委員長 | 東野 秀平君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 松下 玲子君 |
理事 | 野上 純子君 |
理事 | 山加 朱美君 |
西崎 光子君 | |
橘 正剛君 | |
斉藤あつし君 | |
田代ひろし君 | |
門脇ふみよし君 | |
野村 有信君 | |
佐藤 裕彦君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 安藤 立美君 |
次長 | 杉村 栄一君 | |
技監 | 桜山 豊夫君 | |
総務部長 | 松井多美雄君 | |
指導監査部長 | 鈴木 賢二君 | |
医療政策部長 | 吉井栄一郎君 | |
保健政策部長 | 住友眞佐美君 | |
生活福祉部長 | 永田 元君 | |
高齢社会対策部長 | 狩野 信夫君 | |
少子社会対策部長 | 吉岡 則重君 | |
障害者施策推進部長 | 松浦 和利君 | |
健康安全部長 | 梶原 洋君 | |
事業調整担当部長 | 蒲谷 繁夫君 | |
地域保健担当部長 | 宮垣豊美子君 | |
生活支援担当部長 | 芦田 真吾君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 奥澤 康司君 | |
感染症危機管理担当部長 | 月川由紀子君 | |
参事 | 日置 豊見君 | |
参事 | 大久保さつき君 | |
参事 | 飯塚美紀子君 | |
参事 | 菊本 弘次君 | |
参事 | 別宮 浩志君 |
本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)
○東野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせを行いました。ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松井総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、全部で十四項目となっております。
順を追ってご説明させていただきます。
初めに、一ページをお開き願います。区市町村における障害者自立支援法に係る利用者負担独自軽減策の実施状況といたしまして、軽減策の実施、または未実施の自治体数などを記載してございます。
二ページをお開き願います。小児科・産科・産婦人科標ぼう医療機関及び医師数の推移といたしまして、小児科などを標榜する病院数、診療所数及び医師数について、二ページから三ページにかけまして平成八年のものを、四ページから五ページにかけまして平成十三年のものを、六ページから七ページにかけまして平成十八年のものを区市町村ごとにそれぞれ記載してございます。
八ページをお開き願います。国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、平成十八年度から二十年度までの加入世帯数などについて区市町村ごとに九ページにかけて記載してございます。
一〇ページをお開き願います。国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、所得割、資産割、均等割及び平等割に区分し、一一ページにかけまして平成十四年度から二十年度までの区市町村ごとの推移を記載してございます。
一二ページをお開き願います。国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、平成十七年度から十九年度までの減免件数について区市町村ごとに記載してございます。
一三ページをごらん願います。国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、平成十七年度から十九年度までの一部負担金減免件数について区市町村ごとに記載してございます。
一四ページをお開き願います。国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、平成十五年度から十九年度までの対象世帯数、滞納世帯数及び収納率について区市町村ごとに記載してございます。
一五ページをごらん願います。介護保険施設等の定員、病床数及び高齢者人口に対する割合といたしまして、六十五歳以上の高齢者人口、施設ごとの入所定員、または病床数及び高齢者人口に対する割合について都道府県ごとに記載してございます。
一六ページをお開き願います。療養型施設数及び療養病床数の推移といたしまして、それぞれ医療保険適用と介護保険適用に区分して施設数と病床数の推移を記載してございます。
一七ページをごらん願います。重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、(1)には看護師の定数及び現員の推移を、(2)には短期入所の運用状況の推移をそれぞれ記載してございます。
一八ページをお開き願います。認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、待機児童に関する新定義及び旧定義それぞれに分け、定員、年齢別の入所児童数及び待機児童数について二七ページにかけまして平成十八年から二十年までの区市町村ごとの推移を記載してございます。
二八ページをお開き願います。長寿医療制度(後期高齢者医療制度)における保険料の軽減対策といたしまして、均等割及び所得割について平成二十年度と二十一年度の軽減対策を記載してございます。
二九ページをごらん願います。基本健康診査と特定健康診査の比較といたしまして、検査項目及び自己負担金を徴収している区市町村についてそれぞれ記載してございます。
最後になりますが、三〇ページをお開き願います。がん検診において自己負担金を徴収している区市町村数の推移といたしまして、平成十七年度から十九年度までの区市町村数についてがん検診ごとに記載してございます。
以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。
よろしくお願い申し上げます。
○東野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 この九月、十月に発生しました脳出血の妊婦さんの問題、救急搬送事例が大変大きな問題になっているわけですが、都として、これらの事態を重く受けとめて、早急に都民の不安を取り除いて、安心して出産ができる体制を確保していただくべきだと思いますが、先日、病院経営本部の事務事業質疑についても、この点を取り上げていろいろ質疑をさせていただいたわけですが、病院経営本部というのは都立病院を経営するという立場。今度は、東京都の周産期医療提供の体制整備を担う責任者である福祉保健局として、今回の事案をどのように受けとめて、どのような改善策に取り組んでいくのか、それを含めて質疑をさせていただきたいと思います。
この墨東病院については、土日は一人当直体制のために受け入れをしていなかったのだから、周産期母子医療センターとしての看板をおろすことがいいんじゃないかというようなことがいわれていますけれども、当時の状況や経緯について確認しますと、墨東病院は、区の東部地域の周産期医療の最後のとりでの役割を維持すべく、平日ではしっかりと二人当直体制を確保して、一人体制の土日も、病院の現在置かれている厳しい状況について地元の医療機関のご理解を得ながら、可能な限り地域内の搬送依頼は受けようと努力は続けていたわけです。
当然、どこの総合周産期母子医療センターでも大変厳しい状況が続いているわけですが、自分たちが担当する地域の周産期医療というものをしっかりと守っていかなくちゃならない。逆にいえば、どこかの一カ所が崩れれば都全体のシステムが崩壊してしまう。都立病院としてはそれだけは避けなくてはならないという意識で、現場の医師は大変過酷な勤務状況と闘っているのが現在なわけです。
今回の事案についても、ほかの医療機関では受け入れがなされなかった。最終的には、墨東病院が救命救急センター、脳外科、NICUの医師と迅速な連携をとってお子さまの命は救うことができた。結果としては大変残念なこともあるわけですが、こういう現在の状況についての墨東病院の対応というものは、ある部分きちんと評価されなくてはならないことだと思います。
しかし、今回の残念な結果、こういうものを受けて、搬送先の選定に時間を要してしまい、やはりそのことは今現在の周産期医療というものが直面している大きな問題の一つでありまして、迅速に対応できる策を講じていかなくてはならないわけです。
福祉保健局では、この事案を受けて、今月五日に緊急の東京都周産期医療協議会を開いたということですが、そこでの検討状況と今後の対応について伺いたいと思います。
○吉井医療政策部長 都におきましては、今回の事案を受けまして、今月五日、周産期医療協議会を緊急に開催したところでございます。
その協議会におきましては、総合周産期母子医療センターを中心に、患者の状況に応じて、ほかの病院とも連携しながらブロック内での患者を確実に受け入れることが重要であるということ。さらには、そのブロックを超えて、搬送先をコーディネートする仕組みを新たにつくる必要があるのではないか。さらに、医療機関間の正確な患者情報の伝達が重要であると、こうしたような意見が出されたところでございます。さらに、区東部地域や多摩地域など、特に厳しい状況にある地域の問題についても意見が交わされたところでございます。
また、当面の対策といたしましては、区部の総合周産期母子医療センターが当番制で墨東病院の一人当直の日を支援することの了承もいただきまして、今月八日からそうした対応を実施しております。
今後、今回出されました、論議されました課題につきまして、東京都周産期医療協議会を引き続き開催いたしまして具体的な対策を検討いただき、早急に取り組みをしてまいりたいというふうに考えております。
○田代委員 今お答えいただきましたことは大変重要なことで、一つ一つが取り組みを早急にしなくちゃならないわけですけれども、まず、他の病院と連携しながらブロック内で患者さんを確実に、これは病診連携も含めて病病連携もやっていかなくちゃいけない。
大変昔から問題になっていて、これはなかなか難しい、解決方法として東京都だけでできるのか、あるいは地域だけでできるのか、国も巻き込んでいかなくちゃいけない、いろいろ難しいことがありますし、医療の内容、それから今、低体重の出産がふえている。これもいろいろな理由があって、本当に甚だしい、これは特異な例といえば特異な例ですけれども、決して少なくないんですけれども、ボディーラインを変えたくないというので早く出産しちゃう、こういうことも今の現実になっているわけですね。
ですから、すべてが同じ枠の中で当てはまる出産ではないわけで、こういうものをそういう時代になってきた中で、病院と診療所、あるいは病院と病院、あるいはこういう大きな基幹病院と一般の病院との連携というものをやっていくというのは大変難しいと思いますけれども、やはりそこは福祉保健局としてはしっかり取り組んでいただきたい。
しかし、それはかけ声でそういっても、現実にだれがやるかということになると、前からずっといっていますように、シュライバーという、医療クラークという言葉に東京都は変えてお答えになりましたけれども、その医療クラークの中身がまだ非常に判然としないので不安なんですが、やはり医師だけではなく、看護師だけではなく、事務だけではなく、ほかの病院とのコンタクトがしっかりとれるような、ただボードを見れば、丸がついているバツがついているというだけではなくて、それが本当にリアルタイムで生きているようなものを構築していくための人材というものが必要なんですけれども、国の方でこの人材のいわゆる担保を全くしようとしていないわけです。
これは必要がない地域もある。地方に行くと、意外とこのシステムがうまくいっているんですね。ところが、一つの国の大きさである千二百万人という都民の中で、あるいは医療というのは東京都だけが終結すればいいわけではなくて、首都圏というものの中でもひとつ考えていかなくてはならない。
後ほどもちょっとお話ししますけれども、医師不足ということで、都立病院が公的病院から、公的病院が大きな私立の病院から、大きな私立の病院が今度は町の病院からと、どんどんどんどん引き抜き合戦が起きてくると、どこかにまたしわ寄せが出てくるわけですから、東京都だけが安全であればいいというわけではなくて、首都圏ということも考えながらやっていかなくちゃならない。
しかし、そういうものに対して、国は今、東京都でいう医療クラークの人たちに対する財源というものを全く、ごく一部の救命救急の中でしかヘッジしていないということは、やはり東京都は東京都でそれに対応していかないと、国全体の問題、今、六つぐらいの県で非常にうまいシステムができているんですけれども、やはりそれは極端なことをいうと、大きな、世田谷区の、あるいは大田区の人口とほぼ変わらないようなところがやっていることと、東京都のように、この巨大なところが同じことでやっていけるかというと、そこは難しいかなと思うので、そういうものも真剣に取り組んでいただかないと、せっかくこういういい意見をいただいても答えが出てこないんじゃないかなと思うんですね。ここをしっかりと、今のITを使って、できることはどんどんどんどんやっていただく。
それから、地域の医師会とというんですけれども、やはり医師会との話し合い、何か起きたときに医師会と話し合いをするんじゃなくて、もうちょっと密に、現場のお医者さん、あるいは現場の看護師さんたち、あるいは現場の医療機関の事務の方たちの意見というものも東京都はもうちょっとすくい上げて--なかなか大変だと思います。すくい上げるスタッフはどうするんだという問題になると思うんですね。
福祉保健局でも人材には限りがあるわけですから、何でもかんでもいわれたとおりに、理想論をいうというのは非常に簡単ですけれども、理想論と現実の間を埋めていかなくちゃならない。ただただ福祉保健局を責めたって何の意味もないわけですけれども、今、都民が求めているのは、やはり安全なお産ということを非常に強く求めているわけですから、そういうものに対して、大変でしょうけれども、ご努力をいただきたいということを申し上げたいと思います。
各総合周産期母子医療センターが担当するブロック内での搬送調整を現在はセンターが担っているわけですけれども、日常的にお医者さん同士、あるいは顔の見える連携を深める中で、ブロック内のいわゆる一種のまとめ役の立場である総合周産期母子医療センターのドクターが、地域の医療機関のそれぞれの実情は随分違うと思うんですね、それから、抱えている患者さんの状況、こういうものをどうやって把握していくか。
そして、適切な搬送先を判断する。これは当然、今、一番問題だったことなんですけれども、これもただ言葉だけのかけ声ではできないので、具体的にどうやっていくかということに対応していかなくちゃいけないわけですね。
今回の事案のように、産科とNICUと脳外科、すべての対応が可能でないと受け入れが厳しい、こういう事例は、なかなか搬送先が見つからない。奈良県のときに、ちょっと僕、申し上げたんですけれども、今の医療法で、一つの病院の中で、産科があって脳外科もあって小児科もあって麻酔科もいなくちゃいけないという形になると、これはちょっと余りにもたががきつ過ぎて、なかなか我々現場で働いている医師としては対応ができないんですね。
そうすると、例えばあのとき申し上げたように、GPSを持っていて、どこどこの病院の、今から二キロ先の病院の先生は、今、食事中であるとか手術中であるとかテレビを見ているとか、あるいは往診中で何分後に終わるというようなことがわかれば、一つのセントラルな病院に、例えば脳外科の施設があって、産科の施設も兼ね備えることができるような病院にみんなで集合していけばいいわけで、ただ、そのときの医療費の払い方というのは大きな問題があって、なかなかそう簡単にはいかないと思うんですけれども、やはりそういうものが、無理だから無理だから、国がいっているから無理だからという形のまま認めていると、いつまでたっても、幾ら医者がふえてもこの今のシステムでは無理なんですよね。全部がそろってない限り提供しちゃいけない。
おみそ汁一つない、おしんこ一つないと定食としては絶対売っちゃいけないといわれちゃうと、それはずっと飢えている子どもたち、飢えている人たちがふえちゃうわけで、最低でもご飯とおかずだけあれば、その後はみそ汁とおしんこ、後から届けてもいいじゃないみたいな形にしていかないと難しいし、そういうものを決めていく、覚悟を持って取り組んでいくのは、やはり東京では福祉保健局以外にその力、実行力を持っているところはないわけですから、やはり国と戦うということじゃなくて、都民の立場でそういうものをもうちょっと柔軟に、フレキシブルに考えていただけるとありがたいなと思います。
これは奈良県のときに申し上げて、まだ答えが出ていない、なかなか出ることじゃないんですが、そういう方向性でやっていかないと、幾らボードをふやしてリアルタイムにといっても、すべての救急の場所にすべての顔、いつも二十四時間、いわゆるスタッフを二人以上置いて各科が対応するということは、幾ら医師をふやしてもなかなか難しいんじゃないかなと思います。
こういうことが、大阪や神奈川や札幌なんかで搬送先をコーディネートするという形が今できているんですけれども、ある種の試験的なことなんですが、東京都ではこういう搬送先のコーディネート、さっき申し上げたように、人材がなければ言葉でいってもなかなか難しいと思いますし、予算づけがなきゃ全然無理だと思いますし、またそういうコーディネートの社会的な、それから組織的なきちっとした役割というものを認めた職業として、一つの責務のある職業として認知していかないと、幾らかけ声でいってもなかなかできない。
介護保険の中でも幾つかありました。肩書きはもらったけれども食べていけないというのが随分あって問題になっているわけですけれども、幾ら肩書があっても、その保障がなければやっていけないわけですから、それを受けて対応していく、指導していく福祉保健局だって、さっき申し上げたように人員に限りがあるから、あれもやれこれもやれはなかなか皆さん方大変だと思うんですが、こういうものに対してのご見解があれば伺いたいと思います。
○吉井医療政策部長 田代委員ご指摘のように、総合周産期母子医療センターが、日ごろから地域の医療機関との連携のもとに、一定のブロックを担当して搬送先の調整を行うことの意義は大きいと考えております。しかしながら、ご指摘のように、センターの搬送先を調整する現場の医師、これは非常に負担が大きくなっているというのも現実でございます。
先日発表いたしました東京緊急対策Ⅱにおきまして、総合周産期母子医療センターの搬送調整業務、これを支援する看護師等の配置、それから地域内での受け入れを確保し、総合周産期センターの負担を軽減するための中程度の緊急性を有する患者に対応する周産期連携病院の指定などを盛り込んだところでございまして、現在こうしたことの具体策について検討中でございます。
ご指摘の搬送先をコーディネートする新たな仕組みにつきましても、周産期医療協議会においてさらに検討いただきたいというふうに考えております。
○田代委員 十四日ですか、救急医療情報システムについて救急医療対策協議会が行われたわけですけれども、この中で三百三十三カ所、救急医療機関の中で、いろいろシステムをつくっていこうということなんですけれども、さっき申し上げたように、救急医療のエリアと産科の救急とまた別なものですから、こういうものをミットしていくというのは、それぞれの立場でそれぞれのドクターからの意見もあって、譲りづらいところもあるでしょうから、その調整役としては東京都、なかなか大変だと思うんですけれども、やはりリアルタイムにどこに持っていけばいいか。
よく救急車に乗ったら、すぐそれをカウントしてしまえばいいじゃないかと。そうすると、時間のミスがないんだというんですけれども、私自身も救急を受けるときに、来ても大した問題じゃなかったり、全然別のもので、そこにはまた、あいちゃうということも実際にはあるわけですね。ですから、それをどうやっていくかというのは非常に難しい。
やはり基本的には、コンピューターに何でも頼るんじゃなくて、人海戦術でいくしかないだろうなと。いわゆる東京都のいう医療クラーク--医療クラークの意味は、東京都は異様に狭いんですけれども、これをもうちょっと広げていただいて、いつも申し上げているカルテ整備士のことも含めて、こういうアレンジをするコーディネーターというものも育てていただきたい。
こういうことをやっていかないと、なかなか三百三十三ある中でも、申し上げづらいんだけれども、即応できる能力のある病院と、意外とちょっと手間取っちゃう病院が、三百三十三の中で全く同一の力があるとはいえないところもあるわけですから、そういうことを含めてきちっと対応していかないと、こういう協議会、大変ありがたい、いい協議会だと思うんですけれども、これを続けて行っていただいて、答えをしっかり出していただきたいと思います。
また、今回の事案で搬送を受け入れられなかった医療機関の多くがNICUの満床というのを理由にしていたわけですけれども、これは新生児に対するNICUが依然として不足している。先ほど申し上げましたように、いろいろな理由もあるんですね。NICUが、必ずしも、昔の我々が医者になったときの時代とは違う意味でNICUが必要になっていることがいっぱいあるんですけれども、これは時間の問題で省きますが、NICUの整備をさらに進めていく必要があると思い、せんだってもお話を聞いていただいたところ、きっちりと各大学病院の中で、そういうものが必要であればNICUをふやすということに対しては、東京都は大変積極的に取り組んでいただいて、結果が一つ一つ出てはいるんですが、これからの取り組みについて何かご意見があれば伺いたいと思います。
○吉井医療政策部長 東京都では、平成九年度から周産期医療対策事業、こう称しまして、NICU整備目標を二百床として整備を進めてまいりました。おおむね目標の達成に近づいているところでございますけれども、しかしながら、低出生体重児の増加、こうしたことを背景にNICUの必要性は高まってきております。
このため、ことし三月に改定いたしました東京都保健医療計画、これにおきまして、引き続き都全域でNICU病床の整備を促進していくこととしております。これからも保健医療計画に基づきまして、NICUの着実な整備を進めてまいります。
○田代委員 東京都が一生懸命やっていただいたのは、僕も現場でいろいろ話を聞くんで大変ありがたいんですが、それでも私立医科大学あるいは各地域の公的病院、資産的に余裕があるわけじゃないんで、ある程度さらなる上積みというか、助けていただけたら大変ありがたいと思うんですね。
このたびのこの事案というのは、比較的恵まれているといわれているこの東京都において、医師不足を初めとして、周産期医療の置かれた現状が大変厳しいんだということがわかってきた、改めて示したわけですけれども、周産期医療を担う医療機関の連携の強化や周産期医療と救急医療の連携、母体救命のあり方など周産期医療についての課題というのが一遍に出てきたわけですが、こうした事態を繰り返さないために、都民が安心して出産ができる、このためには現場の医師が意欲を持って働ける周産期医療体制。この現場の医師の意欲というのがよくお金にすぐ換算されるんですけれども、全くこれは関係ないんですね。これは我々医局に、だれに聞いても全くそこは関係ないんで--いや、全然ゼロとはいいませんよ、食べられない状態ではまずいんですけれども、それよりもそういう意欲をつくり上げていただくために、やはり意見を取り上げていただく。現場と行政、そして現場と医師会と行政、そして病院を含めた、そういうコンタクトを密にとっていただくことが大変重要だと思います。
この周産期医療については、医師の不足ということで医師に注目が集まっているんですが、やはり看護職員が果たす役割というのは非常に大きいわけですね。そして、その確保が大変重要であります。看護師さん自身が、私のところもそうですし、関係しているところもそうなんですけれども、やめて戻るときに、もとのところに戻れるようなシステム、ある程度今の体制に合う、あるいは勉強ができる、あるいは今入っている病院をやめて、もう一つステップアップして勉強してきて、また戻るところがあるようだといいんですけれども、なかなかそういうシステムが、ごく一部の大学病院にはほとんど認められていない。まして、認められている大学病院も、自分の意思ではなくて、管理職として、指導者として育てるために病院の命令でそういう形になっていることはあるんですけれども、自分の意思としてそういうことができることが少ないわけですね。
東京都では、看護職員数というのは確かにふえてはいるんですが、高齢化の進展に伴って介護施設や在宅医療のニーズの増大がありますし、それから配置基準、これが変更されている。それから、当然医療技術の高度化、普通の教育を受けたお医者さんでもついていけないぐらいの高度専門化というのがあって、それに対応する看護職という需要がまたさらにふえているわけです。
当然、医療の現場というのは、二十四時間三百六十五日ですから、看護職員も夜勤をこなさなくてはならない。当然、医師が大変だというのと同時に、看護師さんも大変なわけです。
東京都はことしから、医師に対しては、医師の勤務環境改善事業を開始して、周産期母子医療センター、小児の二次救急医療機関などの病院が行う医師の短時間勤務や交替制勤務の導入、こういうものを図っているわけですけれども、病院勤務医のいわゆる負担の軽減、定着、これは大変必要だと思うんですが、看護職員についても、医師と同様に短時間の正職員制度の導入など職場の環境を改善して定着を進めていく、そういう病院の取り組みを支援する施策が必要だと思うんですね。
先ほど申し上げましたように、やめてほかに行ってしまうんじゃなくて、やめて勉強して子育てもして、またもとにも戻ってこられる、あるいはステップアップする病院にも行ける。まだまだ人数は要るわけですから、そこをただやみくもに外国から導入するとか、そういうことだけではなくて、もとに戻りやすいような政策というものをしっかり東京都で対応していただきたいんですが、都の意見を伺いたいと思います。
○吉井医療政策部長 看護師として養成した人材が早期に離職して看護の現場から離れてしまう、これは大きな社会的な損失であると考えております。
東京都では、看護職員の離職の防止と定着を促進するため、平成十九年度から卒後研修の充実を支援いたします新人看護職員研修体制整備事業を実施しております。また、病院が実施いたします看護宿舎の整備でございますとかナースステーションの拡充など、勤務環境の改善に資する整備事業についても支援を行っております。
ただいまございました看護職員の一層の離職防止や定着、再就業を図るためということでの短時間正職員制度につきまして、こうした導入を行う病院に対する支援策についても検討してまいりたいと考えております。
○田代委員 このたびのこの事案というものによって、比較的恵まれていると思われてきた東京都においても、医師不足を初めとして周産期医療の置かれた状況が大変厳しい。これは、先ほどから申し上げておりますように、こういうものが問題になって、周産期医療を担う医療機関の連携、そういうものを強化しなくちゃいけない。あるいは、周産期医療と今回大変大きな問題になりました救急医療との連携、母体救命のあり方など、周産期医療についての課題が浮き彫りになったわけです。
これは、どの事例とは申し上げませんけれども、ご存じだと思いますけれども、病院の方はお母様のお命を、お母様はお子さんのお命を、これは当たり前のことだと思うんですけれども、このトリアージなんていうのは、そんな簡単にできるものでは全くないですし、そのシステムというものは、ある程度科学的にエビデンスがあって、後から大変悔しい思いをしたご遺族の方でも納得がある程度--全体いくわけはないですけれども、ある程度エビデンスがないとこれは話にならないわけで、こういうものも今から取り組んでいかなくちゃならないわけです。
今度、こういう課題に東京都としても真摯に向き合っていただいて、東京都が中心となって東京都が手本を示せるような、特に今度のご遺族の思いに報いられるようにしていただきたい。都民が安心して出産ができるように、そして先ほど申し上げましたように、現場の医師が、あるいは看護師さんたちが意欲を持って働けるような確保に向けて、東京都を挙げて全力で取り組んでいただくことを強く望みます。
そして、医師不足、これが今大変大きな問題になっているわけですけれども、時間の関係もありますが、簡単に申し上げますと、ただお医者さんをふやせばいいというだけのものではなくて、ちょっときついいい方で申しわけないんですけれども、今まで医学部の入学試験に落ちていた人を六百四十名入れろというわけですね。
それで本当に世の中が変わっていくのかどうか、医師も含めてだれも信じていないわけです。なぜかというと、受かった人たちがみんな産科や小児科に行くという担保が全くない。今からだという意見はあります。当然今からだと思います。我々も今から大学でそういうものに取り組んでいかなくちゃいけないと思いますけれども、やはりそれを示していく必要がある。
これは提案というより、東京都がいっても仕方がないんですけれども、一つの方向としては、今までの医学部のように十八歳を超えたらいつでも受けられるということもいいんですけれども、それとは別に、この定員枠がふえた分だけは、社会で一度仕事をした方、あるいは何か経験がある、介護職にあったとか、何かそういうものがあって、途中からの入試、看護大学はよくあるんですけれども、二年生あるいは三年生からの入試というようなものも考えていかないと、ただやみくもに六年全部やればいいということよりも、六年の間にどれほどコンテンツをいいものにしていくか。六年の教育の中で、もう四大を出ている、あるいは大学院を出ている、あるいは経済博士を持っている、いろいろなものの、ドクターコースを過ぎた人がまた入ってくるときに、また一から出直しが果たしていいのか。人材が足りないということであれば、途中からの編入というのを、もっともっと、枠だけは別のことを考えてやっていただかないと、十年、十五年、二十年たってから、さあ間に合いましたというのは、ちょっと難しいかなと思います。
医師不足、確かにあるわけですが、医師不足のもう一つの問題は、医師がやらなくていいことまでもやらされている。先ほど申し上げましたように、カルテ整備士、僕は何回も何回も申し上げていますけれども、アメリカでは全部とはいいませんけれども、ある程度の病院以上は、我々がカルテを書くことは逆に仕事としては認めないんですね。それより仕事をしなさい、患者さんを診なさい、手術をしなさいと。あなたたちは自分で勝手にカルテを書いて、その中にいろいろな数字を書き込んじゃいけない。第三者がきっちりそれをチェックして、いわゆるカルテ整備士がインカムを使って、我々がしゃべっていることをどんどんどんどん入れていく。
アメリカの映画なんか見ますと、病理解剖、司法解剖を見ていると、みんなインカムでしゃべっていて書いていますよね。日本は、僕たちはわざわざゴム手袋を外して、またはめて書いている。何時間かかるかわからない。また後でその解剖の話はしますけれども、そういう余分なことを医師にさせない。
逆にいうと、カルテの記載ミスがあっても、意図的じゃなくても何か事件になったときに、意図的に我々が書きかえたようにいわれても大変心外ですし、そういうものはプロがやった方がいいことがアメリカでは実証されているんですね。
三カ月まではカルテ整備士の方が圧倒的に遅いんです、医療の言葉を全然知りませんから。三カ月たつと、医者と全く同等のスピードでカルテを書けるようになる。六カ月たつと、大体医者の三倍のスピードで、三倍きれいな文書を書けるということも証明されているわけですから、東京都がいっている医療クラーク、いつもすりかえられちゃって、僕は非常に残念なんですけれども、そういうものも含めた幅広い形の医療クラークというものを、カルテ整備士も含めて、そして、その人たちの質が担保できるような経済的な裏づけがないと、当然看護職の人も事務職の人もそうですね。
看護師が足りない、医師が足りないというけれども、やはり病院の中で一番大切なのは、事務の方々も非常に大切ですから、そういう人たちのモチベーションをちゃんとつくるような形のものをつくっていただきたいと思います。
当然それに対応して、患者さんの声、これも聞いていかなくちゃならないわけですから、今この医療の進歩に伴って、医師と患者さんたちとの信頼関係の構築というのは大変難しいというか、重要になっているわけですが、患者さんが受ける医療の内容について、まず主治医に相談することが最も基本ですけれども、忙しい診療時間の中でなかなかいい出せない。
実は、これはちょっと前になるんですけれども、僕も、僕の立場であるところに行って聞こうと思ったけれども、なかなか答えて--向こうも申しわけなさそうな顔しているんですけれども、僕の医者としての立場もみんなわかっているんだけれども、しゃべれない。それだけ忙しくてどうしようもないということで、僕も随分もどかしい思いをしたんです。
平成十九年四月から新たな医療法が施行されて、都道府県、保健所を設置する市及び特別区に関して、患者さんと医療施設との信頼関係構築を中立的な立場で支援する医療安全支援センターの設置に努めることが盛り込まれたわけですが、こうした窓口の周知、それから設置状況についてお伺いしたいと思います。
○吉井医療政策部長 現在都内の自治体におきます医療安全支援センターなどの相談窓口は、十二カ所の設置となっております。あわせて医療機関における相談窓口ということで申し上げると、都内四百七十三病院に設置がなされております。
これらの窓口の設置状況につきましては、パンフレット、それから都のホームページなどで周知を行っているところでございます。
○東野委員長 田代委員、予定時間を過ぎましたのでまとめてください。
○田代委員 委員長のご指示に従って、最後にまとめて、考えている意見で終わらせていただきたいと思いますが、肝炎対策、これをしっかりと国も対応するといっていますし、東京都も対応するといっているわけですけれども、肝炎対策は拠点病院を中心としてというやり方、国が示している方法は非常にナンセンスな方法で、二百幾つあるそれぞれのネットワークの中で、拠点病院一つにすると非常に物理的に難しくなりますので、東京都はがんの拠点病院、大変いい方法だと思います。今なさっている方法を少し導入するような形で進めていただくことを要望したいと思います。
それから、先ほど申し上げましたように、病理解剖、特に死亡時の病理解剖というのは、せんだっての力士の事件のように、日本はすぐ火葬にしてしまうために、後から何かを見たいというときになかなかわからないんですね。そういうものに対して、今、病理の医者が異様に減っていますし、それから法医学の医師というのもほとんど想像できないほど、アメリカの映画を見ているとちょっと大げさかなと思うけれども、あれだけたくさんいるということは、それでもあれだけの事件があるわけですから、今から医療訴訟が山ほどふえていく中で、また弁護士さんがふえる中で、患者さんの権利を守るという意味でも、あるいは医師の正しい医療行為が正当に評価されるという意味でも、こういうものに対してきちっと考えを進めていっていただきたいし、それについては、また十二月の本会議で質疑させていただきますので、これで終わります。ありがとうございました。
○松下委員 先月の十月に、妊娠九カ月で体調異変を起こした妊婦さんが、搬送先が決まるまで周産期母子医療センターに指定されている病院を含む八つの病院から搬送を断られ、帝王切開手術による出産後に脳出血でお亡くなりになられてしまうという大変悲しい事態が起きてしまいました。
お亡くなりになられた方のご冥福と、誕生した新たな命の健やかな成長を心からお祈りするとともに、このようなことが二度と起こることがないように徹底した調査と対策に取り組むことは急務であります。
また九月には、多摩地域のかかりつけ医から総合周産期母子医療センターである杏林病院に搬送を依頼したところ、こちらも受け入れられず、墨東病院まで搬送し、出産後に意識不明の重体のままである事態も起こっていたことが明らかになりました。こちらは現在調査中のようですが、徹底的な調査を行い、原因を究明し、二度とこのようなことが起こらないよう対策を講じることを強く望みます。
我が子の出産という、とてもうれしく幸せな場面であったはずが、一転こうした悲しい結果となってしまったことで、現在東京都が抱える周産期医療の大きな課題に直面いたしました。安心して子どもを産む場所の確保ができないといったことが、ここ東京でも現実に起こっているということを重く受けとめて、何としてでもこの難題を解決すべく、みんなで知恵を出し合って全力で取り組んでいかなければならないと思います。
私は、ことしの六月に出産をしましたが、私自身の経験からも、出産に伴うリスクの把握は非常に難しく、兆候があらわれる場合とあらわれない場合があることや、ローリスクが一転ハイリスクに転じること、急な体調の異変が一分一秒を争うということなど、出産し、母子ともに健康であることのありがたさ、幸せというのを身にしみて感じております。
無事に出産ができたのも、妊婦健診ごとに的確に判断して処置をしてくださった産科医と助産師、看護師さん、病院関係者のみんなのおかげだと感謝しておりますし、そういう意味でも、医師不足の解消とお産のできる場所の確保というのは、本当に急務であると痛感しています。
このような視点から、まず初めに、周産期医療体制に関して幾つかお伺いをいたします。
都立墨東病院の母体搬送に関して、どのような調査を行って、結果をどう分析しているのか、また本事態を含めて、東京都周産期医療協議会でどのような意見が出たのか、お答えください。
○吉井医療政策部長 本事案に関しまして、かかりつけ産婦人科医院及び受け入れできないと回答いたしました医療機関に対しまして、国、厚労省と合同で聞き取り調査を実施いたしました。搬送先選定、受け入れにかかわる事実の確認、それから各医療機関の母体搬送の受け入れ体制などについて確認を行ったところでございます。
調査結果を踏まえまして、今月五日、先ほど申し上げましたが、緊急に開催いたしました東京都周産期医療協議会におきまして、都の周産期医療の課題といたしまして、地域内で患者を確実に受け入れること、それから地域を超えた医療機関の支援の仕組み、脳外科など、ほかの診療科との連携、正確な患者情報の伝達などの意見が出されたところでございます。さらにまた、不足する産科医師、小児科医師、こうした確保がより根本的な問題であるとの意見も出されたところでございます。
○松下委員 調査の結果、確認できたことについて都としてしっかりと分析を行い、解決策を早急に提示していただきたいと思います。
東京都周産期医療協議会において出た意見に関しても、これはあくまで協議会から出た意見としてとらえて、東京都が解決策を提示して取り組んでいただきたいと思います。
先週、私は江東区の産婦人科医院、母体搬送を墨東病院に依頼した産婦人科の先生からお話を伺ってまいりました。大変お忙しい中で時間をちょうだいし、貴重な現場の声、当事者の声というものを伺うことができました。
その中で、ことしの五月にこの産科医の先生が地元の医師会に発表された産科医療の現状という論文も見せていただきました。その中では、緊急搬送受け入れ先の墨東病院が産科医不足の現状では、まさに綱渡りの状態で、各施設が紹介先や搬送先を自力で探してお願いしており、今後の分娩の安全確保は困難であるという、まさに今回の事態をもう既に予言しているかのような内容の論文でした。
ことしの三月に協議会から発表された東京都における周産期医療体制についての中でも、検討すべき課題というものが多々指摘されておりました。その中では、多摩地域の周産期医療資源の不足も既に指摘されております。二十三区と多摩の人口比は二対一、出生数も二対一にもかかわらず、周産期母子医療センターの施設数は、区部と多摩地域では四・五対一というような状態であり、周産期医療資源の多摩地域の不足は明らかであります。
平成二十一年度に多摩広域基幹病院、総合周産期母子医療センター開設までの間、多摩地域でどのように周産期医療体制を確保していくのか、方針をお伺いいたします。
○吉井医療政策部長 多摩地域におきまして、都内全体の約三分の一の出生数があるにもかかわらず、ご指摘のように総合周産期母子医療センターが一施設、地域周産期母子医療センターが三施設でございまして、高次の周産期医療に対応できる医療機関は少ない状況にございます。
このため東京都では、平成十二年度から多摩地域周産期医療連携強化事業、こういう事業を実施いたしまして、NICUは有しておりませんけれども、新生児医療に対応可能な医療機関を協力医療機関として確保いたしまして、都立八王子小児病院が新生児の搬送調整を行うなどの対応を図っているところでございます。
東京都では、先ほどご指摘もありましたように、周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所等で構成いたします周産期医療ネットワークグループ、これを都内の各地域で設置を進めるとともに、先日発表いたしました東京緊急対策Ⅱにおきまして、中程度の緊急性を有する患者に対応する周産期連携病院、これらの指定も盛り込んで多摩地域における重点的な整備をするなど、現在具体策について検討を行っているところでございます。
今後さらに、周産期医療協議会におきましての検討も踏まえて対応を図っていきたいというふうに考えております。
○松下委員 まさに広域な多摩地域で唯一の総合周産期母子医療センターが杏林病院です。多摩当番という名称で、区部の総合周産期母子医療センターが輪番制で応援制をとっていることは、ことし三月に協議会が発表した東京都における周産期医療体制についての中でも搬送体制として書かれておりますが、杏林大学病院で今回受け入れてもらえなかった妊婦さんが墨東病院まで、調布市から墨田区まで搬送されたという事実もありますので、この多摩地域の周産期医療体制確保のために、こうした搬送体制をとらざるを得ないというのはわからなくはないのですが、実際に今回の事態のように調布から墨田区まで、約四十キロぐらいあるのでしょうか、緊急性を有する中で長距離の移動をしなければならないというのは、多摩地域の妊婦さんにとって非常に不安であると思います。
ましてや、多摩地域は本当に広うございますので、もっとかかってしまう例も、実際には起こってしまった場合はあるかと思います。今の多摩当番への搬送体制では、明らかに緊急性に対して対処ができないのではないかと思います。
では、どうすればよいのか。やはり今の多摩地域の唯一の総合周産期母子医療センターである杏林大学病院にしっかりと緊急搬送を受け入れてもらわなくてはならない、受け入れてもらいたいというふうに思います。
そのためには、周産期母子医療センターがハイリスク分娩に対応するという本来の機能をしっかりと確保するために、ローリスク、ミドルリスク分娩を分散するなどして、必ずハイリスク妊産婦を受け入れることができるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 分娩取扱医療機関が減少しているということもあわせまして、ハイリスク分娩に対応すべき周産期母子医療センター、これに正常分娩も集中いたしまして、ハイリスクへの対応であるとか搬送受け入れ、こうしたことに影響しているというのも事実としてございます。
限られた資源を有効に活用いたしまして、安全・安心な出産を確保するためには、地域の医療機関等が妊娠のリスクに応じた役割分担を進めていって、協力して周産期医療を提供する体制の構築が必要であると考えております。
先ほどもちょっと申し上げましたけれども、東京都では周産期医療ネットワークグループ、こうしたものの立ち上げということとあわせまして、いわゆる周産期連携病院、これは中程度の緊急性のお産等への対応ということで、周産期母子医療センターの負担の軽減を図る、こうしたようなことを内容といたしました具体策について検討を行っているところでございます。
こうした取り組みを通しまして、周産期母子医療センターの負担を軽減して受け入れ体制を確保し、地域での周産期医療を支える体制を進めていきたいというふうに考えております。
○松下委員 妊婦さんや新生児のリスクに応じた医療機関同士の役割分担や連携を進めていくことは大切だとは思います。また、負担軽減により受け入れ体制を確保することももちろん大切だとは思いますが、今現在、周産期母子医療センターのNICUやM-FICUの稼働率がどの程度なのか、緊急搬送用としてどのくらいの割合でこれらをあけているのかなど、もっと都として調査を行い、明らかにしていく必要があると私は思います。
周産期医療体制をしっかりと機能させ、安心して安全なお産ができるようにするのは、やはり都の責任であり、体制を整えるだけではなく、ちゃんと機能するように、体制を整えた後も厳しくチェックしていただきたいと思います。何か事が起きたときにレアケースと逃げることなく、都民の命をしっかりと守るんだという気持ちで周産期医療体制の整備に取り組んでいただきたいと強く要望いたします。
去る九月の第三回定例会の一般質問で、私は安心して出産ができる環境整備について質問をしました。そのときの答弁でも、産科医療の確保のための取り組みとして、周産期医療を担う病院、診療所等によるネットワークグループを立ち上げ、協力して地域の産科医療を支える体制づくりを進めているとありました。また、妊婦さんが安心して分娩の場を確保するためには、都民に対しては、医療機関の早期受診を勧奨する普及啓発を行っているともお答えがありました。
つまり、妊娠がわかったら、まず受診。かかりつけ医で妊婦健診を定期的に行い、何かあったとき、リスクが高まったときには周産期母子医療センターに紹介してもらい、安心して出産することができるということだったと私は理解しているのですが、しかし今回のような事態が発生すると、妊産婦の高機能な大病院志向というものが強まり、ますます総合周産期センターに患者さんが集中するのではないかと懸念をいたします。
こうしたことにならないようにするためには、万全な緊急搬送システムを構築していかなければならないと考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○吉井医療政策部長 先ほどもちょっと答弁申し上げましたけれども、東京緊急対策Ⅱの中で、やはり周産期母子医療センターにおける患者搬送調整機能、こうしたことを強化していく必要があるだろうということで、現在その具体的な検討策を検討しているところでございます。
それから、先ほども申し上げましたように、中程度の緊急性については役割分担ということで、周産期母子医療センターではないところで受けられるような仕組みについても検討したいというふうに考えております。
こうしたことも含めて、周産期医療協議会、第一回を五日に開催いたしましたが、引き続き開催いたしまして、そうした問題についての検討を行っていきたいというふうに考えております。
○松下委員 何度もお答えいただいているとのことですが、具体的な中身がわからなければこちらとしても検証ができません。周産期連携病院の新たな指定、具体策の検討を行っていて、具体的にはまだ答えられないということでは、実際に私が思うのは、どの病院もぎりぎりのところで踏ん張りながら頑張っている現状で、周産期連携病院として本当に加わっていただけるのか。
例えば総合周産期センターで、治療により妊娠経過の改善が見られた患者さんを逆に受け入れていただけるのか、疑問が残ります。NICUはなくてもハイリスク出産に対応できる病院というのももちろんありますが、分娩予約を行って、受け入れられる分娩数を調整している病院がほとんどというのが現実ではないでしょうか。ベッドの数や医師や助産師、看護師さんの数で、一日や一カ月に可能な分娩数というのは決まってくるのだと思います。だからこそ、妊娠が判明したら早期に受診して、出産予定日が決まり分娩の予約を入れる。受診がおくれて予約が入らなかったら、他の病院を探さなくてはならないというのが現実なのです。
新たに連携病院を指定して搬送体制を整備するのであれば、これらの現状も把握しつつ、協力依頼をしていただきたいというふうに思いますが、まず今の搬送体制のままでも改善できることがあるかと思います。総合周産期母子医療センターが搬送調整機能を十全に果たすため、専任のコーディネーターを置くなどの措置が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 五日の開催のときの周産期医療協議会におきましても、理事ご指摘のいわゆるコーディネートの話については意見が出されたところでございます。あわせまして、搬送調整機能ということで先ほどもお話を申し上げましたが、搬送調整業務を支援いたします看護師の増配置、こうしたようなことにつきましても現在具体策について検討しているところでございます。
いずれにいたしましても、そんなに時間がかからない中で、患者さんが適切な医療機関に対応できるような形の仕組みを、周産期医療協議会での検討も含めて対応していきたいというふうに考えております。
○松下委員 総合周産期母子医療センターの医師が不足しているため、実際にかかりつけ医が搬送調整を行う方が早く受け入れ先が見つかるのではないかというふうにかかりつけ医さんに思われないように、しっかりとしていただきたいと思います。
しかしながら、搬送調整業務を補助する助産師、看護師さんを配置した場合に、その助産師、看護師さんから搬送依頼の電話をかけて、果たして搬送先が受け入れてくれるのだろうかという疑問もあり、医師の負担軽減というのは具体的にどのようなものなのか、助産師、看護師さんには具体的に何をしてもらうのか、しっかりと把握した上でコーディネーターを設置していただきたいと思います。
また、ケース・バイ・ケースになるとは思うのですが、患者さんの所見を行っているかかりつけ医の患者情報は重要ではあるけれども、限界もある中で、どうしたら一分一秒でも早く搬送ができるのか、患者情報を正確に伝えることができるのか、対策を講じていただきたいと思います。
周産期医療ネットワークについては、医師に負担をかけずに正確な情報が伝わる環境整備を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 今月五日の協議会におきましても、病院間、それから院内における連携、こうしたことで正確な患者情報の伝達、これが重要であるということの意見が出されたところでございます。
引き続き協議会の中で具体的な検討等を行って、改善に向けた取り組みをしていきたいというふうに考えております。
○松下委員 検討してもらうのは協議会であっても、対策を講じるのは、それは都の責任なんだということはしっかりと頭に置いておいていただきたいと思います。
正確な患者情報の伝達というのは非常に重要で、そこが非常に難しいというのが今回の事態からも明らかになったのではないでしょうか。私、最初にお話ししました江東区のかかりつけの産科医の先生からお話を伺いましたところ、妊婦さんが苦しんでいる様子から、明らかに頭に関して問題があるとは思ったけれども、産婦人科医院にはCTスキャンを備えてはおらず、頭であるという確証がとれないんだということを伺いました。
正確な患者情報は、できるならやはり救命救急で一度引き受け、診療してもらわないとわからないのではないでしょうか。その後、産科医や脳外科医を呼ぶというように、救命救急医療と産科医療をいかにリンクさせるかが重要であるというかかりつけの先生からのご提言もいただきました。都の周産期医療の枠組みの中だけではなく、救命救急医療とも関係させて改善に取り組んでいただきたいと思います。
そもそも今回の事態は、墨東病院の当直が一人体制であったことなど、産科医や新生児・小児科医の不足が原因であると思います。都内の医療施設に従事する医師総数は毎年増加しているにもかかわらず、産婦人科、産科や小児科の医師は減少の一途をたどっております。
若い女性の産科の医師に私は話を伺ったところ、医学部の同級生が百人いる中で、産科医はその先生たった一人とのことです。百人に一人とは、恐るべき事態であると私は驚きました。また、以前は産婦人科として教育を受けた世代の方もいらっしゃるそうですが、今は産科は産科、婦人科は婦人科と分かれて教育を受けてその道に進んでいくというお話で、同級生の中でも婦人科に進まれた方は多いようです。臨床研修医制度の功罪のみならず、こうした教育方針の転換もしっかりと検証していかなければならないと思いました。
少ない産科医が重い負担を背負いながら、それでも赤ちゃんが誕生する喜びをモチベーションとして、一生懸命働いていらっしゃるのが現状であります。早急に産科医をふやす対策を講じていただきたいと思います。
地域医療はまさに崩壊の危機にあります。このような事態が全国的にも生じている根本的な原因は、やはり産科や小児科医が絶対的に不足しているためであると考えます。都は、産科や小児科の医師を確保するため、医師の養成に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、どのような対策を講じているのか、お伺いいたします。
○吉井医療政策部長 小児、周産期、救急、僻地等の医療、こうしたことを担う医師を養成するために、国の緊急医師確保対策を活用して、東京都は指定いたしました大学医学部の定員増を拡大するということで奨学金制度の創設を行って、平成二十一年度から九年間で四十五名の医師を養成することとしてございます。
また、国に対しましても、不足が顕著な産科、小児科、救急医療等の医師の早急な確保、勤務環境改善、こうした実効性のある総合的な対策を国の責任において講じることを提案、要求しているとともに、今回の事案を受けまして、医師確保対策と周産期医療体制の充実につきまして、関東地方知事会、八都県市におきまして共同して緊急要望を行うこととしております。
また、今後、医師養成数の抑制方策を転換いたしました国の動向も十分踏まえながら、医師奨学金制度の拡充などについても実効性ある施策を検討してまいります。
○松下委員 ぜひ実効性のある施策を積極的に検討していただきたいと思います。
医師の養成には長い時間がかかります。医学部に入学した学生が医師国家試験に合格し、その後医師として第一線で活躍できるようになるまでには、およそ十年かかるといわれています。産科、婦人科や小児科の医師を確保するためには、医師の養成に加えて、今、病院で勤務している医師をやめさせない仕組み、結婚や育児などにより、やむを得ず離職した女性医師が円滑に職場復帰できるような仕組みをつくっていくことが必要です。
私が出産したときの主治医は女性で、三人のお子さんがいらっしゃいます。その病院の中で一番腕がいいといわれ、一番人気があり、産科部長もされていらっしゃいました。子どもを三人産み育てながら仕事をやめずに続けていらっしゃるのは、本当にすごいことだと思いました。
私自身、出産直後に、仕事と出産、子育ての両立についていろいろと考えましたので、その先生にどうやって続けてこられたのか伺いましたところ、やはり短時間勤務や交替制勤務など、病院がその先生を決して離さない、病院がスタープレーヤーでもある人気の先生をしっかりとサポートしてきたという感じが強くいたしました。
東京においては、医療施設に従事する医師数の約二五%が女性で、全国平均の一七%を大きく上回っており、短時間勤務や交替制勤務の導入を積極的に推進していくことが医師の離職防止を行っていく上で非常に重要であると考えます。
都は、病院における短時間勤務や交替制勤務の導入についてどのように対応しているのか、お伺いいたします。
○吉井医療政策部長 女性医師の離職の防止、それから定着の促進を図っていくためには、医師が医療の現場でキャリアを中断することなく働き続けられる、そうした勤務環境の改善、これを支援することが重要であると考えております。
このため都は、今年度から医師勤務環境改善事業を開始いたしまして、病院が医師の交替制勤務や短時間勤務の導入、こうした勤務医の負担軽減、それから定着を図る取り組みにつきまして支援しているところでございます。
○松下委員 産科医の過酷な勤務実態については、先週の病院経営本部の質疑のときにも明らかにいたしましたが、当直を含めると三十六時間もの長時間に及んでいるというのが実態です。
衆議院の厚生労働委員会でも、周産期医療センターで働く産科医が、参考人としてその過酷な勤務実態を過去に詳しく述べていました。産科医の献身的な努力や正義感だけに頼るには、もう限界が来ていると思いますので、病院勤務医の負担軽減と定着を図る取り組みを積極的にしていただき、勤務環境の改善に努めていただきたいと思います。
医師不足に対応していくためには、医師以外の医療人材の活用も積極的に行っていく必要があります。とりわけお産の場においては、助産師さんを活用することが重要であり、助産師さん活用の場として院内助産所が注目をされています。院内助産所は、緊急時の対応ができる医療機関において、助産師さんが自立して正常な経過をたどる妊婦のお産やケアを扱うもので、妊婦さんにとっても安心してお産ができるというメリットがあります。また、専門職としての助産師の活躍の場も広がり、職能に応じた役割分担に伴い、従来よりも多くの妊産婦に対応できるなど医師不足を補える効果も期待できます。
地域における安全で安心なお産の場を確保するために、院内助産所の活用など助産師の活躍の場を広げていく必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○吉井医療政策部長 緊急時の対応が可能な医療機関におきまして院内助産所を設置すること、これは医師の業務軽減に資するほか、助産師という専門職種が妊産婦にきめ細かくサービスを提供できるという面で有効であると考えております。
このため都は、今年度、先ほど申し上げました医師勤務環境改善事業の中で、院内助産所の施設整備補助などを通じまして、運営に対する支援を行っているところでございます。
なお、助産師を含めた医療人材の活躍の場の拡大、業務分担の見直しにつきましては、国に対しても提案要求を行っているところでございます。
○松下委員 実際に助産師さんの声もしっかりと聞いた上で、施策に反映させていっていただきたいというふうに思います。周産期医療体制を取り巻く課題の解決に向け、ありとあらゆる方策を通じて取り組んでいただくことを強く要望し、次の質問に移ります。
小児救急医療について伺います。
私自身、生まれて間もない子どもが三カ月を過ぎたばかりのときに風邪を引いてしまい、近所のかかりつけ医に日中は通って、鼻水やせきを治すために薬も飲んでいたのですが、かかりつけ医が休診の土曜の夜に急に三十八度を超える高熱を出してしまいました。シャープ七一一九に電話をして判断を仰ぎ、教えてもらった救急病院まで自家用車で連れていきましたが、診療まで二時間を要するなど、これが小児救急医療の実態なのかと、初めてその一端をかいま見ました。苦しむ子どもを目の前にして、本当に大丈夫なのかという不安も高まり、何もしてあげることができないやるせなさも感じました。
都は、小児救急医療の現状をどのように把握しているのか、お伺いいたします。
○吉井医療政策部長 核家族化の影響などによりまして、家庭において子どもの病気に対する基礎的知識が不足しがちであり、子どもの急な体調変化の際に不安に感じ受診することが多くなっているというふうに考えております。成人に比べまして、小児は夜間の救急患者の割合が高く、さらに準夜帯、夜の比較的早い時間帯でございますけれども、受診が最も多い時間となってございます。
都におきましては、夜間、休日の小児救急診療を確保するため、入院治療も可能な二次救急医療機関を指定しております。これらの医療機関の来院患者のうち、平成十九年度実績を見ますと、入院を要しない比較的軽症な患者さんの割合は九五%となってございます。
○松下委員 不安なために受診をすることも多くなっているとのことですが、私はそうならないために、シャープ七一一九に電話をして実際の子どもの状況を説明し、判断を仰いだ上で受診をした次第ではありますが、今お答えの中で、比較的軽症な患者の割合が九五%ということは、本来五%の患者さんが入院治療も可能な二次救急医療機関を受診する必要があり、九五%は地域の中で夜間、準夜帯に対応できる設備があればよいのかということかと思います。
長時間待つという二次救急医療の現状では、本来、より迅速な医療を受けるべき緊急度、重症度の高い患者に適切な医療が提供できるのか、大きな不安も覚えます。こうした問題を解決するための有効な方策としていわれているのが、救急外来において多数の患者の中から緊急性の高い重症患者を判別し、迅速かつ適切な医療提供へつなげるトリアージシステムであります。
都では、このトリアージシステムの導入、普及に向けた検証を行うモデル事業を実施していますが、普及に向けどのような検証を行っていくのか、お伺いいたします。
○吉井医療政策部長 本モデル事業は、都内二医療機関を実施医療機関に選定いたしまして、院内の救急外来におきまして、緊急度判断の実施に必要な知識を習得いたしました看護師がいわゆるトリアージを実施してございます。
現在実施中でございますけれども、患者さんのご家族からは、重症だったときには優先して診察してもらえるのはありがたいといった意見、不安を抱えたまま診察を待っていた以前に比べ、診察前に早期に話を聞いてもらうことで不安が軽減されたなどのご意見をいただいているところでございます。そうした報告を受けてございます。
本事業におきまして、実施基準の作成、トリアージ研修など導入に必要な取り組み、こうしたものを行うとともに、緊急度判断の結果分析、患者家族の声、院内での意見集約、こうしたことを踏まえて検証を進めてまいります。そして、ほかの二次医療機関への普及につなげてまいりたいというふうに考えております。
○松下委員 まず、このモデル事業の検証をしっかりと行っていただきたいと思います。今お答えありましたように、緊急度判断の結果分析や患者家族の声、院内での意見集約などを踏まえた検証を行うとのことですが、モデル事業をまず実施している旨、院内の掲示の徹底や受付職員や病院内でのモデル事業実施の徹底など、しっかりと都としてチェックした上で検証していただきたいと思います。
重症だったときに、トリアージを実施していなくても先に診察してもらうというのは、本来当たり前のような感じがしますが、トリアージとして実施する以上、明確な重症の度合いや緊急度の判断のときに難しかったことなどがあればそれを検証し、分析を行った上で、他の二次救急医療機関への普及につなげていただきたいと思います。
また、幾らトリアージを実施していても、軽症の同程度の患者さんが多数二次救急医療機関へ診察に行くという現状を改善しなければ、小児救急医療が抱える長い待ち時間の解消にはつながりません。結果的に私の子どもも、低月齢ではありましたものの、軽症な患者であったので、本来二時間も待つことなく、地域の中で診てもらえる仕組みがあればよかったのではないかと思いました。
軽症は地域の小児初期救急診療へ誘導できるように、区市と連携して、小児救急医療体制全体の水準の向上を図るように、引き続き努力していただきたいと思います。
また、子どもの急な熱やけがに対しては、保護者のふだんからの備えが重要であると思いますが、都はどのような対策を講じているのか、お伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 子どもの急な熱やけがに対する対応についてのお尋ねでございますけれども、区市町村におきましては、子どもの応急手当て等につきまして、事故防止教室などの機会を通じて指導しております。
また、都におきましては、このような区市町村の取り組みを支援するとともに、母子保健従事者が保護者に対して適切な指導を行うための教材を作成しております。さらに、いざというときの相談先として、小児救急電話相談の連絡先を記載したカードをすべての母親に配布しております。
○松下委員 私も母子手帳を市役所でもらったときのバッグの中にカードが入っていたのを覚えていますが、いざというときに即座に対応できるように、日ごろから素早く対応できるような訓練をしたり、心構えを持つ必要性というのを母親としても強く感じております。
引き続き、区市町村の取り組みを十分に支援していただくよう要望し、私の質問を終わります。
○野上委員 最初に、視覚と聴覚の重複した障害のある盲ろう者、この通訳介助者養成事業について質問いたします。
全国に約二万二千人いらっしゃるということですが、多分東京にはこの十分の一ぐらいの方がいらっしゃるんじゃないかと思っております。ことしの四月十日に、我が党から事業に対する支援の申し入れを行った結果、今年度から通訳介助者養成事業への補助が実現したところでございます。
このことは、ことしの第二回定例会において、現在厚生委員会委員長の東野議員から確認させていただいております。その際、あわせて通訳介助者の資質の向上を図るための養成講習内容の充実、安定的な支援についても要望させていただいておりますが、その後の状況についてお伺いいたします。
○松浦障害者施策推進部長 盲ろう者通訳介助者養成事業でございますけれども、近年、医療、保険、年金などの社会保障制度など、こういう諸制度や生活環境などに大きな変化が生じてまいりました。このような状況を踏まえまして、より高い資質を持つ通訳介助者の養成が急務というふうに判断いたしまして、本年六月に開始しました養成講習から、派遣団体の自主事業を補助事業にいたしました。
この養成講習におきましては、通訳介助者の資質の向上につなげるため、スキルアップ研修を増設するなどカリキュラムの充実を図るとともに、講習時間数につきましても、昨年度四十五時間であったものを今年度は六十時間以上といたしまして、社会状況の変化に対応できる講習内容の充実が図られているところでございます。
さらに、安定的支援の一環といたしまして、通訳介助者の派遣単価につきましても、昨年度まで一時間千三百五十円であったものを、今年度から千五百円に引き上げているところでございます。
○野上委員 資質の高い通訳介助者を養成していくことは、盲ろう者にとって、社会の中で能力を発揮していくために重要なことだと思います。盲ろう者がもっと社会の中で活動していくためには、派遣時間をふやしていくことも必要であると思います。
我が党では、ことしの十月七日、通訳介助者の派遣時間の拡大、それに伴う必要経費への財政支援などについて申し入れを行ったところです。このことについて、局の対応についてお伺いいたします。
○松浦障害者施策推進部長 盲ろう者通訳介助者の派遣時間についてでございますけれども、盲ろう者の方の社会参加を推進、促進していくためには、派遣時間の拡大は必要だと判断いたしまして、今年度二万三千六百六十時間という予算規模でございますが、七千二百八十時間増の三万九百四十時間に拡大を図れるよう、二十一年度予算要求に盛り込んだところでございます。
○野上委員 我が党の申し入れを受け、盲ろう者にとって当面の切実な問題に対して、迅速に対応していただくことに大変感謝しております。
我が都議会公明党は、平成六年に盲ろう者への支援の必要性をいち早く議会で取り上げ、通訳介助者の養成及び派遣事業に対して都の支援を実現してきた経緯もあります。今後も盲ろう者への支援の充実に全力で取り組んでまいりたいと思います。
次に、生活安定化総合対策事業について質問いたします。
都では昨年九月に、低所得者に対して生活相談、それから就労支援などを行う新たな支援策を打ち出し、私も平成十九年第三回定例会代表質問において低所得者対策について質問をいたしました。インターネットカフェで生活をする、寝泊まりをする人に対しても、都が具体的な支援をしていくというような答弁を得たところでございます。
特にきょうは、チャレンジ支援貸付事業について質問したいと思います。
都議会公明党がことし三月の予算特別委員会において、東京都に平成二十年度から三カ年、約三百億円を投じて低所得者生活安定化プログラムについて充実と継続を求めたことに対して、答えが出たものでございます。
地域で相談支援を行う区市町村との協議が進められて、非常に短い期間の中で区市町村窓口の開設に向けた準備が行われたと聞いております。また、安定した就労に結びつけるための職業訓練、それと受講奨励金の支給等を行う就職チャレンジ支援事業とあわせ、受験生を抱える低所得者世帯に対しては、学習塾代、大学受験料の貸し付けを行うチャレンジ支援貸付事業が新たに支援メニューとして加えられ、ことしの八月から生活安定化総合対策事業として開始されているところでございます。
この窓口の整備など、現在の事業の進捗状況はどうなっているでしょうか。
○芦田生活支援担当部長 生活安定化総合対策事業は、一定所得以下の方を対象に、生活や就労に関する相談に応じ、職業訓練の提供等による正規雇用に向けた支援や、中学三年生、高校三年生を対象とした学習塾費用の貸し付け等を行うものですが、相談窓口は各区市町村に開設しております。
本年八月の事業開始当初には、四十の区市町において窓口が開設され、その後、十月までには六十二の全区市町村において窓口が開設されたところでございます。また、区市町村窓口で生活相談を受けた後、職業訓練の申し込みや訓練受講に当たり、相談、カウンセリングを行う就職チャレンジ支援相談室は、八月の事業開始にあわせ都内に四カ所開設されております。
○野上委員 今回の事業開始に当たっては、福祉部門と労働部門が連携し、さらに区市町村との協議を重ねながら都が独自に新しい支援の仕組みをつくり上げるということで、非常に意義のある取り組みであると思います。
また、学習塾代、それから大学受験料の貸し付けにつきましては、高校や大学等に入学すれば償還免除ということですね。せっかく立ち上げた制度ですので、支援を必要とする方々に一人でも多く利用していただくことが期待されます。
しかし、現時点では、利用者の数が余り多くないという話も聞いております。ある区の区議さんのお話によれば、五人申し込んで、五人ともこの制度を使うことができなかったということがございました。今後、さらに実績を上げていくためには、本当に支援が必要な人が利用しやすいような仕組みというか、条件を整えた上で、事業の対象となる方々に情報が行き渡るようにするなど、さまざまな条件整備が必要になると考えます。
本当に真に支援が必要な人が利用しやすいような仕組みとするため、具体的にはどのように変えて取り組んでいくのでしょうか。
○芦田生活支援担当部長 この事業につきましては、相談者が窓口に来所しても、対象者の要件に該当しないケースが多い、また要件に該当するかどうかの確認が難しい等の課題が区市町村の相談窓口から寄せられております。
そこで、相談者の状況を分析した上で、要望の多かった要件につきまして見直しを図ることといたしました。
見直しの内容は具体的には三点ございますが、まず第一点目といたしまして、世帯の生計中心者という要件に関しましては、住民票の世帯主であることをもって判断するのではなく、きめ細かな聞き取りの上で世帯の生計中心者を判断することといたします。二点目に、所得基準に関しては、賃貸物件に居住の場合は月額七万円、年額に換算しますと八十四万円を上限に、家賃支払い分を実際の収入から減額したものを所得とみなすということといたします。三点目に、土地建物を所有していないことという要件に関しましては、現在居住している家屋は土地建物の所有とみなさないということといたします。
このような見直しを行うことで所得要件を緩和するとともに、居住用不動産の所有者も対象となるようにいたします。さらに、住民票上の世帯主でなくても、年金受給者である親と同居している方や、住民票所在地に居住していないDV被害者等が支援を受けることができるなど、利用者の生活実態により即した運用が可能となると考えております。
なお、この新たな運用につきましては、十二月より開始いたします。
○野上委員 本事業対象者の共通要件というのがありまして、この中の3が、単身世帯は課税所得が年額五十万円以下、扶養者がある世帯は生計中心者の課税所得が年額六十万円以下であることという条件があったわけです。
これを、さっきいわれた月額七万円、つまり十二カ月掛けると八十四万円を上限にするということで、単身世帯、課税所得年額五十万円以下、これを年収に直すと大体百七十六万円なんですね。これに八十四万円をプラスすると、今まで百七十六万円だった上限基準が二百六十万円以下の方が対象となるということなんです。
今度は、二人世帯、二人家族、例えば父子家庭とか母子家庭などの場合、課税所得が年額六十万円以下ということは年収二百六十万円ということなので、八十四万円プラスすると三百四十四万円までを対象としますよと。三人家族の場合は、同じように計算すると、三百二十万円プラス八十四万円で、四百四万円以下を対象とします。四人家族だと、年収が大体三百八十万円以下ということで、プラス八十四万円で、四百六十四万円以下の方が対象となりますということで、今までよりも八十四万円枠が広がったということと、もう一つ、今までの条件と大きく違う5ですね。土地建物を所有していないことというのがありましたけれども、居住している土地建物は所有とみなさないという条件が加わりましたので、かなり枠が広がるのではないかと思います。より利用しやすくなるような弾力的な対応をぜひお願いしたいと思います。
次に、この要件の見直しとあわせ、この事業の対象となる方々にこの情報が行き渡るようにするための広報活動はどのように進めていくんでしょうか。
○芦田生活支援担当部長 広報活動としましては、利用者にわかりやすいリーフレットを作成するとともに、就職チャレンジ支援事業につきましては、無料求人誌などの広報媒体の活用を図ってまいります。
また、チャレンジ支援貸付事業につきましては、全国学習塾協会等関係団体と連携するなど、より適切な広報手段を選択し、効果的な広報を図ってまいります。
○野上委員 百年に一度という大変厳しい経済状況により、リストラされたとか、きのうも聞いたんですけれども、仕事が十月からぴたっととまってしまって、自分の工場の受注が一件もないとか、バブルがはじけたとき以上に厳しい経済状況だということをお聞きしております。こうした状況がいつまで続くかわかりません。
そうした中で、この事業の必要性はますます高まるものと考えます。都が全国に先駆けて実施した本事業がさらに普及することにより、一人でも多くの方が救済され、生活の安定を図ることができることを期待しております。
次に、未成年の喫煙防止対策について質問いたします。
私の身近な友人たちもたばこを吸っております。でも、大半は十代から吸い始めた方が多いようです。たばこを吸う人の約四〇%が十代からの喫煙が習慣になっている人ということで、ニコチン依存症が、なかなかやめられないということだと思います。
たばこは薬物乱用にもつながるおそれがあるといわれております。現在、大麻事件、テレビ、新聞等でも報じられておりますけれども、高校生、大学生の間ではやっていて、とんでもない事態になっておりますが、これもたばこと同様に、安易な動機で薬物に手を出してしまう、そして依存から抜け出せないという現状があるかと思います。
今回は大麻ではなく、たばこを取り上げますけれども、薬物乱用防止は喫緊の課題だと思います。教育の問題になるんでしょうが、小学校のうちから、たばこの持つ有害性をたたき込むということが大事じゃないかと思います。このため、未成年者は喫煙すべきではないという自覚を早い時期から持たせることで、喫煙防止につなげていくべきだと思います。
東京都は、未成年の喫煙防止について、どのような取り組みを行っているのか、お聞きいたします。
○住友保健政策部長 児童や生徒がたばこの健康への影響について正しい知識を身につけるために普及啓発を行うことは重要です。このため、今年度、都は、未成年者の喫煙防止のために生徒自身がたばこの問題について考えたり、家族や友達と話し合う機会をつくることを目的に中学生向けのリーフレットを作成し、都内の中学生全員に配布いたしました。
また、未成年者の喫煙防止を働きかけるポスターを都内の小学生、中学生、高校生から公募しましたところ、五百点を超える応募があり、そのうち優秀作品十二点を十月末に選定し、公表いたしました。今後、優秀作品については、未成年者の喫煙防止の普及啓発等に活用していきます。
○野上委員 都内の全中学生にリーフレットを配布できたということは、大変すばらしいことだと思います。これも実際に使用して子どもたちに禁煙教育というのを進めていくのは、教育の分野なのかなというふうに思いますけれども、教育庁と福祉保健局等が連携をして、配っただけではなく、総合的な学習の時間等を使って、たばこの害について知識としてもう全中学生が知っていると、認識していると、こういうようにぜひしていただきたいなというふうに思っております。
先ほどもいいましたけれども、たばこだけでなく、大麻とかマリファナとか覚せい剤とか、いろいろな薬物に手を染めることがどれだけ危険なことであるかを認識して生きていってほしいなというふうに思っております。今、手をこまねいていると、結局は取り返しのつかない人生を送っていくのではないかというふうに思いますので、局の連携を十分にして、この喫煙対策を推進していただくようお願い申し上げます。
次に、飲食店における受動喫煙防止対策について伺います。
未成年の喫煙防止とともに、公共の場での受動喫煙防止も大変重要なことだと思っております。健康増進法の施行の後、公立学校、図書館、病院、公共の施設の中での全面禁煙が進んでおります。
しかし、多くの人が利用するレストランとか喫茶店などは、一部分煙対策とかをやっておりますが、どうしても流れてくる煙での受動喫煙の被害が問題になっております。この受動喫煙は、子どもではぜんそくなどの呼吸器疾患と関連があり、妊娠をしていらっしゃる妊婦に対しては、流産、早産、低体重児など、胎児への影響が指摘されております。
私は、第二回定例会において、都内の飲食店での受動喫煙防止に向けて、都として積極的に取り組むべきだということを主張してまいりました。
都は、飲食店の受動喫煙防止対策検討会を立ち上げ、八月に第一回検討会を開催したと聞いておりますが、この中でどのような意見が出されたのか、お伺いいたします。
○住友保健政策部長 検討会は、飲食店関係団体の代表や学識経験者、区市町村代表等が委員となっておりますが、委員からは、飲食店にはさまざまな業種があり、営業形態や規模などが多様であること、飲食店に対して禁煙や分煙方法などを一律に規制することは適当でないこと、それぞれの店の実情に応じた取り組みが進められるようにすべきであることなどの意見が出されました。
都といたしましては、このようなご意見を踏まえて、飲食店における受動喫煙防止対策について検討してまいります。
○野上委員 副流煙の害については、先ほど配られたというリーフレットにも載っておりましたが、タールで三・四倍、一酸化炭素で四・七倍、ニコチンで二・八倍、普通にたばこを吸った状態よりも健康に大きな被害を与えるとございました。
ぜひこれからも東京都が率先して受動喫煙防止に取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。
次に、自殺対策について質問いたします。
私、日ごろから支援してくださっている方の息子さんが、実は硫化水素ガスを使っての自殺をしてしまいまして、このお母さんも結局巻き添えになって亡くなられたという悲惨な事件がございました。すぐに現場に駆けつけて、何ともいえないむなしさが込み上げてまいりました。身近にそうした自殺をした方に遭遇いたしまして、自殺対策を真剣に協議をしていくことが大事だというふうに感じております。
六月に公表された警視庁の統計によれば、平成十九年の全国の自殺者数は過去二番目に多い三万三千九十三人ということで、前年に比べて九百三十八人増加している。十年連続して自殺者が三万人を超えるという、まことに憂慮すべき事態になっております。
東京都も、警視庁が所轄別に集計した数なんですが、平成十九年度の自殺者が三千四十七名、所轄では東京都に住んでいない方も処理をしておりますので、実際に人口動態統計で見ると、都民は大体二千七百人ぐらいの方が自殺をしているんじゃないかなというふうにいわれております。
九月十四日にビッグサイトに自殺防止の講演会を聞きに行きました。そのときに肉親が自殺をした人のお話を聞きました。本当に残された方の悲しみ、いかばかりかなというふうに感じました。
その中で、ライフリンクというNPO法人があるんですけれども、そこが調査をしておりまして、自殺に至る背景あるいは原因、動機、これは人によってさまざまですけれども、自殺した人の例がいろいろ挙げてありまして、例えば一例なんですけれども、職場の配置転換があった、あるいは昇格等の職場環境の変化があったと。配置転換があって、なれない仕事でなかなかうまく仕事がやっていけなく過労に陥った。そして、仕事がうまくいかないので、職場の人間関係も悪化してきた。さらにうつを発症した。こういうふうに問題が次々と連鎖することで、最後には自殺に追い込まれていくということがいろいろな症例で明らかになっておりました。
その調査によれば、自殺をするときには、平均して四つの自殺の要因を抱えていたというようなことが書いてありました。自殺を防ぐためには、幾つもの要因が積み重なる前に、早い段階で危険に気づき対応することが大事だと思います。
都は、昨年度から、自殺問題の早期発見、早期対策を図るための人材として、ゲートキーパーの養成を行っているところですが、まずゲートキーパーの役割についてお伺いいたします。
○住友保健政策部長 自殺を未然に防止するためには、その危険性が高い人を早期に発見し、専門機関による相談、支援や治療につなげることが重要です。
ゲートキーパーは、自殺を考えている人が発している自殺のサインに気づいて、その人を見守ったり、必要に応じて医療機関や相談機関につなぐなど、自殺予防のための取り組みを行う役割を担っております。
○野上委員 自殺を考えている人が悩みを抱えながらも必死の思いで発している何らかのサインにできるだけ早い段階で気づき、つらく苦しい気持ちを受けとめながら必要な支援につないでいくという、これがゲートキーパーの役割ですが、自殺防止のキーパーソンであると考えます。
そして、自殺念慮者や未遂者がその悩みに応じた相談とか支援を受けられるようにつなげていくゲートキーパーが、これからの自殺防止の大事な役割を担ってくると思います。関係者等によるネットワークを構築し、自殺の未然防止を図ることが大事です。できるだけ多くの人がゲートキーパーとして自殺問題に関する正しい知識と認識を持ち、自殺防止の活動をしていくことが期待されます。
ゲートキーパーの養成をこれからどのように進めていくのか、お伺いいたします。
○住友保健政策部長 ゲートキーパーの養成につきましては、平成十九年度に養成プログラムを開発いたしまして、まず都の保健所の職員等を対象として養成を開始いたしました。
養成の方法といたしましては、都が養成研修を直接実施するほか、研修修了者が地域やそれぞれの職場などでゲートキーパーの養成を進めていくこととしております。
今年度は、都の保健所や特別区におきまして、区市町村の相談窓口の担当職員や民生児童委員、各種相談機関の相談員など、身近な地域におけるゲートキーパーの養成研修を実施しております。
○野上委員 ゲートキーパーは、一人一人がそれぞれの分野で活動するだけではなく、相互に連携協力することにより、効果的に自殺防止、自殺予防に取り組んでいくことができると考えます。
都では、自殺総合対策の中で多様な分野による相互支援、ネットワークの構築にも取り組んでおりますが、ネットワークを構成する機関の相談担当者をゲートキーパーとして育成すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○住友保健政策部長 都では、本年二月に、心の悩みや経済問題など、さまざまな相談に対応する機関の協力を得て、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを立ち上げました。さらに今年度は、きめ細かく相談に応じるため、地域でのネットワークの構築を目指して二地区でモデル事業を実施しております。
自殺予防のためには、都民からの相談に対応する機関の職員が自殺に関する正しい知識を持ち、相談者の自殺のサインに気づくことが大切です。そのため、今後ネットワーク参加機関の職員を対象としてゲートキーパーの養成を進めていき、自殺念慮を持つ都民への適切な相談、支援体制を構築することなどにより、自殺予防対策の推進を図ってまいります。
○野上委員 国において、最近の自殺の動向を踏まえて、本年十月に自殺総合対策大綱を一部改正し、自殺対策の一層の推進を図ろうとしております。
都では今年度、自殺総合対策の基本的取り組み方針を策定することとしているそうですが、医療福祉、経済労働、教育等、すべての分野を包括するような総合的な取り組みを進めていただくようお願いして、次の質問に移ります。
先日、東京都内で、かかりつけ医院で対応困難になった妊婦さんの転院搬送先がなかなか見つからないで、最終的には墨東病院に搬送されたものの、脳出血で死亡されるという痛ましい事案がありました。
これに先行する九月の下旬、杏林病院など少なくとも六つの病院から受け入れを断られた脳内出血の妊婦さんが、かなり距離のある搬送先の都立墨東病院で受け入れていただき、努力したにもかかわらず、意識不明の重体になっていることを知りました。
千件に一件あるかないかという事例が立て続けに二例あったということで、一度も我が子を抱くこともなく亡くなられた母親とご遺族に心から哀悼の意を表するとともに、いまだ意識の戻らない方の一日も早い回復を心からお祈りいたします。
都議会公明党といたしましても、全国的に不足している産科医、新生児科医の確保、育成など、周産期医療体制の整備には力を注いできただけに、今回の事態は大変残念なことであると考えております。しかし、こうした事態が発生してしまった以上、その背景を冷静に分析し、周産期医療体制の強化に向けて都としても改善策を早期に講じていくことが何より大切だと考えます。
今回の事例を見ると、いずれも、妊婦と胎児に対する周産期医療の領域と、脳出血という救急医療の領域にまたがる大変難しい事案であったと思います。これまで周産期医療体制は、基本的に切迫早産や分娩時の出血などにおける妊産婦、胎児、新生児の救命が中心でしたが、これからは妊婦の脳出血や心筋梗塞など、他の診療科にかかわる母体救命にも取り組んでいくことが必要なのではないかと思います。
そこでまず、今回の二つの事案を受け、周産期医療と救急医療との連携を図る仕組みが必要と考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 ご指摘のとおり、今回のケースは周産期医療と救急医療の二つの領域にまたがるものであったというふうに考えております。
十一月五日、先ほど申し上げましたが、緊急開催いたしました周産期医療協議会におきましても、脳外科などほかの診療科との連携など、救急医療との連携が周産期医療対策の課題として取り上げられたところでございます。先週金曜日、十四日の救急医療対策協議会、ここにおいても同様の議論がなされたところでございます。
今後、周産期母子医療センターと救急部門との院内での連携、こうしたことの強化、こうしたものを医療機関に対して働きかけを行いますとともに、二つの協議会、周産期医療協議会と救急医療対策協議会におきまして、周産期医療と救急医療の具体的な連携について検討を進めてまいります。
○野上委員 この事案をさらに掘り下げていくと、背景に周産期母子医療センターへの分娩の集中という問題があります。本来、周産期母子医療センターは、いつでも緊急搬送に対応できるよう、一定の余力を持っていることが必要だと思います。しかし、分娩取り扱い医療機関が減少する中で、通常のお産も含めて周産期母子医療センターに分娩が集中しており、それでもう手いっぱいになっている状況があります。
そうであるならば、最後のとりでである総合周産期母子医療センターが、どのようなときでもハイリスク妊婦の受け入れが可能となるよう、地域周産期母子医療センターとの連携を行って、容体が安定した後の逆搬送のシステムを導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、ハイリスク分娩に対応すべき周産期母子医療センターに正常分娩等も集中しているということで、受け入れ等に影響が生じているということでございます。限られた資源の有効活用等により、さらに役割分担を進めていく必要があると考えております。
東京都といたしましては、先日発表いたしました東京緊急対策Ⅱにおいて、周産期連携病院、これが中程度の緊急性を有する患者に対応するということでの新たな指定、こうしたものを盛り込んだ具体策を検討しているところでございます。
こうした周産期連携病院の指定ということによりまして、いわゆるミドルリスクの分娩に対応できる、そういうことを地域の中に構築することによりまして、先生がおっしゃいました総合周産期母子医療センター、ここでの緊急時のハイリスク妊婦の受け入れ、さらには、容体が安定した後の今の病院への転院、こうしたような形の仕組みにつなげていきたいというふうに考えております。
○野上委員 しっかりしたコーディネーターになる人も必要だと思いますけれども、いつでもハイリスク妊婦を受け入れる体制がとれるように、これからも努力していただければと思っております。
病院経営本部のときにもちょっと質疑をしたんですけれども、女性医師の離職対策について伺います。
女性の医師国家試験合格者の割合は年々増加して、平成十年には二五%だったものが、平成二十年には約三五%と大きくふえております。また、都内の医療施設に従事する女性医師は、平成八年約五千五百人から平成十八年約八千人と、約一・五倍にふえております。
特に東京では、医療施設に従事する医師数の二五%弱が女性で、全国平均の一七%を大きく上回っております。その中でも都内では、産婦人科の約三割、小児科の約四割が女性ということです。
女性医師は、結婚や出産などを契機に、一時的に医療の現場から離れざるを得ないケースがあります。しかし、多くの女性医師は、できれば離職せずに勤務を続けたい、将来も医師として診療に携わりたいという思いを抱いています。現在の医師不足の難局を乗り切っていくためには、女性医師を離職させない、あるいは離職しても復職しやすくするような仕組みづくりが必要と考えます。
都として、女性医師の離職防止、定着に向けて、どのような施策をとっているのか、お伺いいたします。
○吉井医療政策部長 女性医師の離職の防止、それから定着を図っていく、このために東京都は、今年度から医師勤務環境改善事業を開始いたしまして、具体的に申し上げますと、周産期母子医療センターでございますとか救命救急センター、こうしたような病院が主体的に医師の交替制勤務、それから短時間勤務の導入、それから先生がおっしゃいました女性医師が復職しやすいような支援のための研修、こうしたようなことを実施する場合に東京都として支援をするという事業を開始してございます。
また、国に対しましても、女性医師が生涯にわたって安心して医療に携わることができるよう、総合的な支援策を講ずるよう提案要求しているところでございます。
○野上委員 今回の事案で浮き彫りになった東京の周産期医療体制の問題点は、さまざまな問題が複雑に絡み合って、簡単に解決することは難しいと思います。都だけでなく、国も医療機関も解決に向けて努力をしていく必要があります。
少子化対策ということで、私たちも安心して子どもを産み育てられる社会を築いていくんだという使命に立ち、多くの政策を実現してまいりました。所得制限がありますけれども、不妊治療の助成拡大、それから妊婦健診、これは二十三区内ですが、十四回までの助成制度を確立したり、出産育児一時金も三十五万円まで引き上げて、生まれてからは児童手当の拡充をずっとし続けたわけでございます。
それから、乳幼児医療費、中学校三年生まで所得制限がなく無料という、これは二十三区の場合ですが、こういうふうに拡充をしてきた。そして、子育てをしたいと考えるすべての女性に対する支援をしてきたつもりです。
しかし、ここに来て、出産ということで行き詰まってはならないと思っております。万全な周産期医療体制は、出産を考えているすべての女性はもちろん、すべての都民にとっても安心して生活を送るための必須の基盤であり、早急に対策を講じる必要があります。
そこで最後に、周産期医療体制の強化に向けた局長の決意を伺って、質問を終わります。
○安藤福祉保健局長 今回の事案が不幸な結果となりましたことは大変残念なことでありまして、亡くなられました患者さんのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対しましてお悔やみを申し上げる次第であります。
都といたしましては、今回の事案を重く受けとめまして、十一月五日でありますが、東京都周産期医療協議会を開催し、知事から検討をお願いいたしました。また、東京都医師会長に対しましても、知事より周産期母子医療センターへの協力を依頼したところであります。
この周産期医療協議会は、総合周産期母子医療センターの責任者の方々、お医者さんがメーンでありますけれども、さらには救急医療を実際に担われている方々など、実務に精通された方々から構成されておりまして、実務に立脚した議論がされていたと、私も参加してそのように感じた次第であります。
その場の議論をまとめて、課題として三つほど挙げられておりまして、部長からも答弁しておりますけれども、一つは、周産期の各ブロックにおいて患者を確実に受け入れる仕組み、それから、議論いただいておりますけれども、脳外科など他の診療科との連携の構築、そして、医療機関相互の正確な患者情報の伝達ということが課題とされたところであります。
今月中にも再度、この協議会を開催し、対応策について早急な検討をお願いしたいと思っております。
また、先日発表いたしました緊急対策におきましても、搬送調整業務を行います看護師の増配置、あるいはミドルリスクの妊婦さんに対応する周産期連携病院を今年度から実施するべく、補正予算案の中に要求をしたところであります。こういう形で取り組みを進めておりますところでありますけれども、なるべく早く具体的な施策を講じたい、こう思っております。
他方、議論いただいておりますように、この問題の背景として、医師確保や周産期医療を取り巻くいろいろな課題がありますので、これはやはり国の責任も大きいものでありますから、根本的な解決に向けまして、都だけではなくて、八都県市首脳会議及び関東知事会において議論をしていただき、首長さんが共同して国に対して緊急の申し入れを行うという次第になっているところであります。
ご指摘のように、周産期医療体制の強化というのは、都民の皆さんの安全・安心を確保するための緊急の課題であると深く認識しております。都民の生命と健康を守るためには、引き続き都と医師会及びあらゆる医療機関が一体となった取り組みが必要と考えておりまして、今後とも全力を挙げて対応を図ってまいりたいと考えております。
○かち委員 私からも、周産期医療について若干お聞きします。今、局長から総合的なご答弁があった後で、ちょっと恐縮ではあるんですけれども、よろしくお願いします。
周産期をめぐり、昨年の荒川区の死産の例や今回の脳出血による痛ましい事例二件など、東京における周産期をめぐる医療体制の危機的な状況が浮き彫りになりました。少子化対策が求められている中で、周産期医療の弱体によって、これから出産を控えた若い世代に一層のブレーキをかけるようなことになってはならない。安全・安心な出産ができる環境整備が緊急の課題となっております。
都としても、今回の件を受けて、周産期医療協議会や救急医療対策協議会を開いたりして、一定の緊急対策が示されたところでありますけれども、今回の墨東病院の事例を通して何点かお聞きします。
昨年の荒川区の件や今回の事例を通して、救急搬送の情報ネットワークシステムが機能していなかった。要領では、センターの医師が受け入れ先を探すことになっていますけれども、現実的にはそれは不可能だということが明らかになりました。
それぞれの病院に任されても、責任の所在があいまいとなります。都の責任において、総合的、多角的なコントロールセンターのような仕組みが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 総合周産期母子医療センターが日ごろから地域の医療機関との連携を図り、一定のブロックを担当して搬送先の調整を行う、これの意義は大きいというふうに考えております。しかしながら、総合周産期母子医療センターが搬送先を調整する、その現場の医師の負担、これも大きくなっているのが事実でございます。
このため、先日発表いたしました東京緊急対策、これにおきまして、総合周産期母子医療センターの搬送調整業務を支援いたします看護師の増配置、こうしたようなことを盛り込みまして、先ほど局長からもお話がありましたけれども、具体策に向けた検討を行っているところでございます。
今後、東京都周産期医療協議会においていろいろ議論をいただきました、トータルでもってのコーディネートをする、こうした課題につきましても、周産期医療における速やかな患者の受け入れに向けた検討を行っていきたいというふうに考えております。
○かち委員 問題になっているのは搬送調整業務であると。医師がとても負担になっているので、それを調整するために看護師あるいは事務の配置をするというようなことが検討されているようですけれども、今回の例で見ても、医師から医師に伝達がうまくいかなかった。医師から医師ですから、それでもなおかつ、そこに中間に事務、看護師あるいは助産師が入ったとしても、それで本当によくいくんだろうかというのは、私は大きな疑問を持っております。
今回の例は大変不幸なことではありましたけれども、とても難しい判断を迫られる課題だったなと思うんですね。いわゆる周産期ハイリスクというだけではなくて、脳卒中という救急も入っていたということで、だれがどこでそれを判断するのか、どう采配するのか、コーディネートするのかということが非常に大きく求められていたと思うんですね。だから人が大変だからそこにあてがうということでは、これはなかなか解決しないんじゃないかなというふうに思います。
それで、先日テレビでも報道しておりましたけれども、北海道では、助産師の起用によって妊婦専用のコールセンターを立ち上げ、相談活動も兼ねて二次、三次の救急受け入れ可能情報を交信し、コントロールしているということです。二次救急まで行かなくても、東京でもブロックごとの救急受け入れ病院の整備とともに、総合的なコントロール機能を発揮できるシステムが必要だと思います。
また、大阪で行っているような医師の配置によるコーディネーターも必要だと思います。
これが今なぜうまくいっていないかといえば、やはりNICUの満杯、あいていればすぐどこにという調整はできると思うんですけれども、あいていない中でどこで救命するか、処置するかということは、非常に高度な判断力を求められますので、医師以外の職種がそれを果たしてできるのかというと、なかなか難しいと思うんですね。
そういう意味では、大阪でやっているような、医師による、全体がわかっている医師の輪番制なり何なりでそういう役割を果たしていくというような配置、位置づけが必要だと思いますけれども、どうでしょうか。
○吉井医療政策部長 先ほども述べましたけれども、周産期医療の緊急搬送、こうしたことも含めた速やかな患者の受け入れ等につきましては、前回の周産期医療協議会においても、いわゆる情報伝達の仕組みの問題でありますとか、それからトータルでもってコーディネートをする。先ほど申し上げましたように、総合周産期母子医療センターにおける医師の役割というのは当然前提にいたしますけれども、そうしたようなことについていろいろ意見が交わされたところでございます。
こうしたことを踏まえて、対応策については協議会においても検討いただくということで考えております。
○かち委員 ぜひそういうことも含めて早急に検討していただきたいと思います。
それで、六月二十七日付で、墨東病院と病院経営本部は、近隣の産科医に土日は一人当直になるので母体搬送をしないでほしいという通知を出していたということですけれども、福祉保健局にも報告がされたと聞いておりますけれども、それをどのように受けとめ、対処されてきたのでしょうか。
○吉井医療政策部長 墨東病院からは、福祉保健局医療政策部長あて、六月二十七日付で、土曜、休日は産科当直体制が一系列となるため、母体搬送受け入れを制限せざるを得ない場合がある。ただし、平日は二系列当直で、従来どおり受け入れるという報告を受けてございます。
それを受けまして、私ども福祉保健局といたしましては、墨東病院を所管いたします病院経営本部に対しまして、区東部地域における総合周産期母子医療センターとしての役割を引き続き果たしていくために、医師確保に努めていただきたい。それから、今後地域内における周産期医療機関の連携を構築するためにも、まずは都立病院間で墨東病院の産科を支援する体制をとってほしい、こうした要請を行ったところでございます。
○かち委員 墨東病院の体制の実態というのは、今始まった問題ではないわけですよね。それ以前から、医師が一人一人毎年減っていった。定数の半分以下になって、通常分娩も制限せざるを得ない状況だったということは、もう既にご存じだったと思います。
さらに、周産期医療センターとしての看板を掲げている以上、本来受け入れを事前から断るような体制になることは大変な事態だということを認識されていたのかどうかと思うんですけれども、それを今のご答弁では、都立病院間で支援体制をとってくれといわれたようですけれども、今の都立病院の産科医師体制がどういうものかということも十分ご存じだと思うんですけれども、どの病院でも医師不足は深刻な事態ですよね。
何とか辛うじて定数を満たしているのは府中病院ぐらいで、あとは全部、ひどいところは半分近くに減っている。豊島病院は本当にゼロに近くなって、ようやくこの十月から四人確保できたというような状況の中で、都立病院間で支援体制をとってくれといったって、それは無理からぬことではないかと思うんですね。とても今の危機的状況を、そういう状況を知っていながらという点では、その対応は余りにも危機的認識が欠けていたのではないかというふうに思います。
墨東病院が総合周産期医療センターとしての機能を果たせない状況まで来ていた事態に対し、すぐにも緊急対策の行動をとる必要があったと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 福祉保健局といたしましては、先ほども申し上げましたが、危機的認識を持ちながら、医師の確保や都立病院間の応援について要請をいたしますとともに、病院経営本部におきましては、その間医師の確保に努めてきたところでございます。
また一方、墨東病院におきましては、医師不足が深刻な中ではありますが、平日には二名の当直体制を維持するなどして多くの緊急搬送を受け入れております。区東部の唯一の総合周産期母子医療センターとしての機能を果たし、また一人当直の日でも、できる限り多くの母体搬送を受け入れてきたところでございます。
今回の事案を受けまして、先ほども申し上げておりますが、今月五日に開催いたしました東京都周産期医療協議会におきまして、区部の総合周産期母子医療センターの協力を得て、十一月八日から墨東病院の一人当直体制の日を当番で支援する、そうした体制を緊急にとることといたしました。
なお、墨東病院といたしましては、現行の人員体制の中で、可能な限り一人当直の日を減らすなどの努力を行っているところでございます。
○かち委員 墨東病院では、現行の人員体制の中でという点でも、本当にきつい中で、一人体制もままならない、二人にしなきゃいけないということでは、これ以上の負担をかけるべきではないというふうに思います。
やっとブロック内の総合周産期医療センターから医師を回してもらうようになったというけれども、もっとこれは早くにやるべきだったと思いますし、これからも定員確保実現のために、病院経営本部と連携して最大限の努力をされることを求めておきます。
産科医師の育成、確保については、先ほどから質疑がありましたので省きますけれども、都としては定員枠の拡大、奨学金制度の枠を広げてやっているということですけれども、もっと抜本的に拡大していただきたいというふうに思います。
それから、地域での産科病院、標榜の診療所、そういうところがどんどんやめていく、こういうことへの防止対策も必要だと思うんですね。ですから、そういう病院、診療所への支援策もぜひ強化していただきたいというふうに要望しておきます。
医師確保とともに、助産師の育成と活用も必要だと思います。助産師の育成、研修、力量アップのための院内助産、助産師外来の促進については、先ほども質疑がありました。これには取り組んでいるということですけれども、単純に医師の勤務軽減のためにということではなくて、助産師の役割を十分に発揮させるという意味から位置づけられていると思うんですね。
緊急時の対応が可能な医療機関において院内助産を設置することは、医師の業務軽減に資するほか、助産師等専門職が妊産婦にきめ細かくサービスを提供できる有効な面を持っているというふうに位置づけられておりますので、そうであればぜひ救急を受け入れる、都立病院でも院内助産、助産師外来を実現できるように病院経営本部にも働きかけていただきたいと思います。
そして、助産院が地域の中で開業する、これは本当に緩やか、ゆったりとした思いで、何でも相談できる安心した出産ができるということで、今、そういうことを求める方も非常にふえています。普通分娩といわれるものについては助産師の力を十分発揮すべきですし、大いに助産院が活躍してもらいたいと思うんですけれども、現在三百三十以上助産院がありながら、実際に開業できているのは二十五助産院しかないというふうに聞いております。
助産師の方々のご意見として、契約医療機関がなかなか契約してくれないということで開けないんだというお話でした。ぜひそれが促進されるように啓発や環境整備を進めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 東京都におきましては、地域の医療機関が機能に応じた役割分担と、その顔の見える連携、これを行いまして、協力して周産期医療を支える体制をつくるために、都内各地域で、先ほど申し上げましたが、周産期母子医療センターから病院、診療所、助産所等で構成いたします周産期医療ネットワーク、こうしたグループの立ち上げを進めているところでございます。
助産所の連携医療機関の確保、こうしたことのためには、地域の医療機関と助産所が顔の見える関係づくりを進め、相互交流、相互理解を進めていくことが重要であるというふうに考えております。
○かち委員 助産院も含めた連携、顔の見える連携を広げることが本当に大事だと思います。だけれども、その助産院そのものが二十五、本当に点在するような状況では、地域の出産を支える力量アップになかなかつながっていないので、そこが開ける支援をぜひ局として位置づけてやっていただきたいというふうに思います。
次に、NICUの不足の問題ですけれども、都内では今の基準でいえば二百床をほぼ達成しつつあるということではあるんですけれども、実態として不足しているというのは、もうだれもが実感しているところだと思います。総合周産期の中でも比較的よく受け入れているというところが墨東病院で、そこが約五〇%ということでは、今の機能の半分しか機能していないということなんですね。だから、単純に計算しても百床くらい少ないということなんですけれども、厚生労働省の研究班は、未熟児の出現率が高くなっており、出生千人に対して二床という従来の基準では、全国的に千床不足の結果が出たと発表しました。
この結果を都としてはどう受けとめているのか、都としてのNICUをもっと目標値を上げて見直す必要があると思いますけれども、どうでしょうか。
○吉井医療政策部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、二百床ということで、ほぼ目標を達成する状況にはございます。しかしながら、低出生体重児の増加、こうしたようなことを背景にしてNICUの必要性が高まっているというふうに認識してございます。保健医療計画においても引き続き整備をするというふうにしてございます。
今、先生ご指摘の国の方の研究班のでございますけれども、確かに出生千対三というような形の今研究を行っているということで聞いております。こうした動向を踏まえまして、都としても適切に対応していきたいというふうに考えております。
○かち委員 NICUが足りないという背景は、そこを占領してなかなか次のステップに行けない医療的ニーズの高い子が多いということもありますので、NICU、GCU、その後の後方受け入れを含めて総合的に確保していくという政策をぜひ強力に進めていただきたいというふうに思います。
それで、今でもすぐできることとしては、当面、豊島病院の六床のNICUは活用すればできる状況にありますので、ぜひ病院経営本部とも十分調整されることを求めておきます。
産科をめぐるさまざまな問題から無過失補償制度が発足しようとしています。産科医師の働ける環境保持のためにも必要な制度だとは思います。
しかし、実施機関は日本医療機能評価機構ということであり、任意の民間保険であります。にもかかわらず、ハイリスク分娩の場合は、この保険に加入していることが点数加算の条件になっています。その内容もさまざまな議論が残されております。検証と関係者の意見も合意に至っていない中で、見切り発車のように進んでおりますが、矛盾が噴出しないように早期の見直しを国に求めていただくことを求めておきます。
次に、関連しまして看護師対策についてですけれども、医師とともに看護師不足と過重労働も深刻です。
長時間勤務や不規則勤務が原因で、看護師が過労死と認定されたケースが相次いでいます。都内でも、先月過労死認定された二十四歳の看護師は、残業時間が月に八十時間に及んでいました。大阪でも、二十五歳の看護師が当直明けに急死した件について、大阪高裁で公務災害と認定されています。
このような状況を解決するためにも、現場で働く看護師不足を第一に解消しなければなりません。しかし、今日、七対一看護基準が導入された中で、病院間格差も広がっています。急性期を中心にした現場の実態から、七対一看護基準は必要だということはわかりますけれども、絶対数不足の中で実施されれば、弱いところにますます困難が出てまいります。
都は、今の看護師不足と偏在の実態をどのように受けとめているでしょうか。
○吉井医療政策部長 東京都では、都内の看護職員の不足解消に向けまして、看護師需給見通しを作成いたしますとともに、都立看護専門学校の運営を初めといたします看護師の養成、看護職員の早期離職防止などの定着対策、それから、一たん離職をいたしました看護職員の復職を支援する再就業対策、こうした総合的な看護師確保対策に取り組んでいるところでございます。
引き続き、こうした施策を通じまして看護師の確保に取り組んでまいります。
○かち委員 私は看護師対策について、この委員会で何度も質問させていただいておりますけれども、大体いつも同じお答えなんですけれども、努力されていることは十分わかっているんです。しかしながら、実態が追いついていないというのも現実だと思うんですね。
確保対策を進めても、現実的にはなかなか充足していないのが実態です。現場で働く看護師の数をふやすのは、労働環境の改善や現任研修の拡充、短時間勤務や軽減勤務など、その改善がなくてはなかなか実現できないと思います。こうしたことを行う民間病院への支援などが必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。
○吉井医療政策部長 東京都では、看護職員離職防止と定着を図るため、平成十九年度から新人看護師研修体制整備事業を実施しております。また、病院が実施いたします看護宿舎の整備やナースステーションの拡充など、勤務環境の改善に資する整備事業に対して支援を行っているところでございます。
今後、看護職員の一層の離職防止、定着、再就業を図るため、短時間制職員制度を導入する病院に対しての支援策についても検討してまいります。
○かち委員 労働環境の改善とともに、絶対数が少ない、どうやって働いてもらうかということと、新卒看護師が、今、東京都立病院でも募集をかけていますけれども、これだけ募集しても、そこに当初からなかなか充足しないという状況があります。そういう点で、看護師を目指す啓蒙活動ももちろん必要だと思いますが、養成をもっともっとやる必要があると思うんですね。
看護師が今現場で足りないというのは、国際比較でも、G7などの国々と比較しても下から二番目とか、やはり日本の看護師は少ないんです。そこを充足するためには、国にももっと求めるとともに、都としてもその努力をすべきだというふうに思います。
都としてできることとしては、当面、板橋看学の建てかえ計画が進んでいます。この間、都としても、もう半分以下ぐらいに養成数を減らしてきているんですが、ぜひこれを機会に、この建てかえ時に定員枠を広げるということも必要だと思いますけれども、どうでしょうか。
○吉井医療政策部長 都立看護専門学校につきましては、質の高い看護師の養成を図るため、看護三年課程七校、入学定員五百六十名に再編整備を行ったところでございます。急速に進む少子化の中で、養成枠の拡大ということよりも、定着、再就業対策の推進こそ重要であると考えております。入学定員の増を行う考えはございません。
○かち委員 足りないという実態を、もっとつぶさに実態調査もしながらつかんでいただきたいと思います。看護協会でもこれから調査をするというふうに聞いておりますけれども、その原因をもっと深く分析して、やるべきことをやはりきちんとやっていただきたいと思います。
次に、国民健康保険滞納世帯の子どものいる世帯への対応について伺います。
近年、不安定雇用や倒産など激しい格差社会の広がりの中で、健康保険料が支払えない家庭がふえています。一年以上滞納すると資格証が発行され、医療を受ける窓口で一たん十割の医療費を全額払わなければなりません。親の事情がどうあれ、子どもに責任はありません。子ども医療費の無料化が広がっている中で、資格証ということで必要な医療が受けられない状況は、行政として避けなければなりません。
国民健康保険法施行規則には、被爆者あるいは難病や公費で行われている医療の対象者については資格証明書の適用除外となっているんですが、子どものいる世帯についての規定は今のところないわけです。
本年九月の厚生労働省の調査によりますと、全国で資格証発行世帯にいる中学三年生までの子どもの数が三万三千人近くになると発表されました。この調査によると、都内の資格証を発行している子どものいる世帯、子どもの数、自治体の数はどうなっているでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 国が本年十月三十日に発表した調査結果によれば、九月十五日現在、都内の区市町村で子どものいる世帯に国民健康保険の被保険者資格証明書を発行しているのは十七区市町村、該当世帯数は六百十一、それらの世帯に所属する中学生以下の子どもの人数は八百九十八人となっております。
○かち委員 十七自治体、六百十一世帯で八百九十八人の子どもたちが、医療を受けるという段になって全額払わなければならない、そのために受けることもできないというような事態も出ているわけで、これは早急に解決しなければならない問題だと思います。
今、国においてもこの問題が議論されております。そして、十月三十日付で、厚生労働省国保課長から、資格証発行の留意点として、子どものいる世帯には柔軟できめ細かい対応をするようにとの通達も出ています。
都は、都内にこれだけの子どもたちがいるということに対して、医療にかかれない状況をどのように認識されているでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 最初に、国民健康保険の被保険者資格証明書を交付された場合に、医療機関にかかれないという先生のお言葉がありましたので、一応一言ご説明をしておきます。
国民健康保険の被保険者資格証明書は、国民健康保険の被保険者であるということを証する証明書でございまして、証明書を交付されたからといって保険診療を受けることができなくなるわけではございません。確かに先ほど先生おっしゃったとおり、滞納されている被保険者の方でこの資格証明書をお持ちの方は、医療機関の窓口で医療費の全額を一度支払う必要がございますけれども、後日、保険者に一部負担金を除いた額の保険給付を申請することはできます。
それから、これについての認識ということでございますが、国民健康保険は被保険者が相互に支える制度でございまして、負担の公平を図るためにも、また被保険者の方には所得などに応じた保険料を納付していただくことが原則となっております。
被保険者資格証明書については、保険料の滞納が一年を超過した世帯に対して交付するものでございますが、先ほど先生おっしゃったとおり、難病の医療費助成を受けている方や、その他の特別の事情がある場合は発行しないこととされております。その他の特別の事情ということなんですけれども、施行令の中で、災害、盗難により財産に被害を受けたとき、病気または負傷したとき、事業廃止または休止したとき、事業に著しい損害を受けたときなど、その他類する理由がある場合については発行しないこととされております。
このように、区市町村では、機械的に証明書を発行するのではなく、納付相談等を行った上で、保険料納付の能力があるにもかかわらず長期に滞納を続けているなど、保険料滞納に特別の事情がない世帯に限って被保険者資格証明書を交付しております。
都としては、従来と同様に証明書の発行の扱いについては適切な運用がなされるよう、今後とも必要な指導を行ってまいります。
○かち委員 私、制度のことがわかっていなくてお聞きしたんではなくて、実態として、保険料が払えないお宅のお子さんが病院にかかって十割を払えるかということで、かかることができない事態をどう思うかというふうにお聞きしたんです。
それで、これは各自治体が、東京都が直接やるというものではないというのもあるんですけれども、区市町村によっては子どもの医療費無料化制度をつくっているということもありまして、かなりいろいろな手だてをとっています。国が示す難病やその他の例示とともに、公費でやっているという位置づけで、子どもを持っている家庭には短期証を発行する、だから資格証を発行しない。短期証とするという、条例で明確に位置づけてきている自治体も今生まれています。
ただ、十三区ですか、そこはまだそういう措置がとられていないわけですね。本当に自治体によってばらばらなんですね。一応、短期証を発行するにしても、特別な事情がわかるような書類一式を持ってきなさいなんていうことで、最近三カ月のいろいろの、借金だとか、すべて出しなさいみたいな、そんなことをやらなければできないような状況だったら、ますます足が遠のいてしまうということであります。
ですから、自治体として公費で賄うという位置づけにある子どもの医療費は、自治体として賄うと、短期証を発行するということをやるべきだと思うんですね。
きのうの国会の議論でも、参議院で日本共産党の仁比議員が質問しておりますけれども、舛添大臣は、一時払いが困難という申し出があれば、短期証を速やかに発行することを指導していくというふうにいっておりますので、子どもが医療にかかれない状態をなくすという観点から、都としても、指導という立場でなければ、支援、助言をぜひしていただきたいというふうに思います。
まだ自治体によってばらばらでありますので、そこをぜひこの子どもたちが医療にかかる状況をつくるために、都として機械的な資格証発行をしないようにという助言、指導を行っていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、区市町村においては、被保険者資格証明書を発行する場合については、その他の特別の事情があるかないかということについては、納付相談等を通じ、滞納されている被保険者の方ご自身からお聞きするための一つの機会をつくるということも、この趣旨には入ってございます。
区市町村では、機械的に証明書を発行するのではなく、納付相談等を行った上で、その上で保険料納付の能力があるにもかかわらず長期に滞納を続けているなど、特別の事情がない世帯に限って被保険者資格証明書を今交付しているところでございます。
○かち委員 自治体間のアンバランスがないように、都としての指導をぜひよろしくお願いします。
特別の事情がなければ保険料の減免もできないというような、今すごくハードルが高くなっているんです。特別の事情といったって、今のような経済環境の中では、倒産しないまでも、もうぎりぎり、倒産したくてもできないような状況の中小企業の皆さんもいらっしゃるわけで、そういう状況を見られるような状況、そして都としても実態をつぶさにつかんでいただくことをぜひ求めておきます。
次に、後期高齢者医療制度についてお聞きします。
本年四月から始まった後期高齢者医療制度は、高まる批判の声のもとで、政府は六月末に、保険料の徴収は年金天引きでも口座振替でも可といたしました。それから、均等割、所得割にさらなる軽減策を打ち出しました。
資料を出していただきまして、二八ページにありますけれども、均等割の軽減対象は、年金収入のみの老夫婦の場合、妻は百三十五万円以下、百六十八万円まで七割軽減の対象とし、今年度は経過措置として八・五割軽減とするというものです。その対象は三十六万二千人というふうに書かれておりますけれども、来年度はさらに、夫婦とも年金収入が八十万円以下の場合、九割軽減とするものということですけれども、それではその対象は何人になるんでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 国の低所得者に対する保険料の軽減策で、平成二十一年度の保険料の均等割額について九割軽減になる方の対象者についてですが、東京都における平成二十一年度の具体的な保険料の軽減策につきましては、今後、東京都後期高齢者医療広域連合において決定するものであり、現時点では軽減対象となる被保険者数が何人かということについては明らかにされておりません。
○かち委員 何人かわからないということですけれども、国がこういう制度を打ち出すに当たっては、それなりの推計、概算をした上で出していると思うんですけれども、そういうことも全く予測できないということで、これから予算編成もしていくときにどうするんだろうというふうに思うんですね。
私も、二、三の区にどうなっているかというのを聞いてみました。それぞれ聞いてみますと、大枠で約五割、七割軽減、現在八・五割軽減の対象となった人の約五割ぐらいは八十万円以下の人数だというふうな数字が出ておりました。これは多いのか少ないかといいますと、私はちょっと驚き、こんなに低々所得の方々が半数以上もいるのかというふうに思ったわけです。
ところが、それがこの軽減策の方針によりますと、半数ぐらいの人は来年は九割減になりますよということですけれども、ことし八・五割減になった人については、あと半分ぐらいの方はもとに戻っちゃうんですね。来年は七割に戻ってしまう。
これは政府公報なりインターネットで出ていたんですけれども、新聞のチラシにもこういうものが出ておりました。平成二十年六月、制度を利用しやすくするために改善策を決めました。低所得の方の保険料が軽減されますということで書いてあるんですが、二十年六月に決定された改善策として、一人当たり定額の保険料、基礎年金だけで暮らしておられるような所得が低い世帯は九割軽減ですというふうに書かれているんですね。
これは、ことしからやるのかと思ったら、これは来年からの話である。米印には--ことし七割軽減という最初の通知をもらった人は、八割五分軽減になるとその約半分になるわけですね。一万一千三百円が五千四百円になる。だから、前期分で年金から天引きされた人は、後半十月からの年金天引きあるいは支払いをしなくていいですよという話なんです。私は低所得だし九割になるのか、そして、もうことしは納めなくてもいいのかと思っていたら、来年はもうもとに戻ってしまうと。一万一千三百円に戻ってしまうという人が出るということなんですけれども、これだけのチラシを見て、そこまで読み取れるでしょうか。
全く奇々怪々というか、本当にこういうことで対象者の人を翻弄しているというのが今の制度の実態です。これは一瞬ぬか喜びをしただけで、だまし討ちに遭ったようなものなんですけれども、所得割の方では、原則五割の軽減がことしですけれども、来年は五〇%程度軽減ということで、若干表現が違う。それがどういうものかということもあるんですけれども、既に東京都広域連合の区市町村では段階に応じた軽減策を行っていますので、後追い的に国の対策が示されたわけですけれども、このことによって区市町村の財政負担はどの程度軽減されるのでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 東京都後期高齢者医療広域連合は、平成二十年度、年金収入で二百八万円までの被保険者の方を対象に保険料の所得割額を四段階で軽減する独自策を実施し、当初予算におきまして、その財源、約六億九千万円は区市町村が負担することとしておりました。
その後、今お話しの国の政府・与党決定に基づく軽減策の導入によりまして、独自軽減策の財源のうち約六億円分が国の補助金で措置されることとなりましたため、区市町村の負担額は約九千万円となると聞いております。
○かち委員 六億九千万円の負担が九千万円に軽減されるということですが、それはぜひ後期高齢者医療制度の負担の軽減に、充実するように使っていただきたいと思います。
国民健康保険法では、施行令で、高齢者に対しては老人保健法に基づいて滞納世帯の資格証発行などは行わないと明記されていたものですけれども、後期高齢者医療制度になってこの対策は外されました。そのために、今どういうことが起こっているかといいますと、制度が四月から始まって何回か天引きや支払い口座振替があったと思うんですけれども、さまざまな変更が繰り返されたわけですよ。皆さんは、もう何が何だかわからないという状況のもとで、自分は年金から天引きされていると思ったら、実はされていなかったというような方も出ているのも事実です。
しかし、こういう状況に対して、督促状が送られている自治体もあるんですね。機械的ですけれども、納付督促状通知というようなことで、あなたは幾らですと書かれているものが突然送られてくる。びっくりするというような状況も出ているんです。しかも、これが六万人の対象者に対して三千件送ったという自治体もあるんですね。本当に高齢者を痛めつけているという実態だというふうに思うんですけれども、このような督促状を送っているという状況が実際にあるという事実を都としてはつかんでいるでしょうか。
○宮垣地域保健担当部長 長寿医療制度の保険料は、法令により、運営主体である東京都後期高齢者医療広域連合が賦課をし、被保険者の方からの保険料の徴収については区市町村の事務とされております。ですから、保険料の滞納があった場合は、区市町村の判断により随時督促等を行っております。
長寿医療制度の財源は、その一割を高齢者ご自身が保険料としてご負担いただき、これに公費や元気世代の支援金等を加えて、高齢者の医療費を社会全体で支える仕組みとして運営されております。負担の公平や制度の安定的な運営のためには、区市町村における保険料の確保、督促状の発送なども含めまして収納事務を適切に遂行することは重要なことだと考えておりますが、都は、区市町村の督促状の発送などの個別の事務処理の状況については、把握をしておりません。
○かち委員 それぞれの区市町村の事務だというふうにいわれますけれども、都民に変わりはないわけです。都民が困難な状況にあるということがどういうふうなことになっているのかというのをつぶさに調査する、実態をつかむということは都の責任だと思いますので、ぜひそれをやっていただきたいと思うんです。
七十五歳以上といえば、八十代、九十代の方もいるわけです。ひとり暮らしの方もおられます。認知症にかかりかけている方もいらっしゃると思うんですね。そういう方に役所から次から次へといろいろな通知が来ても、本当にわかりにくいという状況は想像にかたくないわけです。こういう方が本当に安心できる制度にしなければいけないと思うんですが、もともと土台が悪い上に、次々と修正したり変更したりするものですから、ますます混乱が広がっているんだと思います。
しかも、このように徴収することには熱心だけれども、年金天引きではなく口座振替の方が課税控除の対象になるというような、少しでも住民の負担を軽くする情報については、広報もしない自治体も出ているんですね。聞けば、自治体ももう手いっぱいで、とてもそこまで手が回らないんだというふうなこともいわれておりますけれども、行政の末端も、そして当事者も本当に大変な事態になっているこのような制度は、一たん廃止をして見直すべきだということを繰り返し国に求めるように申し上げておきます。
それから、障害者年金制度廃止に伴う問題についてお聞きします。
本制度は、障害者の親亡き後の生活保障制度として、一九六九年、国に先駆けて東京都が創設した年金制度でした。しかし、その後、経済環境の変化等で運営見通しの困難を理由に、二〇〇七年三月一日をもって廃止されました。
二〇〇六年四定議会で廃止条例が本委員会に提案されましたが、制度を廃止するに当たって、審議会中間答申に対するパブリックコメントには六百二十四通の意見が寄せられ、その九五%が廃止に反対あるいは都の責任を問うものでした。
制度廃止の可否を決める、その点で、国制度との関係も調整中、清算処理に対しても、課税負担の問題や生活保護者の収入基準の関係など国と調整中ということでした。その影響がどうなるかも不明のまま、こんな状況のもとで採決すべきではないと申し上げましたけれども、制度廃止は議決されました。しかし、その影響は今年度になって噴出しているんです。
そこで伺いますが、本制度廃止に伴って清算金を受け取った対象は何人でしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 約一万九千人でございます。
○かち委員 この制度に伴って清算金を受け取った対象は何人でしょうかと伺ったんですけれども、今のお答えは何だったでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 清算金の支給ということの対象者につきましては、一万九千人。
○かち委員 その中で一括払いを申請した人は何人ですか。そして、その中で生活保護者の方は何人いたんでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 一括支給を希望した方は約一万人でございます。そのうち、生活保護受給者ということでございますが、清算金支給時においては、生活保護かどうかということについては把握してございません。
○かち委員 一万人の方が一括払いを受けた、しかし、生活保護はそのうちどのくらいかはいただろうということなんですけれども、ことしの七月以降に私が相談を受けた方は、十九年三月一日をもって制度は終了するという、「加入者だより」というのが発行されていまして、そういう便りを受けたので、それは大変だということで、この方は三月末までに清算金は一括払いを受けることにしたということです。
そこには、一時所得課税の対象になるとは書かれていました。一時課税になるので、課税が多少かかるだろうということは覚悟していたんですけれども、その他の影響については何も書かれていなかったんです。
ことしになって国民健康保険料が、昨年は三万五千円だったものが十五万三千円、四・三倍にはね上がり、これまで非課税世帯であったけれども、課税世帯となって市民税が十二万七千五百円となったということです。マル障の医療費に自己負担が発生し、このお子さんは年に何回か入退院を繰り返しているので本当に困る、せめて医療費だけでもマル障で継続できないものかという相談でした。
都としては、当然考えられるこれらの問題についての説明はどのように行われたのでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 扶養年金制度廃止に伴います清算金の取り扱いにつきましては、平成十九年三月下旬に、清算金及び今後の手続についてというお知らせを清算金の対象者約一万九千人全員に個別にしまして、清算金に関する税法上の取り扱いや一括受領と分割受領可、また清算金支給の選択に当たりましての注意事項をお知らせしております。
具体的に申し上げますと、一括受領した場合は、その一括受領を希望することを申し出た年の一時所得として課税の対象になること。課税対象額は、一時所得につきましては、清算金額から特別控除額五十万円を差し引いた残りの金額の二分の一という金額になることをお知らせしております。また、分割受領した場合は、それぞれの年の分において雑所得として課税の対象となることをお知らせしております。また、注意事項としまして、住民税が非課税になる場合、課税になる場合などを説明しております。
この三月下旬に通知した後、さまざまなお問い合わせがありまして、一日百件を超えるような状況にもなりましたけれども、電話回線の増設とか派遣職員の応援等によりまして、局を挙げて体制強化に取り組み、それぞれ状況の異なるお問い合わせや相談の一つ一つに丁寧に対応してまいりました。
また、四月には、数多く寄せられたお問い合わせの内容につきましてQアンドAを作成し、清算金の対象者全員にお知らせしたところでございます。
○かち委員 今、丁寧に説明してきたんだということでしたけれども、「加入者だより」について、その時々のものを私、見せていただきましたけれども、三月一日に廃止するという便りに書かれている中には、課税のほかのもろもろの手当や医療費についての影響が出るということは書いてなかったんですよ。結局、書いたのは、五月一日付の便りなんです。
しかし、それも、もう三月末までに手続を済ませた方にはそのお知らせも行っていなかった。だから、まるで知らないで、ことしになってびっくりしてしまったというのが現状なんです。
扶養年金をかけてきた親御さんの多くは七十代以上になっていますよね。制度の廃止に伴うもろもろについて、どう対応したらいいのか、大変な困惑もあったと思います。このようなことについて、本来はすべてを始める前にこういうこともきちんと説明しなければならなかったことが後手後手になったという状況から生まれた今回の問題です。こういう事態を招いたことに対し、都としてどのように認識しているでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 まず、一万九千人の清算金対象者の清算金の最高額というのが七百一万円強でございまして、一括受給した場合、一括受給を希望することを申し出た年、この年の一時所得として課税対象になりますけれども、先ほど申し上げました計算、特別控除五十万円差し引いた残りの二分の一ということになりますと、清算金以外に所得のない場合の課税所得額というのが三百二十五万余円ということになりまして、扶養家族がいない場合、多くの手当とこの所得制限というのが三百六十万四千円ということでございますから、この清算金以外に所得がない場合は課税以外の影響はないというのが制度としてございます。
清算金を受領した場合に、その清算金以外に所得がどれぐらいあるか、また扶養親族数、各種税控除など、一人一人の状況によって、課税対象になるかどうか、どのくらいの課税額になるかというのは異なるということでございます。
また、その課税所得額が幾らになるかによりまして、各種手当、助成の所得制限に影響があるかどうか異なります。課税所得額におけます各種手当とか医療費助成の所得制限につきましては、都のマル障医療の受給証の手引とか区市町村による障害者のしおりなど、さまざまな広報媒体などによって障害者の方やその家族に既にお知らせしているというふうに考えております。
○かち委員 分割払いにすれば課税にはかからないよというようなお話でもありましたけれども、一括払いで税金がかかるといっても、みずから好んで、私はもうこれでいいから受け取りますということではなくて、こういう事態になったのは、都の都合で廃止することによって生まれた結果ですので、それでこうむる負担はなくすように努力するのが都の責任だと思うんですね。
今回の事態は、「加入者だより」にも、都として制度を廃止せざるを得ない状況に至ったことについて、制度を運営する都の責任は非常に重いものと受けとめています、今後の対応については的確に対応してまいりますとまで書かれているんです。ですから、この問題については、制度が終わってしまったのだからということで免れない都の責任を厳しくただしておきます。
精神障害者の地域生活支援についてです。
近年、精神障害をめぐっては、入院医療から地域生活支援ということで、さまざまな取り組みも展開されていますが、重い精神障害を抱える患者は、どうしても入院の長期化を余儀なくされる実態があります。こうした方々も地域の中で生活できるサポート体制がますます必要となってきています。
そこでお聞きしますが、都における精神障害者の地域生活サポート体制は現在どのように行われていますでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 精神障害者の地域生活支援体制についてでございますけれども、精神障害者の方が地域で安心して暮らしていくためには、区市町村の役割が重要というふうに考えております。区市町村では、精神障害者の自立支援のため、地域活動支援センターⅠ型などを整備いたしまして、精神保健福祉士など専門職を配置し、地域で生活している精神障害者の方の日常生活などの支援、相談支援事業などを行っております。
東京都につきましては、区市町村の地域活動支援センターⅠ型の機能の充実のために、精神保健福祉士などを配置するための補助を行っているところでございます。また、特に医療的配慮が必要な精神障害者に対しましては、保健所や都立の三カ所の精神保健福祉センターが連携して支援を行っているというところでございます。
○かち委員 三つのセンターを核として自治体の窓口、保健所、保健師などが日中活動や相談活動に当たっているとのことですけれども、重い統合失調症やうつなどを抱えると、ひきこもりや、服薬も中断し、悪化し、入退院を繰り返すことになります。こうした障害者が地域で自立的に生活を営むことができるためには、二十四時間対応の医師や看護師やケースワーカーを初め、多職種の専門職がチームとして、訪問活動を含めたフォロー体制が必要だというふうに思います。
国のモデル事業として今行われているACT事業ですが、数年前から京都や千葉などで実践的効果を上げていることが報告されています。モデル事業ですから限定的ではありますが、これが有効となれば普遍化していくことにもなるわけです。千葉でも京都でも、実践の中から、とても地域には不可能と思われた患者さんが自立的に変化していく過程が報告されています。
一チーム十人のスタッフで百人の対象を見る、核となる診療所の医師が中心になって、さまざまな専門的な職種がそれぞれの立場でアプローチしていくというもので、もともとアメリカから生まれたシステムではありますが、今、世界各国で取り組みが広がっています。このような受け皿が不十分のまま退院促進、地域生活移行といっても、精神障害者の生活、自立にはほど遠いことになります。
都としても、モデル事業としてまずACTに着手されることを求めますが、どうですか。
○松浦障害者施策推進部長 国のモデル事業でございますけれども、ACTというのは、包括型地域生活支援ということの略称でACTということになってございますけれども、この事業につきましては、例えば千葉県ですと国立国際医療センター国府台病院で実施しているわけですけれども、この病院を核としまして、退院後は病院周辺の三市に居住する方に限定いたしまして、年齢、診断、入院回数、このような精神医療の利用状況等の基準を定めて対象者を選定しているということでございます。
先生おっしゃったように、チームを構成しまして、症状の悪化などの危機管理にも対応するものということでございまして、都としましては、対象者を限定したケアマネジメントの手法の一つというふうに認識しております。
東京都のACTに対する考えでございますけれども、こうした病院を核とした国のモデル事業としてのACTということにつきましては、実施する予定はございません。
○かち委員 最後になりましたけれども、ありませんということではなくて、いいことはぜひ試みるという立場でやっていただきたいと思います。
最後に要望だけ一つ。精神障害者については、障害者手帳の更新が二年に一回、それに加え、精神障害の場合は、自立支援医療の精神通院医療の公費負担を受けるために毎年診断書を提出しなければならず、その費用がそのたびに数千円かかり、大変重い負担となっています。都としてこの軽減策をぜひ実現するように求めて、質問を終わります。
○東野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時五十六分休憩
午後四時八分開議
○東野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西崎委員 周産期医療については、これまでいろいろ議論がされてまいりました。質問も重なってまいりましたので、幾つかは省きたいと思います。今後に向けて、周産期母子医療センターの機能強化、搬送調整業務の円滑化、医師の確保など、課題解決に向けて取り組み、早急に周産期医療ネットワークを確立していただきたいと思います。
今回まだ質問に出ていない点で、生活者ネットワークはNICUの長期入院患者についてこだわってまいりました。NICUの稼働率が非常に高い状態にあって、NICU満床のため、母子搬送の受け入れが困難になっています。NICUが満床になっている背景には、一つの理由になると思うのですが、長期入院の患者がいることが挙げられています。やはりここにもきちんとした課題解決に向けた取り組みが必要だと思います。
NICU長期入院児の中には、退院後も重い障害を抱え続けていなければならない人もいると思います。その人たちの受け皿の一つとして重症心身障害児の施設がありますけれども、現在どのくらいの人が入所しているのか、また、在宅で生活している人はどのくらいいらっしゃるのか、伺います。
○松浦障害者施策推進部長 都内におきます重症心身障害児者数でございますけれども、約四千三百人でございまして、施設入所者が約千三百人、在宅にいらっしゃる方が約三千人でございます。
○西崎委員 四千三百人いるうち三千人の方が在宅で生活をしているということですけれども、重症心身障害児であっても、医療ケアを含めた在宅サービスを受けながら、可能な限り地域で生活を継続できるように支援していくことが大切ではないかと思います。
そこで、現在、在宅での重症心身障害児の医療的支援はどのように行われているのか、伺います。
○松浦障害者施策推進部長 東京都におきます在宅の重症心身障害児者の医療的支援についてでございますけれども、退院直後の在宅での医療的ケアをサポートする在宅重症心身障害児者訪問事業、また、重症心身障害児者の家族など介護者の負担を軽減し、継続的な介護が可能となるような短期入所事業、さらには通所事業、これを充実することなどによりまして、在宅における療育を支援するさまざまな取り組みを進めているところでございます。
特に通所事業につきましては、従来から実施している医療型通所事業に加えまして、平成十八年度から、地域の福祉施設を利用した地域施設活用型通所施設の整備に努めているところでございます。
○西崎委員 家族の状況によっては施設でないと対応できない場合もあると思いますけれども、できれば地域で、在宅で安心して重症心身障害者の方が生活できるような体制整備が必要だと思います。協議会の答申には、NICU長期入院患者に対して重症心身障害者の施設をぜひ整備するようにというふうに書かれていたのですけれども、私どもは、その施設も必要だと思いますが、先ほど人数を伺うと、とても対応し切れない状況になっている中では、やはり地域における診療所あるいは病院との連携も含めて、医療基盤の整備に向けて福祉保健局全体で取り組むことを要望しておきたいと思います。
次に、がん対策について伺います。
がんは、一九八一年以来、日本人の死因のトップで、昨年は約三十四万人、三人に一人はがんで亡くなっています。都内でも、平成十八年には年間三万人を超えており、今後高齢者人口の増加が予測されることから、がんの死亡者数も増加していくと推測されています。がんは身近な脅威となっていますけれども、がんにかからないこと、がんを早期に発見し治療につなげていくことが大切です。
二〇〇六年には、がん対策基本法が制定され、がんで亡くなる人の割合を十年で二〇%下げるという目標を掲げ、東京都でも、がん対策基本法及び国のがん対策推進計画を踏まえまして、ことし三月に東京都がん対策推進計画を策定しました。都の推進計画では、がんの予防から治療、療養生活の質の向上に至る総合的な取り組みを行うとしていますけれども、どのような取り組みを行っているのか、伺います。
○吉井医療政策部長 まず、がんの予防につきましては、食生活など生活習慣の改善についての普及啓発とがん検診の受診率及び質の向上に取り組んでございます。
今度は医療ですが、高度ながん医療を提供するため、がん診療連携拠点病院に加えまして、都独自に東京都認定がん診療病院を創設いたしまして、高い診療機能の整備を行っているところでございます。
また、都のがん医療を充実させ、都民に高い水準のがん医療を提供するとともに、拠点病院及び認定病院の連携体制を構築するため、東京都がん診療連携協議会を設置したところでございます。
さらに、患者、家族の不安の軽減というところでございますけれども、拠点病院、認定病院にがん相談支援センターを設置するほか、がん患者によるピアカウンセリング事業を実施しているところでございます。
○西崎委員 都民ががんと診断されまして、治療を受けて、高度専門医療を行う病院を退院して、地域の病院や自宅に戻ってきたときに、安定期の治療や療養生活を送ることになった場合に的確な医療が受けられるのか、患者や家族にとっては不安だと思います。
そこで、高度専門的な治療機関から地域の医療機関や在宅での療養生活に移行するに当たって、それぞれの場面で患者の治療やケアを担当する各施設が、一人の患者に対して切れ目のない継続的な対応を行うことが重要です。また、それらの各施設が、切れ目のない治療計画のもとに、どこに住んでいても患者に対応してもらえることがわかって、初めて患者や家族は安心できるのではないかと思います。
そのためには、診療から専門的治療、安定期の治療、通院、予後の健康管理、定期検査までの全体像を示す共同診療計画であります地域連携クリティカルパスを作成しまして、病院間の連携や患者、家族への説明において活用することが注目されています。
都の推進計画におきましても、地域連携クリティカルパスの整備がうたわれていますけれども、これに関してどのような取り組みを進めてきているのか、伺います。
○吉井医療政策部長 地域連携クリティカルパスは、一人の患者に対しまして切れ目のない医療を提供するための重要なツールであるということでございます。都の推進計画におきましては、五大がんについての地域連携クリティカルパスをすべての二次保健医療圏で整備することとしてございます。現在、都内全域で使用できる標準的な地域連携クリティカルパスを作成するため、拠点病院、認定病院等で組織いたします東京都がん診療連携協議会において検討を進めているところでございます。
○西崎委員 総合的ながん対策を進めていくためには、がん患者や治療に関する的確な実態を総合的に把握することが必要でありまして、そのためには、必要なデータ登録、収集、分析などの取り組みを長期的な視野に立って実施していくことが必要だと思います。
がん登録には、医療機関における診療の実態や治療結果などを把握するための院内がん登録と、都道府県が実施主体になって行っています、地域内でがんに罹患した患者数や治療後の生存率などの実態を把握して、予防や早期発見、医療の確保などの総合的な取り組みにつなげるための地域がん登録があります。国立がんセンターでは、院内がん登録の担当者向けの研修を実施するなどして、精度の高いがん登録の推進に取り組んでいます。地域がん登録については、全国で三十三都道府県一市で実施されていますけれども、そのデータの精度が低いことから、国立がんセンターが算出している五年生存率に活用されているのは七府県、罹患率では十一府県市の登録データのみで、東京都ではこれまで実施してきていません。
今後、院内がん登録の取り組みを地域がん登録につなげていく必要があると思います。そこで、都の推進計画では段階的にがん登録を推進していくことになっていますけれども、現在の都の取り組み状況についてお伺いします。
○吉井医療政策部長 院内がん登録でございますけれども、先ほど申し上げました拠点病院、認定病院におきまして、国が定めます標準登録様式によります統一的な方式のデータ登録、これを開始したところでございます。こうしたデータを含めまして、院内がん登録を実施する医療機関の登録データの収集、分析、評価等につきまして、先ほど申し上げましたがん診療連携協議会において今後協議を行っていきます。
○西崎委員 ぜひこういった地域がん登録を進めていっていただきたいと思います。
都におけるがんの七十五歳未満年齢調整死亡率というのがあるのだそうですけれども、それは減少傾向にあります。全国と比較すると、男性はほぼ同程度に対して、女性は非常に高い傾向にありまして、東京都ですけれども全国五位です。中でも乳がんの死亡率は、全国の中でも東京都はトップで、検診の受診率も低い状況になっています。
ことしの夏に、NPOや市民団体の人たちの主催で、初めて東京都女性がんシンポジウムが開かれました。患者を含む都民ががんの予防や検診の受診などに主体的、積極的に取り組み、がん撲滅に向けた機運を高めていくことは重要なことだと思います。
都としてもさまざまな取り組みを行ってきていますけれども、特に死亡率の高い乳がん検診について、より積極的な取り組みが必要であると思いますけれども、所見を伺います。
○住友保健政策部長 都では、十月の乳がん月間にピンクリボン運動を実施するなど、乳がん検診の受診促進に努めております。また、区市町村もピンクリボン運動に積極的に取り組むことができるよう、啓発のためのカードの作成や財政的支援などを行っております。
今後は、乳がん検診等に関するリーフレットを作成し、区市町村を通じて都民に配布するなど、さらに普及啓発を進めてまいります。また、インターネットを活用して都民に乳がん検診の実施方法等をわかりやすく伝えるため、ホームページを開設することなどにより情報提供を行い、都民のがん検診に対する意識を高めてまいります。
○西崎委員 東京都にがん対策推進計画ですか、計画があっても、やはり都民の意識が盛り上がらないとこういった計画も進んでいかないと思いますので、乳がんだけではなく、ぜひ検診の受診率を高めていくような取り組みを進めていっていただきたいと思います。
次に、認知症高齢者の支援について伺います。
平成十七年の東京都の調査によりますと、認知症による何らかの症状を持っている高齢者は都内に約二十三万人おりまして、これは六十五歳以上の人口の約一割に当たるそうです。その中で、生活において何らかの介護や支援が必要な程度の認知症の方は十六万人いることがわかっています。認知症があっても安心して暮らし続けられるまちをつくっていくためには、医療や介護の関係者の支援のほかに、地域で認知症の人たちと接する可能性のあるさまざまな人々が、認知症について正しく理解する必要があると思います。
そこで、東京都では、東京都認知症対策推進会議を立ち上げたと聞いていますけれども、どのような取り組みを進めているのか、進捗状況についてお聞かせください。
○狩野高齢社会対策部長 都では、認知症になっても認知症の人と家族が地域で安心して暮らせるまちづくりを推進するため、具体的な支援策の検討を進めることを目的に、平成十九年七月に東京都認知症対策推進会議を設置いたしました。
本会議では、地域における生活支援の仕組みづくり、症状に応じた切れ目のない医療支援体制のあり方について、それぞれ専門部会を設置して集中的な議論を進めております。
また、あわせて、地域における生活支援を進めるためのモデル事業を実施しているほか、若年性認知症の方の生活実態を把握するための調査を行ったところです。
○西崎委員 地域における生活支援を進めていくために幾つかのモデル事業に取り組んでいるようですけれども、その具体的な内容と進捗状況はどのようになっているのか、お聞かせください。
○狩野高齢社会対策部長 地域における生活支援を進めるため、区市町村を中心とした認知症地域資源ネットワークモデル事業と、民間事業者による認知症支援拠点モデル事業を実施しているところでございます。
認知症地域資源ネットワークモデル事業は、地域のさまざまな社会資源が連携したネットワークの構築を目的に、現在、練馬区と多摩市で実施しており、認知症の人と家族を支えるさまざまな社会資源を掲載した地域資源のマップの作成や、徘回のリスクが高い高齢者を対象として、地域のネットワークにより、行方がわからなくなったときいち早く発見することを目的とした徘回SOSネットワークの構築等に取り組んでおります。
また、認知症支援拠点モデル事業は、グループホームなどの介護事業所を地域に開かれた支援の拠点として活用することを目的に、現在、五つの事業所で実施しており、例えば、グループホームの利用者、職員、地域住民等がともに食事をつくり会食することなどにより、地域の方に認知症とグループホームについての理解を深める活動などを行っております。
○西崎委員 認知症高齢者の対策は本当に具体的なものをつくっていかないと、徘回した場合になかなか支援のネットワークというのができないのじゃないかと思います。
私の友人のお父さんがやはり徘回しまして、世田谷に住んでいるのですが、見つかったのは栃木県で、何か自転車でそこまで行ってしまったという話を伺ったことがあるのですけれども、認知症地域資源ネットワークモデル事業というのを今練馬と多摩市で取り組んでいると思いますけれども、地域資源マップの作成など、ほかの自治体でもぜひ作成すれば役に立つ内容ではないかと思います。幾つかのモデル事業を通じて成果を検証し、今後は広げていっていただきたいと思います。
先ほど、若年性認知症の人の生活実態を把握するための調査を行ったというお話がありました。若年性認知症は、都内に三千人から四千人程度いると推計されています。相談や受診から生活に至るまで、一連の支援をすることが求められていますが、実態調査を行っているのは、これまで北海道と滋賀県だけだったと聞いています。
今回の都の調査についてはどのような結果が得られたのか、また今後はどのように対応していくのか、伺います。
○狩野高齢社会対策部長 本調査は、都内在住の六十五歳未満で発症したいわゆる若年性認知症の本人及び家族を対象に、訪問により実施したものでございます。調査の結果、例えば、認知症ではないかと気づいたころの本人の平均年齢は五十六・三歳、現在の本人の平均年齢は六十一・六歳であることなどがわかりました。
今回の実態調査の結果も踏まえ、東京都認知症対策推進会議のもとに専門部会を設置し、若年性認知症特有の課題の分析などを現在行っているところでございます。
○西崎委員 若年性認知症の方が都内にも三千人から四千人いるということですので、ぜひこういった対策も、具体的な支援策まで踏み込んだ検討ができるように要望しておきます。
最後に、有料老人ホームの現状について伺います。
高齢化に伴いまして、有料老人ホームの数がここ数年で激増してきています。私の住んでいる世田谷でも、数億する高級老人ホームから介護が受けられる高齢者の施設としての老人ホームなど、数多くの建物を目にするようになりました。現代は、個人の生活様式や老後の生活に対する考え方が多様化しておりまして、今後どのような暮らしを望むのか、住まいに何を期待するかによって、一人一人の高齢期に適した住まいは大きく変わってくるのではないかと思います。
そこで、現在都内では有料老人ホームはどのくらいの数があるのか、伺います。
○狩野高齢社会対策部長 高齢化が進む中、高齢期の都民が安心して暮らすことのできるケアつき住まいなどの充実が求められており、都は、多様な事業主体や手法を活用しながら、介護基盤の整備を進めております。
その中でも、介護を要する高齢者の受け皿として、また都民の有力な選択肢の一つとして有料老人ホームがございます。有料老人ホームについては、介護保険制度開始直前の平成十二年三月三十一日時点での有料老人ホーム数は四十四施設でございました。本年十月一日現在の数値は四百四施設であり、約十倍の伸びとなっております。
○西崎委員 四百以上の施設が急速にふえてきて、十倍の伸びということですけれども、それでは、有料老人ホームの施設の種類はどのようなものがあるのか、伺います。
○狩野高齢社会対策部長 有料老人ホームの類型は三つに分類をされます。
一つ目に、介護が必要となっても、当該有料老人ホームが提供する介護サービスを利用しながら、当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能である介護つきの有料老人ホームがございます。これは、平成二十年十月一日現在で三百七十五施設ございます。
二つ目に、介護が必要となった場合に、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能である住宅型の有料老人ホームが、現在都内に二十九施設ございます。
三つ目の類型ですけれども、これは、介護を必要としない健康な高齢者が入居する健康型の有料老人ホームでございますが、これは現在都内にはございません。
○西崎委員 今のお話ですと、介護つきの有料老人ホームが一番多いということですけれども、老後を老人ホームで暮らすということは、高齢者にとって、住みなれた我が家を離れ、新しい環境に飛び込むということになるために、不安も大きいのではないかと思います。また、入居一時金、これもかなりの金額の差があるのですけれども、経済的負担も伴う大きな買い物になるわけですから、本人に合った納得できる選択をすることが大切だと思うのですけれども、それでも契約後にトラブルになるようなケースも多いと聞いています。
介護が必要な方も、必要でない高齢者も選ぶことのできる有料老人ホームがここ数年で激増している中、都民が行政に相談する内容はどのようなものが多いのか、伺います。
○狩野高齢社会対策部長 有料老人ホームに関する相談内容についてですが、事業者の提供するサービス内容や、入居者一時金を初めとした利用者負担金についての相談が多くなっております。
こうした有料老人ホーム入居後の事業者とのトラブルにつきましては、入居契約締結前の利用者側の情報収集や、あるいは現状の確認の不足によるものも多くなっております。このため、契約締結前に必要事項を十分に確認し、利用者が納得した上で事業者と入居契約を締結することが重要であると認識しております。
○西崎委員 施設に入居する前に正しい情報を収集し、それは当然のことだと思うのですけれども、個々のニーズに合った施設を選んで入居契約を締結できるように、そういったことがわからない人たちも多いと思いますので、都も支援していくことが必要だと思いますけれども、具体的にどのようなことに取り組んでいるのか、伺います。
○狩野高齢社会対策部長 都では、高齢者一人一人がみずからのニーズに合致した、納得できる有料老人ホームを選択することができるよう、都民向けのシンポジウムを開催するとともに、昨年、有料老人ホームに関する基礎的な知識や選び方のポイントなどをわかりやすく解説した小冊子「あんしん なっとく 有料老人ホームの選び方」を作成し配布するなど、有料老人ホームに対する正しい情報の発信と知識の普及啓発に努めているところでございます。
○西崎委員 有料老人ホームは、平成十二年度の介護保険制度の導入を契機に多様な事業主体による参入が急速に進みまして、都民の老後の住まいの一つとして選択されてきています。これを、地元の区市町村にこういったことを相談しますと、担当の所管がないのですね。結構、相談をどこにしたらいいのか困っている高齢者もいると思います。また、入居一時金については、以前よりは金額が下がってきていますけれども、大変な金額を入居前に払うような物件もあります。物理的、経済的負担を伴う大変大きな買い物であって、さまざまな情報を適切に活用して安心して有料老人ホームを選択できるように、今後も東京都が積極的に支援していくことを要望しまして、私の質問を終わります。
○山加委員 私からは、中国帰国者の方々への支援について二、三お伺いをさせていただきます。
中国帰国者の皆様は、まさに歴史の中で、戦争により翻弄され、数多くの犠牲者が生まれたわけであります。家族離散という大変悲惨な現状の中で、多くの幼子たちが肉親と離れ離れになり、中国の地に取り残されました。そして、その後子どもたちは、現地の養父母に育てられることになった残留孤児、また現地の方と結婚なさったご婦人の皆さん、中国に残留することを余儀なくされたたくさんの邦人の皆様方、その後も、中国国内における大変激しい対日感情や文化大革命等の歴史の中で、大変なご苦労をされてきたわけであります。
これらの中国残留邦人は、中国との国交正常化まで大変長い時間を要したことに加えて、その後の引き揚げも必ずしも順調でなかったために、帰国の時期が大幅におくれた方もたくさんいらっしゃいました。やっと自分の国に帰れても、言葉や生活習慣の違いによって安定した職を得るのもかなわず、また苦しい生活を送るなど、帰国後もさらに苦労に苦労を重ねてこられた、そんなお話を私も伺っております。
現在、戦後六十三年という長い長い時間が経過したわけであります。帰国者の数は年々減少する傾向にありますけれども、しかし、東京は全国でも最もこの帰国者の数が多い地域となっているわけであります。私の地元練馬区は、都内の中、区部で七番目に帰国者の数が多く、現在約八十名近い方が居住をしておられます。最近は高齢化が進むなど、地域での支援を進めるに当たり、関係者からはその課題が山積していると伺っているわけであります。
そこで、最新の都内に居住する中国帰国者の人数がどのくらいか、また、現在抱えている課題は都はどのように認識をしているのか、お伺いをいたします。
○芦田生活支援担当部長 中国帰国者の方々につきましては、ただいま山加理事お話しのとおり、終戦時の混乱によって中国に取り残されて、大変なご苦労をされてきましたが、昭和四十七年の日中国交正常化を契機として、多くの方が帰国されるようになったところでございます。現在、全国に約六千人の中国帰国者が居住されており、その四分の一に当たる約千五百人が都内に居住をされております。
中国帰国者の方々が抱えている問題といたしましては、帰国者の平均年齢は約七十歳と高齢化が進んでおり、医療等のニーズが一層高くなっていること、しかしながら、年齢を重ねてから帰国したため、日本語習得が不十分であり、医療機関等で病状をうまく伝えられないこと、また、地域にうまく溶け込めず、地域住民と交流できないことなどの問題があると考えております。
○山加委員 中国帰国者の方々が重ねてきたご苦労、そのご苦労がさきの大戦に起因するものであることから、その後の老後の生活を保障し、地域で安心して生活を送ることができるよう支援する事業は、基本的には国の責任において行うべきであると思います。
この四月から、国では、中国帰国者が置かれている特別の事情にかんがみということで、老後の生活安定のための特別の措置として、まず老齢基礎年金の満額支給、年金制度を補完する支援給付制度を開始するなど、経済的な支援はかなり充実をしてきております。
しかし、現在、今ご答弁いただいたように、平均年齢七十歳と大変高齢化が進み、これからますます医療、介護等のニーズが高まっていること、また、特に高齢になってからの帰国者の皆さんは、言葉の問題も含めますと、地域の中で孤立しがちな現状を踏まえると、今後は経済的支援に加え、地域の中で安心して老後の生活を送ることができる、そんな支援の仕組みづくりが喫緊の課題であると考えます。
私の地元の練馬区においては、従来より独自に中国帰国者に対して通訳を派遣するなど、そんな事業の先駆的な取り組みを行っております。また、今年度からはさらに、NPO法人中国語の医療ネットワークを初めとする支援団体と連携をいたしまして、巡回健康相談、また日本語教室等を新たに開始いたしまして、地域支援の取り組みを進めているところであります。こうした取り組みは、練馬区にとどまることなく、特に中国帰国者が多く居住する地域に広げていくことが必要であると思うわけであります。
そこで伺いますが、中国帰国者に対する地域での支援を拡充するために、都としてどのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。
○芦田生活支援担当部長 理事ご指摘のとおり、中国帰国者への支援は、基本的には国の責任で行うべきものであり、今年度から実施されている新たな支援策の中で、経済的支援の拡充にあわせ、通訳や相談員の派遣等を行う地域生活支援事業を開始しているところでございます。
この地域生活支援事業は、これまで国の委託を受けて都道府県が実施していた事業等につきまして、地域でよりきめ細かな支援を行えるよう、今年度から原則として実施主体を区市町村に移したものであり、今年度末までに七区十二市で実施する予定でございます。そのほかの区市町村につきましては、今年度は都が暫定的に補完して実施をしております。特に帰国者が多く居住する地域につきましては、来年度以降、当該区市が主体的に事業を実施するよう、現在働きかけを行っているところでございます。
都といたしましても、帰国者が少ない地域につきましては引き続き事業を実施するとともに、区市町村職員を対象とした支援連絡会の開催や相談員研修の実施などにより、区市町村への支援を行ってまいります。
○山加委員 中国帰国者が地域の中で安心して生活をしていく上で、住居の確保は最も重要な問題の一つであろうかと思うわけであります。
都では毎年、新たに帰国した世帯を対象に都営住宅の優先入居をあっせんしていますが、現在都営住宅に入居していない帰国者に対しても、どうか優先的に入居ができるように柔軟に対応してほしい、そんな要望が帰国者本人また関係団体から寄せられているところであります。
また、昨年の七月には、与党の中国残留邦人支援に関するプロジェクトチームで取りまとめられた報告書の中で、終生にわたる公営住宅の優先入居あっせんの実現を図るなど、良質な住環境の整備が盛り込まれたところであります。
そこで伺いますが、都営住宅への優先入居あっせんについて、都は今後どのように対応する予定でしょうか。
○芦田生活支援担当部長 都におきましては、中国帰国者の生活の安定に向けて、都営住宅への優先入居のあっせんを行っているところでございます。現在のあっせん基準では、国費により帰国した後、三年を経過していないことなどを要件としておりますが、理事ご指摘のとおり、事情により一たん中国に戻り再度帰国した方や、自費で帰国してこれまで頑張ってこられた方も入居できるようにしてほしいとの要望が多く寄せられているところでございます。
このため、こうした帰国者にも優先入居のあっせんが可能となるような仕組みを現在検討しており、実施に向け関係機関と調整してまいります。
○山加委員 東京は、帰国者約一千五百名、約六千名といわれる全国の帰国者の四分の一、最も多くの帰国者が住む地域であるという現状を踏まえますと、都としても、区市町村と連携をし、地域生活支援の取り組みをさらに積極的に進めていくことが求められると思います。
中国や日本での長年のご苦労が報われ、一人でも多くの方が祖国日本に帰ってきて本当によかった、そう思えるような支援が今後各地域で展開されることを私は心から期待をし、質問を終わります。ありがとうございます。
○斉藤委員 それでは何点か伺いますが、大分順番が後の方だったので、質問にしないで、要望でちょっとまとめてみたのですけれども、幾つか、要望の方と意見を大分いわせていただきますので、よろしくお願いします。
最初に、障害者福祉に関してです。
現行の自立支援法では、身体障害者については、障害者のグループホームもしくはケアホームというのは利用対象になっていないわけですが、東京都の方では身体障害者に対して、重度ということに限って重度身体障害者のグループホーム事業を実施しております。東京都の積極的な取り組みについては、障害者団体の方からも大変評価の声をいただいているのを私は聞いております。
しかしながら、実際の中でいろいろ課題がございまして、入居時には問題がなかった方でも、だんだん状態が悪化したりして入院をしたりする。そして、戻ってきたときには医療器械が必要になってくるというようなことが実際には起こります。これはなかなか、別に東京都の方が何か足りなかったということではないのですが、実際の問題として出てくるわけです。そしてまた、自分が一たん施設に戻って生活をしたくても、この医療の部分で大変困難が出てくるということがあるわけですね。看護師さんを看護師不足の中でも何とか確保して、二十四時間体制に近い形をとれるように頑張っているというところも実際にはあって、なかなか涙ぐましい努力を伺っているのですが、大変ほかのグループホームからも、実際にはどうしたらいいだろうということで不安の声がございます。
ただ、喀たん吸引について、実際にはかなり呼吸器系の、喀たんの吸引の部分についてはそういった事象が発生しやすい上に、日常の中での吸引の頻度というものも、大変ほかの処置に比べて、医療的なケアに比べて多いものですから、一種の規制の緩和的な考え方で、管理を支援してくれる診療所が実際にあれば、医療器械を家族でなくても、または医療スタッフでなくても、派遣しているヘルパーが行うことができるというふうなことも聞いております。
実際にはできる施設やできる人というのが限られているので、なかなかその部分についてもスムーズにそういったものの数がふえていくということではないようなんですが、実際に現行制度について、医療器械の必要な人がいるグループホームの入居者に対して、対応をどのようにしているというふうになっているか、伺います。
○松浦障害者施策推進部長 都独自の重度身体障害者グループホームについてでございますけれども、この制度でございますが、身体の障害のために家庭において日常生活を営むのに支障がある重度身体障害者の方に対しまして、低額の料金で居室その他の設備を利用していただきまして、ヘルパーなど地域の社会資源を活用して身体障害者の方々の地域生活を支援していくものでございます。
このグループホームでの利用者支援の体制といたしまして、介助員が配置されているほか、緊急時には運営法人のほかの事業者から職員の派遣を受けたり、また、お話のように、主治医などと連携して対応する体制がとられているところでございます。
○斉藤委員 先ほど西崎委員の方からも話がありましたように、障害者の在宅に関しては、大変、今後はふえる傾向でありますし、またふえなければならないということもいっているわけであります。したがいまして、今のところは喀たん吸引の部分である程度バックアップがあればというふうになっておりますが、恐らく今後いろんなそういったメニューに関しても、いろんなニーズが実際には出てくるのじゃないかと思います。
その部分については、東京都の方でいろんな、医療との関係もありますので、交渉しながら、多分実際にだれかが何でもできるということはない、ホームヘルパーが何でもできるようになるということはなかなか難しいと思いますが、一方で、医療のケアを限定しながらということは、多分一歩一歩進んでいく話なのかなというふうに思いますので、ぜひその辺は努力をしていただければというふうに思っています。
ただ同時に、なかなか現行の制度においても協力診療所を探すというのが、また診療所の方もどういうふうにしていいかという部分について、多分いろいろ細かいところで具体的に話を進めていく部分が難しいと思いますので、ぜひそのあたりは東京都も積極的に相談に乗っていただければというふうに思います。
これにつきましては、グループホーム以外でも、保育園でも実際に、私の隣の東大和市で、私の友人のお子さんだったのですけれども、喉頭軟化症の方の関係で吸引が保育園でできるかという問題があったり、いろいろそういった具体的な施設での悩みがあるかと思いますので、ご協力をいただきたい、積極的な努力をいただきたいと思います。
では、若干角度を変えまして、自立支援法について伺います。
この自立支援法については、介護保険のようにケアマネジャーに当たる人がおりません。全体としてはその分の経費がかかっていないので、制度のコストとしては若干その分安いわけなんですけれども、かわりにその業務も市区町村が肩がわりをしております。
ですが、市区町村の方で、一応それを担当するような専門職を非常勤の形で何人か雇うということはやっているのですけれども、一方で、あくまで市役所、区役所等でやっているわけですから、なかなか一般のケアマネジャーとはちょっと角度が違います。民間事業者のような、民間ゆえの緊張感とか、民間ゆえのフットワークという点でいえば、やはり自治体の方の枠ということで、若干そういったものが乏しいような気がいたします。
また、実際にこれはあったことですけれども、精神障害者の方にサービスの内容や量についてある程度決定をしている中で、例えば精神障害者の方から、この時間をこういうふうにふやしてほしいというふうに意見があるわけです。実際にそういった意見はあるのでしょうけれども、内容によっては、本人がそういった判断が難しいから障害者ということになるわけですね。なのに、その障害者当人の話をうのみにし過ぎてしまって、どんどんサービスの時間を変更してしまったりということが実際にあったりするのです。これは逆に、かかわっているヘルパーとかの意見を聞いて、本人の主張がバランスがいいものか、バランスが悪いものかというのを本来ならば検証した上で変えなきゃいけないのですが、なぜかそのまま受けてしまって、うっかりするとどんどんどんどん本人のいうままになってしまって、サービス料がどんどんふえていくということも十分考えられるわけです。そういったことを市区町村の方でやってしまうということもあります。
これは、もともと市区町村自身が非常に程度が低いということをいっているのではなくて、本来こういった業務が市区町村の中に余りなかったのですね。それを自立支援法に伴ってつくったわけですから、市区町村としてもそんなにノウハウがあるわけじゃないということです。この部分で、結局これについては、そういう点でいえば、東京都の方から全体を見たときに、市区町村の方に、今自立支援法をやっていて、市区町村そのものにも負担がかかっている。同時に、なかなかいい的確なサービス対応ができない。それをするだけの知識や経験がばらばらであるし、十分でないという場合もある。
そういう課題があるのではないかと私は思っているのですけれども、実際に東京都の方で、どのように相談支援事業の質の向上と、そしてまた確保に取り組んでいるのか、伺います。
○松浦障害者施策推進部長 障害者自立支援法における相談支援事業についてでございますけれども、この自立支援法では、障害者のニーズや課題にきめ細かく対応するために、障害者等の相談に応じ必要な情報の提供や助言を行うとともに、さまざまなサービスを組み合わせて利用することを支援する相談支援事業を設けまして、区市町村または区市町村から委託を受けた指定事業者が実施するということになっております。
東京都といたしましては、これら相談支援事業従事者を対象といたしまして、障害者がサービスを総合的かつ適切に利用できるような支援技術の講義や、事例を活用したロールプレーイング等の研修を実施いたしまして、相談支援事業の担い手の資質の向上を図り、サービスの質の向上、確保を図っているところでございます。
○斉藤委員 若干決算委員会の中で私は触れたのですけれども、知的障害とか精神障害の場合、なかなか自分のニーズを的確に人に説明するということが難しいです。それができれば、逆にいえば、本当に障害者ではないというふうになってしまいますから、そういう点で、ぜひ客観的な情報も得て判断するようなことを提案して、市区町村にアドバイスをしていただきたいと思います。
続けて、同じ自立支援法について、事業者の報酬の請求に関して伺うのですけれども、実際には東京都の方で、介護保険、特に去年の平成十九年に関しては、さまざまな不適当な請求とか事業者など、かなりチェックをしていたのですけれども、自立支援法の請求において、これは請求ソフトの方で、請求ソフトはダウンロードできるのですね。それを使って事業所は、幾ら本日は働きました、幾ら本日は利用者さんにサービスを提供しましたということで報酬を請求するのですね。この請求ソフトの書式の画面の中では、生年月日や性別などの基本情報を、実績記録表と請求明細書の両方で利用者情報を検索して呼び出さなくては入力できないという、ちょっと面倒な、私が説明しても面倒なんですが、入力するのはさらに面倒な状態でございます。
その反面、例えば、月に五回ケアが、週の中で五日間ぐらい、たまたまその日は同じ曜日で、五週目があった関係でケアが五回あった。ところが、途中で体調が悪くて、利用者さんの方からきょうはキャンセルということで、例えばホームヘルパーが一日行かなくなったとします。そういったときにでも、記録用紙に本人が間違って、もともとそういったものが苦手な方が多いですから、ケアをいつもどおりしたような形で本人確認欄にサインをしてしまうことがあります。そうしますと、事業者が注意していないと、本人のサインがあるまま、そのままどんどんどんどん請求が進むと、一回やっていないにもかかわらず、四回しかやっていないのに五回分請求をしてしまうということがあるのですね。
こういった注意みたいなのは、事業者自身が自己の良心と誠意に伴って申請しなければならないという、一方で入力のソフトは面倒くさい、その上、事業者の方の請求責任は大変、こういったことの中で、当然ふだんの業務も、実際のケアの業務もやっている中で、請求業務そのものが非常に面倒くさい、煩雑であるというふうなことになっています。なおかつ、うっかり間違って請求をしてしまったときに、済みません、あのとき間違ってしまいましたというふうにまじめに問い合わせると、一々自治体の方にいって、修正を申請してくださいみたいな感じになっちゃうのですね。
こうなってくると、報酬単価は低いといわれている中で、事務作業は本当に煩雑、なおかつ、まじめにやればやるほど事務がふえてくる。それで全体の報酬の部分が低いわけですから、どうやってモチベーションを維持していくかというのは、非常に至難のわざなわけですね。まさにソフトそのものが、事業者の良心に頼ってつくられているようなものです。
もちろん、介護保険などは、一々買って、三、四万円ぐらいで買ってソフトを入手していますから、それはそれでコストが高くなってしまう。ダウンロードすれば確かに安いけれども、そのかわりソフトは非常に粗っぽいのですね、つくりが。
そういうことで、ケアの方で本当は事業者の良心を発揮していただきたいのに、報酬請求でも良心を発揮してくれというふうなことに今のところなっているわけです。こういったことの事務の煩雑さの軽減というのをやはり図るように、国にしっかり東京都の方から働きかけをしていかないといけないと思うのですが、いかがでございましょう。
○松浦障害者施策推進部長 障害者自立支援法におきます給付費の請求についてでございますけれども、昨年十月に障害者自立支援給付支払い等システムが稼働しております。
このシステムにおきましては、給付費の請求事務におきまして、国が配布する簡易入力システムを使用することになっておりますけれども、お話のとおり、サービスの実績記録と給付費の請求明細書を別々に作成しなければならないということになっております。
また、データ送付の際にチェック漏れがありますと請求明細書のデータが送付されないなど、事務が煩雑な面があるというふうに承知しております。
都といたしましては、事業者の方々の要望を反映いたしまして、国に対し事務軽減や事務改善の対策を講じるよう要望しているところでございます。
○斉藤委員 こういった自立支援法に基づく事業者の報酬の単価の低さについては、決算委員会でこれは私もいわせていただきました。
実際にこのようなことがそのままになってしまうと、本当に優秀な人材を抱えている事業所がどんどん経営が成り立たなくなってしまうということを非常に心配するところであります。ぜひとも早期の改善を図って、なかなかお金が出せないのであれば、本当にこういった事務の煩雑さを減らすことによって、コストを効率よく削減していくということをしっかりしていただきたいと思います。
では、続きまして、自立支援法に並ぶ介護保険ということで伺います。
昨年度は、コムスンの介護事業の不正請求の事件の後、相当数の訪問介護事業所に指導検査を行っております。そして、多くの訪問介護事業所が事実上処分を受けたり、また文書指摘等の指導を受けております。この不正請求等に対する指導検査、先ほどちょっと請求に関しては自立支援法でお話をさせていただきましたが、介護保険の指導検査について、安易な介護と不適切な請求を抑止するという点で効果があると私は思いますけれども、訪問介護事業所等に対する、多分昨年度というのが一つの集計の節目になっていると思うのですが、昨年度の指導検査について、どのような実績や結果であったのか、そしてまた、不正請求に対する対応も含めて伺います。
○鈴木指導監査部長 都内の訪問介護事業所等に対する実地検査ですが、平成十九年度は二百五十九カ所に対して実施をいたしました。その結果、訪問介護計画の適正な作成交付や利用者の同意を得ることが不十分であったこと、介護報酬算定の誤り、不備など千七件の文書指摘を行っております。
一方、不正または著しい不当が疑われる場合には監査を実施いたしまして、指定取り消しや指定の一部効力停止など、十五件の処分をしております。
実地検査や監査の結果明らかになった過誤請求や不正請求等については、事業者に対し、総額約六億七千万円の介護報酬の返還を指示したところでございます。
○斉藤委員 もちろん、不正な請求については、東京都の方のチェックが非常に、東京都の大きな仕事でございますので、取り組んでいただきたいと思います。
一方、それの部分で、同時に、あくまできちんと普通にやっていても運営ができるというところがあってこその不正請求のチェックということは事実だと思います。ただ、残念ながら介護保険については、来年若干でも報酬単価を上げるような様子がありますけれども、ほかの部分でもコストの削減、先ほど自立支援法でもいいましたけれども、コスト削減についてはやはり努力をしていただきたい部分が、各事業所ではなくて、大もとの方の部分で幾つかございます。
実際に各事業所は、実はケアに行った先からケアに行った先、一つ目のケアがあって、次の二番目のケアに行くときに、ヘルパーの移動費も出すようにと労働基準監督署なんかが指導しているのですが、実際に聞いてみると、かなり大手のところでもなかなかそれが導入できないところがたくさんあって、実際に事業運営が厳しくて、労基署がいうような移動費は、捻出したくても非常に難しいという事業所はたくさんあるようでございます。
そういった中で、やはりコスト削減につながるようなことをしていただきたいというのが各事業所から東京都などへの要望なわけですが、例えばちょっと私の方で意見をいわせていただきますと、以前これも話題にしたことがあるのですが、介護保険の報酬請求をする際に、これは国保中央会というところがこれを受けているのですが、これの方にさっきの自立支援法と同様に伝送して請求をする際に、今どきISDNでやってくれというのですね。これしか使えないというのですよ。大変反応速度が遅くて、ふだんの業務でいろんなことを調べたりするのに、今ISDNを使っているところは少ないと思うのですね。実際にちょっと入れてみると、非常に今となっては、この制度がつくられたときはある程度最新のものだったのはよくわかるのですが、実際には、今でも新しい事業所をつくったときに、ISDNのみ可能というふうなことになっているのです。
また、うまくいきませんでした、ちょっと送信がうまくいかなかったとか、いろんなことがあったときに、データを実際に郵便か何かで送るので、何で送ったらいいですかというと、フロッピーディスクでというのですね。そうすると、今パソコンでフロッピーディスクがついていないのも幾つかあるぐらいで、今となっては一番使い勝手が悪くなりつつあるものです。これを毎月やっているわけですね。
もちろんこれは東京都の方の話では全くないので、あくまできょうは意見なんですけれども、これはきちんと、これだけ事業所があって、しかもコストがかかるのを極力減らしても、法律を守れるような移動費を出したくてもなかなかすぐには出せないという状況の中で、こういった工夫がなされていなくて、コストが上がることばかり。
実際にISDNでは不便だからといって、本当に実務的にふだんの処理をやろうと思ったら、ほかの回線を引いちゃったという事業所が結構あるわけです。そうすると、それはやっぱりむだなコストなんですね。ですから、そういったことをきちんと東京都の方でも、協力をするなりアドバイスをするなり、国保中央会に努力を求めるべきではないかというふうに思います。
また、時々話題になって、私の会派の泉谷議員なんかも審議会などでもいってくれているらしいのですが、評判が余りよくない公表制度。十一月十四日の業界紙の方の報道では、公表制度の柱である事業者の情報公表ホームページ、このアクセスが一事業者当たり、東京都でわずかに三・〇五件。これは七月分だけですね。年間では三十七件程度ですね。そのために四万円程度の負担をするわけです、もともとの事業のパイが小さい事業所で。この三・〇五件というのは、全国的には非常に多い方なんですね。少ない県だと一件とか二件なんですよ。これはやはりちょっと、普通の民間事業のコストとしていかがなものかというところであります。しかも、アクセスですから、これで仕事がとれたかどうかは全く別問題ですから、そういうことを考えてみると、現実に最近の調査でこれだけアクセス数が少ないということから、安くしろというふうにいうか、それともこれを根本から考え直すかということは、また都の方の判断に任せますけれども、ぜひともある意味の改善を求めていきたいと思います。
このように、大変疑問のある必要経費の積み重ねの結果、事業所は民業ですから、収益がなければ合併、撤退は当然だというふうにいわれれば確かにそのとおりです。しかしながら、介護事業所が廃業の際には、利用者を他の事業所に割り振っていくというふうなルールになっていますので、恐らくサービス総量そのものには極端な変化がないので、何か大丈夫のような感じがするのだと思いますが、実際にはかなり事業所の方での離合集散があると思います。
東京都全体の訪問介護事業所の数というものについては、恐らく年度末集計というふうになると思うのですが、実際にはどのようになっているのか、またその理由についてはどのように考えているのか、伺います。
○狩野高齢社会対策部長 訪問介護事業所数についてでございますが、平成十九年度当初では三千八十カ所、平成二十年度当初では二千七百五十八カ所となっており、三百二十二カ所の減となっております。
事業所数が減少した理由についてでございますが、厚生労働省が行っている介護給付費実態調査を見ますと、訪問介護事業所一事業所当たりの利用者数及び収入が減少しており、こうしたことなどが影響しているのではないかと考えられます。
○斉藤委員 恐らく報酬が減った部分も、ニーズが減ったというよりは、むしろ、利益が上がるような報酬の枠みたいなものが制度的になくなってきたということも大きく関係しているのかと思います。いずれにせよ、余り燃料とかそういったものにコストがかかる事業ではありませんが、確実に、少し前の春ぐらいの段階で全体の一割がもうなくなっているというふうになっていますので、ぜひとも先ほどのようなコストの問題について、東京都の方で協力をしていただければと思います。
介護保険の最後に、特養ホームなども含めて介護人材の不足があるわけですが、これの養成に関して、確保に関していろんなお金をかけたいところではありますが、実際にはこういった福祉に関しては、相手は高齢化であったり、相手は病気であったりというふうな、あくまで自然的な要素が多いものであって、行政の対応が必ずしも追いつくというのは大変難しいことだと私は思っています。ですが、足りない人間はやはり何とか回していくというふうに知恵を出すのがまさに行政の方の進歩であり、また工夫なんだと思います。
自治体の方では、サービスの提供量の過不足については恐らく算定をしているというふうなことになっているわけなんですが、介護人材の不足に関して、恐らく年度末ぐらいの集計となると思いますが、平成十九年度はどのようになっていて、都の方ではどのように総括をして考えているのか、伺います。
○狩野高齢社会対策部長 東京都における介護分野の有効求人倍率は、国の職業安定業務統計によれば、平成十八年度は二・八二であったものが平成十九年度は三・五二となり、介護人材不足が顕著になった一年であったというふうに認識しております。
都では、この問題を解決するためには、東京の実態を反映した介護報酬とすることが必要であると考え、昨年五月、国に対し、賃金や物価などの地域差を適正に反映し、介護保険施設等が将来にわたって安定的に運営できる介護報酬とするよう提言したところでございます。さらに、本年六月には、より厳しくなった介護保険施設等の経営状況などを詳細に分析し、介護人材の定着確保に向けた介護報酬のあり方について、国に再度提言したところでございます。
○斉藤委員 それで、介護の方から医療の方にちょっとテーマを移したいと思います。何点か伺います。
先ほど来、産婦人科を中心にした救急医療の話が話題になりました。ことしの初めに、私の地元の小平市もそうですけれども、多摩地域でなかなか搬送先がすぐに見つからなかったという案件がございました。多摩地域の救急医療の体制の構築についてどのように考えているか、伺います。
○吉井医療政策部長 病院選定の迅速化や救急患者の円滑な受け入れなど、迅速、適切な救急医療を確保するため、東京都では、本年二月から救急医療対策協議会による検討を開始し、先週の十四日でございますけれども、最終報告書案の審議を終えたところでございます。
その報告書案では三つの救急医療の東京ルールを示してございまして、そのうちの一つで、救急患者の迅速な受け入れを掲げてございます。救急患者を迅速に医療の管理下に置けるよう、地域の救急医療機関が相互に連携協力し救急患者を受け入れる、そういう仕組みを構築すること。さらには、その仕組みづくりを担う医療機関といたしまして、二次保健医療圏を単位に、東京都地域救急医療センター、仮称でございますけれども、これを整備し、病院選定が困難となっている患者の受け入れ先調整を行うことなどが提言されております。
都といたしましては、多摩地域も含めた都内全域で迅速、適切な救急医療が確保されますよう、協議会で提言された取り組みについて具体的な検討を進めてまいります。
○斉藤委員 なかなか多摩地域の方も、昨年度の消防の搬送時間が長かったケースが大体平均的には三十分ぐらいということで、第七方面、江戸川と葛飾の方なんですが、あそこと並んで多摩地域の方はワーストスリーに入っていたので、ぜひとも多摩の方の救急医療に取り組んでいただきたいと思います。
その救急に関して、うちの近くの、小平の青梅街道駅という非常にローカルな単線の駅があるのですね。そこのところにも、救急が本当に必要かどうか、救急車が本当に必要ですかということで、東京消防庁が中心になって、軽いけがだったら自分で行きましょうというようなポスターが張ってあります。随分前からいろんなバージョンが出ていて張ってあるのですけれども、救急車の方はわかりましたし、私がいいました東京消防庁の方で宣伝をしていただいているのは大変ありがたい話なんですが、一方で、では医療に対してはどうなのか。都民の医療に対する考え方というのはさまざまでありますが、最終的には患者が医療機関と一緒になって自分の病気と対峙をしていく、治療をしていくという角度で、医療機関と患者が協力をしていくということが非常に大事な姿勢なわけです。
しかしながら、残念ながら私の地元の二次救急病院で聞いても、いや、実際にモンスターペイシェントみたいな方はいらっしゃいますよと。アルコールを飲んで来て、夜中に実際に暴れたりというようなことも含めて、まさに医療スタッフが疲弊するようなことがありますよと。本当は患者教育なのか、それは国民教育、都民教育なのか、それはわからないですが、適切な医療の受け方がわからない人がだんだん多くなっているというのは事実ではないかなというふうにいっておりました。
それで、はたと思ったのですが、そのように今や鉄道事業者は、まさに会社の壁を超えて、どこの鉄道会社でも張れるように、積極的なマナーの向上というのを訴えています。正直いって、お客さんに対してあそこまでマナーの向上を訴えるというのは、やはり他の事業者と足並みをそろえた結果でできる話ですし、一つ覚悟を持ってやらなければなかなか取り組めなかった問題かなと思います。そういったものが今だんだん自然に、目についても何ら違和感を覚えなくなってきているのは事実かと思います。
考えてみれば、昔から銭湯は、最近のはやりのスーパー銭湯と呼ばれているところまで、入れ墨の方はお断りなど、本来ならお客さんにいいにくいことを玄関に堂々と張ってあります。普通だったら、相手の方も相手の方ですので、トラブルになっても何ら不思議ではない。しかも、玄関まで入ってきているときにお断りといっているのですから、随分とまた大胆な注意書きなんですが、しかしながら、考えてみたら、そういうことを許容できる文化というものがちゃんとあったわけですね。
○東野委員長 予定時間を過ぎておりますので、手短にお願いします。
○斉藤委員 はい。
そこで、もっと東京都で、医療機関の中だけではなくて、医療機関の外にもこういった広報活動を、予算をとって、多分箱物をつくるよりも安いですので、積極的に広報活動を展開すべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○吉井医療政策部長 医療は患者と医師の信頼関係に基づいて行われること、これが重要であると考えております。
先ほど申し上げました救急医療対策協議会における救急医療の東京ルール、この中でも都民の参画と協力ということを大きな柱に掲げておりまして、都民がみずからのセーフティーネットである救急医療、これが重要な社会資源であることを認識して、救急医療を守るための適切な利用を心がけることが必要であるとしてございます。その取り組みの一環といたしまして、来月十三日には、小児科の医師と親御さんの相互理解の促進を主な目的としました講演会を実施する予定でございます。
都といたしましては、都民の医療に対する理解を促進いたしまして、適切な受療行動など、都民の主体的な医療への参画を進めるための取り組みを今後とも続けてまいりたいと考えております。
○斉藤委員 大変小児の方は頑張っているようですが、成人の方が大分、まだこれからという感じですので、ぜひ、来年の予算書を期待しておりますので、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○橘委員 私の方からは、障害者スポーツの振興について質問いたします。
ことし七月に改定されました東京都スポーツ振興基本計画は、生活文化スポーツ局が主管局となって策定したものでありますけれども、障害者スポーツについては福祉保健局と連携を密にとってまとめられたものであるということなので、共通する理念部分について伺います。
障害者スポーツの振興や支援について基本計画にはどのように書かれているのかというと、障害者スポーツの振興は、レクリエーションや競技スポーツとしての意義にとどまらず、障害者の自立促進や社会参加の推進、障害者への理解促進といった側面においても大変重要な役割を果たしていると、このように福祉保健の分野からの色合いが非常に濃い内容となっております。そういった部分を強調した上で、今後さらに活発化させるために、幾つかの課題もここで掲げております。その一点は、障害者スポーツの施設についてであります。
福祉保健局は、現在、専用施設として区部と多摩それぞれ一カ所にスポーツセンターを運営しておりますけれども、この現状の利用実態を踏まえて、この利用実態が現在でほぼニーズにこたえられているのか。それとも、今後のことを考えるとこれだけでは足りない、地域にも広げていかなければならない、また、独自の方法で整備していかなきゃならないのか、そういったニーズにこたえていくための施設について、福祉保健局としての基本的な認識を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 東京都におきましては、今委員お話しのとおり、二つの障害者スポーツセンターを運営しているわけでございますけれども、障害者のスポーツの振興ということを考えましたら、障害者の自立促進、社会参加の推進、障害者への理解促進といった側面から見まして、身近な地域におけるそういうスポーツをできる場の整備というものは必要というふうに考えてございます。
○橘委員 確かにこれからの障害者スポーツというのは、非常に最近盛んになっておりまして、今、区部と多摩の二つの施設については非常に利用率が高いというふうに聞いております。また、データ的にもそういうふうになっておりますけれども、これをまた地域に広げるというのは、やはり地域の、区市町村の体育館とかまた団体の体育館を活発に活用していく、そういった工夫もこれから大事であろうと思いますので、この点については他局との連携もございますので、要請していって、万全な確保をお願いしたいと思います。
次に、障害者スポーツの指導者の養成について伺います。
この二カ所の障害者スポーツセンターでは、障害者スポーツの指導者養成事業も行っておりますけれども、これは非常に重要であるかと思います。なぜかといいますと、障害者スポーツにおいては、技術だけではなくて、楽しさであるとか、それから達成感であるとか、さらにはメンタルな部分も含めまして、健常者ではできないような、そういった指導をきめ細かに行っていかないと、なかなかこれが定着していかない、長続きしないという実態もあるようでございます。
この点については、指導者次第で才能が非常に伸びる方もいらっしゃるそうなんです。そしてまた、指導者次第では、嫌になってやる気をなくするというケースもあるそうなんです。この点についても、健常者ではちょっと考えられない部分も障害者のスポーツにおいては発生するというふうにも聞いております。
その観点から、障害者スポーツがこれから活発化していくためには、こうしたオールマイティーな、またさまざまな知識、専門的な技能を持った指導者、こういったものをたくさん輩出していく、養成していくということがこれまで以上に重要になってくると考えますけれども、この障害者スポーツの指導者の養成についてどのように考えているか、見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 障害者スポーツ指導者の養成についてでございますけれども、東京都障害者スポーツセンターにおきましては、障害者スポーツ指導者の養成に関しまして、初級、中級、上級のクラスに分けた講習を実施し、それぞれのクラスに応じまして、実技面だけではなくて、医療領域、福祉領域、スポーツ心理学など幅広いカリキュラムを組みまして、スポーツの楽しみや喜びを理解させたり、選手の安全や健康管理を図るための知識、技術を習得させているところでございます。また、日々の利用者のスポーツの指導を通じまして、障害に応じた競技方法などを考案したり、また、その成果を指導者養成講習に活用するなど、実践的な講習に努めております。
橘委員ご指摘のとおり、今後ともこうした全都で活動できる指導者の養成を図ってまいります。
○橘委員 パラリンピックがマスコミ等でも非常に大きく紹介されるようになってから、国際大会を自分も目指してみたい、そういった意欲に燃えている方がふえているというふうに聞いています。
私もパラリンピックに出場した方を知っているのですけれども、その方に聞きましたら、自分でも頑張ったら、わざを磨いて出場できるのじゃないか、そこがきっかけとなって、今回の北京のパラリンピックにも出場したという方でしたけれども、そういった意欲に燃える方が非常にふえているというふうに聞いています。
そこで、今申し上げた指導者の育成とともに、スポーツ工学などの手法を取り入れた障害者スポーツに関する専門的な研究開発、これも非常に必要ではないかというふうに思います。今、パラリンピックにしても、障害者の国際大会というのは非常にレベルが高くなっておりまして、それに対応していくためには、やはり、単なるアマチュアのレベルの努力であるとか技能ではついていけないという実態もあるようでございます。
そういう面からいいますと、今、福祉保健局が所管している二つのスポーツセンターでやっている研究開発というのもあるのですけれども、これは本当にレクリエーションとか競技でちょこっと改良するといった、そんな程度の技術や研究の開発というふうに聞いていますけれども、これをもう少し発展させて、スポーツ工学というレベルの分野に近づけるような研究もなさったらいかがかなと。そうしますと、スポーツセンターでやっている実技とそれから研究開発の部門、これが連動していくのではないか、それがスポーツの競技力の向上に結びついていくのではないかと私は考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 東京都障害者スポーツセンターでは、先ほど申し上げましたとおり、日々の利用者へのスポーツの指導を通じまして、障害に応じた競技方法を工夫して、障害者が楽しく競技に参加できるような取り組みについては実践しているところでございます。
先生お尋ねのスポーツ工学などの手法を取り入れた専門的な研究開発につきましては、東京都スポーツ振興基本計画を踏まえまして、今後関係局と協議してまいります。
○橘委員 東京における障害者スポーツの振興というのは、時代の要請でもあると思います。二〇一六年の東京オリンピック実現の大きな招致要因にもなると思います。障害者スポーツに参加していく環境づくりに向けた事業というのは、これからきめ細かくやっていったら、これはやっただけ効果が出てくるように私は思います。
この障害者スポーツについては、生活文化スポーツ局の事業との兼ね合いもございますけれども、福祉保健局としても、幅広い分野にわたってこれを積極的に、さまざまな事業展開をやっていった方が、東京全体の障害者スポーツの発展につながると考えますけれども、この点について見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 東京都はこれまでも、東京都障害者スポーツ大会、これは毎年開催しておりますけれども、こういうことのほか、これまで申し上げていますとおり、二カ所のスポーツセンターを設置しまして、スポーツ振興に取り組んでいるところでございますけれども、この障害者スポーツセンターにおきましては、スポーツに親しめる場の確保、指導者等の養成を行うというようなことをやっております。今後、これらの事業の充実に向けて検討してまいりたいというふうに思っております。
○橘委員 次に、アジアユースパラゲームズについて伺います。
今後の障害者スポーツの振興をさらに進めていくためには、来年九月に東京で開催されます東京二〇〇九アジアユースパラゲームズ、これは大きな意義を持っていると思います。アジアにおいては、今なお紛争等の戦渦に巻き込まれたり、あるいは命を奪わない、あえて命を奪わない構造の小型の地雷などもあって、そういった非人道的な地雷、そういったもので障害を負った子どもたちもアジアにはたくさんおります。
十数年前でありますけれども、私も、戦火がようやくおさまったカンボジアに取材で行ったことがありますけれども、そこで、現地で見せてもらった地雷の中には、本当に親指大ぐらいの太さで、短いもので木にぶら下げておく、そういった地雷もございました。それによって子どもたちがけがをする、そういったものもたくさんありまして、そして、けがをした子どもたちをプノンペンの町の中で何人か見かけたことがございます。そうした子どもたちはアジア地域にたくさんいるということなんですけれども、この子どもたちにとっても、未来に希望を持つためにも、人生にまた頑張るという、そういった気概を持つためにも、スポーツというのは非常に大きな力になるかと思います。
同じくカンボジアに行ったときに訪問した先の一つに、孤児院という、第一孤児院、第二孤児院とプノンペンではいっていましたけれども、そこでも孤児の子どもたちがたくさんいらっしゃいましたけれども、そこではスポーツといったらサッカーしかありませんでした。それは欧米のNGOがプレゼントしたサッカーボールでありましたけれども、革というか布が中から出てきて、ずたずたになったものを一生懸命けっておりました。スポーツというのは、やはり子どもたちを生き生きさせる非常にすばらしい財産でもあるなというふうに私はそのときに感じた次第であります。
そうした障害者にとってのスポーツ振興というものは、これからも非常に大事になってきますし、そして、その観点からこの大会の意義というのは非常に大きなものがあると思います。特にアジア地域で開催することに大きな意義があると思いますけれども、まず全体の計画について説明をいただきたいと思います。
○別宮参事 アジアユースパラゲームズの全体計画についてのご質問でございますが、本大会は、アジアパラリンピック委員会と東京二〇〇九アジアユースパラゲームズ組織委員会が主催者となりまして、来年九月に東京で開催される大会でございます。
また、参加者は十四歳から十九歳の障害のある若者でございまして、アジアパラリンピック委員会に加盟する四十の国、地域から参加を募りまして、選手、スタッフ合わせて千人規模の大会でございます。
また、陸上、水泳、卓球、ボッチャ、ゴールボールの五競技に加えまして、公開競技の車いすテニスを加えました六つのパラリンピック競技で実施されるものでございます。
選手村には国立オリンピック記念青少年総合センターを充てまして、競技会場としましては、国立霞ヶ丘競技場、それから東京辰巳国際水泳場、東京体育館、国立代々木体育館等を予定してございます。
ハード面はもとより、競技運営などのソフト面におきましても、国際大会として高い水準の大会運営を目指しているものでございます。
以上が全体計画でございます。
○橘委員 来年のアジアユースパラゲームズでは、その大会というのは、二〇〇三年の香港での大会以来、六年ぶりになるかと思いますけれども、東京があえて手を挙げて開催する運びとなったわけですけれども、東京でこの大会を実施する意義について、どのような意義づけをして、また、どのような成果を期待して開くのか、見解を伺います。
○別宮参事 まず、東京でということで、オリンピック・パラリンピックにふさわしい魅力ある都市として世界にアピールできるということで、この大会を開催する意義がございます。
また、アジアのユースアスリートに対しまして質の高い競技の場を提供し、競技性を高める機会とするとともに、スポーツをする喜びを通じまして、人生に希望を持ち、豊かな人間性をはぐくむ機会とするものでございます。
またさらに、こうしたアスリートの活躍の姿を見せることで、広く障害のある子どもたちに夢や希望を与えることができるものでありまして、本大会に大きな意義があるものと考えてございます。
また、一九六四年のパラリンピック東京大会が開催されて以降、初めての障害者の国際的な総合競技大会でございまして、アジア及び世界における障害者スポーツのさらなる発展に寄与するものでございます。
○橘委員 近年、障害者スポーツは目覚ましい発展を遂げておりまして、さきの北京パラリンピックでも見られたように、競技レベルの高さ、これはもう目をみはるものがございました。その競技性はますます向上しているのが現状であります。
こうした世界における障害者スポーツの流れの中で、この東京の大会が目的とするもの、これは、競技性を優先するのか、それとも友好を図ることを優先するのか。今の計画では、競技レベルを競う、そういった趣旨の大会ではございますけれども、せっかくの機会ですから、競技のレベルを競うだけではなくて、この絶好の機会に、友好の場、これも東京らしさをちょっと工夫してみてはどうかというふうに考えます。この点はどうでしょうか。
○別宮参事 大会の目的のご質問でございます。
障害者スポーツにおける世界的な発展の潮流の中で、アジアのユースアスリートに対して質の高い競技の機会を提供する、その競技力、競技性を一層向上させるということを大きな目的としております。
その上で、委員ご指摘のとおり、選手同士の交流により友情をはぐくみ、アジアの結束を強め、友好親善に寄与することも、もう一つの重要な目的であると考えてございます。
さらに、本大会を見聞きした多くの障害のある若者にスポーツをするきっかけを与えることなどによりまして、社会参加の促進にもつなげることができるものと考えてございます。
○橘委員 各国から応援に来る方もいらっしゃいますし、自分も将来こういうゲームに参加してみたい、大会に参加してみたいというふうな方もいらっしゃいますので、その人たちが、大会を見るだけではなくて、自分も実際にやってみるとか、そういった機会も何かつくってみてはどうかと提案しておきます。開催期間がわずか三日間しかありませんので、その中に突っ込むというのは大変かもしれませんけれども、何か一つでもきっかけがあれば、それが大きく芽を出していく可能性もありますので、そうした工夫も可能であればお願いしたいと要望しておきます。
この障害者スポーツがアジアで継続的に、また持続的に定着していってムーブメントとなっていくためには、このアジアユースパラゲームズの定期開催が必要であろうかと思います。経済的な理由、さまざまな政治的な状況もあって、なかなか開催が定期的に開くということは難しい面もあるというふうに聞いておりますけれども、その中でやはり東京が、四年に一回ずつは開催していく、そういったリードをとっていく。そして、東京がある程度、さまざまな支援を行いながら参加しやすいような形に持っていく。それがアジアにおける東京の一つの役割ではないかと思います。
この点について、定着するために東京として今後どのように取り組んでいくのか、この辺についての見解を伺いたいと思います。
○別宮参事 まず、定期的な大会開催ということでございますけれども、本大会の前身であります、先ほど委員もご指摘のとおり、二〇〇三年に香港大会が第一回のアジアユース大会としてございまして、それから六年の歳月が来年でたつわけですけれども、大会開催権を有するアジアパラリンピック委員会としましては、四年ごとの開催を考えているというふうに聞いてございます。そのため、アジアパラリンピック委員会におきましても、定期的な開催を目指しております。
私どもとしましては、来年のこの大会を成功裏に終わらせることによって、引き続き東京都としても、次回の大会に引き継いでいけるのではないかというふうに考えてございます。
○橘委員 中長期的に、ユースアスリートそれからパラリンピックアスリート、こうした人たちを持続的に続々と輩出していくためには、やはりある程度支援体制が必要なのではないかと思います。
といいますのは、この方たちは移動も結構大変なんです。そしてまた、器具も、独自に開発するものもございますので、数も少ないということもあって、非常に高価であります。これは私、アーチェリーで聞いたことがあるのですが、これも大変高いものだそうなんです。そういったこともありまして、やはりアスリートを養成していく、また世界に輩出していく、そのためには、ある程度支援体制というものも必要ではないかと思います。
その観点から二点提案を申し上げますけれども、まず、障害者スポーツ振興奨励金のような、そういった支援制度はできないのか、これは検討をお願いしたいと思います。これも福祉保健局単独ではすぐできないかと思いますけれども、他局との連携でこの検討をお願いしたいと思います。
二点目は、ユースアスリートが育ちやすい土壌づくり、これも大事でありますし、そしてまた、競技者のすそ野を広げていく、こういった取り組みも大事かと思います。先ほど施設のことで私は申し上げましたけれども、施設というのは、大きな施設も整った施設も大事であるけれども、身近に練習する会場がある、施設がある、これも非常に大事だと思います。仕事が終わってから、学校が終わってから一時間、二時間そこで練習する、そういった身近にある練習会場も必要かと思います。これは直接福祉保健局のマターではございませんけれども、例えば特別支援学校の体育館それからスポーツ施設を使って、そういったアスリートを養成するための練習会場を提供するであるとか、そういったことも非常に大事かと思います。この確保については、ほかの局との連携もございますので、これは答弁を求めませんけれども、要望としておきますけれども、そうしたさまざまな連携体制をしていかないと、障害者のスポーツというものは発展していかない、そしてまた充実していかないと思いますので、この連携を強めていただきたいということも要望し、二点の項目について要望しておきたいと思います。
以上で終わります。
○吉田委員 福祉保健局の事務事業質疑に当たって、三点の項目で質問させていただきます。一つは障害者施策についてです。二つ目に介護基盤の整備及び若年性認知症について、三つ目に認証保育をめぐる問題についてであります。
第一に障害者施策についてです。
障害者施策をめぐっては、ご承知のとおり、自立支援法施行から三年が経過をし、来年度は法律に基づいて見直しを実施することが定められております。また、都としては、来年度から新たに二期計画に入り、そのための計画策定が進められております。
我が党は先日、障害者自立支援法の抜本見直しと東京都の障害者福祉向上のためにということで、申し入れ、要望をさせていただきました。ぜひ自立支援法の見直しに当たって、国に対して、また東京都自身の二期計画の策定に当たって、私どもの提出した要望書を生かしていただきたいと思います。その上に立って、三つの点について絞って質問、要望させていただきます。
一つは、国の自立支援対策臨時特例交付金事業が今年度で終了するということに伴う問題です。
この事業の中には、総額は約三十五億円ですけれども、例えば、日割り方式によって運営費が激減することへの対応策として、事業者の収入を九割保障するための支援などがありますし、また、地域移行や就労支援の推進事業なども入っています。来年度、国の特例交付金がなくなり、都として特別の手だてをとらないということになりますと、事業者及び障害者の皆さんにとって、その影響は大きなものだと思います。
そこで伺いますけれども、都として、国の特例交付金の今年度終了に対し、どのように対応するのか。現行の支援が後退しないように手だてをとるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 障害者自立支援対策臨時特例交付金の事業、いわゆる基金事業といっておりますけれども、この事業につきましては、都としましては、来年度以降も継続実施するよう、既に国に働きかけているところでございます。
また、そのほかの要望につきまして、例えば利用者負担につきましては、特別対策、緊急対策で行っている軽減措置について、平成二十二年度以降も実施するよう要望しているところでございます。
○吉田委員 要望しているということでありますけれども、結論的に東京の事業者、障害者の方々への支援策が後退することがないよう、都として手だてをとるべきは手だてをとるということを求めておきたいと思います。
二つ目に、盲ろう者への施策のことについて質問、要望させていただきます。
これまでも何度か盲ろう者に対する支援策を要望し、取り上げてまいりました。先日、当該団体の方々とお会いしたときに、一番強く出されたのは派遣時間の問題でありました。現行では、通訳介助者派遣時間は一日当たり一時間にも満たない。しかも、利用者がふえていながら、それが据え置かれてきている。そのために、人間としての最低限度の生活を維持することも困難。ましてや、地域の行事などに参加をしたいと勇気を持っても、断念、あきらめざるを得ない。余りにも非人間的ではないかという訴えがありました。こうした訴えについてどのように受けとめ、対応していくのか、ぜひお答えください。
○松浦障害者施策推進部長 盲ろう者の方に対する通訳介助派遣事業につきましては、先ほど野上理事に答弁したとおり、既に今年度から派遣単価を千五百円に引き上げているとともに、二十一年度予算要求に派遣時間の拡大を盛り込んでいるところでございます。
○吉田委員 据え置きが続いてきましたけれども、改善をするというお言葉でありますけれども、どんな重い障害の方であったとしても、地域の中で生活していくことを保障することが行政の責務だと思います。ぜひ、来年度だけではなく、引き続きこうした施策が改善されますように求めておきたいと思います。
障害者施策の三つ目で、質問し、要望しておきたいのは、さまざまな施策に共通する基盤整備に関してであります。
これまでも、都としても三カ年計画を立て、それを継続し、特別の支援策をもってグループホームを初めとする基盤整備に取り組んでまいりました。三カ年計画は今年度でたしか終了だと思いますけれども、引き続き、グループホームの整備拡充を初め、基盤整備の努力を求めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 基盤整備につきまして、例えばグループホーム、ケアホームについて申し上げますと、今、三カ年の計画目標の達成に向けて整備促進に努めているところでございます。また、既に平成十五年五月に策定した障害者計画では、二十三年度末にさらに拡充するという計画になっております。したがいまして、二十一年度要求におきまして、二十三年度まで事業者負担を軽減する施設整備費の特別助成については盛り込んでいるところでございます。
○吉田委員 続きまして、介護基盤及び若年性認知症について何点か質問をさせていただきます。
いうまでもなく、高齢者の介護問題は引き続き深刻な社会問題となっており、中でも介護基盤の整備はますます重要になっていると思います。私の事務所が実施した区民の皆さんに対するアンケートでも、老老介護をしているがもはや限界という声ですとか、入所には百番後というふうにいわれたけれども、もう待てないというふうな声が多数寄せられました。来年度からの三カ年計画に向けて、都としての支援計画の策定の検討などに入っていると思いますけれども、そうした中でも特養などの介護基盤を促進し、待機者解消を図ることは急務だと思います。
そこでまず、特別養護老人ホームなど介護基盤の整備の現状についてどのように認識し、どのように対応していこうとしているのか、ご答弁をお願いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 特別養護老人ホームは、地域での生活が困難な要介護高齢者の生活の場であり、多様な介護サービス基盤の一つとして整備促進に努めてきているところでございます。東京都高齢者保健福祉計画、第三期計画でございますけれども、これにおける平成十八年度末の必要利用定員総数は三万四千三十八人分に対して、整備の実績は三万四千百四十三人分となっており、達成率は一〇〇・三%となっております。また、平成十九年度末には、計画上の必要利用定員総数三万五千三百八十七人分に対して整備実績三万四千六百六人分で、達成率は九七・八%となっており、おおむね計画どおりに必要な施設整備が進んでおります。
特別養護老人ホームの整備につきましては、平成十八年度に国から都道府県に交付をされていました都道府県整備交付金が廃止されましたけれども、都では引き続き従来の補助水準を維持してまいりました。さらに、平成二十年度からは、施設の地域偏在を解消するために、区市町村の高齢者人口に対する施設定員数の割合に応じて補助単価のアップを図ったところでございます。
今後とも、都は、介護保険の保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、計画的な基盤整備に努めてまいります。
○吉田委員 計画に対する達成率は一〇〇%を超え、あるいはそれに近いという旨のお話がありましたけれども、私は、その計画自身が、現状からすれば低いのではないかというふうに思います。
東京都としても、東京の区市町村における特別養護老人ホームなどに対する申込者総数を調査した経過があったと思います。私どもとしても、この夏に申込者総数について調査をいたしましたが、約三万九千五百人でした。地域的な違いもあるでしょうけれども、とりわけ区部は深刻です。区部だけで申込者総数は約二万七千二百人です。一方、区部で昨年一年間で特養ホームに入所できた方の数も区から聞きました。そうしましたら、四千八百五十四人でした。これで割り返しますと、五・六年かかるということにも単純計算でなることと思うのです。
私は、やはりこうした実情に即して計画そのものを引き上げていく、そしてさらに、これまでもさまざまなご努力はあったかと思いますけれども、整備促進のための支援策やそのための予算措置ということをぜひ進めていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 先ほども答弁申し上げましたとおり、これまでも都は、東京都独自の補助制度で整備促進に努めてまいりました。
ちなみに、平成十九年十月に私どもは特別養護老人ホームへの入所希望者調査を行っておりますけれども、重複申し込みをされている方もおりますので、精査を行った結果、入所希望者の実数は三万八千三百二十一人で、委員の数字とほぼ近い数字になっております。
ただ、これを詳細に分析しますと、うち約二万人、半分以上は、現に介護保険施設やあるいは社会福祉施設、あるいは病院等に入院、入所している方が約半数を占めております。また、希望されている方の中には、要介護度でいいますと、介護度が一、二のいわゆる軽度の方が四分の一いるなど、必ずしも特別養護老人ホームに入所が直ちに必要な数をあらわしているものではないというふうに私どもは認識をしております。
それから、入所までの期間が非常に長いのではないかというお話ですけれども、これについては、なかなか入所の実績というのを私どもも把握する手段がございませんけれども、国の調査等によると、大体、今、特養の平均在所日数というのは、国の調査で三年六カ月、都の調査で三年九カ月になっておりますので、大体四年で入所者の入れかわりがあり、大体年間で二五%入れかわるわけですから、現在東京の特別養護老人ホームの定員数は三万四千ですので、大体毎年八千入れかわるというふうになっております。一定在宅で介護をされていて、要介護度の重い方については、若干待ってもらわなきゃいけないわけですけれども、入所はされているというふうに考えております。
吉田委員の地元の杉並区の担当にお聞きをいたしましたけれども、杉並区では、大体平均で約一年ぐらいは待っていただかなきゃいけませんけれども、最短では、緊急性のあるケースの場合には一カ月あるいは二カ月で入所している方もあるというふうに杉並区の方から伺っております。
○吉田委員 四年待つことが平均だということがいかに、それこそ老老介護の方々にとってみれば深刻なのかということを私は受けとめていただきたいのですよ。しかも、既に病院などに入所されて申し込みをしている方もいらっしゃるといいましたけれども、それは本当は一日も早く特養ホームに入りたいわけですよ。それができなくて、いわば病院を転々とせざるを得ないような事態の方々もいらっしゃるわけですよね。そういうことをぜひ担当部長としては真剣に受けとめて、努力をしていただきたいということを改めて述べておきます。
それで、都としては既にいろんな対策をとっているのだということを繰り返し述べましたけれども、しかし、私はどうしても一言いっておきたいことは、これをいうと長くなっちゃって恐縮なんですけれども、用地費助成を昨年から、今年度で打ち切りますよということを既に明らかにしているのですけれども、対策をとっているといいながら、用地費助成というのは特養整備の中で非常に大きな比重を占めている分野だと思うのですよね、予算的にいっても。しかも、そういう影響を受けていながら、例えば地元の区市町村などの了解を得ているのか、あるいは、これに対する何らかの代替措置を検討しているのか、それはどうでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 お話の用地取得費助成事業につきましては、本年度着工分をもって終了するということで、事業者、区市町村に対しましては平成十九年度中から説明をしているところでございます。
この事業は、約半数の区市町村で特養が未整備であった昭和六十年に開始したものでございます。当時は、施設用地の自己所有が原則であり、用地取得費の資金調達も困難であったことなど、用地確保が大きな課題となっておりました。その後、国の規制緩和によりまして、民有地の貸し付けによる特別養護老人ホームの整備が可能となり、現在は、定期借地権制度を活用することによって長期的に安定した用地確保が可能となったほか、用地取得費に対する融資制度の充実が図られるなど、状況が大きく変化をしました。こうしたことから、平成二十年度着工分をもって終了することとしたものでございます。
区市町村、事業者に対する説明については、これまでも十分してきているところでございますし、平成二十一年度の施設整備協議からはこの事業が対象にならないわけですけれども、現在事業者さんの方から相談を受けている協議件数を見ますと、来年度は七件今予定されておりまして、二十年度が六件ですので、余り大きな変化はないのかなというふうに思っております。
○吉田委員 先ほどもいいましたけれども、我が党は区市町村に対するアンケート調査を行った中で、用地費助成についても有効と考えるか否かということを問いました。その結果、例えば二十三区の中では二十二区が、用地費助成は引き続き有効というふうに回答が寄せられておりました。全体では七六%の区市町村が、用地費助成は引き続き有効であると。しかも、自由記載欄を見ても、用地費補助についてはぜひ継続してほしい、あるいは土地確保への支援策が強調されておりました。
また、用地費助成の継続とともに、さらなる支援策として、こうしたことも要望されました。建設資材の高騰で追加資金が必要となるケースがある。臨時的補助や貸付制度などでこういう事態に対しても対応してほしいという要望があったということも紹介をしておきます。
次に、特養などの基盤整備にかかわって--特養とグループホームについて二点要望し、質問させていただきます。
これも区市町村のアンケートの中で要望としてありましたけれども、特養では、入居者の負担の重さの軽減だとか整備促進ということから、ユニット化、個室化が原則なんですけれども、従来型の多床室も整備の対象にしてほしいということがありました。さらに、グループホームについては、従前のような三ユニットも認めてほしいという要望がありました。このことについてどのようにお考えかということと、たしか特養の従来型については、東京都自身の今後の三カ年計画の検討会の中では、三期計画に盛り込むべき内容というふうに書かれていたと思うのですが、そのことを含めてお答えください。
○狩野高齢社会対策部長 お話のユニットケアとは、施設の居室を小規模なグループに分けて、それぞれを一つの生活単位として少人数の家庭的な雰囲気の中でケアを行うものでございます。
国は平成十四年度に、生活の場である特別養護老人ホームの、従来の四人部屋主体の居住環境を抜本的に改善し、入居者の尊厳を重視したケアを実現するために、今後整備する特別養護老人ホームは全室個室、ユニットケアを原則としていくことといたしました。その後、第三期介護保険事業計画の中で、国は策定のための基本指針を定めましたけれども、その中で、平成二十六年度までに特別養護老人ホームのユニット化率を七〇%以上とすることとしております。
現在の状況ですが、全国のユニット化の進捗率は一四・八%に対して、東京都のユニット化率は一〇・七六%にとどまっております。したがいまして、都といたしましては、特別養護老人ホームの整備に当たりましては、ユニット型での整備を基本としていきたいというふうに考えております。
○吉田委員 グループホームについてはご答弁がなかったのですが、三ユニット化ということをぜひ、国にも要望していると思いますが、お願いをしたいのと、それと、部長はわざわざ後半を読み上げなかったのですが、私、東京都の文書を読みましたら、特養ホームですけれども、ユニット型の整備を基本としつつ、地域の実情等を踏まえた従来型の整備という言葉もあるということを私は紹介させていただきます。
次に、若年性認知症について、基本点について絞って伺います。
近年、若年性認知症ということが大きな社会問題となりました。四十代から発症し、しかも若い分、状態が急速に進行するということで大きな問題になり、都としても支援策、対策を検討し、できるところから具体化する必要があると思いますが、先ほど調査の話がありましたけれども、それは割愛をいたします。
都として、この若年性認知症の問題についてどのように認識し、対応しようとしているのかの基本点をご答弁ください。
○狩野高齢社会対策部長 先ほどグループホームの三ユニット化については答弁が漏れておりまして、大変失礼いたしました。既に国に要望しているところでございます。
若年性認知症の問題ですけれども、若年性の認知症の方に対する支援策というのは、やはり認知症の進行の程度が、例えば後期高齢者の方と大きく異なるとか、本人の年齢、それから本人やご家族が生活に対してどういう希望を持っているのかによって大きく異なるということがございます。
そういうことがありますので、まずやはり医療機関で認知症の進行の程度や予後の見通しなどについて十分相談をしていただくことが重要であるというふうに認識をしております。また、必要に応じて、介護保険サービスは六十五歳未満でも特定疾病ですので利用できますので、地域包括支援センター等で十分相談することが可能でございます。
また、今回の調査の中で、どこへ相談をしたらよいかわからないといったような声も聞かれることから、都としてはやはり、若年性認知症の方あるいはご家族の方が相談できる窓口の周知が必要だというふうに考えております。
○吉田委員 事前にお伺いしたら、都としては、二カ年かけて協議会で関係者の方々を集めて検討を進めていくということですけれども、ぜひその検討を進めつつ、今ご答弁がありましたように、今の制度でも活用できる分野があるわけですよね。ただ、それが周知されていないということで戸惑っているというお話も聞きましたけれども、周知徹底など、直ちにできることについては大いにしていただきたいということを要望しておきます。
それでは、テーマの三点目、これはちょっと時間をとって質疑をさせていただきたいと思いますけれども、営利企業による認証保育所での相次ぐ不正問題について、この機会にただしたいと思います。
昨年からこの一年間で、石原知事が推奨し、福祉改革の成功例というふうに強調してきた認証保育所をめぐって、とりわけ営利企業が設立し、運営してきた施設で、荒川のじゃんぐる保育園に続いて、大手企業である小田急電鉄の子会社、小田急ライフアソシエ、ムック成城園でも、私どもの調査で保育士名簿の虚偽申請という不正行為があったことが明らかになりました。しかも、定数以下で経験に乏しい保育士の方々に保育がゆだねられている時期があったなど、単に手続上の瑕疵だけではなく、保育内容、水準にとっても極めて重大な問題があったことが明らかになっております。さらに、都が認証し、開園し、わずか二カ月で、都に協議もせずに、保護者の方々にも直前の通知で突然園を閉鎖するという驚くべき事態まで起きました。
連続的に明らかになった三つのこうした出来事は、いずれも営利企業によって設立、運営をされてきた認証保育所であります。こうした事態は、認証保育所制度の根幹が問われる事態であり、営利企業を参入させ、市場原理にゆだねることが保育サービスを向上させる道であるかのように強調してきたこれまでの路線そのものの再検討が求められる事態だと私は考えます。
初めに、一番直近の問題であります、突如閉鎖を強行いたしましたエムケイグループによる東中野のハッピースマイルについて、閉鎖に至る経過と現在の状況、都の対応についてご説明をお願いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 ハッピースマイル東中野駅前園の閉鎖に至る経過についてご説明いたします。
まず、ハッピースマイル東中野駅前園につきましては、都に対して事業者からことしの六月十三日に認証保育所の設置申請が出されまして、都におきましては、その審査を経て認証を行いまして、この駅前園は九月一日に開園をいたしました。その後、十月三十日ですけれども、翌日の十月三十一日をもって廃止するという通知を突然保護者に行いまして、突然廃止に至るという事態に至りました。
私どもは、このようなことは決してあってはならないことというふうに受けとめております。私どもは、十月三十一日にそのような情報を得まして、即日担当者が駅前園の施設本体と本社に赴きまして、一方的な施設の廃止は認められない旨を強く申し入れるとともに、利用児童につきましては、地元区と連携いたしまして、転園先を速やかに確保いたしました。現在、地元区とともに、当該事業者の代表取締役等に対しまして事情聴取を重ねておるところでございまして、施設の廃止に至った原因の調査を行うとともに、保育料や施設運営費補助金の早期返還に向けた指導を強く行っているところでございます。
○吉田委員 本当に驚くべき事態が都が認証した認証保育所で引き起こされたわけです。
私どもは、この事態が明らかになって、直ちに緊急対応について福祉保健局に申し入れをいたしました。調査中ということですけれども、改めて確認しておきたいのですが、そもそも閉鎖するなら、事前に区や都と協議をし、また父母の皆さんにも事前に説明、協議をするなどの努力をするのが最低限のことだというふうに思います。
そこでお聞きしますけれども、認証保育所の設置要綱では、この点はどのように定められているのでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 東京都認証保育所事業実施細目におきまして、認証保育所の廃止、休止につきましては、区市町村の保育事業及び入所児童の処遇に大きな影響を及ぼすため、設置者は、廃止または休止をしようとする日以前、相当期間の余裕を持って、当該区市町村及び東京都に協議することと規定しております。
○吉田委員 相当期間の余裕を持って協議をするというふうに要綱が定められておきながら、こうした閉鎖の仕方自身が、全く要綱から逸脱なわけですよね。
私は本当に、都にも保護者にも事前の説明も協議もなくて一方的に閉鎖を、しかも、東京都には通告がなくて、ただ前日に保護者にあったという説明ですよね。驚くべき事態ですけれども、このような態度は、まさに後は野となれ山となれという極めて無責任な態度が象徴的に示された最悪の事例の一つだというふうにいわざるを得ません。
我が党は、虚偽申請を告発した小田急ライフアソシエについても、都としてはまだ調査中だということになっておりますが、申請に虚偽があったことは、私どもが記者会見で発表した当日、小田急側も一部認めるということがありました。このように、営利企業が開設、運営する認証保育所で虚偽申請が連続的に明らかになる。さらに、企業の都合で、子どもたちや父母の実情を無視して、突然投げ出すように閉鎖をするという事態が起こったことについて、福祉保健局はどのようにこうした事態をトータルで認識しているのでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 虚偽申請や今回の突然の施設閉鎖などは、決してあってはならないことでございまして、このような事態の再発を防止するためには、従前にも増しまして審査の一層の厳格化が必要であるというふうに考えております。
このような認識のもと、私どもは、施設開設時における職員体制の審査の強化や現地での実地調査を行うとともに、さきに決算特別委員会で局長からもご答弁申し上げましたとおり、財務内容の審査におきましても、会計の専門家の助言、指導を受けることといたしました。
今後とも、営利、非営利を問わず、不適正な事業者につきましては指導を行い、厳正に対処してまいります。
○吉田委員 今のお話ですと、要するに入り口と出口といいますか、申請とそして指導、厳正対処を努力するということでありますけれども、やはり不正、不適正な行為が連続をしている。したがって、結果対応だけではなく、制度のあり方、仕組み、私はその根本が検討される段階を迎えているのではないかというふうにいわざるを得ません。根本的には、認証制度の優位性として強調してきた営利企業の経営感覚とその競い合いが保育サービスを向上させるという認識それ自身が再検討されるべきであり、具体的には、企業の利益を最優先する企業参入自体を再検討する、そういう段階を迎えているのではないかと思います。
その関連でこれから若干質問させていただきますけれども、相次ぐ虚偽申請がなぜ起きたのか。企業としての利益が最優先されるという結果だといわざるを得ませんし、また、エムケイグループの場合、給与の未払い、家賃の滞納があったということも聞いています。
そこでお伺いしたいのですけれども、認証保育所運営のために、これは直接的には中野の場合は中野区ですけれども、運営費補助が出されていたわけですけれども、それが、家賃も払っていなかった、給与も払っていなかった。一体、運営費以外にどこに使われたのかという問題まで今回注目せざるを得ない結果となりました。
そこで、基本的な点をお伺いしたいのですけれども、認証保育所の運営費補助の使途についてですけれども、認証保育所と認可保育所とでは使途の制限で違いがあるというふうに聞いていますが、しかも、認証保育の場合には使途の制限がないということも聞いていますが、これはどうなっているのでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 保育所運営費補助金の基本について申し上げますと、保育所運営費の補助金は保育事業を対象として交付しているものでございまして、いうまでもなく、保育所の事業運営に関する経費に充当されるものでございます。その意味では、認可保育所、認証保育所共通でございます。
○吉田委員 これはもう専門家がいろんな形で指摘をしているのですけれども、原則は、補助金ですから保育事業に充当する。ただ、認可保育所の場合には、それも非常に細かく、運営と例えば施設管理とかという項目で限定されていたものを、若干、保育事業全般の中では緩やかにするということを行いましたが、それでも国の通知で規定されているわけですよね。
しかし、私が事前にお伺いした際は、認証保育についてはそういう運用規定は全くない。したがって、例えば一定の経営努力によって補助金が余剰となった場合には、企業ですから、株の配当などに使うことも問題がないのだというお話があったのですが、違いますか。
○吉岡少子社会対策部長 認可保育所でも認証保育所でも、運営費補助金の基本的な算定でございますけれども、実際に事業を行う事業者は、基本的に利用者から保育料を徴収するということがございます。ただし、その事業を行う上では、利用者から徴収する保育料だけでは足りない部分につきまして、公費を投入してその運営を支えていこうという仕組みになってございます。
したがいまして、通常の適正なサービスを行っている限りでは、保育料で剰余金が出るということはほとんど考えにくいということで、これが基本でございます。
○吉田委員 考えにくいとはいいましたけれども、規定をしていないということは明白なんですね。
これは、例えば日本総研の新美一正さん、この方が論文を書かれている中で紹介しておりますけれども、例えば認可保育所の場合には、厚生労働省の通知によって、一定の使途範囲、例えば施設設備の改善や土地建物の賃貸料、こういうものに利用できるというふうに、たとえ一定の使い方であったとしても規定している。これに対して認証保育所制度では、運営費の使途は何ら規定されておらず、利益処分も含め、すべて事業者の自由裁量に任されているという問題が指摘をされているわけですね。
これは、局長は財務局で中心的にお働きになっていますから、いうまでもないことだと思うのですけれども、やはり補助金、補助費というのは公益性が問われるわけですよね。大原則だと思うのですよ。ところが、経営努力によって、もし、たとえ少額であったとしても余剰金が生まれるならば、配当金などに回すことができるということならば、改めて補助金に関する基本的な原則との関係でいかがなものかということが、私は、やはり改めて問われるべきだというふうに思います。
改めて聞きますが、余剰金が出た場合には配当金に回すことは認められるのですか、認められないのですか。イエス、ノーで答えてください。
○吉岡少子社会対策部長 保育所の運営費補助金は、あくまでも保育所の運営に充当されるために支弁されるものでございますので、これを他の目的に充てることは認められません。
○吉田委員 そうすると、私が事前に説明を受けてきたことと今の答弁は違うニュアンスなんですけれども、そういう原則だということですね。確認させていただきました。
そういわれると、もう聞くまでもないという面もなきにしもあらずなんですが、これは、実はさまざまな問題が起きておりまして、あるいは指摘をされておりまして、これは東京でない例なんですけれども、自治体からの委託料、補助金などが借金の担保として届けられているという話も聞きましたけれども、そうしたことはもちろん認められない。あるいは、そういう企業が東京で事業運営をするなどということも当然認められないということでよろしいですね。一応ちょっと。
○吉岡少子社会対策部長 委員ご指摘のとおり、保育の事業運営のための経費に充当されるものでございまして、債務返済のための担保に供するとか、そういったことは全く想定されておりません。
○吉田委員 これは、今この場では具体的に明らかにしませんけれども、追ってこの問題というのは大問題になり得るというふうに私は認識しております。
さらに、営利企業の場合には、中野のハッピースマイル、エムケイグループに象徴的に示されるように、保育事業の継続性というものが担保されるのかという問題が改めて浮上してきていると思うのですね。実は今回だけではなく、もちろんそんなに多数あるわけではありませんが、他にも、開設して直ちにその事業所が閉じたという例があるというふうに聞いております。
それで、こういう声があるわけですよね。東京都の認証が得られているから安心して仕事をすることができるということで、例えば保育士さんはそこに勤務することになった。あるいは、父母の皆さんも、東京都の認証を得ているからということで安心して預けることができた。ところが、それが二カ月で突如閉鎖するという点で、改めて認証を認めた、認証を認証したというふうにいうのでしょうか、都に対する不信の声が上がっていますけれども、これについて東京都としてはどのようにご認識されているのでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 今回のように、認証保育所事業実施要綱の規定に反しまして突然に園を閉鎖するようなことは、決してあってはならないことでございます。このような事例は、認証保育所の制度発足以来初めてのことでございまして、これまでに閉園した園はございましたが、それはいずれも要綱の規定にのっとり、適正に廃止の手続を行ってまいりました。
私どもといたしましては、認証保育所の審査におきまして、国が定めた認可保育所の設置認可の指針に準じて設定している審査基準に基づきまして、当該認証保育所につきまして、認証保育所を経営するために必要な経済的基盤があること、事業を継続的に健全かつ円滑に実施できることなどを設置者の要件として審査をしております。
具体的には、安定的に賃借料を支払い得る財源が確保されていること、年間事業費の十二分の一以上に相当する資金を有していることなどにつきまして、決算書や残高証明書等により確認をいたしました。
しかしながら、今回このような事態が発生いたしましたので、今後は、設置主体の審査に当たりまして、必要に応じて会計の専門家の指導、助言を受けるようにするなど、一層適正な審査に努めてまいります。
○吉田委員 これからは会計の専門家の協力を得て、決算書の分析など、こういう突然閉園、閉鎖ということがないように努力をするというお話でありました。
しかし、今起きている事態は、多分皆さん方が当初想定できないような事態が起きているわけですよね。それで、まだ新聞報道の範囲内ですけれども、このエムケイグループの事業承継が話題になっていて、具体的な企業名も挙がっております。それはまだ未確定な話ですから、それを前提に議論することは今の段階では妥当ではないと思いますけれども、例えば、一般論としてこれはお聞きするのですけれども、何とかホールディングスという企業名もありますけれども、例えば株式のあっせん、仲介だとか、企業財産の売買だとか、そういうものを定款に挙げているという企業だって当然あり得るわけですよね。そうすると、幾ら決算を見てもわからないような事態が起きると思うのですけれども、例えば認証参入企業については、こういう業種は少なくともお断りしますとか、そうした歯どめということはあるのですか、ないのですか。あるいは検討されないのですか。
○吉岡少子社会対策部長 認証保育所制度は、多様な事業主体の参入による競い合いにより、質の高い保育サービスの提供を目指すものでございます。したがいまして、東京都認証保育所事業実施要綱等におきましては、設置者の要件として、参入する企業の業種などの条件は規定しておりません。
営利、非営利が問題ではなく、運営が適正に行われているかどうかが重要でございまして、認証の審査におきましては、こうした観点のもとに審査を行ってまいります。
○吉田委員 たとえ見かけの決算は問題なかったとしても、突如として、金融分野の事業展開をしている場合には、その余波を食って、その関係子会社である認証保育所を閉園するというふうな事態だって、当然今の局面では予想され得ることだと思うのですね。そうした意味で、私は、もちろんそれは会計士を登用することを否定はしませんけれども、それで本当に歯どめとなり得るのかということが検討を求められているというふうに思います。
次に、チェック体制、チェック機能ということについて、今の関連で若干質問させていただきます。営利企業の参入自身が問題だと思いますけれども、あわせて東京都のチェックがどうであったのかということについて、若干具体の質問をさせていただきます。
まず、小田急ライフアソシエへの立入調査を具体例としてただしたいと思います。
小田急ライフアソシエの小田急ムック成城園、これは二年前、二〇〇六年、平成十八年十月に開園ですけれども、都が立入調査を実施したのは、その一年後、二〇〇七年、平成十九年の十月です。この調査はどういうものだったのか、また、その結果はどうだったのでしょうか。
○鈴木指導監査部長 昨年十月の立入調査でございますが、東京都認証保育所事業実施要綱を踏まえまして、この要綱に基づきます平成十九年度の実施計画、これに基づきまして行った定期の立入調査でございます。
立入調査におきましては、単に書類を調べるだけではなく、関連する書類間の照合を行うことで、適切な保育が確保されているか、必ず確認することとしております。また、現地を調査し、関係職員から聞き取りを行うなどいたしまして、職員配置、設備の状況、保育内容等を確認しております。その結果、指導監督基準に照らして、文書による行政指導を要する事項はございませんでした。
○吉田委員 特段問題がなかった、指導すべき事柄はなかったというご説明ですよね。
ただ、私はここに資料を持っているのですけれども、これはちょうど昨年十月の時点で、余りにも小田急が運営する認証保育所の保育内容あるいは保育士の方々の状況が大変問題があるということで、保護者の方々がそれぞれ気になった問題点、改善してほしいということを書き連ねた文書です。ここにあるのは六名の方の文書です。とりあえず六名ですけれども、さらに皆さんから集めてもらっているところですと。それで、保護者の分は十月十日締め切りにしますので、集まり次第お持ちしますというふうに書かれている文書ですけれども、だから、ちょうど立ち入りと同時期ですね。
詳細に必要な調査をしたけれども、問題がなかったというお話でした。しかし、これを見ますと、例えば、昨年十月よりですから、開設直後だと思うのですけれども、一年間お世話になっている二歳児の母ですという書き出しから始まって、さまざまな改善要望が書かれています。例えば、一日じゅう部屋から出られない日が多い、食事のサンプルも置かれていないなどということが本当にたくさん列挙されて、最後に先生についてという欄がありまして、一言でいうなら、経験豊富なよい先生が手に負えずやめていき、経験不足の先生ばかりが重責を担わされていると感じる。先生の入れかえが激しく、子どもとの信頼関係が十分に結べないせいか、うちの子どもはまだ一度もムックに行きたいと自分からはいい出したことはないというふうに訴えているんです。
実際に調べてみましたら、例えばこの小田急ムックは、何と開設から一年間で十四人の保育士の方々などが退職をしているという話を聞きました。それが先ほどのお母さんの、先生が入れかわって子どもたちとの信頼関係が十分に結べないということがあったのですよね。こういうことが父母の方々から切々と訴えられていながら、立入調査をしたけれども何ら問題ないということは、私はやはり現実から即して見れば、その立入調査が本当に適切であったのかということを疑問視せざるを得ません。
次に、我が党は、この小田急ムックについて虚偽申請があったのではないかということで、福祉保健局に私どもの調査結果を明らかにして、厳正な調査を求めました。それに対して都は、私たちは既に調査をしているのだというふうに答えられました。その後のやりとりで、いつからどのような理由で調査をしたのかといえば、今年度から調査を開始した。私たちが問題提起をした項目についてですね。それで、調査をなぜ開始したかといえば、世田谷区からの情報提供によるものだというお話でした。
しかし、私たちが得ている認識では、世田谷区は、小田急の運営をめぐって不適正な事態というのは、開設をした平成十八年、二〇〇六年の直後から認識をしていた。少なくとも、もうその年の十二月には運営をめぐって、直接的にはこれは別な委託事業ですけれども、世田谷区と小田急との話し合いが始まっていた。そういう意味では、世田谷区の情報提供を受けてことしから始めたということになっていますけれども、もっと東京都は情報を早く握っていたのではないかという疑問を感じます。世田谷区からは、いつどのように情報提供があったのでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 確たる記録がないために、具体的な日付まではお答えできませんけれども、世田谷区との情報交換は今年度の六月に行っておりまして、この情報交換を端緒といたしまして、私どもは調査を開始いたしました。
○吉田委員 少なくとも、世田谷区からの開示文書に基づいて私たちが承知をしているのは、世田谷区は、開設直後の二〇〇六年、平成十八年十月の時点で職員体制の不正常さについて把握をし、平成十八年十二月二十日付で世田谷区の担当副参事から小田急ライフアソシエの営業部長あてに文書を提出しています。
どんなことかといえば、区民からの苦情があって、「おでかけひろば」の責任者が保育所の仕事に従事をしている。「おでかけひろば」の責任者が認証保育の保育に従事をしている。広場の責任者がステーション内の保育園の仕事も兼ねているようだが、おかしいのではないか。区では、責任者がそのような位置づけで置かれていることを把握しているのか。
これは、その後私たちはわかりましたけれども、補助金を受けている別な事業の保育士が、旧姓のネームプレートをつけて、認証保育の職員としていかにも採用されたかのような装いで行われていたということがわかったわけですよね。その後、翌年、昨年になりますが、四月にも小田急と世田谷区との協議が何度も行われている。こうした経緯について、世田谷区は東京都に報告しなかったのか、あるいは、都としては何らかの情報を得ていながら対応がおくれたのかという疑問を発せざるを得ません。
それで、先ほど、今後の改善策の中で、これはもう既に各決などでご報告もあったことなんですけれども、例えば虚偽申請などを防ぐために、新たに申請時には雇用契約を示す文書を出してもらう。さらに、それだけではなくて、今までは立入調査に入る時期が一年後ぐらいだったわけですけれども、開設から早い時期に立入調査に入るのだ、これをもって虚偽申請などという事態を防ぐのだというお話だと思うのですよね。
ただ、率直にいって、これで本当に大丈夫なのか。疑ってかかれば切りがないということではないのです。例えば、立入調査をするにしても、私はするのだったら、事前通告なしに、提出された名簿と実際にその保育士の方がいらっしゃるのかということを確認するのが、立入調査というならあるべき姿だと思うのですよね。
実際、あるところで聞いた話では、監査マニュアルがあって、立ち入りが決まったら、それに基づいて慌てて作業を進めるということまでされている。しかも、認証保育所を一つ持っているだけではなく、幾つかの保育所を持っている場合には、それに応じて職員を回して移動させることだってできるわけですよね、その立入調査の日に向けて。
少なくとも、例えば立入調査は事前通告ではなくて、やはり通告をしないで、二度手間、三度手間になるとしても、やはり調査に入るというぐらいの厳格さというものが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
○鈴木指導監査部長 定期的な立入調査におきましては、施設長など業務管理の責任者に立ち会いを求めるとともに、必要な書類の確実な提示を受けるために事前通知を行っておりまして、認証保育所だけではなく、認可保育所の指導検査においても事前の通知を原則としております。
なお、施設の運営や保育内容などに重大な問題があると認められる場合には、認証、認可保育所を問わず、事前の連絡を行わずに立入調査、指導検査に入っております。
○吉田委員 私は、やはり申請を確認するという点では、通告なしの立入調査に入るということを基本原則として対応すべきだ。それぐらいの厳しさが今東京都には求められているのだというふうに思います。
営利企業による不正行為などが明らかになる以前から、我が党は、関係者や専門家からの意見も含めて、認証保育制度については警鐘を鳴らしてきました。先ほども紹介した日本総研の新美一正氏は、コスト削減のみを至上命題とするような保育所制度改革の延長線上には、保育サービスの質的向上は望み得ないということまで結論づけております。
さらに、中野でのエムケイグループによる突然の閉鎖という事態を受けて、保育問題に詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんは次のように述べています。自動車教習所や英会話学校のように保育園も突然閉鎖する時代に入った。待機児童を減らすための企業参入というが、親は逆に安心できなくなった。行政は保育の公的責任を放棄しないでほしいというコメントを紹介しています。
最後の質問になりますけれども、営利企業による施設の全面的な実態調査、施設運営基準と指導検査の強化、不正があった場合の連座制の導入など、制度の抜本的な再検討を行うべきだと思います。そして、一定の改善策が整うまでは、少なくとも営利企業についての受け付けは行わないというぐらいの措置を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 認証保育所制度は、全国画一的で硬直的な認可保育所では十分に対応できなかった大都市特有の保育ニーズに対応するため、多様な事業主体の参入による競い合いの中で、利用者本位の質の高い保育サービスの提供を行うことを目指しております。認証保育所は、平成二十年十月現在、四百二十三カ所、定員は約一万三千人となり、都民から高い支持を得て設置が進んでおります。
私どもは、認証保育所につきまして、定期的な指導検査を行っているほか、特に苦情や通報があった場合には、迅速かつ機動的に対応しております。また、保育の実施主体である区市町村から適宜情報を得ていることから、実態調査を行う考えはございません。
認証保育所は、先ほど申し上げましたとおり、平成十三年度の制度創設以来、認可を上回るペースで設置が進んでおります。都といたしましては、今後とも認証保育所の設置促進を図ることといたしておりまして、企業等の新規申請について見送る考えはございません。
最後に、認証保育所制度は事業所単位で認証を行っておりまして、待機児童が数多く発生しているこの状況の中で、適正な運営を行っている事業所にまで影響が及ぶ連座制にはなじまないものというふうに考えております。
○吉田委員 連座制は、介護保険の世界ではもう既に行われているわけですよね、同一企業によって。私は、それは当然の検討課題だと思います。
営利企業について、こうした事態が連続して発生していながら、全面的な調査を行わない、検討もしないということは許されないことだというふうに思います。私は改めて再検討を求めて、質問を終わります。
○野島委員 ちょっと吉田委員と重複するのですが、お許しをいただきまして、障害者施策について伺います。
障害者のグループホームやそれから通所施設、この整備の特別助成を行う障害者地域生活支援・就労促進三か年プラン、これが本年度が最後の年だというふうに承知をいたしております。この特別助成につきましては、十月二十日の決算特別委員会の第二分科会で我が党の村上英子議員が既に取り上げまして、さらに整備促進に取り組むべきだ、こんな要望をしたところというふうに聞き及んでおります。
これを受けまして、先ごろ発表された福祉保健局の二十一年度予算に、これまでの特別助成と同じ内容の整備事業費助成を二十三年度まで実施するとの内容の予算要求が盛り込まれておるところでございます。福祉保健局の迅速、積極的な姿勢を高く評価しながら、これから予算編成に向けて、なおご努力をお願い申し上げるとともに、私たちも努力をしてまいりたいと思っております。
こうした立場を前提といたしまして、この特別助成も含めて、障害者の地域生活を支援していく基盤整備について、何点かお伺いしておきたいと思います。
まず、確認の意味でこの特別助成の内容についてお伺いをいたします。
○松浦障害者施策推進部長 三カ年プランに基づく特別助成でございますけれども、整備費の事業者負担分を補助基準額の範囲内で半分に軽減するものでございます。具体的には、本来四分の一となっている事業者負担を八分の一に軽減しているものでございます。また、用地取得をする場合でございますが、その取得費につきましても、本来の貸付率三分の二から四分の三に引き上げております。
これらによりまして、地域での居住の場や日中活動の場の整備を促進しておるところでございまして、特別助成につきましては、今副委員長のお話にございましたとおり、福祉保健局の二十一年度予算要求に盛り込んでいるところでございます。
○野島委員 前にも触れたのですが、たしか十七年に、どんどん整備するところは手を挙げてくださいといって手を挙げてきたら、国庫補助がばんと圧縮されちゃいまして、さあ困ったという中で、大変なご努力をいただいてその整備を促進した。その延長線上にこの特別助成制度があったというふうに認識をいたしております。これがなければ、国がしようがないのだからということで終わっていたら、とてもとても整備の促進はできなかったなというふうな気もしております。
そこで、どの程度整備が進んできておるのか、改めて実績と、今年度が最後ですから、その達成の見通しについてお伺いをしたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 グループホームと日中活動の場につきましてお答え申し上げたいと思いますけれども、グループホーム、ケアホームについてでございますが、これまで都が助成するなどして整備を進めてきたグループホーム等の平成十九年度末までの実績は、トータルで三千六百二十四人分となっております。
障害者地域生活支援・就労促進三か年プランでは、十八年から二十年までの三年間に合計千五百六十人分の整備に対して助成を行うものでございまして、十九年度末までの二年間の実績は九百十八人分、達成率は五八・八%でございます。最後の年でございます本年度におきまして六百人以上の整備が必要な状況でございますが、今年度におきまして、九月までに約三百人程度の整備計画の協議を終了しているところでございます。
次に、就労継続支援などを行う日中活動の場の整備でございますけれども、十九年度末までの実績につきましては、トータルで一万一千二百四十九人分となってございます。十八年から二十年までの三カ年プランの間の増加分、これは千九百人となってございますが、それにつきましては、十九年度末までの二年間の実績が三百九十人と達成率が二〇・五%でございますが、二十年度において、なお千五百人分程度の整備が必要な状況にございます。
また、この三カ年プランの実施後でございますが、国により、障害者自立支援法の円滑な運営のための特別対策としまして臨時特例交付金事業が開始されまして、基盤整備の補助事業が創設されておりまして、この補助事業を活用した施設整備につきましても、十九年度までに別途約百九十人分が整備されているところでございます。本年度におきまして、三カ年プランの特別助成と国の臨時交付金事業を合わせまして、九月までに約六百人程度の整備計画の協議を既に受けているところでございます。
このグループホーム、ケアホーム、日中活動の場の整備につきまして、さらに引き続き事業者に働きかけを行いまして、計画目標の達成に向けて整備促進に努めてまいります。
○野島委員 あと二十年度も四カ月ぐらいありますし、今聞いた数字を足していくと、協議中のものも含めて全部クリアできればいいなと思っておりますが、おおむねのところで達成したい。しかし、やや見通しを、予定を下回るのではないか、こんなふうに受けとめております。この特別助成がなければ事業者の負担を軽減するわけにいかなかったわけでありますから、当然のことながら、大変効果的にこの特別助成が実施されてきたものと思っております。
この整備のペースを上げていかなきゃいけない、目標を達成していくためにも。いろいろ課題があると思うのですね。一つには、感覚で物をいっちゃいけないのですが、多分、これまで施設整備を完了した、あるいは現に協議をしている団体、こういったところは恐らく、団体の財政基盤、キャッシュを持っているとか積み込んできたとか、そういうところ、あるいは、土地を既に取得してあるとか、あるいは私有地等を借りている、あるいは借りられるという、明確になっているよというふうなところだと思うのですよ。
それで、新たに土地を取得して整備する場合というのは、都の用地取得費貸し付けあるいは整備費の特別助成を活用するとしても、当然のことながら、一定の事業者負担は自前で用意しなければならないということになるわけです。私はそれを自前で出せなんて、そんなことをいっているのじゃないのですよ。制度論としてはそういうふうになっていくわけでありまして、普通は、そうしますと寄附金をいただくというか、やらなきゃいけない、調達しなきゃいけないというふうなことがあるわけでございます。
それで、私もいろいろ相談を受けるのですが、例えば施設整備をしたいよというふうになっても、土地は今年度取得しましょう、来年度以降に整備しましょうというと、土地建物が一体としてならずに、土地の取得と上物の整備がずれてくるのですよね。そうすると、寄附をお願いするにも、土地を買いたいので寄附をしてください、あそこにある土地があって、その後建物はもう大丈夫です、整備されるのですから、今の段階でここの寄附をお願いしますといっても、なかなか、本当にそれは可能なんですかとか、あるいは、土地は寄附を集めて買ってしまったけれども、上物はどうなってしまうのかとか、いろんな心配事があって、確定的に下と上、土地と上物を一体的に整備のプランはつくっても、それが実現するかどうかという、こういう不安があるのですね。
そこで、実際に土地を確保して整備した事例で、事業主が土地資金をどういうふうに調達しているのか。それから、土地の取得から開設までどのくらいかかっているのか。こんなところをお伺いしておきたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 平成十八年から二十年度までに通所施設の整備費補助を行った事業所の例で申し上げさせていただきますと、十二件ございまして、十二件のうち、土地を購入したものが六件。それで、その土地の内訳でございますが、国有地一件、自治体所有地一件、民有地四件でございます。また、土地を借り受けたものは、いずれもこれは自治体所有地でございますが三件、民有地の寄附を受けたものが一件、従来から事業者が所有していた土地を使用するものが二件というふうになってございます。
なお、土地を購入したものの六件は、いずれも都の用地取得費貸付事業を活用しているところでございます。
また、土地取得費と整備費を合わせた総事業費の内訳、これを平均で申し上げますと、国、都及び区市の補助が約七九・四%、借り入れが約九・三%、自己資金が一一・三%というふうになってございます。
なお、自己資金のうち寄附金の割合は平均で約二〇%でございまして、保護者会を母体とする事業者におきましては、自己資金全額が保護者からの寄附金となっている、そういうケースもございます。
最後に、土地取得から開設までの期間でございますが、開設予定であるものを含めまして、最長で二年一カ月、最短で一年六カ月、平均しますと一年八カ月というふうになってございます。
○野島委員 土地の件を今伺いました。国有地とか自治体所有地とか自治体所有地を借りたとかあるのですけれども、比較的相手が逃げないケースですよね。確定しているというか、相手が逃げない。あるいは寄附を受けた、こういうことでありまして、用地取得を新たに、そういうケースではなくして進めたいという実は事業主の話を聞いていますと、どうもなかなかタイミングが合わないというのが実情で、私も相談を受けているところがあるのですね。
特に、親の会などを母体とする事業者は、自己資金として親の寄附金が充てられる割合が高い、こんな感をいたしております。自己資金が全額保護者からの寄附となっているものもあるというふうにさっき答弁をいただいたわけでありますけれども。かつ、長いものでは土地の取得から開設まで二年以上かかっている。寄附金を募るのは、したがって、それよりも前の段階で、将来を見込みながら取り組んできたのだろうというふうに思います。
私は、ことしの第一回の定例会の厚生委員会質疑で、むしろこうした寄附金の実態を前提にして整備を進める仕組みを考えたらどうだといったのですね。ちょうど新銀行東京が、都の施策にマッチした何か事業スキームがあればというようなことで、それを考えてみたのですね。具体的には申し上げませんが、そういう寄附金を信託財産化して、別途資金ソースを求めて、それで後々施設の利用者が回転できるようなものがないだろうかというようなことで提案をいたしました。その後、いかがでしょうか。もし、答えでも何でもいいですけれども、あったら教えていただけますか。
○松浦障害者施策推進部長 副委員長お話しの寄附金についてでございますけれども、施設利用に当たりまして寄附を強要するということは認められておりません。したがいまして、施設利用を前提としての寄附を制度的に位置づけるということにつきましては、現時点では困難であるというふうに思っております。
○野島委員 ご検討ありがとうございました。お手数をおかけいたしました。
そのとき、質疑で申し上げたのですが、福祉施設を食い物にするのか、利潤の対象にするのかというふうな、銀行になれば、信託すれば当然信託手数料を取りますし、あるいは、別途ソースで貸し付けすれば、その金利を取るわけでありますから、そういう批判や、あとは施設利用権の売買になっちゃうのじゃないかなという懸念を僕はそのときに申し上げたのですよ。多分、共産党さんはとんでもないというだろうという前提でそんな話をしたのです。
なるほど、最初の寄附の段階では、寄附したものが、結果としてその方が利用者になりますよというケースというのは、さっきの親の会や何かの場合はそれでいいのです。ところが、次になりますと、今度は寄附者を交代させちゃうわけですよね。あるいは、借入金を交代させちゃうとなりますと、そこの施設を利用するために寄附をするということになりますから、なるほど、今部長の答弁のように--いやいや、ただ単に寄附しますよというのは、それはいいのですよ。そうじゃなくて、この場合にはそういうことを前提にしていなかったものですから、そういうことになると、これは寄附の強制になる。いわば、入ってもらうためには、そういうふうなところに寄附をする、あるいは別途資金ソースをあなたがちゃんと手当てしてくださいということになりますと、これはやはり無理だなということはよくわかりました。現在の制度の中では実現が難しいというふうに、私も改めて認識をいたしました。
しかし、この施設整備をする上で、寄附というものが、さっきの自己資金の組成の問題もありましたけれども、かなり高いということは認識しておいていただきたいということと、あとは土地の取得の、これから特に僕はそういう事業者が多くなってくると思うのですね、さっき対比で申し上げましたけれども。そんなところをハードルを低くしていく。だから、一〇〇%出せといっているわけじゃないのですよ。その制度の中でどうしたらハードルを低くできるのか、さまざまな助成制度のトータルも考えてほしいと思うのですね。
どうしても単年度予算ですから、ことしの予算はこれこれ、来年の予算はこれこれ、土地の取得がこれこれ、それからこれこれとなりますと、事業者は--全部がクレジットされていれば、わかりました、おたくさんはことしは土地を取得してください、三年プランがありますから、それで三年先にちゃんと上物の整備費は出しますよということを福祉保健局が裏書きしてくれれば一番いいのですけれども、単年度予算の性格ですから、そんなことはできないと思うのですよ。できないと思いますが、ぜひいろんな工夫を--私、一つ二つあるのですが、それをここでいいますと話が長くなりますから、なおかつ、福祉保健局の事業だけじゃなくて、ほかの事業にも影響しちゃうから、またつまらない話になっちゃうので、これはここでやめておきますけれども、いずれにしても、この三年間の到達点を踏まえ、成果を検証して、まだまだこれから必要な施策でありますから、来年度予算以降、この三カ年プランが芽を出すように、ぜひ格段のご努力をお願いいたしまして、ちょうど二十分でございますので、終わります。ありがとうございました。
○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時五十九分散会
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