厚生委員会速記録第三号

平成二十一年三月十七日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長東野 秀平君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事松下 玲子君
理事野上 純子君
理事山加 朱美君
西崎 光子君
橘  正剛君
斉藤あつし君
田代ひろし君
門脇ふみよし君
野村 有信君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長鈴木 賢二君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長松浦 和利君
健康安全部長梶原  洋君
事業調整担当部長蒲谷 繁夫君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長芦田 真吾君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長月川由紀子君
参事日置 豊見君
参事大久保さつき君
参事飯塚美紀子君
参事菊本 弘次君
参事別宮 浩志君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 平成二十一年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成二十一年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十三号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都医師奨学金貸与条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 東京都介護福祉士等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画(案)の概要について
請願の審査
(1)二〇第一〇五号 都立清瀬小児病院の廃止に反対し、多摩の小児医療の拡充に関する請願
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第二号 東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例
・議員提出議案第三号 東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例

○東野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東野委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十一年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十一年三月十三日
東京都議会議長 比留間敏夫
厚生委員長 東野 秀平殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十三日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(木)午後五時

(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成二十一年度東京都一般会計予算中
        歳出
        債務負担行為  厚生委員会所管分
第五号議案 平成二十一年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成二十一年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十九号議案 平成二十一年度東京都病院会計予算

(別紙2省略)

○東野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 桜山技監は、公務のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
 第一号議案、平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案、第六号議案、第五十三号議案から第六十号議案まで及び報告事項、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画(案)の概要について、並びに請願二〇第一〇五号を一括して議題といたします。
 本案及び報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料二点につきまして、ご説明申し上げます。
 初めに、お手元の厚生委員会要求資料(議案)をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、全部で十二項目となっております。
 一ページをお開き願います。小平福祉園及び多摩療護園の職員配置状況といたしまして、職種ごとに、両施設の基準配置数、現員及び予定配置数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。ウイルス肝炎診療ネットワーク整備事業の実施状況といたしまして、東京都ウイルス肝炎対策協議会など、事項ごとにその内容を記載してございます。
 三ページをごらん願います。平成二十一年度における新型インフルエンザ対策(地域医療体制の強化)の概要といたしまして、地域医療体制の整備及び医療資器材等の備蓄の項目ごとにその内容を記載してございます。
 四ページをお開き願います。平成二十一年度における介護報酬の改定の概要といたしまして、(1)に改定率を、(2)に介護従事者の専門性等のキャリアに着目した評価を、五ページに参りまして、(3)に地域区分の見直しをそれぞれ記載してございます。
 六ページをお開き願います。介護福祉士等修学資金貸与事業の実績といたしまして、平成十四年度から平成十九年度までの新規貸与者数と貸与金額を記載してございます。
 七ページをごらん願います。介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策といたしまして、目的、対策内容及び所要額に区分し、その内容を記載してございます。
 八ページをお開き願います。平成十九年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業の補助額について、区市町村ごとに記載してございます。
 九ページをごらん願います。東京都福祉・健康安心基金の充当事業といたしまして、事業所管局ごとの事業名と、平成二十一年度予算額を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、平成十五年度から平成十九年度までの平均経験年数別の施設数を記載してございます。
 一一ページをごらん願います。情緒障害児短期治療施設の都道府県別整備状況といたしまして、都道府県ごとに施設数及び定員を記載してございます。
 一二ページをお開き願います。国民健康保険の保険者に対する都支出金及び国庫支出金の推移といたしまして、特別区及び市町村などの区分ごとに、平成十五年度から平成二十一年度までの金額を記載してございます。
 一三ページをごらん願います。北多摩北部保健医療圏における小児救急医療の実施状況といたしまして、(1)に実施事業を、(2)に取扱患者実績をそれぞれ記載してございます。
 続きまして、お手元の厚生委員会要求資料(報告事項)をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、全部で四項目となっております。
 一ページをお開き願います。東京都老人医療センターの医師及び看護師等の配置状況の推移といたしまして、医師及び看護師等の定数と現員につきまして、平成十七年度から平成二十年度まで記載してございます。
 二ページをお開き願います。東京都老人医療センターにおける医師の診療科別定数及び現員といたしまして、診療科ごとの定数と現員につきまして、平成二十一年三月一日現在の人数を記載してございます。
 三ページをごらん願います。東京都老人総合研究所の調整人員及び現員の推移といたしまして、平成十六年度から平成二十年度までの調整人員と現員を記載してございます。
 四ページをお開き願います。東京都老人医療センターの経営指標の推移といたしまして、入院及び外来の経営指標につきまして、平成十六年度から平成十九年度まで記載してございます。
 以上、大変簡単でございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。
 よろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 次に、請願二〇第一〇五号について理事者の説明を求めます。

○吉井医療政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願二〇第一〇五号、都立清瀬小児病院の廃止に反対し、多摩の小児医療の拡充に関する請願は、清瀬市の都立清瀬小児病院を守る会代表小野幸子さん外三万一千九十四人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいとしまして、3、多摩地域の小児医療を充実することというものでございます。
 現在の状況でございますが、都は、休日・全夜間診療事業(小児科)を実施し、緊急に入院治療が必要な小児患者に三百六十五日二十四時間小児科医が対応する二次救急医療機関を、多摩地域のすべての二次保健医療圏で確保しております。
 また、平成二十一年一月現在、緊急入院のための病床は、東京都全体で四十六施設七十床、うち多摩地域において十四施設二十三床を確保しております。
 さらに、市町村が行う休日及び平日夜間の初期救急診療事業への補助も実施しております。
 このほか、都における小児医療の拠点施設といたしまして、多摩メディカル・キャンパス内に小児総合医療センター(仮称)を整備するとともに、多摩北部医療センターを小児科二次救急医療機関として確保するなど、各市町村や医師会等関係団体とも連携を図りながら、多摩地域における小児医療の充実に努めております。
 説明は以上でございます。
 ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○山加委員 私からは、高齢者施策に関連して何点か伺わせていただきます。
 まず、第五十八号議案の介護保険財政安定化基金条例関係についてお伺いをしたいと思います。
 平成十二年に介護保険制度がスタートしてからはや九年が経過し、来年度は、三年を一期とする介護保険事業計画も第四期を迎えることになるわけであります。制度創設以来、介護サービスの提供基盤の整備も進み、またサービス利用者の数も増加するなど、介護保険制度の都民生活を支える仕組みとして定着をしてきたと思います。
 私は、今後、この日本が超高齢社会を迎えるに当たって、要介護高齢者の今後の増加を考えれば、今度ともこの介護保険制度を持続可能なものとしていかなければならないと強く思うわけであります。介護保険制度の基盤を確固たるものとしてさらに安定的に運営するためには、何よりも財政面での裏づけが必要不可欠であります。
 今回、付託をされている介護保険財政安定化基金条例ですけれども、この基金は、介護保険の実施主体である区市町村においてその財政の安定化に対応するためのものだったと認識をしているわけですが、そこで改めて本基金の仕組みとこれまでの実績についてお伺いをいたします。

○狩野高齢社会対策部長 財政安定化基金は、介護保険財政の安定化を図ることを目的として都が設置しており、その財源は、国、都、区市町村が三分の一ずつ負担しております。
 保険者である区市町村は、介護保険財政の不足については本基金から資金の交付、貸し付けを受けることができます。交付は、区市町村が通常の努力を行ってもなお生じる保険料の収納率低下による財政不足に対して介護保険事業計画の三年目に行うものであり、貸し付けは、毎年度の見込みを上回る給付費の増大などによる財政不足に対し無利子で貸し付けるものでございます。
 基金の交付、貸し付けの実績についてでありますが、平成十二年度から十四年度までを計画期間とする第一期につきましては、四保険者に対し合計で一億一千万円、平成十五年度から十七年度までの第二期は、十七保険者に約十七億九千万円、十八年度から二十年度までの第三期は、一保険者に約四百万円となっております。

○山加委員 今のご答弁によりまして、この基金が区市町村にとっていわば介護保険制度におけるセーフティーネットであり、介護保険財政を安定的に運営するためには非常に重要な制度だということがわかるわけであります。
 さて、今回、この基金の拠出率についてですけれども、これまでの基金拠出率の推移と、今回の条例提案では零%となっていることの理由についてお伺いをいたします。

○狩野高齢社会対策部長 財政安定化基金に対する国、都道府県、区市町村の拠出金につきましては、介護給付費等の標準給付費額等の見込みに、国が政令で示しております拠出率を標準として、各都道府県が条例で定める割合を乗じた額でございます。
 東京都の条例では、第一期期間は〇・五%、第二期は〇・一%、第三期は〇・〇三%としておりました。第四期の拠出料をゼロ%と算定いたしましたのは、財政安定化基金の残高が平成二十年度末の見込みで二百三十八億余円となっていること、また、先ほどお答えしましたとおり、交付、貸し付けの実績などから、現在の基金残高で第四期の対応が可能であると判断したものでございます。
 なお、基金拠出率の算定に当たりましては、保険者である区市町村の定める介護保険料に影響することから、区市町村の代表者を含めた財政安定化基金拠出率検討委員会を設置し、保険者の意見を反映したところでございます。

○山加委員 財政安定化基金の規模は区市町村にとって安心できるものでなければなりません。一方で、六十五歳以上の高齢者に必要以上の負担を求めることも避けなければならないわけであります。基金の拠出率の算定に際して、区市町村の意見を踏まえたことも妥当であったと思います。
 今後とも、どうか基金の適正な運用に努めていただきますよう要望いたしまして、次に、引き続き高齢者関連について、養護老人ホームの件で何点かお伺いをしたいと思います。
 最近報道された情報によりますと、介護が必要な高齢の被保険者が近県の病院を転々としたり、また都外の施設等にやむなく移り住んだりするケースが目立ち始めているということですけれども、本来、高齢の被保険者が居宅での生活が困難となった場合、老人福祉法に基づく養護老人ホームや介護保険法の介護保険施設の利用等、適切な援助が必要となるわけであります。
 しかし、実態として、都内の区市町村から生活保護費を受給している要介護認定者のうち、平成二十年一月では約五百人が埼玉、千葉などの近県にある低所得者向け住宅などで暮らしているとの内容であったと記憶をしておりますが、こうした方のうち、常時介護を必要とし、居宅で介護サービスを受けることが困難な人については、所得の状況にかかわらず特別養護老人ホームへ入所することができる仕組みになっているわけであります。
 この特別養護老人ホームについて、国は、平成二十六年度までに、定員の七〇%以上を要介護四もしくは要介護五の重度の要介護高齢者とする目標を設定していることから、今日では重度の要介護高齢者の利用する施設として特別養護老人ホームは機能をしているわけであります。
 先ほどの報道内容にあった、都外で生活している人約五百人の生活保護を受給している要介護高齢者についても、その要介護度を調査した上で、特別養護老人ホームへの入所条件を満たしているのか精査する必要があると考えるわけであります。
 また一方で、要介護度一から三くらいまで、いわゆる中程度の要介護高齢者は、身近な地域でさまざまな居宅サービスを利用しながら在宅生活を継続することが原則となります。しかし、経済的事情のほかにも環境上の理由、例えば、日常生活の維持が困難であるとか金銭管理が行えないなどの問題を抱えているひとり暮らしの高齢者もたくさんいらっしゃることから、その受け皿の確保が当然課題となってくるわけであります。
 この場合には、区市町村の福祉事務所の措置に基づいて、居宅で生活することが困難な高齢者を養護することを目的とする入所施設として、老人福祉法に定める養護老人ホームがあります。
 そこで、この養護老人ホームの現状について、東京の現状についてお伺いをいたします。

○狩野高齢社会対策部長 養護老人ホームは、六十五歳以上の方で、環境上の理由、例えば、在宅において一人で生活することが困難であるとか、経済的な理由、生活保護世帯や住民税非課税世帯などの理由で居宅において養護を受けることが困難な方を区市町村が措置を行う老人福祉施設でございます。
 都内には合計三十二施設がございまして、平成二十年十一月現在、定員三千九百四人に対して、現員は三千七百四十五人となっております。
 なお、都内の養護老人ホーム入所待機者数は、平成十五年以降現在まで減少傾向にございます。

○山加委員 都内の養護老人ホームの現状についてはよくわかりました。
 さて、老人福祉法に基づく措置施設である養護老人ホームについては、平成十八年度、介護保険法の改正により、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受ければ、施設みずからが介護サービスを提供することが可能になったと思いますけれども、その内容を詳しく伺います。

○狩野高齢社会対策部長 お話のとおり、養護老人ホームは、平成十八年四月の介護保険法改正に伴いまして、老人福祉法に規定する措置施設としてはそのままで、介護保険法に定める外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受けることが可能となりました。
 具体的には、養護老人ホームが入所者と契約を締結し、施設の介護支援専門員が作成するケアプランに基づきまして、外部のサービス事業者に入所者への介護サービスの提供を委託するものでございます。
 平成十八年十月現在、東京都内の三十二カ所の養護老人ホーム入所者の約三割が要介護、要支援者でございますが、現在、都内の養護老人ホームで特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設はございません。
 一方、全国におきましては、平成二十年八月現在、既に百九十一施設がこの特定施設入居者生活介護の指定を受けております。

○山加委員 今後ますます要介護高齢者が増加する中、特にひとり暮らしの中程度の要介護高齢者対策においては、この養護老人ホームをもっと活用していくべきと思いますが、都として今後どのように活用していく方針なのか、お伺いをいたします。

○狩野高齢社会対策部長 都は、養護老人ホームが介護保険法に定める外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受けることを促進するため、施設の建てかえ時の整備費補助などを検討してまいります。
 さらに、入所者の実態に応じ、介護専用型ケアハウス等、他種別の施設への転換もできるような補助制度とすることを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、今後、都は、養護老人ホームを、ひとり暮らしが困難な低所得の中軽度要介護高齢者の受け入れを行う施設への転換を促進してまいります。

○山加委員 ただいまご答弁いただきましたほかにも、高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、つまり、高齢者虐待防止法の中でも、養護老人ホームは虐待を受けた高齢者を保護する施設の一つとして位置づけられております。今後も、措置施設として、高齢者施設におけるいわゆるセーフネットしての役割が期待されると思います。
 養護老人ホームが社会状況の変化に的確に対応しつつ、また新たなニーズにも適切にこたえられるよう、どうか都の積極的な支援をお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 多重債務者への支援について何点かお伺いいたします。
 現在、全国で消費者金融を利用している人は少なくとも一千万人を超え、このうち百万人を超える人々が多重債務に陥っているといわれているわけでありますが、この多重債務に陥った人の中には、苦しみ抜いた末、残念ながら自殺を図る人も多く、平成十九年に、経済、生活問題により自殺をした人七千人、そのうち多重債務による自殺者は二千人に上るわけであります。深刻な社会問題となっているわけでありますが、この多重債務問題に対しては、都の消費者生活総合センター、また区市町村の消費者センターなどが相談を行っており、また弁護士会も無料法律相談を実施しております。
 福祉保健局においては、去年三月、多重債務で生活困難な状況にある方に、生活相談を実施した上で必要な資金を貸し付け、また生活の再生を支援する多重債務者生活再生事業を開始しております。
 昨今の大変厳しい経済雇用情勢により生活に困窮する人がふえる中で、こうしたセーフティーネットの機能を果たす貸し付けの意義は、今後私はますます高まるものと考えているわけでありますが、都が事業を開始してからちょうど一年が経過をしようとしています。この事業の内容と一年間の実績についてお伺いをいたします。

○芦田生活支援担当部長 多重債務者生活再生事業は、多重債務者に対して相談員が債務状況や家計状況を把握し、債務整理の提案を行った上で、生活再生の意欲があり、かつ返済が可能と判断される方に対して資金を貸し付け、また継続的な生活指導を行うことにより生活の再生を支援するものでございます。
 平成二十年三月の事業開始から、平成二十一年二月末現在までに相談のために窓口に来所した人は五百三十七人であり、このうち、本事業による貸し付けを受けた方は五人となっております。
 貸し付けにつながらなかった場合も、債務整理を行うための関係機関を紹介するなどの対応を行っております。

○山加委員 多重債務者という、もともと借金の問題を抱えた上に、さらに資金の貸し付けを行うわけですが、真に生活の改善につながる支援を行う上では、その方との信頼関係を築きながら、継続的な生活指導を行い、債務整理等に係る専門的な助言を行うための相談体制を整備することが必要であります。
 また、現在、相談から貸し付けにつながる方の割合が、先ほどのご答弁によれば全体の一%、余り実績が伸びていないようですけれども、貸付資金の内容についても、多重債務者のニーズに即したより使いやすいものにする必要があると考えます。
 相談窓口に来る多重債務者が抱えている債務はどのような状況なのか、伺います。

○芦田生活支援担当部長 多重債務に至る借り入れ動機としましては、生活費の不足等による家計補助が最も多く、約三割を占めております。次いで、借金の返済、失業等による収入の減少が、それぞれ約一割となっております。
 債務の状況といたしましては、三百万円以下の債務を抱える人が全体の約五割、また公共料金や家賃等の滞納など、金融債務以外の債務を抱える人が全体の約六割となっております。

○山加委員 多重債務というと、一般的には、ギャンブルや浪費による借金を重ねるというイメージがありますが、実際には、収入減や病気等による生活資金を借りたことなどやむを得ない状況から借金をした人が圧倒的に多いことがわかりますし、また、複数の消費者金融からの借金に加えて、家賃や公共料金等の滞納も抱える人が多いなど、多重債務者が抱える問題も年々変化をしてきているように見受けられます。
 こうした状況を踏まえ、この事業をより多くの都民がもっと利用しやすいものとしていくことが必要と考えます。今後、この事業をより多くの都民が使いやすいものとしていくために、来年度に向けてどのように都は取り組んでいくのか、伺います。

○芦田生活支援担当部長 本事業を実施する中で、多重債務者のニーズにより即した貸し付けとするための対象資金の見直しや、法律専門家が同席する相談体制の整備等につきまして、弁護士会などの関係機関から要望、提言を受けており、現在、制度の見直しを検討しております。
 見直しの具体的な内容としましては、まず貸付要件につきましては、債務の借りかえ資金も対象とし、債務の一括管理による適正な家計指導を行うこと、また貸付限度額を現行の二百万円から三百万円に引き上げる等の変更を行います。
 また、これまで本事業の運営に当たり、弁護士会等との連携が課題となっておりましたが、今後は、生活相談に弁護士がかかわる仕組みを設けるとともに、関係機関への紹介等を円滑に行うための事務体制の整備を行うことを考えております。
 山加理事お話しのように、より多くの都民が使いやすい制度としていくために、こうした見直しに向けて、現在準備を進めているところでございます。

○山加委員 多重債務者に対して、相談に加えて必要な資金の貸し付けまで行う取り組み、これは全国で余り例がないわけでありますね。それだけに、円滑な事業運営に向けては、今後ともさまざまな試行錯誤、また創意工夫が求められることが多いと思いますけれども、ぜひ一人でも多くの多重債務者を救済できるように、さらなる取り組みの推進を期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○松下委員 まず、子育て支援についてお伺いいたします。
 私自身、母となって改めて思いましたことは、子どもを育てることはとても楽しく、喜びもたくさんありますが、思っていた以上に大変でもあるということです。突然高熱を出したり、予想もしていなかったことが起き、情報はたくさんあるのですが、何が自分と子どもにとって有用な情報なのか見きわめるのが難しかったり、あふれるほどの情報の中から取捨選択をしながら子育てをしていくことが今、現状であります。
 同時に、親から見た子育てだけではなく、子どもの育ち、子どもの目線になってさまざまな物事をとらえたときに、子どもがよりよい環境の中ですくすくと育つことが何より大切であると改めて感じています。子育てに完璧や、これが正しい子育てというものはないと思います。だからこそ、子育て中に悩みや不安を感じ、子どもを持つだれもが迷い悩みながらも、子どもと向き合っているのだと思います。
 そこで、お伺いいたしますが、区市町村では、乳幼児健診の際や、子育てひろばなどにおいて、親たちの悩みに関する相談を実施したり、子を持つ親同士がグループを形成し、ともに悩みを乗り越える手法などを使いながら、親へのさまざまな支援を行っていると聞いています。
 こうした地域の取り組みについて都ではどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 都は、親同士が交流し、相談等を受けられる子育てひろばの拡大を進めておりまして、現在、都内におおよそ七百カ所整備しております。
 また、今年度からは、子育てひろばの職員が保育所や幼稚園などを訪問し、育児に悩む親について情報交換を行うなどの取り組みに対し支援を行っております。
 さらに、親の子育て力向上支援事業を開始いたしまして、子育てに自信が持てない親を対象に、十人前後のグループワークを通して体験や悩みを話し合い、育児不安の軽減を図る、親支援プログラム等を実施する区市町村に対して支援を実施しております。

○松下委員 私自身、妊娠中に、武蔵野市で「もうすぐパパとママのためのこうのとり学級」という授業がありまして、これを二回受講し、グループに分かれたときに、家が近く、また出産予定日が同じころのお母さん予定者同士五人と仲よくなり、出産前、出産後とメールで情報交換を行ったり、悩み相談をしたり、子どもと一緒にみんなで集まったりと、とてもよい、お互いが自然に支え合う仲間となり、親同士の交流が行われていると感じています。同じグループで、市の子育て支援施設で行っている子育てひろばにも行きましたし、活動の場を少しずつ広げています。
 こうした親同士の交流というのは非常に重要であり、社会からの孤立を防ぎ、児童虐待を未然に防ぐためにも重要な取り組みであると思います。今後とも、都からも、一人一人の保護者に手が行き届くような施策を支援、または提案するべきと考えます。東京で子育てをする親の不安を取り除くために、都としても積極的に支援を行うことを要望いたします。
 子育て支援情報の収集を行っている中で、せたがや子育てネットのホームページを拝見いたしました。世田谷区との共同事業からプロジェクトチームができ、その後、他の団体とも一緒にNPOを設立し、子育てバリアフリーを活動の目標としており、ホームページもとても充実しています。行政が初めに場をつくり、その後、行政の後押しで自立して活動している非常によい事例なのかと思います。
 子育て支援NPOの中には、このように行政のちょっとした後押しで大きく羽ばたいている事例があると思います。こうした取り組みを都として積極的に支援し、都内全域に広がるようにしていただきたいと思いますが、所見をお伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 子育て支援の課題は家庭や地域ごとにさまざまでございまして、それに応じて子育て支援NPOの活動内容や形態も、虐待防止や保育、サークル活動など多種多様でございます。それぞれのNPOが、お互いの強みを生かしながら活動範囲を広げたり、共通する課題をともに解決したりしていくには、NPO同士の交流や連携が重要であると認識しております。
 都は、平成十九年十月に、行政、企業、NPOなど幅広い分野の団体で構成する子育て応援とうきょう会議を設置いたしまして、社会全体で子育てを支援することを目的に、ホームページによる情報発信や、子育て中の都民を対象としたイベントなどを実施しております。
 こうした取り組みなどを活用いたしまして、都内各地で活躍するNPO同士の交流や連携が深まるように支援してまいります。

○松下委員 私の地元の武蔵野市にも、子育ての外出支援に役立つマップをつくっているNPOもありますが、こうしたNPO同士の交流や連携、行政との共同をぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 児童虐待が起こる要因というのはいろいろと考えられていますが、育児不安や地域からの孤立が要因の中にはあり、最初は、保護者自身も自覚していないちょっとした言動がエスカレートしてしまうのではないかという感じもいたします。児童虐待防止の観点からも、子育て支援環境の充実を要望いたします。
 次に、認証保育所の補助要件の緩和についてお伺いいたします。
 子どもを預ける親は、駅前の保育所に預けてそのまま電車に乗って通勤をするというのが、親の利便を考えるとよいかもしれませんが、駅前の認証保育所に私自身子どもを預けていた経験から、駅前の幹線道路というのは車の通行量が非常に多く、また駅前は繁華街でもあり、人の量も多く、子どもを連れて通園する上では必ずしもよい環境ではないのではないかと実感をしていました。そうでなくとも、駅前の一等地は地価も高く、家賃も非常に高くなりますし、親の都合で駅前に認証保育所をつくるのではなく、子どもの育ちを第一に考えると、駅とは別の場所、住宅街などにあった方が環境はよいのではないかと私自身感じていました。
 もちろん、これまでもそうした住宅街などに設置は可能ではあったものの、補助要件とはなっていませんでしたので、設置促進がされていたとは思えません。平成二十一年度の予算に、駅前徒歩五分以内の開設準備経費補助要件を緩和し、多様な事業者の参入を図るとありますが、この要件緩和の目的や具体的な内容についてお伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 これまで都は、認証保育所の開設準備経費補助につきまして、改札口から徒歩五分以内に開設することを要件としてまいりました。しかし、駅前徒歩五分以内では、認証保育所の基準に適合した物件を確保することが難しくなっている地域や、大型マンションの建設などにより、駅前五分を超えていても保育サービス需要が高まっている地域がございます。
 このため、待機児童の多い一部の区では、駅前徒歩五分に限らず、独自に開設準備経費補助を実施しております。
 都は、こうした実情や区市町村の要望も踏まえ、駅前徒歩五分以内の補助要件を緩和することによりまして、区市町村の必要に応じた整備を可能とすることといたしました。
 これによりまして、駅前徒歩五分を超えていても、子育て世帯が集中する地域などで認証保育所の設置促進を図ることができると考えております。

○松下委員 今回の補助要件の緩和が、認証保育所の設置促進だけではなく、環境の充実であったり、または待機児童の解消、子どもがよりよい環境で育つことに資する事業となるように取り組まれていくことを強く望みたいと思います。
 次に、学童保育についてお伺いいたします。
 学童保育とは、児童福祉法第六条の二、第二項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童に対し、授業の終了後に児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものであり、七万人の児童が通う学童クラブのサービス向上を目指して、都でも平成十八年に東京都の学童クラブ事業ガイドラインを策定しています。
 区市町村が実施主体である公設公営の学童保育や、保護者の父母会や任意の団体、私学が設置しているもの等、設置主体、形態はさまざまであり、それぞれ課題もあることは承知していますが、民間企業が設立している学童保育と称しているものについてお伺いしたいと思います。
 私の地元武蔵野市にも、最近、民間企業のこうした学童保育と称しているものができました。都内各地域でも、民間学童保育と称しているものがここ数年でふえているようであります。こうした民間学童保育の実態を都は把握しているのかどうか、お伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 児童福祉法第六条の二に基づきます放課後児童健全育成事業、いわゆる学童クラブ事業は、保護者が労働等により昼間家庭にいないおおむね十歳未満の児童を対象に、放課後、適切な遊び及び生活の場を与える事業でございます。
 現在、都内には、小学校数を上回る約千五百カ所の学童クラブが設置されておりまして、このうち社会福祉法人等が運営する民間学童クラブは約百カ所でございます。
 児童福祉法に基づく学童クラブ事業につきましては、都は、事業の開始、変更、廃止時にそれぞれ地元の区市町村を経由して届出書の提出を求めております。
 また、運営費は、国と都の負担分も含めて区市町村から補助し、事業の実態も区市町村が把握をしております。
 松下理事お話しの民間企業が学童クラブと称する事業ということでございますけれども、このような事業につきましては、学習塾や英会話教室、スポーツクラブ等と同様のものでございまして、法に規定する学童クラブとは異なるものでございます。
 これらの学童クラブに類似した事業につきましては、都への届け出の義務はございませんで、したがいまして、事業の実態について都としては把握をしておりません。

○松下委員 民間事業者が自由に実施している事業について、都への届け出の義務はないので、実態を把握することは確かに難しいことかとは思いますが、しかしながら、英会話教室や学習塾の域を超えているような、学童保育とまさに保護者は思って預けていらっしゃる方もいると思いますし、こうした民間事業者が存在し、ふえているのは事実であります。学童クラブ事業がまだまだ不十分であり、待機児童や開所時間の問題が解決されていないことの裏返しでもあるかと思います。これまでの学童保育に付加価値をつけて民間企業が実施しているようにも見え、待機児童が存在している現状においては、選択肢がふえるということはよいことではあると思うのですが、施設の安全性や事業の継続性など、保護者としての判断材料に欠ける部分もあるため、今後、都として調査を行い、監督機関を明確にしていただきたいと私は思います。
 学童クラブ事業については、国の新待機児童ゼロ作戦のメニューにも組み込まれ、安心こども基金の対象事業にもなっています。引き続き学童クラブの設置促進とサービス内容の充実に向けた区市町村の取り組みを都としても積極的に支援することも要望し、次の質問に移ります。
 次に、子どもの医療費助成についてお伺いいたします。
 子育て支援の一環として、義務教育就学期にある児童の治療に要する医療費の一部を助成する予算が示されていますが、この事業の目的と概要、助成内容拡大の時期についてお伺いいたします。

○住友保健政策部長 義務教育就学児医療費助成事業は、小中学生の医療費の一部を助成することにより、その保健の向上と健全な育成を図り、もって子育て支援に資することを目的としておりまして、平成十九年十月に事業を開始いたしました。
 この事業の実施主体は市町村でございまして、都は市町村に対して事業費の二分の一を補助しております。
 平成二十一年度から助成内容の拡大を図ることとしておりまして、実施の時期は本年十月を予定しております。

○松下委員 これは知事選での石原知事の選挙公約でもあり、いつからどういった形で多摩地域でも義務教育就学児医療費の無料化が実現されるのかと、これまで私の地元でも大変大きな関心がありましたし、我が会派もこれまで要望させていただいておりますので、ことし十月から実施されることはうれしく思います。助成内容拡大に向け、今後十月までの具体的なスケジュールについて詳しくお答えください。

○住友保健政策部長 都では、今後、本事業の実施要綱の改正など必要な規定整備を行いまして、平成二十一年四月末を目途に市町村に対して具体的に事務説明を行うことを予定しております。
 その後、医療機関や関係団体に対しまして必要な情報を提供して、事業への協力を要請いたしますとともに、ポスターの掲出を行うなど、都民への周知に努めてまいります。
 また、市町村においては、それぞれ条例を制定して本事業を実施しており、多くの自治体では、六月または九月の議会で助成内容拡大のための条例改正を行う予定と聞いております。

○松下委員 都では要綱改正のみですが、市町村では条例改正が必要なため、議会での議決が必要であるということがわかりました。
 今回の助成内容で、入院医療は自己負担分が全額助成されますが、通院医療では保険診療に係る自己負担分から一部負担金二百円を控除した額が助成される、つまり通院医療では個人負担が二百円かかります。無料ではなく一部負担金が二百円設けられた経緯と目的についてお伺いいたします。

○住友保健政策部長 通院に一部負担を設けましたことにつきましては、まず医療保険制度はそもそも相互扶助の精神でつくられ、支えられている制度であり、自己負担を前提としておりますこと、また、軽症患者までもが夜間に多数受診することなどによりまして小児科医が疲弊するなど、小児医療現場が厳しい状況にありますこと、さらに小児慢性疾患や心身障害者の医療費助成など他の医療費助成制度におきましても所得に応じた自己負担を設けていることなどを踏まえまして、将来にわたり安定的で持続可能な医療費助成制度として構築するため、通院については一部負担金を設けることにいたしました。
 具体的な額につきましては、真に医療を必要とする人の受診の抑制にならない範囲の額としまして、通院については一回の受診につき二百円をご負担いただくことにいたしました。

○松下委員 我が家の医療費の領収書を確認しましたところ、最低の金額は二百十円となっており、診療所の再診料が七百十円のため、三割負担で二百十円になっていること、その二百十円よりも十円低く区切りのよい金額で二百円となっているのではないかという気もいたしました。
 相互扶助の精神でつくられている制度で、自己負担を前提としているというのはわからなくはないですが、同じ東京都民であっても、二十三区では無料で、多摩地域の市民は一部負担金があるというのは、自己負担二割からは大きく前進するとはいえ、やはり多摩格差があるといわざるを得ません。子どもの医療費という子どもの命にかかわる施策は格差があってはならない、東京都どこでも同じく高いところに合わせていただきたいという思いがいたします。
 また、今後、助成内容拡大の前と後で受診率や一人当たりの単価の推移がどのようになっているのか等、検証していっていただきたいというふうにも思います。財政的な基盤が二十三区と市部では異なるということは理解はしていますが、なぜ差があるのだろうかと考えたときに、自己負担が残るということは、やはり受診抑制効果も見込まれ、二十三区と多摩地域の医療機関の数の差とも関係しているのではないかと思えてしまいます。子どもの医療費助成を実施する上では、小児医療体制の整備もあわせてしっかりと行っていただきたいと思います。
 多摩地域の小児医療体制の整備はどのようになっているのか、小児医療施設の現状と体制整備のための市町村への補助の仕組みについてお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 多摩地域の小児の初期救急医療体制につきましてですが、平日夜間診療事業を現在十三市で実施しております。小児初期救急を担う市町村の体制整備に対しまして、東京都は運営費及び施設整備費補助の支援を行っております。
 二次救急医療につきましては、都が休日・全夜間診療事業によりまして実施病院を確保しておりますが、現在、十四施設二十三床となってございます。

○松下委員 東京都における救急医療体制は、初期救急医療は区市町村が、二次救急医療は東京都が実施することとなっており、東京都と区市町村の役割分担の中で事業が実施されていることは承知しております。
 初期救急医療体制実施十三市というお答えですが、二十六市の半分であり、まだ半数の十三市が未実施であるということですが、引き続き未実施の市に対して実施するよう働きかけを行っていただきたいと思います。
 都の役割分担である二次救急医療も、数だけで見ると都内全体の二次救急医療四十六施設七十床の三分の一以下でありますし、広い多摩地域の偏在が顕著であります。多摩地域の小児医療体制の整備に積極的に取り組んでいただかなければならないと思います。
 先日の予算特別委員会では、我が会派は小児医療における三多摩格差について質問し、三多摩の小児医療不足の現状を明らかにしております。先ほども述べましたが、同じ東京都の中で、少なくとも命にかかわる大切な行政サービスに格差があってはならないと思います。多摩の医療資源の充実を要望いたします。
 小児の休日・全夜間診療に関して、新規予算として専任看護師の配置が九カ所ありますが、昨年、小児救急トリアージのモデル事業が実施され、そのモデル事業を拡大したものかと思いますが、モデル事業の検証をしっかりと行う必要があると思います。小児救急トリアージのモデル事業の効果と課題についてお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 小児救急トリアージモデル事業は、都内二つの医療機関を選定いたしまして、院内の救急外来におきまして、緊急度判断の実施に必要な知識を習得した看護師を配置いたしまして、トリアージに当たるものでございます。
 実施の医療機関におきましては、トリアージを実施する基準の作成、それから研修、こうした導入前の取り組みを行いますとともに、トリアージの実施によります緊急度判断の結果の分析、それから患者家族の声でございますとか、院内での意見集約、こうしたことを踏まえまして、現在検証を行っているところでございます。
 この中では、看護的ケアの早期介入、まずナースがトリアージの際に対応するということ、さらには、診療待ちの時間においても声かけを行うなどして、いわゆる観察を行うこと、それから重症の場合、早期に診てもらえること、こうしたようなことから、家族の安心への配慮もなされたということで、トリアージシステムが有効であるとの報告を受けてございます。
 二十一年度は、このモデル事業の成果を踏まえまして、年間の取扱患者数が多い九医療機関にトリアージシステムの普及を図ることといたしているところでございます。

○松下委員 今、検証は行っているというふうなお答えではありますが、ぜひ、今後事業を拡大していく中では、病院関係者、例えば患者さんが最初に接するのは受付の担当者であります。受付の担当者に至るまで、トリアージ事業についてしっかりと周知を行っていっていただきたいと思います。
 次に、子育て支援の中で、感染症対策、Hibワクチンの対策についてお伺いいたします。
 昨年十二月よりHibワクチンの販売が開始され、任意接種が行われるようになりました。私も昨年、子どもの七カ月健診のときに、かかりつけ医でHibワクチンの予約の張り紙を見つけ、早速予約を申し込み、本年二月、三月と二回にわたり、全額自己負担で接種をいたしました。私は、かかりつけ医で張り紙を見るまで、Hibワクチンのことを知りませんでした。法定接種であれば、市の保健センターより予防接種のお知らせと接種時に使用する券が郵送されてきますので、子どもの予防接種の内容を把握しながらスケジュール調整を行い接種することができますが、任意接種でワクチンの広報が積極的に行われていない現状では、そもそもワクチンの存在について知る上でハードルがあり、知った後も、ワクチンの有効性やリスクについて子育て中の保護者が判断する上で十分な情報が提供されているとはいいがたい現状かと思います。
 都は、都民に対して、Hibワクチンの有効性やリスクなどに関する情報提供を行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○月川感染症危機管理担当部長 Hibワクチンでございますが、我が国では、平成十九年一月に薬事法に基づく承認を受けまして、お話にもございましたが、昨年十二月にようやく販売が開始されたところでございます。
 国は、今後、さらにワクチンの有効性や安全性に関する知見を蓄積し、専門家による検討を行うこととしておりまして、現段階ではHibワクチンを任意の予防接種と位置づけております。
 一方、海外では、既にHibワクチンは百カ国以上で接種をされておりまして、WHOもその安全性、有効性を認め、接種を推奨しているものでございます。
 こうした状況を踏まえまして、東京都は、国に対して、定期接種化に向けた検討を行うよう提案要求をしてまいりました。予防接種事業の実施主体は区市町村でございますので、東京都といたしましては、今後改めてHibワクチンに関する情報を区市町村に対して提供してまいります。

○松下委員 子どものHibワクチン接種を考える上で、保護者が判断する上で有効な情報というものを積極的に行っていっていただきたいと思います。
 現在、Hibワクチンの供給量が接種希望者に対して追いついていないようであります。先日の子どもの二回の接種時も、医師から、販売調整がされているため、月に三名しか接種できないとお話がありました。今から接種希望の例えば予約を行っても、いつ接種できるかわからない状況であるとのことです。
 こうした背景には、日本でようやく接種可能となったものの、定期接種とはなっていないことが原因とも考えられているようではありますが、こうした状況への都としての対応をお伺いいたします。

○月川感染症危機管理担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたように、Hibワクチンは承認から販売までに大変時間がかかっておりまして、発売が待たれていた状況にございました。十二月の発売開始から需要が増大いたしまして、直近の二月の状況で申しますと、供給量八万に対して医療機関からの発注が十四万本ということで、当初の予想を大幅に超えているというふうに聞いております。そのため、製薬会社は、製品の供給量が安定するまでの間、医療機関への納品数の調整を行っております。
 現在、生産量の拡大に全力を注いでいるというふうに聞いておりますけれども、こうした事態が生じた背景には、Hibワクチンが任意接種であるということで、需要予測が非常に困難であるという事情がございました。
 都といたしましては、今後、国に対し、ワクチンの供給量の確保を求めるとともに、小児に対する定期予防接種にHibワクチンを加える検討を行うよう、引き続き提案要求をしてまいります。

○松下委員 引き続き、ぜひ提案要求をしていただきたいと思います。
 都は、平成二十一年度の区市町村の予防接種事業に対する都補助に、このHibワクチンを加える予定であると聞いていますが、補助の詳細と、公費負担を予定している区市町村がどれぐらいあるのか、お伺いいたします。

○月川感染症危機管理担当部長 都は、平成二十一年四月から新たにHibワクチン接種に対して補助を行う区市町村に対し、医療保健政策区市町村包括補助事業により、補助率を二分の一とする補助を行っていくこととしております。
 現在、ワクチン接種費用の補助を予定しているのは四区一市と聞いておりまして、都は今後、この包括補助事業の実施に向けて、区市町村に対し改めて説明を行ってまいります。

○松下委員 保護者がHibワクチンを接種するかしないか選択をしていく上での判断材料が必要であると私は思います。Hibワクチンとは何なのかという基本的な情報提供を都はするべきだと思いますし、ワクチンの有効性やリスクのほかに、Hibワクチンは接種開始年齢、月齢によって接種回数が異なるなど、接種時期によって費用負担額も大きく異なる現状であります。都内すべての区市町村の補助が実現するのが先なのか、国が定期接種化をするのが先なのかはわかりませんが、今まさに日々成長している乳幼児が細菌性髄膜炎に罹患することがないように安全対策に取り組むことを要望し、子育て支援に関しての質問を終わり、次に移ります。
 次に、離職者支援についてお伺いいたします。
 昨年末から、日比谷公園での年越し派遣村は、派遣や請負労働、非正規雇用が抱える問題を明らかにし、行政がこうした問題の解決に向けて取り組まなければならない課題を提示されたと思います。私も一月に、年越し派遣村を訪れた方々を東京都と中央区が受け入れを行った一つである練馬区石神井学園体育館に視察に訪れました。
 体育館には布団が敷き詰められ、入り口には、国のハローワークによる職業紹介相談もありましたが、私が訪れた時間帯に相談されていた方はおらず、どのような職業で募集があるかお話を伺いましたところ、高齢者施設の介護職やタクシー運転手などの募集があるが、有資格者が求められており、仕事をしたい人と仕事をしてもらいたい側でミスマッチが起きているのではないかと強く感じました。
 介護の資格を取得するには、例えばヘルパー二級を取得するには十万円前後の費用負担がかかるため、住居も貯金もない状況で職を失った人たちには、たとえ介護職に従事する意欲があったとしても、資格取得の費用負担が重くのしかかってくると感じました。
 そこで、何とか費用負担が軽減できないか、早急に二十一年度予算に補助の仕組みを組み込めないか、要望を行いたいと思っていましたところ、TOKYOチャレンジ介護事業が始まり、新年度の新規事業としても離職者支援・介護人材育成確保緊急対策事業が盛り込まれています。
 これらの事業の目的と実施に当たっての経緯についてお伺いいたします。

○芦田生活支援担当部長 まず、本事業実施に当たっての経緯でございますが、急速な経済雇用状況の悪化により、企業の倒産が急増するとともに、厚生労働省の発表によれば、三月までに雇いどめ等により職を失う非正規労働者が全国で約十五万七千人に上り、また、正社員についても約一万人が職を失うとされております。
 一方、介護の職場について見ますと、平成二十一年一月現在の都内の有効求人倍率は全職業では一・〇〇なのに対し、介護関係職種では四・九〇と、求人数が求職者数を大幅に上回っていることに加え、離職率も高く、介護の人材不足が深刻な状況になっております。
 介護人材育成確保緊急対策は、離職者等への生活支援と、不足する介護人材の育成確保という二つの喫緊の課題に対応することを目的とし、実施するものでございます。

○松下委員 現在の厳しい雇用環境と介護人材不足の状況というものをかんがみて迅速に事業実施されたことを評価したいと思います。この事業が成功し、離職者が介護人材として活躍できるようになってほしいと思います。しかしながら、実現に向けては高いハードルもあるのではないかと思われます。これまでと全く異なる職種、介護という人相手の仕事に本当に順応できるのかどうか、きめ細かな対応が求められていると思います。離職者の就業支援のみならず、住む場所がないなど生活困難者に対して生活全体に関する相談体制を強化する必要があると思います。
 生活相談の体制と具体的な支援の内容、対象者についてお伺いいたします。

○芦田生活支援担当部長 本事業につきましては、三月五日、東京都健康プラザ「ハイジア」内に相談窓口、TOKYOチャレンジ介護を開設し、介護職場を目指す離職者の支援を開始いたしました。
 相談体制につきましては、さまざまな事情を抱える対象者に対応するため、生活相談には社会福祉士や精神保健福祉士、産業カウンセラーの資格を持つ相談員を配置し、また就労相談は、介護関係の職業紹介等について長年の実績を有する東京都福祉人材センターが行います。
 次に、対象者につきましては、都内に六カ月以上住所を有する離職者及び一定所得以下の方を対象といたします。
 支援の内容といたしましては、介護資格取得費用の助成や介護職場への就労支援を行うとともに、本事業の利用者を介護職として継続雇用した事業者には、助成金を支給いたします。
 また、離職により仕事と住まいを失った方については、都が借り上げた住宅の提供や生活費の無利子貸し付けもあわせて行うなど、就労と生活に係る一貫した支援を実施してまいります。

○松下委員 仕事も住む場所も同時に失ってしまった人たちに対して、きめ細かな支援を行っていただきたいと思います。本来、労働や雇用に関してのセーフティーネットとして雇用保険というものがあり、離職、退職時のサポート体制が整っているはずでしたが、今回問題になっているのは、今国会でも議論が行われているようですが、雇用保険の対象とはならない短期雇用を自動更新で繰り返し、結果的には年単位で仕事をしていたような非正規雇用者の雇いどめが問題であると思います。
 こうした雇用保険の対象とはならない離職者に対して、法改正を待たずとも迅速にサポートを行う都の姿勢を評価いたします。しかしながら、これら事業の広報はまだまだ足りないのではないか、離職者や生活困難者に本当に届いているのだろうかという感も否めません。都内のあらゆる場所に事業の広報を行うべきだと思います。いま一度広報の方法を見直して、あらゆる手段により離職者や生活困難者に情報が届くよう広報を行うべきであると考えますが、今後の取り組みをお伺いいたします。

○芦田生活支援担当部長 本事業の広報につきましては、既に新聞各紙やテレビのニュース等で取り上げられたほか、東京しごとセンター、ハローワーク及び区市町村の生活福祉、高齢福祉、就労支援の各担当課等にリーフレットやポスターを送付し、事業の案内を行っているところでございます。
 今後は、離職者等により一層情報が届きやすくするため、就職関係のフリーペーパーへの広告掲載や、インターネットのバナー広告に加え、コンビニエンスストアの店舗内ラックへのチラシの設置や、主要駅での事業案内用ポケットティッシュの配布など、多様な媒体を利用した広報活動を行ってまいります。

○松下委員 今後、多様な媒体を利用した広報活動を行っていく予定とのご答弁でありますので、ぜひ積極的に行っていただきたいと思います。
 冒頭の答弁にもありましたが、この三月中にまだまだ雇いどめやリストラ、企業の倒産がふえるのではないかという経済予測もあります。働きたいのに働くことのできない人に支援を行い、都民一人一人が生き生きと働き、雇用で東京に活力を戻すことがまず大切なことだと私は思います。
 雇用の確保という緊急の課題に対して、産業労働局だけでなく、生活支援、離職者支援の立場で福祉保健局が雇用の取り組みを積極的に行うことを評価した上で、より一層の取り組みを求め、次の質問に移ります。
 最後に、障害者グループホームの設置についてお伺いいたします。
 地元の福祉施設に通っている、在宅の障害を持つ親御さんからお話を伺いましたところ、まだ自宅から通っていられるうちはいいのだけれども、将来的に自分が、親が年をとったときに非常に不安であるとのことでした。親が在宅で障害を持つ子どもの生活を支えられなくなった場合、障害者の暮らしの場はどのようになるのか、お伺いいたします。

○松浦障害者施策推進部長 親の高齢化などによりまして障害者の在宅生活が困難になった場合でございますけれども、障害程度などを勘案しまして、また必要な支援を検討し、対応していくことになります。
 具体的な相談につきましては、区市町村の相談窓口などが行うことになりますけれども、障害の程度が軽い場合につきましては、日中は地域のいわゆる通所施設などを利用しつつグループホームへ入居する、またはホームヘルプなどの支援を受けまして在宅で生活を継続するなどがございます。障害の程度が重い場合につきましては、ケアホームに入居する、または障害者施設に入居するなどがございます。
 こうした暮らしにつきましては、障害者本人のご希望や家族の状況に応じて選択していただくことになります。

○松下委員 地元の福祉施設への入所を継続し、地域での暮らしを維持していくためには、在宅からグループホームへ移行することが多くなると思います。だれしも住みなれた地域で安心して暮らし続けたいと願うはずであります。こうした願いをかなえるためにも、グループホームから地域の福祉施設に通う場合、地域での生活を維持していくためにはどのような支援をしているのか、お伺いいたします。

○松浦障害者施策推進部長 まず、グループホームにおける支援でございますけれども、社会福祉法人やNPO法人が設置、運営している地域居住の場でございまして、一つの住居に二人から十人の知的障害者の方または精神障害者の方が共同生活をしております。
 居室は個室になっておりまして、世話人が配置されておりまして、食事の提供、入居者の健康状況や金銭の管理など、日常生活上の支援を行っております。
 一方、地域のいわゆる通所施設でございますが、これは日中活動支援の場でございまして、生活介護、就労継続支援、自立訓練など、障害者の方のニーズに応じた支援を行っております。
 障害者自立支援法におきましては、このように居住の支援と日中活動の支援を適切に組み合わせて、地域において自立した生活が営めるよう支援しているところでございます。

○松下委員 現在、在宅の障害者が、将来的にグループホームを活用すれば福祉施設への通所を継続できるということですので、親御さんも安心するとは思いますが、そのためには、生活の基盤となるグループホームの設置を進めていく必要があると考えます。グループホームを整備する形態にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。

○松浦障害者施策推進部長 グループホームの整備の形態でございますけれども、社会福祉法人やNPO法人などが設置主体となりまして、新規の建物を建設したり、または既存の建物を借り上げたりして設置しているのが大半でございます。
 都におきましては、設置しようとする者に対しまして、開設に関するさまざまな相談に対応するとともに、建物の新設、改修の施設整備費や開設準備経費などの補助を行っているところでございます。
 さらに、こうした整備の補助対象には、社会福祉法人やNPO法人に加えまして、株式会社も対象としているところでございます。
 建物を所有している方が、その建物をグループホームとして運営法人に賃貸するために改修整備する場合にも、その改修経費の一部を補助しております。
 またさらに、都市整備局などと連携しまして、都営住宅をグループホームに活用することなどを実施しております。

○松下委員 土地を自前で確保することが難しい都内においてグループホームの整備を進めていくためには、障害者福祉に理解ある建物所有者の協力のもと、既存建物の空き物件等を活用していくことが有効な取り組みであると考えますが、いかがでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 都内のグループホームは、お話のとおり、土地の確保が難しいこともありまして、建物の借り上げによるものが多くなっております。グループホームを運営しようとする者が既存の建物を賃借し、個室化などグループホームとして必要な改修を行う場合には、東京都におきましては、グループホームの設置促進の観点から、その改修経費の事業者負担を半分に軽減するという特別助成を行っております。
 また、建物を所有している者がグループホームとして使用できるように改修し、その上で運営法人に賃貸するいわゆるオーナー改修型の整備につきましても、都はその改修経費の一部を補助しております。
 この方式は、グループホームの設置者が改修経費を負担することなく開設できるという有効な手法と考えておりまして、その活用に向けて引き続き周知を図ってまいります。
 都は、障害福祉計画におきましてグループホームの設置を推進しておりまして、このようなさまざまな手法を活用しまして、引き続き設置促進に努めてまいります。

○東野委員長 松下理事、予定時間が過ぎています。

○松下委員 はい。最後、要望のみにします。
 在宅の障害者を支えている親御さんを安心させ、地域での安心した暮らしを確保していくためには、グループホームの設置に協力していただける理解ある都民の支援が必要であります。お話の借り上げ型やオーナー改修型についても、ぜひさらなる活用をされるよう関係者への周知に努めていただきたいと思います。
 加えて、都営住宅、これはオーナーが都でありますので、さらに活用すべきと考えますので、都市整備局に対し、積極的に働きかけていくことを要望いたします。
 今回の質問の障害者のグループホームは、自立支援法の体系に沿った知的障害、精神障害のグループホームであります。都では、平成十三年から重度身体障害者のグループホームを都単独事業として行っており、重度身体障害者の方が住みなれた地域で安心して暮らすことができるという点で、この事業を高く評価しています。
 引き続き、この制度の存続と内容の充実を求め、私の質問を終わります。

○野上委員 初めに、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの中期計画について質問いたします。
 この一体化の目的といたしましては、老人医療センターがこれまで培ってきた高齢者の高度専門医療に関する豊富な実績、それと老人総合研究所の老化、老年病に関する研究を一体化することによりまして、高齢者の特性を踏まえた最適な医療の確立を図り、普及を目指すということを目的としたものだと思っております。
 この中期計画について報告が出されましたが、この中期計画は、平成二十一年度から二十四年度の四年間における健康長寿医療センターの運営の目標を明らかにしたものと聞いております。
 健康長寿医療センターは、現在の老人医療センターと老人総合研究所を一体化し、地方独立行政法人として運営するものです。これまで老人医療センターと老人総合研究所は高齢者の医療、福祉に大きく貢献してきたと認識をしております。つまり、老人医療センターでの臨床症例を老人総合研究所での研究資源として活用する、それから最新の知見に基づく研究を老人総合研究所で研究したものを、さらに老人医療センターでフィードバックして臨床に生かす、こういうものがいえるのではないかと思っております。
 この施設は非公務員型の独立行政法人でありまして、都で運営してきた二つの老人医療センターと老人総合研究所よりもかなり圧縮した形で経費削減をするのが目的であると主張されている方もいますので、今回は、健康長寿医療センターの収支についてどうなのかをお伺いしたいと思います。
 これまで、老人医療センターと老人総合研究所は、その目的を達成するために都から多額の支援を受けてまいりました。平成十九年度の決算ベースで見ますと、老人医療センターは収支差額の約二十四億円、それから老人総合研究所は約十七億円、都から支援を受けております。合計で四十一億円です。平成二十一年度予算案における健康長寿医療センターの支援では、都から移行した職員への当面の退職にかかわる経費などを除き比較すると、現在の費用とほぼ同様な支援を行うこととなっております。
 今回の中期計画期間や将来においても、引き続きそうした支援が都から受けられるのかどうか、これは継続されるのかどうか、それともことしだけなのか、あるいはこの四年間だけなのか、四年間だけの保証なのか、いろいろ心配の向きもあると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターは、公営企業型の地方独立行政法人でありまして、効率的、効果的な事業運営に取り組み、経営の自立を目指すものでございます。
 しかしながら、地方独立行政法人は、民間では実施できない事業を効率的に行わせるために設立をするものであることから、経営努力をもってしてもなお業務の運営に困難を生じる場合や、事業の経営に伴う収入をもって充てることが困難な場合は、設立団体がその経費を負担できることとなっております。
 このような地方独立行政法人法にのっとり、今後とも必要な支援を確実に実施してまいります。

○野上委員 効率的な運営で自立をしていく必要があるということは非常によく理解をできます。収入の確保策、これは具体的な方策を持っているんでしょうか。

○飯塚参事 本中期計画期間は、現行の施設で事業実施をすることから、これまでの老人医療センターの実績を踏まえた収入確保に努めると同時に、高度専門医療の実施などにより、入院診療単価の向上等に努めてまいります。
 さらに、コスト管理の徹底や業務委託の見直しなど、経営の効率化に取り組み、収支の改善を図ってまいります。

○野上委員 この中期計画の中では、病床管理の弾力化により、空床の活用を図っていく、それから病床利用率の九〇%を維持することをうたっております。これはこの上で医業収入は計算されていると思うんですけれども、この九〇%というのを維持することはできるのでしょうか。

○飯塚参事 病床利用率については、昨年度の実績が八九・三%でございまして、このような実績からも実現可能な数字と考えております。
 今後、地域医療機関との連携を一層推進することにより、患者紹介率を高め、疾病の急性期に入院が必要な高齢者の早期入院を図るなど、病床利用率九〇%を維持してまいります。

○野上委員 この健康長寿医療センターですけれども、高齢者にかかわることはすべてここで解決していける場所という、高齢者にとって安全・安心なセンターとなっていくのだと思うんですけれども、都民のニーズにこたえ、かつ健全な運営を行っていくためには、職員が健康長寿医療センターの固有の職員となるくらいの自覚が必要ではないかと思っております。職員の固有化の状況はどうなんでしょうか。

○飯塚参事 老人医療センターが実施している高度で専門的な高齢者医療と、老人総合研究所が実施している老化、老年病の研究のノウハウ、成果が円滑に引き継がれ、健康長寿医療センターの運営が安定的に実施できるよう、その業務の中核を担っている医師、研究員については、設立当初から原則として固有職員化することとしております。現在、職員の理解を得て手続を進めているところでございます。
 なお、現在、異動作業中でございますが、二十年度末の退職者を除き、他組織に異動を希望している医師が二名、研究員は六名でございます。

○野上委員 医師とか研究員については、設立当初から原則として固有職員化をしているということですね。ほかの職員は退職者を除き、他の組織に異動を希望している医師は二名で研究員は六名ということで、あとの方は固有化ということでよろしいんですね。
 固有化される職員が仕事に対するモチベーションを高めて、健康長寿医療センターの運営の向上に力を発揮していくためには、何といっても処遇の向上が必須条件ではないかと思っております。健康長寿医療センターにおける人事、また給与制度、そのような視点からどのように構築されているのか、お伺いいたします。

○飯塚参事 ご指摘のとおり、職員が健康長寿医療センターの運営の向上に力を発揮していくためには、適切な処遇が行えるよう人事給与制度を構築していく必要がございます。健康長寿医療センターの給与制度は、職員のモチベーションを確保し、努力した者が報われる制度として構築いたしております。このため、年功序列的な給与制度ではなく、個人の能力、業績を反映し、昇格、昇任により給与が大幅に上がる仕組みや専門資格、専門能力を評価する手当なども組み入れたものとなっております。
 また、人事制度では、いわゆる将来の幹部職員となる管理職コースや、職員としての専門性をより高めていく専門職コースなど、個人個人の働き方の考え方や、適性、能力に応じたコース別人事制度を導入することとしております。
 なお、固有職員に移行することで給与が減額する職員には、激変緩和措置を実施することとしております。

○野上委員 固有職員に移行して給与が減額する職員には激変緩和ということで、ある程度保証がされているということ、また自分の能力、また業績次第では、幾らでも給料がまた上がっていく仕組みになっているということもよくわかりました。
 懸念されることとして、この健康長寿医療センターがこれまで以上に地域に根づいて貢献していくものとなるためには、今から地域の方にこの健康長寿医療センターの役割を深く理解してもらう必要があります。地域の方々への情報提供もあわせて大切な作業だと思いますけれども、この点はどうなんでしょうか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターについて地域の理解をいただくことは非常に重要であると考えております。これまで公表した板橋キャンパス基本構想、基本計画ばかりでなく、昨年の第三回及び第四回定例都議会でご審議いただいた法人の定款、中期目標などについて、地元区や医師会にご説明を重ね、健康長寿医療センターの役割、機能、新施設の整備スケジュールなど、ご理解を求めてまいりました。
 さらに、年明け以降は、関連の地元全町会長への説明に出向き、ご理解を得られたと認識しております。
 引き続き、健康長寿医療センターの役割などについて、一層のご理解をいただくよう努めてまいります。

○野上委員 診療部門の医療と研究部門の研究の成果を最大限に発揮して、公共性の確保等、効率的でかつ柔軟な事業を行って、この健康長寿医療センターがこれまでの老人医療センターや老人総合研究所以上に都民にとって大切な財産となることを期待して、次の質問に移ります。
 次は、福祉のまちづくり条例について質問いたします。
 これは、高齢者、障害者を含めたすべての人が安全・安心に、快適に暮らすことができる、そして訪れることができるまちづくりを進めるために、ユニバーサルデザインの考え方を基本理念として、条例として今回、この福祉のまちづくり条例を定めたわけでございます。
 今までいろいろな条例が定められてきて、ごちゃごちゃしていてなかなか建物に関しても、福祉のまちづくり条例、建築物バリアフリー条例とか、その一個前のハートビル条例とか、何か具体的に建物をやるときにどうなのかよくわからないということもあって、一元化をするということだと思うんですけれども、具体的に、福祉のまちづくり条例の改正により何がどう変わっていくのか、改めてお伺いいたします。

○永田生活福祉部長 これまでの高齢者や障害者等を主としたバリアフリー化の取り組みから、子ども連れの方や外国人などを含むすべての人を対象としたユニバーサルデザインの理念に基づくまちづくりを進めていかなければならないというふうに考えてございます。
 具体的には、都民の生活に身近な小売店や飲食店などのバリアフリー化が進むとともに、障害者や高齢者、外国人にもわかりやすい案内サインの普及など、ハード、ソフト両面からの福祉のまちづくりが進展していくというふうに考えてございます。
 先生のお話にございましたように、今までのバリアフリー条例でございますとか、福祉のまちづくり条例、あるいは法律もいろいろ改正をされてきてございますけれども、それらを整合性をとるために今回の福祉のまちづくり条例を改正したところでございます。

○野上委員 本会議でもいろいろご質問があって、ご答弁もいただいたわけなんですけれども、もう少し深く掘り下げて質問をいたします。
 今回の条例改正により、特に建築物は細かい制限がかかるようになりました。事業者の過大な負担とならないような配慮が必要だと考えます。見解を伺います。

○永田生活福祉部長 今回の条例改正によりまして、生活に身近な小売店や飲食店などにつきまして、新築、改修時の届け出義務を、これまで対象としていなかった二百平米以下の小規模の施設にまで拡大する予定でございます。
 このため、小規模建築物の実情に配慮いたしまして、例えば一般基準では、主要な出入り口は幅百センチ以上というような規定がございます。その他の出入り口については幅八十五センチというふうな一般基準でございますけれども、これを幅八十センチメートル以上というような規定にしていきたいというふうに思いますし、また、道路から店舗の入り口までの敷地内通路につきましても、一般基準では幅が百四十センチ以上としてございますものを、幅百二十センチ以上というふうに緩和をしていきたいと思います。
 こうした施設整備基準を新たに定めることといたしておりまして、また、建物の構造上、この基準の達成が非常に困難な場合におきましては、店舗の従業員による介助での対応を認めるなど、弾力的な運用を図ることとしてございます。

○野上委員 敷地内の通路、出入り口、トイレなど最低限の整備を求めて、そしてどうしてもこの基準の整備が難しい場合は、人的介助、仮設スロープ等の設置の組み合わせが行われるということですね。
 本当に人に優しいまちになってくるとは思うんですけれども、まだまだ東京都内には中小企業が多くて、そうした事業者の協力を得るために、いいことはわかっているんだけれども、自分でこの新しい条例に基づいて変えようとすると、なかなか資金的な面とかでも厳しいという面がございます。
 東京都として、そういった中小企業に対する支援としてどんな取り組み、支援を考えているのか、お聞きいたします。

○永田生活福祉部長 都は、駅や商店街などの一定の区域を事業者や住民と協働してハード、ソフト両面から整備する区市町村に対しまして、ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり事業により支援をしてございます。
 この事業は、補助基準額が二億円でございまして、都はその二分の一を補助することとしてございます。三カ年の補助事業となってございます。
 二十一年度につきましては、新規の五地区を予定してございます。
 また、来年度創設いたします地域福祉推進区市町村包括補助事業におきましても、例えば出入り口の段差解消など、区市町村が地域の実情に応じて実施する個別の整備につきましても支援をしてまいります。
 この事業は補助基準額一億二千万円といたしておりまして、都は二分の一の補助を予定してございます。

○野上委員 最後です。
 千客万来の東京、あるいは二〇一六年に東京オリンピック誘致を目指している東京、それから世界に開かれた国際都市東京、こういう福祉のまちづくり条例は、大変大きな、大事な条例だと思っております。ハード面では、東京都、区市町村がリードして進めていただけ、前進するものと思います。もう一つは、ソフト面でも、すべての人に優しいまちづくりができるように取り組まれることを期待して、質問を終わります。

○かち委員 それではまず、二〇第一〇五号、二万一千二百三人の署名を添えて出された、都立清瀬小児病院の廃止に反対し、多摩の小児医療の拡充に関する請願について、三項目ありますが、所管の多摩地域の小児医療の充実について何点かお聞きします。
 今議会に都立八王子、清瀬の小児病院、梅ケ丘病院の廃止を含めた条例改正案が提案されていますが、今日、多摩地域の小児医療は大変厳しさを増しています。多摩北部医療圏では、小児科標榜の病院は、平成二年に二十四カ所あったものが、平成十六年には十五カ所に、診療所は百七十六から百四十五カ所に減っています。多摩地域の中でも八王子小児病院のある南多摩二次医療圏では、最も休日、夜間の患者受け入れ数の多いのが八王子小児病院です。北多摩北部二次医療圏では、清瀬小児病院が最も多くの患者、入院を受け入れてきているのです。
 また、近年、ハイリスク新生児が増加する中で、八王子小児のNICU六床と清瀬小児の九床は常に一〇〇%フル稼働の実態で、圧倒的に不足しているんです。
 小児救急医療もNICUも多摩地域での不足が歴然としている中で、大きな役割を果たしている都立八王子小児と清瀬小児病院が廃止、統合されることは、多摩地域の小児医療に広大な空白ができることを否めないのではないでしょうか。見解を求めます。

○吉井医療政策部長 限られた医療資源の中で地域医療体制を確保していくためには、初期、二次、三次の医療機能の役割分担と連携が極めて重要でございます。
 このため、多摩地域の小児医療につきましては、多摩総合医療センターと一体的に整備されます小児総合医療センターを中核といたしまして、これに各地域の医療機能が連携することにより、多摩地域全体の小児医療水準の確保、向上を図ってまいるものでございます。
 お話しの清瀬、八王子の両地域におきましては、地域が必要とする初期医療は地域の自治体と医師会が連携協力して担い、入院が必要な二次医療につきましては地域病院や大学病院が担い、さらに高度専門的な医療につきましては小児総合医療センターと連携を図っていくこととしてございます。
 こうした重層的な連携によりまして、両地域も含めた多摩地域の小児医療水準の向上が図られるものと認識しております。

○かち委員 ご説明では役割分担だと、また入院が必要な二次医療については、地域病院や大学病院が分担して云々というお話がありました。この件については後ほど具体的にお聞きします。
 都は、小児救急対応の休日・夜間診療を六十カ所実施する計画でしたが、現在実施している医療機関は何カ所ですか。平成十八年度には何カ所ありましたでしょうか。

○吉井医療政策部長 小児の休日・全夜間診療事業参画医療機関数でございますが、平成二十一年三月現在、四十六施設でございます。なお、十八年一月は五十二施設でございます。

○かち委員 六十カ所にも達していない中で、三年前よりも六カ所減っているわけです。具体的に見てみますと、北多摩北部医療圏では四カ所ですけれども、そのうち佐々総合病院は既にやめています。清瀬も廃止したら二カ所、半分になってしまいます。南多摩医療圏では六カ所ありますけれども、八王子医療センターと東海大学は、奇数日、偶数日で分担していますから、実質一カ所です。町田市民病院は既にやめています。そこに八王子小児病院もやめたら、これも半分に減ってしまいます。これで多摩地域の小児医療充実に責任が持てるのでしょうか、どうでしょうか。

○吉井医療政策部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、いわゆる基本的な医療のあり方といたしましては、医療資源そのものが限られている中で地域医療体制を確保していくためには、初期、二次、三次、この連携が必要でございます。
 それとあわせまして、このたび、多摩地域の小児医療を担う中核の拠点といたしまして、多摩総合医療センターと一体的に整備する小児総合医療センターができます。これは、NICUにつきましては二十四床、それからM-FICUにつきましては九床、さらに子どもについては、心の問題も含めた総合的な対応を行います、いわゆる小児医療の高度を行う施設でございます。こうした多摩地域全体を見ます小児総合医療センターを中核といたしまして、各地域と連携をとって医療の充実を図っていくものでございます。

○かち委員 NICUの話が出ましたから。NICUは、これまで子どもの一年間の出生数一万人に対し二十床必要とされていましたけれども、先日、厚生労働省の周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会が発表した報告書では、十年前に比べてハイリスクの新生児の出生数が一・五倍にふえているため、出生数一万人に対し二十五から三十床を当面の目標として整備する必要があると明記されました。
 東京の年間出生数は二十三区が六万八千人、多摩が三万三千人で、現在、NICUは、二十三区が百五十九床、多摩が三十六床ですから、新基準で計算すれば、二十三区で十一から四十五床、多摩では四十七から六十三床不足しているということになります。この報告書をどのように受けとめているのでしょうか。
 また、八王子、清瀬のNICU廃止の後は、二つの中核病院で将来設置するときには都としても支援するといっても、両病院ともいつできるかわからない、具体的なめどはない、これは予特で清水委員の質問の中で明らかになったことですけれども、このようにいっているわけです。当面の現実性は全くないわけです。
 こういうときに、府中に九床ふやすからといって、八王子と清瀬のNICUを廃止してよいとはならないのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○吉井医療政策部長 NICUにつきましては、現在、清瀬小児病院と八王子小児病院合わせまして十五床ございます。新たな小児総合医療センターでは二十四床の確保を図るものでございます。この小児総合医療センターと多摩総合医療センター、これを一体的に整備いたしまして、九床の先ほど申し上げましたM-FICUを整備いたします。したがいまして、母体にも対応できる都内最大の総合周産期母子医療センターとして運営することになります。
 また、現在、八王子小児病院にございます新生児ドクターカーにつきましてですが、現在一台ございますけれども、新たに新生児も搬送できます小児用ドクターカー一台、合わせて二台のドクターカーを小児総合医療センターに配備いたします。そして、このドクターカーをもって多摩地域全体を網羅するものでございます。
 さらに、ミドルリスクの妊産婦に対して緊急診療を行います周産期連携病院、これを三月に指定したところでございますが、周産期のネットワークグループの中核としての役割を担ってもらうことによりまして、周産期母子医療センターそのものの負担を軽減するとともに、地域の診療所との医療連携、こうしたものも進めていく予定でございます。
 このように、今後ともNICUの確保、医療連携の推進等に努め、多摩地域における周産期医療体制を整備してまいります。

○かち委員 新医療センターの方に二十四床にするんだ、最大装備をするんだとおっしゃいましたけれども、これは八王子と清瀬を廃止した後の話ですから、ふえるのは九床しかふえないんですよね。先ほどもいいましたように、懇談会の報告では、四十七から六十三床不足しているんです。そこをどうするのかということがなく、こっちを減らしてこっちを多少ふやせばそれで事足りるということにはならないんじゃないですか。
 小児医療は不採算部門です。近年の厳しい医療環境の中で、民間の診療所や小児科標榜をやめていく医療機関がふえている状況だからこそ、その地域で果たす都立病院の役割が一層重要になっているんではないでしょうか。ドクターカーを二台ふやすからといって、とても大丈夫とはいえません。だからこそ中核病院へのNICUを打診してきたわけでしょう。しかし、それがめどがついていないということであれば、これは最初から検討し直すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉井医療政策部長 先ほども申し上げましたように、小児総合医療センターと多摩総合医療センター、ここでNICUを二十四床、さらにM-FICU九床ということで、母体と新生児に対しての総合的な対応をここで図り、多摩地域の中核として周産期医療の機能を担ってまいります。
 最後にご答弁申し上げましたが、NICUの確保、これにつきましては本会議でもご答弁申し上げましたように、国の懇談会報告を踏まえまして、来年度、全体では二百十六床の確保ができるわけでございますけれども、懇談会報告を踏まえまして、都としてもその対応を検討していくこととしております。

○かち委員 そういう姿勢にあるならば、今あるNICUは廃止すべきじゃないですよ。
 また、八王子市と東京都による協議会のまとめが出ましたけれども、小児病院が移転した場合、小児医療に対応するためには二つの中核病院で小児病床をふやす必要があると明記されていますよね。その過程の中では、東京医療センターに小児病床を六床ふやしてほしいという市の提案に対し、新病棟整備の中で引き受けてもらえるという感触を得ている、こういう経過の中でこのまとめがつくられたわけです。
 ところが、事態は変わってしまったんです。予算特別委員会で清水委員が明らかにしましたけれども、私も直接、東京医大八王子医療センターに伺って聞きました。そこでいわれたことが、二十一年度着工、二十三年度開設予定で新病棟建設を検討していた、小児病院移転後の受け皿として市から小児病床六床増床するように要請されており、新病棟建設時に小児病床をふやしたり、診療スペースを広げることを考えていた。ところが、この新病棟建設計画案は医業収益が悪化しているときに認められないということで、先日の法人理事会で否決され、二十一年度着工は見送りとなってしまったというふうにいわれたんです。
 この経過についてはご存じなかったということで、後ほどお答えするということでした。確認はされたのでしょうか、どうでしょうか。

○吉井医療政策部長 現在、調査中でございます。

○かち委員 あの委員会は金曜日ですよ。きのうは月曜日です。この間に聞いていただいたのか、向こうに確認もしていないんですか。調査中とはどういうことですか。

○吉井医療政策部長 先ほどもお答え申し上げましたが、お話の件につきましては、現在、調査中でございます。

○かち委員 この六床増床の見込みがある、そういう前提のもとでこの八王子小児廃止、移転、統合ということがまとめられてきたのがまとめですよね。ところが、その見通しがつかなくなってしまった。NICUだっていつできるかわからない。こういう状況の中で、ただ廃止先にありきということで進めてしまって、多摩地域の小児医療を充実することができるんですか。このような状況であれば、この計画は振り出しに戻って考え直すべきではありませんか。どうですか。

○吉井医療政策部長 先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、限られた医療資源を最大限活用いたしまして東京の医療水準の向上を図る、こうした観点から、小児総合と多摩総合の一体的な整備、これを具体的に行ったものでございます。
 こうした高度機能を多摩地域に確保することによりまして、地域全体の医療水準の向上を図ってまいります。

○かち委員 きれいな言葉を並べられますけれども、小児医療というのは、一つのところに重装備のものをどんどんつくれば間に合うということではないんですよね。一分一秒を争う、命のかかった医療です。そういう立場で検討していただきたいんです。
 多摩地域の公立病院の実態も深刻です。日野市立病院も町田市民病院も、深刻な医師不足で、休日、夜間の小児救急を中止しています。町田の患者が多摩の日大永山病院に流れ込み、日大永山病院からあふれた患者が稲城市立病院に押し出されるなどの事態も起きています。
 そこでお聞きしますが、公立病院運営費補助の一床当たりの補助基準は、平成十一年度以降どのように推移していますか。

○吉井医療政策部長 市町村公立病院運営費補助の一床当たりの単価でございますけれども、平成十一年度が百三十五万円、それから平成十二年度が百二十四万円、平成十三年度から十五年度までが百二十二万円、十六年度から十八年度までが百二十八万円、十九年度から二十一年度までが百二十二万円でございます。

○かち委員 十一年度には一床当たり百三十五万円だった公立病院運営費補助の基礎額は毎年のように削られ、今は百二十二万円になっています。一部上がったときもありましたけれども、診療報酬引き下げなどに対応するため、都立病院への一般会計からの繰り出しは一昨年からふえ始めています。医療環境が厳しいこういう状況に照らしても、公立病院運営費補助の補助基礎額の増額が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉井医療政策部長 市町村公立病院運営費補助につきましては、三多摩島しょ公立病院運営協議会がございまして、その間で三年ごとの改定とされてございます。
 その改定ルールは、都立病院、それから都内の公立病院、こうしたものを含めました政令指定都市、全国でございますけれども、それの公立病院一床当たりの赤字額、これの四分の一ということで、その直近の計算をとって定めることとなってございます。
 それから、先ほど十一年度からということで単価を申し上げましたが、平成十二年度からは、ちょっと運営費の補助の算定方式で、特殊診療部門の運営費補助との、補助体系が変わったことによりまして、病床基礎額でございますけれども、百三十五万円から百二十四万円に表面上単価が落ちたものでございます。実質的にはほとんど影響はございません。

○かち委員 実質的には影響ないといいますけれども、都立病院へはふえ始めているのですから、それに照らして、厳しい公立病院への支援というものを前倒ししてでも増額していただきたいというふうに思います。
 八王子や清瀬小児病院では、生まれたときからかかわった患者さんは二十を過ぎても生育医療としてフォローされています。だから二十代、三十代になっても、障害を持ちながらも、安心して生きていくことができるんです。
 女流プロ棋士の石橋幸緒さんは、こんなメッセージを寄せています。私は、生まれてすぐ医師から、三日生きられるかわからないといわれました。その日のうちに清瀬小児病院に運ばれて、それから小学校に入るまでずっと入院していました。二十八歳になった今でも診てもらっています。入院生活の中で将棋を覚え、今の仕事につながっている。三歳までに六十四回腸閉塞を起こし、三回手術をしました。私のすべてにつながっている、小児病院に育ててもらい、生かしてもらったと述べています。
 府中の小児総合医療センターは二十までですから、それを過ぎた患者さんは行き先がないんです。そのことは清瀬小児病院の事業概要の中にも課題であると書かれています。このようなキャリアオーバーの患者さんは一体どこへ行けばいいんでしょうか。

○吉井医療政策部長 第二次都立病院改革実行プログラムでは、小児期に発症し、成人になっても診療が必要な患者さんへの円滑な対応を図るため、原則といたしまして、患者さんが十六歳から十九歳までの間は小児総合医療センターが多摩総合医療センターや神経病院、その他の医療機関と密接な連携を行いながら治療に当たります。その後は、役割に応じた最適な医療環境を提供する施設に円滑に引き継ぎ、必要に応じて共同で診療を継続していくこととしております。

○かち委員 必要に応じて移していくといっておられますけれども、実際、多摩地域では、このような生育医療をやっているのはこの二つの病院です。この二つの病院が廃止されてしまえば、こうした生育医療機能まで失ってしまうことになるんです。一分一秒が命に直結する小児救急医療は身近にあることが欠かせません。不採算医療で民間の医療機関が減少する中、かけがえのない役割を果たしている八王子、清瀬小児病院の廃止は、多摩地域の小児医療にとって大きな損失です。改めて廃止を撤回することを求め、本請願の採択を求めて、終わります。
 次に、第五十九、六十号議案、東京都身体障害者更生施設多摩療護園と知的障害者援護施設小平福祉園をそれぞれ社会福祉法人に移譲するという案件です。
 都立福祉施設の民間移譲は、都の福祉改革に基づいて、既に四割もの施設が民間移譲されてきているわけですが、この二つの施設については、一昨年十月に民間移譲の提案がされ、当委員会で質疑をしてきました。この間、平成十八年度から障害者自立支援法が始まり、福祉人材不足の問題も深刻になり、民間事業所の運営も大変厳しくなっている中で、このまま民間移譲を進めていいのかどうか、そういう観点から質問します。
 両施設の移譲先の選定経過と応募状況、移譲先の法人名、その概要についてお聞きします。

○松浦障害者施策推進部長 まず、公募から決定までの経緯でございますけれども、平成十九年十一月六日に公募要項を発表しまして、外部の学識経験者、公認会計士、弁護士等から成る選定委員会で三回にわたる審査の上、その結果を踏まえ、平成二十年一月二十四日に移譲先法人を決定いたしました。
 民間移譲の応募申込数と移譲先等につきましては、小平福祉園には四法人から応募があり、社会福祉法人武蔵野会に決定いたしました。武蔵野会は、入所更生施設や授産施設など知的障害分野のさまざまな施設を運営している法人でございます。
 多摩療護園には二法人から応募があり、財団法人多摩緑成会に決定いたしました。この多摩緑成会は、昭和四十七年、多摩療護園設立当初から、東京都からの委託等により運営を行っている法人でございます。

○かち委員 結果として小平福祉園は、指定管理者であった事業団から社会福祉法人武蔵野会に、多摩療護園はこれまでの委託先、財団法人多摩緑成会が社会福祉法人を設立して継続して移譲するということですね。
 ところで、財団法人多摩緑成会の本体ともいえる緑成会病院、百四十床規模の病院ですけれども、今月三月三十一日をもって閉院するということは承知をされていると思いますが、これは緑成会にとって大変大きな影響をもたらす問題だと思います。選定過程の中で確認できなかったのか、このような法人で将来本当に責任が持てるのか、移譲後に運営困難に陥ったら都としてどのように対応するのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 先ほども申し上げましたように、平成十九年十一月六日に公募しまして、当時、外部の学識経験者、公認会計士を含めた選定委員会で審査の結果、財団法人多摩緑成会に決定しております。
 今お話がありましたけれども、多摩緑成会の財政悪化は病院経営によるものでございまして、新しく社会福祉法人を立ち上げて、そこで健全に運営されるというふうに認識しております。

○かち委員 廃院したのは病院なんだといわれましても、同じ財団法人の屋台骨となっているのが病院なんですよね。病院が一番最初にできて、その後から療護園だとか子どもの施設だとか訪問看護だとかいろいろやってきておりますけれども、その母体が廃院するということの中での影響というのは、全く考えないでいいということが本当にいえるのかという点では、私は大いに疑問を持っております。
 多摩療護園のように重度の身体障害者施設は都内に六カ所あると聞いておりますけれども、それぞれの規模、障害区分などはどのようになっているでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 都内の民間の身体障害者療護施設数でございますけれども、おっしゃるとおり六施設でございまして、定員三十二名が三施設、定員十名が三施設となっております。
 また、身体障害者療護施設ということでございますと、民間法人が設置運営している都外都民施設もございまして、定員八十七名というのが一施設、定員五十名というのが二施設ございます。
 こうした身体障害者療護施設の利用者でございますけれども、脳性麻痺、脳血管障害、神経難病などによる重度身体障害者が利用しているところでございます。

○かち委員 多摩療護園のような重度の障害を持つ民間施設は六つで、しかもそのうち十名規模が三つ、三十二名規模が三つということで、いずれも小規模ですよね。このような大きな施設を民間移譲するという点では、本当に大丈夫かということを思います。
 それから、小平福祉園のような知的障害者と視覚障害を一〇〇%あわせ持つ障害者の民間施設はありますか。

○松浦障害者施策推進部長 平成十六年に東京都は知的障害者についての現況調査をいたしましたが、利用者のすべてが知的障害と視覚障害の重複障害者であるという、そういう民間施設はございません。
 ただし、知的障害と視覚障害の重複障害者を受け入れている都内の施設は、小平福祉園を除き三十一施設あり、九十七名が入所しております。これらの施設におきましては、知的と視覚障害の重複障害の支援のノウハウを有しているというふうに考えておりまして、小平福祉園の移譲先となる法人が運営する練馬福祉園もこうした施設の一つでございます。

○かち委員 時間がないので、聞いたことだけでいいです。
 民間施設で一〇〇%あわせ持っているのはないということなんですよね。だから都立で今まで見てきたんだと思います。しかも、ここに入っている方々はもうかなり高齢の域に達しておりまして、介護の要素も入ってきて、非常にいろいろな複雑な難しい問題も出てきている。だからこそ都立でやるべきだというふうに思うんです。
 知的障害者入所施設においては認定制度があって、移譲後、小平福祉園についてはその制度を活用して生活支援職員や医師、看護師などについて現行と同水準のサービスが可能であると聞いておりますけれども、多摩療護園のような身体障害者施設についても、必要な職員体制を確保していくような制度があるんですか。それを担保する同様な認定制度はあるんですか。

○松浦障害者施策推進部長 当委員会要求資料で先ほどお示ししておりますけれども、多摩療護園につきましては、民間移譲後、生活支援員と看護師七十四名、医師四名など、現状の都立施設と同水準のサービスが提供可能となる職員体制を確保するというふうにしております。

○かち委員 要するに、多摩療護園についての認定制度はまだできていないということですよね。今、当座、必要な人員を保証するといっても、その先どうなるかわからない、これが民間移譲の実態です。そして、移譲先がたとえつぶれようとも、それはもう民間の話でしょうということになるじゃないですか。そういう意味からも、この移譲は大変問題があると思います。多摩療護園についても、必要な職員体制を確保していくといっても、その仕組みがなければ、当然保証がないわけですね。
 改めて確認しますけれども、両施設における移譲前の委託料と移譲後の運営費の違いはどうなっていますか。

○松浦障害者施策推進部長 先ほど多摩緑成会のお話がありましたけれども、多摩緑成会につきましては、東京都がまだ都立施設で指定管理者としてきちんと運営しておりまして、その運営を実施の上で引き継ぐために、東京緑新会という社会福祉法人が二月十日に既に設立されております。したがって、運営的には問題ないというふうに考えています。
 小平福祉園の平成十九年度の年間運営費でございますけれども、約六億八千百万円、民間移譲後の運営費は、現時点でのあくまでも試算でございますけれども、おおむね四億六千百万円となります。
 多摩療護園の十九年度の年間運営費は約八億一千九百万円、民間移譲後の運営費は、これも試算でございますが、おおむね六億八千五百万というふうになります。
 民間移譲後につきましては、先ほど委員会要求資料でお示ししましたとおり、小平福祉園も多摩療護園も、支援員や看護師など利用者サービスに当たる職員は現在とほぼ同様な職員配置体制がとれる金額でございます。
 移譲先法人からは、都が試算しました運営費相当額の収支計画が提出されておりまして、創意工夫や効率的な運営など、経営努力をすることで安定した運営ができるというふうになっております。
 その上で、加えまして、本年四月から、障害福祉サービスの報酬も平均で五・一%ふえるということになっております。

○かち委員 小平福祉園は事業団であったということもあり約六〇%の縮減、多摩療護園では八〇%に縮減することになるわけですね。しかも、ここにはそれぞれ、小平福祉園には二億四千六百万円、多摩療護園には三億二千八百万円のサービス推進費が含まれているわけです。民間施設へのサービス推進費補助は、経過措置の後、二十一年度から本則適用されるということになっておりますけれども、自立支援法のもとで民間施設の運営は大変困難をきわめています。こうした施設についても、計画どおり本則適用で人件費対応がなくなれば、経営は一層厳しくなると思いますけれども、このサービス推進費についての考え方をお聞きします。

○松浦障害者施策推進部長 先ほど、多摩療護園年間運営費、一億円ほど減るというようなお話ありましたけれども、平成十八年に練馬福祉園、これも今までの委託法人に民間移譲したところでございますけれども、年間運営費が移譲前の都立であったときが九億七千万、移譲後、十八年度約八億七千万ということで、一億ぐらい減少いたしましたけれども、現状は、短期入所、五人から十人など定員拡大するなど、移譲先法人の創意工夫により、サービス向上など効率的な運営によりまして安定的に運営しているというふうに認識しております。
 そこで、都立のときからの利用者、保護者へのアンケートを十九年度実施いたしましたけれども、約七割の方が満足、やや満足という評価をいただいたところでございます。
 サービス推進費でございますけれども、障害者児に係る現行のサービス推進費補助につきましては、平成十六年度から、すなわち支援費制度に対応する都加算として実施しているものでございます。
 平成十八年十月から障害者自立支援法が全面施行されまして、報酬体系が大きく変わっております。このサービス推進費につきまして、東京都社会福祉協議会を窓口としまして、身体、知的、精神の施設の施設長の各代表と話し合いまして、自立支援法に基づきます新サービス体系に即した補助にする必要性があることにつきまして、昨年十二月に合意しております。
 また、来年度、平成二十一年度につきましては、現行のサービス推進費を維持することというふうにしております。

○かち委員 計画を立てたときから、自立支援法が入ってきて状況は大きく変わっています。その自立支援法も今見直しの段階でありますので、このサービス推進費についてはきちんと対応すべきだというふうに思います。
 こうした福祉施設の運営費の多くが人件費であるわけです。それを削るためにベテランの常勤職員を非正規に切りかえるなど、また細切れのパート労働で穴埋めをするということになるわけで、そのことが利用者にとって安定と安心を与えるサービス向上になるとはとても思えません。多摩療護園のように五十八名という大規模の重度心身障害者施設であったり、小平のように利用者の一〇〇%が視覚障害をあわせ持つという重複障害施設は民設民営の施設ではありません。だからこそ、都立施設として都が責任を持つべきと考えます。よって、両施設の民間移譲には反対です。
 次に、介護保険制度の見直しについて伺います。
 第五十八号議案、東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例が出されております。介護保険料の安定化のために積み立ててきた基金を二〇〇九年度から中止するというものです。現在既に二百三十億円の財源があるということもあり、我が党は過大な積み立ての見直しを求めてきた立場から賛成するものです。
 さて、二〇〇九年度は介護保険が始まって十年目となります。そして第四期の見直しの年でもあります。介護保険料や介護給付、介護認定制度がどう変わっていくのか質問します。
 介護をめぐる問題では、二〇〇六年の改定で、国は、介護保険導入時の介護の社会化の理念から大きく方向転換し、制度の持続性を最大の目的に、介護保険の制度改定を行いました。その結果、大幅な負担増、サービス利用の制限、介護報酬の引き下げ、事業者規制の強化などが実施され、利用者、家族にとっても、介護労働者、事業者にとっても深刻な影響をもたらし、介護難民、介護崩壊という事態が続いています。
 とりわけ介護報酬は、制度発足以来二度にわたって引き下げられ、低賃金と厳しい労働条件のもとで敬遠され、現場では介護人材不足が深刻な事態となっています。
 そこで、二〇〇九年度の改定は、介護労働者の処遇改善が最大の目的といわれてきました。今回の介護報酬改定で三%アップとされていますが、その経緯と概要について伺います。

○狩野高齢社会対策部長 近年、介護人材の確保が困難な状況にあることから、昨年の通常国会におきまして、介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律が成立したところでございます。
 こうした状況を踏まえ、昨年十月、政府・与党において、介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策として、平成二十一年度の介護報酬改定率を三・〇%とすることが決定されました。
 今回の改定は、介護従事者の人材確保と処遇改善を図るため、夜勤等の負担の大きな業務に対して人員を確保する場合の評価、それから介護従事者の専門性等のキャリアに着目した評価、三つ目に介護従事者の賃金の地域差に対応するための報酬単価の見直しを行うことなどを基本的な視点に置いて実施されたものでございます。

○かち委員 要するに、三%アップは一律の底上げではなくて、級地区分の見直しとかさまざまな加算によるものだということなんですね。
 それでは、その級地区分の見直しと各種加算というものはどういうものですか。

○狩野高齢社会対策部長 本年四月の介護報酬の改定では、給与が高い都市部の実態を踏まえた報酬単価の見直しを行うとともに、介護福祉士等が一定割合雇用されている事業所について新たにサービス提供体制強化加算を設けるなど、介護従事者の専門性等に応じた加算制度が創設されました。
 なお、介護サービスの種別によりましては、介護報酬に占める人件費比率の割合が引き下げられたことなどから、報酬が下がっている場合もございます。
 例えば、認知症高齢者グループホームにつきましては、都内の多くの地域で報酬単価が引き下げられております。

○かち委員 今度の改定によって、新聞報道などでは、東京二十三区と中山間地域、小規模事業所などはある程度の改善が期待できるけれども、抜本的な解決には疑問が残るとされています。介護従事者の処遇改善といわれていたわけですけれども、介護労働者の給与アップにどの程度反映されるのでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 介護従事者の賃金は、事業者と介護従事者との間で決められるものであり、その内容は労使にゆだねられるものであることから、介護報酬の引き上げにより介護従事者の賃金が一律に引き上げられるとは限りません。介護報酬改定を介護従事者の処遇改善にできるだけ結びつけることが重要であることから、国においては、雇用管理の改善に取り組む事業者に対する助成、事業者の参考となる経営指標や経費配分モデルの作成、提示のほか、介護報酬改定後の介護従事者の給与水準について検証を行うなどの取り組みを進めることとしております。

○かち委員 当初は、厚生労働大臣も三%、一人二万円アップというようなことをいっていたんですけれども、検討過程の中でどんどん後退してしまったという感を否めません。実質三%の給与アップになっても、この間引き下げられた四・七%に届かないのに、事業者との間で決めるというのでは、ほとんど期待できないというところです。
 また、結果的に夜間業務負担やキャリア、地域差等には一定の評価はするけれども、通常のサービスは据え置きということです。サービスの高い施設の処遇を評価するだけでは、さまざまな要因でそうした対応ができない弱小の事業者などは淘汰されていく可能性があり、介護崩壊を助長しかねない問題をはらんでいると思います。
 また、介護報酬の引き上げは、保険料や自治体負担増に連動しやすい側面を持っています。このたび中途議決された補正予算では、介護従事者の処遇改善と人材確保のために基金が創設されました。その概要と保険料額への影響はどうなるんでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 まず、各区市町村の第四期の介護保険料につきましては、現在、区市町村議会において審議されているところであり、確定しておりませんけれども、都内平均はおおむね第三期と同程度となる見込みでございます。
 お話しの介護報酬の改定に伴いまして保険料の上昇を抑制するため、国から各区市町村に特例交付金が支給をされまして、その影響でございますけれども、保険料改定による保険料上昇分については、平成二十一年度は全額、二十二年度は半額を国費で軽減するものでございます。
 その影響ですけれども、国によりますと、特例交付金により軽減される保険料基準額は、月額にしますと約七十円と見込んでおります。

○かち委員 各自治体の状況は検討中ということですけれども、介護報酬の改定が区市町村の保険料アップに直結しないようにということで、国が増加分の半分を見るということなんですね。それは四期三年間のうち二年分は見るけれども、三年目からは区市町村独自でやりなさいということなんです。これでは、各自治体の負担がふえるか、保険料を上げるかというふうにしかならないと思うんです。
 私たちも、アンケートで各区市町村に現段階での予定状況をお聞きしますと、十六自治体、三二・六%は据え置き、二十自治体、四〇・八%は引き下げ、増額が十三の二六・五%という状況でした。国が抑制策をとっても引き上げざるを得ない自治体が十三もあるわけです。今日まで保険料は上がり続けているのですから、今回の上昇分はすべて国庫負担にするように求めるべきだと思いますが、どうですか。
 また、利用料も、報酬加算の中では今以上に利用料がアップすることは否めません。都として、低所得者に対する保険料、利用料の減額制度が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 介護保険制度は、区市町村を保険者とする社会保険制度であり、受益と負担の公平の見地から、すべての被保険者が適正に保険料を負担することが原則でございます。その上で、制度的に低所得者に対する配慮として、所得に応じたきめ細かな保険料設定など、負担の軽減措置が設けられております。
 このことから、東京都が独自に保険料や、あるいは利用料等の軽減措置を実施する考えはございません。

○かち委員 今のようなシステム、仕組みの中では、報酬をアップすれば保険料に連動するという状況があって、自治体も本当に苦しんでいるわけですよ。そういうところに支援をする、広域行政として東京都がぜひ考えていただきたいと思うんですね。社会保障の削減のもとで経済不況による住民生活はますます深刻になっています。特に高齢者は、年金から、介護保険料に加え後期高齢者保険料が天引きされ、さらに本年十月からは、住民税も年金天引きされるという状況です。高齢者の最低生活を守る立場に立って検討されることを求めておきます。
 次に、介護認定の見直しについてお聞きします。
 今回の見直しの内容、特徴はどういうものでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 国は、平成二十一年度から、要介護認定に当たり、調査員が自宅などを訪問して心身の状況などを調査する項目の見直しなどを行うこととしております。
 具体的な見直しの内容についてですが、介護技術の進歩などを踏まえて、一次判定における要介護認定と基準時間の推計に用いるコンピューターソフトの見直し、二つ目に、認定調査項目につきましては、認定事務の負担軽減のため、介護の手間に関する一次判定における推計の精度が変わらないことを前提として、現行の八十二項目から七十四項目への見直しを行ったこと、三つ目に、介護認定審査会の審査が複雑であるなどの指摘を受けていることから、要支援二及び要介護一の振り分けをコンピューターによる一次判定の段階から行えるよう、システムの見直しなどを行っております。

○かち委員 今の項目を減らしたり、一次判定で要支援と要介護一をコンピューターで判断するんだというようなこと、それから介護審査会が非常に簡素化されるというようなことは、逆の面でいろいろな問題を含んでいるというふうに思います。
 二〇〇六年度の改定で要支援認定が加わり、状態が変わらない、もしくは悪化しているにもかかわらず、認定の更新で現状の介護度よりも軽度に判定されるケースが現場から続出しました。その結果、訪問介護や福祉用具など必要なサービスが制限され、介護ベッドはがしや車いすはがしなどが大問題になりました。日常の介護や生活に大きな支障を来しているのが現状です。
 しかしながら、今回の見直しによって、これらの問題が解決するどころか、新しいシステムによってこれまで以上に軽度に判定されることが危惧されています。
 厚生労働省が昨年実施した全国市町村の三万件を超えるモデル事業の結果、新たな方式の二次判定により、要介護認定を受ける人の約二割が軽度に判定されるとの結果を報告しています。
 さらに、これまでの認定調査では、調査対象の能力を勘案して判断していたものが、確認するというふうに変更されていたり、既存項目における項目の定義や選択基準等の変更点などがありますけれども、これは具体的にどのようなことでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 現在の認定調査では、認定調査員が申請者の日常生活上の支障の有無に配慮したり、能力を推量して選択肢を選ぶという調査方法がとられております。このことから、認定調査員の判断のばらつきの原因となっていたことから、申請者の状態を把握するための調査項目について、能力、介助の方法、障害や行動の有無といった三つの評価軸に沿った選択基準に従い、観察や聞き取りにより客観的に確認することとしたものでございます。
 具体的には、寝たきりの人に対する移動や車いすなどへの移乗の項目の調査では、実際に介助が行われていない場合は介助なしを選択するというものでございます。
 なお、調査員が調査項目の定義に合わないと判断をしたり迷った場合には、特記事項として記録し、保健、医療、福祉に関する学識経験者で構成されております介護認定審査会において判断を仰ぐこととなっております。

○かち委員 今のご説明のように、基準の変更によって、実態とは全くかけ離れた評価結果が出るということなんですね。
 それが具体的にどういうふうに書いてあるかといいますと、認定調査員テキストに書いてあるんですが、異なった選択が生じやすい例として出しているもの、移乗ですね、移動すること。これは、対象の状況が重度の寝たきり状態であり、移乗の機会が全くない状態の場合、普通だったら全介助というふうな、今までは来ていましたけれども、これを正しくは、自立を選択しなさいというんです。自立、なぜかといえば、介助自体が発生しないという考え方なんですね。でも、幾ら寝たきりの利用者であっても、人間らしい生活を提供するためには、その人が外の空気を吸ったり花を見たり、人間らしい感覚を身につけることが生きがいにつながり、そしてリハビリにもなるわけですよね。それを全く物のような扱いをしているというのがこの一例だというふうに思います。
 また、座位についていえば、これまでは端座位、ベッドのわきとか腰かけに座って十分、これが座位が可能という判定だったんですけれども、新基準では、座り方は問わない、足が曲がらなくても斜めであっても一分保持できればいいんだ、こういう状況なんです。
 食事摂取はどうか。経管栄養などではなく、中心静脈栄養の場合、旧基準ではこれは全介助ですね。しかし、これは自立という判断になるんです。なぜかといえば、これは余計なことをしなくてもいいというようなことなんですね。でも、中心静脈栄養こそ衛生管理をしなければいけないし、非常に医療的感覚で見ていかなければならない大変重要な問題なんですけれども、それが自立なんということになってしまうという点からしても、今度の判定基準は、非常に実態と乖離しているということが想像できます。
 さらに重大なのは、新判定基準によって、特に低所得者とか独居高齢者については、どういう介護をしていたかということが説明できない。その場合には、本当に見たままでしか判定されないということで、ここに格差が持ち込まれかねないということなんです。
 事業者においても、要介護度が下がることによって基本報酬が下がるとともに、要介護度を要件とした加算ができなくなります。介護報酬は三%引き上げられたけれども、要介護認定の見直しによる軽度化によって相殺されかねません。
 これらの大きな変更点が目前の四月に実施されようとしているんです。しかし、関係者、国民にその内容がほとんど周知されていないというのが現状ではないでしょうか。
 都においては、新たなテキストに基づく認定調査員、認定審査会委員の研修会がどのように開かれ、理解と合意が得られているのでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 一次判定の結果につきましては、先ほど申し上げましたように、特記事項等について認定審査会の方でそれを勘案して二次判定を行うという仕組みになっておりますので、全く一次判定の結果だけでストレートに要介護度が決まるわけではございません。
 都では、現在、本年一月末から、区市町村職員を対象とした今回の制度改正の説明会を一回行いました。それから、認定調査員に対しては、研修を三回実施し、それから、介護認定審査会の委員さん向けの研修も二回開催をしております。あわせて、主治医意見書を記入していただきます主治医研修などでこの制度の周知徹底を図っているところでございます。
 また、制度改正後の四月にも、改めて認定調査員研修や、認定審査会の委員研修を順次開催していく予定でございまして、区市町村における要介護認定が適切に行われるよう支援してまいります。

○かち委員 都としても、このような新認定制度について何の疑問も持たないのかなというのは、私は不思議に思います。
 きょうの朝のテレビニュースでも、厚労省が、関係団体からの、非常な批判の声が多いということで、一部について、さっきの寝たきりの移乗についてや、それから認知症の方の買い物についてなど、一定の見直しをするというような報道がされておりました。もう今の段階で、国においても動揺しているわけですよ。また七月にも見直しをするなどといっておりますけれども、一たん始まってから見直しをすれば、どれだけまた現場に混乱が起きるかということを考えれば、〇九年から改定するということはわかっていたわけですから、もっと事前にきちんと調査をして、検証して、本当にきちんとしたものを出すべきですよね。いつもこのような直前になって変更したりいろんなことをするから、本当に現場は振り回されているのが実態なんですよ。
 何よりも重要なのは、利用者、高齢者、国民にほとんど周知されないまま実施されようとしていることです。少なくとも十分な検証と周知と合意を得てから移行すべきです。
 要介護認定は、介護保険給付の資格と水準を決める介護保険制度の根幹のシステムです。その全面的、抜本的見直しが行われようとしているにもかかわらず、具体的な内容について明らかにされないまま見切り発車は、現場に混乱を引き起こすものです。
 四月からの新方式への移行は凍結をし、モデル事業の調査結果や検討内容を明らかにするとともに、利用者の状況に見合った認定制度となるよう大幅な改善を行うよう国に要望することを求めて、質問を終わります。

○東野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時三十三分休憩

   午後三時四十五分開議

○東野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○西崎委員 私からは、障害者の地域生活支援の推進と高齢者の在宅医療について、大きな二つの柱でお伺いしたいと思います。
 まず、障害者の地域生活支援の推進についてですが、先日、知的障害児施設の都立東村山福祉園を視察してまいりました。この施設は、重度の知的障害児が入所している施設で、およそ百六十人規模でかなり大規模なんですけれども、十八歳を超えても引き続き入所している人が半数以上もいらっしゃいます。
 施設全体を見てみますと、既に四十年近く経過しているために、大変老朽化しておりまして、決して良好な環境といえる状況ではありませんでした。ここ五年間ぐらい入退所の状況をお聞きいたしますと、施設から家庭やケアホームなど退所する方はわずか十数名にとどまっています。
 園では、将来的に地域で生活できる方については、地域のグループホームやケアホームで暮らせるよう、園内で自立生活訓練を行うなどの取り組みを実施しております。
 これらの重度知的障害者ケアホームの開設を進めるために、近隣及びNPO法人との連携も進めていますけれども、各市区町村の地域での受け皿となる施設整備については、まだまだ不十分ではないかと思います。
 そこで、同園での取り組みに限らず、知的障害者施設に入所している方のうち、地域で生活できる方については、その希望に沿った暮らしができるよう、施設からの地域移行を進めていく必要があると考えます。
 まずは、都としては施設からの地域移行をどのように考えているのか、伺いたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 都といたしましては、障害者の希望に沿った暮らしができるよう支援していくことが重要と考えておりまして、利用者本位の福祉改革の一環としまして、施設入所者で地域移行を希望する障害者に対しまして、施設において自活訓練を実施するなどによりまして、地域生活移行を積極的に推進していくべきと考えております。
 平成十九年五月に策定いたしました東京都障害者計画におきましては、平成二十三年度末までに全入所者の約一二%である八百七十四人が地域に移行するという計画になっております。
 また、お話ありました東村山福祉園のような障害児施設に入所しております十八歳以上の過年齢児につきましても、同様に地域生活移行を支援しております。

○西崎委員 地域移行を進めていくというお話ですけれども、地域移行を進めていくためには、必要とするサービスを利用しながら、本人が希望する地域で安心して暮らし続けられるよう、地域居住の場や日中活動の場など、継続的な生活支援体制の整備を引き続き重点的に取り組むことが必要だと思います。
 地域での地域移行を進めていくために、やはり直接の窓口となる各市区町村の取り組みが重要になってくると思いますけれども、その内容についてはどのように行われているのか、伺いたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 施設に入所しております障害者が地域での生活に移行するためには、地域での受け入れ条件、これを整えていく必要がございまして、お話のとおり、各区市町村での取り組みが重要でございます。
 東京都におきましては、平成二十年度より各区市町村が地域移行促進員を設置いたしまして、障害者の地域生活移行を積極的に推進するよう支援しているところでございます。
 既に設置している区におきましては、地域移行促進員によりまして、地域移行する障害者本人の意向を確認し、地域生活に必要な居住の場や日中活動の場とのマッチングや地域生活移行後のアフターケアなど、地域生活に必要な支援をきめ細かく実施しております。
 今後、このような先駆的な取り組みをすべての区市町村に周知しまして、地域移行促進員の設置に向けて引き続き支援してまいります。

○西崎委員 今、地域移行促進員というお話があったんですけれども、私も、こういう言葉を聞いたのは初めてで、まだ新しい取り組みのようですけれども、そういう方がいて、施設入所から、本人の意向確認から、関係先への連絡調整あるいはアフターケアに至るまで、トータルで支援を行っていくということは大変すばらしいことだと思います。
 ただ、まだ始めたばかりのようなお話で、本当に各自治体にこういった促進員を配置して、取り組みを広げていけるのかどうか、課題も多くあるのではないかと思います。先駆的な取り組みがあるのならば、それをぜひ紹介していただいて、地域によって格差が生じないように、都からもしっかりと支援していくことも必要だと思います。
 現在、第二期東京都障害福祉計画のパブリックコメントがとられています。この中には障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランとして数値目標が掲げられていまして、地域生活支援事業など目標達成のための方策も示されています。
 私は、地元が世田谷なんですが、世田谷の状況を調べますと、グループホームとケアホームの併設の施設など地域に整備されておりました。しかし、人口的に世田谷はかなり大きいまちですので、まだまだこれからの取り組みを進めていかないと、地域の受け皿が十分に整備されたといえないのが現状だと思います。特に、世田谷には単独の施設がないんですけれども、重度の障害者のためのケアホームの整備も必要だと思います。
 知的障害者が地域で生活していくためには、その居住の場であるグループホームや日中の活動の場の整備を進めていく必要がありますけれども、この点についてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。

○松浦障害者施策推進部長 施設に入所しておりました障害者が地域生活移行後安心して暮らせるように、比較的軽度の障害者が利用するグループホーム、それと日常生活で手厚い支援を必要とする障害者が利用するケアホーム、これらなど地域での居住の場を整備していく必要がございます。
 あわせまして、就労継続支援や生活介護など日中活動の場とか、さらにはショートステイなどの基盤整備も促進していく必要があると考えております。
 都におきましては、こうした整備を加速するために、先生お話しの新たに障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランを策定いたしまして、平成二十三年度までの三年間、グループホームでの整備費の事業者負担を半分にする特別助成を実施しまして、現行の三カ年プランを上回る約四千二百人分の基盤整備を推進してまいります。

○西崎委員 これから平成二十一年から二十三年度にかけて約四千二百人分の基盤整備を行うというお話がございました。その数値目標をぜひ上回るように努力していっていきたいと思います。
 世田谷区の方に電話をしてちょっと聞いたんですけれども、施設整備がなかなか進んでいない状況の中で、先ほど行きました都立の東村山福祉園との連携というか、そういう大型施設に、先ほどいいました相談員の方ですか、トータルに見てくださる支援員の配置なども今後検討していっていただけたらというようなお話もございましたので、ぜひこの目標が達成できるように、あるいは障害者が住みなれた地域において安定した生活が送れるように、都として地域生活支援の取り組みを積極的に推進していくことを要望しておきます。
 次に、在宅医療についてです。都における高齢化は急速に進行し、六十五歳以上の単独世帯は、平成十二年度の三十八万世帯から平成三十七年には八十七万世帯に増加することが見込まれています。
 今後、急速な高齢化の進展や都民ニーズあるいは医療制度の変化に対応していくためには、限られた医療資源を有効に活用しながら、患者が身近な場所でいつでも適切に医療を受けられるような体制整備を図っていく必要があると思います。
 特に、在宅医療は、平成十八年の診療報酬改定で、在宅療養支援診療所が設定されました。しかし、読売新聞の調査によりますと、全国の九千七百七十七の診療所が、平成十八年七月から一年間に在宅でみとった患者はわずか二万七千七十二人で、三千百六十八の診療所はこのみとりを行っていなくて、ゼロという状況でした。
 十八年からもう今既に三年目を迎えていますけれども、現状では、在宅療養支援診療所は、みとりを含めた終末医療を担う役割を十分に果たしているとはいえず、課題も多く残されているようです。
 そこで、どのような在宅医療が必要なのか、また確認の意味で何点か伺いたいと思います。
 在宅療養生活で、患者やその家族は、いつ病状が急変するのか、そのときにどのように対応していったらいいのかという不安を絶えず抱えていると思います。そのため、在宅療養支援診療所の届け出要件では、まず二十四時間連絡を受ける医師や訪問看護ステーションを明らかにしておくこと、緊急時に入院できる病床の確保が義務づけられています。
 このような診療所や訪問看護ステーションによる二十四時間体制が確保されていることはもちろん大前提ですけれども、それを地域でサポートするような仕組みがあれば、患者や家族だけではなく、在宅医療を担う医師や看護師などの安心につながるのではないかと思います。
 都内の各地域で現在在宅医療に関するさまざまな取り組みを行っていると思いますけれども、その中で特に病状急変時の対応を支えるような取り組みを行っているようであれば、それをお聞かせください。

○大久保参事 都では、平成十九年度から区市町村に対しまして、医療保健政策区市町村包括補助事業を活用いたしまして、在宅医療の取り組みに対する支援を行っております。
 その中の取り組み例といたしましては、容体悪化等により入院が必要となった在宅療養患者のために、区市町村であらかじめ緊急一時的な治療のための病床を確保しておく取り組みでありますとか、地域医師会診療所に医師が当直し、主治医からの要請を受けて夜間の往診を主治医にかわって行うといった事業がございます。

○西崎委員 いざというときに円滑に対応できる体制があるということは、患者や家族だけではなくて、在宅医療を担う医師や看護師にも支えになると思います。
 全国の在宅医療を進めている診療所や専門職の人たちでつくっていますNPO在宅ケアを支える診療所ネットワークというのがございます。これは日本各地で地域医療の課題について話し合うために毎年シンポジウムを開催しております。昨年は京都で同志社大学、一昨年は東京の一橋大学で行われました。
 私も、この毎年行われている大会に五年前から参加して勉強してまいりましたが、昨年の大会では、在宅療養支援診療所というのが大変話題になりまして、こういった診療所を行っている医師から、二十四時間体制で行うというのは、いろいろな悩みがあるというか、大変だという訴えもありました。
 その一方、こういった二十四時間体制を訪問看護ステーションとか他職種との連携あるいは先ほどお話がありました緊急一時的な治療のための病床を確保しておく、そういった支援体制がしっかりとできている自治体にとっては、とても取り組みやすくなっているという意見も出ていました。
 今、事例を出して説明いただいた内容は、ほかの地域が取り入れようとする際、十分なだけの病院や協力できる診療所の医療資源があるかどうかなど、地域の実情によっても違ってくるのではないかと思います。
 そこで、都として在宅医療を支えるための地域における基盤整備に関して、都内のさまざまな地域でも比較的取り組みやすいような方法を提示して、都内全域での在宅医療の充実を図るべきではないかと思いますが、見解をお聞かせください。

○大久保参事 都民が安心して在宅療養生活を送るためには、病状急変時の一時入院先の確保並びに病院スタッフと在宅医療スタッフとの密接な連携体制の構築が重要でございます。
 そこで、都は、地域の身近な病院が在宅医療の連携拠点となることによって、緊急時におきましても機動的に対応できる体制を地域に構築するために、来年度四カ所でモデル事業を実施いたします。
 この事業は、病院スタッフと在宅医療を担う医師や訪問看護師、ヘルパー等が顔の見える連携づくりに取り組むものでございますが、この取り組みの成果を検証し、都内各地域の医療資源や特色を生かした在宅医療体制の整備を図ってまいります。

○西崎委員 そのようなモデル事業の取り組みでは、医療や介護の提供者だけではなく、患者や家族の声にもよく耳を傾けていただきまして、より効果的なものになるよう都としても働きかけていただきたいと思います。
 在宅療養生活においては、症状急変時の対応の整備も必要だと思いますけれども、身体機能が衰えないようにリハビリも重要な点だと思います。
 患者や家族は、退院後に身体機能が衰えないようにリハビリテーションを行って、機能回復を図りたいと考えています。そのような要望はかなり多いと思いますけれども、この点についてはどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○大久保参事 在宅療養生活の質を確保する上で、リハビリテーション医療は重要でございます。墨田区では、都の医療保健政策区市町村包括補助事業を活用いたしまして、今年度から、退院後の患者が在宅での生活機能維持を目指して取り組むリハビリテーションに対して、東京都リハビリテーション病院と地域の診療所医師とが連携し、継続的に支援する在宅リハビリテーション支援事業を開始いたしました。
 都は、この取り組みの成果につきまして、他の区市町村にも情報提供してまいります。

○西崎委員 今、墨田区の在宅リハビリテーション事業のお話がありましたけれども、診療所医師がリハビリテーションの医療の一方の担い手であるということはとても心強いと思います。
 しかし、ほかの地域では、ニーズの高い訪問リハビリテーションを担う理学療法士や作業療法士などのリハビリテーションの専門職が不足していると聞いています。
 都として、訪問リハビリテーションなど地域におけるリハビリ医療を担う専門職の人材養成に取り組んでいくべきだと思いますけれども、都の見解を伺います。

○大久保参事 理学療法士や作業療法士の国家試験合格者数は、平成十六年度の約八千二百人に対しまして、平成十九年度は約一万百人と増加傾向にございます。
 その一方で、若手が相対的に多い状況が進んでおりまして、訪問リハビリテーションのような相応の技術と経験を要する分野の担い手は十分な育成が必要な状況でございます。
 そこで、都は、今年度から地域リハビリテーション支援センターのリハビリテーション専門職に対する研修を実施いたしまして、地域における指導能力の向上を図っております。引き続きリハビリテーション専門職の人材養成に取り組んでまいります。

○西崎委員 これまで幾つかの東京都内の先駆的な事例とかご紹介いただきまして、今、東京都が取り組んでいる在宅医療についてご紹介いただき、お話ししていただきましたけれども、都民が安心して在宅医療を受けられる医療体制を目指してこれからも取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わります。

○田代委員 まず最初に、医師確保についてお伺いしたいと思います。
 国も昨年、ようやく方針を転換して本腰を入れ始めました。それまで抑制していた大学医学部の入学定員を二十一年度から全国で約七百名増員、約八千五百名にするという措置をとったわけであります。そして、都内の大学においても、来年度から百二十名程度の定員増になるようであります。
 しかし、定員増したとしても、結果が出てくるまでには十年以上の時間が必要となるわけでありまして、現場では、きょう、今必要である、医師が足りないということでありますから、この対策として一つの方法としては、医師国家試験を体調不良などの事情で実力があるにもかかわらずやむなく不合格となった医学部卒業生、これは今までの入学試験が当然受かっているわけですし、また卒業試験も受かっているわけですから、そういう人たちに対して、一九八五年まで行われていたような、国家試験の回数を春と秋の二回にふやして、これにはいろいろ制約をつけてもいいと思います。
 例えば、医師の少ないこういう県に何年行くとか、あるいはこういう科目を選択するとか、条件をつけても構わないわけですが、十年たたないで、すぐに医師の増加ができるわけですから、こういうことを東京都の方から国の方へ働きかけていただけたら大変ありがたいなと思います。
 国の考え方では、東京を初め、また都会の府県の募集枠というのは一定数が少なくなって、他方の枠をふやすということでございますから、これで果たしていいのかちょっと疑問があるわけですけれど、こうした都道府県枠のことだけが喧伝されているわけです。
 研修プログラムについて弾力的な取り扱いが必要である。これは三月二日に研修プログロムが、医師不足の臨床研修制度を見直すということで発表されて、枠を東京だけ少し減らしていこうということなんですが、この専門医や総合医、さまざまな医師について、東京都が弾力的に対応していくということは大変意味があることだと思うんですけれども、こうしたいろいろな動きがある中で、都にあっても、小児や周産期医療などに従事する医師を確保するために、まず一つは医師勤務環境改善事業、それから東京都地域医療支援ドクター事業というのをスタートさせたわけですが、このように都はさまざまな医師確保の施策に取り組んでいるわけです。
 本定例会においては、医師の奨学金を貸与する条例の改正案が提案されているわけです。医学生に奨学金を貸与して、地域に不足する診療科の医師を確保するという対応策ですけれども、これは自治体ができる医師養成の一つの大きな手だてだとは思うんですが、この改正により奨学金制度の充実を図るその目的や意義について伺いたいと存じます。

○吉井医療政策部長 今回の改正は、小児や周産期医療などに携わります医師をさらに確保するため、医学生が医師としての将来の進路を見定める時期でございます五年生、六年生を対象といたしまして、奨学金制度を創設するものでございます。都内十三大学の医学生を対象に貸与する予定としてございます。

○田代委員 小児科や周産期、こういうものを志す学生が研修に励んで、医師国家試験に合格して医師となって、キャリアアップを重ねて、東京都の小児の疾患あるいは周産期医療などに大きく貢献することができる人材になってくれれば、制度をつくったかいがあったといえると思うんですけれども、そういう意味では、一大学二名などといわず、もうちょっとフレキシブルに、そして募集の総数もふやしていかれたらどうでしょうか。
 特に、数ありきの姿勢になる前に、人を見る医師を育てる、そういう姿勢のためと同時に、小児科とか産科であるとか、特別に今不足して都が求めているそういう科を志望するような人たちを対象にする、いろいろな考え方があると思うんです。
 東京都が大学と連携して、学生が都の地域医療について理解や知識を深めていけるように教育の機会を与えていくことも必要でありますし、また都が指定する勤務先の病院についても、本人が専門医としてキャリアアップしていけるように十分配慮していくことも非常に重要なことだと思いますが、と同時に、これは答えを求めるわけではないんですけれども、やはり契約をきちっとするわけですから、サインなどしてもらって、ある程度、東京都が思ったことと違う方向に動くようであれば、制約というものも考えておかなくちゃいけないと思うんですが、見解を伺いたいと思います。

○吉井医療政策部長 奨学金の貸与を受けた医学生が、都における地域医療を支える医師として長期にわたって貢献するよう、その資質の向上に配慮していくことは、ご指摘のとおり極めて重要であるというふうに考えております。
 この奨学金制度を受ける医学生には、都の地域医療に関する講義や島しょ地域の視察など、大学医学部と連携して実施をしてまいります。都の地域医療の現状でありますとか課題について、現実に即した理解を深められるよう、その機会をつくってまいりたいと考えております。
 また、三年間の目的勤務でございますけれども、都が勤務先を指定いたすところでございますけれども、その際には、本人のキャリアアップに十分つながるよう医療機関を選定していくなど、配慮を行ってまいりたいと考えております。

○田代委員 こういう制度の中で、一人でも多くの医学生が都の地域医療に関心を持ってくれて、将来都における小児医療や周産期医療などさまざまな問題が大きく出てくると思うんですが、そういうものに対処できるような人材に育ってくれることを切に願うものであります。
 一つ申し上げておきたいのは、やはりこれからの医療というものは、医師と患者さん双方の意識改革というのが非常に必要でありまして、お互いに、例えば医療を受ける側については、近年身近な地域に経験豊富な医師がいても、患者さん方は設備の整った病院を受診する傾向、そういうものがあって、救急病院に軽症の患者さんが集まって、救急病院の医師の勤務が過重となる、こういうこともあるわけですね。
 また、特に最近は、モンスターペイシェント、こういわれるような医療現場でモラルに欠けた行動をとる患者さんがふえているということもあるようです。医師が一生懸命頑張っていても、患者さんや家族から理不尽な対応が行われれば、医師の方も精神的に疲弊して病院の現場というものが成り立たなくなってしまう。
 しかし、一方で、モンスタードクターやナースなどのモラルに欠けた医療従事者もいないというわけではないわけです。ですからそういうところでは、きちっと双方のことで考えていかなくちゃならない。
 そういうことから、できれば社会的な常識のある、総理大臣がおっしゃった言葉のようですけれども、社会的常識のある医師とかをふやしていくためには、やはり学士を所有している者に対して、広く門戸を開いて、学士入学や一種のメディカルスクールなどの制度、こういうものの充実などが必要だと思うんですね。
 一方で、地域の医療を守ろうと、小児科など病院の適切な利用に向けた啓発、これはニュースなどでもよくいわれていますが、住民が自発的に行う取り組み、これも全国で広まっているわけです。医療というものは従事者だけではなくて、患者さん側の参加、協力がなくてはできないわけですから、こういう取り組みが草の根的に出てくるのは、医療関係者の一人として大変心強く思います。
 東京都においても、医療は公共の財産であることや救急医療のかかわり方など、都民に対する普及啓発を広く行っていくべきであり、こういう取り組みについてぜひ検討をお願いして、医師確保の質問を終わらせていただきます。
 次に、子宮がん対策について伺います。
 子宮がんの原因は、ヒトパピローマウイルス、HPVといわれるウイルスであることが明らかになっているわけですが、HPV、このウイルスは、約八割近くの女性が五十歳ぐらいになるまでに感染し、このHPVというのは特徴がありまして、皮膚や粘膜に感染して、体の中には入らないために免疫力がされないわけですから、一度感染しても何度もまたそういうことがあれば感染が繰り返される、こういう特徴があります。
 百種類以上の種類があるわけですけれども、その中で特にHPV16と18、これだけで子宮頸がんの原因の約七〇%を占めるわけでありまして、その他の種類も合わせると九割以上の子宮頸がんがこのHPVによるものであるということがわかっているわけです。
 世界じゅうで大変多い病気なわけでありますけれども、今世界でこのHPVの予防のためにワクチンをしっかりと使い始めているわけであります。そのHPVのワクチンを使うということを、今世界では百九カ国で接種が行われているわけです。現在我が国でも承認のための審査を受けているということですけれども、国における審査の状況はどのようになっているのか、またワクチンが使用できる状況になれば、直ちに都民や区市町村に対して情報提供すべきと考えますが、所見を伺います。

○住友保健政策部長 ヒトパピローマウイルスワクチンにつきましては、現在二社の製薬会社から国に、製造販売承認申請が行われておりまして、医療上特に必要が高い医薬品として、優先的に承認審査を実施する品目に指定されたと聞いております。
 今後、国における審査の状況や標準的な接種の年齢や回数などに関する検討結果を踏まえまして、都民や区市町村、関係団体等に対して適切に情報提供を行ってまいります。

○田代委員 このワクチンは非感染の女性への大規模な臨床検査が行われたわけですけれども、約八割以上に予防効果があるということが認められているわけです。ですから、一日も早くワクチンが承認されることが望まれるわけですけれども、ワクチンも大変重要なんですが、実は感染後接種をしても予防効果というものはないわけですから、やはり定期検診、これはワクチンを使ったとしてもしていかなくてはならない、これは重要なことだと思うんですね。
 つまり、子宮頸がんによる死亡者というものをゼロに近づけるためには、ワクチンによる予防と検診によって早期発見、早期治療、これをしっかりやっていかなくてはならない。車の両輪として機能させなくちゃいけないわけです。
 HPVに感染する前の年代である中学一年生ごろにワクチンを接種して、多くの方が子宮がんの検診を定期的に受診すれば、将来的にはほぼすべての子宮頸がんが予防可能になる、こういう意見もあるわけです。
 やはり予防医学というのは非常に重要でありまして、うつってから、あるいは子宮頸がんになってから治療するというのは、ご本人の精神的な負担でありますとか、医療費の問題ですとか、非常に大きな負担がすべてにかかってくるわけですから、予防医療、予防治療ができるというものは積極的に取り上げていかなくてはならないと思うんですが、近い将来にワクチンが承認された暁には、より有効な子宮がん対策とするためにも、ぜひ検診の受診率の向上と制度管理に取り組み、積極的に進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、ウイルス肝炎対策について伺います。
 私は、ウイルス肝炎対策については、制度の創設前からいろいろ意見を申し上げてきましたが、中でも、肝炎診療に当たる医療機関のネットワークの構築が重要であって、特にかかりつけ医と専門医の医療機関が連携して診療を行うことにより、確実な治療が可能となるということをたびたび申し上げているわけですが、昨年の第四回定例会で、私は、がん拠点病院の仕組みに倣って、拠点病院とそれをアシストする専門医療機関を複数指定していくようないわゆる重層的な診療体制を構築することを提案したわけですが、これに対して、都は、中核的な専門医療機関の連絡会議を設置すると答弁されましたけれども、この専門医療機関を中心とした重層的なネットワークは、できるだけ早く構築すべきと考えますが、ご意見を伺いたいと思います。

○住友保健政策部長 都では、三月一日現在、二百八十四カ所の肝臓専門医療機関を指定しておりますが、平成二十一年度にはこのすべての専門医療機関が参加をいたします肝臓専門医療機関連絡会を設置する予定でございます。
 田代議員がお話しになりました中核的な専門医療機関の連絡会議につきましては、先ほど申し上げた連絡会の幹事会として設置をすることとしておりまして、日本肝臓学会の認定施設であることなどの要件を満たします十四カ所の専門医療機関を幹事として選定する予定でおります。
 なお、連絡会幹事会の設置に向けまして、本年一月に幹事として選定する予定の医療機関による準備会を開催したところであり、今後専門医療機関のネットワークの構築を着実に図ってまいります。

○田代委員 滞りなく進めていただきたいということを要望申し上げておきます。
 さて、国の方では、肝疾患の診療体制に対してガイドラインを示しておりまして、具体的には、各都道府県に原則一カ所の肝疾患の診療連携拠点病院を設置して、その医療機関を中心とした診療体制を構築しようとしているわけですが、しかし、東京都の人口規模や医療機関の数を考えると、拠点病院と名のつく医療機関が一カ所だけでいいというのは到底無理だと思うんですね。
 先ほどの答弁によりますと、中核的な医療機関として十四カ所を選定する、こういう予定だということなんですが、拠点病院の選定には国との協議が必要と伺っております。
 私は、東京都が来年度選定する予定の十四カ所の医療機関すべて、国がいうところの肝疾患診療連携拠点病院として認めるよう国に働きかけていくべきと考えますけれども、お考えを伺いたいと思います。

○住友保健政策部長 国では、肝疾患診療連携拠点病院の機能としまして、インターフェロン治療を初めとした肝疾患の集学的治療が適切に実施できることに加え、医療情報の提供や医療従事者を対象とした研修会を開催することなどを挙げております。
 来年度、都が幹事として選定する予定の十四カ所の医療機関につきましては、これらの要件を満たせるものと考えておりますが、国では、拠点病院は原則として都道府県に一カ所という考えを示しております。
 今後、都の幹事医療機関が拠点病院として認められるよう、国との調整を進めてまいります。

○田代委員 東京都は、全国をリードしてウイルス肝炎対策を進めているわけですから、これからも積極的にぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、災害用のトイレの確保について伺いたいと思うんですけれども、三十年以内に発生する確率が七〇%、首都の直下型の地震ですね。これは昨年の十月ですけれども、国の防災会議で避難者に係る区市町村の現状調査や帰宅困難者に係る課題などを取りまとめた報告書を公表しましたけれども、その後の報道で、二十三区では避難所に六十万人分が不足している。あるいはトイレ難民が八十二万人もいると大きく取り上げられたわけです。
 この中で、トイレの確保については、避難者あるいは帰宅困難者に共通する大きな問題なわけですが、私は、阪神・淡路大震災以後すべての大規模の地震発生直後に現地で医療ボランティアを行ってきたんですけれども、常に問題になっているのがトイレと水分摂取の問題でありました。
 現地でも、トイレを我慢するために水分の摂取を控えるという傾向が見られて、また、二〇〇四年の新潟県の中越地震では、十月二十八日発生ということもあって、夜間の気温は、東京なら真冬並みに非常に低い。そしてトイレや手洗いは野外にあるということで、トイレを我慢する、こういうことがあったわけです。
 しかし、これはエコノミークラス症候群、いわゆる肺塞栓を起こす誘因となって命にかかわる問題でありますから、これまでの現地での自分自身の活動を振り返ってみると、総じて飲み物は非常に豊富にあったんですが、トイレは圧倒的に足りなかったという感じがします。
 こういう点から見ても、都内の各区市町村の避難所で使用する災害用のトイレの備蓄については、大きな課題があると考えます。
 また、〇七年の中越沖地震のときには、大変においがひどくて、そのにおいでだれも行かないという状態があったわけですが、やはりマンホールトイレは量も制限されないということで、貯留型よりも大変すぐれていると思うんですが、実際に備蓄されている災害用のトイレの数、またマンホールに直接設置するタイプのマンホール用トイレは何基保有しているのか、把握している範囲で教えていただきたいと思います。

○松井総務部長 平成十八年四月一日現在で、区市町村が備蓄する災害用トイレのうち、ポータブルタイプの簡易トイレや組み立てトイレなどは五万基以上備蓄しております。このうち、マンホール用のトイレにつきましては約二千百基備蓄しております。
 また、このほかに既設トイレの便座等に袋を設置し、し尿をパックするタイプの携帯用トイレ、これを約二百二十万枚備蓄しているところでございます。

○田代委員 マンホールトイレを知らない都民もたくさんいるわけですから、せっかくの資源ですから、広く都民にやはり知っていただくように理解を求めていく努力というのは東京都に必要だと思いますので、取り組んでください。
 次に、介護保険。本年四月からの要介護認定の見直しにおけるコンピューター判定の変更点、これが何かありましたら教えていただきたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 要介護認定における一次判定は、認定調査員の調査結果と指示意見書に基づきまして、コンピューターを用いて介護にかかわる時間を推計しております。
 今回のコンピューター判定の変更点の具体的な内容ですけれども、介護技術の進歩などを踏まえまして、最新のデータをもとに、一次判定における要介護認定と基準時間の推計に用いるコンピューターソフトを見直した点。二点目に、介護審査会の審査は大変複雑である等の指摘を受けていることから、要支援二と要介護一の振り分けをコンピューターによる一次判定の段階から行えるよう、システムの見直しを行ったところでございます。

○田代委員 世田谷区でモデルケースとして四月からのをやってみたんですけれども、一次のみを重視するということになると、判定がほとんどすべてが下がってしまうので、これをしっかり東京都は見ておいていただきたいと思います。
 それから、ケアマネジャーの件なんですけれども、やはり今、ケアマネジャーの資格を持っているんですが、法人を持っていないためにケアプランをつくれないという医師がかなりたくさんいるんですけれども、逆にケアマネジャーの方が、法人、いわゆる会社に勤めているために、またはケアマネジャーの独立自尊を図るほどの値段が出ていないために、どちらかというと利益誘導になっているんじゃないかという形が見えないわけではないので、やはりこういうコンピューターを使って新しくやっていくこともとても大切なんですが、やはりそういうものの制度、中身をしっかり見ておいていただきたい。
 例えば、ケアマネジャーの上に、彼らのケアプランを医学的に適切なものにする、判断するための看護師資格以上の資格を有することを条件にしたようなケアプランナー、仮称ですけれど、これを都独自に設定して、都から派遣される各社の業務内容を抜き打ちで判定したり、都民からの相談を受けるセンター、こういうものを置いていくと、きちっとした判定と同時に実際に動いていくもので、取り組みを将来に向けてお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、育児休業を理由に解雇が増加しているということを厚生省が指導強化しているわけですが、東京都も、育児・介護休業法では、事業主が育児休暇などを理由に、解雇や雇いどめ、賃金引き下げという取り扱いをすることを禁止しているわけですから、厚生省も取り組むといっておりますけれど、東京都の方もあわせて強く取り組むことを要望して、質疑を終わります。

○斉藤委員 それでは、大きく全部で四つ、小平福祉園、精神障害者の退院促進、介護報酬、最後に医療の話を伺いたいと思います。
 最初に、私の地元の小平の小平福祉園、今回民間の移譲ということで議案の方出ているわけですが、ちょうど私が都議になったときに、厚生委員会で、その年にたしか指定管理者になったということで、ちょっと見学に行きまして、そのころから大変おつき合いがあるんですけれども、去年もこの小平福祉園の夏祭りにはご招待いただいてお邪魔をさせていただきました。
 視覚障害と知的の方が一緒になっている、重複した方の施設ということで、大変珍しい施設なんですけれども、重複という点でいえば、大変難しいという点もあります。ただ、入っていらっしゃる方は、未成年の方はほとんどいらっしゃらない。大体成人の方で、結構年齢が高い方が多いものですから、こういったいろんな仕組みの部分で変わるということについては、全く過去のままの方がいいというふうなことはいい切れないわけですが、そうはいっても、引き継ぎの部分というのは神経を使わなきゃいけませんし、特になれ親しんだ方もいらっしゃるでしょうから、そういう点では配慮が必要だと思います。
 それで、今回移譲に向けた引き継ぎ、どういうふうに具体的にやっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 小平福祉園の民間移譲に係る引き継ぎでございますけれども、移譲する一年前である平成二十年四月より引き継ぎが開始されましたけれども、移譲先法人から、現在の運営法人でございます東京都社会福祉事業団に、知的障害者支援の経験のあるベテラン職員を出向させまして、またさらに、十月からは段階的に委託先法人の職員数をふやしまして、利用者支援の引き継ぎを円滑に行っているところでございます。
 こうしたことによりまして、移譲先法人の職員が知的障害と視覚障害、この重複障害がある利用者個々の生活状況を把握しまして、利用者一人一人の個別支援計画等活用しまして、引き継ぎを受けることによりまして、利用者が引き続き安心して施設を利用できるよう、利用者支援ノウハウを継承しているところでございます。

○斉藤委員 実は、この小平福祉園は、小平の中でもそんなに昔からオープンな施設じゃなかったんですね。さっきいったみたいに、知的もそうですし、視覚障害もそうですし、なかなか外に行くのには大変な障害の程度ということもあって、地域から見ると中がよくわからないという感じが、イメージとしてずっとあったところなんですね。
 実は、ここ五、六年前ぐらいから大変地域に開くようになってきて、特に驚いたのは、退院をして、支援をしながらアパートのひとり暮らしを実際にやっていこうという、障害も重くなかったんですが、そういったことを希望される方がいらっしゃって、視覚障害でなおかつ知的障害なのにアパートにひとり暮らしという、普通に考えたら非常に難しい取り組みをしたんですね。
 この際に、もちろん本人の希望もあったり、ご家族が理解をしていただいたということもあるんですけれども、職員の方は、それを引き受けてくれる大家さん、アパートを探すので、かなり大家さんを探して、お願いに回って、私、この前見に行ったときには、もう実際にそういった活動をされていたということで、私から見ても、こういった両方の重複で、しかも視覚障害がある中で、独居というのは非常に難しいのではないかと。やろうと思っても、幾ら都がやれといっても、なかなか現場ができるような話ではないと思うんですね。
 そういった取り組みをして、さっきいいましたように、かなり長いこと地域では閉鎖的な施設に見られていたのが、本当にここ何年かで一生懸命地域活動を取り組んでいて、さっきいったみたいな外部の人を入れるようなイベント以外にそういう取り組みをしている。
 その後に、アパートを丸ごと借りてグループホームというプランも、本当にかなりリアルなところまでいったんですが、具体的な物件があったにもかかわらず、ちょっと建築上の問題で、これは施設側のことばかりじゃないですけれども、建築物としての問題もあって、残念ながら、それはちょっと途中で中断をせざるを得なかったという経緯があるんですが、そういう大変積極的な取り組みをしているんですね。
 現実問題として、東京都がやればいいということではなくて、むしろ東京都がやっていても、閉鎖的では地域にとってはあんまり意味がないし、といって、そのときの職員が非常にいい人で、東京都がやっていても、民間がやっていても、取り組みという点でいえば、非常にセンスのいい職員がいれば、こういったところでも地域の取り組みができるんじゃないかということで、非常におもしろい、そしてすばらしい取り組みをしていたということで、大変評価をしております。
 ぜひ伺いたいのは、今後--大家さんを探したりする関係の中で、ご近所との個別のコミュニケーションというのができるようになって、地域の信頼がかなりふえたと思います。そういったことを経ての今回のことですので、ある程度メンバーがかわりますと、周りのご近所の方も、せっかく何となく顔を覚えたのにということもあったりしますので、ぜひ地域の取り組みを継続して上手に引き継いでやっていただきたいというふうに思うんですが、いわゆる短期入所、日中一時支援事業など実施してきた中で、これからの事業、地域支援として有効だと思うわけなんですが、移譲は、こういった活動が引き続き行われるのか、確認をしたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 地域支援ということでございますけれども、民間移譲に当たりましては、東京都と移譲先法人とで、小平福祉園の運営に係る施設使用等基本協定というのを締結いたします。
 その基本協定におきましては、入所定員四十二名の知的障害者更生施設として運営を行うこと、またあわせまして、短期入所事業、現在三人の定員でやってございます。それから日中一時支援事業、これは十人の定員でやっておりますけれども、こういうもの、移譲時に実施している事業を行うというのが移譲の条件ということになっております。

○斉藤委員 今のスタッフがかなりいろんな苦労をしている中で、非常にいい取り組みをしてきたので、ぜひこれは引き継いでいただきたいと思います。
 建物も結構広いんですけれども、大分古くなってまいりました。職員も中に泊まれるようにというか、生活できるように職員寮もこのころのものがあるんですね。以前、松井総務部長が課長だったときに、私、これを活用してほしい、大分あいているので活用してほしいとお願いしましたので、ぜひそれは継続してお願いしたいんですが、ただ、どうしても老朽化しまして、幾らあいていても、どこかで直さなきゃいけないし、法人に負担をお願いするにしても、今のこういった福祉の制度の中では、金額的な部分で大変だと思います。このあたりについて、建物をどういうふうに引き継がれて維持をしていくのか、伺いたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 小平福祉園を民間移譲した後でございますが、建物につきましては、東京都が移譲先法人に無償で貸し付けることになります。このため、建物というのは引き続き東京都の財産でございまして、その維持管理につきましては、建物の躯体にかかわる工事、修繕につきましては東京都が行いまして、比較的小規模な修繕については移譲先法人が行うということになります。
 なお、移譲先法人が小平福祉園を建てかえる場合につきましては、東京都がその改築に係る経費の一部を補助するということとしております。

○斉藤委員 それでは、次の質問に移るんですけれども、東京都の方では、精神障害者に関して、受け入れ条件が整えば、退院可能な、いわゆる社会的入院の状態にある精神障害者の地域移行を目指す精神障害者の退院促進支援事業に取り組むなど、入院医療の中心から地域生活中心へという基本的な考え方に基づいて、精神保健医療福祉の施策が進められていると聞いております。
 世界的にいえば、日本はこの部分についてはおくれている感じがありますので、頑張っていただきたいところであると思います。
 精神障害者が地域において自立した生活を送っていくためには、必要な福祉サービスを必要なときに受けることに加え、適切な医療サービスを継続して受けることが非常に大事だと思います。退院して地域で生活を始めたものの、医療が中断して症状が悪化して再入院というケースは実際にあると思います。
 実際に、地域の方で、自立支援法を使ってサービスを受けていたり、訪問を受けていたりする中で、かかりつけのお医者さんは、比較的いろんなことを問い合わせると、直で話をすると、割と協力的にいろんなことを教えていただけるんですが、一方で、今いったみたいに、症状が悪化して再入院というよりは、むしろ症状が悪化したときに、ひどいことにならないうちに再入院が上手にできればと思うんですが、この部分についても、医療側との連携があってこそだと思っています。
 そこで、伺うんですけれど、在宅の精神障害者に対する必要かつ基本的な対応として考えられる医療サービスとしてはどのようなものがあるか、基本的なことを押さえたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 在宅の精神障害者の方を対象とした医療といたしましては、病院や診療所に通院して医師の診療を受け、必要に応じまして服薬を続けるということが基本でございまして、このほか社会の中で生活する力をつけるための精神科デイケア、また看護師等が家庭を訪れて健康管理や療育上の指導を行う精神科の訪問看護ということなどが行われております。

○斉藤委員 症状症状によってメニューの使い方が少し違うんですが、大体基本的な部分でデイケア、訪問、そしてまたさらに、通院、服薬管理あたりがあると思うんですが、やっぱり地域で安定した生活を送るには、医療のサービスと福祉のサービスが上手に車の両輪で動いていかなければならないところがあると思うんですね。
 しかしながら、例えばお医者さんの方は、自分たちの方でカルテをつくったりする中で、いろいろ必要なことを聞くわけですが、一方で、自立支援法に基づくようなホームヘルパーなんかの場合は、サービス量が決定する市町村から個人情報の制約があって、本当に必要な情報が来ない、出してもらえないということがあったり、連携が当然のことながらうまくいかないということが出てくるわけです。
 訪問の場合、対象が高齢者であっても、障害者の場合であっても、単純に介護だけしていればいいというわけではありません。特に精神障害の場合は、療養しているみたいな感じがありますので、服薬管理をしながら、生活もして、なおかつ場合によっては、もともと入院時はひどい状態だったんだけれども、だんだんよくなってきているから、まだよくなっている途上にあるという方もいらっしゃいます。そうすると、ただ生活支援をしていればいいということじゃなくて、ちゃんと服薬をしているかとか、何かちょっといつもと違った様子がないかとか、そういったことも本来ならば、医療的な資格は持ってないけれども、気がつければ一番いいわけですね。
 しかしながら、そういったことが、なかなかちゃんとした情報がもともとなかったり、かかりつけのお医者さんとの面識がなかったりして、せっかくそういうふうに週に一回ぐらい行って見ているのに、観察をしているのに、ちゃんとした対応につなげられないということがたくさんあるんですね。
 ですから、そのあたりをきちんとやっていかなきゃならない。そうすると、精神障害者が福祉サービスを利用する中で、医療との緊密な連携がとれることで、安全で安定的な福祉サービスが提供できると思うんですが、効果的な療養ができるような仕組みづくり、これを推進されるべきというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 精神障害者の方が、地域で安心して生活していくためには、お話のとおり、福祉と医療が連携しまして、それぞれの利用者の状況に応じた適切なサービスを提供する仕組みが重要でございます。
 東京都は、これまでも地域で精神障害者を支えている区市町村や関係機関、事業者などからの相談に対しまして、保健医療福祉の観点から、都立の三カ所の精神保健福祉センターや保健所などによりまして、専門的な技術援助を行ってきているところでございます。
 さらに、精神障害者の相談等行っております地域活動支援センターの機能、これを強化するために、来年度からセンターに専門支援員を増配置いたしまして、この支援によって利用者の状況に応じて地域での見守り支援を行うとともに、医療中断防止の取り組みを行うなど、迅速に医療と福祉の連携を強化いたします。
 今後とも、地域で生活する精神障害者が、必要なときに必要なサービスが受けられるような体制づくりに努めてまいります。

○斉藤委員 この前、予算委員会で、ちょうど学校の先生のうつ病の話が出ましたけれども、大変数が多いということです。実際にその後の話というのは、なかなか追っていくのが難しいんですけれども、二十一年度から医療中断防止の取り組みということで、私、わかって聞いたのじゃなくて、たまたま今回聞く話になったら、こういったものを今までの流れの中で新たに加えるということを伺いまして、ぜひやっていただきたいと思います。
 同時に、精神障害者を地域で支えていく上で、住民に身近な自治体である市区町村や関係機関の人材の育成、これは実際にやっていただけるヘルパーも少ないということは、最近の業界紙にも書いてありましたけれども、ヘルパーのみならず、それに対応できるような実際の職員というのもなかなか少ないものですから、医療機関のケースワーカーや専門でやられている福祉の事業所なんかは人材育成それなりにできているんですが、残念ながら市区町村の方の専門的な人材育成、これは結構難しいというふうに感じております。
 精神保健福祉士を非常勤の中で雇用している場合があっても、どうしてもサービスの支給量を決める立場にあるということで、大所高所はわかるんですけれど、上から物をいったような判断も時々見受けられる話も聞いたりします。
 同時に、自立支援法というのは、確かに自立ですから、本人が希望をいってくれるというのはいいことなんですが、利用者の希望をいわゆる申請主義みたいに考えてしまうと、その希望に沿わなきゃいけないみたいになっちゃうんですね。でも、実際には、自分の判断も厳しいから障害者だったりする方もいらっしゃるわけです。そういう点でいえば、客観的にそれを見て、この人は自分でいっている希望はそのままかなえていいものか、それともその部分をよく話を聞いて、別の方法をアドバイスして、ご本人の思い込みみたいなものを少し和らげるというようなことも、場合によっては必要だというふうに思っています。
 過去、長年にわたって保健所を中心に精神保健に携わってきた東京都としては、客観的判断が求められる精神障害者の症状をかんがみた、行政のあるべき対応を踏まえた人材の育成、こういったものをお願いしたいところなんですが、ぜひとも考えをお聞かせいただきたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 人材の養成と確保についてでございますけれども、都はこれまでも、先ほども申し上げました都立の三つの精神保健福祉センターによりまして、区市町村や地域活動支援センターの職員、民間介護事業者などに対しまして、疾病に対する知識や対応などの基礎研修、またケアマネジメント手法などの専門研修を行っております。
 今年度は、さらに相談支援を担う事業者を対象に、精神科病院での実習などを通じまして、支援のスキルアップを図る研修も開始しております。
 また、訪問看護ステーションの職員向けの精神障害者の理解と対応のためのガイドブックを作成し配布するなど、地域での対応力を高めるための取り組みも行っております。
 今後とも、こうした研修等の充実に努めまして、地域での医療サービスを担う人材の養成確保に努めてまいります。

○斉藤委員 ぜひその辺を頑張っていただければと思います。またどういう効果が出たか、ぜひとも伺えればと思います。
 先ほど、かち先生や田代先生から話の出た介護保険の制度改正に関してなんですけれども、介護報酬の大都市加算的なものを東京都の方はぜひやって、多少なりとも報酬の値上げをしてほしいということを国に何度か、かなり早い時期から重ねて要望してきたのは、私もよくわかります。
 今回、初のプラス改定と報道はされているんですけれども、実際に東京都が要望していたものと比較して、今回の四月の改正、どういうふうに評価をしているか、ぜひ伺いたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 都は、国に対し、平成十九年から繰り返し介護報酬における人件費の割合や地域差などに着目した介護報酬のあり方について提案要求を行ってまいりました。
 本年四月の介護報酬の改定では、人件費が高い都市部の実態を踏まえた報酬単価の見直しとともに、介護従事者の専門性等に応じた加算制度を創設したことについては、一定の評価をしております。
 しかしながら、大都市の物件費の地域差等については考慮されず、また都内の多くの地域で認知症高齢者グループホームの報酬単価が引き下げられるなど、引き続き課題もあると認識しております。

○斉藤委員 今お話を伺いますと、よかったなという部分よりも、何か悪かったな、ちょっと期待外れだったなという部分の説明の方が長かったところから見ると、実際に東京都が要望していたレベルに国の方の反応が達しなかったというふうな評価でいいのかなと思います。
 実際、私どもも見ていて、国の方で最初出たときに、値上げが三%といっていて、予算総額が三%上がることを普通値上げ三%とは呼ばないんですね。今度、訪問介護でいうと一・七%で、施設で一・三でしたか、の値上げが正しい報道の仕方であって、国の方も幾ら金がないからといって、そこまでいわなくてもいいだろうと私は思わず思ってしまったわけなんですけれども、こういった中で、今まさに東京都自身が感じているように、なかなか予定どおり、そしてまた期待どおりのものが出なかったというのが実際だと思います。
 先ほど松下理事からもいろんな職業訓練の話がありましたけれども、福祉保健局で、ヘルパー二級講習などの職業訓練事業を行って、当然介護の業界の人材確保、そしてまた逆に今度は雇用促進というものをねらって予算を組んできたにもかかわらず、残念ながら今回の改正も余り芳しくなく、ひょっとしたら違う業界から来て、就労後、介護の従事者になったけれども、報酬が低くて、労務内容と報酬内容が合わないというふうなことにならないか、定着がしづらいことにならないか、大変懸念をしております。
 これは東京都とか福祉保健局が悪いというんではなくて、むしろ国の方の報酬の問題が多分に大きいのではないかというふうに私は思っているんですけれども、実際にこういった国の制度と都の事業の組み合わせの中で、人材確保と雇用の促進という両方をできればなというふうに思ったところで、ちょっと改定率が弱いということになると、東京都としても大変残念ですし、また、ややもすると、そこに新しい職と収入を求めて転職をした労働者にとっても、若干はしごを外されたような感じなってしまう、これは大変残念なことであります。
 今後も、福祉保健局としては、重ねて東京都から、都市に見合った報酬改定、これを国に要望していくべきだと私は思っていますし、していかなければならないと考えるわけですが、これについてはいかがでございましょうか。

○狩野高齢社会対策部長 介護人材の安定的な確保、定着のためには、介護事業者みずからが雇用管理の改善に努め、従事者一人一人がその能力を最大限発揮できる働きやすい職場づくりに取り組むことが重要でございます。
 同時に、適切な給与水準の確保も課題であるため、都としても引き続き大都市の実態を反映した介護報酬となるよう、国に対して適切に提案要求を行ってまいります。

○斉藤委員 ぜひ重ねて要望を継続していただきたいと思います。
 加えて、先ほどちょっと話題にもなりましたけれども、今回制度見直しで、介護の認定に関しても、要介護度一から要支援になったり、今回せっかく報酬改定が一部でもあったにせよ、事業者の内容によっては、一定の要件を満たす事業者に限られる報酬の値上がりなものですから、本当に、今回の改定が事実上無関係であって、余り値上がりにつながらない、場合によっては、先ほどの認定の関係で下がってしまうんじゃないかというふうな心配をしている事業者もあるようです。このあたりの見直しに関しては、東京都の方はどのように考えているか、伺います。

○狩野高齢社会対策部長 国は、平成二十一年度から、要介護認定に当たり、調査員が自宅などを訪問して、心身の状況などを調査する項目の見直しなどを行うことといたしました。
 国の要介護認定モデル事業の実施結果によれば、新しい認定基準に基づいて約三万例の判定を行ったところ、現行の判定結果と比較して、要介護度の分布に大きな差異は見られなかったと報告されております。
 都は、制度の見直しを踏まえ、区市町村における要介護認定が適切に行われるよう、認定調査員、介護認定審査会委員及び主治医を対象とした研修を実施し、区市町村を支援してまいります。

○斉藤委員 制度改定の影響に関しては、ぜひともよく見て、また報酬の値上げだけではなく、別な面の要望もそのときにはぜひ出していただきたいと思っております。
 最後に、二つほど医療の関係で。医療関係については、予算委員会の中でも私も質問させていただきましたので、若干質問をし残した部分を幾つか伺いたいと思います。
 市町村の方は、非常に厳しい財政状況の中で、消防費も、小平でいうと、消防費二十二億円ぐらいなんですが、出して、救急搬送を賄って、さらに公立病院の運営費を出して、国民健康保険会計に一般財源から赤字補てんのための拠出をしている。何年か前はこれが十何億というレベルでございまして、医療に関しては、直接お金を払って、このほかにも準夜間診療とか乳幼児の医療費の無料化の方の財源とか、結構医療関係はお金を市町村は出しているんですね。
 予算委員会の中でも若干いいましたように、今二十の市町村が自分たちで病院を何らか持っている。組合議会で持ったり、市立で持ったりというふうなことをして随分お金を出している。
 人口一人当たりの一般会計予算に比べれば、区に比べれば当然多摩地域の方は少ない市が多いんですけれども、その中でさらにこういった出費をしております。これ以上出費を考えるというのはなかなか難しいんですが、それでも地域の医療需要にこたえ切れない状況になったときに、市町村に対して東京都は一体何ができるのか。広い範囲でいうとわかりづらくなるので、北多摩の地域をイメージして所見を伺います。

○吉井医療政策部長 お話の北多摩北部地域につきましては、地域の市が協力をいたしまして、小児の初期救急診療事業の診療施設の増でございますとか、実施日の拡大、こうしたことに合わせまして、都は支援を行っております。
 また、小児の二次救急医療、これを担います多摩北部医療センターでございますけれども、小児科病床の増床でありますとか、医師の体制強化、こうしたことを予定するなど、小児医療体制の充実に努めているところでございます。

○斉藤委員 最後にもう一点伺います。
 病院経営本部の方が出している改革実行プログラムなんかを見ますと、そこの一二ページに、プライマリーケアから一般入院は市区町村の役割、東京都は市区町村の支援のほか、地域中核医療機関の整備促進、二次、三次救急や周産期医療体制の整備、リハビリテーションの専門病床対応が役割といっています。
 これは病院経営本部が書いていて、実際に市区町村支援となると逆に福祉保健局の仕事で、病院経営本部が書いている本の中で、福祉保健局の仕事を余りいい切ってしまうと大丈夫かなという心配もあるんですが、こういった部分、役割が決まっている中で、本当に厳しくなった市区町村の方の医療があるとしたら、それは当然福祉保健局にぜひ協力をお願いしたいというのが正直なところでございます。
 ただ、多摩では、東京都の病院じゃなくて、多くの市町村が二次救急病院、医療機関を持っているということで、二次救急をやっているということで、今こういった病院経営本部がプログラムの中でいっている二次、三次救急は東京都といっても、実際には二次救急を市町村が既にやっているという感じが多摩地域はあるわけです。そうすると、両方でかぶっているわけなんですね。
 実際、先日、多摩南部地域病院に行っているときに、事務方といろいろ雑談をしていましたら、周辺の大学病院と市立病院が結構あるので、救急の負荷はそんなにひどくないみたいな印象の話をされていました。もちろん頑張ってないとはいってないですよ。ただ、ほかに病院があるので、あそこは小児の病棟なんかは今休止していますから、そういった中での話だとは思うんですが、救急の負荷がひどいということはないという、そんな趣旨の説明がありました。
 既に、市町村、かなり多くの予算を医療につぎ込んでいます。ですから、市町村自身が主役として二次救急医療機関を持っているということはそれとして、そのところが運営の危機になった場合に、東京都がしっかりと支えるというふうになるのが一番理想だと私は思っているんですが、こういった理解でよろしいのか、ぜひとも所見を伺いたいと思います。

○吉井医療政策部長 今のお話は、二次救急医療機関に代表されることだろうと思いますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、都は、二次救急医療につきまして、休日・全夜間診療事業ということで実施をしておりまして、体制を確保しております。今後ともその体制の整備に努めてまいる所存でございます。
 なお、市町村が運営をしております医療機関、公立病院でございますけれども、その中で救急診療というか、救急医療に取り組んでいる場合には、公立病院運営費補助の中で特殊診療部門の加算という形での支援を既に行っているところでございます。

○橘委員 それでは、私の方からは、在宅医療のあり方、それと密接に関係するかかりつけ医の推進、療養病床の確保、そして報告事項となっております健康長寿医療センターの中期計画案について質問いたします。
 初めに、在宅医療のあり方についてでありますけれども、住宅事情、核家族化、ライフスタイル等、東京の地域的特性の中での在宅医療のあり方は古くて新しい課題でもあります。
 平成十八年に都が実施しました保健医療に関する世論調査によりますと、約半数の都民が在宅療養を希望しておりますけれども、そのうち約八割が、家族に負担をかける、あるいは急に病状が変わったときの対応が不安、そういった理由でちゅうちょせざるを得ないという認識を持っているという結果が出ております。
 では、どうすればいいかという問題になりますけれども、現状では、決め手となる結論は出せない難しい課題であるわけですけれども、限られた医療資源の中で、より効果的な医療を都民に提供していくためには、在宅医療を地域における医療、介護等の連携の一環として、しっかり位置づけていくことが必要であろうと考えます。
 在宅医療については、当委員会でもさまざまな角度から議論が展開されてきましたし、それを踏まえて、都も必要な施策を講じてまいりました。その一つとして、今年度と来年度の二年間で、在宅医療ネットワーク推進事業を、墨田区、豊島区、国立市の都内三カ所でモデル実施しております。
 そこで、まずこのモデル事業のねらいを改めてお聞きするとともに、現在このモデル事業がどの段階まで進んでいるのか、その状況について伺います。

○大久保参事 在宅医療ネットワーク推進事業は、都民が身近な地域で安心して在宅療養生活を送ることができるよう、地域の医師や看護師、ケアマネジャーなど、在宅医療を支える関係者によるネットワークの構築を目指すものでございます。
 各地域では、今年度はまず関係者から成る協議会を設置いたしまして、医療や介護専門職だけでなく、ケアを受ける患者、家族の参画も得て検討を行っております。
 一例を挙げますと、国立の取り組みでは、在宅療養生活におきまして、家族と主治医とが納得するまで話し合うことなど、関係者間での情報や認識の共有化の重要性について議論が重ねられております。

○橘委員 今、三つの区市で行われているモデル事業ですけれども、関係者、関係機関との調整等を踏まえて、来年度は本格的に実行に移されていくわけでありまして、その成果の中から東京における在宅医療の方向性を見出すことができれば、大きな希望になるものと期待するものであります。
 さて、今の答弁で説明がありました国立市のネットワーク推進事業で行われている議論の現状をお聞きしますと、在宅医療では、特に、納得するまで議論するという医師との信頼関係が重要であるとの認識を深めました。日ごろから病状や基本的な健康データを把握しているかかりつけ医を持っていると、入院や退院の際、あるいは在宅療養する際も、円滑に引き継がれて安心して相談もできるようになるわけです。
 かかりつけ医を持っているかどうかについては、平成十九年に日本医師会が行った日本の医療に関する意識調査がありますけれども、それによりますと、かかりつけ医を持っている人は約五五%、これは全国平均でありますから、東京に限定すると、それよりもやや低いのではないかというふうに関係者はいっておりました。
 かかりつけ医を持つことの重要性については、昨年十一月にまとめられました救急医療対策協議会報告書でも指摘されまして、主体的に病状や病気のリスクを把握できるよう都民に広く働きかけるべき、そうした指摘を行っております。
 そこで、都民に対して、かかりつけ医がどのようなものであるのか、かかりつけ医を持つとどのようなメリットがあるのか、積極的に知らせていくべきと考えます。都は、これまでも意識啓発活動を行っておりますけれども、これに加えて健診や実際の診療の際、医師や看護師等から短い時間でも直接説明を聞くと説得力があると思います。
 こうしたことも踏まえまして、今後、意識啓発についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○大久保参事 かかりつけ医は、患者の病状をよく知り、疑問に答えるとともに、病状に応じて適切な医療機関を紹介するなど、いわば医療のパートナー、またはコーディネーターでございまして、まずはかかりつけ医と十分相談することがより効果の高い治療へとつながるというふうに考えております。
 このようなかかりつけ医の役割につきましては、医療情報に関する理解と適切な活用のための都民向けテキスト、「知って安心 暮らしの中の医療情報ナビ」におきましても、わかりやすく解説しておりますが、来年度には、このナビの手にとりやすいリーフレット形式のものも作成いたしまして、一層の啓発に取り組んでまいります。
 委員からご指摘いただきましたかかりつけ医の普及に関するご意見に関しましては、東京都医師会等の関係機関と協力しまして、検討してまいりたいと存じます。

○橘委員 先ほど私は、健康診断や診療の際にも啓発を進めてはどうかと提案いたしました。確かにリーフレット等も大事な啓発の一つの手段でもありますけれども、実際、患者さんの話を聞きますと、お医者さんであるとか看護師さんに直接一言でも二言でも大事ですよというふうにいわれると、非常に印象に残るようで、それが実際の行動に移るということも聞いておりますので、そういった工夫も大事かと思います。
 この取り組みと合わせまして、現在モデル実施をしております在宅医療ネットワーク推進事業においても、患者、家族、医師との関係をさらに一歩進めて、現在まだ在宅医療に縁のない多くの住民に対しても、かかりつけ医を持つよう意識づける取り組みを行ってはどうかと考えます。
 現在実施しているモデル事業で行えば、新たな課題が見つかるかもしれませんし、今後の在宅医療の普遍化に生かすことができる可能性もありますので、この点について見解を伺います。

○大久保参事 委員のご指摘のとおり、古くて新しい見解の一つでございますけれども、かかりつけ医を持つことは、在宅医療を支える基盤の一つであるというふうに考えております。
 現在実施しております在宅医療ネットワーク推進事業には、地域住民も参画しておりますことから、検討の過程を通じてかかりつけ医の意義をアピールしていくことも重要と認識しております。
 いただいたご意見のご趣旨を踏まえまして、今後、繰り返しになりますけれども、東京都医師会等の関係機関と検討してまいりたいと存じます。

○橘委員 次に、療養病床の確保について伺います。
 東京都は、昨年三月に策定しました東京都医療費適正化計画におきまして、平成十八年十月現在で二万一千三十三床の療養病床を平成二十四年度末までに二万八千七十七床まで増床するという目標を打ち出しました。
 まず、七千床以上ふやそうという大変大きな目標なわけですけれども、この療養病床の増床を行おうという背景について、確認の意味で伺いたいと思います。

○吉井医療政策部長 療養病床は、急性期を脱した後の医学的管理を必要とする患者の療養の場としての役割を果たしますとともに、在宅療養患者の症状急変時における一時入院先としての機能も担うものでございまして、今後急速な高齢化の進展が見込まれる中では、その確保がますます重要となるというふうに認識してございます。
 その一方、厚生労働省の患者調査によりますと、平成十七年でございますけれども、都外の療養病床に入院している都民、これは約五千二百人と推計されているところでございます。こうした東京の特性というんでしょうか、についても的確に対応して、都民が安心できる療養の場を確保するため、平成二十四年度末療養病床数として二万八千七十七床の目標値を設定したものでございます。

○橘委員 それでは、平成十八年の二万一千三十三床、この療養病床ですけれども、その後数がどのように推移をしているのか、これが一点。
 それからもう一点は、この目標達成に向けた都の取り組み、具体的にどのように取り組んでいるのか、この二点について伺います。

○吉井医療政策部長 都内の療養病床数でございますけれども、平成十九年四月には二万一千三百七十九床、二十年四月には二万一千百四十七床と若干増減がございます。
 施策でございますけれども、療養病床確保のためといたしまして、今年度から、東京都は、療養病床の新設、それから一般病床から療養病床への転換、これに対しまして、独自の整備費補助制度を設けまして実施をしているところでございます。
 これは引き続き来年度も、そうした増床に向けた支援として行ってまいりたいと考えております。
 また、そういう意味では、施設整備費補助に加えまして、国に対しまして療養病床の安定的な確保と診療報酬の評価の充実を図れるよう、提案要求を行っておりまして、引き続きこうした働きかけを行ってまいりたいと考えております。

○橘委員 今の答弁で数字が出ましたけれども、この二万一千三十三から二十年の四月には二万一千百四十七と、わずかしかまだふえてないという厳しい現状にあるわけですけれども、これはやはり背景には、答弁にも一部出てきましたけれども、国が診療報酬改定で、療養病床の入院基本料を連続して切り下げているということもあると思います。
 そういった背景から、療養病床の運営の見通しが、先行きが暗いという病院関係者の声も耳にしております。こういう状況では、容易に療養病床の増床は進まないのではないかと思います。しかも、現状の療養病床は相対的に医療の必要度が低いと分類されて、診療報酬点数の低い患者については、受け入れや長期入院を抑制する傾向にあるという声も出ているようであります。特に、老老介護などでは、ケアが困難な患者がこれでは行き場を失いかねません。
 したがって、国に対して引き続き療養病床の必要性を主張し、その評価である診療報酬の改善を強く働きかける。これと同時に、都としても療養病床が経営面の安定を図ることができるよう、安心できる仕組みづくりを早急に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○吉井医療政策部長 都は、来年度から、療養病床機能強化研修事業を開始いたしますが、療養病床を有する医療機関が都民の多様なニーズにこたえられるよう、例えば末期がん患者の疼痛管理でございますとか、急に発熱した認知症患者の一時受け入れ、こうしたような形が対応できるように研修を実施することとしてございます。その研修の中では、病院の医療や介護スタッフへの技術講習だけではなく、病院長など病院運営者に対しても、理解と取り組みを促していく予定でございます。
 こうして療養病床が持てる機能を十分に発揮いたしまして、地域の医療ニーズに幅広くこたえるとともに、経営の安定化にも資することができるような、そうした体制の整備を進めていきたいと考えております。

○橘委員 多様な患者のニーズにこたえられる療養病床の質的、量的確保を着実に進めていただきたいということを要望して、次の地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの中期計画案について質問いたします。
 この健康長寿医療センターと地域との連携という視点から伺いますけれども、この地域連携の推進という項目の中には、役割分担の明確化、情報の提供、連携の充実を図るという表記がございますけれども、具体的にはそれぞれどういう取り組みをしていくのか、どういう考えなのか、それについてまず伺います。

○飯塚参事 健康長寿医療センターは、急性期医療を提供する病院としての役割を担い、患者の早期回復を図り、QOLの維持が図れるよう積極的な医療の提供を図ってまいります。
 また、定期的な公開臨床病理検討会の実施、医師会との共同での勉強会や講演会、都民向けの公開講座開催などの取り組みにより、健康長寿医療センターが実施する医療、特色、実績などについて、地域の診療所、医療機関などへ積極的な情報提供を進めてまいります。
 さらに、高額医療機器を活用した画像診断や検査について、地域の医療機関からの依頼、紹介の積極的な受け入れ、患者の退院時における地域医療機関や高齢者介護施設などとの退院支援合同カンファレンス、地域連携クリニカルパスの作成の取り組みへの参加など、地域連携を一層充実していくこととしております。

○橘委員 同じく地域連携の推進という項目の中では、中期計画期間に紹介率を八〇%以上、逆紹介率五三%以上を目指していくというふうになっておりますけれども、現在の老人医療センターでは、逆紹介がなかなかうまくいかない、そういったケースも多々聞いております。
 そこで、この健康長寿医療センターにおいて、転院先の紹介であるとか確保、これを現状を踏まえた上でどういうふうに実施していくのか、また、紹介、逆紹介の実施は、利用者にとってどのようなメリットがあるのか、これについて見解を伺います。

○飯塚参事 地域の医療機関との連携を強め、役割分担を進めていくことで、患者一人一人の病気、病態に応じた医療を受けることが可能となり、さらにはセンターが持つ機能を効率的かつ最大限発揮することができることから、紹介、逆紹介は、高齢者にとってメリットが高いものと考えております。
 このことから、健康長寿医療センターは、引き続き原則紹介制による治療を行ってまいります。
 さらに、地域の医療機関との連携、退院先確保のため連携医療機関の拡充のために、地域連携部門の体制を充実してまいります。

○橘委員 地域連携部門の充実、これがやっぱり大事だと思います。これがうまく機能しますと、紹介、逆紹介がスムーズにいくように思いますので、これにまず力を入れていただきたいと思います。
 同じく地域連携の推進の項目の中に、特定の疾患について地域連携クリニカルパスのモデル的な実施を行うという項目が入っております。
 地域連携クリニカルパスですけれども、既に実施しているケースも幾つかあるわけで、これを実施しているがゆえに、ある程度の評価はできるかと思います。現在までに実施したケースについての評価、これについて見解を伺います。

○飯塚参事 老人医療センターがある板橋区を例にとりますと、板橋区医師会が事務局を務める板橋区脳卒中懇話会に老人医療センターも参画し、地域の医療機関とともに、脳卒中地域連携パスの作成及び活用を行ってきており、この懇話会を発展させる形で設置された区西北部脳卒中医療連携検討会に参加し、区西北部医療圏におけるパスの作成活用を進めているところでございます。
 このパスの導入により、センターから転院する場合、治療などに関する情報の共有化や円滑な治療ケアの継続が図られるとともに、患者、家族からは、療養生活の理解が深まり安心できたとの声を聞いているところでございます。

○橘委員 健康長寿医療センターでは、地域連携クリニカルパスを活用しまして、特定疾患のモデル的事業を行うとしておりますが、この具体的な取り組みはどうなるのか、これについて説明をお願いします。

○飯塚参事 健康長寿医療センターでは、地域連携クリニカルパスの活用のために、都や医師会、二次医療圏内の医療機関と関係機関との共同のもと、地域連携クリニカルパスの作成の取り組みに積極的に参加することとしております。
 健康長寿医療センターにおける特定の疾病に関しての地域連携クリニカルパスの取り組みについて、幾つかの例を挙げさせていただきますと、まず脳卒中地域連携クリニカルパスの取り組みにつきまして、これまで老人医療センターが参画してきました区西北部脳卒中医療連携検討会に引き続き参加し、区西北部におけるパスの作成、活用を進めてまいります。
 さらに、糖尿病について、今年度、板橋区医師会が立ち上げた板橋区糖尿病対策推進会議に参画し、糖尿病に関する標準的医療連携の方向性とパスの作成を進めてきており、健康長寿医療センターにおいてパスの活用を開始し、区西北部における検討会議体の早期設置と、さらなる検討に積極的に協力し、参加してまいります。

○橘委員 実際の板橋区で行っているクリニカルパスについては、私も若干お聞きしておりますけれども、非常にスムーズにいっていると聞いておりまして、これが成功すると、かなりほかの地域でも普遍化できるのかなというふうに感じております。
 最後の質問になりますけれども、健康長寿医療センターの設備、それから医師、看護師等の医療スタッフの充実について伺います。
 まず、設備についてでありますけれども、医療機器の開発が日進月歩という状況の中で、都立老人医療センターのときは、都立だったので、最新機器が続々と導入された。ところが、地方独法になってからはなかなか更新されない、そういった事態があってはならないと思います。
 同時に、人材の関係では、健康長寿医療センターでは、一部の診療科が医師や看護師が不足している、足りなくなったから、休診せざるを得ないとか、そういった事態もあってはならないと私は思います。
 そこで、この慢性的な医師不足、そういった中で、健康長寿医療センターで、医療スタッフの安定的また継続的な確保、このように持っていくためには、やはりセンター自体に魅力がなければ定着がしないのかなというふうに思います。
 同時に、医療機器についても、次々と新しい機械が入っていく、そして患者さんにとってもそれが安心につながる、そういった体制もきちっととっていかなきゃならないのかなと思います。
 この二点についてどのようにお考えなのか、お聞きします。

○飯塚参事 第一点の先端医療機器の確保についてのご質問でございますが、健康長寿医療センターが、急性期医療を提供していくために必要な医療機器を確保することは重要だと認識しております。
 現在、老人医療センターにおいても、日々進歩する医療技術に合わせ、必要な機器等の更新、購入を進めておりますが、法人後も引き続きセンターが担う機能、役割が実現できるよう、本中期計画期間において必要な予算を確保し、平成二十五年度の新設開設も見据えながら、新たな医療研究機能について十分な検討を行い、新設時における設備、機器の導入に反映することとしております。
 第二点の医療スタッフの確保策についてでございますが、健康長寿医療センターは、健康長寿を目指した高齢者医療の確立と普及、これからの高齢者医療をリードする専門人材の育成など、今後の高齢社会の中では欠くことのできない大きな役割を持つことなど、今後、看護師を目指す者にとって大きな魅力であると考えております。
 さらに、人事制度では、管理職コースや医師、看護師としての専門性をより高めていく専門職コースなど、個人の働き方や考え方、適性能力に応じたコース別人事制度の導入、個人のライフステージに応じた勤務制度、例えば夜勤のない勤務制度、短時間勤務制度など、さらには個人の能力、業績を反映し、頑張れば報われる給与制度など、働く者にとって魅力ある制度を構築してまいります。
 これら健康長寿医療センターの役割、人事、給与制度を周知することにより、医師、看護師等医療スタッフの確保は可能であると考えております。

○吉田委員 それでは、私は、大きくいって三点について質問をさせていただきます。
 第一点が、いわゆる派遣切り等離職者の増大に対する緊急対応の問題について。二つ目に、福祉のまちづくり条例の一部改正と同時に提案されている計画について。三つ目に、老人医療センター及び老人総合研究所の独立行政法人化問題、今回報告のあった中期計画素案について質問させていただきます。
 まず、派遣切り等離職者への緊急対応の問題から何点か質問させていただきます。
 昨年末から大企業による派遣切り、期間工切りなどによって、突如、職と住居を一遍に失い、しかも、雇用保険もないために、次の仕事を確保する前に生活困難に直面し、路上生活を余儀なくされるという事態が広範囲に広がりました。また、これからも広がる危険性をはらんでおります。
 こうした事態を救済するために、昨年年末、そして、ことし年始にかけて派遣村が開設をされ、私もこの日比谷公園や、あるいは厚生労働省、そして東京と往復して、国や都にも対応を要請してまいりました。
 国の対応が極めて不十分な中で、都として福祉保健局の職員の皆さんが、お正月の休みも返上して、しかも不眠不休で対応されたことについては、改めて敬意を表したいというふうに思います。
 私たちは、派遣切りの中止を企業や経済団体に求めるとともに、現実に派遣切りとなった人たちを救済するために努力をしてまいりました。
 例えば、都議員団として二回にわたって街頭労働相談を行い、その場には三十四名の方が相談に駆けつけました。また、各事務所でも相談活動を行っているところです。
 その結果、浮き彫りになった事態や、行政としての対応で求められている点について、去る二月二十三日、緊急対策として取りまとめ、十項目でしたけれども、東京都に提出をいたしました。
 きょうは、この申し入れをした項目の中で何点かに絞って、どのように検討され、あるいは対応しているのかということについて質問させていただきます。
 まず第一は、私たちは、土曜、日曜も含めて総合的な相談窓口の開設ということをお願いをいたしました。これは本会議等でも質問で取り上げられましたけれども、東京都としては第一歩として、三月九日から電話による総合案内ということを実施するということで既に開始をされ、マスコミなどでも注目をされていることです。これ自身極めて貴重な努力だというふうに思いますが、問題は、こうした総合案内が本当に必要とされている方々にどれだけ情報として届けられる努力がされているのかどうかということが大事だと思うんですが、この三月九日から始まった電話による総合案内の周知徹底については、どのように取り組まれているかをまずご答弁をお願いいたします。

○芦田生活支援担当部長 離職者サポート案内ダイヤルにつきましては、三月九日に開設をいたしました。本事業の広報につきましては、既に区市町村、東京都社会福祉協議会、区市町村社会福祉協議会、厚生労働省、産業労働局を通じて配布をいたしております。
 また、今後とも、就職関係のフリーペーパーへの広告掲載、インターネットへのバナー広告に加え、コンビニエンスストアの店舗内ラックへのチラシの設置、主要駅での事業案内用ポケットティッシュの配布など、多様な媒体を利用して、この離職者サポート案内ダイヤルの広報活動を行ってまいります。

○吉田委員 私たちも、二回街頭相談をやったときに、果たしてどれだけの方々が相談に来るだろうかという疑問がありましたけれども、結果的には三十四名の方が、短時間でしたけれども、相談に来たということは、やはり相談の窓口をいかに多くの方々が潜在的に求めているのかということを痛感いたしました。今何点か具体的な普及のための努力が紹介されましたけれども、大いに周知徹底の努力をしていただきたいということを改めて求めたいと思います。
 私たち自身が街頭で相談をするときに、必要な行政のサービスをどのように準備をして案内をするのかということに直面いたしました。しかし、そうしますと、例えば雇用や生活保護あるいはその他の制度それぞれごとにリーフレットはあるけれども、まとまった形ですべて網羅した案内の広報物というものがなかなか見当たらないという問題に直面いたしました。
 そうした意味から、緊急申し入れの中では、各種の制度がばらばらの案内文書ではなくて、一つの文書の中で、全体として制度やその制度を利用しようとしたら、どこに相談したらいいのかわかるような広報物というものが必要ではないかということで、要望の中で書き込ませていただきましたけれども、この点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

○芦田生活支援担当部長 各種制度が一覧でわかる手引などということのご質問でございますが、先ほどお答えしました離職者サポート案内ダイヤルの開設とともに、国、都などの相談窓口や主な施策を紹介するパンフレットを既に今作成しているところでございまして、東京しごとセンター、ハローワーク及び福祉事務所等の各関係機関で今後配布をしてまいります。

○吉田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 私たちは、街頭相談をした際に、ただその場で相談に乗っただけではなくて、可能な限り、その場から、例えば福祉事務所に案内をして、確実に何らかの救済の手だてが尽くされるというところまで努力をしてきたつもりです。
 ただ、そうやって相談者を案内していくと、多くの福祉事務所で遭遇したことですけれども、緊急一時保護施設に入るということが仕組み上ではあるわけですけれども、そこが満杯なために、きょう来られても入る施設がありませんと、極端な場合では、もう一晩路上で我慢してくださいというふうなケースもありました。
 また、私は、自立支援センターが杉並にあるものですから、そこを訪問いたしました。そこで聞いたところ、緊急一時保護施設から自立支援センターに入所を待っている方々が四十人いらっしゃる。しかも、一カ月程度待つというふうな事態になっているというお話がありました。
 もちろん、公の対応だけですべて今カバーできる状況ではないとは思いますけれども、こうした今の状況の中で、緊急一時にしても、自立支援センターにしても、大量の待機者がいて、何日間も、あるいは一カ月以上も待たされるという事態については、福祉保健局としてはどのように認識し対応されようとしているのか、ご答弁をお願いいたします。

○芦田生活支援担当部長 緊急一時保護センター、自立支援センターが満杯で待機者が多いということについてのご質問でございますが、今年度、両センターの入所率が以前より向上した要因といたしまして、二点あると考えておりまして、今年度から、両センターにつきまして、再入所の要件を緩和いたしまして、緊急一時保護センターにつきましては、前回の退所から六カ月経過しなければ入所できなかったものを三カ月に短縮したこと、また自立支援センターにつきましては、これまで原則として再入所できなかったものを、前回の退所から三カ月たてば何回でも利用できるようにしたということが大きいと考えております。
 もう一点は、やはり昨今の厳しい経済雇用状況の中で職と住まいを失った方の相談が増加した、そういったことが要因と考えられます。
 今後、離職者等の居所の確保等につきましては、自立支援センターの借り上げ住宅を増設する計画がございます。また、介護人材育成確保緊急対策におきましても、借り上げ住宅を確保する予定であり、その中で対応していきたいというふうに考えております。

○吉田委員 私も行ってみて、そうした施設だけではなく、借り上げ住宅ということも大いに促進をしていくべきではないのかなということを感じました。
 それで、数の問題と同時に、居住水準といいますか、入所水準ということについても非常に痛感をさせられました。緊急一時の場合も、自立支援センターの場合も、すべてではないでしょうけれども、二段ベッドが室内に置かれて、しかもプライバシーの保護という点では、二段ベッドの上から二段にかかっている薄い布のカーテンだけという状況なんですよね。
 さらに、食事は、配食のお弁当ということで、門限は夜の六時ということを聞きました。たしかお酒もだめだったんじゃないかなと思うんですけれども、いっとき、緊急避難的なことならともかく、例えば、人によっては緊急一時と自立支援センターで通して最大限で六カ月間ぐらい、半年近く入所をするんですね。その半年間の生活が、二段ベッドでお弁当で、カーテンだけで仕切られる。そして、門限は六時だということでは、余りにもちょっと非人間的ではないかと。実際、私たちが相談を受けた方の中で既に利用された方もいて、今の状況では、心も体も休まらないということをいわれました。
 こうした点については、どのように考え、対応されようとしているのか否か、ご答弁をお願いしたいんですけれども。

○芦田生活支援担当部長 緊急一時保護センター、自立支援センターの生活環境の問題でございますけれども、かつてのセンターにつきましては、二段ベッドが主流であったわけですけれども、現在新規に建設するものにつきましては、原則として平置きのベッドとすることによりまして、居住環境の改善を図っているところでございます。
 したがいまして、今月二カ所、江東寮と品川寮を開設いたしますけれども、いずれも平置きのベッドということで、利用者にとっても過ごしやすい環境に配慮をしているということでございます。
 それから、三食仕出し弁当であるとか飲酒ができないというお話もありましたけれども、この施設は、ホームレスの方に入所していただいて、もう一度再就職に向けた、自立に向けた支援を行う施設ということでありますので、やはり一定の生活の規律といったものは必要でありますし、そうしなければ地域住民の理解も得られないのではないかというふうに考えております。

○吉田委員 私が杉並の施設を見た場合は、一段のベッドもかなりあったんですよね。にもかかわらず、なぜか二段ベッドの部屋も幾つかあったということがありまして、できることなら少なくとも一段ベッドということで、新しい施設は改善がされているようですけれども、ぜひ引き続きできる限りの改善の努力をしていただきたいというふうに思います。
 さらに、これは二十三区と東京都が共同事業で進めているものですけれども、民間が取り組んでいるもので、宿泊所がありますよね。これは第二種社会福祉事業として取り組んでいて、現状でいうと、自立支援センター、緊急一時保護センターなどが満床のために、それを肩がわりする役割をこの宿泊所が果たしていて、各区と連携して、結構ベッドが確保されているという状況だと思います。
 私は、新宿区内の民間の宿泊所も訪ねて、施設長の方にもいろいろ状況について話を聞かせていただきましたが、これはすべてかどうかわかりませんが、私が見たところは、とにかく、自立支援センター以上に非常に密集した形で、二段ベッドで、やはりカーテンだけの仕切りという状況でした。
 さらに驚いたのは、施設長に困っていることや要望がありませんかというふうに聞いたら、南京虫が駆除できないんですと。住みついていて、入所する人が次々と南京虫の被害に遭うということを訴えられました。
 改めて宿泊所の設置要綱といいますか、見させていただいたら、きちんとプライバシーが保持できるようにしなければならないとか、一人当たりの床面積が最低限これだけ確保されなければならないとか、そういうきちんとした基準が示されているんですよね。にもかかわらず、もちろん努力はしているんでしょうけれども、結果的にはかなり実態としては厳しい状況が見られました。
 東京都としても、巡回をして、必要な助言なりアドバイスをされているとは思うんですけれども、そしてもちろん、南京虫の駆除というのは直接的には事業者の責任でしょうけれども、現実的にはそういう事態があるわけですから、大いに前向きの形で指導や援助というものを強めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○永田生活福祉部長 お話の宿泊所につきましては、第二種社会福祉事業でございまして、都といたしましては、お話にもございましたような指導指針を作成いたしまして、事業者を指導しているところでございます。
 大体三年に一度ぐらいは各事業所を指導するというような形で実施をしておりますけれども、お話の南京虫につきましては、施設の衛生管理につきましては、基本的には事業者の責任で行うべきものというふうに考えておりまして、南京虫などの通報があった場合には、その都度事業者に対して指導を行っているところでございます。

○吉田委員 私がお会いした施設長の方は、ちょうどその直前に東京都の巡回があって、そのときに南京虫の駆除がなかなかうまくいかないので、東京都としてもぜひ支援をしてほしいという要望を出されたということを聞いたものですから、改めてこういう場で紹介をさせていただきました。
 当事者の方々もご努力はされていると思いますけれども、当事者の努力だけでは限界の問題もあるかと思いますので、ぜひご支援をしていただきたいと思いますし、また貧困ビジネスなどということが、こうした問題についてはマスコミなどでも報道がありますけれども、宿泊所に入所した方々の生活と権利がきちんと保全されるようなことについても、都として対応していただきたいということを要望として述べさせていただきます。
 これとリンクする問題で、チャレンジネットの問題が相談活動を通じて改めて浮き彫りになりました。既にこれも今定例会の中でさまざまな形で議論がありますけれども、チャレンジネットの場合は、ご承知のとおり東京に住民票がなくても対応できるんですけれども、ただ、都内に六カ月以上居住している、滞在しているということが要件となっていると思いますが、この六カ月要件があるために、例えば昨年末に来た方は、まだ三カ月たたないという状況で、チャレンジネットでは相談に乗ってもらえないということは、今の現状からすれば、ちょっと対応としては冷た過ぎるのではないか。少なくとも相談という点では、対応するように、この六カ月要件については何らかの緩和が必要ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○芦田生活支援担当部長 TOKYOチャレンジネットの要件についてでございますけれども、都が行う行政サービスの提供に当たりましては、受益と負担の観点から、都民を対象とすることが大原則と考えております。住居を失い、インターネットカフェ等で寝泊まりする方を対象とした本事業につきましては、住所要件にかえて、六カ月以上の都内での生活実態があることを要件としており、ご指摘のような要件の緩和については考えておりません。
 なお、要件を満たさない方が来所した場合には、国事業である就労相談を行うほか、相談者の状況に応じて福祉事務所等の関係機関へつなげるなどの支援を実施しております。
 なお、過日、予算特別委員会で福祉保健局長が答弁したとおり、解雇雇いどめ等により住居を喪失した離職者につきましては、地元自治体が実施している生活雇用に関する緊急支援あるいは国が実施している全国のハローワークにおける就職相談や、住宅入居に必要な費用の貸し付け等も利用することが可能でございます。

○吉田委員 受益と負担という原則を持ち出されましたけれども、現実に首都東京には、地方から何らかの生活や仕事を求めて大量の方が来られているという現実がありますし、せめて相談だけでも乗るというぐらいのことは、そんなに負担がかかることではないんではないかなというふうに--ぜひ対応していただきたいということを改めて要望として述べさせていただきます。
 さらに、関連で、低所得者世帯への塾代あるいは受験料の貸付制度についてなんですけれども、私たち、こうした制度について、区市町村に対して直接実施している担当課の方々のご意見、ご要望などを聞いてまいりましたけれども、私の杉並区の場合もそうですけれども、担当者の方がまず改善してほしいということでいわれたのは、連帯保証人に課税証明を求めるということが、広く利用を促進する上で一つのネックになっている。私は、そもそも連帯保証人そのものを外すべきだと思いますけれども、貸し付けという制度がある中では不可避ということもいわれております。せめて課税証明を外して、少しでも利用拡大すべきではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

○芦田生活支援担当部長 本事業につきましては、貸付事業であることから、適正な事業運営を図る上で、連帯保証人は必要不可欠であると考えております。
 なお、連帯保証人の要件につきましては、既に区市町村等からの要望に基づきまして、連帯保証人の年齢要件の上限六十五歳未満というのを廃止するとともに、課税証明書の提出につきましても、求めないこととする見直しを行い、四月からの実施に向け、区市町村への通知も既に行ったところでございます。

○吉田委員 そういう通知を行ったんだったら、事前にご報告していただければ幸いでした。
 続いて、東京都福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例について、簡潔に質問させていただきます。
 いろいろお聞きしたかったんですけれども、絞って質問をさせていただきます。一番聞きたいことは、今回の条例改正で、例えば対象の建物の規模などの要件について、さらに比較的小規模のものも含めて拡大をするということがされたり、あるいは努力義務から遵守規定に、さらに拘束性の強いものに改善をするということがされました。
 あくまでも新築、改築時が対象だということになっていると思うんですけれども、現実にはまだまだバリアフリーで解決しなきゃならない事態が多数残されている中で、それだけで実効性があるのか、既存のものについても、こうした条例や計画によって積極的に改修なりが加速されていくということになるのか否かということについてお伺いをいたします。

○永田生活福祉部長 都は、駅や商店街などの一定の区域をハード、ソフト両面から整備する区市町村に対しまして、ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり事業により、支援をしてございます。
 この事業は、補助基準額二億円で、都は二分の一の補助を行うこととしておりまして、三カ年の継続事業というふうにしてございます。
 また、来年度創設する地域福祉推進区市町村包括補助事業におきましても、例えば出入り口の段差解消など、区市町村が地域の実情に応じて実施する個別の整備についても支援をしていくこととしてございます。この補助基準額につきましては、一億二千万円で、都は二分の一の補助を予定してございます。
 いずれの事業におきましても、既存建築物のバリアフリー化も対象としてございます。新築、改築の際には、これらの事業を活用して整備が進むものと考えてございます。

○吉田委員 具体的には、各所管局にまたがることですから、個別のことについてお答えするのは一定の制約があるかとは思うんですけれども、例えば高齢者のバリアフリーということを考えたときに、私たち、多く直面するのは、例えば、都営住宅などのエレベーターの設置が始まってはいますけれども、まだまだやはり四階建てでエレベーターがついていない、高齢者の方々が階段を上らざるを得ない事態というのは、数多く見かけられるわけですよね。
 今回の条例改定あるいは今回の計画は都市整備局の所管事業でありますけれども、こうした都営住宅のエレベーター設置などが促されるということになっていくんでしょうか。

○永田生活福祉部長 お話のエレベーターの設置を含む都営住宅のバリアフリー化につきましては、今般策定する予定でございます福祉のまちづくり推進計画の中に盛り込む予定でございます。
 計画策定後は、計画全般にわたり進捗管理を行ってまいりますけれども、一義的には、所管局が局の計画に基づきまして適宜進捗状況を管理し、取り組んでいくものというふうに考えてございます。

○吉田委員 もう一つ具体的なことをこの機会に質問させていただきます。いわゆる視覚障害者のエスコートゾーンについてなんですけれども、横断歩道で点字ブロックが設置をされている例というのはまだ極めて少ないというふうに思います。
 やはり視覚障害者の方々から要望されましたけれども、とりわけ比較的多く利用する大規模な交差点といいますか、そういうところは優先的に点字ブロック、エスコートゾーンが整備をされることが必要だと思うんですけれども、そうしたことは計画上どういう位置づけになっているかということ。
 それと、警視庁の所管事業で、これは計画はあるんですけれども、例えば私の杉並の場合にはどういうふうになっているかというと、杉並区がバリアフリーの重点地域に指定しているのは高円寺駅周辺地域なんですよね。そうすると、そこはエスコートゾーンをつくるけれども、もっと大規模な交差点があるけれども、そこは手がつけられないというふうな問題に直面をしておりまして、もっと実際使う交差点から優先的にエスコートゾーンをぜひつくってほしいというふうな要望があるんですけれども、こうした問題は今回の計画によって促進されていくんでしょうか。

○永田生活福祉部長 今お話のございましたエスコートゾーンでございますけれども、このエスコートゾーンは、平成十九年の警察庁の通知によって整備指針が出されているものだというふうに考えてございます。
 このエスコートゾーンの整備につきましては、福祉のまちづくり推進計画の中に盛り込む予定でございます。
 計画の策定後につきましては、先ほども申し上げましたけれども、計画全般の中の進捗管理を行ってまいりますが、一義的には、やはりそれぞれの局の計画に基づいて進行管理を行っていくものというふうに考えてございます。
 ちなみに、この重点ゾーンの考え方ですけれども、これも、私が責任を持って答えられるわけではございませんけれども、各区市において設置をするものというふうに考えてございまして、そこの中で考え方によって指定がされていくものというふうに考えてございます。

○吉田委員 続いて、老人医療センター、老人総合研究所の独法化問題について質問させていただきます。今回素案という形で中期計画が出されておりますので、これを中心に質問をいたします。
 私は、これまでも昨年の第三回定例会、第四回定例会、二回にわたって質疑をさせていただきました。そこで、疑問や問題点などを指摘してきたつもりであります。その中で私が痛感した点は主に三点あります。
 第一は、病院経営本部では、独立行政法人化問題についてかなり慎重な態度をとっているにもかかわらず、福祉保健局の場合には、どのように検討してきたかという過程についても、私としては極めて不透明で、十分な検討がされたとはいいがたいということです。
 二つ目には、独立行政法人化は、そもそも行政コストの縮減ということが一つのねらいとして進められてきたという流れがあり、老人医療センターの場合でも、効率化の名のもとに、ベッド数の縮小など、さまざまなことが準備をされていると受けとめております。
 また、全人的、包括的医療という基本的な従来の理念が、中期目標、中期計画の中でも明記をされていないということについても疑問が感じられます。
 第三に、国会の附帯決議等でも重視をしている医師や研究者、職員などの合意が得られているかどうかという点でも納得できない点であります。
 また、この間、全国では芦屋市議会で、市立芦屋病院の独立行政法人化に対して、たしか昨年の九月と十二月と二回にわたって議会が否決をするということがあったということも注目すべきことだと思います。
 私は、これまでの質疑の上に立って、これまでの質疑では具体的に示されなかった点や、今回の中期計画素案で明らかになった点を中心にきょうは質疑をしたいと思います。
 その第一のテーマは、現行の医療水準が守られ、さらに拡充されるのかどうかという問題です。都はこれまでも、効率化は努力をするけれども、都負担の削減を意図したものではない、医療水準の後退はないということを繰り返し答弁をされてきたと思います。
 しかし、例えば、ベッド数、予算定床で見れば、現行の六百四十六床を計画では五百五十床まで、九十六床削減をするということが既に示されております。私は、これは明確に現在の医療水準の内容の後退というふうにいわざるを得ないというふうに思うんです。
 後退ではないという理由として、地域連携を強めるとか入院期間の短縮化を図り、病床稼働率九〇%を維持するとか、そういうことによって必要なニーズにこたえられるんだということが繰り返し答弁をされました。
 しかし、本当に入院できる患者の数は、ベッド数を減らしても大きく後退はないのかということは解消できない疑問です。
 そこで、伺いますけれども、中期計画の素案で収支計画が初めて示されました。四年分ですね。その収支計画では、入院患者の規模、延べ患者数、これをどのように推計しているんでしょうか。まずその一点だけ。

○飯塚参事 先ほど吉田議員の方からご指摘のありました高齢者健康長寿医療センターについて、都立病院との違い、それから職員との合意が得られているか、それから高齢者の特性に配慮した医療等については、これまで第三回、第四回定例会で私どもの方は説明してまいりましたので、ご理解いただきたいと思います。
 また、芦屋市の状況についてでございますが、新聞報道等で了解しております。また、一方では、長野ですとか神奈川ですとか、独立行政法人の病院化が進んでいることも事実であろうと思います。
 先ほどお尋ねのありました中期計画における入院の患者規模ということでございますが、二十一年度設立当初年、延べ約十八万七千人と想定しております。

○吉田委員 約十八万七千人が想定する入院規模であるというお話でした。きょうの厚生委員会の資料として提出をしていただきました四ページの東京都老人医療センターの経営指標の推移のところに、入院の患者規模が掲載をされております。
 これで見たら明らかなとおり、平成十六年から平成十九年までありますが、すべて入院延べ患者規模は二十万を超えるんですよね。例えば、病床利用率が、平成十七年度は既に九二・五%という際には、患者規模は二十一万八千二十五人ということになっています。極めて単純な話なんですけれども、ベッド数を減らしてもニーズにこたえることができるんだ、数字は後退しないんだというふうにいわれても、現実に入院できる方の数は二十一万代から十八万代に後退するわけですよね。
 これはやはり利用者からすれば、あるいは入院を希望されている方からすれば、明らかに後退というふうに私はいわざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。

○飯塚参事 先ほどの入院患者規模十八万七千人という想定でございますが、これの計算は、三百六十五日掛ける九〇%掛ける五百六十一床ということで計算をしておりますので、延べの人ということで、人の数ということではございません。

○吉田委員 私も延べということで繰り返しいってきたつもりですけれども、現実には経営指標の方も延べなんですよ。今、ご説明のあった十八万七千も延べなんですよね。これが実際延べじゃなくて、実人員としてどれだけかということはわかりませんけれども、当然延べ人員がこれだけ二十一万が十八万に後退するということは、実際に利用できる方々が相当数減らされるということは、否めない事実だと思うんです。
 さらに、私、前回の質疑の際にお伺いしたんですけれども、どの病床が減らされるのかという問題です。前回質問した際には、まだ具体的な診療科別のベッド数は確定していないんだというお話でした。しかし、四月一日ということになれば、あと十数日ということになります。四月一日時点は五百五十じゃなくて、五百六十一床だというふうに聞いていますけれども、もう既に四月一日時点での病床数の割り振りは決まっていると思うんですが、いかがでしょうか。

○飯塚参事 四月一日現在の病床数の割り振りにつきましては、入院患者の動向によってもちろん病床数というのは流動的ではありますけれども、既に四月一日現在の病床数については決めているところでございます。

○吉田委員 それでは、前回私が具体的に何点か指摘をさせていただきましたけれども、それはあくまでも検討中であるということをもって議論にならなかったんですが、きょうは一つ一つ聞いたら時間がありませんから、端的な例だけに絞って具体的にお伺いをしたいと思います。
 前回も私は懸念を表明いたしましたリハビリテーションについてなんですけれども、このリハビリテーション化は、現状と四月時点では、病床数は幾つが幾つになることが準備されているんでしょうか。

○飯塚参事 リハビリテーション科は三十九床でありましたが、二十床としております。

○吉田委員 リハビリテーション科が三十九床を二十床ということになると、半減に近いわけですよね。なぜ、リハビリテーション科をこのように半減をするということを判断したんでしょうか。
 いうまでもないことで、皆さん専門家ですけれども、リハビリテーションは高齢者のQOLを維持し、退院後の在宅生活などを少しでも自立していくために最も必要なものだと思います。これを縮小して高齢者のための病院といえるのかということが改めて問われていると思うんですが、どのような考えなんですか。

○飯塚参事 高齢者のQOLを維持し、できる限り自立した生活を継続していくためには、早期のリハビリが重要となります。健康長寿医療センターでは、リハビリ科のベッド数は削減しておりますが、各診療科における入院期間におけるベッドサイドリハをさらに充実させていきます。そのために、例えば、理学療法士、作業療法士についてはこれまでとほぼ同数の人数を確保しております。
 したがって、リハビリテーション科のベッドが減ったからといって、健康長寿医療センターの特性を踏まえたリハビリの実施には何ら問題がないものと考えております。

○吉田委員 しかし、半分も減らして問題ありませんと、ほかで対応するんだというのは、納得する人はいるかもしれませんけれども、これはちょっと私は納得できませんね。
 若干減らしますけれど、それはベッドサイドリハで、病院全体挙げてといいますけれども、やっぱりリハビリテーションというのは、そういう固有の役割を持っているからこれまで三十九床もあったわけですよね。
 それを、事もあろうに、一般病院じゃなくて、高齢者の専門病院でしょう。しかも、私、前回老人医療センター年報の十九年度版について紹介したら、突然二十年度版を紹介して、何ら問題ないんであるかのようなご発言があったので、私改めて、二十年度版のリハビリテーション科の部長さんですか、の文章を読みましたよ。そしたら次のようなことが書いてあるんですね。高度専門医療としてのリハビリテーション医療を行うためには、急性期だけでなく、回復期のリハビリテーション、民間病院ではできないリハビリテーションを行う必要があり、最低限、平均二カ月の入院プログラムが必要なこともあるというふうにして、やはり一定期間の専門的なリハビリテーションの重要性を指摘をしているんです。
 年報を見ますと、平均在院日数、例えば平成十九年度は二十・五日。これは施設基準平均在院日数は十八・七と書いてあって、私、この関係はよくわからないんですけれども、ただ、リハビリ病床の平均在院日数は四十七・〇なんですね。やっぱりリハビリの場合には二カ月ぐらいがどうしても必要だということになるんですよ。
 リハビリ病床を半分に減らすということを見ると、結局、在院日数の長いリハビリ病床を削ろうとするところに政策的な意図があるのではないのか、病院全体の在院日数を圧縮するところに意図があるのではないのかということを考えざるを得ないんですけれども、それはいかがですか。

○飯塚参事 早期リハの時期、内容がその後の患者のQOLに大きな影響を与える、非常に重要であると考えて、繰り返しになりますが、私どもは健康長寿医療センターの特性を踏まえたリハビリの実施を進めてまいります。

○吉田委員 これまでもそういういろんなやり方で在院日数は短縮できるんだ、短縮しても問題がないということを繰り返しいわれてきました。私は改めてさっきの年報の担当部長の文章を読みましたけれども、次のようなことが書いてあるんですね。在院日数の短縮化に努力した結果、努力してきたわけですね、比較的長期の入院を要することが多い脳血管障害の患者は、必然的に、最近十年間で約四〇%減少し、減少傾向は続いたというふうに書いてあります。
 すなわち、在院日数を短縮せよということが方針として出されてきますから、リハビリテーション科としても減らさざるを得ない、その結果どういうことが生まれたかといえば、比較的長期の入院を要することが多い脳血管障害の患者が必然的に四〇%も減少したんだということを書かれているんですね。
 脳血管障害というのは、冒頭で紹介されていますが、たしか、今回の中期計画あるいは中期目標でも重点医療なんですよ。それを十分な、あるいはドクターが思うようなことができないような結果を招きかねないということを、私は、年報で書かれているドクターの話から指摘をせざるを得ないというふうに思います。
 また、効率化ということが繰り返しご答弁でもいわれるんですけれども、中期計画の中では、収入の確保、費用の節減という項目がありますね。その中で、業務委託を挙げて、委託業務の仕様内容や費用の見直し、委託料の適正化を図る、検体検査の外注範囲の見直し、業務委託の拡大、事務部門、医療研究の周辺部門のアウトソーシングを進めるというふうに書かれております。
 ちょっとこの文言だけでは、一体今の現状がどうなっていて、どう変えるかがわからないんですが、具体的に説明お願いしたいんです。

○飯塚参事 これまでの医療水準を落とすことなくというご指摘についてはまさにそのとおりでございまして、これまでの医療水準を落とすことなく、かつ効率的、効果的運営のための業務委託のことがここでは記載されております。
 具体的には、健康長寿医療センターは、地方自治体としての制約に縛られることがないことから、他の民間病院で行っている工夫を踏まえ、これまでの契約内容との比較検討を行い、より効率的、効果的な契約手法の導入を検討していく。
 あるいは、先ほど先生読み上げていただきました検体検査の外注化の検討あるいは給与計算など、定型的業務における人材派遣の導入など、この中期計画期間内に十分に検討し、実施可能なものから実現をしていくということになっております。

○吉田委員 私は、もう四月一日からの話ですから、そういう抽象的な話ではなくて、具体的にどう、例えば委託の範囲が拡大、どの分野がどうなるのか、あるいは委託料の適正化というふうに書いてありますけれども、どのようにするのかということをお聞きしたかったんです。何か縛られる縛られるといういい方をされますけれども、やはりこうした委託の拡大や委託料の適正化という名前での委託コストの削減ということは、サービスの低下などに直結しかねないという問題をはらんでいるというふうに指摘せざるを得ません。
 最後に、先ほども独立行政法人化が、東京都の財政支援の削減につながるのではないかと危惧する声があるということで質問がありました。私は、やっぱり率直にいって危惧せざるを得ないというふうに思うんですね。
 現在の一般会計の老人医療センターと、それと企業会計を導入する、かつ老人総合研究所を合体して収支計画がなされている中で、私自身が明確に比較を推計することは容易なことではありません。
 ただ、先ほどもお話がありましたけれども、この収支計画では、例えば病院部分の、現在の老人医療センターの運営費負担金は四年分として約九十四億七千万円を計上しています。しかし、先ほども紹介がありましたけれども、老人医療センターの平成十九年度の決算で、それと比較的同様な範囲での都の支出金を計算すると、たしか二十四億円掛ける四年ということになれば、九十六億円ということになるんですか。
 いずれにしても、そういうフレームだけで考えてみても、東京都からの支出金がやっぱり何億円か減少することは明白だと思うんですが、違いますか。ちょっと正確に数字で答えてください。

○飯塚参事 今吉田議員がおっしゃったように、これまでの十九年度の決算と今後の健康長寿医療センターの負担金を比較することについては、全く仕組みが違いますので、一概に比較をするということはできかねるのですが、無理にもし比較ということでありましたら、支援額が確定しています二十一年度予算の運営費負担金は二十五億三千七百万円でございます。十九年度決算額で、病院への一般財源充当額は二十四億四千万円でございます。

○吉田委員 具体的に中期計画に出されている数字で推計しても、私は、明らかに削減となるというふうにいわざるを得ないと思います。しかも、これだけでもちろん見ることはできません。今後、全面的にやはり対比をしていくことが求められているというふうに思うわけですけれども、先ほど紹介もありました委託その他についても費用の削減ということが強調されております。
 この間の質疑の中で、経営が成り立たないようなことはいたしませんと、もちろんそれはそうでしょう。しかし、経営努力をしていくんだ、あるいは効率化の努力をしていくんだということが繰り返し強調されました。
 そういう効率化の努力だとか経営努力ということが、さまざまな分野で、私はやはり現在の医療水準の後退を招きかねないということになると思いますし、とりわけその象徴がベッド数の減少、しかもリハビリテーションのベッド数を半分に減らすなどということは、やはり老人医療センターの命にかかわる問題だというふうに指摘をせざるを得ません。
 冒頭、私の問題提起に対して、問題ないんだというお話がありましたけれども、例えば先ほども地域の理解を得られているというお話がありましたが、しかし、現実には、たしか三月四日付で、板橋区議会の方から引き続き医療水準の向上や医療サービスの充実を希望するという意見書が知事あてに出されておりますよね。それはやはりいまだに多くの方々がそのことを懸念しているということのあらわれだというふうに思いますし、また職員のモチベーションの問題も話がありましたけれども、現実には固有職員と、それと看護あるいはコメディカルなどの派遣職員が混在をするという状況が一定期間続くわけですよね。そういう身分、立場が違うという中で、果たしてどうモチベーションが上がるのかというふうなことについても、私は問題点として、引き続き指摘をせざるを得ないというふうに思います。
 何点か質疑をしてきましたけれども、やはりベッド数の削減に象徴されるように、現時点でも私は、独立行政法人化の弊害は明らかであり、独法化を撤回し、直営を継続すべきだということを述べて、私の質疑を終わります。

○東野委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十二分休憩

   午後六時五十八分開議

○東野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○野島委員 まず最初に、福祉保健区市町村包括補助事業について伺いたいと思います。
 申すまでもなく、福祉施策、あるいは保健施策の事業主体は大体区市町村なんですね。直接市民あるいは区民と対話をしながら、どんな課題があるのか、どんな施策展開が必要なのか、こういうふうなことは区市町村が一番敏感に、的確に把握できると思うんですよ。それをすることによって初めて市役所というんですね。市民の役に立つところと書いて、これを市役所と読むわけでありますから。そういう認識に立ちまして、じゃ、東京都の役割は何かといいますと、広域自治体として、そういう区市町村の事業をしっかり支援していこう、こういうことだろうと思うんですね。
 実は私、十九年の予算特別委員会と二十年、去年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑でも申し上げたんですけれども、いわば区市町村が住民のニーズを受けとめて実施する、そういう一つ一つの福祉保健施策、こういった一つの木がありますよと。そうしますと、都の包括補助制度を水だとか栄養分に例えて、これをしっかり出していくことが、銭を出すとか、そういうことじゃないですよ。力を出していくことが、一本一本の木を育て、かつ東京の福祉の森ができ上がるんではないか。こういう認識に立って質疑をしたことを記憶いたしております。そういう立場に立ちまして、平成十九年度の福祉保健区市町村包括事業が創設されたというふうに私は理解をしております。
 区市町村の自主性を尊重しながら、都が広域的な立場から区市町村を支援していく。このことを高く評価を申し上げたいと思ってございます。区市町村もこの包括補助事業を活用して、衆知を集めて地域の実情に合った事業を展開していくと。そのことが福祉の森づくりに大きな役割を果たしていけるものと認識をいたしております。
 それで、実は十九年度の執行率が八一・二ぐらいというふうに数字で記憶をいたしているんですね。福祉保健局長はかつて財政当局にいましたから、こういう執行率では額を圧縮したいというふうに財政当局は思うと私は思いますよ。財政当局はね。
 しかし一方、三年ですが、十九、二十、ことしでね。この資料をもらったんですよ。さっきの資料の八ページ、どういったような形でこの包括補助事業が利用されているのかというふうに、もらいました、私が要求したんじゃないですがね。
 それで、財政事情というのは、やっぱり敏感に反映しているんですね。先駆的事業は十分の十、三年間ということは承知ですよね。そういうことですね。選択事業は二分の一で結構ですよと、こういうことになりますね。そうしますと、三年間は十分の十で面倒見てもらえるけれども、四年目からそれを選択事業に移行したとき、区市町村は二分の一の補助裏が必要だというふうになるんですね。
 そうしますと、今段階で先の見通しがしっかり立てられる豊かな市はいいですよ。そうじゃないところというのは、始めたのはいいけれども、四年目から補助裏が必要になったときに、それが可能なのかという心配も出てきちゃうんですね。四年目からは心配になっちゃう。
 選択事業は二分の一ですから、そのままやっていけば、財源手当は何とかなりますよ、こういうことでありますから、ひとつ腰を引いちゃうというふうなところがあると思うんです。だから、私は三年を五年とか七年とか十年にしろなんて、そんなことは一切思っていないです。
 そうしますと、福祉改革、あるいは福祉の木を育てる市町村のインセンティブをそいじゃうんですよ。新しい事業を考えていかなきゃいけない、補助裏もあるからと。そのときに今までのことを見直しながら新しい施策を展開するという気持ちにならなければ、厳しい財政状況の中で福祉の、いわゆる質的な拡大、こんなことは絶対図れないんで、私はその制度はやっぱり極めていい制度になっているなというふうに評価をしているわけであります。
 一方、改革をして補助裏をつくりましょうといったって、改革の効果なんて、一年、二年じゃ出てこないんですよ、正直なところ。例えば、よし、これは指定管理者に任せて、何も財政上の問題だけじゃないですよ、そちらの指定管理者に移行することによって市の財政負担を減らして、その補助裏で十分の十事業に取り組んで、三年たったら、四年目からは大丈夫だと組むのは、財政上、極めて難しいんですよね。
 そんな事情がありますから、私は三年間で執行率が低いからといって圧縮するということは好ましくないということで、我が党もそんな視点に立って予算額を局の要求どおり認めるようにということでお話を申し上げまして、結果そうなったということは、私にとっても大変うれしく思っている次第でございます。
 ところで、この包括補助事業については、都は、いわゆる政策誘導を図っていくんだと。区市町村の主体的、積極的な活用を促進することが必要であると考えておるというふうに思っておりますが、これまでどのような補助メニューを取り組んできたのか、伺いたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 都は、包括補助事業におきまして、地域特性に応じた取り組みを支援するために、区市町村独自の創意工夫による事業のほかに、補助対象となる事業のメニューを用意しております。
 例といたしましては、災害時に高齢者や障害者など、避難のために援護が必要な方々を支援する事業や、子育てひろばの相談対応力を強化する事業などをメニュー化し、区市町村の取り組みを支援しているところでございます。

○野島委員 それで、こういう積極的な活用を促していくのに二つ三つの要点があると思うんですね。まずは、補助メニューを充実させることが一つ。それから、よりわかりやすく、使い勝手のいい制度にすることが一つ。
 実は、東京都から支援があって、市町村がやっている事業が銭目で見えてこないんですよ。対都民的にはね。その辺というのは物すごくやりにくいところがあるんですが、いわゆるよりわかりやすく、より使い勝手のいいものとしていくことが必要だろうというふうに私は思っております。
 そういう意味で、都は今回、施設整備等のハード面と運営費等のソフト面が別々の補助事業となっている。これを現行の補助制度を来年度から施策分野ごとにハードとソフトを一体化したものに再構築して、あわせて事業内容の充実を図りたいと、こんなふうに伺っているんですね。
 施設を建てますと、あれが幾らかかった、だから都から幾ら出ています、市が幾ら持っています、話としてはわかるんです。だけれども、市民はそんなこと余り関係ないんだ。市一律、東久留米一律何々ということになる。運営費助成なんてもっとわかんなくなっちゃいますよ、人件費とかそういうことで入り込んでいくとね。
 そんなことで、そういうふうな一体的なものを再構築していくというふうに伺っておりますが、改めて今回の再構築の意義について伺うと同時に、平成二十一年度の包括補助事業における新たな取り組みについてもお伺いしておきたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 今回の見直しは、子ども家庭や高齢者などの施策分野ごとにハード、ソフトの両面を一体としたわかりやすく、使いやすい補助制度にしようとするものでございます。
 これによりまして、区市町村がより創意工夫を凝らし、地域の実情に応じた事業を展開しやすくなるとともに、施策分野ごとに事業の窓口が一本化され、区市町村の補助金申請等の事務の簡素効率化に寄与するものと考えております。
 また、今回の再構築に合わせて、町会、自治会等が中心となって、ひとり暮らし高齢者等への見守りや声かけを行う事業や、病児、病後児の保育ネットワークの構築を支援する事業、障害者の入所施設から障害者グループホーム等への地域生活移行に係る経費の一部を補助する事業など、区市町村の積極的な取り組みを支援する事業を追加し、一層の充実を図ってまいります。

○野島委員 わかりました。この再構築によって、区市町村は子ども家庭というカテゴリーと、あるいは高齢者など、施策分野ごとにハード、ソフトにわたって、極めて事業が組みやすくなるというふうに思うんですね。一体的な事業展開が行いやすくなるというふうに思っております。より使いやすい補助制度となったというふうに私も認識をいたします。補助メニューの拡充も今お伺いをしたとおりでございまして、大変心強く思っております。
 しからば、都は今後、この包括補助制度に改めて何を期待して、その実現に向けて、どういうふうな取り組みをされていくのかを伺っておきたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 今回の再構築によりまして、包括補助事業はより使い勝手のよい制度となったことから、区市町村の積極的な活用が進み、地域の固有の課題を地域に合った方法で解決して、住民サービスの向上が図られるものと期待しております。
 都といたしましても、区市町村の一層の活用を促すため、包括補助を活用した先駆的な事業の事例集の作成、配布や事例発表会の開催などを通じまして、区市町村へのさらなる働きかけを行ってまいります。
 また、意欲的な取り組みにつきましては、都と区市町村がともに考え、施策をつくり上げていくことも考えられます。
 こうしたさまざまな取り組みを通じまして、区市町村を支援し、都全体の福祉保健の水準の向上を図ってまいります。

○野島委員 よろしくお願いします。とりわけ今ご答弁いただきました、区市町村とともに考え、この施策をつくり上げていく、このことに私は大きく期待を申し上げておきたいと思います。
 先ほど具体例として、高齢者等の見守り、声かけ事業をメニュー化しますという話を伺いました。実はこの間、老人クラブの方々と懇談する機会をいただいたんです、東久留米の。老人クラブというのは友愛事業というのをやっているんですね。声かけとかなんとか。今回は、今あったように町内会対象ですよと。これは、僕はむしろいいことだと思う。
 というのは、東久留米なんて自治会の組織率が物すごく低いんですよ。老人クラブは老人クラブで、一つの固まりはあるんですよ。だけれども、その人たちが自治会に入っている組織率というのは、物すごく低いなと僕は思っているんですね。
 自治会でやりますよということになれば、その方たちが自治会に参加するわけですね。そうすると、ネットワーク事業もさることながら、いずれ我が身だから、この人たちも、この人たちなんていわない、高齢者もね。そうすると、そこに向けて、地域の人と人とのつながりみたいなものもより強固になっていくだろうと思っておりますので、ぜひそんなことでやっていただきたいというふうに思っております。
 そこで、最後に要望だけしておきます。
 これは総務局マターなんですが、さきに「多摩振興プロジェクト-多摩の総合的な振興策-」というのが打ち出されました。その中で、多摩地域でも重要な課題となっている福祉、医療、教育等のソフト系事業も、実は、僕は多摩の課題というのはずっと追っかけてきたんですが、こういうソフト系事業に踏み込んでの形というのは初めてだと認識しているんです。
 東京都の直轄事業はわかりやすいんです、都が直接やるから。都営住宅をつくりましょうとか、都立何々施設をやりましょうと。しかし、それ以外のさっき冒頭申し上げた福祉保健施策というのは、事業主体が市ですから、財源の枠組みにしてもそれなりに制約が出てくる。これは当たり前の話なんですね。
 だから、僕はそれを壊せとはいっていないです。声高に多摩格差と叫んだってだめなんですよ。こういう地道な積み上げをしていくことによって格差を、僕は格差と思っていない。それぞれの都市は、それぞれの経営資源に基づいて今日まで歩んできたわけですから。結果として差があるということは、これは声高に叫んだって解決できる問題じゃない。武蔵野なんか、市税収入なんか東久留米市の一・六七倍あるんですよ。そういう与えられた都市資源をどうしていくかということをこっちに置いておいて、格差なんていうことを声高に叫ぶことは、僕は百害あって一利なしだと思う。
 そういう意味においても、今回この多摩振興プロジェクトが策定されたわけでありますから、福祉保健施策についてもぜひこういう制度を活用しながら、あえていえば、格差ということであれば、それはそれとしてそれを埋めていく努力をひとつ東京都全体、一緒になって取り組んでいただきたい、このことを要望しておきます。
 次に、保育関係についてお伺いをしていきたいと思います。
 実は、東京都安心こども基金との関係であります。私はさきの一般質問で、国の安心こども基金の関係は、緊急性、効果性ということをいいながら、全く認証を除外しているというのはいかがなものかということで、あのときは局長に答弁に立っていただいて、働きかけてまいりますというふうに聞きましたし、私どもも、政党レベルでいろんな働きかけをしてまいりました。
 その件については、さきの予算特別委員会でも取り上げられましたけれども、せっかく私も一般質問で質問したんで、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 安心こども基金の補助対象事業は、当初国が示した案では、認可保育所など、規定の国庫補助事業に限定されておりました。
 しかし、待機児童の解消は、端的にいって都市の問題であり、サービス業など第三次産業従事者が多い都市部においては、早朝や夜間の就労など、多様な勤務形態に対応する都市型保育サービスを拡充しなければ、待機児童の解消を実現することは難しゅうございます。このため、都は、都独自の認証保育所など、地方単独施策にも充当できるよう国に対して緊急に申し入れを行うなど、強く働きかけてまいりました。
 今般、国から、安心こども基金の事業内容や補助基準などを定めた運営要領が正式に示されまして、その中に認可基準を満たす認可外保育施設に対する保育所開設準備費の補助が盛り込まれました。このことは、かねて都が国に提案要求してきた認証保育所への国費の導入が一部実現したということでございまして、認証保育所が待機児童解消のために有効かつ不可欠であることを国が認めたものというふうに考えております。
 都といたしましては、この基金を最大限有効に活用いたしまして、認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭福祉員など、多様な保育サービスを拡充し、待機児童解消に向け、積極的に取り組んでまいります。

○野島委員 ありがとうございました。今日までの局長以下関係部課長さんのご努力に心から敬意と感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 それで、最後はもう質疑じゃないんですが、今、部長からも、認可基準を満たす認可外保育施設に対する保育所開設準備費の補助が盛り込まれた、国費の導入が一部実現したということで、大変意義が高いものと思っています。
 それで、運営費助成についても、二十一年から認証もいいですよと、一部ですけれどね。時間外とか何か細かい話はいいです。私はそういう意味では、国と協議機関をやっていますよね、この認証保育所の承認というのを。僕は大きな風穴があいたなと思っているんですよ。ぜひいろいろ詰めていっていただきたいと思うんです。
 ただ、そのためにやらなきゃならないのは、せっかく二十一年度から国の財源が一部充当できる、そして、この安心こども基金が認証保育所にも充当できる、この大きな前進を無にしないために、まあ国費が入ったから都費の財源振替をしようとか、そういう不謹慎なことを考えちゃだめですよ。水が入ってきたから、ごちょごちょに回して濁り水にして、わかんなくしちゃだめ。真水として使って、認証保育所の、認証保育所だけというと共産党さんも嫌がるでしょうから、含めて、とりわけ認証保育所という大都市特有の制約条件に基づいて子育て支援をしていく施設として、積極的にこれを拡大していかなきゃいけないというふうに思っておりますし、一方、そのためにも、一般質問で申し上げましたけれども、しっかりした事業体をつくり上げていくんだ、この決意を持ってひとつ進めていただきたいというふうに思っております。
 現下、国の厚労省の社会保障審議会の少子化対策特別委員会において、新しい保育所制度の議論がなされているということを承知いたしております。
 そういうことで、その二つの視点を持って、ぜひ、風穴は二つあけたわけですから、もっともっと風穴をあけるためには、実績としてそういうものが広く都民の理解も得ているし、大都市特有の待機児童解消策に大きな効果があるんだということをやっていく必要があると思うんですね。
 最後にしますが、この間の討論の中で、安心こども基金について、それぞれ討論しているんですよね。共産党さんは認証保育所の関係に触れていなくて、認可等のということ。それは僕は政治スタンスとして全く正しいだろうというふうに思っております。公明党さんも触れておりまして、民主党さんも触れておりますので、大変心強い限りであります。
 その中で、短い討論の中で発言を推測し、そんたくし、勝手なことをいうことは私の性格に合わないんですが、民主党さんが保護者負担軽減策への対応といっているんですよね。これは何なのか僕はわかんないんです。とり得る施策は二つです。利用者に補助金を出すというのが一つ。あと一つは、基盤整備をして、認証保育所の事業者に対して基盤整備の補助金を出していくことによって、結果としてコストが圧縮されて、その出口ベースで保護者の負担が軽減されますよという二つに一つなんですね。
 僕は思うんですけれども、補助金、補助金という形がいわれています。公立保育園というのは何なのということなんですね。公立保育園の子どもたちには補助金は出ていないんです。補助金は出ていないんですが、初期投資、償却なしの初期投資ですよ。毎年毎年償却するから銭を積んでおいて、再構築費用を持っていかなきゃいけない。だから、それを利用費に負担します、そんな財政はないんですよ。単年度会計だから。そうですよね。
 そうすると、それ以外に莫大な公費を入れて、いわば市の持ち出しで、上に積んだり、横に出したりしてやっているわけです。その結果、どのくらいの費用なのということをやって、税制転用で社会保障財源ですから、所得によって多い少ない、利用料を設定しているわけですね。
 そういうことを考えますと、やっぱり将来にわたって児童福祉法の措置という概念と、保育を必要とするというもっと大きな概念の課題というのは、まだまだ物すごく引きずっていくと僕は思うんですよ。ぜひこういうふうな基金を使って、実態として、私たちは保育を必要とし、いわんや措置を必要とすることも含めて、この認証保育所制度がしっかり機能していくんだということをこの機会に国に対しても示せるような、そういうものをやっていただきたいと思います。
 実は、私は保育事業の取り組みというのは二十五年間やっているんです。事業をやっているわけじゃないですよ。なぜそういうふうになるんだということを二十五年間やってきました。そういう意味では、私もこの次、この厚生委員会にいるかどうかわかりませんし、いわんや都議会議員として発言できるかどうかわかりませんけれども、そんな思いを持っておりますので、ぜひ受けとめて、皆さん方のご活躍を心からご期待申し上げまして、質疑を終わります。

○門脇委員 予算も含めまして、知事提出議案としては最後の質疑になりますので、要点を絞ってお伺いをしてまいります。大きい項目としては二点であります。
 介護人材の確保と定着促進ということについてまずお伺いいたします。
 昨年秋以降、いわゆるアメリカのサブプライム問題から発生いたしまして、日本の景気、経済というものが急速に減速しております。後期高齢者の医療制度、年金問題、それから障害者の自立支援法の問題からも、都民の方から多くご意見を直接いただくようになりまして、私の事務所では、より多くの都民、あるいは杉並区民の声をお聞きする必要があるということで、区民の方を対象とした生活支援アンケートというものを実施いたしました。十二月から、区内かなりの数の世帯にアンケート用紙を配布いたしまして、返信用はがきでお返事をいただいております。これについてはまだ現在も継続中であります。
 二月末までに約一千七百通、回答が返ってまいりました。特に一月末現在の集約では、その都度集約を重ねておりますけれども、介護に関して改善を求める声は、これは重複回答でありますけれども三百六十件ありました。そのうち介護に関して最も改善してもらいたいという声は、重複回答ですから一番ですね、百三十九件ありまして、これは全項目のうち第二位でありました。ちなみに第一位は、この委員会とは直接関係ありませんけれども、区役所や、あるいは都庁の行政改革を望む声でありました。
 それについてはこういうふうにまとめまして(資料を示す)高齢社会対策部さんの方にも一応お渡しはしてございます。
 具体的には、介護の視点で申し上げますとなるほどなと。介護施設をもっとたくさんつくってほしい、あるいはお金のない人も介護施設に入れるような施設をつくってもらいたいと。一般の施設ということのご意見が最も多かったんですけれども、その次が、ここから質問を展開させていただくんですけれども、介護事業者の待遇をよくして、それから人員の確保を求める声というのが非常に多かったんですね。
 実は私の事務所でも、これだけ介護の問題について都民の皆さん、杉並区民の皆さんがご意見を持っている、要望があるというのは、ある意味驚きでありまして、とりわけ介護事業者のこととか、あるいは人員の確保という声が多かったのは予想外でありました。ご自分の老後を心配されることがこのアンケートの中でも、私自身もよく認識をさせていただいたところであります。
 そういうことを踏まえまして、まず昨今の経済動向と、それから介護業界の求人動向についてお伺いいたします。先ほどもサブプライムローンの問題がありましたけれども、それからリーマンショックというのもありまして、大不況の中で介護業界の求人の状況に変化があったと思うんですけれども、最近の介護職種の求人動向についてまずお伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 東京都の介護関係職種の有効求人倍率についてですが、米国発の金融危機が発生しました昨年の九月には四・二二倍であったものが、以後毎月上昇を続けまして、直近では、平成二十年十二月では五・〇七倍、年が明けまして平成二十一年一月には四・九〇倍となっております。
 一方、一般とパートタイムを合わせた全産業の有効求人倍率でございますけれども、これは不況を反映しまして、昨年の九月が一・一四倍であるのに対して十二月には一・〇五倍、年が明けまして平成二十一年一月にはついに一・〇〇倍と低下をしてきております。
 このように深刻化する雇用動向とは逆に、介護業界の求人状況は依然として厳しい状況にございます。

○門脇委員 ありがとうございます。
 ちょっと後先になりますけれども、東京都内の介護従事者の数は、訪問系といわゆる施設系と合わせて、厚生労働省の職業安定局の資料によりますと全国で百十七万人、うち、東京都内が大体九万五千人程度、これは平成十八年の資料でありますけれども。国は、平成二十六年度ですから、あと五年先になりますけれども、最大で百四十万人から、これは全国規模ですね、百六十万人ぐらいの介護事業者が必要になるという見通しを立てているわけです。
 今申し上げた人口比で考えますと、同時期東京におきましても、現在の九万五千人プラス大体四万人から六万人程度の介護事業者というものが必要になるわけで、これは現在の厳しさから考えると、東京都としてもこれから相当な努力をしていただいて、人材確保と定着促進に努めなければ、幾ら施設やグループホームをつくっていても、それを動かす人がいないということで、まさに保険あってサービスなしという状況になってしまうわけです。
 先ほど求人動向についてご答弁をいただきましたけれども、確かに一部には不況ということが介護業界の人材確保にとって追い風になっているという、少し前ですけれども、随分こういう意見がありました。でも、実際は、先ほどお話がありましたように、現実は大変厳しい状況であるということですね。
 私たち民主党も、国政レベルではさらなる介護報酬の引き上げということを提案し続けておりますけれども、介護報酬そのものは、先ほども議論がありましたけれども、これは基本的に国が決定し、介護保険料との絡みもありますので、やはり都道府県、東京都や基礎的な自治体である区市町村の役割というのは賃金以外の部分、すなわち定着促進策あるいは確保ということについて積極的に取り組むことが私たちは効果的だと考えております。
 介護現場、高い離職率というものは、今、私が改めて申し上げるまでもありませんけれども、先般の、先般というか、まだやっておりますけれども、予算特別委員会でも、その背景には給与、それから身体的負担、採用時の研修及び教育体制の不備があるとの福祉保健局長の答弁がありました。全くそのとおりだと思います。
 業界の関係者に聞きますと、皆さん方余りご存じないかもしれませんけれども、NCCUという--NCCUというのは、日本介護クラフトユニオンという介護事業者でつくっている労働組合としては日本最大の組織であります。その人たちのお話なんかを聞いても、いわゆる鶏が先か卵が先かという議論ではありませんけれども、ちょっと方程式で申し上げますと、離職率が高い、それで、中核になる人材が育たない。組織として弱く、職場のさまざまな問題への対応能力が育たない、それで、従業員の悩みが深まる。そして、やがて仕事や職場が嫌になってやめていくと。結果、さらに離職率が高くなってくると。いわゆるところの負のスパイラルがあると聞いております。
 やはり今、必要なことというのは、この負のスパイラルというものを断ち切って、多くの介護職場で中核となるような人材を育て、組織としての問題解決能力を高め、職員の定着率をよくするという、いい方の循環のきっかけをつくることが私は一番大切ではないかと思います。
 そこでお伺いしますけれども、これまで、いわゆる施設系の職員に対する介護事業者対策については、予算特別委員会の総括質疑でも出されておりましたので、ちょっと違う分野でお聞きしますけれども、実際には介護従事者の数も、いわゆる施設系と呼ばれている人たちよりも圧倒的に数が多い。しかも、数が多いということは、当然その利用者も多いわけですけれども、小規模な訪問系事業者に対する人材の定着促進については、今日まで東京都としてどのような方針で取り組んできたのでしょうか、お伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 お話のような小規模な事業所に対する支援ですが、訪問介護事業所においては、ホームヘルパーに技術指導などを行うサービス提供責任者の専門知識の向上等を目的として、ヘルパーの管理や支援のための研修を行うとともに、介護福祉の資格取得を支援する事業者へ補助を平成二十一年度から開始いたします。
 本事業により、職場の中心となる人材を育成し、小規模な事業所におけるヘルパーの定着促進を図ってまいります。

○門脇委員 今、答弁の中にもありましたサービス提供責任者を重点的に育成することで、介護の職場をよくしていこうという趣旨にもちろん賛成いたしますし、このことについては異論のないところだと思います。私たちも大いに期待いたしておりますので、そのことについてはよろしくお願いいたします。
 この項の質問としては最後になりますけれども、定着促進には、職員の専門性の向上など、従事者がその仕事に誇りと意欲を持ち続けられるような支援策、この誇りと意欲ということについても、過去からよくいわれているんですけれども、こういった支援策ということについても必要だと考えておりますけれども、その点について、お伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 都では、平成二十一年度、来年度から、ホームヘルパーや介護施設職員を対象として、医療的な知識や緊急時対応を習得する研修を実施するなどして、職員の専門性の向上を図ってまいります。
 また、介護の仕事への理解を深めるため、介護従事者等の研究発表会や、国が制定しました介護の日に行われるイベント等を活用して、広く都民への啓発に努めてまいります。
 こうした取り組みを通しまして、今後とも介護に携わる職員が誇りと意欲を持って仕事に取り組めるよう支援してまいります。

○門脇委員 先日、NHKのニュースでも紹介されておりましたけれども、訪問介護事業者の中には、みずからのホームページで情報を発信したり、職員によるブログを公開して、求人活動に効果を上げている事業所などもあるようです。
 それで紹介されておりましたのは、これは武蔵野市にある株式会社組織ですけれども、はっぴーライフという訪問介護と通所介護の事業者であります。武蔵野市に三カ所、三鷹市に三カ所、合計六カ所あるようですけれども、これは今、申しましたように、職員のブログが掲載されております。
 私もなかなかいいやり方だなと思うんです。つまりこういった小さな事業者というか、事業所でも積極的な取り組みを展開していると。だからこそNHKのニュースになったんでしょうけれども、これをそのままやるべきだということではありませんけれども、一つの取り組みとして大変有意義なことだと思っております。
 また、この項のまとめということではありませんけれども、介護の現場はご承知のとおり、女性の従事者が多い職場ですけれども、女性は勉強熱心というか、あるいはスキルアップの意識が高いという話も聞いております。聞いているだけではなくて、私自身もそういうふうに思っておりますけれども、スキルアップのための研修も、あるいは職員のモチベーション向上と、先ほどから申し上げておりますように定着促進に大いに寄与するのではないかと期待いたしております。
 今後も介護人材の確保定着に向け、さまざまな施策をいろいろな角度から展開することを強く要望いたしまして、二番目というか、二つしかありませんけれども、質問に移ります。
 もう一つは、安定した医療体制を構築するという視点から、先ほども田代委員からもお話がありましたけれども、医師奨学金制度を中心としたことについてお伺いいたします。重複する部分は割愛いたしますので、ご承知おきください。
 まず、都内の医療体制、あるいは、いわゆる医師不足についておさらいを含めて、要点を絞って何点か質問をいたします。
 確かに、東京は、いわゆる地方と比べますと、なかなかいい方が難しいんですけれども、恵まれているということでは決してないと思います。恵まれているということではないんですけれども、やはり充足率というか、そのことは、地方と比べれば、まだ状況は悪くはないと思いますね。この認識はそんなに間違っていないと思うんです。
 ですから、そういう状況の中で、昨年の都立墨東ERの事故などは、これは繰り返して申し上げませんけれども、やっぱり地方の方から見ると、なぜ東京で、あれだけ三次救急の数が多い、二十三カ所あるわけですけれども、そこであんな事件が起こっちゃうのかなというのは、無理からぬことではないかと思います。私が東京以外の人口の少ない県の県議会議員だったら、多分そういうふうに思うと思いますね。
 そういう状況の中で、現在の都内の医師不足の現状について、どのようにとらえていらっしゃるのか。また、具体的に、これはおのずから診療科目が絞られるわけですけれども、診療科目の現状を教えていただきたいと思います。

○吉井医療政策部長 都内の医師数全体は増加しておりますけれども、産科でございますとか小児科など、特定の診療科におきましては、分娩取り扱いを提出する医療機関でございますとか、小児科の救急医療が実施できなくなった医療機関も発生するなど、不足が顕著となってきております。
 全体の状況で申し上げますと、医師・歯科医師・薬剤師調査というものがございますが、平成十八年、都内全体の医師数は約三万三千人でございまして、十年前でございますけれども、平成八年と比較いたしますと一五%程度の増となってございます。
 一方、先ほど申し上げました産科、産婦人科の医師数を見ると、平成八年は千五百七十三人、十八年は千四百十一人。また、小児科医師数でございますけれども、平成八年が四千二百十七名、十八年が三千八百五人と、それぞれ一〇%程度の減少となってございます。

○門脇委員 数値を具体的に挙げていただいてありがとうございます。全体では一五%医師数が増加しているにもかかわらず、小児科あるいは周産期、産科では一割減っているということであります。この数字に、まさに都だけではありませんけれども、診療科目における医師不足の現状ということが、まさしく今、答弁していただいた数字の中にはっきりとあらわれていると思います。
 都に限らず、小児あるいは周産期、あるいは救急、僻地はちょっと診療科目ではありませんけれども、あと余り表へ出てきませんけれども、オペレーションのときに必ずいなければいけない麻酔医さんですね。この辺の不足の状況というのは深刻だと思うんですけれども、そもそも医師不足を招いた原因というものは、これも先ほど質問の中で一部出ましたけれども、幾つか改めて挙げておいていただきたいと思います。

○吉井医療政策部長 医師不足の要因といたしましては、平成十六年度に導入されました新医師臨床研修制度の導入をきっかけといたしまして、病院勤務医の長時間勤務による過重な負担でございますとか訴訟リスクの増大、さらには女性医師の出産、育児による離職の増加など、さまざまな要因が絡み合って生じたものではないかというふうに考えております。

○門脇委員 全くそのとおりだと思います。
 それに加えて申し上げれば、やはり患者側のモラルというか、先ほどもモンスターペイシェント、私、モンスタードクターというのがいるのは知らなかったんですが、モンスターペイシェントということについては、かなり以前から指摘されていることであります。
 それから、以前、病院経営本部の質疑のときに申し上げたんですけれども、医師のモチベーションを下げている原因というのはいろいろあると思うんですけれども、私はやはり二〇〇五年に起こりました福島県立大野病院産科医逮捕事件。あの先生、任意同行にもかかわらず、マスコミに全部顔をさらされたわけですね。結果的には無罪になりまして、警察も控訴しませんでしたけれども、ああいうことは本当に勤務医のモチベーションというのを著しく下げることだったと思います。
 それから、先ほど申しました過酷な労働条件ということですね。これはごらんになったと思いますけれども、これは東京の例ではありませんけれども、つい最近の新聞記事ですけれども、鳥取大学の医学部附属病院で、私もこれ、本当にびっくりしたというか、ショックを受けましたけれども、救命救急センターに勤務する救急医四人全員がこの三月末で退職をすると。この四人の中には、医学部の教授と准教授も含まれていると。
 教授たちは、地方の救急医療の現場は、これは東京じゃなくて申しわけないんですけれども、体力的にも精神的にも限界と訴えていると。それから、教授や准教授は、センターが壊れるぐらいのショックがないと現場の窮状が伝わらない、こういうこともいわれているわけですね。この教授はこういうこともいっていますね。住民が不安を抱くのは本当に申しわけない、私たちも好んでやめるわけではない、肉体的にも精神的にももう限界だと。
 これは繰り返しますけれども、人口の少ない鳥取県の大学附属病院の例でありますけれども、別にあすは東京だというつもりはもちろんありませんけれども、やっぱりこれは一つのケースとして、我々もちょっと重大にとらえていかなければいけないのかなと思っております。
 先ほど答弁をいただきましたけれども、そういうことを踏まえて、医師不足を解消するために、都は今日までどのような施策を実施してきたのか、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 平成十九年六月に、東京都地域医療対策協議会を設置いたしましたが、この中で、医師確保の現状と課題でございますとか対応策について検討を行ってまいりました。昨年二月に、医師の確保に向けた提言ということで取りまとめをいただいたところでございますけれども、その中では、病院勤務医の勤務環境を改善することでございますとか、離職した女性医師の再就業を支援すること、さらには医学部における定員増などを内容とするものでございました。
 都は、この提言に基づきまして、病院勤務医の短時間勤務の導入でございますとか女性医師の復職支援など、いわゆる勤務環境改善に取り組みますとともに、都が指定いたしました大学医学部の定員枠を拡大いたしまして、医師奨学金制度を創設したところでございます。

○門脇委員 詳しく申し上げませんけれども、今、お答えの中にもありました女性医師の復職支援というのは、私はとても重要というか、大切なことであると思います。特に、診療科目として大変厳しい状況が続いております小児科や周産期についての、私、ちょっと今、詳しい数字は出てきませんけれども、この診療科については、女性ドクターの比率がとても高いところだと思うんですね。ですから、今、結婚でそんなやめるということじゃないんですけれども、出産に伴って一時病院を離れると、また復職がなかなか難しいという現状です。
 確かに、大きな病院の中に保育室を設置して、女性医師の復職、子育てを応援していこうということはかなり以前からいわれていることでありますけれども、どうもちょっと調べてみますと、なかなか東京においても、総合病院の中に保育室が設置されているというのは、数が少ないというか、極めて少ない。これはすべて行政の責任だと、私、申し上げているわけじゃないんですけれども、ということだと思います。
 このことについては、また別の機会に取り上げていきたいと思いますけれども、さて、答弁の中にありました今回の医師奨学金制度の概略を改めて教えてほしいという質問項目だったんですが、重複を避けなければいけませんし、先ほど田代委員の質問の中にもありました。大体皆さん方もこの内容については、一大学二人、東京十三大学、月額三十万円、そして五年、六年と。あとは初期臨床が終わった後三年間、指定の小児科、周産期、救急、僻地に従事してくれれば、支給をしてきた奨学金が免除になるという制度ですね。
 私、ちょっと計算しましたら、十三大学掛ける二名掛ける二年度掛ける三十万掛ける、一年間ですね。二年度ですから。原資としてもかなりの金額になると思います。これについては、この後、数少ない質問ですけれども、お聞きしますけれども、制度としては大変いい制度だと思います。
 ところで、今回の奨学金制度については二つ種類があって、特別対応と一般対応がありますけれども、この資料を見ますと、順天堂大学で、特別対応五名という枠に、これは既に決まっていることだと思いますけれども、この順天堂大学、私、大変優秀な大学というか、大学医学部だと思います。先ほどちょっとお聞きしたら、順天堂というのは、医師の国家試験の合格率も多分一番高いんではないかといわれておりますし、私の住まいにしております隣の練馬区でも、練馬区民の皆さんの熱い思いにこたえて、順天堂練馬病院を、何年前になりますか、来ていただいたということもありますけれども、若干決まった経緯について、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 順天堂大学に決まった経緯でございますけれども、特別枠につきましては、都内十三大学に対しまして、都は先ほどありましたように一校で五名の要請でありますとか、二十一年度からの定員増、さらには小児、周産期、救急、僻地医療に九年間従事、こうしたような条件を提示させていただきました。
 大学からの申請をいただいて、それを吟味して、東京都地域医療対策協議会での意見をいただいたところでございますけれども、先ほど申し上げました都の条件に最も適合するものであった順天堂大学に決定したところでございます。

○門脇委員 先ほどは奨学金免除まで、一般対応の方は三年ですけれども、こちらの方は九年間ですから、大変長いですね。しかし、その反面、いわゆる学費についても全額負担をすると。生活費についても。これは一般対応三十万ですが、こっちの特別対応は月額十万ですけれども、金額は決して少なくないと思います。
 九年間というのは長いんですけれども、私は順天堂の選ばれた五名の皆さんには、これからの、五名というのは、全体的に見れば多い数字ではないんですけれども、この五名の皆さんに、先ほどの僻地などを含めた診療科目について、大いに期待をしているところであります。
 あともう少しですけれども、奨学金制度を在校生にも拡大する。今、答弁のあったとおりですけれども、今までの大学側の感触というか、いろいろとこの制度を新設するに当たって話し合いをされていると思うんですけれども、これはどうなのかと。
 それから、先ほど田代さんの質問の中にもたしかあったと記憶しておりますけれども、将来、大学ごとに選抜をして、希望者が、一般対応の方ですよ、各校二名ですけれども、それが非常に多い人がエントリーをした場合、都としては原資が必要ですけれども、一校二名を、例えばですけれども、もう少し拡大していくというような用意があるのかどうか。もちろんまだ始めていない制度ですから、やってみなきゃわからないという点はあると思うけれども、その点についてお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 まず、大学の感触でございますけれども、十三大学からそれぞれいろいろ意見をいただいたところでございます。医学生が小児科でございますとか、周産期医療を目指す後押しになるというような声が、肯定的な意見が多くあったところでございます。
 それから、枠の拡大というんでしょうか、これは、今後、応募等についても、具体的なところをやっているわけでございまして、そうした状況を踏まえて、仮にそういう形で非常に多くて、効果が高いということでありましたら、必要性が高いと判断される場合には、二十一年度以降の状況を踏まえて検討してまいりたい、このように考えております。

○門脇委員 検討していくということですから、期待いたしております。
 私は先ほど申しましたように、この四医療分野を選択する熱い思いを持った医学生がふえることをあわせて期待しているところであります。
 それから、通告はいたしておりましたけれども、都が定めている医療機関については、できる限り早く終結したいと思いますので、これについては割愛をいたします。
 それから、戻りますけれども、奨学金返還免除の三年ということについては理解をいたしますけれども、ここは非常にポイントだと思いますけれども、都として、三年間勤務してもらって、その後ということになるわけですけれども、先ほどから申し上げているこの四分野、小児、周産期、それから救急、僻地で、継続して医療従事をしてもらえるのかどうか。これは相手のあることですから、そこで誓約書を書かせるとか、そういうことではありませんけれども、期待を込めてお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 この三年の目的勤務でございますけれども、これは初期の臨床研修が終わった後の三年間を予定してございますので、この時期と申しますのは、医師にとっても、専門医の資格を取得するための時期でもございます。したがいまして、小児、周産期医療などの専門医になることによりまして、その後も引き続き当該分野の医療に従事していただけるものと考えております。
 都といたしましては、学生が都の地域医療について理解や知識を深めていただけるよう、教育の機会を与えていくことでございますとか、都が目的勤務として指定する勤務先の病院につきましても、本人が小児や周産期医療などの専門医としてキャリアアップしていけるような形で十分配慮していきたいと考えております。

○門脇委員 ありがとうございました。私の思いとほとんど共通するところであります。
 今回の制度は、医学部の五年次に選択をして、医学部二年間、それから初期臨床研修が、一般的には二年間ですね。三年のところも一部ありますけれども。それから、こういういい方はよくないと思いますけれども、免除要件の三年間と。合わせますと八年間になりますね。ちょっと計算、間違っていますかね。--七年ですか。ごめんなさい。二、二、三ですから七年ですね。失礼しました。だから、八年目のことになるんですけれども、ある意味、一期生の選択ということについても期待をいたしております。
 最後の質問であります。医師の確保ということについて、総括的にお伺いいたします。
 都民が医療に求めるのは、いざというときの安心であります。医療は不可欠なもので、すべてのリスクを解消するものではなく、また都民みずからが医療を知り、医師をはぐくむという姿勢が大切であります。このことについては、私、過日の一般質問で全く同趣旨のことを質問いたしております。
 とはいっても、医療そのものの提供というのは、医師がきちんと診療するところから始まるものであって、医師の確保というのは、先ほど七年ということを申し上げましたし、また、来年度から全国の医学部の定員が増加になりますけれども、結局一人前といったら失礼ですけれども、臨床医になるには大体十年かかるといわれているわけですね。ですから、長い目を持ちながらも、同時に喫緊の課題であると思います。
 今後、都の医師確保をどのように行っていくのか、その基本的な考えを局長にお伺いいたしまして、私の質問を終了いたします。

○安藤福祉保健局長 昨年の墨東の事案、そして救急に関しまして、受け入れ不能事例などが重なりまして、医療が最大の課題になっております。私ども、さまざまな施策を思い切ってやっておりますけれども、最終的には、医師の確保というところに必ず行き着くところであります。やはり医師の確保というのは、私どもの医療環境を整える上でも最大の課題だと思っております。
 よい医療、そして確かな医療を提供するためには意欲のある医師の確保が不可欠でありますので、都としては、議論がありました不足が顕著な医療分野を中心にしまして、将来を担う優秀な医師を育てること。そして、今いるお医者さんが働き続けられるような勤務状況を改善すること。さらには、東京の場合、女性医師の割合が全国で高うございますので、出産や育児などのため、一たん離職した女性医師の復職を支援することなど、これまで進めてまいりました医師の確保対策をさらに総合的に進めていく必要があると思っております。
 また、医師の養成、確保というのは、やはり、本来、国の責任で行うものでありますので、都は、より実効性のある総合的な対策を国の責任において講じるよう、引き続き提案要求していきたいと思います。
 こうしたさまざまなこと等を重層的に進めまして、都民の医療に必要な医師の確保に全力を挙げていきたいと思っております。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、請願二〇第一〇五号につきましては、病院経営本部関係もございますので、本日のところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第一〇五号は継続審査といたします。
 以上で請願の審査を終わります。

○東野委員長 次に、議員提出議案第二号及び第三号を一括して議題といたします。
 初めに、議員提出議案第二号について、提出者の説明を求めます。

○かち委員 それでは、東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例案の趣旨説明をさせていただきます。
 第二号議案、東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例案について、趣旨説明をいたします。
 条例第二条第一項のシルバーパスを利用できる対象として、多摩モノレール、「ゆりかもめ」を加え、第四条中、「費用として」の下に「所得に応じて」を加えるものです。
 多摩モノレールなどへの利用対象の拡大は、多摩地域などの高齢者から強く要望されているとともに、東京都市長会からも毎年要望されているものであり、その実現は急務です。
 しかも、既に高齢者への交通費助成を実施している政令市の中で、六自治体では第三セクターが運営する新交通なども対象としており、一刻も早く実施することが求められています。
 また、費用について、「所得に応じて」を新たに加えるのは、現行の住民税非課税者は千円、課税者は一律二万五百十円の二段階の負担だけでなく、課税者の中でも所得に応じた負担区分を設け、シルバーパスの利用促進が図れるようにするものです。
 具体的な所得段階と負担金については別途規則で定めるとしていますが、住民税課税者で介護保険料第五段階に当たる合計所得二百万円未満の人は三千円としたいと考えています。
 シルバーパスは、現在の負担制度に変わって以降、対象の人口に占める利用者の比率は大幅に低下し、ついに対象高齢者の半数が利用しない事態となっています。その原因には、課税者一律二万五百十円という負担があることは、東京バス協会などに寄せられる高齢者からの要望からも明らかです。
 他の政令市の中には、大阪市など無料制度を堅持している自治体もあり、一部負担を導入している場合でも、所得に応じた負担軽減の配慮がされており、都としても、少なくとも所得に応じた負担軽減を図るべきと考えます。実施に伴う財政負担は、平年度で四十億円と推計され、高齢者人口が増加しても、都の財政力をもって十分可能なものです。
 今日、高齢者の社会参加の促進を図ることが強く求められています。シルバーパスはその重要な支援策であり、利用の促進が図られなければなりません。各会派の賛同を求め、趣旨説明といたします。
 以上です。

○東野委員長 説明は終わりました。
 次に、議員提出議案第三号について、提出者の説明を求めます。

○斉藤委員 議員提出議案第三号、東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例につきましては、東京都シルバーパス条例の一部を改正し、そして第二条第一項中の「東京都日暮里・舎人ライナー」の下に「並びに多摩都市モノレール株式会社が運行するモノレール」を加えるとする。
 そして、日常生活の足として、地域住民にとって重要な多摩都市モノレールを運行する多摩都市モノレール株式会社を対象に加え、多摩地域の高齢者の社会参加促進を図る必要がある。
 特に、二十三区、区部に比べて、多摩都市モノレール沿線の六市をとれば、その六十五歳人口の増加率は、平成十二年から十七年の間、五年間をとってみても、二三%から四二%と大変高い増加率になり、高齢者の利用も今後さらにふえることが見込まれる。
 なお、多摩都市モノレールについては、そのモノレールの敷設により、それまで街路がなかった地域にも新しい住宅地ができ、そしてまた、それに伴う幹線道路、そしてさらに市街地道路などが完成し、地域の中心としてその駅が活用されている点をかんがみ、地域の活性化及び高齢者の日常生活の充実のために今回の多摩都市モノレールの利用に対する促進を図り、高齢者の生活の充実を図っていくものとする。皆様のご賛同をお願いいたします。

○東野委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○野島委員 せっかくの機会ですから、何点かお伺いいたします。
 冒頭、ちょっと委員長にもお願いしておきたいんですが、実は、私、大体三十分程度の質疑時間を予定いたしました。質疑ですから答弁も含めてというふうに認識をしているんですが、実は前回の共産党さんの提出議案のときに、質疑時間が大幅に多くなっちゃった。答弁があったんです。計算していなかった。あらかじめ質問取りをおれのところに来てくれれば、大体読めるんだけれども、それが何もないからね。そんなんで、極力終わるようにしますので、簡潔に終わらせたいと。
 ただ、オーバーした場合には、これはせっかくの機会で、審議の質、とりわけ議員提出議案なんて議員の命ですから、その質疑を高めるという意味で、ひとつご寛容をいただける部分があるとするならば。
 加えて、何かお話によりますと、吉田委員が向こうの提案者に質問するといっていましたんで、そうすると、また論点がはっきりしてくると思うんですよ。したがって、もしそういうことがあったら、その時間を私、最後の方に留保させていただきたいと思いますので、ひとつご了承をいただきたいと思います。
 それでは質問に入ります。この間、僕、病院経営本部の所管の清瀬小児病院の質問をしたんですよ。そうしたら後から、「赤旗」に横やりを入れたって書かれちゃった。きょう真っ正面からやりますから、決して横やりじゃないように、明確な答弁をお願いします。
 この事業が昭和四十八年一月に、三十六年前ですな。都電、都バス、都営地下鉄無料乗車券事業としてスタートした。このときも七十歳以上だったのかな。ちょっと私も調べるのが少なくて申しわけないがね。そのまま幾つか制度改正もされて、拡充され、今日に至っていると。こういうふうに承知していますし、これ、提案理由にもありましたけれども、高齢者の社会参加、あるいは移動の足の確保というのは、僕は極めて重要だというふうに思っております。そんな前提に立って質疑をしていきたいと思います。
 突然の話ですが、古池やかわず飛び込む水の音というのがありますよね。松尾芭蕉の有名な句があるんです。あれ、松尾芭蕉がたしか四十七、八歳のころの句なんですね。実は、この松尾芭蕉さんは、その句を出す年の前後ろ大体七、八年間、野ざらし紀行に出たんですな、日本全国。そのとき歩くしかないわけですよ。病気になったら、お医者さんがいるかどうかという心配、その中でやったというのは、僕はすばらしいと思うんですね。
 ただ、四十七歳、今に置きかえると大体七十歳ぐらいになるんじゃないか。そうすると、六十五歳から七十二、三の間に独自の松尾芭蕉の世界をつくったというのは、僕はすばらしいと思うんですね。やっぱり移動するということは大切だということなんですね。
 一方、六十五歳を高齢者というふうに定義したのは昭和三十何年だったかな。WHOが定義したんですね。三十何年、ごめんね、細かい数字がわかんなくて。当時、日本の平均寿命は六十七歳だったんですよ。だから、高齢者といえば、なるほどなんですね。今日それを置きかえますと、僕は大体七十五、六歳、むしろ八十歳近くになるんじゃないかと思いますね。だから、六十五歳をもって高齢者というのは、僕はいささかもう時代に合わないと思っている。
 私、ことし還暦で六十歳、おかげさまで。私の周りにも七十歳で元気なお年寄り、たくさんいますよ。ゴルフなんか、僕より飛ばすし、うまい人もいるしね。酒もがんがん飲む人もいます。そういう意味じゃ、そういう年齢的な区切りの状況が変わってきたのが一つあると思うんですね。
 一方、東京の例えば、鉄道等の移動手段、これも当時に比べたら、恐らく抜群によくなっちゃっているんじゃないですかね。そういう、いわば社会経済情勢の変化、こういったものに的確に対応しながら、施策の不断の検証をしていくというのは、何もこのシルパスだけの問題じゃないと思うんですね。
 したがって、私は本条例の提案をなされた民主党さん、あるいは共産党さんも同様の認識を持っているというふうに勝手に推測いたします。これは答弁結構でございます。
 もし異論があればいってくれれば、あと答弁のときにいってくれても構わないんですが、いわば、これは提案にあったように充実をどうしていくかという課題ですよね。それはそれで私の方も、認識を一にしているというふうに理解してもらって結構です。
 それで、最初にお伺いしたいのは、この条例案は先ほど財政負担があるというふうに伺いましたが、都の財政負担を伴う、いわゆる政策執行条例としてお出しになっているというふうに私はこの条例を見て理解をしているんですが、これで間違いないかどうか、それぞれにご確認をお願いいたします。

○吉田委員 それでは、答弁は簡潔にということでございましたので、前段いろいろお話がありましたけれども、簡潔に答えさせていただきます。
 予算を伴う条例案として提出させていただきました。

○斉藤委員 同じく予算を伴う条例として提出いたしました。

○野島委員 ありがとうございました。
 先ほど共産党さんは、プラス四十億という金の話も伺いました。民主党さんからは伺っていないんですが。提案理由ですからいいんですね。
 それで、この条例を施行すると、平成二十一年度、財政負担を伴う政策執行条例ですよというふうに伺った。冒頭、両方イエスといってくれたのね。そうしますと、当然のことながら、平成二十一年度に新たな財政負担が都に生ずるというふうに私は認識をしているんですが、いかがでございましょうか。双方お答えいただきたいと思います。

○吉田委員 本条例案が可決されれば、当然知事のもとで必要な予算の編成が求められるというふうに思っておりますし、我が党は、党としては、独自に予算の組み替えの提案を準備しているところであります。

○斉藤委員 本案件については、私どもは多摩都市モノレールの部分だけでございますので、最大で三億三千万円というふうに試算しております。
 そして、財源につきましては、十分に検討しましたところ、現在、多摩都市モノレールにつきましては民間事業者でありますので、当然のことながら都営地下鉄とまた扱いが違いまして、都営地下鉄の場合につきましては、公営企業者への都事業参加に対する支出として一般会計から直接支出をしておりますが、この多摩都市モノレールの場合は、福祉保健費の高齢社会対策費の方の支出が可能かと考えております。
 ちなみに、平成十九年度の高齢社会対策費においては不用額が百億六千万円が出ていることから、この予算の範囲内で対応可能とし、判断をさせていただきました。

○野島委員 共産党さん、よくわかりました。
 改めて確認させていただきたいんですが、民主党さんは、二十一年度に財政負担が生ずるという理解をしていいんですね。それは福祉保健局の金の中からやりくりして出しますよ、こういうことでよろしいですか。よろしければ--はい、わかりました。
 財源の話はわかりました。共産党さんは、財源については組み替え動議ということで、大変筋の通った話でありがとうございます。
 政策実現でありながら、持っている予算の中から政策経費として支出するというのは、アピール性が全然ない。これは別立てでちゃんと予算を確保しなきゃアピール性が全然ないですよ。金を持っているからその中で出せなんて、政策条例で幾らつけるというのは、改めて科目を起こすなり、予算の組み替え動議するのは当たり前の話です。認識が私と全く違うということだけを申し上げておきます。
 そこで、冒頭それぞれに確認をいたしました。一つは、財政負担を伴う執行条例であるということ。それで、共産党さんは、そのとおりです、おおむね四十億かかりますよ、それから、財源は組み替え動議を出しますよと。よくわかりました。
 民主党さんのご答弁は、大変申しわけないんだけれども、これ、答弁になっていない。僕、条例を読んでみたら、共産党さんは、この条例は平成二十一年十月一日から施行すると書いてある。それはいいんです。ただし、入れ込むのは一日ですよと。要するに、それをやって、準備期間を経て執行しますよと。したがって、財源組み替えをして、新規施策なんですよという位置づけだから、組み替え動議を出しますよ、大変筋の通ったいい話です。認めるかどうかは別だよ。
 実は、僕、条例を読んでいて、民主党さんの今の答弁、全然わからないんですよ。なぜわからないかというと、ここにはシルパスで加えますよ、財源はおおむね幾らですよ、それは福祉保健局の持っている銭の中から充当できるはずだと、一・五億、十億、(発言する者あり)三・五億。それも二十一年度必要なんです、こういっているんですね。そうですよね。これ、二十一年度必要なんて一個も書いていないです。
 だって、附則で、この条例は東京都規則で定める日から施行するでしょう。執行委任にしちゃっているんですよ、施行日を。執行に縛りかけてないもん。それで二十一年度に予算が発生します、金が必要です、出してください。そんな条例ないんです、そう思わない。
 僕が答弁者だったら、こう答えますよ。準備の期間もあり、長において財政措置をするとともに、それらも踏まえつつ、執行については、長に委任するために、附則として長委任条項を入れてございますと。施行日については入れてございますので、これは二十一年度発生するか、二十二年度になるかわかりませんと答えれば、条例、読めるんですよ。なってないもん。このとおりじゃだめですよ。そうでしょう。皆さん、そう思わないですか。
 これは執行条例なんですよ。僕は宣言条例なら、そんなことは全然いわないよ。縛りをかけずに、予算は必要だけれども、そっちから出しますよと。だけれども、縛りをかけずにやって、これ、執行はどうするの。仮に可決されて、再議に付すかどうかわからない。
 しかし、こういう状態で、仮に可決されて、再議に付せずに、せっかく民主党さんもこれから政権とる政党だから、都政の中で大きな役割を務める政党だから、やっぱりこの際、少しはちゃんとやらなきゃと思って、行政手続上や財政上の手続も何もなしに、わかりましたとはいえぬでしょう。僕はそう思いますよ。どうですか、撤回したら。

○斉藤委員 撤回の予定はございません。

○野島委員 わかりました。大変ご無礼なことを申し上げました。せっかくお出しになったのにね。だとするならば、その辺のところはぜひしっかりと検討してください。まだ最終日まで日にちがありますから。別に提出議案の撤回は、何もこの場で明言しなくたって、いつでも対処できますから。余りこういうみっともない条例を出すと、政策担当能力を疑われちゃうよ。そのことだけ私、申し上げておきたいと思っております。
 ところで、追加事業体は、民主党案では多摩都市モノレールだけなんですね。共産党さんは、加えて「ゆりかもめ」も一緒ですよ、こうなっているんです。それぞれ見解を伺いたい。
 先ほど多摩の振興も含めてという話を伺いました。それから、多摩に格差があるから、そのぐらいはやって当たり前じゃないかという話もありました。共産党さんは二つ出しています。その違いを、僕はよくわかんないんで、ちょっと教えてくれますか。改めて、済みません。

○吉田委員 シルバーパスの場合には、やはり実施の場合には、これは対象、これは対象にしないという不整合というのは、行政としてはあってはならないというふうに思います。両者とも第三セクター、監理団体としての運営であり、いわば新交通としての生活であると思います。
 多摩モノレールを対象にし、他は対象にしないということは、やはり整合性が合わないことであり、しかも、実際上の要望においても、趣旨説明では多摩地域のことだけを紹介いたしましたけれども、「ゆりかもめ」についても、沿線の都営住宅などにお住まいの方から、ぜひ「ゆりかもめ」についても対象にしてほしいという要望がありますので、当然両者を対象としたものであります。

○斉藤委員 当会派の方でこの議論になった際に、「ゆりかもめ」の方は、先ほど老齢人口の増加という話がありましたけれども、「ゆりかもめ」の沿線と思われる千代田、中央、港、江東区の四つの区のここ五年、平成十二年から十七年の五年間の増加率については、一番低いところでプラス一一%、高いところでプラス二六%。それに対して、多摩都市モノレールにつきましては、先ほど披瀝をいたしましたが、プラス二三%からプラス四二%と比較的高い高齢者の増加率になっております。
 加えて、「ゆりかもめ」につきましては、台場方面に行った際に居住者が非常に限られていると。それに対して、多摩都市モノレールにつきましては、北端の上北台から南端のところまで住宅地がところどころに点在して、住宅地とおぼしきところが比較的広く広がっているという点が非常に大きな違いであると。
 同時に、観光的な、もしくはビジネスユースについては、「ゆりかもめ」の方がやはり上回っていることに対して、多摩都市モノレールにつきましては、住宅地の中を通るという確率が高いということで、そこに居住する高齢者のことをかんがみて、まず多摩都市モノレールを考慮するべきであるという結論に至りまして、多摩都市モノレールに限定いたしました。

○野島委員 共産党さんの話はよくわかりました。要は、高齢者をやって、三セクであろうがなかろうが、そういう部分でやっていきましょうと。これは既にバス協会が窓口でバスをやっているわけですから、その延長線上の話と。
 民主党さんの話もよくわかりました。増加率の話の総量の問題で少ないよということですよね。
 制度というのは、一つつくりますと、これは後で聞きますけれども、選択的に、その年齢になったから確実にこのパスを買うというか、利用しますよという制度になっていないんですね。これは使う人が使いたいときに使うんですよ。そうすると、増加率ということにかんがみて、実はオール都民にかぶせるべき施策がそこで入り口とめちゃうんです。
 結果として、私は使います、使いませんはあっていいんです。これは選択肢的なサービスだから。最初からとめちゃう理由が僕にはどうもわからない。共産党さん、理由わかりましたか。後でまた質疑か何かすればいいんだろうと思うんだけれども、そこが僕はわからないということを、疑問を呈しておきます。
 現場を調査したり、いろいろしたご苦労は、真摯な取り組みは敬意を表しますけれども、制度としてやるときに、そういう形のものというのはあり得ないんじゃないかなと。あり得ないんじゃないかと僕は思うんですよ。
 先ほど財源の問題で、ここから出すよといいました。そこはそこで心配しているんです。ところが一方、制度として、こういうところをつくるときに、その絡みがあるかどうかは別にして、実態として、利用者が増加していないから入り口でシャットアウトですよというのは、僕はいささか乱暴なロジックだと思うよ。
 逆にそういう制度をやると、今度都内から、多摩格差、多摩格差っていつも騒いでいるけれども、制度の中で私たちに格差をつけているんじゃないですかというふうになっちゃう。僕はそこを疑問に思っているんです。
 そこで、今、民主党さんは、多摩都市モノレールは加わりますよと。それで両方加わります。実は、多摩都市モノレールはご案内のとおり、東京都が八〇%近く出資していますが、沿線自治体やほかの交通事業者が出資している。そういう意味では、意思決定主体が全く別の事業体なんですね。「ゆりかもめ」の資本構成、僕、知らないです。勉強不足で申しわけない。だけれども、恐らく別人格ということであれば、全く同じだろうというふうに思いますね。
 そこで、本条例を執行しますと、少なからず事業者にいろんな課題、僕は問題とはいわないんです。物を進めるに当たって、いろんな与えられた課題が出てくると思うんです。どういう事業体制をとらなきゃいけない、これも大きな課題です、まず一つは。それをちゃんとやらないと実効性が担保できないです。シルバーパスがあって、乗ることができない、こうなっちゃまずいわけですから。
 それで検証はいかがかというようなことを聞きますと、これは失礼な話になっちゃう。我々議会、基本的に審議側ですから、条例提案者に執行側を乗り越えて、こういう制度で大丈夫なんですとかあり得ない話だから、そういうことをやっちゃいけないんです。のりを越えちゃいけない。したがって、そのことはお聞きしません。
 ただ、課題だけは恐らく認識されていると思うんです。こういうことをやることによってどうなるかという。やっぱり課題程度はございましたら、ひとつ提示をいただきたいと思います。それぞれにお願いします。

○吉田委員 課題という点でございますけれども、例えば、それに伴って新たな対象路線を運営するところがパスの発行を担うのかというふうなこともあるかもしれませんが、現行では、東京バス協会が発行実務を基本的に担っているということを考えれば、新たな発行作業等が負担としてかかることはないんではないかと。
 もちろんシルバーパスを通して、利用される方への対応という問題は若干課題としてあるかもしれませんが、私はそういうことがあったとしても、しかし、結果として、シルバーパスが対象になり、それに対して必要な財源保障もあることによって利用者が増大するということになれば、多摩都市モノレールの経常で見れば、プラスということの効果の方が大きいんではないかというふうに考えております。

○斉藤委員 課題というところでいいますと、やはりシルバーパス対応にする改札機となりますと、どうしても鉄道事業者の駅の改札部分の方に工事の部分、設備設置の手間がかかるということでありますが、これにつきましては事業者との十分な調整が当然必要となってまいります。
 もちろん既にIC化されており、システム改修に対応できるものと見ておりますし、また費用につきましても、数百万から一千万程度というふうには見込んでおりますが、どうしても改修の際には鉄道事業者のご協力をいただき、また同時に、工事の際に利用者の方にご不便がかかってくるなどの具体的な手間というところで、いろいろご協力をいただかなければならないという点が、やはり最終的には課題となるんではないかと思います。

○野島委員 ありがとうございました。多くの課題を抱えていると思うんです。私の知る限りでも、今のバス協会の場合のこういったふうな各社の配分の問題、それから、今度、都市モノの場合に、それをどうするのか。バス協会だって、配分先はそれぞれ法人格、営利法人です。恐らくバス会社ですから。多摩モノもそうなんですね。だから、会計処理がどうなのかというのがあるんですね。これは僕、企業会計はよく知らないんだけれども、運賃として入る部分なのか。補助給付というのは企業会計じゃないんじゃないかな。寄附金として入っちゃうと思うんだよね。
 それから、設備投資をしますよと。これは圧縮記帳になっちゃうんじゃないかな。償却落っこっちゃうんです。償却落ちるということは、経費率が上がらないんです。そうすると、逆に利益率が上がっちゃうんです。今、多摩都市モノレール、再建期間中ですから。
 そういう会計処理上の問題も、多摩都市モノレール、どう考えても、僕は心配なんですよ。それは冒頭申し上げたように課題として認識されているということであれば、それはそれでいいと思います。
 それから、今、いったけれども、多摩都市モノレールの資本構成は、京王電鉄とか西武鉄道、これも出しているんですね、鉄道事業者が。恐らく西武はバス路線ないよね。京王も--持ってるの、(「西武はあります。バスありますよ。」と呼ぶ者あり)あのルート上に、多摩都市モノレールのルート上、あるいはそれを横断する形で。(発言する者あり)まあ、いいんですけれども。
 そうすると、バス会社というのは、今、物すごくきゅうきゅうとしているんですよ。もう赤字体質ですから、願わくば、やめちゃいたいと思っているのが実情なんです。しかし、公共交通機関として、耐えて耐えて何とか赤字にならないように努力をしているんです。
 これ、東京都が事業を実施しますね。そうすると、そちらに高齢者の方が流れますよと。それはそれでいいんですよ。一方、その分というのは、こちらの路線は人が減っちゃうんです。これ幸いにやめちゃいましょうと。そうすると、高齢者はそっちに行くからいいんだ、シルバーパスで。全部が全部クリアできる路線かどうか知らないけれども。ほかの人は持っていないから、バス代の方が都市モノよりたしか安いよね。だから、都市モノ、今度、おれにもパスくれれば、そっちを使うようになるんですよ。バス会社、これ幸いとやめちゃうケースが出てくると僕は思いますよ。
 そういう民間事業体、あるいは別法人の事業体にかかわらず条例を出すときには、よっぽど慎重にしないといけないと思います。それは課題として、僕は認識してくれていればいいんです。それ以上のことじゃないですから。だから、そんなところを僕はすごく気になっていたんです。
 最後、共産党さんに、最後というか、また質疑するかもしれないんで最後という言葉はなし、伺うんですけれども、この基本条例、これ、社会保障条例という位置づけですか、カテゴリーとして。

○吉田委員 地方行政に造詣の深い経験豊かな野島副委員長のご質問ですから、ちょっと戸惑うんですけれども、そもそも条例のジャンルで社会保障条例というふうな分け方をしているのかどうかという認識が私自身ないんです。ただ、分野的には、やはり福祉分野の条例であるというふうに認識しております。

○野島委員 私もそう思っているんです。福祉という大きな傘の中で、社会保障もあれば、そうでない事業もありますよということですね。私が社会保障条例なのかといったのは、法令上、執行側がこれをやることによって制約されると。それは、例えば、上位法があって、介護保険にしたって、年金にしたって、みんなそうですよね。そういう部分でないことはたしか。
 だから、ある意味では、僕は選択肢的な福祉施策だろうと、そういう条例だろうと思っているんですね。そういう意味でいけば、恐らく今、福祉条例とおっしゃいましたから、広い部分での福祉条例ですよと。わかりました。
 それで、所得によって負担額を設定する根拠。それは先ほどそうすることによって、利用率が落っこったから、それを引き上げるんですよという効果があるやに聞いたんですが、ちょっとその辺の見解をもう一度お聞かせいただけますか。

○吉田委員 趣旨説明とダブるかもしれませんけれども、現在の千円と住民税課税一律二万五百十円ということを導入しても、当時、たしか福祉保健局は、利用者は減ることはない、伸びるということを委員会資料などでも明らかにいたしました。
 しかし、現実のこの間の推移を見れば、たしか二〇〇〇年で対象人口比の利用率が約六割ちょっとだと思うんですが、最近のデータを見ますと五〇%を切るという事態になり、やはり制度として多くの方々が利用できるということがこうした制度の場合には必要だと思うんですね。
 そのためには、やはり少しでも利用負担を軽減し、所得に応じた中間段階を設定するということが必要だと思いますし、かつ趣旨説明でも述べたとおり、他の政令市などの事例を見たときに、何段階に分けて、しかも二万円を超えるような設定をしているところはないということから見て、このような提案をしたところであります。

○東野委員長 野島副委員長、時間になりましたので。

○野島委員 はい、いわば社会保障財源としてということであれば、僕は理解できるんです。区切りを導入するのは、さっき保育所制度で述べたと同じ理屈で。
 だけれども、これは選択肢的福祉サービスなんですよね。それで、そこのカテゴリーにあるよというのはお互いに理解できた。それで、なぜ税制を援用して区切りをつけなければいけないのかというのは理解できない。財政規律として、僕、余りそういう話は聞いたことない、勉強不足だけれども。
 いわば、それを突き詰めていくと、例えば、電車賃だってそうなんですよ。公園の入園料もそうよ。あなた、所得がこれだから。あれも選択的行政サービスだから。公園とか遊園地もね。割り引いているんですよ。だけれども、あなたの所得を見せてくださいといわない。所得が低いからもっと低くします、あなた、所得を持っているんだから減免しませんよ、それはないんですよ。それは本来の制度論としては、僕は容認できない部分であると、財政規律から見て。恐らく執行側もそんなところは同意できるんじゃないかと思います。
 以上で質疑を終わります。
 冒頭申し上げましたように、これから吉田委員との質疑があるそうでありますが、委員長のお許しをいただければ、もし課題が残っていれば、質疑を留保させていただきます。

○野村委員 最後に、予定していないんですが、この条例案の取り扱いについて、ちょっと執行機関にお聞きしたいことがあるんですが。

○東野委員長 はい、手短に最後にね。

○吉田委員 野島副委員長から、行政の経験者としてなかなか原則的なご質問がありましたけれども、私は民主党さんがいろんな経過があったにせよ、多摩都市モノレールに限定するという点では我々と違いはありますけれども、そういう提案をされたということは、やはり貴重なことだというふうに、大いに歓迎したいというふうに思っております。
 ですけれども、ただ、せっかくですから、できることならば、利用者の拡大を考えるならば、多摩都市モノレールへの対象拡大だけではなくて、やはり負担軽減ということになぜ賛成していただけないのかということを思うわけです。
 せっかくの機会ですから、我々の提案について、所得に応じてを導入し、具体的には、例えばとして、一定の所得段階で三千円程度の負担を設定して、より多くの人が利用しやすいようにすべきではないのかということについて、どのようにお考えなのか。もしそれが認められないとしたら、どういう理由なのか。せっかくですから教えていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

○斉藤委員 吉田先生の大変光栄な質問で、お答えさせていただきます。
 私ども議論の最初に、「ゆりかもめ」と多摩都市モノレールの部分での一つ比較がございまして、そして、その中で多摩格差は、先ほど医療の話では随分ありましたが、交通の部分も多摩の大きな課題として突出したものだろうということで、それに何らか少しでも支援ができればということで、多摩都市モノレールに関しては、比較的会派の中で同意を得られた方がたくさんいらっしゃいました。
 そして、「ゆりかもめ」の話の段に移ったときに、割と地元の地域の選出の議員の声も入った中で、「ゆりかもめ」の路線からしてみると、住宅地のあるところが割と偏っていると。そしてまたそこの部分で、バス路線などについてもかなり補完的にできる地域があそこは比較的集まっているんではないかという話がありまして、逆に私ども多摩の人間からしてみれば、地元の方の一つの意見として、そのように私どもも解釈をいたしました。
 さらに、費用面に関しましては、当然のことながら負担が小さい方が利用者にとってみれば大変ありがたい部分なんでありますが、もちろん不用額の中でその予算が出せるといっても、また先ほどのほかのバス路線への影響など少し未知数の部分がございます。
 なお、その部分で「ゆりかもめ」にしてみましても--また多摩都市モノレールにしても、もともとが最高額で、最初百円の駅区間料金なんですが、一番大きいところだと四百円ということで、大変幅が大きい。これは実はほかの路線、京王線や小田急線などと比べて、十六キロという区間の割には非常に割高になっているということで、まず少しでも下げていこうと。
 ただ、そのときに、さまざまな周辺との影響などを考えたときに、まず今よりも少し負担を小さくする。ただし、所得のある方は、ここですと大体年収二百万円あたりの方を想定した話でありますが、そのあたりの年収の方でありましたら、少し負担を伴って乗っていただいても、多摩都市モノレールの近圏であれば、ある程度軽減措置にはなるんではないか。
 ただ、先ほどいいましたように、最初から負担が極端に小さくなるようなものですと、影響が非常に大きいですので、そこは少しかんがみまして、自己負担をいただこうということに議論がなりました。
 以上が経過でございます。

○吉田委員 ちょっと私の質問に対する答弁として、十分理解できない面があるんですけれども、終わります。

○野村委員 条例案の取り扱いについて、理事会でご検討いただいているかと思うんですが、予算を伴う条例の場合、条例は厚生委員会、また予算については予算特別委員会。時期的にずれても同じ会期中ですね。同時にやってもいいという地方自治法上の規定があったかと思います。
 それに基づいて議会はやっているわけでございますが、今回このような予算を伴う条例案が万が一可決した場合、今、当初予算、審査中でございますし、条例の施行日についても、四月一日から規則は施行すると書いてあります。その辺の考え方、議論じゃないんです、考え方をお聞かせいただきたいと思って、もし委員長においてその取り扱いをご存じだったら、委員長にお答えいただき、もしご存じなければ、総務部長あたりに聞かせていただきたいと思うんでございます。
 私のいいたいことは、予算を伴う条例案を提案した会派は、当初予算の予算特別委員会で、この予算について何かしら提案しなきゃいけないんではないかと思うんでございますが。(「しますよ」と呼ぶ者あり)だけれども、共産党は予算を否決するじゃないですか。予算を伴う条例案を提案しておいて、最後は一般会計予算全部否決と。ちょっとそれ、論理的におかしいんじゃないかと思いまして、その辺、まず取り扱い上の、地方自治法上の定めを説明していただきたいと思います。これを踏まえてなきゃ、こんな議論したって始まらないんだよ。前提で、要点をきちんとみんな認識して、共通の認識で始めなきゃいけないんですよ。

○松井総務部長 これは行政実例によりますけれども、知事の予算提案権は知事に当然専属いたします。一方、議員の条例提案は、この知事の予算提案権の適用は受けません。しかしながら、その趣旨を損なうことのないよう十分な調整が図られるべきだということでございます。

○野島委員 だから、質疑を留保しておいたんだけれども、許されればそこをやっておこうかなと思ったんです。許されればね。

○佐藤委員 質問者はそれで納得したんですか、今のは。

○野島委員 冒頭いったのは、僕はその件があるから、やりとりの最後に質疑を留保したという経過はあります。

○東野委員長 むしろそれは冒頭なんじゃないですか。

○野村委員 疑問を残したまま、委員会が終わっちゃいけませんから、この辺は今後、我々が十分理解しなきゃいけない話なんです。

○東野委員長 ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕

○東野委員長 では、速記開始。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時五十分散会

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