厚生委員会速記録第六号

平成二十一年五月二十七日(水曜日)
第七委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長東野 秀平君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事松下 玲子君
理事野上 純子君
理事山加 朱美君
西崎 光子君
橘  正剛君
斉藤あつし君
田代ひろし君
門脇ふみよし君
野村 有信君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長鈴木 賢二君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長松浦 和利君
健康安全部長梶原  洋君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長芦田 真吾君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長月川由紀子君
参事日置 豊見君
参事枦山日出男君
参事砥出 欣典君
参事大久保さつき君
参事中川原米俊君
参事飯塚美紀子君
参事熊谷 直樹君
参事別宮 浩志君
参事前田 秀雄君
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長都留 佳苗君
経営戦略・再編整備担当部長黒田 祥之君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 病院経営本部所管分
報告事項(説明・質疑)
・平成二十年度東京都一般会計予算(病院経営本部所管分)の繰越しについて
請願の審査
(1)二一第一号 府中病院、神経病院、府中療育センター、多摩療育園の民営化反対と都直営に関する請願
(2)二一第八号 都立広尾病院を都立のままで存続・充実することに関する請願
 福祉保健局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可の報告及び承認について
請願陳情の審査
(1)二一第一号 府中病院、神経病院、府中療育センター、多摩療育園の民営化反対と都直営に関する請願
(2)二一第五号 後期高齢者医療制度の廃止に関する請願
(3)二一第七号 後期高齢者医療制度の廃止に関する請願
(4)二一第六号 「グッドライフ三鷹寮・野崎寮」の増設及び開設・開業に関する請願
(5)二一第九号 重度視覚障害者に対する移動支援事業の拡充に関する陳情

○東野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東野委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び請願陳情の審査並びに病院経営本部関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、提出予定案件につきましては説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項につきましては、説明聴取後、質疑終了まで行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中井病院経営本部長 平成二十一年第二回定例会に提出を予定しております病院経営本部関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 ご審議をいただきます議案は、平成二十一年度補正予算案一件でございます。
 平成二十一年度補正予算案の内容は、新型インフルエンザ緊急追加対策でございます。既に、都立病院におきましては、平成二十一年度当初予算により、感染症指定病床を補完する役割を持つ感染症緊急対応病床の整備を進めているところでございます。
 今回の補正予算案におきましては、感染症指定医療機関である財団法人東京都保健医療公社所管の荏原病院及び豊島病院に、都立病院と同様に感染症緊急対応病床を新たに整備するものでございます。
 なお、議案の詳細につきましては、この後、経営企画部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○及川経営企画部長 平成二十一年第二回定例会に提出を予定しております議案の概要についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております資料1、平成二十一年度補正予算の概要をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。平成二十一年度病院経営本部所管予算総括表でございます。病院経営本部が所管する一般会計と病院会計について記載してございますが、補正予算の対象は一般会計のみとなっております。
 三ページをお開きください。一般会計の総括表でございます。歳出でございますが、事業費として補正予算額九億七千万円を計上しております。
 四ページをお開きください。事項別内訳でございます。補正予算の事項は、地域病院の運営等でございます。財団法人東京都保健医療公社が所管いたします荏原病院及び豊島病院について、1、地域病院等の運営及び2、地域病院等の施設整備で、合計九億七千万円を計上しております。
 1、地域病院等の運営でございますが、感染症指定医療機関であるこの二病院に、新たに感染症緊急対応病床を整備し、初期医療提供体制を強化いたします。感染症緊急対応病床に必要な医療資器材等の整備や人材確保などのための費用を計上しております。
 2、地域病院等の施設整備でございますが、感染症緊急対応病床の運営に必要な施設整備を進めていくための費用を計上しております。
 以上で平成二十一年度補正予算の概要の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○東野委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○及川経営企画部長 平成二十年度一般会計予算のうち、病院経営本部所管分の繰り越しについてご報告申し上げます。
 それでは、お手元の資料2、平成二十年度一般会計繰越説明書によりまして、ご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。繰越明許費総括表でございます。繰越明許費の繰越額は二千八百十万円でございます。
 次に、繰り越しの内訳についてご説明申し上げます。
 二ページをお開きください。繰越明許費予算議決額は三千九百万円でございます。多摩北部医療センターの施設整備について、年度内に支出が終わらなかったため、二千八百十万円を翌年度に繰り越しして支出するものでございます。
 簡単ではございますが、以上で平成二十年度一般会計の繰り越しについてご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○東野委員長 次に、請願の審査を行います。
 初めに、請願二一第一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 それでは、資料3、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 整理番号1、請願二一第一号についてご説明申し上げます。
 この請願は、府中市の「府中キャンパス」守る会代表平井浩一さん外九千四百四十三人から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都において次のことを実現していただきたい、第一項、府中病院の運営は、PFI契約をやめて都の責任で行うこと、第二項、府中病院と神経病院を地方独立行政法人とせず、都立で充実させることというものでございます。
 現在の状況は、まず第一項についてでございますが、現在、府中病院は、多摩地域の基幹的な医療拠点となる多摩総合医療センターとして整備を進めております。
 整備に当たりましては、PFI手法を活用し、これまで都が個別に委託しておりました施設の保守管理、保安警備、清掃等の施設の維持管理業務、医事業務などに加え、医薬品、診療材料の調達などの業務をPFI事業者が一括して行い、民間のノウハウ等を活用して患者サービスの向上を図ることとしております。
 病院経営や診療業務そのものなど、病院運営の中核の部分につきましては、引き続き都が責任を持って行ってまいります。
 次に、第二項についてございますが、都立病院がその基本的役割である行政的医療の提供を将来にわたり安定的かつ継続的に提供していくためには、より柔軟な経営形態について検討していく必要がございます。
 第二次都立病院改革実行プログラムでは、経営形態の変更につきましては具体的な言及はしておらず、地方独立行政法人の制度上の課題や都立病院の運営状況を踏まえて詳細な検討を行うとともに、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は、十分な検討を行っていくこととしております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 この請願二一第一号について、今までさんざん議論もしておりますけれども、せっかくの機会でありますから、とりわけ私どもも審判を受ける立場ということが身近に迫っておりますので、その辺、議論をしておきたいというふうに思っております。
 実は、都議会議員予定候補者に対するアンケート調査のお願いというものが来ているんです。このアンケートをお願いしますという団体は、都立直営を守るため、都立病院改革マスタープランに反対し発足した団体ですと。アンケート様式になっているんですが、要は自分たちの願意に誘導できるような、願意というか、こういうものにね、そういう構成になっているなと私は受けとめておるんです。
 こういう複雑な問題はアンケートで答えるわけにいきませんから、ぜひ、こういう団体の方は私どもの質疑をしっかり聞いてもらって、それで自分たちの運動の一助にしていただければありがたいというふうに思っておりますから、あえて質問いたしたいというふうに思っております。
 請願は、府中病院のPFI契約をやめて都の責任で行うこと、こういう願意であります。逆に読みますと、PFI契約は都の責任の放棄だと、こういうことになろうかというふうに思っております。都立病院の経営は都が責任を持って行うということを、今まで何度となく確認をしてきております。あたかも、このPFIを導入すると病院経営が都の直営でなくなってしまい、民間事業者に運営が移管されてしまうかのごときいい方として、対都民的にはとらえられてしまうだろうと。いわば、事実と異なるというふうに思っておりますので、私は、明確に質疑をしていきたいと思います。
 また、近江八幡の市立総合医療センターの例については、たしか昨年の第一回定例会のこの厚生委員会で、私もかなり細かく質疑をしたと思っております。近江八幡の場合と都立病院の場合では、後ほど触れますが、資金調達や財産の扱いが異なる。それと、ほかの自治体のことに余計なことをいう立場にありませんが、どうも、本来県レベルで支えるべき救命救急センターあるいは周産期母子医療センターといった不採算部門を、抱え込んでおると。
 こういったようなことから、市の規模から考えると過大な投資をしているんでないかというふうに推測を申し上げ、それが現下の苦しい病院経営を招いたのではないんだろうかというふうに、私の立場から、ほかの自治体に余計なことをいうことはないけれども、全体のスキームの問題としてご指摘を申し上げたところであります。
 一般的に、地方自治体、とりわけ市町村にとって三ついわれているんです。病院と交通と住宅、この三つは、よっぽど慎重に取り組まないと、将来大きな足かせになりますよといわれているのが一般なんです。
 革新市政といわれる人たち、あるいは革新といわれる人たちは、市民要望があるから、あるいは大変だから、こういったふうなところから--例えば手法の変更をしましょうと、東京都でいえば、東京都でやるけど、PFIというのは手法の変更だけなんですよ、責任持って都がやるんだから。手法の変更をしますと、いろいろ問題が出てくるかもしれないと。あるいは、そこに従事する職員の方たちの身分の問題が出てくる。だったらさわらなくていいと、こういうことなんです、革新市政は。むしろ墨守しちゃっているんですね、旧来の制度に。それが、時間がたって破綻をしていった、あるいは窮地に陥ったという事例は、私ども東京都も経験しているとおりでありますし、私は東久留米です、そこで革新市政を見て、ああ、なるほど、これが革新の実態だというふうなところを強く意識というか、思ったところです。
 要は、近江八幡の例でいけば、置かれている状況や仕組みが異なるPFIの単純な比較をもって、あたかもPFIが赤字の原因であり病院経営の破綻を招いていった、そういう短絡的な話ではないというふうに、当時も私、申し上げたし、また後ほど触れてみたいと思います。
 そこで、このような近江八幡などの先行する事例、あるいは私どもも高知のPFI事業を現地に視察に参りました。あるいは、さまざまな資料も取り寄せてみました。都では、これらを踏まえつつ、三つの病院でPFI事業を着実に進めているというふうに認識をしておりますが、都立駒込病院においてはPFIによる運営が、今回請願が出されているこの府中病院のPFIに先立って、この四月から始まっているというふうに認識をいたしております。
 そこでまず、都立駒込病院で始まったPFIによる運営がどのような状況にあるかを、冒頭お伺いしておきたいと思います。

○及川経営企画部長 駒込病院でございますが、お話にあったとおり、この四月から建物改修工事に着手いたしますとともに、医事業務や建物管理などの医療周辺業務につきまして、PFI手法による運営業務を開始いたしております。
 これまでのところ、患者さんに影響を与えるといったような混乱は起きておりませんで、おおむね順調に運営をされております。
 なお、受託業者が変わった清掃業務や、新規に導入されました物品管理業務につきましては、一部ふぐあいが生じておりますけれども、現在は改善をされてきております。
 例えば、清掃業務では、担当者がふなれであったこともありまして、清掃が必ずしも行き届いていなかった。こういった面が見られましたけれども、その人員を大幅に増員するなどして改善を図ったところでございます。
 また、新たに導入されました物品管理業務につきましては、これまで病棟ごとにばらばらに管理をされていた物品を中央で一元の管理をいたしまして、病棟にあらかじめ決められた数量を定期的に払い出すといったような、新たな仕組みを導入しましたけれども、当初は、病棟等での必要数量が不明確であったといったことなどから、病棟等での物品の不足や定期搬送のおくれが見られました。
 そこで、病棟等での必要数量の見直しとあわせまして、一部物品を医療作業やリネン供給業務の担当者が配送するといった措置を行うなど、業務間の区分を見直すことによりまして改善を図ったところでございます。
 こうした業務の一部ふぐあいの発生は、これまでも、個々に委託をしておりました時代であっても、受託業者が変わった場合には、当初、担当者のふなれなどからある程度発生をしておりまして、今回も、この範囲のものであるということでございます。
 したがいまして、PFIの仕組みによって、こういったふぐあいが発生したというふうには考えておりません。
 今後とも、業務運営の状況に応じて、人員配置や業務分担を迅速かつ柔軟に見直すなど、PFIならではの取り組みによりまして、患者サービスの向上を図ってまいります。

○野島委員 制度というか、事業の手法を変えるときにいろんなトラブルが出てくるというのは、これはどこの世界でもあることです。何も公だけでなくて民間でもあるわけであります。極端にいうと、その担当職員が変わっただけでいろいろ問題が出てくるケースもあるわけですから。
 今あったように、そういう制度変更の中で起きたトラブルあるいは課題を、しっかりと病院経営本部がモニタリングをしながら適切にやっていくと。例えば、単年度契約で業者が変わります。よくあるのは、清掃業務なんかはそういうことがあるんですよ。いわんや競争入札でやりますと価格が低くなりますから、今までこれだけやっていたのに、何だ、やってみたら価格が低くなったから、いや、私たちはそれはできませんとか、これはどこにでもありますよ。
 それから、私が経験している中では、今でいう保育園に指定管理者制度を入れた、当時は民間委託といっていたんだけど、そのときはいろいろトラブル、課題がありました。そのときに、前を向いて解決しなければ絶対だめです。反対する人たちは、そもそも反対だから、後ろ向いて、あれが問題、これが問題と。さあ、どうするといったときに、答えがないんですよ。それで、責任だ、責任だと、これだけですから。その辺、しかと肝に銘じて、個々の業務をしっかりとモニタリングをしながら、適正な管理運営をしていただきたいというふうに思っております。
 単年度でやる契約と、SPCが長いこと--ある意味じゃ独占になるわけですから、単年度とは違って。やっぱりそれはぜひ、ちゃんとしたモニタリングをやって課題解決に向けていただきたいというふうに思っております。
 先ほど、近江八幡市の例で願意にも、だから失敗だというふうにいわれておりました。実は、「日経ビジネス」の五月四日号に、「リポート民間手法の罠」って書いてあるんです。民間手法がわなをかけたのか、あるいはそれにはまって近江八幡が悪くなった、だめになっちゃったのか。あるいは民間手法を導入するに当たっての、先ほどいいましたけれども、将来を踏まえてのしっかりした検証がなされて、それでそういうスキームをつくり上げたのかというふうに、このヘッドコピーだけじゃわからないんですが、これ、中、ずっと僕、追ってみたんです。
 一つは、病院の収支計画が甘かったということが挙げられております。これは、PFIとは、仕組みは全く別なんですね。要するにどんな事業でもそうですけど、入りがあって出があるわけです。入りがこれだけありますよという前提で出を組んじゃった。入りがなかったら、それは赤字になるのは当たり前の話なんですね。いわば、このPFIもさっきいったように、医療業務というのは、PFIの中でSPCがやるわけじゃないですよね。ちゃんと自治体が責任を持ってやりますよといっているんです。それが収入の根幹なんだから、そこを見誤っちゃったらば、当然、事業が成り立たなくなりますよというのは、火を見るより明らかなわけです。
 それで、去年十二月の近江八幡市の議会の質疑も、「議会だより」というのがありますので、取り寄せてみたんです。その中でも、赤字の原因は市の当初計画の甘さにあると考えている、こういうふうに市長が申し述べているんです。
 それから、これを読んでいって、ええっと思ったところが幾つかあるんです。一つは、いわゆるファイナンスを組んでいるわけでありますが、SPCに一定の資金調達手数料が支払われていると。それも固定なんですね。自治体の財源調達を固定でやるか変動でやるかは極めて難しいです。将来の返済の問題もありますから。それはあるんですけれども、病院の収支にかかわらず、一定の利益が確かにファイナンスフィーとしてSPCに入るようになっていますよというふうに指摘されているんです。
 さらに、これは、僕はええっと思ったんですよ。医療周辺業務の支払いのスキームがあるんですが、SPCが業者に委託していると。病院からこれらの業者に支払われる金額のうち一割、これがSPCの取り分になっちゃうわけです。いわゆる、言葉は悪いけど、口入れ稼業になっちゃっていますよね。仲介業ですよね。
 そういうふうにしますと、それは業者だって、東京都のSPCだってそうですけれども、適正な利潤を確保しなければ、業者だってどこをどうやりながら効率化していくというようなことは考えないわけですから。逆にいうと、仲介手数料ですから、幾らでもいいとはいわぬですよ、トータルとしての契約があるわけですから。しかし、どこを切り詰めようとか、所期の目的をどう達成し、所期の目的というのは適切な周辺業務の上でやっていこう、とかいうことよりも--そんなに考えなくていいんですよ、銭入ってくるんだから、一割。しようがないや、その程度でとなっちゃうんです。
 こういうふうな仕組みになっているというふうに、「日経ビジネス」には書いてございました。
 こういうふうにやっていきますと、業務を適切に遂行するためのインセンティブが働かないんではないかなというふうに私は思っています。残念ながら、こういうふうな当初の計画の収入見込みの甘さ、あるいはこういったようなことで改悪になったと、こういう報道がなされているわけです。
 じゃ、それが、このPFI制度の全体の、そもそもの問題なのかどうか、ここだけなんです。こういう部分では、都立病院のPFIについては、こうしたPFIの課題を踏まえながら構築していますということは、私が昨年の一定でも、あるいは一昨年の事務事業、公決分科会等で何回も質疑をしてきたところです。
 それで、冒頭に申し上げましたとおり、もうさんざん議論しているんですが、今日こういう状態に、近江八幡の市立総合医療センターが至りました。毎回同じようなんですが、ちょっとご質問していきたいと思います。
 都立府中病院の関係の経営はだれが行うのか。また、近江八幡市のPFIと都立病院のPFIの事業スキームの違いは何なのか。この辺を、改めて確認の意味で伺っていきたいと思います。

○及川経営企画部長 都立病院のPFIでは、病院経営や診療業務そのものなど、病院の運営の中核部分は都が引き続き責任を持って担い、これまで個別に委託をしてまいりました医事業務や建物管理などの医事周辺業務をSPCが包括的に担うことによりまして、医師や看護師などの医療従事者が診療業務などに専念できる環境を整え、医療サービスの向上を図ることとしているものでございます。
 近江八幡市のPFIとの事業スキーム上の違いといたしましては、まず、近江八幡市では事業者が建物を建設し、そのまま所有して維持管理を行い、事業期間終了後に所有権が市に移転するという、いわゆるBOT方式を採用しておりますけれども、都では、事業者が建物を建設した後、所有権を都に移転した上で、建物の維持管理業務を事業者が行う、いわゆるBTO方式を採用しております。都が建物の所有権を持つことで、医療環境の急激な変化に伴う建物改修を都が主導的に行うことができるとともに、固定資産税も課税されないことなどから、都ではこの方式を採用しております。
 また、近江八幡市では、施設整備費を、SPCが民間金融機関から調達しておりますが、都では、副委員長からのご助言もいただき、企業債を活用しまして、より低い金利で資金を調達することとしております。
 さらに、都では、個々の業務を行う協力企業を指導監督するマネジメント機能をSPCの業務として明確に位置づけ、このマネジメント業務についても適切に行われているかをチェックする、いわゆるモニタリングを実施し、適切に行われていない場合には、業務改善勧告、サービス対価の支払い留保、減額などを行うこととしております。
 このように、都ではSPCのマネジメント機能を適切に把握、評価する仕組みを設けるなど、PFI事業としてのメリットを最大限生かした病院運営を行ってまいります。

○野島委員 本件もこれで終わりにしますが、いわば資本調達というのかな、資金調達の関係と、とりわけモニタリング等でトータルマネジメントをしながら、向こうにもSPCとしての経営努力のインセンティブを働かせているということでありますので、ぜひ、これからも、ほかのPFI事業を参考にして検証いただきながら積極的な推進を進めていただいて、都立病院の再編整備を積極的に行っていただき、結果として医療サービスの向上を図っていただきたいと、こんなふうに要望しておきます。
 次に、地方独法についてであります。何回も議論がなされております。詳細は省きますが、医療観察法に基づく指定入院機関の運営とか、さまざまなことがあるということと、先行事例が少ない、拙速な経営形態の変更は避け慎重な議論が必要であるというふうに記憶をしております。第二次都立病院改革実行プログラムでも、計画期間中は、現在と同様、東京都は直接、都立病院を運営していくと明言されているわけであります。
 しかし、今回、こういうふうな請願が出ております。行政的医療をどう適切に果たしていくのか、かつ安定的、継続的でなければいけないと。そういうことから、改めて地方独立行政法人化についての、病院経営本部としての基本的な考えをお伺いしておきます。

○及川経営企画部長 都立病院は、小児医療、周産期医療、救急医療を初め、現在大きな問題となっております新型インフルエンザ等の感染症医療など、行政的医療を適切に提供していくことが基本的役割でございます。
 そのため、提供する医療の質を向上し患者サービスを充実させるとともに、医師不足の深刻化や、たび重なる診療報酬のマイナス改定など、医療を取り巻く環境変化にも迅速かつ的確に対応することが求められており、それに的確にこたえていくにふさわしい経営形態について検討しておくことは必要でございます。
 第二次都立病院改革実行プログラムでは、地方独立行政法人の制度上の課題などについて、都立病院の運営実態を踏まえて詳細な検討を行うとともに、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は十分な検討を行っていくこととしておりますが、具体的な経営形態の変更については言及しておりません。
 今後も、医療サービスの一層の向上を図るとともに、行政的医療を将来にわたり安定的かつ継続的に提供していくという都立病院の使命を確実に果たしていくことを前提として、引き続き経営形態の検討を行ってまいります。

○かち委員 私からも、二一第一号、府中病院、神経病院、府中療育センター、多摩療育園の民営化反対と都直営に関する請願について、一、二、質問したいと思います。
 今、野島副委員長からの質疑があって、ちょっと重なるところは省きたいとは思うんですけれども、府中キャンパスでは、都立病院改革の一環で、多摩総合医療センターと小児総合医療センターがPFI事業によって建設中であるわけです。これは、十九年間で約二千五百億円という、全国でも最も巨大なPFI契約となっているものです。
 東京都は、このほか、駒込病院、松沢病院についても同様の手法で行っているわけですが、このPFI契約の問題点については、これまでも再三我が党は指摘をしてきましたし、また三月の委員会質疑でも、吉田委員から、府中キャンパスのPFI契約について具体的に指摘をしてきたところです。
 駒込病院では、本体の改築工事と並行して、本年四月から、既に周辺業務の運営がSPCによって始まっているところなわけですけれども、そこで、それぞれ実情は違うと思いますけれども、PFI手法による特別目的会社、駒込SPCによる周辺業務の契約、運営がどのようになっているか、参考としてお伺いしたいと思います。
 それで、最初の質問は、運営開始から二カ月がたってどんな状況になっているかということで、今ご答弁がありましたので質問は省きますけれども、これは当初の、運営手法の交代によって起きている問題だといい切れるものなのかどうかという点で、私は疑問を持っています。先ほどの答弁でも、そのようなご報告でありましたけれども、私も職場からの声などを聞いておりますが、やっぱり清掃の不徹底とか洗濯物、リネンの補充のおくれ、物流における在庫不足など、スムーズな業務運営ができていない、そういう声が出ています。
 これは当初のものだけであるかもしれません。モニタリング等々で、今後も引き続きその改善には努めていただきたいというふうには思いますけれども、そもそもこの府中病院でのPFI事業という、都立病院が行っているPFI契約というのは、本来入ってきたPFIとは様相が大きく変わってきているというのが実態だと思うんです。
 先ほどもいわれましたように、高知や近江八幡などの例をしっかりと学んで、ああいう失敗を繰り返さない、そういう立場でいろいろと変更されてきているんだと思いますけれども、そういう意味では、資金調達も、東京都が独自に調達するという、起債を起こすということでやっておりますね。本来は、財政力の弱い自治体が大きな投資計画をつくるときに、資本力がないから民間の資本を使ってやっていくということで始まったわけです。そういうことをやっている中で、金利の変動などによって大きく開きが出てくるというところから、東京都はそういう手法をとったわけですけれども、そういうことからすると、今までの改築計画、投資計画とは何ら本質的に変わらないんじゃないかと思います。ただ違うのは、一企業を選定して、そして長期間にわたって契約を固定するということだというふうに思うんです。
 そこで、いろんな問題が指摘されているわけですけれども、特に医療器材、薬剤、そういう資材、そういうものを調達する場合にはその時々の薬価とか市場の状況によって変動するわけですけれども、そういうものについて、SPCは最低のレベルのところは保証されている。それよりも安ければもうけがふえる。高ければ病院側の方からその不足分が支払われるということで、安定的に利益を追求することができるという点では、一企業への優遇というんですか、そういうことがやっぱり否めない状況にあるというふうに思われます。
 そういうことで駒込ではスタートしたわけですけれども、実際、駒込病院では、これまで直営あるいは病院との直接契約、委託で行っていたさまざまな周辺業務が、今回十一の株式会社に再編・統合されて、SPCと委託契約されたわけですけれども、その中で、これまで病院と契約していた会社が、更新できなかったもの、会社は残れなかったけれども従業員の一部が残れたもの、あるいは会社も従業員も残ったけれどもSPCの間に株式会社がもう一つ入って実際には孫請みたいな状況になってしまったものなど、いろいろ複雑なようなんですけれども、そこで、会社も従業員もそっくり変わってしまった業務はどの業務なのか。また、孫請のような状況になった業務はどのぐらいあるのか、どの業務かということをお聞きします。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 駒込病院における委託業務についてでございますが、まず、本事業におきましては、施設整備や維持管理、運営業務を包括的に株式会社駒込SPCが担うこととしております。
 この仕組みの中で、株式会社駒込SPCが、都が示した要求水準に定めるサービスを提供する手段や方法として、第三者であります企業を協力企業として業務を委託し、または請負により行わせることができるというふうにしております。
 この点におきまして、まず昨年度におけます業務委託契約の相手方と異なる企業が、協力企業として業務を実施している業務は、医事業務の一部及びリネンサプライ業務の一部を除く各業務がこれに当たります。なお、ご質問の中で従業員についてございましたが、従業員につきましては、昨年度の業務委託契約の相手先企業において雇用されていた従業員が、現在PFIによる維持管理運営業務に従事しているかどうかについては、使用者である株式会社駒込SPC及び協力企業の経営判断によるものでございまして、都においては承知していないところでございます。

○かち委員 実際に、今まで働いていた人たちがどういう労働形態でどこで働いているかというのは、もう病院としては把握する立場にはないという状況になっているわけです。
 私も、最近、駒込病院は移行したけれどもどうなっているかということで、ちょっと見学に行かせていただきましたけれども、いろんな制服を着た方が動いているんですけれども、それぞれみんな指示系統が違うわけです。病院医療というのは、やっぱり医師、看護師だけではなくて、周辺業務も含めて、患者さんに一体的に、気持ちが一致して当たらなければいけないんだけれども、それがとても今は複雑になっているという感じがします。
 それぞれやっぱり医師、看護師に命令--あれを持ってきて、これを何してくださいと、直接的にはいえない、いわれる立場ではないという状況もありまして、とにかくいろんなことがツーカーというふうにいかない。一つ一つマネジメント業務にいって、それからSPCにいってとか、効率化というのが売りといいますか、このPFIのメーンだったと思うんですけれども、実際の業務の流れからすると、非常に節々がふえてしまって、直接的な医療サービスにもいろんな問題が出てきているんじゃないかなというふうに思います。
 それで、さっきいったSPCとも、協力関係で協力事業者として契約された企業、今までの方々がそうなっていればまだいいんですけれども、それでも今までよりは一ランク下がるわけですよね。そこに一つ中間契約者がいるわけですから。その下にまた、SPCと契約した会社の下に今までの会社が契約していると。もう二次、三次というふうな形になって契約をしている業種もあるということで、指示系統が複雑だというだけではなくて働いている方々も--それだけコストは下がっていくわけですよね。働く立場に立っても、いろんな厳しい問題も出てくるという状況が、今、問題ではないかなというふうに思います。
 病院としては、SPCとの関係で、サービスの求める水準が満たされているかどうか、そこだけをチェックする立場にあって、働いている人がどういう状況であろうと、またその働かせ方がどうであろうと、本来だったら充実した体制をとらなければいけないのに、それはやっぱり企業としてはコストを削減して利益を生み出そうとすれば、少ない人数でも頑張らせるということになりますよね。そうすれば、ますます働く人は働き切れないという状況も出てくるわけです。それを、とにかくサービスの向上だけを追求しているだけでいいのかと。
 再三先ほどからいわれているように、この病院の運営責任は病院なんだ、東京都なんだというふうにいっている以上、末端で働いている人についても、やっぱり管理監督の責任というものは出てくるんじゃないか、都民との立場で考えるとあると思うんですけれども、そこはもう手の届かないところになってしまっているというのが、このSPC包括契約の実態だというふうに思うんです。
 医師、看護師が医療に専念できるんだというふうな、先ほどお話がありましたけれども、しかし、医師や看護師が現場で臨機応変いろんなことに対応してほしいと思ったときに、いろんなルートを通っていかなければそこに伝わらないとか、こういう意図でいったのに、意図が伝わらないというような問題も出てくるわけで、現場は専念できるどころかストレスがたまっているというのが実態だというふうに聞いております。
 多摩総合医療センターと小児センターのPFI事業は、事実上、清水建設が十九年間にわたって事業を独占的に請け負うもので、公平性とか透明性という点でもさまざま問題があるということは、三月の委員会で指摘されたとおりです。
 近江八幡とは違うよということもいわれましたけれども、PFIで今進んでいるんだからといっても、あの市議会のように、問題があるということであれば市議会の多数決によってこれを契約解除するということも可能なわけですから、私は今からでも直営に戻すべきだというふうに思います。
 二項めの、府中病院と神経病院を地方独立行政法人とせず都立で充実させることについては、二〇〇八年に出された第二次都立病院改革実行プログラム、二十年度から二十四年度で、すべての都立病院を地方独立行政法人化の検討が明記されているものです。
 期間中は十分な検討をするんだということが先ほどの見解で出されましたけれども、所管は福祉保健局ですけれども、老人医療センターは、この四月から地方独立行政法人となりました。これも、これまでの質疑で明らかになったように、収益性、効率性が優先される中で、不採算のリハビリベッドの削減など、老人病院の核となる分野まで削り込みがされています。
 とりわけ神経病院のような行政的医療や不採算医療を提供する都立病院が、独法化して成り立つのかどうか、答えは明白だと思います。都直営を堅持し、充実すべきです。よって、本請願には採択を求めて、質問を終わります。

○東野委員長 発言がほかになければ、本件につきましては福祉保健局関係もございますので、決定は後ほどの福祉保健局所管分の審査の際に行い、現在のところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ないでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、よって、請願二一第一号は継続審査といたします。

○東野委員長 次に、請願二一第八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 それでは、資料3、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表の二ページをお開き願います。整理番号2、請願二一第八号についてご説明申し上げます。
 この請願は、港区の広尾病院を都立のままで存続・充実させる会代表青山愛子さん外八千七百七人から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都において次のことを実現していただきたい、第一項、都立広尾病院を都立のまま存続すること、第二項、地域で不足している産科、小児科、精神科医療などを充実すること、第三項、災害医療センターとしての設備、機能、人員確保など、一層充実することというものでございます。
 現在の状況は、まず第一項についてでございますが、都立病院の基本的役割である行政的医療を将来にわたり安定的かつ継続的に提供していくためには、より柔軟な経営形態について検討していく必要がございます。
 第二次都立病院改革実行プログラムでは、経営形態の変更について具体的な言及はしておらず、国の動向や他の自治体病院における地方独立行政法人の導入事例の検証を行うなど、計画期間中は、十分な検討を行っていくこととしております。
 次に、第二項についてでございますが、都立病院は、救急、難病、感染症、小児・周産期医療などの行政的医療を適正に都民に提供していくことを、その役割としております。
 広尾病院は、東京ERを運営するとともに、産科、小児科、精神科医療を適切に提供しております。
 最後に、第三項についてでございますが、広尾病院は、都の広域基幹災害医療センターとして、全都を対象とした災害時の医療提供体制の一翼を担っております。そのため、受電系統の二重化や非常用発電機の更新などライフラインの充実強化や、災害対応医療機器や医療用テント、医薬品等の備蓄の充実を図ることとしております。また、東京DMATや医療救護班の常時編成のためのスタッフを確保するなど、救急・災害医療センターとして充実を図っております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○かち委員 それでは、二一第八号、都立広尾病院を都立のままで存続・充実することに関する請願について、二、三お聞きします。
 第一項は、さきの府中病院の直営を求める請願と同様ですので省略しますが、二項めの産科、小児科、精神科医療の充実という点でお聞きしたいと思います。
 まず、広尾病院における産科の医師体制、分娩実績の推移はどのようになっているでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 広尾病院におけます産婦人科についてでございますが、平成二十年度の患者実績としましては、入院で延べ一万四百七十四人、外来で延べ一万五千三百七十九人でございます。入院及び外来ともに患者実績は増加傾向にありますが、この数年では、入院は一万人前後、外来は一万五千人前後で推移をしております。
 分娩数につきましては増加傾向にございまして、平成二十年度につきましては六百三十一件でございました。医師数につきましては、平成二十一年四月一日現在で四名となっております。

○かち委員 はい、わかりました。
 二十年度の事業概要を見せていただきましたところ、その前の年までは医師の欠員によって分娩抑制をしてきたけれども、その後、体制の充実も図られて分娩数を延ばしているというふうに書かれておりまして、六百三十一件という状況になっているわけです。
 今、都民の皆さんの状況はどうかといえば、この周辺には日赤とか大学病院とか、大きな病院は集中しているわけですけれども、こういうところで出産すると大変お金がかかるというのも事実ですね。五十万から七十万は相場だというふうに聞いております。
 実際、今、不安定雇用の親が子どもを産むという状況もありまして、そういう意味では、都立であれば何とか比較的廉価で出産できるという思いも強くありまして、こういう中で出産できる環境を保障していくのがやっぱり都立病院の役割だというふうに思います。医師の定員は六名ですが、今四名ということを聞いておりますので、引き続き医師確保に努力し、産科の充実にこたえるべきだと思います。
 次に、小児科医療の医師体制と患者の推移はどうでしょうか。また、小児外科や小児集中治療室の専門医は配属されているんでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立広尾病院の小児科についてでございますが、まず平成二十年度の患者実績としましては、入院で延べ八千七百九十名、外来で延べ一万九千八百六十九名でございます。この数年では、入院及び外来とも減少傾向にございます。
 なお、小児科の医師数は、二十一年四月一日現在で五名となっております。
 また、先ほど産婦人科の医師の確保というお話もございましたが、産婦人科、小児科ともに、これまで医師の確保については万全の努力を図っているところでございまして、大学の医局とも密接な連携をして、引き続き確保しているところでございます。
 また、専門医についてでございますが、小児外科医や小児集中治療の専門医はおりません。したがって、一次から二次救急疾患の対応が中心となっております。しかしながら、重症化した新生児、また外科的疾患を合併した新生児などに対しましては、国立成育医療センターなど、近隣の専門病院へ速やかに連絡をとりまして、必要な治療を依頼しているところでございます。

○かち委員 少子化時代の中で、患者数が若干減る傾向にあるということでありましたけれども、今、特に小児外科医が不足をしているという状況もありまして、広尾病院は一般の都立病院ではなくてERを標榜する病院であるということからすれば、こういう役割も担う立場にあるんだというふうに思いますので、今後、小児外科や小児集中治療のできる専門医も配属すべきだというふうに思います。
 広尾病院における精神科医療の特徴と患者の推移というのは、どのようになっているでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 広尾病院におけます精神科医療についてでございますが、平成十四年度の東京ERの開設及び東京都の精神科救急システムというものがございまして、こちらに参加することに伴い、現在では救急、急性期医療そして身体合併症医療へ、取り組みの重点を置くこととしております。
 この東京ERを有する広尾病院におきましては、精神障害を背景として自殺を図ったりまた自傷行為に及んだ患者さん、また身体疾患と同時に精神障害への対処も必要な患者さんなどへの対応も現在行っているところでございます。
 患者実績としましては、平成二十年度では、入院で延べ一万百二十四名、外来で延べ一万七千七百六十九名でございます。この数年では、入院は一万人前後、外来は一万八千から九千人程度で推移しているところでございます。

○かち委員 患者数は安定的ですけれども、昨今、精神科救急の中でも合併症を持った患者さんは断られるという、受け入れ病院が大変少ないという実態もありますので、そういう意味では、この広尾病院が果たしている合併症を持った患者さんの救急受け入れができる役割は、大変大きいというふうに思います。周辺の病院やクリニックからも頼りにされている病院として、役割を果たしていると思います。
 さらに、災害医療センターとしての役割も持つ広尾病院は、いずれも行政的、不採算医療であり、都立病院として果たす役割と期待が高いわけですから、都立直営を堅持すべきだというふうに思います。
 よって、本請願は採択を求めて、質問を終わります。

○東野委員長 発言がほかになければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○東野委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第八号は不採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○東野委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、安藤局長より紹介があります。

○安藤福祉保健局長 それでは、説明に先立ちまして、このたびの人事異動によりまして、当局幹部職員の交代がございましたので、新任幹部職員を紹介させていただきたいと存じます。
 事業調整担当参事の枦山日出男でございます。特命担当参事の砥出欣典でございます。医療政策担当参事の中川原米俊でございます。障害者医療担当参事の熊谷直樹でございます。特命担当参事の前田秀雄でございます。
 最後に、当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の小室明子でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○東野委員長 紹介は終わりました。

○東野委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○安藤福祉保健局長 平成二十一年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきまして、ご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、平成二十一年度補正予算案一件、条例案二件、専決処分の報告・承認案一件の合計四件でございます。
 初めに、平成二十一年度六月補正予算案についてご説明を申し上げます。
 一般会計歳入歳出予算の補正でございまして、平成二十年度最終補正予算で創設をいたしました安心こども基金及び妊婦健康診査支援基金等の事業を実施するための経費に加え、有料老人ホーム等に対する防火対策や小児医療体制の強化など、緊急に対応する必要がある経費を補正するものでございます。
 次に、条例案についてでございますが、介護サービスに係る手数料の額を改定するもののほか、女性福祉資金貸付事業の充実を図るため、技能習得資金等の貸付限度額を引き上げるものがございます。
 最後に、専決処分の報告・承認案についてでございますが、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可につきまして、知事が専決処分を行いましたので、この専決処分につきまして、ご承認をいただくものでございます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○松井総務部長 初めに、平成二十一年度六月補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、平成二十年度最終補正予算で積み立てを行った基金の事業化を行うとともに、緊急課題に対応するため、補正を行うものでございます。
 お手元の資料、平成二十一年第二回都議会定例会六月補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。左側の(1)、歳入予算でございますが、国庫支出金で一千四百六十一万円を、繰入金で九十八億九千八百四十九万円を補正し、これにより歳入合計は一千三百三億四千七百一万一千円となります。
 次に、右側の(2)、歳出予算でございますが、福祉保健費で百十六億三千八百六十一万四千円を補正し、これにより歳出合計は七千九百四十四億九千三百六十一万四千円となります。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、安心こども基金事業でございます。
 概要欄をごらん願います。安心こども基金の平成二十一年度事業実施に要する経費を計上するとともに、既定予算の財源の更正を行うものでございます。
 五ページをお開き願います。2、妊婦健康診査支援基金事業でございます。
 妊婦健康診査支援基金の平成二十一年度事業実施に要する経費を計上するものでございます。
 六ページをお開き願います。3、障害者自立支援対策臨時特例基金事業でございます。
 障害者自立支援対策臨時特例基金の平成二十一年度事業実施に要する経費を計上するとともに、既定予算の財源の更正を行うものでございます。
 一〇ページをお開き願います。4、緊急雇用創出事業臨時特例基金事業でございます。
 緊急雇用創出事業臨時特例基金の平成二十一年度事業実施に要する経費を計上するものでございます。
 一三ページをお開き願います。5、有料老人ホーム(未届け等)に対する緊急対策でございます。
 本年三月に群馬県で発生した未届け有料老人ホームでの火災事故を踏まえ、高齢者支援員の設置を行うなど、福祉事務所の機能強化を図るとともに、一四ページにございます有料老人ホーム等の防火対策の緊急整備を支援するものでございます。
 一五ページをお開き願います。6、小児医療体制緊急強化事業でございます。
 小児医療資源の少ない地域における小児医療体制の強化に要する経費を計上してございます。
 一六ページをお開き願います。7、保育対策緊急支援事業でございます。
 経済情勢の悪化により急増する保育ニーズに対応するため、開設準備経費等の事業者負担の軽減を図るもの、及び待機児童解消に積極的に取り組む区市町村に対する保育所等の施設整備費の負担の軽減を図るものでございます。
 以上が平成二十一年度六月補正予算案の概要でございます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十一年第二回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。今回ご審議をお願いいたします条例案は二件でございます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 介護サービス情報の調査及び公表の手数料の額を改定いたしますとともに、介護保険法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴いまして、介護サービス情報の調査の対象として追加された介護サービスの種類に係る手数料を設けるほか、規定を整備するものでございます。
 この条例は、公布の日から施行することとしております。
 次に、整理番号2、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都女性福祉資金貸付事業は、国の母子及び寡婦福祉資金貸付事業に準拠しながら実施しているものでございます。
 今回の改正は、女性福祉資金貸付事業の充実を図るため、国制度の改正に合わせまして、技能習得資金等の貸付限度額を引き上げるものでございます。
 本条例は公布の日から施行いたしますが、改正後の限度額は平成二十一年四月一日から適用することとしております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十一年第二回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 以上で条例案についての説明を終わらせていただきます。
 最後に、専決処分の報告・承認案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、専決処分した事件の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。平成二十一年四月一日に専決処分をいたしました、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画でございます。
 中期計画の概要につきましては、さきの第一回定例会でご報告させていただいておりますが、1、中期計画について(1)にございますように、中期計画は、都が作成した中期目標を受けて、地方独立行政法人みずからが作成する具体的計画でございます。
 また、2、中期計画の概要(1)にございますように、中期計画の期間は、平成二十一年度から平成二十四年度までの四年間でございます。(2)以下に、中期計画の概要を記載してございます。
 恐れ入りますが、お手元の資料、平成二十一年第二回東京都議会定例会専決処分の報告及び承認に関する議案をごらんいただきたいと存じます。
 二ページをお開き願います。中ほどの七行目をごらんください。
 この案件は、平成二十一年四月一日に設立された地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが地方独立行政法人法第二十六条に基づき作成した中期計画について、同条及び第八十三条の規定に基づき認可する必要が生じましたが、議会の議決すべき事件について、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、専決処分したものでございます。
 なお、記書き以降に、中期計画の詳細な内容を記載してございますので、ご参照いただければと存じます。
 以上、大変簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 三点お願いします。
 介護サービス情報公表制度における、改定前後の平均料金の全国比較のわかるものをお願いします。
 それから、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに四月からなったわけですけれども、その際の職員の移行状況のわかるものをお願いします。
 同じく、移行してから、患者負担にかかわる変化の生じたものの一覧をお願いします。
 以上です。

○東野委員長 ただいま、かち副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○東野委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二一第一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松浦障害者施策推進部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いまして、ご説明させていただきます。
 整理番号1、請願二一第一号、府中病院、神経病院、府中療育センター、多摩療育園の民営化反対と都直営に関する請願でございますが、府中市の「府中キャンパス」守る会代表平井浩一さん外九千四百四十三人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいとしまして、3、府中療育センターと多摩療育園の運営は、指定管理者制度で民間任せにせず、都立直営で充実させることというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、府中療育センター及び多摩療育園につきましては、都立施設として、重症心身障害児者や肢体不自由児の療育の水準維持とサービス向上に努めております。
 重症心身障害児者施設等につきましては、各施設における入所児者の状況や人材確保、民間におけるサービス提供の状況、新たな施策体系における位置づけ等を踏まえまして、そのあり方を検討していくこととしております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○かち委員 先ほど、病院経営本部の方で、一項、二項については質疑をさせていただきましたので、福祉保健局関係の三項について若干お聞きします。
 府中療育センターは重症心身障害児の療育センターとして、また、多摩療育園は肢体不自由児者の通園施設として、都立としての重要な役割を果たしています。一方、東大和療育センター、東部療育センターは、民間の、守る会に指定管理委託しているものです。
 お聞きしますけれども、府中と東大和と東部における入所状況と看護師定員の推移はどのようになっているでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 府中療育センター、東大和療育センター、東部療育センターでございますけれども、まず、定員でございますけれども、府中療育センターにつきましては入所定員二百三十六名、東大和療育センター、入所定員九十二名、東部療育センター、入所定員九十名でございます。
 看護師の状況でございますが、これは准看護師等を含む看護要員でございますが、府中療育センター、定数百九十、東部療育センター、定数百十三、東大和療育センター、定数九十二でございます。

○かち委員 今ご答弁いただきましたように、それぞれ入所定員はいっぱいに入っているわけですけれども、看護師の欠員というのが非常にあらわれております。特に府中については何とか維持に近いんですけれども、東大和あるいは東部療育センターではかなり欠員状況にあるという実態が浮き彫りになりました。
 こういう状況の中で、サービス提供に何らかの支障を来すのではないかと思われますけれども、それぞれの三つの短期入所状況の推移はどのようになっているでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 三施設の平成二十年度一日当たりの利用者数、平均で申し上げますと、府中療育センターが約十五人、東部療育センターが約六人、東大和療育センターが約十人でございます。

○かち委員 ということで、ショートステイ、短期入所の利用が非常に低くなっているということで、東部療育センターにおいては約二五%程度しか利用できていないというのが実態です。
 こういうことが続いていると、在宅通園などで頑張っている家族にとっても大変影響が大きいものがありますし、レスパイトもなかなかできない、こういう状況になるわけで、こうした分野の看護の魅力、何とか定着をしてもらえる状況をつくり出す必要があるというのは、この議会でも議論になってきたところであります。
 看護のスキルアップやその魅力について実感できる機会を保障していくことや、労働環境の改善なども必要な課題だと思いますけれども、今年度予算化した重症心身障害児者の看護技術の研修制度についての進捗状況、どのようになっているでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 重症心身障害児施設で働く看護師の人材育成についてでございますけれども、この事業につきましては、ちょっと経緯を申し上げますと、平成二十年第三回定例会で、この重症心身障害児施設の看護師の専門性を正しく評価する仕組みについて検討するというふうなことをご質問いただき、答弁いたしまして、検討し、平成二十一年の第一回定例会におきまして、新規事業として認めていただいたところでございます。
 そこで、この重症心身障害児施設の看護師に対しまして研修及び資格取得の機会を提供する、看護師確保緊急対策事業を新たに開始しているところでございます。
 この研修につきましては、民間の施設、都立の施設という、施設の看護部門の責任者といいますか看護部長さんなどが皆集まりまして、共同してカリキュラムを作成しまして、四月当初に募集を行い既に研修生を決定しておりまして、あす開講する予定でございます。

○かち委員 一般的な病院というよりも、こういう長期にかかわっていかなければならない重症心身障害児の看護というのは、非常に、それなりにやりがいはありますけれども、しかし、困難な面も随分あるんです。きちんとした知識のもとで、そしてやっぱり技術の向上とともに労働環境の改善というものも並行してやっていかないと、なかなか定着できないんじゃないかなというふうに思います。しかし、今回のプロフェッショナルナース研修というものが一定の功を奏すのではないかという期待は持っています。
 こういう研修、リーダーシップを果たしていくのも、やはり都の役割、責任だというふうに思いますので、今回のこの施設については、そういう役割を果たすという意味からも、指定管理ではなく都の直営で行うべきだ、充実すべきだということを申し上げまして、本請願の採択を求めて、質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○東野委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第一号は不採択と決定いたしました。

○東野委員長 次に、請願二一第五号及び請願二一第七号は関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○宮垣地域保健担当部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いまして、ご説明させていただきます。
 整理番号2、請願二一第五号は、新宿区の東京保険医協会会長塩安佳樹さんから、また、整理番号4、請願二一第七号は、豊島区の東京社会保障推進協議会会長竹崎三立さんから提出されたものでございます。
 いずれも請願の趣旨は、後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明をさせていただきます。
 平成二十年四月に施行された長寿医療制度は、国民皆保険を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものであると認識をしております。
 この制度は、公費、現役世代の支援金及び高齢者の保険料で賄われておりますが、低所得者等に対しては、保険料の負担軽減の措置がとられております。
 また、納付方法については、年金天引きによる特別徴収と、口座振替による普通徴収との選択が可能となる改正が行われました。
 さらに、資格証明書の運用については、国は、相当な収入があるにもかかわらず、保険料を納めない悪質なものに限って適用するという考え方を示しております。制度の見直しについては、国の検討会において平成二十一年三月に論点整理が示されております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○斉藤委員 それでは、請願二一第五号、そして七号について発言させていただきます。
 今回、五号の方で、我が会派の酒井大史都議が紹介議員となっておりますが、この願意については、酒井議員にとどまることなく、都議会民主党はもちろん、民主党全体で協議を重ねながら、政策として私どもも望むものであります。後期高齢者医療制度については、平成十八年六月に、国会において与党単独による賛成多数で可決、成立いたしました。
 七十五歳以上の高齢者は健康診断をしても効果が薄いとして、国は財政補助をしないなど、医療費削減ありきの強硬姿勢だと考えております。
 直近の参議院選挙の後、制度の円滑な導入のために、補正予算に、七十五歳以上の保険料負担延期に四百四十八億円、七十四歳までの自己負担増延期には千二百七十億円を計上し、負担凍結を打ち出しました。制度の根幹を凍結しなければもたないようなこの制度自体に、重大な欠陥があるというふうに私どもは考えております。
 保険で、後期高齢者だけをほかの世代と切り離すという制度設計にも無理を感じ、将来の保険料高騰を招く仕組みとなっております。現に昨年、都と区市町村は、保険料の負担軽減を図るため約百十億円の補助を投入し、二十一年度予算でも同様であります。
 一方で、国は、二十五年には七十五歳以上の高齢者への医療給付費が現在の十・三兆円から十八兆円になると試算しています。東京都の後期高齢者医療制度の加入者の状況を見ると半数以上は低所得者に分類されますから、医療費の増大に伴い、高齢者に過大な保険料負担とならないよう、都や区市町村からの補助を増大せざるを得なくなるのではないかと大変懸念をしております。
 このように、制度内で適切な負担と給付の調整もできないのが、後期高齢者医療制度であります。
 また、あまねく理解されやすい、協力しやすいということが社会保障制度の仕組みとして重要な要素であるとしたら、高齢になっての都民が我が身をゆだねる制度の変化、そしてまた特に負担の変化を伴うようなこの制度については、大変、社会保障として適当ではないんではないかというふうに考えるものであります。
 もちろん、昨今の医療崩壊を見てわかるとおり、適切な医療への投資はその増額も視野に入れた上で必要なことでありますので、徴収や税投入を単純に減らすような改革ではなかなか難しいかと思います。
 しかしながら、まずは民主党は、速やかにこの後期高齢者医療制度を廃止すべきというふうに考えておりますので、これは質問ではなく発言でありますが、私どもも賛同をするものであります。よろしくお願いいたします。

○吉田委員 私も、請願二一第五及び第七、後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書の提出に関する請願について、若干質疑をさせていただきます。
 そもそも昨年の九月にも、文言は若干違いますけれども、後期高齢者医療制度の中止、撤回を求める意見書の提出を要望するという陳情が、本委員会に提出をされました。
 我が党は、当然のことだということで、私が質問しましたけれども、その中で基本的な見解を述べておきましたが、改めてその後の経過及び前回の答弁の継続的な問題について、何点かこの機会に質問をし、意見を述べておきたいと思います。
 先ほどの説明の中で、一定の手直し等についてご説明がありました。政府も、批判の高まりの中で部分的な手直しは行わざるを得ないという状況となりましたが、しかし、批判の高まりの大もとは、そうした部分の問題ではなく、制度の根幹に向けて寄せられたものであり、それの解消ということが、私は避けて通れないことだというふうに思います。
 まず第一に、そもそも七十五歳という年齢を区切って、その対象者を強制的に特定の保険に加入をさせるという制度が、仕組み自身、世界的にも異常な制度だという問題だと思います。
 前回私が質問したときに、アメリカに類似の制度があるという旨のお話ありましたが、しかし、国民皆保険制度をとっている国で、一定の年齢で高齢者だけの保険制度をとっている国があるのかどうか、改めてその点もう一度確認したいんですが。

○宮垣地域保健担当部長 日本以外の国で、すべての国民がいずれかの医療保険制度に加入することを原則とする、いわゆる国民皆保険制度の国で、なおかつ高齢者のみを対象とする医療保険制度を持つ国があるかどうかということですが、私どもでは把握をしておりません。

○吉田委員 厚生労働省に対して我が党が国会で質問した際には、そうした制度は他の国では、ないというご説明がありました。
 そもそも、年齢を区切るということは、世界の流れから見ても異常なやり方だと思うんですよね。問題は、なぜ日本だけが、後期高齢者医療制度でこのような仕組みをとったのかということなんですけれども、既に前回も紹介いたしましたけれども、この制度設計にかかわった厚生労働省の幹部は--医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者がみずから自分の感覚で感じ取っていただくことにしたということに、その制度設計のねらいがあるということが、既に明らかになっています。その後、週刊誌など報道で、この方は、わかりやすくいい過ぎたということまでいっておりますから、こうしたねらいを持って年齢で区切るということは、極めて問題だと思いますし、さらに、こうした背景に、実はその前に日本経団連の提案で、次のような文言があります。高齢者を対象とした独立した保険者を設け、高齢者にも適正な保険料や自己負担を求めて効率化を促す仕組みを制度内にビルトインする必要があると。
 こうした意図のもとでつくられているわけですから、やはり高齢者の方々から強い批判の声が上がるのは当然であって、しかも、これをもって社会全体で支える仕組みだということは成り立たないと思います。
 二つ目に指摘をしておきたいのは、こうした制度が、高齢者に対する診療抑制、医療費削減の意図を持って進められているということです。
 前回の質疑の中で、二つの事例を紹介いたしました。七十五歳以上を対象とした、一つは後期高齢者診療料、二つ目に後期高齢者終末期相談支援料というものが導入されましたけれども、この制度は一年たってどのような状況になっているんでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 後期高齢者診療料や後期高齢者終末期相談支援料などを含む、長寿医療制度の新たな診療報酬体系についてでございますが、国は、必要かつ適切な医療の確保を前提とし、その上で、高齢者の心身の特性などにふさわしい診療報酬を設けるという考え方を示しております。診療内容を抑制するためのものではないというふうに認識をしております。
 後期高齢者診療料及び終末期相談支援料の現在の実施状況についてでございますけれども、国によれば、平成二十年七月一日現在の後期高齢者診療料の施設基準の届け出を行っている医療機関数、これは全国で九千五百六十三ございます。平成二十年の十一月に中央社会保険医療協議会が行った調査では、回答のありました千百二の医療機関のうち、後期高齢者診療料を算定している医療機関は約一割ございました。
 また、後期高齢者終末期相談支援料については、平成二十年七月から算定が凍結されており、現在、中央社会保険医療協議会において、その見直しのために情報収集や検証などが行われていると聞いております。

○吉田委員 診療抑制の意図はないんだというお話がありましたけれども、いかに、高齢者であったとしても最善の医療を尽くすかということは、当然のことだと思うんですよね。そういう観点から努力をすれば、おのずとこういう制度が極めて使いにくいということで、回答の中で見ると一割しか使われていないということが示されておりますし、さらにその終末期診療報酬も事実上凍結せざるを得ないという結果を見ても、こうした思想と制度そのものの欠陥ということが、改めて一年をたって明確に浮き彫りになってきたと思います。
 三つ目に、保険料負担の問題ですけれども、説明の中で、低所得者に対して保険料の負担軽減の措置がとられているというご説明がありました。
 しかし、私どもも地域を回る中で、後期高齢者医療保険制度によって、国保料から大幅に上がったという声は少なからず聞いております。現実に、この間も幾つか紹介してまいりましたけれども、例えば一定の年金のあるご夫婦の場合は、後期高齢者医療制度、それぞれが納めることになって、それまでの国保料と比べて年間で合わせて十万も上がったというふうな事例が現実に生まれております。
 同時に、現在スタート時でさまざまな軽減措置がとられておりますけれども、これはいわば時限的にとられたものも、その中に少なからずあると思うんですよね。東京都の後期高齢者医療広域連合の場合の軽減制度も、昨年度と今年度と、現時点では二年度ということになっていますから、本制度ということになった場合には、確実に保険料の引き上げが危惧されると。
 さらに問題なのは、より将来的に見た場合、保険料の算定基礎は、高齢者対象の医療費の一〇%、一割分を保険料で負担するということで制度設計がされていますけれども、この保険料は二年ごとに見直しを行うと。しかも、対象人口が増加をするたびごとに、この一〇%負担から段階的にこれを引き上げていくということがいわれております。
 具体的に現時点でどのぐらい、将来的にこの一〇%負担が上がるということが試算されているか、わかっている範囲でご答弁をお願いいたします。

○宮垣地域保健担当部長 保険料負担一〇%についての、今後の推移の推計がわかる範囲でというお話ですが、そのご説明をする前に、ちょっと一言いわせていただきます。
 先ほど請願の説明の際、現在の状況を説明するときに申し上げましたけれども、長寿医療制度の財源は、公費を五割ということで重点的に投入するほか、現役世代からの支援金と高齢者自身の保険料から構成され、社会全体で高齢者の医療を支える仕組みとされております。
 長寿医療制度における後期高齢者の保険料の負担率については、現役世代との負担の公平を維持するために、後期高齢者の増加と現役世代の減少の見込みから、その人口構成に占める比率の変化に応じて負担割合を変えていく仕組みとなっております。
 現在、後期高齢者の負担率は一〇%となっておりますが、国は、平成十八年十月の社会保障審議会において、平成二十七年度には一〇・八%になるという試算を示しております。

○吉田委員 六年後に一〇・八%という数字が示されておりますけれども、これは今の説明で仕組みが説明されましたけれども、当然ウナギ登りにふえていくわけですよね。国会でも議論をされておりますけれども、例えば二〇一五年には一三%、さらにその先には、保険料算出の比率が二〇%近くにも増加をするということになれば、現時点で比較的軽いということを強調したとしても、将来的には保険料負担が大きくのしかかってくるという制度設計になっているということも、指摘をしなければならないというふうに思います。
 そもそも我が党が調査をした段階でも、スタート時の昨年三、四月、区市町村に寄せられた苦情、問い合わせの件数というのは、二十万件ありました。約五人に一人が苦情、問い合わせを行ったという計算になりますし、さらに、昨年の夏の七月から八月の一カ月間では十七万件の苦情、問い合わせが各区市町村に寄せられたと。
 共通していることは、なぜ七十五歳で区切るのか、七十五歳で何か厄介者にされたようだという声が、各区市町村の窓口に寄せられております。私は、直接的な当事者からこうした声が現実として寄せられているということを、改めて我々は直視をすることが求められていると思います。
 それで、ぜひ意見書を提出してほしいということなんですけれども、全国の地方議会から、廃止、抜本見直しなどを求める意見書がかつてなく上げられているというふうに承知をしておりますが、皆さんは、これ、どの程度の件数というふうに把握されているでしょうか。

○宮垣地域保健担当部長 意見書の件数についてお答えする前に、一言申し上げます。
 二十年四月に長寿医療制度が発足した際には、確かに区市町村、広域連合も、東京都も含めて混乱があったということは否めないと思っております。
 ただ、その後、各団体も協力をし、国の方からも一定の広報、周知等行われた結果、現在では、当初に比べればかなり住民の方々のご理解も進んでいるのではないかと、そういうふうに判断をしております。
 では、廃止、見直し等の意見書の件数でございますけれども、厚生労働省によれば、地方議会が地方自治法第九十九条の規定に基づいて、平成二十年度中に厚生労働省に提出した長寿医療制度についての意見書ということですけれども、廃止することも含め、見直しを行うこととする趣旨の意見書が約二百七十件寄せられているということでございます。
 これらの意見書につきましては、国における長寿医療制度の見直しや改善の検討に生かされていると聞いております。

○吉田委員 じゃ、私も一言、二言。
 区市町村に対する問い合わせ、苦情などが減少したというお話ありましたけれども、例えば、国会で、この見直し問題の検討会に全国老人クラブ連合会の代表が参加をしておりますけれども、やはりそうした代表からも、改革が社会保障制度を後退させるものであってはならない、七十五歳以上に限定した根拠が乏しい制度は改めるべきだということですとか、制度創設、改正に際しては、高齢者の意見を十分尊重するようにということが現時点でも出されているわけですね。しかも、厚生労働省から聞かれた数かと思いますが、二百七十件の廃止を含む意見書が地方議会から出されているというご説明でした。
 なお、報道では、中央社会保障推進協議会の調査では、廃止、見直しなどを含める地方議会の意見書の総数は六百六十七とも伝えられております。そうした住民の声を代表して意見書を出されているというのは、妥当なことだと思います。
 最後に、そもそも舛添厚生労働大臣、担当大臣自身が、中央公論の昨年の十二月号で、おれのいうとおりにしないと自民党は終わりだという小論を発表されていますが、そこでは、七十五歳以上だけを詰め込む保険制度を改めると、そして、現役世代と比べてみても、高齢者の方々の負担をより減らすべきだということを述べているわけですね。
 担当大臣がこういうことをいわざるを得ない状況なわけですから、私は改めて、都議会として、やはりこうした意見書を出してほしいという請願は当然のことだと、趣旨採択をすべきだということを述べて、私の質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、請願二一第五号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○東野委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第五号は不採択と決定いたしました。
 次に、請願二一第七号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○東野委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第七号は不採択と決定いたしました。

○東野委員長 次に、請願二一第六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○永田生活福祉部長 整理番号3、請願二一第六号、「グッドライフ三鷹寮・野崎寮」の増設及び開設・開業に関する請願は、三鷹市の「グッドライフ三鷹寮・野崎寮」増設・開設・開業に反対する会代表有村昭徳さん外千二百二十人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、事業者、株式会社グッドライフコーポレーションによる三鷹市野崎四丁目四番二十五号、同二十六号へのグッドライフ無料低額宿泊所の増設及び開設・開業に関して、今後、同地に対し、グッドライフコーポレーションを含め、いかなる名称を名乗る事業者から無料低額宿泊所の開設申請があった場合でも、地域住民に対する説明を第一義に行い、地域住民の理解を得るよう徹底した指導を行っていただきたいというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、本請願の対象となっているグッドライフ三鷹寮、野崎寮は、株式会社グッドライフコーポレーションが経営する、社会福祉法上の第二種社会福祉事業における無料低額宿泊所でございます。
 社会福祉法は、宿泊所の開設につきまして、事業開始後に都道府県知事へ届けなければならないと規定しておりますが、都は独自に宿泊所設置運営指導指針を策定いたしまして、その中で、施設設置について近隣住民の理解を得るように努めること、運営に当たり常に地域住民との相互理解に努めることを明記するなど、適切な事業運営の確保に向けて指導しているところでございます。
 本件につきましては、平成二十年十二月十七日に、事業者から宿泊所定員の増員に関する相談がございまして、事業者に対する指導を行ったところでございます。
 その後、都は、同月二十六日に近隣住民から、事業者の事前説明を受けていないとの連絡を受けまして、事業者に対しまして、近隣住民の十分な理解を得た上で事業開始を行うよう指導いたしました。
 都の指導に従いまして、事業者は、平成二十一年二月八日に住民への説明会を実施いたしましたが、住民の理解を得ることはできませんでした。以後、都は事業者に対しまして、住民の理解を十分に得るよう努めるとともに、理解が得られない状況のまま事業開始を強行することのないよう指導しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○斉藤委員 それでは、この請願二一第六号に関して、一応基本的なことをちょっと一点伺わせていただきます。
 社会福祉法に定める第二種社会福祉事業であります無料低額宿泊所は、生活保護法に基づく保護施設、例えば私の地元の小平市などは、全都で十カ所ぐらい救護施設がある中での三つが集中しているところなんですが、こういった社会福祉法人が経営する救護施設などとは異なって、いわゆる泊まるところを提供するのを目的としたものであって、保護施設のような利用者支援を求められるものではないというふうに伺っております。私も社会福祉士としていろいろ施設を見て回った中で、例えば救護施設などは、地域との交流を図って、その交流のノウハウというものを蓄積してまいりました。
 しかしながら、こういった宿泊所は、生活保護受給者の一時的な居どころとして、地域の施設として運営をしていくためには、施設目的はそれはそれで異なったとしても、周辺地域に対して理解をされること、そして社会福祉事業としての理念を持つこと、これを運営していくという覚悟や、利用者への最低限の援助というノウハウというものは必要ではないかと考えます。
 さて、本件の施設について伺いますが、私も以前、三鷹の新川に住んでいたので、野崎の周辺よく通りまして、幹線道路の周辺以外は割と静かな地域です。請願では、無料低額宿泊所とされているグッドライフ三鷹寮、野崎寮ですけれども、請願理由の中で、利用者による著しい環境、治安の悪化について事前に申し入れてきたが、対策について示していない旨が書かれています。また、ことし三月の朝日新聞報道の記事をかりれば、路上で飲酒し、ごみやチューハイの空き缶を放置した、入居者が女の子の前で放尿したなど、恐らくちょっと請願ではなかなか書きづらかったんでしょうけれども、トラブルが続いているというふうなことを聞いております。
 今回の請願の背景については、株式会社グッドライフコーポレーションの、当地での宿泊所運営に問題があるということで推測をされるわけですが、東京都としては、端的にいえば、どのような問題と認識して、そして、東京都は全体を通してどのような視点から指導を行ってきたのか、説明をいただきたいと思います。

○永田生活福祉部長 当事業者は、平成十九年の七月からこの地で宿泊所を運営しているところでございますけれども、その間、利用者への適切な指導、近隣の住民の理解を得る努力には不十分な点があったというふうに私どもも認識をしてございます。
 都といたしましては、先ほど冒頭でもご説明をいたしましたけれども、あらかじめ独自に策定しております宿泊所設置運営指導指針に基づきまして、これまでも常に地域住民との相互理解に努めるよう指導してきております。今後とも、適切な事業運営の確保に向けて指導してまいります。

○斉藤委員 それでは、ちょっとつけ加えさせていただきます。
 第二種社会福祉事業である無料低額宿泊所、東京では路上生活者が生活保護を受ける際の一時的な居場所として増加をしていった経緯がありますし、東京の生活保護の実施に当たっては、必要な施設となります。したがって、新規にできる場合はなかなか--賛否という部分でいえば最初から否定するものではないんですが、今回の施設については既に既存の部分が運営を続けてきたということも踏まえてかんがみますと、ただ単に泊まるところを提供していればいいというものではありませんので、社会福祉事業としての確固たる理念と、それに基づく利用者の支援が必要だというふうに考えますし、それについて本件は不十分だったなというふうなことで理解ができると思います。
 東京都につきましては、引き続き、十分対応している事業所についてきちんと評価をしていただくとともに、こういった配慮が不十分な事業所に対してはしっかりと指導していただきたいというふうに申し述べさせていただきまして、質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第六号は趣旨採択と決定いたしました。

○東野委員長 次に、陳情二一第九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松浦障害者施策推進部長 整理番号5、陳情二一第九号、重度視覚障害者に対する移動支援事業の拡充に関する陳情は、豊島区の東京視覚障害者協会栗山健さん外二百七十一人の方々から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいというものでございます。
 内容につきまして、順にご説明いたします。
 まず、1、都が実施している移動支援の費用三%への軽減措置を継続することというものでございます。
 次に、2、移動支援事業を維持、拡充するため、国に対して次の内容の意見書を提出することというものでございます。
 具体的な内容としましては、(1)、十分な財源の確保、(2)、国の責任による実施及び地域間格差の解消、(3)、支援時間の決定における必要な社会参加への十分な配慮というものでございます。
 現在の状況についてでございます。
 まず、1についてでございますが、移動支援事業の利用者負担を三%にする軽減措置につきましては、区市町村民税非課税世帯を対象に区市町村が実施する軽減策に対して支援を行っております。
 次に、2の(1)についてでございますが、移動支援事業は障害者自立支援法における個別給付ではなく、統合補助金である地域生活支援事業に位置づけられております。このため、都は国に対して、事業の充実に取り組む都道府県や区市町村に超過負担が生じている実態を踏まえまして、十分な予算措置を行うよう、平成二十年十一月に要望を行っております。
 次に、2の(2)についてでございますが、移動支援事業は地域生活における基幹的なサービスの一つであることから、個別の補助事業とするよう、さまざまな機会をとらえて国に働きかけてまいりました。なお、重度視覚障害者の移動支援につきましては、個別給付化する改正法案が閣議決定され、本年三月三十一日、国会に提出されております。
 次に、2の(3)についてでございますが、支援時間の決定に際し、社会参加への配慮等は、各区市町村が必要性を判断して実施するものでございます。都は、区市町村が円滑に必要なサービスを実施できるよう、その財源措置を国に要望しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○東野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○山加委員 私は、陳情二一第九号、重度視覚障害者に対する移動支援事業の拡充に関する陳情に関しまして、お伺いをしたいと思います。
 まず、項目の1でありますが、三%への負担軽減は、なるべく家族等で対応して、どうしても足りない部分をこの事業で行うというような利用時間の少ない低所得者の場合、給付費の一割相当額の方が、例えば低所得者の負担上限であります千五百円よりも少ないということであります。このような方々を救済してきたのが、この都独自の軽減措置ということだと考えますと、二十一年度も継続をされるということでありますから、これは既に解決済みと理解をいたします。
 そこで、項目の2に絞ってお伺いをしたいと思います。
 ここでは、重度の視覚障害者の移動支援事業のことが取り上げられているわけですが、そもそも基本的なことでありますが、移動支援事業とはどういうものなのか。また、だれがどのくらい使っているものなのか、確認の意味で、あわせてお伺いをいたします。

○松浦障害者施策推進部長 移動支援事業でございますけれども、屋外での移動が困難な知的障害者、視覚障害者などに対しまして、社会生活上必要不可欠な外出や、社会参加のための外出の際に支援を行うサービスでございまして、自立支援法におきまして、区市町村の地域生活支援事業の必須の事業というふうになっております。
 利用者でございますが、区市町村が、外出時に移動支援が必要と認めた者でございまして、平成二十年四月で、都内で約一万四千人の方々が支給決定を受けているところでございます。そのうち六割強の約九千人が知的障害者でございまして、二割強の約三千人が視覚障害者というふうになっております。
 移動支援の支給時間につきましては、各区市町村が実情に応じ、障害者個々の状況などを勘案いたしまして、必要性を判断して決定することとなっております。

○山加委員 この事業が区市町村地域生活支援事業とされてきたのは、今ご答弁いただきましたが、地域の実情に応じてより柔軟に運営できるということもあったのだと思いますが、しかし、地域の実情はそれぞれでありますから、制度の運用については、当然、地域ごとにばらつきがあったと思います。それに対して都はどう対応してきたのか、お伺いをいたします。

○松浦障害者施策推進部長 区市町村の地域生活支援事業でございますけれども、移動支援事業、相談支援事業、コミュニケーション支援事業、これなどが必須事業というふうになっておりますが、その必須事業とその他の事業がございます。各区市町村が、これらそれぞれの事業を地域の実情に応じて創意工夫をして実施しております。
 国は、これらの事業を統合しまして、予算の範囲内、平成二十年度は総額四百億円でございましたけれども、その予算の範囲内で二分の一を補助することという仕組みでございまして、その結果、区市町村においては超過負担が生じているところが多くなっているところでございます。
 平成十九年度決算におきまして、都内区市町村全体で約九十一億円でございまして、その二分の一は約四十六億円でございますけれども、国庫補助額が約三十四億円でございますので、国庫の不足額は約十二億円というふうになっております。
 都といたしましては、区市町村が、地域の実情に応じて超過負担をすることなく各事業の充実に取り組めるように、十分な予算措置をとるよう国に要望を行いまして、国は平成二十一年度の地域生活支援事業の予算額、先ほど二十年度、四百億というふうに申し上げましたが、四十億円を増額いたしまして、二十一年度は四百四十億というふうになっております。
 また、移動支援事業は障害者の地域生活における基幹的サービスの一つであることから、個別の補助事業とするよう、さまざまな機会をとらえまして、国に働きかけてきたところでございます。

○山加委員 都は、国の統合補助金であります地域生活支援事業から切り離して個別の補助事業とするよう国に働きかけてきたということでありますが、私ども与党プロジェクトチームにおいても、より確固とした位置づけが必要ということから、法定の個別給付を求めておりました。
 これを受けて改正法案では、個別の補助事業よりもさらに一段進んで、法定給付になることがはっきりと規定をされております。
 そこで伺いますが、法定給付になることで、この陳情の中でいわれているような、制度の運用面や、また財政面での課題というものは解決をするのかどうか、お伺いをいたします。

○松浦障害者施策推進部長 山加理事お話のとおり、この与党プロジェクトチームが策定した基本方針に基づきまして、本年二月に障害者自立支援法等の一部を改正する法律案が示されまして、重度の視覚障害者の移動支援につきましても、法定給付に位置づけられております。
 なお、この法律案は、平成二十一年三月三十一日に閣議決定され、国会に上程されているという状況でございます。法定給付になることによりまして、国の責任において統一的な基準で実施されることになるということとともに、従来、予算の範囲での補助であったものが、国の義務的経費である負担金制度で運用されることになりましたので、超過負担となっていた区市町村の負担も軽減されるというふうに考えております。

○山加委員 重度視覚障害者の移動支援が法定の給付に移行した後には、国の統一的な基準で実施されることによって、区市町村ごとのばらつきはなくなるということでありますけれども、地域生活支援事業では、利用者の負担についても区市町村が柔軟な対応をしてきたところでもあります。こうしたものはどうなるのか、お伺いをいたします。

○松浦障害者施策推進部長 法定給付になることによりまして、国の義務的経費である負担金制度で運用され、区市町村にとっても財政的に安定した事業というふうになります。
 区市町村独自の利用者負担軽減策の継続につきましては、当該区市町村の判断ということになりますけれども、継続しましても区市町村の財政負担は変わらないので、独自の負担軽減策を継続する可能性は高いというふうに考えております。
 なお、山加理事冒頭のお話のとおり、都が独自に実施している利用者負担軽減策、すなわち低所得者の方に対する利用者負担を三%とする軽減措置でございますが、引き続き講じているところでございます。

○山加委員 法定給付に移行しても、区市町村独自の取り組みの部分に対しては新たな財政負担は生じないということでありますから、区市町村が従来の対応を継続することもできるものと理解をいたします。
 そもそも重度視覚障害者の移動支援が法定給付に移れば、国の財政負担についても法定の負担が確保され、また、財政的にも安定をするわけであります。しかし、そうなったからといって、すべて一律の給付を機械的に保障するとか、あるいは利用者の望むままに全部出すということが、私は必ずしも最善とは思いません。
 きちんとした財政負担原則のもとで、区市町村が利用者の状況、また地域の実情に応じてきめ細かく制度を運用してもらえば、利用者にはより使いやすく、また税の負担者であります都民にも当然納得される、大変公平性の高い制度にしていくことが可能になると思うわけであります。
 都としても、こうした方向に進むことをこれまで国に働きかけてきたと思いますけれども、それが実現する形で法案として国会に提出されているところでもあります。このことを是とすべきもので、これ以上国に要望するべきものではないと考え、そのことを申し述べまして、この陳情二一第九号、本陳情に関します私の質疑を終わらせていただきます。

○吉田委員 私も、陳情二一第九、重度視覚障害者に対する移動支援事業の拡充に関する陳情について、私は、当然の要望であり、採択を求める立場から、何点か確認的に質問させていただきます。
 当然のことでありますけれども、視覚障害者の方々にとって、移動支援のサービスは基幹的なサービスというふうに私は思いますけれども、福祉保健局としてはどのように認識をされているんでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 先ほど山加理事にお答え申し上げましたけれども、移動支援事業は、屋外での移動が困難な視覚障害者などに対しまして、社会生活上必要不可欠な外出や、社会参加のための外出の際に行う重要なサービスでございまして、障害者自立支援法におきまして、区市町村の地域生活支援事業の必須事業でございます。そのように認識しております。

○吉田委員 一番最新の東京都障害者計画では、日常生活を支える基幹的なサービスというふうに明記をされておりましたので、念のために聞きましたけれども、当事者の皆さんからは、視覚障害者の方々は、歩行の中で、落ちる、ぶつかる、つまずく、迷うなどの危険、不安要因を日常的に伴いながら地域での生活が求められているわけで、そうした方々に対してこの移動支援をきちんと保障するということは、視覚障害者が地域で暮らし就労していく上での基幹的なサービスとして、これを利用できるように支援をしていくことが、改めて今求められているというふうに思います。
 それで、第一項目の点なんですけれども、今年度実施をしておりますということですが、陳情者の思いというのは、先ほどお話がありました、国会において個別法定給付としての改正が準備をされている、そうした個別給付になった場合に、この負担軽減のための東京都の支援がどうなるのかということだと思うんですよね。
 しかも、三%の軽減措置ということになってますが、私も全部調べたわけではありませんけれども、例えば豊島区の場合には二十時間までは無料ということですとか、中野区の場合にはたしか十五時間までは無料というふうに、単純一律三%軽減ではなくて、さらに踏み込んだ無料制度まで実施をしているわけですよね。
 私は、どのような形になるにせよ、こうした負担軽減、本当はそれはなしが一番いいんですけれども、継続されるべきだと思いますし、また、個別法定給付になっているホームヘルプサービスの場合には、三%軽減のための支援というものが維持されているわけですよね。
 したがって、これは、個別給付になっても当然継続されるべきだと思うんですけれども、この点、念のために、現時点でどうでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 ホームヘルプサービス事業も含めまして、事業の予算というものは単年度ごとに判断されるものでございまして、移動支援につきまして、二十一年度についても引き続き三%軽減というものを講じているということでございます。

○吉田委員 しかし、これは単年度といったって、当事者や区市町村から見れば、来年度はわかりませんよというのは、行政的にはあり得ない話ですよね。
 それは最終的に予算で措置されますけれども、当然、ホームヘルプサービスも含めて、こうした負担軽減の措置というのは継続されるべきだというふうに思うんですが、福祉保健局の意思としてはどうなんですか。

○松浦障害者施策推進部長 その時々の状況に応じまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えています。

○吉田委員 そういう冷たい答弁が、なぜ障害者福祉の分野で出てくるのか、私はちょっと局長にも見解を聞きたいぐらいですけれども、続けて質問いたします。
 それで、先ほど、国に要望しているというお話がありましたけれども、要望文面について、そのとおり紹介していただけませんか。

○松浦障害者施策推進部長 その要望文面ということを超過負担の件ということで申し上げますと、東京都としまして、平成二十一年度国の施策及び予算に対する提案要求におきまして、地域生活支援事業につきまして、事業の充実に取り組む都道府県や区市町村に超過負担が大きく生じている実態を踏まえて十分な予算措置を行うよう、平成二十年六月及び十一月に既に要望を行っているということでございます。

○吉田委員 最後に、山加さんの質問と若干ダブる面もあるんですけれども、もう少し具体的にお聞きしたいんですけれども、区市町村のアンバランスの問題なんですよ。
 これはもちろん、区市町村のそれぞれの自主性というものは尊重しなきゃなりませんけれども、こうした基幹的なサービスの場合は、東京の視覚障害者の場合には、やっぱり一定のサービス水準が保障されるということを誘導するということも、私は東京都の責任としてあると思うんですね。
 ところが、例えば杉並区の場合には、給付時間についてですけれども、原則的に月五十時間というふうに定まっています。それで、どうしても必要がある場合には、認定会議をもって妥当性が認められればそれを上乗せするというふうになっていますし、例えば豊島区の場合には、基本的に一律上限四十時間になっているというふうに聞いております。
 これ、全部調べればいいんですけれども、そこまで調べる余裕がなかったんですが、このように、現状だと、区市町村によって、言葉としては必要なサービスが提供できるようにということになっていますが、実務的には、それぞれ上限時間を目安として区市町村によって定められているんですよね。
 こうしたことが、個別給付になった場合にはどのようになるのか。少なくとも、より使いやすい制度として改善されていかなきゃならないと思うんですが、国の制度上どうなのか。あるいは、そのように実情に応じて適切に使えるようにするために、東京都としてどのような対応をされていくのか、そこをお答えください。

○松浦障害者施策推進部長 区市町村の状況につきまして、私どもも全体的に把握しておりませんけれども、区市町村によりましては、先生おっしゃるように、月四十時間とかいう基準を設けていると。ただ、必要がありますと、例えば月百時間を超える決定をしているというようなことがあるというふうに聞いております。
 それで、自立支援法が改正され法定給付となることによりまして、国の責任において統一的な基準で実施されるということになります。
 また、従来、予算の範囲での補助だったものが、国の義務的経費である負担金制度に運用されるということになりまして、区市町村にとっても財政的に安定した事業というふうになりまして、一律の水準で実施されるというふうに考えております。国制度として一律の水準が維持できる仕組みになるというふうに、都としては考えているところでございます。

○吉田委員 最後に、ちょっと先ほどの話で一点確認だけしておきたいんですけれども、個別給付に今年度中に変わった場合、今年度は三%軽減の支援をしているわけですけれども、そうしたら、当然、個別給付になっても実施をするということでよろしいですね。

○松浦障害者施策推進部長 移動支援が法定給付になった場合についてございますけれども、障害者自立支援法の改正案が国会で成立した場合、公布後一年六月以内に施行されるというふうになっております。
 なお、軽減措置につきましては、その施行時がいつになるかいうのはちょっと見えない部分がございますが、その際も適切に対応してまいりたいというふうに思っています。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○東野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二一第九号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分については、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十一分散会

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