厚生委員会速記録第七号

平成二十一年六月三日(水曜日)
第七委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長東野 秀平君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事松下 玲子君
理事野上 純子君
理事山加 朱美君
西崎 光子君
橘  正剛君
斉藤あつし君
田代ひろし君
門脇ふみよし君
野村 有信君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長鈴木 賢二君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長松浦 和利君
健康安全部長梶原  洋君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長芦田 真吾君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長月川由紀子君
参事日置 豊見君
参事枦山日出男君
参事砥出 欣典君
参事大久保さつき君
参事中川原米俊君
参事飯塚美紀子君
参事熊谷 直樹君
参事別宮 浩志君
参事前田 秀雄君
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長都留 佳苗君
経営戦略・再編整備担当部長黒田 祥之君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 病院経営本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 病院経営本部所管分
 福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 福祉保健局所管分
・第百十四号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百十五号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可の報告及び承認について
付託議案の審査(決定)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 厚生委員会所管分
・第百十四号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百十五号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可の報告及び承認について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○東野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議の結果、新型インフルエンザ対策に関する意見書(案)については調整がついた旨、その他については調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、調整のついた案文の朗読は省略いたします。

新型インフルエンザ対策に関する意見書(案)
 メキシコにおける発生が確認されてから約一か月、新型インフルエンザは、瞬く間に世界各国に広がり、我が国においても、海外渡航歴の無い患者が発生するなど、国内におけるヒトからヒトヘの感染の発生が、現実の事態となっている。
 その一方で、ウイルスは弱毒性であり、季節性インフルエンザと同等の毒性であること、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザ)の投与が治療に有効であることなども明らかになってきた。今後は、今回の新型インフルエンザA(H1N1)の特性等を踏まえ、国内流行期を見据えた医療体制を構築することが急務である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、早急に次の事項を実現するよう強く要請する。
一 原則として、国内すべての医療機関が今回の新型インフルエンザの診療を行うことができるよう、ウイルスの感染力や病原性、検査方法、感染防止策、治療方針等に関して、国として迅速かつ適切な情報提供を行うこと。
二 国は、必要な医療資器材の確保や医療機関の施設整備等について、自治体や医療機関において対処することとしているが、早急に医療提供体制を確保するために、国として必要な財源措置を講ずること。
三 国の責任において、今回のウイルスに対応したワクチンの生産体制を整えるとともに、ワクチン接種を円滑かつ確実に実施できる仕組みを構築すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十一年六月 日
東京都議会議長 比留間敏夫
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣 あて

○東野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 今お話ありました新型インフルエンザ対策に関する意見書、これにも関係するわけですけれども、ことしの四月下旬から世界中で流行を見ておりますこの豚インフルエンザ、今は当然、豚インフルエンザではなくて、新型インフルエンザという名前に変わったわけですが、ここではわかりやすいように豚インフルエンザで通させていただきますけれども、日本にも上陸したわけですね。
 SARSの際には、日本は島国だから大丈夫という根拠のない安心感を抱いていた人も多かったんですけれども、現在のように超高速の大量輸送の時代、ウイルスというものは海を渡って音もなく進入してくる、これが実際に証明されたわけです。しかも、最初の患者さんは、海外渡航歴のない高校生、こういうのが出てきて、既に国内にかなり豚の新型インフルエンザの罹患者が多数いるであろうと想像はするんですが、キットの問題ですとか、一番大きなのは風評被害の問題ですね。どこどこの病院で、あるいは、どこどこの学校で、まあ、学校だったらどうにかなるんですけれども、私立になるといろんな問題も出てくるでしょうし、検査がなかなか難しいというか、日本では迅速キットだけでしのいでいるものですから、遺伝子検査にちょっと手間がかかっていて、しかも、最初は渡航歴のある人たちだけを選択的に検査したものですから、結果として非常に後手後手に回った。これでも、今度の新型インフルエンザが弱毒型で弱毒性ですから、ある意味では、予行演習としてはとても役に立ったんだろうと思います。
 この予行演習で役に立ったことをしっかりとこれから使っていかなくちゃならないわけですが、当然今わかっている限りでは、この豚インフルエンザ、新型インフルエンザは、リレンザ、タミフルに非常に反応がいい。特にまだ耐性としての大きな問題も出ていないということですから、すぐ大きな問題になるということはないんでしょうけれども、一つは、フェーズの扱い方というものが、世界中どこもなれていなかったんですけれども、フェーズが上がれば上がるほど毒性も上がるという錯覚じみた、これは説明が悪いわけですね、錯覚する人が悪いんじゃなくて、我々含めて説明する方が悪かったんだと思います。やはり横の面的な広がりの一つのスコアをつけることと、それから、縦軸で毒性について、致死率を含む毒性について、あるいは後遺症についての縦軸のまた別のスコアをしっかりとわかりやすくつくっていく。それは、弱毒型であるか、強毒型であるか、そして強毒型だとしても弱毒性であるのかどうかも含めて、三次元的に解析をしながら広報していかないと、弱毒と強毒という言葉が、型と性で全然違うものが非常に混同して今使われているわけですから、強毒型でも弱毒性ということは可能性としてはあるわけで、そういうものの理解をしっかり都民の皆さん方にできるような仕組みというのは、きょうは病院経営本部ですけれども、これは福祉の方がやることかもしれないんですけれども、当然、最先端でこの疾患を扱っている皆さん方も、そういうつもりで病院での対応というものを、不安でいらっしゃる方たちに伝えていただきたいと思います。
 どういう方法でやるかは、今まで都立病院でも、患者さん方に広報あるいは説明するときに、なるべくわかりやすいようにという要望を出しておりますけれども、それの一環として、特に今度のように風評被害を想像できる、しかもマスコミがこれだけ騒ぎ立てているわけですから、ある意味では正確なものを適宜出していくということが、油断もしないかわりに大げさに反応しないというもとになると思います。
 今回のインフルエンザの対策の一つとして、国は、空港で検疫システム、サーモグラフィーを使ってやってきたわけですけれども、これは鳥インフルエンザのときにも申し上げましたように、鳥インフルエンザよりは若干短いんですけれども、約半分ぐらいの期間ですけれども、もう発症する前に伝染力を持っているわけですから、やはり、その水際が決していけないわけではなくて、今、水際が非常に役に立たなかったようなことをいわれていますけれども、これはおわかりのとおりに、徐々に時期をずらすというための方策ですから、水際をやったら絶対に入ってこないなんて、全くだれも思っていないわけであって、水際でまずとめる、ゆっくりゆっくり、一遍に津波が来るんじゃなくて、小さな波に分けて受け取っていこうという方策の一つですから、必ずしも水際作戦が悪かった、今、マスコミが一部、何のためにということを書いてありますけれども、これはとても役に立つ水際作戦ではあるんですが、逆にいうと、水際で全部とめられるという何か錯覚を国民が得てしまうと大変なことなので、そういうことも含めて、きちっと都立病院の方でも対応していただけたらありがたいと思います。
 この新型のインフルエンザ、今のところまだ科学的な、いわゆるエビデンスがはっきりはしていませんけれども、一九五六年以前に生まれた方、そういう方たちはある程度の抗体を何割かの方が持っているだろうと推測される。これは、H1N1が持っているちょっと特殊な歴史ですけれども、もともとスペイン風邪の亜型として残っていて、一九七七年にソ連の研究所から漏出したという事件があったものですから、普通は新型インフルエンザが出てきたときには、すべての地球上にあるほかのインフルエンザは消えるのが今までのルールなんですけれども、今はそうじゃなくて、幾つものが混在しているわけですね。
 非常にこれが我々にとっては怖い状況で、今までのルールじゃない新型インフルエンザも今蔓延しているわけですし、毎日毎日入ってくる外電を見ていますと、オーストラリア、ニュージーランドを中心として、もう爆発感染が始まっているわけで、先ほど申し上げましたように、新型インフルエンザは、少しでもゆっくりゆっくり、しかも拡散しないようにしておくことが変化をとめることになりますから、人間の約一千万倍のスピードで変わっていくわけですから、人から人へうつっていくと、それだけ変化しやすくなるわけですね。
 日本に冬になって帰ってくる、十一月になって帰ってくるとき、南半球を一回りして帰ってきたときがどうなるかということが大きな問題でありまして、一時メキシコで、この病気は死なないんだから早くかかってしまえばいいというばかげた考え方がありましたけれども、確かに早くかかった人はもうかからないわけですが、人から人へかかる回数が多くなれば、幾何級数的に危険度がふえていく、変化していくわけですから、当然、そこの波を低くしていく工夫をしていかなくちゃならない。
 必ずしも一九五六年以前に生まれた人たちが、今は抵抗力を持っていても、十一月になって帰ってきたときに抵抗力があるかどうかわかりませんから、それも含めてしっかりとした広報をしていただけたらありがたいなと思います。
 当然、今申し上げたように、スペイン風邪があって、アジア風邪があって、香港風邪があって、そしてソ連型の七七年の漏出があったわけですけれども、このインフルエンザはすべて弱毒性で、一番被害が大きかったのは、慶応大学の速水教授の話だと、九千万人から一億人といっていますけれども、そのぐらいは、当時、生活環境も悪かったし、医療的な対策もとりづらかったものですから、それだけ多くの方が亡くなった。当時、十八億人と地球上の人口が数えられているわけですけれども、その大体五%が一番新しいデータでは亡くなっているわけですが、このスペイン風邪自身が、途中までは弱毒性であったものが途中から急に強毒性に変わっていった。これは、やはり伝播していく、二、三カ月の間に、パンデミックを起こしていく間に性格が変わっていくわけですから、ちょうど南半球から北半球に今度戻ってくるとき、ことしの十月、十一月、十二月に向けてどういう対応をするかということは、今度の新型インフルエンザ対策でも大変パニック状態になって、我々の関係した八王子の東京医大の医療センターも厳戒体制の中で、はたから見たらちょっと茶番のような、大げさだったかもしれませんけれども、漏出させないために医者の出入りも非常に厳重に我々コントロールして、一時は病院機能が、ある部分では麻痺したのは現実でした。
 たった一人弱毒性の人が入ってもそうなっちゃうわけですから、実際、強毒性のものが入ってきたときに、大学病院としてはその対応がかなり難しいだろうと。都立病院だって、かなり難しいだろうと思うんです。ですから、まず、この医療体制、特に初動態勢の構築というものはしっかりとルールを決めておいていただいて、しかも、画一化されたものではなくて、幾つかこうなったらこうしましょうという対応ができるようなものに細かく分けていただいて、しかも、その協力は、まず何といっても患者さんの協力がないと、これは全然できませんから、都民の方々に理解していただく。それから、当然、ドクターの中、医療サイドの中、あるいはコメディカルを含む医療従事者が同じように共有していくようなシステムをつくっておいていただかないとならないなと思います。そういうネットワークの順番、ドミノ現象で、ここが倒れたら次、次、次と、こう行きますというところ、どっかに防波堤をつくるような、そういうシステムをしっかりつくっていただきたいと思います。
 特に、こういう危機管理が必要というときには、公的医療機関としての都立病院とか公社病院というのが、まず一つの範を示さなくちゃならないわけですから、そこで、今回の新型インフルエンザ対策に対して、都立病院、公社病院、どのような体制というものを整備して対応を進めてきた、また、どうしていくのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

○及川経営企画部長 今回のインフルエンザについてでございますけれども、若干経緯をお話しさせていただきますと、四月二十五日の段階で、メキシコ、アメリカ両国で、当時は豚といわれておりましたけれども、新型インフルエンザの感染が急速に進行していて、深刻な状況にあるというような報道がなされました。
 これを受けてでございますが、直ちに私ども本部職員の関係職員が、この日は土曜日でしたけれども出勤いたしまして、情報の収集や関係部門との連絡調整に当たっております。
 週が明けた月曜日の二十七日でございますが、感染症指定病院の感染症科部医長を緊急に招集いたしまして意見交換を行いますとともに、同日には、緊急の都立・公社合同院長会議を開催いたしまして、発熱外来の設置や病床確保など、各病院に院内体制の早期の確保を要請いたしております。
 さらに、本部と病院との連絡体制を強化するために、情報の一元管理化といった対応もしております。
 二十八日には、本部長を筆頭といたします新型インフルエンザ対策会議を設置いたしますとともに、保健医療公社と合同で新型インフルエンザ対策本部を立ち上げまして、都立病院、公社病院が連携して本格的な対応を開始しております。
 また、当時、ゴールデンウイークと重なりましたために、土曜、日曜、祭日におきましても、本部、公社病院に連絡要員を確保いたしまして、緊急事態に備える体制といたしました。
 さらに、その後、五月八日に成田空港検疫での感染者の確認を受けまして、都内で感染が発生した場合の具体的な準備体制を整えました。
 病院におきましても、院内に新型インフルエンザ対策会議を設置いたしまして、発熱外来の整備を開始いたしますとともに、抗インフルエンザ薬や防護服の確認を行いまして、二十九日には抗インフルエンザ薬や防護服の確保を完了しております。
 また、必要に応じまして、診療に対します医療スタッフの増員、発熱外来の設置、稼働、疑い患者に対する経過観察や入院病床の整備などを順次行いますとともに、この間、現在に至るまで保健所からの連絡等に基づきまして、新型インフルエンザ疑い患者を円滑に受け入れ、診療に当たるなど、二十四時間、昼夜を問わない対応を行っているところでございます。

○田代委員 人から人への感染が起きてしまった場合、最も有効なのは早期発見と徹底した封じ込め、これがまず第一であることは先ほど申し上げました。しかし、この現代の社会では、医療的に、安全管理的に効果的な措置であると思われている移動制限、これはなかなか難しいと思うんですね。セントルイスで成功したような例が、果たして今の時代、日本全体で持てるのか。それは、先ほど申し上げましたように、意識をしっかり持っていただく、知識のワクチンというお話をしていますけれども、一般の国民の方々に知識をしっかり持っていただいて、今とり得るものが何であって、現実に手に入るものは何であるのかということを頭に入れておいていただきたい。
 余談になりますけれども、今世界中で一番注目されている日本のあり方というのは、多分、日本からタミフル耐性の新型インフルエンザが出るだろうと。これだけ世界中で消費されている八割から八割五分ぐらいを一カ国で消費しているわけですから、だれが見ても、最初にタミフル耐性をつくる汚名を着そうなのは我が国である可能性があるわけですね。偶然、せんだってトルコから全然別のものが出ましたけれども、これは大量のものじゃありませんから、ですから、そういうことも考えて、患者さん方みんなにタミフルを渡していいのか悪いのか、非常に微妙に難しいところがある。かといって、あの人に上げてこの人に上げないというわけにもいかない。
 ですから、先ほど申し上げましたように、フェーズの横の面のつながりだけじゃなくて、縦の毒性がどれほどあるのかということと、後遺症がどうなるのかということと、致死率がどうであるかということが、その判断基準にならないといけないのかなと思うんです。
 それがあって、ある程度までもった後、一番重要なのはワクチンということになるわけですけれども、これは先ほどの新型インフルエンザ対策に関する意見書にも出ておりますように、ワクチンをちゃんとつくりたい。アメリカはある程度の、全員のではないですけれども、この新型に対しての対応が今、スキームができて、プラントも動いているわけですけれども、日本は全くそれが、つくりますという意見はあるんですけれども、現実にはできていない。
 有精卵の用意というのもそう簡単じゃありませんし、一つは、今、南半球ではやっているものが、場合によっては、季節のインフルエンザにかかってしまって消えてしまう可能性もあるわけですね。ただ、今のところ、オーストラリアのリサーチャーの発表では、約八対二、あるいは九対一で新型インフルエンザが多いと。季節のインフルエンザが放逐されつつあるわけですね。そうすると、これは完全に豚インフルエンザ、新型インフルエンザが主流を占めてくるわけですから、それが日本に帰ってきたときに、非常に毒性を強く持って出てきたときに、どういう対応を我が国がしていくのかということを、やっぱりどこかで考えておきませんと、今お答えいただいたように、休みのときに大変だったと思うんですね。皆さん方のご努力には本当に頭が下がりますけれども、ただ、これは大した人数じゃなかったからこれで済んでいるわけですけれども、これが大量にそういう患者さん方が来るということになったときにどうなるのか、現実に対応がとり切れるのかどうか。
 それも先ほどから何回も申し上げておりますように、その毒性の強さを判断するということが一番重要なわけでありますから、毒性の判断をしなくちゃならないんですが、ワクチン自身が、ことしはどうも十一月、十二月には我が国では、一〇〇%といっては申しわけないけれども、多分一〇〇%用意できない。用意できない中でタミフル耐性を考えながら、しかも十五歳以下のお子さん方にタミフルの投与は今のところ少しためらいがあるわけですね。リレンザが効くからいいんですけれども、リレンザの耐性ができてしまうと、もうお子さん方の手の打ちようがなくなっちゃうわけですから、そういうときを考えると、やはりワクチンというものを、前々から申し上げているように、これはH5N1で申し上げていたわけですけれども、すべてそういうものを用意していかなくちゃなりませんし、運悪く新型インフルエンザが季節のインフルエンザを放逐してしまうと、新型インフルエンザのワクチンを全部つくらなくちゃいけないけれども、国は、今のところ半々で対応しましょうと。当然のことながら、季節のインフルエンザでも毎年一万人の方が亡くなっているわけですから、そっちを全く無視してしまうということはできないわけですけれども、これはだれが責任をとるわけにもいかないですね、どっちが当たるか。やはりWHOの話を早くキャッチアップして、きのうまで半々といっていたのが、きょうから二対一にしてもいいわけですから、そのときそのときの流動的な動きの中で新型インフルエンザのワクチンをつくるか、あるいは季節のインフルエンザのをつくるかということをしっかりと見きわめて提供していかないと、ことしの十一月、万々が一とんでもないことが起きてくると、都立病院だけの対応では済まなくなっちゃうと思うんです。
 ですから、何といってもワクチンが一番大切なんですが、ワクチンは国の管轄ですから、我々が幾ら何をいっても聞いてはもらえないわけですが、都としては、都立病院を初め、公社病院という医療体制を活用して、万々が一より確率はかなり高いと思いますけれども、来るべきときに備えて医療体制をどうやっていくのか。ベッドの確保や、あるいは重症度の高い人たちのレスピレーター、いわゆる人工呼吸器などをどうやって確保していくか、まだまだ足りないわけですね。陰圧のベッドもまだ全部そろっているわけではない。ほかの四十七都道府県の中では特段に東京都というのは対応がいいんですが、しかし、それでも千二百万都民ということを考えると難しいことがある。
 この点について、我が党の要望も踏まえて、都立病院二十一年度の予算で、公社病院については今回の補正予算で一定の対応を進めることになったということなんですが、この補正予算で示された感染症の緊急対応病床について、さきの代表質問でも質問させていただいて、感染指定病床を補完するもの、こういう答弁をいただいているわけですが、なかなか一般の方々にはわかりにくいものだと思うので、今回示されたこの感染症の緊急対策病床の考え方について、改めてどのような患者さんを入院させ、どう活用していくのかを教えていただきたいと思います。

○及川経営企画部長 今回の感染症の緊急対応病床の考え方についてでございますが、また若干経緯からお話をさせていただきますけれども、先ほど来、先生からお話があったとおり、国においては、ウイルスの国内侵入を未然に防ぐといった検疫体制の強化を図ってまいりました。
 一方、五月十六日になりますと、神戸市で初の国内感染者が発生をいたしまして、その後、兵庫、大阪などを中心に感染が拡大したという経緯をたどってきております。
 国は、これを受けて、感染の初期であり、患者発生が少数であり、感染拡大の防止に努めるべき地域と、今回の関西のように急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域の二つに地域を分類いたしまして、実情に応じた柔軟な対応をとるといったような経過でございます。
 ただ、東京の場合は、まだ感染者がそれほど多くないということで、慎重な対応をしていこうという形になっておりますけれども、何よりも、やはりこの感染の拡大を防止するためには、先生から先ほど何度もご指摘いただいておるとおり、こういった弱毒性とか、そういった今回のインフルエンザの特徴を十分に踏まえまして、初期の段階で適切な治療を受けるということが大切だというふうに考えております。
 また、糖尿病等の基礎疾患を抱えていらっしゃる方にとっては、症状が軽微であっても、これは大事をとって入院させるといったようなことが、やはり柔軟で有効な対策だろうというふうに考えております。
 今回の感染症の緊急対応病床でございますが、こうした考えに基づきまして、感染の疑いが生じた患者について採取した検体を遺伝子レベルで判別をいたします、いわゆるPCR検査を行いまして、確定診断が出るまでの時間がございますので、それまでの一時的な受け入れを行うといったような入院病床として活用をするとともに、今後、感染が拡大をしたという過程で患者さんが急増するといったような場合を想定して、こういった場合に、やはりある程度ベッドの数を用意しておかなきゃいけない。あるいは、重症化を防止するためのそういったベッドという考えのもとに、当然、指定医療機関に設置をしております感染症病床、東京都は六十床あるんですけれども、これを補完する役割として、ただいま申し上げたような入院病床として機能させたいというふうに考えております。

○田代委員 最後となりますけれども、今お話しいただいたPCR検査、これはなかなか難しいんですね。迅速にできない。迅速キットは我々持っているわけですけれども、当然、診療所でそこから先に進まないことが、先ほど申し上げたように風評被害がありますから、どこどこのクリニックで第一号だというと、やっぱり、区であそこで出たというと、そういうものに対する対応が、O157のときもそうですが、全く我が国はされないものですから、ちゃんと報告した人が損をしてしまうみたいな変なところがあるので、この対策はもうしっかりとらないと、こういうものの対応というのはできないと思うんです。
 リサーチがちゃんとできていかない。キットを持っていても、PCRまで続かないということはいっぱいあるので、我々の予測では、今、東京都内に三けた以上患者さんはいるんだろうと思っていますけれども、ただ、今回は非常に弱毒性であるからいいわけであって、これが強毒性に変わったときに、今、東京都が対応して、新しい補完の仕方を考えている、これもとてもすばらしいんですが、これだけで足りるかどうかということが心配なことと、この新型インフルエンザの中で今一番問題になっているのは、インドネシアで豚インフルエンザにかかっている豚にH5N1は約一〇%、一割の豚が混合感染している。
 交雑が起きたときに、豚の体温と鳥の体温、当然、人間には豚の方が近いわけですから、鳥が人間にうつるためには、どこかで体温の壁を越えなくちゃいけないわけです。豚の中では、もう越えつつあるわけですね。その後、豚と人間は非常に仲よく感染しやすい関係がありますから、豚に簡単に鳥インフルエンザが入ってくるということになると、いよいよH5N1ということになる。
 致死率が今のところは六〇%を超えているわけですから、全世界の人口の半分が消えちゃうわけで、とんでもないことになるわけですけれども、そうならないことを願うわけですが、やはりきちっとした対応を東京都でとっていくためには、その最先端というか先頭で戦っていらっしゃるのはやはり皆さん方だと思うんです。
 最後に、この新型インフルエンザ対策における本部長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

○中井病院経営本部長 ただいま田代先生の医師としての専門的な立場から、貴重なご意見、ご指摘を多々いただきまして、まことにありがとうございました。
 先ほど経営企画部長からご説明申し上げましたとおり、私ども都立病院、公社病院では、メキシコ、アメリカでの新型インフルエンザの発生拡大の事実を知った四月下旬から、いち早く対応を開始し、本日までに四名の感染者の入院治療を行うとともに、多くの発熱外来受診者への対応をしてきたところでございます。
 幸い感染の勢いは小康状態の傾向にあるようでございますが、今後考えるべきは、委員からもご指摘ございましたとおり、ことしの秋、冬に予想される第二波、第三波での本格流行、あるいは強毒化の可能性、さらには、今回のものとは別の鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザへの備えでございます。
 こうした意味で、都立病院では、現在、病棟の陰圧化や医療資器材、薬剤の確保を既に進めているところでございますが、今回の補正予算案をお認めいただければ、公社の荏原、豊島病院でも同様な備えができるわけでございまして、都立、公社病院全体でより万全な体制が構築できていくことになるわけでございます。
 また、ソフト面でも、今回の経験を新たな糧として、医療現場でのレイアウトや職員の行動マニュアル等、より実践的で具体的な対応方法ができるよう、きめ細かい検討を今後さらに行い、一層の改善に努めていきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、鳥インフルエンザに由来するものも含め、新型インフルエンザが今後どのような状態になっていくかということは、専門家でもなかなか予測がしがたいわけであります。それだけに、備えはできる限り万全なものにするということが、今、行政がとるべきスタンスであると考えております。
 今後も、都民の生命と健康を守るため、都立病院、公社病院が一体となって、そして、福祉保健局など都庁の関連部局との連携も密に行いながら、全力でこの問題に取り組んでまいります。

○松下委員 私も、新型インフルエンザ対策に関連して質問をいたします。
 昨日の私たち民主党の代表質問でも取り上げておりますが、豚インフルエンザから変異した今回の新型インフルエンザは、感染防御に関する情報が錯綜し、市中ではマスクが売り切れるなどの事態も起きています。一たん終息の見込みかともいわれてはおりますが、過去のスペイン風邪は三回にわたって流行を繰り返し、日本では夏にも流行したということから、今後の新型インフルエンザ対策も終息するまで長期戦となりそうであります。
 今回、都は、秋以降の再度の新型インフルエンザの流行にも備え、緊急追加対策として、感染症指定医療機関である東京都保健医療公社荏原病院及び豊島病院の感染症医療体制を強化する補正予算を組むことにしたとのことであります。
 そこで、この感染症緊急対応病床等の整備をどう進めていくのか、この秋、冬に備えてすぐに整備ができるものなのか、確認のためにお伺いいたします。

○都留サービス推進部長 今回の補正予算では、新型インフルエンザの流行拡大に備え、荏原病院と豊島病院において、二十一年度はまず、陰圧器や医薬品、診療材料などの購入を行っていく計画でございます。
 また、感染症緊急対応病床につきましては、新たに両病院の一般病棟を、それぞれ一病棟ずつ空調を独立させて病室の陰圧化などを行うための設計に要する経費を計上しております。
 なお、工事は二十二年度を予定いたしております。

○松下委員 施設を整備するには設計が必要であり、工事の期間も見込まれるなど、時間を要することは理解はいたしますが、この整備が、今ご答弁でもありましたように、二十二年度を予定している、二十二年度までかかるということになりますと、都民としても、なかなか安心できないのではないかとも思えてしまいます。
 すぐにも、あるいは過去の事例からも明らかなように、この秋、冬に再びやってくるかもしれない新型インフルエンザへの対策として、感染症緊急対応病床が整備されるまでの間の対応はどのように行うのか、都民の安全・安心のためにも確認させていただきたいと思います。

○都留サービス推進部長 荏原、豊島の両病院におきましては、既に患者さんの入院治療に対応するための感染症病床がそれぞれ二十床ずつ整備されております。これに加えまして、感染症緊急対応病棟が二十二年度に工事を終わりますそれまでの間は、病室への隔離、あるいは簡易陰圧器を病室に設置するなどして対応することといたしております。

○松下委員 今回の新型インフルエンザへの対応の中で、患者が病院を受診するに当たり、事前に保健所や発熱相談センターに連絡の上、来院してほしい旨の広報がございました。
 そこで、保健所から紹介をされた患者は、病院現場においてどういった流れになるのか、また、直接外来に来てしまう場合もあるかとは思いますが、その対応はどのようになっているのか、具体的にお伺いいたします。

○都留サービス推進部長 感染症指定医療機関であります荏原病院の場合を例に挙げますと、保健所から診察依頼の連絡が入り次第、医師や外来看護長等が受け入れ体制の準備を行います。患者さんが来院されましたら、一般の外来とは別に設置してあります発熱外来で診察を行いまして、その結果や症状に応じて感染症病棟に入院するなどの対応となります。
 また、保健所に相談せずに直接病院に来院された場合に備え、病院の入り口には、発熱外来へ行っていただくよう掲示がしてあり、その動線に沿って一般の外来患者さんと受診経路が別になるよう誘導いたしております。

○松下委員 病院には一般の外来患者さんもいれば、新型インフルエンザの患者さんも来院する、そうしたことがございますが、感染が拡大した神戸や大阪では、軽症者の場合には自宅療養させるなどの対応をとっているというふうに聞いております。
 仮に新型インフルエンザに大勢の方が感染した場合など、病院ではベッド数、病床数は限られておりますので、入院や自宅療養の振り分けをどのように行うのか、具体的にお伺いいたします。

○都留サービス推進部長 今回の新型インフルエンザでは、五月二十二日に国から新たに示されました医療の確保等に関する運用指針に基づきまして、仮に新型インフルエンザに大勢の方が感染した場合には、自治体が厚生労働省と相談して、急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域と判断することになり、その地域では、基礎疾患を有する者等は、初期症状が軽微であっても優先して入院治療を行う。また、軽症者は、自宅で服薬療養し健康観察を実施するとされております。
 現在、東京都は、この地域に該当しておりませんが、仮に該当すると判断された場合には、医療現場では医師が先ほどの運用指針にのっとった振り分けを行うことになります。

○松下委員 今のご説明で、新たに国から示された医療の確保等に関する運用指針に基づいて、自治体の判断のもとで行えるということはわかりました。
 先日、私は、八王子にありますある企業を訪問した際には、入り口で頭の近くに非接触型の体温計を当てられて、体温を測定されました。また、マスクを着用するように促されました。新型インフルエンザの患者さんが八王子市内にいらっしゃるということも影響しているのかとも思いますが、ビルの中に入るということは、閉鎖された密室の空間に入るということであり、感染がしやすいという環境となってしまいます。そのため、企業の責任として、こうした対応をとっているのであろうと感じました。
 そこで、感染防止のための啓発や広報活動は、本来は福祉保健局が所管することになるとは思いますが、都立病院、公社病院では、患者への受診の仕方、来院者への感染防止のための啓発などをどのように行っているのか、お伺いいたします。

○都留サービス推進部長 都立病院、公社病院におきましては、従前から季節性インフルエンザが流行する時期には、発熱やせきのある方はマスクを着用して来院していただきますようご案内し、掲示も行ってまいりました。
 今回の新型インフルエンザにおきましては、こうした取り組みのほか、病院入り口や発熱外来の入り口などに、新型インフルエンザが蔓延している国または地域に滞在もしくは旅行し、発熱やせきなどの症状がある方は最寄りの保健所にご相談くださいといった注意書きを掲示し、感染防止のための啓発を行っております。
 また、患者さんの動線を別々にすることにより、診療の効率化を図りますとともに、病院内での感染拡大の防止に努めております。

○松下委員 病院には患者さんだけではなく、お見舞いの方や医師、看護師、職員や業者の方など、毎日多くの人々が来院するかと思います。病院内での感染拡大をしっかりと防止をしていただきたい。そして、情報が錯綜しないように、病院経営本部としても適切な情報提供を行い、感染防止のための啓発を引き続き行っていただきたいと要望して、私の質問を終わります。

○野上委員 私からも、百七号議案、病院経営本部所管分、新型インフルエンザ対策について何点か質問いたします。
 今回の補正予算では、新型インフルエンザ緊急対策として、感染症指定医療機関である公社荏原病院と豊島病院に新たに感染症病院を補完する感染症緊急対応病床を整備し、医療提供体制を強化するとの説明がありました。今回の新型インフルエンザについては、弱毒性であること、また、季節性のインフルエンザと症状が余り変わらないことなどで、その実態も少しずつ明らかになってきております。そのため、地域の状況に応じた弾力的な対応がとられるよう、国の基本的対処方針も改定をされております。
 しかし、先ごろからの質疑にもありますように、スペインインフルエンザの例もあり、今後、秋、冬の再流行や強毒化する可能性を考えれば、病床数を十分に確保する必要があると思います。
 今回、感染症指定医療機関に感染症緊急対応病床を整備することは、大変時宜にかなったものだと思います。
 そこで、まず確認のため、都内の感染症指定医療機関にはどのような種類があって、それぞれにどれぐらいの数を用意しているのか。それらを入院規模で見るとどれぐらいであり、また、そのうち、都立病院や公社病院はどれくらいのパーセントを占めているのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 都内には、まず、エボラ出血熱やラッサ熱などの一類感染症の患者と、ジフテリアや重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSなどの二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当いたします第一種感染症指定医療機関がございます。
 また、先ほど申し上げた二類感染症の患者及び新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当いたします第二種感染症指定医療機関がございまして、それぞれ都知事が指定をしております。都内の第一種感染症指定医療機関には、都立墨東病院と公社荏原病院の二病院が指定されており、第二種感染症指定医療機関には、都立駒込病院と公社豊島病院のほかに、青梅市立病院、東京医大八王子医療センター、共済立川病院、武蔵野赤十字病院、公立昭和病院、町立八丈病院の八病院が指定をされております。これら指定医療機関の感染症病床は合計で九十二床ありますが、そのうち都立墨東病院で十床、駒込病院で十床、公社荏原病院で二十床、豊島病院で二十床保有をしております。したがいまして、都立、公社合計で六十床でございまして、全体の六五%を占めております。
 そのほか、都内では国立国際医療センターが厚生労働大臣から、これまでの感染症とは明らかに異なる新感染症にも対応いたします特定感染症指定医療機関として指定されておりまして、四床の感染症病床を保有しております。

○野上委員 一種は四床で、二種が八十八床、合計九十二床。その中でも都立、公社で全体の六五%ということがわかりました。
 新型インフルエンザ患者の入院対応を行う感染症指定医療機関の中でも、東京都内では、都立病院や公社病院がその病床数においてかなりの保有率を占めておりまして、公的病院として重要な役割を果たしているということです。
 さて、今回の補正予算は、指定医療機関とされている公社荏原病院と豊島病院での感染症緊急対策病床の整備であり、都立病院においては、当初予算で同様の対応を進めているとのご説明でした。
 そこで、都立の感染症指定医療機関である墨東病院や駒込病院では、感染症緊急対応病床を確保するために具体的にどのような取り組みを行っているのか、また、外来対応のためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 駒込病院では、現在進めております再編整備事業におきまして、現在はございませんが、一類感染症の対応病床を二床整備し、二類感染症の対応病床を現在の十床から二十八床に拡大整備するとともに、陰圧機能を有した感染症緊急対応病床を六十四床整備する計画であり、今年度に整備が完了する予定でございます。
 また、墨東病院では、将来の施設の改築、改修に合わせまして、感染症病棟及び感染症外来を移設、拡充し、独立して感染症に対応することが可能な機能を整備するなど、その拡充を図る計画でございます。
 駒込病院、墨東病院とも、施設整備が完了するまでの間は、一般病床に簡易陰圧器を導入するなどして、感染症緊急対応病床を確保していくこととしております。
 また、外来対応でございますが、両病院では、保健所の発熱相談センターから新型インフルエンザの疑いがあると紹介された患者さんを診察するための発熱外来を設置しており、患者さんが増大したときに備えまして、機能を強化するためにも院内移送用の陰圧キャリングベッドなどの医療資器材を購入するとともに、陰圧テントや外来用プレハブ棟などの整備も進めております。

○野上委員 先ほどの質疑の中でも、今回の公社荏原病院及び豊島病院に感染症緊急対応病床がどのように整備されるのかが明らかにされましたが、今の答弁で、都立病院でも同様の取り組みが今年度の当初予算を活用して行われていることが確認できました。このいつ起きてもおかしくないという状況で予算化したわけですが、この当初予算の執行体制を組む前に、今回の新型インフルエンザが現実になったということが実態だと思われるので、都立病院の指定医療機関においても必要な対応が的確にできるよう、その整備を急いでいただきたいと思います。
 そういう意味で、この新型インフルエンザ対策においては、感染症指定医療機関の果たす役割が大変大きいことは事実です。しかし、爆発的な感染の広がりを見せることも十分に想定されている新型インフルエンザに対しては、指定医療機関だけではなく、一般の医療機関も含めた各種医療機関のそれぞれの役割を果たすことが重要であります。
 そこで、感染症指定医療機関以外の都立、公社病院は、インフルエンザ対策においてどのような対応を行うことになるのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 感染症指定医療機関以外の都立病院及び公社病院の中には、新型インフルエンザ対策として、知事から診療協力医療機関に指定された病院があります。診療協力医療機関は発熱外来を設置し、あらかじめ設定した担当地域の発熱相談センター等によってトリアージされた疑い患者さんについて外来診療を行い、検査結果が出るまで一泊入院を含む経過観察などの対応を行うこととしております。
 これまで、福祉保健局であらかじめ備蓄しました個人防護具等や抗インフルエンザウイルス薬の供給を受けて対応してまいりましたが、病院経営本部独自の備蓄を進めますとともに、感染症指定医療機関と同様に、発熱外来の運営に必要な医療資器材等の整備も進めております。
 また、この診療協力医療機関に指定されていない病院であっても、院内発症が生じた場合等に備え、あらかじめ隔離する病室を確保することとしております。
 さらに、感染症指定医療機関以外の病院では、状況が深刻化し、重症者等の入院対応が求められる事態を想定しまして、病棟単位、フロア単位で対応できる病床の確保をあらかじめ検討しておくといった準備も進めております。

○野上委員 感染症指定医療機関以外の都立病院、公社病院でも、それぞれ果たすべき役割があり、取り組みを進めていることもよくわかりました。新型インフルエンザ対策における医療体制の確保のためには、すべての医療機関の協力が欠かせないことは申すまでもないことですが、都立病院、公社病院がその中核をなすべきことは当然であります。
 今回提案されている補正予算は、公社荏原病院と豊島病院に関するものですが、都立病院と公社病院とが協力して事に当たっているということがよくわかり、大変心強く感じております。新型インフルエンザの秋、冬の再流行に備え、これまで以上に都立病院と公社病院とで緊密に連携を図り、都民の健康安全、命を守るために万全の準備をしていただくことを要望して、質疑を終わります。

○かち委員 私からも、第百七号議案、病院経営本部関係の新型インフルエンザに対する補正予算について二点ほどお聞きします。
 このたび四月二十五日にメキシコで発生した豚インフルエンザは、瞬く間に新型インフルエンザと認定され、二十八日には危険度もフェーズ四から五へと引き上げられました。この日、日本共産党都議団としては、都としての取り組み体制の強化を申し入れしたところでございます。国内でも百人を超える感染者が発生し、都内でも数名の発生が今なお続いています。今回は弱毒性であったということが不幸中の幸いではありましたが、ことしの秋から冬にかけての流行期には、また感染拡大が起こりかねません。そして、一たんこうしたことが広がると、関西地方のように、経済的、社会的生活にも大きな影響を及ぼしかねません。そういう意味でも、いかに初期対応、そして感染拡大を防止するかということがかなめになっていると思います。
 そこで、今回、今後の流行期に備えて対応するために、公社病院の豊島と荏原病院に感染症対応病床を確保することになり、各六十床を整備し、機能強化を図るため、十億円の補正予算が提案されました。
 また、駒込病院では、今年度予算で感染症病床を、増設設備費で緊急対応病床を六十四床確保するとのことです。
 最近の感染症は、SARSや、また、鳥インフルエンザなどのように新たな脅威となっております。都民の命を守る立場にある都政の一端を受け持つ都立病院、公社病院の役割は重要です。そのために体制整備の確保は当然必要なことと考えます。
 そこで、お聞きしますが、公社豊島病院と荏原病院は感染症指定病院でもあるわけですが、それぞれの病院で、この新型インフルエンザに対応できる医師は、どのような診療科で何人いるのでしょうか。

○都留サービス推進部長 豊島、荏原の両病院では、感染症科の専門医師を中心に内科の医師が協力して診療に当たっております。平成二十一年四月一日現在、豊島病院においては感染症科一名、内科十五名を、荏原病院においては感染症科二名、内科十二名の医師を常勤医師として、それぞれ配置しております。

○かち委員 一人、二人の収容というか、入院受け入れという状況であれば、こういう体制でも可能かと思いますけれども、一気に急増したというような状況のときには、やはり専門医だけではなく一般の医師も、そして、病院のスタッフも総がかりでこういうことに対応しなければならないという意味では、病院職員全員への徹底した啓蒙、教育活動も必要だなというふうに思っております。
 そして、施設設備ができても、受け入れ態勢がなければ機能を発揮することができません。豊島病院と荏原病院での看護体制の充足状況はどのようになっているでしょうか。

○都留サービス推進部長 二十一年四月一日現在の看護要員の配置状況は、豊島病院が定数二百九十三に対して、現員が二百八十一名であり、欠員十二名、荏原病院については定数三百十四に対して、現員が二百六十九名、欠員が四十五名の状況となっております。

○かち委員 いずれも欠員状況なわけですけれども、とりわけ荏原病院は、四月時点で四十五名が不足をしているということなんですけれども、これは一病棟休止状況では間に合わない数だと思うんです。いってみれば、二病棟分ぐらい不足していると思いますけれども、そのために今どういう状況になっているかというと、全体が入院抑制状況になっているわけです。
 こういう中で感染症患者が急増したら、現場は麻痺してしまうということは目に見えているわけですけれども、荏原病院は、先ほどもありましたけれども、感染症指定病院でも一類指定を持つ、都内では墨東病院と荏原にしかそのベッドを持っていないという大変貴重な病院でもあるわけです。いざというときに機動的に対応できる体制確保が何よりも必要です。そのためには、荏原病院は、都立に戻して人員体制を確保し、どんな感染症にもこたえられる医療体制を確保すべきと考えます。
 荏原病院は、二〇〇六年に公社に移管されて以降、看護師の大幅欠員が続いています。そのことが全体の医療活動にも影響しているのが実態です。都内でも数少ない一類感染症指定病院でもある荏原病院は、都立に戻し、都民の必要とされる医療が提供できる体制を取り戻すことが必要だということを申し述べ、質問を終わります。

○橘委員 今回の新型インフルエンザ対策に関する補正予算に関連して質問いたします。
 新型インフルエンザの発生から一カ月を経過し、東京都においては昨日、新たに三名の方の感染が確認され、本日までに七名の方の感染が確認されております。この間の医療関係者、特に都にあっては、都立病院、公社病院の医療スタッフの昼夜を問わない不眠不休の努力に改めて敬意を表したいと思います。
 こうした緊迫した状況が続いている中で、私の地元板橋区では、養育院と豊島病院を守る会というところが発行しているビラのようでありますけれども、豊島病院を中傷するかのようなビラが配布されておりました。豊島病院の公社化を受けて、インフルエンザ大丈夫と疑問符を打った表現で、豊島病院ではインフルエンザに関してあたかも十分な対応ができないかのような、住民の不安をあおる内容のビラでありました。
 そこで、豊島病院は、都の感染症医療対策の上でどういった役割を担い、都立病院時代と公社化後でその役割に変化があったのかどうか、確認のために最初に伺っておきます。

○及川経営企画部長 いわゆる感染症法では、感染症の感染力と感染した場合の重篤性等を考慮し、一類から五類までの感染症や新型インフルエンザ等感染症及び新感染症といった感染症類型を定めております。
 豊島病院は、この感染症法に基づいたジフテリア重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSなどの二類感染症及び新型インフルエンザに対応する第二種指定医療機関に指定をされております。このため、病室ごとに陰圧、陽圧の切りかえができる空調設備を備えた感染症病床十四室、二十床が設置されており、今回の新型インフルエンザに際しましても、保健所と連携し、疑い患者や感染患者の受け入れを行う病院として積極的に対応しているところでございます。
 豊島病院の公社化後は、地域の中核的な役割を果たす病院として、地域全体の医療サービスの向上に努めておるところでございますが、こうした感染症医療については、都立病院時代と何ら変わることなく継続して医療体制を整備し、公的病院としての責任を果たしておるところでございます。

○橘委員 ただいまの答弁で明らかであるかと思いますけれども、豊島病院は、都立病院時代も公社化された現在でも都の感染症医療における役割には何ら変化はないと、変わりはないというわけですね。また、このビラの中では、看護師の流出という表題をつけて、公社化により、昨年度末に多くの看護師が退職し、インフルエンザ対策に疑問を呈しておりますけれども、本当に看護師が公社化のために流出しているのか、この点はどうでしょうか。

○及川経営企画部長 豊島病院における看護要員の退職状況について見ると、都立病院時代の平成十九年度末の退職者数は、定年退職が三名、勧奨退職が二名、その他退職が十三名の計十八名であり、公社化直前の平成二十年度末では、定年退職が三名、勧奨退職が二名、その他退職が十一名の計十六名となっております。
 したがいまして、この二年間の比較では、公社化直前の方が退職者数が二名減少しているという状況でございます。
 また、看護要員の減員数を見ますと、二十年四月一日現在で二百七十二名、公社化後の二十一年四月一日で二百八十一名となっておりまして、公社化後の方が看護要員は増加をしております。
 なお、公社化二カ月後の六月一日現在では二百八十五名と、さらに看護要員は四月一日から四名の増加となっております。
 したがいまして、公社化によって看護要員が流出しているというようなことはないと考えております。

○橘委員 まさに今、答弁で明らかになりましたけれども、このビラによりますと、看護師の流出が続出しているかのような表現、これは間違いだということが明らかであると思います。また、ただいまの答弁によりますと、公社化後も感染症医療などの医療サービスは低下していないし、人的体制もきちっと確保されていることが明らかであると思います。にもかかわらず、住民の不安をあおるような卑劣なやり方、しかも新型インフルエンザに対応するために豊島病院の医療スタッフが一生懸命頑張っているときに、こうした中傷したチラシが出回ることは許せるものではありません。
 さて、豊島病院においては、一般病棟一病棟の空調を独立させ、病室の陰圧化を行うなどの施設整備を行うと聞いております。ハード的には、今まで以上のレベルアップが図られるとのことであります。
 しかし、そういった施設整備がなされたとしても、いざというときの医療スタッフの体制確保が肝心であります。
 そこで、豊島病院における新型インフルエンザ対策としての人員体制はどのように今後対応していくのか、この点について伺います。

○及川経営企画部長 豊島病院における新型インフルエンザに対応するための人員体制につきましては、感染管理の担当副院長を責任者として、医師については、感染症科の専門医師を中心に内科医師が協力し、診療に当たってまいります。看護部門では、感染管理を担当する看護師が中心となって各部門との連絡や調整に当たり、院内の感染対策活動を進めるとともに、病棟間の協力体制を組み、薬剤師や臨床検査技師などのコメディカル職員とも連携し、病院全体で対応していくこととなります。
 また、感染状況によりまして、相当数の入院患者の増加があった場合には、都立病院、公社病院が全体で協力体制を構築し、対応を図ることとしております。

○橘委員 豊島病院は、地域病院としての機能を充実させ、産科における分娩の再開、また、新生児医療の充実を図るために、この四月には二十四時間体制で新生児の医学的管理を行うGCU病棟を開き、住民から信頼され、頼りにされる病院となるよう努力してきました。
 また、今回の補正予算では、感染症医療について、これまで以上により一層充実する方向で施設整備する計画を進めております。こうした都の対応を客観的に見ますと、公社病院になったから医療サービスが低下するといった指摘は全く的を射ていない主張であることがよく理解できます。一部の中傷に惑わされることなく、病院経営本部においては、都民の生命と健康を守るために、今後とも引き続きしっかりとした対応をしていただくことを要望して、質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○東野委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、福祉保健局所管分、第百十四号議案、第百十五号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で二項目となっております。
 一ページをお開き願います。都道府県における介護サービス情報の公表制度に係る手数料額の状況といたしまして、都道府県ごとの公表手数料と調査手数料について、平成二十年度と二十一年度の額を記載してございます。
 二ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職員数といたしまして、医師、研究員などの区分ごとに都派遣者と固有職員の平成二十一年四月一日現在の現員数を記載してございます。
 以上、大変簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 質問に先立ちまして、今回、条例改正が提案をされている介護サービス情報の公表制度に関しまして、一言意見を申し上げたいと思います。
 昨日の我が党の代表質問に対し、安藤局長から事業者の負担する手数料を大幅に引き下げるとのご答弁をいただきました。私も本委員会において、この制度が利用者にとって利用しやすいものとなるよう、繰り返し質疑をさせていただきました。今回の条例改正は、事業者負担の軽減という我が党の要望にこたえたものと評価し、条例改正に賛成をいたします。
 引き続き、どうか事業者や利用者にとってよりよい制度となるよう、国に対し見直しを求めるよう要望いたしまして、質問に移らせていただきます。
 大変質問者が多いようでありますので、端的に質問をさせていただきます。
 まず、有料老人ホームに対する緊急対策についてでありますが、去る三月十七日の厚生委員会におきまして、私は、介護が必要な高齢の生活保護の被保護者が近県の病院を転々としたり、また、都外の施設等にやむなく移り住んだりするケースが目立ち始めていることから、高齢の被保護者が居宅で生活が困難となった場合、老人福祉法に基づく養護老人ホームや介護保険施設の利用等、適切な援助が必要となることを指摘し、警鐘を鳴らしました。
 そのわずか二日後、群馬県渋川市の未届け有料老人ホームで火災が発生し、かけがえのない命が犠牲となったわけであります。その中には、都内から入居した利用者も被害に遭われるという大変極めて残念な事態となりました。これを受け、都は、直ちに今回の事故と類似の施設百三カ所を対象とする緊急点検に取り組んだと伺っております。
 そこで、この緊急点検結果の概要、また、その結果、さまざまな課題も当然浮かび上がってきたと思いますので、どんな課題が浮かび上がってきたのか、お伺いをいたします。

○狩野高齢社会対策部長 都は、東京消防庁、建築主管の部局、区市町村の高齢福祉主管課と連携し、お話の都内のこうした未届けの有料老人ホーム、区部に七十七カ所、市部に二十六カ所ございますけれども、合計百三カ所を対象とする緊急点検を実施いたしました。このうち、老人福祉法の届け出が必要な有料老人ホームに該当する施設は、区部が三十六カ所、市部が十カ所の計四十六カ所でございました。そのほか、住宅の提供者と介護等サービスの提供者が契約上異なるなど、いわゆる老人福祉法の有料老人ホームに当たらない非該当の施設が四十八カ所、それから、事業を既に廃止したところが九カ所ございました。
 緊急点検の結果、浮かび上がった課題でございますけれども、老人福祉法上の課題といたしましては、有料老人ホームと同様のサービスを提供しているにもかかわらず、先ほど申し上げましたように、住宅の提供者と介護等のサービスの提供者が契約上異なるというものについては、法令解釈上、有料老人ホームに当たらないという国の解釈が示されておりますけれども、そういう法上、非常にあいまいなものの存在が明らかになったことでございます。
 二番目は、防火安全体制の課題ですけれども、消防庁と点検をした結果、消防法令上の例えば防火対象物の使用開始届の未届けですとか、消防用設備等点検の未報告などの批判がございました。
 また、有料老人ホームに該当する施設の約七割、三十二施設は、延べ床面積が二百七十五平米未満でございますので、消防法令上はスプリンクラーの設置が義務づけられておりません。また、火災通報装置ですとか、自動火災報知設備につきましても、これは平成二十四年三月まで消防法の改正の経過措置期間中であるため未設置でございました。
 建築基準法上の問題としては、非常用照明装置がないとか、防火上主要な間仕切り壁が未設置であるなどの建築基準法違反が四十五施設ございました。
 それから、入居者の処遇上の問題については、私たちが目視した限りでは、身体拘束、高齢者虐待等は見受けられませんでした。ただし、一室に複数の高齢者を居住させている施設が百三施設中、約四十三施設で見受けられました。
 以上でございます。

○山加委員 ご答弁によりさまざまな課題が浮かび上がってきたことがわかるわけでありますが、去る五月二十八日、国土交通省から報道発表された情報によれば、住宅から有料老人ホームに建物を変更する際には用途変更の手続が必要なわけでありますが、全国の未届け有料老人ホーム、該当する四百六カ所の中で、そのうち約四割が用途変更の手続をしていなかったということも判明をしたと聞いております。命の重さをしっかりと守るためにも、早急に対策を講じるべきであるということは、いうまでもないことであります。
 こうした課題に対して、今後、都は、どのように対策を講じていくのでしょうか、お伺いをいたします。

○狩野高齢社会対策部長 都は、入居者の安全・安心を確保するため、消防法令上は義務づけられていない延べ床面積が二百七十五平米未満の施設を含むすべての施設を対象に、スプリンクラー等の防火設備に対する助成を行うことにより、都内の未届け施設等に対して、法に基づく有料老人ホームの届け出を強力に指導してまいります。
 また、非該当となる施設に対しましても、老人福祉法第二十九条第一項に規定する有料老人ホームと同様な指導監督が行えるよう、直ちに必要な措置を講じることなど、国へ法整備を求める緊急提案を五月十八日に実施いたしました。
 なお、この非該当となる施設につきましても、形式的には契約が別々であっても、実態として介護等サービスを提供している場合は、有料老人ホームとしての届け出をするよう強力に事業者に働きかけてまいります。
 今後、東京消防庁や建築主管部局、区市町村の高齢福祉主管課と連携し、緊急点検結果のフォローアップや未届けの有料老人ホームの情報の共有化を図るとともに、届け出促進に向けた指導体制を強化してまいります。

○山加委員 ぜひとも指導体制を徹底して強化していただきたいと思います。
 また今回の補正予算では、この未届け有料老人ホームに対する緊急対策といたしまして、福祉事務所の機能強化に対する経費が計上されております。この具体的な内容についてお伺いをいたします。

○永田生活福祉部長 福祉事務所の機能強化に要する経費でございますけれども、生活保護を受給している高齢者に対する援助がより一層適切に行われるよう、福祉の取り組みを支援するものでございます。
 具体的には、まず、ケースワーカーへの助言や、高齢福祉所管課との連携のための支援等を行います高齢者支援員の福祉事務所への配置の促進を図ることとしております。そして、高齢者支援員が高齢者の生活支援を円滑に行えるようにするためのプログラムを開発し、提供してまいります。
 また、福祉事務所がやむを得ずに未届けの施設等を紹介する場合においても、その施設の状況や支援内容を事前に確認できるもの、もしくは、その利用後の実態把握を適切に行うためのマニュアルを作成し、提供してまいります。
 さらに、これらの施策が適切に実施できますように区市を支援してまいりますけれども、ケースワーカーや高齢者支援員に対する研修を実施してまいります。

○山加委員 ご答弁によって、福祉事務所に対し、多面的に支援することが理解できたわけであります。都においては、現場の第一線でご尽力されている福祉事務所への支援を行うとともに、有料老人ホームに該当する施設に対しては、今回の補正予算の防火対策緊急整備支援事業等を活用して、どうか届け出指導の徹底をお願いしたいと思います。
 さらに、今後、養護老人ホーム等における、ひとり暮らしの困難な低所得の中軽度要介護者への受け入れなどがより適切に行われるように、どうか都のさらなる検討をお願いしたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 平成二十一年度補正予算案のうち、障害者自立支援対策臨時特例基金事業についてお伺いをいたします。
 障害者自立支援法の円滑な施行を図るために、十八年度から三年間、都道府県に基金を造成し、基盤整備や事業者に対する激変緩和策の支援を行うこととされたわけであります。東京都においても、約六十八億円の基金が造成されました。本来ならば、三年目に当たる昨年、事業が終了するはずでありましたが、二十年度末にさらに基金への積み増しが行われ、その事業がさらに三年間延長されたわけであります。
 まず、この延長された背景はどういうものなのか、お伺いをいたします。

○松浦障害者施策推進部長 障害者自立支援対策臨時特例交付金事業、いわゆる基金事業でございますが、この事業が延長された背景でございますけれども、障害者自立支援法におきましては、これまでの施設サービスや通所サービスなどの旧体系の事業は、平成二十三年度末までに、生活介護、就労継続支援、施設入所支援などの新しいサービス体系に移行することというふうにされております。
 しかし、全国におきまして、新サービス体系への移行率が三〇%弱にとどまっているということなどを踏まえまして、国は、法の円滑な実施を図り、新サービス体系への移行をさらに促進するためなどを目的といたしまして、基金を積み増すとともに、新体系への移行の経過措置期間が終了します平成二十三年度末まで基金事業を延長したというものでございます。

○山加委員 できるだけ早く新しい体系のもとで、必要なサービスを確保していくことが必要であります。
 そこで、基金事業の延長という、この国の対策を受けて、都としてはどのような対応をしていくお考えなのか、伺います。

○松浦障害者施策推進部長 新しい体系への移行を促進するための都の対応でございますけれども、まず、基金事業の積極的活用がございます。基金事業には新サービス体系の事業を行うに当たって必要となります施設の改修、設備整備、備品購入等の補助事業などがございますけれども、これらの補助制度を引き続き積極的に活用してまいります。
 次に、都独自の施策としまして、日中活動の場の整備などを特別助成します、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランがございます。このプランを活用しまして、就労継続支援事業などの新サービス体系による施設の整備をさらに促進してまいります。
 また、新サービス体系に移行するためには、法人格が必要となります。法人格を持たない小規模作業所などに対しまして、専門知識を有する協力員を派遣し、法人設立や団体運営のノウハウを提供することによりまして、法内化を促進する支援を引き続き実施してまいります。このようなさまざまな支援によりまして、新サービス体系への移行を促進してまいる所存でございます。

○山加委員 今回の基金延長の趣旨を十分に踏まえまして、どうか積極的に事業実施をしていただくよう強く要望しておきます。
 ところで、法の円滑な施行を図るという観点から重要なのが、やはり利用者負担の軽減ということであります。先日、私の地元練馬区で障害者の保護者の方々の集まりに参加をしてまいりました。そこでは、やはり皆さんが利用者負担の軽減については、大変強い関心をお持ちでありました。
 そこで、これに関連して、この利用者負担の問題について伺っておきたいと思いますが、自立支援法においては、これまで利用者負担についてさまざまな軽減策が図られてまいりました。二十一年度、どのように見直しをされているのか、伺います。

○松浦障害者施策推進部長 平成二十一年度からの利用者負担の軽減についてでございますけれども、まず、特別対策緊急措置などによるこれまでの利用者負担の軽減措置につきましては、平成二十一年四月以降も継続して実施されております。すなわち、通所サービス、ホームヘルプを利用している方、その住民税非課税の方に対しましては、負担上限月額を千五百円とか三千円に軽減するこれまでの措置は継続されているとともに、自立支援医療におきまして、重度かつ継続の利用者で、負担上限月額を二万円に設定している措置も継続されております。
 新たに本年四月から、育成医療におきまして、中間所得者層の方に対しまして、負担上限月額が従来四万二千円だった方は一万円に、従来一万円だった方は五千円に引き下げられました。
 さらに、本年四月からは、さらなる軽減策が実施されます。一つ目は、利用者負担の軽減措置を適用するためには、預貯金額などの資産が一定以下という要件が現在ございますけれども、この資産要件というものが撤廃されます。
 二つ目は、入所施設やグループホーム、ケアホームを利用する住民税非課税の方に対しまして、利用者負担の減免を実施する、いわゆる個別減免などの収入認定におきまして、国の心身障害者扶養共済制度に基づく給付金が収入から除外されるということになります。

○山加委員 今ご答弁いただいた中の、国の扶養共済制度の給付金を収入から除外する取り扱いについてでありますが、都は、平成二十年度からこの国の制度に加入をしております。したがって、それまでの都の扶養年金制度に基づいて既に給付金を受け取っている方々についても、国の制度の給付金と同様、収入から除外されるべきと私は考えるわけでありますが、それについてはどうなるのか、伺います。

○松浦障害者施策推進部長 今、山加理事ご指摘の、都のこれまでの扶養年金制度によりまして受けている給付金を収入認定から除外するという件でございますけれども、国の心身障害者扶養共済制度に基づく給付金と同様に扱うと。すなわち、七月より、いわゆる個別減免などの収入認定から除外するという判断を国から得られたところでございます。

○山加委員 どうか今回の制度改正の趣旨をしっかりと踏まえ、必要な利用者がきちんとこの制度を活用することができるように、私は、この周知をどうかしっかりとしてもらいたい、このことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○松下委員 初めに、補正予算の保育対策緊急支援事業について何点かお伺いいたします。
 私はこれまでも、一般質問や厚生委員会での質問を通じて、待機児童の解消と、本当に困っている人たちにしっかりとこたえることができるように、認証保育所制度を見直すことも含めて、提案、要望を行っております。仕事や介護で日中、子どもの保育に当たることができない保護者にかわって、自宅以外の場所で子どもが安全に過ごせ、保護者以外の人から大切に愛情を注がれながら過ごせる場所が、保育を必要とするすべての子どもに行き渡るようにすること、保育所待機児童の解消は緊急の課題であり、東京都は子育て支援施策に重点的に予算を配分し、取り組むべきであると主張をしてまいりました。
 合計特殊出生率が全国で一番低いのが東京です。これは、東京で安心して子どもを産み育てることがとても難しいんだという意味の数字でもあると私は思います。安心して子どもを産み育てることができる東京へ、子育てしやすい東京へ変えていかなければなりません。子育て支援施策は、次世代を育成するための未来への投資であり、緊急に拡充していくことが求められています。
 そこでまず、今回の補正予算の保育対策緊急支援事業で示された安心こども基金の対象とならない認証保育所の設置促進のための新たな補助を導入した経緯と、その補助の仕組みについてお伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 安心こども基金では、認可基準を満たす認証保育所に対する開設準備経費が新たに国庫補助の対象となりまして、これまで都が補助していた改修経費のほか、初年度分の建物賃借料が補助対象に加えられることになりました。これによりまして、認可基準を満たす認証保育所と、それ以外の認証保育所とで補助内容は異なることになるわけでございまして、都といたしましては、基金の対象になるかどうかにかかわらず、認証保育所全体の設置促進を図ることが必要と考えまして、基金の対象にならない認証保育所につきましては、今回の補正予算で賃借料を都が単独で補助対象とすることとしたものでございます。

○松下委員 国の交付金を財源につくられた安心こども基金で、認可基準を満たす認証保育所に対する開設準備費が新たに補助対象となったことで、認可基準を満たさない認証保育所に対しても、今回の補正予算で賃借料を補助対象としたということはわかりました。
 私自身、昨年出産後、仕事復帰に当たって、保育所がなかなか見つからない中で、新設の認証保育所にようやく入れることになり、助けられた思いがあります。今回、認証保育所のさらなる設置促進のための新たな補助が導入されたことで、認証保育所の整備が実際に進むのであれば、早生まれや育児休暇を取得せずに仕事復帰する人たちにとって、これはとても大きな助けになるものであると思います。保育所は、仕事と子育ての両立支援のためだけではなく、一時保育や赤ちゃんの広場、離乳食指導の実施など、子育て支援の拠点としてもその役割はとても大きいと思います。
 まだ本年の待機児童数の最新のデータは発表されてはおりませんが、恐らく景気悪化の影響もあり、さらなる待機児童の数が予想される中で、保育所の定員と絶対数が足りないのが現状であります。今回の補正も加え、具体的に定員数はどのくらいにふえるのか、お伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 私ども、本年五月に昨年待機児童の多かった区市を中心にヒアリングを実施いたしました。区市におきましても、急増する保育ニーズに対応するため、安心こども基金や、今年度開始いたします待機児童解消区市町村支援事業を活用し、保育サービスの拡充に積極的に取り組みたいという意向でございました。
 しかし、一方で、急激な事業拡大に伴う財政負担への懸念も示されたところでございます。このような区市町村の動向を踏まえまして、私どもは、今回の補正予算で、区市町村負担を軽減する緊急対策を講じることといたしまして、さらに、今年度の整備目標を当初計画の五千三百三十五人増から、一・五倍の八千人増に引き上げることとしたものでございます。

○松下委員 今年度の整備目標を、年度がまだ始まったばかりの六月に、当初計画を一・五倍増加する八千人という数字に引き上げたことは評価したいと思います。しかし、保育所の新設は、設置主体である区市町村の意向に大きく左右されるのが現状であります。新たな補助を導入し、区市町村の負担を軽減し、設置促進を都として図ることは評価いたしますが、実際に待機児童の多い自治体で、保育所を本当に必要としている都民が保育所を利用できるようにするために、保育所設置に向けて区市町村にはどのように今後働きかけていくのか、具体的にお伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 区市町村に対しましては、安心こども基金や待機児童解消区市町村支援事業について、これまでも説明会などで繰り返し情報提供し、積極的な活用を働きかけてまいりました。今回の新たな補助制度につきましても、補正予算成立後速やかに区市町村及び事業者に対する説明の機会を設け、制度の詳細を十分に周知してまいります。
 また、今回の補助制度は、待機児童解消の取り組み状況に応じて補助内容に差を設ける仕組みとしております。具体的には、待機児童の九割を占める三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む区市町村に対しましては、事業者負担軽減分の補助率を引き上げるほか、本来の区市町村負担も特別に軽減することとしております。
 事業実施に当たりましては、待機児童数や整備予定について区市町村と改めてヒアリングを行いまして、積極的な取り組みを促してまいります。

○松下委員 事業者や区市町村の負担軽減を今後も継続的に行っていただき、確実に保育所の整備、待機児童の解消を行っていただきたいと思います。待機児童の数、保育サービスの定員や就学前児童人口比率、これは都内各自治体で発表されているデータがございますが、都内の各自治体間で非常にばらつきが多い待機児童の数と保育サービスの就学前児童人口の比率は、非常に相関関係が高いものであると私はこれを見て考えております。もちろん、保育所を設置する上では、その自治体の財政力というのも影響しているんだとは思いますが、財政力とあわせて、その意向ですね、保育所を新たにつくるという設置主体である区市町村の意向が非常に大きく影響しているものだと私は思います。
 私の地元の武蔵野市でも、長らく保育所の新設は行われてはきませんでしたが、昨年は認証保育所が三つ新たに設置でき、そして、ことしも認可保育園が一つできる予定でありますが、これは、やはり首長の意向も非常に大きいということを私自身実感しております。
 引き続き、区市町村とヒアリングをしっかりと行った上で、積極的な取り組みを行っていただきたいと思います。
 次に、補正予算の小児医療体制緊急強化事業についてお伺いいたします。
 これは、休日・全夜間診療事業参画等支援事業に七施設、一億千九百万円、小児救急医師確保緊急事業に七大学、一億四千万円となっております。事業の内容や期待される効果についてお伺いしたいと思います。
 私自身、間もなく一歳になる子どもを育てている母親でもあり、昨年も委員会の中で、小児救急医療について、診療まで二時間も三時間も時間を要する現在の小児救急医療の現状について実体験も踏まえた上で質問を行いました。その際にも、小児救急医療の現状について都はどのように把握しているのか伺いましたが、初めに、改めて現状の小児医療体制への認識についてお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 今日の小児科の医師の不足でございますとか、小児医療を行う施設が減少するなど、小児医療は大変厳しい状況にあるというふうに認識してございます。
 なお、このため、東京都といたしましては、地域の小児医療を確保するため、小児の入院でございますけれども、休日・全夜間診療事業を実施いたしまして、常時小児科医が対応する二次救急医療機関を現在四十七施設確保してございます。
 また、軽症の患者が身近な地域で受診できる体制を確保するため、区市町村が実施いたします小児初期救急事業を支援してございまして、これにつきましては、現在、十八区十三市で実施しているところでございます。
 さらに申し上げれば、子育てに対する不安に対応するため、医療内容でございますとか、子育て情報、こうしたものを提供いたしますこども医療ガイドでございますとか、適切な受療行動を促進するための「知って安心 暮らしの中の医療情報ナビ」などの普及啓発事業に加えまして、シャープ八〇〇〇と申しておりますけれども、母と子の健康相談室による休日や夜間の救急電話相談等を実施しているところでございます。

○松下委員 小児科の医師不足により、小児医療は大変厳しい状況にあるという認識をお持ちなことはわかりました。昨年の委員会でも私は質問しましたが、小児救急医療の現状について都はどのように把握しているのかという答弁の中で、成人に比べて、小児は夜間の救急患者の割合が高く、さらに、夜の比較的早い時間帯である準夜帯の受診が最も多い時間となっていること、都において、夜間、休日の小児救急診療を確保するため、入院治療も可能な二次救急医療機関を指定しており、これらの医療機関の来院患者のうち、平成十九年度の実績を見ますと、入院を要しない比較的軽症な患者さんの割合は九五%であることがそのときの答弁からも明らかになっております。
 つまり、本来は、二次救急医療機関ではなく、小児初期救急、一次医療機関が整備されていれば、そちらを利用した方が結果的には望ましいといえる患者さんが九五%もいるということかと思います。今のご答弁ですと、小児初期救急事業の整備率は、区部では約八〇%、多摩地域の市部で約五〇%であり、特に多摩地域の市部で整備率を上げていただきたいと改めて思います。
 今回の小児医療体制緊急強化事業の具体的な内容とそのねらいについて、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 先ほど申し上げましたこれまでの取り組みに加えまして、今回、小児医療体制緊急強化事業に取り組むこととしておりますけれども、その内容でございますが、小児の二次救急医療機関の参画を促進すること、それから、二次救急の医療機関が休止するなどの代替機能を担う医療機関の拡充を図るために、小児二次救急医療機関等に対する支援、これを行いますとともに、これに合わせまして、当該医療機関に医師を派遣する大学への支援を行うことによりまして、地域における小児医療体制の強化を図っていくものでございます。

○松下委員 医療機関に医師を派遣する大学への支援を行うことにより、地域における小児医療体制の強化を図るねらいとのことかと思います。大学の--大学というのは、つまり医局へ直接都が支援を行うのは初めてではないかと思いますが、本当にこの仕組みがうまく機能するのかどうか、小児二次救急医療機関の参画促進を促せるのかどうかは、都が医局と医療機関をつなぐコーディネーター機能を担うということかと思いますが、まだ具体的には事例が示されておりませんので、この新たな事業がしっかりと機能するように取り組んでいただきたいと思いますし、あわせて、先ほども要望いたしました一次医療機関の整備を都内全区市で実施できるように、都としても引き続き働きかけていただきたいと思います。
 軽症の同程度の患者さんが多数、二次救急医療機関へ診察に行くという現状を改善しなければ、小児救急医療が抱える長い待ち時間の解消にはつながらないと私は思います。軽症は地域の小児初期救急診療へ誘導できるように区市と連携をして、小児救急医療体制全体の水準の向上を図るように引き続き努力をしていただきたいと思います。
 いずれにしても、子どもの命を守るために小児医療体制を強化することは重要です。地域の医療資源の偏在をなくすための努力を都として積極的に行っていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 先ほどお答え申し上げました小児医療体制緊急強化事業、これは、年少人口に対しまして小児科の医師が少ない多摩地域でございますとか特別区の東部など、小児医療を強化する必要のある地域を対象といたしまして実施をするものでございます。

○松下委員 命を守るための施策は、東京都内どこに住んでいても同じようにしていただきたいと思います。二十三区と多摩地域の格差をなくしていただきたいと具体的に私は思いますし、今ご答弁にありましたように、年少人口に対して小児科の医師が少ない多摩地域で、私自身子どもを育てておりますと、日中の小児科医院、そして子どもクリニックも長蛇の列であるのが現状であります。
 また、朝、小児科医院や子どもクリニックが開く前に、出勤前のお父さんが並んで順番待ちをする、そうした光景も私の地元では見受けられます。地域で頑張っている小児科の医師が疲弊することがないように、大変厳しい状況にある小児医療をしっかりと立て直していただきたいと思います。
 あわせて、行政用語、初期、一次、二次、三次医療というような言葉を、もっとわかりやすく都民に対してPRをしていっていただきたいと思います。限られた医療資源を最大限活用するためにも、軽症、重症、重篤と、症状に応じて医療機関を分ける、日ごろから、かかりつけ医やかかりつけの薬局を持ち、健康管理に努める、こうした都民の努力も同時に必要であるとは思いますが、都としても積極的なPRを行っていただきたいと思います。
 子どもの命を守りはぐくむ、これは政治に課せられた重大な責務であるとの思いを強くし、引き続き小児医療体制の強化を要望し、私の今期最後の質問を終わります。

○橘委員 初めに、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例について意見を述べます。
 この条例改正案は、介護サービス情報の公表制度が開始されてから三年が経過し、その間の事業運営を踏まえ、公表にかかわる手数料を引き下げる内容となっております。公明党は実態を調査した上で、介護サービス事業者の負担軽減を考慮し、これまで手数料額の適正な引き下げを求めてきたところであり、今回三割以上の軽減が図られたことを高く評価いたします。
 しかし、事業者負担のさらなる軽減という観点から、かねてより我が党が主張してきたとおり、毎年実施することとされている調査周期を改善するなど、都は国に対して制度そのものの見直しについて強く求めることを要望しておきます。
 質問に移ります。
 初めに、平成二十一年度六月補正予算案に盛り込まれている介護人材等の確保について伺います。
 都民の四人に一人が高齢者となる超高齢社会が間近に迫っている現在、都民が安心して暮らしていく上で、介護職員を安定的に確保していくことは非常に重要な要素であります。さきに成立した国の補正予算においては、介護職員の給与アップの経費が盛り込まれましたけれども、介護職員の処遇改善と両輪をなすのが、将来、介護の職場で働きたいと考えている人材の発掘、育成です。その点で、今回、障害者自立支援対策臨時特例基金の今年度の事業実施経費として計上されております福祉・介護人材の緊急的な確保を図る措置は、社会的ニーズに沿った的確な対応であると評価いたします。
 そこでまず、緊急的措置の具体的な事業である進路選択学生等支援事業、それから、潜在的有資格者等養成支援事業について、その概要を確認しておきたいと思いますので、説明を求めます。

○永田生活福祉部長 お尋ねの補正予算案は、平成二十年度最終補正予算で積み立てを行いました基金を活用いたしまして、福祉、介護人材の緊急的な確保を図るために、進路選択学生等支援事業と潜在的有資格者等養成支援事業について事業化するものでございます。
 まず、進路選択学生等支援事業についてでございますが、依然としまして、福祉介護サービスの提供を担う人材の確保や、サービス水準の維持に支障を生じるおそれがある状況のもと、総体として定員割れの状況にある介護福祉士等の養成施設に専門員を配置いたしまして、福祉、介護の仕事の魅力や実情を紹介するなどして、若い世代や地域の人材確保を推進していくものでございます。
 都内に所在いたします養成施設のうち、平成二十一年四月一日現在の定員に対する入学者の充足率が原則六割未満の者を対象といたしまして、養成施設が専門員を配置いたしまして一定の事業を実施した場合に、養成施設が負担した費用の一部を助成するものでございます。
 次に、潜在的有資格者等養成支援事業についてでございますけれども、福祉介護分野への新たな人材の参画を促進するとともに、現に従事する者の定着を支援するため、介護福祉士等の養成施設を活用して研修を行う事業でございます。
 具体的には、潜在的介護福祉士等の有資格者に対する再就職支援研修、いわゆる団塊の世代や主婦層等に対する福祉介護分野への参画を進めるための研修、そして、職員の職場外研修を行うことが困難な事業所に従事する者のキャリアアップを支援する研修などを行政施設等が実施した場合におきまして、その費用の一部を助成するものでございます。社会福祉施設での職場実習をカリキュラムに組み込むなど、実践的な研修になるよう工夫を図ってまいりたいと考えてございます。

○橘委員 専門員によるPR活動や研修の実施といった事業を直接実施するのは、都内の各養成施設であるということがわかりました。こうした養成施設が一丸となって積極的にこの事業に取り組むことが、事業効果を上げる上で不可欠であると思います。現在、厳しい雇用情勢下にありますけれども、見方を変えれば、介護人材を確保する好機ともいえるわけであります。今回、補正予算が成立しましたら、一刻も早く養成施設に対して、この事業を周知し、理解と協力を得た上で早急に事業を開始すべきと考えますけれども、所管部局としての方針を伺います。

○永田生活福祉部長 この補正予算案につきましては、ご議決いただいた後に、関係者の意見などを伺いながら細部を詰めまして、今回の施策の対象となる都内の養成施設に対しまして、説明会を開催して周知を図り、来月には事業を開始してまいりたいというふうに考えてございます。

○橘委員 来月にも事業を開始したいという答弁がありました。昨今の景気、雇用、それから介護の状況下では、対応の迅速さが重要であると思います。また、介護人材不足の課題に対しては、募集すれば集まるという、そういった単純な構造には現在なっておりません。したがって、多角的、重層的な施策の展開が必要であると思います。
 その点で、都は、介護福祉士等修学資金の充実やTOKYOチャレンジ介護のスタートなど、これまでも介護人材の発掘、確保のための事業を次々と打ち出しております。これらの事業に今回の事業をさらに加えることで、より一層の効果が発揮されることを期待しまして、次の質問に移ります。
 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの中期計画に関連して質問いたします。
 旧東京都老人医療センターは、四月一日から地方独立行政法人としてスタートし、二カ月が経過しました。私が聞いている限りでは、大きな混乱もなく順調に推移していると認識しておりますけれども、設置者である都は、開設後の運営状況、利用者の反応等についてどう見ているか、見解を伺います。

○飯塚参事 四月一日に発足いたしました地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターでございますが、病院、研究所とも、順調かつ安定的に運営されております。医療と研究の一体化のメリットを生かすことを目的とした医療研究連携推進会議を設置するなど、地方独立行政法人化に伴う改革も始まっており、法人化のメリットを活用した取り組みも進めているところでございます。

○橘委員 今、私がお聞きしました順調に推移しているかどうかという、この辺が極めて大事なキーワードでございまして、先ほど、病院経営本部の関係の質疑でも触れましたけれども、養育院と豊島病院を守る会が発行しているというビラには、健康長寿医療センターについても触れております。まず、大見出しで、このままでは医療、福祉の質は低下すると記述した上で、法人化前後の混乱、健康長寿医療センターとして、さも混乱しているかのような、そういう表現を使っておりまして、そして、混乱の要因として幾つかの項目を挙げております。これが事実かどうか確認してまいりたいと思います。
 まず、混乱の要因として、医師、看護師が退職続くという表現になっておりますけれども、地方独法化によって、医師、看護師の退職者が続出しているのかどうか、この事実関係を伺います。

○飯塚参事 平成二十年度の退職者数は、医師が二十六名、看護師が四十五名、合計七十一名でございました。これは例年並みの退職者数であり、医師、看護師の退職が地方独立行政法人への移行前後の時期に特に多いということはございません。

○橘委員 具体的な数字の上で特にふえているというわけじゃないと、例年並みということであります。
 それから、二つ目の混乱の要因として挙げているのが、病棟を二つ閉鎖とありまして、医師、看護師の退職者が続出したことによって病棟閉鎖が生じたような表現になっております。この事実関係はどうなのか、それから、閉鎖に伴って何か混乱は具体的に生じたことがあるのかどうか、これを確認いたします。

○飯塚参事 二病棟を閉鎖した理由でございますが、医師、看護師の退職により削減したものではございません。
 病棟の閉鎖は、法人設立初年度から安定的な運営を実現し、新施設における病床数五百五十床に円滑に移行するため、計画的に行ったものでございます。現行建物においては、一病棟がおおむね四十床の病床から成っているため、二病棟で約八十床を削減することで五百五十床にできるだけ近づけたものでございます。
 病棟の閉鎖に際しましては、特定の診療科の病棟を閉鎖したのではなく、実績等に基づき各診療科の病床を削減したものでございます。病床を減少させましても、外来診療の強化、柔軟な病床利用などにより、医療の質を確保することができると考えております。
 なお、四月以降、病床数削減による混乱や苦情は生じておりません。

○橘委員 この点もやはり事実とかなり違うようであります。
 その後に、混乱の要因要素として、このビラによりますと、固有職員の労働条件悪化というふうにあります。これは、固有職員の労働条件は、東京都の職員と比較して下回っているのかどうか、この辺について説明をお願いします。

○飯塚参事 健康長寿医療センターの給与制度は、職員のモチベーションを確保し、努力した者が報われる制度として構築しており、職員の処遇向上に十分配慮したものでございます。福利厚生や休暇制度などにつきましては、都の制度と同等の水準を確保しております。

○橘委員 これもやっぱり事実と違うようですね。
 それから、住民無視の建築計画というふうにありまして、当然、これは健康長寿医療センターの新しい建物だと思いますけれども、地元住民の地域開発の意見要望を聞かないまま、新病院施設の施設配置プランを都議会で可決というふうな表現もございます。これは、私は地元には説明しているというふうに聞いておるんですけれども、具体的に地元への対応についてはどういう経緯でやってきたのか、説明をお願いします。

○飯塚参事 板橋キャンパス再編整備基本構想及び基本計画の策定時など、折に触れて地元板橋区の各関係部署への説明を行ってきており、また、板橋区からのご意見、ご要望も受けております。
 また、近隣各町会、自治会にもご説明しておりますが、特段のご意見はお受けしておりません。
 新施設の敷地を定めるに当たりましても、事前に板橋区の各関係部署への説明を行った上で、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款として都議会の可決をいただいたものでございます。
 なお、敷地内の建設配置などにつきましては、今後検討して計画する予定であり、計画段階で板橋区と十分協議を図ってまいります。

○橘委員 今、このビラに記述されているさまざまな課題としている点について確かめてみましたけれども、ただいまの答弁によりますと、このビラの内容はすべて間違い、事実とは違うというふうになります。こういうものをどのような意図で作成し配布したのかわかりませんけれども、少なくとも都民にいたずらに不安と誤解を与えていることは確かであります。健康長寿医療センターの設置者として、どのようにこのビラに対して考えているのか、見解を伺います。

○飯塚参事 これまで健康長寿医療センターを利用する患者、家族、地元板橋区の関係部署には、折に触れて説明を行い、正確な情報提供に努めてきたところでございます。このような間違った内容のビラが配布されることは、都民の方々にいたずらに不安を植えつけることになり、まことに遺憾であると考えております。
 今後とも、都民の方々が不安や誤解を持つことのないよう、健康長寿医療センターとの密接な連携を図り、説明や情報提供に努めてまいります。

○橘委員 このテーマは終わりまして、次に、健康長寿医療センターにおける地域連携クリニカルパスについて質問いたします。
 第一回定例会の厚生委員会で、地域連携の充実のために、健康長寿医療センターでは、脳卒中地域連携クリニカルパスの活用の促進を図るとともに、糖尿病の地域連携クリニカルパス作成に積極的に参画するとの説明がございました。四月の法人開設以降二カ月が経過しておりますけれども、これらの地域連携の取り組みを着実に進めていることと思いますので、もう少し詳しく伺います。
 まず、健康長寿医療センターが脳卒中と糖尿病の二つの疾患で地域連携クリニカルパスに取り組むこととした理由を改めて伺います。

○飯塚参事 全都的に見ると、脳卒中地域医療連携クリニカルパスは、現在、四百四十一の医療機関が参加しております。また、糖尿病について、現在、四つの二次医療圏においてネットワークづくりが進められております。健康長寿医療センターでは、こうした動向を踏まえ、また、脳卒中や糖尿病が高齢者に多い疾患であるということ、地元区である板橋区医師会が率先して取り組みを進めていることから、脳卒中と糖尿病の地域連携クリニカルパスへの積極的な参加を図っているところでございます。

○橘委員 地域連携クリニカルパス、これは、私も前、説明を受けたことがございますけれども、やはり、これは患者さんの立場に立ちますと、非常に安心できる体制であると思いますし、また、要素となるのは、地域の開業医等との連携が一番ポイントになるように思いました。期待は非常に大きく、効果も大きいものと思います。
 今後、地域連携クリニカルパスを初めとした地域医療の連携についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○飯塚参事 健康長寿医療センターでは、脳卒中に続き、糖尿病地域連携クリニカルパスの作成を進めており、今年度早期の導入に向けて取り組んでおります。
 また、地域連携クリニカルパスの円滑な運用と活用の促進に向けて、回復期リハビリ病院等との連携の強化に取り組んでおります。
 さらに、四月から法人内の組織として地域連携部を設置したほか、退院後の生活を見据えた相談支援体制の充実を図るため、退院支援チームを発足させたところでございます。これにより、適切な転院先、施設の紹介や在宅医療、介護への円滑な橋渡しなど、地域連携クリニカルパスを初めとした円滑な地域医療連携を支えてまいります。

○橘委員 このクリニカルパスというのは、病院とかかりつけ医の間の連携が重要であると認識しております。これは、かかりつけ医の方が、この患者さんは自分で治すんだと全部囲ってしまうと、この連携というのはもうなくなってしまうんですね。医師の意識啓発も必要だと思いますし、これが、例えばまちの中のクリニックと病院との連携をとっていきますと、一プラス一が二ではなくて、一プラス一は四にも五にもなるという、そういう効果を生み出す、そういう重要な取り組みであると私は認識しております。これを強力に推進していただきたいと思います。
 地元の区である板橋区医師会との間では、このクリニカルパスの推進について、どのように連携して今進めているのか、説明をお願いします。

○飯塚参事 地元医師会との連携でございますが、健康長寿医療センターでは、区西北部脳卒中医療連携検討会や板橋区医師会の主催する板橋区糖尿病対策推進会議に参画して、クリニカルパスの作成、運用に係る検討を進めているところでございます。
 また、医師会の主催する市民講座において、健康長寿医療センターの専門医が講師として参加するなど、医師会との連携により、地域住民への啓発を行っているところでございます。
 健康長寿医療センターは、高齢者のための高度専門医療と研究の成果を発信する機能を担うものではありますが、同時に地域における医療提供も確実に実施してまいります。
 こうしたことから、板橋区医師会との連携により、さらに積極的な地域医療連携を図ってまいります。

○橘委員 このクリニカルパスは、区民の皆さんに説明いたしますと、期待感が非常に大きくて、こういうのが日常行われると非常にいいですねという声をたくさんいただいております。特に、旧老人医療センター、健康長寿医療センター、現在ですけれども、そこを機軸としたクリニカルパスというのは、非常に期待が大きいものでございますので、これは強力に医師会とも連携して推進していただきたいと思います。
 最後となりましたけれども、都民の安全・安心の観点から、新型インフルエンザの感染者発生の都度、その対応、連絡、対策等に深夜まで頑張っておられる局の皆様、関係機関の皆様の努力に敬意を表し、質問を終わります。
 以上です。

○東野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十四分開議

○東野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○かち委員 質問の前に、私も意見を述べます。介護サービス情報公表制度の手数料引き下げについてです。
 平成十八年度からスタートしたこの情報公表制度ですが、当初から、この手数料のあり方、料金設定、調査の仕方、公表システムなどについて問題点が多く、私は、当委員会でも、再三見直し、料金の引き下げ等を求めてきたところです。
 昨年一回引き下げが行われ、続いて今回再度の引き下げということで、当初より四〇%近い引き下げとなりました。介護事業者にとって、この使用料が大変重い負担になっていた中での軽減策であり、賛成するものです。
 しかし、制度開始から三年間で二度にわたって引き下げを行うこと自体、当初の設定がいかに過大であり、実態に合っていなかったかということは否めません。費用対効果の視点でも検証すべきだと思います。特に利用者にとって使える情報かどうかという点でも、改善すべき課題はまだあります。
 また、医師、薬剤師の情報公開は、公費で行っているにもかかわらず、なぜ介護事業者だけは事業者負担を求めるのか、整合性もありません。
 都としては、引き続き検証、検討を重ね、改善努力をするとともに、国に対しても、引き続き改善を要望されることを求めて、意見とします。
 次に、介護福祉人材確保について伺います。
 今回提案されている補正予算の国の基金の事業化の中で、福祉、介護人材対策費として三億三千六百万円が計上されています。
 今日、在宅介護を進めていく上でも、介護、福祉に携わる人材不足は深刻な事態となっています。第四次介護保険の改定によって、ヘルパーの人件費が三%アップされたとはいうものの、実際、在宅介護にはほとんど反映されていないのが現実です。その意味において、今回、介護、福祉人材確保への補正が組まれたことは、対策の一環として重要だと思います。
 そこで、取り組みについて何点かお聞きします。
 今回は、進路選択学生等支援事業と潜在的有資格者等養成支援事業の二つが掲げられています。進路選択学生等支援事業の対象が、なぜ介護福祉士等の養成施設なのか、また、都内の養成施設はどのぐらいあるのか、お聞きします。

○永田生活福祉部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、将来の介護人材を養成する介護福祉士等の養成施設におきましては、総体として、定員割れの状態にございます。このままでは、サービス提供を担う人材の確保や、サービス水準の維持に支障を生ずるおそれがございます。このため、養成施設に対しまして、専門員を配置し、介護の仕事の魅力や実情を紹介するなどして、若い世代や地域の人材確保を推進していくものでございます。
 次に、養成施設でございますけれども、都内には、本年四月一日現在、介護福祉士養成施設は三十七校、社会福祉士養成施設は十校、精神保健福祉士養成施設は八校でございます。
 この数値でございますけれども、一つの学校で複数の養成を行っている施設もございますため、養成施設全体の実数では四十一校でございます。

○かち委員 全体で四十一校というお答えでした。現実問題として、福祉人材養成施設における受講生の定員割れは著しく、存亡の危機に直面している施設が少なくないと聞いています。このような養成施設に人を配置して、未来ある学生に啓発活動を行うことも、必要に迫られていることだというふうに思います。
 補助要件は、先ほどありましたように、学生定員が六割未満の施設というお答えでした。
 次に、潜在的有資格者等養成支援事業の目的と対象者について伺います。

○永田生活福祉部長 先ほどこれもご答弁させていただきましたけれども、介護分野への新たな人材の参入、参画を促進するとともに、現に従事する者の定着を支援するため、介護福祉士等養成施設を活用して研修を行う事業でございます。
 具体的には、潜在的介護福祉士等の有資格者に対する再就職支援研修、それから、いわゆる団塊の世代や主婦層等に対する福祉、介護分野への参画を進めるための研修、そして、職員の職場外研修を行うことが困難な事業所に従事する者のキャリアアップを支援する研修などでございます。

○かち委員 さきの養成施設を活用して、一名配置された人材が行う研修だということ、五つのコースから選択的に取り入れて研修を組むということですね。
 これは、有資格者の再就職へのステップであったり、現任研修でのスキルアップを図るということだというふうに今聞きましたけれども、実際にこれがうまくいくかどうかという点では、まだまだ未知数だというふうに思います。
 潜在的有資格者の研修が有効的に機能するには、やはり一定のブランクがあるということもありますので、現場実習が欠かせないというふうに思うんですけれども、今の研修内容で見ますと、ほとんど座学のように拝見するんですけれども、実習の場というのは確保されているのでしょうか。

○永田生活福祉部長 社会福祉施設での職場の実習をカリキュラムに取り入れる予定でございまして、現在の二級課程でも、実習につきましては三十時間の職場実習を予定しているところでございまして、これに準ずるような形で検討していきたいというふうに考えてございます。

○かち委員 今日、高齢介護と社会介護の両方を必要とする人がふえています。統合的に見ていくのであれば、高齢者の訪問介護員養成研修の中に障害者介護の内容も入れていくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
 これまで障害者と高齢者の訪問介護員はどれだけ養成されてきているのでしょうか。

○永田生活福祉部長 都が研修事業者に示しております高齢者の訪問介護員養成カリキュラムは、既に障害者の介護も含めた内容となってございまして、二級課程の中でも、高齢者の訪問サービスにおける取り組みと障害者についての講義も入ってございます。
 障害者と高齢者それぞれの訪問介護員の養成状況でございますけれども、都が指定した研修事業者による研修修了者は、平成十六年度から十九年度までの四年間で、障害者児居宅介護従事者養成研修修了者は四万八千七百九十七名、訪問介護員、ホームヘルパーになりますけれども、養成研修修了者は十万一千四人となってございます。

○かち委員 障害者の訪問介護員は、高齢者の介護員の半分以下という状況がわかりました。
 高齢者訪問介護カリキュラムに障害者介護も含めているというご説明でしたけれども、私もカリキュラムを拝見しましたが、確かに講座の中には、三時間とか八時間とか組み込まれていますけれども、十六時間の実習はどちらか一方のみの選択になっているわけです。私がお聞きした介護事業所では、全員がヘルパー二級の資格を持っているけれども、障害者の介護実習は受けていないので、行政側から拒むなといわれても困惑しているというものでした。
 養成数からしても少ない障害者介護の有資格者の実態からしても、訪問介護事業者に障害者介護の依頼が来るのは当然のことと思います。それにこたえるためにも、先ほどの現任研修の中に障害者介護の実習研修を組み込むとか、養成施設におけるカリキュラムの見直し、拡充などを求めておきます。
 今回の取り組みも、介護人材の確保対策の一つとして評価するものではありますが、根本的な不足対策としては、やはり、専門職として自立できる賃金や労働環境が保証されなければ、若い人の人材確保は相変わらず困難であろうと思います。その意味で、福祉人材確保については、抜本対策を国に求めるよう要望し、この項の質問を終わります。
 次に、専決処分の地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画について伺います。
 都立老人医療センターと老人総合研究所は、都民や地元議会から、七百床全稼働や急性期のみならず、回復期も含めて利用できる病院にと強い要請があったにもかかわらず、ベッド数五百六十一床とし、高齢者の急性期高度医療を提供する医療センターとして、地方独立行政法人化が検討されてきました。
 昨年の四定議会で、両研究所とセンターが廃止され、地方独立行政法人のもとに中期目標が可決をされました。第一回定例議会では、法人の中期目標に基づく中期計画の素案について報告を受け、当委員会で吉田委員が質疑を行いました。この件については、これまでも当委員会で日本共産党は繰り返し質疑を行い、その問題点について指摘をしてきたところです。
 今回、本年四月からスタートした地方独立行政法人健康長寿医療センターにおける平成二十一年から二十四年までの中期計画が、専決処分として提案されましたので、改めて何点かお聞きしたいと思います。
 この間、非公務員型の地方独立行政法人化をするに当たっては、国会の附帯決議等でも重視していますように、医師、研究者、職員などの合意が得られていることが必要だということを指摘してきたところですけれども、資料に出していただきましたように、労使合意に基づいて、結果的に、医師、研究員の一部を除いて、看護師など職員全体の七〇%は都の派遣職員という対応で、身分を維持することになりました。
 そこで、この計画書の中には、独法によって運営するに当たり、効率的、効果的運用、高収入、低支出などという言葉が散りばめられております。
 そこで、コスト縮減の観点から、業務委託の見直し、アウトソーシングなどを進めるとありますけれども、現在直営で行っている業務はどんなものがあるのか、また、具体的にどの分野のどの事業について委託検討をされているのか、お聞きします。

○飯塚参事 現在委託化をしておりますのは、医療会計事務、病歴管理、病棟事務、病棟作業、清潔保持、給食調理、警備などであり、直営はそれ以外の業務で、例えば、検査、建物の管理などでございます。
 今後、業務委託とアウトソーシングを進めるに当たって、業務の効率化とサービスの向上に資するものであるか、個別業務ごとに判断していくこととしており、四月より事務部門において人材派遣の活用を図っているところでございます。
 今後、どのような業務分野において業務委託や人材派遣の拡大を図るかについては、健康長寿医療センターにおいて、業務の性質等を勘案して決定していくものでございます。

○かち委員 人材派遣の活用もというようなお答えでしたけれども、四年間の収支計画では、最終的に二億四千四百万円の黒字を出すことになっていますが、これを割り返せば、毎年六千万円の黒字にしなければならないということです。同じように、自立性を求められている公社病院の経営実態は大変厳しい現実があります。こうした中で、これまで運営費のほとんどを一般会計で賄ってきた都病院が、今日の厳しい医療環境のもとで独立採算で黒字運営を求められるということは、かなりの合理化と収益性を求めなければ、目標達成は難しいのではないかと危惧されます。
 給与について見れば、約三百億円と見積もられています。年間にすると七十五億円。都立の時代には幾らかという点ではまだ精査中とのことですけれども、一定の縮減は否めないと思われます。給与体系は、生活給の上に、業績、能力が反映するものであるとしていますが、給与全体の枠が決まっている中で、それをどう反映するのか、診療報酬体系の中では、どんなに頑張っても必ずしも収益に反映しないということは、この間の病院運営の厳しさが示しているところです。同一労働同一賃金の基本に立つべきだと思います。
 収益性との関係では、計画書に患者料金の負担の範囲が定められていますけれども、個室料については現在徴収していないとのことですが、どのような状況下で徴収するのか、また、駐車料金やセカンドオピニオンなどについてはどう考えているのか、お聞きします。

○飯塚参事 ご答弁させていただく前に、先生が先ほど申されました、地方独立行政法人の給与制度のことについてでございますが、一言申し上げさせていただきますと、健康長寿医療センターにおいて導入した給与制度は、生活給にも配慮した上で職員の経験と実績の双方を評価する制度でございまして、業務に有用な資格取得、例えば専門医ですとか認定看護師ですとか、そういったものを評価するなど、職員のキャリア向上を支援する仕組みを実現しており、職員がやりがいと責任を持って働ける給与制度だと考えております。
 答弁に移らさせていただきます。第一点の個室使用料についてでございますが、中期計画で上限額を定めておりますが、徴収に当たっては、施設、設備面での改善を行うことが必要となるなどのことから、当面、個室使用料の徴収は行わない考えでございます。徴収の開始に当たっては、患者の要望や施設、設備面での整備の状況を踏まえまして、健康長寿医療センターが判断するものと考えております。
 駐車場の利用でございますが、駐車場料金の徴収を行うか否かは健康長寿医療センターが判断することではありますが、当面、駐車場料金の徴収は行わない考えであると聞いているところでございます。
 最後に、セカンドオピニオンについてでございますが、中期計画では、記載の各項目のほか、理事長が必要と認める場合に、厚生労働大臣が定める算定方法に準じて得た額により使用料等の額を定めることができるとしております。健康長寿医療センターでは、今月よりセカンドオピニオン外来を設置いたしまして、診療報酬の例により額を算定しているところでございます。
 なお、この方式は、都立駒込病院でも採用している算定方式でございます。

○かち委員 職員の給与については、職員の意欲向上につながるものだというご説明をいただきました。
 しかし、研究員の給与体系というのは、年俸制の方もいるんですね。有期制のために年俸の方もいますし、派遣の人もいますし、固有の人もいますしという、本当に、同じ研究所にいながら、いろいろな態様の方がいるということですね。
 この収益性を高めるという前提のもとに、委託研究に旺盛に取り組むというようなこともかなり強調されていますけれども、老年の特性についての研究を進めるという点では、基礎的な研究、地道ながら長年にわたって続けていく研究というのも大変重要だと思うんですけれども、そういうものについては、なかなか一致をして、やりにくい環境が生まれているのではないかなというふうに思います。
 そして、今ご説明いただきました、駐車場料金と差額ベッドについては、今のところ取っていないけれども、今後は法人が決めていくものだということでは、新しい病院設立後にどうなるかという点では注視していきたいというふうに思っております。
 セカンドオピニオンについては、私も都立病院に準じて保険適用すべきだというふうに思っておりましたけれども、そのようにやるということだったので、それは結構なんですけれども、公社病院の場合は定額負担というふうなことになっておりますので、それを懸念しておりましたけれども、これは都立に準ずるということで了解しました。
 それから、看護体制は定員に対してどのようになっているのか、また、急性期医療を重点にするというのであれば、なおのこと、看護労働の改善や行き届いた看護の提供からも、七対一看護基準を導入すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○飯塚参事 現在、健康長寿医療センターの一般病棟においては、十対一看護基準を導入しておりますが、患者の急変時の対応の多い病棟においては、夜勤時間帯の看護師を厚く配置するなど、患者の安全確保と看護師の負担軽減を図っているところです。
 また、一部の病棟においては、看護師の確保、定着に効果があるとされている二交代制勤務の導入を図るなどの工夫も行っているところでございます。
 七対一看護基準の導入につきましては、看護師採用などの課題も含め、既に健康長寿医療センターで検討しているところでございます。

○かち委員 七対一看護についての導入を検討しているということでしたね。
 この医療センターの目玉ともいえる重点医療の一つとして、脳血管障害が取り上げられておりますけれども、その中で、血栓溶解療法などの導入というものを掲げられています。そのためには、SU、SCUの整備が必要だと思いますけれども、その辺はどのようになっているでしょうか。

○飯塚参事 血栓溶解療法は、急性期の脳梗塞に対する有効性の高い治療法であり、発症から三時間以内の治療開始が必要な超急性期治療でございます。発症後、できるだけ早期に集中治療を行う必要があるため、先生がおっしゃられたとおり、SCU、脳卒中治療ユニット、またはそれに準ずる施設での治療が望ましいとされています。
 健康長寿医療センターでは、特定集中治療室ICUにおいて、SCUの機能を担い、血栓溶解療法を実施しております。特定集中治療室での治療後、状態が安定した時点で、一般病棟に設置したいわゆるSUの機能を持つ脳卒中治療ユニット三床において、急性期治療及び急性期リハビリを行っております。

○かち委員 高齢者の疾患の代表ともいえる脳血管疾患に対し、急性期治療とともに、リハビリなど総合的ケアが効果を上げているということで、診療報酬上も評価をされているSCU、この施設取得基準が大変高いということで、今は取得していないという状況ですけれども、その専門病院ということであれば、新病院建設に当たっては、こういうことも整備をしていくことを求めておきます。
 独法化によって、予算定床で八十五床の削減ということになるわけですけれども、その内訳について、とりわけ十床以上の削減となる診療科はどれだけあるのか、また、その理由を伺います。

○飯塚参事 内分泌科、神経内科、リハビリテーション科、精神科の四科におきまして、十床以上の減床を図ったところでございます。
 その理由でございますけれども、内分泌科につきましては、生活習慣病の予防医療など、外来で可能な治療については外来で実施できるよう、外来診療機能の充実を図った理由によります。
 神経内科につきましては、脳神経外科との役割の整理を行うとともに、地域連携の推進を図ったところでございます。
 リハビリ科については、過去の病床利用率の実績により調整を図るとともに、早期リハビリテーションによるQOLの維持のため、ベッドサイドリハの充実を図ったものでございます。
 精神科については、過去の病床利用率の実績等により調整を図ったものでございます。

○かち委員 私、いただいた資料を見ますと、脳神経内科では二十九床、リハビリ科では十九床の削減というふうになっています。
 いずれも比較的長期の療養とリハビリが必要となる診療科であり、また、精神科は、認知症など高齢者医療に欠かせない領域です。実績と調整だとの答弁ですけれども、収益性の低い診療科の合理化といわざるを得ません。
 以上、何点かについてお聞きしましたけれども、健康長寿医療センターは、地方独立行政法人化によって効率性、収益性を重視せざるを得ない仕組みであり、都民の期待にこたえる、これまで築いてきた本来の高齢者福祉の視点、全人的、包括的医療の視点は後退せざるを得ない状況です。
 よって、本中期計画を承認することはできないということと、独法化については見直すべきだということを申し上げ、質問を終わります。

○田代委員 昨日、我が党の本会議、代表質問で取り上げました、小児医療体制の強化について伺いたいと思いますけれども、少子化の時代、小児医療をめぐる状況は非常に難しい、大変厳しい状況が続いている、こういうデータがあるわけですね。
 医師・歯科医師・薬剤師調査、これは、都内の医師の総数は増加している一方で、小児科の医師が減少している。昭和六十三年に四千五百六十七名だったものが、十八年には三千八百五名、二割減ですね。小児科を標榜する医療施設数、平成六年では病院が三百三施設、診療所は三千四百四十七施設で、これが、最近十八年の調査では二百七施設、診療所も減りまして三千百二十七。
 こうやって減っているわけですが、やはり地域の小児医療の基幹的な役割をしっかり担っているこの小児の二次救急医療機関でも、二十四時間三百六十五日の診療体制を確保していくことが大変難しくなっておりまして、平成十三年度の五十一施設から現在の四十七施設で減少しているわけですね。
 小児科の医師の不足、また医療施設の減少、こういうことが頑張っている病院の医師の負担をさらに増強させて、勤務をまた過酷なものにしているわけで、ある意味では悪循環になっているわけです。そして、当然、小児医療というのは、小児の特性がありますから、大人と違って非常に調整能力が低くて、あるいは抵抗力の問題からでも、軽微な疾患、病気が大変大きな反応を起こしていく。それから、重篤化するときに一気に変わる。いろいろ、子どもにとっては大人と比べて予測ができないことから、それから、薬剤の量の調整など非常に難しい。そういう一つを考えても、大人とは全く違う見方があるわけで、大変難しいという、やりがいがある一方で、負担やリスクというものが大変大きく取り上げられるところがあるものですから、小児科離れが少し進んで、診療科が偏在しているというのが今の現状です。
 それからまた、受診者の方も、なかなか医師としっかりと話をできない状況、これは両方にいろんな問題があると思うんですけども、コンビニ受診なんていう言葉が出るような状態であって、やはり、こういう状況をどうにか改善していくために、やっぱり医師の確保というものが一つ重要になると思うんですね。
 せんだって申し上げましたが、いわゆる国家試験に落ちた人たち、ことしも九一%ですから九%、約八百人近くの方が残念ながら受からなかったわけですけども、国は新しく医学部の定員を七百四十人ふやせといっているんですけれど、六年で卒業して、卒業試験も受かってる人たちを使わないというのは、ちょっと僕はぴんとこない。今まで入らなかった人を入れて、それが一人前の医者になるのに十五年ぐらいかかるのが、もう既に六年から七年終わっているのに、そういう人たちを使わないということは、ちょっと不思議だなと思うんです。
 小児科をしっかり目指そうというお医者さんたちを養成するために、医師の奨学金制度を創設して、平成二十一年度から九年間で四十五名の医師を養成するなど、これからに対して、積極的に医師確保に東京都としては独自の方策として取り組んでいるわけです。
 ご案内のように、都は、小児総合医療センターという国内最大級の小児医療の拠点を来春設置するわけですが、これは、今までいろいろここの委員会でもお話がありましたが、清瀬、八王子、梅ケ丘、こういうものをすべて一つに集めて、心から体に至る総合的な医療機能を果たすセンター、これをつくっていこう。
 今までの、我が国の歩んできた小児医療の歴史というものは、それなりにそれぞれの地域で基幹病院があってやってこれたわけですけれど、今からは、やはり、セントラルなもので、もっともっと高次元なものをひとつ用意していこう、これは大変必要なことだと思うんですが、じゃ、そのためには、逆に今まで以上に地域の医療というものをしっかり守っていかなくちゃならない。それは当然、地域のネットワークというものを、少し考え方を変えて、医師会の先生方や大学病院、あるいは地域の公的病院、こういうものをしっかりと巻き込んでネットワークをつくっていく、これをしなくちゃならないんですが、幾ら言葉でそういっても、医師数の減少というのがあるわけですから、やはり、この医師数の減少というものを是正していく努力、それは先ほど申し上げましたように、今七百四十名、医学部の増員を図ったとしても、去年までの、少なくともいえば、試験に受からなかった人たちを入れるわけですから、質の問題もあるでしょうし、それから、時間が非常にかかる。
 何回にもなりますけれども、七年前に受かって、しかも進級試験が受かって、卒業試験が受かった人たちを使うというのが、僕は一番早道だと思うんですが、何といっても医師確保をしていかなくちゃならない。育成することも必要ですけれど、今偏在している医師を確保していくために、やはり絶対的に、総体的に、この医療というものが不足している、医師が手薄な地域への重点的な対応というものを、現実に今やっていかなくちゃならないわけですね。
 議会に提出されている、この小児医療体制緊急強化事業、今、そうした地域の体制づくりにしっかり取り組んでいこうということで動き出したんだと思うんですが、これも以前から申し上げておりますように、大学病院とのコンタクトをしっかり持っていただかないと、大学病院とのコンタクトが非常にとりづらくなった一面、とりやすくなったところがあると思うんですね。マッチングシステムで医局の制度が、崩壊とはいいませんけれど、厚生労働省がねらったとおりに文科省はかなりダメージを受けてるわけですけれど、しかし、これは逆に、厚生労働省からすると、地域医療を提供するという責務を果たせなくなっているわけで、今こうやって揺らいでいる医局制度の中で、しっかりと行政がサポートしていけば、今度は新しく変わった医局制度というか、医学部教育の派遣制度というのができてくるわけですから、大学医局とコンタクトを持ちながら、しっかり両輪で進んでいくということが必要だと思うんですね。
 大学はいうまでもなく医師を育てる、そういう研修の機関でありますけれども、今までさまざまな病院に医局から医師を派遣して、地域医療をある意味では支えていたわけです。そういう機能、これをもう一度しっかりと生き返らせるために、地域医療の確保のために活用していく、こういう考えで東京都は取り組まれているんだと思うんですが、大変時宜を得た、しっかりとした方向性を見据えた政策だと思うんですけれども、こうした取り組みというのは、単に目の前に地域医療を確保するという効果だけではなくて、医育機関である大学を地域医療に向き合わせる、顔を向けさせていかなくちゃならない、そういう一つの考え方があるんだと思います。
 大学病院がしっかりとそういうものに向き合っていく状況をつくっていく制度の中の一つとして、この小児医療の調査研究講座、すなわち、大学の医局と連携した医師確保事業というのは、今から大変効果が出てくると思うんですが、その具体的な内容について、お伺いをしたいと思います。

○吉井医療政策部長 小児医療調査研究講座は、大学の持つ調査研究機能を通じて、医師派遣機能の強化を支援するものでございます。
 具体的には、医師を派遣する大学に小児医療の調査研究講座を開設いたしまして、そして、例えば、小児の休日・全夜間診療事業に新たに参画しようとする医療機関に医師を派遣し、その勤務を通じて小児医療に関する調査研究を行うものでございます。こうした大学の医師派遣機能を支援することよりまして、地域における小児医療体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

○田代委員 本当に前々から同じことをずっとお願いしてきて、こうやって東京都が動いていただいたこと、僕は大変ありがたいなと思います。
 特に独法法の後から、我々、寄附講座というもので、ある部分、医局を経営しているわけですけれど、ただ、その寄附講座自身も、税金の面もろもろ、そういう国税との関係があって、まだできたばっかりですから、画一的にこうやればいいんだという方策が見えてないんです。しかし、今一番足りていない医療に対する現実の補助というものが起きてくると、学生たちもやる気になるし、また、医局の方も今まで経済的に不可能だったことが可能になって、派遣を出していくことができるわけです。こういうものを東京都が始めたことによって、四十七都道府県にしっかり広まっていって、大学も、医局も、ある程度社会との接点を持ちながら常識がある、そういう動きをしていくことが必要だと思うんですが、少なくとも、都民が子どもを安心して産み育てられていく、こういう医療環境を東京都がこういう形で続けていかれることを強く要望して、質疑を終わります。

○斉藤委員 大分時間も長くなってまいりましたので、重なる部分につきましては削除させていただきまして、重ならないような伺い方のみさせていただきます。
 六月補正予算の概要の一四ページに、有料老人ホームの防火対策緊急整備支援事業について書いてあります。
 先ほど山加理事の方から全体概要についての質問がありましたけれども、これにつきましては、民間の事業者に対して、大体一件当たり四百七十万円を支援するという事業については、余り例がないのかなという気がいたします。そういう意味では、ある意味英断だと思いますし、私も、まさにこの防災対策の整備については、喫緊の課題というふうに思っておりますので、ある程度英断もしなければならないかなというふうに思います。
 特にこれにつきましては、知事の所信表明の中にも触れておりました。群馬県の方の未届けの老人ホームの火災を踏まえてというふうに受け取っておりますけれども、基本的に今回は都内施設に対してなんですが、生活保護の受給者をかなり意識してつくられているとしたら、もともと生活保護そのものの住宅に対する扶助が、都内、地域によって若干差がありますけれども、大体六万円ぐらいを前後するところなのかなと。
 そうしますと、一般のアパートでは探しようがあるんですけれども、規模が小さい住宅に対して、集合住宅に対してスプリンクラーをつけろというふうになってくると、これはオーナーさんの方も、そこまでのお金は出ないよ、もしくは、その生活保護の方が住めるように六万円前後の物件でありますと、どうしても新築ということはありませんから、既存で建ってしまっているよと、そういったところに防火設備をつけるというのは、これはなかなか工事としても大変な話であります。
 昔、消防署なんかは、税務署も怖いけど、防火設備について注意をされて工事をすると、税務署並みに怖いというふうにいわれます。それぐらいお金がかかる場合があるというふうなことを、消防署なんかに行ったときによく聞いたんですけれども、そういうこともありますので、そのコストを捻出するというのは、なかなか難しいと思います。
 そこで伺うんですが、今回、民間の事業者に対して、上限設定がありますけれども、これ以上の金額を出すということに関して、この補助事業の考え方について伺いたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 未届けの有料老人ホーム等に対する防火対策緊急整備支援事業についてでございますけれども、お話しのとおり、平成二十一年三月に群馬県で発生をいたしました、未届けの有料老人ホームの火災事故を踏まえまして、スプリンクラーなどの防火設備費用の一部を助成することによりまして、都内の類似の未届け施設等の防火対策を強化するとともに、法に基づく届け出の促進を図るものでございます。
 対象施設としましては、都が把握しております、有料老人ホームに該当し得る施設であって、届け出が行われていないものや、既に届け出済みですけれども、防火設備等が未設置の施設を対象にしております。
 補助内容としましては、スプリンクラーの設備や自動火災報知設備、あるいは、消防署等の指摘により改修を要する設備、例えば誘導灯の設置等を考えてございます。
 今回の補助は、利用者の安全・安心を緊急に確保する必要があること、また、防火設備の設置を促進するためには事業者の負担を軽減する必要があることから、補助基準額を四百七十万円とし、定額補助するものでございます。これによりまして、未届けの有料老人ホームにつきまして、届け出を行うよう強力に指導してまいります。

○斉藤委員 それでは、確かに喫緊の課題というふうなことで、これでなるべく、今、既存の施設に関しては防火設備をつけてほしいということであります。
 もう一点、今度は違うページの方で、高齢者支援員ということも、また同様のつながりの中で出てまいりました。恐らく福祉保健局の方としては、単に、そういった施設がある中で、防火設備さえしっかりしていれば大丈夫と、問題解決というふうには思っていないと思います。私もそのようには思いませんし、恐らく現場で担当している皆さんは、設備も不安だけれども、中の居住者に対するいろんな部分での管理とか、もしくは支援という点でも、非常に不安を持っているところが多かったんじゃないかなというふうに思います。
 それを踏まえての高齢者支援員ということでありますが、高齢者支援員、これ、ホームページなんかで検索すると、これそのものというのはなかなか出てこなくて、また、ほかの自治体を振り返ってみると、例えば高齢者住宅支援員とか、認知症の高齢者支援員など、いろいろ似たような名称の資格が結構出てきたりして、なかなか概要がつかみづらいところがあるんですが、高齢者支援員に関して、少し詳しく概念と権限等について伺えたらと思います。

○永田生活福祉部長 先ほど来、群馬県の未届け老人ホームで、火災の対応策というんでしょうか、そういう形で、設備についてはスプリンクラーとかをつけていくということでございますけれども、都としては、生活保護の受給者の方々が非常に今多くいらっしゃっているというような状態も把握をしてございまして、介護が必要な生活保護を受給している高齢者に未届け施設等を紹介する場合におきましては、福祉事務所は適切な施設かどうかを事前に確認して、利用後も定期的に実態把握して、適切な援助がなされているかどうかを判断する必要があるということで、東京都といたしましては、一月の十九日に各福祉事務所に対して通知をしたところでございます。
 そうはいっても、なかなか、ワーカーさんの方でもしにくいというようなこともございまして、今回、高齢者支援員というような形で配置をしながら、その実態把握なり、あるいは指導に努めていくということで、この制度について今進めているところでございます。
 この高齢者支援員でございますけれども、高齢者に対します処遇について、ケースワーカーへの助言や、あるいは地域包括支援センター等と連携をいたしまして、介護や生活支援を必要とする高齢者等の日常生活自立を支援していくという仕事を担うわけでございます。
 特にこの高齢者支援員についての資格については定めはございません。この資格は特にはございませんけれども、高齢者に対する支援につきましての知識でありますとか、経験、そういったものを有することが必要かというふうに考えてございます。
 そうした意味で、こういった支援員によりまして、高齢者の方々をしっかりと支援していけるような制度として定着させていきたいというふうに考えているところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 多分、文章にして答弁すると、結構高齢者支援って難しいと思うんです。だから、実際に現場からの声の部分で、本当にいろんな部分で、社会のサービスのはざまに入っちゃった人を助けようと思うと、既存の部分の資格分野だけで物を考えようとすると限度がある、もしくは、余裕がないというところから私は来ているんじゃないかなというふうに、ちょっと好意的に受け取っています。
 というのは、最近、権利擁護を必要とする生活保護の方というのは非常にふえていまして、中にはもちろん、しっかりしているけれども病気で働けないとかという、明確に経済的に困っている人は、生活保護でたくさんまだいらっしゃるんですが、一方で、高齢者--高齢者に限らないんですけれども、なかなか自分で判断ができない、無年金に重ねて、例えば認知症とか、既に現役の時代から精神疾患とかいう方で、なおかつ身寄りが事実上いないという方が大変今ふえているのは、私などはまち場にいて結構肌で感じるところであります。
 例えば、家族がいたり、子どもがいたりしても、なかなか、母子家庭で大変だとか、父子家庭で大変だとかいうところとか、あと、子どもの方が病気であったり、リストラをされたりという部分で、実際に高齢者の方も、なかなか子どもたちに頼れないという現状が、今の社会の流れの中でやはりあるのは事実ですし、それが年々ふえているという感じがいたします。
 そういった中で、本当の意味で孤立をしてしまった方を、ある意味、行政の方の決まった資格の枠組みではなくて、すき間を埋める形でだれか手をかしてほしいという感じというのは、多分、現場の中ではあるんじゃないかなと、今うなずいていらっしゃいますけれども、あるんじゃないかなということをすごく感じますので、もちろん、資格が複雑化し過ぎると、当事者の方も、この人は高齢者支援員で、こっちは権利擁護員で、こっちはケースワーカーでなんてこれをずっとやっていくと、助けられている方が、どういうふうな形で助けてもらったらいいかというのが複雑過ぎてわからなくなってしまうようなこともあるので、それは、例えばどこかで上手に整理をしていかなきゃいけないかなと思いますが、ある意味、そういったすき間に対して人を送り込んでいこうということは、試みとしてまず重要かなというふうに私は思っていますので、上手な立ち位置の高齢者支援員の使い方をして、なるべく状況に応じて制度改正を何かのときにして、何かの資格や職員との組み合わせをしていくということを今後検討しながら進めていっていただきたいなというふうに思っています。
 あと一点、別のテーマで、これは意見になるんですけれども、先ほど来、山加理事、そしてまた、かち副委員長からも、東京都の介護サービス情報公表システムの、今回は料金改正ということですが、お話がございました。
 以前より、関係する審議会で、私どもの会派の泉谷議員なども言及しておりましたが、その金額の設定そのものに大変ちょっと疑問があると。恐らく党派を超えて、何となく感じている疑問だったゆえに、また今回の改正というふうになったことは適正かなというふうに私は思っています。
 先ほど、かち副委員長の方からも使い方などについてのご意見もありましたが、実際に見てみますと、公表したときに、ちっちゃな事業所でも、大体これ、印刷すると、九ページぐらいの形でインターネットで出てくるんですね。中を見ると、もともと調査がデジタル的なので、つまり、こういうことをやっている、マル・バツ、ある、なしみたいな、そして、こういう人は何人、職員が何人みたいな感じで、数字かマルかバツかみたいな感じで基本調査をする関係もあって、どうしても表示が広くなってしまって、高齢者の方から見ると非常にわかりづらい。高齢者じゃなくても、詳しくないご家族の方から見てわかりづらいというのは現実あるんですね。
 私の方から、ちょっとこれ、質問にしなかったのは、なかなかいい表現方法が、私の方からも提案として難しかったものですから、しなかったんですが、こういう表示の仕方に関しても課題があるということで、料金の方も、もちろんこの後また下げていただいて結構でございますし、その部分で頑張っていただきたいんですが、一方で、この表示の仕方、そしてまた同時に、調査員の質の保持についてもしっかりとやっていただきたいということを最後に要望させていただきまして、私の発言を終わらせていただきます。

○野上委員 第百十五号議案、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例について、二点ほど質問いたします。
 この女性福祉資金貸付制度は、今の時代は生活していくことが非常に困難な人も多く、貸し付けをしていただけることは大変にありがたい制度だと認識をしております。
 福祉保健局のホームページには、母子福祉資金と女性福祉資金の貸し付けについての案内が掲載をされております。女性福祉資金制度は、女性の方が、経済的に自立して安定した生活を送るために必要とする資金をお貸ししていますというふうに記載をされております。
 子どもの修学資金に関しては、母子家庭の場合には、子どもが二十未満の場合、母子福祉資金を利用できます。しかし、子どもが二十を過ぎた場合、母子福祉資金が使えませんので、女性福祉資金を利用するという仕組みだと理解をしております。
 今回の制度改正は、国の母子及び寡婦福祉法施行令の一部改正に準じて、修学資金など一部の単価を改正すると伺っております。目下の厳しい経済状況の中で、母子家庭の母や女性の就業は大変に厳しい状況にあります。
 せんだって、どうしても大学に行きたいと、進学を希望しているご家庭から相談がありました。その家庭はちょっといろいろ事情があって、祖父母の方に育てられて、その祖父母も生活保護を受けておりまして、生活保護を受けている家庭にとって、大学は義務教育外でぜいたくだというふうにいわれて、彼女は自分で働いてお金をためて大学に進学をすると。そして、今現在、元気に働いていますけれども、この家庭には適用されませんでしたけれども、母子家庭で、子どもが大学に入学し、その子どもが二十以上になってから家庭の経済状況が厳しくなった場合など、この制度を利用できると聞いております。
 この女性福祉資金の実績とこの制度の特徴について、最初にお伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 女性福祉資金の貸付実績でございますが、平成十九年度は百二十六件、総額では約七千五百万円でございまして、一件当たりの貸付金額は約六十万となっております。
 貸付内容で見ると、修学資金が九十九件と、全体の約八割を占めておりまして、また、この貸付条件は、償還期間二十年、無利子となっております。
 制度の特徴といたしましては、国の寡婦福祉資金制度では女性本人のみを貸付対象としている就職支度資金を、子どもが就職する場合にも対象とするなど、国制度より対象を広く設定し、より幅広い支援を行っていることが挙げられるというふうに考えております。

○野上委員 子どもの修学など一時的に資金が必要な際には、本制度は大変有効な施策であると思っております。本制度の利用が必要な都民に制度の周知が確実にされることが重要と思います。
 都として、周知のために、具体的な取り組みについてお伺いします。

○吉岡少子社会対策部長 女性の生活の支援や経済的な問題に関する相談につきましては、区市等の母子自立支援員や婦人相談員が対応しておりまして、個々の相談の中で、必要な場合には女性福祉資金制度の紹介をし、支援につなげております。
 このため、都におきましては、制度の周知と適切な運用が図られるよう、毎年度、母子自立支援員等に対して行う研修の中で、本制度について丁寧に説明するとともに、今年度から行われます母子自立支援員等の連絡会におきまして、事例を取り入れた説明を行うなど、相談の中で確実に支援につながるように取り組んでおります。
 また、「広報東京都」や東京都のホームページへの掲載、また、相談に活用できるようなリーフレットを毎年度作成、または配布しておりまして、引き続き普及啓発に努めてまいります。

○野上委員 デジタルデバイドとかもありますので、このホームページ等々で情報を得られないような方もいらっしゃいますので、ぜひ、この母子自立支援員等の連絡会において積極的な情報提供、これは大変大事なことだと思っております。
 この制度の周知を広く行うことにより必要な方に確実に支援がつながるよう、今後とも制度の適切な運用を望み、次の質問に移ります。
 次は、百七号議案、福祉保健局所管分、補正予算についてですが、チャレンジ雇用についてです。
 都議会公明党では、都庁内で障害者の雇用をすべきだと長年にわたり主張してまいりまして、平成二十年度、昨年度から、知的障害者や精神障害者の方もいらっしゃいましたけども、臨時職員として雇用する、雇用にチャレンジ事業を実施されました。
 昨年は、ちょうどお二人の方が雇用された直後に視察をさせていただきまして、その方々がパソコンを使って作業に取り組んでいる姿を拝見させていただきました。とても印象に残っております。このチャレンジ雇用は、自治体で障害者の方を短期雇用し、その経験を踏まえて一般企業への就職を図るもので、今回、補正予算を計上し、さらに事業を充実していくようでございますけれども、それについて何点か質問させていただきます。
 昨年度の雇用実績と、そこで雇用された方々の感想はどのようなものだったんでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 平成二十年度のチャレンジ雇用の実績でございますけれども、福祉保健局と産業労働局で十二名の知的障害者の方、精神障害者の方を、四カ月間、臨時職員として雇用いたしました。
 雇用された方々に、今お話ありました、パソコン入力とか文書の封入、郵送とか、あて名ラベル作成とか、コピー、シュレッダーなどに従事してもらいましたけれども、感想といたしまして、最初は不安が多くて、緊張の余り頭が真っ白になって混乱してしまいましたけれども、支援員の方が緊張をほぐしてくださるので心強かったとか、初めてだらけのことが多かったけれども、職員の方々に丁寧に教えていただきながら仕事を覚え、指導を素直に聞くことが仕事をする上で大事だということがわかった。また、出勤時間のラッシュのぐあいが徐々につかめてきたのでよかったというふうなものがございまして、このチャレンジ雇用を通しまして、企業就労に求められる、社会人としての基本的心構えなどが習得できたというふうに考えております。

○野上委員 十二名の方が本事業で雇用されたということですけれども、この中で、一般就労できたのは何名ですか。

○松浦障害者施策推進部長 この都庁でのチャレンジ雇用の就業体験のステップとしまして、引き続きまして、区市町村の障害者就労支援センターとか障害者就業・生活支援センターなどの支援員が企業に同行訪問しまして、就労支援を行っております。
 その結果、現時点でということでございますが、保険会社や病院などに三人の方が就労しているところでございます。

○野上委員 昨年度、一般就労で三名の方の就労が決まったということで実績が出て、事業の効果も徐々に出てくると思っております。
 さらに今年度は、当初予算で昨年度からの事業を拡充し、補正予算によっても事業拡充を図っておりますが、当初予算、今回の補正予算の内容をお伺いいたします。

○松浦障害者施策推進部長 昨年度は十二名の四カ月間の雇用ということでございましたけれども、これを拡大いたしまして、今年度は十六名の方を六カ月雇用いたします。
 まず、四月から九月までの前期でございますが、八名を現在雇用しております。十月からの後期につきましては、前期とは別の八人の方を雇用することということに加えまして、今回、国の緊急雇用創出事業といたしまして、さらに十三名を六カ月間雇用する補正予算をお願いしているところでございます。
 これによりまして、本年度合わせて二十九名の知的障害の方、精神障害の方が都庁でチャレンジ雇用されることになります。

○野上委員 今後とも、知的障害者、精神障害者の方々が一般就労できるように、このチャレンジ雇用事業で地域の就労支援機関と連携を図りながら、よりきめ細かく対応していただけるようにお願いいたします。
 昨年秋以降の経済危機が雇用面にも影響を及ぼしておりまして、景気悪化による雇用調整が拡大し、失業率が五%台に乗り、有効求人倍率も過去最悪となるなど、雇用状況が一段と厳しくなっております。
 今後、この雇用全般の動きが障害者に波及し、解雇や雇いどめなどで職を失う方がふえることについて、大変懸念をしております。実際、障害者の解雇数が、平成二十年度は前年度に比べ、相当数ふえたと聞いております。職を失った障害者の方が生活の安定を取り戻すには、やはり一日も早く再就職することが大事であると思います。
 そこで、このような状況に対し、東京都は、障害者の再就職に向けてどういった支援をしているのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 昨年十一月に、首都TOKYO障害者就労支援行動宣言というものを策定しまして、これには、東京労働局とか東京経営者協会、東京障害者職業センターなど八団体にご賛同いただいております。
 この行動宣言に基づきまして、障害者就労の関係機関が連携いたしまして、障害者のライフワークを通じた就労を支援しているところでございます。
 区市町村障害者就労支援センターや障害者就業・生活支援センターなどの地域の就労支援機関におきましては、新しく就労することはもとよりとしまして、離職しました障害者の方に対しましても、就職に向けた再訓練とか再就職先を紹介するなどの支援をするとともに、再就職後も定期的に職場訪問を行うというような、定着支援などもきめ細かく実施しているところでございます。
 また、野上理事お話しのとおり、雇用情勢が悪化している状況にございます。これに対しまして、今、都全域を幾つかのブロックに分けまして、先ほど申し上げました就労支援機関に、ハローワークとか障害者職業センター等を加えまして、ブロック会議というものを開催しておりますけれども、都としましては、このブロック会議で、離職した障害者の状況などについて実例を紹介して、意見交換を行って、再就職の促進に向けてさらに連携するよう働きかけるなど、障害者の早期の再就職に向けた支援を強化しているところでございます。

○野上委員 障害者の就労について、これからも適切に支援していただけるようお願いして、質問を終わります。
 以上です。

○吉田委員 私も補正予算に関連して、一つは保育所の整備について、二つ目に、有料老人ホーム等への防火対策について一層の拡充を求める立場から、何点か質問させていただきます。
 まず、保育所の整備の問題ですけれども、待機児解消、保育所整備に関してですが、六月一日付で、保育所の今年度の整備目標を、五千三百三十五人から八千人と一・五倍に引き上げるということが発表され、知事の発言でも表明をされました。
 私は二月の厚生委員会でも、希望者の急増の状況のもとで、緊急三カ年計画の目標を引き上げることを提案し、また、我が党は、四月時点での認可保育所の待機児数について区市町村調査を行い、その結果、認可保育所の整備目標を、三年間で六千五百ではなく一万五千に引き上げる必要があるのではないかという提言をさせていただきました。
 今回、今年度のみの数字ですけれども、一・五倍、八千人に引き上げたことは、貴重な前進だというふうに思います。同時に、その上に立って、さらなる目標の引き上げと整備の促進を求めて、何点か質問いたします。
 いうまでもなく、緊急三カ年の一万五千人の整備計画は、待機児五千人の解消ということが目標で設定されて進めてきたというふうに思います。私たちが、四月時点での区市町村調査を行いました。まだこの時点では、すべて数字が整っていない状況ではありましたけれども、傾向は把握できたと思います。例えば、世田谷区の場合には、旧定義では待機児数が千二百八十六人、昨年の四月に比べて一・六倍、新定義では六百十三人、昨年の四月時点と比べて一・八倍ということが示されました。
 多くの回答を寄せた区市町村の数を見ると、やはり一・五倍から一・六倍というふうな形で待機児数がふえているということが浮き彫りとなっております。
 これはもちろん、すべて数字がそろっておりませんから、推計の段階ですけれども、改めて、今後の整備目標に当たっては、当然、この五千の待機児を前提とするのではなくて、最新の状況を前提とした整備計画を立てるということが求められていると思うんですね。しかも、そういう点で見たときに、現時点で福祉保健局としては、ことし四月の待機児数というものをどのように把握されているか、昨年に比べてどの程度伸びているか、そうした点について、ご見解があったらお教え願いたいんですが。

○吉岡少子社会対策部長 本年四月の待機児童の状況と、また、待機児童解消の目標についてのお尋ねにお答えをいたします。
 まず、待機児童の状況でございますが、本年四月の状況につきましては、まだ現在、各区市からおおむね報告をいただいている状況でございますので、集計中でございます。したがいまして、現在のところ、私どもは、昨年四月の待機児童の状況と、それからあと、今年の四月につきましては、区市町村ヒアリングを行いましたので、その区市町村から承ったおおむねの動向、その辺は感触というのをつかんでいるだけの状況でございます。
 したがいまして、今の段階で、待機児童五千人の解消という目標を改めるということは、まだその段階ではないというふうに考えてございます。

○吉田委員 ただ、いずれにしても、来年度は後期五カ年計画がスタートするということになりますと、当然、最新の状況、待機児数の現状に基づいて、新たな計画、目標が策定されるということになると思うんですけれども、これはどのように進めていくのか、お答えください。

○吉岡少子社会対策部長 私どもは、次世代育成支援行動計画というのを策定しておりまして、時はあたかも、現在が、平成二十二年度から平成二十六年度まで五年間の次世代育成支援後期行動計画を策定する、今その準備をしている状況でございます。
 今後、平成二十二年度から五年間のこの行動計画を策定していくに当たりましては、当然、その計画の中で、今後五年間の保育所の保育サービスの整備計画を織り込んでいくことになろうかと存じます。
 この後期行動計画の策定の具体的な手順でございますけれども、これにつきましては、国から策定指針及び策定の手引が示されております。
 具体的には、児童人口の将来予測、各サービスごとの潜在ニーズ、区市町村ごとの目標事業量などを分析し、都としての整備目標を設定していくことになろうかと存じます。この計画は今年度末に策定し、発表する予定でございます。
 なお、そういうスケジュールでございますので、今後、本年四月の待機児童の数字が確定した段階では、当然、そういった数字も織り込んだ形でこの計画を策定していくことになっていくだろうというふうに思います。

○吉田委員 ことし四月の待機児数が確定した段階で、それをベースに準備をされると思いますけれども、昨年の四月と十月を比べてみても、十月になると、さらに四月の待機児数よりも大幅に増加をしているという経過がありますから、できる限り最新の状況を踏まえて、かつ、待機児解消というのは優先的な課題だと思いますので、ふさわしい計画を立てて進めていただきたいということを要望として述べておきますし、また、前回の請願の審査に当たって、私が、認証偏重ではないかということを述べたときに、車の両輪であるというご答弁がありました。
 しかし、児童福祉法の立場からすれば、両輪ではなく、私は、認可保育所の整備というのが行政としては基本であって、そういう立場から整備を進めていくべきだということを要望として述べさせていただきます。
 それで、具体的に一・五倍、今年度、八千人に整備目標を引き上げたわけですけれども、実際の整備がこういう形で進むような手だてが改めて求められていると思うんですけれども、保育所の整備に当たっては、そもそも今年度のもともとの予算があって、それに国の基金がついて、さらに今度、補正予算で東京都独自の上乗せをするという点では、制度としては、私だけかもしれませんが、非常にわかりにくいんですよね、最終的にどれだけの制度でどれだけふえるのかということについては。
 それで、プレス発表の資料でも、基金を活用した支援策がどういうものがあって、それに都独自の補正予算の支援策があって、どういうふうに拡充されてというふうに説明されているんですが、具体的に最終的な、今年度予算、基金、そして、今度の補正を積み重ねた結果、規模的には何カ所、どのぐらいふえるというふうな積み上げ、あるいは推計というのはあるのでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 保育サービスの拡充につきましては、待機児童解消区市町村支援事業、安心こども基金、さらに、今回の補正予算におきます保育対策緊急支援事業等を活用いたしまして、今年度の整備目標を、当初計画の五千三百三十五人から一・五倍の八千人に引き上げるものでございます。
 なお、このような人数規模での計画で目標値はございますが、箇所数の目標というのはございません。

○吉田委員 今回具体的に示された補正予算によって、問題は、一・五倍に引き上げた八千が、もちろんそれ自身で決して十分ではないと思いますけれども、それが達成できるのかどうかということが私の質問点だったんですけれども、促進をする上でベースになるのは--私は、もちろん今回の施策は当然前進だと思いますよ。ですけれど、やはりベースになるのは、区市町村の要望というものを踏まえることが大前提だと思うんですね。
 私たちは、前回も紹介しましたし、今回も調査しましたけれども、区市町村から東京都に保育所整備でどのような意見、要望がありますかというふうに聞きますと、大体三点なんですね。
 一つは、用地費補助など土地確保への支援、二つ目に、都有地の、今、半額貸与ですけれども、これを無償で貸与してほしいということ、三つ目に、公立保育園は一般財源化していますから、一切の補助金対象じゃありませんけれども、ここにもぜひ補助を進めてほしいというのが、私たちの調査に寄せられた区市町村からの保育所整備の要望です。
 東京都としては、私たちはこういうふうに認識しているんですけれども、区市町村から保育所整備促進に当たってどのような要望が出されているのか、その点ではどう認識されているんでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 私どもは、先ほど松下理事のご質問にご答弁申し上げましたが、昨年、待機児童が多かった区市を中心にヒアリングを実施いたしました。
 そうしましたところ、区市からは、保育サービスの拡充に積極的に取り組んでいきたいという意向が示されましたけれども、それを踏まえて、私どもは、今年度の整備目標を一・五倍に引き上げることとしたわけでございます。
 他方、そのような整備を行っていくに当たっては、急激な事業拡大に伴って、区市町村の財政負担が拡大するということについて懸念が示されまして、私どもは、そのような要望にこたえる形で、今回、この補正予算で緊急対策をご提案申し上げまして、区市町村に対する特別な助成をしていきたい、負担軽減をしていきたいという提案を差し上げた次第でございます。

○吉田委員 私は、もちろん今回の措置は努力として評価しますけれども、より本格的に認可保育所の整備を促進していくという上では、区市町村から出された用地費補助、そして都有地の無償貸与、さらに公立保育所への施設整備補助の実施ということをぜひ検討すべきではないかという意見を改めて述べさせていただきます。
 それで、念のために、東京都市長会厚生部会から、今年度の、平成二十一年度の予算編成に当たってどのような要望が出されているのかということを確認してみました。そうすると、保育所施設整備等の充実という項目の中に、保育所の新設に伴う用地取得費にかかわる補助制度を創設するとともに、国有地の無償貸与について国へ要望するとともに、都有地の無償貸与の堅持や充実についての施策を講じることということが、公式にも文書として出されているわけですよね。ぜひこれまでの施策の上に立ってこうした努力をしていただきたい、ご検討いただきたいということを要望として述べておきますけれども、先ほどから手が挙がっていますから、じゃ、どうぞお答えください。

○吉岡少子社会対策部長 用地費助成等の幾つかのご質問にお答え申し上げます。
 まず一点、用地費助成でございますけれども、都は、用地確保が困難な大都市の実情を踏まえ、昨年度から、マンション等の賃貸物件による保育所整備を都独自に補助してまいりました。今年度からは、安心こども基金の活用により、賃借料にも補助対象を拡大し、保育所等の設置促進に取り組むこととしておりまして、用地費助成を行う考えはございません。
 次に、都有地の貸付料の減額ではなく、無償貸与にしてはというお尋ねでございますけれども、民間事業者に都有地を貸し付ける場合、貸付料につきましては、適正な時価に基づき設定した額を基準とすることが原則でございますが、認可保育所の設置や老朽化した施設の建てかえを支援するため、平成二十年三月より、都有地活用による地域福祉インフラ整備事業の対象施設に認可保育所を加え、貸付料について五〇%の減額を行うこととしております。
 したがいまして、貸付料をさらに減額する考えはございません。
 以上でございます。

○吉田委員 区市町村からの正式な要望が出ていることを、私があえて具体的に紹介しているわけですから、これは真摯に受けとめて検討すべきだということを改めて述べておきます。
 それで、保育所の問題の最後に、私は、これは常識的な話だと思いますけれども、保育園は、親の労働を保障するとともに、子どもにとっては成長を保障する場であるという基本を、今改めて考えてみる必要があると思います。都は大都市で、保育所をふやすには国基準が高過ぎると、設定が。独自に認証をスタートさせるとともに、国に面積要件などをもっと引き下げろということを求めております。
 しかし、前回、この問題について、請願のときに質疑をしたときに、こうした国基準を引き下げるということについては、保育関係者からの要望ではないんだと、あくまでも都として考えて、こういう要望を出したんだという旨のお話がありました。
 あわせて聞いておきたいんですが、こうした国基準をもっと引き上げて、ゆとりのある保育所で保育が行えるように要望するというなら私はわかるんですけれども、国基準をもっと下げてくれないかということは、保育の質を高めることに逆行するものではないかと思うんですが、他の道府県で、国に対して国基準を下げてほしいというふうな要望をしている自治体は、そもそもあると認識されていますか。

○吉岡少子社会対策部長 他県の動向については承知はしておりません。

○吉田委員 承知していないというお話ですけれども、私、念のために厚生労働省に聞いてみました。全国の都道府県の中で、東京都以外で、認可保育所の設置の基準を下げてほしいという要望をしている道府県があるんですかと。昔は知りませんけれども、最近ではそういう要望ありませんということが伝えられました。ですから、私は、そういうことから見ても、関係団体からも要望されていない、他の道府県からもそういう要望はされていないという現実なんですよね。
 そもそも保育所というのは、乳幼児が丸々一日過ごす施設なわけですよ。しかも、極めて重要な成長の時期に何年間にわたって通って過ごす施設なんですよね。そこが少しでも広くて、ゆとりがあって、成長できるような場を保障するというものは、量的な保障とあわせて進めていくべきだと思いますし、昨日の朝日新聞の夕刊でも、厚生労働省の委託を受けた専門家の提言は、この基準の引き上げということが示されたということが書かれています。
 ちなみに、資料として出されておりますけれども、三歳以上の一人当たり面積は、アメリカ、ニューヨークは三・二五平方メートル、フランス、パリは五・五平方メートルに対して、日本は一・九八平方メートルにすぎないということも、他の世界の状況から見たら明確なんですよね。
 そういう意味で、やはり子どもの人権にもかかわる問題であり、私は先ほどもいいましたけれども、認可保育所の整備を基本にすべきであり、また、国に、大都市は大変だから下げてほしいという、時代を逆行させるようなこういう要望は撤回すべきだということを改めて述べておきます。
 次に、無届け有料老人ホームについて、質問をさせていただきます。
 群馬県渋川市の無届け有料老人ホームの火災で、東京の高齢者七人がなくなるという痛ましい事故を通じて、収入の低い東京の高齢者が都外の劣悪な施設に入所を余儀なくされていることが浮き彫りになりました。
 それで、改めてお聞きしますけれども、生活保護受給者で、都内、都外の無届け施設に入っている実態及びこうした状況に対して、都として、入っている入居者に対してどのような対応をとるのか、また、区市町村に対してどのような対応をとるのか、ご答弁をお願いいたします。

○永田生活福祉部長 都が本年二月に行いました、生活保護受給者の有料老人ホーム等の利用実態調査の結果によりますと、本年一月一日現在、都内施設三百四人、都外施設四百七十七人となってございます。
 この対応についてでございますけれども、都は既に、区市に対しまして、生活保護を受給している高齢者の方々に未届けの有料老人ホームの利用を進めることは好ましくないことや、やむを得ず利用を勧める場合には、必ず事前に現地調査をすること、入所中の生活実態を把握することなどについて、指導を徹底しているところでございます。
 また、先ほど来からも答弁させていただいておりますけれども、今回の緊急対策では、ケースワーカーへの助言等を行う高齢者支援員の福祉事務所への設置、配置促進とともに、施設確認のためのマニュアルの作成、提供などによりまして、各区市を支援してまいります。

○吉田委員 この問題を通じて私も改めて認識を新たにしたんですけれども、群馬県渋川市のああした無届けの、内容的には極めて劣悪な施設ですけれども、これは単に都外の問題ではないということです。
 予算特別委員会で質問するに当たって、私自身、直接、世田谷区にある施設を調査いたしましたけれども、都内には無届けの有料老人ホームが多数あり、その中には極めて劣悪な施設があることが改めて確認できました。
 私が行った世田谷区の施設の場合には、マンションの一部屋をベニヤとカーテンで、それも完全に仕切ったものではないんですけれども、仕切りまして、一人当たり二畳足らず、照明も極めて薄暗い中で、高齢者が終日過ごさざるを得ないという状況でした。しかも、家賃を聞いたら、二畳足らずの状況でありながら月六万円。食費を含めて十四万円。生活保護の方もいらしましたが、生活保護を受給されていない一般のといいますか、高齢者の方々もおりました。声をかけましたけれども、もうしようがないというふうに悲しい声を上げる女性がいらっしゃいました。
 それで、そうした質疑をする中で、特に防災上の観点から、東京都福祉保健局として総点検を行うというお話がありました。そうしたことから今回のことが出されてきたと思うんですけれど、改めて、総点検の結果がどうであったのかと、その結果に基づいて今後どう対応しようとしていくのか、ご答弁をお願いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 先ほど山加理事のご質問にもお答えいたしましたけれども、東京都は、東京消防庁、それから建築所管部局、それから区市町村の高齢福祉課と連携をして、都内の未届け有料老人ホーム百三カ所を対象とする緊急点検を実施いたしました。
 このうち、老人福祉法の届け出が必要な有料老人ホームに該当する施設は、全部で四十六カ所でございました。
 そのほか、住宅の提供者と介護等サービスの提供者が契約上異なるなど、老人福祉法にいう有料老人ホームにも当たらない、いわゆる非該当の施設が四十八カ所ございました。
 課題でございますけれども、老人福祉法上の問題点としては、今お話をいたしましたように、実態として有料老人ホームと同様のサービスを提供しているにもかかわらず、住宅提供者と介護等サービス提供者が異なる場合には有料老人ホームに当たらないという、法律上、いわゆるあいまいな施設の存在が明らかになったことが一つでございます。
 二点目としては、防火安全体制の課題といたしましては、消防法令上の、例えば防火対象物の使用開始届ですとか、消防用の設備点検の未報告などの違反が多いということがございます。
 それから、建築基準法上の問題としては、例えば非常用の照明装置ですとか、防火上必要な間仕切り壁が未設置であるというような、建築基準法の法令違反がございました。
 それから、入居者の処遇上の問題に関しては、私どもが現認をした限りでは、入所者の処遇に関して明白な身体拘束や高齢者虐待は見受けられませんでしたけれども、ただいま吉田委員のお話にもありましたけれども、一室に複数の高齢者を居住させている施設が全部で四十三施設ぐらい見受けられました。
 これが、緊急点検結果で浮かび上がった課題でございます。
 これに対しましては、関係行政庁と連携をして、法令に違反する事項については是正に向けた今指導を開始しているところでございますし、私ども福祉保健局としては、該当する施設については、老人福祉法上の有料老人ホームとして届け出をするように、現在強力に指導を開始しているところでございます。

○吉田委員 私が指摘をした施設も、結果的には、サービスの提供者が違うということで、非該当になったというふうにお聞きいたしました。
 それで、拘束などの虐待は見られなかったというお話がありましたけれども、私はやはり、本当にあの狭い、二畳足らずで、しかも四人が男女一緒で一つの部屋の中に入っていると。そして、照明は天井に一つついていて、仕切りのすき間からしか光は届かないわけですよね。私がお会いした方は、窓側じゃなくて廊下側でしたから、一日中、昼間から本も読めないという状況です。
 そういう意味では、本当に、直接的拘束としての虐待は特定できないかもしれませんけれども、私は、あの状況は虐待といってもいいんではないかというふうにいわざるを得ません。老人福祉法上のということが先ほどからありましたけれども、改めて私は、老人福祉法第二条、ここでは、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」というふうに書いてあるわけですよね。あの事態は、私はもう、この老人福祉法第二条があの場では生きていないと、死んでいると。それも、東京で起きているという問題として認識せざるを得ませんでした。
 それで、先ほど、ちょっと私、聞かなかった分があって大変申しわけないんですけれども、いずれにしても、このような非該当であったとしても、実態に即してやはり指導強化していくということで、ぜひ皆さん方の対応をお願いをしたいというふうに思います。
 そうした対応とあわせて、このような事態が起きる根本問題として、所得の少ない高齢者の方々が行き場がない。しかも緊急時の場合には--という問題があって、この点での特養ホームなどの整備の責任が、改めて東京都に問われていると思うんですね。
 この点で、区長会から緊急の申し入れが出されていると思うんですが、それに対して東京都としてどのように受けとめ、対応しようとしているのか、ご答弁をお願いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 区長会からの要望についてですが、未届け施設に対する届け出の徹底と、安全性の確保や低所得の要介護高齢者対策に関するものでございます。
 都は、有料老人ホームに該当する施設に対しては、届け出の促進と、入居者の安全・安心を確保するため、すべての施設を対象に防火設備に対する助成を行うとともに、福祉事務所に高齢者支援員の配置を促し、生活保護を受給している高齢者に対する区市の取り組みを支援するなど、緊急対策を講じることといたしました。
 また、介護基盤の整備につきましては、区市町村がみずから推計をした介護サービス量に基づいた整備を計画的に進めるため、既に都独自の介護基盤整備のための補助を行うなど、区市町村を支援しているところでございます。

○吉田委員 基盤整備は、区市町村の計画に基づいてこれを促進する仕事を既にしているんだと。しかし、その区長会から、文面を紹介すれば、都市部においては、在宅での介護が困難な低所得の高齢者等に対する受け皿が不足していると。このため、施設の整備促進に向けた財政的支援や関連施設が受け皿として機能するための制度改善など、総合的な支援策を講ずることということが、改めて五月一日時点で、介護保険の今期の計画がスタートしている中でさらに出されたわけですから、これを受けとめて、特養ホームだけではないと思うんですよね。住宅も含めたさまざまな施設整備というものが、私は総合的に検討されなければならないというふうに思います。
 その中でも、やはりかなめは特養ホームだと思うんですけれども、昨日の代表質問でも述べましたけれども、第一に、東京都は三年間で五千人の特養ホーム整備を打ち出していますが、私たちは、これでは今の状況に対応できないのではないか、足らないのではないかということと、しかも、この三年間で五千人という計画も、今年度から用地費補助を廃止しましたけれども、そういうことをしておいて実現ができるのかというふうに疑問を持たざるを得ないんですけれども、改めてご答弁をお願いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 先ほども申し上げましたように、介護基盤の整備につきましては、区市町村がみずから推計した介護サービス量に基づいた整備を計画的に進めております。
 都では、平成十八年度から、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業の対象事業に特養を加えるなど、特養の整備促進に努めているところでございます。
 さらに都は、既に、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、着実な整備に取り組んでおります。

○吉田委員 そもそも、東京都自身も承知していると思いますが、特養ホームの待機者数は三万八千人を超える状況になっているわけですよね。それで、三年間で五千人という計画にとどまっております。しかも、にもかかわらず用地費補助を廃止したわけですけれども、用地費補助の平成十九年度の一施設当たりの平均的な補助額は幾らですか。

○狩野高齢社会対策部長 特別養護老人ホームの設置促進特別助成事業、これが用地費助成事業でございますけれども、平成十九年度の実績は五件で、一カ所平均の補助額が四億八千五百万でございます。

○吉田委員 過去の実績を見ますと、三年間で五千床ということになっていますが、二〇〇四年から二〇〇七年までの三年間を見ると、ふえたのは約二千床ですよ。それを今度五千にするということは、二倍以上に引き上げなきゃならないんですよ。しかしながら、用地費補助は廃止をするわけですね。じゃ、新たな補助単価を見直したことと促進係数を導入したことによって、用地費補助を廃止してもこれを補って伸びるんだということを、事前に説明を聞いてまいりました。
 しかし、皆さんからいただいた資料では、例えば百人規模で想定したときに、新たな補助単価の見直しと促進係数を入れた結果、どのぐらいこれまでと今年度で補助額がふえるかといえば、約二億円ですよね。
 しかし、その用地費補助は、平成十九年度の平均だけで一カ所四億八千万余なわけですよ。用地費補助にかわるものとして単価や促進係数を入れたとしても、差額でいえば二億円からの単純比較になりますけれども、明らかに減額なんですね。それで、これまでの三年間で二千床しかふえなかったものを五千床までふやすというふうにいっても、これは、私は到底信用することはできないと思うんですね。
 そうした意味から、私たちは、さまざまな支援策を強める必要がありますけれども、その中で、やはり用地費補助の復活ということが課題になっているんではないかということを指摘せざるを得ないと思います。私は、認可保育所の整備もそうですけれども、特養ホームの整備もそうですけれども、やはり最優先課題として予算を投入していくということが求められていると思います。
 この間の議論の中で、高齢福祉は決して後退していないということがいわれましたけれども、改めて私、ちょっと事実確認だけをさせていただきたいんですけれども、老人福祉費の構成比の比率及び全国順位について、平成十一年度と平成十九年度について、ご答弁をお願いいたします。

○日置参事 決算額におきます老人福祉費の額でございますが、平成十一年度の老人福祉費は二千四百四十二億円、これは、歳出総額が六兆四千九百五十八億円でございますので、その占める割合は三・八%で、全国で二番目でございます。
 平成十九年度につきましては一千九百六十六億円、歳出総額は六兆九千十七億円、歳出総額に占める割合は二・八パーセントで、全国では四十七番目というふうになっております。
 ただ、この数字だけをもって老人福祉施策が後退したのではないかというふうに誤解を抱かれるとまずいので、私の方から、ちょっとつけ足して説明させていただきます。
 昨日の質疑においても、局長の方からご答弁申し上げましたとおり、各都道府県の歳出規模、これは、それぞれの行財政制度、それから大都市における特性など、それぞれ違いがございます。また、その時々の行政需要、あるいは税収です、それから財政運営上の判断、これも歳出規模を大きく変動させる要因でございます。
 したがいまして、先ほど順位を申しましたが、決算総額に占める老人福祉費の割合、これを比較することをもって都道府県の順位づけを行うと、福祉水準を云々するということについては、全く意味がないものとつけ足させていただきます。

○吉田委員 私は、事実を確認したいと思ってご答弁をお願いをしたわけです。しかも我々は、ただこの数字だけをもって単純な解釈をしているわけではなくて、現実的に福祉施策の後退があり、しかもこれは、率だけではなく、今のご答弁でもわかるとおり、高齢者人口が伸びていながら、実額そのものが老人福祉費が減っているわけですよね。しかも、確かに政令都市を抱えているか抱えていないかによって全然行政責任の範囲が違いますから、単純比較ができません。
 しかし、念のために、例えば大阪とか神奈川とか、比較的政令都市を抱える東京と似たような状況を見ても、比率ははるかに高いんですよ、大阪にしても、神奈川にしても。
 そういうことから見て、私は、こうした数字そのものの中に冷厳にこの間の推移が示されていると。改めて、認可保育所の問題でもそうですし、特養ホームの整備の問題でもそうですけれども、こうしたところに最優先的に予算財政措置をとって対応することを求めて、私の質問を終わります。

○狩野高齢社会対策部長 用地費助成の廃止についていろいろご意見をいただきましたけれども、既に局長が答弁しているとおりですので、繰り返しはいたしませんけれども、私ども、この事業については、昨年度着工分をもって終了しており、復活する考えはありません。
 この背景を説明すれば、先ほども申し上げましたように、介護サービス基盤の整備については、介護保険法に基づいて、保険者である区市町村が要介護認定者数に基づいてそれを勘案して、見込み量を確保するための方策を定めるというふうに法律で定められているわけです。
 もう既に区市町村の中には、学校の空き校舎を利用して特別養護老人ホームを整備するとか、大都市の実情に合った小規模な介護保険施設の拠点整備等、多様な手法を駆使しながら、今整備を進めているところでございます。
 先生ご案内のように、先日杉並区で開設をした施設のように、大規模な土地を確保して施設を整備をするということは、東京二十三区の中では大変困難になってきているんではないかなというふうに私は思っています。当然、小規模な施設を地域で整備をするのがこれからの方向ではないかなというふうに思います。
 つけ加えさせていただきますと、今回の国の補正予算でも、都議会自由民主党の要望を受けて、都が国に対して緊急要望した結果、土地の賃借料の補助も実現をしたというように、これからは土地を所有するのではなくて、土地の賃借をして施設整備をするという方向が国においても示されているわけですので、私どもは、そうした施策を駆使しながら基盤整備を進めていきたいというふうに考えております。

○野島委員 補正予算の小児医療体制緊急強化事業について、何点かお伺いをいたします。
 既に松下理事、田代委員からもお話があったとおりでありますが、重複を避ける能力があるかどうかというふうに私自身が思っておりますので、重複したらブーとでもいっていただいて、答えは結構でございます。
 ただ、さきの病院経営本部所管の都立病院条例の関係で、民主党も共産党も反対したんですね。夏の審判を前に、民主党さんは、地域の小児医療の確保がされていないから反対だと、こういうことで一生懸命頑張っています。私どもは、都政に責任を持つ立場から、スローガンではないと。しっかりと着実な行政執行をすることが、現下の諸条件の中でどれがベストな判断なのかをしながらやらなければ、都民の、医療に対する責任にこたえることにはならないと、こういう立場に立ちますので、お許しをいただきたいというふうに思っています。
 実は六月一日の「東京都広報」に、二十二年三月、多摩総合医療センター、小児総合医療センターがオープン、こういう広報がなされました。小児総合医療センターがこういう形でオープンします、これはこれでいいんです。質疑の前提になりますので全部読みますけれども、その下に、東京都は、清瀬小児病院、八王子小児病院と梅ケ丘病院がこれまで果たしてきた役割を踏まえ、関係区市、医師会や関係機関と協力しながら、小児病院などが移転した後も、各地域にお住まいの皆さんが安心して十分な小児医療を受けられる体制づくりを図ります、こういう表現がしてあるわけであります。
 これは、病院経営本部は小児総合医療センターの所管本部ですな。その下の部分は、むしろどちらかといいますと、もちろん病院経営本部の役割もありますけれども、地域の小児医療をどう東京都として確保していくか、こういう立場からの話だというふうに思うんです、私は。
 したがって、これをまず冒頭押さえておきたいというふうに思っております。
 この文章にもあるように、実は私の地元では、清瀬小児病院移転後の小児医療体制をどのように確保していくのかということが、今日までも大きな課題でございますし、これからも大きな課題になってくると思いますよ。時代は動いていくわけですし、小児医療に対するニーズも違ってくるだろうと。そういう意味では、これからもずっと課題として引きずっていくということはいえるというふうに思っております。
 そこで、清瀬小児病院が移転しても医療体制が脆弱化しないように、いわば、初期、二次、三次と、こういうふうにいっておりますけれども、それぞれの機能を分担しながら連携強化を図っていくと。そのことによって、市民が安心できる小児医療体制を構築していくことが急務だということは、今日までの都立病院改革の議論の中でも確認しておるところでございます。
 それで、初期救急については、北多摩北部医療圏の構成市、五市あるんですが、地元医師会の協力のもとで、平成十七年の六月に四市五医師会から始めたと。質的に、あるいは量的に拡大をしながら今日に至っているわけでありますし、残り一年半を切った現在、二施設において週五日体制の拡大に向けてご努力いただいている、こういうことでありまして、先ほど松下理事の方から、今日の有限な医療資源をどう適切に配分し、これをどう有効に活用していくかと、こういうことが大切だということでいけば、各区市町村の役割、あるいは医師会の協力、東京都の支援体制、こういうことで組んできたわけでございます。
 この初期救急を実施していくためには、当然のことながら、小児医療センターが担う三次救急の整備とあわせて、多摩北部医療センターなどが、清瀬移転後の、清瀬小児がなくなった後の二次救急を引き継ぎながら、この初期から三次という連携をどう図っていくかということは、私は極めて重要なことだろうというふうに思いますし、そのことがこの広報にうたわれているというふうに思ってございます。
 北部医療センターにつきましては、医師の増員あるいは病床増、こういうことで、入院医療、診療体制の強化に向けて取り組んでいただいているわけでありますし、大変重要なことでございます。こういう取り組みを確かなものにしていかなければならないというふうに思っております。
 さきの事務事業報告、病院経営本部ので受けたんですが、そこの多摩北部医療センターも、繰越明許費二千三百万を確保しまして施設のグレードを上げました。そんなこともあって、実は私どもも、小児医療、清瀬小児病院を廃止するな、存続せよという、こういう声も地元では極めて大きいんです。大きいものですから、実情はどうなのかということで、私ども、東久留米市議会、清瀬市議会の自民党、そして公明党の皆さんと一緒に、これから廃止される清瀬小児の実情はどうなのかと。それから、二次医療を担う多摩北部医療センターの施設整備はどうなのか、それから、三次医療の府中はどの程度まで進んでいるのかと、これ、全部連関して見てまいりました。
 実は、これは余談なんですが、そのときに、その関係者とお話をさせていただく機会を得たんですね。小児医療の充実、医師への信頼ということは、ただそこに病院があり、小児科医がいればいいということにとどまるものではございません、こういうことなんですね。子どもが突然病気になるなんていうケースはないんですよというんですね。要は、常日ごろの食べ物だとか、生活習慣だとか、あるいは、病気を抱えている方は、それに対応するような健康管理をしていくことによってほぼクリアできるんだから、そういう部分を地域の幼児教育の関係者や学校関係者、いわば親御さんとしっかり意見交換をしていきたいと、私どもは医師として持っている力量は全部発揮しますと、そういうことで初めて医療に対する信頼が確保されるんだと。
 そういうことによって、初めて一次救急、二次救急ということの負荷も下がっていくと、私たち医者だって全面的にやっていきますよと。しかし、そういうことをやることによって負荷が下がっていくということになれば、これは、より重篤なというのかね、より緊急性のあるところに医療資源を突っ込むという、こういう役割分担ができるんだと、こういう話でございまして、私、極めて感動いたしましたし、市議会の皆さんも、ただただ反対をしているほかの会派と違って、ああなるほどというふうに感動してまいりましたので、ご報告を申し上げ、こちらに置いておきます。
 そこで、じゃ実態はどうかということになりますと、一次医療については、先ほど申し上げましたように、その医療圏で、小平市の準夜応急診療所、これは小平市単独です。それから、いったように、北多摩北部医療センターで四市五医師会の共同でやっております。それから、拡大した、さっきいった佐々総合病院というのが西東京にあるんですね。これは産婦人科が極めて有名なお医者さんでございまして、そこがやっていただいていると。
 一方、清瀬小児は今ありますけれど、それは二次はなくなり、府中に機能移転しちゃいますよ。残るのは公立昭和と多摩北部医療センター。それから佐々総合病院は、実は十八年十月に閉じちゃったんですよね。佐々総合病院が閉じちゃったんじゃないんですよ。この二次救急部分ができなくなっちゃうと、こういうことなんですね。医師の確保ができないんです。
 多摩北部医療圏の病床群は、例の見直しをした後の基準病床数に対して五百ぐらい余計にあるんですね。これは、かつて清瀬が、療養型病床群が圧倒的に多い段階で、ベッド数を相当確保していましたから、そういう名残もあって、ベッド数はあるんです。
 さっきいったように--いいんです、ベッドはつくればいいんだから。しかし、お医者さんの確保なんですね。これは、さっきお話もあったように、小児科医の確保というのは、何も我が東京だけじゃなくて、全国的な課題だというふうに思っております。
 さて、そこで、今回のこの補正予算に盛り込まれました、休日・全夜間診療事業(小児)参画等支援事業の意義と。例えば今、私は地元の実情をお話を申し上げました。
 これらの地元に対して、いわば北多摩北部地域にもたらす効果について、お伺いをしておきたいと思います。

○吉井医療政策部長 今回の補正予算でご提案申し上げております休日・全夜間診療事業の参画等支援事業でございますけれども、この中身は二つございます。
 一つは、二次救急の医療を実施する、いわゆる参画しようと考えている、そうした医療機関に対しまして、我々が今、休日・全夜間診療事業ということで二次救急を称しておりますけれども、そこに休日・全夜間ですが、そこに参画できるまでの間、週二日以上ということを要件としてございますけれども、その間の取り組みを支援するということで、医師確保を具体的に支援するものでございます。これは、先ほどお話あったような再開なんかも、当然対象として含んでまいります。
 それから、二つ目でございますが、その圏域の中で、休止でありますとか、それから移転等によりまして、小児におけますその地域の医療提供体制が困難となる場合、既に二次救急医療を実施している医療機関が、さらに病床等をふやして、そして医療機能を強化すると、こうしたような場合にも、医師確保についての支援を具体的に行っていると。先ほど田代委員のところでもありましたように、大学とも具体的にタイアップするような形で実施をしようというものでございます。
 このような、インセンティブというんでしょうかね、そうしたものを重視したこうした事業が、それぞれの各地域の状況に応じて取り組み、努力されているわけですが、それに対する具体的な弾みをつけることができるのではないかというふうに考えてございます。
 今、野島副委員長おっしゃった、北多摩北部における小児医療提供体制、初期から二次ありますけれども、そうした強化にも結びつけてまいりたいというふうに考えております。

○野島委員 ありがとうございました。
 地域にはいろんな事情がございます。お医者さんが少ないから、お医者さんをこちらに確保するために一億積みましょうといったらどういう反応が出てくるか、こういうこともあるわけであります。
 あるいは、それならば、武蔵野なんかはいっぱいお金持っているんだから、市役所で医者雇えばいいんだ、ねえ。それも一つの選択肢なんですよ。そういうことの、いろんな条件の中で、地域の苦労に対してしっかりと支援をしていっていただきたい。そういう実情を無視して、単に足りていないとか、あるいは大変だからというのは、これは情緒論でしかないと僕は思っているんです。行政執行というのはそういうものではないと。私どもは、確実な行政執行をしていただくために、政治の判断、逃げることなく、どんなあらしの中でも議論を積み重ねていきますから、ぜひしっかり応援をしてほしい--応援って、おれを応援しろということじゃないですよ。地域医療を応援してほしいと、こういう意味でございます。
 さて、さきの第一回定例会で、都立病院条例の改正がなされました。
 そのときの話はあえて申し上げませんけれども、共産党さんは共産党さんらしく、屋上屋を重ねて、府中病院もやれ、小児総合医療センターもやれと、今ある病院は残せと、こういうことでありますから、それはそれとして、それなりに受けとめておきたいと思っております。
 民主党さんは、地域の小児医療の確保に責任を持つと。この立場から、地域医療が確保されるまでこの統合は待てと。だけど、あの条例からは府中はと、こうなるわけであります。と同時に、じゃそれは内容は何なのと。今まで質疑で、地域医療の到達点って、僕は余り議論を聞いたことがないんですね。
 それからあと一つは、じゃいつまでなのというのが、実は執行期日は知事に委任しちゃっているんですよね。いつまでなのということであれば、当分の間だから、平成二十七年までは待つというふうに条例をつくるとか、それが本当の責任のある立場なんですね。
 そんなことはいいです、もう終わった話だから。いずれにしても可決をされました。
 これからの福祉保健局--病院経営本部は病院経営本部ですから、病院経営本部とのラインです、ある種ね。そういう中で、ある意味では、これからの地域の小児医療の確保というのは、いわば機能分担と連携の強化、こういう基本に立って、量的にもあるいは質的にも、常々の小児医療を取り巻く状況を的確に把握しながら、これをしっかり高めていく、拡大していくと、こういうことが大切だというふうに思っております。
 先ほど松下理事から大変うれしいお話を伺いまして、限られた医療資源の最大有効活用ということで、武蔵野市の一次救急のお話がございました。何か話によると、一次救急やられていないということのようでございます。いいんですよ、自治体の判断ですから。都の方からとやかくいう立場ではない。それは、全体の医療行政の中で、本来武蔵野市が果たすべき役割を武蔵野市自身が判断して、その中でやるべき話であります。
 と同時に、なぜつくらなくていいのと。それは、近くに日赤もあるしね、医療資源があるんですよ。そこにおんぶに抱っこしちゃってる、これはいいんです、やらなくて。そのことが、結果、ほかのそういう需要に対して負荷をかけているということを、武蔵野市さんは思ってもらわなきゃ困るわけですよ。それ、ちゃんといっといてよ。(発言する者あり)
 それから、三月定例会にも、斉藤委員にも提案したんです。四市五医師会じゃなくて、医師会も参画しているんだから、五市五医師会でやろうじゃないのと、ぜひ提案しておいてくれといったらば、何か東久留米市にも大変お世話になっているようでありまして、十何%、市が--小平市以外ね。(「八・五ぐらい」と呼ぶ者あり)だそうでございます。ぜひまた提案してくださいよ。というのは、一次、二次という医療はありますよ。確かに小平さんは、僕らと北多摩北部医療圏一緒だから、それはそれでいいんです。北部医療圏があって、二次医療は公立昭和病院があるんです。それと北部医療センターがあります。それから、再開すれば佐々病院もあります。そういう形で、小平は小平として入り口はあるわけです。私どもも小平さんも利用していますし、入り口はあるんです。
 ただ、斉藤委員も指摘していたように、多摩北部地域の医療資源というのは、確かに脆弱なんです。それは今までの経過もあります。あるいは、地域の年齢構成とかそういうのもいろいろあります。だからこそ、五市の五医師会で、全体としてまとまっていこうじゃないかと。そのことによって、公立昭和だって、再開されれば佐々病院だって、それから北部医療センターだって極めて連携が高まるんですよ。恐らく東京都の医療政策も、そういう連携力、それから、多摩振興プロジェクトの中に書いてありましたね、教育福祉についてもと。今まで多摩の教育、福祉を支援していきましょうというのはなかったんです。
 そういうことをやることによって、やっぱり多摩全体、あるいは北部の医療資源を有効利活用しながら高めていくということになるから、ぜひそれ、提案しておいてください。お願いします。
 また、これから街頭でいろいろ話もするだろうから、武蔵野市さんや小平市さんは、その実情に合わせてそういうものを着実にやっていくといった方が、よっぽど都民の信頼得られますよ。ただ単に、足りないとか、とんでもないとか、清瀬を残せとか、それはスローガンであって政策じゃない--何かあるの。だから、与党になると、都議会第一党になるというのなら、そういう形のものをやっていった方が私は適切だろうというふうに、余計なことまで申し上げましたが、質疑を終わります。ありがとうございました。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。

○東野委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、厚生委員会所管分、第百十四号議案、第百十五号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 初めに、第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、厚生委員会所管分、第百十四号議案及び第百十五号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認めます。よって、第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、厚生委員会所管分、第百十四号議案及び第百十五号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可の報告及び承認についてを採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、報告のとおり承認することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○東野委員長 起立多数と認めます。よって、本件は報告のとおり承認することに決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○東野委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東野委員長 この際、所管局を代表して、安藤福祉保健局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○安藤福祉保健局長 お許しをいただきまして、当委員会所管両局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 本定例会でご提案申し上げました議案につきましては、ただいまご決定をいただき、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でちょうだいいたしました貴重なご意見、ご指摘等につきましては、今後の事業執行に反映をさせてまいりたいと存じます。
 また、病院経営本部とも、より一層緊密に連携をとりまして、さらなる施策の充実に努めてまいる所存でございます。
 今後とも、よろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○東野委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言あいさつさせていただきます。
 昨年の十月以来今日まで、厚生委員長という立場で職務を遂行させていただきました。この間、野島副委員長、そして、かち副委員長を初め、理事、委員の皆様方のご協力をもちまして、円滑なる委員会運営を遂行できましたことを、この場をおかりしまして、心より御礼を申し上げる次第でございます。
 また、安藤福祉保健局長、それから中井病院経営本部長を初め理事者の皆様には、さまざまな場面でご協力をいただき、円滑なる委員会運営を進めることができましたことを心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 厚生委員会所管の事業は都民の方々に非常に直結した事柄が多くあり、例えていうならば、さまざまな社会現象が起こる、また事故が起こる、そういったことが密接にこの委員会に結びつく、こういった傾向があろうかというふうに思います。
 先ほど来議論に出ております、群馬県の未届け有料老人ホームのたまゆらの事故を初め、また、昨年起こりました周産期医療の事故、また、今現在も引き続き起こっております新型インフルエンザの現象といいますか、そういったことすべてこの委員会に絡むことでございます。
 そういった意味で、理事者の皆様方には、本当に獅子奮迅というか、たゆまぬご努力を常にいただいているわけでございます。そういった意味で、今後も都民生活の拡充、そして、政治の根本である福祉の向上のためにますます理事者の方々には頑張っていただくように、この場をおかりしましてお願いをする次第でございます。
 最後に、これまで皆様方にご支援いただきまして、そして遂行できましたことを重ねて御礼を申し上げますとともに、来るべき都議選で、皆様方、ご当選というか、立派な成績をおさめられることを最後に心よりご祈念を申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 本当にありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十四分散会

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