厚生委員会速記録第十七号

平成十九年十一月二十九日(木曜日)
第七委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長野上 純子君
副委員長山加 朱美君
副委員長かち佳代子君
理事くまき美奈子君
理事長橋 桂一君
理事野島 善司君
西崎 光子君
大松  成君
佐藤 広典君
田代ひろし君
石毛しげる君
野村 有信君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長関  敏樹君
技監梶山 純一君
総務部長杉村 栄一君
指導監査部長梶原 秀起君
医療政策部長細川えみ子君
保健政策部長清宮眞知子君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長松浦 和利君
健康安全室長桜山 豊夫君
企画担当部長松井多美雄君
施設調整担当部長宮垣豊美子君
参事蒲谷 繁夫君
参事吉井栄一郎君
参事住友眞佐美君
参事芦田 真吾君
参事松原 定雄君
参事菊本 弘次君
参事金丸 陽子君
参事奥澤 康司君
参事月川由紀子君
病院経営本部本部長秋山 俊行君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長都留 佳苗君
参事黒田 祥之君

本日の会議に付した事件
 福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・東京都心身障害者扶養共済制度条例
・大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
・東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)I期新築電気設備工事請負契約
・東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)I期新築空調設備工事請負契約
請願陳情の審査
(1)一九第一九号 東京都児童会館の移転・大規模遊び場機能廃止の周知と意見募集に関する請願
(2)一九第九六号 多摩地域の小児医療の拡充に関する請願
(3)一九第九七号 障害者自立支援法に関する請願
(4)一九第五二号 障害者施策推進区市町村包括補助事業に移行した通所訓練等事業の存続に関する陳情
 病院経営本部関係
報告事項
・都立病院経営委員会報告について(説明)
・契約の締結について(説明・質疑)
請願の審査
(1)一九第九四号 都立梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実に関する請願

○野上委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第四回定例会提出予定案件の説明聴取及び請願陳情の審査、並びに病院経営本部関係の報告事項の聴取及び請願の審査を行います。
 なお、第四回定例会提出予定案件及び報告事項の都立病院経営委員会報告については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。ご了承願います。
 また、報告事項の契約の締結については、説明を聴取した後、質疑を終了するまで行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○安藤福祉保健局長 平成十九年第四回定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案三件と契約案二件でございます。
 初めに、条例案でございます。
 お配りをいたしました資料は、平成十九年第四回東京都議会定例会条例案とその概要でございます。
 それでは、条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、東京都児童相談所条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都小平児童相談所が東京都多摩小平保健所の庁舎に移転することに伴いまして、当該児童相談所の位置に変更が生じることから、規定整備を行うものでございます。
 この条例は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において東京都規則で定める日から施行することとしております。
 次に、整理番号2、東京都心身障害者扶養共済制度条例でございます。
 都は、東京都心身障害者扶養年金制度につきまして、東京都心身障害者扶養年金審議会の審議を経て、平成十九年三月一日に廃止をいたしましたが、当審議会から、安定的な運営が可能な全国制度に参加するべきとの答申を受け、これを踏まえまして、全国制度に参加するため、新たに条例を制定するものでございます。
 この条例は、平成二十年四月一日から施行することとしております。
 二ページをお開き願います。整理番号3、大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 東京大気汚染訴訟の和解を受けまして、一定要件を満たす十八歳以上の気管支ぜんそく患者を医療費助成の対象とするため、規定整備を行うものでございます。
 この条例は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において東京都規則で定める日から施行することとしております。
 以上が条例案の概要でございます。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成十九年第四回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 続きまして、契約案についてでございますが、これにつきましては、引き続き総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○杉村総務部長 それでは、引き続きまして、平成十九年第四回定例会に提出を予定いたしております工事請負契約案二件につきましてご説明申し上げます。
 本契約案は、財政委員会に付託の上、本委員会でご調査いただくものでございます。
 お手元の資料のうち、工事請負契約の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。東京都医学系総合研究所平成十九年度Ⅰ期新築工事の概要を二ページにかけましてお示ししてございます。
 この工事は、だれもが健康に生き続けられる社会の実現を目指しまして、東京都神経科学総合研究所、東京都精神医学総合研究所及び東京都臨床医学総合研究所の三研究所を統合いたしまして、新たに医学系の総合研究所を整備するものでございます。
 工事場所は、東京都世田谷区上北沢二丁目でございます。
 敷地面積は一万三千百五十三平方メートル、用途地域は、大半が第一種中高層住居専用地域で、一部、第一種低層住居専用地域となっております。
 建物の構造は鉄筋コンクリートづくり、地上五階建てでございます。
 今回のⅠ期工事の建物の規模は、延べ床面積一万二千五十八平方メートルで、実験室、講堂などを設置することとしております。
 次に、二ページをお開き願います。ページ上段に施設の案内図を、下段に配置図をそれぞれ記載してございます。
 Ⅰ期工事は、配置図の北側の実線及び網かけでお示ししている部分でございまして、Ⅱ期工事は南側の点線部分でございます。
 次に、三ページをごらん願います。本工事請負契約の概要をお示ししてございます。
 まず、上段の電気設備工事請負契約についてでございますが、契約金額は十二億一千五百九十万円で、契約の相手方は、協和・千代田・日昭・東陽建設共同企業体でございます。
 工期は、契約確定の日から平成二十一年三月十日まででございます。
 次に、下段の空調設備工事請負契約についてでございますが、契約金額は十七億六千四百万円で、契約の相手方は、一工・精研・経塚・大立建設共同企業体でございます。
 工期は、契約確定の日から平成二十一年三月十日まででございます。
 契約方法その他につきましては、記載のとおりでございます。
 なお、四ページ以降に議案の内容を記載してございますので、ご参照いただければと存じます。
 以上、簡単ではございますが、契約案につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。

○かち委員 四点ほどお願いします。
 最初は、大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例に関して、川崎市の制度の概要、二番目に、十八歳未満の現在の制度との比較をお願いいたします。
 次に、東京都心身障害者扶養共済制度条例にかかわって、初めに、全国の制度の概要、二番目に、国の制度見直しの経過と実際についてお願いいたします。
 以上です。

○野上委員長 ほかにございませんか。--ただいま、かち副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出願います。

○野上委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願一九第一九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○吉岡少子社会対策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いまして、ご説明させていただきます。
 整理番号1、一九第一九号、東京都児童会館の移転・大規模遊び場機能廃止の周知と意見募集に関する請願は、渋谷区のTokyoの子どもの遊び場を守る会代表の田中絵里緒さん外四百六十九名から提出されたものでございます。
 請願の要旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 まず、第一項でございますが、平成二十一年度以降に、現状の渋谷駅近隣における東京都児童会館の運営を打ち切り、大規模ホール及び大規模な遊び場のない新宿区内の新規施設、子ども家庭総合センター--仮称でございますが--をもって代替するという計画について、現存施設利用者の意見を郵送やホームページ等で広く募集していただきたいというものでございます。
 次に、第二項でございますが、移転計画の詳細を、児童会館設置のチラシ及びホームページ等で利用者に知らせていただきたいというものでございます。
 現在の状況について、まず第一項でございますが、東京都児童会館は、東京都における児童の健全な育成を図るため、昭和三十九年に開設されました。同会館が開設された当時、区市町村の児童館は十八館にすぎませんでしたが、現在では六百二十館に達しており、地域において、遊びを通じて児童の健全な育成を図る場はおおむね整備されてきております。
 一方で、同会館は、建築後四十年余りが経過し、建物の老朽化が進んでおります。
 このため、都といたしましては、区市町村との役割分担の観点や、これまで東京都児童会館が培ってきた成果を踏まえ、区市町村の児童館への情報提供、指導員の人材育成などの機能を子ども家庭総合センター(仮称)に機能移転し、区市町村の児童館の支援を強化していくことといたしました。
 平成十八年一月には、東京都児童会館の機能移転の内容を含む子ども家庭総合センター(仮称)基本構想を策定し、プレス発表するとともに、ホームページで広く都民に公表しております。
 次に、第二項でございますが、現時点でお示しできる計画につきましては既に公表しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○野上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 今の東京都児童会館に関する請願について、何点かお伺いしておきたいと思います。
 これまでにも本委員会において、東京都児童会館の機能移転、こういった問題については審議を重ねてまいったということは今さら申すまでもございません。私も、先ほど部長からご説明のあったとおり、東京都児童会館が開設した当時と区市町村の児童館の整備が進んだ現段階、こういうところでは、いろんな状況変化、いわば児童の健全育成をめぐる状況も変化してきているだろうというふうに思っていますし、そのあり方をより止揚して児童館行政を展開していく、こういう立場から見直すことは当然必要だろうというふうに思ってございますし、そんなことを今までの質疑の中でも申し上げたような記憶があるのであります。
 それで、この請願者の方は、利用者の意見を募集すること及び移転計画の詳細の公表を求めているという願意と受けとめております。
 そこで、この児童館の機能移転について公表されておりますというお話があったわけでありますが、仮称でありますが、子ども家庭総合センター基本構想の中の一節に書かれておりまして、なかなかこういう部分というのは無味乾燥なんですね、正直なところ、我々一般人がとらえますと。行政の方は、どこから何かをいわれても、いや、そこはしっかりこういう構想の中に書いてあるじゃないですかと、そういうふうな、こういうものをしっかりつくっていただきますので、その辺のところがあると思うんですね。そういう意味では、わかりにくいというのが私はあろうかというふうに思っております。
 大体、そういうものを読んでいくと、何か、読もうと思うんだけれども、こっちが読み込まれて終わっちゃうというのが実情でございますので、都民にもっとわかりやすく周知する必要があるのではないか、こんなふうに考えておるんですが、その辺はいかがかということ。
 加えて、請願によれば、児童会館に問い合わせたところ、移転計画について、公式ホームページには一時載せていたが、あえて掲載をやめた、こういう表現が使われているわけです。あえてというのは余りいい言葉じゃありませんで、これから受けとめる印象は、本来持っているのにもかかわらず、あえてやめた、こういうことになりますと、それは情報隠ぺいになりますから、そんなことはないと思うんですが、そういう事実があったかどうかの確認。
 それから、私の承知する限りでは、構想から具体的に行政がやっていくのは、基本計画をつくったり、年度がまたがれば、あるいは単年度の予算を措置しながら実現していく、こういう行政手続上の問題もあろうかというふうに思っておりますので、この開設時期、つまり、東京都児童会館の機能移転の具体的な時期などがいつの段階で示されるのか。そのことによって皆さんの意見もまたいろいろ出てこようかと思いますので、そんなところをあわせて伺ってまいりたいと思っております。

○吉岡少子社会対策部長 児童会館の子ども家庭総合センターへの機能移転につきましては、先ほど申し上げましたとおり、子ども家庭総合センター(仮称)基本構想の中で示しておりますけれども、野島理事のご指摘のとおり、福祉保健局のホームページに掲載してはおりますが、まだまだわかりにくいという部分もあろうかと存じますので、今後は、児童会館の利用者を初め都民の方にわかりやすくするために、児童会館のホームページにも基本構想の内容を掲載していくなど、周知方法を工夫してまいりたいと考えております。
 また、児童会館の機能移転については、今まで児童会館のホームページに掲載したという事実はございません。
 次に、開設時期に関するお尋ねでございますが、これにつきましては、現在の工事の進捗状況についてご報告いたしますと、子ども家庭総合センター(仮称)の建設予定地では埋蔵文化財が発見されておりまして、来年の一月から三月にかけて試掘調査を行う予定でございます。この試掘調査の結果によりまして、平成二十年度に予定しております本採掘調査の規模なり所要期間というのが確定してまいりますので、そういたしますと、子ども家庭総合センター(仮称)の全体の建設工事スケジュールが確定してまいります。したがいまして、試掘調査の終わります来年度当初には、具体的な子ども家庭総合センター(仮称)の開設予定時期をお示しできるようになると考えております。

○野島委員 さっき構想の話をしましたけれども、私ども利用者にとっては、正直なところ、ある意味、構想というのは、ああ、そうなのと、こういう受けとめ方が一般的だと思うんですよ。それを具体化していくために、これから建設工事スケジュール、こういったものを確定していく、こういうことだというふうに思います。
 特に、具体的なスケジュールとかになりますと、これは当然財源を伴う話ですから、今から構想と同じレベルで、こんなこと、あんなことというふうになかなかいかない、人組みの問題もありますしね。そういう意味では、行政の中でしっかりそれらを縦横に十分検討しながら、できる限り早く利用者の方に正確な情報、これが伝わるような工夫をしていただきたい、こんなことを、情報の提供という意味では強く求めておきたいと思っております。
 そこで、次に、いろいろ請願の願意も出ているようでございます。既に議論されておりますのでね、と思いつつも、根幹にかかわる部分があるんですね、機能移転の部分と渋谷じゃなくなるよという部分で。この願意の中にもそれが読めるような部分もありますので、根幹のところだけ伺っておきたいと思います。
 広域的な自治体である東京都の持つ役割と、基礎的な自治体である各区市町村との役割分担、こんなことは地方分権の中で当然のことだろうというふうに思っております。児童の健全育成行政の一環としてのこの児童館行政も、都が先導的にあるいは広域的に実施する都立の児童館、こういったふうな児童館の果たすべき役割と、身近にある区市町村の児童館、こういったふうなところでは、私はその機能が明確にならないといけないというふうに思っております。
 仮に、都も区市町村も同じようなことをやっていたら、東京都が自治体として先導的にあるいは広域的に役割を果たしていくということができなくなっちゃうわけですから、税にも限りがあるわけですから、その辺は逆にいいますと、二重行政、税金のむだ遣い、こういうご指摘にもなろうかと思いますので、私はそういう意味では、役割分担、これらをしっかりとしながら、連携して、共同して都と区市町村が健全育成行政を進めていく、こんなことが必要だろうというふうに思っております。
 そういう中で、この児童館が、もう整備を進めている区市町村もありますし、あるいは、一つの方向性はあるけれども、財源との関係でなかなかそこまで至らない、こういうところもあるわけです。あるいは、それを担う人材育成の話もございます。こういうふうな区市町村の役割を踏まえ、広域的な、あるいは先導的なという言葉も加えてもいいと思うんですが、東京都児童会館の機能移転後の役割、何でそっちに動かすんだ、こんなことにつきまして、改めて都の認識を伺っておきたいと思います。

○吉岡少子社会対策部長 児童館は、児童の健全育成を図っていく上で地域の拠点となる施設でございますけれども、一方で、学童クラブや放課後子ども教室等が増加してきておりまして、地域の児童館の役割は相対的に変化してきております。従来の小学生を主たる対象とした運営に加えまして、乳幼児とその保護者、または中学生、高校生など、さまざまな利用者への対応を強化していく必要があると考えております。
 一方で、都と区市町村の役割分担の観点から、都立施設であります児童会館は、子ども家庭総合センター(仮称)への機能移転後、区市町村の先駆的な取り組みなどの情報発信や遊びの開発、人材育成など、地域の児童館の支援に重点化を図ってまいります。

○野島委員 わかりました。
 健やかに子どもたちが成長するためにも、社会状況の変化、あるいは、今いったように、区市町村がどういう役割を果たしていくか、それに対して、東京都がどういう役割を果たすことによって区市町村を支援していけるのか、こんなことをしっかりとらまえていただきたいというふうに思っております。東京都全体の児童の健全育成、これを向上させるために、機能を分担しつつ、共同しつつ支援をしていく、こういうことだろうと思いますので、ぜひ先導的な役割をこの場面でもお果たしをいただきたいというふうに思っております。
 それと、さっきもお話ししましたけれども、ここの児童会館を移転する子ども家庭総合センター、児童相談センター、教育相談センター、そして警視庁所管の新宿少年センターがそれぞれの専門的な立場を生かしながら、親と子どもを一体的、総合的に支援する施設にしていきたいんだ、こういうふうな考えと伺っております。
 そこで私は、このことが、東京都児童会館が機能移転することに大きくプラスになるだろう、地域の児童館を支援する機能を果たす上でも効果的であろうというふうに思うんです。子どもたちを取り巻くメンタルな部分とか、そういう意味では、市町村が人材的にどうだという部分も、私、正直なところ、感じているところがあるんですよ。それはやっぱり都の専門的な立場からやっていく、そういう視点も必要でありますので、そんなところについて都の所見を伺っておきたいと思います。

○吉岡少子社会対策部長 東京都の児童会館は、地域の児童館の役割の変化に合わせて、新たな研修プログラムの企画や情報の収集、普及に取り組んでいく必要がございます。その役割を果たしていく上では、障害児のケアや青少年期に特有の行動や心理について、専門性の高い相談機関と緊密な連携を図れる体制というのは有益であるというふうに考えております。

○野島委員 わかりました。これで終わりにします。
 たしか、この児童会館が四十三年間ノウハウを蓄積してきたわけでありますから、そういうことを踏まえつつ、現下の児童を取り巻く状況、これを児童館行政の中で都が先導的、先駆的に展開をしながら市区町村をしっかりバックアップしていく、いわば共同、連携、こういったふうなことでしっかり進めていただきたいと思っております。
 それから、情報提供の部分はぜひわかりやすく。正直なところ、話はもとに戻りますけれども、構想を読み切って、ああ、わかったというのはないわけですね。自分がそういうところに行ったときに、こういう悩みを抱えている、こういうふうなことを児童館に求めたいとなったときに、ああ、こういう相談ルームもあるのかとか、こういう専門家もいるのかとか、そういう自分の行動に合わせて行政がどうやってくれて--合わせてというのはおかしいですな、希望や願いに基づいて行政がどうやってくれるかというのが具体的にならないと、なかなか僕はわかりにくいと思います。
 ぜひ、わかりやすい広報、こういったふうなこと、それから、いろんな意見を十分聴取して進めていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○かち委員 私からも一九第一九、都立児童会館について質問させていただきます。
 野島委員とは若干違う立場から質問いたしますけれども、この問題については、何度か私もこの委員会でも質疑をさせていただきました。昨年の一月に子ども家庭総合センター構想が打ち出され、その中にこの児童会館の機能移転という問題が出てきて、それ以降、私も何度か児童会館にも足を運び、また、全国のセンター的な役割を持つ大型の児童館の実態だとか、また、群馬県のこどもの国児童会館にも行ってまいりまして、そういうものをいろいろ見てくる中でも、東京都が三十九年に開設されて、これはもう全国に先駆けて、先駆的に取り組まれてきたわけですけれども、東京の児童会館活動が全国の児童館活動にも大変大きな主導的な役割を果たしてきたということも実感しておりますし、今、子どもたちの置かれている環境や状況が複雑になってくる中で、本当に豊かな親子の育ち合い、こういうことを保障する場である東京都立の児童会館の役割というのは、ますます大きくなっているなというのを今実感しているんです。
 この機能移転をすることになったきっかけが子ども家庭総合センター構想ということになりまして、そのことが今進んでいるわけですけれども、どういう進捗状況なのかと思いましたら、先ほど質疑がありまして、来年の一月には埋蔵文化財の本格試掘に入るというような状況になっているとのことでした。
 それで、改めて、私、子ども家庭総合センター構想、一体どういうものなのかということをもう一回読み直してみました。
 そうしましたら、こんなに分厚い中身なんですけれども、この中で児童会館の機能を移転するという記述が、最後のページのこの半ページ分しか載っていないんですね。児童会館の機能をここに移すことが、子ども家庭総合センターの役割の中でどういう位置づけ、役割を持つのかというようなことが余り記述されていないんですね。ただ、これからのあり方として、地域の児童館の活動のための情報収集だとか機能の支援、または、家庭で行えない木工や科学工作、造形遊びなどをやるというふうには書いてあるんですけれども、あの大きな役割を果たしていた児童会館の役割は一体どのように位置づけているのかなというのは大変見えてこないものですから、ぜひそのところをお聞きしたいというふうに思うんです。
 あえて児童会館の機能をこのセンターに統合させる必要がどこにあったのかということをお聞きします。

○吉岡少子社会対策部長 子ども家庭総合センターに児童会館の機能を移転する必要性についてのお尋ねでございますけれども、まず、先生が基本構想を今ご指摘になりましたが、この基本構想では、先生が今ご指摘になったページ以外のところでも、児童会館の機能を移転することについて触れている箇所がございます。
 新たな子ども家庭総合センターにつきましては、この中で、豊かな親子関係創造部門というのが大きな柱の一つとして位置づけられておりまして、豊かな親子関係を創造するために、地域の児童館活動のノウハウを都全域に広める拠点として、研修、講演会の実施、児童館運営に関する情報の収集、提供、子どもがみずから考え、工夫を凝らし、物をつくる喜びを体験できる機会や遊びの場等を提供し、子どもの健康の増進、豊かな感受性の醸成を図るというふうに位置づけられております。
 私どもは、児童会館が子ども家庭総合センターに機能移転し、統合されることによりまして、先ほど申し上げましたように、ほかの児童相談センターなど、発達障害やあるいは青少年の心理等について専門性の高い相談機関と緊密な連携を図ることにより、より実効性の高い研修なり人材育成が実現できるようになるというふうに考えております。

○かち委員 失礼しました。そういえば、三九と四〇ページにかけてちょっと書いてありました。
 今おっしゃられたような中身は書いてあったんですけれども、この構想そのものは、今、本当に子どもたちをめぐって、被虐待とか暴力とか、また発達障害だとか、非常に複雑な問題がいろいろ子どもたちの中にあらわれている、その背景には、社会的ないろんな環境の変化が大きいんだと思いますけれども、そうした中で、一つ一つの問題解決も大変難しく複雑になっている、だから、一つ一つの、児童相談窓口、教育相談窓口、また少年センターというそれぞれの場での対応だけではし切れない状況もある、だから、統一的に一つの建物の中で総合的に対処したいということは私は理解できるものでありますけれども、大変中身的には重い中身があるんですね。
 だけれども、児童館に通ってくる子どもさんたちというのは、もっと広い層で、これからもっと豊かな遊びや親子関係や交流を通して育成していく、育っていくという要素の強い役割だと思うんです。そういう意味では、この建物の中にその児童館機能を入れてしまうということは、私は大変異質なものではないかなというふうに思うわけです。
 それで、今のご答弁の中で、地域の児童館では対応し切れない子どもたちへの支援や中高生への対応が求められている、そういうところに支援をするんだというふうにいわれましたけれども、今の児童会館の中でも家庭相談活動もやっておりますし、また、中高生の居場所問題というのも大変大きな問題に今なっているわけですね。児童館が全都で六百数十カ所できたといいますけれども、中高生の子どもたちが集ったり、いろんな活動をしたりする場所というのはまだ四十数カ所でありまして、しかも、ここにあるような音楽スタジオなどというような重装備なものというのはなかなかないわけです。そういう意味で、中高生の唯一の居場所ともいえるこの児童館の存在意義というのはますます大きいんじゃないかというふうに思います。
 それで、今日的に見ても、年間八十万人からの利用者が利用している。本当にみんながそこに求めてやってくるということからしても、この児童館を、もう役割は終わったということで、別の機能でということであそこからなくしてしまう道理はないんじゃないかというふうに思うんです。
 この児童館の機能移転とおっしゃっていますけれども、いま一度、何をしようとしているのかお聞きします。

○吉岡少子社会対策部長 子ども家庭総合センターに児童会館のどのような機能を移転するのかというお尋ねかと存じますが、これも先ほど来ご答弁申し上げておりますとおり、先駆的な取り組みの情報収集、提供、それから新たな遊びの開発、それから青少年の心理等に関する専門的な知見を踏まえた研修等々でございます。

○かち委員 先駆的、専門的な難しい問題についてやるんだとおっしゃっていますけれども、時代とともに子どもたちの育つ環境もいろいろ変わってきます。だから、今までやっていた遊び、それで通用するというものではないですよね。今の環境の中で、どうしたら本当に生き生きと豊かな遊びや成長をはぐくむことができるかというのは、日々研さん、未来に向かって研さんしていかなければならないものなんですよね。ところが、そういうフィールドはもう要らないと。
 地域の児童館の指導員の人材育成といいますけれども、地域の児童館の活動を支援したり育成していくためにも、あれだけの豊かなスペース、広さ、いろんな遊びがあるというあの中央児童館の機能があって、そこに研修に来たり実践体験をして学び育って、また地域に散っていくということだと思うんです。前、この委員会でも、児童館の指導員をやっていた方もいまして、あの児童館で大変成長することができたとおっしゃっていましたけれども、まさにそのフィールドがなければ、そういう新しい先進的な発掘とか取り組みもできないわけですよ。
 そういう意味での中央児童館の役割というのがあると思うんですけれども、今度、移転構想の中では、本当に専門的な一部分だけの機能を残すということですね。構想が出たから、基本設計で今動いていらっしゃると思うんですけれども、その基本設計の中では、七階のワンフロア、それと屋上の一部を使うというだけであって、本当に今までのような豊かな遊びを体験できるような、とてもそういうものではないなというのは本当に実感するわけです。そういう意味で、先駆的な役割を果たすんだというのであれば、やっぱり今の規模や内容豊かなあの児童会館を残すべきだというふうに思います。
 それで、児童会館の中にある六百名規模のホールなんですけれども、ここでも、子どもたちの文化、芸術、それから、お祭りとか音楽コンクールとか、いろんな活動をやっていて、あの児童会館の中の心臓部分みたいな役割を持っていると思うんですけれども、都としては、このホールももう必要ないんだというお考えでしょうか。ホールの今まで果たしてきた役割についてはどのように認識しているでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 東京都児童会館に併設しておりますホールについてのお尋ねでございますけれども、東京都児童会館が開設をされました昭和三十九年当時は、数少ない公共ホールとして、良質な児童演劇の提供などにより児童の健全な育成に貢献してきたものと考えております。
 しかしながら、現在では、民間のホールに比べまして比較的低廉な価格で使用できます公共のホールで、都内では五百人以上収容できるものだけでも六十七施設に達しておりまして、児童会館が独自にホールを持つ意義は薄れているものというふうに考えております。

○かち委員 区市町村にホールが普及してきたからもう必要ないとおっしゃいますけれども、しかし、このホール、今でも利用率八〇%を超えているんですよね。それだけみんなに人気があって、やっぱり利用したいという多くの皆さんの願いですから、そこにやっぱりこたえるべきだというふうに思います。
 そして、児童会館の機能移転にかかわるお知らせが不十分だということがこの請願者の願意だったと思いますけれども、東京都としてはお知らせをしているといいますけれども、私も児童会館を見た。インターネットでは見つかりません。福祉保健局をたぐってたぐっていくと、やっとこの構想が出てくるんですけれども、これはやっぱり不親切だと思うんですよね。
 先ほど、これからは充実させていきますといっておりましたけれども、これからって何でしょうか。この構想そのものを、関係者、利用者に今すぐにも明らかにすべきだと思うんですけれども、どうですか。

○吉岡少子社会対策部長 先ほど、都民にわかりやすくご説明するということで、児童会館のホームページに掲載することを検討していくと申し上げましたけれども、これについては、できるだけ速やかに実施したいというふうに考えております。
 あと、先ほど、かち副委員長から東京都児童会館のホールの利用率についてちょっとお話がございましたが、平成十八年度のこのホールの利用率につきましては、ステージの利用数というところで見ますと、利用率は五二%というふうになっております。

○かち委員 私、けさ、児童館に直接聞いた数字ですので。
 速やかに、直ちに構想から掲載するという確認でいいんですね。--はい。それは本当にこの方の願意に沿うものですので、ぜひやっていただきたいと思います。
 そういう意味で、これはもちろん採択をお願いして、私の質疑を終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○野上委員長 起立少数と認めます。よって、請願一九第一九号は不採択と決定いたしました。

○野上委員長 次に、請願一九第九六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○細川医療政策部長 整理番号2、一九第九六号、多摩地域の小児医療の拡充に関する請願は、清瀬市の中村あや子さん外十名から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、二十三区に比べ小児科医が少ない多摩地域の現状にかんがみ、多摩地域の小児医療について、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 内容について順にご説明いたします。
 まず、第一項でございますが、都が責任を持って小児科医師確保対策を行うことというものでございます。
 次に、第二項でございますが、二十四時間三百六十五日、安全・安心して子育てができるように、休日・夜間の小児医療を確保することというものでございます。
 第三項でございますが、多摩地域の都民の要望をきちんと聞き、小児医療の充実に取り組むことというものでございます。
 現在の状況について、まず第一項でございますが、医師確保対策は、制度設計者である国がまずその責任を果たすべきものであることから、本年六月、都は国に対して、産科、小児科等の病院勤務医師の養成などについて具体的な緊急提案を行いました。
 一方、都においても、東京都地域医療対策協議会を設置し、学識経験者、医療関係者、区市町村代表及び住民代表など、さまざまな立場からの意見を交えながら、都内における医療従事者確保の方策について協議を行っております。
 次に、第二項でございますが、都は、休日・全夜間診療事業(小児科)を実施し、緊急に入院治療が必要な小児患者に三百六十五日二十四時間小児科医が対応する二次救急医療機関を、多摩地域のすべての二次保健医療圏で確保しております。
 平成十九年十一月現在、緊急入院のための病床として、東京都全体で四十七施設七十二床、このうち多摩地域においては十五施設二十五床を確保しております。
 このほか、都は、市町村が行う休日及び平日夜間の初期救急診療事業への補助を行い、身近な地域で初期救急診療を受けられる体制の整備を支援しております。
 第三項でございますが、都は、東京都における小児医療の拠点施設として、多摩メディカル・キャンパス内に小児総合医療センター(仮称)の整備を進めるとともに、多摩北部医療センターを小児科二次救急医療機関として確保するなど、各市町村や医師会等関係団体とも連携を図りながら、多摩地域における小児医療の充実に努めております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○野上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田代委員 小児科を初めとする医師不足、大変大きな問題に最近なっているわけですけれども、地域の小児医療の提供に必要な小児科医を確保してほしい、これはもっともな要望だと思うんですね。
 しかし、今お話しいただきましたように、国がやらなくてはならない、それに対して東京都がどういう体制をとっていくのかということを具体的に図っていかなくてはならないわけでありまして、この医師不足の背景にはいろいろ大きな問題が幾つかあると思うんです。病院の勤務がきついでありますとか、あるいは、二十四時間ということで肉体的にも精神的にも極限まで働かされているという状況もある。じゃ、開業医の先生たちが何にもしていないかというと、そんなことはないのであって、一生懸命往診もしている。表に出てこないために、何となく病院だけが大変なように見えますけれども、両方大変な状況で今取り組んでいるわけです。
 これを解決していくためには、先ほどおっしゃった、東京都から国へ申し上げたこと、あるいは東京都の中でいろいろ議論なさっていること、こういうものを実際に生かしていかなくてはならないわけですけれども、今、現実に医師の数が足りなくて、しかも生身の人間が生きているんだというところの問題の解決は、一つは、医師をふやせばふやすほど医療費が高くなってしまって、医療費が高くなること自身が国にとってマイナスなんだという間違えた考え方の是正を、少なくとも東京都はしっかり持っていていただきたいということ。それから、生身の人間であるからというだけのいいわけでは、これは済まないことであって、生身の人間じゃなくてできることも、工夫ですね、どこかで、直接、医師あるいは看護師、あるいは周りの医療関係の人たちに不要なプレッシャーがかからないような、そういうような取り組みというのが非常に重要だと思いますし、特に福祉保健は、医師不足ということを考えて全体を見ていかなくちゃならない。病院経営本部は、都立病院の医師不足を見ていかなくちゃいけない。それぞれ微妙に立場は違うと思うんですけれども、やはり大きな立場で見ていかなくちゃいけないわけですから、そこをしっかりとらえておいていただきたいと思うんですね。
 ですけれども、今もお話しいただきましたように、七十二床のうち二十五床、人口比でいえば適正な人口比になっている。ただ、そうなんですけれども、私も多摩永山病院にいて、地域的に見ると非常に世田谷とは--世田谷もかなりでかいんですけれども、比べ物にならない。まして八王子市の往診なんていうと、隣の村というと、隣って歩けるものが世田谷では普通なんですけれども、とんでもない話で、延々三十分かかるなんていうことは普通になってしまうわけで、別に自分の病院の宣伝をするわけじゃないんですけれども、日本医大も、救命救急と外科系の救命救急と二本立てで救命救急をやっているわけですから、それなりに充実はしていると思うんですが、広さというものが一つ目の前にあるわけですね。
 昔は三多摩格差という言葉があって、今はないといっているわけじゃないんですよ、いろんな問題点も新聞を昔はにぎわしたことがあるんですけれども、最近は、僕が覚えている限りでは余り大きな問題はないような気がするんですが、この請願者がお住まいの清瀬市、北多摩北部の医療圏の小児医療の確保というものに対しては、我が党の野島理事が、かねてよりこの厚生委員会でいろいろ質疑を行っていただいて、清瀬の小児病院の移転後の小児救急医療の確保について、つぶさにその取り組み状況というのを確認してきたわけです。
 この地域の小児救急医療の確保については、地域に必要な二次救急医療については、多摩北部医療センターの小児科の体制を充実させていく、それから小児救急体制については、地元市や地域の医師会と協力して、二カ所の中核的病院において小児の初期救急事業を実施し拡張していくということが、地元関係者との大変長い地道な協議を踏まえて決まったわけであります。
 この状況を、しっかりと前向きに進んでいくかどうかを我々は見ていかなくちゃならない。これは言葉でいうと簡単なことですけれども、先ほど申し上げました広さというものをカバーしていくためには、やはり人的なことだけでは不可能なので、人的プラスアルファなものの工夫ですね、これだけ技術が発展しているわけですから、工夫をしていかなくちゃならないと思うんです。
 しかし、別の観点から見ますと、いつも申し上げているとおりに、あの映画が正しいわけじゃないんですけれども、ムーア監督の「シッコ」なんかを見ていますと、日本の小児救急というのはかなりレベルが高い。多分、一位でしょうね。その中で東京都は、体制的にも、それから数的にも一位であるわけで、ある意味で見ると世界一ということになるんですけれども、システムができているから全部いいわけではなくて、中身の動かし方が果たしてきちっとなっているかどうかということは、いつでも検討を重ねていく必要があるのであろうと思います。
 特に小児救急というのは、夜が多いわけですね。家庭教育の問題とかいろいろいいますけれども、確実に核家族化しているわけですから、おじいちゃん、おばあちゃんがいないから対応がというんですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんの時代の問題ではなくて、私が医師になったときには、既にあのときには、脳梗塞というと、もうあきらめる病気だったんですね。今は脳梗塞はあきらめない病気になった。たった四十年の間にこれだけ変わるわけですから、昔のおじいちゃん、おばあちゃんの知恵だけで、お孫さんと一緒にいればすべてカバーできるかといったら、そういう時代ではなくて、もっともっと高度なものが求められるようになったわけですから、やはり夜中、たとえ三世代同居であったって心配なものは心配であるし、子どもに何かあれば、親としては当然それに対して気が気ではないという現状があると思うんです。
 いや、それだったら、インターネットを見ればこういうことでわかりますよ、こういう電話相談がありますよと、いろいろあると思うんですけれども、少なくとも電話相談は人の声が聞こえて、ある程度安心感があると思いますけれども、ただホームページだけで見るというのでは心もとない、これは当たり前のことだと思うんですね。
 夜中にいらっしゃる患者さん方、うちの病院でもそうですけれども、どこで聞いてもやっぱり一番大きな問題は、わざわざ夜中にいらっしゃる必要があったのかなという、そういう状況の方が非常に多い。そのトリアージをどういうふうにやっていくかということが一つ、非常に--医師の数を急に、きょうからあしたにかけて倍にしようということは現実に無理なわけですから、今ある体制をうまくスムーズに使う上で、しかも余分なもの、余分というのは不必要という意味ですよ、面倒くさいという意味じゃなくて。不必要なところは省くということが、さらに重要な医療を受けなくちゃならないお子さん方に時間がちゃんと割り振りができるわけですから、トリアージをしていくということはとても重要だと思うんです。
 ですから、そういうことを、具体的にどういうふうに患者さんたちの声を聞きとっていくのか、そして、その中で不安を解消していくということが非常に重要だと思うんですね。ただお医者さんが足りない、看護師さんが足りない、世の中大変だというだけで、大変、大変で人数をふやしても、むだがあってはもったいないわけですから、そういうことがないような状況をつくっていただきたいんですが、都としてはどのような対策をとっているのか伺いたいと思います。

○細川医療政策部長 ただいま親御さんの不安な気持ちにこたえる対策ということでご質疑を受けましたが、まず、一点目といたしましては、入院治療の必要のない比較的軽症な小児患者への救急医療体制を確保するということをやっております。都としましては、平成十四年度から、平日夜間の小児初期救急診療事業への補助を実施しております。事業主体である区市町村を支援するという位置づけでございますが、現在二十九の区市で事業が実施されています。
 また、保護者の方へのご相談ということになりますが、子どもの急病時に保健師等に相談できる小児救急電話相談事業、いわゆるシャープ八〇〇〇というのを実施しておるところでございます。
 またさらに、東京消防庁においてでございますが、本年六月から救急相談センターを開設し、短縮番号のシャープ七一一九番で、救急車の利用や医療機関への受診、そしてまた急病時の対応に関するような電話相談もしているところでございます。
 そのほかに、急病時ではございませんが、日ごろから知識を身につけていただこうということで、インターネットで気軽に情報を得られる子ども医療ガイド事業、また、適切な医療機関への受診方法等をアドバイスする暮らしの中の医療情報ナビというリーフレットの作成など、保護者への普及啓発にも努めているところでございます。
 今後とも、子どもの急病時の保護者の不安な気持ちにも配慮した総合的な取り組みを進めてまいりたいと思います。

○田代委員 今お答えいただいた中に、いろいろ希望が持てるお答えがあったと思うんですね。特に、医療というものに対して医師以外の人たちの参加を積極的に求めていく。
 ただ、これは、保健師さん、あるいは今、助産婦さんの問題、制度上いろいろゆがみが出てきて、看護師さんになった後から保健師さんになる、助産師さんになるというルールになっているものですから、昔は一緒に受けられたんですけれども、助産師さんが受かったんだけれども看護師さんが受からなかったなんていうねじれが出ちゃうと、どうしていいんだかわからなくなっちゃうということなんですけれども、余りそういうところを厳しく--その制度が悪いといっているんじゃないんですよ。東京都は東京都で、もうちょっといろんなことを対応して話ができる、医療的な知識を持っている人たちの活用みたいなものも、例えば准看護師さんでも構いませんし、何かそういうトレーニングをして、ある程度、本当に最初のトリアージができるような体制というものを--何しろお父さん、お母さんたちは、二十四時間すぐつながりたいんですよ、まず。質が大切であることは当然ですけれども、その前に、どっちかといったら、まず量。すぐ通じたいとなるわけですから、なかなか医療法の壁というのは難しいと思いますけれども、何か工夫をしていただいて、医師の手元に来たときは、もう医師は、ただただその治療に没頭すればいいような状態、状況把握から、ゼロからスタートしなくちゃいけないという状況を少し変えていただけたら大変ありがたいなと思うんですね。
 本年六月に東京都は地域医療対策協議会を設置して、都における医師確保の対策を協議しているところでありまして、この協議会での検討も踏まえて、勤務環境改善や、せんだっても申し上げましたけれども、女性医師の再就職ですね、一度離職してからも戻ってきやすいような、こういう病院の勤務医の負担軽減に向けた取り組みを検討している、こういう答弁があったんですけれども、多摩地区だけではなくて、当然、都内いずれの地域においても、やはり小児科医師というのは非常に大切でありまして、今、産科の問題も、同じく麻酔科と小児科が必要ということになったから、ますます足りない。足りないもの同士で引っ張り合っているわけですから、三つ足りない、麻酔科も足りない、小児科も足りない、産科も足りない中で、三つが一緒にいなきゃ、やっちゃいけないといわれたら、ますます足りなくなっちゃうわけで、こういうことをどうやって具体的に解決していくかということの取り組みを、三多摩のみに限らず、これはそういうつもりで出されたことでないことは、僕はよくわかっているんですけれども、やはりご自分の地域から見ると心配だと、当然そうなんですけれども、やはり皆様方の立場からすると、東京全体に対してこういう問題が起きないようにしっかりと取り組んでいただくことをお願いして、質疑を終わります。

○吉田委員 私からも、本請願について、趣旨採択を求める立場から若干質問をし、要望も述べさせていただきたいと思います。
 一番目の小児科医確保の問題は、既に本委員会事務事業質疑などでも繰り返し議論をされてきましたので、繰り返しません。
 私は、第二項目めの休日・全夜間の小児救急の確保について質問させていただきたいと思います。
 先ほどの部長の説明では、すべての二次保健医療圏に確保しているというご説明でありました。事前に資料もいただきましたけれども、資料を見ると、確かに、多摩地域だけではありませんが、すべての二次医療圏に休日・全夜間の小児救急の医療機関を確保しているということは確認できます。ただ、例えば多摩地域を見ますと、指定医療機関は、昨年十八病院だったものが十五病院というふうに減少しておりますし、また、医療圏ごとに見た場合、西多摩医療圏、これは野村委員の地域かもしれませんが、ここはずっと一病院二ベッドのみというふうになっておりますし、さらに北多摩西部は、昨年までは三病院あったものが、ことしは一病院に減少し、ベッドも二ベッドということになっております。
 北多摩西部というのは、立川市、昭島市、国立市、国分寺市、武蔵村山市、東大和市という六市の行政区で一つの医療圏ですけれども、こういうことを見ると、各医療圏にありますよというだけではなくて、やはりそれぞれの医療圏ごとのこのような偏在が解消されていくべきではないかなというふうに思うんですけれども、その辺はどのようにお考えで対応しているのでしょうか。

○細川医療政策部長 二次救急医療機関につきましては、地域的な配置も勘案しながら確保しております。その中でそれにふさわしい医療機関を選定していくということで、西多摩、北多摩西部の医療圏におきましても二次救急医療機関は確保できているというふうに考えております。
 また、多摩地域全体での確保病床は現在二十五床となっておりますが、多摩地域における休日・全夜間診療事業の入院患者実績からしても、一日当たりの入院病床としては十分に確保できているというふうに考えております。

○吉田委員 確保されているということですけれども、私は、一層の拡充を求めたいということで要望し、質問したわけです。
 実はこれは、単に多摩地域だけの問題ではありません。私は杉並区の選出ですけれども、医療圏でいいますと、区西部保健医療圏ということになっています。この区西部医療圏では、休日・全夜間の東京都が委託をしている医療機関は四病院五ベッドということになっています。ところが、私の杉並区は長期にわたって対象病院を確保することができておりませんし、最近まで、中野区には一病院、委託をされていた病院があったんですが、これが休止をいたしましたから、四病院五ベッドありますが、杉並区にも中野区にもないという事態があるわけです。もちろん、医療圏で数的には対応できるというふうに解釈されているかもしれませんけれども、たとえ二次救急であったとしても、やはり身近な自分の行政区の中であってほしいというのは当然の要望だと思うんですね。
 そういう意味から、医療圏に最低ありますよというだけではなくて、ぜひ地域的な偏在がないように、大いに都としても、これは単なる区市町村の事業じゃなくて、都の事業として委託をしている関係にあるわけですから、拡充していただきたいということを要望として述べておきます。
 その関連で、以前も実は本委員会で質問し、要望させていただいたことがありますけれども、この場合には、あくまでも一つの病院が三百六十五日、週でいえば七日間、切れ目なく休日・全夜間、小児科医が対応し、入院も受け入れることができるという条件があって初めて委託費が払われるということなわけですが、杉並区の場合には、努力はしていますが、ある大きな病院が、たしか週四日程度しか小児科医の関係で受け入れることができないんですよね。その分どのようにしているかというと、それでも確保してほしいということで、杉並区がたしか独自の補助金を出して支援をするというふうな形をとっております。
 二つの病院を組み合わせて三百六十五日ならばというようなことは聞いておりますけれども、こうした完全週七日、三百六十五日になり切らなくても、かなりの日数で対応できるような医療機関への支援策というものはぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○細川医療政策部長 小児科の休日・全夜間診療事業は、すべての休日及び夜間に入院治療を要する救急患者に医療を提供することを目的に実施しておりますので、これを担う病院は、都民の利用しやすさ、救急搬送のわかりやすさ等を勘案し、固定で確保することを原則としております。
 また、一つの病院ではすべての休日・夜間において救急医療体制をとることができない場合であっても、複数の医療機関が交代で体制確保ができる場合には既に事業の対象としており、柔軟な対応を行っているところでございます。

○吉田委員 複数で一週間あるいは三百六十五日の場合には対応していますよということですけれども、それをさらに柔軟にして、例えば週五日間とかいうようなことを、杉並区の場合には、杉並区として補助して支援をするというようなことをやっているわけですから、そうしたことに対する都としての何らかの支援策を進めれば、実態として見れば、もっと進むのではないかなということで、繰り返し要望させていただきます。
 次に、請願の三項目めに関してですけれども、請願理由を見ますと、こうした要望をされている理由として、都立清瀬小児病院、八王子小児病院の廃止、統合に伴って、小児救急の後退ということを危惧されて要望しているというふうに受けとめられます。部長の説明では、多摩北部医療センターで、小児の二次救急医療機関として確保して、そうしたことをしているんだというご答弁がありました。
 指定するのは結構なんですけれども、実際に、量、質ともに都立清瀬小児病院にかわり得るような機能が発揮できるのか、また、この間、発揮しているのか、そこはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。

○細川医療政策部長 清瀬小児病院につきましては移転を予定しているところでございますが、移転する前に、それに先立ち、平成十七年六月に小児科の体制整備を行った多摩北部医療センターがございます。
 こちらにおきましての取扱実績ですが、平成十七年には、十カ月でございますけれども、休日・夜間診療事業の患者数は約千六百人ございました、平成十八年度には、取扱患者数は四千二百件と増加してきておりまして、地域住民の間における認知も大分進んでいるというふうに認識しております。

○吉田委員 取扱実績の数が紹介されましたけれども、どういう行為を行ったら取り扱いというふうになるのかがちょっと認識できないんですけれども、先日の厚生委員会に、これは病院経営本部ですが、提出いただいた資料で、公社病院の各医師数の定員と現員について示していただきました。
 そうしますと、多摩北部医療センターの小児科医師数は、定員は五名です。それに対して、つい先月になりますが、ことし十月一日時点の現在いる小児科の医師の数は二名なんですよね、いただいた資料では。これは正規の数で、ほかに非正規の方がいらっしゃるのかもしれません。ちなみに、都立清瀬小児病院の小児科の医師の数は二十四名なんですよね。果たして小児科の医師が二名だけで、どうやって休日・夜間、三百六十五日回すことがそもそもできるんだろうかという疑問を率直に持ちました。
 しかも、市は、東京都との協議で、多摩北部医療センターに小児科医八名を確保するということの約束を了として、東京都の計画に理解を示すというふうに説明したというふうに聞いておりますけれども、それどころか、定員にも満たない二名という状況では、やはり真に都立清瀬小児病院にかわり得るような機能、量、質ともに到底なり得ないのではないかというふうに受けとめざるを得ません。
 そういう意味からも、本請願の、きちんと充実に取り組んでほしいということは、ぜひ改めて要望したいと思いますし、市民の中では、今でも清瀬小児病院を守ってほしいという署名活動を、この十一月、寒風の中でも続けるという努力がされ、また市民もそれにこたえているというふうに聞いております。
 清瀬小児、八王子小児病院を廃止、統合し、その代替策で対応するということではなくて、やはり存続してこそ、真に多摩地域の小児救急の体制が確保できるという意見を述べまして、私の質問を終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認めます。よって、請願一九第九六号は趣旨採択と決定いたしました。

○野上委員長 次に、請願一九第九七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松浦障害者施策推進部長 整理番号3、一九第九七号、障害者自立支援法に関する請願でございますが、清瀬市の東京都患者同盟会長、小島貞夫さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 内容につきまして順にご説明いたします。
 まず、第一項でございますが、生活保護境界層対象者に対する負担軽減措置を適用する場合の預貯金などの限度額は、自立に必要な金額の保有を認めること。
 第二項でございますが、障害者施設での日常生活費及び更生訓練費については、すべての入所者及び通所者に支給するよう国に働きかけること。
 第三項でございますが、内部障害者更生施設において、引き続き、障害者手帳を所持しない結核回復者の入所を認め、さらに、福祉ホーム等のほかの施設へ転入所する場合にも同様に認めるとともに、あわせてこれらを国に働きかけること。
 第四項でございますが、障害者入所施設における障害者の入退所につきましては、今までどおり障害者本人の希望に沿った選択ができるようにし、あわせて国に働きかけること。
 第五項でございますが、障害者自立支援法の運用に当たっては、障害程度区分や在所期間に応じて機械的に一律の取り扱いをするのではなく、障害者本人の立場に立った自立支援を行うことというものでございます。
 現在の状況につきまして、まず第一項でございますが、平成十八年四月からの利用者負担の導入に当たり、新たに生活保護への移行防止策が講じられているところでございます。これは、定率負担により生活保護の対象となる場合には、生活保護の対象とならない額まで負担を引き下げるものでございまして、移行防止策の対象となる生活保護境界層対象者であるか否かの判断は、生活保護制度に基づいて行われるところでございます。
 第二項でございますが、日常生活費につきましては、施設入所か在宅生活かにかかわらず必要な経費でございまして、在宅生活者との負担の公平化を図る観点から自己負担を原則としまして、平成十八年四月以降、給付の対象から除外されております。
 また、更生訓練費につきましては、区市町村地域生活支援事業の選択事業の一つでございまして、支給については区市町村が決定するものでございます。
 第三項でございますが、現に内部障害者更生施設に入所している者で、身体障害者手帳を所持していない結核回復者につきましては、平成二十三年度までは経過措置として利用が可能でございます。また、新規利用についても、経過措置期間中についてはこれまでと同様の取り扱いでございます。それ以降の利用につきましては、現在、国において、法施行後三年を目途に行う見直しに合わせて取り扱いを検討中でございます。
 福祉ホーム等、他の施設への転入所につきましては、障害者自立支援法に規定する障害者であることが要件となります。
 第四項でございますが、障害者自立支援法では、平成十五年度から導入した支援費制度の自己決定と自己選択及び利用者本位の理念を継承しつつ、地域生活支援、就労支援といった新たな課題に対応するとともに、入所期間の長期化など、本来の施設の機能と入所施設の実態の乖離を解消するため、サービス体系を機能に着目して再編し、サービス内容と利用者像を明らかにしております。
 再編後のサービス体系でございますが、日中活動の場を利用しながら在宅での地域生活を行うことを基本としつつ、居住支援が必要な障害者にはグループホームやケアホームなどのサービスが用意されており、夜間における入浴、排せつ等の支援を必要とする障害者を対象といたしまして施設入所支援を行うこととしております。こうしたサービスの支給決定は、障害程度区分や障害者本人のサービス利用意向も踏まえた上で区市町村が行っております。
 第五項でございますが、障害者自立支援法では、地域での自立した生活を続けるために必要なサービスを障害者のだれもが公平に受けることができるよう、サービス支給の決定の透明化、明確化が図られております。
 施設入所支援につきましては、障害者の心身の状況を総合的にあらわす障害程度区分に基づきまして、入所の対象となる方が定められておりますけれども、具体的なサービス支給の決定は、障害程度区分に加えまして、介護を行う者の状況、地域における活動、就労、居住等の障害者の置かれた環境、サービス利用に関する意向の具体的内容など、個々の障害者の状況を勘案しまして区市町村が行うこととされております。
 なお、従来施設に入所していた障害者につきましては、経過措置により平成二十三年度まで引き続き入所が認められておりますが、国は、既存の施設入所者が行き場がないということが生じないよう、所要の手続を経まして、三年以内のできるだけ早い時期に必要な制度改正を行うこととしております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○野上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○吉田委員 本請願についても、趣旨採択を求める立場から何点か質問させていただきます。
 第一項目めの境界層対策についてなんですけれども、この境界層対策という施策については、この委員会でも余り取り上げて議論をしたことが、機会がありませんでしたし、なかなか周知徹底もされていないのではないかなというふうに思います。
 今、簡略的なご説明がありましたけれども、そもそもこの境界層対策というものは、どういう仕組みで、どのような趣旨で、どのような手続で利用することができるのか、改めてご説明をお願いしたいんですが。

○松浦障害者施策推進部長 まず、障害者自立支援法に基づきます利用者負担には、負担上限額の設定など、低所得者の方にさまざまな負担軽減策が講じられておりますけれども、このような負担軽減策を講じても、定率の負担をすることによりまして生活保護の対象となる場合がありまして、その場合には、生活保護の対象とならない額まで定率負担の月額上限額をさらに引き下げるということになっております。
 これを生活保護境界層と国はいっているわけでございますが、この対象者であるか否かの判断は生活保護制度に基づいて行われまして、事前に福祉事務所に生活保護の申請を行い、生活保護境界層対象者と認められれば境界層証明書が発行されまして、利用者負担が減額されることになります。

○吉田委員 生活保護、生活扶助を受けることなく自立した生活を促すということかと理解いたしますが、しかし、手続としては生活保護申請をする。そして、その対象になり得るかという点では、資産要件、預金なども、全く生活保護と同じ基準をクリアしない限りは、この境界層対策を受けることはできないということになれば、この請願者から出されているように、預貯金など、もっと要件を緩和してほしいというのは、私は趣旨からいっても当然のことではないかなというふうに思います。
 それで、改めてこの機会に聞きますけれども、実際にこの境界層対策の対象者となっている方というのはどのぐらいいらっしゃるのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 平成十九年四月実績で、障害児を除いた人数で申し上げますけれども、区市町村が障害者自立支援法に基づく介護給付や訓練等給付のサービスを給付決定したものが、延べ約四万三千人ございます。そのうち、生活保護境界層該当者は延べ五十九人となっております。

○吉田委員 これは周知徹底の不十分さと同時に、やっぱり仕組みからして、四万三千人に対して五十九人、四月一カ月だけの数字ですから限定的なものかもしれませんけれども、明らかに少な過ぎるという印象を持たざるを得ません。やはりこうした対象の方々がこのような制度を生かすことができるならば、周知徹底と同時に、要件などももっと緩和をして受けられるべきだと思いますし、東京都は、ご承知のとおり、低所得者対策ということを新たに打ち出そうとしていますけれども、もし低所得者対策ということならば、こうしたことも一つの課題として検討していくべきではないか、これは要望として述べさせていただきます。
 次に、二つ目の日常生活費及び更生訓練費についてですけれども、特に更生訓練費の支給についてですが、この目的は、実習及び訓練に要する費用を支給し、社会復帰を促進するというふうに聞いております。区市町村事業、地域生活支援事業の必須ではないその他事業ではありますけれども、すべての区市で実施をしているという説明がありました。社会復帰、自立にとっても非常に重要な施策ですので、こうしたことが拡充されるよう、都としても支援されることを要望しておきたいと思います。
 この請願の最後に、身体障害者手帳を保持していない施設入所者への対応についてですけれども、今後、施設の入所は障害程度区分によって可否が決まる。平成二十三年までは継続できるけれども、それ以降についてはまだ確定をしていないということで、不安が起きるのは当然だと思います。
 そこで、内部障害者の施設に入所している方で手帳を持っていない方というのはどの程度いらっしゃるのでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

○松浦障害者施策推進部長 旧体系の内部障害者更生施設につきましては、都内に清瀬園と浅川園の二施設がございます。平成十九年十一月一日現在のこの二施設の入所者でございますが、九十八名でございまして、そのうち、身体障害者手帳を所持していない利用者は三十六名ということになってございます。
 先ほど委員おっしゃったように、障害者自立支援法施行後におきましても、従来から施設に入所している方々につきましては、経過措置により平成二十三年までは引き続き入所が認められております。また、この経過措置期間後の扱いにつきましては、国は、既存の入所者が行き場がないということが生じないよう、所要の手続を経まして、三年以内のできるだけ早い時期に必要な制度改正を行うことを昨年十二月に明らかにしたところでございます。

○吉田委員 ことしの一定の本委員会でもそういうご答弁がありましたけれども、その後、国においてどのような検討が進んでいるのか、現在の状況についてご答弁をお願いいたします。

○松浦障害者施策推進部長 私どもは、適宜、国とコミュニケーションをとっているところでございますけれども、障害者自立支援法につきまして、この件も含めて、現在、国において精力的に抜本的な見直しが検討されているというふうに認識しているところでございます。

○吉田委員 内部障害者の施設だけで見ても、九十八人のうち三十六名の方が手帳を保持していらっしゃらないという、決して少数の方ではないと、この比率でいえばいえると思います。
 ぜひ、国の動向を見つつも、都としても適切な対応を図られることを要望いたしまして、質問を終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○野上委員長 起立少数と認めます。よって、請願一九第九七号は不採択と決定いたしました。

○野上委員長 次に、陳情一九第五二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松浦障害者施策推進部長 整理番号4、一九第五二号、障害者施策推進区市町村包括補助事業に移行した通所訓練等事業の存続に関する陳情でございますけれども、大田区の障害をもつ子どものグループ連絡会代表、矢澤健司さん外三千二百七十人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨でございますが、都は、平成十九年三月末で心身障害者児通所訓練等事業を廃止し、四月から障害者施策推進区市町村包括補助事業に移行したが、作業所以外は平成二十三年度以降の計画が示されていない。そこで、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 内容につきまして順にご説明いたします。
 まず、第一項でございますが、通所訓練等事業の内容を廃止することなく存続すること。
 第二項でございますが、新規の申請も、平成二十年以降も引き続き認めることというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、まず第一項でございますが、心身障害者児通所訓練等事業は区市町村が実施する事業でございまして、在宅の心身障害者児に対する創作活動及び機能訓練または学齢児童を主たる対象とした集団活動及び訓練を行うことにより心身障害者児の自立を促進することを目的に、都がその運営費の一部を補助してきたものでございます。
 障害者自立支援法の施行に伴いまして、東京都は、通所訓練等事業などの法定外事業につきまして、障害者自立支援法に基づく新体系事業に移行し、法内事業に位置づけることで、国から必要な財政支援が行われ、経営の安定を図ることが可能であるというふうに考えております。
 そのため、通所訓練等事業などが新体系事業に円滑に移行できるよう、施設設備整備の特別助成、法内化促進支援事業及び新体系移行支援事業など、都として多様な支援策を講じておるところでございます。
 こうしたことから、都は、通所訓練等事業の実施要綱及び補助要綱を平成十九年三月末日付で廃止しまして、同年四月から障害者施策推進区市町村包括補助事業の一般事業に位置づけまして、新体系事業に移行するまでの間、区市町村に対しまして、従前の運営水準を維持するための補助を行うことといたしております。
 次に、第二項でございますが、都は、新規に開始する事業につきましては、障害者自立支援法に基づく新体系事業として行うものを支援することとしております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○野上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 この陳情について何点かお伺いしておきたいと思います。
 申すまでもなく、障害者自立支援法、こういうものが施行されまして、これに基づいて法定事業へ移行していく、こういう経過期間でありまして、今回、この陳情を出されております心身障害者児の通所訓練等事業を初め、東京都の単独事業として実施している法定外事業の事業者がさまざまにご苦労なされながら、法内化に向けて検討を重ねていると伺っております。こういう制度の変わり目でございますから、なかなか悩みも大きい、あるいは不安がよぎる、こういうことは当然だろうというふうに思ってございます。
 今ほど、移行にかかわる東京都の基本的な考え方を部長からお伺いしたところでありますが、改めて、法定外事業が法定事業へ移行する、こういうことの意義がどの辺にあるのかということをお聞きしておきたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 法定外の事業でございます心身障害者児通所訓練等事業でございますけれども、国の財政支援が不十分でございまして、事業基盤が脆弱でありまして、事業運営が不安定であるということのほか、法人格を持つ事業体と比べまして、事業の透明性が十分でないというような課題がございます。
 東京都は、障害者自立支援法の施行に伴いまして、これらの法定外事業につきましては、自立支援法に基づく自立支援給付事業や地域生活支援事業などの新体系事業に平成二十三年度までに順次移行していただき、法定事業に位置づけることが必要であるというふうに考えております。
 法内化することによりまして、事業者には国から必要な財政支援が行われ、事業の運営の安定化が図られるというふうに考えております。また、法人としての事業の透明性や公益性が強く求められることから、利用者支援のより一層の充実が期待できるというふうに考えております。

○野島委員 ありがとうございました。
 実は、昨年の三定というふうに記憶をしているんですが、私、この事業に関する請願審査で質疑をいたしております。法内に移行していくと、要するに、事業主体の明確化が図られて透明性があると。それから、移行することによって財政的にも、これは自立支援法の中で義務づけられるわけですから、今のみならず将来に向かって国費等を導入していくことの安定性が図られる、こんなことで質疑をしたと思っております。
 ただ、現実に、冒頭申し上げました制度の変わり目の中、法内化に向けて一生懸命努力をしていくわけでありますが、財政支援を含む、そのためにもインセンティブのきいた支援策、これを強く要望したところでありますが、法内化を促進するためにどのように具体的な支援を行っているのか、こんなところを伺っておきたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 心身障害者児通所訓練等事業が法内化するために、都はさまざまな財政支援を行っているところでございます。
 まず、法人設立等の専門知識を有する支援員を派遣いたしまして、法人格を取得するための手続を支援するとともに、法人格取得後も、例えば会計処理とか規定整備など、このような運営のノウハウを提供しまして安定的な運営を支援する法内化促進支援事業、それとともに、障害者自立支援法に規定されます新体系事業に移行した後も、従来の運営水準ができるよう運営費を補助する新体系移行支援事業などを今年度から開始しているところでございます。
 こうしたソフト面の支援に加えまして、新体系事業への移行に伴いまして必要となる施設設備の整備につきましても、東京都独自に八分の七を補助する障害者通所施設等整備費補助、それから、補助率、これは十分の十でございますが、障害者自立支援基盤整備事業補助、このようなハード面の特別助成策を講じまして、総合的に心身障害者児通所訓練等事業の法内化の促進を図っているところでございます。

○野島委員 わかりました。
 いろんな支援策を用意していただいて、いわば法内化をしていく、そのことが私は一番今重要なことだろうというふうに思っております。さまざまに多くの課題を抱えておるわけでありますが、引き続きそういう面でのご支援をお願いしたい。
 しかし、これらの支援が用意されても、直ちに新体系事業に移行できない、こういう法定外の事業があるわけですね。現行の自立支援法のもとでは、心身障害者児通所訓練等事業が新体系に移行していくには極めて課題が多いのかな、こんなふうに考えております。
 そこで、こういう事業を、努力していくにしても直ちに法内化できない、こういうことがあれば、私は、当分の間は引き続き都が支援すべきと考えておるんです。そんな観点から去年も質問したんですが、その辺、どんなぐあいになっているのか、教えていただきたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 野島理事ご指摘のとおり、直ちに法内事業へ移行することが困難な心身障害者児通所訓練等事業についてでございますけれども、都におきましては、本年四月から、区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて主体的に福祉サービスの充実に取り組むことを支援いたします障害者施策推進区市町村包括補助事業を開始しております。
 心身障害者児通所訓練等事業に対しましては、この包括補助の一般事業に位置づけまして、新体系事業に移行するまでの間、従前の運営水準を維持できるよう区市町村に対し補助を行っております。

○野島委員 今ご答弁のありました都の取り組みについては、実は、事業のかかわる市、こういったようなものが大変高く評価をしております。それから、実は私、先般、こういう事業を行っておる事業者の方、それから保護者の方との意見交換会の機会を得ました。この制度といいましょうか、都の支援策、これについては大変感謝をしておりますし、正直なところ、ありがたい、こういうお言葉もありましたので、お伝えをしておきたいというふうに思ってございます。
 それはさておきながら、学齢期の障害児の日中活動を支える事業、こういったふうなことは当然必要でございますし、これがぜひ自立支援法に基づく事業に位置づけられて、冒頭いいました、財政面でも安定的な運営ができる、こんなことが進んでいくことが私は一番望ましい、理想型であると考えてはおります。ぜひ東京都には、法内化に向けた支援とあわせて、新体系移行までの間の包括補助の一般事業による支援を継続していただくよう、強く要望しておきたいと思います。
 そこで、実は、自立支援法が施行されまして、多くの課題があり、現場の間尺に合わないじゃないか、こういう意見もありましたね。去年は負担の問題もありました。千二百億円の基金造成をいたしまして、円滑施行に向けて取り組んでいこう、こういう動きも国にあるわけです。一方、さきの自民党と公明党との政策合意の中で、自立支援法の抜本的な見直しをしていこうじゃないか、こういう合意もなされております。それに基づいて、現在、与党のプロジェクトチームが発足いたしまして、さまざまな課題に取り組んでいこうという方向性を出しております。
 例えば、学齢期の障害児の皆さんの放課後の日中活動、こういったふうなこと、それから養護学校卒業後の課題、こういったふうなものがあるわけでございます。そういう意味では、自立支援法そのものが、そういう障害児施策の中でどういうふうに取り組んでいくのかというところの部分については、まだまだ僕は不十分なところがあるだろうというふうに思っております。
 そういうふうなことも含めまして、例えば、民主党さんは応益負担廃止の法案を出しているんですよね、たしか国会に。私は、その負担の問題も当然大事なことだろうというふうには思っております。ただ、なぜ応益応能なのか、その辺の切り分けのものは、一回、私、議論したことがあるのでここでは触れませんが、そういったふうな負担の問題。
 それから、実は、今のこの課題もさることながら、さまざまな福祉施策で、こっちへやっていった方がいいんじゃないのという部分も当然あるわけでございまして、ぜひ、私たちは政党というレベルで自民党に働きかけていきますし、公明党さんは公明党に働きかけていただくというようなことを当然やっていかなきゃいけないだろうというふうに思っております。
 それから、東京都は現場を抱えているわけでございまして、そういうところから、こういったふうな現状の課題について、ぜひ積極的に国に意見をいっていっていただきたいなと思うんです。そんな執行側と両々相まって、私はこの課題に取り組んでいく必要があるだろうというふうに思っております。
 そこで、その願意といいましょうか、全体として陳情の願意は、見直しによって事業が位置づけられるまでの間は継続してくれ、こういうことについては、現在の取り組みについて理解いたしました。
 同時に、新規の申請もと、この部分はさっきご答弁をいただいたとおりでございます。東京都の財政力や市町村のいろんな財政力、こういったようなところを除いて、あるいは含めてもいいんですが、要は、都単事業なり市町村事業で都が幾ばくかのというふうなことでこういう事業をやっていくことも、選択肢としては僕はあり得るとは思うんですよ。あり得るとは思うんですが、しかし、そういうことですと、事業の安定性が将来確保されるのか。
 例えば、市単独事業でやっていった場合に、常に税収だとか財源との絡みですが不安定になってきちゃうわけですね。それから、じゃ、都と市の負担割合はどうなるのか、こんなこともしょっちゅう議論しなきゃいけない。そういう意味で、新体系への移行をしていただくと同時に、あるいは、こういう事業もあるからこういうものを体系の中に位置づけろ、こういうことの努力をしていく時期だというふうに私は思うんですね。
 そういう意味では、願意の願いはわかりますが、いわばどういうふうに福祉施策あるいは障害者行政を高めていくか。国、東京都、市の間において、あるいは現実に利用なさる利用者の皆さんあるいは事業主の皆さん、こういう枠組みの中では、確かに話はわかる、やってやれという一つの判断もあると思いますが、そういう全体像の中では、ぜひそういう、今申し上げてきましたいろいろな立場を十分理解しながら、国への制度改正、こういったふうなものに、あるいは現に移行に向けて努力していることを、もっとインセンティブをきかせながらこれを支援していく、こういう時点ではないかなと私は思っておりますので、一番最後の部分はほとんど演説会に終始しましたけれども、私の考え方を申し述べて、質疑を終わりたいと思います。
 以上です。

○かち委員 私からも、一九第五二号、障害者施策推進区市町村包括補助事業に移行した通所訓練等事業の存続に関する陳情について何点かお聞きします。
 今お話もありましたけれども、この制度は、昭和四十五年に障害児の親御さんたちの要望にこたえてできたものです。当初は障害を持つ幼児の保育の場からの始まりでしたけれども、その後だんだん、子どもたちの成長とともに、学齢期の子どもの放課後活動、そして余暇活動、作業所、療養活動へと対象が大きく広がっていった、あらゆる年齢のさまざまな障害を持つ者を対象とする、多様な活動を援助する制度へと発展してきたものなわけですね。
 特に私、学齢期の子どもたちの放課後活動というのは大変重要だというふうに思っております。この間、幾つかの放課後の学童にお邪魔をして見てきた経験もありますけれども、子どもたちにとっては、学校以外の場所で自分が成長する場、社会性を身につける場ということで、本当に生きる場所としての位置づけがあると思うんですね。
 そういう放課後活動を保障していくということは、これからも大変重要だというふうに思っているんですけれども、都の単独事業として、補助事業として、ことしの三月までこの事業を支援してきたわけですけれども、それが、自立支援法が施行される中で三月で制度は廃止されましたけれども、四月から区市町村の包括事業ということに移行したわけです。
 本事業の中でも、とりわけ障害を持つ子どもたちの放課後や休日を過ごす場としてかけがえのないこの事業を、心身障害者児通所訓練等事業として都はどのように認識されているのか、位置づけているのかということをまずお聞きします。

○松浦障害者施策推進部長 心身障害者児通所訓練等事業でございますけれども、在宅の心身障害者児の方々に日中活動の場を提供するために区市町村が実施しております法定外事業でございまして、在宅の心身障害者児の自立促進を図っているというふうに考えております。
 都としましては、こうした地域に根差した在宅心身障害者児の自立促進の活動を安定的に運営していただくために、国から必要な財政支援が得られる、障害者自立支援法に定める新体系に移行していただくことが望ましいというふうに考えております。そこで、先ほども答弁いたしましたけれども、法内化への移行を促進するための多様な支援策を講じているところでございます。

○かち委員 こういう事業、法定外の日中活動の場としての事業を安定的に運営を進めるために、法内化を目指して支援をするということでしたけれども、それでは、区市町村が進める障害者施策推進区市町村包括補助事業、今年度からスタートしているわけですけれども、これまでの通所訓練事業と今回の包括事業との関係で、予算的な支援というのはどのように変わったのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 本年四月から、区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて主体的に福祉サービスの充実に取り組むことを支援いたします、副委員長おっしゃった障害者施策推進区市町村包括補助事業を開始しているところでございます。この包括補助事業の予算額でございますけれども、平成十八年度の包括化の対象となった既存事業等の予算額の総額は約八十五億円でございますけれども、それに十五億円増額いたしまして、百億円といたしまして充実を図ったものでございます。
 心身障害者児通所訓練等事業につきましては、この包括補助事業の一般事業に位置づけまして、新体系事業に移行するまでの間、従前の運営水準を維持できるよう、十八年度と同水準の所要額を確保いたしまして、区市町村に対して補助を行っているところでございます。

○かち委員 通所訓練事業が区市町村の包括事業になったとしても、その包括事業の予算の枠内で十分に活動できる十全の保障はしていますよ、八十五億円を含んだ百億円を計上しているから大丈夫だというふうに受けとめましたけれども、しかし、都としては法内化を促進するとしていますが、それでは、放課後児童の活動の場としての事業、これはこの新しい分類の中では一体どこに当てはまるのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 新体系事業につきましては、新しい事業体系ではいろいろ考えられるということになりますけれども、その考えられる移行先ということを申し上げますと、自立支援給付としましては、生活介護とか児童デイサービスとか自立訓練とか就労継続支援などの事業、また、区市町村の地域生活支援事業としましては、地域活動支援センター、日中一時支援事業というようなものが移行先として考えられるということでございます。

○かち委員 今いろいろと例示をされましたけれども、今のお話の中で、学童の放課後に最も近いものはどれかなと、いろいろ私も見てみたんですけれども、この新サービス体系の中でいえば、児童デイサービスというのがありますね。この児童デイサービスが一番近いのかなと思うんですけれども、この基準となりますと、そこに参加する人数が、就学前の児童が七〇%以上であるというようなことからすると、学童を対象にしているのに、そういう対象が七〇%という点では、既に放課後活動としては成り立たないというわけですね。
 そうであれば、別の対応としてあるものは、地域生活支援事業というのがありまして、この中に、区市町村の独自活動五つプラスその他というのがあります。じゃ、その中でよく見てみると、その他事業の中に日中一時支援事業というのがありまして、学童とすればこの辺に当たるのかなというふうに思うわけですけれども、この市区町村の地域生活支援事業、一体、予算枠というのはどれほどのものなのかということなんですけれども、いかがでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 区市町村はそれぞれ独自の地域特性等に応じまして予算を組んでいると思いますけれども、区市町村地域生活支援事業、これは国庫補助事業でございまして、その負担割合が、国が二分の一、東京都が四分の一、区市町村四分の一というふうになってございまして、国庫補助の内示額は、補助率が二分の一ということでございまして、約三十四億円でございます。

○かち委員 今お答えがありましたように、国庫補助事業であって、国が二分の一、国の負担分が約三十四億円としますと、都や区市町村があと四分の一ずつということなので、大枠で六十八億円ぐらいのものかなというふうに思うんですけれども、それも市区町村の選択事業になりますから、必ずしも、ここにどれだけの予算が来るかとなるとわからないんですけれども、それにしても、この五つの分類プラスその他で、その他の中にもかなりいっぱいの項目があるわけですね。その一つだという点では、今まで八十五億円かかって運営していたこの通所訓練事業が果たして、この予算ではやり切れないというのは目に見えて明らかではないでしょうか。
 通所訓練事業の中でも、障害児の放課後活動のように、自立支援法の分類ではどこにも当てはまり切らないような事業もあるわけです。このような事業についてはこれまでどおり包括支援を継続すべきであり、新規についても同様に扱うべきだと思いますけれども、繰り返しですけれども、都の考えをお聞きします。

○松浦障害者施策推進部長 まず、お答えする前に、今までの心身障害者児通所訓練等事業の中の地域デイグループ事業につきましては、十八年度予算は約三億七千万ということで数字が異なってございます。
 また、区市町村が独自にやっているということにつきましては、東京都は本年六月に、地域生活支援事業につきまして、事業の充実に取り組む都道府県や区市町村に超過負担が生じないよう、地方自治体における状況を早急に把握した上で十分な予算措置をとるよう、既に国に要望しているところでございます。
 心身障害者児通所訓練等事業の中で新体系事業になじまないものについて東京都が継続して支援すべきということにつきましては、私どもとしましては、心身障害者児通所訓練等事業等、これらの法定外事業につきましては、障害者自立支援法に基づく新体系事業に移行していただき、国から必要な財政支援を受けて安定的な運営を図ることが必要というふうに考えているところでございます。
 そこで、先ほど申し上げましたように、法内化移行の促進のための多様な支援策を講じているところでございます。
 しかしながら、直ちに法内事業へ移行することが困難な心身障害者児通所訓練等事業に対しましては、障害者施策推進区市町村包括補助事業により、区市町村を通じて財政支援をしてまいります。

○かち委員 法内化した方が安定的運営ができるから、都としてもその移行のためには最大のいろいろな支援策をとっているというふうにいわれましたけれども、自立支援法が施行されて一年もたたないうちに見直しがされ、いろいろな対策もとられてくる中でもまだ不十分ということで、特に入所施設でも通所施設でも、事業者側から見ても大変厳しい営業運営を迫られているのが実態だということは周知のとおりです。利用者もまた、応益負担、一割負担ということで、必要なサービスも受けられないという実態もあるわけです。
 こうした声が今大きく高まってきて、また、ことしの十月三十日には、日比谷野音で六千五百人の障害者や関係者の皆さんが集い、自立支援法の抜本的見直しを求める集会も開かれ、また各党からも参加をされているようです。
 今国会の中でも、自立支援法の抜本見直しが各党から打ち出されている今日、少なくとも新しい見直しができるまでは、今までどおり継続支援をされることを強く求めたいと思います。
 いろいろな動きもありますので、本陳情は継続をお願いいたします。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一九第五二号は継続審査といたします。
 請願陳情の審査を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後二時五十六分休憩

   午後三時七分開議

○野上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、理事者から、都立病院経営委員会報告について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○及川経営企画部長 都立病院経営委員会報告につきましてご報告申し上げます。
 お手元に、資料といたしまして、資料1、都立病院経営委員会の概要、資料2、都立病院経営委員会報告、今後の都立病院の経営形態のあり方について概要、資料3、都立病院経営委員会報告本文--冊子となっているものでございます--をお配りしてございます。
 それでは、資料の1及び2によりご説明をさせていただきます。
 まず、資料1、都立病院経営委員会の概要をごらんいただきたいと存じます。
 1の設置目的でございますが、都立病院経営委員会は、都立病院の経営に関し、患者の視点、民間の視点を取り入れた病院経営の実践的取り組みに関する提言を得て、都立病院運営の充実を図るため、平成十四年六月に設置されました。
 2の委員名簿でございますが、企業経営者、民間病院長、学識経験者、患者NPO関係者、都医師会関係者の計九名により構成されております。
 3の開催状況でございますが、平成十九年三月二十二日に、病院経営本部長より本委員会に対し、今後の都立病院の経営形態のあり方について検討を依頼いたしました。同委員会では、委員会を五回開催するとともに、都立病院の視察を行っていただき、その検討結果が十一月二十六日に病院経営本部長に報告されたところでございます。
 この報告の内容でございますが、次に資料の2、都立病院経営委員会報告、今後の都立病院の経営形態のあり方について概要をごらんいただきたいと存じます。
 左上、医療環境の変化と新たな経営形態検討の必要性では、医療を取り巻く厳しい環境といたしまして、急速に進む少子高齢化、国の医療制度改革、病院勤務医不足の深刻化などを挙げております。
 また、都立病院の基本的役割といたしまして、都全域あるいは複数の二次保健医療圏を対象として、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることとしております。
 一方、現行の経営形態(地方公営企業法一部適用)の課題といたしまして、組織、予算、定数、給与等が一般行政組織と同様に定められ、医療環境の変化に応じた迅速で柔軟な対応が困難であることなどを指摘しております。
 このため、新たな経営形態検討の必要性といたしまして、行財政改革実行プログラムでは、将来にわたり都民に対して安定的かつ継続的な行政的医療が提供できるよう、地方独立行政法人化などを視野に入れ、経営形態の検討を行うとしております。
 次に、主な経営形態の比較をごらんください。
 本委員会では、地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人、指定管理者制度それぞれの経営形態の制度面及び運用面におけるメリット、デメリットを比較しております。
 詳細は後ほどごらんいただきたいと存じますが、検討の結果、地方独立行政法人の非公務員型には、まず管理者の権限等では、地方公共団体の長が定める中期目標のもと、自主、自立的な事業運営、独自の意思決定が可能になる、また人事、給与、服務面等では、みずからの裁量で病院の実情に合った適切な人員配置、経営状況や職員の業務実績を反映させた給与体系の設定、中長期的な視点に立った職員育成が可能となる、さらに財政面では、予算単年度主義の概念がないため、事業運営の機動性、弾力性が向上する、複数年度契約など自由度が増し、より経済性を発揮することができるなどといったメリットがあると評価をしております。
 このため、右側の都立病院にふさわしい新たな経営形態では、都立病院が都民の医療に対する期待にこたえ、より質の高い医療サービスを提供していくとともに、将来にわたり安定的かつ継続的に行政的医療を提供していくためには、一般地方独立行政法人(非公務員型)が制度的に最も柔軟な経営形態であるとしております。
 一方、地方独立行政法人のメリットを生かすためには、以下の課題を解決する必要があるとしております。
 まず、地方独立行政法人の制度面での課題といたしまして、全国的に見ても、自治体病院における導入事例、とりわけ非公務員型は極めて少ない、非公務員型の場合、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、いわゆる医療観察法の現行規定では指定入院医療機関の運営を行うことができない、国の独立行政法人の運営を見ると、交付金の一律削減をかけられている例もあることなどを指摘しております。
 また、都立病院の当面の運用面での課題といたしましては、都立病院においては医師不足の問題が急速に深刻化しており、人材の確保、育成が喫緊の課題となっている、今後数年の間に、PFI事業を含めた再編整備が本格的に実施される予定であり、大きな現場環境の変化が予想されることを指摘しております。
 こうしたことから、今後の方向性といたしましては、まずは医師の処遇改善や臨床研修の充実等、現行の制度のもとで可能な限りの方策を講じることが重要である、また、PFI手法を活用した再編整備事業に支障が出ないよう配慮する必要がある、その上で、国や他自治体の動向を十分に見きわめる必要がある、新たな経営形態への移行に当たっては、さまざまな課題の解決に向けて十分な検討を行うべきであるとしております。
 この都立病院経営委員会報告を踏まえまして、今年度中に第二次都立病院改革実行プログラムを策定してまいります。
 なお、策定の際は、改めて本委員会にご報告させていただきます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○野上委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○吉田委員 この機会に何点か資料をお願いいたします。
 一点目は、都立病院における薬品、診療材料などの一括購入の取り組みとその効果についてお示しをお願いいたします。
 二つ目に、都立病院における委託事業費の推移についてお願いをいたします。
 三つ目に、主な委託事業者別の委託件数及び委託費の推移について。
 四つ目に、他の地方公共団体における自治体病院への独立行政法人を導入している事例について示す資料をお願いいたします。
 次に、大阪府立病院の独立法人化による職員給与制度、また利用者負担の変化についてわかる資料をお願いいたします。及び、独立法人化導入以降の各病院の職員の離職数についてお願いをいたします。
 次に、他の地方公共団体における独法化とPFI手法の活用を同時に行っている事例があったら、それを示す資料をお願いいたします。
 次に、国立病院の独立法人化による運営交付金削減の推移及びその影響についてお願いをいたします。
 最後に、地方独立法人化法案に付された衆参の附帯決議をお示しいただきたいと思います。
 以上です。

○野上委員長 ただいま吉田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出願います。

○野上委員長 次に、理事者から、契約の締結について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○及川経営企画部長 動産の買い入れ契約につきまして、お手元にお配りをしております資料4、契約締結報告書に基づきご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。一ページには総括表をお示ししてございます。この総括表に基づきましてご説明させていただきます。
 番号1は、都立駒込病院において使用いたします磁気共鳴断層撮影装置の買い入れでございまして、契約の相手方は株式会社自治体病院共済会、契約金額は一億九千九百八万円で、契約の方法は一般競争入札でございます。
 なお、本契約の概要につきましては、二ページに記載しておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○野上委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○野上委員長 これより請願の審査を行います。
 請願一九第九四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 それでは、お手元配布の資料5、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表に沿ってご説明させていただきます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、請願一九第九四号についてご説明申し上げます。
 この請願は、世田谷区の都立梅ヶ丘病院の存続を求める家族と都民の会代表、池崎吉次さん外三万八千四百四十九名から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都立梅ケ丘病院を存続させ、小児科を新設していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、都立梅ケ丘病院につきましては、都立病院改革に基づく再編整備の一環として、清瀬小児病院及び八王子小児病院と統合し、小児総合医療センター(仮称)として新たに府中キャンパス内に移転、整備することといたしました。
 整備に当たりましては、多摩広域基幹病院(仮称)とあわせて、PFI手法の導入により整備することとし、本事業のために設立された特別目的会社、多摩医療PFI株式会社と平成十八年八月に事業契約を締結いたしまして、平成二十二年三月の開設に向けて、本年七月に病院本体工事に着工いたしました。
 小児総合医療センター(仮称)では、小児医療に関し、心から体に至る総合的で高度専門的な医療を提供することとしておりまして、高度な小児救急医療、障害児医療への対応など、都における小児医療の拠点として整備を進めることにより、その充実を図ってまいります。
 また、小児精神科の外来部門を大塚病院に設置し、区部における小児精神科外来機能を確保してまいります。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田代委員 梅ケ丘病院の移転、幾つか質問させていただきたいんですけれども、一番何といっても、お子さんが病気を持っていらして、特に精神科領域の病気というのは、非常に親御さんにとっては悩ましい、つらい現実であるわけですね。
 そして、我々医療提供者はそこが意外と気がつかないんですが、患者さんというのは、いらっしゃるということ自身が非常に苦痛であったり大変であったり、通院することがですね。我々は普通に淡々と仕事をしているつもりなんですが、患者さんの方から見ると、どうもそれが不親切であったり、あるいは理解ができないということが多々あるというのが現実であるわけです。これは当然、今からの医療というものは変えていかなくちゃならないわけですが、特に、先ほど申し上げましたように、小児の精神というものを治療していくという、そういう状況の中では、親御さんたちあるいは関係者の方々の心労、苦労というものははかり知れないものがあると思うんですね。
 そして、急に、今まである意味では生活の一部として通院をして治療を受けてきたリズムが、場所が変わるということによって当然変調を来してくるわけですから、その対応というものは、現実に家族の方にしてみると大変な問題になるんだろうと思っています。
 特に、私自身が研修病院として梅ケ丘にいたものですから、あるいは父の代から梅ケ丘で仕事をしているものですから、ある特定の思いはあると思うんですけれども、長い歴史の中で、前に申し上げましたように、ある意味では差別との闘いがあって、そして、世田谷区でも特に梅丘地域の人たちは、そういうものをしっかりと守っていこうということで、地域を挙げて梅ケ丘病院を支援して守ってきたという長い歴史があるわけであります。
 梅ケ丘自身、昭和二十年ということですから随分古い。建物としては四十年代が中心というお話でしたけれども、いわゆる耐震基準には全くそぐわないものだらけになったので、非常にその点は一つ不安ではあります。こういうことをしっかりしていかなくちゃならない。
 それからもう一つ、我々が研修病院として行っていたころとは今はさま変わりでありまして、お子さんの、患者さんを取り巻く環境というのは、もっともっとスキルアップしたというか希望が高い。全体を安全に診ていくことが要求されるわけであって、昔のまま、旧態依然のままの治療だけでいいわけではなくて、新しいものに取り組んでいかなくちゃならない。その新しいものに取り組んでいくという中で、この場所でなかなかやっていくことが難しいというお話、あるいはもう一つ、総合的に小児の精神というものを診ていくために、もっともっと充実した中でやっていきたいという話で一歩が始まったんだと思うんですね。
 確かに、患者さん方が受ける治療というものは、当然そのときそのときで最良のものでなくちゃいけませんし、さっき都立病院の基本的役割というところで、適正に都民に行政的医療を提供して、都における良質な医療サービスの確保を図る、そして、高水準で専門性の高い総合診療基盤、こういうものに支えられたものを提供しなくちゃいけないんだというお話でした。まさしくそのとおりですから、そうなると、一番具体的にいうと、梅ケ丘の場所に新しいものができて、そしてそこに全部医師が集まって、小児の精神科医療というものが総合的に対応できるというのが理想的ではあるんですが、そうすると、じゃ、今まで大変遠くから通っていた方々はどうしようかと。その地域その地域に数多くそういうものができればいいんですが、残念ながら、そういう専門家がほとんどいない状況であって、プラスして、そういう人たちを補完していくほかの医療専門家も、もともと今東京都に足りないということになっている。
 現実に、質の高いもので患者さん方にご理解いただける、ちゃんとした治療を提供できるところはどこかということになると、今度のメディカル・キャンパスであり、また大塚病院というお話になるんでしょうけれども、後でちょっとお話ししますけれども、基本的にはなかなか、通っている方々が急にあっちへこっちへといわれるのは、単純に非常に大変なんだということは頭に入れておいていただきたい。
 それを解決するためにはいろいろな方法があるでしょうけれども、やはり地道な、しかも熱心な誠意のあるアカウンタビリティーが必要であって、一生懸命説明をしていただく、ご理解をいただくという努力はしていただかないとだめだと思うんですね。
 ただ、先ほど申し上げましたように、建物としては非常に古い、そして安全性も余り確保できない。経済的ないろいろな問題があって、すぐに何でも建てればいい、人的な問題もあって、そこに全部人を集めればいいということが現実にできない。しかも、公平に東京都民全員がそういう施設を利用することができるためには、ある程度分散化していかなくちゃならない。そうすると、今まで一つしかなかったこういう小児の精神の専門家の場所が今から二つに分かれるわけですから、トータルすると、多分、今までに比べて性能もアップしていくでしょうし、量的にもふえていくだろうと思っております。
 その中で、まず最初にお聞きしておきたいのは、二つに分けて今から対応していくわけですけれども、特に、府中のメディカル・キャンパスの方でも新センターを展開する、こういうことをお話をいただいているわけですけれども、確認のために、どういうことをまず意義について考えて、これを実行していくのかということについてお話をいただきたいと思います。

○及川経営企画部長 小児総合医療センターを多摩キャンパスで実施するといったことの意義についてでございます。
 近年、発達障害を持つお子さんがふえるなど、小児精神疾患は増加傾向にございまして、心身症といったものや重度の摂食障害なども含めて、こうした疾患の早期発見のためにも、委員のお話にあったとおり、精神科医だけではなくて小児科医も含めて、そういった連携の中で医療を実施していくということがこれまで以上に重要になってきているというふうに考えております。
 また、厚生労働省の子どもの心の診療医の養成に関する検討会報告書でも述べられておりますけれども、子どもの心の診療に携わる医師には、子どもの心身の健康な発達の支援への予防的かかわりと、著しい情緒、行動の問題や精神障害への治療的かかわりの二つの役割が求められているといったことから、小児科医と精神科医らが協力連携して対応していくことが必要というふうにしております。
 このため、体を扱う他の小児病院と統合するとともに、今回、キャンパス内で同時に整備をいたします多摩広域基幹病院や、キャンパス内にあります神経病院、府中療育センターなど、キャンパス内の他の医療機関等とも密接に連携をしながら、心から体にわたる総合的な高度専門的な医療を提供していくこととしたものでございます。
 新設をいたします小児総合医療センターでは、多様な症状のあるお子さんを幅広く受け入れることのできる総合診療部を設置いたしまして、心の疾患とそれに伴う体への対応、体の疾患を持つお子さんへの心理的な対応などに取り組んでまいります。また、小児期の疾患を成人になった後もそのまま抱えていらっしゃる、いわゆるキャリーオーバーの患者さんへも円滑な対応を行うというふうに考えております。

○田代委員 この小児の総合医療センターが、今までの梅ケ丘の病院の機能を引き継いで、小児精神科医療の分野で、東京都のみならず全国に模範を示すような、拠点的な役割をきちっと担っていただかなくちゃならないわけですけれども、これで一番問題は、先ほど申し上げましたように、人的な専門家の不足なんですね。小児科だけが足りないわけではなくて、精神科の医師も一時に比べて非常に今--需要と供給ということは変な話ですけれども、患者さんの希望と専門家のバランスが全然とれていない、これが精神科の大きな問題になっているわけです。
 小児精神科の専門家の確保、それから、当然、確保といったって、もともといないわけですから、人材をつくっていかなくちゃならないわけですが、そういうものの育成をしていかなくてはならない。ナショナルセンターである成育医療センターのほかにも、児童青年用のいわゆる精神科病棟を持つ病院で組織されている全国の児童青年精神科医療施設協議会の会員状況を見ても、平成十九年度現在で正会員が十九機関、オブザーバー会員が九機関、本当に少ない。絶対数が全くないわけであります。
 梅ケ丘病院はそういう数少ない医療機関の一つでありますけれども、児童の精神科専門レジデントの研修を本格的に行っている、非常に数少ない研修機関の一つでもあるわけです。新しく整備する小児総合医療センターでもこうした機能を引き継いでいただかなくちゃなりませんし、また、心と体を総合的に扱う病院として、人材育成面でもしっかりとスキルアップをしていただかなくてはならない。
 そういうことで、小児総合医療センターと大塚病院での小児精神科外来の円滑な運営が見えてくるわけですが、そこで、小児総合医療センターでの小児精神医療にかかわる医師の育成についてはどうお考えか、お伺いをしたいと思います。

○及川経営企画部長 梅ケ丘病院では、委員お話しをしていただいたとおり、これまでも若手の小児精神科医の研修、育成機関として先導的な役割を果たしてまいりました。
 実際に子どもの心の診療に関します専門的な研修を行っている病院は、お話にもございましたとおり、全国でも極めて限られておりまして、児童青年用精神科病棟を持つ病院で組織をされます協議会、これに参加をする病院の中でレジデント研修ができる施設とされたのは、梅ケ丘病院を含めて八カ所ということでありまして、さらに、その中で児童精神科専門のレジデントの正式定員を持つ--定数ですね--定員を持つ施設は、梅ケ丘病院を含めて三カ所しかないというふうにされております。こういったことから、梅ケ丘病院の研修、教育機関としての役割は極めて大きいというふうに認識しております。
 そこで、近年では、梅ケ丘病院におきまして、小児総合医療センター及び大塚病院小児精神科外来の整備に向けまして、シニアレジデントの定員について段階的に拡大をしてきております。ちなみに、今年度実施をしたシニアレジデントの採用選考におきましては、三名の募集に対しまして十六名の応募がありました。このことは、全国で有数の研修、育成機関であるということのあらわれではないかというふうに考えております。
 新たに整備をいたします小児総合医療センターでは、心と体を総合した高度で専門的な医療を提供するという、こういった特徴を生かしながら、臨床とともに専門研修機関としての機能もますます充実させまして、小児精神科医の育成にも積極的に取り組んでまいります。

○田代委員 都立病院としては人材確保が非常に重要なんですけれども、何回も申し上げていますように、ただお金を払ってどんどん集めればいいというわけではなくて、これは東京都の医療状況がおかしくなりますから、すばらしい人材を発掘してそれを育てていく、そういうことを並行してやっていかないとだめなわけで、特にこういう新しい分野、先ほどから何回も申し上げておりますように、この小児精神というのは、全く考え方がどんどんどんどん毎年変わってきている。そういう中で、一番良質なものを患者さん、ご家族に提供できるためにはどうしたらいいかということを考えるためには、やはり人材を確保するだけではなくて、それを育成していくということがとても大切なわけですね。
 これがうまくいけば、こういう問題はもう起きなくて、地域地域でどこでも専門家がいて、そのチームがあって、お子さん方が、ご家族の方が安心して治療を受けることができる。遠くに行くとか、あるいは長い距離、いろいろ時間をやりくりして通わなくちゃいけないなんということがないような時代が来ることが理想でありまして、そのためには、まず、東京都が一生懸命こういう研究も一緒にやっていかなくちゃいけない。松沢に今度できます三研究所も、当然そういう意味もあって、中で臨床と研究をコラボレーションしていく、これはとても必要なわけですね。
 ただ、これは基本的には将来の問題で、今すぐということではないわけですけれども、先ほど最初に申し上げましたように、小児の精神だけを扱っていればいいわけではなくて、一般医療もすべて、その方々を取り巻く状況というのがあるわけで、一般医療というものをきちっとやっていくためには、せんだって長橋理事からもお話しいただいて、僕もなるほどなと思って、とても心配だったんですけれども、大塚の方で、新しい場所がすぐ動線がきちっとしているかどうかですね。日本の病院とアメリカの病院、よく比べられるんですけれども、一つ日本が劣っているのは、動線を考えていない。そばにあっても、うまくそこと医者が通行できるのか、患者さんが動くことができるのか。それで長橋理事から随分ご質問をいただいて、これはとても重要な問題だと思うんですけれども、これは多分、後でまた先生の方からしっかりやっていただけると思うんですが、全体を取り巻く状況をよくするために移るんだといっても、現実にそうなっていちゃ話にならないのであって、移ったら、そこで今まで以上に全体の医療というものが診れるようにしていただきたい。これはどちらも同じこと、大塚だけではなくて、府中もこれは同じことだと思うんですね。
 こういうものに対して、具体的に患者さん、家族の方々に話をしていただきたい。これをやっていかないと、先ほど申し上げましたように、確かに、東京都に一つしかなかったものが二つになったんだ、そして、遠くになる人もいるけれども近くに来る人もいるんだと、それは単なる理屈であって、今まで現実に通っていた方々にしてみれば、非常に大きな苦労になるわけですから、そこをしっかりとご理解いただくためには、やはり懇切丁寧な、理解を得るそういう説明が必要で、そういう努力もしていただかないとなかなか--今まで長いこと梅丘の住民を中心としてみんなで支援してきた病院が、何か変な形で変わっていくというのは非常に悲しいことですし、地元としては、長い歴史、昭和二十年から延々と続いている、六十年以上経過したこういう歴史の中での一つの医療体制を提供してきたところですから、もしもこの病院がここでなくなってしまうというようなことがあっても、その後はプラスにつながるような形の活用を、医療とか福祉とか介護とか、いろいろな問題があると思いますけれども、地元の世田谷区ともしっかりお話しをいただいて、結果として、移ったことが決してマイナスにならなかったというような結果を出していただきたいということを強く要望して、終わります。

○石毛委員 質問が重複する場面があるかもしれませんが、お答えよろしくお願いいたします。
 梅ケ丘病院が府中の小児総合医療センターへ移転、統合されることに関しまして、民主党としても、本委員会で昨年、さまざまなことを確認あるいは要望を申し上げてまいりました。こうしたことも踏まえつつ、私からも何点かお聞きしたいと思います。
 民主党としても梅ケ丘病院を視察する機会が何度かあったわけですが、私自身も昨年視察させていただき、小児精神科という全国にも数少ない医療機関の現場をつぶさに拝見させていただきました。また、院長も懇切丁寧に案内をしていただいて、勉強になったわけです。
 近年、LD、学習障害、あるいは多動性障害、ADHDなどの発達障害を抱えるお子さんがふえているといわれております。家族や関係者が悩みながら疾患に向き合っていることが多いと聞きますが、私自身も、そうしたお子さんの関係で少々かかわりを持った経験がございまして、やはり社会でしっかり取り組んでいくべき問題だと認識しております。
 そのとき、実際に梅ケ丘病院というところに私の知り合いのお子さんが入ったわけなんですが、専門的にこの医療に取り組んでいる施設の存在の大きさというか大切さというか、そういうのを実感した覚えを持っております。その点、東京都として大きな財産であることは間違いありませんし、府中に移転して、新たに小児総合医療センターとして充実した医療を提供できるようにするわけですが、今回、移転することに不安を感じて請願を出された方々にも十分理解できるように、そうしたことに努めていただきたい。
 さて、現在梅ケ丘病院は、緑というか樹木も大変多くて、運動場も確保されて、さまざまな心の疾患を抱えるお子さんにとって非常によい環境であります。これに対して、府中で整備される小児総合医療センターは高層化の予定であり、患者さんにとってふさわしい環境や安全性が確保されるのかという点について昨年の本委員会の中でお尋ねをしたわけですが、そこで、確認のために改めてお伺いしますが、現在の小児総合医療センターの整備の進捗状況と、あわせて、患者の療養環境や安全面の確保についてどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。

○黒田参事 小児総合医療センターの精神科部門についてでございますが、緑豊かな府中キャンパスの自然環境を最大限に生かすという方針のもとに設計業務を仕上げておりまして、本年七月から本格工事に着工しております。
 設計におきましては、隣接いたします駐車場の二階の部分に専用の運動場を設置するほか、小児病棟には中庭としてルーフコートを整備するなど、子どもの患者さんが豊かな自然と触れ合いながら活動できるスペースを設けることとしております。
 また、全体の建物のうちでございますが、小児総合医療センターは中層部に設置されることになっておりますが、小児総合医療センターの施設の配置や動線につきましては、安全性の確保の面から万全を期した設計を行ってまいります。

○石毛委員 わかりました。
 都内にはタワーマンションが多く建設されている現在、社会生活の中でも高層化が当たり前になってまいりました。他の大規模病院でも高層建築となっている例も多いわけですが、高層化自体が医療面で悪影響であるとは思いません。患者さんの治療をするという病院施設なので、何よりも安全性の確保に力を入れてほしい、これはお願いにとどめておきます。
 さて、現在の梅ケ丘病院では、医師、看護師、保育士、またOT、PTなどのさまざまな職種の人たちがかかわっております。患者さんの治療に当たっているわけですが、小児精神という分野なので、大変高い専門性が要求されると思うんですね。昨年の委員会でも、こうした分野だからこそ、人材の確保、育成が重要であるというふうに私ども民主党で指摘をしたわけでありますが、病院経営本部からは、計画的な人材の育成に取り組まれているとお答えがあったわけですが、特に昨今、医師不足、中でも小児科は大変厳しい医師不足で問題になっております。
 これまで梅ケ丘病院で取り組んできた小児精神医療を府中でも充実させていく、これを担う医師を本当に確保できているのか、いささか心配を含めて、どのようになっているのか、お聞かせください。

○黒田参事 梅ケ丘病院の現在の小児精神科医師についてでございますが、常勤医師が十二名、非常勤医師も同じく十二名の体制となっておりまして、これは全国でもトップレベルであるというふうに考えております。
 さらに、今後の医師の育成、確保についてでございますが、いわゆるシニアレジデントにつきましては、本年度は定数を八名にふやすなどの対応をしております。今後とも医師の育成に積極的に取り組みまして、さらなる体制の充実を図ってまいります。

○石毛委員 トップレベルということでございますので、そのことについてはちょっと安心したわけですが、小児医療という本当に専門の少ないところ、積極的に人材の育成を行っていくことであり、今申し上げたように、小児総合医療センターに上手に引き継ぐことをお願いいたします。
 さて、心に疾患を持つ梅ケ丘病院の患者さんの中には、新しい環境になれないというんでしょうかね、適応が難しいなんという方もおられると思うんですが、こうした環境変化への適応には時間がかかったり、あるいは見守ったりとか、そういったことが必要かと思いますが、患者さんのご家族、関係者は、梅ケ丘病院が移転した場合に、こうした点が心配の方もおられるのではないかと思います。
 そこで、移転に当たってこうした患者さんたちへの配慮が重要だと思いますが、人手をかけて丁寧に対応していただきたいと思いますが、その点のご見解をお聞かせください。

○黒田参事 移転に当たっての対応でございますが、子どもの患者さんの特性を踏まえた配慮が非常に重要であるということは十分に認識しております。現在の梅ケ丘の患者さんが小児総合医療センターに円滑に引き継がれていくことができますように、医師、看護師など関係スタッフの連携のもとで、個々の患者さんや、またご家族の状況に応じながらきめ細かく対応してまいります。

○石毛委員 わかりました。
 ぜひそんなような形をお願いしたいところですが、安心というんですかね、患者さんにとって大切な場面、安心できる体制というものが必要だと思いますので、患者さんが環境変化への適応に時間がかかる、こうしたことも含めて、取り巻く問題点は多々あるとは思いますが、今お答えになったように、ぜひとも積極的に、鋭意住民また患者さんたちに説明をしていただいて、今後も小児総合医療センターの開設に向けて引き続き取り組みを強化していただきたいと最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○長橋委員 私からも、本請願、都立梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実に関する請願について質疑をさせていただきます。
 先ほどお話があった、梅ケ丘病院が二カ所になるということで、私の地元の大塚病院に関連して、この質疑はこの前の事務事業質疑でもさせていただきました。
 既に私にも、請願者である梅ヶ丘病院の存続を求める家族と都民の会からもニュースを見せていただいたりしておりました。まさにここに書いてあるのが、子どもの心の診療に実績のある都立梅ケ丘病院をぜひ現地で、こういう内容でありまして、私自身も、発達障害については、自閉症協会の皆さん方からも話を聞き、取り組んできたところでありますし、また、自閉症協会の方から話を聞いて、梅ケ丘病院にもお邪魔をして見させていただきました。本当に先進的に、子どもの心の病について都立梅ケ丘病院があるということで、本当に患者の皆さんは安心をし、また、そこに唯一の光を求めていた、そんな状況も見させていただきましたし、また逆に、外来、診察を受けたい、梅ケ丘病院でなければと、こういう思いが大変多くて、中には診察を受けるまでに長時間を要した、こんな話も聞いたわけでありまして、そういう中で、今回、府中の小児総合医療センターと大塚病院にと、こういうことでございます。
 先日の質疑では、大塚病院の小児精神科外来ができるに当たって、梅ケ丘病院の機能が、説明を読むと、整備計画を読むと、分割をされてしまうようにも私はとったものですから、そこら辺について質疑をしましたところ、梅ケ丘病院の機能については、そのまま小児総合医療センター、府中に移行して、それに加えて大塚病院の機能を充実させる、こういうご答弁であったわけであります。
 そういうことで、私の地元にも、もちろん発達障害を含めたお子さんを抱えた保護者の皆さんがおります。このことについては、地元の方は逆に、地元にできたということで大きな喜びもあったわけでありますが、逆に世田谷の皆さん方は大変ご不安がある。まさに都立病院が、そこにあったものがなくなるということは、大変にご不安があるというのは本当にわかるわけで、今、私の前に質疑をされた委員の方も同じ話をしたのではなかろうかと思います。
 そこで、大変恐縮でございますけれども、現在の都立梅ケ丘病院と比較をいたしまして、いわゆる小児総合医療センター、そして大塚病院での小児精神科外来、外来とデイケア、具体的に規模がどういうふうに変わっていくのか、どういうふうになるのか、まず、そこら辺からお伺いをしたいと思います。

○黒田参事 小児精神科の規模についてでございますが、まず外来診療部門についてでございますが、梅ケ丘病院では、平成十九年度の外来予算規模は一日当たり百四十人となってございます。一方、小児総合医療センターの心の専門診療部におきます外来規模は、一日当たり百五十人として計画しておりまして、さらに大塚病院小児精神科では、外来規模を一日当たり三十人程度として計画しております。
 次に、デイケア部門についてでございますが、梅ケ丘病院において実施しておりますデイケアのうち、幼児と学童の平成十八年度の実績は、二百四十七人の登録人員となっております。一方、小児総合医療センターでは、デイケアにつきましては、梅ケ丘病院と同程度の規模で実施していくことを想定しておりまして、さらに、大塚病院の小児精神科のデイケアでは、五十人程度の登録人員を想定しております。

○長橋委員 先日は聞かなかったんですけれども、今改めてお伺いしますと、いわゆる外来の規模については、梅ケ丘が百四十人だったのが、小児総合医療センターになった場合には百五十人にする、それに加えて、都立大塚病院でも新たに三十名を計画しているということでございますから、十足す三十ですから、外来規模でも四十人上回る、こういうことでありますから、先ほど私がお話しをいたしました、外来についても時間を待たされるということについては幾分よくなる、まさに三割ぐらいよくなる、こういう計算になるのではなかろうかと思います。
 デイケアについても、私も梅ケ丘病院のデイケア見させていただきましたけれども、大変デイケアというのは重要だと私も思っております。先日、環境整備についてはお伺いをいたしましたけれども、これについても、いわゆる小児総合医療センターで同規模で、なおかつ大塚病院でも五十人のデイケアをやるということでございますから、いわゆる梅ケ丘病院、老朽化ということだけではなくて、ただ移転をするというのではなくて、こういう形で一つの、外来、デイケアについては拡充をするということですから、こういったこともぜひ説明をきちっとしていただきたいと思います。
 ここのニュースを見させていただいて、また都民の声という、利用者の声というお話もありました。私も要約した声を見させていただきましたけれども、中には、仙台の方からの声であるとか、茨城県からの声であるとか、栃木県からの--もちろん、世田谷の地元の方もおりますけれども、東京二十三区だけではなくて、いわゆる日本全国からこの梅ケ丘病院を目指して来ていらっしゃる、その方々のよりどころになっているというふうにも思うわけであります。
 病院経営本部にちょっとお伺いいたしましたら、ワンデイ調査というのをやりましたと。これは去年の、十八年の十月十八日にワンデイ調査、どれだけこの梅ケ丘病院にどういうところから外来、入院されているのかという調査でございます。
 外来だと、地元の世田谷区は一二・六%、区部は四八・五%、区部以外の市部については一八・五%、都外が三三%あるということであります。ですから、東京都以外の人たちも三三%、三割の方が外来に来ている。
 入院についてはさらに、世田谷では五・七%、区部では三七・三%、市部では三四・七%で、同じく都外は二八%、約三割あるということでございます。
 こういった点を見ても、小児総合医療センターと大塚病院の拡充、これは私は、東京だけではなくて全国の患者さんといいますか、そういうお子さんを抱えている保護者にとっても重要なことではなかろうかと思うわけであります。
 そこで、先ほど医療人材の確保、医師の確保という視点もございました。また、この世田谷の地は、さっきちょっとお話が出ました成育医療センターもあるわけですね。成育医療センターでもありますけれども、ここではこころの診療部というところがあります。ここでは、同じように発達障害を含めた診療をやっておりまして、こころの診療部とは、子どもとその家族の心の問題に関する診療を行うこととして創設をされているわけであります。
 また、同じく発達障害者支援センター、これも世田谷の船橋にあります。これについては福祉保健局の事務事業で質疑をさせていただきましたけれども、こういった、まさに世田谷の梅ケ丘病院と発達障害者支援センター、または成育医療センターという中にあって、この地域というものが、その中心的な地域であったということは認識をするわけであります。
 発達障害者支援センターが都内で一カ所しかない。それを今度はモデル事業を複数にしていきたいという思いがあるようでありますけれども、今度はそれが府中の方に移転した場合に、発達障害者支援センターとの連携--現在はどうなっているのか、移転したら今度ちゃんとやっていけるのかどうか。距離という問題も大きな問題だと思うんですけれども、そこら辺についてご答弁をお願いします。

○黒田参事 発達障害者支援センターとの連携についてでございますが、発達障害者支援センターにおきましては、発達障害を抱える方やそのご家族に対しまして、日常にかかわるさまざまな相談対応及び制度や支援機関についての情報提供等の事業を行っております。
 その中で、梅ケ丘病院では、発達障害者支援センターから医療が必要であると紹介があった場合に、患者さんに対する診療を行っております。
 また、梅ケ丘病院の院長は、発達障害者支援センターのセンター長とともに、東京都発達障害者支援体制整備検討委員会の委員として参加をしておりまして、発達障害児の実態ですとか、今後の支援体制の整備等につきまして意見交換を行っているところでございます。
 今後、移転後の小児総合医療センター及び大塚病院におきましても、これまで同様に、発達障害者支援センターからの紹介に十分に対応するとともに、連携体制の強化に努めてまいります。

○長橋委員 十分に連携をとっていくということであります。都立梅ケ丘病院は医療の分野でこれを担ってきたわけでありますが、発達障害というのは、医療の分野にとどまらず、いわゆる教育や福祉、または保健の分野でさまざまネットワークを広げていかなければならない、そういう中でそういった支援というものを重層的にやっていかなければいけないと思います。ぜひ引き続き、この発達障害者支援センター、連携をさらに具体的にやっていただきたいことをお願いしたいと思います。
 そして、もう一つお伺いをしたいのが、今度は二カ所に分かれる。大塚病院と府中の小児総合医療センター、こことの連携も重要になってくるかと思います。この間の質疑で、大塚は外来とデイケア、入院はありません、もしそういう患者さんが来た場合にはどうするんですかとお伺いをいたしましたら、それについては、府中と連携をとって、府中の方で入院については面倒を見ます、こういうご答弁があったわけであります。
 そういう連携だけではなくて、さまざまな患者さんの対応があると思います。急患の問題もあるでしょうし、そういった意味では、大塚病院の小児精神科外来の運営に当たって、入院を含めてどう府中との連携を図っていくのか、これが二カ所設ける意味では大事だと思いますので、そこら辺についてご答弁をお願いいたします。

○黒田参事 大塚病院におきます小児精神科外来の運営についてでございますが、大塚病院小児精神科外来としましては、単独では医師を初めとする専門性の高い人材育成を行うことは大変なことであるというふうに考えております。このため、小児総合医療センターが人材面でもバックアップしていくこととしております。
 お話がございましたように、小児精神の外来機能しか持たない大塚病院におきましても、入院を必要とする患者がいらっしゃることが想定されます。この場合におきましては、医師同士の緊密な連携体制、バックアップ体制のもとで、小児総合医療センターが病床を確保しまして受け入れていくこととしております。
 なお、専門医師が不在となります、これもお話がございました、例えば夜間、休日の緊急時の対応などにつきましては、幾つかの課題も残されておりますことから、小児の特性を踏まえまして適切に対応できますように、関係局とも協議をしながら、引き続き検討を進めてまいります。

○長橋委員 まだ残された課題もあるということでございます。ぜひそういった課題もしっかりと検討して、その課題を解決して充実を図っていただきたい、こう思うわけであります。
 先ほど、医療人材の確保、これもお話がありました。これもぜひしっかり取り組んでいただきたい。二カ所にしたけれども、拡充したけれども医師がいない、こういうことではいけないわけでありますので、ここについてはぜひ努力をしていただきたいと思いますし、また、先ほど皆さんからの声の中にも、梅ケ丘病院は大変評価をされていると。声の中には、梅ケ丘病院が今まで提供してきた医療がすばらしい、だから残してほしい、また、府中に移転してしまうと遠くなる、こういうことで、梅ケ丘病院に対する思いというのは並々ならぬものがあるわけでありまして、そういった方々に対して、同じ質問になるかもしれませんけれども、しっかりと説明責任を果たしていただきたい。
 今、私もホームページを見させていただきましたけれども、なかなかここら辺の説明については、まだ検討段階もあるでしょうから、明らかになっていないところがあるわけでありますけれども、外来がこれだけふえますよとか、デイケアもこうなりますよとか、それから、府中に行ったら、ほかの医療との連携も充実しますよとかいうことをきっちりと説明していただきたいわけでありまして、まさに三万八千名の方々の署名をいただいての請願であります。その多さというものをしっかりと受けとめた上で説明責任を果たすべきであろうと思いますけれども、今後、都は、具体的にそういった皆さん方にどのように説明をしていくのか、お伺いをいたします。

○黒田参事 患者さんやご家族に対します都としての説明についてでございますが、移転に関する疑問や相談に対しましては、日常の診察や、各病棟で行っております月一回の家族会などを通じまして個別に説明してまいりました。
 移転に際しましては、今後とも患者さんが安心して治療を継続し、小児総合医療センターへ円滑に引き継いでいくことができますように、都といたしまして、個別の患者さんの声に十分に耳を傾けてまいります。そして、状況に応じた説明を行うなど、懇切丁寧に対応させていただきまして、ご理解をいただきますよう努めてまいります。
 また、今ご指摘、お話のございましたホームページについてでございますが、小児総合医療センターや大塚病院における医療体制につきましては、現在のホームページをさらに工夫、活用することなどによりまして、広く広報活動についても強化してまいります。

○長橋委員 ぜひその努力をお願いしたいと思います。
 私は、この発達障害について、きのう、おとといと、ある方にお会いしてお話を聞いてまいりました。その中に、日本の周産期医療は世界のトップレベルだというふうにいわれています。確かに死亡率は圧倒的に低いわけであります。世界で最も少ない、こういわれている。しかしながら、発達障害児の発生頻度は世界で最も多いかもしれない、こういうふうに話を聞きました。そういった意味では、生まれてくる赤ちゃんを予期せぬ事故や発達障害から守るためには、妊娠、分娩、そして新生児の管理、大塚病院にはNICUがありますけれども、そういったものに予防医学を導入したらどうかというようなお話も聞いてきたわけであります。
 府中は小児総合医療センター、大塚は今後、周産期・小児医療センターとして、東京での中心的な役割をさらに整備していくというわけでございます。赤ちゃんが生まれてからの、障害を持って生まれてきた方に対してきちっと支援をしていくということも大事であろうかと思いますけれども、都立病院の担うもう一つの柱としては、大塚病院の中の周産期、そういった意味では、赤ちゃんがお母さんの胎内にいるときからその管理をして、そして事故を防ぎ、なおかつ新生児の管理をしていく、それによって、障害者の発生といいますか、大きく防ぐことができるというお話も聞いてまいりました。このことについては改めて議論させていただきたいと思っております。
 ぜひ、そういったことを含めて、改めて、きょう請願をいただいた皆様方に懇切丁寧なご説明をして拡充を図っていただきたい。お願い申し上げまして、質問を終わります。

○かち委員 私からも、一九第九四号、都立梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実に関する請願について何点かお聞きします。
 こういう請願が出てくる背景は、東京都が都立病院改革実行プログラムをつくりまして、その中に、府中キャンパスの中に、八王子小児や清瀬小児にあわせて、梅ケ丘小児病院、小児精神科の専門病院も一緒にそこに組み込むという計画が出された以降、都民の声となって上がってきているわけですけれども、私どもも、もともとこういうやり方は見直しをすべきだという立場で見てまいりました。
 本委員会にも今度で三度目の請願であり、質疑になるわけですけれども、過去二回、この請願署名は十万を超えております。そして、今回も三万八千四百四十九名ということで、根強く、この梅丘の地で小児精神専門病院の展開を、継続を、そして充実をという願いが強いということを改めて認識したわけでございます。
 それで、子どもの精神疾患をめぐる状況の推移を振り返ってみたいと思うんですが、かつては、自閉症とか情緒障害、てんかんなど、知的障害が上位を占めていましたけれども、最近では、自閉症を含む広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、ADHDとか適応障害などがふえてきております。ここ数年は、いわゆる軽度の心理的発達障害が社会問題となっています。梅ケ丘病院の市川院長がいっておられますけれども、入院する子どもたちのありようは、社会のゆがみを映し出す鏡であるといわれているように、時代の変化、社会環境の変化によって、子どもたちにあらわれる現象も多様に変化してきています。そして、いまだこの子どもの精神科領域の研究は研究途上ともいえる段階です。
 子どもの心の診療をめぐっては、世界的には、早期診療、早期診断による精神療法や家族療法の研究が進んでいます。アメリカでは、小児科や精神科、児童精神科のトレーニングを積んだ専門医が約四千人いると聞いています。認定制度も確立してきているところです。ところが日本では、難治例や重症例を診療できる専門医は約二百人程度と聞いています。子どもの精神科病院は、全国すべて合わせても九百床足らず。アメリカの約七分の一だそうです。
 そうした中で梅ケ丘病院は、国内でも、もちろん最も病床数も多い、そしてスタッフも充実しているのが特徴です。その梅ケ丘病院の初診受診は一、二カ月待ちが常態化しているとも聞いております。そういう意味では、新たに外来診療部門を大塚病院に設置するという点では、当然の対応だろうというふうに思います。
 全国的にもまれな小児精神専門の病院が今日ますます重要になっています。小児精神医学が確立していない今だからこそ、梅ケ丘病院の役割は一層大きくなっているのではないでしょうか。その点についての病院経営本部としての見解をお伺いします。

○黒田参事 梅ケ丘病院についてでございますが、先ほどもお答え申し上げましたが、小児精神医療の分野におきまして、これまで先導的役割を果たしてまいりました梅ケ丘病院の重要性は十分に認識しております。小児精神医療の、東京都、さらには全国の拠点としまして広域的役割を担ってまいりました梅ケ丘病院でございますが、近年、小児精神医療を取り巻く環境が大きく変化しておりますことから、さらに充実強化していく必要があると考えております。
 このため、梅ケ丘病院を清瀬小児病院、八王子小児病院と統合し、小児総合医療センターとして再編整備しまして、これまで単科の病院では十分な対応ができなかった心と体の総合的な治療、さらには研究、そして人材育成を推進してまいります。

○かち委員 梅ケ丘病院の果たしてきた役割は、全国的レベルにおいても、先駆的、先進的な役割、大変重要な役割を果たしてきたんだという認識に立って、さらに充実させていく必要がある、本当にごもっともだと思うんですけれども、そうであれば、その専門領域をもっと充実させるべきではないかと思うんですが、皆さんは、小児科総合診療ということで、その一角に置くということになって、そこが私はちょっと見解が違うんですね。
 本年八月に厚労省から子どもの心の診療拠点病院を整備する方針が出されまして、来年度から三カ年間、十病院を選定してモデル事業を実施する予定とのことです。一一年度以降、全都道府県に一カ所の拠点病院を順次指定する予定と聞いています。
 当然、現在八名の小児精神医療のシニアレジデントの研修を受け入れるという梅ケ丘病院において、その役割を果たすべきと思いますが、どのようにとらえているでしょうか。

○黒田参事 子どもの心の診療拠点病院についてでございますが、来年度に向けまして厚生労働省が選定する予定と聞いておりますが、梅ケ丘病院は、これまでも東京都及び全国の小児精神医療の拠点として先導的役割を果たしてきておりまして、引き続きその役割を果たしてまいります。

○かち委員 そういうことですので、多分、診療拠点病院として、また全国レベルの拠点病院としても位置づけられるような役割、そして、そういう医療展開をされていくだろうというふうに思います。
 ここに「ケースで学ぶ子どものための精神看護」という本があります。これは梅ケ丘病院の看護師さんたちが共同で研究論文をまとめたものですけれども、大変いろいろな、子どもをめぐる精神疾患の症例というのは本当に数多くあるんだなというのを改めて認識しましたけれども、一つ一つが大変わかりやすい症例紹介であり、場面の説明とか看護の視点、看護のポイントが、順にわかりやすく、一般の病院でも小児病院でも使えるものになっています。
 こういう本が出せるだけの医療の実績づくりを積み重ねてきたというのが梅ケ丘病院だなというふうに改めて感ずるんですが、こういう医療展開ができるのも、先ほどもありましたけれども、医師、看護師だけではなくて、分教室も含めて、事務や栄養士やPSW、そして、その他もろもろにかかわる、子どもたちの周りをめぐる職員などの多職種のチーム医療、連携が確立していることだと思うんです。さらに、病院の外側にも、病院周辺の生活環境や地域のコミュニティがあって、信頼と理解の中で医療が展開できている、それが梅ケ丘病院の今のありよう、姿であるというふうに思うんです。
 先ほどから、小児総合医療センターの中で心と体の総合的な治療を確立するとのことですけれども、このような病院で治療する子どもたちにとって、環境の変化や通院条件が大きな影響をもたらすことは、先ほど来たびたび出ているところです。梅ケ丘病院のような生活環境の中で、自然体で溶け込める環境、周辺の福祉施設などとの連携で、社会復帰につながる環境が欠かせない条件なのではないでしょうか。
 梅ケ丘病院では数十年にわたって築き上げてきたものです。ここで、さらに小児精神科の専門医療をきわめていくことこそ求められているのだと思いますけれども、移転、統合される予定の府中キャンパスでの小児精神科の病棟規模、配置、そしてグラウンドや分教室など、具体的にどういう構想になっているのでしょうか。

○黒田参事 府中キャンパスに整備される予定でございます小児総合医療センターの治療環境についてでございますが、先ほどもご答弁申し上げましたが、子どもの患者さんの特性に十分配慮した治療環境を整備することとしております。
 小児総合医療センターの心の病棟につきましては、建物全体のうち、中層部である五階を中心に配置しておりまして、また専用のグラウンドを設置しております。
 分教室につきましては、これまでに清瀬小児病院や梅ケ丘病院の分教室で培ったノウハウ等をもとに、心の小児患者、体の小児患者さんそれぞれに対しまして設置いたします。
 繰り返しになりますが、このように、子どもの患者の特性に十分配慮した治療環境を整備することとしております。

○かち委員 これが府中キャンパスの構想という絵ですよね。どういう配置になっているかというと、これが大人用で、こちらの低層部分の方に小児が、小児病棟になるようで、この七階建てぐらいの建物の五階層を小児精神科の病棟にするというお話を伺いました。
 そして、グラウンドは、今は本当に中庭のようになっているので、いつでも自由に出入りができるんですけれども、これは、グラウンド整備をしているといっても、敷地内とはいえども、道路を隔てた駐車場の屋上ということなんですね。先ほど動線の話もありましたけれども、子どもたちにとっては、自然な環境、生活環境というのはすごく大事なんですが、これはいかにも大きな病院の、巨大な病院の一角の中に、しかもそのグラウンドも、別に歩いていかなければいけないとか、分教室はどこにできるのかわかりませんけれども、心と体を分けるとはいっておられますけれども、分教室も大変重要な役割を果たしております。毎年百十名ほどの在籍者がいるということですので、こういうことを生かしていくためにも、今の環境というのは変えることができないんじゃないかと思うんです。
 外来はさっき十名ふえるとおっしゃいましたけれども、病棟の患者数は十名ほど減るんですよね。そういう意味でも、今、非常に小児精神領域の患者さんがふえる中で、本当に十分にその要求にこたえていけるのかどうか、そういう点でも大変疑問を持つところでございます。
 昨年の一定定例議会で、一般質問で私どもの会派が行いましたけれども、平成九年五月の都立病産院小児医療検討委員会の最終報告では、梅ケ丘病院はその特性から単独の専門病院が望ましい、こういう結論だったはずですけれども、どうしてその方針が転換されたのか、今改めてそこに立ち返るべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○黒田参事 検討委員会の最終報告についてでございますが、この都立病産院小児医療検討委員会報告書は平成九年五月のものでございますが、この報告がありまして現在までに十年が経過しておりまして、この間、小児精神医療を取り巻く状況は激変しております。具体的には、心の病を持つ小児患者さんが大幅に増加しているとともに、精神疾患と身体疾患の合併症ですとか、キャリーオーバーの問題などもございます。
 このため、心と体を総合した高度専門的な医療を提供することがこれまで以上に重要となっておりまして、平成十三年の都立病院改革会議報告を受けまして、三つの小児病院を統合し、小児総合医療センターとして整備することとしたものであります。

○かち委員 小児精神科医療を取り巻く環境は激変をしているとおっしゃいまして、確かにそうですよね。いろいろ、先ほど私は最初の方にいいましたけれども、初期の発達障害とか、非常に心と体の問題というのが出ているのは事実です。だから、一般の病院にもそういう患者さんはいっぱい来るわけですよ。そういう子どもさんに的確な対応をするにはどうしたらいいかということが非常に今求められているわけで、そこをとにかくレベルアップして研究開発をして帰していかなければいけない、その役割が梅ケ丘病院にはあるんじゃないかということなんですよ。そのことは、どうしても私は譲れない点だというふうに思います。
 心と体を一体的に診療できる体制ができるというわけですから、そうであるならば、世田谷区では都立母子保健院も廃止され、今二十四時間対応できる小児科は、八十四万区民のいる世田谷区で成育医療センターのみとなっているわけです。梅丘の地に小児科を併設することこそ必要だということを強く求めて、私はこの請願は趣旨採択を求めて、質問を終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○野上委員長 起立少数と認めます。よって、請願一九第九四号は不採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十五分散会

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