厚生委員会速記録第十号

平成十八年九月十九日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長藤井  一君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事谷村 孝彦君
理事田代ひろし君
理事初鹿 明博君
松葉多美子君
早坂 義弘君
山口 文江君
山口  拓君
斉藤あつし君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉保健局局長山内 隆夫君
次長吉川 和夫君
理事片岡 貞行君
総務部長杉村 栄一君
指導監査室長梶原 秀起君
医療政策部長細川えみ子君
保健政策部長清宮眞知子君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長都留 佳苗君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長八木 憲彦君
企画担当部長松井多美雄君
事業調査担当部長牛島 和美君
医療改革推進担当部長高橋  誠君
連絡調整担当部長松浦 和利君
参事桜山 豊夫君
参事宮垣豊美子君
参事佐藤 恭信君
参事金丸 陽子君
参事奥澤 康司君
参事住友眞佐美君

本日の会議に付した事件
 福祉保健局関係
報告事項(説明・質疑)
・東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例について
・老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について
・心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について
・東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例について
・東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例について
・大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について
・東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例について
・東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例について
・東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例について
・東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例について

○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の報告事項の聴取を行います。ご了承願います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 梶山技監は、公務出張のため、本日の委員会に欠席する旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、理事者から、東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例について外九件の報告の申し出がありますので、順次これを聴取いたします。

○杉村総務部長 平成十八年第三回定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の条例案につきまして、ご説明申し上げます。
 お配りいたしました資料は、平成十八年第三回東京都議会定例会条例案とその概要でございます。
 それでは、条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 今回ご報告いたします条例案は十件でございます。
 一ぺージをお開き願います。整理番号1から6までの六条例につきましては、健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴いまして規定を整備するものでございます。
 初めに、整理番号1、東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例でございますが、健康保険法の改正により、特別長期入院料の根拠規定が、同法第六十三条第二項から同項第四号となるため、規定を整備するものでございます。
 次に、整理番号2、老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例でございますが、健康保険法等において、入院時食事療養費に係る標準負担額が食事療養標準負担額に改められたため、規定を整備するものでございます。
 次に、整理番号3、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例でございますが、健康保険法等において、入院時食事療養費に係る標準負担額が食事療養標準負担額に改められたこと及び療養病床に入院する七十歳以上の者の生活療養に要した費用である入院時生活療養費に係る生活療養標準負担額を助成の範囲から除外するため、規定を整備するものでございます。
 二ぺージをお開き願います。整理番号4、東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例及び、一つ飛びまして整理番号6、大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例でございますが、両条例とも、先ほどご説明いたしました整理番号2と同様、食事療養標準負担額の規定整備を行うものでございます。
 次に、整理番号5、東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例でございますが、先ほどご説明いたしました整理番号1と同様、特別長期入院料の根拠規定を整備するものでございます。
 三ぺージをごらん願います。整理番号7から10までの四条例につきましては、障害者自立支援法の施行に伴いまして、それぞれ規定を整備するものでございます。
 まず、整理番号7、東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例及び整理番号8、東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例でございますが、両条例は、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法の改正に伴いまして、施設の設置、事業及び使用料の根拠規定がそれぞれ障害者自立支援法の規定となるため、使用料等に係る規定を整備するものでございます。
 次に、整理番号9、東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例でございますが、児童福祉法の改正に伴いまして、施設において行う事業として障害児施設支援を規定するとともに、肢体不自由児施設支援について、障害児施設給付費等の対象外となる食事の提供に要する費用等に係る規定を整備するものでございます。
 四ぺージをお開き願います。
 整理番号10、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例でございますが、児童福祉法の改正に伴いまして、施設において行う事業として知的障害児施設支援を規定するとともに、知的障害児施設支援について、障害児施設給付費等の対象外となる食事の提供に要する費用等に係る規定を整備するものでございます。
 最後に、施行日についてでございますが、いずれの条例につきましても、改正法の施行に合わせまして、平成十八年十月一日から施行することとしております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成十八年第三回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 これより本件について一括して質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 それでは、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例というのが今回ございますが、それについて質問いたします。
 高齢者福祉において、最近はホテルコストの徴収という変更がありますけれども、今回、児童福祉施設の自己負担についての条例改正ということで、在宅療養との格差是正ということの考え方もあり、基本的な生活に係る費用を徴収するということは、やむを得ない場合もあるかと思いますが、実際には施設の方は当然個室ばかりではありません。共有部分も多いですし、また四人部屋などが中心ではないかと思われます。
 そこで、障害者施設において、個々の生活経費というのはなかなか算出しづらいのではないかというふうに思うんです。実際にどのように金額を算定するのか、大変気になるところです。
 現在、障害者福祉においては、自立支援法への移行により、利用者の負担感が急激に増している時期ということですので、入所者のこの負担に対する理解というのは、やはりこれは理解を得ていくということが、この時期は大変大切ではないかと思います。事業費の定率負担のほかに食費等の負担が求められる仕組みの中で、食費以外にはどのような負担を実際には求めようとしているのか。
 先ほどいいました高齢者の福祉施設では、よくホテルコストと称されますけれども、こういった負担がありますけれども、今回の場合も同様の解釈なのか。それとも高齢者の施設とはまた違うのか。
 同時に、利用者の負担内容への理解のために、実際の徴収において、その金額の算出はどのような計算によるものなのか。この辺を教えていただきたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 児童福祉施設条例の改正に基づきまして、新たに負担を求めることとなるのは、食費以外には居住に要する費用になりますが、これは光熱水費についてのみ実費相当額をご負担いただくことにしているものでございます。その額は各施設ごとに定めることになっておりますけれども、一日当たり七十円から百十円としております。
 なお、この金額は、各施設においてそれぞれ実際にかかった光熱水費をもとにして、居室分のみ、かつ一人分について算定したものでございます。

○斉藤委員 ホテルコストは、光熱費だけではなくて、いわゆる部屋代みたいな部分もありますから、そういう点では高齢者福祉の施設とは少し趣旨が違うのかなと。むしろもう少し絞った形で、徴収する費用の幅というものを少し絞った形で徴収しているということで、高齢者ほど金額の高いものではないというふうに考えていいのかと思います。このあたりをよく利用者の方に理解していただくよう、努力をしていただきたいということをお願いしておきます。
 今回、この条例以外に、自立支援法に関して幾つかの変更がございます。根拠法令の移行ということで条例改正が提案されているものも幾つかございますが、この根拠の法律が変わったので条例を変えるというのは、これはいたし方ないことであります。一方で、ご存じのように、この自立支援法による制度改正によって、さまざまな福祉の現場での混乱、トラブル、また不満が出ているものであります。
 東京都は、四月からの新制度開始以降、国よりもより現場に近いという立場で、たくさんの市区町村、施設、関係者、利用者からの意見を耳にしていると思います。その中には、合点がいく切実な意見も、そしてまた制度の不備を指摘したような意見もあったかと思います。
 そこで質問なんですが、そのような東京都としても国に対して伝えなくてはならないと思う制度の影響、修正すべきと考える点、意見などをどのように国に対して伝えているのか、もしくは今後伝えるようになっているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法につきましては、区市町村や関係団体等からさまざまなご意見等をちょうだいしているところでございます。こうした中、都はこれまで、障害者自立支援法案が国会で審議中の段階から、国の障害福祉サービスの制度改革に対する都の見解等を示したことを手始めに、国の施策及び予算に対する提案要求や、他の道府県や政令市等と連携した提案要望のほか、個別事項に関する緊急要望など、あらゆる機会をとらえて、障害者自立支援法に係る問題点や意見等を国に伝えてまいりました。
 先般、十月の障害者自立支援法の全面施行に向けて、国に対し緊急要望を行った結果、グループホーム等の利用者の外泊、入院時等の報酬加算措置や、障害児施設における中間所得層に対する負担軽減措置等について、東京都等の要望が反映された見直しがなされたところでございます。
 今後とも、障害者自立支援法の実施状況等を踏まえながら、国に対し必要な提案要求を適時適切に行ってまいります。

○斉藤委員 これまでも東京都の方から国に対して提案要求を適時適切に行ってきたということで、逆にいえば、国の方から、例えばこういうタイミングで皆さん、地方自治体の方々に一斉に意見を聞くという場が実際には余りなかったということでもあるのかなと思います。これはもちろん国の方で、そういった場をなかなかきちんと設けられないということもあります。
 ただ、そうはいっても、やはり国が法律を決めたから全部、もちろんやることとして法律に従うのは当然なんですけれども、一方で東京都は、先ほども申しましたように、より現場に近い立場ですから、必要な意見というのもいっていく、その姿勢をやっぱり崩してはならないというふうに思います。
 ほかの議員の皆さんも、いろいろ地域の方から聞いていると思います。私自身も、例えば障害者の就労促進というものについては、今回自立支援法でうたわれているけれども、実際には訓練の体制や受け入れの企業の不足、こういったものを是正しない限りなかなか問題点が解決しないこととか、収入評価が世帯単位であって実際の支払い能力にずれを生じていることとか、事業所の収入が登録者の出席状況に比例するために、対象の障害の種類によっては運営が大変厳しい事業所があることや、そしてまた事務が煩雑化して事業所の職員不足が生じるなど、細かいことをいえば本当に数限りないいろんな課題、不満を聞いております。
 こういったものについて、今後も機会をとらえて、また機会がなくてもあえて東京都の方からつくって、国に対してきちんと現場の声を上げていく、そしてまた必要な調整や改正などを求めていくということがやはり必要かと思います。
 東京都の方は、市長会や担当部長会などで意見集約をしているということで、私の地元の市などで聞いても、それなりに機会をつくっていると。東京都と市区町村との連携という部分については、それなりに機会をつくっていただいているというふうなことを意見として地元から聞いております。今後ともぜひそういった姿勢をより貫いて、発言を国に対してしっかりとやっていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○谷村委員 それでは、リハビリテーション病院条例、そして老人医療センター条例に関連してお尋ねをいたします。
 この特別長期入院料、選定療養に関する規定の改正は、健康保険法の改正に伴う形式的なものでありますけれども、患者の皆さん、特に高齢者の患者の方々、またそのご家族にとっては、病院の入院期間や、また退院先の問題というのは大変に切実なものがあるわけであります。
 限りある医療資源を有効に活用して、真に必要な医療を確保するためには、急性期の病院が急性期医療に特化する必要があり、その結果として入院期間が短縮化されていくことは大変に望ましいことであります。しかし一方では、患者さんやご家族に、退院後の不安、それから転院先が見つからない、また、みずから探さなければならないといったような不安が生じないように十分配慮する必要もあるわけであります。
 そこで、リハビリテーション病院の平均在院日数と退院時の相談支援というのは仕組みとしてどのようになっているのか、お尋ねいたします。

○細川医療政策部長 リハビリテーション病院の平均在院日数についてのお尋ねでございますが、本年四月から七月までにおいては、一般病棟が四十五日、回復期リハビリ病棟が八十一日、合計した全病棟では七十四日となっております。
 患者さんの退院に当たりましては、医療福祉連携室の医療ソーシャルワーカー、いわゆるMSWでございますが、中心となって、すべての患者様について計画的かつきめ細かくご相談に応じる体制をとっております。
 具体的には、転院先の病院や施設との調整、それからご自宅にお帰りになる場合には、住まいのバリアフリーや在宅サービスの調整等についてもご相談に応じるなど、円滑な退院に向けたさまざまな援助を行っているところでございます。

○谷村委員 他の都立病院におきましても、患者さんの退院や転院時の調整に際しては、今お話がありました医療ソーシャルワーカー、いわゆるMSWさんが大変大きな役割を果たしておられるわけですけれども、今般の医療制度改革の中では、病院を退院するに当たって、患者さんへの説明に努めることが病院の役割として位置づけられたというふうに伺っております。
 病院において、この医療ソーシャルワーカーさん、MSWさんたちというのは、退院支援だけではなく、病院の受診に際しての経済的な問題や病院での医療内容など、さまざまな面から患者さんと家族の相談に応じる役割を担っておられる大変な職種であります。
 退院をするとか、この病院ではもう治療は終わりだから他の病院に転院するとかというのは、これは医学的な見地で、ドクター、お医者さんが決めることで、どなたかが立ち入れる話ではないわけですけれども、きょうから、あるいはあしたから退院ですよ、間もなく退院ですよといわれたときに、患者さんやその家族が対応できない場合が間々あるわけでございまして、そういうご相談というのを、私どもも日常茶飯事に受けるわけでございます。そうした相談事を受ける役を担っておられるのが、このMSWさん、医療ソーシャルワーカーさんたちになるわけです。
 医療や介護などの制度改革が目まぐるしく進む中で、病院の相談機能の充実を図り、退院や転院の支援を円滑に行うためには、この医療ソーシャルワーカーさん、MSWさんの機能の強化を図るための支援が必要と考えますけれども、都としての取り組み状況というのをお伺いして、質問を終わります。

○細川医療政策部長 委員のご質問にありますとおり、さまざまなご心配やご不安がおありになる患者さんや家族に対して、病院の相談窓口としての医療ソーシャルワーカーの役割は非常に重要であると考えております。今回の医療法改正により、医療機関は、患者を退院させるときには、退院後の療養等について適切な説明を行うよう努めることとされました。これに基づいて、MSWだけではございませんが、現在、七割の病院が相談体制を持っているというふうに答えております。
 東京都としましては、これまでも、都内病院の医療ソーシャルワーカーを対象として、医療社会事業説明会というものを開催しております。関連制度の周知などに努めてきたところでございます。また、医療ソーシャルワーカーの個別援助の技術の向上を目指した研修や事例集の発行など、そういったものも実施してまいりました。
 さらに、平成十五年度からは、都内全病院の相談窓口担当者、これはMSWだけではございませんが、担当者に対しまして講習会を開催し、病院内の苦情処理、相談機能の向上について支援を図ってきたところでございます。
 今後とも、医療現場の実態調査など実態把握を行うとともに、病院の相談機能の強化に向けてさらなる取り組みを行っていきたいと存じております。

○かち委員 私からは、東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例と、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例、二条例については、自立支援法関係のもので、児童福祉法の改正がそれに伴って行われて、先ほどもありましたけれども、施設に関して食費あるいは光熱水費が一割負担のほかに発生するということで、この十月から、この改正によって負担が明らかになるというものですので、この二条例案に共通している点についてお聞きしたいというふうに思います。
 今回の条例改正に該当する施設とそれぞれの利用定数をお聞きします。

○吉岡障害者施策推進部長 東京都立療育医療センター条例の対象施設は、東京都立北療育センター一施設で、定員は、重症心身障害児入所が四十名、肢体不自由児入所が六十名、肢体不自由児通園が分園と合わせて百二十名でございます。
 東京都児童福祉施設条例の対象施設は、知的障害児施設の三施設でございまして、東京都七生福祉園が定員百五十六名、千葉福祉園が定員百二十名、東村山福祉園が定員百六十名となっております。

○かち委員 今お聞きしたように、入所関係でいいますと四施設で五百三十六人が対象になっている、通園関係では百二十人が対象になっているという条例です。いずれも障害を持つ児童の入所あるいは通所利用にかかわる使用料規定を変更するものですけれども、これまでにもたびたびこの委員会でも議論をしてきたところでありますけれども、例えば府中療育センターの条例改正が提案されたときにも、まだ国において政省令が決まっていないので詳細はわからないといいつつも、そのときに示された当初案のシミュレーションを見ても、低所得層にとってかなりの負担増になるということが明らかになっています。
 これまでの委員会でも申し上げてきましたけれども、自立支援法に基づく定率の一割負担の上にまた負担がかかる。しかも、こういう障害児を持つ親御さんは比較的若い層であり、経済的にもまだまだ安定していない。そういう方々にかかってくる負担増について、世論的にも大変批判、指摘がされてきたところだと思います。
 今回の利用料改定によって、現在の利用者がどのような影響を受けるのか、また、利用日数や世帯所得別の影響はどうなのかというようなことについては調査をされたのでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 まず利用者負担についてでございますけれども、現在、サービスの支給決定を行うために必要な収入額等を利用者一人一人について調査を行っている段階でございまして、現時点で全体の状況を推しはかることは困難でございます。
 また、利用日数につきましては、個々のお子さんお一人お一人の健康状態等によって左右されるものでございますので、これについても、全体の平均とかそういうのを云々することはなかなか難しゅうございます。

○かち委員 法律ができて、政省令ができて、条例として実施していくというのはそれなりに期間が必要なわけですけれども、今の国のやり方では、いまだに政省令もできていない、十月一日から始まるというのにね。こういうやり方自身が、私は大変問題があると思います。
 それから、個々の状況によって利用日数等は違うといいますけれども、これまでの経過というのがあります。入所している方は、そうそうくるくるかわるわけでもありませんので、それなりの利用日数、平均状況というのは出ると思うんですね。そういうことをきちんと照らし合わせて、一体負担増がどうなるのかというのは、都としてもきちんと把握するべきだというふうに私は思うんです。
 こうした中で、国においても、八月二十四日に厚生労働省が行った全国課長会で、十月からの利用者負担の見直しについて説明があったようですけれども、その内容について、まず入所施設からどうなっているのか、お聞きします。

○吉岡障害者施策推進部長 昨年十二月に厚生労働省が示した当初案におきましては、障害児施設における利用者負担軽減措置の対象としていたのは、障害者の施設と同様に市町村民税非課税世帯のみでございましたが、本年十月の障害者自立支援法の施行に向けまして、八月に厚生労働省から新たに当初案の変更案が示されてまいりまして、障害児施設に限りましては、課税世帯の一部についても利用者負担の軽減措置を講じることとなったものでございます。
 具体的には、入所施設利用者について、課税世帯のうち市町村民税所得割額二万円未満の世帯に限り、食費、光熱水費の軽減措置を拡大することとし、月ごとの負担額について、当初四万五千円を上限額としていたところを一万九千六百円という上限額を新設したものでございます。

○かち委員 十二月の時点では、大人と同じように市町村民税非課税世帯のみの対応だったけれども、八月の時点でその枠を少し広げたと。市町村民税所得割二万円未満の世帯についても軽減策をとるということで、月四万五千円を上限としていたところを一万九千六百円、そういう対策をとったということですね。
 それでは、通所施設の利用者負担についてはどういう検討をされたのでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 通所施設利用者につきましては、学齢期前の市町村民税非課税世帯の負担額について、当初案において一万二千六百円を上限額としていたところを九千四十円に、同じく学齢期前の市町村民税所得割額二万円未満の世帯の負担額について、当初案において二万八千七百円を上限額としていたところを二万五百円に軽減するものでございます。

○かち委員 これも所得割二万円未満の世帯を対象にして減額措置をとったということでありますので、非常に負担の重いところから一歩前進したということはいえると思いますけれども、しかし、この額そのものが、低所得の方というのは年間所得八十万円前後というようなところの方々ですので、そこにかかる負担というのは大変な重みがあるというふうに思うんです。
 それで、通所施設の利用者負担を算定するときに、一応全国の保育所の保育料程度の水準に抑えたというようなことも聞いてはいるわけですけれども、利用料負担を住民税所得割が二万円未満の世帯に拡大したということはありますけれども、これまでの状況を見ますと、入所の場合は上限、限度額で見ても、低所得一で今まで二千二百円であったものが八千五百円、四倍です。低所得二で二千二百円が一万三千三百円、六倍です。住民税所得割二万円未満が四千五百円から六千六百円、この方々が一万九千六百円、三倍から四倍という負担がかかってくるわけです。依然として負担増を免れることはできません。
 これは、上限額だとはいいますけれども、入所児童の場合は、重度であればあるほど頻繁に帰宅するということもできないわけで、必然的に上限額に達してしまうということは想像にかたくないわけです。通所についても、低所得一、二で千百円だったものが九千四十円、九倍ですよね。住民税所得割二万円以下で二千二百円から三千三百円だったのが二万五百円、七倍から九倍という負担増です。国の考え方として、保育料程度に準じたとしているわけですけれども、これで見ると、低所得でも九千円ぐらいの保育料になってしまうんですね。
 ところが、東京都の場合の保育料というのは、これまでの歴史的な経過もありまして、大都市に住む都民の生活負担というようなことも十分考慮されてきた中で、国の水準よりも約半分程度に抑えているわけですね。そういうことから見れば、都において、この負担をぜひ都の保育料負担の水準に抑える、そういう努力もしてしかるべきではないかというふうに思うんです。都としての対策を求めますが、どうでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 都におきましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、障害児施設を利用する保護者に対し急激な負担増とならないよう、中間所得層における負担軽減措置の実施について、本年八月、国に緊急要望を行いました。このような都の要望等を受けて、国において軽減措置を講じたところでございますので、都として独自の負担軽減措置を講じる考えはございません。

○かち委員 都としても国に意見を上げて、国も変えてきたというその経過、努力については十分認めますけれども、それでもまだ実際の負担額と重みというのはそう変わっていないわけですよね。そこにやっぱり手だてをとる必要があるということを私は申し上げているわけで、今回の改定では、高額所得世帯にとっては上限額が定められて、むしろ負担が軽くなるという世帯も出てきています。その一方で、契約に基づく福祉施設の利用料である以上、親が利用料を払い切れなくなる、こういう事態が生じたときに、退所あるいは通所日数を減らさなければならないという、児童福祉法の本旨にももとる事態が生まれかねません。そういう意味では、改めて都としての独自対策を求めまして、この二条例案については反対の立場を申し上げて、終わります。

○吉田委員 私は、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例案について、若干質疑をさせていただきます。
 本条例の改正は、健康保険法等の改定によるものですけれども、やはり障害者の方々に新たな、しかも過大な負担を招くということは見過ごすわけにはいかないと思います。
 二つの内容が改定の中身ですけれども、第一点目の標準負担額を食事療養標準負担額に改めるというものは、規定の整備としてわかります。ただ、療養病床七十歳以上の方々に対して新たに食材費だけではなく、いわゆる居住費も含めて入院時生活療養費の負担を求めるということを、そのまま障害者の医療費助成分野に導入する、すなわち助成の対象からは除外するという規定をあえて設けるというのが大きな問題だと思います。
 そこで、まず事実確認をさせていただきたいんですけれども、この生活療養費の自己負担が導入された場合に、これまでとどの程度負担がふえるのか、具体的に紹介してください。

○清宮保健政策部長 今回の健康保険法の改正によります生活療養標準負担額は、食事療養標準負担額がこれまで月額換算で二万四千円であるのに対しまして、調理費、居住費等の生活療養に要する費用として、月額換算で五万二千円になるものでございます。

○吉田委員 そうすると、単純に見ても二倍以上の負担になるわけですよね。低所得者対策があるというふうにいわれてきたけれども、その実態についても、どの程度のものか紹介してください。

○清宮保健政策部長 今回の改正では、市町村民税非課税世帯や入院医療費の必要性の高い状態が継続する患者の方に対しまして、大幅な軽減措置が講じられているところでございます。入院医療の必要性の高い状態が継続する患者の方につきましては、現行の食事療養標準負担額と同額となるものの、軽減が措置されてございます。

○吉田委員 事前にお伺いした資料によりますと、例えば住民税非課税の方に対しては現行が二万円、それが三万円と。あるいは、低所得の中で年金受給額が八十万以下の人は、現行が一万円が二万二千円ということになります。したがって、低所得対策があったとしても、例えば年金受給額八十万以下の方は、年額で計算すると二十六万円の負担ということになりますし、住民税非課税の方は年額三十六万円の負担が、この生活療養費に限っても新たな負担増になる。これはやはり一般の人にとっても大変な負担ですけれども、障害者の方々にこうした負担を押しつけることは、私は適切ではないというふうに思います。
 そこで、改めて確認したいんですけれども、国が法改定を行ったからといって、自動的に、東京都がこの障害者の医療費助成の条例において、生活療養費を自己負担とするということが法的に義務づけられるのか、あるいは拘束されるのか、そこをご答弁ください。

○清宮保健政策部長 今回の国の健康保険法等の改正は、将来にわたる持続的かつ安定的な医療保険制度の運営を確保するとともに、介護保険など他制度とのバランスを考慮して行われたものでございます。
 都としましては、このような法改正の趣旨を踏まえ、現在、これまでの食事療養標準負担額と同様に、生活療養標準負担額につきましても助成の範囲外としたものでございます。

○吉田委員 国がそういう法改正を行ったとしても、東京都は独自の障害者の医療費助成制度ですから、独自の判断で、これを自己負担とはしないというふうにすることは、法的には可能ですよね。

○清宮保健政策部長 現在の食事療養標準負担額につきましても、現行の法体系に準拠しながら行っているところでございます。今回の生活療養標準負担額につきましても、同様の考え方から助成の範囲外としたものでございます。

○吉田委員 私は、国の法改正を自動的に引くべきではないと。しかも、以前の厚生委員会でも私は議論をしたことがありますけれども、例えば東京都の場合には、老健に準じた一割負担の導入ということを条例で定めていますが、少なくない他の自治体の障害者の医療費助成制度では、国が一割負担を導入したときに、あえて一割負担ではなくて定額負担をそのまま継続するということが実際に行われているんですよね。したがって、同様の事例ではありませんけれども、たとえ国が新たな負担増を導入したとしても、これは障害者固有についての医療費助成制度なんですから、東京都の判断でこれは自己負担にしない、あるいは独自に軽減するということを、やはり行政の仕事として十分検討課題だというふうに私は思います。
 しかも、あわせて質問しておきたいのは、負担増になるのは、こうした生活療養費だけではないということだと思うんですね。例えば、いわゆる高額療養費、負担の上限額を定めたものです。これも法改正が行われましたけれども、こうしたことはどういうふうになるんでしょうか。

○清宮保健政策部長 健康保険法等の改正によりまして、高額療養費の自己負担限度額につきましては、七十歳以上、一般で四万二百円から四万四千四百円に改正されたところでございます。それに伴い、老人保健法における当該額を準用してございます心身障害者医療費助成制度の入院時の自己負担額につきましても、施行規則を同様に改正する予定でございます。

○吉田委員 そうすると、国に倣って規定を改めて、負担額をわずかでありますが引き上げるという意向なわけですよね。
 さらに大きな問題は、例えば現在の住民税課税者に対する一割負担も自動的に二割負担というふうなことも、国に見合って、国に見合ってということになれば、そうした負担増が次々とのしかかってくる。これが果たして本当に障害者のための医療費助成制度といえるのかということが、そういうことを繰り返していけば問われることになるということを、私は改めて述べておきたいと思うんです。
 これに関連して、住民税非課税の方に対しては先ほど述べたような一定の負担軽減策がありますけれども、九月一日でマル障医療証の更新がされましたが、その際に、これは杉並だけではないと思うんですけれども、例えば、明らかに税制改定の影響と見られる、住民税非課税から課税になることによって一割負担に切りかえられる、あるいは老人保健法の対象者の場合には、ここに持ってきましたけれども、医療証の消滅通知というものが突然送りつけられて、当事者は本当になぜこういうことになるのかという驚きの声、問い合わせが寄せられていますけれども、こうした税制改定によってマル障から非該当になるというふうな影響というのは、どのように認識していますか。

○清宮保健政策部長 今回の税制改正による影響につきましては、九月一日が受給者証の切りかえ時期に当たることから、正確な数値は把握できないところでございます。しかしながら、既に区市町村に事務的な調査を行ったところでございます。心身障害者医療費助成制度の対象外に新たになったと思われる方は、現在集計中ではございますけれども、受給者全体十一万一千人強でございますが、そのうちの約一%弱程度と推測しているところでございます。
   〔発言する者あり〕

○吉田委員 その程度という声が聞こえましたけれども、全体の一%弱というと、少ないという印象を持たれる方もいらっしゃると思うんですよ。問題は、税制改定、とりわけ高齢者にかかわる各種控除あるいは非課税限度額の廃止、公的年金控除の縮小ということの影響が主にあらわれているのは高齢者なんですよね。したがって、マル障受給者の中でも高齢者の中を見れば、決してわずか一%弱というふうな実態ではないと思うんです。どうですか、認識を改めて、高齢者の中での影響が非常に大きいと思うんですが。

○清宮保健政策部長 ご答弁いたしましたとおり、現在正確な数値を把握している状況ではございませんが、六十五歳以上の受給者のうちで今回の対象外になった方は約二%強とは推測されるところでございます。

○吉田委員 私は杉並区に聞きましたけれども、杉並区の場合に、老健の対象で、そして今回マル障の消滅通知を、実務的には杉並区が委託を受けて作業していますから、杉並区から知事名で送られた方の数は、約百十名程度のもともとの対象者のうち、四十七名の方に消滅通知が送られたと。すなわち、該当者のうちの半分弱に消滅通知が送られたという状況です。かち副委員長の大田区も調べてもらいましたけれども、大田区の場合は八十三名が、消滅通知が送られたという数なんですよ。ちなみに、私が調べた限りで東京全体の数、総数で消滅通知が送られた方は千五百人を超えているというのが私の方の調査結果です。そういう点で見れば、少数のわずかな人であったとしても、私たちはそれをもって是とするわけにはいきません。非常に影響の大きい問題だと思うんですよね。
 かつてシルバーパスの問題を議論したときに、福祉保健局の当時の担当部長さんは、そうした税制改定の影響が起きるのはシルバーパスだけではありません、実はさまざまな分野に税制改定による負担増が引き起こされるんです、したがって福祉保健局としては、シルバーパスだけではなくて、全体についての影響を調査し、その対応を検討するんですという旨のご答弁をかつてされた経過があるんですよ。
 本人の収入が全くふえていないのに、税制改定によって突然マル障が取り上げられる、こうしたことについては、先日申し入れも行いましたけれども、やはり都としての何らかの救済策といいますか、対応策というものが当然とられてしかるべきだと思いますし、また、そうした住民税課税と判断をして消滅通知を出したとしても、それについて本人からもう一度再確認するような親切丁寧な対応というのが当然あってしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○清宮保健政策部長 今回の税制改正は、世代間の負担の公平の確保などを目的としたものでございまして、また、税制改正後においても障害者の方々にさまざまな配慮がされているものと認識しているところでございます。
 お尋ねのございました、区市町村に対して周知をするべきだというお話につきましては、これまでも都として区市町村の担当者に対し情報提供、指導等を行っているところでございまして、区市町村の窓口におきまして、税制改正について対象者に対して十分な周知が図られているものと考えているところでございます。

○吉田委員 これは知事名で出されているんですよ、念のためにいっておきますけれども。改めて、本人の収入と無関係に、税制改定によってこういう劇的な負担増なり変動が起きるわけですから、やはり都としての対策をとるべきだということを述べて、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十分散会

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