しているわけですが、説明によると、待機児童の約三分の二がパートタイム労働者や求職者だからということですね。しかし、裏を返せば三分の一は、フルタイムでも待機児になっているということ、これは圧倒的に認可保育園が足りない、そういう認識ではあるわけですよね。どうでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 都は待機児童解消に向けて、平成二十年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組み、保育サービス定員の着実な増加を図ってまいりました。来年度から実施をいたします定期利用保育事業、これは仮称でございますが、パートタイム労働者や求職者など認可保育所の入所基準ではポイントが低く、なかなか保育所を利用できない方を対象とするものでございます。働き方を問わず保育を必要とする人すべてが必要度に応じてサービスを利用できるよう、認可保育所だけではなく、認証保育所や定期利用保育事業など多様な保育サービスの拡充を進めてまいります。

○大山委員 本来だったら、パートタイム労働者も、それから職を求めている求職者の子どもも、認可保育園で保育しなければならない義務が児童福祉法上はありますよね。どうですか。

○吉岡少子社会対策部長 児童福祉法におきましては、保育の実施主体は区市町村であると定められておりまして、保育の実施と申しますのは、現在の児童福祉法上は保育に欠ける方に対して保育を提供することが必要であるというふうに規定されております。

○大山委員 それは認可保育園なんですよね。ですから、本来だったらパートタイム労働者も、職を求めている求職者の子どもも、きちんと認可保育園で保育しなければならない義務が自治体にはあるわけですから、その認識をはっきりしておいてもらわないと困ります。それにしても、認可保育園も認証保育所も自治体が緊急対策で設置している保育所も、どこも定員いっぱいなんですよね。パートタイム労働者なども利用しやすいというけれども、一体どこで受け入れようというんですか。

○吉岡少子社会対策部長 パートタイム労働者向けの保育サービスといたしましては、国の特定保育事業、こういう事業がございますが、実施場所が認可保育所に限定されていることから十分な整備が進んでおりません。このため定期利用保育事業におきましては、認可保育所だけではなく認証保育所、家庭福祉員などにも実施場所を拡大いたします。また、多様な場所で実施が可能な一時預かり事業の拡大にあわせまして定期利用保育事業を実施することで、サービスの拡充が図れるものと考えております。
 また、もう一点、先ほど大山委員から、こういった定期利用保育事業につきましても認可保育所で行うことが原則ではないかというご指摘がございましたが、実際にパートタイム労働者の方々も保育を利用する時間帯が朝の九時から夕方の五時までということではなかなか利用し切れない、そういう方もございますので、そういうニーズにこたえていくためには、認可保育所だけでなくて認証保育所等の開所時間の長いところを活用していくことが必要だろうと考えております。

○大山委員 保育に欠ける子どもは認可保育所で保育しなければならないんですよ、法律は。保育時間は勤務時間プラス通勤時間ですから、それが保育時間ですからね。それはもうわかり切ったことですよ。
 それで、何をいいたいのかということは、緊急の措置だからどこでもいいなどということでは、子どもの育ちというのは保障できないと思うんですよ。適切な場所と、人員配置だってきちんと認可保育園の基準どおりに配置できるように、それから、一定時間、短時間だから細切れでいいというんじゃ、これは子どもの成長、発達は保障できません。ですから、きちんと認可保育園の基準どおりに配置できるよう、保育の継続性が保たれるよう、きちんとした補助制度にしてもらいたいと思います。
 例えば家庭福祉員、保育ママの制度は、子ども三人に一人の保育士で月曜日から土曜日まで一年じゅうずっと見ていなければならないので、預かる方の負担が大きくて大変なわけですね。保育ママも風邪を引くこともあるでしょうし、休暇も必要です。幾つかの自治体で、待機児解消の緊急対策として、区が場所を提供して、複数の保育ママによって保育するというケースも始まったところもあります。
 このような形での保育ママ制度、また、区市が保育ママの休暇などの保障のためにバックアップ体制をとることなどへの補助も必要だと思いますが、どうですか。

○吉岡少子社会対策部長 家庭福祉員のバックアップ体制でございますが、地域の認可保育所等が家庭福祉員に対する相談支援や訪問指導、代替保育等を行う連携保育所という制度が制度化されております。また、家庭福祉員の負担を軽減し、家庭福祉員事業を拡大するため、来年度から都独自に家庭福祉員の休暇取得時の代替保育確保支援や補助員雇用支援を行います。さらに、共同実施型家庭福祉員モデル事業によりまして、複数の家庭福祉員による相互支援の事業も実施してまいります。

○大山委員 緊急の対策と、それから基本的な認可保育園増設の課題と両方並行して拡充していってもらいたいと思います。
 保育問題については人材確保が困難になっているという課題も、またこれは大きな問題ですので、きょうはちょっと時間もありませんので今度の機会にいたしますが、最後にちょっと意見だけ述べておきます。
 都型学童保育についてですけれども、少子化打破緊急対策のメニューの一つで新規事業になっているわけですね。学童保育に設置基準がないというのは、私たち、ずっと課題にしてきて、きちんと最低基準を設けるようにということでは要望してきたわけですけれども、今回の事業の中で、保育時間の延長だとか、国のガイドラインに準拠して一人当たり一・六五平米の基準を設けるとか、それから職員配置基準などを定めるということは、これは重要だと思っているんですね。
 問題は、公設公営を補助対象にしないということなんです。学童クラブも区市町村が直接設置を進めてきましたから公設のものが多いわけです。この事業を聞いた、ある市の市長さんは、都型学童クラブ実施を表明して、現在はすべて公設公営だけど、新設は公設民営にすると表明しているほどなんです。「十年後の東京」実行プログラム、本体にはないんですけど、概要版では株式会社やNPOなど多様な実施主体の参入を促進とあからさまにいっていますけれども、つまり、東京都が株式会社を含めた民営化を促進させているということじゃないんでしょうか。既存の学童クラブにも出す補助事業なんですから、公設のものにもきちんと出すようにしてほしいということを求めて、質問を終わります。

○新井委員 私からは、まず初めに、発達障害の支援についてお伺いいたします。
 小学校への就学に当たっては各自治体で就学時健診を行っていて、そこで初めて発達障害支援の必要性が指摘されることも多いです。しかし、その時期から入学までの約半年間では、親子への十分な支援を提供するのは大変難しい現状があります。また、就学直前に障害について保護者に受け入れてもらうことは心理的なハードルがとても高いです。現在は、三歳児健診から就学時健診までの間に健診の機会を設ける自治体が余り多くないと聞いております。三歳児健診でも発達障害の傾向をつかむことができるといわれますが、三歳児では発達障害と断定することが難しいとの見解もあります。したがって、三歳児健診から就学時健診までの間に何らかの対応が必要です。
 既に、鳥取県では五歳児健診を実施しており、その有効性が検証されています。また、東京都医師会でも五歳児健診のモデル事業に取り組んでいます。子どもたちに適時適切に支援をすることの必要性の認識は広まっています。それに対応できる環境設備も進められるようにしております。東京都医師会では、このモデル事業を踏まえた研修事業を行っており、地区医師会の参加の呼びかけも行っております。
 以上からも、五歳児健診などにより発達障害の早期発見、早期支援を進めていくことは必要であり、そのことがひいては子どもたちの有効な就学支援につながり、学級崩壊といわれる現状の解消にもつながっていくと考えております。
 そこで、五歳児健診の効果について都はどのように考えているのか、お伺いします。

○吉岡少子社会対策部長 五歳児健診の効果につきましては、お話のように、三歳児健診では発見困難な場合があるとして、その健診の重要性を指摘する研究や、逆に、五歳児健診よりも、保育所、幼稚園における取り組みなど他の施策の充実を図るべきとする研究など、さまざまな意見がございます。
 発達障害児を早期に発見するためには、五歳児健診の実施の有無にかかわらず、現行の一歳六カ月や三歳児健診において発達障害に適切に対応できるようなスクリーニングを実施することや、事後の相談支援体制を充実させることが重要でございます。あわせまして、保育所や幼稚園におきましても、親や保育者が早目に発達障害に気づき、療育などの支援につなげる体制を区市町村が地域の実情に応じて整備することが重要であると考えております。

○新井委員 既存の乳幼児健診の充実に加え、その後の相談体制などの受け皿が重要であるという話でありますが、区市町村の取り組みはさまざまです。
 私の地元であります日野市では、発達支援センターを開設し、発達障害者に対する早期支援を行っていく予定になっていると聞いております。このような専門的な支援を持つ区市町村はまだまだ少なく、地域における発達障害者への支援の取り組みは不十分な状況と認識しております。このような状況を踏まえますと、都は、区市町村が発達障害者への取り組みを促進するための一層の施策を発展していく必要性が重要だと考えております。
 そこで、都では、発達障害者の支援所を確立するためのモデル事業を行っていると聞きますが、その事業内容についてお伺いします。また、発達障害におけます、さまざまな関係機関が連携して支援を行うことが重要ですが、モデル事業の実施に当たっては関係機関の連携をどのように図っているんでしょうか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 都では、平成十九年度から発達障害者支援モデル事業を実施し、今年度は五区市で実施をしております。このうち世田谷区、豊島区、足立区の三区で乳幼児期の早期発見、早期支援のモデル事業を実施しておりまして、四歳六カ月児の発達、発育相談や、発達障害児に関する支援情報を蓄積したサポートファイルの作成、発達支援が必要な子どもへの対応の手引の作成などを実施しております。また、保育所巡回指導による支援、保育所、幼稚園への臨床心理士等の派遣なども実施しているところでございます。
 モデル事業の実施に当たりましては、就労及び教育等の関係部局や学識経験者、親の会等で構成する企画推進委員会で評価、検証を行うなどにより、関係機関の連携を図っているところでございます。

○新井委員 答弁でもありました世田谷区のモデル事業で実施されていますサポートファイルと同様、調布市では個別記録票、i-ファイルというものが活用されています。このi-ファイルは、保護者が管理、保管をして、保護者が訂正、加筆でき、保護者が他機関へ伝えたい情報を伝えるファイルです。発達のおくれや偏りのある子どもたちと保護者が乳幼児期から成人まで継続的な支援が受けられるように各機関と連携協力ができるツールの活用を区市町村にも普及していただきたいと思います。
 都では、平成十九年度からモデル事業を実施し、今年度、五区市町村で実施されているということですが、このモデル事業でどのような成果が得られたのでしょうか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 モデル事業を実施した区市におきましては、発達、発育相談から適切な療育へと早期に結びついた事例や、手引の活用等により保護者や保育士等の子どもへの対応力が向上したことなどが報告されております。また、発達障害児支援のノウハウを持つ臨床心理士等が保育所を巡回指導することにより、保育士の早期の気づきや支援力が向上したことなども成果として挙げられております。

○新井委員 このモデル事業はいつまで実施していくのか。また、モデル事業の成果を広く普及して、住民に身近な区市町村できめ細かな発達障害者支援を行っていくことが大事ですが、どのように市区町村へ普及していくのか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 このモデル事業は今年度で終了し、今後はモデル事業の成果を区市町村に広く普及していきたいと考えております。このため、昨年度からモデル事業の成果についての、区市町村等の関係職員を対象に成果を紹介する研修を実施する中で、相談支援担当者の人材育成を行うとともに事業の普及に努めているところでございます。

○新井委員 各区市町村の発達障害者支援の底上げを図っていくためには、モデル事業の普及だけでなく財政的な支援をしていくことが必要だと考えていますが、どうでしょうか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 モデル事業の成果の普及を図るため、平成二十二年度からは、区市町村が発達障害者の支援拠点を中心として、専門相談や地域ネットワークの構築、療育指導などを行う、早期発見、早期支援のための取り組みに対して財政支援を行っていく予定でございます。

○新井委員 都の発達障害者支援に向けた取り組み内容について、お伺いしました。発達障害者支援は、身近な地域で充実した支援が受けられるよう、モデル事業の成果を広く区市町村に普及するとともに、専門的人材の育成にも努め、区市町村における発達障害者支援体制の整備、発達障害の早期発見、早期支援のための取り組みに対する財政支援を一層推進するべきことを述べ、次の質問に移りたいと思います。
 次に、地域生活定着支援センターについてお伺いいたします。
 三月一日、都議会民主党厚生委員会メンバーを中心として、喜連川社会復帰促進センターの視察に行ってきました。喜連川社会復帰促進センターは、PFI手法を活用して運営される刑務所であり、犯罪傾向の進んでいない初犯者を対象に、規則正しい生活のもと、刑務作業、職業訓練、矯正教育などの社会復帰に向けた更生プログラムを実施することにより、再犯を防止し、社会に迎えられる人材の再生を目指しています。
 また、受刑者の中では、知的、精神障害者とされる方々も多くいました。センターの方より、刑務所を仮出所や満期出所する知的、精神障害者や高齢者の方が受け入れ先がなく、なかなか社会復帰ができない現状をヒアリングしてまいりました。社会復帰を促進するべき地域生活定着支援センターについて考える必要性があると考えています。
 そこで、質問に入ります。
 国が、累犯障害者、高齢者を対象に、刑務所を出た後に利用する福祉サービスなどの調整を行う地域生活定着支援センターを各都道府県に設置する方針を打ち出しました。本予算では、新規事業として地域生活定着支援事業が九百万円計上されていますが、来年度の事業概要及び国の補助内容についてお伺いします。

○庄司生活支援担当部長 地域生活定着支援事業は、高齢者や知的障害者など、福祉的支援を必要とする刑務所出所者を地域で適切な福祉サービスにつなげるため、地域生活定着支援センターを設置するものでございます。
 国の補助内容でございますが、平成二十二年度の国の地域生活定着支援センターの整備予算案では、補助率十分の十、補助基準額をセンター一カ所当たり、総事業費一千七百万円以内としております。東京都の平成二十二年度予算案におきましては、国の補助基準額のおおむね半年分に相当する運営経費を計上しております。
 事業実施に当たりましては、さまざまな課題がございまして、国や区市町村などと十分に協議を重ね、実施の見通しが立った段階で具体的な来年度の事業計画を作成してまいります。

○新井委員 都市部での開設は実例がありません。東京都としては、現在、研究中と思いますが、国の現行制度や補助について、どのような課題があると思うか、お伺いします。

○庄司生活支援担当部長 現在、国が示している仕組みによれば、刑務所出所者の受け入れは大都市圏及び刑務所所在地の自治体に集中することが懸念され、都内自治体の理解、協力が得られていない状況にあります。
 補助制度につきましては、国の財源確保の見通しが不透明であることや、事業実施上、想定される建物借り上げ料などの経費が対象外になっているなどの課題がございます。

○新井委員 現在、特に満期出所者が都市部に集中するのは、行政による適切な支援や調整がないまま、本人が支援を求めた所在地で保護せざるを得ない状況があるからではないでしょうか。この事業により、全国レベルで適切なルールづくりや調整が行われ、さらに将来的には、市区町村の負担を減らすために、満期出所者も広く対象とする仕組みとなれば、大都市集中の問題はむしろ解決できると考えております。
 また、調整の結果、最後まで受け入れ先が決まらない場合は、刑務所所在地の自治体を福祉サービスの申請先とするという現行の仕組みについては、都内でいえば、府中市や八王子市に過度の負担を強いるものであり、国にも再度考えを求めるべきと考えております。私たち党としても取り組む課題です。生活保護などの福祉サービスにかかわる費用負担が特定の自治体に集中するという点では、もう一つ問題があるのでないでしょうかと考えております。
 地域生活支援センター所在地の自治体に刑務所受け入れが集中しないと考えておりますが、集中するおそれはあるのでしょうか、お伺いします。

○庄司生活支援担当部長 地域生活定着支援センターは、刑務所出所者と福祉サービスをつなげるための調整機能を担うものでありまして、刑務所出所者を入所させ、生活の場を提供する施設ではございません。
 したがって、センター所在地に刑務所出所者の住所を設定するものでないため、センター所在地の地元自治体に負担が集中することはないものと考えております。

○新井委員 障害を持っている方は身寄りのない方が多く、仮出所がなかなか難しい現状を踏まえますと、方針として、仮出所だけでなく、満期出所後のフォローも考慮することが必要だと考えております。
 地域生活定着支援センター開設には、保護司の方や各自治体などの綿密な調整の上で準備にかからなければなりません。関係機関との調整については不足なく行うべきと考えますが、どのように都として考えているのか、お伺いします。

○庄司生活支援担当部長 都は、福祉サービスを必要とする刑務所出所者を受け入れる区市町村の決定方法、費用負担などの課題への対応について繰り返し国に要求しております。引き続き、受け入れ先となる区市町村の理解、協力が得られる仕組みとなるよう、国との協議を行うなど、適切に対応してまいります。

○新井委員 本事業は、これまで手つかずの状態にあった司法と福祉のはざまにこぼれ落ちた人たちに光を当てるものであり、刑務所を出た後、適切な福祉サービスにつなぐことによって、社会復帰や再犯防止を図るという事業の理念、目的には賛同できるものです。
 地域生活定着支援センター開設に向けては、国との協議により、都内自治体や保護司会など、多くの関係機関への理解、協力を得る必要があり、調整には多くの困難を伴うものです。
 ぜひ、都としても、来年度予算の九百万円を有効に活用し、精力的な準備に当たることを要望しまして、私からの質問を終わりにします。

○門脇委員長 質疑の途中でございますが、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時九分休憩

   午後五時四十分開議

○門脇委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○早坂委員 ホームレス対策について伺います。
 東京二十三区のホームレスの人数は、東京都が毎年二回実施している路上生活者概数調査によると、平成十一年夏の五千八百人をピークに、昨年夏には二千五百人となり、十年間で半減をいたしました。景気の低迷が続く中でホームレスの数が着実に減少しているのは、我が党のホームレス対策協議会と連携して施策を推進してきた東京都のホームレス対策事業の成果だと承知をしております。
 ホームレスが福祉事務所に支援を求めた場合、まず最初に向けられる緊急一時保護センターの事業内容について伺います。

○庄司生活支援担当部長 ホームレス対策の基本は、自立した生活を回復させ、地域社会の一員として復帰させることにあります。緊急一時保護センターは、各区の福祉事務所を受付窓口といたしまして、原則一カ月間、ホームレスの社会復帰に向け、心身の健康回復と本人の意力、能力等の総合的な評価を行う自立支援システムの第一ステップでございまして、このシステムは平成六年から都区で検討を始め、全国に先駆けまして、平成十三年度に都区共同事業といたしましてスタートしたものでございます。
 その後、国は、平成十四年八月、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法を制定いたしまして、初めて国の責任を法で明文化したところでございます。
 都内五ブロック、各一カ所にあります緊急一時保護センターの入所定数の総数は四百三十二人で、運営に係る平成二十二年度予算は七億二百万円を見込んでおります。

○早坂委員 では、ホームレスが一カ月間、緊急一時保護センターで過ごした後に向けられる、次の段階で向けられる自立支援センターの事業内容について伺います。

○庄司生活支援担当部長 自立支援センターは、緊急一時保護センター利用者のうち、就労意欲があり、かつ心身の状態が就労に支障がないと認められる者に対しまして、原則二カ月間、生活指導、健康相談を初め、ハローワークと連携した職業相談などの支援を実施して就労自立を目指すものであります。自立支援システムの第二ステップとして位置づけているところでございます。
 都内五ブロック、各一カ所にあります自立支援センターの入所定員の総数は三百二十四人でありまして、運営に係る平成二十二年度予算は九億三千六百万円を見込んでおります。
 なお、緊急一時保護センター退所者の四〇%程度が自立支援センターに進んでおりまして、残り三〇%程度が福祉事務所経由で生活保護受給者となっております。
 また、自立支援センター退所者の約八四%が就職しておりまして、そのうちの五一%が就労自立をしております。

○早坂委員 ところで、新規事業である緊急就労居住支援事業は、ホームレスを福祉事務所から緊急一時保護センターに向けない新しい仕組みであります。この事業の目的と、既存の自立支援システム事業との違いについて伺います。

○庄司生活支援担当部長 国は、現下の厳しい雇用失業情勢の中、解雇や派遣労働者の雇いどめなどによるホームレスなどの増加に対応するため、平成二十一年度補正予算に補助率十分の十で、住居喪失離職者などの支援に向けた事業をメニューとして掲げました。
 この事業の一環であります都の緊急就労居住支援事業の対象者は、離職者などで居住を喪失した路上生活者などの不安定就労者で、これらの方々の支援に実績のあるNPOなどに委託をして実施するものでございます。
 具体的には、ホームレスなどに対しまして雇用機会の提供などの就労支援とあわせまして、借り上げアパートなどによる居住支援、生活支援を実施するものでございます。期間は六カ月以内でございまして、期間中、利用者は賃金日額七千百九十円で就労いたしまして、自立に向けて貯蓄するなど、将来、生活保護を受けることなく就労支援できるよう、本事業を通じまして就労及び生活の訓練をしております。
 既存の自立支援システム事業との違いでございますが、一定規模の施設での集団生活における自立支援とは異なりまして、本事業は、個室のアパートなどを利用いたしまして、NPO等が就労、居住、生活支援を一貫して総合的に行い、自立に結びつけるものでございます。

○早坂委員 昨今の厳しい雇用情勢をかんがみると、ホームレスの自立に不可欠な就労の場、働く機会が本当に確保されているのか心配であります。つまり、幾らハローワークに連れていって職業の紹介をしても、現実にホームレスが働けていないのなら、自立支援は絵にかいたもちにすぎません。それならば、例えば公園の清掃など、彼らのための仕事を行政がつくり出すことが必要だと考えます。
 かつて、私、小学校で教育、勤労、納税が憲法に定める国民の三大義務だと習いました。その観点から、ホームレスは国民の義務を怠っているといえます。しかしながら、幾ら働きたくても、そもそも仕事自体がないのならば、話はまた変わってまいります。
 一方で、憲法二十五条は、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると定めています。ホームレスをそのままにしておくことは国の職務怠慢であります。どちらの観点からも、ホームレスの存在を社会として許してはなりません。行政による積極的な雇用創出など、今後、さらなる実効的な施策の充実を望みます。
 次に、高齢者の摂食、嚥下機能支援について伺います。
 平成二十年の人口動態統計によれば、東京都の高齢者の死因は、がん、心疾患に次いで第三位が肺炎です。この肺炎をよく調べてみると、風邪を引いて肺炎になるのはごく少数で、誤嚥性肺炎がおよそ七〇%だというデータがあります。
 この耳なれない誤嚥性肺炎とは、本来口を通って食道に入るべきものが、飲み込むこと、すなわち嚥下機能の低下が原因で誤って気道に入ってしまい、それが肺炎を引き起こすというものです。それゆえに誤嚥性肺炎は老人性肺炎ともいわれています。食事をしてむせるのは、まさにこの誤嚥によるものでありますが、夜寝ている間に、もともと口の中にある細菌が唾液や胃液とともに知らぬ間に気道に入るのが高齢者に特有の症状です。このむせない誤嚥を不顕性誤嚥といいます。高齢者特有のこの不顕性誤嚥を防ぐことが、高齢者の死因の第三位である肺炎を防ぐことになります。不顕性誤嚥を防ぐには口腔ケアが有効であるとされています。すなわち、口の中の環境をよくすることで細菌が減り、たとえ知らないうちに誤嚥されても、雑菌を含んでいないため、肺炎になりにくいわけです。
 一方で、高齢者の死因の第六位が不慮の事故です。その中で転倒、転落に次いで二番目に多いのが不慮の窒息であり、これは交通事故による死亡を大きく上回っています。高齢者に窒息が多いのは、先ほどの不顕性肺炎と同じく、摂食、嚥下機能の低下にあります。
 このように、生命に直結する摂食、嚥下機能の低下は、特に要介護高齢者に多く認められ、対応が必要だと考えます。そして、何よりも、口から食べることは人生の大きな楽しみであり、クオリティー・オブ・ライフに大きく影響します。
 そこで、要介護高齢者の摂食、嚥下機能強化に対する東京都の取り組みについて伺います。

○中川原参事 要介護高齢者の誤嚥性肺炎や低栄養を予防し、生活の質の向上を図るためには、摂食、嚥下機能を適切に評価し、リハビリ指導を行うことが重要でございます。医師、歯科医師による評価や指導、理学療法士によります訓練等、多職種が連携した取り組みが有効でございます。
 このため、都では、平成二十年度から摂食、嚥下機能強化を支援するモデル事業と、それを担う人材育成事業を実施しておりまして、多摩立川保健所によりますモデル事業では、地域の要介護高齢者を対象に多職種が連携して支援を行い、患者の状態が改善するなどの効果が確認されております。
 また、都立心身障害者口腔保健センターによる人材育成事業では、摂食、嚥下機能障害に習熟いたしました医師、歯科医師の育成を目的に、講演と実習を中心とした専門研修を開始いたしました。
 こうした成果を踏まえまして、平成二十二年度は、地域の口腔保健センター等を中心に特別養護老人ホームや在宅等で行う実地研修で、医師、歯科医師やコメディカルスタッフを対象といたしました人材育成を図る摂食、嚥下機能支援推進事業を実施してまいります。

○早坂委員 この新規事業に対する平成二十二年度の予算案は、わずか五百六十七万円であります。有効な事業成果を示すことによって、いうなれば小さく産んで大きく育てるように期待をいたします。
 続いて、高齢者福祉について伺います。
 介護保険制度は、在宅重視を標榜し、高齢者の尊厳を支えるケアを基本理念としています。しかし、現実はそれと反し、特別養護老人ホームの施設入所希望者が増加し続けています。真に施設入所を必要とする高齢者の方々には特養の整備に努めるべきでありますが、一方で、たとえ介護が必要になったとしても、可能な限り在宅においてこれまでの生活を維持継続できるようにする施策についても同時に進めるべきであります。
 そこで、在宅生活を支える介護サービスについて、平成二十二年度予算案に関連し、何点か伺います。
 まず初めに、ショートステイは、在宅サービスの中でも都民のニーズが高く、心身の状況や家族の冠婚葬祭などの場面で、その負担軽減を図るために一時的に利用するものであります。
 しかしながら、都内のショートステイの定員は四千五百人程度であり、利用する場合には三カ月前から予約しなければならず、利用者のニーズにこたえ切れていません。
 そこで、平成二十二年度予算案の新規事業であるショートステイ整備費補助について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 ショートステイは、高齢者が可能な限り居宅において生活することができるよう、在宅での介護負担の軽減を図るものでございます。
 都は、これまで特別養護老人ホームにショートステイを併設する場合に、一定員当たり四百三十万円の補助を行ってきました。
 今後、ショートステイの整備について民間事業者の参入を促し、単独型ショートステイや有料老人ホーム等に併設するショートステイに対しても整備費を補助することにより、さらなる整備促進に努めてまいります。

○早坂委員 私の地元の杉並区では、区有地を民間事業者に貸し付け、単独型のショートステイや、グループホームにショートステイを併設した拠点を整備しているようであります。
 従来、民間事業者が施設整備をする場合には、公的な補助金が投入されていませんでした。今回、民間事業者にも施設整備費を補助することにより、整備促進につながると考えます。
 そこで、今回の補助の仕組みや、平成二十二年度予算案の内容について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 平成二十二年度予算案におきましては、単独型ショートステイや有料老人ホーム等に併設するショートステイ百二十六床を整備することとしており、定員当たり三百八十七万円を補助することとしております。
 都では、ショートステイの運営事業者がみずから整備する場合だけではなく、土地所有者がみずから建物を整備し、運営事業者に賃貸する、いわゆるオーナー型の整備につきましても、都独自に補助をすることとしております。

○早坂委員 次に、訪問看護ステーションについて伺います。
 ショートステイと同様に、在宅の要介護高齢者の療養生活を支える上で欠かせないサービスが訪問看護です。訪問看護の利用は着実にふえていますが、都内の訪問看護ステーションには小規模な事業者が多く、人材確保も困難なため、安定的な事業運営が難しい側面があります。
 そこで、訪問看護ステーションの安定的な運営のために、東京都はこれまでどのような支援をしてきたのか伺います。

○狩野高齢社会対策部長 訪問看護ステーションを安定的に運営するためには、看護職員を確保、育成する管理者の役割が大変重要と考えております。
 そこで、都は、管理者のマネジメント能力向上のため、管理者研修を実施しております。平成二十年度は、新人の管理者等を対象にしまして、リーダーシップ論など、管理者として必要な知識を付与するファーストステップ研修を実施し、二十一年度は、それに加えまして、中堅管理者等を対象に労務、人事管理などを取り入れたセカンドステップ研修を実施したところでございます。

○早坂委員 訪問看護の充実のためには、解決すべき課題が幾つもあります。
 例えば、都内の訪問看護ステーションの数は、ここ数年、横ばい傾向にあります。事業所の数がふえないことでサービス提供エリアも広がらず、結果として、在宅で療養生活を送る要介護高齢者への対応が困難になろうことがその一例であります。
 東京都の平成二十二年度新規事業である訪問介護ステーションサテライト事業について、その内容について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 訪問看護ステーションと一体的に運営されるサテライトは、看護職員一人でも設置可能でございまして、事業者の設置負担が軽減されるという利点がございます。このサテライトの設置によりましてサービス提供エリアが広がることや、看護職員の移動の距離が短くなり、効率的なサービス提供が可能になるなどのメリットがあると考えております。この訪問看護ステーションサテライト推進事業は、サテライトを設置するに当たって必要となる初度経費などの一部を補助することにより、事業者を支援していくものでございます。

○早坂委員 サテライトは看護職員一人でも設置可能とのことであり、看護職員の確保が特に難しい現在、サービスの充実につながると思います。
 また、サテライト設置により移動距離が短くなれば、忙しい看護職員の負担の軽減にもつながります。ぜひこの新規事業を着実に実施し、訪問介護事業の充実につなげていただくようお願いいたします。
 さて、高齢化が進む東京において、住みなれた地域で暮らし続けたいという高齢者の希望を実現し、老後の安心を確保するためには、その基本となるのは住まいであります。将来のひとり暮らしに早目に備えたり、介護が必要になっても自分らしく暮らせるよう、施設ではなく、ケアやサービスのついた高齢者向けの住まいが求められています。
 こうした中、東京都では、国に先駆け、今年度より医療介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業を実施していますが、その内容について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 お話のモデル事業は、安否確認や見守り等のサービスを提供する高齢者専用賃貸住宅に介護サービス事業所と診療所などを併設して整備した場合、その費用の一部を補助するものでございます。各サービス事業者が連携することによりまして、高齢者が医療や介護を必要となっても安心して住み続けられる住まいの整備を促進していくものでございます。来年度からは、同じ建物に併設する場合のみならず、高齢者住宅の近隣に医療や介護の事業所を設置する場合なども補助対象とし、事業の拡大を図ってまいります。

○早坂委員 次に、長寿医療制度について伺います。
 長寿医療制度の保険料については、平成二十年四月の制度施行以降も、我が党の主張により、所得の低い方や被用者保険の被扶養者の方々の負担軽減の拡大など、さまざまな軽減策が講じられてまいりました。長寿医療制度の保険料は二年ごとに算定されますが、来期の保険料については、医療給付費の増などにより、全国的に一四%程度の増加が見込まれていたところであります。
 そのような中、東京都広域連合の来期の保険料については、ことし一月の広域連合議会において、均等割は据え置きの三万七千八百円、所得割率は七・一八%と決定され、東京都の支援もあり、一人当たり平均保険料は四・九四%の上昇に抑えられたと承知をしております。
 来期の東京都広域連合の保険料決定に際し、東京都は具体的にどのような支援を行ったのか伺います。

○宮垣地域保健担当部長 都は、平成二十二年度、二十三年度の長寿医療制度の保険料の増加を抑制するため、東京都広域連合が投入する剰余金に加え、東京都後期高齢者医療財政安定化基金を積み増しし、約百六億円の取り崩しにより対応することといたしました。
 この基金の積立金は、国、都、広域連合が三分の一ずつ負担することとなっており、都はこれまでの積立額に加え、今後、二年間で約三十二億円を負担することとしております。

○早坂委員 保険料の増加抑制を図るために、東京都が財政安定化基金の積み増しを行うとのことでありますが、東京都は、これまで保険料軽減のために、法定負担以外の財政負担は行わないことを原則としてきたはずであります。
 また、この基金は本来、保険料の未納や給付費の見込み誤りによる財源不足に対応することを目的として設置されています。
 今回、東京都がこの基金を積み増し、保険料増加抑制のために利用するに至った経緯について伺います。

○宮垣地域保健担当部長 来期の保険料については、当初、国において増加抑制のための予算措置が検討されておりましたが、これが措置されなかったため、昨年十一月、国は、基金を活用して平均保険料の伸び率を五%未満に抑制するよう、都道府県に財政的な対応を求めてまいりました。
 また、それと同時に、国は、基金を保険料増加抑制に活用できるよう、根拠法改正の意向を示してまいりました。
 都は、今回の国の要請に対しては、昨年十二月に、十九の道府県と連名で、国の責任において保険料の増加抑制費用を全額措置すべきものであるなどの申し入れを行いました。その後、この申し入れに対しての国の対応が見込まれない状況の中、都としては、高齢者の方々の不安や混乱に配慮し、東京都広域連合と協議の上、特段の措置として、最終的には基金の積み増しを行うこととの判断をしたものでございます。

○早坂委員 我が党は、これまでも東京都に対して広域連合への適切な支援を求めてまいりました。今回、東京都が、都民の不安や混乱を避けるため、保険料の増加抑制に踏み切ったこと自体は評価します。
 しかしながら、このような保険料の増加抑制措置は、本来、国が行うべきものであります。来期の保険料増加抑制に係る費用については、国において措置するとしていたにもかかわらず、何の協議もなく、地方自治体に財政負担を求めるとは全く無責任であります。国は、責任ある対応をすべきと考えます。

○栗林委員 それでは、私の方から、報告事項の東村山老人ホームの民間移譲について、何点かお伺いさせていただきます。先ほどの質疑にもございましたけれども、違った観点から質問させていただきたいと思っております。
 少子高齢化社会にふさわしい住まいの東京モデルも示されまして、住宅施策と福祉施策、これが連携する新しいケアつき住まい、こういったものの取り組みもスタートいたしました。
 今後、この東京都における高齢者人口は急増し、ご存じのように団塊の世代が六十五歳以上になる五年後の平成二十七年、該当される方も多くいらっしゃるかと思いますけれども、都民の四人に一人が高齢という時代を迎え、また、さらにその二十年後の平成四十七年には三人に一人が高齢者という時代を迎えるシミュレーションがされております。
 また、介護ニーズの高い七十五歳以上の後期高齢者といわれる方たち、この方たちが高齢者人口に占める割合が平成二十七年では四八%ということで、六十五歳から七十四歳までの方が少し多いんですけれども、それから二十年後の平成四十七年には逆転をして、七十五歳以上の方が五四%を占めるという、そういう時代を迎えることにもなっております。
 また、その中でも、六十五歳以上の単独世帯、この増加が非常に著しい予測もされております。今、平成二十二年では、六十五歳以上の単独世帯、おおよそ六十二万世帯といわれていますけれども、十五年後の平成三十七年には、著しく増加をして八十七万世帯近くなるのではないかともいわれております。
 また、高齢者の世帯の年収は二百万円以下という、そういう状況の方たちが四割を超えるということで、経済状況と住まい、そして介護施設、このような多様な選択が求められることが予測されております。
 そのような中で、経済支援や生活の見守りが必要とされて、また、さまざまな複雑な事情を抱えていらっしゃる方々などの最終的なセーフティーネットとなっているのがこの養護老人ホームであります。
 この老人福祉法に基づく養護老人ホームですけれども、区市町村より入所措置を受けた高齢者の方が、社会復帰の促進、また自立のための必要な指導、支援、そして、相談、援助業務を行うとされている施設でございますけれども、先日、私たち都議会公明党も数名でこの東村山老人ホーム、視察に行かせていただきました。大変広々とした、すばらしい環境の中で、入所されている方たちは非常にゆっくりと生活をされていたように思います。陶芸とか、絵画とか、またスポーツにも取り組めるような、そういう施設も設置されていたり、本当に安心して暮らせる状況、そういうものが伝わってまいりました。
 こんなすばらしい施設でしたし、さぞ入所待機者があふれているのではないかと思ったところ、意外だったのは、定員に対して入所数が少なく、空き室もあるということでございます。
 そこで、お伺いいたしますけれども、東村山老人ホームの入所者数が定員に満たない理由を、先ほどもちょっと触れられていらっしゃいましたけれども、改めて伺わせていただきます。

○飯塚参事 東村山老人ホームの入所者数は、平成十二年度の介護保険制度導入以降、入所希望者が減少し、本年三月一日現在では定員数の七五%となっております。
 また、平成二十年九月に、東村山老人ホームの全待機者四百七十三名の調査を実施したところ、他施設に入所済みであったり、入所意思がなくなったなどの理由により、二百六十二名が入所希望を取り下げ、待機者は二百十一名まで減少いたしました。
 さらに、二十一年度においても待機者状況の把握に努めましたところ、本年二月末現在の待機者は六十九人であり、そのほとんどは入所に向けた手続中でございます。
 入所希望者数が減少している理由については、措置権者である区市町村によりますと、地域での生活が期待できる人が多くなっていることなどが挙げられております。

○栗林委員 低所得の高齢者の住まいの選択肢が、養護老人ホーム以外にも広がったことは、むしろ大変よいことではないかと思います。
 しかし、地域で生活を希望する高齢者が現にふえておりますけれども、それに合わせた、そのニーズにこたえるだけのまだまだ基盤整備は追いついていないというのが私の実感でございます。
 今、やはり高齢者が民間のアパートに、年金だけとか生活保護を受けながら住んでいらっしゃる方、その方たちがお住まいになっているアパートなりマンションは老朽化で、今、建てかえという時期になっています。そういったときに、やはり次の住まいを探すというところで非常に困難だったり、今、ビジョンは示されましたけれども、決して、そういった体制が地域の中で受け皿としてあるかといったら、まだまだ整備はされていない。急ピッチを上げて、これは取り組まなくてはならないと思います。
 また、高齢者が、そういった意味で、やっぱり地域で暮らしたい、そういう希望をお持ちの方はふえていると思います。高齢者が地域で生活を継続できる取り組みを、さらに拡充をしていただきたいと思います。
 次に、老人ホームの民間移譲後のサービスの質について、お伺いをいたします。
 今回の東村山老人ホームが民間の移譲ということで、ここで都内の全施設が、全老人ホームが民間になるということであります。これまでさまざまな検証をしながら移管を進めたとは思いますけれども、中にはイメージで、どうも民間イコール質の低下というような、そういうイメージを持つ方も多くいらっしゃいます。
 そこで伺いますけれども、社会福祉法人にもいろいろな法人があると思います。民間移譲することでサービスの低下となるようなことはあるのか、お伺いさせていただきます。

○飯塚参事 都内にある三十二施設の養護老人ホームのうち、東京都東村山老人ホームを除く三十一施設が民間社会福祉法人により円滑に運営されており、その中には、老人福祉法が制定された昭和三十八年よりもはるかに昔、戦後の混乱期から生活保護法に基づく養老施設として開設された施設も数多くございます。
 都立養護老人ホームを民間移譲いたしました大森老人ホーム及び吉祥寺老人ホームにおいても、処遇困難事例の積極的な受け入れを行うとともに、地域の在宅高齢者へのサービス提供など、民間の創意工夫を生かした取り組みを行い、第三者評価でも高い評価を受けているところでございます。
 なお、運営事業者の選定に当たりましては、学識経験者や弁護士、公認会計士などの専門家を含む事業者選定委員会において、質の高いサービスを提供できる法人を選定してまいります。

○栗林委員 民間移譲後もサービスが低下することなく、順調に運営されているという、今ご報告いただきましたので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。やはり今お話にありましたけれども、この施設自体、戦後の混乱期の生活困窮者等々、さまざまな方たちを救護するということでつくられたという施設でもあり、やはり時代に合った改革というものは必要ではないかと思います。さまざまな受け入れ困難ケースなども出てくるかと思います。そういったところで、どんなケースであっても公立同様、むしろ公立以上に入所者に対応していただけるよう、しっかりと都としても支援をしていただきたいと思います。
 もう、やはり時代は、何が何でも公立が担う、そういう時代ではないと思います。福祉の専門家であり、民間の社会福祉法人は、やはり専門家でございますし、今日まで、数々の経験と実績で今まで経営にも取り組んでいらっしゃった社会福祉法人も多くいらっしゃいます。豊富な経験があり、斬新な取り組みも、そういったところでこそ可能になるのではないかと思います。
 そこで伺いますけれども、民間移譲後の民間移譲のメリットといいますか、それはどのような面で柔軟な運営が可能になるのか、お聞かせください。

○飯塚参事 民間移譲のメリットといたしましては、事業者による創意工夫や自主性の発揮により、利用者一人一人のニーズに合わせた、きめ細かで効率的な施設運営が行われ、より高いレベルのサービスが実現できることにございます。
 具体的な例として挙げますと、職員定数の枠に縛られることなく柔軟な人材確保が可能であり、利用者の実態に応じて必要な処遇体制が速やかに確保できること。単年度の予算執行に縛られることなく、現場の実態を踏まえて柔軟に事業を実施することが可能となり、早期に利用者サービスに反映できるなどのメリットが挙げられると思います。

○栗林委員 やはりこれからは柔軟で、かつてない、型に縛られない、そういった取り組みがより重要になってくるのではないかと思います。新たな民間移譲の施設においても、民間のメリットを生かした、きめ細かなサービスの提供を引き出していただきたいと思います。
 先日、あるテレビの報道番組だったんですけれども、高齢者の、いわゆる養護老人ホームの中を取り上げていまして、養護老人ホームの生活が取り上げられているドキュメンタリーがありました。流されておりました。放映されておりました。老人ホームの恋というテーマだったんですけれども、恋はラブの方の恋ですね、お魚の方じゃなくて。非常に考えさせられたんですけれども、八十歳代と九十歳代の入所者の方が本当にそこで恋に落ちて、結婚に向けて生きようという、そういうドキュメンタリーだったんですが、二つのホームが取り上げられておりまして、一カ所は同居禁止なんですね。もう一カ所は、二人で生活するために、間仕切りといいますか、壁を取っ払ってくれて二人で過ごす部屋をつくってくれるんですね。一つの方は同居禁止なので、九十歳と八十歳代の方が出なきゃいけないと、その施設を。二人でアパートを借りてなんて、そういう悩んで、いろいろ選択をする、いろいろな人に相談をするなんていう、これは本当にドキュメンタリーが放映されておりました。八十歳代の女性の方は、その九十歳代のおじいさんのいろいろ面倒を見る中で、二人とも元気になられていくんですね。
 さまざまな、いろいろな事情で家族とは離れ、そういった愛情に今までは恵まれていなかった方が、初めて、この年齢に来て希望を持って、生きがいを見つけられたという、私も見ていて、もう胸が詰まってくる番組でございました。
 そんな中で、やはりお互いに不自由な体を支え合って、いたわり合って、生きがいを見つけていくって、元気になっていくという、その姿が映し出されておりましたので、この共同生活という中で、確かに特例は難しいと思います。リスクもあります。トラブルの可能性もあります。問題になることもあるかもしれませんけれども、やはり高齢者の尊厳ということを思ったときに、人間らしいところ、こういったところも本当に大事にしてあげたいなと思いました。
 また、多くの入所者は訪れる家族もなく、家庭的な環境の必要性も感じます。近くには子どもの児童養護施設もございました。こういったところから、虐待を受けながら--養護施設にいるお子さんたちと交流をしたり、また、養護老人ホームにいらっしゃるおじいさん、おばあさんから陶芸を教わったり、お絵かきを教わったり、何かそういうような交流もできたらいいなとも思いましたし、また、地域と意外と交流もないようでございましたので、そういう地域の人たちとの交流、また、多世代とのかかわり、こういったところを持つことで、さらに、施設の中にいるだけではなくて、生きがいや希望を見出せるのではないかと思いました。
 ぜひ、今度、民間の移譲後は、安定な経営、これはもちろん大事でございますので、安定な経営とともに、柔軟な発想、それで事業展開ができるような、ぜひすぐれた法人を選定をしていただき、こういった方たちが、本当に戦後の混乱期にご苦労された方たちでいらっしゃいます。長生きしてよかったと実感していただけるような、そういう施設運営にぜひ力を注いでいただきたいと思います。そのことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○柳ヶ瀬委員 私からは、新型インフルエンザ対策、そして救急医療について質問をしてまいりたいと思います。
 まず、新型インフルエンザ対策についてですけれども、今回の予算の中でも、この新型インフルエンザ対策が盛り込まれているわけですが、この対策を考える上で、昨年から流行したインフルエンザへの対策がどうであったのか、まず、これを総括することが必要であろうというふうに考えています。
 都は、今回の流行における医療体制の検証を行っているところだというふうに、私のこの一般質問に対して答弁をされました。今年度末までに課題整理を行うというふうに聞いていますが、その検証結果については、結果が出次第、ぜひ明らかにしていただきたいというふうに思います。
 私は、その昨年の都が行った新型インフルエンザ対策、これを見ていて改めて思ったことなんですけれども、やっぱり準備が大事だと。これ、極めて当然の、至極当たり前のことを私は非常に感じました。
 その中でも、特に受け入れ先の医療機関との事前の話し合い、そして役割分担をしておくこと、そして合意を取りつけておくということが非常に大事なのではないか、そのように考えております。ぜひ、今回のこの新型インフルエンザ対策の教訓を生かして、強毒性の鳥インフル対策にも積極的に対処法を検討していただければありがたいなというふうに考えております。
 先般の一般質問の中で、強毒性の鳥インフルエンザが発生した場合、どのように対応するのかと質問したところ、幾つかの答弁をいただきました。蔓延期でのすべての医療機関における新型インフルエンザ診療体制の確保、病院の機能や患者の重症度に応じた搬送先の選定、空床情報の速やかな把握などを徹底するための検討を進めていくとの答弁がありましたけれども、これらの施策をこれから具体的にどのように検討していくのか。また、これはいつごろをめどにやっていくのかということをまずお伺いをしたいと思います。

○吉井医療政策部長 まず、蔓延期でのすべての医療機関における新型インフルエンザ診療体制、これを確保するため、医療監視でございますとか、すべての病院を対象にいたします病院管理講習会、特定機能病院協議会等、あらゆる機会をとらえまして医療機関に対する周知を図ってまいります。
 また、感染症地域医療体制ブロック協議会も活用いたしまして、各医療機関の役割を明確に位置づけ、相互の連携体制を構築してまいります。
 次に、患者の重症度に応じて搬送先を選定するため、二次医療圏ごと、あるいは感染症ブロックごとに顔の見える関係のネットワークを形成してまいります。
 さらに、空床情報を速やかに把握するため、現在の東京消防庁の救急医療情報システム、これを引き続き活用するとともに、医療機関の受け入れ状況等を常時把握できる方策について検討いたします。これらにつきましては四月から取り組みを開始いたしまして、年内を目途に実現できるよう進めてまいります。

○柳ヶ瀬委員 明確なご答弁をいただきまして、ありがとうございます。四月から、これ、順次始めて、ことしを目標としてやっていくんだという明確なご答弁をいただきまして、まことにありがたいと思います。ぜひこれは私も今後も追っかけていきたいというふうに思っていますので、ぜひ積極的に進めていただければというふうに思います。
 また、現在実施している鳥インフルエンザ対策として、独自の補助制度を創設して、医療機関における入院病床の整備、人工呼吸器、個人防護具など、医療資器材の備蓄に対する支援を行っているという答弁もしています。この新型インフルエンザ患者等入院医療機関整備事業、感染症診療協力医療機関整備事業では、今年度二十七億円の予算に対して、約十五億六千五百万円の執行というふうに聞いています。来年度予算では、これ、三十二億円を計上しているわけですけれども、今年度の執行が予算の五割強にとどまっているという現状があるわけですが、この理由をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

○中谷参事 都は、今年度から封じ込め対策期に発熱外来を設置する医療機関や、蔓延期に入院医療を行う医療機関に対しまして、院内感染の防止や診療に必要な医療資器材の整備を支援するため、病床の改修や個人防護具、人工呼吸器などの購入に係る経費に対する補助事業を実施しております。事業の初年度である今年度は、補助金の執行率が予算額二十七億円余に対して、十五億円余となっております。こうした状況につきましては、年度当初に新型インフルエンザが発生したため、医療機関が補助金申請について検討する十分な時間が確保できなかったことなどが原因であると考えております。
 今後、改めて封じ込め対策期に発熱外来を設置する医療機関における補助事業の活用を促進するとともに、新型インフルエンザの蔓延期には、すべての医療機関が診療を行うことを周知徹底いたしまして、各医療機関に対して補助事業の利用を働きかけてまいります。

○柳ヶ瀬委員 ぜひ積極的な働きかけをお願いしたいと思います。
 この事業では、例えば、人工呼吸器が十分の十の補助率になっているなど、非常に充実した内容となっています。この補助を利用して購入した機器は、必ずしも新型インフル発生時までとっておかなければいけないとか、そういうものではなくて、平常時も使用できるということなんですね。ですから、この補助事業は、病院側にとっては、かなり有利なものであろうというふうに考えております。ぜひ多くの病院が、この新型インフルエンザへの取り組みを進め、この意識を向上していただけるように、この制度を活用していっていただきたいというふうに考えています。
 しかし、その有利な制度ではあるけれども、なかなか感染症協力医療機関や感染症入院医療機関に登録が進まないという現状があるわけですが、これがなぜなのかということなんですね。先ほどの答弁では、周知が行き渡っていない等々ございましたけれども、ただ、それだけではないんではないかなというふうに考えています。多くの病院が、この新型インフルエンザ対策に不安を抱えているということも課題だと考えています。私なりに幾つかの病院に、なぜ積極的に取り組みをしないのかという理由を聞いたところ、院内感染の不安があるんだということを挙げるところが多くありました。
 そこで、お伺いをしたいんですけれども、都は、都内病院に定期的に立入検査をしております。その中で、院内感染の取り組みについても検査を行っていると聞いていますけれども、現状の各病院の取り組み状況について教えていただければと思います。

○中川原参事 院内感染対策でございますけれども、新型インフルエンザでございましても、通常のインフルエンザと予防策は同じでございまして、標準予防策や飛沫感染対策等、一般的な院内感染対策で十分に対応できます。
 したがいまして、一般的な感染予防対策をしっかり行っていくことが重要でございます。
 都は、毎年行っております医療機関への立入検査におきまして、標準予防策及び感染経路別予防策等を含む院内感染予防対策マニュアルが整備されているか、マニュアル内容を徹底させるための職員研修が実施されているか、また、院内ラウンド等によりましてマニュアル内容の遵守状況の評価、検証等を行っているかなどにつきまして、病院に対して指導を行ってございます。
 例えば、マニュアルの整備状況についてでございますけれども、平成十九年度に実施した調査におきまして、全く作成していない病院はございませんけれども、内容に明らかな不備が認められる病院が一割ございます。
 また、感染経路別対策などの内容の充実を図るよう指導いたしましたのが六割、おおむね良好で指導を要さなかった病院が三割でございました。
 指導を要した病院につきましては具体的な指示を行いまして、次回の立入検査の中で改善状況を確認してございます。

○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。院内感染防止のために、各病院が少なくともマニュアルの整備ぐらいはしておかなければいけないんではないかというふうに考えています。
 ただ、なかなか感染症の予防の専門医がいないなどの理由から、各病院がおのおの独自に整備していくのは難しい面も多々あるんだろうというふうに思います。
 そこで、院内感染防止の取り組みについて、都が、より積極的に支援をする必要があるというふうに考えていますが、いかがでしょうか。

○中川原参事 都では、病院が院内感染予防対策のマニュアル作成に当たりまして、ひな形となる院内感染予防対策マニュアルを作成し、各病院に配布するとともに、ホームページでも公開しております。立入検査の際には、各病院の取り組み状況を確認し、必要に応じた指導や助言を行い、各病院のマニュアルの充実が図られるよう支援してございます。
 さらに、都が作成したマニュアルの中に、新型インフルエンザ対応策として重要となる外来部門の対応や感染経路別の対策をよりわかりやすく記載するなど、現在、改訂作業を進めており、早期に各病院に配布する予定でございます。

○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。新型インフルエンザの蔓延期には、すべての医療機関が患者を診ることになります。各医療機関が、このような院内感染防止対策を強化しておくことが、新型インフルエンザが発生したときに、増大する医療需要に対応する上で極めて重要なことだろうというふうに考えています。各医療機関への東京都のさらなる効果的な支援ということを要望いたしまして、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 救急医療について聞いていきます。
 東京都は、救急医療体制のさらなる充実強化に向けて、従来からの搬送先医療機関選定の仕組みに加えて、選定に時間を要する事案を対象として、医療機関への迅速な受け入れ体制を確保するための救急医療の東京ルールを策定しました。東京都が、現在の救急医療に危機的な意識を持っているということは、よくうかがえると思います。
 そもそも現在の救急医療の大きな問題点として、救急搬送患者が約十年で三〇%程度増加した、六十万人を超すようになってしまったということ、また、救急医療機関が、逆に十年間で二〇%減少していることが、大きな問題点として挙げられると思います。特に大きな役割を担っている二次救急病院が大幅に減少しているという現実があります。また、その二次救急病院の、これは質も問題なんだろうと思います。当直医がバイト医師一人で必要な検査や手術がすぐにできないような体制となっているところも多くなってきているというふうに聞いています。
 私は、この救急医療の問題は、長期的には、この二次救急をどのようにして立て直していくのかが、大きな課題なんだろうというふうにとらえています。
 そこで、この二次救急医療機関を、休日、夜間に確保する休日・全夜間診療事業について幾つか質問をしてまいりたいというふうに思います。ちょっとパネルを使わせていただきます。リサイクルで使っておりますので、予算特別委員会の使い回しでございます。
 それで、ぜひこの表を見ていただきたいわけですけれども、これは平成二十年度、一年間の休日・全夜間診療の実績でございます。何がいいたいかというと、各病院によって受け入れの実績というものが大きく異なるということなんですね。例えば、これはO区、特定の名前はいいませんけれども、O区のA病院、B病院。このA病院とB病院というのは、実はそんなに遠くありません。非常に近いところに、この二つの病院は存在します。病床数も二百八十四と二百三十ということで、ほとんど同規模の病院です。この取り扱い患者数は、総数でA病院は六千二百三十一、Bは三千三百と約二倍の開きがあるんですね。救急車の受け入れに関しても、Bは七百五十八、Aが二千二百ということで、三倍の開きが出てきてしまっているという状況です。
 N区に至っては、このC病院、これは三十七床しかないような非常に小さな病院なんですけれども、取り扱い患者数は二千八十二、救急車も六百二十受け入れている、こういう病院があるかと思いきや、このD病院を見ていただきたいんですが、これは百七十三の病床を持っていますね。けれども、九百三十二の総数、百五十二の救急車の受け入れしかしていないというふうに、このように非常に病院ごとによってばらつきが出ていると。しかも、そこに、休日・全夜間診療事業で東京都が支払っている病床確保料は、どの病院に対しても三床分ということですから、千六百万円、一床五百万円掛ける三足す事務費ですか、で、千六百万ということになっているんですね。というふうに各病院……(「診療科目はどうなっているの、その病院の。その前提をはっきりさせないと理屈は成り立たない」と呼ぶ者あり)診療科目は、これは二科ですから、内科系と外科系の二科ということで、これは一緒になっています。このような状況になっていると。
 確かに支払っている千六百万というのは病床の確保料ということですから、その千六百万円を払っているからどうということではないんですけれども、このように同規模の病院で、同地域の病院で、これだけの差が出てきてしまっているということを都はどのようにとらえているのかということ、これをまずお伺いしたいと思います。

○吉井医療政策部長 今のパネルでございますけれども、先生もご質問の中でおっしゃられておられましたように、休日・全夜間診療事業は、休日、それから夜間における救急患者の受け入れの体制を確保するというために空床確保を委託するものでございます。そういう意味では救急患者の受け入れ実績によって支払うものではございません。ただ、今、冒頭にありましたように、各それぞれの病院によって差が出てきているということも、また事実でございます。
 東京都としての認識でございますけれども、基本的には住民の身近なところで、これ、二次医でございますので、いわゆる中等症以上というような位置づけになるわけでございますけれども、そうした救急患者について、身近なところできめ細かく対応できるということで、休日・全夜間、いわゆる三百六十五日二十四時間の診療体制を確保するということで、この事業を実施しているところでございまして、それぞれの医療機関が有する能力というものを最大限発揮してもらうような、そうした形での対応が必要というふうに考えてございます。

○柳ヶ瀬委員 私は、今の状況を見ると、一つには、これ、片一方で物すごい頑張っている、キャパシティーを超えて受け入れている病院と、こういういい方をしてはいけないのかもしれないですけど、積極的に受け入れをしていない病院というものがあるんではないかというふうに思うんですね。
 それで、この指定二次救急医療機関の指定に関して、前年度の受け入れ実績が少なかった場合に、これは取り消しになるというケースがあるというふうに聞いておりますけれども、過去三年間の取り消しの実績について教えてください。

○吉井医療政策部長 前年度の受け入れ実績が少なかったこと、このために指定を行わなかった医療機関といたしましては、平成十九年度では三病院、それから平成二十年度は四病院、平成二十一年度は五病院でございます。

○柳ヶ瀬委員 取り消しは数病院程度、毎年あるということですけれども、これ、取り消しというところまでいかなかったとしても、受け入れ実績が少ない病院に対して何らかの指導を行っているのか、もっとやってくださいよというような要請なり指導まで行っているのかどうかということについてお伺いします。

○吉井医療政策部長 各年度の上半期実績は見えてまいりますが、その時点で前年度十二月から八月までの、その実績を確認いたしまして、そうした場合、今いわれたように、ちょっと少ない部分につきましては、東京都医師会を通じまして、個別に注意喚起を行っているところでございます。
 また、なお事業実施に当たりまして毎年度開催いたします地区医師会を集めた説明会においても、救急患者の積極的な受け入れ、これを要請しているところでございます。

○柳ヶ瀬委員 その指導をしっかりやっていただきたいということなんですね。隣の病院がたくさん受け入れてキャパシティーオーバーになろうとしている、けれども片一方では余裕を持っているといってはいけないんですけれども、自分のところはもうこれ以上できないよというふうに、同じ病床を確保して、同じような医療体制を持っていながら、やっている二つの病院が存在しているということは、これはやっぱりきっちり指導していかなければいけないんではないかというふうに考えます。
 そこで、この休日・全夜間診療事業のあり方、また二次救急のあり方を、私はこれ、見直しをしていく必要があるのではないかというふうに考えています。逆にいえば、どれだけ頑張っても同じ評価だと、また、同じ確保料しか、あとは診療報酬ということですよね、でしかないということは、より多くの救急を受け入れようというインセンティブが働きません。この休日・全夜間診療事業では、二十二年度予算でも、これは三十一億円が計上されています。これをより効果的、効率的な使い方ということを考えるべきではないかと思います。
 そこで、今のこの三十億円、これを薄く広くということではなくて、場合によっては、この事業の対象医療機関の数を減らしてでも頑張っているところに重点化をするということを考えたらどうかというふうに提案をしたいと思います。
 受け入れができるかどうかわからない病院がたくさんあるという状況よりも、ある一定の受け入れをしてくれると、安心できる機関が、若干数は減っても、ある程度の数はあった方がいいのではないかということなんですね。そうすることによって、問題となってきたたらい回しの問題、また、搬送時間の長期化の解消ということが期待され、また、複数の医師がいるということによって、安定した医療の質を提供できるのではないかというふうに考えますけれども、この件についての東京都の見解をお伺いします。

○吉井医療政策部長 先ほどもお答え申し上げましたが、救急患者を迅速に受け入れるため、直近での救急患者の受け入れが可能になるよう、地域性に配慮した救急医療機関の確保が必要であると、そうしたことで指定をしているという状況がございます。その上で指定二次救急医療機関が病院の規模や機能に応じた救急患者の受け入れが望ましいというふうに考えてございます。
 なお、この二次救急医療のあり方につきましては、まさしく先般開かれました東京都救急医療対策協議会で議論をいただいたところでございます。検討においては、救急医療機関を集約化すべき、重点化ということと同義かと思いますが、集約化すべきという意見も出されたところでありまして、病院によって受け入れ数に差がある、そうしたことの議論もございました。
 一方で、救急搬送をされる患者の相当部分は軽症であるといったようなところがございまして、そうであるとすると、小規模での受け皿、受け入れをなくすことは、逆に重点化というか、頑張っている病院に集中を招いて疲弊するのではないかと、こうしたような意見もございました。
 東京都救急医療対策協議会としては、現在の救急搬送、病院選定の方法、それから初期、二次、三次の各救急医療機関の役割分担、これを基本に据えながら、そして救急医療機関数の大幅増や、救急医療を担う人材の短期間での確保が困難な状況にある中で、限られた医療資源を前提に置きながら、いわゆる救急医療が必要な患者を少しでも早く医学的管理下に置くための方向性が示された、これが住民も含めた地域での連携協力体制づくりということでの救急医療の東京ルールの提言でございます。こうしたようなところの部分を含めたところで、東京都としては、いわゆる二次の救急医療について、今現在、対応を図っているところでございます。
 なお、東京都医師会とも、今の取り扱いの患者云々の問題につきましては協議をいたしまして、指定二次救急医療機関のキャパシティーに応じた受け入れを、さらなる形で要請をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。地域性に配慮したということも重要だろうというふうに思いますけれども、私はこの二次救急が玉石混交になっているんではないかというところを不安に思っているんですね。たまたま近くに、非常に優秀なお医者さんがいて、何でも診れるよという二次救急があればいいんですけれども、なかなかそうはなっていないようだと。その結果として、たらい回しがある。搬送時間の長期化、受け入れられないということがあるんではないかというふうな問題意識を持っているということなんです。
 ですから、私はこれを一度、この休日・全夜間事業については検証していただきたいということ、これをお願いをしたいと思うんです。これが今のこの姿で本当にいいのかどうかということ、もちろん地域性に配慮するということは大事なんだろうと思いますけれども、検証をするということは、私は大事なことだと思いますので、ぜひこれだけはお願いをしておきたいというふうに思います。
 それともう一点は、この重点化、拠点化ということが将来的なことだったとしても、少なくとも、非常によく頑張っている、受け入れ実績が非常に高いといったところには、やっぱり何らかのインセンティブが働くような、もっと頑張ろうとなれるような仕組みづくりというのは重要なんではないかというふうに考えていますので、これも検討していただければと思います。
 そして、こういった二次救急の、今ある課題、また休日・全夜間診療事業、こういったものをしっかりと検証した上で、本来であれば、次の新しいルールに入っていくのが筋なんだろうというふうに私は考えています。その新しいルールというのは、今回の東京ルールですね。東京ルールが、こういった二次救急のいろんな問題点を抱えながら実施されて、今、半年間たとうとしています。まずは、この現状の東京ルールの課題について教えていただければと思います。

○吉井医療政策部長 まず、東京ルール、半年間の実績から、ちょっと申し上げさせていただきます。
 昨年八月末の運用開始以来、東京ルールとしての事案は、本年二月末までに五千五百五十六件となっております。地域の救急医療機関相互の協力連携や救急患者受け入れコーディネーターによる地域を超えた調整が行われ、救急患者は確実に受け入れられているということでございます。
 また、搬送先選定に六医療機関以上当たった中等症以下の事案は、東京ルールの運用を開始した昨年九月から十一月までの三カ月間の数字でございますけれども、三千百十九件となってございます。二十年度の同時期の四千百十件と比べますと約千件の減少となってございます。
 次に、東京ルールの運用を始めた以降の現状と課題でございますけれども、一つは、地域救急医療センターでの受け入れがちょっと多いこと。それからもう一つは、困難な背景を持つ方や治療終了後に在宅に戻すことが困難な方への対応、さらに救急医療に対する都民の理解を深める必要があること、こうしたことでございます。圏域内の二次救急医療機関が一体となって救急患者の受け入れを行うと、そういう東京ルールの趣旨からいたしまして、地域救急会議を通じまして救急医療機関同士の連携強化を図り、地域全体での救急患者を受けとめる体制の整備を進めるとともに、来年度、地域救急センターの診療体制のさらなる強化を図るための支援を充実することとしております。
 また、困難な背景を持つ事案に対しましては、救急医療機関だけでなく、関係機関の協力が必要であり、地域救急会議において、それぞれの関係機関が役割に応じた支援を行うよう課題の把握及び解決に向けた検討を行ってまいりたいと思っております。
 さらに、適切な救急医療の確保のためには、都民の協力は欠かせないことから、救急医療が都民にとって貴重な社会資源であることの普及啓発を一層行うとともに、シャープ七一一九の救急相談センターの利用を促進してまいります。
 それから一言、診療報酬の関係をインセンティブということでお話ございましたので、この四月の診療報酬改定で、いわゆる新設でございますが、今までは救急医療管理加算ということでの加算がありましたけれども、いわゆる救急搬送患者地域連携ということで、まさしく東京ルールと一体でございますけれども、紹介加算で五百点、それから受入加算で千点という形のものが新設されてございます。この趣旨は、地域の連携によって、その機能を十分に発揮できるように、緊急入院した患者の早期転院支援を評価して新設するものだというふうに聞いておりますので、こうした診療報酬の動きは救急医療機関の取り組みをバックアップするものではないかというふうに考えております。

○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。それで、今、この東京ルールが、未実施の地域が四つの圏域であるというふうにお伺いしていますけれども、現在のこの進捗状況と、どうしてこれまで運用ができなかったのかということについて、お伺いしたいと思います。

○吉井医療政策部長 これまで未実施であった地域は、区南部地域、区西南部地域、それから北多摩北部、西多摩の四つの医療圏域でございます。これらの地域につきましては、これまでなかなか、いわゆる救急医療機関の理解が得られない状況にございました。
 都は、地域内の救急医療機関に対しまして、重ねて要請を行うということと、それから救急患者を地域で受けとめるという、一つの個々の医療機関の判断ではなくて、地域で受けとめるという東京ルールのコンセプト、これについて重ねてお話をし、少し理解が進んだことで地域の医療機関同士での話し合いが進んでいるという状況にございます。その結果、西多摩地域では、昨日の三月十六日から運用を開始することとなりました。ほかの圏域につきましても、来年度早々に運用が開始できるよう、引き続き働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。

○柳ヶ瀬委員 それで、この東京ルールの課題については、私も、さまざまな方から、非常に多くの課題があるというふうに受けとめています。特に、この地域救急医療センターとなったところが非常にパンクしてしまうぐらい、さまざまな搬送困難ケースを受けとめなければいけないというのは最も大変なことなんだろうというふうに考えています。
 そこで、この東京ルールが、八月三十一日から運用を開始したわけですけれども、どのような効果が出てきているのかということを、今あるデータの中から探ってみようということでデータをもらってまいりました。次のこのパネルになるわけですけれども、これは消防庁のデータでございます。平成十九年、二十年、二十一年、各地から医師の引き継ぎまでの平均の救急搬送時間というふうに考えてもらえたらいいんだろうと。それを十九年と二十年と二十一年で、各圏域ごとに出してもらいました。
 例えば、区西南部は四十六・八、そして昨年が五十分、区西部、四十五・一分、四十四・一分、四十八分、区西北部、四十六・六分、四十六・二分、四十八・六分ということで、これ、見ていただければ、大体この傾向がわかるかなというふうに思うんですけれども、十九年と二十年はほとんど変わっていません。私が計算をしたところによると、十九年から二十年は、ほとんどのところが、この平均の救急搬送時間が下がっています。下がっているんです。しかし、二十年から二十一年にかけては、ほとんどのところが上がっています。多いところは区東部、五十一・二分から五十七・一分ということで、二十年に比べて約六分もふえているという状況があるんですね。
 何がいいたいかというと、二十年と二十一年のこの違いは何か。ちなみに、このデータは九月から十二月の四カ月のデータです。二十年と二十一年と何が違うのかというと、これは、東京ルールが運用されている二十一年、されていない二十年という違いなんですね。つまり、東京ルールが運用された後に、非常に大きな救急搬送時間の延びが示されているということなんです。救急搬送時間が、平均すると三分以上、各圏域で三分以上延びてしまっているというのが、このデータなんです。というデータを見て、私は非常にびっくりいたしました。
 ただ、このデータは、まだ運用化が開始されていない圏域についても、やっぱり延びているんですね。ということを考えると、これ、ひとえに東京ルールのせいだというふうに簡単にはいえないのだろうというふうに思いますが、三分以上各圏域で延びているということは、私はこれ、深刻に受けとめなければいけないと考えます。このようなデータを見て、福祉保健局の方にも、このデータは多分、二、三週間ぐらい前に行っているというふうに思いますので、どのように分析をされているのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

○吉井医療政策部長 委員ご指摘のように、救急搬送時間についての短縮というか、そのために東京ルールも開始したところでございますので、そうした意味では、今の二十年度から二十一年度の、ちょうど九月、十二月の時期ではあって、東京ルールだけではないんですが、延びているということもございますので、今後、東京消防庁とも連携をして、これは分析をしていかなければならないかなというふうに考えてございます。
 一点、ちょっとよろしゅうございますでしょうか。搬送時間の関係で申し上げますと、東京ルールが、まさしく地域の中で受けとめるということで、コーディネートの機能も含めて、そうした、いわゆる迅速的確な救急医療につなげるということで始めたところでございますが、ただ、全体で四十七・二分ということで、よくワーストというふうにいわれるわけなんですが、ただ、そこのところの、いわゆる消防署から出るところ、それから、いわゆる現場から出て医療機関に着くところ、それから東京だけのルールかもしれませんけど、きちんとドクターに、観察をした後、病院に入ったからおしまいじゃなくて、看護師ではなくて医者に渡して、症状もきちんと話すということで、これだけとってみると、もう二十七分を超えるという状況がございまして、あとは、例えば救急の現場で、ビルの中であるとか、例えばサッカーのオシムなんかが、二階から引きずりおろすといったら語弊がありますけど、収容するのにかなり時間を要したとか、さらには、私はここの病院に行きたいとかというようなことも含めた対応が、かなり救急現場で行われているという状況がございますので、そういったようなことも含めて、病院選定については、効率的、効果的な対応を図るということではございますけれども、そうした事情があるということだけ、一言申し上げさせていただきます。

○柳ヶ瀬委員 今の四十七分という話は一たん置いておいて、これは東京ルールの運用前と運用後で大きな変化が見られると。それは平均して各圏域ごとに三分以上のおくれが出ている、多いところでは五分以上のおくれが出ているんだということなんですね。ですから、これをしっかりと、今、検討していただけるということをおっしゃっていましたので、消防庁に、これを出していただくのは非常に膨大なデータなんですね。ですから、時間はかかるかもしれませんけれども、ぜひ検証をしていただきたいと。私の方でも、これは検証を進めてまいりたいというふうに思いますので、それをぜひ、突き合わせができたらいいなというふうに思っています。
 以上で、私の質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

○野島委員 まず、学童クラブ関係でお伺いをしたいと思います。
 さきの定例会の代表質問の中でも、昨年、我が党が設置した少子・高齢化政策推進本部、不肖、私が事務局長をしておるんですが、だから、質問するというご当人ソングではないんですね。そこで、私は何をどうして検討したかと、こういうことであります。
 一つは、仕事と子育ての両立と、こういうことが、やはりこの少子化を打破する中では大変重要なことだろうというふうなことで、いわば、行政が取り組むキャパシティーをどうやって上げていくのか、質を上げていくのかと、こういうことであります。
 子ども手当について、いろいろ議論はありますけど、あれは直接、個人にいっちゃうわけです。その先、どうなるかわからないです。そういう制度なんです、あの制度は。そういうことですよ。それを別に否定しているんじゃないですよ。でなくして、行政としてやるべき仕事は、子育て手当を出したら、もらった人が集まって保育園をつくるわけないんですよ。学童保育を運営するわけないんですよ。そこが実は悩ましいところでありますから、私どもは、いわば、そういう子育て基盤の整備について、どうやっていくかと、こんな思いで取り組んでまいりました。
 その中の一つの結論が、保育所の待機児童が大変多いと。こういう中では量の拡大をしなきゃいけぬというようなところで、先ほど保育所の、いわゆる認可保育所の議論もありましたけれども、さまざまな要素を考えれば、やはり認証保育所のキャパシティーを上げていく必要があるだろうと、これが一つの提案でありまして、そのことについてはご理解をいただき、来年度、予算編成されたことに心から感謝を申し上げたいと思っております。
 あと一つは、学童保育の問題であります。そのときに使った言葉が、小一の壁というキーワードなんですね。何なのかと。実は利用者からいろいろ聞いてみました。保育園に行っているときは、迎えに行くのが六時を過ぎてもよかったと。それはやっているわけだから、制度として。だけども、一番、子どもたちにとって環境が激変するんです、生活環境がね。学校行って、学童保育行って、今まではお母さんが七時ごろ迎えに来てくれるという前提でやっているわけですよ。ところが、七時までやっている学童保育というのは極めて少ないと。したがって、そこに小一の壁があるんではないかと、こんなふうな問題意識を持って、いわば開所時間延長に対応できる学童クラブの増設と、こういうことで実は去年の十二月の定例会でご要望を申し上げました。これは政策であると同時に、既存の制度の中で、どこにバイアスをかけて、どこに財政出動をさせたらプラスになるかという財務の縛りもありますから、あるいは区市町村との役割の財源の縛りもありますから、これは僕は提案だけにとどめたんです、要望にね。そういうことで結果として今日に至ったわけであります。
 そういう意味では、私は今回、都独自の補助制度として、午後七時までの開所を基本とする都型学童保育が創設されたということについては大変ありがたく思っておりますし、まあ、夢を語るのは語っていいんです、一歩ずつやっていかなきゃいけないです、行政は。おとぎ話は自己完結だから気持ちよくそこで終わっちゃうんです。私たちは、そういう現実をとらまえながら、確実な政策実務をしていかなきゃいけないというような意味合いで、こういうふうな取り組みをしているわけであります。
 そこで、都内では、昭和二十七年、これに民間保育園の卒園児を対象として開所された学童クラブの成り立ち、こんなふうに伺っております。このような長い歴史を持つ学童クラブですが、これが法制化されたのは、いわば児童福祉法に位置づけられたのは平成十年なんですね。いわば実態として歴史は長いけれども、そういうものを法制化したということは平成十年と、こういうことであります。
 しかし、この中の児童福祉法における放課後においては、放課後児童健全育成事業と、こういうふうに位置づけられておりますので、法律的にいう児童福祉施設ではないんですね。最低基準がない、放課後の児童の生活の場としての質の確保、これが課題となっているわけですね。この質の確保というのは、需要者サイドから見ると、それは施設の規模の問題もある、あるいは、そこにおける職員配置の問題もある。しかし、一番の質というのは、需要者が望む、冒頭申し上げた小一の壁をどうやって突破してくれるんですかと、それができなければ、質の確保というのは何ら意味がないと、こういうふうなことだというふうに私は受けとめてます。
 そして、今回、このような状況の中、新たに都型学童保育が創設されることになったわけでありますので、そういう背景を踏まえて、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、都内の学童クラブの運営主体別設置数を伺います。資料として残っておりますけれども、議事録に残さないといけないので、あえてご答弁をお願いしたいと思います。

○吉岡少子社会対策部長 都内の学童クラブの設置数でございますけれども、平成二十一年五月現在、公設公営が一千百五カ所、公設民営が三百四十八カ所、民設民営が九十六カ所で、合計一千五百四十九カ所でございます。

○野島委員 そこで、国が平成十九年に、放課後児童クラブガイドライン、こういったふうなものを作成して、学童クラブの運営上、望ましい方向性を示したと、こういうことでございます。これは児童福祉法の法体系からいっても、基準であるとか何とかを定めるものではないですから、望ましい運営のあり方を示したというガイドラインということであります。
 実はこのガイドラインには、開所時間に関する規定はないんです。それは法体系の中での児童福祉法の施設ではないですよということと同時に、それもあるんですが、より以上、その地域の実態に見合った学童保育を、ガイドラインはこれだからつくりなさいと、こういうことなんですね。時間の制約もかけてないんですよ。そういう意味では、今度、都が示した都型学童クラブについては、午後七時以降までの開所が基本となると、こういうふうに伺っているところでありますけれども、しからば、現状の公設公営、それから公設民営、民設民営、それぞれの学童クラブの開所時間の現状について、お伺いをしたいと思います。

○吉岡少子社会対策部長 十八時を過ぎて開所している学童クラブの数でございますが、公設公営が一千百五カ所中八十九カ所で約一〇%、公設民営が三百四十八カ所中百三十六カ所で約四〇%、そして民設民営が九十六カ所中八十七カ所で約九〇%になっております。

○野島委員 ありがとうございました。実は、今答弁いただいた、この数字が何を意味するのかということについては、最後に提案も含めて--見解を伺いません、提案の中に入れておきたいというふうに思ってございます。いわば、民営のクラブが時間延長に柔軟に対応していることがわかるわけです、この数字から。さらに民間企業の参入を促していくと。時間延長に対応した学童クラブの設置促進を進めていただきたいと思います。
 また、当然のことながら、クラブ数の拡充とあわせて職員体制も重要な課題であります。国のガイドラインでは、放課後児童指導員については、児童福祉施設最低基準第三十八条に規定する、児童の遊びを指導する者の資格を有することが望ましいと、こういうふうに書いてあるんですね。ここにそのガイドラインをいただきまして、読んでみたんですけど、望ましいと、こういうことで書いてあるんですね。しからば、この望ましいということは、どういうことを意味しているのか。
 現在の学童クラブにおける指導員の有資格状況はどうなのかと、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○吉岡少子社会対策部長 児童の遊びを指導する者の資格としては、保育士、幼稚園、小学校、中学校、高校などの教諭、高校等を卒業し、児童福祉事業に二年以上従事した者、大学において、心理学、教育学、社会学、芸術学、体育学などを専修する学科を修めて卒業した者などでございまして、幅広い資格要件となっております。平成二十一年五月現在の都内指導員の数は六千七百四十八人でございまして、そのうち有資格者は五千八百九十三人、八七・三%でございます。

○野島委員 ありがとうございました。児童福祉事業に二年以上従事した者など、経験者が有資格者として規定されるなど、幅広い人材登用が可能になっていると、こういうふうに受けとめております。
 先ほども申し上げましたけれども、国のガイドラインは、資格を有することが望ましいということなんですね。ところで、今回のこの都型学童クラブについては、それの援用をするのか、それとも指導員の有資格者の配置を義務づけるのか、そんなところを教えていただきたいと思います。

○吉岡少子社会対策部長 都型学童クラブ、これも仮称でございますけれども、都型学童クラブにおきましては、子どもの安全・安心の確保に加え、児童一人一人に対し、必要な援助ができるよう、常時二人以上の指導員を配置し、そのうちの一人は保育士などの有資格者とすること、また、必ず一人は常勤の有資格者を配置することを補助の要件としてまいります。今、委員のお話にございました放課後児童クラブガイドラインの、これを援用するものではございません。

○野島委員 わかりました。ガイドラインに上乗せをして義務づける、こういうことですね。ここが大事だと思うんです。私は先ほど質の問題をいいました。時間という需要者の質の確保という意味では、延長はすばらしいんです。と同時に、その事業内容の質を担保する意味では、望ましいんじゃなくて義務づけるということで需要者の二つの側面にこたえていく、こういうことだろうというふうに思っております。
 それで、なぜ望ましいというガイドラインになっているかというのは、僕は二つの側面があると思うんですね。一つには、実はこの事業を始めるときに、そのときはガイドラインはないんですよ、まだ、前っ手だから。仮にあったとしたら、それを義務づけたときにどうなるかというと、恐らくいろんな意味で、保育も含めて需要が物すごくあった。そのときに、それやっちゃったら人材確保できないんです。と同時に、今度ガイドラインで望ましいとありました、これを義務づけちゃったら、公の施設に義務づけちゃったら、これ、一つの職種になっちゃうんです。
 一つの職種になっちゃうと、どういう事態が起きるかというと、その職種がなければ成り立たない事業だから、特別なカテゴリーの職員を採らなきゃいけないんです、そこは。そうしますと、何が起きるかというと、拡大するときには、またそれを採らなきゃいけないよと、こういうことになっちゃう。あるいは、少なくなったときには、職種変更しなきゃいけないんです。行政の職員配置というのはそういうものですから。そこに何が起きるかと、それは硬直化しちゃうんです、公ですから。
 しかし、民間の創意工夫の中でやれる部分だから、民間に義務づけた上で、その上で柔軟性を持って運用しなさい、そこは確保しながら義務づけて、その上でという、こういう制度にしませんと、先ほど、委員ご指摘のとおり、何でも公でやればいいという議論になっちゃうんです。だから、職員の皆さんも、地域の自治体の職員の皆さんも、これがあるから職場が守れるんです。これがあるから自治体の運営の自由度ができるんです。そういう背景があるというふうに私は思っております。
 それでは、なぜ公設公営の学童クラブを都型学童クラブの対象外にするのかと、こういうことであります。

○吉岡少子社会対策部長 都型学童クラブは、午後七時以降の時間延長や放課後児童指導員に有資格者を配置するなど、都が独自に定めた要件を満たした学童クラブに対し、運営費の補助を行うものでございます。本事業につきましては、国庫補助事業の運営費補助基準額を大幅に上回る基準を設定しておりまして、その大部分が人件費に充当されます。公設公営クラブを対象といたしますと、都単独で区市町村職員の人件費を補助することになってしまいますため対象外といたしました。
 今後、都は、サービスの向上に積極的な民間事業者の参入を促進し、本事業の効果的な実施を推進してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。その手法にわたって、ご答弁をいただきました。
 一番大事なのは、都単で区市町村職員の人件費を補助するということは、財政規律として僕は絶対あってはならないというふうに思うんですね。それを外していったら、市ができないから、区ができないから、だから東京都でやれと。福祉財源を将来の見込みもなくつぎ込んでいったら、そのてんまつは既に我が都政は経験しているんです。やっぱりそういう縛りはしっかりと理論立てて、今お話しいただきましたけれども、そういうことをやっていかなきゃいけないだろうというふうに思います。
 この件は最後にいたします。いわば公設公営というのは公務社会なんですね。そうしますと、当然ながら勤務時間も硬直しているんです。先ほど申し上げた、有する者、望ましい者というのは、そういう意味でいけば、義務づけた途端にコスト増要因になっちゃうんです、自治体運営にとって。それで終了時間なんかも踏み出せない、絶対。絶対とはいわぬが、よっぽど腹据えてかからなきゃ。そういう意味では、民営の方が当然のことながら柔軟な対応ができると、こういうことだろうと。そういう前提に基づいての今回の制度だろうと認識をいたしております。
 ぜひ待機児童に効果を発揮した認証保育所の成果--実はこの制度は、認証保育所制度をつくったことと、僕は認識は一緒だと思っている。だから、そういったふうなことを踏まえ、民活を利用して、保護者のニーズに対応した学童クラブの設置を促進してほしいと、こんなふうに思っております。
 そこで、実は学童クラブについては、学校内設置の希望が高いという現状もあるんですね。ただし、二十年ほど前、執行にいたときに、学童クラブは本来、児童館行政の中でやるべきだ、こんなことでぶち上げた。それで粛々とやってきたんですけども、最後のネックは、最後の壁は保護者の安心感なんです。学校の中にクローズにしてくれりゃいいよと。そのことが安心なんです。しかし、本来、児童を育成していく中で、あなたは午後は、放課後は家庭に戻れないから学校にクローズする、あなたが帰りますということじゃなくて、一回地域に帰すべきなんです。その中で学童クラブを児童館行政の中でやれば、ほかの人たちの交流もできるんです。あるいは、学童保育、クラブというのは、ある年齢層を区切ってますから、それ以上の子どもたちとの交流はできないんですよ。それであってはいけないということでやったんですが、これは私が挫折をいたしました。しかし、その理念は、僕、今でも正しいと思っているんですよ。そんなこともあるんですけれども、まあ、そういうふうな現状なんです、正直なところね。
 平成二十二年から二十四年までの少子化打破緊急対策期間においては、新たに学校内に設置した場合、補助率の引き上げもされるということであります。この間、精力的にそういう保護者の、いわばクローズにした方が安心だと、これは一つ、気持ちとしてはわかるんです。わかるんです。したがって、それもやっぱり進めていってほしいというふうに思っております。小一の壁の解消に向けて積極的に取り組んでいただきたい。
 同時に、最後に、ぜひこの事業の育成を私、大変期待をしているんです。と同時に、懸念していることもあるんです。三年ぐらいたったら、ぜひこういうマトリックスをつくってみていってください。きょう、マトリックスをもらったんです。公設公営で児童館の中でやっている場合、学校でやっている場合、その他施設でやっている場合、公設民営で同じ形のものがどうなのか、民設民営で同じ形のものがどうなのか。どこをどういうふうにバイアスをかけて、この事業をやったら、よりいい制度になるかという答えは、答えというか、課題は、僕は三年たったら出てくると思いますよ。ぜひそんなお取り組みも要望しておきたいということでございます。あと残り何分だ。(「あと十分」と呼ぶ者あり)はい、わかりました。じゃあ、早目にやります。
 次に、介護サービスの基盤整備について伺います。
 我が党のさきの本会議の代表質問において、川井幹事長が、特養の入所申込者のうち、在宅で生活する重度の方が八千五百人いる。この事実を受けとめて、引き続き着実な整備が必要であると、この旨発言をいたしました。知事からは、特別養護老人ホームやケアつき住まいなどの整備を急ぎ進めていかなければならない、こういう前向きの答弁をいただきました。
 整備を進めるには実効性のある取り組みが必要であります。これだけ待っている人がいるから、何が何でも特養でというのは時代に合わないし、逆にさまざまなニーズを押しつぶしちゃうことなんです。先ほど大山委員もいろいろご質疑していましたけれども。いわば、これからの高齢者の施策をどう打っていくかというときに、とりわけ、こういうセーフティーネットを必要とする人たちが、公費を投入してやるときに、どこにバイアスをかけて事業をやっていくかというのがなければ財政は絶対もたない、そんなことの思いを込めて質問をいたします。
 土地が希少で地価の高い都市部においては、特養の整備を進めるためには、我が党が要望いたしました、国に対して、ぜひ定期借地権を活用した基盤整備をというふうなことをいってきたわけでありますけど、僕は、これが極めて有効な方法だと思っているんですね。
 そこでまず、本事業の意義と都の対応、このことについてお伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 お話の定期借地権制度は、事業者の土地確保に伴う借入金などの財政負担が少なくて済むなど、地価の高い都市部で大変有効なものでございます。このため、国は特別養護老人ホームなどの基盤整備を進めるため、事業者が土地を賃借する際に支払います一時金の半額を、路線価の二分の一を上限として助成する制度を創設いたしました。
 都ではこれに加え、来年度から本事業をさらに活用しやすくするために、独自に国制度と同額の補助を行うことといたしました。今後、本事業を土地所有者や事業者に広く周知し、特養などの基盤整備を促進してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。私、よく地方では、どこの県ではと、いろいろ皆さんおっしゃる。それで、特養の整備率も東京はパーセンテージが低いではないかと、こんな指摘もあるんですね。何が原因なのかと。福祉施設もさることながら、地方へ行きますと、立派な公共施設がたくさんあるんです。なぜかというと、土地の取得が容易なんです。値段ががあんと上がることないんです、地方は。あるいは、そういうところが一気に売れちゃって、とても取得できない状況にはないんですよ。いわば公共事業やるときには、土地の担保さえできれば、建築費なんていうのは、そんなに乱高下するわけじゃないんだから、そこが一番大事なんですね。
 と同時に、こういう社会福祉事業というのは、実は、私が申すまでもなく、いわゆる施設基盤、財政、財源--財政という意味でいくと、借入金をしょったままとか、やっちゃいけないんだよね。無傷でなきゃいけないんですよ。そういう意味では、地方には、無傷を可能にする、まあ風土というかな、ある種、風土も含めて、そのところの道具を持っているんですね。そんなところで地方と東京の差は出てきちゃうと。
 したがって、それから考えると、不動産の所有をせずに賃借をすることを一般化するための先鞭になるだろうと、こういうふうに思っております。引き続き国に対し、事業者が建物についても貸与を受けて特養を設置できることを要望していっていただきたい、国に働きかけていただきたいと思います。
 さっきいったように、社会福祉の事業というのは、事業運営の財政基盤が安定してなきゃいけないんですね。したがって、無傷でなければいけないよと。したがって、この貸与をするというのはサブリースですから、危険負担を伴うわけですね。したがって、そういったふうなことを実情に合わせながら、サブリースしたところで需要があるんですから、そんなに怖がることはないんです。ぜひ国に対して、引き続き働きかけていただきたいと思っております。
 次に、特養の整備の補助内容について伺いをいたします。
 昨年の第三回定例会において、我が党の代表質問では、区市町村からの要望が強い、四人部屋などの、いわゆる多床室を含めた今後の特養の整備方針について伺いました。平成二十二年度の予算案では、この質疑を踏まえ、特養の創設時に多床室を整備する場合も新たな補助を行うと、このことが盛り込まれています。
 そこで、補助対象となる条件や、その考え方についてお聞かせください。

○狩野高齢社会対策部長 特別養護老人ホームの整備に当たりましては、東京の特養の個室の割合が現在約二割である現状を踏まえまして、居住環境を重視したケアを実現するために、ユニット型個室、いわゆる生活の単位が十人程度の小規模なグループであって、それぞれの居室が個室であるものをユニット型個室と申しますけれども、それを基本にしております。
 しかし、例えば既存の施設を改築する場合に、こういったユニット型個室で整備をいたしますと、現在の敷地以上の土地が必要になるなど、対応が困難な場合も出てまいりますので、今年度から四人部屋などの多床室の整備についても補助対象といたしました。
 さらに来年度からは、施設を新設する場合も、プライバシーへの配慮などを条件に、こうした四人部屋等の多床室による整備も施設全体の定員の三割以内であれば新たに補助を行うなど、引き続き土地が非常に希少な都の実情に即した整備を促進してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。先ほどの定期借地権の活用、こういったふうなことや、この多床室整備の拡充は、大変大きな効果を発揮する支援策だというふうに思っております。実は医療的介護が必要な、いわゆる入所者が極めて多くなっている、こういう実情があります。それは別建てで提案し、予算化されております。これも感謝を申し上げたいと。
 こういう制度を、実は私どもは、東京都医師会の高齢者の地域医療をどうするかというようなテーマで、あるいは都社協の高齢者部会の皆さんとの意見交換の中から提案をさせていただきました。現実に即して、しからば、どう一歩進めていくと、こういう意味合いでご提案申し上げておる次第でございまして、それにこたえていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 最後にいたします。過日、札幌の高齢者向けのグループホームで認知症の入居者七人が亡くなられました。大変痛ましい事件でございます。
 そこで、まず、都内の認知症高齢者グループホームにおけるスプリンクラーの設置状況について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 平成二十二年一月一日現在、東京の認知症高齢者グループホームは三百十四カ所ございます。平成二十一年度、昨年度末までに既にスプリンクラーを設置しておりました施設が九十六カ所ございました。これに、平成二十一年度、今年度に整備を行った施設が百三十七カ所でございます。合わせて二百三十三カ所がスプリンクラーの整備を終了しておりまして、整備率は七四・二%となっております。
 さらに来年度、平成二十二年度におきまして、四十一カ所のグループホームがスプリンクラーの設置を予定しておりまして、これを加えますと、約九割の施設がスプリンクラーを設置することとなります。
 今後とも、事業者に働きかけまして、認知症高齢者グループホームへのスプリンクラー設置を促進してまいります。

○野島委員 昨年の三月の、例のたまゆらの火災、そして今度の札幌の事故であります。大変痛ましいことが繰り返されるということを、大変残念に思っております。こういうふうな宿泊を伴うような社会福祉施設や高齢者の共同住宅、消防用設備をもっと整備するべきであると指摘されておりますのですが、私も全く同感であります。
 そこで、都としても独自の補助制度を講じているわけでありますが、改めて今後の対応について見解を伺います。

○狩野高齢社会対策部長 ご指摘のとおり、昨年三月十九日のたまゆら火災事故など、これまでにも社会福祉施設等で同様の事故がたびたび発生をいたしております。
 都では、法令でスプリンクラー設備の設置が義務づけられていない延べ床面積が二百七十五平米未満の施設も対象として、二百九十万円の補助を独自に実施し、事業者の支援を行っているところでございます。
 また、事業者に対しましては、定期的な避難訓練の実施や地域との連携など、実効性ある防災対策を講じるよう指導しておりまして、今後とも福祉施設の防災対策に万全を期してまいります。
 なお、お話のとおり、認知症高齢者グループホームなどの高齢者施設におけるスプリンクラー設備の設置促進は、入居者の安全を確保する上で極めて重要であることから、国に対して、三点の緊急提案要求をしてまいります。
 一つには、二百七十五平米未満のグループホームについても、スプリンクラーの設置対象とすること。それから二番目に、設置対象施設に、今回ご提案をしております都型のケアハウス、都市型の軽費老人ホームや適合高齢者専用賃貸住宅などを加えること。三点目に、事業者の負担軽減を図るため、国の補助単価を引き上げること、この三点を緊急に提案要求してまいります。

○野島委員 あと一分だけください。都が、国が義務づけしてない二百七十五平米未満であってもスプリンクラーを補助対象にしているということについては評価をいたします。本来は、国の責任において施設や高齢者住宅という名称にかかわらず、要介護の高齢者が居住している実態があれば、防火設備の設置を義務づけるべきだろうというふうに私は思っております。これは設備面であります。しかし、どんなに設備が整ったって、それをオペレートする人がなければならないわけであります。当然のことながら、人は多いにこしたことはないんです。
 したがって、そういう部分も入れ込みますということになれば、当然、介護保険の保険料にもはね返ってくるんですね。そういう悩ましい問題もあるんです。共産党さんに提案をいただきました意見書、気持ちは一緒でありますから。ただ、基本の考え方で折り合うかどうかわかりませんが、共同提案に向けて字句の修正をぜひ応じていただきたいと思っております。それが整えば共同提案いたしますから。
 以上で、私の質疑は終わります。ありがとうございました。

○橘委員 私の方からは、介護雇用プログラム事業について質問いたします。介護保険制度の開始から約十年が経過して、制度やサービス内容など、改善が必要な課題も多く出ております。当面の課題である介護人材の確保、育成を中心にきょうは見解を伺います。
 介護人材の確保は、制度の根幹をなすものでありますけれども、低収入、重労働の業務などによって、東京では慢性的な人材不足となっております。改善する一つの手だてとして、緊急雇用創出事業の一環として、この介護雇用プログラム事業が実施されることになりました。
 まず、この事業の目的、概要、それから事業の進行状況、都の独自性とか工夫、そういったものについて伺います。

○狩野高齢社会対策部長 介護雇用プログラム事業は、雇用創出とともに、介護現場での人材の確保、育成を目的として、離職者等が介護事業者に有期雇用され、働きながら介護の資格を取得する事業でございます。本年一月に本事業の内容を周知いたしまして、事業者の公募を開始し、二月に四十八の受託事業者を承認し、三月から事業を開始しているところでございます。
 都では、事業計画の内容や職員育成の取り組みなどを重視して事業者を選定するとともに、多くの事業者が介護人材を育成できますよう、一事業者が雇用する離職者等の上限を十名といたしました。

○橘委員 この事業では、この事業に手を挙げた社会福祉法人とか民間の事業者、この法人等が運営する高齢者施設で働きながら介護の資格を取得する、ここに特徴があるわけですけれども、介護福祉士の養成コース、これは一年契約を更新して実質二年となっております。それからヘルパー二級取得の場合は一年契約となっております。
 しかし、このモデルスケジュール、応募した方たちが、働いている方たち、また学んでいる方たちが、どういうスケジュールで一日を過ごすのかというのをモデルスケジュールになさっていますけれども、これを見ますと、介護現場で実際に働く時間が意外と少ないなというふうに思いました。グラフで見る限り二時間程度だったでしょうか、そんなふうに思いました。
 これが一つなんですけれども、この方たちが、現場での実際の仕事、働く時間が少ないということは、キャリア不足は目に見えているわけですね。この方たちをしっかり育てようというふうにして、そういう決意のある方たちが、今回手を挙げた事業者の方たちですね。そうしますと、事業者の負担というのは結構大きいんじゃないかなと思ったんですね。ましてや、丁寧に人材育成をしていこうとすると負担がかかる。けれども、ある程度教えながらとなると、やっぱり人材が育たないんじゃないかという、そういう反面、危惧もあります。この点について、どのような工夫をなさっているのか、見解を伺います。

○狩野高齢社会対策部長 本事業を効果的に実施するためには、受託事業者による離職者等の指導育成が極めて重要であり、そのことが事業者にとっては大きな負担となる面もございます。一方、事業者にとっては、新たな人材を確保する有用な機会でもございますので、各事業者が大変意欲的に、今、取り組みを始めているところでございます。
 本事業におきましては、雇用にかかわる事務費や、ただいま申し上げました指導職員に対する人件費など、委託経費の中に含まれておりまして、一定程度、事業者の負担は軽減されているものと考えております。

○橘委員 今申し上げたように、働きながら、そして資格取得を目指す、これがすべて働いた賃金、それから講習を受ける費用、こういったものを全部公費負担で行う、これがこの事業の一つの特徴なわけですね。
 そうしますと、公費負担ということは、介護人材としては、これを取得したからには、これは正規の職員として仕事をしていただきたいな、継続してほしいなというのが社会通念上のそういう期待になるわけですけれども、ところが、今までこの資格取得ということがセットになっていない。
 例えば、介護インターンシップ事業というのも自治体では行われてきました、幾つかの自治体でありました。その結果を見ますと、そのまま正式な職員として採用されている、また就職している割合というのは、そんなに高くはないんですね。
 そうしますと、離職した人などを正規雇用になるべく結びつけたい、結びつけていこう、それが介護雇用プログラムの事業の目的なわけですけれども、この辺について、歩どまりといいますか、定着率といいますか、そこをきちっと確保していくために、都としてどういう取り組み、どういう工夫をなさっているのか、伺いたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 都は、本事業を受託する介護事業者等を選定するに当たりまして、まず職員の育成計画や指導、支援の体制、加えまして事業終了後の継続雇用予定などを評価の対象としております。あわせて、介護雇用プログラム事業により、事業者が有期雇用した離職者等について、雇用契約終了後もできる限り継続して雇用するよう、都から事業者に要請しているところでございます。
 また、ハローワーク等を通しまして、離職者等に対しても、本有期雇用契約終了後も、介護事業に従事する意思のある方を対象とした事業であることを説明しております。こうした取り組みによりまして、本事業を活用して離職者等が介護現場に確実に定着するよう努めてまいります。

○橘委員 私、正直申し上げまして、説明をいただいたときに、この事業を中途半端な事業だなというふうに最初思ったんです。私は当初、半日働いて半日講習を受けて資格をとるために勉強するという、そんなイメージでとらえていたんですけれども、実際に説明を聞きましたら、そうじゃない。講習を受けることの方が重点を置かれているということがわかってきました。そうすると、この事業って何をねらっているのかなということがちょっとわからなくなってきましたけれども、実際、東京都独自に工夫した部分、例えば一事業者当たりに雇用する離職者の上限を十名とする、つまり、いろんな事業者に分散するんですね。こういったやり方をすると、きめ細かく人を育てることができる。そういった工夫もしているということは、これは定着する可能性がやっぱり大きいのかなということを考え始めるようになりました。これが正直な印象でございます。
 そうしますと、働きながら資格をとる、そうすると、これが親切丁寧に育成していこうという事業者側の、東京都がねらった意図どおりにやってくれますと、これはやはり定着率というのは、また正規職員として就職する、働く、この確率はかなり高いんじゃないかというふうに思うようになりました。そうしますと、この事業のねらい目とする人材の確保という、また育成という観点、これは意外と方向性を--これからの少ない資源の中で人材を育成して確保していく、結構、光明を見出すような事業になり得るのかなという、そんな気がしてなりません。
 その観点からいいますと、この事業は、この経過を追っていって、この研修を受けた人たちがどこまでついていっているのか。それから、途中で挫折した人は何が原因なのか。そういったことを細かく分析していって、この分析結果というのは、結構、将来的に大きな意味を持つのかなというふうに、私は今考えております。
 したがって、私の主張ですけれども、この定着状況も含めて、実施状況、これを調査、それから検証する、こういった取り組みをきちっとやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 介護雇用プログラムの実施状況につきましては、その状況を把握し、その効果を検証することは重要な課題だというふうに認識をしております。事業実施期間中の介護現場での支援体制や、職場内研修などの取り組み、さらには資格の取得状況、事業終了後の定着状況や、仮に離職した場合のその理由などについて、今後調査をしてまいります。
 また、本事業で成果の得られた取り組み事例をほかの事業所に紹介するなど、本調査結果の活用についても、あわせて検討してまいります。

○橘委員 その取り組みをきちっとお願いしたいと思います。
 この事業を通し資格を取得した後に、正規職員として働くようになっても、収入などの処遇がよくならなければ、一過性の人材確保に終わってしまう懸念もあると思います。せっかく手塩にかけて、将来を担う人材だからということで事業所の先輩たちが育てても、やはり少し働いてみたら給料が余りにも少な過ぎるとか、そういったことで、現実に幻滅感を感じていってやめていく、そんなことになってはならないと思います。
 したがって、介護従事者の処遇改善というのは、介護サービスの充実にとっても不可欠であると思います。大都市にふさわしい介護報酬体系の整備を国に求めていっていただきたいし、また、都独自に処遇改善支援策もこれまでも講じてきたわけですので、これをさらに充実させるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 介護人材の処遇改善のためには、給与水準の改善を図るとともに、職員の能力、資格、経験等に応じた処遇がなされることが重要でございます。昨年四月の報酬改定において、介護従事者の処遇改善等を目的に、介護保険制度開始以降、初めてのプラス改定が行われるとともに、昨年の十月からは、介護職員処遇改善交付金事業による処遇改善を実施しております。また、大都市にふさわしい介護報酬水準の設定につきましては、引き続き国に提案要求を行ってまいります。
 今後、職員の経験やスキルに応じた任用要件や賃金などについて定める、いわゆるキャリアパスの構築について、介護事業者を支援するなど、職員定着につながる取り組みについても検討してまいります。

○橘委員 この介護保険は、制度としては定着している反面、当初目的とした在宅支援、この観点からの制度からスタートしたわけですけれども、これが、やがていつしか利用者の意識というのは施設志向へと意識が変化していった、こういった課題もあります。それから、介護人材の不足、低賃金という、そういった課題もあります。それから、負担は低く、それからサービスの内容は高くというですね、これは利用者の意識面のミスマッチ、こういった課題もあります。こういったことが顕著になってきているのが今の介護保険制度ではないかと思います。
 東京都の立場から、介護保険制度十年の節目に当たって、こうした課題をどういうふうにして認識して、今後の介護事業に反映させていく考えか、この見解を伺って質問を終わりたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 介護保険制度は、平成十二年の創設以降、サービスの利用者、サービス利用ともに順調に伸びるなど、着実に定着する一方、現行制度を維持した場合には、今後、介護費用が急速に増加し、負担の増大が見込まれるなど、制度の持続可能性が大きな課題となっております。
 また、介護保険制度では、ご案内のように、在宅重視を基本理念として掲げているわけですが、ただいまお話しのように、施設志向が大変高まっているという、いわばジレンマ、課題も抱えてございます。
 そのため、国におきましては、高齢者が生活をする日常生活圏の中で、介護医療だけではなくて、近隣の方、ボランティアの方も含めた、住民主体のサービスも含めて、適切に提供できるような、地域の包括ケアシステムを推進することとしているところでございます。
 都といたしましても、現在、東京の地域ケアを推進する会議を設置いたしまして、在宅生活を支える新たな介護サービスのモデルなど、東京の特性を踏まえた地域ケアのあり方について検討を進めており、来年度には地域ケアの東京モデルを具体的に提案してまいります。

○門脇委員長 質疑の途中ですが、議事の都合により、おおむね十分間、休憩いたします。
   午後七時四十七分休憩

   午後八時一分開議

○門脇委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○佐藤委員 私からは、平成二十二年度予算に関して三点、周産期医療体制整備、予防接種、そして原爆被爆者援護について質疑をさせていただきます。
 周産期医療体制の拡充に向けて、代表質問でも、人材確保、また地域移行支援の観点から大沢幹事長が触れたところではありますけれども、周産期医療体制の拡充に向けて、民主党では、平成二十年には周産期医療再建ワーキングチームを発足し、周産期医療提供体制の検証、そして実効的な改善策の検討を進め、その報告に基づく提言についてはマニフェストとして掲げてきたところです。
 また、報道もされた、さまざまな周産期救急搬送収容の不能事案の発生は、周産期医療体制が実態に合っておらず、その拡充が喫緊の課題であることを明らかにしました。周産期医療再建のかぎは、ハイリスク妊婦、そしてハイリスク新生児を受け入れられる医療機関におけるNICUの拡充と専門医等の確保にあります。
 そこで、まず東京都における出生数と、NICUを必要とする場合の多い低出生体重児の数、割合に係る推移についてお伺いをします。

○吉井医療政策部長 東京都の人口動態による出生数は、平成十年が九万八千九百六十人で、平成二十年は十万六千十五人でございます。そのうち、お話のございましたNICUを必要とする場合の多い低出生体重児は、平成十年が八千百十五人で八・二%、平成二十年が一万百四十人で九・五%でございます。

○佐藤委員 続けて、東京都におけるNICUの数の推移をお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 まず、平成二十二年二月、直近の現在でございますが、東京都のNICUの病床数は二百二十二床でございます。例えば先ほどの十年のお話を申し上げれば、その場合はNICU百六十床でございました。

○佐藤委員 このNICU必要数については、一九九四年に周産期医療体制整備事業開始に際し、厚生省心身障害研究、ハイリスク児の総合的ケアシステムに関する研究で推計された出生数一千人に対して二・一床のまま、十年間据え置かれたままになっていました。まさに今お話しいただきました現在の都の現況NICUの数は、出生十万の東京における、この基準に基づいて整備をされてきたところでございます。
 しかし、先ほど低体重出生児の出生が増加していることが報告されてきたところでありますけれども、二〇〇八年三月に出されました、NICUの必要病床数の算定に関する研究、平成十九年度総括・分担研究報告書では、一九九四年から二〇〇五年、この十年間を対象に報告をしておりますけれども、ここでは何点かの指摘がありますが、まさにご指摘いただいたように、低体重出生児の割合は七・一%から九・五%と増加をし、また、新生児死亡率は一千の出生に対して二・三人であったところ、一・四人と改善した結果、NICUに対する需要が増加をしていること。また、NICUに三カ月以上入院する割合が一八・三%であり、NICUにおける長期入院症例の占有率は三・八五%と。また、空床、待機床数がNICUは八・一%を占めていると指摘をし、NICU必要病床数を、千の出生数に対して二・一床のところから、千の出生数に対して三床とすべきところを提言しています。
 民主党では、こうした実態を踏まえ、マニフェストにおいても都民の命を守るための具体的施策として、東京におけるNICUを三百床実現に向けた取り組みをマニフェストに掲げました。この観点から平成二十二年度の予算についてお伺いいたします。
 都の今回組まれました予算におきましては、平成二十六年度までに三百二十床に増床するとしております。まさにこの方向について本当に熱意のあらわれであると高く評価をしております。
 このもとで、NICU一床を整備するための設備整備費用及び必要な面積についてお伺いをいたします。
 また、昨年視察をさせていただきました三つの都立病院では、どの病院もいつも満床であり、新たに新生児を受け入れることについては、回復途上の新生児を受け入れる後方病床のGCUをあわせて別途やりくりを対応していました。NICU整備に当たっては、その後方病床としてのGCUもあわせて整備する必要があるところ、その病床数の考え方についても改めてお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 まず、NICUを一床整備する施設基準でございますが、新生児特定集中治療室管理料に関します診療報酬の施設基準でございますが、NICU一床当たりの基準面積は七平米以上となってございます。
 また、平成二十一年四月の東京都周産期医療体制整備PT報告によりますと、NICU一床当たりの設備整備に係る費用、これは保育器であるとか、監視装置等のモニターでございますけれども、約三千万円となってございます。
 それと、GCUの整備ということの考え方でございますけれども、先ほど、東京都といたしましては、今後五年間でNICU病床三百二十床まで整備をするということで、その促進策として、NICUの運営費に係る補助率を三分の一から三分の二に充実をするとともに、その病床を増床する場合、施設設備整備費に係る補助率を三分の二から六分の五に大幅な拡充を図りました。
 さらには、NICUから回復途上の新生児、これを受け入れるGCUと申しますけれども、これにつきましても新たな補助制度を設けるなど、全体的な総合的な周産期母子医療センターへの支援を格段に充実いたしました。
 今後、診療機能や連携等の実態調査を行い、また、周産期医療協議会の意見を伺いながら、NICUの整備に努めてまいります。

○佐藤委員 今お話をいただきました、そうしたハード面とともに、ソフト面として医療スタッフあってこその新生児医療と思います。NICUを運営するために必要な医師及び看護師数について、お伺いをいたします。

○吉井医療政策部長 新生児特定集中治療室NICUに必要な医療従事者といたしましては、二十四時間体制で専任の医師が常時勤務していること、また、常時、三床に一人の看護師が勤務していること、こうしたような条件となってございます。

○佐藤委員 先ほどお答えいただきましたように、過去のNICUの推移を見ると、事前に資料もいただきましたが、十一年間で六十床増床をしたというのが現実であります。これから五年間で百床増床を確実に実現していく必要がありますが、そのための取り組みについて、お伺いをいたします。

○吉井医療政策部長 先ほどちょっと失礼いたしました。先ほども申し上げましたが、今後五年間でNICU病床を三百二十床まで整備するための促進策といたしまして、NICUの運営そのものに対する補助、これの充実ということで、三分の一から三分の二に拡充いたします。
 また、その増床を行うために、その場合の施設整備費補助につきましては、補助率を三分の二から六分の五という形で大幅な拡充を図ってまいります。
 さらには、先ほどちょっと申し上げましたが、GCUについても新たな整備の補助制度を設ける、そうした形で総合的な対応を行ってまいります。
 今後、診療機能や連携等の実態調査を行って、さらには周産期医療協議会の意見を伺いながらNICUの整備に努めてまいります。

○佐藤委員 まさに今回の平成二十二年度の予算においては、そうしたNICUを増床していくという都の決意があらわれているところかと思います。それが、ぜひ病院との対話を重ねて、実現に向けて着実に進められていくことを期待しております。
 そして、数とともに、事前にいただきました東京都の周産期母子医療センター等の配置図を見ますと、決してバランスのよい配置ではありません。これを解消する取り組みについて、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 多摩地域におきましては、今般、都立多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの開設に伴いまして、NICU二十四床を備える都内最大の周産期医療機能を持つ病院を整備したところでございます。
 また、新たにそのセンターにおきましては、新生児も搬送できる小児用ドクターカーを小児総合医療センターに配備し、多摩地域を網羅してまいります。
 さらに、母体救命対応のスーパー総合周産期センターや、ミドルリスク妊産婦に対する周産期連携病院の指定を拡大するとともに、NICUでの管理を必要としないけれども、リスクの高い新生児を受け入れる病院を新たに多摩新生児連携病院として指定いたします。
 これらを含めまして、総合周産期母子医療センターが中心となって、多摩全域を対象としたネットワークグループを構築いたしまして、リスクに応じた役割分担と連携を推進してまいります。
 こうした取り組みによりまして、多摩地域を含めた都における周産期医療体制の一層の充実を図ってまいります。

○佐藤委員 この周産期医療体制の拡充については、今回の診療報酬の改定とも相まって、まさに今こそ取り組むにふさわしい時期だと思います。ぜひチャンスだと思います。子どもを産み育てたい方々が本当に安心してお産ができる環境、そして、はぐくまれた命が大切に息づく体制に向けて、ぜひ周産期医療体制の拡充にさらに推進していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、予防接種の体制に関してですけれども、予防接種は、重症化の防止、そして社会にその病気の蔓延を予防するに当たって大変有効な手段であります。それはもうご案内のとおりでございます。例えば風疹であれば、接種率が低いと、子どもが罹患するのみならず、妊婦から罹患することによって、その週の状況によっては胎児の先天性風疹症候群など、大きな問題となるところです。
 新型インフルエンザが注目を受け、また、子宮頸がんワクチンの包括事業が検討されて公費助成が進められている一方で、麻疹の受診率が低かったり、また、副反応などの問題もあって、厚生労働省からの通知によって、日本脳炎が、今、接種率が本当に二%、二期においては四%、一期の初回においても一六・六%と低いワクチンもある状況の中で、改めて予防接種に係る取り組みについて、お伺いをしたいと思います。
 まず最初に、集団で生活する場としての福祉施設や学校に関してですが、今回の新型インフルエンザにおいて重症化しやすい基礎疾患を有する福祉施設利用者に対するワクチン接種についてどのように対応したか、お伺いをいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 今回、国が決定した新型インフルエンザワクチン接種の優先順位におきましては、基礎疾患を有する方が最優先とされ、接種につきましては、それぞれのかかりつけ医において実施されることとなりました。
 このため、都は、福祉施設を利用する優先接種対象者が、施設と嘱託医との連携のもとに適切に接種が実施されるよう、各施設管理者に対しまして、利用者が接種する際の受診方法等の留意事項について、迅速的確に情報提供を行ってまいりました。

○佐藤委員 続けて、集団防衛のための免疫保有率は九五%以上といわれている中で、麻疹については、都では、抗体価の低い年代があるところ、その実態を把握しているかどうか、お伺いをいたします。
 また、学校内での集団感染を防止するためには、学校の職員を含めて対応していくことが不可欠と考えますが、どのような取り組みをしているか、お伺いをいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 各年代の免疫力につきましては、感染症法に基づいて健康安全研究センターの実施している流行予測調査事業において把握しており、十歳代を中心に免疫力が低下していることが明らかになっております。このため、学校内での集団感染防止と麻疹対策の推進を目的として、医療機関、区市町村、教育関係機関等で構成する東京都麻しん対策会議等を通じて、中学一年生、高校三年生の定期接種の促進に努めております。
 なお、学校の職員に対する接種につきましては、国は、学校における麻しん対策ガイドラインを示すことなどにより、麻疹に未罹患で、かつ麻疹ワクチン未接種の職員について、麻疹接種を推奨することなどの取り組みを国公立各学校に求めております。

○佐藤委員 今お答えをいただきましたように、福祉施設の利用者、そして、学校に通う生徒、子どもたちに接種を確実に進めることは不可欠なことと考えます。それとあわせて、子どもたちを預かる、そうした教職員、施設の従事者のワクチン接種を戦略的に進めていくことは、喫緊の対策として本当に重要なことであるのではないかと思います。
 また一方、別の視点から、新型インフルエンザに関して優先順位としては、今回、感染症治療を滞らせないという目的のために、医療従事者がまさに優先すべきところに第一順位として上がってきたわけですけれども、例えば重症心身障害者の介護者など、密接に接触をして日常生活を支える人に対しての接種も今後の優先順位の高いところに検討していく課題ではないかと考えております。
 次に、こうした予防接種に関しての情報提供のあり方に関して、お伺いをしたいと思います。
 予防接種の実施に当たっては、社会へ蔓延することを予防する観点から接種率を向上させることが重要です。そのためには、保護者、住民、関係者に対して、感染症や予防接種についての理解を深めることが必要でありますが、普及啓発についてどのように取り組んでいるか、お伺いをいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 予防接種法に基づく予防接種につきましては、区市町村が実施する事業となっており、接種率の向上の取り組みにつきましては、区市町村が乳幼児健診等のさまざま機会を活用して予防接種についての理解を深める普及啓発を行っております。
 都といたしましては、区市町村に対して、公衆衛生の観点からの技術的な指導助言を行うとともに、保健所の専門職員等に対しましては、感染症予防の最新事業に関する研修を実施しているところでございます。

○佐藤委員 今お話をいただきましたように、本当に、乳幼児健診等の機会、母親学級、あるいは産褥期での教育、あるいは就学時健診や卒業式を活用するなど、ほかの自治体での取り組みなど、さまざまな機会を活用して、予防接種の向上に努めているところでございます。
 小児科医がこの医院に来たときに聞いたアンケートを見ますと、例えばワクチンとかをすることに関して、ワクチンを受けなかった理由として例えばとして挙げているのが、保健所から用紙が送られてこないとか、何となくとかいうような形の答えをしているんですけれども、そこの小児科医からワクチンの効用など説明を受けることによって、接種率が上がっているというような状況もあります。
 その小児科医もお話をされていましたけれども、予防接種に関する母子手帳のページが白紙の場合もあったりとかして愕然とするという状況もある中で、こうした予防接種というのは、不断に絶えることなく働きかけをしていくことが重要なことだと思います。
 また同時に、こうした接種率を向上させるために、自己負担を低減させる必要もあると考えておりますが、その取り組みについてもお伺いをいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 まず、麻疹、ポリオなどの法に基づく接種につきましては、感染症の発生及び蔓延予防といった公衆衛生の向上を目的としていることから、原則として全額公費負担となっております。
 高齢者のインフルエンザワクチンにつきましては、一部自己負担となっているところでございますけれども、区市町村がそれぞれ低所得者に対しまして接種費用の補助を行っております。
 一方、Hibワクチン、高齢者の肺炎球菌ワクチンなどの法定外接種につきましては、重症化防止という個人予防を主たる目的としていることから全額自己負担となっております。このため、区市町村が、これらの予防接種について公費で助成を行う場合には、都は包括補助の対象に加えて、その実施を支援しております。

○佐藤委員 今お話をいただきましたように、法定の接種については公費負担ということで、それ以外に関して、都としては包括の補助の対象に加えて支援をしているという状況ということです。
 この中で、例えばおたふく風邪とかになりますと、有害事象も取り上げられて接種も任意になっているところと思いますけれども、重症化すれば聴覚を失ったり、男の子ではリプロダクティブヘルスの問題も出てくるといわれています。そうした中で、この包括事業補助を受けている区は二つの区しかない中で、ほかの区に住んでいた場合には、予防接種を打ちたいと思っても経済的に打てないという状況もないわけではないことをおそれます。
 予防接種の主たる目的、重症化を予防する、あるいは社会への蔓延を防止する、いずれのことを主たる目的とするかによって、また、公費負担はリンクして、また有害事象や副反応の補償にも関係するところと理解をしていますが、予防接種というのは本当に打ちやすい環境をつくることが重要と考えております。
 今後、予防接種事業をより一層強化するために、例えば国では、今だとワクチンの種類が十五回以上注射をしなければならない中で、スケジュール管理とか、それを打つ子どもの負担とかを考えたときに、混合ワクチンの製造、研究開発が必要であったり、あるいは膠原病の患者でも安全かつ効果的な免疫誘導できるワクチンの開発であったりとか、そういったことが進められなければならないところで、国はそういったところも取り組んでいますし、また、厚生科学審議会の感染症分科会、その部会においては予防接種事業のあり方について審議をされ、また、ワクチン行政については、そのワクチンの安定供給や産業育成の側面からも施策は進められているところではあります。
 改めて、そうした中で、国際化が進む、そして大都市の東京という観点から、都としてどのような姿勢で予防接種について進めていくのか、その姿勢についてお伺いをいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 都はこれまでも、新型インフルエンザワクチンやHibワクチンについて、ワクチン生産体制の確立や接種体制の整備等、必要な点について国に提案要求をしてまいりました。
 現在は、国は、公衆衛生審議会等におきまして、ご指摘のとおり、ワクチンの研究開発の促進も含めて、予防接種法の対象となる疾病、ワクチンのあり方と接種全般について、抜本的な議論を重ねていくとしております。
 都といたしましては、こうした動向を注視しながら、今後とも適切に対応を図ってまいりたいと考えております。

○佐藤委員 ぜひそうした取り組み、予算の中では、健康被害の救済の事業、あるいは麻疹流行の措置対策事業という事業二つが予算の中で見られるところですけれども、それ以外にも、さまざまな取り組みを持って、国際水準を満たす接種活動、在日の、国内にいらっしゃる外国人に適切な接種ができたり、あるいは海外渡航をされる方に必要な予防接種が適切に提供できる体制、そうした体制も含めて、ワクチンの種類の適切な提供、情報提供含めて、都としての施策を進めていただくことを改めて期待をいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 被爆者援護事業に関してですが、原爆症認定集団訴訟において、原告側の請求が続けて認められていることや、被爆者が高齢化する中で、国においては現在の認定制度について見直しの動きもあるところです。一昨年においては、四月、新しい審査方針ということで、被爆状況、申請病名に当てはまった場合には積極的に認定をし、それ以外の場合に総合判断をするという認定基準の緩和がありました。また、ことしの一月には、厚労大臣においては、援護法の抜本的な見直しも視野に入れつつ、審査処理計画の策定なども表明をしているところです。
 そこで、改めて都における、この被爆者援護に係る取り組みについて、お伺いをいたします。
 まず、都内における直近三カ年の被爆者手帳所持者数と新規の認定被爆者数について、お伺いをいたします。

○住友保健政策部長 被爆者健康手帳所持者数でございますが、各年度末現在の人数で、平成十八年度は八千百十九人、十九年度七千八百十人、二十年度は七千四百七十六人でございます。
 また、今、委員からお話ございましたとおり、原爆症につきましては、新たな審査方針が示されたところでございますけれども、平成十八年度は十人、平成十九年度は新規認定者数、それぞれ十人ということでございましたけれども、二十年度につきましては、この新たな方針を受けまして、百三十四人が認定されており、二十一年度につきましては、この二月末現在までで六十二人が認定されております。

○佐藤委員 当時、胎内にいた被爆者も既に六十三歳であり、高齢化が進んでおります。高齢により、その健康状況は、合併症が起こり、また、日常生活を送ることはもちろん、手続なども思うようにいかない、あるいは家族の負担も増しているという状況があるというふうに聞いています。
 そこで、こうした被爆者の高齢化が進む中で、高齢化も含めて支援の拡充に係る取り組みについてお伺いをしたいと思います。例えば健康診断の内容であったり、医療費助成、生活支援などはどういった取り組みをされているでしょうか。

○住友保健政策部長 被爆者の方を対象としました健康診断につきましては、都では、国の定める検査項目のほか、胸部エックス線検査、心電図などを上乗せして実施しているほか、健康診断の受診奨励金を支給しております。
 また、医療費の助成につきましては、国において医療費の全額を給付しております。
 また、生活支援につきましては、都が社団法人東友会に委託して実施しております原子爆弾被爆者健康指導事業の中で、医療生活相談に対応しており、専門相談機関につなげるなど、必要な支援を行っております。

○佐藤委員 今お話のありました都が業務を委託する東友会では、電話、文書、面談、訪問による相談事業や保健、健康、医療に係るリーフレット申請手続などのパンフレットなどを作成し、あるいは医療講演会などを行っています。また、被爆者の実態調査なども行い、地区ごとに原爆被爆者が集まって勉強会などを行っているところであります。
 ある意味で、この健康指導事業は、被爆者の抱える身体的、精神的だけでなく、社会的なあらゆる問題に対応をしていると実績を見ると思われます。その相談実績は、二〇〇〇年度では一万三千件台で推移をしていましたけれども、近年、二〇〇六年度には一万四千九百五件、二〇〇七年度では一万八千二百二十七件、二〇〇八年度では一万六千三百四十八件と高どまりをしている現状があります。平成二十二年度予算における積算の考え方について、お伺いをいたします。

○住友保健政策部長 健康指導事業は、高齢化が進む被爆者の健康不安を軽減するために重要な事業であると認識しております。都といたしましては、医療生活相談や訪問相談事業等の実施に必要な経費を確保することとしております。

○佐藤委員 東友会のこうした相談事業は、さまざまな医療助成、各種手当の申請手続、そうした支援のインテークとしての役割を果たす大変重要な事業と認識しております。
 またそうした中で、例えば被爆者が治療に医療機関に訪れたところ、そうした対応はここの医療機関ではできないというような回答を受けたときには、東友会がそうした相談を受けて、その医療機関に対して説明をしたりというようなことも行っていると聞いています。ただでさえ負担のある被爆者に対してのこうした医療機関の対応は、余計な負担を課すところになると考えております。
 また、そうした状況において一つ一つ東友会が対応するというのも--いうだけでない対応が求められるかと思いますが、こうした医療助成があることについての医療機関への説明や普及啓発に係る取り組みについて、お伺いいたします。

○住友保健政策部長 都では、被爆者の方の医療に関しまして、指定医療機関を定めております。平成二十二年二月末現在で、被爆者一般疾病医療機関として都内一万三十六カ所の病院、診療所を指定しております。指定されていない医療機関につきましては、被爆者の方の受診実績に基づきまして新たに指定を受けていただくよう、都から働きかけを行っております。

○佐藤委員 ぜひそうした形で、きめ細かに働きかけを行っていただければと思います。
 また、被爆者の居住地は世界各地にわたります。被爆をした方は、日本どこに行っても、また日本から出たとしても、被爆者であることには変わりません。国においては、現地からの申請などの工夫をもって申請できるような仕組みなども検討しているところですが、その中で、渡日治療支援事業についての今後の都の取り組み、検討状況についてお伺いいたします。

○住友保健政策部長 在外被爆者の方への支援といたしましては、日本国外に居住する方が日本国内に来られて治療を受けるというような場合に渡航費の助成を行うなどの事業がございます。
 本事業につきましては、国が都道府県等に委託することにより実施されておりますが、現在、この事業を実施しておりますのは広島県、長崎県など、数カ所の自治体にとどまっております。これまでの間、都に対しまして、被爆者の方あるいは国から特に要請もございませんことから、現時点では本事業を実施する予定はございません。

○佐藤委員 被爆者自身の地縁などのつながりのある場所で治療が行われるという実態があるかと思います。今お話ありました長崎、広島のほかにも福岡、大阪など行われているところであります。もしそうした声があるときには、ぜひ対応をしていただければと思います。
 また、こうした被爆者には、どこに住んでいても、子どもや孫がいらっしゃいます。被爆者の二世に対して、都はどのような援護を行っているか、お伺いをいたします。

○住友保健政策部長 被爆者の子ども、いわゆる被爆二世に対しましては、国では健康診断事業を実施しております。都では、国の事業に加えまして、がん検診を実施するほか、がんや白血病など一定の障害を伴う疾病について医療費助成を都独自に行っております。

○佐藤委員 今お答えをいただきました、二世に対してのがん診療の実施、そして、それに伴っての医療費助成、都は単独で二世の医療を助成していることは本当に評価ができるところです。今後も、定期的にそうした被爆者の方々の声を踏まえて施策に取り組んでいただけるものと期待をしております。
 本当に被爆者の方々は、自分が被爆者であるということをいえずに生きていらっしゃった方が数多くいると聞いています。だんなさんにもいえず、また、娘さん二人いるけれども、いえずにいらっしゃる女性がいる、あるいは孫の誕生を見た後で、ちゅうちょしてきた申請もしようと思うように思ったと訪れた男性もいらっしゃったと聞いております。
 そうした中で、社会保障の一環としての被爆者援護ですけれども、国家補償的配慮が不可欠なのはいうまでもありません。こうした事業を活用できずにいらっしゃる、潜在化してしまうわけですけれども、こうした事業が、制度が動いていることが社会的な偏見を減少させることにつながると考えております。
 高齢などの時間的な経過に伴って新たな課題が出ている被爆者事業ですけれども、改めてこうした方々の、被爆者を支えて、また、そうした方々の語り継いでいく、そうした活動も支えていただくことを改めて要望し、平成二十二年度についても、その事業が進められていくことを願いまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

○吉田委員 皆さん、長時間の質疑、お疲れさまでございます。各委員の質疑を拝聴しまして、私も大変勉強させていただいているところでございます。
 私からの質問に入りますけれども、きょうの質疑の準備をしております間に、昨日、ある新聞の報道が目に飛び込んできました。架空名義で生活保護受給詐欺容疑と、架空の名義で生活保護を不正受給したとして、新宿署は十四日、新宿区の暴力団組員、某を詐欺などの疑いで逮捕したと。同署によると、暴力団組員による架空名義を使った不正受給の摘発は全国で初めてという、あってはならないことが起きたわけでありますけれども、まず、生活保護についてお伺いをしてまいります。
 このところの景気の悪化によりまして、生活保護を受ける方が急増し、都内の生活保護受給者も直近の数字で二十三万人を超え、さらに増加傾向が続いているとお聞きします。確かに一昨年秋以降の景気の低迷により失業者が増加し、派遣切りの問題など、社会保障をめぐる制度全体が大きく揺らいでおります。この中、国では、第二のセーフティーネットの拡充などの対策はとられてきており、また、都でも取り組んでおられますが、年末年始のいわゆる公設派遣村の状況を見ても、まだまだ改善すべき点が見られ、国においても住宅手当の見直しなどが行われており、しかしながら、生活保護を必要とする方はふえてきていると、こういう現状でございます。
 そこでまず、最近の生活保護の動向、及びその特徴についてお伺いをいたします。

○永田生活福祉部長 まず、最近の生活保護の動向でございますけれども、平成二十一年十二月の生活保護の人員は二十三万六千百二十一人、保護率は一八・二パーミル、保護世帯数は十七万九千七百九十四世帯となっております。平成二十年十二月と比較した場合には、保護人員は二万六千四百九十四人、一二・六%の増加となっておりまして、保護世帯については二万百十六世帯、同じく一二・六%の増加となってございます。
 次に、その特徴でございますけれども、生活保護の世帯類型別の増加状況においては、高齢者世帯が九・一%、母子世帯が八・七%、障害傷病者世帯が九・一%の伸びを示しているのに対しまして、その他の世帯では四一・三%と大幅な増加を示しているという特徴がございます。

○吉田委員 ありがとうございます。いろいろと各類型別というか、伸びているけれども、その他世帯の急増が目立つということでありまして、多分これは、多くの方は、失業されて、なかなか就職が決まらず生活保護を申請された方だと、このようには理解するわけですが、先日、知事のご発言にもありましたが、中には仕事をえり好みして、働けるのに働こうとせず、保護費を受けている人も含まれているとの指摘もあります。
 こういう働ける状況にあるならば、まず働いていただくことが大事であるわけでございますが、就労に向けて都はどのように支援をしているのか、いくのか、お伺いをいたします。

○永田生活福祉部長 生活保護は、働ける能力のある方には働いていただくことが大前提でございまして、被保護者の状況に応じまして、担当のケースワーカーが就労指導をしてございます。
 また、区市では、稼働能力がある被保護者の就労自立を支援するための、個人個人に合わせた就労支援プログラムを策定いたしまして、各福祉事務所に配置されました就労支援員がハローワーク等と密接に連携をしながら適切に対応してございます。

○吉田委員 今ご答弁あったように、働ける能力のある方にきちんと働いていただくと、就労自立を促すためには、今までのいろいろのお取り組みもあるわけですが、例えば失業保険なんかのときも、私も一回、会社をやめて選挙に出る前に失業保険をもらったことがあるんですが、半年とか一年とか、最初は期限つきで保護をして、期間が経過した時点で状況を確認して、保護の継続について、また引き続き必要だなとか、見直すとか、働ける方については思い切ったインセンティブ、ディスインセンティブですね、思い切った改革が必要なのではないかと、このように考えるわけであります。これが現行制度上は難しいことはわかりますが、これ、ぜひちょっと、なかなか難しいんですけれども、考えていただきたいんですが、こうした経済状況が厳しい中にあっても、やっぱり引き続き強力に就労自立を促していただくべきでありますが、この方策についてまたお伺いいたします。

○永田生活福祉部長 まず、有期限ではどうかというお話でございましたけれども、生活保護制度では、あらかじめ生活保護の受給期間を定めて開始決定をするというようなことはできないということになってございます。
 また、生活保護の廃止に当たりましても、収入状況や将来の見通しを確認いたしまして、保護の要否を判定の上、行うものとされております。したがいまして、現行制度では困難というふうに考えてございます。
 また、生活保護の被保護世帯に対しまして、一刻も早く就労自立できるよう的確なケースワークを行うためには、被保護世帯数に応じたケースワーカーの配置が必要でございます。残念ながら、現時点においては十分とはいえない状況にございますけれども、都といたしましては、各区市に対し必要な人員の配置を指導いたしまして、来年度もそれぞれの区市において増員が図られる予定と聞いてございます。
 これに加えまして、先日ご可決いただきました緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用いたしました就労支援員の増員につきましても、積極的に働きかけて、就労自立に向けた支援を一層強化してまいります。

○吉田委員 よくわかります。先ほど誤解があるといけないんですけど、失業手当をもらっているときに立候補準備していたわけじゃなくて、その前のある時期に、そういう時期があったというだけですから、誤解のないようにお願いします。
 生活保護は、真に困窮している方に適用するものでありますが、一方では、申し上げているように、就労できる方は就労の義務を果たしていただくことが前提であるわけです。そのためには、適正な生活保護の実施に向けて、ケースワーカーや就労支援員の確保など、必要な人員の配置、こういうことについて私からも改めて都としても積極的に市区に働きかけていただいて、就労自立については支援を強力に進めていっていただきたいとご要望申し上げます。
 一方、冒頭に申し上げたとおり、新聞紙上もにぎわすような不正受給が全国で後を絶たないというのが実情でございます。
 そこで、平成二十年度における生活保護の不正受給の件数、金額及び五年前の平成十五年度と比べて、その伸びはどうなっているのか、お伺いをいたします。

○永田生活福祉部長 平成二十年度の都内における不正受給の件数は八百九十件、その金額は合計で約十一億三千九百万円となってございます。
 また、平成十五年度との比較でございますけれども、十五年度においては、不正受給の件数は四百五十一件、その金額は合計で約五億六千八百万円となっておりまして、件数で九七・三%、そして金額では一〇〇・五%の増となってございます。

○吉田委員 要するに倍と、倍増しているということで、件数、金額とも非常に高い伸びを示しているわけです。もちろん経済的に状況が悪くて生活保護を受ける方がふえるというのはわかるんですが、不正受給が倍増しているというのは、ちょっと問題が違うというか--この間、保護者の数がふえて保護費の支給額が急増しているということとの、じゃ、割り返して、総支給額に対する不正受給の割合、そして実際に返還された金額についてお伺いします。

○永田生活福祉部長 平成二十年度の都内の生活保護費は、国庫負担金の対象額をベースといたしますと、約三千九百八十二億八千七百万円となっておりまして、不正受給金額の割合は〇・三%となっております。
 また、返済金額は約七千五百万円で、不正受給金額に対する返還割合は六・六%となってございます。

○吉田委員 ちょっと質問も難しかったんですが、これ、不正受給は〇・三%ぐらい起きていて、返済金額が六・六%しか、不正に払われたものが返ってきていないと。いうまでもなく、生活保護費は日々まじめに働いている都民、国民の貴重な税金から賄われているものであります。本来、最後のセーフティーネットとして真に必要な方に、困窮されている方に支給されるものでありまして、不正受給額がこんなに多額になっていると改めて聞きまして驚きであります。
 それでは、この不正受給、どのような内容の事例が多いのか、また、特に悪質な事例というのはどういうものがあるのか、お伺いいたします。

○永田生活福祉部長 生活保護は、厚生労働大臣の定める基準、これは保護基準と申しますけれども、これによって最低生活費を計算いたしまして、これとその方の収入とを比較して、その方の収入だけでは最低生活費に満たないときに初めて行われるものでございます。開始時に預貯金等の資産を隠して生活保護を受給したり、給料や年金などの収入を申告せずに過大に保護費を受給する事例などが不正受給に当たります。
 また、悪質なものといたしましては、居宅ケースで転宅費用として支給した敷金等の使い込みや、住所不定のケースで複数の福祉事務所で二重に保護を受けている事例などがございます。これらのケースは、住民税の課税調査、あるいは関係機関への事実関係の調査によって判明することが多くございます。

○吉田委員 ありがとうございます。複数の自治体で二重にもらうとか、いろいろとんでもないわけですが、このような不正行為は、本当に生活保護制度の信頼感を損なうことはもちろん、都民の税金を必要のない人に支給しているわけでありまして、断じて許してはいけないわけであります。
 こういうことを、不正受給というのを都として防止し、あるいはだまし取られてしまったものを徴収する方策について、都は区市に対してどのような指導をしているのか、お伺いします。

○永田生活福祉部長 都では、毎年一回でございますけれども、都内のすべての福祉事務所に対しまして、生活保護行政が適正適切に執行されているかどうかなどを見る事務監査を行ってございます。不正受給の防止策の徹底も、この事務監査の重点項目の一つでございまして、開始時の資産調査や毎年の課税調査の徹底など、組織的な対応を求めております。
 また、不正受給額の徴収につきましても、一括の返還、返済が難しい場合にあっても、長期的な返済計画を立てて分割納付を求めたり、生活保護費の支給日に徴収するなど、着実な返済が行えるよう求めております。

○吉田委員 ご答弁いただいたとおり、都として区市を指導されていることはよくわかりましたが、にもかかわらず、実際問題として、年々、不正受給額が増加して、返還率が六・六というのは一割にも満たないという現状であります。生活保護の支給に関する直接的な責任を持つのは区市であることはもちろんでありますが、事務監査権限を持つ東京都も、これまで以上に積極的にこういう状況では不正受給の撲滅に取り組んでいただきたいと思います。改めて都のご決意を伺います。

○永田生活福祉部長 生活保護制度は、国が生活に困窮するすべての国民に対して、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する最後のセーフティネットとして非常に重要な制度でございます。制度の運用に当たりましては、適正な執行が求められますが、不正受給の増加は、この制度の根幹を揺るがし、国民への信頼性を損なうものでございます。都といたしましても、引き続き区市に対し、不正受給の防止や不正受給額の徴収について指導してまいります。
 また、特に悪質なケースにつきましては、警察への告発など、厳正な対応を求めてまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。これも再度いいますが、生活保護の適用は真に生活に困窮している方へ支給すべきものでありまして、制度の悪用は絶対に許せない。こういう悪質なケースの再発を防止するためには、現行制度でなかなかお取り組みのご苦労の中で限界があろうかと。
 私は、各党のいろいろな政策もちょっと勉強をさせていただきましたが、個人ごとの社会保障番号制度の導入ということが、これは本当にどの方がどういうこと、行政のサービスを受けているかということをきちんと把握できる、こういう制度の導入が必要だと私は思います。これは基本的には国レベルな問題でございますので、私としても、こういう制度の導入実現に向けて国に働きかけてまいりますが、都としても、現場レベルの課題を整理していただいて、国に働きかけていただきたいと、このように要望いたします。
 一方、これらの不正受給や、安易に生活保護を受けようとする方がふえてしまっている。こういう背景には、私は生活保護の基準そのものの問題があると、このように認識します。
 そこで、ちょっとこういう問題意識で、生活保護の基準についてお伺いをしたいと思います。
 まず、都区内の高齢単身者の保護基準についてお伺いします。

○永田生活福祉部長 七十五歳の高齢単身者世帯の場合でございますけれども、生活扶助費が七万七千六十円、これに住宅扶助といたしまして五万三千七百円以内の実額でございますので、合計で十三万七百六十円が上限というふうになってございます。

○吉田委員 十三万七百六十円と。高齢者の基準については、平成十八年度に老齢加算が廃止されるなどの見直しはありましたが、それでも、この老齢基礎年金ですね、老齢基礎年金の受給額、これは月額六万六千円でございます。これと比較してもまだ高いわけでありまして、これは、要するにまじめに年金を払っている方よりも生活保護を受けている方の方が高い金額を支給されると。そもそも、ここにギャップがあるわけです。
 生活保護費の原資は、先ほど来申し上げているとおり、一〇〇%税金であります。こういうことを考えますと、納税者でもある一般勤労者、この方の所得ということも見る必要があると思うんです。都内の勤労者世帯の実収入の動向を見ますと、平成五年をピークとして、このころを一〇〇とすると、平成二十年には約一五%近く減収していると、こういうデータであります。平成五年を一〇〇とすると、平成二十年には一般勤労者が八五しかもらっていない。
 そこで、同様に、平成五年と平成二十年を比べた場合の、生活保護の保護基準の推移はどうなっているのか、お伺いします。

○永田生活福祉部長 夫が三十三歳、妻が二十九歳、子四歳の標準三世帯の例にとってご説明をさせていただきます。
 生活扶助基準額が平成五年度では十五万三千二百六十五円でございます。一方、平成二十年度では十六万二千百七十円となっておりまして、この間五・八%の増となってございます。
 基準の改定状況を見ますと、平成五年度から平成十二年度改正までの間に七・〇%の増となりまして、その後、平成十五年度改定ではマイナスの〇・九%、平成十六年度改定ではマイナスの〇・二%となってございまして、また、平成十三年度、十四年度及び平成十七年度以降の各年度は、前年度と据え置きとなってございます。

○吉田委員 これは五・八%増と、上がって下がってですね。この間の消費者物価指数の動きを見ますと、これもまた、一たん上昇して、その後デフレ傾向となって下がって、その結果、平成五年と平成二十年の水準はほぼ同じになってます。こうした中、先ほど老齢基礎年金の話をしましたが、老齢基礎年金も五年から二十年にかけて七・四%の伸びになっていて、一定の伸びはあるんですが、それでも生活保護に比べて低いと。そして、給与の方は一五%下がっていると。これは、つまり結果として、まじめに働いている方の経済の動向と福祉の改定とが異なった傾向になっているということでございます。
 どちらが高いとか、どちらが低いとか、どの水準がいいとか、こっちが高過ぎるとか低いとか、そういう問題ではなく、ギャップがあってまじめに働いている方が、例えばシングルマザーの方が必死に毎日ずっと働いても十八万円しかもらえないのに、その方が生活保護を受けたら二十五万円もらえたという方がいらっしゃいまして、じゃ、また働くかと、給与が十八万円に下がっちゃうんだけれどもという状況で、本当にまじめに働くという決断が、お金がなくなっちゃうのにできるかということなんですね。
 要するに、経済情勢が厳しい中、いろいろの努力も、総合的な努力が必要ですけれども、やっぱりまじめに働く人も納得がいくような適正な水準というのはどういうものなのか。これは都として国にまじめに検討してくれと、じゃないと働く人がいなくなって、支えられる人にどんどんなっていっちゃうよということについて、構造的な問題について、都として国に進言していただくべきではないかと思いますが、所見をお伺いします。

○永田生活福祉部長 生活保護基準は、ナショナルミニマム実現の観点から国がその責任に基づき定めるものでございます。都といたしましては、生活扶助基準の見直しに当たりまして、被保護者が住みなれた地域での生活を継続できるよう、大都市の生活実態を踏まえたものとするよう国に提案要求をしているところでございます。
 現在、国はナショナルミニマム研究会を設置いたしまして、最低生活費の分析など広範な検討を重ねていると聞いてございます。生活保護基準につきましては、都民の生活実態とのバランスも当然考慮しなければならないものと考えておりまして、国の動向を注視しつつ適切に対応してまいることを考えております。

○吉田委員 なかなか難しい質問をしたんですが、ご答弁ありがとうございます。生活保護の基準については、国全体のナショナルミニマムの中でどのように位置づけられるかという本当に難しい課題でありますが、一方、一般都民、勤労者の心情と乖離した基準や内容でありますと制度そのものへの信頼感が失われて、また、安易に生活保護に流れるというモラルハザードも起きてしまう。そして、社会保障制度そのものが崩れてしまうということになりかねません。
 都の生活保護受給者が全国の一割以上を占めているという重さもあることを踏まえて、引き続き国に対して適切な進言をしていただきたい旨、改めて要望いたしまして、まず、この項についての質問を終わります。
 次に、身体障害者手帳の発行に係る点についてお伺いします。
 平成二十年、札幌市において、聴覚障害の--耳ですね、身体障害者手帳を集団で不正取得したという事件が起きました。この事件は現在公判中でありますけれども、手帳の申請に必要な診断書、意見書に虚偽の記載をしたとして、医師についても詐欺罪など、これが起訴をされています。
 まず、この事件の概要と、それから、不正に受給、減免された疑いのある障害年金や税金等の総額についてお伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 この事件は、札幌市の耳鼻咽喉科の医師や社会保険労務士らが関与して、聴覚障害の身体障害者手帳や障害年金などを不正取得していた疑いのある事件で、現在公判中でございます。
 不正に支給、減免されたと疑われる障害年金や医療費助成などの公金は、新聞報道等によりますと、十億円を超えるとされております。

○吉田委員 十億円を超えると、これまたびっくりする金額でありますが、何をすれば十億円というか、身体障害者手帳を取得することによって受けられるサービスはどういうものなのか、では、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者手帳の取得により受けられる主なサービスとしましては、所得や年齢、障害程度等により異なりますが、自立支援医療費の公費負担や税金の控除、交通運賃の割引などがございます。

○吉田委員 わかりました。このような身体障害者手帳の不正な取得というのが東京都においても起こり得るのではないかと、このように懸念するわけですが、まず、身体障害者手帳はどのように交付をされるのか、そして、実情として手帳の交付数がどの程度なのか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者手帳の申請は、区市町村を経由して心身障害者福祉センターに申請することになっておりますが、申請に当たっては、身体障害者福祉法第十五条に規定する指定医師が作成する診断書、意見書が必要となっております。
 診断書、意見書等を心身障害者福祉センターの医師等が審査した結果、等級に疑義がある場合や身体障害に該当しないと思われる場合には、東京都社会福祉審議会身体障害者福祉分科会に諮問をし、その答申結果に基づき認定するなど、関係法令に基づく厳正な手続により交付をしているところでございます。
 また、身体障害者手帳の交付数でございますが、平成二十年度の新規交付数は二万六千八百六十八件となっております。

○吉田委員 ありがとうございます。では、今ご答弁のあった、等級に疑義があるなどして審議会に諮問を行ったという件数はどれだけあるんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者福祉分科会に諮問をした件数でございますが、平成二十年度は五百十件となっておりまして、そのうち身体障害に該当しない非該当とされたものが三百七件となっております。

○吉田委員 ありがとうございます。二万六千件のうち五百十件が審議会にかかって、うち三百七件は該当しないと、こういうご答弁でもあり、厳正な手続とご答弁いただいたんですが、東京都において、先ほど冒頭に申し上げた札幌市のような身体障害者福祉手帳の不正取得、こういう実例ですね、これは東京都としてあるんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 札幌市の事件は、指定医師や社会保険労務士などが関与をして身体障害者手帳の不正取得をした疑いのある事件で、当該医師は、既に診断書、意見書等の適正さが疑われる事実が判明をして、指定医としての信頼性や適格性を欠いているとの理由から指定医の取り消し処分を受けております。東京都におきまして、身体障害者手帳を不正取得した事例はございません。

○吉田委員 この仕組みで、指定医が関与すると。指定医師や社会保険労務士などが関与してこういうことが起きるんだと。東京都では今のところ事例はないというか、意地悪ないい方をすれば発覚していないというか、いうことでありますが、東京都では、この指定医は何人いらっしゃるんでしょうか。そして、先ほどの身体障害者福祉法第十五条に規定する医師の指定を取り消したと、こういう実績、実例はあるのか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 指定医につきましては、障害種別ごとに指定をしておりますが、平成二十二年二月二十八日現在、延べ一万二千四百十四人となっております。また、確認できる過去三カ年において取り消した例はございません。

○吉田委員 今、文書の保存年限が三年ということで、過去三年ということなんだと理解しておりますが、身体障害者手帳の交付の後、明らかに障害の程度が軽くなるということは、やっぱり人間の体ですからあるわけですね。こういうケースの場合に、これは都として対処の方法はあるんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 手帳の交付事務が機関委任事務から自治事務に移行したことに伴いまして、平成十四年度から、手帳交付事務のより一層の適正化のため障害再認定制度を実施しているところでございます。
 障害再認定制度は、発育や医療あるいは機能回復訓練等によりまして、手帳交付時に比べて障害程度に変更が生じることがあらかじめ予想される場合は、手帳交付時に再認定の期日を指定いたします。指定をした再認定の期日までに区市町村に診断書、意見書を再度提出して、区市町村長が審査をした上、障害程度に重大な変化が生じたと認めたときには、知事が手帳の再交付を行います。当初、再認定を要しないとされたものであっても、区市町村が必要を認めれば審査を行い、その結果に基づいて再認定を実施いたします。再認定に係る審査に応じない者については、知事に通告をして、知事は手帳の返還を命ずることができるとされております。

○吉田委員 今ご説明のあった、手帳交付時よりも障害の程度が軽くなるような変更があった場合、障害再認定制度というのがあるということでありますが、最後にご答弁のあった、当初、再認定を要しないとしたものでも、区市町村が必要を認めれば審査を行って再認定を実施すると。
 実際に、当初、再認定を要しないとされて、その後、区市町村が、いや、これはやっぱり機能が多少回復したんじゃないかとか必要性を認めて審査を行った実績がどれだけか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 障害の再認定制度が導入されましたのは平成十四年度からでございますが、これまで、当初、再認定を要しないとされ、その後、必要性から区市町村が審査を行った実績はございません。

○吉田委員 平成十四年から今まで実績なしということなんですが、ここでお伺いしたいんですけれども、先ほど伺った手帳取得に伴っていろいろなサービスを受けられるわけでありますけれども、そのサービスを手帳取得者が受けるに際して、区市町村の担当窓口に手帳の取得者の方が出向くことはどの程度あるんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者の方が申請や届け出などに際しまして、必要に応じて区市町村の障害福祉主管課の窓口に行くということはございますが、利便性の向上を図るために郵送や口座振り込みなど利用することも多く、定期的に窓口に行かなければならないというようなものはほとんどないと思われます。

○吉田委員 それをちょっと確認して、つまり、当初、再認定の必要がないというふうにみなされた場合には、区市町村が必要性を認めれば再認定という手続に入るわけですが、その必要性を区市町村が確認、把握するチャンスがないということですよね。そういうことだと全部郵送とかで済ませちゃって、あるいは振り込みで済ませちゃって、実際にその方を窓口でごらんになることがないわけです。これは、つまり、この再認定の制度が機能していないんじゃないかという問題意識を私は持つわけであります。
 ここで改めてお聞きをしたいんですが、厳正な手続と冒頭おっしゃいましたけれども、札幌市の事件のように完全に確信犯でというか、悪意を持ってというか、指定医が虚偽の診断書を書いたという場合には、不正の取得というのを防ぎようがないのではないかと思うんですが、指定医が虚偽の診断書を確固たる意思を持ってというか、書いた場合には、手帳の不正の取得を防ぐことができるのか、お伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 札幌市の事件を踏まえ、都といたしましては、国に対して事実関係の解明を待って、今後の再発防止に向けた解決策を検討するように要望しているところでございます。

○吉田委員 今のご答弁は、要するに防ぐことができないと、こういうことですよね。これは国に要望するだけではなくて、都としても、みずからも何か対応すべきだと私は考えるんです。
 例えば、指定医の作成した診断書が適正なものなのかを確認するために、個々の指定医が作成する診断書の傾向を追跡調査するなどして、札幌のときも見れば、異様な件数を一人の指定医の方がうわっと出してくれたんで、周りの人が、あの人に聞けばどんどん診断書出してくれるよといって、だあっと十億円に上る不正になっていったという経緯があるわけなんですね。だから、そういう異様なことが起きれば、おのずとわかってくるというか、地域ではうわさになっていたわけでしたというふうに報道にあります。
 とにかく、個々の指定医が作成する診断書の傾向を把握する、チェックするというか、指定医の適格性を検討するというか、そういう機会が必要なんじゃないかと思いますが、所見をお伺いします。

○芦田障害者施策推進部長 身体障害者手帳の交付に当たりましては、診断書、意見書等を厳正に審査しており、また、適正な診断書、意見書を作成することは指定医としての責務となっております。
 再認定制度につきまして、区市町村に対して改めて周知をしていくとともに、都として、今後とも国の制度に基づき適正な交付事務を行ってまいります。

○吉田委員 国の制度に基づいていますので、いろいろ大変だとは思うんですけれども、少なくともできることはやるというか、都として、指定医の状況について、区市町村と例えば定期的に意見交換や情報収集を行って実情の把握に努める、これぐらいはやるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 指定医の指定状況につきましては、四半期ごとに区市町村に通知をし、情報の共有を図っているところでございます。今後とも、指定医制度の趣旨や先ほど申し上げました再認定制度について、区市町村への周知に努めてまいります。

○吉田委員 区市町村に改めて周知をしていただくことは、ぜひお願いをいたします。
 しかし、それのみならず、区市町村は、そこの指定医さんは、その区内からだけ患者さんというかが来るわけじゃないんですよ。区や市を超えて、あるいは都を超えていろいろなところから診断書を求めて来られるわけで、広域自治体として、都としても、ちょっと繰り返して恐縮ですが、先ほど申し上げたように、指定医の作成した診断書が適正なものか、悉皆じゃなくてもサンプリングでもいいんですけれども、確認するために、個々の指定医が作成する診断書の傾向、この人は何か四級ばっかり出すなとか、追跡調査するなど指定医の状況を把握すべきじゃないかと。チェックというのがなかなか大変だというのであっても、一方的に通知するだけじゃなくて、区市町村は現場だからわかっているということが多いと思うんです。区市町村と定期的に意見交換や情報収集の機会を、ぜひちょっと積極的に今後設けていただいて、実情の把握、これ、だって十億円とか不正が起きている自治体があったわけですから、とにかく努めていただきたいなとご要望をいたします。
 きょう、生活保護と、それから手帳の問題とご質問申し上げましたが、都民の大切な予算で行われる福祉保健局のさまざまな事業、これは真にお困りになっている方に適切に行われるように、本当にしっかりと取り組んでいただくように改めて要望を申し上げまして、また、ご激励申し上げて、私からの質問を終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 委員並びに理事者の皆さんのご協力をいただきまして円滑な審議をすることができました。委員長から感謝を申し上げます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時二十三分散会

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