厚生委員会速記録第十号

平成二十一年九月十六日(水曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長門脇ふみよし君
副委員長野上 純子君
副委員長吉田康一郎君
理事早坂 義弘君
理事斉藤あつし君
理事三原まさつぐ君
栗林のり子君
柳ヶ瀬裕文君
新井ともはる君
佐藤 由美君
橘  正剛君
山加 朱美君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長庄司 貞夫君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
参事枦山日出男君
参事角田由理子君
参事大久保さつき君
参事中川原米俊君
参事飯塚美紀子君
参事熊谷 直樹君
参事別宮 浩志君
参事中谷 肇一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
契約議案の調査
・第百三十六号議案 東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百三十二号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百三十三号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・第百四十一号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
・第百四十二号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
・第百四十三号議案 折り畳み式簡易ベッドの買入れについて
・第百四十四号議案 個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・都立母子生活支援施設及び都立婦人保護施設の民間移譲について
・都立身体障害者更生施設の民間移譲について

○門脇委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを明日の理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○門脇委員長 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十一年九月十五日
東京都議会議長 田中  良
厚生委員長 門脇ふみよし殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百三十六号議案 東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修工事請負契約
2 提出期限 平成二十一年九月十七日(木)

○門脇委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の契約議案の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会におきまして、紹介できませんでした幹部職員について、安藤福祉保健局長から紹介があります。

○安藤福祉保健局長 それでは、過日の厚生委員会を欠席いたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 障害者国際スポーツ担当参事別宮浩志でございます。障害者医療担当参事熊谷直樹でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○門脇委員長 紹介は終わりました。

○門脇委員長 次に、契約議案の調査を行います。
 第百三十六号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○山加委員 第百三十六号議案に関しまして、何点かお伺いをさせていただきます。
 私は、平成十八年の第四定例会で、当時は強毒型の鳥インフルエンザでしたが、新型インフルエンザの発生に備え、専門家や技術者は総力を結集して取り組むべきであり、そのためには、健康安全研究センターの機能を健康危機管理の拠点として整備すべきであることを主張いたしました。
 そこでまず、健康安全研究センターの整備に向けたこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○中谷参事 東京都健康安全研究センターの整備状況についてでございますが、新型インフルエンザを初めとする新たな感染症の脅威や食中毒の発生など、都民の健康危機に迅速的確に対応できる体制を整備するため、平成十九年に基本構想を策定し、同年、基本計画を公表いたしました。平成二十年には基本設計を行い、本年六月には実施設計を完了いたしました。
 これまで二回の住民説明会を開催し、地域住民のご理解を得ております。早ければ年内に工事着工を予定しております。

○山加委員 健康安全研究センターは、ただいまご答弁いただきましたように、地域住民の理解のもとに、その整備に向けた準備を着実に進めていられるようであります。
 そうした中で、今回の新型インフルエンザの発生に際し、この健康安全研究センターがどのような役割を果たしているのか、お伺いいたします。

○中谷参事 センターの役割についてでございますが、四月二十八日、WHOの新型インフルエンザ発生宣言後、いち早くアラート検査の体制を確立し、都内感染者の早期発見や集団感染の拡大防止を図っております。
 今後の流行拡大のピークに備えて、重症者のサーベイランスや都内医療機関を定点として、ウイルスの薬剤耐性に関する監視を行っております。
 また、保健所や医療機関からの情報を東京都インフルエンザ情報等にまとめ、毎週ホームページ上で更新するなど、発生状況や患者に対する情報を都民や関係機関にタイムリーに公表しております。
 さらに、大規模な集団感染の発生時には、職員を現地に派遣し、保健所と疫学調査を行って、新たな知見を都内保健所に情報提供しております。

○山加委員 今回の新型インフルエンザ対策において、この健康安全研究センターは、今ご答弁にありましたように、ウイルスの検査法開発、また、二十四時間の検査体制、疫学情報のタイムリーな発信など大変重要な役割を果たしていると確信をいたしております。
 こうしたことを踏まえて、今後、新棟の建設に当たって、どのような機能をこれから強化されるのか伺います。

○中谷参事 センターの機能強化についてでございますが、ウイルスの遺伝子検査を行うバイオセーフティーレベル三施設を増設するなど、安全性を最優先した施設整備を行うとともに、最新の検査機器を計画的に配置するなど、試験検査機能の強化を図り、都内で発生する健康危機に迅速に対応してまいります。
 また、健康危機に関する国内外の情報を効果的に収集、解析、発信する機能を強化いたしまして、健康危機の未然防止を図ってまいります。
 これらの試験検査、情報の収集、解析、発信、さらには、調査研究や監視指導業務を一体的に行い、健康危機管理の技術的拠点として整備してまいります。

○山加委員 都民の健康にかかわる安全と安心を確保するために、この健康安全研究センターの果たすべき役割は、今回の新型インフルエンザ対策はもとより、次々に生起する食中毒事件への対応など、今後ますます重要性が高まるものと考えられるわけであります。
 都の進める福祉保健施策を、健康危機管理の視点から科学的、技術的に支える施設として、今後とも、この健康安全研究センターの機能を一層強化し、迅速的確な事業展開が図られることを切に期待をいたしまして、質問を終わります。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終了いたします。

○門脇委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三十二号議案、第百三十三号議案及び第百四十一号議案から第百四十四号議案までを一括議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で二項目となっております。
 一ページをお開き願います。各保健所の担当地域の面積、人口、医師数、保健師数といたしまして、都保健所ごとに、担当地域の面積と人口、また、医師と保健師の平成二十一年四月一日現在の定数をそれぞれ記載してございます。
 二ページをお開き願います。都内の二次保健医療圏別感染症病床数といたしまして、二次保健医療圏ごとの平成二十一年九月一日現在の感染症病床数のほか、国の配置基準による病床数と都の基準病床数をそれぞれ記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○門脇委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
 発言をお願いいたします。

○斉藤委員 それでは、六つの議案の中で、五番目、六番目の第百四十三号議案、百四十四号議案について、私の方から質問をいたします。
 まず、百四十三号議案、折り畳み式簡易ベッドの買入れについてです。
 今回、ベッドを購入する目的、使用目的、これについて伺います。
 特に気になるところなんですが、医療用といっても、恐らく最低限の医療向け配慮がなされたベッドではないかなというふうに思っております。どの程度の工夫や特徴を持った商品なのかということ、大変気になりますので、ぜひそのあたりを配慮しながらご答弁をいただきたいと思います。

○中谷参事 今回購入としてございます折り畳み式簡易ベッドの購入目的、あるいはその購入に当たっての工夫等についてのご質問でございます。
 今回の購入するベッドにつきまして、平成十七年度に策定いたしました東京都新型インフルエンザ対策行動計画で想定しております、強毒型インフルエンザの大流行に備えて買い入れるものでございます。
 使用時は長さ約二メートル、幅八十四センチでございますが、収納時はベッドのほぼ中央で折り畳む形式であるため、高さ一メートル三十五センチ、厚み三十五センチ程度となります。ベッドサイドで医療処置を行うことを想定し、床からマットレスまでの高さ五十センチ、強度は病院用ベッドのJIS規格に準拠しております。

○斉藤委員 それでは、ちょっと議案を見ただけでわかりづらかったところを何点か伺います。
 入札の状況について、そして実際に落札されたベッドのメーカーについて教えていただきたいと思います。

○中谷参事 二者が入札に参加をいたしまして、フランスベッド株式会社が二億四千百二十一万八千八百十円で落札しております。

○斉藤委員 では、購入数は八千百五十と大変大きな数でございます。大体、一般的に大きな総合病院といわれているものでいえば十病院分のベッドですし、普通の総合病院だったら、多分二十病院ぐらいの数と同じぐらいのベッドになるんじゃないかというふうに思っております。
 これだけの数の根拠について、どういう計算でこの八千百五十必要というふうになったか伺いたいと思います。

○中谷参事 ベッドの購入数の根拠についてのお尋ねでございますが、強毒型を想定した行動計画におきまして、ピーク時の災害入院患者数をアジア風邪の被害に基づき三万人と想定しております。都内の病院における通常の空床率から考えますと、一万五千床があいていると考えられますが、残り一万五千床が不足いたします。
 一万五千から総務局が備蓄しております災害用ベッド六千八百五十を引いた残りの八千百五十床につきまして、簡易ベッドを購入することといたしております。

○斉藤委員 これだけの数、備蓄されているのは非常に大きなことです。多分これは総務局が管轄をしております、立川の備蓄倉庫の方を見させていただいたことは何回かあるんですが、その数を、この一回で上回るぐらいの数のベッドを購入するわけですから、大変な話であります。
 これはもちろん、今のインフルエンザの危機、特に強毒型を想定した中での流行危機を想定してやったところ、その考え方に基づいて、買う、購入ということになるわけなんですが、このインフルエンザの流行危機というのは、今後、半永久的に続くというふうなことで想定をしていいんでしょうか。
 大変気になるのは、もちろんこのインフルエンザ、流行がなくなっていけば一番いいことなんですが、実際にそういった流行危機が、もしも仮になくなった後に、じゃ、これだけ買ってしまうと、なかなかどこかから借りるというわけにはもちろんいかないわけなんですが、買ってしまった後、どういうふうな感じになるんだろうかというのは大変気になるところであります。
 この備蓄品の必要性について、そして同時に、備蓄したベッドの、この後の七点セットもそうですけれども、備蓄品の必要性について、この流行危機と同様、半永久的に続くのかどうか、ここを確認したいと思います。

○中谷参事 今回の購入に当たって、半永久的に続くかどうかというお話でございますが、必要性も含めてということでございますが、強毒型の新型インフルエンザにつきましては、新薬等の開発によりまして、被害想定が変われば備蓄内容等を見直してまいりますが、新興感染症対策としては、引き続き取り組んでまいる予定でございます。

○斉藤委員 今、ちょっと答弁の中で、新薬等の開発という話がありました。実際に、新薬の開発でインフルエンザのリスクが非常に減っていけば、当然ここまでの数は必要としないんですが、そうはいっても、時代が変われば、また全く想定しなかった感染症というものが出てきて、それが今よりも少ない用意で十分というふうなことはいえませんので、ある意味、考え方として、非常に理にかなっているのかなと思います。
 もちろん、これについては、使えるものについては、別に感染症に限らないわけですけれども、実際にその感染症の危機というのはどの時代でもありますので、その部分についてはよろしいのではないかなというふうに思います。
 あと、心配をすれば大変切りがない部分でありますが、ほかの災害と重複して、こういったインフルエンザのブームが、流行が発生した場合の想定というのはあるんでしょうか。急いでベッドを、必要な分、全部一どきに買わなくてもいいというふうにはなるかもしれませんけども、必要ベッド数の想定が、そういったほかの災害との重複の中で、もう少し必要とか必要じゃないとかという検討について懸念がされる場合はどうなのか、その辺の考え方について伺いたいと思います。

○中谷参事 ほかの計画との関係ということでございますが、地震等の災害と重複した想定は行っておらないところでございます。

○斉藤委員 それでは、ちょっと伺います。この委員会に先立っていろいろ説明を受けたときに、これだけの八千百五十のベッドを置いておくところ、備蓄の倉庫についてちょっと簡単に聞いてみたところ、この所在地についてはテロ対策、また防犯上から秘密というふうなことで伺っております。
 この部分については、あんまり今の時期、公開するというのが適当でないというのは理解ができますが、ただ一方で、これだけの数が収納できる場所というのは相当大きなものであります。先ほどの、ちょっと細かい、畳んだときのサイズも数字でいただいておりますけれども、大体、これを例えば一階層に、これは二階建てじゃなくて一階層の部分で貯蔵しておくと、恐らく五十メーター掛ける五十四メーターぐらいの、かなり大きな、体育館みたいなところに入るような感じになるんじゃないかと思います。結構大きな建物でございますから、どこにでもあるわけではないと思うんですが、備蓄を予定しているところは既に東京都が保有をしているところなのかどうか、そこを伺いたいと思います。
 また、備蓄に伴う予算については、今回はあくまで購入だけですので、議案の中ではわかりませんけれども、新規に予算を用意するようなものなのか、この備蓄倉庫に伴う準備について教えてください。

○中谷参事 備蓄の場所、そして予算についてのお尋ねでございますが、ベッドは民間倉庫への保管委託を予定しております。
 保管事業者につきましては、今後、納品に間に合うよう入札を行いまして決定する予定でございます。
 保管に要する経費につきましては、当初予算に既に計上済みでございます。

○斉藤委員 それでは、あともうちょっと、もう少し気になる点がございます。ベッドだけ購入をしても、実際に医療行為を行う上で、人工呼吸器など、こういった医療資器材もこのベッド以外に、ベッドの周辺機器として必要になってくる場合があると思います。これらについては、実際にどう対処していくのか、それについてお答えいただきたいと思います。

○中谷参事 医療資器材についてのお尋ねでございますが、今回購入いたしますベッドにつきまして、人工呼吸器を装着するなどの重症患者に使用することは想定しておりません。ベッドの購入に合わせまして、こうした医療資器材を購入することは考えてございません。
 なお、新型インフルエンザの蔓延期に入院医療を行う医療機関に対しましては、今年度から、人工呼吸器や酸素流量計、ポータブルレントゲン等の医療資器材の整備に対する支援を実施しております。

○斉藤委員 はい、ありがとうございます。今回は簡易ベッドの買い入れということで、もともと余りこのベッドに関しての資料というものが、この委員会の中では非常に少なかったんですが、実際にベッドがあっても、その備品に関しては、今いったようにまた別個に買うと。
 正直いって、先ほど、もろもろ伺っていく中で、こちらのベッド、ちょっと私、実は事前に写真をいただいたのですが、ベッドの写真を見る限りでは、これはギャッチアップの機能なんかがついてない。普通、家庭用のベッドなんかですと、別に上半身が上がるような機能がなくても構わないんですけれども、よく医療用とか介護用となると、ギャッチベッドが普通なんですね。もちろん、全部それで買ってしまうと、その分のコストが上がってしまいますし、契約金額も変わってしまいますので、なかなか簡単にその方がいいとはいえないんですが、ちょっと気になったのは、ギャッチベッドができないというと、例えば呼吸器系とか、よく狭心症の患者さんなんかにいわれている半座位がとれないんですね。呼吸器疾患の場合に、肺を中心として、背部からの圧迫と、あと横隔膜からの圧迫を避けるために半座位にすることがよくあって、ギャッチベッドというのは、割とその部分では便利なんですね。狭心症なんかも全く同じ理屈で、心臓への負担を減らすという意味で半座位にすることがあるので、ギャッチベッドは便利なんです。
 ただ、今回、インフルエンザの急な流行に対して、ある程度やっぱり強毒性を想定した、今回、夏前は弱毒性が中心だったわけですが、強毒性を想定してベッドを買う、ある意味一番最悪のケースを考えて買っていくということは当然必要だと思いますので、余りいろんな細かい部分がついて単価が上がってしまって、また、畳んで収納する際に場所ばかりとってしまうようなものというのは、なかなか向かないのではないかというふうに思います。
 ですので、今回の購入に関しては、私なども、一番シンプルだけれども、とにかく数をそろえるという点では許容範囲なのかなというふうに思ってます。
 同時に、こちらの方、同じように写真をちょっと見せてもらったときに、畳んだときにはキャスターがついていて、畳んでいる状態で移動できるんですが、普通のストレッチャーみたいに開いた状態で動かすことができないということがあります。これも開いた状態でキャスターつきで動かせるというふうになってくると、結構立派なものになってしまうので、それこそ逆に収納が難しくなってしまうということがありますので、なかなかそこまでいかないというのはよくわかります。ですので、今回これは、このぐらいの装備でいいかなと。
 また、これに伴う医療スタッフに関しても、こういった場合には、例えば必要であれば看護学生まで動員してということもあるかもしれませんし、自衛隊なんかの防衛医大の方に協力を求めると、なかなか既存のドクターの数を見て、足りる、足りてないという議論もまた余り意味がないのかなというふうに私は思っていますので、その部分では、このような数の算定というのはやむを得ないところなのかなというふうに思っております。
 こういったことを踏まえて、次の七点セットについて伺います。
 さっき、ベッドは八千百五十なんですが、七点セット、この購入数の根拠について教えていただきたいと思います。

○中谷参事 購入防護具七点セットの購入数の根拠についてのお尋ねでございますが、強毒型の封じ込み期を七カ月間と想定いたしまして、保健所及び感染症指定医療機関等の医療従事者に配布する防護服等の必要量を三百九十三万セットと見込んでおります。今年度購入の百七十万セットについては、全必要量を平成二十年度から三カ年で備蓄する計画に沿ったものでございます。

○斉藤委員 それでは、ベッド同様、七点セットの入札状況について、実際の入札の会社数と、また落札額について改めて伺います。

○中谷参事 入札状況についてのお尋ねでございますが、二者が入札に参加をいたしまして、落札額は二十九億一千九百万円となっております。

○斉藤委員 それでは、これらの備品について、今回、強毒性インフルエンザで想定する部分というのは非常に大事なんですが、強毒性インフルエンザの部分で想定したときに、大体、水際作戦を想定して備品も考えられていたというふうに思います。
 ただ、実際には夏前の流行を見ていると、弱毒性だったりして、ベッドは確かに、みんなが重くなったときには、みんなが重症化したときとか、流行が非常に重い形で流行した場合には、ある程度、ベッドを一個ずつ出せばいいと思うんですが、備品に関しては、インフルエンザの状況によって、これは使うけどこれは使わないというふうなことで、多少、使い方とか消耗するスピードも変わってくると思うんですね。夏前の流行では、結果として弱毒性だったわけなんですが、この夏前の経験から、この購入計画について配慮をされた部分というのがあるのかどうか確認をします。

○中谷参事 夏前の経験から購入計画への配慮についてのお尋ねでございますが、今回の新型インフルエンザの発生における現場での使用経験から、感染経路や毒性に合わせまして、現場の医療従事者等が適切な個人防護具を選択して使用する必要性が明らかとなりました。そのため、セットで購入するもの以外に、ガウン、手袋等の単品の備蓄も行うことといたしまして、より柔軟な対応が可能な備蓄といたしました。

○斉藤委員 今、議案の書類の方で余りわからなかったところについて、るる聞かせていただきました。
 最終的に、ちょっと意見という形になるんですけれども、今、伺った中で、ベッドの方は、確かに数を確保するという部分ではいいですし、同時に、別にこれは感染症に限らないので、主に、一般の都民から見れば、感染症対策というよりは、むしろこういった備品というのは、今までも災害用ということで、地震などを想定した部分の災害備蓄というのがイメージにあったと思います。
 話を聞く中で、ギャッチベッドではないということとかの部分を含めて考えると、どちらかといえば、災害なんかのときの外傷性のベッドとしての方が何となく期待ができるのかなというふうな気がいたします。もちろん、これは別にそれが悪いということではなくて、当然、災害の部分でいえば、今ある備蓄よりも、もう少し多く備蓄ができればそれは一番いいことですから、その部分では、ある意味、この機会に購入するということでいいかなと思います。
 ただ、その七点セットも含めて、それだけの備蓄を今回用意するわけですけれども、今、なかなかちょっと場所は大っぴらにはできないということなんですが、だんだん、薬とかなら、かなり保管の部分での換気の問題などは注意しなきゃいけないんですけれども、こういうベッドみたいなものについては、そこまで神経質になる必要はないと。ただ、大きいところは借りるということです。
 結局、何十年という単位でこれをとっておく、保管してもらうということですから、ぜひお願いしたいのは、もしも例えば、都の保有の施設がどこかあいて、そちら側の方に移せるとなったら、そういうときはぜひ、毎年毎年、漫然と契約をしていくんじゃなくて、ほかのそういうところに移すと。で、ある程度、もしかしたらもうちょっと安いところがあったらそれなりに移すと。何せ十年単位の保管ですから、そういう意味で、少し金額的な部分で工夫をしていくことが大事かなと思います。
 そして、なおかつ、今、いいましたように、ちょっとこのベッド、開いたまま移動はできないとかの部分で、やや使い勝手という部分では、大変必ずしもいいわけではないと思うんですが、ただ、重症化した方については、そんな簡易なベッドじゃなくて、どんどんその病院の奥の方のちゃんとしたベッドや、もしくは感染対策ができた病棟に移していくというふうになりますので、多少、ちょっと手間はあるんですけれども、こういったものをこの機会に、インフルエンザの機会を通じて購入をしていくという点ではいいのかなと思います。
 私の方からは、その備蓄保管に関して注文をつけさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

○山加委員 私からは、第百四十一号議案から第百四十四号議案に関連した、この四つの議案に関して、都の新型インフルエンザ対策について、何点かお伺いをいたします。
 本年四月二十四日、米国メキシコで新型インフルエンザの発生が確認をされて以来、急速にウイルスが世界じゅうに広まり、世界保健機関、WHOは二カ月もたたないうちに、パンデミック警報、人から人感染のフェーズ六、世界的大流行の兆しがあることを宣言したわけであります。
 インフルエンザ、このウイルスは、特にA型は、多くの亜型を持ち、私たち人間だけではなく、その宿主はカモなど水鳥を中心とした豚や、また馬、アザラシ、鯨、鶏など、動物界にその宿主は広く分布をしているわけであります。地球最大規模の人獣共通感染症といわれております。
 そして、この動物のインフルエンザウイルスは、その種を超えて感染し合うことがあり、それがこの新型インフルエンザ発生のきっかけとなるとされているわけであります。
 食のグローバル化が進み、また、この現代社会では大規模な養豚場や養鶏場が世界各国につくられるようになりました。自然界では考えられない規模で、まさに人、鳥、豚などが濃密に接触をしており、新型インフルエンザの発生の可能性が飛躍的に高まっているわけであります。
 また、航空機などの高速かつ大量輸送手段の発達によって、一たびこの新型インフルエンザが発生すれば、過去にないスピードで地球規模での大流行が起こることも、今や必然となっているわけであります。
 食のグローバル化が、そしてまた輸送手段の発達が、人類の進歩のあかしではありますが、その反面、動物由来感染症などの新興感染症の発生と流行という、新たな脅威を人類にもたらしてしまいました。
 私は、こうした観点から、平成十六年の第二回定例会、また、平成十八年の第四回定例会など、さまざまな場面を通し、世界じゅうから人、物が集積するこの首都東京として、新興感染症対策を十分に講じるよう、訴えてきたわけであります。
 都議会自民党としては、感染症対策、とりわけ新型インフルエンザ対策の強化充実の必要性については強く主張し、また、都がそれを受けて、タミフル、リレンザといった抗インフルエンザウイルス薬、そして、また医療資器材の備蓄を進め、そして医師会、薬剤師会など、さまざまな関係機関と対策を検討し、医療体制の確保に取り組んできたわけであります。
 今回の新型インフルエンザの発生では、これまで都民の健康被害は最小限に抑えられています。これは、私は、まさに議会と都が車の両輪となって対策に真摯に取り組んできた成果であると思っております。
 しかし、全国的には、若年層を中心に夏の間も感染拡大は続いています。そして、これから秋、冬の爆発的な流行が避けられないといわれているわけであります。
 そこで、都民の生命と健康を守る立場から、今後の対策について、何点かお伺いさせていただきます。
 まず初めに、現在の都内の流行状況、そしてまた今後の流行の推移についてお伺いをいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 現在の都内の流行状況についてでございますけれども、本日取りまとめました九月七日から十三日までの一週間の一定点医療機関当たりの患者数は五・九〇人でございました。前週の三・六六人に比べまして二・二四人の増となっておりまして、依然として感染拡大が続いております。
 今後の流行の見通しについてですが、八月二十八日に国が示した流行のシナリオによりますと、流行の開始から八週間後に当たる十月前半に、都内では流行のピークとなります。その際の一日当たりの最大入院患者数は、四千六百人に達すると推定されております。

○山加委員 十月前半、来月になるわけでありますが、今回の新型インフルエンザ、その十月前半にも流行のピークを迎えるとなりますと、タミフル、リレンザといったこの治療薬、重症患者のための人工呼吸器等が十分に確保されているのかどうか。改めて確認の意味でお伺いをしたいと思います。

○前田感染症危機管理担当部長 まず、治療薬の確保についてでございますが、現在の流行状況に十分対応できるタミフル、リレンザの量が都内では流通してございます。
 加えて、都では、タミフル、リレンザを合わせて四百万人分を備蓄しております。
 次に、人工呼吸器についてでございますが、都内の四百八十二病院に調査した結果では、人工呼吸器の保有数は約四千台で、そのうちの半数の二千台が稼働中でございました。
 したがいまして、国の流行シナリオによります一日最大重症患者数、四百六十四人に対しまして、十分対応可能な人工呼吸器が確保されております。

○山加委員 次に、急増する患者に対する医療体制、特に、重症患者のための入院ベッド等を都はどのように確保しているのか、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 新型インフルエンザ患者の急増に対応するため、外来治療を専らとする救急医療体制を平常時にも増して確保していく必要があることから、都は本日、区市町村及び医師会に対して、休日夜間急患センター、開業医が行います在宅当番医制、それから小児初期救急医療施設等における医師の増員や診療時間の延長など、各地域の実情に応じた休日夜間の外来診療体制の強化を要請いたしました。
 あわせまして、急増する入院患者や重症化するリスクが高い妊婦、小児、透析中の患者などの入院医療を確保するため、都内全病院に対し、病棟間や診療科等、部門間における医療従事者の配置の再調整、さらにはその適切なベッドコントロール等により、受け入れ体制を確保するよう要請を行ったところでございます。

○山加委員 医師不足の中、流行のピーク時には大変厳しい状況となることも懸念されていますが、どうか都民の生命と健康を守るために、開業医の先生方、また医療機関、行政が一体となって医療体制の確保に努め、難局を乗り切っていただきたい、切に思います。
 また、抗インフルエンザウイルス薬についてですが、タミフル耐性の強毒型の新型インフルエンザが発生するという、最悪の事態を想定して、都の備蓄計画は着実に進められているわけでありますが、今回の新型インフルエンザは、タミフル、リレンザ、いずれも有効であり、両者合わせて、都独自に四百万人分を備蓄していることは、現段階において、都民にとっては大変大きな安心材料であると思います。
 これら備蓄分のうち、タミフル百万人分、リレンザ二百万人分、これは新型インフルエンザ緊急対策として、去年の第三回定例会において補正予算を組み、くしくも新型インフルエンザの発生直前に、この備蓄が完了したものであります。民主党や共産党が本会議において、新型インフルエンザ対策を含む補正予算案に反対したことを私はここで指摘をしておきます。
 ところで、タミフルには、ドライシロップ、小児用のシロップ、これは小児が服薬しやすいように製剤化されたものでありますが、このドライシロップの備蓄について、都の考え方を伺います。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 都が備蓄を進めております二種類の抗インフルエンザウイルス薬、タミフルとリレンザの有効期間は七年でございますが、それに対し、タミフルドライシロップの有効期間は、現在流通しているもので二年、今後出荷されるもので三年と短く、長期の備蓄にはなじまないため、都は備蓄の対象としておりません。
 なお、感染拡大時にタミフルドライシロップが不足した場合には、タミフルの脱カプセル、具体的にはタミフルのカプセルを外し、小児の体重に応じて調剤することにより対応することとなります。そのため、都は、東京都薬剤師会に対して協力を依頼し、脱カプセルによる調剤が確実に行われるよう万全を期しております。

○山加委員 タミフルドライシロップの備蓄が難しいこと、また、その期間が限られた期間しか備蓄ができないということ、よくわかりました。
 しかし、今回の流行では、子どもの患者が多いことも事実であります。特に乳幼児は、インフルエンザ脳症など、重症化する危険性が高いといわれています。子どもへの治療が適切に行われるよう、治療薬の流通とともに、またあわせて入院病床の確保にも取り組んでいただきたいと思います。
 また、今回の新型インフルエンザは、若年層の患者が多いことのほかに、先ほどご答弁にもございましたが、妊娠されている方が重症化しやすいとのことであります。そのため、万が一、罹患した場合には、産科医院での感染を避ける必要があるわけであります。あらかじめ、かかりつけ産科医に受診医療機関について紹介を受けたり、また受診方法等の指示を受けるよう、どうか妊娠されている方に対して周知徹底をしていただきたいと思います。
 また、今回の新型インフルエンザは、夏場にも感染が拡大するという異例の事態となったわけであります。今後の流行が国の想定どおりに進むのか否かはわかりませんが、仮に流行のピークが季節性のインフルエンザの流行時期に重なれば、患者数はさらにふえることになります。
 都は引き続き、この流行状況を的確に把握し、関係機関と緊密な連携を図りながら、これまで以上に医療提供体制の強化を図ることを強く要望いたします。
 次に、ワクチンについてお伺いいたしますが、今回の新型インフルエンザのワクチンについて、国は十月下旬から接種を開始するとしています。接種の優先順位がどうなるのか、また副作用が発生した場合の補償問題をどうするのかなど、制度の詳細については今月末に決定をされると報道されていますが、現段階で国が示しているワクチンの接種計画の内容について伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 新型インフルエンザワクチン接種についてでございますけれども、国は、今回のワクチン接種は、国が一元的にワクチンを確保し、直接、医療機関と委託契約を締結して実施する事業であることを明らかにしております。
 また、接種の優先順位を九月末を目途に決定し、その順位に従って十月下旬から接種を開始するとのことでございます。
 さらに、費用負担については、ワクチン接種が個人予防を主たる目的とすることから、接種の実費相当額を被接種者から徴収するとしております。しかしながら、医療従事者の範囲や基礎疾患を有する者といった具体的な定義などについては、まだ詳細は示されておりませず、健康被害に対する補償や低所得者の費用軽減負担の措置のあり方についても、まだ検討中とのことでございます。
 都はこれまでも、ワクチン接種が円滑かつ確実に行えるよう、国の責任において実効性のある仕組みを構築するとともに、必要な財源措置を講ずるよう提案要求してまいりました。今後とも、国の動向を注視しつつ、新型インフルエンザワクチン接種が適切に実施されるよう国に求めてまいります。

○山加委員 ワクチン接種については、接種費用や具体的な接種体制など肝心な部分を国がまだ定めておらず、都としても対応には苦慮しているようでありますが、必要な方が確実にこのワクチン接種を受けられる体制の確保に努めていただきたいと思います。
 また、今回の新型インフルエンザは、私たちが当初想定していた鳥ぐらいの強毒型の新型インフルエンザではなく、弱毒型であるということであります。したがって、タミフルやリレンザも有効とされているわけであります。
 しかし、マスコミ等、最近、新型インフルエンザというだけで過剰に反応して、ワクチンこそが新型インフルエンザの唯一の予防策とするような、そんな報道が見られることに対して、私は若干心配を持っております。ワクチンを接種すれば新型インフルにかからないというわけではありません。また、ワクチン接種をしたからといって、安心してはならないわけであります。
 季節性インフルの致死率は〇・一%以下といわれているわけですが、ほとんどの方が免疫を持たないこの新型インフルエンザの致死率は〇・四%とされていますよね。また、短期間で重症化するということも、この新インフルの形であるわけであります。まずは、この新型インフルを恐れるだけでなく、都民の一人一人が正しい知識を持って、必ず手洗いをする、人込みの中ではマスクをかける、また、せきエチケットなどの予防行動をとることが感染拡大の防止に極めて有効であることはいうまでもないことであります。今後とも、都民に対して、十分かつわかりやすい情報提供をどうかお願いをしたいと思います。
 質問を終わります。

○橘委員 付託議案のうち新型インフルエンザ対策関係について質問いたします。
 初めに、今回購入を予定しております折り畳み式簡易ベッドについて伺います。
 今回購入する簡易ベッドは、都内に備蓄して、そして、病院から要請があったらそれを出していくというふうに伺っておりますけれども、さて、病院が受け入れる場合、我が病院ではこれぐらいの台数を欲しいというふうになるわけですけれども、単純に私たちが日常見ている病院では、そんなに余裕のあるスペースというのはないように見受けられます。
 具体的にどういうところにこの簡易ベッドを病院では設置することを想定しているのか。まさか廊下に並べるわけにもいかないと思いますので、具体的にその辺はどのように考えているか、お聞きいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 今回の簡易ベッドの備蓄についてでございますけれども、いわゆる大流行期に既存の病床では収容し切れない場合を想定して購入するものでございます。このため、簡易ベッドを設置する場所につきましては、病室内において、平時は食堂、リハビリテーションルームあるいは会議室などとして使用している場所で、居室としても十分利用が可能なスペースを想定しております。

○橘委員 今お聞きしたように、食堂であるとか会議室とかリハビリルームであるとか、そういったところでは、居室可能なそういった施設もありますので、これは十分説得力があると思います。
 ただし、病院によって、さまざまなケースがあります。三十台、折り畳み式簡易ベッドを設置できる可能性のあるところもあれば、五台しか設置できないという、そういった可能性のところもあるかと思います。
 先ほどの質疑の中で、八千百五十台の簡易ベッド、この積算根拠、台数の根拠については説明がありましたので、重複は避けますけれども、この八千百五十、これは備蓄、いざというときに備えた、大流行期に不足する分の一万五千、それから割り出した備蓄ですから、これは妥当な数字であろうと私は思います。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、病院ごとに個別に差があります。その差があるということは、積み上げていった結果、すごく少なかったという結果になるかもしれませんし、はるかに許容能力を超えるような数が出る可能性もあります。したがって、今後の課題として申し上げますけれども、患者の発生推移というものはどんどん変わっていきます。数字は変わっていきます。そしてまた、パンデミック期になったら、想像もつかないような事態になる可能性も十分あるわけです。
 したがって、今、これから今後の課題として必要なのは、都内の病院がどれぐらいの簡易ベッドを受け入れる能力を持っているのか。それを各病院、Aという病院何ぼ、Bという病院幾ら、そういうふうにして積み上げ方式による数を出しておくことも課題としては必要ではないかと私は考えますが、この点について見解を伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 今回の簡易ベッドの備蓄数につきましては、ご指摘のとおり、大流行期に不足する一万五千床から導き出したものでございます。今後、行動計画を改定する際につきましては、ご指摘いただきましたように、各病院での配置数といったものでの積み上げ方式による備蓄計画につきましても検討してまいりたいと考えております。

○橘委員 この積み上げ方式のやり方というのは、備蓄計画とはまた別に必要な取り組みではあると思います。いざというときに、こんなはずじゃなかったということがあってはならないと思いますので、今後の課題として申し上げました。
 まず、折り畳み式簡易ベッド、これを病院が設置する場合、先ほどの答弁にありましたように、食堂、それから会議室、それからリハビリルームとか、そういうところに設置されるというような説明がありましたけれども、実際にそういった部屋は、構造的に突起物があったり、それからバリアフリーじゃなかったり、いろんな、ふだんベッドを置くということを想定していない部屋ですので、さまざまなそういったものを修理しなきゃならない、また改善しなきゃならないという、そういった構造になっているかと思います。
 また、あるいは、我が病院ではもう少し受け入れたいと。それで、仮の話ですけれども、食堂が今この広さしかないけれども、これをもう少し余地があるんで、もう少し広げて、受け入れる台数を、簡易ベッドの数を少し広げたいといったケースも出てくるかと思います。そうした場合に、東京都の支援としてはどういうものを想定しているのか、お聞きいたします。

○前田感染症危機管理担当部長 病院側の設置可能スペースの確保についてでございますけれども、大流行期において臨時に病床の設置が可能になるよう、院内施設の整備を行う医療機関に対する都独自の補助制度を設けております。この制度を活用いたしまして、感染症入院医療機関を確保するとともに、臨時病床の拡大を順次図ってまいります。

○橘委員 確認ですけれども、今の答弁がちょっと明確じゃなかったのは、例えば、この際、新型インフルエンザ、強毒性のものに備えて部屋を少し広げたいと。例えば、リハビリルームをもう少し突き出して広げたいと。といった拡幅という、拡幅じゃないですね、広げるという、部屋自体を広げるという、そういった工事をする場合、そういったときも対象となりますか。

○前田感染症危機管理担当部長 ご意見ございました、病院での簡易ベッドの設置可能なスペースを設置するための施設整備につきましても、本事業の対象となっております。

○橘委員 一ベッド当たり確保しなければならない広さや、それから医師、看護師の人数については医療法で定められておりますけれども、折り畳み式簡易ベッドを設置した場合、通常よりもベッドの数は、総体的な数はかなり膨れるわけですね。それから、入院患者数も膨れるわけです。そうした場合、この法に定められた基準をオーバーすることになるわけですけれども、この折り畳み式簡易ベッドを設置した場合の医療法上の取り扱いは法的にどのようになっているのか、説明をお願いいたします。

○吉井医療政策部長 医療法におきましては、災害その他のやむを得ない事情がある場合、臨時応急の場合としておりますけれども、許可病床数を超えて入院させることができるとしております。新型インフルエンザの患者の緊急入院の場合、厚生労働省から六月五日に通知がございましたけれども、医療法上の臨時応急の場合に該当するとされてございます。
 したがいまして、今回の折り畳み式簡易ベッドの設置につきましては、医療法上の臨時応急の場合として取り扱う、そういうことになります。

○橘委員 確認しますが、臨時応急という、その期間ですけれども、これは大体どのくらいの期間を想定しておりますか。

○吉井医療政策部長 国の方では、この場合、定員超過入院という、そういう位置づけでございまして、禅問答のようで恐縮でございますが、常態化していないと。ですので、緊急時の一時的なものということであるんですけど、逆の言葉でいえば、常態化していないものというところでの、いわゆる臨時応急の対応ということでありますので、例えば、何年とか何かということでは具体的な例示はございませんけれども、そういう範囲での取り扱いになるというふうに思います。

○橘委員 納得しました。
 それから、次に、防護具の備蓄計画について伺います。
 この防護具の備蓄計画は、どの程度の期間の封じ込め対策を想定していてこういう計画になったのか伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 個人防護具の備蓄計画についてでございますけれども、個人防護具は、新型インフルエンザ発生直後から、感染拡大防止や診療に従事する保健所や感染症医療機関等の医療従事者及び救急隊員などが着用するものでございます。
 都は、封じ込め対策の期間を、ワクチンの製造及び接種が整うまでに要します七カ月間と想定しております。このため、その間に必要とする量を確保するものでございます。

○橘委員 封じ込め期からパンデミックへと移行した場合、大量の防護具、個人防護具が必要になってくる、そういう事態になってくると思います。そういう状況下では、十分な量を確保できないという事態も想定されるわけです。このいかなる事態にも対応できる、そういった防護具の確保、これが今大事になってくるのではないかと思います。
 例えば、今備蓄はしている、けれども、想定外の数が出ていった。そうしますと、今度足りなくなる。足りなくなったら、つい最近、マスクがもう店頭から消えたとかそういったこともありますので、この確保については、備蓄全部は不可能だと思いますけれども、メーカーとの協議でやるとか、そういったこともまた必要になってくると思います。この辺の万全を期するという意味で、個人防護具の確保、これについては、いざというときのことも含めて、また、大量に出さざるを得ないというときも含めて、どういう対策を講じているのか伺います。

○前田感染症危機管理担当部長 医療機関における防護具の確保等についてでございますけれども、都独自の事業である感染症入院医療機関整備事業では、パンデミック時の診療に備えて、必要な防護具の備蓄について、あらかじめ備蓄を行うということに対しまして、補助を行っているところでございます。
 今後、この制度を活用して、各医療機関での整備を促していくという考えでございます。

○橘委員 ちょっと理解できなかったんですけれども、この防護具については、都でも備蓄しますよと、それから、医療機関でも備蓄してくださいということですか。

○前田感染症危機管理担当部長 防護具の備蓄につきましては、都といたしましても、各感染症指定医療機関等で確保するものにつきましての備蓄を進めている一方で、感染症入院医療機関におきましても、制度を活用して備蓄をしていただくという補助を行っているというものでございます。両面から補助をしております。

○橘委員 そうしますと、その医療機関で購入しておく、医療機関で備蓄しておく。これについては、具体的に都としてはどういう働きかけをしているのか。つまり、医療機関でも病院でもこれを備蓄してくださいねということになりますので、具体的にどういう働きかけをしていますか。

○前田感染症危機管理担当部長 この医療機関における個人防護具の備蓄についてでございますけれども、感染症指定医療機関、あるいは都の独自の制度であります感染症協力医療機関等に対しまして、本整備事業についての説明を行い、現在、募集を行っているということでございます。
 こちらにつきましては、今後三カ年間の事業でありますので、この中で順次働きかけ、整備を進めてまいりたいと考えております。

○橘委員 よくわかりました。
 それから、強毒型の新型インフルエンザが広がった場合、感染者は、東京都だけにかかわらず、近隣の県からも入院を申し込んでくる、また、入院せざるを得ないという、そういった事態も起きてくるかと思います。
 今回の都の購入計画のように、折り畳み式簡易ベッド、そういったものは、ある程度の患者の発生数をもとにして算出されているわけですけれども、今度、想定外に近隣の県からも入院せざるを得ないという、そういった事態も十分考えられると思います。そうした場合に、今度、特にこの簡易ベッドという器材類、関係する器材類は、当初の計画が大きく狂ってくる可能性も考えられると思います。そうした場合に、今から近隣の県との調整であるとか、それから、新たに購入しようと思っても、既にもう在庫がないであるとか、そういったことも想定されますので、近隣の県との調整もやっておく必要があるのかなという印象を、私の意見として申し上げておきます。
 それからもう一点は、必要なときに在庫はもう尽きた、けれども、メーカーに問い合わせても、メーカーは製造が間に合わないという事態もあると思います。その辺については、国もこれは関与しなきゃなりませんけれども、国であるとか、それからメーカーに対しても、こういう最悪の事態を想定した場合に、これを製造し、そして、どのくらいで納入できるのか、そういったところまで今から詰めておく必要があるかと思いますけれども、それについての見解を伺います。

○鈴木健康安全部長 強毒型インフルエンザが蔓延した場合に不足する資器材等について、あらかじめ広域的に、八都県市でありますとか、国と十分に調整をしておくべきだという先生のご指摘でありますが、今回の新型インフルエンザでの対応も踏まえ、今後、鋭意詰めていきたいというふうに考えております。

○橘委員 今、近隣というのがありましたけれども、国とメーカーについては、どういう対処をされていきますか。

○鈴木健康安全部長 当然、国、またメーカーについては、直接的には各メーカーがそれぞれやるものでありますが、都民の命と健康を守るという立場から、当然メーカーに対しても、必要な場合には働きかけをしておく。また、事前に調整が必要な場合が想定されれば、当然事前に調整を行うというふうに考えております。

○大山委員 タミフルやリレンザを都として確保するということは必要ですし、簡易ベッドや防護服セットも、今後のさらに新しい感染症対策のためにも必要ですから、これらの議案には賛成です。より新型インフルエンザ対策を充実する立場から、幾つか質疑していきたいと思います。
 今回の新型インフルエンザについては、多くの人は比較的軽症で回復しています。しかし、重症化する人もいますし、十四日に都内で開かれたシンポジウムでは、国内での十二人の死亡した患者のうち、八人はタミフルの治療を受けていたことも明らかになりました。またウイルス性肺炎の重症化など、季節性インフルエンザとは違う特徴もあるということが報告されています。
 新型インフルエンザ対策は、タミフルやリレンザの医薬品は必要ですけれども、それだけではなくて、大流行を目前にして、総合的な対策が求められていると思います。何より重要なことは、重症化や死亡をなるべく防ぐということです。
 まず、インフルエンザワクチンのことですけれども、国が責任を持ってワクチンを確保するということですね。ワクチン接種については、深刻な副作用もありますから、希望者に限るということが大前提だと考えています。感染の予防と重症化の防止に向けて、ワクチン接種の体制整備が急がれています。
 しかし、国内ワクチンの製造はおくれている上に、厚生労働省は、個人予防を主たる目的とするから、自己負担の原則という方針を示しています。弱毒性とはいっても、ほとんどの人が免疫を持たない新型であることは変わりがありません。感染の拡大を防ぎ、重症化などによる健康被害を最小限に抑えることは、個人の責任にゆだねる問題ではなくて、社会全体の要請として考えることが求められます。国に対して、ワクチン接種の自己負担分を、国の財政負担によって無料化するよう求めるべきではないでしょうか。

○前田感染症危機管理担当部長 先ほどお答えしましたとおり、都としては、国の責任において、ワクチン接種が円滑かつ確実に行えるよう、あるいは必要な財源措置を講じるよう、提案要求を今後引き続きしてまいりたいと考えております。

○大山委員 厚労省の新型インフルエンザワクチンの接種について、この素案の中には、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすこと及びそのために必要な医療を確保することというのが目的になっています。それを受けて、この実施要綱案では、妊婦、基礎疾患を有する者、小児等の一部の者の中には重症化する事例も報告されており、今般の新型インフルエンザによる健康被害を最小限のものとするためには、予防接種による重症化防止が重要なんだということが書かれていますね。
 重症化する事例が多いに該当する人、つまり小学校に上がる前の子どもだとか妊婦、それから、基礎疾患のある人などが経済的な理由で、つまり、六千円から八千円といわれるワクチン接種料の負担が大きくて、接種したいけれどもできないという状況はつくってならないと思いますが、どうですか。

○前田感染症危機管理担当部長 今回のワクチン接種につきましては、国が一元的にワクチンを確保し、直接的に医療機関と委託契約を締結し、実施する事業としているところでございます。
 このため、都といたしましては、国の責任において実効性のある仕組みを構築するように、今後、提案要求してまいります。

○大山委員 例えば、小学校に入る前の子ども、それから妊婦さん。例えばお母さんが妊婦さんで小学校入学前の子どもがいたら、二人分で一万二千円から一万六千円ですね。ゼロ歳児の赤ちゃんと三歳のお子さんがいたら、両親も受ける必要があるわけですね。そうすると、三歳の子どもの分と合わせて三人分ですから、一万八千円から二万四千円、こういうことなんですね。ですから、かなり負担が大きい。それから、子育て家庭にはかなり大変な負担になります。
 季節性のインフルエンザの予防接種も、接種率を向上させようということで、七区は高齢者を無料にして、助成している自治体もふえました。重症化を防ぐために、よりワクチン接種を受けやすくするというのがねらいだということなんですね。ましてや、新型については、もちろん国が責任を持つというのが当然です。
 ですから、要望しているということですけれども、きちんと、せめて優先接種するべき人々については、無料も含めて要望していってもらいたいと思いますし、軽減策を、せめて優先の接種対象者には無料にするようにということも、都としても検討してもらいたいと思います。
 次には、国保の資格証の問題です。発症したら医療機関に行くことになるわけですけれども、区市町村国保の加入者のうち、昨年の九月十五日付の資料では、都内で約三万世帯が資格証となっています。この資格証の問題は、中学生以下の子どもにまで出していたということで大問題になって、社会問題になって、とうとう国が法を改正して、保険証を中学生以下の子どもについては出すことにしたわけですね。しかし、家族は依然として資格証です。集団発生が夏のうちに多かった高校生も資格証です。
 私、定時制高校に行ったときに、養護の先生が、生徒が風邪っぽかったのでお医者さんに行った方がいいわよといったら、うち、保険証ないんです、だから病院行けないんですっていったというんですよね。高校生もそういう状況になっているわけです。
 そんな中で、町田市では、新型インフルエンザ感染の拡大防止と重症化を防ぐためということで、今度十月が国保証の一斉更新ですけれども、その一斉更新のときに、資格証明書の交付を一年間停止して、有効期間一年間の短期被保険者証を交付することにしました。町田市にも直接聞いてみましたが、ことしの五月十八日に厚労省は、発熱外来に来た人は資格証でも三割負担でよいと通知を出したわけですね。七月二十一日に発熱外来が閉鎖されたので、都を通じて、厚労省は、今後どのような対応をするのか問い合わせをしたけれども、いまだに具体的な指示がないというわけです。
 町田市は、もう流行期に入っているわけですし、個別にインフルエンザの疑いがあっても、十割負担では行けない。だから病院に行けないわけですね。だから感染拡大を防ぎ、重症化を防ぐために、九月末日までにはすべての家庭に郵送することになったということなんです。
 私は、この町田市の判断というのは、市民の命と健康に責任を持つ地方自治体としては、重要な判断をしたと考えています。東京都は、どのように受けとめていますか。

○宮垣地域保健担当部長 町田市の取り組みについてということですけれども、資格証明書は、保険料納付の能力があるにもかかわらず長期に滞納を続けている世帯に対して発行するものです。既に資格証明書を交付している世帯に、短期の被保険者証、三割負担で医療機関を受診できる証ですけれども、これを交付する要件は、災害やその他特別の事情がある場合に限定されております。
 短期の被保険者証発行の交付要件であります特別の事情があるかないか、この有無につきましては、個々の被保険者の実情に応じて保険者が判断するものとされております。
 今回のように、個別の滞納者の事情をしんしゃくせず、一律に短期の被保険者証を発行することは、本来、法制度で想定しているものではございませんが、町田市からは、今後の感染拡大に備えて、緊急避難的に実施したものであるというふうに聞いております。

○大山委員 資格証になっている人たちは、今、能力がありながら払っていないとおっしゃいましたけども、そうじゃない人、いっぱいいるわけですよね。高い保険料を払いたくても払えないという人がいっぱいいるわけです。市と交渉するとか、どうやって払いましょうかというんだったら、短期証だって十分その役割を果たすわけです。それで、町田市は、緊急避難的に、本当に緊急避難的に実施したんだということですよ。
 今必要なのは、やはり、すべての都民に必要な治療を保障すること、それが地方自治体の重要な役割だと思いますし、東京都もその立場で力を尽くしてほしいと思います。
 次は、医療体制の整備です。厚労省が、新型インフルエンザに係る医療体制に関する調査結果を九月十一日に発表しました。インフルエンザ様症状の患者を受け入れる医療機関に対して、感染症対策等のための支援を行っているかという問いに対して、東京都はその他ということになっていますが、支援の具体的な内容とその実績はどうなっているでしょうか。

○前田感染症危機管理担当部長 今回の医療機関に対する整備事業についてでございますけれども、今回の流行におきましては、新型インフルエンザの診療は一般医療として位置されるということになっておりますため、特段の支援を行っておりません。
 なお、強毒性型インフルエンザに対応するために、今年度から三カ年をかけまして、医療機関に対する設備整備事業を行っておるところでございます。

○大山委員 実績も伺ったわけですけれども、後でいいです。
 制度はある、しかし、今の新型のインフルエンザに対応するものは特にないんだということなんですね。
 ある区が、新型インフルエンザ対策の専門部会というのを行ったというんですね。六十万人の区民に対して、ICUのベッドは二十四床しかない。ピーク時は八百人ぐらい入院が必要な患者の発生が予測されているから、具体的に区内の病院はどう対応しようかという話になったんだっていうんですね。外来患者や入院患者の急増に具体的にどう対応しているんでしょうか。

○吉井医療政策部長 先ほども申し上げましたけれども、新型インフルエンザ患者の急増に対応するためといたしまして、本日でございますけれども、外来治療を専らとする救急医療体制を、平常時にも増して確保していく必要があることから、東京都は、区市町村、それから東京都医師会に対しまして、休日夜間急患センター、これは外来の部分でございますけれども、それから在宅当番医制、小児初期救急医療施設、こうしたところでの医師の増員でございますとか診療時間の延長、そうした各地域の実情に応じた休日夜間の外来診療体制の強化を要請いたしました。
 あわせまして、入院患者、この急増に対して、または重症化するリスクが高い妊婦、小児、透析中の患者などの入院医療を確保するため、都内全病院に対しまして、病棟間や診療科等、部門間における医療従事者の配置の再調整、適切なベッドコントロール等によりまして受け入れ体制を確保するよう、要請を行ったところでございます。

○前田感染症危機管理担当部長 先ほどご質問の、入院医療施設に対する設備整備事業の実績でございますけれども、本年度から開始した事業でございますので、まだ実績はございません。

○大山委員 きょう通知を出したということですね。現在、既に流行期に入り始めているわけですけれども、ピーク時、さっき十月前半に流行のピークなんだということで、最大の入院患者数が約四千六百人いて、入院病床数は確保されているんだということですけれども、その根拠はどういう根拠でそうなるんでしょうか。足りているということになるんですか。

○前田感染症危機管理担当部長 入院医療の確保についてでございますけれども、この根拠につきましては、国の流行シナリオに基づきまして、都内での流行ピーク時に最大入院患者数が四千六百人であると推定されます。
 そして、先ほどの答弁の際にも申し上げましたけれども、通常の空床率から考えますと、一万五千床が空床でございます。このため、対応が可能と考えているところでございます。

○大山委員 国のシナリオをもとにして稼働率を掛けると、一万五千床は空床となっているんだということですね。計算上はどうも足りているということなんですけれども、あいている病床はさまざまな科にあるわけですけれども、感染者の患者が、ほかの病気やけがの患者と一緒の部屋には入れないわけですし、それから男女ということもありますし、いろんなことがあるわけですね。
 それでやりくりしてくださいよということを、きょう通知を出したということですけれども、全体の病床数がそれですが、厚労省の調査では、その次の質問で、透析患者、小児、妊婦等の重症者の搬送、受け入れ体制の確保状況についてという質問項目があって、重症者が発生した場合の専門治療が可能な受け入れ医療機関について把握し、当該患者の受け入れに対して協力を要請しているかということについては、透析患者も、小児も、妊婦も、今後行う予定ということで、それもさっき、きょう発しましたということでありましたけれども、確保する必要がある病床数は、それぞれどれぐらいなんだということは予測しているんでしょうか。それは全体の把握をするのか、そして、その連携はどうやってとっていくのかということを含めてお願いします。

○吉井医療政策部長 先ほども申し上げましたけれども、重症化するリスクが高い妊婦、小児、透析中の患者につきましては、それぞれの医療機関から受け入れ可能の病床について回答をいただいたところでございますけれども、さらなる拡大というような形で、現在、そういう形での働きかけというか、要請も行っているところでございます。

○大山委員 病床は足りる、確保するということ、それから何とかやりくりするんだと。急激なことですからね、やりくりというのも必要だとは思います。
 しかし、新型ということですから、今までだれも経験したことがないことなんですよね。それで、いろんな例を見ても、朝は元気だった小学校四年生の男の子が、三十分で呼吸困難になっている事例だとか、それから、小児科学会では、新型では発熱してから六時間から十二時間の短時間で呼吸不全に至る症例の報告が相次いでおり、同学会の理事で防衛医大小児科の野々山恵章教授は、今のままの状態では、重症肺炎などに対応できないと危惧しているという、小児科学会の発言もあります。
 それから、WHOの西太平洋地域事務局で感染症地域アドバイザーを経て、今、ウイルス学の教授であります押谷仁さんは、重症患者が多く発生すると医療現場に相当な負担がかかります。医師不足、医療崩壊が叫ばれる日本の現状で対応できるのか、きちんとした点検が必要でしょうというふうにもいっています。過去の例を見ると、世界的大流行の第一波が始まったにすぎません、ウイルスが変異する可能性もあり、第二波の流行では、もっと多くの感染者が出るかもしれませんというふうに指摘をしているわけですね。
 ですから、今の状況、本当に想定外のことを想定するというのは変ないい方ですけれども、本当に初めて、すべての人が初めてのものなわけですから、本当に想定外のことが起こることは十分考えていかなければならないと思います。
 もう一つ、保健所に関してです。感染症対策は、東京都保健所の重要な役割の一つですね。その保健所が石原都政のもとで、多摩地域で十二カ所あった保健所を七カ所に統廃合するということが二〇〇四年に強行されました。
 先ほどの資料で、今年度の各保健所の面積と人口、それから医師の定数と保健師の定数を出していただきました。
 例えば、西多摩保健所、ここは、多摩川保健所と秋川保健所を統廃合しましたから、その担当地域の面積たるや、東京都全体の約二七%、約三割を占める広大な地域になってしまいました。
 多摩府中保健所、担当地域は六市です。人口が九十五万人を超えています。この人口というのは、保健所が四カ所ある山梨県の人口、これが約八十七万人ですから、保健所が四つある山梨県の人口よりも多いわけですね。それで、保健所が一つなんです。
 それだけではありません。医師の定数の差というのが歴然としています。西多摩保健所は、統廃合前と比べますとマイナス三人、多摩立川保健所も、それから多摩小平保健所も、それぞれ三人ずつ医師が減っています。多摩府中保健所、さっき山梨県の人口よりも多いといっていたこの多摩府中保健所では、医師の定数は、統合前と比べると六人も減ってしまっています。
 医師のポストに、健康危機管理担当係長というのがありますけれども、このポストは、いつどのような理由で配置したんでしょうか。

○住友保健政策部長 地方分権の進展や地域保健対策における都と市町村の役割等を踏まえまして、都と市町村とで多摩地域の保健サービスのあり方につきまして検討を重ねました結果、都は、平成十六年度に保健所を再編整備することといたしました。
 再編整備に際しまして、保健所が重点化を図るべき分野の一つとして、健康危機管理分野が挙げられました。都の保健所が二次保健医療圏の総合的な健康危機管理センターとしての機能を発揮するために、各圏域に健康危機管理担当係長を設置いたしました。

○大山委員 重要なんだということで、担当のドクターを配置したわけですね。
 平成十五年七月に、多摩地域保健サービス検討会最終報告が出ていますけれども、今後の東京都保健所の機能ということで、これからの保健所機能の方向性ということで、こういわれています。地域における新たな健康問題、健康危機事案への対応の必要性などの背景を勘案することが適切なんだと。都保健所が重点化を図っていく分野としては、いろいろありますけれども、広域的、専門的な健康危機管理機能を軸に、地域の保健医療施策に係る企画調整機能や、市町村では担うことの困難な感染症対策や食品衛生などの専門サービス分野が挙げられるということで、重点化、それから統廃合するに当たって、これを重点にするんだ、そう位置づけて置かれた医師、その担当係長なわけですね。
 今年度の健康危機管理担当係長の定数と在籍はどうなっていますか。

○住友保健政策部長 健康危機管理担当係長の定数は、町田保健所を除く多摩地域の五保健所にそれぞれ一ずつ設置されておりますけれども、今年度はすべて欠員でございます。

○大山委員 保健所にとって医師の役割というのは、公衆衛生医の役割というのは、本当に重要ですよね。医師を減らした上に、定数さえも埋めていない。しかも重要だと都みずからがいって、医師の配置を決めているにもかかわらず、今年度ゼロですけれども、十六年度には五人いたようですけれども、十七年度には一人、十八年度はゼロ、十九年度は三人、昨年からゼロということですね。この事態をどう認識して、具体的にどうしようと考えていますか。

○住友保健政策部長 都の保健所等に勤務する公衆衛生医師が不足し、欠員が続いておりますことには、昨今の医師不足も影響しているものと考えております。公衆衛生医を確保するため、公衆衛生医の募集の広告記事を医療関係の専門誌に掲載いたしますほか、医師や医学生を対象とした臨床研修や就職に関する合同説明会に参加いたしまして、公衆衛生行政を目指す医師の掘り起こしを行っております。
 また、公衆衛生行政に興味を持つ医師に対しましては、随時、個別の説明や保健所の見学を行うなど、積極的に募集活動を行っております。

○大山委員 確保しなきゃいけないということで、いろいろ努力をしているんですということですけれども、しかし、実際にはなかなか大変なんだと。公衆衛生医の不足というのは、東京都だけではなくて、全国的に問題になっていますね。医師養成の段階で公衆衛生医の養成もするように、医師養成というのは国の責任なわけですから、国に要望するべきじゃないんでしょうか。

○住友保健政策部長 都はこれまでも、国に対しまして、医師確保対策の充実について、提案要求を行っておるところでございます。
 なお、国におきましては、保健所の医師の確保につきまして、公衆衛生医師確保推進登録事業という事業を実施しております。この事業は、公衆衛生に従事することを希望する医師と、医師の採用を希望する自治体が希望条件等の登録を行いまして、希望の合致する自治体へ国から情報提供を行う事業でございまして、国としても公衆衛生医師の確保の取り組みを進めております。都もこの事業に登録をしており、国と連携の上、公衆衛生医の確保に努めております。

○大山委員 努めているんですけれども、実際に二年越しで欠員というのは、やっぱり深刻な状況だと思うんです。それで、やっぱり今までの状況で確保できないんだったら、もっとこうしようとか、本当に今までにない方法も含めてやる。
 それから、国に要望すると同時に、都としても、もっとやれることがないんだろうかということで、もっと知恵も出すということだと思うんです。例えば、新たに公衆衛生医を目指す医学生に奨学金制度を創設するとか、それから公衆衛生医確保対策、いろんな方法をもっと拡充するべきだと思うんですけれども、どうですか。

○住友保健政策部長 都の公衆衛生医に欠員が生じていることは、先ほど申し上げましたとおり医師の不足が影響しているものと考えております。
 その中におきまして、都としましては、これまでもさまざまな媒体を通じて広報活動を行うほか、専門研修を充実することなどによりまして、医師の確保を図ってまいりました。今後とも、公衆衛生医の確保に努めてまいります。

○大山委員 努めているし、重要性もあるんだということはわかりますけれども、今までも努力していたけど、必要な職種なんですから、ましてや、今一層求められているわけですから、ぜひ思い切った対策を考えてもらいたいと思います。
 保健所については、保健師の果たす役割が大きいです。しかし、保健師の人数も不十分といわなければなりません。
 例えば、多摩府中保健所は、担当地域、約九十五万人ですから、感染症担当の保健師は七人で、地区担当を持っているのは六人だということですから、一人の保健師当たり、単純に割ると約十六万人も担当しているということなんですね。相談に乗ったり、それから、現在も入院サーベイランスはやっているということなので、病院に行って、どういう状態だったんだとか、いろいろな調査もしますし、それから、病院から保健所まで検体を運ぶ。それから、保育園だとか学校で集団発生したら、行って、出向いていって、何が困っているかとか、職員も先生たちも困っているから、いろいろ、やっぱり現場に行って初めて、どうしてこんなに感染が広がっちゃったのかとかということもわかるというんですよね。
 ですから、今何とかやっているけれども、これからの感染拡大を考えると、本当にどこまで対応できるのか心配なんだということなんですね。保健師さんたちの合い言葉は、だれも倒れないようにしようねということだっていうんですよ。本当に保健師の状況だとか人数について、どう認識しているでしょうか。

○住友保健政策部長 保健所の業務を進める上で、保健師は必要な職種だというふうには認識しております。
 ただ、その職員定数につきましては、業務量を十分に精査した上で、必要な人員を確保してまいりたいと考えております。

○大山委員 業務量をきちんと精査してくださいということですね。感染症担当ですから、新型インフルエンザ対策だけをやっているわけじゃなくて、結核もあるし、エイズもあるし、そのほかの感染症も皆同じだということですから、その業務量に見合った定員をぜひ確保していただきたいと思います。
 最後に、ちょっと一言、意見というか、検討してもらいたいと思うんですけれども、授産施設などで自立支援法に移行したところは、日割り単価となってしまっているので、インフルエンザが流行したときに休業せざるを得ない。そんな状況になったときには、例えば一週間単位で休業してしまうと、その間の収入が全くなくなってしまうということで、運営さえもかなり厳しくなっちゃうんだということなんですね。今までの制度だったら、運営費には影響はないわけですけれども、自立支援法に移行した授産所、作業所だとか、破綻させないための支援について、福祉保健局としても、ちょっと実態も踏まえながら、検討をしていってほしいという要望だけ、お伝えしておきます。
 以上です。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○門脇委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について、都立母子生活支援施設及び都立婦人保護施設の民間移譲について及び都立身体障害者更生施設の民間移譲についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。

○柳ヶ瀬委員 私の方からは、本委員会に報告されました都立施設の民間移譲について、特に、婦人保護施設について何点か伺わせていただきたいと思います。
 東京都は、民間でできることは民間にゆだねるという方針のもと、福祉施設についても民間移譲を進めておりますけれども、改めてお伺いをしますが、この民間移譲の目的について、まずはお伺いをしたいと思います。

○枦山参事 都立施設の民間移譲の目的についてでございますが、都は平成十四年度の都立施設改革への着手以来、それまでの福祉の仕組みを転換し、利用者本位の福祉を実現するため、民間でできることは民間にゆだねるという方針のもと、民間移譲を進めてまいりました。
 移譲後は、民間法人の創意工夫を生かした運営が可能となり、利用者一人一人のニーズに合わせた、きめ細やかで効率的な施設運営が行われるとともに、新たな事業展開や地域ニーズに対応した事業実施が可能となり、サービス向上が図られると考えております。

○柳ヶ瀬委員 サービスの向上が目的だということなんですけれども、まずは、民間移譲によって、現状のサービスが維持できるのかどうかということが大事だというふうに考えています。都立福祉施設改革の基本方針を定めた「福祉サービス提供主体の改革への取組について」の中でも、現に入所している利用者へのサービス水準を確保するというふうに明記がされています。
 そこでお伺いをしますが、今回の報告事項として挙がっている都立婦人保護施設ですが、この施設において確保しなければいけないサービス水準というのはどのようなものだというふうにお考えなのか、お聞かせください。

○吉岡少子社会対策部長 婦人保護施設におけるサービス水準という今お尋ねでございますけれども、まず婦人保護施設は、環境上の理由等により保護を要する女性に対し生活指導、職業指導等を行い、自立を図る施設でございます。現在、経済的理由により居場所のない方や、配偶者からの暴力等による被害者など、さまざまな方が入所されております。また、近年、外国人の利用者も増加している傾向にございます。
 このような婦人保護施設の目的や利用実態に照らしますと、まず何よりも安全で安心して生活できる場所の提供、それから、配偶者による暴力等により心身が傷ついた人への精神科医や心理職員によるケアが大切であるというふうに考えておりまして、また、日常生活援助や就労支援など、社会的な自立に向けた総合的な支援、さらに、これらの方が再び地域社会で安定した生活が実現できるようにしていくような、そういうサービスを提供していくことが必要であるというふうに考えております。

○柳ヶ瀬委員 なかなかサービスの質というのは、この判断基準というのは難しいというふうに思うんですけれども、今おっしゃったように、この婦人保護施設に関していえば、この設置の目的から申しますと、受け入れた人の安全を確保すると。そして、心のケアと体のケアをして、将来について適切なアドバイスをして、その方がどれだけ自立をすることができたか、それを促すことができたかということが大事なんだろうというふうに思います。
 この目的を達成するために一番大事なことは、私は職員配置であろうというふうに考えているんですね。この婦人保護施設に限らず、いわゆる福祉施設といわれているものは、人が人をケアするというわけですから、どれくらいの能力の方がどれくらいいるのかという配置によって、このサービスの質は大きく変わってくるだろうというふうに考えています。
 この今回の婦人保護施設の新生寮を会派の同僚議員と一緒に視察をしたわけでございますけれども、今おっしゃっていたとおり、これは外国人入寮者が非常に多いと。また、DVシェルターという特性から、精神科に通院されている方もかなり多くいらっしゃるようでございます。
 つまり、専門的な支援を必要としている人がたくさんいるわけです。そういった観点からしても、民間移譲に当たって、従来の、今の現行の指定管理で行われているのと同等の職員配置が可能なのかどうか、確保されるのかという点については、どのようにお考えでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 民間移譲に当たりましては、公募要項におきまして、都立施設が担ってきた現行の処遇水準を継承することや、社会福祉法人としての実績や創意工夫を生かし、利用者サービスの向上に努めることなどを事業実施の条件としております。
 国の職員配置基準をベースにいたしまして、それに加え、東京都のサービス推進費の活用によります職員増配置などによりまして、利用者支援に従事する職員を現行と同程度確保することは可能であるというふうに考えておりますが、さらに、都といたしましては、法人独自の人事制度、財務会計制度等を活用することによりまして、一層のサービスの向上と運営の効率化を期待しておるところでございます。

○柳ヶ瀬委員 現行と同等の職員配置が可能であるという答弁だったと思います。現行は、主任指導員が一名、指導員が四名、看護師が一名、これは国最低基準に基づくものですけれども、そのほかに心理療法員、緊急保護対応指導員、緊急保護対応保育士の方が、非常勤ではございますけれども、それぞれ各一名ずついるということで、これは同等の職員配置基準をぜひ確保していただきたいというふうに思うんです。公募で職員配置の妥当性についても審査するということでございます。職員配置を考えるのは公募する法人の役割だということは、これは至極当然のことなんですけれども、要は、従来のこの配置ができるかどうかという、それだけの予算が確保されるのかということが大事なんだろうと考えます。
 そこで教えていただきたいんですけれども、現行の指定管理料が約一億八千六十五万五千円ですけれども、民間移譲後の運営費について、今、試算をしている金額というのはあるんでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 民間移譲後の運営費収入につきましては、基本的には移譲先の運営法人が入所状況や法人の自主的取り組みによりまして、措置費、サービス推進費並びに緊急一時保護経費などの収入を獲得していくと。それは事業の取り組み状況によりまして、この金額は変動してまいりますので、この試算におきましては不確定なところが多いわけでございますけれども、仮に移譲後の移譲先の法人等が現在の入所率や事業内容と同水準、事業を行ったと仮定した場合でございますけども、その場合の運営費収入は、ほぼ現行並みの約一億七千八百万円になるというふうに見込んでおります。

○柳ヶ瀬委員 今の一億七千八百万という数字は、これは現行から約二百万円程度の減額ということのようですけれども、サービス推進費は、もちろんサービスの提供ぐあいによって変動があると。また措置費の事業費部分というのは、入所延べ人員を変数として変わってくるんですね。それとあと、建物維持管理費は、大規模修繕以外は基本的に法人の負担ということで、これまで提供されまして、管理料の中に入っていた建物維持管理費というものも、これもなくなってくる可能性が高いんだろうと。この分、約七百万円ということでございます。
 ですから、実際に民間移譲をされた場合の運営費というのは、先ほど提示された、今おっしゃった一億七千八百万よりも若干低くなるだろうということが想定できるわけです。
 例えば、今、指定管理を受けている、救世軍さんが受けているわけですけれども、同じ法人がこのプロポーザルに公募をされて、もし運営するということになったときに、仮定の話なので申しわけないんですけれども、今、想定している試算金額一億七千八百万円で、現状と同じくらいの能力の、同じだけの職員を維持できるというふうに考えているのかどうか。若干、質問は似通っているんですけど、ちょっとお答えいただければと思います。

○吉岡少子社会対策部長 あくまでも仮定の話でございますけれども、仮に入所率や事業内容が現行と同水準とした場合に、ほぼ現行並みの運営費収入が見込まれますことから、現行の人員配置、給与水準を確保することは可能であるというふうには推定をされます。
 ただその上で、東京都といたしましては、民間移譲というのが、民間法人の創意工夫、柔軟な運営によりサービスの向上を目指すものでございますので、実際に応募する法人に対しましては、現行の運営のあり方を点検し、配偶者からの暴力等による被害者に対するきめ細かな支援の充実など、さらなるサービス向上に積極的に取り組むことを期待しております。

○柳ヶ瀬委員 わかりました。今の想定されている試算額によって、現行と同程度の人員配置が可能であるというふうに見込まれているということ、これはわかりました。
 公募の審査の際には、まずはこのサービスの質を維持するために必要な人員配置計画となっているのかどうか、この点について、よく確認をしていただきたいというふうに思います。
 ただ、これ念のために申し上げておきますけれども、この今の現状の、私が申し上げているのは、現状の人員配置で必ずしも十分なんだということを申し上げたいわけではないんですね。これは、国の最低基準そのものがかなり低い水準になっているということ、そのことがまずは問題なんだろうというふうに考えているわけでございますので、私どもとしても、これは国に対してしっかりと、最低基準の底上げということ、これについては物申していきたいというふうに思っているということ、これだけはちょっといっておきたいというふうに思います。
 それとあと心配なのが、この民間移譲された後についてでございます。この民間移譲がされた後に、東京都はどのようにして、このサービス水準が維持確保されているかどうか、これをチェックしていくのかということについてお聞かせいただければと思います。

○吉岡少子社会対策部長 サービス水準の確認並びに指導についてでございますけれども、公募時に移譲先の法人の提出いたします事業計画等の審査を行うとともに、移譲時におきましては、都と移譲先法人との間で事業運営に関する協定を締結し、これに基づき運営指導等を行ってまいります。あわせて、他の民間施設と同様、定期的に指導検査を行い、施設運営、入所者への援助、支援の状況、会計、経理等についてチェックをしてまいります。さらに、この指導検査におきましては、専門的見地から助言指導を行う福祉サービス専門員を同行し、利用者側の視点から権利擁護などに配慮した指導を行います。

○柳ヶ瀬委員 サービス水準をチェックする一つの手法として第三者評価があって、それを各福祉施設は受けているんですね。しかし、民間施設についていえば、毎年の義務づけということにはなっていないわけでございます。これが心配なんですね。新生寮--今、新生寮という名前ですけれども、この婦人保護施設は、特にDVシェルターという施設の特性上、場所すら一般には公開されていないということで、なかなか外部からの目も届きにくいということです。また、ここで利用されている方が何か声を上げることができるのかというと、なかなかそれもできないような施設なんだろうと思います。
 ですから、民間移譲したから、あとは知らないというふうに、当然思ってないとは思うんですけれども、むしろ都の施設が民間移譲されてどうなったのかということを、しっかりと東京都は把握をする必要があるんだろうと。少なくとも、第三者評価を毎年受けるように義務づけをするべきだというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 福祉サービス第三者評価の目的は、福祉サービスを提供する事業者が、利用者の真のニーズを把握し、それにこたえる多様なサービスを提供するとともに、サービスの質の向上への取り組みを促進することでございます。
 都は、福祉施設に対しまして、福祉サービス第三者評価を受審するよう働きかけておりまして、都立施設につきましては、率先して第三者評価を受審するため、指定管理者に対しても毎年の受審を義務づけ、民間施設についても、少なくとも三年に一度、受審するよう指導しております。
 なお、サービス推進費におきまして、この加算補助を設けまして、毎年受審できるような財政支援を行っております。

○柳ヶ瀬委員 今、民間施設は、これ三年に一回なんです。今、指定管理ですので毎年受けているけれども、これからは三年に一回になるということで、そこが心配だということなんです。
 今、サービス推進費の中で、第三者評価を受けた場合には、そのお金の手当てをするよということになっているようでございますけれども、私は、基本的には、第三者評価というのは、施設としては受けたくないというのが、これ素直なところなのではないかなというふうに思うんです。非常に時間もとられるし、手間暇もかかると。しかも、場合によっては、悪い結果が出てしまうということからすると、施設の自主性に任せていても、それを受けるようにはならないだろうというふうに私は思います。
 だから、そういった意味では、さまざまな補助金があるわけですから、この第三者評価を毎年義務づけるということが難しいのであれば、これを受けたら何か加算されるというような仕組みづくりをぜひ考えていただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 そして、この話の流れの中でちょっと気になったのが、この新生寮の第三者評価の結果を見ました。この結果なんですけれども、サービス分析結果においては、これ七項目すべてAだと。トータルで見ると良好だというような評価になっているようでございます。しかし、ここに付随している、この利用者調査の結果、利用者の声ですよね。アンケート結果を見ていると、これはなかなか厳しい内容になっているんですね。
 例えば、幾つかのこの質問項目、十七個の質問項目があるんですけれども、家族関係の調整に係る支援は役に立っているかと。はいという人が十一人、いいえという人は九人、無回答というのが五人と。家族関係の調整に係る支援は役に立っているかという質問に対して、いいえと答えている人が九人ぐらいいると。異性について話せるような職員がいるかと。はいが七人で、いいえが十八人。いいえの方が多いということですよね。
 ほかにも幾つかあるんですけれども、私は、この回答が必ずしも施設の評価につながるというふうには、直結するというふうには思っていないんですけれども、ただ、こういった利用者の声があるということは、これは無視できない声なんだというふうに思います。結果は結果として受けとめなければいけないというふうに思っているんですが、全体としては良好だという結果になっているんですね。この点については、どのように受けとめられていらっしゃるのか。

○吉岡少子社会対策部長 平成二十年度の新生寮の第三者評価でございますけれども、委員のご指摘のとおり、組織のマネジメント、それから、サービスの提供につきましては、全体にA評価という高い評価をいただきましたが、一方で、利用者調査結果につきましては、一部、サービスが十分でないというようなご指摘、ご意見がございました。
 私どもは、これを真摯に受けとめなくてはいけないというふうに考えておりまして、具体的に、指定管理者におきましては、改善策を講じておりまして、このような取り組みを重ねていくことにより、さらなるサービスの向上を図ることが必要であるというふうに考えております。

○柳ヶ瀬委員 そうですね。だから、今申し上げたように、この利用者調査の中では、非常にネガティブな意見もたくさん出ていると。けれども、全体としての結果としては、良好というふうになっているということで、この第三者評価のあり方そのものについては、また別のところで議論をしていきたいというふうに思っていますけれども、きょうはちょっと、この結果については、どうなのかなというふうに感じたということをいっておきたいと思うんですね。
 それから、これは東京都が、やっぱり利用者本位のサービスを目指すということをいっているわけですよね。であれば、やっぱりこういった声をしっかりと対応していくということが大事なんだというふうに思います。
 それで、今回の民間移譲ということの結果によって、指定管理から民間移譲に移ることによって、この第三者評価の結果が変わってくるというようなことが当然望ましいんだろうということで、そうなるように努めていただければというふうに思います。これは要望でございます。
 それと、今回はこの婦人保護施設に関しての職員配置、これがサービスの質を担保する上で非常に大事なことなんだろうということを申し上げたわけですけれども、今回、ほかに上がっているこの母子生活支援施設、身体障害者更生施設に関しても、私は同等のことがいえるんだろうというふうに考えています。やっぱりこの福祉施設のサービスの質を守ってこその民間移譲なんだということで、職員の質を担保すると、配置を確保するということ、これに公募の際にはしっかりと努めていただきたいというふうに思います。
 以上で私の質問を終わりたいと思います。

○野上委員 私も、都立身体障害者更生施設の民間移譲について質問させていただきます。
 九月十一日に、同じく都議会公明党として、橘議員と一緒に、今回の厚生委員会の報告案件であります聴覚障害者生活支援センターを視察してまいりました。聴覚言語障害者の更生施設というのは、全国でもたった三カ所しかないということで、実際に視察をしてみて、この聴覚障害を持った方たちに対する大変きめの細かい支援をしている施設であることがよくわかりました。本当に百聞は一見にしかずで、行ってよかったなと思っております。
 この入所者の方は、この施設がついの住みかではなく、聴覚に障害があるために、今まで獲得することが困難だった社会性とか生活マナーなどを、一定期間訓練をして身につけて、就労して自立していくという施設でございます。ですから、中にはご飯の炊き方、ガスのつけ方、要するに自分たちが普通の生活をしていく、本当にごくごく基本的な訓練ができるような体系になっておりました。
 その中に、施設の利用者の中に、盲ろう者の方がいらっしゃいまして--盲ろうというのは、目も見えない、耳も聞こえない、両方の障害を持った方がいらっしゃいまして、その方がトウかごを編んでらっしゃんたんですね。そのトウかごが非常に芸術的な作品で、障害者美術展で優秀賞をいただいたという。この目が見えない、手だけの手作業で、いろんな動物の形のトウかごとかを編んでらっしゃって、非常に芸術性が高くて、すばらしい作品で感動いたしました。
 このように、利用者一人一人に合わせて、自立に向けた支援を行うというこの施設の内容は、大変重要なものであると感じております。
 また、そこの施設は、入所中だけではなく、退所した聴覚障害者の方が地域で孤立をしないように、退所した後もそこに訪問をしたり、あるいは、その施設自体が集いの場として施設を提供するなど継続的な支援を行っているということで、この自立を支える意味では、大切なことじゃないかなというふうに思っておりました。
 もう一つ感心したのは、地域の方たちに、この聴覚障害者や施設への理解を深めてもらうために、手話講習会を開催しておりました。また、夏祭りっていうんですかね、よく盆踊りとかやっていますが、やぐらを組んで、地域の方々に参加をしていただいて、地域に根差した活動を行っているということで、民間移譲後も、こうした施設の活動が引き継がれていってほしいという観点から、何点か質問いたします。
 その中で、東京都聴覚障害者生活支援センターなんですけれども、まず初めに、施設の運営形態、運営経費、職員体制、これを含め、施設の概要について改めてお伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 東京都聴覚障害者生活支援センターの概要についてでございます。
 本施設は、聴覚障害者を対象とした三十人定員の入所施設で、自立に向けた生活訓練や就労訓練を行っております。
 運営形態は、指定管理者制度により、社会福祉法人が運営しており、運営経費は、平成二十一年度の指定管理料として、約一億四千二百万円を都が支払うこととしております。
 平成二十一年四月一日現在、利用者は二十人、平均年齢は五十三歳、平均入所期間は二・八年となっております。
 職員体制は、施設長一名、生活支援員等の直接処遇職員十一名、その他、事務、栄養士、調理員、医師などで九名、計二十一名の常勤あるいは非常勤の職員が配置されております。

○野上委員 約二十人の方が利用していて、その費用が約一億四千二百万円、都が支払っているということで、一人当たり年間七百万ぐらいをかけているということだと思います。
 都からの事前説明によれば、これは平成二十三年四月に民間移譲をするということなんですけれども、このときの民間移譲後の土地とか建物の取り扱いは、これはどういうふうに、どういう形態になるのかということと、あと、大変掃除が行き届いて、きれいな施設ではございましたけれども、建物自体は随分古く感じました。移譲を受けた法人がこのままずっと使い続けるということで、耐震があるかどうかということも大変心配をいたします。また、今後長い間その法人が使っていく上で、建てかえということについていえば、都はどのようにこのことを考えているのでしょうか--建てかえについても。

○芦田障害者施策推進部長 この施設は昭和四十年に開設し、建物は昭和五十八年に増築をしております。耐震につきましては、都の調査により、問題なしという結果が出ております。
 民間移譲後は、当面、建物は運営法人に無償貸付し、土地については、建物の貸付契約の結果として、無償での使用を認めることになります。
 なお、築三十五年を経過した建物については、法人みずからが運営しやすいような建物への建てかえを促進するため、建てかえ経費の八分の七を都が補助することとしております。

○野上委員 耐震については問題がないということで、大変安心をいたしましたけれども、既にこの建物は四十四年を経過した建物でございまして、三十五年を経過した建物については、建てかえを促進するということで、そう遠くない将来に向けて、建てかえの検討を図られると思います。東京都が八分の七を補助してくれるといっても、法人が八分の一のお金を用意しなければいけないということなんですけれども、これは大変大きな負担といえるのではないかと思います。その点について、都はどのようにお考えでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 法人が負担する八分の一につきましては、独立行政法人福祉医療機構からの借入制度を利用することができます。また、借入金の利子補給も都が行う仕組みがございますので、借入金については、運営費からの償還が可能であると考えております。

○野上委員 独立行政法人福祉医療機構から借りて、その利子は東京都が払ってくれる。償還期間も結構長くていいんだと思うんですけれども、ちょっとそこは聞いてないんですが、この民間移譲後の施設の運営費についてなんですけれども、民間移譲によって、この運営経費はどのように変わるでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 運営経費についてでございますが、現在は都からの指定管理料で運営しておりますが、移譲後は、他の一般民間法人と同様に、国等からの給付費、利用者負担金と都のサービス推進費を基本として運営していくこととなります。
 移譲後の具体的な運営費の額につきましては、個々の利用者の障害程度により異なるため、正確な数字を算出することは困難ですが、現在の利用者の状況を参考に、定員どおりの利用者が確保されると推計すると、概算で一億四千百七十万円となります。
 平成二十一年度の指定管理料が一億四千二百万円であり、ほぼ同程度の運営費が確保できるものと考えております。

○野上委員 民間施設になると、利用者の数が結構ポイントになってくると思うんですね。利用者が少なければ、経営が逆にいえば厳しくなります。法人も運営が大変だと思います。現在三十人定員のところ、二十人しか利用していない。今の状態がそうなんですけれども、こういうような状態の施設を民間移譲して、本当に大丈夫なんでしょうか。

○芦田障害者施策推進部長 ご指摘のとおり、現在、利用者が少ない状況でございますが、これは、居室の個室化工事を行っており、このための一時的な減少傾向と考えております。
 今後は、特別支援学校の卒業生など、早い時期からの自立に向けた訓練の場としてさらに広く活用してもらえるよう、区市町村等へ周知を図っていきたいと考えております。そして、移譲後は、さらに民間法人の創意工夫や自主性の発揮により、新たなニーズの掘り起こしや、利用者一人一人のニーズに合わせた一層のサービス向上を期待しているところでございます。
 都といたしましても、運営指導等により、引き続き現行の都立施設のサービス水準を維持していくよう支援していきたいと考えております。

○野上委員 先ほどおっしゃったように、この利用者が多ければ多いほどサービス費がふえてくるわけで、運営としても非常に楽になるということがいえると思うんですね。そういう意味で、何ていうのかしら、いかに人を呼び込んでくるか、集めてくるかというところが、また民間移譲したときの手腕を発揮することにも通じてくると思うんです。
 答弁の中にありましたように、特別支援学校、高校を卒業しても、なかなかスムーズに自立に向けて就職活動ができない生徒がたくさんいると思うんですね。そういう人たちをそこに呼び込んできて、そこで部屋ごとに自立の、ガスのつけ方とかご飯の炊き方、洗濯の仕方とか、そういうような訓練も含めて、自立へのそういう施設として利用していただければ、いつも定員がいっぱいでなかなか入れない、入れなくて困るぐらいの感じになっていけば、民間移譲しても、この運営が非常にスムーズにいくのではないかというふうに思っております。
 これまで都が培ってきたサービス水準を民間に適切に引き継いで、この聴覚障害者の方たちが自立生活に向けた支援の一層の充実を図ることで、民間移譲の趣旨を実現することを期待しております。
 以上でございます。

○門脇委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○門脇委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の厚生委員会を閉会いたします。
   午後三時十三分散会

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