委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 田代ひろし君 |
理事 | 初鹿 明博君 |
松葉多美子君 | |
早坂 義弘君 | |
山口 文江君 | |
山口 拓君 | |
斉藤あつし君 | |
野村 有信君 | |
佐藤 裕彦君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 平井 健一君 |
次長 | 吉川 和夫君 | |
技監 | 梶山 純一君 | |
理事 | 梶原 康二君 | |
総務部長 | 片岡 貞行君 | |
指導監査室長 | 菅原 眞廣君 | |
医療政策部長 | 丸山 浩一君 | |
保健政策部長 | 杉村 栄一君 | |
生活福祉部長 | 朝比奈照雄君 | |
高齢社会対策部長 | 長谷川 登君 | |
少子社会対策部長 | 都留 佳苗君 | |
障害者施策推進部長 | 吉岡 則重君 | |
健康安全室長 | 八木 憲彦君 | |
企画担当部長 | 野口 宏幸君 | |
連絡調整担当部長 | 狩野 信夫君 | |
参事 | 高橋 誠君 | |
参事 | 桜山 豊夫君 | |
参事 | 宮垣豊美子君 | |
参事 | 佐藤 恭信君 | |
参事 | 牛島 和美君 | |
参事 | 浅井 葵君 | |
参事 | 大黒 寛君 |
本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)
○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
福祉保健局の松井事業調整担当参事は、公務の都合によりまして本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○片岡総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、全部で十項目となっております。
それでは、順を追いまして説明をさせていただきます。
まず一ページをお開き願います。
多摩北部医療センター小児科の患者取扱状況といたしまして、外来、入院、救急ごとに、診療を開始した月から本年七月までの延べ患者数及び一日当たりの患者数について記載してございます。
二ページをお開き願います。
区市町村における乳幼児医療費助成制度の実施状況といたしまして、二ページから四ページにわたりまして、区部、市部、町村部ごとに、所得制限及び対象拡大の状況につきまして記載してございます。
五ページをお開き願います。
児童相談所別の虐待相談件数及び児童福祉司数の推移でございます。(1)には平成十二年度から十六年度までの相談受理件数を、六ページに参りまして、(2)には児童福祉司数をそれぞれ児童相談所別に記載してございます。
七ページをごらん願います。
乳児院、児童養護施設及び養育家庭別児童数の推移といたしまして、平成七年度から十六年度までのそれぞれの児童数につきまして記載してございます。
八ページをお開き願います。
区市町村における子育てひろば事業の実施状況といたしまして、事業内容及び平成十六年度の実施状況につきまして、区、市、町村別に記載してございます。
九ページをごらん願います。
認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移でございます。待機児童に関する新定義及び旧定義それぞれに分けまして、平成十五年から十七年までの区市町村別の定員、年齢別の入所児童数及び待機児童数につきまして、九ページから一八ページにわたりまして記載してございます。
一九ページをお開き願います。
要支援家庭の早期発見・予防事業の概要といたしまして、目的、事業内容及び本年九月末現在の実施状況を記載してございます。
二〇ページをお開き願います。
重症心身障害児者通所施設の定員及び通所日数別登録者数といたしまして、委託施設、都立施設別に施設定員及び通所日数別登録者数を記載してございます。
二一ページをごらん願います。
平成十六年度居宅介護支援費(ホームヘルプサービス)国庫補助金交付決定額及び交付申請額といたしまして、国庫補助金交付決定額、交付申請額などを区市町村別に記載してございます。
最後になりますが、二二ページをお開き願います。
国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、区市町村別に二二ページ及び二三ページに記載してございます。
以上、甚だ簡単でございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 公社病院についてお尋ねしたいと思うんです。
公社病院も東京都が出資しているわけですから、都立病院同様、これは都民のための病院であるというわけでありまして、やはり都民からの公社病院に対する期待あるいはニーズというものは大変高まっているわけですが、都民のニーズにこたえていくというのは当然のこととして、何回か申し上げましたけれども、将来、アジアに対して一つの医療圏、大きな医療圏を考えていくということも必要なわけです。東京都は日本を代表する都市として、その中で公社病院が、これからアジアの中で広まっていくだろう感染症も当然のこと、あるいは、いわゆる糖尿病の患者さんが大変ふえるといわれているわけで、当然これは飢餓細胞を持っているわけです。食料品が非常に少ないところに住んでいらっしゃる国民の方たちは、備蓄する能力を豊富に持っている細胞で生きているわけですけれども、これからどんどんどんどん、食事が、二日に一回が一日一回になり、一日一回が二回に、三回になってくるにつれて糖尿病がふえてくることは我が国でも証明されて、わかっていることですから、東京のことだけ考えていればいい、こういうことではなくて、アジアのことを考えていくためにも、公社病院、将来のことを見据えて仕事をしていただきたいと思うんです。
こういう高度で先進的な医療サービスを求める人たち、それから、生活習慣病に対しての治療を求める人たち、いろんな人たちがいると思うんですけれども、今、我が国でも、いい意味と悪い意味で二つの脚光を浴びていることで、医療機器が非常に新しいものができてきて、今までのような苦しい思いをしなくて治療ができる、あるいは検査ができるということになってきたわけですけれども、公社病院の中では何か高度の医療機器というものを持っているのかどうか。それについてお答えいただくと同時に、これが負の部分ですけど、これを使いこなせる人がいない。逆にいうと、産科の先生方が非常に少なくなっている理由は、ご存じのとおり、麻酔科の先生を確保しなくちゃできないということになったわけですね。ところが、麻酔科の医者が今日本で一番少ないわけですから、確保なんかできるはずもない。正常分娩が行われるのが一番理想ではありますが、いつもいつも正常分娩というわけにいかないわけですから、そういう緊急のときにだれでも安心してお産するために、麻酔科の医者が常勤で、あるいはある程度連絡がとれなくちゃいけないわけですけど、これができないわけですね。
公社病院でも同じように、いろいろなスタッフ、小児科、あるいは耳鼻科、あるいは麻酔科、場合によっては精神科の指定医も数多くいるわけではありませんから、そういう人材の確保と高度先進医療機器についてお答えいただきたいと思います。
○高橋参事 現在、公社病院で保有している高度医療機器には、MRI、マルチスライスCT、リニアックなどがございます。がんの診断に有効とされているPETにつきましては導入しておりませんが、必要な場合については連携により対応することとなっております。
これらの医療機器を活用するために必要な放射線診断医や治療医などの医師につきましては、大学医局からの派遣等により確保しております。また、放射線技師などの医療スタッフにつきましては、知識、経験が豊かな職員が新たに採用した職員の技術研修を行うなど、育成にも努めておるところでございます。
なお、十八年度に移管を予定している荏原病院では、新たにリニアックを整備することから、放射線治療医を確保することとなっております。
○田代委員 お答えのように、高度医療機器を十分に活用できる医療スタッフを確保しているということなんですが、現実に動いていないところも民間の病院では幾つかあるものですから、公社病院で同じような轍を踏まないようにお願いしたい。
それから、今お話しいただきましたように、PETも、今の時代はもうニーズがあるんですね。ある意味では都立病院にPETがないということ自身が、随分ユニークなことなのかなという感じがしないわけではないので、そういう機械を導入することはだれでもできるんですけれども、しかし、機械を導入して、病院の名前はいいませんけど、ある公的病院で入れたんだけど、まだ動いてない、何年か動いてないままというのがあるんですね。予算は議会で通っちゃったんですけれども、医者が集まらない。こういうことにならないように。機械は買ったんだけど、動かせない。あるいは、機械は買って、人はいるんだけど、患者さんのニーズに合わないような、例えば週に何回しか治療できないとか、何週間待ちになるとかということにならないような形をぜひともしていただきたいと思っているわけです。
当然、医師不足、看護師不足、あるいは技術者の不足というものはずっと慢性化しているわけですけど、やはりここで、せっかく公社病院にしたわけですから、都立病院とは違う考え方で、もうちょっと柔軟に、いわゆるアウトソーシングといったらあれですけれども、人の出入りを、後でちょっと述べますけれども、外勤も認めると同時に、オープンにして、どんどんどんどん外からも入ってくるというのを、もうちょっと具体的に。オープンシステムにしていますとおっしゃるんですけど、じゃあ具体的にそういう例があるかというと、ごく一部の歯医者さんであるだけで、しかもそれは地域に限定しているわけです。
もっともっと、どこに行っても自分の主治医が、勉強して、やる気がある主治医であれば、公社病院で働いている姿を見れる。しかも、その診療所が、うちの先生がいないときには閉まっているんじゃなくて、公社病院のスタッフも来て、同じように町の実情を見ている。
やはり地域病院として生きていくためには、町の実情を見なくちゃいけないと思うんですね。そういうリサーチャーとしての役目もあるわけですから、ここにいなくちゃいけないと縛りつけるのではなくて、患者さん本位に医療というものが動くために、どうやって医者を動かしていくのか。患者さんが動くんじゃなくて、医者が動くような形の医療というものを進めていただきたいと思うんです。
その中で、今までどおり、大学の医局から人材だけを確保しているというのは、こうやって研修医制度ができちゃいますと、これもいい意味、悪い意味があって、今まで研修医のなり手が全然なかった公社病院にも来るわけですし、都立病院にも来るわけです。今までそこに行かざるを得なかった大学の医局も、もう行かなくてもいいというか、行かない人も出てくるわけです。わざわざ人を集めなくても向こうから来てくれるわけですから、これを逃さないように。逃さないようにするためには、中でどれほどいい教育を、患者さん本位のいい教育を受けているか。やっぱりモラルということは非常に大切ですから、医者として社会的な常識がある、公的病院の医師として、社会人として、モラルをしっかり確立することも含めての、そういう教育システムというものをつくっていただきたいと思うんです。
そういうことによって、結果、医師が定着していく。そういう形で頑張って、これから医者を育てていただきたいんですけれども、そのときにやはり学会、いわゆる勉強ですね。医者が勉強したいとか、あるいは各種の治験の実施。これ、今、日本で一番おくれているわけです。後ほどアスベストでも話にちょっと触れますけれども、薬がなかなか承認されない。ただ、外国でいいから日本ですぐやっていいのか。これは、狂牛病の問題でも、いろんな問題に関係してきますけど、何でも外国がよければ日本がいいというのは変な話で、ある程度科学的根拠がなくちゃいけないわけですけれども、そういうシステムがない。治験をするというシステムが日本にないものですから、とても病気で悩んでいる方たちが、外国では治療を受けられるのに、日本では受けられないという現状が起きてしまうわけで、これに対しても東京都としては、最大の行政機関ですから、ある程度方向性を出していただきたい。こういうものに対しても、公社病院の職員が学会のみならず治験に対しても積極的に参加することが許されるような、こういうような取り組みをつくっていただきたいと思うんです。
今申し上げたようなことで、公社病院の中で、これからの医師としてのスキルアップのため、あるいはモラルをしっかり確立していくためにどのような取り組みをしようとしているのか、していたのかを教えていただきたいと思います。
○高橋参事 公社病院に勤務する医師及び歯科医師の医学知識を高め、医療技術の向上を図ることを目的に、大学、病院または研究機関等に医師を週一回、最長二年間派遣することができる医学研修生派遣制度がございます。
また、都立病院と公社病院の医師の合同の勉強会がございまして、そこで相互研さんを行っております。
このほか、地域医療連携の推進及び医師のモラル向上を図る観点から、勤務時間外ではございますが、地域医療機関や連携先などからの要請に基づき、当該医療機関で手術や検査の診療協力などが行われる制度も整備したところでございます。
○田代委員 ちょっと横道じゃないんですけど、教えていただきたいんです。
今お話の中にあった公社病院の職員、時間外、時間というのは何時から何時で、時間外の補償というのはちなみに今あるんでしょうか。お答えできるようでしたらですよ。お給料として何時から何時まで拘束される。例えば、僕が今勤めている大学病院の勤務時間は、二十四時間三百六十五日という規定じゃないけど、なっているんですね。これは内規で、いつ呼び出されても、どんなとき呼び出されても来なくちゃいけないということになっているけど、お給料は別に、九時-五時で働いていても、あるいは十二時から十二時まで二十四時間働いていても、全然変わらないんですけど、公社病院はどうなんでしょうか。
○高橋参事 医師の勤務時間でございますが、これはその時々のローテーション、シフトによって異なりますが、基本形は九時から五時まででございます。
○田代委員 基本形はわかっているんです。ただ、連続して働くこともやむを得ないということでいいわけですね。公社病院でも、時間はあってないようなものということでいいわけですね。
○高橋参事 先生がお尋ねのように、その時々の状況に応じて対応してまいります。
○田代委員 それで普通だと思うんですね。医者がこの時間からこの時間というわけにいかない。昔のソ連じゃあるまいし、時間になったら帰っちゃうというわけにいかないわけです。
ただ、医者が疲れることがどうだこうだということを僕はいっているんじゃないんですね。労働基準法にひっかかる、そんなことはどうでもいいんです。医者になるやつは、そういった覚悟でやればいいんだけど、そのミスが患者さんに与えられると非常に怖い。疲弊した体力で仕事をして、投げやりになってしまったり、おかしなことになったりすることが怖いので、そういうところをきちっとフォローできるようなシフトで働かせてやっていただきたいなということを要望しておきます。
せっかく都立病院と公社病院と分かれたわけですから、明確な差異、どっちもやらなくちゃいけないことがしっかりあると思うんですけれども、何だ、これじゃ都立病院と同じじゃないか--せんだっても申し上げましたが、都立病院よりいいものにする。都立病院はますます公社病院に負けないものになる。お互い切磋琢磨あった方がいいと思うんですけど、将来のビジョンや計画、どういうものが都立病院と明確に違ってくるんだという、何か示せるものがあれば教えていただきたいと思います。
○高橋参事 公社病院と都立病院は、他の医療機関との連携を通じた良質な医療サービスの確保という観点では、基本的役割を同じにするものでございます。しかし、平成十七年三月に策定いたしました東京都保健医療公社病院経営中期計画では、公社病院の使命は、地域医療機関との連携による住民が安心して暮らせる医療環境の創出であることを改めて掲げており、全都域を対象に、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政医療の提供を目的とする都立病院とは異なるものでございます。
なお、この計画では、患者中心の医療の提供、地域医療連携の推進、志の高い医療人の育成、経営基盤の強化の四つのビジョンを掲げるとともに、その達成のために取り組むべき事項について、九つの戦略と三十の個別目標として打ち出し、さらに具体的なアクションプランとしてまとめております。
また、能力や業績を適正に評価し、給与や昇格等に反映することにより、努力したスタッフがより報われるような人事給与制度の弾力化などを打ち出しております。
本計画を着実に実行し、今後とも患者本位の医療を一層推進するとともに、都における総体としての医療サービスの向上に努めてまいります。
○田代委員 今おっしゃったとおりの理想が実行できることが一番ありがたいことで、それを現実のものにするためには、ある程度明確な細かい計画を立てていくことが非常に重要だと思いますし、やはり大変だと思うんですけど、何回も申し上げますとおり、日本の医療の最低限のモデルケースをつくっていかなくちゃいけない責務みたいなものも公社病院にはあると思うんですね。東京都の最高位にあった都立病院よりさらにいいものを地域医療のために脱皮してつくるというわけですから、公社病院をまねしようぜという話にならなくちゃならない。それが変わった理由になるわけですから、これを具体的に実行していただきたい。
その中で、医者の仕事の内容を評価するというのはなかなか難しいんですよ。サボっているやつとサボってないやつと、どっちがサボっているのか、サボってないのか、見るというのは非常に難しいんですけれども、難しいからやっていけないというわけじゃなくて、まさに今までだれもできなかった医者の評価、いわゆる医者のミシュランですよ、いわゆる。それを患者さん中心の目で評価するという努力を東京都はしていただきたいと思うし、それには、先ほど申し上げましたような具体的なオープンシステム。
別にアメリカでやっているからいいというわけじゃないんですけど、これ、非常に効果的な治療方針を立てられますよね。一人の医者が診るんじゃなくて、何人かの医者と一緒に話をして、その患者さんを診て、自分が手抜きをしているな、忙しいからちょっと次にしようかなというのも、ほかの医者から話を聞くと、いや、これは先に検査しなくちゃいけないという話が出てくるわけですから。
公社病院と地域の医師会の医師との交流というものをもっともっと実効あるもの。言葉でずっと昔から聞かされているんですけど、一度も現実になっているものがない。これは地区の医師会の努力も当然必要だと思いますけど、やはり主導的な立場でしっかりそれをつくっていただきたいということを要望しておきます。
次に移りますけど、アスベストが今大変問題になっているんですけど、一九六四年にILOが、アスベストをじん肺のいわゆる職業病として認定したわけですね。WHOも一九七二年に、これが病気を起こすんじゃないかということを指摘、いわゆる発がん性を指摘したわけです。
ことしの六月ごろから、関西のアスベスト製品の製造企業から健康被害の報道がきっかけとなって、どんどんどんどんいろんな報道がされているわけです。東京の中でもアスベストに関する都民の健康不安というのは広がっているわけですが、そもそもアスベストというのはどういう危険性があるのか、都の認識をお伺いしたいと思います。
○牛島参事 アスベストの繊維は極めて細いため、浮遊しやすく、吸入されやすい特徴がございます。飛散したアスベスト繊維を吸い込むと、通常は異物として、たんの中にまじって排出されますが、肺胞の中に達したものは長期間肺の中に残り、肺がんや中皮腫などを引き起こすことがございます。
肺がんや中皮腫は、いずれも発症までの潜伏期間が長く、肺がんで十五年から四十年、中皮腫で二十年から五十年とされております。
○田代委員 発症まで長いし、今お話がありました悪性の中皮腫、中皮というのは、簡単にいうと、臓器を囲んでいる、ラッピングしている内臓の包装紙みたいなところを中皮というんですけど、そこが発がん性を持っているということは今までなかったんですね。そこはなかなかがんにならない場所で、非常に発生率が低い場所だったわけですけど、そこに特異的にこういうものができてくるということで、多分、これはアスベストとの関係が非常に強いんだろうということを今示唆されているわけです。
経過が長いので、今までの死亡者とこれからの死亡予測者が、これから十年か二十年の間に、これがもう場合によっては数千倍に上がるだろうといわれているわけですね。百名単位が何万人単位に亡くなっていくということがいわれているわけです。これは予測ですから、多い少ないはあると思いますけど、少なくとも何百倍から何千倍の、死亡者が劇的にふえてくることはわかっているわけでありまして、アスベストに対して都民が非常に不安を持つことは当たり前だと思うんです。
一時、昔は、アスベストを使わなきゃ認可がおりないなんていうこともあったわけですから、これはどこを責めていいんだかわからない。当時は科学的にそういうものが起きるということは予測されなかった。さっき申し上げたように、昔からあった病気ならいいんですけど、なかったわけですから。これは責めようがないんですけれども、アスベストに対して大気中の何か基準みたいなもの、国あるいは都で独自につくるつもりがあるのか、今あるとすれば、どういう基準でそれを見ているのか、お答えいただきたいと思います。
○牛島参事 大気中のアスベストの基準についてのお尋ねでございますけれども、今現在、アスベストを吸い込んだ量と、肺がんや中皮腫などの発病との間には相関関係は認められておりますけれども、現時点で、どのくらいのアスベストを吸えば肺がんや中皮腫になるかということは明らかではございません。
大気中の基準といたしましては、大気汚染防止法で、アスベストを取り扱う工場の敷地境界での濃度が空気一リットル当たりアスベスト繊維十本以下と規定されております。
なお、都内での一般大気中の濃度は、空気一リットル当たり〇・二本程度でございます。
都として独自の基準をつくるかどうかということについてでございますが、大気の基準につきましては環境局が所管かと存じますけれども、今申し上げましたように、どのくらい吸えばがんになるかということが明らかでないこと、また、国の方で総合的なアスベスト対策について検討している、こういった状況を考えますと、現時点で都として独自の基準を作成するということはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
○田代委員 それでは、都として、都民の健康不安の解消のためにどのような対策を講じているのでしょうか。
○牛島参事 都民の健康の不安を解消するためには、正確な知識の普及を行うことが大変重要であるというふうに考えております。都では、各局が連携して、アスベストに関するパンフレットを改定するとともに、ホームページでも総合的な情報提供を行っております。
また、従来から都内の各保健所でアスベストの健康相談を実施しておりますが、今回、区市町村の相談担当者も含め、相談マニュアルを配布し、講習会を開催したところでございます。
○田代委員 東京都では、平成元年度に全庁的に都有の施設におけるアスベストなどの使用状況調査というのをやったそうなんですけれども、そして、飛散防止対策をしている、そういうことを聞いているんですけれども、最近のアスベストの健康被害の問題など、都民の不安もかなり大きくなってきているんですが、特に福祉保健局関係の施設、利用者の方は大変多いと思うんですね。お年寄りの方、お子さん、あるいは場合によっては妊娠中の方、いろんな方、極端なことをいうと、ばりばりと働いている男性よりも、皆さん方のところにいらっしゃるのは、何かほかに病をお持ちになったり、年齢的な問題もあったりという方がパーセンテージとしては多いと思うんですけれども、こういう福祉保健局所有の施設の調査というのを独自に何かなさっていらっしゃるのか。なさっているとすれば、その状況はどうなっているのか教えていただきたいと思います。
○片岡総務部長 現在、平成元年の都有施設、アスベスト等の使用状況調査のフォロー調査といたしまして、全庁で行っておりまして、当局におきましても、これまで対象としておりませんでした、アスベストの含有の少ない吹きつけ材、あるいは保温材などの建材まで範囲を広げるとともに、既に封じ込め等の措置を行いましたところにつきましても、経年劣化や損傷の状況の確認を実施いたしております。
現在、集計中でございまして、間もなく結果を集約、公表できると存じますが、ほとんどが機械室など利用者が立ち入らない場所での使用となっているか、または、劣化、損傷もなく安定した状態でありまして、一般都民の方々に健康被害が生じるおそれはございません。
なお、機械室等につきましても早急に抜本的な対策を講じてまいりたいと考えております。
○田代委員 しっかりと対策を練っていただきたいんですが、病気になった方の治療も当然進めていかなくちゃならないんです。これは一つの予測ですから何ともいえないんですけど、今出ている予測では、将来、今後三十五年間に二十五万人の中皮腫、悪性胸膜中皮腫によって死亡するという予測が出ているんですね。ちなみに一九九五年から二〇〇二年の八年間では五千百八十二名と少ないんですけれども、二〇〇〇年から二〇二九年にわたる三十年間で死者が五万八千人出るだろうと予測。欧州では、さっき申し上げたような大変多くの数の方が亡くなる。世界的にいうと物すごい数になるということで、今、イーライリリーというアメリカの有名な製薬メーカーですけど、そこが新しいアリムタという薬を申請して、これ、欧州でも米国でも両方とも認可されたんですね、ペメトレキセドという薬なんですけれども。日本は残念ながら、先ほど申し上げましたように治験の問題とかいろいろあって、まだ認可されていない。じゃあ、欧州と日本と死亡者の率は違うかといったら、違わないわけです。同じわけですから、そういう意味で、国の問題であることはわかるんですけれども、やはり東京都としても、特段にこういう有用視されている、しかも実績のある薬は早く認可されるように動いていただく、これが都民にとっても安心のもとになると思うんですけど、いかがでしょうか。
○浅井参事 中皮腫の治療薬、アリムタでございますけれども、既に、先生ご指摘のように、米国、EUなどで承認されておりまして、日本においては現在、業者による治験が行われている最中でございます。
この薬につきましては、ことしの一月に厚生労働省に設置されました未承認薬使用問題検討会議の第一回の会議におきまして、優先的に治験される品目、こういう指定を受けているものでございます。したがって、承認までの期間も相当程度短縮されるものとは思いますけれども、この承認に当たりましては、効果あるいは副作用などについて慎重な見きわめが必要ではないかと思いますが、一刻も早くいい薬が医療現場で使えるように、私どもも考えております。
○田代委員 ぜひとも積極的に動いてほしいんですけど、この社会問題になっているアスベスト、都内ではどこの医療機関で受診することができるんでしょうか。
○丸山医療政策部長 現在、アスベストによる健康被害につきましては、労働災害としての診療経験が豊富な労働者健康福祉機構の各労災病院において、相談から検診、診断、治療を行う体制が構築されております。都内では、大田区にございます東京労災病院にアスベスト疾患センターが設置されてございます。このほか、順天堂大学附属病院、そして日本大学板橋病院におきましても専門外来を設置すると聞いてございます。
アスベストによる健康被害の代表的なものとして知られる悪性中皮腫につきましては、通常の呼吸器科等でも診断が可能なことから、都立病院、公社病院においても対応してございます。
○田代委員 一生懸命、都立病院でも公社病院でも受診してくださいということなんですけど、できたら、アスベスト専門外来のようなものを、時宜に合ったものですね、いつまでも外来を、同じものを、新しくつくる必要はないんですけど、今の時期、アスベスト外来みたいなものを、相談窓口みたいなものをつくっていただけたらありがたいと思います。
次に移ります。
今、中皮腫の治療薬という特殊な治療薬に限らず、治験研究の進展と同時に、治験薬の中から、医薬品あるいは一般医薬品への承認というのは進んでくるわけですけれども、と同時に、規制緩和の波の中で、一般医薬品、風邪薬なんかでも一部のものはコンビニなど身近な店舗でもどんどんどんどん購入できるようになって、ある意味では便利ではあるんですが、逆に、薬がだれでも手に入る。しかも、今、こういう逆説的な話を書いている先生が随分ふえましたけれども、いわゆる健康食品のたぐいのもの、あるいはサプリメントのたぐいのものをとっている限りは健康になれないと書いてある本も今随分売れているようです。
薬を飲んでいるとき、妊娠してしまう。あるいは、妊娠中の人が薬を飲む。これに対して、今までずっと我が国は取り残された国で、全くこういう対応がされていなかった。医者も的確な説明をできなかったし、国も一つのガイドラインをつくってなかったんですけど、今度、厚生労働省が、薬と妊娠に関する安全情報のデータベース、これはトロント大学のデータをもとにしてやっているわけですけれども、こういうことを始めたわけですね。やっと始めた。ですから、今まで、妊娠中ですといわれると、薬を出していいのか悪いのかわからないから、面倒くさいから出すのをやめようかというような医療もあったわけですけれども、これからは明確に妊娠中に安全な薬を使えるようにしていかなくちゃならない。
ところが、今のところ、今回の事業は世田谷区で大変申しわけないんですけれども、うちの成育医療センターでこれをやる、これは国の話ですけど。そして、対象となるのは世田谷区民に限るということになっているわけですけれども、東京都としては、この妊娠と薬情報センターのような事業というものを東京都全体で何か考えていく、せめて妊娠中の人の相談に乗れる、あるいは医師の相談に乗れるようなシステムを、薬剤師会の人たちと話をして進めるということはできないんでしょうか。
○佐藤参事 医薬品の胎児への影響は、妊娠の週数や医薬品の種類、服薬量等によりまして異なりまして、現在、必ずしも十分な情報がございません。
都は、妊婦の不安を解消するため、リーフレットやホームページにより、妊産婦の服薬に関する普及啓発を行っているところでございます。
今後、国のセンターにおきます相談事例、また治験の収集結果を踏まえまして、都として必要な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
○田代委員 大変嫌な話ですけど、人工妊娠中絶の理由の中に、まだ、薬によるものという、不安ですね。サリドマイドの時代から、妊婦の方たちの精神的な不安があって、そういうことが行われていることは現実であるわけですから、早急にこういうものに対して東京都も取り組んでいただきたいと思います。
時間の関係で最後の質問になりますけれども、これから我が国の高齢者の絶対数は急激に増加していくわけですけれども、その中で介護保険、今、見直しが始まっています。見直しの中で、今までのように、介護を受けるようになったらどうにかしようということではなくて、介護保険を受けないようにしよう。そのためにはどうすればいいか。予防重視ということになったわけです。今いよいよ見直しをしている国の中の取り組み、これは東京都も中心となって行っていかなくちゃならないわけですが、介護予防、この言葉がひとり歩きしてて、どういうことを介護予防といっているかということは、各自治体でも理解がばらばらであり、国民も、何か言葉はきれいなんだけど、どこをどう指しているのか、だれにやってもらったらいいのか、これは全くまだ提示されていないんですね、これは我々議会も、当然行政も力を合わせてやっていかなくちゃならないんですけれども。
詳しいことは、今、時間の問題で避けますけれども、介護予防について新しい資格制度を創設することは、国では全くしないという答弁を国会の中で、あるいは委員会の中で、審議会の中でやっているわけですけれども、東京都は当然これをご存じなんでしょうか。それとも、東京都は独自に何かそういうものを、国とは別につくっていく気持ちがあるんでしょうか。お伺いしたいと思います。
○長谷川高齢社会対策部長 先生お話しのように、今、民間団体等で研修を実施して、指導員の名称の修了証を発行しているという実態がございまして、都としては、国の方で答弁しておりますように、介護予防に関する新たな公的な資格を創設されることはないものと認識しております。
○田代委員 民間でそのようなものをつくって、それによって資格の売買といったらおかしいけど、そういうことがあることはいいことなんでしょうか、悪いことなんでしょうか。
○長谷川高齢社会対策部長 民間で行うことについては、それぞれ介護予防という観点からいえば、全体の流れを促進するという面ではよろしいのかなというふうには思いますが、介護予防に関する新たな公的な資格ということでありますと、国の方で答弁があったように、都としても創設されないものと認識しているところでございます。
○田代委員 重なるとあれですから、端的にお伺いしますけれども、一生懸命みんなが取り組むことはいいと、勉強するのは当然いいと、ただ、資格を得ないと仕事になりませんよというような話で、資格の売買をするということは好ましくないということでよろしいんでしょうか。
○長谷川高齢社会対策部長 ご指摘のとおりでございます。
○田代委員 これで本当に最後になっちゃうんですけど、今問題になっている特殊法人、いろいろあるわけですけど、今の介護保険についても、精神的なこと、あるいは高齢者の独特の病気のこと、いろんなことを、東京都は研究所を持って、特に福祉保健局所管の研究所を持って鋭意取り組んでいるわけです。この中には、老人研、臨床医学研究所、精神の研究所、神経の研究所と四つの研究所があるわけですけど、監理団体となっているわけですね。当然、こういう監理団体の中というのは、いろんなことを自分たちで理想を持って、どんどんどんどん進めてしまう。これはある意味では研究者としては悪いとは僕は思っていないんですけれども、毎年五十億円以上の補助金がつぎ込まれているわけですから、都民の役に立つような研究成果というのを出していく必要があると思うんですね。で、それを出していかないことに対して、あるいは中にミスがあったり、とり行いが非常に不正であったりすることに対しては、東京都が最終的には責任を持っていくべきではないかと思うんですが、二点あるんです。
責任の所在は、トラブルが起きたときに、まだ今起きてはいないんでしょうけど、そういうところがトラブルを起こしたときに、どこが最終的に責任をとらなくてはならないかということと、当然これは非営利団体として、金もうけのために行われている研究所じゃないと思うんですけれども、そこの点、勝手に自分たちがお金を稼いで、自分たちで給料をお手盛りしたり何かということがいいのか悪いのか。これは国で大変問題になっているわけですけれども、東京都はそういうことをしっかりしているのかどうかを伺って、質問を終わりたいと思います。
○野口企画担当部長 責任の所在ということでございますが、最終的には、それぞれの研究所が独立した存在でございますので、研究所が責任を持って研究所を運営していくということが本来でございますが、トラブルの内容によっては東京都が責任を負う場面もあろうかというふうに思っております。
研究所につきましては、福祉保健局所管の研究所は四研究所ございますが、これまで都が研究分野の振興を図り、都民の医療や福祉の向上に寄与することを目的に、当初は経常研究を主体とした運営がされてまいりましたが、東京都が監理団体改革を推進する中で、研究所自身も都民の期待にこたえる研究所となるべく、都民ニーズをとらえた研究体制の再構築を進めてきております。
今後とも、都民ニーズに的確に対応した研究テーマが設定され、研究成果がいち早く都民に還元される研究所となるよう、さらには、東京都設立の公益法人として、非営利の精神に基づき、都民の健康と福祉の向上に一層貢献できる研究所となるよう、東京都としてもしっかり指導してまいります。
それから、経費の関係でございますが、局が所管しております監理団体のそれぞれの研究所につきましては、いわゆるより少ない経費で研究成果を都民に還元していく努力の一環として、例えば文部科学省関連の科学研究費補助金を確保したり、民間との共同研究を進めましたり、特許料収入などの自己収入の拡大に努めてきておりますが、いわゆる一般の民間企業が行っているような営利事業は行っておりません。
○田代委員 質問はこれで終わりと思ったんですけど、しっかり最後にお答えいただきたいんです。
そうすると、それぞれのところで何か仕事、収益事業はしているということですか。そして、収益事業をしているときには東京都に報告があるのかないのか。あった場合に、何か事業の中でミスがあったときには東京都が責任を持つのか、その団体が持つんでしょうか。どっちが持つんでしょうか。
○野口企画担当部長 収益事業を行っているということではございませんで、いわゆる研究所運営の一環として事業収入を上げているということで、職員の人件費も含めまして、研究費の一部を自己収入ということで上げて、それを活用しているということでございます。
それから、責任の関係につきましては、ちょっと仮定の話で難しいんですけど、基本的には、独立した研究所として運営しておりますので、研究所自身が責任を持って運営していくというのが基本であると思います。
○田代委員 質問を終わりたいんだけど、堂々めぐりになっちゃうんだけど、だから、収益事業をやっているのか。今、職員の人件費云々というのは、それは補助金の中に含まれているんじゃないんですか。例えば、それぞれの、精神の研究所なんか自分たちで勝手に食っていけと、自助努力で給料を稼いで、ボーナスも出せという話なのか。それとも、こういう仕事をやりますと、その中でどこかと提携して、委託事業みたいなものを得て、治験みたいなものを得て、それによって東京都が理解している収入を得るのであればいいということであれば、これは東京都の責任というのはありますよね。責任はそっちがとって、やる事業については我々が許可すればいいんだというと、これは話がおかしくなっちゃうんで、やる事業は全部そこがやってよくて、責任も全然こっちがとらなくていいという、いわゆる監理団体という名前だけど、監理はしてないんだということなのか、監理をしているのかですよ。そこがわからない、今の答えだとね。
多分、こういう研究所で、お金を稼いでこいといわれたら、現実に仕事は大変だと思いますよね。それは一生懸命研究することをやるのであって、その中で、フライングは間違いないけど、もっと極端なことをいえば、そんなことはないんだけど、最近、何か使い込みみたいな事件が、どこかほかのあれであったじゃないですか。嫌な話ですけど、僕がいた審議会でも、実をいうと、有名な話ですけど、使い込みがあったんですよ。僕たち全然知らなかったんですけど、ある日突然新聞に出て、そこの事務局長をやっていた人が、厚生省の天下りで来ていたんだけど、その人が使い込んじゃった。
そういうことがあったときに、どこが責任をとるかということなんですよ。それは内部の問題か、外部の問題か、東京都の問題か、そこでトカゲのしっぽを切っちゃうのか、それをはっきりさせていただきたいと思います。
○野口企画担当部長 研究所の運営につきましては、予算、決算、それぞれの段階で報告をもらう。それから、事業の運営の根幹に当たりましても、東京都の方に協議をしてもらうというふうなことで、事業運営に深くかかわっております。そういった意味では、東京都が適切な指導を行うという意味で、そこの部分では都の責任でございます。
○田代委員 大変明解なご答弁で、ありがとうございました。
いわゆる決算書を見てしっかりと進んでいるということを認識させていただいて、質問を終わります。
○初鹿委員 健康食品の安全性について、幾つか質問をさせていただきます。
先ほど田代理事から、健康食品やサプリメントをとっている人ほど健康にならないというような、そういうお話がありましたけれども、そうはいいましても、現在多くの人が健康食品を利用していて、我々、だれもが知っているような大企業から小さな会社まで、さまざまなところで健康食品というものを販売しているのが実態だと思います。
また、お店だけじゃなくて、インターネットなどで取引もされていて、簡単にだれでも手軽に手に入るという状況で、その反面、健康食品によって健康被害に遭っていると思われるようなケースも相次いでいるのが現状だというふうに認識しております。
最近の例ですと、アガリクスを使った健康食品で、本で、がんに効くというようなことをうたって、それと抱き合わせで商品を売るということで、事業者が摘発されたというケースがありました。
私の母も昨年亡くなりましたけど、がんでしたので、その切り抜きを持っていまして、効くのかなといっていたのを今思い出すんですけれども、家族としてみても、本人にしても、もし本当に効くんだったら、一%でも望みを託してしまおうかなという気になるのもやむを得ないというか、それが人の心じゃないかななんていうことを、今になって思うんですね。実際に私は使いませんでしたけれども、それで実際に使ってしまう人というのはたくさんいるんだと思います。
このアガリクスの本のケースですと、本の監修を、割と一般でも知られているような著名な大学の先生がされていたというわけですから、普通の人がそれを見て、ある意味だまされてしまうのも、あり得ることだろうなというふうに思っております。
また、最近しばしばニュースにもなりますけれども、ダイエットをうたっているような食品を食べて健康被害に遭ったとか、死亡した例もあります。江戸川区の会社が販売した健康食品を食べて死亡したということもつい最近あったんですけれども、そうやって健康食品が原因ではないか、疑わしいという、そういう事例が、厚生労働省によりますと、三年間で三百件を超えているという報告もあります。
また、先ほどの田代先生じゃないですけれども、サプリメントなんていうのも、私もたまに頼ってしまうことがあるんですね。忙しくて食事をとれなくて、まずいなと思って、しようがなくサプリメントをとったりすることもあるんです。恐らくそういう人たち、忙しい東京のサラリーマンなんかは割と多いんじゃないかなと思うんですけれども、専門家の中には、過剰摂取すると健康に害があるという警告を出している方もおります。
そういう状況で、多くの都民の方も、健康食品について本当に安全なのかどうか、不安に思っていながらも使っている、または使うのをちゅうちょしているという方も少なからずいるんだろうなと思っております。
そこでお伺いしますけれども、都民から健康食品についてさまざま相談が寄せられていると思いますが、どのような相談が現在寄せられているのか、まずお伺いさせていただきます。
○浅井参事 平成十五年、十六年度に都民から寄せられました相談事例によりますと、安全性や健康影響に関するものが最も多くなっておりまして、インターネットで買った健康食品に害はないのか、あるいは食べたら腹痛を起こしたという、そのようなものがございました。また、健康食品の有効性に関するもののほかに、広告表示に関するものなど、大変幅広く、さまざまな相談が寄せられております。
○初鹿委員 まず、安全性についての相談が多いということですけど、安全かどうかわからないものをどうして買うのかなという疑問も持ってしまうんですけれども、買ったはいいけれども少々不安になってしまう、それで東京都の方に相談をしてみるというケースが多いということなんだと思います。
また、表示についてもさまざま報道がされておりますので、実際に本当にこの表示が合っているのかどうか、そういう疑問を持つということも多くあるんだろうなと思っております。
現在市販されている健康食品は、基本的にはビタミンやミネラルというのが主成分になるわけですけれども、中には聞いたこともないような、何だかわからないような素材が入っていたり、一部に医薬品の成分が含まれているものもあるということですね。当然ながら、食品ですから、医薬品の成分が混入されていることは禁止されているわけですけれども、実際に買う側としてみれば、なかなかそれはわからないですよね。恐らく皆さん方も、これだけちまたに健康食品があふれていたら、どれが適切な、適正なもので、どれが法律を逸脱しているものなのかというのは、なかなか判断が難しいと思うんですけれども、東京都としてこうした健康食品の実態をどのように把握しているのか、お伺いします。
○浅井参事 都では、平成九年度から、含有成分あるいは表示広告に問題がありそうな健康食品を店頭もしくはインターネットを通じて購入しまして、年間約百六十品目を調査いたしております。平成十六年度の結果を見ますと、七品目から医薬品成分が検出され、薬事法に基づき回収を指示いたしました。また、表示広告につきましては、医薬品的な効能、効果を標榜する事例、健康の保持増進に対する誇大な表示の事例などがありまして、薬事法、健康増進法などに基づき改善を指導いたしました。
○初鹿委員 毎年百六十品目購入して調べているということですけれども、百六十品目と聞くと、多いようにも思えますし、少ないようにも思えますし、それが適切な数なのかというのは私も判断しかねるんですけれども、実際にはそうやって買って調査はしているということで、また、違反があれば指導もしているということは十分わかりました。そうはいっても、なかなかすべての商品を判断していくというのは難しいんだと思います。
インターネットという話もありましたけれども、ことしの五月ですか、インターネットで買った中国産の天天素というダイエット食品を飲んで死亡してしまったという事件がありました。これは大きく報道されましたので、それを見た方からたくさん相談が寄せられたというふうに伺っております。
そうやって大きな事件になって報道されて周知をされるようになれば、飲んでいる人も、これはもしかしたら危ないのかなという認識を持つんでしょうが、そういう重大な事件でないと、危険な食品を食べている都民も、その危険の認識がされない。結果として被害に遭ってしまう、広まってしまうということになっていくんだと思います。
実態を把握するというのはなかなか難しいと思いますが、現状で、健康食品による健康被害をどのように把握して、また実際に健康被害が発生した場合にはどういう対処をしているのかをお伺いいたします。
○浅井参事 健康食品による健康被害につきましては、その実態に即した確認が必要でございますので、主に医師や本人からの届け出に基づきまして、必要な調査を行って、その把握に努めております。
お話にありました天天素の件につきましては、医師からの情報をもとに調査を早急に行い、この食品を使わないよう呼びかけまして、その後の被害の拡大防止を図ることができました。
このように、都は健康食品の被害情報をもとに、患者の症状、製品の入手経路などの調査を行い、広く都民にその製品に関する情報提供や注意喚起を行っております。
○初鹿委員 今のお話ですと、本人から相談があったり、医師から相談があった場合に、気づいて、それで調べてみて、実際に健康被害があったら都民に情報を流していくということだと思います。
そうなると、お医者さんが報告をしなかったり、本人が、自分が今健康状態を害しているのは健康食品が原因だということを認識していなかったりした場合には、なかなか皆さん方のところに情報が上がってこないんじゃないかなと思うんですね。
また、病気にかかりながら、医師には内緒で健康食品をとっていたりする場合もあるでしょうし、病院には行くけれども、医者にこういう健康食品を飲んでいますよということをきちんと伝えていない場合などもあって、今、体のぐあいが悪いのは健康食品を飲んだことが原因の一端にあるんじゃないかということが、本人もわからないし、それが医師にも伝えられないということで、結果として情報が上がりづらくなっているんじゃないかなと思うんですね。
そうはいっても、飲んで害があって駆けつけるところは病院なわけですから、お医者さんが一番把握しやすいんだと思うんですよ。そういう意味では、医療機関、医師と皆さん方の連携というか、情報の提供をいかに受けられるかということが非常に重要なのではないかなと思うんです。そういう意味で、ぜひ医療機関と情報を共有というか、医療機関から情報を収集していく方法というものを考えていただきたいと思うんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○浅井参事 東京都は、健康被害を未然に防止するために、今後とも健康食品の実態把握に努めるとともに、効果への過信や過剰摂取など、健康食品を安全に利用する上での注意点について、都民に対して積極的に普及啓発してまいります。また、医療機関とも連携して、健康食品との関連が疑われる被害情報の収集に努めてまいりたいと思います。
○初鹿委員 だれしも年をとっても健康でいたいと思うのは当たり前のことですから、そういう考えで健康食品をとるということを決して否定するものではないんですけれども、危険だというものが放置されていて、それで消費者が実際に被害に遭うということはやはり防がなければならないと思いますし、また逆に、本来、被害を及ぼすような商品ではないにもかかわらず、うわさや風聞などでその商品に悪影響を及ぼすということも決していいことではないと思いますので、ぜひ都民の皆さんが安心して、そして安全に健康食品を摂取できるように、しっかりとした対策をしていただきたいとお願いをさせていただきます。
続いて、保育について何点か質問させていただきます。
今回の資料要求でも、認可保育所の待機児童の数が出されておりますけれども、これを見ておりますと、年々少しずつは減少しているんですけれども、数はまだまだ東京都全体で十七年四月一日現在で五千人以上ということで、完全にゼロにするのはなかなか難しい状況ではないかなというふうに思っております。
そうはいいながらも、現在、少子化対策や、また仕事と子育ての両立ということでは、保育を充実させていくということが非常に重要であることは、恐らく皆さん、すべての都民が一致しているところだと思います。
ところで、認可保育所の待機児童がこうやって出てくるんですけれども、私、これはあんまり意味ある数字だとは思えないんですよね、認可保育所に待機している子どもの数がこれだけいますということが。というのは、子どもを預けたいと思っている親の働き方に、認可保育所が適切に対応できているかというと、私は必ずしもそうじゃないんじゃないかなと思っております。皆さん方も、だからこそ認証保育所という、もっと柔軟に対応できるような新たな仕組みをつくって、待機児童を少しでも減らそうという努力をされているんだと思います。
そういうことを考えて、じゃあ認可保育所、認証保育所、それだけでいいのか、また別のサービスもあるんじゃないかということを視点に入れながら、少し質問させていただきます。
まず、今申し上げましたとおり、認可保育所というのは、はっきりいって、今の東京の都民、さまざまな仕事の形態、仕事の時間の中で働いている方のニーズにはこたえ切れていないと私は断言いたします。そういう中で、サービスが固定的になっているために、具体的にどういう問題が今認可保育所で生じているとお考えになっているのか、お伺いします。
○都留少子社会対策部長 具体的には、二時間以上開所時間の延長を実施している認可保育所がわずか五%であるなど、保護者の通勤時間の長さですとか、勤務形態の多様化に対応した保育ニーズにこたえられていないこと、また、平日の保育を前提にしており、休日の保育にはほとんど対応できていないなどの問題が生じております。
○初鹿委員 つまり、東京のようにサービス業が非常に発達しているというか、サービス業に従事している女性の方が多い都市では、ほとんどといってはいい過ぎかもしれませんけれども、やはりきちんとニーズにこたえられていないということだと思います。
認可保育所が対応できてない方々については、行政は一切知りませんよというわけにはいかないんじゃないかなと思うんですね。ところが、現状だと、どちらかというと、認可保育所のあいている時間帯に子どもを預けられる方以外の方にきちんとしたサービスがされているかというと、どうも不十分過ぎるほど不十分じゃないのかなという印象が私にはあるんですけれども、認可保育所の対応できないサービスをするに当たって、世の中、保育士の資格を持っていながら、現在は何もしていないという方が実はたくさんおりまして、そういう人々を活用するということも積極的に進めていくべきではないかなと、まず思うわけです。
また、私、江戸川区なんですけれども、江戸川区は、いわゆる保育ママ、家庭福祉員というものを充実していて、ほかの区とは異なった保育をやっているんです。家庭福祉員なんていう、家庭の中で子どもを預かるという、利用者からすると、個別のニーズにこたえやすい保育がされるわけです。そういったものも積極的に取り組んでいくべきだと考えるわけですけれども、ご所見を伺います。
○都留少子社会対策部長 多様な保育サービスに的確に対応していくためには、地域のさまざまな保育資源の活用や相互の連携が重要であると考えております。家庭福祉員制度は、家庭的雰囲気の中で子どもとの密接な関係を図ることができ、個別で柔軟な対応ができやすいと考えます。都は、今年度も家庭福祉員の増員を図っているところです。
一方、家庭福祉員は一人で長時間保育に当たっており、利用者の便宜を図るため休暇もとりづらいという状況にございます。このため、都は平成十六年度に、認証保育所と家庭福祉員の連携モデル事業を実施し、合同保育や家庭福祉員の緊急時を想定した認証保育所での受け入れ、保育者間の交流などの取り組みを行いました。
○初鹿委員 認証保育所と保育ママ、家庭福祉員との連携を行って、これは非常に評判がよかったというふうに伺っているんですけれども、認可保育所こそ保育ママをうまく活用すべきなのではないかなと思うんですね。
例えば、朝起きて子どもを保育園に連れていこうかなと思ったら、熱を出していたといったときに、今、保育園に行くと帰されてしまうわけですね。そういうときに、保育ママで実際に子どもを預かってはいないけれども、待機しているような方がいれば、そこに預けるような仕組みをつくるとか、また、保育園が預かっている途中で熱を出したときに、すぐに親が仕事を早退して迎えに行けないといったときに、保育ママがとりあえず預かっておくとか、そういう連携の仕方というのもありなのではないのかなと思うんです。
これは一つの例ですけれども、認証保育所でやりながら、認可保育所でやらないわけですけれども、認可保育所こそ連携をすべきだと思いますが、必要だと思うんですけれども、いかがですか。
○都留少子社会対策部長 もちろん認可保育所と家庭福祉員との連携も必要であると考えておりますが、認可保育所に限らず、認証保育所を初めとする地域の子育て支援のための関係機関相互の連携が必要であると考えております。
○初鹿委員 何となくやる気があるのかないのか、よくわからないような答弁なんですけれども、そういう答えをせざるを得ないのかなと思う例として、先ほど家庭福祉員の増員を図っていくといっておりますけれども、実際には皆さんも感じていると思いますけど、明らかにふえているとは余りいえないような状況なんじゃないかなと思うんです。
一部に、認可保育園をもっとふやすべきだと主張する方もいますけれども、現状で、箱をつくって、そこで集団保育をするということをふやしていく、はっきりいって、そんな現実的じゃないと思うんですね。それだったら、家庭福祉員をたくさんふやしていく方が明らかに現実的だと思うし、その方が財政負担も少ないのではないかなと思うわけですけれども、なかなかそれが進んでいない。
世田谷で残念な事件があって、そこも一つ、今後家庭福祉員を広げていく上では足かせになってしまうのかなと懸念はしますけれども、それだけじゃない、実施主体である区市町村の側で、何か家庭福祉員をふやすことをためらうような原因なり要因なりがあるのではないかなと思うんですが、その辺の実態というもの、皆さん方が把握しているのかわからないんですけれども、恐らく把握されていないんじゃないかなと思います。
恐らく、子どもを育てている人や、これから子どもを産もうという人にアンケートなんかをすると、今、待機児童が多いですねということで、じゃ、保育所をたくさんふやしてくださいという答えを出すんだと思うんですけれども、それは何でかというと、家庭福祉員という制度自体、余り認知がないということが一つと、何となくみんな、子どもを預けるところというのは、預ける箱に預ける、保育園というところに預けるという、そういう意識が強くて、そう答えてしまうんだと思うんですが、実際には親の立場からすれば、四歳、五歳は別として、ゼロ歳から三歳までは、預かってくれる場所があれば、どこでもいいんだと思うんですね、ちゃんと預かってくれれば。できれば、自分たちの仕事の融通がきくような預かり方をしてくれるところで預かってもらいたいと、恐らく多くの都民は思っているんだと思います。
そう考えると、じゃ、何でこの家庭福祉員というのがなかなか進んでいかないのかなというのを、私は非常に疑問に思っているんです。東京都として、区市町村、それぞれ自治体、さまざまな考え方があると思います。江戸川区のように、ゼロ歳児は公立の保育園では一切保育しない、全部家庭福祉員に任せるんだといっている特別な自治体ですけれども、それぞれいろいろな考え方があると思います。それぞれの自治体で、家庭福祉員制度を保育施策の中でどういう位置づけをして今後進めていこうとしているのか、東京都として把握しているのか、お伺いします。
○都留少子社会対策部長 区市町村が保育施策の中で家庭福祉員制度をどのように位置づけているかということでございますけれども、それぞれの区市町村におきまして、認可保育所、認証保育所、家庭福祉員など、さまざまな保育資源を活用する中で、地域の実情に応じて各区市町村が判断するものだと考えております。都は、今年度策定されました各区市町村の保育計画などによりまして状況を把握しているところでございます。
家庭福祉員制度の適正な実施のためには、区市町村による相談、援助、研修の実施、連携保育所による支援など、事業の実施主体である区市町村による支援が不可欠でございます。このため、現在、区市町村の助言指導体制の状況などにつきまして、都として調査を行っているところでございます。
今後とも、必要に応じて区市町村における家庭福祉員制度の取り組み状況を調査してまいります。
○初鹿委員 保育所を一つふやすよりも、家庭福祉員を十人、二十人ふやす方が容易ではないかなと私は思いますので、区市町村に、この取り組みを進めるように、都からも積極的に働きかけていただくのと同時に、行政がかかわる保育ママというものだけじゃなくて、民間でも似たようなサービスをしているNPOなども今出てきておりますので、そういったNPOなどを活用する方法というのもぜひ今後検討していただきたいなとご要望させていただいて、質問を終わります。
○松葉委員 今、初鹿理事から家庭福祉員のお話がございましたけれども、最初に、認証保育所と家庭福祉員、保育ママモデル事業について質問いたします。
ゼロ歳児や一歳や二歳という乳幼児期における家庭的保育のよさというものは、スウェーデン等の国でも有効な保育の形態であるというふうにいわれております。私も、住んでおります杉並の家庭福祉員の方にお話を伺いましたし、また、家庭福祉員の方がやっていらっしゃる場所にも行かせていただいて、保育の状況も見させていただきました。大変一生懸命にお子さんの成長を願って、そして、そこを巣立った後も、二十歳になったお子さんの写真まで大事にされながら、そうやって育てていらっしゃいました。
そういう家庭福祉員、とても大事だと思いますが、先ほど初鹿理事からお話がありましたけれども、ボランティアというようなところからスタートしたという、そういうような家庭福祉員もありまして、現状は、各区市町村で、例えば免許を持っているかどうかということを問うて家庭福祉員になっているところと、いろいろな講座を受けて家庭福祉員になっているところと、さまざま違いがあるとも伺っております。そういう家庭福祉員をふやすということを考えたときには、今回、平成十六年度にやっておりました家庭福祉員、保育ママと認証保育所とのモデル事業は大変に効果があるのではないか、そのように思っております。
そこで、このモデル事業の概要について説明していただきたいと思います。
○都留少子社会対策部長 東京都が昨年度実施いたしましたモデル事業は、ことしの一月から三月までの間、練馬区、文京区、小平市の三区市の四つの事業所において実施いたしました。合同保育を基本に、家庭福祉員の緊急時を想定した認証保育所での受け入れや保育者の間の交流などの項目を実施いたしました。
おのおのの保育者が交流を通して意識向上が図れたことや、保育される子どもたちの交流の機会が拡大するなど、保育の質の向上に一定の効果が見られたところでございます。しかしながら、連携を行っていく上での体制を確保することなどの課題も見出されております。
○松葉委員 この家庭福祉員、保育ママを充実させていく上に当たっては、世田谷の残念な事件はありましたけれども、一人の家庭福祉員の方がお子さんを見ていらっしゃるという、それを、例えば私が伺った話では、家庭福祉員の方がインフルエンザにかかってしまって、お子さんを預かれないという、そういう期間が発生したり、そういうようなこともございますので、こういう認証保育所との連携をとっていくということが、家庭福祉員制度を充実し、また、東京における保育政策を進めていく上で大事だと、そのように思います。
そういう意味では、若干孤立しがちな家庭福祉員を、地域全体で子育てを支えていく仕組みをつくっていくという、そういう上からも、認証保育所と保育ママモデル事業についてさらに進めていく必要があると思いますが、所見を伺います。
○都留少子社会対策部長 家庭福祉員が、認証保育所に限らず、認可保育所や子育てひろば事業などとも連携していくことが必要であると考えております。都のモデル事業によりまして明らかになった課題ですとか、今年度実施を予定されております国制度の認可保育所と家庭福祉員の連携事業、これらも検証いたしまして、今後、地域全体で子育てを支援する仕組みの構築について、より具体的に検討を行ってまいります。
○松葉委員 このモデル事業につきましては、十七年一月から三月まで、三区市で行ったと伺いましたけれども、一月から三月という期間だけではなく、一年というスパン、また、さらに多くの区市でモデル事業を実施していただきまして、ぜひともその効果とか、連携に当たっての課題等、さらに浮き彫りにしていただいて、モデル事業を進めていただきたいということを要望いたします。
次に、乳がん対策についてお伺いいたします。
私の大事な友人が、幼い子を残しまして、乳がんで亡くなられまして、毎日毎日、そのお友達の顔を思い出しては本当に悲しく思っておりますし、また、早期に乳がんが発見され、治療を受けることができればという、そういう残念な思いでおります。毎年十月は乳がん月間でございまして、ことしも東京タワーが十月一日にピンクにライトアップされました。これはピンクリボン運動の一環として行われたものです。
東京都は、我が党の谷村議員が都庁舎のライトアップというものを提案いたしましたけれども、昨年から都庁舎はライトアップされておりますが、ことしは、ピンクリボン運動と連携して都庁舎をピンクにライトアップしたということが、一つ、乳がんについての意識を普及する上で運動に一役買った、大事なことであるというふうに大変評価いたしました。
このピンクリボン運動は、乳がんの早期発見を啓発する運動として、一九八〇年代にアメリカの市民活動から生まれたものでございます。ピンクリボンは、乳がんで亡くなられた女性の母親が、残された幼い孫娘に、このような悲劇が繰り返されることがないようにという、そういう願いを込めてピンクリボンをつくって家に飾った、それがアメリカの中で、乳がんを何としても撲滅したいという、そういう祈りを込めたシンボルとなり、ピンクリボン運動になったと伺っております。きょう、ピンクリボンをつけていらっしゃる方がたくさんいらっしゃって、本当にすばらしいことだと思います。
そこで伺います。ことしの東京都のピンクリボン運動の展開は具体的にどうだったか、伺いたいと思います。
○杉村保健政策部長 ただいまお話のございましたピンクリボン運動につきましては、乳がんの早期発見を啓発するため、十月の乳がん月間を中心に全国的に展開されているものでございます。
東京都におきましても、乳がんの死亡率の低下を目指し、多くの人が乳がんに関心を持ち、積極的に乳がん検診を受診するよう、各局と連携した取り組みを実施しております。
具体的には、まず、委員からご紹介がございました都庁舎のライトアップを十月一日から十日まで実施いたしました。また、都民向けの講演会を、東京ウィメンズプラザのフォーラムや大学の学園祭と共催で開催することとしています。さらに、都庁職員食堂におけるピンクリボンランチや、障害者の自立支援団体による特製パンの提供など、幅広い取り組みを行っております。
○松葉委員 都が今後もこのようなピンクリボン活動に積極的に参加し、主体的な活動や独創的なアイデアで運動をリードしていかれることを要望します。
さて、このような運動が盛んになっているのは、乳がんの状況が社会的な課題になっているからにほかならないと思います。
そこで伺います。東京都の乳がんの現状、死亡数、死亡率はどうかということ、また、全国と比べてどうかということを伺います。
○杉村保健政策部長 都における女性の乳がんの死亡者数は、平成十五年においては千八十八人となっております。そのうち五十歳代での死亡が約三割を占めておりまして、他のがんに比べまして若い年代で死亡する割合が高くなっております。
また、死亡率は、女性の人口十万対十七・五五となっております。
また、年齢構成の違いを補正して全国と比較しますと、これは国の方の平成十四年度のデータでございますが、全国を一〇〇とした場合、都の数値は一二三・二となりまして、全国で最も死亡率が高い状況となっております。
○松葉委員 全国で最も死亡率が高いということを大変に危惧いたします。
乳がんは、早期発見、早期治療により治癒率が高いがんといわれております。
そこで伺います。東京都における乳がん検診の受診率はどうかということ、そしてまた、全国と比べてどうかということを伺います。
○杉村保健政策部長 区市町村が実施する検診実績につきまして、厚生労働省へ報告しております地域保健・老人保健事業報告によりますと、都における平成十五年度の受診者数は約二十六万九千人、受診率でいきますと七・九%となっております。また、全国の受診率は一二・九%でございます。
○松葉委員 七・九%という受診率ということで、とても低いという現状かと思います。
東京都における乳がん検診の受診率が低いのはなぜかということ、また、今後、都は受診率を上げていくためにどのようなことを考えているのか伺います。
○杉村保健政策部長 基本健康診査やがん検診の対象者を把握するため都が五年ごとに実施しております対象人口率調査によりますと、乳がん検診を受診しない理由として、健康に自信があるからというふうに回答したものが約四割、受ける暇がなかったからが約二割、日時、場所を知らないが約一割となっております。
受診率が低い原因といたしましては、検診に対する都民の意識、理解が十分でないこととあわせまして、乳がんや検診に対する普及啓発が十分でなかったことなど、さまざまな原因が考えられます。
今後とも区市町村と連携し、受診率向上に向けた取り組みを実施してまいります。
○松葉委員 受診率向上への取り組みを早急にお願いしたいと思います。
ところで、今、受診率が低い原因として、都の調査では、健康に自信があるからというような回答が多かったということでしたけれども、ある製薬会社が平成十五年に行いました、全国の三十代から五十代までの女性の千五百人に対する乳がんに関する意識調査では、次のようなことがわかったというふうに報告しています。それは、約四割の方が乳がん検診の未受診で、その一番の理由が、自分でしこりなどをチェックして異常が見当たらないからという方が三八%と一番多いということで、私、マンモグラフィーを使った検診は、さわってもしこりがわからない、極めて初期のがんを発見する検診として必要だと思いますけれども、多くの方が自己触診、セルフチェックで大丈夫だと思って検診を受診しないのではないか、そのように思います。
また、定期的に自分で乳房をさわったりして、しこりなどの異常をチェックしていますかという質問では、現在チェックしていない人が五三・一%と半数以上でした。私はこの結果から、本人の自己触診、セルフチェックが正しく理解されていないのではないかというふうに思います。特に受診率が低い若い方にその傾向が強いのではないかと思います。
そこで伺います。受診率を早急に向上させるため、一層の効果的な普及啓発を行っていかなければならないと考えます。また、自己触診についても適切な方法を広く普及すべきだと思いますが、所見を伺います。
○杉村保健政策部長 都はこれまで、乳がんや乳がん検診について、ホームページやリーフレットの作成、配布、講演会などを実施し、広く普及啓発を実施してきたところでございます。
また、今、委員からお話がございました自己触診につきましても、その具体的な実施方法をリーフレットやホームページに掲載し、検診とあわせて普及啓発を実施してまいりました。
今年度は、リーフレットを、区市町村だけでなく、大学や短大、あるいは専修学校、看護学校などにも配布いたしまして、昨年より幅広く普及啓発を行うとともに、大学で講演会を開催するなど、若年層に対する普及啓発に力を入れております。
○松葉委員 普及啓発、そしてまた自己触診、セルフチェック、そしてまたマンモグラフィー、そういう検診がおのおののメリットを生かして実施される必要があると思います。
特にマンモグラフィーについては、国から平成十六年四月に、四十歳代から二年に一回の視触診とマンモグラフィーの併用による乳がん検診を実施するよう指針が出され、さらには平成十七年度に女性のがん緊急対策が示され、マンモグラフィーの機器整備が早急に求められているところです。また、マンモグラフィーの検診に従事する医師や技術者の養成も必要になると思います。
そこで伺います。普及啓発だけでなく、検診の体制整備や人材養成を実施する必要があると思いますけれども、所見を伺います。
○杉村保健政策部長 ご指摘のとおり、乳がん対策として、受け皿となる検診の体制整備も必要不可欠と考えております。検診の体制整備につきましては、都では平成十七年度からマンモグラフィーの緊急整備を実施いたしております。
また、人材育成につきましては、これまで、検診に従事する保健師等を対象として研修を実施してまいりましたが、平成十六年度から、国の事業に先駆けまして、区市町村の検診に従事するマンモグラフィー読影医師、撮影技師の技術の向上を図る養成研修を実施しております。
今後とも充実を図ってまいります。
○松葉委員 今のご答弁のとおりに、マンモグラフィーの機器整備、また、読影医師や撮影技師の養成研修など、検診のさらなる体制整備を望みます。
また、自己触診の方法の普及につきましても、パンフレット等だけではなかなかわかりにくいということもありまして、例えばビデオのようなもので、こういうふうにするんだというようなものがあったりすると、また、それをさまざまな機会を通して学べるような機会が大事ではないか、そんなことができればいいのではないか、そのことも要望いたします。
最後に、今月都で進めておりますピンクリボン運動ですけれども、これから先も引き続き来年度も含めて行っていただきまして、乳がん撲滅への祈りを込めたピンクリボン運動をぜひとも進めていただくことを念願しまして、質問を終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後二時三十七分休憩
午後二時四十六分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○かち委員 初めに、学童保育について伺います。
学童保育は、一九九七年に児童福祉法に位置づけられて、授業の終了後に児童厚生施設等を利用して適切な遊び及び生活の場を与え、その健全な育成を図る事業をいうと、その目的、対象、内容が明記されました。共働き、ひとり親家庭の小学生の放課後及び土日、祭日や、春、夏、冬休みなどの学校休日の生活を保障することであり、そのことを通して親が働き続けることを保障する役割を持つものです。
社会経済環境の変化もあり、近年、一層、共働き家庭の増加などにより、学童保育に通う児童が急増しています。厚生労働省のまとめでも、五年前に比べ学童児童数は二十六万人ふえ、登録児童は六十五万人に上るといわれています。とりわけ都市部では大規模学童がふえ、七十一人以上の学童は千八百カ所に上っています。マンモス学童保育の問題はマスコミでも取り上げられていますが、声の騒音で頭痛を訴えたり、どなり合う喧騒の場と化している状況です。
都内における大規模学童施設の実態はどのようになっていますか。また、今年度の待機児童数の現況はどうでしょうか。
○都留少子社会対策部長 都内におけます登録児童数七十一人以上の学童クラブ数でございますけれども、平成十六年五月一日現在の調査によりますと、百六十七クラブとなっております。
それから、待機児童数でございますけれども、学童クラブの待機児童数については明確な基準がないために、区市町村によってそのとらえ方がいろいろでございますけれども、各区市町村からの報告をまとめますと、千九百六十七人となっております。
○かち委員 学校では一クラス四十人と定められているわけですけれども、学童クラブは、学校から帰ってきて遊びと生活の場でもあるわけです。落ち着いて宿題をしたり、長期休暇のときにはお昼を食べたり、昼寝をする時間も空間も必要なんです。それを、待機児童を解消するためということで、最近は定員以上に詰め込むというような状況も出ているわけで、七十人から百人などというマンモス集団も出ています。
こういう集団の中で連続的に過ごすということが、子どもの成長過程にとって大変ストレスがたまったり、精神衛生上も、また安全上もよくないことは明らかだというふうに思うんですけれども、都はこういう状況をどのように認識されているでしょうか。
○都留少子社会対策部長 学童クラブ事業の実施主体は区市町村でございます。各区市町村が地域の実態を的確に把握して適切に対応していくべきものと考えます。
○かち委員 私がお聞きしたのは、国も、全児童対策と学童クラブというのは明確にその機能を分けているわけですよね。そういう考えを持って施策を行っている。自治体もいろいろな考えで行っている。では、東京都としてどういう考えを持つかということをお聞きしたんですけれども、その辺はお答えいただけないでしょうか。
○都留少子社会対策部長 学童クラブは定員設定などに関する厳格な定めがございません。東京都では、学童クラブ事業実施要綱におきまして基本的な運営基準を示しているところでございます。あくまでも事業の実施主体である区市町村が地域の実情を的確に把握し、整備、運営を行うものと考えております。
○かち委員 子どもたちの実態からぜひ考えていただきたいというふうに思います。
学校や保育園、幼稚園では、児童一人当たりの適正規模というものがあります。しかし、学童保育には、国や地方自治体の財政措置を含めた明確な基準がないというところから、こういう現象が起きているわけです。
二〇〇三年に厚生労働省が行った、こども未来財団というところが行った放課後児童クラブの適正規模についての調査研究、この報告では、一学童保育の適正規模は三十人が望ましい、こういうふうに結論づけています。
東京都は、昭和四十年から学童クラブ要綱をつくり、全国に先駆けて対応されてきました。一小学校区に一カ所の学童保育をということで目指して、措置を促進してきたわけですけれども、今では、先ほどもいいましたような状況の中で、到底足りないという現象ができているわけです。足立区や江東区では、七十人、八十人の大規模学童があり、多摩地域でも、一学童クラブの平均児童数が五十を超える自治体が二十二もあります。それでも足りなくて、待機児童がふえているというのが実態です。
だからこそ、昨年は埼玉県で放課後児童クラブの運営基準をつくりました。これだけにとどまらず、石川県、千葉県、群馬県でも基準が必要だということで踏み出しているわけです。埼玉県の基準については、都として分析をされたのでしょうか。
○都留少子社会対策部長 埼玉県の基準は、国のいわゆる全児童対策事業のうちの一部の基準を準用されているものだというふうに考えております。
○かち委員 それにしても、内容的に、一人の子どもの必要平米数は何平米である、学童何人について指導員何人が必要だということも明確にしているわけです。都の要綱では現状の問題解決になっていないわけですから、その要綱に設置運営基準を定める必要があると思うのですが、改めてお考えをお聞きします。
○都留少子社会対策部長 都は、学童クラブの運営につきまして、基本的な事項を学童クラブ事業実施要綱において定めております。必要な改正を適宜行っているところでございます。要綱では、指導員の資格ですとか設置などについて一通り示しております。また、今年度では、安全対策の観点から安全対策マニュアルの作成などの内容を盛り込んでおります。本要綱を定めていることで、区市町村が事業を実施する際に、児童の健全育成や安全管理を確保できるものと考えております。
○かち委員 数量的な基準がなければなかなか進まないということと、財政的な支援がなければできないということでありますので、都としても、東京都児童健全育成事業検討委員会報告というのも出ていますし、全国学童クラブ連絡会からの設置運営基準なども出ておりますので、ぜひ参照して、その基準化を進めていただきたいということを申し上げて、次に移ります。
次に、都民の健康保持増進のための保健事業と乳がん検診についてお聞きします。
平成十二年三月に厚生省老人保健福祉局長の保健事業実施要領の全部改正についてという通知の中で、健康診査の実施回数の項目でも、健康診査を原則として同一人について年一回行うと明記されています。また、受診率と医療費の負の相関からも、国の医療費適正化のために数値目標を掲げ、受診率の向上を目指そうとしています。
ところが、最近、区市町村によって節目健診になったり、定員制を導入したりして、また有料化が進むなど、国の方向とは逆に、健診そのものの抑制傾向が見られますけれども、都として、健康診査のあり方を含め、どのような見解をお持ちなのか、また、受診率向上のための数値目標は持っていらっしゃるのでしょうか。
○杉村保健政策部長 健診につきましては、高血圧や糖尿病等の生活習慣病や胃がん、乳がんなどのがんを早期に発見し、早期に治療につなげるという点から有用であり、都民の健康を守るためにも重要なものと認識をいたしております。
健診の受診率については、都として目標数値は設けておりませんが、受診率を向上させることは重要だと認識しており、区市町村へ情報提供を行うなど、受診率向上へ向けた取り組みを行っております。
○かち委員 しかし、実態としては、必要な人が年一回受けるという状況が、いろいろなデータでもなかなかできていないというのが現状です。財政的な理由ということであれば、都として支援し、少なくとも必要な検査を希望するすべての人が受けられるように改善すべきです。
厚生労働省は、第五次医療法改正に関連して、都道府県との懇談会を持って、医療計画制度の見直しについての中で、がんや脳卒中、糖尿病など、生活習慣病の病気ごとに、検診率、疾病自覚率、有病者の受診割合、早期社会復帰率など八項目の目標率を設定し、定期的に目標の達成率を検証し改善を図るという検討をしていると聞いています。これらの数値目標を持ち検証していくことは大変重要だというふうに思っております。
さて、健康基本診査には眼科健診が位置づけられていませんが、正常眼圧の緑内障から失明に至るケースがふえているのが社会的な問題になっています。日本眼科学会が二〇〇〇年九月から一年半かけて、多治見市で緑内障疫学的調査を行いましたところ、緑内障の罹患率が五・七八%で、そのうちの九二%が正常眼圧の緑内障であったという、興味深い結果が報告されています。
緑内障で視覚障害を起こすのは、中枢神経である微小血管の障害によって視神経が障害を受け、一度障害されると回復の望みがないというものです。そのためにも、自覚症状の少ない緑内障こそ早期発見、早期治療で失明を防いでいく、これが大変重要なことだというふうに思います。五年ごとに眼科医が健診を行うことが経済的効果が高いという試算も出ています。基本診査に眼科健診を位置づけるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○杉村保健政策部長 ただいまお話のございました緑内障のスクリーニングにつきましては、現在まだ健診として有効な方法が確立されていないということなどから、眼底検査を基本健康診査に位置づける考えはございません。
○かち委員 今はやっていないということですけれども、都としてはやっていないんですけれども、現在、区市の中で相当、眼科健診を実施している自治体があると聞いておりますけれども、どのぐらいあるのでしょうか。
○杉村保健政策部長 都の調査によりますと、平成十五年度で十八区市が実施しているという状況でございます。
○かち委員 地方自治体の中では、眼科の健診が必要だという認識のもとに、このように取り組んでいるわけですけれども、しかし、実際にやっている中身を見ると、五年ごとの眼科健診が効率性が高いというわけですけど、なかなかそういうふうになっていない。五年ごとにやっているのは中野区だけのようですけれども、基本健康診査において眼科検査の目的や健診方法などのあり方についても、都としても早急に検討し、具体化を図っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○杉村保健政策部長 目の健康につきましては、高齢者の生活を維持するという点から重要なことであるというふうに認識をいたしております。そのため、都におきましては、緑内障を含む、目の健康に関する一次予防及び二次予防のあり方について、専門家を交えまして既に検討を行っているところでございます。
○かち委員 次に、乳がん検診についてお聞きします。
昨年、私、この委員会でも質問させていただきましたけれども、東京が乳がん死亡率全国ワーストワンということで、早急な対策強化が求められている中ですけれども、昨年来、いろいろと取り組みをされてきております。ぜひ具体的な数字も含めた取り組みの内容をお聞きいたしたいと思います。
○杉村保健政策部長 今年度から、区市町村の検診を実施いたします医療機関等にマンモグラフィーの設置に対して補助をするマンモグラフィー緊急整備事業を行っております。新規に十二台を整備いたしまして、現在、都内では二百五十一台のマンモグラフィーが設置されております。
また、昨年度から実施しておりましたマンモグラフィーの読影医師と撮影技師の養成研修を、一回百名から二回二百名にふやして実施をいたしております。
さらに、乳がんの受診率向上を目的としてピンクリボン運動の一環としたライトアップや都民向けの講演会などを開催し、さまざまな普及啓発を行っております。
○かち委員 受診率が低い原因は本人の意識の低さということもいわれておりましたので、そういう意味での啓蒙活動は必要だと思いますし、効果的にアピールできる啓蒙活動をぜひ強化していただきたいと思いますが、マンモグラフィーの導入は昨年十二台で、全都的にも二百五十一台という普及状況ですと、単純に一自治体で割り返すと、数台にしかならないわけですね。これでとても十分な普及とはいえないわけです、始まって間もないということもありますけれども。レントゲン撮影や読影技術の向上のために、医師、技師の研修回数の拡大も努力はされていますけれども、一層基盤整備が求められているというふうに思います。
乳がんの検診の受診率が七%台で、他のがん検診に比べても、また全国から比べても低いということがいわれましたけれども、昨年から本格導入されたマンモグラフィーが、国の制度見直しによって、四十歳以上で二年に一回というふうになりました。定員を超えたらくじ引きだというような例も聞いているんですけれども、これでは本当に早期発見、早期治療に結びつかないと思うんですね。
ちなみに、私の大田区の場合ですけれども、昨年までは大体受診者が九千四百人から九千五百人受けていたんですけれども、制度が変わったことしから、マンモグラフィーのある医療機関十二院に定められてしまったんですね。今までは、ちまたの医院どこでも乳がん検診というステッカーが張ってあって、気軽に受けられていたという要素もあるんですけれども、今回は限られたところに行かなければならないということと、対象人数も六千名ということに絞られました。多かったらくじ引きということだったんですけれども、これは申し込みをしなければならない、期間も決まっている、所定の場所でなければならないということで、大変受けにくい状況がありまして、六千名まで至っていなくて、今二次募集中ということです。それからもう一つは、今まで三十歳からやっていたんですけれども、マンモグラフィー導入によって四十歳からの対象になってしまったというふうな状況にもなっています。しかも、区市によっては有料で、二千円とか三千円かかるということもあります。そういうことを見ますと、受けやすい状況がない。受診環境が今まだ敷居が高いという状況だというふうに思うんです。
乳がん検診の進まない要因として、これはNPO法人ですけれども、乳房健康研究会というところが七月に行った調査では、自治体の半数以上が、予算がないからと、検診の啓蒙もしていないというようなことが報告されています。国は、三年後の目標受診率を五〇%に上げるといっていますけれども、現状から見ると、とてもそんな状況ではないというふうに思うんですね。もっと受診しやすい環境整備が必要だと思いますけれども、都としてどのように取り組もうとされているんでしょうか。
○杉村保健政策部長 国の指針の改正を受けまして、都では、先ほど申し上げましたとおり、マンモグラフィー整備事業や検診に携わる人材の養成など、環境整備を行っているところでございます。
○かち委員 都としての受診目標も持っていないから、そういう言葉で終わってしまうんだと思うんですね。本当に目標を決めて、どこまでやるにはどうするかということをもっと真剣に検討していただきたいというふうに思います。
欧米諸国では、マンモグラフィーで四十から五十代の女性は七〇%以上が受診しているということによって、乳がんの罹患率は高まってはいるんですけれども、死亡率が低下しているという結果も出ています。そういう意味での早期発見対策がいかに必要かということなんです。
それで、乳がんの場合は死亡年齢は五十歳代がピークになっていますけれども、三十代、四十代でも他のがん疾患よりも大変死亡率が高いというのは先ほどもいわれていますよね。こういう中で乳がん検診の対象が四十に引き上げられてしまったというのはどういうことなんだろうか。二十代、三十代の若い方は触診が必要なんだということですけれども、自分でしこりがわかるというのは、もう既にかなり進んでいる段階ですよね。わからないものをマンモグラフィーで見つけるんだ、それが大事だといっていながら、若年層対策が後退しているんじゃないかというふうに思うんです。ぜひ三十代からの検診、で、マンモグラフィーでなくても、他の方法も含めて、あり方というものが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○杉村保健政策部長 マンモグラフィーによります乳がん検診につきましては、四十歳以上に有効な検査であることが国の研究班により報告されております。これを受けまして、国の指針が平成十六年四月に改正され、乳がんの検診の対象が四十歳以上というふうに位置づけられております。
若年層につきましては、乳腺が発達していることなどから、マンモグラフィーによる検診での早期発見が難しいということもございまして、現時点では検診の対象に含まれてございません。
○かち委員 私は、若年層のところがやっぱり盲点だと思うんですよね。若年のがん罹患率が高くて、死亡率が高いという、この問題をどう解決していくのか。そのためには、マンモがだめであれば何がいいのかということをぜひ研究していただきたいというふうに思います。
次に、がん医療について伺います。
がんの罹患率と死亡率をどうしたら下げられるか、これは国を挙げての課題となっています。この間、がん医療水準の向上と地域格差をなくす問題で、本年四月、検討会が開かれて、提言を出されています。また、七月には地域がん診療拠点病院のあり方についての検討会が開かれ、地域がん診療拠点病院の整備に関する指針の見直しが検討されました。昨年は、地域がん診療拠点病院の整備指針に基づいて、二次医療圏に一カ所のがん診療拠点病院の設置指定状況が、島しょを除いて十二医療圏中八病院でしたけれども、現在、都ではどうなっていますでしょうか。
○丸山医療政策部長 地域がん診療拠点病院は二次保健医療圏ごとに整備されることとされ、現在、十病院が指定を受けているところでございます。
○かち委員 目標十二に対して現在十まで来たということですけれども、都立駒込病院を含む十病院、これらの病院機能の拡充が必要だというふうに思います。
日本はがん登録の後進国といわれているんですね。その中で首都東京が空白地域を抱えているわけですから、来年には空白をなくして、すべての地域に拠点病院を指定できるように求めます。確かに都市部の困難さもあると思いますけれども、大阪ではずっと以前から取り組んできているわけですから、できないことはないと思います。
都道府県ごとに計測されたがんの罹患率及び五年生存率を死亡率のデータ等と突き合わせて初めて、都道府県単位でのがん対策の評価や立案が可能となるものです。しかし、この登録制度は努力義務であって、国の制度として位置づけは弱くて、必ずしも進んでいないのが現状です。国も登録制度を高め、地域がん診療拠点病院の機能強化について検討を進めているところではありますが、現在までに指定された拠点病院要件では、院内登録をしている、ないしは予定も含めて可能なわけなんですね。ですから、十病院のうち全部が院内登録をやっているわけでもないということなんですけれども、拠点病院の院内登録がこの十病院の中で現在どうなっているのか、都は把握されているでしょうか。
○丸山医療政策部長 十三年の駒込、癌研から始まりまして、十六年の厚生病院、東大和病院ということで、現在、二地区の空白がございますけれども、十病院の中で三病院が院内登録をしているということを国の方に報告が上がっているようでございます。
○かち委員 十病院のうち三病院しか院内登録をしていないという状況って、私は大変おくれているというふうに思います。
東京都が広域行政の医療政策として位置づけて、イニシアチブを発揮していくべき課題だというふうに思います。早急に東京都も地域がん登録に取り組むことを求めておきます。
きちんとしたデータ管理をしていくためには、人材と財政支援なしには困難なこともありますので、十病院全体が院内登録できる体制整備も必要だというふうに思います。間もなく国の新しい標準項目も定められると聞いておりますが、さまざまな問題解決を図りながら、速やかに地域拠点病院の院内登録を充実し、データの共有化を図るべきと思いますけれども、今後の都の取り組みを伺いたいと思います。
○丸山医療政策部長 がん診療のデータにつきましては、国の検討会報告におきましても、施設間の比較を可能にするため、地域がん診療拠点病院におけるデータ収集項目の標準化と、その推進の必要性が指摘されております。また、標準項目の詳細につきましては、現在も検討が進められているところでございます。
都としましては、国のこうした動向を踏まえながら対処してまいります。
○かち委員 がん医療の一環で、早期発見、早期治療から始まって、終末期医療にも到達するわけですけれども、当然、終末期緩和ケアというものも必要になってきます。最後までその人らしく尊厳を保って、自分の最後を在宅で過ごす患者さんがふえていますけれども、院内での緩和ケアとともに、継続的な在宅での緩和ケアの必要性が高まってきております。しかし、ひとり暮らしや、家族がいても日中独居であったりすると、一人で考え込んだり、うつ状態になったり、ひきこもりがちになってしまう状況もあります。
こうした問題を解決するために、埼玉県のある総合病院の訪問看護担当者が、医療を必要とする比較的若い患者さんが安心して出かけられ、一日を過ごす場所としての緩和デイケアセンターに取り組んできたという報告を見ました。また、長野県や県立広島病院でも、民家を借りて緩和デイケアセンターへの取り組みが始まっています。
ところで、今年度の新規事業で東京都訪問看護推進事業というものが掲げられておりますけれども、その背景と概要についてお聞きします。
○高橋参事 高齢化の進展や入院医療の適正化に伴う在院日数の短縮、さらには、住みなれた身近な地域で療養生活を送りたいというニーズの高まりの中で、在宅医療の推進と訪問看護の充実は重要な課題でございます。このため、在宅療養者への訪問看護の主要な担い手である訪問看護ステーションの実態を把握し、訪問看護及び在宅療養体制の充実に向けた検討を行うものとしたものでございます。
○かち委員 在宅療養が推進される中で、訪問看護の役割がいよいよ重要になっているということですけれども、同時に質的なレベルアップも大変必要だと思うんですね。医療対応措置の必要な方がどんどん在宅に入ってます。そして、麻薬などの管理も必要になります。当然、そういう意味では、病院との連携や地域の医師との連携も強化されなければならないというふうに思いますが、とりわけ、がんの在宅での緩和ターミナルの需要も高まっていますので、ぜひとも実態をつぶさに調査し、問題点の把握とレベルアップのための研修など強化すべきと考えますけれども、その辺の方針はどのようにお持ちでしょうか。
○高橋参事 都内訪問看護ステーションにつきましてはその実態が明らかではございません。このため、都では本年度、都内の訪問看護ステーションとその利用者について実態調査を実施するとともに、東京都訪問看護推進協議会を設置したところでございます。今後、この協議会において、実態調査結果や在宅医療をめぐる国の動向も踏まえながら検討を進めていくこととしております。
○かち委員 在宅療養の充実、そうして在宅でのターミナル、グループホームに医療的ケアの必要な人も利用できるような方向性を持ってぜひ検討していただきたいと思います。
最後に、重症心身障害児通所事業についてお聞きします。
資料の二〇ページでは、既に定員の枠を超えて利用者が登録されています。そのため、島田療育センターのように、昨年までは週五日、十七名が利用できていたのに、ことしは三名の利用者がふえたために、週五日利用者がゼロになってしまった、こんな状況が出ています。このように定員を超えて利用者がふえるたびに、これまでの利用日数を減らさざるを得ないということが出ているわけですけれども、これは本人にとっても介助者にとっても大変な負担となっています。
本年十二月に東部療育センターが開所しますけれども、それでも全部の施設定員が三百五名分です。今現在の利用者が三百三十八名ですから、到底足りないということは明らかですけれども、都としてこの現状をどう認識されているでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 重症心身障害児者通所事業のニーズについてのお尋ねでございますけれども、私どもは、基本的には東京都保健医療計画に基づきまして、この通所事業の拡充事業を行っています。この保健医療計画におきましては、平成十八年度までにこの通所事業の利用者数を三百五人分確保する、そういう目標数値が定められておりまして、これが私どもの基本的な認識でございます。
○かち委員 計画に沿って事業を進めてきたということは、それは当然のことなんですけれども、しかし、実態が今の計画の枠を超えてどんどん伸びる予測というのは明らかに立つわけですから、そういうものに対してどう対処していくのかということが求められるというふうに思うんです。たとえ計画を実行しても、推移を見るまでもなく不足は十分予測されるわけですから、需要に見合った増設をすべきだというふうに思うんです。
障害者福祉施策の新たな展開の中間のまとめというのが出されましたね。このまとめの中でも、可能な限り、利用希望者に身近な地域において計画的な整備に取り組むことが必要だというふうに書かれているわけです。たとえ東部に三十人分増設したからといって、多摩地域から通所することは到底無理な話です。身近な地域での通所施設の増設が早急に求められると思うのですが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 重症心身障害児者通所事業の整備状況の現状でございますけれども、私どもは、この東京都保健医療計画の三百五人という数値をまだ達成したわけではございませんで、現在、東部療育センターの開設に向けて全力で取り組んでいるところでございますが、東部療育センターが完成して、事業がオープンした段階で、やっと三百五人になる。そういう意味では、まず私どもは、何といっても現時点ではこの三百五人を達成していくことが私どもの最大の課題であるというふうに認識してございます。
○かち委員 将来を見通した、先々を見通した対応の仕方をしていかないと、結局、当事者が一番、都民が一番苦労するわけですから、ぜひその辺を検討していただきたいというふうに思います。
昨年もいいましたけれども、長年の家族、関係者の方々の悲願となっている区部北部の空白地域の通所施設は、その気になれば、すぐにも実現可能な、北療育医療センターでの通園事業の整備も早急に検討されることを改めて要望しておきます。
最近、重症心身障害児の方々が緊急にショートステイを利用したくても利用できない状況が生まれています。とりわけ支援費制度になってからますます厳しいというふうにも聞いております。このショートステイ用のベッドは現在幾つ確保されていて、また稼働率等はどうなっているのでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 重症心身障害児者短期入所事業でございますけれども、現在、都内では十一施設で七十六床を確保してございます。その稼働率というデータは持ち合わせてございませんけれども、利用状況について申し上げますと、平成十六年度の利用実績が、利用回数延べ二千二百五十五回、延べ三万三千二百八十七日、平均の利用日数は一回当たり十四・八日となってございます。
○かち委員 ベッドはあるんだけれどもということなんですけれども、いろんな理由が重なっているようではありますけれども、一つには、入所施設が不足しているために、待機的に利用せざるを得ない方もベッドを使っている。それから、支援費になって、事業者というか、病院側はあきをなるべくつくらないようにしなければいけないということで、ショートの予約を随分先々にとってしまうために、緊急に必要なベッドがとれないという状況があるようです。
先日、在宅療養されている方々のお母さんたちからお話を伺いましたけれども、自分が乳がんで入院しなければならなくなったときに、一生懸命ショートを探したんだけれども、見つからなくて、結局、夫が仕事を休んで通園介助に当たったというふうに聞いております。そのほか、介助者が突然病気になって寝込んだときなども緊急に使えない。また、介助者のレスパイトの役割も位置づけられているんですけれども、その役割を果たせていない。こんな状況では在宅療養を続けることができない。本当に涙ながらに訴えられました。
中間のまとめでも、都は独自に病床を確保し、可能な限り在宅で生活し続けられるよう支援しているけれども、さらに、必要なときに速やかに利用できるための確保策を推進する必要があるというふうに書かれています。この問題についても都としてどう認識されているのか。ショートステイや緊急一時用のベッドをふやすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 重症心身障害児者短期入所事業の病床数の確保についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましても、東京都保健医療計画におきまして平成十八年度までに九十床を確保するという目標数字が立てられてございます。
なお、東部療育センターが開設いたしますと、二十四床を整備できる計画でございますので、そうすると、七十六プラス二十四ということで百床、保健医療計画の九十床を上回る病床数を確保できる見通しとなってございます。
○かち委員 都が計画して努力されていることは十分承知しているわけですけれども、この中間の報告にもありますように、身近なところで利用できるようベッドを確保しなければならないというふうになっていますので、そういう意味では、養護学校なり施設のある地域にベッドがないと、いざというときに利用できないということがありますので、地域的な場所というものをぜひ検討課題に入れていただきたいというふうに思います。
次に、通園の一日の利用時間というのが大体十時から三時までというふうになっているんですけれども、こうなりますと、介助者、主に母親ですけれども、ほとんど一日の時間を送迎で拘束されてしまいます。親の時間が全く持てないという状況なんですね。
障害児を持っていても、兄弟がいたり、また自分の親がいたりということで、日常的にはいろんな問題が出てきます。授業参観、どうしようというときに、その子を連れて学校に行っても、吸引したりしなきゃいけないと、電源がないとか、スロープになっていないので教室まで行けないとか、いろんなことがあって、家族の行動も拘束されるという状況があるわけですね。そういうときに対応が今求められていると思うんです。
今や幼稚園でも保育園でも時間延長の時代ですよね。せめて五時までは、必要な人については受けられる体制整備というのが必要だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 重症心身障害児の通所事業の利用時間の延長についてのお尋ねでございますけれども、この重症心身障害児者の通所事業の本来の目的は保育とは異なりまして、日常生活動作の訓練などを行うことにより、運動機能の低下などの防止及び在宅療育の向上を図り、家族とともに地域社会の中で生活できるように支援することでございます。
○かち委員 今、療育が目的なんだから無理だというふうにおっしゃいましたけれども、その療育の内容というのは、都の要綱にも書いてありますけれども、専門の医師、看護師による診断、治療及び指導を行うほか、地域の中で生活していくために必要な日常生活動作訓練、保持している運動機能等の低下防止等訓練及び集団生活の訓練等を実施するものというふうに書いてありますよね。また、都の発行するミニ用語集でも、療育とは、心身に障害を持つ児童に対し医療と教育をあわせて提供することというふうに書かれています。
幼稚園では、都が補助を行って保育の時間延長が広がっています。重症心身障害児の通園の時間延長だって、できないことではないというふうに思うんです。重心の親御さんの社会生活を支えることも、長期的に地域の中で療育を続けていく点でも重要な要素だというふうに思います。こういう切実な願いに少しでも前向きにこたえていただくことを求めまして、私の質問を終わります。
○山口(文)委員 初めに、子育て支援について伺います。
人口の都市集中、核家族化、そして地域コミュニティの崩壊、また情報社会では携帯電話やインターネットの普及など、大変大きな社会変革がもたらされています。こうした社会の変化の中で、子育てや子育ちに著しい困難を来しています。少子化にも歯どめがかけられず、国も本格的な対策に乗り出し、次世代育成支援推進対策法が制定されました。これに基づいて、東京都も行動計画がことしの四月に策定されています。
都は、一九九七年度から単独事業として子ども家庭支援センター事業補助を実施してきました。十八年度には全区市町村に設置し、その内容の充実を図ると聞いています。妊娠、出産、育児をトータルに支援するシステムが今求められています。また、特に支援が必要な家庭には、早期に発見し、さまざまな関係機関が連携しながら対応する力が求められていると思います。
そこで、福祉保健局が今年度新たに取り組まれている事業について、要支援家庭の早期発見・予防事業の事業内容と実施状況について伺います。
○都留少子社会対策部長 事業内容でございますけれども、妊娠中から乳幼児期を通じて、福祉、保健、医療の連携により、地域全体で支援の必要な家庭の発生予防や早期発見を行う体制を強化することを目的としております。そのために、都が設置する検討委員会におきまして、関係機関用の手引書として、母子保健事業における要支援家庭把握のためのガイドライン及び医療機関子育て支援ハンドブックを作成いたします。あわせて、多摩地域の二次保健医療圏を単位とした関係機関の連携組織として、医療機関子育て支援推進会議の構築を図ってまいります。
○山口(文)委員 要支援家庭とはどのような家庭を想定しているのか伺います。
○都留少子社会対策部長 福祉、保健、医療のおのおのの分野では、いろいろな事業の目的ですとか役割、対象者が異なりますため、要支援のとらえ方も違っております。本事業におきましては、九割以上の子どもが受診いたします乳幼児健診を初めとする母子保健事業における要支援家庭のとらえ方を明らかにし、医療や福祉の分野においてもその理解を図ることを目指しております。
現時点で検討会におきましては、母子保健分野における要支援家庭とは、保護者の状況、養育環境に何らかの問題を抱え、それを放置することで養育が困難な状況に陥る可能性がある家庭である、そして、その中には、保護者が支援を必要であると考えていない家庭も含む、そのように考えております。
○山口(文)委員 今年度中に関係機関向けのいわゆるガイドラインやハンドブックなどを作成するということですが、この事業の成果をどのように今後活用していくのか伺います。
○都留少子社会対策部長 今年度中に区市町村の関係機関に対して、ガイドラインやハンドブックの内容や活用方法についての研修を行い、共通認識に基づく連携などの取り組みが進むよう、事業の成果を生かした技術支援を行いたいと考えております。
○山口(文)委員 今まで何か自分の方で問題を感じて出向いていくところから、そういったところ、未然防止の観点から、早期に支援していく体制をつくるきっかけとして期待しておりますので、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
親は、子どもが順調に育っていても、いろいろと不安を持つものです。まして慢性の病気などで長期療養をするような場合には、その不安とか悩みというものは、私たちが想像する以上に大きいものだと思います。子どもや親に対して専門の支援が必要かと考えますが、東京都が今年度、これも新たに実施しています病気の子どもピアカウンセリング事業について、その事業内容と、どのように取り組んでいくのか伺います。
○都留少子社会対策部長 ピアとは仲間という意味でございます。多摩地域にお住まいの小児慢性疾患や機能障害などで長期に療養しているお子さんや養育されている方に対しまして、同じような経験を持つピアカウンセラーが仲間として相談を行うことにより、生活上の悩みや不安の解消を支援する事業でございます。この十月から都の保健所で申し込みの受け付けを開始いたしました。ピアカウンセラーは、東京都が研修を行って養成し、NPOがカウンセラーの登録や派遣を行います。
○山口(文)委員 この新しい二つの支援事業が多摩地域で実施されているということですけど、二十三区の取り組みについてはどのように考えていられるのか伺います。
○都留少子社会対策部長 多摩地域における医療機関子育て支援推進会議での事業の成果や連携の上での課題は特別区においても参考となりますために、積極的に情報提供を行ってまいりたいと考えております。慢性疾患のお子さんや養育される方に対するピアカウンセリング事業につきましては、各区が実施主体でありますため、都は実施方法に関する技術支援などを行って、事業の早期実施を働きかけております。
○山口(文)委員 ぜひ東京都全体で、地域での子育て支援をする取り組みを進めていただきたいと思います。
それぞれの家庭にとって、支援の必要な状況はさまざまかと思いますが、特に妊娠、出産には、マタニティーブルーといわれるように、うつ病などのリスクも高い時期といわれておりますので、そういった支援体制も必要かと思います。
私たち生活者ネットワークでは、子育て支援が大変充実している国として、ニュージーランドの視察に参りました。ミッドワイフシステムという仕組みが確立されています。医療機関と連携して、ほとんどの妊婦さんは、この助産師さんのサポートを受けていきます。出産期までほぼ助産師さんが受け、病院については、病院で出産するか、自宅で出産するか、それぞれの判断ですが、その助産師さんもきちんと立ち会って、出産する。そして、産後一カ月たちますと、今度は看護師さんにバトンタッチして、子どもの健康状態、母子の健康状態などということをきちっとサポートしていく仕組みです。これは国の事業で、それぞれ機関は民間などもやっていますが、無料で全部受けられる。ニュージーランドに行って、本当に子供を産みたいと思ったという日本の女性にもお会いしてきましたけれども、そういった仕組みをぜひ東京都でも実現してほしいということで、私たちは提案してきました。
まず取っかかりとしては、私どもは、二〇〇二年度から子ども家庭支援センターで実施されている産後支援ヘルパーに目をつけて提案してきましたけれど、区市町村における産後支援ヘルパーの実施状況について伺います。
○都留少子社会対策部長 平成十六年度におきましては八区七市において実施され、延べ三千三百四十八日の利用実績がございます。
○山口(文)委員 事業の対象を産後に限定せず、出産前も含めて拡大すべきということを常々提案しておりますが、今回いかがでしょうか。
○都留少子社会対策部長 これまでは、出産後、母体が回復するまでの期間、家事や育児が困難な家庭や多胎児の家庭に対して、身の回りの世話や新生児のケア、育児などに関する相談に応じる保育士、保健師を派遣する産後支援ヘルパー事業として実施してまいりました。
国におきましては、平成十六年度から育児支援家庭訪問事業を創設し、支援対象を、従来の出産直後の産褥婦や多胎児のいる家庭に加え、十代での妊娠等、出産前からの支援が必要な家庭や未熟児のいる家庭などに拡大しております。
都におきましても、平成十七年度から、従来の産後支援ヘルパー事業を育児支援ヘルパー事業として事業の拡大を図り、出産前からの支援が必要な家庭に対しましてもヘルパー派遣により適切な支援が行えるよう、体制を整備したところでございます。
○山口(文)委員 少しずつ産後ヘルパー事業もふえてきているというので、こうした新たな事業の拡大によって、さらに充実させていただきたいと思っています。
生活者ネットワークは、こうした産前を含めた支援の充実を求めてきましたけれども、地域での子育て支援の延長として、中高生の居場所づくりも提案してきました。ようやく今回の東京都の行動計画に、青少年の放課後拠点を確保しますと明文化されています。どのような取り組みになるのか、現状について伺います。
○都留少子社会対策部長 今年度、次世代育成支援緊急対策総合事業補助のメニューの中に中高生の居場所づくりのための施設整備事業を盛り込み、区市町村の取り組みを支援することといたしました。
○山口(文)委員 大人の発想だけでつくっていましても、利用されなければ意味がないわけです。川崎市は子ども夢パーク、杉並区がゆう杉並など、子ども参加で拠点づくりをしていますが、都においてもぜひ計画づくりや運営に子ども参加で実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○都留少子社会対策部長 住民に身近な区市町村が施策を実施するに当たりまして、住民や関係団体などさまざまな意見を聞くことは非常に意義のあることであり、重要なことであると考えております。
○山口(文)委員 川崎市の子ども夢パークでは、不登校の子どもたちが学べるフリースクールをNPOへ委託して実践しています。都内でも中高生の拠点づくりを進めるに当たっては、ぜひ子どもとともに、計画づくりや運営にも参加してもらうとともに、NPOなどのさまざまな機関と連携し、多角的な視点から積極的に施設づくりに取り組んでいただくことを強く要望しておきます。
次に、今回見直しになります介護保険に絡みまして、少し質問をさせていただきます。
今回の介護保険の見直しについては、制度施行当初より利用者は倍増して、それに伴って給付額もかなり増大して財政を圧迫しているということで、この改正については、制度の持続性を不安視する声なども反映され、結果として、給付抑制あるいはサービス利用抑制策になっているとの批判の声も出てきています。
改正された介護保険制度の中で、マスコミなどでも筋力アップのトレーニングなどが興味深く取り上げられていますけど、介護予防重視型のサービスが非常にクローズアップされています。地域包括支援センターを、介護予防のマネジメントを行う中核として区市町村の生活圏ごとに設置して、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置されることになっています。
そこで、地域の核となる地域包括支援センターに今後配置される人材の養成についてどのように取り組まれているのか伺います。
○長谷川高齢社会対策部長 今回の法改正では、新たに区市町村において設置される地域包括支援センターは、介護予防マネジメントを初めとする地域包括ケアシステムのかなめとしての機関であり、その機能を十分に発揮するためには、配置される人材の養成が大変重要であります。
国においては、今後、地域包括支援センターに勤務する予定の職員に対して、業務の内容等の研修を予定しているところでございますが、都は既に本年度独自に、センターで指導的役割を担う保健師や在宅介護支援センターの職員などを対象とした介護予防マネジメント指導者研修を実施し、人材養成に努めているところでございます。
また、新たに創設される主任介護支援専門員の養成は十八年度から始まるため、その経過措置として配置されるケアマネジメントリーダーの養成、確保にも万全を期していく所存でございます。
○山口(文)委員 二〇〇六年度からは介護予防事業が区市町村において本格的に実施されていくわけですが、東京都における介護予防の実施に向けた準備、それから拠点整備について、都のこれまでの取り組み状況を伺います。
○長谷川高齢社会対策部長 都は、介護予防の重要性を早くから認識し、国に先駆けて、平成十五年度から筋力向上トレーニングなどのマニュアル開発、実施に当たっての技術支援及び地域における指導者等の養成などを行い、区市町村における介護予防の取り組みを強力に支援してまいりました。また、昨年度からは二地区、千代田区、稲城市をモデル地区に指定し、介護予防の総合的な取り組みによる効果を検証しております。さらに、身近な地域で介護予防拠点の整備を進めていくため、今年度新たに、国の交付金の対象とならないトレーニング機器などの設備の整備についても独自の補助を実施しているところでございます。
○山口(文)委員 これらについては、筋力向上ということでは、一部には効果が出なかったというような報告も、ちょっと報道されていたこともありますので、ぜひ丁寧な検証をしていただきたいというふうに要望しておきます。
それから、行政の判断により、今回、予防か介護かに振り分けられるということは、本来、介護保険の理念にある自己選択、自己決定が崩されていくというおそれがあるので、介護予防サービスの利用に当たっても、やはり個人の意思をきちんと尊重していただきたいというふうに要望しておきます。
二〇一五年、団塊の世代が全員六十五歳以上となり、その十年後には認知症高齢者が現在のほぼ倍、二〇四〇年のピーク時には四百万人に近い数字になると予想されています。二〇一五の高齢者の介護の報告に指摘されているように、認知症予防は、これからの介護問題として重要な課題であると思います。都はどのように取り組んでいるのか伺います。
○長谷川高齢社会対策部長 認知症の予防については、今回の制度改正において、区市町村が実施する地域支援事業の中のメニューの一つとして新たに位置づけられたものでございます。
一方、都は国に先んじまして、平成十五年度から、認知症予防プログラムのマニュアルの開発や、区市町村の職員等を対象とした人材養成研修などを行ってきているところでございます。
さらに今年度は、地域において認知症予防を重点的に推進するため、区市町村の職員や地域の住民に対する人材養成研修を充実したほか、新たに認知症予防プログラムに取り組む地区として練馬区、品川区を指定し、技術的支援を行っているところでございます。
今後、認知症予防の重要性にかんがみまして、都はこれら取り組みを通じて、区市町村における認知症予防事業の充実を図ってまいりたいと考えております。
○山口(文)委員 今回の法改正に当たり、要支援や介護度一のような人たちへの生活支援、家事援助サービスなどが過剰に行われて生活機能の低下を招いているとの判断が大きく影響しているということで、これも非常に大きな争点になっているかと思います。
ケアプランの作成をケアマネに依頼する場合がほとんどですので、自立支援という視点できちんとプログラムがつくられていれば、こうした課題は解決されるわけです。介護保険の中核となっているケアマネジャーの研修、東京都は人材養成の一環として進めてきていると思いますが、この充実について改めて伺います。
○長谷川高齢社会対策部長 介護保険制度の中核を担う介護支援専門員が公正で中立なケアマネジメントを行えるような研修の充実を図ることが重要であると考えております。このたびの制度見直しの中で、介護支援専門員の研修につきましては、公平、公正の確保、包括的、継続的マネジメントの強化及び専門性を確立する観点から、介護支援専門員の更新時の研修、それから、個々の介護支援専門員のキャリアアップの仕組み、生涯にわたる研修体系の構築が予定されているところでございます。
今後とも、このような国の動向を踏まえながら、質の高いケアマネジメントが行えるよう、都として介護支援専門員に対する研修の充実を図ってまいりたいと考えております。
○山口(文)委員 今ありましたこの改正の中では、五年ごとに資格更新を行うということですけれども、このケアマネジャーの質の向上を図るものとして、サービス担当者会議が学習の場としても非常に有効ではないかと私は思っています。なかなか開かれにくいというサービス担当者会議の実情と、進めていくための都の取り組みについて伺います。
○長谷川高齢社会対策部長 ケアプランを作成するため、介護支援専門員が中心となって、利用者、主治医、サービス担当者などが参加するサービス担当者会議の開催は、利用者本位の支援を行う上で大変重要であると認識しております。しかしながら、都が平成十五年度に実施した実態調査によれば、サービス担当者会議はほとんど開催していない介護支援専門員が二三%という状況でございまして、開催状況は十分とはいえない状況でございます。
このため、都は、主治医と介護支援専門員の連携を促進するため、平成十六年度から、主治医が介護支援専門員と相談を行う時間帯をケアマネタイムとして設定するなどのモデル事業を一区二市で実施し、その効果を確認しているところでございます。
今後とも、ケアマネタイムなどを実施する区市町村の拡大を働きかけるなど、サービス担当者会議の開催がさらに促進されるよう、環境づくりに努めていきたいと考えております。
○山口(文)委員 こうした担当者会議に出席した実務についての介護報酬が認められていないということなども大きな原因があるかと思いますが、これについては国の方に東京都としてもぜひ強力に要望していって、改善に力を尽くしていただきたいと思います。
それから、介護保険制度、措置から契約に変わったということで、サービスを自分で選択し決定することになります。介護サービスの内容などについてのさまざまな情報が必要なわけですが、まして多様な事業者が参入できる新しい仕組みとなっています。利用者にとっては、どこのサービスが自分に必要なのか、また、自分にとって合ったサービスが受けられるのかという判断の材料が必要になるわけですけれども、ここで少し、この評価制度について何点か質問したいと思っています。
今回の法改正において、国は、利用者のサービス選択に資することを目的として、介護サービス情報の公表という新しい仕組みを導入することとなっていますが、既に東京都では第三者評価制度を実施しています。また、従来からの行政の権限で実施する指導検査もあるわけですが、介護サービス情報の公表、そしてまた今東京都が実践しています第三者評価、さらに従来から行われています指導検査という三つの制度の違いについて伺いたいと思います。
○野口企画担当部長 三つの制度の違いでございますが、まず、都における福祉サービス第三者評価制度は、利用者がみずからのニーズに最適な事業者などをみずからの責任で安心して選択できるようにするとともに、事業者のサービスの質の向上に向けた取り組みの促進などを目的として、中立的な第三者であります評価機関がサービスや経営などを評価し、その結果を公表する仕組みでありまして、事業者がみずから主体的に実施するものでございます。
これに対し指導検査は、良質なサービスを提供できるよう、利用者の視点や事業者の運営の透明性の確保等の観点から、法令等に定められている基準の遵守状況の確認、指導等を都が行政権限として実施するものでございます。
また、平成十八年度から導入が予定されております介護サービス情報の公表は、これらの制度とは異なる新たな仕組みとして国は位置づけており、専ら利用者のサービス選択に資することを目的とし、客観的事実を第三者の調査により確認し、公表する仕組みでありまして、その実施が法により義務づけられております。
○山口(文)委員 先駆的に第三者評価に取り組んできたという、その実施状況など、これまでの実績について伺いたいと思います。
○野口企画担当部長 福祉サービス第三者評価の実施状況でございますが、本格実施をいたしました初年度となる平成十五年度が六百六十六件、十六年度は千百十四件と、評価を受審する事業者は着実にふえてきております。
評価の対象となるサービスにつきましては、平成十五年度は三十五サービスでスタートいたしましたが、十六年度は四十五サービス、十七年度は五十八サービスと順次拡大をいたしてきております。
また、評価を行う評価機関の状況でございますが、東京都福祉サービス評価推進機構が認証した評価機関は、十七年九月末現在で百三十機関、養成した評価者は千百五十五人となっており、民間企業等、多様な主体が評価機関として育ってきております。
○山口(文)委員 評価を受ける事業者からは、評価機関によって評価の結果のぶれが大きいのではないかという声が上がりまして、逆に、評価機関や評価者を評価する、その評価の情報が欲しいというような声も聞かれていますけど、こうした評価制度の一層の普及、定着を図るためには、評価者の質や専門性の確保などが必要だと思いますが、その都の取り組みについて伺いたいと思います。
○野口企画担当部長 山口議員ご指摘のとおり、評価制度を広く普及、定着させるためには、評価システムの信頼性を確保することが重要でございます。そのため、東京都福祉サービス評価推進機構では、評価者養成講習の受講資格を厳格化したり、フォローアップ研修を義務化することなどによりまして、評価者の質の向上を図っております。
また、評価手法につきましても、評価結果の客観性を高めるために、昨年度、機構における外部委員による評価研究委員会での検討を行いまして、抜本的な改正を行い、今年度から新たな手法で実施いたしております。
○山口(文)委員 事業者としては、それぞれの評価を受けるということは、非常に財政的にも負担がかかるし、また時間的にも負担のかかることですけれども、当然、指導検査というものは、最低基準のサービスがきちんと行われるために実施されるべきものであり、そうはいっても、多様なサービスのニーズにこたえる、そしてまた、その選択に資するためには、この第三者評価というものも大変有効な評価の一つだと思っていますが、これをもう少し実効性を高めて、ともすると、やはり法で決められた義務づけの方が優先されるわけですから、第三者評価の実効性というものも高めるべきではないかというふうに考えていますが、これを進めていく立場の都として、今後の考えを伺いたいと思います。
○菅原指導監査室長 第三者評価の活用についてのお話でございますが、先ほど述べましたように、指導検査は、適正な運営の確保や利用者サービスの向上等の観点から、社会福祉法人や施設などが法令に定められている人員あるいは設備などの基準を遵守しているか否か、こういったことを確認して指導を行うものでございます。
第三者評価制度も、利用者サービスの質の維持向上を図るということを基本としておりまして、既に受審された第三者評価の結果を指導検査の際の参考にするということは、効率的に指導検査を行う上で大変有意義なことと考えております。現状におきましても、実地の指導検査等の際に第三者評価の受審を奨励しているところでございまして、今後とも、指導検査をより効率的、効果的に行う視点から、ご指摘のように、第三者評価の有効活用を図ってまいります。
○山口(文)委員 サービスの種類も非常にふえているんですけれども、一番大きいのは、障害者の施設だとか認知症の対象の施設、それから在宅サービスについての評価項目については、評価機関の方も苦慮しているというようなことも聞いておりますので、そういった検討についても東京都はぜひ力を入れていただきたいというふうに思います。
最後に、ことし三月に終了しました介護保険を育む会は、市民参加で実施されて、法施行後の三年、五年の見直しに向けて都民の意見が一定程度反映されたと思っています。今後の介護保険事業計画策定などへの市民参加について都としての見解を伺って、質問を終わります。
○長谷川高齢社会対策部長 都では、次期三カ年の介護保険事業支援計画と老人保健福祉計画とを一体的に作成するため、本年五月、東京都高齢者保健福祉計画作成委員会を設置しました。その中で公募委員を三名委嘱し、計画作成に向けた議論に都民の立場から参画していただいているところでございます。
また、計画の検討過程でパブリックコメントを実施することとし、現在、これまでの検討内容をリーフレットに取りまとめ、広く都民からの意見を募集中でございます。
こうした取り組みを通じ、計画作成により広い都民の視点から適切ないろいろな意見を反映させていければというふうに考えております。
○早坂委員 救急災害医療についてお伺いいたします。
都民が安心して暮らしていくためには、災害、事故、急病のときに、いつでも、どこでも確実に医療にアクセスできる体制を整備することは、行政の役割として最も重要な一つであると私は思います。東京都は世界的な大都市であり、東京にふさわしい取り組みが必要であります。
そこで、まず、東京都が全国で初めて整備した災害医療派遣チーム、東京DMATの役割と整備の現状、さらには、発足以来これまでの出動事例は具体的にどのようなものか、お伺いいたします。
○丸山医療政策部長 東京DMATの役割は、震災などの自然災害に加え、大規模な自動車事故や列車事故などの都市型災害において、専門的な研修を受けた医師、看護師などが被災現場に出動し、救命措置を行うことでございます。
整備状況は、現在、十三の指定病院に約二百五十人の隊員が登録されてございます。
昨年八月二日発足以来、十四回の出動実績がございます。具体的には、自動車の多重衝突事故、工事現場の爆発事故やガス中毒などで被災現場に出動し、負傷者に対する医療活動を行ってまいりました。このほかに、昨年十月の新潟中越地震の際にも、新潟の要請により被災地の震源地の小千谷市に隣接した小国町にて、診療所での医療支援及び避難所での医療活動、救護活動を行っております。
○早坂委員 病院にいかに早く運ぶかというだけでなく、被災現場に医療スタッフが出向き、現場で医療行為が開始されるという新しい発想での取り組みであると理解いたしました。今後もよりよい成果を出せるように充実していただきたいと思います。
今のお答えでは十三病院で整備されているとのことでありましたが、NBC災害対応に対する備えはどうなっているでしょうか。また、今後DMATをどのように充実していくか、ご見解をお伺いいたします。
○丸山医療政策部長 NBC災害への備えとしては、東京DMAT指定病院のうち六病院に対し、患者さんを受け入れるときに患者さんの汚染を除去するための除染テントと、医療従事者を汚染から守るための防護服を配備しております。今年度、さらに五病院に防護服を追加配備する予定でございます。
また、東京DMATの充実でございますが、指定病院や隊員の拡充、隊員の医療救護活動の能力の維持向上のために研修などを実施し、今後とも東京DMATの充実に向けて取り組んでまいります。
○早坂委員 災害時の医療救護については、DMATの活動や災害拠点病院の整備が大切であります。また、一般病院や診療所が被災しないで機能を維持できることも重要だと思いますが、ご認識をお伺いいたします。
○丸山医療政策部長 都内の全病院及び救急診療所に対しまして、毎年、大規模地震発生時の対応措置の習熟などについて説明会を開催し、実践的訓練の推進に向けた普及啓発を行っております。
なお、一般の病院や診療所の震災時の機能維持は大変重要と考えており、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
○早坂委員 被災者を受け入れるための災害拠点病院が耐震化されているのはもちろん当然のことでありますけれども、災害時に診療を受け持つのは、一般病院も診療所も同じであります。数年前、災害時の避難所となる公立の小中学校の耐震性が五割程度しか確保されていないということが明らかになって、現在、急ピッチで小中学校に対する耐震補強工事が行われています。同様に、災害時に被災者が駆け込んでくるであろう病院や診療所が、行ってみたら、地震で倒壊していましたということでは、都民の安全は確保されません。その病院や診療所に耐震性が確保されているのか、まず、耐震診断や、その上で必要なところは耐震補強工事を行っていく必要があると考えます。これは都立病院であろうが、民間の病院、診療所であろうが、同じことです。いつ来てもおかしくはない大地震に備え、民間の診療機関に対しても、その公的役割にかんがみ、耐震化を大急ぎで進める施策を検討していただきたいと考えます。
次に、DMATの活動を支えている救命救急センターの整備についてお伺いいたします。
救命センターは、救急医療の中でも、生命危機を伴う重症者に二十四時間いつでも対応する重要な施設です。そこで、救命センターとして必要な施設、設備、人員はどのようなものか、また、救命センターはどのくらい整備すべきという考え方、計画があるのか、東京都における整備状況はどのようなものか、あわせてお伺いいたします。
○丸山医療政策部長 厚生労働省が示した医療計画作成指針では、おおむね人口百万人単位で整備するものとされております。都では、地域性も勘案し、十二の二次保健医療圏に一つ以上確保することとしており、現在、都単独の補助施設五カ所を含め、合計二十一カ所を整備してございます。
施設整備、人員ということに関しましては、東京都救命救急センターの設置運営要綱におきまして、救命救急センターの責任者が直接管理する専用病床を二十床以上整備すること、専用病床のうちICU、CCUを常時合わせて六床以上整備すること、二十四時間の診療体制を確保するため、救命救急センター専任の医師及び看護師を配置することとしてございます。
○早坂委員 救命センターは高度な救命医療を提供するため、相当の施設整備や人員を確保しなければならない、このことがよくわかりました。
このように重装備の施設は、きちんと活用されていないと意味がありません。また、救急患者をいつでも受け入れるという使命から、空きベッドがないようでもまた困ると思います。現在の整備されている救命センターの利用状況や活動実績についてお伺いいたします。
○丸山医療政策部長 平成十六年度の実績でございますが、患者取扱延べ数は十五万二千五百三十人でございまして、病床の利用状況は約八〇%となっております。
なお、厚生労働省は、救命救急センターを再評価し、その機能を強化することを目的に、診療体制や患者受け入れ実績等につきまして、その充実度に関してA、B、Cの三段階で評価を行う制度を設けておりまして、平成十七年度の都内二十一施設に対します評価結果は、すべて最上位のA評価でございました。
○早坂委員 現在都内にある救命センターはそれぞれ充実した活動をしているという評価であり、東京都全体としては、重症患者の命を守るという目的も達成されているという説明だったと思います。
救命センターはまさに生命を守るとりでであり、重症の救急患者を一刻も早く受け入れるという使命を果たすものであることを考えると、都民の視点から見れば、一定の時間内に利用できるように配置されていることが理想的であると思います。しかし、救命センターの配置について、東京の地図で位置関係をよく見ると、二次医療圏に一つとはいっても地域偏在があるように思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
○丸山医療政策部長 救命救急センターは、生命危機を伴う重篤な患者への三次救急医療を担うもので、全都的なニーズにこたえられるよう整備することが基本であると考えてございます。
都では、高度で総合的な医療技術を有する専門医の確保も課題である中、重篤患者の増加や地域性を勘案し、二次医療圏に一つ以上を確保しており、このことから、整備数は国の指針を超える二十一施設となってございます。
○早坂委員 国の基準では都内に十二カ所あれば足りるとされている救命センターが現在二十一カ所ある、こういうお答えでありました。だからこのままでいいんだということにはならないと私は思うんです。それぞれの救命センターの能力や地理的な配置などをかんがみて、絶えずよりよい救命救急医療体制を模索する必要があると私は考えます。
例えば、現在、救命センターの配置が比較的薄いと思われている地域で、みずから救命センターの役割を担いたいという民間病院がある場合には、そうした意欲ある病院を積極的に活用することも考えられるのではないでしょうか。現在の二十一カ所の救命センターの指定が既得権益になってしまい、現在の体制をもっとよくしようという努力に対して思考停止に陥ってはなりません。現在、国において医療制度改革が進められていますが、効率的で、住民の目から見てもわかりやすい体制を構築していくことが重要であります。今後、東京都としても救命センターの整備の考え方や要件などを新たな発想で検討していくことをお願いいたします。
次に、医療費及び健康づくり施策についてお伺いいたします。
高齢化の進行に伴い、老人医療費は増加傾向にあります。平成十五年度の国民一人当たりの医療費は平均二十四万七千百円に対し、六十五歳以上のそれは六十五万三千三百円、老人医療費は十一・七兆円で、国民医療費の約四割を占めています。そこで、今日、医療費抑制の議論が生まれています。しかし、そもそも行政が医療に介入することの根拠はナショナルミニマムの設定、すなわち、すべての国民が必要な医療を受けられるようにするという最低保障にあります。総額管理に代表される医療費抑制は、いってみれば最低保障が受けられるハードルを高くすること、つまり、お金がかかるから、軽い風邪なら医者にかからないでください、重くなってから来てください、こういうことだと私は理解しています。
国民皆保険の精神は、いつでも、どこでも、だれでもが必要な医療を受けられることにあります。風邪の場合、軽いときにこそ直すべきで、後で重くなって、肺炎になってからかかるようでは、入院も必要になるし、それこそお金がもっとかかります。お金がない人でも税金を使って教育が受けられる、これが義務教育であります。お金がない人でも社会保険を使って医療が受けられる、これが国民健康保険であります。教育も医療も行政が一切介入せず、市場の原理に従って、受ける、受けないの判断を個人に任せるという手段もありますが、しかし、基礎的な読み書きや最低限の医療を国民全体が共有することにメリットがあるという社会的な合意のもとに、これを現在強制していると私は思います。
つまり、義務教育も国民皆保険も、その成果は個人に帰属はいたしますけれども、すべての国民がそのメリットを受けるということによって、社会全体に大きな利益が還元されているということで成り立っているわけであります。現在、義務教育は小学校、中学校の九年間ですが、これを、国家財政が逼迫しているので、例えば中学校には自分のお金で払える人だけが行ってくださいということと、現在の理論は同じことだと思います。
総額管理、医療費抑制の議論は極めて慎重に行わなければならないと私は考えています。予防にまさる良薬なしといわれます。つまり、病気にならないよう常日ごろから健康管理をしておくことが最も有効で、最も安上がりな方法であります。特に、死因の六割を占める生活習慣病の予防は非常に大切であります。
そこでまず、生活習慣病の実態とその予防についてお伺いいたします。
○杉村保健政策部長 生活習慣病としての代表的な疾病は、糖尿病、高血圧、高脂血症などでございまして、例えば、糖尿病が疑われる人は、国の実態調査によりますと、全国において、平成九年度千三百七十万人から平成十四年度は千六百二十万人へと増加をいたしております。
これらの疾病は、重症化により心臓病や脳卒中などを引き起こすこととなります。発症の要因には、不適切な食生活や運動不足が深くかかわっております。このため、生活習慣病の予防のためには、日常生活の中で適切な運動、栄養、休養を身につける取り組みが極めて重要でございます。
また、疾病を早期に発見し、治療に結びつけるため、各種の健康診査を実施いたしております。健康診査には二つの仕組みがございまして、一つは勤務先事業所が会社員等に行う職域の健康診断でございまして、もう一つは区市町村が老人保健法に基づいて専業主婦や自営業者などに行う基本健康診査でございます。
○早坂委員 東京都における健康診査の受診率は、平成十六年度は六二・一%、毎年増加傾向にあります。ただ、受診率が向上しても、健康診査の結果、生活習慣病の疑いがあるとして、専門的な指導あるいは医療的な対応が必要と判断された際に、効果的な対応ができなければ無意味であります。私の仲間でも、赤信号がともった人に限って、お医者さんに行くとお酒が飲めなくなるからといって、余計お医者さんに行かなくなる、こういう人もいるようであります。自己責任とはいいつつも、行政として何らかの対応が必要かなとも思います。
健康診査で生活習慣病の疑いがあった場合の対応についてお伺いいたします。
○杉村保健政策部長 基本健康診査におきましては、生活習慣病のおそれがあったときに、健診結果の説明にあわせ、医師が個別に指導を行っているほか、区市町村の保健師等が実施しております健康教育、健康相談の中で、適切な生活習慣の改善指導を実施いたしております。
また、都におきましては、要指導とされた方に継続的な指導を行うため、健診を行いました医師や区市町村の栄養士等が適切な指導を行います生活習慣改善指導推進事業を実施しております。
なお、基本健康診査の結果、要医療と判定された者につきましては、医療機関で必要な検査、治療が行われることになります。
○早坂委員 健康づくりは、個人の自覚と実践が基本であり、都民一人一人が健康の自己管理に取り組むべきでありますが、そうした取り組みを支援するのが行政の役割であります。健康の自己管理を徹底するためには、幼少期からの自分の健康診断のデータなどを一貫して保有して、それに基づいて健康づくりの取り組みを行うことが有効だと考えます。そのため、生涯の健康情報を一元化することが必要だと考えますが、東京都のご見解をお伺いいたします。
○杉村保健政策部長 ただいまご指摘がございました、生涯を通じた継続的な健康支援、一元化の問題につきましては、極めて重要であると考えてございます。現在、年齢や職業などで、健康診査や保健指導の制度は異なっており、これらの制度間の連携が課題となっております。国におきましては、健康診査のあり方など、今後の生活習慣病対策の推進について検討がなされておりまして、こうした動向を踏まえながら、今後、都としても、地域保健と職域保健との連携などを積極的に進めてまいります。
○早坂委員 高齢化の進行に伴う国民医療費の増大、また介護保険給付費についても、制度発足以来、一貫して増加しています。生涯を通じて都民の健康づくりを支援し、かつ社会保障制度に係る将来世代の負担を軽減するためには、東京都として健康づくり施策を充実させるべきだと考えます。今後の施策展開についてお伺いいたします。
○杉村保健政策部長 都民の健康づくりを一層推進するためには、生活習慣病の早期発見、早期治療といった二次予防の充実に加えまして、委員ご指摘のとおり、都民一人一人の主体的な健康づくりを社会全体で支援し、生活習慣を改善していくことが重要だと考えてございます。
都といたしましては、都民が正しい生活習慣を身につけ、健康づくりに取り組めるよう社会全体で支援するため、行政や民間団体が相互に協力、連携する仕組みとして、今年度中に東京都健康づくり応援団を発足する予定でございます。
また、都における健康づくりの基本計画でございます、東京都健康推進プラン21につきまして、現在、後期五カ年に向けて、中間評価・改定の検討を行っているところでございまして、この中で具体的な取り組みを位置づけてまいります。
○早坂委員 ありがとうございました。
最後に、ホームレス対策についてお伺いいたします。
まず、東京都内におけるホームレス数の推移について教えてください。
○狩野連絡調整担当部長 東京都は、都内における路上生活者の概数調査を八月と二月の年二回実施しております。直近の平成十七年八月の調査結果では、二十三区内の路上生活者数は四千二百六十三人であり、前年同月比較で千二百三十四人の減少となっております。
○早坂委員 七年ぶりに五千人を下回ったということでありますが、近年、ホームレスが五千人前後で推移していた背景には、不況とそれに伴う失業率の悪化など経済情勢によるもの、廃品回収など都市雑業の存在などによる周辺からの流入など、大都市特有の社会情勢があると思います。こうした状況を踏まえ、東京都としてホームレス対策を実施していると考えますが、具体的な実施策と、その成果についてお伺いいたします。
○狩野連絡調整担当部長 ホームレス対策の基本は、自立した生活を回復させ、地域社会の一員として社会に復帰させることにあります。そこで、東京都は、平成十三年八月に特別区と路上生活者対策事業にかかわる都区協定書を締結し、特別区の各ブロックに、ホームレスの心身の健康回復などを図る緊急一時保護センターと、就労支援を行う自立支援センターをそれぞれ一カ所ずつ設置することとし、自立支援システムをスタートさせました。現在、特別区内の五ブロックには計十カ所の施設を設置してございます。
実績といたしましては、緊急一時保護センターにつきましては、平成十七年八月末現在で、これまで約一万一千人が入所し、そのうち約半数が自立支援センターに進んでおります。同様に、自立支援センターにつきましては、これまで五千三百九十四人が退所し、そのうち約半数の二千七百五十人が就労によって自立しております。
また、平成十六年度から、都内のホームレスが多い五公園を対象に、ホームレス地域生活移行支援事業を実施しております。本事業は、これまでの自立支援システムでは対応が難しい、公園で生活をしているホームレスに対して、借り上げた住居を提供し、あわせて就労や生活に関する支援を行うことにより、地域における自立生活への移行を目指すものであります。
実績といたしまして、平成十七年八月末現在で、既に七百三十人余りの元ホームレスの方が公園から借り上げ住居に入居しております。
○早坂委員 ホームレスの数が減少していることからも、これらの事業は着実に成果を上げていると思います。事業の対象になった五つの公園においては、公園本来の機能も回復しつつあります。ただ、なぜ別の事業を展開する必要があるのか、二つの事業の違いとそれぞれの予算についてお伺いいたします。
○狩野連絡調整担当部長 先ほど申し上げましたように、平成十三年度から、東京都は、特別区と共同して独自の自立支援システムを立ち上げるなどして路上生活者対策を実施して、一定の効果を上げてきたところでございます。これまでのこうした自立支援システムでは対応が難しいホームレスが存在することもわかってまいりました。その多くは、廃品回収等の都市雑業により一定の収入は得ているものの、アパートなどの家賃の支払いが困難であるため、公園で定着的に生活している人たちであります。平成十六年度から実施しております地域生活移行支援事業は、公園で生活しているこれらホームレスに対して、借り上げた住居を提供し、あわせて就労支援や生活相談などを行うことにより、地域での自立した生活へ移行できるよう支援する事業であり、これまでの自立支援システムを新たに補完、拡充することで、ホームレス問題の抜本的解決を図ろうとするものでございます。
予算額でございますが、自立支援システムにつきましては、平成十七年度予算は十三億二千九百六十万、地域生活移行支援事業につきましては九億八千八百万となっております。
○早坂委員 今のお話では、路上生活に入ったばかりの方については自立支援事業によって社会復帰をまず促進して、もう一方、一定期間以上の路上生活を送って、ある意味では公園などに生活基盤を置いている人については地域生活移行支援事業で対応していくという二つの区別がよくわかりました。ターゲットに応じて事業を構築するなど、なかなか努力をされているんだなというふうに思いました。
しかし、五千人のホームレスを対象に、合計二十三億円の事業費をかけているということは、一人当たり実に四十六万円かけているということになります。今後も永続的にこれだけの予算を投入していくことについては、広く都民の理解が得られるかどうかは、私は疑問に思います。
そもそもホームレス問題は、大都市を中心とする広域的な課題であり、その解決には、雇用や所得保障など社会全体での取り組みが不可欠であります。食べる食でなく、働く職を与えることこそがホームレス対策の本質であると私は考えています。
今後も、ホームレス対策に当たっては費用対効果を勘案し、地域を重点化するなど、めり張りのついた施策展開を行うべきだと思いますが、ご見解を伺います。
○狩野連絡調整担当部長 先ほどご説明いたしました、平成十六年度から実施しております地域生活移行支援事業のこれまでの効果検証をしたところでは、この事業を利用した者の平均年齢は五十歳代半ばとなっており、そのほとんどがいわゆる生活保護の予備軍というふうにいえる生活状況でございます。この事業は、そうした層のホームレスの自立心を引き出すということで、生活保護受給を最小限に食いとめており、一定の成果があったというふうに考えております。
現在、平成十七年八月の調査によれば、東京都内二十三区内には、五公園以外にも、ブルーテントを張り定着的に生活をしている地域がまだまだ多く確認をされております。これらの地域では、公園等の公共空間の自由な利用が妨げられていることにより、地域住民とのあつれきが生じたり、多くの苦情が都にも寄せられている状況でございます。
こうした状況を踏まえまして、先生ご指摘のように、ホームレス対策の基本は就労による自立を図るということであって、すべて税によって自立を図っていくということではなくて、本人の自助努力によって自立できるように、効果的、効率的な施策展開を行っていくべきであるというふうに考えております。
○斉藤委員 それでは、保育サービスについて大きく二題伺いたいと思います。
これまで多くの委員の方から保育サービスについては質問がありましたが、若干かぶるところがあるかもしれませんが、そのあたりについては、こちらも少し角度を変えながら工夫して質問したいと思います。
まず一点目なんですが、先ほど保育施設に関しては幾つか質問がありましたが、私の方としては、認証保育所と保育室に関係した部分で質問したいと思います。
次世代育成支援対策推進法に基づいて作成されました次世代育成支援東京都行動計画、これに含まれます東京都保育計画においては、都は保育室についてはレベルアップを促進し、早期に全施設の認証保育所B型への移行を目指します、としています。先日、最初の委員会でいただきました東京の福祉保健二〇〇五の方でも、もっと平易な言葉で同様のことが書いてあります。
平成十三年度の認証保育所制度の創設以来、現在までに何施設が認証保育所に移行し、現在、何施設が保育室として残っているのか伺います。
○都留少子社会対策部長 平成十三年度の認証保育所制度創設以降、十七年十月一日までに、A型に二十六カ所、B型に七十一カ所、計九十七カ所が移行いたしております。
平成十七年十月一日現在の保育室の数は百五十一カ所となっております。
○斉藤委員 答弁では、移行が済んでいるところが九十七カ所で、現在、保育室が百五十一カ所ということで、現在は保育室の数の方がまだかなり多いというふうになっております。
私の地元は小平市なんですけれども、もともと保育室が十室ありまして、そのうち既に六つが認証保育所に移行して、さらに新規が一カ所加わって、七つの認証保育所がございます。こういったことで、私自身は、全都的にはもう少し移行が進んでいるのかなというイメージを持っていたんですが、今の答弁を聞きますと、数字的にはかなりまだ保育室の方が残っているという感じがいたします。
もちろん、東京都は移行を進めています。当事者の方の保育室、事業者の方は、それを望んでいるかどうかというのはまた別問題というふうになるわけなんですが、移行の意向じゃないですけれども、移行の希望があっても、どのような理由で移行ができないのか、わかれば教えていただきたいと思います。
実は私、下の子が三歳なんですが、ゼロ歳のときに地元の保育室の方を使っておりまして、大変狭かったんですけれども、木造平屋で周りが畑という大変牧歌的な、小平でも珍しい、非常にのんびりした施設でございまして、中の方も、中の園長先生も、大変理想が高い。設置基準は高くないかもしれないけれども、理想は高いということで、割と利用者の方の評判はよかった。
こちらの方へ伺ったときに、認証保育所、別に嫌なわけじゃないけれども、実際にその近辺で借りるテナントが、ちょうどいいテナントがないというような物理的な事情がございました。こういったことが実際にはほかの施設でもございましたので、ぜひともそのあたり確認したいと思います。
ある程度の移行が進んでも、結果的に保育室として残ってしまう施設の中には、こういった、本当に物理的な問題で移行できないところも、ほかにもたくさんあるんじゃないかと思います。そのような施設に対して移行をどのように進めていくのか、この辺をぜひとも伺いたいと思います。
○都留少子社会対策部長 保育室から認証保育所B型への移行が進まない主な理由は、面積基準をクリアできないなどの設備面の課題が解消されないということでございます。このため、平成十七年度に、次世代育成支援緊急対策総合事業補助制度におきまして、改修や移転の経費を補助する移行促進事業を創設いたしました。これは区市町村への補助でございます。
移行促進策を活用いたしまして、今後も引き続き認証保育所への移行促進を強力に働きかけてまいります。
○斉藤委員 ちょうど今年度ということで、実は私なんかも利用していたときには、まだこういった制度がありませんでした。実際に本当に移行を望むならば、やはりこういった部分を相談に乗ってあげるなり、それこそ今回みたいに経費を出していくというふうなことをしなければ、実際には動けないところがたくさんあったんじゃないかと思います。この辺については、また今後、どのように効果が上がったか。特にこれ、市区町村補助でございますので、なかなか地元自治体の方でお金が出せないという事情もひょっとしたら絡んでくるかと思います。この制度の現実性については、また今後ぜひ検証していただきたいと思います。
こういった中で、認証保育所の方に移行が進んでいくと思うんですが、その際に、十三時間以上の開所ということでうたっております。私が今使っている社会福祉法人の認可保育園なんかも、朝七時-夜七時という間ですので、十二時間。一時間程度の差ではありますけれども、それでも十三時間というのは、これまでの保育所の中ではかなり長い方です。
この開所時間は了解しているわけですが、実際の保育時間、一人のお子さんを預けている時間の実態というのはどのようになっており、それについて都はどういうふうに考えているんでしょうか。
特に、保護者の多様な職業や勤務形態への対応から、認証保育所を経営している事業者の方々も、正直、受け入れ時間は幅広く、ただし預ける時間は一定にと。一定にというのは、つまり、そこそこに、余り長くならないようにということを理想としているというのを聞いております。これはもちろん、受け入れ時間が長いのはいいとして、預ける時間が結果的に長くなってしまえば、当然、保護者の保育放棄や子どもへの負担ということが心配されますので、この防止には、こういった事業者の感覚及び保護者の感覚も大変大事であるというふうに考えます。
このような観点から、東京都の考え方、保育時間の考え方について教えていただきたいと思います。特に、ふだん、平日常に預けている保護者の方と、一時保育みたいな形で入ってくる保護者の方の感覚は大分違うらしいんですけれども、東京都はこのような形で使ってほしいというふうに考えているものがあれば、教えていただきたいということです。
それと並行して、東京都が保育施策の充実を図ることだけで育児支援を何とかするという時代はもう終わっているんじゃないかなと思います。今、東京の福祉保健を見ますと、いろんな保育サービスが並んでいるんですけれども、市区町村が絡んでいる事業がほとんどですね。むしろ、今こうなってみると、東京都が本当の意味でリードして、現存するというのは、認証保育所の制度が一番大きくて、あとは、どちらかといえば市区町村の方が主体になってやっているという感じを受けます。
これがどんどんどんどん進んでいけば、市区町村が保育は全部やっているんだ、東京都は何となくそれを遠くから援護しているだけで、本当に現場の判断の部分というのは、市区町村がちゃんとやっていればよくて、東京都の方はお伺い立てても余り現場はわからないし、ちょっと話にならないなみたいな感じが、私が市議会の中にいたときにも随分話があったんですね。
ですから、そういったことを考えると、じゃ、市区町村ができるものは確かに保育の部分で任せよう、そのかわり、東京都しかできないものは何かというものをちゃんと見つけて、その部分をちゃんとやって責任を果たしていく、これがやっぱり東京都のこれから求められるスタンスじゃないかと思います。
いつか保育室が全部、認証保育所もしくはしかるべき形に落ちついて、移行の部分というのは悩みが減りましたというふうになったときに、やはり認証保育所だって市区町村により近づいていくということがあると思います。そういった中で、東京都しかできないことを考えていく。東京都だからこそこれをお願いしたいという、少子化対策もしくは保育サービスというのをお願いしていかなきゃいけないんじゃないかと思います。
この中で、私はぜひ今回、要望というんでしょうか、意見というんでしょうか、お伝えしたいんですけれども、現在の東京都は、いわゆる中小企業を含めた就労現場における子育て中の就労者への配慮、支援、さらには協力的な企業への支援、こういったものをぜひとも強くやっていただきたいと私は思うんですね。市区町村ができない部分です、正直いって。もちろん、国がやる部分というのは大きいわけなんですけれども、そうはいっても、東京都は保育の現場もある程度わかっているし、産業労働局との距離もこちらの部局は近いですし、そういったことを考えれば、やはり東京都ならでは、つまり、市ができないようなこと、区ができないようなことを、中小企業についてアプローチして、そっちの方でバックアップをしていく、こういったことをぜひやっていただきたいと思います。
きょうは大変職員さんがたくさんいらしています。若い方、男性の方、随分後ろにいらっしゃいますが、男性の方で育児休暇をとったことがある方っていうのを、本当はぜひ聞いてみたいですね。
実は私、小平市の方で同じ質問をしましたら、総務部長が、ほとんどいないと下を向きながら答えていたときがあります。多分、議会対応で忙しいといわれれば、私も文句はいえないんですけれども、東京都の方でそういったことができなくて、中小企業にやれといっても、なかなかやっぱり難しい。その辺も考えて、ぜひそういった取り組みを頑張っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○都留少子社会対策部長 まず、認証保育所のことでお答えいたします。
認証保育所に実際に子どもを預けている時間ですけれども、八時間から十時間が最も多くて四割、次いで四時間から八時間が二五%で、合わせて全体の三分の二が十時間未満となっております。長時間開所している、十三時間以上開所しているということが必ずしも長時間保育に結びついているとはいえません。
それから、認証保育所は十三時間開所を義務づけておりますけれども、それは長時間保育を推進するために行っているわけではなく、大都市で働く保護者の通勤時間の長さですとか、早朝や夜間など多様な勤務形態に対応したニーズにこたえていく必要があると考えております。
それから、後段のことでございますけれども、少子社会対策を考えます上で、働き方の見直しは大きな課題となっております。都の次世代育成支援行動計画でも、仕事と家庭との両立の実現を目標の一つに掲げ、仕事と子育てが両立できる職場づくりを目指しております。
今後とも、関係局との連携を密にしながら、都民や企業への普及啓発活動の推進を図ってまいりたいと考えております。
○斉藤委員 わかりました。ぜひ他局と連携して頑張っていただきたいと思います。
では、もう一点。先ほど、かち副委員長の方から、学童クラブの特に設置基準等について質問がありました。多少かぶるところがありますが、私なりの角度で質問をしたいと思います。
学童クラブについて、次世代育成支援対策推進法に基づき策定された次世代育成支援東京都行動計画、先ほども私、例に出しましたが、学童クラブの充実が含まれています。現在、その学童クラブの運営主体別の設置状況について伺います。
○都留少子社会対策部長 平成十六年三月三十一日現在の数字でございますが、公設公営の学童クラブが一千三十八カ所、公設民営の学童クラブが二百二十カ所、民設民営の学童クラブが五十三カ所、合計一千三百十一カ所となっております。
○斉藤委員 学童クラブも民設民営が五十三カ所と、民設が大変多くなってきたという感じがいたします。先ほどのやりとりにもありましたように、実際に学童クラブの施設基準そのものは、各市区町村にお任せをされている部分でありますし、地方分権の関係からしても、今後もその辺、余り変わらないかと思います。
これ、またまた私の地元の例で申しわけないんですが、うちの方、小平市の方で、各学校の敷地内に学童クラブがございます。学校の外に学童クラブがあって、学校が終わるとそこに通うという市から見ると、全部の学校の中に必ず学童クラブがあるというのは結構驚きなわけです。逆に、うちのような、小平市のようなところから見れば、ああ、外に学童クラブがあるんであって、放課後に移動するのは結構小さい子なんか安全上大丈夫、みたいな、そういうわからない心配があるわけですね。全部それぞれ違うわけですね。心配のところも違うし、設置の考え方も違う。
そういった中で、逆に小平市なんかが悩んでいるのは、学校の中に施設をつくったものですから、本当に人数がふえると場所がないんですね、広げるような。校庭を削って……(「空き教室を使えばいいじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、空き教室があればいいんですけれども、空き教室がない学校もたくさんありまして、(発言する者あり)実はいろいろ……。
こういった中で、さっきいったみたいに、大きく分かれて、校内、校外というレベルでクラブがあったりすると、なるほど、設置基準をある程度一緒にしていこうというのはほとんど難しいかなと思うわけですね。
そうはいっても、実際にそれぞれの市区町村で、学童クラブの成り立ち、この成り立ちに伴って、施設の成り立ちも違うわけなんですけれども、正直、小平市なんかは、体育館の準備室を転用したり、かなり無理をしてつくっているところがあるんですね。そういったところを見ますと、本当にいい施設と、設備的に首をかしげる施設の差は大変大きいわけです。
こういった中で、設置基準そのものを全部一定にしてというのは、やはり現実問題、難しいです。ただ、ぜひ確認したいのは、このあたりについて実際に東京都の方の考え方。この後また詳しく質問するので、簡単に今は伺うんですが、こういった施設面の対応の不十分さなどを考えると、学童クラブ事業は市区町村によって定義や考え方がまちまちですが、施設基準について、もちろん市区町村にお任せの部分はあるわけですけれども、一応東京都の考え方を確認の意味で聞いておきます。その後、また質問いたします。よろしくお願いします。
○都留少子社会対策部長 学童クラブ事業につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、施設基準ですとか定員に関する明確な基準がございません。事業の実施主体である区市町村が地域の実情を的確に把握し、整備、運営を行っているということでございます。
○斉藤委員 ちょっと確認だったので。重複した部分ですが、余り省くと流れがあるものですから。
それで、先ほど答弁の中でちらっと出たと思うんですが、安全の部分。特に市区町村について、網かけをするといっても、今さら非常に難しい部分でありますし、それがいいとは限りません。ただ、安全対策、安全基準というのは、これはそこそこのもの、そこそこ一定の部分というのがあるんじゃないかと思います。先ほど、かち副委員長も質問していた中に、設置基準みたいなことで話をくくっていましたが、実際には、恐らく安全・安心という部分がもとの発想の中にあるんじゃないかと思います。つまり、安楽、子どもたちを保育する上での子どもたちの安楽という点では、いろいろ価値観はあると思うんですけれども、本当の意味で安全という最低限の部分でいえば、ある程度統一したもの、ある程度一定の水準みたいなものというのが見えるんじゃないか。
これが実際に法律なんかだと、一般の建物についても、どんな建物をつくってもいいけれども、やはり建築法は守ってほしい、その後、消防法もさらに守ってほしいというふうに、ある程度一定のラインがあるように、こういった学童クラブなんかについても、一定の安全対策、安全基準というものは、やはりだれが見ても納得できるものが存在するんじゃないかというふうに考えます。
特に、先ほど、民設民営の話が五十三カ所ということで出ていたわけですけれども、だんだんこういった部分が進んでくると、今、学童クラブなんかについては、保育所の延長、保育所を利用した人が、その後上がっていって学童クラブというケースが大変多いわけです。それを考えてみると、だんだんだんだんあって当たり前というふうになってくれば、当然、さっきいった民設民営というのがふえてくると思います。こういったときに、やはりある程度の、少なくともここの部分は、というのがはっきりしていないと、それこそなかなか掌握するのは難しい。
全部を掌握することは、さっきいった各自治体にお任せするにしても、この部分とこの部分とこの部分はしっかりね、というのがはっきりしていれば、ある程度極端な例というものは抑えられるんじゃないか。設置基準だと、さっきいった校内、校外では全然違って、ダブルスタンダードになってしまいますが、安全という点では、こういった場合にはこういうものを、というふうないい方ができるんじゃないかというふうに考えます。これについてはいかがでしょうか。
○都留少子社会対策部長 都は国に先駆け、昭和四十年に学童保育事業運営要綱を制定し、平成十年に学童クラブ事業実施要綱に改めるなど、運営基準については適宜必要な改正を行っております。
なお、安全対策につきましては、今年度、要綱を改正し、施設設備、職員体制の点検、安全管理マニュアルの作成、訓練の実施などの内容について具体的に盛り込んでいるところでございます。
○斉藤委員 では、東京都の区市町村学童クラブへの支援がどのようになっているか、確認をしたいと思います。
これについては、ある程度こちらの方の事業紹介にも載っているように、支援していく中で、安全という部分を最低限の配慮ということで訴えていく、伝えていく、そういった意味で、支援に伴って市区町村に要望していくという機会もあるかと思います。それのきっかけになるわけですから、この支援について現状どうなっているか、ちょっと確認したいと思います。
○都留少子社会対策部長 都はこれまで、運営費の補助を行うとともに、福祉改革推進事業を活用し、余裕教室の改修ですとか利用など、学童クラブの設置促進に努めているところでございます。
○斉藤委員 最後に、これは意見になるのかもしれませんが、多くの学童クラブの利用者の方から、安全、もうちょっと安全の上を行けば安楽というふうになるでしょうか、安全、安楽の面から、各市区町村の手法に応じた指導をぜひお願いするという、基準を設けるといういい方をされる場合もあるわけですけれども、要望があると聞いています。
細かい、さっきいった設置基準となると、いろいろまた反発もありますし、現実に対応できない部分もありますが、安全という点でいえば、これは非常に切実な問題でありますし、また多くの方の理解が得られる部分かと思います。
この安全の基準に関して、各市区町村もいろいろ考えてはいるんですけれども、予算面とか、さらには、だれが見ても納得できる安全の基準というのは、なかなか一自治体ではつくりにくい。そういったノウハウやデータがないという場合もあります。こういった点では、やはり東京都の方で、アドバイスというふうになるのかもしれませんが、ある程度一つの流れというものをつくっていくということはあるんじゃないかと思います。
特に、一市、一区の中でやっていくと、どうしてもそれが当たり前になってしまって、過去の流れから、なかなか違った感覚というか、違った基準みたいな、発想みたいなものを出すというのは難しい場合がある。広域の情報とか、各自治体の実情を把握できる立場にある東京都の方から、ぜひその辺はうまく調整して、自由にやってもいいけれども、最低限の安全というものは、こういったことで工夫しながらつくっていってくれ、余り極端になり過ぎてしまって、それが安全の確保という点で不十分であるというような結果にならないように注意してくれという部分については、やはり広域で、東京都が各自治体に働きかけをしていただきたいと考えます。ぜひともよろしくお願いします。
以上、要望ですね、これは。よろしくお願いします。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後四時五十五分休憩
午後五時六分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○谷村委員 色覚バリアフリーと難病対策についてお伺いいたします。
まず初めに、色覚バリアフリーにつきましてですけれども、これは我が党が、公明党が、平成十五年七月一日の第二回定例会で、大木田守議員により代表質問をさせていただきました。都政におきまして、色覚バリアフリー、色覚問題の対策を初めて取り上げさせていただいたわけでございます。
その結果といたしまして、さまざまな変遷はございましたけれども、平成十六年四月より、地下鉄路線図が、交通局のご協力もいただきまして、また営団地下鉄が東京メトロに変わるという絶妙なタイミングも得まして、それまで色だけで路線を分けておりましたものを、アルファベットやナンバリング化をするという、これは色覚障害の方に限らず、外国人バリアフリーにもなるということで、大きな前進をいたしました。
そして、都庁のエレベーターですけれども、総合案内に行きますと、どこの局へ行くには赤色のエレベーターに乗ってください、どこの局には緑色のエレベーターに乗ってくださいといわれるわけですけれども、色覚障害の方にはわからないわけですね。これは庁舎管理部、財務局のご協力をいただきまして、緑色に「みどり」とか、赤色に「あか」とか、普通の方がごらんになると何のことかわからないんですけれども、実は色の違いがわからない方にそういう表記をするということで、これも前進をいたしたわけでございます。
その私ども公明党の代表質問の際に、当時の福祉局長、幸田局長から、この情報バリアフリー化を、東京都福祉のまちづくり推進協議会の新たな課題と位置づけ、今後、ご提案の趣旨を踏まえ、色覚バリアフリーを実現するための具体的方策についても整備基準に反映できるよう検討するとともに、庁内各局はもとより、事業者などと連携を図り、多くの都民が利用する施設で取り組まれるよう努めてまいります、こういうことで、東京都福祉のまちづくり推進協議会の第五期の最終報告が、ことし八月にまとめられておりますけれども、その中に明確に色覚バリアフリーが位置づけられたわけでございます。
まず、第五期福祉のまちづくり推進協議会から最終報告が出されておりますけれども、その提言の意義と、そして、この提言をどのように生かしていくのかにつきましてお尋ねをいたします。
○朝比奈生活福祉部長 本年八月、第五期福祉のまちづくり推進協議会から、委員ご指摘のとおり、ユニバーサルデザインガイドラインの提言が行われました。このガイドラインは、できるだけ多くの人にとってより快適な環境とすることを目指すユニバーサルデザインの考え方を生かして、福祉のまちづくりを一層推進していくため、建築物の整備や公共交通の分野において、ユニバーサルデザインの視点から、望ましい整備のあり方の目安を示したものでございます。
ガイドラインでは、施設整備に当たって重要となります都独自の五つの視点、公平、簡単、安全、機能、快適や、ユニバーサルデザイン度という新しい考え方、情報の受け手の制約状況に応じた情報提供のあり方、お話がございました色使い、音色等が提案されております。
このガイドラインは、これからの福祉のまちづくりを推進していく上で有意義な提案でございます。今後は、普及啓発用パンフレットを年内に作成し、区市町村連絡会や事業者団体連絡協議会等を通じ、行政、事業者、都民へ周知をしてまいります。
このまちづくりの中心に人を据えたユニバーサルデザインの考え方を深く浸透させていくことにより、都民が安全・安心に、そして快適に住み、暮らし続けることができるような福祉のまちづくりに努めてまいります。
○谷村委員 今回の最終報告で、色覚バリアフリーというものが福祉のまちづくりの中に明確に位置づけられたわけでございまして、これは高く評価するものでございます。色使いについてという、二ページにわたって、チェックポイントでは、色の選び方とか色の組み合わせ方、文字に色をつけるときとかと、細かく表記をしていただいておりまして、色覚バリアフリーが大きく前進をしたわけでございますけれども、この色覚バリアフリーの対策について、どういう展開をこれからしていただくのか、お尋ねをいたします。
○朝比奈生活福祉部長 公共交通に関するユニバーサルデザインガイドラインでは、複雑化している都内の交通網の中で、自由に安全かつ快適に移動するために特に必要が高い情報提供に焦点を当てたところでございます。
ガイドラインでは、色覚障害を意識した色使いの必要性や、色名を表示するなど、他の方法で補完する考え方を示すとともに、具体的に色を使う際のチェックポイントを示しております。さまざまな情報がカラーで提供されるようになっており、色覚バリアフリーの考え方の普及啓発はますます重要となってまいります。
今後も、さまざまな場で色覚バリアフリーの取り組みを推進していくための普及啓発に努めてまいります。
○谷村委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思いますが、この色使いについて三〇ページ、三一ページにわたって表記されているんです。これだけでも大きな前進になるわけですけれども、その数ページ後、三五ページに、バス接近情報を知らせるバス停留所という表現がありまして、黒い掲示板に赤い文字で書かれているんですね。
色覚障害の方というのはいろんな種類がございまして、緑色とオレンジ色の違いがわかりにくいとか、赤と黒の違いがわかりにくいとか、いろいろおありなわけですけれども、この赤と黒の違いのわからない方にしてみますと、黒い掲示板に赤い表示がなされるというのは、何も見えない状況になるそうなんです。電光掲示板というのは、普通、黄色かオレンジ色で出ていまして、重要情報になると赤になる。赤になった瞬間、重要情報こそ見逃してしまうというか、見分けがつかないという状況でございまして、これはたまたまなんでしょうけれども、こういう表記で、最近の資料というのは色刷りになりますから、色の使われ方で、色覚障害というものが位置づけられたわけですけれども、細かく見ていくと、そういった方に配慮されていない冊子になっているということがございます。
私どもも、地下鉄路線図を変えるという取り組みをいたしましたのは、色覚障害の方のお声を伺って、わかりにくいんだと、十三色で路線が表記されていたわけですけれども、微妙な赤の違いとか、赤と緑色の違いとかがわからない、こういうお声をいただいて、都政におきまして取り上げさせていただいたわけでございます。
今後、こういう色使いについては、実際にそういう障害になっていらっしゃる方じゃないとわかりにくい、また、配慮したつもりでも、ついついそういった色使いをしてしまうということもあるかと思うんですが、カラーチェックをしていただくモニター制度みたいなものを、東京都の何らかの制度の中で位置づけていただけないかというお声をいただいております。これは、委員会でも本会議でも取り上げたこと、まだございませんので、初めて取り上げさせていただくことでございますけれども、これにつきましてご見解をお願いしたいと思います。
○朝比奈生活福祉部長 ご指摘のとおり、色使いにおけるバリアは、当事者でなくてはわかりづらいという特徴がございます。ユニバーサルデザインは、一人一人の個性やニーズを尊重し、改善を積み重ねていくことにより、すべての人にとって暮らしやすい環境をつくっていこうとする考え方でございます。色使いについての貴重なご意見と受けとめ、今後、色覚バリアフリーの普及啓発の方法等を検討してまいりたいと考えております。
○谷村委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。
次に、難病対策についてお尋ねをいたします。
我が党は、さきの本会議代表質問におきまして、都がこれまでにも国に先駆けて難病医療費等の助成を行ってきたことを高く評価する一方で、難病の範疇でありながら医療費助成の対象とならない患者の方々に対して、新たな救済策が必要であるとの観点から、難病対策のさらなる拡充を求めたところでございます。
私は、これまで機会あるごとに、難病で苦しむ患者の方あるいはそのご家族あるいは患者団体の方々とお会いし、ご意見、ご要望を伺ってまいりました。長期にわたる検査や治療などにより、身体的、精神的あるいは経済的に過重な負担を強いられている現状をお伺いするたびに、行政的な対応の必要性を感じずにはいられないわけでございます。
四年前、平成十三年六月に初当選させていただきまして、その直後、平成十三年九月ごろですけれども、原発性硬化性胆管炎という難病に診断されたという、東村山のある青年からご相談をいただきました。医者や大学教授は、これは難病指定してもおかしくないといっているのに、なぜ国は難病指定にしてくれないんでしょうかとか、また、病気との闘いも大変なんですけれども、原因不明であるがゆえに、検査、検査の連続で、治療費がどんどんかかって大変なんですと。命が続くか、お金が続くかもわからないという、それぐらい検査費用にお金がかかるという切実なお声でございました。そしてさらに、希少性という定義であるがゆえに、患者団体もないと。だから、ご夫婦で支え合って、孤独な闘いをされていたわけでございます。
ちょうどその同じ時期、平成十三年十月に、この原発性硬化性胆管炎につきましては、東京都特殊疾病対策協議会におきまして、東京都単独として難病指定に追加すべきと報告、十疾病されましたけれども、その一つに入ったわけでございます。当初、平成十四年度、翌年度の予算案の知事原案には、この疾病対策予算が盛り込まれることもなく、私ども公明党の復活予算要望で、早急に追加疾病とすべきと訴えさせていただいたこともあり、平成十四年十月から、福祉保健局の皆様のご尽力もいただきまして、医療費助成対象となったところでございます。
私にご相談してくださった方は、全国紙のある新聞社にお勤めの方でございましたけれども、大変に喜んでくださっておりました。また、こうした経緯を知った小金井にお住まいの原発性硬化性胆管炎を患っていらっしゃるという方からも、喜びのメールをいただきまして、直接お会いもさせていただいたところでございます。
この最初にご相談してくださいました、東村山にお住まいの原発性硬化性胆管炎にかかっていらっしゃるという方が、去る八月に残念ながらお亡くなりになってしまいまして、このご生前、原発性硬化性胆管炎を難病指定してもらった、私たちの声が届いたということを、心の底から本当に喜んでくださっていたと、その奥さんがおっしゃってくださっておりまして、難病対策、特殊疾病対策に日々取り組んでおられる福祉保健局の皆様には、私からも改めて最大の敬意を表し、御礼を申し上げる次第でございます。
私にご相談してくださった方が四年後にはお亡くなりになったという、それゆえに、私自身、難病を患っていらっしゃる方々の大変さというものを改めて痛感もし、難病対策の拡充に全力で取り組んでいく決意を新たにしているところでございます。
さて、都は、平成十三年の東京都特殊疾病対策協議会報告で新たに追加すべきとされた十疾病につきまして、二疾病は、その後、国の対象疾病となりましたけれども、まず原発性硬化性胆管炎など、平成十四年十月から五つの疾病を対象疾病に加えたのを皮切りに、合計八疾病を、私ども公明党も毎年強く取り組んでまいりまして、この四年間で順次拡大し、現在、二十七疾病を都単独として医療費助成を行っております。
そこでまず、平成十四年度以降に追加した八疾病、二疾病は国になりましたので、八疾病の現在の認定状況、いわゆる認定患者数をお伺いいたします。
○杉村保健政策部長 平成十四年十月以降対象となった八疾病でございますが、平成十六年度末における認定患者数につきましては、ただいまお話のございました原発性硬化性胆管炎が三十四人、脊髄性筋萎縮症が二十八人、アレルギー性肉芽腫性血管炎が六十五人、肝内結石症が二十三人、五番目が自己免疫性肝炎が六百人、それから六番目でございますが、特発性肥大型心筋症が十三人、七番目、成人スティル病が九十四人、八つ目の脊髄空洞症につきましては、本年十月から追加したところでございます。
○谷村委員 難病の定義やその基準といたしまして、その病気にかかっていらっしゃる方が希少性ということが挙げられますので、患者数は当然少ないわけでございますけれども、それでも都単独の対象疾病を拡大してきたことで、都単独指定で、現在、今の数を合わせますと、八百五十七人ですかね、の方々が新たに認定されている。同じ病気にかかっていても、今の八つの、脊髄空洞症はこれからですから、七つの病気にかかっていらっしゃる、同じ病気にかかっていらっしゃる方々は、都外の方々は、この医療費助成を受けられないわけでございまして、自己負担を強いられている。こうした難病対策の取り組みは、東京都の福祉が日本一の福祉であるという、それを目指す、現状日本一であるという一側面のあらわれであろうかと思うわけであります。
そこで、平成十六年度までに拡大した七疾病で、財政的な負担はどの程度ふえたのか。また、都単独疾病全体に係る財政負担はどの程度なのか、お伺いいたします。
○杉村保健政策部長 平成十六年度決算で、原発性硬化性胆管炎など七疾病の医療費助成額は約七千三百万円、また、都単独疾病全体の医療費助成額は約十億円となっております。
○谷村委員 新たに拡大した七疾病の医療費助成額が約七千三百万円。七疾病で七千三百万円ですから、一疾病一千万円の予算をつければできるという、これは単純にはいきませんけれども、拡大して年数がたちますと、対象者もふえる病気もあるでしょうから。しかし、一千万円程度でできるという、また、してきていただいたという状況にあろうかと思いますので、この対象疾病については、可能な限り拡大をぜひともしていきたいと思うわけでございます。
平成十三年十月の東京都特殊疾病対策協議会報告で新たに対象疾病を拡大すべきとされた一方で、ウイルスにより発症する慢性肝炎などの肝疾患が今後見直すべき疾病とされ、平成十四年十月より医療費助成の対象ではなくなりました。
そこで、平成十四年十月より難病医療費助成対象疾病から外された肝疾患患者の皆さんに対し、その後都はどういう支援策を行ってきたのか、改めて確認をさせていただきます。
○杉村保健政策部長 ただいまご指摘がございました慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームにつきましては、B型及びC型肝炎ウイルスにより発症することが解明され、難病の定義になじまなくなったことから、平成十四年十月より医療費助成の対象外としたところでございます。
しかしながら、低所得者などに対しましては、激変緩和措置といたしまして、三年間の経過措置を行ったところでございます。
また、医学の進歩によりまして、B型、C型ウイルス肝炎の初期の有効な治療方法が進んでいることから、ウイルス肝炎総合対策の一環といたしまして、治療上特に重要な入院時の医療費助成制度を創設したところでございます。
○谷村委員 沈黙の臓器といわれる肝臓だそうですので、無症状でご本人が気づかないこともあるそうですし、そのために、早期発見し、早期の治療につなげることが重要となるということだと思いますが、難病としての医療費助成対象疾病ではなくなった現在、肝臓病の患者の方々は、健康保険法あるいは老人保健法などの適用の中で医療費負担をすることになっているわけですけれども、このことで治療がおくれてしまうことがあってはならないわけでして、今では、インターフェロンなどの有効な治療法が進んでいると伺っております。このウイルス肝炎総合対策の中で、入院医療費助成を創設したわけですので、今後とも、この制度が有効に活用されますように、積極的に普及啓発などを行っていただきたいと要望しておきます。
そこで、先ほど来再三取り上げております、平成十三年十月に出されました東京都特殊疾病対策協議会の報告書では、近年の医療や医療技術の高度化、専門化などにより、原因究明あるいは診断などで著しい進歩がもたらされて、それによって医学的かつ科学的根拠のもとに新たに対象を拡大すべき疾病が明確になり、その一方で、逆に見直すべき疾病など新たな提言がなされたものと理解しております。しかし、医療が大きく日進月歩で変貌しているこの時代に、都の難病医療費助成の対象としていない、難治性疾患と診断され、現実に根本治療がなく、対症療法のみで苦しんでいる患者さんやご家族の方々がおられるわけでございます。難病と同じでありながら、医療費助成の範疇に入らないとされ、なおかつ行政の救済もありません。
私がこの患者の方やご家族の方々からご相談を受けております疾病につきまして、難病の定義に当てはまるのではないかと思われるものも少なくないわけでございます。そこで、きょうは、三疾病ほど例に挙げますので、難病医療費助成の対象疾病として定義に当てはまるかどうか、都の見解をわかりやすくお聞かせいただきたいと思います。
最近、四十代半ばの私の知り合いの方がなられたといわれております、最初に、骨髄異形成症候群についてお尋ねをいたします。
○桜山参事 最初に、都の難病等医療費助成対象疾病の基本的な考え方についてご説明申し上げます。
難病等医療費助成対象疾病は、患者数が少ないため研究が進まないこともあって、原因が不明、治療方法が未確立であり、かつ生活面への長期にわたる支障を来す疾病のうち、予後が悪いなど医療依存度の程度が高いものとしております。
ただいまご質問の骨髄異形成症候群は、血液の疾患で、貧血などが主な症状でございますが、予後が悪い疾患ではあるものの、血液のがんであります白血病と類似していると理解しております。現在、国の難病対策要綱において、がんなど別個の対策が行われているものは難病対策から除外されておりますので、医療費助成の対象とはならないと考えております。
○谷村委員 骨髄異形成症候群というのも、私もつい最近知ったばかりですけれども、随分有名な病気ではあるようでございます。お答えいただきました桜山参事はドクターと伺っておりますが、医学的知識がない私たちからしてみれば、どうして入らないんだろうかというふうに思うわけですけれども、今ご説明いただいた、血液のがんの白血病に類似している、がん対策というふうな範疇になるので、難病医療費助成の対象に入らない、こういうご説明だったわけです。
次に、マルチセントリック・キャッスルマン病という方から、私、メールをいただきまして、これは症状が、ただ体調が悪いんじゃないかというふうに誤解をされた、いろんな病院に相談に行ってもわからなかったというんですね。で、ある病院に行くと、やっと、これはキャッスルマン病という難病だという認定をしてくださったというので、難治性の難病にかかっているけれども、病気がわかったということで涙が出るぐらいうれしかったという、そういう難病だと認定されるまでに大変時間がかかった病気のようでございます。百キロ近くあった体重が六十五キロぐらいまで落ちて、発熱は三十七度から九度ぐらい、吐き気、せき、嘔吐、食欲不振、倦怠感という、ただ体調が疲れているんじゃないかとか、精神的な病じゃないか、ひきこもりになったんじゃないかというふうに誤解をされていたというんですけれども、そういった症状でのマルチセントリック・キャッスルマン病、これは難病の対象になるんじゃないですかというお声をいただいております。この件につきましてご説明をお願いいたします。
○桜山参事 マルチセントリック・キャッスルマン病も血液の疾患で、発熱ですとか、委員おっしゃるように、全身のリンパ節がはれるなどの症状があらわれてまいります。患者数が少なく、原因が不明ではありますが、最近、新しい治療薬が開発されたと聞いております。
医療費助成の可能性については、治療効果等を情報収集いたしまして、今後の研究課題としてまいります。
○谷村委員 ぜひともよろしくお願いいたします。この方は二〇〇一年にその病名がわかって、新薬が確かに開発されたということで、挑戦はされているみたいですけれども、それが完全な治療法かどうかというのは、まだまだ不明確ということのようでございますので、今、治療効果の情報収集を行っていただき、今後の研究課題としていただいたということでございますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。
それから三つ目、最後になりますけれども、先天性胆道閉鎖症につきましてご説明をいただきたいと思います。
これも私の地元で、お子さんが先天性胆道閉鎖症だというお母様方三人とお会いさせていただきまして、また、最近も、この先天性胆道閉鎖症、最近は先天性ともいわないんだというご指摘をされていましたけれども、そういう患者団体の方にもお伺いいたしました。ご意見、ご要望を承ったわけでございます。
この胆道閉鎖症について、難病医療費の助成の対象疾病になるかどうか、ならないとすればなぜかということについて、ご説明をお願いいたします。
○桜山参事 先天性胆道閉鎖症は、都内で年間の発症者数が十人程度と患者数が少ない疾患でございます。出生後間もなく黄疸などの症状があらわれ、重篤となる疾患ですが、手術などの治療方法がある程度確立されていると理解しておりますので、治療研究事業であります難病等医療費助成の対象とはならないと考えております。
ただし、先天性胆道閉鎖症は、児童の健全な育成を図る観点から、小児慢性疾患として、満二十歳まで医療費の助成を行っております。
○谷村委員 小児慢性疾患の方での医療費助成というのは、難病の範疇を超えた疾病を広く対象にしている、満二十歳までというふうに対象年齢が拡大したということのようでございますけれども、この先天性胆道閉鎖症の場合は、生まれて三カ月以内に発見して、それまでに手術をすれば、辛うじて治療法としてそれが生きるわけでして、それが成人を迎えるころになって、また胆管炎などの症状が出てくるようでございます。私のもとにいただいたお声につきましても、結局、体調がいつ悪くなるかわからない。この方は二カ月で手術を受けて、十九歳まで元気。元気といっても、一年の半分ぐらいは入院を繰り返したり、そういう生活を送っておられるようですけれども、昨年、ご結婚されたんですが、いつ体調が悪くなるかわからないということで、結婚式も挙げられないという、そういうお手紙をいただきました。
その方がおっしゃるには、小児慢性疾患の対象となっているけれども、何で二十になると医療費助成の対象から外されるんでしょうか、こういうお声なわけですね。この先天性胆道閉鎖症でだれか完治した人がいるんでしょうかと。今度、二十になって症状が出てきた場合は、移植しかないわけですけれども、生体肝移植をされた人も、一生、免疫抑制剤という薬を飲み続けなければならない、完全に社会復帰すれば、就職もできれば、薬や医療費を払うことができるわけですけれども、とてもそんな人はいません、私もできません、そういうお声だったわけでございます。この先天性胆道閉鎖症の方も、難治性の疾患であると同時に、日常生活においても大変な不便を強いられているわけでございます。
先ほど申し上げましたけれども、胆道閉鎖症のお子さんを持っていらっしゃるという東大和にお住まいのお母さんたちから、この治療法があるからということで、難病の定義に外れるということであるならば、せめて身体障害者として認定されれば、福祉のサービスの対象となるので、何とかなりませんでしょうか、こういうお声をいただいたわけでございます。
現在、内部障害として身体障害者手帳の対象となるのは、心臓、腎臓、呼吸器、膀胱または直腸障害というのに限られているようでございますけれども、なぜ肝臓はだめなのか。これはお尋ねしても、なかなか難しいと思いますけれども、私自身も納得できないわけでございます。心臓、腎臓、呼吸器、膀胱、直腸障害がよくて、なぜ肝臓はだめなのかというんですね。
このほかにも、難病の指定を受けていながら、身体障害者手帳の対象とならないものや、発達障害あるいは高次脳機能障害なども手帳の対象にならない場合があるわけでございますが、身体障害者手帳の対象となる障害者の範囲をどう認定するかは、当事者にとって非常に大きな問題と考えます。障害者の範囲というのはどのように定められているのか、お伺いいたします。
○吉岡障害者施策推進部長 身体障害者手帳の対象となる障害者の範囲につきましては、身体障害者福祉法に基づきまして、同法別表に規定されております。したがいまして、障害者の範囲をどう定めるかというのは国の制度の問題でございます。
なお、現在、国会で審議されております障害者自立支援法案におきましては、法の施行後三年を目途として、障害者等の範囲について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされております。
○谷村委員 今、障害者自立支援法のお話がございました。参議院で可決をされ、現在、衆議院で審議中でありますけれども、参議院で決議された法の附帯決議においては、障害者の範囲の検討については、発達障害、難病などを含め、サービスを必要とするすべての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこととされております。この国の今後の検討に期待をしたいと思います。
本日は、三疾病を一例として挙げましたけれども、難病と同じくする疾病で苦しむ患者、家族の方々がほかにも多くおられます。今後、これらの疾病に関し積極的に情報収集を行い、また、東京都特殊疾病対策協議会など専門家の方々の意見を聞き、今まで国に先駆けて対象疾病拡大を行ってきた都が、新たな枠組みでの救済策をぜひとも検討していただきたいと思います。
そこで、最後にお伺いいたしますけれども、私ども公明党が、さきの定例会代表質問で、国の治療研究事業の範囲にとらわれず、国に先駆け、都独自の枠組みで新たな難治性疾患患者の救済を求めたところでございます。それに対して、都は、幅広い見地から検討するとしましたけれども、今後、対象疾病拡大に向けどう取り組んでいくのか、また、それからどう取り組んでおられるのか、そして検討の方向性についてお伺いいたします。
○杉村保健政策部長 さきの定例会におきまして、難治性疾患に対し新たな救済策が必要とのご指摘がございました。去る十月六日、東京都特殊疾病対策協議会疾病部会を開催いたしまして、国の治療研究事業の対象となっていない疾病も含め、専門委員に議論をいただいたところでございます。
今後とも、東京都特殊疾病対策協議会委員に新たな分野の専門家を加え、最新の学術的な研究成果等の情報収集を積極的に行うなど、検討を進めてまいりたいと考えております。
○谷村委員 早速対応していただきましたことに深く感謝を申し上げます。東京都特殊疾病対策協議会、またその疾病部会の取り組みにも大いに期待をいたしております。ぜひとも、難治性患者の皆様、またそのご家族からのご期待におこたえいただける福祉保健局の取り組みとご活躍をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉田委員 私は、この機会に、保育の都加算の問題、そして障害者施策に関して何点か及び介護保険の生計困難者に対する利用料軽減制度の大きくいって三点について質問させていただきます。
初めに、保育の都加算問題についてです。
昨年五月の児童福祉審議会の意見具申を受けて、福祉保健局は、保育所への都加算の見直し、再構築を検討しているということが、これまでの本委員会の中でも述べられました。また、さきの三定本会議の答弁でも、柔軟な支援の仕組みに再構築する必要があるという答弁がございました。
都加算の見直しは、保育の質、入所している子どもたちの食事や健康にも非常に直結し、父母はもちろん、区市町村行政や保育関係者にとっても極めて大きな問題となっております。
それで、まずお伺いをしたいのは、再構築の基本的な検討の方向及びスケジュールということについて、現時点でご説明できることがあったらお願いをいたします。
○都留少子社会対策部長 現行の補助制度が必ずしも認可保育所のサービスの向上を促すものになっていないことや、認可保育所を利用する家庭に限られていることなどから、子育て支援全体を拡充する方向で見直しを進めております。
具体的には、細分化されている事業を包括化し、使途、使い道は限定せず、区市町村が行う子育て支援全体に活用できるような財政支援の仕組みとすることを考えております。
今後、再構築の内容などについて、相手方である市町村と協議を行ってまいります。
○吉田委員 意見具申でも、見直しの理由として主に二点が明記をされていたと思います。一点は、今もいわれましたけれども、加算補助がサービスの向上を促すものになっていない、二つ目に、子育て家庭全体を拡充する必要がある、そのための見直しだというふうに書かれておりました。
私は、子育て家庭に対する支援を拡充するということは、これは当然のことでありまして、そのことをもって都加算のあり方そのものと結合して検討すべきことではないというふうに思っております。まだ具体的な案が示されておりませんので、きょうの私の質疑も、基本的な問題について福祉保健局の認識を確認させていただきたいということで質問させていただきます。
都加算には幾つかのメニューがありますけれども、例えばゼロ歳児保育の拡充のために、国基準では配置できていない保健師あるいは調理員の配置のための加算があります。また、十一時間開所を支援するための保育士の配置の加算などがあって、園児への手厚い保育、こうしたことにとって、私はやはり欠かせない制度となっているというふうに思います。
それで、例えばゼロ歳児に保健師、調理員の配置を加算するということは、どのような目的、判断でこの間行われてきたのか、ご答弁をお願いいたします。
○都留少子社会対策部長 現在のゼロ歳児保育特別対策事業は、ゼロ歳児保育の充実を図るため、保健師の配置、調理員の増配置、嘱託医手当加算の経費を補助しているものでございます。
○吉田委員 私がお聞きしたかったことは、なぜゼロ歳児に保健師、調理員の配置ということを政策的にとられてきたのかということだったわけですけれども、ゼロ歳児という非常に健康的にも不安定、あるいは離乳食をそれぞれの子どもの発達段階に応じてつくらなければならないという、ゼロ歳児保育独特の状況からの必要性ということが、こうした加算という形で配置を促す制度として進められてきたと思うんですね。
それから経過していますけれども、今日の状況というものは、そういう加算による配置というものが不要な状況に変化しているのかどうかといえば、私は逆に、例えばアレルギーなどの増大、あるいは、必ずしも好ましいことではありませんけれども、親自身が家庭での十分な食事を提供できないようなケースもあったり、子どもたちの成長をめぐるさまざまな問題がある中で、引き続きこうしたゼロ歳児における保健師や調理員の配置というのは必要なことではないかというふうに考えますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○都留少子社会対策部長 東京都といたしましては、制度の見直しの中で、保育の実施主体である市町村の実情に応じた取り組みを支援し、今後とも望ましい保育水準の確保に努めていく考えでございます。
○吉田委員 もう一度お聞きしますが、東京都の認識としては、ゼロ歳児に保健師や調理員の配置というものは継続すべきか否かということをご答弁願いたいんですが。
○都留少子社会対策部長 先ほどもお話がございましたとおり、社会福祉審議会のご提言をいただいておりますように、区市町村が、非常に細分化された補助制度で、柔軟な使い道ができないということがございます。東京都といたしましては、先ほど申し上げましたように、保育の実施主体である市町村の実情に応じた取り組みを支援いたしまして、今後とも望ましい保育水準の確保に努めていく考えでございます。
○吉田委員 どこがその主体を担うべきか、あるいは補助を出すべきか出さないべきかということじゃなくて、子どもたちをめぐる今日の状況からすれば、今、望ましい保育ということをいわれましたけれども、それは当然、実態としては、ゼロ歳児に保健師や調理員の配置が継続されるべきだというのは、今の社会状況から見ても、ますます必要性が高まっていると思うんですね。
これはもちろん、当事者の働いている職員の皆さんからもそういう声が上げられておりますが、私、杉並の保育園のある施設の第三者評価というものを見る機会がありました。これは当事者じゃなくて、客観的な評価ですよね。福祉保健局自身も、こういうことでもっと客観的な評価をし、正すべきことは正すべきだということなんです。
そこで、ゼロ歳児で調理員さんを加配して進めている園の具体的な評価として、ここにありますけれども、どういうことが書いてあるかといえば、この園の場合には、魚中心に野菜やご飯をしっかり食べられる、延長保育の補食も手づくり、保護者の離乳食講習会や、お迎えのときに参加して試食できる料理講習会があり、利用者調査では、回答者の一〇〇%が食事は充実と評価し、二名の栄養士の専門性を生かした全職員の取り組みは高く評価できるというふうに答えているんですよね。
こうしたことから見ても、今、明確な答弁はされませんでしたけれども、私はやっぱり、こういう状況というものは継続をされるべきだと思うのです。
しかも、国基準を補うために、例えばゼロ歳児の職員配置も、国、都の基準は三対一ですけれども、周辺の自治体の中では二・五人対一という努力をしているところもありますし、東京と同じように、ゼロ歳児に対して調理員あるいは看護師を配置するという努力をしている自治体というのは、正確な数はわかりませんが、私が見た限りでは、少なからずあるというのが状況だと思うんですよね。
それで、改めて基本的な認識を確認しておきたいんですけれども、先ほどからも議論がありました大都市特有の、その是非はさっき意見がありましたけれども、ゼロ歳児保育の希望があり、また長時間の保育の希望があるという状況の中で、国基準、国の運営費だけですべて賄うべきだというご判断なのか、それとも一定の加算による対応ということが求められているという判断なのか、そこの基本的認識はどうでしょうか。
○都留少子社会対策部長 保育所の基本的な運営は、国基準で運営が可能であると考えております。その上で、これまで、東京におけるさまざまな大都市特有の保育ニーズに対しまして必要な保育サービスができるよう、補助を行ってまいりました。
今後とも、望ましい保育水準を確保するため、保育の実施主体である市町村を支援してまいります。
○吉田委員 いずれにしても、大都市特有のニーズにこたえるためには、やはり何らかの独自の支援策というのはこれまでも必要だったし、私はこれからも必要だと思うんですね。
問題は、そのときに、それを一般の子育て家庭に支援する包括補助と合体をするような、あるいは東京都が、直接の事業者である区市町村の責任ということで後退をするようなことがあっては、今の保育水準というものは私は守ることができないと思うんです。
それで、お伺いしたいんですけれども、どうしても理解できないことなんですけれども、加算補助が必ずしもサービスの向上を促すものになってないというふうにいわれているんですけれども、少なくとも、今いったような、例えばゼロ歳児への調理師あるいは看護師の加算補助を受けているところはすべて配置をしているわけでしょう。違いますか。加算を受けながら配置をしてないなどということはあり得ないでしょう。
○都留少子社会対策部長 ご質問の趣旨でございますけれども、ゼロ歳児保育特別対策事業がどのくらいの配置がされているかと、そういうご質問でよろしいということでしょうか。
○吉田委員 も含めて、じゃあ、どうぞお答えください。
○都留少子社会対策部長 平成十六年度につきましては、ゼロ歳児保育特別対策事業として、市町村を通じまして四百三十九カ所の保育所に対して補助をいたしております。
○吉田委員 じゃあ、逆の聞き方をいたしますけれども、加算補助がサービスの向上に役立ってないというのは、具体的にどういう根拠なんですか。
○都留少子社会対策部長 さまざまなニーズがあると存じますが、例えば延長保育ですね。認可保育所の場合は十一時間を基本としておりまして、なかなかそれ以上の長時間の、二時間以上をやっているところが非常に少ないということが先ほどもございました。そのようなことでございます。
○吉田委員 当たり前のことだといいますけれども、加算補助を受けているところは、少なくともちゃんと、先ほど第三者評価を紹介しましたけれども、調理師や看護師を配置してサービスの向上を行っているわけですよ。実際、十一時間開所のための配置を受けているところは、そうやって十一時間開所の努力をしているわけですよね。ですから、加算そのものはサービス向上しているんですよ。
問題は、さらにゼロ歳児保育や、より長時間の保育をやるときにどういう支援策が必要かということは検討課題かもしれませんけれども、加算補助が、そのものが何かサービスと結びつかないなんていうことは実際に許されることでもないし、また、されていることだと思うんですよね。どうですか。(「おかしいよ、それ。加算があるけれどもサービス向上やってないというんだよ」と呼び、その他発言する者あり)いや、そうじゃなくて、サービスの向上に結びついてないというんだけど、そんなことないじゃない、補助を受けているところはちゃんとやっているんだから。
○都留少子社会対策部長 例えば、認証保育所は国基準で基本的にやっておりますけれども、利用者に対するサービスというのは、認可保育所の方がまだなかなかニーズに追いついていないということがございます。
それから、望ましいサービスの水準の確保は、人員配置のみで確保できるものとは考えておりません。基本的には、市町村が地域の実情に応じ、みずからの判断に基づいて望ましいサービス水準を選択し、提供していくべきだと考えております。
○吉田委員 私は、だから、ゼロ歳児、延長ということをいうならば、それは加算じゃなくて別な形の支援策を強化することが求められているのであって、今の加算制度そのものがサービスと結びついてないということが、今回の見直しの最大の根拠の一つになっているんですよね。こういうことは実態としては通用しない話だというふうに思うんです。
実際、加算補助を受けているところはちゃんと調理員を配置しています。看護師を配置しています。第三者評価のようなサービスを行っています。加算補助を受けているところは、十一時間開所して、配置をしてやっているじゃないですか。なぜサービスの向上に結びつかないんですか、加算が。
○吉川次長 吉田委員も先ほど引用されておられましたように、児童福祉審議会が昨年の五月にその点について申し上げたのは、ゼロ歳児保育の実施率が低いなど、都加算補助が必ずしもサービスの向上を促すものとなっていないといったのであって、実施率が低いというところを問題にしているんですよ。先生がおっしゃっているように、サービスの質がいいかどうかは、我々からすれば、公金を注いでいる以上は、質のいいサービスを提供していただくのは当然のことだと思います。
○吉田委員 だから、加算を受けているところはゼロ歳児保育をやっているわけでしょう。(「やらないと加算が来ないんだよ」と呼ぶ者あり)でしょう。だから、加算はサービスと直結しているじゃないですか。それは加算を受けてないところの問題なんですよ。ゼロ歳児保育をやってません、それは加算を受けてないところの問題なんですよ。ところが、にもかかわらず、加算がサービスの向上に結びついてないといって加算をやり玉に上げるなんていうのは、全く理屈に合わないじゃないですか。ゼロ歳児保育をやっているんだから、そこは。こんな明白なことはないですよ、本当に。だから、これはすれ違いなんですよ。
あえて皆さん方のことを擁護していえば、例えばサービス推進費ですよ、今まで理由に挙げてきたことは。サービス推進費で、年齢を上げることがサービスに結びつかないということは、皆さん方が繰り返しいってきたことなんですよ。しかし、都加算に関しては、まさにゼロ歳児保育をやっているところなんですから、やってないところがありますから問題がありますといったって、加算を受けているところはちゃんとやっているんですよ。(「当たり前じゃない」と呼ぶ者あり)それは当たり前でしょう。それはもう当事者から見れば、何をいっているのかというのが、やっている皆さんからすれば常識論なんですよ、何かいろいろやじがありますけど。
さらに、どうもこれ以上進んでもかみ合わないみたいだけれども、もう一つ、じゃあ、ちょっと確認をしておきたいんですが、細分化された補助じゃなくて、もっと包括的に、柔軟にするようにしたいんだ、それが求められているんだというんだけれども、実際に多くの市町村からそういう要望というのは出ているんですか、子育て支援も含めて包括化せよと、都加算を見直して。
○都留少子社会対策部長 具体的な要請ではございませんが、実務的には、補助メニューが細分化されているため裁量の余地が少なく、執行がしづらいという意見が多く寄せられております。
また、先ほどお話が出ました児童福祉審議会の委員には区市の代表の方もお入りでございます。
○吉田委員 具体的に文書で、今の都加算制度と一般の子育て家庭支援事業を合体する包括化のような要望が出ているんですか、公式に。
○都留少子社会対策部長 文書として具体的には受け取ってはおりません。
○吉田委員 我々はやっぱり、この問題を最終的にどうするかは別にして、前提として、保育関係者などとともに区市町村、とりわけ、区の場合には財調という制度で守られますけれども、財政力の厳しい市町村がどういうふうにこの問題を受けとめるのかということに着眼しなきゃだめだと思うんです。
それで、ことし寄せられた来年度東京都予算編成に対する東京都市長会厚生部会の要望書を見ましたけれども、今東京都が進めようとする再構築の内容については、少なくとも書かれておりませんでした。そして、書かれていることは、今の部分的な緩和をしてほしいということはありますが、基本的に補助金の増額なんですよね。そういう区市町村の実際の要望からも、今東京都が再構築しようとするスタンスというのはずれているんじゃないかというふうに思いますし、かつ、児童福祉審議会の意見具申の後に、幾つかの区や市議会からこれについて意見書が出されていると思うんですが、それはどこから、あるいはどのような内容の意見書だったでしょうか。
○都留少子社会対策部長 四区七市の議会から意見が寄せられております。主な内容といたしましては、都加算補助については、補助の水準を維持し、充実すること、すべての家庭に対する子育て支援を一層充実させること、見直しに当たっては、自治体、保育関係者の意見を踏まえて慎重に検討することなどの意見をいただいております。
これは市町村補助でございますので、市町村と今後協議を行ってまいります。
○吉田委員 これは要するに理事者じゃなくて議会からですよね。多分、全会一致でされているものだと思いますけれども、そういう声が区市の議会からも上げられているという事実は事実としてきちっと見ていただきたいと思うんです。
それで、次に、ちょっとこの機会に基本的なスタンスとして確かめたいことは、都加算として、保育所の運営水準を高めるための補助が出されている。今度は、それと一般の在宅の子育て家庭に対する保育サービスを一緒にして、包括的に見直さなきゃならないということがいわれているんですが、そうすると、今の都加算の予算額といいますか、これが削られて在宅の方に回るのかという懸念が当然生まれるんですけれども、それはいかがですか。
○都留少子社会対策部長 先ほども申し上げましたように、今後、市町村と協議を行ってまいります。基本的には、市町村が独自の判断でいろいろ考えていかれることであるというふうに思っております。
○吉田委員 今ちょっとお答えがされませんでしたけれども、やはり在宅の子育て家庭支援というのは、それはそれで強めなきゃだめなんですよね。それをもって、大都市ニーズにこたえなきゃならないということで進められてきた都加算補助を後退させるようなことは、私は、あってはならないと。しかも、もしそうした保育所の運営費そのものが、都加算そのものが後退をした場合には、保育料の値上げと、財政力の特に弱い区市町村なんかの場合には、そういう懸念というものも考えられるし、また、実際に意見具申の中には保育料の問題についても言及されているところがありますけれども、そういう懸念が生まれるんですけれども、それはどうお考えですか。
○都留少子社会対策部長 今回の再構築では、児童福祉審議会で意見具申をいただきました保育事業に係る都加算の補助など、子育てに関する事業を対象と考えております。具体的な中身につきましては現在検討中でございます。
なお、保育所の都加算以外にも、子育てに関する補助はございます。
○吉田委員 都加算の見直しということが以前からいわれてきまして、これは指摘だけにとどめますけれども、二年前の予算特別委員会で我が党の議員が、保育園に対する補助金のカットということになれば、保育料の値上げを誘導するということになり得るじゃないかということを質問したときに、当時の局長さんも、結果としてそうなることもあり得ると思っています、というご答弁があったという経過があったので、改めてこういう指摘をさせていただきました。
先ほどから、事業主体である市町村、市町村という旨のお話がありましたけれども、例えば子ども医療費の所得制限にしても、あるいは助成対象にしても、やっぱり区部と多摩地域では、歴然とした財政力によるサービスの格差が存在をしているわけですよね。子育てで、さまざまな取り組みをそれぞれが大いに包括支援をもってやるというのは、それはあり得ることだと思うんです。しかし、保育という共通のベースについて、きちんと東京都が一定水準を確保するために支援をすることは、それはやはり現場の市町村の自立性を損なうものでは決してないし、さらにそれを高めることになり得ると思うんです。
最後に、先ほどから答弁の端々で出てきましたけれども、私はやはり、この問題というのは、まず保育関係者、そして区市町村、行政当局、こうした方々ときちんとよく協議をするということが大前提だと思うんですが、改めてご答弁をお願いいたします。
○都留少子社会対策部長 市町村とは十分協議をしていくつもりでございます。また、保育関係者の方のお話は伺っていくつもりでございます。
○吉田委員 それでは、続いて、障害者施策について簡潔に質問をさせていただきます。
先ほども議論がありましたけれども、自立支援法は参議院で可決をされ、衆議院に回るという局面を迎えています。この自立支援法案をめぐっては、応益負担への転換、定率負担の導入によって、施設利用あるいは医療費などあらゆる分野での負担増に対して、障害者や家族の皆さんから不安の声が上がっています。
東京都は五月に、市町村や障害者団体等の意見を踏まえ、東京都としての提案事項をまとめた東京都の見解を発表し、国に提出いたしました。しかし、法案は審議中ですけれども、最大の問題である定率負担の導入によって、治療の中断あるいは授産施設への通所が困難になるというふうなことが起きかねない状況は、現時点でも十分考えられるところであります。
見解は、定率導入の基本方向は容認しながらも、「ただし、この考え方を導入するためには、低所得の障害者に対して負担軽減措置を講ずるなど、障害者の自立を支援するという法の趣旨を損なわない配慮が必要である。」というふうに国に意見を求めております。審議中のことですから、断定的ないい方はできませんけれども、私は要望として、東京都が今後、どのような形になるかわかりませんが、都自身の努力のあり方としても、このような低所得の障害者の方々に対して負担軽減措置がとられるということでぜひ努力をしていただきたいということを、基本的な要望として述べておきます。
その中で、具体の問題の一つとして、これはほかの議員の皆さんも聞かれていると思うんですが、いろんな問題が出されている中で、例えば精神障害の通院医療費、これは非常に大きな問題の一つだと思うんですけれども、今の精神障害者の方々の通院医療費の助成制度、これが今の自立支援法の場合ではどういうふうになってしまうのか、東京都はそれに対してどのような見解を出されているのか、ご説明をお願いいたします。
○吉岡障害者施策推進部長 精神障害者通院医療費公費負担制度につきましては、精神保健福祉法第三十二条に基づき、精神疾患に係る通院医療に必要な費用のうち、各種保険を適用した上で、百分の九十五に相当する額を公費で負担し、本人負担を五%に軽減する制度でございます。
この制度につきまして、障害者自立支援法におきましては、自立支援医療という新しいカテゴリーをくくりまして、医療費のみに着目した現在の応益負担から、医療費と所得の双方に着目した負担に変更いたしまして、またさらに、公費負担を百分の九十五から、原則として百分の九十に変更するというものでございます。ただし、所得の低い方に対しましては月額負担上限を設定するなど、利用者負担について配慮した制度とする、そういう提案になってございます。
このような障害者自立支援法案につきまして、私どもは平成十七年五月十三日に、「障害保健福祉施策の改革(障害者自立支援法案)に関する主な論点と東京都の見解」というのをまとめまして、これを国へ提出を行いました。その中では、この精神障害者の通院医療費公費負担制度につきましても、精神障害者が地域で安定的に生活していく上で不可欠な医療的サポートであることから、一定の負担軽減措置を国が行うことが必要であるというふうに提言をいたしました。
以上でございます。
○吉田委員 やはり今も、不可欠な医療的サポートであるということが都の見解でも示されたんですが、私も最近、杉並区内に住む若い精神障害の方から次のような手紙を寄せられました。私は統合失調症と診断され、現在、病院に二週間に一回の診察と週三回のデイケアに通っています。デイケアは私にとって大切な居場所です。ともすると生活が乱れがちな私たちにとって、生活のリズムづくりの場であり、友達との交流の場であり、社会復帰に向けた訓練の場でありますと。自立支援法が成立すると一割の負担が生じます。治療の中断が起こったり、利用を少なくするといったことが起こりかねません。生活や命にかかわっています。仮に法案が成立した場合、自治体レベルでの援助ができないかどうか、検討をお願いしますという旨の手紙をいただきました。ぜひこうした手紙に寄せられた思いを受けとめていただいて、今後対応していただきたいということを要望として述べさせていただきます。
精神障害の関連で、これ、自立支援法案そのものがそうですが、法に限らず、やはり身体、そして知的、そして精神、障害を一体でとらえて支援をしていくということが時代の流れとなってきたと思うんです。しかしながら、医療の問題は今述べましたけれども、例えば社会参加を促進する、そういうふうにする上でも、いまだに他の身体、知的などと比べてサービスの格差が厳然とあるというのが状況だと思うんです。今後、こういう精神障害者の場合にはどうしてもまだまだサービスの格差があるということについて、もっと前向きにぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 東京都におきましては、昨年八月の組織改正によりまして福祉保健局を発足させまして、これまで福祉局と健康局、別々の局で行われてまいりました身体障害者福祉、知的障害者福祉及び精神障害者福祉につきまして、総合的、一体的に施策推進を図る体制を整えました。
また、現在国会で審議されております障害者自立支援法案におきましては、障害者の地域での自立生活を支援する観点から、三障害に共通した一元的なサービス提供体制の構築を目指すこととされております。
都といたしましては、法案の目的、趣旨等を十分踏まえつつ、今後とも障害者施策の総合的、一体的な推進に努めてまいります。
○吉田委員 具体的な問題について述べますけれども、この前も、ある障害者施設に従事している方がいわれました。例えば精神障害の方と身体障害の方と一緒に民間のバスに乗ろうとしたときに、身体障害の人は半額で済む、ところが、精神障害の人は通常の二百円あるいは二百十円、こういう事態が厳然として残されていて、私どもは繰り返しこの問題については要望してまいったんですが、こうした交通費助成の問題については今どういうふうになっているんでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 障害者の運賃割引制度につきましては、ただいま吉田委員ご指摘になりましたとおり、身体障害者、知的障害者につきましては割引制度がございますが、精神障害者に関してはまだそのような制度はございません。
ただ、これにつきましては、基本的には鉄道、バス等のそれぞれの事業者の判断と負担によりまして行われているものでございます。都といたしましては、民営の交通事業者に対し、精神障害者に関しても運賃割引制度を適用していただくように毎年要望しているほか、国に対しても、精神障害者の運賃割引について関係機関に働きかけを行うよう提言しているところでございます。
○吉田委員 先ほどちょっと話が出ていましたけど、東京バス協会との話し合いというのは、今どういうところまで進んでいるんでしょうか。
○吉岡障害者施策推進部長 東京バス協会とは毎年こういった要望を行っておりまして、なかなか全体の負担についての見込みが難しいというお話をちょうだいしておりますけれども、一方で、精神障害者の就労を雇用率に含めるという、そういった法改正が現在予定されておりまして、その中で、精神保健福祉手帳に今後は本人の写真を貼付する、そういう改正が予定されております。そのように環境が変わっていく中では、その環境の変化をうまく積極的にとらえて、前向きに検討してみたらどうかというお話をちょうだいしているところでございます。
○吉田委員 ぜひ実現方を。私も実は東京バス協会にも先日お願いをしたところなんですけれども、ぜひ働きかけを強めていただきたいと思います。
それで、障害者分野の最後に、施設整備のことについて、質問と意見を述べさせていただきます。
これまで、地域で生活できるということがスローガンとされ、そのためには施設整備を促進しなければならないということで取り組まれてまいりました。当初、三カ年計画が組まれましたけれども、市町村などが十分対応できないということを私ども聞きまして、三カ年計画をさらに延長すべきだということも要望し、そして、さらにその後の三カ年計画が進められ、たしか今年度が最終年ということになっているというふうに思います。細かい点はいいですから、概括的に、三カ年計画の今年度末、見込みも含めて、分野ごとの到達点が、どのような到達点になるのか、ご紹介をお願いいたします。
○吉岡障害者施策推進部長 障害者地域生活支援緊急三カ年プランは、平成十五年度から平成十七年度までを計画期間として、身体障害者、知的障害者を対象とし、地域における居住の場や日中活動の場と地域生活支援型入所施設を集中的に整備することにより、希望する障害者が可能な限り地域で自立して生活できる社会を築くことを目標にしております。
主な事業の進捗状況でございますが、グループホームが一千三十人の目標に対して七百四十二人分、入所施設が四百六十二人の目標に対して三百八十六人分、通所施設が一千二百六十二人の目標に対して一千二百八十人分、最後に、ショートステイが百床の目標に対して百二十二床、こういう状況になってございます。
○吉田委員 皆さんの努力で、超えられるというところまで来た分野もあれば、残念ながら現時点で達成できないという状況もあるかと思います。
それで、先ほども議論がありましたけれども、ことしの九月に東京都障害者施策推進協議会から中間のまとめが出されておりますが、その中でも、今後の障害保健福祉施策の展開の中で、現行三カ年プランの成果を踏まえた地域居住の場の整備をぜひ促進していただきたいと、特にグループホームなどのことが指摘をされているんですけれども、当然のことだと思うんですが、今後どのようにこの問題に取り組んでいくのか、お願いいたします。
○吉岡障害者施策推進部長 ただいまご報告いたしましたとおり、現在、緊急三カ年プラン、最終年度でございまして、特にグループホームはまだ目標に達成していない、そういう状況でございます。私ども、全力でこの計画の達成に取り組んでまいりたいと存じます。
○吉田委員 それでは、最後の質問テーマに移らせていただきます。介護保険の生計困難者に対する介護サービス利用者負担軽減措置事業についてです。
これは、さきの第三回定例会でも取り上げさせていただきました。介護保険法の改定によって、この十月から施設利用者の居住費、食費が全額自己負担となり、大幅な負担増が利用者、家族を直撃しています。今週発売された週刊誌でも報道されております。
我が党は八月に、こうした居住費、食費の負担増に対して、東京都として何らかの支援策をとることを求めると同時に、生計困難者に対する利用料の五%軽減事業についても、引き続き五%の軽減率が継続されるようにということで申し入れをさせていただきました。
しかし、負担増を軽減する唯一の東京都の制度といえるこの制度は、国制度を土台にして行われているものですけれども、国の制度の改悪によって、対象拡大などについての部分的な改善策はあるんですけれども、残念ながら、五%負担から七・五%負担という方向になったやに聞いております。
私は、これは都議会でも随分議論をされて実施をした制度ですから、本来、この委員会できちんと説明をしてほしかったんですけれども、この場ですから、今回の見直しで、対象要件あるいは補助対象サービス、そして軽減の対象や軽減率など、どのように変更したのか、概括的な説明をまずお願いしたいんです。
○長谷川高齢社会対策部長 概括的には、まず減額割合でございます。社会福祉法人に対する減額割合は二分の一から四分の一へ、老齢年金受給者は二分の一のままでございます。それから、対象となる費用につきましては、介護費用と居住費から新たに食費を加えた、介護費と食費、居住費でございます。概括的には大体そういうことになります。
○吉田委員 評価されるところは、例えば対象要件、所得、預貯金などは改善されたんでしょう。
○長谷川高齢社会対策部長 収入要件が百四十万のところが、年間収入が単身世帯で百五十万ということ、それからまた、預貯金に対しては百二十万という、単身者の場合ですが、それが預貯金で単身世帯で三百五十万ということになりました。
以上でございます。
○吉田委員 今説明がありましたように、例えば新たに負担増となる食費も、少なくとも四分の一は軽減をしますよと。また、これまでも私、何回か委員会でも取り上げてきましたけれども、対象要件が余りにも制約がきつ過ぎる、例えば葬式代の貯金も確保できないというようなこともいわせていただきましたけれども、収入要件が百四十万から百五十万、そして預貯金の要件は百二十万から三百五十万、これはよかったと思うんですね。
問題は、にもかかわらず、せっかく五%軽減をしていたにもかかわらず、七・五%の負担と、軽減率は二・五%に後退をしてしまったということなんですけれども、これはなぜこういう選択をされたんですか。私たちは、ぜひこれは五%軽減を継続すべきだということで要望させていただいたんですが、どのような検討があったんでしょうか。
○長谷川高齢社会対策部長 本事業の対象サービスにつきましては、従来より、在宅重視の視点から、国の制度の四種類のサービスに加えまして、訪問看護や通所サービス、ステーションなど五種類の在宅サービスを都独自に拡大してきて実施しているものでございます。また、社会福祉法人に対して幅広い減額が実施できるよう、減額の割合を国の方で見直したものでございまして、本事業は、国の社会福祉法人による利用者負担の軽減制度をもとに実施しているものでありまして、減額の割合は国に準拠したというところでございます。
○吉田委員 一般の場合には、利用料の一割負担、一〇%負担ですよね。これが、今までは半分の五%負担で、一定の生活困難者の方々は対応できたわけです。そうしますと、私の知り合いの方でも調べてみたらいらっしゃったんですが、簡単にいうと、収入が少なくても、普通の人に比べてサービスを二倍受けることができるんですよね。一〇%負担が五%負担ですから、例えば一〇%負担だったら、週一回のデイサービスしか、どうしても払える利用料からすれば利用できない。しかし、それが半分で済むんだったら、週二回サービスを利用することができるという意味では、私は、いろんな制約はありましたけれども、すごく、やってよかったなと。もちろん、事業者の方の負担というのは大変申しわけない話なんですけどね。
それが、ところが、新たに食費あるいは居住費が負担増になったときに、逆に負担の軽減率が後退をして負担増になる。したがって、ある方の場合、調べてみましたけれども、結局、週二日デイサービスに通えたんだけれども、その通えていたデイサービスが、今まで食事が無料だったのが、一回五百円になる。その上、利用者負担が今まで五%で済んでいたものが今度は七・五%になるということで、差し引き負担増になって後退するんですよ。そういうことから見れば、そういう実態をぜひ考えて再検討していただきたいと思いますし、しかも、予算的にそんなに莫大な費用は現状ではかかってないと思うんですよ。もちろん、これからもっと対象を拡大していかなきゃならないんですが、今の五%軽減で、最新年度でトータルで都の負担というのはどれだけだったんですか。あるいは人数は何人ですか。
○長谷川高齢社会対策部長 十六年度の歳出決算額で申しますと、社会福祉法人にかかわる利用者負担軽減の金額としては五千二百二十四万八千円でございます。
○吉田委員 要するに五千万ちょっとなんですよね。これからもっと対象者が広がったとしても、そんなに何十億というふうな世界じゃなくて、せいぜい数億、広がったとしてもですよ。その程度のやりくりでできることですし、一人当たりで換算したって、わずか数万円程度が今の現状だと思うんです。そういうことから見れば、ぜひこれを再検討していただきたい。
もう一ついわれていることが、国制度では特養が軽減の対象になっている。ところが、東京都はいろいろ対象を拡大しているんですけれども、療養型と老健については対象になってないんですよね。そういうことがいわれているんですが、それはなぜですか。検討できないんですか。
○吉川次長 先ほど来、委員の方から、社会福祉法人による利用者負担軽減制度についての見直しをというお尋ねがありますから、そこについては明確に、都として、本制度は確かに、四年前だったですか、当時の自民党さんと公明党さんからも予算特別委員会の席でご提案があって、制度は発足しましたが、あのときの設計思想は、国の軽減制度に矛盾点があれば、それを是正して、都単で拡充するところは拡充というふうな設計思想ですから、今回、国が介護保険制度全体の見直しの中で改正したものに準拠して、先ほど来高齢社会対策部長が答弁しているように見直しをするものであって、今、委員がおっしゃっているような点について改めて見直しをする考えは一切ございません。
○藤井委員長 では、質問は以上でよろしいですか。
○吉田委員 それは、今の私の質問じゃないんだよ。
○長谷川高齢社会対策部長 社会福祉減免についての、療養型、老健になぜ拡大できないかという趣旨の質問だったと思いますが、本事業の対象サービスについては、従来より、在宅重視の観点から、先ほど申しましたが、国の制度の四種類のサービスに加えまして、訪問看護や通所リハビリテーションなど五種類の在宅サービスを都独自に拡大しまして実施しているものでございます。そういう観点から、特別養護老人ホーム以外の施設サービスへの拡大は考えておりません。
○吉田委員 在宅重視というふうにいわれましたけれども、在宅も施設もそれぞれ重視すればいいじゃないですか。しかもこれは、今の国制度のもとだって対象を拡大することは、東京都の判断で何ら矛盾が起きないはずなんですよね。吉川さんいわれましたけれども、たとえ国制度が土台にあったとしても、東京都独自で行うなどということは、他の制度を見たって幾らでもあるじゃないですか。国制度の枠内だけじゃなくて大いにやれるということは、自治体としての努力のあり方として私は再検討していただきたいという要望を述べて、質問を終わります。
○野島委員 最後ですので、冷たい視線に耐えながら、何点かお伺いいたします。
一つは、ドメスチックな話題で恐縮なんですけれども、小児医療なんですね。全体像は別にいたしまして、私は、実は平成十三年に初めて都議会にお送りいただきました。当選した途端に、病院改革ということで、清瀬小児病院がなくなりますという冷や水を浴びせられまして、その後、各定例会ごとに定点観測で一般質問をしてきたんですよ。それで、今回また十七年度で選挙になりまして、まだ移転してないものだから、移転反対というのが、私を除いて、共産党と、民主党まで移転反対で選挙公約を打ち上げまして、大変苦労をいたしました。
しかし、病院改革は都立--僕らは、清瀬小児、清瀬小児って、清瀬の病院じゃないという前提に立たなきゃいけんだろうと。そうすると、ワン・オブ・ゼムですから、全体計画の中でどうやっていくんだ。その漏れたところを、地域の医療資源を、市町村が持つ部分あるいは都が持つ部分、こういったものと連携の中でやっていくという現実的な判断をしなければ政策というのは進まぬだろう。そういう意味合いでずっと取り組んできたんです。
特に清瀬と八王子で、八王子は委員会をつくって、両論併記まで行ったのかな、溝が埋まらず、そこでとまっていると思うんですがね。うちの方は幸いにして、地域の医師会あるいは行政体もいろいろ取り組んでいただきまして、特に小児医療の資源は、都内、八王子、清瀬といわれていますけど、地域でやると、八王子よりももっともっと少ない、人口比でいっても。だけれども、それは何らかの方策をとっていかなければいけんということで、多摩老が六月から公社病院として、多摩北部医療センターということでスタートしました。そこでは二次救急医療を確保するということで、この資料にも、最初にご報告いただいたように、この程度のお客さんですよということがありました。
それから、それ以外に、二次医療圏で全部で五市あるんですけど、それで地域のお医者さんが協力いたしまして、小児の初期救急平日夜間診療事業が開始されているんですね。で、一市でやるというのは比較的多い。二市も比較的多いでしょうけれども、実はこれは四市、四つの市と五の医師会なんですね。五市五医師会じゃないんですよ。それだけ置かれている市の状況が違うものですから、その調整が大変だったんですが、病院経営本部の皆さん、それから今、福祉保健局の担当の皆さんが、各市や医師会のコーディネートをしてくれてスタートできて、大変ありがたく思っております。
そんな努力をしながら今日に至ったんですが、まだこれは始まったばかりですから、どういう状況で動いていくのかよくわからないんですけれども、そういう取り組みについて、まず一点、どんな評価をなさるのかというふうなことについてお伺いしておきたいと思います。
○丸山医療政策部長 今年度、三月の終わりに、二市、狛江、調布で、複数市で立ち上げたというところで、六月になりまして、四市五医師会がこの北多摩北部で立ち上げたということですけれども、先生おっしゃったように、小児科医師が少ないなどの地域実情を踏まえ、関係各市、各医師会が枠を超えて協力され、小児初期救急の体制確保に尽力された成果であり、都としても非常に高く評価しております。
○野島委員 そんなことで大変困難な局面もあったというふうに私も思っているんです。反対、反対といっているのが一番楽だなと僕は思いましたね。なら僕ももうちょっと票が伸びたと思うんだけれども、残念でしたけれども、そこは責任政党自民党ですから、できない約束はしない。当然のことでございます。
で、高く評価いただいたわけでありますけれども、実はそういう意味では、自治体が例えば人口五十万、七十万とかありますけれども、大体この圏域、東久留米十一万、清瀬が七万、東村山はもうちょっと多いんですが、西東京二十万、そのくらいなんですよ。病院をみずから経営する力とかないし、やっちゃいけないと思っているんです。したがって、適切な民間の医療資源あるいは旧多摩老、こういったものと連携をしながら地域の医療のニーズにこたえていくということでやらなかったら、僕は財政的にもたないと常々思っているから、そういう意味での協力体制はますます必要になってくると思います。
そこで、今後いろんな、実は地域でいろんな話をしていまして、じゃあ、今後どうするのといったときに、地域の行政体あるいは皆さん、決定的なものを持ってないんです、正直なところ。病院は必要になったときあればいい、それは当たり前の話なんです。郵便ポストはぜひうちの近くにあってほしい、いつでも入れられる、当たり前の話なんですが、そうはいかないのが世の中なので、今後、東京都としてもっともっと積極的に、じゃあ財政の問題なのかと。いろんな課題がありますよ。ぜひお取り組みいただきたいと思うんですが、その決意というか、考え方をお聞かせください。
○丸山医療政策部長 今回のこのような取り組みは、ほかの地域のモデルとなると考えております。都としても、初期救急患者さんの容体により入院が必要な場合、多摩北部医療センターに受け入れるなど、二次救急医療面で連携するとともに、小児初期救急医療に必要な財政支援を行うなど、引き続き支援を行ってまいります。
○野島委員 これで終わりますが、まだ清瀬小児はあるんですよね。病院経営本部も今現実に経営しておりますから、地域実情がよくわかるように。これからなくなっちゃいますけれども、その後は地域医療ということで引き継いでいかなきゃいけない。本来の機能をどう発揮するかという、こういう局面になりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、ケアつきの住まいについてちょっとお尋ねしたいんですね。
この間の厚生委員会で、ナーシングホーム条例の改正の質疑をしました。施設依存から脱却しまして、地域での生活を支えるケアへの転換を求める、こういうことで、局長から、高齢者保健福祉計画、それと介護保険事業支援計画の一体的な策定に積極的に取り組んでいく、こんな答弁もいただいたところであります。
実はその後、この冊子が出てきたんですよね。東京都高齢者保健福祉計画、検討の方向で、パブリックコメントを求めますよ、「高齢化する団塊の世代が東京の社会を変える!」と、こういうことで、私もあと十年たちますと高齢社会に仲間入りして、あと二十年たちますと……(「ああ、まだか」と呼ぶ者あり)はい、後期高齢社会ですから、そういう年になったのかなというふうに感慨深くこれを見ておりました。
それで、特に衣食住のかかわりの中で、もちろんそれだけじゃないですね。介護もあれば、医療もあれば、就労もあれば、コミュニティとのつながりをどうしていくかというふうにあるんですけれども、そんなことをやっていますと何時間もの話になっちゃいますから。この中に、高齢者の住まい方に多様なニーズが高まっていますということの項目があるんですね。着るものは大分豊かになり、なり過ぎているぐらいだと思うんですよ。食べ物も相当いい。やっぱり住の問題が、行き着くところ、これから大変大きな課題になるだろうと私は思っているんですね。で、その後に、十月十三日に「日経」を読んでいましたら、第二の住まい選び多彩に、こういう記事が載っていたんですね。そんなところをベースに幾つかお尋ねをしたいなと思うんです。問われる生活設計ということで、私自身の課題でもありますので、そんなところもやって。
いわば高齢者の住宅が施設なのか、あるいは在宅なのか、こういう選択肢じゃなくて、ケアつきのいろんな住宅が必要になってくるだろうと思うんですね。賃貸住宅なんかもバリアフリー化をしていかなきゃいけんというふうなところもあると思いますし、適切なサービスを選択的に買うときに、そのサービス提供体制が地域にどう培養されているのかとか、いろんな課題があると思うんです。いわば自分のニーズに合わせて、生活設計に合わせて住み方を選択できるような住宅の用意。用意というとおかしいですな。住宅があればと、こういうことだと思うんです。
そこで、今回は有料老人ホームについてお伺いしていきたいと思うんですよ。
介護保険制度が導入されまして、有料老人ホームも介護保険の対象施設となったんですよね。かつて有料老人ホームというのはばか高かったんですよ。例えば二人部屋でも、保証金の償却と管理費を入れると月五十万や六十万かかったという時代なんですね。それは介護保険がないですから、管理費丸々ですから、そんなことがありました。しかし、最近は一時金もかなり低い額で、月々の負担も年金収入の範囲内で賄えるような、こういうホームもふえてきたやに伺っております。そういう意味では、今後、有料老人ホームが普通の都民にとっても老後の住まいの有力な選択肢になるのかなと思っているんです。
しかし、一方、例えば共有部分がないとか、一人当たりの専有面積が物すごく少ないとか、あるいはスタッフ体制が整わないというようなことで、十分な、人を相手にメンテナンスなんていっちゃ悪いんですが、フォローアップ、ケアができないというようなことがあるんですね。
実は、ここのホームページ、グループホーム整備事業というふうなところと、あと有料老人ホーム一覧というのをいただいたんですよ。ここにはこんな施設がありますよと、こうなっているんですね。それで、かつての、今私が、高い償却と管理費ですよといったのは、実は新しくつくったのが、介護協会ですか、ここでいうと全国有料老人ホーム協会なんかが入っているところ、これは指導指針か何かでむちゃくちゃいろんな制約があってつくったものですから、それがはね返るということで、そういう部分と、その後はそういうことじゃなくてできてきた部分があるんですね。だから、変な話をしちゃうと悪いんですが、ピンからキリまでというのは正直なところあると思うんですよ。したがって、そういう意味でも必要性があるわけですから、いわば幾ら払ってどういうサービスをというふうなところで都民の皆さんがそれぞれ判断していかなきゃいけないだろう。そういう意味では、有料老人ホームを選択するために、比較的容易に比べられるような情報が不足しているんじゃないかなと思うんです。新聞ではいろいろ出ていますよ、桜の里とかね、いろんなのがあるんです。
そこで、そんなところに向けて、有料老人ホームを需要者が安心して選べるような、都としての支援体制というのが組めないものなのかなと思うんですね。ぜひそんなところの見解をお聞かせいただきたいと思います。
○長谷川高齢社会対策部長 ご指摘のとおり、都内では近年、民間事業者による有料の老人ホームの進出が顕著でございます。地域における多様なケアつき住まいの選択肢の一つとなっているところでございます。しかしながら、最近も不当表示で指導を受ける事例があるなど、有料老人ホームの質の向上は極めて重要な課題だと考えております。このため、ご提案も踏まえ、都民が安心して有料老人ホームを選択できるようにするための都としての支援のあり方について、今後検討していきたいと考えております。
○野島委員 有料老人ホームですから、当然のことながら営利企業が経営しているわけでありまして、補助金が出しにくいとかいろんな事情で、その縛りをどうする、あるいは公表をどうする、あるいは基準をどうすると、こういうふうないろんなことがあると思うんですが、的確な対都民への情報の提供というようなことを主眼に、いろんな発想を持って検討していただきたいと思っております。
次に、グループホームでございます。
緊急三カ年整備計画等で一生懸命取り組んでいただいております。うちの近くにもありまして、いろんなことがあるものだなと。そういう人たちが入るグループホームは、こういう壁の色であると落ちつくとか、いろいろあるんですね、あれ。それだけ一生懸命研究している人もいまして、そういう意味では今後ますますそういうグループホームが必要になってくると思うんですが、現在の重点としてやっておられる計画の達成状況、こんなところを最初お聞かせいただきたいと思います。
○長谷川高齢社会対策部長 緊急三カ年事業の関係でございますが、認知症高齢者グループホームの緊急三カ年事業により、平成十五年度末実績で千四百六十一人から、十八年度、四千人まで整備する計画でございます。平成十六年度末時点では、計画数二千四百人に対して整備実績は二千百九十一、達成率でいきますと九一・三%でございます。また平成十七年度で計画数三千に対しまして、本年十月一日現在、ちょうど半分になるわけでございますが、現在の実績では二千七百二十八人、約九一%でございます。
今後とも、区市町村と連携しつつ、目標の達成のために取り組んでいきたいと思っております。
○野島委員 ありがとうございました。整備が比較的順調に進んでいるということのようであります。
これは、民間がつくっていくなり、市なり社会福祉法人がつくっていくわけでしょうから、東京都が直接つくるわけじゃないので、いろんな促進、誘導策をやらなければ。つくってください、つくってくださいとお願いすることはだれでもできると思うんですよ。そういうことで、支援の内容をいろいろちりばめながらご苦労なさっていると伺っておりますので、その内容についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
○長谷川高齢社会対策部長 グループホームの整備促進に向けての具体的な工夫でございますが、まず、整備のおくれている地域を重点的に支援するために、高齢者人口に対する整備率の低い区市町村を申請に基づき指定しまして、民間企業などが整備する場合に、補助率を引き上げております。
また、国に先駆けて、民間企業やNPOが整備する場合にも補助するとともに、都独自の補助メニューとして、建物所有者が新築または改修によりグループホーム運営事業者に物件を賃貸するような場合、その整備費を補助するオーナー型補助も実施しているところでございます。
さらに、本年度から、国の施設整備費補助費の交付金化によりまして単価の引き下げが行われたわけでございますが、都は、整備の促進の観点から、従来の補助水準を維持するための独自の加算措置を講じているところでございます。
○野島委員 オーナー型の補助の創設など、東京独自の取り組みということで進めているということで、大変力強く思っております。
ただ、まだこれからふえてくるんでしょう、認知症というのは。十八年度に四千人の目標が達成したとしても、施設をつくると潜在需要が顕在化してきますよと。そういう追っかけっこというのは、大体世の中の施設と需給のパラレルのところなんですよね。そんなところで、まだまだ不十分ではないかと、こんなふうに考えております。先ほど、高齢者保健福祉計画の改定も予定されておるようでございますので、その中でまた将来予測も踏まえて新たな目標を設定していくとか、そういう取り組みをお願いしておきたい。
それから、さっき、有料老人ホームということを申し上げました。いわば入って償却しながら、償却し切っちゃってもまだケアを受けながらというのが大体有料老人ホームですから、最初に一時金を払うということになりますわね。介護保険の適用ですから、それは在宅だって有料に入ったって、負担は同じだと思うんですね。
あと一つ、恐らくこれから賃貸住宅というのかな、そういうものが僕はふえていくような気がするんですよ。というのは、別にそれは敷金、礼金とかありますけど、一時金がばかでかくなるんじゃないのが一つ。それから、状況に合わせていつでも賃貸借期間をやめることもできるわけですよね。やめて、今まで要支援だったけれども、要介護でどこ行くのというと、特養に行くしかないのかな。あるいはケアハウスというのもあると思うんですが、僕は恐らくそういう賃貸住宅がふえてくると思う。
私、いろいろモデルケースや、いろんなハウスメーカーの方なんかとやりとりを、勉強会をやっているんですよ。そうすると、二DKの世帯向けよりも収支率は悪い、しかし、将来のことを考えると、いわばローリスクですわな、需要がふえていくだろうと。そしてローリターンだから、事業としては僕は悪くないんじゃないかなと思っているんです。
ただ、それをやるにしても、たくさん建てて、バックアップ体制を全部整えられる事業者というのはそんなに多くないと思うんですね、大きな資本が出てくれば別ですけれども。そういう意味では、そういう部分も含めて、さっきの話に戻りますが、いわばバリアフリー型のものを建てていく。ローリスク、ローリターンだけれども、入った方が安心して介護を受けられる、あるいは支援を受けられる、こういう住宅が僕はふえてくるような気がするんですよ。
きょうは私も確たるものがないので、気がするで終わっちゃうんですけど、またいろいろこの計画の中でそういう側面もご検討いただきたいなというふうに思っておりますので、この項については、この部分については終わります。
今度は本当に最後の最後でございます。委員長、あと十五分ぐらいですか。
○藤井委員長 どうぞ。
○野島委員 はい。
障害者自立支援法、既に話が出ておりまして、細かい話はやめます。
ご案内のように、参議院先議で、今、衆議院、こういうことでございます。さきの厚生委員会でも、意見書を出そうということでそれぞれ話がありましたけれども、まとまらずに終わりましたのを記憶いたしております。共産党さんは、そのときは、ともかく負担の問題はとんでもないよ、考え直せという話だったと思います。私どもは、比較的、今回の法律については理念を評価するが、だがしかし、低所得者サービスへの支障を来さないように、あるいは必要な財源は当然のことながら国が責任を持って確保するようにというふうな話で、意見書で、民主党さんのは、いろいろ書いてあったのでよくわからなくなっちゃいましたけれども、いずれにしても意見書としてまとまらなかったということの経過はあります。
この法案、私思いますに、一つは、知的、身体、精神、これを一本にしましょうよということですね。施策や制度を一本化。二つは、社会参加に向けて職業訓練や創作活動の事業促進と、それを可能にするような規制緩和をやっていかなきゃいけんだろう、こういうことだったですね。三つ目が、障害者が利用するそういうサービスについて、国の財政負担を義務づけた上で一割をもらいましょう、こういうふうに私は理解しているんですね。
障害者施策について、私が今さら申し上げることもありませんが、措置といういわゆる行政処分行為によって、一方的に一律にサービスを提供しましょう、こういう時代から、平成十五年は支援費制度になった。いわば障害者の方がサービスを選択して、適切なサービスを受けられるようにしていきましょう、こういうことだろうと思うんですね。
今回の法案はそれをさらに発展させて、介護が必要であるとか、あるいは就労に向けた訓練が必要等、障害者一人一人の状況や特性に応じて、最もふさわしいサービスをきめ細かく提供していこう、こういうものだというふうに私は理解しておるんです。
そういう意味では、言葉は大変悪いんですが、一まとまりにしてこれでよしということじゃなくて、その中にいらっしゃるそれぞれの特性をしっかり受けとめて、きめ細かくサービスをやっていって就労支援とかそういうものに結びつけるということは、私は、障害者に対する尊厳がより高まる法案だろう、そういう意味では画期的な法案だと思っているんです。郵政民営化も含めてね。
そういうことで、先ほど、六月何日でしたか、私も資料をちょうだいしたんですが、障害保健福祉施策の改革に関する主な論点と東京都の見解、こんなことで資料もちょうだいしておりますけれども、改めて障害者自立支援法に対する東京都の見解をまず冒頭お伺いしたいと思います。
○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法案は、障害者の地域での自立生活を支援する観点から、これまで、身体障害、知的障害、精神障害という障害種別ごとに異なる法律に基づき提供されてきた福祉サービスや公費負担医療について、共通の制度のもとで一元的に提供する仕組みを創設することとしております。
また、個々の障害者のニーズに合った、利用者本位のサービス体系の再編を図ることや、就労支援策の強化などが盛り込まれており、法が目指す改革の理念は、都としても評価することができると考えております。
さらに、定率負担の導入につきましては、今後、障害のあるだれもがサービスを広く利用できるようにするために必要なことであり、利用に係る負担の公平性を図り、制度を安定的なものとするために合理性を有していると考えております。
○野島委員 わかりました。法の理念に対してというか、今回の法案に対する評価を伺いました。
全体的な状況として、さっき申し上げた三点のうち、一点、二点はそんなに対立がないようなんですね。三番目の負担の問題になりますと、いきなり対立点が出てくる、こういうことだろうと思っています。この法の理念をどう具体的にしていくか、このことが大きな課題になっていると思うんですね。私どもも意見書の段階で申し上げましたが、いわば所得のない人から銭を取れないというのは当たり前ですよ、持ってない人から物をとるというのはあり得ない話だから。だから、そういうきめ細かな制度にしたから、逆に複雑になり過ぎてわからない部分が出てきちゃう、こういう部分もあるようなんですね。
したがいまして、私は、制度の安定性だとか持続性、これはもう社会保障の原点ですから、そういうものをしっかりと踏まえながら、みんなで負担を分かち合っていくとか、あるいは応分の負担をしていく、その上で、所得のない方、低所得者の方にはきめ細かい配慮をしていくというのは、さっきのナーシングホーム条例と一緒だというふうに私は思うんです。介護保険法の改正に伴うね。そんなことで、これから法律が成立しまして、政省令、それを受けて東京都も条例化していくんだろうと思っておりますけれども、ひとつそんな気持ちで取り組んでいただきたいと思います。
それと、東京都は国に先駆けてさまざまな障害者施策を先駆的に取り組んできた、こういう経過があるわけです。実は私ども自由民主党で、次年度予算に対する各団体のヒアリングというのをやっているんですよ。障害者団体の皆さんはやっぱり、この法律が通った後、今までのサービスが切られちゃうんじゃないかとか、いろんな不安を持っているんですね。そういう不安を除却していかなきゃいけないというふうなところがあります。私どももいろんな団体から、なるほどという話もありますけれども、それはちょっとおんぶにだっこに肩車じゃないのという話もありますので、その辺はまた整理して、私どもとしてもいろんな提案をしていきたいと思います。
一方、グループホームの充実なんかも東京都も一生懸命やっていただきました。こういう制度を国が今度ケアハウス、心障関連の、そういうふうに位置づけるやに決まっています。これは、東京都が先駆的にやったから国が制度化していこうと、こういう話のようでございます。
それから、先ほど吉田委員からも出ましたけれども、緊急三カ年プラン、国がめちゃくちゃ補助金を絞ってくる中で、これは私ども、六月の定例会で、当時の野村政調会長から、何とかすると、都独自の制度をもってしっかりとこの三カ年計画を仕上げるようにというようなことでご質問申し上げまして、それを受けて、しかと対応していただいて、大変ありがたく思っている次第でございます。
今後、この法律ができまして、しかし、障害者施策がこれで完結するわけじゃない。どう理念に向かって具体的に手を打っていく。理念のすばらしさは、しかし、具体的な施策じゃないとこれは生きないわけですから。
そんなところで、もちろんその部分もありますし、先ほど、東京都が先駆的にやった、あるいは国がやらないから東京都が思い切ってやったという、いろんな施策があると思うんですね。ぜひ今後とも独自の取り組みを積極的にお願いしたい。もちろん法の理念に照らして独自の取り組み、こういうことになろうかと思いますが、その辺についてのお考えをお伺いいたします。
○吉岡障害者施策推進部長 障害者自立支援法案の目指す理念を実現していくためには、障害者の地域での自立生活を支援するためのサービス基盤の整備が不可欠でございます。都はこれまでも、障害者地域生活支援緊急三カ年プランによるグループホームや通所施設等の整備を初め、障害者の就労支援についても、都独自の区市町村障害者就労支援事業や企業内通所授産事業などに取り組んでまいりました。
今後とも、サービス基盤の整備に努めることはもとより、新たに導入されるケアマネジメント制度に従事する人材養成等にも取り組み、事業の実施主体となる区市町村を積極的に支援してまいります。
○野島委員 ありがとうございました。
先ほどから、これが導入されると、あの制度はどうなっちゃうの、消えてなくなっちゃうのとか、大変な事態が起きるみたいな話がありましたけれども、既に、さっき話題に出ておりましたけれども、五月十三日付の論点と東京都の見解、これで、これにどう対処していくか、大きな論点は整理されているやに思っておりますので、これに従って積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
その際、必要なのは、社会保障の原則とは何なのか、こういうフィルターが一番重要だと思うんですね。やっぱり一つには普遍性があること、公平であること、創造性があること、それから、もちろん権利性がなきゃいけない。それと同時に、社会保障というのは社会全体で支えていくわけですから、むだがあってはいけない、有効性がなければいけない、こういう五つの視点が僕はあると思うんです。それに従って、ぜひ制度設計の中で、安定性のある、継続性のある、こういう新しい支援法、これを具現化していっていただきたいと、このことを強く要望しておきたいと思います。施策の転換点でありますから、そういうふうなところが特に必要になってくるのかなというふうに私は思っています。
最後に、障害者福祉の究極の目的は、障害者が納税者になっていただくことだ、こういうことであります。稼得、稼いで納税をしていく。稼いで納税をしていきなさいよということじゃないと思うんです。社会全体が障害者を支えて就業ができるような、いわば最大の社会参加をしていただいて納税をしてくださいよと、それが私は障害者福祉の究極の目的だろうと思ってございます。特に私がいっているんじゃないんです。これは、かのケネディ大統領がいっていた言葉でございまして、ぜひそういうことで、法の施行は来年の四月になるやに伺っておりますが、障害者の自立支援に向け、法の円滑な施行ができるように、ぜひ東京のケネディといわれるように平井局長に頑張っていただきたいと思いますので、最後に決意を伺いたいと思います。
○平井福祉保健局長 障害者自立支援法に関してのお尋ねでございます。
野島副委員長の見識に改めて感服いたしました。
この法案は、これまでの障害種別を超えて、一元的かつ安定的にサービスを提供する仕組みを創設するとともに、障害者の自立に向けた就労支援等の施策を取り込んでいるものと理解しております。法のこの考え方は、これまで東京都が進めてまいりました福祉改革の理念と基本的に一致するものでございます。また、福祉局、健康局の組織的統合との趣旨とも一致するものというふうに理解しております。
都といたしましては、来年四月にも予定される法施行に向けて、地域におけるサービス基盤の整備や障害者の就労支援サービスを支える人材育成などに積極的に取り組みまして、区市町村を支援し、だれもが地域で自立した生活を送ることができる、利用者本位の福祉の実現を目指しまして、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
○野島委員 ありがとうございました。
○藤井委員長 よろしいですか。--ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時七分散会
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