厚生委員会速記録第一号

平成二十二年二月十九日(金曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長門脇ふみよし君
副委員長野上 純子君
副委員長吉田康一郎君
理事早坂 義弘君
理事斉藤あつし君
理事三原まさつぐ君
栗林のり子君
柳ヶ瀬裕文君
新井ともはる君
橘  正剛君
山加 朱美君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長庄司 貞夫君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
参事枦山日出男君
参事角田由理子君
参事大久保さつき君
参事中川原米俊君
参事飯塚美紀子君
参事雜賀  真君
参事熊谷 直樹君
参事別宮 浩志君
参事中谷 肇一君
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長牛島 和美君
経営戦略・再編整備担当部長斎藤 真人君
参事梅田 弘美君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 病院経営本部所管分
・平成二十二年度東京都病院会計予算
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 病院経営本部所管分
・東京都立病院条例の一部を改正する条例
 福祉保健局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・平成二十二年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・平成二十二年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例
・心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
・東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
・東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
・東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
・東京都障害者支援施設等に関する条例
・東京都子ども家庭総合センター(仮称)(二十一)新築工事請負契約
・東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・東村山老人ホームの民間移譲について
請願陳情の審査
(1)二一第一三一号 「原子爆弾被爆者健康指導事業」委託事業費に関する請願
(2)二一第一三四号 食品表示制度の抜本改正を求める意見書提出に関する請願
(3)二一第一三七号 東京の保育所入所待機児童の解消と保育施策の充実及び予算の増額に関する請願
(4)二一第九五号 心身障害者福祉手当を精神障害者にも支給することに関する陳情
(5)二一第一〇一号 障害者自立支援法に関する陳情
(6)二一第一〇五号 母子生活支援施設の指導・監督に関する陳情

○門脇委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 まず、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でございますけれども、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○門脇委員長 初めに、会期中の本委員会の日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせたので、その旨ご了解をお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに福祉保健局関係の報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行いたいと思います。
 なお、本日は、提出予定案件及び報告事項につきましては説明を聴取した後、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思いますので、ご了承をお願いいたします。
 それでは、これから病院経営本部関係に入ります。
 第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中井病院経営本部長 平成二十二年第一回定例会に提出を予定しております病院経営本部関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 ご審議いただきます議案は、平成二十二年度当初予算案二件、平成二十一年度補正予算案一件、条例案一件の合計四件でございます。
 それではまず、平成二十二年度当初予算案についてご説明申し上げます。
 病院経営本部は、地方公営企業法第三条に基づく公営企業として、公共の福祉の増進と経済性の発揮という経営の基本原則にのっとり、都民に対する医療サービスの向上と日々の経営改善努力を不断に積み重ねながら、都立病院を運営してまいりました。
 一方、医師や看護師等の医療人材が不足する状況が続くなど、医療現場を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあります。
 こうした中、病院経営本部は、安全・安心の医療を求める都民の期待にこたえるため、平成二十年一月に第二次都立病院改革実行プログラムを策定いたしました。
 平成二十二年度予算は、引き続き、この実行プログラムを着実に実施していくための予算として、一般会計予算では、財団法人東京都保健医療公社の運営費などを計上するとともに、病院会計予算では、医療を担う人材の育成と資質の向上、医療の質の向上と患者サービスの充実強化、再編整備の推進と医療機能の強化、災害対策・感染症対策の強化、IT化の推進と情報セキュリティー対策の強化を五つの柱といたしまして、都立病院改革を着実に推進していくための経費を計上したところでございます。
 予算案に盛り込みました事項につきましては、後ほど経営企画部長からご説明を申し上げますので、私からは主要な施策についてご説明させていただきます。
 まず、一般会計予算でございます。
 財団法人東京都保健医療公社が所管する六つの地域病院の運営に要する経費などを計上しております。
 次に、病院会計予算でございます。
 まず一つ目の柱は、医療を担う人材の育成と資質の向上でございます。
 東京医師アカデミーの着実な運営や看護師の育成体制をさらに充実させる取り組みなどを実施いたします。
 二つ目の柱は、医療の質の向上と患者サービスの充実強化でございます。
 多摩地域におけます小児病院移転後の小児医療体制を確保するとともに、都立病院間、都立、公社間の連携を深めるなど、医療サービスの充実強化を図ります。
 三つ目の柱は、再編整備の推進と医療機能の強化でございます。
 三月に開設する多摩総合医療センター、小児総合医療センターを安全に運営するとともに、仮称ではございますが、がん・感染症医療センター、精神医療センターの整備を着実に進めてまいります。
 四つ目の柱は、災害対策、感染症対策の強化でございます。
 新型インフルエンザ等の感染症への対策を実施するとともに、災害時に都立病院が十分な医療機能を果たすため、災害対策を充実いたします。
 五つ目の柱は、IT化の推進と情報セキュリティー対策の強化でございます。
 電子カルテの更新や強固な情報セキュリティー環境の構築などを実施いたします。
 以上が平成二十二年度当初予算案における主要な施策の概要でございます。
 次に、平成二十一年度補正予算案についてご説明申し上げます。
 平成二十一年度補正予算案の内容は、財団法人東京都保健医療公社を担当する病院経営本部の職員に係る給与費の更正等でございます。
 次に、条例案についてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします条例案は、東京都立病院条例の一部を改正する条例でございます。
 この条例は、都立病院の再編整備に伴い、個室使用料の上限額を改定するほか、規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十二年四月一日からの施行を予定しております。
 以上が本定例会に提出を予定しております議案の概要でございます。
 平成二十二年度は、この三月に多摩総合医療センター、小児総合医療センター及び精神医療センターのいわゆる医療観察法に基づきます病棟が運営を開始するなど、都立病院再編整備事業の新たなステージへの幕あけとなる年になります。
 また、小児医療、救急医療及び周産期医療など都民が期待する医療サービスを都立病院が十全に提供していくためには、医師、看護師等の医療人材の確保、育成及び定着が引き続き重要な課題となっております。
 私ども病院経営本部といたしましては、職員一丸となって全力でこれらの課題に取り組む所存でございます。何とぞ委員の皆様方のご指導、ご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。
 なお、議案の詳細につきましては、この後、経営企画部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○黒田経営企画部長 引き続き、平成二十二年第一回定例会に提出を予定しております議案の概要についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております資料2、平成二十二年度当初予算の概要をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、表紙をお開きいただきまして、目次をごらんください。平成二十二年度病院経営本部所管当初予算総括表から始まりまして、一般会計、病院会計と順に概要をご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。平成二十二年度病院経営本部所管当初予算総括表でございます。
 上段、一般会計でございますが、予算額は百九十九億五百万円でございます。病院会計は一千八百八十四億一千八百万円で、合わせまして二千八十三億二千三百万円を計上しております。
 三ページをお開き願います。以下の七ページまで一般会計予算についてご説明いたします。
 Ⅰ、総括表でございます。
 上段の歳出は、財団法人東京都保健医療公社の運営費や施設整備費及び公社を担当する病院経営本部職員の人件費などで、合わせまして百九十九億五百万円を計上しております。
 下段は、財産収入などの特定財源で十七億二千八百万余円を計上しております。
 四ページをお開き願います。Ⅱ、予算定数でございます。
 公社を担当する病院経営本部職員の定数でございます。
 五ページをお開き願います。Ⅲ、事項別内訳でございます。
 まず、1、地域病院等の運営でございますが、百八十二億六千三百万余円を計上しております。
 概要欄にございますように、ア、病院運営として、公社所管の六病院の運営に要する経費を計上しております。
 六ページをお開き願います。イ、備品整備からカ、病院管理等まで、所要の経費をそれぞれ計上しております。
 次に、2、地域病院等の施設整備でございます。
 荏原病院及び豊島病院における感染症緊急対応病床の整備など、病院の施設改修などに要する経費といたしまして、十六億四千百万余円を計上しております。また、そのうち、東部地域病院の防災設備改修工事を行うため、債務負担行為としまして一億四千二百万余円の限度額を計上しております。
 七ページをお開き願います。Ⅳ、債務負担行為でございますが、今ご説明させていただきました東部地域病院の防災設備改修工事に伴うものでございます。
 続きまして、病院会計予算についてご説明申し上げます。
 九ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 上の表、1、収益的収支でございますが、収入は、医業収益及び医業外収益を合わせまして一千五百九億三千三百万円を計上しております。支出は、医業費用、医業外費用及び特別損失を合わせまして一千五百七億四千百万円を計上しております。収支差引額は一億九千二百万円の利益を見込んでおります。
 なお、収入欄の括弧内の数値は一般会計繰入金でございまして、収入計欄にありますように、合計で四百九十八億五百万円でございます。
 次に、下の表、2、資本的収支でございます。
 収入は、企業債及びその他資本収入を合わせまして二百十五億七千八百万余円、支出は、建設改良費、企業債償還金及び国庫補助金返還金を合わせまして三百七十六億七千七百万円を計上しております。資本的収支の差引額は百六十億九千八百万余円の不足となりますが、損益勘定留保資金その他で補てんいたします。
 収益的支出と資本的支出の合計は一千八百八十四億一千八百万円、平成二十一年度と比較いたしまして、七十八億三百万円、率にしまして四・〇%の減となっております。
 一〇ページをお開き願います。Ⅱ、予算定数でございます。
 平成二十二年度の予算定数は、表の合計欄にございますように六千百九十人で、平成二十一年度と比較いたしまして、七人の増員となっております。増減員内訳につきましては、表の右側に事項別に記載してございますが、がん・感染症医療センター(仮称)の医療体制強化や感染管理看護師の配置などの増員を行うとともに、多摩総合医療センター等開設に伴う事務局の見直しなどの減員を行っております。
 一一ページをお開き願います。Ⅲ、患者規模総括表でございます。
 上の表、1、入院でございますが、平成二十二年度の病床数は合計四千九百六十四床で、平成二十一年度と比較いたしまして十八床の減となっております。これは結核病床の減などに伴うものでございます。
 下の表、2、外来でございますが、平成二十二年度の一日当たりの患者数は合計で七千百八十五人で、平成二十一年度と比較いたしまして二百六十二人の増となっております。これは、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの開設に伴うものでございます。
 一二ページをお開き願います。Ⅳ、事項別内訳でございます。
 平成二十二年度の病院会計予算を七つの分野に区分して整理したものでございます。
 まず、一、病院管理運営でございます。
 多摩総合医療センター及び小児総合医療センターを除きます都立六病院の管理運営に要する経費でございまして、八百七十二億一千九百万余円を計上しております。
 一三ページをお開き願います。二、医療を担う人材の育成と資質の向上でございます。
 1、東京医師アカデミーの運営から一四ページにございます3、人材の育成、確保までで四十九億二千八百万余円を計上しております。
 まず、1、東京医師アカデミーの運営でございます。臨床を重視した患者さん本位の医療を提供できる質の高い若手医師を育成するため、平成二十年四月に開講しました東京医師アカデミーを引き続き着実に運営してまいります。
 次に、2、都立病院の看護人材育成制度の再構築でございます。看護職員のキャリア開発を支援する仕組みを再構築することで、都立病院の看護教育体制をさらに充実させる取り組みを進めてまいります。
 一四ページをお開き願います。3、人材の育成、確保でございます。
 院内保育室の充実や医療クラークの配置など、働きやすい勤務環境を整備するとともに、困難な状況にあります看護師採用の活動を強化するなど、人材の育成、確保に努めてまいります。
 一五ページをお開き願います。三、医療の質の向上と患者サービスの充実強化でございます。
 1、少子化対策から一八ページにございます6、医療提供体制の充実等までで四億三千二百万余円を計上しております。
 まず、1、少子化対策でございます。
 安全・安心に子どもを産み育てることができる医療体制の整備を目的としまして、三月に開設する小児総合医療センターにおきまして、子育てに優しい環境づくりを図ります。
 次に、2、がん医療対策の推進でございます。
 都立病院において、院内がん登録等を実施し、正確ながんの実態把握を通じて、都のがん対策を一層推進してまいります。
 一六ページをお開き願います。まず、3、都立、公社病院等のネットワーク機能強化でございます。
 多摩地域の小児医療体制確保のため、小児総合医療センターと北多摩北部及び八王子地域の中核病院との連携を充実強化します。
 また、都立病院間、都立病院と公社病院や地域の医療機関との連携を推進し、診療情報の共有化や医療機能、医療資源を相互利用することで、効率的に医療サービスを提供いたします。
 次に、4、医療安全管理対策の充実強化でございます。
 安心できる医療を強力に推進するため、リスクマネジメント研修の実施など、医療安全管理対策の充実強化に取り組みます。
 一七ページをお開き願います。5、省エネルギー対策等の推進でございます。
 コスト縮減と環境対策を両立させたESCO事業の着実な実施や患者さんの療養環境にも配慮した緑化の推進など、都立病院の環境対策を実施します。
 一八ページをお開き願います。6、医療提供体制の充実等でございます。
 病院運営における医療提供体制の充実など、職員の適正な配置を行ってまいります。
 一九ページをお開き願います。四、再編整備の推進と医療機能の強化でございます。
 1、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの医療機能の強化から、二二ページにございます3、精神医療センター(仮称)の整備までで八百五億二千四百万余円を計上しております。
 1、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの医療機能の強化でございます。
 多摩地域における医療拠点として、三月に開設いたします多摩総合医療センター及び小児総合医療センターを着実に運営してまいります。
 二一ページをお開き願います。2、がん・感染症医療センター(仮称)の整備でございます。
 駒込病院を全面改修し、がん・感染症医療センター(仮称)として整備することに要する経費とともに、PFI手法によります業務運営の経費を二十一年度に引き続き計上しております。
 二二ページをお開き願います。3、精神医療センター(仮称)の整備でございます。
 松沢病院を改築いたしまして、精神医療センター(仮称)として整備することに要する経費とともに、医療観察法に基づく病棟の運営に必要な経費などを計上しております。
 二三ページをお開き願います。五、災害対策、感染症対策の強化でございます。
 1、新型インフルエンザ等感染症対策及び二四ページにございます2、災害対策の充実でございまして、十五億三千九百万余円を計上しております。
 1、新型インフルエンザ等感染症対策といたしまして、医療資器材等整備三カ年計画に基づいた医療資器材の整備及び抗インフルエンザ薬の確保等を行うとともに、感染管理看護師の配置を実施してまいります。
 また、墨東病院におきまして、独立して感染症患者に対応することが可能な病棟の整備を行うための設計を実施いたします。
 二四ページをお開き願います。2、災害対策の充実でございます。
 災害時におきまして、都立病院が十分な医療機能を果たすため、災害用資器材の整備充実などを実施いたします。また、広尾病院の受変電設備更新工事を二十一年度に引き続き実施いたします。
 二五ページをお開き願います。六、IT化の推進と情報セキュリティー対策の強化でございます。
 1、電子カルテの導入等及び2、情報セキュリティー対策の強化で十一億九千八百万余円を計上しております。
 大塚病院及び墨東病院の電子カルテシステム更新などを行うとともに、院内LAN統合データセンター機能の拡張を行いまして、強固な情報セキュリティー環境を構築いたします。
 二六ページをお開き願います。七、病院施設整備でございますが、1、病院一般施設整備から4、国庫補助金の返還までで、都立病院の施設改修や医療器械等の整備などに要する経費といたしまして百二十五億七千四百万余円を計上しております。
 二七ページをお開き願います。Ⅴ、企業債でございます。
 がん・感染症医療センター(仮称)の整備、精神医療センター(仮称)の整備など、病院建設改良事業に要する財源として計上しております。限度額は二百十四億六千万円でございます。
 以上で平成二十二年度の病院経営本部におきます当初予算案の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、平成二十一年度補正予算案につきましてご説明を申し上げます。
 資料3、平成二十一年度補正予算の概要をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。平成二十一年度病院経営本部所管予算総括表でございます。
 病院経営本部が所管する一般会計と病院会計について記載してございますが、補正予算の対象は一般会計のみとなってございます。
 三ページをお開き願います。一般会計の総括表でございます。
 人件費、通勤手当等、事業費の補正予算額として三億五千五百万余円の減額を計上しております。
 四ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳でございます。
 1、地域病院等の運営でございますが、ア、職員費及びイ、地域病院の運営等のうち、給与改定影響や土地取得額の決定などによりまして明らかに不用となった額を減ずるものでございます。
 以上で平成二十一年度補正予算の概要の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、条例案についてご説明を申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします条例案は一件でございます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしております資料5、平成二十二年第一回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、東京都立病院条例の一部を改正する条例につきましてでございます。
 都立病院の再編整備に伴いまして、新たに開設する多摩総合医療センター及び改修中の駒込病院で、これまでより面積の広い個室を整備したことによります料金を新たに設定するため、個室使用料の上限額を二万八千円に改定するほか、規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十二年四月からの施行を予定しております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元にお配りしてございます資料4、平成二十二年第一回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言をお願いいたします。

○野島委員 多摩北部医療センターの四市五医師会の小児初期救急の実績値。
 それと多摩北部医療センターにおける小児の二次救急の実績値。
 期間とかその辺は後ほど調整させていただければと思います。
 以上、二点です。

○大山委員 一つは、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員。
 二つ目は、都立病院及び公社病院における職種別職員の定数及び現員。
 三つ目は、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移。
 四つ目は、都立病院におけるPFI事業にかかわる経費の推移。
 その次は、病院別一般会計繰入金の推移。
 次は、一般会計繰入金及び施設整備関連経費の推移。
 次は、各公社病院における経営指標の推移。
 最後は、各公社病院に対する運営費補助金の推移です。
 以上です。

○門脇委員長 ほかに資料要求のある方は、よろしいですね。--それでは、ただいま野島委員並びに大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員とご調整の上、ご提出をお願いいたします。
 以上で病院経営本部関係を終了いたします。

○門脇委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 先日実施いたしました管内視察につきましては、委員の皆さんはもとよりでございますが、福祉保健局の幹部職員並びに二つの受け入れ機関の皆さんには大変お世話になりましてありがとうございます。冒頭、委員長から一言お礼を申し上げます。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○安藤福祉保健局長 平成二十二年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明を申し上げます。
 今回、ご審議をお願いいたします議案は、平成二十二年度予算案三件、平成二十一年度補正予算案一件、条例案九件、契約案一件の合計十四件でございます。
 それでは、お手元の議案概要説明をごらんいただきたいと存じます。
 初めに、平成二十二年度予算案についてご説明を申し上げます。
 平成二十二年度東京都予算案は、大幅な税収減に直面し、今後も厳しい財政環境が想定される中にあって、都財政の健全性を堅持するとともに、東京の現在と将来に対して、今日、都がなすべき役割を積極的に果たす予算として編成されております。
 この予算編成方針に基づき、平成二十二年度福祉保健局予算では、都民の安全と安心をより確かなものとするため、先月策定された「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇に基づく施策展開を図るとともに、直面する福祉、保健、医療の課題にも的確に対応すべく、各種施策にさまざまな工夫を凝らし、充実を図っております。
 福祉保健局所管の一般会計一般歳出予算の総額ですが、八千五百四十九億一千六百万円、今年度に比べ、七百二十億六千百万円、九・二%の増でございます。
 また、母子福祉貸付資金会計及び心身障害者扶養年金会計の二つの特別会計を合わせ、会計間の重複を控除した全会計の総額は、八千六百六十六億六千六百三万二千円となっております。
 予算案に盛り込みました事業のうち、主な取り組みについて申し上げます。
 まず、少子化打破緊急対策による取り組みでございます。
 少子化対策の効果を最大限に発揮するため、昨年七月、東京都少子化打破・緊急対策本部を設置し、福祉分野はもとより、教育、労働、住宅、医療の各分野の施策に横ぐしを通すとともに、新たな発想に立ち、子育て家庭が選択できるサービスについて検討してまいりました。
 先月十五日に、平成二十二年度から三カ年で集中的に取り組む少子化打破緊急対策を取りまとめました。
 福祉保健局における主な取り組みとしまして、保育所待機児童の解消に向け、多様な保育サービスを組み合わせることや、東京ならではの多様な手法を総動員し、平成二十二年度からの三カ年で、保育サービス利用児童数を二万二千人増加させてまいります。
 また、限られた医療資源を有効に活用するため、医療機関の連携により、リスクに応じた役割分担のもとで、効果的、効率的な小児救急、周産期医療体制を構築してまいります。
 第二に、高齢者の住まいに関する取り組みでございます。
 高齢者が安心して人生を過ごせるような住まいのあり方を検討するため、昨年六月、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームを設置し、新たな施策展開について検討してまいりました。
 現在の在宅か施設かの二者択一を余儀なくされている状況を打開するため、東京の特性を踏まえた、在宅と施設の中間に位置づけられるケアつき住まいなど、東京モデルとして平成二十二年度から取り組んでまいります。
 そのほか、がん対策、低所得者対策、障害者の地域生活支援や新型インフルエンザ対策などの課題にも取り組んでまいります。
 こうした平成二十二年度に重点的に取り組む施策を分野別に取りまとめた冊子として、今月上旬に、東京の福祉保健の新展開二〇一〇を公表したところであり、都民、事業者等に対して、積極的に施策のPRを行ってまいります。
 次に、平成二十一年度最終補正予算案についてご説明申し上げます。
 一般会計歳入歳出予算の補正でございまして、国の第一次補正予算に伴う生活福祉資金貸付事業の拡充に要する経費、第二次補正予算の成立に伴う安心こども基金への積み増し及び新型インフルエンザワクチン接種の助成に要する経費を補正するとともに、都税収入の大幅な減収に対応するため、今後の執行見込み額を精査し減額措置するもの及び超過受け入れとなった国庫支出金の返納金について補正するものでございます。
 続きまして、条例案の概要をご説明申し上げます。
 手数料の改定に関するもののほか、肝臓機能障害により身体障害者手帳を取得した者を医療費助成の対象とするもの、都立児童養護施設を民間移譲するもの、都立障害者施設を新体系サービスへ移行するもの、国の第二次補正予算の成立を受けまして、基金の設置目的を改正するものなどがございます。
 最後に、契約案についてでございますが、子ども家庭総合センター(仮称)を整備するものでございます。
 以上、平成二十二年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております議案につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○松井総務部長 初めに、平成二十二年度予算案につきまして、お手元の資料、平成二十二年度当初予算概要によりご説明申し上げます。
 表紙に続いて、目次を二枚めくっていただきますと、平成二十二年度福祉保健局所管予算の概要がございます。
 一般会計のほか、母子福祉貸付資金会計、心身障害者扶養年金会計の二つの特別会計がございます。
 以下、会計別にご説明させていただきます。
 次の一般会計の中扉をおめくりいただき、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 歳出の計欄をごらんください。二十二年度は八千五百四十九億一千六百万円で、二十一年度当初予算に比べて、七百二十億六千百万円、九・二%の増となっております。
 次に、歳入でございますが、特定財源の計欄をごらん願います。二十二年度は一千六百八十三億九千百四十六万六千円で、二十一年度に比べて、四百七十九億五千七百五十五万五千円、三九・八%の増となっております。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、人事定数でございます。
 左側の表の合計欄をごらん願います。平成二十二年四月一日における職員の人事定数は四千二百四十一人で、二十一年度と比較して四十三人の減員となっております。
 主な増減員は表の右側にお示ししてございます。
 三ページをごらんください。Ⅲ、事項別内訳でございますが、科目別に記載してございます。
 主要な事業につきまして、新規事業を中心にご説明申し上げます。
 一二ページをお開き願います。概要欄の(7)、子ども救命センター(仮称)の創設でございます。
 小児重篤患者を迅速に受け入れ、救命治療を速やかに行う小児医療施設を整備することにより、小児重篤患者に対する医療提供体制を確保してまいります。
 一三ページをごらんください。3、周産期医療対策の(1)、周産期医療システムの整備でございます。
 ハイリスク妊婦や高度医療が必要な新生児等に対する医療を確保するため、周産期母子医療センターの運営費補助を充実し、機能強化を図るとともに、NICUの増床を促進してまいります。
 一八ページをお開き願います。概要欄の(7)、がん登録センター事業でございます。
 がん登録センターを新たに設置し、都内医療機関の院内がん登録データの収集、分析を行い、都内におけるがん医療水準の向上を図ってまいります。
 一九ページをごらんください。(4)、在宅医療連携推進事業でございます。
 病院から在宅医療への円滑な移行や在宅療養の継続に当たって、関係する医療機関等の調整などを行う在宅医療連携調整窓口を設置し、地域全体の在宅医療の基盤整備を図ってまいります。
 二八ページをお開き願います。概要欄の3、自殺総合対策の推進の(4)、東京都自殺相談ダイヤルでございます。
 自殺専用の電話窓口を設置し、自殺念慮者の相談に応じるとともに、(3)のこころといのちの相談・支援東京ネットワーク事業の参画機関と連携し、相談者への支援を積極的に実施するなど、都内の自殺者の減少を目指すさまざまな施策を実施してまいります。
 三一ページをお開き願います。(6)、東京都がん検診推進サポーター事業でございます。
 がん検診受診率の向上を図るため、従業員や都民のがん検診受診促進に積極的に取り組む企業を東京都がん検診推進サポーターに認定し、都と企業が連携して、がん検診普及啓発活動を推進してまいります。
 三五ページをお開き願います。概要欄の4、ウイルス肝炎受療促進集中戦略の(2)、肝炎治療推進事業でございます。
 インターフェロン治療及びB型ウイルス性肝炎に対して行われる核酸アナログ製剤治療に対する医療費助成を実施することにより、早期治療を促進してまいります。
 四二ページをお開き願います。概要欄の5、住宅手当緊急特別措置事業でございます。
 離職者で住居を失った方、またはそのおそれのある方に対して住宅手当を支給し、住宅及び就労機会の確保に向けた支援を行ってまいります。
 五五ページをお開き願います。概要欄の8の生活安定化総合対策事業でございます。
 引き続き、(1)の生活安定応援事業や、(2)の生活サポート特別貸付事業など、低所得者に対し、区市町村窓口での生活相談のほか、生活資金の無利子貸付等、さまざまな支援策を実施してまいります。
 六三ページをお開き願います。概要欄の2、高齢者の見守りと安心・安全な暮らしの支援等の(1)、シルバー交番(仮称)の設置でございます。
 シルバー交番(仮称)を設置し、地域高齢者の相談受付や地域の見守り情報等を収集し、地域包括支援センターと共有するとともに、緊急通報システムによる見守り支援等により、二十四時間、三百六十五日の安心を確保してまいります。
 七二ページをお開き願います。概要欄の6、介護サービス基盤の充実の(2)、定期借地権の一時金に対する補助でございます。
 特別養護老人ホーム等の整備に際し、定期借地権契約による用地確保を行う場合、事業者が負担する一時金の一部を助成することにより、整備促進を図ってまいります。
 七四ページをお開き願います。3、ケアハウス運営費補助でございます。
 既存の補助に加え、新たに制度化される軽費老人ホーム、大都市・小規模タイプに対して、運営費の一部を補助することにより、都市部における介護度の低い低所得高齢者の居住の場を確保してまいります。
 七九ページをお開き願います。1の児童手当の支給では、子ども手当創設に伴い、所得制限撤廃分を拡充してございます。
 また、2の児童扶養手当の支給では、ひとり親家庭の児童の福祉の増進を図るため、父子家庭に対しても手当を支給してまいります。
 八一ページをお開き願います。概要欄の6、学童クラブ等事業補助の(2)、都型学童クラブ(仮称)補助事業の創設でございます。
 午後七時以降まで開所時間を延長するなど、サービスの向上に積極的な民間事業者の参入を促進するため、東京都独自の補助制度により運営を支援するものでございます。
 八二ページをお開き願います。9、定期利用保育事業(仮称)でございます。
 保護者の多様な働き方に対応する東京都独自のパートタイム労働者等に向けたサービスを創設し、保育サービス拡充の取り組みをさらに加速させてまいります。
 九四ページをお開き願います。概要欄の16、家庭福祉員でございます。
 新たに(1)の代替保育確保支援事業、(2)の補助員雇用支援事業、(3)の共同実施型家庭福祉員モデル事業などを実施することにより、家庭福祉員及び利用者の拡大を図ってまいります。
 九五ページをごらんください。17、事業所内保育事業でございます。
 事業所内保育施設の設置促進を図り、企業の次世代育成に対する取り組みを支援するとともに、補助期間の延長や地域開放を行ってまいります。
 九六ページをお開き願います。19、認証保育所事業でございます。
 引き続き認証保育所の設置を促進してまいりますが、新たに補助単価区分を細分化するとともに、定員三十人以下の補助単価を四十人まで拡大適用することで、さらなる定員拡大を促進してまいります。
 一〇八ページをお開き願います。8、重症心身障害児(者)地域生活支援でございます。
 重症心身障害児者が地域で暮らす上で必要な治療や訓練などの療育を行うため、(2)の重症心身障害児在宅療育支援事業や(4)の重症心身障害児通所委託、受け入れ促進委員配置を新たに実施するなど、重症心身障害児者への支援の充実を図ってまいります。
 一一二ページをお開き願います。(4)の発達障害者社会参加支援普及事業でございます。
 一般就労に至らない、成人期の発達障害者に対する支援手法について、地域の関係機関と連携して検討、試行することなどにより、地域での支援体制整備を推進してまいります。
 一二五ページをお開き願います。(8)、地域精神科医療体制整備事業でございます。
 身近な地域において、精神障害者が必要なときに適切な医療が受けられるよう、アの地域精神科医療ネットワークモデル事業や、イのアウトリーチ支援モデル事業などを実施してまいります。
 少し飛びますが、一四一ページをお開き願います。4、新型インフルエンザ対策でございます。
 新型インフルエンザによる健康被害や社会経済的混乱を最小限に抑えるため、引き続き、治療薬や医療資器材を計画的に確保するとともに、地域医療体制及び監視、検査体制等の充実強化を図ってまいります。
 一四六ページをお開き願います。(11)、墨田児童相談所移転改築工事でございます。
 老朽化の著しい墨田児童相談所を移転改築し、新たに一時保護所を設置いたします。
 (12)、立川児童相談所一時保護所移転改築工事でございます。
 老朽化した立川児童相談所の一時保護所の移転改築を進めてまいります。
 一五〇ページをお開き願います。11の医療施設耐震化でございます。
 (2)、医療施設耐震化緊急整備事業及び(3)、医療施設耐震化緊急対策事業でございます。
 未耐震の建物を有する医療施設が行う耐震化を目的とした新築建てかえ、耐震補強工事等に必要な経費を補助することで、医療施設における安全と災害時の医療体制の確保を図ってまいります。
 一五三ページをお開き願います。30、特別養護老人ホーム等整備費補助でございます。
 既存の特別養護老人ホーム整備費補助に加え、従来型個室及び従来型多床室による創設も補助対象とすることにより、設置促進を図ってまいります。
 一五四ページをお開き願います。32、ショートステイ整備費補助でございます。
 これまで老人短期入所施設の整備費補助の対象は、特別養護老人ホームに併設する場合に限定しておりましたが、特別養護老人ホーム併設以外の老人短期入所施設の整備に対しても補助することにより、整備を促進してまいります。
 その下の33、軽費老人ホーム、大都市・小規模タイプ整備費補助でございます。
 都市部における低所得で要介護、要見守り高齢者向けの軽費老人ホームの制度創設に伴い、整備に要する経費の一部を補助することにより、設置促進を図ってまいります。
 次に、特別会計に移らせていただきます。
 一六五ページをお開き願います。Ⅰ、母子福祉貸付資金会計でございます。
 母子及び寡婦福祉法に基づく母子福祉資金の貸し付けに要する経費として、四十五億円を計上してございます。
 一六七ページをお開き願います。Ⅱ、心身障害者扶養年金会計でございます。
 東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例に基づく年金給付等に要する経費として、七十九億五千九百万円を計上してございます。
 続きまして、平成二十一年度最終補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、国の第一次補正予算及び第二次補正予算に対応するための経費を補正するとともに、都税の大幅な減収に対応するため、歳入歳出予算を補正するもの等でございます。
 お手元の資料、平成二十一年度最終補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。左側の(1)、歳入予算でございますが、国庫支出金で百二十四億五千六百十五万円の増額、繰入金で六十五億八千三百五十九万円の減額などにより、補正後の歳入合計は二千六百五億九千二百十八万円となります。
 右側の(2)、歳出予算をごらんください。
 福祉保健費で二百七十二億九千七百四十六万九千円の減額、諸支出金で十五億三千三百四十九万二千円の増額、総額で二百五十七億六千三百九十七万七千円を減額補正いたします。これにより、補正後の歳出合計は、八千九百十七億八千六百七十五万六千円となります。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、生活福祉資金貸付事業補助でございます。
 国の第一次補正予算に基づき、失業等により日常生活全般に困難を抱えている方を対象として、生活の立て直しや経済的自立等を支援するため生活福祉資金の充実を図るもので、貸付原資等に必要な経費として八十八億三千七百十四万六千円を計上してございます。
 三ページをごらんください。2、安心こども基金でございますが、国の第一次補正予算及び第二次補正予算に基づき、待機児童解消に向けた取り組みの拡充等に要する経費として、四十億三千八百五万六千円を計上してございます。
 四ページをお開き願います。3、新型インフルエンザ緊急対策でございます。
 新型インフルエンザワクチンの優先接種者に対する負担軽減に要する経費として、四十三億百三十二万六千円を計上してございます。
 五ページをごらんください。4、税収減に伴う歳入歳出予算の更正でございます。概要欄に更正を行う歳出科目の名称を二四ページにかけて記載してございます。
 二五ページをごらんください。5、国庫支出金返納金でございます。
 精算の結果、受け入れが超過した国庫支出金の返納に要する経費として、十五億三千三百四十九万二千円を計上してございます。
 以上で予算案についての説明を終わらせていただきます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十二年第一回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 食品衛生法等に基づく手数料額を改正するものでございます。
 この条例は、平成二十二年四月一日から施行することとしております。
 次に、整理番号2、東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 被爆者の子に係る医療費の助成の範囲に係る規定中、助成の対象外とし、自己負担とするものに、生活療養標準負担額を加えるため、規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十二年四月一日から施行することとしております。
 次に、整理番号3、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 心身障害者の医療費の助成制度の充実を図るため、対象者に肝臓機能の障害がある者を加えるほか、規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十二年四月一日から施行することとしております。
 二ページをお開き願います。整理番号4、東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例でございます。
 平成二十二年度から二十四年度までにおける国民健康保険調整交付金の普通調整交付金及び特別調整交付金の総額に係る特例を設けるものでございます。
 この条例は、平成二十二年四月一日から施行することとしております。
 次に、整理番号5、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都品川景徳学園及び東京都むさしが丘学園を社会福祉法人に移譲するため、規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十二年四月一日から施行することとしております。
 次に、整理番号6、東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例と、三ページに参りまして、整理番号7、東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例及び整理番号8、東京都障害者支援施設等に関する条例につきましては、都立障害者施設を障害者自立支援法に基づく障害者支援施設、または障害福祉サービス事業を行う事業所に移行するため、規定を整備するものでございます。
 いずれも平成二十二年四月一日から施行することとしております。
 次に、整理番号9、東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例でございます。
 特例交付金の交付目的に、求職中の貧困、困窮者等に対する生活、就労、住宅等に関し必要な支援が追加されることに伴いまして、基金の設置目的を改めるものでございます。
 この条例は、公布の日から施行することとしております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十二年第一回東京都議会定例会条例案をご参照いただければと存じます。
 続きまして、契約案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十二年第一回東京都議会定例会契約案の概要をごらんいただきたいと存じます。本契約案は、財政委員会に付託の上、本委員会でご調査いただくものでございます。
 一ページをお開き願います。東京都子ども家庭総合センター(仮称)(二十一)新築工事でございます。
 この工事は、福祉保健、教育、警察が連携し、都における子どもと家庭を総合的、一体的に支援する拠点を設置するものでございます。
 工事場所は、新宿区北新宿四丁目でございます。
 敷地面積は、五千五百十二・二五平方メートルでございます。
 建物の構造は、鉄骨鉄筋コンクリートづくり、階数は、地上七階、地下一階でございます。
 工事の規模でございますが、延べ床面積一万四千四百九十七・二八平方メートルで、児童相談センター、新宿少年センター、教育相談センターの三つの相談機関などを設置することとしております。
 次の二ページに施設の案内図を、三ページに配置図をそれぞれ記載してございます。
 四ページをお開き願います。本工事請負契約の概要をお示ししてございます。
 契約金額は二十二億三千四百四十万円で、契約の相手方は奥村・南海辰村・近藤建設共同企業体でございます。
 工期でございますが、契約確定の日から平成二十四年八月三十一日まででございます。
 契約の方法その他につきましては、記載のとおりでございます。
 なお、五ページ以降に議案の内容を記載してございますので、ご参照いただければと存じます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は、ご発言をお願いいたします。

○野島委員 学童保育関係なんですが、都内における事業主体別というのかな、公設公営でやっているとかそういう項目。それから時間を含む事業内容。学校内にあるか、全く普通の場所につくっているとか、幾つか項目があるんですが、そういったふうなものをいただけるとありがたいと思います。
 以上です。

○大山委員 一つは、乳幼児、小中学生に対する医療費助成の実施状況。
 二つ目は、認可保育所における職員の平均経験年数別施設数。
 三つ目は、情緒障害児短期治療施設の都道府県別整備状況。
 四つ目は、障害者施策推進区市町村包括補助の各事業別執行額及び実施自治体数です。
 以上です。

○門脇委員長 ほかによろしいですか。--ただいま野島委員並びに大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出をお願いをいたします。

○門脇委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○飯塚参事 東京都東村山老人ホームの民間移譲及び建てかえについて、お手元の資料によりご報告いたします。
 1、対象施設は、東京都東村山老人ホームでございます。
 施設の所在地、定員及び開設時期については記載のとおりでございます。
 現在の運営形態につきましては、都立施設として運営をしております。
 2、民間移譲及び建てかえの概要でございます。
 民間移譲の目的として、社会福祉法人の自主性や創意工夫を生かした、より弾力的かつ効率的な施設運営を行い、利用者サービスの向上を図るものでございます。
 また、移譲に当たって、施設の老朽化の状況を踏まえ、移譲先法人が施設の建てかえをあわせて行うこととしております。
 3、施設の規模でございます。
 建てかえ後の定員規模は、入所待機者の動向や他の高齢者施策の充実等を踏まえて、視覚障害者五十人を含む二百人としております。
 なお、東京都東村山老人ホームには青葉棟と桜棟の二棟ございます。青葉棟については、平成二十三年度を目途に廃止することとしております。また、桜棟につきましては、定員規模の見直しに伴う経過措置として、都立施設としての運営を継続し、平成二十七年度を目途に廃止する予定でございます。
 4、運営法人の選定でございます。
 選定については、選定基準を定め、公募により適切な社会福祉法人を選定し、同法人による運営といたします。
 5、建てかえ予定地の取り扱いでございます。
 建てかえに要する土地は、都有地の無償貸付とし、建てかえ場所については、東京都東村山老人ホーム隣地、むさしの園跡地といたします。
 6、今後のスケジュールでございます。平成二十二年七月に公募により運営法人を選定し、平成二十四年度中に開設する予定でございます。
 以上ご報告申し上げました。よろしくお願いいたします。

○門脇委員長 報告は終わりました。
 この件に関して資料要求のある方は発言をお願いします。

○大山委員 一つだけです。都立養護老人ホーム及び軽費老人ホームの施設数、定員数の推移、お願いします。

○門脇委員長 大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、大山委員と調整の上、ご提出をお願いいたします。

○門脇委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二一第一三一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○住友保健政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願二一第一三一号は、文京区の社団法人東友会会長飯田マリ子さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、高齢化、病弱化が進む原爆被爆者の実情に見合った事業の実施ができるよう、原子爆弾被爆者健康指導事業委託事業費を支給していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 原子爆弾被爆者健康指導事業については、被爆者の健康の保持増進及び福祉の向上を図ることを目的として、社団法人東友会に委託し実施しております。この事業は、高齢化が進む被爆者の健康不安を軽減するために重要な事業であり、医療相談や訪問相談指導等に必要な経費を確保しております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○野上委員 請願二一第一三一号、原子爆弾被爆者健康指導事業委託事業費に関する請願について質問させていただきます。
 昭和二十年の八月六日広島に、そして八月九日長崎にあの原爆が投下されて、ことしは六十五年目ということになります。昨年四月には、オバマ大統領が核兵器のない平和な世界を追求することを宣言してノーベル平和賞を受賞され、世界の平和を目指す機運の高まりが期待されるのではないかと思っております。
 その一方で、実際に広島、長崎で被爆された方々の多くは、今なお放射線が原因で発病したと思われる病気や被爆の後遺症で苦しんでおります。私自身も広島県出身で、親戚、身内も含めて、多くの親戚が被爆をいたしまして、苦しみを身近に感じてきたところでございます。私の実の母親も、直接被爆ではないんですけれども、黒い雨を浴びたというか、後で現地に、広島市内に入ったということで、かなり影響があったというふうに思っております。
 被爆から六十四年という歳月が経過しておりまして、この被爆者の高齢化も進んでおります。体内被爆された方も六十三歳ということですので、健康不安を抱える人も少なくないと思っております。
 今回の請願で取り上げられております健康指導事業は、被爆者の方々の健康の保持増進を図って、健康上の不安を軽減することを目的とした事業でございます。高齢化が進む中で、この事業の役割はますます重要になってきております。この健康指導事業の委託料が約一千五百七十九万円ということなんですが、実際にどのような事業が行われておりまして、それぞれの事業経費の内訳がどうなっているのかを最初にお願いいたします。

○住友保健政策部長 原子爆弾被爆者健康指導事業の主な事業内容は、医師や専門相談員等による医療生活相談、医療講演会、また介護保険利用の手引書の作成等の普及啓発事業、相談員の育成、被爆者の慰霊事業などでございます。
 平成二十年度の主な事業経費の内訳は、相談事業が約千二百六万円、医療講演会が約九万円、普及啓発に関する経費が約二百万円、相談員の育成が五十四万円、慰霊事業が百万円となっております。

○野上委員 被爆者の人数が年々減少しているということで、その一方で高齢化は年々進んでおりまして、不安とか生活上の課題は今後ますます複雑で、対応困難になっていくことが推測されます。
 被爆者の方々の持つ不安や課題は多岐にわたっておりまして、これらに対応するために専門性の高い相談は欠かせないと思っております。都としても、健康指導事業の重要性を考慮して、事業に必要な経費についてはきちんと確保すべきであると思っております。
 あわせて、原爆症の認定と被爆体験の伝承に関して一言申し上げます。
 原爆症の認定は国が行っておりますが、一昨年に大きな動きがありまして、新たな審査の方針が決定されて、申請から長い年月がたってやっと認定をされた方もいらっしゃいます。しかし、いまだに原爆症の認定をすることができずに、不安な日々を送っていらっしゃる方も数多くいらっしゃいます。
 被爆者の方は七十歳以上の方が大半となっていることから、一日も早くこの認定が望まれるように思っております。都においても早期の認定を行うように、国に対して強く働きかけていただくことを要望いたします。
 また、被爆者の高齢化に伴いまして、貴重な被爆体験を後世に伝えられる人が減っていくことも懸念をされます。先般、東友会での都庁の原爆展、展望台で原爆展を開催されておりましたけれども、このような普及活動も大切ですけれども、語り部というんですか、被爆体験を伝えるDVDを作成することも、貴重な体験を風化させないために今後検討してもよいのではないかなと考えております。
 以上、るる述べてまいりましたけれども、この請願については趣旨採択とすることを求めて質問を終わります。
 以上です。

○大山委員 意見を述べます。
 要望にありますように、委託事業費をきちんと見合ったように支給していただきたいというのが要望事項ですね。削減される前、九七年の補助額というのが千七百六万円だったんですね。それで、今は千五百七十九万四千円ということで、百二十六万六千円少なくなっちゃっていると。ところが、その一方、今質疑にもありましたように、高齢化は進んで、相談の内容は、介護保険などとの絡みだと、ケアマネジャーさんもよくわからないから、東友会に聞かないとわからないとかということがいろいろあるものだから、相談件数はかなりふえているんですね。
 九九年度の数字ですと九千三十八件、年間です。それが二〇〇八年度は一万六千二百三十七件ですから、件数からいっても二倍近い増加であり、しかも複雑な相談。ですから、一件一件が時間がかかるということですから、事業実績に、事業量に見合った補助額の増額というのはもう当然のことだと思いますので、ぜひともこの請願を採択したいと思います。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ--よろしいですね。
 お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一三一号は趣旨採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、請願二一第一三四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、請願二一第一三四号、食品表示制度の抜本改正を求める意見書提出に関する請願は、世田谷区の生活クラブ生活協同組合理事長吉田由美子さん外三万七百六十七人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、第一に、加工食品の原料のトレーサビリティーと原料原産地の表示を義務化すること。第二に、すべての遺伝子組みかえ食品、飼料の表示を義務化すること。第三に、クローン家畜等由来食品の表示を義務化すること。以上の三点について、国に対し意見書を提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 まず、第一についてでございますが、加工食品の原料原産地表示については、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、JAS法の加工食品品質表示基準により、生鮮食品に近い単純加工食品である二十食品群及び個別の品質表示基準により四品目について主な原材料の表示義務がございます。
 都では、平成二十年八月に、東京都消費生活条例の告示を改正し、国内で製造され、都内で消費者向けに販売される調理冷凍食品について、主な原材料の原産地表示を義務づけ、平成二十一年六月一日から本格実施しております。さらに、国に対し、食品の原料原産地表示について対象品目を拡大するなど、制度を強化するよう提案要求しております。
 また、国では、厚生労働省と農林水産省により共同設置された食品の表示に関する共同会議において、加工食品の原料原産地表示の拡大に向けた表示の方法と品目の考え方が報告書にまとめられ、引き続き消費者庁において検討していくこととなりました。
 なお、平成二十一年四月に公布された米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律により、米及び米加工品についてトレーサビリティーが義務づけられるとともに、同法附則第五条において、政府は、食品のトレーサビリティーの義務づけ及び加工食品の主要な原材料の原産地表示の義務づけについて、速やかに検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講ずるものとされました。
 次に、第二についてでございますが、遺伝子組みかえ食品については、食品衛生法及びJAS法に基づき、七作物及びこれらを原材料とする加工食品を対象に表示義務がございます。
 都では、バイオテクノロジー応用食品マーク表示ガイドラインにより、JAS法に基づき表示義務のある食品についてマークを定めております。
 なお、遺伝子組みかえ飼料については、遺伝子組みかえ作物使用に関する表示制度はございません。
 次に、第三についてでございます。クローン家畜由来の食品について表示制度はございませんが、受精卵クローン牛由来の肉等については、農林水産省通知に基づき、任意で表示することとなっております。
 都では、バイオテクノロジー応用食品マーク表示ガイドラインにより、受精卵クローン牛の肉についてマークを定めております。
 なお、農林水産省では、受精卵クローン牛及び体細胞クローン家畜の出生や出荷などの状況をすべて把握し、毎月その情報を公開しております。これによりますと、全国で食肉として出荷された受精卵クローン牛は、平成二十年は五頭、平成二十一年は十一月末現在三頭でございます。また、体細胞クローン家畜については、食肉としての出荷実績はございません。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○新井委員 食品表示制度については、民主党としても、党のマニフェストに食品の生産、加工、流通の過程を事後的に容易に検証できる商品トレーサビリティーシステムの確立や、加工食品の原料原産地表示の拡大、遺伝子組みかえ食品やクローン動物由来食品への表示の義務づけを挙げています。
 そこで、食品表示制度の抜本改正を求める本請願に関係し、幾つか質問します。
 まず、加工食品の原料原産地表示について伺います。
 ただいまの説明であったように、東京都では、都内で消費者向けに販売されている調理冷凍食品について、主な原材料の原産地表示を独自に義務づけ、昨年六月から本格実施しています。この新たな表示制度である調理冷凍食品の原料原産地表示について、現在どのような状況があるでしょうか。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 調理冷凍食品の原料原産地表示の実施状況につきましては、本格実施から三カ月が経過した平成二十一年九月に、都内で消費者向けに販売されている五十八社百五十品目の商品について試買調査などを実施いたしました。その結果、条例に基づく表示率は一〇〇%でありました。
 なお、具体的な表示の方法は、容器包装に原料原産地を明記している割合は三〇%、インターネット等の問い合わせ先を明記している割合は七〇%でございました。

○新井委員 遺伝子組みかえ食品の表示については、食品衛生法及びJAS法に基づく表示制度があると説明がありました。東京都では、遺伝子組みかえ食品の表示が適正になされているかどうかについて、どのようなチェックを行っているのか伺います。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 都においては、毎年度、都内に流通する食品を対象に遺伝子組みかえ食品の検査を実施しております。この検査は二つの視点から実施しておりまして、一つは、表示が適正に行われているかという観点から遺伝子組みかえ食品の含有量を調べ、遺伝子組みかえ食品が検出された場合には、適切な表示が行われているかを確認するものでございます。
 もう一つは、日本では認められていない遺伝子組みかえ食品が販売されていないかという観点から、安全性未審査の遺伝子組みかえ食品の混入の有無の検査を実施しております。いずれも違反の可能性のある大豆やトウモロコシ、それらの加工品などを検査対象としております。
 平成二十年度は、表示が適正かどうかの検査を百九十七食品について実施。その結果、表示が不適正なものは認められませんでした。また、安全性未審査の遺伝子組みかえ食品の混入の有無の検査を九十七食品実施いたしました。その結果、九十三食品からは、安全性未審査の遺伝子組みかえ食品は検出されず、残りの四食品は加工度が高い、あるいは残存遺伝子の割合が低いなどの理由で検査不能でございました。その結果につきましては、すべて都のホームページで公表しております。

○新井委員 次に、クローン家畜由来の食品の表示について伺います。
 受精卵クローン牛については、食肉としての出荷実績は少なく、また体細胞クローン家畜については出荷実績がないことですが、特に体細胞クローン家畜については、安全性を不安視する声があることも事実です。体細胞クローン家畜の安全性はどう評価されているのか。また、今後、市場に流通する見込みはあるのでしょうか。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 平成二十一年六月、食品安全委員会は、体細胞クローン牛に由来する食品は、従来の繁殖技術によるものと比較し、毒性試験、アレルギー誘発性試験等について、安全上問題となる差異は認められなかったとして、従来の繁殖技術による家畜等と同等の安全性であるとの食品健康影響評価結果を報告しております。
 なお、現在の体細胞クローン技術は、商業生産の観点からは技術的に改善の余地が多く、今後も研究開発が必要であり、現行の技術水準では商業利用が見込まれる状況ではございません。

○新井委員 食品の表示制度は、消費者が食品を購入するに当たり、適切に商品を選択するための重要な役割を果たしていると考えますが、都の見解をお聞かせください。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 食品表示は、事業者から消費者へ食品に関する情報を提供する手段の一つであり、食品衛生法やJAS法などさまざまな法律によりその目的に応じた表示事項や方法が定められております。
 例えば健康被害を防止するための情報としてアレルギー物質や保存方法などの表示、また商品選択の情報として原材料などの表示が定められております。これらはいずれも消費者にとって重要な情報でございます。
 都は、適正な表示の推進を図るため、事業者に対して監視指導や講習会等を行うとともに、都民に対しては消費生活講座を開催したり、講習会へ講師を派遣したりするなど、表示の制度や活用の仕方について啓発を行っております。今後とも適正表示の推進に努めてまいります。

○新井委員 消費者の視点を最優先とした食品表示の制度になることを要望しまして、質問を終わりにします。

○野上委員 同じく請願二一第一三四号、食品表示制度の抜本改正を求める意見書提出に関する請願について幾つかお伺いいたします。
 一昨年だったと思うんですけど、メタミドホスという猛毒が冷凍ギョーザから検出されて、中国ギョーザ中毒事件というようなことで大変な状況だったように記憶をしております。
 石原知事も、食の安全の観点から英断をされて、調理冷凍食品の表示を義務づけるべきだという提案がされて、議会もそれを承認して、都条例に基づく調理冷凍食品の原料原産地表示が昨年の六月一日から実施の運びになったわけでございます。
 このことにより、都民が調理冷凍食品を購入する際に、原料原産地表示を食品選択の一つの指標にすることができて、調理冷凍食品全般に対する信頼感の向上につながったのではないかと思われます。
 一方で、加工食品に使われています原材料は多種多様、いろいろな国から来ておりますので、その産地も多岐にわたるものが使用されているために、これを正確に表示することはなかなか業者にとっても厳しいという声もお聞きをしてきました。
 そこで伺うんですけれども、都条例に基づく調理冷凍食品の原料原産地表示を制度化するに当たって、東京都が取り組んできた内容について伺います。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 原料原産地表示制度の導入に当たりましては、事業者のヒアリングを実施するとともに、広く都民から意見を募集いたしました。これらの結果を踏まえ、表示のわかりやすさや実行可能性の観点を考慮して、表示すべき原材料の種類と範囲を定めました。
 なお、原材料の産地が頻繁に変わるなど、容器包装への表示が困難な場合には、インターネット等での情報提供も認めることといたしました。
 また、検討の過程におきましては、法制度との整合性の確認やWTO通報の手続などについて、農林水産省や外務省など関係機関との調整を行いました。
 制度の周知に当たりましては、事業者向け講習会、消費者向けシンポジウム、リーフレット、メールマガジン、食品業界誌への記事掲載などさまざまな方法を活用いたしました。特に調理冷凍食品を製造する事業者に対しましては、事業者団体と繰り返し情報交換を行うことにより理解と協力を求めるとともに、都外の事業者も含めて個別相談に応じるなど制度の普及に努めました。
 なお、先ほどもご答弁申し上げましたが、制度開始以降、都内に流通する冷凍食品について調査を行いましたところ、表示率として一〇〇%でございました。

○野上委員 この制度の導入に際しては、都民や事業者等、広く情報を収集して、さまざまな観点から検討をして、制度構築に取り組まれたということがよくわかります。説明の中にはありませんでしたけれども、決してスムーズにはいかなかったのではないかと思われます。
 食品の表示制度は本来、全国的な制度として整備すべきものだと考えますけれども、国においては、先ほど説明があった共同会議においていろいろな協議が行われたわけですけど、その検討内容がどうだったのかということと、都として、原料原産地表示の対象品目の拡大について、今後どのように考えているのかについてお聞きいたします。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 平成二十一年八月にまとめられた共同会議の報告書では、JAS法の表示義務には直罰規定が設けられていることからも、規模を問わずすべての事業者が遵守可能なものでなければ制度の信頼性が確保できないため、実行可能性を担保しなければならないとしております。
 また、表示義務化の検討に当たりましては、実際に表示を行う上での課題をさらに明らかにし、消費者の選択に資するという目的と、生産の実態等々を踏まえて、製造者、製造業者が対応可能であるという実効性を検証していく必要があるとしております。
 加工食品の原料原産地表示につきましては、引き続き消費者庁において検討していくこととされており、都としては、これら国の動きを見守っていくべきと考えております。

○野上委員 規模を問わず、すべての事業者の方が遵守可能なものでなければ制度の信頼性が確保できないため、国の検討の中ではなかなか一足飛びで拡大していくというわけにはいかないと思います。
 次に、遺伝子組みかえの食品の表示についてお伺いいたします。現状では、遺伝子組みかえ食品の表示はどうなっているんでしょうか。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 遺伝子組みかえ食品につきましては、食品衛生法及びJAS法に基づき、トウモロコシや大豆などの七作物と、これらを主な原材料とするポップコーンや豆腐などの加工食品三十二食品群を対象に表示義務が課せられております。
 なお、加工食品につきましては、上位三位までの主な原材料であって、かつその加工食品の重量に占める割合が五%以上のものが表示の対象となっております。

○野上委員 じゃ、そのすべての加工食品に遺伝子組みかえ表示を義務づけることに、問題点というんですか、どんなものがあると考えているんでしょうか。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 加工食品の中でも、しょうゆや食用油のような加工度の高い食品につきましては、その加工工程で組みかえられたDNAや、これらによって生じたたんぱく質が除去分解され検出できないため、これらについて表示が義務づけられたとしても、表示の真偽について科学的に検証することはできません。また、加工食品には原材料として多くの食品が使用されており、その量にかかわらず、すべてについて遺伝子組みかえ食品が含まれているのかを確認して表示することは現実的には困難でございます。
 このようなことを踏まえますと、遺伝子組みかえに関する表示をすべての加工食品やその原材料に義務づけることにつきましては、さまざまな課題があり、困難であると考えております。

○野上委員 遺伝子組みかえ表示を義務づけるにはちょっと課題があるかなということですよね。
 次に、クローン由来食品についてお伺いいたします。
 先ほども説明があったんですけれども、クローン家畜由来食品については、その旨の表示が義務づけられていないということなんですが、先ほど説明があった中に、平成二十年で五頭、二十一年で三頭、合計八頭だけですよね。このクローン家畜由来食品、牛ですね、牛がつくられて販売をされたわけですけれども、このクローン家畜由来食品の表示の義務づけについて、東京都としてどのように考えているんでしょうか。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 先ほどご説明申し上げましたとおり、農林水産省では、受精卵クローン牛及び体細胞クローン家畜の出生や出荷などの状況をすべて把握し、毎月その情報を公開しております。
 これによりますと、今ありましたようにクローン牛は畜産試験場など研究機関で生産され、平成二十一年に食肉出荷された受精卵クローンは全国で三頭、平成二十一年に国内で食肉として出荷された牛、約百二十万頭に対する割合はごくわずかでございます。また、体細胞クローン家畜につきましては、技術的に改善の余地が多いなどの理由から食肉出荷は自粛されており、現行の技術水準では商業生産への利用は見込まれる状況ではございません。
 これらのことから、現時点ではクローン家畜由来食品について表示を義務化する状況ではないと考えております。

○野上委員 そういうことでクローン家畜由来食品というのは余りはやらないような気がいたします。
 食品表示は消費者が食品を購入する際に、その食品の情報を確認できる手段としてできるだけ多くの情報が伝わることが望ましいと考えております。
 一方で、新たな表示事項の義務づけに当たっては、表示のわかりやすさや制度の信頼性を確保することを考慮して、事業者にとって実行可能性あるいはコストの問題とか、さまざまな課題を検討する必要があることがわかりました。
 以上で私の質問を終わります。

○大山委員 表示の問題ということで、消費者にとっては表示を義務化するというのは非常に重要な情報提供ですし、選ぶ基準にもなるわけです。加工食品の原料のトレーサビリティーと原料原産地の表示を義務化することということで、東京都では消対審で検討して調理冷凍食品については表示をしたと。ちょうどそのとき、私、消対審の委員だったんですけれども、いや、なかなか大変なんですよね。同じ粉でも、こっちから輸入した粉とこっちから輸入した粉とまぜたり、それから月によって違うんだとか日によって違うんだとかって、チャーシュー入りのラーメンはどうするんだとか、いろいろあったわけです。
 とにかく東京都では制度化できたということでは、国の制度としてやはりやっていってもらいたいということはもう当然の要望だと思いますし、米がトレーサビリティーできるというのは、やはり日本の国内でつくっている、ほとんど一〇〇%の自給率だということでは、米のトレーサビリティーというのはやりやすいということもあると思います。消対審のときも本当に実感したんですけれども、やはり日本の食料自給率を上げるということが、表示についてもよりやりやすいというか、トレーサビリティーもできやすい状況をつくるということでは、自給率を上げるということは非常に重要だと思っています。
 すべての遺伝子組みかえ食品、飼料の表示を義務化することということで七品目あるわけですけれども、日本が輸入しているトウモロコシ、大豆、菜種、大どころといいますか、トウモロコシと大豆と菜種の輸入が多い、もとの輸出国がどこで、その国の遺伝子組みかえトウモロコシ、大豆、菜種はどれぐらいの作付になっているのかというのを教えてください。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 二〇〇八年の貿易統計によりますと、我が国におけるトウモロコシの輸入量が最も多い国は米国で、年間約千六百万トンを輸入しており、全輸入量に占める割合は九八・八%でございます。また、米国内における遺伝子組みかえの作付面積割合は八〇%でございます。
 大豆につきましても、輸入量が最も多い国は米国で、年間約二千七百万トンを輸入しており、全輸入量に占める割合は七三・五%でございます。また、米国内における遺伝子組みかえの作付面積割合は九二%でございます。
 菜種につきましては、輸入量が最も多い国はカナダで、年間約二千二百万トンを輸入しており、全輸入量に占める割合は九五・五%でございます。また、カナダ国内における遺伝子組みかえの作付面積割合は八六%でございます。

○大山委員 トウモロコシはアメリカが最大の輸出国で、八〇%が遺伝子組みかえトウモロコシだと。それから大豆は九二%が遺伝子組みかえ、それから菜種は八六%が遺伝子組みかえなんだということですから、輸入されるトウモロコシや大豆や菜種というのは、もうほとんど遺伝子組みかえのものなんだということなんですよね。
 トウモロコシや大豆や菜種、輸入して何に使うんでしょうか。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 三作物の用途でございますが、各国別の統計はございませんが、我が国の輸入トウモロコシ全体の約七割が家畜の飼料として使われており、残りの三割はコーンスターチ等の食品の加工原料として使われております。大豆は七割以上が油の原料として使われ、残りは、みそ、しょうゆなどの加工製品の原料等に使われております。菜種につきましては具体的な統計はございませんが、ほぼ全量が油の原料として使われていると推測されます。

○大山委員 輸入されるほとんどが遺伝子組みかえの作物で、しかもトウモロコシの七割は飼料。ですから、七割は、遺伝子組みかえの作物を牛だとかにあげたのかどうかというのがわからない、消費者はわからないわけですね。コーンスターチは表示義務がありますからわかる。ですから、やはり飼料に表示をしてほしいというのは、これは消費者としては非常に当たり前のといいますか、当然の要求だと思っています。
 それから、大豆にしても菜種にしても、油、おしょうゆだということですから、これも表示義務がないわけですね。ですから、今、検出ができないんだということで表示義務がないということですけれども、やはり研究することによってというか、どう知らせていくのかということも含めて、やはり検討していかなきゃいけない課題だと思っています。
 それから、クローン家畜由来食品の表示ですけれども、受精卵クローンと、それから体細胞クローンということですが、農水省の対応は、受精卵クローンは、牛遺伝子の改変、操作を行ったものでないから、一般の牛と同等に扱うことが適当なんだということですね。
 しかし、今はもう牧場で飼われているわけじゃなくて、農家で飼われているわけじゃなくて、研究施設、畜産試験場などで飼われているということなんです。しかも、受精卵クローン牛も世界で初めて生まれたのが一九八六年ですから、わずか二十四年しかたっていないという状況です。農水省の農林水産技術会議という、報道発表だと半年に一回、家畜クローン研究の現状についてということでプレス発表もしているということなんですね。だから、まさに研究段階のものだといってもいいんじゃないかと思うわけです。
 二十一年九月三十日までに、日本で七百二十二頭の受精卵クローン牛が生まれているんです。死産だとか生後すぐ死んじゃうという牛が百九頭、病死が百四頭ですから、合わせると三割ですね。にもかかわらず、そのうち食肉に出荷したのが四五%あるというんです。これまでに三百二十九頭を食肉として出荷したと。何万頭の中のこれだけなんだというかもしれませんけれども、私もこんなに出荷されているんだというのは初めて認識しました。研究途中のようなものが市場に出回るということ自体、本当にいいのかということですけれども、ましてや体細胞クローン牛というのは雄と雌から生まれるんじゃなくて、既に分化された細胞の核から家畜を生産するという全く新しい技術で、死産だとか生後すぐ死んじゃう、それから六カ月以内で死んじゃうという、合わせると約五割なんだということなんですね。
 食品健康影響評価が、従来の繁殖技術による牛及び豚に由来する食品と比較して同等に安全性を有すると結論を出したんだけれども、パブリックコメントでは、安全だという評価が理解できないとか、死産だとか生後直後の発作の原因、はっきりわかっていない、科学的根拠、因果関係が示されていないじゃないかということで、安全性への評価の批判が多く出されています。
 ですから、数は少なくて受精卵クローンもだんだん出生数は減っているとはいえ、やはり受精卵クローンだって、それから体細胞クローンはもちろんのこと、今こんな段階で市場に出さないでほしいというのが率直なところだし、それから、たとえ受精卵クローン牛減っているとはいえ、出すときにはやはり任意表示じゃなくて、研究途中だからこそ、やはりちゃんと表示はしなさいよというのは、これは当然だと思います。
 ということで質疑終わりです。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一三四号は継続審査といたします。

○門脇委員長 次に、請願二一第一三七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○吉岡少子社会対策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3、請願二一第一三七号、東京の保育所入所待機児童の解消と保育施策の充実及び予算の増額に関する請願は、杉並区の公的保育・福祉を守る東京実行委員会代表の橋本宏子さん外十六万一千十人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、一刻も早い保育所待機児童解消を実現するために、認可保育所の増設、増改築を行うとともに、公立保育所の新設や増改築が進むよう、独自の補助制度をつくり、区市町村を支援すること。また、保育室や認証保育所から認可保育所への移行を促進し、土地の提供や補助金の増額などを行うこと。
 第二に、待機児童解消対策を進めるに当たり、子どもの最善の利益が損なわれないよう、十分配慮すること。
 第三に、国の児童福祉施設最低基準を上回る、都独自の認可保育所の基準をつくること。
 第四に、認証保育所の職員配置や面積などの基準を改善すること。
 第五に、保育従事者が継続して働き続けられるよう、労働条件や賃金を向上させる施策を積極的に進めること。
 第六に、現行の公的保育制度を堅持、拡充するよう、国に意見書を提出することという内容でございます。
 現在の状況でございますが、第一につきましては、地域における保育サービスの供給体制は、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭福祉員など、地域のさまざまな保育資源を活用して確保していくべきものでございます。
 都は、待機児童解消の取り組みを加速するため、平成二十年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業をスタートさせ、区市町村への支援を強化してまいりましたが、さらに、今年度からは、安心こども基金による支援策に加え、事業者及び区市町村の負担を軽減する都独自の支援策を実施しております。
 保育室や認証保育所から認可保育所へ移行する場合にも、これらの整備費の支援の対象となりますほか、土地の提供につきましては、平成二十年三月から都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業の対象施設として認可保育所を加えておりまして、都有地及び都の建物についての貸付料を五〇%減額して貸し付けることとしております。
 なお、公立保育所の整備費につきましては、平成十八年度に一般財源化されております。
 第二につきましては、都は、待機児童解消対策を進めるに当たりましても、サービスの担い手となる保育人材を確保するための再就職支援事業や認証保育所の施設長研修、家庭福祉員の養成研修もあわせて実施するなど、保育の質の確保にも十分配慮して取り組んでおります。
 第三及び第六につきましては、認可保育所の基準につきましては、都は国に対し、大都市に見合った面積基準の一層の緩和や保育士以外の資格を持つ人材の有効活用が可能となるよう、保育従事職員の資格基準の緩和など運営上のさまざまな創意工夫が可能となる制度に改善するよう提案要求しております。
 第四につきましては、認証保育所の職員配置や面積などの基準は、基本的には認可保育所と同水準の基準としております。また、保育従事職員につきましては、保育士以外の資格を持つ人材の有効活用が可能となるよう資格基準を定めております。
 第五につきましては、都は、区市町村の創意工夫により、保育サービスの充実も含めたさまざまな施策を地域の実情に応じて展開できるよう、子育て推進交付金や子ども家庭支援区市町村包括補助などにより、支援を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いします。

○栗林委員 それでは、私の方から、整理番号3、請願二一第一三七号の東京の保育所入所待機児童の解消と保育施策の充実及び予算の増額に関する請願について確認をさせて、質問をさせていただきたいと思います。
 ちょうど今、この時期は、保育園の入園の審査の時期でございまして、入園できるかできないかというところで、一次結果も出て、入園できなかった方は二次審査ということで、非常に不安な時期で今、過ごしていらっしゃることと思います。もう二月も半ばを過ぎまして、各市区町村では四月に向けての認可保育所の入所選定がいよいよ追い込みになっております。昨年からの経済状況の悪化等の影響もあって、保育所の待機児童は七千九百三十九人ということで、これは待ったなしの解決策が求められているところでございます。
 今ご説明もございましたけれども、東京都は保育サービス拡充緊急三カ年事業ということで、ありとあらゆる対策を打ち出させていただいておりますけれども、何としても、これはもう待ったなしで、四月から仕事に復帰する方も現在入園できない、そんな声も聞いております。
 今回この請願に出ております2、4、5、ここは大変、本当にこのまま力を入れていただきたいと思うんですけれども、1にございます保育室、認証保育所から認可保育所への移行促進という部分がございますが、ここはちょっと気になるところでございます。
 といいますのは、今は多様な保育サービスということで、働き方も多様化しております。特にゼロ歳から二歳に関しましては家庭的な保育がいいということで、保育ママや保育室、そして認証等を選ぶ方もいらっしゃいますし、また生後五十七日から、会社経営者とか責任ある立場で仕事をしている働く女性にとっては出産後すぐにも預けなくてはいけない、そんな状況の方もいらっしゃいます。そういったことから考えますと、ただ単なる認可保育園だけではなく、多様な保育サービスが求められているのが今のニーズではないかと思います。
 そこで、お伺いしたいと思うんですけれども、都もこの一月に少子化打破緊急対策を発表したところでございますけれども、待機児童解消に向けて、十年ぐらいはこの課題は続くんではないかといわれているぐらいでございますけれども、待機児解消に向けて都は今後どのような取り組みを考えていらっしゃるか、この点を伺わせてください。

○吉岡少子社会対策部長 保護者の勤務形態や勤務時間帯が多様な東京におきましては、十一時間開所を基本とする認可保育所だけでは、保護者の保育ニーズに十分対応することができません。このため、都はゼロ歳児保育や十三時間開所を義務づけた認証保育所制度を創設し、認可保育所だけでなく認証保育所や認定こども園、家庭福祉員など、多様な保育サービスを組み合わせ、保育サービス定員の整備を図ってまいりました。
 一月に発表しました少子化打破緊急対策事業では、平成二十二年度から二十四年度までの三年間で、二万二千人分の保育サービス利用児童数を増加することとしております。
 今後は、これまでの取り組みに加え、既存の保育所を活用した定員の弾力化や区市町村単独保育施策など、多様な手法を総動員いたしまして保育サービスの一層の拡充を図ってまいります。

○栗林委員 本当に早急な対応をお願いしたいと思いますけれども、私の地元、世田谷区では、都内でも待機児童が大変多い地域ということで、さまざまな対策を今までも打っていただいておりますが、やはり多様な保育サービスだけでは本当に足りないということで、五年間で認可保育施設を十五カ所増設をしていただいておりますが、それでもまだまだ待機児を解消できないということで、やはり今ある制度、保育ママ、保育室、認可保育園、認証保育園、認定こども園、こういったありとあらゆる、今、部長お話しございましたけれども、総力を挙げて力を入れていただく以外に解決策はないと思います。
 これからは、本当に皆さんが求められている保育サービスというのは、むしろ実力と実績のある公立の保育園は、本来であれば少し定員に余裕があって、民間のそういう保育サービスがいっぱいであるときでも、途中、移転のためどこも入れないときでも、そこの公立の保育園が定員枠があって受け入れてくれるとか、民間ではなかなかできないサービスを提供するのが公立ならではの意義があるんではないかなと思います。
 例えば障害をお持ちのお子さんの受け入れだとか、移転のための途中入園だとか、そういった地域の、むしろ子育ての安心拠点というような位置づけもあわせて求められているところではないかなと思っております。
 この保育サービスの整備は、スピード感を持って対応していただかなくてはならないのが現状でございます。今おっしゃっていただいたような多様な手法を大いに活用していただいて、保育サービスの拡充を、むしろ、多様な保育サービスの拡充をすべきである、これが時代に合った保育のあり方ではないかということを希望しております。
 以上で質問を終わらせていただきます。

○大山委員 質疑します。
 待機児解消のためにということで、本当に待機児解消というのは、もう待ったなしだというのは今のご意見もそうですけれども、明白だと思います。
 先ほどの局の説明では、区市町村の責任なんだということですけれども、東京都が東京の子どもたちにどう責任を持つのかという重大なことです。実際、認可保育所整備目標を引き上げたり、区市町村への支援を始めたりしている。これは大きな運動もあって、東京都も始めるということで、これはこれで重要なことです。しかし、今の待機児の状況に見合っているのかということなんですね。
 保育園に入れなければ、さっきもありましたが、職場に復帰することができません。同じ点数で何人も並んじゃっている、満点で何人も並んじゃっているという状況です。夫が失業して妻も働きたいけど保育園に入れない、じゃ、働けない、認証保育所は高い、こんな状況になっているわけですね。ラーメン屋さんの台所に、歩き始めた子どもを連れてこざるを得ない。本当にますます深刻になっている状況です。
 保育園は、本来だったら年度途中でいつでも必要な子どもたちが入所できなければならないわけですね。児童福祉法にももちろん、保育所で保育しなければならない、ねばならない、そうなっているにもかかわらず実際はそうなっていない。
 待機児を見ますと、二十年の四月時点で、新定義ですと五千四百七十九人、旧定義ですと一万八百六十三人。二十一年の四月、新定義ですと七千九百三十九人、旧定義ですと一万五千八百四十一人。新定義と旧定義があるのは、新定義は、認可保育園に申し込んでいても、認証保育所や保育室だとか保育ママだとかで預かってもらっていたら除外している数字ですから、認可保育園に入りたい、そう希望して待っている人というのは旧定義の数で見なきゃいけないわけですね。つまり、年度当初で既に認可保育園を希望して待っている方は今年度でも一万五千八百四十一人ですから、ごく単純に割り返せば、百人定員の保育園が百六十カ所も年度当初でなきゃいけない、プラスしてなきゃいけないという状況です。産休や育児休業が明けたり、新しく仕事をする必要が出る人が年度途中でいるわけですから、保育園を必要とする子どもたちをいつでも受け入れられるように保育園を整備することが必要です。
 ですから、認可保育園、思い切って整備をしなきゃいけないわけですけれども、四月から年度途中でどんどんふえていくわけですね。二十年度の数字しかありませんから、これで比較しても、二十年の四月に一万八百六十三人だったのが、十月一日では一万六千四百四十八人ですから、四月に比べて半年たつと一・六倍になっているわけですね。二十年度から、さっきもおっしゃっていましたけれども、保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んできたわけですが、さらに思い切った取り組みが必要だということです。
 私たち、昨年ですが、都内の自治体にアンケートをしました。認可保育園整備のための都への要望、これを聞きましたら、都有地などを活用したり、土地取得費への支援、これがたくさん出てきたんですね。私たちもこの間いってきましたけれども、やはり土地代の助成、土地代が高い東京では特に大きいわけですよね。特養ホームの整備に土地代を助成して以降、整備が大きく進んだというのは東京都で経験済みのことです。ぜひとも区市町村の要望にこたえるべきじゃないんでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 保育所用地につきましては、平成二十年三月から、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業の対象施設として認可保育所を加えておりまして、都有地及び都の建物についての貸付料を五〇%減額して貸し付けることとしております。
 また既に、先般公表いたしました少子化打破緊急対策事業の一つでございますけれども、来年度から定期借地により、認可保育所を整備する場合に定期借地権設定時の一時金の二分の一を補助することで設置促進を図ることとしております。用地費助成の実施については考えてございません。

○大山委員 前には進んでいるんだということですよね。しかし、都有地だったら半額といわずに無償にするとかということも含めて検討してほしいですし、定期借地一時金、進みましたけれども、借地ですから借地料をその後払わなきゃいけないわけですよね。そうすると経常経費に係るわけです。これにも支援が必要ですし、土地代は考えていないといいますけれども、やはり本当に本気になってふやしていきたいというんだったら、都有地がない自治体だっていっぱいあるわけですよね。ですから、土地代の助成も含めてぜひ検討をしてほしいと思っています。
 例えばマンションの併設型だと家賃補助は行われているわけですけれども、実施期間が二年間、これがやはり使いづらいということを事業者も、それから区市町村もいっているわけですから、これについてもちゃんと経常経費として見られるような検討をしてほしいと思っています。
 東京都が、この認可保育園を整備するときに幾ら出しているのかということなんですね。例えば、百人定員の認可保育園を建設するとき、東京都は幾ら出しているんでしょうか。モデルでいいです。

○吉岡少子社会対策部長 認可保育所の定員百人規模のモデルでご紹介申し上げます。
 認可保育所の整備につきましては、まず国の安心こども基金の補助の対象となります。定員百人規模の施設の場合には、国の安心こども基金の補助基準額は一億六千二百八十万円でございまして、このうち、国が二分の一の八千百四十万円、区市町村と設置者が、それぞれ四分の一の四千七十万円を負担する仕組みになってございます。
 これに加えまして、都は、今年度から待機児童解消区市町村支援事業によりまして、東京都独自の上乗せ補助を行っております。ゼロ-二歳児の定員拡充を積極的に行う区市町村におきましては、都が区市町村及び事業者の負担を、四分の一ではなく、八分の一に至るまで軽減をいたしまして、東京都が合計で四千七十万円を補助しております。その他の区市町村におきましても、事業者負担は八分の一になるように軽減を行っております。

○大山委員 独自の上乗せ補助をしているんだと強調しましたけれども、結局、国基準そのものだったら東京都は一円も出さないんですよね。東京都が、補助率アップ要件というのがあって、それをクリアすれば、基準額一億六千二百八十万円のうちの四千七十万円ですよ。四分の一ですよね。六兆円を超える規模の財政を持っているこの東京都で、一億六千二百八十万円が、多分これでは建てられないと思いますけれども、そのうち出しているのが、上乗せ補助をしていますと威張っているのが四千七十万円ですよ。これはもっと出してもいいんじゃないかというところじゃないですか。
 同時に、今、認可保育園が直面しているのが園舎の改築問題ですね。築三十年を超える施設が約六割あるわけです。建てかえだとか増築への支援というのが重要なわけです。大体、保育園ですと、園庭があっても、同じ敷地の中でこっちに建てて壊してということ、そんな広い敷地を持っているところというのはほとんどありませんから、改築時の場合の仮園舎用地の提供、これの要望は強いわけですね。
 仮園舎の建設費や土地や建物の借用の費用、それから東京都の使っていない土地だとか施設などの提供は有効だと思いますけれども、これについてはどうですか。

○吉岡少子社会対策部長 民間保育所と公立保育所とに分けてご説明申し上げますけれども、まず民間保育所の場合でございますが、仮設施設の整備費が安心こども基金の補助の対象となっております。
 また、公立保育所でございますが、東京都が使用していない、または当面利用の予定がない土地でございますれば、仮設施設用地として都有地を一時的に貸与するようにしております。

○大山委員 民間施設だったら安心こども基金の補助対象なんだと。公立だったら東京都の土地や建物を貸せるんだということですけれども、民間の保育園でも都有地などがあれば貸し付けられるようなこともしてもらいたいと思います。
 公立園が出てきましたけれども、公立園では、建てかえを考えなければならないとしている園がとりわけ多いんですね。昨年の三月の時点で、公立保育園で、区部では五百三十三施設、定員にすると五万二千二百九十人、それから市町村ですと百四十九施設、定員にすると一万四千三十七人が三十年を超えた保育園なんですね。
 認可保育所の数の推移なんですけれども、十六年度と今年度を比べると、全体の数と公立園の数、どうなっているでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 認可保育所の施設数の推移でございますが、平成十六年四月時点で、合計数が一千六百二十九カ所、このうち、公立施設が一千十カ所でございました。
 平成二十一年四月時点では、合計で一千七百五カ所、このうち、公立施設は九百八十二カ所となっております。

○大山委員 全体は千六百二十九から千七百五にふえている。しかし、公立園は、千十あったのが九百八十二園に減っているわけですね。民営化だとか民間移譲が進んでいるということなんです。
 例えば、公立園で、老朽化して、建てかえをきっかけに民間移譲してしまう自治体というのは結構あるんですね。公立園を運営してきたわけですから、老朽化で公立園を建てかえて、そのまま存続させて、民間を誘致しようというんですから、その民間をちゃんと同時に--その地域、どこでもいいですよ。誘致すれば、待機児解消にはより有効だと思いますけれども、どうですか。

○吉岡少子社会対策部長 公立保育所の建てかえや、あるいは民間保育所の誘致等でございますけれども、これは、それぞれ保育の実施主体でございます区市町村が計画的に進めておるところでございますので、お尋ねのような場合にどのように対応するかというのは、これは基本的にはその当該の区市町村のご判断ということになろうかと存じます。

○大山委員 区市町村の判断なんだということですけれども、どうしてそういう判断をしなきゃいけないのかということなんですね。どうして民営化するか。公立保育園の整備費も運営費も一般財源化してしまった。これが大きいわけですね。一般財源化してしまったから、補助金としては全く来ないわけですね、区市町村に。東京都も全く一円も出していない。
 そんな中で、私、率直にどうなんですかと聞いてみましたよ。区の担当者は、公立を建てかえて、本当だったらそのまま運営して、さらに私立保育園をつくればいいんだけれども、やはり国からも都からも、公立に運営費も来ないから厳しいんですよ、そういっていましたよ。保育所運営費は、公立園が一般財源化される前の平成十五年度と今年度、幾らになっていますか。

○吉岡少子社会対策部長 公立保育所の運営費負担金の推移でございますけれども、この制度は、今、先生もご指摘ございましたように、平成十六年度から一般財源化されております。
 一般財源化される前の平成十五年度の都負担金は百五十九億円で、一般財源化の直後は、公立保育園につきましては一般財源化された当該区市町村の負担となりますので、東京都の負担金はなくなります。
 私立の保育所部分のみになりますが、平成十六年度は七十六億円となってございます。そして、平成二十一年度予算金額は九十三億円となっております。

○大山委員 一般財源化される前は、東京都は百五十九億円出していたんですよね。しかし、今、東京都は、九十三億円なんだということですよ。結局、六年前の約六割しか東京都は、この運営費についても区市町村には出していないんだということですよね。
 公立保育園への支援を求める自治体は、一つや二つじゃないんですね。それで、施設関係の施設整備費の補助だとか、建てかえで定員をふやす計画だから、せめてそこぐらいには出してほしいとかという切実な声もあるわけですよね。そんな中で、やはりきちんと出していくということが求められていることだと思っています。
 区市町村の意見だけかというと、そうじゃないんですね。朝日新聞のことしの一月二十八日の記事ですけれども、結局、この一般財源化を批判しているわけですよ。実効ある緊急対策を急げということで、保育園の半数を占める公立保育所は使うことができないのが安心こども基金なんだと。そのため、定員超過という一時しのぎで対応している、期間限定でも公立の保育所整備に助成すべきではないか、これ、朝日新聞の政策ウオッチという記事です。本当に待機児解消というんだったら、思い切った財政的支援というのは不可欠だといわざるを得ません。
 基準のことですけれども、国は、認可保育所の最低基準について、東京などの一部地域について、子ども一人当たりの面積基準を地方に委任しますということをいい出しました。しかし、現在の最低基準、面積基準は、世界でも最低ということはもうご存じのとおりです。ゼロ歳だったら、乳児室は一・一畳ですよ、国の最低基準。スウェーデン・ストックホルムでは、ゼロ歳児一人当たり四・八畳、パリだったら三・五畳、アメリカのワシントン州は三畳。いかに今の最低基準も、世界の基準から見たら、本当にかけ離れて低いのかということなんですよね。
 日本の最低基準を決めたのは、終戦直後の一九四八年です。そのころはもう本当に大変な住居の状況だったわけですよね。保育園も欲しいし、だから、きついけれども、これでとにかく最低基準にしましょうということで決めたけれども、そのときの通知だって、向上させてくださいよということをいってたわけですよね。しかし、基準は六十年間そのまま、据え置かれたままと。
 二歳児の場合だったら、七畳間の広さで六人の子どもと保育士。これで、遊ぶのもお昼寝もお食事もここでやると。世界でも最低のこの基準を東京都はどう考えているんでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 面積基準に関するお尋ねでございますけれども、東京都は従来から、現行の認可保育所が利用者本位の制度となるよう、保育所制度の抜本的改革を国に提案要求してきております。
 東京におきましては、全国の三割を占める待機児童が生じており、その解消は喫緊の課題でございます。
 面積基準につきましては、大都市の実情に見合った保育所の設置が可能となるよう、基準の緩和を要求しております。
 なお、先ほど大山委員から、公立施設の整備や運営費に関する助成ということについてのるるお話がございましたけれども、その点につきまして、私どもは、毎年度、東京都の予算編成に関しまして、都内の特別区長会、東京都市長会から予算の編成要望を承っておりますけれども、平成二十二年度の予算要望の中身をご紹介いたしますと、保育に関する要望はもちろん当然ございますが、特別区長会、東京都市長会におきましても、公立保育所の整備費や運営費について補助をしてほしいという項目はございません。

○大山委員 項目はないんですね。私たち、聞いたら、幾つもの自治体からいわれました。東京都の要望はどうですかと。
 しかも、私、さっきの答弁は許されないことですよね。基準の緩和を国に求めてきました。世界でも最低のこの子どもたちの保育室の状況ですよ。それをわずかゼロ歳児一・一畳、それをさらに緩和しなさいということを求めてきましたということを堂々というということ自体、子どもたちのことを、本当に何を思っているのかということじゃないんですか。
 その低過ぎる面積基準、これを切り下げるということなんですね。それを東京都も堂々と要求してきたと。子どもたちはどうなってしまったのかということですよ。
 例えば、赤ちゃんの急死を考える会が--急死って死亡ですね、一九六二年から二〇〇八年に行った保育施設における死亡事故二百四十件を分析しました。認可外での事故が全体の約八五%を占め、待機児対策は喫緊の課題である、こう指摘しています。
 他方で、認可保育所では、二〇〇〇年度までは四十年間で十五件だった死亡事故が、二〇〇一年度以降の八年間で二十二件と大幅に増加していました。
 二〇〇一年というのはどういう年か。小泉改革の待機児童ゼロ作戦によって、認可保育所の定員の弾力化、さっきも答弁していたようですけれども、弾力化、そして基準の引き下げまでも要望していたということですね。弾力化の上限枠が撤廃され、最低基準ぎりぎりまでの詰め込みが推奨されるもとに、これに伴う保育士の定数増は短時間保育士でよいとされて、保育士定数の八割以上が常勤でなければならないという規制がなし崩しにされた年なんですよ。
 その客観的な状況を踏まえて、会は、規制緩和と認可保育所での事故の増加との相関関係の調査を求め、検証なしに規制緩和はするべきではないと求めています。私もそのとおりだと思います。東京都はどう考えているんですか。

○吉岡少子社会対策部長 保育施設における死亡事例についてでございますけれども、昨年、厚生労働省は、全国の自治体を通じまして、保育所における死亡事例の調査を行っております。昨年十二月、その調査の結果の取りまとめを公表しておりまして、その調査結果の取りまとめの中には、専門家のコメントが引用されております。
 その専門家のコメントをご紹介申し上げますと、認可保育所がこれほどふえていることや、子どもの育ちにさまざまな課題がある中、死亡件数はふえておらず、保育所が事故防止に努めていることがわかるというふうにコメントをされております。

○大山委員 十二月にもう調査結果を発表したんですね。十一月に発表されて、十二月に調査を発表する。本当にこれ、きちんとした調査なのかということ自体、問題ですよ。
 事故死がふえている背景に、最低基準ぎりぎりまでの詰め込みと、認可、認可外を問わず、うつ伏せ寝で長時間放置し、死後に発見する。また、目を離したすきにということを指摘しています。人員配置基準の向上と常勤保育士を主体に戻すことを指摘しているわけですね。
 最愛の我が子を亡くすという状況がどうして起こったのか、一件一件、数がふえているから子どもが死ぬのはいいんだ、死んだってしようがないんだということじゃないですか。
 東京都としても他人事じゃないんですよ。二〇〇一年以降、全国で六十三人亡くなっていますけれども、九人が東京で亡くなっているんですよ。うち二人は認可保育園です。東京都はこれらについてきちんと調査したんですか。

○吉岡少子社会対策部長 先ほどの厚生労働省の調査のうち、東京都に関する部分について申し上げます。
 これは、基本的には都道府県分は公表されておりませんので、そういったものとしてお受けとめいただきたいと存じますけれども、東京都内の平成十六年度以降、都内の認可保育所におきましても死亡事例は発生しておりますが、一件はウイルス性感染症によるものでございます。また、もう一件は、園外保育での死亡事故というものでございます。

○門脇委員長 大山委員、予定時間でございますので、まとめてください。

○大山委員 それは認可保育園の二カ所ですね。そのほかにも七人が亡くなっているんですよ、認可外で。それはきちんと調査していないということでしょう。したんですか。

○吉岡少子社会対策部長 今回の国の調査におきましては、認可外保育施設も調査の対象に加えてございます。
 ただ、公表しておりません数字でございますが、私どもの把握している数字は、大山委員のご指摘のあった数字とは異なっております。

○大山委員 これは赤ちゃんの急死を考える会が一九六二年以降、死亡事故を一つ一つ拾ったものです。それで、東京都の分さえも把握もしていない、そしてきちんとみずから調査もしていない中で、規制緩和を要求するなんていうのは非常におかしいことだと指摘せざるを得ません。東京都で起こった死亡事故について、認可も認可外もきちんと調査するべきじゃないですか。

○吉岡少子社会対策部長 私どもは、もう既にこの国の調査の一環として、その数字を把握しておるわけでございますけれども、ただ、大山委員がご指摘になりました、名称はわかりませんが、そういった民間の団体がございますれば、それは私どもはその団体からその情報をいただいて精査をすることについてはやぶさかではございません。

○門脇委員長 大山委員に繰り返し申し上げますが、予定時間を過ぎておりますので、まとめてください。

○大山委員 はい、わかりました。そうしたら、きちんと連絡をとって、そして一件一件、数だけじゃなくて、どうして起きたのかということをきちんと調査してください。そして報告してください。
 給食についても一言いっておきますけれども、幼児については、給食の外部搬入、それからアレルギーが容認されるというような状況になりそうだということですけれども、給食については、やはりアレルギーがあっても、それから、その子どもの体調にきちんと合わせた給食を提供できるということからしても、外部搬入なんていうのは問題外だと。調理室から、いいにおいがしてきて、それで、調理師さんがつくってくれたものを、会話しながら、ちゃんと調理師さんとコミュニケーションしながら育っていく。食育だ、食育だといっておきながら、こういうことをないがしろにすることは許せないことですから、国に対してもきちんと要望しておくことを求めて、おしまいにします。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択することに賛成の方はご起立をお願いいたします。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第一三七号は不採択と決定いたしました。
 質疑の途中ですが、議事の都合により、ここで十五時三十五分まで休憩いたします。
   午後三時二十二分休憩

   午後三時三十六分開議

○門脇委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 陳情二一第九五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○芦田障害者施策推進部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号4、陳情二一第九五号、心身障害者福祉手当を精神障害者にも支給することに関する陳情は、世田谷区の東京都精神障害者家族会連合会、通称東京つくし会代表野村忠良さん外九人の方々から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、心身障害者福祉手当を精神障害者にも支給していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、心身障害者福祉手当は、障害者の経済的、精神的負担を軽減し、在宅生活を支援するために、都と区市町村とが一体となって昭和四十九年十月から実施している制度であり、区部については、昭和五十五年から財調算入されています。支給対象者は、二十歳以上で、障害程度が身体障害者手帳一、二級の身体障害者、愛の手帳一度から三度の知的障害者、脳性麻痺または進行性筋萎縮症を有する者であり、これまで対象者の拡大は行っていません。
 手当や年金制度などの所得保障は基本的に国の役割であり、都は、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランを策定し、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しているところです。
 また、精神障害者については、その障害の特性から、医療を確保することの重要性を考慮し、低所得者に対して、都独自に精神通院医療の一割の自己負担分を無料としています。
 都はこれまでも、他の自治体と連携し、年金制度の改善など障害者の所得保障の充実を国に要望してきました。現在国においては、障がい者制度改革推進本部を設置し、障害者制度に関し検討を始めたところであり、引き続き他の自治体と連携し、障害者の所得保障の充実について国に働きかけてまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○斉藤委員 それでは、陳情二一第九五号について何点か伺いたいと思います。
 陳情に登場いたします心身障害者福祉手当についてですが、これは過去できた経緯、この制度そのもののスタートの経緯の中では、やはり家族の障害者に対する介護負担の軽減というのがその目的の一つであったというふうに記憶をしております。今回、現在施行されております自立支援法については三障害を対象にするということで、三障害を包括した法律のという趣旨がありますから、当然、この自立支援法の制定によって、そういった理念が打ち出された中で、この手当の制度的な、表題にもあるような心身障害者福祉手当というふうな形になっていきますと、当然のことながら、もう一つの障害の種別であります精神に関しては、ちょっとこれは不公平ではないかというふうに当事者の方が思われるというのは、私も当然理解できるものだと思っております。
 その中で、これは過去、別の機会で私も伺ったことがあるんですが、今回の話の大事なかなめになりますので、改めて確認として、手当が現在このような制度になっているというこの経緯について、改めて教えていただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 心身障害者福祉手当は、介護を必要とする重度の身体障害者、知的障害者に対する必要なサービスの提供が十分でない時期に創設されたという経緯がございます。
 一方、精神障害者につきましては、その障害の特性から、精神科救急医療体制の整備や通院医療費の助成など、まず医療を確保することを重点に支援策が展開されてきました。
 その後、順次、地域で暮らし続けるためのサービスの充実が図られてきましたが、障害者自立支援法は、これら三障害についてサービス提供の仕組みを一元化し、サービスの総量を拡大するとともに、障害の種類にかかわらず、必要とするサービスを利用できるようにしたものであり、実際にサービス量は拡大してきております。

○斉藤委員 この三障害を含めてサービス量を拡大してきたというふうなことであります。過去にちょっと似たような名前、似たような性格の制度として老人福祉手当というのがございました。これは、介護保険導入のときの平成十二年まで東京都の事業として存在した制度でございまして、まだ記憶にある方も多いと思いますが、大体イメージとしては寝たきりの高齢者ですね。寝たきりの高齢者を介護している世帯を主な対象として、介護のために家族が十分に就労ができないとか、経済的負荷がどうしても大きくなってしまうといった課題と、その課題を解消するために、また同時に、ケアそのものが、当時、行政主体、措置的なケアで高齢者の介護もやっていたみたいですが、どうしても細かいケア、細かいサービスが十分に届くだけの量がないということもあって、その部分を家族の負担で賄っていた。そうすると、どうしても無理が出てしまうということで、それをカバーする意味合いが当時この老人福祉手当にはございました。
 当時で月五万五千円と割と金額的には大きな金銭支給をしていたものですけれども、平成十二年の介護保険の導入に伴って、いわゆる介護事業というものが行政ばかりではなくて、また限られた社会福祉法人ばかりでなくて、さまざまな事業所が入ってくる。そしてまた、一割が本人負担だけれども、家族負担だけれども、九割が保険負担になったということに伴って、サービスの量とサービスの内容、その提供する主体者が広がったことに伴って、この制度を終了したものであります。
 こういった経緯がありますので、ある程度、充実と金銭的な支給というのは、この前例の部分でいえば関連性があったというふうにいえると思います。
 振り返ってその障害の部分でいえば、ちょっと今でも、本当に、毎年自立支援法なんかは、本人負担なんかもそうですけれども、いろいろな部分で法の内容が変わっておりまして、正直スタートしたときにやっぱり不十分だったのかなと。これだけ後で上乗せをするというふうになると、ちょっと先々、当事者を含めた生活支援という部分ではやっぱり不十分だったのかなということがありますので、そういう意味では、同時にこの手当をどうするかという議論というのがなかなか起こりづらかったのかなというふうなことを私などは感じております。
 今の経緯からすると、サービス業の考え方との兼ね合いの中で議論をしていくことがどうしても出てくる制度かなというふうには思っておりますが、では、現在この心身障害者福祉手当、総額で幾らになっているか伺いたいと思います。また、何人の方に支給されていますかということを確認したいと思います。お一人当たり一万五千五百円とは伺っておりますので、そのことを踏まえて二点について伺います。

○芦田障害者施策推進部長 心身障害者福祉手当の平成二十年度実績は、特別区の財調分も含め、受給者が約十一万六千九百人、支給額は約二百十七億四千六百万円となっております。

○斉藤委員 今実際に手当を支給している部分に対しての金額であり、また受給者の数でありますし、特別区の場合は財調の分があったりして、計算がそんなにシンプルではないとは思いますので、余り細かい部分についてはこれ以上伺わない、現行の制度については伺いませんけれども、では振り返って、仮に同様の枠組みでこの手当を精神の方まで拡大をした場合にどうなるかというのは、当然シミュレーションすべきことかなと思います。
 そこで伺うんですけれども、現在、精神障害者の数、この数のとらえ方もいろいろあると思うんですが、ある程度この手当の制度にのっとったイメージの中で想定できる数というものは何人なんでしょうか。
 特にこの精神障害者については、実質上、最近の経済動向もあって、年々患者さん自体がふえている。同時に、各精神科のクリニックも現実的に非常に駅前にふえていたりして、多分ふだん皆さんが駅の周りを見ても感じることとは思いますが、クリニック自体がふえていらっしゃって、その結果、割と精神については相談をしやすい、診察に行きやすいという環境が以前よりもできて、いい意味で早期の患者さんの掘り起こしができているような傾向がございます。ですので、当然のことながら、一年だけをとるとちょっと流れがわかりませんので、ここ三年間の動向ということで教えていただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 精神障害者の数についてでございますが、精神障害者保健福祉手帳所持者数、これ、一級から三級までの合計でございますが、これで見ますと、平成十九年度末が四万五千五十八人、二十年度末が四万五千百十二人、二十一年度は十一月末現在でございますが、五万一千六百五十一人となっております。また、自立支援医療の認定者数で見ますと、十九年度末が十二万二千九十九人、二十年度末が十二万九千二百八十一人、二十一年度は、同様に十一月末現在でございますが、十三万三千八百十人となっております。

○斉藤委員 今二つの基準に基づいて数字を出していただいた形になりました。前段の精神障害者保健福祉手帳、いわゆるほかの障害者手帳と同種のものですけれども、この手帳の所持者、一級から三級というふうなことで見ると、最新の二十一年度十一月末では五万一千六百五十一人、約五万人から五万二千人ぐらいというふうなことであります。
 その手帳については、実際に、これ、かなり個々の判断ではあるんですが、手帳を持つ、手帳を取得する、手帳を手続するというのが、考え方とか感じ方の中で、ちょっとそれは遠慮されるという方も結構いらっしゃいます。というので、最低限、少なく見積もってもこの人数というふうな形になるんじゃないかと思います。
 一方で、後段にありました自立支援医療、これが先ほど現状として冒頭で説明をいただいた中の都独自の精神通院医療のところになると思うんですが、この精神通院医療の認定者数が二十一年度の十一月末現在十三万三千八百十人、約十三万四千人ということで、かなり、今前段と後段を比べると三倍弱の開きがあるというふうになります。ですので、どのあたりが実際にこういった手当を仮に想定としてスタートさせたときに、取得されるか、手当の希望があるかというのは、推計をするとこの二つの数字のちょうど中間かなとは思うんですけれども、それでも十万人ぐらいにはなってしまう可能性というのはあるのかなという、あくまで印象ですけれども、受けます。
 もともとこの手当そのものについて、全員が全員ではないわけですので、同じ制度に当てはめた場合に対象になる人は、この中で六十五歳以上の方というのは--六十五歳未満の方が対象になりますので、さらに二級以上の方というふうな推計値になりますので、その方が、手帳を今所持されている方でいうと、母数が五万一千であっても、ちょっと事前に確認したんですが、伺って計算してみると、二万七千人ぐらいになるんじゃないかと、六十五歳未満で二級以上。
 仮に、自立支援医療を使っている方が、もともと低所得ということもありますので、そういった方が手当をもらって、少しでも経済的に楽になりたいと、負担を軽くしたいということで申請をそのまました場合に、七万一千人ぐらいの数字になるんじゃないかなということが計算できます。
 そうしますと、一月に一万五千五百円で十二カ月、年間かかるわけですから、それで手帳所持の方だけが申請をした場合で合計すると年間で五十億円。七万一千人という、自立支援医療を対象とした方、七万一千人を母数として今いった月単価を十二カ月掛けると、百三十三億円ぐらいになるんじゃないかというふうに推計されます。
 実際に先ほど申しましたように、現行で心身障害者福祉手当そのものがまだ制度的に残っているという部分に関して、そことの差というのは、各論で見てもまた当事者の視点から見ても公平性について疑問が出てしまうというのは、私もすごく理解ができるところなんですが、いわゆる予算的な総枠の部分を考えてみると、それ相応の議論の時間というのは必要になってくるような金額になってしまうんじゃないかなということが考えられます。
 年々この精神障害者手帳、先ほど三年間の動向を見たわけですが、この交付数は十九年から二十一年にかけてだけでも六千五百九十三人ふえておりまして、一五%ぐらいがふえているというふうになっておりますので、恐らく、近年、手帳交付が非常に急増していると。また、医療費支給の実績なんかの伸びを見ていると、現在の数そのものが、現在の数を基準にすれば、大体希望者がたくさん来ても賄えるというふうに、ちょっと自信を持ってなかなかいえない状態にあるんじゃないかと。
 つまり、今の数字よりももっとふえてしまう可能性も考えると、せいぜい年間で百億円ぐらいの予算はとっておかないとなかなかすぐスタートできないんじゃないかなというのが、内容のよしあしにかかわらずちょっと心配をするという点で、予算については、ある程度一定の議論の時間が必要じゃないかなと私は思っています。
 ただ、もう一つ、同時に、お金の話だけでいいのかといったときに、冒頭の説明にもありましたけれども、ケア体制の充実との兼ね合いがどうなのかというのがあります。もちろん経済的なことが楽になるということはどなたにとっても大変いいことですし、少なければ、精神通院医療を使っているだけじゃなくて、結果的には生活保護になってしまっている方が実際には大変多いわけですね。
 そういったことを考えると、経済的な支援をするというのは決しておかしなことではないと思うんですが、先ほど申しましたように、お金の部分がよくなったときに、全部万々歳かというふうになれば、当然のことながら、さっきいいましたような精神科医療、そしてそれに伴う自立生活をした地域での生活支援というものが非常に重要であります。
 同時に、実際に来年度の予算の中でも若干ではありますけれども、新しいタイプので、またさらに地域生活を支援する体制を整えようという新規の事業なども予定されるやに聞いております。このあたりについて、まだまだトライ・アンド・エラーではありますけれども、精神障害者の地域生活を支える上でやっていきたいという生活支援事業、もしくは医療支援事業がアイデアとしてたくさんあるというのは、私が参加している精神保健の審議会の中でも議論がされているところであります。
 ですので、経済的支援の是非についてというのは、それはあったにこしたことはないわけですが、限られた予算の中で物を考えた場合に、そっちが最優先になるかというと、その優先順位というのは少し議論が必要なものではないかなということは、正直私が思うところであります。
 実際にその一方で、精神障害者の人たちの支援のために日々非常に努力をされているいろいろな事業所があるんですが、私の地元などでもクラブハウスがあるんですけれども、そこなども施設の中で就労訓練をした上で、さらに地域の協力される企業に就労支援として職員が一緒に事業所の方たちと行って、軽作業からだんだん複雑な作業に向かっていく就労フォローをしているという施設があるんです。これなんかも今の自立支援法だと、今まで上手にやっていたのが、施設の中と施設の外の事業が別だということで、一体として自立支援法に移行するとやっていくことが難しいという、法律の非常にすき間に入ってしまって、継続するのがなかなか手続的に大変というのがあったりするんですね。そういった部分でもやらなければいけないことが精神保健の支援事業の内容というのはたくさんあるんですね。
 こういった部分の法律的な課題というのはやっぱり直さなきゃいけませんし、最終的には、今国の方なんかは、現行制度については廃止ということで今新たな制度について議論しているわけなんですけれども、そういった中で課題を解決していって、今いった経済的な問題というのと同時に、いわゆる就労支援を初めとする生活支援事業というのをやっていかなきゃいけないと思います。
 そういったことを考えてみると、さまざまに、国に対しても、東京都から、現場からいわなきゃいけないことというのはたくさんございまして、例えば今話の中でちょっと触れました経済的な支援、例えば本来ならば、ある程度働けなくなった段階で障害者年金でカバーをする、生活保護にいかないように障害者年金でカバーをするというふうなことが一番理想的ではあるんですが、実際には、その人が労働できるかどうかという能力の可否の判断を十分に見きわめたりしないで年金支給を切ってしまうような障害者年金の制度というのになっているんですね。
 厚生年金の中の障害年金ですと、労働ができない程度になったときに、産休でも支給が出るんですが、国民年金制度の中での障害者年金制度を見ると、労働ができない、困窮するぐらいになってもまだ出ないんです、障害者年金は。そういうふうな差があったり、障害者年金制度そのものにも所得保障という点で非常に問題がある。さっきいった自立支援法についてもかなり問題がある。そういったものをより現実に生活を支援していくという意味で、見合ったものにしていかなきゃならないというふうに感じます。
 そこで、四点目の質問として、東京都については、先ほど若干説明の中でも触れてはいましたけれども、国の制度についてどのような改正が必要と考えるか、そこを教えていただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 手当や年金制度などの所得保障は、基本的に国の役割であることから、都はこれまでも、他の自治体と連携し、年金制度の改善など、障害者の所得保障の充実を国に要望してまいりました。
 また、障害者の自立支援に関する法制度については、障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとしていく必要があることから、国に対し、例えば利用者負担については、障害者の負担の実態を踏まえ、必要に応じた軽減措置を検討するとともに、恒久的な措置とするよう法律上明確化すること。障害者を支える人材確保、良質なサービス提供のため、サービス全般にわたり基本的な報酬の改善を行うことなど、さまざまな提案を行ってきており、今後とも国に対し働きかけてまいります。

○斉藤委員 今、現行制度についてるるお話をさせていただきましたけれども、その人一人の生活を見ていれば、当然いろいろなすき間が見えてくるのがわかるような状況なんですが、経済的な課題というのは、やはり国の方がきちんとして、どこに行っても引っ越しをしても、都から出ても出なくても、同じように生活の安定というものが図れる、療養とかリハビリとかに集中ができるという制度をつくっていくというのは非常に重要だと思いますので、うちの方が今度、都からの要望を受けるようなところもあるんですが、細かく、具体的に、明確なやはり国への課題の提案、そしてまた要望というものを継続してやっていただきたいと思います。
 もちろん、だからといっても、同時に精神障害の方に対して、他制度とのバランスという点で、やはり不満や不公平感というのを持たないように、ある意味バランスのとれたサービスの充実というのは、これは当然やっていただきたいと思います。
 もちろん、どの段階になったら金銭的な負担というものを意識しなくて済むかという問題というのは、非常に難しい問題ではあるんですけれども、自主的にいろいろな部分で、つまり一個人や一家族ではできない問題というのは、東京都の方が大きな枠組みの中で制度としてやっていくということは非常に重要な使命ですから、その部分、その視線で見たときに、一個人ではどうにもならない部分をきちんと制度として東京都が構築をして、個人の部分の経済的なものについては国がきちんとやっていくというその理念は守った上で、東京都には頑張ってもらいたいと思いますので、最後に、東京都自身、この精神障害者の施策について、その充実についてどのように今後取り組んでいくつもりか、そこを確認したいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 精神保健福祉施策が入院医療中心から地域生活中心へと転換する中で、都は就労支援の促進や退院促進支援事業の実施、相談支援を行う地域活動支援センターⅠ型の設置促進、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなどのサービス基盤の整備を促進しております。
 また、精神障害者が地域で安定した生活を送るためには、適切な医療を身近な地域で継続して受けられるようにすることが重要であることから、都では昨年六月から、東京都地方精神保健福祉審議会において、精神障害者を地域で支える上で必要な医療提供体制の整備等について検討を進めております。引き続き、審議会の意見等も踏まえ、障害者が地域で安心して暮らせるための施策を推進してまいります。

○大山委員 心身障害者福祉手当を精神障害者にも支給することに関する陳情ということで、この間、身体、知的、それから精神、この障害者の三障害の一元化というのが、この間ずっとそれが障害者福祉の理念だということが強調されてきたわけですけれども、その意味からいえば、福祉手当について精神障害者も対象にするというのは、もうこれは当然だと思っています。市長会なんかでの要望でもあるわけですね。
 身体、知的と比べて施策に格差があるということについては、どう考えているんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 心身障害者手当は、先ほどご答弁申し上げたとおり、介護を必要とする重度の身体障害者、知的障害者に対する必要なサービスの提供が十分でない時期に創設されたという経緯がございます。
 一方、精神障害者については、その障害の特性から、精神科救急医療体制の整備や通院医療費の助成など、まず医療を確保することを重点に支援が展開されてきました。
 その後、順次、地域で暮らし続けるためのサービスの充実が図られてきましたが、障害者自立支援法は、これら三障害についてサービス提供の仕組みを一元化し、サービスの総量を拡大するとともに、障害の種類にかかわらず、必要とするサービスを利用できるようにしたものであり、実際にサービス量は拡大をしてきております。
 精神保健福祉施策については、入院医療中心から地域生活中心へと転換する中で、都は、就労支援の促進や退院促進支援事業の実施、相談支援を行う地域活動支援センターⅠ型の設置促進、グループホームなどの地域居住の場や、通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなどのサービス基盤の整備を促進しているところでございます。

○大山委員 サービス基盤の整備は、これはもう不可欠なわけです。と同時に、経済的支援、この両方を充実させることが求められているわけですよね。
 東京都の障害者の生活実態、これは五年ごとにやっていますけれども、二十年度のを見ますと、収入なしという人たちが、身体障害者手帳所持者では六・八%です。知的障害、愛の手帳所持者では四・五%です。それに対して、精神障害者保健福祉手帳所持者は何と一九・五%が収入なしなんですね。この大きな差があるわけですけれども、収入なしから百万円未満--精神障害者は、福祉手帳を持っていらっしゃる方は、百万円未満の方が六四・三%です。それから、知的障害は四八・四%で、身体は三六・四%ですけれども、大きな差があるわけですよ。
 この差がある一つの要因は、福祉手当が対象外とされていることなんですね。だからこそ、心身障害者福祉手当を精神障害者に広げることは、精神障害者家族会だとか、当事者団体を初め、関係者、もう年来の切実な課題として、毎年毎年、要望も出されていました。
 ですから、サービス基盤の整備も重点的に取り組みながら、同時に福祉手当の適用は最優先に実現するべき課題だと考えています。精神障害者、所得が低いにもかかわらず手当の対象になっていない、これはどう考えているんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 まず、今、大山委員が申し上げられました調査のことでございますが、確かに収入なしの割合は、精神障害者が身体や知的の障害者に比べて高くなっておりますが、ただ、この調査の場合は、生活保護費を除く収入という形で聞いているものでございます。
 それで、収入の主なものというところが生活保護費と答えた割合は、身体障害者が五・六%、知的障害者が一・七%に対して、精神障害者が二三・一%と極めて高くなっておりますので、そういった状況もあるということを申し上げておきます。
 それから、所得が低いにもかかわらず手当の対象になっていないというご質問でございますが、手当や年金制度などの所得保障は基本的に国の役割であり、都はこれまでも、他の自治体と連携し、年金制度の改善など、障害者の所得保障の充実を国に要望してまいりました。
 現在、国においては、障害者制度改革推進会議を設置して、障害者制度に関し検討を始めており、所得保障につきましても検討事項に含まれております。今後とも、年金制度の改善など障害者の所得保障の充実について、引き続き国に要望してまいります。

○大山委員 結局、所得が、収入が少ないから生活保護で生活するという方が多いんだということなんですよね。同時に、所得保障は国の役割なんだということですけれども、しかし、要望しているんだということですよね。ということは、国に要望しているということは、必要性は--所得保障しなきゃいけないとか、非常に収入が低いということを認めているということじゃないんですか。国に要望するとともに、やはり不十分さはきちんと自治体でも補うし、それから、もう三障害一体という考え方からすれば当然のことですから、きちんと出すべきだと、適用するべきだということを述べて、終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二一第九五号は不採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、陳情二一第一〇一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○芦田障害者施策推進部長 整理番号5、陳情二一第一〇一号、障害者自立支援法に関する陳情は、新宿区の障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会会長小林良廣さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、障害者自立支援法を廃止し、障害者、家族、関係者の意見を聞き、新しい法制度を創設するよう、次の事項について、国に対し意見書を提出していただきたいというものでございます。
 内容について、順にご説明いたします。
 まず、一、障害者自立支援法に基づく負担制度を抜本的に見直し、応益負担を早急に廃止するとともに、障害者福祉制度の利用の費用負担をなくすことというものでございます。
 次に、二、障害程度区分については、障害者と家族の要求をもとに、障害者の生活実態に即した判定が出されるよう抜本的に改めることというものでございます。
 次に、三、報酬単価を大幅に増額するとともに、基本報酬を増額し、日割り計算でなく、月額計算とすることというものでございます。
 次に、四、地域生活支援事業にあるものを、障害者の生活実態に合った使いやすい制度にすることというものでございます。
 現在の状況について、まず、一についてでございますが、障害者自立支援法は、サービス提供費用の一割を利用者が負担することを原則としつつ、所得状況に応じた上限額を設け、負担軽減を図っています。利用者負担については、都は、平成十八年十一月及び平成十九年十二月に国に対し緊急要望を行ってきたところであり、平成十九年度からの特別対策及び平成二十年度からの緊急措置により、負担能力に応じた大幅な軽減措置が図られました。
 さらに、都は国に対し、負担の実態を踏まえ、今後とも必要に応じた軽減措置を検討するとともに、恒久的な措置とするよう法律上明確化することを提案要求しています。
 なお、国においては、平成二十二年四月から、低所得、区市町村民税非課税の障害者等につき、福祉サービス及び補装具に係る負担を無料とすることとされています。
 次に、二についてでございますが、障害程度区分は障害者等への介護給付の必要度をあらわす六段階の区分であり、障害者等が適切にサービスを利用できるよう、法令に定める手続に基づき区市町村が認定するものです。
 都は国に対し、今後、新たな仕組みの検討時には、三障害の特性に合った調査項目及び判定基準とし、信頼性の高いシステムを構築するよう提案要求しています。
 次に、三についてでございますが、障害福祉サービス費用、いわゆる報酬の額については、都は法施行前より、繰り返し国に対し改善を要望してきたところであり、平成二十年四月から通所サービスについてプラス四・六%、平成二十一年四月からは、障害福祉サービス全般にわたり、プラス五・一%の改定が実施されています。
 報酬の日額化は、利用者がニーズに応じ、複数のサービスを選択して利用できるよう導入されたものであり、これに伴い減収となる事業者には事業運営安定化事業が適用され、従前比九割の収入が保障されています。
 また、平成二十一年四月の報酬改定から、利用者が急病等により当日の利用をキャンセルした場合において、事業者が利用者やその家族等に連絡や確認を行ったことを報酬上評価する、欠席時対応加算が創設されました。
 都は国に対し、引き続き、人件費、土地取得費、物件費等が高額である大都市の実情を適切に反映させた報酬単価を設定するよう提案要求しています。
 次に、四についてでございますが、地域生活支援事業は、地域の特性や利用者の状況に応じ、柔軟な形態により効率的、効果的に実施できる制度とされています。
 都はこれまで、地域生活支援事業について十分な予算措置を行うよう要求してきたところであり、平成二十一年度国予算は、四百億円から四百四十億円に増額されました。
 都は国に対し、引き続き、地域生活支援事業について、事業の充実に取り組む都道府県や区市町村に超過負担が大きく生じている実態を踏まえて、十分な予算措置を行うよう提案要求しています。
 なお、国においては、障がい者制度改革推進本部を設置し、障害者制度に関し検討を始めたところです。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いします。

○大山委員 障害者自立支援法をめぐっては、ことし一月に大きな前進があったわけですね。障害者自立支援法は、憲法十三条、幸福追求権、十四条、法の下の平等、二十五条、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利に反しているということで、七十一人の方々が訴訟していました。
 一月七日、原告団と国で基本合意をしました。基本合意の内容について、原告や弁護団や勝利をめざす会は、基本合意に当たっての声明文で、一つは、判決を前提としない段階で、国と原告らが真摯かつ積極的に合意形成に努めた協議が生み出したものであること。
 二つ目が、国の制度、法律の変更自体を約束するという基本的な政策形成に努めた協議が生み出したものであること。
 それから、自立支援法の制定経過の問題点と応益負担の導入を反省し、再発防止を約束していること。
 四番目が、今後の障害福祉施策の基本的理念として初めて基本的人権行使の支援があることを明確にしたこと。
 五番目として、合意内容実現のため定期協議による検証の場を設けたこと等、社会保障裁判の歴史や障害者福祉運動において画期をなし歴史的なものである、こう評価しています。いまだかつてないような運動が、やっぱり政治を動かしたんだといえると思います。
 国は、障害者自立支援法は廃止すると宣言したわけですね。しかし、来年度予算を見ると、不十分なんですね。低所得者の無償化さえ十分な財源が確保されていません。三百億円で費用負担ゼロにできるといっていましたけれども、百億円程度しか予算化しようとしていないわけです。
 この時期に、やはり予算はきちんとつけるように、都としても国に要望することが必要ではないでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 国の平成二十二年度予算案におきましては、低所得--具体的には区市町村民税非課税の障害者及び障害児につきまして、障害福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とすることとしておりまして、そのための経費として百七億円が計上されております。
 なお、今回、自立支援医療及び障害児施設医療等に係る利用者負担については、無料化の対象外とされております。
 障害者の自立支援に関する法制度については、障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとしていく必要があることから、都は、利用者負担について、障害者の負担の実態を踏まえ、必要に応じた軽減措置を検討するとともに、恒久的な措置として法律上明確化するよう既に国に提案要求をしているところでございます。

○大山委員 多分、この来年度予算に関する提案要求ですよね。これ、十一月なんですね。それで、来年度の姿というか、この、やめますということを明確にしながら出されている予算に対して、新たな事態を受けて、改めて緊急の措置に対しても要望をしてもらいたいと思います。
 同時に、議会でも、自立支援法の廃止と新たな総合的福祉法制に向けて、この陳情にある内容を意見書として提出することはタイムリーであって、ますます重要だといえると思います。
 基本合意文書では、障害者制度改革推進会議や部会で、障害者自立支援法の問題点を踏まえ、障害者の現在の生活実態やニーズを踏まえ、しっかり検討を行い対応していくこと、こう書かれています。この検討に当事者の意見をいかに反映させるか、制度をよりよいものにしていくためには、そこが大きな力になるわけですね。
 地域の特性など、全国でかなり差もありますし、東京の障害者の現在の生活実態やニーズを障害者団体がいえるように、都としても国に意見を出していくべきだと思いますが、どうでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 障害者制度改革推進会議は、障害者に係る制度の改革を初め、障害者施策の推進に関する事項について意見を求めるため設置されたものでございます。その構成員の過半数が、障害当事者及び家族となっております。
 都は、障害者の自立支援に関する法制度を障害者や障害児の生活実態に即した効果的な仕組みとすることや、報酬単価の設定に当たって、人件費、土地取得費、物件費等が高額である大都市の実情を適切に反映させることについて、既に国への提案要求を行ってきたところでございます。
 また、国に対しては、障害当事者を初め実施主体である地方公共団体と十分に協議を行うよう、関係自治体と連携しつつ、既に働きかけを行っているところでございます。

○大山委員 その当事者を含めた推進会議が設置されたのですから、やはりそこにきちんと東京の当事者の実態や要望が出される、そのようにやれるように、よりよい制度にしていくためには重要なことですので、東京からも、ぜひ東京の団体の意見、出せるようにしてほしいということを要望してほしいと思います。
 原告団は、国との基本合意締結に当たって声明を出しています。障害者自立支援法の応益負担制度導入により、人としての尊厳を傷つけられるとともに、経済的に困窮し、将来へのはかり知れない不安を抱く状況に陥っている全国の障害者のために、同制度の違憲性の確認と応益負担制度の廃止を求め、やむにやまれぬ思いで違憲訴訟に踏み切った、そうその思いを述べています。
 障害者自立支援法の基本的な誤りである応益負担が、生きるために不可欠な支援--食べることだとか、トイレに行くことだとか、歩くことだとか、しゃべること、それに対する支援を益として障害を自己責任にする仕組みとなっていることを、国も認めざるを得なかったということなんですね。
 この間も、応益負担のひどさは国も修正せざるを得なくて、さっきお話出ましたけれども、一カ月の負担上限額を非課税世帯は減額したり、課税世帯も二つの収入区分に分けるなどの改善をしてきましたけれども、成人の場合は、一人だったら本人所得ですけど、ご夫婦だったら、夫が障害者だったら妻の収入も合算されてしまうとか、十八歳未満だったら、家族の収入で負担額が決まってしまうという、まだまだ弱点があります。
 減額されていない一般世帯だと、単身者の場合、それから未成年の場合の世帯収入は、どれぐらいで一般世帯になってしまうんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 低所得者--住民税非課税となる範囲でございますが、まず、単身の障害者につきましては、給与収入で申し上げますと、所得として百二十五万円が限度となっております。また、さらに条件としまして、身体障害者手帳一、二級、または知的障害者の愛の手帳一、二度と仮定した場合、障害基礎年金が約九十九万円、これが非課税。それから、心身障害者福祉手当十八万六千円ということで、これは申告不要ですので、先ほどの所得を収入換算をしました二百四万円と合わせますと、収入合計で、低所得者となる範囲の上限は約三百二十万程度ということでございます。これが単身者の場合です。
 それから、障害児童を持つ世帯の場合ですが、これも世帯構成によって違いますので、例えば夫と妻、子ども二人で、子どものうち一人が身障手帳一級または愛の手帳一度の障害児と仮定した場合の話でございますが、夫の給与収入で見ますと、所得の上限が百六十一万円。これを収入換算しますと、約二百五十五万円になります。そのほか、手当としまして、特別児童扶養手当が年間六十万九千円、児童育成手当十八万六千円、障害児福祉手当が十七万二千五百六十円と、これらはいずれも非課税ですので、全体として低所得となる上限としては、三百五十二万円程度ということと考えております。

○大山委員 単身で大体総収入が三百二十万円、それから、四人家族のモデルだと、重い障害のお子さんをお持ちのケースで計算してもらっても三百五十万程度ということですから、四人家族で生活するには本当に大変な状況だと思うんですけれども、それでも一般世帯ということになっちゃうわけですね。ここから税金も引かれるということですけれども、どういう状況になってしまっていたかということなんです。
 実際に障害を持って自分で印刷現場で働いていた方なんですけれども、例えばのケースです。
 自立支援法がスタートした二〇〇六年四月は、息子が一歳になったばかりでした。当時私は、作業所に通って印刷現場で働き、家族のために少しでもたくさんの給料を稼ぐために、ともに働く仲間と一緒に朝から晩まで一生懸命働いていました。しかし、自立支援法による応益負担で私の働く意味を台なしにされ、家族全体の生活も苦しめられました。実際、私の場合、二〇〇六年度の応益負担の額は、一年で五十万円近く払うことになりました。これは、自分個人の扱いならば非課税であっても、家族全体で世帯扱いとされ、一律に課税世帯とされ、月額三万七千二百円を毎月無理やり負担されたからですと。
 こんな状況になって--これで改善されて、障害者本人は、本人だけの収入になったわけですけれども、この方、この人が本人で、作業所でこうやってやっているわけですね。都民がこんな状況だったことを、やはりきちんと把握しておいてもらいたいと思うんです。
 次に、報酬単価と日額のことなんですけれども、報酬単価を抜本的に引き上げるということは、これはもう基本中の基本だと思っています。と同時に、基本合意文書は、報酬支払い方式も検討の課題としています。報酬の低さと日払い方式が多くの問題を持っているんだということなんですね。
 日払い方式、これが主には通所施設ですけれども、事業者に深刻な影響を与えています。移行すると日払いになってしまう共同作業所などの移行率は、今も三三%程度ですね。行けないわけです、日払いには。
 大阪府では、二〇〇八年の八月に、舛添前厚生大臣に、障害者自立支援制度の円滑な運営に関する要望書を出しています。これには、日払い方式から月払い方式へ戻すよう求めているんですね。その理由として、施設やグループホーム等の収入の大幅な減収。月払い方式に戻す要望趣旨として、一つは、各施設において諸経費の節約、開所日の増、それから、職員給与及び賞与の減額などの人件費の削減、定員超過制度の活用、職員の新規採用の中止、引当金、積立金の取り崩しの実施、職員体制の見直し、非常勤か契約職員に移行するなど、さまざまな経営努力をせざるを得ない状況であり、これらの結果として、障害者に対するサービスの低下につながりかねないというのが一つ目の理由。
 そして、もう一つの理由は、本来、利用者に適切なサービスを提供するためには、質の高い人材の確保や適切な施設の維持管理が必要である。これらに要する費用については、利用者の利用状況にかかわらず恒常的に必要なものであり、日払い方式にはなじまないものだと、こう指摘しているんですね。私もそのとおりだと思います。
 東京で日払い方式になって、各事業所がどういう状況になっているのか、具体的に把握することが必要だと思いますけれども、どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 障害者自立支援法では、利用者がサービスを選択し、多様なサービスを組み合わせて利用することができるよう、報酬を日払い方式や日中と夜間に分けたサービス体系としております。
 都におきましては、平成十八年十一月、障害者自立支援法の全面施行の前後における施設及び施設利用者の実態について調査を実施いたしましたが、その調査結果によりますと、通所施設では、報酬算定が月額算定から日額算定に変更されたことに伴い、平均で約一五%の減少になっているというような結果がございました。
 その結果に基づきまして、国に対して、報酬算定の日額化に伴う激変緩和措置の強化等に関する緊急要望を行ったところでございます。
 その結果、国は、平成十九年度から、特別対策に基づく基金事業として、従前報酬額の九割を保障する事業運営安定化事業を創設したところでございます。
 都は現在、給付費の支給状況やサービス量の把握、事業者等との意見交換の機会などを通じて、引き続き事業者の状況の把握に努めております。

○大山委員 調査はしたけれども、三年前のことなんですね。さっき、障害者本人が組み合わせてサービスを使えるように日払いになっているんだといっていますけど、別に月額払いだって、障害者本人がいろんなサービスを使うことはできるわけですから、日払いでなきゃ使えないということはないわけですね。と同時に、一五%の減収だったということですけれども、それで要望したら、九割までは補てんしますよということですよね。
 しかし、九割までに下がるわけですよね、結局。ですから、さっきいったみたいに、減収になっちゃって、不安定になるわけですから、きょうは三人お休みだから、あなた、うちで待機していてくださいなんてことはいえないわけですから、経常的な経費がきちんとかかる。それから、定員で、登録している人がちゃんと受け入れられるように体制を整えておくこと、これは日払いには全くなじまないというのは、そのとおりだといわれるわけですね--いや、あるわけですよ。
 だから、さっきみたいに、非常勤にしたり、契約職員にしちゃったりということをせざるを得ないということになるわけです。これはもう、職員が不安定、それから、中では提供するサービスも低下せざるを得ないということは、大阪での調査でも明確だということですね。
 きちんと東京都もリアルに、数だけじゃなくて、どうなっているのかということを把握する必要があると思うんですね。福祉は人なんだといわれているわけですから、経常的に係る費用を日割りでなどということは、もうやめるべきだと思っています。
 福祉保健局は、自立支援法に合わせてサービス推進費の制度を変えようとしていますけれども、どのように変えようとしているんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 民間社会福祉サービス推進費の再構築でございますが、今回の再構築は、支援費制度を前提としている現行のサービス推進費を、障害者施策の現状に合わせた補助制度とすることが目的でございます。
 そのため、これまで、サービス推進費の考え方を基本としつつ、施設が重度の障害者など専門的支援が真に必要な障害者を受け入れ、一方、中軽度者については、地域生活への移行を促進することや一般就労等を進めるなどの施策目標に合致するような制度へ再構築するものでございます。
 また、現行の法制度に合わせまして、これまで対象とならなかった精神障害者等の施設についても新たに対象としていくようなものでございます。
 補助制度の再構築に当たりましては、現在の補助額と比べまして増減することがある場合には、サービスの質の低下を招いたり、事業運営の混乱を生じさせないよう、施設の努力の成果があらわれてくるまでの間、経過措置として激変緩和を実施するなど、円滑な実施のための配慮も行ってまいります。
 これらの措置を含め、施設の経営者の代表と十分意見交換を行い、その内容について、昨年十二月に合意をしたものでございます。

○大山委員 結局、自立支援法に合わせてやるんだということですよね。
 増減することで混乱が起きないように経過措置を設けるということは、それだけ激変するということじゃないんですか。
 しかも、自立支援法に合わせるということは--問題があるからこそ自立支援法の報酬支払い方式が国でも検討する対象になっているときに、わざわざその問題がある自立支援法に合わせてサービス推進費という運営費補助を変えるというのは、ちょっと信じがたいことだと。
 改定するんだったら、障害者制度改革推進会議などの議論をするわけですから、その議論を踏まえてやるのが当然なんじゃないでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 現行のサービス推進費は、支援費制度を前提とした制度設計となっているため、現行の法制度に合わせて三障害共通の制度とすることや、新しいサービス体系に沿ったものとするなどの見直しが必要となっております。
 さらに、平成二十一年四月には国の報酬基準が改定されたことから、これらとの整合性を早急に図ることが必要になっております。このため、各施設経営者に具体的な案を示しながら、十分協議を重ね、昨年末に合意を得たところでございます。

○大山委員 昨年末に合意を得ているわけですけれども、廃止が決まったのは一月なんですよね。だから、その現行の法制度に合わせた見直しをしようというわけですけれども、その現行の法制度は廃止することが決まっているわけですから、今の推進会議だとかの議論を踏まえて再検討することは当然だと思います。
 次に、地域生活支援事業についてなんですけれども、地域生活支援事業というのは、相談だとか、手話通訳だとか、ガイドヘルパーなどの、移動支援だとかが、区市町村によって実施されている区市町村地域生活支援事業というのがあるわけですね。
 この区市町村地域支援事業が、区市町村によって同じ事業でも差があって、十月、昨年の事務事業のときに調べていただいた資料を見ると、例えば手話通訳派遣事業と要約筆記者の実施状況なんですけど、事業実施自治体は、手話通訳を実施していない自治体が九自治体ある。要約筆記者派遣は、実施していない自治体が十九自治体もあるんですね。中途失聴者は、手話も使えない人、多いですし、高齢者も多いですから、要約筆記者というのは重要なわけですね。
 実施もしていないところが十七自治体。また、上限回数が設定されている自治体、手話通訳は五自治体、要約筆記者は四自治体。例えば私の地元の新宿の場合は、手話通訳は月に六十時間が上限なんですよ。一日にすると二時間程度ですよね。これは新宿じゃないんですけれども、ほかの自治体で、ガイドヘルパーも月に二十時間だとか、小学校三年生は十時間だとか、視覚障害者は五十時間だとかという制限がある自治体もあるんですね。
 各自治体で利用時間の制限などをしなくても済むように、東京都が、ここまではみんなできるようにしようということで、財政的に支援を行うことが求められていますが、どうですか。

○芦田障害者施策推進部長 区市町村地域生活支援事業は、地域の特性や利用者の状況に応じ、実施主体である区市町村が創意工夫を凝らして実施することが可能な仕組みとなっております。
 その結果として、利用の目的等に応じて利用可能なサービス量の基準を設けるなど、提供するサービスの内容が異なる自治体もありますが、都としては、区市町村の考え方を尊重しているところでございます。
 都は、関係法令等の定めに従い、区市町村への補助を実施するとともに、自治体において多額の超過負担を生じている実態を踏まえ、必要なサービスを円滑に実施できるよう、地域生活支援事業について十分な予算措置を行うべき旨を国に対して提案要求しており、今後とも引き続き提案要求をしてまいります。

○大山委員 本当にガイドヘルパーとか、非常に人気が高いわけですよね。必要だし、やらないとまずいわけですね。東京都も十分な予算措置を要望してきたんだということですから、必要だということを思っているわけですよね。
 結局、上限があるために、例えばどういうことが起こっているかというと、十二月に全国の障害者の集会があって、これは東京で行われたんだけれども、そのためにガイドヘルパー、一カ月に使える量が上限があるために、その人は、十月、十一月、十二月、三カ月分のガイドヘルパーを十二月のその集会のために使ったんですって。結局、その人は、その三カ月のうち、あとはガイドヘルパーは使えないわけですよね。自由に外も歩けない。上限が定められちゃうということは、そんな状況だということなんですよ。都も必要だというふうに考えているんだったら、独自に都としても支援に踏み出してほしいと思います。
 それからもう一つ、手話通訳と要約筆記者についてなんですけれども、現在は、区市町村の地域生活支援事業となっています。しかし、これも矛盾が大きくて、もちろん病院に行くとか、自分でこっちに行って手続をするとか、仕事をするとかというときは地元の区市で対応する、これはこれでいいんです。これは充実していってもらえばいいんですけれども、この派遣は、申請した人への派遣なんですね。
 例えば全都規模だとか、全都規模でなくても区市町村をまたぐような、学習会だとか講演会だとか集会というのはあるわけですよね。そのときには、東京都の地域生活支援事業として実施すれば、主催者が必要な手話通訳者だとか要約筆記者の派遣を求めることができるわけですよね。今の制度だと、百人が必要だといえば百人が連れていかなきゃいけないという状況ですから、東京都の地域生活支援事業に加えて東京都が実施していくということの方が合理的なんじゃないでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 手話通訳者や要約筆記者を派遣する事業は、コミュニケーション支援事業として、障害者自立支援法に基づき、区市町村地域生活支援事業の必須事業として位置づけられており、区市町村が地域の実態に応じて実施していくべきものと考えております。
 したがって、広域的に行われる集会等についても、それぞれの参加者の居住する各区市町村が手話通訳者や要約筆記者の派遣を行っているところでございます。
 なお、要約筆記につきましては、個別のノートテーク方式ではなくて、全体投影方式でグループ利用をするような場合には、参加者の住んでおられる各区市町村に費用を案分して請求できるということとしております。

○大山委員 区市町村に実施するなといっているわけじゃないんですよ。区市町村の手話通訳派遣事業、要約筆記者派遣事業はもっと充実してくださいよといっているわけですよ。
 しかし、区市町村での派遣のほかに、東京都の地域生活支援事業というのは結構あるわけですよね、東京都がやっていることが。例えば、盲ろう者通訳派遣事業だとか、あと、音声機能障害者発声訓練者養成事業、盲ろう者支援センター事業、高次脳機能障害者支援事業だとか、いっぱいやっているわけですよね。ですから、案分すればいいというんですけれども、集会なんかだったら、十五分ごとに手話通訳者は交代して三人ぐらいいればいいわけですから、一人が一人ずつ連れていかないで、ずっと合理的だと思うんですよね。
 ですから、この東京都地域生活支援事業の中に、手話通訳者派遣事業と要約筆記者派遣事業というのを加えてもらいたいということなんです。ですから、それらの検討も含めて東京都として実施できるようにしてくださいという要望をして、終わりにします。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第一〇一号は継続審査といたします。

○門脇委員長 次に、陳情二一第一〇五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○吉岡少子社会対策部長 お手元の請願・陳情審査説明表に従いまして、ご説明させていただきます。
 整理番号6、陳情二一第一〇五号、母子生活支援施設の指導・監督に関する陳情は、世田谷区の後藤雄一さん外一人の方から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、民間母子生活支援施設かわだが行った利用者への私物返還は、利用者本人の私物ではなく不潔なものまでもが含まれている。生活支援施設従事者として極めて不適切な行為について、都において世田谷区と連携して原因を究明し、指導監督を行い、利用者に対する嫌がらせの再発防止を徹底させていただきたいという内容でございます。
 現在の状況でございますが、都は母子生活支援施設に対して日常的に運営指導を行うとともに、定期的に指導検査も行っており、運営に問題等があれば改善指導を行うなど、適切に対応しております。
 母子生活支援施設の入居者は、退所時に私物を撤去し原状復帰することが通例でございますが、本件の場合には、入居者が退所時に私物を撤去しなかったため、施設の側が当該私物を本人に送付したことに関するものでございます。
 都が施設に対して事実確認をしましたところ、施設は送付に当たり、私物以外のものを意図的に混入することはないというふうに答えております。元入居者、施設の意見は相反しており、双方の意見を明確に証するものがないことから、私物以外のものが混入するような不適切な行為があったか否かという事実を確認すること自体が困難でございます。
 また、世田谷区は、施設に対して私物の送付について助言を行うほか、本件に係る元入居者からの相談についても適切に対応しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言があればお願いします。

○大山委員 これについては、今、説明にもありましたけれども、元入居者と施設の意見が食い違っているということで、この議会で何が事実なのかというのを確かめるすべもありませんし、判断できるわけでもありませんので、今やっている、世田谷で施設に対しての助言だとか、相談だとか、それから元入居者からの相談だとか、世田谷区が中心にやっぱりきちんとやってもらえばいいことだと思いますので、不採択とします。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第一〇五号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承をお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る