委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 田代ひろし君 |
理事 | 初鹿 明博君 |
松葉多美子君 | |
早坂 義弘君 | |
山口 文江君 | |
山口 拓君 | |
斉藤あつし君 | |
野村 有信君 | |
佐藤 裕彦君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 大塚 孝一君 |
経営企画部長 | 奥田 匠君 | |
サービス推進部長 | 徳毛 宰君 | |
参事 | 及川 繁巳君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十五号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
請願の審査
(1)一七第一四五号 都立荏原病院の保健医療公社移管問題に関する請願
報告事項(質疑)
・がん・感染症医療センター(駒込病院)の整備について
○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのようにいたします。
○藤井委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の付託議案及び請願の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
付託議案及び請願の審査を行います。
第二百十五号議案及び請願一七第一四五号を一括して議題といたします。
付託議案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料及び請願について理事者の説明を求めます。
○奥田経営企画部長 去る十一月二十八日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料(東京都立病院条例の一部を改正する条例)をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、公社病院における医師・歯科医師及び看護師の欠過員状況、平成十五年度から平成十七年度までから、3、大久保病院の経営状況、平成十五年度及び平成十六年度まで三点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、公社病院における医師・歯科医師及び看護師の欠過員状況でございます。
公社四病院の医師、歯科医師及び看護師について、平成十五年度から平成十七年度まで、各年度の定数及び四月一日現在の現員と欠過員状況を記載してございます。
二ページをお開き願います。2、公社病院における看護師の固有・派遣職員の推移でございます。
公社四病院について、平成十五年度から平成十七年度までの固有職員と派遣職員の推移を記載してございます。
三ページをごらんいただきたいと存じます。3、大久保病院の経営状況でございます。
平成十五年度及び平成十六年度の大久保病院における診療収益、患者数及び病床利用率を入院と外来とに分けて記載してございます。
なお、患者数につきましては、そのうちの救急患者数及び外来初診患者数を再記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。
引き続き、都立病院に関する請願についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます厚生委員会付託請願・陳情審査説明表に沿いまして、ご説明させていただきます。
一ページをお開き願います。整理番号1、請願一七第一四五号についてご説明申し上げます。
この請願は、医療と介護を考える大田区民の会代表川俣光真さん外三万五千四百八名から提出されたものでございます。
請願の要旨ですが、都立荏原病院の保健医療公社移管に関して、次のことを実現していただきたい。
1、保健医療公社への移管計画について、医療情勢の変化、先行して公社移管した病院の状況を検証し、慎重に再検討すること。2、再検討に当たっては、患者や住民の要望を十分踏まえること。3、荏原病院の現行の医療水準、それを支える医療スタッフの体制を維持し、充実させること。4、かかりつけ医のいない場合は、紹介状なしでも受診できる現在の診療システムを維持することというものでございます。
下の段、現在の状況でございます。
都立荏原病院は、都立病院改革マスタープランに基づき、地域医療の一層の充実を図るため、その経営主体を、地域の医療機関との連携に関するノウハウや実績を有する財団法人東京都保健医療公社に変更することといたしました。
これまでの経験を踏まえ、円滑な移管に向け、患者や地域住民に対して移管計画をわかりやすくお知らせするとともに、地元自治体や地域の医師会及び医療機関等の医療ニーズを踏まえ、さらなる医療サービスの向上に向けてきめ細かい努力を行っているところでございます。
本年九月には、公社移管後の病院構想について、本委員会において報告を行い、平成十八年四月の移管を目指しまして、開会中の都議会定例会に都立病院条例改正案を提出させていただいたところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
先ほどの資料を含めて、これより付託議案及び請願に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 まず最初に、せんだってちょっと事件になりましたけれども、偽りの医師免許証で医療行為を行った医師が逮捕された事件があったんですけれども、都立病院、特に名前も出たわけですが、公社化病院を含め、都立病院はどのような対応をしていくのか。
これは今までの経過を見ていますと、だれに責任があるというわけではなくて、信用の置ける日本という国の中で、大学の方から連絡があって、こういう医者が行きますよといわれれば、大体見た目も、それから年齢もそれに該当してしゃべっていれば、その先輩、後輩の名前を間違えていなければ、まあいいだろうと。特に、本免許証を出すというよりも、我々の世界でもやはりコピーで認知するというところがありました。
というのは、医師にとって免許証というのは、二つとかけがえのないものですから、そう簡単に軽々と持ち出すのではなくて、僕の大学でも全部医師に預けないで大学病院が保管するという形を今とっておりますけれども、場合によっては、局員に、きちっとどこか保管できるような場所、公的な場所というか、銀行の貸し金庫でもどこでもいいんですけれども、預けるように、我々も指示をしております、外に流れ出すこと自身を避けなくてはなりませんから。
だから、そういう意味では、コピーでいろいろ事件があったことは、これまでの経過を見ると、まあ仕方がないかなというところがあるんですが、こういうことになってしまうと、世の中何も信じられないわけですから、しっかりとその対応を立てていただきたい。
都立病院としては、具体的にはなかなか、今すぐこうしてああしてということはできないでしょう。それから個人情報保護法の問題も出てきます。いろいろな立場で医師が大学をやめなくてはならない状況も、我々大学病院の立場としていえば、一つの理屈があるわけですけれども、やめなくてはならない医師の立場からは、また自分の状況があるわけですから、一方的にすべて問い合わせて、すべて我々がしゃべるというのもいかがなものかなと思いますので、都立病院としてのお考え、方向性がわかれば、お示しいただきたいと思います。
○奥田経営企画部長 都立病院における医師採用でございますが、ただいまお話のありましたとおり、大学医局からの派遣が大宗を占めているということで、派遣を受けるに当たりましては、事前に医局と十分に情報交換を行い、さらに大学卒業証書、それから医師免許証の写し、これまで勤務した病院の発行する在籍証明書なども添付させまして、これを確認しているというところでございます。
また、都立病院といたしましては、採用時に、その専門知識も含めた確認をするということで、例えば研究実績であるとか、あるいは人物の確認なども含めて面接を行っているというところでございます。
医局派遣ではなくて公募で採用するケースということもあるわけですが、これは非常に数的には限られております。この場合も、面接や書類の提出に加えまして、出身大学あるいは医局関係者など照会をいたしまして、さまざまな方面から人物の確認を行っているということでございます。
今回の事件にかんがみまして、医師採用時には、卒業証書、それから医師免許証、非常に貴重なものだというお話がございましたが、原本で確認をするということで、資格確認をさらに徹底していく考えでございます。
○田代委員 大変貴重なものですが、患者さんの命を預かるという職務にあるわけですから、しっかりとその確認を行っていただきたい。
今回の事件というのはよくわかりませんけど、ある人材派遣会社ですか、紹介のところから来たということで、そこを信じられたということもあるでしょうし、それから、今のお話のように写真の添付というのがなかなかできていませんから、そうなると、やはり原本でチェックをするしかないのかなと思います。そこを、二度とこういうトラブルがないようにご注意いただいて、都民のために都立病院の充実を図っていただきたいと思います。
それから、今回の荏原病院の公社移管についてですが、これはいろいろ問題になっているのは、やはり行政のアカウンタビリティーがしっかりと行われていない。やはり住民の方々にとって、自分たちの健康はどうなるんであろうか、これが一番心配なわけですね。これを確実に担保してくれるということになればどうってことはないんですが、そこの説明がしっかりされないために、ややもすると政治活動に使われたり、名簿を集めて選挙に使われたりというようなうわさが出てきちゃう。これは、一部の恣意的なやり方によって医療というものが曲げられるのは非常に悲しいことなんですが、そうならないための一つの責任は都側も果たしていかなくちゃならないんだろうと思います。
どのように公社化されて、そして、その中で公社化されたことが地域医療にどのようにプラスになるのか。
実は私の地元であります世田谷区でも、成育医療センターという、もともとは国立病院が、大蔵病院というのと国立小児病院と二つあったんですが、両方とも私の医局の派遣病院だったんですけれども、それが変わるときに非常に大きなトラブルがありました。
どういううわさかというと、成育医療センターになってしまうと、お子さん方で、しかも障害を持っていらっしゃるお子さん方以外はだれも診ないんだと。じゃあ、今まで大蔵病院に行っていたおじいちゃん、おばあちゃん、高血圧の人、生活習慣病の人はどうすればいいんだ、こういう話がどんどん出てきたわけですね。
ふたをあけてみたら、しっかりとみんな対応することになって、話し合いの上で、我々医師会も申し入れて、大学も申し入れて、一般の開放も、全部ではありません、これはナショナルセンターですから、全部やればまた話はおかしくなりますから、当然、必要な、十分な方々だけ対応することになっているわけですけれども、やはり説明があれば--実は私の地元でも、ある政治的な動きが物すごくありました。ある政党だけが、特段にその病院でかかっていた人たちが命を落としてしまうようなことを、駅でもビラをまいて、新聞にも書いて、さんざんやって不安をかき立てたわけですけれども、そういうことにならないように、やはり行政ももう少し配慮のある対応を、都民、特に地元の大田区、品川区、当然世田谷区、僕も登録医第一号ですから、とても関心があるので、地域医療を守るという中で公社化病院が責務を果たしていく、そういう姿勢を見せていただきたいと思うんですね。
基本的に、再度ちょっとお伺いします。何回も同じ話を伺いましたけれども、都立病院が公社化するその理由、わかりやすく、一言でいうとどういうことだということをちょっとお答えいただきたいと思います。
○奥田経営企画部長 都立病院は、都内全域もしくは複数の保健医療圏を対象に、例えば周産期医療であるとかがん医療等々、行政的医療を提供することを役割としております。
公社病院は、地域の医療ニーズの充足を目指すということで、具体的には、紹介、逆紹介あるいは開放型病院として運営するということで、必要に応じて共同診療なども実施をしていく。
これによりまして、患者さんから見ますと、一度地域で受けた検査、これをまた病院で繰り返してやるというような二度にわたる過剰な負担がなくなる。あるいは、病院での診療状態を地域のドクターに的確に提供することによりまして、身近な地域で継続性のある医療を一貫して受けることができる。それから、かかりつけ医の面でも、病院のドクターと頻繁に接するということによりまして、新しい医療技術もしくはその他の医療面でのサポートを受けることができる。
こういった仕組みを、住民もしくは医療機関代表者から成る運営協議会というシステムで恒常的に論じていくことによりまして、医療内容そのものも地域住民のニーズにふさわしいものに刻々と変化させていく、総体としては、医療水準あるいは医療サービスの向上を目指していく、こういう取り組みでございます。
○田代委員 まさしくそうなんですけど、その説明の中で、住民の方々が一番心配しているのは、広域的な行政的医療を都立病院は行っていく。そして、高度先進的な医療を行っていく。逆に、公社化病院は地元にもっと密着した医療というものをやっていく。そこの区別化であるんだということなんですが、それはまさしく一番必要なことではあるんですけど、逆に、一番簡単にいえば、地元の方々が、大田区や品川区の方がおっしゃっているのは、今まで受けていた医療がちゃんと継続されて、しかも中身がよくなるのかという単純なことなんですね。言葉をかえていうと、何か自分たちが受ける対応も変わってきてしまうんじゃなかろうか、これが非常に心配でありまして、新しくオープンシステムになった病院に適合する病気、あるいはそういう患者さんたちは優遇されるけど、今まで続けてかかっていた患者さんたちはそういうことがないんじゃないか。その不安がどうも文章から、あるいは答弁から読み取れないので心配をしているわけでありまして、再度お尋ねしますが、今までと何ら変わらないんだ、医療に対してですね、今まで受けていた方たちの対応は何ら変わらないんだ、さらにより充実されて患者さん方の対応ができるんだということをひとつ確認したいんですが、お答えいただけますでしょうか。
○奥田経営企画部長 荏原病院は現在も運営されている病院でございまして、これが、経営主体がある日、三月三十一日、四月一日で変わることによって、その診療内容が大きく異なるということは当然あってはならないことだというふうに考えておりますし、そういう実態も踏まえまして、今度の整備計画でも医療を継続するというふうに方針を定めたところでございます。
また、地域医療に関する関係者からの意見なども聞きまして、現在、既にSU、ストロークユニットであるとか、あるいは放射線治療機器も、現在の段階で整備し、充実強化をして、地域医療病院を目指して運営主体を変えたときには、従前以上の機能が発揮できるように我々も協力をしている、支援をしているという状況でございます。いささかの心配もなかろうと考えております。
○田代委員 大変明解なお答えをいただいてありがたい。そういう明解な答えをもらうと困っちゃう人もいるかもしれないですね、これを騒ぎのもとに、不安のもとにしなくちゃいけないところもありますから。ただ、これを重ねて同じようなことをだらだら、だらだら揚げ足をとるような質問が続くことは、非常に議員としては恥ずかしいことだと思いますが、お約束いただいたことはしっかり守っていただきたい。住民の安心・安全をしっかり守っていく、そういう医療にしていくということはお約束いただきたいと思うんです。
先ほど、地域医療という話が出たんですけど、これからの健康保険制度改正の中で、まあ、改正じゃなくて改革ですね、すべてが正しいわけじゃないんで。改革の中で、地域医療、その地域の特性をしっかり見ていって、健康保険制度の運営をもう一回見直しましょうと。南の県と北の県は内容が違いますよ、あるいは、このエリアとこのエリアは東京都の中でも医療が違いますよということに対応していくためには、今までのような、ただ広域、広域、そして行政的医療だけを行っていた都立病院が公社化するのは非常に必要なことだと思うんですね。
それがきちっとフィードバックされないと、言葉だけではなくて。例えば荏原病院が持っている都の西南部における特徴というものを調べていく、リサーチしていく、そういうような努力もしていただかなくてはならない。そして、その中で、先ほどお話がありましたように、脳血管障害に対しても、あるいはがんの治療に対しても高度先進医療をさらに提供していくわけですから、そこで、今まで都立病院でできなかった人事交流のようなものを含めて、医師のレベルをアップしていただきたい。
せんだってもお話が出ていましたけれども、にせ医者が、つかまった医者が都立病院の医者の倍の給料をもらっているって、何だこれはという話になって、笑い話になりましたけど、それはにせ医者の方が優しかったんだそうですね。我々はこれをちゃんと、厳に戒めととらなくちゃならない。一般の医者より評判がよかったっていうんですから、これは恥ずかしいことでありますが、しかし、都立病院の規定の中とは少し中身が違った公社化病院の中では、もうちょっと自由に医師の質を担保していく、あるいはモチベーション、インセンティブを高めていくような制度というものを中に入れていただきたい。
先ほど申し上げましたオープンシステムという中で、私も第一号の登録医として、今まで何回か行きましたけど、ほとんどの医師会のドクターが行っていない。行くと、どこに行って、どこで白衣に着がえて、だれと話していいか、やっぱり見えていないんですね。実際はあるんですけど、できない。そうすると、自分の診療所にいらしていただいた患者さんと一緒に行くとしても、二の足を踏んでしまう。
もうちょっと行きやすいような制度というものをしっかりつくっていただくと同時に、やはり都立病院と公社化された病院との人事交流も含めて、特に都立病院が今から高度先進医療を行っていくということであれば、そこでの交流、いわゆる都立病院の医者が行くことはできないとしても、公社化病院の医者が行くことができるのかどうか、その人事交流について少しお話を伺いたいと思います。
○奥田経営企画部長 都立病院も公社病院も同じ病院という共通部分の中で、これまで、患者サービスであるとか安全の確保などについては十分情報を交換して、運営のよき材料をお互いに交換し合いながら連携をしてきたという状況でございますが、引き続き、そういう連携を強化すると同時に、人材の交流ということで、もうちょっと弾力的な形で公社病院を都立病院側からも支援するというような仕組みができないかどうか。これについては、前からも先生からご意見をいただいていますが、前向きに検討していきたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、サービスを向上させる、総体としてサービスを向上させるために、今後、双方から知恵を出し合いながら、協力し合いながら、総体としての医療サービスを向上させていくということに努めていきたいと考えております。
○田代委員 今のお話の中で、都立病院が支援しながらというわけですけど、硬直化しちゃって、なかなか支援がしづらいのが都立病院だったんで、今から支援しやすいように公社化病院にしていこうというわけですから、どっちが親でどっちが子どもかはともかくとして、やはり両方でしっかりと患者さんを中心に支援し合うという体制をつくっていただきたい。
それから、先ほどちょっと申し上げました、お給料が云々という話が冗談で出ましたけど、都立病院の先生も公社化病院の先生も別に給料が欲しくてやっているわけじゃないわけです。我々はやはりインセンティブを高めるような医療というものをきちっと自分に与えられるような、そういう環境というものの中で、公的な病院の中でしっかり働いていきたいと思っているわけですから、待遇の面、金銭的な待遇ではなくて、専門職として、看護師も医師も、あるいは事務職も、自分たちが都民の健康を守らせていただいているんだという自負心を持つような状況をつくっていくような、そういう医師としての自覚を持てるような、あるいは誇りを持てるような都立病院あるいは公社化病院の中の対応というものをしっかりしていただいて、それを都民に、事務局も看護職も、あるいは研究スタッフも、そして医師も一丸となってフィードバックできるような、そういう制度にさらにつくり上げていっていただきたい。
そのために一番基本となるのは、都立病院と公社化病院の協調関係。そして、最初に申し上げましたように、まず地元の患者さん方の意見をしっかりと聞く、しっかりとそれにおこたえするという態度を鮮明にしていただくことを強く要望いたしまして、質疑を終わります。ありがとうございました。
○斉藤委員 それでは、今、田代先生の方からも随分質問がありまして、前のときの委員会に比べて答弁の方の雰囲気、言葉の感じというのが少し変わったかなという感想を持っております。
今回、公社化するに当たって、さらに数年後には、おいおい地域医療の支援病院というふうなことで準備をするというふうになっております。こういった中で、病院経営本部は病院の内外に対して、現在の医療機能は継続して、さらに充実を図っていくというようなことを示しております。
ただ、前回の委員会の中でも、そんなに都合のいい展開になるのかなと。そんなふうに全部が維持されて、なおかつよくなるというのは大変なエネルギーを必要とするわけですけれども、そういうふうにいい展開になるのかどうかという疑問が残っておりました。これについては、当該の病院の中の方でもそういった意見を持っている方は大変多いようです。
そういった意味で、実は私の方の家族も看護師をやっていまして、以前、国立大学の病院の方にいましたら、ちょうど独立行政法人になったときにかち合ったんですね。そうしたら、現場の方から不安の声が大変出ました。逆にいえば、こういった時期に不安の声がない方がむしろおかしな話なのかなというような感じの議論があったようです。
正直、議会の中で、病院経営本部の方からいろいろ説明、答弁があったときに、当然それは議会向けに多少整理されたことをいうのかなと。すごい細かいことを答弁の中でいうというのはなかなか難しいですから、整理されたことをいうのかなと思うんですね。
ただ、一方で、やはり現場の方には、議会ではこういうふうないい方をしたけれども、現場の方には、もう少し現場に応じたわかりやすいいい方というものを工夫してほしいと思います。もちろん、いっていることを変えろといっているのではなくて、それぐらい現場の方にわかってもらうというのは、今回の移管において、その成否を左右するぐらい非常に重要なことではないか。正直いって現場の方が納得してもらっている部分が大変大きくて、みんなが一緒に頑張りましょうというふうな感じがあれば、それでかなりサービスも本当に維持されると思いますし、また、こういったいろんな移行することについても順調に進むんじゃないかというふうに思っています。
現在、背景に今、病院が都立ということがあって、なかなか新しいところというのには職員の方も行きにくい。想定していないので非常に戸惑いがあるというのはわかるところであります。正直いって、いろんな病院が世の中ありますし、勤めている家族も今、民間の病院にいるんですけれども、中には、病院長がスタッフのことを余りわかってくれていないとかというふうになれば、いや、あの先生のところから離れられるんだったら早く離れたいみたいなところが病院であると思うんですね。今のところ、残念ながらそういうふうな病院も実際あるわけですけれども、現在の病院経営本部の下で都立の荏原病院がある中で、福祉保健局に早く行きたいというふうにいっているんじゃなくて、むしろ病院経営本部の方に残りたいみたいな方が多いわけですから、そういう意味では評価されているのかなと。せっかく評価してもらっているんだから、そういった職員の皆さんを裏切らないでほしいなというふうなことは正直思うところであります。
早く行きたいというふうになってしまいますと、これはちょっと今の経営が悪いということになりますので、そういうわけではないわけですから、そこは自信を持って対応していただきたいと思います。
自分が働く病院の経営主体が変わることに関して、現場の職員の方々が不安を抱くのはある意味当然ですから、大事なことはその不安を解消することであって、安心して働く状況をつくる、準備するということであるかと思います。そういったことを含めて二、三質問していきたいと思います。
私の方でちょっと聞いた話では、もともと正規の看護師さんが三十名いて、その方が削減されて、そのかわり非常勤職員というふうになったと聞いています。院内でいろんな情報が飛ぶ中で、この背景については、公社化に先立ってというふうに耳にしているという声も聞いております。
今回、これについては、それが風評である場合もあるし、また、同じ説明をするにしても、何かちょっと言葉のいい方でそういうふうなものが出てしまったという場合もあります。実際にそういうふうに説明したのかもしれません。これはちょっと今となってはなかなか確認をするのが難しいのかもしれません。
先般、委員会の中では、この背景については、公社化に先立ってではなくて、過去の実績とかを踏まえて見直すというふうなことをいっています。
そこで、ちょっと確認なんですが、その委員会の中では、先ほどいいましたように、少し整理されたいい方の中で、過去の実績というふうにまとめておりました。ですから、ちょっと確認で、実際の病床稼働率、そしてまた外来のもともとの想定患者数、それに対して実際の平均の外来患者数について教えていただきたいと思います。
○奥田経営企画部長 荏原病院の看護師の常勤職員定数につきましては、外来の一層の効率化という観点に加えまして、当時の入院患者の実績あるいは看護業務の困難性等々、総合的に勘案いたしまして見直しを行ったということでございます。このことについては、当然、病院にも十分説明をさせていただいております。
お尋ねの病床稼働率の状況ですが、平成十四年度が八六・八%、平成十五年度は八四・九%ということで、十四年度と比べると約二%程度減少している。それから一日当たりの外来患者数でございますが、平成十四年度の規模が九百人に対して九百八十四人、平成十五年度の規模が千十人を想定していたところ九百五十二人ということで、実際の実績を見ますと、一日当たり対前年度比で三十二人減少しているという状況でございました。
○斉藤委員 ちょっと今の答弁の数字について幾つか確認をしたいと思います。
実際にはこの当時の実績を踏まえて調整をしたわけですから、今現在、また少し状況が違うかと思います。今の方が大変なのか、それとも今もって、見直したぐらいがちょうどいいのかというところが、実際の部分では気になるところかなと思います。
当時、この数字をもとにしたりして人を調整したわけですけれども、実際に今のところ、今現在については、外来についてで結構です、どのぐらいの人数な感じなんでしょうか。数字があれば教えてください。
○奥田経営企画部長 その後の外来の推移についてのお尋ねですが、十六年度は九百五十七人ということで、査定が行われたベースになりました十五年度とほぼ同様の数字でございます。十七年度に入りましてから外来患者がふえておりまして、十一月末現在でございますが、一日当たり九百八十三人、一日当たり約三十人程度ふえているという状況でございます。
○斉藤委員 今現在ふえているということです。ちょっと確認するんですが、今平均で出してもらったんですが、この平均というのは、週のうち平日が五日間、最後、土曜日ですけれども、土曜日も込みの週六日の計算でよろしいでしょうか。
○奥田経営企画部長 外来患者の取扱総数を営業日数で割り返すということで、土曜日を分母に含んだ数字でございます。
○斉藤委員 曜日を別にするというのは少し難しいのかなというふうに、前にちょっと聞いたことがあるんですが、先日ちょっと荏原病院の総務の方に直接聞いてみたら、割とすぐ返事をくれまして、十一月の平日の平均患者数というのは千百六人というふうにいっていました。土曜日は少ないんですかと聞いたら、土曜日は七十九人が十一月の平均で、日曜日も、多分救急とか何かの関係で受けているんでしょうけれども、六十人ということで、平日と土曜日というのは極端に違う。これ、週六日で割り返してみると確かに九百人台になるので、恐らくこの九百八十三という数字は六日間かなと思うんです。
ただ、実際にこういったことで見ていると、どういう説明をしたのか、どういうふうな根拠についていったのかというのは定かではないんですけれども、多分職員の皆さんが実感して、忙しいなとか外来の人が多いなとか思うのは、その千百六人のイメージが物すごく強いんじゃないかと思います。
こういった中で、実際には病院の方で、病院経営本部の方で九百八十三人とか九百五十七人というふうにいわれてしまいますと、それは肌で感じる側としてはちょっと違うのではないか。つまり、いわゆる皆さんの方で、ふだんの忙しさからして、きょうは大体何人ぐらいだというのは恐らくわかるんだと思います。そういった中で、実際には全体が減っているので、この九百人台なんで調整しましたといわれても、それはなかなか身をもってそうですねというふうに職員の方は思わないのではないか。
もちろん、それはそれで病院経営本部の方も一つの理屈があって説明をしていると思うんですが、さっきいったみたいに現場の職員の皆さんがわかるようにということであれば、多少この数字の考え方というのは、上手に説明をしなければ納得されないというのは、これは当たり前なんじゃないかと思います。このあたりについて何かコメントがございましたら、ぜひお願いします。
○奥田経営企画部長 外来患者数は、疾病の動向、例えば風邪がはやるとかというような状況になれば当然ふえるし、そうじゃないときには減るということで、人員配置上は、基本的には平均的な数値を一つの目安にして当然のことながら配置をしております。こういった状況については、病院に対しても常々説明はしておりますが、今後ともその努力をしてまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。それはぜひお願いします。
もちろん、その数字を出す中で整理をした説明をするということはあると思いますが、実際には、そういう自分のトップがいっていることが何かおかしいなとか、ちょっと感じと違うなというふうなことがあると、結局、いわゆるリーダーに対する、何というんでしょう、カリスマ性というか、むしろ集中力というか、そういったような皆さんがついていこうという気持ちがそがれてしまいます。これがそがれないようにということが大事です。
私も以前、都立病院で実習させていただきまして、ああいった現場の中で、自分のところの病院が信頼できるからこそ一生懸命できる、冷静にできるという部分がたくさんあります。ですから、そういったときに、今回のようなことで、ただでさえ背景として不安が大きい、そしてまた、その中で数字的にどうも自分の感じと違うということがあれば、それは皆さんが非常に気になって当たり前ではないかというふうに感じております。
では、今、非常勤職員の方になったということで、大きな二点目の質問に移りたいと思います。
現在も非常勤職員の確保は不安定ということで聞いております。もともとこの非常勤の職員という方は、定着しにくい背景のある方が応募されることが多いので大変難しいんだと思います。安定した職員の確保ができない場合に、どこの病院でもそうですけど、夜勤が増加したり、年休がとりにくかったり、余裕がない不規則勤務になったりということがあります。ですから、そういったことが結局は、患者に対して悪い影響も出てくるというふうになることが考えられます。
現在でも、以前より継続的な看護力が発揮できていないという声も現場の中であるようですが、そういった中で、さらなる充実というふうに簡単にいわれてしまうと、なかなか大変だと思います。現況について経営本部がどう認識して、どう対応しているのか、ぜひ伺いたいと思います。
○奥田経営企画部長 看護師の配置についてでございますが、昨年の患者実績等を勘案して、病院運営に支障がないよう現員配置を行っており、現在、病棟の夜勤体制、夜間の勤務体制でございますが、去年、平成十六年度と同等の体制で運用をしているところでございます。公社移管後の荏原病院につきましても同様に、患者サービスの低下を招かないように、必要な人員については引き続き確保する方針で、病院経営本部としても支援をしてまいります。
なお、非常勤看護師の確保の件でございますが、今後とも病院と一体となりまして、その努力をしてまいる所存でございます。
○斉藤委員 三点目で、数年後に地域支援病院になるにしても、これまでに比べて直接外来の患者を制限する、まあ、制限というふうないい方についてはいろいろあると思いますが、地元の方から見ると多少制限するというような感じになる場合があると思います。時代の流れで、地域支援病院というものを私は否定しませんけれども、外来に制限があるなどの事情を考えれば、さらに充実の一言でくくるのはちょっとわかりにくいのではないか、適当ではないというふうに思います。
課題もあるし、また縮小する点もあるけれども、こういう利点を伸ばしていくという方がむしろ理解しやすい解釈ではないかというように私は思っています。
この地域支援病院、すぐではありませんけれども、改めて課題となる点を示していただきたいと思います。
○奥田経営企画部長 公社化後の荏原病院が地域医療支援病院を目指しているということで、そのためには一定の紹介率あるいは逆紹介率が必要となるわけでございますが、紹介制を推進するに当たりましては、何よりも地域住民や患者さんの理解と協力が不可欠なことは当然のことでございます。病院といたしましては、引き続き十分時間をかけてそうした努力を行っていく必要があろうと考えております。
紹介制を推進するということでございますが、その意味は、紹介状を持って来院していただく仕組みをつくっていくということで、外来患者を制限しようというようなことではございません。
○斉藤委員 確かに、一般の方が聞いて、ちょっとその辺がわかりにくいと思います。外来を制限するということと、紹介状の方を優先的にやっていくというのが、似ている部分もありますし、違う部分もありますから、その辺は説明が非常に難しいかと思います。
その辺を踏まえてちょっと伺うんですが、地域の医療機関の役割分担を明確にして、限られた医療資源を有効に活用するために紹介制を推進するというのは、これは時代の流れかなというふうに思います。この地域医療支援病院を目指すこと自体は、それこそ否定しませんけど、荏原病院の地元に、上池台などの地域については、診療所が少なくて荏原病院に直接かかっている方も多いというふうに聞いている地域もあります。
結果的に外来を制限するといったことはせずに、そういった地域に住む方々、具体的にいえば、かかりつけ医を持たない地域住民についても対応すべきと考えますけれども、この辺については見解をどういうふうに持っているでしょうか。
○奥田経営企画部長 紹介制の一層の定着に関しまして、地域住民のご理解をいただくというためには、ただいま申し上げましたとおり時間が必要であるということで、移管後も、これまでの診療実態を踏まえて柔軟に対応していくべきものと考えております。
なお、緊急性を有する患者さんについては、これまでどおり救急として、いつでも診させていただくという体制でございます。
○斉藤委員 地域支援病院についてなんですが、少し先の話といっても、ある程度先のことを読んで今回議論するわけですけれども、これまた地域支援病院を検討している病院に、先日ちょっと取材をいたしました。なるときに、どういったところが心配ですかといったら、懸念の一つとして、過去のように外来患者がたくさんすんなり来るというようなことではないため、外来収入が一時的に減じて経営が厳しくなる病院が多いと聞いているということで心配しておりました。
紹介率が高い数字でスタートすれば何とかなる。高いところでいうと、前橋の赤十字なんかは九五、六%あって、非常に高くて安定しているということがあったり、もしくは、地域支援病院そのものが、郊外にある病院とか地方の病院なんかでは割と意味を持ちやすいし、わかりやすいということで成功しやすいというようなことも、いろんな研究をする中で聞いております。
そういった中で、地域支援病院ゆえの経営の厳しさが少なくとも当初は出てくるという心配は結構あるようです。これについて、今回の移管、そして地域支援病院化に向けて懸念はしていないのか、この辺について現在どういうふうに考えているか伺いたいと思います。
○奥田経営企画部長 荏原病院は現在も稼働している病院でございまして、外来診療についても柔軟に対応していく必要があろうということでございます。このため、経営状況にも大きな変更を来すことはないというふうに考えております。
○斉藤委員 むしろ私なんかは、少し減るぐらいのつもりでいろいろ課題を持って、想定して、それで結果的には成績がよければそれでよかったじゃないかというふうなスタンスぐらいがちょうどいいのかなというふうには思います。ただ、本当に病院によっては、一時的に収益が下がって、なかなか経営上厳しいということはありますので、ぜひともそのあたり、今ご答弁いただきましたけれども、それでもやはりぐっとかぶとの緒を締めて頑張ってもらわないといけないと思います。
最後に、地域支援病院になる上で、地元患者側がその機能や利点を理解して、スタッフはその理解のために事前より周知の努力をしていくという過程が必要です。しかしながら、現在は双方に、双方というのは、職員全部ですね、それともう一つ地域の皆さん、すべてに十分理解されているとはちょっとまだいいがたいかなというふうに思います。どのようにすべきと考えているでしょうか。
これが今質問になるんですが、私としては、公社化をするにしても、病院というふうになっていますから、はたから見て、公社化したらばあっと変わるといっても、すごい変わるとこもあれば変わらないところも当然あると思います。そういった中で、公社化自体よくないというふうなことは私は思わないんですけれども、逆に、公社化するからこそ、きちんと地域の方、そしてまた職員の皆さんに理解をしてもらって、その条件でやはり公社化をしていくというふうにしなければうまくいかないと思います。
単に公社化の賛成だ反対だというような部分で議論をとめてしまうんじゃなくて、公社化するからこそ皆さんによく説明をするんだ、わかってもらうんだということが大前提です。ですから、その前提を崩さないようにしながら理解を深めてもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○奥田経営企画部長 公社化につきましては、患者さんや地域の方にはこれまでチラシであるとか、あるいはインターネットのホームページで、荏原病院が今後とも安心してご利用いただけることを既にご案内しております。
また、職員に対しましても、本年七月と十月に説明会を実施したほか、医師とも別途意見交換会を開催して、その理解を醸成しているという状況でございます。
今後、地域医療支援病院を目指していくことにつきましては、患者さんや地域の方々に理解と協力をいただくことが不可欠であり、時間をかけて丁寧な説明に努めてまいります。
○松葉委員 荏原病院の公社移管に関しましては、三定の厚生委員会でも私も質疑をさせていただきまして、きょうも、田代理事を初め議論がされておりますので、議論が尽くされてきた感はありますが、今回、都立病院条例の改正案が提出されていることでもありまして、改めて確認の意味で伺いたいと思います。
これまでの質疑を通じまして、荏原病院が現行の診療内容を継続し、さらに脳血管疾患医療の充実や集学的がん医療の実施など医療サービスの一層の向上を図っていくことが確認されております。
また、前回の質疑のときに、都民のかけがえのない財産、荏原病院を都立のままでという、私もいただきましたこのチラシの中身につきましても質疑をさせていただきまして、この中身の内容が事実とは異なるということも明らかになっております。
にもかかわらず、まだいたずらに公社移管に対する住民の皆様の不安をあおるような反対の動きが一部に残っているようですけれども、荏原病院が提供する医療サービスが維持向上されることが周知されれば、地域住民の方や現在診療を受けている患者さんは不安を抱くこともなく、今後も安心して荏原病院を利用できると考えます。
そこで今必要なことは、地域住民の方が安心するような正確な情報を確実に伝えることだと考えますけれども、病院経営本部は今後この点に関してどのような取り組みを進めていくのか伺います。
○徳毛サービス推進部長 ただいまのご指摘のとおり、円滑な公社移管のためには、地域住民の方々に対する正確な情報の伝達が不可欠でございます。このため病院経営本部では、患者さんや地域住民の方々が心配されることのないように、本年一月と九月に広報用のチラシを作成いたしまして関係者に配布するなど、公社移管に関する周知に努めてまいりました。
本定例会で都立病院条例の改正をご審議いただいておりますが、ご議決いただいた後には、より一層の周知を図るために新たにチラシを作成、配布したり、移管に関するお知らせを東京都のみならず地元自治体の広報紙にも掲載を働きかけるなどして、一層の努力を行ってまいります。
○松葉委員 今お聞きしました広報活動につきましては、ぜひとも積極的に進めていただくとともに、あらゆる機会を通じまして公社移管の周知に努めていただきたいと思います。
ところで、荏原病院は脳血管疾患医療や集学的がん医療に取り組んでいくわけですけれども、患者さんはどうしても入院期間が長くなるのではないかというふうに思います。患者さんは、病気を早期に治して、早期に退院をして、家族の方や社会に復帰することを願っていらっしゃいます。
早期社会復帰のための支援策の一つとして、栄養サポートチームという取り組みがございます。日本でもここ数年間に栄養サポートチームの必要性がクローズアップされてきております。荏原病院はこの栄養サポートチームについて、都立病院の中でも率先して取り組んでいると聞いております。
そこで、まず確認のために伺いますけれども、栄養サポートチームの取り組みと荏原病院での実績について伺います。
○徳毛サービス推進部長 栄養サポートチームは、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師等で構成いたします専門スタッフがチームを組みまして、食欲不振や嚥下障害で食事がうまくとれない入院患者さんなどに対しまして、栄養状態を評価、判定した上で、食事の内容や摂取方法を工夫することによりまして栄養状態を改善し、治療効果を高めるための取り組みでございます。
ご指摘のとおり、荏原病院では都立病院の中でもいち早く、ことしの六月から取り組みを開始いたしまして、十一月末までの実績は延べ五十二名、月平均九名程度となっております。この栄養サポートチームが一人の患者さんに対しまして二回から三回程度ベッドサイドを訪ねまして、患者さんの声を聞き取りながら栄養支援を行っております。
○松葉委員 食事がうまくとれないということは大変につらいことだと思います。まして、病気で入院をされている患者さんはなおさらのことだと思います。こうしたときに、医師を初めとする専門スタッフの方が患者さんの栄養状態を把握し、栄養支援を行うことは、患者さんにとって非常に心強いことだと思います。
この栄養サポートチームについては、荏原病院が公社に移管された後も、医療サービスの向上という観点からより一層充実させる必要があると考えますがいかがでしょうか、伺います。
○徳毛サービス推進部長 食事は、栄養状態をよくすると同時に、生きる喜び、生きるための意欲を導き出すものと考えております。また、栄養サポートチームの取り組みは、食事の摂取を通じて患者さんのQOLを高めることにつながると考えております。さらに、現在は栄養サポートチームに関する診療報酬上の評価はありませんが、来年の診療報酬改定に向けまして、その評価が検討されていると聞いております。
こうしたことから、研修への積極的な参加や勉強会の開催などにより、栄養状態の評価、判定などのために必要な栄養アセスメントの知識、技術の習得に努め、荏原病院の公社化移管に向けまして、栄養サポートチームの取り組みをより一層充実させてまいります。
○松葉委員 公社移管後の荏原病院は、脳血管疾患医療や、また集学的がん医療といった重点医療に限らず、本日お聞きした栄養サポートチームの取り組みなどさまざまな医療サービスが提供される、まさに地域の中核となる病院であると確信しております。
十八年四月移管まで四カ月を切ってまいります。これまでは移管の是非も含めた議論が行われてきましたが、これからは、いかに円滑な移管を目指すかが問われてくる時期に入りました。いたずらに住民の皆様の不安をあおるような動きに惑わされることなく、住民の皆様に正確に情報をお伝えしながら、着々と準備を進めていくことを強く要望して、終わります。
○かち委員 荏原病院の公社化問題については、病院改革マスタープランが発表されて以来、私も何回かの形で、いろんな形で質疑をさせていただきましたけれども、いよいよ今回、病院条例から外すという議案提案と、そして今回出されております都立荏原病院の保健医療公社移管問題に関する請願、あわせて審議をするということなので、それを踏まえて質疑させていただきます。
今回出されたこの請願署名は、出した十月四日から、その後も追加がありまして、到達署名が三万五千四百八人という方々から寄せられております。この同趣旨の内容については、昨年の十二月にも三万近い署名が寄せられて、都立のままで継続の検討をしてほしいということが重ねて出されてきております。きょうもたくさんの傍聴の方が見えておりますけれども、地域住民の皆さんのこの願いに対して当局としてはどのように受けとめているのでしょうか。まずお伺いします。
○及川参事 たくさんの方々から荏原病院の公社化に対しまして強い関心が寄せられているというふうには認識しております。したがいまして、公社化後の荏原病院では、住民の方々に引き続き安心してご利用いただきたく、現行の医療内容を維持するだけでなく、一層の向上をさせていきたいというふうに考えております。
○かち委員 荏原病院の歴史は長くて、明治三十一年に開設しておりますので、ことしで百八年の歴史を重ねるわけですけれども、当初は避病院ということで、感染症専門の病院として始まったわけです。都立病院の開設は特にそういう形が多かったと思いますけれども、現在の地域に建立してからも、もう七十年以上が経過しています。当初は東京都にも財政力がなくて、地域の地主さんたちが土地を無償で提供するというような協力もあって、今日のように大きく発展をしてきた病院でもありますし、それだけに地域の皆さんが病院に信頼を寄せているということでもあると思うんです。
地域の皆さんの要望の高まる中で、今のような総合的な病院として発展してきているわけですけれども、十年前に改築をしたときにも、新しい病院になったとき、当時としては異例の、三つの小学校の体育館を使って住民説明会というのを開かれたんです。そのときに、当時の開設準備室長が、紹介状がなくてもかかれる病院として再開するということを住民の皆さんに約束をしました。私もそこに参加しておりますので、よく記憶に、覚えております。
そのことは、荏原病院の百年史という中にも書かれているわけですけれども、経営本部としても十分に承知されていることだというふうに思いますけれども、そういうことを踏まえますと、経営主体がかわっても、将来にわたって紹介状がなくてもかかれる病院ということが約束されるのかどうか、この点をお伺いします。
○及川参事 ただいま先生からご説明のあった説明会以降、大分時間もたっておりますし、医療環境も相当激しく変化をしております。先ほど来の議論からございましたように、荏原病院は今現在稼働して動いている病院でございます。ですから、ある日をもって紹介状のない患者さんは診ませんというわけにはまいりませんので、そこは時間をかけてご理解いただきながら運営していきたいというふうに考えております。
○かち委員 だれも、きょうからあしたにかわって、がらりと変わるとは思っていないんです。約束をしているんだから、今おっしゃったように、地域医療支援病院に変えるにしても、地域の皆さんの理解と合意がなければできないということをいわれたと思うんですけれども、それでよろしいですか。
○及川参事 地域の方々からご理解、ご協力をいただいた上で地域支援型の病院を目指してまいります。
○かち委員 先ほど来の議論で、私どうしてもよくわからないのは、都立病院の役割と公社病院の役割というお話がありました。都立病院というのは広域的な医療、行政的な医療に責任を持つんだ、公社は地域医療に責任を持つというようなやり方があるということでいわれましたよね。そして、荏原病院は都立病院として、これまで、広域的な側面と、そして行政的な医療という点でも十分にその役割を果たしてきたというふうに思うんです。それはよろしいですか。そういう確認をしてよろしいですか。
○及川参事 これまでの歴史の中で、荏原病院は都立病院としての役割を果たしてきておりますが、これは先ほど申し上げたとおり、いろいろ医療環境も変化しておりまして、今後については見直すべきところは見直していきたいというふうに考えております。
○かち委員 見直しをするとおっしゃいましたけれども、この間に、公社化準備委員会がアンケートをとったりして意見をまとめて、公社化検討委員会から、この間も報告書が説明されました。
その中身を見れば、これまで荏原病院が果たしてきた医療内容、医療課題については、すべて踏襲しておりますよね。踏襲している上に、さらに充実強化ということで、その上に脳卒中センターをつくるとか、あるいはがん医療についても集学的がん医療ということで、かなり新しい取り組みをするということもいっているわけです。
これはまさに都立病院として行っていく役割そのものではないかと思うんですけれども、それは違うというふうにいうんでしょうか。
○及川参事 いずれにしても、都立病院が果たしてきた役割、それから、これから果たすべき役割、それを十分見きわめた上で、地域のニーズを十分吸収していきながら、しかもご理解いただきながら進めていくということでございます。
○かち委員 地域医療に責任を持つから軽くするということではなくて、荏原病院のことを今見てみると、今までの行政的、広域的な医療の上に、さらに拡充をしながら地域医療もやるということで、大変大きな課題を抱えることになるので、これで地域公社として続けていくことが本当にできるのかどうかという点では、私は大変疑問に思うんです。(発言する者あり)
公社病院としてやるということで、公社になったらこんなにいい病院になるんだということが、先ほど来出ているように、住民の皆さんにきちんと説明がされていないとか、安心できる材料がないというふうにいわれていたのは、そのとおりだと思うんですよ。だからこそ、私たちは何をもって、これなら大丈夫だということを確認できるかという点でいえば、今比べられるものは、二年前に公社に移った大久保病院が今どういう実態になっているのか、そこを見てみるしかないと思うんです。
じゃ、大久保病院の実態はどうでしょうか。資料を出していただきました三ページに出ておりますけれども、移管前の十五年度と移管後の十六年度、診療収益や患者数、入院、外来について出していただきました。これは移管前を基準にすると、移管後どうなっているかということですけれども、入院診療の収益は八九・二%です。患者数では八一・五%。外来の初診も八一・七%というふうに、すべての指標で移管前よりも落ち込んでいる。
これは半年後のときにも議論いたしました。そのときにも、わからないんだ、どうなっているかわからないんだ、もう少し様子を見なきゃわからないといっていたんですけど、一年たった現在でも、結果的にはこういう状況だということなんですよ。こういうことを見ていると、やっぱり心配になるのは当然だというふうに思うんです。
看護人員体制はどうなっているかといいますと、二ページに公社病院における看護師の固有・派遣職員の推移というのがあります。これを見ますと、派遣職員の派遣期間というのは大体三年を見ている。三年たって解消しないと、また三年というふうに見ていくんだそうですけれども、大久保病院がもう既に二年たっているわけですけれども、今年度の時点で固有職員は六十五人、派遣が百三十一人で、全体で百九十六人のところ、こういう状況ですから、まだ三〇%台しか固有職員を確保することができないという状況なんです。あと一年で固有職員が満たなければ、派遣をさらに延長しなければいけないという状況にあるわけです。
〔傍聴席にて発言する者あり〕
〔「委員長、傍聴人退場だ」と呼び、その他発言する者あり〕
○藤井委員長 傍聴人、お静かにお願いいたします。うるさい場合は退出していただく場合もございますので、よろしくどうぞ。
○かち委員 多摩南部とか東部病院はもう十数年前に開設しておりますし、ここが医療継続ではなくて、最初から病院をつくったというところで、これは比較にならないんですけれども、大久保病院、それから多摩北部医療センターでも固有職員の確保は大変厳しいというのが実態として出ているというふうに思うんです。
もう一つは医師の確保の問題です。
医師は一ページに出ておりますけれども、この表はちょっと見にくいんですけれども、三角印は過員で、何もついていないのは欠員だというふうに説明をされました。それを見ますと、今年度、十七年度の医師の充足状況は、四つの病院すべてで欠員状況というふうになっているわけです。こういう状況になっているということからしても、大久保病院がたんたんとうまくいっているというふうには到底いえないんじゃないかというふうに思うんですけれども、病院経営本部としてはこの実態をどのように判断されて、分析されているのでしょうか。
○及川参事 ただいま医師の確保の問題が出ましたけれども、公社病院に限りませんで、都立病院、ひいては東京の病院にもいえるかと思うんですけれども、医師の確保につきましては病院全体の課題であるというふうに認識をしておりますので、引き続き公社とも連携を図りまして人材の確保に努めてまいります。
また、大久保の例が出ましたけれども、大久保は確かに移管直後は成績といいますか、下がりました。それは医師の退職というのがございまして、ちょうど臨床研修医制度が始まった年度でございましたので、それと重なったということもあって、なかなか医師の補充ができなかったというふうに聞いております。
その後、年度末に向けて成績は持ち直しております。それで、現在も、ここ夏以降、大久保病院は成績を回復してきております。スタッフ一同頑張っております。よろしくお願いいたします。
○かち委員 この前、移管して半年後のときにもそういう議論がありました。医師も年内には充足するというふうにいわれていたんですけれども、結果的にはこのような状況のまま経過しているというのもあります。
そういうことで見れば、公社へ移管した大久保病院のこの先の見通しというのは大変不透明なわけですよ。本当に順調に推移しているというふうにはいえないわけですから、せめて大久保病院が安定、自立できるという状況があるのであれば、そこまでを見通して次の公社化というのを考えるべきだというふうに思うんです。荏原病院は、広域的な、行政的な医療そのもの、都立の役割そのものを果たしているわけですから、それを継続するのは当たり前だというふうに私は思います。(発言する者あり)
それで、先ほどNSTの話がありましたが、大久保病院は都立病院の時代からこのチーム医療に取り組んできて、大変頑張ってやっていたわけですね。ところが、公社に移ってからは、そこに参加する医師、例えば皮膚科の先生だとか、それから言語療法士とか、そういう方々が非常勤ということになってしまいまして、なかなかこのチーム医療に参加することが困難になっているということで、形は残っていても、内容の充実という点では、内部から非常に意見が上げられてきております。そういう点でも、きちんと責任を持つという点では、ぜひ都立として継続をさせていくべきだというふうに私は思うんです。
それで、荏原病院は公社に移った後も、災害地域拠点病院ということが位置づけられておりますよね。それから、感染症の一類指定病院でもあります。そのまま継続するということになっているわけです。こういう状況の中で、最近もしょっちゅう大きな地震があります。そういう大災害が起きたとき、あるいは鳥インフルエンザからまた新型インフルエンザが大流行するかもしれないという状況の中で、病院の外来というのは一番窓口となって受け入れなければならない。どんな状況の中でもそれを受け入れていかなければならないわけですけれども、先ほど、外来の定数削減、実績に見合ってというようなことで減らされましたけれども、非常勤が、今、大久保病院でもそうですけれども、七人の正規職員のほか、二十人は非正規雇用ということなんですね。こういう形で、いざというときに本当に責任が持てる病院として対応ができるのかどうか、そのことが大変疑念としてわいてくるわけですけれども、どういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
○奥田経営企画部長 都立病院でございましても、保健医療公社の病院でございましても、病院の医療機能を支えるために必要な人員を配置するという基本的な考え方は全く同じでございます。
非常時の対応というお話でございましたが、公社病院では、常勤職員だけじゃなくて非常勤職員を外来あるいは救急室など適所に配置しているという実態はございますが、災害時の医療活動、これは病院全体で取り組むということになってございまして、対応については引き続き万全を期してまいります。
○かち委員 私がいったのは、もちろん病院全体で取り組むのは当たり前ですけれども、そういうときに、例えば私は半日しか働けません、午前です、午後です、夜間ですというような形で……(発言する者多し)それが非常勤です。パート労働ですよ。そういう方々、それが条件で雇用しているのが非正規の雇用形態です。公社になれば多様な雇用形態が入ってくるというのは既に説明されていることですよね。そういうようなときに、本当に職員をまとめるということにはなり得ないではないか、そういうことで私はいっているのであって、パートの人が質が悪いとかそういうことをいっているわけではないんです。(「いっているじゃないか、さっきからいってるよ」と呼び、その他発言する者多し)いっていません。違います。
この間、公立病院の財政負担等を理由に……(傍聴席にて発言する者あり)(「傍聴は退場させなきゃだめだよ」と呼び、その他発言する者あり)地域支援病院という手法が広がってきました。しかし、紹介率八〇%というハードルが高過ぎて、なかなか指定を取得できないという声も関係者の中から上がってくる中で、今度、逆紹介率が三〇%以上かな、あれば、基準緩和をしてもいいというような、地域医療支援病院の考え方そのものもかなり迷走しているような状況にあります。
先般、この委員会でもいろいろ質疑がありましたけれども、都立病院ももっと柔軟に、地域に開放されたり、地域の先生方と連携していく必要があるというようなことも本部としていわれているわけです。(発言する者あり)しかし、それをやるには条例上、壁があるんだ、こんなふうにもいわれておりますけれども、そうであるならば、その障壁こそ取り除くのが本来の地域の皆さんにこたえる病院、地域の開業医の先生方にこたえる病院ではないかというふうに思います。
今回の荏原病院公社化検討委員会のまとめを見れば、診療内容を何一つ削ることなく、さらに脳卒中センター、集学的がん医療、こういう新たな課題に取り組むわけですから、都立病院の役割そのものだと思います。
移すときの方針は方針、で、移ってからのことは所管外、こういうことでは都民的には納得できないのは当然です。東京都が荏原病院の医療の充実を目指すというならば、都立のまま継続することがやっぱり必要だということを求めまして、質問を終わります。
○山口(文)委員 私は、今回出されました請願、一括審議ということで、私ども生活者ネットワークとしては不採択とさせていただきたいと思っておりますが、ただし、項目の中に、先ほど来あります病院の現行の医療水準、それから、それを支える医療スタッフの体制を維持するということで、むしろ、もっと総体として病院の質の向上、そしてまた充実ということをさせていただきたいということを要望しておきます。
それから、先ほど来出ております、かかりつけ医のいない場合も紹介状をということですが、これも引き続き柔軟に対応していくということですので、十分にそのことを私も要望して、意見とさせていただきます。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
付託議案及び請願に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案及び請願に対する質疑は終了いたしました。
ここで休憩を行います。十五分間の休憩といたします。
午後二時十八分休憩
午後二時三十三分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
念のため、傍聴人に申し上げます。
委員長の命令に従わないときは、東京都議会委員会傍聴規則第十二条第一項第二号の規定により退場を命じる場合がありますので、念のため申し上げます。
よろしくお願いいたします。
次に、報告事項、がん・感染症医療センター(駒込病院)の整備について、質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○奥田経営企画部長 去る十一月二十八日の本委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料、がん・感染症医療センター(駒込病院)の整備についてをごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、駒込病院のPFIにかかわる予算・決算の推移、平成十四年度から平成十七年度までから、3、各都道府県、政令市におけるがん医療センター及びがん研究所等の設置状況まで三点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。
1、駒込病院のPFIにかかわる予算・決算の推移でございます。平成十四年度から平成十七年度までの駒込病院のPFIにかかわる予算額及び決算額について記載してございます。
二ページをお開き願います。
2、東京都臨床医学総合研究所の概要及びがん・感染症にかかわる研究の状況でございます。財団法人東京都医学研究機構が運営しております東京都臨床医学総合研究所の施設概要、設置目的及び主な研究内容について記載してございます。
三ページをごらんいただきたいと存じます。
3、各都道府県、政令市におけるがん医療センター及びがん研究所等の設置状況でございます。脚注にございますとおり、全国がん(成人病)センター協議会に加盟している各都道府県、政令市におけるがん医療センターにつきまして、設置区分、所在地及び研究施設の有無を一覧にして記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○野島委員 何点かお伺いいたします。
なるべく早く終わりたいと思いますので、内容のない質疑の場合には、その旨不規則発言をいただければ、直ちに方向の変換をしていきたいと思っておりますので、委員の皆さんにあらかじめお願いをしておきたいと思います。
駒込病院の整備につきましては、さきに我が党の新藤政調会長が代表質問で取り上げたところであります。答弁の概要は、一つは機能強化を図っていきたい、こういうことでございました。と同時に、それを実現されるに当たってはPFI手法の活用、こういうことが大きな柱として答弁がなされております。
きょうは委員会でもありまして、さきに事務報告もされておりますので、その辺も踏まえながら、スケジュール、こういったふうなこと、あるいは目指すべき医療機能の強化とは何なのか、なぜPFIを導入するのか、あるいは、それによって懸念されるところは何なのか、それに対してどういうふうに手を打っていくのか、こんなところを柱といたしましてお伺いいたしたいと思ってございます。
今日まで駒込病院は、がんの高度先進医療、あるいはエイズの診療実績日本一、こんなことで我が国を代表する病院として大変な評価を得ているというふうに承知をいたしております。今回、建物が狭隘化した、あるいは附帯設備の老朽化が激しい、こんなために全面的に改修しながら、がん・感染症医療センターとして、今までにも増してよりすばらしい病院にしていこう、こういう趣旨だろうと思ってございます。
そこでまず、このPFIについても既に今の資料のご説明をいただきましたが、長年にわたって事務的にはいろいろご検討なされているということでございます。来年度予算のかかわりもございますので、まず最初に、駒込病院が今後具体的にどんなスケジュールで建てかえがなされていくのか、こんなところを冒頭お伺いしておきたいと思います。
○奥田経営企画部長 駒込病院の改修整備につきましては、平成十四年度にPFI手法の導入可能性等の調査を行いまして、現在まで、病院の診療スタッフとともに十分な意見交換を行いながら、業務委託や、あるいは施設整備の具体的な内容、工程であるとか手順など検討を行ってまいりました。
今後でございますが、PFI導入の手続を進めまして、平成十八年度に事業者を選定し、平成十九年度に契約を締結し、建物の全面的な改修工事を行ってまいります。改修工事の完成は平成二十三年九月を予定してございます。
○野島委員 がんの罹患率が高まっていく、あるいは、私も団塊の世代ですけれども、そういう人がこれからたくさん予備軍になっていく、こういうこともあろうかと思います。いろんな意味で、四年間にわたる事務的な検討の中で、今回の代表質問に対する二つの大きな柱というふうに理解をしております。
そこで、一つは、最先端の放射線機器の整備、こういったふうなものを予定していきたいと、こういうふうに伺っております。私、医療のことはよくわからないです。田代先生なり野村先生なりにご質問していただいた方がいいかと思いますけれども、最先端というふうな形容詞を使っている以上は、相当の決意を持っていい病院にしていこう、こういうことだろうと思うんでありますけれども、具体的にはどんなものをやっていこうと、それをやることによってなお駒込のステータスが上がる、こういうことだろうと思いますので、その辺をお聞きしておきたいと思います。
○奥田経営企画部長 体の奥深くのミリ単位の腫瘍も超早期に発見できるいわゆるPET-CTの設置であるとか、周囲の脳細胞を傷つけずに奥にある脳腫瘍のみに放射線を集中照射するサイバーナイフなど、我が国でもまだ数の少ない最先端の放射線治療機器を整備いたしまして、がん治療のさらなる高度専門化を図っていく予定でございます。
○野島委員 私、五十六になって、この間初めて胃カメラっていうのを飲んだんですよ、本当に。月まで行って帰ってきたり、もっと先まで行って何か隕石の採取をしてくるのに、何で胃の中にカメラを入れてこんな苦しい思いをしなきゃいけないのかなと思ったんです。
恐らくこれから技術革新はますます進んでいくと思うんですよ。そういう意味では、ぜひそういう最先端のものを取り入れながら、すばらしい病院、もちろん金はかかりますけどね。お金がかかるのはこれはしようがないんで、そこの金のかけ方と金の節約ということだと思うんです、この病院改革というのは。そういう意味では、積極的なお取り組みをお願いしたい。
そういったふうな機器をフルに活用して患者様におこたえしていこう、こういうことだろうと思うんですが、今、機械のハードの部分はわかりました。ソフト面でどういうふうにそれをバックアップというか、ソフトとハードがあって初めて可能なわけでございますから、お取り組みをなされるのか、そんなところをお聞かせいただきたいと思います。
○奥田経営企画部長 駒込病院ではこれまでも、がん医療に関しまして、外科であるとか、あるいは放射線科医の専門医が診療分野を超えてチームを組んで、定期的に会合を持って、症例ごとに個別に検討するということで、個々人に合わせたベストな治療法を選択する仕組みというのを取り入れてまいりました。
今後でございますが、腫瘍であるとか、血液、尿等の検体から得られる遺伝子レベルの患者情報を駆使しまして、より精緻な個人別治療計画を作成する体制を整備して、他の医療機関では対応困難な難治がん、あるいは合併症を伴うがん等に幅広く対応をしてまいります。
○野島委員 器具あるいはソフトウェアということでお取り組みいただくわけであります。私は、そういう意味では今回の整備計画そのものが、都立病院改革にいういわゆる行政がやるべき、都立の病院としてやるべき仕事だろう、こういうふうに理解をしております。
ややもしますと、一次医療、二次医療も、都立病院の医療も、地域病院としての医療もごちゃまんにして、その辺に医療ニーズがあるから、それは東京都で対応すべきだとか、医療公社への移管もとんでもないみたいな議論がありますが、医療資源はすべからく有限でありますし、最後は国民負担ですから、それはやっぱりしっかりと役割分担してやっていかなきゃいけない。
そういう意味で私は、この駒込病院の整備というのが、いわば都立病院の目指す行政的医療をしっかりと果たしていくんだという、こういう大きな一つの提言であり、ある種それを具体化していくことに病院経営本部の力量が問われているというふうに思ってございますので、ひとつ十全の取り組みをしっかりとお願いしておきたいと思っております。
そこで、それを実現するために、PFI手法を援用いたしまして取り組んでいきます、こういうことでございます。多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター、これも同じような手法を活用するということで、一足先に具体的に計画が進んでいっていると思います。
実は私、文教委員会に十三年から十五年までいたんです。そのときに区部ユース・プラザと多摩ユース・プラザの課題がございまして、PFIを導入していきますよということでございます。そんなに大きな議論はありませんでした、正直なところ。いわばホテル機能を持つわけですよね。もちろん施設設置目的がありますから、都でやっている以上はね。しかし、ある種あの事業というのは、PFIを導入してサービス業にどう徹するか、こういう部分だろうというふうに思うんです。
医療もサービス業ですけれども、ユース・プラザそのものは、私はそういう意味でとらえておりましたし、コストが圧縮できて、なおかつ、役所でやりますと辛気臭いなんていうと、広辞苑にある言葉かどうかというぐらい古い言葉になっちゃいましたけども、そういうことじゃなくて大いに結構なことだろうと、そんなことを印象として持っておりました。
そういう事業と病院の場合のPFI事業での決定的な差異というんですか、そんなものはどこにあるのかということについてお伺いいたしたいと思います。
○奥田経営企画部長 ユース・プラザ事業におけますPFI事業ですが、文化・学習施設あるいは宿泊施設等の設計、改修、それから利用者の受け付けや料金徴収等、管理運営業務に至るまで、事業全体を一括して委託する事業でございます。
一方で、病院事業におけるPFI事業では、医療法等の制約によりまして、診療業務そのもの、いわゆるコアとなる業務については都が直接行うこととなります。そのために、PFI事業の事業範囲は、病院の設計、建設はもちろんですが、医療周辺業務に限定されることになり、この点が病院事業におけるPFI事業の大きな特徴ということがいえようかと思います。
○野島委員 トータルとしてのPFI事業であっても、その導入する事業体種によって違いが出てくるだろうというふうに思うのは、当然だろうと思うんですね。いわば医療のさまざまな制約もあります。全くそのとおりだろうと思っております。
そこで、多摩の広域基幹病院及び小児総合医療センターについては、既に当委員会でもかつて質疑がなされております。それらもざっとわからないなりには目を通したわけでございます。手法としてPFIを導入し、冒頭申し上げたように、全体としてのコストの圧縮とサービスの向上を図っていく、こういう趣旨だろうと思っております。そういう意味では、既に先行している二つの事例、これからやっていく二つの部分とこの駒込の場合に何がどう決定的にというか、事業スキームとして、この部分は二つの先行して事業化を進めている手法とは違うんだ、こんなところがありましたら教えていただきたいと思います。
○奥田経営企画部長 多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備においては、事業者が建設した施設の所有権を都に移管した後、サービスの提供を受けるといういわゆるBTO方式をとっております。
駒込病院の整備の場合ですが、都所有の建物を事業者が改修する、引き続いて都がサービスの提供を受ける、いわゆるRO方式というものをとっております。
また、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターは改築事業であるために起債を活用して、駒込病院は改修事業ということで、民間資金の活用も視野に入れているということでございます。
ちなみに、病院改修に財源として起債が活用できるかどうかということについては、やや課題を残しておりまして、現在、国の所管庁と協議中でございます。
○野島委員 多摩と小児の場合には、建てたものを東京都が買い取っちゃうわけでしょう。資産として、箱は建てた。建てるまでは、民間のノウハウ等を十分取り入れて、トータル的にやるよと、設計、監理、施工もね。それででき上がったら買い取りますよと。それで、あとのランニングの運営はPFIで、その後に特定目的会社、SPCでやりますよ、こういう枠組みだろうと思っております。
そこで、今、協議中と伺いました。実は、さっき申し上げましたように、いわゆる財政上のコスト圧縮効果という部分があるわけですね、一つはね。私、高知の病院に行ってきたんですよ。高知医療センターという、ここにね。(資料を示す)これはPFIでやりますよ、こういうことでございました。
これ、三十年間なんですよ。三十年間にわたって、建物は建てて、買い取らずに年次的に払っていく方法ですよね。高知の場合にはたしかそういうことで説明を受けました。要は、建物を建てるわけですから、例えば東京都が自前で全部金を持っちゃえば、これはもう期間金利というのはないわけですよね。
ただし、今お話しのように、改修をしていくということなんで、その辺の困難さがある。しかし、今、所管庁と協議の上、それらについても取り組みをしているということで、結論は、来年の具体的な選定の段階に至ればもっとはっきりしてくるだろうから、きょうはそれはそれで結構です。
僕は、多分、事業主体の財政力の問題があると思うんですね。だって、人様から金を借りてきて建てて、その金利を払うよりも、東京都の起債の率って今どのくらいなのかよくわからないんですが、恐らく安いでしょう、多分。民間から借りりゃ、少なくたって三・五ぐらいは取りますよ。
そうすると、バリュー・フォー・マネーでいくと、そこでもう二、出だしで二ぐらい違ってきちゃうと思うんで、ぜひそういうことで最初から都が起債をしちゃえば、民間が借りてきてつくって、分割で返すよりも僕は安いと思います。あるいは、ほかの会計から借り入れるということが可能なのかどうかわかりません。わからないというのは、これは特会やっているわけだから、財政規律の問題もあるでしょうし、あるいは、借りた後、その部分はいわゆる病院の設置ということで国から補助が出て、金利分ぐらいは何てことねえんだよという、そういう枠組みがあるかもしれない。
しかし、基本的には僕は絶対買い取っちゃった方が安いと思うんです、最初出しちゃった方が。そういうことでバリュー・フォー・マネーも上がっていきます。高知県の医療センターというのは、そんなことで、バリュー・フォー・マネーが四・一五なんですね。要するに、圧縮しても、直轄でやる場合とそれしか差がないよ、こういう意味だと思うんですね。
それは単に建物だけの問題じゃなくて、運営していく中での、例えば高度機器を入れた場合にどうなるのか。恐らくこれだけ技術革新が速い段階ですから、そんなもの買い取って償却を見るよりも、リースで借りておいて、途中でいいものが出てきたら切りかえちゃった方が、田代先生、よっぽどいいんでしょう、病院経営は。(田代委員「そのとおりです」と呼ぶ)恐らくそういう部分も出てくると思うんですよ。
したがって、サービスの分はこっちに置いておいて、バリュー・フォー・マネーということでいけば、僕は、初期投資で可能であればぜひそうしちゃった方が、それは上がっていくだろうと思っておりますので、ぜひ引き続き所管庁と積極的な協議を進めていただきたいと思っております。
そこで、このPFI手法、全国的にはまだそんなに多くないというふうに承知をいたしております。そういうふうにすることによって、なぜ患者サービスが向上させられるのか。あるいは、今、財政の面からの視点も伺いましたけど、それは僕が勝手にいった話でありますから、整理されておるんであれば、整理されてご答弁をいただければ幸いでございます。
○奥田経営企画部長 患者サービスの面ですが、建物管理あるいは医療事務などの医療周辺業務を長期、包括的に委託するということによりまして、各業務間の縦割りによる弊害が解消する、あるいは専門性、熟練性を高めることができる、一体できめ細かいサービスを提供することができるということが期待をされております。
また、財政面におきましては、その工事方法の検討を設計の段階から行うということで、工期の適正な短縮あるいは工事費の縮減を図るとともに、調達もPFIの中に入れることを考えておりますが、その調達については民間のノウハウを活用できる。したがって、その購入費を削減することなどにより、トータルコストが圧縮されるということが期待をされております。
○野島委員 わかりました。いわば業務の縦割り。今でもいろんなところに委託業務を出していると思うんですね。その委託業務ごとに管理コストをかけなきゃいけないわけですね、委託する側は。トータルとしての目的を持ちながら、その中で一つのSPC、そこが窓口になるわけでしょう。そこでやりとりをしながら、到達点を踏まえながら、効果をどう発揮しているのかという検証をしながらやっていく部分だというふうに思っています。
例えば物を買う場合でも、役所は透明性とか競争性とか、そういうふうにいいますよ。正直なところ、ガーゼとか、メスとか、そんなのも購入していくんでしょう、恐らく。例えば入札しますよね。一般に売っている物件をみんなで手分けして、どこか一番安いところを探してこようという方が安いんです、正直なところ。それを役所で、競争入札で透明性と競争性を確保するなんていう。あんなの、売ってるのはどこ行ったって同じだよ。高くなっちゃう。(「経験者だ」と発言する者あり)
うん、本当。私、いったことある。そんなもの、どこか電気屋さんに行って買ってくりゃいいじゃねえかといったら、いや、それだと入札でやらなきゃいけないと。そうすると高いものを買っちゃうんですよ。それはもうやめた方がいい。本来の目的があって--もちろん透明性、公平性をなくせという意味じゃないですよ。逆にトータルとしてのことを考えながらやっていくということの方がよっぽど僕はいいと思うんですね。ですから、そういう意味では、今でもやっている各委託業務の管理コストの圧縮ということは、大変大きな効果が出てくるというふうに期待をいたしております。
ただ、長期、包括的に委託をするわけでございますので、可変要素がたくさんあると思うんですね。特にいかんともしがたいのが、例えば薬価基準の改定なんていいますと、これは国で決めちゃうんでしょう、先生。(田代委員「そうです。中医教」と呼ぶ)そうすると、それにどういうふうに競争性を確保するといったって、おのずから限界があるわけですよ。保険で払われるわけですから、薬価はね。そういったふうなものがあります。
あるいは、さっき申し上げましたように、極めて技術革新の進む分野だろうというふうに思ってございますし、またそれを期待しているわけでありますけれども、あるいは人件費の問題、こういったようなさまざまな可変要素を一つの期間の中で細目積み上げていったら、恐らく契約書って、A4か何かでこのくらいになっちゃうんじゃないですか。このくらい、こんなになっちゃう。
そうすると大変だと思うんですが、いわばそういうことを予測しながらやっていくわけでありますけれども、こういうふうな心配に対して、全く心配要らないよというのはないと思うんです。正直なところ、いい意味でやってみなきゃわからない。いい意味でですよ。悪い意味でじゃなくて、いい意味でやってみなきゃわからないというのが僕はPFIだと思うんです。これから試行錯誤もあろうと思いますけれども、そういうことにどういうふうに対応されていくのか、その辺のお考えをお伺いしておきたいと思います。
○奥田経営企画部長 今後予測される医療環境の変化について、どう対応していくんだというお尋ねでございますが、現在、計画を進めている多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターでは、そういった変化に柔軟に対応するために、人件費であるとか、物価の上昇、下落があった場合には、例えば消費者物価指数等の客観的な指標に基づいて支払い額を見直すこととしております。
具体的に申し上げますと、薬品費でございますが、薬価改定の都度、その薬価改定率を踏まえて支払い額を見直す。それから、患者ニーズの変化ということも当然考えていかなきゃいけないということで、例えば病床数の変動であるとか、新たな診療科を設置するというふうなことによって大きな環境の変化が生じたといった場合には、必要に応じて支払い額を変更していくこととしております。
○野島委員 そういうことで、いろんな可変要素を想定しつつ、当事者間ではどうにもならないような変更に対して適切な対応をしていくよと。で、トータルとしてのコストの圧縮というのを忘れてはいけないし、サービスの向上を忘れてはいけないし、いわんや今回、駒込の目指すより高度な行政医療をやっていくということを忘れてはならない、こんなふうに思っております。
そこで、今までお伺いいたしまして、コア業務を支える部分、こういうふうないわゆる医業という部分と、周辺業務といったらいいのかな、それを支える、そういう部分に分けられると思うんですけれども、その質の確保。医業のコアは都立病院ですから、そのものだろう。コアを、どういうふうに質の確保を万全にしていくか、こういうことが大事だと思うんですね。
そこで、物事にはすべて裏腹がありまして、毎年見直すぞというと、競争性もどんどん入ってきます。去年あんなことをやっちゃったから、ことしはご指名もいただけないんじゃないかなとか、いや、もっとコストを圧縮しないと、あるいは逆にサービスを向上させないと、この委託業務が切られちゃうんじゃないかなと心配になりますよね。で、十五年か何かでやっていきますと、ある種、その中で可変要素はありますけれども、事業体としては確定しちゃうわけですね。そうしますと、裏腹の部分でいくと、ある種独占が生じちゃうわけです、そこに、業務としての。そこに対して、より本来的な目的のものを発揮させていくためには、どういうふうなインセンティブを与えていくのか。あるいは、常日ごろの業務執行の中で、それをどう適切にチェックをしていくのか。この部分が僕は大事になると思うんですね。その辺の考え方についてお伺いしておきたいと思います。
○奥田経営企画部長 医療周辺業務の質を確保するということが、医療本体の業務の質を確保することになるということで、ご指摘のように、非常に重要な問題であろうというふうに考えております。
それで、運営期間中の業務委託については、事業者による履行状況の内部監査体制をまず構築させる。と同時に、都としても、その業務状況の評価等を行う委員会を設置いたしまして、実施状況を報告させてチェックをしていく。状況に応じますが、業務の改善命令、あるいはサービス対価の減額といった措置を適宜実施することによりまして、満足する要求水準を常に達成できるようにしていきたいというふうに考えております。
また、事業者には必要に応じて院内会議への出席を求めまして、業務改善に関して民間の持つノウハウなども随時提案してもらうような、そんな仕組みもつくっていきたいというふうに考えております。
○野島委員 これで終わりにします。
言葉は悪いんですけど、正直なところ、多くの課題をしょっておりますし、懸念材料もなきにしもあらず。しかし、本来的な目的に従っていけば、民活の導入であり、より柔軟な医療サービスの提供で質を上げていくという、こういう本来の目的に沿って進めていただきたいというふうに思っております。
実は極めてつまらない話なんですけど、この間、高知医療センターに行きまして、これをやりまして、この辺の床は前やっていたよりもきれいになったんですかと。前の病院と比べてPFIでやってね。そうしたら、いろいろ話していました。チェックの体制がどうだとか、ああだとか、こうだとかね。そういう意味では、私は進行管理というものがより求められてくるだろう、そのことなくしてバリュー・フォー・マネーも出てこないんじゃないかなと、こんなふうに思っております。
初めてのというか、府中の方は事業の計画としては進行していますけれども、今回これを導入していくわけでございまして、ぜひそういういろんな懸念材料。恐らく来年の一定には債務負担行為するのかな。そうすると、もうちょっと詳細が出てくるのかな。こんな厚いものを持ってこられても、そんなの、私も見てわかるとは思いませんので、またその時点で項目を幾つか起こして、いろいろ懸念材料についてご質問をさせていただくこともあろうかと思いますけど、ぜひ万全の準備をしながら進めていただきたいというふうに思ってございます。
特にブーイングも出ませんでしたけど、以上で私は終わります。
ありがとうございました。
○斉藤委員 じゃ、簡単に何点か。
平成十五年度の実行プログラム策定時と今回の案は少し違うわけですが、図で見てわかるところとわからないところがあると思います。どのような点が変更になっているのか、また、その変更の理由、経緯、それについて伺いたいと思います。
なお、さらに、臨床医学総合研究所の移転について、現在どのような調整を行っているのか教えてください。
○及川参事 実行プログラムでは、駒込病院敷地内に医療機能を有する新たな別館、これは新別館と呼んでいましたけれども、これを建設いたしまして、本館を全面的に改修するという計画でございました。
その後、今回の計画におきましては、隣接いたします臨床医学総合研究所、こちらの移転の計画を受けまして、この新別館を建設せずに、研究所の建物を全面的に改修いたしまして病院に転用するという計画にしたわけでございます。
なお、研究所の移転につきましては、まだその移転の方向性と時期が示された段階でございますので、今後、所管局と必要な調整を図ってまいります。
○斉藤委員 研究所の方の動きというものが大分関係があるということです。なかなか今の段階ではわからないところも多いかと思いますので、まあ、そういう感じかなというふうに理解はできます。
さて、病院の企画、設計に関しては、特に今回、かなり最先端の病院整備というものが入ってくると思います。この辺の最先端の技術やノウハウを積極的に取り入れて、今後、日進月歩する医療技術にも対応して、長期にわたって高いレベルで機能を維持してほしいというふうに思います。
ちょっと伺うんですけれども、今回の再編整備に当たって、PFI、今、野島副委員長の方から何点か質問がありましたが、これを進めていく中で、このような専門的な病院、特に今回は非常に専門的ですね、その病院について、企画、設計にかかわるコンサルタント、どういうふうな形で入ってくるのか興味があるところでありますので、ぜひ説明をお願いします。
○及川参事 今回の整備、運営事業では、平成十五年度よりアドバイザー契約を締結いたしまして、設計、財務、法務、医療の各分野に詳しい専門家から適宜必要な助言を受けながら、業務委託や施設整備の具体的な内容、工程や手順といったような整備内容等について検討してまいりました。
今後このPFI手続を進めるに当たりまして、引き続きアドバイザーを適切に活用することによりまして、着実に事業の推進を図ってまいります。
○斉藤委員 コンサルタントのセンスみたいなものが非常に大事になっていると思います。まだこれから詳細が決まっていくかと思いますけれども、このあたりの選定について頑張っていただきたいというふうに思います。
最後に、少し先の話ではありますけれども、ハードウエアができた後に、人材の確保というものがよい病院づくりの仕上げとなると思います。今回は、専門の医師、そしてまたコメディカルのスタッフも相当数必要になってくるんじゃないかと思います。かなり先の話なんで、推測の域を出ないかと思いますけれども、人材確保、そしてまた人材育成についてはどのような考えでいるのか伺いたいと思います。
質問は以上です。
○奥田経営企画部長 がん・感染症医療センターの整備に当たりましては、施設面の整備だけではなく、高水準で専門性の高い医療を提供するために、何よりも医師やスタッフの確保、育成が重要であるというふうに認識しております。
医師につきましては、駒込病院では平成四年度から独自の研修制度をスタートさせまして、自前で専門医の確保、育成を行っているところでございます。また、コメディカルスタッフにつきましても、これは全都立病院で職員の専門能力向上のために、専門資格を取得するための支援なども行っているところでございます。
今後は、こうした取り組みを通じまして、がん・感染症医療センター開設に向けた人材の確保、育成に努めてまいります。
○松葉委員 今、野島副委員長からもさまざま質疑がございましたので、重複しない形で質問したいと思います。
先ほども、整備計画として先行しております多摩広域基幹病院と小児総合医療センターにつきましてお話も出ておりまして、PFI手法についてのお話がございました。この二つの病院につきましては、現在地から移転して改築するものと、そういう計画を伺っておりますけれども、それに対しましてこのがん・感染症医療センター、駒込病院ですが、どのような形で計画を進めていくのか、まず最初にお伺いしたいと思います。
○及川参事 ただいまお話がございましたとおり、多摩広域基幹病院と小児総合医療センターの整備につきましては、現在地から移転をして、特に小児総合医療センターは三つの病院を統合して整備をするというものでございます。
それに対しまして今回のがん・感染症医療センターの整備は、現在の建物の躯体を利用いたしまして全面的に改修をいたします。今後、移転が予定されます隣接します臨床医学総合研究所についても、全面的に改修をいたしまして病院に転用するというような計画でございます。この改修計画によりまして、患者さんの療養環境の改善並びに最新の医療機器の導入に必要な施設規模といったようなものを確保していく予定でございます。
○松葉委員 まだまだ使用できる建物を有効に活用して、また改修を行って機能を向上させていく、そういうお話でございましたけれども、そういうような整備計画というのは、また大変有意義な整備手法ともいえるのかなというふうに思います。
昭和五十年に建設された当時と現在の状況を比較しますと、患者さんのニーズというのは大きく変化があると思います。そういった変化をされている患者さんのニーズに的確に対応して適切なサービスを提供することが、これからの病院には求められると思います。
それで、まず、今回の改修によって、患者さんの療養環境がどういった点が改善されるのか伺いたいと思います。
○及川参事 まず、療養環境で最も大きい患者さんの一床当たりの面積でございますが、現在の駒込病院の多床室、複数の方の入っていられるお部屋ですけれども、これは六床部屋でございまして、一床当たりの面積は約六平方メートルという形で、少し狭い状況になっております。今回、改修を行うことによりまして、これを四床室ということで標準化いたしまして、一床当たりの面積も約九平方メートルにしていきたいというふうに考えております。
また、個室につきましても、プライバシーに配慮した一床部屋を基本といたしまして、病棟部門の面積の許す限り部屋数の拡大を図りまして、利用者からの要望にこたえていく予定でございます。
また、患者さんのご家族がくつろいで会話ができる、そういった食堂を病棟に設置いたしますなど、療養環境の向上を図ってまいります。
○松葉委員 今お話がありましたけれども、一床当たりの面積がふえるというようなことで、療養環境の改善が図られるということは大変評価ができることだと思います。
また、医療機能の面においてもさまざまな機能向上が図られると聞いております。今回の整備計画の中で緩和ケア病棟の設置が盛り込まれております。具体的に末期がんといわれる患者さんの治療について、どのような機能向上が図られるのか伺います。
○及川参事 現在の駒込病院は、緩和ケアの専門病棟はございません。したがいまして、現在は末期がんの患者さんにつきましても一般の病棟で受け入れざるを得ないというような状況でございます。
今回、計画してございます改修工事では、緩和ケア専門病棟をつくりまして、全室を個室化いたします。また、ご家族との交流の場でございます談話室、食堂等も備えまして、緑との触れ合いも視野に入れました療養環境を実現してまいります。
○松葉委員 患者さんの療養環境の改善や、また緩和ケアの病棟の整備など、がんの患者さんが病院に求める機能の向上が十分図られていくという、そういうお話が今ございましたので、大変期待をしたいと思います。
現在、駒込病院は病床利用率も高く、毎日多くの外来の患者さんの方が足を運んでいらっしゃいます。私の住む杉並区でも駒込病院への信頼が厚く、大変頼りにしている方がたくさんいらっしゃいます。その意味では、がん医療の最後のとりでというふうにいってもいいほど、都民にとってはなくてはならない病院であるというふうに思います。
今回の改修は、病院の運営を続けながら行うということで、こうした多くの都民の方が利用する病院を休止することなく改修していくという考え方は、高く評価ができるものと思います。しかし、病院を運営しながら工事を進めていくということになりますので、細心の注意を払って、工事中でも入院患者さんや外来患者さんへの影響を最小限にしていかなければならないと考えます。
そこで、病院の運営を継続しながら改修工事を進めていくことになりますけれども、診療機能に影響が出ないように、具体的にどのような工夫をしていくのか伺います。
○及川参事 今回、改修工事の対象となります病棟につきましては、仮移転先を適切に確保いたしまして、工事中の病棟閉鎖を必要最小限度に抑えるという計画でございます。
また、病棟部門の工事でございますが、できるだけ建物単位で改修するということによりまして、他の建物への振動や騒音の影響を抑えますとともに、病棟を工事のために移転するといったような回数も極力少なくいたしまして、患者さんへの影響を最小限といたしてまいるというふうに考えております。
さらに、外来部門でございますが、工事中は、仮設施設へ全面的に外来を移転するというようなことを考えておりまして、外来機能を維持していくこととしております。
○松葉委員 工事実施に当たっては、ぜひとも医療機能への影響を最小限にしていくということで十分配慮していただくことをお願いしたいと思いますけれども、そのことも今のお話でよくわかりました。
これだけの大規模な工事を長期間実施していく中では、想定外の事態が発生しないとも限らないということもあるかと思います。いかなる事態が生じても、都や事業者は迅速かつ的確に対応して、患者さんや現場で働く職員への影響を最小限にしていかなければならないと思います。そういった意味で、事業者を選定する際には、こうした安全管理や危機管理の視点も十分取り入れていってほしいというふうに思います。
この事業は、今までの都立病院の改築事業と異なって、病院を休止することなく、しかも既存の建物を改修していくというものです。新たな病院の整備手法として全国に発信していくべきものであるとも思います。着実な事業の推進を図られることを要望いたしまして、質問を終わります。
○かち委員 私からも、駒込病院のがん・感染症医療センター改修計画について何点かお聞きします。
今もお話がありましたように、診療を継続しながら改修を行う、それもPFI導入を検討しているということでございました。今、資料を出していただいたんですけれども、十四年度から十七年度まで、決算と十七年度の予算を合わせると、二億円以上のアドバイザー契約だと思うんですけれども、要しているわけですが、これは、十六年度までは決算ベースでその内訳はどうなっているのか、十七年度の予算の内訳はどういう内容なのかをお聞きします。
○及川参事 要求資料にございますとおり、十六年度までは決算値ということでございますが、その内訳でございます。十四年度は導入可能性調査、十五年、十六年は整備事業に関しますアドバイザー業務委託、十七年度予算は、引き続きこのアドバイザーの業務委託及び審査委員会の経費でございます。
○かち委員 PFIというものについては、いろいろと利点も、それから未知の課題もあるというようなことが先ほど来いわれておりますけれども、都立病院としてこれに取り組むのは、多摩のメディカル・キャンパスの問題と、それから今回の駒込病院ということで、二件目ということになるわけですけれども、駒込病院については、結局十四年度にPFIの導入可能性があるかどうかという調査をされているわけですね。調査の結果、導入の可能性があると判断をされて、十五年度から本格的な検討に入ったというふうに先ほどから報告をされていると思うんですけれども、それでは、十四年度にPFIの可能性があると判断をしたその根拠というものはどういうものなのか。結局、経費節減率ということなども含めて判断をされたんだと思うんですけれども、十四年度のその経費節減率というのはどういうふうになっているでしょうか。
○及川参事 平成十四年度、導入可能性について調査をしております。この調査はあくまでもこの可能性を探るという意味で、内部的な資料という位置づけでございますが、あくまでもバリュー・フォー・マネーの試算値というご理解をいただきたいんですけれども、この資料ではおおむね三%から四%という算定結果となっております。
○かち委員 いろんな金利の変化だとか公共事業のコストダウンなどによって影響もあるんだというようなお話もありましたけれども、多摩メディカル・キャンパスのときには、当初見込み時のバリュー・フォー・マネー、経費節減率の見込みは一三・八%だったというふうに報告されていますよね。それが実際の実施計画の段階になると、二・三%というふうに大きくダウンをしているわけですね。
その主な理由は何かといえば、社会情勢の変化や公共事業のコストダウンなんかによっても大きく影響されるというようなことがいわれております。今、およその内部的な資料としてのアバウトの試算でも三、四%ということで、果たしてこれが本格的な段階になって、これを上回るような結果が出るのだろうか。そして、今、公共事業もどんどんコストダウンはしておりますので、そういう経過を見ると、削減率はほとんど出ないのではないかなというふうにさえ懸念されます。
そして、今の経過の中でも、大変高いアドバイザー契約をしているわけです。これは平均すると年約九千万円ほどかかるわけですけれども、これはいつまで契約を続けていくのでしょうか。
○及川参事 アドバイザーの活用でございますけれども、これからPFIの手続、タイトな手続ですけれども、着々と手続を進めてまいります。その節目、節目でこの専門家の助言を得ながら適切に対応してまいります。
その後、契約をして、それから工事に入る。その場合の工事の進め方等につきましてもアドバイザーの助言は必要となります。実際に全面の供用が開始されたということになりましても、しばらくの間は、モニタリングの調査並びに運営手法のチェックというふうなところで引き続き活用してまいりたいと思います。
ただし、契約の内容は徐々に変わってきます。今までの金額どおりではないと、今のところ考えております。
○かち委員 こういう手法をとるということによって、直接都がやる場合にはこういうことはないんですけれども、このようなアドバイザー契約を十五年間続けることになるかもしれないというようなことも出ているわけですね。
それで、先ほどの内部的な検討なんだということですけれども、十四年のときに最初にアドバイザー業務委託をして、日本工営株式会社というところが調査をした最終報告というのが出ているんです。どういう検討をしたのかということで、私ども、当時、資料を出していただいたんですけれども、これ、ほとんど黒塗りなんですよね。(資料を示す)
全く真っ黒ということで、リスク分担とか、そういうのをいろいろやるといっていても、一体どういう中身でそういうものをやるのかどうかというのは、都民的にはさっぱりわからない。もう既に十四年からも三年、四年とたっているわけですけれども、どこでどういう内容が検討されているのかということがわからないわけですよね。
それで、駒込病院のホームページを見ても、改修計画のかの字も出てこないわけです。病院経営本部でいえば、この改革プログラムは通っていると思うんですけれども、個々の病院で今どういう計画で何を検討しているのかというのは全く見えてこない。そういう意味では、税金でできている病院だからこそ、もっと都民に明らかにすべきではないかなというふうに思っているんですね。
それで、検討していますよということで、検討委員会をつくってやっているわけですよね。この報告書を見ますと、センター整備検討委員会のメンバーだとか、ワーキンググループのメンバーだとか出ていますけれども、ほとんどが病院の内部の部長、医長クラス。内部の方だけで検討しているということになっているわけですけれども、これが本来なら、この病院を改修します、これから新しい医療を目指してやりますよというのであれば、もっと患者さんの代表だとか、患者団体からの意見なども聞くだとか、また、がんや感染症の専門有識者なども含めて、都民的な意見を聞きながら進めるべきではないかなというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○及川参事 今、計画を、もっと開いた形で都民の方もというお話でございましたけれども、私ども、今回の駒込病院は、あくまで改修をして療養環境をよくしていこう、それから医療環境をよくしていこうということでございます。そういう意味では、まず内部でのこういったアドバイザーも含めた検討をして、それで今回の計画に結びつけていったというわけでございます。
ただし、先ほど黒塗りの話も出ていましたけれども、これはPFI事業で実施をしていくというつもりでございますので、早い段階で一般にその改修内容とか、それから年次計画、そういったものがオープンになりますと、これはまたある一定の特定の業界とか、そういったものに対して公平性を欠くということにもなりますので、そういう意味では、今のところ内部で検討しておるというところでございます。
○かち委員 公共の事業を進めるのに企業の利害を守るというようなことが入ってくるのが、このPFIの姿だと思うんですね。私は、公共の病院であればこそ、もっとオープンに、明らかに計画段階からすべきだというふうに思うんです。
それで、資料も出していただきましたけれども、全国のがんセンターの一覧があります。都道府県の中で、三つのがんの専門病院、センターを持っているのは東京だけなんですけれども、この中で都立駒込病院がどんな医療を目指すのか、何を特徴としたセンターを目指すのかということになると思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○及川参事 先ほど来ご議論いただいておりますが、都立のがん・感染症医療センターにふさわしい施設としてまいります。
○かち委員 その内容がどうなのかということを聞いているんですけれども、ご答弁ありませんでしたけれども、がんの最先端医療をやるというようなことは書かれておりましたよね。それから、外来での化学療法、ベッド数五十床という、これも全国的にも最高レベルかなというふうに思うんですね。で、取扱患者さんも全国で二位というような医療をやるということは見えてくるんですけれども、都立病院として考えるならば、がんの予防から早期発見、早期治療、そして緩和ケア、地域連携、こうしたトータルな、地域に根差した自治体病院としてのがん医療というのを目指す必要があるんじゃないかと思います。この改修計画の中に、がんドックなどの検診部門というものはないのでしょうか。
また、何といっても最も死亡率の高いがん医療を考えたとき、いまだ約半数の方々は無念にも死に至らしめられるわけです。そうした方々への医療、緩和ケアを含めてのターミナルケアというのは、今、大変重要視されてきております。今日的な課題ではないかと思います。
それで、駒込病院では、これまでになかった緩和ケア病棟を新設されるということですけれども、快適な施設環境ということはわかりましたけれども、どういう緩和ケア病棟を目指すのかという点でのお答えを求めたいと思います。
○及川参事 検診部門のお話でございますが、一般健康診断というふうに解釈してよろしければ、一般の健康診断は実施をいたしません。
ただ、一般健康診断の後、要精密検査等の方に対しましては、これまでどおり通常の医療連携を通じましてご紹介いただきまして、受診をしていただく。その受診の一環としての検査はもちろん実施いたしております。その検査の機器につきましては、先ほど来、早期の発見、早期治療というものに結びつけてまいります。
それから、緩和ケアにつきましては、これも先ほどお答えしたとおりなんですが、全室個室化いたしまして、患者さんの療養環境を整備しますとともに、これまで、在宅医療等にも駒込病院の方で、例えば看護相談や医療相談という取り組みを行ってまいりました。引き続きこういった相談機能を充実いたしまして、医療連携を図ってまいります。
○かち委員 一般健診というふうにいったわけではないんですね。がんドックのようなものというふうにいいましたので、そういうこともぜひ検討してください。
それで、緩和ケアについてなんですけれども、広島県の緩和ケア支援センターというところの問題なんですけれども、ホームページを見ても、こうやって出ているんです。(資料を示す)ここは、県民の皆様の声によって、地域の緩和ケアネットワークづくりを目指して設立されましたというふうに書いてあります。ここでは、在宅ケアのためのデイホスピスや緩和外来があって、入院のための緩和ケア病棟が併設されているんですね。
少し前までは、がんということすら告知されずに苦痛と苦悩の中で壮絶な死を迎える、それが生きたあかしだなどといわれた時代もありました。治療技術の進歩もあって、今では、がんということが当たり前のように告知をされます。しかし、その予後の対策は非常におくれているのが現状だというふうに思うんですね。
今は、がんと告知されて一定の治療をすると、在宅に戻ります。そして、入退院を繰り返し治療するわけですけれども、そのときのフォローアップやネットワーク体制が大変重要だということも、ここにも書かれているんです。
都立病院、自治体立の病院であって、がんの専門病院ということであれば、地域の緩和ケア、ターミナル医療、そういうものにもセンター的な機能、支援体制を整えていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○及川参事 現在の計画では、新しいがん・感染症医療センターにおきまして緩和ケアを実施いたす計画でございますので、その中で、そういった連携も含めて取り組んでいきたいというふうに思っております。
○かち委員 全国二位の症例数を受け持っている駒込病院でも、完治率というのは六〇%という状況の中で、まだまだ研究部門というのは続くと思うんです。こうしたときに臨床研究所が移転せざるを得ないという状況に今なっているわけですけれども、病院サイドから、研究所が、臨床研が移転するということに対するデメリットみたいなものは検討されたでしょうか。
○及川参事 臨床医学総合研究所そのものは所管局が違いますが、駒込病院が何らかの形で研究所と共同で行っております研究などにつきましては、今後、所管局等と調整してまいりますので、移転によるデメリットは考えておりません。
○かち委員 表にもありますけれども、全国のがんセンターではほとんど臨床研究所を併設しているわけですよね。大阪のがんセンターでは、臨床研とタイアップをして、専門スタッフが院内登録だとか地域登録というのを一手に引き受けてやっているということは、研究課題の一環としてやっているわけですね。
今後、がん拠点病院の考え方も、基幹的な地域がんセンター、拠点病院の位置づけというものも推測されるわけです。そういう意味では、そうした部門をしっかりと保障できる機関がどうしても必要だというふうに思いますので、その辺がそごにならないようにぜひ検討していただきたいというふうに思います。
それから、がん医療の特徴の一つに、集学的がん医療とはいいませんけれども、それに類するキャンサーボードというのを十六年から導入していますよね。これは、患者さんを中心に、最適な治療方針を専門の枠を超えて常に検討、集中してやっていくというやり方なんですけれども、そういう体制を本当にとっていくということになると、今のような各科別というようなやり方ではなく、もっと大胆な編成の仕方というものも検討すべきではないかと思います。キャンサーボードを充実させていくという点ではどのようなことを考えていらっしゃるでしょうか。
○及川参事 先ほどお答えいたしましたけれども、これまでも、がん医療に関しまして、外科や放射線科等の専門医が診療分野を超えてチームを組んで、症例ごとに検討した上でベストな治療法を選択する仕組みを取り入れておりまして、今後はこういった取り組みをさらに強化していくということでございます。
○かち委員 有明がんセンターに行ってきたんですけれども、そこは集中して集学的がん医療をやるということであって、今までの発想転換で、すべて各科別ではなくて、臓器別に全部分かれていて、患者さんを中心にすべての専門医が検討し合うシステムができているという状況を見てまいりましたので、そういうこともぜひ検討してみていただきたいと思います。
それから、この改修の中で、駒込病院は今まではエイズやHIVを対象とした感染症指定病院でありましたけれども、今度は一類感染症病室を整える、一類指定を受けるというようなことで検討されているようです。それはそれで必要だというふうに思いますけれども、この病院の形態そのものが、がんとかエイズとか、とりわけ免疫力の後退している患者さんが集中する病院敷地の中で、こうした強力な感染症を受けるという状況の中で、果たして院内感染を含めた問題はないのかどうかということなんですけれども、どうでしょうか。
○及川参事 駒込病院は、現在も感染症予防委員会の実行機関としまして、医師、看護師、検査技師等から成る院内の感染対策室を設置しております。各種マニュアルの再検討、感染症サーベイランス、院内ラウンド等を実施しておりまして、積極的に院内感染防止の活動をしております。引き続きこうした活動を強化させまして、万全を期してまいります。
○かち委員 空気感染ということになりますので、指定をしたものの、そういうことがうまくできないということのないように、ぜひお願いしたいと思います。
駒込病院という公共の病院の改修に当たっては、計画段階から透明性を確保して、より多くの都民、関係者の声が生きる内容でのスケジュールで進めるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
○山口(文)委員 医療技術の進歩により、がんは決して不治の病ではないといわれるようになりましたけれど、昭和五十六年から死因のトップとなり、昨年の死亡数が約三十二万人、総死亡の約三〇%を占めています。
駒込病院では、昭和五十年、現在の病院開設以来、がん、感染症に対する高度専門医療を提供し、がん治療やHIV、エイズ治療では、日本を代表する医療機関として高く評価されている病院と聞いています。
当然、再発がん、難治がん等にも取り組んでこられたと思いますが、末期がん患者への緩和ケアについても避けられないものと考えます。現在の駒込病院では末期がんの患者をどのように受け入れられているのか、具体的に伺います。
○徳毛サービス推進部長 現在は末期がんの専門病棟がございませんので、早期がんの患者さんと一緒に一般病棟で受け入れております。
緩和ケアを希望する患者さんに対しましては、必要に応じまして他の医療機関を紹介するなど、医療連携で対応しております。
○山口(文)委員 末期がんの患者への対応としては、痛みを取り除く治療とともに、身体的、精神的なケア、また、家族、患者を取り巻く社会的な問題へのフォローなどが必要になります。
現在の駒込病院の療養環境は決してベストな環境ではないと思いますが、今回の改修事業では、このような療養環境を整えるように改善していくことも重要な計画であると考えます。
そこで、先ほど松葉委員とかち委員からも出ましたけれども、具体的に一件、決まっていましたら伺いたいんですが、緩和ケアのベッド数、それから、当然個室が中心といわれておりますので、無差額ベッドの確保が決まっておりましたら、ちょっと確認させていただきたいと思います。
○徳毛サービス推進部長 先ほどの答弁にありましたけれども、二十二床、全部個室で、半分が有料になります。
○山口(文)委員 人生の最後だからこそ、住みなれた自宅で、そして家族や友人に囲まれて、自分らしい充実した人生をと、はっきり意思表示をする人もふえています。死の迎え方として、多くの人が望むことだと思うのですが、そのためには、患者や家族を支える地域の医療体制が不可欠です。
がん医療の専門病院として、在宅医療への移行支援も行っていくことは大変重要な取り組みです。患者さんの生活の質の向上を図るために、在宅緩和ケアを支えるチーム医療の一翼を担うことを今後も期待したいと思いますが、今回の整備では、在宅での緩和ケアとのつながりについてどのように取り組まれるのか、もう少し具体的に聞かせていただけたらと思います。
○徳毛サービス推進部長 これまでも駒込病院では、医療相談室、看護相談室が中心となりまして、在宅医療への取り組みは行ってまいりました。
具体的には、在宅医療への移行に関しまして、入院中に、医師、看護師、医療相談員が患者、家族への指導、教育を行っております。また、家族での対応が困難な患者さんの場合には、看護相談室の看護師が地域の訪問看護ステーションと連絡をとり合いまして、地域へつないでおります。
緩和ケア病棟設置後は、こうした機能を一層強化いたしまして、緩和ケア推進の先導的な役割を果たしていく考えでございます。
○山口(文)委員 これは意見として述べさせていただきますが、都内で緩和ケアの病棟を有する病院が十七病院で、私は、そのうちの一つ、たしか十二年ぐらい前ですか、小金井の桜町病院の緩和ケア専門の病棟がつくられたときに、一般に開設前にオープンされたのを見学に行きました。そこでは、患者の家族が宿泊できるような部屋を設けているところがありました。
今回の整備計画は、既存の建物を活用した改修工事ということで、非常に制約があるかと思いますが、こうした施設についてもできるだけ整備していただきたいということを要望しておきます。
また、こうした緩和病棟ではボランティアの人が随分活躍されていると聞いています。緩和ケア病棟の設置に当たり、患者や家族を援助するため、地域の人たちがボランティアとして参加していただくことも重要と考えますが、見解を伺います。
○徳毛サービス推進部長 現在、都立病院におきましては、緩和ケア病棟は豊島病院に設置しております。この緩和ケア病棟では、七夕やクリスマス、あるいはミニコンサートのイベントの実施とか、患者さんの話し相手や散歩の付き添い、草花の手入れなどにつきまして、ボランティアの参加をいただいております。
こうした対応は、患者さんの心をいやし、充実した生活を送るために大事なことと考えております。また、こうした活動は、患者さんや家族の方からも、今、非常に好評を受けております。今後、このような豊島病院の対応を踏まえまして、検討してまいりたいと思います。
○山口(文)委員 話し相手や散歩の付き添いなど、直接患者と接するボランティアには研修が必要になります。都は、福祉保健局の事業として、医師や看護師など緩和ケア従事者研修とともに、緩和ケアボランティアの研修も実施していますが、さらに充実を図ることを病院経営本部としても推し進めていただきたいと思います。
諏訪中央病院では、このボランティアをさらに一般病棟にも広げたり、あるいは病院総合案内というようなことにも広げて、ボランティアは病院と医療をつなぐ外交官だという形で大変大切に使っておりますが、そういったことも開かれた医療につながるものと思いますので、ぜひ充実をさせていただきたいと思います。
そして、最後に一つだけ意見をいわせていただきます。
今回、最先端の放射線診断、それから治療機器を整備することとしていますが、画像診断には、機器の整備だけではなく、画像を読影する医師、そしてまた機器の操作を行う放射線技師にすぐれた人材を確保することが必要といわれております。
幸いにも、聞くところによりますと、駒込病院にはすぐれた人材を有しているということですので、こうした医師や技術者の人材育成についてもぜひ力を発揮していただきたいということを要望して、質問を終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時五十分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.