厚生委員会速記録第四号

平成十八年三月二十日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長藤井  一君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事谷村 孝彦君
理事田代ひろし君
理事初鹿 明博君
松葉多美子君
早坂 義弘君
山口 文江君
山口  拓君
斉藤あつし君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉保健局局長平井 健一君
次長吉川 和夫君
技監梶山 純一君
理事梶原 康二君
総務部長片岡 貞行君
指導監査室長菅原 眞廣君
医療政策部長丸山 浩一君
保健政策部長杉村 栄一君
生活福祉部長朝比奈照雄君
高齢社会対策部長長谷川 登君
少子社会対策部長都留 佳苗君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長八木 憲彦君
企画担当部長野口 宏幸君
連絡調整担当部長狩野 信夫君
参事松井多美雄君
参事高橋  誠君
参事桜山 豊夫君
参事宮垣豊美子君
参事佐藤 恭信君
参事牛島 和美君
参事浅井  葵君
参事大黒  寛君

本日の会議に付した事件
 福祉保健局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十一号議案 東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都肢し体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
・第七十九号議案 東京都地方精神保健福祉審議会条例の一部を改正する条例
・第八十号議案 東京都障害者介護給付費等不服審査会条例
・第八十一号議案 東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
・第八十二号議案 東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第八十四号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十五号議案 東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十六号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
・第八十七号議案 東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
・第八十八号議案 東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
・第八十九号議案 東京都女性相談センター条例の一部を改正する条例
・第九十号議案 東京都心身障害者福祉作業所条例の一部を改正する条例
・第九十一号議案 東京都心身障害者生活実習所条例の一部を改正する条例
報告事項
・東京都養護老人ホーム条例等の一部を改正する条例(案)について(説明・質疑)
・「福祉・健康都市 東京ビジョン」の策定について(質疑)
・都立障害者通所施設の民間移譲について(質疑)
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例

○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の報告事項の説明聴取、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者より報告の申し出がありますので、これを聴取します。

○片岡総務部長 最初に、東京都養護老人ホーム条例等の一部を改正する条例につきまして、お手元の資料に基づきご報告申し上げます。
 資料は、平成十八年第一回東京都議会定例会条例案及び平成十八年第一回東京都議会定例会条例案の概要でございます。
 なお、本条例案につきましては、今月三十日の本会議に上程していただく予定でございますが、本委員会であらかじめご報告を申し上げるものでございます。
 それでは、平成十八年第一回東京都議会定例会条例案の概要の一ページをお開き願いたいと存じます。
 本定例開会中の去る三月六日、国が診療報酬に係る告示の廃止及び新設を行いました。この告示が四月一日に発効いたしますことから、これを引用しております各条例の規定を整備するものでございます。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成十八年第一回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 なお、二月十六日の本委員会におきましてご説明申し上げました、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の追加提案につきましては、介護保険法の改正に伴う省令の公布が、本定例会の閉会予定日の翌日、三月三十一日となりましたことから、追加提案を見送らせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 本件については、次に行います予算の調査、付託議案の審査及び報告事項の質疑の際にあわせて質疑を行いますので、ご了承願います。

○藤井委員長 次に、第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案、第六号議案、第七十一号議案から第八十二号議案まで及び第八十四号議案から第九十一号議案まで並びに報告事項、東京都養護老人ホーム条例等の一部を改正する条例案について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○片岡総務部長 過日の厚生委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、議案及び報告事項合わせまして十七項目となっております。
 それでは、順を追いまして説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。合計特殊出生率の推移といたしまして、平成十二年から十六年までの合計特殊出生率を区市町村別に二ページにかけまして記載してございます。
 三ページをごらん願います。東京都監察医務院における、ひとり暮らしの者の検案数の推移といたしまして、平成十二年から十六年までの検案数と、そのうち六十五歳以上の高齢者数について記載してございます。
 四ページをお開き願います。都立看護専門学校寄宿舎の利用状況といたしまして、寄宿舎を設置しております学校ごとに、定員、利用者数等につきまして記載してございます。
 五ページをごらん願います。都保健所職員の定数の推移といたしまして、平成十四年度から十七年度までの都保健所の職員定数を職種別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。がん検診、基本健康診査の有料化の状況といたしまして、平成十六年度及び十七年度のがん検診及び基本健康診査の有料化状況について、区市町村に区分して記載してございます。
 七ページをごらん願います。平成十八年度における地域包括支援センターの設置予定数といたしまして、本年二月一日現在の予定数を区市町村ごとに区分して記載してございます。
 八ページをお開き願います。介護保険制度における介護予防の概要といたしまして、地域支援事業及び新予防給付に区分し、目的、対象者、対象者の決定方法などについて記載してございます。
 九ページをごらん願います。旧都立授産場の在籍者の状況といたしまして、平成十五年度から十七年度までの旧都立授産場ごとの在籍者数について区市別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。子育て推進交付金の概要といたしまして、交付金創設の考え方、対象事業及び交付金の仕組みについて記載してございます。
 一一ページをごらん願います。認可保育所の定員数、入所児童数及び入所率の推移といたしまして、平成十二年度から十七年度までの定員数等について記載してございます。
 一二ページをお開き願います。認可保育所における職員の平均経験年数の分布といたしまして、平成十二年度から十六年度までの職員の平均経験年数別に施設数を記載してございます。
 一三ページをごらん願います。精神障害者の退院促進モデル事業の概要といたしまして、事業の目的、対象者、事業概要及び実績を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。障害者自立支援法等の施行に伴い利用者負担の仕組みが変更となる現行福祉サービス一覧といたしまして、居宅サービス、施設サービス等に区分し、現行サービス名を記載してございます。
 一五ページをごらん願います。精神障害者社会復帰施設の設置状況といたしまして、施設種別ごとの設置箇所数を区市町村別に記載してございます。
 一六ページをお開き願います。障害者の就労状況といたしまして、民間企業における雇用状況と東京都内の福祉的就労にかかわる障害福祉施設の状況について記載してございます。
 一七ページをごらん願います。障害者自立支援法における利用者負担に係る都独自の取り組みといたしまして、本ページから一八ページにかけまして、ホームヘルプサービス、自立支援医療のうちの精神通院医療、知的障害者児施設入所者への医療費助成について、それぞれ記載してございます。
 一九ページをごらん願います。東京都が直接運営している福祉施設につきまして、施設種別、施設名、所在地及び定員を記載してございます。
 以上、甚だ簡単でございますが、ご要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○田代委員 本日は大変長時間にわたるということなものですから、四点ばかり聞かせていただきたいと思ったんですが、そのうち二点だけに絞って、早目に終わらせていただきたいと思って、二点伺います。
 一つは、まず健康食品のことなんです。サプリメントですね。これ、大変拡大しておりまして、十七年度では二兆八千億円、大変膨大なお金で、いつテレビを見ても、新聞を見ても、これの宣伝があるんですね。この健康食品というのは、一般的に健康によい、こういうことで販売されている食品の総称ですけれども、しかし、雑誌やインターネットの宣伝には、健康食品はダイエットや生活習慣病の改善がだれにでも手軽にできて、足腰や目に、いろんな魅力的なことがいっぱい出ているわけです。
 こうした宣伝、広告ですね、さも物すごく大きな効果があるようなことを、誤解を与えるようなことが多いんですが、実は、これは私もかかわっていた審議会の一つなんですけれども、昔、ダイエット食品を使っていて、非常にやせた、やせたと大喜びしていた横浜の女性の方が、最終的にはスキルス型の胃がんであって、全然そういうものとは関係なくて、手おくれ、スキルス型だから、手おくれというのも変な話なんですけれども、とんでもない話になっちゃったということがあったんですけれども、最近では、中国製のダイエット、健康食品でいろんな事件がありました。よくなるどころか、被害を受けちゃう、こういうことがあるわけですけれども、まず、都民の健康食品の利用状況、どんなものか、利用実態を調べたことがあるのかないのか、あるとすればどんなものか、これについてお答えをいただきたいと思います。

○浅井参事 都民を対象にしました調査としては、平成十五年度に生活文化局が、インターネットを使っている都民を対象に都政モニターアンケートを行っております。それによりますと、五割を超える都民が健康食品を利用しておりまして、その利用目的につきましては、大方は健康の維持、栄養成分の補給などでありますけれども、少数ですが、病気の治療や予防、ダイエットなどの回答もございました。

○田代委員 本年の二月に、キノコの一種であるアガリクスの問題とか出たわけです。これでラットに使ったところ発がん性が認められた、こういうことがあったわけですね。
 それから、もう一つ、コエンザイムQ10。これもよく聞かれたと思うんですけれども、これも薬としては認められているんですが、我々が使う薬の中の量をはるかに超えた量が使われている。使っていい、悪いでいうといいんだけど、この量は超えちゃいけないといったらおかしいんですけど、これで十分だという量の、中には十倍から百倍というものが入っていても、こういう健康食品あるいはサプリメントだと漏れてしまうというわけですね。
 当然、健康食品の安全性にかかわる基準設定というのは国が責任を持ってやるわけですけれども、先週、国の食品安全委員会の専門委員会では、現在では情報が不足しており、基準の設定が困難、こういう報告があったわけです。これだけたくさん都民が利用しているわけですから、健康被害というものも大変心配だと思うんですが、健康食品の利用と関係のある健康被害というのはどのようなものがあるかをお聞かせいただきたいと思います。

○浅井参事 健康食品が関与していると思われる健康被害でございますが、今までに把握している範囲では、まず製品自体の安全性の問題がございます。委員が先ほど申されましたように、都内で昨年、インターネットで購入した中国製ダイエット食品、これを利用した方が死亡した事例がございまして、その健康食品を東京都が調べたところ、食品には本来含まれてはならない国内未承認の医薬品あるいは向精神薬などが検出されております。
 このほか、利用者の体質ですとか過剰使用、これによりましてさまざまな症状が出た事例ですとか、健康食品に頼って医療機関を受診せずに病状が悪化したという、間接的ともいえるような被害がございます。

○田代委員 健康食品と関係する健康被害、これを防ぐためには、製品自体の安全性の問題は当然ですけれども、利用者側の問題についても取り組む必要があると思うんですね。
 食品の安全確保については、食品安全基準法を引き合いに出すまでもなく、事業者に第一義的な責任があるわけですが、このために、健康食品を取り扱う事業者は科学的なデータにしっかり基づき製品の安全性を確認する、こういうことをやっていただかなくてはならない。そして、利用者に対しても、利用方法にかかわる情報というものをしっかり伝えていかなくちゃいけないと思うんですね。
 この事業者の安全確保への取り組みの充実を東京都も進めていかなくちゃならないわけですが、ちまたでは、表示や広告に、本来食品には認められないはずの効果や効能をうたった製品が野放しになっているということもありますし、また、今、スギ花粉の最盛期でありますので、花粉症がよくなります、そういう魔法のような食品の宣伝もされているわけですけれども、こういう健康食品の監視状態、東京都は表示や広告のチェックというのを行っているんでしょうか、どうなんでしょうか。

○浅井参事 都はこれまで、健康食品の安全に関連する部局が連携しまして、店頭や通信販売で売られている製品のうち、広告などで特に問題がありそうなものを買い上げて、成分検査や表示、広告のチェックを行っております。
 昨年度の実績は、一年間で百五十九製品を検査いたしまして、うち七製品から医薬品成分が検出されております。また、表示、広告については、ダイエット効果を標榜するもの、それから花粉症への効果、効能を標榜するもの、そのほか大変軽微なものも含めて、八七%に当たる百三十八製品に違反がございました。

○田代委員 当然、安全確保というのは大切なことなんですが、東京都は、健康食品の安全確保を図るために、今後どのように政策、施策を推進していくおつもりでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

○浅井参事 都はこれまで、事業者に対する監視指導や講習会の実施、都民への普及啓発を行ってまいりました。今後はさらに健康食品の取扱事業者の実態を把握した上で、輸入・製造業者の監視指導や、インターネットで販売されている製品の検査などを強化してまいります。
 また、新年度には、東京都医師会や東京都薬剤師会などと連携いたしまして、健康被害を初めとしたいろいろな健康食品に関する情報の集約化、あるいは共有化などを行いまして、都民へもわかりやすい情報提供を行うなど、健康被害の未然防止、拡大防止に向けた取り組みを開始する予定にしております。
 現在、東京都食品安全情報評価委員会で健康食品の安全性に関する情報の検討を行っておりまして、今月末にその報告が出る予定になっております。今後、その報告を踏まえまして、さまざまな関係者と連携して、安全確保に向けた取り組みを一層強化していきたいというふうに考えております。

○田代委員 今お話しいただいたように、関係機関としっかりと連携して、効果的な、都民が不安になるようなことがないような対策を推進していただくことを強く要望しておきます。
 最後になりますけれども、これはドラッグのことなんですけれども、ある保護司の方にお話を聞いて、数十名のお子さん方の世話をした方なんですが、私、性感染症の講演会で頼まれてしゃべったときに、そこで会った方が、自分たちが今までお世話したお子さん方で、ドラッグをやったことがない子、一度も試したことがない子は残念ながら一人もいなかったと。その中で、非常に多くの子どもたちが、いわゆる性行為感染症というよりも、簡単にいうと、昔でいう性病ですね、かかっていたことが非常に多いという話を聞いたんですね。医者にみんな連れていったと。
 直接、麻薬とドラッグと性行為感染症が全部関係するとはそのままはいえないわけですけれども、現実ではそういうことが非常に多い。昔は、ヒロポンですとか覚せい剤、いろんな事件があったわけですけれども、ドラッグにしろ覚せい剤にしろ、大変健康をむしばむという点では、亡国の病と昔からいわれるわけで、最初はちょっと軽い気持ちで手を出したわけですけれども、もう途中で歯どめが当然きかなくなって、ぼろぼろになって肉体も精神も朽ち果てていく、そういう状態になる。そして、さらにひどいことになると犯罪を犯してしまう。
 ですから、ある国によっては物すごくこういうものに対して罰則が厳しい。故意だか間違ってだかわかりませんけど、日本の旅行者が東南アジアでたまたま持っているのを見つかって、とんでもない、二十五年とか五十年とか、想像を絶するような刑がいい渡されるのも、実はそういうところなんですね。日本人が憎いからでも何でもなくて、国を守るためにはかなり厳しくやっていかなくちゃいけない、こういうふうに考えている国が多い。日本はそれが少し緩いのかなということになります。
 特に我々、精神神経科関係の仕事をしていますと、依存症になって、わけのわからないことをいったり、それから家庭内暴力、あるいはほかの人に対しても暴力を振るうなんていうことが多いわけです。今の若い人たちの話を聞いていますと、最初は悪気はないんですね。軽い言葉でいうと、ファッションのようなつもりで、好奇心でちょっとやってみたら、それがだんだんだんだん抜けられなくなっちゃう。
 皆さん方もごらんになったことがあるかもしれませんけれども、覚せい剤の怖さを示したビデオで、覚せい剤を投与された親のラットが子どもを食いちぎってしまう。動物の本能すら壊してしまう。薬物依存というのは大変怖いわけですけれども、こういう状態が、今、残念ながら、大久保、新大久保、あの辺を見てますと、テレビが大げさにいってるんじゃない状況も、我々歩いてますとあるような気がするんですね。
 当然、青少年は興味でいろんなチャレンジをしていくということは、それは悪いことではないんで、若さの特権ではあるんですけど、薬物に関しては、どうしてもこういうものにチャレンジしてもらっては困るわけで、そういうところで、学校教育の中でぜひ、覚せい剤や脱法ドラッグに手を出した人間がどうなってしまうのか、大変ショッキングではあるかもしれませんけれども、ビデオや写真などを使って具体的に。言葉でだめだ、だめだというより、ああ、もうこんなの嫌だなと、薬物の恐怖というものがわかって、若人、その人本人が理解できるような、そういう状況をまずつくる。それから、そういうものを提供する人間、そういうものに対してはなるべく厳罰で対応していく。そういうことを都の方もしっかりと進めていただきたい。当然、働いて、頑張って税金を納められる方が、逆にこういうことになってしまえば、治療費を払われて、プラスマイナスでとんでもない差が出てきちゃうわけですね。
 これは、国の問題でもある、地方自治体の問題、いろいろあると思うんですが、かなり前からテレビのCMで、覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか、こういう言葉がお茶の間に流れていたわけですけど、一般的な人にとっては大変ショッキングなメッセージかもしれませんけど、薬物に手を出してみようと思う人たちから見ると、余りそれで訴える力があったとは僕は思えない。というのは、逆にいうと、一度そういうものにとらわれた人っていうのは、二度、三度と同じことの繰り返しをする。有名な、名前はいいませんけど、芸能人なんかでも、それで二度も三度もつかまって、人生を壊してしまう人がいるわけです。
 東京都は今、青少年の各年齢層に応じた多様な啓発活動、例えば、小学校の親子の薬物乱用防止教室や中学生を対象としたポスター、標語の募集、それから薬物乱用防止高校生会議、こういう薬物乱用対策推進本部の関係機関と協力しながら、いろんなことをやっているわけですね。それから、薬物乱用によって矯正施設に収容されている人たちに対して、施設からの依頼を受けて啓発活動も行っている。こういうことなんですが、東京都は現在、これから青少年に対してどのような啓発活動をさらに行っていくのか、それについてお答えいただきたいと思います。

○浅井参事 都はこれまで、保護司、薬剤師、民生、児童委員などから構成されます、都内四十八の薬物乱用防止推進地区協議会に対しまして、研修会の開催、啓発用ビデオの提供などによりまして、地域活動の支援を行ってまいりました。
 また、本年度は、青少年が多く集まる新宿、渋谷、池袋の三地区におきまして、地区協議会に加えて、新たに地元商店会あるいは警察、自治体などの参画も得て、小学生を含む青少年のボランティアによるパレードやライブコンサートなどを通じた啓発活動を実施してまいりました。
 今後は、さらに、ことしの実績を踏まえまして、他の地域においても啓発活動の輪が広がるように、地元の自治体や企業などに働きかけてまいりたいと思います。

○田代委員 そうなんですね。広くやっていかないと、ただ意識のある方たちだけに話をしても、効果のあるものではなくて、もう一歩先に進んだ、今おっしゃったようなことをどんどんどんどん強力に進めていただきたい。
 物事がわかっている方たちに同じこと、実は私はよく私立大学でエイズの話をするんですけど、エイズの話を聞きにくる人はエイズは全然心配要らないんですね。聞きにこない人が問題なんで、それをどこまでそこに話をしていくか。聞きにくる人は非常に熱心なんですよ。それで、決して不特定多数の人たちと勝手をしない人たちが来るので、ある部分、非常にむなしくなるんですね。みんなうなずいて聞いてくれるんですけど、この人たちじゃない人に聞かせたいんだと。ですから、その一歩先に出る運動をちゃんとしていただきたいんです。
 最後になりますけれども、都は昨年、全国で初めて、東京都薬物の濫用防止に関する条例、いわゆる脱法ドラッグ条例、これを制定したわけです。そして、都庁のそばの繁華街を中心とした薬物汚染地域の取り締まりを行っていくということでしたが、果たして効果が上がっているんでしょうか。それを教えていただきたいと思います。

○浅井参事 都は、昨年四月に条例が施行されてから、知事指定薬物を七成分指定いたしまして、脱法ドラッグ販売店の監視指導を実施してまいりました。その中で、条例に基づきまして、インターネットで販売するために知事指定薬物を所持していた男性を警視庁が逮捕したほか、福祉保健局におきましても、卸売販売店に対しまして警告書を交付し、販売禁止の指導をした事例もございます。
 その結果、現在のところ、知事指定薬物を扱う店は全くなくなっておりまして、条例による規制の効果は着実に上がっております。

○田代委員 破れ窓理論ですか、一つ一つ強力に進めていかないと、まあまあこれならというところで手を緩めると、また第三次が第四次、第五次と、覚せい剤の問題ってふえていくと思うんですね。ですから、本当にここはしっかりと取り組んでいただきたい。
 効果が上がっているという話なんですが、やはりいろんな話を聞きますと、新大久保や大久保の町、夜遅く歩くと、何のためにそこに人が立っているんだかわからない、ドラッグとしか思いようがないことが、渋谷でもありますし、新宿でもあるようなお話を多々相変わらず聞いておりますので、ぜひとも強力に取り組んでいただくことを要望いたしまして、質疑を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、六点ほど用意させていただきました。忘れないうちに、地元の話から。
 都立の薬用植物園について伺いたいと思います。
 私の選挙区の小平市の東大和市駅の南側、東大和そのものは谷村先生の地元ですが、ちょうど選挙区境、市境でありますので、ご存じかと思いますが、都立の薬用植物園という福祉保健局所管の植物園がございます。国内でも大変珍しい薬事目的の植物園です。
 この施設が、都の知事本局が行いました平成十七年度の行政評価で、抜本的見直しの指摘を受けたと聞いております。今後見直しが進められるということになると思うんですけれども、評価結果については、廃止を含めての見直しという表現もあります。もちろん、受けたからといって、何でも地元のものだから守ろう守ろうというような姿勢で質問してしまうのは、余りにも視点が客観的じゃないので、そういうふうなつもりではないんですけれども、そういった見直しも含めた議論の中で、幾つか質問したいと思います。
 この植物園については、実際に私も先々週の土曜日に子どもと一緒に行ってみたんですが、大変多くの市民の方が、薬事目的ではなくて、まさに憩いの場として、市民にとって身近な緑豊かな空間として来ている方がたくさんいらっしゃいました。そういったことも含めて、地元の市としても、今後の動向に大きな関心を持っているようです。
 この植物園が都政においてどのような役割を果たしているのか、一般の方は知らない方も多いと思いますし、また、私ども地元についても、逆にそこにあるのが当たり前になってしまっているものですから、薬用植物園とはどういう機関なのか、ここで改めて事業内容についてお聞かせください。

○八木健康安全室長 東京都薬用植物園は、生薬の原料となる薬用植物など約千六百種以上の植物を栽培している試験研究施設でございます。ここには、健康食品に用いられるセンナなどの植物や、また脱法ドラッグとして売られている植物の種などもございまして、これらを実際に栽培する技術の研究や医薬品成分の試験検査なども行っております。
 また、都内で唯一の大麻やケシを栽培する研究施設でございまして、医学や薬学、看護学生や警察関係者を対象といたしまして、鑑別法などの研修を実施しておりますとともに、都民に対しましても、植物園を一般公開して、薬物乱用防止などの啓発活動をあわせて行ってございます。
 さらに、近年重要性を増しております健康食品の安全確保対策あるいは脱法ドラッグ対策におきましても、薬用植物園が行った検体の鑑別や成分分析結果をもとに無許可医薬品の摘発がなされるなど、重要な役割を担ってございます。

○斉藤委員 大変力のこもった説明、ありがとうございました。私が事前に聞いていたのよりも細かく説明していただいたような感じがいたします、ちょっと簡単に調べさせていただきましたが。
 それで、薬事監視のための試験検査、研究については確かに必要でございますし、また、今のように時代を反映した研究も分析も行っているというふうに聞いております。
 また一方で、こちらは、植物園に行きますと、パンフレットがありますので、ちょっともらってきたものですが、一般の方にも大変わかりやすいような、中の植物案内がカラーの印刷物で紹介されています。無料で入園できますので、一般の憩いの場として利用される方にも開いており、また一方で、今のようにちょっとほかでは扱えないような研究もしている。そしてまた、真ん中に、動物のおりかと思うような、非常にすごいおりのような場所がありまして、中でケシを栽培している。周辺に監視カメラもあったり、ちょっと雰囲気としては異様な感じなんですけれども、実際に行ってみると、そのあたりの防犯とか、犯罪に絡んだ事件が起こらないようにということで、栽培をする場所についてもかなり気を配っている場所であります。
 ただ、一方で、あらかた回ってみますと、全部が全部上手にこの土地を有効活用しているかというと、少しそうじゃないなという部分もあります。端っこの方に行きますと、余り何かが植わっているという様子がないところもございますし、中には、ここに書いてありますけど、梅とか、一般のほかの公園で見られるようなものも植わっておりますので、そういった意味では、薬事に突出して中の施設を整理しているということは必ずしもないのかもしれないというふうなことが、私の感想としてございました。
 そんなことを踏まえまして、今回の行政評価の内容について改めて伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○野口企画担当部長 平成十七年度に薬用植物園の運営に関する行政評価が行われまして、その評価結果は、抜本的見直しが必要というものでございました。
 具体的には、総合評価といたしまして、多様な健康食品や薬品が流通する東京の特性に応じた課題の解決と、都民の健康被害を未然に防止するため、薬事監視に資する試験検査、研究を行うことが必要である。しかしながら、薬事監視のための試験検査、研究に本園のような植物の栽培場は必ずしも必要ではなく、従来から維持している千六百種もの植物のうち、薬事監視のための試験検査、研究に活用されているものは一部にすぎないということで、今後、薬事監視のための試験検査、研究における植物の栽培上の必要性を精査し、施設のあり方について、廃止を含めて抜本的に見直す必要があるというものでございました。

○斉藤委員 薬用植物に関する貴重な研究、種の維持など、これまでこの植物園が果たしてきた功績は評価すべきと思います。そしてまた、都の担うべき役割の変化に対応して、効果と効率を目指す執行体制に改めていく意味で、行政評価の結果は福祉保健局として真摯に受けとめて、事業の見直しに取り組んでいただきたいと思うところであります。
 ところで、先般、小平市長が都知事あてに、薬用植物園の見直しに当たって要望書を出したというふうに聞いております。この要望書の内容につきまして、どのように把握をしているか、その確認をしたいと思います。

○野口企画担当部長 本年の二月十七日に、小平市から都に対する要望書を受けました。その内容は、薬用植物園の敷地は、都市計画公園としての都市計画決定がされているとともに、敷地内の樹林地が都条例に基づく歴史環境保全地域として指定されており、小平市民を初め訪れる多くの方々に潤いや安らぎを提供する、大変貴重な場所となっている。小平市としては、引き続きこの地域が現状の緑豊かな空間を維持できるよう、都市計画公園の実現に大きな期待を寄せており、今後とも、都と小平市の相互協力のもとに、この地域の保全に取り組んでいただきたいとの考え方を示した上で、薬用植物園の運営の抜本的見直しに当たっては、都市計画公園の実現に向けた検討をしていただきたいというものでございます。

○斉藤委員 今、答弁の中にありましたように、実際に薬用植物園に行ってみますと、薬事という部分がある一方で、憩いの場としての利用も現実的にはなされている。いってみれば、ちょっと中途半端にそれぞれがなってしまっているのかなという感じもいたします。
 また、小平市については、都立の小平霊園はあっても、都立の小平公園というものはございませんで、正直申しまして、これまでの流れからして、公園として使うことも決しておかしくはないんじゃないかというようなことを考えております。
 今回、これにつきまして、事業の見直しがこの環境の存続に影響するのではないかという心配を、私を含めて地元の市民の方はしております。薬用植物園、福祉保健局から手が離れることが仮にあっても、緑地帯、公園として維持をしていただきたいというふうに私は考えておりますが、現在の管理局としての考えはどのようになっておりますでしょうか、伺います。

○野口企画担当部長 薬用植物園につきましては、今回の行政評価を受けまして、健康食品の安全確保や脱法ドラッグ対策など、薬事監視に欠かせない試験検査、研究は今後とも継続する一方、栽培する植物の種の数や栽培場につきましては、その必要性について精査し、運営形態を見直す必要があると考えております。
 また、都市計画公園ということになりますと、当局所管ではございませんが、委員ご指摘のとおり、当園が自然環境として保全され、憩いの場として都民に利用されている状況については十分承知いたしております。
 薬用植物園の見直しに当たっては、薬事行政に係る試験検査、研究機関としてのあり方と自然環境の維持について、それぞれの観点から総合的に考える必要があることから、今後、関係局や関係機関とも連携をとりながら検討を進めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございました。
 全体を見ますと、答弁として、ある意味前向きな答弁かなというふうに私は評価しております。
 では、このあたりにつきましては、今後の見直しの動向を見守っていくということで、次の質問に移りたいと思います。
 これは私の地元の話でもあるんですが、また逆にほかの地域でも関係があることかと思います。東京都、そしてまた福祉保健局については、入所者のいる施設というものがたくさんございます。通所施設ではなくて入所者がいる施設、こういうような施設については、敷地内に職員用の宿舎がある、職員用の待機寮みたいな宿舎があるものがたくさんございます。現行の東京都の施設に限らず、指定管理者になるもの、もしくはなっているもの含めますと、それなりの数になっているんじゃないかなというふうに思います。しかし、中には、敷地内に建物は立派なものがあるけれども、事実上利用する職員がほとんどいないところもそれなりにあるようです。現在の職員の官舎の状況について、利用実態はどうなっているんでしょうか。その辺を確認したいと思います。

○松井参事 お答えいたします。
 私ども福祉保健局が管理しております職員住宅につきまして、平成十八年三月一日現在、老朽化により入居を停止している部屋など二百四十三戸を除いた総戸数は七百二十戸で、そのうち三百八十戸に入居者がおり、入居率は五三%となっております。

○斉藤委員 私も実はこの前、指定管理者の議案が出たときに、ちょうど地元の施設が二つほど指定管理者に移行するということで、実際に飛び込みで訪問させていただいて、そのときに施設を丁寧に見せていただいたんですね。そうしましたところ、この大きな建物は何だろうと思うようなものが、施設のメーンの建物のわきにあるんですね。大きな昔の団地みたいな感じのものとか、大変モダンな格好をした、ただちょっと古いけれども、そこそこ大きな建物があったりするんですね。
 その中の一つの、例えば小平市にございます障害者施設の小平福祉園については、やっぱりそういう施設の建物があるんですけれども、その一部を、入所者の社会復帰訓練の一環として、個別の在宅生活のシミュレーションの場所として利用、活用しているというふうに聞いております。このほかにも児童養護施設なんかも見せていただいたんですが、そこにも、平屋じゃなくて、三階、四階というような建物が、古くて、余り人が使っている様子がないんだけれども、非常に大きな敷地の中、結構な建坪をとって建てられている。やはりそこも職員官舎だということで説明を受けました。
 そういったものについて、今使ってないんだったら、すぐつぶして売却したらどうかという意見ももちろんあるんでしょうけれども、ただ、今申しましたように、場所によっては非常に意味のある目的に転用しているという実態がございます。これは逆に、そういった努力をしている部分については評価をすべきじゃないか。むしろ、いきなりつぶすとかいうんじゃなくて、もう少し違う見方で物を考えてみたらどうかというふうに感じます。
 今後、指定管理者に委託している施設の使っていない職員官舎などの資産を、地元の、例えばその施設に関連するような、もしくは目的に沿うような福祉系の団体の事業や活動場所などに、低い家賃とか、もしくは無償で貸してみるというような試みをしてもいいんじゃないかと思います。
 建物、敷地がかなり大きいにもかかわらず利用状況が悪いということで、これ自体が本当に考えなきゃいけない課題ですが、やみくもにつぶすのではなくて、その前に、その施設の目的や地域の需要に合った考え方、そういった考えを踏まえて、例えば、地域の方でこういった建物があるけれども使ってみるところはありませんかと。例えばグループホームに使いたいとか、障害者の学童クラブをつくってみたいとか、いろんなそういう意見が出てくるかもしれません。その中で、もしも実際に実行に移せるんだったら、そういう使い方をしてみるということもあるんじゃないでしょうか。こういったことを勘案して見直しをしてはいかがかと思いますが、見解をお聞かせください。

○松井参事 都は、地域生活を希望する障害者の自立に向けた施策を強力に推進しており、お話にございました小平福祉園を初めといたしまして、障害者施設におきましては、職員宿舎の空き室を活用し、調理や洗濯など、地域での自立生活に向けた日常生活訓練を行っております。
 このような取り組みは、平成十八年三月一日時点におきまして百一戸で実施しておりまして、今後とも、施設の目的に沿った職員宿舎の有効活用につきましては引き続き実施していきたいと考えております。
 また、児童養護施設におきましては、児童の自活訓練や親子宿泊などに活用しておりまして、今後とも職員宿舎の有効活用の方法につきまして引き続き検討し、可能なものは実施していきたいと考えております。
 お話の地元の福祉関係の団体への貸し付けにつきましては、指定管理者制度におきましても、なお職員宿舎は都の行政財産でありますことから、使用用途が行政目的に限られ、一定の制限を受けることとなります。
 今後、都立施設の民間移譲によりまして、民間の社会福祉法人の所有になりましたら、地域の需要を勘案した柔軟な対応が可能になるものと考えております。

○斉藤委員 ぜひとも柔軟な対応で、現在、入居率五三%、決してすごい高い数字ではありませんから、こういった現状を踏まえて、職員の福利厚生、そういった部分のバランスをとりながら、ぜひとも新しいアイデアで有効な資産活用をしていただきたいというふうに思います。
 それでは、三点目の質問に移りたいと思います。
 平成十六年度に保健所が再編整備されたことで、複数の市町村を管轄する保健所があります。小平市もその一つであります。担当地域が大変広がっております。保健所につきましては、統廃合などで、二段階で、多摩の地域で見れば随分少なくなったなというのが実感であります。
 そういった中で、多くの保健所の業務が市町村の方に移行したものもあって、以前ほど保健所の業務そのものが、全部保健所がやらなきゃいけないということはないんですけれども、まだ実際には保健所だけがやっている業務というのも幾つか残っております。
 その中で、理容所、床屋さんですね、そして美容所、美容院などの営業施設などにつきましては、これはまだ監視指導を直接保健所が行っております。市町村の方は行っておりません。小平なども含めて、小平の多摩保健所が五市を見ているということで、恐らく、昔と同じように頑張ってみても、移動の時間がかかったりして、再編以前に比べると、監視指導については、十分に以前みたいに訪問したりということができないのではないか。もしくは、ゆっくり見ている時間がないのではないか。この辺に再編が影響しているのではないかというふうに心配をしております。
 これは、市議会の中でもそういう心配は出ていましたし、また、当該の業界団体の方も大変気にはしております。以前、この委員会で公明党の東村先生が、八王子市の例で、自主管理なども含めた指導の話をされておりますけれども、それは八王子市が一つ大きな市だったんですが、私の方は、複数の市が、保健所一つでやっているという状況で、若干背景が違います。また、この質問が前回出たときは、まだ再編直後で十分な対応ができなかった時期だというふうには聞いておりますが、現在、このような営業施設の監視指導についてはどのように行われているのか、そこを伺いたいと思います。

○八木健康安全室長 保健所では従来から、法令に基づきまして、理容所、美容所などの営業施設の立入検査を計画的に実施しておりまして、施設の衛生状態や構造設備などの監視指導を行っております。その結果、監視指導の結果、問題のある施設に対しまして重点的に立入検査を行うなど、さらなる効率的、効果的な監視指導に努めているところでございます。
 したがいまして、お話のような保健所の再編整備による監視指導への影響はないというふうに考えてございます。

○斉藤委員 監視指導については大変重要だと思います。また一方で、事業者がみずから意識向上を図って、自主管理を行うことも必要であります。以前の東村先生の質問の中では、この自主管理を余り上手に保健所が活用してくれているような感じがしないということで、また、監視指導についても少し偏りがあるのではないかというような指摘がありました。そのときからは年数がたっておりますので、今のような答弁になるのかなというふうに理解をしております。
 しかし、再編整備により、一つの保健所が受け持つ施設数もふえて、自主管理に対する保健所の支援が、頑張っていると思うんですが、やはり手薄になったり、衛生管理に関する意見交換の機会が、事業者それぞれと意見交換する機会が少なくなっているのではないかと心配するのは、保健所と担当する行政区のバランスからしても、これは当然ではないかと思います。
 そこで伺うわけですけれども、事業者の意識向上を図り、自主管理を推進するために、保健所がどのような取り組みをしているか伺いたいと思います。

○八木健康安全室長 理容所、美容所などの施設の管理では、保健所の監視指導だけでなくて、営業者みずからの自主管理ということが極めて重要でございまして、東京都の保健所では、より一層の衛生確保を図るために自主管理を推進していただくということで、各施設に、自主管理点検票と呼んでおります点検記録票を配布しておりまして、あわせて、立入検査の際にも自主管理について指導を行っているところでございます。
 また、保健所が主催する衛生管理講習会や、あるいは事業者が実施する研修会へ講師を派遣するなど、さまざまな機会をとらえまして事業者の方々と意見交換を行い、衛生意識の向上を図っているところでございます。
 したがいまして、保健所の再編整備により、ご心配のような自主管理に対する保健所の支援や、あるいは事業者との意見交換等の機会が少なくなっているのではないかということはないと考えております。
 今後とも適切な監視指導を行うとともに、事業者によります自主管理を推進してまいりまして、営業施設の衛生確保に努めてまいります。

○斉藤委員 なかなか各市が市ごとにいろんな関係業者の方が行事をしても、五市も六市もあると、全部に担当者が回るというのが難しいのはよく理解していますが、少なくとも私ども多摩の地域、そういった保健所が少なくなった地域については、ぜひ今までどおり頑張ってほしい、保健所との関係を保ちたいということでやっておりますので、ぜひその辺の業者の気持ちも酌んで努力をしていただきたいというふうに引き続き願うものであります。
 それでは、四点目の質問に入りたいと思います。福祉保健局の扱っている事業の中で、地域福祉推進事業というのがございます。これについて伺います。
 この地域福祉推進事業は、区市町村が地域における福祉サービスの実施団体に対して助成する事業であります。都は、団体に助成する地元の市区町村に対して二分の一の補助を行うというものであります。そういうふうなことで現在経過措置を行っている事業といった方が正しいかもしれません。
 一方、都が先駆的、開拓的、実験的実践を行う民間団体に対して助成する地域福祉振興事業がございますが、このうちの有償家事援助サービス、毎日食事サービス、ミニキャブ運行システム、三事業については、地域に密着した事業であるということから、都と市区町村との協議を経て、平成十五年度から地域福祉推進事業によって市区町村が補助することになりました。地域福祉推進事業については二分の一ということですね。振興事業については経過措置の最中ではないかと思います。
 地域福祉振興事業から地域福祉推進事業に移行するに当たって、都が行った団体説明会で、平成十四年度までの協議は、都が市区町村との間で行って、移行に関しての団体からの要望等については都が窓口になるというふうに説明をしたと聞いております。もちろん、都が窓口になるという説明は、実施主体が市区町村にかわるに当たって、事業の移行を円滑に進めるためのもので、平成十四年度に限った措置であるというふうに聞いております。
 ところが、十四年の四月六日にこの説明会を行った際に、いろんな団体が説明会に参加いたしました。この中でこういった説明をしたわけなんですけれども、平成十五年度以降は、各団体からの申請受け付けはすべて市区町村が行っていて、各団体と地元市区町村が事業内容について話し合いをするのは一般的な流れであると思いますが、実際にこの説明会の中で説明した際に、ちょっと複雑な説明、行政の方から見れば複雑な説明でも何でもないのかもしれませんが、一般団体の方から見てちょっとわかりにくい部分があったということもあるんじゃないかと思いますが、団体の中には、東京都と市区町村との協議によって地域福祉推進事業に移行したことなど、これまでの経緯から、地元市区町村に対して助成内容について団体が直に要望することができないのではないかというふうに誤解しているところが幾つかあるようです。
 これは、地元以外の団体からもちょっと話を聞いたときに、皆さん、思いをうまく伝えられないような趣旨のことを申していたので、なぜかなと思って詳しく聞いてみましたところ、その説明会の中で、東京都と市区町村が協議をするので、団体の方からは直接市区町村に働きかけをしないでほしいというような趣旨が非常に耳に残ってしまったようなことを、ちょっと気がつきまして、今回質問させていただきました。
 ある団体の関係者については、これまでの活動実績や経済状況をきちんと地元自治体にわかっていただいて助成額を決めてもらいたいところなんだが、自分たちが直接地元市区町村に交渉していいんだろうかというふうに考え、及び腰になっているところもあると聞いております。
 そこで、確認のために伺います。地域福祉振興事業から地域福祉推進事業に移行した団体に対する助成内容について、改めて団体が地元の市区町村と協議するということはできないんでしょうか。それとも、ちゃんとできるんでしょうか。

○朝比奈生活福祉部長 お話の地域福祉推進事業は、区市町村が実施主体でございまして、事業の詳細については区市町村が定めるものでございます。
 助成金の申請に当たりましては、各団体が直接地元区市町村に対して、当該団体の活動実績や運営状況について説明し、正確な認識を持ってもらうことが適切であると考えております。

○斉藤委員 なかなか行政の仕組みの部分については、すべてが皆さん思ったとおり伝わるとは限りませんので、ぜひとも、この助成の協議だけにかかわらず、正確な認識を制度について持ってもらうということが大切ではないかと思います。
 それでは、各団体が地元市区町村と直接話をして申請することができるということで理解させていただきます。
 もう一点、これについてちょっと伺うんですけれども、この振興事業の対象になっている団体というのは、都内にかなりの数がございます。サービス内容も、規模も、設立経緯も、そして最低限の必要経費も団体によってかなり異なっております。ただ、総じていえることは、介護保険制度や障害者の支援費制度などが行政サービスとして行われている現在でも、それら公的補助制度では対応できないすき間を埋める支援策を低予算で行っているということは共通しているのではないかと思います。
 私が取材した中でも、幾つかのケア事例を伺いました。個人的には余り事例の披瀝を長くするつもりはありませんが、ちょっとだけ今回はさせていただきます。
 例えば、末期がんで闘病中の三十代の女性の在宅療養を、この事業の対象団体が引き受けてケアをしました。残念ながら、数カ月で悪化して亡くなられました。ただ、働き盛りの四十代のご主人と、そしてまた八歳と六歳の子どもが残されましたけれども、ご主人の方は会社があり、育児との両立が非常に難しい。その後、育児中心のケアをできないかということで、当該団体が依頼されて、三年間ケアをしました。つまり、ご主人が帰ってくるまでの間、育児をケアするということで、大変長い時間、三年間もの長い間、見てまいりました。最終的には、そのご主人の再婚で、このケアの必要性がなくなり、契約が終わったんですけれども、考えてみれば、大変長い時間数です。会社にお勤めのご主人が幾ら働いても、単純に家政婦とかを雇っていたりすれば、当然莫大な費用がかかったわけなんですが、こういった当該団体が低価格でケアをしたことで、こういった綱渡りのケアですが、それがいい形で終わることができました。
 また、このほかにも、やはり末期がんの四十代の女性の方ですけれども、通院による在宅療養を希望していたけれども、自宅がエレベーターのないマンションで、しかもその四階に住んでいるために、どうしても家からは通院することができないということで、ずっと入院をしていた。ケアをこの対象団体に頼むことで、四階からおろすという作業ができることで、在宅の療養ができるようになった。
 このほか、要介護度の度数が生活実態にちょっと合わないということで、高齢者の方のケアにも長時間入っているというケースがあります。金額的にもなかなか難しいところを、こういったサービスがカバーしているというのが実態であります。
 現在、障害者自立支援法の施行や介護保健法の改正などの動きがありますけれども、地域においてきめ細やかなサービスを提供する民間団体の必要性は継続するのではないかと私は思っております。これまで東京都が率先して経済的な支援を行ってきて、ここに来て市区町村と折半となるわけですが、これまで全く経済的支援を行っていなかった市区町村などでは、財政上、新たに予算を組むということについて難色を示すところが多いんじゃないかと思います。しかしながら、東京都としては、これまでの経緯から、これらの事業、団体の意義を十分承知しているんじゃないかと思います。
 そこで、確認するんですけれども、東京都は今後ともこの地域福祉推進事業を継続していくというふうに認識しておりますが、いかがでしょうか。

○朝比奈生活福祉部長 地域福祉推進事業は、区市町村が、地域の実情に応じて、創意と工夫により、地域の社会資源を有効に活用して柔軟に実施する福祉サービスなどの事業を支援するものでございます。地域住民のニーズにこたえるサービスをきめ細かく展開し、地域福祉の推進を図るために、本事業の果たしている役割は大きいものと考えております。平成十八年度予算にも、区市町村の事業計画に基づき所要額を計上しているところでございます。

○斉藤委員 その辺についてはぜひ市区町村と協力してやっていただければと思います。
 では、次の質問です。障害者自立支援法が四月から施行されますけれども、サービスの支給決定等について伺います。
 基本的に、サービスの支給の要否の決定、支給量を決めるのは各市区町村の役割であります。ですが、東京都はどのように関与していくのか、確認をしたいと思います。
 これにつきましては、障害者の自立支援法では、サービスの決定は市区町村に権限がある。そして、障害者がサービスの利用規模を市区町村に申請して、希望どおりにサービスが受けられればいいんですが、受けられなかった場合、東京都へ苦情や相談が来ることも多いと思います。恐らく地元の市区町村と窓口でけんか寸前で議論して、それでもうまく納得がいかなくて、気持ちがおさまらないまま東京都の方に相談をするんじゃないかと思います。
 今、東京都の福祉保健局のホームページを見ますと、相談窓口というところからリンクをしていきますと、それぞれの事業に関してどこに相談窓口があるか、どこに相談に行ったらいいかということが書いてあります。この自立支援法については、障害者福祉の、まさに東京都の福祉保健局の部署が、ホームページで見ていくとつながっていくわけですね。
 市区町村が行うサービスの支給決定について不服がある障害者から都に相談があった場合に、都はどのような対応に実際はなっていくのか、どのような対応を実際するのか伺います。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法では、サービスの支給決定は、障害者の心身の状況やサービスの利用意向等を踏まえて区市町村が行うものでございまして、その苦情につきましても、第一義的には区市町村が対応するものでございます。
 また、同法におきましては、都道府県は、自立支援給付等が適正かつ円滑に行われるよう、区市町村に対する必要な助言や情報の提供、区市町村と協力して、障害者の権利の擁護のための援助等を行うこととされておりまして、このため、障害者やその保護者から都に相談のあった場合には、法の趣旨を十分に説明するとともに、必要に応じて区市町村に対しても助言等を行うこととなります。
 なお、サービスの支給決定等に不服がある障害者につきましては、これまでは区市町村に異議申し立てを行うこととされておりましたけれども、障害者自立支援法におきましては、都道府県知事に対して不服申し立てを行うことができる制度が新たに設けられました。
 都としては、障害者からの不服の申し立てに対しましては、公正、客観的な審査を行うことができるよう、障害者等の保健または福祉に関する学識経験者を委員とする障害者介護給付費等不服審査会を平成十八年四月から設置いたしまして、審査を行うこととしております。

○斉藤委員 市区町村に権限があるといっても、東京都の方は、今度の不服審査の部分も含めて、それなりに対応ができるように準備をしているというふうに認識をいたしました。
 一つだけちょっと確認なんですが、今、話の中で、市区町村に対しても助言等を行うというようなことがありました。このような必要な助言については、恐らく幅広い意味にとろうと思えばとれるわけですけれども、相談の内容によっては、例えば、もちろん電話口で聞いている限りは、この方にサービスが全然いかないというのはちょっとおかしいんじゃないかなとか思ったり、そういうときは、やはり多少なりとも助言の中身も深いものになっていったり、強いものになったりと。そしてまた、一方で、このあたりについては逆に、この相談については担当職員との行き違いなのかなぐらいのことであれば、また少し弱いというか、そういうような助言になったりというふうに、そのぐらい少し幅がある。だけども、現状、相談の内容を踏まえて、きちんと助言をしていくということでよいかと思うんですけれども、その辺について確認をしたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 個々の案件や、その苦情の処理に対しまして、東京都が区市町村の行った決定と処分に対して直接的に介入するということは妥当ではございません。そのようなケースにつきましては、利用者からの不服申し立てに基づきまして、一定の手続を経る必要がございます。
 一般的な話として、東京都といたしましては、制度が適正に運営されるように、障害者からの相談の内容に応じまして、適切な助言等を行ってまいります。

○斉藤委員 その辺はわかりました。
 それでは、最後の質問です。若干、十分ぐらい短くなりそうですね。
 最後、ちょっと健康診査について伺います。
 私たちのように職場で健康診断を受ける場合を考えますと、健康診断の結果通知では、検査の結果と基準値、この差で、基準値から外れていた場合、自分の体にどのように影響するかはよくわかりません。異常のある項目に関して、再検査や治療の指示が書かれているというふうになります。実際には、医師の方にもう一回行ってくださいというような簡単な指示という場合があります。実際に基準値から自分の検査結果が少し外れていた場合、その後に、確実に医院とか病院とかの方に再検査というふうに、こういった検査結果の言葉が足りなければ、必ずしもそういったふうに再検査をするとは限りません。検査結果を見て軽く考えてしまう人もいるかもしれません。そうなると、生活習慣の改善や治療にも結びつきにくいのではないかと思います。これについては一般的な職場での健診の例です。
 そこで、伺います。東京都が支援し、市区町村が実施している地域住民を対象にした基本健康診査では、検査結果をどのように通知し、異常がある場合、どのように指導しているんでしょうか。今申しましたように、職場の健康診断については、ちょっと言葉が足りないんじゃないかなと思う部分も見られますが、東京都の支援している基本健康診査についてはどのようになっているか、確認をしたいと思います。

○杉村保健政策部長 区市町村が住民を対象として実施しております基本健康診査の約九四%は、医療機関に委託して実施いたしております。医療機関委託の場合、健診結果の通知につきましては、その結果を返す際に、健診を受診した医療機関において医師が直接受診者に説明をいたしますとともに、精密検査等の必要がある住民に対しては個別に指導を行っております。
 なお、保健センター等で実施しております場合についても、ほとんどが個別に結果説明をしているというふうに聞いてございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。健康診断については、むしろ市区町村の方が丁寧じゃないかなという印象も受けます。
 これにつなげて最後伺うんですけれども、国民健康保険の保険者であります市町村については、既に財政への過大な負担となっております国民健康保険の赤字補てんの一般会計繰り入れについて、非常にいつも悩んでおります。私は市議会議員を十年ほどやっておりましたが、最初に議員になったときは八億円ぐらい一般会計の繰り入れを行ったのが、議員をやめるころにはもう二十億円ぐらい繰り入れているという大変な状態でございました。
 この一般会計の繰り入れを少しでも減らすため、医療費の抑制というのが大きな課題、議論の中心となっているんですが、健康診断は、このような視点から考えてみたときに、国民皆保険を将来的にも維持していくために重要な役割を担っていくものではないかと考えます。
 ただ、一般の市町村のレベルで、市議会などのレベルで、こういった医療費の抑制というものを考えたときに、なかなかいいアイデアが出ないんですね。そうすると、どうしても健康診断がいいんじゃないか、それこそ予防医療的な部分がいいんじゃないか、そういう話になっていきます。おのずと、健康診断についての事業をもっとふやそうみたいな話になってきます。なかなかほかにいい知恵が浮かばないということもあって、そういうふうになってしまうわけなんですが、結果的にそれがいいことであれば、実際に抑制につながるとなれば、これはそれでよかったんじゃないかと思います。
 ただ、これが本当に効果的であったかどうかというのを検証するのは、一般の保険者、市町村などの場合は難しいのが正直なところです。実際に自分たちも少し手探りでやっているような状態なんですね。ですから、効果的な健診の方法や医療費抑制の効果などを分析していくことは、重要ですけれども、難しい。
 そこで伺うんですけれども、広域的な立場にあります東京都として、健康診断が医療費抑制にどのような効果があるというふうに考えているか、お聞かせください。

○杉村保健政策部長 基本健康診査によりまして、生活習慣病やその予備軍の方が早期に発見されれば、生活習慣の改善や治療に早期に結びつくことができ、さまざまな疾病やその重症化を防ぐことができます。その結果、都民の健康が守られるとともに、中長期的には、ご指摘の医療費の適正化にもつながるものと考えております。
 また、国の医療制度改革においても、今後、保険者の保健事業に対する取り組みが求められており、区市町村の役割が重要になると考えられます。
 今年度から設置されました、区市町村や医療保険者等で構成される東京都保険者協議会で、医療費や健診結果の分析など、有効な保健事業を実施する体制づくりが検討されているところでございます。

○斉藤委員 最後に要望ですけれども、市区町村の方は職員もたくさんいないので、なかなか自分たちで効果を分析することはできませんので、ぜひとも東京都としては各保険者に協力的に情報とか分析結果を出して、少しでも保険者が上手に運営できるよう努力をしていただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○谷村委員 それでは、報告事項であります福祉・健康都市東京ビジョンの中の一つの重要な柱であります都立施設改革についてお伺いいたしたいと思います。
 さきの厚生委員会の事前説明におきまして、現在、直営で運営している五つの施設について、平成十九年度に民間移譲を行うとの報告がなされたわけでございます。
 そこで、まずお伺いいたしますが、今回の民間移譲の目的は何か、そして、現在、都立の生活実習所と福祉作業所の民間移譲はどの程度進捗しているのか、お伺いいたします。

○吉岡障害者施策推進部長 都立施設の民間移譲は、民間社会福祉法人等の創意工夫や弾力的な施設運営により、利用者サービスの一層の向上を図ることを目的として実施するもので、民間でできることは民間にゆだねることを基本方針としております。
 都立の生活実習所と福祉作業所についてでございますが、生活実習所は六カ所、福祉作業所は五カ所ございまして、平成十五年度まではすべて直営で運営してまいりました。これら通所施設の民間移譲として、平成十六年度に福祉作業所一カ所、十七年度に生活実習所四カ所と福祉作業所一カ所について公募を行い、いずれも複数の社会福祉法人から応募があり、選定委員会の厳正な審査を経て、移譲先法人を決定しております。
 今回報告いたしました五施設の民間移譲によりまして、都立のすべての生活実習所と福祉作業所は、民間社会福祉法人の設置のもと、地域に根差した運営をすることになります。
 なお、既に民間移譲を行った施設につきましては、利用時間の延長や作業工賃の増加など、サービスが目に見えて向上しておりまして、それぞれの施設の保護者会からも評価をいただいております。

○谷村委員 都立施設の民間移譲というのは、民間社会福祉法人の創意工夫や弾力的な施設運営、これを進めることによって利用者サービスの一層の向上を図ることが目的である。これはこれまでも確認させていただきました。
 今のご答弁の最後の方にありましたけれども、既に民間移譲を行った施設については、利用時間の延長、それから作業工賃の増加など、サービスが目に見えて向上しているということについて、それぞれの施設の保護者会からも評価をされているというお話でございました。
 改革には何でも反対しておられる政党の方には、よくこういう保護者の方の声を聞いていただきたい、耳を傾けていただきたいなというふうに思うものでございます。
 都立施設改革につきましては、福祉改革推進の過程の中で大変に重要な取り組みの一つであり、私も、昨年の第三回定例会の本委員会で民間移譲につきまして、また、第四回定例会では本委員会で、指定管理者制度の議決に際して、この民間移譲につきまして質問をさせていただいたところでございます。
 先ほどの答弁にもありましたけれども、民間移譲の基本方針である、民間にできることは民間にゆだねるという概念につきましては、これは福祉保健局が公表されております福祉・健康都市東京ビジョンにおける都立施設改革のキーワードでありますけれども、この民間にできることは民間にゆだねるというキーワードというのは、民間にできるものは民間にやらせようというものではなくて、そういう低次元の話ではなくて、民間にゆだねる方が、競い合いや施設の弾力的な運営によるサービスの向上と経費の削減効果が出るというものであり、それも、目に見えたサービス向上がなされて、今ご答弁ありましたけれども、保護者会からも評価されているというふうに、大変力強いご答弁がありました。利用者にとっても、また納税者である都民にとっても納得のいく方向性を持ったものであり、この民間移譲というのは着実に推進していただきたいと思います。
 こうした基本方針に基づき、福祉保健局が所管しております八十の都立施設の将来方向について、都みずからの責任において方針を明確にしたことは、改めて高く評価したいと思います。
 そこで、お伺いいたしますけれども、来年度から指定管理者制度が導入されて、三年あるいは五年の指定期間が定められておりますけれども、それらの施設について改革をどのように進めていかれるのか、お尋ねいたします。

○松井参事 今回、ビジョンでお示しいたしました都立施設改革を進めていくに当たりましては、理事ご指摘のように、指定期間中の取り組みが重要でございます。そうした観点から、都立施設改革のさらなる展開では、それぞれの施設ごとに、中期的な方針と平成二十一年度までの展開につきまして具体的な取り組みを示しております。
 特に、指定管理者を特命で指定いたしました施設につきましては、民間移譲方針を明確にしておりまして、例えば児童養護施設につきましては、第一期の指定期間が終了する平成二十一年度以降、条件の整った施設から順次民間移譲を進めてまいります。
 また、障害者施設につきましては、障害者自立支援法による新たな施策体系への移行も踏まえ、個々の施設のあり方や民間移譲の手法などの検討を行い、条件整備を進めてまいります。
 今後は、この都立施設改革のさらなる展開に基づきまして、局が所管する八十施設につきまして、利用者本位のサービスを徹底するため、できるだけ早期に民間移譲等の改革を進めるよう努力してまいります。

○谷村委員 今ご答弁ありましたけど、特に指定管理者を特命で指定した施設につきましては頑張っていただきたいと思います。また、再度特命ということに、一部出てくるところもあるのかもしれませんけれども、特命でしたところにつきましては、順次民間移譲ということでございますけれども、しっかり頑張っていただきたいと思います。
 指定管理者制度の実施、それから障害者自立支援法の施行により、障害者福祉施設の体系が大きく変わるなど、まさに今は都立施設にとっても激動の時代であると思います。しかし、納税者である都民の方々にも評価してもらい、また信頼される、そして利用者の方々にも心から喜んでもらえる施設とするために、個々の施設はどうあるべきか、また、どのような運営形態が望ましいのかを十分検討していただいて、今後も都立施設改革について不断の取り組みを継続されますことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○かち委員 条例関連を二本とその他について、二件お聞きします。
 最初に、第八十八号議案、東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例と、それに関連して、看護師確保対策について伺います。
 今回の条例案は、看護学校に附属する寄宿舎の使用料を新たに徴収するというものと、それから、青梅看護専門学校二年課程を廃止するというものですけれども、それぞれの理由についてお聞きします。

○高橋参事 寄宿舎につきましては、昭和四十年代中ごろから、厚生施設として運営してまいりました。施設の老朽化や価値観の多様化などにより、学生の寄宿舎離れが顕著となり、ここ数年、入居率は四割から五割台と大幅に低迷しております。このため、平成十九年三月末をもって、南多摩看護専門学校を除き廃止することとしたものでございます。
 なお、南多摩看護専門学校の寄宿舎は、通学が困難な学生などの就学支援施設として存続するとともに、利用に当たって、受益者負担の観点から使用料を徴することとしたものでございます。
 また、看護師を目指す准看護師養成所卒業生を受け入れてきた青梅看護専門学校二年課程につきましては、准看護課程卒業生が大きく減少する一方、働きながら学べる通信課程の新設が続くなど、多様な就学手段が整備されてきたことから、再編整備計画に基づきまして廃止することとしたものでございます。

○かち委員 それでは、都立看護学校の再編整備に伴う廃止ということでしたけれども、この間、再編をどんどん進めてきたわけですけれども、都立看護学校の養成規模は、再編前と来年度でどうなるのか、そして計画終了時にはどのぐらいの人数になるのか、お聞きします。

○高橋参事 都立看護専門学校の再編整備は、三年課程の一本化を図るものでございますが、再編整備計画実施前の養成規模は、平成十三年度は、二年課程、保健学科を含め、千三百人でございました。平成十八年度は六百四十人、最終的には五百六十人の予定でございます。

○かち委員 千三百人が五百六十人に減ってしまう。四十数%まで落ち込んでしまうわけですけれども、東京都は、来年度作成する医療計画の見直しとともに、看護師需給計画の見直しを今進めているところです。昨年、国が第六次改定に向けて都道府県の実態調査を行いましたけれども、都の結果はどうだったのでしょうか。
 また、これまで数年ごとに計画を見直してきました。いつも目標未達で経過していたと思いますけれども、その乖離の経過というのはどうなっていますでしょうか。

○高橋参事 過去の需給見通しの状況でございますが、平成十年策定時の初年度における需要数と供給数の差は六千五百人、平成十四年策定時の初年度における差は六千人の不足となっておりました。
 国の第六次看護職員需給見通しは、平成十八年から五カ年の計画であり、初年度である平成十八年の都における需要数は十一万一千六百人、供給数は十万九千七百五十人と見込んでおりまして、千八百五十人の不足となっております。最終年の平成二十二年には、需要数、供給数とも十一万七千三百十四名で、均衡する見通しとしております。

○かち委員 需給計画をこの間何回もつくり変えてこられまして、繰り返し、数年後には必ず需給結果が一致するという計画で来ているわけですけれども、結果的には、いつも六千人、六千五百人というふうに不足の状況が続いているわけですね。慢性的に必要数に達していない状況が続いているわけですけれども、これが今、医療現場では大変な看護師不足の状況を招いています。
 もともと、日本の看護師体制というのは諸外国に比べても大変少ない基準になっていますよね。患者一人当たりの看護師数が、例えばアメリカでは二・三九人、イタリアでは一・〇六人、イギリスでは一・七八人。これに対して日本は〇・五三人、こういう状況の中で、さらに看護師が不足している。
 しかも、近年の医療現場の医療環境というのも大変大きく変化をしてきています。IT化の促進、それから入退院の在院日数の縮小によって、療養看護以外の実務がふえてきている。それから、今、非常に厳しく問われている医療安全課題、こういうことにも神経をすり減らさなければならない。緊張と過密の仕事に追われているという実態です。
 こうした中で、一人一人の患者さんの要求に、求める看護にこたえ切れていない。ブザーを鳴らしても、なかなかすぐに来てくれない。清拭さえもなかなか十分にできない。こんな声が現場の中から出てきております。
 ですから、矛盾の中で、早期離職者というのも非常に問題視されているんですけれども、新卒ナースが一年以内にやめてしまう、これが約一割にも及ぶというのも、大変憂うべき現状だと思います。
 とりわけ都内の中小病院、民間病院で看護師確保が大変深刻な事態になっています。ある病院で募集広告を出しましたけれども、看護学生からの問い合わせは一つもなくて、あったのは人材派遣会社だったということなんです。これは今、都内に五千カ所ぐらいあるらしいんですけれども、具体的にはどういうことかといいますと、そういう業者から問い合わせがあって、やむにやまれず紹介をお願いする。それで、紹介が成立すると、一五%から二〇%のマージンを取られる。一人につき六十万円取られてしまうということなんですね。だからといって、これでたくさん集まるわけでもないんです。本当にそういう意味では、看護師を充足させるというのが大変な事態になっています。
 で、在院日数の短縮から、夜勤で、二、三日後に病棟に行きますと、もう半分ぐらいの患者さんが入れかわっている。そういう中で、名前を間違えないように、また、やる処置や薬を間違えないように、そういうことでも大変神経をすり減らしているというのが実態なんです。
 そのほかに、今、介護保険の問題でも、地域の中で看護を必要とする需要も大変ふえています。病院以外での看護師需給状況、これも東京都の場合の達成率は五〇%以下ということもありまして、絶対数としてやはり看護師が不足しているというのが状況だと思うんですけれども、都として、都内の医療現場あるいは介護現場での看護師の不足の実態、現況、こういうものをつかんでいらっしゃるでしょうか。

○高橋参事 今回の需給見通しにおける需要数は、実態調査により把握した病院等の確保計画を、また供給数につきましては、調査時点での従事者の実数をもとに算出したものでございまして、その差は、先ほど申し上げた千八百五十人、充足率は九八・三%でございます。
 看護職員の確保状況は、施設によって差がございまして、医療の高度化、複雑化、在院日数の短縮化など、業務密度の高まりと相まって、現場での不足感が生じているものと考えております。

○かち委員 いずれにしても、充足はしていないんですね。
 それで、今おっしゃいましたように、医療現場の変化、高度医療化、それから在院日数の短縮、こういうものと相まって、今、四月から診療報酬の改定が行われようとしておりますけれども、その中で看護基準の見直しもされました。今までは、二・五対一とか二対一だったものが、一・四対一の看護基準というものが導入されるようになりますけれども、これを実現するというのはまた大変な問題なんですね。
 この一・四対一を請求できるという場合には、在院日数を今よりもまた二日縮めなければならない。そういうこともありまして、こういうことを強力に進めることができるのは、特定機能病院とか、大病院とか、大学病院とか、大きな病院でそれだけの力がないと、人を集める力もないということで、ますます看護師の偏在化というのが進むわけですね。そういうことを放置しておくわけにはいかないと思うんですよ。東京都内の医療機関における看護師の充足状況というのにきちんと対応する責任が東京都にはあると思うんですね。
 そういう意味で、看護師の養成の絶対数をふやすことが求められていると思うんですけれども、さっきの条例提案では、看護学校も廃止、寮も有料化して一つを残すだけで、あとは来年の三月までに廃止するという状況では、今の課題との関係で逆行ではないかなというふうに思うんですけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。

○高橋参事 少子高齢化が進む中で、高度化、複雑化する都民の医療ニーズにこたえる質の高い看護師の養成を効率的な運営のもとで行っていくことが、都立看護専門学校の使命であると考えております。都といたしましては、看護師の確保を図るため、都立看護専門学校の運営や民間看護専門学校への支援などの養成対策のみならず、院内保育への助成等の定着対策や再就業対策など、総合的な看護施策を着実に進めてまいります。

○かち委員 多くの看護学校というのは、大体、病院附属とか、大学附属とかということになっておりまして、それぞれが卒業した後に行く場所というのは大体決まっているわけですね。そういう中で、看護学校、養成所を持たない民間の病院というのもたくさんあるわけですけれども、そういうことの需要にもこたえていく役割が都立看護学校としてもあると思うんですね。
 そういう意味では、最初にいわれた寄宿舎の利用率が低いという問題ですけれども、これはもう築三十年以上たっていて、老朽化もしている。共同トイレや共同入浴施設というようなことが、今の若い方々の生活スタイルにも合わなくなっているわけです。そういうものは、だからもう壊してしまう、なくしてしまうというのではなくて、改修して使いやすくする。で、都立の看護学校に行こうという人たちをもっと養成していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味で、中小の病院での看護師確保が非常に難しい中で、そういうところに対する支援体制の充実とか、定着のための初期研修の充実、また保育体制の充実こそが必要だというふうに思います。
 実態調査報告でも指摘されていますけれども、特定の地域、特定の医療機関において看護師確保が偏在していることに対し、都としての実態把握をさらに強めていただいて、問題解決のために努力されることを求めておきます。
 次に、第七十六号議案、東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例に関連して、二、三お聞きします。
 今議会においては、自立支援法の関係で、福祉施設におけるショートステイ、通称デイケア、こういうことにかかわって、食費や滞在費の自己負担分が発生するというのが主な挿入規定だというふうに思います。
 そこで、一つ、特徴的な都立の重度重症心身障害児者施設での具体的な変化について確認したいというふうに思います。
 本条例の対象は、都立府中療育センターなどのような重度重症心身障害児者を対象にしたものなんですけれども、そこでは、このセンターを利用している方々の負担はどのようになっているのかということですけれども、現在、生活保護ではなくて住民税非課税者の方が一カ月のショートステイを利用した場合、一日の利用料というのはどうなっているかといいますと、食費の実費代として九百五十一円、これ掛ける三十日ということで、二万八千五百三十円というふうになっております。これが今度の新しい制度になりますと、どのように変わるのでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 住民税非課税世帯の方が一カ月間、都立重症心身障害児施設のショートステイを利用した場合、新しい自立支援法におきましてどのような負担になるかというお尋ねでございますけれども、住民税非課税世帯の方も、自立支援法におきましては、低所得一と低所得二というふうに二つのカテゴリーに分類されますが、それぞれ三十日利用した場合には、ともに利用者負担金が月額上限額に達しますので、低所得一の場合には一万五千円、低所得二の世帯の場合には二万四千六百円となります。それぞれ食費の負担もございますので、合計いたしますと、低所得一の世帯の場合には月額で三万四千八百円、低所得二の世帯の場合には四万四千四百円となります。

○かち委員 施設によって若干の滞在費といいますか、光熱費の違いはあるようですけれども、今おっしゃられたのでいいますと、現行だと滞在費と食費で二万八千五百三十円、これが自立支援法施行後は四万四千四百円。こうなりますと、一・五倍ぐらいも超えるんですね、この計算でいくとね。こういう高い負担がかかってくるわけなんです。
 とりわけ、低所得の方のところにこれだけの負担がかかる。普通、東京都が値上げ条例をする場合にも、一・五を超えないということに一応するわけですよね。そういうことからしても、この負担額の増というのは非常に大きいのではないかというふうに思うんですね。
 とりわけ、こういう重度の障害を持った方々は、なかなか仕事、自立といったって、それは無理な話でありまして、そういう方が地域の中で持続可能な療養生活を維持していく、そういう意味からしても、それを阻害するものだと。で、レスパイトみたいに、少し家族の方が休みたいとか、ちょっとショートに入ってもらいたいと思っても、これが抑制されかねない、こういう状況もあると思うんです。こういうものについて都として何らかの緩和対応策をとるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 利用者負担につきましては、国の制度を基本と考えておりまして、東京都独自の負担軽減策は考えてございません。

○かち委員 東京都の制度ですけれども、部分部分では東京都も独自の対策をとっております。ですから、それぞれの事象において、これは問題だと思うことについては対応していただきたいと思います。今後いろいろと影響が出てくると思いますので、障害者の実態をつぶさに調査して、その問題解決にぜひ当たっていただきたいと思います。
 それで、一点、ちょっと確認をしておきたいんですけれども、重症心身障害者の通所施設について、私はこの委員会でも繰り返し、通所施設が不足しているということで提起してまいりました。昨年の委員会では、平成十八年度の東部療育センターの開設で三百五人分を達成すること、これに努力しているんだということで、その先はまだ見えなかったわけですけれども、療育センターも無事にスタートいたしました。
 しかし、今なお、区部中央部の領域では通所施設が空白なんですね。これを何とか整備していただきたいというふうに思うんですけれども、その辺の見通し、段取りなどはどうなっているのか、お聞きします。

○吉岡障害者施策推進部長 都はこれまで、障害が重くても在宅生活を希望する方とその家族が地域で生活していけるよう、機能訓練や集団活動、医療的ケアなどを行う通所事業を都内十三カ所で実施してまいりました。
 今後とも、在宅支援体制の一層の充実を図るため、先日の予算特別委員会でお答え申し上げましたとおり、北療育医療センターにつきましてもできるだけ早期に開設するよう準備を進めてまいります。

○かち委員 やっと緒についたという感じがいたしますけれども、一刻も早く実現してほしいというのが、当事者であり、また、そのご家族、関係者の方々の強い熱い期待でありますので、ぜひこたえられるように、一日も早く実現するよう努力していただきたいと思います。
 次に、がん予防についてお聞きします。
 健康プラン21にもありますように、都民の健康増進を進めていく上で、三大疾患といいますか、糖尿病、がん、そして心の病に取り組んでいくという姿勢が見られました。その中で、特にがんの問題について、がん予防の観点からお聞きしたいというふうに思います。
 一般的に、がんの予防のためには、生活習慣や食生活、環境改善、こういうものが大事なわけですけれども、それとともに、がん検診の充実というのも大変重要です。現在、市区町村で実施されている五つのがん検診の受診率の現況と、平成二十二年までの目標値というのが今度定められているようですけれども、その辺の実態はどうなっているでしょうか。

○杉村保健政策部長 東京都におけるがん検診の受診率でございますが、平成十五年度の厚生労働省の地域保健・老人保健事業報告によりますと、胃がん検診が五・二%、肺がん検診が六・一%、大腸がん検診が一三・七%、子宮がん検診が九・三%、乳がん検診が七・九%となっております。
 乳がん検診におきましては、区市町村で実施する検診の受診率目標値を平成二十二年度までに五〇%としていく予定でございます。他のがん検診につきましては、具体的な目標値は設けておりませんが、受診率の向上を引き続き目指してまいります。

○かち委員 大腸がん以外ではいずれも一けた台ということで、低いわけですね。死亡率全国ワーストワンの乳がんの検診受診率アップというのは大変重要課題であり、都としても、マンモグラフィーの普及や読影医師や撮影技師の養成を推進しているところと聞いております。
 十五年度が七・九%の受診率を七年間で五〇%に引き上げる、こういう意気込みではあるんですけれども、それを達成するという点では、まだまだ不十分ではないかと思うんですね。マンモグラフィーを平成二十二年までに三百数十台まで持っていくということですけれども、これを達成しても、一自治体に十台行くか行かないかというような状況でありますので、検診率アップの条件として、身近なところでいつでも受けられる、そういう検診機会を拡大することだというふうに思うんですね。そういう意味では、一層の人材育成や機器の整備が必要だというふうに思います。
 それで、受診の機会の拡大や、対象に合った検査方法というものも広く検討すべき課題だというふうに思うんですね。例えば、乳がん検診では、超音波検査というのも一部の地域では結構やっているところもあります。専門家によると、その有用性も示唆されています。国もその有用性について検討に入るというふうにも聞いておりますので、都としても、この超音波検診の有用性について検証する必要があると思うんですけれども、その辺のご見解はいかがでしょうか。
 また、先ほど、他の部位については目標値を持っていないといわれましたけれども、なぜ持たないのか、お聞きします。

○杉村保健政策部長 国のがん検診の適正化に関する調査研究によりますと、超音波による乳がん検診は、現時点では、死亡率減少効果の有無について判断する適切な根拠がなく、国では、今後その妥当性を明らかにする必要があるという報告が出されております。都では、国の動向を見守っていきたいと考えております。
 また、胃がん、大腸がん等につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、受診率を向上させるということを目標としているところでございます。

○かち委員 聞き漏らしたのでしょうか、超音波検診の有用性についての検証は、都としてはやる意向はないんでしょうか。

○杉村保健政策部長 国が現在検討しているということでございますので、都では国の動向を見守ってまいりたいというふうに考えております。

○かち委員 国がやる、やらないにかかわらず、都としてもぜひその辺の検討をしていただきたいというふうに思います。
 国は、第三次対がん戦略を打ち出して、がん克服対策を明らかにしておりますけれども、そのためにも、検診の機会を広げ、環境整備を進めなければなりません。
 ところが、九八年から検診補助が一般財源化され、有料化の方向が緩和されました。資料にも出していただきましたけれども、そのため、だんだんと市区町村でのがん検診の有料化がふえてきております。広く検診率アップという方向からすると、これはまた逆向きではないかと思うんですが、こういう点で、都としても、がん検診を促進する意味から、財政的な支援なども検討すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○杉村保健政策部長 がん検診の自己負担導入につきましては、区市町村の主体的な判断で実施しているというふうに認識をいたしております。
 また、自己負担の導入が直ちに検診受診率の低下に結びつくものとは考えてございません。
 がん検診に係る経費については、地方交付税で措置されることとされており、都が市町村に対し財政支援を行うことは考えてございません。

○かち委員 女性の乳がんと同様に、男性の前立腺がんというのも主要ながんの一つといわれています。私の友人の夫ですけれども、たまたま他の疾患で病院にかかった際に、血液検査をしたところ、PSAという前立腺に特異なたんぱく質の異常値が指摘されて、精密検査をしたところ、前立腺がんだといわれて、即対処できて、事なきを得たわけですけれども、全く自覚症状もない中での出来事だったわけですね。
 この前立腺がんというのは、世界的に見ても発症頻度が大変高い疾患といわれております。例えばアメリカでは、男性のがんの中で発生数は第一位、死亡数は第二位というふうにいわれています。日本でも、一九七五年には二千人程度でしたけれども、二〇〇〇年には二万三千人、二〇二〇年には七万八千人以上になるだろうと推計されています。肺がんに次いで男性のがんの二番目に罹患すると予測され、その死亡数は二〇〇〇年の一・四倍ともいわれています。
 都において、この前立腺がんの死亡数、死亡率、そういう状況、実態はわかりますでしょうか。

○杉村保健政策部長 厚生労働省の人口動態統計特殊報告によりますと、人口の年齢構成を調整した死亡率でございますけれども、東京都において、平成二年ですが、男性の人口十万対で六・四、十年後の平成十二年が同じく人口十万対で九・〇ということになっております。

○かち委員 十年間ということなので、その差は三ぐらいなものですけれども、六十代から罹患する可能性が高いというふうにもいわれておりますので、今後、この前立腺がんに対する検診ということもぜひ考えていただきたいというふうに思うんですけれども、今、国の検診項目には含まれていないんですね。都において、前立腺がん対策のPSAというものの検査は血液検査だけでできるんです。スクリーニング的に血液検査をやって、値が高い人について再度精密検査をする。全部が前立腺がんというわけではないんですね。肥大の場合なんかもいろいろあるんですけれども、乳がんよりも、最も簡単にできる検査でありますので、そういうことも含めて、ぜひ今後検討していただきたいというふうに思います。
 検診受診率だけが上がっても、その後の精密検査や治療ができなければ、せっかくの検診効果も半減してしまうわけです。先ほど、基本健診の問題が話されましたけれども、これまでは、自治体としては検診を行うことが任務であり、その後の追跡はプライバシーの問題だというような考えもありました。しかし、これを乗り越えて、検診後の追跡、分析を行わなければ、検診の効果を上げることはできません。
 それで、都として、この検診後の傾向、対策というようなことをどのように取り組んでいらっしゃるでしょうか。

○杉村保健政策部長 都におきましては、今年度から、区市町村で実施しておりますがん検診の質の向上を図るため、乳がん検診と子宮がん検診におきまして、がん検診の精度管理を含めた事業評価を実施いたしております。これを通じまして、精密検診の結果の追跡についても、各区市町村を指導しているところでございます。

○かち委員 乳がん、子宮がんについては、精度管理評価事業に取り組むというお話がありまして、一歩前進だというふうに思います。しかし、二つのがんに限定せず、すべての検診や生活習慣病健診の精度管理について、市区町村と、またその委託を受けている地区医師会などと定期的に精度管理のための協議を行う仕組みづくりや、都としての支援、財政的、人的な支援も含めてぜひ検討していただきたいと思います。
 がん克服は都民の切なる願望です。その方向性も一歩前進してきました。生活習慣病や環境改善に取り組むとともに、早期発見、早期治療もその大きな要素です。今後とも都民のがん検診のために尽力されることを求めておきます。
 最後ですけれども、介護保険の改正に伴って、介護予防問題についてお聞きします。
 新介護保険制度は、先行して、昨年十月から介護福祉施設での居住費や食費が保険外となり、重い負担がかかっています。さらに、本年四月からは、新予防給付など新たな考え方の中で、大幅な介護保険料の値上げとともに、仕組みも変わろうとしています。
 介護保険制度をめぐっては、国の省令のおくれなどもあり、介護現場や高齢者にとっても、保険者である区市町村にとっても大変な状況になっています。さまざまな課題がありますが、特に新介護予防を推進する地域包括支援センターについてお聞きします。
 これまで居宅介護の中核的役割を果たしてきた在宅介護支援センターのあり方が根本から変わり、今度は地域包括支援センターが位置づけられました。自治体によってそのありようはさまざまですが、この事業自体が介護保険料の二%、三%の枠組みの中で行われるということであり、非常に足かせ手かせという環境の中にあります。
 それでは、この地域包括支援センターの役割と機能はどのようなものでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 地域包括支援センターは、高齢者が住みなれた地域での尊厳ある生活を継続することができるよう、地域包括ケアを支える中核機関として、区市町村により設置されるものでございます。保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士などの専門職種が配置され、これらの専門職の共同により、総合相談、包括的、継続的ケアマネジメントの支援、介護予防ケアマネジメントなどの機能を担うこととなります。

○かち委員 専門職が三人配置されるということで、やることは総合相談と居宅介護のケアマネジメントの総合指導というか、そういうことと、介護予防のケアマネジメント。この三人の職種の中で保健師さんが一人いるんですけれども、その保健師さんが介護予防のケアマネジメントをやるということになるわけですけれども、それでは、このやる方の対象者は一体何人ぐらいになるんですか。

○長谷川高齢社会対策部長 本年二月一日現在における区市町村の介護保険事業計画案の集計によりますと、十八年度の新予防給付の対象となる要支援認定者の見込み数は十二万四千人余りでございます。
 地域包括支援センターの設置予定数三百十八で除しますと、地域包括支援センター一カ所当たり平均でございますが、対象者数は三百九十人程度となる見込みでございます。

○かち委員 数字を割り返して機械的に当てはめただけでも、三百九十人からの人を包括支援センターの保健師さんが把握しなければならないということなんですね。これは本当に実態的にできるのかなというふうに思うんですけれども、しかし、仕組みが少しありまして、地域包括支援センターから地域の介護事業者に委託することもできるということで、一ケアマネ当たり八人まではできるんだというふうに聞いておりますけれども、都内全体で委託可能数というと、どのぐらいになるんでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 都内の居宅介護支援事業者における常勤の介護支援専門員は、平成十八年二月現在、六千七百六十二人となっております。これを八人ということで除しますと、五万四千人ほど委託可能な数字が試算されます。

○かち委員 十二万人の約四五%は委託できる。ケアプランをつくってもらうところに委託できるということで、五万四千人を委託できるわけですけれども、その分を割り引いても、あと五十何%残るわけで、それを一包括支援センターで割り振ると、約二百何十人かということになるわけですね。二百何十人もやっぱり保健師一人で把握しなければならないのかなと思うと、今までは多くても五十人とかといわれていたわけですから、どうやってこれをやっていくのかというふうに思うんですけれども、その辺の具体的な対策はあるのでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 地域包括支援センターでは、保健師以外でも、介護支援専門員、社会福祉士等も介護予防ケアマネジメントの業務を担当することができることとされております。地域包括支援センター内の多職種での対応で可能でございますが、これに加え、地域の介護支援専門員、ケアマネでございますが、一定の経験がある看護師等を新予防給付のケアマネジメントの業務を担当させるために活用することができることとされております。これは外部ということになります。
 これらのことから、地域包括支援センターにおける新予防給付のケアマネジメントの実施体制は確保できるものと考えております。

○かち委員 四千円で委託するということをいわれた。それから、パートやアルバイトで雇ってもいいよというわけですけれども、一人につきケアプランを立てるというのは、出かけていって話を聞いて、いろいろ計画を立てて、また苦情も聞いてということで、とても四千円の範囲でできるような内容ではないんですね。しかも、これは、委託する場合には一ケースとしては換算しない。八人受けても、その半分で見るんだよということをいってるわけですよね。そういう仕事を、保健師一人ではできないから、パートを雇っていいよと。でも、その人はケアマネの資格がなくても、一定の経験があればいいよというような中身では、ケアマネの仕事のレベルアップだとか、社会的評価を高めようというのがかなり今までいわれてきたんですけれども、それをもうなし崩しにする、このプランはもう資格がなくたってやってもいいんだよというふうなことをいってると同じことだと思うんですね。そういう意味で、本当に現実可能かというような疑問が大変わいてくるわけです。
 もう一つの問題は、ケアマネ一人当たりの担当件数が見直されました。もっとゆとりを持ってやれる体制の評価をといわれていたんですけれども、今度は、一人につき四十件以上になるとペナルティーがというか、今までは十として計算していたのを、それを七割ぐらいにしか、四十件を超えたら全部を七割にしか見ないよという制度なんですね。
 そういう意味では、もう三十五件、あと要支援八人を持っているところに、どうしても何とかしてほしいといわれたときに、善意で見てあげようとしてやったら、それが一気に七割に下がってしまう。こういうことでは、現実、いつも点数のことを気にしなければ事業運営ができないということで、本当に今の新しい制度のあり方というのは、内容をよくするよりも、むしろ手を縛るものになっているなというふうに思うんです。こうなってきますと、たくさん出てくる新しい新介護予防の方を含めて、ケアマネジメントしてもらいたいという方々が今度断られてしまうという現象も既に出てきているんですね。
 こういう状況だと、本当にケアマネ難民を生み出すことになるんじゃないかと思いますけれども、都としての見解はどうでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 都内の居宅介護支援専門員の数や制度改正後の要介護者に対するケアマネジメントの件数を勘案いたしますと、新予防給付の八件、実際は二分の一ですから、四件の受託は十分に可能であると考えております。
 また、地域包括支援センターにおいても、先ほどお話ししましたとおり、多職種でいろいろな取り組みを行うなど、また、外部に職員を依頼するなどの対応で十分可能と考えております。
 したがいまして、都民が新予防給付のケアマネジメントを受け入れられない事態は生じないものと考えております。

○藤井委員長 そろそろまとめてください。

○かち委員 まとめますけれども、今、計算上は成り立つというお話ですけれども、実態を見れば、とてもこれは成り立つような状況ではありませんので、ぜひ都として実態調査を行って、現場の声を聞いていただきたいというふうに思います。
 そういう意味で、これから始まるわけですけれども、本当にたくさんの課題がありますので、都としても今後十分に注視していただきたいということをいいまして、終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

   午後三時二十二分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山口(文)委員 昨年六月に改正介護保険法が制定され、十八年度は、これに基づく第三期介護保険事業計画が実施されます。そこで、介護保険改正によりまして区市町村の役割はさらに大きくなったように思いますが、どのように変わったのか伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 介護保険制度では、区市町村が保険者として制度運営の主体となり、それを国や都道府県が支える仕組みとなっております。今回の介護保険法の改正によりまして、区市町村の役割がさらに強化されました。
 具体的には、高齢者が要介護状態になっても、できる限り住みなれた地域での生活が継続できるよう、地域密着型サービスが創設され、その指定及び指導監督は区市町村が行うこととなりました。また、地域包括ケアシステムの中核機関として、区市町村が責任主体となる地域包括支援センターが創設され、総合的な相談や介護予防のケアマネジメントを担うこととなりました。さらに、保険者としての機能をより発揮できるよう、事業者への立入権限が新たに付与されたことになります。

○山口(文)委員 では、介護保険制度における都の役割について、改めて伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 都の役割でございますが、保険者である区市町村の事業が円滑に行われるよう指導、援助を行うことや、事業者の指定、指導監督のほか、サービスの質の向上を図るため、とりわけ介護支援専門員を初めとする専門人材の育成や介護基盤の整備など、広域的な立場からの支援、調整であると考えております。

○山口(文)委員 ケアプランの作成に当たる介護支援専門員の役割は重要であり、制度のかなめといわれてきました。生活者ネットワークは、ケアマネの公正、中立性を確保するために、居宅介護支援事業所の独立性を提案してきました。
 今回、こうした観点から、介護支援専門員について見直しが行われたといいますが、経営の厳しさに変わりはないとの声も上がっています。都が国にも提案している居宅介護支援事業者の独立性の確保はさらに厳しくなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 三番目のご質問にお答えいたします。
 今回の見直しで、居宅介護支援に関しましては、要介護度別の報酬体系の導入を初め、初回時や退院、退所時への加算などが行われることとなりました。また、特定事業所加算としまして、主任介護支援専門員を配置しまして、その利用者のうち重度者の割合が高く、支援困難なケースを受託するなどの要件を満たす事業所については、報酬をさらに五百単位上乗せする仕組みが創設されました。
 これらにより、居宅介護支援事業者の経営基盤の安定が確保され、公立、中立なケアマネジメントの実現に向け改善が図られるものと認識しております。

○山口(文)委員 住民参加型のNPO等の事業者は、介護度の軽い利用者を多く抱えているところも多くて、半数は介護予防に移行すると見込んでいる事業者が多くあります。特定事業者は介護予防のプランはつくることができないということで、今までの利用者を断ってまで特定事業者になれないという声があるということも、東京都としては把握をしておいていただきたいと思います。
 次に、介護支援専門員や委託による介護予防ケアマネジャーが担当する利用者数も規制されます。先ほども少し出ておりました。居宅介護支援事業者の中には、採算がとれないと廃業する事業者が出てくるのではないかという声も上がっており、担当するケアマネが見つけられないケアマネ難民が出るのではないかとまでいわれていますが、都の見解について再度確認して、伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 介護支援専門員一人当たりの担当件数は、五十件から三十五件へと引き下げとなっておりますが、その一方で、一件当たりの単価は、現行の八百五十点単位から、要介護一、二につきましては千単位、要介護三、四、五では千三百点に引き上げられることになっておりまして、改正前と同程度の報酬が事実上確保されるものと考えております。
 また、新予防給付のケアマネジメントにおきましては、居宅介護支援事業所への委託件数は、介護支援専門員一人当たり八件までと制限されておりますが、区市町村が設置する地域包括支援センターにおいて行うことが基本とされていることから、必要な体制は整備されているものと考えております。

○山口(文)委員 では、この介護予防のケアマネジャー、私はこれはできるだけ法律にのっとって、むしろ行政がきちっとやるべき任務ではないかというふうに思っておりますので、今後の動向について、私も少し注意をしていきたいと思っています。
 では、次に、介護支援専門員については、今後、仮称ですが、主任ケアマネジャーが位置づけられるように聞いています。この五年間とも、ケアマネリーダー研修や現任者研修を実施しています。五年ごとの更新制による研修の導入など、さらなる専門性を持ったすぐれた人材の育成が必要になると思いますが、今後の研修のあり方について伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 東京都はこれまでもケアマネジャーの質の向上に向け取り組んでまいりましたが、今後とも、ケアマネジャーの研修内容の充実を図るとともに、来年度から新設される主任ケアマネジャーの養成に当たり、困難事例への対応やケアプラン作成の演習をカリキュラムに取り入れるなど、ケアマネジャーの一層の質の向上に努めてまいりたいと思っております。

○山口(文)委員 さらに、介護予防システムへの転換が改正のポイントになりますが、介護予防サービス、介護予防事業における介護予防アセスメントやケアプランを作成する保健師等の育成について、都の役割も求められると思いますが、いかがでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 地域包括支援センターに従事する保健師などが介護予防のケアマネジメントを適切に担えるよう、国制度の一日限りの研修に加え、東京都におきましては、都独自に五日間の介護予防マネジメント指導者研修を実施いたしました。
 来年度におきましても、介護予防ケアマネジメントの研修を実施しまして、保健師等の人材の質の向上に取り組んでまいりたいと思います。

○山口(文)委員 介護サービスあるいは介護予防サービスの対象となる高齢者の数ですが、先ほど、かち副委員長の方から質問があって、おおむね出されておりますので、私の方からは、その予算がどれくらいになるのか伺いたいと思います。

○長谷川高齢社会対策部長 平成十八年度における介護予防の対象者数は、二月一日現在の区市町村の介護保険事業計画案の集計によりますと、新予防給付の対象者である要支援一、二の方が約十二万五千人で、高齢者人口の五・四%でございます。それから、地域支援事業の対象者である特定高齢者が約七万七千人余りでございまして、高齢者人口の三・三%と推計されております。
 同じく予算額でございますが、新予防給付の総給付費が約四百七十三億円でありまして、このうち都の負担金が約五十九億円でございます。また、地域支援事業の中の介護予防事業の総事業費が約三十四億円でございまして、このうち都の負担金は約四億円となっております。

○山口(文)委員 こういう形で新たな介護予防事業が実施されていくわけですけれども、では、介護度の比較的低い人たちへの、介護度の軽い人っていった方がいいでしょうかね、家事援助サービスのあり方について改めて伺いたいと思います。

○長谷川高齢社会対策部長 現行の要支援の方と要介護一の方で、状態の維持あるいは改善可能性の高い方は、本年四月以降、要支援者として新たな予防給付の対象となります。
 新たな予防給付における訪問介護では、自立支援の観点から、原則として、いわゆる家事代行型の訪問介護は行わないこととされておりますが、ひとり暮らしの高齢者や要介護者同士の夫婦の利用者がみずから家事を行うことができないような場合には、適正なケアマネジメントに基づきまして、今までどおり、ホームヘルパーによる家事援助サービスを利用することは可能でございます。

○山口(文)委員 介護保険の見直しにおいて、ホームヘルパーの資格について、国で議論されていると聞いていますが、その検討状況はどうなっているのか伺います。

○朝比奈生活福祉部長 平成十六年七月に、国の社会保障審議会介護保険部会において、介護職員については、将来的には任用資格は介護福祉士を基本とすべきであり、これを前提に、現任者の研修についても体系的な見直しを進めていく必要があるとの意見が出されたところでございます。
 この意見を受けまして、全国社会福祉協議会内の介護サービス従事者の研修体系のあり方に関する研究会において、介護に携わる職員の研修体系について検討を実施し、昨年九月に第二次中間のまとめが発表され、現在も引き続き検討が行われております。
 この中では、近い将来において、介護職員の標準任用資格を介護福祉士とするよう述べておりますが、具体的な時期については明確になっておりません。

○山口(文)委員 介護福祉士が介護職員の任用資格となる具体的な時期などは明確ではない、当面は現在の資格制度が存続するということはわかりましたが、家事援助の過剰サービスなどが問題として浮上してきており、ホームヘルパーが自立を支える介護サービスを提供するには、質の向上が不可欠であると思いますが、どのように考えられているのでしょうか。

○朝比奈生活福祉部長 多様なサービス提供事業者がそれぞれの特性を生かしながら、互いにサービスを競い合い、利用者ニーズに的確にこたえていくということが重要であります。そのためには、ホームヘルパーの資質向上は、まず事業者の責任において行うことが原則であると考えております。
 都といたしましては、こうした事業者の研修を支援するため、研修に関する情報や研修テキストをホームページにおいて公開、提供しているところでございます。
 さらに、認知症の介護実践研修や指導者養成研修など、新たな利用者ニーズに都として対応するためのものや、コア人材の養成など、都の施策目標を効果的に実現するため必要な研修については都みずから行うなどして、今後ともホームヘルパーの資質の向上に努めてまいります。

○山口(文)委員 介護保険二〇〇〇年の施行以来大幅の改正で、要介護度の軽い人を対象にした新しい介護予防サービスの導入により、自治体では、その拠点となる地域包括支援センターの新設など、準備に追われていますが、区市町村への全面的な支援を行う介護予防サポートセンターの概要について伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 東京都の老人総合研究所に委託して実施する介護予防サポートセンターは、区市町村に対して、専門的知識を持つスタッフによる、運動機能向上や口腔機能の向上などの介護予防事業にかかわる相談や、ノウハウの不足する地域への重点的な支援を行うこととしております。
 さらに、区市町村における介護予防のデータを集積、分析するなど、事業の効果についても検証してまいります。

○山口(文)委員 在宅で暮らし続けるための仕組みとして、地域密着型サービスや小規模多機能型サービスが重要な役割を担うと思いますが、人材の育成が今後の大きな課題であり、都の役割の取り組みについて伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 都はこれまで、認知症高齢者グループホームの管理者や計画作成担当者に対しまして、認知症ケアの専門的知識、技術に関する研修を実施してまいりました。来年度は、この研修内容をさらに充実させるとともに、新たに、小規模多機能型サービスや認知症対応型デイサービスの職員に対しましても専門的な研修を実施してまいります。

○山口(文)委員 介護の必要な高齢者の半数以上が何らかの認知症の症状を持っているということがわかってきています。認知症に関する予防やケアの充実を図ること、家族への支援体制などの充実が求められています。
 都は取り組みを進めてきていると聞いていますが、認知症対策の予防、早期発見等、総合的な認知症対策について伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 認知症対策につきましては、予防、早期発見、適切なケアなどの一連の対応や都民への普及啓発が重要でございます。
 このため、都は今年度から、地域における認知症予防の取り組みに対し、技術的な指導助言や研修を行うことによる支援をしております。
 また、認知症を早期に発見し適切な医療につなげていくため、かかりつけ医及びそれを支援するサポート医を養成してまいります。
 さらに、認知症高齢者を地域で支える東京会議を開催し、都民への普及啓発を図るとともに、区市町村における認知症対策の総合的な取り組みを支援するため、地域の実情に応じた計画策定に要する費用を補助するほか、参考となる先駆的な取り組みについて、実施経費を補助してまいります。

○山口(文)委員 では、認知症高齢者を地域で支える東京会議(仮称)について、メンバー、内容など、どのように開催されていくのか伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 東京会議のメンバーでございますが、都民、区市町村を初め公共交通機関、小売店、飲食店などの生活関連企業の代表者などを考えております。
 内容につきましては、認知症についての都民への普及啓発、課題への検討などを通じまして、認知症高齢者の生活を地域で支えていく機運を高めていくこととしております。

○山口(文)委員 今回の改正は、制度の利用者が急増する中、ふえ続ける保険給付を予防重視で抑えるのがねらいだと見られても仕方のない面もありますが、身近な自治体で、地域の実情に応じて拠点をつくりながら多様なサービスをネットワークし、当事者や市民が共同で福祉の地域づくりを進める機会ととらえ、在宅が可能になる基盤整備を進めていくことが大切だと思います。
 都の役割は、人材の育成と事業者の評価制度の確立をすること、また、権利擁護の仕組みの確立など、区市町村の取り組みを支援することだととらえています。
 そこで、利用者がサービスを選択するに際して、各事業者のサービスの内容や質などが客観的な情報として得られることは重要なことだと思います。介護保険改正で新たに事業者に義務づけられた情報の公表と、従来から行政が実施してきた指導検査及び都が先駆的に実施してきました福祉サービス第三者評価制度はどのような違いがあるのか伺います。

○長谷川高齢社会対策部長 介護サービスにおける利用者保護及びサービスの質の向上に向けたこれまでの主な取り組みとしましては、行政による指導検査と福祉サービス第三者評価制度がございます。
 このうち、まず指導検査は、行政機関である都が、事業所や施設に立ち入るなどの方法により、法令等の基準への適合状況等について調査、確認をいたしまして、必要な指導助言を行うものでございます。
 また、福祉サービス第三者評価は、事業者みずからの意思で評価機関の評価を受審し、その結果を公表することにより、サービスの質の向上と利用者の選択の支援を図るものでございます。
 これらに対しまして、今回の介護保険法改正により創設されました介護サービス情報の公表制度は、介護サービスの事業者に毎年一回、事業所に関するサービスの内容等の各種の情報の公表が義務づけられ、事実確認のための調査を経て公表する仕組みでございます。その目的は、情報提供によりまして、利用者が事業所を適切に選ぶことを支援するものでございます。
 都といたしましては、これまでの指導検査、第三者評価を引き続き推進するとともに、新たな介護情報サービスの公表制度を適切に実施することによりまして、利用者の保護と介護サービスの質の一層の向上に努めてまいります。

○山口(文)委員 これについては、実は職員の方から非常にわかりやすいご説明をいただきました。おしょうゆに例えられまして、指導検査というのは、原料である大豆に遺伝子組みかえが使われているか、使われていないかというようなことをチェックし、そして情報の公表というのは、おしょうゆの中にどういう材料が使われているのかということをきちっと明確にする。さらに、第三者のサービス評価というのは、その味の問題ですね、多様な、薄口、濃い口とか、あるいはまたブレンドのものとかといった、そういったところを評価していくものだという、大変わかりやすいことで、実はご答弁にこれを入れていただきたかったのですが、私の方から、そういったことで皆さんにはかえって理解しやすいかなと思っています。(「ソースだって同じだろう」と呼ぶ者あり)ソースでも構いません。
 福祉サービスの第三者評価制度が実施されて三年が経過すると思いますが、この間の実施状況と課題、また、第三者評価制度をどのように定着させていくのか、今後の取り組みについて伺います。

○野口企画担当部長 これまでの実施状況等と今後の取り組みについてのお尋ねでございますが、まず、福祉サービス第三者評価の実施状況につきましては、初年度に当たります十五年度は六百六十六件、十六年度は千百十四件と、評価を受審する事業者は着実にふえてきております。しかし、受審事業者の割合は、まだ事業者全体から見ますと約一割程度でございまして、利用者がサービスを選択するための情報提供や事業者のサービスの質の向上のためには、評価制度をさらに普及、定着させていくことが重要でございます。
 都はこれまでも、受審費用の補助や事業者研修会の実施、評価受審済みステッカーの配布など、さまざまな取り組みを実施してまいりましたが、今後は、これらの取り組みに加えまして、評価の受審状況に関する現状分析を行い、効果的な対応策の検討を進めるなど、より一層の普及、定着を図ってまいります。

○山口(文)委員 着実に推進していただいているようなんですけれども、事業者にとりますと、この三つの評価制度を使っていくというのは、経済的な面の負担もありますけれども、やはり何といっても書類の作成など時間的な重荷も負われるのかなというふうに考えております。
 特に、第三者の評価というのは、東京都は利用者からの評価も取り入れたサービスの質の深さ、それからまた厚みというんでしょうか、それを知ることができるものとして確立していくことは、私は重要なことだと思っています。
 事業者への周知徹底とともに、利用者に対しても、こうした仕組みによりサービスの質の向上を図ることや利用者の権利擁護に生かすことができるものとして、ぜひアピールを引き続きしていただきたいと思います。
 また、都は、介護保険を育む会や介護支援専門員支援会議などの開催によって、制度の課題や問題を把握して、改正に対しては、国に対しても的確な提言を行ってきました。先ほども、介護予防サポートセンターでも、介護予防のデータを集積、分析して、事業の効果を検証していくということで、私もぜひこういったことは都としても進めていただきたいというふうに思っています。
 市民が参画できる法律として、画期的な介護保険制度ができたわけですが、改正法の施行後三年目にも見直しが予定されています。今後も利用者や事業者など現場の声が反映できる仕組みに取り組み、区市町村支援、人材の育成、権利擁護の確立など、都としての責務を果たしていただくことを要望して、質問を終わります。

○佐藤委員 食品衛生の問題について一点お伺いします。
 食の安全の確保ということで、東京都ももちろんそうですし、各区市町村も、食中毒の防止であるとか、そういったいろんな諸施策を推進しているところでありますけれども、最近特に、営業所とか店舗、施設のほかで食品が販売されている場面が多く見られるんではないだろうか。それらに対して、現行条例ではなかなか適正管理することが難しい現状にあるのではないかなという感触があります。
 はっきりいいまして、この都庁の近辺もそうなんですけれども、都心区を中心としまして、路上においてお弁当や何かを販売している、いわゆる食品製造業等取締条例第二条第一号に規定するところの行商というものが増加している。違法あるいは不適切と見られる販売形態、例えば、直射日光がかんかん当たっているところで食べるものを売っているとか、温度管理が適正ではないとか、そういうことに対して、疑問であるとか苦情が寄せられているのも事実であろうかと思います。
 こういったことに対して、食品衛生上、何か東京都として規制はできないのかどうか、これをまず伺いたい。

○浅井参事 お尋ねの行商でございますけれども、東京都食品製造業等取締条例、これにおきまして、人力により移行しながら販売する営業、そういう規定がございまして、弁当のほかに、菓子とか、アイスクリームとか、豆腐とか、総菜の納豆ですとか、つくだ煮とか、そういう七業種が規定してございまして、食品の取扱方法など、衛生上の観点から必要な規制をしております。行商をしようとする者は、保健所に届け出て、鑑札と記章の交付を受けることが義務づけられております。

○佐藤委員 そもそも行商という言葉自体が我々ぴんとこないのが事実なんでありますけれども、今、参事がおっしゃった都の条例、食品製造業等取締条例というのは昭和二十八年施行なんですね。私の生まれる前からこれをやっているわけです。したがいまして、当時の行商と現在の行商の実態がかなり違ってきているんじゃないだろうか。
 今おっしゃったように、お弁当とか、納豆だ、豆腐だ、つくだ煮だ。まず今、つくだ煮を行商で売って歩いているっていうのはないんじゃないかなと、こう思います。制定当時は、納豆やお豆腐をてんびん棒で担いで、それも古過ぎるかな、売って歩いたのかもわかりません。私どもの品川は、羽田沖のカニをてんびん棒で売って歩いた。つい五年ぐらい前までいましたけど、まず無許可でしょう。そういう方がいましたが、そういうのを我々は想像するんでありますけれども、今、人力で云々というお話があったんだけれども、現在は、自動車で一定時間そこに車をとめて、同一場所でお弁当を売っているという、これも行商なんですかね。もしそれがそういう概念に入るとすれば、若干その実態と条例の想定するところが違うんじゃないだろうか。
 元来、行商というのは、今おっしゃったように、路上販売行為の移動販売を指すものだと思うんですが、先ほども伺ったんですが、こういった実態を東京都はどういうふうにお考えになって、どんな取り締まりができるのか、もう一度伺います。

○浅井参事 行商の場合は、恐らく弁当の場合は車に積んできて、そこからワゴンのようなものに移しかえて、路上で売る形態だと思います。これにつきましては、その行商を行っている場所を管轄している保健所が、行商人の鑑札を持っているか、あるいは記章をつけているか、そういうことを確認するとともに、食品の取り扱いが衛生的であるかどうか、弁当の表示がきちんとしているかどうか、そういうことについて監視指導を行っている状況でございます。

○佐藤委員 そうすると、車で直に売っているというのは行商に入らないということで理解してよろしいんでしょうか。そうすると、あれは何になるんですかな。道路にとめて、車の中から売っているというのは何になるのか。それは東京都はどういうふうにお考えになっているのかということですが、ここ何年か、この近辺だけではなくて、お弁当の、行商と指すんですか、車でのお弁当販売というんでしょうか、そういう件数は、かなり需要もふえているように思います。特に都庁なんかは、恐らく食堂が二千席ぐらいしかないんでしょう。そこで一万数千人の人がどうやって昼飯食うのかなと思うと、やっぱりお弁当ということもかなりの部分出てくるんではないかと思いますが、行商というのは、先ほども申し上げましたけれども、施設のない営業形態ということでありまして、冒頭申し上げたように、衛生面での問題が出ることも心配される。これから特に時期がそういう時期になってくると思います。
 車で売るのと、歩いて売るのと、ワゴンで売るのと、この弁当の路上販売というのは、届け出とか、許可とか、鑑札とか、そういう問題も含めて、何かすっきりしないところがあるのかなという感じもいたしますが、私としては、現状をよく把握していただいて、そろそろ条例も変えていく時期にも来ているのかなと。現代版の条例に直していく時期にも来ているのかなと思います。今後どんな取り組みをされていくのか、はっきりいいまして、どんな監視をしていくのか、適切な対応をお願いしたいと思いますが、一言最後にお願いして、時間もないようですから、大分はしょって終わります。

○浅井参事 ご指摘のとおり、弁当の行商が非常にふえている状況を踏まえまして、都では現在、都内各地の弁当行商に関する販売状況の実態を把握すべく調査を行っているところでございます。これらの調査を踏まえまして、行商の制度の適正な運営について、特別区とも連携しながら検討を行うとともに、今後とも衛生的な取り扱いについて監視指導をきちんと行っていきたいと思います。

○初鹿委員 私からは、まず最初に、子育て支援について質問させていただきます。
 私の地元江戸川区は、きょうの資料の1で見ていただくとおわかりになるように、二十三区で突出して合計特殊出生率が高いところで、非常に子育てしやすいところであります。私もそのおかげで三人の子どもを育てているんですが、これから、子育てに対する支援というのはより充実していく必要があると、皆さん認識しているところだと思います。
 そこで、今、どうしても日本の場合、施設での保育というものが中心になっていて、東京都も、認可保育所では対応できないような大都市のニーズに適応するような認証保育所制度というものをつくって、それが充実しているということは、それはそれで評価をするんですが、施設に偏っていて、家庭的な保育というものがこれまで余り行われてきていなかったように感じます。
 例えば、フランスですと、三歳未満のお子さんで一五%が、日本でいうところの保育ママに預けられている。スウェーデンだと一歳から五歳まで、全体の子どものうちの九二%が保育所に通っているということなんですが、そのうちの七%は家庭的な保育だということなんですね。
 東京都の場合はどうかというと、きょうの資料によりますと、認可保育園の入所児童数が大体十六万人ですね。ですから、今の保育ママの現状から考えると、一%に満たないのかなというのが、今の状態ではないのかなと思うんです。
 そこで、この家庭的保育について何点か質問させていただきますが、家庭的保育には、今挙げましたいわゆる保育ママ、家庭福祉員のほかに、民間でも独自にさまざまな業態で行っているというふうに感じておりますが、保育サービス全体としてはどのような実態になっているのかをまずお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 保育サービスには、認可保育所や認証保育所などの施設で行われる保育のほか、自宅で子どもを預かる家庭的保育がございます。この家庭的保育には、公的助成が行われております家庭福祉員のほか、NPOですとか個人が独自に自宅で少人数の子どもを預かるサービスもございます。

○初鹿委員 今お答えいただいたように、公的支援が入っている家庭福祉員、いわゆる保育ママですね、それとあとNPOや個人で自宅で預かっている方もいるということです。
 まず、それでは最初に、家庭的保育の中でも公的資金が投入されている家庭福祉員制度の実態と、東京都の施策における位置づけについてお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 家庭福祉員制度は、保育士等の資格を有する人や区市町村が実施する研修を修了した保育経験者などが三歳未満の乳幼児を自宅で少人数預かり、家庭的雰囲気の中できめ細かな保育を行うものでございます。平成十七年十二月一日現在の家庭福祉員登録数は六百三十六人、受託児童数は千六百七十三人であり、受託児童数は年々増加しております。
 都としては、認可保育所や認証保育所とともに、本制度を保育サービスの供給体制を確保する上で有効な施策と位置づけております。

○初鹿委員 年々増加もしているし、有効な施策と位置づけているということですね。この福祉・健康都市東京ビジョンの中でも、家庭福祉員制度の充実という項目が書いてありますので、東京都としてもやはりこれは充実させて伸ばしていきたいというふうに考えているんだと思います。
 そうはいいましても、少し問題として考えなければならないのは、地域による差が非常に激しいということだと思います。例えば私の地元の江戸川区は、ゼロ歳児保育は公立保育園でやっていないために、すべて家庭福祉員、つまり保育ママがやっているということで、約二百名、昨年の十二月一日現在だと百九十六人ということなんですね。ところが、お隣の江東区は何人だと思います、五人なんですよ。二百人と五人。これは区市町村によっては一名もいないところがあるということでございます。
 このようにばらつきがあり、また資格要件についてもそれぞれ区市町村によってばらばらだというふうに聞いております。これでは最低限の水準が果たして保てるのかどうか、ちょっと疑問に思えてきてしまうんですね
 都としては、やはり東京都全体として最低限一定の水準を保つように努力するべきだと考えますが、都としての取り組みをまずお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 都といたしましては、実施要綱において保育の質的向上を図るため、家庭福祉員に対する研修を行うよう、実施主体である区市町村に対し求めております。また、都におきましても認可外保育施設の従事者を対象としました研修を実施しており、家庭福祉員も受講しております。
 さらに、家庭福祉員の保育水準の向上のためには、認可、認証保育所など地域の子育て機関との連携が不可欠でございます。
 都といたしましては、こうした区市町村が行う仕組みづくりを積極的に支援してまいります。

○初鹿委員 ぜひ充実をする研修などを行っていただきたいんですが、例えば、今現在一人もいないような市区町村で保育ママを、家庭福祉員をふやそうといったときに、例えば一人、二人ということだと、そこで研修を独自に行おうかというのが、そういう気に自治体の方がなかなかならないのではないかなというふうに思うんですね。そうはいっても、やはり皆さんとしては進めていきたいということですから、その研修の仕方や、そのふやし方など、東京都としてある一定の水準なりを決めて研修を、自治体が独自にやらなくても、実績のあるようなNPOなどを活用すればいいわけですから、そういうところの連携なども東京都として示していくべきではないかなというふうに思います。
 続いて、保育ママ以外の、家庭福祉員以外のNPOや個人などが自宅で行っているような保育施設も含めた認可外の保育施設も、今、東京の保育にとっては非常に重要だというふうに思っております。そういう意味では、こういった保育施設をどんどんふやしていくということも重要だと思うんですが、レベルが低いところがふえていってはやはり問題であります。いろいろな事故や事件というものが起こっており、東京都としてもそれに対してさまざまな対応をしてきていると思います。
 レベルの低いところをレベルアップさせて、そして、この制度の外にある保育サービスを一定限、最低限の水準にまで高めていくために、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いさせていただきます。

○都留少子社会対策部長 都では国を上回る厳しい指導監督基準を定め、NPOや個人が独自に自宅で少人数の子どもを預かる家庭的保育も小規模な施設とみなし、認可外保育施設として届け出の対象といたしております。これらに対しまして、立入調査を通じ保育内容の指導を行うとともに、従事者に対する研修を実施し、保育の質の向上を図っております。
 なお、未届けの施設につきましても、区市町村の協力を得て実態把握に努め、届け出をするよう指導いたしております。

○初鹿委員 まず、やはり未届けの施設というのはできる限り発見して、きちんと届け出をして、指導していくということは重要だと思います。
 しかしながら、私は若干考えていただきたいということで提案させていただきたいんですが、実は東京都のホームページを見ると、認可外保育施設の指導をした一覧というのが出てくるんですね。情報公開をきっちりしていて、指導項目が、調査事項が五十三項目あって、それが適切になっていないところはバツがついている、この一覧表があるんです。これを見ていると、例えば保育の内容ということで、児童に対してきめ細やかに相互応答的にかかわっているとか、給食で、調理師、食器、食品保存方法等が衛生的であるとか、あと健康管理とか、こういうものについてはそれぞれしっかりとやらなければならないと思うんですね。これは当然だと思います。
 しかしながら、非常災害に対する措置として、非常口が二カ所なければいけないとか、保育室の構造がどうなっていなければいけないとか、そういう施設の構造についてのチェック項目があるんですが、例えば十人、二十人、ある程度人数を集めてやっている保育施設と、家庭の中で、自宅で一人の保育士さんが一人の子どもを預かったり、二人の保育士さんで三人を預かっていたりするような場合、マンションの一室でやっている場合もそうだと思いますが、いわゆる十人、二十人集めているような施設と同じ構造上の基準を設けることが果たして意味があるのかなというふうに感じるんです。
 例えば公的資金が入っている家庭福祉員、保育ママですと、自分の自宅でやっているわけですから、このような施設の基準というのは当てはまらない。公的資金が入っている場合は施設の要件がある程度緩和されて緩やかであるにもかかわらず、公的資金が入っていないところは厳しく、ベビーホテルなどと同じような厳しさを要求されるということになっている。
 私は、あくまでも保育のレベルというのはやはり最低限のところは保たなければいけないと思いますが、その最低限のレベルが、施設基準という構造上の問題で厳しくしていったために、残念ながらそこに満たない施設が、今お子さんを預かっているようなところがやめてしまうようなことがあったり、届け出をすると厳しくされるから届け出ないというようなことがあるのは余りよろしくないのではないかなと思うわけですね。
 ですから、ここは、どこで線を引くかというのは難しいんですけれども、家庭的な保育をやっている施設と、いわゆる認可外施設といっていいようなところとの基準を若干変える必要があるのではないかなというふうに思います。それによって、家庭的な保育を民間でやるような個人やNPOなどがもっともっとふえてくるんではないかなと思います。
 私、一カ所、地元で、NPOというか、個人がやっているところなんですが、見に行ったことがあるんですが、二人の保育士さんが二人のお子さんを預かっておりました。そのうちの一人は気管切開をして、たんの吸引が必要なお子さんでした。どこかの市で、気管切開をしているお子さんを認可保育園に入れようとしたら、それが拒否されたということで裁判になってしまっている、しかも裁判で仮処分が出ているのにもかかわらず、自治体の方はまだ闘おうということをしているということで、公的なお金がたくさん入っている認可保育園がそういうお子さんを排除している。その受け皿と結果としてなっているわけですから、そういう認可が対応できないお子さんを預かっているようなところがきちんと保育できるような仕組みというものも今後考える必要があるのではないかなというふうに思いますので、ぜひこの施設基準について一定の区別をできるように考えていただきたいとご要望させていただきます。
 続きまして、子どもの問題を行いましたので、今度は高齢者の話題に移らせていただきます。
 さきの一般質問の際にも佐藤裕彦議員が質問されておりましたけれども、国が療養病床を廃止する、縮小、再編していくというような方針を打ち出しました。これによりますと、介護療養型の施設では、六年後の平成二十三年末までには廃止すると。で、医療療養病床においても、医療の必要度に応じて診療報酬上の評価に差を設け、対象者を絞り込んでいくということです。全体で現在三十八万床あるんですが、医療型二十五万床を十五万床まで減らしていくということで、残りは老人保健施設やケアハウスなどに転換させるということで、病院関係者は当然のことですけれども、都民にとっても大変大きな影響がある案だなと思います。
 東京都は、まずこのような療養病床の縮小、再編について、国の考え方を事前に知っていたのか、知らされていたのか、また、このような考え方が施設の側、医療関係者の側にも事前に知らされていたのかどうか、お伺いいたします。

○長谷川高齢社会対策部長 都は昨年十二月、国の審議会の資料などを通じまして初めて知ったところでございます。
 また、国の考え方が示された後、本年一月でございますが、都内の療養病床を有する病院等で組織する団体とも情報交換、意見交換の機会を持ちましたが、関係団体の側でも事前に国からの情報はなかったものと聞いております。

○初鹿委員 今の答えを聞いて、私も大変びっくりするんですが、一番関係する地方自治体や、実際に経営に携わっている療養病床の事業者にも何の話もなく、いきなり大変に影響のあるものを打ち出してくる。全くひどい話だなと思うんですね。
 これで実際に介護型の療養施設が廃止され、医療療養施設が縮小されるということになって、果たしてそこに入院されていた方々が在宅できちんとした療養生活を送ることができるんだろうかと疑問に思うわけです。
 恐らく議員の皆さん方のところにも、私のところにも多くあるんですが、療養型の施設に入りたい、入院したいという相談が非常に多いのが今現状です。それだけ、まだまだ在宅の基盤整備も十分に整ってはいないし、老健施設もまだまだ十分じゃないというふうに都民の皆さんは感じているわけです。
 そういう状況の中で、この方針が出されているわけですけれども、在宅療養を継続していくためには、やはり医療的な支援に関するニーズに対応できるだけの受け皿が地域にしっかりと整備されていなくてはならないと思います。そこで、どのようにしてこの医療ニーズの受け皿を整備していくのか、お伺いいたします。

○丸山医療政策部長 医療的支援の必要な患者さんが安心して療養生活を送るためには、訪問診療を行うかかりつけ医や訪問看護ステーション、さらに、症状が悪化した際に患者さんを受け入れる病院など、さまざまな職種、機関がそれぞれに充実した機能を持ち、相互に連携することが重要でございます。
 これまでも都は、在宅医療に携わる医師向けの実地研修や在宅ターミナルケア従事者研修を実施するなど、在宅医療に関する人材の資質向上に努めてまいりました。
 今後とも、在宅医療を支える体制の整備に努めてまいります。

○初鹿委員 私はあくまでも、国の再編の目的としている社会的入院の解消ということ自体に反対をしているわけではありません。しかしながら、現状、現在入院している方は行き場がないからそこにいるわけであって、その行き場をきっちりと整備することをせずに、いきなりなくしてしまうというのはやはり乱暴ではないか。しかも、東京都を初めとする都道府県にも何の相談もしないし、施設を持っている方にも相談をしない。簡単に老健施設に移れといわれても、病床の面積が違うわけですから、そんな簡単にいくわけじゃないわけで、そういう重要なことを相談なくやる国の姿勢というのは、私は本当に極めて遺憾だなと思っております。
 東京都は、このような療養病床再編についての国の考え方、そして進め方についてどのように受けとめているのか、お伺いいたします。

○長谷川高齢社会対策部長 今回の国の療養病床の再編案は、いわゆる社会的入院の解消策の一つとして提示されたものでございます。このような大きな政策転換を進めるにしては、手続や日程の面から極めて唐突であり、性急であると考えております。
 そのため、都は国に対し、今月の七日でございますが、今後の介護保険施設のあり方等の検討に当たり、実施主体である地方公共団体との間で十分な議論の場を設けること、あるいは、療養病床を老人保健施設や特定施設などに転換するに際しては国として十分な支援策を講ずることなどを緊急要望いたしました。
 今後も、現場からの意見を踏まえ、適時に国に対し働きかけてまいりたいと思います。

○初鹿委員 緊急要望をしたということで、それは大変適切なことだと思います。今後も、国の動向を注視しながら、利用者の視点に立って、あくまでも利用者の立場で適切に国に意見を出して、よりよい方向に進むように努力をしていただきたいと思います。
 最近の国のやり方を見ていると、きょう報告がありました、前回報告があって今回提出できなかった利用料の問題にしても、地方自治体で条例を変えなければいけないとわかっているものをこういうタイミングでやってくる。地方分権といいながら、地方自治体のことを全く無視しているようなことが続いておりますので、ぜひ局長、機会があったら、しっかりと地方自治体の立場や役割なども考えて、話し合いをしながら進めるようにということを強く申し述べていただきたいと思います。
 続いて、障害者施策について質問をいたします。
 障害者自立支援法もこの四月からスタートいたします。きょうは、その中でも、障害をお持ちの方が地域で生活する上での重要な日中活動の場であります通所施設、とりわけ小規模作業所について何点か質問をさせていただきます。
 これまで法外の施設であった小規模作業所についても、今後は障害者自立支援法内の法内事業への移行を目指すことが必要となりますけれども、法内事業への移行というのは、具体的にどのような事業への移行ということになるのか、お伺いいたします。

○吉岡障害者施策推進部長 小規模作業所の法内施設への移行についてのお尋ねでございますけれども、その前段といたしまして、障害者自立支援法におきますサービス体系の再編についてご説明させていただきます。
 障害者自立支援法におきましては、障害者の状態やニーズに応じた適切な支援が行われるよう、障害種別ごとに分立した既存の施設事業体系を六種類の日中活動に再編することとしております。その六種類の日中活動と申しますのは、主に介護を中心に行う療養介護、生活介護の二種類、主に訓練等を中心に行う自立訓練、就労移行支援、就労継続支援の三種類、それから最後に、地域生活支援事業の中に位置づけられております地域活動支援センターでございます。
 お尋ねの法定内の小規模作業所へ移行する事業といたしましては、先ほど申し上げた六種類のうちの生活介護、就労移行支援、就労継続支援、地域活動支援センターなどが想定されております。

○初鹿委員 ところで、小規模作業所の中には、既に現状の法内事業である小規模授産施設に移行を済ませたところや、移行を目指して準備をしていたところもあると思います。そういう作業所の関係者などは、今回この法律ができて変更されるわけで、非常に困惑しているのではないのかなと思っております。
 なかなか十分に情報が行っていないように関係者から聞いているんですけれども、そこで、既に法内事業になっている小規模授産施設はどのようになっていくのか、お伺いいたします。

○吉岡障害者施策推進部長 ご指摘のとおり、経営の安定化、運営基盤の強化を目的といたしまして、一定の条件を満たしたものを法内事業とする小規模通所授産施設という制度が平成十三年度に創設されております。現在、都内に百五十三カ所のこの小規模通所授産施設がございます。
 この小規模通所授産施設につきましては、五年間の経過措置期間中は現在の事業を継続できますけれども、この間に、障害者自立支援法の新たな事業体系に移行する必要がございます。移行先の事業につきましては、先ほどの小規模作業所の場合と同様でございます。

○初鹿委員 小規模授産施設については、五年間の経過措置を経て移行すればよいということですね。
 ところで、小規模作業所が法内事業へ移行するには、何らかのメリットがないとなかなか踏み切れないのではないかなと思うんですね。そこで、小規模作業所が法内事業に移行するに当たってのメリットは何でしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 法内事業へ移行するメリットでございますけれども、小規模作業所が法内事業へ移行いたしますと、施設経営の安定化、事業運営の透明性の確保が図られるとともに、社会福祉法に基づく社会福祉事業となることから税制上の優遇措置を受けられるようになります。また、都は、現在の法内施設に対しまして民間社会福祉施設サービス推進費補助を行っております。これらの点が法内事業へ移行するメリットでございます。

○初鹿委員 今お答えいただいたメリットというのは理解するんですが、そうはいっても、さまざまな移行をする上での条件をクリアしなければならないわけで、なかなか簡単に小規模作業所が法内事業へ移行することができない、難しいという事業者も出てくるんだと思うんですね。
 小規模作業所が法内事業へ移行する上での課題はどのようなものがありますか。

○吉岡障害者施策推進部長 法内事業へ移行していくためには、社会福祉法人やNPO等の法人格の取得や、今後具体的に示されてまいります予定の法内事業の運営基準を満たす必要がございます。

○初鹿委員 現在のところまだ運営基準がしっかりと示されていないわけで、なかなか議論をここでするのは難しいのかもしれませんが、やはり東京都として法内事業に移行しやすくなるような誘導策というんですかね、何らかの具体的な手だてを講じるべきではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 都といたしましては、良質なサービスを提供する小規模作業所が法内事業へスムーズに移行することは重要であると考えてございます。このため、新たに策定いたしました障害者地域生活支援・就労促進三か年プランにおきまして、施設設備に対する整備費の特別助成など、小規模作業所の法内化促進策を盛り込んでおり、法内施設への移行を積極的に支援してまいります。

○初鹿委員 次に、今度は法内施設に移った場合、法内施設の場合について若干気になるところを聞かせていただきますが、今後、利用者負担として一割の定率負担と食費を支払うことになるわけですね。これは、この法律の性格、また目指すものからしてやむを得ないことだと思います。しかし、工賃よりも利用者の負担が高くなる場合が想定されるわけで、どのようにお考えになっているでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 利用者負担につきましては、障害者自立支援法では原則一割の定率負担とした上で、月額上限額の設定や、低所得の方に対しましては、社会福祉法人の負担軽減措置や食費の負担軽減などの配慮がなされております。
 他方、工賃に関しましては、こうした作業所においても利用者に対してより高い工賃が支払えるよう、作業種目の見直しや改善に常に取り組むことが求められております。このため、都といたしましては三か年プランにおきまして、こうした施設の取り組みを促すため、必要な施設設備の整備に対して特別助成を行うことによりまして、施設の経営改革等の支援を行ってまいります。

○初鹿委員 あくまでも利用者の方というのは、現在だと、働きに行っているというふうに皆さん思っていると思うんですね。それにもかかわらず、働きに行きながらお金を払ってもらえないということがあるのは、こういう法の制度になったからやむを得ないと理解をしながらも、何となく割り切れないものがあるのではないかなと思います。そういう意味では、工賃がしっかりともらえる、しかも今まで以上により高くなるような取り組みというものを、各作業所なり施設が行う必要があると思うんですね。
 私も幾つも施設を見に行って、いろいろ職員の方と話をしていて感じるんですが、せっかくつくったものがなかなか売れないんですよね。売り場がないと、つくっても、例えばバザーで売っているとか、何かお祭りのときに店を出して売っているとか、そういうことで、なかなかつくったものがきちんとした収入に、しかも安定した収入になっていないところが非常に多い、というよりも大半だと思うんですね。
 ですから、東京都として、販路の拡大といういい方がいいんでしょうかね、作業所やそういう施設などでつくった製品がきちんと製品として市場で売られるような、そこの支援をぜひしていただきたいと思います。
 次に、運営費の補助金についてですが、今後、日割り計算になっていって、障害者の方が、利用者の方が利用した日数に応じてこれが支払われるということになるわけです。となりますと、障害を持っている方というのは非常に体調に変化が激しいですし、毎日通所するということを予定していても、なかなか毎日通所できないこともあって、運営費が日割りですと非常に不安定になってしまうんではないかなと思います。そうなってくると、職員の確保なども安定的に行うことが非常に難しくなるのではないかと懸念されるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法におきましては、施設等に支払われます報酬につきまして、これまでの月払い方式から日額払い方式に転換することとしております。あわせまして、各施設の利用率の向上とともに、サービスの潜在的な需要に対応することができるよう、一日当たりの平均利用人員が定員を下回っていれば、定員を超えての一時的な受け入れを可能とするなどの規制緩和も行われます。
 他方で、職員配置につきましても、前年度の平均実利用人員に基づき配置すべき職員数を算定する方法に変更するなど、柔軟な職員配置が可能となる仕組みが組み込まれておりまして、職員の安定的な確保は可能であると考えております。

○初鹿委員 今、職員の安定的な確保は可能であるというお答えでしたけれども、やはりここもかなりそれぞれの施設の努力というか、工夫が必要になってくると思いますので、その辺も含めてしっかりと都として支援していくことが重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今回のこの障害者自立支援法の一番重要なところは、就労支援をどうしていくかということだと思うんですね。東京都としても、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランというものを設けて就労支援に力を入れていくということであります。その中で、企業内通所授産事業というものについてお伺いいたしたいと思いますが、この事業の仕組みはどのようになっているのかをお聞かせください。

○吉岡障害者施策推進部長 企業内通所授産事業でございますけれども、これは、授産施設を利用する障害者が実際に企業等の事業所に通い、そこで実習訓練を受けることにより、企業等での一般就労への移行促進を図ることを目的とした事業でございます。
 国事業では、身体、知的、精神、三障害の法内の授産施設を対象としておりますけれども、都は独自に法定外の作業所にもこの事業を拡大しております。障害者の一般就労への移行を促進するため、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランに基づきまして、今後、都内三十三カ所での実施を予定しております。

○初鹿委員 これは私も大変いい取り組みだと思うんですね。実際に働いている現場に障害者の方が行って、そこの事業所の職員の方と一緒になって作業をして、実際の仕事というのはこういうものだなというのを体験できるというのは非常にいい取り組みだと思います。
 しかしながら、行ってみて、それで、行っていろんなことを勉強してよかったなと思ったんだけれども、その先が就労になかなか結びつかないということになるともったいないと思いますので、ぜひこの事業に参加するというか、この事業にかかわった障害者の方がきちんと一般就労できるような仕組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 この事業では、障害者の一般就労への移行を支援するために、ハローワーク等が職業相談、個別求人開拓、職場定着支援等を行ってまいります。
 また、都におきましては、先駆的な就労支援を行っている授産施設関係者などで構成される就労支援プログラム作成委員会を設置いたしまして、こうした企業内授産事業を実施している授産施設などが障害者の一般就労に向けた取り組みを行う際に参考となるノウハウをまとめた就労支援プログラムを現在作成しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みによりまして障害者の一般就労への移行を進めてまいります。

○初鹿委員 ぜひ一人でも多くの障害をお持ちの方が一般企業で就労できるように、取り組みを進めていただきたいと思います。
 それでは、最後の質問に移ります。
 ことしは、皆さんご存じでしょうか、ハンス・アスペルガーさんという方が生まれて百年目になるそうです。ハンス・アスペルガーさんというのは、もう皆さん聞いておわかりだと思いますが、一九四四年にアスペルガー症候群に関する論文を発表した方です。当時はほとんど注目されていなかったようなんですが、今から二十五年前の一九八一年にローナ・ウィングさんという児童精神科医の方が「アスペルガー症候群 臨床的記述」という論文を発表して再評価されることになり、これによってアスペルガー症候群というものが世に知られるようになったようであります。
 このアスペルガー生誕百年とローナ・ウィングの論文から二十五周年ということで、二人の業績を記念して、ことしは国際アスペルガー年二〇〇六ということで、世界各地でいろいろな催しが企画されているそうです。この日本の中でも講演会や研修会などが行われるということであります。
 さて、この都議会においては、我が都議会民主党の政調会長をその当時務めていた青木英二目黒区長が平成十五年の第四回定例会の代表質問で、恐らく初めてこのアスペルガー症候群という単語を議会の中で使ったんだと思います。当時は恐らく福祉局の方々も聞いたことがないという方が多かったんではないかなと思いますが、今では発達障害者支援法というものができて、多くの方も耳にするようになってきたと思います。
 この発達障害者支援法が制定されて、このアスペルガー症候群を含む高機能自閉症やADHD、LDなどの発達障害者に対する支援策の充実というものが今望まれてきているところでありますが、東京都は平成十五年の一月に発達障害者支援センターを開設して、相談事業や研修事業などを行ってきました。
 まず最初に、発達障害者支援センターの開設以来の相談件数の推移をお伺いさせていただきます。

○吉岡障害者施策推進部長 発達障害者支援センターの相談件数についてのお尋ねでございますが、平成十五年一月開設から三月までの相談件数は十九件、平成十五年度は三百三十二件、平成十六年度は四百四十件でございまして、増加傾向にございます。

○初鹿委員 恐らく関係者の方は発達障害というものを十分に理解するようになってきているんですが、やはり一般的にはまだまだ知られていないわけで、今後、皆さん方が啓発、理解の促進などを行えば行うほど相談件数というものが増加していくことになるんだろうなというふうに思っております。また、その一方で、発達障害の方がだんだんと世の中で認知されるようになればなるほど、きちんとした理解を進めていくということが重要になってくると思います。
 そういう意味では、この支援センターを初め東京都で行っている研修というものが今後非常に重要になってくるんだと思います。現状では、特にかかわりのある関係者の方に対する研修が重要で、私も昨年の予算委員会で、体系的にしっかりと研修を行うように充実してほしいということで質問させていただきましたが、現在のところの研修の実績についてお伺いさせていただきます。

○吉岡障害者施策推進部長 発達障害者に関する支援を進めていく上では、保健所の職員や保育士、教員など、相談を直接受ける職員が発達障害について正確な知識を持つことが極めて重要でございます。このため、発達障害者支援センターでは、これら職員に対する研修を実施するとともに、母子保健研修の中でも発達障害に関する基礎研修を実施しております。
 平成十六年度は、発達障害者支援センターにおきまして、区市町村職員、保育所や学校等の職員などに対する基礎講座や研修を四十二回実施するとともに、母子保健研修におきましても、医師、保健師、保育士、看護師を対象にした研修を二回実施いたしました。また、今年度は新たに都の教育委員会と共催で発達障害基礎講座を開催するなど、教育関係者に対する理解促進にも積極的に取り組んでいるところでございます。

○初鹿委員 ぜひこの理解啓発活動、また研修にしっかり取り組んでいただいて、発達障害者の皆さんに対する理解を進めて、広めていただきたいと思います。
 いずれにしましても、まだまだこの発達障害者に対する施策というのは始まったばかりですので、今後より一層充実していくことを求めるとともに、もうそろそろ、障害を持っている方に対する直接的な支援策というものはどのようなものがあるのかということを検討する時期に来ているんではないかなと思いますので、その点も今後検討していただきたいとご要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○松葉委員 子育て支援について伺います。
 私、きょう、地元の幼稚園の卒園式に出てまいりましたけれども、本当に子どもたちが生き生きとして、未来に向かって伸びていこうという姿に大変感動いたしましたし、また、立派に成長してもらいたいという、心からその思いを深くしてまいりました。
 子どもたちが生活をしておりますこういった幼稚園や保育所や学校は、子どもたちのためのものでありますし、子どもたちのためという視点で考えていくということが大事だと私は常日ごろから思っております。
 先日、私の住む地元の方から、保育についてのお手紙をいただきました。その方は公立の認可保育所でゼロ歳児保育を経験されたお母様でございましたけれども、この保育所は、正規の保育士の先生の皆さんが出勤されるのが八時半ということで、七時半からお子さんを預かっていただいておりますけれども、七時半から八時半までの一時間は、当番の正規の先生とパートの方たちが、早く登園するゼロ歳児と一歳児を一緒に一歳児のクラスのお部屋で保育をするというような内容でございます。ですので、この七時半に預かっていただいたゼロ歳児のお子さんなんですけれども、七時半の登園だったので、一歳児クラスの床でおむつをかえられている生後数カ月の我が子の姿を見て悲しくなりましたという、そのようなお母様の声でございました。
 手紙の最後に結ばれておりましたのは、先般、保育園で半ば強要された署名の内容を見てもわかりますが、子どもたちやお母さんのことが最優先されているというよりは、先生たちの権利を守ることが優先されているように思えてなりませんという、そういうお手紙でございました。
 そこで、きょうは公立保育所の、まずはゼロ歳児保育、そしてまた延長保育の実施状況はどうか伺います。

○都留少子社会対策部長 公立保育所は平成十七年四月一日現在千六カ所で、都内認可保育所の約三分の二を占めております。公立保育所のゼロ歳児保育の実施率は平成十七年四月現在で六七%、産休明け保育につきましては三七・七%となっております。開所時間の延長を行っている実施率は、平成十六年度の実績で六〇・二%、二時間以上の延長はわずか三%にすぎません。いずれも私立の認可保育所の実施率より低くなっておりまして、公立保育所が利用者の切実なニーズにこたえ切れていない実態がございます。

○松葉委員 公立保育所の利用者の方の満足度につきまして都はどのように把握しているのか。例えば認証保育所等と比較してどうかということを伺います。

○都留少子社会対策部長 福祉サービス第三者評価では、認可保育所と認証保育所で共通の評価項目を設定し、利用者の満足度調査を行っております。
 平成十六年度の利用者調査結果を見ますと、例えば、お迎え時にお子さんの様子について話がありますかという設問に対し、はいと回答した保護者は、公立保育所では六二・八%でございますが、認証保育所では八八・一%となっており、二〇%以上の開きがございます。同時に、お迎え時にお子さんが満たされた表情をしていることが多いですかという問いには、公立保育所では七七・一%、認証保育所では八五・六%。お子さんや保護者の要望、意見をもとに改善が行われていますかという問いでは、公立保育所四八・九%、認証保育所六五・三%の保護者が、はいと回答しております。
 このように、公立保育所は認証保育所と比較して全体的に利用者の満足度が低いという結果が出ております。都は、こうした状況を区市町村に情報提供し、公立保育所のサービス向上を働きかけてまいります。

○松葉委員 私がいただいたお手紙の方、また今の第三者サービス評価の利用者の調査結果等で、公立の保育所につきまして、やはりサービスの提供面等でも改善すべき点があることがわかります。こうした公立保育所を含めて認可保育所のサービス改善を図るとともに、認可保育所制度そのものを、サービス改善が進むように改革する必要があると考えますが、都の認識を伺います。

○都留少子社会対策部長 都は、認可保育所のサービス改善が図られるよう、サービス推進費の再構築や第三者サービス評価の受審促進などに取り組んでまいりました。
 しかしながら、本当の意味での利用者本位のサービスを提供していくためには、区市町村による入所決定の仕組みから、利用者が保育所を選択し、施設と直接契約できる仕組みとするなど、保育所制度の見直しを図っていくことが必要です。都はこれまでも、保育所制度の抜本的改革を国に提案要求しておりますが、今後とも強く国に求めてまいります。

○松葉委員 あわせて、さきの予算特別委員会で我が党の中嶋議員からも質問いたしましたが、平成十八年施行予定になると思いますが、認定こども園ができることになる、今国会で成立すればなると思いますが、これにつきましては四つの形態がございますが、四番目に地方裁量型というのがございます。これは、都が国に先駆けて取り組んできた認証保育所がある意味では法的な位置づけが可能となるということで、一定の評価ができると思います。今の認証保育所でまた幼児教育が行われることによりまして、都民にとってさらに進んだ制度に生まれ変わっていく、そのようなことも期待しております。
 続きまして、学童保育について伺いたいと思います。
 学童クラブなんですけれども、まだまだ数が十分でないと、そのように思います。学童クラブに入っているお母様方なんですが、保育所のときには、延長保育があるところに行っていれば、八時とか九時までとか見ていただけたわけです。認証でしたら十時ですね。それが夕方六時には閉まってしまうということで、保育所に通っているときには仕事を続けられるんだけれども、小学校一年生問題といいまして、小学校一年生になったときに仕事をやめなければいけないんじゃないか、そういうような課題が今出ております。
 そういう意味では、学童クラブへ行きまして、夕方六時に暗い中帰ってきて、かぎをあけて中に入るということよりは、むしろ明るいうちに家に帰ってきて、家で待っていた方がいいんじゃないかという声もあるほどでございまして、そういう意味では、この学童クラブの延長ということも含めまして考えていく必要が出てきているんではないかと思います。
 そこでまず、この学童クラブの実態と今の都の認識について伺います。

○都留少子社会対策部長 学童クラブは、平成十七年三月三十一日現在で一千三百七十二カ所設置されております。設置形態といたしましては、主に学校併設型と児童館の併設型がございます。また、親の就労にかかわらず、すべての児童を対象としました、いわゆる全児童対策として実施する場合でも、学童クラブの要件を満たしていれば学童クラブ事業として認めております。
 都では、東京都次世代育成支援行動計画で、平成二十一年度末までに一千四百十七カ所まで拡充する目標を立てております。午後六時を過ぎて開所している学童クラブは八十五カ所でございます。保護者の就労実態や子どもの安全な居場所の確保の観点から、学童クラブにおいても開所時間の延長を図っていく必要があると考えております。

○松葉委員 千三百七十二カ所のうち、六時を過ぎて開所している学童クラブは今八十五カ所というお話でございましたので、ぜひ延長を図っていただきたいと思います。
 この学童クラブにつきましては、実施主体が区市町村でございますので、そういう意味ではハード、ソフトの両面から区市町村の取り組みが必要となってまいります。都としても、区市町村の取り組みを後押しして、拡充に向けた動きを促進していく必要があるのではないかというふうに考えます。
 そこで、都は区市町村にどのような支援を行っていくつもりなのか伺います。

○都留少子社会対策部長 平成十八年度に創設いたします子育て支援基盤整備包括補助で、学童クラブの創設、増改築などの整備を支援していくことにより、数の拡充を図るとともに、開所時間の延長や障害児保育など、ニーズに合った機能拡充にも努めてまいります。
 また、十八年度創設いたします子育て推進交付金でも、政策誘導項目に、開所時間の延長や、多くの障害児の受け入れを実施している学童クラブ数など四つの指標を設け、ポイント加算を行う仕組みといたしております。
 これらにより、都としてハード、ソフト両面から学童クラブの拡充、充実に向けた区市町村支援を行ってまいります。

○松葉委員 今、子育て支援基盤整備包括補助、また子育て推進交付金ということで、都としてハード、ソフト両面から学童クラブ拡充、充実に向けて支援していくというご答弁がございまして、期待もしておりますし、ぜひ進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、乳がん対策について伺います。
 平成十七年度の事務事業質疑で、私は、乳がん対策について質問させていただきました。現在、東京都の乳がんの死亡率は全国一高い状況となっております。その意味では、乳がんによる死亡率を減少させるためには、できるだけ多くの都民の方が検診を受けて早期発見を行うことが重要でございます。
 国では、健康フロンティア戦略における女性のがん緊急対策の一つとして、全国にマンモグラフィー五百台の整備を計画しております。都でも、東京都健康推進プラン21後期五か年戦略において、がんの予防重点課題の一つと位置づけておりまして、乳がんにつきましては、検診受診率の数値目標を五〇%まで、平成二十二年度までに上げるということを聞いております。
 この乳がん検診を進めていくためには、都でも、マンモグラフィーの整備を初めとした十分な検診の実施体制が整備されていく必要があります。都でも今年度からマンモグラフィーの整備を行っているということでございますが、都が今年度整備したマンモグラフィーの台数は何台かということ、また、整備によりまして現在都内にはマンモグラフィーがどのぐらい整備されて、どのくらいの人数が検診を受けることが可能になっているのか伺います。

○杉村保健政策部長 都におきましては、平成十七年度、区市町村の検診を実施しております機関に対しまして十二台のマンモグラフィーを整備いたしました。その結果、平成十八年二月現在、都内のマンモグラフィーは二百五十一台ございます。また、この数により検診が可能な人数は、国の基準で計算をいたしますと、年間で約四十八万人になります。

○松葉委員 都内の乳がんの検診対象者、四十歳以上ですけれども、約百三十四万人と聞いております。検診受診率が五〇%目標ということになりますと、計算しますと約六十七万人ということになりますけれども、今のご答弁だと、年間で約四十八万人という、マンモグラフィーの受診ができる人数でございますので、そういう意味では六十七万人に対して四十八万人ということなので、まだ十分な機器の数ではないというふうに思われます。このことから、今後もマンモグラフィーの整備拡充を図っていく必要があると考えます。
 今後、区市町村が実施する乳がん検診の対象者に検診の機会を提供していくために、都としてマンモグラフィーをこれからどのようにさらに整備していくのか伺います。

○杉村保健政策部長 都のマンモグラフィー整備につきましては、区市町村が実施する検診に使用する機器の整備に補助をするものでございまして、平成十七年度と十八年度の二カ年で実施することといたしております。十八年度は二十台の整備を予定いたしております。
 あわせまして、医療機関が日常の診療や検診に用いるため独自に導入する機器の整備状況を見ながら、関係機関と十分連携いたしまして、検診実施体制の整備に努めてまいります。

○松葉委員 今、機器整備、十八年度二十台という予定でございましたけれども、この機器整備の拡充と同時に、検診業務に従事される人材も確保しなければ、検診の機会を拡充することはできないわけでございます。都においては、平成十六年度から、区市町村のマンモグラフィー検診に従事する医師の方や撮影技師を養成する研修事業を行っておりますけれども、これまでの状況と今後の取り組みについて伺います。

○杉村保健政策部長 平成十六年度、十七年度の二カ年間で読影医師百四十七名、診療放射線技師百五十名に対し養成研修を実施いたしております。十八年度におきましても引き続き医師百名、技師百名に養成研修を行い、区市町村における乳がん検診の実施体制の整備に引き続き努めてまいります。

○松葉委員 機器の整備また人材の育成について取り組まれているということで、これが実現することを期待しておりますし、ぜひお願いいたします。
 この検診の受診率を上げるためには、やはり都民の方が検診を受けようという、そういうお気持ちになっていただいて検診をしていただく、そのためにはどう強いメッセージを送るかということが大事だと思います。
 今年度、東京都が都庁舎をピンクにライトアップするとかいうようなことも含めまして、ピンクリボン運動、きょうもリボンをつけていただいている関係者の方がいらっしゃいますが、ピンクリボン運動を展開されてきました。来年度もぜひこの取り組みを発展させて、区市町村や民間企業を巻き込んでぜひやっていただければと考えております。
 例えば、提案ですが、健康づくり応援団というのを今取り組まれていらっしゃいますけれども、そのような健康づくり応援団と協力するなどして、ピンクリボン運動を展開して、ぜひ受診をPRする、そういうイベント等を行っていく、そういうようなことがいいんじゃないかと提案をさせていただきまして、質問を終わります。

○吉田委員 それでは、私、子育て推進交付金の問題と障害者自立支援法への対応の問題、大きくいって二点について質問させていただきます。
 最初に、子育て推進交付金について質問いたします。
 私は、昨年の事務事業質疑、ことしに入っての請願審査のそれぞれの段階で、都加算の廃止、交付金化の問題について取り上げて質疑をしてまいりました。包括補助制度一般を否定するものではもちろんありませんけれども、子育て推進交付金は、東京の保育水準を維持向上させるための都加算を廃止、統合し、事実上、都としての保育の誘導水準をなくしてしまうことになりかねない、そういう重要な問題をはらんだものだと思います。これまでの議論の上に立って、きょう改めて、提案されている、来年度の予算に盛り込まれている子育て推進交付金の中身について立ち入って質疑をさせていただきたいと思います。
 第一点は、何点かあるんですが、ここに子育て推進交付金のチャート図、以前説明を受けました、その中で、平成十八年、十九年、二十年、二十一年度というふうにされていますが、二十年度までは経過措置で、本則が二十一年度ということになっています。通常でいいますと、二十一年度以降は本則、もちろん将来永遠ということはないでしょうけれども、一定期間、恒久的な制度としてこの仕組みを継続するというふうに理解するのが一般的な理解だと思うんですけれども、ただ、聞いてみますと、あくまでも二十一年度以降は再協議であるというふうに説明もあり、市長会の方にもそのような説明があったと聞いています。
 この本則というのは一体、二十一年度限りのものなのか、それとも一定期間の将来にわたるものなのか、そこをまず確認させてください。

○都留少子社会対策部長 平成二十二年度以降につきましては、今回の再構築と同様に、市町村と話し合いの場を設け、適切に対応してまいります。

○吉田委員 そうしますと、本則はあくまでも二十一年度であって、それから先は事実上話し合いによるものだということなんですよね。したがって、市長会の側からも、二十一年度までは、この予算フレームそのものが極めて制約されたものなんですけれども、二十二年度以降どうなるのかということについて全く財政的な見通しが立たない、減らされるんじゃないかという懸念の声が上がっているんですが、これはいかがでしょうか。

○都留少子社会対策部長 今回も、交付金につきましては市町村との協議の中で十分に議論を行いまして、ご理解を得ております。二十二年度以降につきましても、今回の再構築と同様に市町村との話し合いの場を設け、適切に対応してまいります。

○吉田委員 なぜ、このことについてまず質問させていただいたかといいますと、保育をめぐって、最近の福祉保健局の発言の中で、例えば市町村への支援について、昨年度の、従来の答弁と若干の違いがありました。予算特別委員会の福祉保健局長の答弁で、認可保育所の運営は基本的には国基準によって必要なサービス水準を確保できるものと考えていますというご答弁がされました。しかし、昨年、私が担当部長と質疑をした際は、そうした旨の発言をした後に、それに加えて、今後とも望ましい保育水準を確保するため、保育の実施主体である市町村を支援してまいりますという文言がつけ加わっておりました。これは福祉保健局の認識、見解の変更なのか、それとも前回の部長答弁を基本的に継承されるというふうに理解していいんでしょうか。

○都留少子社会対策部長 認可保育所の運営は基本的には国基準による職員配置で可能であり、基本的な認識に変化はございません。都はこれまで、都としてより望ましいと考えるサービス水準を実現するため、国基準に加え、個別の補助事業により増配置を誘導してまいりました。
 しかし、望ましいサービス水準の実現には、これまでの都が一律に定めた都基準による増配置に限定されることなく、多様な方法がございます。地方分権の今日、望ましいサービス水準を実現するための手法は、実施主体である市町村が自主的に判断することが望ましいと考えております。

○吉田委員 なぜこのことにこだわったかといえば、国基準だけでいいですよという観点にもし立ったとなれば、それでは、今後どのような形をとるにしても、都としての責務を果たすことができないという懸念があり、そういう流れの中で、将来的な財政、予算措置がどうなるのかという懸念はやはりつながって出てくる話だというふうに思うからであります。
 さらに、具体的な問題について質問させていただきます。
 これは市町村を対象とした交付金制度ですけれども、望ましい保育水準の中に、一つはゼロ歳児保育というものが入っていると思うんですけれども、現在、ゼロ歳児保育のための加算金額は約二十八億円です。これが、ゼロ歳児保育の実施に応じて、この交付金制度によって果たして増額が担保されているのかどうかということについてただしたいと思うんです。
 多摩の市町村の全保育所の中でゼロ歳児保育を実施しているところ、未実施の保育所は幾らなのか。そういう未実施のところが、単純にすべてというふうに仮定するのは現実的じゃないかもしれませんけれども、ゼロ歳児保育を実施する、そういう財政負担の増加に対応できる仕組みとなっているのかということなんです。

○都留少子社会対策部長 平成十七年四月現在、市町村部の認可保育所数は五百七十四カ所であり、そのうちゼロ歳児の受け入れを行っている保育所数は四百九十七カ所でございます。都としては、大都市特有の保育ニーズに的確に対応するためにはゼロ歳児保育が促進されることが望ましいと考えており、サービスに必要な財源は交付金総体として確保していると考えております。
 なお、現在、ゼロ歳児の受け入れを行っていない認可保育所七十七カ所のうち、公立が七十カ所であり、私立は七カ所でございます。仮にすべての認可保育所でゼロ歳児を受け入れたとして、市町村に事務執行上の課題が生じた場合には適切に対処してまいります。

○吉田委員 問題は、この交付金の仕組みというものは、さまざまなメニューや計算方式がありますが、少なくとも百四十五億円、定数が増加するものを除けば百四十五億のフレームは変えないということなんです。百四十五億のフレームを変えないで、どうやってゼロ歳児の実施に応じた適切な支援というものができるのかというものが現実的な検討課題としてあると思うんですよね。
 例えば、今いわれた数で機械的に計算いたしますと、多摩の市町村の中でゼロ歳児未実施の保育所が七十七カ所ということになりますよね。それで、これまで出されている四百九十七の保育所に対するゼロ歳児加算分の二十八億円で計算しますと、全施設が行った場合には、私の概略で計算すると四億円の新たな財政支援が必要になってくるんです。百四十五億円のフレームを変えないで、ゼロ歳児だけを取り出しましたけれども、これをどうやって捻出することができるのかということなんです。

○都留少子社会対策部長 百四十五億以外に、ゼロ歳児がふえまして定員がふえた場合には、それに対応するような仕組みになっております。また、先ほど申し上げましたように、もしもすべての認可保育所でゼロ歳児を受け入れたということが実現いたしまして、市町村に事務執行上の課題が生じた場合には適切に対処してまいります。

○吉田委員 この問題にこだわるのは、ゼロ歳児保育を伸ばすことと、それに適切な人的な保障、配置というものが伴わなければ、やはり保育ニーズ、保育サービス、保育水準を引き上げることができないということだから、この問題にこだわったわけです。
 もう一つ、これは前回質問して、明快なお答えを私は受け取っていないと認識しているんですけれども、政策誘導分なんですよね。この図を見ますと、政策誘導分は、全体の百四十五億のうち来年度は一割、一〇%を政策誘導に充てますと。そして、四年後には二〇%を政策誘導に充てますということになっています。そうすると、政策誘導分というのは二倍にするわけですけれども、百四十五の分母で計算をいたしますと、来年度は十四億五千万、それが平成二十一年は二十九億円を政策誘導分として用意するという仕組みになっています。しかし、あくまでも政策誘導分の計算の仕方というのは、十四億なり二十九億を分母にして、全体の市町村のポイント数に対する、そこの市が獲得したポイント数の比率で掛け合わすわけですよね。要は比率なわけです。数じゃないんです。そうすると、全市町村がポイントを二倍に四年後にした場合には、二倍の分母に対して二倍のそこの該当市の分子で計算すれば、比率は全く上がらないんですよね、極めて単純な計算なんですけれども。
 そうすると、政策誘導の努力をしても受け取る比率は変わらないということになって、それで果たして真に政策誘導的な効果を得ることができるのかということがあるんです。

○都留少子社会対策部長 政策誘導項目は、サービスを誘導することを目的としたものでございまして、個々のサービス内容を実現するための経費を直接算定するものではございません。サービスを実現するための財源は交付金総体として確保しており、また、例えば先駆型子ども家庭支援センター事業など、別途補助制度により措置されている事業もございます。

○吉田委員 先ほどからいっているように、百四十五億という枠を固定してしまえば、その中であっちをふやします、こっちをふやしますといえば、必ずそのどちらかにしわ寄せと矛盾がない限り、同じ枠の中ですから、ふやすことができない。そういう仕組みになっているから、この制度では真に保育水準を維持することも不可能だし、ましてや伸ばすこと自身の制約があるではないかということを基本問題として改めてはっきりさせたいということなんですよ。これで保育水準が向上できるなどということは、私は到底いえないと思いますよ。
 それで、極めて具体的な事例として確認しておきたいんですが、市長会の中で基本的に了承というふうに私も聞いていますが、無条件では決してありません。その中で、七項目にわたって附帯意見といいますか、つけられていると思うんですが、これ、まず概要をちょっと説明していただけますか。

○都留少子社会対策部長 七項目の概要でございますけれども、まず一番目といたしまして、交付金総額は十七年度予算ベース百四十五億円の確保を基本とする。二番目といたしまして、都補助要綱の廃止に当たり、都はこれまでの補助事業の基準を参考に示すなど、一定の事務的な工夫、配慮は行う。三番目といたしまして、児童数の少ない町村あるいは面積当たりの児童人口が低い市町村に対しては特例を設ける。四番目といたしまして、事業の実施状況を踏まえ、平成十八年度に政策誘導分の検証の機会を設ける。五番目といたしまして、平成二十二年度以降の取り扱いについては再度市町村と十分な話し合いをする。六番目といたしまして、平成十九年度以降別枠で交付される定員増分につきましては確実に実行すること。それから、七番目といたしまして、延長保育ですとか障害児保育に係る経費の今後の増嵩見込みを十分踏まえ、定員増単価の設定を行うことというものでございます。

○吉田委員 今の中で、特に二番目の項目で、都はこれまでの補助事業の基準を参考に示すなど、事務的な工夫、配慮を行うという旨の項目が出されているんですが、これにはどのように対応、準備されているんでしょうか。

○都留少子社会対策部長 制度改正に当たり、実施主体である市町村の現場が混乱することがないよう、これまでの都加算補助の要綱を参考として示すなどの事務的配慮を考えております。

○吉田委員 都加算補助の要綱を参考として示すということなんですが、私は、もしそういうことならば、当然人的な配置、そうしたこともやはり誘導として示すことがサービス水準の向上につながるというものとして、これは要望としてお伝えしておきます。
 続きまして、自立支援法の問題についてダブらない範囲で質問させていただきます。
 第四回定例会で、この自立支援法への都の対応の問題について、我が党のかち議員が文書質問し、回答をいただいています。その前提の上に立って、きょうは新たに提起されている問題などについて質問いたします。
 第一は、利用者負担の軽減、支援の問題です。
 いうまでもなく、障害者が人間として当たり前の生活をするために必要な支援をすることを益とみなして負担を課すという応益負担は、憲法や福祉の理念に反するものであり、とりわけ障害が重ければ重いほど負担が重くなる。負担に耐えられない障害者はサービスを受けられなくなるという事態が起きかねない問題です。東京都が、ホームヘルプサービスあるいは精神障害者通院医療費について都独自の支援策をとったことは、一定の改善策として評価できるものです。しかし、今求められているのは、そうした上に立って、さらなる負担の軽減策が求められていると思います。しかも、既に全国でそうした新たな努力が開始されていることに注目すべきだと思います。
 新聞報道で認識している範囲ですので、ご説明していただきたいんですが、例えば京都市あるいはお隣の横浜市など、東京都とは違う仕組みの負担軽減制度を提案しているというふうに聞いていますけれども、東京都は、この京都市、横浜市の負担軽減策についてどのように承知しているのか、説明をお願いいたします。

○吉岡障害者施策推進部長 全国の他都市の動向でございますけれども、まず横浜市につきましては、市民税非課税世帯の利用者に対しまして在宅サービスの利用者負担金を無料とするというものでございます。実施期間は三年間を目途としているというふうに聞いております。
 また、京都市でございますけれども、所得階層全体を、国の四階層から独自に六階層とするとともに、市町村民税非課税世帯及び市町村民税所得割四万円未満の世帯の利用者に対しまして、在宅サービス、補装具、自立支援医療の月額負担上限額をおおむね国の半分とするというふうに聞いております。また、京都市におきましても実施期間は三年間というふうに聞いております。

○吉田委員 例えば横浜市の場合には在宅全般ということになっているわけですよね。東京都の場合にはホームヘルプサービスに限定するという制約があるわけですけれども、こうした財政力でいえば、決して東京都が特段の困難があるどころか、逆に財政的にははるかに力があると思うんですが、横浜市あるいは京都市のような、こうしたより踏み込んだ軽減策を東京で進めていく上で何か特段の障害というのはあるんでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法では、負担の公平化と制度の安定的運営を図る観点から、一割の定率負担を原則とした上で、月額上限額の設定や社会福祉法人による負担軽減制度など、低所得者に対する配慮がなされております。
 都は、障害者が地域において自立した生活をしていく上で基幹的な役割を果たしているホームヘルプサービスや自立支援医療における精神通院医療などにつきまして、独自の負担軽減策を実施する予定でございまして、他の負担軽減策を実施する考えはございません。

○吉田委員 ぜひこうした横浜や京都の事例を大いに参考にして、今示されている負担軽減策でもう完了ということではなく、さらに実態に即した改善策というものを改めて要望しておきたいと思います。
 あわせて、負担軽減の関連で、先日、東京都社会福祉協議会の障害関係の各部門の責任者の方々が連名で緊急要望を提出されました。その中の一つに、より全般的な利用者負担の軽減策が盛り込まれております。あわせて、例えば工賃に対する所得課税の問題が提起をされています。工賃控除がこれまでの年額二十八万八千円から減額される。そうすると、工賃が上がっても、控除の見直しによって利用者負担がふえる。これではやはり本人の意欲をわかせることが難しくなってしまう。
 こうした問題について、もちろんこれは国の税制との関係がありますから、都単独でというわけにいかない制約はありますけれども、改善方の要望が出されているんですが、これはどういうふうに受けとめ、どう対応していくんでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法では、負担の公平化と制度の安定的運営を図る観点から、一割の定率負担を原則としております。利用者負担の算定方法が、これまでの応能負担と課税状況に応じた負担上限月額の設定と基本的に異なっているということがございますので、この二十八万八千円と新しい制度の年額で三万六千円というのを単純に比較することは妥当ではございません。
 利用者負担につきましては、一割の定率負担につきましても、負担上限月額の設定や個別減免、社会福祉法人の軽減措置の実施など、低所得者に対してきめ細かな負担軽減のための配慮がなされておりますが、さらに、この工賃とかかわりの深い通所授産施設を利用する場合につきましては、国の制度の中におきましても、市町村民税非課税世帯であれば、工賃収入額にかかわらず負担上限月額を特に低く設定するという特段の軽減措置が講じられている、そういうところでございます。

○吉田委員 あわせて、施設の方の課題について、この機会に質問させていただきます。
 これまで東京都の場合には、国の制度の上に、施設運営費あるいは人件費などについて東京都独自の加算が行われてまいりました。サービス推進費の支給が行われており、これは単に施設で働く方々だけではなく、結果的には入所者や利用者の処遇向上という意味で、東京都独自の加算というものは非常に大きな役割を果たしてきたと思います。当事者からもそうした声が寄せられています。
 ところが、この自立支援法によってサービス体系が大きく変わる。制度そのものが変わる中で、この東京都独自の加算、サービス推進費、こうしたことに東京都がどう対応するのかというのは、非常に現場にとって大きな課題だというふうに思います。基本的にやはりこれまでのサービス水準が維持されるということを前提として、新たな状況に対応した東京都の独自加算のあり方というものが検討されるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 ただいまのサービス推進費についてのご質問にお答え申し上げます。
 民間社会福祉施設に対するサービス推進費につきましては、平成十六年度から、これまでの画一的な仕組みを改め、サービス向上に向けた努力が真に報われる制度に再構築いたしました。今後、障害者自立支援法に基づく制度の実施に向けた国の動向を見きわめながら適切に対処してまいります。

○吉田委員 適切にというのは、ぜひサービスの維持向上を図る立場から適切に対応していただきたいというふうに思います。
 あと、それに絡んで、極めて具体的な要望で、先ほどの東社協の緊急要望の中に次のような項目があります。既に調理員等を配置している施設、事業に対しては、人件費補助、外部委託の場合の業務委託に準ずる補助措置を講じていただきたいという旨の項目があるんですが、これはいかがでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 食費等の実費負担の導入等に伴いまして、国では、食事を提供している施設の提供方法等につきまして、現在、規制緩和をする方向で検討しているところでございます。事業者への規制緩和策を実施することにより、調理体制の柔軟化を図り、調理コストの縮減化を図っていく方向ということでございますので、私どもでは国の検討動向を見守りたいというふうに考えております。

○吉田委員 ぜひ実情に即した検討をお願いしたいと思います。
 この施設運営の問題で、先ほど初鹿理事からも話がありましたけれども、いわゆるこれまで定員で運営費が支給されていたものが、利用者の実日数で運営費が計算されることによって、大幅な影響が施設運営に出てくるということについてです。これは、杉並の大きな通所授産施設の事務長からも、この問題について、ことし厳しく要望が出されたところです。
 先ほどのご答弁との関係で聞かせていただきますけれども、先ほどは、一定の緩和策をとるから、一々そのたびごとに職員が減ったりふえたりということではなくて、安定的な確保が可能となるという旨のお話がありました。ただ、問題は、今の実際の職員配置との関係でいうと、施設長の話は、後退が起きると。たとえ安定的であったとしても、今の人員配置と比べると後退を余儀なくされるということがいわれているんですが、そういう認識はございますか。あるいは、調査をされているでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 私どもは、職員配置につきましても、柔軟な職員配置が可能となる仕組みが組み込まれてございますので、安定的な確保に支障はないというふうに考えてございます。

○吉田委員 安定的な確保はいわれたけれども、問題は、これまでの職員配置よりも後退する、低くなって安定する可能性があるんじゃないですかということを私はいって、そうした現状に対する対応策を求めたいということで質問したのであります。同じことをいっても多分答えは同じでしょうけれども、やはり安定すればいいというわけじゃないですよ。今の人的な配置水準などが適切に維持されるということを前提とされて、そのための必要な支援策というものを皆さん方が大いに検討していただきたいということを述べて、私の質問を終わります。

○藤井委員長 議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時二十九分休憩

   午後五時四十六分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○早坂委員 まずは、花粉症対策についてお伺いいたします。
 昨年は、杉、ヒノキの花粉が大量に飛散し、東京都の観測史上最高となりました。ことしは昨年に比べ飛散量は少ないようですが、花粉シーズンを迎え、マスクをして町を歩いている方を多く見かけますし、また、この部屋にもいらっしゃいます。
 先月、生活文化局が発表した都政モニターアンケートでは、特に実施してほしい花粉症対策として、六割近くの方が、スギ花粉症の根本的な治療方法の研究開発を挙げています。東京都民は根本的な治療法の完成を強く待ち望んでいます。
 現在、一般的には、症状を軽くするために薬を服用するなどの対症療法が行われているようです。また、根本治療法の減感作療法があり、これを受ければ治る可能性もありますが、余り普及していないとも聞いています。
 減感作療法とはどのような治療法で、なぜ普及していないのか、まずお伺いいたします。

○牛島参事 花粉症の根本治療法として現在行われております減感作療法は、スギ花粉エキスを皮下注射し、徐々に体を花粉にならして、アレルギー症状が出ないように体質を改善する治療法でございます。
 しかし、二年以上通院して定期的に注射を受ける必要があるなど、患者さんの負担が大きいこと、この治療法を行っているのが大学病院などの一部の医療機関であること、また、治療を受けても二、三割の方は改善効果が見られないことなどの理由から普及が進んでおりません。

○早坂委員 注射による減感作療法は、患者さんにとってなかなか負担が大きいようです。東京都は、来年度の重点事業で取り組むこととしている総合的花粉症対策の中で、新たな治療法である舌下減感作療法の臨床研究を進めるとしていますが、どのような取り組みを行うのか、お伺いいたします。

○牛島参事 舌下減感作療法は、スギ花粉エキスを垂らした食パンを舌下、口の中の舌の下ですけれども、舌下に置き、粘膜から花粉エキスを体内に吸収させる方法です。この治療法は自宅でも実施できるため、通院する回数が少なくて済むなどのメリットがありますが、日本ではまだ実用化に至っておりません。
 そのため、都では、臨床医学総合研究所や都立病院などの協力を得て、舌下減感作療法の臨床研究を行い、早期に実用化できるよう取り組んでまいります。

○早坂委員 このような新しい治療法が普及し、身近な医療機関で気軽に根本治療が受けられるようになれば、長年花粉症に悩んできた方にとっては大変な朗報であります。ぜひ積極的に臨床研究を進めるようお願いいたします。
 治療対策と並んで重要なのは予防であります。現在、花粉症に悩んでいる人は、シーズン中なるべく症状を悪化させないために、天気予報のように毎日の花粉情報を見ながら、マスクや眼鏡など予防策をとっていると思います。
 東京都では、ホームページやテレホンサービスなどで、毎日の花粉測定結果や予報を都民に情報提供していますが、より適切かつ有効な予防策をとるためには、さらにきめ細かく情報を伝えることが必要だと考えます。今後の方策についてお伺いいたします。

○牛島参事 都は現在、飛散した花粉の量を顕微鏡で見て計測し、公表しております。予報は、区部と多摩地域の別に一日単位で行っています。今後、花粉自動測定装置を設置して、測定結果を迅速に提供するとともに、地域別に時間単位で予報が行えるシステムの開発を行います。これによりまして、きめ細かでタイムリーな情報の提供を行い、飛散の多いときに注意報や警報などで注意喚起をすることも可能になります。こうした情報を活用して、都民の方々に適切な予防行動をとっていただくよう呼びかけてまいります。

○早坂委員 花粉症の予防、治療対策の推進は都民の期待が大変高いものであります。東京都議会では、花粉症対策議員連盟の設置に向け、現在努力中であります。今後も積極的に花粉症対策を進めていただくようお願いいたします。
 次に、腎臓病対策、人工透析についてお伺いいたします。
 腎臓には、体内の老廃物を尿として排せつさせるろ過機能や、余分な水分を尿として排せつさせる水分調整機能などがあります。この腎臓が機能しなくなった場合に、血液を一分間に二百ccのペースで一たん体の外に出し、ポンプの力で、ダイアライザーと呼ばれるろ過装置を通して体外循環させることによって、腎臓本来の役割を代替させるのが人工透析でございます。これが機能しないと尿毒症になり、一週間から十日で死に至ります。
 人工透析は通常二日に一回、一回当たり四時間が必要だとされています。本来、二日なら四十八時間休みなく動いているはずの腎臓の機能をわずか四時間で代替させるために、大量の血液を体の外に出すのですから、透析は心臓に大変な負担がかかります。透析患者は障害者手帳の一級に指定されています。人工透析は死ぬまで治療を受け続けなければならない終生医療であります。つまり、死ぬまでの間永遠に、二日後に受ける人工透析の時間と場所のアポイントメントをとり続ける必要があるのです。
 では、何が原因でこの人工透析を受けるようになるのでしょうか。また、現在都内にどれくらいの透析患者が存在し、行政としてどのような支援策を設けているのか伺います。

○杉村保健政策部長 まず、人工透析を受けるようになる原因でございますが、糖尿病あるいは慢性腎炎などがございます。最近では、新たに透析を受ける患者さんの四割以上が糖尿病が原因といわれております。
 次に、都内の患者数でございますが、日本透析医学会の資料によれば、平成十六年末で二万四千百三十六人となっております。
 また、支援策についてでございますが、都は、特殊医療費助成制度や心身障害者医療費助成制度といたしまして、医療保険における自己負担分について助成を行っているところでございます。

○早坂委員 人工透析を受けたその日は、体がぐったりして帰宅するのも大変だと聞きます。透析患者は、尿が全く出ないか、出てもほんのわずかで、したがって、ごく少量の水しか飲んではいけない、低たんぱく高カロリーの食事が必要など、健常者と正反対の厳しい食事制限が必要です。燐やカリウムを含んだ果物、海藻、生野菜など、健常者にとって体にいい食事はすべてだめであります。
 先ほどのご説明にもありましたが、透析導入患者の半数近くが糖尿病からの悪化によるものであります。腎臓病予備軍は都内におよそ百万人ともいわれています。さらなる透析患者の増大抑止には、糖尿病性腎症の知識普及や予防管理体制の強化が必要だと思いますが、これに対する東京都の取り組みについて伺います。

○杉村保健政策部長 糖尿病性腎症を予防するためには、その原因でございます糖尿病を予防するとともに、糖尿病の重症化を防ぐことが必要でございます。このため、区市町村におきましては、老人保健法に基づきまして、健康教育、健康相談、基本健康診査を実施いたしまして、糖尿病の普及啓発や早期発見に努めております。
 また、都におきましてもホームページ等によります普及啓発を行うとともに、生活習慣改善指導推進事業、糖尿病予防自己管理支援モデル事業、あるいは人材の養成などを通じまして区市町村を支援いたしております。
 さらに、疾病別に医療連携システムの構築を進めている中で、一部の地域では糖尿病を取り上げ、保健所が地区医師会や中核病院と連携いたしまして、糖尿病の発症予防や症状の適正管理による進行抑制に取り組んでいるところでございます。

○早坂委員 想定される首都直下地震が現実のものになった場合に、透析患者は、地震そのものからの直接の被害を免れたとしても、災害時における透析治療体制が整備されていなければ、莫大な数の二次的な犠牲者になり得る可能性があります。ダイアライザーとそれを動かすための電気、そして透析用と消毒用に一回当たり百二十リットルもの水が必要です。災害時においても、人工透析を行っている四百近い医療機関すべてに、これを供給するのが望ましいのはいうまでもありません。とはいえ、非常事態においては、これに対する一〇〇%の対応が現実的には極めて困難だろうこともまた想像にかたくありません。最も必要なのは、二日後の透析をどこで受けられるかという情報なのであります。
 そこで、平成十六年の新潟県中越地震における被災地での透析患者への対応と現在の東京都の準備体制についてお伺いいたします。

○杉村保健政策部長 新潟県中越地震におきましては、透析施設の被災情報や患者情報の把握など、関係機関による情報の共有化ができたことが円滑な透析医療につながったといわれております。
 都では、平成九年に災害時における透析医療活動マニュアルを作成したところでございますが、現在、新潟県中越地震の教訓を踏まえまして、専門家のご意見を伺いながら、より実践的な内容に見直しを行っているところでございます。
 また、都内では、災害時の地域情報ネットワークが多摩地域において構築されておりましたが、今回のマニュアル改訂を契機として、関係者のご努力により特別区内にも構築され、これによって、透析医療機関が連携する都内全域のネットワークが完成しました。都も本年一月、これらネットワークのメーリングを活用したシステムに参画したところでございまして、災害時にはどこの医療機関で透析が可能かなど、迅速に広域的な情報収集や緊密な情報交換を行い、円滑な透析医療の確保を図ってまいります。
 今後、関係機関との合同の訓練を行うなど、より一層連携を強化してまいりたいと考えております。

○早坂委員 災害時における東京都の備蓄食料はアルファ化米とおかゆですが、先ほど申し上げたとおり、透析患者には厳しい食事制限があります。現在備蓄されている味つけの濃いアルファ化米は、塩分、カリウム、燐が高過ぎて食べられません。また、おかゆは水分過多とエネルギー不足になるおそれから、これもまた食べられません。もちろん、災害時の非常食の確保は自助努力によってなすべきことは、健常者も透析患者も同じです。しかし、それだけでは不十分だとして、行政の役割として一定数の備蓄食料を確保しているのですから、そこには、健常者だけでなく透析患者向けのものが一定数用意されているべきだと思います。
 現在備蓄されているアルファ化米を、今後、一定数低たんぱく米に切りかえていくことは、健常者も食べられるし、有効な手段だと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○朝比奈生活福祉部長 都では、各区市町村において災害要援護者の特性に応じた日用品や食料の準備などの対策が行われるよう、区市町村向けに、災害要援護者への災害対策推進のための指針を作成するとともに、災害要援護者防災行動マニュアルの指針において、各家庭での三日間の備蓄を推奨しているところであります。
 ご提案の低たんぱく米の備蓄につきましては、透析患者への効果的な供給の方法などの課題もあり、どのような対応が適切か、関係機関等とも連携しながら検討してまいります。

○早坂委員 ありがとうございました。都内で二万五千人といわれる透析患者の命を守るため、東京都のさらなるご努力をお願いいたします。
 続いて、ノンステップバス、福祉タクシーコレクトセンターについてお伺いいたします。
 高齢者、障害者が身体機能が低下していても安心して外出できるためには、段差などの移動の際のバリアが取り除かれているとともに、安心して利用できる移動手段が確保されていることが必要であります。地域を網の目のように結んでいる路線バスは、住民に身近で最も生活に密着している公共交通です。
 都内を走行する路線バスの総数がどれぐらいあるか、また、ノンステップバスはそのうちどのぐらいあるか、お伺いいたします。

○朝比奈生活福祉部長 都内路線バスの総数でございますが、都バスと民間路線バスを合わせまして、平成十六年度末で約五千四百台であり、このうちノンステップバスは約二千三百台であります。民間路線バスに限れば総数は約三千九百台であり、このうちノンステップバスは約一千六百台となっております。

○早坂委員 東京都が従来から実施している、だれにも乗りおりしやすいバス整備事業の内容とこれまでの実績についてお伺いいたします。

○朝比奈生活福祉部長 本事業は、民営バス事業者がノンステップバスを導入する際に、通常車両価格との差額に対して、一両当たり百六十万円を限度に補助を行うものでございます。平成十年度に本事業を開始し、平成十六年度には整備計画の目標を一千台から車両総数の二分の一に引き上げ、ノンステップバスの計画的な整備の推進を図っているところでございます。これまでに千五百両の整備補助を行ったところでございます。

○早坂委員 現在都内を運行している民間事業者のノンステップバス一千六百台のうち千五百両は東京都が整備補助を行ったということでありますが、車両総数の約半分がノンステップバスになった現在、今後の整備方針についてお伺いいたします。

○朝比奈生活福祉部長 十八年度で二分の一の目標も達成される見込みでございますが、路線バスは、住民に最も身近で生活に密着した公共交通機関であります。ノンステップバスの整備に対する住民ニーズも高いことから、いわゆる交通バリアフリー法の基本方針で定めます整備計画の最終年度でございます平成二十二年度までに更新するすべてのバスのノンステップバス化を支援いたします。

○早坂委員 車いすの使用者や高齢者が外出する際に利用する交通手段として、ドア・ツー・ドアで個別のニーズに対応でき、また車いすのままで乗ることができるリフトつきやスロープつきの福祉タクシーがあります。都内の福祉タクシー事業者数と車両数についてお伺いいたします。

○朝比奈生活福祉部長 平成十七年末で福祉タクシー事業者は約三百四十、福祉タクシー車両数はおおむね八百五十両でございます。近年、相当数の事業者が新たに許可をされており、ここ一年余りで車両数が一・二倍となっております。

○早坂委員 福祉タクシー車両の総数はふえていますが、一事業者が所有している車両数は限られています。このため、予約がとれるまでに何社にも電話をしなくてはならないなど、利便性には課題があります。配車調整ができなければ希望日に外出することをあきらめることにもなります。一カ所に電話をすれば済むような仕組みづくりが必要だと考えます。
 平成十八年度の新規事業として、福祉タクシーコレクトセンター整備事業が予算化されていますが、事業の内容とその効果についてお伺いいたします。

○朝比奈生活福祉部長 本事業は、福祉タクシーを所有している各タクシー事業者の空車情報と利用者ニーズをマッチングさせる総合配車センターの設立を支援するものでございます。福祉タクシー事業者で組織しております公益法人に対しまして、補助率二分の一で一千五百万円を限度として、システム開発費や備品購入費などの立ち上げ経費に補助を行うものでございます。総合配車センターでは、予約日に家庭配車を行う予約配車と、付近を走行している加入車両を配車する即時配車を行う予定でございます。
 利用者ニーズに一元的に対応することにより福祉タクシーの利便性が向上し、移動に制約のある方々の日常生活や社会参加のための外出が容易になるものと考えております。

○早坂委員 ありがとうございました。利用者の立場に立った仕組みづくりの推進をお願いいたします。
 続いて、不妊症対策についてお伺いいたします。
 国の研究によると、日本で不妊治療を受けた人は、平成十一年では二十八万人であったのが、平成十五年には一・六倍の四十六万人にふえたと推計されています。また、新生児の六十五人に一人が体外受精で誕生との学会調査もあります。不妊治療を受けられる方は増加しておりますが、一般的に不妊治療の成功率は約二割といわれており、非常に長期にわたり治療を繰り返し受ける方が多いのが特徴です。平成十六年度から、東京都における不妊治療に対する助成制度がスタートしましたが、その実績についてお伺いいたします。

○佐藤参事 東京都特定不妊治療費助成事業の実績についてお尋ねでございますが、初年度でございます平成十六年度の実績は千六百四十件でございます。また平成十七年度は、二月末現在でございますが、千七百七十三件の助成を行いました。

○早坂委員 助成を受けた方々の費用や治療内容、治療期間などについてお伺いいたします。

○佐藤参事 治療費についてでございますが、都は一年度当たり十万円を上限に助成を行っております。平成十六年七月受け付け開始から一年間の実績で見ますと、治療に要する費用は平均約三十二万円でございました。
 治療内容や治療期間についてでございますが、不妊治療には、一般的な治療法である排卵誘発法のほか、高度な技術を必要とする体外授精、顕微授精などがあり、過去の治療歴を見ますと、多くの人が複数の治療法を複数回受けているという現状がうかがえます。また、治療期間は平均約四年間でございました。

○早坂委員 平均治療期間約四年という長期間にわたる治療は、肉体的、金銭的な負担だけでなく、いつ妊娠できるかわからないし、また必ずしも妊娠できるとも限らないという大きな精神的ストレスをも伴うものだと思います。ご見解をお伺いいたします。

○佐藤参事 委員お話しのとおり、不妊治療は、経済的な負担のみならず、身体的にも精神的にも大きな負担を伴うものでございます。こうしたことから、都は、不妊治療の経験があるカウンセラーによる電話相談としまして、平成八年度より不妊ホットラインを開始し、不妊治療を受ける方の不安や悩みの相談に応じているところでございます。

○早坂委員 国は来年度から、不妊治療費の助成期間の制度を一夫婦当たり通算二年から通算五年まで延長するとしています。
 東京都においてはどのように実施する予定か、お伺いいたします。

○佐藤参事 助成年限の延長についてでございますが、国は平成十八年度から助成期間を通算二年から通算五年に延長する方針であり、都としましても、今後、国の正式な通知を受け、迅速に対応していく予定でございます。あわせて、都民に対し「広報東京都」やホームページなどによる周知を行うほか、指定医療機関に対する情報提供を適切に行うなど、円滑な制度改正への対応を行ってまいります。

○早坂委員 ありがとうございました。
 続いて、病児保育についてお伺いいたします。
 私が目にしたある保育園での研究発表に、親が一番涙をこぼすときという項目がありました。それによると、実に七〇%が子どもが病気になったときを挙げました。子どもを保育所に預かってもらう保護者にとって最も困るのは子どもの病気だといえます。働く母親にとって、自分の子どもが病気になった場合には、もちろんのこと仕事を休んで子どもの面倒を見たいのです。しかし、一定以上の責任を持って仕事をしている場合には、きょうだけはどうしても休めないという日が絶対にあるわけです。子どもが病気のときぐらい親が面倒を見るべきであって、病児保育なんてとんでもないという意見は、現実を直視していない建前論にすぎません。そこで、子育てと就労の両立支援の観点から、病児保育についてお伺いいたします。
 病児保育の対象は、病気が回復期にあり、安静が必要で、集団保育が困難な場合となっています。ほとんどの保育所では、三十八度以上の発熱があった場合には子どもを預かりません。病気がよりひどくなる急性期であれば病院で治療を受けるべきですが、一概に何度以上の発熱だからと判断するのではなく、むしろ少しぐらいの発熱があっても、食欲、機嫌、活動性、下痢、嘔吐など全身症状が良好であれば、むしろ回復期にあると判断すべきだと、私の知り合いのドクターから伺いました。
 病児保育には、医療機関併設型、保育所併設型、派遣型などがあります。医療機関併設型でもあくまで保育ですから、入院や点滴などの処置は行いませんが、一般の保育所では行わない投薬を看護師が行います。
 では、まず、この病児保育に対する国の制度についてお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 国制度では、児童が病気の回復期で集団保育の困難な期間、保育所などの児童福祉施設や病院、診療所等の専用スペースなどにおいて一時的に預かる事業を病後児保育と呼んでおります。このうち、病院、診療所では、病気の回復期に加え、いまだ病気の回復期に至らない場合の預かり事業、いわゆる病児保育も実施することができるとされております。事業の実施主体は区市町村であり、事業の基本となる専用室の面積や職員の配置については国が定めております。
 病児保育を含む病後児保育に対する国の財政支援は、平成十七年度に従来の補助制度から交付金制度となり、区市町村に直接交付される仕組みとなりました。交付額は、受け入れ児童が四人規模の場合、年間約三百二十万円であり、そのほか改修などが交付金の対象となっております。

○早坂委員 では、この制度の都内での実施状況と保育時間や受け入れ定員など、具体的な実施方法についてお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 病後児保育の都内の実施状況は、平成十八年二月一日現在で三十七区市、五十七施設、派遣方式型一事業であり、未実施は十二区市と町村部でございます。実施方法は、国の基準を踏まえ、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて定めております。
 都内の状況を具体的にお示ししますと、受け入れ対象児の年齢は生後一カ月から小学四年生までさまざまでございます。申込方法は、区市町村に事前に登録し、利用は直接施設に申し込む方式がほとんどでございます。利用料はおよそ一回二千円から三千円となっております。保育時間の設定はおおよそ八時間から十一時間で、最長で十三時間、これは渋谷区でございます。受け入れ定員は一区市平均で六人ぐらいであり、最も多いところで品川区の二十人となっております。

○早坂委員 病児保育は、園児四人に対して看護師と保育士がそれぞれ一人と、通常の保育所に比べて手厚い保育看護が特徴だとされています。しかしながら、私が実際に見てきたある医療機関併設型の施設では、例えば朝の時間帯は、キャンセルの受け付けと次の繰り上がった人への電話連絡など事務作業に完全に一人とられており、事実上四人の子どもを一人で見ていました。隔離室を利用する場合や、ミルクを抱いて飲ませる場合には、同様に一人が完全に動けなくなります。実際の運営には、定員四人なら三人のスタッフが必要だと私は感じました。行政からの補助金は、四名定員の施設の場合、年額三百二十万円です。ボーナスや社会保険料などを合わせれば、一人分のお給料にも足りないかもしれません。
 また、季節による利用者数の変動が大きく、夏風邪、冬風邪のシーズンとそうでないとき、かなり差があります。また、子どもは容体が変わりやすいので、キャンセルが大変多いのも難点です。しかも、病児保育には専用の保育室や安静室を設けることが必須とされており、また、調理室や調乳室が病児保育専用でない場合は、その一部を調乳場として区別するなど、事故防止や衛生面においても格別の配慮が必要です。
 このように病児保育は経営上大変難しい問題を抱えております。現状では、赤字を承知で、社会的使命感により実施しているところがほとんどであります。しかし、これではこの制度が広まるはずはありません。そこで、東京都はこの病児保育に対して積極的に財政支援を行うべきだと考えますが、ご見解を伺います。

○都留少子社会対策部長 この病後児保育事業の実施区市町村も実施箇所も年々着実に増加いたしております。しかし、整備費が高額なことや需要の予測が立ちにくいなどの要因もありまして、実施状況は必ずしも十分とは申せません。
 こうしたことから、都は、平成十八年度から新たに実施する子育て支援基盤整備包括補助において、改修費について必要な支援を行うこととしております。また、市町村については、同じく平成十八年度から実施する子育て推進交付金において病後児保育を政策誘導項目に組み入れるとともに、病児保育を実施する場合はさらにポイントを加算し、事業の促進を図ることといたしております。

○早坂委員 現状では、この病児保育への取り組みは個々の施設での対応にすぎませんが、今後さらに病児保育への取り組みを広げていくには、地域での連携体制の構築が必要だと考えます。ご見解をお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 病後児保育事業は、子どもの健康状態と密接に関係するため、かかりつけ医や緊急時の協力医療機関との連携が欠かせません。こうしたことから、実施主体である区市町村が地域の医療機関など関係機関とのネットワークづくりを進めていくことが必要でございます。このため、東京都は昨年六月に東京都病後児保育事業マニュアルを作成し、地域での協力体制の持ち方についてもわかりやすく解説し、事業の推進に努めてまいりました。
 今後とも、実施主体である区市町村の取り組みが進むよう、積極的に支援してまいります。

○早坂委員 今ご答弁にありましたこのマニュアル、病児保育の事業者向けマニュアルは、内容がとてもわかりやすく説明してあり、今後、病児保育をスタートしたいと思う事業者にとって大変参考になるものであると私も思います。
 繰り返しになりますが、病児保育は、子どもを犠牲にして母親が就労するという制度では毛頭ありません。親子が肉体的にも精神的にもともに健康で暮らすために絶対的に必要な制度であります。区市町村とも連携し、これまで余り知られてこなかったこの病児保育の充実に全力を尽くすよう重ねてお願いをいたします。
 次に、子ども家庭総合センターについてお伺いいたします。
 現在の子どもと家庭をめぐる相談の現状を見ていますと、都市化、核家族化の進行に伴う子育て家庭の孤立感や負担感の増大を背景として、関係機関に寄せられる育児不安や児童虐待に関する相談は年々件数が増加するとともに、その内容も深刻さが増す一方になっています。児童相談所における虐待相談の件数を見てみますと、この十年間で十四倍にも膨れ上がり、虐待者の八割以上は実父母であるという結果も報告されています。また、非行相談の件数も同様に増加の一途をたどっていますが、非行児童の約二五%が幼いころに虐待された経験を持つなど、子どもの非行問題は、親の不適切な養育態度が大きな要因となっていることが近年指摘されているところであります。
 このような児童虐待や非行などの問題を解決するためには、子どもだけではなく、親への指導、支援を一体的、総合的に実施する体制の整備が喫緊の課題となっており、こうした観点からも、東京都が本年一月にまとめた子ども家庭総合センター基本構想は重要な意味を持つものであると考えます。
 そこで、この基本構想で掲げている三つの相談機関は具体的にどのような相談に対応しているのか、お伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 児童相談センターは、児童福祉法及び東京都児童相談所条例に基づき設置された機関でございます。児童福祉司、児童心理司、医師などの専門スタッフが、十八歳未満の子どもに関するあらゆる相談に対応しております。相談内容は、虐待、養育困難などの養護相談、非行相談、不登校などの育成相談などであり、専門的な角度から総合的に診断、判定し、それに基づいた援助方針により子どもへの援助を行っております。
 教育相談センターは、東京都教育相談センター設置条例に基づいて設置され、教育相談員や心理職などの専門スタッフが、いじめ、体罰、不登校などの相談や、進路や就学などの相談に対応しております。
 少年相談室、少年センターは、警視庁組織規則などに基づいて設置され、警察官や心理職などの専門スタッフが、子どもの非行などの問題で悩んでいる保護者などや、いじめや犯罪等の被害に遭い精神的ショックを受けている少年などの相談、ケアを行っております。

○早坂委員 では、福祉保健局、教育庁、警視庁の三機関を子ども家庭総合センターに集約することによって具体的にどのようなメリットが生じるのか、お伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 仮称でございますが、子ども家庭総合センターは、福祉保健、教育、警察の各相談機関がそれぞれ専門性を発揮するとともに、連携を一層強化し、子どもと家庭を総合的に支援する拠点として整備するものでございます。三つの機関が連携して相談支援を行うことで、まず、子どもに関するあらゆる相談に対してワンストップの対応が可能となること、次に、チームで協働してケースの見立てを行うことで総合的な援助方針を立てることができることなどのメリットが生まれると考えております。

○早坂委員 区市町村にも相談窓口が現在設置されています。東京都と区市町村との役割分担、そして子ども家庭総合センターに期待される役割についてお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 平成十七年四月に施行された改正児童福祉法では、区市町村は子どもの相談に応じる第一義的な窓口、都は専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や区市町村の後方支援という役割を担うこととされております。
 都は、住民に身近な地域による相談支援体制の構築を目指し、これ以前から区市町村の子ども家庭支援センターの設置を進めてまいりました。あわせて、区市町村職員の資質向上を図るため、相談援助技術に関する研修や児童福祉司業務の体験など、さまざまな支援を行っております。
 子ども家庭総合センター(仮称)では、こうした取り組みをさらに進め、区市町村職員に対する研修の充実を図るとともに、各区市町村における子育て相談の仕組みづくりをチームで支援していくなど、地域支援の機能を充実させてまいります。

○早坂委員 積極的な取り組みを期待いたしますが、複雑さ、深刻さを増す子どもと家庭の問題を解決するためには、三つの機関が同じ建物に入ったという形だけの対応に終わってはなりません。せっかくこのような機関を整備するのであれば、連携のメリットが十分生かされるよう、ハード面、ソフト面からしっかりしたものをつくっていくことが必要だと考えます。ぜひ総合の名に恥じない機関になることをお願いいたします。
 最後に、少子化対策の考え方についてお伺いいたします。
 少子化対策に特効薬なしといわれます。フランスやスウェーデンでは、手厚い経済的支援により出生率が上昇したとの評価もありますが、決定打ではありません。本日取り上げた不妊症治療、病児保育、子ども家庭総合センターなども含め、あらゆる施策を総合的に組み合わせていくことで、次世代育成支援を着実に行っていくしかないのだろうと思います。
 ワークライフバランス、ダイバーシティーマネジメントなど新しい概念が生まれています。少子社会対策部長に少子化対策に関する最新のご議論をご紹介いただき、合計特殊出生率が一%割れ寸前の東京都の少子化対策における強い意気込みをお伺いいたします。

○都留少子社会対策部長 お話しの少子化対策に関する新しい概念、考え方についてでございますが、ワークライフバランスは、日本語では仕事と仕事以外の生活の調和と訳されております。これまでのどちらかといえば仕事を中心とした生活を見直し、仕事と子育てなどの家庭生活の調和がとれたものとするという考え方でございます。
 また、ダイバーシティーとは多様性という概念をあらわす言葉でございます。ダイバーシティーマネジメントを一言で申し上げますと、多様な人材を生かす戦略というものでございます。従来の社会や企業内でのスタンダードにとらわれず、女性や高齢者を含めた多様な人材や多様な発想、また価値観などを取り入れ、企業経営に生かしていこうとする考え方でございます。
 ダイバーシティーの考え方が定着している企業におきましてはワークライフバランスの取り組みが進められているなど、この二つの考え方は相互に関連するものでございます。都の次世代育成支援行動計画でも、仕事と家庭生活の両立を目標の一つとして掲げておりますが、これらの働き方の見直しや人材活用に係る考え方は、成熟社会を迎えた我が国にありまして、今後の少子化対策、次世代育成支援を考える上で大変重要なポイントであると考えております。
 都では、都民への普及啓発の一環として、本年一月、「仕事でも家庭でも輝きたい」と題しましたシンポジウムを開催し、欧米諸国の両立支援制度の紹介を初め、民間企業の男性の育児休業取得経験者、就職を控えた大学生、両立支援に取り組んでいる企業などが参加して有意義な議論が交わされました。
 議論のポイントといたしましては、まず男性の育児休業取得は、子育てを通じた地域とのかかわりが生まれるなど、人生の中でプラスに作用する面が多いこと、また、先進的企業は優秀な人材確保のために、また企業の社会的責任を果たすためにも両立支援が重要であり、ワークライフバランスの認識が高まっていることなどが特徴的なものでございました。
 次世代育成支援の取り組みを都民全体で盛り上げていくことは非常に大切なことであり、今後、都民にこうした考え方が広まり、企業を含め社会全体で子育てを支援していく機運が盛り上がっていくことを期待いたしております。
 都といたしましても、大都市の特性に応じた保育サービスなど、さまざまな子育て支援施策の充実を図りますとともに、関係局との密接な連携のもと、育児休業の取得促進や企業の就労環境整備の働きかけを行うなど、都民への普及啓発に積極的に努めてまいります。

○野島委員 何点かお伺いいたします。
 子育て推進交付金の件は、議論が出尽くして、もう別にとやかくいわなくても判断できる状況に私も至りました。
 ただ、さっき松葉委員の方から、ゼロ歳児とか延長保育の公私の実態、それから現実にお預けになっている都民の方のサービスに対する認識というのかな、そんなことをお伺いいたしまして、子どもは未来の宝ですからこれは大事だ、しっかり育て上げる、だから保育も大事、これは当たり前の話なんですが、私、前回に、ある種労働者の権利性みたいな形でこういうものが進まないというふうな認識を表明したことがあるんですよ。莫大な公費を入れながら都民の保育需要にこたえられないということは、何か構造的なことがあるんじゃないかなと僕は思っているんです。
 それで、余計なことなんですが、例えば延長保育になりますと、保母さんは早く出なきゃいけないんですよ、当然。八時半-五時じゃなくて、前にね。そうすると、自分が子育てやっている最中にはだめなんですよ、自分が預けてから仕事に行かなきゃいけないんだから。帰りもそうなんです、帰って子どもの面倒を見なきゃいけないから。ある年齢になってきますと可能になるんですよ。それは、自分の子どもはもう自分で学校へ行くし、帰ってきてもちゃんとやる。高校生、大学生なら関係ないから。そのころになると、今度、自分の体がかったるくなるんです、保育士さんの。だから国基準ではできない、都基準でもだめ、それ以上積まなきゃ、私たちはそういう事業をすることには取り組まないという感覚を持っちゃうんです。労働者の権利性が、バランスの問題だけれども、多く出過ぎちゃうから進まないというのが実態だったんですよ。
 そんなことで、僕は、これから都民の保育ニーズに、片や保護者の要望にしっかりこたえていく、こういう意味では、ぜひ今回の子育て推進交付金をしっかり進めてほしい。保育事業に覚せいを与えるものなんていう大時代な言葉を使いましたけれども、僕はそのくらい重要なことだと思っているんです。
 そこで、さっき吉田委員の方からも本則等に関していろいろ話がございました。特に本則で政策誘導分の絡みがありました。定員増については外枠で見ますよということですから、政策が進んでいって、その分が出てくれば、これは定員増でちゃんと財政を担保しよう、こういうことでございます。
 実は、平成二十一年度本則、こういうことであります。二十一年度というのは、もちろん激変緩和とか、あるいは制度のならしをしていかなきゃいけない、こういうことがあるけれども、極めて象徴的というか、ああ、なるほどなと思っているところがあるんです。
 というのは、市町村の保育所事業というのは昭和四十年、私ども東久留米は昭和四十五年に市制をしきましたけれども、遅い方なんですね。昭和四十年代にばたばたばたばたたくさんつくったんです、人口集中で子どもたちがふえて。その当時に採用された保育士の皆さんは大体二十歳ぐらい。そうすると、平成二十一年になると、この方たちは大体退職するんですよ。一般の組織では、上の方の人がやめても、下から上がっていって、その人たちのベースアップがあれば、局長がたくさん取っていて、今度新しい職員が一人入ったら、その落差分は圧縮されるかというと、ベースアップがありますから、次長さんも厳しい時代。だから、人件費総体はそんなに落ちないんですが、保育所というのはばたばたばたばたつくったものだから、ばっちんとその段階で人を採っちゃっているんです。これが抜けていくんですよ。そうすると、高コスト体質、人件費という絡みで見れば、どんと落ちてくるんです。簡単にはいえませんけれども、大体そういう構造になっている。
 それから、いろんなところで公設民営化をしていますわな。要は、さっきいった労働の権利性、そういうことをいっていても、公務員だから、皆さんも公務員だけれども、公務員だからいいんですよ。いいんですっていうのは、そのまま過ごせるの。民間はそうはいかないわけですよ。だから、公設民営も進めているというのが実態であります。東久留米も、私が執行やっているときには、一園やって、十字砲火を浴びましたけどね。大体その当時と違って、かなり理解は高まっている。相当の財源の圧縮ができますよ。それじゃ、惨めな保育園かというと、先ほどいったように、むしろ公立よりもそういうところの方が、子どもを預けたり、あるいは迎えに行ったときに対応がいいということですから、ぜひそんなことで……。
 いわば今回のこの方法は、私の立場からいえば、保育事業という高コスト体質を圧縮しなければ、国制度や都の制度にがんじがらめになって独創性が発揮できない。その上で、そういう公務労働の特殊性といいましょうか、事情から高コストが是正できない、新しい政策の展開ができないということに大きな風穴をあけるというふうに私は理解しているんです。
 したがいまして、いろんなご議論もございましたけれども、既に市町村との協議も調っているというふうに報告を受けてございますので、ぜひこれから、市町村だってもう何十年も保育事業をやっているんだから、それで独創性が出ないとか、さっきの話じゃないけど、都の基準、人員配置も示すべきだという要望がありましたけれども、国基準があって、都基準があって、それ以上に積んでいる市町村もあるんですよ、実態として配置基準を。そういうものがありますから、それをもう一回市町村もしっかり考え直さなきゃだめだと思うんです。
 そんな思いで、僕はこの子育て推進交付金制度について評価をしているんです。しっかり進めていただきたいと思うんですが、担当部長の気合いの入ったお答えをいただきたいと思います。

○都留少子社会対策部長 お話しの新たな交付金の制度では、子育て支援の主体である市町村が地域のニーズを敏感にとらえ、柔軟な対応を行うことが可能となり、すべての子育て家庭を対象とした効果的、効率的な施策展開につながるものと考えております。東京都といたしましては、市町村に対し十分な支援を行ってまいります。

○野島委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 これから政策誘導分の本則移行がどうなんだという議論がありましたけれども、こういう経過の中でしっかりそういうことをやっていくことによって、僕はもっとこの政策誘導分のウエートというのは高まってきてもいいと思っていますよ。むしろそういうふうにやっていくのが本来だろうというふうに思ってございますので、実情をよく吟味しながら、しっかり進めていただきたいと思ってございます。
 次に、有料老人ホーム対策について伺います。
 昨年十月、事務事業質疑のときに、有料老人ホームを都民が安心して選べるように、都としての支援策を求めたという経過がございます。時間もたっておりますし、新しい制度も構築されるように伺っていますので、その辺のところをお伺いいたします。
 大都市は核家族、したがって、自宅で多世代が同居しながら介護保険等を利用して、あるいは家族介護でというのは、正直なところ難しいと思いますね。独居世帯も相当多くなっている。こういう実情の中では、私もそうですが、これからさまざまな高齢者がさまざまな生活設計をしていくと思うんですよ。その場合に住宅をどうするか、こういうことになろうかと思っております。
 それぞれそんなところで、元気なうちに、そこそこのところに入って、悪くなってもそのまま介護が受けられるとか、そういうものをやっていこうという気になる人も結構多いと思うんですね。そういうふうな人たちに対する現行のケアつき住宅、これにはどういった種類のものがあるのか、教えていただけますか。

○長谷川高齢社会対策部長 高齢者の方がケアつき住宅として選択できるものには、介護や食事等のサービスがついており、介護が必要となっても生活を継続できる介護つき有料老人ホーム、それから、特定施設入所者生活介護の指定を受けたケアハウス、認知症高齢者グループホームがございます。また、本年四月からは、高齢者のみが入居する賃貸住宅である高齢者専用賃貸住宅も、一定の要件を満たしたものは、特定施設として指定を受けることにより介護サービスを提供できることとなります。

○野島委員 ありがとうございました。
 新聞広告を見ても、億単位のお金を保証金として入れているような有料老人ホームもございますし、恐らくピンからキリまでというとあれですが、いろんなケースがあると思うんですね。また、この間、大田区の方かな、非常に人気があって、自分の住まいはあるんだけれども、将来が心配だから、そこは他人に貸して、その賃料が上がってくるので、それをこちらの賃料に充てた形で将来の安心も確保するよ、こんなことで大変人気があるようなんですね。
 特にこの有料老人ホーム、かつてと違いまして、いろいろ切磋琢磨しながら事業者も展開しているようでありますから、選択の幅としては大変大きなウエートを置いていくのかな、こんなふうに思っておりますが、今回の介護保険制度改正、これでは、高齢者のいわゆる住みかえニーズに対応するという視点から見直しを行った、こんなふうに伺っております。老人福祉法の改正により有料老人ホームがどのように変わっていくのか、こんなところを伺ってみたいと思います。

○長谷川高齢社会対策部長 老人福祉法の改正により、本年四月から有料老人ホームの要件が変わり、該当する施設が拡大されます。主な改正点としましては、第一に、十人以上という人数要件が廃止されたこと、第二に、食事の提供が必須要件でございましたが、今後は、食事の提供、入浴、排せつまたは食事の介護、洗濯、掃除等の家事、健康管理のいずれかのサービスを提供するものであれば有料老人ホームとなることができます。このほかに、一時金にかかわる必要な保全措置を講ずること、介護内容や費用負担の額など、入居契約に関する重要な事項を入居予定者に開示しなければならなくなりました。ということが改正点の主なものでございます。

○野島委員 ありがとうございました。
 いろんなものが広がってくると、いろんな情報を得て需要者が選択していく、こういうことになるかと思います。お金の問題も、莫大に最初にいただいて、それをある段階で償却しながら、介護が必要になってもちゃんとやりますよというものもあれば、莫大なものをイニシアルとして取るんじゃなくて、ランニングにばらまいて、月々のお金が普通の賃貸住宅よりも高くなるとか、いろんなケースがあるようです。
 いずれにしても、一時金を払ったり、あるいはその後の住まいとしていくわけですから、入居者にとっても、いろいろな居住そのもの、あるいは介護に関する、そういったふうな材料、これを手短に手元にとれる、こういうことが大変大事だろうと思っております。この間も排除命令、勧告みたいなものがありましたけれども、要するにサービス内容、こういうのをやりますよといって実態が違っていた、こういうことであります。
 そんなことで、これから都民が安心して有料老人ホームを選択するための仕組みづくりということで、これは予算特別委員会で我が党の倉林議員が質問していたのも聞いたんですが、大ざっぱな話だったものですから、もう少し細かく、事業実施に当たっての観点であるとか、あるいは内容、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○長谷川高齢社会対策部長 都民が有料老人ホームを十分に比較検討することにより安心して利用できる環境を整備するため、来年度より有料老人ホームあんしん支援事業を開始することとしております。
 取り組みの一点目は、福祉サービス第三者評価の受審を促進しまして、都民が施設のサービス内容を事前に把握できるよう、都が特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームに直接補助する制度を創設し、受審促進を図ってまいります。
 二点目は、これまで都民に十分に提供されなかった入居一時金の保全方法や、土地建物の権利関係、経営情報など、契約の際に重要な判断材料となる情報をわかりやすく提供する新たなシステムづくりに着手することでございます。

○野島委員 もう終わりますが、今のいろんな保証金の保全であるとか権利関係、あるいはサービス内容、こういったこと。普通、家を借りるにも、昔は重要事項なんて簡単だったんですよ、不動産と宅建業法上のね。今、むちゃくちゃいろいろ細かいものを出さないと重要事項の形をなさない、こういうことであります。
 とりわけ、これからそこに住んで、介護も受けていこう、安心を求めていこうということでありますから、どんな情報をしっかりとその中に組み込んでいったらいいのか、こんなことも十二分にご検討いただきたいと思っております。
 それから、もう最後ですが、先ほど初鹿理事の方から療養病床の転換の話が出ていました。なるほど、地域の受け皿をどうするとか、医療介護の地域の力というのをどういうふうに高めていくのか、あるいは施設の構造、あるいは再編整備、これだって大きな課題だと思うんです。
 民主党さんは、全部相談なしに物を出してとんでもないといっていましたけれども、大体世の中変えていくときに、為政者がこういう方向だというのを出して、その上でいろいろ議論していかなければ、何も出さなければ、執行側は何を考えているんだといわれるのが相場です。先に出すと、何で出したと。じゃ、あなた方は何か考えがあるんですかといったって、そんなところね。
 佐藤先生も一般質問でおやりになりましたけれども、いろんな大きな課題ですけれども、そういう意味では今後、この有料老人ホーム等も大変大きなジャンルとして育っていくのかなと。その育て方について今回、評価制度が導入されるやに伺っておりますので、ぜひ確かなものにしていただきたい。こんなことを要望して、終わります。
 ありがとうございました。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○藤井委員長 次に、議員提出議案第一号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○かち委員 それでは、議員提出議案第一号、老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例案について、提案者を代表して提案理由の説明をいたします。
 本条例案は、現行条例の附則第五項の「この条例は、平成十九年六月三十日限り、その効力を失う。」との規定を削除し、当分の間、六十八歳から六十九歳の制度を継続するものです。
 この数年間、国と都による増税と社会保障、福祉の切り下げ、負担増などのため、とりわけ高齢者の負担増が広がっています。二〇〇〇年度から始まった介護保険料、利用料の負担増が、さらにことし四月から大幅に値上げされようとしています。二〇〇一年には七十歳以上の医療費が定額制から一割負担に値上げされ、さらに二割負担、三割負担に引き上げられるなどの大幅負担増の案が国会に出されています。昨年十月からは、特養ホームなど介護施設利用者の食費、居住費、デイサービスの食費負担が導入されました。その上、今年度から来年度にかけて、年金への課税を強化、各種控除の縮小、廃止など、高齢者の生活が直撃されようとしています。このような相次ぐ増税、負担増、給付削減から、都民、高齢者の健康と命を守ることが都政本来の仕事です。
 都において六十五歳から六十九歳が対象であった老人医療費助成は、来年度予算ではわずか六十九歳の人を残すのみとなり、六十歳代後半の方が医療にかかる受療率は大幅に減少しています。六十歳代の後半は、現役を退き年金生活となり、これまでと生活環境が変わり、経済的にも身体的にも負担感を増す年齢層でもあります。日ごろからの健康管理とともに、病気の早期発見、治療こそが病気の重症化を防ぎ、健康の保持増進を図れるものです。
 しかし、医療費負担が重いゆえに、手おくれや重症化を招くことになりかねません。ひいては医療費の増大にもつながるゆえんであります。だからこそ当初の厚生労働省案では、六十五歳から六十九歳については二割負担に軽減することが提案された経緯もあるわけです。
 全国都道府県における老人医療費助成事業の実施状況調査によると、全国の自治体で高齢者の医療費助成を行っていますし、今なお北海道、大阪、京都、兵庫県など十九の道府県で実施を継続しています。これに加えて、全国二百四十一の市町村が単独事業や道府県制度の上乗せなどの形で高齢者の医療費助成を実施しているのです。その多くは六十歳代の後半が対象で、六十五歳から六十九歳の助成を堅持しているところもあります。また、老人医療費助成と別制度で、高齢障害者や高齢ひとり暮らし女性に対する医療費助成などもあり、合計三百四十五の市町村が何らかの形で高齢者を対象にした医療費助成を実施しております。
 以上の理由から、今後、六十五歳から、制度に戻すことが必要ですが、今回の条例は、当面の措置としてこれ以上の廃止を中止し、せめて東京都のマル福、医療費助成制度の現状、六十八歳、六十九歳を対象として今後も継続することを提案するものです。
 所要額は約七十三億円です。
 ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野島委員 簡単に何点かお伺いいたします。
 前にもお出しになったということなので、余り余計なことをしゃべる必要もないんですが、制度の沿革はそれぞれお互いにわかっていると思います。それについては特にお聞きしませんが、いわば高齢者の医療費負担を伴う絡みでありますから、今日の社会経済情勢、高齢者をどうしていくか、こんなことで、昭和四十四年に制度を創設して、十二年に見直された、こういうことだろうと思っているんですね、違うことがあったら後で教えてもらいたいんですが。
 僕、いろんな意味で原理主義者といわれているんですよ。みんなが僕のことを原理主義者という。で、ちょっとお聞きしたいんですが、条例提案なさることは、これは自治法にも決められた崇高な権利ですから、そのことを私はとやかくいいませんが、ただ、立場の違いという部分でね、引き上がるのかどうかわかりませんけれども、当然さっきお話しのように七十三億の財源が必要ですよと。これは予算の組み替え動議か何かでお出しになって捻出する予定なんですか。

○吉田委員 私どもの提案に対してご質問いただきまして、まず心からお礼申し上げたいと思います。議会の活性化という点でも、こういう場で大いに議員同士も議論するということは非常に有効なことではないかなというふうに思っております。
 今、財源措置についてご質問を寄せていただきましたが、我が党としては、組み替え動議をもちろん出す予定としております。
 なお、ご承知のとおり、来年度予算で見れば、補正予算も含めてかつてない税収増があるという状況の中では、十分財源的にはこれは可能な提案だというふうに確信をしております。

○野島委員 銭金の問題の可能だというのは、なるほど七十三億ですから、税収増をもって充てれば何てことない、こういうことだろうと思うんです。
 私、冒頭、原理主義と申し上げたのは、今の自治法の中では、財政権というのは長に専属しているんですよね。予算の編成権も長に専属しています。議員提出議案でも、例えば一人十万払うよというのを八万にしろというのは、僕は構わないと思うんです。それは十万出す予定のを八万に制約されるわけだから、二万の財政負担は執行側には生じないわけだから、そういう意味では僕は構わないと思うんだけど、組み替えたところで、ある意味では、今日までの施策があって、こういう条例がずっと動いてきたわけですね。それに対して、ある意味では、前に出して否決されたかどうかは別にして、こういう制度をしなければ高齢者は医療関係の負担の増嵩に耐えられない、したがって、その部分をやることによって高齢者が救われるんですよと。救われるって語弊があるけど、そういう部分ですよという意味で、ある部分、条例の一部改正になっているけれども、皆さんの意思表示は、立法の理念からすると、僕は全面改正だと思うんです。
 条文上は一部改正なんですよ、これ。ただし、皆さんはそういう理念を持っているわけですね、高齢者の医療費負担を何とかしなきゃいけないという。しかし、そういう意味では、予算を組み替えして財源があるからいいやじゃなくして、文字どおり日本共産党さんの高齢者施策に対する思いを、この条例に新たに提案していると僕は思っているんです、正直なところね。答弁はいいです。
 したがって、財政措置を伴う条例というのは、自治法の中では議員提出議案としてありますけれども、僕は、行政実例として寡聞にして余り聞いていないです、正直なところね。だから、僕は冒頭申し上げた原理主義者として、こういう条例提案というのは本来あるべきではないということだけ申し上げておきたい。これで……(吉田委員「答弁はいいですか」と呼ぶ)結構です。結構です。(吉田委員「答弁したいんですけれども」と呼ぶ)いや、いいです。いいですよ。じゃ、後でお茶飲みながらでいいです。
 次に、当分の間というのは大体どのくらいを想定しているのか。というのは、先ほど吉田委員の方から、子育て推進交付金の関係で流れがあって、二十一年度本則になるよ、そこで適用して、その後どうなんだという話があったわけですよ。で、今、提案理由の中でも、本当はこんなものじゃだめなんだよ、もっともっと手厚くやれよ、こういう話を伺いました。随分、何でこんなに遠慮して出したんですか。なおかつ、当分の間ということなんですが、大体今後どういう形でやっていったらば、今回これを出すことが生きてくるのか、こんなところをひとつ教えていただきたいと思うんです。

○吉田委員 遠慮した主張ではないのかというご意見でございましたけれども、我々はもともと、やはり六十五歳からの医療費助成制度を進めるべきだというふうに考えております。ただ、現実的に多くの皆さんの同意を得て、しかもかつ、この間、条例、当初、廃止当時には予想されていなかったようなさまざまな負担増が押し寄せてきましたし、また新たな負担増がある中で、せめて今年度まで行われてきた六十八歳、六十九歳を継続するということが何としても緊急課題ではないかという思いで、対象年齢についてはそのようにいたしました。
 なお、当分の間とはいつごろまでのことかということでございますが、具体的な年次について示すことは適切ではないと思いますが、ただ、高齢者の税や社会保障の負担、あるいは年金等の収入について見るべき改善が図られるまでは必要ではないかというふうに思っておりますし、また、今後予定されている政府の医療保険制度の抜本改革や年金制度の改革等の状況というものも、どうしても見きわめざるを得ないことだというふうに思っております。
 同時に、今後、都議会において対象年齢を広げていくことや、本則の六十五歳以上七十歳未満の制度に戻すなどの合意が得られた場合には、そういう方向に移行していくということを当然選択するわけですから、そういう意味から、当分の間、六十八歳以上七十歳未満というふうに、今回改定案の中で提案させていただいた次第であります。

○野島委員 高齢者医療の制度改正なんかの問題を話していると、これはもうスタンスがそもそも恐らく違ってくると思うので、それをやりとりしてもしようがないので、気持ちはよくわかりました。
 それで、この条例は当分の間という話を今したんですが、要は相手方に権利が発生するんですね、この条例を可決すると。こちら側は義務が発生するわけですね、当然財政支出しているわけですから。それで、条例の形として、将来がわからないから、本来こうあるべきだけれども、現状こうなんだから当分の間というのは、僕は条例の表現としてはおかしいと思うんです。入れなきゃいいんです、これ。
 だって、相手に権利を与えて、こちらが義務をしょうわけでしょう。法律の中には、相手に義務を与えるけれども、当分の間免除するというのはあるんですね。多分あると思うんです。それは、相手に不利益を与えないからなんですよ。本来取るものを免除しますということで当分の間というのは、相手に不利益を生じないです。これはいつかということになると--気持ちはよくわかりますよ。条例の形としては、当分の間ということをうたうことによって、皆さんのおっしゃる、これはある種の福祉施策ですわな、そういう福祉施策の中での気持ちはわかりますが、大変な思いをしている高齢者にお金をちゃんと出しなさいよと、基本はこういうことですね。そのことを当分の間というような形でやっちゃうと、これは社会保障だとはいいません、しかし広くは社会保障の一環、そういうものの継続性や安定性が切れちゃうと思うんですね。
 だから、状況いかんでまた条例を変えればいいんですよ。当分の間というのは、僕は極めて条例の中では異質なものだろうというふうに思っています。私は冒頭申し上げたように原理主義者なものですから、答弁をいただいてもすれ違いになりますので、答弁は結構でございますので、終わります。(吉田委員「答弁します」と呼ぶ)結構です。結構です。(吉田委員「いいですか」と呼ぶ)質問者が求めないのに、答弁はすることない。

○藤井委員長 ほかにありますか。--ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時散会