厚生委員会速記録第十七号

平成二十年十二月十一日(木曜日)
第七委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十三名
委員長東野 秀平君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事松下 玲子君
理事野上 純子君
理事山加 朱美君
西崎 光子君
橘  正剛君
斉藤あつし君
田代ひろし君
門脇ふみよし君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長鈴木 賢二君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長松浦 和利君
健康安全部長梶原  洋君
事業調整担当部長蒲谷 繁夫君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長芦田 真吾君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長月川由紀子君
参事日置 豊見君
参事大久保さつき君
参事飯塚美紀子君
参事菊本 弘次君
参事別宮 浩志君
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長都留 佳苗君
経営戦略・再編整備担当部長黒田 祥之君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 病院経営本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百五号議案 平成二十年度東京都病院会計補正予算(第一号)
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
 福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百四号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第二百二十六号議案 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
・第二百二十七号議案 東京都立老人医療センター条例を廃止する条例
・第二百二十八号議案 老人総合研究所の助成等に関する条例を廃止する条例
・第二百二十九号議案 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
・第二百三十号議案 食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
・第二百四十五号議案 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
・第二百四十六号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビルカプセル)の買入れについて
・第二百四十七号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
・第二百四十八号議案 東京都石神井学園外五施設の指定管理者の指定について
・第二百四十九号議案 東京都品川景徳学園外一施設の指定管理者の指定について
・第二百五十号議案 東京都八王子自立ホームの指定管理者の指定について
・第二百五十一号議案 東京都視覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
・第二百五十二号議案 東京都聴覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
・第二百五十三号議案 東京都清瀬園の指定管理者の指定について
・第二百五十四号議案 東京都清瀬療護園の指定管理者の指定について
・第二百五十五号議案 東京都日野療護園の指定管理者の指定について
・第二百五十六号議案 東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
・第二百五十七号議案 東京都八王子福祉園外三施設の指定管理者の指定について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第三十号 高齢者の医療費の助成に関する条例
・議員提出議案第三十一号 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例

○東野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の付託議案の審査並びに病院経営本部関係の報告事項の聴取を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百五号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 去る十一月二十八日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます資料1、厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、都立病院と主要県立病院及び政令指定都市立病院における医師の給与比較(団体別)など四点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院と主要県立病院及び政令指定都市立病院における医師の給与比較(団体別)でございます。
 総務省作成の平成十八年度地方公営企業年鑑に基づきまして、都、主要県及び政令指定都市が運営する病院における医師の平均給与月額について、団体別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都立病院における産婦人科及び小児科の医師数、助産師数、病床数、NICU病床数及び分娩件数の推移でございます。
 平成十一年度から平成二十年度までのそれぞれの推移を記載しております。
 三ページをごらんください。3、都立病院における産婦人科及び小児科の女性医師数(平成二十年十月一日現在)でございます。
 産婦人科及び小児科の常勤医師数とそのうちの女性医師数を診療科別に記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立病院における周産期母子医療センターの受け入れ状況、NICU稼働実績及び夜間当直医師の配置状況の推移でございます。
 平成十七年度から平成十九年度までの周産期母子医療センターにおける母体と新生児搬送別受け入れ状況、NICUの病床数と病床利用率及び診療科別夜間当直医師の配置状況をそれぞれ病院別に記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 委員長そして理事会からも、良質な質疑を、しかも手際よくするようにというご下命をいただきましたので、良識の中で進めさせていただきたい、なるべくむだな時間を省いて進めさせていただきたいと思います。
 墨東病院を中心とする都立病院、せんだって問題になりましたが、周産期医療体制の整備、これについて何点か伺いたいと思うんですが、さきの厚生委員会の事務事業でも申し上げましたが、今回の墨東病院における妊婦さんの死亡事例、高度の医療機関が集中して最も医療資源が豊富であるというこの東京で、しかも、妊婦さんにとっても、また胎児にとっても最後のとりでである総合周産期母子医療センターにおいて発生した。何といっても、ここ以外に助けを求めるところがないというところでこういうことになってしまった。これは、逆にいうと、日本全体が持っている周産期の救急体制の脆弱さというものをあらわした、残念ながらそういう結果になってしまったわけですね。
 そもそも、母体の救命救急それから周産期救急、この間にきちっとした連携というものがとられて、そういうものの整備ができていればいいわけですけれども、これは、今までそういうことが全くなかったとはいえませんけれども、ここまできちっと救命救急が進んで、そして周産期が進むということは今までなかったわけで、それぞれの場所でのシステム、あるいは質の向上というものは当然図られているわけですが、日々改善されているわけで、この両者をうまくつなぐというのが今から必要になってくる、これを示唆しているわけですね。
 もともと、周産期救急と母体の救命救急、これが一体であるのは当たり前なんですが、それぞれが不十分で一体化しても何にもならないのであって、物の順番としては、まず救命救急というものがあって、そして周産期というものがあって、そして、それが両方でき上がった段階というか、でき上がりつつ両方で提携していく、こういうことをしていかなくちゃいけない。そういうために産科婦人科学会と日本救急医学会、これがPTをつくったりして作業を始めているわけですけれども、これも今すぐでき上がるものではない。
 なかなかこれは現場で難しいので、お母さんを助けるのか、お子さんを助けるのか、我々病院でも一番そこが問題になるんですけれども、お母さんは当然のことながら赤ちゃんをお願いしますという。救命救急の医者からすれば、何しろお母さんを助けなくちゃいけない。ある意味では患者さんの希望を無視するところも出てくるということも現実にあるわけですね。
 ですから、こういうものを、トリアージという言葉は非常に不適当で合いませんけれども、いわゆる生命をどっちから順番に手をつけていくかというのは、ケース・バイ・ケースで全部違いますし、そのケース・バイ・ケースをジャッジする能力がある医者を育てていくことも物すごく必要なことになっていくと思うので、ただ作業部会が始まれば両方の学会でしゃんしゃんしゃんでいくかというと、そういうわけではないわけですね。
 今、我が国の妊婦さん、死亡率というのが、昔は十万件に百七十六・一であったわけですけれども、逆にいうと、それが、徐々に徐々に、病院で、大きなところで赤ちゃんを産むということになってきたものですから、だんだん逆転というか、産む場所が違ってきたものですから、その逆転によって、二〇〇七年には三・一人、非常に少なくなってきた。逆にいえば、我が国ほど妊婦さんが亡くなる率が少ないのは世界じゅうにない、比べようがないほど非常に質が高くなっているんですが、その逆にいうと、やはり出産までに十四回ぐらいきちっと事前に健診を受けなくちゃならないのに、それを全く受けないような方が、奈良県でもああいう事件があったわけですね。
 まだまだ国は、今まで五回しか出していないものに対して、健診に対して、今から十分手厚いものを予定していくわけでしょうけれども、現実に経済的な問題とか、やはり一番大きなことは、お産というものに対する知識の普及というものが非常に滞っている。それは、今までは核家族でないところでいろんなお産の話をされたものが、逆に、若いご夫婦だけで住まわれて、妊娠ということになると、それにどう対処していいかわからない。知識というものの普及が足りないところもあるかしれません。いろんな問題も、そこではお産を取り巻く状況があると思うんですけれども、現実に、すべてひっくるめて、今度の東京のように、きちっと事前に健診を受けていたにもかかわらずということだけではないこともあるわけで、すべて同じケースではかるわけにいかないわけですね。
 ですけれども、それはそれとして、妊婦さんたちのいわゆるお母さんとしての心得、妊娠中の教育というものは、当然、病院経営本部というより福祉保健局で一生懸命やっていただかなくちゃならないわけですけれども、そことプラスしても、何といっても世界で一番死亡率が低くなってきた。だからいいというわけじゃなくて、さらにゼロを目指していかなくちゃいけないわけですが、その中で、今、問題ではないんですけれども、一番重要な取り組みをしていかなくちゃならないのは、NICUを中心とした低体重のお子さん方。昔は、そのときそのとき、我々が医者になったときと毎年毎年リミットが変わってきて、少なくとも、千グラム以下なんというのは我々のときには想像もできなかったんですけれども、今は別にそれは珍しいことではなくなってきた。それだけ医学が進んできたわけですが、そういうお子さん方に対する高度の周産期の医療のニーズというものが非常に高まっているわけで、そこを当然乗り越えていかなくちゃいけないわけですね。だから無理だというわけにいかないわけです。
 ここの振り分けみたいなものを、ただ病院経営本部だけがやればいいわけじゃなくて、これは福祉保健の問題でもあるし、また、東京都、一都道府県の問題ではなくて、国全体が考えていかなくちゃいけないことで、病院経営本部だけが何か責められるようなことではないと思うんですけれども、しかし、逆にいうと、病院経営本部が一番旗を振りやすい場所にいるわけで、現実、現場を預かっているわけですから、そういう気持ちでは対応していただきたいと思います。
 せんだって新聞報道にも同じようなことが書かれていましたけれども、いわゆる低出生体重児の出産というのは幾つかの理由があって、子宮機能の低下、これも一つあります。それから不妊治療、これは今、非常に拡大傾向があって、一時は不妊というものに対しての治療がごく一部の病院でしか、東京でも、ある信濃町の大学でしかできないなんていう状況があって、非常にお母さん方、お父さん方が苦しまれていたわけですが、おかげさまである程度予算もつくようになって、しっかり社会の中で、まだ定着したとはいえませんけれども、かなり見られるようになった。
 逆に、その結果、副反応というわけじゃないんですけれども、多胎の妊娠、双子さんであるとか三つ子さんであるとか、そういうお子さん方を妊娠するようになったわけですね。いわゆる母体からもらう栄養の分が、一人より二人、二人より三人ですから、少なくなってくる。しかも高齢出産。こういうものがとても多くなったわけで、実際、厚生労働省が行った二〇〇六年の人口動態調査によりますと、低出生体重児を出産する割合は、四十五歳以上の方が一六・二%、これが一番多いわけですね。以下、四十歳から四十四歳が一三・三%、三十五歳から三十九歳が一一・一%、こうなっているわけです。女性の初産の平均年齢が全国最高の三十・七歳である。これは東京都が一番高いわけですけれども、こういうことで、いろいろ周産期を取り巻く問題が昔と比べて変わってきたわけです。
 しかも、一番大きな問題は、きのうですか、Aiのときに申し上げましたけれども、医療と司法というものの分離が全く日本ではなされていない。これは医療法がそういうもので、我々がやっている医療行為も傷害罪の中の免責なんですね。医療法という法律は、当然ないわけですから、その中で、医師免許を持っている者が患者さんの希望を受けて針を刺したりおなかを切ったりするということは傷害罪の免責を受けるという形ですから、そこが発生学的にちょっと司法と医療の分離ができないという問題があるのかもしれないんですけれども、やはり訴訟のリスクというものを--訴訟のリスクがなくていいとは僕は全然思わないんですね。当然、間違った医療であったりミスがあったりする、それはもう厳罰に処せられるのは当たり前ですけれども、ともすると、どっちだかジャッジがつかないものを、でも自分は勇気を持ってやりたいと思っても、全体の組織の中でなかなかできない。そういうことになると、そんなに重症な人を、今こんな重たいときに受けていいのかというようなプレッシャーが、自分あるいは周りからかかってくれば、当然なかなか救急を受けることができない、こういうことがあるわけですね。
 現実に今、ドクターも足りない。何といっても医師不足が顕著化しているわけですけれども、これも、今国が医師をふやすといっても、いつもこの委員会の先生方も同じことをおっしゃいますけれども、意識は一致していると思うんですけれども、ぱっと医者をふやしても、あしたからよくなるものじゃないということはどなたが考えてもおわかりになることで、やはり医師が一人前になるには最低でも十五年はかかるわけで、十五年の間にどんどん問題は進んでいくわけですから、そういう中では、やはり病院経営本部としては、医者をふやすことで済ませるわけではなくて、また後でお答えをいただくと思いますが、地域の医師会あるいは地方にいる先生も含めて医師の活用をうまくやっていく。ということは、イコール、看護師さんたちあるいは事務の方々、そういう周りを取り巻くクラークの人たちをうまく組み合わせていく知恵がまさしく行政の知恵だと思うんですね。
 いろんな考え方があると思いますけれども、今、東京都の産婦人科の先生たちのマンパワーが、僕は足りないとは思っていないんです、実際。うちの大学の産科の部長に話を聞いても、それから、よくテレビに出る中井といううちの、永山病院の、うちに来てもう随分長いことやっていますけれども、彼にいわせても、足りなくはないんですね。足りなくないような努力を我々医者がしていないということがまず一つです。
 もっともっとコミュニケーションをとって、開業医と我々大学の医者が年がら年じゅうコンタクトをとれるようなシステムをつくることがまず重要だし、そして、プラスして、看護師さんたちにある程度責任と権限を持っていただく、そういうシステムをつくっていくことが--医師が動かないと看護師さんが動いちゃいけないという今の医療制度ではこれは不可能ですから、ある程度信用して看護師さんたちに先に動いていただく。そして、その責任は分担してみんながとっていく。
 かなり昔の話ですけれども、点滴を間違えると、そのときの指示をした医師ではなくて、点滴をした看護婦さんが、当時は看護婦さんですね、処分されるというようなことがありましたけれども、それはもう完全なミスであれば別ですけれども、やはりそれも、管理体制という中では医師も責任の一端があるべきものであって、みんなでそれをカバーできるような責任状況というものをつくっていかなくちゃならない。
 しかし、それができないうちで医師を幾らふやしても、それこそ倍にふやしたって今の状況は変わらないと思うんですね。みんながおっかなくて手を出さない。法律違反になるから嫌だということと、それから、それぞれの医者が自分の合った時間しか動けないということになれば話にならないので、前も申し上げましたけれども、奈良のときに申し上げましたけれども、それぞれの医師も医療スタッフも、GPSをちゃんと備えたベルを持っていて、どこで何をやっているかということがわかるような状況にしていただかなくちゃならない。逆に、そういうものを装着するのが嫌だという者は看護師さんにも医師にもなる必要はないわけですから、そこをきちっとモデル事業として、東京都は、特に病院経営本部はそういう実験的なことができる状況にあるわけですから、取り組んでいただきたいと思うんですね。
 そういう意味で、今回東京都が緊急対策として、産科の診療協力医師登録制度、それから助産師等コーディネーター、こういうものを考えている。この助産師さんたちのコーディネーターも随分テレビで取り上げられて、横浜方式、大阪方式、いろいろありますけれども、大阪方式でいうと、腕のいいお医者さんが数人それにとられてしまうと非常にもったいないというんですけれども、そこは確かにそうなんですけれども、システムさえ変えれば、これだけいる医者ですから、ごく三、四人だけが優秀であとが優秀じゃないというわけじゃないんで、みんな優秀に頑張っているわけで、こまの動かし方がうまくいっていないわけですから、全く素人の方がやるのではなくて、やはりある程度わかっている人たちが、顔が見えている、どこにどういう医者がいて、何が得意だというのがわかっている医師がコーディネートした方がいいと思うんです。しかし、じゃ、横浜方式のように、事務の人をスキルアップしてやらなくていいのかというと、これはもう同時にやっていくことですよね。両方やっていただかないとどうにもならない。
 何方式がいいというのじゃなくて、いいと思ったものはどんどん取り入れていただきたいんですけれども、問題は、産科の診療協力医師、これは、墨東病院でいろいろ難しいお産を受け取っていただくかわりに、正常分娩というものは地域の我々医師会がやっているわけですけれども、それに関しても手いっぱいなところがあるわけです。手いっぱいなところで来てくださいといって、今度、東京都医師会とPTをつくることになるでしょうし、地元医師会とPTをつくる。PTを幾らつくったって、それは意味がないんです。現実にそこで動く気持ちを地元のお医者さんたちが持たなきゃいけないし、現実に持てるような時間的な余裕がないとできないわけです。ですから、協議会を屋上屋でつくっていくことが大切なんじゃなくて、現実に医師が墨東病院ともっともっとジョイントする形になってほしい。
 これは前も何回も申し上げましたけれども、病診連携という言葉が日本には本当に昔からあるんですが、じゃ、診療所の先生が我々大学あるいは基幹病院にいらっしゃるかというと、一回や二回は来るんですけれども、その後はもうほとんど来ない、登録医の名前だけ。
 実際、僕でさえも、登録医、いろんなところの、日赤から都立病院、ほとんどの病院というのは、頼まれ登録医もありますけれども、山ほど登録していますけれども、実際に行かない。行かないのは、仲よしがいるところは行きますけれども、一度も会ったことのない院長のところに行きたくもないし、どこがトイレだか、どこで着がえるのか、お茶を飲むところも食堂もわからないところに行ってもうろうろするだけですし、場合によっては、看護師さんたちにかなり、邪魔者扱いとはいいませんけれども、ちょっとどいてください式にいわれちゃうと、お手伝いに行ったのに何をしたらいいんだかわからなくなっちゃう。そういうシステムができていないと、病診連携という言葉を幾ら使ってもなかなかうまくいかないと思うんですね。
 医師がそこに入っていった場合には、それが一つの業務になって、今から五年なり十年なり、ずっと自分の診療時間を変えながら都立病院のために時間をあけていくというシステムをつくっていくわけですから、急にあしたから来なくていいよと、今問題になっている臨時雇いの人みたいに肩をたたかれちゃうと、食べる食べないという問題よりも、非常にメンツも嫌でしょうし、気分的にも嫌でしょうし、それから、地元の医師会に戻って急に診療時間を広げるというのもそんな簡単にできることではないわけですから、そういう長期の計画を、来年になったらこういう形になります、再来年になったらこうなります、医師アカデミーの結果によってはこういうことになりますよというようなことを説明しながらそういうジョイントをやっていかないと、なかなかうまくいかないと思うんですね。
 ですから、現実に病診連携がうまくいく、これはある意味ではとても大きな作業になって、地方の本当に小さな都市ではみんなうまくいっているんです。小さいからうまくいっているんです、そこしかないから。逆にいうと、我々が大学から派遣に出されるような田舎の病院は、それしかないので、そこが中心ですから、それを中心として回らざるを得ないから、当然、年がら年じゅう勉強会は開業医の先生を入れてやっているわけですから、我々は。そうすると、顔が見えているんですね。それはできるんです。
 地方でできることが何で東京でできないかというと、それは顔が見えないからできないんですよ。よくテレビを見ると、地方でうまくいっている、地方でうまくいっているという話を聞きますけれども、それは地方だからうまくいっているので、東京でそれをうまくやるためには、やはり皆様方が一工夫、二工夫をちゃんとしていただかないと難しいなと思います。
 特にハイリスクな分娩対応というのは、産科医の人にとってみれば、非常に自分のスキルアップにもなるんですが、なれていないこともやらなくちゃいけなくなる。そうすると、ちょっと言葉は難しいんですけれども、産科のお医者さんのレベルというのも、優しいとか優しくないとか、人柄がということは全然抜きにして、専門医としての医療のレベルはやはり残念ながらばらつきがあるわけですよね。ある時代に医師になった者は、血圧計も知らないというお医者さんが昔いました。心電図も知らない、当然そのときないわけですから。
 新しいものがどんどんできてくると、それに対応できるかできないか、都立病院のレベルに合うか合わないかもありますから、そういうものをうまく適材適所できちっと対応していただかなくちゃならないわけですけれども、協力医師登録制度、当然、一刻も早く入れていただいて、現実のもの、今から八千人を超える医師がふえるといったって、それはきょうあしたのことじゃありませんから、実効性のあるものにしていかなくちゃならないんですけれども、具体的に病院経営本部としてはどういうふうに考えていくのか、お聞きしたいと思います。

○及川経営企画部長 全国的に医師が不足をしております。また、診療科の偏在等々で、私ども、日々、都立病院を運営していく中で絶対的な不足感というのを十分実感しておるところでございますが、委員からるるご指摘いただいたように、直ちに実動部隊としての医師を確保するということは極めて難しいというふうに認識をしております。
 今回の緊急対策としては、一方で、産科医師は引き続き努力をしておるところでございますが、やはり地域の医師の協力を得まして、一歩でも二歩でも都立病院の周産期医療体制を充実していきたいということから、今回、協力医師登録制度というものをつくった次第でございます。
 確かに、今委員からご指摘いただいたとおり、地域の医師の方、意欲があっても忙しくてなかなか時間的余裕がないとか、それから、ハイリスク分娩に対してどういう共同での取り組み方があるのかなど、大変課題があるということも十分承知をしております。
 私どもとしては、まずはやはり、委員からも顔の見える連携というお言葉がございましたけれども、まずは何より地域との意思疎通、これが重要だというふうにとらえておりまして、知事からも東京都医師会長に要請をしたということもございまして、今後、具体的な取り組みにつきましては、東京都医師会を初めとして関係者の皆さん方との話し合いを行っていきたい。また、墨東病院の地元の三区でございますが、医師会それから産科医会とも具体的な協議の場を設定していきたいと考えております。
 その際、委員からご指摘をいただいているように、名前だけの登録医にならないように、やはり常にお互いの顔が見える、そうした連携、それから長期的な見通しに立った連携といったものを意識しながら話し合いを行っていきたいというふうに考えております。
 こうした取り組みを通じまして、個々の課題を洗い出しながら具体的な対応策を検討していき、できるだけ早期にこの制度を運用できるように、また、実効性のある制度とできるように努めていきたいというふうに考えております。

○田代委員 プラスして、助産師等のコーディネーターのことについても、どうお考えだか、教えていただきたいと思います。

○及川経営企画部長 今回の助産師等コーディネーターでございますが、今まで医師が行ってまいりました調整機能の一部を助産師等が担うといったことを考えておりまして、やはりある程度経験を積んだ助産師等を配置する必要があるというふうに考えております。また、人員配置の上で、配置が薄くなります平日の夜間、土曜、休日に必要な人員を確保していかなければなりません。さらに、実際に機能させるためには、委員からもご指摘をいただいておりますが、母体搬送に関します共通のルールを明確にしていく、あるいは、地域の医療機関や他の周産期母子医療センターの理解を得ていくといったようなさまざまな課題が多いというふうに認識をしております。
 このため、来年一月から、夜間の勤務につきます病棟の責任助産師等をコーディネーターとして位置づけまして、まずは試行として実施をしたいというふうに考えております。この試行を通しまして、さまざまな具体的な課題を検証して改善を加えることによりまして、この制度の充実を図り、都立病院の周産期体制の強化につなげていきたいというふうに考えてございます。

○田代委員 それを実行していくときに一番基本的に必要なのは医師の待遇改善だと思うんですけれども、医師の待遇改善、いつも申し上げておりますように、値段で動く医師というのは、絶対いないとはいいません、一割五分ぐらいいるなんていったら問題発言になっちゃうかもしれないけれども、どこかの首相みたいな話になっちゃうかもしれないけれども、だけれども、ほとんどそういうことはないんですよ、我々は。モチベーションなんです。そういう変わった職業人なんですね、我々は。
 だから、給料を上げればいいんだということじゃないんですが、働きやすい改善はしていただきたい。極論すれば、給料が半分になってもといったら申しわけないけれども、半分になったって、働きやすい環境であれば医者は喜んで働きます、モチベーションを持っていくということで。ただただお給料を出す。今度は逆に、民間の病院あるいは我々のような私立の医科大学、いろんなところで頑張っているところに対して引き抜き合戦みたいな変なことが起きると非常に困るので、これはドミノ現象の最悪の状況が出てきますから、しっかりと東京都が責任をとらされます。
 そういうことにならないようにしていただきたいので、待遇改善についてどういう処置をしていくのかということと、プラスして、もう時間があと間もなくになりますので、今度、スーパー総合周産期母子医療センターの導入を検討しているということなんですが、そういうことについてもあわせてお答えをいただけたらと思います。お願いします。

○及川経営企画部長 医師の処遇の改善でございます。ただいま委員からは、給料よりも働きやすい環境というご意見をちょうだいいたしましたけれども、私どもとしては、当然そういう考え方の上で、やはり都立病院の給与レベルが低かったということもございますので、これまで、平成十八年度から二十年度まで三カ年にわたって給与改善を図ってまいりました。全国レベルで、平成十七年度の決算レベルでは最低レベルでございましたけれども、それによって、全国の自治体の中では中程度からやや上ぐらいにはいくかなというふうに考えております。
 一方でございますが、とはいえ、いろいろ私ども大学にも回らせていただいて、各主任教授からもお話を聞かせていただく、それからまた、出先の病院からもいろいろと、各民間病院も含めたそういった処遇の情報も得ております。
 そういったことを総合しますと、今回、医師の給与レベルは、産科あるいは救急科ですね、救命救急も含めて、そういった科を中心にやはりもう一段見直す必要があるのではないかというふうに私どもは考えておりまして、もちろん、給与だけではなく、いろんな勤務環境も含めてのさらに一段の改善というものが必要だというふうに考えております。
 それと、もう一つは兼業の問題がございまして、都立病院の場合は、地方公務員法ということで、基本原則は兼業が禁止をされている。ですから、都立病院の医師が民間の病院で働いて報酬を得るということは基本的に禁じられておるわけですが、これも学会等でもいろいろ意見が出されておりまして、社会的に不足をする例えば産科領域などでは、地域も、委員からお話しいただいたように、今ぎりぎりの線で地域の民間の医院もやっておりますので、東京都に余裕があるというわけではございませんけれども、お互いに協力をし合う、そういう医師同士の協力が、絶対的に不足する周産期では必要なのではないか。そういう意味では、兼業の部分につきましても、やはりもう一段考えていく必要があるのではないかというふうに私どもは考えております。
 そういった処遇改善につきましては、これまでも都議会からもご支援をいただいてきて何とかやらせていただいておりますけれども、さらなる処遇改善に向けまして、引き続きご支援をいただきながら、私どもとしては精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○田代委員 もう最後になりますので、本部長の決意を伺いたいんですけれども、今まさしくお話しいただきましたように、兼業と学会、これはもう前からずっとお願いしています。生活のためのお金というものではなくて、病診連携をやるためには兼業しないと無理なんですね。開業医の先生が我々のところに来る。来て勉強していただくのは大学ではいいんですけれども、その開業医の先生の診療所があいちゃうわけです。ですから、我々は医局員を出すわけですよね、そうすると顔が見えるような形になるので。
 都立病院と病診連携をやっていくときには、都立病院に町の医者が勉強に行ったり、あるいはいろんな情報交換に行くときに、そこの診療所にだれか出していただかないとこれは穴があいちゃうわけです、地域医療の中に。これはもう前から、ずっと最初からお願いしているように、これは必ずどこかで見直しをしていただかないと、お金の問題ではなくて、ジョイントができない。
 それから、少なくとも学会はもうちょっと出させていただきたい。自分たちがやりたいと思う研究は、外国であろうと東京であろうと地方であろうと、どこに行っても、きちっとそこで発表がある、主たる論者となれるのであれば、それは認めていただくようにしていただきたい。これがさっきいった待遇改善なんですよ。お給料じゃないんです。どこでも勉強が自由にできるような形をつくってもらえば必ずいい医者が残っていきます、都立病院に。いいのだけが残っていきますよ、逆にいうとね。
 それをしっかりやっていただきたいということを含めて、先ほど申し上げました緊急対策などのことも含めて本部長の決意を聞かせていただいて、終わりたいと思います。お願します。

○中井病院経営本部長 ただいま田代委員からさまざまな貴重なご意見、ご指摘をいただきました。
 産科医師が全国的に不足する中、都民が望む安全で安心な周産期医療体制を都立病院においていかに充実させていくかということは、極めて重要で、かつ緊急な課題であると認識しております。
 このため、今回、産科診療協力医登録制度、そして助産師等コーディネーター制度など打ち出させていただいているわけでございますが、先ほど委員からもご指摘をいただいたとおり、これらの課題を実現していくためには、クリアしなければならないさまざまなものがあるわけでございまして、これを軌道に乗せるというためには、関係者とのいろいろな調整、そしてまた、試行を行いながらよりよいものにしていく、そういったプロセスを踏む必要もあろうかというふうに考えております。
 しかしながら、当然のことながら、これらの施策を一刻も早く実現する、軌道に乗せるということは申すまでもないことでございますので、私ども病院経営本部、そして墨東病院を初めとした各都立病院が一体となって、また地域の医師会等関係機関の協力もいただきながら、迅速かつ最大限の努力を今後も続けてまいりたいというふうに考えております。
 また、医師の処遇のお話もいただきましたが、これもご指摘のとおりでございまして、私どもとしましても、今までもさまざまな処遇の改善、勤務環境の改善ということに取り組んでいるわけでございますが、やはり肝心なことは、一つ一つに目をとらわれるのではなくて、今の産科医の絶対的な不足という中で、いかにトータルな意味で産科医にとって働きやすい魅力のある勤務環境をつくるかということが一番大事な観点だというふうに考えております。
 そういった観点から、引き続き、処遇の改善、そしてまた、女性医師が多いということから、女性の働きやすい職場づくり、そして、先ほど経営企画部長からも申し上げましたが、社会での有効活用、産科医をいかに有効活用するかという面では、登録制度もその一つの仕組みということになるわけでございますが、都立病院が地域から支援をいただくというだけではなくて、都立病院の常勤医もまた地域に出ていって、地域の病院、開業医の方々のお役に立てる、そういった仕組みづくりも考えていく必要があるんだろうということで、今まで公務員の制度の枠組みがあるためになかなかその壁を打ち破れなかったというか、その一線を越えずに来たわけでございますが、今日のこういった産科医不足をかんがみると、この制約を工夫し、何とかこの壁を乗り越えて、産科医が本当に働きやすい、そして地域でより貢献できる、そういった形をつくっていければというふうに思っているわけでございます。
 なお、現在、都全体の周産期医療体制のあり方につきましては、東京都周産期医療協議会でさまざまな検討がされているわけでございますが、こういった協議会との連携、そしてまた福祉保健局との連携もさらに密に行いながら、都内の周産期体制の一層の充実に向けて、都立病院もその重要な一翼を担うという気持ちで今後とも取り組ませていただきたいというふうに思っております。
 今後とも、厚生委員会の先生方のご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

○松下委員 私からも、今回の補正予算に計上されている周産期医療を強化するための緊急対策について何点かお伺いいたします。
 この問題は、都民が安心して東京で子どもを産むことができるように、いかにして環境を整備するのか、産科医師を確保できるのかにかかっているのであり、そのために、先月の本委員会の事務事業質疑でも、私は、現在の過酷な産科医師の勤務環境を少しでもよくする必要があるのではないかとの観点から、一直二勤務制度や、願わくば三交代勤務の導入など、産科医師の勤務状況を中心にお伺いをいたしました。
 現状、統計からも、また多くの方々も指摘するように、産科医師が全国的に不足する状況の中では、すぐに効果的に産科医師を確保するのは困難であることも事実であり、今回の緊急対策も、産科医師不足という現状も踏まえて、それでも都民の不安を少しでも払拭するために補正予算を組み、提案されているのだというふうに思います。
 そこで、この緊急対策で打ち出されている施策について具体的にお伺いいたします。
 まず、産科診療協力医師登録制度についてですが、先日の資料説明では、地域の医師をあらかじめ臨時職員として登録し、都立病院における出産等を協力して実施するというふうにご説明がありました。
 都立墨東病院では、大学医局や他の都立病院からの応援などを得ながら、同時に内部の医師の努力で、十二月と年末年始の当直体制については二人体制を整えたようでございますが、直ちに医師の確保ができない中では、都立病院内の内部の努力がまず第一には重要であるとは思いますが、根本的な産科医師不足が解消されていない現状では、内部努力もいつまでも続けられるものではないのではないかというような不安も感じてしまいます。だからこそ、今回のように、地域の医師の協力を得るという緊急対策が提案されたのであるというふうに思います。
 そこで、まず、産科診療協力医師登録制度とはどのような場合を想定しているのか、具体的にお伺いいたします。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 産科診療協力医師登録制度についてでございますが、想定しておりますものの第一としまして、出産時に緊急の母体搬送の受け入れ要請が地域の協力医師からあった場合に、協力医師が妊婦さんに付き添って来ていただくと同時に、出産や産後のケアを協力して実施していただくというものでございます。
 第二には、平日の夜間や土曜、休日の当直業務を担っていただくことも想定しております。
 こうした対応によりまして、医師確保が厳しい状況の中におきましても、周産期母子医療センター機能の拡充につなげていきたいと考えております。

○松下委員 この産科診療協力医師登録制度というのが提案されたときに、通常の病診連携とどう違うのかなというふうにもちょっと考えをいたしました。通常、病診連携というのは、病院と診療所の役割分担のもと、患者さんの状況に応じて、相互に患者さんを紹介していくことをいうのだと思いますが、今回の登録制度では、患者ではなく、開業の医師が病院に出向くという点に特徴があるのかと思います。
 しかし、役割分担があるからこそ連携をしているのでありますから、例えば、地域の医師が緊急時、それこそ一分一秒を争うような中で病院に入って手術を行うことなど、実際には非常に難しいこともあるのではないかと思ってしまいます。
 このような意味では、緊急時に協力医師が円滑に医療を提供できるように、都立病院側で協力医師に対してトレーニングを行う機会を設けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 緊急時におきます協力医師の円滑な医療の提供についてでございますが、例えば、協力していただけます地域の医師につきましても、病院側医師と同等に協力していただけるのか、もしくは、病院側医師の業務の一部をサポートする形で限定的に協力していただけるのかなど、個々の医師の方のご経験ですとか、その時々置かれました状況等によっても違いが生じるものと考えております。このため、どのような形で協力が得られるのかは、今後、地域の医師会の皆様と具体的な協議を行う中で明確化してくるというふうに考えております。
 そうした協議によりまして、まずは、地域の医師の方々のニーズですとか意向を的確に把握することが重要であるというふうに考えております。これらを踏まえながら、今お話がございました必要な研修ですとかトレーニング等の準備を行っていきたいというふうに考えております。

○松下委員 具体的な協議というのはこれからのようですが、地域の医師が都立病院に入って一緒に診療や手術を行うということは非常に難しいことだとは思いますが、緊急時やもしもというときのためにこの制度を実現していくためには、いかに地域の産科医師の皆様の意向を酌み取ることができるか、また、都立病院が公立病院としての責務をしっかりと果たした上で、熱意を持って地域の産科医師の皆様に協力をいかに要請していくかということにかかっているのではないかと思います。
 先日、私が産科医師からお話を伺ったときには、本当に激務で、休みもほとんどなく働いているという現状に触れました。新たな命の誕生の喜びや、医師の誠意や熱意によってのみ支えられているのが現在の東京の周産期医療です。ご自身の病院や診療所の仕事でも忙しい中でいかにして協力していただけるのか、今後、医師会との協議はこれからとのことですが、実現に向けて努力をしていただきたいというふうに思います。
 次に、助産師コーディネーターについてお伺いいたします。
 これは、今まで医師が行っていた妊婦さんの受け入れに関する調整業務を、医師にかわって電話等で行っていくものだというふうに聞いております。産科医師が不足している状況では、本来行うべき診療業務だけでもその疲労度は高いと思いますが、連絡調整業務も行っているという現状では、医師の疲弊も当然だというふうに思います。
 そうした意味で、助産師や看護師が役割を担うこのコーディネーター制度は必要なものかと思いますが、先日、こちらも私が産科医師にヒアリングした際には、助産師や看護師というコメディカルの人たちが実際に医師に指示ができるだろうかという疑問の声もいただきました。
 そこで、助産師コーディネーターの業務は具体的にはどういうものになるのか、お伺いいたします。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 助産師等コーディネーターの具体的な業務についてでございますが、医師の指示のもとにおきまして、搬送受け入れ要請のありました医療機関からの連絡を受けまして、患者さんの状況の把握を行うとともに、みずから受け入れが可能なのか、新生児科や救急部門などと必要な院内の調整を行いまして、医師が受け入れ可否を決定するためのサポートをするものでございます。
 さらに、みずから受け入れができない場合には、総合周産期母子医療センターの役割といたしまして、受け入れ先の医療機関を決められるように、医師の指示のもと、協力して搬送先の調整を行うこととなります。

○松下委員 ご説明のように、緊急時の対応として、これまで医師が担っていた業務を、医師の指示のもと、助産師さん等が行うとなれば、医師の負担軽減になるのではないかとは思いますが、コーディネーターとなる助産師さん等の苦労は並大抵のものではないのではないかと思います。
 また、先日の本会議代表質問で、我が会派は、調整コーディネーターの設置など、さまざまな環境整備により、緊急時の対応を素早く行うことは必要ではありますが、結局は、患者さんの状態についてどう判断するのかに尽きるのではないかと提言をし、搬送調整に助産師、看護師等のコメディカルがどのような役割を果たすことになるのか、医師の負担が増して、現場の疲弊を進める結果にはならないか、きちんとこの制度を機能させるための人材確保はどうするのかについて不安視する向きも多いようであると述べ、受け入れ可能な病床が複数確保できたとしても、限られた確保病床に受け入れるのか、その判断の問題はなくならないと質問をいたしました。
 医師の指示のもととはいえ、病床確保ですとか、コーディネーターになる人に課せられる責任というのが非常に重くなってくるのではないかというふうに懸念もいたします。
 そこで、このコーディネーターは法的に資格が必要なものなのか、また、業務を行うに際して、法的な制約や医師会との関係で解決すべき課題などがあるのか、お伺いをいたします。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 コーディネーターの資格、法的な制約等の課題についてでございますが、今回のコーディネーター業務を行うに当たりましては、法的な資格要件が存在するものではございません。しかしながら、妊婦さんに対する緊急時の対応を行うために、医師の指示のもとでの業務とはいえ、妊婦さんに関する知識に加えまして救急に関する知識など、調整業務を円滑に行うための総合的な技量が必要になるというふうに考えております。
 また、院内のみならず、他の医療機関との調整業務を担うために、あらかじめ地域の医師会や他の周産期母子医療センターなどと十分に連携をとりまして、コーディネーターの役割に対する地域の皆様の理解を得ていく必要があるというふうに考えております。

○松下委員 調整コーディネーターを設置して、それが産科医師の負担軽減のためにしっかりと機能していくためには、適任の人材をまず見つけ、そしてトレーニングを必要に応じて行うなど、実際に機能していく上ではまだまだ課題があるのかなというふうにも思います。
 産科医師の負担軽減に向け、この制度をしっかりと機能させていただきたいと思いますが、協力医師登録制度と同様に難しい課題もあるようですので、医師会と十分に協議を重ねて実現をしていってほしいと思います。
 最後に、医療クラークについてお伺いをいたします。
 今回、医療クラークを産科に専任で置くものということですが、これまで都立病院で置いている医療クラークと異なるのか、その具体的な業務と、クラークにはどのような人がなるのか、お伺いをいたします。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医療クラークについてでございますが、これまで都立病院ではERなどに医療クラークを配置してまいりましたが、今回配置される産科専任の医療クラークが、これまでのものと業務内容に違いがあるわけではございません。医師の事務補助業務といたしまして、例えば、診断書の作成などの文書作成補助、また診療に関するデータの整理、さらには、医師の教育や臨床研修のためのカンファレンスの準備作業などへの対応を医師の指示のもとに行うものでございます。
 また、現在導入しておりますER等のクラークは、一般的な人材派遣の制度の活用により確保しておりまして、今回の医療クラークも同様の方式を想定して確保していきたいというふうに考えております。

○松下委員 コーディネーターと同様、専門的な知識や経験が必要なものに見受けられます。適任な人材を採用することに苦労するのではないかと思いますが、多忙な医師の負担軽減のために、医師確保対策につながるということは理解できますので、制度の運用後も、本当に医師の負担軽減となっているか、制度が機能しているかどうか、常に確認をしていただきたいと思います。
 また、医師不足の度合いが高い産科や小児科、新生児科が優先されるべきだというふうにも思います。
 そのほか、院内保育室の充実なども今回提案されていますが、既に導入している短時間勤務制度とあわせて、特に、女性医師をサポートできる勤務環境の改善に努めていただきたいと思います。いろいろな課題はあるとは聞いておりますが、院内保育室を充実するのであれば、病児保育や病後児保育の導入も有効であると思われますので、ぜひ今後検討し、取り組んでいただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、根本的には、産科医師の絶対数が少ない中で、産科医師を確保しなければならないという困難な課題に取り組んでいただかなくてはならないのですが、まずは、今すぐできることを着実に行い、成果につなげていっていただきたいと思います。
 都民の命を預かり、守る、都立病院としての、公立病院としての責務をしっかりと果たし、ぜひ今回の緊急対策を早期に実現していただき、都民が安心して子どもを産み、育てることができる環境の整備に引き続き取り組んでいただくことを強く要望して、私の質疑を終わります。

○野上委員 私の方からも、都立病院における周産期医療体制の強化について何点か伺います。
 九日の代表質問でも、我が党の藤井一議員から、産科医師の不足という状況がある中で、地域の医師との協力体制をどうつくり上げていくかということで質問をいたしました。
 周産期医療体制の強化に当たっての大きな課題が、全国的な産科医師不足、国の対応のおくれとか、さまざまな指摘がありますけれども、そうはいっても、いわゆる母体搬送の受け入れ要請に対して、NICUが満床であるということを理由に断る周産期母子医療センターが多かったという結果がありますが、産科部門だけではなく、新生児、このNICUの問題に関しても同時に考えていかなければならないのではないかと思っています。
 そこで、都立病院のNICUの稼働状況を見ると、昨年の十月から休止している豊島病院のNICUを除くと、ほかのところは約一〇〇%に近い病院が多くなっております。全体的にこうした状況がある中で、墨東病院のある区東部地域あるいは多摩地域のNICUの病床数がその地域の出生数に比較して少ないということは、さきの代表質問でも我が党から指摘したとおりでございます。渋谷とか新宿とか杉並、中野とか、出生率の非常に低いところにはたくさんの、NICUの充足があるんですけれども、NICU自体の偏在性があるということがあります。
 これらの地域におけるNICUの増床などが効果的に行われる必要がありますけれども、都立病院としても、そのために力を尽くさなければならないということはいうまでもないと思います。
 ただ、豊島病院の六床については休止中ということなんですけれども、都立病院全体のNICUの病床数は四十五床体制のまま変化がないということを聞いております。都立病院の周産期部門を強化するためには、産科部門とあわせてNICU部門の強化を図らなければなりません。
 そこで、都立病院における周産期母子医療センターを今後どのように充足させていくのか、その見通しについて伺います。

○及川経営企画部長 ただいま理事からお話がございましたNICUでございますけれども、周産期母子医療センターにおいてNICUの満床が常態化しているということにつきましては、都立病院においても同様でございまして、ご指摘のように、周産期医療を強化していくためにはNICU病床の拡充が不可欠であるというふうに認識をしております。
 このため、現在豊島病院で休止しておりますNICUの六床のうち三床につきましては、総合周産期母子医療センターである墨東病院に機能を移転しまして、来年一月には、現在十二床であるNICUを三床増床して十五床で稼働させる予定となっております。
 また、残りの三床につきましては、地域周産期母子医療センターである大塚病院に機能を移転しまして、来年度中には、やはり現在十二床であるNICUを三床増床して十五床で稼働させるとともに、母体も含めた集中管理室でございますM-FICU六床を新設いたしまして、総合周産期母子医療センターとして整備していく予定でございます。
 さらに、平成二十二年三月に開設する予定でございます多摩総合医療センターにM-FICU九床を新設しますとともに、三つの小児病院を移転、統合して整備をいたします小児総合医療センターでは、統合前と比較してNICUを九床増床して二十四床設置することとしておりまして、両センターが一体となって総合周産期母子医療センターの役割を担うこととしております。
 こうした整備を行いますことで、都立病院の周産期医療はすべて総合周産期母子医療センターとして機能することになります。都内におけるNICU病床の約四分の一を都立病院が保有することになります。
 今後とも、都立病院が担います周産期医療の充実とその体制整備に向けまして全力で取り組む所存でございます。

○野上委員 偏在していたNICUが、区の東部地域では、来年早々、一月に墨東病院でNICUが三床増床される。それから、多摩地域では、来年度末に小児総合医療センターができることで今までよりも九床増床される。都立病院としても、周産期医療の強化が最も必要とされる区東部地域とか多摩地域でこういうふうに増強されるということは、大変に喜ばしいことだと思います。
 また、大塚病院でもNICUの増床とM-FICUの新設をするということで、都立の周産期母子医療センターは、すべてでより高度な周産期医療を担う総合周産期母子医療センターを目指すということで、これで都民の期待にもしっかりとこたえていただきたいと思っております。
 しかし、都立病院が周産期医療を今後とも安定的かつ継続的に提供し続けるためには、医師を取り巻く状況が極めて厳しい中でございますので、これまでも何度も申し上げているように、周産期医療を担う産科医、また新生児科などの小児科医の確保、定着が不可欠です。
 とりわけ、産科、小児科では女性医師の割合が高く、特に二十代の産科医の約七割が女性であると聞いております。女性医師は、みずからの結婚、出産を契機に離職するケースが多く、これが医師不足を招いている原因の一つともいえると思います。
 医師の場合、一度医療の現場から離れてしまうと、復帰には大変な努力が必要と、一度離職した女性医師が復職する例が少ないということがあると思います。だからこそ、我が党としては、女性医師が勤務と家庭を両立し働き続けることが医師不足の打開に大きくつながるということをずっと主張してまいりました。
 都立病院では今年度、給与の大幅な改善を行い、モチベーションは給料ではないかもしれませんけれども、産科医を初めとする医師の確保、定着に積極的に取り組んでいることはよく存じております。
 こうした処遇改善とあわせて、女性医師が安心して働き続けるための勤務環境を改善することも必要ですけれども、これまでの取り組みと、今後どのように改善を図っていくのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 産科医を初めとします医師不足が深刻化する中で、女性医師が出産後も安心して働くことができる勤務環境を整備することは、医師の確保、定着を図る上で大変重要でございます。
 都立病院におきましても、産婦人科と小児科の女性医師の割合は、それぞれ四八%、三一%と高くなっておりまして、出産、育児を契機とする離職を防ぐための対策が急務となっております。
 このため、本年四月から墨東病院及び府中病院で、また十月からは大塚病院で、院内保育室の二十四時間化を実施したところでございます。また、勤務と育児の両立を図りやすくする育児短時間勤務制度を七月から導入し、既に六名の女性医師が利用されております。このうち三名が、産婦人科、小児科の医師でございます。
 今後は、墨東、大塚病院では、対象年齢を三歳から未就学児までに拡大するために必要な保育室の整備を早急に行いまして、保育室の充実を図るなど、女性医師が働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでまいります。

○野上委員 先ほど答弁がありましたように、墨東病院はNICUを三床増設し、大塚病院は現在の地域周産期母子医療センターから総合周産期母子医療センターに変更され、二十二年三月に開設する多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの二つのセンターで総合周産期母子医療センターを運営していくということです。
 医療機能の充実を図り、総合周産期母子医療センターを運営していくためには、医師のほかに多くの看護師が必要になってくると思います。その看護師ですけれども、平成十八年度の診療報酬改定で導入された七対一看護基準を取得するために病院間の獲得競争に拍車がかかり、全国的な看護師不足を招いていること、都立病院も例外なくその影響を受けていることを、本会議でもたびたび理事者から説明を受けているところでございます。
 しかし、都立病院が総合周産期母子医療センターとしての役割を担っていくためには、こうした厳しい環境の中でも看護師を確保していくことが不可欠であると思います。
 NICUの看護師さんは一対三ということで、一床をふやすのに八名の看護師さんが要るということで、例えば三床増設するということだと二十四名の看護師さんが必要になるのかどうか、ちょっと詳しいことはわかりませんけれども、やはりかなりの数の看護師さんを確保していかなくてはいけないということがいえると思いますが、この看護師確保に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 理事のお話にございましたとおり、看護師の採用環境は大変厳しいものとなっております。
 都立病院におきましては、近年、年度後半には看護師の欠員が生ずるといった状態が続いておりまして、都民の期待が大きい総合周産期母子医療センターを運営していくためには、看護師の確保が極めて重要だというふうに認識をしております。
 このため、今年度からは、仙台、新潟を会場といたしまして、新たに地方での採用選考を実施しますとともに、これに伴いまして、周辺地域の大学、養成施設を訪問するなど、採用活動を強化しております。
 また、看護師の確保、定着を図るために、新卒看護師に対します体系的な臨床研修の実施や、中堅看護師に対します認定看護師、専門看護師の資格取得支援など、それぞれのキャリアパスに応じた研修の充実を図っております。
 さらに、女性職員が大半でございますことから、確保対策に有効である院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度を導入いたしました。育児短時間勤務制度につきましては、既に看護師二十三人が利用申請をしておりまして、出産後も安心して働き続けられる勤務環境を整備し、その確保に努めているところでございます。
 今後は、病院の特性を踏まえつつ、お話がありましたけれども、既に一部病院で実施をしております七対一の看護基準の人員配置や、二交代制勤務などの多様な勤務形態の導入についてのさらなる検討や、院内保育室の充実などによりまして、引き続き看護師の確保に全力を挙げて取り組んでまいります。

○野上委員 教員もなかなかいなくて、地方で試験をして東京都の教員採用をやるというのと同じような形で、やはり看護師さんも不足をしているということで、仙台とか新潟を会場にして、そこで採用試験を実施する。地方の大学とか、また養成施設を訪問などして採用を強化していく。大変に病院経営本部の皆様方が確保するために頑張っていらっしゃることに敬意を表する次第でございます。
 都立病院が周産期医療の強化に向けて非常に努力をしているということは高く評価いたします。しかしながら、ハード整備が行われても、そこで従事する医療人材が不足しては元も子もありませんので、そういうことにならないようにしっかりと人材の確保に努めて、都民が安心して受診できるよう周産期医療の強化に着実に取り組んでいかれることを強く要望して、質問を終わります。

○かち委員 私からも、この間の周産期医療をめぐり不幸な事例が相次いだ中で、今回補正予算を提案されました。その対策に取り組まれたことは、不十分であるにしても、一歩前進と受けとめています。特に、周産期医療の中で、先ほど来出ておりますけれども、搬送情報処理というか、そういうことが非常に大きな課題になっているというふうに私も思いまして、一昨日の代表質問でこの問題でも質問させていただきましたが、大阪府立母子保健総合医療センターにも行って、直接お伺いしてきて気づいたこともありますので、ぜひそれが生かされるように、ちょっと質問してみます。
 搬送情報については、かつて、三十年ほど前に東京都母子保健サービスセンターというものがありまして、そこでの事業の一環で、コンピューターを設置して、情報サービス提供事業を開始したのが始まりだったわけですね。そのころからNICUの不足状況が生まれ始めてきた背景があって、このセンターで二十四時間対応の空床情報を提供することが大変重要な役割を果たしてきたということで、この当時としては、全国に先駆けての周産期医療ネットワーク事業だったわけですけれども、今日に至ると、受け入れるベッドの絶対数の不足から、また産科医師の不足などにより、この機能が十分に活用されない問題点が浮かび上がってきています。
 今回、緊急対策の一環で補正予算が提案されました。それで、まず、助産師によるハイリスクコーディネーターの配置ということなんですけれども、予算が組まれているので、具体的にはその算出根拠はどういうものなのか、お聞きします。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 助産師等コーディネーターの補正予算の算出根拠についてでございますが、産科及びNICUを設置しております墨東病院及び大塚病院におきます平日夜間、土曜日、日曜日及び休日の助産師等の賃金を計上しております。看護部門一般病棟等勤務非常勤単価と交通費の合計に、この日数と、墨東病院、大塚病院、二病院を乗じて算出をしております。

○かち委員 大塚病院と墨東病院の二つの都立病院で夜間と土日と休日に関して助産師等を配置する、その人件費なんだというお話でした。
 日中は多数のメンバーがいるので何とかなるでしょうけれども、やっぱり土日、夜間、休日というのは本当に手薄になりますので、そういうところをどう対応するかということが求められていると思うんです。
 主任助産師がコーディネートに当たるので、それをフォローする体制だということなんですけれども、それでは、墨東病院では、今現在、夜間、休日の搬送調整というのはどのぐらいの頻度で起きているんでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 墨東病院におきます平日夜間、土曜日、日曜日の搬送調整の件数につきましては、これは数字としては把握しておりませんが、平成十九年度におきます母体搬送受け入れ要請があった件数につきましては、三百九十四件となっております。

○かち委員 確かに、墨東病院での搬送受け入れ件数というのは非常に多いなというのを実感しました。
 別の資料で、福祉保健局からいただいたものなんですけれども、都内の総合周産期母子医療センター、墨東も入れて九つあります。その状況はどうかというのを見てみましたら、墨東病院は今十二床ですけれども、九床から十五床ぐらいどの病院も持っているわけですが、医師の数は墨東の大体倍以上いるんですよね。それで、受け入れ件数はどうかというと、墨東がトップです。これは今年度かな、二百一件ですけれども、新生児が百十。いずれもどこの病院よりも一番多く受け入れているという状況があって、いかに現場の先生方が、スタッフの皆さんが頑張っているかということがここにあらわれていると思います。
 しかし、NICUは、どの病院も稼働率は九十数%ということで、もういっぱいいっぱいというような状況になっているわけですが、こうした中で、急変した母体搬送を調整するというのは、非常に高度な判断力と采配力というものが求められるというふうに思うんですね。搬送調整件数は把握されていないということですけれども、一体どういう状況で、どういうところに問題があって、どうなっているのかということを、やっぱり現場を持つ部署としては、ここをしっかり調査して分析する必要があるんじゃないかというふうに思います。
 今回、助産師によるコーディネーターの試みということで始まるわけですけれども、今後、私の提案ですけれども、夜間、休日は搬送調整のために一定のベテラン医師やOBなども含めた当直体制をとる、そういうことが必要じゃないかと思うんですね。
 大阪府立母子保健総合医療センターの取り組みというのは、二〇〇七年から、周産期連携をとっている病院の専門医の方々、それからOBの先生も含めて、コーディネーターのため輪番制で当直体制をとるという体制をとっているようです。
 当然、地域の特性や歴史がありますから、東京にすぐ当てはまるものではないわけですけれども、母子医療センターではどういうふうにやっているかというと、大変だから受け入れてほしいという情報は、それぞれのブロックごとではなくて、とにかく全部そこに集中する。受けられるものは受けるけれども、受けられないものは、次にそれこそ采配をする、調整するという役割を果たしているということなので、大阪府全体の周産期状況が把握できる、そういう利点もあるわけですね。
 そういう中で、先ほど来、顔の見える連携を強める必要がある、まさに私もそう思うんですけれども、そういう有機的な連携体制というのをつくっていく必要が非常にあるんじゃないかというふうに思うんですね。
 ベテランの医師がやるということで、事態の的確な判断力、救急か重症かということの判断力もありますし、そして、空床が幾らでもあれば実務的にできるんですけれども、ない中でどうやって回して入れるかという点では、非常に高い采配力というのがやっぱり求められますので、そういう意味で、有効的に調整機能を発揮させるという意味では、助産師さんを試みにやることを否定するわけではありませんけれども、今後、今の現場の先生というのではなくて、もうちょっとベテランの先生方もフルに活用して、そういう当直体制というのをとってみるということも可能性の一つであるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 専任の医師、ドクターによるコーディネーターということについてでございますが、まず、今回導入しようとしておりますコーディネーターは、病院単位で院内の産科医の負担軽減の一助とするものでございまして、医師が絶対的に不足する現状の中では、医師は実際の診療に携わることが第一でございまして、コーディネーター業務を医師に専任で担わせるということは難しいというふうに考えております。
 また、周産期ネットワークにおきますいわばセンター的コーディネーターということでございますと、全体の議論の中で議論し、考えていくべきものと認識しております。

○かち委員 もちろん、現場の先生を当直にというのは、それは無理なのはわかっているんですけれども、いろんな力をかりてそういう体制をつくっていくということをぜひ今後検討していただきたいというふうに思います。
 北海道では、助産師さんのコールセンターというものを当直体制でやっているというのがテレビ報道なんかでもされておりましたけれども、助産師さんの専門性を生かして、夜間とか休日とか、妊産婦さんの不安を解決したり、一定、そういう救急的なことではなくて、助産師さんのちょっとしたコーディネートでうまく乗り切れることもあるということで、そういう相談業務的なことでは大いに力を発揮してもらう必要があると思いますけれども、最近、北海道でも、助産師さんのバックアップとして医師の起用も考えているとか、取り入れたというようなことも報道されていますので、ぜひそういうところを検討していただきたいというふうに思います。
 産科診療協力医師登録制度については、るる質問がありましたので、質問は一定省きますけれども、こっちが大変だから協力して手伝ってよといっても、それぞれみんな大変なので、それはなかなかうまくいかない。やっぱりギブ・アンド・テークというか、こういうことだから私たちも協力できるという関係をつくる。そのためには、何よりもかによりも中心になる墨東病院の体制をきちんと安定させることが大事だというふうに思います。
 それで、今後ですけれども、協力医師が自分のところから妊婦さんを連れてきて、手術をしたり分娩に立ち会うというようなことも考えられるといわれておりましたけれども、こういうシステムは、オープンとかセミオープンシステムというふうにも考えられるんですけれども、将来的に墨東病院はそういうことも考えているということでよろしいんでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 産科診療協力医師登録制度に関連しまして、オープンシステム、セミオープンシステムについてでございますが、この産科診療協力医師登録制度につきましては、今後、地域でどのように運営していくかは、墨東病院がございますこちらの地域の地元の医師会等とも協議をしていく中で具体的に検討していくこととなるというふうに認識しております。

○かち委員 ぜひ、開かれた都立病院というのと、それから、都立病院が東京都の周産期医療の中で果たす役割、位置づけという点でも、役割を果たしてもらいたいというふうに思っているんですが、東京には大学病院や大病院が集中しているにもかかわらず、今回のような問題が起きたときに、非常にそれぞれの連携体制の弱さというのを実感しています。
 こういう中で、都立病院は都民の周産期医療に責任を持つ立場であり、イニシアチブを発揮する存在だというふうに思うんですけれども、そういう位置づけはお持ちなんでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 周産期医療におきます都立病院の役割についてでございますが、都内の周産期母子医療センターは、現在、総合周産期母子医療センター九施設のうち都立病院は一施設、地域周産期母子医療センターは十三施設ございますが、都立病院は四施設となっております。
 都の周産期医療をより強化していくためには、大学病院を初めとしたそれぞれの周産期母子医療センターがさらに連携を強化しまして、ネットワーク全体で都の周産期医療を支えていくことが重要であるというふうに考えておりまして、行政的医療を担う都立病院は、そのネットワークの一員として重要な役割を果たしていきたいと考えております。

○かち委員 東京都には、老人総合研究所とか臨床研究所、精神、神経研究所がありますが、小児の、周産期から乳幼児にかけての研究機関がないんですね。宮城県とか愛知県とか大阪府でも、小児医療センターには研究所を持っているわけです。
 昨今、妊婦をめぐるいろんな問題も出てきておりますし、最近の新聞では、先ほど、妊婦の脳出血は、従来一万人に一人とかいわれていたんですけれども、この間の学会発表では、循環器病センターの池田部長は、日本の妊婦死亡率は、脳出血などの間接死亡が四一%に上るとか、それから産婦人科医も、二〇〇四年のデータですけれども、三八%などという報告もされております。
 いろいろと社会環境の変化や生活スタイルの変化などで、今までに起きていなかったような問題もるる出てきておりますので、そういう問題も総合的に研究をしていく機関としての役割も、今後、小児総合医療センターをつくるという中では位置づけていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院におきましても、周産期医療等につきまして、臨床研究につきましてはこれまでも積極的に取り組んできたところでございまして、第二次都立病院改革実行プログラムにおきましても、臨床研究等の推進については記しているところでございます。
 しかしながら、病院経営本部としましては、新たに研究機関を設置する考えは持っておりません。

○かち委員 今回、補正予算で緊急対策をとられておりますけれども、東京の周産期をめぐる医療体制は大変厳しい問題が幾つも出てきております。そういう問題を解決していく上でも、都立病院がイニシアチブをとって、周産期医療ネットワークの構築、そして、全体の力量アップのために力を発揮していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○東野委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○及川経営企画部長 動産の買い入れ契約につきまして、お手元にお配りしてございます資料2、契約締結報告書に基づきましてご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。一ページには総括表をお示ししてございます。
 この総括表に基づきましてご説明させていただきます。
 番号1、都立駒込病院において使用いたします高エネルギー放射線治療システムの買い入れでございまして、契約の相手方はコニカミノルタヘルスケア株式会社、契約金額は三億九千五百八十五万円で、契約の方法は一般競争入札でございます。
 なお、本契約の概要につきましては二ページに記載しておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○東野委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百四号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第二百二十六号議案から第二百三十号議案まで及び第二百四十五号議案から第二百五十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で三項目となっております。
 順を追って説明させていただきます。
 一ページをお開き願います。公立大学法人首都大学東京及び地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターにおける運営費交付金の推移といたしまして、法人ごとに、平成十七年度から十九年度までの運営費交付金の決算額を記載してございます。
 二ページをお開き願います。各施設における指定管理導入前後の職員配置数の推移といたしまして、平成十七年度と十八年度の職員数について施設ごとに記載してございます。
 三ページをごらん願います。各施設における指定管理料の推移といたしまして、平成十八年度から二十年度までの指定管理料について、予算額と決算額に区分し、施設ごとに記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○田代委員 二百四十六号と二百四十七号、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買入れについてということですけれども、東京都は、四十七都道府県の中でも特にしっかりと対応を定めている自治体なんですけれども、残念ながら、まだ新型インフルエンザというのが、医師の間でも考え方が普及されていなくて、なかなか統一されていない。毎年毎年インフルエンザワクチンをやっているんだから大丈夫だろうというお医者さんがいて、びっくりしちゃうんですけれども、新型ということは、今までと全く違う形のインフルエンザが来るわけですから、今までのインフルエンザワクチンは全く効かないわけですね。
 そうなると、それに対応してどうしていくかということで、東京都でこれだけの人数分のものを用意していただいたわけですけれども、しかし、新型インフルエンザというのは二つ大きな問題があって、どうすればいいのか、いつ来るのか、これはいつでも我々よく聞かれることなんですけれども、いつ来るのかというのは、今のところわかっているのは、スペイン風邪のときに、スペイン風邪で亡くなった方はたくさんいらしたものですから、約一億人近くいたという慶應の速水先生の発表がせんだってあったんですけれども、死体を埋葬する暇がないものですから、氷河の中に投げ入れちゃった人がたくさんいるわけですね。
 それを掘り出して今調べてみますと、実は、ポリメラーゼというんですけれども、人間にうつるかうつらないかを決定する酵素が十個あるんですけれども、そのときに変わったものが十個あったんですね、ボタンが。十個変わって鳥から人へうつるように--インフルエンザというのはもともと、ご存じのとおり、鳥から人にうつるものですから、途中にいろんな動物は入るんですけれども、最終的には水鳥から発生して人に来るというルールがあるわけです。
 その中で、鳥から人への種の壁を超えるときに、十カ所のボタンが変わるとうつることができるということがわかっているんですね。スペイン風邪、H1N1のときにはそうだった。ただ、今、十個なくちゃうつれないかどうかはまだわからないんです。七個でうつるかわからないんですけれども、今のところ、五個ボタンが変わっているということまではわかっているわけです。
 そうすると、スタートが一九九七年ですか、それからもう十年以上たっていて、しかも、ウイルスの変化のスピードというのは、我々はDNAで変化していくんですけれども、RNAですから、異様に速いんですね。大体我々が百万年かかることを一年でやっちゃうわけですから、ちょっと想像ができないようなスピードで変化していく。それが幾何級数的に進んでいるわけですから、今までの十年と今までの何日間かがほとんど同じような変化で変わっていくぐらいですから、そこが一つ問題がある。非常に速いスピードで今ボタンのかけかえが変わってきて、人間にうつる可能性が高くなってきている。
 もう一つは、鳥のインフルエンザのウイルスというのは、四十二度という鳥の体温で非常に繁殖する特徴を持っているんですけれども、これが今のところ、三十六度、七度で繁殖するものがいっぱいH5N1で見つかっている。ですから、今までのように、鳥の温度がなければうつらないんだという仮説はもう壊れてしまって、しかも、一番問題は、強毒型という、これはかぎみたいなものなんですけれども、話が面倒くさくなるとあれですから、簡単にいうと、人間の体の中に入ってくる新型インフルエンザが入る場所があるんですね。普通、インフルエンザというのは呼吸器しか入らないから、せきが出たりのどが痛くなったり、コホンコホンやるんですけれども、今度のH5N1が何で強毒型かというと、それは、入るところのかぎをいっぱい持っている。今までは脳みそに入るなんてことはなかったわけです。あるいは、血液に入る、腎臓に入る、心臓に入るなんてことはなかったんです。
 せんだって、中国と日本の合同の学会を日本で最初にやったんですけれども、そのときに中国の医師が、中国ではトップレベルの医師なんですけれども、おもしろい発表というか説明をして、我々も苦笑しちゃったんですけれども、中国では、極端にいうと、妊娠中の女性が新型インフルエンザにかかると治療法があるんだと。どういうことかというと、胎児に異様にそのウイルスが集まる習性を持っているために、集めるだけ集めて堕胎しちゃえばお母さんは助かるんだというわけですね。
 非常に中国らしい考え方かもしれませんけれども、これは極端な例として、今までは胎児にうつるなんてことはあり得なかったんですよ。エイズと同じなんですね、これは。新型インフルエンザというのは胎児にも罹患していく。しかも、胎児を好んで侵していく、そういう性格を持っている。かぎをたくさん持っているんです。どこにでも入れる。
 ですから、前も申し上げたとおりに、六十五歳以上の人の死亡率と--三十五歳以下の人の死亡率、特に、子どもたちの死亡率というのは九〇%を超えるわけです。どうしてだかわかりませんけれども、十歳前後のところに一つ下がるスパイクがあって、死なないんですけれども、それ以外は物すごく効率がいい。九〇%以上が死ぬ。六十五歳以上の人は三割ぐらいしか死なないんですね。だけれども、生き残った六十五歳以上の人は完全に脳症を発生していますから、重症の認知症を残して生き残っていくわけで、こうやって脳みそにまで入ってくるというインフルエンザは今までなかったわけです。
 ですから、それに対して一生懸命やらなきゃいけないという話をしているんですけれども、国がなかなか動かないところに都議会が一致して意見書を出して、国がやっと動き始めて、全員のパンデミックワクチンをつくりますとせんだって発表しましたよね。だけれども、パンデミックワクチンというのは、はやってからじゃなきゃできないわけですから、やらなくちゃいけないのはプレパンデミックワクチンをやることであって、パンデミックワクチンなんかつくりようもないわけです。
 それこそ、数百万人、オーストラリアの国立研究所のロウィという研究所の発表では、二百十万人が日本は死ぬといわれているわけですから、そんな恐ろしい病気がはやっている最中に、わざわざワクチンを半年も一年もかけてつくっても間に合わないわけです。
 じゃ、今やらなくちゃいけないのは何かといえば、何回もいっているとおりプレパンデミックワクチン。これはもう完全に有効であって、国民全員に打つと、スペイン風邪とほぼ同じ、H1N1と同じぐらいに少なくなってくる。それでも、当時、四十五万人、五千万人いた日本の中で五十万人近くの人が亡くなったわけですから、それに比べても、下手すると百万人ぐらい亡くなるかもしれないわけですけれども、かなりパンデミックじゃなくなってくるだろうという意見があるわけで、やはりプレパンデミックワクチンをつくるということが一番重要なんですが、今東京都としてやれることはリレンザとタミフルの備蓄であるわけです。
 ただ、問題は、余り具体名を挙げていうわけにいかないんですけれども、抗ウイルス薬というのは、世界で一番大きなワクチンの会社がつくっている薬で、そして、ヨーロッパでは、今はプレパンデミックワクチンが主流になりつつあるのでほとんど売れない、会社では非常に在庫を抱えている薬なんですね。
 在庫を抱えている理由は、さっき申し上げたように、新型インフルエンザには、呼吸器だけでは守れない、これが有用になるのは、プレパンデミックワクチンを打っている人は初めて役に立つんですよ。物すごく役に立つんです、リレンザとタミフルというのは。
 ところが、タミフルとリレンザだけでは非常に心もとない。しかも、タミフルは、今のところWHOが使っている量というのは、我々が大学で使っている量の約倍の量を倍の日にち、四倍使うわけですね。二錠を四錠、五日分を十日分使っているわけですから、東京都が備蓄している量と現実に使う量は四分の一に計算しなくちゃならないわけです。だからこれが悪いというんじゃないんです。これは物すごくいいことです。本当に東京都がやったことはすばらしいことだと僕は思う。四十七都道府県の中では一番いいことをやっているわけです。
 だから、もっともっとふやしていただかなくちゃならないんだけれども、問題は、東京都にある会社じゃないんですけれども、日本のある会社が新しい形の抗ウイルス剤をつくっているので、それも視野に入れてきちっと対応をとっていただきたい。これは今までと違って効果が全然違う。非常に新しい形の、今までとは作用機序が違うものですから、これを視野に入れていただいて、ある程度でき上がっているんですけれども、日本というのは治験に非常に時間がかかるので、治験を短くするように国にいっていただきたい。
 何を申し上げたいかというと、ワクチンをつくっている会社と抗ウイルス剤をつくっている会社が同じであるということが別に悪いことじゃないんですけれども、インフルエンザのワクチンというのは、第一回目に大流行したときに、例えば、一九一八年にスペイン風邪がはやったとき、それから一九五七年まではずっと毎年スペイン風邪がはやっているんですよ。スペイン風邪がはやっていって、上がったといって、だんだん形をマイナーチェンジしながら、毎年毎年、ずっと何十年とスペイン風邪がはやっている。
 今は香港風邪ですよね。ソ連型と香港型。ソ連型は、人為的に細菌兵器としてソ連がつくっていたものが出てきちゃったので、これはもうしようがない、普通はあり得ないことなんですけれども。香港型がずっと毎年はやっていって、そのワクチンをつくっていくんですが、ワクチンをつくる会社というのは、非常にある意味でビジネスとしてもうかるんですね。ですから、ワクチンを日本できちっとつくるということをもうちょっと東京都も声を上げていっていただきたい。
 そうしないと、ある日突然日本でワクチンをつくらなくなっちゃうと、今度のこの問題で終わったとしても、毎年毎年インフルエンザが、例えばH5N1がはやったときに、その次の年からはやるのも、H5N1がずっとマイナーチェンジで何十年も続くわけですから、その間に払っていく日本のお金というのは膨大な量になっていくわけですよ。
 毎年冬になると、何千万人か、インフルエンザワクチンを今やっているじゃないですか。今は日本のインフルエンザワクチンが打てるからいいんですけれども、そのうちに日本のインフルエンザワクチンが打てなくなる。なぜかというと、日本政府がタミフルを買うことだけ、あるいはリレンザを買うことだけを専門にやっていけば、その製薬メーカーはどんどんもうかっていくし、ワクチンをつくることもできるけれども、日本でそういうことを助けてやらないと、日本のワクチンメーカーというのは弱小ですから。優秀なんですけれども弱小なんですね。
 そういうところをきちっと助けてやらないと、その後、今からもしか新型インフルエンザがはやった後どうするかということを考えていかなくちゃならないので、タミフルを、あるいはリレンザを備蓄していただくのはとてもありがたいことだし、この人数で足りるわけじゃない。タミフルが百万人でしたかね、たしか。二百万だか、どっちかでしたけれども、ということは、四分の一の人しかそれが渡らないというわけです。さっきいった四倍の量を使わなくちゃいけないわけですから。
 千二百万人いるわけだから、これじゃ足りないわけで、しっかりやっていただきたいんだけれども、一番安上がりで一番効果的なのはプレパンデミックワクチンだし、そして、プレパンデミックワクチンをやった場合には、タミフルとリレンザはとてつもなく効くんだということと、それから、場合によっては、プレパンデミックワクチンをどうしてもやらないとすれば、新しい形の我が国で開発されている抗ウイルス剤をしっかりその分だけみんなに渡しておかないと、ただタミフルとリレンザを備蓄しただけでこの問題は終わらないんだ、これを少ししっかりと覚えておいていただきたいなと思うんですね。
 そういったって、なかなか新しい形のものを、先ほど申し上げたように、治験が進まなきゃ買えないわけですから、治験が進むまでにタミフルとリレンザ、タミフルは百万人分、リレンザは二百万人分。リレンザは呼吸器にしかブロックしないわけですから、先ほど申し上げたように、全身感染にはある部分では効かないわけですが、ないよりはいいでしょうけれども、備蓄の考え方、今からどういうふうにしようとしているのか。当然、百万人分ということは、タミフルでいうと二十五万人分ですから、千二百万人いるところで二十五万人分じゃ全然足りないわけで、どういうふうにしようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 都の行動計画では、現時点で新型インフルエンザの罹患率を都民の三〇%と推定しております。この推定を踏まえて、都は独自に二種類の抗インフルエンザウイルス薬をそれぞれ、都民の三〇%、通常の処方量といたしまして四百万人分ずつ備蓄することを目標としております。二種類の抗インフルエンザウイルス薬を合わせると八百万人分、都民の六〇%分に相当する量となります。
 この考え方に立ちまして、本年度は、現在入手できるタミフル百万人分、リレンザ二百万人分を緊急に追加購入するものでございます。その結果、既に備蓄しておりますタミフル百万人分と合わせまして、目標の半分である四百万人分を備蓄することとなります。

○田代委員 当然そういうお答えだと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、タミフルは全然足りないわけです。これは東京都が悪いわけじゃないんですよ。国がそういう試算を出しちゃっているものですから、これに合わせなくちゃいけないので、東京都だけ科学的に国とは違うんだというのは、それはなかなか勇気が要ることだと思うんですね。ですけれども、世界の常識、WHOの常識では、今、四錠十日分ということになっているわけですから、そこは少し踏まえておいていただきたいなと思います。
 そして、一般質問でもちょっと申し上げましたように、子どもの治療というものが今完全に抜け落ちちゃっているわけですよね。タミフルは使わないようにしましょうという一つの流れが世の中にあって、しかも、先ほど申し上げましたように、十歳のところは別として、三十歳以下、特に子どもたちの死亡率というのは九〇%近くになっているわけですから、ここがすぽんと抜けちゃうと--東京都を責めているわけでは全然ないんですよ。リレンザとタミフルしかないわけですから、しようがないといえばしようがないんですが、先ほど申し上げたように、新しい抗ウイルス薬というものが開発されているわけですし、僕は、タミフル自身もこれだけ用意できたというのは驚異だと思うんですね。
 九州のある県、県の名前はちょっと名誉がありますからいいませんけれども、全く集められませんでした。県知事が号令をかけて、すさまじい勢いでタミフルを手に入れようとしたんですけれども、ある圧力って、国の圧力しかないんですけれども、もうちょっと待てということで手に入らない。我々の、県の医師会長の仲間なんかの話を聞くと、本当に歯ぎしりして悔しいといっている。医者の中にも、いかに新型インフルエンザが怖いかということをわかっている医者もたくさんいますから、手に入らなかったのを、東京都というのはすごいな、これだけのものがよく手に入ったなと思って感心もするし、ご努力に敬意を表するわけですけれども、しかし、それでも足りない。
 先ほど申し上げたように、新しい抗ウイルス薬も出てくるわけですから、そういうときにどういうふうに対応していただけるのか。ここで終わるわけじゃないんですけれども、これから、子どもさんのことはお答えはできないのは当たり前ですけれども、今後、新たに開発された抗インフルエンザウイルス薬が供給されるようになって、選択の幅が広まってきたときは当然それも考えていただけると思うんですが、お答えをいただきたいと思います。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 ただいまの先生のお話のとおり、抗インフルエンザウイルス薬につきましては、国内外で新しい医薬品の開発が進められております。都といたしましては、常にそのような新薬の開発や製品化の状況につきまして、最新情報の収集に努めております。
 新たに開発された新薬が供給されるようになり、選択の幅が広がった場合には、その効果、効能、安定供給の見通し、使用や保管の利便性等を十分に勘案しながら、備蓄していく医薬品を、最も適したものに適宜見直してまいります。

○田代委員 大変しっかりと、そういうお答えをいただけると安心できるんですが、何しろ、東京都が三割罹患という--これは東京都が悪いんじゃないんですよね。一九九一年にWHOが出した考えはそうだったんです、当時は。今それが完全に変わっているんですが、国がそれを受け入れないために、東京都もそれに合わせなくちゃいけなくなっているんですけれども、三〇%ということはあり得ないので、全くの新型ですから、全くだれも、人間でこれに対する抵抗力を持っているのは--本当のことをいうと、九十五歳以上の人は若干持っている人がいることはわかっているんですけど、九九%だれも抵抗力を持っていない。
 大きさが大体一万分の一ミリなんですね、このウイルスは。ということは、一ミリ四方の小さな箱の中に一兆個入っているということですよ。それだけの量が、つばやせきの中のたんだとかそういうものに、その大きさの中に一兆個入っているものがどんどんどんどん出ていって、大体二週間の間に、一個のウイルスから百万個できてくるわけですから、とてつもない、ちょっと想像ができないような量のウイルスが満員電車の中でもどこでも出てくる。しかも、それに対して我々人類は全く白紙の状態。抵抗力どころか、何にもそういうものを持ってないわけですから、三〇%でおさまるはずもない。
 しかも、その中で、今ここにいる我々、こっちサイドに座っている人たちはワクチンを打つんですね。計画どおりにいけばですよ、いつかわからないけど。でも、我々の家族は打たないんですよ。皆さん方も、まあ局長さんは打つでしょうけど、次長さんは打ってもらえないかもしれない。そこで、それの区分け、仕分けをするのが本当にいいのかどうか。プレパンデミックワクチンは絶対有効なんですけど、それを打ってもらえる人と打ってもらえない人がいるということも考えて。
 特に、せんだっても申し上げましたとおり、昭和大学で我々が実験的にやったときに、本当に体が動きませんでした。模擬テストですから、別に本当の患者さんが来たわけじゃないんだけど。それで最後の答えは、あのときも申し上げたとおりに、じゃ、どうしたかというと、昭和大学では--昭和大学が悪いんじゃないんですよ。今の方法はそれしかないけど、荏原に渡すということで話が終わっているんですよ。荏原が引き取って、そんなこと対応できるはずもないし、三時間かけてやって五人しか診られなかった。パニック状態になったとき、発熱センターに大量に患者さんたちが来て、うちの子にワクチンを打て、うちのお父さんにワクチンを打てといわれたって、僕たちは対応も何にもできない。
 しかも、一番大切なことは、治療薬も大切ですけれども、検査キットも全然足りてないわけですよね。今から集めるものはたくさんあると思いますし、限られた予算の中でうまく配分をして、都民の不安をなだめるような行動計画をしっかり立てていただくことを要望して、質疑を終わります。
 ありがとうございました。

○斉藤委員 それでは、私の方から、補正予算を中心に質問いたします。指定管理者については、松下理事の方にお任せしていきたいと思います。
 補正予算のページ順で質問していきたいと思います。
 まず最初に、安心・安全対策の2の中の福祉施設における安心・安全対策。
 まず、介護保険前、措置時代では、現在のような高齢者の入居施設の経営難というのは余り想像できなかったものでございます。今回、この冊子の方、緊急対策Ⅱの冊子を見ますと、特別区の例を挙げて、施設経営の苦しさに言及しております。ただ、制度については特別区限定ではないと思うんです。私のいるような多摩地域も含めて使える話だと思うんですが、現状の福祉施設の経営の厳しさ、どのように認識しているか伺います。

○蒲谷事業調整担当部長 昨年度、都内の特別養護老人ホームと介護老人保健施設を対象に実施しました特別養護老人ホーム等経営実態調査の結果を見ますと、平成十八年度の収支差額率は、平成十六年度に比べて、ほとんどの施設で悪化していることが明らかになっております。特別養護老人ホームの場合、平成十六年度と比べて、収支差額率は約二・九ポイントの減となっております。
 こうした状況に加え、今般の経済情勢の急変がさらに施設の経営に及ぼしていくものと認識しております。

○斉藤委員 答弁の中で、都内全域で悪化ということで認識しているということですので、特別区に限らずということだと思います。
 法人の対象については、社会福祉法人といういい方はしておりませんけれども、実際どの範囲までを想定した対象になっているんでしょうか。

○蒲谷事業調整担当部長 今回の特別融資制度は、高齢者や障害者、児童等を対象とします福祉施設を運営する非営利の法人を対象といたしまして、二十年度と二十一年度の二カ年の緊急対策として実施するものでございます。

○斉藤委員 営利法人は入っていないので、恐らく今一般的にいわれている有料老人ホームというのは、株式会社経営ということになりますので、対象外になるんじゃないかと思うんですが、なかなか今、有料ホームも、ヘルパーさんが集まらないということで、人件費をどうしても上乗せしていく関係で、なかなか経営に厳しい部分があるというふうには伺っております。
 今回、その償還期間が二十一年以内というふうになっておりますが、この償還期間の根拠を教えていただきたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 償還期間ですが、据え置きの期間一年を含めて二十一年以内とする予定でございます。この償還期間は、社会福祉法人などに対し建築資金や設備備品整備資金など長期融資を行っている、独立行政法人福祉医療機構の福祉貸付事業における償還期間の例などを参考にして設定したものでございます。

○斉藤委員 今幾つか伺った中で、最初にこの制度を見たときにちょっと疑問に思った部分があるので伺うんですけれども、どこの福祉施設もなかなか経営が厳しいということはわかっています。ただ、今特に報道されている中で、特別養護老人ホーム、こちらの方はどうしてもヘルパーさんが集まらない、低い報酬で集まらないということで、人件費を上乗せして、結果的にその人件費が経営に圧迫となっているために、管理職なんかも給料を抑えながらやっているけれども、最終的に人が足りなくなっちゃって、開業したばっかりのところはもう最初から一部閉鎖して運営をスタートするというような、需要がありながらも非常に危機的な状態になっているということで、今回、緊急の中に入ってくるのかなというふうに思います。
 ただ、この制度に関してちょっと疑問があるのは、これは特養ホームに限らないですけれども、介護保険の報酬が振り込まれる二カ月間をカバーするつなぎ融資に関しては理解できるんですが、それ以外の融資に関して、無利子ということはいいとしても、特別養護老人ホームはもともと、実際に返済するという部分の余力が発生する運営構造になっているかというと、やや少し疑問があります。
 もともと今、特別養護老人ホームの入所者については、介護度が四か五ですから、これ以上この人が重くなって収入が上がる--収入というとちょっと語弊があるんですけれども、重くなれば、当然その分、介護保険から出る金額も大きくなりますから、収入が上がる可能性があるんですね、事業者としては。ただ、それが四か五ですと、大体上限いっぱいでございます。また、こちらの思いどおりに上がる話ではありませんから、これもなかなか難しい。
 定員数も、普通の商売で、株式会社の運営の中で融資をしていただければ、それはその商売を広げていく、生産量をふやしていくというようなことで、その分利潤も上がっていくというふうになるんですが、もともと定員数が百人だったら、それ以上いきなりふえたりはできません、定員数でそれ以上の予定はないですから。
 そうすると、もともと一部閉鎖なんかをしているような新しい施設では有効性があるかなと思うんですが、実際には、既存のものについてはなかなか難しいんじゃないかと思う。
 正直いって、お金に余力ができたら、今まで滞っていた、管理職とか上の方のベテランの人の給料を補てんしてあげたいというのが人情なんじゃないかなと思いますが、実際にどういうふうに返済をするのかというのがちょっと気になります。
 融資についてどのように行っていくのか、概要を教えてください。

○蒲谷事業調整担当部長 融資を行う際には、法人ごとに過去の決算書類や償還計画を精査した上で貸し付けを行うものでございまして、融資を受ける法人が二十一年以内の期間において償還可能な額を貸し付けることとしております。
 制度の詳細につきましては今後詰めることとなりますが、例えば経営状況が悪化していること、経営改善計画を立てることなど、貸付法人が一定の要件を満たした場合には、融資資金を活用した設備の更新や、借りかえによる利子負担の軽減などを行い、長期的視野に立った経営基盤の確立を目指す仕組みなどを検討しております。

○斉藤委員 制度の詳細は検討中ということで、補正予算に出ているので、詳細を検討中ではちょっと困るんですが、ただ、緊急ということで必要性は感じます。
 その一方で、既に融資を受けて経営しているというところは、措置制度の時代につくった特養なんかは、多分もう余りないんじゃないかなと思います。措置制度のときは結構資金が集まるような仕組みがありましたので、わざわざすごい長期の融資を借りるホームばかりじゃなかったと思います。
 そういうところからすると、福祉保健局の中で介護に携わった職員さんは随分いらっしゃると思うんですが、恐らくこれを見たときに、全部がこれで助かるということは--全部って、特別養護老人ホームあたりをイメージして、全部のホームがこれに該当して助かる、もしくはそういったことで融資を受けることで助かるというふうに思っていない。全部が全部対応できないのではないかというふうに思っている職員さんも結構多いんじゃないかと私は思っているんですね。
 根本的なことをいえば、やはり介護報酬がちゃんと上がってもらうこと、実情に合わせた介護報酬になること、ここが根本の解決策かなと思います。もちろんこの部分については、こういった融資をとにかくやってみて、少しでもいろんな福祉施設が助かるということはいいことでありますが、ただ、今、割と新聞の話題になっている特別養護老人ホームについては、少し限界があるのかなと。最終的にはやはり東京都の方から、今後介護報酬が上がるらしいですけれども、適切な介護報酬になるように今後も働きかけていただきたいというところであります。
 同時に、ホームばかりじゃなくて、介護保険のホームヘルパーなど、自立支援法のホームヘルパーなども、需要もありますし、若い人も、九万円程度の講習でヘルパー二級が取れますし、また、年齢が高いヘルパーさんも今多いですから、世代交代という点でも、そういったニーズが事業者でもありますので、土木工事の公共事業も必要ですけれども、一方で、こういった部分も一つの公共事業ですから、福祉の方にもぜひお金が回るように、より頑張っていただきたいというふうに思っております。
 では、もう一つの方で、生活困難者に対する支援ということも今回の補正予算の中に入っております。緊急自立支援ですね。こちらの方で、離職者融資については既存の事業で行われていますけれども、なかなか現在の厳しい雇用情勢では、既存のばかりではなくて、今回のように充実した条件ということで、制度に手を加えて対応しなければならないというところは非常に理解できます。育児中の世帯を意識したものにかなり入っていったわけですけれども、この再就職支援貸付事業についての事業の規模と内容について、概要を教えてください。

○芦田生活支援担当部長 再就職支援貸付事業についてでございますが、この事業は、離職者のうち、単身世帯については年額百二十万円、家族世帯については年額二百四十万円を上限に、再就職までの生活資金を無利子で貸し付けるものでございます。
 また、子育て世帯については、生活資金の上限額を年額三百万円まで引き上げるとともに、学校の入学金や授業料等に係る資金について、子ども一人につき五十万円を上限に、あわせて貸し付けを行います。
 実施規模は、平成二十一年度末までの間に、約六百世帯の利用を見込んでいるところでございます。
 また、学校の授業料等に係る貸付利用者は百四十人程度を想定しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 それでは、このような融資の場合、中小企業なんかの事業者への融資と違って、相手が個人ですから、なかなかその奥行きというものが、一般的な事業者、会社とは違います。余り無理な返済計画にならないように抑え抑えしながら融資をするというのが、個人の場合に一つ大事なポイントになってくると思います。そうしますと、融資実施の際に、月々の返済の負担に関しても当然考慮しなければなりません。
 一つの例として、子ども二人を養育しているような場合、本事業による貸し付けを最大限利用した場合に、どのような返済の流れになるか、モデルケースを使ってご説明いただきたいと思います。

○芦田生活支援担当部長 貸付金の返済についてでございますが、貸し付け終了後、十二カ月の据置期間を経て、基本の貸し付けである生活費の部分については七年以内、子育て世帯への優遇貸付の部分については最大十年以内に返済を行うこととしております。
 例えば、ご質問の子ども二人を養育している場合、本事業による貸し付けを最大限利用しますと、生活資金は、月額二十五万円の十二カ月分で三百万円、また、子どもの授業料等に係る資金は、一人当たり五十万円の二人分で百万円となり、両者を合わせて総額で四百万円の借入額となります。これを十年間で返済する場合、七年目までは毎月の返済額は約四万円となり、八年目以降は一万円強となります。ただし、貸し付けの際は、その方の生活状況を丁寧に聞き取った上で必要な貸付額を決定するため、返済額はこの金額以下となる場合が多いと考えております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 モデルケースで伺うと大変わかりやすいですし、今伺ったら、最初の前半、七年目までは月々約四万円ということで、これが安いか高いかという点でいえば、多分、状況からすれば決して安くはないのかもしれません。しかしながら、一時をしのいで再就職をした上での返済ということで、ある程度どこかで一つ目安になる数字というものをいただくことで理解できるというのは確かですし、実際には、四万円は一番高いときであって、もう少し控え目にというところで、相談をしながら決めていく話なのかなと。また、七年を超えたところでは一万円強の月々の返済額ということで、後で少し減るというのは大変無理のない計画なのかもしれません。
 このような方々を対象とした融資制度、一つ理想的なものにつくっていくということは非常に重要なことですし、こういった取り組みというのを東京都が提案していくということは、僕は非常に大事なことだと思っています。特に今、基礎年金の受給者、しかも保険料を満期で支払った基礎年金受給者であっても、生活保護の金額よりも低いというような状態の中で、いろんな課題があります。こういった中で、このような事業を、生活保護を使う前にぜひ一度試してみませんか、もしくは相談に来ませんかということは、私は非常に大事なことだと思います。
 今の生活保護制度、国の方がやっている部分なので、いいたいことをいってしまう部分なんですが、正直いって、ちょっと一本調子であり、また、現実はもう少し幅があるものと同時に、本人の自立を支えるという点では、少し課題が多いんじゃないかなという気がいたします。
 本来ならば、自立の支援をしていくという部分、早く生活保護から抜け出すということが必要なわけですけれども、ちょっとそういった部分では、現状の制度が余りそれに適したものじゃないというふうに私は思っておりますので、こういった試みの制度で、生活保護の以前の方、そこになる前に助けるということをしていくのは、本当に緊急として価値があるものだというふうに思っています。
 ただ、大変気になるのは、先ほどお話ししましたように、長年会社を経営して雇用もしてきた方がお金を借りるのと違って、社会性の低い方も、このつなぎ融資の対象になるということです。もちろん、この制度を使おうというのですから、ある程度役所の仕組みがわかる、社会性がそれなりにある方なのかもしれませんけれども、なかなかモラルをどの程度持っているかというのは、判断が難しいところであります。もちろん、一定のまじめな方がそれ相応にいらっしゃるので、きちんと返すということは期待できる部分ですが、一定比率の回収不能、もしくはそのまま生活保護になってしまう、一生懸命頑張っても生活保護になってしまうということは当然あるのはわかっております。ですから、その部分についても、やむを得ない場合が多々出てくると思います。
 ただ、どこかの何とか銀行東京のように緩い審査で高額に貸し出してしまったり、もしくは今の生活保護制度に見られるような悪意を持った受給、ましてやブローカーの暗躍などがあってはいけませんので、これは職員の方にぜひチェックをきっちりやっていただきたいというふうに思っています。
 そして同時に、まじめに返済をしなくてはいけないというふうに思っている方に対しては、まさにその返済能力の向上のためにも、密なる効果的な支援というのが望まれます。
 今回の再就職支援貸付事業は、現行の離職者支援貸付制度をもとに構築されたというふうに聞いておりますが、失業した世帯への金銭的支援に加えて、そのほかにどのような個別の対応、そしてまた支援をしていくのか伺います。

○芦田生活支援担当部長 現行の離職者支援資金貸付制度は、労働部門との連携による再就職支援が十分でないことが課題となっておりました。このため、本事業につきましては、産業労働局等との連携など、再就職支援の仕組みも検討してまいります。

○斉藤委員 再就職支援ということで、これはぜひ局長に伺いたいところでございますが、実は再就職支援を含む就職支援というのは、福祉保健局というのは基本的に余り得意じゃない分野だと僕は思っています。僕自身がちょっと福祉の関係をやっていたことで、思っているんですが、どちらかといえば民間の企業の論理みたいなものは、余り自分で何かしっくりこないなという職員の皆さん、割と福祉保健局の方におられるんじゃないかと思います。僕自身、割と周りの人間関係の中で、そう思っています。どちらかといえば、こういった企業の論理や情報の新しいものがわかるというのは、やっぱり産業労働局なんですね。そういったときに、福祉の方の対象になるような人だから福祉というのは、僕はちょっと、得手、不得手からすれば合ってないというふうに思っています。
 そういう中で、再就職支援はそれこそ、産業労働局とかに協力をきちんと求めていくじゃなくて、協力を持たせるぐらいな話だと思います。多分そういうふうに思っているのは、僕よりはむしろ、局長の後ろに座っている方の方が実感しているんじゃないかと思います。職員さんの方が、多分、そういった現状の企業の事情なんかとか、そういう情報の収集は産業労働局の方が詳しいというふうに、どこかで思っているんじゃないかと思います。
 そこで、職員さんのためにも、やっぱりこういった局同士の外交というのは局長さんの仕事でございますから、ぜひとも局長に、そういった適宜ほかの局に振るものについては強引にでも押し込んでいくぐらいの活動をしていただきたいと思います。今回は緊急でございますので、ぜひ決意だけ伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

○安藤福祉保健局長 今回、緊急の対策として再就職支援貸付ということを始めさせていただきました。また、おっしゃるとおりでありまして、私的なことにわたりますけれども、私は雇用就業部長をやっておりましたので、労働分野については、先生のおっしゃることはよくわかっておりますし、今回は、低所得者対策の中でも、産業労働局と私どもで連携した形をとっております。今般はそういった経験が生かせるものというふうに思っておりますので、局の垣根を越えて事業を進めていきたい、こう思っております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 福祉保健局は少し仕事を抱え過ぎみたいなところも、ちょっと私、個人的に思っていますので、ぜひ上手に他局に振っていただきたいと思います。
 そしてまた、さらに、先ほど病院経営本部の中で、産科医療に関して質問が幾つかあったんですが、都立病院以外は福祉保健局の方で、いわゆる一般の病院、診療所に対しての協力という部分で補正予算の方でも組み込まれています。緊急対策Ⅱの冊子でいうと、一〇ページの後半からは福祉保健局の担当というふうに伺っております。
 この中で伺うんですけれども、今回、緊急対策Ⅱの冊子をもとにした部分で、一〇ページになるんですが、一〇ページの下段の方には、こういうふうに都民の不安を払拭して、安心して妊娠、出産できる体制を確保することが急務であるというふうなことで載っております。
 実際には、全体の方の金額は約三・五億円で、地域で支える周産期医療体制をつくっていくということでございます。もちろん現状からすれば、こういった産科医療の現場については、内部ではなくて、外から人か物か金を持ってくるしかないというのは、これは思いますので、今回、補正予算には大変期待しておりますけれども、具体的にその内容と算定の根拠、金額の算定の根拠ですね、これをちょっと説明していただきたいと思います。

○吉井医療政策部長 今回の補正予算の周産期医療緊急対策で、三・六になろうかと思うんですけれども、地域で支える周産期医療対策といたしまして、二つ大きくございます。
 一つは、周産期母子医療センターの機能の確保として六千万、それから周産期連携病院(休日・全夜間診療)と銘打ってございますけれども、の新たな指定ということで、設備整備費補助も含めまして約三億円の計上としてございます。
 このうち周産期母子医療センター機能の確保の部分では、搬送調整業務支援のための看護師等の増配置というのが大きいわけでございますけれども、これは、センターで受け入れ、搬送調整を行うドクター、医師の負担を軽減するために、医師の指導のもとに緊急の患者受け入れとか搬送調整業務を行う看護師または事務補助を二十四時間増配置できるよう支援するものでございます。これにつきましては、三カ月分でございますので、一施設当たり約二百九十四万円というふうになります。

○斉藤委員 搬送調整業務支援のための看護師の増配置や、地域医療機関の医師の協力による休日診療体制の確保など、医師や看護師の配置への支援策が並んでいるわけですね。都立病院以外ですので、民間の医療機関が対象になるということになります。
 都立病院の中ですと、ある程度、東京都の方が旗を振ったときに反応がすぐ来るわけですけれども、民間となりますとなかなか、それぞれの事情がございます。医師や看護師の確保が困難な現状で、これらの事業の目的を確実にするために十分な支援を行っていただくようお願いいたします。
 コーディネーターの話を少し聞こうと思ったんですが、若干重複いたしますので、一個飛ばしまして、もう一点伺いますが、これらの補正予算に盛り込まれた対策の実施に当たっては、こういった民間病院の協力が不可欠というふうになるわけなんですけれども、実際にこの辺の手ごたえに関しての所見を伺いたいと思います。

○吉井医療政策部長 今回の補正予算でお願いしております周産期医療緊急対策、これを実効性あるものとしていくためには、周産期母子医療センターの対応はもとより、地域の医療機関の協力が欠かせません。このため、先般、知事より東京都医師会長に協力を要請したところでございます。また、先日、都内の周産期母子医療センターの医師等を対象とした会議を開催いたしまして、周産期医療協議会の検討状況でございますとか、今回の緊急対策Ⅱの内容等について説明したところでございます。
 補正予算が成立した後、緊急対策の実施について改めて周知するとともに、協力方を要請していきたいというふうに考えております。

○斉藤委員 わかりました。
 今回、産科医療の方が結局、補正予算にのってきたわけなんですが、加えて少し、私、大変疑問に思ったのが、疑問というか、大丈夫なのかなというふうに思ったんですが、ちょうど同じような時期に、東京ルールという言葉で大変マスコミの、三面記事に大きく載った記事がありましたけれども、東京ルールという言葉が飛び出しまして--救急医療対策協議会の最終報告、これもちょうどこの秋に出たんですね。で、産科の方が話題になる以前より、救急医療の方も大変厳しい状態だということは皆さんご存じだと思いますが、話題になっておりました。もちろん周産期医療、これはきちんと補正予算にのせていただいて、ありがたい部分でありますが、救急医療の方は今回の補正予算にのらなくて大丈夫だったのかなという素朴な疑問がございました。
 先般発表された最終報告を読みますと、救急医療の方で、これ、見ていると、細かい予算が必要かどうかという部分については、余りわからないものも多かったんですが、その中でも、コーディネーターの配置みたいに新規の予算が必要ではないかなというふうに思われる記述が幾つかございました。医療機関の努力でもやはり限界があると思いますので、新たにこういった予算をやらなきゃいけないところってあるわけなんですが、実際に今後どのような考え方で新たな救急医療対策づくりを進めていくのか、今回のらなくても大丈夫だったのかなという私の疑問が晴れるように、お答えいただければと思います。

○吉井医療政策部長 都内の救急搬送は年間六十万件を超えます。その大部分は、円滑な搬送と救急医療が行われているところでございますが、事案等発生しております。そうした意味で、救急医療の厳しい状況を踏まえまして、先生お話しの十一月二十一日、救急医療対策協議会の最終報告をいただきました。
 ここの中では、個々の医療機関の努力だけでは救急患者の迅速な受け入れに限界がある状況にあること、それから、救急医療を真に必要とする患者に迅速な医療を提供するためのルールづくりが必要であるという提言をいただいたところでございます。
 救急患者の迅速な受け入れを行うためには、地域の医療機関相互の連携の整備、それと地域ネットワークの構築が必要であり、そのかなめとして地域救急医療センター、これは仮称でございますけれども、の整備と、コーディネーターを設置することが提言されております。
 今、先生ご指摘の部分でございますけれども、救急患者の迅速な受け入れを行う新たな仕組みを円滑に導入していくためには、運用のためのガイドラインでございますとかマニュアル、こうしたものを整備いたしまして、関係機関との調整や理解、協力、こうしたものに十分な準備を行っていくことが必要であるというふうに考えております。
 現在、二十一年度の実施に向けまして、救急医療対策協議会で提言いただいた、その内容の具体化に向けた調整を行っているところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 これはこの場で慌てて予算を要求はしませんので、もう一問だけ質問させてください。
 救急医療機関の連携が必要であるということでございました。そうしますと、それなりに幅の広くなる話ですので、準備に時間を要するというのはよくわかります。
 救急医療体制の中でも中心的な位置を占めるのは、入院を要する、まさに今いいましたような救急患者を対象とする二次救急医療機関です。しかし、この二次救急医療機関が取り扱う患者の八割近くは、救急車ではなくて自力で来院しているというふうに聞いております。こうしたことからも、救急医療体制の充実のためには、地域の初期救急を早期に充実させて、二次救急医療機関の負担を軽減することが必要だと思います。
 そこで、初期救急医療体制の整備についての都の考え方を伺いたいと思います。

○吉井医療政策部長 入院を要しない軽症の救急患者に対応するいわゆる初期救急医療体制につきましては、住民に身近な区市町村が主体的に事業を展開していく、これが原則でございます。
 このため、区市町村におきましては、輪番制でございますとか、休日夜間急患センターあるいは救急病院内での実施など、その地域の実情に即したさまざまな形態で初期の救急医療を提供してございます。
 休日夜間帯に二次救急医療機関で診療を受けた患者の約九割、八七%でございますけれども、入院を要しない結果となってございまして、こうしたことからも、初期救急医療体制の充実は今後とも重要であると考えております。

○斉藤委員 最後に、少し要望だけいわせていただきます。
 初期救急医療体制を整備するのに、人的な面だけでなくて、財政的な支援というのが必要ですので、ぜひよろしくお願いします。
 私の地元の医師会の方からちょっとお話を伺った中で、準夜間診療所というのを各自治体で結構つくりまして頑張っているけれども、土曜日については、東京都の補助がどうしてもすき間になって抜けてしまうと。各自治体も、市区町村も随分お金を横出ししてやっているんですけれども、日曜、休日という部分では補助があるんですけれども、土曜日はちょうど準夜間帯の補助が抜けてしまっている。大変無理をいって申しわけない部分でありますが、しかしながら、一次救急、初期救急を充実する上で、ぜひこの補助についても制度上考えていただきたいというふうに思っております。ぜひともよろしくお願いいたします。
 あと、加えて、先ほど、看護師の増員という部分もございました。これは私の方の意見で、以前、予算委員会の中で本当は聞きたかったんですが、ちょっと時間の関係で割愛した部分なんです。
 今、女性医師の復職という話もありますと同時に、女性の看護師の復職についても、ある程度環境を整えた上でということで、院内保育室なんかの話も出ました。私自身は男性の看護師でございますので、ちょっと私の立場からいうと、大変手前みそではありますが、今、男性の若い看護師さんも地域の病院で大分ふえております。大変若くて、なかなかイケメンな看護師さんがいらっしゃるんです。私は別として、いらっしゃるんですけれども、まだそれでも、東京都も随分採用しているんですが、まだまだ半分という感じではありません。出産による中断というのが非常に少ないということも実際ありますし、もう一つは、私の家族の話ですけれども、女性の看護師さんは、準夜勤、夜勤となると、どうしても夜間の帰宅時間が遅くて、安全の部分で大変心配でありますし、また母性の保護という点でも決していいものではないというふうに思っております。
 ですので、最近のモンスターペイシェントの対応、抑止ということについても、効果がひょっとしたらあるかもしれませんので、男性の看護師の養成、採用について努力をしていただきたいと思います。
 余りこれ、答弁を求めますと、男女雇用機会均等法にひっかかってしまうというふうに伺っていますので、これはあくまで一方的な要望ということでありますが、現実、こういった分野で働きたいという男性の方が福祉の分野に行けば--寿退職をしなければならない現状を考えますと、まだまだ希望される方はたくさんいらっしゃると思いますので、ぜひとも配慮をしていただきたいというふうに思いまして、意見として、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○橘委員 当委員会に付託されております平成二十年度一般会計補正予算案のうち福祉施設の耐震化対策と、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標の二点について質問いたします。
 まず、保育所など福祉施設の耐震化について伺います。
 中国四川大地震で、学校施設等の倒壊によって多くの子どもたちが犠牲になった教訓を踏まえまして、東京都内の小中学校等の耐震化に拍車がかかっておりますけれども、保育所などの福祉施設の耐震診断、耐震改修も急がなくてはならないと思います。
 福祉施設は、いうまでもなく自力で避難が難しい方が多く利用する施設でございまして、その一部は地震発生時に被災者の受け入れ機能を担っていることからも、人命最優先の視点に立って施設の耐震化を進めていくことは喫緊の課題であろうと思います。
 ことしの第二回定例会及び第三回定例会における我が党の主張を踏まえまして、東京都は、入所、通所系の全福祉施設の耐震化調査に迅速に着手いたしました。その調査結果を踏まえて、今回の緊急対策Ⅱの中に、耐震診断のための経費を補助予算として直ちに計上したことは大いに評価いたします。
 そこでまず、今回実施いたしました耐震化調査の結果の概要について伺います。

○松井総務部長 今回の耐震化調査の対象施設は、先生おっしゃられましたように、都内の入所、通所系の全福祉施設ということになっておりますけれども、約一万二千施設に対しまして調査を実施し、七千六百六十九の施設から回答がございました。
 調査結果のポイントといたしましては、次の三点でございます。
 第一に、全体の耐震化率は七九%でありまして、八割近くの建物の耐震化が進んでおります。
 第二に、耐震化率の内訳といたしまして、入所施設の耐震化率は八七%、通所施設の耐震化率は七六%ということになっておりまして、入所施設の耐震化率が若干高い結果となっております。
 第三に、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建設されました建物三千七十五棟のうち、改修不要あるいは改修済みなどの建物が千六百九十二棟でございます。一方、耐震診断が必要な建物が九百二十棟、耐震改修が必要な建物が四百六十三棟ということで、合わせて千三百八十三棟でございます。

○橘委員 旧耐震基準で建設された三千七十五棟のうち、これはあくまでも回答があった数字でありますけれども、耐震診断、それから耐震改修が必要なのが千三百八十三棟でありますから、比率から見れば、半数近くが対策を講じる必要があるということになります。
 こうした結果を踏まえまして、都は今回、福祉施設の安心・安全対策として、耐震化のための補正予算を計上したわけでありますけれども、福祉施設の耐震診断に対する今後の目標も含めて、今回の補正予算への計上の基本的な考えについて伺います。

○松井総務部長 先ほど申し上げましたけれども、今回の調査の結果、耐震診断が必要な建物は、公立、民間を合わせて九百二十棟でございます。これらの建物の耐震性の有無を検証するために、耐震診断を早急に進める必要があるということで、平成二十三年度までに、該当する民間のすべての建物の耐震診断を完了することを目標とするものでありまして、今回の補正予算におきましては、耐震化の前提となる耐震診断の促進に向けまして緊急の対策を講じるものでございます。
 具体的には、民間の社会福祉法人等に対しまして、耐震診断に係る経費の五分の四を補助するということで、耐震診断の早期受診の促進を図ってまいります。

○橘委員 次に、今回の補正予算に盛り込まれております耐震診断に必要な補助金については、事業者への周知も必要と思われますし、申請手続も迅速に行うべきと考えます。その点、今後のスケジュールについてどうなっているのか伺います。

○松井総務部長 耐震診断の補助の今後のスケジュールでございますけれども、補正予算成立後、速やかに補助要綱を策定いたしまして、福祉施設を運営する民間事業者に対して周知を行い、年明け早々にも申請を受け付ける予定でございます。

○橘委員 多くの事業者が早期に耐震診断に取り組むことができるよう、都としても、耐震化補助制度の周知も含めて、事業者に対して積極的に働きかけるよう、強く要望しておきます。
 次に、今回都が行った耐震診断の結果を踏まえまして、耐震改修等が必要であることが判明した建物は、事業者が改修工事等に対応していく必要がありますけれども、耐震改修には多額の経費がかかります。
 そこで、都は今後、保育所などの福祉施設の耐震改修にどのような方針で支援を行っていくのか、方針を伺います。

○松井総務部長 耐震改修につきましては、平成二十一年度から五年間で必要な改修が行われるよう、民間事業者に対する新たな施設整備費補助の制度を創設する予定でございます。
 具体的には、著しく耐震性の低い建物、すなわち構造耐震指標でありますIs値が〇・三未満の建物につきましては、改修に係る経費のうち八分の七を補助するなど、耐震化の促進を支援してまいります。

○橘委員 改修に係る経費の八分の七というのは、非常に手厚い支援だと思います。限定でIs値〇・三未満というのは、限定ではありますけれども、それでも八分の七というのは非常に大きいインセンティブになっていくかと思います。
 耐震改修に手厚い補助を行うことで、事業者はより改修が行いやすくなるように思います。たとえ今後、財政が厳しい状況になっても、特に子どもや障害者など、災害時の要援護者がいる福祉施設については、計画的に耐震化の取り組みを進めていく必要があります。このための財源についてはきちんと確保していく、システム的にしっかりやっていくということを今から構築しておいた方がいいかと思います。この点については強く求めておきます。
 一方、保育所についていえば、年間を通じて利用者がいることや、敷地が狭く、仮移転の建物も確保できないなど、改修工事に際しては難しい課題もあります。そこで、保育所等の事業者がより積極的に改修に取り組むよう、都として支援が必要と考えますけれども、この点についての所見を伺います。

○松井総務部長 保育所等の耐震改修につきましては、建物や敷地の現況、利用者の状況等に配慮いたしまして施工できるよう、保育の実施主体であります区市町村等とも十分連携し、対策を検討してまいります。

○橘委員 保育所等で実際に耐震改修を行うとなると、困難な課題が今おっしゃったように大変多いわけです。そのことが、今まで改修が進まなかったという一つの要因にもなっているわけです。
 例えば、私たちが地域の中で見ている保育所を想定してみますと、園庭が小さかったり、そしてまた、仮の園舎をつくろうと思っても、そのスペースすらない。耐震改修をするときに、どこに園児を移せばいいのか。それから、部分部分で改修工事をやっていこうとするにも、その安全性は確保できるのか。狭い敷地という、また隣近所が密集しているという状況の中では、非常に厳しいものがありまして、補助金が十分あったとしても、また資金が十分あったとしても、それがそのまま改修につながるという状況でもない、そうした現実もございます。そして、それを区市町村と連携してやっていくといっても、これは、そういう課題がありますけれどもどうしましょうかといわれた区市町村もまた頭を抱えるわけであります。
 そこで、一つ提案でありますけれども、今まで保育所等には、こういう状況にありながらも工夫しながら耐震改修を行ったところも多々あるというふうにお聞きしておりますので、それも含めて、また専門の建築アドバイザーであるとか設計士、それから民間の建設会社など、アイデアを募集しまして、そのアイデアをもとにして、保育所等の施設において安全で効率的な耐震改修を行える、そういった工法を参考として区市町村に提示していけば、区市町村もある程度それを参考にしながら進めることができるのではないかと思います。そうした区市町村がやりやすいような、また事業者が耐震改修を行いやすいような、そういう下地を、アイデアを都が提供していったら、これは少し進むのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

○松井総務部長 耐震改修につきましては、基本的には、施設の実情が最もよくわかっている区市町村ですとか事業者が判断すべきことであるというふうに考えますけれども、先生の貴重なご提案でございますので、有用な情報につきましては区市町村等に紹介しながら、耐震化の促進に積極的に努めてまいりたいというふうに考えております。

○橘委員 ぜひこれは知恵を絞って、やりやすいような、少しでもたががはまっているような部分については東京都が取っ払っていくような、そういった支援をお願いしたいと思います。
 次に、健康長寿医療センター中期目標について質問します。
 平成二十一年四月に設置されます地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターは、高齢者専門の医療と研究を合体した、全国で初めての地方独立行政法人であることから、その果たす役割については大きな注目を集めております。
 このたび、健康長寿医療センターの中期目標が定例会に提示され、同センターが実施します都民に対するサービスなどが明らかにされました。しかし、このセンターが高齢者の医療を取り巻く課題に本当にこたえていけるものであるのかどうかについては、具体化がすべてこれからのことでありますので、さらに検討していかなければならない課題もあるように思います。その観点から質問いたします。
 初めに、中期目標の内容について幾つか確認したいことがありますので、伺っておきたいと思います。
 この資料にあります中期目標について、ページからいいますと、まず三ページでありますけれども、ここには地域連携の推進というのがございまして、このように書かれております。これまでの地域連携の機能を強化し、地域連携クリニカルパスの導入準備など、医療機関や福祉施設との医療連携を一層進めていく、こういう記述がございますけれども、この中期目標期間の四年間は、クリニカルパス、これは導入準備期間という位置づけなのか、実際に導入していくのか。この表現では、準備だけとも受け取れますけれども、いかがでしょうか。

○飯塚参事 地域連携クリニカルパスは、入院から退院後まで、医療機関や福祉施設と連携し、患者に対し一貫した支援を行う上で、地元医師会、各医療機関と十分に調整の上、導入するものでございます。
 本中期目標期間の四年間におきまして、まず特定の疾患、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、乳がんを想定しておりますが、これらについて、地域連携クリニカルパスの導入を関係機関と調整してまいります。

○橘委員 今、微妙なおっしゃり方をしましたけれども、調整していきますというんですけれども、これは、実現していく、そういう前提で調整していくということだと思いますが、相手があることですから、やりますとかできますとか、できないといえないというのは十分理解できますけれども、これは今、非常に普及している内容であるというふうに聞いておりますし、またこれが非常に大事な部分でもあるというふうに聞いておりますので、ぜひ早期に実現をしていっていただきたいと思います。
 同じページに、安心かつ信頼できる質の高い医療の提供の項目の中に、患者中心の医療の実践というのがございまして、この中にはこのように書かれております。患者がみずから受ける医療の内容に納得し、自分に合った治療法を選択できるよう、十分な説明に基づくインフォームド・コンセント、これを徹底することと書いてあります。
 ただし、これも、都立病院、公社病院すべて、今、大体これについては徹底、普及していると思うんですけれども、あえてこれを明記して、念押しするような形でここに記述されているのは、その理由は何でしょうか。

○飯塚参事 これまで、老人医療センターにおきまして根拠に基づく医療を提供し、患者や家族にとって納得性の高いインフォームド・コンセントを、患者一人一人の状況に応じてタイミングよく実施するよう努めてまいりました。
 健康長寿医療センターにおきましても、老人医療センターで培ってきたこうした取り組みを継続するとともに、センターに勤務するすべての医師、看護師等の医療従事者が、こうした考えを常に念頭に置き、インフォームド・コンセントを徹底するよう、中期目標にも記載したところでございます。
 引き続き、患者の主体的な医療参加を促す観点から、患者や家族にとって納得性の高いインフォームド・コンセントを実施してまいります。

○橘委員 わかりました。
 三点目の確認事項です。
 これは高齢者の医療と介護を支える研究の推進という項目のところ、ページにすると五ページになりますけれども、そこにこういう記述がございます。センターの研究部門は、重点医療に寄与する研究の実施や、老年学・老年医学研究の推進を通じて、高齢者の予防・医療・介護の諸課題に包括的に取り組み、臨床への実用化や社会還元を進める、こういう記述がございます。
 この社会還元については、地方独法化した後の運営にゆだねられるものでありますけれども、中期目標にあえてこれを盛り込んでいるということは、方向性はこうあってほしい、また、こうあるべきだという方向性は持っているのだろうと思います。その点について、この具体的な還元方法について、どのようなイメージを持っていらっしゃるんでしょうか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターは、地方独立行政法人として公共的な役割を担っていくことから、都民ニーズにこたえた研究を推進していくこととしております。その研究成果につきましては、学会発表や老年学公開講座の開催、各種広報媒体を活用した情報提供等を通じまして、積極的に成果の社会還元を進めてまいります。

○橘委員 わかりました。
 それから、四点目の確認事項です。
 産学公の積極的な連携という五ページの記載がございますけれども、ここには、大学及び民間企業等との連携強化に努め、新たな技術の実用化及び新薬の開発等を積極的に進めるとあります。この研究開発に対する企業等の資金提供、取得した場合の特許権、それから収益配分の調整機能、これはどこが担うのか。
 これは類似例はちょっと違うかもしれませんけれども、画期的な開発をした場合に、企業がその権利を持つのか、開発者が持つのか、研究グループが持つのか、この辺がよく裁判にもなったりいたします。
 この点については、独法化の中で、こういったトラブルはあってはならないと思いますので、これは事前に調整機能を担う機関あるいは部門、そういったものがあってしかるべきかと思いますけれども、その点についてはどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。

○飯塚参事 地方独立行政法人では、法人の独自の判断により、人事交流を含め、大学、企業などとの連携を積極的に推進し、高齢者医療の多様な課題やニーズに対応する、新たな技術の実用化や新薬の積極的な開発を進めることができると考えております。
 しかしながら、地方独立行政法人は公共的役割を有するものであり、都民ニーズにこたえ、政策課題の解決に寄与する事業実施を確保していかなければならないとも考えております。
 このため、民間企業などとの共同研究、受託研究などの実施に当たりましては、その研究の目的や内容を適正に審査する仕組みを構築し、研究実施の決定を行ってまいります。さらに、研究成果に関する知的財産や収益につきまして管理する体制を整備してまいります。

○橘委員 それから、財務内容の改善に関する事項、これも七ページに記載がございますけれども、地方独法化というのは、経営基盤といいますか、財政基盤といいますか、この確立がいつも注目をされるわけです。財政の面から有利だという観点から地方独法化というのもあるんですけれども、実際は、やってみるとなかなか難しい、そういった結果、ケース等も間々見受けられます。
 したがって、今回も、このセンターでは経営基盤の確立がどうなるのか、これが非常に注目されると思います。今からちょっと早い話ではありますけれども、見通しについてはどのようにお考えでしょうか。

○飯塚参事 東京都健康長寿医療センターは、地方独立行政法人として行政的な役割を担うために設置するものであり、設置団体である都からの支援は非常に大事であると考えております。都から必要な支援をしっかり実施することにより、法人の経営基盤を盤石にしていくと考えております。

○橘委員 今、私、五点について、中期目標の内容について確認いたしました。というのは、あえてこの五点に絞ったのは、これからの同センターの骨格をなす部分とポイントになる部分であろうと私は感じましたので、五点について確認させていただきました。
 その上に立ちまして、都の医療行政全体の中で、この健康長寿医療センターが占めようとする位置づけと役割について、この点についてはどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

○飯塚参事 急激な高齢化の進展により、高齢者の医療ニーズが飛躍的に増大しております。そういう中、高齢者に対する高度先端医療の増大も予測され、都が先導的に取り組む必要がございます。
 健康長寿医療センターの役割は、中期目標において、高齢者の特性に配慮した医療の確立、高齢者医療を支える研究の推進、人材の確保、人材育成を目指すこととしております。これらを実現することにより、大都市東京にふさわしい高齢者医療の確立と発展、そして高齢者の健康の保持と疾病、介護予防の対応に寄与し、超高齢社会の都市モデル創造の一翼を担うものとしております。

○橘委員 現実の問題にちょっと触れますけれども、このセンターというのは、高齢者の急性期医療を提供していくという位置づけになるわけですけれども、治療が終わって、退院できる状況になっているんだけれども、ところが、家庭での介護が困難であったり、家庭の事情等で退院してもらっては困るというケースが多々あるというのも現実の問題であります。
 当然、このセンターでは、退院後の対応、これについて考えてはいらっしゃると思いますけれども、ここでうたっている超高齢社会の都市モデルの創造という観点から考えて、退院後の対応についてどのようにきめ細かく対応なさっていくのか、この辺の考えについてお伺いします。

○飯塚参事 これまでも老人医療センターでは、退院先の紹介や家庭における在宅介護サービスや医療機関の情報提供などを行い、高齢者やその家族が退院後の不安がないよう支援してきたところでございます。
 健康長寿医療センターでは、地域連携の機能をさらに強化し、先ほどお話しいたしました地域連携クリニカルパスの導入を図り、また、入院から退院後まで、医療機関や福祉施設と連携し、個々の患者に対し一貫した支援を行う体制を確立してまいります。

○橘委員 中期目標の中にも書いてありましたけど、逆紹介であるとか地域連携というのは、これを密にやっていくと、これがまた、こういう実現になっていくと思いますので、これはもう少し細部を詰めていただきたいと思います。
 次に、ベッドの数について、まとめて質問いたします。
 ベッドの数というのはまた一つの大きな課題であります。健康長寿医療センターのベッド数については、新しい建物ではベッド数を五百五十床にすると計画されております。地域住民の中からも、これで必要なときに本当に入院できるのかという声があるのも事実であります。その声を受けまして、地元板橋区議会からも、病院の改築時には、ベッド数を現行の七百床を確保するようと、そういう意見書が出されてもおります。
 今後、高齢者が急激に増加していく中で、高齢者専門病院である健康長寿医療センターがなぜベッド数を削減するのか、これがまず一点です。
 二点目は、健康長寿医療センターでは、ベッド数を五百六十一床で運営を開始する。つまり来年四月ですね、運用を開始するというふうに聞いておりますけれども、開設まで残された期間はわずかであります。現在六百四十六床の病床を、この四月から五百六十一床まで落とすという計画、これは高齢者の退院強制が行われるんじゃないかというおそれも、危惧も今出ております。したがって、このベッド数の削減はどのように実施していくのか、これが二点目の質問です。
 三点目。中期目標では、基本的な認識として、このように記述しております。すなわち、今後、高齢者の増加に伴い、高齢者の医療ニーズは飛躍的に増大するとともに、高度先端医療の提供についての要望も増大するというふうに書かれております。この基本的な認識、これからますますお年寄りがふえていく、高度医療もふえていく、こういったニーズがふえていくという認識を示しながら、ベッド数の削減は、さまざまな手法を駆使するという、これは考えていらっしゃるようですけれども、矛盾するのではないかと思われますけれども、この点についてはどう考えていらっしゃいますか。

○飯塚参事 まず、第一点の健康長寿医療センターのベッド数についての考え方についてご説明させていただきます。
 健康長寿医療センターは、高齢者の疾病に対応した急性期医療を、老人医療センターから引き続き担っていきますが、先ほどからの地域連携クリニカルパスの導入など、病診連携、病病連携を一層推進することや、高齢者の心身の状況に適した、高齢者に負担の少ない医療の提供を推進していくことなどから、入院期間の短縮が図れると考えております。
 また、地域連携を推進することにより、患者紹介率を高め、疾病の急性期に入院が必要な高齢者の早期入院を図ることによる病床稼働率の向上が可能になると考えております。
 これらの取り組みを推進することで、高齢者の医療ニーズに十分対応でき、かつ効率的経営も図れる規模として、新施設のベッド数を五百五十床としたものでございます。
 二点目のお尋ねを続けて説明させていただきますが、二十一年度設立時におけるベッド数は五百六十床を予定しております。これは、新施設における五百五十床へ円滑に移行し、設立当初から安定した運営を実現するために計画をしたものでございます。現在、具体的な病棟再編のスケジュールなどを検討しているところです。
 実施に当たっては、患者ごとに最適な診療計画を作成するなど、入院中の患者の療養環境に影響が出ないよう配慮し、計画的に実施してまいります。
 今後、病院利用者や関係機関に十分説明を行い、不安が生じないように努めてまいります。
 三点目のご質問でございますが、将来的な需要等に対する考え方ということでございます。
 私ども、平成二十四年度中に整備完了予定の新施設については、利用者の利便性への配慮や医療ニーズの変化に対応できるような施設となるよう、現在、与条件等の検討を行っているところでございます。将来の状況に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

○橘委員 わかりました。
 今、現状の稼働率、それから、これから入院日数の短縮等、将来的な課題、これらを総合的に勘案して、こういうベッド数というのはよくわかりましたけれども、実際は、また将来的には需要が多くなるということ、可能性もあるということを念頭に置いて整備していく、そういった趣旨だと思います。
 それで、ベッド数については、将来、高齢社会になりますと、需要増に備えた備えは、これからどうしても必要になってくると思います。これは、柔軟に対応できる、余裕を持たせた施設の設計をこれから行っていくべきだと思います。つまり、これから設計段階に入っていくわけです。新しい建物については、そういう段階になっていくと思いますけれども、余裕を持たせた、将来の増にも対応できるような、そういった設計も検討していただきたいと思いますけれども、これについての見解を伺います。

○飯塚参事 少し先ほどの答弁と重複いたしますが、平成二十四年度中に整備完了予定の新施設につきましては、利用者の利便性への配慮や医療ニーズの変化に対応できるような施設となるよう、現在、設計与条件の検討を行っているところでございます。

○橘委員 日本の世界に類を見ない急激な高齢化と、それに伴って生じている医療面の課題、高齢者医療分野の研究成果は、今後同じ道を歩むであろうと思われます、経済発展著しいアジア諸国にとっても貴重な参考事例になるかと思います。
 特に、世界最高水準の高齢者医療分野の研究、この成果、それから社会還元のノウハウ、老人総合研究所で社会還元のことをやっておりますけれども、そうしたものについては、アジア諸国との都市間交流の一つの貢献策として検討されてはどうかなというふうに私は思います。枠組みはアジア大都市ネットワーク21というものがありますし、そうした中では、技術交流であるとか環境交流とか、さまざまな分野にわたって日本が貢献していく、そしてまた交流していく、そういう観点で交流を行っておりますので、その一環として、日本の高齢者医療に対するノウハウ、そういった貢献をしていく、そういったことも考えていってはどうか。これが東京のアジア諸都市に対する一つの大きな貢献策ではないかと思いますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。見解を伺います。

○飯塚参事 老人総合研究所は、これまでも海外の研究者や行政機関の職員などの視察を積極的に受け入れ、研究情報や研究成果について提供してまいりました。
 法人設立後もこうした受け入れを積極的に推進していくとともに、アジア諸国の都市との研究に関する交流が図れますよう、都の都市交流施策などと連携いたしまして、さまざまな機会において研究情報の積極的な提供に努めてまいります。

○橘委員 大いに期待しております。
 最後に局長に見解を伺いたいんですけれども、この健康長寿医療センターというのは、大きな期待を担うものでもあり、また一面、新しい取り組みでありますので、不安もございます。その中でさまざまな課題を解決しながら、これが一つの軌道に乗り、成功したならば、今後、東京だけではなくて、大きな、日本全体の高齢者医療という一つのモデルケースにもなろうと思います。それを目指してそれぞれが努力していく、そういった一つの、地域にとって、また日本全国にとっても一つの灯台になろうかと思います。
 その辺について、これからどういうふうに整備していくのか、また運営していくのか、局長の認識と決意を伺って、質問を終わります。

○安藤福祉保健局長 るるご質問をちょうだいいたしましたけれども、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターは、これまでの老人医療センターと老人総合研究所を一体化させまして、新しい制度であります地方独立行政法人化のメリットをもって、高齢者を取り巻くさまざまな課題を解決して、先生おっしゃるように、東京にふさわしい高齢者医療の確立と発展を目指して設立するものであります。
 地方独立行政法人は、経営の自立を目指すものでございますが、健康長寿医療センターの役割を果たしていけますよう、行政的医療の実施などに必要な支援は確実に実施してまいりたいと思っております。
 また、先ほどは地域連携クリニカルパスの点でご説明申し上げましたが、地元の医師会、各医療機関との十分な調整が必要だというふうに思っております。そうした調整を経て、地域の医療機関などとの密接な連携をぜひとも構築して、地元の板橋区を初め都民の皆様の期待にこたえられる施設となるように、設立に向けて十分な準備をしてまいりたい、こう思っております。

○東野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時四分休憩

   午後四時十六分開議

○東野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○かち委員 先ほどの病院経営本部の質疑と引き続きますけれども、福祉保健局の補正予算で、周産期医療の拡充で、搬送調整機能の強化についてお聞きします。
 この件については、先ほども質疑がありまして、周産期医療センターにおける緊急対策として、搬送調整に係る事務を、医師の補佐ということで看護師等を配置するということでした。予算の算出根拠も、一日二十四時間配置で、一施設当たり二百九十四万円計上しているということでした。
 そういう体制をとるということですけれども、これはあくまでも病院側が手を挙げたらということになるので、どこまでそれが実現できるかという問題はあるんですけれども、しかし、搬送調整業務で一番大変なのは、夜間、休日の調整業務だと思うんですね。実際、本事業の対象となる周産期医療センターの医師の休日、夜間の当直体制というのは、現実的にはどうなっているでしょうか。

○吉井医療政策部長 本事業の対象となる周産期母子医療センターにおけます産科医師の夜間当直体制でございますけれども、厚生労働省がこの十月に実施した調査によれば、三人体制をとっているところが七施設、二人体制が八施設、一人体制が二施設となってございます。

○かち委員 大学病院など比較的大きなところは、三人体制というところもあるんですけれども、一人から二人体制が十カ所ということですので、こういう夜間、休日体制の中にそういう搬送調整が入ってきたときに、果たして医師を補佐して看護師等が対応できるかという点では、かなり厳しい面があるのではないかなというふうに思います。
 しかし、今まではこういう体制がなかったわけですから、少しでも医師の勤務軽減になるとは思います。
 私は、大阪の母子保健総合医療センターに行って、今回の仕組みを中心的につくられた副院長の先生からお聞きしたんですけれども、コーディネーターは経験が物をいうと。また、病院間のコミュニケーション能力も求められる。自分のところで受けるなら、ある程度大まかでもよいけれども、他に紹介するには、詳しい情報を正確に伝えなければならない、そういう能力も求められるわけで、そこでベテランほど効率的に動かすことができるんだというふうにおっしゃっていました。実際に、今までは搬送調整に五十分かかっていたものを、専任にしたことによって、三十分で対応できるというような成果も上がっているわけです。
 そういう意味で、この事業は、NICUが目いっぱいの中で調整をしていかなければならない。そういう搬送調整をしていく中で、最終的には東京都が責任を持つ立場にあるわけですので、東京都がコントロールセンター的な機能を持って、医師による調整のあり方というものを検討していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、見解はどうでしょうか。

○吉井医療政策部長 先日の本会議でもお答え申し上げましたけれども、現在、東京都周産期医療協議会におきまして、大阪府も含め、ほかの自治体の取り組みも参考にしながら、東京の現状に即した搬送調整について検討してございます。都としては、その結果を踏まえた対応を図ってまいります。

○かち委員 ぜひ検討してください。
 それで、母子医療、周産期をめぐる課題の解決に向けて、かつて東京都は母子保健サービスセンター業務を行っていたわけです。法改正もあって、結果的にこのセンターは廃止され、ここで行っていた業務は区市などに分散され、一部、福祉保健局でも引き継いでいますけれども、ここでは母子医療統計をまとめておりました。当時は、国際的にも大変貴重な資料であると評価されていたと聞いています。しかし、この資料も、平成十年以降、いろいろ課題もあるようですけれども、滞りがちとなっています。
 小児、周産期医療の貴重なデータは、今後の医療展開にとっても大事なことであると思います。このような基礎研究データ収集を位置づける必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 母子保健サービスセンターで行っておりました母子保健等の統計情報の収集につきましては、現在、福祉保健局におきまして引き続き実施しておりまして、母子保健事業報告年報などの形でまとめ、必要に応じて区市町村に対して還元しております。
 さらに都は、統計データを分析し、妊婦や乳幼児の健康管理や死亡率の低減などに資するよう、関係者への広域的かつ専門的な支援を行っているところでございます。

○かち委員 やっていらっしゃるということですけれども、この間見せていただいたのは、最新のもので二〇〇三年と二〇〇四年の合併版みたいなことで、それ以降まだ出ていないということなんですね。本当に大事な資料ですので、引き続き局として取り組むということであれば、有効に活用できるように、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 都として今年度から、安全な周産期医療を提供するために、地域の周産期医療センターを中心にネットワークを強化し、地域における効率的な医療提供体制をとる、周産期医療ネットワーク事業に取り組んでいますけれども、その進捗状況はどうなっていますでしょうか。

○吉井医療政策部長 地域で支える周産期医療体制を構築するためには、医療資源の状況等、地域の特性に応じ、医療機関等が、連携と機能に応じた役割分担を進めることが重要でございます。
 このため、都は、本年三月に策定いたしました連携ガイドラインを基本にいたしまして、周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所等によるネットワークグループの立ち上げを進めており、現在、二つのグループで取り組みが始まってございます。
 今後も、各地域の連携の実情も踏まえ、実効性のある連携体制の構築に取り組んでまいります。

○かち委員 (資料を示す)これが、つくられたガイドラインの、ことしの三月にできたものですね。九つのブロックに分けて地域ネットワークをやっていこうということで決められたわけですけれども、現在、二カ所にとどまっているということなんです。なぜ遅々としているかというと、実施要綱を見ますと、その中核となる周産期医療センターが幹事となって、連携会議の開催や運営から地域医療機能の把握、リスクに応じた役割分担の連携の方法の検討とか、オープンシステムの検討とか、症例検討、研修などを企画し、リーダーシップを発揮しなければならないということで、大変負担感があって、なかなか具体化ができないというように聞いております。
 一方、周産期センターにはなっていないけれども、日本医科大学多摩永山病院のように、オープンシステムを導入して、地域連携を実践的に行っているところもあります。こういう病院も含め、まず地域の連携をつくるため、先ほど来の顔の見える話し合いの場を持つところから、都として支援もして踏み出すことが重要ではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

○吉井医療政策部長 先ほどもお話し申し上げましたけれども、現在、二つのグループが取り組みを開始しているところでございます。そのほかの地域につきましても、今現在そういう準備を進めているところでございます。各地域の連携の実情も踏まえまして、実効性のある連携体制の構築に取り組んでまいります。

○かち委員 システムが余りピラミッド型に固まったものであると、なかなか進まないので、下から積み上げるような地域連携のつくり方をぜひ模索、また支援もしていただきたいと思います。
 いずれにしても、周産期医療をめぐっては、総合周産期センターの体制の確立とともに、総合的、多重的に、総力を挙げてネットワークの構築や地域の力量アップなど、周産期協議会を中心に進めていただきたいというふうに思います。
 福祉保健局として国にも要望されておりますけれども、周産期医療をめぐる不十分な診療報酬の引き上げや、産科医師を初めとした医学生の定員増や労働環境の改善など、思い切った財政支援をして、地域の産科、周産期医療の拡充、確立をされることを求めておきます。
 次に、指定管理者制度についてお聞きします。
 今回、十九カ所の社会福祉施設の指定管理の特命、更新ということで提案されています。この制度は、平成十五年の地方自治法の一部改正によって、公の施設の管理運営を、これまでの公共団体だけでなく、民間営利事業者やNPO法人等にも管理運営を代行させる、指定管理者制度が導入されました。平成十八年度までに地方自治体は、公の施設の管理運営を直営でやるか、指定管理にするかを決めなければならないという背景をもとに、都の福祉保健局においても、平成十八年の三月、福祉改革東京ビジョンにおいて、福祉施設の民間移譲を前提とした指定管理者制度の導入が行われました。よって、平成十八年度から多くの福祉施設が指定管理となったわけです。
 しかしながら、指定管理というのは、指定期間が三年から五年、最長十年という期限つきです。我が党は、福祉施設などは、児童福祉施設や障害者児の療養施設などがあったりで、とりわけ継続性が重視される施設であり、短期間の契約で、その先は公募で民間移譲となる不安定な手法をとるべきでないと、導入時から反対の立場であります。
 今回、三年の期限が来て、基本的に一回更新という提案ですが、その中でも、民間移譲の条件が整ったということで、品川景徳学園やむさしが丘学園のように、次々と民間移譲が明らかに前提となっているものもあります。
 そこでお聞きしますが、少なくとも継続性を維持することが求められている福祉施設であるにもかかわらず、なぜ三年という短期の指定期間にしたのか。また、更新するにしても、一律三年以内でなくとも、一つ一つの状況に応じてもっと長期にするということも考えられると思いますけれども、いかがでしょうか。

○蒲谷事業調整担当部長 指定期間につきましては、法的な定めはありませんが、総務局が作成した指針において、五年を原則といたしますが、個々の事情を考慮して、最も適切な期間を設定することとされております。
 福祉保健局におきましては、指定管理者制度の導入に当たりまして、五年を原則としつつ、民間移譲等を視野に入れている施設については、指定管理者を選定するとき、また、その後民間移譲するときと、運営事業者が頻繁に交代するのを避ける趣旨から、当時の事業者を特命した上で、都立施設改革を着実に推進するため、指定期間を三年といたしました。
 今回指定をお願いする施設は、平成十八年四月から平成二十一年三月までの三年間を指定管理期間としていた施設でございまして、引き続き民間移譲等を方針としていることから、処遇の安定性を確保するため、現行事業者に特命により三年間の指定管理を行わせるものでございます。

○かち委員 今のご答弁の中にもありましたように、こういう施設であるからこそ継続性を担保しなければいけない。五年という原則はあるけれども、そうであれば、思い切って五年、さらに特命で十年というやり方もあるわけですよね。それをあえて福祉保健局としては、三年、三年というふうに仕切るわけですが、これは利用者のことを考慮するなら、もっと長期の期限にすることができると思うんです。これはできないことはないというふうに理解してもよろしいでしょうか。今までは三年だったけれども、これを五年にすることは可能だということはいえるんでしょうか。

○蒲谷事業調整担当部長 指定期間につきましては、各局において、個々の施設の特性、状況等に応じた適切な期間を定め、ご提案しているものと認識してございます。
 福祉保健局では、三年間の指定管理を行わせることとしてご提案しているものでございます。

○かち委員 何か、おっしゃっていることと三年ということがどうも不一致な気がするんです。今回提案されている他の局の指定管理の更新では、当初は三年であっても今回は五年というケースもあるわけです。一律に三年にするのではなくて、それぞれの状況に応じて検討すべきだというふうに思います。
 しょせん指定管理は民間移譲の前提条件、三年から五年後には自立して、指定管理料の補助がなくても運営できるようにしていくことが行政から求められているわけです。運営の合理化が求められます。しかし、このような施設は人手で支えられているものであり、収益を生み出すためには、人件費をどう削るかということが一番大きな問題になります。
 そこで、十九カ所もあるんですけれども、一つの例でお聞きしたいと思います。資料を出していただきまして、十七年の指定管理前と十八年の指定管理後の一覧表を出していただきました。それを見ても、全部のトータルを見ますと、全施設で八十七名の常勤職員が減っているということもいえるわけです。
 そこで、東村山福祉園、ここは最重度の知的障害児の施設ですけれども、社会福祉事業団が指定管理を受けています。それでは、平成二十年の、ことしの四月現在の常勤職員数、非常勤の数、その中で契約職員はどのようになっているのか、お聞きします。

○松浦障害者施策推進部長 東村山福祉園の職員数についてでございますけれども、東村山福祉園などの指定管理者である東京都社会福祉事業団におきましては、平成十八年度から、福祉職、看護職におきまして、常勤職員とほぼ同様のフルタイムの勤務日数、すなわち、月二十一日、週四十時間勤務の非常勤職員として契約職員を採用しております。
 それで、平成二十年四月一日における職員の内訳でございますけれども、常勤職員が百九十四人、非常勤職員が六十二人。その非常勤職員六十二人のうち、今申し上げました契約職員は十六人でございます。
 常勤職員は、指定管理導入前の平成十七年度の二百十一人に比べまして十七人減少しておりますけれども、福祉職におきまして常勤職員六名を契約職員にしたもの、その他、作業の部分、施設の浴室やトイレ清掃業務などを行っていた作業の部分を委託化したとか、調理業務の見直し等によるものでございます。施設運営については円滑に行われているというふうに認識しております。

○かち委員 常勤数で十七名減っている。非常勤でもマイナス四名ということなんですね。全体でも十七名減っているわけです。しかも、こういう施設の中に派遣職員が入ってこざるを得ない状況だと。というのは、指定期間が三年しかないので、常勤で雇っても三年後の保障がないということで、契約になるわけですね。そうすると、十八年に採用された人は三年間ありますけれども、その後に採用される人は、一年とか二年の契約ということになるわけです。最も継続性が要求されるこうした福祉施設が、こういう指定管理になると、細切れの人がどんどん入れかわるということで、非常に管理上もふさわしくないというふうに思います。
 また、職員の削減はもちろん利用者サービスにも影響しますし、さらに、指定管理期間の短さは、人材育成と同時に、設備投資や運営面での長期計画も立てにくいなど、多くの問題を含んでいます。何よりも、本来福祉施設などは直接行政が責任を負うべき施設であり、指定管理の更新には反対であることを述べて、質問を終わります。

○西崎委員 私からは、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターと都立福祉施設の指定管理者について、今回、議案が何件かありますので、確認の意味で大きく二つの項目について伺います。
 まず初めに、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターについて伺います。
 平成十八年七月の行財政改革実行プログラムで、老人医療センターについては、より一層の高齢者医療の充実に向け、老人総合研究所と一体化して地方独立行政法人への移行を目指すとされまして、平成二十一年四月、来年になりますが、設立に向け、準備が進められてきました。
 第三回定例会での健康長寿医療センターの定款の成立、さらに本会議で中期目標が提案されています。今回の中期目標が提案されまして、先ほども質疑がありましたけれども、事業の内容がより具体的になり、健康長寿医療センターが、高齢者医療を取り巻く課題に対応して、高齢者の健康増進、健康長寿の実現に向けて期待されるところであります。
 しかし、一つ気になるところは、平成二十年一月に出されました第二次都立病院改革実行プログラムでは、都立病院の新たな経営形態の検討といたしまして、制度的に最も柔軟な経営形態であります一般地方独立行政法人について、都立病院の運営状況を踏まえた人事、給与、服務面など、財政面から詳細な検討を行うとともに、国の動向や、ほかの自治体における地方独立行政法人の導入事例について十分な検証を行うとしているところです。厚生委員会でも都立病院に関しましてはかなり質疑がありまして、慎重論が続いたと思います。
 そこで、老人医療センターと老人総合研究所を一体化し、ほかの都立病院に先駆けて地方独立行政法人とした理由は何か、伺います。

○飯塚参事 都は、高齢者の特性に配慮した医療の確立や高度先端医療の実施など、効果的、効率的に実施する体制づくりに早急に取り組む必要がございます。このことから、健康長寿医療センターは、医療と研究の統合の効果を最大限発揮し、高齢者特有の疾病や身体状況への対応、増加する認知症への対応など、高齢者の医療課題に先導的に取り組むという行政的役割を果たすとともに、予算執行や人事配置などがより柔軟で機動的に対応できるように、運営形態を地方独立行政法人としたものでございます。

○西崎委員 今のお話を伺いますと、健康長寿医療センターについては、医療と研究の統合の効果を最大限発揮して、これからの高齢者の医療課題に先駆的に取り組むため、この運営形態を選んだというお話です。
 それでは、これまで議会は、予算編成過程などにおいて、老人医療センターや老人総合研究所の運営状況に関与してきています。しかし、地方独立行政法人となった場合は、都民の代表としての議会の関与が大変薄らいでいってしまうのではないかと心配されます。今後は議会としてどのような関与ができるのか、伺います。

○飯塚参事 地方独立行政法人の運営に関しましては、地方独立行政法人法に基づき、設立団体の長である知事及び議会が適切に関与できる仕組みとなっております。
 健康長寿医療センターについて述べますと、知事は、高齢者の特性に配慮した医療の確立などの中期目標を、今回、議会の議決を経た上で定めることとなります。また、健康長寿医療センターは、この中期目標を実現するため、具体的な取り組みなどを盛り込んだ中期計画を作成いたしまして、この計画の作成や変更に当たりましても、あらかじめ都議会の議決を経た上で、知事が認可をするということになってございます。
 なお、地方独立行政法人は、知事の認可を受けた中期計画を公表することとなっており、都民に対しても説明責任と透明性が担保される仕組みとなっております。

○西崎委員 これまで老人医療センターは、患者の医療面だけではなく、精神面、社会的側面など多方面からの視点に立って、関係する診療科、医療従事者などがチームとなって医療を提供するいわゆるチーム医療や、物忘れ外来における認知症診療などの開始など、新しい医療の取り組みを行ってきていると思います。これら老人医療センターが実施してきた取り組みは、地方独立行政法人でも引き継がれていかれるのかどうか、伺いたいと思います。

○飯塚参事 本中期目標には、高齢者の特性に配慮した医療の確立と提供を目標の一つに掲げてございます。このためには、これまで老人医療センターが行ってきたチーム医療や、高齢者特有の疾患に対応した専門外来などのノウハウや経験を生かし、個々の患者に配慮した総合的な医療を提供していくことが重要であると認識いたしております。

○西崎委員 今回、新たな経営形態を選んだわけですけれども、新たな経営形態への移行は、質の高い医療サービスの提供ができなければ移行する意味がないと思います。これまでの老人医療センターの成果が引き継がれまして、さらなる都民サービスの向上が図れるよう、今後に向けて十分に検討することを要望しておきます。
 もう一つ、指定管理者ですけれども、次に、今回提案されています都立福祉施設の指定管理者の指定に関して伺いたいと思います。
 地方自治法の改正によりまして、指定管理者制度が導入されました。これまで、公の施設の管理については公共団体等に限定されておりましたけれども、民間事業者までに拡大され、現在まで多くの施設で実施されています。
 しかし、公園や会館などとは違って、福祉施設については本来そぐわないのではないかと大変心配された点もありましたが、現在、都立福祉施設の指定管理者の状況はどのようになっているのか、伺います。

○蒲谷事業調整担当部長 福祉保健局では、三十七の都立施設について指定管理者制度を適用しておりますが、そのうち社会福祉施設は、今回指定更新をお願いしております十九施設を含め三十五施設でございます。
 福祉施設の指定管理者は、社会福祉法人及び公益法人から選定し、都議会の議決をいただきまして指定を行っております。制度導入からおよそ三年近くが経過しておりますが、どの施設に関しましても管理運営は適切に行われております。

○西崎委員 今のお話ですと、どの施設も適切に運営されているということですけれども、指定管理者については、各局で評価制度があると思います。その結果を踏まえて、そういわれていると思うんですけれども、それでは、福祉保健局についてはどのような評価制度があるのか、どのように取り組んでいるのか、お聞かせください。

○蒲谷事業調整担当部長 指定管理者の評価制度につきましては、平成十九年度から実施しておりまして、施設分野に応じた外部の専門家を含めて評価委員会を設置しまして、管理状況や事業効果等について評価を行い、その結果につきましては、局のホームページで都民に公表しているところでございます。
 本年度は、十九年度実績についての評価を行い、福祉保健局のすべての指定管理施設について、良好との評価となっております。

○西崎委員 指定管理者の評価に当たっては、当然事業者側が評価すると思いますし、事業者側にとっては当然、都合のいいといったら失礼かもしれませんけれども、いい評価を出すと思うんですけれども、やっぱり大切なのは、実際にそこを利用している人たちの声。利用者の声を反映させて評価システムというのをつくることが大変重要ではないかと思います。
 そこで、福祉保健局においては、この評価制度において、利用者の評価とか入所者の声をどのように把握して評価に生かしているのか、伺いたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 指定管理施設の評価に当たりましては、利用者の声を評価に活用するため、評価項目の一つとしまして、利用者の意向を収集し施設運営に活用しているかという項目を挙げております。具体的には、福祉保健局の指定管理施設につきましては、そのほとんどが福祉サービス第三者評価を受審していますことから、同制度における関連項目の評価結果を活用し、評価を行っております。
 このほか、事業者とのヒアリング等の中で、施設独自に実施しているアンケート調査や、利用者からの意見を聞く場の設置などについての状況を把握しまして、特筆すべき効果などがあれば評価に反映させております。

○西崎委員 今回は、さきの第三回定例会の厚生委員会で報告のありました児童養護二施設について、民間移譲を予定しているということがありました。引き継ぎのため、今回は現行法人に一年間の指定管理を行うということも含まれています。指定管理者の導入によってサービスの質が下がったのではないかとか、あるいは利用者側が大変負担に思うんじゃないかということがいわれていますけれども、指定管理者の導入も、民間移譲についても、社会福祉施設については、その特性上、運営法人や職員がかわることは、入所者への影響が大きいのではないかと大変心配されます。ぜひともサービスの低下がないように、また利用者の方が不安を感じないように十分に配慮することを要望して、私の質問を終わります。

○野島委員 私も、指定管理者制度について何点かお伺いしておきたいと思います。かち副委員長、西崎委員と重複するところがあろうかと思いますが、それは極力省いてお伺いしていきたいと思います。
 まず、大ざっぱといいますか、大枠の話で伺いたいんですが、実は、さきの第三回定例会の代表質問で我が党の高島幹事長が、行政責任とアウトソーシングと題して問題提起を行いました。特に指定管理者制度については、公の施設の性格に応じ、行政を補完、代行する監理団体を適切に活用すべきものと、民間の競争原理にゆだねるべきものの再整理を行う必要がある、こうした観点から再検証を求めたものであります。
 申すまでもなく、何も福祉保健局所管事業のみならず、他局にもわたっておりますので、そういう大前提でお話を申し上げたい、ということをまず押さえておいていただきたいと思います。
 さて、福祉行政の分野におきましては、地域福祉という大きな流れがございます。そういう中では、当然のことながら事業主体としての区市町村の役割が高まっていく一方、事業主体としての都の比重は相対的には低くなってきておる、こんなふうに認識いたしております。また、指定管理者制度の導入により、直接的には現場を持たない、東京都は現場を持たなくなってきているということも事実だろうと思っております。
 知事はよく、現場を持つ強み、こういう表現をなされるわけであります。現場を手放すことによって、現場のさまざまな課題を吸い上げ、その解決に向けての施策を構築していく、いわば政策力というんですか、政策力とそれを執行していく能力が低下するのではないかと、こんな心配があるわけでございます。
 この指定管理者制度については、実は平成十七年の十二月定例会で、私も含めさまざまな立場から質疑がなされていることについてはご案内のとおりでございます。その際、我が会派の田代委員の質疑に対しまして、局からは、指定管理者制度導入の趣旨は、サービスの向上と経費の節減を目指すものであること。一方、デメリットとしては、一つは、指定期間の限定から、長期的な経営計画に基づいた事業の拡大等に取り組みにくいこと。それから二つは、事業者交代による処遇の継続性に不安が残る。三つ目としては、運営経費が委託料のため、原則年度で清算される、こういう財務上の制約がございますことから、経営上のインセンティブが働きにくい、こういうご答弁をいただいているわけであります。
 先ほど、かち副委員長は、こういうデメリットをすべて認めた上で、反対の立場から質疑をなされたというふうに思っております。どんな制度であれ、光と影というのは当然あるんです、さまざまな分野にわたってのことを統合しながら制度としてやっていくわけですから。したがって、そういうものを、デメリットというよりも、僕はむしろ課題だというふうに認識しないといけないと思うんですね。そういう課題を、知恵を出しながら克服していかなければ、福祉行政の分野においては、強靱な、重層的な事業主体も育っていかないし、いわんや、これからさまざまな分野で社会保障財源というのは膨れ上がっていくわけですよ。そのときに、今までどおりのんべんだらりんとして、デメリットがあるから、その課題については克服する気もなくやっていったら、福祉改革なんか絶対進まない。
 そういう意味では私は、そういうデメリット--これは理事者側の答弁を使っているわけですよ、デメリットというのは。私にとってみれば、制度から来るさまざまな課題を行政執行の中でどういうふうに克服していって、本来の目的に向かって、こういう指定管理者制度のありようをしっかりと高めていく、こういう視点がなければ、福祉改革も何もないわけです。のんべんだらりんと今までどおりの形で、これが心配だから、あれが迷惑をかけるからと、そんなことでは福祉改革なんか進まないというふうに私は思っているんです。
 そんな立場に立ちながら、この三年間、私の言葉でいえば、制度に内在するさまざまな課題にどんなふうに取り組みながらなさってきたのか、こんなところを冒頭お聞きしておきたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 ただいま副委員長からお話のあったことは、特に民間移譲の場合と比較したときの指定管理者制度の課題として認識しております。
 このため、福祉保健局では、平成十八年二月に策定しました福祉・健康都市東京ビジョンの中で、都立施設改革のさらなる展開として、おおむね十年後を目途とした中期的な方針と二十一年度までの展開を広く明らかにしたところであり、ここで民間移譲の方向性を示した施設につきましては、課題解決や条件整備に努めてきており、既に民間移譲を行った施設につきましては、民間法人の創意工夫によりサービスの向上につながっております。
 また、指定管理施設におきましては、各年度において事業者から事業計画及び事業実績報告を提出させ、施設の適切な運営、サービスの提供状況を確認しているところでございまして、この中で事業者からの新たな工夫、取り組みの意向等については、必要性等を判断した上で、できる限り事業執行に反映できるよう努めているところでございます。

○野島委員 いろいろ工夫なされているということと、向こう十年間の中期方針はございます、三年間のスパンのものもあります、それから単年度は常々チェックしますと。いわば行政でございますから、そういう基本方針なり中期計画に基づいて三年ごとの実施計画があって、それをローリングしながら毎年考えていかなきゃならないという、当然のことをしっかりと取り組んでいってほしいというふうに思っております。
 また、今、予算管理などの制度上の制約の中でも少しでも生かしていこうという、そういう取り組みも伺っております。具体的にはお聞きしませんが、ぜひそういうことをどんどん進めていってほしいというふうに思うんですね。
 特に、課題の話であった委託料もあれば、財務からの縛りもあるだろうし、指定管理者が監理団体である場合は、監理団体の定数管理の制約もあると思うんですね。そういうさまざまな制約を一つ一つ確実に、問題点を把握しながらぜひ進めていっていただきたいというふうに思っております。
 そこで、サービスの向上と施設の効率的な運営を目指す都立施設改革については、私は基本的に理解いたしております。今回も、この指定管理者制度についても、幾つかの施設について、民間移譲を前提として、一年または二年の指定期間として提案されておるものもございますし、三年ということもございます。ただただ漫然と今までどおりで指定管理を更新していっているものではないという考えに立ちませんと、課題克服に向けての力にもなりませんので、その辺はしかとご確認いただきたいというふうに思います。
 しかし、今回多くの施設が、三年間、同一法人に管理をゆだねることになっているわけであります。先ほど、かち副委員長のお話もありましたけれども、事業者交代による処遇の継続性への不安にはこたえられるものというふうに思っております。
 ただ、これは後ほど触れますが、処遇の継続性というのは物すごく難しい議論なんですね。今までの利用者がいて、今までの人が今までどおりやっているから、それが少しでも欠けたら処遇の継続性ではないという立場に立ったら、これは指一本触れられないということになるわけですね。本来、何をするためにその施設はあって、何を求めて利用者が来ているのか、それに対して、人、物、金をどういう制度の中でやっていくことがいいのかという立場に立ちませんと、昨今は、保育園の民間委託等で事業体がかわること、それが直接的な保護者あるいは児童の逸失利益につながるなんていう下級審の判決もあったというふうに記憶しておりますので、大変難しい議論なんですけれども、そういう中にあっても都立施設改革を進めていかなきゃならないわけでありまして、三年後をどのように考えているか、また三年間にどういう取り組みをやっていかれるのか、こんなところを伺っておきたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 都立施設改革におきましては、その時点における施設を取り巻く環境や施設種別、規模、置かれた状況など、さまざまな要素を個別に検討し、条件が整ったものから順次民間移譲を進めております。
 今回、指定管理者を指定する施設につきましては、民間移譲等を方針としていることから、処遇の安定性を確保するため、引き続き現行の指定管理者に特命するものであり、民間移譲に向けた条件整備について検討してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。
 ぜひそういう条件整備も、さまざまな分野からしっかり進めていっていただきたいと思いますし、そのときに法令上の制約があれば、こういうふうに変えていかなきゃいけないというようなことも、私どもも国に働きかけていく必要があるだろうというふうに思ってございます。ぜひ社会情勢の変化を十分見きわめながら着実に取り組んでいってもらって、成果を出してもらいたいというふうに思ってございます。
 先ほど西崎委員の方から、評価と評価のありよう、こういったものについてはお話がございましたので、重複いたしますので、割愛をいたします。
 全体的に評価が良好というふうなことだというふうに承知をいたしております。特に全体の、ほかの局との、見てみますと、ハード系や、生活文化スポーツ局のところでは、優良という評価を得た施設が結構あるんですね。これは僕はわかりやすいと思うんです。公園は来場者がふえたとか、その結果収入も上がったとか、あるいはいつ都民が行ってもいい公園だなというふうに評価を受けているとか、これは利用者サイドからヒアリングすればわかることでありますので、そういう意味では量的にわかりやすいというところはあると思うんです。
 大変優良な評価を受けている、それはそれでいいんですが、仮にそこが評価が余り芳しくなくても、ある種サービス業ですから、公園管理とか、いろいろ生文の施設関係はね。直ちにそれが社会不安に結びついたり、直ちに利用者に直接的に迷惑がかかる、こういう施設ではないということは、先ほどお話がありましたように、福祉保健局の抱える福祉施設のことから来ますと対比的にいえるのではないかなというふうに思っております。いわば生身の人間をケアしたり、あるいは障害者や児童の自立を支援していたという、こういう社会のセーフティーネット機能を担っているわけでありますので、その辺の評価というのは、優良という評価はなかなか出ないんじゃないかなというふうに思っております。
 先ほど評価の部分で、そういうことから来る評価のありようをどうするんですかという質問を西崎委員がなさいましたので、そこはもうネグっちゃいますけれども、引き続きいろいろな意味の工夫をしていっていただきたいと思うんです。そのことが先ほどいった課題を解決する一つの方法でもありますから、ぜひ英知を振り絞って--なるほどという評価書というのは僕は絶対できないと思う、これ。だけれども、ああ、そういうことで、そういうきめ細かく評価をしているんだなという、こういうものをぜひ求めていっていただきたいというふうに思っております。
 次に、いろいろな意味でほかの施設と対比いたしましたけれども、何か不都合があれば、これはもう人間の生存にかかわる問題でありますから、直ちに指導しなければならない、こういうことだろうと思うんですね。こういう異なる事業者に対して指導監督、あるいはスキルアップを図っていくというのが、実は僕、十七年の四定のときに申し上げたんですけれども、自前で全部やるのが一番気楽だといったんです。一定の政策目標に向かって人を動かしながらやるほどつらい、大変な、困難な仕事はないんじゃないかというのを申し上げた記憶があるんですけれども、そんなことでやりますと、事業所の方もいろいろご苦労なさってやっているかというふうには理解をしておりますし、先ほどお話ししましたように、事業計画、それに基づいて事業を実施し、それをまた振り返るというふうな、プラン・ドゥー・シーのサイクルの中で事業というのはやられると思うんですね。
 実は、この間、監査報告をいただいたんですよ。その中に、一部の事業について、事業報告書等に記載漏れがあったというふうな指摘がございまして、ちょっと気になっていたんですね。細かい点はきょうは触れませんけれども、書面をつくることにきゅうきゅうとして本当の仕事ができなくなっちゃうと、これも問題ですけれども、やはり表面上そういうことが出てきますと、事業の信頼性を失いかねないという指摘もややもするとあるというふうに思うんですね。今後、指定管理者に対してどんなふうな指導を行っていくのか、伺っておきたいと思います。

○蒲谷事業調整担当部長 施設の適切な運営確保及び利用者サービス向上の観点から、指定管理者に対する指導は重要なことと認識しております。各年度終了後に提出される事業報告書はもとより、必要に応じ、日々の事業運営に関して、指定管理者に対し都が報告を求めることや実地調査を行うことなどにより、引き続ききめ細かく指導を行ってまいります。

○野島委員 もう終わりにします。ぜひそういうことできめ細かくやっていっていただきたいというふうに思うんです。指定管理者を育成していくんだ、こういう視点を持って、十分な意思疎通を図りながら指導してもらいたい。そのことが結果として都民サービスの一層の向上につながるというふうに私は認識をいたしております。
 と同時に、前回の質疑でも申し上げたところでありますが、指導する側の都の職員のそういうところに対する指導者というのかな、事業を任せる側の人材の育成をどういうふうにしていったらいいのかなというのも大きな課題だというふうに思うんです。
 我が党のさきの高島幹事長の代表質問でも、進行を管理する側に十分な能力が求められますよ、こういうご指摘も申し上げているところであります。したがって、指導、育成をしていく対象である指定管理者、あるいはこれからさまざまな重層的な事業主体を育てていかなければ、これからの地域福祉というのは育たないというか、重層的なしっかりしたシステムになっていかないというふうに僕は思うんですね。今まで何でも官丸抱えでやっていたという時代はもう終わったんです。と同時に、それはやろうと思っても続かないんです。そういう制約もございますので、ぜひそんなところに留意しながら、社会福祉のシステムが強固となるよう万般の取り組みをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。 
 ありがとうございました。

○松下委員 私からも指定管理者に関して幾つかご質問したいと思います。
 今回、指定管理者の指定が議案として提出をされております。その中で、第二百四十九号議案、指定管理期間を一年間とする施設が二つあります。これは第三回定例会の厚生委員会において民間移譲が報告された品川景徳学園及びむさしが丘学園です。このときの質疑では、民間移譲に当たり、入所している子どもたちの安心感を確保するため、適切な引き継ぎ期間を設け、きめ細やかな引き継ぎを行うとのことでした。そこで、具体的に何点かお伺いをしたいと思います。
 指定管理期間の一年間において、指定管理者となる東京都社会福祉事業団と今後選定される移譲先法人と、具体的にどのような体制で引き継ぎを行うのか、お伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 東京都社会福祉事業団から移譲先法人への引き継ぎにつきましては、現在のサービス水準を維持し、入所している子どもたちの安定した生活を確保することが何よりも重要でございます。このため、引き継ぎ期間は一年間というふうに設定をいたしまして、四月、十月、翌年三月と段階的に移譲先法人の職員をふやしていく、こういう方法で引き継ぎを行ってまいります。
 各段階ごとの職種や人数につきましては、事業団が指定管理者として決定され、移譲先法人が公募により選定された後、この両者と都の三者で協議の上、決定をいたします。事業団職員と移譲先法人職員は、児童自立支援計画を作成し、子どもの援助を行う中で、児童一人一人の性格や心身の状況、生育歴等を踏まえたきめ細かな引き継ぎを行ってまいります。
 また、地域関係機関等との連携を引き継ぐ職員も配置する予定でございます。

○松下委員 一年間の引き継ぎ期間において、移譲先法人の職員を出向職員として受け入れ、きめ細やかな引き継ぎを行う予定であるということはわかりました。子どもたちの安定した生活の確保に十分努めていただきたいと思います。
 私は、先日、このむさしが丘学園に伺い、施設の現状を視察してまいりました。グラウンドというのでしょうか、施設のちょうど真ん中にある広場や端の砂場で何人か楽しそうに笑顔で子どもたちが遊んでいたのがとても印象的でした。虐待を受け、心に大きな傷を受けた子どもたちもいるのかと思いますが、本当にけなげに楽しそうに、こちらに手も振ってくれる姿に胸がいっぱいになりました。
 そこで、むさしが丘学園について幾つかお伺いをいたします。
 むさしが丘学園には家庭的養護を推進するため、グループホームが設置されております。民間移譲に伴いグループホームは引き継がれるのか、引き継がれるとして、どのような引き継ぎが指定管理期間中に行われるのか、お伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 グループホームにおきましても、一年間の引き継ぎ期間を設けまして、移譲先法人の職員を配置し、ともにグループホーム運営に携わる中できめ細かな引き継ぎを行ってまいります。
 なお、民間移譲の運営事業者公募要項におきましては、むさしが丘学園におきまして、東京都養護児童グループホーム制度実施要綱に基づく事業も継続することを条件としております。

○松下委員 むさしが丘学園において、グループホームの運営が事業の継続の条件に提示され、きめ細やかな引き継ぎが予定されていることを伺い、安心はいたしました。
 先日視察をした際に、この園の中で出張調理というお話を伺いました。これはグループホーム以外は棟で八人単位で子どもたちは生活しており、食事というのは厨房から配膳されたものを各室単位で盛りつけ、炊飯は室にて行っている。つまり料理の調理中のにおいや湯気などのような家庭では当たり前のように行われていることが、ふだんは全くわからない。出張調理の際には、そうしたふだんはわからないにおいや湯気、調理中のものがわかり、とても子どもたちに好評だということをお話を伺いました。グループホームでは施設の棟と異なり、グループホームの中で調理もされていることかと思いますので、そうした、家庭ではごく当たり前な調理中のにおいや湯気をグループホームで生活する子どもたちも自然に感じながら、健やかに成長できることを願うものでありますし、国も都も家庭的養護の推進を強調しておりますので、グループホームの増設が今後実現できるようにというふうに視察をして思いました。
 続きまして、地域の子育て支援の充実というのもこの児童養護施設の役割として不可欠であります。むさしが丘学園は、都立児童養護施設の中で最初にショートステイ事業を実施していると伺いました。指定管理期間において、ショートステイ事業は引き継がれるのか、お伺いをいたします。

○吉岡少子社会対策部長 むさしが丘学園におきますショートステイ事業でございますが、これは東京都と地元近隣の三市、小平市、国分寺市、東村山市との間で委託契約を締結いたしまして、これに基づき実施しているものでございますので、指定管理期間中も当然に実施していくものでございます。
 なお、民間移譲の公募要項におきましては、この三市よりショートステイ事業の委託契約の継続の依頼があった場合には、移譲先法人はその協議に応じることということを条件にしております。

○松下委員 園の事業概要によりますと、本年十月末までで、この今お答えにありました三市、百三泊十四半日、日帰り六日の利用があるようです。地域の子育て支援の充実を図るために民間移譲後も協議に応じることを条件というお答えがありましたけれども、協議に応じるだけではなく、この三市の中で引き続きショートステイ事業の希望があった場合には、ショートステイ事業が引き継がれていくことを望みます。
 また、現在、非正規職員や非常勤職員の雇いどめ等が社会問題化しております。施設を訪れて職員の方の数を伺った際に、常勤職員の二十七名に対して、非常勤職員が十六名いらっしゃり、かなりの事業団の契約職員の方がいらっしゃるということがわかりました。一年間の指定管理期間終了後、そこで働いている事業団の契約職員の方、また都の再任用職員の方の雇用がどうなるのか、お伺いをいたします。

○蒲谷事業調整担当部長 契約職員は、三年間の雇用期間で東京都社会福祉事業団に採用された非常勤職員でございまして、引き続き事業団が管理運営する他の施設での勤務となります。
 また、都から派遣されている再任用職員につきましては、指定管理終了後は当該施設からは引き上げることとなりますが、本人の希望等に応じて、引き続き事業団が管理運営する他の施設で勤務することは可能でございます。

○松下委員 状況はわかりました。先日視察をした際に、私はこのむさしが丘学園の施設長さんに、現場で民間移譲に関して心配な点はないかというふうにお尋ねをいたしました。施設長からは、移譲をスムーズに行うことが大事な仕事であるという力強いお言葉をいただきました。指定管理の一年間において、現行の指定管理者である東京都社会福祉事業団が、入所している児童一人一人の生育歴等に配慮したきめ細かな引き継ぎが行われることを期待いたします。
 最後に、二百四十八号議案、今回、児童養護施設で三年間の指定管理者の指定に関して意見、要望を述べたいと思います。
 児童養護施設の民営化の流れの中で、この六施設が残っている都立児童養護施設です。今後の予定はまだ決まってはいないようですが、私は、子どもが安心して生活できる場をしっかりと確保していただきたい。現在、どの施設も定数いっぱいに限りなく近い人数の児童が生活をしており、男女別、年齢別の少人数制をとると、その限りなく少ない残りの定員に、新たに児童相談所の一時保護施設から速やかに本当に入所ができるのかどうか疑問がありました。児童相談所における虐待に関する相談件数も増加をしております。虐待を予防し、つらく悲しい思いを受ける児童を決してつくらないよう、児童虐待防止策に取り組むことはもちろん重要ですが、今後、虐待の早期発見、早期対応により、今まで見過ごされてきた虐待が発見される可能性が高く、今後も社会的養護を必要とする子どもは増加していく可能性があると、厚生労働省の検討会でも指摘をされています。また、社会的養護に関する資源の不足も同じく検討会の中で指摘されております。
 都立施設を民間の社会福祉施設に移譲する議論を行う前に、そもそも都立、民間を合わせた資源が本当に充足をしているのか、民間でできることは民間でという前に、虐待を受けた子どもたちの最後のとりでともいえる児童養護施設の量の検証をしっかりと行っていただきたいと思います。
 その上で、都が児童養護施設という現場を持つ必要性というのもあるのではないでしょうか。公の責務をしっかりと果たし、子どもたちというのは陳情したり大きな声を出して要望するということができない、声なき声であると私は非常に感じました。そうした虐待を受けた子どもたちの心の声に耳を傾け、子どもが安心して生活できる場を確保し、社会的養護を必要とする子どもの自立に都が責任を持って取り組むことを強く要望し、質問を終わります。

○野上委員 二百四十六号、二百四十七号の新型インフルエンザ対策について質問をいたします。
 地震と同じで、この新型インフルエンザ対策というか、そういったものは確実に来るだろうと予測をされているわけでございます。日本も大正七年のスペインインフルエンザのときには三十九万人の方が亡くなったということがございまして、世界では四千万人の方が亡くなったという事例もございまして、この新型インフルエンザ対策は喫緊の課題といえるのではないかと思います。
 都が、第三回定例会で補正予算を組みまして、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を初めとする保健医療体制の整備や、都民、事業者への普及啓発を柱とした緊急対策を実施したことは、高く評価いたします。
 また、本定例会では、この抗インフルエンザウイルス薬の買い入れについて議案が提出されて、着々と準備が進められている現状がございます。
 しかし、最近のテレビドラマで「ブラッディ・マンデイ」とか、先日試写会が行われました「感染列島」、これは一月十七日に公開予定なんですけれども、こういったものを見ると恐怖心があおられて、新型インフルエンザ発生時の対応とか備えなどがよくわからないで不安を訴える都民の人たちが多いのではないかと思います。
 とりわけ、もし本当に新型インフルエンザが発生し、自分や周りの人たち、家族が感染してしまったかもしれないというときに、一体、具体的にどういう行動をとればいいのかということもよく聞かれます。
 また、パンデミック期に発熱などで新型インフルエンザ感染を疑う患者が、具体的にはどのようにしてどこに行けば適切な診療が受けられるのか、そういった一番最初の時期とパンデミックの時期、この時期の診療体制についてお伺いいたします。

○月川感染症危機管理担当部長 新型インフルエンザが発生した場合、当初は、その症状の程度にかかわらず、感染が確認された患者はすべて感染症法に基づく勧告や措置による入院、いわゆる隔離入院をすることになります。これに対し、パンデミック期になりますと、感染症法に基づく対応は行われず、通常の診療体制となりまして、軽症者は自宅療養、重症者のみが入院することになります。
 患者が医療機関を受診する際の具体的な流れを申し上げますと、発熱などの症状が見られ、新型インフルエンザの感染を疑う患者は、まず、各区市町村が身近な地域に設置した発熱外来を受診する。発熱外来では、患者の症状から入院治療の必要性を判断し、軽症であった場合には、抗インフルエンザウイルス薬を処方した上で自宅での療養を勧める、重度の肺炎が認められるなど症状が重い場合には、都が確保する入院医療機関に入院をさせる、このような流れとなっております。

○野上委員 パンデミック期になると、まず、新型インフルエンザの患者の診療を担当するのは発熱外来、そこで、トリアージという言葉がいいのかどうかわからないんですけれども、重症患者だけが入院し、あとの患者はおうちに帰ってくださいということですよね。発熱外来では抗インフルエンザウイルス薬の処方も行われるということですが、こうした新型インフルエンザ患者の診療を行う医療機関に、東京都が備蓄している抗インフルエンザウイルス薬が安定的に供給されることが重要だと思います。
 私たちも今どこに備蓄しているかというのはよくわからないわけなので、例えば本当に交通機関が遮断されたりとか、いろいろなことが起こると思うんですけれども、安定的に供給される仕組みについてよろしくお願いします。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 医薬品は通常、製薬会社から医薬品卸売業者を通じて医療機関に供給されております。現在、都が備蓄しています抗インフルエンザウイルス薬の供給につきましても、この供給ルートを活用するため、医薬品卸売業者の団体と、抗インフルエンザウイルス薬の医療機関への供給に関する協定を締結しております。パンデミック期には、この協定に基づき、都の指示のもと、医薬品卸売業者が、発熱外来など、新型インフルエンザの診療を行う医療機関に優先的に供給する体制となっております。
 今回の追加備蓄分につきましても、現在の供給体制を踏まえ、関係者と協議の上、迅速かつ的確に供給がなされるよう体制を整えてまいります。

○野上委員 今の都の保健福祉体制や抗インフルエンザ薬の供給の仕組みができているということを伺いました。ぜひ業者の方も迅速に供給をしていただかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。
 パンデミック期には、抵抗力の弱い子どもさんとか高齢者を含む都民をいかに感染から守るのか、また、感染拡大をどのようにおくらせるのかということが重要になってくると思います。治療薬の確保がまずは重要なのは当然ですけれども、感染拡大の防止とあわせて、発生時の混乱を回避するためには、私たち自身が落ちついて行動していくということが大事なのかなと思います。あと、外出を極力控えて、どうしても外出しなければならない場合にはマスクを着用するなど、基本的な感染予防のための知識を身につけていくしかないのではないかと思います。果たしてマスクがどれぐらい効果的なのかとか、そこら辺はちょっとよくわからないんですけれども、とりあえずはそういった基本的な行動で身を守るしかないのかなと思っております。
 東京都は都民に対してわかりやすい普及啓発活動を展開する必要がありますけれども、その第一弾として、先月、十一月十七日に都庁で新型インフルエンザに関するシンポジウムを開催したと聞いております。このシンポジウムの成果と今後の普及啓発の方針について伺います。

○月川感染症危機管理担当部長 シンポジウムは、WHO、国立感染症研究所、それから国際医療センターなど、それぞれの専門家をお招きいたしまして、新型インフルエンザに対する最新の情報や発生時の対応などについて講演をしていただきました。
 シンポジウムには大変多数の都民の参加を得ることができまして、定員六百人の大会議場に入場できなかった約百人の皆様には、第二会場の都民ホールの中継画面でごらんをいただいたところでございます。
 今回、終了後のアンケートに三百九十四名の方から回答をいただきまして、この参加者の皆様からは、内容について大変わかりやすかった、心構えができたなど、さまざまな声が多数寄せられました。
 都といたしましては、一月末から二月に予定しているイベント、ホームページ、ポスター、パンフレット等、さまざまな媒体を活用いたしまして、引き続き感染予防に役立つ適切な知識の普及に努めてまいります。

○野上委員 いろいろな本を読みましたけれども、一番最悪な場合を書いてあったのが、最悪の場合、日本では二百十万人の方が亡くなるだろう、世界では一億四千二百万人の方が亡くなるだろうという推計結果もあるという仮説を唱えているところもございました。まだなかなかよくわからない内容でございますけれども、いろいろな知識を得るにつれて、具体的な対応についてなかなか不安を払拭することができないということがあるのじゃないかなと思いますけれども、東京都も、都民の不安にこたえるためにも、新型インフルエンザの発生時にすべての人たちが落ちついて行動できるように、発生前、もう今の段階から普及啓発に取り組んでいくことが重要ではないかと思いますので、都のさらなる取り組みを要望して質問を終わります。
 以上です。

○吉田委員 私からは、第二百二十七号、東京都立老人医療センター条例を廃止する条例を初め、いわゆる老人医療センター、そして老人総合研究所の独立行政法人化の問題について、まず質問をさせていただきます。
 いうまでもないことですけれども、都立病院を廃止して地方独立行政法人に移行するというのは初めてのことであります。ましてや老人医療センター、そして研究所とも、これまで一体となって日本と世界に誇る老人医療における先駆けとしての役割を果たしてきたことは共通の認識だと思います。そうした重要な都立の施設を地方独立行政法人に移行していいのかということでは、改めて、理事者の皆さん方もそうですけれども、我々議会の側も慎重な検討が求められているのではないかというふうに思っております。
 先ほどから重複した点については簡略化させますけれども、質問をさせていただきます。
 先ほどからの答弁等の中で、これまでの高齢者医療におけるいわば行政的医療は引き続き担って継続をしていくんだ、また、都民ニーズにこたえていくんだということが強調されました。しかし、私は、幾つかの点をとらえてみても、逆に行政医療という点で見ても、都民ニーズという点で見ても、今回示された中期目標あるいは第三回定例会で示された定款を見ても、重大な後退になりかねないという危惧を否定できません。
 その一番代表的な例は、先ほど問題提起がされましたけれども、ベッド数の減少問題ですね。医療法法定床が七百十一床、予算定床というらしいんですけれども、実際予算で見ているベッド数が六百四十六床、十六棟に配置をされているといわれておりますが、これを五百五十床に大幅に減少する。これは明らかに現行水準の後退ということにならざるを得ないと思うんです。
 先ほどのご答弁では、第一に、地域連携を強めるんだ、第二に、いわばベッドの稼働率を高めるんだ、平均在院日数を縮小するということですよね。三つ目に、そのことによって効率的経営を確立するんだという旨のお話があったと思います。
 しかし、例えば地域連携を今後強めるというふうにいわれますけれども、今まで地域連携はしてこなかったわけではありません。これまでも努力をされてきたわけですよ。そして地域連携の重要な主体を担う、例えば板橋区からは、先ほども話がありましたけれども、七百床を確保してほしいということが区議会の文字どおり超党派の要望として出されているわけですね。地域連携のいわば主体の議会、代表する議会が、七百床を確保してほしいという声を出しているわけです。
 さらに、これも先ほど指摘がありましたけれども、この今回議案で示された中期目標の冒頭には、高齢者の数的な意味も含めて飛躍的な増加があるんだということがありました。
 さらに、三つ目にいわせていただければ、稼働率を高めるために平均在院日数を減らすということは、ある面でいえば病院追い出しにつながりかねないという事態も生まれかねないと思うんですよね。
 こういう、地域連携といいながら、その地域からは七百を確保してほしいという声が上がり、さらに実際これから高齢者が増加することに伴って飛躍的にふえる医療ニーズにこたえなければならない、それに明確に逆行するわけですよ。
 さらに、平均在院日数を縮小することを想定していると思うんですが、一体どの程度縮小しようとしているのか、この点について明快にお答えをお願いします。

○飯塚参事 ベッド数を五百五十床にすることにつきましては、先ほど橘議員の質問に対して答弁をさせていただいたとおりでございます。
 第三回定例会の厚生委員会での質疑におきましてこちらから答弁をいたしましたように、平均在院日数を強制的に割りはめて強制的退院を促進するのではなく、個々の患者さんの状況に応じて退院というのはなされるものだと認識しております。

○吉田委員 橘委員の質問の答弁に絡んで、私は改めて、理解できなかったので聞いたんですよ。だから、地域連携を強めるというけれども、その地域からは七百を確保してほしいという声が上がっているわけでしょう、幾ら地域連携を強めるといっても。
 二つ目に、先ほども指摘がありましたけれども、確実に今以上に高齢者がふえて、ニーズが増大をするわけですよ。それに対して逆にベッド数を減らすというのは、逆行じゃありませんか。
 さらに、具体的にどの程度平均在院日数を減らすおつもりなんですか。七百を五百に減らすということは、ある程度の計算があるわけでしょう。平均在院日数をこのぐらい減らしますということを示していただけなければ、具体的にどうなるのかということを私たちわからないわけですよ。

○飯塚参事 平均在院日数についてのお尋ねでございますけれども、老人医療センターの十九年度における平均在院日数は十八・七日でございます。しかしながら、平成十七年度の平均在院日数は十六・六日という実績もあり、平均在院日数、入院期間の短縮は可能であると考えているところでございます。

○吉田委員 その前の二つの点については、再度質問したんですけれども、お答えがありませんでした。私は明らかに--皆さん方は口でいうのは簡単なんですよね、地域連携を強めますと。しかしながら、板橋区を代表する板橋区議会が、七百を確保してほしい、今でも入院を待っている患者さんたちがいるんだということを背景に出されているわけですよね。そうしたことについては、結局答えることができなかったというふうにみなさざるを得ません。
 しかも、明らかにこれから増大をする。それも飛躍的ということを中期目標に掲げていながら、ベッド数を大幅に削減をするということは、明らかに逆行だというふうにみなさざるを得ないと思います。
 それで、さらに進めて質問をしたいんですけれども、予算定床のベッド数からしますと、約九十程度のベッドの削減ということになると思うんですよね。しかも、それを先ほども指摘がありましたけれども、あと三カ月余の後にはしなければならない。すごいことだと思うんですが、当然、今の診療科ごとのベッド数、どの診療科をどれだけ減らすのかということがもう準備されていると思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○飯塚参事 まず、診療科につきましては、高齢者の疾病の特性から、診療科目を削減するということは考えておりません。
 そうした中で、ベッドの割り振りについてでございますけれども、各科目ごとの患者の実績やニーズを踏まえて、各診療科目ごとの適正なベッド数を検討しているところでございます。

○吉田委員 もう既に老人医療センターの職員の皆さんには具体的な診療科ごとのベッド数は示していらっしゃるんでしょう。我々にも示してくださいよ、それだったら。

○飯塚参事 現在、病院内部で検討しているところでございます。

○吉田委員 検討といわれても、既に職員の皆さんには示されているわけですよね。それでしたら、中期目標が示されておりますけれども、我々がその中身を点検するということは、点検といいますか、検討するということはやはり今回の質疑の上でも欠かせない内容だと思うんです。
 お話しにならなければ紹介いたしますけれども、ここに具体的なものが既に、特別の秘密の文書じゃなくて一般職員だれもが知り得るものとして示されているわけですね。それを見ますと、どういう分野が減らされているかというふうに見ますと、例えばリハビリテーション三十九床が、私の見た資料では二十床になっています。また神経内科、これは二棟八十四床あったものが一棟五十六床ということになっております。さらに、内分泌科も大幅に減らされる計画となっています。
 私、医療のことは詳しくない点はありますけれども、改めて、例えばこの神経内科というのはどんな分野の医療行為をしているのかと年報で調べてみましたけれども、脳卒中などの分野がそうなんだそうです。さらに、内分泌科というのは、糖尿病、骨粗鬆症、高脂血症、肥満などの分野を担っているんだそうです。リハビリはいうまでもなく、もちろん脳卒中などとの連動はいたしますけれども、高齢者特有のやはり重要な医療分野だというふうに思います。
 それぞれ素人的に考えても非常にニーズが高い分野が、それぞれ二十床から十床を超える数で減らされる計画になっている。これはどういう考えでこのようなベッドが削られる計画になっているんですか。

○飯塚参事 ただいま吉田議員からご説明がありました資料は、あくまでも課題を整理するための内部での検討の経過の資料でございますので、これを確定したものとしてお示しいただくと、私どもとしてなかなかお答えができないところがございますが、今現在、病床の縮小に対する課題の整理ですとか、それをソフト面等でどう解決するかということを検討しているところでございます。

○吉田委員 既に具体的に職員の皆さんに示されているものが、なぜこの都議会で議論をするときに示されないのか。それは単にベッド数が減るだけではなく、どのような診療科のベッドが減らされようとしているのかということは、老人医療センターの医療内容という点やあり方ということから見ても、きわめて重要な点だといわざるを得ないから、この問題を取り上げているんですね。
 ちなみにこうした診療科ごとのベッド数の見直しに当たっては、在院日数の高い診療科が削られるというふうな傾向はないんですか。

○飯塚参事 そのような検討は聞いておりません。

○吉田委員 診療科ごとの在院日数の全体像についてすべて詳細に私も把握しているわけではありませんけれども、例えば老人医療センターが発行した年報の中に、診療科ごとの概要について担当のドクターの方が報告をされています。その中を見れば、例えば前回も指摘しましたけれども、リハビリで見ると、平均在院日数が三十二・五日と書かれております。また、大幅に削減される案では示されております一番トップの神経内科も、平均在院日数が二十二日ですから、先ほど紹介した平均在院日数十八・数日と比べてみれば高い分野であります。
 なぜこのことを指摘をするかといえば、決して架空の話ではなくて、例えばことし二月に発表された基本計画ですね。これを見ますと、板橋キャンパス再編整備基本計画の新センターの目指す経営指標というところを見ますと、病床再編をどういう意図を持って進めるのかということが、私は浮き彫りになってくると思います。
 例えば経営指標では、まず第一に、入院診療単価の比較的高い外科系へのシフトということが書かれてあります。二つ目に、高齢で治療が長期化するが、平均在院日数の短縮を図る、そして新センターは急性期病院として病床利用率の向上を図るということが書いてあるわけですね。もちろん効率化だけで検討しているわけではありませんよというでしょうけれども、このように外科系にシフトをした方が、入院の診療単価が比較的高くて収益が向上するんだということがトップに書かれているわけですよ。さらに、高齢者というのは治療が長期化するんだけれども、平均在院日数を短縮するんだと。
 そういう経営指標のもとでベッドのあり方が検討されるということになれば、やはり経営優先で、本来の行政的医療あるいは都民ニーズにこたえることができないという懸念が生まれるのは、私は当然のことだと思うんです。
 しかも、今指摘したように、示されている診療科ごとのベッド数で見れば、明らかに平均在院日数が相対的に高いというものが大きく後退をしているということを指摘せざるを得ません。まさにそういう点で見れば、経営効率でこうしたことが行われるということを許していいのかということがあります。
 さらにいわせていただきますけれども、改めて、医療センターの年報でリハビリテーションの担当部長の方が指摘をしていることはきわめて重要だと思います。引用させてもらいますけれども、高度専門医療としてのリハビリテーション医療を行うためには、急性期だけでなく、回復期のリハビリテーションも行う必要があり、最低限平均約二カ月間の入院プログラムが必要である、現在の在院日数では入院の適用がかなり限定される傾向にあり、都民に対するサービスの低下は否定できない、リハビリテーション医療が高齢者の高度専門医療と福祉を標榜する老人医療センターと福祉保健局の重点施策の一つであり続けることを願ってやみませんということを書いてあるわけです。
 こういうことが、平均在院日数の削減やベッド数の削減が予定どおり行われれば、まさに現場の部長の声ですよ、これが生かされないということになるじゃないですか。これに逆行するんじゃないですか。

○飯塚参事 第三回定例会の厚生委員会と同じ議論になってしまうのですけれども、例えばリハビリテーションについては、ベッドサイドリハなどの工夫を検討していく方向性があるというふうに今やっておりますので、決して平均在院日数を下げることのみで病床数を割り振るというような作業はしておりません。

○吉田委員 今でもこの部長さんは、平均在院日数が減らされて思うようなリハビリができないということに対して、現時点で危惧を発しているわけですよ。これからということではなくて、今でもこういう事態が出されているときに、全体として平均在院日数を削減をする、あるいはベッド数を減らすということになれば、今いわれましたけれども、確実にリハビリの現場の方からすれば、また高齢者の方からすれば、ニーズに対する後退という事態に私はなりかねないと思うんですね。
 しかも、調べてみましたけれども、これは国の制度が本当に診療報酬というのはひどいなというふうに思ったんですけれども、例えば平均在院日数が何日かによって診療報酬の入院基本料が変わることはいうまでもありませんけれども、さらに、平均在院日数だけじゃなくて、一人当たりの入院日数が違うことによって大幅に診療報酬の加算が変わってくるということを意識すれば、こういう経営効率優先ということになれば、こうした流れにならざるを得ないということも見てとれると思います。
 さらに、関連して見過ごせないのが、全人的、包括的医療が中期目標からなくなっていることです。違うなら指摘をしていただきたいんですけれども、全人的、包括的医療という考えは、老人医療センターが最も重視した理念であり、また具体的なあり方だったというふうに思います。中期目標からは明確に文言が削除されていると思うんですけれども、なぜでしょうか。

○飯塚参事 まず、先ほどのリハビリテーションの件でございますけれども、吉田議員の方から十九年度の年報を読み上げたところでございますので、私の方から同等な部分の二十年度の年報をちょっと読み上げさせていただきたいと思います。
 リハビリテーション部門では、部門内の各課が連携を密にし、部門外の各専門科、看護科、医療相談室、そして板橋ナーシングホームなどの協力を得ながら、急性期、回復期のリハビリテーションから在宅までの一貫性と総合性を持った適切な治療、生活指導、予後方針の決定などができるように努力していると、これが二十年度の年報でございます。
 続きまして、先ほどのご質問で、全人的、包括的医療のことについてでございます。
 まず、やはり第三回定例会の厚生委員会で、定款の業務内容についての質疑におきまして、健康長寿医療センターは、老人医療センターと老人総合研究所の現在の業務内容を包含するとお答えをしているところでございます。
 さらに、お尋ねの全人的、包括的医療につきまして、老人医療センターでは、高齢者の特性から、個々の臓器を対象とするのではなく、患者のQOLや生活環境などに配慮した、診療科にとらわれない、いわゆる全人的医療や、来院から退院までの一連の医療を総合的に提供する、いわゆる包括的医療を先駆的に行ってきたことは、吉田委員のお話しのとおりでございます。
 中期目標には、高齢者の特性に配慮した医療の確立と提供を目標の一つに掲げており、これまで老人医療センターが行ってきた全人的、包括的医療を提供していくことを明らかにしております。

○吉田委員 それならば、なぜ中期目標に明確に書かないのかということなんですよ。しかも、私がもらったのが十九年度ですから、二十年度、もらってないので恐縮ですけれども、少なくとも十九年度の年報を見ますと、冒頭のこの老人医療センターの理念というところにはっきりと、高齢者に対する専門的医療と生活の質を重視した全人的、包括的医療の提供ということが理念として明記されているんですね。
 さらに、特色ということも同様の流れで書かれています。その特色の中にも、第一の(1)として全人的、包括的な高度専門医療ということが明記されているんです。今、継続をされるかのようなお話がありましたけれども、こういう位置づけでこれまで理念や特色のトップに挙げていたものを中期目標から削除をしたということは、何ら継続をするという担保にならないじゃありませんか。継続をするんだったら、中期目標にこの全人的、包括的医療ということをなぜ明記しなかったんですか。

○飯塚参事 重ねて申し上げますけれども、高齢者の特性に配慮した医療の確立という中に包含しております。

○吉田委員 これ以上いっても並行線かもしれませんけれども、これは単なる抽象的な理念じゃないんですよね。皆さんの方がはるかに詳しいとは思いますけれども、例えば全人的医療の実施というのは具体的にどういうことかといえば、これも東京都の文章を引用させていただきますが、医療の臓器別専門分化や科学としての医学が進歩する中で、患者の背景を把握するという作業はなおざりにされるようになってきた。このような現在の医学、医療、医学教育の課題を克服し、また、今後の高齢者の医療のあり方を絶えず検討可能とするためのデータベースを作成するとともに、高齢者総合機能評価の実施は重要であるということまで書かれているわけですね。
 理念と同時に、このような極めて具体的な医療行為、医療活動のあり方が示されているわけで、これがやはり世界に誇る老人医療センターの特質の一つだったと思いますけれども、こうした重要な内容が明確に中期目標から欠落をしているということも、私は現行水準が後退ではないのかということの指摘としておきたいと思います。
 次に質問したいのは、運営交付金の削減についてです。
 これも前回も基本点については、質疑をさせていただきました。改めて、きょう確認しておきたいんですけれども、さまざまなことがいわれますが、独立行政法人化をするということは、経営の効率化と、設立団体である東京都からすれば、コストの縮減という意図を持ってこの制度がつくられて進められていることは明らかです。
 中期目標には、具体的な数的な指標は一切ありませんでした。したがって、運営交付金の削減率などの数字的な設定も書かれておりませんでした。それでは、運営交付金の削減あるいは削減計画というものは、将来にわたって全くないのかどうなのか、そのことをまず確認をしたいと思います。

○飯塚参事 運営交付金の削減が将来にわたってあるのかないのかというお尋ねでございますけれども、健康長寿医療センターは独立行政法人でございますので、経営努力を求めていくことは当然であろうと考えております。
 しかしながら、健康長寿医療センターの経営が成り立たなくなるような運営交付金の削減ということにつきましては、設置者としての東京都としての責任としてあり得ないと考えております。私どもは、健康長寿医療センターの掲げる医療や研究についての目標がきちんと達成できるよう必要な支援は行ってまいります。

○吉田委員 要するに、経営が成り立たないような削減はあり得ないというお話ですよね。ということは、もちろん経営が成り立つか成り立たないかということでいえば、経営は成り立つでしょう。しかし、先ほどから質疑をしてきたように、運営交付金の削減によって、あるいはそのために、収益を確保するために平均在院日数を引き下げていくということになれば、経営的には成り立ったとしても、果たしてこれまでの医療水準が維持できるのかどうなのかということが問われるわけですよね。
 ですから、経営的に成り立たないようなことは削減はしませんから大丈夫ですよというだけでは、私はよしとするわけにはいかないと思いますし、今のお話だと、成り立たないような削減はありませんということは、今後こうした運営交付金の削減というのは当然あり得るんだということで理解せざるを得ないと思います。
 ただ、これも医療センターの職員から話を聞きましたけれども、先日、たしか十二月三日だと思うんですけれども、医療センターの職員全体を集めて、管理職の方が運営交付金の削減は一切ありませんという旨の話を職員の方々に説明したということがあるんですけれども、皆さん方から病院の管理者に対して、そういう旨の説明がされているんでしょうか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターは、医業を営む公営企業型の地方独立行政法人でありまして、地方独立行政法人法八十五条において、当該公営企業型地方独立行政法人の事業の経営に伴う収入をもって充てることが適当ではない経費、当該公営企業型地方独立行政法人の性質上能率的な経営を行ってもなおその事業の経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費については、設立団体が負担するものと定められているところでございます。

○吉田委員 地方独立法人は、全部この法律に基づいて執行されるわけですよね。ただ、そういうところで明確に交付金の削減というものが進められているわけですよ。ですから、そうしたことをもって削減はあり得ないということにはならないと思いますし、先ほどのお話も、成り立たないような削減はないというお話なわけですよ。にもかかわらず、現場では運営交付金の削減は全くないかのようなことが伝えられているということは、極めて不正確なことではないかというふうに思います。
 しかも、この関連で改めて問いたい点なんですけれども、都立病院の第二次実行プログラムの中では、都の財政状況によって影響を受けるおそれがあるという懸念を指摘しているわけですよね。例えば来年度は削られないかもしれない。しかし、一たん都立を外して独立行政法人になれば、都の設立団体の財政状況によって大きな影響を受けかねないというのが、第二次実行プログラムで病院経営本部が懸念をしたポイントなわけです。
 そういう懸念については、福祉保健局としてはいかがなんですか。

○飯塚参事 先ほどの病院での説明ということでございますが、私どもは、それは削減が目標には明らかにされていないということを説明したというふうに理解して聞いているところでございます。
 次に、先ほど老人医療センターが独立行政法人になった後の公営企業型地方独立行政法人は、皆、交付金が同じではないかというようなことがありましたけれども、私どもは、これは公営企業型の地方独立行政法人でありまして、そこでは行政的及び不採算医療に関しての都からの負担分を払うという考え方の中でやっておりますので、一律の交付金の削減の率をつくるですとか、最初から交付金削減ありきという考え方の公営企業型の地方独立行政法人ではないということをご説明させていただいているところでございます。

○吉田委員 病院経営本部が第二次プログラムで示した、東京都の財政状況によって影響を受けかねないという懸念については、同じ東京都の局としてそれは否定するとしたら、その根拠は何なんですか。

○飯塚参事 現行の老人医療センターは、原則医業収益で得た資金による運営を賄っておりますが、その不足分を都の一般会計により補てんをしているものでありまして、医業収入が増加すれば補てん額も減少する等、いろいろと一般会計という中での限界というものがあります。
 今回、地方独立行政法人の会計というのは、先ほどからご説明しておりますような八十五条においての考え方でやるということでございます。

○吉田委員 病院を多数抱えている病院経営本部がこういう懸念を示して、直接、非公務員型地方独法に移行することについては慎重な態度をとるという判断を、同じ東京都の局が行っているわけですよね。その懸念がないというならば、明確にそれを示していただきたかったわけですけれども、二回同じ質問をしましたけれども、お答えはありませんでした。
 同時に、私はそれとあわせて--しかも直接的には、これは福祉保健局の意思だけで行われるものじゃないわけですよね。財務局も含めた判断の中で、運営交付金の削減をどのようにしていくのかということが問われることになると思うんです。
 さらに、先ほども部分的に示しましたけれども、二月に発表された基本計画では、新しいセンターの目指す経営指標として、平均在院日数の短縮、あるいは急性期医療に特化をして病床利用率などの向上を図るんだということが示されておりますけれども、いよいよ四月から始まりますけれども、具体的な収支計画がつくられていて当然だと思うんです。例えば在院日数を減らすことによって、経営的にはこうなります。ベッド数を減らすことによって、どうなります。そのことは確実に、削減が上から求められるだけではなく、みずから大幅な削減計画が準備されているんじゃないですか。その中身を紹介していただきたいと思います。

○飯塚参事 先ほども申し上げましたけれども、健康長寿医療センターが法人として経営努力をしていくことは当然のことだと思っております。先ほど西崎委員の方にもご説明いたしましたように、そういった指標も含めて、中期計画の中で法人が明らかにし、議会に示していくということになっております。

○吉田委員 もうあと三カ月余でスタートさせようとしているわけでしょう。しかし、具体的な収支計画がどのような計画なのか、在院日数の削減も縮小もどの程度行うのか、そうしたことについて、いまだに示されないまま進むということは、議会でこうした問題をチェックするという点で見ても、議会として本来の責任が果たし得ないということになりかねないわけですよ。
 こうした点について、私は今の時点でも、いまだに明確な収支計画、財政計画などが示されないまま、後で示すからということで進めようとすることは、極めて問題だというふうに思います。
 次に、職員体制の問題について何点か質問させていただきます。
 どのような経営形態をとろうとしても、私はやはりその職員の方々の意欲が、あるいは使命感を持って就労するということでない限り、水準の向上というのはあり得ないというふうに思うんですよね。
 ただ、東京都の公務員から、独立法人化によって固有職員に移行するということが、今、進められようとしておりますけれども、それで本当に職員の方々が意欲を持って老人医療センターを担うという事態がつくられるのかということは、私は極めて疑問です。
 それで、法的に見れば、地方独立行政法人法第五十九条第二項では、設立団体の職員である者は--すなわち東京都の職員ですよね、独法の成立の日、今回の場合だったら来年の四月一日から独法の職員に自動的に移行するということが規定されているわけです。
 ある面でいえば、職員の人個人の意思を抜きにしてでも、移行して固有職員になりかねないということで、果たして病院自身の水準の向上などということがあり得るのかというのが私の疑問なんですけれども、職員本人の意思を無視して、あるいは考慮することなく、自動的に固有職員に移行するということで進んでいるんですか。

○飯塚参事 ただいま吉田議員の方からお話がありましたように、地方独立行政法人法第五十九条第二項というのはございます。ですけれども、第三回定例会のときにも吉田議員の方とのやりとりにも出てまいりましたが、附帯決議というようなものもございます。
 私どもは、老人医療センターの医師、それから老人総合研究所の研究員については、新しい独立地方行政法人健康長寿医療センターの固有職員への身分移行を考えております。その理由といたしましては、老人医療センターが実施している高度で専門的な高齢者医療と、老人総合研究所が実施している老化、老年病の研究のノウハウ、成果が円滑に健康長寿医療センターに引き継がれるよう、その業務の中核を担っている医師、研究員の方々に、固有職員として業務を継続していってもらいたいと考えているものでございます。
 また、例えば地方独立行政法人の固有職員となった場合には、兼業が法人の判断により緩和され、職員は兼業を通して広い視野や経験を得ることができるなど、これまでの地方公務員法による制約に縛られることがなくなるなどのメリットがございます。

○吉田委員 皆さんの思いはわかるんですけれども、わかるというか、思いはそういうことかもしれませんけれども、一人一人の老人医療センターのドクターや研究員、職員からすれば、自分の意思や思いと無関係に四月一日をもって、東京都の職員、公務員ではなくて、固有職員になってしまうと、そういうことを機械的にやるんですかということを私はお伺いしたかったわけです。

○飯塚参事 地方独立行政法人法五十九条の精神を受けて、健康長寿医療センターの業務の中核を担う医師、研究員の方については、固有職員になっていただくことが必要と判断しております。しかし、特段の事情から、固有職員としての移行を望まない方は、都の人事制度で他の組織に異動することと考えております。

○吉田委員 必ずしも強制するものではないというお話がありましたけれども、ただ、職員の皆さんには、地方独立法人への職員の身分移行についてということで、四月からは固有職員となりますよということを一度示されましたよね。それで関係者の方々から批判や問い合わせなどが殺到して、若干の手直しをされたと思うんですけれども、違いますか。
 私が聞いている話では、その後、職員の身分移行については、派遣も含め引き続き慎重に検討していきますという旨のご回答をされているというふうに聞いていますが、派遣も含め引き続き慎重に検討していくというのは、具体的にどういうことを指しているのか、あるいはまだそれは検討中なのかどうなのか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターの移行に関しまして、職員が不安を持たないように、また移行を円滑に進めていくためには、職員団体を初め職員一人一人のご理解が大事だと認識しております。
 そのためにも、これまで説明を重ねてまいりました。これからも説明会や職員との対話の機会を大きく持ち、理解を求めていくところでございます。
 健康長寿医療センターの機能を発揮していくためには、医師、研究員の協力が不可欠であり、引き続き固有化についてお願いしてまいります。

○吉田委員 一年先、二年先の話ならいいんですけれども、もう来年の四月なんですよね。私はだから無理があると思うんですよ、率直にいって。
 それでお伺いしますけれども、現時点で老人医療センター及び老人総合研究所の医師や研究員、職員の方の中で、四月から固有職員に移行することについて、納得、了承している人というのは、細かい数はいいですから、およそどのぐらいいらっしゃるんですか。例えば過半数とか大多数とか。

○飯塚参事 私どもの方で正確に何人という把握はしておりませんが、それほど、今おっしゃったような過半数とか、そういったお話は全く聞いていないところでございます。(吉田委員「過半数じゃない」と呼ぶ)いや、そんな、あの……。ただ、正確な数字は私どもは、ほんの数人であるのではないかと思いますけれども、ここで正式な形でのご答弁はできかねます。

○吉田委員 私は、やはり構造的に、法では--設立団体の職員は自動的に移行するという仕組み自身が無理があると思うんですよね。
 しかも、先ほど参事、紹介しましたけれども、衆議院、参議院の附帯決議は、関係職員団体、労働組合と十分な意思疎通を行うこと、あるいは行われることということがついているわけですよね。国会の委員会の中でも、もし拒否をした場合どうするのかとか、いろいろなことが議論されたというふうに聞いています。
 したがって、これはあくまでも当事者、研究員やドクターの方々が意欲を持って、ぜひ独法に移って頑張ろうじゃないかというふうな、意欲が高まっているならば一つの方法としてはあるかもしれません。しかし、そういう形でなく進められているからこそ、一度、四月から固有職員になってもらいますよということが発表された後にさまざまな声が上がって、先ほど紹介したように、職員の身分移行については、派遣も含めて慎重に検討していきますというふうに、いわば手直しをせざるを得ないのが現状じゃありませんか。
 その点では、私は明らかに今、この状況で四月一日、独法移行というのは、こうした附帯決議に基づく十分な意思疎通、合意ということから見ても、問題が未解決ではないかということをいわざるを得ません。
 医師、研究員を初め、職員との合意なしに体制的にも私は成り立たないと思いますし、あるいは何とか人数的に人を確保することができたとしても、実際に新しい運営形態で病院を支え、運営していくというモチベーションが本当に発揮されるのかということは見ておかなければならないと思うんです。
 さらに、看護師、コメディカル、事務職などは、固有職員ということではなくて、派遣ということを考えているようですけれども、派遣はいうまでもなく、本来は三年が原則なんですけれども、この点ではどのように対応されていくんですか。

○飯塚参事 先ほどの吉田議員のお話にありましたが、医師、研究員の方々のモチベーションと独法の安定的な運営のために、私どもは固有化をお願いしているところであり、これからもきめ細かく説明等はしていくところでございます。
 今の医師、研究員以外と申しますか、コメディカルですとか事務の方々の派遣についての考え方ですが、都の人事制度の中で対応していくということになります。

○吉田委員 医師、コメディカル、事務職の方々は派遣で対応するということでありますけれども、派遣という形態で本当に新しい運営が、意欲を持って支えることができるのかということが、私はそもそも問われなければならないというふうに思います。
 いずれにしても、医師や研究員、看護師、こうしたことを本当に納得を持って進めるという点では、附帯決議にあります意思疎通が大前提だと思うんです。私は今の状況からすれば、当然そういう状況に、たとえ努力をしていたとしてもなり得ていないというふうに判断せざるを得ません。
 冒頭にも述べましたけれども、老人医療センター、老人総合研究所は、東京都が日本と世界に誇る医療機関だというふうに思いますし、しかも高齢化が進む中で、その社会的役割はますます重要になってきていると思います。
 先ほどから効率的運営、あるいは安定的運営ということがありますけれども、今いった職員の安定的な確保あるいはモチベーションということを見ても、あえてこういう混乱を生むようなことではなくて、都立直営で継続するということの方が、はるかに職員のモチベーションや医療の供給の安定を確保するという点でも明確だと思います。
 また、ベッド削減に伴う診療科ごとの数、あるいは平均在院日数などをどのように進めていくのか等々については、具体的なお答えはありませんでした。
 しかし、私は、やはり今、高齢者医療に本当にこたえていくということになれば、まさに行政的医療を担っていくということを強調するんだったら、都立直営でこそ、真に行政的医療が担え、継続できるんではないかというふうに思いますし、先ほどからの質疑でお答えができない点もありましたけれども、また具体的に数字的な点などについて示せ得ない点がありましたけれども、そのような状態で四月からの独法移行を進めていくということは、進め方から見ても納得できるものではないということを述べておきます。

○杉村次長 ただいま委員から、答えができなかった点があるという発言がありましたので、何点かお答えさせていただきます。
 まず、飛躍的に高齢者が伸びてゆく中で、病床を五百五十床に削減するのは逆行しているではないかということですけれども、これは飛躍的に高齢者が伸びていくのは当然事実なわけですが、ただ、高齢者が伸びていくというだけで病床を決めるとすれば、幾つになってもこれは、七百床でも足りないし、八百床でも足りないと、こういう状況になるわけでございまして、これからの医療については、一つの病院ですべてを完結するのではなくて、あくまで地域の医療機関あるいは都内の医療機関の中の連携の中で適切な診療を行っていくということが基本であるというふうに考えております。
 したがいまして、この五百五十床につきましては、基本計画でお示ししてある重点医療、こういったことを適切かつ効率的に提供するという点から、この五百五十床ということを決めたわけでありまして、決して現在の状況に逆行しているものではないということを、まずお答えさせていただきたいと思います。
 それから、もう一つは、先ほど地元から七百床という要望が出てきているのに、それを満たしていないではないかという発言でございましたけれども、これは地元市からは、確かにそういった要望は出されておりますが、この長寿医療センターにつきましては、あくまで高度専門医療を担う全都的な一つの病院として位置づけられておりまして、これは地元の医療機関との地域連携というのはもちろんでございますけれども、全都的な点で高度専門医療機関との連携も当然これは図っていくということがございまして、そういったこともありますので、必ずしもこの七百床が満たされてないことがいけないということではないというふうに考えております。
 それから、もう一つは、先ほど、平均在院日数の点がございましたけれども、委員が読み上げた全人的医療のところにもありましたけれども、この病院については、療養病床ではなくて、あくまで高度専門医療を担うという病院でございまして、そういった意味からすれば、いかに多くの都民の方たちに高度専門医療を提供するかという点をきちんと実施していかなくてはいけない。
 そういう中でいえば、疾病に応じた適切な入院日数についてはどうなんだろうかという検討をするのは、これは病院として当然のことだというふうに思っておりまして、これと入院日数、これを単に経営効率ということだけで我々やっているつもりは全然ございません。
 そういう意味では、今申し上げましたように、高度専門医療あるいは急性期をより多くの都民に適切に提供するという観点から、そういった効率的な病床の稼働でありますとか入院日数の検討ですとか、そういったものをこれからも着実に進めていきたい、そういうふうに認識をいたしております。

○吉田委員 あと、補正予算をちょっとだけやらせていただきますけれども(発言する者あり)いや、これでも簡潔にしようと思って努力したんですが、次長がそういうふうにいわれると、私もああそうですかというわけにはまいりません。
 もちろん、すべて効率一色だなんていうふうに決めつけているわけじゃありませんけれども、ただ、もともと独立行政法人という本来の国のねらいが、東京都でいえば、都立から切り離して、そのことによって経営の効率化を図る。
 あるいは、全体的にいえば、基本的な独法化のスタンスとして、そのことによって運営交付金を縮減するという大きな流れの中に独立法人というものが出てきているわけですから、そういう観点から、具体的な今回の老人医療センターの場合どうなのかということで、中期目標に基づいて検討させていただきましたし、また現実的に、例えば診療報酬が高い外科にシフトするとか、経営コストの観点から在院日数を減らすだとかということが明確に書かれているわけですよ。
 そうしたら、そういう観点でやられたらどうなるのかというふうに疑問に思い、まずその問題提起をするのは、私はある面、都民の代表としては当然の問題提起ではないかなというふうに思っております。
 それで、その分ちょっと長引きましたけれども、簡潔に補正予算について質問させていただきます。
 まず、福祉施設の経営改善のための特別融資制度についてなんですけれども、今般の経済情勢の急変への対応ということでいわれております。我が党は第二回定例会でも指摘をしましたが、物価高騰で高齢、障害などの施設が極めて重大な影響を受けているということから見れば、もともと報酬単価のあり方そのものの改定が求められておりますけれども、それ以前の問題として、物価高騰などの状況に対応することを本会議でも委員会でも問題提起をしてまいりました。そういうものにこたえる一つの施策ということでは、評価をいたします。
 また、あわせて、例えばこれがあくまでも非営利の事業者を対象にしているんだということについても、妥当なものだというふうに思います。
 そこで、二点、ちょっと確認の意味でお伺いしておきたいんですが、一つは非営利というふうに対象を限定した考えはどういうことによるのかということと、それと、融資そのものはそれなりに意味があるでしょうけれども、より構造的には、前から指摘しておりますけれども、例えば特養ホームでいえば、経営支援事業というものが単年度で極めて不安定な形で行われておりますけれども、これをきちんと拡充することだとか、さらに障害者施設でいえば、これも前から問題提起しておりますが、事業者報酬が激変緩和策として九割を補償するということが進められておりますけれども、来年度がどうなるかわからないという事態ですとか、また物価高騰などに対する支援も、この三月で打ち切られたままになっていると、こういうことをきちんとした手当てをとるということもあわせて行われる必要があるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○蒲谷事業調整担当部長 この特別融資制度の対象を非営利法人とした理由でございますけれども、福祉施設運営の主要な担い手でございます社会福祉法人は、資金調達の手段が限られており、柔軟な対応が困難でございます。また、NPO法人は、財務基盤が脆弱なものが多くなっております。
 これらの法人は、今般の経済情勢の急変等により、経営環境がさらに厳しくなっていくものと認識しております。このため緊急対策として、非営利法人を対象とした特別融資制度を創設するものでございます。

○狩野高齢社会対策部長 特別養護老人ホーム経営支援事業についてのお話がありましたけれども、そもそも特養経営支援事業は、特別養護老人ホームが介護保険制度に円滑に移行し、利用者サービスの維持向上を図ることができるよう、経過的な支援として実施しているものでございます。
 物価高騰等による費用の増額や、利用者数が減少したことに伴う、例えば収入の減額など、経営環境の悪化により一時的に事業運営資金不足が生じている社会福祉施設等に対しては、既に独立行政法人福祉医療機構の福祉貸付事業により、融資条件の優遇措置を講じた資金貸付が行われております。こうしたいわゆる短期の運転資金不足への対応は、経営支援事業による都の補助にはなじまないと考えております。そのため、今般の福祉施設経営改善のための特別融資制度が設けられたものと認識しております。
 特養の経営が悪化していますのは、介護報酬が大都市の実態に見合っていないという現行の介護報酬の仕組みに原因があり、東京都は既に来年春の介護報酬改定に向けて国に働きかけを行い、現在、社会保障審議会介護給付費分科会において介護報酬の改定、プラス三%の改定に向けた検討が鋭意行われているところでございます。

○松浦障害者施策推進部長 物価高騰についてからちょっとお答えさせていただきますけれども、物価高騰による影響に対する障害者施設の支援でございますけれども、委員おっしゃるとおり、国は障害者自立支援法の円滑な定着を図るための特別対策等で、十八年度、十九年度において原油高騰の対応として特別助成を実施しております。
 都としましては、本年度早々、六月にこの対策を今年度も継続するよう、既に国に要望しているところでございます。
 次に事業者報酬でございますが、委員おっしゃった内容というのが、障害者自立支援法の施行によりまして、事業者の報酬の算定が従来の月払いというものから変わって日払い方式が導入されたと。このことに伴う激変緩和措置として、従来額の九割相当額を保障する助成というものが今まで行われてきたということでございますけれども、私どもとしましては、この九割保障というのを、激変緩和措置じゃなくてずっと継続するということにつきまして、利用者を多く受け入れるという経営努力をしてもしなくても保障されるという課題があるというふうに思っております。
 ただ、事業者報酬につきましては、重要なことは、障害者を支える人材確保、良質なサービス提供のため、国においてサービス全般にわたり基本的な報酬の改善を行うことであるというふうに考えておりまして、例えば通所事業において、精神障害者とか障害児の通所日数というのは低くなっております。
 この低くなったにもかかわらず、報酬算定上、利用者の平均利用率の設定が実態に即したものになっていないということで、報酬単価を引き上げることが必要というふうに私どもは考えておりまして、このことについては既に国に提案要求し、国においてもその方向で報酬改定を検討しているというふうに聞いております。

○吉田委員 それぞれ国にというお話がありましたけれども、国だけではなく、必要な点は、都として恒常的な制度として支えていただきたいということであります。
 最後に、再就職支援貸付事業についてなんですけれども、これまで生活福祉資金は、一部を除いて、基本的には利子負担がありました。今回の補正予算で提案されている内容は無利子ということになりましたけれども、その理由は何なのか。
 もし、そうした無利子貸与ができるんでしたら、これまでの生活福祉資金も、一部の例外を除いて、他の分野についても無利子にできないのかということについてご答弁を願いたいのと、あわせて、チャレンジネットなどの相談件数がふえておりますけれども、ぜひそうした相談体制の拡充や、また生活安定化総合対策事業についても、さらに拡充していただきたいという--後半は要望ですけれども、述べて、私の質問を終わりたいと思いますが、冒頭部分だけご答弁をお願いいたします。

○芦田生活支援担当部長 今回の再就職支援貸付事業につきましては、倒産する企業の急増や雇用情勢の悪化など、昨今の深刻な社会経済情勢を踏まえ、失業による離職者の再就職や、その家族の生活の安定に向けた支援をより効果的に実施する必要があることから、特例として平成二十一年度末までの期間限定で無利子で貸し付けを行うものでございます。
 したがいまして、生活福祉資金の有利子部分の貸し付けについて、無利子にすることは考えておりません。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○東野委員長 次に、議員提出議案第三十号及び第三十一号を一括して議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○かち委員 高齢者医療費助成条例の新設及び心身障害者医療費助成条例の一部改正について、提案理由の説明を行います。
 ことし四月から始まった後期高齢者医療制度に対し、厳しい批判や怒りの声が沸き上がっています。政府は、制度開始早々、見直しを表明せざるを得なくなりました。しかし、見直しの具体的な内容ははっきりしません。
 高齢者の多くは、極めて不十分な年金制度を頼りに生活しています。年をとれば、だれでも病気や故障が出てくるのは当然です。しかし、治りにくい慢性疾患が多く、長期にわたり医療費の負担が家計を圧迫しています。
 そういう中で、七十五歳以上の人は後期高齢者だといって、他の世代と切り離し、保険料などの負担増、年金からの天引き、しかも健康診断の内容まで差別する、こういうやり方に怒りが広がったのです。
 一方、日の出町は、高齢者のご苦労に報いるとともに、地域社会の一員として活躍され、暮らしていただくことを目的に掲げた、お年寄りにやさしい福祉基本条例をこの十二月に制定しました。そして、この条例に基づいて、七十五歳以上の医療費無料化に踏み出しました。住民の福祉の増進を使命とする地方自治体として注目すべき貴重な努力です。
 今、東京都にも、政府にも求められていることは、敬老の精神を取り戻し、だれもが安心できる老後の保障をつくり上げることです。高齢者医療費助成条例の新設案及び心身障害者医療費助成条例の一部改正案は、こうした立場から提案したものです。
 高齢者医療費助成条例は、六十五歳以上のすべての年齢層を対象にしています。七十五歳以上の方は、医療費の本人負担が一割のところ、〇・五割助成します。七十歳から七十四歳の方は、国民健康保険法等の改悪で、本人負担が既に二割となっていますが、国民の批判に慌てた政府が予算措置で一割に据え置いています。これが法の規定どおり二割負担になった場合、一割負担を助成します。六十五歳から六十九歳の方は、かつての東京都老人医療費助成条例、いわゆるマル福の制度がことし六月末で廃止され、三割負担となっています。このうち一割分を助成します。
 入院、食事代は、他の医療費助成制度との整合性に配慮し、助成対象外としています。また、七十歳以上の方で、いわゆる現役並み所得の医療費三割負担の方は、対象外とします。六十五歳から六十九歳の方についても、この所得基準を準用します。
 対象者数及び所要額は、七十五歳以上が百万人で四百億円、六十五歳から六十九歳が六十万人で二百億円で、合わせて百六十万人、六百億円です。七十歳から七十四歳が二割負担になった場合の対象者は五十万人、所要額二百五十億円です。いずれも平年度ベースです。
 実施主体は東京都で、助成費は全額都負担です。区市町村が本条例に独自に上乗せして七十五歳以上の無料化などを実施することは可能です。
 心身障害者医療費助成条例の一部改正は、二〇〇〇年度の条例改定で、六十五歳以上の高齢者の新規申請が停止されたのを再開するものです。六十五歳以上で障害者になった人は医療費助成の申請を認めないという現行制度は、道理のない年齢差別であり、適切ではありません。
 対象者は年間五千人、所要額約三億円です。
 これら二つの条例制定により、都民の切実な要望にこたえるとともに、高齢者の医療費負担軽減の流れを首都東京から全国に発信することができます。ぜひご審議の上、賛同いただきますようお願いし、提案理由といたします。
 以上です。

○東野委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時三十九分散会

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