委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 田代ひろし君 |
理事 | 初鹿 明博君 |
松葉多美子君 | |
早坂 義弘君 | |
山口 文江君 | |
山口 拓君 | |
斉藤あつし君 | |
野村 有信君 | |
佐藤 裕彦君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 大塚 孝一君 |
経営企画部長 | 奥田 匠君 | |
サービス推進部長 | 鈴木 茂君 | |
参事 | 及川 繁巳君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出 病院経営本部所管分
・第十九号議案 平成十八年度東京都病院会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第九十二号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
・第九十三号議案 東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
報告事項
・東京都立病院条例等の一部を改正する条例(案)について(説明・質疑)
・多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)整備等事業に係る落札者の決定について(質疑)
・がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業のPFI事業としての実施について(質疑)
○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、議員提出議案について申し上げます。
三月八日の本会議において本委員会に付託されました議員提出議案第一号については、先ほどの理事会において、三月二十日に趣旨説明及び質疑を行い、決定は三月二十二日に行う旨、申し合わせをいたしました。ご了承願います。
次に、予算の調査について申し上げます。
平成十八年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成十八年三月十六日
東京都議会議長 川島 忠一
厚生委員長 藤井 一殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十九号議案 平成十八年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
○藤井委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の報告事項の説明聴取、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
初めに、理事者より報告の申し出があります。これを聴取いたします。
○奥田経営企画部長 報告事項、東京都立病院条例等の一部を改正する条例案につきまして、お手元にお配りしてございます資料に基づいてご報告申し上げます。
お手元にお配りしております資料は、平成十八年第一回東京都議会定例会条例案及び平成十八年第一回東京都議会定例会条例案の概要でございます。
本条例案につきましては、三十日の本会議に上程していただく予定でございますが、本委員会にあらかじめご報告申し上げるものでございます。
それでは、平成十八年第一回東京都議会定例会条例案の概要の一ページをごらんいただきたいと存じます。
この改正は、平成十八年度の診療報酬改定に伴いまして、去る三月六日、国が告示の廃止、新設を行ったことを受け、四月一日からの施行に向けて、関係法令を引用するなど、規定の整備を緊急に行うものでございます。
条例案の詳細な内容につきましては、お手元配布の資料、平成十八年第一回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
以上、簡単ではございますが、ご報告とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤井委員長 報告は終わりました。
本件については、次に行われます予算の調査、付託議案の審査、報告事項の質疑の際にあわせて質疑を行いますので、ご了承願います。
○藤井委員長 次に、第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、病院経営本部所管分、第十九号議案、第九十二号議案及び第九十三号議案並びに報告事項、東京都立病院条例等の一部を改正する条例案について外二件を一括して議題といたします。
本案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○奥田経営企画部長 去る二月十六日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)から、9、がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業に関するVFM(バリュー・フォー・マネー)の算定要素まで、九点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
各病院及び本部における平成十二年度から平成十六年度までの施設整備関連経費以外の一般会計繰入金について記載してございます。
二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
病院会計における平成十二年度から平成十六年度までの一般会計繰入金と、そのうちの施設整備関連経費について記載してございます。
三ページをお開き願います。3、都立病院における平均在院日数、病床利用率、入院・外来患者数及び医業収益の推移でございます。
資料は、このページから七ページまで、五ページにわたっておりますが、いずれも平成十二年度から平成十六年度までの病院別実績でございます。
(1)は、各病院における平均在院日数でございます。
続きまして、四ページ、(2)は病床利用率でございます。
五ページ、(3)は入院患者数でございます。
六ページ、(4)は外来患者数でございます。
七ページ、(5)は医業収益でございます。
八ページをお開き願います。4、都立病院における職種別職員定数の推移でございます。
八ページから九ページにかけまして、各病院における平成十六年度から平成十八年度までの職員定数について、職種別に記載してございます。
一〇ページをお開き願います。5、都立病院における研修医受け入れ状況でございます。
(1)は、各病院における平成十七年度及び平成十八年度の初期臨床研修医定数について記載してございます。
一一ページ、(2)は、各病院における平成十七年度及び平成十八年度の後期臨床研修医定数について記載してございます。
一二ページをお開き願います。6、公社病院における経営状況の推移でございます。
財団法人東京都保健医療公社が運営する三病院の平成十二年度から平成十六年度までの診療収益、患者数などを入院と外来に分けて記載してございます。
なお、患者数につきましては、そのうちの救急患者数及び外来初診患者数を再掲してございます。
一三ページをお開き願います。7、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
財団法人東京都保健医療公社の運営する病院に対する平成十一年度から十七年度までの運営費補助金の推移を記載してございます。
一四ページをお開き願います。8、多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)の整備に係るPFI関連経費でございます。
平成十四年度から平成十七年度までのPFI関連経費につきまして、内容及び経費を記載してございます。
なお、平成十七年度につきましては、平成十八年二月末現在の実績でございます。
一五ページをお開き願います。9、がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業に関するVFM(バリュー・フォー・マネー)の算定要素でございます。
VFMの算定に当たり考慮いたしました主な経費や施設内容などにつきまして、その概要を記載したものでございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより、本案及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○田代委員 時間の関係もありますので、簡単に、簡潔に、的確に進めていきたいと思います。
今度発表がありました福祉と病院経営本部、病院が行ったり来たりって、いろんな先生方から指摘をいただいていると思うんですが、東京都が運営にかかわっている病院には、今申し上げたように、病院経営本部が所管する都立病院と保健医療公社が運営する公社病院のほかに、あとは福祉保健局が所管している老人医療センターですとか、あるいは東京都リハビリテーション病院があるわけですね。
いわゆる都立病院は公営企業会計で運営されていて、公社病院は第三セクターによって運営される。老人医療センターは一般会計で運営される。それから東京都リハビリテーション病院は東京都医師会に運営を委託する。非常に複雑になって、行ったり来たりしているわけですけれども、これは当然そのときそのときの時代に合ったニーズで、一番的確であろうということで行政の皆さんがお考えになって、将来、こういうものは、決めておいたから変えちゃいけないということじゃないわけですよね。将来、そのときそのときに合った形に変えなくちゃいけない。ただ、今こういう状態のときには、これでやっていかないとスタートできないんだというのは当然あると思うんですね。
ですから、あるときには運営主体がかわったりすることは、主役が都民であれば全然構わないわけで、ただし、それがある程度議会側にしっかりと示されて、わかりやすい説明、それから当然理論的な裏づけがあるような説明がなくちゃならないわけであります。大変今、複雑怪奇な形に、運営主体だけでも四つあるような形になっているわけですけれども、そして、病院の所管がかわっていく。
これも、先ほど申し上げましたように、現実、現場に合ったものとして当然運用されていると思うんですが、まず、何でこんな複雑な状況に今なっているか。私が今申し上げたような状態でよければいいんですけれども、そこのところを教えていただきたいと思います。
○奥田経営企画部長 都立病院でございますが、明治の初めに、コレラ、チフスなどの伝染病の流行に伴う避病院、あるいは精神疾患対策としての癲狂院から始まりまして、関東大震災あるいは第二次世界大戦の空襲被害、さらに戦後には、結核患者がふえたということで、それへの対応、さらには高度成長期における高度専門医療への対応ということで、大きな時代の流れの中で、そのときどきの行政的なニーズ、あるいは地域ニーズにも対応しながら変遷を重ねてきたというのが実態でございます。
少し詳しくご説明をさせていただきますと、老人医療センターの前身というのは、明治初期に、生活困窮者の一時的収容施設として創立された養育院でございます。その医療部門が発展したのが、昭和四十七年にさらに養育院附属の老人専門病院になっていくということで、これがさらに老人医療センターという形で現在につながっている。
また、公社病院、リハビリテーション病院のお話もございましたが、それぞれ地域医療の充実、あるいはリハビリテーション医療の充実を目的に設置されたわけでございますが、運営については、構想段階から、地域医療機関との連携のために、弾力的に運営を行いやすい民間の力を活用するということで方針がつけられていったということでございます。
それぞれの病院が、設置時の状況から始まる歴史的経緯を背負いながら、必要とされる医療ニーズに対応するために変遷を遂げてきたということのために、運営形態についても現在さまざまに分かれているというのが実態でございます。
○田代委員 本当におっしゃるとおりだと思うんですよ。僕自身は、医療というものはもっとある程度グランドデザインができていて、ベースが一致しなくちゃならないものだという理想は持っていますけど、しかし現実は、それこそ一世紀ちょっと前には、今、福祉、医療の先進国といわれているような国でも、特に北欧なんかでも、断種なんていう常識を超えたような、精神科あるいは心身の障害を持っている人たちはもう治療方針がないというか、それは神が決めたことだから断種をしちゃえばいいんだなんて、今じゃ人権、人道なんていう目から見たら、何だろうと思うような、想像を絶するようなことすら行われていたわけですね。
この百年の間に非常に変わってきて、医療というものの考え方がとても大きく変わってきたわけです。戦前と戦後の考え方も、この全体主義に関しては、僕は僕なりの考えを持っているわけですけど、一くくりにして、戦前の全体主義の中で行われていた医療とか福祉というもの、それから戦後も、いわゆる経済成長をなし遂げた後の福祉というものと、それと前は違うわけですから、そのときそのときに都立病院あるいは公社化病院、いろんなものが、その時代に合って変わっていくのは当たり前だとは思うんですね。
ただ、そのときに、そのスピードが遅くないように、しっかりと病院のサービスというものを都民に提供できる形の変わり身であれば、それは、それこそ半年に一回ずつ何かが変わったって構わないわけであって、主役がいわゆる患者さんであるということを踏まえて、病院の医療提供というものはしていただきたいと思うんですね。
都として、病院サービスをどのように位置づけて、都民にどのように提供していこうか、そのところのお考えを伺いたいと思います。
○奥田経営企画部長 ただいまご説明申し上げましたとおり、都が関与している病院はいろんな形の病院があるということで、それは歴史的な経緯、あるいはその時々の歴史の、時代の医療ニーズに応じてつくられたり、あるいは運営されたり、いずれにしても都民に医療を提供してきたということでございます。
ただ、それぞれの病院が持つ特色のある医療資源を最大限に有効に活用しながら、都民に対して医療サービスを提供していく、その提供に邁進していくという基本的スタンスは、いずれの病院も全く同じでございます。
当面は、その運営に万全を期すというのが最大の課題でございますが、医療ニーズあるいは社会の動向を十分に見きわめながら、病院運営のあり方、あるいはそこから来る運営主体のあり方、そういった問題についても、関係局とも協議しながら考えていく必要があろうと思っております。
○田代委員 まさしくおっしゃるとおりに、そのときそのときのニーズに合わせて、的確に患者さんを中心に動いていただくということなので、大変ありがたい。ただ、それを実行していただかなくちゃならないわけですし、最後に奥田部長からもおっしゃられたように、関係局ですね。せんだっての予特でも申し上げましたように、今まで大変縦割りの弊害が、弊害といったらおかしいんですけど、それはそれなりに今まで役に立ってきたんですけど、そろそろ制度疲労で見えてきた。ほかの局ともいろんなお話をしていただきたい。必ずしも病院経営本部だけで決めてしまうのではなくて、知恵をとっていただきたい。それも、部長さん以上のいわゆるトップの人たちの話し合いというのは当然今までも行われてきたんでしょうけど、そうじゃなくて、現場で遠慮なく話し合いができるような形のものの醸成。やっぱり上の方々が認めていただかなくちゃならないので、これも、先ほどから申し上げていますように、患者さんが主体であるということをまず中心に据えて考えていただければ、おのずと、どこはやった方がいい、どこはこんなことやらない方がいいということがわかってくると思うんですね。
ですから、それを積極的に行っていただきたい。そのためには、先ほども申し上げましたけど、半年や一年ぐらいでころっと体制が変わってもいいんですよ、基本は、うまくいくかいかないかということですから。
ただ、問題を挙げますと大変多過ぎるんで、簡単に、今大きな問題になっている研修医の問題ですとか、これはせんだっても申し上げましたけど、必ずしも都立病院、公社化病院にいつまでも来るかどうかわからない。来るように今からしていかなくちゃならないわけですし、それから、何といっても一番うまく利用していくためには、地域の医師会。利用という言葉はおかしいんですけど、やっぱり患者さんが一番困っているのは、病院に行ったときに、昔からいわれていることです、同じように血液をとられて、同じように聞かれているって、こんなの時間のむだとはいいませんけど、もうちょっとお医者さん同士で話をしてくれたらどうなのというのは、これは率直な意見だと思うんですよ。
こういうものを、やはり行政的医療がやっていかないと。開業医に、すぐお金を全部出して、吐き出して不採算なことをやれといったって、これはできっこないわけですから、まず手本を示す。いつもお願いしているように、国に対して、東京都の、この大都市の住民の医療というものは、こういう点数をつけて、ここをやっていかないと患者さんが不利益になるんだよということのあかしを、こういう公的な病院がやっていかなくちゃならないわけですね。
公的な病院の今までの最大の唯一の問題というのは、お金を入れるな、入れるなという理由は、実はそこで、大変甚だしく医療とはかけ離れた政治活動が、ごく一部の組合ですけど、非常識な活動がされていたわけで、それが病院の経営を、国立も、こういう都立の病院も非常にゆがめてきたわけですから、そういうものを排するかわりに、徹底的に事務の方や医師あるいは技術者が必要とする、必要十分、最低限の財政的なバックアップというのはきちっとやっていただきたい。
そういうことを申し上げて、これからも、まあ、今からどういうことになるかわかりませんけれども、現場のその病院が変わったために、地域住民が決して困ることがないように。今までと激変しちゃ困るんですね。理屈はいろいろあるんでしょうけど、今まで通っていた人が、行く場所がないんじゃ困る。病院が変わるのはいいんですよ。うちの世田谷でも、ナショナルセンターができるときに、何かわけのわからない運動をして、政治のためだけに、選挙のためだけに騒いだ政党がありましたけど、何か次の日から患者さんが死んじゃうようなことを書くんですね、そういう新聞は。
でもそれは、そういう非常識な新聞はともかくとして、でも……(発言する者あり)いや、何ともいえません。それは、ちょっと名前は違ったような、「赤」って上についていたような気がするんですが、そこから先はわかりませんけれども、ただ、そのかわりに行くとこがないんじゃ困るんですよ。必ず行けるようにバックアップ。
それは、さっきからいっているとおり地元の医師会です。医師会をうまく、利用という言葉は申しわけないけど、利用していただければいいのであって、患者さんが次の日からどうしようという不安にならないような、告知というか広報というものは、今からの時代--医療と福祉は広報が要らないって、昔はそういう感じでしたが、今は、もうそれが逆に必要なんですね。理解していただく、納得していただく、こういうことに努めていただきたいということを要望して、質疑を終わります。
○山口(拓)委員 私からは、PFI手法での今回の事業選定について幾つかお伺いしてまいりたいと思います。
多摩広域基幹病院、小児総合医療センター、両方とも仮称でありますが、この整備等事業について、落札者が決定したという報告がこの本会議でもなされたところでありますが、この事業は、設計、建設から建物維持管理、給食、滅菌、こういった医療周辺事務、また、さらには医療品等の調達などの業務に至るまで、広域かつ多岐にわたる業務を、包括的に長期間にわたって事業者が担っていくものだということを伺ったわけなんですが、約十九年間という事業期間全体の中で、この事業費が二千四百九十一億円にも達し、我が国最大級のPFI事業という点だけではなくて、本格的な病院PFI事業として、民間事業者から大いに注目を受けていた事業だったわけであります。
まず、一点伺いたいんですが、基本的なことでありますが、今回の事業において、事業者選定の際に採用されたと伺っておりますこの総合評価一般競争入札とはどのような入札方式であるか、もう一度伺いたいと思います。
○鈴木サービス推進部長 入札方法なんですが、地方公共団体の契約は、価格競争による入札を原則としております。予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申し込みをした者を自動的に落札者とすることとされております。
これに対しまして今回の総合評価方式では、予定価格の制限の範囲内において、価格以外の要素、例えば機能、技術力などを落札決定の要素とし、これらの要素と価格を総合的に評価し、発注者にとって最も有利な条件で申し込みをした者を落札者として決定する方式でございます。
○山口(拓)委員 今ご説明にもあったように、この総合評価一般競争入札とは、予定価格の範囲内で最もよい提案をした者が落札をする方式ということなわけなんですが、この提供されるサービスの質を重視する業務に関して事業者を選定する方法としては、非常にいい方法だと私も考えます。
今回、清水建設株式会社のグループが落札者となったわけなんですが、実際、入札金額が一番高いところが落札したという結果になっていて、このグループが、この提案内容がほかに比べればすぐれていたと、高い評価を受けて落札したものだということが想像できるわけなんですが、そこで、確認のためにぜひお伺いしたいんですが、今回のこのPFI事業の中で、総合評価一般競争入札という手法を導入した、採用されたのはなぜか、ぜひ伺いたいと思います。
○及川参事 PFIの契約におきましては、価格のみならず維持管理、または運営の水準、それとPFI事業者とのリスク分担のあり方、技術的能力、企画に関する能力などを総合的に勘案する必要がございます。そういったことにかんがみまして総合評価の一般競争入札の活用を図るというふうに、国の通達においても定められております。
なお、随意契約の一手法でございますが、公募プロポーザルという手法がございます。この手法によっても、事業者を選定することについて制度上は可能でございますけれども、いかんせん今回の事業は契約金額が非常に大きいというために、いわゆる政府調達に関する協定、これの対象となります。
したがいまして、今回の本事業につきましては、総合評価一般競争入札の手法を採用しているものでございます。
○山口(拓)委員 今ご説明いただいたとおりなんですが、今後、この多摩広域基幹病院、小児総合医療センターの整備等事業に引き続いて、がん・感染症医療センターの整備運営事業もこのPFIとして進められるということなんですが、現在のこの駒込病院の建物を全面的に改修して、医療機能の向上とともに、患者さんの医療、療養環境の改善を図って、がんと感染症のセンターとして再整備をしていく計画であるというふうに伺っているところです。この事業も、今回の予算案に債務負担行為として二千二百三十七億円が計上されるなど、これまでの多摩広域基幹病院、小児総合医療センター整備事業と並び立つぐらいの巨大プロジェクトということになっていくわけなんですが、この多摩の先例を見ても明らかであるように、病院PFI事業において、いかに意欲と能力のある事業者を選定するかというところが非常に大きなポイントになってくると思うんです。
そこでお伺いしたいのが、このがん・感染症医療センターの整備運営事業をPFIで行うに当たって、審査基準の作成など、事業者の選定はどのように行っていくおつもりなのか、お伺いいたしたいと思います。
○及川参事 今回のがん・感染症医療センター整備運営事業におきます事業者選定につきましては、先行いたします多摩広域基幹病院、小児総合医療センターの整備事業の経緯も踏まえまして、総合評価一般競争入札の方式で行う予定でございます。
審査につきましては二段階で実施する予定でおりまして、まず第一段階では、委託業務を統括する能力や事業に対する意欲等、これも第一段階で審査をいたします。第二段階では、具体的な提案内容、それから実施体制、そういった具体項目について審査をいたしまして、価格での評価とあわせた事業者の選定という形になろうかと思います。
その際の審査基準の策定や審査に当たりましては、医療やPFIの制度そのもの、それから金融、法律、建築などといった分野の専門家を集めまして、外部の有識者を含めた事業審査委員会といったものを設置いたしまして、公平性や透明性を確保してまいります。
○山口(拓)委員 厳しい財政状況であったりだとか、時代背景の変化ということに合わせて事業者の選定方式というものが大きく変わってきている中で、特に価格の問題であったり、内容の問題であったり、質の問題であったりというのは、非常に都民も注目をしているところだと思います。
特に、従来の価格のみで事業者を選定する方式ででは、いわゆる安かろう悪かろうみたいな事業者が選ばれる危険というのも、非常に私は高いと思います。今回のように、価格と提案内容の質との両面からしっかりと評価して事業者を選定するこの総合評価一般競争入札の手法というのは、経費面の効率性とサービスの質の確保という、この二面性を両方とも確保できるという、透明性の高い合理的な手法であって、PFI事業における事業者選定方式として、私はふさわしいと確かに思います。
外部委員も含めた審査委員会で事業者の選定をしていくというご説明も先ほどありましたが、この総合評価一般競争入札のメリットを最大限生かすために、事業者の能力と提供されるサービスの質を見きわめる能力を、発注者側がしっかりと持つことも重要だと思います。
こうした点にさまざま留意していただいた上で、ぜひともこういった事業をしっかりと、この事業に最もふさわしい事業者をきちっと選定していっていただきたいということを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。
○松葉委員 小児精神医療について伺います。
私もさまざま、不登校や、また、ひきこもりのお子さんがいらっしゃるお母様方からお話を伺っております。それぞれお話を伺いますと、ケースが全く異なっておりまして、大変難しい課題があると痛感しております。思春期の子どもたちは、体の変化だけではなく心の揺れも大きい時期であり、心の病気や行動障害等に発展することも少なくないと聞いております。
こうした心の病気の問題をしっかり受けとめ、治療していく小児精神医療の果たす役割は大変に大きいものがあると考えます。先日、私も梅ケ丘病院を視察させていただき、市川院長先生初め職員の方々と意見交換を行い、小児精神医療の重要性について一層認識を新たにいたしました。
そこで伺いますけれども、小児精神医療の専門病院である梅ケ丘病院において、現在、小児精神疾患患者さんの患者数はどのようになっているのか、また、どのような症状の患者さんに対応しているのか伺います。
○及川参事 梅ケ丘病院でございますが、小児精神医療の専門病院といたしまして、統合失調症や適応障害などに加えて、精神遅滞、自閉症、多動性障害、学習障害などのいわゆる発達障害、それから摂食障害、心身症等、さまざまな障害を持つ幼児期から思春期までの小児を対象として診療を行っております。
平成十六年度の梅ケ丘病院の一日当たりの患者数でございますが、一日当たり入院が二百四人、外来で百三十二人ということでございます。
これを疾病別で見ますと、入院患者数では、統合失調症が約二三%、自閉症が二〇%、適応障害が一三%の割合となっております。
また、外来の新規患者数でございますが、自閉症が約二六%、適応障害が約一四%、多動性障害が約一〇%の割合となっておりまして、いわゆる発達障害の新規患者数が増加傾向にございます。
○松葉委員 今後、梅ケ丘病院は、平成二十一年度末には小児総合医療センター、仮称でございますが、移転統合することになります。この総合医療センターでは、都における小児医療の拠点として、子どものさまざまな疾患に対する高度かつ専門的な医療はもとより、小児精神部門と一般小児部門とが共同して、心と体の両面から総合的な医療を提供していくと、そのようになっておりますけれども、今回、事業者の決定がなされたとのことですので、この小児総合医療センターの医療機能について何点か具体的に伺いたいと思います。
小児の精神科というふうにいいますと、患者さんご本人、また家族の方も、精神科を受診するということに対しまして、なかなか気軽に受診できる雰囲気というのが、病院に行きづらい傾向がある。そういう意味で、精神症状があらわれているにもかかわらず、なかなかこの垣根が高いという、そんな印象を持っていらっしゃる方が数多くいらっしゃいます。
そこで、小児総合医療センターでは、そうした垣根を取り払うために、診療体制にどのような配慮をしているのか伺います。
○及川参事 小児総合医療センターでは、小児精神部門と内科系、外科系の各小児部門のおのおのが持つノウハウを相互に活用いたしまして、成長期の小児に特有な心と体両面から必要な医療を提供する総合診療部というものを設置する予定でございます。
この総合診療部におきましては、心身症や摂食障害など、心身両面から治療を行うことが適切な患者に対応するほか、体の疾患か心の疾患かが不明な場合で、担当診療科が明らかでないというような患者さんの治療も行いまして、適切に専門診療科に振り分ける、そういった機能を持つこととしております。
こうした総合的な診療体制をとることによりまして、精神科受診の垣根をなくし、患者さんが抵抗なく受診できる環境づくりにも配慮しております。
○松葉委員 ただいま、総合診療部が設置されるというようなご検討を伺いましたけれども、患者さんが受診しやすい環境がそういう意味で提供されるということも、小児総合医療センターへの移転統合の効果であると考えます。
そこで、この小児総合医療センターでは、歴史ある小児精神医療の専門病院である現在の梅ケ丘病院に比べて、医療機能はどのように充実をさせていくのか伺います。
○及川参事 小児総合医療センターでは、体の各診療科との連携によりまして、例えば重度の摂食障害など、心の対応だけでなく体の症状への対応が必要となるケースや、心の疾患で入院中のお子さんが、脱水症状など身体の疾患を発症したような場合にも速やかに対応できるということが考えられます。
また、センターに整備いたしますMRIやCTなど高度の医療機器を精神科の機能診断に役立てるなど、検査、診断機能の充実も図られることになります。
さらに、隣接して整備いたします多摩広域基幹病院の成人医療とも連携いたしまして、小児期の疾患を成人後もそのまま抱えていく、いわゆるキャリーオーバーの患者さんに対しましても、きめ細かな対応が可能になります。
また、キャンパス内の他の施設とも密接に連携することが可能となり、これまで以上に総合的な医療サービスを提供していく計画でございます。
○松葉委員 成長過程にあるお子様方が社会と隔絶することなく、また、家族とのつながりを大切にした、心と体をともに育てていく療養施設での治療が大切であると思います。
そこで、今回の落札者の提案においては、小児精神科の持つこうした特徴に施設面ではどのように配慮しているのか伺います。
○及川参事 今回の事業者の提案では、病気を持つお子さんの教育の場といたしまして、分教室や体育館、運動場などの整備をすることはもとより、心の病棟をコの字型に配置いたしまして、その中に中庭としてルーフコートを整備することによりまして、自然との触れ合いや、いやしの空間として活用することとしております。
また、心の病棟を低層階に配置いたしまして、自然採光に配慮しますとともに、プレールームやファミリールームなどを整備いたしまして、子どもと家族のきずなを大切にした療養環境を提供していきます。
さらに、二病院の一体的整備を特徴づけます共用のエントランスにおきましては、レストランや売店、ラウンジなど、まちを演出しましたホスピタルモールというものを整備いたしまして、こういった施設によって、社会復帰のための準備空間としても利用できる計画としております。
○松葉委員 今のご答弁を伺っておりますと、大変すばらしい病院ができるようだなという期待をいたしました。ぜひ実現に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ところで、お子さんの精神的な問題に気づいたときに、どこに相談すればよいのかとか、どういう対応をすればよいのか、そういうようなご心配を持つ親御さんから、さまざまご相談が私のところにも寄せられております。発達障害の支援につきましても、国は補助事業として、発達障害を有するお子さんや親御さんや関係者からの相談に応じて、情報提供や就労支援を行う発達障害者支援センターの整備を進めております。
東京都におきましては、世田谷区で東京都発達障害者支援センター、その事業を民間団体に委託して実施しておりますけれども、この梅ケ丘病院と同じ世田谷ということで、現在は、連携もとりながら発達障害の方の支援に当たっていると聞いております。
また、梅ケ丘病院では子どもの精神保健相談室がありまして、臨床心理士の方やソーシャルワーカーの方が丁寧に電話相談を受けていただいておりまして、先日、私も視察をさせていただきました。
そこで、この小児総合医療センターでは、梅ケ丘病院にある、こうした医療相談等に対応する子どもの精神保健相談室機能はどのようになるのか伺います。
○及川参事 お話にありますように、梅ケ丘病院では、昭和五十二年に子どもの精神保健相談室を設置いたしまして、医療に関する相談から、子育てをする際に日常的に起こりがちな問題まで、心理や精神科ソーシャルワーカーなどの専門職員が幅広く相談に対応しております。
今後、小児総合医療センターにおきましては、ただいまお話にありました東京都発達障害者支援センターとの役割分担を踏まえまして、引き続き、お子さんやご家族が安心して医療を受けられるよう、検討を進めてまいります。
○松葉委員 安心できる相談体制の検討を期待したいと思います。
さて、この世田谷区にある梅ケ丘病院の府中への移転に当たって、都は、区部における発達障害の患者さんなどに対応するために、豊島区にある大塚病院に新たに小児精神科の外来機能やデイケアなどを整備するとしております。さきの予算特別委員会におきまして、我が党の長橋議員が質問いたしましたけれども、区部においては、大塚病院の小児精神外来機能等の整備が待ち望まれております。
そこで、大塚病院における小児精神の外来機能等の確保に関しての具体的な検討状況について伺います。
○及川参事 大塚病院に小児精神科外来機能を整備するということに当たりましては、外来やデイケアなどの機能とか規模、そういったもの、それから実際の実施体制、こういったものを今後具体的に検討する必要があるというふうに考えております。
ただ、いずれにしましても、医師の確保ということが大きな課題でございますので、現在、専門医師の養成に取り組んでいるところでございます。
○松葉委員 梅ケ丘病院では、外来診療での診断確定後に、デイケアにおける療育が必要とされる幼児の方を対象に幼児デイケアを実施して、発達の支援をしております。そのお教室も拝見させていただきまして、大変に工夫もなされて、すばらしいものと感じました。ぜひとも、こうしたデイケアも含めまして具体的な検討を進めて、早期に区部の外来機能等を充実していただくことを要望しておきます。
また、現在梅ケ丘病院に入院されている患者さんや外来の方、デイケアなどを利用されている患者さんが、統合、移転に伴いましてご苦労されることがないよう、また安心して治療が続けられるように、改めて要望しておきます。
次に、がん・感染症医療センター、仮称でございますが、整備について伺います。
この事業は、特定事業選定を行い、PFI手法を導入するということが本委員会にも報告をされております。診療を継続しながら改修工事を行い、病院機能の向上や療養環境の改善を図るものであり、患者さんやその家族を初めとした都民の関心は非常に高いものがあると思います。
そこで伺いますが、今回のPFI事業の実施に当たっては、都民にどのように周知してきたのか伺います。
○及川参事 このがん・感染症医療センターの整備につきましては、その整備計画を昨年十一月に公表いたしまして、ホームページに掲載、それから、広く都民に計画内容を周知するといったことを行っておりまして、第四回の都議会定例会にもご報告させていただきまして、そうしたご意見もいただいております。そういった手続を踏まえて、今回、PFI手法での実施を決定したということでございます。
この間、医療関係団体や地域に対しましてご説明を行いますとともに、実施方針などにつきまして、公表しました十二月十九日以降、説明会を開催し、質問や提案の受け付け、それの回答といったことを行ってきております。
また、この整備計画につきましては、報道機関にも取り扱われておるということがございまして、そういった意味も含めて、本事業については広く都民に周知しているというふうに考えております。
○松葉委員 今後とも、機会をとらえて、都民の皆様にわかりやすくPRしていっていただきたいと思います。
駒込病院を全面改修するこの事業は、PFI手法で実施することにより、バリュー・フォー・マネーは四・九%程度、事業期間全体で額として約百億円の財政負担の縮減効果があると聞いております。患者サービスの向上とも相まって、大いに意義ある事業といえると思います。
さらに、まだ使える既存の病院施設を改修し、有効に活用するという点や、改修工事期間中の診療を継続することにより、都民に対する医療サービスの低下を招かないという点は非常に高く評価するものです。その一方で、診療を行いながら工事を実施することなど、事業推進に当たってはさまざまな困難な点もあると思います。
そこで、こうした困難な点を解決し、工事を円滑に進めていくためにどのような工夫をしようとしているのか伺います。
○及川参事 本事業をPFI手法で行うことによりまして、改修工事期間中の維持管理、医療周辺業務につきましても、工事業務と一体的に事業者にゆだねることが可能となります。この結果、工事の進捗度合いや工事工程の変更、それから、突発事故等が発生した場合の対処などにつきまして、弾力的な対応ができるというふうに考えております。
また、そうした効率的な工事の実施だけでなく、安全面や危機管理面で十分配慮した工事が可能となるというふうに考えております。
○松葉委員 駒込病院は、がん医療に関して非常に高い実績を持ち、都民にとってはなくてはならない病院でありまして、また、利用率も極めて高い病院でございます。今回の整備事業は、がんで苦しむ患者さん、家族の方を初め、都民にとって大変期待が大きいものであると思います。工事の施工に当たっては、安全管理や危機管理の視点も取り入れるなど、本事業を着実に進めていっていただきたいことを要望し、質問を終わります。
○かち委員 私からも、がん・感染症医療センターとしての駒込病院の整備運営事業にかかわってちょっとお聞きしたいと思います。
四定で計画が説明されて、私も質疑をさせていただいたんですけれども、四・九%のバリュー・フォー・マネーが出るということの報告があったので、きょうは、それの算定要素、根拠というものはどうなのかということで出していただいたんですけれども、数字的なことはほとんど、情報が偏ってしまって公平性に欠けるということで出していただけないということがありまして、これは多摩広域基幹病院、センターのPFIについても同じようなことで、広報はしていると、インターネットで流しているといわれますけれども、素人の都民にとっては、なかなか情報としてわかるような内容ではない、専門の事業者にとってはわかる中身かもしれませんけれども。
そういうことで、これは改築事業そのものだけではなくて、駒込病院の、そして都立のがんセンターとしての医療内容が、今後どのように充実発展させていくものになるのかという期待もありますので、今回は、ちょっとその辺の中身についてお聞きしたいというふうに思います。
がんで亡くなる人が依然として年間三十万人以上になっていて、そのうちの七〇%の人は痛みを感じている、強く感じていて、そういうことが終末期の生活の質にもかなり影響するという問題があります。日本では緩和医療の取り組みがおくれていて、痛みのコントロールは、在宅ホスピスを広げるためにも重要だということがマスコミ報道でも指摘されています。癌と共に生きる会など、がんの患者団体の皆さんの運動もありまして、今、がんの医療のあり方というものも大分変わってきつつあるところではございます。
現在、駒込病院は地域がん拠点病院として指定をされています。これは国のがん戦略の一環として、がんを疫学的にもっとつかんでいこうというところで、院内登録、地域がん登録というようなことが進められているところなのでございますけれども、この地域がん拠点病院の指定要件が変更されました。来年度から二年間の中で、より具体的な整備内容を求めるものになっています。そこでは、高度な診療機能を初め、がん院内登録や専門医、看護師などに対する各種の研修などとともに、緩和ケア医療が位置づけられています。
改定要件では、緩和医療は、当初からチームによる緩和医療の提供体制を整備すること、また、退院後も対象者が必要に応じて外来で緩和ケア医療が継続される体制を整備することなどが要件となっています。
また、地域におけるかかりつけ医との緩和医療の連携、提供体制の整備なども要件になっていますが、これまでの駒込病院での緩和医療への取り組み現況と、今後どのように整備拡充されていく方向なのか、お聞きします。
○及川参事 現在、駒込病院では、医師、看護師、心理等を含めましたチームによりまして、がん性疼痛に関連した苦痛、不安、抑うつなどの精神的苦痛など、さまざまな苦痛や問題を持つ患者さんに対しまして、緩和ケア医療を行っております。
今後は、今計画をしておりますがん・感染症医療センターの整備計画に基づきまして、緩和ケアの専門病棟も整備していくということでございます。
○かち委員 私、一月ごろに県立広島病院の緩和ケア支援センターに行ってまいりました。ここでは、緩和ケア支援センターという外来部門と、研修、相談部門の棟があるのと、それから、がん患者のための疼痛緩和病棟というものが整備されていて、二十床なんですけれども、びっくりしたんです。八床は有償ですけれども、有償でも四千五百円、十二床は無償でありました。で、後でも紹介しますけれども、県立静岡がんセンターでも、五百床の病院なんですけれども、その約一割、五十床を緩和ケア病棟が占めるという状況ですけれども、ここでも差額ベッド料はないということでした。
がん緩和医療ということで、特別の料金設定というふうになっていることからできるのかなというふうにも思いますけれども、病院の関係者の方にお聞きしましたところ、行政的な医療として位置づけているんだというふうにいわれました。
新しく駒込病院でも、がん緩和医療専用の病棟をつくるということですけれども、がん患者にとっては、治療の面での経済的負担もかなり大きな要素になっています。物価や環境の違いなどで、同じにということはいえないと思いますけれども、こうしたことも十分に検討していただきたいというふうに思います。
七百床の広島県立病院の一角にできた緩和ケア支援センター、ここでは五人のスタッフが系統的な研修プログラムをつくり、デイホスピスを持っている。それから、総合相談センターを持ち、がんのあらゆる情報提供の設置。これは患者さんのための図書室を持っているということと、がん医療、疼痛緩和の医療レベルを県全体で均一化してアップすると。そういう意味では、出前といいますか、出張で研修なども取り組んでいるということで、大変総合的に多角的に取り組んでおられました。
それで、実際そのデイホスピスに通われている方々ですけれども、そこに来るまでには、本当に、どこにこの痛みや悩みを訴えていいかわからない、そういう状況だった方が、同じような境遇の方と日中の生活をともにする中で、痛みを共有して分かち合い、また、自分なりの痛みのコントロールができる中で、新たな自分の持っている力を発揮することができたとかいうことで、限られた人生の中でも、非常にその人なりの生き方を充実させることができているということがよくわかりました。
今後、地域と連携した緩和ケアの充実を図っていくことが必要であります。都立の唯一のがんセンターであるこの駒込病院で、ぜひデイホスピスというような取り組みにも取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、その辺のお考えはどうでしょうか。
○及川参事 先ほどお答えしておりますけれども、専門チームを現在組んでおりまして、そこでも相談事業等行っておりまして、このデイホスピスの位置づけというのもあるんでしょうけれども、いわゆる現在の駒込病院でも、そういった相談事業については手厚く対応しております。
ただ、日帰りのそういったデイの施設といったものを新しい病院の方につくるかどうかということにつきましては、専門病棟を整備するというふうに考えておりますので、この整備の方針とあわせて今後検討していくというふうに考えております。
○かち委員 がんの患者さんは大変多く、ふえています。死亡率一位ということで、限られた病院の対応は、とてもし切れないというのも現実であります。地域の中で、どうやって充実した療養生活が送れるかということをフォローしていく体制を全体につくっていかなきゃいけない。そういうところで、やはり地域との連携、パイプ、開業医の先生や、また訪問看護師などを含めて、関連した職種が病院と一体的にケアサービスができるような仕組みづくりも、やっぱりセンター病院としての求められている役割であると思いますので、ぜひご検討いただきたいというふうに思います。
それで、がんの患者さんというのは、大変多岐にわたる悩みを持っているわけです。昨年、全国の百人以上のがん専門医によるアンケート調査がありました。七千八百八十五人のがん患者さんからのアンケート分析によりますと、第一位は、不安など心の問題を抱えている、二位は症状や副作用や後遺症、三位は家族、周囲の人との関係、四位が経済的負担、五位が診断、治療方針などについてとなっております。
がんは、一度治療したからといって、それで安心できない。五年後の壁、生存率の壁もあります。さまざまな家族のかかわりの問題もありますので、そういう多岐にわたる問題解決を一つ一つしていくというのも、がん医療の中で大変重要な役割を果たしているというふうに思うんです。駒込病院でも現在、そうした相談室を設けて相談に当たっているというふうに聞いておりますけれども、その体制と相談件数など、どうなっているでしょうか。
○及川参事 現在、駒込病院では、医療相談室、看護相談室などがそれぞれ連携をとりながら、患者さんやその家族のご相談に応じております。
実績でございます。平成十六年度、医療相談室では延べ約一万七千件、看護相談室では延べ約五千件の相談がございました。
それぞれ体制につきましては、医療相談室は、いわゆるMSWを中心として四名、看護相談室は、当然看護師二名という体制で行っております。
○かち委員 かなりの相談数があるということがわかりました。
静岡県立がんセンターでも、五百床の病院ですけれども、やっぱりよろず相談室というのを開いていて、がんの患者さんの悩みを分析して、それに懇切丁寧に答える、こんな冊子などもつくっているんですけれども、これからますますふえるがん患者さんへのきめ細かい対応という点では、さらにこの相談室の充実を求めたいというふうに思います。
最後にですけれども、これまでの地域がん拠点病院の統括的な位置づけとして、今度の地域拠点病院の要綱の内容が少し変わりました。都道府県がん診療連携拠点病院といって、大変長い名前なんですけれども、東京都には今十カ所の拠点病院があります。二次医療圏ごとだから、あと二カ所つくる予定ではあるんですけれども、それらを統括する連携拠点病院が必要だということなんですね。それぞれの病院が院内登録をしていても、実際、東京のがんの患者さんの状況を集約して、それを分析して生かしていくという点では、やっぱりそれを一つにまとめて行うところがどうしても必要だし、それと、やっぱり全体のレベルを引き上げるリーダー的な役割を果たす病院というものが求められている今日だというふうに思うんですね。
そういう意味で、これから指定ということになるわけですけれども、本会議で、我が党のたぞえ議員の質問に対して福祉保健局長は、病院経営本部などとも相談しながら検討していくというふうにおっしゃっておりました。ぜひ病院経営本部としても、がんセンターとして東京のセンター、中心の役割を果たす、そういう駒込病院になるように、ぜひその意気込みをお聞きしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○及川参事 お話にあるとおり、この制度は、平成十八年度からまた制度の見直しがなされます。駒込病院におきましては、この平成十八年度から実施されます新制度のもとにおきましても、引き続き地域がん診療連携拠点病院としての役割を果たしていくということで、新制度での新たな必要とされる機能を充実していくということを最優先の課題として認識しております。
その上で、今お話がございました都道府県がん診療連携拠点病院を目指すかどうかということにつきましては、関係局とも協議しながら今後検討していきたいというふうに考えております。
○かち委員 今の東京の中で、都民の健康、がんの医療に責任を持てる立場にあるのは、やっぱり都立の病院だと思うんですね。そういう意味で、考えられるのはこの病院しかないと思いますので、ぜひそういう前向きな立場で取り組んでいただきたいというふうに思います。そのことを申し上げまして、質問を終わります。
○山口(文)委員 一定程度の医療機関の量が確保されてくると、次に求められるのは、やはりその内容である質ではないかと思っています。質の高い医療を確保して、安定的な良質の医療を提供するためには、それを担う医師の資質の向上が基本となります。養成教育の基本である大学教育の卒後の臨床研修の充実として、インターン制度廃止以降三十五年ぶりの大きな改革が行われ、二〇〇四年四月から臨床研修が必須化されました。
都立病院も、レジデントの受け入れ病院として、厚生労働省の指定を受けて実施してきましたが、この間の受け入れ定員と応募状況等の推移について伺います。
○奥田経営企画部長 都立病院における初期臨床研修医、いわゆるジュニアレジデントの受け入れ定員でございますが、平成十六年度が八十五人、平成十七年度が百十八人、平成十八年度が百十人というふうになっております。平成十八年度減少しておりますのは、荏原病院の公社化で、これがカウント外になったということで、実質的には年々規模を拡大してまいりました。
各年の新規の採用状況に限って見ますと、平成十六年度は六十二人で、応募倍率が九・六倍、以下同様に、平成十七年度は六十人ということで十二・二倍、平成十八年度は六十二人で九・七倍ということになっております。
○山口(文)委員 都立病院は、五年前の十三年度から、専門医の育成制度として三年間のシニアレジデント制度を充実しています。カリキュラムの内容などの充実をさらに図って、都立病院が研修医にとって魅力ある病院にしていくということでしたが、その後のシニアレジデントの取り組みについて伺います。
○奥田経営企画部長 シニアレジデントについて都立病院の取り組みでございますが、平成十三年度から、新たに、人材確保に困難な救急あるいは精神科医の受け入れを開始いたしました。さらに、その翌年の十四年度に小児科、平成十六年度には産婦人科を受け入れまして、この十八年度には麻酔科を受け入れるという予定でございます。
こうした結果、受け入れ定員は平成十三年度五十二人だったのに対しまして、平成十八年度は百四十五人ということで、この五年間で、約三倍に近い九十三人の規模増を行っております。
○山口(文)委員 今後とも、指導医の養成ということも必要になるかと思いますので、ぜひ充実をさせていただけたらと思います。
医師にとってもう一つ、医療の技術を高めるだけではなくて、コミュニケーション能力が私は必須だと思っています。不安な思いを抱く患者にとって、医師との人間的な関係は大切です。諏訪中央病院の鎌田實医師は、人間の命は体と心のつながりで守られている、病気と闘う攻める医療と、患者の心を含めた全体を大切にする支える医療との調和が求められると。そしてまた、きっぱりと、優しくなければ医療ではないと明言されています。患者や患者の背景にまで想像力を働かすことのできるコミュニケーション能力を高められるように、研修の中で、今も随時工夫はされていると思いますけれども、さらなる取り組みを要望しておきます。
二〇〇二年度にも、私はこの同じテーマを取り上げたことがあるのですが、当時、研修医の処遇問題などが課題とされていました。臨床研修医に対するアンケート調査により、研修医の意見を取り入れて研修内容を充実し、魅力ある制度とするということを伺っておりますが、その後、アンケートがどのように生かされたのか伺います。
○奥田経営企画部長 臨床研修医に対するアンケートでございますが、駒込病院で実施をしております。それによりますと、カリキュラムあるいは指導内容、給与等についてはおおむね良好な評価をいただいておりますが、研修方法について一部改善を望む声があったという状況でございます。
このため、駒込病院では、院内に設置いたしました臨床研修委員会で、そうした声を反映させて、例えば院内研修会の開始時間を具体的な形でもって調整するとかというような形で、きめ細かな改善に取り組んでまいりました。
今後とも、研修医のドクターの要望等も踏まえまして、魅力ある臨床研修医制度を構築していきたいというふうに考えております。
○山口(文)委員 駒込病院でアンケートを実施しているということなんですけれども、ぜひこういったことも拡大しながら、医師の養成に努めていただきたい。世の中には、名医といわれる医者は結構数多くおられると思いますが、なかなか良医という医者を私たちが見つけるのは大変難しいかと思いますので、ぜひこの良医を育てることに都立病院も大きく貢献をしていただきたいと思います。
では、次に、これは仮称になります、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備等事業に係る落札者が決定されたとの報告がありました。
ごめんなさい。もう一点確認。戻らせていただきます。このアンケート調査を今後行っていくときの課題と方向性について、一点聞きそびれました。
○奥田経営企画部長 これまで都立病院が育成してまいりましたジュニアレジデントのドクターの中から、都立病院の求める専門性に適合いたしました、すぐれた人材をできるだけ多く発掘していくということで、シニアレジデントに結びつけるとともに、専門医の認定にも結びつくような高度な人材育成コースを拡充していきたい、そういう必要があるというのが課題でございます。
シニアレジデント制度、さらにその上位の課程として専門分化をいたしました領域の専門医を育成するサブスペシャリティレジデント制度というのがございますが、こういった制度を一層充実させていきたいというふうに考えております。
○山口(文)委員 さらなる拡充がされたということで、期待をしていきたいと思います。
では、戻りまして、多摩広域基幹病院(仮称)と小児総合医療センター、これが落札者が決定されたとの報告がありました。小児医療の高度先進医療を提供する病院としては、難病や重病の子どもを受け入れることになります。こうした患者の家族や保護者は、自宅と子どもの入院先との二重生活による経済的な負担、また加えて、家族が離れて暮らす不安等による精神的負担もはかり知れないものがあります。家族の経済的、精神的な負担を少しでも軽減するために、難病の子どもとその家族等のために、病院のより近くで、また、より安く利用できる宿泊施設を提供して支援していくことが必要だと思います。
そこで、今回の事業計画にこのような計画があるのか伺います。
○及川参事 入院しておりますお子さんを持つご家族などのさまざまな負担を軽減するといったことはもとより、疾病に立ち向かっているお子さんたちの気持ちを和らげるような、いやしの環境を提供するといったようなことは、患者さんとそのご家族のきずなをより深くしまして、患者のケアに大きく寄与するものというふうに考えております。
このため、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備計画におきましては、子どもや家族の心に安心と安らぎを与える施設として、お話にあるような家族宿泊施設を設置することとしております。
○山口(文)委員 世田谷区にあります国立成育医療センターにも設置されていますドナルド・マクドナルド・ハウス、これはいわゆるマクドナルドが社会的な貢献として財団をつくって運営されておりますが、この宿泊施設では地域の人にボランティアを呼びかけて、大変多くの方が活躍しているということです。こうした運営の方向性を参考にして、地域にも開かれた病院運営にもつながるかと思いますので、ぜひ充実を図っていただきたいということを要望して、質問を終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。二時半再開です。よろしくお願いいたします。
午後二時十五分休憩
午後二時三十一分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○野島委員 既に山口委員、松葉委員初め質疑が出ておりますけれども、重複を避けながら、といっても、避けるほどの能力がないものですから、お許しはいただきまして、何点かお伺いしたいと思います。
まず、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備、この件について伺います。
我が党も今日まで、この件につきましては代表質問あるいは当委員会においてもさまざまに議論を重ねてまいりました。とりわけ、立地が府中市、こういうことでございまして、後ほど触れますが、私の地元であります清瀬小児病院が移転統合する。それから、いろいろその前では準備していた八王子小児も移転統合される。こういう事情もございまして、自民党の三多摩部会で、これに積極的に取り組んでまいりました。
特に、ただ単にそちらに移転統合されるだけだったら、せっかくネームバリューもある清瀬小児だから、そのままにしておいていただきたい、また地域医療にも貢献してきたじゃないか、こんな思いもありまして、今日まで至っているわけであります。
そこで、PFI手法を用いて病院の整備、運営を行う。初めての取り組みだけに、執行側においてもさまざまなご苦労があったかな、こんなことをご推察申し上げ、今日まで真剣に取り組まれた大塚病院経営本部長初め関係各位に、まずもって心から敬意を表したいと思っておる次第でございます。
さて、落札者が清水建設株式会社と決定いたしまして、報告によりますと、この後、八月には事業契約を締結するとの報告を受けております。事業が計画段階から実施に移行する、こういう大きな節目だろうというふうに思ってございますので、今日までの議論も若干振り返りながら、何点かお伺いしていきたいというふうに思っております。
今あえて申すまでもなく、都立病院改革の一環として、このPFI手法を導入して病院整備、運営を行う、こういうことでございますし、当然のことながら、核となる医療行為あるいは看護業務そのものは都が直営で行う。清掃や設備管理業務、医事業務などの、いわゆる核に対するというのであれば医療周辺業務を事業者が担って、よりよい病院、効率的な、あるいは財政の縮減効果にも通じるような事業をやっていこうと承知しております。
そこで、まず、今回の事業者の選定に当たりまして、事業者に求めたものはどんなものなのか、こんなことをお伺いしておきたいと思います。
○奥田経営企画部長 病院運営におきまして基本となりますのは、何よりも質の高い医療サービスを適切に患者さんに提供するということでございます。このため、事業者に対しましては、まず効率的に安定して業務を提供する能力、あるいは患者ニーズの変化に柔軟に対応する能力、それから、患者さんにとってわかりやすく、医療スタッフにとっても働きやすい機能的な医療環境を提供する能力、こういったものを将来を見据えた高い能力という形でもって求めたわけでございます。
具体的には、大規模な病院を設計、施工していく技術力、あるいは、広範な委託業務を患者ニーズなどに応じて再構築して、協力企業とともに遂行していくための運営体制の妥当性、さらには、SPCにおいて中心となって役割を果たしますリーダーシップなどをポイントといたしました。
○野島委員 PFIでやる場合に、手法としてBOTとかBTOとか、こういう手法に類別されるというふうに伺っております。言葉は大変悪いんですけれども、施設整備は、こういう目的に従ってこういう機能的な建物を建てて、そして維持管理をしっかりやっていくということになると思うんです。要するに、病棟なり何なりの建物は。
私は、病院の運営は、当然のことながら、先ほど申した核の部分の医療行為の質の高さ、これは、都立病院は高度専門的な医療を目指していきましょう、こういうことでありますから、その機能論については、先ほど松葉委員が触れたのかな、だから、それはもういいです。で、さまざまな提供するサービス、いわゆるホテル業務とはいいませんが、ホスピタリティー、こういったふうな質が左右してくると私は思うんですよ。気持ちよく入院したい。先ほど山口委員お話しのように、いやしで入院している、こんなにいいことはないわけでございまして、かつ、長期、包括的に、これは十九年の事業でありますから、サービスを提供していく。したがって、医療関係や患者さんのニーズに的確に柔軟に対応できる体制が重要である、こういうことだろうと思ってございます。
いわば運営そのものはマンパワーになるわけでございまして、マンパワーのマンのそれぞれの資質の向上というのが大事なのは当然なんですが、それぞれの持つそういうマンパワーを集約して、これをマネジメントして、トータル的に適切に全体の業務を転がしていくということが何よりも必要だろう、こんなふうに思っている次第でございます。
そこで、今回落札したこの清水建設の提案の中で、施設整備面、それから、今、後段申し上げました運営、こんなことについて特筆すべきものが何であったかということについてお伺いいたします。
○奥田経営企画部長 まず施設面でございますが、二つの病院の手術室あるいは検査部門、給食・調理部門などをフロアごとに隣接させて配置するということで、相互の連携体制に十分考慮した構造となっております。
また、運営面では、一つ例を挙げますと、病室内の清掃だとかリネン交換などの日常業務を一括してハウスキーピング業務というふうに位置づけまして、特定の医療作業担当者だけが病室内に立ち入るというような配慮をいたしまして、小さなお子さんも安心して療養に専念できるような環境づくりに心がけている。総じて、患者療養環境づくりへの配慮、あるいは、大人と子どもの医療の一体性、業務遂行に向けての信頼性、あるいは変化への対応能力、こういったものが他の提案と比較いたしまして優位であるというふうに評価されたものと考えております。
○野島委員 ありがとうございました。
あと、バリュー・フォー・マネーの関係だけ、お話をさせていただきます。
落札結果では、百億の大きな金額が縮減される、こういうことであります。と同時に、今日までの報告等、あるいは今までの議事録等を読みますと、特定事業選定時は二・三であったのが六・七%、こういうことでございますし、東京都が病院経営をしていくという中で、視察した高知との財政力の差というのはかなりあると思うんですが、高知の場合に比べても相当高いバリュー・フォー・マネー効果が出ている、こんなことで、大変よかったなというふうに思ってございます。こういう縮減効果がサービス向上につながるように、なお一層ご努力をいただきたい。
これから、現場のいろんな意見や患者サービスのニーズ、こういったふうなものにこたえられる病院としていくために、きめ細かな詰めを行っていくということが、今後に残された大きな課題であろうというふうに思っておりますので、選定されました事業者と十分なコミュニケーションをとって、こういう課題に対処していただきたいと思っております。
とりわけ、これは運営になりますとSPCがやっていく、トータルとしてサービス向上を図りながらということでありますから、SPCのマネジメント能力をマネジメントするのが、私は病院経営本部の仕事になると思うんです。そういう意味では、これから極めて病院経営本部の経営能力が試される、こういうことに相なろうかと思いますので、ぜひその辺にも留意いただきながら、ご奮闘をお願いしたいと思っております。
それから、駒込のがん・感染症医療センターの件についてですが、細かいことは申し上げません。前回の質疑で、大きな柱については何点か議論をしておりますので、先ほど松葉委員の方からも話がありましたので、それは申し上げません。
そこで、前回、要は、改修だから企業債が起こせないとすると、民間の金を借り入れてもらって、それで整備するから、期間の金利の利益というのは向こうに帰属しちゃう。せっかく東京都というイチョウマークの強い財政力があるんだから、あわせて所管庁と協議して、この企業債の活用、こんなことをすべきだろうというふうにお願いを申し上げました。
そこで、今回の算定、企業債と民間借り入れ資金とでどのぐらいの金利差があるのか、また、それによって、どの程度財政負担が縮減されていくのか、こんなことについてお伺いしたいと思います。
○奥田経営企画部長 前回の委員会で先生のご指摘もちょうだいいたしまして、所管庁と協議をいたしました結果、今回の算定に際しましては、改修工事費の大部分を占めます全面改修に係る経費、これに企業債を充当することが、その後、可能となりました。あくまでもVFMの算定に伴う試算でございますが、企業債は一・四%程度、民間借り入れ資金で三%程度の金利を見込んでおります。この金利差によりまして、仮に工事に係る経費の全額を民間借入にした場合と比較いたしますと、事業期間全体で約二十億円の経費の縮減が図られるものと算定しておりまして、その効果は非常に高いものと判断しております。
○野島委員 ありがとうございました。今日までのご努力を多としたいと思います。
これから、この多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備や、がん・感染症センターの整備をPFIで進め、その先には松沢病院、こんなことも予定されているやに聞いております。先行する多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの経験を十分に生かしながら、所期の目的に沿って、ぜひ着実な業務の進展を心からお願いしておきたいと思っております。
最後に、清瀬小児病院について何点か伺います。
清瀬小児病院が移転統合されるということで、思い起こせば、平成十三年の夏の都議選が終わったときに、その方針が打ち出されました。都議選の前でなくてよかったなというのが正直なところでございますが、その後、私は一般質問でも、ずっと定点観測で取り上げてまいりました。清瀬小児は都立ですから、あまねく東京都民の病院でありますけれども、北多摩北部医療圏、私は東久留米市なんですが、含めまして、高度専門医療を担いながらも、実態として地域における一次、二次医療を提供している、これも事実でございます。この機能を、府中に移転後にどういうふうに確保していくのかということが大きな課題だろうというふうに思っております。それは東京都にとってじゃなくて、本来の任務である地元の市にとってもですね。こんなことで考えております。
去年の四月から、東京都保健医療公社が経営する多摩北部医療センターになりました。ここに小児科が設置されまして、六月からは入院医療にも対応しているというふうに承知しておりますし、また、同センターにおきまして、北北医療圏の構成市のうち四市と、構成市の五市医師会、これの協力のもとに、平日夜間の小児初期救急に取り組んでおるということも承知いたしております。
そこで、まず、これらの利用実態について伺いたいと思います。
また、清瀬小児病院のここ数年の利用実態について、都民と都民外、こういったふうなことに区分して教えていただけたらと思います。
○奥田経営企画部長 多摩北部医療センターでの小児科の実績でございますが、一日当たりの外来患者数は、四月当初は五人であったものが、ことしの一月には三十九人にまでふえております。また、救急取扱患者数も、事業を開始いたしました昨年六月には一日当たり六人であったものが、この一月には十六人にまでふえております。四市五医師会によります平日夜間小児初期救急事業につきましては、六月に開始してからことしの一月まで、一日当たりほぼ二人ということになっております。
次に、清瀬小児病院の実績でございますが、平成十五年度は一日当たり外来患者数三百九人、十六年度は二百九十八人、十七年度は、この一月末現在でございますが、二百八十一人というふうに漸減してございます。
なお、救急患者の取扱実績でございますが、平成十五年度は延べ一万六千五百八人、一日当たり四十五人、十六年度は延べ一万五千九百七十人、一日当たりでは四十四人、十七年度は一月までで一日当たりは四十二人と、同様に減少してございます。
清瀬小児病院の取扱患者の居住地別の割合でございますが、昨年の十月十九日にワンデー調査をしてございますが、外来を見ますと、都内居住者が五六%、都外が四四%。同様に入院を見ましても、都内が五三%、都外が四七%という結果でございます。
○野島委員 多摩北部医療センターが地域中核病院としてしっかり機能していきますよ、こういうことで移管をしつつやっているわけですね。清瀬小児がなくなるから、ある日突然なくなるんじゃ、これは不安だから、多摩北部医療センターと都立清瀬のダブルトラックで軟着陸させていこうということで取り組んでいただいて、大変ありがたく思っております。
ただ、利用実態として、そういうふうに、別に埼玉県の人が使っちゃけいないといっているわけじゃないですよ。どうしても清瀬というところが隣接が埼玉県なもので、埼玉県からすると、浦和、大宮から見ると外れなんですよ。だから、埼玉県の医療の光は当たらないものだから、東京都の医療の光が当たっている都立小児病院の利用率が高くなる、こういう実態なんですね。
これから、ぜひ実態をいろいろ考え合わせながら、もちろん都立病院で対応すべき部分、これは都立も府中へ行っちゃうわけだから、それから北部医療センターで対応すべき部分、地域のいわゆる自治体行政の中で医師会と協力しながらやっていく部分、こんなことを重層的に考えながら、有限な医療資源を有効に使っていく、こういう視点が必要だろうと思っております。
それで、この清瀬小児病院は、平成二十一年度末、だから二十二年三月に移転というか、要するに、やらなくなっちゃうわけですね。廃業するわけですね。地元清瀬市では市長が、一月十五日号の市の広報のコラムの欄に、東京都は平成二十一年度末までに都立小児病院を府中市に移転する計画を進めています、現在、年間一万六千人の急患の受け皿をどうするのか、その跡地をどうするのか、そのことの検討を始めなければならないときが来たと考えています、こういうことでございます。それから、今、開会中の第一回定例会で、同様の所信表明を行ってございます。
前段は、機能面からどう取り組んでいくんだと。特に受け皿、さっき急患の問題もありましたけどね。基本的には各自治体の取り組み、こういうことだろうと思いますが、初期救急医療の拡充、あるいは多摩北部医療センターでの一層の充実等、先ほど地域の医療実態、利用実態も出てまいりましたけれども、ぜひそれらに対応しながら、都の持つ医療政策、医療政策となりますと福祉保健局マターというふうになると思うんですが、そういったふうなものを、協力しながら、公社病院も、先ほど田代委員の質疑にもありましたけれども、病院経営本部所管になりましたから、より地域の実態も把握しやすくなっただろう、こんなふうに思っておりますので、十分協力しながら進めていただきたい、こんなふうに思っております。
最後に、後段の、跡地について検討すべき時期が来た、こういうことでございます。
極めて緑の多いところなんですよ。その跡地の活用をどうしていくかというのは、実は清瀬のまちづくりにとっても大変大きな課題でございます。松籟を聞くという言葉があるんですね。松のこずえの間を抜けてくる風のね。これはすばらしいらしいですよ。一方、松がたくさんあることによって、呼吸器系の治療には大変いい効果を発揮するといわれているんですね。したがって、ここの都立清瀬小児病院は、たしか小児結核が前身だったはずですよ。それから、すぐ近くには、今は複十字病院といっていますけれども、結核研究所の附属病院があった。それから、今は独立行政法人になっていますが、国立東京病院。ばかでっかい病床群を持っていたんですね。そこで皆さん治療に専念されていた。
この言葉はよくないですけれども、以前は、一定程度回復しても、そこから地域に戻って受け入れられるということがなかなかなかったんですよ。だから、結構その周辺で商売を始めたんです。だから、清瀬というのは、商店街の形成が五十年前に始まったんですよね。あの寒村なんというと清瀬の市長に怒られるけれども、五十年前に始まったんですよ。そういう歴史のいろんな思いがあるのが一つ。
それから、それが来るときに、地元の地権者が大変な協力をしたじゃないかということが一つ。
したがって、行くときに、はい、さようなら、それは困りますよと。私たちの今までの努力をどう考えているんですかと、当然のこととして出てくる思いだろう、こんなふうに思っている次第であります。
そこで、そういったような思いを込めながら、跡地利用。四年先になくなっちゃうんですけれども、私たちの選挙も四年に一回です。四年なんというのはあっという間ですから、四年たって、それから、あの遊休地をどうしようって、あんな莫大な資産をそのまま廃墟のごとくしていくことは、東京都の資産の有効利活用からしても反するというふうに私は思うんです。
したがって、今後、これらの問題についてどういうふうに取り組んでいくのかということについて、現在の考え方を伺っておきたいと思います。
○奥田経営企画部長 ただいまお話がございましたように、跡地は都民の貴重な財産でございまして、地元清瀬市の意向も十分踏まえることが重要であるというふうに考えております。このため、引き続き清瀬市と協議を行う中で検討していく必要があろうと考えております。
○野島委員 もうこれでやめますが、二十分を過ぎちゃってごめんなさい。田代委員の五分だけ、ちょっとコンバートさせてもらって。
どういうふうにやっていくか、これから地元市と十分協議してほしいと思うんです。選択として私が今考えられるのは、東京都がそのまま、まあ病院というのはもうないですが、ほかの用途に使いますよという、いわゆる所管がえして何らかの事業をやるというケースがあり得るのかどうか。それから、PFI事業も、これから莫大な金を使っていくわけですから、それに充当しなきゃいけないわけですから、売却しなきゃいけない。こういうことがまず二つあると思うんですね。
で、売却するとなった場合に、市が買い取れる力があるのかないのか、こういうこともあると思うんです。あるいは、市が買い取らないということも、恐らく大きなウエートとして出てくる。僕は清瀬市の財政力をとやかくいう立場にありませんがね。そうすると、今度は市に売らないでほかに売る。すると、公的機関、いわゆる病院、福祉系。今、清瀬は、かつてと違って、福祉と病院の町ですという売り込みをしているんです。それがイメージになっているんです。だから、そういう関連機関が来てくれると大変ありがたいというのが二つ目なんです。
最後に、売りますよとなったときに、民間に売るということになれば、それが福祉、医療系ならいいんですが、やはり一般的な住宅開発をするということになるケースもあると思うんですね。そうすると、今いったように、現場へ行った人は知っていると思うんだけど、松の木なんか、一抱えでは抱えられないぐらいの松が結構あるんですよ。いわゆる緑の豊富なところなんですね。そういうものを残したままの開発の可能性があるかどうかというのは、仮にあったとしたら、恐らく都市計画の変更をしなきゃいけないと思うんですね。そうすると、そういうことにも取り組んでいかなければならないということに相なりますから、さっき申し上げたように、四年というのは、正直なところ二年ぐらいだろうというふうに思ってございます。
私が、この次、都議会に出られるかどうかは、今のところ何ともわかりませんが、仮に受かったとして、四年後でありますから、そこから今の二年間を引くと、結論を出さなきゃいけない時期というのは、そんなに遠くないというふうに私は思っています。私も、地域の清瀬市当局を初めいろんなところと協議、相談しながら、知恵も出してみたいと思います。財産の処理をどうするかについては私はうかがい知れませんけれども、今は所管は病院経営本部です。今後ともご協力を心からお願いいたしまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○斉藤委員 じゃ、私の方から、大きく二点、伺います。
ただいま、PFIの手法の質問が幾つか出ました。今後、PFIの手法が、こういった病院づくりについて、今までとどういうふうに違ってくるかは大変注目をしていきたいところであります。
さて、先行する事業に引き続いて、今後は松沢病院を精神医療センターとして再編整備する事業の検討が進められていると聞いております。今回、予算の概要を見ますと、資料の2の一五ページ目のところにも、こういったことが書いてあります。昨年十二月に出されました重要施策にも精神医療センターの整備事業が取り上げられておりまして、平成二十三年度以降の開設を目指しているということであります。精神疾患に関しては、年々社会的関心が大変高まっておりますし、先般の予算委員会でも、都の職員の方の心の病気なんぞについても質問が及んでおります。正直申しまして、最初のうちは関係部局の方で重要施策といっていたものが、二十三年度以降の開設時には、それこそ社会の重要施策というふうになっていることも十分考えられますので、そのあたり、ぜひとも今後期待したいところだと思います。
そしてまた、十八年度予算案については、病棟の改修経費も含めて四億円の予算が計上されております。十七年度ですと一億円台だったものが、三億円台のプラスになって計上されております。着実に年々その整備を進めているというふうに感じております。
そこで、今の精神医療センターの整備に関して、現在の進捗状況についてどうなっているか伺います。
○及川参事 平成十六年度に、この精神医療センターにおきますPFIの導入可能性調査を実施いたしましたが、その結果、一定の効果が見込まれるというふうなことが確認されております。その結果を踏まえまして、現在、松沢病院の医師、看護師等を中心といたしましてワーキンググループをつくっておりまして、これを随時開催いたしまして、例えば業務委託の範囲、それから、改善点及び施設整備の基本的な考え方などにつきまして検討を行っております。したがいまして、PFI手法の導入に向けた取り組みも進めているということでございます。
○斉藤委員 だんだん内容的には少し具体的になってきたのかなという感じがいたします。病院の現場とともに、積極的な意見交換をぜひお願いしますし、また、整備に向けてさらなる検討は、当然のことながらお願いするところであります。
そしてまた、現在でも松沢病院は、精神科救急を初めとした、ほかの医療機関では対応困難な精神科疾患に積極的に対応しており、その点では、東京都にとどまらず、我が国全体から見ても大変最先端を行く医療機関ではないかと思います。
これはちょっと余談でありますが、去年、松沢の方を見学させていただいたときに、救急の病棟の方を重点的に見させていただきました。その業務に大変打ち込んでいる医師がいて、さらには、そういった最先端ということでいろいろ勉強されている医師の方もたくさんいらっしゃる。にもかかわらず、四件救急があれば、本当に一晩じゅう忙しくて、手が足りないという状態にある、精神科ゆえの、件数ではなくて、むしろ一件当たりの時間数が大変長いという課題があるわけです。
先日も、消防の救急隊の方に話を聞いたら、ほかの出場で行くよりも、精神科ということでわかっていて出場する場合は、時間の部分で少し腹をくくって行くぐらいの感じがあるというような話も聞いております。このあたりについては、むしろ各都立病院が努力ということじゃなくて、全体の仕組みとか、もちろん法律的な部分があって、なかなか時間短縮というわけにはいかない部分もありますが、今後そういった需要がふえていく中で、どう対応するかというのは大きな課題でありますし、そういった部分について、大変経験を持っている都立病院の方から、ほかの関係機関にいろんな知恵や工夫というものを発信していくことは、これは今後とも課題ですし、またお願いするところであります。
さて、二つ目の質問なんですが、今後、精神医療センターに再編整備されることで、その機能が一層強化されると思いますが、この整備に関して、施設面や内容面で多くの議論を重ねていると思います。これは本当に毎年毎年の議論が、まさにそれこそ一年一年細かいものに、また重いものになっていくということが予想されますが、施設面、内容面、それぞれどのような考え方に基づいて整備していこうと現在考えているか、その考えについて伺いたいと思います。
○及川参事 まず、施設整備面につきましては、現行の松沢病院の施設の多くが、配置が低層分散型で老朽化が著しく、手狭な状況であるため、施設の改築に当たりましては、集約立体化方式を前提といたしまして、患者さんの利便性や職員動線の効率性などが図れる機能的な施設とすること。また、療養のための十分なスペースを確保するなど、患者のQOLを高め、心の安らぐ、安全で快適な療養環境を提供できるように配慮すること。
次に、医療機能面につきましては、急性期精神医療を中心に、精神科救急医療、身体合併症医療、薬物依存症等の精神科特殊医療を担うなど、一般の精神病院では対応が困難な専門性の高い精神疾患にも対応していくことでございます。
こうした考え方に基づきまして、都の精神医療の拠点としての精神医療センターとして整備をしてまいります。
○斉藤委員 松沢病院については、本当に我が国をリードする病院でありますので、ぜひ、本当に患者さんの期待にこたえていただきたいと思います。同時に、それこそ二十三年度以降に、多分その整備が終わる時期には、本当にその社会的な注目度も変わってくるとは思います。この注目にちゃんとこたえられるような形で整備が終了することを望んでおりますので、ぜひそういった意味での事業の推進を図っていただきたいと思います。一問目については以上です。
大きな二点目ですが、この十八年度から、公社病院についての所管局が、こちらの病院経営本部に移りました。今まで福祉保健局の方でいろいろ頑張ってきた部分があるんですけれども、最終的には、十八年度からは、こちらの病院経営本部の管轄になるということです。都立病院から公社化した大久保病院、多摩北部医療センター、そして、この四月、公社化する荏原病院を含め、五つの公社病院が病院経営本部の所管に入ります。
これまで福祉保健局の所管だったわけですけれども、こちらの病院経営本部に移ることは、明確にここがということは私どもはなかなかいえないんですけれども、ここだけの話、個人的には、何となくその方がいいのかなというような、そしてまた、経験が生きて、それ自体はよい判断だったのかなというような感じがいたします。
このあたり、私どもはあくまで、はたから見ての感想でしかないんですけれども、一方で、逆に、病院経営本部から見て、所管がこちらに移ってくるということで、具体的にどのあたりが今までと違うのか。病院経営本部に移って、こういう点がよい点であるということについて、当事者としてアピールをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木サービス推進部長 所管局変更のメリットということでございます。
まず、公社病院にとりましては、都立病院が有しております高度の診療基盤あるいは人材といったものを活用しまして、医師を初めとする医療人材の確保あるいは育成といったことについて非常にうまくできるのではないかと思っています。
また、一方では、都立病院にとりましては、公社病院がこれまで先駆的に取り組んできました医療連携のノウハウ、こういったものが活用できます。
このほか、共通的なことになるんですが、患者様のサービス向上あるいは医療安全活動、研修、それから、病院運営上共通する課題につきまして情報交換等を行って、相互の病院の取り組みの充実を図っていくことができるというふうに考えています。
こうしたことを通じまして、都立病院と公社病院とのより緊密な医療連携体制を構築していくことができるというふうに考えております。
○斉藤委員 大変管轄する病院が多くなりますから、その分、スケールメリットというものがあると思います。このスケールメリットを十分に生かしながら、ぜひそれぞれの病院の運営を充実させていただきたいと思います。
さて、じゃ、所管局の変更に伴って、今回、かなり短い期間で変更の方の判断をされて、もうこの四月には変更というふうになるわけなんですが、この所管局の変更に伴って、現場で困惑が生じるようなことはないのかということを、ちょっと確認をしたいと思います。
また、新たに発生するような手間みたいなものがありましたら、どういったことでしょうか。その辺を確認したいと思います。
○鈴木サービス推進部長 変更に伴う問題点といったことだと思いますが、まず、公社病院の運営でございますが、これは引き続き東京都保健医療公社が行っております。そういうことですので、所管局がかわりましても、病院現場で混乱が起きることはないというふうに考えております。
それから、今後、病院経営本部は、公社病院を含めると十六病院、それから、七千二百床を超える大きな組織となります。このスケールメリットを生かしまして、相互の情報交換等を緊密に行えるように留意しながら病院運営に取り組んでいくことが必要だろうというふうに考えております。
○斉藤委員 では、最後に要望ですけれども、それほど大きな心配はないんじゃないかということで理解をしております。とにかく実際にいらっしゃる患者さん自身にはなかなかわからない部分かもしれませんが、逆に関係者の方がむしろこういったことを気にされるかもしれません。現場に無用の心配をかけて混乱を招くことのないように当然していただきたいですし、また、多くの都立病院同様、地域医療の充実に力を尽くしていただきたいというふうに思います。
以上です。
○吉田委員 私も、報告事項、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備事業に係る落札者の決定について、簡潔に質疑をさせていただきます。
我が党は、これまで、都立小児病院の統廃合という点でも、またPFIの導入についても、何点かにわたって疑問点や問題点を提起してまいりました。きょうは、それを繰り返すということはいたしません。今回の落札の問題を中心に、何点かにわたって質問させていただきます。
私が、きょう、この場で質問させていただきたいのは、主に二点です。一つはバリュー・フォー・マネー、VFMの問題について。二つ目には、皆さん方の努力にもかかわらず、残念なニュースとして、落札企業が先日、略式起訴ではありますが、競売入札妨害ということで起訴されるという事件が起きましたが、この問題についての対応ということで聞かせていただきます。
初めに、VFM、バリュー・フォー・マネーの問題なんですけれども、これまでもこの問題は本委員会でも議論になりました。VFMがPFIの最大のメリットの一つというふうにいわれているかと思うんですが、四年前、導入前の検討に当たっては一三・八%、金額だとたしか百二十六億円縮減効果があるという報告がありました。昨年の都の計算では二・三%、七十億円の縮減効果というふうに東京都自身が推計をしたと思います。ところが、今回の落札者の計算では、六・七%ということになっています。金額的には約百四十九億円の効果というふうになりました。
それで、このように、そのたびごとにかなり大きくVFMが揺れるわけですけれども、今回の落札で、昨年度、都が推計した二・三%、それが六・七%になったわけですけれども、どういう分野で手法なり運営なりの工夫、改良がされて、このようにVFMの比率が上がったのか、そこをまずお伺いしたいんですが。
○及川参事 ただいまお話のありました二・三%という数字は、昨年度、特定事業の選定、これはPFIでいくことにしましたという段階での数字が、二・三%のバリュー・フォー・マネーでございます。で、六・七%というのが、今回落札をした結果の、いわゆるバリュー・フォー・マネーの結果の数字でございます。
したがいまして、この差の理由でございますけれども、この差は、当初予定をしていた入札予定価格に対しまして、事業者がさらに金額を下回って入札をしてきた。で、自動的に二・三%の予定が、落札差額によって六・七%に落ちたという結果でございます。
○吉田委員 最終的に選定経過を見ますと、必ずしも安い、最も低かったところを選定したわけではないということは、私も承知をしております。ただ、問題は、VFMが上がったというのか、下がったというのか、どういうふうにいったらいいのかわかりませんが、結果的に金額を下げることができたことをもって、単なる評価をすることはできないと思うんですよね。やはりサービス水準そのものがどうであったかということも、あわせて見る必要があると思うんですが、具体的な事業として十数種類、例えば建物そのものの建設から、あるいは事務、さらに清掃、あるいは食事、メンテナンス、たしか十数項目の事業があると思うんですが、主にどの分野で、東京都の当初計算よりも下げることができたのか、どういうことによってそれが下げられたのかというのは説明していただけますか。
○及川参事 PFIの仕組みを若干ご説明させていただきますが、PFIは、要求水準といいまして、いわゆる求めるサービスの水準を明示いたします。各事業者が、そのサービスの水準に達するような創意工夫を行った上で、提案をしてまいります。これに対して、いわゆる公平、透明な審査制度として、審査委員会を外部委員を設けて実施して、その得点をまずはじく。プラス、実際にそのサービスを担保するための建物も含めたトータルコストのいわゆる入札、その多寡によって、また得点が加算をされる。その結果、今回、この清水建設を代表とするグループに決まったということでございまして、入札の方法としては、全体の金額一本で入札をしておりますので、その内容につきましては、これから、金額ではなくてサービス水準が満たされているかどうかという点をきちんと事業者と詰めていく、こういうPFI事業の段取りになっております。
○吉田委員 そうすると、あくまでも落札時は、内訳なしで最終的な総額のみの提示だということなわけですね。一般的な建設業などの落札はそういう形かもしれませんけれども、今回、やはりバリュー・フォー・マネーということで、それがどれだけになるのかということが問われ、そうして、かつ、サービス水準を後退させないということを確認する必要がある場合は、やはり総額一本だけではなくて、少なくとも都が示した事業の内訳ごとの積み上げでこうなるんだというふうなことが明らかにされるのが適切ではないかというふうに思います。
もちろん、入札者あるいは落札者がどのようなサービスをするのかということについては、それぞれ各分野ごとの文書が提出されていることは承知をしています。そういう仕組みがつくられたとしても、先ほども話がありましたけれども、じゃ、具体的にその仕組みを運用するマンパワー、そういう人材が適切な配置になり得るような財政措置なり予算措置ができるのかという問題と表裏一体に見るということが求められているのではないかというふうに思います。それは今後明らかになることだというふうにいわれるんですけれども、そういう点で、もっと情報公開ということを私たちはいってきましたけれども、そうした点が明らかにされるべきではないかというふうに思います。
それと関連して、たしか落札価格が二千四百億円余なんですけれども、今後の東京都自身のそれ以上の支出の可能性についてちょっと確認させていただきたいんです。実施方針では、事業者へのインセンティブとして経営支援報酬加算というものが盛り込まれていたというふうに、たしか知っているんですけれども、そういうようなことは、追加的な支出というのはあり得るんですか。
○及川参事 SPC、いわゆる特別目的会社でございますけれども、このSPCに対しましては、業務を最適に実施していくための助言、それから支援を行うサービス・プロバイダ機能と申しておりますけれども、そういった機能を求めております。したがいまして、経営支援機能は、この契約金額の総額の中に含まれているというのが私どもの解釈でございまして、現在のところ、この契約金額以上の加算措置というものは考えてございません。
○吉田委員 もう一つ、三十年のところもありますが、東京都はこの場合十五年ですけれども、それにしても、十五年という長期にわたる契約、その間に、診療報酬、薬価その他、さまざまな変動要因にどう対応できるかということが、当然皆さん方も、事業者の方も、その問題に非常に関心を持っていると思うんです。
もう一つ大きな変動要因として、例えば新規に建てたときの医療機器というものは、この落札価格の中で対応するということになるんですけれども、医療機器の新たな開発、普及というものが非常に速いスピードで進められますし、それは金額的にも非常に莫大なものになると思うんですが、医療機器などの新たな更新というような費用は、この価格の中で盛り込まれるのか、それとも新たな東京都の負担として、新たな更新のたびごとにふえていくということになるんでしょうか。
○及川参事 いわゆる高額医療機器の更新の問題だと思うんですが、更新が必要な場合には、東京都が更新の費用を支出して、設置してまいります。
○吉田委員 これからもこうした問題がどういうふうに推移していくのか、見させていただきたいというふうに思うんです。
次に、二つ目に、いわゆる防衛施設庁に絡む、幾つかの大手ゼネコンも含めた競売入札妨害の問題についてただしたいと思うんですが、先日、落札企業である清水建設株式会社が略式起訴されました。まず、この事実関係についてどのように把握をされているのか、ご説明をお願いいたします。
○及川参事 新聞情報によって把握をしております。その内容は、三月十四日でございますが、新聞報道によりますと、防衛施設庁が発注した建設工事をめぐる官製談合事件の関連で、同庁OBや工事を受注したゼネコン八社の担当者九人を略式起訴したということでございます。
また、これを受けて防衛施設庁の方は、八社のうち二社を本年三月十四日から十二カ月間、残り六社を六カ月間、指名停止処分をしたというふうに承知しております。
○吉田委員 その中に清水建設が入るわけですよね。それで、こういう場合、現時点ではそこまでしか確定してない事実ですけれども、国及び都としても指名停止ということになる可能性というのは、この間の経過からしても、東京都自身が定めているものからしても、当然そういう形になると思うんですが、その辺の判断といいますか、認識はどのようにされているんでしょうか。
○及川参事 今回の事件を受けまして東京都としてどのような処分がなされるのかというのは、私どもの所管ではございませんので、これは何とも申し上げようがございません。仮に指名停止等の処分がなされた場合には、これは適切に処理をしていくということでございます。
ただ、いわゆる入札説明書等におきまして、その参加資格と資格の喪失というところを広く事業者に対しましても公開しておりまして、その中で、いわゆる基本協定が締結されるまでの間、こういった東京都の処分が仮にあった場合には、この参加の資格は喪失になりますが、基本協定締結後におきましては、これはいわゆる契約の効力が発生しているということで、仮に基本協定締結後に処分がなされた場合には、参加資格を剥奪するものではございません。
それで、現在、清水建設とは既に基本協定を締結しております。
○吉田委員 東京都の仕組みについて、私も財務局から説明を受けたわけですけれども、一般的には、起訴、もちろん略式起訴も含めてですけれども、された場合には、当該企業から東京都として、てんまつ書の提出を求める。それで、通例の場合ですと、東京都発注を除く関東地方発注で競売入札妨害の場合には、四か月の指名停止ということが定められている。なお、毎月月末に開く東京都契約事務協議会において、その判断の妥当性を議論し、その上で、指名停止するか否かの具体的な措置が東京都として示されるというふうな流れで進むんだそうです。そういう可能性というのは、今回のケースは極めて妥当となるわけですけれども、指名停止という場合は、一般の場合には、落札までの過程で指名停止がされれば拘束されるけれども、落札以降、指名停止がされたとしても、その落札は有効であるというふうな仕組みになっているんだそうですね。
ただ、この場合には、そうではなくて、基本協定の締結までの間でというふうに、落札より一定期間置いているんですけれども、これは本来ならば、落札から実際の契約までの間でこういうことがあれば資格喪失ですよというふうに、基本協定じゃなくて、契約の時点まで、本来ならば資格要件を定めるべきではないかというふうに思うんですけれども、そこはいかがですか。
○及川参事 先ほどもPFIの制度につきまして若干触れさせていただきましたけれども、今回、このPFIで落札をした、いわゆる清水建設と事業契約を結ぶわけではございません。事業契約を結ぶのは、あくまで清水建設が主として出資をする特別目的会社、SPCと東京都が事業契約を結ぶことになっております。
ただし、その事業契約を結ぶまでには、個々のサービス水準について一つずつ点検、調整をしながら積み重ねていくために、時間がかかります。その前に、いわゆる落札者と基本協定を結んで、いわゆるSPCができるまでのきちんとした立場を担保するというために基本協定を締結しているわけでございまして、いわゆる基本協定は一般でいう契約行為というふうに考えていただいて結構だと思います。
○吉田委員 今、説明ありまして、私も書類その他は読ませていただきましたけれども、やっぱり十五年間にわたる長期の契約にかかわるものであり、たとえSPCであったとしても、その中核企業が清水建設ということで進められようとしていることは明らかです。かつ、命と健康、都立病院であるわけですから、私はやはり今回のこういう事件を起こしたことについて、改めて再検討の対象とすべきではないかというふうに思いますし、なお、この機会に聞いておきたいんですが、この点で何か落札企業から事情の説明なりはあったんでしょうか。
○及川参事 現在のところ、聞いてございません。
○吉田委員 私は、まず、全く説明もないこと自身も極めて理解しがたい点ですけれども、これだけ十五年に及ぶ大きな契約であり、慎重には慎重を期すという点から、この問題についても、今後、最終的な指名停止その他がどういう形になるかはまだ未定の話ですけれども、やはりぜひ再検討する課題ではないかということを述べて、質問を終わります。
○初鹿委員 皆さんのご協力で、大分早く進んでおります。最後の質問になりますので、ごく簡単にさせていただきます。
きょうの報告事項にありました東京都立病院条例等の一部を改正する条例、つまり、診療報酬が改定されるということでご報告があったと思います。今回の診療報酬の改定率は、マイナス三・一六%と非常に大きな削減となっておりまして、当然ながら都立病院の経営ということを考えたときにも、入院や外来の収益に大きな影響を与えることになると考えます。また、現在国で検討されております健康保険法の改正では、ことしの十月から、現役並みに所得を有する七十歳以上の高齢者の個人負担が二割から三割にアップされる。また、それ以外の七十歳から七十四歳までの方の個人負担も、平成二十年四月からは一割から二割にふえるということが予定されているということです。
こういう状況を踏まえると、都立病院としては、この診療報酬のマイナス改定によって、入院、外来の収益が全体的に減少する。そしてまた、患者の個人負担もふえるということですから、裏を返せば、負担ができない、払えない可能性があるという方も出る可能性があって、そこは確実に収入にしていくということが必要になってくるというふうに考えます。今のこの国の制度、保険制度は充実しておりますけれども、あくまでも自己負担はしなければならないわけですから、それを無料にするということにはならないわけで、かかった分はしっかりと支払っていただくということが必要だと思います。
こういうことを考えると、病院の窓口で、現金の持ち合わせがないから個人負担を払えないということで、そのまま未収金になってしまう場合や、外国人の場合、また、もともと経済的な事情でなかなか支払いが困難な患者さんなども多くなってくるのかなというふうに思います。
そこで、一点伺いますけれども、都立病院の患者の個人負担金の未収額は年間どのくらい発生し、また、その未収金の回収について、これまでどういう取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。
○鈴木サービス推進部長 個人負担分の未収金の件なんですが、平成十六年度の患者個人負担金の未収額、これは都立病院全体で六億五千万円、入院と外来の診療収益とを合わせた医業収益というのがございますが、これは全体で千百十五億六千万円となっておりまして、それの約〇・六%というふうになっております。
こうした未収金の回収につきましては、居どころがわからなくなった居所不明者の調査だとか、患者宅への出張徴収、それから、各病院での未収金回収の強化月間の設定、あるいは、その中で回収のための特別班の設置、こういったものをやって回収に努めているところです。
また、個人未収金を効率的に管理するために、医事会計システムと連動しました個人未収金管理支援システムというものを八病院の中に導入しております。それで、未収金が出た一覧表の作成だとか、催告書あるいは督促状の作成などということを行っております。
さらに、主税局が実施しております使用料等滞納金回収事業、いわゆる債権回収チームといっておりますが、これに参画いたしまして、現地調査、電話あるいは面談による納入交渉などを行いまして、あるいは、そのほか裁判所による支払い督促制度、こういったものを活用しまして、未収金の回収に努めているところでございます。
○初鹿委員 全体で六億五千万円という金額ですね。収益の割合からすると、〇・六%と低いわけですけれども、やはり金額がもとのベースがでかいので、六億五千万というと、かなり大きな額だと思いますので、これはやはりしっかりと回収できる部分は回収していく必要があると思います。
今お話がありましたところによりますと、この回収のために患者さんのもとへ行って徴収したりということを職員の皆さんがやられているということです。公務員の方々が、未収金の回収というと、聞こえはいいかもしれませんが、簡単にいえば借金の取り立てなわけで、こういう業務を行うことには恐らくふなれだと思います。また、患者さんの中にもさまざまな方がいると思いますので、本当に危険な目に遭ったり、本当に精神的なつらい思いをしながら業務に当たっているんだと思います。そのご苦労は本当に大変なものだなと思いますが、そうはいっても、やはりしっかりと取り立てていかなければならないことはいうまでもないので、皆さん方の努力というものが、本当にこれからこの回収をするに当たって必要だというふうに思いますので、ぜひ頑張っていただきたいなと思います。税金のように強制力があれば、もう少し楽なのかもしれませんが、そうではないので、本当に職員の皆様方の苦労を我々もしっかりと受けとめていかなければならないなと思います。
ちょっと視点を変えまして、今年度から都立病院はクレジットカードによる診療費の支払いを試行的に導入いたしました。このクレジットカードは、患者の支払い方法の選択肢が広がり、利便性が向上するという、患者サービスの向上を図ることが本来の目的であるということは理解をしております。しかし、一方で、救急などで受診した場合に、現金の持ち合わせがなくて、クレジットカードで支払いができるということになりますと、当然患者サービスの向上を図ると同時に未収金の発生の予防にもつながるんだろうと思います。
私も、ちょうど一年ちょっと前だと思うんですが、私の一番上の娘、当時小学校一年生の子どもが、夜十時ぐらいに墨東病院に救急で行きました。私、すぐそばで支援者と一杯やっていたんですが、女房から電話がかかってきまして、病院に来てくれというわけですよ。相当重症か何かで重病なのかなと思って行ったら、何ということはない、急いで来たので持ち合わせがないんだということなんですね。たしか春先だったんですが、三月までは未就学児だったので医療費がかからなかったので、余りそんなことを気にして行かなかったのが、病院に来てから、考えてみたら、ことしからお金がかかるんだなあと。財布を見たら余り入ってなかったので不安になったということで呼び出されてしまいました。
それはいいんですが、恐らくそういうケースの方って多いと思うんですよ。例えば、外で事故に遭って、そのまま救急車で運ばれました、手術をしました、一体幾らかかるんだろうかといったときに、会計のときに、あ、びっくりみたいな方というのは多いと思うので、やはりそういう意味ではクレジットカードというのは非常に有効なのかなと思います。
そこで、クレジットカードの導入状況、また取扱額は現在どれくらいになっているのか、まずお伺いいたします。
○鈴木サービス推進部長 クレジットカードの導入状況ということですが、昨年五月ですが、豊島病院に初めて導入しました。それから、六月には広尾、府中、十月には駒込病院に導入しまして、現在、四病院で使えるようになっております。
また、クレジットカードによります取扱金額なんですが、ことしの一月、一カ月の四病院の合計で見ますと、一億一千万円がクレジットカードの支払いです。一月の個人負担分の入金額全体では七億四千万円ですので、それの一四・七%という状況でございます。
○初鹿委員 個人負担の入金額の一四・七%、約一五%がクレジットカードの入金ということで、浸透していけば、これは恐らくもっともっと広がっていくのではないのかなあというふうに思います。
例えば、入院をされている方が支払いで、ある程度、二十万なり三十万なりの額を払うときに、それを現金で用意して持っていくとなると、入院中にベッドの横に現金を二十万入れた封筒を置いておくというのは、やはり不安だろうなあと思いますので、そういうときにカードで支払えれば、これは本当に患者にとってもありがたいことだなあと思うんですね。
また、金額を見て、一遍に払えないなあ、一遍に払うのは大変だなあと思ったときも、クレジットカードでリボルビング払いをすれば、それは可能なわけで、そういうことができるということになると、払えないから、その場で払わずに帰ってしまって、結果として未収金になっているということも防げるのではないか。そういう意味では、病院にとっても非常にありがたい仕組みになるのではないかなと思います。
そこで、最後、お伺いいたしますけれども、この未収金対策について、クレジットカードの導入の拡大も含めて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○鈴木サービス推進部長 今後の未収金対策ということだと思いますが、初めにクレジットカードの導入拡大ですけれども、これは来年度、四月からもうすぐ来年度ですが、残りの七病院に順次導入していって、すべての都立病院で使えるようにしたいというふうに考えております。
それから、未収金の発生の予防対策といたしましては、患者情報の確実な把握に努めているとともに、高額療養費の貸付制度、あるいは高額療養費の委任払い、あるいは生活保護制度などといった、公的支払い制度に関する相談だとか情報提供を一層充実して、患者さんの方に提供していきたいと思っています。
また、これらの取り組みを、MSWだとか医事課職員、通常、こういった人たちが全面的に対応するわけなんですが、そのほか、医師や看護師といった日常的に患者さんといろいろ接する方、こういう職種の医療スタッフの方とも連携をとりながら、早期に状況を把握していきたいと思っています。
未収金の回収につきましては、主税局が実施しております債権回収チームなどを通じまして、徴収のノウハウ、こういったものを習得、継承するなどして、今後とも一層の回収に努めていきたいと思っております。
○初鹿委員 まず、未収金にならないための方策が必要だと思いますので、そういう意味では、ソーシャルワーカーや医事課の職員、それに加えて医師や看護師などが相談に当たっていくというのは、非常に意義があることだなあと思います。
また、実際に未収金になってしまったときの回収については、主税局からいろいろなノウハウなどを習得していくということで、ここが職員の方が一番つらいところだと思いますが、頑張っていただいて、やはり、払う人と、払わないで逃げてしまう人とあってしまったら、これは公平ではないと思います。幾ら厳しい経済的な状況だといっても、支払わなければならないものはしっかりと支払いをするということを徹底することも必要だと思いますので、ぜひ職員の皆さん、努力をしていただきたいと思います。また、これからもこの未収金対策について、いろいろな工夫や努力を要望して、私の質問を終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時四十分散会
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