厚生委員会速記録第十七号

平成十八年十一月二十七日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長長橋 桂一君
副委員長かち佳代子君
副委員長山加 朱美君
理事谷村 孝彦君
理事野島 善司君
理事増子 博樹君
伊藤 興一君
山口 文江君
田代ひろし君
いのつめまさみ君
野村 有信君
大塚たかあき君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長山内 隆夫君
次長吉川 和夫君
技監梶山 純一君
理事片岡 貞行君
総務部長杉村 栄一君
指導監査室長梶原 秀起君
医療政策部長細川えみ子君
保健政策部長清宮眞知子君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長都留 佳苗君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長八木 憲彦君
企画担当部長松井多美雄君
事業調整担当部長牛島 和美君
医療改革推進担当部長高橋  誠君
連絡調整担当部長松浦 和利君
参事桜山 豊夫君
参事宮垣豊美子君
参事佐藤 恭信君
参事金丸 陽子君
参事奥澤 康司君
参事住友眞佐美君
病院経営本部本部長大塚 孝一君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長鈴木  茂君
参事岸上  隆君

本日の会議に付した事件
 請願の取り下げについて
 病院経営本部関係
・精神医療センター(松沢病院)の整備について(説明)
・契約の締結及び財産の処分について(説明・質疑)
 福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
・東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
・興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・プール等取締条例の一部を改正する条例
・東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
・食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
・食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
・東京都認定こども園の認定基準に関する条例
・東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例
・東京都心身障害者扶養年金会計条例の一部を改正する条例
・東京都心身障害者扶養年金基金条例の一部を改正する条例
・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による任意入院者の症状等の報告に関する条例
請願陳情の審査
(1)一八第一二四号 児童扶養手当の減額率の緩和を求める意見書提出に関する請願
(2)一八第一二六号 子どもたちの健やかな発達が保障される「認定こども園」に関する請願
(3)一八第一二七号の一 多摩都市モノレールの利用に関する請願
(4)一八第一二八号 日野市落川における宗教法人西光寺の大型墓地建設反対に関する請願
(5)一八第五七号 動物愛護行政の変革に関する陳情
(6)一八第六三号 障害者自立支援法の施行に伴う意見書の提出に関する陳情
(7)一八第六五号 医療機関によるカルテ廃棄の阻止に向けた働きかけに関する陳情
(8)一八第六六号 肝炎問題早期全面解決とウイルス性肝炎患者の早期救済を求める意見書提出に関する陳情
(9)一八第八〇号 看護師等の増員を求める国への意見書提出に関する陳情
(10)一八第九九号 子どもの医療費助成制度の拡充に関する陳情

○長橋委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○長橋委員長 次に、請願の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一八第一二五号、「やすらぎの里」に関する請願につきましては、議長から取り下げを許可した旨通知がありました。ご了承願います。

○長橋委員長 次に、第四回定例会中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の報告事項の聴取、並びに福祉保健局関係の第四回定例会提出予定案件の説明聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項の精神医療センター(松沢病院)の整備については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。
 また、報告事項の契約の締結及び財産の処分については、説明聴取後、質疑終了まで行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、理事者から、精神医療センター(松沢病院)の整備について報告の申し出がありましたので、これを聴取いたします。

○及川経営企画部長 精神医療センター(仮称)の整備についてご報告申し上げます。
 お手元には、右肩資料1、精神医療センター(松沢病院)の整備についてと、右肩資料2、概要版をお配りしてございます。都立病院改革マスタープランに基づき整備を計画しております精神医療センターの整備方針や運営理念などを取りまとめたものでございます。
 それでは、右肩資料2の概要版に基づきご説明させていただきます。
 初めに第1、精神科医療の現状と松沢病院の沿革でございます。
 1、松沢キャンパスの現状と松沢病院ですが、松沢キャンパスには、松沢病院のほか、中部総合精神保健福祉センター、東京都精神医学総合研究所があり、精神障害者やその家族に対し支え合いの場や交流の場を提供し、精神保健、医療、福祉を支える人材をはぐくむフィールドが整っております。しかし、現在の松沢病院には、施設の老朽化、狭隘さや、低層分散方式の配置による業務の非効率性といった課題がございます。このため、松沢病院を引き続き我が国の精神科医療をリードする精神医療センターとして改築し、他施設と連携することで、東京都全体の精神科医療の質の向上、精神保健福祉サービスの充実を一層推進していくものでございます。
 2、精神科医療の現状と松沢病院の沿革ですが、心の病が増加している現代では、精神科医療の役割がますます大きくなっております。また、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律などに基づくいわゆる行政精神科医療の重要性も高まっております。一方で、世界的な潮流として、精神科医療は、入院生活中心から地域生活中心へと移行してきております。
 松沢病院の沿革は、明治十二年設立の東京府癲狂院から始まり、百三十年に及ぶ長い歴史を持つ、現存する公立病院としては日本で最も長い歴史を有する精神科病院でございます。
 次に、第2、精神医療センター整備基本方針でございます。
 1、精神医療センターとしての基本的役割ですが、精神医療センターでは、急性期精神科医療を中心とし、さらに専門性の高い精神疾患に対応するとともに、他の医療機関や保健、福祉施設などと密接な連携を推進し、都における精神科医療の拠点としての役割を果たしてまいります。
 2、施設整備の考え方ですが、新病棟を建設して機能性の向上と集約立体化を図るとともに、一部病棟につきましては、療養環境の改善を図るため、配管等の設備更新、改修を行ってまいります。また、緊急時の登院に対応するため、職務住宅を整備してまいります。
 なお、医療観察法に基づく病棟はこれらに先行して整備してまいります。
 次に、第3、精神医療センターの運営理念、基本方針でございます。
 1、運営理念ですが、東京都における精神科医療の拠点など四つの運営理念を掲げております。
 恐れ入りますが、二ページをお開きください。2、基本方針ですが、早期の社会復帰を目指す質の高い精神科医療の提供など、九つの基本方針を掲げております。
 次に、第4、精神医療センターの医療機能でございます。
 1、センター的医療機能ですが、他の精神科病院では対応が困難な専門性の高い精神科急性期医療を初め、精神科救急医療、精神科身体合併症医療、精神科特殊医療に取り組んでまいります。
 また、2、重点医療課題として、精神障害者歯科医療に取り組んでまいります。
 3、その他の課題として、精神科リハビリテーション医療や医療連携の仕組みづくり、社会復帰医療に取り組んでまいります。
 4、整備規模ですが、入院規模は八百九十床、外来規模は一日当たり五百五十人を予定しております。
 次に、第5、社会復帰支援でございます。
 1、社会復帰支援の機能ですが、地域生活中心の精神科医療実現に向け、院内に設置しました社会復帰支援室を中心として、職種横断的に患者の社会復帰を支援することとし、長期入院患者の転・退院促進などを掲げております。
 恐れ入りますが、三ページをお開きください。2、東京都の社会復帰施策との関係ですが、平成十八年六月の東京都地方精神保健福祉審議会の最終答申では、松沢病院の役割として、専門的医療の提供など精神保健福祉施策との密接な連携を図るべきとされております。
 次に、第6、精神医療センター施設整備でございます。
 1、施設概要として、新病棟六百六十床を初め、社会復帰病棟二百床、医療観察法に基づく病棟三十床を予定しており、また、職務住宅としまして、単身用九十戸程度、家族用二十戸程度をそれぞれ予定しております。
 2、主な施設整備方針ですが、松沢キャンパスの緑多い環境を生かし、患者が安らげる空間を創造するとともに、災害時における災害拠点病院として、施設設備の充実を図ってまいります。
 3、施設整備手順ですが、まず医療観察法に基づく病棟を整備し、その後、新病棟や職務住宅を整備し、最後に社会復帰病棟の整備を行ってまいります。
 4、各施設の整備予定地等ですが、恐れ入ります、別途お配りさせていただきました右肩資料1の冊子、精神医療センター(松沢病院)の整備についての一二ページをお開きいただきたいと存じます。
 新病棟につきましては、図面左側の真ん中の円で囲まれた場所に現在ある施設を解体撤去し、新館を建設してまいります。社会復帰病棟につきましては、新館の完成後、図面下の二つの円で囲まれた既存の病棟を改修してまいります。また、医療観察法に基づく病棟につきましては、図面右上の円の場所にある施設を解体撤去し、建設してまいります。最後に職務住宅でございますが、図面上の楕円の場所にあります栄養科棟、サービス棟などを解体撤去し、建設してまいります。
 恐れ入ります。資料2、概要版の三ページにお戻りいただきたいと存じます。7、スケジュールでございますが、平成十八年度よりPFIの手続を進め、平成十九年度に事業者を選定し、平成二十年度に契約を締結いたしまして、新病棟及び職務住宅につきましては平成二十三年度の開設を予定しております。また、社会復帰病棟につきましては、その後改修を行い、平成二十四年度以降の開設を予定しております。
 なお、医療観察法に基づく病棟につきましては、全額国庫負担により都が直接整備いたしまして、平成二十一年度の開設を予定しております。
 以上で報告事項の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 三点お願いします。
 医療観察法に基づく病床の要件。
 対象患者等の概要及び整備状況。
 都立病院改革マスタープランに基づく松沢病院の病床閉鎖の状況、推移、それから、住民説明会で出された意見などをお願いします。

○長橋委員長 資料要求はほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 資料要求が今ありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出願います。
                  

○長橋委員長 次に、理事者から、契約の締結及び財産の処分について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○及川経営企画部長 資産の売り払い契約及び動産の買い入れ契約につきまして、お手元にお配りしております右肩資料3、契約締結報告書に基づきご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。一ページには総括表をお示ししてございます。この総括表に基づきましてご説明させていただきます。
 番号1は、資産の売り払い契約で、財団法人東京都保健医療公社への移管に伴う都立荏原病院に係る資産の売却でございます。
 番号2は、動産の買い入れ契約でございます。都立府中病院において使用いたします磁気共鳴断層撮影装置の買い入れで、契約の方法は一般競争入札でございます。
 なお、それぞれの契約の概要につきましては二ページ以降に記載しておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、契約締結の報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 発言がなければ、お諮りします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○長橋委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○山内福祉保健局長 平成十八年第四回定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案十二件でございます。
 まず、保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例外六条例につきましては、平成十九年四月から、八王子市が保健所政令市となることに伴いまして、東京都八王子保健所を廃止するほか、所要の規定整備を行うものでございます。
 次に、東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例外二条例につきましては、東京都心身障害者扶養年金制度を廃止するとともに、受給権者に対する経過措置等を設けるほか、年金会計及び基金の設置根拠の変更等について所要の規定整備を行うものでございます。
 次に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による任意入院者の症状等の報告に関する条例につきましては、法の改正に伴いまして、任意入院者の症状等に係る定期の報告についての規定を設けるものでございます。
 最後に、東京都認定こども園の認定基準に関する条例につきましては、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の施行に伴いまして、都における認定こども園の認定の基準に係る規定を設けるものでございます。
 なお、詳細につきましては総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○杉村総務部長 それでは、引き続き議案の内容につきましてご説明申し上げます。お手元の資料のうち、条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案十二件でございます。それでは、順を追いましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。整理番号1から7までは、地域保健法施行令の改正により八王子市が保健所を設置することに伴いまして、所要の規定整備を行うものでございます。
 整理番号1、保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 八王子市が保健所を設置することに伴いまして、東京都八王子保健所を廃止する必要があることから、別表中の東京都八王子保健所の項を削除するものでございます。
 整理番号2、東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例でございます。
 大気汚染障害者に対する医療費助成の認定事務等を八王子市が行うことに伴いまして、別表中の東京都八王子保健所大気汚染障害者認定審査会を設置する東京都八王子保健所の項を削除するものでございます。
 整理番号3、興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 興行場の営業の許可等の事務につきましては、保健所を設置する八王子市の事務となることに伴いまして、当該事務に関する規定の適用区域から保健所を設置する市を削除するものでございます。
 二ページをお開き願います。整理番号4、プール等取締条例の一部を改正する条例及び整理番号5、東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 両条例に規定しております事務を八王子市が行うことに伴いまして、規制の区域から八王子市を除くものでございます。
 整理番号6、食品衛生法施行条例の一部を改正する条例及び整理番号7、食品製造業等取締条例の一部を改正する条例でございます。
 八王子市が保健所を設置することに伴いまして、食品衛生責任者のための講習会の実施主体として、保健所を設置する市の市長を加えるものでございます。
 以上、八王子市が保健所を設置することに伴い改正いたします七条例は、いずれも平成十九年四月一日から施行することとしてございます。
 三ページをごらんください。整理番号8、東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例でございます。
 東京都心身障害者扶養年金条例を廃止いたしますとともに、受給権者に対する経過措置及び未受給者に対する清算金の支給等について定めるものでございます。
 具体的には、2、条例案の概要の(1)にございますように、条例の施行日の前において年金を支給される権利を有する障害者に対しましては、従前のとおり月額三万円の年金を給付いたします。
 また、(2)にございますように、加入者または未受給者に対しましては清算金を支給いたします。まず、掛金納付完了者に対しましては、アにございますように、五百七十六万円を現在価値に換算して算定した額を支給するほか、掛金納付者に対しましても、イにございますように、掛金納付年数に応じた額を支給いたします。
 さらに(3)にございますように、未受給者に対する経過措置といたしまして、条例の施行の日から平成二十年三月三十一日までの間に加入者が死亡するなどしたときは、未受給者がその間の掛金相当額を納付することによりまして、年金受給権者とみなして年金を給付することといたします。
 整理番号9、東京都心身障害者扶養年金会計条例の一部を改正する条例及び整理番号10、東京都心身障害者扶養年金基金条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都心身障害者扶養年金条例の廃止に伴いまして、東京都心身障害者扶養年金会計及び東京都心身障害者扶養年金基金の設置根拠を、東京都心身障害者扶養年金条例から東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例に変更するなど、規定を整備するものでございます。
 これら東京都心身障害者扶養年金に係る三条例につきましては、平成十九年三月一日から施行することとしてございます。
 四ページをお開き願います。整理番号11、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による任意入院者の症状等の報告に関する条例でございます。
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正に伴いまして、同法の規定に基づき、改善命令等を受けた精神科病院の管理者に対しまして、入院中の任意入院者の症状等に係る定期の報告を求める制度を導入するものでございます。
 本条例は、平成十八年十二月二十三日から施行することとしてございます。
 最後に、整理番号12、東京都認定こども園の認定基準に関する条例でございます。
 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の施行に伴いまして、都における認定こども園の認定の基準に係る規定を設けるために新たに条例を制定するものでございます。
 認定こども園の類型、認定を受ける者、保育従事職員の配置、保育従事職員の資格、施設設備などの項目につきまして、認定を行う際の基準を定めるものでございます。
 本条例は、公布の日から施行することとしてございます。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成十八年第四回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、提出条例案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 障害者扶養年金に関連して三点お願いします。
 パブリックコメントに寄せられた意見の全容。
 毎年度、一般会計からの財源投入額、制度開始以来。
 市中金利及び都債金利の推移、制度創設以来。
 以上三点です。
 それから、認定こども園について四点。
 市区町村や関係団体に示した基準案にかかわる資料の一式。
 都が実施した区市町村と保育所、幼稚園に対するアンケートの結果。
 区市町村や関係団体から出された意見など。
 それから、認定こども園の規則。
 以上です。

○長橋委員長 資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出願います。
                  

○長橋委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願一八第一二四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○都留少子社会対策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、一八第一二四号、児童扶養手当の減額率の緩和を求める意見書提出に関する請願は、財団法人東京都母子寡婦福祉協議会会長の伊部美佐子さん外三千五十九名から提出されたものでございます。
 その請願の要旨は、児童扶養手当制度の見直しによる児童扶養手当の減額率を緩和するよう、国に意見書を提出していただきたいというものであります。
 現在の状況についてご説明申し上げます。
 児童扶養手当は、父母の離婚等により父と生計を同じくしていない児童を養育している母子家庭等の生活の安定と自立を支援し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当であります。
 平成十五年四月一日に改正された児童扶養手当法では、手当の支給を受けた母は、みずから進んでその自立を図り、家庭の生活の安定と向上に努めなければならない旨が追加されております。また、支給開始月の初日から五年または支給要件に該当した月の初日から七年を経過したときは、手当額の二分の一を上限に支給しないこととなっております。
 支給制限の詳細については、子育て支援策、就労支援策、養育費の確保策及び経済的支援策の状況、離婚の状況等を勘案し、平成二十年四月一日までに政令で定められることとされておりますが、現在のところ明らかになっておりません。
 都は、支給制限の実施に当たっては、母子家庭の生活実態や母子家庭等に対する施策の進捗状況等を十分に踏まえ慎重に対応するよう、大都市民生主管局長会議等を通じて国に要望しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○山加委員 この請願一八第一二四号でございますが、我が党六名の議員が紹介議員を務めさせていただいております。私もその一人でありますので、何点か質問させていただきます。
 厚生労働省が、平成十五年度、全国母子世帯等調査結果報告を発表していますが、これによりますと、全国の総世帯数四千五百八十万世帯のうち、二・七%、百二十二万世帯が母子世帯であります。そして、この五年前が約九十五万五千世帯が母子世帯であるわけで、約三割増となっております。全国の母子世帯が急増しているわけであります。
 その母子世帯となった理由でありますが、いろいろだと思います。離婚あるいは死別、未婚時の出産。しかし、いずれにいたしましても、母子家庭の置かれている生活状況を考えますと、母子家庭の母親は、子育て、そしてまた生計の担い手という大変大きな二つの役割を一人で担わなければなりません。
 都は、平成十四年度、社会福祉基礎調査を行いましたが、これによりますと、母子家庭の場合、離婚などによりひとり親家庭になった当時に困ったこととして、約七割が家計を挙げております。以下、仕事、そして住居の順に割合が多くなっているわけですが、また、その調査を行った時点で、現在困っていることとして、約六割がやはり家計と答えております。以下、子どもの教育、進路、就職、仕事の順に高くなっているわけでありますが、これを見ましても、母子家庭が生活全般にわたりさまざまな困難な状況を抱えることがうかがえます。
 請願書によりますと、母子家庭の母の就業は厳しく、平成十五年度の全国母子世帯等調査では、一般世帯の平均年収五百八十九万円に比べ、母子世帯の年間就労収入は百六十二万円にとどまっているとあります。三倍強の開きがあるわけでありますが、このような状況の中で、平成二十年四月から国が児童扶養手当の見直しを行うということは、母子家庭にとって大変不安が大きいことと思います。
 そこで、確認のために改めて伺いますが、今回の児童扶養手当の見直しを行おうとする背景とその内容はどのようなものなのでしょうか。

○都留少子社会対策部長 今回の児童扶養手当法の改正は、近年の離婚の増加など、母子家庭をめぐる状況の変化を踏まえ、母子家庭等の自立を促進するため、子育て支援の充実や就業支援策の強化など、総合的な支援策を講じる一環として行われたものでございます。
 今回の児童扶養手当法の主な改正の内容は、受給期間が五年を超える場合、または支給要件に該当したときから七年を経過したときは、手当額の二分の一を上限として減額するというものであり、その詳細は政令で定めることとなっております。

○山加委員 児童扶養手当は、現在、お子さん一人の場合、所得に応じて月額で最高四万一千七百二十円、最低でも九千八百五十円支給されております。これが当手当の二分の一を上限とした見直しということは、母子家庭の家計に与える影響は大変大きいと思います。
 そこで、都内の状況についてお尋ねしたいのですが、都内の母子世帯の数、その方々の収入と就業の状況、また、そのうち児童扶養手当を受給している家庭の数はどのくらいか、お答えいただけますでしょうか。

○都留少子社会対策部長 都内の母子世帯の数は、平成十八年一月一日現在、およそ十二万一千六百世帯と推計され、都内の全世帯数五百九十三万世帯に占める割合は約二%でございます。
 母子世帯の八五%の方が何らかの形態で就業しておられますが、そのうち常勤で働いている方は五五%、パート、アルバイトの方は三七%、自営業、その他の方は八%となっております。
 また、都内の母子世帯の収入状況は、平成十四年度、東京都社会福祉基礎調査などの調べによりますと、七割が年収四百万円未満であり、その半数が二百万円未満となっておりまして、都内の一般世帯の平均年収七百七十三万円に比べ著しく低い状況になっております。
 また、都内の児童扶養手当の受給者数は、平成十七年度末で約七万六千人となっており、母子世帯の総数十二万一千六百世帯のうち、おおむね六割がこの手当を受給しております。

○山加委員 今、都留部長の答弁によりますと、八五%の方が働いているということでありますけれども、母子家庭の母の場合は、就業経験が少ない、あるいは結婚、出産により今まで勤めていた会社を中断していた、そんな理由から、再就職はなかなか難しい。あるいは就職したとしても、なかなか正規の雇用をしていただけない。パートやアルバイトなどの非正規雇用を余儀なくされているといった場合も大変多いと思います。自立の促進という観点からは、当然ながら、安定した収入を得て生活するということが非常に重要であります。そのためには就業の支援が必要であるわけですが、都では現在、母子家庭への就業支援についてどのような取り組みを行っているのか伺わせてください。

○都留少子社会対策部長 お話のとおり、母子家庭などひとり親家庭が地域で自立して生活していくためには、安定した就業が非常に重要であり、都が平成十七年四月に策定いたしました東京都ひとり親家庭自立支援計画でも、就業支援を大きな柱の一つとして掲げております。
 都では、母子家庭等の就業自立を支援するため、平成十五年度から、東京都母子家庭等就業自立支援センター事業を実施し、就業相談や求人情報の提供、職業紹介などを行っております。
 また、平成十七年度から、就業経験の乏しい母子家庭の母のために、パソコンや介護サービス、医療事務などの職業訓練を専門学校等に委託して実施しております。
 このほか、就業に結びつきやすい看護師や保育士などの有益な資格取得を支援する自立支援給付金事業なども実施しております。
 今後も都といたしまして、母子家庭を初めとして、ひとり親家庭の自立のための就業支援をより一層充実させてまいります。

○山加委員 都としてもぜひとも母子家庭などひとり親家庭への就業支援、今後とも一層強力に取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
 それに加えまして、ひとり親家庭の自立促進に向けては、やはり子育ての環境を整備するなど総合的な支援が不可欠であると私は思います。支給制限の実施に当たっては、母子家庭の生活実態をきちんととらえまして、また、母子家庭に対する施策の進みぐあいをその都度十分に踏まえまして、どうか慎重に対応していただきたいと思います。
 そこで伺いますが、支給制限の実施に向けた国の動きというのはどうなっているのでしょうか。

○都留少子社会対策部長 平成二十年四月の児童扶養手当の支給制限実施に向けてのスケジュールにつきましては、国はまだ明らかにしていないため、詳細については不明でございます。
 現在の国の動きといたしましては、平成十八年十一月一日を基準日として全国母子世帯等調査が行われておりまして、その結果が平成十九年春にも公表される予定でございます。国としては、その結果なども踏まえて検討を行っていくと聞いております。

○山加委員 都としても、母子家庭等へのさまざまな支援を一層充実させるよう期待をいたしております。
 また、都議会としても、都議会から国に意見書を提出してほしいというこの請願に対して歩調を合わせまして、ぜひ皆様もご賛同していただきまして、趣旨採択で臨んでいただくようお願いして、質問を終わります。ありがとうございます。

○伊藤委員 私からは、趣旨採択の方向で意見、要望だけを述べさせていただきたいと思います。
 さまざまな社会背景、また家庭事情のある中で、離婚する夫婦が大変に増加している中で、請願書の中にもありますように、子育てと生計の担い手としての両方の役割を一人で担わなければならない母子家庭は、大変なご苦労と、また困難な中で生活している、こんな状況であると思います。このようなひとり親家庭が自立した生活を送れるように、また安心して子どもを育てることができるように、社会全体で支えていく必要があると私は考えております。
 児童扶養手当制度は、母子家庭の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的としておりますけれども、実際にこの目的のとおり、母子家庭の自立に向けた生活の大きな支えになっていると思います。このような状況を踏まえると、制度改正に当たっては母子家庭の生活実態を十分に踏まえるべきであると考えます。
 都はこれまでも国に対して慎重な対応を要望しているということでございますけれども、今後ともさまざまな機会を通じて、国に対してしっかりと強力に働きかけをしていただきたい、このことを要望して、意見を終わります。

○吉田委員 私も、趣旨採択を求める立場から意見を述べます。
 我が党はそもそも、この児童扶養手当の支給を支給開始から五年後に最大で半減するという改定に対しては、国会の場で反対をいたしました。それは、第一に、審議を通じて、五年目以降手当を削減するという根拠について、政府自身明確に示すことができませんでしたし、参考人質疑を通じても、五年以降に子どもの教育費など一層ふえる中で、なぜ削減なのかの指摘が寄せられたからであります。
 第二は、母子家庭に対する自立支援策が全く不十分なままで自立支援を押しつけるということは、実態としては母子家庭の自立を困難に追いやるものだからであります。その後の社会経済状況は、母子家庭の経済状態を改善させているとは到底いいがたい事態です。
 先ほど、東京都の統計も紹介されましたが、政府統計などを見ても、母子家庭の母親の九割が就労していますけれども、平均的な所得は二百万程度で、一般家庭の三割から四割程度にすぎない。しかも、パート、非正規雇用が拡大し、賃金も雇用条件も改善の方向に進んでいません。そうした事態だけに、この減額率の見直し、さらに減額制度そのものの見直しが求められていると考えるからであります。
 以上です。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認めます。よって、請願一八第一二四号は趣旨採択と決定いたしました。
                  

○長橋委員長 次に、請願一八第一二六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○都留少子社会対策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、一八第一二六号、子どもたちの健やかな発達が保障される「認定こども園」に関する請願は、台東区の子どもの育ちを守る都民連絡会代表の椎橋みさ子さん外三万九百五十四名から提出されたものでございます。
 その請願の趣旨は、都において、認定こども園に関しまして、1、条例の制定に当たっては、拙速に決定することなく、広く都民の意見を聞き、慎重かつ十分な議論をすること。
 2、認定こども園に関する条例の基本理念として、子どもの最善の利益を尊重するという、子どもの権利条約の原則を明記するとともに、その立場に立った条例を策定すること。
 3、人員配置や施設基準は、現行の認可保育所の水準を下回らないようにすること。
 4、設置主体は、市区町村、社会福祉法人、学校法人等公益的な団体に限定すること。
 5、子育て支援を実施するために必要な予算措置や人員配置を行うこと、を実現していただきたいというものであります。
 現在の状況についてご説明申し上げます。
 初めに、第一項ですが、認定基準の策定に当たっては、区市町村や関係団体等へ必要な情報を提供し意見交換を行うとともに、寄せられた要請内容を踏まえ、既に幅広い議論を行っております。その上で、認定こども園の認定基準に関する条例案について、平成十八年第四回都議会定例会に提案する予定としております。
 次に、第二項ですが、都は常に子どもの最善の利益を尊重するという立場に立った教育、保育及び子育て支援策を実施しております。条例案の趣旨は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の規定に基づき、都における認定こども園の認定の基準を定めるものであります。
 次に、第三項ですが、認定こども園の認定基準については、幼保連携型、幼稚園型、保育所型及び地方裁量型の各類型の特性や、都におけるこれまでの保育、教育の実績を踏まえ、国指針の一部緩和も含めた大都市ニーズを反映した基準案としております。
 次に、第四項ですが、保育サービスの質を向上させるためには、多様なサービス提供主体の参入が不可欠であります。認可保育所では、区市町村、社会福祉法人に限らず、株式会社、特定非営利活動法人等、どのような主体であっても設置運営を認めており、認定こども園についても設置主体を限定する予定はありません。
 最後に第五項ですが、すべての類型の認定こども園で子育て支援の取り組みが進むよう、必要な経費については既に予算要求を行っております。
 なお、人員配置については、各施設の実情に応じて対応すべきものであり、一律の義務づけや財政支援を行う予定はありません。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 本件は、先ほども四定の付議案件ということでご説明をちょうだいいたしました。今、担当部長の方からも、考え方を子細にご説明を伺ったところでございますので、細かくやるのはそちらに譲るといたしまして、請願の願意に沿って何点か私の意見を申し上げたり、あるいはご答弁もいただきたい、こんなふうに思っております。
 大体、拙速に決定するな、慎重にと、これはすべからくいわれることでございまして、どこまでが拙速で、どこまでが慎重でないという判断はなかなかできないと思うんですね。特に自分たちにとって好ましくない案件の場合は、理解しないんじゃなくて、理解しようとしなくて、そのままずるずるずるずる時間が過ぎていくというのが世の通例であります。
 そういう意味で、その部分については、他の県では、九月に国基準が示されて条例化されたというところも聞いておりますし、東京都は恐らくさまざまな意見をお聞きになったと思います。もちろん、議会でも、認定こども園がどうということじゃなくて、保育行政、こういったものについてのさまざまな議論というのは恐らく相当数されていると思うんです。
 そういったこともあろうかと思いますし、私どももそうなんでありますが、幼稚園を現になさっている方、あるいは保育所を経営なさっている方、国のモデル園として取り組んだところ、こういったところからも十分いろいろ意見交換もいたしました。そういう意味では、東京都においても、そういうことを十分に検討した上で、この四定の付議になっているもの、こんなふうに理解をいたしております。
 次に、子どもの最善の利益を尊重するということを、条例に原則を明記する、こういうことでございます。法には、いろんな法律があると思うんですね。理念法であればまだしも、これは理念条例ではないです、東京都が権限庁になるわけですから。聞き及ぶところ、認定基準を、どういう基準ならいいよということを明定する条例ですよね。そういう意味では、条例の体系として、そういうことはなじむ、なじまないというレベルでいえば、私はなじまないというふうに思っております。また、そういうことは当然でありますので、あえて書く必要があるのかなと、こんなことも思っております。
 それから、人員配置、施設基準あるいは設置主体、それぞれについて今お話を伺いました。国の指針というのは当然あるわけでありますが、いわゆる大都市特有のという、東京都が認証保育所制度をスタートさせたのもまさしくそこにあるわけですね。国が定めた基準に従って設置主体を限定し、そうしますと、参入障壁が非常に高かったり、あるいは大都市の事情に合わないわけでありますから、結果として、そういうことをやっていることが保育総量の拡大につながらない、ひいては子育て支援策を萎縮させてしまう、こういうことになってくると思います。
 そういう意味では、今日までさまざまな類型といいましょうか、取り組みをしたわけでありますから、それらを踏まえて適切な基準が設定されれば一番望ましいのかなと、こんなふうに思っているところでございます。
 そこで、具体的基準については、せっかく委員会審査もあるわけでありますから、ここでぐずぐずいうことは一切いたしませんので、条例提案されるに当たっての所見、とりわけ意見を聞いたとか聞かないとか、そういったふうなところも踏まえて、所見を伺っておきたいと思っております。
 以上です。

○都留少子社会対策部長 先生のお話のとおり、認定基準の設定に当たりましては、さまざまな意見を踏まえ、関係局とも連携しながら慎重に検討を進めてまいりました。都における認定こども園制度が、就学前の教育、保育に対するさまざまなニーズにこたえ、地域において子どもが健やかに育成される環境の整備に資するものとなるよう、条例案についてよろしくご審議をいただきたいと存じます。

○野島委員 終わります。

○伊藤委員 認定こども園についてお伺いさせていただきます。
 少子化が進行する中で、子育てに対する都民のニーズ、特に小学校就学前の子どもたちに対する教育、また保育のニーズはますます多様化してきていると思います。共働きの場合でも、幼稚園で幼児教育を受けさせたいと思う親もいることでしょう。また、共稼ぎでない家庭の場合でも、時には保育所のように夕方まで保育をしてもらえたら助かるという家庭もあると思います。また、子どもの発育のことで相談したいと思っている親もたくさんいることだと思います。
 このようなニーズにこたえるためにも、私の地元の品川区においては、幼稚園と保育園が連携して、ゼロ歳から就学前まで、乳幼児期に一貫した教育、保育の方針に基づく独自の幼保一元化施設の取り組みが行われております。国においても、こうした幼保一元化の流れの中で、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に基づいて、認定こども園制度をスタートさせたところでございます。
 この認定こども園制度は、厳密な意味での幼保一元化ではありませんけれども、今申したような親のニーズだけでなく、子ども自身の育ちの面からも大変に意義のある制度だというふうに私は考えます。こうしたことから、都における認定こども園制度を応援し、推進する立場から質問をさせていただきます。
 こうした国の動向をにらみながら、都においても認定こども園の認定基準策定に向けて全力で取り組んできたことと思います。そこでまず、認定基準の策定に当たっての基本的な考え方について、都の所見を伺います。

○都留少子社会対策部長 認定基準の設定に当たっては、就学前の教育、保育に対するさまざまなニーズにこたえ、地域において子どもが健やかに育成される環境の整備に資するものとする必要がございます。
 このため、都においては、国が示した指針をもとにして、これまで認可幼稚園、認可保育所、認証保育所で培ってきた実績を生かし、大都市の特性に応じたニーズに的確に対応した認定基準とする予定でございます。

○伊藤委員 認定基準の策定に当たっては、これまでに区市町村や、あるいは保育園、幼稚園の関係団体などからさまざまな要望を受け、それを踏まえて幅広い論議を行ってきたと聞いております。
 そこで、区市町村と都と意見交換をしていると思いますけれども、どのような意見や要請があったのか伺います。

○都留少子社会対策部長 区市町村は、保育の実施主体であるとともに、地域の子育て支援の中核を担っておりますところから、認定こども園制度の円滑な実施に果たす役割は大きいものがございます。そのため、都ではこれまでも区市町村に対し迅速な情報提供に努めてまいりました。また、今月初めには、認定こども園を所管する課長を対象とした説明会を関係局と合同で開催いたしました。
 区市町村からは、都における相談や認定申請の窓口の一本化、また、情報を素早く共有できる仕組みづくりなどの要望をいただいております。
 今後も、都の認定基準を初め制度の仕組みについて周知徹底し、区市町村との連携を一層密にしてまいります。

○伊藤委員 ご答弁いただいたとおり、認定こども園という新しい制度が普及し、円滑に実施されるためには、区市町村の役割は重要であると思います。都は、認定こども園の条例が施行された後こそ、区市町村との連携をしっかりと強化していただきたいと思います。
 認定こども園の制度は本年十月から施行されましたけれども、国の調査によりますと、既に二十一の道府県で条例が制定されているということでございます。今月の十六日には、秋田県において全国で初めて認定こども園の認定が行われました。東京においても認定こども園の誕生が待ち望まれております。いよいよ四定において、都の認定基準に関する条例案を審議いたします。
 認定こども園制度では、都道府県が認定基準を策定することとなっておりますけれども、国がその指針を示しております。しかし、国の指針は全国一律となっておりますので、都の事情に合わない部分もあるのではないかと思います。東京では五千人近くの待機児が発生しており、また地価も高い、そしてスペースの確保は困難である、核家族化が進行しているという大都市特有の事情があるわけでございます。
 東京では、就学前の子どものいる家庭の約九割が核家族でございますけれども、子育てに不安や負担を感じている親は非常に多いと私は実感しております。特に保育園や幼稚園に通っていないお子さんを育てている親は、地域で孤立しがちになることもしばしばございます。親の子育てへの不安感を払拭して、ひいては子どもたちが健やかに成長できるようにするためには、やはり認定こども園において、大都市東京にふさわしい子育て支援が必要であると考えます。
 そこで、認定こども園において、大都市ニーズに的確に対応した子育て支援を実施すべきと考えますけれども、都の所見を伺います。

○都留少子社会対策部長 お話のとおり、東京では、近隣関係の希薄化、核家族化の進行などによりまして、身近な相談相手も少なく、子育てが孤立しがちとなるため、子育て自体に不安や負担を感じている親も多くなっております。都では、こうした大都市東京の子育てニーズに対応するために、すべての認定こども園が地域の子育て支援の機能を十分に発揮していただけるような認定基準とする予定でございます。

○伊藤委員 子育て家庭の不安を解消して、社会全体ですべての子育て家庭を支援していくことが求められていると思います。認定こども園において充実した子育て支援事業が行われるよう、都としても積極的に支援していただくことを要望いたします。
 さて、認定こども園の設置主体でありますけれども、私は、多様なサービスの提供主体が参入するものと思っております。平成十三年度に創設された都独自の認証保育所についても、民間事業者が設置主体となっており、現在は約三百五十カ所までふえたと伺っております。認証保育所がここまで増加したのは、認証保育所が都民のニーズに合致して、都民の広範な支持を得ているからだと思います。このような認証保育所の実績を見ても明らかなように、設置主体が公益的な団体かどうかでサービスの質が変わるとは一概にいえないと思います。
 そこで、先ほど説明がありましたけれども、改めて認定こども園の設置主体に対する都の考え方を伺います。

○都留少子社会対策部長 改めてご説明いたしますと、現在の認可保育所の設置主体は、区市町村、社会福祉法人に限らず、株式会社、NPO法人等どのような主体であっても設置運営することが認められております。また、保育サービスの質を向上させるためには、多様なサービス提供主体の参入が不可欠であると考えております。したがいまして、認定こども園につきましても設置主体を限定する予定はございません。

○伊藤委員 認定こども園は、認証保育所と同様に、利用者と施設が直接契約する仕組みが導入されます。利用者がさまざまな施設の中から希望に即した施設を選択するためにも、多様なサービスの提供主体が参入し、競い合うことが必要だと私は思います。ゼロ歳児から就学前の子どもたちに教育と保育を一体的に提供する認定こども園では、職員も、幼稚園教諭免許を有する者と保育士資格を有する者の双方が子どもたちと接することになるわけでございます。
 幼稚園教諭の持つ幼児教育の経験やノウハウが、いわゆるこれまで保育所の対象になっていた保育に欠ける子どもたちも含め、すべての子どもたちに提供されることになります。また、保育士が持っている子ども一人一人の発達に応じたきめ細かい保育のノウハウが、家庭で育てられている子どもたちや地域の子育て家庭に提供されることとなります。幼児教育のプロと保育のプロ、それぞれの専門性を生かし合うことが重要であると考えます。
 認定こども園が質の高いサービスを提供していくためには、幼稚園教諭と保育士の経験や専門性を相互に生かすなど、人材の有効活用が図られるようにすべきだと思いますけれども、所見を伺います。

○都留少子社会対策部長 認定こども園は、ゼロ歳児から小学校就学前の子どもに教育及び保育を提供するとともに、地域の子育て家庭への子育て支援を行う施設でございます。
 お話のとおり、こうした機能を十分に発揮するために、幼稚園教諭、保育士、それぞれの経験や専門性などを相互に生かすとともに、子育てに有益な資格を持つ人材の有効活用を図ってまいります。

○伊藤委員 認定こども園制度によって、ゼロ歳児から就学前までの子どもたちに一貫した教育と保育の提供が可能となります。ゼロ歳児から就学前までの時期は、基本的な生活習慣を身につける時期でもありまして、人格形成の時期でもございます。東京の認定こども園が、幼稚園教諭や保育士の指導のもと、遊びや異なる年齢の子どもたちの交流、集団活動などを通じて、次代を担う子どもたちが社会性をはぐくみ、心の豊かな人間として健やかに成長できる場となることを期待して、私の質問を終わります。

○かち委員 私からも、請願一八第一二六号、認定こども園について何点かお聞きします。
 少子化が深刻な問題になっているにもかかわらず、保育園への待機児童は一向に減っていないという現実があるわけです。一方、働く両親もふえていて、経済的な要素もありますし、今後ますます女性の社会進出ということもありますので、こうした待機児童を解消するという意味でいえば、認可保育園をもっともっとふやさなければならないのではないかと思うわけです。
 ことし六月に、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律、略称認定こども園制度というものが国会で制定されたわけですけれども、文部科学省管轄の幼稚園制度でもなく、厚生労働省管轄の保育園制度でもない、両者の特例的な、非常に特異な存在の認定こども園という制度ができたわけです。
 今回、四定議会に都として、その国の法律に基づいて、設置基準、認定基準を定めるということになっているわけですけれども、こうした複雑な、どういう制度になるかというのがなかなか見えない制度なんですけれども、東京都は、全国三十三道府県で行っているパブリックコメントも行わず、都民には、どういう考え方でどういうものをつくるのだというようなことは事前には全く知らされないまま、今日、条例案が出されるということになって、私は大変遺憾に思っております。
 そういう意味でも、都がどういう考え方のもとで条例化するのかが大変重要になっていると思います。条例案については後日審議をするということですので、内容については触れませんけれども、その前提となる認定こども園の国の制度について何点かお聞きします。
 まず、なぜこのような法律が制定されたのか、その背景について伺います。また、どのような制度をつくるにしても、まずは第一に、子どもたちにとって、子どもの権利条約にうたわれているように最善の権利を尊重するものでなければならないと思いますが、この法律ではその理念がどのように明記されているでしょうか。

○都留少子社会対策部長 この法律は、小学校就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を推進するための措置を講じ、もって地域において子どもが健やかに育成される環境の整備に資することを目的としておりまして、当然、子どもの最善の利益を尊重するという立場に立って制定されているものと理解しております。
 この法律が制定された背景といたしましては、急速な少子化の進行や、教育、保育のニーズの多様化に伴い、必ずしもこれまでの取り組みだけでは対応できない状況が顕在化していることが挙げられます。具体的には、親の就労の有無にかかわらず利用できる施設が求められていることや、家庭で子どもを育てている者への支援が必要とされていることなどでございます。

○かち委員 今のご答弁を聞いておりますと、最善の利益を尊重する立場であると理解しているといういい方ですので、いいかえれば明記されていないということですね。明記されていなければ、いろいろな解釈や理解が出てきたり、あいまいになってしまうということを免れません。だから、保育関係者からの批判の声が上がるのも当然です。そうであればこそ、条例制定に当たっては、都としての理念をきちんと明記すべきであるというふうに思います。
 今説明がありましたように、この総合的な保育を提供するというものが、長時間の共働き家庭でも、また保育にかける必要のない家庭でも、保育が必要だけれども幼児教育もしてほしい、幼児教育でいいけれども、パート労働があるので少し延長してほしい、また、これらすべての子育て家庭の多様なニーズにこたえることができるというのが、この施設の特徴といわれておりますけれども、一つの建物を有効利用するという点では合理性があるかもしれませんけれども、そこに通う、そこで生活する子どもたちにとって、本当にそれが安定した健やかな教育や保育が受けられる場になるのだろうか。そういう点では、大きな疑問を抱かざるを得ません。
 認定こども園には、幼保連携型、幼稚園型、保育園型、地方裁量型の四類型があるとのことですけれども、いずれにしても、幼稚園機能と保育園機能が一体的に提供されるためには、まず幼稚園教諭や保育士の有資格者がそれぞれ必要な対象に対応できる体制確保が必要だと思います。
 そこで伺いますが、例えば三歳以上の子どもの保育に携わる場合は、保育士資格が必要になるし、学級担任に携わる場合は幼稚園教諭の資格が必要になると思いますけれども、国のガイドラインではどのようになっているでしょうか。

○都留少子社会対策部長 国が示しました指針では、三歳以上の子どもの保育に従事する者は、幼稚園教諭免許、保育士資格を併有する者であることが望ましいとされております。ただし、学級担任について、両方の資格を持つ職員を配置できない場合は、幼稚園教諭免許を持つ職員が原則ですが、保育所型、地方裁量型の認定こども園においては、一定の条件を満たせば、保育士資格のみを有する者でよいとされております。
 長時間利用する子どもの保育を担当する職員につきましても、両方の資格を持つ職員を配置できない場合は保育士資格を持つ職員が原則ですが、幼稚園型、地方裁量型の認定こども園においては、一定の条件を満たせば、幼稚園教諭免許のみを有する者でよいとされております。

○かち委員 持っているのが原則であるけれども、資格取得が困難であれば、努力をしていれば、一定の条件があればというあいまいな理由づけのもとで、どちらかの資格があれば特例として認めるという、実質緩和措置であり、質を確保する点で大変問題があると思います。
 それでは、施設設備ではどうでしょうか。保育室や遊戯室、屋外遊戯場及び調理室というものが必要になると思いますけれども、屋外遊戯場は、幼稚園型の場合はもともと設置されていますが、その他の類型の場合、どのような考え方で示されているでしょうか。

○都留少子社会対策部長 国の指針では、屋外遊戯場の場所について、同一敷地内または隣接が望ましいとしておりますが、幼保連携型、保育所型、地方裁量型の三類型の認定こども園については、一定の条件のもとで、付近の適当な場所による代替を認めております。

○かち委員 これも一定の条件のもとで代替を認めているということです。調理室は、保育園型の場合はもともと設置していますけれども、その他の類型の場合は、三歳以上の場合はどのような考え方ですか。

○都留少子社会対策部長 国の指針では、調理室を設けなければならないこととされております。幼保連携型、幼稚園型、地方裁量型の認定こども園においては、満三歳以上の子どもに対する食事の提供に限り、一定の条件のもとで外部搬入方式を認めております。
 なお、外部搬入方式による場合でも、加熱、保存等の調理機能を有する設備を備えるものとしております。

○かち委員 遊戯場は近くに代用できるものがあればいい、調理室がなくても、三歳以上の子どもに関しては調理委託をしてもいいというのが国の考え方です。二つ合わせて、どちらか低い方の選択ができる基準の設定になっているわけです。現行の幼稚園も保育園も、最低基準は国が定めていますけれども、認定こども園は、国の指針に基づいて都道府県が定めることになっており、高くも低くも設定することが可能なわけです。国の考え方は、一体化することによって低い方の基準でも可としております。これまでの教育や保育の水準を確保する上において、都としては、認可幼稚園、認可保育園の基準を下回らないようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○都留少子社会対策部長 先ほどご説明いたしましたとおり、認定基準の設定に当たっては、就学前の教育、保育に対するさまざまなニーズにこたえ、地域において子どもが健やかに育成される環境の整備に資するものとする必要があります。このため、都の認定基準については、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の各類型の特性や、都におけるこれまでの保育、教育の実績を踏まえ、国指針の一部緩和も含めた大都市ニーズを反映した基準とする予定でございます。

○かち委員 国の基準というのは、幼稚園基準、保育園基準の特例として、それぞれの基準を下回るものでよいとしているものです。それをさらに一部緩和するというのは問題です。
 そもそも児童福祉法に基づく認可保育園の基準を下回るものを認定こども園には認めるということになると、法内施設、法定施設の二重基準を生み出すことになり、根本矛盾が生じることは明白ではありませんか。ですからこそ、日本保育協会区支部、多摩支部、三多摩地区保育連合会、私立保育園連盟の保育四団体は、認定こども園の基準について、幼保連携型を対象としてください、児童福祉法最低基準を基本としてくださいと都に要望しているんです。
 また、今後の制度では、子育て支援機能が必置義務となっていますが、保育園では、これまでにもやってきたとはいえ、本格的な予算措置がとられてきたわけではなく、それぞれの園のボランティア的努力によって賄われてきたものです。今回このように運営の大きな柱に位置づけるとするならば、当然、体制保障も含めた措置が必要です。国においては、そうした面でも予算的保障が極めて弱いといわざるを得ません。これらも含めて、請願者が都に対する十分かつ慎重な対応を求めるのは当然です。よって、本件は採択を求めます。
 以上です。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○長橋委員長 起立少数と認めます。よって、請願一八第一二六号は不採択と決定いたしました。
                  

○長橋委員長 次に、請願一八第一二七号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○狩野高齢社会対策部長 お手元配布の請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3、一八第一二七号の一、多摩都市モノレールの利用に関する請願についてでございますが、これは、日野市の多摩都市モノレールを利用しやすくさせる会代表木下正次さん外一千四百十五人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、多摩都市モノレールに関し、シルバーパスを利用できるようにすることを実現していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、シルバーパス事業は、高齢者の社会参加活動を促進するため行っている事業で、利用を希望する方に社団法人東京バス協会がパスを発行し、東京都が補助を行っている事業でございます。東京都シルバーパス条例によりまして、パスの利用対象交通機関は都営交通と路線バスとなっており、新たな利用対象交通機関の拡大は考えておりません。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。

○かち委員 請願一八第一二七号の一ということで、多摩都市モノレールにシルバーパスを適用してという要望ですけれども、この問題は、昨年の第三回定例議会で、我が党の村松都議が一般質問をしておりますし、その前にも文書質問等をしております。しかし、いずれも、適用交通機関は条例によって都営交通と路線バスということになっており、新たな拡大は考えていないという答弁でした。改めて、このシルバーパス制度の意義について所見を伺います。

○狩野高齢社会対策部長 シルバーパス事業は、七十歳以上の高齢者を対象に、都営交通及び路線バスが利用できるシルバーパスを交付することによりまして、高齢者の社会参加を促進し、もって福祉の向上を図る役割を担っております。

○かち委員 おっしゃるように、この制度は、高齢者の社会参加を促し福祉の向上を図るために大変有効な制度だというふうに思います。当初は都営交通から出発したものを、その後民営バスにも拡大してきたという経過もあるわけです。そして、そのことは高齢者にとってかけがえのない大変大きな意義を持ってきております。
 ところが、同じ都民でありながら、地域間格差があるということを私は改めて認識したのですけれども、今、シルバーパスが使えるものは、都営浅草線、三田線、新宿線、大江戸線、それに都電とバス路線ということなんです。都営交通はいずれも二十三区内であり、多摩地域の方々にとっては、同じパスを持っていても利用度が大変低いわけです。
 もう一つは、十六キロの多摩都市モノレールができたことをもって、バス路線が大幅に縮小、廃止されました。例えば多摩動物公園から高幡不動まで三十七往復していたバス路線が、平日は廃止、土日もわずか三往復に減らされてしまいました。モノレールに乗りますと、往復四百円かかります。
 こうした状況をかんがみれば、多摩都市モノレールへのシルバーパス適用は、沿線住民にとって大変切実な願いであることはもっともです。こう考えるのは私たちだけではありません。来年度予算編成に向けて、東京都市長会からも要望が提出されているようですけれども、どのような内容でしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 平成十九年度東京都予算編成に係る東京都市長会からの要望におきまして、高齢者保健福祉にかかわる各種施策の充実の一つとして、シルバーパスの利用区域について、隣接県バス路線及び多摩都市モノレールへの拡大を図ることが要望されております。

○かち委員 今おっしゃられましたように、市長会からも多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用をということが出されているわけですけれども、市長会から出されたということは、多摩都民の願いでもあるということだと思います。都としては、この要望をどのようにとらえているんでしょうか。

○狩野高齢社会対策部長 先ほど申し上げましたように、シルバーパスは、高齢者の社会参加活動を促進するため、利用を希望する方に社団法人東京バス協会のパスを発行し、都が補助を行っている事業でございます。東京都のシルバーパス条例及び同条例施行規則によりまして、このシルバーパスの利用交通機関は都営交通及び路線バスとなっており、また、路線バスの利用区域は東京都の区域内となっております。
 東京都市長会からのご要望につきましては、高齢者保健福祉にかかわる各種施策の充実に関するさまざまな要望の一つとして受けとめております。

○かち委員 今日、高齢化が進む中で、介護予防とか健康づくりが福祉保健局としても大きな課題というふうになっているわけです。ひきこもりの高齢者をつくらない、高齢者の社会参加の機会を促進する立場であるわけですから、まして、対象バス路線が廃止、縮小されている状況になっているわけですから、代替措置を図るのは当然ではないでしょうか。
 できないことはないわけです。他の都市を見ますと、横浜市、千葉市、名古屋市、神戸市、広島市でも、第三セクターの新交通に代替適用として実現しているわけです。検討の余地は十分にあると思います。よって、本請願は趣旨採択を望みます。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」「共産党おかしいぞ」と呼び、その他発言する者あり〕

○かち委員 私は趣旨採択を願っておりますけれども、委員会の皆様が継続ということであれば、それでも結構です。

○長橋委員長 継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認めます。よって、請願一八第一二七号の一は、本日のところは継続審査といたします。
                  

○長橋委員長 次に、請願一八第一二八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○金丸参事 整理番号4、一八第一二八号、日野市落川における宗教法人西光寺の大型墓地建設反対に関する請願についてご説明申し上げます。
 この請願は、日野市の緑地を保全し墓地建設に反対する会代表清水博雅さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、宗教法人西光寺が日野市落川に計画している大規模墓地建設に関し、都は、墓地等の許可権者として次の事項を実現していただきたいというものでございます。
 第一に、新規の墓地開発は認めないという日野市及び日野市議会の意思を尊重し、墓地計画が完全撤回されるよう、当該宗教法人への強い指導と勧告に努めること。
 第二に、仮に当該宗教法人が墓地建設に固執して墓地経営許可申請が提出、受理された場合においても、申請者に申請取り下げを促すとともに、申請者がそれに応じない場合は速やかに不許可を決定することという内容でございます。
 現在の状況でございますが、本請願の対象となっている宗教法人西光寺が計画している墓地建設については、現時点において墓地経営許可申請書は提出されておりません。
 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例では、墓地経営許可の事前手続として、標識の設置、隣接住民等への説明及び意見申し出による事前協議を行った後、許可申請を行うこととなっております。
 本件の申請予定者は、本年五月二十九日に標識を設置し、七月から数回説明会を開催しましたが、隣接住民等の出席は得られておりません。
 また、本年十月一日施行の日野市まちづくり条例では、事業者等には新規の墓地霊苑の造成等を遠慮し見合わせる協力を得る旨の規定がなされており、保健所において申請予定者に対し、地元市等と十分協議、調整するよう指導を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田代委員 日野市落川の墓地建設計画反対に関する請願についてお尋ねいたします。
 この西光寺による大規模墓地建設については、緑地の保全をうたう日野市のまちづくり施策にも反して、地域住民の自然環境保護の願いを踏みにじるものだと請願者の方々はおっしゃっているわけですけれども、この建設予定地は豊かな緑のある丘陵地でありまして、日野市まちづくりマスタープランあるいは日野市みどりの基本計画で、この予定地を含む一帯は、緑地を保全していく計画と定められていると聞いております。
 また、墓地を建設するに当たっては土地の造成が必要でありますが、請願者は、この丘陵地は地盤が軟弱で、大規模開発による影響ははかり知れず、造成すべきではない、また、この樹木を保存することが防災上からも必要であると。地盤が非常に緩くて、ここを開発してしまうこと自身が、今いろいろ各地で問題になっているような災害を引き起こす可能性もあるのではないだろうか、こういうことで大変心配なさっているわけですが、最初にちょっと伺いますけれども、墓地をつくるときに、どのような法令の規制があるのかをお尋ねしたいと思います。

○金丸参事 墓地経営に当たりましては、墓地、埋葬等に関する法律に基づく経営許可が必要になります。また、通常、墓地を建設するに当たりましては、土地の造成や建物の建築を伴いますので、都市計画法、宅地造成規制法、東京における自然の保護と回復に関する条例等に基づく知事の許可や、建築基準法に基づく建築確認等が必要になります。

○田代委員 墓地をつくるに当たっては、造成あるいは自然保護に関して、先ほど申し上げましたように、当然いろいろな考え方を持って対処していかなくちゃいけないわけです。
 関係法令の許可などが必要なことはわかったわけですけれども、これらの許可について、所管の部局が厳正にしっかりとり行っていただかなくちゃならないんですが、次に、この墓地、埋葬等に関する法律に基づく経営許可について教えていただきたいと思います。墓地の経営許可を得るためにはどのような基準や手続があるんでしょうか。

○金丸参事 都では、墓地、埋葬等に関する法律に基づく経営許可につきまして、墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例で基準と手続を定めております。
 構造設備基準といたしましては、ごみ集積設備、給水設備、管理事務所、駐車場を設けることなどを内容としておりまして、手続といたしましては、標識の設置、説明会の開催、事前協議といった事前手続を経てから墓地経営の許可申請を行うこととしています。
 許可申請がなされますと、所管の保健所は、提出書類等によりまして経営の適格性などの審査を行います。また、他法令に基づく許可が得られれば造成工事等が行われますので、そうした工事がおおむね終了し、管理事務所などの主要構造物が完成した段階で現場調査を行いまして、構造設備基準等に適合しているか否かについて審査した上で、許可、不許可の判断を行うことになっております。

○田代委員 大変難しい手続、そう簡単にはできない手続があるわけです。これも、墓地というものの必要性は認めるんだが、各地区によって、軽々に墓地を簡単につくってしまうことに大きな問題点、こういうものを避けようということで手続をしっかりとっているわけです。
 平成十二年の墓地条例改正時に、都議会で、条例の運用に当たっては区市町村の意向を配慮することの付帯決議をしたわけでありますけれども、この付帯決議を受けて、墓地経営許可の手続においてどのようにその趣旨を反映しているのかを教えていただきたいと思います。

○金丸参事 現在、条例改正時の付帯決議を受けまして、条例の運用に当たっての基準を定めて、決議の趣旨を踏まえた対応を図っているところでございます。
 具体的には、申請予定者から墓地建設計画の相談があった場合には、地元市町村の施策や意向との調整の観点から、市町村への事前相談を指導しております。また、所管の保健所から市町村に対して、当該墓地の建設計画によって、地元自治体の土地利用計画等に具体的な支障が出るのかどうか等についての意見照会を行いまして、申請予定者に、その回答を踏まえた指導を行っております。

○田代委員 本請願に含まれる墓地建設については、地元日野市に意見照会を行っていると思うんですけれども、この意見照会に対する日野市の回答、これはどのような内容で、また、それに対してどのように対応しているのか教えていただきたいと思います。

○金丸参事 保健所の意見照会に対しまして、日野市からは、本件墓地造成開発計画は、日野市まちづくり条例、日野市みどりの基本計画等の日野市のまちづくり施策及び環境施策等に不適合で、相反するものであるため、日野市としては断じて認められるものではなく、絶対反対であるとの回答がございました。
 この回答を受けまして、所管の保健所では現在、申請予定者に対しまして、墓地の経営許可申請は地元市と十分に協議、調整した上で行うよう指導しているところでございます。

○田代委員 今のお答えの中にしっかり答えは出ていると思うんですけれども、地方分権の中で、全国それぞれの立場があると思う。その立場をちゃんと補完しながら、国というものをつくっていかなくちゃいけないわけで、日野市としては断じて認められるものではなく絶対反対である、こういう回答をいただいているわけですね。
 この日野市の回答を踏まえて、今、指導しているということですけれども、都も地元の意見というものをしっかりと体して、事業者に強力にその旨を指導していく。日野市の意向というものが十分相手に伝わるように慎重に対応していただくわけではありますけれども、しかし、強力に市の意向というものを指導していく、その実現に向けて、簡単にいえば、地元の賛成というものが得られなければ、不許可という方向でしっかりと対応していくことが東京都のとるべき道だと思いますので、強く要望して、質疑を終わります。

○吉田委員 私も一八第一二八号、日野市落川における宗教法人西光寺の大型墓地建設反対に関する請願について、私は趣旨採択を求める立場から、何点かダブらないようにして質問させていただきます。
 まず、今話がありましたが、日野市からは断固絶対反対という意向が示されているわけですから、そうした当該自治体の意向を都としても受けとめて対応すべきだというふうに思います。
 先ほどのお話だと、開発事業者に対して、日野市との協議を行うようにという旨の対応をされているというふうに聞いておりますけれども、そもそも厚生労働省が定めた墓地経営・管理の指針の中では、許可権者である東京都が事前に、開発予定者と申請の前に相談、協議をすることが定められていると思います。計画段階から許可権者たる都道府県等との間で相談、協議を開始することが不可欠である。
 すなわち、日野市との協議だけではなく、東京都自身が、こういう明らかに当該自治体から反対を求められている事業に対してきちんと協議をするというのが、まず都としての責務だと思うんですが、この当該開発事業者に対して、東京都自身として事前の相談、協議はされているんでしょうか。もし、されているとしたら、その実態はどうなっているかをまずご答弁をお願いいたします。

○金丸参事 申請予定者からは、標識の設置前の平成十八年四月から数回にわたって事前相談がございまして、現在も引き続き指導を行っているところでございます。

○吉田委員 その事前相談をしているとしたら、既に日野市からの意見照会を終わっているわけですから、単に日野市と協議してくださいということではなくて、日野市の意向を東京都からきちんと伝えて撤回を求めることが都としてのとるべき態度だというふうに私は思います。
 そのこととあわせて、何点かこの機会に質問をしておきたいんですけれども、厚生労働省の指針などを見ても非常に懸念されているのが、いわゆる経営主体、実態の問題ですね。すなわち名義貸しがあってはならないということだと思います。
 この点で、私どもの地元の市会議員から話を聞いたんですけれども、この土地はある民間企業が所有しているというふうに聞いております。その民間企業から日野市内の宗教法人の方々に対して、墓地経営をしないかという働きかけがかなり広く行われていた。最終的に日野市内でそれに応ずる宗教法人の方がいらっしゃらなかったので、八王子市の宗教法人になったのではないかという話を伺っておりますが、こうしたことについて、東京都として情報の把握はされているんでしょうか。

○金丸参事 現在の土地所有者が日野市内のほかの宗教法人に対して売却の話をしたかどうかについては承知しておりません。

○吉田委員 それだけではなくて、墓地等経営許可申請予定者に対する指導等についてという文書では、宗教法人について、公益事業として墓地等の経営を行う場合は、宗教法人法に基づく法人規則の変更の認証を所管庁から受ける必要があるという規定となっております。ところが、私が聞いている話では、この開発予定をしている宗教法人の法人登記を見ると、その目的のところには、墓地経営については全く明記されていないというふうに話を聞いておりますが、事実関係を承知しているでしょうか。また、こういうことでよいということなんでしょうか。

○金丸参事 宗教法人法を所管する生活文化局に照会しましたところ、申請予定者の宗教法人規則には公益墓地の経営に関する規定がなく、宗教法人の規則変更が必要であるとのことでございました。

○吉田委員 しているか、していないかの確認はできませんか。

○金丸参事 現在までのところ、規則変更はしていないというふうに承知しております。

○吉田委員 それと、先ほどの名義貸しとの関係で、土地所有の問題というのは、厚生労働省の指針の中では非常に重視しているわけです。すなわち、みずから土地を所有していることと。さらに、土地を所有していればいいというだけではなくて、抵当権などが設定されていてはいけない。すなわち、他からお金を借りて土地を所有するというふうなことがあってはならないという規定だと思うんです。まず、こうした自己所有及び抵当権設定があってはならないというふうに定められていて、そういう趣旨から東京都としても対応すべきだと思うんですが、そのことと、実態として、現時点でこの申請予定者が土地を所有しているのか否か、その情報を把握していたらお答えください。

○金丸参事 まず、現在の状況でございますが、現在は、申請予定者である宗教法人の所有になっていないというふうに聞いております。
 この土地の所有につきましては、宗教法人は許可までに当該土地を自己所有する必要がございます。申請時点で自己所有になっていない場合には、都としては、速やかに自己所有するように指導しております。また、許可、不許可の判断に当たりましては、土地を購入できるだけの財産があるかどうかなども含めて審査をするとともに、土地登記事項証明書等によりまして、土地の所有者、抵当権等の永続性を阻害する権利設定の有無などを確認した上で、許可、不許可の判断を行っているところでございます。

○吉田委員 事前の協議や標識の設定などがされている段階で、いまだに自己所有じゃないということから見ても、やはりこの問題というのは、名義貸しというふうな疑惑が持たれても当然の状況ではないかと私は思います。
 先ほど、平成十二年、二〇〇〇年の条例改定に当たって付帯決議が出されて、配慮するという文言が紹介されましたけれども、私どもとしては、付帯決議に対しては、配慮するだけではなく、意見書の提出等の制度化をすべきだということを主張いたしました。それは実現しませんでしたけれども、しかし、配慮するということが議会の意思として示されたわけですから、冒頭述べたとおり、市議会と日野市当局が断固反対ということを表明しているわけですから、当然その意向に沿って東京都としては対応すべきだということを改めて述べて、私の発言を終わります。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認めます。よって、請願一八第一二八号は、本日のところは継続審査といたします。

○長橋委員長 次に、陳情一八第五七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○金丸参事 整理番号5、一八第五七号、動物愛護行政の変革に関する陳情についてご説明申し上げます。
 この陳情は、ジュルのしっぽ会から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、動物愛護に関し次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、動物保護施設での引き取り動物等の保護期間を少なくとも三カ月とする長期保護体制と、積極的な新たな飼い主募集活動の二本を柱とした、譲渡を主体とする動物愛護行政へと変革し、猫の返還、譲渡の割合については、現在の一%台から、動物愛護先進国並みの五〇%を目標とすること。
 第二に、引き取り動物等の殺処分方法は、麻酔薬のみ、もしくは麻酔薬と炭酸ガス併用による意識喪失の安楽死を採用すること、という内容でございます。
 現在の状況でございますが、第一につきましては、現在、所有者が判明しない犬、猫等を引き取り、収容した場合は、返還のため、公示期間を含めて七日間管理しております。この期間の経過後も、譲渡に適すると判断した犬、猫等につきましては、健康診断などを行った上で飼養管理を継続し、譲渡するよう努力しております。
 引き取り、収容された猫の大半は、所有者のいない生後間もない子猫であり、衰弱や感染症等により成育が極めて困難であることから、東京都動物愛護推進総合基本計画では、返還譲渡率の目標を、犬の八〇%に対し、猫については三%に設定しております。この計画は、平成十五年度から平成二十四年度までを計画期間としておりますが、計画三年目となる平成十七年度の猫の返還譲渡率は、譲渡事業や飼い主のいない猫対策等を推進した結果、四・二%となっております。
 第二につきましては、都では、引き取り、収容した動物の処分は、国の動物の処分方法に関する指針に基づき、二酸化炭素による処分を実施しております。二酸化炭素による方法は、麻酔作用による意識喪失の後に死に至るものであることから、動物に苦痛を与えない処分方法の一つとして認められているものでございます。
 なお、負傷して収容された動物を処分する場合には、処分に伴う移動など動物の負担を減らすため、収容室において麻酔薬の注射による方法をとっております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○長橋委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第五七号は不採択と決定いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時三分開議

○長橋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 陳情一八第六三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○吉岡障害者施策推進部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
 整理番号6、一八第六三号、障害者自立支援法の施行に伴う意見書の提出に関する陳情は、大田区の障害をもつ子どものグループ連絡会代表矢澤健司さん外四千百六十八名から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、障害者が地域で豊かに暮らし真の自立が果たせるよう、障害者自立支援法の施行に関し、次のことについて国に意見書を提出していただきたいというものでございます。
 内容について順にご説明いたします。
 まず第一項でございますが、応益負担の廃止または大幅な負担軽減をすることというものでございます。
 次に第二項でございますが、地域生活支援事業に十分な予算を計上することというものでございます。
 第三項でございますが、障害の程度が正確に判定されるよう、障害程度区分認定を見直すことというものでございます。
 第四項でございますが、法施行に伴う利用料の過重負担により、日中活動の抑制、施設の退所を余儀なくされた障害者の生活実態を調査するとともに、在宅者をなくし、地域で安心して暮らせるような施策を講じることというものでございます。
 現在の状況について、まず第一項でございますが、原則一割の定率負担は、サービス利用者も費用を負担し、皆で制度を支える仕組みを構築するために、本年四月から導入されております。定率負担の導入に当たっては、所得区分等に応じた月額負担上限額の設定や個別減免の実施など、低所得の方に配慮したさまざまな軽減策が講じられております。
 また、これらの軽減策に加え、都としても独自に、ホームヘルプサービスの利用者に対する定率負担導入の激変緩和、障害者施設等入所者への医療費助成制度の対象拡大及び精神障害者の通院医療費自己負担分の無料化などの負担軽減措置を実施しております。
 次に第二項でございますが、区市町村地域生活支援事業は、地域の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により実施するものとして、本年十月から施行されており、補助事業として、国二分の一以内、都道府県四分の一以内の負担割合が定められております。
 都は、本年六月に、地域生活支援事業について、事業の充実に取り組む都道府県や区市町村に超過負担が生じないよう、十分な予算措置を行うことを国に提案要求しております。
 第三項でございますが、障害程度区分は、障害福祉サービスの必要性を明らかにするため、障害者の心身の状況を総合的にあらわす区分として区市町村が認定するもので、本年十月の支給決定分から適用されております。
 障害程度区分の認定は、コンピューターによる一次判定結果に加えて、認定調査の際に対象者の状況を具体的に記載した特記事項及び医学的観点からの意見を記載した医師意見書などを総合的に勘案して、学識経験者から成る区市町村審査会の合議により二次判定が行われており、定量化が困難な障害の内容についても、審査会の合議の中で反映される仕組みとなっております。
 なお、障害者自立支援法におきましては、障害程度区分の認定に不服がある者は、都道府県知事に対して審査請求を行うことができるものとされておりまして、公正性、公平性に配慮した仕組みになっております。
 最後に第四項でございますが、障害者自立支援法の施行状況につきまして、都が本年八月、身体障害者・知的障害者更生施設等を対象に行った調査によれば、法施行後の四月から七月までの施設退所者や通所施設の一人当たりの利用日数はおおむね前年並みとなっております。
 また、本年十月から施行された新たな事業体系におきましては、従来のサービスに加え、新たに、障害者が自立した地域生活を営めるよう、介護の必要度の高い方に対して居宅介護等の複数のサービスを包括的に行う重度障害者等包括支援や、一般企業への就労を希望する方に必要な訓練を行う就労移行支援等のサービスが創設されるなど、より障害者のニーズに沿った形でサービス体系が構築されております。
 さらに、こうした全国統一のサービス体系に加え、地域の実情に応じて、自治体が創意工夫により実施する地域生活支援事業が創設され、地域での障害者の生活をきめ細かに支援することが可能な仕組みとなっております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 何点かお伺いいたします。
 自立支援法が施行されまして、四月から一部施行され、十月から本格実施、こういうことになったわけであります。私は常々思うんですけれども、制度改正をしていく、あるいは改革をしていく、こういう中で、さまざまな課題、現場におりたときに合っていかない部分というのが当然あるだろうと思っております。そして、そういう課題を本来の理念に従って知恵を出しながら解決していって、一歩でも法の求める、あるいは我々が求める制度に向けて努力をしていくというのは、課せられた義務だろうというふうに思っております。
 今ほど、陳情の各項目に従って、現状について、施行後こういう実態だということについてはお伺いいたしたところでございます。そこで、改めて、東京都はこの障害者自立支援法に対して基本的にどのような評価をしているのか、こんなところを冒頭、大前提としてお伺いしておきたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法は、自己決定と自己選択及び利用者本位の理念のもと、障害者施策の一元化や制度運営の安定性を目指し、新たな障害者福祉体系を構築するものでございます。この自立支援法の改革の理念は、これまでも都が全国に先駆けて実施してきた、利用者本位の新しい福祉を目指す福祉改革の考え方や取り組みと合致するものであるというふうに考えております。

○野島委員 今ほど、基本的な考えについては伺いました。これまでも質疑の中で、私もこの件を大分質疑したと記憶しているんですけれども、この陳情書の内容を拝見いたしますと、一割の応益負担のみを決めて強引に導入、実施されてしまった、こういう認識をお持ちのようでございます。私は、この負担のあり方のみならず、さまざまなことが障害者自立支援法には内在されておりますし、その中で、理念としてうたわれている、それを具体的にどうやっていくか、こういうことだろうと思います。
 そこで、この要旨によりますと、応益負担の廃止または大幅な負担軽減をすること、こういうふうになっているわけですね。基本的に、廃止ということと大幅な負担軽減は全く別の概念だと私は思っているんです。と申しますのは、私は何も財政至上主義者ではありませんけれども、理念に従った場合に、これからの社会保障制度を継続的、安定的にやっていくためには、もちろん健常者と障害者の所得の多寡による垂直的な負担の多さ、少なさというのは、これは出てきますわな、社会保障制度は大体それで成り立っているわけですから。同時に、例えば同じ障害者の中でも、負担することは負担していただいて、制度を継続的、安定的にやっていかなければならないという立場に立っておりますので、廃止ということについては、私はあってはならないと思っているんです。
 大幅な負担軽減、どこまでを大幅なというか、それはいろいろありますけれども、負担軽減策というのは、実態に合わせていろいろやっていかなきゃいけないだろうというふうに思っておりますが、この自立支援法は本当に負担のあり方だけが決められてしまったのか。
 そんなことで、自立支援法の枠組みについてお伺いしたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 陳情の中にもございますように、利用者負担のあり方についても新たに定率負担の考え方が取り入れられているわけでございますけれども、障害者自立支援法の特徴としては五つのポイントがございます。
 まず第一に、身体、知的、精神の三障害の制度間格差を解消し、精神障害者も含めてサービス提供の仕組みを一元化するとともに、サービスの実施主体を、地域生活を進める上で身近な自治体である区市町村としたこと。
 第二に、これまでの施設体系を利用者本位のサービス体系に再編するとともに、地域生活支援のための事業や、重度の障害者を対象としてサービスを創設したこと。
 第三に、新たな就労支援事業の創設や雇用施策との連携強化など、就労支援を抜本的に強化したこと。
 第四に、支援の必要度に関する客観的な尺度としての障害程度区分の導入や審査会の意見聴取など、支給プロセスの透明化を図ったこと。
 そして第五に、国の費用負担の責任の強化や、利用者も応分の費用を負担し、皆で制度を支える仕組みとしたことなどが挙げられます。

○野島委員 今まで伺いまして、利用者負担だけが変更になったわけではなく、理念の実現に向けて、就労支援をどうしていくとか、あるいは国の財政支出の義務化とか、いわば総合的に定められているというふうに思っております。一方、現実にそれを利用する側にとっては、負担の問題は大きな関心事だろうということは当然のことであります。
 そんなことで、実際の負担の枠組みというのが、一割の定率負担を原則としながらも、所得区分に応じて負担の月額上限を定める。その中でも、一定相当額を負担いただきながら、軽減あるいは免除する、こういう制度だというふうに、去年の質疑からずっとそんなふうに理解しているんです。個別減免の制度であるとか、あるいは社福の軽減制度など、単純に一割負担ということでなく、きめ細かくといいましょうか、細部にわたってね。それが不足であるという人もいるでしょうし、そういう中でよく考えていかなきゃいけないだろうというふうに思う方もいらっしゃると思いますが、そんなことはこれまでの委員会の中でも質疑を繰り返してきたと思っております。
 いわばこういうふうな定率負担という考えをとって、さまざまな選択的なサービスを受けながら、自立支援に向けていこうということであろうと思っておりますし、障害福祉サービス、この大部分が予算措置上の義務的経費とされた。これは大変大きな部分だというふうに私は思ってございます。原則的な考え方を明確にした上、低所得の障害者へのきめ細かな配慮を行う、こういうことは極めて妥当な考え方だと思っておりますが、そういう中でも、負担軽減策という部分で、これを廃止しろ、あるいは縮減しろ、この部分だけは、陳情者の方と私はどうしても論点が合わない部分があるんです。
 それで、利用料の過重負担で日常活動を抑制したり、施設を退所せざるを得ない者まで出ている、こんなことも書かれております。報道なんかでは、これが施行されたので、利用料が八倍になった、十倍になったというふうなヘッドコピーでお書きになっている新聞報道もございます。一方、厚労省が平成十八年六月分の定点市町村における障害福祉サービスに関する調査というのを行いまして、十月の下旬かな、発表いたしております。また、都においても、障害者自立支援法の施行に伴う状況調査の結果についてということで報告書が出てございます。どんな結果が出ているのか、概要で結構でございますので、お聞かせいただけませんか。

○吉岡障害者施策推進部長 都では、法の円滑な施行を進める趣旨から、今回、法施行状況に関する調査を実施いたしました。この結果によれば、本年四月から八月までに施設を退所した方は二百十九人であり、施設定員に対して二・一%となっております。この比率は、おおむね例年と変わっていない数字でございます。
 また、この二百十九人のうち、経済的理由により退所したという方は十人でございまして、これは施設退所者二百十九人に対しては四・六%、施設の総定員に対しては〇・一%の比率になります。
 なお、この施設退所者十人について、退所後の状況を伺ったところ、このうち四人が就労しているという回答がございました。

○野島委員 物の見方で、基本的なところで反対、あるいは理解し切れない立場となりますと、一つのそういう事柄を殊さら大きく取り上げて、制度全体の問題だ、自立支援法の持つ矛盾だと、こういうふうな結論づけをなさる方もいると思いますが、今伺った実態からしますと、私はそういうことが客観的に裏づけられているというふうには理解できないわけであります。
 ところで、さきに一連の調査結果に基づいて、サービス利用料等の負担軽減を国に緊急要望したというふうなことで伺っております。これは、どういった実態の中で、どういったことを要望されたのか、それを直す必要性、こんなところからお伺いしておきたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 国への緊急要望は、利用者負担と報酬算定の日額化について、既にとられている激変緩和策等のもう一段の強化を要望したものでございます。
 まず、定率負担の導入につきましては、皆で制度を支え合い、安定的、継続的な制度を確立しようとするもので、低所得者に対するさまざまな負担軽減措置が講じられており、改革の方向としては評価できるものと考えております。しかしながら、通所施設利用者につきましては、旧制度における負担が非常に低かったこともございまして、制度変更によって利用者負担額が約九倍に伸びているということがこの調査でわかりました。このため、新たな制度への移行に当たっては、もう一段の配慮が必要であるというふうに判断したものでございます。
 また、報酬算定の日額化につきましては、これにあわせて、定員を超えた一定範囲内の利用者の受け入れが認められるなど、規制緩和が実施されており、この規制緩和を生かして、事業者自身による収入を確保するための努力がなされるべきものと考えております。
 その一方で、実態調査の結果からは、事業者による努力が成果としてあらわれるまでには一定の時間がかかり、もう少し時間的な余裕が必要であるというふうに判断いたしました。このため、法制度の理念達成のためにも、この大きな改革の変わり目に当たって、国が既に行っている激変緩和等の措置について、もう一段の強化を要望したものでございます。

○野島委員 冒頭申し上げましたけれども、こういう大きな改革、新しい制度に向けて、さまざまな課題が生じてきている。そのことに的確に対処していく必要があるし、その一証左として、そういう実態調査をされ、要望を国に対してされたということで理解しております。
 ぜひこれからも、大きな課題が出てきた場合に、衆知を結集して、国に対する要望、あるいは都としてできる対応、区市町村でなすべき対応、それぞれ役割分担があろうかと思いますが、それぞれが適切な判断をしながら、適切な解決方法に向けて努力をしていただきたい、こんなふうに思っております。
 いわばこの障害者施策が、こういった自立支援法によって、新しい時代にそぐうような、これからの時代にそぐうような改革がなされているわけでありますから、利用料についてもいろんなあつれきが出てきて当然だと思うんです。だけど、それの理念のところでどうしていくかということで制度をやっていきませんと、大変だから全部持とうとか、大変じゃないから取ろうとかいうのは、これは情緒論です。そういうことも、幾らまで負担できるのか、できないのか、どう激変緩和をしていったら逆に事業者の方も適切な運営ができるのかとか、いろんな課題があろうかと思いますので、ぜひこれからも制度の定着に向けて汗をかいていただきたいと思いますし、今回のような取り組み、これからまだまだ必要になってくると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、冒頭の話に戻りますが、この陳情の趣旨は、どうも自立支援法そのものを否定するというふうに私にはとれるんです。特に負担のあり方論という、ただそこの部分だけについていえば、私は相入れないものを持っているんです。
 それから、あと、2、3、4とかいろいろ書いてありますけれども、この中には、なるほど傾聴すべき部分はあるなというふうには思っておりますが、現実に実態調査をして、要望も国にしていただいているわけですから、そんなことで取り組んでいただきたいと思いまして、この理念の部分で私はどうしてもこの陳情は相入れないということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

○増子委員 私からは、趣旨採択の方向で質問させていただきたいと思います。質問というか、意見を申し上げたいと思います。
 つい先日の委員会でも質疑をさせていただきましたので、簡潔に申し上げたいと思いますが、障害区分認定については、先日、東京都が調査した結果でも、区市町村の二次判定で、四割以上の方が一次判定よりも上位の区分に変更されているということでした。特に知的障害者と精神障害者については、調査項目の精度が十分ではなく、一次判定では非常に低い結果となっているということがわかりました。こうした点の改善については、東京都としても国に強く意見を上げていただきたいというふうに思っております。
 二次判定では、特記事項等を考慮して障害区分が認定されるわけですが、この判断基準には特に定めがなく、区市町村による大きなばらつきが懸念されます。受けられるサービスの量や種類がこれによって決まるわけですから、まさに生活がかかっているということでもあろうかと思います。どういったことに配慮して調査しなければならないか、ある程度、区市町村共通の認識を持って当たらなければならないと思っております。
 施設から地域生活といっても、地域にグループホームやデイサービスがなければ、追い出しになりかねないとも思っております。また、地域で受けられるサービスをきちんとコーディネートする機能が必要だというふうに思います。
 これもかねてから民主党が申し上げてきたことですが、定率負担は、それを担い得る所得の保障が大前提だと思います。
 これらの点を含め、国には緊急に適切な対応をとっていただきたいと思いますので、都議会民主党としては、この陳情については趣旨採択を主張いたしたいと思います。
 以上です。

○かち委員 私からも、一八第六三号、障害者自立支援法の施行に伴う意見書の提出に関する陳情に対して、趣旨採択の立場から何点かお聞きします。
 自立支援法が施行されて半年が過ぎ、十月からは本格実施となったわけですけれども、始まる前から、障害者団体を中心に、応益負担の重みや日割り方式など、当事者にとっても、事業者にとっても、自立どころか将来の見通しも持てないということで、悲痛な声や運動が、静まるどころかさらに高まっているというのが現状だと思います。
 十月三十一日には、ことしに入って何度目かの障害者団体を中心にした集会が開かれ、一万五千人の人々が日比谷公園を埋め尽くしました。私たち日本共産党都議団は、二定で、障害者の通所施設を中心にアンケート調査を実施し、六月議会の一般質問で取り上げてきたところです。そのときの結果でも、七割の通所施設で減収になり、利用者においても、一カ月で一、二万の負担増が四四%、二、三万の増が三五%と、その重みの強さを指摘し、改善策を求めてきたところです。
 それで、都としても実態調査をするように私たちも求めてきたところですが、先ごろようやくその調査結果をまとめ、国へも緊急要望を出されたということで、結果と要望の中身についてお伺いしようと思ったんですが、先ほど質疑がありましたので、要約しますと、調査の結果は、まず通所施設の経営については、事業者自身によって収入を確保する取り組みがなされるべきものであるけれども、本年四月の施設収入は、対前年同月比で約一五%の減額になっていることが明らかになりました。
 また、食費等の実績については、旧制度における負担額が平均で月額千九百円と非常に低かったこともあり、平均で九倍の伸びになっている。
 また、入所施設における利用者負担額の算定に当たっては、工賃収入の五〇%が控除される仕組みとなっているものの、現時点における平均工賃収入月額は約一万五千円にすぎないため、結果として手元に残る工賃の額が少ないこと、こういうことが調査の結果明らかになったわけで、都としては、この制度を肯定する立場であるけれども、もう一段の激変緩和のための配慮が必要であるという判断から、国に緊急要望を行ったという解釈でよろしいでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、私どもは、障害者自立支援法に対する基本的な考え方は、東京都が従来進めてきた福祉改革と理念を一にするものというふうに考えてございます。
 そういう意味では、このような制度の円滑な施行、定着を図ることが私どもの当面の大きな責務であるというふうに考えておりまして、実際にその定着を図る上では、都民、利用者あるいは事業者の方の間にこういう自立支援法はどのように定着しているかという実情を踏まえまして、東京都にふさわしい定着のあり方というのを、私どもで必要に応じて国に提案していくなり、そういう取り組みをしていくことが必要だろうと考えております。

○かち委員 理念や趣旨が一致している肯定的な立場であっても、実態を見れば、やはり通所や入所施設にとっても、利用者にとっても厳しい現実というものをつかまれたわけです。そして、それを認識されて、国にその改善策を要望されたということだと思います。
 十月から本格実施になった地域生活支援事業ですけれども、これは区市町村の実施事業ということで、五つの必須事業と、その他選択事業ということになるわけです。大変多くの事業を行うことになり、また、行ってきているわけですけれども、国は今年度、この地域生活支援事業費として、半年分ということで二百億円を計上しました。これを都下の自治体に配分すると、大田区の例でいいますと一億三千万です。国が二分の一、都と区で四分の一ずつということになるわけです。年間にしても二億六千万ということなんですが、それでは、これまで大田区がやってきた、これらに該当する事業の事業費はどれぐらいかというと、約六億円なんですね。これを見ても到底足りないということは明らかだと思います。
 ある小規模作業所において、区が作成した要綱に基づいて試算したところ、これまで受けていた補助金は年間二千九百万円だったんですけれども、新制度に当てはめると九百万程度になってしまう。これではどう向いてもやりくりができないということで、途方に暮れているというのが実態です。
 この地域生活支援事業については、特別区長会からも国へ要望が出されていると思いますけれども、その内容を紹介してください。

○吉岡障害者施策推進部長 特別区長会からは、本年八月、平成十九年度国の施策及び予算に関する要望書が国に提出されております。その要望書におきまして、限られた国の予算の中では、特別区が実施する現在のサービス水準を維持することさえ困難になることが予想されることとして、地域生活支援事業について十分な財政措置を講じることが要望されております。

○かち委員 実施主体である区長会からも、これでは不十分ということで国に要望しているわけですから、その状況というのは明らかだと思います。
 次に、障害程度区分についてですが、先日私が相談を受けた例です。精神障害者、統合失調症ですが、これまでは一級ということだったんですけれども、四月に診断書を求められ、八月になったら障害基礎年金が六万円も下がってしまったということで相談を受けたんですけれども、結果的には、障害区分が軽度になってしまったということなんです。しかし、この方は、ことしになって三回も病状悪化を起こして救急車で病院に搬送されているんです。先日も、何とか仕事につきたいということで、新しい職場に出勤をして、三日目で救急搬送されるという状況になっています。
 今回の障害区分判定が実態を反映していない。とりわけ精神や知的障害者において顕著だということを、多くの団体からも声として聞いております。都が行った調査でも、一次判定から、二次判定で上位区分に変わった割合が、精神や知的では五割近くあるということなんですね。余りにも乖離があり過ぎます。一次判定の精度を高める必要があると思いますけれども、この区分判定に対する国の動きはどのようになっているでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 障害程度区分の認定につきましては、コンピューターによる一次判定結果に加えて、学識経験者から成る区市町村審査会の合議により二次判定が行われておりまして、定量化が困難な障害の内容についても、審査会の合議の中で十分に反映される仕組みとなっているというふうに考えております。
 なお、国におきましては、この法施行後も引き続き、より精度の高い障害程度区分の認定をさらに目指して、認定調査員等に対する研修の実施、二次判定参考資料の充実及び認定状況の検証を行うとともに、実態調査の実施と、各障害種別の専門家を加えた精度の向上に向けた研究をさらに行うこととしております。

○かち委員 十分な仕組みになっているといわれながらも、この認定をきちんと精度をもっと高めなければいけないということで、実態調査をしたり研修をしたり、そういうことをやっているというわけなんですね。そういうことでは、まだまだこの程度区分は不十分だといわざるを得ません。
 十月二十五日に、国会衆議院厚生労働委員会で、我が党の高橋千鶴子議員の、障害者自立支援法について、余りにも負担が重過ぎる、この改善を求めた質問に対し、柳沢厚労相は、これからいろいろな調査をして、見直すところは見直しをすると答弁されました。その後、国の動きはどのようになっているのでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 国におきましても、自治体が実施した調査結果の収集等を常日ごろ行うとともに、障害者自立支援法の実施状況を国が直接把握するため、全国で百四市町村を対象とした定点調査を継続的に実施しておりまして、その調査結果を、直近では十月二十三日に発表しております。
 その調査結果によれば、全体のサービス支給量は確実にふえていること、また、所得階層区分の認定により、施設入所者の九割以上が負担上限額の減免等を受けるなど、利用者の負担軽減がなされているということでございます。
 これに加えて、現在国では、全国のすべての区市町村を対象とした介護給付、訓練給付の支給状況に関する調査や、十一月三十日を回答期限として、障害者施設等を対象とした、施設退所や利用抑制等に関する調査を実施しているところでございます。
 また、先ほどの障害程度区分関係の研究を進めるため、今年度、国におきましては、在宅介護実態把握事業を実施することが予定されております。

○かち委員 国としても、利用が伸びているといいつつも、まだまだこの自立支援法が本当に適合しているのかどうかという点ではいろいろ研究の余地があるということで、今まさに改めて調査をいろいろな角度からやっているのが実態だというふうに思います。国としてもさまざまな調査を行っている。
 また、自立支援法をめぐっては、各方面からの世論の高まりの中で、種々の新聞報道でも、政府や与野党、自治体を含めて、立場の違い、考え方の違いを超えて、共通した問題意識のもとで、改善の方向にいろいろな動きがあるというふうに私は認識しております。そういう意味では、ぜひ都議会としても、この改善を求める意見書を上げるべきだというふうに考えます。
 よって、本陳情は趣旨採択を求めます。

○山口委員 私も、趣旨採択の立場から意見だけ申し上げます。
 ここにあります、障害者が地域で豊かに暮らし、真の自立が果たせるよう、障害者自立支援法の施行に関し、次のことについて意見書を提出していただきたいということなんですが、この真の自立というところでは、今回、就労支援ということが非常に大きくうたわれています。その中で、制度をみんなで支えるんだということで、定率負担ということも導入されたかと思いますが、今、現状において、障害者の人たちが就労していくという実態がなかなか伴っていない。福祉的就労の中でも、実際には工賃が一万五千円、それが平均ですから、もっともっと低い方も半分以上いるのかというような数字だと思うんですね。
 自治体の中でも、東京都でも、知的障害の人が雇用されている実態があるのかといえば、全くないというような状況の中で、これはきちっと就労のことを確保しながら、定率負担ということを導入すべきであったのではないかというふうに、私どもはいつも--このことに関しては、制度の大きな理念に対しては賛成をするものですけれども、どうしてもここのところで私たちは、今回、何らかの見直しが必要だし、それに対しては国に対してきちんと意見をいうべきではないかというふうに思っております。
 地域生活支援事業についても、東大和市だったと思うんですけれども、社協がたしか、ガイドヘルプ事業が、採算が合わないということで取りやめたというような実態もありますので、その辺について、各区市町村の取り組みとはいいながら、制度の移行期においては、東京都も十分支援をするなり、また国にもそういったことを求めていく必要があるのではないかという立場から、今回のこの陳情につきましては趣旨採択を要望しておきます。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○長橋委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第六三号は不採択と決定いたしました。
                  

○長橋委員長 次に、陳情一八第六五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○細川医療政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号7、一八第六五号、医療機関によるカルテ廃棄の阻止に向けた働きかけに関する陳情は、大阪府大阪市の薬害肝炎全国原告団代表山口美智子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、肝炎患者がみずからのウイルス感染原因を究明する際、カルテ等によりフィブリノゲン製剤投与の事実を確認する機会が失われないよう、東京都に存在する全医療機関に対して、カルテ等を廃棄しないよう働きかけていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、カルテの保存については、医師法第二十四条第二項で、五年間これを保存しなければならないとされており、それ以上の長期保存を行う法的根拠はございません。
 なお、国においては、過去における血液製剤の投与の有無をカルテから特定することは困難であるため、血液製剤が納入された医療機関名を公表することにより、感染の可能性について情報提供するとともに、検診推奨などを行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○吉田委員 一八第六五号、医療機関によるカルテ廃棄の阻止に向けた働きかけに関する陳情について、趣旨採択を求める立場から一言意見を述べます。
 フィブリノゲンを原因とするウイルス肝炎訴訟については、ご承知のとおり、大阪地裁がことし六月、福岡地裁はことし八月に判決を下しました。その中では、危険性が認識できながら安全確保の努力を行わなかった国と製薬企業に対して、その責任を明確に追及する判決となりました。国と製薬会社に損害賠償が問われる可能性が極めて高いという状況だと思います。それだけに、カルテを保存していただきたいという要望は当然のものだと思います。
 厚生労働省は、このフィブリノゲンを利用した医療機関の病院名を公表するということを行いましたが、それにかかわって厚生労働省が作成した質疑応答集を見ますと、わざわざ、カルテが残っている場合はというふうにして、問い合わせをすれば投与の有無が確認できるかもしれません、また、カルテ等の存在が不明の場合であっても、当該医療機関に問い合わせをしてみてはいかがでしょうかということまで示しているところであります。
 もう既に大多数の医療機関はカルテは残念ながら処分されていますが、東京都内で公表した医療機関の名簿を見ますと、私が数えた限りでは、二十七の医療機関がカルテがあるということで発表されております。少なくともカルテを現時点で保存している場合ならば、引き続き、こうした事態に対応できるように保存を働きかけるということは、行政として当然のことではないでしょうか。
 そういう趣旨から、趣旨採択を要望するものであります。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○長橋委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第六五号は不採択と決定いたしました。
                  

○長橋委員長 次に、陳情一八第六六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○清宮保健政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号8、陳情一八第六六号についてでございますが、この陳情は、大阪府の薬害肝炎全国原告団代表山口美智子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、肝炎問題の早期全面解決とウイルス性肝炎患者の早期救済を求める意見書を国に対し提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、我が国には二百万人から三百万人の肝炎ウイルスの持続感染者が存在すると推計されております。集団予防接種によるB型肝炎の感染については、本年六月、最高裁は国の行政責任を認め、また、C型肝炎の感染については、現在、五地裁での訴訟のうち二地裁において血液製剤の投与が原因とし、国、製薬会社の責任を認める司法判断がありましたが、なお係争中でございます。
 ウイルス肝炎対策は、本来、国の制度として抜本的な対策を講ずるべきであります。現在、国は、ウイルス肝炎対策として、平成十四年度から、老人保健法による肝炎ウイルス検診や普及啓発などを実施しておりますが、多くの検査未受診者の存在や検査陽性者が適切な医療につながっていないことが課題となっております。
 このような現状を踏まえ、都は本年九月、厚生労働省老健局長、健康局長あて、ウイルス肝炎対策を一層充実強化するよう、緊急の要望書を提出いたしました。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田代委員 陳情一八第六六号について意見を述べさせていただきたいと思いますが、私は、さきの厚生委員会の事務事業質疑を初めとして、ウイルス肝炎患者さんや家族の方への支援策の充実強化について、さまざまな機会をとらえて都の見解をただしてまいりましたが、また同時に、ウイルス肝炎に対する社会的関心が高まる中、責任政党自由民主党は、ウイルス肝炎の時宜に適した対策の充実を訴えて、いち早く新たな医療費助成制度の創設を提案するなど、都が進めるウイルス肝炎対策の推進役を果たしてきたという自負がございます。
 ウイルス肝炎、特にC型肝炎、これは肝がんへの進行が危惧されるわけでありますが、このウイルスが発見されたのは一九八八年、まだまだ新しい疾患の一つでありまして、それから研究が進められて、感染の原因であるとか、あるいは診断、治療など、今、すべての面においてかなり飛躍的に進歩がもたらされているわけであります。人数も、大変多くの方が罹患されている話が今ありましたが、当然、医療従事者の中にも罹患している者があるわけで、国民の健康を守るという意味では、鋭意努力しながら対応を進めていかなくちゃならないわけですが、臨床医が大変尽力して、新しい治療法の導入、あるいは患者さんが治療を受けやすい状況というものを今一生懸命取り組んでいるわけであります。
 このウイルス肝炎を取り巻く状況を見ますと、都が設置した専門家による東京都ウイルス肝炎対策有識者会議報告で、多くの検診未受診者が存在する、あるいは検査陽性者が適切な治療につながっていないこと、こういうことが問題になっているわけで、なるべく早く重点的にこういう対策に取り組む必要があるとされているわけです。そして同時に、国が設置したC型肝炎対策等に関する専門家会議の報告においても同様の指摘があったわけです。
 これまでも何回か申し上げてまいりましたが、治療では、最新の治療法であるペグインターフェロンとリバビリンの併用療法が高い治療効果を示して、今では治癒までも十分に望める状態になっているわけです。このことから、早期に感染者を発見することが大変重要でありまして、またさらに、当然、適切な治療にしっかりとつなげていく、これがさらに重要なことになっているわけですね。
 肝炎ウイルス検診をして、未受診者が多く存在する中、国は、平成十八年度で終了を予定していた老人保健事業による肝炎ウイルス検診を平成十九年度は継続するとの考え方を示しているわけですけれども、都は今後、肝炎ウイルス検診をどのような考え方で推進していくのか、その取り組みについてお伺いしたいと思います。

○桜山参事 都は平成十九年度から、ウイルス肝炎受療促進集中戦略として新たな肝炎対策に取り組んでまいります。その中で、商工会議所等の職域団体に検診受診を積極的に働きかけるなど、広く普及啓発を行ってまいりますとともに、肝炎ウイルス検診については、より多くの感染者を早期に発見するため、住民に身近な区市町村や保健所における検診を拡充してまいります。

○田代委員 肝炎ウイルス検診、これはぜひとも充実していくように進めていただきたいわけですけれども、次に、肝炎ウイルス検診で陽性となった感染者の方が適切な治療につながっていない、これが一つの問題になっているわけですが、陽性者の状態を適切に診断して治療方針を決定する仕組みづくり、こういうものをつくっていかないと問題解決はできないわけです。
 ウイルス肝炎に関しては、診断、治療ともに大変進歩しているわけですから、適切な治療を進めるためには、やはり患者さんの受療行動に大きな影響を与える、かかりつけ医に最新の情報がしっかり入っていく、これが重要なことだと思うんです。
 この東京では、日本肝臓学会で認定する約五百名の専門医を初めとして、多くの医療資源が、ほかの都市に比べて大変恵まれているわけですから、患者さんの肝炎治療への信頼、そして安心を確保するためにも、この恵まれた東京という特性をフル活用して、適切な最新の治療法を推進する体制をしっかり構築していただきたいと思うわけです。
 さきの厚生委員会の事務事業質疑においても、肝炎診療ネットワークを整備するというお話でした。肝臓専門医とかかりつけ医が連携する機能的な体制とすべきと考えるわけですが、どのようにお考えでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

○桜山参事 陽性者を確実な治療につないでいくことが、今後の肝炎対策を推進する上で極めて重要でございます。そこで、肝炎対策協議会を設置し、区市町村、医師会、肝臓専門医などが連携する肝炎診療ネットワークの整備を進め、適切な診断、治療体制を推進してまいります。
 この肝炎診療ネットワークの整備に当たりましては、ご指摘を踏まえまして、患者の利便性に配慮いたしますとともに、肝臓専門医とかかりつけ医が有機的かつ効果的に連携し、確実に治療に結びつける体制を構築してまいります。

○田代委員 構築するこの肝炎診療ネットワーク、これは陽性者の方を確実に治療につなげていく、こういう仕組みでなくてはならないわけで、事務事業質疑でも伺った新たな医療費助成の創設とともに、うまく動くこと、これが大変重要なことですから、大きな期待を持って見ていきたいと思っております。
 その新たな医療費助成制度でありますけれども、最新である、治療効果の高いといわれているインターフェロンとリバビリンの併用療法、これに限定する制度として創設することはある意味では合理的であり、治療推進に効果的と評価するところであります。しかし、治療法の進歩に従って、治療効果は年々高くなっているとはいえ、いまだにまだ治療効果がない患者さんがいることも、これは事実なわけであります。一〇〇%というわけにいかない。
 この最新の治療法が適用できていない患者さんの対応はどういうふうにするのかを教えていただきたいと思います。

○桜山参事 ご指摘のとおり、最新の治療法をもってしても治療効果が期待できない患者さんがいらっしゃることも事実でございまして、これらの患者さんへの対応は必要でございます。
 これまで、保健所など地域の身近な場所で、保健師や専門相談員などが適宜対応してまいりましたが、今後さらに専門医による医療講演会や個別相談など、病状に応じたきめ細かな対応を行ってまいります。

○田代委員 最後にお答えいただきましたきめ細かな対応、これは具体的に進めていっていただくことを要望するわけですけれども、このウイルス肝炎というのは、国の薬事行政などに起因するもの、これが大きなところがあるわけです。各地で肝炎の患者さんから訴訟が起こされて、B型肝炎の感染については、最高裁は国の行政責任を認めているわけです。またC型肝炎についても、地裁で国あるいは製薬メーカーの責任を求める判決、これも出ているわけです。国はこれまでもウイルス肝炎対策を実施しているわけですけれども、このような新たな状況などを踏まえて、国の制度として早期に抜本的に総合的な対策を講じ、何よりもまず、今苦しんでいる患者さんや家族の方々の不安を早急に解消すべきである、そう考えるわけです。
 東京都は、来年度からウイルス肝炎受療促進集中戦略としてウイルス肝炎対策を充実強化する、こういっているわけで、これは大変評価に値することではありますが、本来、ウイルス肝炎対策は国の責任において充実強化すべき、そういう点もあるわけで、都は国に対して要望しているということですけれども、その内容について、どのような要望であるのかを教えていただきたいと思います。

○清宮保健政策部長 ウイルス肝炎対策につきましては、ご指摘のとおり、本来国の制度で実施すべきものと認識しているところでございます。
 都は、東京都ウイルス肝炎対策有識者会議報告を受け、平成十八年九月、厚生労働省に対し、国の制度として十分な財源を確保し、肝炎ウイルス検診の充実、治療体制の確保、新たな医療費助成制度の創設など、肝炎対策を一層充実強化し実施するように、五項目の緊急要望活動を行いました。また、平成十八年十一月にも、平成十九年度予算提案要求として、同様の内容で要望を行ったところでございます。

○田代委員 しっかりと対応していただきたいんですが、先ほどから申し上げておりますように、ウイルス性の肝炎というのは、昔は本当に死の病であったわけですね。ところが、これだけ最近に見つかった病気でありながら、臨床医が努力をした中で、早く見つけて、早く適切な治療をすると随分よくなるということがわかってきたわけで、五年前、十年前とは全く状況が変わってきているわけですから、都議会としても国に対して、国の制度として早期にウイルス肝炎対策を充実、しかも強化し、実施するように要望することを求めて、質疑を終わります。

○伊藤委員 私からも、陳情一八第六六号に関連して端的に何点か質問させていただきます。
 平成十四年からの都のウイルス性肝炎総合対策の実施に当たって、我が党は、要望書の提出を初め、機会あるごとに肝炎患者の皆様への支援強化拡充を求めてまいりました。
 都は、総合対策の一環として、約四年にわたり、区市町村が実施主体となって、老人保健法に基づく肝炎ウイルス検診を行ってきたわけでございますけれども、この受診の実態、また状況はどのようになっているのか伺います。

○桜山参事 老人保健事業における肝炎ウイルス検診は、四十歳以上で職場等で検診の機会がない方が対象でございます。平成十四年度から平成十七年度の四年間の受診者数は、B型肝炎検診が百九万一千五十二人、C型肝炎検診が百八万九千四百六十四人となっております。また、その受診率でございますが、B型肝炎が五三・九%、C型肝炎が五三・八%となっており、残りの半数近くの方が未受診の状況であると考えております。
 なお、受診者のうち検査で陽性と判定されました方は、B型肝炎、C型肝炎のいずれも受診者の約一%でございます。

○伊藤委員 ご答弁いただきました中にもありましたけれども、受診者のうち検査で陽性と判定された方が、B型、C型それぞれ一%、約一万人ずつという大変な数に驚きます。またさらに、受診率が五〇%台、未受診者が約半数いるということにも驚くわけでございますけれども、こうした未受診者への働きかけは今までどのように行ってきたのか伺います。

○桜山参事 ウイルス肝炎対策では、感染者を早期に発見し、確実に治療につなげるため、多くの方々に検診を受けていただくことが重要でございます。都では、ウイルス肝炎に関する正しい知識の普及及び検診受診の促進のため、一般都民を対象といたしました「知ろう!ウイルス肝炎」や、検診の受診を促します「受けよう!ウイルス肝炎検査」などのパンフレットを作成するとともに、平成十四年度から毎年二回、肝臓専門医による一般都民を対象とした講演会を開催してまいりました。
 また、検診の実施主体であります区市町村に対し、老人保健事業による、肝炎ウイルス検診の未受診者への受診勧奨を行うよう働きかけてまいりました。

○伊藤委員 これまでも、検診対象者に対してパンフレットの作成あるいは配布、また講演会、区市町村への働きかけなど、さまざまな働きかけを行ってきたということでございますけれども、それでもまだ半数が未受診となっておる状況でございます。また、都内にはまだ二十万人から三十万人のウイルス感染者がいると聞いております。ウイルス肝炎対策は、国の制度として全国的な取り組みも必要でございますけれども、今後、陽性者を確実な治療につなぐため、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○清宮保健政策部長 都は平成十九年度からウイルス肝炎受療促進集中戦略といたしまして、肝炎ウイルス検診の拡充、治療体制の確保、普及啓発の強化など、時限的、重点的なウイルス肝炎対策を実施してまいります。その戦略の中では、より多くの感染者の方が肝炎ウイルス検診を受診できるよう、職域などへ広く普及啓発を実施するとともに、陽性者を確実に治療につなぐため、肝炎診療ネットワークを整備し、適切な診断、治療を推進してまいります。

○伊藤委員 都は、来年度から取り組む集中戦略の中で、ぜひ着実に対策を推進していただき、発見から確実に医療につなげていく体制を確保していただきたい。また、陳情にあるように、国に対し引き続きウイルス肝炎対策を充実強化するよう働きかけていただきたいと要望して、質問を終わります。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一八第六六号は趣旨採択と決定いたしました。
                  

○長橋委員長 次に、陳情一八第八〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○細川医療政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号9、一八第八〇号、看護師等の増員を求める国への意見書提出に関する陳情は、台東区の東京医療関連労働組合協議会議長柳美智子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、次の三つの事項について国に意見書を提出していただきたいというものでございます。
 まず第一項でございますが、医師、看護師など医療従事者を大幅にふやすことというものでございます。
 次に第二項でございますが、看護師の配置基準を、夜間は患者十人に対して一人以上、日勤帯は患者四人に対して一人以上とするなど、抜本的に改善することというものでございます。
 第三項でございますが、過酷な労働実態を改善するため、夜勤日数を月八日以内に規制するなど、看護職員確保法等を改正することというものでございます。
 現在の状況について順にご説明いたします。
 まず第一項でございますが、本年七月に、国は、医師については毎年三千五百人から四千人程度増加し、長期的に必要な数は供給されるが、短期的、中期的には地域や診療科での偏在の是正に取り組む必要があるとの検討会報告書を公表し、これを踏まえた新たな医師確保総合対策に取り組むこととしています。
 都においては、現在、小児科医師や島しょで勤務する医師の確保対策を講じております。
 また、看護職員については、国が平成十七年十二月に策定した第六次看護職員需給見通しでは、最終年の平成二十二年に全国で約一万六千人が不足するとしております。
 都における需給見通しについては、現在策定中でありますが、質の高い看護職員の確保を図るため、引き続き、新規養成のみならず、定着、再就業対策を総合的に実施してまいります。
 次に第二項でございますが、看護職員の配置基準については、医療法で標準数が規定されております。また、医療施設が提供する医療機能や看護の必要度に応じて、みずから看護職員の配置を選択できるよう、診療報酬が定められており、本年四月には、より手厚い配置区分も新設されたところでございます。
 最後に第三項でございますが、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき国が策定した看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針においては、月八日以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があるとされております。
 本年四月の診療報酬改定では、入院基本料の算定に当たって、夜勤を行う看護職員の一人当たりの月平均夜勤時間が七十二時間以下であることが要件となり、これを満たさない場合には算定が認められないことになってございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田代委員 現在、医療技術の進歩、それから、国全体の患者さんの高齢化など、医療を取り巻く環境が激変しているわけです。そして、逆に医療に対する安心・安全を求める意識は国民の中で非常に高まって、東京都民の方々の医療に対する期待というのは膨らむ一方であるわけです。
 確かに日本という国は、医師と看護師の努力によって、非常に高度な、逆にいえば世界で一番の医療というものを提供されているわけです。そういう中で、人材不足ということが大きな問題にはなっているわけですけれども、それを、ただそれだけで解決するということではなくて、システム的にもうちょっと考えなくちゃいけないことがあるんじゃないか。これも当然一緒に考えていかなくちゃならない。
 それから、アメリカと日本の看護師の数一つとってみても随分違うといいますか、待遇が全く違う。逆にいえば、医療費というものの中で、高過ぎるということを一方的にいわれていながら、ふやせといったって、それは看護師さんたちは入ってくるわけがないわけですから、国の中で、世界で冠たる唯一の国民皆保険という非常に特殊な、一位と二位の差が五倍もあるような、断トツの第一位の医療提供している日本が、無理を行って進めていく。
 今、都立病院の方でも、周産期センターの墨東病院なんかは、産科の医師も悲鳴を上げているわけです。そういう過酷という言葉であらわせないような勤務状況の中で、大変申しわけないけれども、東京では公的病院の中で一番安い給料で頑張っているわけです。あれ以上安いところはないというようなところで頑張っている。
 その中で、看護師さんたちも同じような状況にあると思うんですけれども、そう簡単に人数だけで割り切れる問題ではないということを考えながら、幾つか質問させていただきたいんです。
 当然、医師と看護師の両方の要望がここに出ているわけですが、医師を初めとする医療従事者というのは、国家試験を受けて免許を得る専門職種でありまして、養成にはかなりの時間がかかるわけです。金額も当然かかります。各分野の専門家に医師がなるためには、多年にわたって現場で研修医としての研さんが必要であって、これは医療の質というものを保持するために絶対欠かせないことですから、こういう現実をよく考えながら進めていかなくちゃいけないと思うんです。
 医師の総数というのは、医学部定員をコントロールすることにより、国が総数をコントロールすることができるわけです。少し少なくしようと、今コントロールされているわけですね。だから、医療現場で覚えることが、私自身が医師になった昭和四十六年に比べて、約二十倍の知識が今必要だといわれているんですけれども、医師の数は決してそれに合っているわけではないわけでありまして、そして、そのコントロールはできるわけですけれども、逆にいうと、自分たちは進んでいく診療科目あるいは勤め先--いわゆる医療僻地といわれるああいうものが出てくるもとというのは、医師がどこでも自由に開業できる、これは正しいことなんですけれども、ある程度政策的に考えていかなくちゃいけない。こういうことが今積もり積もって、小児科のお医者さん、産科のお医者さん、麻酔科のお医者さんが特段に足りなくなっていて、逆にいうと、眼科の先生たちが余りに余るのじゃないかというほどふえている現状もあるわけですね。
 そこで伺いますけれども、東京都はこれまでに地域医療に必要な医師の確保、いろいろ各病院で問題になっておりますけれども、どのように行ってきたのかを教えていただきたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 まず、地域医療の確保に関しましては、本庁内に僻地医療支援機構を設置しまして、自治医科大学卒業生及び都立病院医師を中心に、都内の大学病院等の協力を得ながら、多摩及び島しょ地域に勤務する医師の確保に努めております。
 次に、小児科医師に関しましては、これまでも、区市町村、東京都医師会、地域の中核病院、大学病院等が連携協力して、小児科医の確保に努め、初期から三次に至る小児救急医療事業などを実施しております。この中で、地域における小児科の医療基盤を確保するため、現在、内科医などの開業医に対する小児医療研修などの独自の取り組みを進めております。
 また、医師の養成、確保は本来国の責務でございまして、医師の地域偏在、診療科偏在の解消などは、地域における独自の取り組みだけでは限界がございます。このことから、全国知事会等と協働し、国において実効性のある抜本的な対策に取り組むよう要請を行っているほか、都独自に小児科医の養成確保策の充実や、小児医療における診療報酬制度の抜本的改善を国に対して提案要求しております。

○田代委員 お答えはわかるんですけれども、努力しています、努力していますはわかるんですけれども、なかなか努力が結果として結びついてくれないと困るわけであります。国がやっていかなくちゃならないことは当たり前のことなんですが、国を凌駕するほど大きな福祉保健局なわけですから、そこで一つのグランドデザインをつくっていただいて、全国知事会といっても、東京都と同じほどの規模のところはどこもないわけですから、やはりここで一つの方向性を見せていただきたい。
 前も申し上げましたけれども、病院経営本部にやれやれといっても、彼らは実行部隊でありますから、頭を使うのは皆さん方であって、皆さん方が一つの方向性を示さない限り、病院経営本部の方もただただインセンティブが上がらない中で、医師がいなくなっていく。そして、そのしわ寄せが患者さんに来るということです。
 これは今すぐどうのこうのいっても大変なことはよくわかるんですけれども、もうちょっと根本的に、医師というものがどのぐらい東京都で必要だということ、これは国が示していない中で、我が国に幾ら必要かということも示していない中で、東京都で示すのはなかなか大変だと思いますけれども、ご存じのとおり、五カ年計画と十カ年計画、あの二つで、地方分権で医療行政も東京都におりてくるわけです。そこで、プライドを持って国に物申すような、そういう力をぜひとも見せていただきたいと思うんです。大変だと思いますが、頑張っていただきたい。
 次に、看護師さんについてですけれども、急性期の高度医療から慢性期の医療まで、医療機能の分化という方向性がある。これはまだなかなか問題があるんですけれどもね。療養病床をどうするかということについても、いろいろ介護の方々が、受け皿がないじゃないかと、いろいろな話があって、すべてをうまく分化できていないところが今問題なんですが、特に、本年四月に診療報酬の改定が行われたわけですけれども、特定機能病院などで集中的な看護を受ける、そういうときに評価ができるように、今まで以上に手厚い看護配置基準の区分が新設されたわけです。
 患者さんにしてみれば、確かにそれは希望があることで、私自身も患者として入院した経験がありますけれども、夜中に幾らベルを鳴らしても来ないと、非常に不安になっちゃうわけであります。でも、来ない理由があって、サボっているわけじゃなくて、本当に集中して忙しいときは、どうにもならないということが現実にあるわけですね。
 それの中で、こういう区分を決めていくと、看護師さんのとり合いというのがありまして、せんだっても、ちょっと名前は控えますけれども、三多摩の方で、事業が行き詰まってしまった病院、大体どこだかおわかりでしょうけれども、そこでも特異な方法で、公的病院の都立病院を中心とした看護部長さんを引き抜いて、そこから、お金に物をいわせて、どんどんどんどんほかの病院から引き抜いていくという、まさしく仁義なき戦いが始まって、そのしわ寄せは患者さんに皆来るということなので、もともとの看護師さんの養成をどう考えるかということをやっていかなくちゃならない。
 簡単にいうと、組合の一方的な、看護師さんだけを幸せにしなさいということで、ほかの国から入れちゃいけない、そして看護師さんをどんどんふやしなさい、でも実際はできてこないということになれば、むやみやたらに給料を上げるということしかなくなる。看護師さんたち全部がそういうことを望んでいるわけではないわけで、良質な医療を医師とともに提供しようという理想に燃えて看護師さんになったのに、それをある意味では政治的に利用されたり何かするということは大変困るわけです。
 そういう中で、看護師さんの今の状況、この陳情にあるように、夜間十対一、日勤帯は四対一、夜勤回数は八日以内、こういう条件をクリアした場合には、四月に決められた制度の中で最上位の区分を上回る配置になると思うんですけれども、これはどうなんでしょうか。

○高橋医療改革推進担当部長 今回、国が定めました診療報酬における最上位の区分は、平均して、入院患者七人に対し看護師一人が実際に勤務している体制でございます。先生お話しのように、この区分は、病院の機能分化を前提として、急性期の医療をこれまで以上に集中的に短期間で行うため、手厚い看護体制を評価することを目的として設定されたものでございます。
 陳情にある条件をすべて満たした場合には、おおむね入院患者六人に対して看護師一人が勤務につくよう配置することが必要でございまして、国が四月に設定した最上位区分を上回ることになります。

○田代委員 先ほど申し上げましたように、世界で第一位、二位との差が断トツにある、五倍もある我が国の中で、その中で特にまた新しくできた制度として、最上位に位置するものをさらにクリアしろと。それはいいんですよ。大変理想的でいいんですけれども、そのときに、一部の看護師さんたちの非常に偏向した組合運動にどういうふうに対処していくのか。これは公的な値段でやっていくわけですから、今現実にある看護師さんたちの人員の足りなさをどう補完していくのか。
 そして、日本の医療という制度の中で、看護師さんの立場をどうやって保護しながら、インセンティブを高めて仕事をしていただくのか。ありとあらゆるものにプラスして、医療費というものの今の是非。高いか安いかという是非。これだけ非常に安い医療費の中で、これだけ高い医療を提供している日本の医療制度が、ともすると、日本の医療費は高いというたった一言で切り捨てられてしまうような、こういう現状。こういう中で、世界で一番で、しかも今度は、改めた中の一番高いランクをさらにクリアしろというのであれば、全部がそういうふうにする必要があるのかどうかですね。
 それこそ急性期から慢性期まですべて分けていこうという中で、急性期はともかくとして、慢性期まですべてそうやっていく。では、それに対しての経済的な担保はどうやっていくのか。こういうことも考えていかなくちゃならないと思うんです。
 大事なことは、診療報酬の改定や医療制度改革による病床の再編の動向を踏まえて、需給の見通しをしっかりとつくって、確かに少子化は急激に進展しているわけですから、若い方たち、これから看護師さんになる人たちの数も減少していくわけです。こういうことを考えながら、実際に合った看護師さんの確保というのをやっていくことであって、ただただやみくもに、この制度上で、ともすると一般の都民の方たちから賛同を得られないかもしれないほど急激に、看護師さんの待遇を特別に何か改めていくような方向性が--多分、意見を出された方はそういうことでいっているんじゃないことはわかるんですけれども、そうもとられかねないような、そういう状況にならないように、状況に合った中での区分というものを考えながら、看護師さんたちの増員というのは図っていかなくちゃならないと思うわけですけれども、まず、東京都として、大都市東京の特性を踏まえた独自の需給計画というのをつくっていくとすれば、どのようになさりたいのかを伺いたいと思います。

○高橋医療改革推進担当部長 東京都は、都における看護職員の需給見通しを検討するため、昨年度、学識経験者や関係団体等で構成する検討会を設置いたしました。検討会では本年度、看護職員の就業等の実態把握のため調査を実施したところでございまして、今後これを踏まえて、都独自の新たな需給見通しを策定してまいります。
 また、具体的な看護人材確保策といたしましては、これまでも都立看護専門学校の運営や民間看護専門学校への支援などの養成対策に加え、院内保育への助成や勤務環境を改善するための補助等の対策を実施してまいりました。
 今後とも、看護職員の養成対策や定着対策、あるいは結婚、出産、育児等で離職した看護師の再就業対策など、看護施策を総合的に実施してまいります。

○田代委員 なかなか大変だと思うんですけれども、これだけ医療の質が変わってきて、そして、やるべきことが山ほどふえてきた、そして患者さんたちのニーズというものが高まってきた中で、医師も看護師も今までと同じ育成の方法でいいかというと、やはり問題があると思うんです。
 そして、地域格差があるような、先ほど申し上げたような僻地が出てきては困る。二十三区の中だけでも、あるいは東京全体を見ても、偏りがまだまだ見えるわけです。そして、診療科目については非常に大きな偏りが今見えて問題になっているわけで、そういうものに対して一つ一つ対策をとっていただくためには、今最後にお答えいただいたように、状況を把握するために調査しているということですから、その調査の結果をしっかり踏まえて、一刻も早く本物の情報を出していただいて--少なくとも都立病院の医者も、公社化された病院の医師であっても、我々大学の医師であっても、国のいうとおり四十時間あるいは七時間とか、規定のとおり働いている医師は一人もいないわけです。最低でもその倍は無給で働いている。一時期いわれた、慶應大学附属病院の医師の時給が百四十七円ですか。時給で二百円以下というのは法律違反になるわけですけれども、そういうことも実際にあるような現状を無視しないで、現場をちゃんと調べれば、いろいろな答えがわかってくると思います。
 都立病院に今かかっている負荷というのは大変大きなものがあると思うので、それには、福祉保健局の大きな立場でグランドデザインをして、労働マップをつくりながら、一つ一つ改善に努めていただきたいということを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

○かち委員 私からも、一八第八〇号、看護師等の増員を求める国への意見書提出に関する陳情について何点かお聞きします。
 まず、最近の医師不足は本当に深刻な社会問題となっているわけですけれども、首都圏を見ましても、神奈川県の茅ヶ崎市では、総合病院の産科が次々と閉鎖され、千葉県のある地域では、七市町村が運営する病院が内科病棟の半分を閉鎖するという事態になっています。象徴的な出来事は、奈良県の産婦が分娩中に意識を失い、十九カ所もたらい回しにされたあげくに死亡するという痛ましい事故がありました。
 他県の話ばかりではありません。都立病院でも、豊島病院に続いて都立墨東病院でも、医師不足のために産科を十一月十三日をもって休診せざるを得ないということですけれども、お知らせが出ておりました。また、五百床規模の東京逓信病院でも、十二月二十八日をもって産科休診のお知らせが出ているなど、本当に深刻な事態です。
 こうした実態から、日本における医師の供給は非常に不足していると思うのですけれども、将来見通しを含めた都の見解をお聞きします。

○高橋医療改革推進担当部長 国は、医師につきましては毎年三千五百人から四千人程度増加しているが、現状では地域や診療科での偏在があるとしています。東京都におきましても偏在の問題はございまして、現在、小児科医師や島しょで勤務する医師の確保対策等を進めているところでございます。

○かち委員 今お話がありました、ことし七月に国が発表した医師の需給に関する検討報告書、基本的には医師は足りているという観点で、地域別、診療科別の偏在さえ解決すればよしとしている中身なんです。基本的には東京都もそういう立場に立っているというふうに聞き取れたんですけれども、本当にこれは実態をとらえているのか、疑問を持たざるを得ません。
 それで、まず、もともと日本の医師数は国際比較からしても低過ぎるといわれていますけれども、欧米諸国と比べてどのようになっているのでしょうか。

○高橋医療改革推進担当部長 OECDの年次報告でございますOECDヘルスデータ二〇〇五というものがございます。これによりますと、二〇〇二年における医師数は、百床当たり、日本の十三・七人に対し、フランスは四十二・五人、アメリカは六十六・八人と上回っております。一方、人口千人当たりで比較いたしますと、日本の二・〇人に対し、フランスは三・四人、アメリカは二・三人となっております。
 いずれにしましても、各国の医療制度や調査対象に違いがございまして、一概に比較はできないものと考えております。

○かち委員 二〇〇〇年のデータでは、患者千人に対し、日本では医師が一・九人ですけれども、OECDの平均でも二・八人ということで、二倍になっているわけです。
 確かにそれぞれの国の医療制度に違いがあって、一概に比較はできませんけれども、国際的に見ても日本の医師は充足しているとはとてもいえない状況ではないでしょうか。
 検討会の報告では、現在、医療施設に勤務している医師数は二十五・七万人だけれども、必要医師数は二十六・六万人と推計しています。その差は九千人です。
 これも平成三十四年、二〇二二年には需給バランスが均衡するといわれているわけです。しかし、この九千人で足りるとする計算の根拠なんですけれども、医師は、週四十八時間労働を前提にして、しかも、当直時間や待機時間は除外するとしているんです。今日、週四十時間の趨勢の中で、医師だけが四十八時間が当たり前というのも、実態を無視した推計だといわざるを得ません。医療供給体制を確保するためにも、医学部の定員増を図るなど、抜本的対策が喫緊の課題だと思われます。
 また、不足が深刻な小児科、産科医については、都立病院など公的医療機関が中核となって、専門医研修の抜本的な拡充が求められているところだと思います。
 同じく看護師不足も深刻です。ところが、国が昨年末、第六次看護師需給見通しに関する検討会の報告書を出しました。これも、今年度需要数百三十一万四千人に対し、供給数は百二十七万人ですけれども、平成二十二年、二〇一〇年には百四十万人に達し、一万六千人の不足というふうに報告しているんです。医師と同じく看護師も、国際比較では、百床当たり看護師数は四十二・八人で、アメリカの五分の一、イギリスの三分の一、ドイツの二分の一という状況です。
 本年四月の診療報酬改定による新看護基準、先ほども出ました七・一制度ができてから、状況が大変深刻な事態になっています。大病院を中心に、新卒看護師の争奪戦が異常な事態です。東大病院の教授が東北地方まで看護師の就職説明会に乗り出すとか、この秋にもビッグサイトで大規模な集団説明会が行われましたけれども、各病院とも競い合って獲得競争を展開しています。まるでバブルの時代の青田刈りを想像させるものです。
 こうした現象が都内民間中小病院の看護師不足に拍車をかけているわけです。ここに、たくさんの要請文が私のところに届いて、各委員のところにも届いているかと思いますけれども、いずれも人が足りない、患者さんのニーズにこたえられないという、悲鳴ともいえる内容が書かれています。
 ある病院では、経営者側と組合で共同アンケートをしたところ、ここ三年間でインシデントやアクシデントを起こしたことがあるかの問いに対し、二百九十七名中二百五十六名、八六・二%の看護師が、あると答えています。それが新人ばかりではなくて、中堅の中でも七割、九割を占めているということで、その原因は医療現場の多忙化を挙げているのが七六%となっているとのことです。
 今日の医療現場は、医療の高度化、過密化が進み、いつも重大事故を起こすのではないかという不安と、本来業務ができない、仕事の達成感がないということで、中途退職者も加速している状況です。看護師不足の抜本的な対策が求められているということは明らかです。
 陳情書の二項にあります、夜間十人に一人、患者四人に一人の看護体制というものは、先ほど質疑がありましたように、七対一看護体制基準をクリアするために、その上の六対一をやらなければできないんだということなんですね。これは看護協会からも要望されていますが、七対一看護基準を具体的に実施しようとしたら、一五%増しをしなければ実現できないといわれています。現場では、産休を初め病欠や不慮の事故など、いろいろなことが何が起こるかわからない。そうしたときに、一カ月一人の夜勤七十二時間を限度の枠としますと、はみ出してしまうと請求算定ができないという大変厳しい中身なんです。
 それでは、これまで最も高い看護基準は二対一でした。これを七対一基準にする場合、例えば五百床規模の病院では一体どれだけ増員しなければならないのでしょうか。

○高橋医療改革推進担当部長 従来の二対一看護でございますが、これは入院患者二人に対し看護職員一人を雇用していることを意味しておりましたが、実際には看護職員は交代制で勤務しているため、各勤務帯で均等に配置した場合、一勤務帯当たり入院患者十人に一人の配置となります。このため、今回の診療報酬改定の際、入院患者に療養環境に関する情報を正しく伝える観点から、看護職員配置に係る表記を改めました。従来の二対一看護は、新たな表記では十対一看護に相当いたします。
 病院が七対一看護を選択するかどうかは、提供する医療機能や看護の必要度に応じて、病院みずから決定することでございますが、ご質問の条件では、従来二百五十人だったものが、七対一では三百六十人となり、百十人の増員が必要となります。

○かち委員 すべての病院が七対一という必要はないというのは確かにそうなんですけれども、少なくとも二対一の今の水準で一番高い看護基準をとっている病院は、急性期を中心とした医療を提供しているわけです。看護サービスの向上はもとより、今、市場の中で医療経営をしているわけですから、経営改善のためにも、七対一を目指すというのはいや応のない流れとなっているんだと思います。
 それでは、診療報酬改定前に二対一看護基準を取得していた病院はどのくらいあったのか。また、診療報酬改定後、七対一を取得している病院はどのくらいなんでしょうか。

○高橋医療改革推進担当部長 従来の二対一看護、すなわち診療報酬改定後の表記では十対一看護に相当するわけでございますが、その基準の病院は平成十七年七月一日現在、全国で千五百二十八施設でございました。診療報酬改定後、日本看護協会が行った調査によりますと、十月一日現在、全国で五百四十九施設が七対一看護を取得しております。

○かち委員 全国レベルでも既に三分の一を超える病院が七対一看護基準を取得しているわけです。東京はとりわけ大きな病院が集中している特殊性があるわけで、そういう意味でも看護師の争奪戦は熾烈さをきわめているというのが実態です。しかし、国において昨年末の第六次看護需給見通しの報告がされた時点では、この新しい看護基準七対一の基準は加味されていなかったのではないでしょうか。東京都は、来年三月末までに都としての需給計画を立てるということですけれども、当然こうした新たな医療環境を踏まえた上で需給見通しを立てなければならないと思います。その辺はいかがでしょうか。

○高橋医療改革推進担当部長 国の第六次需給見通しは、昨年の調査に基づき作成されたものでございまして、本年四月の診療報酬改定は反映されておりません。
 都では、昨年、都独自の需給見通しを策定するため、学識経験者や関係団体の代表等で構成する検討会を設置するとともに、診療報酬改定後の本年五月、都内全病院等を対象に実態調査を行いました。現在、検討会で調査結果を分析中でございます。

○かち委員 国は需給見通しを立てたけれども、実際には今の現象を加味していなかったということが明らかになりました。都は五月に再度調査を行っているということですから、当然、今日の実態と将来見通しを持った計画を立てることを求めるとともに、国においても改めて計画を見直す必要があるということをいうべきだと思います。
 これだけ看護師不足が深刻な中で、東京都は都立看護学校の縮小、廃止を進めてきて、その養成数は、五年前の千三百人から六百四十人と半減しております。このことをこれまでも指摘してきたところですけれども、その分は民間がやるからいいという答弁でした。それでは、民間で、それを補うほど養成数がふえているのでしょうか。都内全体の養成校の入学定員の推移はどうなっているでしょうか。

○高橋医療改革推進担当部長 都内の学校及び養成所の定員は、五年前の平成十三年度に五千八百三十八人、平成十六年度では四千九百三十八人、平成十八年度現在で五千三百七十八人となっております。
 都としては、少子化が進み、学生の確保が困難になる中で、質の高い看護職員の確保を図るため、新規養成のみならず、院内保育の推進を初めとした定着対策や、結婚、出産、育児等で離職した看護師のナースバンクにおける再就業あっせんなどの再就業対策等を総合的に実施してまいりました。今後とも、需給見通しを踏まえ、新規養成に加え、定着、再就業対策にも一層の取り組みを行ってまいります。

○かち委員 今の数字では、民間でも決してふえるどころか減る傾向だということですよね。都としてはいろいろな定着対策をやってきたとおっしゃいますけれども、今の医療現場での過密過労な労働実態に耐えられないということでやめていく方が多いわけで、これが悪循環になっているわけです。そういう意味では、働く現場の労働環境の改善をまず何よりもしなければならないのではないかと思います。
 東京都は、都立病院の看護師養成はもちろんのこと、都内の民間中小病院への看護師供給という責務を負っているわけです。このまま推移すれば、都内の医療活動そのものも深刻な事態を招きかねません。都民の安全・安心な医療を保障するために、今日的事態に見合った看護学校の復活を見直すことを強く求めておきます。
 働き続けることができるためにも、複数夜勤月八日以内は、半世紀以上にわたる看護師たちの悲願でもあります。看護師不足の悪循環を食いとめ、不足する医師、看護師の抜本的な増員と改善策を国に求める意見書を上げることが当然であると考えます。
 よって、本陳情の趣旨採択を求めます。

○山口委員 私どもからも、この陳情一八第八〇号の趣旨採択を求めて、簡単に意見を申し述べます。
 業務の過密化と多忙化により、過重労働が重なって退職をする看護師さんが大変ふえているということ、それから、実際に、看護師に夢と希望を持って就職したものの、理想と現実のギャップによって早期に退職してしまう看護師さんも相当数いるということを私どもも聞いておりますし、私どもにも、今回、本当に各会派に回る時間もなく、皆様に直接要望書を提出しましたというお手紙が届いておりますけれども、中には、本当に過酷な労働状況だなということを実感するような文章がたくさん載せられておりました。
 そして、私も、実際にはなかなか病院に入院するという機会はありませんけれども、お見舞いなどに行きますと、本当に看護師さんが歩いているというか、年じゅう走り回っている様子を見ると、いかに仕事が忙しいのかということを実感することもありますので、ぜひこうした意見書を通して、東京都としても患者中心の医療ということを前面に打ち出しているのですから、議会としてもこうした意見書を提出するのは当然のことではないかというふうに私は考えております。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○長橋委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第八〇号は不採択と決定いたしました。
                  

○長橋委員長 次に、陳情一八第九九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○清宮保健政策部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号10、陳情一八第九九号についてでございますが、この陳情は、渋谷区の新日本婦人の会東京都本部会長上伸子さん外二百六十五人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、子どもの医療費助成制度に関し次の事項を実現していただきたいというものでございます。
 内容について順にご説明いたします。
 まず第一項でございますが、助成の対象を中学校卒業までの子どもに拡大することというものでございます。
 次に第二項でございますが、所得制限を撤廃することというものでございます。
 現在の状況について、まず第一項でございますが、都はこれまで、子育てを支援する福祉施策の一環として、乳幼児医療費助成制度を創設し、区市町村に対し補助を行ってまいりました。その対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大しております。
 小中学生に対する医療費の助成については、小中学校の学齢期が人間形成の核となる重要な時期であることや、国の医療制度改革における子どもの医療費負担軽減の方向性などを踏まえ、子育て推進の一環として、義務教育就学児医療費助成制度創設の予算要求を行っているところでございます。
 次に第二項でございますが、所得制限については、国における児童手当制度に準拠しており、一定の所得制限を設けることは必要でございます。
 以上、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 再三質疑いたしまして、簡単に終わらせたいと思います。
 この要旨は、過日、日本共産党さんが提出されました議員提出条例、それとほとんどわだちを一にするものと理解しております。その節には質問させていただきました。吉田委員には、真摯にして論点整理されたご答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。したがって、きょうは簡潔に終わりたいと思っております。
 今お話を伺いまして、来年度の予算に向けて、福祉保健局として義務教育就学児医療費助成制度の創設を目指している、こういうことのようでございます。これはどのような位置づけになっていくのか、そんなところをまずお聞かせいただきたいと思います。

○清宮保健政策部長 予算要求をしてございます義務教育就学児医療費助成制度は、義務教育就学期にある児童に対して、医療費の自己負担額三割の三分の一を助成するものでございまして、所得制限は児童手当に準拠するものでございます。
 位置づけというご質問でございますが、この制度は乳幼児医療費助成制度と同様に、区市町村を実施主体とし、都が補助要綱により二分の一を補助する制度でございます。これにより、区市町村の子育て環境の向上を推進するものと考えます。
 また、この制度は、学齢期が人間形成の核となる重要な時期であることや、国の医療制度改革での医療費負担軽減の方向性などを踏まえ、医療費自己負担額の一部を助成し、負担軽減を図るものでございます。また、学齢期が学校での健診等により健康管理体制が整っていることや、乳幼児と比べて受診率が低いことなど、乳幼児とは異なる状況であることから、別制度として予算要求をいたしました。
 今後、区市町村におきまして、個々の実情に応じて円滑な実施がなされるよう、都としても努力してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。所得制限の関係は、条例提案のときも大分、吉田委員とは見解を異にしたわけでありますが、今回のこの助成制度、都としては所得制限は撤廃しないということで、私はそういうことでいいだろうというふうに思ってございます。
 児童手当に準拠するとなりますと、話によると、対象者の八割ぐらいは拾っちゃうというと怒られるけれども、なっちゃうということで、世の中、二・六・二の数字というのがありまして、大体どんなことでも二と二があって、六があって、二と二が両極で、六は、そのときの流れでどっちかにつくというのが世の中の相場でございますので、八割まで救うというと語弊がありますが、対象になればいいんじゃないかと私は思います。
 それから、二つ目は、補助事業として実施されるということのようでございます。実は前回の吉田委員とのやりとりの中で、条例としてやるよと。そうすると、ある種の選択的なことで、市区町村はどういくのか自由だということであっても、条例ということになれば、ある種義務づけですから、理屈としてはわかる、しかし政治的にはもたないんじゃないかというふうなことを申し上げましたが、補助事業ということでおやりになるということは今伺いました。
 それから、別制度、要は、乳幼児医療という助成制度があって、今度は義務教育終了まで。これが、このままずっといくのじゃなくて、今いろんな背景を伺いましたけれども、別制度だと。それはまた追って予算審査のときに伺いたいと思うんですが、実はそのときに申し上げたのは、こういう制度は大変いいし、やっていくにしても、実施主体である区市町村がどうとらえるかというのは大きな課題だろうというふうに申し上げました。
 今回も、補助制度でありますから、なるほど選択をできる。補助を受けて事業をやる、やらないは、それは区市町村の裁量権だと思うんです。ところが実際問題として、僕は三多摩なんですが、対三多摩都民というのか、そういういい方はいささかという気がするんだけれども、この原資は都区間財調に入っている、入っていないなんてほとんど関係ないんです。だから三多摩は都内とは違うんですよといって、わかりました、そのとおりですねという人はほとんどいないですね。そうはいったってというのが大体相場ですよ。
 例えば、今回これが導入されても、実は補助裏が当然必要になります。そうすると、その前で、三多摩の場合には所得制限も入っている市もありますし、抜いている市もあります。さまざまです。むしろそっちをやりたいという市もあるというふうに僕は思うんです。そこで、それはさまざまな意見がありますし、どう制度化していくかというのは、その市の財政事情等、あるいは福祉施策の選択の幅の中でのことだろうということは、この間の吉田委員との質疑の中でもやりとりしたんですけれども、この制度を既に区市町村に対して説明したということを伺っておりますが、どんな意見があったのか、都の認識を伺いたいと思っております。

○清宮保健政策部長 義務教育就学児医療費助成制度を今回予算要求しているものでございますが、これまで区市町村に対しまして、実務者レベルの方も含め、東京都の制度の考え方と内容につきまして十分説明に努めてきたところでございます。
 東京都の説明に際しては、区市町村からさまざまな意見があったことにつきましては、東京都としても真摯に受けとめているところでございますが、本制度の考え方と内容につきましては一定のご理解をいただいたものと考えているところでございます。

○野島委員 もうこれ以上は聞きませんけれども、要は、いろんな課題がありながら--私は、認識が一致しなければ、あるいは合意しなければやるべきでないなんていっているんじゃないですよ、施策の選択の幅であり、都の考え方もあり、それをそれぞれの市区町村がどう受けとめて、財源も含めて、どう転がしていくかという判断をしていくわけですから。ただ、さまざまな課題があるということについては、私もいろんな方面からそれなりに伺っております。
 これは要綱でありますから条例提案はないわけですよね。要綱が追って示されるものと思っておりますし、予算もありますよね。そんなこともありますので、またその段階の議論に譲ることにいたしまして、今回は、この要旨、拡大ということ、それから、所得制限の撤廃、この件についてのみお伺いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 私からも、陳情第九九号に関して端的に何点か質問させていただきます。
 現在都が独自で行っている乳幼児医療費助成制度は、小学校就学前の子どもを対象に、自己負担分全額を都と区市町村が半分ずつ補助するものでありまして、一九九四年の一月に創設され、その後も段階的に拡充されてきたところでございます。
 ここで改めて、これまでの乳幼児医療費助成事業の概要と、これまでの年齢拡大の経緯について伺います。

○清宮保健政策部長 乳幼児医療費助成制度のご質問でございますが、お話にもございましたように、義務教育就学前の乳幼児に対して、医療保険の自己負担額の全額を助成するものでございまして、事業の実施主体は区市町村であり、都は二分の一を補助しているものでございます。所得制限は児童手当に準拠したものでございます。
 この事業は、平成六年に三歳児未満を対象に開始されまして、平成十年には四歳児未満、十二年には五歳児未満、十三年には現行の義務教育就学前まで対象年齢を拡大してきたものでございます。

○伊藤委員 都は、厳しい財政状況の中、乳幼児医療費助成を拡充してきたことに大いに評価したいと思います。
 また、我が党はさらなる拡充を都議会定例会などで求め、ことし六月十九日には、都に対して、チャイルドファースト社会の実現に関する申し入れを行いました。義務教育が終了する中学三年生まで医療費助成の対象を拡大するよう申し入れたところでございます。
 都はこのほど、来年十月から新たに小中学生を対象とする医療費の助成制度、義務教育就学児医療費助成をスタートする方針を示しましたけれども、小中学生まで医療費助成を行うという都の考え方を伺います。

○清宮保健政策部長 東京都は、委員のお話にもございました申し入れ等を受け、義務教育就学児までの医療費助成制度の検討を行い、予算要求を行ったところでございます。
 就学児は、学校での健診等により健康管理体制が整っていること、乳幼児と比べて受診率が低いこと、さらに国の医療制度改革により、平成二十年四月以降、三歳から義務教育就学前までの自己負担額が現行の三割から二割に変更になることなどを踏まえ、中学三年までの自己負担額を二割に抑えるため、助成の範囲を自己負担の三分の一と考えているところでございます。
 実施主体、所得制限につきましては、乳幼児医療費助成制度と同様に考えてございます。
 この義務教育就学児の医療費負担の一部を軽減する制度は、全国初の新たな取り組みだと考えているところでございます。

○伊藤委員 乳幼児医療費助成とは別に、子育て環境の整備、これを主眼に置いた新たな、そして国に先んじての都の独自の事業であるということに、多くの都民が喜びと期待をしているところでございます。
 そこで伺いますけれども、乳幼児医療費助成事業と別にした理由は何なのか伺います。

○清宮保健政策部長 乳幼児医療費助成制度は、乳幼児期は病気にかかりやすく、一方、親の年齢が一般的に若く収入が低いことから、医療保険の自己負担額全額を助成するものでございます。
 義務教育就学児に対する医療費の助成は、小中学校の学齢期が人間形成の核となる重要な時期であることや、国の医療制度改革における子どもの医療費負担軽減の方向性などを踏まえ、子育て推進の一環として医療保険の自己負担額の一部を助成し、負担軽減を図るものでございます。
 以上のようなことから、別の制度と考えているところでございます。

○伊藤委員 義務教育就学児医療費助成の対象者は、都内の小中学生の約八割に当たる六十九万人程度の見込みと聞いております。ぜひとも推進していただいて、そしてチャイルドファースト、子ども優先社会の実現を目指し、子どもたちが健やかに育つことができる環境づくりに全力で取り組んでいただきたいと要望し、質問を終わります。

○吉田委員 私も一八第九九号、子どもの医療費助成制度の拡充に関する陳情について、採択を求める立場から何点か質問させていただきます。
 冒頭、野島理事からお話がありましたけれども、二項めの所得制限についてを除けば、一項めの要望は、我が党がさきの定例会で提案した条例案ということもありますけれども、先ほども議論がありました、六月段階で他の会派が出された要望と基本的に合致するものではないかなというふうに思っております。
 それで、内容的なことについては、今後の予算その他の中でもまた議論を尽くしていきたいと思いますが、この機会に何点か確認したいことの第一点は、乳幼児医療費助成制度を小中学校まで拡大せよということを議会で議論してきたときに、今まで、その当時は、福祉保健局としてはこれに否定的な対応をされてきたと思います。その理由として、例えば学校保健制度があるなどということがいわれたと思うんです。新たな学齢児を対象とした助成制度を設けることは、貴重な前進だと私たちは思っておりますが、その当時の認識、判断と、今回新たな制度を準備しているということの認識や判断は、前進したというふうに理解してよろしいんでしょうか。どのような認識の発展があったのか、ご答弁をお願いいたします。

○清宮保健政策部長 先ほどご説明申し上げましたが、乳幼児医療費助成制度は、乳幼児期は病気にかかりやすく、一方、親の年齢が一般的に若く収入が低いことから、医療保険の自己負担額全額を助成するものとして始まったものでございます。この制度につきましては、これまで対象年齢を段階的に拡大し、義務教育就学前まで拡大してまいりました。乳幼児医療費助成制度の対象年齢を義務教育就学前とする現行の考えは適切なものと考えていることに変わりはございません。
 一方、今回の義務教育就学児医療費助成制度は、先ほどからご説明していますように、小中学生の重要な時期であること等に着目しながら、子育て推進の一環として、医療費の一部を助成し、負担軽減を図ることをするものであり、それを構築するための予算要求をしたものでございます。

○吉田委員 学齢期の成長の重要性に着目し、しかも子育て推進の一環であるということで、前向きな対応を今回準備されているわけですけれども、それでしたら、当然、小中学生についても二割負担ではなく無料制度というふうにすべきだと私は思います。
 そこでお伺いしますけれども、就学前までは無料だけれども、就学児は二割の負担というふうに負担を区別したことの端的な理由はどういう判断ですか。

○清宮保健政策部長 乳幼児医療費助成制度は、乳幼児期の特質に着目しまして、病気にかかりやすい、親の年齢は若くて収入が低い、そういうことから全額助成を考えているものでございます。
 それに対しまして就学児は、学校での健康管理体制も整っていますし、乳幼児に比べて受診率も明らかに低い状況がございます。一方、国の医療制度改革では二割の負担にするという方向性等も出ている中から、別制度とし、助成割合を異なるものと考えているものでございます。

○吉田委員 学校保健などの医療管理体制が整っているということをもって、就学前は無料だけれども、この年齢は二割にするという理屈としては、少なくとも私は理解しがたいことだと思います。
 しかも、受診率が低いということも理由に挙げましたけれども、受診率が低い小中学生の段階で、既に二十三区の多くの自治体が無料制度を実施しているという事実についても注目すべきだと思いますし、頻度が低い段階であったとしても、必要が生じた場合にはやはり就学前と同じように無料制度を実現することが必要ではないのかなというふうに私は思っております。
 そこでお伺いいたしますけれども、これは平年度でお聞きしますが、現在予定している、小中学生に区市町村と半々で一割を助成するとした場合の東京都の平年度の必要な予算額がどれだけなのか。それと、先ほど、国の医療制度のことが指摘されておりましたけれども、再来年の四月以降、いわゆる就学前まで医療費二割負担というふうになった場合に、その結果、東京都のいわば浮く財源は幾らなのか。あるいはまた、全額無料実施した場合は東京都の負担はどれだけなのか、ご答弁をお願いいたします。

○清宮保健政策部長 義務教育就学児医療費助成事業が平年度化した場合の都の必要経費でございますが、平成十九年度の予算要求を前提に積算をいたしますと、約二十九億円と見込まれるところでございます。
 一方、国の医療制度改革は一年半後のことでございますので、現時点での影響額を積算することは困難な面もございますが、あくまでも仮定の話ではございますが、平成十九年度予算要求規模を前提にした都の財政的メリットは約二十五億円と見込まれるところでございます。
 以上でございます。

○吉田委員 ですから、国の医療制度が変わって、再来年の四月以降、就学前まで医療費の二割負担ということになれば、東京都は二十五億円、言葉として適切かどうかわかりませんが、浮くわけです。ところが、新たに小中学生まで対象を拡大したときの東京都の今の負担制度だと二十九億円。わずか四億円をつぎ足すだけ。この二十九億円で、もし全額負担ということになれば、三倍を掛ければいいわけですから、八十七億円なんですよね。それにもし所得制限を撤廃すれば、若干上乗せされる。東京都の財政状況から見れば、しかも、子育て推進の一環だというふうにいうならば、これぐらいのことはぜひ実現していただきたいということを強く求めるものであります。
 陳情の一番目については、先ほども述べましたように、既に他の会派の皆さんも、現行の医療費助成制度を小中学生まで拡大すべきであるという要望書を出したというふうに聞いておりますし、所得制限についても、当事者の方々、さらに特別区から、所得制限は撤廃すべきだという要望も出されているわけですから、やるからには、ぜひこうした要望にこたえるような努力をしていただきたいと思います。
 しかも、もう一言だけいわせていただきますけれども、今既に二十三区の場合は、小中学生まで所得制限なしという事態が進んでいます。無料制度ですよね。ところが市町村の場合は、東京都がこういう制度を立ち上げたとしても、裏負担に対しての要望が強いだけではなく、無料制度がなかなか財政的には実現できないということになると、結局、区部と多摩地域の格差というものは引き続き継続されるという事態になるかと思うんですが、そういうことについてはどのような認識をしているんでしょうか。

○清宮保健政策部長 数字の点でございますけれども、現行の乳幼児医療費助成制度の年齢拡大を現在行っている団体は、六十二区市町村のうち、十月一日現在十九団体でございます。
 ご質問のありました件につきましては、各自治体が独自に行っている助成は、事業のそれぞれの実施主体である区市町村が、それぞれの地域の実情を勘案しながら、独自の判断で対応されているものと理解しているところでございます。

○吉田委員 私は、二十三区の多くが小中学生を対象とし、若干の違いがありますが、無料制度を実現しているときに、市町村においてもそうした制度が実現できるように、都としての支援を強めることが求められているのではないかということを述べまして、発言を終わります。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○長橋委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第九九号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る