委員長 | 東野 秀平君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 松下 玲子君 |
理事 | 野上 純子君 |
理事 | 山加 朱美君 |
西崎 光子君 | |
橘 正剛君 | |
斉藤あつし君 | |
田代ひろし君 | |
門脇ふみよし君 | |
野村 有信君 | |
佐藤 裕彦君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 中井 敬三君 |
経営企画部長 | 及川 繁巳君 | |
サービス推進部長 | 都留 佳苗君 | |
経営戦略・再編整備担当部長 | 黒田 祥之君 |
本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出 病院経営本部所管分
・第十九号議案 平成二十一年度東京都病院会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十一号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・多摩総合医療センター(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)並びにがん・感染症医療センター(仮称)の整備運営事業に係る施設整備業務の追加について
請願の審査
(1)二〇第一〇二号 都立梅ヶ丘病院と清瀬・八王子小児病院存続と小児精神医療・小児医療充実に関する請願
(2)二〇第一〇三号 都立梅ヶ丘病院の府中への統廃合に関する請願
(3)二〇第一〇五号 都立清瀬小児病院の廃止に反対し、多摩の小児医療の拡充に関する請願
(4)二一第三号 三月の都立八王子小児病院を廃止する条例に反対し存続を求めることに関する請願
○東野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○東野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
第一号議案、平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、病院経営本部所管分、第十九号議案、第六十一号議案及び報告事項、多摩総合医療センター(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)並びにがん・感染症医療センター(仮称)の整備運営事業に係る施設整備業務の追加について、並びに請願二〇第一〇二号、請願二〇第一〇三号、請願二〇第一〇五号及び請願二一第三号を一括して議題といたします。
本案及び報告につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料及び請願について理事者の説明を求めます。
○及川経営企画部長 去る二月十三日の本委員会におきまして要求のございました資料及び請願につきまして、お手元にお配りしてございます資料に基づきましてご説明申し上げます。
まず、要求のございました資料につきまして、資料1、厚生委員会要求資料に沿ってご説明させていただきます。
資料は、目次にございますように、1、清瀬小児病院における患者実績など十六点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、清瀬小児病院における患者実績でございます。
(1)は平成十八年度から平成二十年十二月までの救急患者数を、(2)は昨年実施しましたワンデイ調査における居住地別患者数をそれぞれ入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、クリニカル・フェロー研修の検討状況でございます。
(1)は東京医師アカデミーの体系図で、アカデミーのシステムについて、修了後の進路までをお示ししております。
(2)は検討状況でございます。現在クリニカル・フェロー研修の方向性について、各病院と意見交換を実施しております。
(3)は今後の予定について記載しております。
三ページをごらんください。3、新型インフルエンザ発生時の都立病院の対応でございます。
(1)は各都立病院の役割を、入院診療、外来診療別に、(2)は役割に応じた対応内容をそれぞれ発生段階別に記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員(平成二十一年二月一日現在)でございます。
表の下、注の3に記載してございますが、育児短時間勤務職員は〇・五人として現員換算しております。
五ページをごらんください。5、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員(平成二十一年二月一日現在)でございます。
(1)は都立病院、(2)は公社病院における職種別定数及び現員を記載しております。
六ページをお開き願います。6、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
(1)は都立病院、(2)は公社病院における看護要員の採用者数及び四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数について、平成十五年度から平成十九年度までの推移を記載しております。
七ページをごらんください。7、都立病院及び公社病院における研修医受け入れ状況でございます。
(1)は初期臨床研修医について、次の八ページの(2)は後期臨床研修医について、それぞれ平成二十年度及び平成二十一年度の定数を病院別に記載しております。
九ページをごらんください。8、都立病院におけるPFI事業にかかわる経費の推移でございます。
平成十七年度から平成二十一年度までのPFI事業にかかわる経費の推移を、各事業別に記載しております。
一〇ページをお開き願います。9、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費について、平成十七年度から平成二十一年度までの推移を病院別に記載しております。
一一ページをごらんください。10、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、平成十七年度から平成二十一年度までの推移を記載しております。
一二ページをお開き願います。11、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成十五年度から平成十九年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
一三ページをごらんください。12、各公社病院における経営指標の推移でございます。
平成十五年度から平成十九年度までの各公社病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
一四ページをお開き願います。13、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成十七年度から平成二十一年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
一五ページをごらんください。14、多摩北部医療センターにおける小児医療及び小児救急患者の実績でございます。
(1)は小児患者数実績、次の一六ページの(2)は小児救急患者数実績、一七ページの(3)は平日夜間小児初期救急医療事業患者数実績について、それぞれ平成十八年度から平成二十年十二月までの実績を月別に記載しております。
一八ページをお開き願います。15、新生児搬送用ドクターカーの運行実績でございます。
(1)は平成十五年度から平成十九年度までの出動件数及び月平均出動件数を、(2)は平成十九年度の延べ出動時間及び一件当たりの出動時間を記載しております。
一九ページをごらんください。16、清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院におけるキャリーオーバーの状況(平成二十一年二月一日現在)でございます。
小児三病院における二十歳以上の入院患者数を病院別に記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。
次に、請願につきまして、資料2、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表に沿ってご説明させていただきます。
恐れ入りますが、表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
目次にございますように、整理番号1、請願二〇第一〇二号から整理番号4、請願二一第三号までの四件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。整理番号1、請願二〇第一〇二号についてご説明申し上げます。
この請願は、世田谷区の都立梅ヶ丘病院の存続を求める家族と都民の会代表池崎吉次さん外二万二百八十九人から提出されたものでございます。
請願の要旨についてでございますが、都において、次のことを実現していただきたい。第一項は、梅ケ丘、清瀬、八王子の三小児病院を都立直営で現在地に存続し、小児医療の充実を図ること。第二項は、小児総合医療センターと大塚病院を都立直営で運営し、小児精神医療の充実を図ることというものでございます。
現在の状況について、まず第一項でございますが、都立病院は、全国的な医師不足の深刻化など医療環境が一層厳しくなっている現状の中、限られた医療資源を最大限に有効活用し、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供することを基本的役割としております。
都立梅ケ丘病院、都立清瀬小児病院及び都立八王子小児病院につきましては、都における良質な小児医療サービスの確保を図るため、これらの三病院を統合し、心から体に至る総合的で高度専門的な医療を提供する、都における良質な小児医療の拠点となる小児総合医療センター(仮称)として、新たに多摩メディカル・キャンパス内に整備するものでございます。
整備に当たりましては、診療及び経営について都が直営で実施するとともに、施設建設及び医療に直接かかわらない維持管理業務などにつきましてPFI手法を活用し、効率的な病院運営を目指すとともに患者サービスの向上を図ることとしており、平成十九年七月に病院本体工事に着手し、平成二十一年度末の開設に向けて、着実に整備を進めているところでございます。
次に、第二項でございますが、都立大塚病院におきましては、平成二十一年秋を目途に小児精神科外来棟を整備し、区部における小児精神医療の機能を確保するとともに、都における小児精神医療の拠点となる小児総合医療センターと連携体制を構築していくことにより、小児精神医療の一層の充実を図ることとしております。
二ページをお開き願います。整理番号2、請願二〇第一〇三号についてご説明申し上げます。
この請願は、世田谷区の都立梅ヶ丘病院の存続を求める家族の有志代表池崎吉次さん外五百五十六人から提出されたものでございます。
請願の要旨についてでございますが、都立梅ケ丘病院の現在地に、入院、外来、デイケア、分教室を初め、必要な機能を残していただきたいというものでございます。
現在の状況についてでございますが、都立梅ケ丘病院は、都立清瀬小児病院及び都立八王子小児病院と統合し、小児総合医療センターとして整備するものでございます。
小児総合医療センターでは、心の専門診療部を設置し、自閉症等の広汎性発達障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、統合失調症、適応障害など、さまざまな障害を持つ幼児期から思春期までの小児を対象とした医療を提供してまいります。
また、子ども・家族支援部門を新設し、精神保健相談などの各種相談業務、心理検査などによる発達アセスメント、デイケア、ショートケアを含む心と体のリハビリテーションプログラムなどに取り組むとともに、特別支援学校の分教室を院内に設置し、教育部門との連携による質の高い療養環境を確保するなど、小児精神医療の拠点として必要な機能を整備してまいります。
さらに、都立大塚病院においては、小児精神科外来棟を整備し、小児総合医療センターと連携して小児精神医療の充実を図っていくこととしております。
三ページをお開き願います。整理番号3、請願二〇第一〇五号についてご説明申し上げます。
この請願は、清瀬市の都立清瀬小児病院を守る会代表小野幸子さん外三万一千九十四人から提出されたものでございます。
請願の要旨についてでございますが、都において、次のことを実現していただきたい。第一項は、都立清瀬小児病院を廃止しないこと、第二項は、老朽化した清瀬小児病院の建てかえを実施することというものでございます。
現在の状況についてでございますが、都立清瀬小児病院は、小児領域における医療の多様化などのさまざまな医療需要に加えて、医療資源の面から全国的な小児科医師の絶対的不足や施設の老朽化の進行など、現施設において今後とも良質な医療を提供し続けることは困難な状況となっております。
こうした中、限られた医療資源を最大限に有効活用し、都における良質な小児医療サービスの確保を図るため、都立八王子小児病院及び都立梅ケ丘病院と統合し、小児総合医療センターとして着実に整備を進めているところでございます。
四ページをお開き願います。整理番号4、請願二一第三号についてご説明申し上げます。
この請願は、八王子市の都立八王子小児病院を守る会代表矢代美知子さん外四千二百九十三人から提出されたものでございます。
請願の要旨についてでございますが、都立八王子小児病院を廃止する条例に反対し、同病院を存続させていただきたいというものでございます。
現在の状況についてでございますが、都立八王子小児病院は、小児領域における医療の多様化などのさまざまな医療需要に加えて、全国的な小児科医師の不足や施設の老朽化などにより、現施設において今後とも良質な医療を提供することは困難な状況となっております。
現在、整備を進めております小児総合医療センターでは、隣接する多摩総合医療センター(仮称)と一体となって、新たに総合周産期母子医療センターを運営することとし、NICUを現在より九床増床の二十四床、GCUを六床増床の四十八床、さらにM-FICUを九床新設いたします。
このことによりまして、今までできなかった母体搬送の受け入れが可能となり、多摩における周産期医療の一大拠点として拡充を図っていくものでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○東野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○山加委員 私からは、都立病院の看護師確保対策について何点かお伺いをしたいと思います。
今定例会には、小児総合医療センターや多摩総合医療センターの開設に向けた条例改正案が上程をされております。多摩の地域に、我が国でも屈指の小児医療、そして周産期医療の拠点が誕生することになり、その完成が大変待たれるわけでありますが、新センターの力を十二分に発揮するためには、当然医師や看護師等の医療人材が、質、量ともに確保されていなければならないことはいうまでもないことであります。
とりわけ診療の補助や療養上の世話を行う看護師は、患者さんにとっては最も身近な存在であり、その確保が極めて重要であります。しかし、この看護師については、今、我が国は全国的に深刻な不足状況にあることは、都民の皆さんも、そしてここにいらっしゃる皆さんも周知の事実であります。こういう厳しい状況の中で新たなセンターを開設するためには、必要な看護師を十分に確保していくには思い切った対策が必要になるわけでありますが、こうした観点から、我が党は、さきの四定一般質問では私から、また本定例会でも我が党代表質問でこの看護師の確保対策についてただしたところであります。
そこで、改めてこれまでの看護師確保に向けた本部の取り組みとその成果について、お伺いをいたします。
○及川経営企画部長 看護師の確保につきましては、ただいま理事ご指摘のとおり、全国的に大変厳しい状況にございまして、都立病院もその例外ではございません。
特に、来年三月の多摩総合医療センター、小児総合医療センター開設に向けましては、相当数の看護師を確保しなければなりません。現在、病院経営本部及び各都立病院の総力を挙げてその対策に取り組んでいるところでございます。
そこで、これまでの取り組みでございますが、まず、採用活動の強化といたしまして、平成十九年度に短大卒程度の看護学生を対象とするⅡ類試験の年齢制限を、四十歳未満から四十五歳未満に拡大したことを皮切りに、本年度は専門試験の廃止による受験負担の軽減や地方選考、これは仙台と新潟の二カ所でございますが、こうしたことなどによりまして受験機会の拡大を図っているところでございます。
また、定着対策といたしましては、平成十八年度から実施しております新卒看護師臨床研修制度の全病院への拡大、認定看護師や専門看護師の資格取得支援、育児短時間勤務制度の導入、院内保育室の二十四時間化、そして、看護師からニーズの高い二交代制の勤務の導入など、多種多様な取り組みを行ってきております。
この結果、本年一月に実施をしました看護師の中途採用による試験がございますが、昨年同時期の採用試験のほぼ三倍に当たります約七十名の採用予定者を見込みます一方で、定年退職者を除く一般退職者数が前年度を二割程度下回る見込みであるなど、こうした取り組みの成果は着実にあらわれつつあるというふうに考えております。
○山加委員 報道によりますと、国は、医師と同様に、卒後の新人研修の制度化の検討を始めたようでありますが、都立病院では、既に十八年度から全病院で新卒の看護師臨床研修制度を導入しているわけですね。
このように病院経営本部として、看護学生や現職看護師のニーズを十分に把握しながら、これまでさまざまな取り組みを行ってきた結果、今ご答弁にあったように、看護師採用試験では、昨年同時期のほぼ三倍に当たる採用予定者を見込める、また、離職率は前年度を下回る見込みである。私は、これは一定の手ごたえを感じているということは、今後の取り組み次第では、さらなる確保と定着がもっともっと期待できることを示唆しているものと考えます。
ところで、この看護師養成については、年々看護系大学が増加しつつあると聞いております。大学卒業者を視野に入れた採用活動の強化も必要ではないかと考えるわけであります。
また、最近の看護学生は、将来の看護に対するみずからのビジョンが大変明確で、就職先についても、例えばがんの看護を学びたいとか、小児医療に携わってみたいという観点から、明確なビジョンを持って病院を選ぶ傾向にあると聞いております。
今後、こうした看護学生や看護師のニーズを踏まえた取り組みを強化していくべきと考えるわけですが、来年度、この看護職員の採用方法を大幅に改定すると伺っております。こうした点も含めまして、来年度に予定する具体的な確保対策についてお伺いをいたします。
○及川経営企画部長 来年度の採用方法の改正及び具体的な確保策についてでございますけれども、まず、大学卒業程度の看護学生を対象といたしますⅠ類につきましては、受験の負担を軽減し、少しでも多くの方に受けていただくというために、教養問題の数を半減化したり、専門試験の簡素化、論文の廃止、対象年齢の引き上げを行うとともに、新たに看護・助産師の経験者を対象とする選考を実施したいと考えております。
また、Ⅱ類の採用につきましては、試験実施時期を従来の九月から七月、八月、九月と早期化及び複数回化し、機会の拡大を図るほか、地方都市での試験も、昨年の仙台、新潟の二都市から、札幌、青森、仙台、新潟、福岡の五都市に拡大する予定としております。
こうした試験方法の大幅な改正に加えまして、都立病院は、先生もご指摘のように、例えばがん医療であるとか、救急医療、小児医療、精神科医療等々、それぞれの強みがございますことから、病院が独自のパンフレットやホームページを作成しまして、看護学生に各病院がみずから病院の魅力を直接訴えていくなど、本部と病院とが一体となった取り組みを進めているところでございます。
このような採用方法の大幅な改正を行うとともに、医療現場からの要望の高い七対一看護基準での人員配置や二交代制勤務の導入拡大などについて、精力的に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
○山加委員 制度面の改正、また病院の独自性を積極的に打ち出す来年度の取り組み、非常に壮大な試みであり、そうした取り組みは、我が党としても、今後もしっかりと支援をしてまいりたいと思います。
そして、この勤務環境の改善、採用方法の改正等により、これまで以上に看護師の確保、定着を進めることが期待できますが、さらに、資格職である看護師については、医師や薬剤師などとの適切な役割分担をもっともっと進めることが重要だと考えます。医師は診療に、また看護師は診療の補助と療養上の世話に、そして薬剤師は薬の調剤業務や飲み薬等の服薬指導に専念し、また書類作成等の周辺業務は医療クラークが担う。こうしたそれぞれの適切な役割分担は、今後都立病院が提供する医療の質を一層高めるとともに、医療従事者の資質の向上にも大きく寄与するものと考えるわけであります。
私は、さきの四定一般質問で、現在の看護師を取り巻く状況を踏まえた確保対策を展開する必要があると指摘をさせていただいたわけでありますが、その際、本部長は、看護師がより専門性を発揮できる勤務環境を整備していくとご答弁されました。
そこで、看護師が専門性を発揮できる勤務環境整備のためにどのような対策を講じているのか、お伺いをいたします。
○及川経営企画部長 専門性を発揮できる勤務環境の整備についてでございますが、理事ご指摘のとおり、専門職でございます医師や看護師がチーム医療を行いながら、それぞれの専門性を発揮できる勤務環境を整備することは、良質な医療サービスの提供を行う上で非常に重要でございます。と同時に、専門性をさらに高めることにも大きく寄与するものであるというふうに考えております。
こうした観点から、本部では、今年度、看護業務を中軸とする業務改善検討を行ってまいりました。検討は、看護周辺業務である食事、環境、内服薬、注射等三十四項目に及び、その結果、薬剤科関連業務、看護補助業務、医療クラーク業務など役割分担の適正化を図るため、必要な人員、予算を計上したところでございます。
具体的には、抗がん剤ミキシングの一〇〇%薬剤師実施のための薬剤師の十七名、それから、医療機器管理充実のための臨床工学技士五名、シーツ交換等の療養環境整備のための委託拡大、医療クラーク導入の拡大、さらに認定専門看護師養成、派遣の増員などといった対策を講じてきております。
このような対策は、看護師が専門性をより発揮し、都立病院の医療サービスをさらに向上させるとともに、看護師の確保、定着対策にも大きな効果が発揮されるものというふうに考えてございます。
○山加委員 今のご答弁で、本部と病院とが一体となって看護師の確保に向けて新たな取り組みを強力に進めようとしていること、十分理解はできました。役割分担の適正化によって、それぞれの職種が専門性を発揮すること、これは患者さんにとっても良質な医療が提供されることにつながるわけであります。こうした取り組みを通じて、看護師の定着、確保が今後一層進むことと同時に、患者サービスのさらなる充実を私は大いに期待するものであります。
そこで、最後に、こうした取り組みの先頭に立つ病院経営本部長に、看護師確保に向けた、都民に向けた大変力強い本部長の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○中井病院経営本部長 小児総合医療センター、そして多摩総合医療センターの開設、来年三月ということで、間近に迫ってきたわけでございます。こうした現下の状況の中で、優秀な医療人材を確保し、その定着を図っていくということは、例年にも増して極めて重要な課題であるというふうに認識しております。
とりわけ看護師は、医師と並んで病院業務の基幹を担う職種でございますだけに、その充足状況が病院機能に与える影響は極めて大きいものがあるわけでございます。しかしながら、今日、看護師については、理事ご指摘のとおり、全国的に極めて深刻な不足状況にございます。
私ども病院経営本部といたしましては、こうした状況を踏まえ、昨年度策定した第二次都立病院改革実行プログラムにおいて、看護師を初めとした医療人材の確保を最優先の課題に掲げ、先ほど経営企画部長が申し上げたとおり、さまざまな確保、定着対策に積極的に取り組んでまいりました。
また、来年度は、こうした取り組みをさらに強化するため、看護師採用方法の改正や地方試験の実施、昨年度は二カ所で実施しておりますが、さらに地方試験の会場を拡大して、受験機会の全国的な拡大を図ってまいります。
また、看護業務の見直し、それから、これからの看護師の業務の専門性が高まっていく、また、若い看護師の専門性志向が高まっているというような状況にかんがみまして、認定看護師や専門看護師の資格取得支援のための研修制度の充実をさらに図り、さらにライフワークに合わせた勤務ができるように、潜在看護師といわれる人たちの職場が安心して確保できるように、二十四時間保育の拡大など、広範な勤務条件の改善整備を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
また、理事の方から先ほどお話もございましたとおり、看護学生や若手看護師の意識の多様化というのが進んでおります。それは志す医療という面もそうでございますし、求める勤務条件という面でもそのような傾向があるわけでございます。
こうしたことから、私どもといたしましては、病院経営本部だけがこういった取り組みをやっていくということではなくて、各都立病院一つ一つがそれぞれの持ち味を出して、募集活動、採用活動に取り組むということが肝要であろうという考えに立ちまして、都立病院がそれぞれに知恵を出し、工夫を出すという形で取り組みを進めているところでございます。
具体的には、それぞれの都立病院、特色ある高度の専門的な医療をやっておりますので、それを直接学生や就職を希望する看護師さんたちにPRしてもらい、また、個々の勤務条件についても病院ごとに違いがございますので、そういったところも積極的にアピールをして取り組んでもらう。それによって、各病院への希望者というのがどんどん出てきますので、それを各病院に採用して、一緒に働く形をつくっていこうという取り組みを始めたところでございます。
また、山加理事から、昨年四定一般質問でご指摘をいただきました七対一看護基準についてでございますが、七対一看護基準につきましては、看護師の確保、定着に大きく寄与するものであると同時に、患者サービスの向上にもつながるということから、私どもとしましては積極的に導入を図ってまいりたいということで、条件が整った都立病院からどんどん導入をさせていただきたいというふうに思っております。当面は大塚病院、そして広尾病院におきまして、二十一年度の早い時期に基準の取得を目指したいというふうに考えております。
看護師は人の生命を預かる仕事であり、二十四時間ローテーション勤務の中で、常に細心の注意を求められる過酷な業務でございます。このため、全国的に看護師の離職率は高く、看護師不足に悩む医療機関は極めて多いわけでございます。都立病院でも毎年四百名を超える看護師が退職している実情にございまして、この補充を毎年行うだけでも容易なことではないというのが現状でございます。
先ほど申しましたとおり、来年度はこれに加えて、多摩総合医療センターと小児総合医療センターという二つの大規模な医療機関の要員の確保が必要ということでございまして、病院経営本部にとっては極めて重たい、しかし、クリアしなければならない重要な課題が眼前にあるわけでございます。私どもとしましては、この課題に果敢に取り組むべく、病院経営本部、そして各都立病院がそれぞれに汗をかき、勉強して、一丸となってこの課題を突破できるよう、精いっぱい頑張っていく所存でございます。引き続きご理解、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
○斉藤委員 それでは、今回出ている病院条例の改正、また清瀬小児病院を含めた三つの病院の廃止、また府中への集約といった部分について、特に私の場合は地域が小平ということで北多摩地域でございますので、清瀬小児病院の方を意識した上で、幾つか質問をさせていただきます。
ただ、これにつきましては、会派の中でもいろいろ議論があり、会派の方で八王子に近い方は、八王子小児病院をイメージしながらいろいろ研究をされていましたし、また、それぞれいろんな考え方の中で議論があったわけですが、きょうは私の方の質問ということで、北多摩北部医療圏のあたりをイメージしながら伺いたいと思います。
私、今回は、病院の条例の改正に関して最初にお話を受けたときに、私も市議会のときを含めると十四年議員をやっているものですから、私もだんだんさすがにこういう役所の皆さんの説明の中で、すっきり腑に落ちるような議案なんかは、ああ、なるほどなとわかるようになりましたし、逆に、あれっと思うようなことがあったときは、ちょっとこの説明はおかしいんじゃないかなとか、条例の成り立ちがちょっとわかりづらいなということがあるわけですね。そうしたときは、これだけは逆に聞き返せばいい話であって、腑に落ちる条例、腑に落ちない条例というのは、何となく聞いたときに肌で感じるようになってまいりました。
今回、お話を聞いたときに、最初、ちょっと時期的な問題なんかが特に気になってはいたんですが、やっぱりちょっとあれっとは思ったんですね。ただ、あれっと思った中で、この病院条例の改正については何が変に感じるんだろうと思いました。それで、ちょうどうちの方で何人かの議員が集まって説明を聞く機会があったので、担当者の方からいろいろお話を聞いたら、やっぱりちょっと説明が腑に落ちないところがあるんですね。
この中では例えば、病院条例そのものが昭和三十八年からずっとそのままで、結核病院条例とか幾つかの条例が併存していた。この部分を一本にしないと、都民の皆さんに大変迷惑がかかるというふうなことをちょっといっていたんですね。また、名称の方も早く正式にしないと、看板の製作に困るとかいう話も聞いたんですね。聞いていて、そんな理由なのかなというふうな話になりました。
つまり、もともとおかしいなと思ったんですが、僕、これ自体がすごくおかしいから、最初からどうこうしようなんてことは全然思っていなかったんです。聞いているうちに、幾ら聞いても腑に落ちないので、ちょっとまた担当者の方にお願いしまして、みんなのいる場じゃなくていいから、ちょっと個人的にもう一回確認したいから、寄ってくださいというふうな話をしたんです。
そこまでいって、よくこういうのというのは、例えば条例改正をするけれども、実は条例改正の中身は、表面を見ると余りわからないけれども、実はこっちとこっちの関係があって、これは議場ではいえないけれども、実に複雑な理由があるんだというようなことは、条例改正では、病院経営本部に限らずよくあるわけですね。そういった部分を伺えたら何かわかる疑問なのかなというふうに思ってお話をしたんですが、そこでも余りわからなかったんです。
結局、僕、一人ではなくて、複数の部分も含めて、多分四回ぐらいは話を聞いたんです。それでもよくわからない部分が残ってしまった。実際、二度目、三度目と聞いても、その後から出てくるものが、物すごいわかるものが出てきたかというと、全然わからなかったんですね。そこが実はまず最初のひっかかりでありました。
あくまでこれは事前の説明の私の方の記憶でございますので、こういうふうな意味でしたというふうなことで、多少修正していただく部分も含めて伺うんですが、今回、府中の方で予定される医療センターの名称は、仮称とついてしまっている。正式な名称ではないので、看護師の募集のときに困る。今ちょうどその話題が出ているところですが、困るというふうにいっていました。一体何という名称で募集をかけているんだろう。何々センター(仮称)というのは、よくどこの行政の建物でもつくられる場合はあったりしますし、議会の前は一時的にそうなったりすることはよくあることです。ただ、何々センター(仮称)というんであればあくまで仮称であって、その前のセンターの名前だなということぐらいは、普通の人はわかるわけです。
ただ、もしも三つの病院を統廃合する関係で、前の現存する清瀬小児、府中に予定されている場所なのに、清瀬小児病院で募集をしたら、それはわかりにくいだろう。八王子小児病院と書いてあったら、ちょっとそれは誤解を生むだろうというふうに思います。実際には、仮に条例改正をしなかった場合、一体何という名前で募集することになるのか、伺います。
○及川経営企画部長 るるご質問の内容をお伺いしましたけれども、私どもとしては、決して複雑なご提案をしたつもりはなくて、平成十三年のマスタープラン計画以降、三病院を統合して、多摩キャンパスの中に二つの大きな病院を建てて、多摩全域の医療環境の整備を図りたいということは、もう足かけ七年でございますが、いってきております。
それに対して、今度は技術的な条例の話とか、その条例に対する説明とか、いろいろ私どもの説明でわかりづらいところで、反省すべき点は反省したいと思っておるんですが、まずは本質的な部分は、これまでずっとご説明してきてまいりましたし、この委員会でもご審議をいただいてきております。
その中で、じゃ、なぜ今この条例改正をしなければならないんだ。実はもうあと一年後に開設をするんですね。一年後に開設するということは、一般家庭が引っ越すわけではございませんから、それまでに大変な準備期間が必要になります。先生もよくご存じだと思うんですけれども。そのためには、先ほども申し上げたとおり、喫緊の課題は、まず人を集めなければいけない。新しい病院をきちんと開設するためには、医療サービスを提供していくためには、特に看護師の採用が、先ほど来申し上げているとおり、喫緊の課題になっているわけですね。
また、先生の方には直接ご案内したかどうかはわかりませんが、当然のことなんですが、新しく病院を建てて、そこに新しい人材が行くわけではなくて、前の病院から移るわけですね。その場合に、簡単に、そんな一朝一夕に移れるわけがない。当然医療をどうやって他の医療機関と調整をしていくのか、あるいは機材をどういう形で設置しながら、どういうふうにテストしながら、また、電子カルテもありますね。そういうものはやっぱりずっと綿密に準備して移転に備えなければ、逆に混乱を生じてしまいます。そのために、今この一年前にきちんと整理をして、それで条例改正をしたいというのが、我々の考え方でございます。
ただ、先生の今のお話ですと、その条例改正上のテクニックというんですか、条例改正上のいわゆる文言の整理の仕方とか、そういう問題はそれはまた別にありますね。それはそれで、我々は長年の行政のやり方に沿って、整理をしてきているつもりでございます。
今の直接的な最初のご質問のいわゆる募集の方法は、先ほど来申し上げているとおり、相当覚悟を持って今募集活動をしておりますので、仮称のまま今やっています。仮称のまま募集をかけますと、心理的に、仮称って何ですか、本当にそれ開くんですかというような疑問も通常は出ます。その場合に、仮称ではなくて正式な名称で、二十二年三月、確実にオープンするセンターで一緒に働いてみませんかというような形で募集をかける。その方が人材が集まるという面で、我々は今のこの時期にきちんと準備期間を設けて、条例を行政の責任として一本化して、それで準備に入りたいという状況でございます。
○斉藤委員 なるほど。ちょっと実は僕、事前に聞いた説明の中で、ない部分もあったんです。ない部分があったという部分には、逆に僕は聞くチャンスを損なわないように、何度も、四回、五回とお会いしたというところであります。今初めて聞いた部分も若干ありますが、なぜその説明がなかったのかなというのは少し疑問です。
それはいいとして、今看護師の募集に関しては、次で少し聞こうと思ったんですけれども、看護師の募集の考え方についてはお話がある程度あったんで、二番目の質問は少し飛ばさせていただきます。
こういうこともいわれていたんです。僕は実にこの部分でどうこうとは思わないんですが、こういう説明をされちゃうと首をかしげざるを得ないんですが、その中に看板製作の都合というのがあったんですね。僕、そのときに聞いたんですよ。設置したら、その後、カバーとかかけて表に見えない。正式に開くまでは、余り早い時期に看板が設置されて開いちゃうと、やっているのかと思って入っていっちゃう人もいるだろうから、そういう点では、看板設置というけれども、それは隠しておけないんですかと、素直に僕は聞いたんです。これは全然僕はひねくれていっているんじゃなくて、説明の流れでそれを聞かざるを得なくなったんですね。これは実際どうなんでしょうか。看板の設置については、カバーとかかけてはいけないんでしょうか。
○及川経営企画部長 確かに看板はつくらなければならないんですが、そのためだけに条例改正をしているわけではございませんで、先ほどから申し上げているとおり、きちんと医療を安全に移行し、それで新しいサービスを確実に実施していくために、この条例改正をしていくわけでございます。
○斉藤委員 そうですよね。私も申しわけないんですけれども、自分で勝手に考えたんじゃなくて、そういわれたものですから、すごい変な説明だなと思ったんですね。
そのほか、条例が細分化されていると都民にわかりにくいというような趣旨の話も聞いたんですが、都民からどんな問い合わせを受けていたのか。ずっと何年も前からですから、どういう問い合わせを受けていたのか。これは実際、その中でも少しやりとりはしているんですけれども、ちょっと改めて伺います。どのような問い合わせがあったんでしょうか。
○及川経営企画部長 この条例上の技術的な話も多少入ると思うんですけれども、若干解説をさせていただきますと、現行の都立病院が設置をされている根拠条例というのは、四本に分かれております。都立病院条例、結核病院条例、精神科病院条例、小児病院条例の四本に分かれております。
このため、例えば府中病院では、都立病院条例及び結核病院条例の二条例を読み比べる必要がございます。加えて、各種同種の規定が各条例にばらばらに存在しているといった、非常に複雑でわかりにくい構造になっております。
これまで、直接的に都民からそういった苦情があったのかという先生のご質問ですが、直接的な苦情は特にございませんけれども、今回の小児総合医療センター開設においては、例えば現行条例のまま改正してしまいますと、小児病院条例及び精神科病院条例の二つの条例が混在をする。重複した条例になってしまいます。
では、これを何で今まで直さなかったのというご質問でございますが、これまでは、いろいろ条例ができた社会的な背景がございます。結核とか、それから伝染病予防法とかそういうのがございますけれども、私ども、今回小児病院が一体化することによって、そうした運営の実態と条例とを合わせるということで、今後都民の皆様から何らかのお問い合わせをいただいた場合、また、調べてみたいという都民の方がいた場合に、この一本の条例をごらんいただければわかるようにしてございますというのが、今回の一本化の、そういう意味では条例上の技術的な話です。ですから、実態と合わせたというご理解をいただければと存じます。
○斉藤委員 そうしますと、これは昭和三十八年かららしいんで、四十五年間たっているらしいんです。恐らくその前の段階でも、今じゃなくて前の段階でも、幾つか少し整理をしてもよかった時期というのはあったかと思うんですけれども、逆にいえば、今までそういったチャンスにやってこなかったというふうなことで、本当はやった方がいいというのは、今聞いてみるとわかるわけですが、本当はやった方がいいという時期にやらなかったということは確かですよね。
○及川経営企画部長 条例上の技術的な問題ですから、毎年のように医療実態が変わって、変化すれば、その都度条例を変えていく方が、それはそれで一つの方法かと思いますが、条例ですから、そうそう毎年というわけにもいかないというのは、承知いただけると思うんです。
例えば精神科医療は、都立病院は松沢病院、専門にしている病院がございます。総合病院で精神科あるいは神経科という診療科を標榜して、同じく精神的な患者さんに対して治療をしている部分もある。そういう意味では、時代によって、そうした精神科医療のやり方というんですか、そういうのも変わってきている。ですから、そのまま精神科病院条例、都立病院条例で並列で来ておりますけれども、今は実態として、必ずしもそういう別々に存在することそのものが実態に合わなくなってきているという、時代的な背景が色濃くなってきたというのも事実でございます。
加えて、先ほど申し上げたとおり、小児病院を今回一つに統合いたしますので、そういうものも含めて実態に合わせた、しかも、わかりやすい条例にしようというのが、今まさにこの時期でございます。
○斉藤委員 じゃ、実際、今清瀬、八王子、梅ケ丘の医療資源、これについて補完作業をされているというのは、私もよく存じ上げています。大体どのくらいの進捗状況というふうに一言でいえばいいんでしょうか。教えてください。
○及川経営企画部長 これも今まで何度もご議論いただいているところでございますが、私どもは、来年の三月に病院を開設し、そのときまでには、何とかこれまで六年、七年にわたって、地域の自治体や医師会等とのお話し合いのもとに取り決めた方向性について、まさに一〇〇%を目指して今やっている、まだ一年ございますけれども、それが実情でございます。
ただ、点数ということになりますと、なかなか工事の進捗状況ではございませんので、確実に八六%か七%かということにはならないというふうに思っておりますが、私どもは、先ほど申し上げた地域との取り決めについては、かなりの部分で実現してきているというふうに考えております。
内容については、もうこれまで何度も申し上げているとおりでございますので、省かせていただきますが、それぞれ一次医療から三次医療まで、そういった連携の仕方、代替として担うその医療機関の充実の方策、そういったものについて、我々は相当の部分で実現しつつあるという認識でございます。
○斉藤委員 では、例えばなるべくこういった条例改正、手続条例とはいっても、やっぱり実務との兼ね合いというのは全く無関係ではありません。さっきいったみたいに、今度の場所がある程度総合的なものであるからこそ、条例をまとめるというのも、一つ実務との兼ね合いかと思います。
ただ、そうはいっても、やはりこういった片っ方の清瀬、八王子といった地域に点在していた病院が、ある程度移るとはいっても、すぐ隣に移るわけじゃなくて、離れたところに移るわけですから、事実上なくなったというふうな形に近い状態になると感じられる方も多いわけです。そうすると、ある程度、周辺に対する理解との兼ね合いというのも、一つの要素ではないかというふうに私は思っています。
それに関係して、公社病院であります多摩北部医療センター、これについては、この清瀬の周辺の医療資源の補完という点で非常に大きな要素でありますが、これは改築中でございますね。この前、繰越明許の議案を通した、繰越明許について審議をしたわけですけれども、そして、これについては了解ということになるわけですが、これについては、やはり終わったところで一つ区切れ目なんだろうなと私は思っています。三月末に終わるというような話ではないと思いますし、また五月末に終わるというふうに私は聞いております。
これについては、もう既に機能しているということは多分ないと思うんですが、実際どのような感じなんでしょうか。
○及川経営企画部長 北多摩北部医療圏における清瀬小児病院が移転した後の二次医療を担うという大変重要な役割を担っている多摩北部医療センターでございますが、当初は病棟の改修をして、設計までいっておったんですが、やはりこれからは重症患者をどうするか。感染隔離専用の病床を整理した方がいいんじゃないか。あるいは、もう少し安全性を強化したい。あるいは、ナースステーションから病室を見回すときに、もっと見渡しやすいそういう位置に変更した方がいいんじゃないか。あくまでもそういった機能を強化するために、当初の予定が延長になって五月までずれ込んだ。したがって、繰越明許で、補正予算でご了承をいただいたということでございます。
この工事のことと条例の時期のこととは、直接的な関係というんですか、それについては、私どもは特段何らかの形で関連づけるということはしておりません。
○斉藤委員 少し予算委員会の中で、北部医療センターを含めて、北多摩北部医療圏については質問させていただいたんで、質問という点での重複は避けるんですが、考え方の経緯としてそのときお話ししたことが、話として若干重複する部分があるかもしれませんけれども、ご了解いただければと思います。
今回、私の方で、本当に小平の地域から見れば、清瀬小児病院、見える位置に余りないものですから、一般の方から見ると、そんなに影響がわからないというのが正直なところだったんですね、なくなるにしても。私もちょっとそう思っていたんですが、結局、医療資源を通じて、これはよく救急のパンクという話の中で出てきますが、一カ所がなくなるとほかの病院に負担がかかる。さらにその隣の病院に負担がかかるというふうに、ドミノ方式に医療資源を通じて影響が伝わってくるということがある。そういうふうな一つの流れがあるということに、後でちょっと気がついたんですね。
なぜ気がついたかというと、これは私は地元の方の病院からいろいろお話を聞いた中で、大変心配しているという話がありました。これは僕は予算委員会で少し説明をしたんですが、私自身も最初は、本当にそんなに影響するのかなと、一般の人は全然わからないけれども、お医者さんの方は心配するのかなというのがあったんです。半信半疑だったんです。いろいろ聞いてみたら、やはり病院経営本部の説明が、自分たちにとって一番必要な部分が余り伝わっている感じがしないという趣旨のことのようなんですね。
人間関係の部分もありますから、病院経営本部に聞けば、いや、それはちゃんとやっています、ちゃんとお話しさせていただいていますというふうにいうんです。人間と人間の話ですから、お互いに誤解があったりすることも当然ある。できれば、簡単に病院経営本部がどうとかといってしまえば早い話だけれども、そうじゃなかったらどうなんだろうか。ないかもしれないと思ったんですね。
じゃ、病院経営本部が説明が足りないにしても、仮にお互いの行き違いかもしれないということもあるとしたら、一体病院がどういうことを知りたいだろう。また、逆にどういうことをいったら、ああ、それそれ、そういうことを知りたかったんだよねといって話が前に進むのか。お互いの協力ができるようなきっかけができるのかということを考えたんで、この前、予算委員会の中で質問した私は、どのくらい小平の医療機関に影響が出るというふうに思うんですかという質問をしたんですね。
その際に、病院経営本部さんの方から、私はそこで少し事例を出したかもしれませんけれども、必ずそれというふうないい方では質問を出していなかったんですよ。いわゆる清瀬小児病院に入っている救急の患者さんが、小平市の方からどのくらい来ているかという数字を、答弁の中でいってくれたんですね。数字が余り、あくまで予測ですから、外れるのはしようがないんです。だけど、ある程度それに近い数字を考えようと思ったときに、一つやっぱり大きな支障になるのは、その地域からどのくらい救急の患者さんが来ているかというのは、これは確かに、せめてこれぐらいは知っておいた方が推測しやすいんじゃないかという点では、いいデータだと思います。
私としては、小平の公立昭和病院、天神町にありまして、清瀬小児から見れば真南ですけれども、この部分に負担がかかるのが、清瀬小児病院に行っているはずの人が、なくなったから全部昭和病院に来るという考え方ではないと思います。当然のことながら、小平寄りも含め、西東京市、練馬の人も入ってくるというお話を、予算委員会の中でさせていただきました。そうすると、急患の人はもうちょっとふえるんです。
ただ、考えてみたときに、小平の方から急患で行くということは、恐らく小平から見ると、清瀬小児病院は大して近くないんですね。つまり、昭和病院に行く方がまだ近いわけです。だけども、清瀬小児にわざわざ行くわけですから、清瀬小児にわざわざ行くということは、清瀬小児の方に(「構成市の犠牲の上に成り立っているんだよ、小平の」と呼ぶ者あり)そういうふうなご意見もあるんですよね。清瀬小児の方にわざわざ行くということは、公立昭和病院の方が満床だったりする場合とか、診られない病気だったりということもありますので、必ずしも当時のその数字三・五%が、公立昭和病院で無理してでも受け入れられるかというと、多分受け入れられなかったんじゃないかなというふうに僕は思っています。
この数字に関して、三・五%という全体から見れば小さな数字だったんですが、私の方で、きっと清瀬小児病院あたりは、この辺の数字を昭和病院の方にはもう話しているだろうと。話してもらえているのに、まだ行き違いがあったら、それはうまく伝わっていなくて昭和病院が怒るということもあるかもしれないなと思ったんです。当然のことながら、もう伝えてあるだろうと思って、二月の末に僕は清瀬小児病院の方にじかに行って、大変はきはきした事務局長さんが答えてくれたわけです。探してあげますよと。じゃ、後でファクスでいいですよといったわけです。そうしたら、翌週になって電話がかかってきて、済みません、その数字がまとまっているものがありませんでしたといわれたんですね。
あれっと思ったんです。でも、待てよ、それは清瀬小児病院の方も今はいろいろ大変だから、ちょっとデータなんかの整理をいろいろしているのかもしれない。一般的な話でないかもしれないと思ったんで、翌日に多摩南部地域病院に行って、多摩南部地域病院にもデータがありますか、同じような集計がありますかと聞いたら、その場でないといわれたんですね。つまり、そういう数字そのものについては、それそのものがイコール推測になるということはないわけですけれども、やっぱりそういう数字も含めていろいろ議論をするというのは大事なんじゃないかなと思ったんですが、なかなかすぐ出るところにないというのは、非常に疑問だなと思ったんですね。
ただ、いずれにせよ、それがあったとしても、やっぱりそれはお互いのご協力をいただく医師会、また病院の方に、ある程度は理解をされるということは、今回一つの病院が動いて、その後をいろんな地域の広範囲の医療機関にお願いをする上で、ある程度は必要なんじゃないか。その部分で、もちろん医師不足とか、これは病院経営本部に限らず、国の方の問題が非常に大きいわけですし、地域の民間の病院もそれは大変苦労しているわけですから、その部分は、私は、ある程度考えなきゃいけないと思うんです。
ただ、いろいろ聞いている中で、病院経営本部の対応、あり方についていろいろいわれてしまったから、私は実は困ったんです。私の中で最初からいおうと思ったんじゃないです。気にはなっていました。だけど、それはいおうと思ったんじゃないんですが、幾らいろいろ自分の中で、もちろん私の方の関係で探しているという中で、偶然病院経営本部となさぬ仲のところに直接連絡をしたというふうにいわれれば、そうかもしれませんが、ただ、確率的にそれというのは余りないかなと思っています。
というのは、幾つかに聞いてみて、今いったみたいな病院経営本部との関係の中で、あっ、僕の思い違いだったと思うような、ひっくり返してもらえるような事案が出てこなかったんです。そういうご意見がなかったんです。その上で、さっきいったデータの部分がすぐ出るような集積がされていなかったという点も、非常に大きかったんです。
こういったことを踏まえて考えてみると、もちろんいろんな事情はあるにせよ、やっぱり並行して周辺に対して理解を求めるという一つの舞台づくりというものについて、適当なものではないんじゃないかというふうに考えました。最後まで病院経営本部の方については、私の思い違いである場合をかなり想定していろいろ確認をしてきたんですが、その部分については、それをひっくり返すような事例が残念ながら出てこなかったというのが正直な話。これについていろいろご意見はあるかと思うんですよ。私個人の中で、限られた時間の中でいろいろ確認をした中でそうなってしまったというのは事実であります。ですから、これについては、私としてはやむを得なかったというふうに思っております。
そして、やはりこういった時期に、こういった条例改正の部分に出てくる。それはやはりそれなりのハレーションというものがあるだろう。これはもちろんいろんな事情があるにせよ、やはり地域の医療機関や地域の患者さんにご理解いただくのが当然ですから、地域の医療関係者の皆さんにご理解をいただくということ自身は、決して外していいものではないと思っていますし、その部分が確認ができないと、なかなか難しいのも正直なところではあります。
今回、質問の数を幾つか出していたんですが、私の方としましては、むしろそのことをお伝えしたかったので、ここで質問を終わらせていただきます。(及川経営企画部長発言を求む)質問はしていないんです。
○東野委員長 今の答弁ですか。
○及川経営企画部長 いえ、先ほどの答弁で説明が少し足りなかったものですから。
先ほど私の方から、さまざまな形での協議会等を通じてのご理解というお話をさせていただきました。その中の一つの方法として申し上げることを一点忘れてしまいましたので、追加して答弁させていただきたいと思います。
協議会では、四市五医師会での協議会、それの協議会が定例的に開かれておりますし、その中でも、さまざまなデータ類はできるだけオープンにして、できるだけというのは、ほぼフルオープンに近い形でやらせていただいて、地域の医師会の方、各病院の方にもご理解をいただいているところでございます。
その中で、先ほどから申し上げている平成十九年に東京都と清瀬市で出しました清瀬市の小児医療確保に関する検討会まとめ、これは多分先生の方もごらんいただいているのではないかというふうに思いますが、その中では、清瀬、東村山、東久留米、西東京、小平、こちらの入院、外来でのパーセンテージが出ておりますので、ぜひご理解いただきたいと存じます。
○野上委員 条例改正の提案で設置が予定されております小児総合医療センター等について、お伺いいたします。
私は、さきの厚生委員会においても質疑をさせていただきました。今回は、条例改正に反対していただきたいとのはがき、私のところにこれだけ来ております。いただいております。多くのはがきをいただいて、住民の皆様がいかに不安に思っているかを痛感いたしましたので、もう一度確認の意味で質疑をさせていただきたいと思っております。
確かに自分の住んでいる身近に小児病院があることは、心強く感じると思います。これは周産期医療でも確認をしたことなんですけれども、一つの産院で二人の医師がいて、不眠不休で分娩を取り扱っている。ところが、一人の先生がぐあいが悪くなると、必ずもう少しして、もう一人の先生もぐあいが悪くなって、結局、その産院が廃院になってしまうというケースがたくさんあるわけですね。
これからの医療というのは、とにかく多くの先生で、何人かの、例えば産科医なら産科医で六人ぐらいでチームを組んで、あらゆるリスクの高い分娩も取り扱う。そして、その中で六人いるから一人の先生は休みがとれる、休憩がとれる、そういうふうにしていかないと、病院そのものが、どんどんばたばたつぶれていったのではしようがないと思っているんですね。
今確かに皆様方の要望の、清瀬小児も残し、八王子小児も残し、梅ケ丘病院も残して、さらに小児総合医療センターもできれば、これは東京都は、最強の小児科医療の、すごい、すばらしいものであるということはいえると思うんですが、実はこの一番ネックとなっているのが医者なんですね。医者が、本当にたった一人の小児科医を探すんだって、どれほど苦労しているかわからない。
その原因はいろいろありますけれども、今小児科の先生も大分高齢化している。有名な先生が高齢化しているとか、あるいは若手が小児科をなかなか希望しない。診療が大変なのでなかなか希望してくれないとか、また女性医師が小児科医は非常に多いので、結婚まではいいんですけれども、出産と同時にどうしても離職してしまって、さらに小児科医が少なくなるとか、そういういろいろな事情で、小児科を担ってくれる先生が本当に今、全国でも少ないんです。東京でも少ないわけです。
そうなってくると、限られた医療資源をもとにして、それを最大限に有効活用するという、なかなかそれが難しいというのが今現状なんです。ですから、今回、この三つの病院を統廃合して、小児科のことなら何でもここに来てくださいよという小児総合医療センターを立ち上げるというような計画だと思っているんです。私はそう思っているんですけれども。
この小児総合医療センターが多摩総合医療センターと一体として整備されることによって、実現できる医療機能やメリットについて、総合周産期母子医療センターなどを取り上げて、今までずっと確認してまいりました。この小児総合医療センターについては、本会議や予算特別委員会において、重篤な小児救命救急患者に対応できるとか、小児専門のERができるといった説明もございました。
今回、清瀬小児病院と八王子小児病院という体を扱っている病院と、梅ケ丘病院という心の病院が統合されることによって実現をしていきます医療機能、メリットについて、特に心の医療を中心に確認をいたしたいと思います。
実は私はずっと教育相談をやっておりまして、ADHDとか、LDとか、自閉症の子どもたちにどう接していけばいいのかというノウハウを、梅ケ丘の病院の先生に、いろいろな研修を受けて随分教えていただいた経緯がございます。梅ケ丘病院というのは、子どもの心の疾患の専門病院として、自閉症などの発達障害や不登校を伴う心因性の精神障害など、さまざまな障害を持つ幼児期から思春期、二十を超えてまでもいろいろ対象として診療を行っております。小児精神の分野で全国有数の病院であります。このため、都内全域はもとより、周辺県からも患者さんが集まってこられているとお聞きしております。
最初に、現在梅ケ丘病院を利用する皆様の居住地別状況について、お伺いいたします。
○及川経営企画部長 平成二十年十月に実施をいたしましたワンデイ調査でございますけれども、これによりますと、入院では大田区、板橋区、練馬区が五・六%、次いで世田谷区が三・九%、二十三区全体で四七・八%、多摩の市町村で二九・二%、神奈川、埼玉などの都外で二三%となっております。
外来ですが、世田谷区が一一・八%、次いで練馬区が六・九%、二十三区全体で四五・八%、多摩の市町村で二九・二%、神奈川、埼玉などの都外で二五・〇%となっております。
○野上委員 もう少し世田谷の方が多いのかなと思っておりましたけれども、意外と少ないんですね。世田谷で三・九%。びっくりしたのは都外が多いですよね。東京外から、大体四分の一の方が、入院でも外来でも来られている。そういうことは、いかに今の梅ケ丘病院が近県を含めて広範囲の患者さんから利用されているのかがよくわかります。
来年度開設されますこの小児総合医療センターでは、こうした梅ケ丘病院の持つ機能を余すところなく引き継いでいただいて、心と体、両面からの医療が提供できることから、心の疾患を持つ子どもの体の合併症、あるいは慢性的な体の疾患を持つ子どもの心理的な問題への対応など、より高度専門的で広範囲な子どもの心の疾患に対応することを目指しているということをお聞きしております。
例えば児童虐待とかの相談が多いんですけれども、体の治療も大事なんですけれども、大事なのは心のケアをどうやって行っていくかということだと思うんです。それから、よく相談に来られるのは、思春期やせ症とかといって、食べては吐き食べては吐きを繰り返してしまう子どもたちに対しても、これも心と体、両面で支援をすることが大事だと思っております。
心と体、両面の疾患を治療できるという、このことを実現することができれば、この三つの小児病院を統合することは、さらに極めて大きな意義を持つのではないかと思っております。
そこでお伺いいたしますが、府中の多摩メディカル・キャンパスという、自然環境にも恵まれた地で小児総合医療センターを展開し、心と体の診療機能部門が一体となることによって、具体的にはどのような医療が提供できるのかをお伺いいたします。
○及川経営企画部長 小児総合医療センターは、お話にございますとおり、心と体を密接に関連づけました総合的な医療を提供することとしております。
その一例を挙げますと、ただいま理事からご指摘のあった大量に食べて嘔吐したり、極端なカロリー制限を行うといった、いわゆる過食症や拒食症といった摂食障害がございますが、こうした症状から胃や腸などの消化器の疾患を伴うことが多い。心と体の両面からも、こうした患者さんに対する治療を行う必要がございます。
また、虐待を受けたお子さんには、体の治療はもちろんのことですけれども、心のケアも行うということによって、心の発達に与える影響を最小限に抑えるといったこともできるようになります。
さらに、子どもの高度専門医療を扱う小児総合医療センターならではの新たな試みといたしまして、小児がん、がんなど、体の疾患を持つお子さんと、その家族の心の問題に対しまして、精神科医が積極的にかかわって解決していく、いわゆるコンサルテーションリエゾン医療というんですが、こういった医療の提供も考えておるところでございます。
こうした医療を多摩メディカル・キャンパスという武蔵野の面影が色濃く残る自然豊かな立地条件のもとで展開をいたしまして、また、周辺施設でございます神経病院や府中療育センターとも密接な連携を図ることによりまして、医療環境の一層の向上が図れるものというふうに考えております。
○野上委員 より機能がアップされるということでございますが、現在でもこの子どもの心の拠点的役割を果たしている病院が、ますますその重要性を高めることは間違いないと思います。このような心の分野を担う医師の専門性はとても高いものがあり、だからこそ、その医師の確保は容易ではないとお聞きいたします。
そこで、梅ケ丘病院が小児総合医療センターに移転統合されることで、医師の確保にどんなメリットがあるのか、お伺いいたします。
○及川経営企画部長 梅ケ丘病院は、日本最大規模の小児精神科の専門病院でございまして、開設以来、我が国の小児精神医療をリードし続けてきております。
小児総合医療センターは、この梅ケ丘病院の機能を引き継ぐため、当然そうした専門性を身につけたいと考えておる医師が集まる環境にございます。また、小児総合医療センターは、小児に関しまして、先ほど来お話ししているとおり、心から体に至る高度専門的な医療を提供する全国でも例を見ない病院でございまして、専門分野の異なる医師が集結をして、そうした点からも、小児医療を志す医師にとっては非常に魅力ある、さらなる魅力がある環境となります。
さらに、キャンパス内の各施設、あるいは隣接する多摩総合医療センターとの活発な交流ということも考えられますので、より一層のキャリアアップの機会も高めるというふうに考えております。
このため、小児総合医療センターに移転統合することは、専門性の高い小児精神科医を確保する上で、極めて大きなメリットがあるものというふうに考えております。
○野上委員 子どもの患者に対して心のケアを行うことは、本当に重要なことなんですね。小児総合医療センターでは、このことが日常的に可能となります。専門性の高い、志の高い医師も数多く集まる。そうした病院が東京都にできることは、子どもの患者にとっても、またその親御さんにとっても、大変心強いことだと思います。
一方で、今回の梅ケ丘病院を初めとする小児病院の移転統合に関しては、現在それぞれある場所で継続すればよいという意見もあります。清瀬小児病院と梅ケ丘病院は、耐震上の問題があると聞いております。また、耐震上問題のない八王子小児病院を含めて、設備の老朽化の問題もあり、今ある場所で効率的、効果的に医療機能を維持し、向上させることは困難です。単にハード面だけの問題ではないが、そうした現実というものも十分に踏まえる必要があると思っております。もし何かあったときに、大きな地震があって崩れてしまって、そこでということがあると、やっぱり問題があると思います。
そうした平成二十一年度に予定されている梅ケ丘病院の小児総合医療センターへの移転を前に、大塚病院に小児精神科外来棟を設備し、区部における小児精神医療の機能を確保するということです。このことについては、さきの予算特別委員会において、我が党の長橋議員が取り上げました。そして、本年十月一日が開設日であると中井本部長からもご答弁をいただいたところです。この小児総合医療センターの開設前に拡充される姿が確かなものとして示されたということになり、大変喜ばしいことだと思っております。
そこで、確認のためにお伺いいたしますが、大塚病院では、小児精神分野についてどのような医療を、どのような体制で展開するんでしょうか。
○及川経営企画部長 大塚病院の小児精神科では、外来診療を一日三十人、個別指導や小集団活動等を通じて社会性の向上を促すデイケアが、年間登録人員約五十人と見込んでおります。
医師につきましては、現在、梅ケ丘病院に所属する医師二名を配置していく予定でございます。そのほかに、看護師一名、心理士二名、作業療法士一名、福祉指導一名、保育士一名を配置することとしておりまして、医師と合わせて計八名のスタッフで外来診療とデイケアを担ってまいります。
○野上委員 コメディカルも含めて八名で、チーム大塚病院みたいな感じでやっていくということですね。
今回の大塚病院に新たにできる小児精神科外来は、入院施設を持たないですよね。現在の梅ケ丘病院と比べると、非常にコンパクトになっております。ただいま答えていただいたように、多くの専門職種の方々がチームとしてかかわっていただけるということがよくわかりました。
専門人材が少ない中で、この大塚病院の小児精神科外来が安定的に運営されるためには、継続して医師を初めとした人材の確保がなされる必要があります。小児総合医療センターともしっかり連携し、必要な人材を大塚病院でも確保していただきたいと思います。
また、入院が必要な場合もありますよね。そうしたときは、この小児総合医療センターとの連携で対応するとのお話ですが、そうした仕組みもきちんとつくり上げていただければと思っております。
ところで、八王子小児病院や清瀬小児病院については、小児総合医療センターに移転統合するに当たって、移転後の小児医療体制の確保について、地元市との協議を行っていると聞いております。
そこで、もう一方の梅ケ丘病院の移転に当たり、地元世田谷区とはどのような協議をしているのか、お伺いいたします。
○及川経営企画部長 地元の世田谷区の担当部局とは、これまで適宜情報交換に努めてまいりました。
世田谷区では、昨年の区議会第三回定例会で、梅ケ丘病院移転後の跡地を活用して、世田谷区の保健、医療、福祉サービスを展開する拠点とするための調査研究の費用を、補正予算として計上したというふうに聞いております。
今後とも、地元の意向に十分配慮しながら、密接に連携してまいります。
○野上委員 最後ですが、大塚病院の小児精神科外来の開設日である十月一日までは、約半年でございます。小児総合医療センターの開設までは、あと一年を切りました。それぞれ円滑に開設できるよう、しっかりと準備に取り組まなければなりません。残された期間は少ないですけれども、着実な取り組みを要望して、私の質疑を終わります。
以上です。
○かち委員 私からも、第六十一号議案、東京都立病院条例の一部を改正する条例についてと、請願一〇二号、都立梅ヶ丘病院と清瀬・八王子小児病院存続と小児精神医療・小児医療充実に関する請願、一〇三号、都立梅ヶ丘病院の府中への統廃合に関する請願、一〇五号、都立清瀬小児病院の廃止に反対し、多摩の小児医療の拡充に関する請願、第三号、三月の都立八王子小児病院を廃止する条例に反対し存続を求めることに関する請願とあわせて、質問をいたします。
この四つの請願には、五万六千二百三十二筆の署名が添えられています。今、野上理事からも紹介がありました。私のところにも届いておりますが、百五十通を超える三病院廃止反対を求める要請はがきが届いています。都議団控室には八十通を超える同様のファクスが届いています。都庁わきには連日の座り込みが続いています。このような高まる都民の批判の中でこの条例が提案されました。私は、かけがえのない都立小児病院の廃止に反対する立場で質問します。
都立八王子、清瀬、梅ケ丘病院は、いずれもすぐれて高度な小児医療を提供してきた病院であるとともに、もともと多摩地域においては小児医療が不足している中で、また、多摩格差のある中で、地域の小児医療に大きく貢献しているかけがえのない病院だという認識を、病院経営本部は持っているのでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 清瀬小児病院、八王子小児病院は、小児専門病院としまして、他の病院では対応が困難な新生児の医療、心臓血管外科医療、また各種の専門医療に取り組むとともに、小児救急を初めとした地域の小児医療に役割を果たしてきました。また、梅ケ丘病院は、小児精神科医療の数少ない専門病院としての役割を果たしてまいりました。
しかしながら、各病院とも施設の老朽化が進んでおりまして、現施設において今後とも良質な医療を提供し続けることは困難な状況になっております。また、現行の清瀬小児病院や八王子小児病院では産科がないため、母体搬送ができないなど、医療ニーズに対応できていないという状況にございます。さらに、現行の小児病院では、脳神経外科がないなど診療科が限られていることから、頭部への外傷といった医療に対応ができないという問題がございました。
こうした状況の中で、限られた医療資源を最大限に有効活用しまして、小児に対する医療サービスの向上を目指していくため、清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院を統合しまして、小児総合医療センターとして整備することによりまして、都における小児医療の拠点として、地域の方々に最大限の医療サービスを提供していくものでございます。
○かち委員 建物は年月が来れば必ず老朽化します。そういうものは計画的に建てかえていくというのは、当たり前の行政の責任だと思うんですね。このいろいろな経過の中で、八王子小児についても一たんは建てかえるという計画もあったわけですけれども、そういうものが今度のマスタープラン等の中で大きく方向転換してしまったというのが、今日の事態だと思います。
そして、先ほど来、医師不足、医師不足というふうにいわれてきておりますけれども、ついこの間、オリンピック立候補ファイル、これはその一部ですけれども、ここに何と書いてあるか。予算特別委員会でも紹介しましたけれども、ここには東京における医療サービスというテーマで、東京には約六百六十の病院と約二万三千の診療所があり、病床数は十三万六千を超えている。東京都みずからも、現在十一の都立病院を運営しており、患者中心の医療の実現など質の高い医療サービスを都民に提供していると書かれています。また、医師が約三万六千人、歯科医師が約一万五千人おり、すぐれた人材が豊富にそろっている、東京には医療体制や医療スタッフなどすべての面において、世界的にも高水準の医療提供体制が整っているというふうに東京都が書いているんです。
同じ東京都の見解でありながら、相反することをいっているという点では、どちらかがうそをいっているということではないでしょうか。いかがでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医師の数につきまして、データを参考に答弁させていただきますと、都内で医療施設に従事しております全体の医師数は、平成十八年のデータによりますと十万人当たり二百六十五・五人でございまして、これを全国の平均の二百六・三人と比較しますと、大きく上回っている状況にございます。また、医師総数については、平成十八年は、昭和六十三年と比較すると八千人以上増加しております。
このように、東京の医療は世界的に胸を張れるものでありまして、立候補ファイルはこの趣旨を述べたものでございます。
しかしながら、小児科医師について申し上げますと、少子化の進行や出産件数の影響などによりまして減少傾向にありまして、昭和六十三年と平成十八年のデータを比較しますと、四千五百六十七人から三千八百五人まで小児科医師が減少しております。また、産科医師につきましても、千八百十三人から千四百十一人まで減少しているという現状がございます。
○かち委員 小児科医や産科医が不足しているということをおっしゃいましたけれども、医師全般の中にはそれらも入っているわけですからね。それだけは別ですよというのでは、このファイルの中では見えないわけですよ。そういう意味で、東京都において医師不足というのは、やはり東京都が、医師の待遇改善など取り組みが非常におくれてきたその要因が大きいということをいわざるを得ません。
東京都は、九七年の都立病産院小児医療検討会最終報告では、多摩中央部に重装備の小児医療センターを整備するのが望ましいが、それだけでは十分ではなく、手の届かない地域医療について、八王子と清瀬を分院として位置づけるなどの配慮が必要だと明記されています。また、梅ケ丘病院については、小児精神医療の特性やますます高度専門化する医療の動向を踏まえ、良好な治療環境や的確な治療体制を確保するために、成人を対象とする精神病院や小児病院とは、組織的にも、物理的にも独立していることが望ましいと明記されています。
それらをことごとく覆してしまったのがこの統廃合計画、マスタープランだったわけです。このマスタープランに基づいて、今回の都立三小児病院の統廃合は、とどのつまり、財政支出の縮減に最大の眼目があったということではありませんか。
しかし、事はそう簡単には進んでいないようです。多摩地域でも、新医療センターから遠く、最も二次救急の受け入れ数の多い八王子病院のある八王子市とは、八王子地域における小児医療に関する協議会を続けてきました。これまで一回目のまとめは、両者とも譲らず、八王子は現地存続をということで、東京都は統廃合ということで交わらないまま、両論併記で報告がまとめて出されました。
二回目の報告が昨年九月に出されておりますけれども、結局、廃止するなら、少なくとも八王子を含む二次医療圏でのNICUや小児救急医療のこれまでの医療水準を維持できる保障が必要だということが、市側から強い要望が出されていたわけですけれども、これにどうこたえるつもりなのでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 NICUや小児救急医療についてでございますが、東京都保健医療計画によりますと、東京都全体を一つの医療圏として、NICUを整備することとしております。
小児総合医療センターでは、多摩総合医療センターと一体的に、都内で最大規模となります総合周産期母子医療センターを運営することによりまして、清瀬小児病院、八王子小児病院合わせた十五床を上回る二十四床のNICUを整備するとともに、九床のM-FICU、これは妊娠しているお母さんから新生児の赤ちゃんまでを一貫してケアすることができる設備でございますが、この総合周産期センターを整備することとしております。このことによりまして、母体搬送の受け入れが可能となります。また、ドクターカーを二台体制で運営していまいります。
こうしたことによりまして、多摩地域の周産期医療の水準は格段に向上していくというふうに考えております。
また、小児救急医療につきましては、市内の医療機関がそれぞれの役割分担のもとで、適切に対応していくことで、地元八王子市と協議を進めております。
初期救急につきましては、市が八王子小児病院移転後の跡地に、小児準夜救急診療事業を移転整備し、初期、二次救急医療の振り分けを行うこととしております。
二次救急につきましては、中核病院が担いまして、中核病院の小児病床拡充に必要な施設整備等の支援を、市と都で検討していくこととしております。
また、三次救急についてでございますが、小児総合医療センターにおきましては、日本で最初の小児専門のER、ここに国内でも数少ない小児救急専門医を配置することによりまして、小児専門のICUを十床設置することで、高度で専門的な小児三次救急にも対応してまいります。
また、多摩総合医療センターの救命救急センターと連携することによりまして、多発外傷など重篤な外傷にも対応してまいります。
こうしたことによりまして、地域の小児救急医療の水準も向上していくというふうに考えております。
○かち委員 市の要望などをどう受けとめているかということを簡潔にお聞きしたかったんですけれども、やっていることはいろいろといわれましたけれども、協議会が、これ、十二回ぐらいにわたって重ねてやっていらっしゃったわけですよね。その協議会のまとめの出る最後のページのところで、市の副市長さんが発言されていることがとても私は印象的だったんです。何といっているかといいますと、今まで協議してきたのは、小児病院が市内から移転するが、東京都は八王子地域の小児医療の水準が低下しないようにいろいろな手だてをするので、予定どおり移転させてくれということが、検討会まとめの後書きに書いてあるからです。そのための方策として、何が必要なのかということをいろいろお願いしている。それについて既存の補助制度を活用するのは当然であるが、既存の補助制度がないから、この協議の材料としては難しいと、都のスタンスは、市としては受け入れがたい。もう一度検討会まとめの後書きのスタンスに戻り、都の努力の起点に立ってほしいと、こういうふうにいっているんですね。
東京都としては、いろいろ協議をして、一次、二次は市が努力して確保するんだ、だから、都は三次医療をやるんだといっていますけれども、実際それでは事足りないから、市は、市の中でどうやって確保するかというのを、東京都ももっと積極的に協力してほしいんだといっているんですけれども、なかなかその思いが伝わらないという温度差を私は強く感じました。
そして、NICUだって、それだけでは不十分だから、八王子の中核病院に将来NICUの確保を市として求めたい。その際には、都としての支援をするという合意をしたわけです。また、二次救急についても、中核病院の今のベッド数では足りないから、東海大病院と東京医大医療センター、両病院に六床ずつの増床をお願いするということは、この協議会記録の中で、かなり詰めた打ち合わせがやられていたというのを読めば、明らかになってきているわけです。
ところが、実際どうかといいますと、私たち都議団としては両病院を訪ねて伺いました。東海大八王子病院では、NICUをいつになったらできるという話はできない、また、八王子にNICUをつくってほしいといわれても、医師が足りないとのことだったんです。東京医大八王子医療センターでも、NICUを開設するという具体的なめどはないといわれたんです。八王子の中核病院は、いずれもNICUの具体的なめどがないんです。
さらに、六床増床問題では、東海大病院では、小児病床をふやすことは考えていない。今ある病床の中で、他の診療科の大人用のベッドを小児科に回すしかないといわれました。医療センターで伺ったところ、ここでは新病棟建設計画があったんですね。二十一年度に計画を立てて、二十三年度に完成する。その際に、市から要請を受けていた六床増床の可能性がある。小児診療スペースもふやしたい、こういう思いがあったわけですけれども、法人理事会で、今の医療環境のもとではそれは無理だということで否決されてしまったということを私は聞いてきました。こういう状況になっているわけです。
これは明らかに廃止統合の前提条件であった八王子にNICUの確保とベッド増床のめどが立たなくなったのですから、八王子小児病院を廃止することはできないということではないでしょうか。それでも強行するんですか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 八王子小児病院移転後の八王子市における小児医療についてでございますが、まず、将来的な対応としまして、中核病院にNICUを整備することにつきまして、市と中核病院が精力的に協議をしております。私どもも、八王子市などとの会議、協議会を通じまして、このことについては把握しておりますし、連携して進めているところでございます。
NICUにつきましては、先ほどもお答えいたしましたが、東京都全体を一つの医療圏として対応するものでございます。このことから、小児総合医療センターでは、多摩総合医療センターと一体的に総合周産期母子医療センターを運営しまして、清瀬小児病院、八王子小児病院の十五床を上回る二十四床のNICUを整備するとともに、九床のM-FICUを整備し、多摩地域の周産期医療の水準を格段に向上していくということにつきましては、先ほどもご答弁させていただいたとおりでございます。
小児科病床の拡充につきましても、八王子市が二つの中核病院に要請しまして、検討を行っている経過につきましては、市を初めとする関係者との協議により、この協議会には私どもも参加させていただいております。この協議会のまとめ、数多くの協議を重ねてまいりました。この協議の過程の中ではさまざまな意見がございました。しかしながら、この八王子市と東京都とそれからこの中核病院とが相互に協力し合って、この八王子市における小児医療を確保していこうという最終的な考え方について合意したものでございまして、この合意事項を何とか実現するということで、私どもは精力的にこれまでも取り組んでまいりましたし、今後とも取り組んでいくものでございます。
○かち委員 そういう取り組みをやっているんだ、やるんだというこの協議会の記録を私たちも読んで、だから、実際どうだろうかということで、その二つの中核病院へ実際に行って確認をしてきたところ、NICUは全くめどが立たない、医師が足りない、やっぱり分散はできないんだということをいっていたんです。
六床計画については、医療センターでは、新病棟建設計画はなくなったということは、もう六床増床はできないということを私は聞いてきているんですよ。だから、幾ら精力的に頑張ります、やりますといったって、相手がやらないといっていれば、それはできないことではありませんか。もうちょっと情報は、もっと新しいもので答えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
○及川経営企画部長 私も、足かけ四年、この協議会で検討してきて、生の市の担当者の意見、それから助役から副市長に変わられましたけれども、そうした意見を実際お聞きしております。確かに移転計画が出た当初、市の方では、何とか残せないかという議論が主体でございましたが、その後、やはりさまざまな医療環境の変化もございますし、協議を重ねていく経過の中で、最終的にそれではこういう方向で行こうということで、二十年九月にまとめたのが、この小児医療体制でございます。
その中で、今問題とされているNICUについては、東京都が高度医療として多摩全域あるいは東京都全域を担うという、東京都の基本的役割としてそれはそれで担っていこう。ただし、読んでいただけばわかりますが、将来的にという表現が入っております。将来的にNICUはこの東海大八王子、あるいは東京医大八王子で検討していくような素材としては残しておこう。ただ、事実上は、先ほどから何度も申し上げているとおり、多摩の方で数をふやしますから、こちらの方でカバーできる。しかも、ドクターカーを一台増強することによって、搬送についても、これまで以上に頻繁に使用ができるような状況にしようということでございます。
それから、二次医療のベッドの問題がありました。これも、数の上で幾つか足りない、六床とか七床とか足りないというものについても、これは二次医療機関である東海大と東京医大で何とか担っていただこうということで、これは市が中心になって大学と協議を進めてきております。
我々も必要に応じてそこに加わろうということで、いろいろと話し合いはしてまいりましたけれども、今現在は病院としてできること、例えば医療の技術的な側面で何とか交流を図れないかということで、医療人材の派遣ということで、とりあえず当面東海大の方に医師を派遣しておりますけれども、この病床については、市が当然ふやすべく、東京都がその中で補助金等を何らかの形で支援をしていくという形で、このまとめに書いてございますので、決して全くできないとか、そういうめどがないとかということではなくて、こういう方向で努力していきましょうということで、このまとめができているということでございます。
○かち委員 だから、決してやれないことではないとおっしゃっても、具体的なんですよ。市は必死です。NICUが向こうへ行ってしまう。遠過ぎる。何とか市で確保できないかということで、将来という言葉はついていますけれども、将来でも何とかならないかということで、二つの病院に一生懸命かけ合っているけれども、当面のめどはないですよといわれているし、その六床増床についてだって、計画そのものがなくなっちゃっているんですといわれたら、それ以上どこにふやすかという問題なんですよ。
それは市の仕事ですって、それはないと思うんですよね。だって、東京都が八王子小児病院を移転させるから、その穴をどう埋めるかというので市は必死になっているのに、それは市の仕事でしょうっていう、そういう立場では、私は、この地域医療を守ることはできないと思います。
何が何でも廃止統合先にありきという姿勢が、今明らかになっているんですけれども、清瀬についてだってそうですよ。清瀬小児病院廃止後の対応について、小児初期救急を週三日から五日にふやすとか、多摩北部医療センターで医師をふやすといいますが、平成十九年二月に、先ほどいわれていましたけれども、清瀬市の小児医療確保に関する検討会のまとめにどう書いてあるか。小児初期救急は、平成二十年度には多摩北部医療センターで五日実施すると書いてあります。二次救急医療については、二次救急医療体制の確保は大変厳しい状況にあると認めた上で、移転一年前、平成二十年度の業務繁忙期である冬期には、多摩北部医療センター単独で地域の小児医療に対応できる体制を確保していくと書いてありますよね。小児初期救急も二次救急も、清瀬市との約束が守れず、二十年度末の現時点では未実施で、半年もずれ込んでいるではありませんか。
ところが、約束は守れず実施がおくれているのに、廃止だけは一年も前倒しで決めてしまうというこの話は、成り立たないのではないでしょうか。だからこそ地域の皆さんに不安が広がっているのは当然です。
大体多摩北部医療センターの現状はどうでしょう。尋常ではない医師不足がずっと続いているではありませんか。ほかの都立病院、公社病院と比べても、一番深刻なんです。現在、常勤医師の欠員があるのは、呼吸器、泌尿器科、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、皮膚科、婦人科、これだけの診療科で医師が不足しています。看護師不足も深刻で、小児病棟を四十床整備の工事をしていますが、その一方で、三百二十八床のうち、第三西病棟四十一床が閉鎖されたままになっているんです。これでは病院本体の行く末が危惧されます。
医師不足や厳しい医療環境だからこそ、NICUや小児医療のような不採算の行政医療は都立病院が担うべきなのです。民間病院頼みこそ現実的ではない話です。しかも、都立病院は機能集約だといって地域から撤退しておきながら、民間病院に地域のために機能を分散してほしいというのも、虫のいい話です。
多摩地域の医療を充実するといいながら、休日・全夜間の二次救急についても、八王子・清瀬小児病院が廃止されることによって、南多摩医療圏でも北多摩北部医療圏でも、実施医療機関が半減することになるんです。こんなに地域医療に打撃を与えてでも、廃止統合する意味があるのでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 地域の住民の皆さんが安心して医療を受けられる体制を構築するためには、初期、二次、三次の医療機関が、それぞれの機能に応じた役割分担のもとに連携を強化し、限りある医療資源を有効に活用していくことが重要であるというふうに考えております。
都立病院は、都全域あるいは複数の二次保健医療圏を対象としまして、高水準で専門性の高い総合診療チームに支えられた行政的医療を、適正に都民に提供することを基本的役割としております。
このため、たびたび答弁させていただいておりますが、多摩地域で特にニーズが高い周産期医療や小児救急医療に対応するために、小児総合医療センターを開設することによりまして、限られた医療人材を有効に活用し、例えば先ほどの説明させていただきました都内最大の総合周産期母子医療センターですとか、日本で初めての小児専門のERの開設、また、小児専門のICUを設置しまして、多摩地域の方々に、これまでよりはるかに充実した小児医療サービスを提供していくということを考えております。
これに加えまして、これまでもご説明させていただいておりますが、都立小児病院が移転する地域の小児医療の体制の確保に対しまして、地域の特性を踏まえて、できる限りの支援策を講じてきているところでございます。具体的には、先ほどお話がございました多摩北部医療センター小児科の充実、また八王子市の中核病院への医師の派遣を中心とした支援等々について、積極的に取り組んでいるものでございまして、繰り返しになりますが、多摩地域の方々に、これまでよりはるかに充実した小児医療サービスを提供していくというふうに考えております。
○かち委員 とりわけ小児医療というのは、一分一秒が命に直結するという、よくいわれている問題です。だから、遠くにどんなに立派な病院があっても、そこに行くのに時間がかかったり、遠かったりすることが、命を落とすことにもなるわけです。だから、身近なところに地域医療も高度医療も提供してきた八王子や清瀬のような病院がどんなに大事かということは、私も繰り返しいっているんですけれども、同じ答弁しか返ってこないわけです。
都は、新しく医療センターができた場合に、中核病院などに専門医師を派遣して、移転後の地域医療を支援するとしていますけれども、東海大八王子病院、東京医大八王子医療センター、多摩北部医療センターにどういう専門医をどういう形で派遣するのか、そのために必要な医師は何人要るのか、その辺をお聞きします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 東海大八王子病院、また東京医大八王子医療センター、さらには多摩北部医療センター、この病院に対する医師の派遣につきましては、診療体制、診療内容等について具体的、専門的な調整を行う必要がございます。現在、こうした点につきまして、これらの二つの中核病院と八王子小児病院の医療関係者の間で協議を行っているところでございます。協議の最中でございますので、人数は確定しておりませんが、都としては、受け入れ病院の条件が整い次第、速やかに派遣する予定でございます。
なお、東海大八王子病院には、先行しまして、昨年十二月から小児神経の専門医を派遣しているところでございます。
また、多摩北部医療センターにつきましては、二次、三次の連携づくりとして、清瀬小児病院よりチームで複数の医師を派遣していく予定でございまして、多摩北部医療センターの常勤医師、これが一時期は一名ということで大変少なかったんですが、多摩北部医療センター、保健医療公社、東京都病院経営本部、医師の確保に努め、現在五名の確保、医師五名の体制が確保できるめどが立ってまいりまして、こうしたことから、それぞれの中核病院の充実を図っていくというものでございます。
○かち委員 東海大八王子病院とか東京医大八王子医療センター、大学病院という名前はついているんですけれども、実際に小児科は非常に小さくて、二次救急も今は偶数日、奇数日と交代交代でしかやっていないわけですね。八王子病院が請け負っていたこれまでのかなりの高度な医療を要する患者さんへの対応、それは後を診てくれといわれても、なかなか難しいんだ、だから専門医をきちんと派遣してほしい。そういうやりとりがこの協議会の中でもあったと思います。送るからという話で、市も入って、病院も入って、都も入ってそういう話をしていたと思うんですが、しかし、実際に、じゃ、どういう形で、何人、どういうふうに送るんだということになると、なかなか多くの課題があるなというふうに、私も聞いてきたりして思っています。
また新病院を開設しながら、あっちへこっちへと医師を派遣する余裕が実際あるのかという問題もありますし、それから、受け入れ側としての思い、送り出す側の条件、それもさまざまです。実際私が伺った東京医大医療センターでも、それぞれの病院での電子カルテの仕組み、システムも違うし、そういうものにすぐなれてもらえるのかとか、事故があった場合の責任はどうなるのかなどなど、まだまだ課題は山積のようです。大体病院側の思いと、市と都の考え方がまだ煮詰まっていないという状況だと思います。専門医を派遣するから大丈夫といわれても、そこには何も確証がありません。
小児医療センターは、開設時どれくらいの規模でスタートして、フルオープンはいつごろの予定なんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 平成二十二年三月に開設を予定しております小児総合医療センターにつきましては、円滑かつ安全に開設し、必要な医療機能を提供できるように、着実に準備を進めているところでございます。
具体的には、入院患者の搬送、医療機器の移設、設置等における安全面に十分配慮するとともに、医療スタッフの新病院業務への習熟、院内での業務ルールの取り決めと職員への徹底、医療機器や新電子カルテシステムの安全稼働などの確認を行いつつ、フルオープンに向けた取り組みを進めているところでございます。
○かち委員 大体フルオープンというのは、どういう段階でふやしていくかという、そういう計画もないんですか。普通、新しい病院をつくるんだったら、いつまでに二分の一、四分の三とか、だんだんふやしていくという計画をつくるでしょう。これは計画がないんですか。まあ、医師の集まり次第、そこそこで考えていきましょうということなんですか。計画はどうなんですか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターにおきましては、先ほど来から何回かご説明させていただきますが、これまで清瀬小児病院ですとか八王子小児病院では、診療として扱ってこなかった例えば脳神経外科ですとか、三次の外傷系の救急医療とか、こういった高度専門的な医療についても取り組んでいくということを目的としています。
しかしながら、こういった高度な小児医療を専門としているような医師、ドクターの方というのは、日本でも大変少ないということでございまして、小児科医師の不足というだけではなく、この専門医師の不足というのも現実としてあります。
しかしながら、清瀬小児病院、八王子小児病院の現場の医師、また病院経営本部が一丸となって医師の確保に努めるなど、この小児総合医療センターをよりすばらしい病院にするために、現在努力をしているところでございまして、また、やはりオープンする以上、医療安全の重要性というのはございますので、こういったことにも万全を期すために、着実に準備を進めているところでございまして、こうした中でスケジュールですとか段階について明らかにしていきたいというふうに考えております。
○かち委員 今の段階では、全くめどが立っていないということですよね。確かにこの高度三次医療だ、ERだ、いろんなことをそこに盛りだくさんのすばらしい病院ができるようですけれども、ハードはできたけれども、中身が埋まらないという状況が私はすごく懸念をされます。
そして、この病院が開設をしていく過程で、どういうことが起きるのだろうかと想像するわけですけれども、私は荏原病院のふもとに住んでおりまして、荏原病院が改築をしたときの経過も知っているんですけれども、あの病院がフルオープンするのには三、四年かかっていますよね。最初からではなくて、だんだんにふやしていくという状況があります。これは荏原病院よりもさらに大きなベッド数を持っていますから、高度な医療ですし、新しい人が集まってくるわけですから、相当時間はかかるんじゃないかというふうに思います。
そして、開設が三月ということですので、新規採用も受け入れる前ですよね。現実的には、最初に病院のスタッフがそこに行かなければ、病院を動かすことができない。その前には、今の既存の病院のスタッフは引き揚げていなきゃいけないということだから、二月末までちゃんと既存の病院が開いているのかなということも危惧するわけですけれども、いずれにしてもそちらへ移る。だから、そちらへ移るまでには、今の既存の入院患者さんや外来患者さんはできるだけ少なくしておかないと、そのリアクションというか、すごく大変なわけですよ。だから、徐々に徐々に今減らしてきているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、実際八王子の小児科診療所では、廃止になるからということで、新しい患者さんが診療所に回されてきた、こういうことが現実に起きているわけです。
そういうことを思いますと、廃止統合ということで、かなりの期間、当該地域の小児医療の縮小期間を余儀なくされるのではないか、そういう危惧があるんですけれども、いかがでしょうか。
○中井病院経営本部長 今かち副委員長から、移転統合、そして小児総合医療センターの開設に当たって、人的な面での懸念が表明されましたが、確かに医療人材が不足する中で、この新たな大規模な、高度な医療機能を提供する病院をつくる、そのために相当数の医療人材が必要ということは、そのとおりであります。そのために、この三小児病院の現有の医療スタッフに多摩メディカル・キャンパスに集まってもらって、さらにそこに、それだけでは足りませんので、新規採用を精力的に、今いろいろな方策を講じながらやっているということなわけでございます。
当然移転がございますので、これはもうこれまでの都立病院もそうでしたし、一般にどこの病院でも建てかえをするとき、移転をするとき、規模を縮小する、あるいは診療行為を停止するということが行われるわけです。それは入院患者さんを初め、医療の安全に万全を期すという面では、医療機能の縮小は当然しなければならないことであります。ですからそういったことは、これから協力をいただく関係医療機関それから地元市、そういった関係者にご説明をし、協議をし、全体の協力を得ながらやっていくということであります。
そういうことでありますので、要は、いろいろなご意見のあるこの小児総合病院をつくるに当たっての移転統合、これについての条例案を今回提案をさせていただいて、ここで議会の可決をいただいて、晴れて前提が確定した中で、関係機関に説明をさせていただこうということで、今取り組ませていただいているわけでございます。
そういう意味で、中身が不確定ではないか、内容が決まっていないではないかということは、全くそういうことは事実に反することでありまして、我々としては、もう具体的に相当詰まった検討をしているわけでございますけれども、今まだここで、こういうことでございますよというお話をできる段階ではないだろう、条例案を可決いただいた後に、またさらに最後の詰めをして、ご説明をさせていただくべきことだというふうに考えているわけでございます。
また、先ほどNICUの話もございましたが、これも何度もお話し申し上げていることでございますけれども、要は、現在、清瀬小児病院と八王子小児病院に合わせて十五床あるわけでございますが、これが二十四床になるということでありまして、しかも、それが今までは母体搬送が受け入れられなかった、新生児のクベースといって新生児用のベッドはあるわけでございますけれども、要は、お母さんはほかのところでお子さんを出産されて、それを搬送してこなきゃいけないという、非常に窮屈なといいますか、不十分なNICUの機能の仕方であったわけでございます。それが母体搬送ができる。ですから、数の面でも、機能の面でも、飛躍的に改善するわけでございますね。まず、そこが、来年三月にはそうなるということであります。ですから、今よりも、今の八王子に九床、清瀬に六床あることよりも、ずっとよくなるわけです。
さらに、確かに八王子市としては、NICUを将来、中核病院に協力いただいて、設置したいという意向が当然それはあるわけでございます。ですから、それは確かにそういった方向を目指すことについては、我々も支援をしていきましょうということになるわけでございますが、二十二年三月をもってそれができていなければいけないということでは、八王子市もそういうふうに考えているわけではないわけでありますので、そこは誤解のないようにひとつお願いをしたいと思います。
○かち委員 本部長からのご答弁をいただいたわけですけれども、私は、周産期M-FICUができることを否定しているものではないんです。母体搬送ができるということは、それは必要なことなんです。あれ、小児病棟ではなくて、成人の方に置くということになったんじゃないかなとは思うんですけれども、それはふえることはいいし、少しでもふやすということはいいんですけれども、今九床ふえるから、こっちとこっちを減らしてもいいということにもならないと思うんですよね。だって、多摩地域では全体が圧倒的に不足しているんですから。こっちにもできてもいいけど、こっちもこっちもつぶす必要はないじゃないかというのを私はいっているわけです。
そういうことと、それからとにかく私たちの構想を八王子や地域の病院にわかってもらって、それを分散、担ってもらうんだという説明をしているんだとおっしゃいましたけれども、その方々だって、めどがつかずに、東京都がすばらしい病院をつくるんだからとにかく協力しようというふうには、なかなかならないんじゃないかと思うんですね。自分たちだって精いっぱいの中でやっているわけですよ。その上にこのあふれる患者さんをどうやって対応したらいいかという問題は出てくるわけですから、そういう意味では、一定のめどを持ってやっぱり説明するというのが、当然の仕事じゃないんですか。(発言する者あり)
○東野委員長 静かに。
○中井病院経営本部長 重ねて、NICUの清瀬と八王子での存続をというお話でしたが、先ほど申し上げたとおり、要は、小児総合医療センター、そして多摩総合医療センター、これを開設することによって、二十四床のNICU、そして、M-FICUが稼働できるわけでありますが、その要員は、先ほどかち副委員長もご懸念になっていたとおり、非常に人材不足の中でこれをやっていくということで、当然清瀬、八王子のNICUを担当している職員を府中に移していくわけですね。その上に、それだけじゃ足りないから、さらに今人材確保に懸命に努力しているわけであって、要は、清瀬、八王子を存続させて、そこに人を残していたら、全く府中のNICU二十四床は動かないわけです。そのことを、まず現実の問題としてご理解をいただきたいというふうに思います。
○かち委員 だから二十四床が適当なのかどうかということも含めて、こっちに九床、六床あって、その同じ九床をふやすんだったら、そこに小児総合医療センターの方の二十四床が本当に適切なのかどうかということも含めて検討すればいいことだというふうに思います。いずれにしても、多摩地域の小児医療に大きな影響をもたらすということは、紛れもない事実だと思います。
小児総合医療センターには、医師、看護師を何人確保する予定なのか。また、三次救急クラスを目指すのであれば、先ほども看護師対策の問題が出ましたけれども、当然七対一看護基準を目指すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターには、先ほど来からご説明申し上げておりますが、周産期医療、小児救急医療、また小児臓器移植医療など、高度専門医療を提供していくことを予定としております。
こうした高度で専門的な医療を行うためには、手厚い人員配置が必要でありますことから、先ほど本部長も答弁させていただきましたが、小児三病院の現有人数では不十分でございまして、新たな人材の採用が必要と考えております。具体的な人数につきましては、今後、小児総合医療センターの院内体制の詳細を固める中で、関係局とも協議の上、詰めていきたいというふうに考えております。
また、ご質問がありました七対一看護基準につきましては、先ほども答弁させていただきましたが、条件が整った都立病院から順次導入していくこととしておりまして、小児総合医療センターにつきましても、条件が整い次第導入してまいります。
○かち委員 人員体制については明確に答えられないという点では、何か先が見えない感じがするんですけれども、次に行きます。
梅ケ丘病院の特徴は、すぐれた医療に相乗効果をもたらしてきたのが、長年にわたって培ってきた周辺住民とのコミュニティ形成であり、ゆったりとした二階建ての落ちついた建物構造の環境です。新小児総合医療センターは、ERから三次救急までを一手に集中させた高層の集合医療環境であり、梅ケ丘病院の対象になる子どもたちにとっては、到底ふさわしいとはいえない療養環境だと思いますけれども、ご見解はいかがでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医療の環境についてでございますが、小児総合医療センターにおきましても、患者さんが安心して治療を受けられるように、現在の府中キャンパス、多摩メディカル・キャンパス、この国分寺崖線と呼ばれる非常に恵まれた自然環境との調和を図りながら、緑のいやしの空間である庭園の設置ですとか、病院内へアメニティーの配慮を行っておりまして、患者さんにとって好ましい医療環境として整備しているところでございます。
さらに、周辺住民の方々とのコミュニティ形成につきましても、府中キャンパス地域連絡会等の機会を利用しまして意見交換を行っているところでございまして、その醸成を図っているところでございます。
また、医療面では、多摩総合医療センターや同じキャンパス内にあります神経病院、府中療育センターなど、このキャンパス内の各施設との密接な連携を図ることによりまして、小児期に発症し、成人になっても診療が必要な患者さん、いわゆるキャリーオーバー医療に対応していくなど、多摩メディカル・キャンパスのメリットを生かした運営、それから環境整備を行っていくというものでございます。
○かち委員 自然環境のことではなくて、府中病院は、これまでにも全国一、救急車の搬送が多い病院だったわけです。それがまた新しく高層になって、ベッド数が小児科の方が五百六十一床、成人の方が七百五十床、千三百床というすごい大きな病院になるわけですね。外来が、成人で千五百人、小児が七百五十人、こういう総合医療センター、メディカル・キャンパスになるという環境の中で、ERから三次救急まで受け入れる病院が合体するわけですから、相当な喧騒の環境になることが予想されるわけです。さきにも紹介しましたけれども、精神科の子どもたちには、精神科病院や小児病院とは、組織的にも物理的にも独立することが本来必要なのです。そのことが精神科の子どもたちにとってふさわしくない環境だと私はいっているんです。
今日、発達障害や自閉症など、新たな精神科障害を有する小児、児童が急増している中で、梅ケ丘の医療は全国的にもまれな小児精神科専門病院であり、全国からの期待も大きいわけです。この病院を拡充することこそ、全国、世界に誇る医療を提供することになると思いますけれども、そこを推進しようとは思わないのでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターは、小児に関し、心から体に至る高度専門的な医療を提供していくことによりまして、小児期から思春期にかけての心の疾患とそれに伴う体の症状など、小児科領域における医療の多様化に対応していくことが可能となります。また、心と体の両方を診ることができる新しく多様なタイプの医師の育成など、人材育成の機能も担ってまいります。
このような機能は、これまでの梅ケ丘病院だけでは提供ができなかった医療でございまして、小児総合医療センターの開設は、現在の梅ケ丘病院が提供しております小児精神医療のさらなる充実に資するものであると考えております。
○かち委員 心と体の総合医療だというふうによくいわれるんですけれども、もし心と体の総合医療をやるんだということであれば、梅ケ丘に小児科を併設すればいいのではないでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターにおきましては、心から体を密接に関連づけました総合的医療を提供するとともに、多摩総合医療センターと一体的に整備することによりまして、何度かご説明させていただいておりますが、総合周産期母子医療センターですとか小児三次救急など、こうしたこれまでの都立小児病院では対応が困難だった医療も提供ができるようになるということでございます。
極めて深刻な人材不足の中にありましても、多摩メディカル・キャンパスにおきまして小児総合医療センターがこれらの高度専門の医療ができるのは、医療資源の集約を行い、最大限有効活用する医療体制を構築するからでございまして、またキャンパス内の多摩総合医療センターや神経病院などと密接に連携するこれらのことから、この小児総合医療センターが、心から体を密接に関連づけた総合的な医療が可能となるわけでございます。
現在の梅ケ丘病院におきまして、同様な医療を提供しようとすることは、人材面、それから施設面で、極めて困難であるというふうに考えております。
○かち委員 合理的、合理的というふうな考え方から発想すると、そういうふうになるんだと思いますけれども、医療を受ける子どもたちの立場に立てば、やっぱりそれはそういう環境は決していいことではないんだというふうに私は思います。
都立病院改革の目的は、三百六十五日二十四時間、安心・安全、質の高い医療サービスを提供することだといわれていますが、都内のどこに住んでいても、より身近なところで提供されることが、とりわけ小児医療にとっては必要なことではないのでしょうか。
一極集中で重装備の高度な小児病院をつくるからといって、地域で必要とされている数少ない都立病院を廃止してよいということには決してならないと思うのですが、最後にお聞きします。
○中井病院経営本部長 都内のどこに住んでいても、より身近なところで提供されることが必要だというお話でございますが、医療については、確かに身近なところにある、それが何よりだという点は、私も否定するものではございませんが、要は、今課題になっているのは、高度な医療をどうするのか、高度の医療を移転して、さらにより広範でより水準の高いものにするのか、それとも、より身近なところで高度な医療を続けるのかというご議論かと思うわけでございますけれども、高度な医療をより身近なところでというのは、だれしもそうあってくれれば、それにこしたことはないわけでございますが、高度な医療をそれぞれ身近なところでつくっていれば、都内どれだけ高度な医療機関をつくらなければいけないのかということになるわけでございまして、それはやはりない物ねだりといいますか、空論ということにならざるを得ないんだろうというふうに思うわけでございます。
高度の医療を提供するときには、それはやはり今の医療政策がそうであるように、一次、二次、三次医療という体系をつくる中で、より身近な医療は一次、そして、もう少し距離のあるところで二次が確保できるように、高度の専門的な医療である三次医療は、まさに東京都全体、多摩地域全体というところで、いかにいい医療を確保するかということであると思うわけでございます。
その考え方に立てば、今回、三つの小児病院を統合して、府中というまさに多摩地域の中心的な場所に、より広範で最新の医療、そして、今全国から、アメリカやカナダからも、一たんは日本を出た優秀なドクターが戻ってきてもいい、小児総合医療センターならそこで自分の腕を発揮してもいい、こういう話があるわけでございます。
ですから、やはり高度の医療というのは、今のような八王子小児や清瀬という形で、要は、診療領域も部分的で、老朽化も進んでいるというところで、なかなか医療機器等々も十分でないというところもある中では、なかなかいい医療スタッフも集められない。広範な医療を複合的にチーム医療で提供することができないという状況があるわけでございますから、ここはやはり場所を府中に移して、ファンダメンタルなところから再構築をして、将来に向かっても、そして日本でも一、二を争うような、そういう立派な、良質な医療機関をつくっていくべきだというふうに思っております。
そういう意味で、現在ご提案させていただいております小児三病院を統合して、小児総合医療センターをつくるというこのことについては、今後とも、全精力を挙げて取り組みをさせていただきたいというふうに思っております。
○かち委員 今ご答弁をいただいたんですけれども、都立病院が三次救急、特定機能病院とか大学病院並みの救急医療をやるべきなのかどうかというのは、これは議論のあるところだと思います。よもや、一次、二次、三次と分担するんだといっても、都立病院が三次をやるからといって、一次も二次も崩壊しそうになっているこういう状況のときに、撤退していいという道理はありません。子どもたちの命がかかった都立三病院の廃止を撤回することを強く求めるとともに、全請願の採択を求めて、質問を終わります。
○西崎委員 私からは、東京都立病院条例の一部を改正する条例に関連いたしまして質問をしたいところなんですが、これまでの予算特別委員会や厚生委員会で、きょうも私の地元の世田谷区の梅ケ丘病院のお話も質問に出ていましたので、一方的に意見だけ述べさせていただきたいと思います。
近年、子どもを取り巻く環境は変化し、医療についても、高度専門医療が求められています。その必要性については、昨年、生活者ネットワークの視察で訪れました長野県立こども病院で学んでまいりました。その意味では、心から体に至る高度専門的な医療を提供する病院としての小児医療センターを新たに多摩メディカル・キャンパス内に整備し、都における小児医療の拠点として充実を図っていくことは、重要だと考えております。
しかし、今回の整備については、八王子小児病院、清瀬小児病院、梅ケ丘病院が統合再編されることによって新たな小児医療センターが誕生するため、それぞれの地域では、病院がなくなるための市民の不安も大きいと思います。
病院の再編整備に向けては、それぞれの地域において、一次、二次、三次医療の整備連携に向けて、取り組みが進められてきていますけれども、清瀬、八王子においては、長い間、地域の小児医療を担ってきているだけに、細部にわたっての連携や引き継ぎは時間がかかるのではないかと思います。
また、世田谷区の梅ケ丘病院におきましても同様だと思いますが、世田谷では、来年度、区立の発達障害者支援センターが国立成育医療センター内に開設されます。でも、梅ケ丘病院が担ってきたものは大変大きく、すべての受け皿については、まだまだ整備されている状況ではありません。
先ほど及川部長が、跡地利用については世田谷区議会で補正予算が組まれ、検討委員会が持たれているというお話がございましたが、この三月にその内容がまとめられました。世田谷区とは定期的に情報交換もなさっているということですので、当然内容についてはご存じだと思いますが、ほぼ福祉関係でまとめられております。しかし、大変気になる一文が載っておりました。今後、跡地利用については多方面から検討していきます。決して福祉施設で有効活用をするという決定には至っておりません。その点が大変心配する点であります。
私は、今回の病院条例の一部を改正する条例を考えたときに、私どもは、昨年、都立墨東病院で起きました周産期医療の体制不備から一人の女性の命が奪われたことを決して忘れてはならないと思います。昨年からことしにかけて、マスコミでも周産期という言葉さえも余り知られていなかったのですが、今、周産期医療の体制について数多く取り上げられまして、その課題も明らかになりました。そして、東京都も医師確保や民間病院も含む周産期医療のネットワーク体制が動き出し、来年度予算もふえています。
しかし、あの出来事が問題になる以前に、都では周産期医療協議会を持ち、さまざまな周産期医療における課題を三月にまとめていました。しかし、何の解決策も見出していませんでした。きっと将来的にはやろうとなさったのかもしれませんけれども、それどころか、昨年の決算委員会での答弁では、都立病院の当直医が一名不足していた状況を周辺の病院に周知していただけで、医師の不足はやむを得なかったと説明していました。私は、このことを通じて、都の医療に対する危機感の欠如を感じました。
今、周産期医療、小児医療などについて、都民の医療に対する不安は大きいものがあります。今回、条例を改正する以前に、東京都は課題解決に向けて細部にわたる取り組みを進め、二重三重のセーフティーネットを構築し、地域住民の不安を取り除き、医療に対する信頼を回復すべきだということを申し述べ、意見を終わります。
○東野委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間の休憩をいたします。
午後三時二十六分休憩
午後三時三十七分開議
○東野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○田代委員 新型インフルエンザについてお伺いしたいと思いますが、先日、愛知県豊橋市のウズラ農場で鳥インフルエンザが発生して、結果的には弱毒タイプのH7N6とのことでありましたけれども、鳥にこうやって症状が出ないうちに弱毒型のウイルスを発見してきちっと対処した。特にH7というのは強毒型になることが十分想定されているわけですから、そういうものを対処したということは、我が国の新型インフルエンザ危機管理対策においても、一定の評価に値するものだと思います。
しかし、近年、鳥インフルエンザのH5N1の世界的流行や人への感染の発生などからも、新型インフルエンザの出現は、イフではなくホエンの問題であるというWHOの警告がさらに強まっているわけでありまして、いつ発生してもおかしくない状況になっているわけですが、これまで我が国は、ペストやSARS、幸運にもこういう直接的な被害を受けなかったために、全体として日本は島国だから大丈夫だろうという根拠のない安心感を持っている人たちが多いと思うのですが、このような幸運な歴史が、逆に感染症対策の軽視につながっている背景があっては大変困るわけで、やはりどういうわけだか、我が国の新型インフルエンザ対策、これが先進国に比べて非常におくれているという現実があるわけです。
これまでこれらのことは、日本の新型インフルエンザ対策の一番基本は、症状が出る前から排菌を始める新型インフルエンザに対して水際作戦に重きを置く、こういうことをいっているわけですけれども、これは全く学術的な知見の欠損をもとにして考えている対策でありまして、今までのSARSとは全く違う対応をしなくてはならないことは何回も申し上げているわけです。
我が国において出している新型インフルエンザ患者の発生予測の数値、死者は最大でも六十四万人といわれておりますけれども、この六十四万人というのは、スペイン風邪の致死率をただ単純に当てはめているだけで、二%なんかですね、スペイン風邪は。ところが、現在は六〇%の死亡率があるわけです。
例えていえば、地震大国日本において、地震の最大被害を最初から震度一に想定して対策を立てているのと同じでありまして、大きな致死率を示している強毒型といわれているH5N1に対して、H1N1であるスペイン風邪、弱毒型の典型であったスペイン風邪と同じもので計算していることにちょっと無理があるんじゃないかなと思うんです。
よくこの新型インフルエンザになるのはH5じゃないんじゃないか、そういう意見もあるわけですけれども、先ほど申し上げましたH7、これも当然新型になる可能性はあるわけですが、そしてH5とH7は強毒型になる可能性を秘めているわけですけど、一たんカバのおなかから出たウイルスというのは、必ず人間に新型インフルエンザとしてうつらない限りは終えんを迎えないわけですから、やはり一番強毒型の、一番被害を大きくするであろうことがわかっているウイルスに対して、その対策をとっていかなくてはならないのではないかと思うわけです。
そこで、H5N1で対策をとっているアメリカを見てみますと、アメリカでは、今、致死率二〇%、日本の約十倍で計算しているわけです。そうなりますと、二百五十万人をはるかに超えることが想定されるというアメリカでもそういう意見があるわけですから、やはり被害想定を踏まえた上で、都は都で、国とはまた若干別の、独自の対策マニュアルを考えておかなくちゃいけないと思うのですね。
アメリカに比べて日本が意外と相対的に高く出ている理由は、アメリカのように、隣の家に行くのに三キロも四キロもかかるとか、車で一分、二分かかるというところではなくて、もう我々の住んでいる東京というのは、お隣がすぐそばにあるわけですから、非常に過密状態なわけです。
ですから、人口密度や交通網の状況に感染症の被害状況というのは左右されるわけでありまして、前にも申し上げましたけど、オーストラリアの国立研究所、ロウイ研究所の出した日本の最低死亡者数、最低でもこのぐらいいくだろうという人数が二百十万人と出ていたわけですけれども、どこの国が見ても、日本がほかの国より被害が高い。特に被害が高いのは東京だという予測をすべての研究所が出しているわけですから、それは過密状態にあるということが原因となっているわけですけれども、ここを東京都は考えておかなくてはならないのではないかなと思います。
千二百八十万人の都民がいるわけですけれども、日中働いている人たちはもっともっと多くいるわけです。この人たちが何か自分でおかしいな、何か変だなと思って病院に駆け込んでくるとすれば、今でさえも、先ほどから話になっているように、医療従事の現場というのは、非常に過剰な負担がかかっている都内の病院、あっという間に機能不全になってしまう。
そういうことにならないように医療体制を整えておくということは大変重要でありまして、都立病院はそのかなめにならなくてはならないわけです。もちろん、都立病院だけですべて対応するということは当然不可能でありますが、やはり都立病院は、公的病院として率先した取り組みを求められるのではないかと思います。
このたび都立病院では、新型インフルエンザ対策を策定したほか、都のガイドラインに基づいて、発生段階別に各都立病院の役割と行動を共通マニュアルとして作成したと聞いておりますけれども、そこでまず、都立病院では、新型インフルエンザの発生した際に、発生段階に応じて具体的にどのような医療体制をとっていくのか、教えていただきたいと思います。
○及川経営企画部長 平成二十一年一月に策定をいたしました都立病院新型インフルエンザ対応マニュアルでございますが、新型インフルエンザの発生後の対応といたしまして、大きく封じ込め期とパンデミック期に分けまして、それぞれの発生段階に応じた対応方法を定めております。
まず封じ込め期のうち、海外発生期から国内発生期段階では、診療協力医療機関に指定されております広尾、大塚、駒込、豊島、墨東、府中病院におきまして、疑い患者の外来診療を実施し、感染症指定医療機関である駒込、豊島、墨東病院においては、感染症法に基づいた勧告入院を実施いたします。
これに続く都内流行期前期の段階では、感染症指定医療機関だけでは収容し切れない場合に、他の都立病院においても感染症法に基づいた入院勧告に対応していくことや、パンデミック期に備えた入院病床を確保していくこと、また発生状況に応じて発熱外来を実施していくこととしております。
次に、パンデミック期である都内流行期後期から大規模流行期段階におきましては、感染症法の入院勧告措置が解除され、すべての入院医療機関において、新型インフルエンザに罹患した重症患者の入院医療を実施していくことになるため、発生状況に応じて、さらに病床の確保を検討していくとともに、各総合病院、小児病院においては、発熱外来を実施していくこととしております。
その後、終息期段階におきましては、新型インフルエンザの再燃による第二波に備えた準備を行うこととしております。
○田代委員 発生段階に応じた医療体制のマニュアルは整備されているようでございますけれども、これは国の指針に沿って、一部では恣意的とまでいわれている小規模な被害想定になっているわけですね。ほかの国が考えているのとはちょっと比べ物にならないほど国は被害を少なく計算しているわけですけれども、東京都というのは、やはりほかの県とは比較できないほど甚大な被害を当然引き起こすと思います。
ですから、やはり引き続きご努力いただいて、独自のマニュアル、やはり東京版みたいなものを、国は国、当然これはもう沿っていかなくちゃならないわけですけれども、東京都は東京都で、また英知を集めて、しっかりとしたマニュアルを、充実したものにかえていっていただけたら大変ありがたいと思います。
また、我が国初の新型インフルエンザ患者さんが東京に入ってきた時点、これはパンデミック前で情報も乏しくて、自覚のない患者さん方、これはまだ新型インフルエンザを自分で疑っていないわけですから、この疑っていない患者さんを都立病院で絶対に見逃さない、必ずそこでキャッチすること、これが非常に必要なわけですね。
そのためには、確実な初期診断システムを構築していくことが重要で、これがないとできないわけですから、これがうまくいけば、真の意味でのいわゆる封じ込めとなるわけで、医療現場自身、その病院自身を守っていくためにも、いわゆる医療従事者の人たちの安全というものも考えておかなくちゃならないわけですから、タミフルなどの早期投与などを確実に実行するための行動計画書みたいなものですね。こうなったらこういうふうにしましょうと。あしたまでに持っていきますよじゃ間に合わないわけですから、その後の医療破綻の防止につながるための初期の具体的な行動計画表みたいなものの作成も努めなくちゃいけないんじゃないかと思いますが、都立病院では、新型インフルエンザに備えて、今後さらにどのような体制を構築していくのかを教えていただきたいと思います。
○及川経営企画部長 委員からご指摘がございましたとおりに、単にマニュアルを整備することだけではなくて、行政的医療を担う都立病院の役割としまして、初期段階においても、常に最も効果的な対策を講じていくことが求められているというふうに認識をしております。
このため、施設整備といたしまして、平成二十一年度末に開設予定の多摩総合医療センターでは、陰圧病棟の追加整備を行うこととしたほか、がん・感染症医療センターである駒込病院においても、同様の追加整備等を実施してまいります。
このほか、各都立病院では、平成二十一年度に発熱外来の設置や新型インフルエンザの重症患者の入院に備えた医療資器材の備蓄等の整備を行うとともに、医療従事者の感染予防を図るため、防護服や抗インフルエンザ薬について、可能な範囲で備蓄を行っていくこととしております。
また、各病院の新型インフルエンザの診療体制につきましては、現在、都立病院新型インフルエンザ対応マニュアルに基づいて、各病院で実践的なマニュアルを策定中でございまして、今後各病院でマニュアルに基づいた研修や訓練を積み重ねてまいります。
さらに、平成二十一年二月に、国の新型インフルエンザ対策行動計画が改定されたことなどに伴いまして、福祉保健局とも連携を図りながら随時マニュアルを改定するなど、新型インフルエンザの発生した際に円滑な診療体制が図られるよう取り組んでまいります。
○田代委員 せんだっても一度ご報告はさせていただきましたけれど、我が国でというか、多分関東を含めて我が国では、我々のやったあの演習が、昭和大学でやったのが最初だと思うんですけれども、やってみて我々がびっくりしたのは、マニュアルは山ほどあったんですけれども、やってみたら全然体が動かないと。現実には三時間で五人しか診れない。それが想定では一時間に千人を超える人が来るだろうという中で、どうやって我々、発熱外来を運営していいのかが、いい知恵が全くありません。
しかも、あのとき申し上げたように、わからなくなったものは全部都立病院に送っちゃったわけですから、それがその日の答えだったわけで、最終的には陰圧、転棟云々かんぬんといっても、入院はできなかったという形でやって、三時間で五人だったわけですね。
ですから、マニュアルをつくっていくこともすごく必要なんですけれども、現場の職員の方々が働きやすいように、今のように非常に忙しいときに、そんなことを試しに演習してみろといっても、なかなか大変だとは思うんですが、やはりできるような、一度各病院から一人一人でも出てきてやっていただくと、そういう情報がまたもとに戻っていくと思うのですね。なかなかこれは大変だと。もうちょっと現場でこういう工夫をし、ああいう工夫をしようというのをやった方がいいような気がするんで、これは民間病院とも力を合わせてやっていただきたいわけですけれども、マニュアルプラスその練習をしっかり、トレーニングをやっておいていただくということをお願いしたいと思います。
新型インフルエンザの医療対策というのは、都立病院だけで当然できるわけではありませんで、各市町村区や、また各医療機関それぞれの役割に応じて、連携をしっかりと強化して、東京の医療資源というものを総動員して対応していかないと間に合わないわけですから。
しかし、その中で、都民の健康を守る都立病院は、いわゆる中心的な役割を果たす義務もありますし、そのためには、新型インフルエンザに関する最新の情報をわかりやすく、しかも、先ほど申し上げましたように、感染者の見逃しがないように初期診断、確実な初期診断をどのように行っていくか、これなかなか一回やっておかないと難しいと思います。簡単にいえば、鼻からとらなくて血液でとれるという簡単なことも、なかなか一般のお医者さん方はご存じないわけですから、そういうものもきちっと一度やっておくといいかなと思いますね。
現在、東京都全体を十のブロックに分けて、新型インフルエンザ対策の検討が始まったようでありますけれども、どの病院に最初の患者さんが来ても、何回も申し上げますけれども、確実に診断ができる。これは本当に実際にやっておかないとなかなか難しいと思うんです。
それと同時に、職員の方々に対する新型インフルエンザの正しい知識というものを、何か時間を割いて、なかなか大変だと思いますけれども、お伝えいただけたらありがたいなと思います。
そういう研修のマニュアル、それこそマニュアルをつくっておかないといけないと思うんですね、職員の方々は。それは看護師さんだけではありません。薬剤師さんだけではなくて、事務系の方から、あるいは廃棄物に対するお掃除をなさっていただく方々、すべての方々に、新型インフルエンザの知識を覚えていただく、持っていただく。
将来、パンデミックが起きた際に、都民の生命を守るために、新型インフルエンザの医療対策の中心的な役割を担う都立病院の的確な診断と対処法というものが、逆にいうと、我が国全体の被害を、これは前も申し上げましたけれども、東京がきちっとさばいていけば、全国規模の伝播は、ある程度防げるわけですから、引き続き新型インフルエンザ対策に万全を期する努力をしていただくようにお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、医師の教育システムについて伺いたいと思いますけれども、昨年四月、東京都では、都立病院、公社病院が一体となって、臨床を重視した質の高い医師を輩出する、こういう目的で、医師育成システムがある東京医師アカデミー、これを開講して、現在一期生として百九名ですかね、若手医師が研さん中ということです。
この若手医師をすぐれた臨床医として育成していくためには、以前の委員会でもお話をさせていただきましたが、やはりそれを指導していただく。しっかりとそれをつくり上げていくお手伝いをしていただく中堅医師というのが必要でありまして、東京都は、中堅医師層を中核とする大幅な処遇改善を、我が党の要望により行っていただいているわけでありますけれども、やはり医師にとって、自分の専門診療領域について研さんできる環境が整うということは、何よりも重要なことでありまして、そしてまた一方、後進の指導を行うことについて、正当に評価される風土が醸成されることも、モチベーションの問題でも非常に意義があるわけですね。
東京医師アカデミーの開講を契機に、指導医師層に対する大幅な処遇改善というものは大変勇気づけられたことだと思います。これで一〇〇%満足しているというわけじゃないんですけれど、今までとは違った対応をしていただいております。
加えて、来年から墨東病院事案などを踏まえた周産期医療、あるいは救急医療、この充実も図るべく、これらを非常に支えていくお医者さんたち、医師に対して、一層の処遇改善を図るということなんで、これもしっかりと進めていただきたい。
東京アカデミーについてでありますけれども、シニアレジデントについては、総合診療能力の醸成とともに、学会の専門医、受験資格、これがなかなか我々医師にとっては重要なことでありまして、これを可能にできるということで目標が設定されているわけですが、その後の進路としてクリニカルフェローが挙げられているわけですね。
北米では、クリニカルフェローは、シニアレジデントとスタッフ、いわゆる常勤医との間に位置するものとして制度化されておりまして、後進のレジデント教育を行うとともに、自身が専攻しようとする診療領域についての専門性を研さんし、さらに臨床研究などを行うものと位置づけられているわけですが、今、我が国は、このクリニカルフェローという制度がなくて、北米のいわゆるレジデント制度というものを模倣するわけですけれども、これは日本の医療風土になじむのか、あるいはまたそれでいいのかどうか、そこはやっぱり真剣に慎重に考えていかなくてはならないところもあるんじゃないかと思います。
都立病院の中には、東京都がん診療連携拠点病院である駒込病院を初めといたしまして、精神疾患、これはもう何回も申し上げているように、我が国屈指の歴史と実績を誇っている松沢病院、さらには平成二十二年三月に開設される子どもの心と体、悩みに至る高度な専門的な医療を行う小児総合医療センターなど、非常に高度かつ専門的な医療を提供できる病院があり、またできている。そうした病院では、シニアレジデント修了後の若手医師に対して、大学病院とはまた違った臨床経験をさせることができるであろうと思っております。
クリニカルフェローの対象者は、年齢にすると、三十代の前半が大勢を占めていると思いますが、この時期の医師は、自身の専門分野についてより深く研さんを重ねていきたい、また、生涯にわたる臨床研究などの方向性も決まって、それに着手もしていきたい。いわゆる医師としては、一番脂が乗り切った、本当に気概にあふれた時期にあるわけですが、こうした若手医師に、都立病院において提供し得る高度専門医療に積極的に関与させる。またさらには、先端医療を行っている大学病院や研究所などと交流を結ぶ、こういうシステムも取り入れれば、さらに若手医師にとっては非常に魅力的なキャリアパスの提示になると思いますし、モチベーションもつくっていける。そして、都立病院にとっては、こうした若手医師に触発されて、より一層、中堅以上のお医者さんたちも緊張感を持って仕事を進めていくことができるんだと思います。
私も教育現場、大学にいる立場として、医師の教育というのは大変重労働でありまして、なかなか思うようにいかないんですが、都立病院の指導医がすべてにわたって検証するわけではなくて、前から私が主張しておりますように、大学あるいは研究所などとの人的な交流、またはクリニカルフェローが一時的に、国内留学を含んで、短期間ではあっても勉強できるような柔軟な制度の構築、こういうものをやっていくと、やはり何といっても基本はモチベーションですから、そういうものをしっかり持っていくんじゃないかなと思います。
平成二十三年度に開講する予定であるクリニカルフェローについて検討の進捗状況がいかがであるのか、教えていただきたいと思います。
○及川経営企画部長 クリニカルフェローでございますけれども、東京医師アカデミーの研修体系において、シニアレジデント修了者を対象に設定をするということとしております。専門臨床能力や総合診療能力の一層の研さん、さらには臨床研究の実践、先端医療の習得も視野に入れた研修コースとして位置づけております。
現在、クリニカルフェローにつきましては、どのような医師の輩出を目指すべきかといったコンセプトを初めとしまして、都立病院における高度専門的な研さんが可能な診療領域を中核に据えた研修コースとして、どのようなものを設定していくべきか。また、委員ご指摘のとおり、国内外の派遣について、どのような施設と連携していくべきかなどといった課題について、都立病院と意見交換を重ねている状況でございます。
二十一年度にはこうした課題を解決すべく、制度の詳細設計について検討しまして、二十二年度に第一期生を公募選考、二十三年度に開講する予定としております。
東京医師アカデミーにおきまして、シニアレジデント、クリニカルフェローと続く一貫性のある臨床研修制度を確立し、貴重な医療資源である優秀な若手医師を都立、公社病院に確保、定着させるとともに、都における医療水準の一層の向上を図るべく取り組んでまいりたいと考えております。
○田代委員 東京医師アカデミーで研さんを積むというのは、臨床研究だけではなく、患者さんの痛みは自分のものと考える心を育てる、こういうものではなくてはならないわけですね。
比較的一人の患者さんに多くの時間を割くことが可能である、例えば島しょ部や、あるいは過疎の地域での数週間、長期は無理だと思うのですが、実習などを盛り込むことによって、何のために医療というものは現代あるのか、そして医師として自分は何をすべきなのか、医師として気概あふれる時期に、そういうものも教育されていくことは大変重要なことだと思うのですね。このような面も盛り込むことによって、このアカデミーから、技術のみならず、患者さんの痛みのわかる人間性の豊かな医師というものを輩出していくことが必要なんだと思います。
ことしの四月には、現行の初期臨床研修が見直されるということでございますけれども、いずれにしても、若手医師は、その後の後期臨床研修制度において、自身が決めた専門分野について、いかに質の高い研さんを積むことができるかを重視することは当然であります。
そうした中、東京医師アカデミーでは、シニアレジデント、クリニカルフェローへと続く研修体制を構築するということでありますけれども、クリニカルフェローについては、シニアレジデント教育以上の内容になるように、単にコースを設定するというだけではなくて、先ほど申し上げましたように、いろいろ考えていただいて、若手医師や医師のキャリアの向上に寄与できる魅力的な研修内容、こういうものを、制度を整えて、平成二十三年度の開講を迎えるべく、十分にさらなる前向きな検討を重ねていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○橘委員 私の方からは、この四月に東京都保健医療公社に運営が移管されます豊島病院の医療サービスの充実について質問いたします。
公社病院となる豊島病院に対し、公社の役割である地域と密着した運営とさらなる医療サービス向上に対する地域住民の期待は、極めて大きいものがあります。とりわけ出産環境が厳しい中で、豊島病院の産科医療の充実強化には強い期待がございます。
分娩については、昨年十月にミドルリスク分娩を中心に再開いたしまして、今後、段階的に受け入れる対象や件数を拡大していくとの答弁を、今定例会の私の一般質問でいただいております。豊島病院では、産科の医療体制とともに、新生児医療についても充実させて、この四月には、GCUを再開するための準備を進めているとも聞いております。公社病院の特色、役割をさらに発揮していくためには、基本となる通常分娩への対応も、地域病院としての重要な役割の一つであると考えております。
そこで、分娩再開後の豊島病院における周産期医療の具体的な提供体制について、これまでの経緯と今後の取り組みについてまず伺います。
○都留サービス推進部長 豊島病院では、医師の大学医局への引き揚げなどにより、医療スタッフの確保が困難になったことから、一時は分娩やNICU及び低体重で産まれた新生児等の医療的管理を行うGCUを休止せざるを得ない状況となりました。
地域の方々には大変ご不便をおかけいたしましたが、このような中、医師確保に鋭意努力し、お話しいただきましたとおり、産科については、昨年の十月から母胎の疾患や双子などの多胎妊娠を初めとするリスク管理が必要な分娩を中心に対応してまいりました。また、この一月からは新たに新生児のための当直を開始し、二十四時間対応が可能となる体制が整ってきましたため、この四月からGCUを再開できる見通しが立ってまいりました。そこで、看護の体制を整えるなど、円滑にGCUを再開できるよう、その準備を進めているところでございます。
この結果、お産の受け入れ対策を一部拡大し、二月十七日からは地域の産科医の先生方からのご紹介があれば、リスクの有無にかかわらず、通常のお産にも対応することといたしております。
今後も豊島病院では、こうした周産期医療を提供し、地域からの要望にも柔軟に対応してまいります。
○橘委員 産科や小児科など特定の診療科において、全国的に医師が不足する中で、豊島病院では着実にその確保に努められまして、分娩を再開し、受け入れ対象も、リスク管理を必要とする分娩から通常の分娩までへとその拡大を図ることは、高く評価するものであります。
さらにGCUも再開のめどが立ったことは、地域にとって大変喜ばしいことであり、関係者の努力に対し感謝したいと思います。
公社移管後も、引き続き医療スタッフの確保に努め、地域の中核病院として、さらなる医療サービスの充実に努められるよう要望しておきます。
さて、この四月以降、豊島病院には、公社病院としてこれまで以上に地域の医療機関との連携を強化し、医療連携を推進していくことになります。私は、かねてから地域医療機関とのネットワーク化が重要だと考えております。豊島病院と地域医療機関がこうした相互ネットワークを構築し、地域住民の利便性が高まるような仕組みづくりを進めていくことが、医療サービスの向上にもつながるものと期待しております。
このことについては、さきの本会議での一般質問でも取り上げましたけれども、公社移管後の重点医療の一つとなる脳血管疾患医療においては、地域連携クリニカルパスを活用し、地域医療機関とのネットワークづくりなどに取り組んでいるとの答弁がありました。
今日、我が国の疾病構造は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病が中心となってきており、この四つの疾病に対応する地域医療、医療機関相互のシステムづくりが重要となっております。
そこで、脳血管疾患医療での地域連携クリニカルパスの取り組みに続き、糖尿病などの疾患についても同様の取り組みを進めていくべきと考えますけれども、見解を伺います。
○都留サービス推進部長 脳血管疾患医療につきましては、現在、地元の板橋区医師会が中心となり、地域の医療機関のネットワークを構築し、脳卒中に関する地域連携クリニカルパスを作成しておりまして、豊島病院もこの地域連携パスの運用を通じて、地域医療連携の仕組みづくりに取り組んでおります。
委員ご指摘の、その他のがん、糖尿病、急性心筋梗塞についての取り組みでございますが、平成二十年三月改定の東京都保健医療計画では、これらの四疾病について、地域連携パスの作成を推進していくこととしております。
豊島病院におきましても、四疾病の医療を提供しておりますことから、今後、既に取り組んでおります脳卒中以外の疾病におきましても、地区医師会や地域の行政機関などと協力し、地域連携パスの導入を検討してまいります。
特に、糖尿病につきましては、地区医師会を中心に、近々、近隣の大学病院等と地域連携パスの作成に向けた話し合いを進めていく予定であると聞いております。
○橘委員 ぜひ他の疾病でも地域連携パスを導入していただきまして、地域医療機関とのネットワークを構築することによって、地域の住民にとって安全で安心な医療が受けられるような仕組みづくりを推進していただきたいと思います。
ところで、このたびの豊島病院の公社化に当たり、昨年五月に病院経営本部で策定した公社化検討委員会のまとめに、地域医療支援病院という項目があります。ここには、運営移管後は、地域医療支援病院の早期承認を目指した病院運営を行っていくという記載がございます。また、公社化によって、地域の医療機関と豊島病院の医師双方が共同して診療を行うことで、一貫性のある医療を提供していくといった趣旨の記載もされております。こうした取り組みそのものが、地域医療機関とのネットワークづくりの基礎となって、地域連携クリニカルパスの導入促進にもつながっていくものと考えます。
そこで、地域医療支援病院の早期承認に向けて、具体的にどのように取り組んでいくのか、また承認の見込みについて伺います。
○都留サービス推進部長 地域医療支援病院は、医療法に基づくものでございまして、幾つかの要件がございます。
まず、紹介患者中心の医療を提供し、紹介率、逆紹介率が一定割合を上回っていること、二つ目に、救急医療を提供する能力を有すること、三つ目に、建物、設備、機器等を、地域の医師等が利用できる体制を確保していること、四つ目に、地域の医療従事者に対する教育を行っていること、五つ目として、原則として二百床以上の病床及び地域医療支援病院としてふさわしい施設を有することといった要件を満たす病院に対し、医療審議会を経て、知事が個別に承認するものでございます。
このため、豊島病院は、公社への運営移管後、開放病床を備え、地域の医師との共同診療を行う体制を早期に整備するとともに、先ほどの要件について、一年間実績を積み基準をクリアすることで、地域医療支援病院の承認を受けることになります。
そこで、公社移管後も、地域の医療機関との連携を一層推進し、来年の夏には地域医療支援病院の承認を受けることができるよう取り組んでまいります。
○橘委員 医療連携の推進に当たりまして、地域の中核的な機能を果たす地域医療支援病院の役割は大変重要であると思います。公社移管後の豊島病院が、早期に地域医療支援病院の承認を受けることによって、地域の医療機関との連携が一層強化され、これまで以上に医療サービスの向上が図られるよう期待しております。
さて、地域の方々の中には、豊島病院が公社化されることに対して理解が十分でない方もまだ大勢いらっしゃるのではないかと思われます。この点については、昨年の事務事業質疑におきまして、豊島病院の運営移管に関して、病院を利用する住民の方々に十分周知して理解を得ておくことが何よりも重要であると指摘させていただきました。このことに関し、病院経営本部からは、広報活動の充実を図るとの答弁をいただいております。
そこで、公社移管に関する広報活動についてはどのような取り組みを行ってきたのか、伺います。
○都留サービス推進部長 豊島病院の公社への運営移管については、昨年第三回都議会定例会での条例改正を踏まえ、十一月から移管日や重点医療について、院内掲示やホームページへの掲載をするとともに、リーフレットを作成し、この一月には院内数カ所に配置して、患者さんへの周知を図っております。
このリーフレットは、板橋区役所を初めとした関係機関や区西北部二次保健医療圏などの地区医師会、地元自治会等にも配布しており、病院経営本部のホームページにも掲載いたしております。また、「広報東京都」の二月号に運営移管に関するお知らせを掲載し、都民の皆さんにも広く周知を図っております。さらに、地元板橋区や豊島区の広報紙にも掲載していただくなど、公社移管後も引き続き安心して受診していただけるよう、広報活動の充実を図っているところでございます。
○橘委員 広報活動については、これからもさらに力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
既に三月も半ばを過ぎまして、豊島病院の公社への運営移管もいよいよ目前となってまいりました。この豊島病院の公社化への経過を振り返ってみますと、当初、一部には強い反対意見もございました。また、さまざまな不安の声もございました。
しかし、地域住民にとって、どれが、どういう選択が一番メリットがあるのか、また利用者にとって、どの選択が一番いいのか、そういったことに焦点を絞りまして、地元自治体、それから地元の医療機関、それから地域住民のさまざまな関係者が意見交換をじっくりいたしまして、そして自分たちの意見が合致しない、そういったものは徹底して議論して、譲るべきところは譲って、そしてあくまでも利用者にとってどれが一番いいのかという、そこに絞って議論を重ねてきた結果だと思います。
その結果、豊島病院は、現在の都立豊島病院の運営また医療サービスの現実に比べますと、さらに強化された、先ほどの周産期医療、出産体制、それから四疾病に対する取り組み、こういったものが、はるかにサービスが向上するという、そういった方向が明確になってまいりました。
やはり主義主張はさまざまあると思いますけれども、意見もあると思いますけれども、利用者にとってどれが一番いいのかということに絞って、そして、一番私が大事だなと思いましたのは、自分たちの考え方に対して、広範な賛同の意見を結集するという、それによって運営をやっていくという、その体制が、一番の豊島病院の今回の成功の秘訣だったのではないかと、私なりに分析しております。
これからも課題は出てくると思いますけれども、この豊島病院が公社化に移管する過程で話し合われたさまざまな議論、それからお互いに意見を尊重し合いながら、広範な意見を結集して運営をしていこう。そういう意見を集約したその努力、またその経過で得た経験、これを今後の豊島病院、公社移管後の豊島病院の運営に生かしていただきたいということを希望しまして、質問を終わります。
○吉田委員 焦点となっております都立小児三病院の廃止問題については、かち副委員長から、かなり全面的な問題提起がされました。私は、多摩総合医療センター及び小児医療センターのPFI事業の問題を中心に、この機会に質疑をさせていただきます。
ただ、先ほどの質疑を通じて感じた点のみ、まず冒頭いわせていただきます。
専ら高度な機能を持つセンター病院をつくることによってカバーができるんだというご説明が繰り返しありました。しかし、先ほどもお話がありましたけれども、昨年、都立墨東病院において、重篤な妊婦さんの命を守ることができなかったという、お互いに極めてつらい経験がありました。
私は、その教訓の一つとして、センター病院を強化をすればいいんだということで、NICUの機能も一部持っているような都立産院を次々と廃止をしてきたということが、やはり改めて今思い起こされる必要があるんではないかなというふうに思っております。
しかも、現実に広大な地域という多摩の特性からすれば、たとえ一カ所の機能を持つセンター病院が新たにつくられたとしても、地域的にも、また時間的にも、現実にある地域の子どもたちの命を守ることができない懸念が、さまざまな形で指摘をされ、それを補う代替的な対策をとるということもいわれてきましたけれども、その代替策についても、現時点でめどが立っていないということが、これはもう明白な事実だと思います。
もちろん当初計画では、あくまでも三病院の廃止ということはあったにせよ、事は子どもたちの命を守れるかどうかという問題だと思います。いささかでもその命を守るという点で懸念が指摘をされているわけですから、既存計画であったとしても、私は勇気を持って立ちどまって再検討していただきたいと思いますし、今ある病院を失うことに、多くの皆さんから残してほしいという声が上がっているわけですから、それは、ない物ねだりというふうなことはいえる問題ではないというふうに思います。
そのことをまず意見として述べまして、PFIの問題について、るる質問をさせていただきます。
私は、これまでもPFI事業の問題について、さまざまな形で質疑をさせていただきました。病院経営本部の説明は、専らコストの縮減が図られるということと、そして効率化が図られるということが、主なPFI事業導入、進めてきている論拠として強調されたと思います。
しかし、他の病院の事例を取り上げた質疑でも明らかになりましたけれども、コスト縮減どころか、私は、このPFI事業を担うSPC、特定目的会社、その中核企業が、長期にわたって莫大な事業を請け負うことによって利益を確保するということが実態ではないかなという印象を改めて強くしております。
さて、具体的な質問に入りたいと思いますが、まずこれまでも既に報告がありますが、改めてこの多摩総合医療センター及び小児医療センターのPFI事業についてなんですけれども、これを契約したSPCが何年間で何億円の事業規模で契約をしたのか、そしてSPCが担う事業の全体分野は一体どれだけの事業を担うのか、まずそこの入り口について、ご説明をお願いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFI事業についてでございますが、多摩総合医療センター(仮称)及び小児総合医療センターの事業についてでございますが、まず契約期間についてでございますが、約十九年ということでございまして、平成三十七年の三月までということでございます。また事業費は二千四百九十億九千三百万円ということになっております。
また、PFI事業の中でSPCが担う業務についてでございますが、大変多岐にわたっております。まず、開設準備にかかわるものとしましては、施設整備及び医療器械等の購入費がございます。次に、運営開始後の業務としましては、薬品及び診療材料購入、電気、ガス、水道等の調達業務がございます。
また、検体検査、食事の提供、医療作業、医療機器保守点検、患者搬送、物品管理、滅菌消毒、洗濯、診療情報管理、医療事務、一般管理支援、清掃、施設メンテナンス、保安整備等、多岐の委託業務がございます。
○吉田委員 今ご説明がありましたけれども、約十九年近くにわたって総額二千四百九十億円、しかも内容的には、建設から、さまざまな物品などの調達から、さらに医療行為を除く医療事務を初めとするさまざまな委託業務を、一つのSPCが長期にわたって担うという、他の事業にないものが、今この多摩総合医療センター及び小児医療センターで進みつつあるわけですね。
しかも、全国でもちろんSPCが行われていないわけではなく、この委員会でもその失敗例などについても議論してきましたけれども、これだけの大規模な病院で、金額的にも二千四百九十億円というのは、全国で最も高い金額を使ったPFI事業ではないのかなというふうに私は思っております。
しかも、性格の異なる、いわば現在の府中病院を基盤とする総合医療センターと小児医療センターという二つの病院を合体して、一つのSPCが長期にわたってさまざまな分野を担うということ自身が、常識的に考えていかがなものかというふうに発想せざるを得ません。
次に、このSPCは、どのような企業によって構成されているのか、また、その出資比率はどのようになっているのか、ご説明をお願いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 SPCの構成及び出資比率でございますが、このSPC、多摩医療PFI株式会社と申しますが、この出資比率は清水建設が九五%、パナソニック電工が五%となってございます。
○吉田委員 パナソニック電工、これも多分建設関係を担っているのかもしれませんが、五%ありますが、大半は事実上、清水建設が一手に担うということになっていますよね。
それで、コスト縮減ということの一つのメルクマールとして、いささか専門的ですけれども、VFMということが繰り返しいわれてきました。わかりやすくいえば、コスト縮減率ということだと思います。それでこの多摩総合医療センター(仮称)及び小児医療センターにPFI事業を導入することが果たして妥当か否か。真にコスト縮減につながるか否かということを検討して、その結論として導入が決まったわけですが、そのときに試算されたコスト縮減率は二・三%だったと思うんですね。
その後、実際の落札ではさらに広がったようですけれども、しかし、以前にも質疑いたしましたけれども、二・三%のコスト縮減というものは、あえてPFI事業を導入しなくても、通常の一般競争入札、さらに都立病院としてのスケールメリットといいますか、共同で発注、購入するというふうな調達努力をすれば、十分に二・三%以上のコスト縮減というのは可能なんではないかというふうに思いますが、二・三%でありながら、あえて導入に踏み切った理由は何なんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIの導入のメリットといたしましては、財政面やコスト面だけではなく、民間の持つノウハウ、専門知識、技術等を活用し、患者サービスを向上させることがございます。
特定事業選定に当たりましては、都の財政負担額を二・三%縮減できるという定量的な評価のみではなく、第一に、都と民間の明確な役割分担によるサービスの向上、第二に、長期包括契約をすることによる医療周辺業務の効率化とサービスの向上、第三に、設計、施工及び運営を一体的に発注することによる施設整備及び運営の効率化、第四に、都と民間の共同による事業運営の効率化及びサービス水準の向上という定性的なメリットがあるとの評価によりまして、PFIの導入を決定したものでございます。
○吉田委員 民間のノウハウということがご答弁でも強調され、これまでもこういういわれ方がされてまいりました。しかし、そもそも、もちろん建設会社である、スーパーゼネコンである清水建設が、病院を経営できるわけでもありませんし、関連会社があるのかどうかわかりませんけれども、建設会社としてのノウハウを持っていることはもちろん私も認めます。
しかし、病院経営にかかわるノウハウを清水建設が持っているのか。あるいは、SPCに他のそういうノウハウを持っている企業が参入しているならば、それは一つの理由としてもあり得るかもしれませんが、もう一者はパナソニック電工である。なぜこれらの企業がそのノウハウを持っているとそのノウハウに信頼を寄せることができるんですか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 事業者の選定に当たりましては、特に委託業務統括機能や開設準備支援機能などのサービスプロバイダー業務を重視した評価を行ってきたところでございますが、清水建設を中心とするグループの提案は、そうした審査の過程でも高く評価された内容でございました。
また、この中心の企業でありました清水建設は、昭和四十年代半ばでございますが、建設業界初となる医療施設専門の施設設計、コンサルテーション、運営支援を行う専門部署を立ち上げ、ノウハウを蓄積してきたということでございます。
SPCのメンバーにも、病院関連のコンサルタントやマネジメントを行ってきた者を多数起用しておりまして、多摩医療PFI株式会社には、診療の周辺業務の運営に必要なノウハウは十分に有していると考えております。
○吉田委員 私も調べてみましたけれども、現実にこれだけ大規模な、しかも二つの性格を持つ病院をあわせ持って運営をするノウハウというものを、私は、清水建設が蓄積してきたということは到底いえないと思います。
しかも、これから強調したいことは、このSPCを担うことによって、清水建設は莫大な事業を独占できるということなんです。例えば通常都施行で、都立病院を初めとする施設をつくった場合は、一般的にはジョイントベンチャーを組むということになりますよね。また、コスト縮減と、かつ、いろんな事業者に入札参入の機会を確保するために、分離分割発注ということを行いますよね、通常の場合には。
そこでお伺いしたいんですけれども、分離分割発注で幅広い参入を保障すると同時に、そのたびごとに入札をしますよね。したがって、そのたびごとにコスト縮減の努力というものも同時並行で行われるというのが通常の都施行の場合にはあると思うんですが、今回の府中の場合ですけれども、清水建設の場合は、ジョイントベンチャーや分離分割や、あるいは請負企業を分散するというふうなことは、どのように行われたんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIにおきましては、提案の段階で、設計、施工、工事管理を行う特定協力企業を設定するように定めておりまして、設計、工事管理は日建設計が、施工に関しては清水建設が行うこととされてきております。それに基づきまして、建設工事は清水建設が一括して請け負っております。
○吉田委員 もちろん下請その他入っているでしょうけれども、一括して清水建設が、すべて建設にかかわっては独占できるという構造になっているわけですよね。
次に、支払いについて確認をしたいんですが、現在建設途上でありますけれども、設計及び建設費の支払いというのはどのようになっているのか、また、これまでの通常の都施行などの支払いとどう違うのか、ご説明をお願いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIの設計、建設に関しまして、施設整備費についてでございますが、総額は三百八十一億円でございます。これまでの支払い額と今後の支払い予定額についてでございますが、平成十八年度は十七億五千九百万円、平成十九年度は四十一億二千二百万円、平成二十年度は二百二十七億一千七百万円、平成二十一年度は九十五億八百万円となっております。また、支払い方法につきましては、基本的には出来高払いという点では共通、一緒であるということでございます。
○吉田委員 今ご答弁でもありましたけれども、出来高払いということでは、あえてPFIという手法を、この分野だけを見ても、適用する必要はないわけですよね。通常PFIの場合に、多くの場合には財政的な規模が小さくて、初期投資が困難な自治体などが、民間に委託をすることによって、それを民間が、いわば民間資金でファイナンスをするということが、PFIを導入した、全国的には一つの大きな理由だと思うんです。
もちろん、PFIは、これまでの議論がありました、さまざまな手法がありますから、一つだけで比較することできませんけれども、出来高払いなんですよね。それだったら、あえてPFIをする必要がどこにあるのかという。しかも、結果的には、清水がすべてを独占できるという構造になっていると思うのです。
私は、いわば建設整備だけではない問題について、次に指摘をしたいと思います。それは大型機器の導入、購入の問題です。
建設だけではなくて、大型機器の購入、新設も、SPCが行うということになっていますけれども、この調達総額というのは、約幾らになっていますか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医療機器の購入費についてでございますが、契約書に定めがありますとおり、医療器械及び一般備品として百五億三千万円でございます。
○吉田委員 私が不審に思うのは、更新時は東京都が持つんですよね、たしか約束では。だから、一定の新規の大型機器が、例えば対応できなくなったり、合わなくなって更新するときは、東京都が負担で東京都が持ちますよと。
しかし、それだったら、なぜ初期の大型機器の導入は、SPCの仕事として提供するのかと。当然金額的にいっても、約百五億ですよ。これをSPCが担うということになれば、それに伴って、一定の利益がSPCに入ることは、これはもう当然のことだと判断せざるを得ないと思うのです。
しかも、都立病院は、大型機器の調達をほぼ毎年のように繰り返し行っていますよね、数的にはでこぼこがありますけれども。したがって、大型機器のノウハウという点で見たって、皆さん方の方が清水建設よりも、大型機器を購入するノウハウを熟知しているんじゃないですか。しかも、毎年のように、相手の企業は違うかもしれませんけれども、大型機器を購入しているわけですから、そうした意味では、コスト縮減の交渉能力という点で見たって、初めてじゃないかもしれませんけれども、それは清水建設よりも皆さん方の方が、もっと強い位置にあるんじゃないんですか。それを、なぜあえて初期の新設だけ清水建設にゆだねるのかということはどうですか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 まず医療機器の購入をPFIが行うこと、SPCが行うことのメリットでございますが、医療機器の購入につきましては、PFI契約で値引き率というものを設定しておりまして、民間のノウハウを活用しまして、効率的な購入を行うことによりまして、このメリットが生まれるというふうに考えております。
また、そもそもPFIのメリットは、先ほども答弁させていただいたんですけれども、建設施工、設計、工事管理また運営、そういったものを一貫して行うというところにメリットの一つがあるということを説明させていただきましたが、例えば医療機器でありましたら、建設工事と一緒にその据えつけができるなどの反射的なといいましたが、附帯的なメリットもあるというふうに考えております。
○吉田委員 建設と設置をする据えつけ工事が一体の方がいいというのは、それはわかりますよ。だからといって、購入そのものをSPCになぜゆだねるのか。しかも、もし都施行の場合は、例えば一定の金額以上の大型機器の購入というのは、必ずここに、この前に報告がありますよね。どこどこに対して幾らで契約を結びましたと。
今回の場合、総額百五億ですけれども、例えば磁気共鳴断層撮影装置については、どこどこから幾らで購入いたしますというふうなことは、皆さんは承知していらっしゃるんですか。あるいは我々が聞いたら、それはお答えしていただけるんですか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医療機器についてでございますが、まず医療機器の購入そのものについてでございますが、平成二十二年三月のオープンを目指しまして、現在機器の選定をしているところでございまして、今後順次購入していくという段階でございます。
また、なお購入の金額、契約金額等については、SPCから報告を受けることとなるというふうに考えてございます。
また、そのことについて明らかになるのかというご質問でございますが、いわゆる報告義務というものはございませんが、公表義務というものはございませんが、適時適切に透明性ということを考えて対応していきたいと思います。
○吉田委員 私は、やはり今の契約制度と比べてみても、極めて不透明になるのではないかという懸念があって、この問題を取り上げさせていただきました。
さらに、全体の総額二千四百九十億円の中で、比率的に一番高いのが薬品及び診療材料費の調達だというふうに思うんですけれども、この薬品診療材料費の調達ですね、先ほど十九年といいましたが、実際開設してからとなると、十五年になるんですか、十六年になるんですか、ちょっとわかりませんが、その何年か分で、東京都は一体幾らSPC側に払うということになるんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIの契約は、基本的には総価による契約でございますが、あくまでSPCが想定している費用という前提で申し上げれば、薬品や診療材料費等の調達に要する費用は千三十億円程度ということになっております。
○吉田委員 この金額が全体の二千四百九十億円の中で一番高い比率を占めていると思うんですよね。しかも、これは十数年にわたっているわけですけれども、東京都が都施行で通常やる場合は、毎年毎年入札等によって、いわば競争を促すことによって、コスト縮減を、例えば調達の場合でも行うわけですよね。
しかも、都立病院全体で、共同購入によってコスト縮減を図るということが行われていますが、清水建設が中心となったSPCは、あとは、どこの企業に、どのような形で調達を発注するかは、SPCの側にフリーハンドが保障されるということになるわけですよね。例えば安く購入できれば、それができるだけSPCは利益を拡大をするというふうな形になると思うのですけれども、同時にお聞きしますが、例えば材料費というのは、非常に変動が激しいというのは有名な話ですけれども、こうした変動というものがあっても、先ほどから総価でといいますが、この総価での支払いは変わらないわけでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFI事業におけます材料費についてでございますが、PFI事業におきましては、毎事業年度、当該年度の開始日までに物価指数等の客観的な統計数値の変化率を用いて、サービスの対価を修正することとなっております。このことによりまして、材料費の変動に対応してまいります。
例えば薬品費は薬価改定率を踏まえ、見直すこととしております。また、診療材料のうち、特定診療材料につきましては、診療報酬改定を踏まえ、その他の診療材料は、消費者物価指数を踏まえ、見直すこととしております。
○吉田委員 今お話があったように、総価、総価というふうにいいますが、実際には変動に応じて、さらに支払いが高まるということが、いわば担保されているわけですから、SPCの側からすれば、これほど安心な話はないということを指摘せざるを得ないというふうに思います。
幾つかの問題を指摘しましたけれども、これは単に私の主観的な意見だけではありません。既にPFIを導入し、その失敗からPFIを断ち切ることになりましたけれども、近江八幡市立総合医療センターの槙先生という院長が、全国自治体病院協議会が発行している雑誌の昨年の五月号に、近江八幡市立総合医療センターにおけるPFI事業の検証という論文を発表されています。ごらんになっているかもしれませんが、そこで次のように述べているんですね。
SPCに支払われる金額が固定されているので、SPCにしてみれば、二次委託先との契約で経費削減をすれば、その分だけ自分たちの増益が図られます。当たり前のことですね。病院にとっては、本来は変動であるはずの経費が固定費化されたままで、削減にはつながらないと。
本来ならば、随時、随時の競争入札によって、もちろんむちゃなコスト縮減は許されるものじゃありませんけれども、変動することができるのに、もう固定してしまうと。しかし、SPCの方は、その都度その都度、例えば委託あるいは発注業者との関係でやりとりをすることによって、幾らでも増益を確保する道が開かれると。こちらの方は変動だということの不合理性を、この院長を務めた方がPFIの検証というふうに指摘をしているということは、重く受けとめる必要があると思うのです。
さらに、PFIだから、逆にコストがかかるということについても指摘をしたいと思います。
その一例がアドバイザリー契約の問題です。多摩総合医療センター及び小児医療センターのPFI事業は、その可能性調査の段階から、一者によって、一貫してアドバイザリーを受けることが行われてきたと思うのですが、企業とこの間支払った金額及び今後の支払い予定について、ご答弁をお願いします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 アドバイザリー契約についてでございますが、相手方は株式会社日本総合研究所でございます。平成十五年度から十九年度までの支払い総額は三億七千六百万円でございます。
運営開始後についてでございますが、モニタリングの実効性の確認等におきまして、専門的な知識に基づく支援が必要でありますことから、当面の間、アドバイザーを活用する予定でございます。
また、今後のアドバイザー費用につきましては、アドバイザーの業務内容は、各段階において異なるため、業務内容に応じた費用を計上することになり、現時点ではこの積算は行っておりません。
○吉田委員 可能性調査を行ったシンクタンクが、将来にわたって、文字どおり十数年にわたって、アドバイザーとして相当額の委託料を受けると。現時点で三億六千万円余ですか、七千万円余ですか。そうすれば当然、どこまでこれが積み上がるのかわかりませんけれども、さらに五億、六億という金額となっていくことは、そう大きく違ってないと思うんですよね。
こうしたことも、いや、これは私たち全部自前でやりますというなら、まだ話は違いますが、非常に複雑なこうしたPFI事業の場合には、事実上ある程度シンクタンクがアドバイザーとなって仕切らざるを得ないという状況だと思うんですよ。
そのコストだけを見ても、極めて大きなコストを、我々は税金で払わざるを得ないということも、コスト縮減といっている一方で起きている問題として指摘をしておきたいと思います。
さらに、コストの問題と同時に、私は効率性という点でも、このPFI事業によって、SPCが新たに病院の中に入ることによって、業務そのものの複雑化と非効率さをもたらすということについても指摘しておきたいと思います。
住民の皆さんに配布をしているこのリーフレットがありますけれども、それを見ると、PFIの説明のチャート図がありまして、現在は東京都が直接民間企業に個別の委託をしているけれども、今度はSPCが、東京都とそれらの民間企業の間に入って、包括契約を結ぶから、より効率的だという説明がされておりました。
しかし、実際はSPCが都と個別契約企業の間に入るだけで、運営上もコスト上もいわば二重構造と。コストもその分かかるし、運営上も、都が直接委託を受けている企業とやりとりができるのに、そこにSPCが入ることによって、非常に煩雑になるのではないかということが当然予測されますけれども、いかがでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 これまでの委託業務契約におきましては、業務ごとに個別に契約を締結しておりまして、都が業務ごとに個々の事業者へ指導監督を行ってきたところでございます。
PFI事業につきましては、どのように業務を遂行するかにつきましては、基本的にはSPCの創意工夫に任される仕組みとなっておりまして、業務を統括するマネジメント能力を求めていることから、単なる委託の包括化ということにとどまるものではないということでございます。
今回は、さまざまな業務を包括してSPCに行わせるという契約であるため、都からSPCに対して指示を行うことで、SPCが全体調整した上で、協力企業へ指導徹底するなど、効率的な管理が可能となると考えております。
○吉田委員 続いてお伺いいたしますけれども、この委託に関して、SPCへの支払い総額は、総価の中でどれだけの金額を占めているんでしょうか、委託料について。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 先ほども診療材料費の費用につきまして答弁させていただいたところで申し上げましたが、あくまでSPCが想定している費用という前提で申し上げますと、委託費等は八百二十億円程度となっております。
○吉田委員 委託費等ですから、その等のところに何が入っているのか、私は確認するすべがありませんけれども、例えば昨年の公決の分科会で出していただいた都立病院における委託料の推移ということで、平成十九年度決算における各病院ごとの委託料が示されております。これを府中病院、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の四病院の委託料を合計いたしますと、私の計算では三十一億余円ということになります。
これで何年間、十五年で掛けて計算すればいいのかどうかわかりませんが、八百二十億円の委託料等の費用と現実の四病院、年間三十一億で、十数年間で掛け合わせると、かなりその乖離があるわけですよね。八百二十億円の方がはるかに膨らんでいるということになります。これは、もしこの点について解明することができるんだったら、ご説明をお願いします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 現在の四病院の委託と、またPFI事業による委託の内容についてでございますが、まず、そもそも新病院は、現在の四病院と施設規模が異なっております。前提となる物理的なものが違うというのがまず一点目でございます。
また、調達業務、検体検査、医療機器保守管理等、現在は委託にしていない、委託化していない業務が追加されておりまして、その内容も異なっていることから、金額による単純な比較はできないものと考えております。
○吉田委員 もちろん、そうしたことはあり得ると私も理解できますけれども、それにしたって、きょうは計算を間違えないようにしなきゃいけないんですが、八百二十億円を十五年で割れば、五十四億円と電卓はいっているんですが、片や年間三十一億円ということで、私は疑問であるということを指摘せざるを得ません。
先ほど、いやマネジメント機能をSPCが持つことによって、効率化されるんだという旨の意義づけを強調されましたけれども、私は、東京都の皆さん方の能力をもってすれば、SPCに負けないだけのマネジメント能力があるんじゃないですか、現場の管理職の皆さんは。それを誇ってほしいと思うんですよ。
しかも、そのことによって煩雑になるんじゃないかという指摘は、私の単なる個人的発想ではありません。再び近江八幡の院長を務めた方の文章を紹介させていただきますが、このように書いてあります。
直接委託に比べ、話し合いや指揮命令系統における手続が煩雑になった。またSPCを中心とする包括的委託であるため、病院が各二次委託業者にどれだけの対価を払っているかが不明になっています。病院としては、二次委託先に支払っている対価が適正であるかどうかさえ検討できなくなっていますと。
これは、もちろん近江八幡の例ですから、これをもって断定することは正確さに欠けるかもしれませんが、しかし、近江八幡の院長を務めた方が、自分が近江八幡の院長として、PFIを行ったことによって、検証した結論として、以上のことを分析し、それをぜひ全国では参考にしてほしいというふうにいっているんです。
そうした点で、このように、あえて既にすべて委託でいいということにはなりませんけれども、東京都が直接委託業者と関係を持ちながら、良好な関係で進めているところにSPCが入るということは、コスト的にも、また実際の血の通った運営を一体的に進めていくという点でも、マイナスの懸念というものが私はあると思うんです。
この槙先生の論文は、もしごらんになっていれば、この部分の指摘について、どのように受けとめていらっしゃるのか、聞かせていただければありがたいですし、もしごらんになっていなければいいですけれども、いかがですか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 近江八幡市のPFI事業についてですが、今、先生がお話しになりました資料、論文につきましては、目を通させていただいているところでございますが、近江八幡のPFIについて、多岐の記述がされているというふうに考えております。
この中では、あくまで引用ということで紹介させていただきたいと思うんですが、総合医療センターの経営が、短期的にこのような状況となった要因は、PFI方式が原因というよりも、市側の計画の甘さ、計画の稚拙さが原因となっているという記載もございます。したがいまして、このことをもって、近江八幡市のPFIについて評価したり、総括するものではございませんが、そういった記載もあるということをご紹介させていただきます。
○吉田委員 私は、その業務委託が、逆にこうした煩雑さを伴うということについてどのようにお考えになっているかを、ご答弁をいただきたかったんですが、もちろん、個々の言葉だけですべてを判断することは適切ではないと思います。
きょう幾つかの問題について、かなり金額的な、具体的な問題も含めて、指摘をしてまいりましたけれども、とにかく多摩総合医療センター、そして小児医療センターのPFI事業というのは、規模においても、金額においても、全国で初めてのものです。そこにPFIを導入するわけですけれども、高知にしても、近江にしても、さまざまな要因が複合しておりますけれども、PFI事業が、当初の予定どおりいかない事態が次々と起きているわけですよね。
その中で、やはりそうした問題を十分検証することなく、これだけの二千四百九十億円という都民の税金を、事実上、清水建設が一手に受けて、それも十九年間にわたって一貫して事業を請け負うことができるということは、やはり多くの都民の皆さんが知ったら理解できないのではないでしょうか。
しかも、近江八幡の例でいわせていただければ、近江八幡市議会は、昨年十二月にこの市立総合医療センターのPFIを解除し、直営に戻すということが多数で可決をされるという事態となっております。私は、今からでもこのようなPFI事業は中止をすべきだということを改めて述べて、質疑を終わらせていただきます。
○野島委員 私からは、小児総合医療センターの開設及びこれに関連して、何点かお伺いをしておきたいというふうに思っております。
実は私、この四年間、この厚生委員会に籍を置いてまいりました。折に触れといいましょうか、事務事業質疑等、あるいは請願等で、確実にこの課題に触れながら、私の考え方を申し述べてきたところでございますし、さきの一般質問でも、これらのことについて議論をしてきたというふうに認識をいたしております。
とりわけ小児総合医療センターの開設に伴って、私の地元市である清瀬市の清瀬小児病院が機能移転をして、現実には清瀬小児病院がなくなるということもございましたので、ある意味で私は、この四年間は、そのことをしっかりと見届けながら、私のできる責任の立場で、これらをどう構築していくか、こんな思いで四年間、ここに籍を置かせていただいたというのも正直なところであります。
とりわけ清瀬小児病院の問題は、清瀬が地元市ですけど、圏域もございます。あるいは医師会の皆さん、不安を抱く市民の方とも、常々真剣に私は議論をしてきたというふうに自負をいたしております。
そんなことで、もう私の任期も間もなくでございまして、本件について議論をさせていただくのも、恐らくきょうが最後だろうというふうに思ってございますので、そういう意味では、大変な思いがございますので、いささかきょうは時間が長くなりますけれども、ご容赦をいただいて、おつき合いをいただきたいというふうに思っております。
この都立病院改革マスタープランが発表されたのは平成十三年でございました。当時私は都議会議員一年でありまして、これを聞いたときに、とんでもないというのが正直なところでございました。
一つには、やっぱりなれ親しんできた、大きな存在感のある病院であるということが一つであります。と同時に、やはり近隣市も含め、地元市も含めて反対、市議会も反対の意見書だか決議だか上げたというふうなことを承知しておりますし、医師会の先生方も反対ということで、正直なところ受付には、清瀬小児廃止反対のステッカーまで張ってあったというふうに私は記憶をしているんですね。
私のよく存じ上げている方も、あるいは一般的には私を支持してくれているというふうに推測される方も、反対運動の先頭に立っていたということの状況でございました。
そんな中、実は私も大変悩みまして、都立病院改革の目指すもの、皆さん、よくご答弁なんですけれど、医療資源は有限なんですよね。かつ、社会保障費というのは、行き着くところ、国民負担ですから、こういったふうなものをどう活用し、都民の生命、健康を守る。そのために都立病院としてどうあるべきだということを真っ正面からとらえまして、たしか平成十四年の六月定例会というふうに思って記憶をしているんですが、私は移転やむなしと、こういう苦渋の決断、判断をいたしまして、その旨、議事録にも残っております。
その後、しからば移転後の地域の小児医療をいかに構築していくか、このことに実は力を注いできたということであります。その中で、実は反対運動のさなかといいましょうか、反対という立場を表明しながらも、地域の小児医療をこれからどうやって守っていくんだということで、関係者の方と本当に真剣に議論させていただきました。
とりわけ地元の市長さんはもちろんでありますけれども、そのとき、僕は医師会の先生方に頭が下がりました。最初、行ったときは、罵倒されましたよ。しかし、事情をいろいろ話しながら、本当に地域の小児医療を守るためにどうしていくんだということで、議論をさせていただく機会を得ました。
そしてその間、病院経営本部のスタッフの皆さんにも、大変つらい思いの中で、そういう立場の人と議論をするわけですから、お支えいただいて今日に至った。本当にありがとうございました。心から、病院経営本部の皆さんはもちろんでありますけれども、この場から、この会にかかわって、真剣に地域の小児医療をどうするんだ、こういう思いでご議論をいただいた皆さんに、改めて敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。
そして実はこういう中から生まれたのが、四市五医師会、四市というのは実は小平は二次医療圏なんですけれど、斉藤委員さんのところは抜けているんですよね。しかし、医師会が一緒にやってくれているんです。それは、地域の医師会として、二次医療圏の中で、私たちがという物すごい義務感といいましょうか、使命感に燃えてやっていただいています。
なぜ小平市は参加してないかというと、小平市は既にやっていますから。それはその地域の自治体の選択の問題ですから、私はとやかくいう立場にはないし、それはそれでいいんです。
しかし、さっき、公立昭和病院の問題が出ました。あれは組合立の病院なんですね。何市で構成していたか、ちょっと記憶してないんですが--八市、八市で構成しているんですよ。実はそこの病院というのは、正直なところをいえば、小平の人は小平の病院だと思っている、所在が小平だから。実はかつて--もちろん構成市の負担で成り立っているんです。
そうしますと、足の便が悪い武蔵村山も入っているんです。武蔵村山は、当然のことながら運営経費の負担をしていますよ、団体割と利用者割で。だけれども、利用率が少ない。わざわざ行かないから。分院をつくれという運動もあったんです。あるいはそういう武蔵村山の提案ありました。
一方、小金井市は小平のすぐ隣接ですよ。小金井市は財政危機の折で、負担金が払えないからやめさせてくれという、そういう時期もあったんですよ。しかし、地域医療を守っていくという立場で、知恵を出し合いながら、分院もつくらず、そして小金井市の脱退も思いとどまっていただいたというふうに僕は記憶をしているんですが--まだ構成しているよね。そういうことなんです。
いわば自分たちの地域にあるから、それを固執して何としても守るということ。そのことを私としては気持ちとしてはわかるんですよ。しかし、現実問題として、さまざまな要件の中でどうしていくかといったら、それはここにあらわれているような、今二つの事例を申し上げました。協力をしていかなければならない、そんな思いを実は強く持っております。
一つは、そういう意味では、多摩地域、北部医療センターにおいて、小児救急が、共同事業としては都内初めてなんですね。これがスタートできたんです。それから多摩北部医療センターに小児二次救急がスタートいたしまして、補正予算でも議論が出てまいりましたけれども、いやいや、もっと充実させなければということで期をまたいだわけですね。いいことをするのに当初予定より期をまたいでいて、それがだめだという理屈が僕にはわからない。したがって、そういうふうな成果が出てきているわけであります。
さて、私も去る二月の一日というふうに記憶しているんです。それから三月の一日か二日だったと思うんですけれども、清瀬、東久留米、東村山、東村山も二次医療圏ですから、その方たち、おおむね二百五十人ぐらいでしたかね、それぞれのブロックで、不安だ、心配だ、こういうことがあるから、おまえ、説明に来いというんで、私、伺ったんですよね。当然のことながら、心情として当然でございますし、いろいろお話をしてきました。
それから、お手紙も、先ほど、かち副委員長は--僕はあの倍ぐらい、ちょうだいいたしました。いろいろ書いてあるんですね。僕、ぜひこの場でしっかりした議論をして、その方たちにちゃんと答えを返したいと思っているんです。でなければ、議員としての説明責任というのが、責任が果たせないと思うのです。
そういう意味ではいささか議論は重複します。ただ、重複しますが、よって立つ立場が、公明党さんは大体同じ立場というふうに理解をしています、質疑を聞いていて。共産党さんの立場はよくわかりました。民主党さんの立場がよくわからない。(笑声)ですが、そういうことも踏まえて、いささか重複はご寛容いただいて、何点かお話をさせていただきたいというふうに思っております。
さて、この委員会での議論をしますと、一次だとか、二次だとか、三次だとか、行政的だとか、あるいは医療機関同士の連携だとか、こういうさまざまな、ある種、行政用語といったらいいのかな。一般の人にはなかなか理解しづらい。私も理解しづらいんですがね。わかりにくいんですよ。
実は呼ばれたときに、話をさせていただいたときに、いろいろ例え話で、平易な形でご理解いただけないかなというようなことでいろいろ話をしてきたんです。実はそれが私、間違った話をしていますと、これはもう信頼感を一挙に失いますので、そういうことの認識でいいのかどうかということを、きょう改めて、最初にご確認をさせていただきたいと思うんです。
おかげさまで私もよわい六十になりました。まだ孫の顔は見ていません。しかし、その当時来た人に、いろんな話をしたんです。皆さん、お孫さんが平日昼間、急に熱を出した。これは恐らく地域のかかりつけの小児科に行かれるでしょう。先生、実はこんな状態なんですと。孫を心配して行くことも--お父さん、お母さんがお勤めしてれば、おじいちゃん、おばあちゃんが行くかもしれない。
そこで、大丈夫ですよねと。いや、この病気は心配だからということであれば、ほかの医療機関を紹介いたしましょう、あるいは、これは入院しないとだめならば、やっぱりそういうルートで、ちゃんとそちらの対応ができますから、それは心配ないでしょうねと、こういうふうにお話を申し上げたんです。
例えば、最近は共稼ぎ世帯も多いです。どうも話を聞くところによりますと、お子さんは、昼間は元気で外を飛び回っていて、夕方帰ってきて、発熱をしたりぐったりしている。そうしますと、今の若い親御さんは、昔と違いまして、小家族になっちゃいましたから、不幸にして、先人の知恵を受け継いでないんですね。
昔は、熱があると、ああ、これはこれだから、番茶を冷まして飲ませろとか、そういう先人からの知恵で対応できたんですよ。でなければ、小児救急も何もない時代でしたから。東久留米は昭和三十一年まで無医村でした。そういう中で、そういう状況の中で、村営の診療所をつくったりなんかして、今日、もうそれはないですよ。だけども、家族の中でそういうことが可能だったんですね。しかし、今、そんなことできないですよ。できる家庭なんて、めったにないと思うんですね。
そこで、そういう場合に、さあ困りました。かかりつけのお医者さんは、夜もう仕事が終わっちゃっていますと。要するに、開院時間が終わっていますということになると、これはおろおろおろおろしちゃう。そこで、どうされますかということでございますが、そういう場合どういうふうに対処したらよろしいんですか。
○及川経営企画部長 副委員長お話しのように、お子様が突然熱を出したり、体調を壊されたりしたときに、親御さんは大変ご心配になることと思います。まして昼間かかりつけの医師がいる時間帯ならばともかく、夜あるいは深夜も含めて、あと休日、どこにかかったらいいんだというような、そういったご質問だというふうに受けとめております。
そこでまず、先ほど来お話がございます四市五医師会の先生方が、本当に努力をしていただいて、平日の準夜間の診療を二カ所でしていただいております。一カ所が多摩北部医療センター、そしてもう一カ所が佐々総合病院でございます。
多摩北部医療センターでは平日、火、木、金の夜七時半から十時半の間、この医師会の協力で診療を行っております。また、佐々総合病院におきましては月、水、金で、同様に週三日平日の準夜間の診療をしていただいておりまして、現在それぞれ三日ずつでございますけれども、これを何とか五日に拡大をしていこうということで努力をさせていただいております。もちろん、各市及び各医師会のご協力がなければできない事業でございます。
そしてまた、多摩北部医療センターの例で申し上げれば、医師会の先生方が、これはちょっと検査をしないとわからないと。場合によると、重症の病気があるかもしれないというような場合も当然出てくると思います。その場合には、当然すぐに、バックの二次医療機関としての多摩北部医療センターにご連絡いただきまして、そこの医師が当直で夜おりますので、必要な検査、そして診療という形で、場合によれば入院をしていただいて、ゆっくり、じっくり診療、検査をしていただくということでございます。
さらに、二次の多摩北部医療センターで、これはもっと複雑で、ちょっと自分の専門領域ではなかなか解決のできない病気が潜んでいるかもしれないというような場合には、来年開設いたします小児総合医療センターの方にぜひご連絡をいただいて、そこでそういった各分野のスペシャリストにご紹介をして、そこの先生に診ていただいて、必要があればまた二次の方で入院をしていただく。もちろん、三次の方でも入院していただく場合もございますが、最終的にはまた地域のかかりつけ医に戻っていただいて、必要があれば一次から三次までの医療を連携していくということでよろしいかと思います。
○野島委員 ありがとうございました。
共同して取り組んでいる初期救急も、最初は本当にご苦労いただいてスタートして、それを徐々に拡大している、こういうことであります。
各医療機関の連携の話、実はこの間、読売新聞に医療改革提言ということで、これが細かくというか、実態が書いてあるんですよね。したがって、私は、この中でいいなと思ったのは、センターの近藤小児科部長は、開業医の先生方が来る日は本来の仕事に専念できる。いわば持っている機能は、その部長さんは二次救急の部分ですから、来ていただいているから、初期の方はそちらで診てもらう。連携しつつ、こちらはできますよと。医療資源をお互いに、人を資源なんていっちゃいけないですが、トータルとしての資源をお互いに協力し合いながらというすばらしい話だと思うんです。
ここに写っている当直の先生、年齢が書いてありますけれども、昼間もお仕事で大変なんですよ、年齢からしても。だけど、地域の小児医療を守るために、輪番制で私も出てきましたと。本来それは私たちの仕事なんですよと。こういうふうな書き方をしていただいている。本当にありがたい話ですよ。
実は先ほど小平市さんのセンターの話といいましょうか、初期救急の話をしました。小平市さんが、小平市民以外の方を診てくれるかどうか僕はよくわからない。ぜひそういうことも連携して、そうすると、二次医療圏に三つできるんですよ。
恐らく小平市さんは、お医者さんはどうしているのか知らないけれども、小平市医師会が協力しているのかな。そうすると、ほかと連携すれば、小平市の医師会の先生方の負担が、僕はもっと少なくなると思うんです。
ぜひ小平に提案してくださいよ。不足、不足という現実を直視しながら、しからばどうやっていくというのは我々の知恵なんだから。多摩北部医療圏は医療資源が少ない、少ない。だから廃止をするなということが現実にできない以上、次のステップとして、やっぱりそういうものを積極的に提言していただきたいということを、斉藤委員にも、この場から強く要請をしておきたいというふうに思います。
実はそういう平易な言葉で、今そこに行ってください、その後難しければ、府中の今度の小児総合センターでやられるというふうに話を聞きました。
それで、話を聞く限りでは、親御さんが一番心配な夜間、休日の小児救急で、清瀬小児に行きますよという場合に、大体七、八%が入院する患者さんたち。九割以上は心配なくて、大丈夫ですよということなんですが、こういう人たちは、またさっきの話、地域医療の地域の小児科に帰ってきて、そこでちゃんとやってくれるわけですよね、そういうことでいいですよね。
○及川経営企画部長 清瀬小児病院、平成十九年度でございますが、時間外の救急患者数が一万四千二十三人いらっしゃいまして、このうち入院患者数は九百六十二人ということで、一日当たりに直しますと二人から三人程度ということでございます。
先ほどお話しさせていただきましたけれども、当然北部医療センターでは、夜間の救急は常に動いていますので、ご家庭から直接救急でもって北部医療センターの方においでいただくというのも結構でございますし、私どもはそれに十分適用できるだけのハード、ソフトの備えを現在しておるということでございます。
○野島委員 わかりました。
北部医療センターのハード、ソフトの備えということで、補正予算まで組んで増額補正して対処していただいて、本当にありがたいと思っております。
ベッド数の関係、実は清瀬小児を存続しろ、しろという立場の人と、ある段階で僕は話をしたんです。何が不足なんですか。一次医療、小児科が少ない。それは何も清瀬、久留米に限ったことではないという部分があるかもしれない。
しかし、大きな病院があって、小児科を受けると、逆にそこに、一次医療といいましょうか、小児科をやる先生が来なくなっちゃうんです、成り立たないから。逆に大きな病院で、何でも便利にされちゃえば、そこにお医者さんが開業してもプラスにならぬでしょう、商売に。商売というのは変ないい方だけど、だって、患者さんがそっちにとられちゃえば、そういう事情もあるんですよ。だから、一概に表面上の数が少ない多いというのは、僕は、全くとはいわぬが、余りそこだけに拘泥する必要はないと思うのですね。
例えば東久留米のご心配もいただきました。東久留米というのは、実は賃貸の公的住宅の世帯、社宅も含めて、企業住宅も含めて、全世帯数の四七、八%かな、あるんです。
団地のところには、かつてはお客さんがたくさんいたんです、子どもさんがたくさんいるから。今、一番高齢化率の高いのが、そういう集合団地なんです。小児科がいたって割に合わないんです。だから、少子化社会で子どもも少なくなっているし、高齢化しているから、成り立たないから、小児科の標榜はやめているケースはありますよ。
駅の周辺は、若い世代が、このごろマンションがたくさんできていますからね。この中にも、その中に住んでいる方がいるかもしれない。需要があるんです。だから、駅前クリニックであり、マンションの一階の小児科という、こういうことになる。そういう実態をしっかり見なきゃいけないと思うんですね。
それにつけても、小児科の数をどうふやしていくというのは、これは東京都マターで解決できる問題じゃないですね。医師の定数は国が決めるわけですから。ようやく厚労省も方針転換をして、それをふやしましょうということは、田代委員の質疑でもあったとおりでございます。
いわばそういう中で、二次医療圏のベッド数としては、その反対運動をしている方がいうんですから、いや、いいと思いますよと。それはそうですよ、今日までに協議会で積み上げてきて、お医者さんの知見も十分にいただきながら設定した数字だから、不足ということはあり得ないですよと。
いやいや、将来不足したなら、それはそのときにちゃんとふやせばいいですよ。ただ、お医者さんがいるかどうかという問題はあるけれどね。まあそんなことです。高度な医療はそっちでやってくださいというふうなことであります。
今、概要を申し上げました平易な話で、要するに、地域の小児医療を支える医療機関同士の縦、横の重層的な連携というのは、今いろいろ小平さんにもお願いしておいたけれども、そういうことをやっていく必要があるだろうということが、地域医療を守っていくことだろうというふうに思っておりますし、二次あるいは救急を持つ中核病院が連携し合っていくということ、こういったふうなことをやりながら、軽度から重度まで、それぞれの診療できる役割分担に応じた仕組みを構築していくと。これが地域に安心をもたらすいわば地域医療です。
不足を嘆いたり、東京都マターで解決できない問題を解決するまで待てとか、そしたらば、逆に都民の医療に寄せる期待に背を向けることになっちゃうんです。それは医療資源は有限だから。ぜひそんなことで取り組んでいただきたいというふうに思っています。
そこで、この間、実はそんな話をしてよかったです。私、余り間違った話をしなかったのでね。それで話をしました。安心した人もいますし、引き続き不安だという人もいます。
それでぜひお願いしたいのは、もっとわかりやすい、最近はビジュアルじゃないとなかなかね。文章って、一次医療、二次医療なんていったって、僕だってよくわからないのに。だから、ぜひそういう広報を積極的にやってほしいんですよ。答えはいいです。要望だけしておきます。やってほしいんです。
今いったように、おじいちゃんでも母親でもいいですよ。子どもが、昼間はこっち行ってください。夜間の場合はこっちがこうですよ。ここの住所、電話番号ですよとか、あるいは休日の輪番でやっているところありますよ、久留米も休日診療を。だから、それはそこに行ってくださいとか、難しい話はここで十分相談して、もっと難しければこっちとか、そういうビジュアルなものをやってほしいと思うんです。
ぜひそういうものを、関係機関の協力を得てお願いしますよ。例えば医師会の先生もこれだけ協力してくれた。本当に頭の下がる思いです。最初、さっきステッカーの話をいたしましたけれども、そういう中で選択をして、協力をいただいているということですから、最初に反対ということが、今度は逆に受付に、いや、こういうことで皆さんの子どもたちの医療は守りますという。いや、この絵を見てください、こういうふうにやれば大丈夫なんですよ。何でもあったら、私、相談しますからという広報をしていくという、そういう現場感覚というかな、そこに基づいた広報活動をぜひやっていただきたい、このことを強く要望しておきます。
さて、今までは極めて平易な形で議論をしてまいりました。しかし、議事録というのは未来永劫に残るものというふうに思っております。とりわけ医療行政のシステム、こういうことでございますので、やはりそれはそれなりの行政用語での取りまとめをしておきませんと、野島も、あのときいろいろしゃべっていたけれども、この計画の中で、何がどういうふうに糸が結ばれてこの発言になっているんだというそしりを免れませんので、その辺をこれから改めてお聞かせいただきたいと思います。
この問題は大きく整理しますと、押さえておかなければならないポイントが二つあると思うのです。いわば一点目は、三病院を統合再編する考え方がいいのか悪いのか。それから二点目は、移転後の地域医療体制をどのように構築し、地域に対してどのように説明をし理解を得てきたのか。あるいは、これからもなお理解を得ていくのか、こういうことでの場というふうに認識をしております。
そこで、一点目のポイントである統合再編の是非について考えるために、まずは三病院統合再編による小児総合医療センター整備の都の考えについて、改めてお伺いをしておきたいと思います。
○及川経営企画部長 清瀬小児病院など三病院を統合再編し、小児総合医療センターとして整備する都の考え方についてでございますが、この三病院は、それぞれ小児専門病院、小児精神科専門病院として機能してまいりました。一方で、この三病院は、施設の老朽化や、産科がないために母体搬送ができない。また診療科が、それぞれ分野が違っているというようなことで、トータルとしての救命救急対応ができないといったような大きな問題もございます。
平成十三年度に策定をいたしました都立病院改革マスタープランでは、当時から、既に全国的に小児科医が減少しているといったことを指摘しながら、この限りある医療資源の中で、どうすれば小児医療サービスの向上が図れるのかということで策定をしております。
具体的には、医療機能の集約によるメリットといたしまして、臨床症例が集まる。これによって質の高い医療、研究等が進むということですね。質の高い医療が提供できる。各分野の医師が集まることによる専門性の高い医療が提供できる。さらには、意欲のある医師、優秀な医師の確保、育成ができるということのメリットを掲げております。
そして、一次、二次、三次の医療機関が密接に連携することによりまして、都立病院が本来担っております役割である周産期医療や小児救急医療、さらには小児精神医療等の一層の充実を図る必要がある。そのために三病院を統合し、小児総合医療センターとして整備をすることとしたものでございます。
その後、副委員長のお話にもございましたけれども、七年の歳月をかけまして、地域の関係者を初め、さまざまの機関、関係者のご協力をいただいて、また議会でのたび重なるご審議もいただいた上で、来年三月の開設に向けて、着実にその準備を進めているところでございます。
この新センターが開設することになりますと、周産期医療、もう何度も申し上げておりますので、細かく内容は申し上げませんが、周産期医療、そして人材が国内外から集まるというような効果も含めた小児救命救急医療、こういったものの対応が確実にできてくるということで、多摩地域全体での小児医療サービスの向上が確実に図られるというふうに考えております。
○野島委員 ありがとうございました。
確かに僕、願いは願いとしてという表現を、この間の一般質問で使ったというふうに記憶をしているんですね。あの一般質問の後、日本共産党の政党機関紙であります「赤旗」から、不安あるというが、自民議員が横やりという、こういう記事が出ました。私は決して横からやりというようなタイプでありませんので、真っすぐいろいろ議論したつもりでありますけれども、横やりということだそうで、そういう見方をされるのは、私の不徳のいたすところというふうに思ってはおりますが、その中に、いつでも診てもらえる小児病院があったからこそ、子どもが生きてこられたという声がありますよと。そういう意味では、全く存在感の大きな病院であった。
しかし、本来の医療連携、あるいは東京都がやるべき病院行政、この中でどれをやっていくかということになりますと、やっぱりそれはとりわけ資源の有効活用とか、そういうことを考えて、今までさんざん本部長も答弁してくれましたけれど、やっぱり進めていかなきゃいけないだろうというふうに思っております。そんなことで、それにつきましてはわかりました。今までほかもさんざん話が出ておりますので。
次に、もう一つのポイントを、先ほどいいましたけれども、移転後の地域の医療体制をどのように構築し、取り組みを進めていくのか、また、地域に対してどのように説明をし、理解を得てきたのか、こんなところも伺っておきたいと思います。
○及川経営企画部長 平成十三年のマスタープラン発表以来、この計画の考え方に対するご理解と地域の小児医療の確保、充実のための取り組みについて、地元地域の自治体、医師会など関係者と幾度となく説明や調整を行ってまいりました。
まず、地元清瀬市とは、平成十五年に清瀬市の小児医療に関する検討会を設置して、平成十九年に検討会のまとめを策定しております。このまとめにおいて、北多摩北部医療圏域における今後の小児医療体制の確保充実策として、まず初期救急については、平成十七年から四市、五医師会で実施している平日夜間の初期救急医療体制の拡充を図る。圏域にとって最も重要となる二次救急の確保のために、他の北部医療センター、小児科の充実を進めていくということにしたものでございます。
そして、この充実に向けて、ハード面、ソフト面の充実を図っているということでございます。特にソフト面につきましては、四月から常勤医師五名をという形で確保いたしまして、日中の外来は、常時二ブースの診療を行いまして、当直体制も、工事終了後速やかに、現在の一系列から救急一系列、病棟一系列、二系列といたしまして、夜間の人員体制が強化されることになります。
また、清瀬小児病院からチームで医師を派遣いたしまして、小児総合医療センター開設後も、引き続き人的交流を図ることによりまして、両センターの連携強化の仕組みづくりを構築し、副委員長が常々お話しされている、初期から二次、三次までの役割分担に基づく密接な連携を進めてまいります。
このような取り組みに対しまして、多摩北部医療センターの運営協議会や圏域の各市、医師会の協議会の場など、さまざまな機会を通じて説明を行ってきております。そして、一定のご理解を得ているものというふうに考えております。
次に、八王子小児病院につきましても、平成十四年の地元八王子市との検討会設置以来、八王子地域の小児医療に関しまして検討、協議を重ねてまいりました。その結果、昨年の九月に協議会のまとめとして、今後の八王子地域の小児医療体制とその確保、充実策について、基本的方向性をお示ししたものでございます。
ここでは、外来診療については、市内の診療所はかかりつけ医として、入院医療については東京医科大学、東海大八王子病院、この二つの大学病院が中核病院として、高度専門医療については小児総合医療センターが、それぞれの役割分担のもとで担い、相互に連携して小児医療体制を構築するということにしております。
都は、この体制を確保充実させるために、まず二つの中核病院の小児科を拡充するための施設整備等につきまして、市とともに必要な支援を行っていく予定としております。
また、八王子小児病院の患者さんの円滑な受け入れが行えるよう、二つの中核病院に専門医師を派遣することとしまして、昨年十二月から東海大八王子病院に、原則月一回、専門医師を先行的に派遣をしております。
さらに、新生児などの周産期医療や小児救命救急医療など、高度で専門的医療につきましては、中核病院との密接な連携のもと、小児総合医療センターが役割を担うこととし、現在の新生児ドクターカー一台に加えまして、新生児も搬送できる小児用ドクターカーをさらに一台、小児医療センターに配備するなど、協議会のまとめに基づき、八王子地域の新たな小児医療体制に対しまして、必要な支援を行っていくこととしております。
このように、開設まであと一年となりましたけれども、それぞれの地域の小児医療の確保、充実に向けて、現在も懸命に取り組んでおりまして、開設まではもちろんのこと、開設以降も引き続き各地域の理解とご協力を得られるよう、また、先ほど副委員長からご指摘いただきましたような広報活動もさらに充実させていき、このような取り組みを鋭意進めてまいりたいと考えております。
○野島委員 ありがとうございました。大変厳しい状況の中で、この協議会等で意見を重ねながら、今日の到達点に至ったというふうに理解しております。
ぜひ今後とも移転後の小児医療をどうしていくか。八王子、清瀬という部分もあるわけでありますけれども、これを含めての二次医療圏、こういったところでどうしていくかということ、とりわけ地元市については大変な大きな課題でございますから、この協議会は引き続きやられるというふうに思っておりますし、その中に、またいろいろ新しい、より強固な体制に向けて、いろんな意見も出てくると思いますよ。
ぜひしっかり受けとめていただいて、思いは一つですから、この経営をしていくということ、あるいは自治体を運営していくこと、こういうことについて、現に執行の立場にある人の思いというのは、夢物語ではできないです。
与えられた財源があり、与えられた人があり、与えられたツールがあり、与えられた役割があり、与えられてない役割だけれども、国や都の役割に対してどう働きかけるか、大変悩みの多いところなんです。だから、したがって、そういう人たちと話をすれば、僕は必ず着地点におりてくると思うんです。
それは、僕は、願いは願いとしていて、これをいうのはただですから、何をいうのも。しかし、執行というのはそうはいかないんです。したがって、その協議会の場で、十分な意見交換をしながら、より一層、都立病院改革に向けて、府中のセンターもさることながら、残された地域の医療体制どうするかということをしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。
さて、いろんな思いはありますけれども、時間の制約もございますので、今日まで歴代病院経営本部長初め、多くのスタッフの皆さんに、冒頭申し上げましたように、厳しい状況の中で、本当によくやっていただいた、心から感謝を申し上げたいというふうに思っています。
今後、今るるご説明いただいたわけでありますけれども、この件は今回の本会議や、あるいは予算特別委員会、そしてこの場でもさまざまに質疑がされているわけであります。再編整備に対する本部長の思いのたけを、ぜひこの際聞かせていただきたいと思っております。
○中井病院経営本部長 小児総合医療センター、そして小児三病院の移転等に関しましては、野島副委員長には、平成十三年のマスタープランの発表以来、時に私どもと激しい意見の交換、議論をさせていただき、また時に地元地域の住民の方々の声を私どもの方に伝えていただき、そしてそういった意見交換、議論の中で、この再編整備にご理解をいただいて、そしてその後、この再編整備にいろいろな形でご支援をいただいてきましたことについて、この場をおかりしまして、改めて敬意を表させていただきたいというふうに思います。
野島副委員長ご指摘のとおり、多摩地域の小児周産期医療がまだまだ十分でないという状況の中で、これをいかに充実するかということは、一次、二次、三次の医療機能を、その役割をもって、そして縦、横の重層的な連携をつくる中で充実させていくということは、まさにご指摘のとおりでございます。私どもも、その同じ考えのもと、現在この取り組みを精力的に進めさせていただいているわけでございます。
先生からもご指摘がございましたが、私ども、役所の人間の悪いところでございまして、日常的な用語を、余り親しみのない用語で説明をしている場面も多々あったのかと思います。そういう面で、地域の方々、関係者の方々へのご理解が十分でなかったというところもあったのかと思いますが、私どもその点については反省もし、今後さらに来年の三月の開設に向け、そういったことがないよう、先ほど副委員長のご指摘にもありました、わかりやすいビジュアル的な広報ということについても、早速取りかからせていただきたいというふうに思っております。
目に見えないものというのは、とかく不安をかき立てるもの、人間の心理にいろいろな形で影響を与えるものであるというのはよくあることでございます。近くに建物があって、そこで一次から三次の医療がされているということは、親御さんたちにとっては心強いというのはそのとおりだと思います。
しかし、いずれの小児病院も老朽化が進んでおりますし、また何度も申し上げて恐縮ではございますが、診療科は限定されているわけでございまして、どの小児病院をとっても、現在求められている最先端の高度な医療という面では、不足する面が多々あるわけでございます。
例示を挙げさせていただきますが、例えば交通事故、軽傷であれば今の清瀬小児病院でも診れるでしょうけれど、重篤あるいは重篤ともいかなくても、かなり多くのいろいろなけがをしたという場合には、これはもう清瀬小児でも八王子小児でも診れないというのが現実なわけでございまして、お子さんであれば、いつ何どき、そういった事故に遭うかわからないわけでございまして、そのとき、いかなる重篤なけがであっても、安心して最善の医療が受けられるというのが、今度の小児総合医療センターなわけでございます。
また、現在、小児病院の方に入られているお子さんについても、例えば八王子小児病院には、重症心身障害児のお子さんがおられますが、気管切開をしているお子さんもいらっしゃって、そういったお子さんの場合、食道逆流症という症状がよくあるわけでございまして、要は食べた物が戻ってしまう、逆流してしまうという、そういうことなわけでございますが、今の八王子小児病院には、消化器科がございません。消化器の専門医はおりません。そのため、十分な対応ができないわけでございます。これから小児総合医療センターに行けば、そちらに入院していれば、そういったことにも十分に対応できるということになるわけでございます。
また、梅ケ丘の例では、先ほど担当部長の方から摂食障害のお子さんの話がございましたが、摂食障害のお子さん、近年大変多いわけでございますけれど、要は心の問題だけでなくて、栄養が不十分であるということから来るさまざまな身体的な疾病が併発してくるわけでございまして、そういったことを総合的に診るには、やはり梅ケ丘ではできないわけでございます。
このように、今のそれぞれの小児病院、高度医療の部分は持っておりますけれども、決して万全、十分なわけではないという事実を、やはり我々ももっともっと説明をして、理解をいただかなければいけないんだというふうに、今回のご議論を通じて感じているわけでございます。あと一年でございますが、私ども、地域の方々、関係者の方々へのご理解をさらにさらに得られるよう努力をしてまいります。
また、小児総合医療センター、大変広範な高度の医療を提供してまいりますので、医療スタッフの充実ということが不可欠でございます。先ほども申し上げましたが、一般小児病院の現在の医師、看護師、その他の医療スタッフを異動して、今の府中のあのキャンパスに移ってもらうという予定でございますが、さらにそれに加えて、相当数の医師、看護師、その他のコメディカルの医療スタッフが必要になります。
しかし、今の厳しい医療人材の不足の中では、いろいろな方策を既にとっております。さらにさらに強化してとっていきますが、この充足をなし遂げるというのは、そうたやすいことではないという状況でございます。
そういう意味で、要は、三病院を存続したまま、二十二年三月に小児総合医療センターを開設するということは、現実にはできないと。もしそのままやれということでやった場合には、二十二年三月から、小児総合医療センターは、まさに休業状態、開店休業状態という形になってしまうだろうというふうに思います。
今、小児総合医療センターに集まってくれようとしている国内外の優秀な医師、そして若手の医師も、小児総合医療センターなら、そこで自分のスキルをアップできる、たくさんの症例もあるし、多くの診療科があって、自分の選択の幅が非常に広いという意味で、多くの医師が、若い医師が、あそこに集まろうとしております。
そういったものも開店休業では来てくれません。このように、せっかくいいものができて、この人材不足の中で、いい医療人材が集まろうとしていることを、三つの小児医療病院を存続させるということが、結果的に足を引っ張ってしまうということになるわけでございます。こういった点についても、今後とも私どもとして、十分にさらにさらに説明をさせていただきたいというふうに思っております。
また、地域の医療、小児病院が移転してしまうところの医療につきましては、経営企画部長からるる説明をさせていただきました。私どもこの問題について、決して手を緩めているということは全くありません。これまでも努力をさせていただいておりますし、これからも努力をさせていただくわけでございます。
そして清瀬市、そして八王子市と長年にわたって協議をして取りまとめた合意内容については、私ども着実に今その実現を図れているというふうに認識をしております。まだ未実現の部分は確かにあります。しかし、それは二十二年三月という、あと一年ある中で、さらにさらにやって達成をしていきたいということでございます。
そういう意味では、現在のこの時点は、まだ途中経過の状況であるわけでございますので、その点をご理解いただきたいということと、今後も未実現の部分について、東京都として、私どもとして責任を持って、実現に向けて努力をしていくということを、この場で申し上げさせていただきたいと思います。
私、行政に携わってもう三十数年になりますが、やはり行政というのは現実を直視する、そしてその現実を直視して、その前提の中で何ができるのかということをあらん限りの知恵を絞り、そしてそこからこれだというふうに考えが固まったら、それに向かって果敢にあらゆる努力をする。それが行政のスタンスだというふうに思っております。今回のこの事例、まさにそういったことが問われている、そういう課題だというふうに考えております。
今後とも私どもは、この小児総合医療センター、そして小児病院が移転する地域の整備に病院経営本部一丸となって努力してまいります。どうか厚生委員会の皆様方の引き続きのご理解、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
○野島委員 ありがとうございました。切々と力強くご決意を語っていただきまして、本当にありがとうございました。
私は都立病院改革、この清瀬小児の移転統合も含めて、正しいというふうに認識をしているんです。しかし、今、本部長もお話しになったように、その充実に向けてまだまだ多くの課題はしょっていくわけでありますし、一方、移転後の地域の小児医療をどうするんだと、このことも課題としてあるわけでございます。
その中には、都の責務として、やれるべき部分と、例えば一次の問題なんかは、市町村の役割、あるいは医師不足をどう解決していくのか、こういったふうなものは国マターですよね。ぜひこういう機関と協力をしながら、東京発医療改革、この都立病院改革の一環でもあるというふうに思いますので、力強い前進をお願いしたいというふうに思っております。
私もこの課題について、いずれ審判を受けなければならない時期が来るかというふうに思っております。一向に構わないんです。政策で負ければ、それは我々の本望でありますけれども、私はこの政策は正しいと、こんな思いで審判を受ける予定でございます。
最後に、これはなかなかきつい話なんですが、あと一つ要望だけしておきます。
実はこの間も清瀬小児病院へ行ってまいりました。どの程度の緑があるのかなというふうなことで。これは従前からいろいろ質疑もしているんですがね。最後に検討の場を設けますというのが去年の事務事業質疑かなんかでご答弁をいただきました。
この清瀬小児病院の廃院に関しては、それぞれ意見は分かれます。多分分かれます。残せというのと、充実するまで待てとか、いろんなご意見があるのは承知しています。しかし、この緑を残そうというのだけは、多分みんな賛同してくれると思うんですね。悪い話は私が受けていきます。いい話はみんなでやりたいと、こんなふうに思っておりますので、その辺も積極的なご検討の場の活用をお願い申し上げまして、長時間にわたりまして駄弁におつき合いいただきました委員長初め各委員に心から敬意を表して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東野委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十九分散会
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