委員長 | 前島信次郎君 |
副委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 大山とも子君 |
理事 | 小美濃安弘君 |
理事 | 初鹿 明博君 |
理事 | 佐藤 裕彦君 |
山加 朱美君 | |
かち佳代子君 | |
藤井 一君 | |
田代ひろし君 | |
馬場 裕子君 | |
大河原雅子君 | |
野村 有信君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 押元 洋君 |
経営企画部長 | 奥田 匠君 | |
サービス推進部長 | 徳毛 宰君 | |
参事 | 織戸 正義君 |
本日の会議に付した事件
意見書、決議について
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第二十号議案 平成十七年度東京都病院会計予算
○前島委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、日程について申し上げます。
三月九日の本会議におきまして本委員会に付託をされました議員提出議案第二号及び第三号につきましては、先ほどの理事会におきまして、三月十七日に趣旨説明及び質疑を行い、決定は三月十八日に行う旨申し合わせをいたしました。ご了承願います。
次に、予算の調査について申し上げます。
平成十七年度予算は予算特別委員会に付託をされておりますが、本委員会所管分につきまして、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略をいたします。
平成十七年三月十五日
東京都議会議長 内田 茂
厚生委員長 前島信次郎殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(火)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成十七年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成十七年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第二十号議案 平成十七年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
○前島委員長 次に、意見書、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書九件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りをいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前島委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたします。
○前島委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査を行います。
第二十号議案、平成十七年度東京都病院会計予算を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料につきまして、理事者の説明を求めます。
○奥田経営企画部長 去る二月十七日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
目次にございますように、1、病院会計における一般会計繰入金の推移、過去五年間から、5、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備等事業におけるリスク分担まででございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願いたいと存じます。1、病院会計における一般会計繰入金の推移、過去五年間でございます。
各病院及び本部における平成十一年度から平成十五年度までの一般会計繰入金について記載してございます。
二ページをお開き願います。2、病院会計における一般会計繰入金のうち施設整備関連経費の推移、過去五年間でございます。
病院会計における平成十一年度から平成十五年度までの一般会計繰入金と、そのうちの施設整備関連経費について記載してございます。
三ページをごらんいただきたいと存じます。3、ここからは、都立病院における平均在院日数、病床利用率、入院、外来患者数及び医業収益の推移、過去五年間でございます。
(1)は、各病院における平成十一年度から平成十五年度までの平均在院日数について記載してございます。
続きまして、四ページをお開き願います。(2)は、各病院における平成十一年度から平成十五年度までの病床利用率について記載してございます。
五ページ、(3)は、各病院における平成十一年度から平成十五年度までの入院患者数について記載してございます。
六ページ、(4)は、各病院における平成十一年度から平成十五年度までの外来患者数について記載してございます。
七ページ、(5)は、各病院における平成十一年度から平成十五年度までの医業収益について記載してございます。
八ページをお開き願います。4、都立病院における職種別職員定数の推移でございます。
八ページから九ページにかけまして、各病院における平成十四年度から平成十七年度までの職員定数について、職種別に記載してございます。
一〇ページをお開き願います。5、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備等事業におけるリスク分担でございます。
さまざまなリスク及びリスク分担等につきまして、二ページにわたり一覧にしてございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。
○前島委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山加委員 私は、救急の救命処置の強化について伺わせていただきます。
先月、大阪で開かれましたある市民マラソン大会で、レース中に心肺停止になった方が、倒れてからわずか二、三分後に、周りの人々の連係プレーによって自動体外式除細動器、通称AEDを使用できたことによって、心拍と呼吸が戻り、命を取りとめたという記事を見ました。日本では、このAED使用は、去年の七月から一般の人も使用することができるようになったわけですが、このAEDは、簡単にいえば、停止してしまった心臓を電気ショックによって動かし、再生させる医療機器であります。
心肺停止者に対しては、できるだけ早く蘇生処置をとることが必要なことはいうまでもないことでありますが、国際的なガイドラインによれば、心停止後五分以内に処置を施すことができれば約半数の人が蘇生するといわれているわけですが、さらに三分以内に使用できれば、このAEDの効果は、七〇%以上が助かると聞いております。事実、お医者様があらかじめ包括的に指示を与えるという条件で、平成十五年度から救急救命士がこの除細動器を使用することができるようになったわけですが、前年と比較しても、除細動の実施による心拍の再開率は六・一ポイント向上したという結果も出ているようであります。
心停止が、そのときにいかに早く処置を行うか、それがいかに重要であるかということを物語っていると思いますが、既にアメリカなどでは、このAEDの普及が大変進んでおりまして、空港や会社、ショッピングモール、ゴルフ場など、多くの人が集まる施設に数多く設置をされておりまして、訓練を受けた市民が実際に使用しているそうであります。しかし日本では、一般の人が使用できるようになったばかり、昨年の七月から使えるようになったわけであります。
しかし、電気ショックを与える医療機器ということで、まだ医療関係者以外の方には、ちょっと使用に抵抗感のある方もいらっしゃると思うんです。実際は、このAED、操作が大変簡単で、誤作動が極めて少なく、そして、必要でなければ電気は流れないということで、誤っての使用の心配はないと聞いておりますけれども、私は、都民のだれもがこのAEDをいつでも安心して使用できるようにするためには、まず、正しい知識と理解を持っていただくことが非常に重要だと考えております。
そこで、まずお伺いいたしますが、一般の人がAEDの装置を操作するためには、特別な知識が必要なのかどうか、改めてお伺いをさせていただきます。
○奥田経営企画部長 AEDは、電気ショックが必要な患者さんかどうか、あるいは電気ショックをいつ与えればいいか、機器がすべて自動的に判断して、音声により指示をいたすことになっております。使用する人は、その音声に従って行動をすれば、必ずしも医学的な知識がなくても、必要な電気ショックを与えることができると。
また、ただいま先生のお話にありましたとおり、あらかじめ、除細動を行うべきではないと判断されるような場合には仮にその使用者がボタンを押しても通電しないというような設計になっているところでございます。
ただし、実際に心停止で倒れた人に遭遇したような場合には、一般の方々が自信を持って、かつ積極的に対応できるようにするために、厚労省といたしましては、講習を受けて、救命のための基礎的な知識や技術を身につけておく方がいいんだというようなことで推奨をしているところでございます。
○山加委員 だれもがいじれる簡単なものとわかっていても、やはり自分の目で見て、実際、一度は手で触れてみないと、なかなか正しい理解の普及というのは広まっていかないものだと思います。できるだけ多くの人が講習を受け、救命のための正しい心肺蘇生法を身につけ、AEDを手際よく操作ができるようになれば、救命率も格段に上がるのではないかと思います。
私は、約七千名の職員が働く、それもほとんどが医療系の職員である都立病院において積極的な取り組みを進めることで、都におけるAEDの普及に大きく貢献ができるのではないかと考えております。
そこで、都立病院での取り組み、そしてまたその効果について、ご見解をお聞かせください。
○奥田経営企画部長 AEDを正しく使用できる人を一人でも多く育成するために、都立病院の職員全員に、心肺蘇生法も含めた講習を受講させる考えでおります。これによりまして、職員の救命救急処置技術の向上を図り、院内の医療安全管理はもちろん、都民の救命率の向上にいささかでも寄与していきたいというふうに考えております。
○山加委員 都では、平成十七年度重点事業として、AEDを公共施設に配備することを明らかにいたしました。また、東京消防庁では、例えば事があったときに、救急車がほかの現場に出動していて、消防車が救急現場に先に向かわざるを得ない場合、そしてまた、同時に出ても消防車の方が先に着いてしまうような場合、そんなときに適切な救命活動が行えるようにということで、消防車に積載するためのAEDを全消防署、そして出張所に配備をするとのことであります。
そこで、都立病院においても、お医者様が使用する医療用の除細動器は、病院ですから、当然あると思います。しかし、患者や家族、お見舞いのお客様など大変多くの人が集まる公共の施設と考えたときに、だれもが使用できるAEDも、積極的に病院内にも配備していくべきと考えますが、都立病院におけるAEDの配備の考え方を伺います。
○奥田経営企画部長 墨東病院におきましては、既に外来部門を中心に配備を進めているところでございます。今後、他の都立病院におきましても、各施設の規模に応じて、必要な台数のAEDを配備して、万が一の事態に備えていきたいというふうに考えております。
○山加委員 命というものは、自分の命でありながら、事があったときには、自分の力だけではどうにもできない瞬間があります。私は、たった一分、しかし命を救う大きな大きな一分であると思います。AEDができるだけ多くの場所に配備され、たまたま居合わせた人が迅速に使用していくことによって、その真価が発揮され、救命率の向上に寄与していくことにつながると思います。どうか行政機関だけでなく、民間施設、会社、交通機関、学校など、さまざまな施設、組織により配備されるべきと思っております。そして、できるだけ多くの人がその重要性を理解し、使用できるようにしていくことが重要であります。
そのためには、都立病院のお医者様等が、地域における講習会に、医師の立場から命を救うことのできる可能性とともに、このAEDの啓発等に例えばインストラクターとして協力するなど、できる限りの尽力をしていただくようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○田代委員 関連で一つだけお願いしたいんですけれども、今、山加先生から大変時を得たすばらしい意見をいただいたんですけれども、やはり最後におっしゃられたように、いつでも、どこでも、ユビキタスに救命していかなくちゃならないために、使いやすさというのは非常に問題なんですね。消火器なんか似ているわけですけど、消火器の方は、多少使い方を間違えても、命にかかわるようなことはないでしょうけれども、こういうものは、命にかかわることはないという一応装置はついてはいるんですけれども、それに対して、都民がどこまで理解して信用しているのかということもありますし、一番問題は、使いやすくなくちゃいけない。一番基本は、同じフォームのものがいいんですね。
ところが、ご存じのとおり三種類あって、三種類とも形が違う。原則は同じだというのは、我々、自分たちでも使っていますから、我々はそう思うんですけれども、一般の人たちから見ると、形が違って色が違って、フォームがかなり違ってくると、使いづらいなというところが出てくる。
ですから、これはフィリップス一社に決めることがいいか悪いか。ただ、あれが一番保証も長い、五年という保証がついているわけですし、EKGの、心電図のモニターもついている。いろいろいいところはあるんですけれども、個人的には、日本の製品が日本で使われたらいいなという個人的な思いもあるんですけれども、やはり統一的な規格できちっと、だれが見てもすぐわかりやすい、そういう、使い方と見た目が統一されているということが非常に重要だと思います。そういうことを勘案しながら、都民の人が、だれが見ても、一度さわって、一度講習を受けたら、だれでもできる。ほかの会社のものだとおたおたしてしまうというのはちょっと困りますから、共通の使い勝手のいいようなことを都立病院でも考えてご指導いただけたらありがたいということを申し上げて、終わります。
○かち委員 質疑に当たって、資料をつくっていただきました。これをざっと見たところ、都立病院における病床利用率、入院患者数、外来患者数等々、いずれも総体的に減ってきているというのが実態だと思います。医業収益について、十五年度は若干上向いているというふうに見えるんですけれども、これは欄外のところに、十五年度からはこの中に一般会計負担金が含まれるということなので、正確な値はわかりません。若干横ばいか上向きなのかなというふうに思いますけれども。
こういう状況を見ていきますと、在院日数が四・六日ですか、五年前から減っているということが、収益増収にはつながっているのかなというふうに思いますけれども、この間、いろいろ医療保険が改正をされまして、患者さんの負担が重くなっている。こういうことが受診抑制につながっているのではないかなというのは大変懸念されるところです。
これからの病院医療においては、さらなる患者サービスの向上、また、医療レベルのアップや地域医療連携などが大変求められているというふうに思うんですけれども、そういう中での都立病院の今後のあり方というものが問われているというふうに思います。
そこで、予算概要について幾つか質問させていただきます。
予算書の新規事業として、患者サービスの向上の中の患者医療情報室の設置で、医療情報の提供ということが駒込病院でやられるようですけれども、その設置目的と具体的な内容についてお聞きします。
○徳毛サービス推進部長 患者中心の医療の実現を図るために、都立病院が患者の求める医療情報を積極的に提供することにより、患者さん及びその家族の医療への主体的な参加を支援、促進していくことを目的として、駒込病院に設置いたします。
具体的には、駒込病院はがん・感染症センターのため、がんを中心とした医学専門図書や雑誌等の閲覧、各種医療関係施設情報の提供、インターネットによる情報検索などを行う予定でございます。
○かち委員 インフォームド・コンセントが普及して、セカンドオピニオンの必要性が高まっている中で、患者さんがみずからの病気について正しく知りたいなど、正確な医療情報の提供が求められるようになってきています。こうした中で、患者さんのための医療情報の提供は大変必要なことだと思います。近年、都民、患者さんの意識も大きく変化してきていますよね。十数年前までは、がんの告知をすべきかどうかというようなことが社会的にも大問題になりましたけれども、今日では、がん疾患が当たり前のようになってきて、がんに対する情報のはんらんも大変あります。
そうした中で、告知も当たり前となり、インフォームド・コンセントが普及してきました。しかし、これも今、まだ一方的な医療者側からの説明に終わっている感が否めません。こうした中で、自分の病気についてもっと詳しく知りたい、また、治療方法についてもいろんな選択肢があるんだということを知って、主体的に病気に立ち向かっていく環境づくりも大変重要だというふうに思います。
今、ご説明の中で、医学専門誌やインターネットなども置いて医療情報の提供に努めるというふうにいわれましたけれども、こうした患者さんのための医療図書が病院各所でつくられてきているのが今日の実態だと思います。女子医大とか東邦医大大森病院などでも医療図書というのがあるんですね。都内では約三十カ所に置かれています。これが一般公開していないところも七カ所ほどあるんですけれども、病院によっては、司書を置いたりボランティアを配置したりして、かなりサービス提供を充実させてきています。病院図書研究会というところからも、こういうものを出しまして、どれぐらいのスペースで、どんな蔵書をどのぐらい置いたらいいかというようなことも、各地の経験から提言も出されているんですね。
こういうものもぜひ参考にして、都立病院での患者さん用の図書の充実ということに踏み出していただきたいと思いますけれども、病院経営本部として、今後の方向性というのはどのように位置づけているのでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 医療情報室に整備します図書につきましては、疾病情報や治療情報などの医療情報をわかりやすく解説した医学関係の書籍を整備する予定でございます。
また、患者医療情報室の運営につきましては、今後、駒込病院のサービス向上委員会に、患者医療情報室小委員会、これは仮称でございますが、設置しまして、医療情報室の運営全般について検討していく予定でございます。
○かち委員 運営委員会を設けて、その内容充実のために努力されていくということなので、ぜひ駒込病院を導入のはしりとして、今後も都立病院の中に普及していくように努めていただきたいというふうに思います。
次に、人材育成について伺います。
都立病院というのは医学部を持っていませんので、医師の人材は、提携している大学からのローテートなどに頼るところも大なわけですけれども、とりわけ小児医療など人材確保の難しい医師、また専門医などを、東京都独自で本格的に人材育成していくことが今求められていると思います。
平成十六年度から、卒後二年の臨床研修医制度が義務化されましたけれども、都立病院としては、この制度にどのように取り組まれてきて、現在どれだけの人を受け入れているのか、また、その後の研修体制をどのように計画をされているのでしょうか。
○奥田経営企画部長 平成十六年度から義務化されました新たな臨床研修医制度では、内科、外科、救急であるとか、各診療科の領域を総合的に修得できるようなカリキュラムを策定して、現在取り組んでいるところでございます。
その規模でございますが、いわゆる総合病院と松沢病院の八病院合計で、従来は一学年約三十名だったところを、約六十名にと大幅に増員をいたしました。
二点目のお尋ねですが、その後の研修というか人材育成はどうするんだということでございますが、初期臨床研修を修了いたしました卒後三年から五年までの医師を対象に、さらに各専門領域における第一歩を踏み出すような専門臨床研修医の育成に取り組んでいるところでございます。平成十七年度における一学年当たりの定員は、十病院合わせて約四十名というような形になっております。
また、これが修了した者を対象に、さらに上位の課程として、専門分化いたしました領域の専門医を育成するサブスペシャリティレジデントというような制度についても開始する予定でおります。
○かち委員 今、ご説明ありましたけれども、医学部を卒業した方が最初に入る、スーパーローテートといわれていますけれども、ジュニアレジデント、二年間ですね、経過をして、その後シニアレジデント、これが三年間ということで、約四十名というふうにいわれましたけれども、これを過ぎた後にサブスペシャリティレジデント、これが今年度から予算書の中にも載ってきているわけです。これは、研修期間は二年ということなんですけれども、このサブスペシャリティに十七年度から対象になる方は現在いるのでしょうか。
○奥田経営企画部長 対象は募集をすることになっておりまして、現在、募集をしている最中でございます。
○かち委員 東京都独自で専門医を育成するという意気込みは大変感じられるんですけれども、聞くところによりますと、最初の二年間の研修が義務づけになったということで、国からの補助金も出るということなんですが、待遇は、サブスペシャリティも含めて非常勤対応ということなんですね。この最初の二年間は、月に三十万円程度が出るということなんですけれども、全国一律の三十万円という点では、東京という家賃も物価も高い中で、同じように研修をするというのは大変厳しい側面があるのではないかと思うんですけれども、東京都としては、こうしたジュニアレジデントに対する研修の対応、どのように対応されているのか、独自の対応策というのは何かとられているのでしょうか。
○奥田経営企画部長 今、お話がございましたが、国の基準に準じた形で報酬を支払うということのほかに、都立病院独自で、研修のための教材の提供であるとか、学会派遣であるとか、そういったものについても努力をしているところでございます。
○かち委員 お医者さんになっていく、専門医になっていくというのは、大変長い道のりがあるなというのを本当に感じるんですけれども、ジュニアレジデント、シニアレジデント、サブスペシャリティレジデント、合わせて七年間あるわけですね。大学を卒業して二十四歳から七年間、ストレートにいっても三十歳は過ぎてしまうというような仕組みなんですけれども、こうした中、一番働き盛りの二十代をずっと非常勤体制で過ごさなければならない。そして、その中では、医師という免許も持っているわけですけれどもそういう待遇に甘んじなければならないという点では、仕組みはつくったけれども、本当にこの研修の仕組みの中に、システムの中に乗り切れるのだろうか。立派な制度をつくったけれども、実際には機能しなかったというようなことがないようにしなければいけないというふうに思うんですけれども、その辺の見通しというのはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
○奥田経営企画部長 さまざまな工夫をして人材育成の環境を整えた結果、平成十六年度の選考倍率は平均十二・二倍ということで、前年度の九・六倍を大幅に上回りました。したがって、ご懸念のようなことはないのではないか、十分乗り切れるというふうに考えております。
○かち委員 今の十二・二倍というのは、ジュニアレジデントの方ですね。
○奥田経営企画部長 はい。
○かち委員 ジュニアレジデントではそうであったけれども、その後の仕組みの中に本当に乗ってこれるのかというのはこれからですので、よく見きわめていきたいというふうに思います。
それで、各都立病院には、現在、一体どのように専門医が配置されているのか。とりわけ三大疾患といわれる循環器やがんや脳卒中、こういうものに対する専門医がどういうふうに配置されているのかということと、脳卒中の専門医というのは、各都立病院にそれぞれどのぐらいいるんでしょうか。
○奥田経営企画部長 専門医でございますが、例えば、今お話しの脳卒中の患者さんの受け入れの関係でございますが、脳外科あるいは救急診療科、神経内科、リハビリテーション科というところで、さまざまなところで受け入れているように、脳卒中に関連する専門医というのもさまざまな分野があるというふうに聞いております。
したがって、お尋ねの専門医を一口で幾つという形で抽出することはちょっと難しいんですが、仮に日本脳神経外科学会の認定医、専門医の有資格者が救命救急の三病院に何人いるかということであれば、三月一日現在で、それぞれ六名在職しております。
○かち委員 今おっしゃったのは、広域基幹病院の三病院にそれぞれ六名いるということですね。だから、全体の都立病院の中にどういうふうに配置されているかというのは、ちょっとまだわからないようですけれども、脳卒中というのは、本当に一般的な病気ではあるんですけれども、死なないけれども、倒れてからの後遺症とか、そういうもので長引くというようなことでは国民的な課題になっていて、この克服というのが、国を挙げて今いろいろ対策がとられているところだというふうに思うんですね。
そういう意味で、私も一般質問させていただきましたけれども、症例検討だとかそれぞれの病院間連携だとか、そういうことが非常に今大きく求められているときだと思います。そして、倒れてから三時間以内に運んで検査をして、適切な治療をしてリハビリに結びつけるというような、超スピードの必要とされる医療の分野に置かれている疾患だと思うんです。そういう意味では、拠点の病院だけでそれを賄うということは非常に難しい問題でありますし、少なくとも二次医療圏ごとのセンター病院というのはどうしても必要ではないかというふうに思います。
そういう意味で、脳卒中を重点医療として位置づけている荏原病院などは、区部南部と、世田谷とか杉並などを含めた西南部を中心にした脳卒中医療の拠点病院化していく必要があるのではないかというふうに思うんですね。その二次医療圏を中心にして、地域の医療機関との連携なども進めていく。その研修病院を中心にして、地域の先生方も研修をして全体の医療レベルを上げていくということが非常に今求められている。厚生労働省の方でも脳卒中対策に関する中間報告というのが平成十一年に出されておりまして、そこにも書かれております。
その中では、脳卒中専用の病室を創設することが必要だということが繰り返し出ているんですね。都立病院の中でも、今、荏原病院はその集中室を持っている病院でありますので、この機能をさらに拡充をして、地域の中での脳卒中拠点病院としての役割を果たしていくべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○奥田経営企画部長 生命危機を伴うような脳卒中の対応につきましては、これまで東京都は、都内にある二十一の救命救急センターで対応を行ってまいりました。都立病院におきましても、救命救急センターである三病院を中心にその対応を進めてきたということで、今後とも、その救命率を高めるために、こうした取り組みを強化していく必要があろうというふうに考えております。
お話のございました荏原病院の脳卒中専門病棟でございますが、地域の医療機関と連携をいたしまして、早期診断、早期治療、社会復帰に取り組んで、地域で大きな役割を果たしているところでございます。公社化のねらいも実はここにあるわけですが、現在荏原病院が持っているこういった医療機能を地域の医療機関とさらに緊密に連携させることによってもう一層活用していくということで地域全体の医療を向上させていきたいというふうに考えているところでございます。
○かち委員 地域全体の医療レベルを向上させていくために公社化しなければならないという理由は成り立たないと思うんですね。都立病院でこそこのことが私は展開できるというふうに思っています。
予算書の中にありますけれども、都立病院間のネットワーク化というものが出ておりますけれども、その内容、目的などはどのようなものでしょうか。
○奥田経営企画部長 多少補足をさせていただきますと、荏原病院は、公社化をすることによって、さらに地域の中核病院を目指しているわけでございますが、地域の中核病院は、システム的に地域のドクターと医療連携を行って、その地域のドクターを支援すると同時に、患者さんにも、連携によってもたらされるサービス向上というのを実現していくということで、まさに地域病院であればこそ果たせる機能だということで、こういった地域医療の充実というのを目指して公社化をしていくということにつきましては、先般もご説明したとおりでございます。ぜひご理解をいただきたいと存じます。
また、都立病院のネットワーク化ということでございますが、都立病院間のネットワーク化ということにつきましては、医療機能の集約を行うことによりまして、それぞれ都全域を対象としたセンター的機能を持つ都立病院を有機的に結びつけて、都における医療水準のさらなる向上、あるいは質の高い医療の提供を目指すものでございます。このネットワーク化というのは、都立病院改革の基本的な大きな課題の一つというふうに考えているところでございます。
○かち委員 都立病院が地域医療に貢献をする内容とは別の存在であるというふうには全然思っておりませんし、地域医療のレベルアップのために、これからの都立病院のあり方としては、もっともっとそういう地域医療との連携というのを強めていく必要があるんじゃないかと思うんですよね、役割が違うというよりも。地域病院になったら何が変わるのかといっても、何も変わりませんと、さらにサービス向上をするんですとおっしゃっていますけれども、都立病院自身がもっともっと地域の医療に貢献をしていくという姿勢をこそ私は示すべきだというふうに思います。
それで、今お話のありました都立病院間のネットワーク、これも私は重要だというふうに思うんですね。一つ一つの病院がそれぞれの専門性を持っているわけですけれども、患者さんが、全部が全部そこに集中するわけではありません。都立病院というところにいろんな疾患の人が行くわけですけれども、その重点医療として構えた病院が、情報を発信したり、いろいろな新しい治療方針を提供したり、また、病院間で同じ疾患の症例を共有し合う、そういうことによって都立病院全体のレベルアップをしていくというのは大変重要なことだというふうに思います。
今は、とにかくネットワーク化をして、都民に対しても都立の病院の医療情報が--さっきお話を聞いた中でもありましたけれども、実際にどういうドクターがいて、どういう専門能力を持っている人が、どれだけ、どこに配置されているのかというのもよくわかっていらっしゃらないというふうなお話を以前聞きました。そういうことをちゃんと病院経営本部としてもつかんで、それを都民に情報提供していくというのは非常に大事だと。
そういうネットワーク化も必要でありましょうし、病院間でのネットワークも必要です。病院の中での、例えばがんだとか脳卒中だとか循環器だとかの患者さんを登録しておいて、それを、本当は地域登録のような形にも発展をしていかなければならないと思うんですけれども、せめて都立病院間でもそういうことをやって、医療レベルのアップにつなげていくべきだというふうに思いますけれども、そういう疾患別のネットワーク化というものも今後考えているんでしょうか。
○奥田経営企画部長 都立病院改革マスタープランにおきましても、都立病院間の医療連携を推進するシステムづくり、あるいは積極的な医師の相互交流、病院情報システムを活用したカルテの一元化といったことで、まさに都立病院が持っている医療リソースを共有化する、ネットワーク機能の強化によって医療機能の向上を図っていくということが書かれているわけで、大変時宜を得たご指摘であるというふうに受けとめております。
いろいろなネットワークの方策があろうかと思いますが、こういったものによって都立病院総体の力が残すところなく都民の方に還元されるように、今後とも、順次その機能強化あるいは提供に努めてまいります。
○かち委員 もう一つ、ちょっと聞きなれない名称ではあるんですけれども、NST、どういうことかといいますと、栄養サポートチームというんですけれども、そういうシステムの都立病院での活用についてお聞きしたいと思います。
今、いろいろいってきましたけれども、医療というのはチーム医療なわけですよね。医師がすべてを決めるのではなくて、それぞれの専門職種が患者さんを中心にしていろいろなアプローチをする中で、早期治療、早期退院、地域へ帰していくということに取り組んでいかなければならないというふうに思うんですけれども、そういうチーム医療を展開する上での一番のベースになるのが栄養管理、栄養サポートということだというふうに、これは欧米では七〇年代から既にいろいろといわれてきて、そういうシステムが導入をされてきているんですね。
NSTというのは、医師、看護師、栄養士、薬剤師などの専門職種が一つになって患者に適切な栄養管理を行うチームのことで、主な役割は、栄養管理のアセスメントを行って、適切な栄養管理が行われているかどうかのチェックを行い、各疾患にふさわしい栄養管理方法を指導、提言する、そういうようなことを進めていくわけですけれども、この役割は、患者さんに適切な栄養管理を行い、大変実践経験からは喜ばれている、患者さんや家族から喜ばれているという反応もあります。それから、病院スタッフへの教育、啓蒙の場でもある、病院の経費節減にもつながっているということで、大変有意義なシステムだというふうに思うんですけれども、都として、どのようにこれを認識されているでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 NSTにつきましては、先ほど先生がおっしゃったように、主に医師、看護師、管理栄養士、薬剤師等により構成された専門スタッフが、栄養管理が必要とされる患者さんに対して栄養を支援するチームであると認識しておりますが、このNSTにつきましては、栄養アセスメントの知識や技術の習得が今後必要であること、また、診療報酬上の評価もないなどの課題もございます。
○かち委員 診療報酬上の加算がないという点では、病院運営上は課題になっているのかなというふうに思います。しかし、この制度は、欧米ではもう既に全体の病院の半数近くで取り組まれています。日本の病院でもだんだんふえてきていまして、現在、二百七十二施設でこれに取り組んでいます。都内でも十二施設、東邦医大とか逓信病院とか大きな病院なんかではどんどん取り組んできているんですね。
都立病院ではどうかといいますと、公社化される前の都立大久保病院でこれに取り組んでまいりました。この取り組みは、全国的にも高く評価されております。口から食べられない患者さんに、言語療法士が一緒にそのチームに加わって、どうしたら食べられるかという議論を重ねる中で、食物の様態を、水ではだめだと、流動でもだめだと、じゃゼリー状態ならいいとか、そんなことをしながら経口摂取に取り組んできて、全身状態を改善させたというようなことなども一例として出ております。
そういうことからしても、これは患者さんにとってもいいし、で、診療報酬化していないことについては、今後、国へぜひ働きかけていくべきだというふうに思うんですけれども、都立病院でもこうしたシステムをぜひ取り入れていくべきだと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 栄養管理が必要とされる褥瘡の患者さんにつきましては、既に全都立病院で、専門スタッフによるチームをつくって栄養支援を行っております。
ただいまNSTにつきましては、先ほどお答えしたような課題もございますので、今後、NSTを実施している病院の状況を見きわめながら、必要か否かも含めて研究してまいります。
○かち委員 自発的ではあったにしても、都立の時代の大久保病院でこういう取り組みをされてきていますので、ぜひその辺は積極的に受けとめて、研究をして取り入れることに足を踏み出していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○大河原委員 私からは、都立病院における個人情報の保護について伺っていきたいと思います。
四月一日から個人情報保護法が全面施行されることになり、個人情報の保護義務を負う民間事業者の対応が話題になっております。東京都では、平成二年に東京都個人情報保護に関する条例が制定され、昨年末にも改正を行っているわけですが、医療分野というのは、特に個人情報の性質上からも、適正かつ厳格な取り扱いが必要だと考えております。
まず、都立病院で扱う個人情報の量、これはどれほどのものと考えたらいいんでしょうか。また、どのように個人情報の保護について取り組まれてきたのか、伺います。
○徳毛サービス推進部長 個人情報保護法で規定いたします個人情報とは、当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいいます。診療機関におきましては、診療録、俗にいうカルテですが、エックス線写真、検査所見記録、処方せんなどといったものがございます。
都立病院で取り扱う個人情報の量につきましては、外来カルテを例にとりますと、平成十五年度の都立十二病院における一年間の新来患者数が約三十三万人ございますことから、保存年限十年分とすると、約三百三十万件分の情報を保有しているということになります。
これまでも個人情報につきましては、診療録については、病歴室などでの中央管理を行いまして利用者を明確にするとともに、カルテ開示など個人情報の開示に当たりましては、都立病院における診療情報の提供に関する指針を制定し、適切に取り扱ってまいりました。
○大河原委員 もともとお医者さんや看護師さんというのは守秘義務があるわけで、その点は多くの人の信頼をもちろん得てきているんですけれども、守秘義務と、この時代の流れの個人情報の保護というところでは、どのようにこれを反映してきたのか、この間の関係者の研修などをどのように行われてきたのか、伺いたいと思います。
また、医療現場では、委託をした業者さんといいますか、委託で、派遣で働いている方たちもおいでになるわけなので、こういった方たちの研修対応というのはどのようになっているんでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 医師や看護師など医療関係資格者につきましては、それぞれ守秘義務が刑法等で規定されておりますとともに、地方公務員法にも守秘義務が規定されております。
新任研修や重要課題研修、診療情報開示、さらには院内オリエンテーションなど、さまざまな機会をとらえまして、守秘について周知徹底しております。
委託業者につきましては、仕様書にプライバシーの保護を明記し、業務従事者に対して適宜研修を実施するなど、個人情報の保護に万全を期しております。
○大河原委員 これまで、大きなそういう情報の事故といったものはなかったというふうに思いますし、どちらかというと、時代の流れもあって、何か事故が起こったときの訴訟とか、そういうことから非常にきちんと管理されてきてやっていらっしゃるというふうに私も思っております。
厚生労働省の方が、昨年の十二月に、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドラインというのを発表しているわけなんですけれども、今後もこのガイドラインに照らして、都立病院ではさらなる改善を図られるのかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 ただいまの厚生労働省のガイドラインの発表を受けまして、都立病院におきましても、院内掲示などにより個人情報の利用目的を特定し、その内容を通知、公表いたします。
全都立病院に個人情報保護推進委員会を設置しまして、個人情報の安全管理や苦情対応を行ってまいります。
また、個人データを取り扱う情報システムの安全管理対策を明確にし、個人情報の保護を徹底させるなどの対応を行ってまいります。
○大河原委員 ちょっと以前の銀行の風景なんかですと、よく窓口で名前を直接呼ぶというようなことがありまして、これからは病院の風景も大分変わっていくんだと思っているんですね。実際、病院で利用者が気がつくものだけでも、今いいました名前の呼び出しですとか、あるいは病室のドアの入院している患者さんたちのネームプレートの掲示ですとか、あるいはナースステーションに置いてある面会の名簿がだれにでも見えてしまうというような、ちょっと細かいことですが、こういうすぐに気がつくようなこともあるわけなんですが、どのような対応を今後考えておられるのか、その点はいかがでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 お話しの名前の呼び出し等は、患者の取り違え防止など医療事故予防の観点から、業務を適切かつ安全に実施する上で必要とも考えられます。しかし、ガイドラインの趣旨に照らして、患者さんの要望に応じて、一定の配慮は必要と考えております。
現在、各病院の状況を踏まえまして、具体的な取り組みを検討しております。
○大河原委員 今後、各病院で個人情報保護推進委員会というんですか、そういったものも立ち上げられるというふうに伺っておりますけれども、具体的に気がつくことというのは、それこそ大勢の目で、大勢の視点で違った角度から見るのがいいかというふうに思いまして、女性の職員の方も多い職場ですから、こういった委員会の中でも、ぜひ男女の数が同じになるようなメンバーの選定をしていただけないかというふうに要望しておきます。
それで、個人情報の保護というのは既に患者の権利章典にも見られるというふうに思いますけれども、もう少し確実に反映されるべきものと思うんですが、この点、患者の権利章典と照らしていかがでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 都立病院の患者権利章典では、診療の過程で得られた個人情報の秘密が守られ、病院内での私的な生活を可能な限り他人にさらされず、乱されない権利があると定めております。この規定の運用も含めまして、患者さんの個人情報の保持やプライバシーの権利について厳正に取り扱ってまいります。
○大河原委員 都立病院で、個人情報の保護について病院はこう考えている、このように対応していく、苦情はこのように受け付けるということを患者さん、利用者の方たちにわかりやすく院内に掲示をするですとか、あるいはホームページに載せるですとか、いろんなことがあると思うんですが、私も厚生省のガイドラインを読ませていただくと、非常に具体的なことがたくさん書いてあって、これを利用者が直ちに理解するのは難しいなというふうに思うわけなんです。
それで、権利章典は各所に個人、患者の権利を守るということが書いてありますので、当然、個人情報の保護というところにも、既に基本的なスタンスがその場に立っているということは十分理解しております。ただ、やはり一項目何かきちんと書いておくことがいいんじゃないかなという思いもまだしております。
そして、要望を一つつけ加えさせていただきますと、今後、子どもの患者のための権利章典もおつくりになるということを昨年聞かせていただいておりますけれども、例えば子どもが入院をしている、そしてその子が例えば不登校や、いろんな精神的な病にかかっている、そして学校との関係性が余りうまくないということも実はあろうかと思います。しかし学校側は、子どものためを思って、状況がどうなのかというようなことも恐らく問い合わせをしてこられると思うんですが、まず前提に、そういう情報の交換についてご本人、お子さんやご家族、そういう子どもを中心とした医療スタッフ、それから先生、そういうところでの合意をあらかじめとっていただいて、そこを丁寧に対応していただけないかなというふうに思います。よかれと思ってしてしまうことが逆に向いてしまうことも間々あるんじゃないかというふうに想像されます。
それで、一般的に、病院での事故や事件があった際には、患者さんの罹患している病名が報道されているように見受けられます。これは個人情報であって、事故や事件と直接関係ない場合もあるように見受けられるんですけれども、都立病院ではこのような場合、どのような対応を行っているんでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 病院経営本部及び病院ともに、患者さんの個人情報の取り扱いにつきましては慎重を期しておりまして、報道機関等に伝えることは一切ございません。
○大河原委員 模範回答をいただいたんですが、事件というふうになれば警察の捜査に協力をするというのは当然の義務になってまいります。そこでいろいろな情報が捜査の必要性に基づいて提供されるということなんですけれども、その後についてはもう病院がタッチできないところに行ってしまうということで、残念ながら、取材の自由ももちろんありますので、思いがけないところで思いがけず個人が特定されてしまうというようなことがあるやもしれません。警察への協力は別として、マスコミの対応などくれぐれも気をつけていただくように重ねてお願いをさせていただきます。
次に、都立病院で発生する医療系の廃棄物について伺いたいと思います。
医療系廃棄物は有害性が高くて、不法投棄などをされた場合には大変影響が大きいということがございます。病院経営本部でも、特にこの点は注意されて管理をしていらっしゃることと思うんですが、各病院共通の重要な項目だと思います。
まず現状、現在の発生状況、それから処理状況について伺います。
○徳毛サービス推進部長 病院で発生する廃棄物につきましては、感染性廃棄物、産業廃棄物及び一般廃棄物がございます。平成十五年度の都立病院の実績につきましては、感染性廃棄物の排出量は約千二百トンで、専門の処理業者が焼却処分をいたしております。また、産業廃棄物及び一般廃棄物の排出量は約四千二百トンで、産業廃棄物処理業者が破砕、焼却処分をしております。
なお、最終処分場につきましては、病院職員が毎年現地調査を実施しております。
○大河原委員 私も岩手、青森の県境の不法投棄現場というのに視察に行ってまいりましたけれども、やはり経済効率といいますか、処理費が安い方にどんどん流れていく、市場原理にのっとって動いているわけなので、なかなか追っかけは難しいかと思いますが、今、最終現場まで見に行っているということをお答えいただきまして、大変安心いたしました。入札によって業者がそれぞれ年ごとに変わっていきますので大変ご苦労も多いかと思いますが、ぜひ引き続き厳格な対応をお願いします。
処理費についてなんですが、増減傾向についてどのように見ていらっしゃるでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 処理費につきまして、平成十一年度と十五年度の比較ですが、感染性廃棄物につきましては、十一年度は一億七千五百万円、十五年度は二億三千七百万円で、六千二百万円の増となっております。
また、産業廃棄物等では、十一年度は一億二千九百万、十五年度は九千八百万円で、三千百万円の減となっております。
○大河原委員 感染性廃棄物というのは最終的には全部焼却ということで、器具などについてもディスポーザブルなものが多くなっていますから、大変ふえていくという傾向はなかなかぬぐえないと思います。しかし、今、産業廃棄物の方も減る傾向というところでは、やはりこの点は、リサイクルがどういうふうに進んでいくのかというところにポイントがあるんじゃないかと思います。
適正な管理、処理が求められる医療系廃棄物なんですけれども、メーカーとの共同で製造元へ戻す仕組み、少しでもごみを減らす仕組みというのが必要ではないかと考えておりますが、例えばコストのメーカー負担というのはどのようでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 都立病院における医療廃棄物につきましては、リサイクル法の対象となりませんので、廃棄物処理法に従う必要がございます。したがって、都立病院における医療廃棄物は専門の業者が処理いたしております。
なお、処理コストは、排出事業者である病院の負担となっております。
○大河原委員 リサイクル法の対象にならないものが多いわけですから、特に感染性は先ほども申し上げましたように全部焼くということなんですけれども、それに伴って、付随してくる容器とか包装のたぐい、そういったものは恐らくメーカーにどんどん返していくという要求をしていくということが、一つは医療分野でのリサイクルを進めていく、そういう視点にもなっていくんじゃないかなというふうに思います。
何しろ東京には七百病院、二万三千軒以上の医療施設があるわけなので、そういった意味でも、少しずつこういう運動を消費者が進めていますが、データ的にも提供していただければ、今後助かります。
それで、不適切な処理とか不法投棄を起こさないように、病院経営本部では今年度ICタグ方式を取り入れられるというふうに伺いました。コスト面での課題があると思うんですが、どのようなご見解をお持ちでしょうか。
○徳毛サービス推進部長 コスト面でございますが、収集運搬経費及び処分経費に加えまして、新たにICタグ経費、これは一個当たり七十円、及び情報管理費、これは一件当たり二十七円がかかります。例えば五百床の病院ですと、約百八十万円の増額となります。
○大河原委員 実はこれは昨日ヒアリングさせていただきまして、環境局のモデル事業なんですね。それで、ICチップのついた、要するに医療廃棄物を入れるケースにそれを張りつけて、中間施設へきちんと搬入されているかどうかをチェックできる仕組みなんですけれども、まだシステム的に開発の途上ということがあって、都立病院で二カ所、民間で三カ所ということで、この秋から始まるというふうに伺いました。
ただ、ICタグがいまだ一個七十円、それからその読み取りにかかるのに二十七円、一個百円ぐらいかかっちゃうわけですね。これまで優良な業者と契約を結んできたのできちんとやってましたというふうにも思いますし、その点ではちょっとした出費なわけなんですけれども、やはり適切な処理処分というところに結びつけていくためには必要な実験であろうというふうに思います。
それで、システムが開発途上ということもあって、現場からこのシステムについて、本当にどういう可能性--信頼できる業者の育成を片っ方でやり、また、スーパーエコタウン事業で都内の医療系廃棄物は量的にはスーパーエコタウンとその周辺で都内処理ができるというような時代にもなってきているので、この仕組み自体は私も評価をしなきゃならないと思うんですが、それが都立の病院でやり続けなきゃならないことかどうかについては、今後の検証でしっかりと見きわめはしていただきたいというふうに思っております。
あと、病院の廃棄物についても、減量それからリユース、リサイクルといういわゆる三Rが求められていると思いますが、この点について、廃棄物の処理計画をどのようにお持ちなのか、伺いたいと思います。
○徳毛サービス推進部長 都立病院の廃棄物につきましては、その削減に努めておりますが、患者数の増減、あるいはディスポ製品がふえていることから、お話の処理計画を策定することは難しいと考えております。
なお、都立病院から排出される段ボール、瓶、缶、プラスチック容器等は資源ごみとして資源回収業者に処理委託することとしております。参考に、十五年度の実績でございますが、資源ごみ処理量は九百三十二トンでございます。
○大河原委員 病院で一般の廃棄物については焼却炉を持っていた時代を考えれば、格段にその仕組みが変わってきたというふうに思います。
非常に重要な現場ですので、医療系廃棄物の適正また厳格な管理、今後ともどうぞしっかりと進めていただきたいと思います。
終わります。
○大山委員 私は、多摩広域基幹病院と小児総合医療センターの整備について質問したいと思います。
この二つの病院の整備については、十二月に特定事業の公表がされまして、今回の公営企業会計予算説明書の一九ページには債務負担行為に関する調書というのが載っていました。これはPFI事業を始めるためのものだというふうに思いますが、具体的にこの予算書の中にあります二千七百六十四億四千百万円というのはどういう内訳なのか、教えてください。
○織戸参事 今回、予算に債務負担行為で出しております額でございますけれども、PFI事業者が設計、建設だけでなく医事事務、建物管理などの医療周辺業務を一括して担うことになってございます。
お尋ねの内訳でございますけれども、設計、建設や医療機器購入などの施設整備費で六百六十八億円、各種業務委託や材料費などの運営費で二千七十六億円でございます。運営費につきましては一年当たり約百三十八億円で、十五年にわたる経費を適切に積算したものでございます。
○大山委員 建物の購入費だとか、それから医療機器の購入費だとか、それからあとはいわゆる委託経費だということなんですけれども、ちょっと主な委託の内容、業務の内容というのを教えてください。
○織戸参事 委託の内容でございますが、さまざまあるのでございますけれども、例えば建物の保守、それから設備の保守、清掃、警備、調理、洗濯、医事、医療作業等の委託でございます。
○大山委員 こうやって委託の内容の予算も、それから建設費や医療機器のものも債務負担行為を議会に付議するということなわけで、いよいよPFI事業での病院建設が具体的に始まるというところに差しかかっているんだと思うんですが、PFIで進めていくことを今定例会で予算の上でも認めるかどうかというところだと思うんですね。
もしも予算が通ったら、事業者の募集ということになると思うんですけれども、もしも予算が通ったら、いつから公募することになるんですか。
○織戸参事 今のご質問でございますけれども、これから議会の方でそれの債務負担行為を付議しているところでございますけれども、議会議決後、直ちに入札の公告、募集公告の公表を行っていく予定でございます。
○大山委員 直ちにということですけれども、この間、十月にいただいた資料ですと三月末というふうに書いてありますので、今年度中に公募をするんだろうということなんですね。実質的にスタートすることになるわけですけれども、例えば小児総合医療センターというのは都立病院ですし、それから小児の総合の病院ということ、ですから本当に子どもの立場で病院ができるかどうかというのが問われているというふうに思っています。
都民の、とりわけ関係者の意見ですね、患者さんだとか元患者さんだとか、それから患者のご家族だとか、それから子どものことがわかっている大人の意見だとか、そういう関係者の意見を出し合って、話し合いを重ねてつくるというのが、やはり子どもの病院をつくっていくということだけに非常に重要だというふうに、私たちこの間も再三主張して、ぜひ意見を聞くようにというふうに要望をしてきたわけですね。
東京都が病院をつくるということについて、今どういう状況になっているのかとか、PFIでつくるというけれども、どんな状況になって、どういうものをつくろうとしているのかというのが、なかなか都民の皆さんにはわかりにくいんですね。きちんとやはり説明をして意見を聞く、それが必要だというふうに思いますが、どうですか。
○織戸参事 今回の整備計画につきましては、これまでもお話し申し上げているとおりでございまして、改革会議の報告をもとに、マスタープラン、それから改革実行プログラムを作成しまして、それぞれを公表する中で都民の方々にも周知をいたすとともに都議会にもご報告を申し上げまして、その議論を踏まえた上でその整備計画をつくっているところでございます。
○大山委員 それぞれを公表してというふうにいうと、大体ホームページでは公表されているということなんですけれども、本当にこのホームページを見ることができるというか、現在行っていることを見ている、関係する都民が、そのことを知っている、みんな知っているんだというふうに想定しているんですか。
○織戸参事 ホームページでございますが、これはホームページだけではなくて、「東京都広報」にも登載をしてございますし、また質疑応答につきましても、電子メール等で受け付けをしてございます。事情がある場合には、持参、郵送等を認めてございますので、ホームページだけでということではなくて、広く意見を聴取する機会を提供していると考えてございます。
○大山委員 持参でもいいんです、メールでもいいんです、ファクスでもいいんですということなんですけれども、公開している、全部載っているというと、やはりホームページですね。それで、私もホームページを見てみると、要求水準というのが出ているわけですね。これは本当にごく一部だけですけれども、病棟、病院ごとの要求水準が出ていて、例えば病院の全体の要求水準はこうですとか、各病棟のそれぞれの病棟でもどういう要求水準なんですということが出ているわけですね。これに関して、都民だとか医療関係者などから質問や意見というのはあったんですか、今、どなたでもというふうにおっしゃっていますけれども。
○織戸参事 ホームページ等々、要求水準につきまして質問等の数でございますけれども、これまで四回ほど質問を受け付けておりますけれども、総数で約二千問ほど来てございます。
○大山委員 その二千問の中に都民だとか医療関係者などからの質問はあったんでしょうか。
○織戸参事 来ています内容、会社等でございますけれども、多くは、今回実施をいたします要求水準、それに対します企業等からの回答でございます。
○大山委員 公開して、全部公開しているという中身というのは、やはりそうなるんですね。
これは病院経営本部のホームページのプリントしたものですけれども、例えば、十七年の二月二十五日提示資料に係る質問・提案についてということで、一件、質問や提案についてということで出ているわけですけれども、そこに、質問・提案の様式というのをクリックすると出てくるわけですね、これが。これを様式でどうなるかというと、会社名というのがまず最初に出てくるわけですね、そして部署というのが出てくるわけですね。
ですから、都民の皆さんから来ないというのは、これは仕組み上当然だというふうに思いますし、PFI法で見てみたって、こういうふうに公開するのは、民間事業者の選定については、公開の競争により選定を行うということですから、まさに公開というのは、応募したい企業のためのものだということなんじゃないですか。
○織戸参事 今回、公表してございますのは要求水準書でございますから、建設をいたします多摩総合小児医療センターと府中病院の建てかえの二病院についての案件でございますから、おのずとそうした会社等が要望というか応募してくるような形になろうと思います。
それから、先ほどの様式でございますけれども、それにつきましては別段、会社というのは書いてございますけれども、個人でもそれで、ホームページで出していただければそれで結構だということでございます。
○大山委員 やはり無理があるんですよ。企業、会社名と書いてあって個人じゃないし、それから今ご答弁されたように、このPFIに応募するために企業が、これはどうなっているんですか、これはどうなんですかというふうに聞く、それがその二千問超ですか、程度来ているということなんですね。
ですから、これは企業のためのものだということと、私がいいたいのは、都民の声を聞くんですということだったらきちんと別枠で設けるべきなんじゃないんですかということを質問しているんです。どうですか。別枠できちんと設けるということです。
○織戸参事 それの公表のことでございますけれども、これは実施方針の中にもありますように、当該事業にかかわります情報が早く、広く周知されるよう、広く実施方針の策定、公表をなるべく早い段階で行いますということになってございますので、これは今いいましたように、会社を問わず、個人を問わず、広く門戸を広げているということでございます。
○大山委員 もちろんインターネットというのは便利ですし、これで都民の意見も聞くんだということですね、今のご発言は。都民の意見を聞くということは、聞く姿勢があるんだということだと思うんですね。それだったら、もうちょっと丁寧に、患者さんだとか家族が見ているんだろうか、きちんと意見を寄せられるように自分たちはやっているんだろうかということをもうちょっと考えた方がいいというふうに思っているんですよ。
例えば、私も何人か聞いてみました。例えば梅ケ丘病院の患者のお母さんですよ。患者さんのお母さんですから、インターネットが子どもによくないので使っていないというんですね。こんなこと、ご存じでしたでしょうか。やはりこういうことにもきちんと思いをはせる、これがやはり子どもの病院をつくっていくんだということの、みんなでつくっていくんだということの重要なところだというふうに思っています。
インターネットで公開すれば、もちろん業者は便利ですし、何をやっているかというのもわかる、それはわかると思いますよ。しかし、そのページを開いて、膨大な資料に目を通して意見を書く、これは大変なことです。しかし、それをやらなければ意見は反映しませんよというんだったら、それは敷居をどんどん高くしていくということにしかならないというふうに思いますし、何をやっているのか都民からは見えないというふうに思っています。ですから、インターネットでやっているから、それから広報でやったから、それで事足りるということじゃないというふうに思っています。
私たち、前、紹介しましたけれども、宮城県立こども病院をつくったときとの決定的な違い、それは、関係者で議論しながらつくったのかどうか、つくるのかどうかということだというふうに思います。元患者だとか患者の家族、それから事務の職員、医師も看護師も議論して、それで宮城県の場合だったらチャイルドライフ・スペシャリストも入って子どもの立場での病院をつくったわけですね。都立の小児総合病院、めったにもうつくる機会というのはないわけですね。だからこそ、せっかくつくるんですから、徹底的に現場の意見を聞く、関係者の意見を聞く、そして議論をする、それを実現するために努力をする、これが必要だと思いますけれども、どうですか。
○織戸参事 今回の病院建設に向けましては、委員お話しのとおり、これまで病院スタッフからも十分意見聴取をしてございます。今、最後の要求水準書をつくってございますが、これらにつきましては、院長初め各病院のスタッフ等の意見を十分に反映させておりますので、ご心配のことはございません。
○大山委員 きちんと集団的に議論をするのかどうか、一方的に質問来たことを答えるのかというのとは、本質的に質的に違うんですね。例えば、今、職場の意見を聞いているというふうにおっしゃいますけれども、私も聞いてみましたよ。意見は出してくれというふうにいわれて出したと。しかし、何回か行ったり来たりしながら、例えば構造上それは入らないというふうにいわれたりして、結局何回か行ったり来たりしているというのは、現場で考えていることを結局縮小することだったというふうにいっていましたし、お医者さんも何人か集まってもなかなか意見一致するものじゃないんですというふうにいっているんですね。そういうものだと思うんですよ。最初からぴたっといくようなものじゃなくて、みんなの知恵を合わせて議論しながら積み重ねていくということがやはり必要なんじゃないですか。
○織戸参事 先ほども申しましたように、今回の要求水準書をつくるについても、病院スタッフの最大限の声を十分に吸い上げまして協議を重ねておりまして、慎重に設計作業等々進めていく予定でございます。
○大山委員 総合的に議論しましょうよと。職員も、もちろん自分たちが出した意見はわかるけれども全体像はつかめていないというふうにいっていますよ。
いろいろおっしゃいますけれども、昨年十一月二十九日の厚生委員会では陳情が出されましたね。この陳情というのは、都立梅ヶ丘病院患者家族の代表の池崎さんたちが出されたわけですけれども、二つ陳情の項目があって、その二つ目は患者家族の意見を十分に尊重するということでした。この陳情の結果はどうなったかということですけれども、審議をして、質疑をして、「本件中第二項は趣旨採択とすることにご異議ございませんか。」、「「異議なし」と呼ぶ者あり」ということですから、この二項め、つまり患者家族の意見を十分に尊重する、これは議会の総意だということなんですね。この陳情が採択されたことについて病院経営本部というのはどう受けとめているんですか。
○織戸参事 患者団体等の要望につきましては、その都度意見交換を行っているところでございます。
また、家族からの問い合わせ等があれば、梅ケ丘病院であれば家族会等を通しまして適切に対応しているところでございます。
それから、先ほどから出ておりますように、今回の病院からの職員の意見聴取でございますけれども、これは病院の日ごろつき合ってございますお医者さん初め看護師さん等々を含めまして、そういう医療スタッフが患者さん等々の事情を十分把握している方々でございますので、そういう方々の意見を必要な限り最大限に尊重して、今、要求水準の作成を急いでいるところでございます。
○大山委員 後からいったことについてですけれども、私がいっていることと答弁されていることというのは何が違うかというと、私は、何か一つのものをつくっていくとき、とりわけこんな初めてのことを、一からというか、いろんな積み重ねがあって、それで今、よりよい子どもたちの病院をつくろう、それから総合病院をつくろうというふうになっているときに、みんなの知恵を交わしながらやらなければ、この質問に対して答えました、この質問に対してこう答えましたということだけじゃ、やはりみんなの総意にはならないんじゃないですか、よりよいものにはならないんじゃないですかということなんですね。
ですから、職場だって、職場からもちろん意見は出したんですね。意見は出したけれども、やはりいろんな意見があるわけですから、いろんな意見を、その職種も超えて、それから患者さんの立場、ご家族の立場、それから職員の立場も一緒になって、それでつくり上げていった方がよりよいものになるんですよというふうにいっているわけですよ。
さっき、家族会などで対応をしていますというふうにご答弁されましたけれども、この陳情が十一月に採択されて、その後、患者さんの意見を家族会などで対応しているといいますけれども、その陳情の採択以後、家族会の皆さんに説明をしたり、それから意見を聞く場というのは設けたんですか。
○織戸参事 先ほど申しましたとおり、その以降、患者、家族会等と直接的にはお会いしてございませんけれども、先ほども申しましたように、家族会等で要望があったり意見等があれば、それを一番存じております医療スタッフが十分にそういう意向を把握いたしまして私どもの方に意見を反映させていただくということをとってございます。
○大山委員 家族会の皆さんはそんな一般的なことを望んでいるわけじゃないんですよ。
それで、今、要求水準書をつくっていますというふうにいいますけれども、最初に公表した、公開した要求水準書、その後にまた見え消しみたいにして変わるわけですね。それはいろんな意見があるから変えていくわけですね。それをより充実させるためにも、それからみんなでつくっていく、それからこの陳情も採択した、それはきちんと一番の当事者として説明もしてほしいし、具体的にどんな病院にするのかということを意見を出したい、そういうことだということなんですね。
ですから、当事者としては当然の願いを、きちんと、議会の総意で決まったことなんですから、病院経営本部として改めて説明会だとか意見を交換する場を設けたらどうなんですか。
○奥田経営企画部長 先ほど来参事から、何度か細々と具体的な形でお答えを申し上げておりますが、私どもは府中キャンパスに、本当に子どものためを思った、最高の小児のための医療施設をつくりたいという形でもってさまざまなところから意見を聞いてまいりました。そのために、院長、副院長あるいは医療スタッフから直接意見を聞いて、それで日ごろの経験を十分生かした形で、一定の判断も反映させながら、とにかくいいものをつくりたいということでこれまで作業を進めてまいりました。
我々は、都民全体のためにとってプラスになる医療施設をつくりたいというふうに考えております。要求水準は、したがって非常にハードルが高いものになっておりますが、これからこの要求水準に追いつくような民間事業者の、これまた病院経営もしくは病院建設に経験を積んだ民間事業者の知恵を十分に反映させて、そこで設計ができれば、またその設計を詳細に進めるに当たって、また職員の意見も反映させてという形でいいものをつくっていきますので、ご心配のような点はなかろうというふうに考えております。
○大山委員 ご心配のようなことはなかろうということは、それはおかしいと思いますよ。だって、きちんと説明してくれということに対してきちんと説明もしていないじゃないですか。十一月以降にやったんですか、説明会。
○織戸参事 先ほど、冒頭の部分でお話し申し上げましたとおり、これまでマスタープランと、それから実行プログラムを作成して、それを公表した後、この整備計画をつくったときにということで説明してございます。
○大山委員 きちんと十一月以降にはやっていないわけでしょう。十一月以降にやっていない、それは事実なんですよ。全体のため、都民の全体のための病院をつくるんだ、それは当然ですよ。しかし、一番の当事者が納得できるものができない。それから意見も、それから説明会もしない、個別に説明会もしない。そういうことでは、よりよくしたいと言葉ではおっしゃっていますけれども、本当によりよくしたいというんだったら、やはりきちんと積み重ねのあるところでやる。それから、さっきもいいましたけれども、一方通行ではなくて、議論をする、知恵をみんなで出し合うということが重要なことですし、きちんと意見を聞く機会を持つこと、説明会を開く、それが最低限の責任だというふうに思いますので、再度要望しておきます。
PFIでの日本最大のプロジェクトですけれども、質問を寄せている事業者が応募しようとしているところだと考えていいと思うんですけれども、問い合わせている事業者の業種というのはどういうところですか。
○織戸参事 現在来ております企業等でございますが、建設会社、設計会社、総合商社、医療事務関連業者等でございます。
○大山委員 建設会社、設計会社、商社、それから医療事務会社などということですけれども、病院は企業が経営できるわけじゃないですから、応募する事業者というのはやはり病院経営の、運営のノウハウはないわけですね。一番ノウハウがあるのはやはり都立病院、東京都だというふうに思います。そう思うんですけれども、どうですか。
○織戸参事 今回のPFI事業といいますのは、よくよくお話し申し上げていますように、民間の資金と活力を最大限生かしていこうということでございます。都立病院等もまたそれなりの能力を有してございますけれども、それの至らない部分をそうした専門会社の知識、経験等を生かしていいものをつくっていきたい、そのように考えてございます。
○大山委員 先ほど債務負担行為のところを伺ったときに、委託費というのは、委託の内容というのは、設備の保守だとか建物の保守だとか、清掃、警備、調理、洗濯、医事などだというふうにおっしゃっていましたけれども、この委託費の算出の根拠というのはどういうことでしょうか。
○織戸参事 委託費の根拠でございますけれども、債務負担の部分についてでございますが、これにつきましては、あくまでも既存の府中病院、それから清瀬、梅ケ丘、八王子、これらの三病院の過去の三年間の実績をとりまして、また新しい病院、つくろうとする病院の建物面積や、対入院、外来収益ですか、また患者などで補正をして算定してございます。
○大山委員 都立の病院が基礎になって算出をしたんだということだと思うんですけれども、委託業務というのがいろいろありますね。それでその委託業務というのは、PFIの中身でいくと、その中核企業というんですか、SPCが中心になって、そのSPCが洗濯だとか医事事務だとか建物保守だとかというところに委託していくわけですね。結局、今までは東京都がそれぞれのところと、一つ一つの事業者、委託事業者と結んでいたけれども、それを一括してSPCが中心になって結ぶということなわけですから、しかも委託料というのは、さっきおっしゃったように都立病院がベースになっている。結局何か、今までだったら委託業者というのは一次下請みたいな感じなんだけれども、今回は、SPCがあって、孫請みたいになっちゃうのかなというふうに思う--認識せざるを得ないわけですね。
ですから、つくり方の問題をさっきやりましたけれども、そういうことでも、やはりPFIではなくて、都がきちんと直接行うことを再度求めておきます。
もう一つですけれども、小児病院、そして小児科などの充実についての提案をしたいと思います。
新生児から乳幼児、それから思春期に至るまで、成長過程にある子どもたちが病気を治すということですから、小児科、それから小児病院というのは、病気を治すということと同時に成長、発達を保障するということが求められていますが、どういう認識でしょうか。
○織戸参事 今回、多摩につくります小児総合医療センターというのは、心から体まで一体となったというような病院でございますので、今いわれましたように、病気の治療だけでなくてそういう精神面等の充実も図ってまいりたいと思っております。
○大山委員 新しくつくる小児総合病院だけじゃなくて、小児科の病院それから子ども病院、小児科の小児病院というのは、成長、発達も病気を治すと同時に必要だということだというふうに思うんですけれども、そのためには、入院していても、医療だけじゃなくて発達も保障する保育士の役割というのは大きいというふうに思っています。
都立病院で今、病棟保育士が配置されているところはどこで、何人ずつ配置されていますか。
○織戸参事 現在、保育士が配置されております都立病院でございますが、大塚病院へ十四年度に二名、小児病院へ平成十六年度に一名配置をしてございます。それから、梅ケ丘病院には十七名配置されてございます。
○大山委員 大塚病院には十四年から二人、清瀬小児には十六年から一人ということですね。梅ケ丘病院は十七人ということですけれども、三年前から診療報酬でも保育士加算ということで制度的にも保育士の役割が認められたということは、病院でも生活の重要性だとか発達もきちんと同時に保障するということが位置づけられたことだというふうに認識しています。
私、一期目のときに清瀬小児病院に行って、小児病院にも保育士配置が必要なんだということを質問した記憶があるんですね。それは私の地元のすぐそばにあります国立国際医療センターというところで、週に一回か二回だけなんですけれども、がんのお子さんだとかそういう長期に入院している子どもたちに保育が、遊びが提供されることによって本当につらい治療を前向きに受けるという力をつけているということを知って、それで質問したわけですけれども。
日本医療保育学会というのもありまして、そこの理事長で小児科医の帆足英一氏が何といっているかというと、お父さん、お母さんから離されて分離不安を訴えている子どもたち、それに追い打ちをかけるように注射や検査や処置といったさまざまな苦痛を伴う治療を受けています、その期間が長くなるにつれ、子どもの苦痛は物すごいストレスとして蓄積されていき、その結果、表情が暗く、子どもらしい目の輝きもなくなり、ついには前向きに病気と闘う意欲さえ失ってしまうということで、そういう子どもの状態を少しでも楽にしてあげる保育士の役割がようやく制度的にも認められたことなんだというふうに述べています。
昨年、NHKでも、病棟保育士の特集番組が放送されました。その中でも、入院していてもやはり発達を保障する、遊びを保障して心のケアをすること、これが重要なんだということがいわれて、私たち、前、紹介しましたけれども、チャイルドライフ・スペシャリストが行っているプレパレーションという、例えば手術の前なんかに心の準備も含めてどういうことをやるのかということを説明していく、それは子どもに対してのインフォームド・コンセントなんだということなんですね。
さっきの帆足氏は、今までは私たち医療人の考え方が違っていました、つまり、つい親御さんの了承をとか親御さんに説明をとなっていたんです、最近は、子ども中心に考えていく、子どもでも理解できるアプローチはあるんだということがわかってきました、それを今保育士が一生懸命やっていたのですというふうに述べています。
非常に重要なことだし、必要性を認めているから、保育士を清瀬小児にも大塚病院にも配置をしているというふうに思うんですけれども、どういう評価をしているんですか。
○織戸参事 先ほど申しました都立病院への保育士の配置でございますけれども、入院児童の成長、発達を促す観点からは一定の効果があるものと評価をしてございます。
○大山委員 評価しているからこそ配置しているということだと思うんですが、成長、発達を保障するということ、それにしても清瀬病院はベッド数だけでも二百五十五床ぐらいですか、大塚の小児科は三十五床ということですから、いかにも少ないというふうに思うんです。
今、病棟保育士の役割が注目されるようになってきたわけですけれども、注目されるようになった背景の一つには、医療技術の進歩で、これまで不治の病とされてきた病気が長期の入院治療によって治るようになったということ、そのため、入院中の心のケアがより求められるようになったということなんですね。一人の保育士だけじゃなくてせめて複数の保育士が配置されれば、協力し合ってより内容も充実されてくるわけです。大塚病院には二人ということですけれども、せめて清瀬病院、二百五十五床もあるところですから、複数配置、それ以上の配置ということが必要だと思いますが、どうですか。
○織戸参事 保育士はもちろんでございますけれども、職員の配置につきましては、これまでも業務量に適切に対応して配置をしてございます。今後ともその方針で臨みたいと思っております。
○大山委員 業務量といったらきっとふやしていかなきゃいけないような業務量になるんだというふうに思いますけれども、実際、都立の小児病院で保育士を配置して実践的に取り組んでいるというのは重要なことだというふうに思います。梅ケ丘とこの二つの病院だけじゃなくて、ほかの小児病院、八王子小児も、それからそのほかの小児科のある病院にもきちんと配置をするように進めていただきたいということと、特に少数職種になっているわけですから、研修だとか実践交流をして、より充実させていけるような保障というのも重要だというふうに思います。
梅ケ丘病院というのは病棟保育士が十七人ということですけれども、自閉症の病棟だとか、それから思春期や幼児などのデイなどに、外来にも配置されているということですから、子どもたちへの治療と療育が保障される、そのための保育士配置ということですね。
発達障害を伴っている精神障害の子どもたちの療育というのは、より高い専門性が求められているというふうに思っています。梅ケ丘の療育部門については、日本保育学会だとかその関連のところにも研究発表もしている、非常に評価されているところですけれども、日本をリードしているような状況だといっても過言ではないというふうに思っています。この分野もより充実させていくことが必要だというふうに思いますが、どうですか。
○織戸参事 梅ケ丘の保育士につきましては、先ほど委員ご指摘のとおり、業務内容で幼児、児童の養育指導だとか思春期デイケアにおきます養育指導等に当たってございます。
これら梅ケ丘病院の保育士につきましても、これらの業務を通じましてそれの業務に見合った形で適切に対応してまいりたいと思っております。
○大山委員 より充実させていっていただきたいというふうに思っています。
あともう一つなんですけれども、府中のキャンパスにはがん検診センターがありますけれども、このがん検センターとその総合病院、がん重点医療にするんだというふうにいわれているわけですけれども、重点医療にするというんだったら、やはり検診センターとの連携というのは重要だというふうに思うんですが、その連携というのはどうなっていますか。
○織戸参事 府中キャンパスには、ご指摘のとおりいろんな施設がそろっているわけですけれども、これにつきましては、今回の一定で知事が答弁申し上げましたとおり、さまざまな施設のネットワークを構築するなど、相互に連携協力を図って、キャンパス全体として施設の一体的な運営を目指すということで、今後、それらのことについて検討してまいりたいと考えております。
○大山委員 病院経営本部と福祉保健局ということで、局はまたがるわけですので、より連携をとるということでは連絡を密にしていく、それからがんの検診、それから早期発見して治療ということですから、本当に統計的にもいろんなことが考えられるんだと思いますし、研究という点でもぜひ連携をとっていっていただきたいというふうに要望して、終わります。
○前島委員長 お諮りをいたします。
本案に対する質疑はこれをもちまして終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前島委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了をいたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会します。
午後三時二十四分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.