委員長 | 野上 純子君 |
副委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | くまき美奈子君 |
理事 | 長橋 桂一君 |
理事 | 野島 善司君 |
西崎 光子君 | |
大松 成君 | |
佐藤 広典君 | |
田代ひろし君 | |
石毛しげる君 | |
野村 有信君 | |
佐藤 裕彦君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 安藤 立美君 |
次長 | 関 敏樹君 | |
技監 | 梶山 純一君 | |
総務部長 | 杉村 栄一君 | |
指導監査部長 | 梶原 秀起君 | |
医療政策部長 | 細川えみ子君 | |
保健政策部長 | 清宮眞知子君 | |
生活福祉部長 | 永田 元君 | |
高齢社会対策部長 | 狩野 信夫君 | |
少子社会対策部長 | 吉岡 則重君 | |
障害者施策推進部長 | 松浦 和利君 | |
健康安全室長 | 桜山 豊夫君 | |
企画担当部長 | 松井多美雄君 | |
施設調整担当部長 | 宮垣豊美子君 | |
参事 | 蒲谷 繁夫君 | |
参事 | 吉井栄一郎君 | |
参事 | 住友眞佐美君 | |
参事 | 松原 定雄君 | |
参事 | 菊本 弘次君 | |
参事 | 金丸 陽子君 | |
参事 | 奥澤 康司君 | |
参事 | 月川由紀子君 |
本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)
○野上委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
芦田連絡調整担当参事は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○杉村総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、全部で十六項目となっております。
それでは、順を追って説明させていただきます。
まず、一ページをお開き願います。区市町村における妊婦健康診査に対する施策の状況といたしまして、全区市町村における共通施策及び各区市町村ごとの独自施策について、平成十九年三月末及び同年十月一日時点における実施自治体数を記載してございます。
二ページをお開き願います。小児科、産科、産婦人科標榜医療機関及び医師数の推移といたしまして、小児科などを標榜する病院数、診療所数及び医師数について、二ページから三ページにかけまして平成七年のものを、四ページから五ページにかけまして平成十二年のものを、六ページから七ページにかけまして平成十七年のものを区市町村ごとにそれぞれ記載してございます。
八ページをお開き願います。都立福祉施設における廃止、民間移譲の状況と今後の予定といたしまして、(1)には廃止した施設、(2)には民間移譲した施設、九ページに参りまして、(3)には今後の予定につきまして、それぞれ記載してございます。
一〇ページをお開き願います。福祉保健局における主な廃止、見直し事業といたしまして、(1)には主な廃止事業、一一ページに参りまして、(2)には主な見直し事業につきまして、事業名と決算額に区分し、それぞれ記載してございます。
一二ページをお開き願います。国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、平成十七年度から十九年度までの加入世帯数などについて、区市町村ごとに一三ページにかけまして記載してございます。
一四ページをお開き願います。国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、平成十二年度から十九年度までの区市町村ごとの国民健康保険料、税率について、所得割、資産割、均等割及び平等割に区分し、一五ページにかけて記載してございます。
一六ページをお開き願います。国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、平成十六年度から十八年度までの区市町村ごとの減免件数について記載してございます。
一七ページをごらん願います。国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、平成十六年度から十八年度までの区市町村ごとの一部負担金減免件数について記載してございます。
一八ページをお開き願います。国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、平成十四年度から十八年度までの対象世帯数、滞納世帯数及び収納率について区市町村ごとに記載してございます。
一九ページをごらん願います。区市町村における障害者自立支援法に係る利用者負担独自軽減策の実施状況といたしまして、軽減策の実施または未実施の自治体数などを記載してございます。
二〇ページをお開き願います。区市町村における介護保険料減免等の状況といたしまして、(1)には、低所得者に対する保険料減免を実施している区市町村を、(2)には、低所得者等に対する利用料軽減を実施している区市町村をそれぞれ記載してございます。
二一ページをごらん願います。生計困難者に対する介護保険サービス利用者負担額軽減制度事業の実施状況といたしまして、事業開始年月ごとに、各区市町村の確認証交付人数及び利用者負担額軽減実績などを記載してございます。
二二ページをお開き願います。介護保険施設等の定員、病床数及び高齢者人口に対する割合といたしまして、六十五歳以上の高齢者人口、施設ごとの入所定員または病床数及び高齢者人口に対する割合について都道府県別に記載してございます。
二三ページをごらん願います。療養型施設数及び療養病床数の推移といたしまして、医療保険適用と介護保険適用に区分してそれぞれ記載してございます。
二四ページをお開き願います。認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、待機児童に関する新定義及び旧定義それぞれに分け、平成十七年から十九年までの区市町村別の定員、年齢別の入所児童数及び待機児童数について、三三ページにかけまして記載してございます。
最後になりますが、三四ページをお開き願います。認可保育所における常勤、非常勤従事者数及び非常勤従事者比率の推移といたしまして、平成十四年度から十八年度までの推移についてそれぞれ記載してございます。
以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○野上委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 まず最初に、最近、新聞やテレビで大変話題になっております、お産をめぐるいろいろな問題が都民の心配を喚起しているわけですけれども、それについてお尋ねしたいと思います。
東京都内の出生率、出生数、大体十万人前後で推移しているわけですが、結婚なさる方が、昔とは違って年齢的にかなり高くなってきた。その分だけ、妊娠、出産というものに対してハイリスクになる。これは現実で仕方がないと思うんですが、逆に今、重症児の救命率、上がっているわけですね。この三十年の間に格段に上がって、特に世田谷区にあります成育医療センターなどでは、胎児医療という、昔では考えられなかった、子宮内にいる胎児の手術までするような現実が出てきていて、これはまたいつか質疑をさせていただきたいと思いますが、お生まれになったお子さんが一〇〇%健全で生まれるのであればいいんですけれども、なかなか、いろいろな障害をお持ちになって生まれていらっしゃることもあるので、その後のQOLをどうしていくかということも大変大きな問題。ただただNICUですべて行えばいいということではない、その後の生活ということがあって、これは大きな問題だと思うんです。
そういう中で、最近新聞にもよく出ておりますけれども、やはり産科医の勤務状況が厳しい。朝、昼、晩、夜中、全然関係なしに、ある程度コントロールしてお産をするということは薬でできないわけではないんですが、やはり自然な分娩を希望なさるお母様方も大変多いわけですから、そうすると、それに対応するためには、予定で--大よその大まかな予定はわかりますけれども、それ以上のピンポイントにはならないわけで、これが大変過酷な労働条件である。
それから、不可抗力という言葉が医療の世界から消えつつある。何でもかんでも一〇〇%でなくてはならないということで、医療訴訟が頻発している。やはり産科の先生が一番多いわけですね。実際は、そんなことで産科をやめるという気持ちになっては、大変、医師の方々、残念だと思うし、そうあるべきではない。医師という仕事を選ぶときには、そういうリスクを最初から理解して進んでいくべきであって、これは、医学部教育の中でもう一度それを取り組んでいかなくてはならない。ほかの人たちと同じ責任で医師が生活していくということは、逆に何かおかしなものを感じることがあるので、ハイリスクであることから仕方がないと思うんですが、現実に医療機関がどんどんどんどん減少している。
そして、昔と違って、どんなに腕がいい医者であっても、麻酔医が必ず必要であるというルールになりましたから、そうなると、我々若いころには、自分で麻酔をかけて自分で処置するということは当たり前だったのですが、ある意味ではそれが今許されなくなってきた。たとえ、そんなことはないでしょうけれども、自分の方が麻酔がうまくても、若い麻酔医を雇わなくちゃいけない。なかなか麻酔のお医者さんは、今、ご存じのとおり、特に日本じゅうどこを探してもいなくなっちゃうぐらい少なくなったわけですから、こういうことも相まって、東京だけではなく、全国でお産が難しくなってきたわけですけれども、都はこれまで、このハイリスクに対応する高度医療を備えた周産期母子医療センターの整備を進めていただいているわけです。お話を伺うと、医師の確保はなかなか大変なようです。
そして逆に、整備していただいているんですが、先ほど申し上げましたように、お産をするところが少なくなってきて、正常分娩を希望する患者さんたち、患者さんじゃないですね、お母様方が希望する病院に入るというのも--私どものところに来る要望で一番多いのは、三カ月したら病院を出されちゃうからどうしてくれというのが昔多かったんですけれども、今、どこかでお産するところを探してくれというのが随分多くなりました。
そういう中で、もっともっと患者さんというかお母様が安心してお産ができるようにということで、周産期センターに正常分娩の人までも来てしまう。そこまでする必要があるのか。一般の何でもない風邪のときに、わざわざ大学病院に並ぶ必要があるのかということと同じことですけれども、そういう都民の志向があるわけですね。
逆にまた、裁判を回避したいために、一般の診療所からも周産期センターに患者さんを紹介する。どんどんどんどんたまってきて、二十四時間でこなせない状況になっているわけです。
このように、出生数というのは横ばいでありましても、ハイリスク妊娠の増加や、あるいはNICUを必要とするそういう患者さんたち、お子さんたちの周産期の医療というのは非常にニーズがふえているわけですね。同時にお医者さんは足りない。
こういう背景から、昨今問題になっています、妊婦さんの搬送の受け入れ体制の課題というのが全国的にいろいろニュースになっているわけですけれども、まず、東京都においては、妊婦さんの搬送の体制というのは現状はどうなっているかをお聞かせいただきたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 都における妊婦搬送体制でございますけれども、出産前後の母体、胎児や新生児の救急患者に高度専門的な医療を提供する周産期母子医療センター二十二施設を整備するとともに、周産期母子医療センター等と東京消防庁をネットワークで結び、空床情報を共有するシステムを整備し、搬送先の選定に活用しております。
また、患者の迅速な搬送や受け入れを行うため、都内を八つのブロックに分け、各ブロックの総合周産期母子医療センターが搬送先の選定を行う仕組みを構築しております。
○田代委員 十月に今回発表された、総務省の消防庁、厚生労働省による産科と周産期傷病者搬送の実態調査があったわけですけれども、医療機関への照会回数や搬送に要した時間の最多あるいは最長が東京都であると。こういう事例が東京都であったと報道されていましたけれども、しかし、調査結果を詳しく見てみますと、交通事故なども含めた年間の搬送事例の総件数のうち、産科と周産期傷病者の件数は〇・七%の約四千二百件ですね。そのうち九六%は三回以内の照会で受け入れ先が決まっているわけです。
これは当然、現場の医療機関や消防の現場の方々の努力の結果であるといえるわけですけれども、都の搬送体制、先ほど申し上げましたように、全国的に見ると、数でいうと確かに多い、長いかもしれませんが、平均からすると、パーセンテージでいうと、決して東京都が悪いわけではないわけですから、だからいいというわけじゃないのですけれども、しかし、東京都のこの特殊事情の中で、搬送先選定までに時間がかかる事例があることも事実なわけです。
搬送先を設定するのに、いろいろこれが問題になっているわけですけれども、それまでにおいても、ほかの、妊婦さんが妊婦健診を受けていないとか、後ほど伺いますけれども、きちっとした手続をとられていないということがあれば、それはそれでまた東京都は妊婦さん方にそういうことを告知していく、あるいは、ある意味では教育をしていく、そういうわかりやすいシステムをつくっていかなくちゃなりませんし、また、どこを見ても大きな問題になりますのは、対応する病院があって、そして、その対応する医師がそこにいなくてほかにいて、そして、対応する麻酔科の医者がまたほかにいて、たまたま三つが全部そろっていないといけないということになると、どこまでも回されちゃうわけですね。
ですから、せんだって防衛省でGPSという話が出ましたけれども、実際、我々医師みたいな者は、仕事上、GPSをしっかり持っていて、いつでも対応できるようなチームができていて、ある場所が選定されて、この病院に行けばそういう施設があるんだということであれば、手のあいているといったらおかしいですけれども、動くことができる産科のお医者さん、あるいは麻酔科のお医者さんをそこに、その病院に目がけてみんなが動いていく、妊婦さんも動いていくということがあれば対応ができるわけで、これは工夫の方法は幾らでもあると思うんですが、今現実にこういう問題になっているわけで、東京都としては、こういう時間がかかって、選定までにどうも手間取って事件になることが多いんですけれども、どうお考えになっているか、お話を伺いたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 妊婦搬送に時間を要する場合の原因といたしましては、低出生体重児の増、他県からの患者流入、長期入院児の存在などによりまして、周産期母子医療センターのNICUの稼働率が極めて高くなっていること、また、産科医不足により地域の分娩取り扱い施設が減少しているため、周産期母子医療センターに一般医療機関で対応可能な分娩が集中していることなどが考えられます。
なお、田代委員ご指摘のとおり、かかりつけ医がいないために妊婦の状態が把握できず、適切な医療機関の選定が困難になっている事例もあるというふうに聞いております。
○田代委員 そのかかりつけ医がいないという問題は大きな問題だと思うんですね。患者さん自身の問題であると簡単に説明してしまえばそのとおりなんですが、やはり生活をしっかり支えながら、働きながら、そしてお子さんも育てて、また次のお子さんを産む。大変忙しい中で都民は生活しているわけですから、やはりもっともっと、お子さんを産むということに対して、こういう世の中になったわけですから、情報開示をしていく。もう患者さん任せにするのではなくて、患者さんの方--患者さんという言葉はおかしいですね、妊婦さんたちが、でも医療に関しては患者さんも含めてですけれども、もっともっと医療をどうやって受ければいい、あるいは安全なお産というのはどういうふうにしていくかということを、なさっていることはよくわかっているんですけれども、もう一歩進めて、情報公開の新しい方法、メソッドができたわけですから、インターネットだけではなくて、いろんな多チャンネルでやっていくべきじゃないでしょうか。
東京都というのは、当然、ほかの道府県に比べて医療機関が多いんですけれども、やはり先ほど申し上げましたように、特に産科に関しては医師不足が続いております。これは都立病院もなかなか大変な状況であると伺っていますけれども、それから空きベッドが、先ほど申し上げたように、安全に自分のお孫さんのお産を受けたいんだけどという要望が非常に僕のところに多いんですけれども、これも思うとおりに何月何日何時何分というわけにいきませんから確保が難しい。
特に周産期センターは、NICUに二割以上、東京都以外の他県の患児を受け入れているわけですから、これもなかなか大変だと思うんですね。全く診ないというわけには当然いきませんけれども、二割というと、これ、かなりの人数になります。それだけ東京都が頼りにされているといえばそうなんですが、やはり各県の独立自尊をもうちょっと進めていかなくちゃならないと思いますが、それにはやはりネットワークをつくっていかないと、全部それぞればらばらにやったって意味がないわけですから。
こういう現状があるわけですが、総合周産期センターの医師が搬送の調整を担う仕組みというのは、妊婦さんの状況を的確に把握して初めて有効な仕組みになるわけです。しかし、いざというときの搬送を担う医師というのは、まず自分たちの仕事に非常に忙殺されていて、そしてそれにプラスして、またある時間帯では病院のスタッフが少ないというときに、そこまでも医師がやるというのはなかなか難しいところがあるわけですね。
別にアメリカの医療がいいわけじゃないのですが、アメリカの医療は、我々行きますと、我々はカルテはほとんど書かないんですね。インカムでほとんど指示をする。それをシュライバーのような、カルテ整備士のような人がプリントして、そこに証拠として残している。そうすると、カルテの改ざんというか変更ができないわけで、それぞれの分担、医師は医療に専念するということで、ほかの事務的なことは逆にできない、やらない。そういうものに対してペイは払わないわけですね。
必ずしもその医療が、映画の「シッコ」なんか見ていますと、いいのか悪いのかわからないところがあるわけで、全面的にアメリカがいいなんて僕は全然思っていませんけれども、取り入れるべきところは取り入れて、そういう調整というものは、医師がしなくてはならない--何年卒のだれだれですけれども、お久しぶりですね、こういうことで困っていますから、先生お願いしますよというのは非常に簡単にできますけれども、逆にそういうコネクションのないお医者さんはそれがやりづらくなる。
そういうコネクションがあろうとなかろうと、第三者機関みたいなものが的確に医師に連絡をとって、そして、その状況を把握するのは専門家の医者がやってもいいですし、看護師さんがやってもいいですし、あるいは、ある程度スコアづけの表があれば、トレーニングを受けた方でも十分できるわけですから、何かすべてをそのときに現場にいる医師に責任も権限も全部渡しちゃうというのは、なかなか問題解決にならないと思いますので、そこも含めて、搬送の受け入れ体制を強化するために、東京都としてはどうやって今から取り組んでいくのかというお考えがあれば、伺いたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 緊急搬送の受け入れ体制を強化するために、総合周産期母子医療センターの搬送調整機能の強化や、NICUの回転率を高めるための後方病床の充実について現在検討しているところでございます。
○田代委員 その後方病床がないんですよね。質のいい後方病床があれば、これは全然問題ないんですよ。そこが全然足りていないから、どうにもならない。
それで、その後方病床を充実するためにはどうすればいいかというと、何せ着実に、ある程度一般的なことも診れるし、専門的なことも診れる産科医というものをふやしていかないと、どういっても、システムができても、そこにソフト、人材的なものが入っていかないと、ハードだけでは動きませんので、この点にどのように取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思います。
○吉井参事 周産期医療センターを初め、病院等で出産を取り扱う産科医師の確保は、早急に解決すべき課題であると考えております。
そこで、本年六月、産科医師の代表も含めまして構成いたします東京都地域医療対策協議会を設置いたしまして、都における医師確保対策について協議をしております。
本協議会での協議の状況も踏まえ、今後、産科領域でも増加が予想される女性医師の再就業対策、あるいは勤務環境の改善など、病院勤務医師の負担軽減に向けた取り組みを現在検討しているところでございます。
また、産科専門医の育成、確保に向けた取り組みについても、本年度より着手したところでございます。
○田代委員 せんだっての搬送実態調査でも、周産期分野では、医療機関から医療機関への転院の搬送の割合がとても多いわけですね。そして、依頼する側とそれを受ける側、先ほど申し上げましたように、日ごろから現実の連携ができていないと難しいわけです。
国の医療計画の作成指針でも、妊婦さんや胎児のリスクに応じた医療が提供されるように医療機関の機能に応じた役割分担と連携を図る必要性がある、これはもっともなんですが、実はこれを具体的にどうすればいいかということは、その委員会でも話をなされていると思うんですけれども、やっぱりさっき申し上げました周産期センターを中心としたネットワークをしっかりつくっていき、そして、周産期医療センターにすべての患者さんが集中しているという今のこの状況をちょっとでも軽減していく。
それにはやはり、説明を聞いたとき、都民が、ああ、そこに行かなくても私は大丈夫なんだなと思うその理解がないと、幾ら振り分けの方向を机の上でつくって、この人たちはこっちへ行きなさい、あの人たちはあっちへ行きなさいということでも、お母さん方にとっては、妊婦さんにとっては、自分のお子さんが世界で一番の宝物で、唯一の一番大切な宝物ですから、納得してお産を受けられるような情報開示というか、だれが見てもわかるような、専門家じゃないとわからないような難しい言葉で説明しても何の意味もないので、安心してお産ができるような方向性をやはり東京都がやっていかなくちゃならないわけですけれども、この周産期センターへの集中を軽減する何かいい策はありますでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 医療機関相互における連携と役割分担についてでございますけれども、本年五月、東京都周産期医療協議会に搬送部会を立ち上げまして、妊婦健診を実施するかかりつけの診療所等から高度医療や救急医療に対応する周産期母子医療センターまで、分娩リスクの程度に応じた医療機関の役割分担を明確にし、妊婦を中心とした医療機関の連携、協力体制を進めるためのネットワークグループの構築を検討しております。
この検討結果につきましては、ガイドライン等として取りまとめるとともに、現在改定作業を進めております東京都保健医療計画に反映をいたしまして、着実に実現を図ってまいります。
○田代委員 それは大変いいお考えで、進めていただきたいんですけれども、このネットワークグループ、やはり一つ押さえておかなくちゃならないのは、個人情報保護法をしっかり踏まえて、そこを踏み外さないように、いろいろなお立場の方、行政から見たら、よかれと思ってやって差し上げても、妊婦さんから見ると何となくという不安感を得ることもあるかもしれませんから、そこをしっかり押さえておいていただきたいと思うんです。
都の方は、平成十七年度からオープン病院化モデル事業を実施しているわけですが、妊婦健診は診療所、分娩は病院といった役割分担を進めて、医療安全や医療資源の有効活用に役立つ、そういう目的でということで、このモデル事業の手法を、今おっしゃったネットワークづくりにもしっかり使っていただきたいと思うんですね。
先ほど申し上げましたように、それができることによって、妊婦健診の未受診の方、これが最近の問題で大きく取り上げられているわけですが、これをしっかりもう一度つくり直していただきたい、確実なものにしていただきたい。
我々皮膚科は感染症をよくやるものですから、妊婦さんの感染症というのは非常に大きな問題があって、安全な出産を脅かすいろいろな感染症があるわけで、今、日本も感染症大国といわれるようなひどい状況になりつつあるんだと警告する医師もいるぐらいですから、やはり情報をしっかり妊婦さん方に届けるということをやることが一番基本で、それがネットワークをつくっていくことができる、そして、初めてかかりつけ医に妊婦さん方がかかっていく気持ち、モチベーションをつくることができると思うんですね。ただ方向性だけ決めて制度をつくっても、先ほど申し上げましたように、妊婦さんにその気になっていただかなくちゃならぬわけですから、都民の方々に理解いただくようにしていただきたい。
そして、そのときには、やはり経済的なことが大きな問題になるわけですけれども、都内の公費負担による妊婦健診の受診率というのは今現在どうなっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 妊婦健康診査の実施状況でございますが、東京都では、妊娠二十三週までの妊娠前期、妊娠二十四週以降の妊娠後期の二回の健診及び三十五歳以上の妊婦に対する超音波検査一回を、都内どこでも共通の受診券で受けられる体制で実施しております。
平成十七年度の区市町村の公費負担による妊婦健診の受診率は、妊娠前期につきましては八八・五%、妊娠後期につきましては八〇・五%、超音波検査は八三・二%でございます。
○田代委員 しっかりと取り組んでいただいて、まだまだやっていただくことは多いと思うんですけれども、こういうものは、やはり情報開示でどなたでも理解しておいていただきたい。これは僕は当たり前に知っていると思うんですけれども、妊娠中の女性に聞くと、知らない方もたくさんまだいらっしゃるというのが現実のようですから、しっかりと広報していただきたい、そう思います。
国は、妊婦健康診査の受診率を高めて、経済支援の一環として、妊婦健診の公費負担を最低五回程度実施すべきとしているわけです。区市町村によっては、妊婦健康診査について独自に施策をつくっているところも数多くあるわけですけれども、この区市町村における公費負担回数をふやしていく、こういう運動に向けて、東京都はどういう考えで援助していくのかをお聞かせいただきたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 妊婦健康診査は、妊娠経過の把握と分娩リスクの早期発見に大変重要な機会でございます。そのため、都は、都内全区市町村で国が最低限必要とする五回の公費負担実施に向けた取り組みが進むよう、健診項目や受診券様式等、健診体制のあり方について、本年六月から、実施主体である区市町村や東京都医師会、学識経験者等とともに検討を行ってまいりました。
現在、この検討結果に基づいて、来年度の回数増へ向けた準備を進めております。
また、妊婦に確実に健診を受診してもらえるよう、現金給付方式ではなく、妊婦への受診券の配布方式の実施に向けて取り組んでいるところでございます。
○田代委員 お産をめぐるいろんな大きな問題があるんですが、実は、これはもう、きょうは時間の関係で意見を述べさせていただくにとどめて次回にと思いますけれども、今、不妊治療を受けていらっしゃる方が大変多いんですね、東京都でも。そして、我々が見ても、びっくりするほど大きな、きれいな施設で不妊治療が行われているところがあるんですけれども、値段を聞いてみますと驚愕の値段。東京都もしっかりと、かなり前になりますけれども要望させていただいたら、それに対してかなりの部分を今、経済援助していただいているのは大変感謝申し上げるんですが、しかし、まだまだ、だれでも安心して若い方々が不妊治療を受けるという状況になっているとは、まだちょっと思えないところがある。
やはりどんな経済状態の方でも不妊治療がしっかり受けられるような、そういう取り組みをしていただくことも、お産を取り巻く問題の解決、方向性をつける大きな力にもなると思うので、要望しておきたいと思います。
次に、今、一番国民の方々が関心のある幾つかの中で健康問題というのがあって、特に高齢者の方、このたびの後期高齢者医療制度、どういうものだかよくわからなくて心配なさっていらっしゃる。これも、我々は当然専門家としてそういうものの情報はありますから理解をしているつもりですが、その中でもいろいろ問題点があるのに、一般の国民の方、都民の方々は何なんだろうと。まだまだおれはその年じゃないからいいやという人もいるでしょうけれども、そうなってもよくわからないという方々が、大変多くの何か経済的な負担がふえるんじゃないかと心配しているわけですが、これについてちょっと教えていただきたいと思います。
大変今、医療の質が、日本はほかの中で特段に高い。そして、急速な高齢化によって老人医療費を中心とする医療費の増加が--これは当たり前のことで、ニーズが高くなって、しかも現実にそういうものが実行されるとなれば増加するのは当たり前で、増加すること自身が悪だというような財務省の考え方は、僕はどうもぴんとこないというか、余りにも的外れだと思うんですけれども、しかし、ではそれで医療のために国が滅びてしまったらいいのかというと、そういうわけではないわけですね。国があって初めて医療制度というものを守っていけるわけですから、ここはちゃんとどこかの兼ね合いを考えていかなくてはならないと思っておりますので、そういうところで、国民皆保険制度を堅持していく中で後期高齢者の医療制度というものが出てきたんだと思うんですね。
いよいよ来年四月スタートということですけれども、激変緩和ということで、扶養家族であった被保険者の保険料負担について半年間の凍結、こういうことを含む緩和措置を国の財政責任でやることとなったわけですけれども、ちょっと確認しておきたいんですが、この新たな医療保険制度である後期高齢者医療制度について、国はどのような財源構成で制度設計をしているのか。そしてまた、国の制度設計に従うと、我々の東京都において、都はどの程度の財政負担を負うことになるのか。また、現場である区市町村の負担がどのくらいになるのか。もちろん、都は広域の自治体として応分の負担を担うものとは思いますけれども、詳細について、確認の意味で伺いたいと思います。
○永田生活福祉部長 後期高齢者医療制度の財源構成のお話でございますけれども、国の制度設計では、患者の負担分のほかに、医療給付費等につきまして、公費で五割、後期高齢者の保険料や現役世代の保険料からの支援金で五割を負担することとなってございます。
公費負担につきましては、国が十二分の四、都道府県と区市町村がそれぞれ十二分の一を負担することとなっておりまして、国の負担の十二分の四のうち、その十二分の一相当分は、調整交付金として全国の後期高齢者層の平均所得水準との比較によりまして交付割合が調整されることとなっております。その結果、東京都の場合は、全国の水準より所得が高いことから、五八%の交付見込みとなってございます。
東京都は、この十二分の一の定率負担のほか、保険料軽減の財源補てん分の四分の三や、財政安定化基金の三分の一、高額療養費負担金の四分の一など、リスク軽減措置について負担を負う仕組みとなってございます。
広域連合の試算によりますと、東京都のこの法定負担分、総額では七百七十億円でございまして、区市町村の法定負担分は約六百九十五億円となってございます。
このように、東京都は、広域連合の安定した財政運営のために応分の規模の財政負担を担ってまいります。
○田代委員 区市町村が困らないようにしていただきたい、まずこれが一番ですよね。やっぱり現場で医療を受ける方々が住んでいるところが安定していかなくちゃならない。
今のお話を伺っても、それは僕も聞いたことですからわかるんですけれども、では一般の都民の方が今の説明で、ぱっとわかるということもあるでしょうけれども、どのぐらいの負担を国と地方自治体がして、自分たちがどのぐらいの経済的な負担を強いられるのか、そして、それによってどういうものが手に入るのかということがしっかりわかってくれば、かなり理解も得やすいと思うので、そういう努力もできたらしていただきたいと思うんですが、そのときに重要な問題である保険料について教えていただきたいと思います。
当初、広域連合では、十五万五千円という相当高額な保険料の試算額を提示していましたけれども、今月になって固まった保険料の案の平均年額は十万二千九百円と聞いております。
広域連合議会に出されている保険料案の内容は具体的にどのようなものであって、その水準は現行の平均の国保料と比較してどうなんでしょうか。また、全国的に見てどうであるのかということをお伺いしたいと思います。
○永田生活福祉部長 広域連合における保険料のお話でございますけれども、実は本日開会の広域連合議会に上程されております保険料率案は、均等割で三万七千八百円、所得割で六・五六%でございます。ご指摘のとおり、平均年額は十万二千九百円となっておりますけれども、低所得者層への軽減措置等を反映した平均年額は約九万円になるとのことでございます。
一方、広域連合の資料によりますと、七十五歳以上の都内国民健康保険料の平成十八年度の平均額は約九万一千円でございます。全国の広域連合の保険料率は、今月中を目途にそれぞれの広域連合におきまして決定される予定でございますが、全国平均はまだ現時点ではわかっておりません。
昨年、厚生労働省が示しました厚生年金の全国的な平均年額でいいますと二百八万円でございますけれども、この場合で見ますと、保険料の試算額は、医療給付費のみではございますけれども、七万四千四百円でございます。これに対しまして東京都広域連合の保険料率では、同じ二百八万円の年金収入の場合においては七万三千八百八十円と、五百二十円ほど安い金額となると聞いています。
なお、十一月十六日に神奈川県広域連合議会で可決されました保険料率は、均等割で三万九千八百六十円、所得割で七・四五%と、東京都よりも高く設定されております。この保険料率の場合、年金収入二百八万円の保険料は八万八百三十円と、東京都よりも六千九百五十円ほど高い金額となります。
○田代委員 物の見方ですけれども、平均で見た場合、東京都における後期高齢者の保険料率は、他県に比べても決して高いというものではないということですね。しかし、こういうものをしっかりと、東京都や広域連合あるいは市町村、区は、情報を都民に十分説明を行って制度の理解促進を図っていかないと、せっかくそうやって進めていっても、なかなか結果が出てこないことになりますので、そこは再度申し上げておきたいと思います。
後期高齢者の生活の質、いわゆるQOLを保つ上で重要なことというのは、やはり今いわれたように生活習慣病、こういうものを早期に発見して重症化を防ぐ。やっぱり定期健診、これが重要なことですね。七十五歳以上の後期高齢者に対する健診は任意事業でありますけれども、東京都の広域連合は実施する、こう決めたということなのですが、この健診の重要性について東京都の考えを伺いたいと思います。
○永田生活福祉部長 国は、後期高齢者に対する健診等の保健事業につきまして、生活習慣の改善による疾病予防というよりも、生活の質、先ほどのQOLの確保と介護予防が大事だと。もう一点は、糖尿病等の生活習慣病の早期発見のための健康診査は大変重要であるとの認識のもと、健康診査について、基本的には七十五歳と同様の健診項目とした上で、実施は各広域連合の努力義務としているところでございます。
東京都後期高齢者医療広域連合では、このような健診の重要性にかんがみ、実施することを決定したということでございます。
○田代委員 では、そのようにする健診事業がしっかりと運営されるために、財源の裏づけが大変重要だと思うんですけれども、この負担の枠組み、どうなっているでしょうか。
○永田生活福祉部長 国は、費用の三分の一の補助分を概算要求しておりまして、それを踏まえまして、現在、広域連合では、一人当たり五百円の自己負担分を除く部分について、国と区市町村と保険料とで三分の一ずつ負担することとしておりますが、あわせて、都に対しましては財政の補助を要望してきているところでございます。
なお、健診費用に自己負担分を設けた趣旨につきましては、広域連合は、受診する人としない人との公平を図るため一律五百円の自己負担を設けるが、各区市町村が特定健診との整合を図るために無料とした場合には区市町村の負担とするというふうにいっております。
○田代委員 そのためにも、広域連合に対して都としても適切な支援を行っていただきたいと思うんですけれども、後期高齢者への健診は広域連合の努力義務とされているわけですが、四十歳以上七十五歳未満の年齢層に対する特定健診の特定保健事業は、来年度から医療保険者の責務となるわけです。
今おっしゃった糖尿病や高脂血症、いわゆる生活習慣病の予備軍を早期に発見して、これを減少させていくことは大変重要なわけですけれども、この特定健診等の実施費用について、区市町村の国民健康保険に対して、国と都道府県はそれぞれ三分の一を負担するよう法律で義務づけておりますけれども、国民健康保険組合に対してはそういう規定がないわけです。
現状のまま推移したときには、国民健康保険組合は特定健診の費用を保険料に上乗せせざるを得なくなるわけですが、国はこのたび、国民健康保険組合についても必要額を概算要求したように、都も財政支援する必要があると考えられるんですが、見解を伺いたいと思います。
○永田生活福祉部長 特定健康診査及び特定保健指導は、糖尿病等の生活習慣病の有病者やその予備軍の減少を目指すものでございまして、その結果、医療費の適正化にも資することから、医療保険者に課せられた責務は重大であると考えております。
都は、ご指摘の趣旨を踏まえ、区市町村国民健康保険との均衡も考慮いたしまして、国民健康保険組合の特定健康診査等につきまして必要な額を予算要求しているところでございます。
○田代委員 健診事業というのは、すればいいわけじゃなくて、終わった後どういうふうに指導していくかということが非常に重要なことで、例えば高脂血症、糖尿病、これはみんな高血圧、一つのカテゴリーに大きく見ると入るもので、これの一番基本的な対応策というのは歯科医療なんですね。よくかむということがあれば、ほとんどの疾患の三割から五割はなくなってしまうわけです。
歯科医療の中で何が必要かというと、咬合学、かみ合わせですけれども、ただ健診をすればいいということではなくて、その後にどうやって続けていくかということと、一般医療と歯科医療のミットを進めていくことと、そういう大きなガイドラインをつくっていかないと、幾らあなたはウエストが何センチですよ、体重がどれだけですよ、減らしなさいといっても、そんなことできやしないわけですね、言葉でいっても。
逆にいうと薬ばかり使うことになって、前も申し上げたように、ジェネリックというのは残念ながら、二割から三割、下手すると五割ぐらいは、安いんだけれども余り効かないという薬もある。こういうことがわかっているわけですから、いい薬を少量でもしっかり効くようにしていくことも一つの方法で、そのためには歯科医療とのミットというのは物すごく重要です。
これを今からの健診事業の中でも、どうしたらその事業の結果が生きてくるかということを東京都も一度考えていただいて、これは要望させていただきます。
最後になりますけれども、今問題になっている看護師さんの問題、足りなくなる。今からどんどんどんどん足りなくなるということなんですが、例えば看護師さんたちの雇用、これを今から考えていくと、それぞれの立場、公的な病院と私的な病院で、看護師さんのいわゆる不足の状況というのは随分違うと思うんですね、雇用体制も違いますから。そうすると、一般的にいうと、我々医師会の運営している病院と公的病院では、やはり流れが、ある意味では私的な病院から公的な病院に流れていく。
しかし、我々は、先ほどもお話の中で出ましたように、個々の地域で医療というものを一生懸命守って、二十四時間守っているわけですから、どこの診療所に看護師さんが要らなくて、こっちの病院に要るというわけではなくて、どこでもそういう、ある程度以上の質を担保した看護師さんが必要なわけですが、この需要と供給のラインが非常に今狂ってきている。そうすると、どこどこの病院に足りない、どこどこの病院に足りるという、非常にミクロの話をすることがありますけれども、そんなことは問題じゃないとはいいませんけれども、もっと大切なことは、もっと大きな東京都の看護というものをどう考えていかなくちゃならないのか、こういうことが大変重要だと思うんですね。
一つ、この五年間の数値が出ているわけですけれども、当局としては、ミクロの問題もマクロの問題も含めて、特にこういう雇用になると、一部感情的に揚げ足取りみたいな話になって非常に困るので、そうではなくて、全体を見た看護師さんたちのこれからの需給バランスをどうとっていくかということを、東京都の認識を伺いたいと思います。
○吉井参事 ただいまご質問のありました看護職員の需給等の問題についてでございますが、今回、看護職員の需給見通しを作成したところでございます。この需給見通しにおきましては、平成十八年に実施した看護職員就業等実態調査を踏まえまして、需要と供給数を推計したところでございます。
平成十九年において、約二千八百人の都内での不足というものがございますけれども、五年後の平成二十三年には、不足が三千五百人に拡大するというような形で見込んでおります。
これを踏まえまして、今回の見通しの中では、養成対策、定着対策、再就業、こうした既存の施策に加えまして、平成十九年度に新規に取り組みを始めました新人看護職員の早期離職の防止を図るための新人看護師研修体制整備事業、それから、身近な地域の病院で再就業研修や就業相談を行います看護職員地域確保支援事業、こうしたことの施策効果を反映させまして需給を均衡させることとしてございます。
○田代委員 看護師さんの提供体制の問題としては、昨年四月の七対一の看護基準の新設、これが大きな一つのきっかけになっているわけでありますけれども、これは大きな問題になってはいますが、確かに病院を運営する我々からすると大変苦しいことですけれども、やはり全体の医療というものを見て、日本の医療の質を上げるためには、もっともっと対応がよくなってもいいわけですね。ただ、現実に看護師さんが足りない。
そして、その大きな問題は、良質な医療を提供する病院に対する経済的なある程度の支援というものが、形では図られていますが、なかなか目に見えた現実の、今の例えば東京都の物価とか地価とか、そういう諸経費にかかわるような補助が、国からされている、健康保険の中に入っているわけではないわけでありまして、こういうところも変えていかないと、せっかくある意味では看護職員の方々の待遇が一部改善されてきたのに、それが途中でとまってしまうのであると、やっぱりモチベーションが上がっていかない。
これは東京都に幾ら申し上げても、それはちょっと方向性が違うかもしれません。国の方にいっていかなくちゃいけないわけですけれども、昨年決まった医療計画の中では、最終的には東京都にこういう実権を全部おろすということになっているわけですから、そこを、十年なんというのはあっという間に過ぎちゃいますから、よく頭に入れて考えておいていただきたい。
それと同時に、今、看護師さんの数が足りないから、何でもかんでも養成所をつくれ、学校をつくれという意見があります。しかし、受けている、資格を持っている人たち、潜在している人たちが非常に多くいらっしゃるわけで、その人たちがもう一度現場に帰れるような状況を全く何もしないで、ただただ新しい学校をつくれ、養成所をつくれ、人をふやせといっても、これはまず意味がない。
それからもう一つ、フィリピンから、あるいは諸外国からの看護師さんをどうやって受け入れていくかということは、これは話が長くなって打ち切りますけれども、やはり愛国心という教育がしっかりしていないと、お互いに仲よくしていくということは全くできないわけですね。意味がわからない人は笑って終わっちゃうでしょうけれども、やはり人というのは、自分たちの立場というのを考えながら、お互いを尊重して進んでいかなくちゃいけないことであって、そういう中で看護というものもやっていかなくちゃならないので、ただやみくもに入れればいいというわけじゃないけれども、しかし入れないとできていかないということもある。
こういうものを解決していくために、やっぱり看護師さんたちの話をまず聞いていただきたいんですよ。アトランダムでいいです、いろんな立場の。それは、中には非常に変わった政党に属しているような人たちもいますけれども、そういう人たちの話も決して無視しないで聞いてあげる。全部いろんなところで--何でそうやってゆがんじゃったかというと、ゆがんじゃったもとがあるわけですね、生活苦みたいなもの。それを是正してあげないと、ずっとおかしくなっちゃうわけですから、まず看護というものを政治色に使うようなことがないように、そこをちゃんと目を開いていただくように、いろんな意見をそれぞれの看護師さん、肩書のある人だけ、あるいは公的病院の責任者だけという看護師さんじゃなくて、現場で働いている人たちの話をもっともっと聞いていただきたい。
それが表に出る出ないはともかくとして、聞いていただくことによって、随分、看護師さんたちが思っている--ささいな要望ですよ、子どものこととか教育のことで、ちょっとした時間のこととか、朝だけ、何カ月だけちょっと遅く勤務してくれればいいとか、このときだけ休みをくれればいいという非常にささいなものが、何か一つだめだと耐えられなくなっちゃうのですね。これは、先ほど申し上げた勤めている医師も同じことですけれども、ほんのささいなことをちょっと変えていただくだけで、随分これは変わってくると思います。
ですから、今潜在している看護師さんたちをどうやって、もっとやる気になって、自信を持って、プライドを持って出していくか、こういうことを東京都はもうちょっと真剣に考えていただいた上で、さらに足りないところはどうするという話になるので、最初から、ただただつくれつくれという話ではなくて、もう一度改めて全体のデザインを考えていただきたいと思いますが、どのように支援していくのか、東京都の考えを伺いたいと思います。
○吉井参事 看護職員の確保に関してでございますが、先ほどもちょっとお話し申し上げましたように、いわゆる再就業のための仕組みとして、看護職員地域確保支援事業の取り組みも新たに開始をしたところでございます。
それから、いわゆる声を聞くというお話がございましたけれども、先ほどもこれも申し上げましたが、今年度から開始いたしました新人看護師研修体制整備事業、これは民間の病院に対しまして、主に新人看護師が早期に離職しないというような意味で、卒後研修の充実を図るために事業化したものでございます。
具体的に申し上げれば、三百床以上の病院には研修専任者の配置を促進する、それから三百床未満の病院には、東京都ナースプラザがございますが、そこに就業協力員というのを配置して、これをその病院に派遣をするみたいなことを行います。その中で、新人看護師の声というか相談を受けるとか、看護管理者に対しましても、研修内容だとか、例えばその職場の定着に向けた環境づくり、こうしたことについての指導助言を行う新たな取り組みを開始したところでございます。
○田代委員 今後五年間で需給を均衡させる見通しは結構なことですけれども、現実に今、看護師さんは不足しているわけです。病院もそのために、医師もいない、看護師さんもいないということで閉鎖せざるを得ない、こういうところも出ているわけですから、何せ、五年後にどうにかなればいいということでなくて、もう今、きょうからそういうトラブルがないようにしていただかないと、やはりインセンティブが下がってきてしまう、持てなくなってきちゃう。看護師さんがいつも将来が、今頑張ればどうにかなるんだということを、早く言葉でわかるように見せてあげていただきたいと思いますね。それがないとどうも、やりますやりますといっても、何が見えないかとなると、勤める人は嫌になってしまう。
それから、こういう状況は今度初めて出てきたわけですから、定着するためにどう先輩たちが教えていけばいいかというのは、これは難しいんですね。研修医もそうですけれども、医療的にベテランであっても、教師としてベテランであるとは限らないわけであって、看護師さんたちも、肩書が山ほどあって黒線がいっぱい入っている人がすべて部下を把握する力があるかというと、そうじゃないことがある。医者とやり合ってでも患者さんを守るということはうまいんだけれども、後輩にはなかなかうまくしゃべれないという人もいるわけですから、こういうものも、一つの何かルールみたいなものをつくって、簡単な引きとめ策、あるいはモチベーションを上げるためにどういう言葉が必要なのかということもやっていただけたら大変ありがたいと思います。
ですから、できるだけ早く需給の均衡を目指すべきですけれども、その所見を伺いたいと思います。
○吉井参事 都内の医療機関が、その医療機能に応じて必要な看護職員を確保すること、これは都民への安心・安全な医療を提供する上で極めて重要であると考えてございます。
都は、都立看護専門学校の運営を初めといたします養成対策、院内保育所運営費補助や看護師宿舎施設整備補助などの定着対策、さらには、東京都ナースプラザの運営などの再就業を促進する対策、さらに講習会などの資質向上対策等、総合的な看護職員確保対策に引き続き取り組んでまいります。
あわせまして、先ほど申し上げましたように、平成十九年度からの新たな取り組みでございます新人看護師研修体制整備事業、さらには看護職員地域確保支援事業につきましても着実に推進してまいりたいと考えております。
こうした養成、定着、再就業などの総合的な看護師確保対策を充実させまして、委員ご指摘の需給の均衡については、できるだけ早期に達成するよう目指してまいります。
○田代委員 時間の関係もありますので、最後に一言要望して終わらせていただきたいと思いますが、今問題になっているC型肝炎の問題、これは薬害ですけれども、これは各診療所から随分前に当時の厚生省に報告が上がっているんですが、その対応が全くできていなかった。私が診ている患者さんも、あの人数の訴訟団には入っていないわけですね。どうしていいのかわからないということで随分空白の時間を持っていて、多分、今推定される倍、三倍ぐらい、だから千五百名ぐらいですかね、もっとになるかもしれません。そういう人たちが二度とこういう苦しい目に遭わないように、東京都も、現場の医師から上がってきたそういう情報に対しては真摯に一つ一つ対応していただいて、国に全部任せるのではなくて、しっかりとした方向性をとるような体制をとっていただきたい。
と同時に、今、都民の中にたくさん苦しんでいる方がいらっしゃる、そういう薬害を中心としたC型肝炎への対応というものも、格段にもう一度取り組んで、そのC型肝炎の問題ではなくて、それをやることによってほかの疾病も対策ができていくわけですから、先ほど歯科医療にもあわせて健診をということをお願いしましたけれども、プラスしてそういう体制をつくっていただくことを要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。
○佐藤(広)委員 まず、介護サービス情報の公表制度について質疑をいたします。
介護サービス情報の公表制度については、手数料負担など、事業者からの不満の声を聞いております。介護サービス事業者は、大手や大規模施設を除けば、小規模事業者などはかなり厳しい経営にさらされているのが実情です。そのような経営状況にもかかわらず、介護サービス情報の公表制度では手数料の負担を余儀なくされております。そして、そもそもこの介護サービス情報の公表制度の目的や意義、周知について、いまだ十分に浸透していないと考えております。
そこでまず、介護サービス情報の公表制度の目的と意義について改めて伺います。
○狩野高齢社会対策部長 介護サービス情報の公表制度の目的は、介護サービス事業者の情報提供の仕組みを整備して、利用者が介護サービスや事業者を適切に選択できるように支援することでございます。
また、介護サービス事業者から見れば、みずから提供しているサービス内容を公表し、適切な事業者として利用者から選ばれることを通じてサービスの質の向上につながるものでもございます。
こうした点から、本制度は、介護サービスの質の向上を図る上で、サービスの利用者と提供者、両者にとって大変重要なものであると認識しております。
○佐藤(広)委員 介護サービス情報の公表制度の目的と意義についてはご説明いただきましたが、続きまして、介護サービス情報の公表制度について事務の流れがどうなっているのか、その概要を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 介護サービス情報の公表制度は、介護サービスの事業者に、毎年一回、事業所に関するサービスの内容等の各種情報の公表が義務づけられているものでございます。
公表される情報は、その内容や質により、基本情報と調査情報に分かれております。基本情報は、例えば職員体制や利用料金などの事実情報で、事業者からの報告内容がそのまま公表されます。調査情報は、サービス提供内容などの記録の有無など、調査員が事業所を直接訪問して確認した上で公表されるものでございます。
東京都では、介護保険法に基づき、情報公表センターとして財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団を指定し、調査機関には、特定非営利法人が八機関、株式会社が十一機関など合計三十の調査機関を指定し、平成十八年度の調査事務を行いました。
○佐藤(広)委員 指定公表センターが財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団であり、調査機関は三十機関あり、その中には株式会社やNPOもあるということはわかりました。
これらの機関には、事業所の理解を得るためにも、公平公正な立場であることが求められます。それぞれどのような基準で決定されたのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 介護保険法第百十五条の三十六は、都道府県知事は、その指定する者に介護サービス情報の報告の受理及び公表を行わせることができると定めております。政省令において、その指定基準について、法人格を有すること、次に、当該法人みずからが介護サービスを提供していないことなど、公平公正性を確保するための要件を定めております。
東京都では、この政省令に準じて介護サービス情報指定情報公表センター等指定要領を定めまして、政省令の基準に加え、苦情窓口の設置などの要件も定めているところでございます。
東京都が情報公表センターとして財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団を指定した理由は、これらの要件に合致するとともに、都で推進しております第三者評価事業に関する業務運営や、インターネットによる情報公表を安定的に行ってきたためでございます。
また、調査機関についても、指定情報公表センターと同様、政省令及び都の指定要領に基づき東京都が指定しております。
○佐藤(広)委員 制度の目的や事務の流れについては理解いたしましたが、そもそも、介護サービス情報の公表制度と、指導検査や第三者評価制度など類似の制度があるわけです。これらは事業者にとっても、事務的にも金銭的にも負担となっております。
そこで、介護サービス情報の公表制度とほかの制度との違いについて伺います。
○狩野高齢社会対策部長 指導検査につきましては、事業所における人員や設備、運営基準など、介護保険法等の法令の基準に違反していないかどうかを確認することが目的でございます。第三者評価制度は、事業所の組織運営とサービスの改善への取り組みを評価するものでございます。これに対して介護サービス情報の公表制度は、事業者みずから提供しているサービス内容などについて、調査機関の調査員が確認をした上で、客観的な情報として公表する制度でございます。
○佐藤(広)委員 さて、介護サービス情報の公表制度の対象となる介護サービスは、初年度である昨年度は九サービス、今年度は三サービスふえて十二サービス、来年度以降は、公表すべき情報の検討、実施体制の整備等を経て、残る二十六サービスを順次施行することとしております。
事業者からは、一つの事業者が複数の介護サービスを提供している場合、サービスごとに手数料が定められているため、さらに過重の負担となってしまうとの声を聞いております。例えば、一つの事業者を訪れて一つのサービスについて調査した場合と、四つといった複数のサービスについて調査した場合とを比較しても、支払う料金は単純に四倍になるわけですが、調査に要するコストはそれほど変わらないのではないでしょうか。運営しているサービスの数だけ調査にかかる手数料がふえるという仕組みでは、調査に要するコストが変わらないということであれば、調査会社の得る利益がふえるということになるのではないかと思います。
そこで、複数サービスの調査を行った場合、手数料はどのようになるのでしょうか。また、調査手数料の軽減等の措置はあるのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 介護サービス情報の公表にかかわる調査手数料は、同一所在地の事業所であっても、サービスの種類ごとに調査を義務づけられており、また、調査内容、項目も異なることから、それぞれのサービスの種類ごとに、事業者は条例により定められた手数料額を負担することとなっております。
○佐藤(広)委員 複数の介護サービスを提供している事業者にとっては、実際の調査の状況からすれば、割高感がかなり強いと思います。
厚生労働省が平成十九年十一月二日に公表した平成十九年度第二回介護サービス情報の公表制度担当者会議資料のうち、各都道府県における調査事務の平成十八年度の収支状況についてによると、調査機関の収支状況として、黒字の都道府県が三十県、赤字の都道府県が七県、収支ゼロが八県という状況になっております。
そこで、都の調査機関の収支はどうなっているのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 平成十八年度における都の指定調査機関の収支状況につきましては、指定調査機関三十機関の手数料収入である歳入総計が約三億一千七百五十万円、人件費、交通費、事務局運営費など歳出総計が三億一千五百六十二万円、差し引き百八十八万円の残額となっております。利益率にすれば〇・五九%となっております。
なお、指定調査機関の収支状況を含む事業の実施状況につきましては、現在精査中でございます。
○佐藤(広)委員 調査機関全体の収支状況はわかりました。
先ほど申し上げましたように、介護サービス情報の公表制度の対象となる介護サービスは、初年度である昨年度は九サービス、今年度は三サービスふえて十二サービス、来年度以降は、公表すべき情報の検討、実施体制の整備等を経て、残る二十六サービスを順次施行することとなっておりますので、それだけ調査会社の収入がふえ、一方、介護サービス事業者の費用負担が増加するという見通しになるのではないかと思います。
調査会社の収入となる調査手数料の検討は行うものの、事業者の負担を軽減することも必要です。都として、介護サービス事業者の費用負担を軽減するため、補助金を導入するべきと考えますが、見解を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 厚生労働省は、介護サービス情報の公表制度の導入に際して、介護サービス情報の公表制度における手数料に関する指針を各都道府県あて通知しております。その指針では、介護サービス事業者への便宜を供与するために必要な調査及び公平な情報の公表の機会を提供する事務を行うものであることから、介護サービス事業者から手数料を徴収できるものとしており、事業者負担により制度運営を行うこととされております。
四十七都道府県は、すべてこれに従って条例で手数料額を定め、各事業者から手数料を徴収しているところでございます。
○佐藤(広)委員 国の法律のもとで都が実施をしているため、都の裁量で運用を変えることが難しいということはわかりますが、都民が安心して暮らせる福祉をつくるのが都の責務であり、安心して暮らせる福祉を実現するためには、その担い手である介護サービス事業者の環境を整えなければなりません。介護サービス事業者の負担をふやさないためにも、都から調査費の補助を検討いただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
続きまして、学童クラブについて質疑いたします。
まず現状を伺いますが、都内の学童クラブの登録児童数、待機児童数の状況を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 都内の学童クラブについてでございますが、平成十九年五月一日現在、学童クラブの登録児童数は七万九千九百九十五人、待機児童数は二千二百三十一人となっております。
○佐藤(広)委員 都内で二千人以上の待機児童がいるということは、非常に危機的な状況であると思います。また、多摩地域だけでも三万人近い児童が通っており、待機児童が千人を超えるような現状が数年も続いております。この多くの待機児童を受け入れることができるような体制をつくらなければ、親御さんも安心して仕事をすることができません。
私も親御さんたちから伺っておりますのは、学童クラブに子どもを預け、共稼ぎをしないと生計が成り立たないという切実な声です。親御さんが安心して働くことができるよう、学童クラブの受け入れ体制を整備することが不可欠です。
三年後に国の補助金が廃止となる七十一名以上の大規模学童クラブが多くの自治体にあり、その数は、都全体で三百六カ所、市町村だけでも百四十二カ所にも上ります。待機児童と大規模学童クラブを解消するため、学童クラブを大幅に新設または増設することが急務になっております。
多くの区市町村で多くの待機児童がいるわけですが、こうした待機児童を解消するためには学童クラブの増設が必要です。そのために区市町村を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 都内の学童クラブは、平成十三年度末現在一千二百六十三カ所から、平成十八年度末現在一千四百十四カ所になっておりまして、五年間で百五十一カ所増設されております。
学童クラブ事業は、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて創意工夫して取り組むべきものでございますが、都としても、学童クラブの登録児童数が増加していることから、待機児童解消は課題の一つであるというふうに認識しております。
都では、平成十八年度に、区市町村が地域の実情に応じて主体的に行う子育てサービス基盤の整備を柔軟かつ広範に財政支援する子育て支援基盤整備包括補助を創設し、積極的に学童クラブの設置促進を図っております。
○佐藤(広)委員 区市町村が実施主体であるために、地域の財政事情によって整備の状況に地域差があるように思います。待機児童の数が偏ることのないよう、財政の苦しい地域に配慮した支援を要望いたします。
また、現在、放課後子ども教室推進事業が実施されておりますが、放課後子ども教室推進事業は、東京都放課後子ども教室推進事業等実施要綱には、おおむね年間を通じて、放課後や週末、長期休業日に継続的に実施することと定めてはおりますが、区市町村によって運営形態はさまざまであり、常設の運営形態ではありませんので、放課後子ども教室推進事業を行うことが待機児童を解消できるものではないということを再度認識していただき、待機児童を解消するには学童クラブとしての整備が不可欠であるということを申し上げておきます。
しかしながら、地域において学童クラブを新設したり増設する場所を確保することができない場合、待機児童解消には学校の余裕教室など既存の施設を活用することが有効であると考えておりますが、区市町村だけでは活用が進まない状況にもあります。都としても区市町村に働きかけるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 既存の施設を活用して学童クラブを整備することは、区市町村の財政負担の上からも効果的であるというふうに考えております。このため、都におきましてはこれまでも、学童クラブ事業の実施要綱に基づきまして、学校の余裕教室などの社会資源を活用して実施するよう助言してまいりました。
また、区市町村とのヒアリングを精力的かつきめ細やかに行うなど、区市町村に対する働きかけを強化しているところでございます。
○佐藤(広)委員 区市町村では、待機児童解消のための学童クラブの増設はもちろん、老朽化が進んでいるにもかかわらず、建てかえや修繕もできず、アスベスト対策もできないなど、劣悪な環境の学童クラブがあります。
子どもたちが安全に安心して過ごせるよう、こうした学童クラブの整備についても都の支援が必要であると考えますが、見解を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 先ほどご答弁申し上げました子育て支援基盤整備包括補助を活用いたしまして、学童クラブの環境を改善し、機能を拡充する整備を幅広く支援しておりまして、アスベスト等の使用状況調査や除去等に必要な工事費につきましても補助を行っております。
○佐藤(広)委員 区市町村では、学童クラブの登録児童の増加に職員が追いつかず、運営費も不足しているのが現状です。こうしたソフト面の経費についても都の支援が必要であると考えますが、見解を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 都では、子育て支援の主体である市町村が地域の実情に応じて創意工夫により施策を展開できるよう、これまでの都加算補助制度等を包括化し、平成十八年度に子育て推進交付金を創設いたしました。
この交付金では、学童クラブの登録児童数の増に応じて算出する規模増分を設けるなど、学童クラブの拡充に取り組む市町村を支援しております。
○佐藤(広)委員 また、親御さんから要望の多い事柄でございますが、学童クラブの預かり時間の拡大について要望しておきます。
小学校に比べまして学童の預かり時間が短いため、子どもの長期休暇の際、親御さんが出勤や帰宅の時間を調整しなければならないために、困っていらっしゃる親御さんもいらっしゃいます。預ける時間を小学校の開門時間より早め、引き取り時間を遅くするという受け入れ時間の拡大を望む親御さんのご意見をたくさんいただいております。ぜひ学童クラブの預かり時間の拡大や土日の開設について、区市町村に対して働きかけていただくよう要望いたします。
現在、多くの学童クラブで、ハンディキャップのある子どもの受け入れが進んでおります。しかしながら、ハンディキャップのある子どもに対して受け入れを行っていない学童クラブがあったり、受け入れの数の枠を設けているために、学童に入れたとしても、わざわざ自宅から遠い学童クラブまで子どもを連れていかなければならないという事例もあります。ハンディキャップのある子どもが希望どおり学童クラブに入ることができるよう、働きかけていただくことを要望しておきます。
また、臨時職員の研修が不十分なまま、ハンディキャップのある子どもを受け入れている事例も見受けられます。ハンディキャップのある子どもの受け入れについて十分な研修をするよう、都として働きかけていただくよう要望いたします。
先ほど申し上げたように、三年後には大規模学童クラブに対しての国の補助金が廃止されます。つまり、三年間のうちに大規模学童クラブが解消できなければ、国からの補助はなくなるため、運営を続けるには都の補助をふやさざるを得ません。この三年間で大規模学童クラブから新設、増設した施設に移行するためにも、一刻も早く学童クラブの整備を急ぐ必要があります。区市町村に対しての都の積極的な支援を要望いたしまして、次の質問に移ります。
区市町村が実施しているコミュニティバスに対する補助について伺います。
高齢者は、車の運転や自転車に乗るのが難しくなると、生活をしていくためにはバスに頼らざるを得ません。特に多摩地域においては、駅から離れている地域が多く、生活に不便を感じている高齢者の方々が多く、中には、長年住みなれた自宅を売って、駅から近い地域に移り住むという方もいらっしゃいます。急速に高齢化が進んでいる中、交通空白地域を解消し、高齢者の方々が安心して暮らせるよう、利用しやすいバス路線を整備することが求められております。
現在、都の福祉保健基盤等区市町村包括補助事業によって、コミュニティバスの実施主体である区市町村に対し補助が行われているわけですが、人口密度が低く、交通空白地域を多く抱える自治体の多くが財政状況が厳しく、交通空白地域の解消ができているとはいいがたい状況であります。
また、人口密度が低い地域は、コミュニティバスの路線をつくったとしても、黒字転換をするめどが立たないため、財政負担がふえることを懸念して、コミュニティバスの新規路線をふやすことにちゅうちょする状況になっております。
つまり、地域の交通が不便でコミュニティバスを整備する必要が強い地域ほど財政が厳しく、また新規路線の黒字転換が厳しいという現状になっております。しかしながら、財政負担が重いからといってコミュニティバス事業をおろそかにしてしまえば、高齢者は生活に不便を感じ、出かける回数を減らしてしまい、地域は確実に衰退をしてしまいます。
福祉保健基盤等区市町村包括補助事業の趣旨は、高齢者が地域で生活できないような状況になることを防ぐために、コミュニティバス事業に対しての補助を行っているわけです。しかし、コミュニティバス事業の整備が不十分であったり、利用しにくい料金体系のままであれば、高齢者の生活はおぼつかなくなってしまい、その地域に住み続けることが難しくなってしまいます。今申し上げたように、交通空白地域を解消すること、そして利用しやすい料金設定をすることが不可欠です。
今回、道路運送法等の一部を改正する法律、また道路運送法施行規則の一部改正により、地域公共交通会議の判断によって、柔軟に路線や運賃の設定が可能になりました。この機会に、地域の住民の利便性が高まるような路線や運賃を実現すべきと考えております。
料金設定に関しては、区市町村が主体となって決めるべきものではありますが、都が補助している以上、住民にとって使いやすい料金体系となるよう、補助対象の要件を変えることも必要ではないかと思います。
コミュニティバスは区市町村の実施事業でありますが、料金体系はそれぞれ異なっております。中には距離に応じて値段がふえるような料金体系もあり、利用者の負担感は重いという意見を聞いております。空白地域を通る路線のため、距離に応じて料金が上がる料金体系の場合、高い運賃になってしまうわけです。せめて定額の利用料金となるよう、補助の対象要件を変えることができないものかと考えておりますが、都の見解を伺います。
○松井企画担当部長 現在、福祉保健基盤等区市町村包括補助事業におきまして、コミュニティバスの運賃設定に関する補助要件は設けておりません。
コミュニティバスの運賃は、地域の交通事情、利用者ニーズ、事業としての採算等を総合的に勘案して各区市町村が判断して設定するものであり、運賃設定を補助条件とすることは適切ではないと考えております。
○佐藤(広)委員 今回、住民の意見を反映できる可能性がふえたわけですが、住民の意見を反映して交通空白地域を解消し利便性を高めることは、区市町村の負担がふえる可能性もあります。区市町村が交通空白地域を解消し、さらに利便性の高い地域をつくるためにも、都の支援をさらに拡大すべきと考えます。
コミュニティバスの補助は、新規路線ができてから三年と聞いております。三年といわず、補助期間を延長してはどうかと考えますが、見解を伺います。
○松井企画担当部長 福祉保健基盤等区市町村包括補助事業におきましては、コミュニティバスの導入に際しての調査検討経費、車両購入費及び事業立ち上げ時の支援による経営安定化を目的といたしまして、運行開始後三年間の運行経費を補助対象としております。
つまり、本事業はコミュニティバスの導入を支援することを目的としておりまして、補助期間の延長については考えておりません。
○佐藤(広)委員 都として補助期間の延長は考えていないというお答えではありますが、福祉保健基盤等区市町村包括補助事業は、高齢者が地域で生活できないような状況になることを防ぐためにコミュニティバス事業の補助をしているわけです。しかし、コミュニティバスの整備ができていなかったり、利用しにくい料金体系のままであれば、その地域では高齢者の生活がおぼつきません。地域における高齢者の生命線ともいえるコミュニティバスについて、都が積極的に補助していただくようお願いを申し上げ、次の質問に移ります。
最後に、児童福祉施設について伺います。
都が運営する児童福祉施設として都立府中療育センターがあります。平成十八年十月一日から、府中療育センターの利用者は、措置制度から施設との利用契約制度へと変わりました。
施設運営に関しては、都立児童福祉施設については、当面は直営で運営しながら、指定管理者制度による運営委託も含め、民間資源の育成、施設種別の見直し、運営の効率化などについて検討しますと記述されております。
府中療育センターの入所者は、日常的に複雑な医療ケアを必要とする超重症児または超重症者であり、療育水準が維持確保されている都の直営施設だからこそ、安心した療育を受けられております。民営化等によって経営効率化が優先されれば、何らかの形で処遇が低下する可能性もあり、利用者への影響が懸念されます。引き続き、府中療育センターは都の直営方式を堅持すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 都内におきまして、入所施設を持つ重症心身障害児の療育施設につきましては、都立直営施設が府中療育センターなど二カ所、民間法人が設置運営している施設が四カ所、民間法人が指定管理者として都立施設の運営をしている施設が二カ所ございます。そのほかに国立の施設が二カ所ございます。
都内の重症心身障害児施設におきましては、都立施設、民間施設にかかわらず、委員ご指摘の超重症児者がふえておりまして、民間施設におきましても、都立施設と同様、重症心身障害児の療育に適切に取り組んでいると認識しているところでございます。
このような状況を踏まえつつ、府中療育センターにつきましては、利用者サービスの向上、施設の効率的運営などの観点から、その運営形態のあり方につきまして、今後とも検討してまいります。
○佐藤(広)委員 運営のあり方が変わり、利用者の方々の処遇が低下することのないよう、十分に検討されることを要望しておきます。
府中療育センターの施設について伺いますが、建物は築三十九年を経過しております。果たして耐震基準は満たしているのでしょうか。調査を行ったと聞いておりますが、調査結果を教えてください。
○松浦障害者施策推進部長 東京都におきましては、平成十九年三月に東京都耐震改修促進計画を策定いたしまして、この計画の中で防災上重要な公共建築物に位置づけられたものにつきましては、平成十九年度末までに耐震診断の実施状況を公表することとしております。
府中療育センターの建物につきましては、ご指摘のとおり、昭和四十三年四月、すなわち三十九年前に整備されたものでございまして、現行の基準に照らしますと、耐震性は十分でないものと考えられます。
○佐藤(広)委員 老朽化している現在の建物は、平成八年十二月から三年間にわたる一部改修工事により暫定措置を講じてはいるものの、早期全面改築が必要とされており、その改築用地として、都議会の承認を得て府中キャンパス内に決まりました。平成十三年十二月、都立病院改革マスタープランが発表され、府中キャンパス全体の整備にあわせ、府中療育センターの建てかえ用地として示されていた土地が、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター用地として平成十九年四月より工事が開始されました。
府中療育センターについては、早い時期に建てかえ計画を立てることが必要ではないかと考えますが、いつ建てかえるのでしょうか。都の見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 都の計画についてでございますが、平成十八年二月に策定されました福祉・健康都市東京ビジョンにおきまして、府中療育センターにつきましては、建物の老朽化も踏まえ、施設の改築、改修等、平成二十年度までに、具体的な方針をキャンパス全体の整備にあわせて策定しますとしてございまして、現在、鋭意検討しているところでございます。
○佐藤(広)委員 人の命を預かっているのが福祉施設であり、採算が難しい分野であるからこそ都が運営してきました。都は、都民に対してしっかりとした福祉を提供する責任がありますし、また同時に、福祉を担うだけの健全な財政運営をする責務もあります。
しかしながら、自立支援法のように、利用者の方々、ご家族や施設の職員の方々に負担がふえるような福祉政策は、さまざまな負担をふやし、福祉にかかわる方々が経済的、体力的に破綻をしてしまいます。利用者の方々の処遇が低下することのないよう、今後の運営方針について十分に検討されることを要望いたしまして、私の質疑を終わります。
○長橋委員 引き続き厚生委員会の所属になりました。質問は初めてでございます。どうか理事者の皆さん、前向きなご答弁をぜひお願い申し上げます。
私からは、初めに難病患者の支援についてお伺いをしたいと思います。
都がつくっております「難病患者さんへの支援のご案内」、こういう冊子がございます。そこに、改めて私は見たんですが、難病とは何かと書いてあります、表紙に。原因不明、治療方法未確立で、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病だ、そして、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するため家庭の負担が重く、また精神的に負担の大きい疾病だ、こういうことが難病だと書いてあるわけでございまして、いわゆる難病、原因不明でありますから、生涯、病と向き合っていかなきゃならない、そういう方たちであるわけでございます。ある面では、家庭の負担、また精神的な負担を考えると、障害者と似たようなところもあるのではなかろうかと思うわけでございます。
そこで、都のことしの、本年度の概要を見ますと、認定難病等は七十四疾病ある。国が四十六で都が二十八と書いてありますが、都単で二十八ということだろうと思いますから、国よりもさらに一・五倍ぐらい認定をしているということであると思う。これは全国でも非常に、医療費の助成については東京都は頑張っている、こういうふうに思うわけでありますし、また認定患者は、本年、十九年三月末では七万七千二百三十五名いる。
これだけ多くの方が認定をされているわけでありまして、この支援についてお伺いしてまいりますが、まずは、都として、医療費助成もありますが、さまざまな対策をとってあろうかと思います。都としてどのような取り組みをされているのか伺います。
○清宮保健政策部長 東京都では、難病患者や家族の方の負担軽減と療養の安定を図るため、今お話のございました医療費助成や在宅での療養支援など、さまざまな難病対策に取り組んでいるところでございます。
先生のお話にございましたが、難病等の医療費助成につきましては、国が指定いたします四十六疾病に、東京都独自で二十八疾病を加えまして、合わせて七十四の疾病を対象に助成してございます。
また、在宅療養支援では、吸入器などの医療機器の貸与事業や訪問診療事業、また、介助者の事情により介護を受けられなくなった方の緊急一時の入院事業など、保健、医療、福祉にわたりましてさまざまな事業を実施しているところでございます。
さらに、難病関連事業に従事する看護師やヘルパーなどの人材育成研修を行うほか、平成十六年十月には、日常生活における相談支援、地域交流の促進を行う拠点といたしまして東京都難病相談・支援センターを開設いたしました。
○長橋委員 今、部長からお話がありました。最後に、平成十六年に東京都難病相談・支援センターを開設したと。ここにも書いてあるわけでございます。そこには、読みますと、東京都難病相談・支援センター、これは東京難病団体連絡協議会へ業務を委託しているという事業でございます。都の事業でありますが、委託をしているということでございます。そして、この委託事業、私の地元にもこの支援センターがあるわけでありますが、平成十六年十月から開設されて四年目を迎えるわけであります。
まず、主に相談事業等があろうかと思いますけれども、相談・支援センターですから、どんな事業内容、特に相談等、どんな実績がどれだけ上がったのか、お伺いをいたします。
○清宮保健政策部長 東京都難病相談・支援センターは、日常生活における療養や病気の不安等の相談に応じます難病療養相談、また、各分野の専門医の方が個別に病気の治療等の相談に応じます医療相談会、患者交流会などの活動に対する支援、患者や家族を対象とした専門医による講演会などの事業を行っているところでございます。
これまでの開設以後の実績でございますが、難病療養相談につきましては、平成十六年度が二千八十六件、十七年度が二千四百六十八件、十八年度が二千六百五十九件、また、患者会の開催等の支援につきましては、平成十六年度が十九回、十七年度が三十回、十八年度が四十九回と、年々増加傾向にございます。
このほかに、センター内には、例えば文字盤などの意思伝達装置、また褥瘡予防のための特殊マット、そういった日常生活用具を展示したコーナーや難病情報資料室を設け、難病に関する情報提供も行っております。
○長橋委員 今ご答弁がありましたとおり、相談事業等、飛躍的に私はふえているのではなかろうかと思うわけでありまして、難病相談・支援センターの運営をしている、その委託業務を受けている難病団体連絡協議会の方々が一生懸命声をかけて啓発をし、そして努力をされているということだろうと思います。
実は、この難病相談・支援センター、訪問をしてまいりました。そこで種々お話を伺ってまいりましたので、お話を伺ったことを含めてお伺いをしてまいりたいと思います。
この難病相談・支援センター、ここに書いてあるのは、地域で生活する難病患者の日常生活の相談、支援、今お答えがありました。そして、地域交流活動の促進及び就労支援などを行う拠点として事業を実施していますと。就労支援の拠点としてもこれを実施しているということであります。
そこで、訪問して理事長にもお会いしました。特に就労支援について重点的に取り組んでいきたいと。もちろん、主な事業は相談事業でありますが、就労支援についても取り組んでいきたい、このようなお話もありました。
行って、いただいたセンターだよりというのがあります。この中に、このNPOの団体連絡協議会の理事長が、今後は、障害者手帳を持たない難病患者の就労支援、相談会の開催や職員の研修を積み重ねていきたい、このようにも書いてあるわけであります。中身を見ると、難病相談の事業もありますけれども、就労のことについても、アンケートをとったり相談を受けたりしている。相談業務の中身も、就労支援のこともかなりあるということであるわけでございます。
そういう中で、この東京都難病相談・支援センター、これも就労支援の拠点ということでありますけれども、就労としての取り組みは、センターとしてどのような取り組みを行っているか伺います。
○清宮保健政策部長 難病相談・支援センターでは、先ほど説明申し上げました難病療養相談の中で就労に関する相談も行ってございます。昨年度につきましては、八十六人から相談を受けたところでございます。主な相談の内容としては、雇用主に病気を打ち明けることに不安がある、仕事をしながら病状を管理することへの心配、そういったことなどが寄せられていました。
また、難病患者の方の雇用に関する情報交換を図るために、平成十八年度から初めて、難病患者の経済的自立を目指してというテーマで就労支援のシンポジウムを開催したところでございます。
○長橋委員 今、就労支援について、相談の中でそういう声もあったということでございますが、このセンターだよりを見ますと--難病の方は就労をしている方が多いわけです。もちろん、ALSとか、体が不自由で就労はとてもできないという方もいるわけでありますから、そういう中で相談であろうかと思いますけれども、相談が、二通りとっているんですね、アンケートといいますか。就労している人の相談と、それから未就労の方の相談、こういうふうに分かれているわけであります。
今お答えがあったことももちろんですが、そういう中に、就労者の相談内容で多いのが、本人が納得できない勤務形態、待遇の変更、こういうことがある、それから難病者の就労支援制度の未整備を思うとかいうのがあるわけです。それから未就労者、これから就労したい、こういう方の相談で、もちろん、今部長からお話があったとおり、雇用主へ病気を表明する不安、困難、こういうのが多いわけですけれども、あわせて、同病者の就労状況の情報が不足している、また就労提供機関の情報も不足している、難病者に対する就労支援制度が未整備だ、こういうのも、かなりの方が相談の中でいっているわけであります。
そこで、私も聞いてまいりました。就労支援シンポジウム、これを初めて開催した。一月二十一日にやったと書いてあります。その内容を聞かせていただきました。このシンポジウムは、いわゆる講演会、さまざまな関係機関に来ていただいてご説明をいただいたということであります。来たところが、東京労働局職業安定部、それから独立行政法人の高齢・障害者雇用支援機構、それから東京都産業労働局雇用就業部、それから内部障害者更生施設の東京都清瀬園、それから千代田区障害者就労支援センター、そして民間からも来ている、こういうことでございます。
これを見まして、またお話を聞いても、障害者の就労の説明が多かった。ですから、難病の方は障害者手帳を持っていない方がほとんどですから、せっかくシンポジウムを開いたにもかかわらず、難病者の就労に関しては、多くの参考になることがなかった、こういうふうにいっておられたわけであります。私は、ここに福祉保健局が来ているのかなと思ったわけですけれども、次はぜひ参加していただきたいと思うわけでありますが、ともかく、きちっと情報が欲しいということだと思うんです。
障害者の就労は、各党もそうですけれども、我が党が一生懸命取り組んできて、また、障害福祉計画、雇用三万人を打ち出して、都庁でも知的障害者をという話もある中で、障害者の雇用はかなり進んできた。これは東京都よく頑張っているんです。そのはざまの中で、難病、手帳がないというだけで、一生懸命、関係者に集まってもらったにもかかわらず、難病支援の就労支援策、情報が足らないんです。ここをぜひ認識していただきたいと思うわけであります。
そういう中で、東京都清瀬園が来てくれた、こう書いてあるわけです。東京都清瀬園は何をやっているか。スキルアップのために、経理一般事務コースだとか、印刷技術コースだとか、パソコンコースだとか、ビル管理コースだとか、DTPコースだとか、私はかなりレベルの高いスキルアップの授業をやっていると思うわけであります。
そういう中で、内部障害者の方も見た目にはわからない、しかし、こういう清瀬園ということで授業をやっている。清瀬園の方がこの支援センターに来て、どうか難病者の方も今後交流していきましょう、こんなお話をいただいて非常に期待をした、こんな話も聞きましたけれども、なかなか難しいという話も聞いているわけであります。
そこで、この初めてやった、ぜひとも第二回目の開催を、今年度じゅうに理事長はしたいといっています。今年度じゅうですから、ことしはできない、来年の早い時期にやりたい、こういっているわけですから、ぜひセンターと連携をとっていただきたいと思うのであります。
また、お話を聞くと、就労支援シンポジウムの中には千代田区障害者就労支援センターも来ていただいた。私、東京の区市町村の障害者就労支援事業、こういう実績を見させていただきました。障害者の就労支援事業ですから、難病の方は入っていないんだろうと思ったわけであります。平成十三年から始まるというか、私のいただいた資料では、平成十三年は登録者数が五百九十七人だったのが、平成十八年には五千九十九人、大きくふえている。就労者数も、平成十三年は八十六人だったのが、平成十八年は七百四十七人と実績がある、こういうことでございます。
一部の区で、障害者就労支援事業にもかかわらず、難病者の方も登録をしている区もあるんです。もちろんご存じだと思うんですよ。そういう区もあるんです。それは区によって、これは区の事業ですから、区の体制の問題もあるかと思いますし、設置のもともあるかと思いますけれども、そういうこともやっている。
そういうことを含めて、ぜひ第二回目の就労支援シンポジウム、初めてですから手探りでやったということもあろうかと思います。第二回目はぜひ、部長、連携をとっていただいて、本当に難病の支援センターの方が参加をしてよかった、今後に期待が持てる、そういうシンポジウムを開くべきであると思うわけですが、答弁をお願いします。
○清宮保健政策部長 難病患者の方の就労支援というのは、生活基盤の確立の上で非常に重要なことだと考えています。そうしたことから、昨年度の実績ではございますが、本年の一月に、初めての就労支援シンポジウムを開催したところでございます。
今年度につきましては、シンポジウムの二回目に当たりますが、開催に当たりましては、就労支援の関係機関の方と十分な連携をとりながら、どういう情報を提供していくか、どのような助言、援助の方法を行っていくかとか、そういうことにつきましても意見交換を行いながら、難病患者の方の就労支援に資することとなるよう取り組んでまいります。
○長橋委員 今、力強い答弁だったと私は思います。ぜひお願いをしたいと思います。
先ほど私は、この支援センターにお邪魔をしたといいました。一番最寄りの駅は地下鉄の新大塚駅であります。新大塚駅から歩いて五分と書いてあります、ここには。五分と書いてあります。ただし、新大塚駅をおりて、その難病相談・支援センター、都立大塚病院の裏にあるわけですけれども、わかりにくいです。わかりにくいにもかかわらず、案内板が一つもない。どうやって行けばいいのか。いいですか、この「難病患者さんへの支援のご案内」にも地図は載っていないんですよ、これには。地図は載っていない、住所だけ。行っても、どう行けばいいのか--私はわかっていましたから行きましたけれども、行ったら、紙に難病相談・支援センターと書いてある。
これは去年から要望を受けていたので、局も動いていただいた。行って、理事長にお伺いしたら、東京都が年内に看板はつけてくれる、案内看板をつけてくれる、あわせて手すりもつけてくれると。前は看護学校ですから、私もその階段をおりまして、私は手すりがないときにおりましたけれども、健常者でも危ない階段です。手すりをつけてくれるということであります。
ぜひ(発言する者あり)余りいいませんけれども、もう少しこの難病相談・支援センター、きちっと多くの方に、難病患者の方に訪問してもらいたいんですけれども、例えばホームページを見ても、平成十六年十月開設、このホームページは三年前から変わっていないのか、こう思うわけです。それから、例えば、さっき清瀬園のリーフレットがありましたけれども、そんなものもないと聞いております。
そういうことを含めて、この難病相談・支援センターをより利用しやすいようにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○清宮保健政策部長 東京都難病相談・支援センターの利便性、活用のしやすさ、その向上につきましては、関係者の皆様からご意見、ご要望をいただきながら、関係機関と調整が調ったところから現在取り組んでいるところでございます。
これまで、東京都難病相談・支援センターのPRにつきましては、ホームページや患者会の活動を通して患者会、関係者にお知らせをしてきたところでございますが、今後は、より一層利用しやすくなるよう、ホームページを充実するとともに、同センターの活動をお知らせするリーフレットを作成し区市町村に配布する等、PRに努めてまいります。
○長橋委員 リーフレットもつくっていただける。まだ半分しかいっていないんですけれども、いいたいことはまだまだありますけれども、ぜひご努力をいただきたいと思います。
次に、発達障害の支援について伺いたいと思います。
発達障害については、私もたびたび議会で取り上げてまいりましたし、公明党もこの発達障害者支援については取り組んできたところでございまして、ご案内のところだと思います。
平成十七年の四月に発達障害者支援法が施行になりまして、東京都もそれに合わせて積極的に取り組んできたところであります。
そこでまず、私が以前、昨年の予算特別委員会で取り上げました発達障害者支援に関して、モデル事業を世田谷で実施をしているということでございますが、その実施している事業は発達障害者支援体制整備事業だと、こういうことでございますが、世田谷区におけるモデル事業の具体的な内容について明らかにしていただきたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 世田谷区で実施しているモデル事業でございますけれども、発達障害児者に対しまして、乳幼児から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制を整備するためのものでございます。
具体的な内容といたしましては、発達障害児への支援について相当の経験、知識を有するコーディネーターを連携の調整役として配置しております。このコーディネーターが保健センター、保育所、学校等と連携をとることによりまして、在宅の発達障害児の診断、評価を医師、心理士等が行いまして、必要に応じて、臨床心理士や言語聴覚士が個々の発達障害の状況に応じた個別指導やグループ指導を実施しているところでございます。
○長橋委員 基本的に、乳幼児から成人までのライフステージにわたっての支援、こういうことを整備するために事業を実施しているということでございます。
このモデル事業、平成十七年の十月から実施していると思うんですね。平成十七年の十月から実施がスタートした。十七、十八、十九と三年たっているわけでありますが、モデル事業をやってきたその成果、何が有効なのか、どういうことがこれから広げていけるのか、それがわかったと思うんですけれども、その成果について伺います。
○松浦障害者施策推進部長 モデル事業の成果でございますが、これまで、先生おっしゃったように三年間モデル事業を実施してまいりました。その中で、早期発見、早期対応の仕組みとしまして、就学前の取り組みが重要であるということがわかりました。
そこで、新たに、四歳六カ月児の保護者に対しまして、子どもの発達状態とか集団生活場面での様子などを観察していただきチェックしていただくという、気づきシートというものを送付することによりまして、保護者の気づきを促進しているところでございます。このことによりまして、医師、心理士等による診察、個別相談を早期に行うことができるとともに、療育、医療等の継続的支援が可能となり、モデル事業は成果があったというふうに考えております。
○長橋委員 成果が出てきたということであります。今、私も初めてお伺いするんですが、四歳六カ月の保護者に対して気づきシートを送付するということでございます。発達障害というのは、なかなかわかりにくいわけであります。自分の子どもはちょっと変わっているなということで、ちょっと人の子と違うのかというぐらいにしかわからなかったり、また、小さいときにはそういう状況というのは、子どもというのは、小さいときには、乳幼児のときには泣いたりするわけでありますから、なかなか気づきにくい。ここを、そういった視点で早期から気づきシートをつくったということは、これは私個人的には、こういった事業を、世田谷のモデル事業を広げるべきだ、こう思うわけであります。
今、一歳六カ月健診、それから三歳児健診、そして就学前の健診とあるわけであります。私は、都立梅ケ丘病院の市川院長とお話をしたことがあります。発達障害の権威の先生ですね。約一時間ぐらいにわたっていろいろなお話を聞かせていただきましたが、市川院長は、五歳児健診もぜひやってもらいたいということをいっておりました。せっかく四歳六カ月の気づきシートをやるわけでありますから、五歳児健診、これも--今、発達障害が急増している、ふえている。私が行ったときの都立梅ケ丘病院は、診察を受けるのに二年待ちだと。
今は少し緩和されたと思いますけれども、そんな話も聞いているわけで、これは要望にとどめておきますけれども、ぜひ今いった世田谷区のモデル事業、いわゆる早期発見、早期療育、こういうことが非常に重要であるということがわかったということでありまして、それの一つのツールとして気づきシートということもやっている。私、昨年の予特でも、この世田谷区のモデル事業、まだ始まったばかりですけれども、ぜひ広げてもらいたい、こういいましたけれども、来年度、いよいよ進めるべきだと私は思うわけでありますが、世田谷区のモデル事業をほかの区市町村にも広げるべきだ、こう考えますが、ご見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 モデル事業につきましては、区市町村における発達障害児者に対する支援手法を確立しまして、長橋委員ご指摘のとおり、他の区市町村に波及させるために試行的に世田谷区で実施してきたものでございます。したがいまして、今後、世田谷区における事業をさらに評価、検証するとともに、広く紹介することによりまして、他の区市町村に対し、実施に向け働きかけてまいります。
○長橋委員 今、部長から、実施に向けて取り組んでいく、こういうことでございます。まだ予算が決まっていないわけでありますが、最大限、私どもも、これの確保については努力をしてまいりたい。必ず実施をしていただきたい。強く要望しておきます。
それから、こういった取り組みは、都だけではなくて国でも取り組んでいるわけであります。昨年、私は、東京大学医学部附属病院のこころの発達診療部を視察してまいりました。そこで、発達障害の症状と脳の機能障害との関係を探る、極めて興味深い研究が行われておりました。まさに、同じく東大病院でも、障害の診察や療育相談にも取り組んでいるわけであります。東大病院、近いのは、都立大塚病院とかが近いわけであります。
都としても、こうした東大病院などと積極的に連携をとる、世田谷の成育医療センターでも発達障害については取り組んでいるというふうにも聞いておりますし、こういった国との連携、研究機関との連携をやるべきだ、こう思うわけでありますけれども、なかなか進んでいないんだけれども、ぜひこういった研究機関との連携をさらに強めるべきと考えますが、見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 発達障害児者に対する有効な支援手法を確立していくためにも、大学病院など先駆的に取り組んでいる研究機関と連携を図ることは、ご指摘のとおり、重要なことと私どもは考えておりますので、そのような先駆的な研究や事業の成果を積極的に取り入れてまいるようにいたします。
○長橋委員 重要とは認識している、どう取り組むかがまだ明らかじゃない、こういうわけでございます。ぜひ具体的に、予算も伴うと思いますが、取り組んでいただきたいと思うわけであります。
来年度は、平成二十年度は、発達障害者支援法が施行して三年がたつわけであります。三年を経て見直しをすると、国の方ではいっているわけでありまして、二十一年には、障害者自立支援法も含めて、発達障害者支援法も改正するという予定もあるわけであります。先ほどの世田谷のモデル実施も含めて、さらに連携を、区市町村とのネットワークを広げていかなきゃいけないと思うわけでありまして、国も情報センターをつくって各自治体の有効策を取りまとめていきたい、こういう計画もあるわけであります。ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。
これは何回もいっているんですけれども、発達障害者支援センターが東京で一カ所しかない。これは県と政令市に一カ所ですから、神奈川には複数、埼玉にも複数、千葉にも複数できるんです。東京は一カ所しかできない。私が訪問したら、職員は五人しかいないんです。五人の職員の方で、東京、明らかに全国で一番発達障害が多いわけでありますが、てんてこ舞いで大変ご苦労されている。私が見に行ったのは二年前ですけれども、それからその充実を訴えてきた。職員が急にふえたとは聞いていませんし、ぜひそういったことを含めて、これからいわゆる複数箇所にやる、ブランチをつくるという意味もあるかと思います。そういった意味で、この発達障害者支援センター、体制の強化、これをぜひやっていただきたい。要望いたしまして、質問を終わります。
○野上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をしたいと思います。
午後三時九分休憩
午後三時二十五分開議
○野上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○かち委員 私からも、地域ケア整備構想関係と周産期医療、そして看護師需給計画についてお聞きします。
まず、ことしの十月に東京都地域ケア体制整備構想案が出されました。これについて何点かお聞きしたいと思いますけれども、本計画が出されてきた背景、目的は何でしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 平成十八年度からの医療構造改革の一環として、平成二十四年三月をもって介護療養型医療施設が廃止され、療養病床が再編されることとなりました。
療養病床には地域偏在が見られることから、医療機関や都民に対し、療養病床の再編に対する都の対応方針を含め、地域ケア体制整備構想を策定することとしたものでございます。
○かち委員 国の医療制度改革によって、全国で三十八万床ある療養病床が、平成二十四年、二〇一二年までに、十三万床の介護型療養病床をゼロに、二十五万床の医療型療養病床を十五万床まで減らす方針が出されたために、その受け皿体制を構築するための将来構想だということですね。
この案が出されてからパブリックコメントも求められたようですけれども、その件数と意見の概要はどうでしょうか。また、今後、この完成した構想をどのように活用していくのでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 去る十月二十六日から十一月八日まで二週間、パブリックコメントを実施いたしました。合計十五件のご意見をいただいたところでございます。おおむね、地域ケア体制整備構想の案につきましては肯定的なご意見をいただいておりますけれども、介護人材の確保や育成など、具体策を求める意見が多く寄せられております。
今後、こうした意見を踏まえまして、地域ケア体制整備構想の最終案を取りまとめる予定でございます。
本構想につきましては、これからの高齢社会を踏まえた取り組みの方向性を示したものでございまして、都民を初め、区市町村、事業者に対して周知を図ってまいります。
また、来年度改定を予定しております東京都高齢者保健福祉計画において、この構想を具体化してまいります。
○かち委員 今後都がつくる医療費適正化計画や保健医療計画、高齢者保健福祉計画などとの整合を図るとして、関係する計画の基盤となるのがこの地域ケア体制整備構想だと位置づけており、大変重要な意味を持つものだと思います。ですから、都民的にも理解と合意、そして協力なども必要になると思いますけれども、ほとんど都民の目にとまることもなく、まとめられようとしています。
厚労省は、長期療養を必要とする患者対応として、平成十四年から療養型病床を推進してきました。まだ五、六年しかたっていないうちに、今度は再編だ、縮小、廃止だといい始めています。医療現場も患者さんも、不安と混乱、困難に直面しているのが実態です。
療養病床の再編について伺いますけれども、本文中の患者票による調査でも、療養病床入院患者の八割が介護度四から五であり、両者合わせても、四ないし五が半数を占めています。また、自宅での介護の可能性は、日中、夜間とも不可、自宅で介護は不可と答えた割合が約七割を超えている状況からしても、療養病床は削減できる状況ではないと思います。
また、医療機関の意向調査アンケートをとった結果も出ていますけれども、本年七月現在、医療型療養病床八千百六十九床、プラス未定が二千三十床、介護型が七千七百四十一床、プラス未定が三千七百六十七床となっています。
都は、国の療養病床一律削減に対し、どのように考えているのか。特に、転換意向調査の結果をどのようにとらえているでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 東京都は、他県と比較しまして、高齢者人口当たりの療養病床が少なく、今後、高齢者数の激増も見込まれております。したがいまして、国が示しております医療費適正化計画における療養病床を削減する参酌標準の考え方は、東京都の地域特性には合致しないというふうに考えております。
医療機関の転換意向調査の結果につきましては、医療療養病床のほとんどが医療療養病床にとどまり、介護療養病床の約半数も転換移行先が未定という結果であり、今後の診療報酬や介護報酬の見通しがわかり次第、各医療機関の意向が明らかになるものと推測しております。
○かち委員 現段階での都の考え方は、不足している都の療養病床の整備状況から見ても、国の参酌基準の考え方にはくみせず、現在ある療養病床数は必要であるという見解だと理解しましたけれども、高齢者をめぐる医療、介護の環境は大変厳しい状況にあります。
資料を出していただきましたが、資料の二三ページにもありますけれども、七月の調査から一カ月後で、既に医療型療養病床は千四百六十七床減、介護型は四百五十六床増ですけれども、その差は千十一床が減ということです。都としては、不足している医療型療養病床を維持確保したいと思っていても、支援策をとらなければさらに減っていくことは必至です。
来年度には、診療報酬や介護報酬の見直しがあり、後期高齢者医療制度も予定されています。これらのことが療養病床維持に大きな影響をもたらすことは予測されます。都として必要な療養病床確保のための手だても同時に行わなければ、維持していくことは困難であります。医療型療養病床整備に対する都としての支援が必要だと思いますが、これは要望に、求めておきます。
地域ケアを整備していくためには、さまざまな地域包括支援センターや訪問看護ステーション、介護事業など、居宅介護のあり方の充実強化も求められるところですけれども、きょうは特に、介護施設関係について絞って何点かお聞きします。
地域ケア体制整備については、今後、療養病床や介護施設の事業者、区市町村、都民など、関係者の合意と協力がなければ進みません。そのための協議会のような場を常設する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 国は、地域ケア体制整備構想の策定に当たって基本指針を示しておりますが、その中で、区市町村は介護保険の保険者であり、また、住民に最も身近な自治体として、地域ケア体制の整備に当たり、その役割を果たすことが求められていると記載しております。また、同じく指針において、学識経験者、福祉関係者、サービス利用者等の意見を聞くことが必要であると示されております。
このため、区市町村や関係者に対しましては、本構想の趣旨等を周知徹底するとともに、十分な連絡調整を図る必要があると認識しております。
○かち委員 この構想案を読みますと、高齢者の十年後の推計では、超高齢社会を迎え、資源は限られている、だから、在宅を中心に医療、介護サービスを展開するという基調になっていますけれども、高齢者の生活実態に即した推計が見当たりません。
現在、高齢者の生活基盤は年金暮らしです。直近では、きょうも開かれておりますけれども、後期広域連合が十月ぐらいにまとめられた、都内の三千人調査というのを行われておりますけれども、これを見ますと、ひとり暮らし、高齢夫婦のみが五〇%を占めています。これらの昨年の収入は、二百万円以下が三〇%を超え、特にひとり暮らしでは五〇%に及んでいます。この間の増税と負担増に加え、来年度から始まろうとしている後期高齢者医療制度では、介護保険料に加え、保険料まで天引きされる仕組みです。生活維持すらままならない状況に追い込まれていくことが予測されます。
本構想では、基盤とする住宅、イコール住まいの保障が重要だとも述べています。それでは、だれもが安心して多様な形態の住まいの選択ができる状況になっているのでしょうか。セーフティーネットとしての公営住宅は、今後、都営住宅はふえる見込みがありません。本構想案に高齢者の住まいと施設のイメージ図が示されていますけれども、高齢者に提供される住まいは、これまでは、不十分ながらも七つか八つの選択肢がありました。しかし、費用負担も軽くて済む生活支援ハウス、これは既に制度としてなくなりました。軽費老人ホームA型、B型も、今はありますけれども、新規はつくらない方針です。ケアハウス、来年の見込みはゼロです。高優賃、高齢者優良賃貸住宅も、実施している自治体はわずか九区で、これも先細りです。残るは、シルバーピアと高額な費用のかかる有料老人ホームだけであります。高齢者にとっては、多少病弱になっても、軽費で安心して住める多様な住宅の選択ができることが欠かせない条件です。
そこで、低所得者に対する、都として福祉的住宅の整備は重要です。低廉な料金で利用できる低所得者向けの住まいの整備のあり方をどのように進めるおつもりか、お聞きします。
○狩野高齢社会対策部長 お話の、無料または低額な料金で高齢者を入所させ、食事の提供その他、日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする軽費老人ホームのA型、B型ですとかケアハウスについてでございますけれども、国は、軽費老人ホームのA型、B型については、制度的にはケアハウスに統合する方向を打ち出しており、既存施設はそのまま運営を継続いたしますが、新設は想定しておりません。
ケアハウスにつきましては、介護専用型については、主として中軽度の要介護者の需要に対応するものとして整備促進すべきであり、都独自の補助制度を通じて整備促進に努めてまいります。
また、要介護者に加え自立者も入所できる、いわゆる混合型のケアハウスについては、区市町村の意向や地域需要を十分勘案の上、事業者が整備するものでございます。
○かち委員 ケアハウスというのは、比較的所得のある方が利用できる、中くらいの収入のある人が使えるものなんですけれども、それ以下のところがどんどんなくなっていくということに対して何らかの施策を持たないと、本当に二百万以下の人が五〇%を占めるようなひとり暮らしの方々の行き場がなくなってしまう、このところをしっかりと政策を持っていただきたいというふうに思うんです。これまであった制度をなくしてしまうことは、まさに実態に逆行するものです。高齢者の福祉的住宅の対策を強く求めておきます。
次に、特養、老人保健施設、グループホームについて、需要見込みに対する現時点での達成状況はどうでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 第三期の介護保険事業計画策定のために、都内各区市町村が推計した十八年度の特養等に関するサービス量の見込みの合計では、特養は、三万四千三十八人に対して実績が三万四千四百十三人で、達成率一〇〇・三%となっております。また老人保健施設は、一万七千三百七十人のサービス量の見込みに対して、実績一万五千九百四人、達成率九一・六%となっております。最後に、認知症グループホームにつきましては、サービス量の見込みが四千人に対して実績が三千四百七十四人で、達成率八六・九%となっております。
○かち委員 今のお答えは計画に対する達成状況だと思いますけれども、需要に対するものではありませんね。現在でも特養待機者はふえ続けています。都の高齢者保健福祉計画でも、四万人の待機者が既に存在しているわけであり、老健もグループホームも、計画に対する実績でも未達です。
東京都の場合、病院、施設から地域、在宅へといっても、必要な住宅も施設も不足しているというのが実態です。これらの促進のために、本構想案では、整備基準の規制緩和、多様な手法を活用するとしていますけれども、内容はどのようなものでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 地域ケア体制整備構想案では、例えばグループホームでは、整備率が十分でない地域の施設整備に対する重点補助、それから公有地活用の促進、加えまして、社会福祉法人が建物を自己所有とせずに特養を運営できるようにすることなどを記載しております。
○かち委員 今のご答弁では、今まで特養などをつくるときには、自己所有でなければできなかったということですけれども、借地においてもできるような法改正を促進していきたいというような中身だったというふうに思います。
都としては、特養整備を積極的に進めていっていただきたいんですけれども、公有地活用のこれまでの実績はどうなっているでしょうか。また、特養やグループホームの整備に都有地活用をより積極的にふやすべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 都有地を活用しました施設整備の実績でございますが、認知症グループホームでは六件、特別養護老人ホームでは一件でございます。
現在、都内の複数区市町村において活用策を検討しているところでございます。今後も、活用可能な土地があれば着実に進めてまいります。
○かち委員 今の実績を見ても、特養については一件しか実現していないというところからしても、都有地活用でも、なかなかままならないというのが実態だと思います。ぜひ、四万人以上の方々が入居できる条件整備として、もっとつくりやすい環境を実現するために全力を尽くしていただきたいと思いますが、都としては特養整備を積極的に進めていくといいながら、来年度局要求などを見ますと、特養整備費補助の二分の一の補助廃止、補助金の削減をしています。本気で促進する姿勢にはとても見えません。促進のためには、少なくとも現状の補助制度を後退すべきではないということを申し上げておきます。
次に、有料老人ホームについてですが、近年、介護型有料老人ホームが急増しています。この施設は、特養や老健施設とは異なり、民間の多種多様な営利企業が参入でき、都知事への届け出のみで設立することができるものです。最近は料金の過当競争も起きていて、入居しやすくなった反面、入居者の権利保護や介護サービスの質や安全確保の観点から、いろいろ問題も出てきていると思います。
直近の有料老人ホームの施設数と定員数はどうなっているでしょうか。また、乱造する二十四時間介護つき有料老人ホームの指導監査は、どのような体制、方法でなされているでしょうか。
○梶原指導監査部長 介護つき有料老人ホームでございますが、平成十九年十一月一日現在で三百三十五施設、定員数は二万二千二百五十一人でございます。
指導につきましては、施設の開設前に事前指導を行い、その後、半年から一年たった後に、人員、運営、施設基準等について問題がないか、実地指導を行っているところでございます。さらに、利用者からの苦情や区市町村からの情報に基づき、問題点について重点的に点検する実地指導を行っております。
なお、指導監査部の有料老人ホーム指導監査は二名で行っているところでございます。
○かち委員 この間、ここ四、五年の間に、急激にこの老人ホームはふえているんですけれども、そうしたホームの管理監督といいますか、その体制が二名という点では、本当に対応できるのかなという危惧を持っております。
この間、有料老人ホームの身体拘束や介護者による医療行為、虐待など、社会問題にもなっておりますけれども、都内における有料老人ホームで身体拘束や医療行為が行われていることの認識はあるでしょうか。
○梶原指導監査部長 必要な場合に、やむを得ず身体拘束が行われているといった事例もございます。一方で、不適切な身体拘束や介護職員による医療行為が行われているのではないかとの苦情も寄せられているところでございます。
寄せられた苦情につきましては、必要に応じ実地検査を行い、不適正な事実が確認された場合、改善勧告、改善命令等を行い、改善を求めているところでございます。
○かち委員 私の住んでいるまちの中にも幾つかあるんですけれども、実際、私は、ある有料老人ホームで働いていた介護職員の方から話を聞きましたけれども、入所者は必要に迫られて、家族の必要もあって、あらゆる病状の人が入ってくるようです。認知症も、徘回する人もいるし、IVHで持続点滴をしている人もいるし、吸たんしなければならない人、気管切開をしている人、まさに混合医療病棟のような実態だということでした。
規定では、基準では看護師は二名ということで、夜間の配置基準としてはないわけですね。これらの管理に加え、褥瘡処置など、自分たちがやらなければ仕事が回っていかないのがその職場の実態です。教育的管理、指導者もいない中で、医療的知識も経験もない若い介護職員たちが自分たちの判断でやっている。利用者への拘束や言葉による虐待もあり、物をいえる状況ではなかったと聞きました。同様の話は、ほかの施設でも出ています。少なくないホームでこのような実態があるのではないでしょうか。
社会福祉法人や医療法人による特養ホームや老健施設などのように、きちんとした介護水準、看護水準を一定求められるものとは異なり、届け出制で、市場原理中心に経営する民間企業が参入している有料老人ホームでは、どのように生活や療養の質を担保するかが重要な課題となっていると思います。行き場がなく、わらをもつかむ思いの利用者、家族と、収益のためには何でも受け入れる経営者との関係で成り立つ関係、過当競争の中で収益を上げるためには人件費削減であり、パートやアルバイトや派遣などでつないでいるという、低賃金、過重労働、人手不足の実態がここにも出ています。
有料老人ホームでの体制と質の確保、レベルアップが求められていますが、今後どのように都としては対応していくつもりでしょうか。
○梶原指導監査部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、開設前後の指導も含め、必要に応じた実地指導を行い、かつ、継続的な対応が必要な施設につきましては、毎月、改善状況の報告を求めるなど個別重点的な指導を引き続き行ってまいりますが、改善が図られない場合は、改善勧告、改善命令等を行うなど、強く改善を求めているところでございます。
○かち委員 二人の体制で、こういう苦情のあったところに何回か足を運び、改善勧告、命令、そしてさらにということでは、一つ一つの例に非常に時間も要するわけです。しかし、実態はどんどん進んでいく、ふえていくという中では、トータル的に有料老人ホームの質の向上のための何らかの対策をとらないと、本当に利用者、家族が大変な状況に置かれているので、その辺の、今後さらに増加していくホームに対する安全確保対策を何らかの形でとっていただくことを求めておきます。
構想案では、地域での見守り体制の強化が必要だという視点も出されています。私も、特に比較的軽度の要介護者などが地域で生活を維持できる条件は、このことが大変重要だと思っています。都は、平成十三年度まで、有償家事援助、配食、移送サービスをしていました。これまで、こういう高齢者への支援活動をしていた住民参加型団体などに十分の十の補助を出していました。四年前の見直しで区市町村事業とされ、今年度から本則適用で二分の一に切り下げられたため、縮小、廃止する区市町村が相次いでいます。補助金削減の中で、少なくない小規模事業者は、事業が運営できないということで廃止に追い込まれています。構想案で述べていることを本気でやろうとするなら、こういう問題を改めて検討する方向で再検討することを求めておきます。
次に、介護事業者公表制度について私もお聞きします。
本制度が始まって二年目を迎えていますが、制度導入当初から、なぜ手数料を事業者から徴収するのか、料金が高過ぎる、見直しをということを、私も繰り返し本委員会でも述べてきました。
厚生労働省は、制度を十分に吟味せず制度を押しつけておきながら、始まったその年から、何回にもわたって、再三にわたって、都道府県に料金設定についての引き下げ、見直しを求める通達を出してきております。
局としては、この介護事業者公表制度について、制度のあり方を含めて見直すよう国に意見を上げていくと、前回の委員会でも答弁されていましたけれども、六月の国への予算要望書の中で、この件についてはどのように提言しているのでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 本年六月に行った国への提案要求では、介護サービス情報の公表制度の見直しとして、平成十九年度から実施される医療機関、薬局情報の公表制度においては、申告された情報についての確認調査を要しないこととされ、また、事業に要する費用は公費負担とされていることとの整合性も踏まえ、次の点について見直しを図るべきであるとして、第一点として、調査情報を確認するための実地調査について、調査周期や確認方法のあり方のほか、その必要性も含め、費用対効果の観点から抜本的に見直すこと、二点目として、現行では事業者負担とされている情報の調査及び公表に要する費用について、その負担のあり方を見直すことの二点の提案要求を行っております。
○かち委員 今ご答弁ありましたけれども、今年度から実施されることになった医療機関と薬局の情報公表制度については、申告された情報についての確認調査は必要としない、事業に要する費用は公費負担であるというものなんですね。ところが、介護サービス事業者については、先ほどもありましたけれども、第三者評価とか指導監査がある上に、こういう調査員が行くというような二重三重の手間をかけ、その費用を事業者が持つということで、さきの二事業との整合性という点からも、本当に私も見直すべきだというふうにますます思うわけですけれども、そうであればこそ、都みずからが見直しをすべきではないでしょうか。
ことし七月に厚生労働省老健局振興課が行ったアンケート調査結果では、またまた手数料の適切な検証、見直しが必要だと述べていますね。その中では、昨年は初年度ということもあり、過大見積もりになっていたということを認め、当初、調査に必要な時間数、日数を二日程度と推定したけれども、実態に見合わない、報告している調査機関、公表センターの収支状況は過半数が黒字となっている、事業運営は円滑である必要があるが、過度の剰余が生まれては適切ではないというふうに述べているわけですよね。
先ほどのご答弁では、都の収支結果は百八十七万八千円の黒字だったということでもあるわけですから、今までの都の考え方に照らしても、今の制度のあり方、料金の設定の仕方について都としても検証すべきではないでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 介護サービス情報の公表制度の事業初年度である平成十八年度における指定情報公表センター及び指定調査機関の収支状況及び運営状況等については、現在精査をしているところでございます。
なお、三十機関ございます指定調査機関の歳入総額から歳出総額を差っ引いた残額は、先ほども申し上げましたように約百八十八万円、収支差額率でいいますと〇・五九%ということで、一調査機関平均いたしますと、約六万円の、いってみれば利益ということですので、国がいうように過度の剰余が生じているというふうにはいえないということで、現行の手数料額は妥当であるというふうに認識しております。
○かち委員 過度の利益ではないというふうにおっしゃいますけれども、制度そのもののあり方がおかしいと皆さんはおっしゃっているわけですよね。医療機関や薬局については公費でやっているんだ、届け出でいいんだといって、何で介護事業者だけ、人を入れて調査機関をつくって研修もさせて、これでは本当に二重手間そのものですよね。本当に根本からこういうやり方は見直すべきだというふうに思いますし、国に求めるのも当然ですけれども、国がやらなくても、都として間違っておかしいと思えば、やっぱり都として正していくというのが本来の姿だというふうに思います。
ぜひ都としての料金設定の見直しを求めますけれども、再度お聞きします。
○狩野高齢社会対策部長 介護サービス情報の公表制度における公表対象の介護サービスは、十八年度の事業開始時の訪問介護など九サービスから、今年度、訪問リハビリテーションなど三サービスが追加されているところです。
厚生労働省では、短期入所生活介護など残る二十六サービスについて、公表すべき情報の検討や実施体制の整備等を経て順次施行することとなっております。都としては、こうした公表対象サービスの拡大に的確に対応してまいりたいというふうに考えております。
○かち委員 先ほどのご質疑の中にもありましたけれども、今度からふえていくものについては、一つの事業所で同じような事業をしている、それを一つ一つやるというと、どんどん調査料金が膨らんでいきますので、そんなことは、せめてそういうことはきちんと的確に対応するということをやっていただきたいし、全体の料金も、もっと実態に合わせて引き下げていただくことを重ねて申し上げておきます。
次に、周産期医療体制についてお聞きします。
都内の出生数は約十万人、合計特殊出生率は一・〇〇が〇五年ですけれども、全国平均の一・二六を大きく下回っています。少子化対策が大きな課題となっているさなかです。
全体の出生数が減少する中で、二千五百グラム未満の低体重児出現の割合が近年急増しており、出生一〇〇〇に対して、出現率は、九七年には七六・九だったものが、二〇〇四年には九四・六となり、千グラム未満の超低体重児も増加傾向にあると聞いています。〇五年の厚労省の調査では、都における妊娠二十二週から出産後一週間の周産期の異常への対応が不十分という事態というアンケート調査も出ております。生まれてくる命を救い切れない事態は最大限避けなければなりません。
我が党は、三定議会一般質問でも周産期医療について質問しましたけれども、再度、実態に基づいてお聞きしたいと思います。
産科、小児科医師不足といわれていますけれども、都内における産科医師状況、資料でたくさん出していただきまして、現状も把握できます。そして、二十三区と多摩地域の違いもいろいろ見えてくるわけですが、これは五年間の比較なので、ちょっと十年のスパンで見てみたいと思うんですけれども、都内における産科、小児科を標榜している病院の十年の推移はどうなっているでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 都内の産科、産婦人科を標榜する病院数でございますが、平成七年は百八十一施設であったものが、平成十七年は百三十二施設となっております。また、都内の小児科を標榜する病院数でございますが、平成七年は二百九十一施設であったものが、平成十七年は二百十八施設となってございます。
○かち委員 お聞きしたように、産科では十年前の七二%に落ち込んでいて、小児科では七四%という状況だと思います。
今のNICUベッドの設置基準は、千人の出産に対し二ベッドですから、二百床ぐらい確保が必要ということになるわけですけれども、現在、都における周産期センターのNICUの整備は百九十五床であり、最低基準に照らしても不足ではないのか、また、受け入れ困難の割合というのはどういうふうになっているでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 現行の東京都保健医療計画におきましては、NICUの整備目標数は二百床となっておりまして、現在の整備数が百九十五床でございますので、私どもは二百床の目標の達成に向けて全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
また、受け入れ困難の状況に関しましては、先般、十月に発表されました総務省、消防庁、厚生労働省による産科・周産期傷病者搬送の実態調査結果でも、東京都における年間搬送件数約四千二百件のうち、九六%が三回以内の照会で受け入れ先が決まっている、そういう状況でございます。
○かち委員 受け入れ状況は九六%だというふうなお答えだったと思いますが、NICUが本当に本来の目的に沿って稼働状況が行われていればいいんですけれども、先ほど質疑もありましたけれども、結局、後方ベッドが確保されていないということで、長期滞在をしている療養児もいるということで、なかなか十分な稼働状況にないというのも実態だというふうに思うんですね。
三定で小竹議員の一般質問の中で、荒川区の妊婦さんが妊娠二十二週で破水をしてしまい、かかりつけ医が受け入れ病院を一生懸命探したんですけれども、見つからないで、三、四時間後に川崎の大学病院へやっと転送することができたんですけれども、数日後に流産という痛ましい出来事があった件について、福祉保健局長は、その事例については、搬送の病院選定の事実をプライバシーに配慮しながら精査、検証していくというふうに答弁されましたけれども、その後、この件についてどのように検証、検討されたのでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 ご質問の事例につきましては、都内の二十二カ所ある周産期母子医療センターのうち、産科のある施設二十カ所すべてを対象に調査を実施いたしました。
その調査の方法でございますが、都内九カ所の総合周産期母子医療センターのうち七カ所につきましては、実際に訪問し、医師から直接、病院選定に関する事実等について聞き取り調査を行いました。また、地域周産期母子医療センターに対しましては、調査票により事実確認を行いました。
その調査結果でございますが、二十カ所の周産期母子医療センターにおきまして、搬送依頼を受けた事実が確認できたのは四カ所でございました。その四カ所の受け入れができなかったという理由として挙げられましたのがNICUの満床でございました。
都としましては、本年五月に東京都周産期医療協議会に搬送部会を立ち上げ、転院搬送が円滑にいくよう、医療機関の機能に応じた役割分担と連携を進める方策を既に検討しておりまして、その検討結果につきましては、現在改定を予定しております東京都保健医療計画に反映して実現を図ってまいります。
なお、第三回定例会で本会議で局長がご答弁申し上げましたように、本事例の妊婦は、搬送前から地域の医療機関に入院し、搬送時もかかりつけ医が救急車に同乗するなど、搬送前から転院先への入院に至るまで一貫して医療ケアは確保されていた、そういう事例でございます。
○かち委員 事実経過は、そのとおり私たちも確認をしております。ただ、四つしか問い合わせがなかったという点では、私たちが聞いたのは、すべてにかけたけれども全部断られたというふうに聞いております。それは事実経過はわかりませんけれども、とにかく三、四時間かかったのは事実ですので、そういうことを開業医の先生がやるということも、日常診療をやりながら、そこにつきっきりで手がとられるという事態を見ても、周産期をめぐる医療の問題というのは、大変いろいろな課題があるなというのをつくづく感じたわけです。
そういえば、私、最近というか十月に、ある産院の先生から、実際、救急搬送をする状況のときにどういうプロセスでやっているのかというのをお聞きしたことがあるんですけれども、診ている妊婦さんが急を要して周産期センターに運ばなければならないという事態が生じたときには、今、東京都のシステムとしては、周産期センターの方でベッド管理をしているということなんですね。私なんかは、当然それは、そこに開業医の先生が依頼をすれば、そこがいろいろ検索をして入院調整をしてくれるのかなと思っていたら、そうじゃないということもわかったんです。
実際どうなるのかなと思ったら、A4一枚ぐらいのこういう紙がファクスで来るんですね。そこにはマル・バツ、要するに妊婦の受け入れが可能かどうか、それからNICU、中等度のところはどうか、重度のところはどうかというので、そういうマル・バツで来るわけですね。それを見て、実際に患者さんを前にして、先生は一生懸命電話をかけまくるというのが実態なんです。その日の状況を見たら、ほとんどバツなんです。全然あきがない。一カ所、二カ所、妊婦受け入れは可能だけれども、NICUがあいていない。これが今の実態を象徴しているのかなというふうに思ったんです。
こういう事態であるからこそ、実態に照らしてNICUが足りないのは明らかです。NICUの実態に即した大幅な増設を急ぐ必要があると思いますけれども、見解はどうでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 NICUの整備に関するお尋ねでございますが、先ほどご答弁申し上げましたとおり、現在の保健医療計画では整備目標数が二百床となっておりまして、私どもは、まずその達成に全力を尽くして取り組んでまいりたいと考えております。
○かち委員 先ほど申し上げましたけれども、今の周産期をめぐる医療状況が、NICUが十分に稼働できる状況になっていないということから、そういう実態から見てぜひ検証していただきたいと思うんですけれども、千対二であっても十分に稼働できるんだったらまだいいと思うんですけれども、そういう状況でないということで、もっともっと稼働率が下がっているというふうに思うんです。
それで、たとえ五床ふやしたとしても、今ある都立病院のNICUが、豊島病院ですね、六床休止状況です。そういう意味では、たとえふやしたとしても、実態に追いつかないというのが実態だというふうに思います。
総務省の調査によりますと、東京消防庁の平均搬送時間、先ほどもありましたけれども、東京都が非常に時間がかかるというようなこともありましたけれども、消防庁に聞きますと、必ずしもデータのとり方が、基準が同じではないんだということもいっておられました。
それはともかくとして、開業医や診療所で周産期センターへの入院が必要と判断しても、なかなか病院が見つからないということは、物理的にも精神的にも過大な負担となっていることは否めません。都における周産期の救急搬送事業、これはどのようになされているのか、そして課題は何でしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 都におきましては、出産前後の母体、胎児や新生児の救急患者に高度専門的な医療を提供する周産期母子医療センター二十二施設を整備するとともに、周産期母子医療センター等と東京消防庁をネットワークで結び、空床情報を共有するシステムを整備し、搬送先の選定に活用しておるところでございます。また、患者の迅速な搬送や受け入れを行うため、都内を八つのブロックに分け、各ブロックの総合周産期母子医療センターが搬送先の選定を行う仕組みを構築しております。
しかし一方で、先ほどもご答弁申し上げましたように、分娩取り扱い施設の減少により、搬送の調整や受け入れを担う周産期母子医療センターに分娩が集中し、負担が大きくなっている状況があるというふうに考えてございます。
○かち委員 さまざまな問題はありますけれども、本当にそういう意味でも、周産期センターと病院と診療所などの日常的なネットワークづくり、風通しのよい環境をつくっておくということも大変重要になっているなというふうに思いました。
総合周産期医療センターが受け入れ先を選定する仕組みで対応しているとの答弁でしたけれども、実際には受け入れ先を選定して仲介してくれる仕組みでもなく、実際にそこの医療機関の現場の先生にやれといっても、それは無理な話だというふうに思うんですね。そういう意味では、搬送調整をする周産期センター、コントロールセンターの機能強化、人の配置も含めてぜひ行う必要があると思いますけれども、どうでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 搬送調整を担う総合周産期母子医療センターの機能強化につきましては、再度の答弁で大変恐縮ですが、現在検討しているところでございます。
○かち委員 ぜひ機能するように検討していただきたいというふうに思います。
センターや病院の産科医師は、休むに休めない過酷な勤務状況が続いているわけですけれども、そういう状況を全体でどう軽減していくかということも課題になっているわけで、そういう意味で、東京都が二年前から産科のオープンシステム化のモデル事業を三カ年実施してきましたけれども、現段階での評価とその課題は何でしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 オープン化モデル事業についてでございますが、都では、地域の診療所等と分娩を取り扱う病院との連携を強化するため、周産期医療施設のオープン病院化モデル事業を平成十七年度から実施しております。現在、事業実施中ではございますが、本事業により、妊婦健診を行う診療所と、比較的リスクの高い分娩を扱う病院との機能分担と連携が進み、妊娠、出産の安全性の確保や医療資源の有効活用が図られていると考えております。
他方、円滑な連携のためには、妊婦の情報や妊婦健診の内容を病院、診療所間で効率的、効果的に共有する方法等が課題となっております。
本事業の成果を踏まえまして、地域の医療機関のネットワークの構築について検討を進めてまいります。
○かち委員 課題はあるけれども、分娩を行わない開業医や診療所でも日常的には健診を受け、出産時には病院で産むことができるという連携がとられれば、三者が安心できる状況が生まれるというふうに思います。さらなる検証、研究を重ねながらも、有効な方法として、できるところから着手することを求めておきます。
周産期のリスクを避ける意味でも、妊婦健診は重要です。国は、本年一月から、妊婦健診の必要性を打ち出し、十四回までが望ましいとして、これまで二回までの妊婦健診を五回までの交付金に増額しました。これを受けて、台東区などでは十四回すべてを公費による施策がとられたのを初め、各区市で取り組みの強化が始まっています。資料一ページにも示されておりますけれども、私も十月の状況で見てみたんですけれども、十数区と、それから二市、二島で独自の取り組みが行われている。来年度へ向けてさらに進むとは思いますけれども、この状況を見ても、多摩地域での格差が見られます。
ここで、東京のどこで妊娠をしても安心して妊婦健診が受けられるためにも、財政基盤の弱い自治体への支援が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 妊婦健康診査の費用負担についてのお尋ねでございますけれども、公費負担五回分相当につきましては地方交付税で措置をされております。したがいまして、東京都が財政的な支援を行う考えはございません。
○かち委員 来年度予算要望に向けて、市長会からも意見が、要望が出されていることはご存じだというふうに思うんですね。市長会では、公費による健診の回数をふやすことの必要性は十分に認識しているけれども、実施に当たっての市の財政負担は大きい、五回程度の公費負担を都内全自治体で導入できるよう、財政的援助を講じられることを要望するというふうに出ています。
それから、各自治体での取り組みの状況を見ますと、非常にバラエティー、いろいろな取り組みになっているんですね。必ずしも最低五回の健診をきちんと受けられるようなものになっていないというのもありました。先ほどもありましたけれども、本当にいろいろ妊婦さんへの支援という形で取り組んでいるんだけれども、健診は必ず受ける、そういう仕組みづくりということに、東京都として十分に指導力といいますか、そういうものを発揮していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
最後に、周産期医療や産科医療の解決の根本には、人的な整備が緊急に求められています。来年度から実施予定の産科医師の専門医研修の支援策については期待するところですけれども、医学生に対する奨学金制度や女性医師バンクなどとともに、医師の勤務環境改善など抜本策を求めるものですけれども、いかがでしょうか。
○吉井参事 産科など特定の診療科におきます病院勤務医師の確保、これは早急に対応すべき課題であると考えております。
先ほどもちょっと申し上げましたが、本年六月、東京都地域医療対策協議会を設置いたしまして、都における医師確保対策について協議をしております。
この協議も踏まえまして、女性医師の再就業対策でありますとか勤務環境の改善、病院など病院勤務医師の負担軽減に向けた取り組みを現在検討しております。さらに、産科領域の専門家の育成確保に向けた取り組みについても着手したところでございます。
○かち委員 最後の質問ですけれども、看護師需給計画について伺います。
この計画がこういうふうに出されたんですけれども、今回出された看護師需給計画、ちょっと見にくいので、私、表にしてまいりましたけれども(資料を示す)こういうふうになっているんです。二〇〇七年度から、需要数十一万六百八十八人に対し、供給数十万七千八百二十七人ということで、二千八百六十一人の未達成状況からのスタートとなります。しかし、五年後、二〇二三年には、十一万四千七百九十二人の需要に対し、このまま推移すれば三千五百六十五人の不足。乖離があるけれども、施策効果によって三千五百六十五人の増を見込み、五年後には需給計画が一致するというものです。
ここから始まってここで一致するというんですけれども、しかし、昨年までの需給計画では、二〇〇六年には十一万八千九百人、ここですね、この需要に到達することになっていましたが、実際にはどうだったのかと見ますと、五年ごとの需給計画を出していますけれども、医療環境はいろいろ変化が生まれ、予測ができない要素も確かにありますが、しかし、今後は少子高齢化がさらに加速することは明白であり、医療、介護力の需要が大きくなることも否めない事実です。
現に、昨今の看護師不足は深刻で、都立病院でも欠員が出ており、公社病院では、看護師不足のために病棟閉鎖まで出ている状況です。ましてや民間病院では、医師、看護師不足のために病院廃止に追い込まれているところも出ています。これはかつてない事実、事態です。
医療環境も大きく変わってきています。昨年から七対一看護体制が導入され、取り入れた病院では、一・五倍ぐらいの増員がなければ回っていかないという状況です。当然、すべての病院が取り入れるわけではありませんけれども、ここでも格差は生まれています。
しかし、七対一はかつてない増要因であると思いますけれども、二〇〇七年度を見て、前回五カ年の需要計画に対して、俄然八千人ぐらい低い需要数なんですけれども、見込みなんですけれども、これはどのような根拠によるものでしょうか。
○吉井参事 今回策定いたしました需給見通し、これは、十八年、昨年の六月に、病院でございますとか診療所等、施設に対して看護職員の就業等実態調査を行っております。これをもとに需要数を推計いたしたものでございます。
前回の見通しでございますけれども、これは、平成十四年一月、同様に実態調査を踏まえたものでございます。
二つの見通しにおける差、これは主に病院の病床数の減に伴うものでございます。
○かち委員 主には病床減によるものという答弁でしたけれども、それにしても、前回予測との乖離が余りにも開き過ぎていると思うんですね。実際、どのような予測要素を加味されて調査し予測されたのか、私たちにはわかりませんけれども、確かにこのところの病院は、医師不足の状況は著しい様相を示しています。
今後、介護型療養病床の廃止などという問題も出てきますけれども、超高齢社会を迎えつつあるこの東京で、形は変わるけれども、病院以外での看護需給、要求はますます高まっていくんじゃないかというふうにも予想されます。需要がこんなに減るとは到底考えにくいわけですけれども、供給数の推移を見ますと、五年後には新卒者が百四十二人増となっていますが、この間、五年前と現在の比較で、養成学校数と定員数ではどのように推移していますか。
○吉井参事 平成十四年度の都内の大学、それから養成所数、これは八十四校で、入学定員が五千三百十一人でございます。これに対しまして平成十九年度は、養成所、これは大学も含みますが七十八校で、入学定員は五千二百七十五人となってございます。
○かち委員 今のご答弁では、学校数も定員も減っているんですよね。新卒がこのようにふえ続ける要素は本当にあるのかも疑問に思います。
看護職員確保対策では、新たに、離職者対策として研修や就業相談などで復職を応援する制度や、新卒ナースの研修制度の拡充などに取り組まれているということで、これらを総合的にやって五年でクリアするんだといっておられますけれども、現場の実態からは、とても追いつくとは思えない状況です。それどころか、この取り組みの効果も検証しないまま、実績見合いなどという状況にはならないというふうに思うんですけれども、このような需給計画と実態は全く乖離していると思います。
今の看護師不足をつぶさにつかむ必要があると思うんですね。実態調査は去年やったからもうやらないというふうにおっしゃいますけれども、現場の実態は、本当に今すさまじい看護師不足の状況です。先ほどもありました、メンタルな問題も非常に出てきております。働く看護師たちの実態を本当につかんでいただきたいんです。
調査も、病院だけはしっかりしたけれども、あとは抽出だということでもありますので、ぜひすべての職場、働く看護職場における実態調査をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉井参事 先ほども申し上げましたけれども、今回の需給見通しの作成に当たりましては、平成十八年六月の実態調査を実施した、これに基づいて策定をしたものでございます。
それで、本調査においては、病院については、いわゆる看護職員の配置動向の部分もございますのでしっかり調査させていただきましたが、あと、有床、無床診療所等については、無作為抽出等の方法で推計をしているものでございます。そのため、今回、委員ご指摘のことについて、改めて調査を行う考えはございません。
○かち委員 去年の六月に調査をされたということですけれども、七対一看護の影響が出てきたのは、暮れからことしの採用にかけての問題だというふうに思うんですね。実態が、状況が急激に変化してきていると思うんですよ。
そういう意味で実態に即した調査が必要だというふうに申し上げているわけですけれども、とにかく、今すぐにでもできる対策としては、都立看護学校の定員増とか、閉鎖中の豊島看護学校などの再開、こういうことに都として対策を緊急にとるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉井参事 都立看護専門学校につきましては、質の高い看護師の養成を図るため、看護三年課程七校、入学定員五百六十名に再編整備をしたところでございます。
急速に進む少子化の中で、養成枠の拡大ということよりも、定着、再就業対策の推進こそが重要であると考えております。お尋ねの定員増等を図る考えはございません。
○かち委員 終わりますけれども、今日このような事態を招いたその一端としても、都立看護学校を次々と廃止して、当初の半分にまで定員を減らしてしまったことにも大きな要因があります。都民の医療、看護に責任を持つ都政の役割を果たすことを強く求めて、質問を終わります。
○西崎委員 私からは、まず初めに高次脳機能障害について伺います。
高次脳機能障害は、病気や交通事故などのさまざまな原因で脳の一部が損傷を受けた結果、言語や記憶など知的な機能に障害が起こり、日常生活にさまざまな困難が生じるものです。身体障害を伴わない場合には、外見からは障害がわかりにくいため、周囲からの理解が得られにくく、見えない障害ともいわれ、本人や家族の負担は非常に大きいものになっています。
都においては、障害者自立支援法の都道府県地域生活支援事業を受けて、平成十八年十一月一日から、心身障害者福祉センターを支援拠点として高次脳機能障害の方への支援に取り組んでいます。支援拠点が設けられてちょうど一年が経過しましたが、これまでの取り組みについて伺います。
○松浦障害者施策推進部長 高次脳機能障害者の支援拠点としての心身障害者福祉センターにおける取り組みでございますけれども、まず相談支援といたしまして、相談支援コーディネーターを配置するとともに、医師、福祉職、心理職など多職種で構成する支援チームを設置いたしまして、障害者の方の個別対応の専門相談に応じるとともに、区市町村や関係機関等に対しまして助言、情報提供などの支援を行っております。
二つ目としましては、区市町村、医療機関、就労支援センター等による地域支援ネットワーク連絡会を設置いたしまして、関係機関との連携のもと、高次脳機能障害者を支える仕組みづくりに取り組んでおります。
三番目は、人材育成、普及啓発といたしまして、高次脳機能障害をテーマとする研修、セミナー等を開催しております。昨年度の実績で申し上げますと、延べ六百人を超える参加者がございました。
○西崎委員 高次脳機能障害については、平成十六年に診断基準が定められたことによりまして、障害に対する社会的関心は高まってきていますけれども、障害の正しい理解はまだ十分といえる状況にないと思います。私も、知り合いの家族の方が交通事故により高次脳機能障害になったということを伺って、その障害を持つ当事者や家族の苦しみというものを初めて知りました。
高次脳機能障害者が適切な支援を受けながら地域生活を送っていくためには、住民を初め関係機関職員等、障害者を支える周囲の理解が不可欠ではないかと思います。この点について都の所見を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 ご指摘のとおり、高次脳機能障害がある方が適切な支援を受けるためには、障害に対する周囲の方々の理解が不可欠と考えております。
東京都はこれまで、高次脳機能障害の理解を深めるために、理解と支援の充実を目指してというパンフレットを作成し配布するとともに、区市町村等における相談窓口用といたしまして、地域支援ハンドブックを作成、配布するなどしてまいりました。
今後は、このハンドブックを活用するなどいたしまして研修を実施することによりまして、都民を初めとした関係機関の方々の高次脳機能障害への理解を一層促進してまいります。
○西崎委員 高次脳機能障害者が地域で安心して暮らしていくためには、生活に一番身近な区市町村における地域支援体制の一層の充実が必要です。都においては、今年度から、区市町村で相談や支援を受けるため、体制を確保するために区市町村に高次脳機能障害支援員を配置するといった区市町村高次脳機能障害者支援促進事業を開始していると伺っています。
そこで、この事業の具体的な内容についてお聞かせください。
○松浦障害者施策推進部長 区市町村高次脳機能障害者支援促進事業でございますけれども、高次脳機能障害を持つ方が身近な区市町村で相談や支援を受けられるように、今年度から区市町村に支援員を配置することといたしております。
このことによりまして、配置された支援員が身近な地域で障害者やその家族からの相談に応じるとともに、医療機関や就労支援センターなど関係機関と連携をとりまして、障害者の地域での生活を支援するものでございます。
○西崎委員 ぜひ高次脳機能障害者が安心して地域の中で生活できるように、今後も生活に身近な区市町村と連携を深めて、この事業をなお一層推進されることを要望しておきます。
次に、成年後見制度の推進について伺います。
認知症や知的障害、精神障害などによりまして判断能力が十分でない場合、自分の財産管理や生活にかかわる契約を行うことが困難であったり、悪徳商法の被害に遭うおそれもあり、これらの方の権利を守ることが重要な課題になっています。
福祉サービスの利用に関する援助や日常的な金銭管理などを行う地域福祉権利擁護事業や成年後見制度は、これにこたえ、安心して暮らせるよう本人を保護し支援する制度ですが、成年後見制度は、申し立て件数が増加しているものの、制度の普及についてはまだまだ課題も多く残されています。
成年後見制度をより利用しやすいものにするためには、住民に身近な区市町村における推進体制が必要だと思いますが、これまでの都の取り組みと今後の対応についてお聞かせください。
○永田生活福祉部長 成年後見制度でございますけれども、都では、住民に身近な区市町村におきまして成年後見制度の活用を促進し、判断能力が十分でない方が地域で安心して生活できるよう、平成十七年度に成年後見活用あんしん生活創造事業を創設いたしまして、区市町村に成年後見制度推進機関を設置する取り組みを支援してまいりました。
本事業におきましては、平成二十一年度までにすべての区市におきまして推進機関の運営を開始することを目的としております。今年度は、既に推進機関を設置いたしまして運営を開始しているところは十七の区市でございまして、設置のための準備を行っている区市は二十三区市となっております。これによりまして、二十三区内におきましては、平成十九年度中にすべての区におきまして推進機関の設置に着手したことになろうかと考えております。
東京都といたしましては、区市町村連絡会を通しました情報交換会や、推進機関の設置の検討を予定している区市町村に対する個別の働きかけなどを行っておりまして、引き続き積極的にこれらの取り組みを進めてまいります。
○西崎委員 ぜひとも地域福祉権利擁護事業や成年後見制度の普及、利用促進を強化して推し進め、住民が身近な地域で利用しやすい体制を整備していただきたいと思います。
二〇〇〇年に介護保険制度が始まりまして、福祉サービスは契約に変わったと同時に、高齢者の権利を守る成年後見制度も使いやすいように改められました。そのせいか、利用者は年々ふえまして、二〇〇六年度は、全国の家裁に三万二千件余りの申し立てがあり、前年度の一・五倍、初年度の四倍近くになっています。
後見人も、親族は八割で、第三者の割合が伸びています。しかし、ひとり暮らしの高齢者など、信頼できる親族がいない人にとっては、適切な後見人を得にくい状況になっているのではないでしょうか。そこで、後見人としての業務を担うべき新たな人材の養成、確保が重要になってきています。
このような状況の中で、東京都と世田谷区が全国に先駆けまして、一般市民を対象といたしました後見人候補者の養成事業に取り組んでいることは非常に意義深いと思います。都の養成事業は現在三年目を迎えると聞いていますけれども、これまでどのように進めてこられたのか、また、今後どのように推進していくのか伺います。
○永田生活福祉部長 都では、社会貢献的な精神で後見業務に当たる意欲を持つ都民等を対象に、平成十七年度より後見人候補者等養成事業を実施してきております。この事業は、後見人による支援が必要ではありますが、信頼できる親族がなく、また、求められる後見業務の内容が専門家にゆだねられるほどのものではないなど、適切な後見人を得にくい状況となっている方々に制度利用の道を開くことを目的としております。
これまでに百十六名の方が基礎講習を修了いたしまして、地域での実習活動を行っており、このうち三名の方は、実際に社会貢献型後見人としての活動を開始しているところでございます。
今年度も募集を行いまして、五十八名の合格者を決定いたしまして、今後、基礎講習を受講することとなっております。
今後、家庭裁判所や関係機関との連携を深めまして、より多くの方が後見活動を開始できるようにするとともに、講習修了者のさらなる資質の向上策についても取り組んでまいります。
○西崎委員 私も住まいが世田谷なので、世田谷の市民後見人制度、この七月に第一号の方が誕生されて、順調にふえているというお話を伺っていますけれども、ぜひ東京都も、今後も事業を積極的に進めていっていただきたいと思います。
ケースによっては、専門家よりも市民後見人の方が、本人に寄り添って、本人の立場で意思決定ができるのではないかともいわれています。市民を後見人として養成し、同じ地域の住民同士で守り合う仕組みを、区市町村と連携を図りつつ進めていっていただきたいと思います。
次に、特定健康診査、特定保健指導の人材育成について伺います。
平成二十年度から、生活習慣病に起因する医療費の伸びの抑制を目的といたしまして、医療保険者が、四十歳以上の被保険者と被扶養者を対象に、内蔵脂肪の蓄積、メタボリックシンドロームに着目しました特定健診の実施及び特定保健指導が義務づけられております。
そこで、具体的にどのようなものなのか伺いたいと思います。
○清宮保健政策部長 平成二十年度から、これまで区市町村が住民を対象に実施してきました基本健康診査にかわりまして、医療保険者が、被保険者等を対象に、メタボリックシンドロームの予防を目的とした特定健康診査、特定保健指導を実施することになります。
この新しい健診、保健指導は、肥満や高血圧などのメタボリックシンドロームのリスクが高い方を健診により早期に把握し、生活習慣の改善を促す保健指導を行うことによりまして、糖尿病等の生活習慣病の発症予防を目指すものでございます。
医療保険者は、今年度、特定健診等実施計画を策定し、平成二十四年度までの健診、保健指導の目標を設定し、それに基づき健診等の事業を計画的に実施していくことが求められています。
○西崎委員 今のお話ですと、医療保険者は、今年度、特定健診等実施計画を策定して、それに基づいて健診などの事業を計画していくということですが、それでは、都内にはどのくらいの数の医療保険者があるのか、お聞かせください。
○清宮保健政策部長 都内に所在いたします医療保険者の数でございますが、平成十九年四月現在、区市町村国民健康保険が六十二団体、企業のサラリーマン等の方が加入している健康保険組合約六百団体、その他共済組合などを合わせまして約七百団体でございます。
○西崎委員 全部合わせますと約七百団体もあるということですけれども、大変な数ではないかと思います。区市町村にかわって、医療保険者が健康診断や保健指導を担っていくわけですが、現状では、健康診断などの経験が少ない団体も多い状況です。
都は今年度、特定健康診査、特定保健指導が効果的に実施されるために、医療保険者に対し研修を実施していると聞いていますけれども、どのようなものを行っているのか、また実績についてはどうなっているのか、お伺いいたします。
○清宮保健政策部長 都民の生活習慣病予防を推進していくためには、質の高い健診、保健指導が提供されるよう医療保険者を支援していくことが必要でございます。
今年度、東京都は、まず医療保険者の事業担当者の方を対象に、特定健診等実施計画の策定方法に関する研修を実施いたしました。この研修には、都内の医療保険者の七割以上に当たる五百一団体が参加いたしまして、延べ受講者数は二千十八人でございました。
また、現在、特定保健指導に従事する保健師、管理栄養士等の方を対象に、生活習慣の改善に結びつく保健指導を行うための実践的な研修を実施しているところでございます。
○西崎委員 今お話を伺いますと、現在、特定保健指導に従事する保健師、管理栄養士などを対象に研修を進めているということですけれども、来年度に向けて各医療保険者が特定健診等実施計画を策定し、健診事業などにきちんと対応できるように、今後も人材育成の研修を進めていっていただきたいと思います。
最後に、子育て支援策としての多様な保育のあり方について何点か伺いたいと思います。
女性の社会進出が進み、核家族化になってきた社会状況の中で、若い世代のライフスタイルに合わせた子育て支援策が求められています。その中でも、働きながら子育てをしていく上で、多様な保育の施設整備が必要です。
都では今年度、事業内保育施設の支援をスタートさせていますが、国においても、財団法人二十一世紀職業財団が事業内保育の施設整備を進めています。事業内保育施設について、国と比べて都の制度の違いはどこにあるのか、まず伺います。
○松原参事 都の事業所内保育施設への支援事業は、企業等の次世代育成に対する取り組みを促進するため、今年度創設したものでございます。
国の制度との違いにつきましては、国の助成制度は、定員が十名以上で、単独の事業者による設置を基本としております。これに対し都の助成制度は、定員を六名以上とし、また、複数の事業者による共同設置の条件を柔軟にするなど、大都市東京の実情を踏まえまして、中小企業にも取り組みやすい制度としております。
○西崎委員 ある雑誌を読みますと、アメリカやフランスなどの企業では、このような事業内保育施設の整備が大変進んでいるというふうに読んだことがあります。
今のお話ですと、国よりも東京都の制度の方がすぐれているというか、中小企業にも働きかけられるようになっているということですけれども、都における事業内保育施設支援事業の今後の見通しはどのようになっているのか、お聞かせください。
○松原参事 去る十一月一日に、事業所内保育施設を開設した事業者を、本事業の初めての補助対象としての承認を行ったところでございます。
さらにこの事業を多くの企業に積極的に活用してもらうため、ホームページに掲載するなど制度のPRを行っております。また、経営者団体への働きかけや、設置運営に関する相談に取り組むなどしており、今後とも積極的な働きかけを行ってまいります。
○西崎委員 都では、多様な保育ニーズにこたえるために都独自の認証保育所を制度化しまして、十一月現在、既に三百八十四カ所になったと聞いております。この認証保育所の設置主体別の割合はどうなっているのか、お聞かせください。
○松原参事 認証保育所の設置主体についてでございますが、平成十九年四月一日現在、A型の認証保育所では、株式会社等の企業が八一%でございまして、その他、個人、NPO法人などが一九%でございます。
B型の認証保育所につきましては、個人が八〇%であり、その他、NPO法人などが二〇%となっております。
○西崎委員 事業者、NPOなど幅広い運営主体になりましたけれども、認証保育は、駅の近くという利便性はあるものの、今までの認可保育園とは違い、駅ビルの二階とか、これは私の地元なんですが、小田急の高架下という施設もあり、預けられているお子さんにとって質の高い保育が提供されているのかどうか、大変気にかかるところです。
そこで、認証保育の質の確保についてどのように対応しているのか伺います。
○松原参事 認証保育所における保育の質の確保についてでございますが、利用者の立場に立った良質なサービスを提供するために、東京都認証保育所事業実施要綱によりまして、各施設に、社会福祉事業について知識、経験を有する者や利用者などで構成する運営委員会の設置を義務づけております。
また、毎年、運営状況報告書の提出を求めるとともに、立入調査を行い、指導監督基準に基づきまして指導を行っておりますほか、福祉サービス第三者評価につきましても、積極的に受けるように指導しているところでございます。
○西崎委員 認可外保育施設の中に保育室が位置づけられておりますけれども、設置基準も設けられております。区市町村が保育室を保育施策として認めなければ、基準を満たしていても補助を受けられずに、ベビーホテルと同様の扱いになってしまいます。
しかし、保育室を含めた認可外保育施設に対しては都の指導監督が行われることになっていますが、どのような内容で検査、指導が行われているのか伺います。
○松原参事 都は、保育室等の認可外保育施設に対する指導監督要綱におきまして指導監督の基準を定め、事前指導や、年に一回の定期の立入調査及び随時の特別立入調査等を実施するなど、認可外保育施設の指導強化に努めております。
また、認可外保育施設従事者を対象といたしまして、保育理論や乳幼児の心理などをテーマとした研修を、休日も含め、毎年延べ十日間行うなど、認可外保育施設従事者の資質向上のために必要な指導を行っております。
○西崎委員 保育室について、区市町村の自治体によってなんですが、認証保育へ移行するようにというふうに進めているところもあります。認可外保育施設が認証保育所となるためには、どのような基準を満たさなければならないのか伺います。
○松原参事 認可外保育施設と認証保育所との主な違いは、面積基準と職員の配置基準でございます。
認証保育所におきましては、認可保育所に準じた施設基準を求めております。例えば、児童一人当たりの面積につきましては、認可外保育施設では一・六五平方メートル以上が必要であるのに対し、認証保育所では、A型の場合、ゼロ歳児及び一歳児につきましては三・三平方メートル、二歳児以上は一・九八平方メートルが必要でございます。
また、職員につきましては、認可外保育施設では、年齢別保育従事職員のうち、保育士等有資格者がおおむね三分の一以上であることが求められているのに対しまして、認証保育所では、六割以上が保育士等有資格者かつ正規職員である必要がございます。
○西崎委員 最後に、意見になりますけれども、これから保育ニーズはますます高まっていく状況の中で、多様な保育を提供していくためにも、認証保育をふやしていくことは必要だと思います。でも、なかなか保育室を経営している個人がすぐに施設の整備について都の基準に合わせていくことができず、認証保育に移行できない状況もあります。また、地元の地域から設置計画に基づいて推薦を受けなければならず、施設側が認証保育を望んでいても、設置計画に合わない場合は申請ができないということもあることを都も認識してこれからの計画を進めていっていただくことを要望して、質問を終わります。
○山加委員 先日、サッカーのオシム監督が千葉の自宅で脳梗塞を発症し倒れ、サッカーファンならずとも、一日も早い回復を祈っているところでありますが、十月二十九日、NHKの「クローズアップ現代」という番組で、脳卒中の新しい治療薬でありますtPAについて放映されたところであります。
当委員会にはお医者様もいらっしゃいますし、医療従事者のプロの立場からは、後日、我が党の田代先生からは奥の深い質疑をぜひともお願いしたいと思っておりますが、本日は、医療を受ける立場から素朴な質問を何点かさせていただきたいと思います。
まず、一般の知識として、脳卒中には、血の塊である血栓が血管に詰まったことによって障害を起こす脳梗塞と--違っていたら、田代先生、訂正していただきたいと思いますが--そして、血管がもろくなって破れ、そこから出血を起こす脳出血であるとかクモ膜下出血、大きく分ければこの二つの種類になると思うんですが、tPAは、この血栓を溶かす脳梗塞の治療薬であると聞いております。
脳は、血栓により血流が流れなくなると、つまり血液が流れなくなるわけですから、そこから先の脳細胞が壊死を起こす。となれば、当然、数分で血管がすぐにもろくなるわけでありますが、tPAを投与して血栓を溶かすということは、逆に裏腹で、もろくなった血管が、そこに急に血液が流れていくわけですから、当然血管が破れてしまうなどの重い副作用を起こすおそれがあると聞いておりますし、素人の私もそうではないかと思うわけです。このため、tPAを使用するには、脳卒中の発症後二時間以内にtPAを使える急性期病院に搬送すること、そして、その病院で一時間以内に専門の医師による見立てを行った上で治療を開始することが求められていると聞いております。
そこで、東京における脳卒中による死亡者数は既に一万人を超えるという現状の中で、都は、tPA対応患者を含む脳卒中患者に対する医療を迅速かつ適切に行える体制を確保する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○細川医療政策部長 tPAを用いた医療体制の確保についてのご質問でございますが、搬送されてきた救急患者さんが脳梗塞であり、またtPAの適応であるか否かというのを適切に診断し治療するためには、MRIによる検査や複数の診療科にわたる専門医の判断などが必要であり、東京都内においても、三百六十五日二十四時間対応できる医療機関は決して多くはございません。
そのため、東京都全域において脳卒中を発症した患者さんに迅速かつ適切な医療が提供できるよう、脳卒中治療の中核的病院や東京都医師会、東京消防庁などとともに、急性期病院の認定基準の策定や、円滑な救急搬送を行える仕組みづくりなどについて協議を進めてまいります。
○山加委員 こうした脳卒中の急性期の対策をぜひとも確立していただきたいと思います。
そして、脳疾患であるがゆえに、処置までの時間差によっても異なりますけれども、身体に障害が残る、程度の多い少ないはあると思いますけれども、その可能性が大変高いと思います。
そういう意味では、私も今まで、どんな病でも事故であっても、その後のリハビリということが大変重要であるということを機会があるごとに、私自身も中途障害の一人として、リハビリ、大変苦しんでまいりましたので、早期のリハビリによって機能の全快ということはあり得るわけですから、申し上げてまいりましたけれども、そういう意味で、急性期を脱した患者さんに対する回復期、そしてまたその後の維持期、そしてまた在宅療養、リハビリテーションの切れ目のないサービスの提供がぜひとも必要と考えるのですが、ご意見を伺わせていただきたいと思います。
○細川医療政策部長 ご指摘の、急性期を脱した患者さんの症状に合わせた回復期や維持期のリハビリを含め、在宅療養まで切れ目のない医療、介護サービスの提供体制を築くことは、都民にとっても非常に重要であると考えております。
東京都では、既に二次医療圏ごとにリハビリテーション支援センターを設置しておりますが、地域における脳卒中治療の中核的病院、医療関係団体や介護サービス事業者の代表者などとの協議を通じ、それぞれの地域の実情に応じた脳卒中の医療連携体制を構築してまいります。
○山加委員 今後の高齢化を見てまいりますと、脳卒中に対する切れ目のない医療を中心としたサービスが効果的に行われることは、都民にとって福音であります。福祉のさらなる向上につながることと思います。
先ほど、田代先生のお医者様としての意見の中にもございましたけれども、特定機能病院など医療機関の数が、ほかの都道府県に比べ東京は圧倒的に多いわけでありますから、医療機関のさまざまな声を受けとめ、そしてまた逆に、全都的に統一のとれた連携体制を築くことには難しさがあると思いますが、しかしながら、東京でこの体制がとれれば、逆に、全国どこでも東京に倣うことも可能になるのではないかと思います。どうか都民の命を救うという観点から精力的に調整を図っていただき、なるべく早期の実施を願って、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○野上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後五時二分休憩
午後五時十一分開議
○野上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○石毛委員 初めて質問いたします。重複した質問は避けたいと思いますが、答弁よろしくお願いいたします。
まず、介護人材の確保について質問いたします。
二〇〇〇年に始まった介護保険制度で、都内の特別養護老人ホームは逆格差といわれる現象が起きていて、特に人手不足は非常に深刻なものがございます。
介護保険制度の開始後、介護報酬が初めて改定されたのが二〇〇三年四月、このとき、賃金や物価の下落傾向を受けて、全体で二・三%の引き下げ、特養については四%の大幅ダウンとなっております。
しかし、厚生労働省の介護事業経営実態調査によりますと、二〇〇五年四月時点では、特別養護ホーム一施設の一カ月当たりの損益割合は、全国平均で、収入が支出を一三・六%上回る大幅な黒字となりました。ところが、東京では黒字幅が五・七%と、全国平均を大きく下回っております。都独自の運営費補助金を除くと三・一%まで下がります。最初の改定があった二〇〇三年度決算で既に、全二百三十七施設の三二%に当たる七十六施設は補助金がなければ赤字転落という状況で、三十四施設は補助金を加味しても赤字でありました。全国平均並みの一〇%超黒字を達成した施設は、補助金ありで二割、なしでは一割を切っております。高い物価、それに伴う高い給料がこの逆格差を生む要因といわれております。
さて、ことしの六月、文京区内の特別養護老人ホームくすのきの郷が、不正に介護報酬を受給していたとして指定取り消し処分を受けました。先般、私は、このくすのきの郷へ行って話を聞いてきたわけですが、ハローワークに毎日のように求人を出しても応募がない、職員確保が大変困難であると話しておりました。
このように、介護分野の現状は危機感が高まっており、このままでは質の高いサービスを供給していくことが困難であります。最近では、人手不足から経営が成り立たないという声も聞かれるわけであります。そこで、何点かお伺いいたします。
都内における介護関連分野の求人状況等はどうなっているのか、お伺いします。
○永田生活福祉部長 都内におきます求人状況でございますけれども、厚生労働省職業安定局職業安定業務統計によりますと、平成十八年度の都内全職種の有効求人倍率は一・四六倍でございます。これに対しまして、介護関連職種は二・七二倍となっております。
○石毛委員 倍近く差があるような感じでありますが、最近の新聞報道でも、介護の仕事は低賃金でハードワークであるとの見方が広がっており、また離職率も高いと聞いております。これでは、現場のコアとなる人材も育たず、十年後の介護の担い手がどうなってしまうのか、非常に不安といわざるを得ません。
そこでお伺いしますが、介護職場の離職率が高い背景にはどのようなものが考えられるのか、お答えください。
○永田生活福祉部長 介護職員の離職の要因でございますけれども、東京都福祉人材センターや財団法人介護労働安定センターの調査によりますと、給与や労働時間等労働条件あるいは待遇に不満がある者が三割を占めてございます。また、職場の人間関係に不満、これが二割、その他、解雇、倒産や家庭の事情が主な理由となってございます。
○石毛委員 わかりました。
介護福祉士の専門学校を卒業しても、介護の仕事をしない若者が多いと聞きますし、また専門学校を受ける学生も少なくなっていて、学校自体、大変なところが出ていると伺っております。
ハローワークなどでは、月給十七、八万円の求人を出したところで、見向きもされないという状況で、求職者から見れば当然のことで、この程度の給料では家庭を養っていくということも難しいでしょう。
そこで、都は、大都市東京における介護施設の人手不足の状況についてどのように認識し、対応しているのか、お伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 近年の景気回復等により有効求人倍率が上昇し、就業機会の多い東京においては、介護施設における職員確保がより困難になり、人手不足が深刻化していると認識しております。
そこで、本年五月、大都市東京で深刻化する人材確保の打開を図るため、介護保険施設に係る介護報酬の地域差等に関する提言を取りまとめ、国に対して、介護報酬の地域差に着目し、人件費、物件費の高い大都市東京の実態に合った介護報酬のあり方について見直しの方向性を提起したところでございます。
○石毛委員 わかりました。
介護現場の職員の処遇改善のために、介護報酬のあり方の見直しは不可欠であります。
そこでお伺いしますが、現行の介護報酬上の人件費比率はどのように位置づけられており、都はそれについてどのように提言しているのか、お聞かせください。
○狩野高齢社会対策部長 国は、介護保険施設の事業支出に占める人件費の割合、いわゆる人件費比率を四〇%と設定しております。しかし、平成十五年度決算における都内民間特別養護老人ホームの人件費比率は約七一%となっております。
また、介護保険施設と同様に、三対一の職員配置で入居者に介護等のサービスを提供している有料老人ホームやケアハウスについては、介護報酬上の人件費比率が介護保険施設よりも二〇ポイント高い六〇%に設定されております。
こうしたことから、都は、介護保険施設の人件費比率の設定を引き上げるべきと提案したところです。
○石毛委員 そういうことが必要だというふうに思っておりますが、介護報酬も大切でありますが、都としても総合的な都の福祉人材の確保に向けた支援が必要だと思います。
そこで、都の福祉分野の人材の確保対策について、現在どのような取り組みを行っているのかお聞かせください。
○永田生活福祉部長 福祉人材の育成、就業の援助を行うための福祉人材センターにおきまして、無料職業紹介やあっせん、さらに、ハローワークやしごとセンターと連携いたしまして、就職面接会や就職のための支援講座を実施しているところでございます。
また、介護福祉士養成施設に通学する方々のために、介護福祉士等修学資金を貸与したり、介護職の資格取得を支援しているところでございます。
またさらに、訪問介護員養成研修事業者を指定いたしまして、事業者の研修実施状況についてホームページでも公開いたしております。都民の方のホームヘルパーの研修の受講を促進しているところでございます。
○石毛委員 幾つか見えてきたところでありますが、福祉人材の確保についてさらに充実を図るべきだという声がありますが、この点はどうでしょうか。
○永田生活福祉部長 この八月に東京都社会福祉審議会から、地域ケア実現のために、これからの福祉を担う人材の育成に取り組むとともに、人材の確保、定着を図る旨の意見具申が出されたところでございます。
この意見具申を受けまして、福祉人材センターの機能強化や介護福祉士等修学資金の制度拡充など、人材育成、確保を促進するための事業について検討しているところでございます。既存事業による施策に加えまして、さらなる人材育成の充実、就労あっせん等、人材確保策の強化等に取り組んでまいります。
○石毛委員 最後に、この地域ケア整備構想で取り上げられた、職員の質の向上のための取り組みについてお伺いいたします。
地域ケア整備構想では、主任ケアマネジャー研修課程にターミナルケアに関する研修を取り入れるという記載があります。人が亡くなるときのケアには、通常と異なる知識や心構えが必要です。ついの住みかといわれる特別養護老人ホームの入居者は、要介護度四あるいは五が中心で重度化しており、退所は死亡退所がほとんどであると聞きます。これらの方をみとることができる質の高い職員を養成していくことは重要な課題と考えます。
特養入居者が安らかに亡くなるために、亡くなる方をみとるための研修など、職員の質の向上に向け、都内の施設はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 平成十八年の介護報酬改定により、特別養護老人ホームでみとり介護を実施した場合、重度化対応加算及びみとり加算が創設されました。看護職員の二十四時間体制の確保、みとりに関する研修を行うなど所定の体制を確保した施設は、重度化対応加算、実際に入所者をみとった施設については、みとり加算を請求することができることとなりました。
平成十九年十一月現在、このような体制を確保している特別養護老人ホームは二百六十四施設ございます。都内の特別養護老人ホームの約七割弱が、このみとりに取り組んでおります。
なお、みとりに関する研修につきましては、加算を請求するための要件の一つでございますので、各施設におきまして、みとりに関する職場内外での研修受講や、みとりに関するマニュアルを作成するなど、適切に対応しております。
○石毛委員 わかりました。では、そのような形でお願いしたいと思います。
続きまして、中国残留邦人問題について質問させていただきます。
中国残留邦人問題は、肉親探しの訪日調査のスタートを契機として、当初メディアにも感動の対面として大きくクローズアップされ、世論の関心も高まり、国、自治体の受け入れ体制の整備を促すもととなりました。しかし、そうした世論の関心の高まりも、問題の長期化につれ、次第に拡散されるようになり、いつしか中国残留邦人問題も人々の意識の中から消え去ろうとしているのが現状であります。
しかしながら、現在もなお、さまざまな理由で帰国が果たせず、中国に生活基盤を持つ人々が数多く存在しています。
一方、日本に帰国が果たせたものの、さまざまな理由で、日本での定着、自立に困難をきわめる人々も多くおります。厚生労働省の調査では、中国残留孤児の過半数が生活保護に依存した生活を余儀なくされ、その数も年々増加しているといわれております。
日中国交回復から三十五年たちましたが、中国残留邦人が中国にいるときは日本人とさげすまれ、日本に戻れば、言葉の障害で日本人から中国人と呼ばれ、差別されるといわれております。中国残留邦人全員が高齢者であり、残された時間を母国日本で終えようとしています。この時間をいかに安心した生活にしてあげられるかは、行政の力にかかっているともいえましょう。
そこで、初めに、現在、中国帰国者が置かれている状況をどのように認識しているのか、お伺いいたします。
○永田生活福祉部長 中国帰国者の置かれている事情にかんがみ、これまでさまざまな支援を行ってまいりましたが、なお現実問題として言葉の問題があり、高齢化に伴い、就労が困難であったり、自立を望むものの、地域社会に溶け込めず、ひきこもりになりがちな傾向が見られるなど、社会的な自立が困難な者も少なくない状況にあり、生活保護受給者が半数を超えているという現実がある、このように国は今まで示しているところでございます。
中国帰国者の方々が重ねてこられたご苦労を思えば、祖国で心安らかな老後の日々を支援することは大切な事業であると認識しておりますが、その事業は基本的には国の責務であるというふうに考えてございます。
○石毛委員 中国帰国者、特に一世の方々については、戦後六十年余となる今日、高齢化に伴い、日本語の習得が思うようにいかず、地域社会に溶け込めず、ひきこもりがちな傾向にあるなどと指摘されておりますが、都は、中国帰国者の日本語教育に対するどのような支援を行っているのか、お聞かせください。
○永田生活福祉部長 中国帰国者の社会適応の促進を図るためには、日本語教育の充実は重要な課題であると考えております。
このため、都では、国の委託を受けまして、東京都自立研修センターにおきまして、帰国後一年未満の中国帰国者に対しまして日本語教室を実施するとともに、帰国後一年を経過した者で、継続して日本語習得が必要な者に対しまして日本語再研修を実施しているところでございます。
また、東京都といたしましても、民間団体が実施する日本語指導事業に対しまして助成を行っているところでございます。
○石毛委員 国の委託事業執行にとどまらず、都として民間団体が実施する日本語指導事業に対して独自に助成をするといった取り組みについては評価します。
既に一世の方々が高齢になっているために、日本語の完全な習得には限界があるといわざるを得ません。そこで、日常生活における日本語による表現が思うようにできないことを前提とした生活支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○永田生活福祉部長 現在、帰国者世帯の定着、自立を促進するために、国の委託によりまして、都内で二十五名の自立指導員が帰国者世帯の日常生活上の諸問題に関する相談に応じ、必要な助言を行っております。
また、国の制度である自立指導員の派遣対象とされていない世帯や、いわゆる呼び寄せの二世等の相談にも応じられますよう、都としても生活相談員制度を設けているところでございます。
○石毛委員 今お答えの自立指導員、生活指導員の活動そのものは評価するわけでありますが、実質的な相談があった際に助言するにとどまっているのが実態であります。今後、一層高齢化し、地域に溶け込めず、自宅で寂しく暮らしている帰国者の方々に対し、時々、世間話をし、家庭に訪問する、こういった取り組みも必要ではないかというふうに考えるわけです。これは要望にとどめておきます。
また、中国帰国者が安心して老後を暮らすには、住宅の問題が非常に重要であります。帰国時に都営住宅の優先入居制度がありますが、この入居あっせんについて、より柔軟に対応してほしいという声がありますが、いかがでしょうか。
○永田生活福祉部長 中国帰国者の生活の安定に向けまして、都では都営住宅を優先的に入居あっせんしております。平成十九年九月末日までの入居あっせん数は千百三十七戸となっております。
優先あっせんにつきましては、現在、国において検討されている中国帰国者に対する新たな支援策の動向を見きわめながら、慎重に検討してまいります。
○石毛委員 わかりました。
一方、中国帰国者二世世帯も、言葉や生活習慣の違いなどから、さまざまな困難に遭遇する場合があると聞いています。二世世帯の就労支援、また教育機関の確保に対してどのように取り組んでいるのか。あわせて、二世、三世について正確な統計がないと聞いていますが、家族単位での生活支援について対応を行うため、生活実態の調査を行う考えはあるか、お伺いいたします。
○永田生活福祉部長 中国帰国者の生活の安定に向けましては、いわゆる呼び寄せの二世世帯に対しても就労の支援を行うとともに、子弟に対する教育機会を確保していくことは大変重要なことだというふうに考えております。
このため、東京都では、国の委託を受けまして、東京都自立研修センターに就労相談員を配置しているほか、同センターにおいて、民間企業の実体験を行う職場体験学習なども行っております。
また、日本語能力の不十分な児童生徒に対する教育機会を確保するため、都立高校におきます中国引き揚げ生徒のための入学者選抜を実施しているところでございます。
さらに、転入学時に自立指導員を派遣いたしまして必要な助言を行うとともに、都立高校への入学者選抜に際しまして、東京都自立研修センターから通訳あるいは生活相談員を派遣するなどの配慮をしているところでございます。
二世、三世の生活実態につきましては、先ほどの自立指導員、生活相談員の活動を通じて把握に努めているところでございまして、今後、そうした活動の中で、引き続き生活実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
○石毛委員 最後になりました。現在、国会において、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律が改正の手続に入っています。この改正法では、老齢基礎年金の全額支給と、それを補完する新たな給付制度の創立が二本柱となっていますが、経済的な支援とともに、各自治体において、今後ともきめ細やかな生活支援に積極的に取り組むことが重要であると考えます。
都として、区市町村に対する助言や補助金による地域支援施策を誘導することが必要だと思いますが、ご所見をお伺いします。
○永田生活福祉部長 中国帰国者等の日常生活等の諸問題に関する相談につきましては、基本的には国の責任で行うべきものというふうに考えてございますけれども、身近な区市町村の役割は重要であるというふうに認識をしております。
このため、都と区市町村で構成する中国帰国者対策連絡会を通じまして、区市町村の担当に情報提供を行うとともに、日ごろから必要な助言に努めているところでございます。
今後とも、中国帰国者の地域社会における早期の自立の促進及び生活の安定を図るため、現在、国において検討されている新たな支援策の動向も見きわめつつ、区市町村、関係機関と連携を密にしながら対応してまいりたいと考えております。
○石毛委員 東京都全体では、千五百名前後の中国帰国者が確認されているわけでありますが、毎年、その数は減少しております。残された時間が少ない彼らが、日本に戻ってきてよかった、また、東京で生活してよかったといわれるような今後の行政の努力を望みます。
以上をもって質問を終わります。
○大松委員 私は、家庭福祉員制度、いわゆる保育ママについてお伺いをいたします。
健全な社会の発達を望むならば、女性の皆様方の知恵や感性、力がさらに生かされる社会を目指していくべきであります。その女性の社会進出を促す保育サービスの充実は、時代の要請であります。
そして、時代や社会の要請は要請としまして、教育と同様、保育の目的は、子どもそのものであります。子どもの健やかな成長を目指しまして、幸福な人生の第一歩となるような良質な保育サービスに努めていくことは、政治の重要課題でございます。
そこで、東京都は「十年後の東京」の中で、社会全体による子育てと仕事の両立に向けた取り組みが求められているとして、多様な保育サービスの充実を目指しているところでございますけれども、現在、都内の待機児童数は約五千人でございます。
そして、きょうも資料をいただきましたけれども、この待機児童のうち、ほとんどが零歳、一歳、二歳に集中しておりまして、八割が三歳未満でございます。特に、乳幼児の保育サービスが不足しているのが現状であります。
そこで注目されますのが、保育士、看護師の資格を持って、保育の経験のある人が自宅で三歳未満の乳幼児を預かる、いわゆる保育ママでございます。家庭的な雰囲気の中できめ細かい保育を行い、産休明け保育や年度途中で認可保育所に入れない乳幼児の受け皿として、保護者から高く評価をされているところであります。
まず、都内の家庭福祉員の現状について伺います。
○松原参事 家庭福祉員の現状についてでございますが、平成十九年六月一日現在、都内の区市町村に登録している家庭福祉員の数は六百二十五名でございまして、これらの家庭福祉員の方々が受託している児童の数は千二百四十人でございます。
○大松委員 認可保育所の入所児童数が約十六万人、認証保育所が約一万人、これらの施設型保育に比べますと大変少ないわけでございますけれども、この保育ママ、そもそも昭和三十年代に始まりまして、息長く続いているサービスでございます。多様なサービスが求められる東京におきましては、この保育ママにもっと活躍していただける環境を整えるべきであります。
私も、就学前は保育所に四年間通いまして、その前の乳幼児期は、親の職場の近くの民家に預けられておりました。それが家庭福祉員の家だったかどうかというのは、ちょっと確認がとれないわけでありますけれども、就学後もそうした家庭の方々と長く交流が続きまして、温かい思い出として胸の中に残っているわけでございます。
私の地元の北区にも、保育ママ、頑張っていらっしゃる方がおられまして、そのお宅にお邪魔をしたことがございます。一歳、二歳のお子さんたちが本当に兄弟のように明るく遊んでいる姿が印象的でありまして、大変温かい雰囲気を感じたわけでございます。
そして、ぜひこの東京におきましても、待機児童解消のためにも、また良質で多様な保育サービスの充実のためにも、家庭福祉員を拡充するべきでございます。都の取り組みを求めます。見解を伺います。
○松原参事 東京都といたしましては、家庭福祉員制度が、委員ご指摘のように、低年齢児に対する保育の方法として高く評価されていることを踏まえまして、今後、多様な保育サービスを担う重要な一つの形態として、規模の拡大と質の向上に取り組んでまいります。
○大松委員 そこで、都の要綱には、家庭福祉員の資格として、現に養育している六歳未満の子どもがいないことと定められております。公私混同を避けるためということでありますけれども、一方で、若い保育ママの皆様方からは、子育て支援の一環である家庭福祉員の仕事をしてきて、自分に子どもができたときは子育て支援が受けられずに、家庭福祉員という仕事もやめなければならないことに矛盾を感じるとの声が上がっております。
先ほど紹介いたしました北区内で仕事をされています保育ママの方も、もともとは保育所で保育士として働いていたわけでありますけれども、もっときめの細かい保育をやりたい、こういう思いで自宅を改装して保育ママに転職された方であります。同じ保育の仕事をやりながら、保育所の保育士は、自分の子どもを他の保育所に預ければ仕事を続けられるわけでありますけれども、保育ママの場合はそれができないということに対しましてジレンマを感じておられるわけでございます。
保育の安全性、こうしたことも課題になると思いますけれども、保育ママの制度を広げていくためにも、ぜひこうした資格要件の見直しに向けた検討を行うよう要望いたしまして、質問を終わります。
○吉田委員 私は、後期高齢者医療制度及び特定健診への対応、さらに障害者の就労促進及び福祉人材の確保の問題について、この機会に質問させていただきます。
まず第一に、後期高齢者医療制度です。
後期高齢者医療制度は、ご承知のとおり、七十五歳以上の高齢者を国保や健保から切り離し、高い保険料を年金天引きで徴収しながら、診療報酬は別建てとし、保険適用の制限を設けるというものです。
我が党は第三回定例会の代表質問で、実施を凍結し、全面的に見直しを政府に迫るよう求めました。知事はその答弁で、今後、国の動向を十分見きわめながら適切に対応してまいりますと答弁をいたしました。
その後の状況はどうかといえば、先ほどもお話がありましたけれども、政府の見直しは、新たに被保険者となった方への限定的な対応であり、また、広域連合の保険料の案が示され、今、審議されているかと思いますけれども、具体的な保険料案も示されました。そして、区市町村や議会からは見直しを求める意見書が相次いでおります。計画を知った高齢者からは、まさに年寄りは早く死ねということかなどの怒りの声も上がっております。
改めて、現時点でどのように事態を見きわめているのか。四月実施の中止を政府に求めるべきだと思いますが、ご答弁をお願いいたします。
○永田生活福祉部長 現在、全国の広域連合で保険料が順次決定されておりまして、また国では、一連の医療制度改革による自治体の財政負担状況を把握する上で必要な算定式を、今月下旬から来月にかけて各自治体に提示する予定となってございます。東京都といたしましては、このような状況を慎重に見ていく必要があるというふうに考えております。
また、後期高齢者医療制度についてでございますけれども、国の説明によりますと、我が国では急速な少子高齢化、国民生活の変化など大きな環境変化に直面をしており、国民の生活と健康を支える医療制度についても、時代に見合った制度への変革が急務とされており、今回の後期高齢者医療制度もその改革の柱の一つとして、世代間の負担を明確化し、公平でわかりやすい制度とすることを目指すものであると認識してございます。
○吉田委員 負担の公平という国の説明を紹介されましたけれども、後で述べますが、今の保険料の案では、七十五歳以下の方々の国保料よりも、所得の低い方の場合には、新たな七十五歳以上の今回の後期高齢者医療保険の方々の保険料の方が高まるということがありますし、さらに、この制度のねらいが、私も団塊の世代の一人でありますけれども、そうした団塊世代の高齢者に対応するというもとでつくられているということも聞いております。
そもそも、ヨーロッパ諸国など国民皆保険制度の確立した国で、年齢で被保険者を切り離し、保険料、医療内容などに格差をつけている国はないと認識しております。まさに本制度は世界的にも驚くべき高齢者いじめの制度であり、改めて四月実施の中止を求めるべきだという意見を述べさせていただきます。
同時に、これが具体的に実施ということになれば、当然、高い保険料の引き下げや健診の無料継続、あるいは滞納する高齢者に対して保険証を取り上げるなどということが起きないように、広域連合や区市町村任せにせず、都としても必要な対応をとることが私は求められているというふうに思います。
とりわけ重大な問題は保険料です。先ほどのご答弁の中で、国保料の平均よりも、今回の後期高齢の提案されている保険料の方が平均で低いとか、他県との関係でも低いということが強調されました。しかし、広域連合が発表した具体的な所得階層別の現在の特別区や市町村の国民健康保険料あるいは税額と、提案されている後期高齢者医療保険の金額を見れば、例えば区部で見ますと、年金収入が三百八十八万、旧ただし書き所得で見れば二百三十五万以下の層は、確実に今回の方が保険料が上がります。さらに市町村の場合で見ると、すべての階層で、現在の保険料よりも、国保料よりも上がるという試算が既に提供されているんですね。平均だけでなくて、こういう実態を私は見る必要があると思うんです。
もう一つ、現在の国保料よりも、しかも上がる率というものは、例えば区部の場合で、旧ただし書き所得十五万から二十万の方々の場合には、現在の国保料よりも約二・二倍、四十万から六十万の階層の方々は一・八五倍上がるというふうに計算することができるんですね。それを平均で置きかえて、いかにも下がるかのように強調されることは、正確な事態の説明に当たらないと思うんです。
二つ目に、保険料の問題とあわせて見ておく必要があることは、そもそも、後期高齢の新たな保険料負担だけではなくて、この三年間の間に税や社会保障をめぐる負担が、もちろん高齢者だけではありませんが、高齢者は特に集中するような改定が連続的に行われたと思うんですが、そういう事態をどのように認識していますか。
○松井企画担当部長 高齢者に限定したものではございませんけれども、平成十一年度以降、景気対策のための臨時の措置として継続されておりました定率減税が、平成十七年度税制改正で二分の一に縮減、平成十八年度税制改正で廃止となりました。
また、平成十七年度税制改正で、六十五歳以上の住民税非課税措置が廃止されることとなりました。なお、これにつきましては二年間の経過措置が設けられております。
これらは、景気状況に改善が見られたことや、社会保障給付等に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うためのものと理解しております。
また、これらの税制改正に伴い、国民健康保険料や介護保険料も影響を受けることとなりますが、保険者であるそれぞれの自治体におきまして料率を見直すなどの対応が行われたところでございます。
○吉田委員 今、増税と負担増の一部を紹介されましたけれども、制度は一々なぞりませんけれども、私が強調したいのは、その結果、高齢者の方々の負担はこの二年間で急増しているということなんですね。
例えば、杉並区が議会に対する資料として作成したものを見ますと、杉並区において単身で公的年金百八十万円の方の場合に、二年前、住民税あるいは所得税も非課税でした。介護保険料、国保料は、合計で年間で三万六千円余でした。それが今年度どういうふうになったかといいますと、住民税も所得税も課税で、合わせて二万八千五百円。それに介護保険料の改定、連動した国保料の値上げと合わせて、この二つの負担で十万円余。合わせて約十三万円の新たな負担増が公的年金百八十万の方にかぶさっているんですね。
そして、そういう人に今度は、このままいきますと、来年からは、現在の国保料よりもさらに後期高齢医療保険の保険料の方が高くなると。
そういうふうにトータルで後期高齢の方々の負担がふえるんだということを、私は東京都としてもしっかり認識して、広域連合や区市町村と連携した対応策をとることが求められていると思うんですが、こうした事態を東京都としてどのように認識しているのでしょうか。
広域連合でも議論され、区市町村でも検討されていると思いますが、さらなる低所得者対策が必要だということが議論されているんですが、東京都としては、その点どのような認識なのでしょうか。
○永田生活福祉部長 広域連合の資料によりますと、被保険者の半数近くが、低所得者層に対する均等割軽減措置や被用者保険の被扶養者に対するさらなる激変緩和措置など、何らかの保険料軽減措置の適用を受けるということでございます。
その上で、さらなる保険料軽減措置を講ずるかどうかにつきましては、運営主体である広域連合及び構成団体である区市町村が政策判断と責任において決めることであると考えております。
○吉田委員 半数が何らかの軽減を受けることになるだろうというご答弁がありましたが、軽減を受けたとしても、先ほどいったように、現在の国保料よりも、その方々は負担が上がるんですよね。それも二倍近かったり、一・五倍だったりという方が現実に生まれるわけです。
したがって、その運営主体であります広域連合や、また直接の当事者であります市町村の中でも、さらなる負担軽減策をとりわけ低所得者対策ではとる必要があるということで議論がされているということを私は見る必要があると思いますし、保険料の決定者は広域連合や区市町村ですけれども、しかし、こういう高齢者の方々の医療や、あるいは生活がどうなるのかという点での東京都としての基本的責任というものはないんだということはあり得ないと思うんですね。
やはり東京都としても、都民である高齢者の方々の健康や医療に対して基本的責任というのは当然あると思うんですが、それはどうお考えでしょうか。
○永田生活福祉部長 東京都の責任というお話でございましたけれども、東京都は高齢者医療確保法に基づきまして応分の負担を負っているところでございます。
また、高齢者の対策でございますけれども、高齢者施策の総合的、基本的計画といたしまして東京都高齢者保健福祉計画を策定いたしまして、高齢者にかかわる福祉保健を初めとする幅広い施策を総合的に展開しているところでございます。
○吉田委員 後でも述べますけれども、やはり応分の負担だけでは済まされない事態が生まれていると思いますし、保険料負担の影響ということについても、私はぜひ東京都として直視をして対応していただきたいと思うんです。
さらに、もう一つだけ取り上げますけれども、それは健診の自己負担の問題です。これまで老健法に基づく健診は、一部を除いて多くの区市町村が無料で実施してまいりました。来年から特定健診に移行し、直接の事業主体は区市町村から国保に変わりますけれども、私が聞いている話では、引き続き特定健診についても、多くの区市町村では無料が継続できるように努力をするというふうに聞いています。
ところが、広域連合の場合には、さまざまな努力はいたしましたけれども、結果的に、七十五歳以上の被保険者に対して五百円程度の自己負担を求めるということで制度設計が進められています。広域連合が実施をした意向調査でも、この健診の費用負担については、保険料ですべて賄ってほしい、あるいは税金と保険料で賄ってほしいという回答が対象の方々の多数を占めるということになりました。
区市の財政力の格差にかかわらず健診は無料として、健診の受診が高まるように都としても対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○永田生活福祉部長 広域連合では、健診につきまして、受診する人と受診しない人との公平を図るため一律五百円の自己負担を設けるが、各区市町村が特定健診との整合を図るために無料とした場合には、区市町村の負担とするとしてございます。
運営主体である広域連合及び構成団体である区市町村の方針を尊重していくべきだというふうに考えております。
○吉田委員 特定健診そのものが、先ほど議論がありましたけれども、七十五歳以下の場合には、国三分の一、東京都三分の一という仕組みがありながら、この七十五歳以上については、都三分の一の仕組みがないということが設計上ではもともとあるわけですけれども、そうした対応も含めて、また、区市町村の財政力によって無料、有料などということにならないような、まさに広域自治体としての東京都としての対応を改めて求めておきたいと思います。
いずれにしても、保険料を引き下げる点や、また健診の無料化を進めるという点でも、行き着くところは、その財政的な負担をどのように進めていくのかということに帰着すると思います。
本来、区市町村からも広域連合からも要望があるとおり、国がみずからの負担を十二分の三に縮めて、十二分の一については、各都道府県の所得状況に応じて調整するという財政負担の構造そのものに私は大きな問題があると思います。
具体的に、今回、東京に対して所得係数を一・七というふうに示しました。その結果、調整交付金は一〇〇%東京は来なくて、五八%。金額的にどれだけ満額に対して来ないかというと、二百二十七億円。何と一人当たりだと二万円来ないということになるわけですよね。
したがって、第三回定例会でも要望したかと思いますけれども、やはり区市町村や広域連合が要望しているように、国に対して少なくとも、調整交付金枠は別枠として、十二分の四をきちんと都道府県に交付するよう求めることが東京都としても問われていると思うんですが、いかがでしょうか。
○永田生活福祉部長 国の調整交付金でございますけれども、国の説明によりますと、広域連合間における被保険者に係る所得の格差による財政の不均衡を是正するために設けられているとのことでございます。
現在、全国で、広域連合で保険料率が順次決定されているところでございまして、全国的な保険料水準を見きわめていく必要があろうかというふうに考えております。
○吉田委員 先ほどから見きわめてというご答弁が多いんですけれども、やはりそろそろ、きちんというべきことはいうという局面に私はあるというふうに思います。
それで、先ほど、東京都としても応分の負担をしている、あるいは各種計画を立てているということを述べましたけれども、私はやはり、当然のことではありますけれども、東京都が都内に暮らす高齢者の暮らしや健康、医療について責任を負うという、その責任はいささかも免れることはできないと思いますし、法的にいえば老人福祉法がありますよね、先ほどの計画の前提になっていますけれども。この第四条では、国及び地方公共団体の責務として、国及び地域公共団体は老人の福祉を増進する責務を有すると。そして、第二条に規定する基本理念が具現されるように配慮しなければならないというふうに都道府県にも求めています。
この第二条に規定する基本理念というものはどういうことかといえば、老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、健全で安らかな生活を保障されるものというふうに書かれているんです。今の後期高齢医療制度の保険料負担では、私はこれでは安らかな生活というのは保障できない。そういう基本的な責務から見ても、財政的支援ということが東京都に求められていると思いますし、知事は珍しく我が党への答弁で、結果として貧しいお年寄りは早く死ねということになっては決してならないと思いますという決意を表明されました。
まさにその責任が、私は今、問われていると思うんですけれども、そこでまず確認しますが、先ほど法的な負担について出しているというご答弁がありましたが、それ以外にも、東京都として独自に補助金や交付金を出す、貸し付けるということはできるんじゃありませんか。
○永田生活福祉部長 高齢者の医療確保法におきましては、第一〇二条で、国は、予算の範囲内において、後期高齢者医療に要する費用の一部を補助することができるとしております。
また、第一〇三条で、都道府県、市町村及び後期高齢者医療広域連合は--ちょっとここからは条文を読みかえてご説明いたしますが、定率負担の十二分の一、保険基盤安定負担金、財政安定化基金、高額医療費負担金のほか、後期高齢者医療に要する費用に対し補助金を交付し、または貸付金を貸し付けることができるとしております。
都の法定負担分は、広域連合の試算によりますと約七百七十億円でございまして、広域連合の安定した財政運営のために応分の規模の財政負担を担ってまいります。
○吉田委員 要するに、結論的には、規定するもののほかに、要する費用に対して補助金を交付し、貸し付けることができるということがわざわざ法にも明記されているわけですよね。しかも、七百七十億出すという旨の話が今、繰り返しありましたけれども、そして、先ほどの質疑の中では、区市町村の負担金額についても六百億余というような金額がありました。
しかし、広域連合の資料を見ても、保険料の引き上げを抑えるために、区市町村は百億からの、保険料に込みにしてもいいものを独自に切り離して負担するという努力をしているわけですよね。私は、そういう点では、保険料負担軽減は区市町村と東京都が共同して担うということが求められていると思うんです。
昨日いただいた資料では、区長会、市長会、町村会、三者一致した要望として、第一に、低所得者対策として年金収入二百四十五万までの軽減措置を求める。金額的には十五億円。すべての保険者の負担軽減として七十億円。さらに、保険事業への、区市町村国保と同様の三分の一の支援をしてほしいという三点の要望が出されております。
三定で我が党は、保険料引き下げ、健診事業への都としての財政支援を求めたことに対して、局長は、広域連合の検討状況や国の動向を見きわめ、注視し、適切に対応してまいりますというふうに答弁されました。保険料額や国の対応もほぼ明らかになりつつあり、また、区市町村からこれだけの要望が明らかになっているわけですから、現時点として都として財政支援を決断すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○永田生活福祉部長 東京におきます後期高齢者医療制度の運営につきましては、運営主体である広域連合及び構成団体である区市町村の政策判断と責任によるものでございます。
今後、順次明らかとなる全国の保険料の水準や、一連の医療制度改革による自治体の財政負担の状況などを慎重に見ていく必要があると考えております。まず、この点を見きわめた上で判断をすべき問題であるというふうに考えております。
○吉田委員 先ほど申し上げましたけれども、広域自治体として、また都民の暮らしや医療に責任を負う自治体として、後期高齢の方々への新たな負担増などを抑制するために、東京都が区市町村と共同して努力をするということを改めて求めておきます。
次に、国保組合に対する特定健診、保健指導への支援の問題について若干質疑をさせていただきます。
私は、第一回定例会の厚生委員会でもこの問題を取り上げて、東京都として、国保組合が行う特定健診、保健指導への支援を要望いたしました。その際、国の対応がつまびらかでない、国の動向を見守っていくという旨の答弁がありました。
しかし、結果的に国は、概算要求でこの国保組合に対する補助金を要求したというふうに聞いていますが、まずこの事実について説明していただきたいと思います。
○永田生活福祉部長 国からの情報によりますと、厚生労働省は、国民健康保険組合につきましても、区市町村国民健康保険との均衡を図る観点から、国民健康保険法第七十四条の規定により、特定健康診査及び特定保健指導に要する費用の三分の一相当分を概算要求したというふうに聞いてございます。
○吉田委員 それで、先ほどのご答弁の中で、都としても財政支援を検討している旨のお話がありましたけれども、国の概算要求では、区市町村国保と同様に三分の一負担ということが入っていると。そうしますと、東京都も、この国の三分の一に対応した財政支援を検討しているということなのでしょうか。
○永田生活福祉部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、東京都は、区市町村国民健康保険との均衡も考慮いたしまして、国民健康保険組合の特定健康診査等につきまして必要な額を予算要求しております。
○吉田委員 必要な額といいますが、均衡ということになると、三分の一負担ということになるのかなというふうに思います。ただ、私、強調したいのは、財政支援をすることは当然結構で、必要なことなんですけれども、国保組合は、市町村のように三分の一では到底やりくりが困難になるという問題があると思うんですね。
そもそも国の設計では、まず特定健診などに要する費用の三〇%は自己負担というふうになっています。しかし、当然、市町村の場合には、この三〇%分も、無料にするために市町村が負担をするという傾向がほとんどだと思うんですね。
もし国保組合が自己負担なしということになりますと、総費用の三〇%は、それ自身、国保組合の負担となってはね返ってきます。それに、残された事業費の七〇%、七割分の三分の一が国保組合の負担となるということになれば、それ自身、市町村は税の対応がありますが、国保組合の場合には組合員の保険料で賄うという状況の中で、これだけの負担が入るというのは非常に大きいものがあると思うんですが、自己負担及び市町村国保に準ずる三分の一負担が求められた場合、一人当たり、金額にしてどれぐらいの負担が国保組合の負担になるのか、ご答弁できるでしょうか。
○永田生活福祉部長 特定健診の実施費用でございますけれども、それぞれの医療保険者が健診実施機関と協議して決めるものでございますので、一概にはちょっと申し上げられません。
国が補助金を概算要求する際に用いた考え方によりますと、基本的な健診項目を個別健診方式で受診する場合、健康診査一件当たりの所要額はおおむね七千五百円としてございます。受診するご本人がその三〇%を負担し、医療保険者は、残り七〇%のうち国等が補助する額を除いた額を負担するとの説明を受けてございます。
○吉田委員 七千五百円の、これは一つの仮定ですけれども、計算しても、私の計算だと、それだけで国保組合の負担は四千円程度になるのではないかなというふうに思います。
しかもご承知のとおり、例えば建設国保の場合には、アスベスト対策としてレントゲンを健診に組み込むことが不可欠です。それだけでも、例えば単価二千円程度ということになると、一人当たり六千円相当の負担にもなりかねないということは十分予想されると思うんです。
これまで東京都は、国保組合に対しては、その健全な育成といいますか、運営を支援してくるという立場をとっていましたけれども、これだけの負担が、特定健診、特定保健指導という、全く今まで負担する必要のなかった分野で発生すると、本体の運営にも極めて深刻な影響が及びかねないことだと思います。ぜひ、こうした状況をしんしゃくした財政支援になることを要望として述べておきます。
三つ目のテーマ、障害者の就労促進について、これは基本点について何点か確認する意味で質問させていただきます。
第一は、何よりも、障害者の一般就労を促進していく上でさまざまな課題がありますけれども、東京都自身が先頭に立って努力をするということが重要だと思います。
例えば具体例として、知的障害者の分野では、国はチャレンジ雇用を始めたというふうに聞いており、東京都でも実施が要望されています。
また、視覚障害者の雇用という点では、高卒の方々を対象とした点字試験はないということも聞いています。
さらに、ご記憶だと思いますが、かつて都庁の中の清掃管理では、障害を持っている方々が随分携わっておりましたけれども、委託業者の変更によったのでしょうが、そうした清掃管理などに障害者の方が携わるという姿を都庁で見ることは最近なくなってしまいました。
今挙げた事例は、すべて福祉保健局と直接かかわらないセクションの範疇になることかもしれませんけれども、いずれにしても、該当部署に働きかけることを含めて、まず東京都が障害者雇用の先頭に立つということが求められていると思いますが、基本姿勢としていかがでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 障害者雇用についての福祉保健局の認識についてでございますけれども、福祉保健局としましては、当然のことですが、障害者の方々が地域で自立した生活を実現する上で、就労の問題は非常に重要であるというふうに認識しております。
したがいまして、福祉保健局では、関係局とともに、知的障害者、精神障害者の方の一般就労への移行促進を図っていくことを目的としまして、都庁内の職場体験実習を既に実施しているところでございます。
○吉田委員 他局にかかわることはなかなかご答弁できないかもしれませんけれども、ぜひ都庁が先頭に立つという点で、福祉保健局としてイニシアチブを発揮していただきたいと思います。
二つ目の質問はその関連なんですけれども、障害者雇用の促進は、福祉保健局はもちろん、職員採用だったら総務局、契約の所管だったら財務局、教育だったら教育庁という全庁的な体制での検討と対応が必要だと思います。
また、兵庫県では、そうした県の組織だけではなくて、労働関係団体、福祉関係団体、教育関係団体、経営者団体や労働団体などを含めて、兵庫県雇用就業支援ネットワーク推進委員会というものを結成して障害者雇用を総合的に推進しているということも聞いております。
既に東京都でも同様の努力を始めているというふうに聞いていますけれども、都として、今後こうした点でどのような努力をしていくのか、ご答弁をお願いいたします。
○松浦障害者施策推進部長 障害者の就労支援についてでございますけれども、東京都におきましては、「十年後の東京」に掲げました、十年間で障害者雇用の三万人の増加を目指しまして、経済団体、企業、行政から構成される東京都障害者就労支援協議会を本年十月に設置しているところでございます。
庁内につきましても、福祉保健局、知事本局、総務局、産業労働局、教育庁など関係各局から構成される東京都障害者就労支援協議会事務局会議を設置しまして各局間の連携をしているところでございます。
こういうことによりまして、今後とも関係機関が連携を図り、新たな雇用拡大に努めまして、障害者の企業への就労を促進してまいります。
○吉田委員 三つ目に質問し、訴えておきたい点なんですけれども、それは、一般就労と福祉的就労のトータルでの障害者の就労と自立した生活への支援が必要だという点です。当然のことですね。
とりわけ父母の皆さんからも訴えられておりますけれども、養護学校卒業生は年々増加しており、これに見合った福祉的就労という点では、作業所や授産施設などの整備、運営への支援が必要と考えておりますが、基本的な姿勢についてご答弁お願いいたします。
○松浦障害者施策推進部長 福祉的就労の受け皿の整備ということと思いますけれども、東京都はこれまでも、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランに基づきまして、障害者が障害の特性や障害程度に合わせまして的確に選択できるよう、福祉的就労の場を整備拡充してきたところでございます。
また、本年五月に策定した障害福祉計画におきましては、この三か年プランを拡充し、特別助成により、今後とも福祉的就労の場のさらなる拡充を図っていくということでございます。
○吉田委員 この問題の最後に、就労支援とともに、居住の場を初め、地域での全体的な支援体制の構築が求められていると思います。
例えば知的障害の分野では、通勤寮の継続、拡充という課題がありますし、グループホームの整備、運営への支援なども継続していく必要があると思いますが、こうした点についてどのように考え、計画をしているのか、ご答弁をお願いいたします。
○松浦障害者施策推進部長 居住の場につきましても、同様に障害福祉計画に基づきまして、グループホーム、ケアホームなどの地域生活基盤につきまして特別助成により重点的に整備しておりまして、今後とも障害者が地域の中で自立し、安心して暮らせるよう、障害者施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。
○吉田委員 ご承知のとおり、国連では、障害者権利条約が昨年全会一致で採択されました。批准と現行法の見直しというのが、国だけではなくて、東京都レベルでも新たな課題として浮上してきていると思います。
先日、山加さんを初め、東京都盲人福祉協会の大会に参加しましたけれども、改めてスローガンでさまざまな就労に関する要望を見て、私はやはり、障害者の平等ということが強調されているんですけれども、同じ仕事はできないかもしれませんが、やはりきちんと就労の場が保障されてこそ、本当の平等が実現するのではないかなという思いをそのとき痛感したんですけれども、ぜひ障害者の就労支援のために、全力でこれまで以上に努力していただきたいという要望を述べておきます。
さて、最後の質問、取り上げたいテーマで、福祉人材の確保についてです。
ご承知のとおり、今、福祉人材の確保は、きょう、この委員会でも質疑がありましたけれども、極めて深刻な状況となっています。
私も、園長や施設長の皆さんにお話を聞いてまいりました。例えば私が訪れた私立の保育園では、サービス推進費が毎年五百万単位で削減され、その中でどうやって給与や一時金を維持していくのかということに園長は悩んでいました。
また、やっとの思いで採用した職員が、やっと覚えた程度の三年あるいは五年で退職をする。中には、民間の将来に不安を感じて、黙って公務員試験を受けて退職をするということに園長は胸を痛めておりました。
これは小規模ですけれども、特養ホームの施設長からは、一つの例として、看護師二名が確保できないと運営費が二割削減されるんだそうですね--という話を聞きました。したがって、二名にならなかったために、必死になって看護師さんを確保する努力をしたんだと。もう職員の質など気にしていられないと、まあ、これはいった通りのことをいっているんですが、そういう声が上げられました。
東社協は、危機的な状況だと宣言をして打開の提案を進めておりますけれども、今後、高齢化が進む中で、私は、東京の将来にも、そして現在のサービスの質にも直接影響を及ぼす重大な問題だと思いますが、まず、東京都が、今日の福祉人材をめぐるこうした状況についてどのように基本的な認識を持っているのかということについて伺いたいと思います。
○松井企画担当部長 福祉人材をめぐる状況についての基本的な認識ということでございますけれども、これは第三回都議会定例会でも局長からご答弁いたしましたけれども、経済の回復基調とともに民間企業の求人が活発化する中で、福祉分野における人材の確保は厳しい状況であるというふうに認識しております。
○吉田委員 厳しいのはそうだと思うんですよね。ちょっと私の質問が十分伝わらなかったかもしれませんが、例えば東社協は、先ほどいったように、ことし五月だと思いますが、提言を発表いたしました。その中では、福祉人材の確保について危機的な状況にあり、早急な対応を図らなければ、東京の福祉水準の将来に大きな禍根を残すという危機感を抱き、福祉関係者挙げて社会に訴えるというふうに冒頭書かれています。
そして、人材の確保が進まなければ、その育成も困難になり、今、確保しておかなければ将来の育成もできないんだ、ひいては、今後の福祉施設におけるサービスの質に大きな影響を与えることが考えられるという認識のもとに提言策を打ち出しているんですね。
ですから、厳しい状況にあるというのは事実なんですけれども、私はやはり、東京の現在と将来の福祉に重大な問題が、これを放置したら生まれかねないという、お持ちなのかもしれませんが、そういうことをいってほしかったんですよ、率直にいって。そういう認識で取り組んでいただきたいというのが第一にいいたいことです。
二つ目にただしたいことは、解決するためにさまざまな課題があると思うんですよ。あるいは育成、養成ということになってもいろいろな課題がありますが、とりわけその中で何を解決することが求められているのか。逆にいえば、何が今、こういう深刻な事態を生み出している一番の要因なのかということについて伺いたいんです。
私の認識は、結論的には、他の産業などと比べても福祉分野というのは賃金が低い、あるいは不安定な雇用も多くて将来的な展望が見られない、そういう処遇の改善が何よりも最優先の課題ではないかなというふうに思っております。
時間が押してきておりますが、具体例として、寄せられた声を一つ紹介いたします。私の勤める都内の児童養護施設では、人件費が低く抑えられ、経験年数が十年になる私は、さまざまな手当を入れても月額二十万に届かない状況です。新たに理事会が提案している賃金案では、役職のない保育士、指導員は、四十年間勤めても基本給は最高で二十三万円、夏冬の一時金は年間で二カ月にも届きません。子どもが好きだから、専門性を高めて続けたいと思っていますが、中途退職者がふえて仕事がきつくなり、だけれども、自分がやめれば、居場所を選択できない子どもたちはどうなるのかと悩む日々ですという一人の方の声ですけれども、こういう声が寄せられています。
私は、給与を初めとする処遇の向上が何よりも急務だと思いますけれども、福祉保健局としては、福祉人材確保にとって、何が今、最優先で解決すべき課題だという認識を持っているのでしょうか。
○松井企画担当部長 福祉人材の確保に当たって解決すべき課題ということでございますけれども、労働環境の整備、就労あっせん機能の強化、人材育成策の充実などが考えられると思っております。そして、以下のような、今から述べますけれども、対応を既に行っております。
まず第一でございますけれども、労働環境の整備につきましては、本年五月、国に対して、大都市の特性を踏まえた望ましい介護報酬のあり方についての提言を行ったところでございます。これは、先ほど高齢部長の方からもご説明いたしました。
第二の就労あっせんにつきましては、福祉人材センターにおきまして、キャリアカウンセラーによる専門相談やインターネットによる求人情報システムなどによる支援を実施しております。
第三に、人材育成策の充実につきましては、本年八月に東京都社会福祉審議会から出された意見具申を踏まえまして、効果的な人材育成施策のあり方について検討を行っているところでございます。
○吉田委員 いろいろなことを紹介されましたけれども、先ほどの石毛委員の答弁の中でも、介護職場の離職率の理由の第一に挙げられたのが待遇だということで、三割回答があったというお話がありましたよね。やはりその問題の解決が、いろいろなことをやるのは必要ですけれども、何よりも求められていると思うんです。
ちなみに、ことしの八月ですか、国が発表した福祉人材確保指針の改定版でも、人材確保の方策の第一に労働環境の改善を掲げ、キャリアと能力に見合う給与体系の構築を図ることを示し、給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給表等も参考にすることというふうに挙げています。
そこでお伺いしたいんですが、東京都としては、この国が示した福祉人材確保指針、当然これに基づいて努力することが東京都としての責務だと思いますが、どのように対応しようとしていくお考えでしょうか。
○松井企画担当部長 国は、本年八月、社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針を示しました。
指針では、労働環境の整備やキャリアアップの仕組みの構築、福祉、介護サービスの周知、理解、潜在的有資格者等の参入促進、多様な人材の参入、参画の促進などの就労あっせん機能の充実を柱としております。
また、地方自治体は、個々の経営者では対応が難しい人材確保の取り組みや人材育成を支援することが必要であるというふうにされております。
東京都といたしましては、先ほども申しましたけれども、介護報酬に関する国への提言、第二に福祉人材センターによる多様な就労支援、第三に社会福祉審議会の提言を踏まえた効果的な人材育成策の検討を行っております。
○吉田委員 私は、とにかく経営者の努力ではどうにもならない。そのために、例えば介護の分野では、国に、介護報酬を引き上げて、人材確保を解決するために適切な賃金が支払えるような状況を東京都自身が求めているわけですから、介護分野だけではなく、また国に求めるだけではなく、東京都としてのこの点での対応が求められていると思うんですね。
もう一つの問題は、私は、大きな社会的な問題になっています非正規雇用の増加の問題だと思うんです。
社会的に、非正規雇用の増加が今日のワーキングプアの原因の一つということをいわれておりますけれども、これは福祉の分野も例外ではないどころか、極めて深刻に進んでいると思います。資料でも出していただきましたけれども、例えば認可保育所の分野で見れば、非常勤職員の比率は年々増加し、三五%になっております。
この点でも一例紹介しますと、非常勤の方々は、常勤並みに働いてもなかなか、給与が低い水準を強いられているという例ですけれども、例えば生活保護法に基づく三多摩の救護施設で働く青年は、常勤と同じ時間で同じ仕事をしていますけれども、毎月の給与は手取りで十一万円。まさに生活保護法に基づく救護施設で働く人が生活保護基準以下の生活を余儀なくされるというふうな事例があるわけですよね。
しかも、すべて否定はしませんけれども、非正規雇用の増加ということは、福祉のサービスそのものにとっても、一つの欠陥、問題を生み出すものだと思いますけれども、私はやはり福祉の分野でも正規雇用が拡大されるように東京都としても対応を検討すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○松井企画担当部長 福祉施設におきましては、ニーズの多様化、高度化により、弾力的で創意工夫を凝らした運営を行うことが求められております。例えば常勤職員と非常勤職員をバランスよく組み合わせることにより、食事の時間帯など、必要なときに必要なサービスを提供することが可能となります。
職員の採用形態につきましては、利用者サービスの向上と経営の健全化ということを考慮いたしまして、経営者が判断すべきものであると考えております。
○吉田委員 経営者の判断だというふうにいわれましたけれども、例えば東京都は、福祉法人の経営改革に関する提言というものを、これは第三者も含めての提言だったかもしれませんが、その中では、多様な雇用形態の活用、非常勤職員や臨時職員などの活用ということを強調してきたんですよね。そして実際に、例えばサービス推進費などにしても、先ほども述べたような、これまで受けてきたところで毎年五百万ずつの削減を余儀なくして、正規職員が減っても非常勤で対応せざるを得ないような状況をつくってきたと思うんです。
知事自身、東京の低所得者の問題に言及したときに、こういうふうにいっているんですよね。構造改革を進めてきましたけれども、その一方で、生活保護や非正規雇用が非常にふえたと。ちなみに、この非正規雇用のふえ方は、全国は一・五倍だけれども、東京の場合には二倍にふえているんだということを問題提起しているわけですよね。その一翼を福祉分野が担っているし、東京都がある面では経営改革の名前でこういうことを促進してきた。
また、先ほど述べた賃金、処遇という点で見ても、例えば特養ホームに対しては、年間約二百億からの都加算事業を行ってきたわけですよね。これを介護保険を理由に廃止して、それに比べて六分の一程度の特別経営支援という形で置きかえる。
そういう点では、東京都が行ってきたことが、私は福祉人材の確保を困難にするという点での責任というものは免れることはできないんじゃないか。そういう意味で、サービス推進費や、あるいは特養などに対する経営支援事業などについても、現実の状況に立脚して再検討していただきたいと思うんです。
ちなみに、東京都がかつて出した文書の中で、社会福祉法人改革の提言では、福祉に人材が集まらない時代において、施設職員の給与水準を向上させることにより、福祉人材の確保にとって大きな役割を東京都は果たしてきたという文言がありました。そういう努力が私は今、求められていると思うんです。
最後の質問ですけれども、そうした真に実情にかみ合った対応策を、都としても改善していく上で、実態調査、ニーズ調査、どういう要望を事業者が持っているのかという調査が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○永田生活福祉部長 福祉人材に関する実態調査のお話でございますけれども、東京都福祉人材センターにおきましては、平成十六年度には紹介就職者の就業状況に関する調査、平成十七年度には訪問介護、居宅介護事業所における職員採用状況調査として、福祉人材の求人、求職や就業状況についての調査を実施しております。
また、今年度は、社会福祉施設における採用と定着に関する実態調査といたしまして、現在調査を行っているところでございます。
今後とも、必要に応じて実態の把握に努めてまいります。
○吉田委員 調査を行っているということですけれども、内容を確認することはできません。しかし、人材確保にとって何が必要なのかという点で、事業者の要望などがわかる調査をぜひしていただきたいと思うんです。
私、非常に注目したんですけれども、福祉保健局が作成した東京の福祉保健の新展開二〇〇七の中で、広域的なシステム全体の調整者としての都の役割をきわめますという箇所がありました。
その第一に、科学的政策システムの構築という項目があって、従来のような手法だけでなく、〔1〕社会調査、ニーズ調査、〔2〕研究、〔3〕政策立案というプロセスを踏むことにより、政策を科学的に展開していくことが有効だというふうに強調されましたけれども、まさにそういう精神で調査をし、そして、それに基づいて抜本的な福祉人材確保策をとることと、また支援をしていただきたいということを述べて、私の質問を終わります。
○野島委員 先ほどは石毛委員の方から、そして今ほどは吉田委員の方から、福祉人材の確保について質疑があったところであります。重複は避けてと思っておりますが、重複を避けて質問するほどの能力はございませんので、重複しておりましたら、答弁は一緒で結構でございますので、そんな前提でひとつ何点かお聞きしたいと思います。
私の方は、介護保険施設における福祉人材の確保、このジャンルでお聞かせいただきたいと思っています。
実は、私の近くに特別養護老人ホームがございまして、これは百人規模でございます。認知症も込みでございまして、この法人は、そこのみならず、あと、ほかの市でも同様の規模の特養を運営しているんですね。この施設長と私、極めて仲がよくて、この施設長はそこの施設長をする前は、民間の有料特養とその当時いっていたんですが、そこの経営をしていた経験もあるんですよ。したがって、社会福祉法人立あるいは民間の、今は一般的には有料老人ホームといってますかね、そういったところのことも踏まえていろいろ意見交換する機会をいただいております。
実は、福祉人材の、介護の現場における人材の確保は、バブル崩壊後は結構気楽に採れたんですね。こういう人がいるんだけれども、どうなんて--そういうことを、別に立場を使ってやったわけじゃないですよ。紹介申し上げると、いやいやと、こういう。そのうち、何とか野島さん、人がいませんかと、こういう話になりまして、いわばこういう景気回復が、さっきいっていました部分との絡みの中で人材確保ができないというのが現在の実情だろうと思っております。
労働市場という側面からは、さっき吉田委員もご指摘がありましたけれども、私からいうと、雇用調整の場になっちゃっているんじゃないかなと、こんな感を強くしております。特に東京は、景気回復で就業機会も随分高まってきた。同時に、団塊の世代が大量に退職していきますから、その穴埋めで、若年層も雇用機会が、かつての求職氷河時代といわれたときからさま変わりしている。売り手市場だと、こんな実情があるわけです。
そこでまず、都内の福祉人材の需給状況に関しまして、景気の動向がどんなふうに影響を及ぼしているのか、こんなところをお伺いしておきたいと思います。
○永田生活福祉部長 先ほどの資料をまた繰り返しご説明させていただくことになりますが、厚生労働省の職業安定局職業安定業務統計によりますと、好景気といわれる平成十八年におきましては、都内全職業の有効求人倍率が一・四六倍なのに対しまして、介護関連職種は二・七二倍と高くなっておりまして、好況時においては、他の産業に比べ人材確保に窮している状況がございます。
また、東京都福祉人材センターにおける求人、求職状況についてでございますけれども、好景気時のことし十月と不況時の平成十三年十月とを比較いたしますと、ことし十月の新規求人人数は千五百三十七人と、不況時の四百九十六人の約三倍となっております。
一方、ことし十月の来所による新規求職者数は三百七十九人でございまして、不況時の二千二十三人のわずか二割と大幅に減少しておりまして、ご指摘のとおり、福祉人材の需給状況は、景気の動向により大きく左右されている状況といえると思います。
○野島委員 ありがとうございました。どんな業界においても、その職業を天職だというふうに認識されておる方においても、これは当然生活していかなきゃいけないわけですから、一般的には、人材の確保をしていく、あるいは定着を図っていく、こういう部分は、先ほど吉田委員のご指摘のように、裏腹からいえば給与あるいは待遇面、こういったふうなところが大きく影響するということは当然だろうというふうに思っております。
そういう側面から見ますと、この特別養護老人ホームなどでは、収入の大部分は、当然のことながら介護報酬ということになりますね。これは公定価格ですから、人をたくさん雇うために介護報酬を勝手に設定できない。申すまでもなく、こういう公的保険制度ですからね。したがって、限られた財源の中での労働条件の改善は極めて困難。そうしますと、人材確保に支障を来す。仕事量は増大するが、給与は十分でない。あるいは、自分がそこを天職としながらスキルアップを求めていっても、そういうステージもなかなか確保できない。そのことが結局、離職率の上昇につながっていく。そうしますと、今度もまた新しい人材を確保しなきゃいけないという負のスパイラルに陥ってしまうのではないかな、こんなふうに思っているんですね。
一方、先ほど述べました有料老人ホームの場合ですと、介護報酬というのもありますけれども、入居料、当然家賃とかありますね。それから、保証金の償却というのがあるんですよね。入ったときに入居保証金をもらいますから、それを何年で償却するということになりますから、それが経営資源になってくるということで、それを利用して人材の育成、確保をしていく、こういうことも私は事業体としては可能になるだろうというふうに思ってございます。
そういうことで、いいサービスが受けられるよ、いい介護サービスだよ、あの施設はということになりますと、需要者が増加する。そうしますと、また事業機会がふえていくという、これは好転換のスパイラルになっていくのではないかなと思うんですね。
ただ、こういう有料老人ホームを利用できる需要者というのは、そんなに多くないはずですよね。介護を必要とする方あるいはこういう施設福祉を必要とする方、こういうことが大部分でございます。それによらざるを得ないという形になると思うんです。
このことは、官民格差とか、あるいは格差があるとか、そういう言葉は僕、好きじゃないんです。ただ、介護の現場をより魅力のある、サービスの高いものに国民負担の上でやっていくといったときに、ベースにおいて、いささかの落差が生じてくるだろうというふうに思っているところでございます。
そんなことを思いながら、先ほどの賃金との絡みでは、当然、介護報酬との関係も出てきますので、さっき、私の知り合いで親しく意見交換している方を中心に、実は、大都市東京における特別養護老人ホームを初めとする介護保険施設の介護人材確保に関する請願、こういうものを衆議院、参議院に提出したのか、これからするのか、ちょっとその辺確認できていないんですが、しますよと、こういうことでございます。
請願項目は、一つは、大都市東京における人件費や物価水準を反映した、地域差を十分に考慮した介護報酬の設定を求めます、こういうことでございまして、このことは、都は既に介護報酬の地域差等に関する提言、こういうことを厚労省に提出していますので、これは僕はきょうは触れません。
次に、介護という仕事の専門性に見合った賃金水準を確保できる介護報酬の設定を求めます、これが二項目めになっているんですね。私は、大事なのは、介護の仕事の専門性に見合ったと、こういうところにこだわって人材育成をどうしていくんだ、こんなところを何点かお伺いしたいと思うんです。
介護の仕事もさまざまな側面があるというふうに思っております。さっき石毛委員が、最期、健やかにお亡くなりいただくためには心のケアという、そういう目に見えないメンタルな部分の能力を持った人もいなけりゃいけないわけでありますから。また、仕事に携わっていて、だれでもそうであります。スキルアップをしていきたいという、当然のこととして意欲を持っていただいているわけでございますし、そういうこともあって、これらの専門性だとか、あるいはスキルアップ、こういったふうなものが反映される人事あるいは給与制度、そしてそれを反映する介護報酬、こういうことが私は必要なことだろうというふうに思ってございます。
いわば量的にも質的にも人的基盤の充実なくして、多様な事業主体の参入による、あるいは競い合いによるサービスの向上だとか、あるいは需要者の選択肢のラインナップの拡大を図っていくとか、当然のことながら、ベースとして措置から契約という福祉の基本のところ、これを実現することはできないだろうというふうに思っているようなところでございます。
それで、福祉現場、職場においては、実は僕も詳細はよく知らないんですが、恐らく職員の階層構造というのかな、組織は大体ピラミッドがあって、こう皆さん、局長がいて、部長がいて、それぞれの役割分担をしながら仕事をやり、スキルアップをしながら福祉行政の進展のために皆さん努力しているわけです。しかし、そういうふうな各部分が、私は実情としてどの程度あるかというのは不案内なんですが、実は余りないんじゃないかなというふうな気がするんですね。いわばなべぶた型の組織になっているんじゃないかなと。なべぶた型というのは、教育現場でさんざんいわれてきましたけれども、そういうふうになっているのではないかなというところを感じています。
やはり魅力と働きがいがある職場にしていくということは、単に給料がしっかりしている職場が、雇用が安定するということを実現するためにも、そういう部分の質的な人材育成、こういうことがなければ、私は物事というのは前に進んでいかないだろうというふうに思うんですね。
例えば、これは直接特養の話じゃないですけれども、私の近くに障害者の皆さんの施設もあるんですね。極めて小さい施設でございまして、そういう人材の育成というのは当然必要だというふうなことは認識はされているんですよ。しかし、日々の仕事に追われていまして、限られた人数ですから、OJT、こういったような職場研修もなかなかできにくい。そんなことをやっているより、きょうの仕事を何とかこなしていかなきゃいけないというのが実態でございます。
そんなところで、先ほど吉田委員もお触れになりましたけれども、先般、東京都社会福祉審議会では、こういったふうな現状分析をさまざまにしながら、福祉人材の育成のあり方について意見具申が出されているわけでありますけれども、これを受けまして都はどのように取り組んでいかれるのか、こんなところをひとつお伺いしておきたいと思います。
○松井企画担当部長 人材育成につきましては、事業者みずからが責任を持って取り組むことが基本でございます。そして、都は、事業者の人材育成の取り組みについての支援を行うこととしております。
さらに、都は、政策目標の達成のための研修や法令等で規定された研修、例えば認知症ケアですとか、あるいは介護予防などの研修事業について実施するなどの支援を行っております。
お話の意見具申では、事業者における効果的な育成策として、組織の中核を担うリーダー層の育成を初め、研修等の共同実施や、あるいは事業者間での人事交流、人材育成の共同化など、事業者における効果的な育成策を盛り込んだご提言をいただきました。
都といたしましては、この意見具申をもとに、福祉人材の育成事業をより一層効果的に実施してまいります。
○野島委員 先ほどの答弁もありましたけれども、人材の育成というのは事業者の責任で取り組む。これは当然のことながら、福祉の分野に限らず、経営者は事業組織を統括しつつ、そこの有する人的あるいは物的資源などを活用して、それに磨きをかけていくという前進していく気持ちがなければ廃れていってしまうわけですから、当然のことだろうというふうに思います。
介護報酬が低いから、それを上げろとか、これも一つ理はありますけれども、おんぶにだっこに肩車、あれ出せ、これ出せ、命出せと、こういうことでは事業体としてのパワーが出てこないんですね。与えられたものでしかなくなってしまう。いろいろな困難を乗り越えていくことによって、初めて事業体というのは力を発揮しているわけでございますが、そんな処世っぽい話もいたしまして大変恐縮でございますけれども、福祉サービスというのは特に、人が人に対して体や心、こういったふうなものを中心に気持ちを提供していく部分というのが極めて多いわけでありますから、それを担う人材、これは経営者として一層重視していかなければならないことだろうというふうに思ってございます。
人材育成の重要性というのはだれでも、組織に身を置く者や、あるいはトップになれば当然持っているわけでありますけれども、まだこの業界というか分野が、介護保険がなされて--それまでも特養なんかはありましたよ。だけれども、そういう部分に移ってからは、そんなに年数がないわけですよね。そういう意味では、育成のゴールをどこに見立てながら、職員一人一人が、例えば自分の仕事はこれこれだから、こういうプランをして、ドゥーをして、それをシーするという、こういう組織の中あるいは仕事の上でのものという明確な目標設定とか、そういうことをやっているところがあるのかどうかわかりませんが、そういう課題は私は少なくないというふうに思っております。
そこで、経営者の問題でありますが、こういう人材育成の強化のためには経営者の意識も大変重要だというふうに考えておりますが、その辺についての見解をお伺いいたしたいと思います。
○松井企画担当部長 組織の規模の違いなどによりまして、人材育成について経営者の関心の度合いが異なっております。
先ほどからお話に出ております社会福祉審議会の意見具申の中でも、事業所職員の育成は、経営者それぞれがその責任を自覚し、みずから取り組み、あるいは経営者が共同して実施していくべきものとされております。
東京都といたしましては、こうした経営者の基本的役割を踏まえ、経営者を対象としたマネジメント研修の実施や人材育成に関する情報の提供など、関係団体と連携し、経営者の人材育成の取り組みを支援してまいります。
○野島委員 ありがとうございました。経営者の方も、そういうことは十分に私は認識されているというふうに思っております。ただ、現実に現場を動かしていくということになりますと、介護報酬の低さだとか、それから来る人材確保の困難さ、ひいては全体の事業運営の厳しさ、こんなところがどうしても話として出てきちゃうと思うんですね。
ただ、こんなことをいったら経営者の方に怒られるかもしれませんし、選挙で票を減らすかもしれませんけれども、特別養護老人ホームの需給というのは、待機者がむちゃくちゃ多いんですね。そういう意味では、そこを変えてしっかりしていかなきゃいけないということについて、正直なところ、多くのインセンティブが働かないという部分があると僕は思うんですよ。だって、ずっと待っているんだもの。待っている人を受け入れて、しかし--今いった報酬の低さとか何とかいうことについては厳しさはあるけれども、そこに需要はあるわけだから。そういう部分では、僕はインセンティブを働かせていくというのは極めて難しい部分だと思うんですね。
そこで、ことしの九月に、東京都社会福祉協議会で福祉人材確保ネットワーク事業、ネットワークパスポートを取得しよう、こういう取り組みを始めたということを新聞報道等で知りました。人材の育成、確保に対する事業体の真剣な取り組み、こんなふうに理解しております。
そういう中で、この目的と、東京都はこれに対してどういうふうな評価をなさっているのか、こんなところをお伺いしておきたいと思います。
○永田生活福祉部長 お話の東社協が実施しております福祉人材確保ネットワーク事業についてでございますけれども、この事業は、福祉人材の確保と育成を行うため、東社協のネットワークを活用いたしまして、会員の中から一定の要件を満たす法人の参加を募りまして、まず合同採用試験、二つ目には採用時の合同研修、三つ目には法人間の人事交流を行うものでございまして、現在、来年四月の採用者に対する合同採用試験を実施しているところでございます。
直近の報告では、このネットワークに参加している法人は三十一、また採用試験に申し込みがあった方々は百二十四名と聞いてございます。
ことし八月の東京都社会福祉審議会の意見具申の中でも、効果的な人材育成策として、複数の事業体での人材育成の共同化の取り組みについて述べてございまして、この事業については、意見具申にも沿った先駆的な取り組みといたしまして、都としても大いに評価しているところでございます。
○野島委員 ありがとうございました。先ほど松井部長の方から、人材確保は各事業体の責任だと、こういうお話もございました。一方、インセンティブが働かないような、大変失礼なお話もしてきたところでありますけれども、各事業体あるいは経営者が自分たち自身の問題としてとらえまして、単に現状を嘆いていく、こういうことにとどまらずに、知恵を出し合いながら着実に取り組んでいただいているものというふうに高く評価したいと思います。ぜひ積極的なご支援もお願いしたいと思ってございます。
先ほど申し上げましたけれども、この福祉サービス、人が人に対して支援をしていくということでありますから、人材に大変大きく影響されるというのは当然のことでございます。それでまた、これから需要も大変ふえてくるわけでございます。そういったものにしっかりこたえていくためにも、さまざまな経験を積み、技術を磨き、それを十分発揮することによって、達成感あるいは満足感、福祉のこの仕事に携わってよかった、そんな感謝をされることに生きがいを、誇りを持って質の高い福祉サービスを提供していく、こういうふうなことを東京都としてしっかり取り組んでいただきたいというふうに思ってございます。
そこで最後に、福祉人材の育成、私は福祉行政の最も根幹的な課題だろうというふうに思うんですね。これをしっかりやっていきませんと、保険はあるけれども、介護の基盤がないということになってこようかというふうに思っておりますので、局長の決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○安藤福祉保健局長 本日は、福祉保健の中でもこの人材について申し上げますと、何人もの先生方から、基盤としてこれをしっかりしなければいけないというお話をいただいております。
福祉サービスについて申し上げると、サービスについては量的に大きく増加し、そして質的にも多様なサービスが提供されるようになったというふうに思います。その背景には、少子高齢化が進んだこと、あるいは福祉ニーズそのものが変化したこと、そして、制度として措置制度から契約制度へと変化したことなどがあるというふうに思います。
こうした中で東京都は、国に先駆けて福祉改革を進めてきたところでございますが、ただいま野島先生がおっしゃったように、福祉サービスは人が人に対して行うものでありまして、量的、質的拡大に的確に対応するためには、人材の確保、育成というのが福祉行政の大きな柱になるというふうに思っております。本日の質疑でも、多くの時間がそこに当てられたということは、共通の問題として東京都として考えていかなければいけないことだというふうに思っております。
私どもは、ことしの五月に国に対しまして、介護報酬のあり方について東京都なりに現状を分析し、提言いたしました。これはかなりのインパクトがあったというふうに思いますけれども、介護保険に関して申し上げれば、介護保険が始まってから、人材の確保、育成についていえば、かなり厳しい、今までにないくらいに厳しい状況にあるんだろうというふうに思います。その要因として、一つは報酬の問題もあります。それがすべてということではございませんけれども、それについては、やはり現場を踏まえて科学的な分析をして必要な措置を、大都市にふさわしい報酬のあり方について検討いただきたいという提言をしたところでありますし、こういうスタンスは、私どもも引き続き持っていきたいというふうに思っております。
同時に、人材育成ということで、野島先生から今るるおっしゃっていただきましたが、やはりスキルアップ等を通じて自己実現をする、あるいは、介護についてプライドを持って仕事をしたいという方々はたくさんいらっしゃると思いますので、そういう方のためには、やはり人材育成についてきっちり行っていくということもまた大変必要なことだというふうに思います。
先般の社会福祉協議会におきまして、人材育成は、魅力と働きがいのある福祉職場を実現するための重要な要素であるということで、人材の確保、定着にも大きく寄与するものであるというご提言をいただいたところであります。私としましては、この提言を踏まえて、福祉人材の資質向上策についてさらに検討を進めて、より質の高い、利用者本位の福祉サービスの実現に取り組んでいく覚悟でございます。
同時に、社会福祉協議会におきましても、ただいま部長から答弁いたしましたように、共同採用というような工夫も見られるところでございまして、関係する皆さん方と手を携えながら、この問題に取り組んでいきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○野島委員 ありがとうございました。もう終わりにします。
ぜひ積極的な--それで一発でというのは変ないい方だけれども、介護報酬を上げたから、それがすべてを解決するというふうに思っていないんですよ。こういうさまざまな課題がありますから、そういったようなものをしっかりと築き上げていく、こういうことが必要だと思うんですね。
特に、日本の高齢社会そのものが、いわばピーク時の率の高さと、そこに至るスピードの速さというのは先進国に類を見ないわけですね。私たち団塊世代がばあっと行っちゃったら、すごい勢いになっちゃうわけですよね。そんなこともありますので、私もお世話になるのはすぐそこですから、ぜひひとつ積極的な取り組みをしていきたいというふうに思っております。
最後に、ドイツ、これは我が国より介護保険の先進国なんですね。九五年に制度がスタートして、九九年に赤字になってしまった、こういうことでございます。ドイツの制度設計というのかな、介護保険制度の根本のところと、日本の場合、いささか違うところがありますから、イコールフッティングというふうな考え方はできないわけでありますが、ここは質の低下というのを来したそうなんですね。ヘルパーさんの給与は、小売店員の六から七割。重労働で低収入、したがってという、先ほどと同じことでございます。
もう終わりにしますからあれなんですが、要は、日本の場合には利用者負担が今一割あって、公費と保険料で制度が成り立っているでしょう。それで必要なサービスを買っていきますよとなりますよね。その保険の例えば利用者負担が、将来一割だけでとどまっていけるのかどうかというのは、僕はちょっと疑問に思っているんですよ。当然、介護保険料というのは、見直しして、上がっていくというのは目に見えていますよね。そのときに、そういうことに見合う、きょうは施設介護の話をしていますが、いわゆる介護体制ができていないといったときに、介護保険制度そのものが国民の信頼を失っていってしまうと思うんですね。それは、年金のあのばたばたを見ても、僕はイコールだと思うんですよ。
介護保険制度がスタートし、今日に至ったわけであります。大変大きな課題、ハードルは高いと思いますけれども、ぜひ私もみずからの問題としてしっかりとらえてまいりたいと思っておりますので、局長以下、皆さんのご努力を心からお願いして、お約束の二十五分でございますので終わります。ありがとうございました。
○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時十一分散会
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