厚生委員会速記録第六号

平成十八年六月一日(木曜日)
第七委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長藤井  一君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事谷村 孝彦君
理事田代ひろし君
理事初鹿 明博君
松葉多美子君
早坂 義弘君
山口 文江君
山口  拓君
斉藤あつし君
野村 有信君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長平井 健一君
次長吉川 和夫君
技監梶山 純一君
理事梶原 康二君
総務部長片岡 貞行君
指導監査室長菅原 眞廣君
医療政策部長丸山 浩一君
保健政策部長杉村 栄一君
生活福祉部長朝比奈照雄君
高齢社会対策部長長谷川 登君
少子社会対策部長都留 佳苗君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長八木 憲彦君
企画担当部長野口 宏幸君
特命担当部長永田  元君
連絡調整担当部長狩野 信夫君
参事松井多美雄君
参事高橋  誠君
参事桜山 豊夫君
参事宮垣豊美子君
参事佐藤 恭信君
参事住友眞佐美君
参事牛島 和美君
参事奥澤 康司君
参事細川えみ子君
病院経営本部本部長大塚 孝一君
経営企画部長奥田  匠君
サービス推進部長鈴木  茂君
経営戦略・再編整備担当部長及川 繁巳君

本日の会議に付した事件
 陳情の取り下げについて
 病院経営本部関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立病院条例の一部を改正する条例
・東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
請願の審査
(1)一八第一一号 都立梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実に関する請願
 福祉保健局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・東京都肢し不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
・東京都立し体不自由児施設条例の一部を改正する条例
・東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
・東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
・東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
・東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
報告事項(説明・質疑)
・平成十七年度東京都一般会計予算(福祉保健局所管分)の繰越しについて
請願陳情の審査
 最低保障年金制度の確立等に関する請願
(1)一八第七号の一
(2)一八第八号の一
(3)一八第九号の一
(4)一八第二三号 自立支援医療制度に必要な診断書等無償交付を求めることに関する陳情

○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名ですが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○藤井委員長 次に、先般の人事異動に伴い、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の中村慶太君です。よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○藤井委員長 次に、陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一八第一五号、軽費老人ホーム利用料基準の改定に関する陳情については、議長から取り下げを許可した旨通知がありました。ご了承願います。

○藤井委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、所管二局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び病院経営本部関係の請願審査並びに福祉保健局関係の報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をするにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。
 また、報告事項、平成十七年度東京都一般会計予算(福祉保健局所管分)の繰越しについては、説明聴取後、質疑を終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、本部長から紹介があります。

○大塚病院経営本部長 今回、病院経営本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 四月一日の人事異動により、経営戦略・再編整備担当部長となりました及川繁巳でございます。次に、当委員会との連絡を担当させていただきます総務課長中川原米俊でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○藤井委員長 紹介は終わりました。

○藤井委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○大塚病院経営本部長 平成十八年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております病院経営本部関係の議案につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております関係の資料は、右上、資料1、平成十八年第二回東京都議会定例会条例案及び右上、資料2、平成十八年第二回東京都議会定例会条例案の概要でございます。
 このうち、資料2、条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入ります、表紙をお開きください。今回ご審議をお願いいたします議案は、東京都立病院条例の一部を改正する条例及び東京都立精神病院条例の一部を改正する条例の二件でございます。これらの条例は、障害児施設への利用契約制度の導入等、障害者自立支援法の施行による児童福祉法等の一部改正に対応するため、障害児施設の使用料の根拠規定を新設するほか、関係の規定を整備するものでございます。
 なお、これらの条例は平成十八年十月一日から施行することとしております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元にお配りしております資料1、平成十八年第二回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 簡単ではございますが、以上で提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 なしと認めます。

○藤井委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願一八第一一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○奥田経営企画部長 それでは、お手元配布の資料3、厚生委員会付託請願・陳情審査説明表に沿ってご説明させていただきます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、請願一八第一一号についてご説明申し上げます。
 この請願は、世田谷区の梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実を求める会代表内山祥隆さん外三万五千五百四十一名から提出されたものでございます。
 請願の要旨についてでございますが、都立梅ケ丘病院について次のことを実現していただきたい。1、存続すること、2、小児科を新設し、広く都民が利用できるようにすること、というものでございます。
 現在の状況についてでございます。
 1、2について、都立梅ケ丘病院は、都立病院改革に基づく再編整備の一環として、清瀬小児病院及び八王子小児病院と統合し、小児総合医療センター(仮称)として新たに府中キャンパス内に移転し、整備することといたしました。整備に当たりましては、多摩広域基幹病院(仮称)とあわせてPFI手法の導入により整備することとし、本年一月末に落札者を決定し、現在、事業契約の締結に向け準備を進めているところでございます。
 小児総合医療センター(仮称)では、小児医療に関し、心から体に至る総合的で高度かつ専門的な医療を提供することとしており、高度な小児救急医療、障害児医療への対応など、都における小児医療の拠点として整備を進めることにより、その充実を図ってまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田代委員 梅ケ丘病院の移転に関するこの請願について、幾つか質問させていただきたいと思います。
 二年ほど前、本委員会の請願審査においても、私は、患者さんやその関係者の不安がしっかりと取り除かれるようにしてほしいということを申し上げたわけであります。しかし、それでもその後なお、今回三万五千名を超える方々から請願をいただいている、これは事実でありますね。大変重たく受けとめていただきたいと思います。これは、梅ケ丘病院が移転してしまうことに対して、まだ不安に思っていらっしゃる方がたくさんいるんだ、これが現実であるわけですね。大変多くの方々から心配を寄せていただいている。実はこの署名なさった方の裏には、後ろにはまだまだ多くの方々が、漠然とながら不安を持っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるんだと思うんですね。これを東京都としてはまず大変強く、そして重たく受けとめていただきたいということを申し上げておきます。
 この移転という言葉なんですが、結果として梅ケ丘病院がなくなってしまう。これは移転なのか廃止なのかということ、これは大きな問題だと思うんですね。梅ケ丘病院が要るのか要らないのかという問題と、また、そうではなくて、別の形になるかならないか、これは取り扱いが全く違う一つの問題だと思うんですが、この移転するというお話ですけれども、なぜ移転しなくちゃならないのか。今度問題になっております小児系の三病院ともが、施設が老朽化しているために施設を新しく修復しなくてはならない。最近の地震の問題、もろもろの問題、当然患者さんはそのとき受けられる最良の環境の中で医療を受ける権利を持っているわけですから、当然それはやっていかなくちゃならない。
 それから、梅ケ丘病院がほかの小児病院と統合して、いわゆる機能をアップしていく、広域基幹病院と併設するという多摩のメディカル・キャンパスの構想の中で、こういうものをスキルアップしていくんだ、どんどんどんどん今以上にいいものをつくっていくという理念を持っているというお話だったんですが、ここをちょっと再確認させていただきたいと思います。
 今までもこの委員会の中で何回か取り上げられておりますけれども、小児総合医療センターでどのような医療というものに取り組もうとしているのか、その理念をまずお聞かせいただきたいと思います。

○奥田経営企画部長 近年、例えば心身症であるとか、あるいは重度の摂食障害、それから発達障害の早期発見などのために、小児科医と精神科医の連携が今まで以上に重要であるというふうに認識されてきております。このため、新設する小児総合医療センターでも、心の疾患とそれに伴う体への対応や、体の疾患を持つ子どもさんへの心理的問題への対応はもちろんのこと、小児期の疾患を成人になった後もそのまま抱えていく、いわゆるキャリーオーバー患者さんに対する円滑な対応など、多摩メディカル・キャンパス内の他の医療機関とも密接に連携いたしまして、小児の心身両面にわたる総合的で高度専門的な医療を提供していくこととしております。

○田代委員 今お答えいただきましたように、小児精神というのは非常に今変化しているわけですね。範疇も変わっておりますし、さらに広くなってきている。特に小児精神だけではなくて、精神科の領域の医療というものは、私自身が精神科の病院の部長をやっていたのはもう十年近く前になるわけですけれども、その間十三年ほど奉職した中での考えと、この十年間ではもうすさまじく変わっている。昔は全く精神科領域ではないと思われたものが今は入ってきている。しかも、それが昔のような、思いつきといったら大変失礼ですけれども、科学的根拠がない、エビデンスがないような治療ではなくて、ちゃんとエビデンスを持って治療がまたできるようになってきた。
 そういう新しい精神科の治療を行う中で一番基本で考えなくちゃいけないのは、患者さんを中心に据えて物事を進めていくということなわけですが、そういう意味でいうと、場所をどこか一定に決めて、そこでこれしかできませんという、特に小児科の中の精神というものは、それしかできませんというと非常に不都合が多いわけですから、そこに患者さんが通院したことによって、ほとんどあらゆるものがそこで帰結するような、あそこに行きなさい、ここに行きなさいとたらい回し。大変残念ですが、私が勤めている大学病院でも、たらい回しというか、皮膚科に来たら外科に行って、外科に行ったら婦人科に行ってと、患者さんが動くという形よりは、やはり佐賀医大でやっているようなセンター方式で、患者さんが中心にいて、医者が周りを回るというのが一番理想的な治療になるわけですけれども、メディカル・キャンパスでそれが実際にできるようにしていただかなくちゃならない。移転しても、それが全く今までと同じように、あそこに行きなさい、ここに行きなさいでは、遠くになって不便になった上に、またさらに不便が重なるわけですから、そういうことにはならないでいっていただきたいと思うんですね。
 府中病院や、あるいは府中キャンパスの中で小児の総合医療センターが整備されるということは、そのために行っていかなくちゃならないわけですから、その目的を外さないように、しっかりその意義をもう一度踏まえて移転ということを考えて実行していただきたいわけです。
 しかし、現実に梅ケ丘病院が世田谷の地で小児の精神医療に取り組んできた、これは大変長い歴史、事実があるわけです。一言で小児の精神医療を行ってきたといいますけれども、地元の総論賛成各論反対の中で、梅ケ丘周辺の方たちは非常に深い理解を持って、温かい目で、長い歴史の間でそれを慈しんできたわけです。そういう歴史のある中、そしてしかも実績のあるこういう医療機関があったわけですから、当然、私の世田谷区だけではなく、二十三区の中でかなり多くの方々がこの病院を利用なさって治療を受けられているわけで、実際問題、不便になる、不安になるということは、たくさん意見が出てきて当たり前だと思うんですね。
 都の方は、小児精神医療の充実のために、区部の方、二十三区の方では大塚病院に小児精神科のデイケアを含む外来部門の一部を整備する、そういうお答えはいただいているんですが、それが果たしてどこまでできるのか。言葉だけでは困るので、しっかりと不安解消ができる、そういうような対策案がまず一つ必要だと思うんですね。
 大塚病院での小児精神医療、ちょっと教えていただきたいんですが、どのように運営していこうとしているのか教えていただきたいと思います。

○奥田経営企画部長 大塚病院での小児精神医療の運営についてのお尋ねでございますが、区部における小児精神科外来機能を確保するために、現在、デイケアも含めまして具体的な実施体制を検討しているところでございます。
 いずれにいたしましても、小児総合医療センターと十分連携いたしまして、必要なケースについてはセンターへの転院や入院を適切に行うなど、小児精神医療の確保に万全を期していく考えでございます。

○田代委員 今まさに小児総合医療センターの整備を行っているところですから、具体的なことはいえない、検討というんですけれども、それが大変不安と不満を助長しちゃうわけですね。小児総合医療センターときっちりと連携して確実に取り組んでいく、それは当然当たり前のことなんですが、その内容あるいは理念、理想、そしてもうちょっと細かいところに踏み込んで、患者さんやご家族の皆さんや都民の皆さんにきちっと伝えていく、こういうことが重要なんじゃないでしょうか。そうでなければ、患者さんの不安というのは、先ほど申し上げましたように、ますます広がっていく傾向があるわけです。梅ケ丘病院がなくなったらどうしたらいいのか、もう単純な疑問であり、不安なわけです。
 こういう利用者の方々あるいはご家族の方々、周りの方々のそういう気持ちというものをしっかりと受けとめて説明していく、これはとても重要だと思うんですね。前回も同じこと、その前も同じことを申し上げましたけれども、やはり伝える努力というものがまだまだ東京都には足りないんじゃないか、そのように思います。
 アカウンタビリティーということをしっかり果たすために、再度、再々度お伺いしますけれども、どのように東京都は取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 アカウンタビリティーについてのご指摘でございますが、これまでも患者さんあるいはご家族に対しましては、移転に関する疑問あるいは相談があれば、日ごろの診療であるとか、あるいは月一回家族会というものをやっておりまして、そうした家族会などの場を通じて個々にご説明して、理解を得られるように努力はしてまいりました。
 ただ、今後は、先ほど申し上げました検討の結果を踏まえまして、ご指摘の具体的な医療提供内容について、さまざまな広報媒体や機会を活用いたしまして、適宜広報を行っていく考えでございます。

○田代委員 説明というのは非常に重要でして、先ほど申し上げましたように、三万五千名以上の方がまだ不安に思っていらっしゃるということ、これをしっかりと本当に受けとめておいていただきたいんですね。特に来年統一地方選挙があると、ともすると、こういうものを政治的に非常に利用しようと不安をあおる、あるいはうそを重ねて、どんどんどんどん話をねじ曲げていこうというところがないわけではないわけですから、しっかりと、さっきから申し上げているように患者さん中心に考えていただきたい。患者さんが決して、あるいはご家族の方がご不便になったりご不安になったりすることがないように、それが移転後の一番大切な問題だと思うんですね。
 そして、先ほど申し上げましたように、梅丘という場所、二十三区の中でこういうものに対してとても理解を持っていただいているわけで、私自身も精神科の病院にいたときに、やはり地域の差別というものを非常に強く感じていましたものですから、差別のない、しっかりと受けとめてくださる地域というのは非常に重要だと思うんですよ。梅ケ丘病院が果たしていた今までのこの経緯の中での仕事、こういうものは大変重要な仕事をこなしてきたわけですから、やはり地元区の方々ともこういう対応をとっていただきたい。移転することについて、もう移転しちゃうんだから後はどうでもいいんだじゃなくて、しっかりと移転に対しても地元区の方と話を進めていただきたい。ここもアカウンタビリティーがあると思うんですね。
 小児の総合医療センターの整備については、広域基幹病院の整備とあわせてPFI事業で進められているわけです。そして既に事業者も決定して、今後契約も締結されるという段階に入りつつあるわけですから、梅ケ丘病院が新しくいいものに生まれ変わって飛躍する、そういうものであれば大変いいわけですけれども、それとは全然話が別に、梅ケ丘だけがもう移転しちゃうんだから後はどうでもいいです、は困るわけです。
 梅ケ丘病院というこの伝統のあるものが移転するわけで、その跡にはぜひとも医療とか福祉とか保健、こういうものに関係したものプラス、小規模多機能というのもありますように、東京都が持っているものを--二十三区大変土地の高いところで、介護にも福祉にも利用できて、そして今まで通院なさっていた方々にも役に立つような、できたら希望としては医療を中心としてと思いますが、それ以外のこともあわせて、世田谷区地元も含めて話をして、コミュニケーションをちゃんとつくっていただいて、逆にいうと、移転が結果としてよかったと、移転して、さらに小児の精神の治療というものがよくなった上に、また梅ケ丘の跡地が正しい利用方法がされるというような、こういう模索を、しっかりつくっていただきたい。
 最後になりますけれども、もう一度強く申し上げますが、患者さん、そしてご家族の方、そして地元の方々にもっともっと理解の得られるような説明を誠意を持って取り組んでいただきたいと強く申し上げて、終わります。

○初鹿委員 私も田代議員と同じように、この三万五千人の方が請願を出されたという事実は非常に重く受けとめる必要があるのかなと思っております。その原因として、十分に患者さんを含めて関係者に、この新しくできる小児総合医療センターがどういう病院になるのかということがきちんと説明されてなかった、十分に足りていないんじゃないかなというふうに私も感じております。
 実は先日、梅ケ丘病院に視察に行ってまいりました。三年ほど前にも一度視察に行っておりますので、二回目になるんですが、行ってみて、非常に緑も多いですし、いろいろな施設が充実している。また、地域の方々も非常に理解があるというんですかね、理解が進んでいるということで、本当にあの地で五十年間あの病院があったということが、東京都としてはすごい大きな財産だったのではないのかなというのを改めて感じさせていただきました。
 その上で、やはり府中に移転するということになるわけですから、梅ケ丘病院が今まで培ってきた歴史や伝統というものをしっかり受け継げるような形で移転がされないとならないんだというふうに思っております。
 それでまず、きょうは、不安に思っている方々の不安を解消していくことが重要なのかなと思いますので、幾つか、請願を出されている理由の中にも書かれてあるような不安点について質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、先ほども申し上げましたが、現在の梅ケ丘病院は本当に緑が豊かで、すばらしい治療環境があります。心に疾患を持っているお子さんたちにとっては、やはりそういう自然との触れ合い、また伸び伸びと運動ができるような環境というものは必要なんだというふうに、現地に行って改めて感じさせていただきました。また、精神の病を負っている患者さんですから、安全性の確保というものも非常に重要で、そういった配慮というのが新しい病院でも必要なのではないかなと思います。
 そこで伺いますけれども、これからできます小児総合医療センターの精神科には、梅ケ丘病院に今あるような専用の運動場や豊かな自然環境、また利用者にとってふさわしいような療養環境がしっかりと確保できるのか。
 また、治療環境という面からも、また安全性の面からも、病棟は低層の方が望ましいのではないのかなというふうに、印象論なんですけれども、思うんですが、その点についてはどのようにお考えになっているのかを最初に伺わせていただきます。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターの精神科部門につきましては、専用の運動場やプレールームなどを整備いたしますほか、府中キャンパス周辺の自然、これを最大限に生かしました施設設計とするなど、緑や自然の空気を享受できる良好な環境を確保していくようにしたいと考えております。
 また、病棟につきましては、効率的な施設の整備を図る観点から、一定程度の中層化ということはいたしますが、現在の社会的な生活、居住環境、これはもう高層化あるいは多様化ということになっておりまして、こういったことも踏まえますと、施設設計上、安全の確保に万全を期するということを前提といたしまして、医療面においても十分対応していけるものというふうに考えております。

○初鹿委員 低層化、高層化ということについていえば、簡単にいえば、今、患者さんもお住まいがマンションに住んでいたりということで、高いところにも住んでいるということで、入院から退院をされていった場合に、高いところに住んでいるんだから、その辺は余り意識をすることはないということなんだと思います。そうはいっても、やはり安全性ということを十分に配慮して施設の設計をしていただきたいということを強く要望させていただきます。
 先日視察をして感じたんですけれども、小児精神医療というのは本当にお医者さんや看護師さんだけにとどまらず、いろいろな職種の方がかかわって子どもたちの治療に当たっているということを改めて理解させていただきました。保育士さんやOT、PTという方々もいたりということで、恐らく専門性がかなり要求される分野だと思いますので、そういう専門性の高いスタッフをきちんと確保していくということがまず一つ重要だと思います。
 それと同時に、これから何年もずっとこの新しい病院が続いていくわけですから、専門性を持ったスタッフを育成していくということも重要なんだと思います。そういった観点から、この新しい病院ではどのようにスタッフを確保し、育成していくのかということをお伺いいたします。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 現在、梅ケ丘病院におきましては、医師、看護師を初めといたしまして各種のスタッフが連携いたしまして、心に疾患を持つ子どもたちの治療や社会や家庭への復帰支援など、専門性の高いチーム医療を実施し、実践をしております。今後の小児総合医療センターにおきましても、こうした専門スタッフの確保に努めますとともに、これまで蓄積いたしました経験を踏まえまして、心の専門診療を支える計画的な人材の育成を図ることにより、より一層高度な専門医療を提供してまいります。

○初鹿委員 今まで梅ケ丘で蓄積された経験というものを十分に踏まえて、さらに専門性のあるスタッフを育成していくという方針だということですから、本当に専門家が少ないといわれている分野ですので、ぜひきっちりと育成して、将来的には、この新しい病院だけじゃなくて、都内各地にそういった専門性のある方々が新しい病院をつくっていって、みんなが府中に行くのではなくて、自宅から近いところの病院に通えるような環境が整えられるような人材の育成ということに励んでいただきたいと思います。
 先日伺ったときに、患者さんのご家族の方や関係者の方とお話をさせていただいた際に、心に疾患を持つお子さんたちは環境変化への適応に非常に時間がかかるというご指摘をいただきました。この病院では自閉症のお子さんなどもいらっしゃるわけで、自閉症のお子さんなんかは、病院に行くまでのルートをちょっと変えるだけでもパニックになってしまうというようなお話も聞いております。そういうことを考えますと、新しい病院という全く違う環境に移ることになるわけで、その適応が十分にできるような配慮が必要ではないかなと思います。
 最初に伺いますが、先ほど奥田部長の答弁の中でも、キャリーオーバー患者に対する対応をしっかりやっていくというようなお話がありましたけれども、現在も、梅ケ丘病院でも十八歳以上になっても引き続き診療を受けているケースがあるということですが、新しい病院についてのこの配慮の仕方というんでしょうか、その点についてお伺いいたします。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 現在、梅ケ丘病院では、いわゆるお話にありましたキャリーオーバーの患者さんに対しまして、治療を続けながら大人の精神科への円滑な移行を図っております。小児総合医療センターにおきましても、隣接いたします多摩の広域基幹病院等と密接な連携のもとに、患者さんの適応能力など、個別の事情にも配慮しながら、適切な医療機関への円滑な移行を進めてまいります。

○初鹿委員 次に、梅ケ丘病院から府中の病院に移転するということになった際に、そのときに入院されている患者や通院中の児童の方が、新しいところに行かなければならないということにうまく適応できるかどうか、やはり患者さんやご家族の方は不安に思っているんだと思います。この点についてはどのようにお考えになっているのかお伺いいたします。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 移転に当たりましては、医師、看護師など関係のスタッフ全員がご家族とも連携させていただきながら、個々の患者さんの状況に応じましてきめ細かくサポートさせていただくということなど、新しい環境に円滑に移行しまして、安心して治療が継続できるように配慮してまいります。

○初鹿委員 きめ細かくサポートをしていくということですが、ちょっと私の個人的な考えなんですが、新しい病院に移転したときに、何月何日まで梅ケ丘病院で、次の日から府中病院といって、今まで通院していた人がある日突然変わってしまうというのは、お子さんたちの混乱の原因になるんじゃないのかなと思うんですね。ですから、この新しい病院が開設する前に、通院する練習というのも変ですけれども、練習をしてみるとか、入院患者さんが、例えば体育館ができているんだったら、そこに一回行ってみて、体育館で日中の活動をしてまた戻ってくるとか、何かそういう、行くのに環境になれるような期間を設けるのがいいのではないかなと思いますので、ぜひその辺も考慮していただきたいと思います。
 次に、先ほど田代理事からの質問の際にもお話がありましたが、梅ケ丘病院の周りの環境というのは非常にいいところですよね。駅からも近いですし、近隣の住民の方、商店街の方の理解も非常に進んでいるということです。そこを考えますと、新しい病院に移って、駅からもちょっと離れていて、近隣の方は恐らく全く小児の精神科の患者さんというものがどういう方々かということを今まで考えたこともなかったと思うんですね。そういうところに患者さんがたくさんおりて、病院に行くようになるわけですから、その辺はやはり十分に地域の理解を求めていく必要があるんだと思います。
 そこでまず最初に、新病院に移転した後に、最寄りの駅から若干時間がかかるわけで、新しく交通手段としてバスとかタクシーとかを利用するようになると思うんですね。そのときに、バスの運転手さんやタクシーの運転手さんが、こういう障害を持っている、こういう病気になっているお子さんたちがどういう特性があるのかを理解していないと、例えばバスに乗っていて、ちょっと何かトラブルがあったときに適切な対応ができなくなって、患者さんにとって不快な思いをさせてしまったり、もう通院する意欲がなくなってしまったりしてしまう可能性があるのではないかなと思うんです。ですから、まず交通手段となり得るバスやタクシーの乗務員の方に十分な理解を求めていく必要があると思いますが、その点はどうでしょうか。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 新病院への移転に当たりましては、例えば開院前から交通事業者等に対しまして小児総合医療センターに関する情報の周知徹底を図るなど、患者さんが安心して通院できます交通手段への対応について今後検討してまいりたいと思います。

○初鹿委員 交通機関に関しては、交通事業者に対してはきっちりと周知していくということですね。
 次は、今度地域の方に移りますけれども、やはり地域の住民の方や商店街の方を初め、そういう近隣に住んでいる方々に対しても十分に理解していただくと同時に、梅ケ丘のように連携ができるような体制をつくる必要があると思うんですね。梅ケ丘病院は五十年以上かけてあの地で関係をつくってきているわけですから、新しい病院に行ってすぐにそれができるとは思いませんけれども、この関係をしっかりとつくっていくということが、患者さんにとっても、また地域の住民の方々にとっても有意義なことになるのではないかなと思いますので、この新しい府中の場で、地域の方との、地域との関係構築をどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 これまで梅ケ丘病院は、長年かけまして、地元の商店街やボランティア団体等の皆さんのご理解によりまして、良好な関係を築かせていただいております。一方、病院側でも、患者さんが近隣の緑道の清掃といったようなことなどをしてまいりまして、地域貢献という形での参加もさせていただいております。
 こうした地域との関係構築につきましては、一朝一夕にできるものではございませんけれども、新病院におきましても、地元自治体や近隣住民の方、地域の方々のご理解とご協力を得ながら、開かれた病院運営を行いまして、地域との良好なネットワークづくりを目指していきたいと考えております。

○初鹿委員 次に、今度はこの新しい小児総合医療センターの中の教育の場となります分教室について伺います。
 現在の梅ケ丘病院は分教室がありまして、かなり近隣の方との触れ合いをしたり、また、ちょっと歩くと公園があったりということで、そこに遊びに行ったりということが行われてきたということなんですが、新しくできる分教室も同じような環境というものをまず確保しなければならないと思います。
 それと同時に、今度の小児総合病院になりますと、一般の小児科の患者さんが入るわけですね。それと精神の患者さんがいる。例えば自閉症のお子さんや多動なお子さんたちがこちらにいて、その一方で、感染症などにも配慮しなければいけないようなお子さんたちがいる。その全く対応の仕方を変えなければならないお子さんが同じ分教室の中で学んでいくというのは、若干不安を感じるわけですね。この辺もぜひ考えた上で分教室というものを設置していかなければならないと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 分教室の設置につきましては、所管の教育庁とも協議を行いまして、教育の場にふさわしい機能を備えたものとなるように施設設計を行ってまいりたいと思っております。
 また、身体的な疾病を持つ患者さんとの交錯という問題でございますが、こういったものにつきましても、移動動線などに工夫を行いまして、問題の発生がないように配慮してまいります。

○初鹿委員 今まで、小児総合医療センターの新しくできたときの姿というものをお伺いさせていただきましたが、できるだけ早く患者さんやそのご家族の方に、具体的にどうなるのかということを示すことが、不安を取り除く上で重要なんだと思います。
 そこで最後にお伺いいたします。小児総合医療センター、そして大塚病院には小児精神科の外来ができるということですが、その外来の診療科がどうなるのかとか、具体的な施設の内容がどうなるのか、施設の設備はどうなるのかということをできるだけ早く関係者に具体的に示していく必要があると思いますが、ご見解をお伺いいたします。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 新たに整備をいたします小児総合医療センターの具体的な施設設計や運営方法等につきましては、現在、PFI事業者の提案を踏まえまして、鋭意設計作業を進めております。また、梅ケ丘病院の移転時期に合わせまして新たに大塚病院に整備を予定しております小児精神科につきましても、現在、外来やデイケア等の具体的な機能について検討しておる最中でございます。
 今後、これらの内容が具体化した段階で明らかにしてまいりますとともに、患者さんやそのご家族にご不安感を与えることのないよう、十分に説明をしていきたいというふうに考えております。

○初鹿委員 ぜひ、関係者が不安にならないように、できるだけ早く、具体的な形が固まりましたら説明をしていただきたいと思います。
 あと、先ほどもちょっとお話がありましたが、跡地の問題についても一言意見をいわせていただきます。
 あの周辺には福祉的な施設が集まっているところですから、あれだけの広大な敷地があるわけですから、できるだけそういう福祉的な施設などに転用できるように配慮していただきたいと思います。これは地元区とも協議をしていくということになるんでしょうけれども、十分に地元区の意向を聞いて、何ていうんでしょうね、あの大きな土地を民間に売ってしまって、マンションがぽんと建ってしまったりしたら、住民の方はちょっと違うのではないのかなと思うと思いますので、そういうことがないように、十分に地元の区と協議をしていただきたいと思います。
 あと最後に、これは私の感想なんですけれども、梅ケ丘病院に行きまして、あのすばらしい環境と、患者さんのご家族の方や医師や医療スタッフの方とお話をさせていただいて感じたのは、五十年間の歴史というのは非常に重いなと。それと同時に、東京都が全国的に見てもまれな小児精神科の病院を持っていたということは、誇るべきことだと思うんですね。その梅ケ丘病院という病院がこの新しい府中の小児総合医療センターに統合されたんだということがわかるような工夫というか、モニュメントを建てるのか、どういうのがいいのかわかりませんけれども、何かしていただきたいと思います。
 恐らく全国の患者さんたちが梅ケ丘病院というものに今まで関心を持って、実際に遠くからも通ってこられたりしていたと思いますので、東京都としての財産が、全く歴史がなくなってしまうようなことがないような配慮というものも考えていただきたいと意見をいわせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

○松葉委員 私も、請願第一八第一一号につきまして意見を述べたいと思います。
 公明党はこれまでも、発達障害者支援についての問題をさまざまな機会で取り上げてきました。梅ケ丘病院につきましても、私も視察をさせていただきまして、市川院長先生初め職員の方々と意見交換を行いまして、さきの定例会の本委員会におきましても、この梅ケ丘病院、また小児精神医療につきまして何点か質問、要望させていただきました。そのことも踏まえながら幾つか意見を述べて、要望しておきたいと思います。
 思春期の子どもたちは、体の変化だけではなくて、心の揺れが大きい時期であり、心の病気が行動障害等に発展することも少なくないと聞いておりまして、そういった中で、この梅ケ丘病院が長きにわたって子どもたちの心の問題をしっかりと受けとめてきているということは、本当にすばらしいことだと思います。そうであればこそ、梅ケ丘病院が移転するということに対して、患者さんやそのご家族の方に不安感が募るのも当然であると考えます。まず何よりも患者さんたちに安心して医療を受けていただかなくてはなりません。そのためにも、今さまざま議論ございましたけれども、今度、小児総合医療センターに移転されますけれども、この梅ケ丘病院と比べて医療機能がどう充実していくのか、こういった点についてわかりやすく説明していくことが重要であると考えます。
 小児精神部門と一般小児部門が共同して、心と体を総合した心身両面からの医療を提供する、そのことによって、発達障害のお子さんなど、そういう方々の体の病気にも適切に対応できる、これはとても重要な大事なポイントだと思います。
 そしてまた、区部におきましても大塚病院に外来機能などが整備される、そういうふうに明らかになっておりますけれども、この大塚病院に小児精神の外来機能がスムーズに設置されるか、そういうことが皆様の中に疑問もあり、そういう不安もある。そういう意味では、この大塚病院の小児精神科、このことにつきまして、小児総合医療センターの開設を待たずにできるだけ早期に立ち上げられるように、具体的な検討を急いでいただきたい、そのことを強く申し上げておきます。予算特別委員会でも、我が党の長橋議員からもこのことは取り上げさせていただきました。
 次に、小児精神医療の質と量の拡充を実現するためには、専門医の育成、確保が欠かせないことだと思います。全国的にも小児精神医療を専門的に手がけている医療機関が余りない中で、専門医を育成、確保するために、梅ケ丘病院ではこれまで小児精神科の専門臨床研修医、いわゆるシニアレジデントを受け入れて、多様な豊富な症例、また専門医の指導により、将来の小児精神医療を担う人材の育成に取り組んでこられております。今年度は専門臨床研修医を昨年までより三名増員して、七名受け入れたと聞いております。今後ともさらに充実を図りながら、引き継がれる小児総合医療センターにおいても人材の育成機能を強化し、小児精神医療の拡充を確実なものにしていただきたい、そのことを要望しておきます。
 患者さんやご家族の方から寄せられる梅ケ丘病院に対する厚い信頼と大きな期待を裏切らないためにも、小児総合医療センターをしっかりと立ち上げることが必要でありますし、また、大塚病院に早期に小児精神科を設置すること、そのことが大事だと思います。
 それと同時に、患者さんの気持ちに十分寄り添うこと、そのことがさらに大事だと思います。そのためには、患者さんやご家族の声に耳を傾けて、その上で、わかりやすい言葉で説明を重ねて理解を得ていくよう要望して、私の発言を終えます。

○かち委員 私からも、都立梅ヶ丘病院の存続と小児医療の充実に関する請願について質問いたします。
 同趣旨の請願はこれまでにも当委員会に提案されて、二年前ですけれども、前回は五万八千の署名、今回も三万五千五百四十一名の署名が寄せられているということで、九万三千もの方々からの要請ということで、この問題に対する都民、住民の皆さんの関心の高さと強い要望のあらわれだということを深く受けとめたいというふうに思います。
 これまでにも質疑がありましたように、これだけの規模、二万四千平米で、低層で、二百四十二床のベッドを持つ、この規模の小児精神専門病院というのは、梅ケ丘病院として存続するのは全国的にも最大規模であって、それは五十年以上の歴史の中で築き上げられてきたものであり、全国的にも注目と期待を寄せられている病院だということです。
 近年、社会環境の影響も多分に受けて、子どもたちの心の問題や精神の疾患が急増しておりまして、社会問題化しています。成長過程にある子どもたちの治療には療育環境が欠かせません。梅ケ丘病院にはそうした条件、環境が、施設だけではなく、周辺環境においても、地域の理解と協力の上に成り立っている病院だということを、私も訪ねてみて実感しているところでございます。
 ところで、平成十六年十一月の陳情審査を行ったときに、患者家族の意見を十分に尊重するということについて趣旨採択されておりますが、この間、担当部署として患者家族との話し合いは持たれたのでしょうか。もし実施していたのであれば、どのようにその声を受けとめておられるのかお聞きします。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 患者のご家族の皆さんに対しましては、移転に関する疑問や相談があれば、日ごろの診療や月一回の家族会などを通じて対応させていただいておりますけれども、これとは別に、都立梅ケ丘病院の存続を求める家族会という会の皆さんとは、平成十七年十一月と平成十八年二月の計二回、話し合いの機会を持たせていただいております。
 都といたしましては、こうした声を聞いて、患者さんが今後とも安心して治療が継続できるよう十分に説明していく必要があるというふうに受けとめております。

○かち委員 先日、私のところにも家族会の方から資料や手紙をいただきました。委員の皆さんのところにも届いているかもしれませんが、梅ケ丘病院を利用するお子さんの親御さんたちがどんな思いでいるのかということが大変よくわかる、受け取れる内容だったので、少し紹介したいというふうに思います。
 Aさん。子どもは十七歳で養護学校高二で、重度知的障害と自閉症です。中三のときに強度行動障害の症状が強く出てきて、あらゆる物を壊し、人にかみつき、命の危険を感じるほどでした。梅ケ丘病院にたどり着き、入院治療によって状態が少しずつ安定してきました。入院中、近くの羽根木公園にいつも散歩しました。症状安定にも一役買いました。松戸から梅ケ丘まで車で二、三時間かかります。これからも治療は必要です。この子たちは環境や人になれるのが非常に大変です。何とか今の環境の中で治療ができるようにしてください。
 Bさん。息子は六年前に小学校六年で発病、統合失調症といわれ、その後、うつ病といわれました。中学二年で梅ケ丘病院に転院。入院中、親と一緒になってなら町に出ることができるようになりました。商店街の皆さんもとても自然で温かく、驚きました。温かい環境の中で普通の暮らしを体験するということが最良のリハビリです。退院して二年、サポート校に通っています。梅ケ丘に通院していますが、周辺の雰囲気にほっとしています。統合失調症でも服薬をきちんとしていけば症状は安定します。生活能力を少しでも上げるために、駅が近く、商店街、個人の病院などが近くにあることがとても効果的です。
 Cさん。当時十二歳から十四歳のお子さんを大学病院の精神科に入院させましたけれども、この年齢の子は診た経験がないからわからないと数名の医師からいわれました。事実、投薬治療では大変苦労し、電気治療も十回近く受けました。梅ケ丘に入院したら、その年齢に合った社会資源や就労や学校などを紹介してくれたり、いろいろな人がかかわってくれました。看護師さんが本人の悩みや相談を聞いてくれました。この梅ケ丘を残してほしいのです、というようなことが書かれていました。
 都においても、九七年五月の都立病院小児医療検討委員会の最終報告に、梅ケ丘病院については、小児精神医療の特性やますます高度化する医療の動向を踏まえ、良好な医療環境を確保するために、成人を対象とする精神病院や小児病院とは組織的にも物理的にも独立していることが望ましいと明記されています。その後出されたマスタープランでは、八王子、清瀬、梅ケ丘の三つの小児病院の統合で府中に小児総合医療センターとして行うという計画が今進みつつあるわけですけれども、この移転の理由、先ほどもありましたけれども、建物の老朽化が一つの理由というふうになっていますけれども、梅ケ丘の事業概要の沿革などを見ますと、この間、棟が幾つにも分かれていますので、増築や改修工事も次々とやっておられるわけですよね。昭和四十年代のものもありますけれども、六十年以降のものもあるわけですから、やりようはあると思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院では昭和四十年代に建てられた建物が多くございまして、必要な維持補修は行ってきてはございますけれども、老朽化が進んでおりまして、現施設において今後とも良質な医療を提供し続けることは難しいというふうに考えてございます。

○かち委員 都立病院の改築という点では、診療をやりながらやるというような手法をとっていらっしゃる面もあるわけですから、そういう点はやりようだというふうに思うんです。
 虐待や発達障害など子どもの心をめぐる問題が深刻化している中で、専門医による診療体制が追いついていない、こういうことが新聞報道でもされております。国の厚生労働省においてもようやくそれを認識し、実態調査を始め、今後、ようやくことしから、専門医の育成の取り組みを開始したというようなことが新聞報道でも出ていました。
 この小児精神科の専門医は日本では大変少ないということがいわれていますが、アメリカでは小児科の精神科、児童精神科のトレーニングを積んだ専門医が約四千人いる中で、日本では二百人といわれています。こういう状況の中で、梅ケ丘が五十年以上も前から子どもの精神科の専門病院としてその役割を果たしてきた、それは大変大きな意義があり、今もなお全国の中心となって専門医の育成、研修、実習の受け入れ等々やっております。東京ばかりではなく、全国的にもその存在意義というのは大変大きい役割を果たしていると思うんですけれども、その辺の認識、位置づけはどうでしょうか。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院は、お話にもございましたけれども、昭和二十年、都立松沢病院梅ケ丘分院として発足して以来、小児精神科医療の数少ない専門病院として先駆的な役割を果たしてきたというふうに認識をしております。
 一方、近年、心の病を持つ小児の患者さんが増加いたしますとともに、小児科領域におきます医療が多様化するといったことなど、小児精神医療を取り巻く環境は大きく変化いたしまして、小児精神医療の充実に対する期待はますます高まっておるものというふうに認識しております。このため、施設面や運営面におきましてさらに高度専門的な医療を提供していくために、新たに小児総合医療センターを整備していくこととしたものでございます。

○かち委員 高度専門医療をきわめていくという点で、全部一緒にするということが、果たしてそれが本当に合理的なことかどうかということも問われると思うんですね。だから小児医療検討委員会の中では、小児精神というのは特別なものなんだから、それは独立したものが必要だという見解もあるわけですから、その点は検討を再度していただきたいというふうに思うんです。
 それで、今度の小児総合医療センターは三つの病院が一つになるということで、PFI手法の導入ということになるわけですけれども、それは、一つ一つがあるよりも、合体した方が合理性、効率性があるということは一般論としてはいえると思うんですけれども、それと同時に、運営上の効率性というのもかなり求められる内容だというふうに思うんです。梅ケ丘小児病院は、都立病院は幾つかありますけれども、この中にあっても非常に採算性の面でいえば効率は悪い。当然だと思うんですね。普通の精神とも違って、発達途上の子どもたちに対応するわけですから、保育から学童から、それから就労支援とか、さまざまな職種がさまざまな関係で結びついていかなければならないということで、当然、必要に応じてその専門の人を配置してきたというふうに思うんです。しかし、新しい病院の運営になりますと、人件費の効率性ということも当然出てくると思うんです。よく私もPFIの中でどういうふうになるのかと聞いてきたときに、医療法上手をつけられないところは除いて、その周辺部分をやるんだというふうにはいっておりましたけれども、そういうことでいいますと、この小児精神領域の医療を運営する上で、医療法上定数化しているもの、ここは譲れないというか、法律的にいじれないというような職種というのはどういうものがあるんですか。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 PFI事業のお話が出ましたけれども、医療法の規定は、PFI事業にかかわらず、設置すべき職種ということで規定をされております。この医療法施行規則によりますと、病院に置くべき医師等の員数は、病床、規模等によっても異なりますけれども、今回整備いたします小児医療センターの場合でございますと、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、栄養士、診療放射線技師、事務員、その他の従業者となってございます。

○かち委員 今、その他の従業者といいましたか、その中身はどういうものでしょうか。その他というのは何が入っていますか。

○及川経営戦略・再編整備担当部長 規定上は、その他の従業者について説明しているものはございませんが、事務の補助にかかわるような、そういった業務ではないかというふうに考えられます。

○かち委員 今ご答弁いただきましたけれども、医師とか看護師とか歯科医師とか薬剤師とか放射線技師とか、そういうものは法定規定になっているけれども、その他のものは特にないということですね。栄養士も入っていましたかね。ところが、この梅ケ丘で仕事をされている方の中には、心理士とか福祉指導とか作業療法士とか保育士とか、そういう方々もかなりの数を占めているわけですね。当然、療育をしていく上では保育とか、それから教員の方もいるんじゃないか、分教室がありますのでね。そういうふうになっているわけですけれども、そういう点を、雇用の多様化とか合理化とかということになりますと、常勤でなくてもいい、極論をいえばそういうことにもなりますよね、今すぐそうなるとはいいませんけれども。
 そういう点を考えますと、この子どもたちにとって最も大事なことは、人と人とのかかわりと、長く安定してかかわっていくことがすごく大事だということが、この梅ケ丘の五十年の中で検証されてきているわけですけれども、そういうことがままならなくなってくる。ローテーションで来たり、非常勤の人がどんどんかわったりという可能性も出てくるわけで、そうしますと、本当に安定して、サービス低下をしないで今の医療を受け継ぐという点では、非常に危惧を持たざるを得ないというふうに思うわけです。
 この病院を受け入れて成り立つ地域の環境、地域の皆さんが本当に子どもたちを温かく迎えてくれたということも含めて、環境問題でも、先ほど、バスで十五分ぐらい乗らないと現地に着けないというようなこと、それから、広い敷地の中で病院医療は完結するかもしれませんけれども、地域との触れ合いというのを十分に保つことができないという弱点も持っているわけです。こういう中で、アクセスの問題や地域社会と切り離した状況、それから先ほどもちょっとありましたけれども、動線を考えるとおっしゃっておりましたけれども、土いじりや何かをいっぱい、運動やプールや、浴びなければいけない、この精神領域の子どもたちと、免疫力の低下した、高度専門医療を受ける子どもたちが交わらないということはできないと思うんですね、全く隔離するわけではありませんので。そういう意味でも、混在するということの問題点も払拭し切れないんじゃないかというふうに思うわけです。
 不足する精神医療の、とりわけ発達障害などに取り組む医師が少ない中で、梅ケ丘病院の臨床経験を積み、地域でクリニックを開業される先生も徐々にふえてはいるわけですけれども、即入院、状態がいつもいいわけではありませんので、入退院を繰り返す、そういうときのバックアップ体制としての梅ケ丘の役割機能というものも欠かせない問題だというふうに思うんです。
 アクセスの便利さが何で重要かというと、この療育には長い年月がかかるわけですね。子どもたちの抱える病気の多くは完治するものではありません。体の発達とともに症状も変わっていきます。社会生活にうまく適応できるように、再発しないように、時間をかけて丁寧に診ていかなければならない。治療に通う親子にとっても、交通機関に乗る時間は、先ほどもありましたけれども、できるだけ短くなければ、いろいろパニックや何かが起こってしまうという問題があるわけです。これまでの説明の中で、府中では家族の宿泊施設も備えているというようなことが利点として出されていましたけれども、精神のお子さんの場合は、短期間で済むという問題ではありません。長く通い続けなければならないという問題もあるわけです。
 入院と外来がセットで存在することが非常に重要だという意味では、区部の子どもたちは、体と心を一体的にというよりも、今までの医療から、外来と入院が別になってしまう。外来は大塚で、入院は府中でという点では、距離的、物理的な関係でも大変不便性をいわざるを得ないという問題です。
 そういう意味で、今の施設をできるだけ生かして、スペースもスタッフもそろっている梅ケ丘機能をぜひ継続していくべきだというふうに思います。
 次に、もう一つの課題として出ていた問題ですが、小児医療の不足の問題です。
 一定議会で我が党のたぞえ議員もこの問題を取り上げ、知事は、小児医療の充実に積極的に取り組むと答弁されています。世田谷区では、地域医師会の協力によって夜間診療を二カ所で行っているわけですけれども、今問題なのは、深夜帯の小児医療不足が深刻なんですね。
 ことし二月に厚生労働省が発表した調査結果では、午後の十一時から翌朝の八時までの深夜帯に受診するケースが大都市で特に三割を超すと発表されています。この要因としては、育児不安も一因となっていますけれども、小児救急の体制の整備のおくれ、こういうものがあるわけです。
 この深刻な事態に対し、日本小児科学会では、人口三十万人に一カ所の二十四時間対応の地域小児センターを設置する構想も検討しているとのことです。八十数万人の人口を抱える世田谷区において、二十四時間対応可能な病院が国立成育医療センターのみですね。二次医療圏でくくれば広尾とか日赤もありますけれども、地域的な偏りがあって、実態を反映していません。
 全国の二十一府県では、二次医療圏とは別に、不足している小児救急医療圏を設置して、実態に合わせた整備を進めているんです。都としても実態に合わせた整備を進めるべきだと思います。梅ケ丘という小児病院の機能の拡充ということも一つの選択肢として、積極的にこの課題に取り組むことを強く求めて、本請願の趣旨採択を求めて、質問を終わります。

○山口(文)委員 私からも請願一八第一一号について意見のみ申し上げます。
 虐待や不登校、ひきこもりの増加など、子どもたちの心にかかわる問題は年々深刻化する一方です。虐待の中には、発達障害などにより子育てのしにくい児童が虐待を受けるケースもあるのではないか、また、精神疾患が引き金となって、ひきこもりに至っているケースもあるのではないかなどの識者の意見も聞かれるようになりました。拒食症やリストカット、薬物依存なども増加して、子どもたちの心の問題に対応する専門医や診療機関の不足が指摘されていますが、その実態に追いつかないのが現実です。特に、小児精神科はカウンセリング重視で保険点数が低いなど、採算のとれない医療制度上の問題もあり、行政医療として責任を負うべき分野ではないかと思っています。
 子どもたちの治療には、地域の諸機関、関連機関、家族を中心とした教育、福祉、医療などの連携が重要とされています。梅ケ丘病院は、全国唯一、最大の小児精神科の専門病院として半世紀の歴史を誇り、子どもたちの心の悩みや心の発達の問題に対応し、多くの子どもたちとその家族の信頼にこたえてきたと聞いています。近隣地域の理解を得て、就労の場など回復の受け皿をも築き上げてきた現状を踏まえ、必要な社会的な機能として残すことも含め、十分な検討を要望します。
 仮称ですが、小児総合医療センターの建設は、私はこれはこれとしてしっかりと進めていただきたいと思っていますが、今回の請願事項は、精神科を含め、小児医療への不安から東京都への要望が出されてきたものと受けとめ、請願者の願意を酌み、趣旨採択の意見といたします。

○斉藤委員 請願一八第一一号について、質問ではなくて意見を述べさせていただきます。
 新しい小児総合医療センターは、最寄りの駅が西国分寺駅という武蔵野線とJR中央線の乗りかえ駅なんですね。うちがそこの隣の駅でございまして、私、新小平駅が最寄り駅なんですけれども、いつも都庁に来るとき、この西国分寺駅を乗りかえ駅として、毎日とはいわないですけれども、週に何度も通っています。
 先日、初鹿先生とかを含めて民主党の方でこの梅ケ丘病院に視察に行った際に、私自身が余り小田急線を使わないせいもあるんですけれども、各駅停車の乗りかえがちょっとわかりにくくて遠く感じるというのがすごくありまして、逆にいえば、梅丘の人から見れば、今度の新しい病院というのはやっぱり遠いところなんだろうなというのは、同時に私なんかは感じました。
 実際、府中療育センターは、私は看護学校の学生の時代に実習で何度も通って、ちょうどその隣のあたりに今回できるということなわけですけれども、府中のキャンパスそのものも大変緑も多いですし、もちろん梅ケ丘病院ほど駅から近いとはいいませんけれども、決して駅から行けない距離じゃないなというふうに思っています。
 これは府中で、私は選挙区は小平市なんですけれども、実際には、府中といっても国分寺市にほとんど隣接しているような地域ですので、本当に近いんですけれども、地元から見れば、こういった専門の大きな小児の精神の施設ができるというのは正直喜ばしいことです。それは歓迎すべきことだと思っています。
 同時に、このすぐ隣の駅の国分寺市なんか見ますと、地元の保健センターからのデータなんか見れば、子どもを中心とした精神科のクリニックなんかもありますし、思春期外来をやっているクリニックなんかも、割と最近幾つもできています。そういった意味では、そういったところの支援病院としても期待している部分というのは正直ございます。
 ただ、だからといって、じゃあ梅丘になくていいとか、もしくは、統合する清瀬や八王子に小児の方の機関がなくていいということは全く思っておりません。
 過日、梅ケ丘病院の市川院長先生に視察の際にちょっと伺いましたところ、成人の精神科との大きな違いというのは、いわゆる鉄の扉がついたような、また、固定のトイレがついたような、そういった保護室がないこと、また、薬物療法をするにしても薬物の量を極力抑えていることなどが大きな違いかなということはおっしゃっておられました。
 そういったことを考えると、むしろハードウェアに物すごく重きを置いたような施設ではなくて、中のノウハウ、これまで多くの委員の方、理事の方から質問の中で人材確保、人材育成という話が出ましたけれども、まさにハードウェアじゃなくてソフトウェアのノウハウというものが重要な分野かなと思います。
 そういった意味では、私の方からしてみれば、大変近いところに施設ができるわけですけれども、決して、施設があるからといってそこで終わりではなくて--実際、地域としてはやっぱりそれはうれしいです。ただ、全体からしてみれば、建物がなきゃ絶対にいけないとか、建物優先の医療ではなくて、どちらかといえばノウハウであると。だとすれば、そこから多くの人材を輩出していただきたいと思うし、今いいましたように、クリニックも随分、探せばちゃんとあります。その中で院長先生がいってたのは、いわゆる外来の部分では、何とか報酬に見合った部分で経営できる、ただ入院施設になるとかなり赤字が出るというふうな話をされていました。
 それを考えると、本当だったら療育センターみたいに、都内の中で幾つかの点在する、その地域を支えるような拠点というものがあって、そしてそこで入院は対応する。ただ、外来については、もちろん行政の方の機関でやるけれども、同時に民間のクリニックを育成していく、もしくは経営がうまくいくようにいろいろ指導してあげるといったようなことで、すそ野を広げていくということは可能ではないかと思いますし、また、やらなきゃいけない課題かなと思っています。
 今回、地域としてみれば、新しい施設ができることは、それはそれで大変喜ばしいことですが、一方で、それによって不便な方が発生するということは僕らも非常によくわかっております。ですから、そういった中で、できれば、跡地利用の話が何回か出ましたけれども、何も残らないんじゃなくて、やはり何かしら地域のためになるような、地域の医療、地域のこれまでの福祉といったものがある程度何らかの形で継続できるようにお願いしたいと思いますし、またそれは同時に、清瀬や八王子についても同じなのかもしれません。
 そういったことをお願い申し上げて、せめて多くの方々が困惑されないように、自分たちの地域ということだけではなくて、東京都全体でバランスがとれるように、大きな今後のプランというもの、絵を描いていただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。
 以上です。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立ください。
   〔賛成者起立〕

○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、請願一八第一一号は不採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩します。
   午後二時十九分休憩

   午後二時三十一分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○平井福祉保健局長 この四月の人事異動によりまして当局幹部職員の交代がございましたので、新任幹部職員を紹介させていただきます。
 まず、特命担当部長の永田元でございます。次に、特命担当参事の住友眞佐美でございます。次に、食品医薬品安全担当参事の奥澤康司でございます。次に、感染症危機管理担当参事の細川えみ子でございます。最後に、当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の吉井栄一郎でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○藤井委員長 紹介は終わりました。

○藤井委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○平井福祉保健局長 平成十八年第二回定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします案件は、条例案七件と専決処分の報告一件でございます。
 初めに条例案でございますが、まず、東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例外四条例でございますが、これらは、障害者自立支援法の施行に伴いまして所要の規定整備を行うものでございます。
 次に、東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例でございますが、潮見老人ホームを普通財産に切りかえまして社会福祉法人に貸し付けるため、本条例から関係規定を削除するとともに、東村山老人ホームに係る使用料等の規定整備を行うものでございます。
 次に、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございますが、この事業が準拠している国制度の改正に合わせまして、生活資金の貸付要件を緩和するものでございます。
 続きまして、専決処分の報告についてでございますが、介護保険法施行規則の一部を改正する省令が本年三月三十一日に公布されたことに伴いまして、東京都福祉保健局関係手数料条例を改正し、同年四月一日に施行する必要が生じましたが、議会を招集してご審議をいただくいとまがないため、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく知事の専決処分により所要の措置を講じ、本年四月一日に条例第九十五号として公布し、施行いたしました。本件はそのご承認をお願いするものでございます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。なお、詳細につきましては総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○片岡総務部長 それでは、引き続き議案の内容につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料は、平成十八年第二回東京都議会定例会条例案とその概要及び専決処分した条例の概要とその関係資料でございます。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。
 条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。今回ご審議をお願いいたします条例案は七件でございます。それでは順を追いましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。整理番号1から5までは、障害者自立支援法の施行に伴いまして規定整備を行うものでございます。
 整理番号1、東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例及び整理番号2、東京都肢し体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例でございます。
 両条例は、施設の設置、実施事業及び使用料の根拠規定が障害者自立支援法によることとなるため、規定の整備を行うものでございます。
 整理番号3、東京都立し体不自由児施設条例の一部を改正する条例、二ページに参りまして、整理番号4、東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例でございます。
 両条例は、おのおの施設において行うこととなります障害児施設支援について定め、あわせてこれに要する費用及び食事の提供に要する費用等についての規定を整備するものでございます。
 整理番号5、東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例でございます。東京都立総合精神保健福祉センターの設置根拠が障害者自立支援法の規定となるため、その設置に係る規定を整備するものでございます。
 以上、障害者自立支援法の施行に伴う五条例は、いずれも平成十八年十月一日から施行することといたしてございます。
 整理番号6、東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例でございます。
 潮見老人ホームにつきましては、法人用施設として使用許可を行ってまいりましたが、これを普通財産に切りかえ社会福祉法人に貸し付けるため、当該施設に係る規定を条例から削除いたしますほか、東村山老人ホーム内の診療所で利用者の方々が予防接種及び健康診断を受診できますよう、使用料等の規定を設けるものでございます。
 本条例は、平成十八年九月一日から施行することといたしております。
 三ページをごらん願います。整理番号7、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
 今回の改正は、国の母子寡婦福祉資金貸付制度の改正に合わせたものでございまして、改正の内容は、医療または介護を受けている期間において、医療介護資金を借り受けなくても生活資金が借り受けられるよう、貸付要件を緩和するものでございます。
 本条例は、公布の日から施行し、平成十八年四月一日から適用することといたしております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成十八年第二回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 続きまして、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき知事が専決処分いたしました、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例についてご説明申し上げます。
 お手元の専決処分した条例の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをごらんください。東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例でございますが、介護保険法及び、先ほど局長からご説明いたしましたとおり、本年三月三十一日の介護保険法施行規則の改正等に伴いまして、介護支援専門員の名簿登録や介護サービス情報公表制度等が規定されたため、これらに係る手数料等を規定したものでございます。
 その内容でございますが、2、改正の概要にございますように、介護支援専門員登録申請手数料外十九件となっております。
 詳細につきましては、お手元の資料、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例関係資料をご参照いただきたいと存じます。
 以上、甚だ簡単でございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 整理番号3と4にかかわることなんですけれども、障害者自立支援法によって肢体不自由児施設と重症重度心身障害児者施設の利用料が改定されるということなんですけれども、改定前の料金負担と改定後の負担がどう変わるのかということがわかる資料をお願いいたします。

○藤井委員長 ほかにいらっしゃいますか。--ただいま、かち副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された副委員長と調整の上、提出願います。

○藤井委員長 次に、平成十七年度東京都一般会計予算(福祉保健局所管分)の繰越しについて理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○片岡総務部長 平成十七年度東京都一般会計予算の繰り越しにつきましてご報告申し上げます。
 お手元の平成十七年度一般会計繰越説明書をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。繰越総括表でございます。
 医療施設及び社会福祉施設のアスベスト除去に要する経費等につきましては、年度内に事業が完了しないことが見込まれたため、繰越明許費予算議決額の欄に記載のとおり、平成十七年度補正予算で九億四千四百七十五万八千円を繰越明許費として議決いただいております。このうち、執行見込みの状況を踏まえまして、表右側、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算三億二千五百七十五万五千円を今年度に繰り越すものでございます。その財源といたしましては、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、国庫支出金二億二百四十五万円、繰越金一億二千三百三十万五千円でございます。
 次に、二ページをお開き願います。事項別内訳でございます。医療施設と社会福祉施設に区分いたしまして記載してございます。ごらんいただきたいと存じます。
 以上で、平成十七年度一般会計予算の繰り越しにつきましての報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○藤井委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願一八第七号の一、請願一八第八号の一及び請願一八第九号の一は内容が同一でありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○野口企画担当部長 整理番号1、請願一八第七号の一、八号の一、九号の一をお開き願います。
 これは、最低保障年金制度の確立等に関する請願でございまして、全日本年金者組合東京都本部執行委員長吉田紀夫さん外千七百十六名、また、坂本俊臣さん、中村洋平さんからそれぞれ提出されたものでございます。
 その要旨は、1、全額国庫負担の最低保障年金制度を実現すること、2、医療制度の改定に当たっては、国民・高齢者への負担増を行わないこと、国庫負担額を増額し、介護保険や医療制度の充実を図ることについて、国へ意見書を提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況について申し上げます。
 初めに、第一項でございますが、現在の公的年金制度は社会保険方式を採用しておりまして、年金の受給は保険料の納付が基本的な条件となっております。国は、持続可能な制度の構築と制度に対する信頼の確保を目的といたしまして、平成十六年に給付と負担の見直しなど公的年金制度の改正を行い、その際、国庫負担割合については従来の三分の一から二分の一へ段階的に引き上げることといたしました。
 これに先立ち、平成十五年十月には都議会から意見書が提出されております。その内容は、公的年金制度が将来にわたり安定的な制度となるよう、基礎年金の国庫負担割合を早急に二分の一に引き上げるとともに、給付水準や保険料負担などについて、年金受給者の生活実態を踏まえるべく特段の措置を講じられるよう強く要請するというものでございました。
 また、都は、平成十七年十一月の大都市民生主管局長会議による社会福祉関係予算に関する要望書におきまして、引き続き無年金者の発生防止に向けた制度的な改善措置を検討することを国に要望いたしております。
 次に、第二項でございますが、急速な少子高齢化、経済の低成長への移行、国民の生活や意識の変化等、社会経済状況が大きく変化する中で、現行の医療制度をこのまま維持していくことは困難な状況となっております。このため、国民皆保険制度の堅持、医療費の適正化、給付と負担のバランスを確保することを基本といたします医療制度改革の関連法案が、現在、通常国会において審議されているところでございます。
 都といたしましては、平成十七年十一月の国の予算編成に対する東京都の提案要求におきまして、必要な医療サービスを国民のだれもが受けられるよう、低所得者に十分配慮することなど、医療制度改革の推進に向けて必要な事項を国に提案要求しております。
 なお、介護保険制度においては、所得に応じた負担限度額設定など、制度創設当初から低所得者へのきめ細かい配慮がなされております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。本件について発言を願います。

○田代委員 まず第一項の国庫負担、つまり税金を使って現金給付をするように国に対して意見書を出してほしいというものについてですけれども、今、理事者からも、現在の年金制度は社会保険方式であると説明がありました。社会保険の考え方というのは、一定期間一定額の保険料を払うことによって保険金の受給資格を得ることができるというものでありまして、相互扶助が基本的な理念となっているわけですね。
 一部の政党も、本件と同様に全額国庫負担による一律五万円の最低保障年金制度の創設などというのを主張しているんですが、これは社会保険の方式を理解していないのか、あるいは、相互扶助を理解していこうという、そういう理解のない、そういう国をつくっていこうとしているのか。当然、日本の周りにも、今、選挙が行われていない国ってあるわけですね。それを国と呼んでいいのかどうかわかりませんけれども、選挙のない国、いわゆる民主主義というものを全く否定している国をつくろうとしているのか。これ、よくわかりませんけれども、こういう相互扶助の理念を根底から否定して、ばらまきともいえる、まあ、ばらまきだけだったらいいんですけど、国が壊されちゃうとこれどうにもならないんですが、国を革命しようという人たちにとっては国を壊すことは大切なことかもしれないんですが、全額国庫負担の最低保障年金制度をつくるということは大変乱暴な提案ではないかなと思うんですね。
 また、国、地方とも財政難にあえぐ中で、これは議会に責任もなくて行政に責任がないとはいいませんけれども、当然、応分のそれぞれの責任が、今までこの六十年の中であったわけですが、しかし、戦争が終わった後、復興していくために必要だった制度も当然あったわけですから、一律すべて悪いというわけではないですが、やはり税金のむだ遣いというのは今から当然改めていかなくちゃいけない。
 特に、今問題になっているような社会保険庁の、いわゆる自治労を中心としたような、とんでもない、非常に使い方が不明朗な制度というものを使っている、こういうものを変えていかなくちゃいけないことは当然あるんですけれども、何しろ本請願のように、膨大な財源を、全く裏づけもなく、ただただ感情的に、選挙に使うがごとく、いろいろな要求を上げていけば、国家の崩壊を招きかねないわけですから、やはりこれは都議会としても良識のあるブレーキというものをかけていかなくちゃいけないんだろうと思っております。
 それから、第二項の医療制度改定、これの国民負担ですけれども、これは何回も申し上げていますように、イギリスを例に挙げるわけではないですが、イギリスは何で平均寿命が延びないかというと、専門医に行くのに大体半年から一年半かかるという。ゲートキーパーがいて、わかりやすく、がんに限定していいますと、転移が終わった後にやっと専門医に治療が受けられるというような制度になっちゃっているわけですね。決して医療だけが平均寿命を延ばしたわけではなくて、やはり食べ物、食育って非常に重要なことで、食べ物が大体七五%ぐらい関係はしているんですけれども、残りの二五%は医療ですから、国民皆保険というのは非常に重要なことなんですね。この国民皆保険というのは守っていかなくちゃいけない。
 ですから、当然それを守るためにいろいろな努力はしなくちゃならないんですが、特に今、人口減少がいわれていて、そして少子高齢化、こういうのがある。それから国や、先ほど申し上げましたように、地方が抱えている膨大な、しかも長期の債務など考えれば、このシステムを続けていくためには、いろんな工夫が必要だと思うんですね。で、もうかなり前になって、そのときにはまだ生まれてなかったという--佐藤先生は生まれていらしたかどうかわかりませんけれども、ジョン・F・ケネディが第三十五代アメリカ合衆国大統領に就任したとき、有名な言葉がありますよね。アスク・ノット・ホワット・ユア・カントリー・キャン・ドゥー・フォー・ユー、アスク・ホワット・ユー・キャン・ドゥー・フォー・ユア・カントリー。国に何か求めるということもあるかもしれませんけれども、まずあなたが祖国に何ができるか、これを一番やっていかなくちゃならない。今まさにそれを考えていかなくちゃいけないときだと思うんですね。
 私たちの国民の福祉、医療というものは、自分たちの力でもつくっていこう、守っていこう、だから行政にも議会にも有権者がいわゆる圧力をかけることができるわけでありまして、これはお互いに意識を高めて持っていかなくちゃならない。ただただ要求さえすればいい、責務は要らないという、日教組が長年にわたって続けてきた公教育の弊害が今出ているわけですけれども、やはり自分たちの意識で国家を守っていくというプライドを持っていっていただきたいと思うんですね。
 当然我々、医者として多くの患者さんに接しております。生の声を聞いているわけですが、その中で、こういう改革が行われるたびに、本当に大丈夫なのかなと心配になる方はたくさんいらっしゃると思うんですよ。やはりそこはきちっとした、先ほど申し上げましたけど、いつも説明が、アカウンタビリティーですよね、説明責任がしっかりしてないといけないんですが、やはり一番基本は、社会保障制度というのは自分たちで築いていかなくちゃならないんだと、ここを理解していただくように行政も努力をしていただきたい。そして、改革の痛みを分かち合うときに、国民だけが多い痛みを分かち合うんじゃなくて、やはり等分になっていかなくちゃいけないわけですね。
 そして、これからも安心して暮らしていくために、こういうサービス、特に医療に関してはサービスの水準、これは我々医師にも責任はあるんだと思いますけど、低下させることがないように、当然、配慮していく必要があって、これを今から進めていくためには、やはり財源というものを応分にそれぞれが負担していく。そして、社会保障制度というものはみんなでつくり上げて、自分たちもプライドを持って努力していくことが必要。こういうことをしっかりとみんなで理解して進めていかないと、これからの国民皆保険というのはうまくいきません。
 特に、今度、第一回目の見直しで、介護保険と医療保険のコンプレックスというのを今一生懸命やっているわけですけれども、これは特にそこが必要になるところでありまして、ただただお金を国から出せばいいという問題ではないと思います。
 ただし、せんだっても幾つか問題になりましたように、当時、ああやってむやみやたらに銀行にお金を出したわけですね。そういうお金があるんだったら、その一部でもこういうものに回してくれたらいいなというのは、医者としてはそう思いますけれども、当然、国の中でバランスを持って医療というものを支えていくことは必要だけど、最低限の自分たちの努力というものが全くなくてもいいという国にすると、逆に、そういう制度は維持不可能になるのではないかと思いまして、意見とさせていただきます。

○吉田委員 私も、一八第七号の一及び八号の一及び九号の一、最低保障年金制度の確立等に関する請願について、趣旨採択を求める立場から発言をいたします。
 第一に、最低保障年金制度についてです。
 今日の年金制度の最大の問題は、日々の生活を到底賄えない低額の年金あるいは無年金の方が少なからず存在しているということであります。この問題を解決するためには、最低保障年金制度を実現することが必要だと考えます。これは、保険料納付を基礎とする年金制度と矛盾するものではなく、無年金の解決とともに、掛金の土台ともなるものだと思います。しかも、こうした最低保障年金制度の実現を求める要望は、請願を出された方、一部の方のみの主張ではありません。
 例えば、昨年七月二十七日、指定都市市長会、政令都市市長会からの要望の中でも、次のようなものが盛り込まれております。最低限の所得保障を行うため、無拠出制で、受給要件を一定年齢の到達とする最低年金制度を創設することということが出されていることについても、私たちは注目をする必要があると思います。なぜ政令市の市長会がこのような提案をしているのか、それは、今の実際の住民の置かれた生活状況からの反映だと考えています。
 無年金者が少なからず存在しているだけではなく、極めて低額の年金という実態の方が少なからずいらっしゃいます。例えば国民年金の平均受給額は、最新の資料で月額五万三千円ですけれども、基礎のみ、旧国年のみの方の場合には、五万円に満たない平均四万七千円となっており、当然その中には二万円、三万円台の方々がいるのが現実です。
 さらに、物価の高いこの東京の実情を見ても、東京は国民年金平均の受給額、何と全国十九位という低さにありますし、東京都福祉保健局がかつて調査をいたしました東京の高齢者の経済状況の調査でも、年間収入が五十万円に満たない、すなわち月額五万円にも及ばない方が九・四%、約一割存在しています。
 こうした状況から見れば、請願者が最低保障年金制度の創設を求めることは当然のことであり、財源的に見れば、歳出の見直し、税制などの改革を行うことによって、こうした分野に光を当てることが私は求められていると考えます。
 第二に、今国会の最大の焦点の一つとなっている医療制度の改定に関してです。
 法案は、本年十月から、七十歳以上で一定所得以上の方は三割負担、来年四月からは、七十歳から七十四歳に対しては一割負担を二割負担に引き上げる。さらに、それにとどまらず、窓口負担だけではなく、ことし十月から、療養病床に入院している高齢者の食事、居住費は保険外となり、入院費は三万円の値上げ、再来年には六十五歳から六十九歳の方にもこれを適用し、一カ月の入院費は十三万円になると推計されております。さらに、七十五歳の方々を対象に、年金から天引きをする年間六万円の新たな保険料負担まで求めようとしております。
 現役世代との公平ということが強調されていますが、高齢化によって病気にかかりやすく、定期的な通院、投薬が必要となることは避けがたく、若年者と同列で比べることはできないと思います。しかも、多くの高齢者は年金のみに限られた収入となっており、こうした高齢者に現役並みの負担を求めることは、結果的に必要な医療の抑制、生活の圧迫となることは必至です。
 なお、医療費の年々の増加が強調されていますが、日本の医療費はGDP費で七・九%、アメリカの一四・六%、ドイツの一〇・九%、フランスの九・七%と比べても低く、OECDの調査では、先進国三十カ国中十七位という位置にあります。歳出を見直し、国庫負担の適正化を図ることで、この問題の解決に当たるべきだということを述べ、本請願の趣旨採択を求めるものです。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、一括して起立により採決いたします。
 本件は、いずれも趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤井委員長 起立少数と認めます。よって、請願一八第七号の一、請願一八第八号の一及び請願一八第九号の一は、いずれも不採択と決定いたしました。

○藤井委員長 次に、陳情一八第二三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○住友参事 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、一八第二三号、自立支援医療制度に必要な診断書等無償交付を求めることに関する陳情は、小平市の東京都精神保健福祉民間団体協議会運営委員長伊藤善尚さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、自立支援医療制度で今後必要とされている医師の診断書等の証明書について、指定医療機関が無償で交付するよう、国に対して必要な措置を講じるよう働きかけていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、自立支援医療制度では、申請者が自立支援医療の対象であるかどうかを判断するために、申請に当たっては医師の診断書等が必要とされております。また、精神通院医療においては、旧制度では支給認定の有効期間が二年でありましたが、自立支援医療制度では一年とされ、申請に必要な診断書等の費用については、新規、更新にかかわりなく申請者の負担となっております。
 一方、育成医療及び更生医療においては、従前どおり支給認定の有効期間は原則三カ月以内であり、新規の申請時に必要な医師の意見書は申請者の負担でありますが、更新時においては、指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)療養担当規程第六条で無償と規定されております。
 なお、全国衛生部長会においては、平成十九年度予算に関する国への要望に当たって、指定自立支援医療機関(精神通院医療)療養担当規程に育成医療及び更生医療と同様の規定を入れるよう要望しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田代委員 私は、この陳情について、趣旨に賛成の立場で意見を申し上げたいと思います。
 医療機関の医師は、診療する患者さんから診断書を書いてほしいと求められることがしばしばあるわけですけれども、もしかしたら大方の方は、診断書の作成というのはカルテに書いてあることをただ書き写すだけで、多少の手間はかかるかもしれないけど簡単な仕事だと、そう思われている方いらっしゃると思うんですね。いや僕も実際は、そんなものだと医者になる前は思っていたんです。
 ところが、診断書というのは、まず我々一番気をつけなきゃいけないのは、生命保険会社とか損保の会社の人たちが、家族の人たち、あるいは友人、知り合いをかたって電話してくるというのが意外とあります、契約したとき、何時間か何日か前後したりすると、当然払ったり払わなかったりすることがあるので。だけど、我々も全部頭から人を疑るわけにいきませんし、忙しいので、そういうことをいろいろ聞かなきゃならない。
 もう一つ、これは今現在非常に私困っていることなんですが、統合失調症の患者さんに、統合失調症という病名を知らせていいか悪いか。非常に若い方で、その方は大変学問もすぐれていて、まだ学生さんですけれども、物すごくよく物を調べる。その人に治る、治らないの話をするときに、統合失調症という名前を知られてしまうと、非常に治療がやりづらくなるんですね。将来は当然伝えようと思いますが、ご両親にはご許可をいただいているわけですけれども、診断書にうそを書くわけにもいかないので、非常に苦慮して、学校に出す診断書を今はまだ保留にしています。ただ頼まれたことを正しく書き込みさえすればすべて終わるんであれば、当然書いてしまうわけですけれども、これは完全に治療にマイナスになると、我々チームで精神科医療をやっていますから、全員の医者がマイナスであるという意見になったんで、非常に悩んでいるわけですね。
 もう一つは、当然これ公文書に準ずるわけですから、裁判所に提出するということはよくあります。そうなると、そこに一字間違えていたり、場所が間違えていたり、日時が間違えているだけで非常に大きなペナルティーになるので、当然、その病名とか方針とか、それから、中はあけちゃいけないことになっているといいながら、個人のものですから、あけることは当然あるわけですから、そこに書かれていることが患者さんと医師との信頼関係を失うような書き方もできないわけで、非常に書くときに難しいんですね。難しい上に、一枚の診断書を書くのに、短くても十五分ぐらい、長きゃ三十分、一時間、ほかの医者とも話し合いながら、看護師とも話し合いながら書かなくちゃいけないときもありますので、そうなると、その間、患者さんたちを待たせなくちゃならない。こういうこともあるので、診断書作成には最低限の、時間的にもかかっているようなもの、実費のようなものは必要だと思うんです。
 しかし、その一方で、精神疾患を持っていらっしゃる方たち、そういう方々が医療費助成を申請するために必要な診断書についての費用をご負担いただくというのは、私自身はちょっと疑問がないわけではないわけです。
 先ほど申し上げましたように、精神疾患の中で大きな統合失調症というのがあるんですけれども、これは自立支援医療費の助成対象となる疾患の一つであります。この統合失調症の治療では、当然、幻覚や妄想など精神症状が顕著な場合には入院して治療を受けるわけですが、退院した後もこれは非常に長い。精神科疾患というのは非常に長い病気ですが、特にその中でも長い。一時は、分裂病といわれていたころには、もう治らないとされた、不治の病とされたわけですけれども、今は随分それが変わってきました。
 先ほどちょっと申し上げた若い方というのは非常に重症で、長引く可能性があって、お年寄りだと意外とうまくコントロールできることがあるんですが、特に若い方の診断書を書くときは我々苦慮するんです。そういう意味で、長くかかる、なるべく患者さんには負担を軽減していきたい、そういうことで、診断書の費用について申請者の方の過大な負担にならないように、そういうことを配慮していただきたいと思います。
 当然、医師や弁護士や国家資格に基づいて業務を行う者というのは、公認会計士もそうですけれども、それだけ社会的にも、ある意味で保護されているのだとすれば、重たい責任と職業倫理を求められるわけですから、こういう障害者の方の自立を支援するという特別の事情がある場合においては、診断書作成については、普通の医療機関が考える一般の、先ほど申し上げたような交通事故とか何かとは違う考え方で、当然、負担は医師側がするといったらあれですけれども、国家資格を持っている人たちが社会的責務の一つとして、自分たちがボランタリーな活動をしていくことが必要なんだろうと思っています。
 同じ自立支援医療制度の中でも、更生医療と育成医療の医師の意見書は無償になっているわけですから、国において制度上の均衡を図ることを考慮する必要があるという意見を申し上げ、発言を終わります。

○斉藤委員 陳情一八第二三号について、賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
 東京都は先般、自立支援法の施行により精神障害者の自己負担が生ずることで、必要な通院が自主的な中断で損なわれることがないようにということで、低所得者対策を決めたばかりであります。
 今回の陳情にあるように、診断書についても、必要な医療の入り口にあるということで、診断書の負担が今後の通院の妨げ、その意欲に水を差すというようなことがないようにするためにも、ある程度必要な措置ではないか、必要な判断ではないかというふうに思います。
 ただ、事前に伺ったところで、東京都の方で意見書を出した場合、国の方の制度化、そしてさらには、実際に医療を行う各医療機関のもちろん経費的な部分も含めての負担となるというふうに伺っております。こういったことで、都内にあります地域の関係医療機関の方に趣旨をよく理解していただき、配慮しつつ、このような対応を進めていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○谷村委員 それでは、本陳情につきましてお伺いいたします。
 先ほどご説明がありましたけれども、今回の制度改正で、精神保健福祉法第三十二条に基づく精神障害者通院医療制度では患者票の有効期間が二年であったものが、自立支援医療制度では受給者の有効期間が一年となり、毎年の更新申請が必要になったわけであります。
 更新申請の際には毎回医師の診断書が必要になりますけれども、この診断書料というのが医療機関ごとに異なるわけですが、一般的には大体幾らぐらいかかるものかお尋ねいたします。

○住友参事 診断書の発行に係る費用は医療機関によって違いがありますが、三千円から五千円程度の医療機関が多いと聞いております。
 なお、都立病院では、精神通院医療助成のための診断書発行の手数料につきましては、千五百円としております。

○谷村委員 診断書一通につき三千円から五千円が多いとのことでございますけれども、いわゆる診断書料というのは自由料金でございますので、中にはもっと高い費用がかかる医療機関もあると考えられるわけであります。精神障害をお持ちの方の収入は、作業所等の工賃や、あるいは障害年金のみなどという方も少なくなく、一年に一回とはいえ、三千円から五千円の負担というのは決して軽いものではないわけであります。
 そもそも陳情者の方の話にもありますし、先ほどのご説明にもありましたけれども、国においては、更生医療、育成医療の申請に必要な医師の意見書については無償としているのに、精神障害者の通院医療費の申請に必要な診断書は患者さんの自己負担となっているわけであります。同じ自立支援医療費の申請手続なのに、精神の通院のみ患者負担となったのはどういう理由なのか、考え方の説明をお願いいたします。

○住友参事 国の説明によりますと、更生医療、育成医療の支給認定の有効期間は原則として三カ月以内となっておりまして、更新申請の都度添付する意見書が有料であれば、申請者の過大な負担となるため無償としております。その点、精神通院医療は有効期間が一年と長く、そのため国においては精神の通院医療の診断書料は自己負担としたとのことでございます。

○谷村委員 国の説明どおり、原則としては更生医療の認定期間は三カ月かもしれませんけれども、例えばHIVの感染者の方や慢性腎不全で透析を受けておられる方など、一年間の認定期間で医療券をお出ししているケースもあるというふうに伺っておりますので、今お聞きした国の説明では、若干の違和感を感じざるを得ないわけであります。
 私は、陳情者の意見のとおり、国に働きかけるべきと考えますが、都の考えをお伺いしたいと思います。

○住友参事 都も加入しております全国衛生部長会では、国の平成十九年度予算編成に関する要望の一つといたしまして、指定自立支援医療機関(精神通院医療)療養担当規程に、育成医療、更生医療と同様に無償とする規定を入れるよう要望しております。

○谷村委員 今回の制度改正に当たりまして、東京都では低所得者の方の精神通院医療については独自に患者さんの自己負担分を助成しておりますけれども、このことにつきましては、我が党が昨年の第四回定例会の代表質問で主張したことが実現し、関係者から大変に感謝をされているわけであります。
 しかし、たとえ一年に一回ではあっても、診断書料の自己負担というのは、せっかく地域で通院しながら生活しようという精神障害者の方の通院の意欲にも影響しかねないわけでありまして、しかも、同じ自立支援医療制度の中で、疾患によって診断書料が無料のものと有料のものがあるというのは、制度の公平性の観点から、国において是正されるべきと考えます。
 先ほど田代先生のお話にもありましたけれども、ボランタリーという言葉がございましたが、都内精神通院医療を受けていらっしゃる方が十二万人で、これは、先ほど三千円から五千円の負担となると、三億六千万から六億円というのが都内の医療機関の負担になってくるという金額的なアプローチもありますけれども、先ほどのお話、田代先生のお話等も踏まえまして、私はこの陳情については趣旨採択にすべきであると意見を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○かち委員 私からも、自立支援医療制度に必要な診断書等無償交付を求めることに関する陳情について、一、二お聞きしたいと思います。
 旧制度におきましても、精神福祉法の歴史の浅さもあって、いろいろな面でおくれがあるわけですけれども、今度の法整備の中で、今まで二年だったものが一年ごとになり、診断書が有料だったものという点からいいますと、その負担は二倍になるということにもなるわけですね。そういう意味で、精神の通院医療の認定期間が一年であるのに、更生医療や育成医療では原則三カ月となっていますけれども、その根拠というのは何でしょうか。

○住友参事 国では支給認定の有効期間を自立支援医療費支給認定実施要綱で定めております。その要綱では、更生医療、育成医療については予算適正化の見地から有効期間は原則として三カ月以内とし、三カ月以上に及ぶ者の支給認定に当たっては特に慎重に取り扱うこととしております。

○かち委員 要綱規定ということですけれども、それでは実態として三カ月ごとに意見を出す事例はどのぐらいあるんでしょうか。

○住友参事 更生医療、育成医療ともに、継続申請に当たりましては必ず医師の意見書を添付するように求めております。平成十六年度に都で承認といたしました実績を見ますと、更生医療につきましては、九百八十四件の承認件数のうち、治療内容の変更や期間延長のために継続したものは七十件でございます。同じく育成医療につきましては、千三百三十五件の承認件数のうち、三カ月ごとの申請も含めまして六百件が継続承認されております。

○かち委員 今、数字を挙げていただきました。それぞれ、若干ではありますけれども、三カ月ごとの更新ということもあるわけですけれども、それは無料で行われている。しかし、精神の場合は、先ほどもありましたけれども、非常に継続的に治療を続けなければいけなくて、しかも一年ごとに縮まったということもありまして、それが三千円から五千円という負担では、やはり二つの更生医療、育成医療に比べて余りにも格差があり過ぎるというふうに思います。
 先ほど来いわれておりますように、都としても十九年度予算編成に当たって、国へ要望事項の一つとして、この無償化を規程に入れるように要望したとのことです。自立支援法の根幹ともいえる理念は三障害一元化ということですので、更生、育成が無料であれば、当然、精神も無料とすべきと考えます。よって、本陳情は趣旨採択を求めます。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一八第二三号は趣旨採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分については、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十八分散会

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