厚生委員会速記録第十四号

平成二十一年十一月三十日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十三名
委員長門脇ふみよし君
副委員長野上 純子君
副委員長吉田康一郎君
理事早坂 義弘君
理事斉藤あつし君
理事三原まさつぐ君
栗林のり子君
柳ヶ瀬裕文君
新井ともはる君
佐藤 由美君
橘  正剛君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長庄司 貞夫君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
参事枦山日出男君
参事角田由理子君
参事大久保さつき君
参事中川原米俊君
参事飯塚美紀子君
参事雑賀  真君
参事熊谷 直樹君
参事別宮 浩志君
参事中谷 肇一君
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長牛島 和美君
経営戦略・再編整備担当部長斎藤 真人君
参事梅田 弘美君

本日の会議に付した事件
 請願の取り下げについて
 病院経営本部関係
請願陳情の審査
(1)二一第一五号 都立八王子小児病院は廃止せず存続を求めることに関する請願
(2)二一第五五号 都立清瀬小児病院の廃止計画の中止に関する陳情
(3)二一第五七号 都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を存続させることに関する陳情
 福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例
・東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例
・東京都地域医療再生基金条例
・東京都地域自殺対策緊急強化基金条例
・東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例
・東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例
・東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
・東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
・東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修電気設備工事請負契約
・東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修空調設備工事請負契約
・東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修給水衛生設備工事請負契約
・備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
請願陳情の審査
(1)二一第三七号 医療療養病床を持つ医療機関への運営補助を求めることに関する請願
(2)二一第四一号 七十五歳以上の医療費無料を求めることに関する請願
(3)二一第一六号 都の施設に付属する駐車場の運営管理に関する陳情
(4)二一第二九号 優先席「譲り合い統一マーク」制定に関する陳情
(5)二一第三〇号 譲り合いマークの制定と優先席の活用に関する陳情
(6)二一第三七号 優先席「譲り合い統一マーク」制定に関する陳情
(7)二一第五八号 介護療養病床廃止中止等を求める意見書採択等を求めることに関する陳情

○門脇委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 まず、当委員会の傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でございますが、傍聴希望者が定員以上でありますので、さらに二十名の追加をしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○門脇委員長 初めに、請願の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の二一第三〇号、「原子爆弾被爆者健康指導事業」委託事業費に関する請願につきましては、議長から取り下げを許可した旨、通知がありましたので、ご了承をお願いいたします。

○門脇委員長 次に、会期中の当委員会の日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承をお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の請願陳情の審査を行いたいと思います。
 なお、本日は、提出予定案件につきましては、説明を聴取した後、資料要求をするにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承をお願いいたします。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、中井病院経営本部長より紹介があります。

○中井病院経営本部長 十一月十六日付で当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 調整担当参事の梅田弘美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○門脇委員長 幹部職員の紹介は終わりました。

○門脇委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 請願二一第一五号、陳情二一第五五号及び陳情二一第五七号は関連がありますので、一括して議題といたします。
 それでは、理事者の説明を求めます。

○黒田経営企画部長 それでは、資料1、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表によりまして説明をさせていただきます。
 表紙から二枚おめくりいただき、一ページをお開きいただきたいと思います。
 整理番号1、請願二一第一五号につきましてご説明申し上げます。
 この請願は、八王子市の都立八王子小児病院を守る会代表矢代美智子さん外一万五千七百五十九人から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都立八王子小児病院の廃止を実施せず、存続させていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立八王子小児病院は、小児領域におけます医療の多様化などのさまざまな医療需要に加えまして、全国的な小児科医師の不足や、施設の老朽化などによりまして、現施設において今後とも良質な医療を提供することは困難な状況となっております。
 こうした小児医療を取り巻く環境が一層厳しくなっている中にありましても、限られた医療資源を最大限に有効活用しまして、都における良質な小児医療サービスの確保を図るために、小児三病院を移転統合しまして、小児総合医療センターを整備するものでございます。病院本体工事は本年九月に竣工しまして、平成二十二年三月の開設に向けて、現在も着実に準備を進めているところでございます。
 八王子小児病院転出後の地域の小児医療体制の確保につきましては、地域の中核病院であります東海大学八王子病院及び東京医科大学八王子医療センターにおきまして、小児病床十二床を新たに確保できる見込みとなっているなど、八王子市や医療関係機関等と連携しながら、地域の住民の皆さんが安心して医療を受けられる体制整備に取り組んでおります。
 小児総合医療センターでは、隣接します多摩総合医療センターと一体となりまして、新たに総合周産期母子医療センターを運営することといたしておりまして、NICUを現在より九床増床の二十四床、GCUを六床増床の四十八床へと拡充整備するとともに、M-FICUを九床新設することによりまして、今までできなかった母体搬送の受け入れが可能となります。また、新生児にも対応できる小児ドクターカーを一台追加配備しまして、中核病院等との連携強化を図るなど、多摩における周産期医療の拡充を図っていくものでございます。
 二ページをお開きいただきたいと思います。
 整理番号2、陳情二一第五五号につきましてご説明を申し上げます。
 この陳情は、清瀬市の都立清瀬小児病院を守る会代表小野幸子さん外一万五千百六十七人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨についてでございますが、都において、都立清瀬小児病院の廃止計画を中止していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立清瀬小児病院は、小児領域におけます医療の多様化などのさまざまな医療需要に加えまして、全国的な小児科医師の不足や施設の老朽化などによりまして、現施設において今後とも良質な医療を提供することは困難な状況となっております。
 こうしたことから、八王子小児病院と同様の考えに基づきまして、小児病院を移転統合し、小児総合医療センターを整備することとし、準備を進めているところでございます。
 清瀬小児病院転出後の地域の小児医療体制の確保につきましては、本年六月から多摩北部医療センター小児科の病床数を十三床から三十五床に整備拡充するなど、地元自治体や医療関係機関と連携しながら、地域の住民の皆さんが安心して医療を受けられる体制整備に取り組んでおります。
 新たに整備しております小児総合医療センターでは、先ほどの機能に加えまして、日本で初めての小児専門のERの開設、小児ICUの増設等によりまして、高度で専門的な小児三次救急にも対応していくなど、多摩地域における小児救急医療体制の一層の拡充を図っていくものでございます。
 三ページをお開きいただきたいと思います。
 整理番号3、陳情二一第五七号につきましてご説明を申し上げます。
 この陳情は、新宿区の東京の保健衛生医療の充実を求める連絡会代表四谷信子さん外三万二千百四人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨についてでございますが、都において、都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を存続させていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院は、小児領域における医療の多様化などのさまざまな医療需要に加えて、全国的な小児科医師の不足や施設の老朽化などによりまして、現施設において今後とも良質な医療を提供することは困難な状況となっております。
 こうしたことから、さきに述べましたとおり、小児病院を移転統合しまして、小児総合医療センターを整備することとし、準備を進めているところでございます。小児総合医療センターで可能となります医療機能につきましては、先ほどご説明申し上げたとおりでございますが、小児精神医療につきましても、これまで梅ケ丘病院が担ってまいりました医療機能を引き継ぐとともに、心の疾患とそれに伴う体の症状、心の疾患を持つ子どもの体の合併症や、慢性的な体の疾患を持つ子どもの心理的問題への対応など、心と体を密接に関連づけた総合的な医療を提供していくこととしております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 理事者の説明は終わりました。
 それでは本件について、随時発言をお願いいたします。

○斉藤委員 それでは、請願二一第一五号、陳情五五号、五七号に関して、我が党の立場を明らかにしながら質問をさせていただきます。
 東京都は、本年の第一回都議会定例会に、小児三病院の廃止統合などを主眼とした東京都立病院条例の一部を改正する条例を提案いたしました。都議会民主党としては、小児三病院がこれまで担ってきた地域における医療の重大性をかんがみると、東京都の整備案については不十分であることをこの間の議論を通じて主張してまいりました。このため、我が党は、移転後の地域医療が確保できるまで、小児三病院が存続するよう、このとき条例の修正案を提出したものであります。
 この修正案は否決されたものの、以来、我が党は本件について、任期をまたいで、会派内に医療再生PTを設置して、移転後の地域医療、特に清瀬市、八王子市、世田谷区における地域医療への影響について、現場の視察を精力的に積み重ね、学識経験者や医療関係者から数次にわたるヒアリング等を行い、検討を積み上げてまいりました。これにつきましては、東京都立の関係病院にとどまらず、地域の医療機関もしくは医師を含めた医療の専門スタッフ、そしてまた、周辺の医療機関の事務方にもヒアリングを積み重ねてまいりました。
 その結果、医療人材が府中へそのまま移管されるということ、このような人材的な課題というのは理解はできました。そしてまた、建物が、清瀬、八王子など、四十年以上たっている、老朽化をしている建物であるということ、このあたりは理解はできました。
 しかしながら、その一方で、これまでの東京都の計画では、小児三病院があるこの三つの地域の安心を十分に確保するには届かないのではないか、確保できないのではないかというふうな結論に至りました。このため、ことし十一月十三日に我が党として、多摩地域における小児医療に対する緊急要請を東京都知事あてに行いました。本日は、請願陳情の審査に当たって、我が党の要請内容及び東京都の回答について確認をするような形で質問をさせていただきます。
 清瀬小児病院が移転する北多摩北部地域については、比較的近距離にあるといえる多摩北部医療センターにおいて、地元医師会の協力も得て救急に対応しており、医師については病棟の当直一系列に加えて、救急対応の一系列の診療体制と今なっているということです。また入院についても、同多摩北部医療センターの小児科の病床、それまで十三床だったものを三十五床に増床して、最大四十床まで対応できる体制を整備してきたというふうになっております。
 しかし、地域の住民が今後とも安心して医療を受け入れる体制、これを考えた場合に、特に病床の有無以上に、救急の受け入れの能力として考えた場合に、現在の清瀬小児病院の救急診療、そしてまた入院病棟などの規模を考慮すれば、これでは十分ではないというふうに判断いたしました。
 そこで、救急については複数の救急受け入れ体制の構築を、また、病床については、需要数を見きわめた上で、増床を含め準備するように緊急要請をいたしました。
 そこで伺うんですが、多摩北部医療センターの小児医療体制について、救急受け入れ体制のさらなる充実、患者数の動向を踏まえた小児病床の今後の増床見込みの考え方について伺います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターの小児医療体制の充実についてでございますが、これまで、今後の地域の小児医療のあり方につきまして、清瀬市など地元自治体や医師会など、関係機関と協議、調整を重ねながら、救急、入院機能の確保策として、多摩北部医療センター小児科の体制強化を進めてまいりました。
 具体的には、病床数を最大四十床まで対応できるよう、ハード面の整備を行うとともに、ソフト面でも、常勤医師の増員や清瀬小児病院から三名の医師をチームで派遣するなど、救急、入院機能の強化を既に実施しているところでございます。
 しかしながら、今回、都議会民主党から緊急要請を受け、その内容を十分に精査、検討いたしました結果、多摩北部医療センターにおいて、医師、看護師等の増員を行い、現行の救急医療体制を超える需要への備えを強化することといたしました。
 具体的には、清瀬小児病院移転時には、小児救急を二系列で行える体制を整えてまいります。また、今後の入院患者の需要を見きわめ、その動向に応じた病床運用ができるよう、人員の確保や院内体制の整備を図ってまいります。

○斉藤委員 清瀬、そしてまた多摩北部医療センターに関して了解いたしました。そして、医師、看護師の確保が困難なことというのは、これは別に清瀬、東村山、この地域に限らず、都内どの地域においても重々承知をしておりますが、しかしながら、円滑な移転に向けて、その確保に全力を挙げること、これをお願いしておきます。
 また、小児科においては、冬場はもとより入院患者が増加すると聞いております。定期的にこの需要数、患者の数に基づいた医療の需要数の見きわめをしっかり行って、適切な対応をとっていただきたいと思います。
 さて、一方、八王子地域においては、一次医療は跡地を利用して、医師会や重症心身障害児施設が対応するというふうになっておりますが、二次医療については、東京医大と東海大学のそれぞれの医療センターが、おのおの六床、合計十二床、新たに確保して対応するというふうに聞いております。
 しかしながら、全国的には大学など、大病院も大変経営が厳しく、採算性も低い小児医療を二つの大学病院のみに依存をして十分な体制整備が図られるか、その辺が大変不安であります。地域住民のこういった不安については、なかなかこれだけでは払拭し切れないんじゃないかというふうに考えています。
 また、一方で、地元自治体についても、さらなる対応に向けて努力をし、また、検討も重ねているというふうに聞いています。このため、我が党としては、大学病院に加えて、小児の救急、入院機能を有する新たな病院を早急に整備することを要求したものであります。
 そこで確認しますが、我が党の要請にあるとおり、八王子地域における小児の救急、入院機能を有する新たな病院の整備がぜひとも必要と考えますが、これについて東京都の考えを伺います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 八王子地域における小児医療の充実につきましては、これまで新たな小児医療体制の構築に向けて、地元八王子市と協議、調整を進めてまいりました中で、外来医療は市内の診療所がかかりつけ医として担い、入院医療につきましては、市内の中核病院であります東京医科大学八王子医療センターと東海大学八王子病院が、また、高度専門医療につきましては、小児総合医療センターがそれぞれの役割分担のもとで、相互に連携していくことといたしました。
 これまで、救急、入院機能の確保策として、両大学病院に病床数をさらに確保することといたしまして、現在、両病院合わせて十二床の小児病床を新たに確保できる見込みとなっております。
 これに加えまして、地域住民の安心を一層確保するための方策といたしまして、市内の医療機関において、外来、救急、入院機能を有する小児科の新たな開設を来年度早期に実現できるよう、都として最大限努力をいたしてまいります。

○斉藤委員 新たな整備については、物理的整備にも、また、人的確保についても即応が困難な中で、そういった社会情勢があるわけなんです。そういった中で、来年度早期にと時期を明確にしたことは一定の評価をしたいと思います。
 しかしながら、移転は来年三月でありますから、できる限り、この早期移転ができれば、来春に整備されるよう要望しておきます。
 以上二つの、北多摩北部、八王子地域について、地域医療のさらなる確保について要請したわけでありますが、この内容を確認してまいりました。いずれにしても、北多摩北部、八王子の二つの地域の医療体制の充実について、東京都として一定の具体策が示されたと認識をしております。
 しかしながら、多摩北部医療センターにせよ、八王子地域の新たな小児医療の病院にせよ、都立病院ではないことから、将来にわたって小児医療が確保されるよう、東京都が責任を持って支援していく仕組みや仕掛けがどうしても必要ではないかというふうに私どもは考えております。
 そこで伺うんですが、二つの医療機関を、小児総合医療センターの、必ずしもサテライトというふうなことは言明いたしませんが、確たる協力関係の病院として位置づけ、東京都から医師の派遣を行うなど、将来にわたり東京都の責任において体制が確保できる、かつそのことが都民に周知されるような制度設計、これを行うべきではないかと考えますが、これについてはいかがでございましょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩地域全体の小児医療水準を向上させますためには、医療機関の連携が非常に重要でございます。そのため、小児総合医療センターと中核的医療機関との連携づくりなど、限られた医療資源を最大限有効活用するための仕組みを構築していくことが必要だと考えます。このため、北多摩北部地域、八王子地域において、引き続き小児医療を担う中核的医療機関に対しましては、小児総合医療センターとの間で人材の確保、人材育成、医療連携の取り組みなど、多様な連携策を構築し、将来にわたって協力支援関係を形成してまいります。
 とりわけ多摩北部医療センターにつきましては、随時の人材交流などを行う小児総合医療センター特別連携病院と位置づけ、その名称を都民にわかりやすく周知してまいります。

○斉藤委員 今の答弁で、北多摩北部、そして八王子地域について、将来にわたって東京都が責任を持って小児医療の確保をする支援策を確約したと確認をいたします。
 我が党においては、移転後の地域医療が確保できない場合には、改めて条例改正を提案する方向で検討してまいりましたが、しかし、この間の緊急要請の東京都の回答を精査した結果、条例を提案せず、今後はこれまで申し述べた東京都の地域医療の確保状況をつぶさに検証していくことで、民主党としての責任を果たしていく考えであります。
 また、これは今後の話としての要望でありますが、多摩地域においては、小児医療のみならず、緊急医療の充足状況については懸念を持っております。地域的にもバランスがとれた医療の拡充を求めていくことを申し添えておきます。東京都においても、医療の充実に今後ともより一層取り組んでいただきたいと思います。
 以上については意見といたしまして要請をさせていただき、私の発言は終わります。

○早坂委員 都立八王子小児、清瀬小児、梅ケ丘の小児三病院の存続問題については、これまでも再三議論をしてまいりました。我が党の基本的な姿勢は、医療の高度化、専門化を図るためには、限られた医療資源を効果的に活用していく必要があり、一次、二次、三次の医療の役割分担を明確にした上で、連携やネットワークの強化を推進していくことが重要であるとするものであります。この考えは一貫して変わらず、本日はこの点については繰り返しをいたしません。今後の円滑な移転に向け、万全の準備を進めていただいていると思いますが、現時点で、新型インフルエンザ対応との関連で、一点だけ確認をお願いいたします。
 多摩北部医療センターにおいては、先般の小児科病棟整備により、新型インフルエンザなどの感染症にも、設備面では十分対応可能になったと承知をしております。
 しかしながら、新型インフルエンザの最近の動向については、先週の福祉保健局の発表では、一医療機関当たりの患者報告数は、三週連続して前の週を下回ったものの、依然として警報レベルにあり、また、流行の中心が低年齢化しています。さきの公営企業会計決算特別委員会の全局質疑でも我が党として要望したところでありますが、今後の予測しがたい状況に十分備えるためにも、救急医療など、小児医療体制のさらなる充実に向け、医療人材確保などに努めるべきであります。多摩北部医療センターにおいて、今後どのような対応をお考えか、伺います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 この間の多摩北部医療センターの小児救急の来院状況を見ますと、土曜日の準夜帯及び日曜、休日の昼間と準夜帯、この時間帯の患者数が、他の曜日に比べまして顕著に多くなっているという状況にございます。そのため、清瀬小児、多摩北部、両病院と保健医療公社を交えた調整を行いまして、十二月から、土曜の準夜、日曜、休日の日勤、準夜帯に清瀬小児病院から医師を派遣し、新たな当直体制をとることといたしました。これは最近の患者動向を踏まえて、当直体制の強化を行って、インフルエンザ対応に万全を期するためのものでございます。
 お話のとおり、インフルエンザの患者報告数は、三週間連続して下落傾向にはございますけれども、その下落幅はわずかでございます。今後とも患者数の推移に着目しながら、必要な医療体制の確保に努めてまいります。

○早坂委員 今、答弁にありましたように、患者数の推移に応じて、医師の派遣など、弾力的に行うことこそ大切であります。小児病院の移転統合はいうまでもなく大事業でありますが、周産期医療、救急医療を初め、多摩の小児医療の水準向上のためには避けて通れない道であります。その過程で、地域の医療水準を低下させてはならないことは自明のことであり、東京都は、当然に、いわゆる後医療にも責任を負っています。これをきちんとチェックしていくことが議会の役目であることを改めて申し上げておきます。

○門脇委員長 なお、大山委員においては、パネルを一枚使用したいということであります。ご承知のとおり、本来は理事会の協議事項でございますけれども、一枚ということでございますので、委員長としてこれを許可したいと思いますので、ご了解ください。

○大山委員 私も質疑します。
 都民の中に都立三小児病院を存続させてほしいという切実な声はますます広がっています。はがきもたくさん来ていますけれども、八王子や世田谷や、それから清瀬周辺だけでなくて、地域も広がっています。
 例えば、昭和四十年代、清瀬に在住して、長女出産後一週間目から小児病院に通院し、助かったことが忘れられません。身近にある病院をなくしてほしくありません。これは新宿の方です。
 それから、娘さんがダウン症なんですね。娘はことし十九歳、二十歳を迎えられるのは八王子に小児病院があったから。心臓と肺が悪かったお子さんです。こんなにびっしりと書いてあります。
 これは、梅ケ丘病院に通っている患者さんですね。多分、本人ですけれども、小さな字で丁寧に書いてあります。病院がなくなると僕も困りますので、頑張ってください。
 この子たちを裏切るわけにはいかないんです。それぞれの地域で署名活動をしていても、一時間で二百人以上が署名してくれるなど、廃止条例が成立してもなお、存続を求める声が小さくなるどころか、ますます広がっている、これが今の状況です。
 まず、清瀬小児病院について伺います。
 清瀬小児病院を廃止した後は、この周辺地域の救急高度医療は基本的に、多摩北部医療センターの小児科を拡充することで補うということですけれども、それで一体、代替ができるのか、これが鋭く問われていることです。
 清瀬小児病院と多摩北部医療センター小児科の外来患者数、入院患者数、夜間・休日救急の患者数は、昨年度の実績でそれぞれ何人になっているでしょう。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 昨年度、平成二十年度の実績でございますが、清瀬小児病院の外来患者は一日当たり二百六十八人、入院患者は一日当たり百八十人、休日と夜間のいわゆる時間外の救急患者は延べ一万二千九十二人となっております。
 また、多摩北部医療センター小児科では、外来患者は一日当たり二十三人、入院患者は一日当たり四人、同じく時間外の救急患者数は延べ四千二百五人となっております。
 なお、清瀬小児病院の実績には高度専門医療が含まれておりまして、それを除いた一般小児医療の実績で申し上げますと、外来患者は一日当たり七十二・二人、入院患者は一日当たり三十六・二人という実績でございます。

○大山委員 一生懸命、数を小さくして見せようと努力されているようですけれども、これ、事業概要できちんと書いて--数ですから、なかなかわかりにくくなっちゃうと困りますので、書いてきました。(パネルを示す)清瀬小児病院は、多摩北部医療センターの入院患者で比べますと、清瀬小児病院は四十五倍です。四人と百八十人ですから、四十五倍ですね。外来患者は、二百六十八人と二十三人ですから、十一・七倍です。
 なぜこんなにも違うのかといえば、医師の人数が、清瀬は四十六人、多摩北部医療センターは五人ですね。病床数も、多摩北部医療センターは二十五床で、清瀬小児病院は二百五十五床です。医師の数は、多摩北部医療センターは定数が五ですけれども、現在が四人ですね。清瀬小児から三人の派遣を受けている状況です。清瀬は小児専門病院ですから、多摩北部医療センターとは比較できるようなものではない、これはだれが見ても明らかです。小児病院を廃止して、多摩北部医療センターの小児科が代替をする、そんなことなどとてもできるものではありません。
 多摩北部医療センターは、平成十七年に小児科を開始して、ことし六月に小児科病棟が改修されて、私たちも見せてもらいましたけれども、小児科は現在二十五床、当面三十五床にすることで対応するといっているわけですけれども、しかし、清瀬小児病院は、病床規模二百五十五床です。多摩北部医療センターを三十五床にするとしても、病床規模としては、わずか一四%に減ってしまうんです。とても代替などできません。しかも、三十五床に増床するというのも確実な保証はありません。
 第一に、現在二十五床の多摩北部医療センターの小児科病床を三十五床にする。そのためには、現在の医師、看護師数でできるんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターはこれまで、おおむね十床ないし二十床の病床稼働状況でございましたが、これを三十五床の運営体制にしてまいりますためには、さらに医師については二名程度の増員が望ましく、看護師につきましては七名から八名の増員が必要と考えております。そのための人材確保につきましては、既に取り組みを進めておりまして、今後の入院患者の動向に応じまして、小児病棟の人員体制の確保を適宜行ってまいります。

○大山委員 医師については二名程度、看護師については七名から八名程度の増員が必要なんだということですね。既に進めているんだ、そうおっしゃいますけれども、今、多摩北部医療センターの小児科医師は、定員は五名ですよね。現在は四名。清瀬小児から三名の医師を派遣してもらっています。こういう状況の中で、医師や看護師の増員のめどは立っているんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 病床体制を整備するなどの取り組みに当たりましては、清瀬小児病院からの応援、もちろんのこと、自助努力で多摩北部医療センター、保健医療公社が採用するという努力も含めまして、現在取り組んでいるところでございます。

○大山委員 努力はしているんだということですけれども、医師や看護師がいなければ、たとえベッドはあったとしても、増床はできないわけですね。努力はするけれども、確実ということではありません。三十五床にすることさえめども立たないというわけです。
 そもそも、公社病院の中でも、多摩北部医療センターは医師不足が深刻ですね。医師の定員、全体で六十二人ですけれども、実員は何と五十人です。十二人も欠員になっています。内科は四人欠員で、呼吸器内科の先生はいません。精神科も皮膚科も婦人科も耳鼻咽喉科も常勤医師はゼロです。小児科も、五人にするのに何年もかかって、そしてやっと、ことし五人になったかと思ったら、もう四人に減っています。どこにふやす根拠があるんでしょう。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターの小児科を三十五床にいたしますことにつきましては、今年度当初からの予定でございますので、そのための医師確保というのは確実に行っていくために、現在調整を進めているところでございます。決してめどが立っていないということではございません。
 具体策といたしましては、清瀬小児病院からの応援につきまして、両病院で話し合いをしながら、その確実性を進めて、小児医療体制を図るための医師の確保に努めてまいります。

○大山委員 当初からの計画なんです。努力しているんです。努力するとしかいいようがないんですよ。東京都が医師確保に努力するといってきたのは多摩北部医療センターだけではありませんね。同じ公社病院の多摩南部病院は、小児科の医師不足のために、二〇〇五年一月から入院は休止、夜間・休日救急も一部休止してしまっています。二〇〇五年の一月に地元の方々が体制の充実を求めて東京都に要請に行ったときに、都の担当部長は、都としても四月までに医師を確保し、小児科の入院診療、救急医療体制をもとに戻すよう努力します、努力します、二〇〇五年の一月に答えているんですよ。努力するといって、もう五年近くももとに戻らないではありませんか。努力するなんて、どこにその保証があるんですか。空手形ではありませんか。そんなことで清瀬小児病院の代替などにはなり得ません。
 第二に、病床数は二次医療圏ごとに決められていて、清瀬小児と多摩北部医療センターがある北多摩北部医療圏は病床過剰地域となっています。通常、病床過剰地域で病床が減った場合は、他の病院でふやすことは認められていません。病床過剰地域とされている二次医療圏で、病床の純増が認められるのはどういう場合でしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 医療法施行規則によりますと、既存病床数が基準病床数を超える二次保健医療圏であっても、高度ながん診療施設、周産期医療を行う施設など、特定の病床が不足する地域における当該診療を行う医療機関のための病床整備などにつきましては、病床の新設、増設などの特例的な取り扱いが認められているということになってございます。

○大山委員 高度ながん診療施設、周産期医療を行う施設など、特定の病床が不足する地域ですね。その基準でいうと、純増することはなかなか困難だといわなければなりません。多摩北部医療センターのほかの科も含めたやりくりで小児科をふやすということになるんじゃないんですか。老人医療センターとして定着している多摩北部医療センターで、地域のほかの医療にも影響を及ぼすことになりかねない。そのことを指摘しておきます。
 清瀬小児病院の廃止で大打撃を受けるのが小児救急です。それは、清瀬小児病院では、時間外救急患者を昨年度の実績で一万二千九十二人、一日平均三十三人受け入れているからです。清瀬小児がある多摩北部保健医療圏で、休日・全夜間の救急対応をしている医療機関は、清瀬小児病院を入れて三カ所しかありません。医療圏ごとの休日・全夜間小児救急の実績が出ていますが、最新のものが十九年度実績です。これで見ますと、清瀬小児は、救急患者の六八・八%、ですから、約七割の小児救急患者を受け入れているということなんです。その清瀬小児病院をなくすというのですから、事は深刻です。
 現在、多摩北部医療センターは、全夜間・休日の小児救急として一系列、それから、病棟の当直で一系列、合計、小児救急に対応できる当直を二系列で実施していますが、もう一系列ふやすというだけでは到底賄えません。しかも、もう一系列ふやすということすら困難です。多摩北部医療センターの小児救急を一系列運営するためには、医師、看護師が何人必要なんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターでは、病床の三十五床体制を実現しますために、医師、看護師の増員を予定しておりますが、救急対応につきましては、こうした病棟配置の増員を含めた、小児科全体の体制の中で人員配置を行うものでございます。したがいまして、救急だけを取り上げて何人といえるものではございません。救急も含め、必要な医師、看護師の配置を行い、系列の増加を実現してまいります。

○大山委員 三十五床体制を維持する中でということを答弁していらっしゃいましたけれども、この三十五床体制にするというのは、さっきの答弁でもありましたように、当初からの計画なわけですよね。今の答弁だと、医師や看護師の体制は、今までの計画以上、当初の計画以上はふやすつもりがないということになります。三十五床体制の医師や看護師確保についても努力をする、そういう状況の中で、この救急体制についても何の保障もないということではありませんか。清瀬は小児総合病院だから、小児専門の整形外科などもあって、外科系にも対応できるかけがえのない病院です。どういい繕おうと、この地域の小児救急に大穴があくということは避けられません。地域医療を守るためには、清瀬小児病院は存続するしかありません。
 清瀬小児病院は、建物はもちろん古くなっていますし、患者一人当たりのスペースも狭いことは事実です。しかし、清瀬小児病院の敷地は東京ドームの広さに匹敵するということですから、現在の敷地の中に建てかえることは十分可能ではありませんか。その方がずっと確実で、地域の医療を守ることになります。
 八王子小児病院、どうでしょうか。八王子小児病院の特色は、新生児医療と救急医療と心臓医療、こうなっています。患者数は一日平均七十九人、入院は一日六十六人、許可病床数は九十床、昨年度の救急患者数は年間六千三百七十九人で、ドクターカーは年間四百三十七回出動しています。この救急患者は、南多摩医療圏の二六・一%を受け入れています。二十四人の医師と医療技術二十三人、そして、看護要員九十九人で支えているわけです。
 先ほどもありましたけれども、東海大八王子病院と東京医大八王子医療センターが八王子小児病院の代替ということですが、どちらも大学病院で、診療科が二十五科、それからもう一つの大学病院は二十四科、全病床数は五百床と六百二十一床、こういう巨大な総合病院ですから、小児科はその中の一診療科なんです。小児科病棟は一病棟ずつで、それぞれの病床数は、片や三十床、そしてもう一方の大学病院は十六床です。
 しかし、小児の休日・全夜間救急医療は、この二つの大学病院が、きょうはこの大学、きょうはこの大学病院というふうに交代で担当しています。とても八王子小児病院の穴埋めにはなり得ません。このため、二つの大学病院に六床ずつ小児科の病床をふやしてもらうということですが、それでも三十六床と二十二床にすぎず、これでも代替にはなり得ません。しかも、病床をふやして、医師や看護師もきちんとふやすめどは立っているんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 ただいまのご質問にお答えいたす前に、まず、多摩北部医療センターの増床でございますけれども、病床の純増が認められるケースには今回は当たらないわけでございますが、小児病院をふやす際には、したがいまして、他の診療科の振りかえとなることは事実でございます。
 しかしながら、これによって他の科の診療に影響を与えるというお話でございますけれども、同センターの病床利用率は平成二十年度の数字で七五・二%ということになっておりまして、この小児病床を例えばある程度ふやしたことによりまして、他科の診療患者に対する影響を及ぼすことなく増床するということは十分にできるものと考えております。
 それからもう一点、恐縮でございますが、一系列を運営するために医師、看護師が必要なのは三十五床と一体ではないかというお話でございますけれども、もともと三十五床体制を実現するために、医師の増員、看護師の増員というものは検討してまいったわけでございまして、今回、それに加えて一系列運営をするという課題が加わりましたために、これも含めて小児科全体で医師の確保、看護師の確保に努めているという考えでございます。
 ただいまのご質問でございますけれども、東海大学及び東京医大八王子医療センターに対しましては、六床ずつの増床をお願いしておりまして、そのための体制整備につきましては、両病院において責任を持ってやっていただけるというふうに理解しております。

○大山委員 さっきの北多摩北部医療圏では純増は認められないんだということは、もうご答弁もしたわけですよね。それで十分できるとおっしゃってますけれども、本当に他科に影響がないのかというのは、きちんとやっていかなきゃいけないことだと思います。小児科全体で対応をするんだといっていますけれども、それは重要ですよ。そして、この北多摩北部医療圏の救急医療体制というのは、それから医療体制というのは、清瀬病院、多摩北部医療センター、それから、二次医療圏の北多摩北部全体が、本当に小児科が大変な状況になっているというのはあるわけですね。
 北多摩北部医療圏で、例えば西東京市の佐々総合病院は、十八年の九月二十四日をもって小児科病床の削減をせざるを得なくなった。と同時に、十五年間維持してきた二十四時間三百六十五日の小児科当直体制を中止したこと、それがホームページで知らされています。同じ医療圏の小平、医師不足などで休院していた緑成会病院は、ようやく十月一日から外来診療は再開できましたけれども、やはり小児科も外来のみなんです。ですから、この北多摩北部医療圏全体の小児科の医療体制が本当にぼろぼろになってきている、大変な状況になってきている、その中で清瀬小児を廃止しちゃう、そういうことなんですからね。
 八王子ですけれども、八王子の十二床はきちんと大学病院で確保してもらうんだと、そういいますけれども、直接、東京都みずからが二つの大学病院に確認したんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 この間、東海大学八王子病院、東京医大八王子医療センターに何度か足を運びまして、引き続きお願いをし、やっていただくという確約を得ております。

○大山委員 やっていただくということなんだということですけれども、第三回定例会で、やはり六病床ずつを確保するんだということを答弁したときに、何をもとにしたんだといったら、この八王子市議会の議事録を持ってきてくれたわけですよね。それで何て書いてあるかといったら、おのおの六床をベッドコントロールなどで整備することが確認されている。ベッドコントロールでやるんだという話なんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 ベッドコントロールで小児科病床を確保するということは、これは通常、どこの病院でも、患者さんがふえた、減ったということに対しては、毎年、診療科ごとのベッド数を調整するということはいたしております。両病院におきましても、そのような形で確実に確保をしていただくという確約を得ているところでございます。

○大山委員 結局、六床ずつ確保してもらうんだと、これだってやっていただくというだけですけれども、それだって、純粋に増設するんではなくて、ベッドコントロール、今おっしゃいましたけれども、他の科のベッドを転用するとか、十二歳ぐらいになったら内科でいいだろうと、大人の病床に代用するとか、そういうことじゃありませんか。
 しかも、医師確保というのは大変なんです。大学病院の幹部は、八王子小児病院は設備も高度でスタッフも専門的、うちも医療機関として最大限こたえたいと思うが、マンパワーには限度がある、市民が安心して医療を受けられるようにするのが一番いいのではないか、こう語っています。到底、八王子小児病院の代替にはならない。これはもう明らかです。
 地元の方は、東京医大八王子医療センターも、東海大八王子病院もすごく込んでいるんです。八王子の小児病院がなくなったら、緊急のとき心配、こういっているんですよ。二つの大学病院で代替できないからこそ、東京都は民主党の要請に対して、新しい小児科設立云々ということを今になっていい出してきたんです。どの医療機関が、どういう計画を都に上げてきたのか、明らかにしていただきたい。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 八王子市内の医療機関についてでございますが、現在、八王子市内の民間病院で小児科設置という意向を示している医療機関がございますので、そちらの方の病院関係者と話し合いを行っている段階でございます。現在、話し合いを行っている段階でございますので、具体の病院名などは公表は差し控えさせていただきたいと思います。

○大山委員 話し合いをしているということなんですね。それで、医師だとか看護師の数、病床の数、それから救急受け入れ体制、示してください。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 具体的な内容については現在、病院関係者とお話し合いの最中でございます。都といたしましては、外来、救急、入院機能を行う新たな開設を早期に実現できるよう、最大限努力をしてまいります。

○大山委員 具体的なことは何一つこの場所でいえないということじゃないですか。全く具体的ではないし、海のものとも山のものともわからない。そんなことで都民が納得できるとでも思っているんでしょうか。話にもなりません。
 もう一つ、新生児医療についてです。NICUは現在、清瀬小児が六床、それから、八王子小児が九床持っていますが、これがなくなるわけです。NICUの整備については、国が新しい整備基準をつくりました。出生数一万人に対して、現在は二十一床整備という基準だったのが、今度は少なくても二十五床、望ましいのは三十床という新しい基準になりました。この新しい基準だと、東京には何床必要なんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 新しい基準によりますと、都としては、二百五十床ないし三百床が必要という計算が成り立ちます。

○大山委員 十九年度の数字でいうと、出生数は十万七千三百二十七人ですから、十一万人とすると、少なくても二百七十五床、望ましいのは三百三十床ですよね。現在、NICUは二百十九床ですから、最低整備でも五十六床足りません。しかも、これは都全体のことですね。NICUの病床は、区部には百七十七床、現在ありますけれども、多摩地域には四十二床しかありません。圧倒的に多摩地域が足りないことは明らかなんです。国の新しい基準でいくと、多摩地域には何床NICUが必要になりますか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩地域のNICU必要病床数につきましては、後ほど調べさせていただきます。

○大山委員 多摩地域と区部とこれだけ偏在している、それがもう明確であるにもかかわらず、本当に一刻を争う医療対応がより必要なこのNICU、設置を偏らせるんじゃなくて、多摩の地域、どこに住んでいてもなるべく早く到着できるようにすることは必要なわけですよね。だからこそ、多摩地域では、じゃ、どれぐらいなんだろうというのは、きちんと発表された時点で自覚していていいことだと思うんです。
 多摩地域の出生数は、十九年度は三万七千二十人でした。少なくても九十三床、望ましいのは百十一床ですよ。現在、多摩地域にわずか四十二床しかないNICUです。清瀬六床、八王子九床をどうしてなくしていいんですか。府中に二十四床のNICUを整備しても、差し引き九床しかふえていないではありませんか。全く無責任です。少なくても五十一床ふやさなければならないのに、減らしている場合などではありません。
 NICUの病床が多摩の地域でふえない理由は何なんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 慢性的な新生児科医の不足などがございまして、NICUというのはどこでも必要な整備には満たない状況が、まず前提としてございます。
 そういった中で、今回の小児総合医療センターは、多摩総合医療センターと一体的に整備をし、都内で最大規模となる周産期総合医療センターとしてオープンをすることになります。
 委員からは、不十分であるというご指摘でございますけれども、二十四床のNICUを整備し、さらに新たに九床のM-FICUを整備することによりまして、これまでの小児病院では対応できなかった母体搬送の受け入れも可能になります。これにつきましては、多摩地域における周産期医療は格段に充実することになるというふうに考えております。
 また、小児総合医療センターでは、医師が同乗して新生児搬送を行うことができるドクターカーを追加配備をしておりまして、これによりまして、多摩地域全体の新生児医療にも適切に対応できる体制をとれるようになるというふうに考えます。

○大山委員 地域に今あるのを減らしておいて、格段に向上しますなんていうのは全く都民は納得しませんよ。しかも、私が聞いたのは、NICUの病床が多摩の地域でふえない理由は何なんですかと聞いたんです。
 二〇〇五年三月十五日の予算特別委員会の清水議員の質問に、当時の福祉保健局長は、区部に比べて周産期医療に対応できる総合的な医療基盤を整備している医療機関が少ない、そう答えているではありませんか。NICUを運用できる病院自体が少ない、そういうことなんでしょう。だから、現在NICUを運営できている八王子小児も清瀬小児も、廃止などしてはいけない、そういうことじゃないんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 NICUを運用できる医療機関が少ない中にありまして、NICUを増床し、効率的な周産期医療を実施していくためには、小児総合医療センターを開設し、ここが中核となりまして、多摩地域全体の周産期医療の底上げを図っていくということは必要でございまして、そのために小児総合医療センターを整備するものでございます。

○大山委員 少ない中でなくすんですよ。全く自分で矛盾していると思っていないんですか。どうして二つもなくすんですか。NICUを運用できる病院自体が少ないって東京都自身がいっているのに、それを二カ所も減らすんですよ。全く自分がいっていることとやっていること、違うじゃないですか。
 しかも、さっき、小児総合医療センターでM-FICUもあるんだから万全なんだ、そんなことをいいましたけれども、それはそれでいいですよ。やってくださいよ。生まれる前から危険がわかっている出産だったら、母体搬送するのが一番いいでしょうよ。しかし、生まれる前から危険がわかっている出産ばかりじゃないんですよ。清瀬小児だったら、例えば出産してから、心臓や腎臓に問題があるとか、息ができないとか、仮死状態で生まれてきた、そういう新生児がNICUに運ばれてくるんです、そうおっしゃってましたよ。
 NICUのような不採算医療は、民間ではなかなか大変なことなんです。だからこそ、この分野こそ都が直接責任を持つべきではありませんか。東京都は、東京全体の小児医療に責任を持っているんです。多摩地域にNICUが不足しているんですから、府中にNICUをふやすのは当然です。だからといって、ただでさえ少ないそのNICUを運用できる病院、今あるものを減らすなんていうのはとんでもありません。NICUについて、多摩地域での新基準に基づく目標を決めて達成していくことが必要で、清瀬、八王子小児病院を廃止する、そんなことはとんでもありません。
 続いて、梅ケ丘病院です。
 梅ケ丘病院は、小児精神科の病院です。小児精神科の専門病院は、梅ケ丘と三重県のあすなろ学園があるのみで、全国にたった二カ所しかない病院の一つです。そのことは、公営企業会計決算特別委員会第二分科会で、病院経営本部も、全国で梅ケ丘を合わせて二カ所だ、そう答弁して確認されました。
 小児精神科は全国的にはおくれた分野で、厚労省はやっと十九年三月に、各都道府県に少なくとも一カ所は、乳幼児から青年期までの心の診療及び研修を専門的に行える中心的な役割を果たす医療機関が必要であると報告を出しました。
 そんな状況にあって、梅ケ丘病院の病床数は二百六十四床。子ども専用の精神科病床は全国で一千床もありませんから、梅ケ丘病院は、その四分の一以上を占めています。全国最大の子どもの心の専門病院です。外来での思春期リハビリ、幼児デイケアなどもやっています。外来患者は年々ふえて、十八年度は約三万九千人でしたが、二十年度は四万二千人を超えています。その内容も、医療の内容も、医師はもちろん、心理士や看護師や保育士など、チーム医療を行うなど、小児精神科をリードしている本当にかけがえのない病院です。
 お子さんが梅ケ丘に通っていたお母さんは、息子は、四歳児保育のときから大学に至るまで、いじめられながらも、梅ケ丘の的確な診断と、治療、デイケアのおかげで引きこもりから立ち直っています、そう語っています。世田谷選出の民主党の議員が、三人の連名で、国内最大の小児精神科の専門病院であり、これまで半世紀以上にわたり精神障害児及び家族にとっても安心のとりでとなり、障害児の社会復帰に多大な役割を果たしてきたことはいうまでもないところである。梅ケ丘病院が世田谷の財産、東京の財産といわれるゆえんは、まさにここにある。それほどかけがえのないものなんです。
 梅ケ丘病院の廃止と統合で極めて重大な問題は、小児精神科は、組織的にも物理的にも独立していることが望ましい、その声が現場から切実に上がっていたにもかかわらず、それが守られていないことです。都立病院改革マスタープランのもとになったのは都立病院改革会議ですが、そこでの議論に当たり、梅ケ丘病院から出された意見交換に向けたレポートでは、梅ケ丘病院の将来構想として、細心の注意が求められる小児精神疾患患者にとっての良好な治療環境を確保するためには、一般の小児病院や成人の精神病院とは組織的にも物理的にも独立していることが望ましい、組織的、物理的独立の必要性についても議論が尽くされるよう希望する、こうなっていました。ところが、三小児病院を統合して、小児総合医療センターとして整備するという計画になってしまいました。
 この現場からのレポートは、どう扱われたんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 ご指摘のレポートは、都立病院改革会議におきまして、梅ケ丘病院から提出された資料でございまして、各病院から提出されたものとともに検討材料の一つとして扱われた上で、平成十三年七月に報告書として取りまとめられたものでございます。

○大山委員 現場からのレポートを、検討材料の一つ、そんなこといってますけれども、とんでもありませんよ。そんな軽々しいものではありません。
 梅ケ丘病院の元院長先生は、小児精神科医療をほかの診療科と同じ建物に入れることについて、それではうまくいかなくなるでしょう、梅ケ丘の子どもたちは、統合される清瀬小児病院や八王子小児病院で治療している子どもたちと違って、とても動きが激しいのが特徴ですと。体は元気であちこち飛び出していく子どもと、高度な手術が必要でベッドに寝ている子どもを一緒にできますか、たとえベッドを分けても、温かい目で子どもたちを見ることはできなくなります、施設の使い勝手をめぐる他の科と衝突することもあるでしょう、必要とするものがまるで違いますから、小児精神医療には独立した施設が要るんですと話しています。組織的、物理的独立というのが極めて重要だということなんです。
 だからこそ、都立病院改革会議報告書でさえ、小児総合医療センターについて、小児精神科医療部門については、その特性を考慮し、診療を行う施設は一般の小児科とは独立した建物とすべきであるとせざるを得なかったんではないですか。独立した建物は、どう具体化したんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターは、小児に関しまして、心から体に至る高度専門的な医療を提供する病院として、その建物につきましては一体的に整備をすることといたしました。
 新センターの施設整備に当たりましては、平成十三年七月の改革会議報告書を踏まえまして、同年十二月に作成されました都立病院改革マスタープランでは、一般小児部門及び小児精神部門それぞれの特性から、両部門の外来診療施設と病棟施設は基本的に分離するとしておりまして、外来、病棟ともに、心の部門と体の部門の患者の動線にも配慮しながら施設配置を行うなど、設計上の考慮がなされて現在に至っているところでございます。
 なお、その間、現在の梅ケ丘病院の医師、看護師等のスタッフの意見を十分に聞きながら、現状の設計に立ち入ったという状況でございます。

○大山委員 いろいろいいましたけれども、独立しているんですか、どうなんですか。はっきり答えてください。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターは、心から体に至る高度専門医療機関と位置づけておりますので、建物は独立はしておりませんけれども、内部の設計、それから動線等につきまして、治療上の独立性を確保するような形で設計上の工夫をしておりますし、今後の病院運営につきましても、そのような形で進めてまいります。
 そういうことにつきましては、現在のハード整備において、梅ケ丘病院のスタッフにつきましても納得の上で進めているところでございます。

○大山委員 あれこれいうけれども、結局は独立していないんでしょう。みずからが出した報告書の内容さえも実践していないんですよ。無責任じゃないですか。
 しかも、梅ケ丘病院は、自閉症やADHDを初めとした、発達障害、統合失調症などの子どもたちの治療ですから、落ちついた環境と温かい人間関係が欠かせません。ですから、現在の梅ケ丘病院は、低層の病棟で、木々の緑や土の香りなど息遣いが感じられる広い敷地の中でゆったりと治療しています。
 梅ケ丘病院の元院長は、現在の梅ケ丘病院の施設は、小児精神医療を必要とする子どもたちのことだけを考えてつくりました。建築委員会を設置して、施設を掃除する人から、保育士、ケースワーカー、医師まで、現場の議論を重ねてこつこつと試行錯誤しながらやりました。そう語っているように、小児精神の患者にとって最善のものをつくろうということで議論してつくったのが梅ケ丘病院なんです。
 新しい小児総合医療センターも見せてもらいましたけれども、落ちついた環境ということから見たら、どうでしょう。横二百メートル、奥行き百メートルという巨大な病院で、大勢の人たちが来ます。一階は心と体両方の外来の入り口、一緒ですから、広いスペース。そこにはプレーコーナーもありました。大きな模造品の木もあります。心と体の子どもたちの動線は、ここでは交差するんですよ。
 分教室は心と体それぞれですけれども、体育館やプールは心と体の分教室の共有です。救急車も、時にはドクターヘリも来る。音に敏感な子どもたちが多いわけです。救急車は、構内に入ったらサイレンはとめるといっていますけれども、病院のすぐわきが都道なんですから、かなり遠くから聞こえます。ヘリコプターは、音は消せないですよね、墜落しますから。
 多くの人間が来て、忙しく動き回る人たちがいて、救急車とヘリコプター。今の梅ケ丘病院と比べたら、まさに異質としかいいようがないんじゃないんですか。どう考えていらっしゃるんでしょうか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターは、小児精神疾患患者にとりまして良好な治療環境を確保するために、周辺の恵まれた自然環境との調和を図り、緑のいやしの空間としての植栽、また、子どもたちが活動できる大規模なルーフコートなどを整備しております。照明と色彩の調和を考慮した内装を行うなど、落ちついた療養環境を整備しておりまして、現在の梅ケ丘病院に比べると、患者さんにとって望ましい療養環境となっているというふうに考えます。
 また、おとといお話がございましたけれども、救急車につきましては、公道から敷地内に入った時点でサイレンを消すことは、どこの病院でも同様にやっております。
 それから、ヘリコプターの音は消せないというお話がございましたので、以前、梅ケ丘病院の院長に確認したお話をご披露申し上げますと、精神的な疾患の中で、音に敏感な患者さんというのはたくさんおられるそうでございます。これは、疾患によって、個人個人によって気になる音というのは皆違うそうでございます。比較的人間の甲高い声に反応する患者さんが多いようですけれども、それでも人によって違うというふうなことをおっしゃっておりました。
 ヘリコプターが飛んできたために、大勢の患者さんが一斉にそれによって被害をこうむるというようなことはまず考えられないというお話でございました。

○大山委員 音に敏感、個人によって違うんだと。個人によって違うから、梅ケ丘病院みたいに独立した小児精神専門の病院が必要なんだ、そういうことなんじゃないんですか。
 ルーフコートだって、周りの自然に調和したといったって、ルーフコートは、芝生のところは土ですよ。しかし、つくられた床じゃないですか。周りが建物に囲まれているわけですから、風だって本当に感じられるんでしょうか。本当に、音、甲高い声に過敏に反応するお子さんもいる。それは、一階のフロアに入ったら大勢の子どもたちがいて、本当に今よりも療養環境がよくなるなんてことをよくいえると、そう思うわけですね。
 独立することが望ましいというのは、何も梅ケ丘病院関係者だけがいっているわけではありません。三重県のあすなろ学園は、最初、成人の精神科と一緒だったんですが、独立するんです。なぜかというのは、二十年史を見ますと、児童病棟のみ人員を厚く配置することは、病院運営の平衡から考えてなかなか困難である。それが実現したとしても、人件費の上昇によって児童病棟が繰入金増大の原因であるかのように見られる。その他多くの問題があって、小児精神科の専門病院として独立したんです。
 あすなろ学園の園長先生は、昨年私たちが尋ねたときに、梅ケ丘病院が統合されることについて、心配です、そうおっしゃっていました。それはどういうことなんですかと伺ったら、梅ケ丘は早くから児童精神病院として頑張ってきた。総合病院の中ではできないことができた。いろいろな職種の職員が混在してつくり上げてきた。障害の子をゆっくり伸ばしていく、育てていくのは、医療の面からだけ直すのではなくて、福祉、医療を一体に、地域と一緒に育てはぐくむのを梅ケ丘は持っている。高度医療センターに移ると専門性が特化して、子どもがゆっくり生活できる基盤を支えていけるのか。そうおっしゃっていました。物理的にも、それから組織的にも独立しているというのは、欠かすことのない条件なんです。
 しかも、さっき、三重の園長先生も心配していましたけれども、入院は長期に及ぶことが多くて、退院後の支援も必要です。六十年という長い歴史の中で、地域の方々との温かい関係もつくられてきました。梅ケ丘に通う高校生の患者の家族は、次のように話してくれました。
 入院から退院するまでに、リハビリとして、まず病室から病棟内、そして病棟の外に出られるようになります。何より入院している子どもたちが楽しみにしているのは、外出許可が出てまちに出られるときです。梅ケ丘駅前コンビニや飲食店、豪徳寺や東松原の駅方面には商店街があり、そういったお店に立ち寄るのは、入院している子どもたちの楽しみと同時に、退院と社会復帰に向けた大切なリハビリになるんです。近くには公園や遊歩道もあり、入院患者たちは、病院の職員の方とともに、ごみ拾いなどの活動もします。長年のそういった取り組みで、周辺の商店街も、まちの住民もなれているのか、静かに温かく見守ってくれています。これが梅ケ丘病院なんです。このすばらしい環境を守ることこそ、行政の責務ではありませんか。
 東京都がこの問題をごまかすいいわけとして後から持ち出してきたのが、小児総合医療センターに統合することで、心と体の総合診療ができるから充実だ、小児精神科を取り巻く環境が変わって、心と体の合併症が大事な課題になったという話です。しかし、先ほど紹介した梅ケ丘病院から都立病院改革会議に提出したレポートでも、そんなことは一言も触れられていません。そうではなくて、組織的、物理的独立にくれぐれも配慮してほしい、そういうことをいったわけです。
 そこで伺いますけれども、現在、梅ケ丘病院に通院もしくは入院している子どもたちで、体の治療が必要で、他の小児科などの医療機関に通院している患者はどれぐらいいるんですか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 まず申し上げたいことは、心と体の総合的な医療ということで小児総合医療センターを整備すると私ども申し上げておりますが、これは、現在梅ケ丘病院に通院、入院している患者さんだけを対象としたものではございません。
 現在通院等している患者さんの中で、体の治療を必要としている数につきましては、データとしては把握しておりませんけれども、現在の梅ケ丘病院では、例えば入院患者に対しては、耳鼻科あるいは歯科の診療を週一回行っているほか、非常勤の小児科医が各病棟を週一回回るなどの対応を行っております。場合によっては、その他の疾患で、必要に応じて近所の医療機関を受診する患者さんもあるように聞いております。小児総合医療センターが開設されれば、身体疾患の専門医が常時おりますことから、こうした状況は解消されるというメリットがございます。
 また、それ以外に、心と体の合併疾患の増加につきましては、これは摂食障害、あるいは虐待、その他さまざまな疾患がございますので、そういった対策は、新センターによって初めて適切に対応していくことが可能になるものでございます。

○大山委員 梅ケ丘病院で確認しましたけれども、他の医療機関に継続的に通院している、または通院が必要だという患者さんはいない、そういうお話でした。答弁にもありましたように、耳鼻科や歯医者さんは週に一回来てくれて、小児科医も巡回してくれる、少なくとも現状ではそれで大きな不都合はないということなんですね。
 しかも、梅ケ丘病院のホームページを見ますと、例えば、東六病棟は男子の思春期病棟です。入院している子どもたちは、身体的には健康な中学生、高校生が大半ですので、毎日を運動、勉学にと元気で入院生活を送っています、こう紹介されています。
 この健康で元気な子たちが府中に行かなければならない必然性、必要性、ありません。違いますか。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 先ほどの繰り返しになりますが、心と体の総合的な医療と申しますのは、それが必要な患者さんのためのものでございまして、梅ケ丘病院の患者さんで、一部、体の診療を必要とする患者さんにつきましては、小児総合医療センターに移る意味があろうかと思います。
 なお、梅ケ丘病院が新しいセンターに移転した以降は、大抵の現在の医療スタッフはそのまま新センターに勤務いたしますので、これまでと同様の医療が提供できるものというふうに考えております。

○大山委員 今、梅ケ丘に行っている患者さんたちには、府中に行かなければならない必然性や必要性はないってことですよね。
 さっきからおっしゃっている、心身症だとか摂食障害のことをいわれていると思いますけれども、特に心と体の総合的医療が必要なケースについては、小児総合医療センターで受け持てばいいわけですよ。そこまでは否定していないわけでしょう。かけがえのない梅ケ丘病院を廃止して、必然性のない子どもたちまで小児総合医療センターに丸ごと移転する道理、これは全くない。
 地域とのかかわりも、梅ケ丘病院が、さっきもいいましたけれども、長年の歴史の中でつくり上げてきた、そういう大事な問題なわけです。
 厚生労働省は、子どもの心の診療体制が余りにもお粗末なこと、これにようやく気がついて、専門医の要請だとか拠点病院の整備について検討を進めています。十九年三月には、各都道府県に少なくとも一カ所は、心の診療を専門的に行える中心的な医療機関が必要だという報告書が発表されました。これを受けて、二十三年度以降、全都道府県に拠点整備を進める方向で検討が進んでいます。こういうときに、梅ケ丘病院を廃止、統合する、これは重大な逆行です。
 もともと東京のような大都市で、梅ケ丘の一カ所だけでは足りないんです。心の診療が必要な精神疾患や発達障害の子どもとその家族は、きちんと診てもらえる専門的な医療機関が余りにも少ないために、途方に暮れています。梅ケ丘病院も、その他の全国の小児精神科の医療機関も満杯で、外来で診てもらうのも何カ月待ちという状況です。
 梅ケ丘病院を存続させて、心と体の合併症は主に小児総合医療センターが受け持ち、さらに、都内の各医療圏ごとに子どもの心の診療の拠点となる医療機関を整備していくことこそ、東京都の役割です。
 ことしの第一回定例会では、都立三小児病院の廃止条例を東京都が提案しました。しかし、都民の廃止しないでほしい、そういう十年越しの運動がさらに大きくなって、厚生委員会の採決では、廃止条例は六対七のわずか一票差で可決されるというぎりぎりのところまで来ました。さらに、民主党と日本共産党は、存続のための修正案を提案し、生活者ネットも賛成をしました。廃止条例に反対した民主党は、都議会民主党が都議選前に発表した政策要綱二〇〇九では、都立病院、市立病院など、公的な病院はもちろん、必要な病院は存続させますと公約して、廃止、反対と公約して当選した民主党の議員が少なくありません。その民主党が第一党となって、廃止条例に反対した会派が都議会議員選挙では過半数になったんです。
 都民の運動は、廃止条例が成立してもなお大きくて、存続を求める署名は、きょうの三つを合わせると六万三千三十筆にも上ります。また、医療関係者も、もういたたまれずに、都内五千人の医師が加盟している東京保険医協会は、都立三小児病院の廃止条例撤回を求める声明を出しました。これらの都民の願いにこたえることこそ我が都議会の役割です。行政が都民の願いを無視して、しゃにむに都民の福祉に反することをやろうとするときに、議会が役割を果たすことが求められているし、それができる議会なんです。
 ですから、都議選で都立小児病院は存続と都民に約束したことを、各会派が、約束した会派が責任を持って果たそうではありませんか。力を合わせれば、それができる議会になっているんです。そのことを呼びかけて、私の質疑を終わります。

○吉田委員 私からも、この都立の小児三病院の廃止と移転統合の問題について、お伺いをいたしてまいります。
 先ほど、斉藤理事の質疑におきまして、私ども民主党が、これは十一月十三日、多摩地域における小児医療に対する緊急要請を申し上げたことに対して、十一月十六日、正式には十七日ですね、東京都から回答がありまして、先ほど質疑で明らかになりましたとおり、清瀬の小児病院、これ、ただ廃止をするということでは、本当に地域医療が困るということについて、とにかく移転時に小児救急を二系列で行える体制をつくる、あるいは需要を見きわめる。
 それから、八王子については、外来救急、入院医療を行う小児科の新たな開設を市内の医療機関において実現できるよう努力すると。
 そして、多摩北部医療センターについては、これは新たな小児総合医療センター特別連携病院というように位置づけて取り組みを進めていくと、このようなご回答をいただいたわけであります。
 私も、七月の都議選で、都立病院、小児病院三つをつぶしてはならないと、最大限に努力をしていくという訴えをして当選させていただいてきた議員の一人であります。この間の十月二十日の病院経営本部に対する質疑、それから十月二十九日の福祉保健局に対する質疑、これにおきましても、再度は繰り返しませんけれども、とにかく小児医療だけではありませんが、東京の救急、あるいは産科、小児含めた医療の現状というのは大変に問題があると。墨東病院のような一件もありました。これをきちんと都民の安心を得られるものに変えていかなければいけない、これは都民の大きな世論であると思っております。
 政権が交代した一つの要因も、この医療費削減ということに多くの国民が心配をしたということもあろうかと思います。新しい政権で、国全体でこの福祉や医療についての考え方、介護とか見直していく。これは、これまでずっと、財政が厳しくなってきた、あるいは社会保障費の削減という大きな国全体の流れの中で、東京都の財政制約の中でいろんなことをお考えになって、そして、三次医療、これをきちんと確保しなきゃいけないという思いも含めて、この移転と統合ということをお決めになったことはよくわかります。
 もちろんこの府中に、三次医療のセンター、小児医療総合センターというのかな、これをつくると、これは私ども、全く賛成であります。ぜひやっていただかなければいけない。しかし、それに当たって、既存の地域を支えている病院についてのご判断について、多くの都民が不安を抱き、心配をし、これは都民だけでなくて、近隣の医療機関、関係者も含めてさまざまなご心配の声が上がっているということを、るるずっと申し上げ続けて、そして今回のご回答に至ったということです。
 そして、さきの二十九日の厚生委員会、福祉保健局に対する質疑でも、私はまたここでも申し上げたんですけれども、この医療資源不足ということについて、東京都としてしっかりとこれを認識して、これをきちんとやっていくんですねとご質問を申し上げ、きちんと医療の不足ということを認識しております、しっかり取り組んでいきますと、こういう全体の福祉保健局のご回答をいただいているわけであります。
 そしてまた、病院経営本部におかれても、そういうご認識のもとでこれから進めていくんだと思います。しかし、これをずっと進めていく中で、いろいろなご意見がたくさん出てきて、私どももいろいろと、三病院、この三小児病院、地域を初め、さまざまな団体、関係者、地域、住民の方々にご意見、ご要望をお聞きしてきて大変に気になったのは、これは地域の皆様、関係者も、東京都が納得いくやりとりをしようとしている実感が持てないんだと、こういう医療機関などの方々のご不満があった。あるいは、こういう病院がなくなる地域に対する真摯な配慮、これが不足しているんだと受けとめている--説明する側の思いとは別に、受けとめる側の意識というのがありますから、配慮が不足していると、このように受けとめている、こういうことを指摘するご意見があったわけであります。
 それで、都立病院についても、現場に必ずしも情報がきちんと正確に伝わっておらずに、現場で混乱を来していたり、現場の医師の先生方を初めとするスタッフの方に過度の負担もかけているという現状、結果を生んできたのではないかと、これまでのやり方について。
 小児三病院の移転統合という、それぞれの地域に大きな影響を及ぼす大きな事業を行うに当たりまして、地域住民、医療機関など、関係者団体、現場の都立病院などに対して細心の注意を払って説明をして、そして意見をきちんとくみ上げて反映し、理解を得る努力を怠ってはならないのは当然のことであります。
 これまでの間、この関係者、地域の住民の方々、そして医療機関、団体や現場の都立病院そのもの等に対して、この小児三病院の移転統合というこの事業について理解を得るために、どのような努力をし、課題をどのようにご認識をされ、そして今後どのように対応していかれるのか、伺います。

○斎藤経営戦略・再編整備担当部長 まず、私どもの考えといたしましては、小児三病院の移転統合に当たりましては、小児総合医療センター開設が、現在の地元地域を初めとしまして、多摩地域全体の小児医療の充実に大きく寄与するものであるという設立意義をご理解いただきますとともに、小児病院転出後の地域住民の皆様が安心できる小児医療体制をいかに構築していくかが極めて重要であると認識しております。
 その立場から、これまで地元自治体や医師会などと協議を重ね、小児病院転出後の地域の小児医療体制について取りまとめを行い、二次医療の受け皿となる中核病院の整備、支援などさまざまな充実策を実施することで一定のご理解をいただいてまいりました。また、地元の住民の皆様に対しましても、これらの転出後の地域医療体制について、市の広報や新聞織り込みなど、さまざまな方法で周知を行い、理解を得られるよう努めてきたところでございます。
 しかしながら、この間、地域の医師会や中核病院とさまざまな接触の機会を持ちます中で、より丁寧な説明、また、垣根のない情報交換を求められるケースがあったことは事実でございます。この点は、私どもも真摯に受けとめまして、今後、移転前後の期間を通じまして、よりきめ細かい説明を行い、地元住民、医師会、医療機関など関係者の一層のご理解を得られるよう全力を挙げてまいりたいと考えます。
 また、現場であります都立病院との間の情報の流通につきましても、当然、遺漏のないように万全を期していきたいと思います。
 つけ加えまして、これらの点につきましては、特に厚生委員会の先生方には、会派を問わず引き続きご指導いただきますよう、委員長を初め、改めてよろしくお願い申し上げたいと存じます。

○吉田委員 わかりました。とにかく、実情、そういう問題点もあったということを率直にご確認をしていただいて、今後、私どもからも引き続きいろいろとご意見を申し上げて、それも真摯に受けとめていただいて、移転統合、この問題というか、その事業について、本当に皆様が安心して、そして円滑に、そして将来に当たっても安心感を持てるようにやっていただくように努力をいただくというご答弁をいただいたわけであります。
 そこで、その気持ちというか、やりとりのこれまでのあり方というところで、しっかりと今ご意思を確認したわけでありますので、この点については今後期待をさせていただきますけれども、そもそも東京都も苦しいお立場だと思うんです。この医療の不足というのは、東京だけの責任ではありません。国全体で非常に制度がいろいろと、自由標榜制とかいろいろな問題の中で、あるいは勤務医が大変厳しくて、どんどん開業医になっていってしまわれるとか、いろんな中で、東京都もお医者さんの確保、これは大変苦労をされておられる。特に救急、産科、そして小児科、リスクが多くて、もうなかなか新しいお医者さん、思いのある方、もう激務の中で、やっぱり数が減っていってしまう。こういう中でやっていらっしゃるのはよくわかっております。
 その中で、三次救急をしっかりと多摩においてもきちんと確保するために必要だ、それもまた、もう先ほど申し上げたとおり、私どもも、もちろん必要だと思っております。ただ、地域それぞれの二次医療圏、前に質疑をさせていただいたとおり、地域の医療--後医療といういい方もよくするようですけれども、ここについて、今回ご回答、最大限の努力を今の段階でもうされているんだろう、そうは思っております。
 ですから、これについてはわかりましたというほかないわけでありますけれども、ここでもう終わりなんだということではなくて、今後さらに引き続いて、この小児、今回は小児病院の問題ですから、小児医療、各地域でもって--前に、いろいろ私、数値を挙げて、福祉保健局にはずらっと申し上げたんです。その地域の年少人口千人当たり、小児のお医者さんの数が何人、何人、何人と、各医療圏ごとに順に読み上げさせていただいて、多摩は少ない、福祉保健局も少ないと認めた、こういうことで、これはちゃんとやっていきますと。
 もちろん、一朝一夕というか、すぐにはできません。今後、営々と確保のための、人員確保のための努力をし、そしてきちんと充実をやっていく、今すぐにぱっと魔法のように、三次救急をやるために一生懸命やる、それ以外の方がぱっと生まれてくることはできませんので、少しずつ、少しずつ、またこの三次医療をやりながら地域医療を一生懸命、また回復、それだけじゃなくて、多摩と区部のいろいろの格差というのも、これは福祉保健局も認めていただいて、同じ思いを、同じ意識を病院本部も持っておられると思います。これを少しずつ、格差というものを最大限、一番できるだけ早くというか、これをきちんと格差、こういうものを改善していかなければいけない。
 あちこちで申し上げてまいりましたけれども、多摩と区部の、まず今回は小児医療、そして医療全体の格差がある。この格差の改善、今回は例えば小児医療の水準の向上、こういうものについて、この移転は移転として、そしてその三次救急をきちんとつくり上げる、それはそれとして、移転後のそれぞれの二次医療圏の地域医療の確保、充実について、ちゃんとやっていくんですね、こういうことについてどのように行っていくのか、改めてお伺いをいたします。

○中井病院経営本部長 多摩地域の医療水準の問題についてでございますが、吉田副委員長ご指摘のとおり、現在の小児医療の状況というのは、医療人材の深刻な不足、これに代表される、限りある医療資源の中でどうしていくのかということが問われている、そういうテーマでございます。当然、この医療資源、医療人材というものを拡大していくということが必要だというのは論をまたないわけでございまして、私どもといたしましても、その一翼を担うものとして、これを拡大していくことに今後も努力を続けたいというふうに思うわけでございますが、先生のご指摘にもあったとおり、これは中長期的な視点に立った取り組み、そして国への働きかけを含めた多面的な活動を継続的に行っていくということが不可欠なわけでございまして、そういった中で、今置かれた状況の中で何をするかということが、我々に問われている問題、課題であろうというふうに考えております。
 そうした中では、現状の深刻な医療人材の不足の中では、老朽化した三つの小児病院、その建てかえという問題が、当然、潜在的にあったわけでございますので、それに対してどう将来に向けて対応するかといったときに、よりすぐれた医療機能を持った医療機関を、この現実に限られた医療人材の中でどういうふうにやるかという選択、その答えが今回の小児総合医療センターということであるわけでございまして、要は、ないものねだりというのはちょっと語弊もあるかもしれませんが、両立させる、併存させるということについては、現時点でとり得る選択肢としては、現実的にはないと。
 もしそれを存続するのであれば、要は、小児総合医療センターは開設できないということになってしまうのであって、多摩地域で長年にわたって多くの方々から期待されている母体搬送、そして小児救急のより一層の充実、そういったことがさらにさらに遠い話になってしまうわけでございます。それが、我々、行政をつかさどる者としてとれる選択ではないという判断になったわけでございます。
 そういった限られた医療資源の中で、今後、やはりより一層、初期、二次、三次の医療機関がそれぞれの役割分担を果たしながら、それらがより一層緊密に連携をしていくということが必要であろうというふうに考えるわけでございまして、とりわけ、先ほど申し上げたように、小児医療は深刻な医療資源が不足した状況にございますので、この機能分担と連携というのは極めて重要な事柄であるというふうに考えております。
 今回の小児総合医療センターの開設に伴いまして、それぞれの小児病院が転出する地域には後医療対策を十分に行わせていただくわけでございますが、それに合わせまして、それらの地域の中核病院と小児総合医療センターとの連携ということが非常に重要な事柄になってこようということで、これにつきまして、今後さらにさらに、特に北部医療センターについては特別連携病院という形に位置づけまして、対応させていただきたいというふうに考えているわけでございます。
 こうした取り組み、そして、先ほどご答弁をさせていただきましたが、民主党の緊急要請に対しますより一層の施策の充実といったことも含めまして、今後とも福祉保健局を初めとしました関係局と一体となった取り組みを進めまして、小児病院転出後の地域を初めとした多摩地域の医療の一層の充実に全力を挙げて努めてまいりたいというふうに考えております。

○吉田委員 前向きな、本当に本部長のご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 当初の計画にさらにより踏み込んでというか、我々の、いろいろ調べて要請させていただいて、これはさらなる対応を示していただいて、我々も部内で--部内というか、会派の中で、これは激論になりました。これは会派で、この意見に大変問題だと思っている会派の方々、過半数になるという状況であっても、これは例えば再議ということに付されて、また議会に戻ってくれば、今度は三分の二の賛成が必要だ、そういう状況に至るよりも、このように積極的に、もうないところから絞り出して、今の現段階ではやっていただくと。そして今後、医療の充実、こういうものに一生懸命取り組んでいくと。そして、福祉保健局と病院経営本部と協力して、そして関係医療機関と、私ども一生懸命後押しをして、国にも働きかけてやっていくということで、大変、私も本当にいろいろな思いはありますけれども、本当にぜひ今後ともしっかりとやっていただきたいんだと。ここではもちろん、これは一里塚であって、今後これからが重要だということを申し上げさせていただきます。
 これ、ちょっと私事になりますけれども、私は、双子の知的障害を持った弟がおりました。二十六のときに亡くなりました。精神じゃなくて知的ではありますけれども、例えば、今、議会でいろいろとご議論を、他の委員の方の議論も聞きながら、ちょっとあっと思い出したことがあるんです。家族で旅行をしようと思いまして、私どもがまだ中学生だったときです。旅行をしようと思って、家族で車で山の方に向かったんです。もちろん知的の子も、環境が変わると大変に精神が動揺するものですから、しかし、家族で一つの車に乗っているんだから大丈夫だろうというか、何の心配もしていなかったんです。
 ところが、どんどん山の奥に入っていくと、多分、前の日の夜に見たテレビがいけなかったんだと思うんですけれども、何だかそこに置いていかれるんじゃないかという、何かおびえ出して、車の中で暴れ出して、走っている車のドアをあけて外に飛び出しそうになったというので、ずうっとこう、みんなで必死になって押さえ込んで、家に帰るよといって帰るか、もう目の前だから宿泊するところに行くか、何だかもう楽しい旅行のはずが、ちょっと悲しい思いをしながら、現地に着いたら安心して落ちついたんですけれども、とにかく、障害を持ったお子さんというのは、何がきっかけでどういうことが起きるかわからないというところもあります。
 梅ケ丘の病院のお子さん方も、中身は違いますけれども、いろいろなご両親の方のご心配もあると思います。関係者の、助けている方のご心配もあります。万全のご対応をいただいて、移転をしっかりやっていただくようにお願いを申し上げて、質疑を終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、請願二一第一五号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第一五号は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情二一第五五号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二一第五五号は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情二一第五七号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二一第五七号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 病院経営本部関係を終了いたします。
   午後二時五十三分休憩

   午後三時六分開議

○門脇委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、安藤福祉保健局長より紹介があります。

○安藤福祉保健局長 十一月十六日付で当局の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
 事業推進担当参事の雑賀真でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○門脇委員長 紹介は終わりました。

○門脇委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○安藤福祉保健局長 平成二十一年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきまして、ご説明を申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、平成二十一年度補正予算案一件、条例案八件、事件案一件、契約案三件の合計十三件でございます。
 初めに、平成二十一年度十二月補正予算案についてご説明を申し上げます。
 一般会計歳入歳出予算の補正でございまして、平成二十一年五月に成立をいたしました国の第一次補正予算に基づき、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金、地域医療再生基金など、六つの基金を創設するとともに、安心こども基金及び障害者自立支援対策臨時特例基金を拡充し、これらの基金を財源として、平成二十一年度に実施する事業に必要な経費を補正するものでございます。
 次に、条例案についてでございますが、国の補正予算に基づき、基金を設置するための条例を新設及び改正するものでございます。
 次に、事件案についてでございますが、都内での新型インフルエンザ大流行時における医薬品の売り払いに関するものでございます。
 最後に、契約案についてでございますが、東京都健康安全研究センターの建てかえ及び改修に伴う電気設備等の工事を行うものでございます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○松井総務部長 初めに、平成二十一年度十二月補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十一年第四回都議会定例会十二月補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
 一枚おめくりいただき、目次をごらん願います。
 今回の補正予算案は、平成二十一年五月に成立した国の第一次補正予算に基づき、基金の創設及び既存基金の拡充と、平成二十一年度の事業化に必要な経費を補正するものでございます。
 一ページをお開き願います。
 左側の(1)、歳入予算でございますが、国庫支出金で一千八十二億八千九十万二千円を繰入金で百四十一億一千四百五十二万円を補正し、これにより歳入合計は二千五百二十七億四千二百四十三万三千円となります。
 次に、右側の(2)、歳出予算でございますが、福祉保健費で一千二百三十億五千七百十一万九千円を補正し、これにより歳出合計は九千百七十五億五千七十三万三千円となります。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金でございます。
 新たに同基金を造成するための経費として六十七億一千三百七十万五千円を計上するとともに、三ページになりますが、財源を国庫支出金から繰入金に更正してございます。
 四ページをお開き願います。2、地域医療再生基金でございます。
 新たに同基金を造成するための経費として六十億円を計上してございます。
 五ページをごらん願います。3、医療施設耐震化臨時特例基金でございます。
 新たに同基金を造成するための経費として四十一億七千六百九十七万円を計上してございます。
 六ページをお開き願います。4、地域自殺対策緊急強化基金でございます。
 新たに同基金を造成するための経費として五億八千九百二十九万二千円を計上するとともに、平成二十一年度に実施する事業に要する経費として三百七十八万九千円を計上してございます。
 七ページをごらん願います。5、介護職員処遇改善等臨時特例基金でございます。
 新たに同基金を造成するための経費として四百十五億一千五百五十九万二千円を計上するとともに、平成二十一年度に実施する事業に要する経費として七十四億四千十四万七千円を計上してございます。
 八ページをお開き願います。6、介護基盤緊急整備等臨時特例基金でございます。
 新たに同基金を造成するための経費として二百五十三億八千四百五十万一千円を計上するとともに、九ページになりますが、平成二十一年度に実施する事業に要する経費として二十七億九千五百八十七万円を計上してございます。
 一〇ページをお開き願います。7、安心こども基金でございます。
 平成二十一年度に実施する事業に要する経費として、一二ページにかけて歳出科目ごとに記載してございます。
 これら歳出合計は十五億一千四百四十八万四千円でございます。
 また、一一ページになりますが、基金へ積み増しする経費として百七億二百三十四万円を計上してございます。
 一三ページをお開き願います。8、障害者自立支援対策臨時特例基金でございます。
 平成二十一年度に実施する事業に要する経費として、一六ページにかけて歳出科目ごとに記載してございます。
 これらの歳出合計は十九億四千三百六十八万四千円でございます。
 また、一四ページになりますが、基金へ積み増しする経費として百三十九億五千五百三十万二千円を計上してございます。
 一七ページをお開き願います。9、緊急雇用創出事業臨時特例基金でございます。
 失業者に対する一時的な雇用、就業機会を創出するため、平成二十一年度の事業実施に要する経費を歳出科目ごとに一八ページにかけて記載してございます。
 これらの事業の歳出合計は三億二千百四十四万三千円でございます。
 以上が平成二十一年度十二月補正予算案の概要でございます。
 続きまして、条例案及び事件案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十一年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。
 まず、条例案についてでございますが、整理番号1から二ページの整理番号6までは、ただいま補正予算案のご説明で申し上げた各種基金を設置するために条例を新設するものでございます。いずれも公布の日から施行することとしております。
 三ページをお開き願います。整理番号7、東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例でございます。
 特例交付金事業が平成二十六年度まで延長されること及び交付金事業に地域における子育て支援、ひとり親家庭への支援、社会的養護の充実等が追加されることに伴いまして、条例の効力を失う日を延長するとともに規定を整備するものでございます。この条例は公布の日から施行することとしております。
 次に、整理番号8、東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例でございます。
 特例交付金事業の交付目的に、福祉・介護人材の処遇改善が追加されることに伴いまして、基金の設置目的を改めるものでございます。この条例は公布の日から施行することとしております。
 続きまして、事件案についてご説明申し上げます。
 四ページをお開き願います。整理番号1、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売り払いについてでございます。
 都内での新型インフルエンザの大流行時における医療に必要な医薬品の供給及び流通用として売り払うものでございます。タミフルカプセル75の数量上限は三千八万カプセル、予定単価は一カプセル当たり二百八十四・五二円、またリレンザの数量上限は六千万ブリスター、予定単価は一ブリスター当たり百五十五・二八円でございます。
 本件の予定価格は百七十八億七千五百十六万一千五百九十七円としております。
 条例案及び事件案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十一年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案をご参照いただきたいと存じます。
 続きまして、契約案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十一年第四回東京都議会定例会契約案の概要をごらんいただきたいと存じます。本契約案は、財政委員会に付託の上、本委員会でご調査いただくものでございます。
 一ページをお開き願います。東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修電気設備等工事でございます。
 この工事は、健康危機発生を未然に防止するとともに、健康危機発生時の被害拡大を抑えるため、老朽化した三号館の建てかえ及び新館A棟の改修工事等を行い、安全性が高く、二十四時間三百六十五日の健康危機管理に対応可能な施設を整備するものでございます。
 工事場所は、新宿区百人町三丁目でございます。敷地面積は一万二千三百八十六・三五平方メートルでございます。建物の構造は鉄骨鉄筋コンクリートづくり、階数は、新築工事の新館B棟が地上七階地下二階、改修工事の新館A棟が地上五階地下二階でございます。
 工事の規模でございます。新築工事の新館B棟につきましては、延べ床面積一万八千二百七十五・八六平方メートルで、実験室や検体保管室などを設置することとしております。また、改修工事の新館A棟につきましては、延べ床面積一万二十二平方メートルのうち三千九百十三平方メートルを改修することとしており、その内容は、BSL3施設の増設や実験室の改修等でございます。
 次の二ページに施設の案内図を、三ページに配置図をそれぞれ記載してございます。
 四ページをお開き願います。本工事請負契約の概要をお示ししてございます。
 まず、上段の電気設備工事請負契約についてでございますが、契約金額は二十三億三千二百三十万七千七百七十五円で、契約の相手方は栗原・成瀬・三信建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日から平成二十五年一月十一日まででございます。
 次に、下段の空調設備工事請負契約についてでございますが、契約金額は三十六億二千二百五十万円で、契約の相手方は三機・精研・エルゴ建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日から平成二十五年一月十一日まででございます。
 五ページをごらん願います。給水衛生設備工事請負契約についてでございますが、契約金額は十四億四千九百万円で、契約の相手方はダイダン・経塚・依田建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日から平成二十五年一月十一日まででございます。
 契約の方法その他につきましては記載のとおりでございます。
 なお、六ページ以降に議案の内容を記載してございますので、ご参照いただければと存じます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言をお願いいたします。

○野島委員 基金の設置関係で、どんな事業が予定をされているのか、ハード、ソフト両方あると思いますが、わかりやすいのが可能であればよろしくお願いします。

○門脇委員長 ほかに--ないですか。
 ただいま野島委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出をお願いいたします。

○門脇委員長 それでは、これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二一第三七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中川原参事 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 一ページをごらん願います。整理番号1、請願二一第三七号、療養病床を持つ医療機関への運営補助を求める請願は、新宿区の東京保険医協会会長塩安佳樹さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、地域住民に安心した療養環境を確保するため、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 内容につきまして、順にご説明申し上げます。
 まず第一項でございますが、地域に必要な療養病床を存続させるため、医療療養病床を持つ医療機関への運営補助を行うことというものでございます。
 次に、第二項でございますが、医療療養病床を持つ医療機関に対して、介護職員の処遇改善費用を助成することというものでございます。
 現在の状況につきまして、まず第一項でございますが、国民皆保険制度のもとにある我が国では、その医療費は、本来、診療報酬で運営されるべきものでございます。都は、医療療養病床に係る診療報酬の評価の充実につきまして、既に今年度、国に対しまして提案要求を行ってございます。
 次に、第二項でございますが、診療報酬におけます医療療養病床の施設基準では、要件といたしまして、療養生活上の世話などを行う看護補助者の配置が定められておりまして、医療療養病床を有する医療機関におきまして、療養生活上の世話などをしている介護職は、看護補助者に位置づけられ、評価されております。先ほど申し上げましたとおり、都は、医療療養病床に係る診療報酬の評価の充実につきまして、既に今年度、国に対して提案要求を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 それでは、本件について発言をお願いします。

○新井委員 民主党としては、継続としてゆっくりと議論したいこともありますが、賛否を明確にしなければならないということもあります。その判断のためにも質問させていただきます。
 これからさらに急速な高齢化が進み、高齢者の数が多くなる東京において、医療療養病床の確保は地域医療の安定に必要不可欠です。しかし、診療報酬のマイナス改定が続くことにより、地域医療の崩壊に拍車がかかっています。医療療養病床を持つ医療機関においては、請願にありますように、診療報酬上での評価が下げられたため、運営が厳しい状況にあるという声を聞きます。
 次の診療報酬改定の来年四月に向けて、国では、中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協において議論されています。
 そこでお伺いします。現在、国では、医療療養病床の診療報酬にかかわることについて、どのような検討が行われているでしょうか。

○中川原参事 現在、国では、社会保障審議会におきまして、中央社会保険医療協議会に対しまして示す平成二十二年度診療報酬改定の基本方針につきまして検討しているところでございます。
 現時点での基本方針案では、急性期後の受け皿としての後方病床、つまり、医療療養病床の機能強化が重点課題の一つとして挙げられております。

○新井委員 国では、政府・与党が責任を持って医療療養病床をめぐる課題について検討しているところです。診療報酬改定において地域医療の崩壊を食いとめるかなめとなってもらえるように、診療報酬改定を見守っていきたいと思います。
 これで私からの質疑を終わりにします。

○橘委員 当該の請願に関連いたしまして、私の方からは、医療療養病床の整備について伺います。
 急性期の治療後に長期療養が必要になるケースは今でも非常に多いわけで、特に急激な高齢化が進んでいる東京都では、療養病床の必要性がますます高まっているということはいうまでもございません。
 そこで、受け入れ体制はどうなっているのかという課題になりますけれども、療養病床を備える医療機関の数、それから療養病床の数とも、目標どおりにはなかなかふえていないという現実的な課題がございます。
 そこで都は、平成二十四年度末までに約七千床をふやして二万八千七十七床を確保するという目標を掲げておりますけれども、まず、都内における現状の療養病床の総数と、そのうち医療療養病床の数、この推移はどうなっているか、確認しておきたいと思います。

○中川原参事 療養病床数の直近三カ年の推移、これは各年度八月一日現在の病床数でございますけれども、平成十九年度の総数は二万一千六百五十床、うち医療療養病床一万三千四百八十五床。平成二十年度、総数二万一千六百二十九床、うち医療療養病床一万三千八百二十床。平成二十一年度、総数二万一千五百八床、うち医療療養病床一万四千六十四床でございます。
 療養病床の総数は、介護療養病床休止という国のこれまでの方針もある中で、やや減少傾向でございますが、そのうち医療療養病床につきましては増加傾向にございます。

○橘委員 この医療療養病床の入院基本料、これが二度にわたって診療報酬改定で切り下げられておりまして、療養病床を持つ医療機関からは、ふやすほど経営が圧迫される、または経営が厳しいという声を聞いております。
 このために療養病床がふえていかないという、そういった要因にもなっているわけですけれども、その中でも、今答弁にございましたけれども、平成十九年度が一万三千四百八十五、平成二十一年八月が一万四千六十四、この数を差し引きますと、五百七十九床ふえているわけですね。これは、全体からいえば少ないとはいえますけれども、この時代の要請に対応した一つの努力の結果ではないかというふうに評価したいと思います。
 ところで、この請願では、医療療養病床を持つ医療機関への運営補助をすべきとしておりますけれども、これは医療機関にとって、先ほど説明もありましたけれども、診療報酬が十分でない部分を穴埋め的に安易に税金を投入するということは、診療報酬制度、これ自体をゆがめることになってしまうんではないかと私は思います。安定的な体制を構築するためには、やはりまず国が責任を持って制度設計をするのが筋ではないかと私は考えております。
 けれども、都は何ら努力をしないのかとなりますけれども、国に対して、療養病床に対する診療報酬の評価を改めて行うように、充実するようにということは、都は要望しておりますし、その内容が、これからの東京都のあるべき方向性を示していると思います。
 したがいまして、都の国に対する要望が、どういう制度要求が、どのような内容になっているか、具体的にお示しいただきたいと思います。

○中川原参事 都の提案要求の内容でございますけれども、急性期を脱した後も医学的管理を必要とする高齢者が地域で安心して医療を受けることができ、医療療養病床を将来に向けて安定的に確保できるよう、二つの点につきまして具体的に要求してございます。
 第一点は、医療療養病床の入院基本料の評価水準を全体的に改善すること。第二点は、多様なニーズに対応した入院受け入れに対しまして診療報酬の評価を図ることとしてございます。

○橘委員 今、提案要求の内容を示していただいたわけですけれども、この医療療養病床が多様なニーズに対応した入院受け入れを行う場合の診療報酬の評価の充実を求めているというのが一つの趣旨だと思いますけれども、実際に、各医療療養病床が、多様なニーズに対応する、その機能を果たせるようにするということは、これは診療報酬そのもの自体の制度も当然必要でありますけれども、都としても独自に工夫していく余地が十分あるというその工夫の一つのあらわれだと思います。
 この多様なニーズという部分について、東京都が具体的にどのような支援策を現在講じているのか、お伺いします。

○中川原参事 都は、今年度、医療療養病床を有します医療機関が、急性期医療機関からの速やかな患者受け入れや、在宅療養患者等の症状急変時の対応、がん末期患者への疼痛コントロールなど、多様な症状の患者を受け入れられるように機能強化研修を新たに行うこととしてございます。

○橘委員 医療療養病床がさまざまなケース、今ありました形態のさまざまなケースであるとか、いろんな形態の患者を受け入れるような体制を組む、そのため、医療スタッフの機能強化研修を都が行うというのは、実質的に医療療養病床を持つ医療機関の運営を支援する一つの取り組みといえると思います。
 実際、私も耳にしているのは、在宅療養からこの医療療養病床に受け入れる体制を独自に地域で組んでいるとか、そういったお話も聞いておりますし、そういった工夫が、やはり当面の課題としては、それを充実させることが大事かなというふうに思います。そういう面での支援というのは、これから非常に大事になってくるなというふうに考えております。
 現在都がなすべきことは、医療療養病床の整備推進を引き続き国に働きかけていくとともに、急性期、回復期、いずれにおいても医療の提供体制、これを確保できるように、支援策を着々と構築しておくということは、これは非常に大事だと私は考えております。このことにさらに力を入れていただきたいということを要望して、質問を終わります。

○大山委員 この請願は、医療療養病床を持つ医療機関への運営費補助を求めるもので、後半に出てくる陳情は、国に対して介護療養病床廃止中止を求めるよう意見書を出してほしいというものです。医療療養病床も介護療養病床も切り離して考えるわけにいかないものですから、まとめて質疑したいと思います。
 療養病床をふやすことがどうして必要なのかということなんですけれども、東京保険医協会の皆さんが病院アンケートをしたんですね。そうしましたら、困っているということでは、退院先がないという意見が目立ったんですね。急性期と慢性期の二極化が進む中で、高齢者の受け入れ先の確保は難しいという意見などがたくさん出されています。
 また、一年以内に他県に転院等をしたケースがあったかという設問に対しては、十の病院のうち七病院があるという回答だったんですね。ないというのは三病院です。都内での受け入れ病院がないことが、他県に高齢者が、療養病床だとか、それから有料老人ホームなどを求めて出ざるを得ない、そういう状況をつくっているといわなければならないわけです。
 こんな状況にしてしまった原因をつくったのは国なわけですけれども、政府は療養病床廃止、それから削減計画について、どういう方針を示しているんでしょうか。また、具体的動きはどうなっていますか。

○中川原参事 平成十八年療養病床再編成の方針によりますと、介護療養病床を平成二十三年度末に廃止、医療療養病床は平成二十四年度末までに十五万床に削減。その後、平成二十年九月、高齢者の医療の確保に関する法律第八条第一項の規定に基づき定める計画、いわゆる国の医療費適正化計画でございますけれども、平成二十四年度末の療養病床数につきまして、平成二十年六月で確定している四十四都道府県の目標病床数の集計でございます約二十一万床としてございます。

○大山委員 今、厚労大臣は、介護型全廃の凍結は表明しているわけですけれども、政府としてはまだ具体的な動きにはなっていません。だから、都議会として意見書を出す必要があると考えています。ですから、この陳情はその趣旨です。
 東京都の人口または高齢者人口当たりの療養病床整備率は、全国都道府県では何番目ぐらいになっていますか。

○中川原参事 厚生労働省の平成二十年医療施設調査によりますと、療養病床の人口十万人当たりの病院病床数は、東京都は全国第四十四位、高齢者人口十万人当たりにおきましては四十位となってございます。

○大山委員 四十七都道府県しかありませんから、四十四位、四十位ということでは本当に最下位の、全国最低の水準だといわなければならないわけですが、少なくとも都内の療養病床は圧倒的に足りないということですよね。廃止とか削減どころか、ふやす必要があると。東京都は、療養病床をいつまでにどれぐらい整備すればいいと考えているんでしょうか。

○中川原参事 平成二十年三月策定の東京都医療費適正化計画におきまして、平成二十四年度末時点で、療養病床の病床数を二万八千七十七床とすることを目指してございます。

○大山委員 二万八千七十七床に二十四年度末時点で目指しているんだと。さっき質疑があった中で、この療養病床、三年間はどうなっているかっていったら、合計で、十九年は二万千六百五十床で、次の年が二万一千六百二十九床、それから二十一年は二万千五百八床ということですから、この三年間では、ふえるどころか百四十二床減ってしまっています。今年度までの三年間で、ふやすつもりが百四十二床減ってしまったんですから、三年間で六千五百六十九床ふやす必要があるわけですね。これは、新たな思い切った手だてをとる必要があることは明らかです。
 療養病床がふえない最大の理由は、診療報酬が大幅に引き下げられたことにあります。経済的に成り立たないわけですから、ふえるわけはありません。療養病床の診療報酬の改善を国に求めているということですけれども、どれぐらい引き上げる必要があると考えているんでしょうか。

○中川原参事 医療療養病床の診療報酬の評価につきまして、都は国に対しまして、高齢者医療の実態を十分に把握し検証した上で充実を図るよう要求しております。

○大山委員 充実を図るよう国に要望しているわけですから、必要性は認めているということですね。
 しかし、国に要求するというのであれば、まず東京都自身が高齢者医療の実態を十分に把握し検証した上で、国に上げてくれというふうにいっているわけですから、東京都自身が国に対していっている、高齢者医療の実態を十分に把握して検証する、それが当然じゃないんでしょうか。実態調査と検証、これ、東京都はやっていないんでしょうか。

○中川原参事 医療療養病床におきます入院費用は、診療報酬で賄われるべきものと考えておりまして、まず国が十分な評価を行うべきものというふうに考えてございます。

○大山委員 国もきちんと評価しなきゃいけないですけれども、国に求めるわけですから、きちんと、なぜ必要なのか、それからどれぐらい上げなきゃいけないのか、東京都が把握して要求する、それが必要じゃないでしょうか。本当にやる気があるのかということだと思うんですね。
 例えば、百床規模の療養病床で医療区分一の患者が六割いた場合、額にして、計算しますとおよそ数千万円、六千万円ぐらいでしょうか。率では一〇%もの減収になる計算です。国に求めるだけでなくて、国が引き上げるまでは東京都が運営費補助を行うこと、これ、必要なんじゃないんでしょうか。こんなに、こんなにも減収になるわけですから、ふえないわけですよね、療養病床。だからこそ、国が引き上げるまで、せめて東京都が運営費補助を行うのは必要じゃないんでしょうか。どうでしょうか。

○中川原参事 先ほどもお答え申し上げましたように、入院の費用につきましては、まず、診療報酬で賄うことが必要であり、国が十分な評価を行うべきだというふうに考えておりまして、都といたしましても、引き続き、都が診療報酬の評価の充実を図るよう働きかけてまいります。

○大山委員 診療報酬の充実はもちろん当然のことなんですよ。しかし、東京都の目標はふやそうと思ったのに、三年間で反対に百四十二床減っちゃったわけですよね。その中で、三年間で六千五百六十九床ふやすというのは、これはもう並大抵の努力ではないわけですよね。しかも、療養病床、ふえないということで、療養病床を抱えている病院だけが困っているわけじゃないんですよね。急性期の病院が困っているんです。救急医療が成り立たなくなると。療養病床の病院だけでなくて、みんなが困っているんです。
 東京都自身が、救急医療対策協議会報告、出していますけれども、そこでも、救急医療機関が救急患者の迅速な受け入れを図るためには、回復期リハビリテーションや療養病床、在宅医療など、急性期を脱した後の医療につながるスムーズな流れをつくることも重要である。こうやって、都みずからもいっているわけですね。ですから、本当に思い切って対応する、ふやすという、本気になってやるんだったら、直ちに運営費補助などの支援を都として実施することを改めて求めておきます。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立をお願いします。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第三七号は不採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、請願二一第四一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○住友保健政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、請願二一第四一号は、豊島区の東京社会保障推進協議会会長竹崎三立さん外九千三百五十四人の方から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、東京都において七十五歳以上の医療費の無料化を実現していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 都では、昭和四十四年から高齢者の医療費助成を実施してまいりましたが、平成十二年の都議会における議論を経まして、七年間の経過措置を設けた上で、平成十九年六月に制度を廃止いたしました。
 なお、国においては、七十五歳以上の者を対象とする長寿医療制度を見直すこととしております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○大山委員 七十五歳以上の医療費無料を求める請願ですね。この間の高齢者への社会保障の切り捨て、負担増は並みではない。一九六一年に国民皆保険制度が実現して、六十八年に国保の七割給付が完全実施され、都独自に高齢者の医療費助成の制度をつくって、七十三年に国の制度として老人医療費無料化となったわけですね。
 その後、八十三年には早くも老人保健法が施行されて、高齢者の定額負担が外来一月四百円、入院一日三百円、これが導入されました。
 その後は改悪に次ぐ改悪です。医療だけではなくて、年金は給付の削減、定率減税の廃止、それから介護保険導入で保険料の年金からの天引き、そして今度は、もう後期高齢者医療制度で保険料天引きです。社会保障は国でも削られる、そして東京都でも削られる。そして、高齢者の負担はふえる。だからこそ、後期高齢者医療制度を一刻も早く廃止してほしいという願いが、国会では、野党で後期高齢者医療制度の廃止を提案して、選挙前、可決されたわけですね。直ちに廃止してほしいという願いを込めて、総選挙では民主党を、世論は選挙では第一党にしたわけです。
 同時に、せめて七十五歳になったら医療費くらい無料にしてほしい、この世論、ますます高まっています。この請願は当然の要求だといえます。
 保険料は、後期高齢者医療制度の保険料、年金から天引きされていますから、有無をいわさないという状況ですけれども、窓口での医療費、これが大きな負担になっています。後期高齢者医療広域連合、七月に行われた臨時議会で、保険給付費ですね、これの実質減ということで、医療給付費の五百七十億円を減額補正しました。広域連合議会では、この減額補正に関して議論されています。何人かの議員から発言があって、意見が出ています。
 例えば、身近な医療機関でも七十五歳以上の受診の数が減っている事実があるとか、暮らしが大変で医療費の工面ができない状況が起こっているなど、共通の認識になったんですね。これに関して、東京都の認識、どうでしょう。

○宮垣地域保健担当部長 委員がおっしゃられました五百七十億円につきましては、広域連合で、制度創設初年度の平成二十年度の当初予算の保険給付費について五百七十億円の減額補正を行ったというふうに聞いております。
 これは、制度開始に当たりまして見積もりました被保険者数等と実績の差などによるものと聞いております。

○大山委員 そんなことをおっしゃっていますけれども、例えば日本医療政策機構というところが昨年の一月調査しているんですね。ぐあいが悪いにもかかわらず費用がかかるという理由で医療機関に行かなかったという人は、高所得層では一八%でした。しかし、低所得層では三九%、約四割の方が、費用がかかるという理由で、ぐあいは悪いけれどもお医者さんに行かなかったということですね。経済的な困難が、低所得者を医療から引き離している。高齢者は年金生活者がほとんどですから、高齢者を医療から遠ざけているということです。
 全日本民医連が、昨年八月に緊急患者動向調査を行いました。これは、後期高齢者医療制度実施直後について影響調査を行ったら、食費を切り詰めているとか生活費が圧迫されているなど、保険料や窓口一部負担金が生活を大きく脅かしていることが浮き彫りになったので、経済的負担が原因で必要な受診が抑制されていることを懸念して、緊急に実態を調査して公表することとしたと、そうなっています。
 実際の調査結果は、第一には、異常な受診抑制という考察をしています。それは、健康保険法の一部を改定し、高齢者の医療費自己負担について、定額制を廃止し一割負担、一定所得以上の人は二割負担とした二〇〇二年十月には、外来の受診延べ日数はマイナス四・四%でしたが、本調査、今回の調査での高齢者の、この前年同月比、外来はマイナス八・四七%に上って、定額制撤廃、一割負担導入のときに比べても、はるかに減少率が大きい、そういう結果でした。
 また、総日数、総件数の昨年度比減少は、一般においてもマイナス三%から四%見られ、物価高やたび重なる増税が国民生活に及ぼす影響ははかり知れないことがうかがえる、後期高齢者には、その上、さらに追い打ちをかけるように、年金からの保険料天引きが襲いかかる、介護保険料と合わせ、月額平均一万円もの金額が年金から天引きされている、保険料の強制天引きは、高齢者の生計費を直撃し、受診抑制を加速させていると考えられる、こう考察しています。客観的な調査でも、受診抑制は明らかではないんでしょうか。どう考えているでしょう。

○宮垣地域保健担当部長 長寿医療制度は、高齢者の方に対して必要かつ適切な医療を確保することを目的に創設されました制度で、東京都としては、高齢者に対して必要な医療は適切に提供されているものと考えております。

○大山委員 適切な医療が提供されていると考えていてもだめなんですよ。実際に調査をしたら、こんな異常な受診抑制があったんですよ。民間の、医療関係者の団体や、それからNPOの方たちが調査をしたら、明確に受診抑制が起きているんだ。東京都は、そんな考えているなんていっていないで、せめて高齢者への影響を調査する、それぐらいはやらないと、実態は把握できないんじゃないでしょうか。どうですか。

○宮垣地域保健担当部長 長寿医療制度の運営上の課題に関する調査などにつきましては、運営主体である広域連合において必要に応じて行うべきと考えております。東京都として独自に調査を実施する考えはございません。

○大山委員 本当に高齢者の命と健康をどう思っているのか。医療が適切に提供されているかどうかというのは、都民の皆さんが、高齢者が、本当に受診抑制が起きているのかどうか、それが東京都の福祉を増進させる、それから都民の暮らし、健康を充実させる、その自治体としての本当に基本的な役割じゃないですか。それを、広域連合がやるんだとか、提供されていると思っているなんていう思い込みじゃ進めちゃいけないと。だから、せめて調査ぐらいはきちんとしなきゃいけないということを指摘しておきます。
 経済的な問題で高齢者を医療から遠ざけることを自治体が行ってはならないわけですね。だからこそ、ことしから日の出町が七十五歳以上の医療費を無料にしました。日の出町は、全国からの視察が後を絶たないといわれています。それだけ全国から注目されているということですよね。七十歳を超えた高齢者が引っ越してきている、そんなこともあります。高齢者が安心できる暮らしを求めている、そういうことではないんでしょうか。日の出町だけではなくて、石川県川北町も、ことしの七月に七十五歳以上の医療費無料化の条例が可決されて、来年の一月から実施予定となって、自治体独自に七十五歳以上の医療費を無料化する自治体がふえ始めたということです。
 日の出町と川北町、この両自治体に共通するのは、医療費無料化だけが単独に存在するのではなくて、住民の暮らしを総合的に支えているということです。
 日の出町は、日の出町発長寿化対策、日本一お年寄りに優しいまちづくり宣言も行って、健康教室やスポーツ教室の開催、人間ドック受診の無料化などとともに七十五歳以上の医療費無料化が実施されているんですね。
 川北町は、昨年まで国民健康保険税率を二十七年間上げなかったこと。それから、子どもの医療費助成を全国に先駆けて中学卒業まで拡大したこと。石川県などが介護慰労金を廃止する中で、単独事業で、月五万円の支給を継続していること。訪問介護、訪問入浴の無料化を実施していることなど、これまでも先進的な取り組みを実施してきました。その上に、七十五歳以上の高齢者の医療費無料制度の実施なんです。
 高齢者が安心して暮らせる東京をつくることが、自治体としての役割ではないんでしょうか。どうですか。

○宮垣地域保健担当部長 高齢者の医療費制度についてでございますが、現在、国において高齢者の医療制度のあり方について検討しているところでございます。
 高齢者の医療制度、当然、社会保障の根幹をなすものとして、都としては、国の検討の状況を見守っていくということにしております。

○大山委員 高齢者が安心して暮らせる東京をつくる、それは、もう医療費無料なんていうのは世界では常識なわけですよね、高齢者だけじゃなくて。そこまで普通なわけですよ。医療費無料にすること、国の社会保障の根幹ですから、もちろん国がきちんとやればいいんですけれども、その前にも、日の出町だって川北町だってやっているわけですから、東京で実施するということは、もう何をはばかることもないと。
 例えば、私もそうだなと思ったんですけれども、八十歳の男性に聞きましたら、その人、ずっと元気だったんですって。七十歳近くになって、初めて歯医者に行くようになったんですね。元気だった自分が、やっぱり加齢に伴って腰が痛くなって、ついこの間は、腰と左足とが痛くて立てなくなっちゃったんだというんですよね。前立腺だとかで、夜中に何回も起きるようになったり、年を重ねることによって体のあちこちにどっと悪いところが出てくるんだというんですよね。
 これは、加齢に伴うことですから当たり前のことで、だからこそ安心して医療にかかれることが求められているといえるわけです。本当に東京都が自治体としての、都民の福祉や医療を増進させる、その役割をきちんと果たす上でも、この請願はぜひ採択することを主張します。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立をお願いいたします。
   〔賛成者起立〕

○門脇委員長 起立少数と認めます。よって請願二一第四一号は不採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、陳情二一第一六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○永田生活福祉部長 整理番号3、陳情二一第一六号、都の施設に付属する駐車場の運営管理に関する陳情は、品川区の柴谷健さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都の施設に附属する駐車場において、満車時に身体障害者専用駐車枠へ一般車両を率先して駐車させる運営管理を見直していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 東京都福祉のまちづくり条例に基づく施設整備マニュアルにおきましては、障害者用駐車施設の設置に当たりまして、一般駐車用スペースと区分するため、駐車スペース床面への国際シンボルマークの塗装表示や標識の設置などを求めております。
 また、一般の車両が駐車するのを避けるため、障害者専用である旨の表示をすることとしております。
 陳情にあります大井ふ頭中央海浜公園の障害者用駐車施設におきましては、満車時に一般車両を駐車させていた件につきましては、所管する港湾局が、駐車場の管理者に対しまして直ちに是正させるとともに、職員への指導を徹底しております。
 その他の都立施設の障害者用駐車施設につきましても、障害者用駐車施設における適切な管理運営につきまして、改めて周知を図ったところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いします。

○大山委員 意見だけ述べます。
 この陳情、車で行動することが不可欠な障害者が、その車の駐車に困るということはあってはならないことだと思ってます。是正させる--もうさせたんだということですけれども、どうして是正させることが必要なのかということも含めて、きちんと学習できるようにしていただければと思ってます。
 この中には、理由の中に、さまざまな改善要望等もあるようですので、当事者の団体などとも含めて話し合って、改善できるようにしていっていただきたいということで、意見を述べました。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第一六号は趣旨採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、陳情二一第二九号、陳情二一第三〇号及び陳情二一第三七号は関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○永田生活福祉部長 陳情三件でございます。譲り合いマーク制定に関する陳情でございます。
 整理番号4、陳情二一第二九号、優先席「譲り合い統一マーク」制定に関する陳情は、小平市の東京都パーキンソン病友の会会長清徳保雄さんから、整理番号5、陳情二一第三〇号、譲り合いマークの制定と優先席の活用に関する陳情は、世田谷区の全国パーキンソン病友の会会員斉藤恒孝さんから、整理番号6、陳情二一第三七号、優先席「譲り合い統一マーク」制定に関する陳情は、新宿区の社団法人東京都身体障害者団体連合会会長八ツ橋經明さんから提出されたものでございます。
 初めに、整理番号4についてでございますけれども、陳情の趣旨は、都において、福祉のまちづくりに即し、優先席を譲り合いマークで有効活用していただきたいというものでございます。
 次に、整理番号5についてでございますが、陳情の趣旨は、都において、公共交通機関の優先席使用を望む者のために、譲り合いマーク(直径五センチメートル程度で、感謝の気持ちを入れることのできる美的に統一的なデザインのもの)を公募の上決定し、これを尊重するように都民のモラルアップ運動として普及啓発を図り、公共交通のモデル都市となるよう努力していただきたい。また、必要に応じ周辺都市との連携を図っていただきたいというものでございます。
 続いて、整理番号6についてですが、陳情の趣旨は、都において、交通機関の優先席の有効活用を譲り合いマークにより定着していただきたいというものでございます。
 以上の三件の陳情につきまして、まとめて、現在の状況をご説明申し上げます。
 福祉のまちづくりは、行政、都民、事業者が理解と協力のもと、互いに協働して推進していくものでございます。心のバリアフリーの推進につきましても、都はユニバーサルデザイン福祉のまちづくり事業等により、区市町村の取り組みを支援するとともに、地域において普及啓発等に取り組む都民や事業者等に対しまして、福祉のまちづくり功労者として知事感謝状の贈呈も行っております。
 また、民間団体の策定した各種障害者マーク等については、局の広報紙や、あるいは都の広報紙など、ホームページなどにおきましても周知を図るとともに、毎年十二月初めの障害者週間でございますけれども、これらにおいても普及に努めているところでございます。
 さらに、陳情にございます交通機関におけます優先席の利用マナー向上を初めといたしまして、他者を思いやる優しい心を醸成するため、福祉のまちづくりシンポジウム、ユニバーサルデザインのまち東京フォーラム二〇〇九などにおいて、優先席や内部障害などに対する理解促進を図っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 それでは、本件について発言をお願いいたします。

○斉藤委員 それでは、陳情二一の第二九、三〇、三七号について、一括して幾つか質問をさせていただきます。
 この三つの陳情につきましては、それぞれ文言は違っていても、趣旨としては、障害がある方に対して、ある程度配慮をしていく、譲り合っていこうということをもっと多くの都民の方にご理解をいただいて、そしてまた的確な譲り合いをしてほしいというところが大きな共通点だと思います。
 東京都の方の説明の中では、複数の譲り合い目的のマークの認識について、それぞれに対する所見というのは余りなかったわけですが、これらは若干の目的の差異によってはマークが異なっておりまして、それぞれ一般の都民の認知にはかなり差があるというふうに思われます。
 例えば、一般的に国際規格で知られている青字に白抜きの車いすのマークなどについては、自動車などに張ってあるほか、ほかにもいろいろ使えているわけなんですが、比較的認識がされているとは思います。ただ、実際には、車について日本の中で使われているマークはほかにもございまして、白地にたしかクローバーのマークが入った、四葉のクローバーのマークが入ったものなど、かなり目的は似てるんですが、マークとして違っているものもあります。
 また、同じ障害があるといっても、内部障害、特に心臓疾患をイメージするような心臓疾患を中心とした内部障害に対するマークも、心臓がわかるような人間の形をしたマークだったり、もしくは耳の聞こえない方にチョウチョウの形をしたマークがあったり、かなり目的によってマーク自体がそれぞれ違っておりまして、また、恐らくこれに対して、ぱっと見て一般の人がわかるという認識については、かなり差異があるんではないかというふうに思われます。
 東京都としては、それぞれのマークに対する認知や使い分けについて、都民の認識には差があるかどうかということについてどういうふうに考えているのか、そこの所見を確認したいと思います。

○永田生活福祉部長 シンボルマークにつきましては、障害のある方が利用しやすい建物や公共輸送機関であることを示します、先ほどお話のありました障害者のための国際シンボルマークや、これもお話がございました内部に障害や疾患のある方をあらわすハート・プラスマークなど国際的に定められたものや、法律に基づいているもの、それから障害者団体が独自に提唱しているものなど、目的や対象、経緯などによりまして、さまざまなものがつくられてございます。また、障害者だけではなくて、妊産婦への思いやりを呼びかけるマタニティーマークなどもつくられてございます。
 それぞれのシンボルマークに対します認知度数につきましては、国も都も特段、把握をしているわけではございませんけれども、マタニティーマークにつきましては、マークの普及を推進する財団法人母子衛生研究会がマークを受け取った妊婦に実施したアンケート調査によりますと、役に立ったというふうにお答えになられた方は五一%であったというふうに聞いております。

○斉藤委員 今の答弁の中で、マタニティーマーク、それ自体をどのくらいの人が、何%の人が知っているかという部分については調査がなかったということですが、一方で、マタニティーマークをつけた人から、マタニティーマークがあったおかげで、何かほかの人からのアプローチが違ったということで、多分、役に立ったという方が五一%いらっしゃるというふうなことで理解ができるかと思います。
 ただ、聞いたところによると、もうちょっと普及には時間がかかるかなというふうなことで、マタニティーマークの普及促進をしたらしいんですが、比較的、認知が割と早かったのかなというふうな感想も聞いております。ただ、まだまだ五一%ですので、やはりだれでもが役に立ったというふうな感想が持てるようなところまで目標にして、広報していくということが重要かと思います。
 今回、陳情としては、統一をしてほしいというアイデアが出ております。もちろんどのあたりに統一をするのかという部分はなかなか難しいところだと思うんですが、この統一を仮に行った場合に、今までの東京都のいろいろな経験から、統一してしまったことによって、例えば明確な不便や課題が生じるというふうなことが今までの経験から考えられるかどうかというのがちょっと気になるところなんですが、明確な不便や課題が生じると考えるのか、所見を伺います。

○永田生活福祉部長 先ほどお話をしました障害者のための国際シンボルマークについてでございますけれども、これは昭和四十四年に提唱をされまして、すべての障害者を対象としてございます。絵が車いすをあらわしているために、車いすを利用する障害者のみを対象としたものと誤解されることがございまして、その後、昭和五十九年になりますけれども、世界盲人連合が盲人のための国際シンボルマークを制定するなど、新たなシンボルマークがつくられてきているところでございます。
 このように、複数のシンボルマークが生まれました背景には、それに至ったさまざまな理由がございます。既に代表的なものだけで十近くございますシンボルマークに加えまして、また新たに今回、マークを策定するということなりますと、さらにまた認知に時間を要することになろうかというふうにも考えてございます。
 また、仮に統一マークを策定する場合には、各団体の意向を十分に踏まえまして、策定についての努力をしていく必要があろうかというふうに思います。
 都といたしましては、各団体が策定をいたしまして、これまで普及に努めてきましたシンボルマークを尊重いたしまして、マークの趣旨を広めていくことが大切ではないかというふうに考えてございます。これら既存のシンボルマークを活用しながら、交通機関の優先席などにおける内部障害者などへの思いやり、譲り合いがより一層進むよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○斉藤委員 なかなか今までの経緯からしてみて、東京都としては、各団体、それぞれ工夫と苦労を重ねた上でのマークということで、なかなか簡単に統一というふうないい方は難しいかと思います。ただ、実際にやっていく中で、かえっていろいろ種類があることによってわかりづらいということもまた事実なのかなと思いますので、このことについては、陳情者がいうように、統一であれば、例えば、デザインのすべてが同じということも不便でない場合もありますので、ただ、全体的に統一されているような規格の中でつくっていくということが、今後も多分その一つの方法として考えられるんじゃないかと思います。
 ただ、一方で、シンボルマークも含めて、広報活動のところに対して一番いい選択をしてもらうと、一番いい方法を行っていくということが一番重要でありますので、その中で統一ということが可能であり、また同時にそのことがメリットが大きいということであれば、しっかりとそちらの方に進んでいただきたいと思います。ただ、こういったことに対してはいろいろな都民の感覚なども踏まえて、研究を都にはさらに重ねていただきたいというのが率直な意見であります。そのことを踏まえて、意見も踏まえて質問を終わらせていただきます。

○早坂委員 交通機関の優先席は、高齢者や障害者、妊産婦など、安全上、車内で座ることが必要な人のためのものです。しかしながら、現実には優先席に座り、携帯電話のメールに興じる人、目の前にマタニティーマークをつけた妊婦の人が立っていても、席を譲らず寝たふりをする人など、優先席の意味を全く理解していないという人も数多く見かけます。
 このため本来優先されるべき人が利用できないということが頻繁に起きています。高齢者や妊産婦など、見た目でわかる人に対してもこのような状態であるので、外見からはわかりにくい内部障害をお持ちの方は、なおさら利用できない状況にあると想像されます。陳情者のような内部障害をお持ちの方は、優先席を譲ってもらえないだけではなく、優先席に座ると周囲から冷ややかな目で見られるなど、さまざまな誤解を受けることがあると伺っております。
 東京都が進める福祉のまちづくりは、条例改正などにより、これまでのバリアフリーから一歩進め、ユニバーサルデザインへと踏み出しております。高齢者、障害者、妊産婦、子ども、あるいは外国人など、すべての人が東京のまちを安全、快適に行き来できるようにすることがユニバーサルデザイン都市としての東京のあるべき姿ではないかと考えます。
 都民の身近なところで、こうした障害をお持ちの方への理解を促進することは、東京の福祉のまちづくりを進める上でも非常に大切であると考えます。ご見解を伺います。

○永田生活福祉部長 東京におきます福祉のまちづくりは、鉄道駅におけるエレベーター等の設置や、ノンステップバスの導入、そして、歩道の整備など、お話のように、ハード面でのバリアフリー化が進んできた状況がございます。その一方で、電車やバスなどの車内に目を転じますと、今お話がございましたように、優先席において、高齢者や障害者など、本来、優先されるべき方々が利用できずにいるという状況も散見されるところではございます。
 特に、内部に障害や疾患のある方々は、障害の部位や状態などが外見ではわかりにくいというようなところから、周囲の方々から障害や疾患があると認識されずに、お話にあったように、席を譲ってもらえない、優先席に座ると、周囲から冷ややかな目で見られるといったような誤解が生じるというふうにも伺ってございます。
 福祉のまちづくりは、段差解消などのハード整備面だけではなくて、こうした障害をお持ちの方々への理解促進などのソフト的な面への取り組みも不可欠であるというふうに考えてございます。

○早坂委員 ユニバーサルデザインに基づく福祉のまちづくりは、ハード整備だけでなく、ソフト的取り組みも不可欠だということであります。
 都議会自民党としても、ソフト的取り組み、心のバリアフリーを推進する取り組みを、より一層進めるべきと認識しています。今後も東京都は、これに積極的に取り組んでいくべきであります。ご見解を伺います。

○永田生活福祉部長 都はこれまでも、広報紙やホームページ等を活用いたしまして、都民に対して、障害などに対する理解を深める取り組みを進めてまいりました。本年改正いたしました福祉のまちづくり条例は、ユニバーサルデザインの理念に基づくハード、ソフト一体的なまちづくりを進めていくものでございまして、障害をお持ちの方など、だれもが自由に移動でき、積極的に社会参加できるまちづくりを目指してございます。
 今後とも、障害者団体や事業者団体などの関係団体や、福祉のまちづくり推進協議会などの皆様方からのご意見も伺いながら、他者を思いやる優しい心の醸成など、ソフト的な面、とりわけ心のバリアフリー実現に向けて、都民に対するより一層の普及啓発に取り組んでまいります。

○野上委員 同じく陳情二一第二九、三〇、三七号について質疑をさせていただきます。
 この三つの陳情はほぼ共通した内容でありますので、東京都において、福祉のまちづくりに即して、交通機関の優先席を譲り合いマークで有効活用してほしいという内容です。
 その中で、特に陳情第二一第三〇号の斉藤さんの陳情の中には、この譲り合いマークを公募の上に決定し、これを尊重するように、都民のモラルアップの運動として普及啓発を図ってもらいたい、それと、東京都が公共交通のモデル都市となるように努力をしていただきたい、そして、必要に応じて周辺都市との連携を図っていただきたいというものになっております。
 東京都が本年三月に策定をいたしました東京都福祉のまちづくり推進計画におきましても、石原知事はその中で、東京の駅のホームには、エレベーターやエスカレーターの設置が進んでいます。まちにはノンステップ化した路線バスが多く見られるようになり、歩道の段差解消や視覚障害者向けの誘導ブロックの設置も進んでいます。しかし、福祉のまちづくりは、こうしたハードの整備だけではなく、すべての人があらゆる場面で必要な情報を多様な手段で入手し発信できる情報のバリアフリー化など、ソフト的な取り組みも不可欠です、そういうことを書いておられます。ユニバーサルデザインの先進都市東京を目指していくと強く主張されております。
 しかし、でも現実の場面では、まだまだ厳しいものがあります。実際の電車の中で、先ほどの早坂理事の話にもありましたけれども、高齢者や障害者、赤ちゃんをだっこしている婦人が優先席の前に来ても、席を譲らない場面に出くわすことがあります。とても腹が立ちます。また、優先席でも平気で携帯メールを打っていたりすることなど、日本の厳しい現状を目の当たりにすることがございます。
 ユニバーサルデザインの教育をしっかりと行っている諸外国と比較をしてみますと、日本の義、義侠心、そういったものはどこに行ったのだろうかと感じることが多い昨今でございます。
 まず最初にお聞きいたしますが、身体障害者のうち、内部障害の方の割合はどれくらいでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 平成二十年度末の身体障害者手帳の交付総数は、四十三万九千五百件でございますが、このうち、ご質問の内部障害者は十一万六百十三件で、全体に占める割合は二五・二%となっております。

○野上委員 内部障害者の方が二五・二%いらっしゃるということで、約四分の一だと思います。聴覚障害の方も含めると三四・九%で、身体障害者のうちの約三分の一の方は、外見から見るとよくわからないと。どこにどういう障害があるのかがよくわからないという実態がございます。こうした数字にあらわしてみると、内部障害者の方の割合は非常に多いわけでございます。また、身体内部に障害がある場合は、外見からはわかりにくいため、さまざまな誤解を受けることがあり、ご苦労があると思っております。
 そこで、ここで改めて、福祉のまちづくりの推進計画における東京都の考え方をお伺いいたします。

○永田生活福祉部長 福祉のまちづくり推進計画は、すべての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることができるまちづくりを計画目標といたしまして、だれもが円滑に利用できるバリアフリー化や、安心・安全に暮らせる地域社会など、五つの柱に沿ったハード、ソフト両面から成る百十二の事業で構成をされてございます。ハード整備だけではなくて、情報のバリアフリー化など、ソフト的な取り組みも重視をいたしまして、東京に暮らし、訪れるすべての人が、安心・安全、快適に過ごすことができるまちづくりを進めてまいります。

○野上委員 最後のところがすごく大事で、東京に暮らしている人、また東京を訪れるすべての人々が、東京に来て、非常に東京は快適に過ごすことができるまちなんだなというような認識を持って帰っていただけると。でも私たちは東京に暮らしているわけで、普通に日常生活を送っているので、そういう感謝の気持ちがだんだん減っているかもしれないんですけれども、それでも、この東京ってすばらしいなと思えるような対策を練っていくことが大事ではないかと思っております。
 前回の厚生委員会におきまして、我が党の橘議員より、この内部障害に関する質疑をさせていただきました。その中で、東京都からは、内部障害をあらわすハート・プラスマークを含めたシンボルマークの普及啓発に引き続き取り組んでいきますという答弁をいただきました。このハート・プラスマークの利用に当たり、必要な手続は要るんでしょうか。

○永田生活福祉部長 ハート・プラスマークは、特定非営利法人ハート・プラスの会が策定をいたしました内部障害や内部疾患のある方をあらわすマークでございます。団体のホームページからデザインを自由にダウンロードできるようになってございます。利用に当たりまして、特段の手続等は必要ないというふうに考えてございます。

○野上委員 ハート・プラスマークの利用に当たっては自由に使ってよいと、自分でダウンロードして使ってよいということですよね。
 今回陳情されている方のように、内部障害者の方にとって、交通機関などの優先席で席を譲ってもらえないということは大変つらいことだと思っております。優先席、このマークですね、ハート・プラスマークの表示があっても、これは何の意味なのか、都民の理解が得られなければ、なかなかその意味をなさないわけでございます。交通機関における優先席の利用マナー向上に向けた取り組みも大切であると思いますが、そのことについて見解を伺います。

○永田生活福祉部長 都はこれまでも、民間団体等が作成いたしました障害をあらわすシンボルマークにつきまして、ホームページや毎年十二月の障害者週間などにおいて普及に努めてまいりました。
 今後ともハート・プラスマークを含めましたシンボルマークの周知に取り組みますとともに、交通機関における優先席の利用マナー向上に向けまして、福祉のまちづくりシンポジウムなど、さまざまな機会を活用いたしまして、都民の障害者などに対する理解や思いやりの心の醸成に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○野上委員 さまざまな交通機関で、この民間団体が作成したシンボルマークについて普及啓発に努めてきたといわれておりますが、いろいろ調べてみますと、十六の交通機関の中で、都営交通なんですが、新宿線、浅草線、大江戸線、三田線は、どの路線にもこのハート・プラスマークは掲載をされていないんですね。例えばこれからなんですけれども、交通局と協議をして、こうしたマークを積極的に取り入れていこうとか、そういう協議会を持つとか、そういうようなハート・プラスマークの普及推進についても、積極的に行っていただければなということを要望しておきます。
 もう一つ、例えばマタニティーマークというのは、平成十八年度に、これは賛同していただいた十六の鉄道事業者さんが、マタニティーマークの周知ポスターの掲示をしたり、このマタニティーマークの無料配布をして、徐々に普及をしてきた政策なんです。これは前の政権のときに、うちの党の、公明党の女性国会議員が中心となって推進をして、厚生労働省と国土交通省が後援をして進めてきた事業なんですね。ぜひ同様に、このハート・プラスマークの推進をしていただければと思っております。
 東京都が中心となってこういった事業を進めていく意義というのはもう一つございまして、首都圏の鉄道利用者が、大体約四千万人が鉄道を利用しているということで、全国の約三分の一の方が首都圏に集中しているということです。ですから、東京発全国ということで、こうした制度が普及をしていくといいのかなというふうに思っております。
 それからもう一つ、障害者用駐車スペースにとめたいという、希望していることがございます。体の内部に障害があるわけですから、聴覚障害同様、外見でなかなか判断しにくいと。そのために、やはり誤解を受けることが多いということがあります。
 先日、私の体験なんですけれども、海ほたるというところに初めて行きまして、すごい込んでおりまして、一日千円になったということで、すごいずらっと並んでいて、なかなかとめられないんですね。そのときに、若いお兄ちゃんが障害者マークのところの駐車場に、先を抜いて車でぴやっととまったわけですね。私も自分であいているところにやっととめて、どういう人がとめたんだろうと思って見に行ったら、やっぱり若い人のところにハート・プラスマークが置いてあったんですよ。それで、これは内部障害の人かなと思ったことがついつい最近ありました。車いすを使っている人だけが障害者ではないわけで、こうした内部障害の方々に優先者スペースの使用は許可されているのか、お伺いいたします。

○永田生活福祉部長 障害者用の駐車施設は、床面に障害者のための国際シンボルマークが描かれてございます。これはすべての障害者を対象としておりまして、当然ながら、内部障害をお持ちの方々も利用できるものでございます。

○野上委員 ぜひ内部障害の方々も、そういう優先者スペースを利用していただいて、活動していただければと思っております。
 いよいよ二〇二五年には、六十五歳以上の人が三人に一人の割合になる時代が来るわけです。今からしっかりと、このユニバーサルデザインのまちづくりを進めていき、障害を持つ人に我慢や気遣いを強いることのない社会を築いていくことが大事であると思っております。
 その意味で、先ほどの答弁にありました福祉のまちづくりのシンポジウムを行うなど、さまざまな機会を通して、都民の障害者や高齢者に対する理解、思いやりの心を育てていくことが大事だと思います。
 これで質問を終わります。以上でございます。

○大山委員 意見だけ述べます。
 この公共交通機関の優先席の状況というのは本当になかなか大変な状況で、それぞれの陳情の理由のところに書いてあるような状況が日々起こっているというのも、私もそういう状況だと思っています。その一方で、若い方が、すっとさりげなく譲ったりすると本当にうれしいと思うわけですけれども、やはりきちんと、優先席がどうして必要なのかとか、今、お話ありましたように、ペースメーカーのこととか、内部障害の皆さんとか含めて、やはりきちんと周知していくというか、学習できるようにしていくというのが重要だと思っています。
 陳情は、もう本当に実情に基づいた切実な陳情だと思いますので、ぜひ支持したいと思っています。その公募するなどということを行いながら、やはり都民の皆さんに話題を提供する中で、趣旨が伝わったり、話題になったりすることが重要だと思いますので、進めていっていただければと思います。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、陳情二一第二九号をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第二九号は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、陳情二一第三〇号をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第三〇号は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、陳情二一第三七号をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第三七号は趣旨採択と決定いたしました。

○門脇委員長 次に、本日最後でございますが、陳情二一第五八号を議題といたします。理事者の説明を求めます。

○狩野高齢社会対策部長 整理番号7、陳情二一第五八号、介護療養病床中止等を求める意見書採択等を求める陳情は、新宿区の東京保険医協会会長塩安佳樹さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において次の事項について実現していただきたいというものでございます。
 内容について順にご説明いたします。
 まず、第一項でございますが、介護療養病床廃止の中止を求める意見書を政府に提出することというものでございます。
 次に、第二項でございますが、必要な医療、介護の提供と看護従事者の安定的な確保ができるよう、介護報酬、診療報酬の引き上げを求める意見書を政府に提出することというものでございます。
 次に、第三項でございますが、都民が安心して暮らせるように、医療、介護、福祉施設及び在宅医療の基盤を整備することというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、まず第一項でございます。介護療養病床については、健康保険法等の一部を改正する法律の施行により、平成二十四年三月三十一日をもって廃止が決定されております。ただし、都では、療養病床について、急性期医療を終えた後も医学的管理が必要な患者、医療の必要な要介護高齢者が安心して療養生活を継続するための場として、二万八千七十七床を確保することとしております。
 また、国に対し、既に医療療養病床にかかわる診療報酬と療養病床の転換先である介護療養型老人保健施設等の介護報酬の充実等について提案要求をしております。
 次に、第二項でございますが、平成二十一年四月の介護報酬改定においては、全体で三%の介護報酬の引き上げがなされ、都が提案していた事項の一部については実現したものの、改善されていない部分がございます。このため都では、既に国に対し、次期介護報酬の改定に当たっては、介護人材の定着、確保を図るとともに、良質な介護サービスの提供と健全な施設運営が成り立つ報酬改定とすることなどを提案要求しております。
 次に、第三項でございますが、介護基盤の整備について、都は、介護保険の保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、多様な手法を活用しながら計画的な整備に努めるとともに、地域密着型サービスの整備についても独自の補助を行うなど、区市町村を積極的に支援しております。
 また、在宅医療の推進に当たっても、在宅医療ネットワーク推進事業の実施や区市町村包括補助事業を活用した区市町村の取り組みに対する支援等により、基盤整備に取り組んでおります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○新井委員 この陳情の要旨は、平成十八年に、いわゆる医療制度改革関連法の成立により、介護保険適用の介護療養病床を廃止するとともに、医療療養病床についても削減されることが決まったことから、今後、介護難民や医療難民が発生するのではないかという不安があるため、介護療養病床の廃止について、その中止を求めるために提出したものだと考えています。
 そこで、医療制度改革の一環である療養病床の再編成について、改めてその趣旨をお伺いします。

○狩野高齢社会対策部長 医療制度改革の一環である療養病床の再編成についてでございますが、平成十八年十月の時点では、療養病床は、全国において医療保険適用の医療療養病床が二十三万床、介護保険適用の介護療養病床が十二万床、合わせて三十五万床ございましたが、両者の入院患者の状況、例えば医療区分ごとの患者割合などに大きな差は見られず、両者の役割分担が明確ではございませんでした。
 そこで、国は、療養病床を医療の必要性の高い患者を受け入れるものに限定して、医療保険で対応するとともに、医療の必要性の低い患者については、介護施設や居住の場などで受けとめることとし、利用者の実態に即したサービスの提供や人材の効率的活用、医療、介護の総費用の減少を図ることを目指すこととし、具体的には、介護療養病床を平成二十三年度末に廃止し、医療療養病床は平成二十四年度末までに十五万床に削減する方針を示したところでございます。
 その後、国は、平成二十四年度末においても、医療療養病床と介護療養病床の転換先でございます、介護療養型老人保健施設などの介護施設との合計で三十五万床を確保することとし、療養病床の再編成に当たっては、病院を閉鎖するのではなく、円滑な転換を進めることによって、入院している方々の追い出しにつながらないようにすることとしております。
 なお、国の医療費適正化計画では、平成二十四年度末の療養病床数を、平成二十一年の六月で確定しております四十四都道府県の目標病床数の集計である、約二十一万床としてございます。

○新井委員 民主党は、医療政策の考えとして、現在の療養病床は居住施設等への転換を図りつつ、いわゆる社会的入院への対応も含めて、総枠三十八万床の療養病床を維持していくものであると考えています。
 一方、政権がかわり、現在の長妻厚生労働大臣は、療養病床の再編成について実態調査を実施した上で、今後の方針を示していく旨の発言を聞いています。したがって、そのような国の動向や都の提案要求の結果などを注視しながら、引き続き高齢者への必要な療養病床を確保していくことが必要であると考えています。
 さて、要旨第三項で、都民が安心して暮らせるように、医療、介護、福祉施設及び在宅医療の基盤を整備することが述べられていますが、これに関連して、在宅医療の基盤整備にかかわる意見を述べさせていただきます。
 都民が安心して暮らせるようにするためには、療養病床の確保だけでなく、在宅医療の基盤整備が重要だと考えています。
 都は、今年度、在宅医療拠点病院モデル事業として、都内四カ所で在宅療養を支える地域連携の推進を実施しています。このモデル事業は、モデル病院が在宅療養患者の緊急一時入院を受け入れながら、患者の在宅医療を担う医師、看護師、介護職などとともにケースカンファレンスや合同研修などを行う中で、地域全体で在宅療養生活を支えるために、より緊密な連携関係を構築するためのモデル事業です。
 都内四カ所のうち、一カ所が私の地元、日野市の日野田中病院です。安心できる在宅生活には、緊急一時受け入れをしてくれる病院の存在は重要であると考えています。日野田中病院でも、緊急一時受け入れのためのベットを常時二床確保しているということでした。しかし、実際にモデル事業として始めてみますと、事業構想どおりにはいかないことがあるということでした。
 例えば、緊急一時受け入れをするためのベットをあけるということは、診療報酬の低い療養病床にとって、経営的に大変厳しいということです。田中病院にお伺いしたところ、診療報酬の低いままでは、療養病床の病院で緊急一時入院の受け入れを積極的に行えるところはなかなかふえないのではないかということでした。やはり、診療報酬改定で療養病床の役割を評価し、点数を上げることが必要です。
 また、私の地元クリニックの院長は、今回のモデル事業は、いかにその事業への賛同をしていただく地元病院をふやすかがポイントだと述べていました。また、病院間で連携を図り、モデル事業が展開するように、現場の意見を聞き、さらに議論をしていくことが重要だという意見をいただきました。
 事業を進めていく上で、課題は次々と出てくるのは当然だと思います。モデル事業だからこそ、むしろ課題や問題点を地域の声としてきめ細かく集め、事業に合った基盤整備ができるように取り組み、住民が真に安心できる在宅医療の実現を目指していただきたいと思います。
 以上、基盤整備に関連して、在宅医療の基盤整備にかかわる意見を述べさせていただきました。これで私からの質疑を終わらせていただきます。

○大山委員 質疑は先ほどしましたので、意見書について、ちょっと意見だけ述べます。
 先ほどもあったように、厚労大臣は介護型全廃の凍結を表明しましたけれども、政府としてはまだ具体的な動きになっていない。だから、こういうときだからこそ、都議会からも応援するような意味で、やはり意思を示す、意見書を出すというのはタイミングではないかということで、ぜひ採択していただきたいと思います。

○門脇委員長 ほかに意見がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二一第五八号は継続審査といたします。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、その旨ご了解ください。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十二分散会

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