厚生委員会速記録第十七号

平成十六年十二月十日(金曜日)
第七委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長前島信次郎君
副委員長鈴木あきまさ君
副委員長大山とも子君
理事小美濃安弘君
理事初鹿 明博君
理事佐藤 裕彦君
山加 朱美君
かち佳代子君
藤井  一君
田代ひろし君
馬場 裕子君
大河原雅子君
野村 有信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長幸田 昭一君
次長帆刈 祥弘君
技監梶山 純一君
総務部長吉川 和夫君
指導監査室長岩井 令雄君
医療政策部長菅原 眞廣君
保健政策部長丸山 浩一君
生活福祉部長笠原  保君
高齢社会対策部長野村  寛君
少子社会対策部長朝比奈照雄君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長中井 昌利君
企画担当部長野口 宏幸君
感染症・環境安全担当部長小松 博久君
参事杉村 栄一君
参事桜山 豊夫君
参事大村 信夫君
参事狩野 信夫君
参事長谷川 登君
参事清水 克則君
参事浅井  葵君
参事佐藤 恭信君
病院経営本部本部長押元  洋君
経営企画部長奥田  匠君
サービス推進部長徳毛  宰君
参事織戸 正義君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 病院経営本部関係
報告事項(質疑)
・多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)整備等事業のPFI事業としての実施について
 福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百三十五号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第二百三十六号議案 東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
・第二百三十七号議案 東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
・第二百三十八号議案 東京都結核診査協議会条例の一部を改正する条例
・第二百三十九号議案 東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例
陳情の審査
(1)一六第八五号の一 三宅島島民の帰島に係る施策の実施に関する陳情

○前島委員長 ただいまから厚生委員会を開会をいたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書五件、決議二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りをいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認め、そのように決定をさせていただきます。

○前島委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の報告事項に対する質疑並びに福祉保健局関係の付託議案及び陳情の審査を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○奥田経営企画部長 去る十一月二十九日の本委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の厚生委員会要求資料をごらん願います。
 資料は、過日ご報告させていただきました、多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)整備等事業のPFI事業としての実施についてに関しまして、ご要求のございましたものをまとめたものでございます。
 一ページをお開き願います。1、多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)整備等事業に関するVFM、バリュー・フォー・マネーの算定要素でございます。
 VFMの算定に当たり考慮いたしました主な経費等につきまして、その概要を記載したものでございます。
 次に、二ページをお開き願います。2、多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)整備等事業実施方針等に関する民間事業者からの主な質問でございます。
 本実施方針公表後に寄せられました主な質問項目を、一覧にして記載してございます。
 以上、まことに簡単でございますが、要求のございました資料につきまして説明を終わらせていただきます。

○前島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、ただいまご説明がありました、仮称多摩広域基幹病院もしくは仮称小児総合医療センターの整備について、PFIで実施されるということが報告をされたわけでありますが、数点質問をさせていただきたいと思います。
 私、昨年、PFIの本場でありますロンドンに視察をさせていただきまして、PFIについて勉強してまいりました。私がそのときに勉強してまいりましたPFIというのは学校だったんですけれども、一般的には、PFIといいますと、施設の建設から運営までを一式丸ごと民間業者に任せて、民間の創意工夫やノウハウを活用する、こういったイメージがあるわけでありますが、今回は病院であります。病院のPFIにつきましても、すべて民間事業に任せるというイメージを抱いている都民も少なからず多いのではないかなと、そんなふうに思っているわけですが、しかし、学校とかその他の建物と違いまして、病院というのは一種特殊なところであると思っておりますし、どの部分をPFIとして民間に運営をさせるのか、非常にわかりづらくなっているのではないかと思っております。そこで、病院経営本部といたしましても、都民にわかりやすく説明をしていく責任があると思っているわけであります。
 今回、多摩広域基幹病院(仮称)、小児総合医療センター(仮称)、二病院のPFIは、都として初めての病院PFIでありますけれども、先ほどもいったように、ちょっとわかりづらいところがあります。そこで、今回の病院PFIでは、都と民間事業者との役割分担というのがどうなっているのか、まず冒頭お伺いをします。

○奥田経営企画部長 病院は、医療法などの制限によりまして、医師による診療行為であるとか、あるいは看護業務そのものを、営利会社である株式会社に委託することができないようなルールになってございます。
 病院PFIにおきましても、医師による診療行為等は公共側がみずから行って、一方で、建物の設計、建設業務あるいは医事会計業務、建物の維持管理業務などの、いわば医療の周辺業務を民間事業者に委託するという形になります。このため今回のPFI事業につきましても、病院の設計建設や、あるいは医療周辺業務などにつきまして、民間事業者に包括的に委託するという形にしているわけでございます。

○小美濃委員 いわゆるPFIの方式が何種類かあるんでしょうけれども、BOT方式として、建物自体を、事業期間全体にわたって民間事業者がずっと所有をしていて、運営も民間事業者に任すという方法があります。私がロンドンで勉強してきたのもこの方式でありますけれども、こういった場合は、民間の大手のアイデアがふんだんに出されて、成功率も高いという報告を受けてきたわけであります。
 都としても、建物の管理をすべて民間事業者に任すことで、事務量の軽減も図れるのではないかと考えているところですけれども、今回、都が事業方式として採用するのは、建設後所有権を移すBTO方式というのを採用すると聞いているわけであります。
 BTO方式を採択した理由と、BOT方式との比較をご説明願いたいと思います。

○奥田経営企画部長 ただいまお話をいただきましたBTO方式でございますが、民間事業者が建設した後、その施設の所有権を都に移した上で施設運営を行うという方式で、この方が、事業期間中民間事業者が施設を所有したままで運営を行うBOT方式に比べまして多くのメリットがあると判断をいたしまして、BTO方式を採用することとしたものでございます。
 具体的には、地方債を充当できるために金利負担が少なくなること、また、都が施設を所有することで固定資産税等が免除されることなど財政負担が縮減できること、さらに、診療報酬の改定等に伴う施設基準の変更であるとか、あるいは医療需要の変化に応じた施設改修に迅速に対応できるということなどでございます。

○小美濃委員 BTO方式のメリットというものを今ご説明を受けたわけでありますけれども、しかし、よくよく考えてみると、この方式だと、従来行っておりました、施設整備を都が行って、医療周辺業務は個別に委託する、こういった方法と何ら変わらないんじゃないかという疑問も出てくるわけですね。果たして病院の整備、運営で、PFIを実施するメリットがあるのかどうなのか、お伺いをします。

○奥田経営企画部長 PFIで実施することによる施設整備面でのメリットについてのお尋ねでございますが、まず都の直営施工では、設計と施工を工事体ごとに別々に発注することになりますが、PFIにおいては包括的に発注するために、設計段階から施工や維持管理までを、全体を視野に入れた効率的な施設整備が可能となります。
 また、直営施工のように、工法であるとか工程であるとか、使用する資材等を個々具体的に仕様発注として示すのじゃなくて、求める水準のみを示す性能発注とするために、民間事業者の創意工夫やノウハウが十分発揮されて、品質を保ちながらもコスト削減が図られることになります。
 サービスの面でございますが、従来、個別に各委託業者と行っていた調整等については、委託業務全体を統括する責任者と一元的に調整すればよくなるため、医師であるとか看護師などが、今まで以上に診療業務に集中することが可能となる。医療サービスが向上をするということになろうかと考えております。
 また、業務を長期かつ包括的に委託することによりまして、各種の業務について熟練された専門性が発揮され、類似業務などの整理が行われるなど、患者サービス水準の向上と業務の効率化が図られることになろうと考えております。

○小美濃委員 今、施設整備の面とサービスの面でのメリットのご説明がありましたけれども、冒頭申し上げましたとおり、今回のPFIのここら辺が一つの重要なところなのかなと思っておりますので、こういったことでメリットがあるんだよということは、ぜひ都民の方々に機会あるごとにご説明を願いたいなと要望しておきます。
 さて、施設整備とサービス面のほかに、やはりPFIを採用するには財政的な効果を期待をするわけですけれども、今回の報告では、都が直接実施する場合に比べて、十一月にいただきましたこの資料によりますと、いわゆるバリュー・フォー・マネー、二・三%程度削減ができるということが、効果があるということが報告をされております。しかし、バリュー・フォー・マネー二・三%というのは、実際にどの程度財政効果があるのか、お伺いをしたいと思います。

○奥田経営企画部長 今回のバリュー・フォー・マネー算定に当たりましては、民間事業者の創意工夫によるコスト削減効果が確実に見込める部分に限って算定をいたしました。いわゆるかたい積算を行ってございます。そうした見積もりであるにもかかわらず、その財政負担の削減額は、事業期間全体で約七十億円に達します。これを年単位に換算いたしますと、約四億円の削減ということになりまして、大きな削減効果があるというふうに考えております。

○小美濃委員 病院経営本部がPFIの導入を検討するために、スケジュールをいただいたんですけれども、平成十四年に導入可能性調査を実施をしているわけであります。今回のバリュー・フォー・マネーは、導入可能性調査のときと比較してどうなっているのか教えていただきたいのと、恐らく増減があるんだろうと思うんですが、増減があるならば、その要因は何なのか、教えていただきたいと思います。

○奥田経営企画部長 平成十四年度に実施をいたしました導入可能性調査において算定いたしましたVFMは一三・八%であったのに対して、今回算定いたしましたVFMは二・三%でございまして、削減率は低くなってございます。
 VFMが減少した主な要素でございますが、都が直接実施する場合の工事単価について、財務局建築保全部が、直近の都立病院整備の実例でございます豊島病院の実績をもとに、物価下落等も踏まえた時点修正を行って、また、他の自治体病院の工事費等も参考にして算定した結果、平成十四年度に算定したものよりも一層の下落が見込まれる結果となりまして、建設費が大幅に減少いたしました。そのため、相対の関係にございますVFMが低下したということでございます。

○小美濃委員 わかりました。
 次に、PFI事業を実施することの多くのメリットのうち、サービス水準の向上というのが当然あろうかと思っております。しかし、このサービス水準というのが、いわゆる病院という非常に特質性のある事業なだけに、我々が、じゃ、どういう基準からそのサービスがいいのか悪いのかというのはなかなかわからないわけでありまして、いわゆる選定された事業者が適切に契約を履行しているか等々、常にチェックをしていく必要があるのじゃないかと思うんですよね。
 PFI事業者が提供するサービスの質の水準、こういったものを、東京都としてどのようにチェックをしていくのか、教えていただきたいと思います。

○奥田経営企画部長 PFI事業では、提供されるサービスの水準を確実に確保するために、民間事業者に対して、サービスの水準あるいは事業の実施状況、履行状況、さらには財務状況などを定期的にチェックするモニタリングを実施することになってございます。今回のPFI事業におきましても、都が求める要求水準が適切に達成されるよう、先行事例なども参考にしながら、効果的なモニタリングを行っていく考えでございます。

○小美濃委員 今後さまざまな議論を重ねながら、先行事例なども参考にしつつ、効果的なモニタリングを行っていくというご答弁でございましたので、期待をしたいなと思いますけれども、病院の業務自体が、我々にとってみたら本当にわかんないんですよね。ですから、その辺はぜひ慎重にお願いをしたいと思っています。
 また、最終的には、メリットを最大限に生かすためには、どのような事業者を選定するか、こういったことも重要になってくるんだと思うんですけれども、価格のみならず事業者の能力を十分に見きわめる方法として、今回こういう方法をとるんですね、総合評価一般競争入札という方式を行うということなんですけれども、ちょっとわかりづらいですね。総合評価と一般競争入札というのは、ややもすると相反するものではないかと思うので、これを行うということは、どのように事業者を選定していくのか。この仕組みを教えてください。

○奥田経営企画部長 お話のございました総合評価一般競争入札という方式では、単に価格のみではなくて、サービス水準なども総合的に評価して、最もすぐれた企画を提案し、それを確実に履行できる能力を持つ者を落札者というふうにいたします。
 今回、事業者の選定に当たりましては、二段階での審査を予定しております。第一段階では、主に民間事業者から十分時間をかけてプレゼンテーションを受け、その委託業務統括能力や、あるいは経営支援能力などを審査いたします。第二段階では、第一段階の審査をパスした民間事業者について、価格と提供するサービスの質を重視した評価を行う予定でございます。
 この審査に当たりましては、医療、PFI制度、法律、建築といった各分野の専門家から成ります事業審査委員会で十分審議し、公正かつ客観的に選定していく考えでございます。

○小美濃委員 総合的にも、力というか品質が保てて、また、運営費というんですか、事業費も安く抑えられるということで、なかなかいい制度なのかなと思っておりますけれども、十分審議をしていただいて、公正かつ透明にお願いをしたいなと思っております。
 ところで、さきの第三回定例会の厚生委員会で、我が党の鈴木副委員長から、地元業者の活用や地域からの従業員を積極的に雇用する視点も入れるべきだという、大変すばらしいご提案があったと思うんですが、今回のPFI事業は、地域の活性化にもつながる、こういうふうにしていきたいわけですよね。
 そうするためには、どのようなことを考えているのか、どのような点に注意をしているのか、お聞かせください。

○奥田経営企画部長 第三回定例会の厚生委員会におきます鈴木委員からのご指摘につきましては、去る十月に公表いたしましたPFIの実施方針に、地域経済の振興という一項目を設けまして、地元企業の育成や雇用の創出など、地域経済の振興にも配慮するよう事業者に求めることといたしました。
 事業者の選定に当たりましては、地域経済への貢献度などを重要な選定項目と位置づけて、地域の活性化につなげていきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 私の時間もそろそろ終わりになってきましたが、最後の質問にしたいと思いますけれども、今回、多摩広域基幹病院(仮称)、小児総合医療センター(仮称)、これらを整備するのを手始めに、将来的には多摩メディカル・キャンパスとして、現在の府中キャンパスを整備をしていくということを聞いているわけでありますが、多摩メディカル・キャンパス整備、これらのビジョンと、PFIという手法を活用してどのようにこれらを実現していくのか、最後に本部長のご決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

○押元病院経営本部長 多摩メディカル・キャンパスにつきましては、保健、医療、それから療育などさまざまな施設が連携協力をいたしまして、人材、情報、技術など集積のメリットを最大限に活用しまして、医療水準の向上を目指す一大キャンパスとして整備をしていく予定でございます。多摩広域基幹病院、小児総合医療センターは、その中核的な施設となるものでございます。
 今回の病院PFIでは、民間事業者との共同関係を構築することによりまして、民間の創意工夫や、あるいはノウハウを効果的に引き出しまして、効率化とサービス向上に努めてまいりたいと存じます。さらに、ここで培ったノウハウを、多摩メディカル・キャンパスの整備全体に活用をしていけるものと考えております。
 今回のPFI事業は、都立病院として初めての取り組みであることはもちろん、全国の病院PFIなどに比較をいたしましても、最大規模の事業ということになっております。このため、ただいまご指摘のありました事業者の選定や、あるいはチェック体制の確立などを含めまして、事業の遂行に万全を期してまいりたいと存じます。

○藤井委員 今回、多摩広域基幹病院並びに小児総合医療センターをPFIで整備することになったということでございます。PFIについては、第三回定例会の厚生委員会でも、我が党の東村委員から、民間事業者に委託する業務範囲あるいは事業者の選定方法等について質問を行い、党としても大きな関心を持っているところでございます。
 前回の私どもの質問の趣旨といたしまして、このPFIが、いわゆる公共サービスの提供が実現をいたしますと、事業全体のリスク管理が効率的に行われること、そしてまた、事業期間全体を通じてコストが削減されること並びに財政負担の縮減ができるというふうに期待をされているわけでございます。さらには、医療業務そのものは都が直接的にやっていくわけですけれども、それ以外の、いわゆる診療行為以外の業務等は、これをPFIの手法によって創意工夫を重ねていくという趣旨でございました。
 このPFI、ほかの県でも高知とか取り組んでおりますけれども、今回の府中ほど大きな事業はありませんので、そういう意味では、日本の各地から、東京のPFIの事業が先例として大いに注目をされるというふうにいわれております。
 そこで、都立病院として初めてPFIを導入するということで、都民も今後の動向について高い関心を持っているわけですので、何点かお伺いしたいと思います。
 まず、今回のPFI事業を実施するに当たりまして、局として、都民にどのように周知徹底をされたのか、まずお伺いをいたします。

○奥田経営企画部長 PFIの導入を検討していることにつきましては、都立病院改革マスタープランあるいは都立病院改革実行プログラムに続いて、多摩広域基幹病院あるいは小児総合医療センターの整備に関する事業計画を公表する中で、都民に周知をするとともに、都議会にも報告をさせていただき、その議論や意見を踏まえた上で実施を決定いたしました。
 この間、関係市、関係団体等に説明を行いまして、府中キャンパス周辺の住民を含む府中キャンパス地域連絡会につきましても開催をいたしまして、PFI事業について個別に説明を行うとともに、実施方針を公表いたしました十月以降は、質問や提案を広く受け付け、インターネットで回答を公開しているところでございます。
 こうしたPFIへの取り組みに関しましては、新聞報道も大きく行われまして、広く都民に周知されたものと考えているところでございます。

○藤井委員 ただいま、この都議会の議論を踏まえて、地域住民あるいは関係団体、関係する市、こういったところに説明を行ってきたという答弁でございました。
 また、十月には、このPFIの実施方針を公表して、これに対する質問等が多数寄せられたということでございますけれども、じゃ、どのぐらい質問、要望が来たのか。あるいはまた、民間から寄せられた質問に対して回答するという、このやりとりを行う目的は何かについてお伺いをしたいと思います。

○奥田経営企画部長 質問を受け付けて回答をするという手続でございますが、民間事業者の疑問等を解消して、PFI事業に対する都の意図を正確に伝えるとともに、民間事業者の提案も取り入れて、よりよい事業とすることを目的としております。
 今回事業者から七百を超える質問が寄せられました。こうした都と民間事業者とのやりとりを公表することによりまして、民間事業者の参入意欲が促され、競争性が高まるとともに、公平性、透明性の確保も図られることになるというふうに考えているところでございます。

○藤井委員 次に、いわゆるバリュー・フォー・マネーというものでございますが、先ほども議論に出ましたけれども、このPFI事業においては、最も大事なのは、このPFI事業によって、質の高い社会資本の整備、それから公共サービスを提供するということが大変重要なわけでございまして、バリュー・フォー・マネーという、支払いに対して最も価値の高いサービスを供給するということが大事になってまいります。
 今回局の方から、このバリュー・フォー・マネーが二・三%で、約七十億円という財政効果があるというふうに示されましたけれども、この二・三%の財政削減効果は、どういう要素から生じるのか、お伺いをしたいと思います。

○奥田経営企画部長 PFI事業を行うことによって縮減される主な要素についてのお尋ねでございますが、まず施設整備費関係、それから民間の調達ノウハウを活用することによる材料費の関係、委託拡大に伴う人件費関係、それから包括契約に伴う類似業務の再構築ということによって生じる委託料関係などでございます。
 一方で、増加するものもございまして、PFIとして新たに委託業務統括機能あるいは病院経営支援機能を付与することにいたしておりまして、これに関する費用、それから特別目的会社が支払う法人税等でございまして、これらを差し引きいたしまして、全体で二・三%の財政削減効果が見込まれているということでございます。

○藤井委員 ところで、このPFI事業を実施するに当たりましては、ただいま答弁がありましたけれども、財政的な効果だけではなくて、何といってもサービスの水準が向上するということが最も重要なことだというふうに考えます。その意味で、今回のPFI事業の実施に当たって、設計から施工、維持管理まで包括的に発注できるという話でございますけれども、そういったことによって、具体的にどのようなメリットが出てくるのか、お伺いをしたいと思います。

○奥田経営企画部長 施設面といたしまして、設計の段階から、患者動線はもちろん、施設の維持管理を考慮した建設を行うこととなりまして、利便性が高く、施設運営が容易な病院の完成が期待できること、あるいは、施工時を考慮した工法の検討など、設計者側と施工者側とが十分協議することができるということ、さらには、包括化によりまして、設計と工事の契約手続期間が省略されて、工期の短縮が見込まれることなどがございます。より効率的、効果的な施設整備が実現できることになろうかと考えております。

○藤井委員 ぜひこういった効率的、効果的な施設整備が実現できるよう取り組むよう、強く要望したいと思います。
 都立病院は、今までも積極的に委託できるものは委託をしてきたというふうに思います。今回のこのPFI事業においても、今までの個別の業務委託では実現できなかったような、そういうPFIならではのメリットというものがあるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

○奥田経営企画部長 委託業務全体を統括する、いわば委託業務統括機能というものを新たに付与することによりまして、例えば従来手術の準備段階で行っておりました滅菌あるいは器具の配置、清掃に関する調整であるとか、病棟において行っていた器材洗浄、これにあわせまして、伝票、記録の整理など、これまで個別の委託業者と個々別々に行った調整につきまして、統括責任者とのみ行えばよくなるなど、事業運営が大幅に効率化されます。これらのことによりまして、医師や看護師は、より診療に集中ができるということで、医療の質が高まり、患者サービスの向上が期待できることとなります。
 また、経営支援機能が新たに追加されることから、都は、コスト管理などの民間事業者が持つ経営ノウハウであるとか、業務プロセスの改善であるとか、業務処理方法に関する助言を受けることによりまして、きめ細かなサービス水準の向上が期待できるようになろうかと考えております。

○藤井委員 ただいま答弁ありましたように、PFIが成功するかどうかということは、委託業務の統括機能や病院経営支援機能が本当に機能するかどうかということにかかっているというふうに感じます。そのため、民間事業者をどのように選定するかということが大変重要になってくると思います。
 全国が注目しているという今回のPFI事業でございますから、決して、安ければいい、そしてサービスが悪くなったという結果になってはならないというふうに思いますし、ぜひとも患者サービスの向上につながるような、そういった事業にしていただきたいというふうに思います。
 最後に、都民にとって最も適切な業者が選定をされ、そして適切に事業者選定を行うことを要望しまして、私の質問を終わります。

○初鹿委員 随分とお二人の質疑の中でPFIのこの事業について中身が明らかになってきたなと思います。私からも何点か質問をさせていただきます。
 この多摩広域基幹病院、そして小児総合医療センターのPFI事業の選定に当たって、先ほど来から議論になっておりますバリュー・フォー・マネーが二・三%ということでありました。先行している、例えば高知医療センターですか、あと近江八幡市民病院、また病院のPFI以外でも、ほかのPFIを行っている事業のバリュー・フォー・マネーを見ると、大体五、六%の数値が示されているということで、それと比較すると、二・三%というのは余り大きな数字には見えないんですけれども、先ほど奥田部長の答弁の中で、算定に当たっては、民間事業者の創意工夫によるコスト削減効果が確実に認められる部分のみを想定して算定し、非常にかたい積算を行った結果であるということでしたね。
 つまり、あくまでも見積もりであるということでいいんですよね。結果として、年間で四億で、事業期間全体では約七十億円の削減ということですから、これはやはり数字を見ると非常に大きな効果はあるなということで評価はできるなと思います。あくまでも見積もり額であるわけですから、ここで実際に入札をするときに競争原理が働いて、さらに削減をされるということが、やはりここは期待をしたいところだなと思います。もちろん皆さん方も、そういう期待に基づいてこういう算定をしているのではないかなというふうに考えます。
 ところで、病院のPFIというのは、ほかのPFIと非常に異なるなと思うのは、一番お金を生み出す部分の診療については都が直営で行うということで、それとは異なる医療周辺業務というんでしょうか、検査業務や医療事務、そして給食の調理事務など、そういうところを包括して委託をしていくという、そこが大きな特徴になっているんだと思います。
 この都が直接行う診療行為以外の建物の設計、そして建設、でき上がった後の維持管理業務、また医事会計業務、給食調理業務などのサービスを提供する民間の事業者、いわゆる特別目的会社、SPCですか、の役割というのが非常に重要になってくると思いますが、そこで都としては、民間の事業者である特別目的会社に対して、どういう役割を求めていくのかをお伺いいたします。

○織戸参事 PFI事業は、一つの事業者に、施設整備はもちろんのこと、長期にわたりまして包括して業務を委託していくことから、事業に責任を負う特別目的会社の役割は極めて重要でございます。
 そのため、業務運営の部分におきましては、単に多岐にわたります委託業務を取りまとめるだけではございませんで、病院経営者の意識を持って、業務全体を統括し、常に業務を見直し、改善、指導する役割を求めていきたいと考えてございます。

○初鹿委員 今答弁にもありましたように、単に委託業務を取りまとめるだけでしたら、余り意味がないんだろうなと思います。今おっしゃったように、事業者に病院の立場に立った役割というものをしっかりとしていただきたいなと思うわけで、そのためにもこのSPCが最大限にその機能が発揮できるような仕組みづくりが必要で、重要だと思います。
 特に医療の分野というのは、専門的な知識が非常に必要になってくるので、どうしても医者の発言力がどうも強いという分、そういう面があるというふうに聞いておりますので、この仕組みづくりというのが非常に重要だと思います。それがこのPFI事業が円滑に進むかどうかの岐路になるといえます。
 そこで、病院として特別目的会社の力を引き出すために、具体的にどういった仕組みを考えているのかをお伺いいたします。

○織戸参事 特別目的会社には、病院の目的をみずからの目的とした上で、病院経営に関する広範な助言、提案を行うなど、病院の立場に立った業務遂行を期待をしてございます。
 具体的には、病院の経営改善委員会や医事委員会への出席などを求めまして、診療報酬の請求漏れ防止や未収金のチェック体制の構築、民間病院における経営のノウハウなども積極的に提案できるような仕組みづくりを考えております。
 また、モニタリングを行うことなどを通じまして、民間事業者の実績に応じたインセンティブを高めていく方法などについても、今後検討してまいります。

○初鹿委員 特に、最後の、実績に応じてインセンティブを高めていく方法というのをぜひ検討していただきたいなと思います。
 病院のPFI事業というのは、施設の建設だけではなくて、事業者の管理運営面での能力、いうなればサービスの調達に重点を置くべき事業であります。このためにもPFI事業として、事業者が決定してからの対応が非常に大事であります。病院の運営方針に基づいて、都と事業者が協力して、実現に努めていくことが重要となっております。
 今回の事業は、過去に例のない極めて大規模な病院のPFI事業でありますから、この事業の成果を最大限に活用して、これから新しい公立病院整備のあり方を切り開いていくことを期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○大山委員 PFIについてですけれども、今回の報告は、特定事業の選定、公表をするために評価をしたということですね。十月四日の委員会では、多摩広域基幹病院と小児総合医療センターの整備についてという、実施方針の策定、公表という前に委員会が開かれたというわけです。
 確認しておきたいんですけれども、今回の報告というのは、PFIで事業を進めていく上でどういう位置にいるのか。前回も確認しましたけれども、前回いただいたこの表の中で、特定事業の選定・公表というところでいいんでしょうか。

○織戸参事 今回の事業につきましては、去る十一月二十四日、PFIなどの民活手法の採用について審査を行います民活手法検討委員会、これは財務局が所管になってございますけれども、ここにおきまして特定事業として選定することについて了承を得、PFI法の第六条の規定に基づきまして、特定事業として選定したものでございます。
 そして、この選定結果につきましては当委員会へご報告をいたし、ご審議をいただいた上で、第四回定例会閉会後、十二月二十七日に公表する予定となってございます。したがいまして、特定事業の選定・公表というところで結構でございます。

○大山委員 前回の十月四日の委員会のときには、整備方針の報告だから、十四年度時点での試算に基づくものだから、具体的な数字は出せないということだったんですね。十月四日の委員会での織戸参事さんの答弁では、特定事業の選定をする際に公表してまいることになってございますと答弁しているんです。この答弁からいうと、選定するときにきちんと額も示して公表されるんじゃないかというふうにとれるわけですけれども、しかし、今回もバリュー・フォー・マネーの算定要素についてということを資料で出していただきました。
 私としては、要素と同時に、算定の基礎になっている数字が何なのか、それからどの数字で計算したのかということも含めて、きちんと客観的に判断できるような資料が欲しかったわけですね。これでは、要素は出たけれども、比較するには、何にどうなっているのかということがわからないわけですから、ちょっと客観的に判断することはできないというふうに思っています。
 特定事業の選定ということで着々と進めているわけですけれども、きちんと議会で判断できるように具体的な額を示していくということ、それできちんと議会が判断できるようにしていくことが必要だと思いますが、どうですか。

○織戸参事 バリュー・フォー・マネーの算定要素につきましては、先ほどご指摘のありましたとおり、既にこの委員会の方に要求資料としてご提出をしてございます。
 個別の積算金額についてでございますけれども、入札予定価格を事前に類推させ、また、自由な競争を阻害させるおそれもあるため、現時点では公表は差し控えさせていただいております。

○大山委員 結局、前回は導入可能性を検討するということで、実施方針を策定、公表しました。そのときのバリュー・フォー・マネーは、さっきから出ているように一三・八%だというふうに報告していたわけですね。これで進めてきたわけです。
 今度は特定事業の選定だといって、PFI事業としての実施の選定だということなんですが、具体的な数字は議会にも報告できない。結局、密室で進んでいくということなんですね。こうやって既成事実がどんどんつくられていくというわけです。
 しかも、先ほどからありますように、一三・八%から、今回二・三%にバリュー・フォー・マネーは下がったわけですよね。一一・五%も落ちたわけです。落ちた原因は、さっきからのご答弁を聞いていますと、公共工事の建設単価が落ちたんだということなわけですね。バリュー・フォー・マネーを出すときのPFIでの事業費よりも、公共事業が単価が下がったから、差が小っちゃくなったんですよというわけですね。
 そうなりますと、建設単価がどんどん下がってきているわけですが、来年度着工するわけでもないし、まだ先になるわけですよね。着工予定というのはいつでしたっけ。

○織戸参事 着工予定につきましては、平成十八年度以降を予定してございます。

○大山委員 十四年度の数字を使って、一三・八%がバリュー・フォー・マネー。今回は、十七年度に修正したといって二・三%ですね。その後また、結局、わずかな単価の差で大きな差が出てくるというのが建設の事業だというふうに思うわけですよ。今後また単価が下がりかねないということもあるわけですから、これは本当に二・三%、出ているのかといういい方は変ですけれども、本当にこれで進めていっていいんだろうかという疑問が出ざるを得ないというふうに思っています。
 例えば先ほどのご答弁の中で、二・三%で七十億円お得なんだというお話ありましたけれども、一三・八%だったら、本当に単純な計算ですけれども、四百二十億円ということになりますよね。ですから、本当にわずかな単価の差があったりなんかしながら、数字というのはもちろん変わってくるわけですね。
 財務局でPFIを担当しているところがありましたので、このバリュー・フォー・マネー、変わるのはどこで差が出るんですかって、財務局に聞いてみたんです。そうしたら、単価もあるだろうし、それから、多分ということで話があったのは、公共工事を行うときには分離分割発注を行っているけれども、PFIでは一括なので、その分の差だというふうに、それも大きいんじゃないかというふうにおっしゃっていたわけですよね。
 分離分割発注というのは、中小企業もきちんと公共事業が直接受けられるようにということで、東京都で行われてきた手法なわけですから、それにも反しているというふうにいわざるを得ないと思っています。
 設計及び建設に関する費用ということでは、先ほどいったように変わる可能性もあるだろうし、それから、民間病院で比較するといったって、なかなか教えてくれないんですというのが実情でしょうから、わずかな差で数字は動く可能性があるんだということをいわざるを得ないということと、先ほどからの資料にありますように、企業債の金利というのは、これは同額でいいということですが、あとPFIでふえる要素があるのが、資料にあります4のPFI事業の進行に要する経費ということですね。これは先ほどモニタリングだといっていたものでいいんでしょうか。

○織戸参事 モニタリングのほか、アドバイザーをずっと最後まで契約をしますので、その経費も入ってございます。

○大山委員 アドバイザーの契約ということについては、前回の委員会で、試算というか、少なく見積もっても約七億だろうというような、委員会で明らかになったわけですけれども、あとモニタリングということについて、これよりも先行してやっている区部のユース・プラザのモニタリングの費用というのが委員会の中で明らかになっているんですけれども、これはモニタリングだけで一億六千万円だというんですね。この規模からいったってかなり違うわけですよ。
 区部のユース・プラザは、社会教育事業を行うための事業費は、二十年間で一億四千万円しかかけないんだけれども、それがきちんとできているかということを含めて、モニタリングするのに一億六千万円使う。事業費よりもモニタリングの予算の方が大きいということも明らかになっているわけですね。ですから、この病院でどれぐらいかかるかというのは、予定としてはどれぐらいなんですか。

○織戸参事 ただいまのご質問ですけれども、現時点のところではまだわかりません。

○大山委員 現在のところはわからないということですね。それにしても、PFI事業の進行に要する経費というのは、このPFI事業として実施する場合の主な経費に入っているわけですから、わからないということは何だかおかしいというふうに思うわけですけれども、その上に公租公課ということもあるわけです。結局、住民税だとか所得税などを、都民の皆さんの税金で企業の税金を出すということなんですね。
 二カ月間で一一・五%もバリュー・フォー・マネーが下がって、今後ますますどうなるかわからないというところで、現在はバリュー・フォー・マネーが二・三%だということで、本当にこのまま進めていいのか、このまま既成事実つくっていっていいのかということが問われているというふうに思っています。
 PFIでやらなければ、やらなくて済むような仕事もたくさんあるわけですよね。二番目の資料に出していただきましたけれども、民間事業者からの主な質問って、本当によくこれだけにまとめたと思いますけれども、インターネットを見てみると、七百を超える本当に細かい質問が寄せられていると。それもつくるための質問ですから、企業からの質問なわけですから、本当に担当者の皆さんはどれほど苦労されているかというふうに思うわけですけれども、それだって、PFIでやらなければ要らないことなんですね。都民の声を聞くことにこそ、同じぐらいの時間をかけるべきだと私は思います。その方がずっと生産的ですからね。
 PFIでこうやって進めてきていますけれども、本当にPFIでやっていいんだろうかということを再検討することも含めて、きちんと見直してもらいたいということを発言して、終わります。

○大河原委員 私もPFI事業について質問していきたいと思うんですが、本当にイギリスなどでは公共事業の二、三〇%がPFI方式ということで、どうしても、財政事情が厳しいからこういうふうにしていくんじゃないかという思いがぬぐい去れないわけなんですが、有料の橋とか鉄道とか病院とか学校とか、公共事業の整備、再開発などの分野では一応の成果をおさめているとは聞いております。
 しかし、今回の病院でのPFIということについては、日本で今、高知市や近江八幡市など現在進行中の段階ですし、イギリスの課題を仄聞しますと、例えばプロジェクトのスケジュールがおくれる、あるいはPFIでのアドバイザリー費用が高くつく、病床数の削減とか医療スタッフのレベルの低下、質の低い病院施設というようなことがイギリスでは挙げられておりますが、日本ではそういったことを極力抑える、それからまた、これが、病床数などは地域の医療計画で決められているわけなので、こういったことの心配はないと思うんです。
 ここで私が心配をするものは、特にはプロジェトのおくれについてです。実施方針において提示した事業スケジュールに対して、おくれが生じてきているというのが現実の事例ではあるわけなので、先行するイギリスの病院PFIにおいてもこれが指摘されているわけですから、現在、局がどのようにこのプロジェクトのおくれ、どのような対応あるいは認識というものをお持ちなのか伺います。

○織戸参事 今大河原議員ご指摘の、我が国におきます病院PFIの先行事例の一つでございます近江八幡市民病院におきまして、事業者との詳細な契約調整に時間を要した結果、開設時期が約一年半おくれている。なお、もう一つの先行事例でございます高知医療センターの開設時期は、こちらはスケジュールどおり進んでいると聞いてございます。
 今回私どものPFI事業につきましては、これらの病院の先行事例を勘案しながらスケジュールを構築してございまして、平成二十一年度の病院開設を目指してまいります。

○大河原委員 これから選ばれる事業者との契約の調整に時間がかかるというのも、やっぱり今予測がつかないわけなので、十分に注意を払っていきたいというふうに思っております。
 これまで日本において導入されてきた施設整備あるいは維持管理中心のPFIとは異なって、今回は運営に重きを置くPFI事業となるわけですから、この病院PFIについては、対象とする事業が広範でかつ専門的であって、性格の異なる業務をたくさん含んでおります。その点では、医療経営のコンサルタントとか、経営、運営、施設の専門家、こういう方たちの存在、かかわりが不可欠だというふうに思うんですが、この点はどうでしょうか。

○織戸参事 本事業におきましては、事業を受託する特別目的会社、いわゆるSPCに対しまして、経営支援機能や業務統括機能を発揮することが求められております。こうした機能を十分に果たすためには、医療経営コンサルタントの機能、これも必要と考えております。

○大河原委員 その医療経営コンサルタント機能というものを十分に使うという意味では、このことを実は東京都がチェックをしなきゃいけない。このコンサルが本当に価値が示せるのかどうかというこちら側の判断も必要になってくるので、これはアドバイザリーグループの中にこういう専門家もおられるというふうには聞いているんですが、あくまでも東京都が責任を持つという意味でいえば、この点は東京都側の人員の能力向上といいますか、そういった部分も、人の人数も含めて、私は必要になってくるんだというふうに思っています。
 それで、まだまだ先行する事例が少なくて、病院も開設例ということでは八尾市民病院だけなわけなんですね。PFIによる病院整備が医療サービスの提供に及ぼす影響については、不透明な部分が多いというふうにいわなければなりません。PFIによって、単に、公共が財政的に民間資金を使って整備運営しようというふうに考えるのではなくて、民間の資金やノウハウを活用して、あくまでも市民サービスの向上、これがPFIのメリットというふうに考えて、今回のこの事業が提案されているというふうに考えたいわけなんですけれども、それでは、こうして効率化されて東京都のメリットになった分、こういったものは当然患者に還元すべきだというふうに私は思うんですが、その点はどうお考えでしょうか。

○織戸参事 PFI事業の導入によりまして効率化が図られた分、さまざまな医療環境の変化に柔軟に対応することが可能となりまして、今まで以上に安定的、継続的に、質の高い医療サービスを都民に提供することができると考えてございます。

○大河原委員 さっきもバリュー・フォー・マネーの話が出ているんですけれども、設計、施工、維持管理というふうに包括的に行って、当初、ここに入ってくるメリット、受託をするメリットが大きいというふうに見込んでも、今回のバリュー・フォー・マネーは二・三%ということで、かなりかたいPFIになってきたのかなと、そういう実像がちょっと見えてきたような思いもしております。
 それで、事前の説明では、責任関係の明確化ということが書いてありまして、支障が出た場合でも、都の財政負担を縮減することが期待できるというふうに書いてあるわけなんですね。私はここの部分が、結構、何というんでしょうか、これまでにはない、東京都の責任って、じゃ、どこまであるのかということがしっかり知りたいわけなんですけれども、都の責任が発生するというのは、どのような場合を考えているんでしょうか。

○織戸参事 今回のPFI事業におきます責任分担では、その業務を最もよく管理できる者が当該業務の責任を負うことを基本としてございます。したがいまして、PFI導入後におきまして、都の責任が発生する場合として考えられる主なものとしましては、都が直接行う業務に起因をする患者さんの対応、それから患者数など都が事前に設定した需要の変動、都の指示による設計変更などが挙げられます。

○大河原委員 都が直接行う業務に関する患者対応というのは医療ミスのことですよね。それから、患者の数が事前に設定した需要に合わない、これは思ったよりも患者が入らなかった場合の赤字経営の部分ということですか。それから、都の指示による設計変更ということで、直接的にこのPFIで大きな東京都の、追加負担といういい方が正しいのかどうかわかりませんが、ないというふうに今は思っている。ただ、先ほど別の委員の指摘があったように、事業の進行に要する経費が変動するということはかなり考えられるわけなので、その点については非常に不安定な事業であるんだなということが、不透明といったらいいかと思うんですが、私もこのPFIについては危惧を持っております。
 一番冒頭で申し上げましたように、事業スケジュールについて、従来の方式と今回のこのPFI方式、恐らく比較検討は既に行っていらっしゃると思うんですが、この点についてはどうでしょうか。

○織戸参事 事業のスケジュールについてでございますけれども、従来方式とPFI方式との比較検討を行ったところ、PFI手法の場合、基本設計、実施設計を一体化することが可能となりまして、従来手法と比較をいたしまして、一定の設計期間の短縮を見込むことができるとの結論を得てございます。
 また、建設工事につきましても、詳細な実施設計を行いながら、基礎的な工事の着手が可能となり、従来手法と比較をいたしまして、一定の工期短縮を見込むことができる。このことが確認できてございます。

○大河原委員 最後に一点伺っておきます。
 平成十七年度、来年度の重点事業に病院経営本部は、この小児医療体制の整備、小児総合医療センターを挙げられているわけなんですが、私はこれはもう既存の事業じゃないかというふうに思っていたんですけれども、その真意と基本的な考え方について伺いたいと思います。

○織戸参事 俗にいわれておりますけれども、小児科医師の高齢化だとか減少傾向が進む中で、次世代を担う子どもたちがすこやかに成長していけるよう、小児医療体制を充実していくことがますます強く求められているところでございます。そのため都といたしましても、この小児総合医療センターを都の小児医療の拠点として整備を進めまして、その充実のために積極的に取り組んでいきたい、このように考えてございます。

○大河原委員 初めての病院PFIということで注目も集まっておりますが、既に計画としては、日本の病院PFI、四十近く計画が上がり始めているということも聞いております。新しい事業ではあるわけですけれども、やはり本当に意味のある、それはまさに患者中心の医療というところで価値のあるものになるかが一番問われるわけですので、その点、業者の選定、もちろんそういった部分も含めて、また、都民への情報公開というところも含めて、この事業の進展は見守っていきたい。そして、慎重に進めてほしいというふうに思います。
 終わります。

○田代委員 重なるところは避けさせていただきますけれども、いろいろご意見いただきました。このPFI、今お話もありましたように、数多くが予定されているわけですけれども、ご存じのとおり、国によって随分医療の発生というのは違いまして、当然病院のできぐあいというのはかなり違いますね。
 最近はやりになっているOK牧場という言葉がありますけれども、あれでよく出てくるドク・ホリデーという有名な医者のカウボーイというか、殺し屋ですかね、有名なのが出ていますけれども、アメリカの医学部教育の歴史を随分精密にまとめた本が日本でも出ているので、読まれたことがあるかもしれませんけれども、当時カウボーイのころというのは、ならず者と一緒であって、余り差がない。そういう時代がアメリカにもあったわけですね。当然医学部教育というものがなかったわけですね。弟子に入って、三カ月ぐらいでのれん分けてもらって医者をやるなんていう時代があった。
 江戸時代も、医者とこじきは三日やったら云々という話があるような時代もあった。そういう中で、イギリスあるいはコンチネンタル、ヨーロッパは、宗教的な背景でいわゆるホテルができて、それが病院になるわけですから、それぞれ発生が全く違うし、医学部教育が違う。また、病院の経営の方針も全く違うわけですね。
 特に日本というのは、国民皆保険という、地球上で一つも、どこでもやっていないような医療保険の制度があって、それに一番対応するのは、よく例に挙げられて気の毒だなと思いますけれども、イギリスですよね。人頭制があるという。勝手に医者を選んじゃいかぬわけですね。世田谷区の患者さんは、世田谷区の、たとえ田代医院が幾ら悪くても、僕のところに来なくちゃいけない。保険使いたくなければ、金があって、ちょっとほかのところがわかってりゃ、杉並行ったりとか品川区へ行ったりとかできるけれども、うちはうちでしか使えないような形になっている。これは、でもその国では納得しているわけですね。
 あるいは、「恋愛小説家」という、アメリカでは賞をとった有名な映画ですけれども、日本では全然はやらなかったですけれども、アカデミー賞をとった有名なあの映画の一番基本は、健康保険制度を中心としたちょっと皮肉った、ほのぼのとした恋愛の映画だったとはいいがたいかもしれないけれども、なかなか興味深く僕は見せてもらったんですけれども、特に医療経営学を大学で行っている人間、我々たちにとっては非常に有名な映画なんですね。アメリカの医療制度を一番如実に示した映画ですけれども、そういう中で初めてPFIをやっていく。
 今まであったPFIというのはアウトソーシングの大型であったり、どっちがどっちだかわからない。大変申しわけないけれども、悪口でいうんじゃないですけれども、田舎の人たちの考え方と都会の人たちの考え方、それは非常に違う。それはいい意味、悪い意味じゃなくて、僕自身が山形県の病院の経営にかかわっていたときの経験でいくと、やはり圧倒的に施設が多くて、患者さんが少ない、人口も少ない。
 今度のマッチングをごらんになれば一番わかりやすいと思いますけれども、旭川のあの問題を見ても、秋田大学の問題を見ても、もう医者も集まらないようなところでのPFIと、日本という国の中に東京という別の国があるわけですから、日本という国とは全然別個の国の中で行われるPFIというのは、非常に大きな期待を持って見られているし、今責任問題という話がありましたけれども、僕は東京都に責任問題って、ある意味では物すごく巨大な責任問題があるんだけれども、責任なんかとれないんだと思うんですね。皆さん方が初めてのことをやるわけですよ。日本で最初、極端なことをいえば、こういう医療制度の中では、世界では最初のことをやるので、そんなことを憶してやる必要はない。
 ただ、逆に、余りにも言葉を丁寧に一つ一つ、お金のことについても何%という話をしちゃうと、後からにっちもさっちもいかなくなっちゃう。初めて船出する大きな船ですよ。自信と確信を持って出ていただきたいけれども、余り最初から責任、責任といわれちゃうと、少しやりづらいところが出てきちゃうかもしれない。
 ところが、あなた方の答えを聞いていると、全部逃げに回っちゃっているものだから、全部いいわけに始まっていいわけに終わっちゃうものだから、後からにっちもさっちもいかないんじゃないかと思って、非常に僕は心配しているんですけれども、基本的にモニタリングするにしろ、例えばクライアントである東京都も、医療の、病院の経営の専門家って一人もいないんです。全くゼロなんですよ。受ける方の業界も、そんなこと今まで業態にないんだからゼロなんですよ。やる人たちもゼロなんです。だけど、やらなきゃいけない時代なんです。ゼロだからだめなんじゃなくて、ゼロだからやるんです。
 そこを、さもみんながわかっているようなふりをして始めちゃうと、例えば奥田さんはどうだったか知らないけれども、奥田さんが今からコンサル会社の社長になれるぐらいの知識があればいいけれども、ほかのことは一〇〇%、一二〇%知識があるけれども、医療についてはゼロなんだから、そこでそういい切っちゃうとまずいわけですよね、何でもこうやります、ああやりますというと。
 そんなことみんな期待しているわけじゃなくて、みんながわからないんだから、まして医学部教育の中でも、医療経営学あるいは医療行政学、医療経済学、全くないわけだから、病院管理学というのは我々のところにありますけれども、それはどこでもあるけれども、それは単純に院内感染をどうカバーしようかという程度のことで、それ以上の社会性、経済性の発展を求めるような学問は我々にもないんですよ。
 アメリカは特別にある。それはEBMを使って、マネージドケアしなくちゃならないという経済的特殊性があるから、アメリカには病院経営学というのがあるけれども、これは今度の都立病院のPFIとは全く違うもので、これは完全な「ワールド ビジネス サテライト」に出てくるようなニュースでしかないわけであって、医学には全く関係ないことであって、患者さんを確実に無視した政策。何を一番重点としている。主役はたった一人、株主しかいないわけですよ。
 それを日本に入れようというわけでもないわけだから、そういうことを一つ一つ恐れないで、それから、いつまでにできなくちゃいけないなんて、僕は全然そんなことはないんで、初めての船が出ていくわけだから、いつ、どこに着くかわからないで僕は構わないと思う。ただ、それをはっきりいうことは行政としてはできないだろうけれども、余りそう型どおりの答えを求めることではなくて、もっと大きな立場で、日本で初めて、世界で初めてのPFIをやるんだから、試行錯誤しながら、だけど責任は絶対とらなくちゃいけないんだという覚悟を持っていけば、逆にいえば、だれも責任追及なんかできないと思う。できる人もいないし、するべきでもないと思う。そういう気持ちでこの事業をしっかりと取り組んでいただきたい。細かいことは、来年になってまた、一定か何かで伺うと思いますけれども、大きな流れとして、だれもみんなが素人がやっているわけだから、玄人っぽい話はしないで進めていくことが一番肝心。誠心誠意頑張っていけばいいんだろうと思います。
 特にこのバリュー・フォー・マネーですけれども、株一つ買うんだって、こっちよりこっちの方がもうかりまっせというその話は、一%、二%の話じゃないわけでね。馬券買うより--僕は馬券買ったことないからわからないけれども、百円のものを買って百五円になるものは買わないんで、二百円になって、三百円になって買うんだろうから、そういう意味でいうと、もうちょっとめり張りのある説明ができるような、経済的メリットのところを探していただけるとありがたいかなと。
 それをきちっと患者さんに返すという話がさっきあったけれども、これは一番気をつけていただきたいのは、これは僕がいっているわけじゃないんですよ、病院協会すべてがいっているわけでもないんだけれども、民間の病院が苦労して苦労して、つめに火をともして集めてきたお金を、税金で全部むしり取られて、それで公立病院が全部きれいになっちゃって、患者さんまで取られちゃって、病院はどうやって生きていきゃいいんだという話が皮肉でよく出てくるけれども、何でもかんでもお金で患者さんに返せば、サービスすれば--例えば都立病院に行ったらただでコーヒーが飲めるという形のサービスじゃないということは、きちっと頭に入れておいていただきたい。
 やはり都立病院がやらなくちゃいけないことは、いつもいっているとおりに、東京全体の医療の質が上がることであって、都立病院に人が集まるとか、都立病院の中で何か突出した医療が行われるなんていうのは、行政的医療の病院としてはとんでもない話でありますから、都立病院によって全体の底上げがしっかり行われるということを考えた上でのPFIを進めていただきたいということを申し上げて、終わります。

○前島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了をいたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後二時十八分休憩

   午後二時二十八分開議

○前島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 付託議案及び陳情の審査を行います。
 第二百三十五号議案から第二百三十九号議案まで及び陳情一六第八五号の一を一括して議題といたします。
 付託議案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○吉川総務部長 過日の厚生委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、説明をさせていただきます。
 資料は、目次にございますように全部で五項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず一ページをお開き願います。他県における住宅再建等に係る支援制度の概要といたしまして、二ページにかけまして、新潟県、福井県、宮城県の制度につきまして、対象災害、対象経費、支給上限額、実施主体及び財政負担を記載してございます。
 また、参考といたしまして、二ページの方に、国制度についてもあわせて記載してございます。
 三ページをごらん願います。三宅村民が帰島後利用できる主な支援制度でございます。
 国の被災者生活再建支援金、それから国及び都の災害援護資金の貸し付け並びに今回提案させていただいています都独自の三宅島災害被災者帰島生活再建支援金につきまして、対象経費及び限度額をそれぞれ記載してございます。
 四ページをお開き願います。多摩老人医療センターの経営指標といたしまして、本年四月から十月までの外来延べ患者数、患者紹介率、病床利用率、平均在院日数及び医業収益につきまして、月別に記載してございます。
 五ページをごらん願います。多摩老人医療センターにおける医師及び看護職員数の推移といたしまして、医師及び看護職員の定数と現員につきまして、平成十五年度、十六年度、それぞれにつきまして記載してございます。
 最後に、六ページをお開き願います。多摩老人医療センターにおける非常勤医員数の推移でございまして、平成十二年度から十六年度までの非常勤医員数を記載してございます。
 以上、要求のございました資料につきまして説明を申し上げました。
 よろしくお願い申し上げます。

○前島委員長 説明は終わりました。
 次に、陳情につきまして、理事者の説明を求めます。

○笠原生活福祉部長 お手元にお配りいたしました請願陳情説明表に従いましてご説明させていただきます。
 陳情一六第八五号の一、三宅島島民の帰島に係る施策の実施に関する陳情についてでございますが、これは豊島区の災害被災者支援と災害対策改善を求める東京連絡会代表世話人大屋鐘吾さん外二名から提出されたものでございます。
 その趣旨は、三宅島島民の帰島に関して、次のことを緊急に実施していただきたいというものでございます。
 内容についてご説明いたします。
 第一項でございますが、住宅再建支援をすることというものでございます。
 現在の状況についてご説明をいたします。
 三宅村民に対する主な生活再建支援制度といたしましては、国の被災者再建支援法に基づく支援がございます。この制度におきましては、家財等の生活必需品の購入経費等に支給される支援金と、本年三月の法改正により新たに創設されました、家屋の解体・撤去費、整地費等に支給されます居住安定のための支援金の二つがございます。この支援制度によりまして、平成十二年の避難直後に、家財等の購入費などが支給されてございます。
 村民の帰島に際しての生活再建は、自助努力を基本に、こうした国の支援制度を初めといたします既存の制度を最大限に活用しながら進めていくべきものでございます。
 しかし、今回の三宅島噴火災害は、村民が四年以上の長期にわたって避難生活を余儀なくされている過去に例のない災害でございまして、住宅等の生活基盤も甚大な被害をこうむっております。
 都といたしましては、こうした三宅島噴火災害の特殊性を考慮いたしまして、住宅の修繕等に対して支援金を支給することにより、村民の自立した生活の再建を支援していくための条例案を本定例会において提案しております。
 説明は以上でございます。
 よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。

○前島委員長 説明は終わりました。
 先ほどの資料を含めまして、これより付託議案及び陳情に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 ことしは、相次ぐ台風の上陸、さまざま集中豪雨による風水害、特に新潟中越地域への大変な地震ということで、自然災害の脅威というものを、本当に私どもまざまざと見せつけられた。また、その対策もきちっとしていかなければいけない、そんなことを十二月に入った第四回定例議会の中でも、本当に痛切に感じているところでございます。被災をされました方々に対しまして心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復興、生活の再建を願わずにはいられませんし、また、私どもとしても最大限の支援、ご協力をさせていただかなければいけない、そんな思いでおります。
 さて、三宅村民の生活支援策について幾つかの質問をさせていただきます。
 我が党は、平成十二年の三宅島の発災以来、全島民一斉避難という被災の甚大さなどから、その復興を支援するため、伊豆諸島災害対策本部を設置して、党を挙げてさまざまな取り組みを行ってきたところであります。この間、東京都の懸命な努力によって、道路、砂防ダム、ライフライン等インフラ整備が一通り復旧をして、受け入れ準備が整う中で、三宅村は、まさに火山ガスとの共生ということを掲げて、来年二月、避難指示の解除をする方針を決めたわけであります。
 我が党はこうした状況を踏まえ、今後は、公共インフラから、個々の村民の生活支援に対する支援へと、復興の比重が移っていくという認識を持っております。その認識から、さきの第三回定例会代表質問において、生活再建の最も基本となる住宅再建支援に対する必要性を訴えまして、新たな制度創設を強く申し入れまして、その後の決算特別委員会で検討状況を伺ってきたところでございます。こうした我が党の申し入れを受け入れて、今回都独自の生活再建支援策が発表され、条例提案されたということは、ある程度一定の評価をしているところであります。
 さて、そこでまず、この制度を創設するに至った背景と基本的な考え方をお伺いします。

○笠原生活福祉部長 三宅島災害でございますけれども、村民が四年半以上の長期にわたって避難生活を余儀なくされている過去に例のない災害でございます。住宅等の生活基盤、これも甚大な被害をこうむっている、こういう状況にございます。特に発災時の泥流、火山ガスの影響に加えまして、その後の野ざらしであるとかシロアリなどの被害により、被害が拡大している、こういう状況でございます。
 こうした住宅の再建、これを村民の自助努力だけで行うのは難しいだろう。しかしながら、国の制度である被災者生活再建支援制度、これは引っ越し経費であるとか、住宅の解体・撤去費等のいわゆる周辺経費、これが対象でございまして、住宅本体そのものは対象とはなってございません。三宅村民の生活再建には、その生活の基盤となります住宅の再建が不可欠でございまして、住宅そのものへの支援を行う必要がある、こういうことから都独自の支援制度を創設することといたしたわけでございます。この新たな制度によりまして、村民の生活再建が着実に進むものというふうに期待しております。

○鈴木委員 自助努力だけでは困難であるという判断のもとに、国の被災者生活再建支援制度が役に立たない、そこで、東京都の責任において支援をする、こういうことですね。住宅そのものへの支援、これは再建支援の基本だと思います。なぜ国がそこに踏み込めないのか、私は大いに不満を持っておりますし、東京都はもっと国に対し、この被災者生活再建支援制度の見直しを今後も主張していくべきだと考えております。
 国が被災者生活再建支援制度において住宅本体を対象としていないことが、都独自の新たな支援策の創設につながった、こういうことでございます。今回この制度をつくるに当たり、どのように全体の制度設計を考えたのか、そのあたりをお示しいただきたいと思います。

○笠原生活福祉部長 本制度をつくるに当たりましては、帰島する村民が困難な状況の中でみずからの生活の再建を図っていくために、その基盤となります住宅再建を支援することは不可欠、こういう考えのもとに制度を考えました。したがいまして、帰島する世帯を対象、それから、みずから所有し居住する住宅であること、それから、支援の対象を世帯単位とする、こういったことを前提条件にいたしまして、三宅島噴火災害が、四年以上の長期に及びます避難生活を余儀なくされた過去に例のない災害である、こういうことに着目し、三宅村民のための限定的な制度といたしました。さらには、実施主体は東京都とし、全額都負担、こういうことにいたしたわけでございます。
 内容的には、国制度では対象となりません住宅そのものの再建を支援の対象といたし、屋根であるとか畳、ふすま、ふろがま、台所、電気、ガス設備、それから給排水設備等の取りかえ、修繕、点検等の行為など、住宅の新築、修繕等に要する経費を幅広く想定いたしてございます。
 また、村の帰島計画がおおむね避難指示解除後六カ月で帰島を終えるというものになっておりますことから、これに合わせまして、十七年度末までの時限的な制度といたしてございます。

○鈴木委員 この生活再建支援条例は、来年二月の避難指示解除後すぐ帰島して住宅再建を行うことを前提に、再来年の平成十八年三月三十一日でその効力を失う、このようにされております。これは、条例のつくり方としては理解はできます。つまり、予算を伴うものである以上は期限を切る。この条例が、四年にもわたる長期の避難生活を余儀なくされている三宅島の災害の特殊性を踏まえた特例措置である以上は、期限を切って支援することは、行政の対応としては当然なのかもしれません。
 しかし、三宅島の災害が他の災害と異なるのは、避難生活の長さだけではありません。今回の避難指示解除が過去の地震災害、風水害などと大きく違うのは、村民がいまだ火山ガスが放置される中で、火山ガスとの共生を前提に、個々の自己責任に基づく判断で帰島する、こういうことなんですね。つまり、普通の災害と違って、ある程度のリスクを覚悟して生活再建を図らなければならないということです。
 村は、村民に帰島の意思を聞いておりますが、いざ帰るとなれば、子どもであれば、保育所や学校は大丈夫なんだろうか。高齢者ならば、介護サービスが十分か、収入は確保できるのか、いろんな判断をしなければならないし、して帰島せざるを得ない、こういうわけです。また、学校や、今ついている仕事の都合で、帰りたくても帰れないということも想定できるわけですね。
 ましてや、相手が火山ガスという自然でございます。村民が、帰島しようかどうしようか、すべきなのかすべきではないのか、時期に迷っても当然だと思います。それに対して、支援金の期限は一年と定められておりますし、これでは、早く帰らないと住宅修繕が間に合わないことになります。一方、これが二年ならばいいのか、三年ならば十分なのか、現時点で判断することはだれにもできないんじゃないか。判断することは困難ですね。
 繰り返して申しますが、相手は自然です。私は、現段階でこの条例に賛成する立場から今質問をしているわけですが、今後の村民の帰島状況や火山ガスの状況を見ながら、将来必要であれば、条例における有効期限の延長を含めて、柔軟に対応していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○笠原生活福祉部長 本年九月に村が定めました帰島計画では、避難指示解除後から大半の村民が帰島するまでに必要な期間、これを本格帰島期と設定しておるわけでございますけれども、その期間はおおむね三カ月を想定してございます。また、住宅が再建中であるなど、この期間に帰島できない世帯も、次の三カ月には帰島すること、これを前提としております。
 すなわち、平成十七年七月末までには村民が帰島することを前提に三宅村の帰島計画は定められておりまして、本制度はこうした計画を前提に、十七年度末までの条例としてご提案を申し上げているものでございます。三宅村の帰島計画に沿いまして帰島が進むものと考えておりまして、この条例の有効期限で、村民の方々は住宅の生活再建に十分対応していただける、こういうふうに考えてございます。

○鈴木委員 そうすると、私が今申し上げましたように、まさに自然がどうなるかわからない。自然を相手にして、皆さんが火山ガスとの共生ということを覚悟して帰島される。今十分申し上げたんですけれども、この一年という期限を切って本当に大丈夫だという、こういう判断をしているんですか。

○笠原生活福祉部長 ただいま申し上げたとおり、村が定めた帰島計画、これでは合わせましておおむね六カ月以内に村民が帰島することを前提に計画をつくってございます。私どもの計画も、こうした村の計画を前提にいたしまして、十七年度末までの条例としてご提案を申し上げたものでございます。ぜひひとつご理解のほどをお願い申し上げたいと思います。

○鈴木委員 ちょっと理解できない。有効期限の延長を含めて、柔軟に対応していくことが必要だと考えておりますので、その点、強く要望しておきます。
 ただいままで制度の基本的な考えを伺ってまいりました。そこで最も重要なのは、この制度が使い勝手のよいものになっているのかどうなのか。使い勝手のよいものでなければならないということだと思うんですね。支援金としてもらえるお金と借りるお金はおのずと違います。村民は、まず支援金や手持ちのお金を使って、修理できるところは修理する。それでも不足する場合は借りなきゃならない。これが普通であります。そうであるならば、今回東京都から支援する支援金も、必要なときにすぐ使える、あるいは緊急性、必要性から、修理し終えたものなどはすべて対象として支給できるなど、できるだけ効果的に使えるように柔軟な運用を考えてもらいたい、このように思っております。
 実際問題として、二月に帰島するとすれば、その前に家に手を入れて、住める状態にしておくのが一般ですね。私は、こうした既に住宅の修理を終えた人たちにも、この支援金の支給を検討すべきというふうに考えますが、その辺いかがでしょうか。

○笠原生活福祉部長 野ざらし被害であるとか、あるいは火山ガスによる侵食、それからシロアリ被害などによりまして、そのまま放置いたしますれば、ますます被害は拡大をいたします。そのため、村民の方々、屋根の補修であるとかシロアリの駆除だとか、これ以上被害が進行しないように、これまでいろいろ補修を行ってきている、このように聞いてございます。
 本制度の趣旨は、生活の本拠となります住宅が、災害によりまして著しく損傷したものを、もとの状況に住めるように改修、修繕することに対しまして支援していこう、こういうものでございます。せっかく制度をつくっても、余りに運用というものを厳格にいたしまして、かえって使い勝手の悪いものにしては、これは意味がないわけでございます。既に改修したものを含めまして支援の対象とするよう柔軟な制度としてまいるよう検討してまいりたいというように思っております。

○鈴木委員 ぜひとも村民の立場に立った柔軟な制度の運用をお願いしたいと要望しておきます。
 さて、私たち厚生委員会のメンバー、先日、視察ということで現地を見させていただきました。大変長い間、ふるさとを思う望郷の念を抱きつつ、やっと帰れるめどが立った村民の方々の胸中を思うとき、本当によかったなというふうに思う、またその反面、これからが本当に大変だな、このように複雑な思いでおります。そのように視察で感想を持ってまいりました。
 生活支援、生活再建には、なるほど知事がお話をされているように、自助努力が基本でございます。しかし、現状を見ると、この自助努力だけでは、多くの村民の方には限界があると思います。今回、東京都が百五十万円の支援金や国の制度など、さまざまな支援策を最大限活用して、最大限の支援効果が発揮できるようにすべきであると考えております。
 そこで伺いたいんですが、支援金の額は、一定の条件を付した上で、一世帯当たり百五十万円とされておりますが、この金額の根拠はどこにあるのでしょうか。何をもとに、あるいは何を参考にして積算したものなのか、お伺いします。

○笠原生活福祉部長 支援金百五十万の根拠は何かということでございますけれども、三宅島におきます住宅の被害状況であるとか、国の支援制度の状況あるいは他県の支援制度の状況、こういったものを総合的に勘案して決定したということでございます。
 住宅の被害状況でございますけれども、既に先生ご視察等でご承知のことと存じますけれども、屋根の損壊であるとか、野ざらし等によるふろがま、台所の流し台、あるいは畳、ふすま等の腐食、破損等がかなり進んでございまして、ほぼすべての家で修繕が必要だというふうに思います。
 一戸当たりの修繕費用としてどの程度がかかるのか。これは個々の被害の程度によって異なるわけでございまして、一概には申せないわけでございますけれども、住宅の修繕、例えば屋根の補修、それから天井、床の張りかえ、あるいは給湯、給排水設備の交換、それからふろがま、ボイラー等の交換、こういったものに大体三百万から三百五十万程度かかる。こういうふうに私どもは想定いたしまして、支援金、その半分程度の二分の一ということで百五十万、こういったものを想定いたしました。

○鈴木委員 屋根の補修、天井、床の張りかえ、給湯、給水設備の交換や、ふろがまやボイラーの交換、大体三百万ぐらいはかかるだろう。こういうことで、その半分程度、二分の一で百五十万としたという今の答弁ですが、国が対象としていない住宅そのものへの百五十万円の支援金では、正直いってこれで本当にできるんだろうか、住宅修繕できないんじゃないか、これじゃちょっと無理なんじゃないかと思いますね。不十分ですね。
 私は、正直いってこれ百万円ぐらいアップして、二百五十万円ぐらい最低限絶対必要なんじゃないですか。どうですか、これ。不十分だな、これは。いかがですか。

○笠原生活福祉部長 ただいま申し上げました都の支援金百五十万、それと国の支援金、これは最大全壊二百万、それから大規模半壊百万ということでございますけれども、これを合わせますと、最大でございますけれども、三百五十万の住宅再建の支援金が確保できるわけでございます。
 これ以上という方に対しましては、その他必要な経費については、例えば災害援護資金の貸付制度等、これは国制度と都制度合わせまして五百万無利子で貸し付けるわけでございますけれども、こういったものを想定して、住宅再建はできるのではないかというふうに私どもは考えております。

○鈴木委員 新潟の中越地震の被災者に対する支援というのかな、お見舞金というんですか、これたしか三百万円だったと思うんですね。やっぱりこれ、二分の一なんということじゃなくて、少なくとも東京都が住宅修繕費に三百万ぐらいはかかるというふうに積算したんでしょう。それだったら三百万円出してあげたらどうですか。それぐらいは必要なんじゃないですか。といっても、今なかなか首を縦には振ってくれない、こういうことでして、これはちょっと納得いかない。これは支援金について、今後もう一度十分考え直す必要があるんじゃないかと思いますね。
 この支援金の増額を今提案の本条例でやるのは--増額というんでしょう、これ無理というならば、行政がいつもやっているように、補助要綱をつくってやればできないことないんじゃないですか。いかがですか、この点。そうしてやればいいじゃないですか。

○笠原生活福祉部長 まず、条例という形をとって議会へご提案した、この趣旨でございますけれども、三宅島噴火災害の復興支援につきましては、都民の皆様のご理解、それから都議会の皆様と一緒になってこれまで取り組んでまいったわけでございます。
 本年七月に村が帰島方針を決定したことを受けまして、都といたしましては、村民の帰島後の生活再建支援策として何が必要か、こういうことを検討してまいりました。
 そうした中で、帰島後の村民の生活再建につきましては、最も優先されるべき課題、これは生活の基礎となる住宅の再建である、こういうふうに認識をいたしております。しかし、先ほど来申し上げましたとおり、国の制度では、これまで強くその適用を要望してきたわけでございますけれども、それにもかかわらず、住宅本体そのものへの支援ができないのが現状でございます。
 このために、住宅本体の再建に対し支援できる制度を創設しようといたしました。こうした制度の趣旨、それから性格、内容、こういったものを条例提案という形をとって、議会の皆様に幅広い観点からご審議をいただき、その結果を踏まえまして、自立した生活再建支援策を講じていこう、こういうことで条例提案という形をとったものでございます。
 そして、条例という形をとりましたのは、都がみずから実施主体となりまして、都の責任で支援金の全額を支給する、こういう考えのもとに行ったわけでございまして、ぜひこうした提案の趣旨というものをご理解賜りたいと思っております。

○鈴木委員 村民の皆さんのこれから始まる生活を考えるときに、東京都として、皆さんの自助努力を最大限バックアップしていく、こういうものを形にしていかなきゃいけないんだ、こういうふうに考えております。
 さて、先日視察をしたときに、高濃度地区の被害の大きさに大変驚いたわけですが、高濃度地区の住民は、今回の制度の対象となるのか、伺います。

○笠原生活福祉部長 今回の制度では、帰島し、みずから所有する住宅に居住するという世帯に対しまして支援を考えているために、帰島する高濃度地区住民が島内の他の地域に住宅を再建する場合については対象となりますけれども、村営住宅に入居する世帯などは対象となりません。

○鈴木委員 今回の制度の対象にならないということなんですが、そうすると、高濃度地区にはどれぐらいの世帯があって、そのうち、帰島はするけれども、今回の制度の対象とならない世帯をどの程度と考えておりますか。

○笠原生活福祉部長 九月に実施いたしました帰島意向調査に引き続きまして、村は現在詳細な引っ越し予備調査を実施してございます。したがいまして、その調査結果をあわせて判断しないと確実なことは申し上げられないわけでございますけれども、九月に実施した村の調査結果では、高濃度地区約百六十世帯のうち、約百十世帯が帰島の意思を示しておりまして、帰島しないと答えた世帯が約十世帯、残りは意思表示なし、あるいは未回答というふうになってございます。また、帰島意思を示した世帯のうち、多くが村営住宅への入居を望んでいるとの結果が出てきていると聞いております。

○鈴木委員 この高濃度地区の問題ですけれども、まさに何度もいっているように、自然が相手で、この地区、今は指定されているわけですけれども、将来的にどうなってくるのかということもあるわけですね。
 また、この地区の方が、希望者が全世帯村営住宅に入居できる、または入居できたとしても、自力で住宅を再建するごく少数の人を除いては、高濃度地区の多くの方が現在支援の対象にはなっていないわけですね。私は、高濃度地区の住民は本当にお気の毒だなと、本当に何とかしてあげたい。まさに家はすべて壊れてしまって、あるいは修繕すれば住める状況においても、火山ガスの影響から我が家に帰ることが許されないわけです。
 今答弁にもありましたとおり、やむを得ず村営住宅に住むなどの方法しかないわけですね。しかし、いつかは我が家に住める日を夢見て、帰島して家の手入れをするわけです。この地区の方も、本当に皆さん修繕したいんですね。きっとそうだと思っていますよ。それを願っているんだと思いますよ。そこで、いまだ帰島できない高濃度地区の当該避難民に対しても、本制度の支援相当額を支給すべきだと、このように私は考えております。
 今までるる質問をさせていただきました。この条例の有効期限の延長について、また高濃度地区の住宅も対象とすることを、正直いって、私ども自民党の立場からこれだけ強く申し上げているということを本当に理解をしていただきたい。しかしながら、大体はいつも、佐藤先生もそう、政調会長も田代先生も、自民党がお願いをしていることには、よし、考えてみて、少しこうしましょう、答弁は大体これが普通ですよね。きょうの答弁は余りに冷たいね。本当にがっかりした。
 この条例が予算を伴うものであって、期限を切って支援することは、東京都の対応としては、皆さんの立場に立ってみれば当然なのかもしれません。しかし、この三宅島の災害は、島民が望むべくもなくして、この四年にもわたる長期の避難生活を余儀なくされているわけであります。この間の村民の方々のご苦労を考えれば、本当に通り一遍、型どおりの行政の対応で済むわけがないでしょう。
 また、三宅島の災害が他の災害と異なるのは、避難生活の長さだけではありません。今回の避難指示解除が、過去の地震災害、風水害などと大きく違うのは、さっきも申し上げました、何度もいっております、村民が本当にいまだ火山ガスが放出される中で、火山ガスとの共生を前提に、個々の自己責任に基づく判断で帰島するということですね。
 つまり、普通の災害と違って、ある程度のリスクを覚悟して生活の再建を図らなければならないわけです。こうしたことを考えれば、少なくとも今後の状況を見据えて適切な対応を行っていくという一言が何でいえないのか。本当にちょっとがっかりしております。
 相手は火山ガスという自然です。我が会派は、自由民主党は、これまで三宅島の村民の方々への支援について、本当に強く申し入れてまいりました。現段階でこの条例には賛成をいたしますが、今後村民の帰島状況や火山ガスの状況を見ながら、将来条例における有効期限の延長を含めて、適切に対応していくことがぜひとも必要であると考えます。
 最後に、局長からこの点お伺いをして、質問を終わります。

○幸田福祉保健局長 委員のお話のように、この帰島は、知事もよく述べておりますけれども、火山ガスという、人間の英知をもってしても十分に予測できないものだと。まして、自然を相手にするわけであります。また、先ほど来部長がお話し申し上げましたように、帰島計画というのは、現在の状況と、その状況自体が大きく変化しないということを前提にしているというふうに思っております。
 私どもの仕事に関しますと、数多くの法律がございますけれども、ここのところでいろいろ議論をされております、例えば介護保険法のように、社会経済状況の変化というようなものをにらんだ条項が盛り込まれている法律もあることは事実でございます。私どもとしても、現段階ではなかなか予測できない状況が将来起こるかもしれないということは、十分認識しているつもりでございます。私どもの願いは、三宅島の村民の皆さんが、帰島をして生活を再建する、生活再建を図っていく。それを願うものであります。これは、ここにいらっしゃる皆様方、委員と思いは軌を一にしているんだろうというふうに思っております。
 ただいまのご指摘の点は、重要なご指摘ということで受けとめまして、島民の帰島の状況、あるいはまた火山ガスの今後の状況を十分見据えながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

○田代委員 今の高濃度の火山ガスなんですけれども、これの安全性というのは前々から問題になっていて、なかなかはっきりした答えは出ないのかもしれないんですけれども、それがひとつ予測できるものであれば教えていただきたい。今副委員長のお話にありましたように、やはり高濃度地区であっても帰島して、そこでしっかり暮らしていきたいという、それが皆さんの希望であるわけですから。それが一つ。
 それから、我々見せていただいたときに、かなりの量の白く立ち枯れた木があったんですけれども、土壌改良なんかに使えないのかどうかということよりも、まず、あれが倒れて、子どもさんたちにけががあったりとか、厚生委員会として、何か健康面にマイナスになるようなことが、全くないんだったらいいんですけれども、あるようだったら教えていただきたいと思いますし、ないようであればそれで構わないんですが、いかがでしょうか。

○丸山保健政策部長 火山ガスに関しての今後の推移ということに関しては、先生もご承知のように、六月三十日の予知連の報告が直近という形で、昨年の十月から大体横ばいというような状況。三分の一ずつ減っていくのではないかという当初の予測があったにもかかわらず、そういうような横ばいということ。
 そういう意味でも、専門家会議、それから安全対策の専門家会議、それからまた、昨年の三月の検討会報告書、その検討会にも参加させていただいて、火山の専門家のお話を何度か聞いてはおりますけれども、予測に対しては非常に難しいというのが現時点での見解だと思います。
 それからもう一点、健康影響ということに関しましても、これも我々としましては、避難指示の解除、それから帰島の開始に関しましては、三宅村が、火山ガスの状況ですとか村民の方々の意向、安全対策などを総合的に判断して決定されたものだということで理解しております。
 そのために、帰島に当たりましては、火山ガスに対する安全確保対策、それから村民自身の安全行動、これによりまして村民の日常生活の安全が確保されるということは極めて重要であるということで認識しております。
 それからまた、教育庁の方でも、今小学校、中学校向けのマニュアルという形でガイドラインをつくるというようなことは聞いております。

○田代委員 よくわかりました。なかなか大変だと思います。よろしくお願いします。
 それから、立ち枯れの木のことについても、何か知恵がありましたらまた教えていただきたいと思います。
 終わります。

○藤井委員 私も三宅村民の生活再建支援についてお伺いをしたいと思います。
 これまで三宅村の方々は、四年半もの長い間、なれない避難生活を送られ、大変なご苦労をされてまいりました。私どもも、四年半前の噴火以来、三宅の方々への支援について、党の中に対策本部を設け、国、東京都、そして三宅村の浅沼村議とも連携をとりながら、さまざまな支援策を提言をさせていただきました。
 その中で、一つは秋川高校での生徒の受け入れ並びにげんき農場等によります三宅村の方々のいわゆる生きがい対策、そしてまた、今回帰島に向けての準備に当たりまして、我が党としましても、九月にもいろいろ現地に視察に参りまして、現地の方々あるいは状況から、国と東京都に対してのさまざまな施策の要望をしてきたところでございます。
 いよいよ来年二月の避難指示解除の時期が近づきまして、島民の皆様も帰島ができるということで、帰島後の生活再建に向けての準備に取り組んでいらっしゃると思います。
 私も、十一月三十日のこの厚生委員会の三宅島視察に参加をいたしまして、いろいろと高濃度地区の状況、あるいはシロアリ等による住宅の被害、また、診療所や保育園、そして特別養護老人ホーム等々、地元の状況等をつぶさに見る機会をいただいたところでございます。一日も早く村民の方が安心して、三宅村においてもとの暮らしが実現できるよう、今後とも都としてできる支援をすべきであるというふうに考えております。
 とりわけ、村の生活再建につきましては、先ほど申しましたように、何といっても医療あるいは福祉、保健、こういった分野にわたって役割を担っている当福祉保健局の支援が必要不可欠だというふうに思います。
 そこで、今回の支援条例について質問する前に、診療所や、あるいは特別養護老人ホーム、介護サービス、保育園について、今後の復旧の見通しについて、まずお伺いしたいと思います。
 まず最初に、平成十六年の第三回定例都議会で、我が党は、三宅の方たちが帰島した際の保健医療体制の充実を図るべきであるということで、東京都に要望をしたところでございます。その際福祉保健局長は、三宅村の診療所について、村民の帰島スケジュールに合わせて医者の確保に万全を期すとともに、看護師等の医療スタッフの配置についても積極的に支援を行うという答弁をされました。
 その後の進捗状況について、まずお伺いをしたいと思います。また、あわせて三宅村診療所の施設整備、これはどのように進んでいるのか、お伺いいたします。

○菅原医療政策部長 まず三宅村診療所におきます医療スタッフ等の状況でございますが、現在応急診療といたしまして、復旧作業員やライフラインの関係者などに適切な医療を提供するため、医師一名、看護師二名が従事しております。
 今後の本格的な帰島スケジュールに合わせまして、診療所に、新たに自治医科大学卒業医師あるいは都立病院の医師を派遣するとともに、看護師の増員を図るなど、島民が安心して生活できるよう医療スタッフの確保に万全を期してまいります。また、火山ガスの健康への影響を配慮いたしまして、必要な場合には呼吸器専門医師を確保できるよう支援してまいりたいと考えております。
 また、三宅村診療所の建物等についてでございますが、現在、噴火で被害を受けました給排水設備などの補修、あるいは通常診療に必要な心電図などの医療機器の整備など、診療機能の復旧が進められております。また、火山ガスの影響を受けやすい患者さんに対応するため、新たに高性能の脱硫装置を設置するなど、二月の島民の本格帰島に備えまして、診療所の環境整備が図られておるところでございます。

○藤井委員 帰島に向けて、診療所の復旧整備が着々と進んでいるというご答弁でございましたけれども、島民の医療を確保するために、医者や看護師などの確保が大変重要でございます。ぜひそういったスタッフの確保について、全力で取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、高齢者の方、三宅村の帰島される方の中で、やはり高齢者が多いというふうに聞いておりますけれども、その方たちに対する介護サービス基盤整備についてお伺いをしたいと思います。
 ことし九月に三宅村が発表いたしました村民の帰島意向調査というものによりますと、高齢者の帰島意向というのは大変強い。特に六十歳以上の方で、帰りたいと回答された方は、千三百三十三人のうち約八割の方が帰島の意思があるというふうに回答しているそうでございます。
 長年にわたって住みなれた島への思いがこの結果だと思いますけれども、帰島の意思のある高齢者の中には、介護が必要な方も当然おられるわけです。こうした方々が、三宅の村で、島で暮らしていくためには、介護サービス基盤の整備というものが何といっても不可欠でございます。
 避難前には、特別養護老人ホームを初め訪問介護、通所介護などのさまざまな介護サービスがあったわけでございますが、その中で特に、この特別養護老人ホームについてお伺いをしたいと思います。
 私も九月と十一月に行きましたけれども、三宅村に特別養護老人ホーム「あじさいの里」という老人ホームがありますけれども、まだまだ建物は立派でございますけれども、残念なことに高濃度地区の隣にあるために、海岸側にあります木が枯れてしまい、そして、台風や雨のときに塩害が来て、施設側の壁がさびているという実態も見てまいりました。そこで今回、この三宅村にあります特別養護老人ホーム「あじさいの里」の再開に向けて、どのような課題があるのか、まずお伺いいたします。

○野村高齢社会対策部長 お話のとおり、「あじさいの里」の現在の建物は、火山ガスや塩害の影響を受けまして、腐食などにより現状のままでは使用にたえないため、施設の大規模な改修もしくは建てかえが必要と考えられまして、現在、設置主体でございます社会福祉法人におきまして、耐震調査を実施しているところでございます。また、島全体で火山ガスの影響がありますことから、中央診療所との連携が従来にも増して重要でございまして、中央診療所と連携しやすい新たな場所への移転も視野に入れ、検討していく必要がございます。
 さらにまた、資金面に関しては、この法人の改修または新規建設に要する資金の確保や、現施設を建設する際に借りた資金の償還といった問題がございます。

○藤井委員 ただいま、さまざまな課題があるという答弁がございましたけれども、特別養護老人ホームの再開は、島の方たちにとってみれば大変大きな願いだというふうに、先日も要望を受けました。先日視察した際も、現地で村議会議員の方々と懇談した際にも、特養ホームをぜひ早く再開をしてほしいという要望も受けたところでございます。
 そういった意味では、ぜひとも特養ホームの再開に向けて都としても支援を行っていくべきだというふうに考えますけれども、現時点におきます特養ホーム再開に向けた都の取り組みについてはいかがでしょうか。

○野村高齢社会対策部長 現在、村と「あじさいの里」の設置主体でございます社会福祉法人との間で整備計画の検討を進めておりまして、都としても、課題等につきまして村や社会福祉法人と緊密に協議を行っており、国へも逐一その内容を伝え、相談をしているところでございます。
 今後とも、村、社会福祉法人及び国と十分に連携し、適切に対応してまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いします。
 聞くところによりますと、三宅村にあります牧場、私も行きましたけれども、かつては緑青々とした、牛がのんびりと草をはむ牧場がありましたけれども、今回の噴火によって全部草が枯れ、そしてまた牛が死んだ。その死んだ牛がそのまま化石となって残っている。そういった状況も見てまいりました。その牧場は、聞くところによりますと、村が国からの補助金等を使って整備をしたわけですが、今回の噴火によって、まだ残債があるけれども、その残債は国から免除にしていただいたというふうに聞いております。
 ぜひともこの特養ホームも、聞くところによりますと、まだ国からの残債があるということでございますが、ぜひ東京都としても、国に対して、この特養ホームの残債をなくし、一日も早く特養ホームが再建できるよう強力に国に訴えるよう要望したいと思います。
 次に、特養の再開がすぐには、なかなか時間がかかるということが見込まれるわけでございますので、来年二月に帰島を開始するに当たりまして、当面は在宅サービスの整備とというのが大変重要だというふうに考えます。
 そこで、在宅の介護サービス基盤整備についても、都として支援を行うべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

○野村高齢社会対策部長 先生のお話のとおり、帰島後も高齢者が安心して暮らしていくためには、在宅サービスの基盤整備は最優先の課題であるというふうに考えております。来年二月の帰島開始に向けまして、都では現在、村とデイサービスやショートステイの早急な整備につきまして協議を進めておりまして、包括補助制度の活用を含め、積極的に支援してまいります。

○藤井委員 ぜひこの包括補助制度を活用して、島民が二月に帰島した際にも速やかに在宅サービスが提供できるよう、都としての支援をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、三宅島の保育園の再開についてお伺いをいたします。
 平成十七年二月に帰島する三宅島におきまして、特に小さなお子さんを抱えている家庭にとりましては、保育園が果たして再開できるかどうかということが大変大きな不安になっているわけですけれども、この保育園再開について、都としてどういう方針か、まずお伺いをいたします。

○朝比奈少子社会対策部長 村内には公立認可保育所が三カ所ございます。帰島に当たって、三宅村では当面三宅保育園のみを復旧し、残りの二施設については、帰島後の保育所利用状況に応じて再開を検討する方針で整備を進めております。
 災害復旧工事の状況でございますけれども、国庫協議が十月に終わり、現地査定も十一月に既に完了して、十一月末に着工したところでございまして、一月末には竣工予定でございます。二月の開所に向けて、着実に整備が進んでおります。また、児童の安全を確保するための全館を対象とした脱硫装置を整備もいたします。
 総定員は、従前どおり六十名の予定でございますが、三宅村が七月に実施をした世帯詳細調査によりますと、来年度入所予定児童数は三十余名でございます。

○藤井委員 二月の開所に向けて着々と整備が進んでいるということで、ご苦労に対しまして、大変敬意を表したいと思います。
 さて、これに関連しまして、保育園につきましては、今まで実施していなかった内容、また、さらに帰島に際して新たに整備をする内容がありましたら、お答えいただきたいと思います。

○朝比奈少子社会対策部長 新たな取り組みでございますけれども、村におきましては、今まで実施をしていなかった一歳児の受け入れを予定をしているというふうに聞いております。さらに、延長保育、一時保育事業、育児相談など、保護者のニーズに沿った保育の実施を検討しているということもあわせて聞いております。

○藤井委員 どうもありがとうございました。ぜひとも受け入れの準備のためにご努力をお願いしたいと思います。
 続きまして、今回の支援条例に関連した質問に入らせていただきます。
 先ほど鈴木副委員長が質問されたこととダブるところは省かせていただきたいと思います。
 最初に、今回の支援策につきまして、なぜ生活一般の支援ではなくて住宅再建の支援にしたのか、まずこの点についてお伺いいたします。

○笠原生活福祉部長 帰島後、村民が生活再建を図る上で、最も基礎となりますものは住宅の再建でございます。しかし、先ほど来お話し申し上げましたとおり、現行の国制度におきましては、住宅そのものの修繕等に要する経費は対象になりません。そうかと申しまして、多大な被害をこうむっておる住宅そのものの再建を、村民の自助努力だけで行う、これは難しいだろう。
 困難な状況の中で帰島する村民に対しまして、帰島後の安心した暮らしを取り戻していただくためには、生活一般に対して支援するのではなくて、住宅そのものの再建に対する支援が必要、こう判断いたしたものでございます。

○藤井委員 次に、この制度、大変国が、なかなか使用範囲--被災者生活再建支援法によります支援では、住宅の再建までは対象にならない、いわゆる個人の資産形成に国が関与することはできないということで、住宅再建にはならなかったという背景がございます。
 今回、そういう意味では、東京都が独自でこういった住宅の再建のために支援をするということは、私は大変すばらしい、また村民にとって喜ばれる制度であるというふうに思っております。三宅の方たちにとりましては、本当に帰島後にすぐに使える制度として活用していただきたいというふうに念願をする次第です。
 次にお聞きしますけれども、今回の条例の中に収入制限というのがございます。今回の制度では、収入を一千万円以下というふうにしておりますが、これによって支援金をもらえなくなる人が出るんじゃないかなというふうに懸念をしますが、この点についてはいかがでしょう。

○笠原生活福祉部長 今回の支援制度でございますけれども、経済的な理由等によりまして、帰島後、自立して生活再建することが困難な状況にございます村民を支援していく、こういう観点から創設いたしたわけでございます。したがいまして、何らかの一定の合理的な所得制限、これは必要だろうと思っております。
 何をもって一千万とするか、その判断基準、大変難しいわけでございますけれども、国は、被災者生活再建支援制度、ここで八百万円を上限といたしております。それから、三宅村全体の所得分布の状況、こういったものを総合的に勘案し、決定をいたしました。
 収入条件を一千万と設定いたした場合に、昨年の村の村民所得の状況から推計いたしますと、ほとんど九八%ぐらいの世帯をカバーできるもの、こういうふうに想定いたしております。

○藤井委員 一千万を想定した場合、ほとんどの世帯をカバーできるというご答弁でしたが、大体その割合でいうと何%なのか。それからもっというと、一千万円を超える世帯は何世帯ぐらいなのか、もしわかりましたら教えてください。

○笠原生活福祉部長 一千万円を超える世帯、これは本年九月の村の調査、千六百五十数世帯の中で、四十世帯ぐらいが一千万円を超えるというような結果が出ているというふうに承知いたしております。

○藤井委員 四十世帯の方がちょっと対象にならないということですが、何とか努力していただければと思っております。
 ところで、国の制度などで事前受け付けが始まっているわけでございまして、多くの三宅村の方が相談に来ているというふうに聞いております。引き続き、こういった国の制度、そしてまた今回東京都がいろいろと行う制度、新たな支援策等、やはり大事なことは、村民の方たちに対するPRというのが大事だと思います。
 関係する方がこういった制度を活用をし、国の制度、東京都の制度、いろんな支援策を有効に活用していただいて、一日も早く再建が図れるように、都としても努力をすべきと考えますが、その点についての取り組みはいかがでしょうか。

○笠原生活福祉部長 先ほどの答弁は、パーセンテージというお話を、ちょっと答弁漏れいたしましたけれども、九八%ということでございまして、残りの二・数%が一千万円以上ということでございます。
 今回の制度のほか、災害援護資金など、さまざまな支援制度がございます。しかし、実際にそれを知っていただいて、そして十分に活用していただかなければ意味はないわけでございます。国制度でございます被災者生活再建支援制度の準備申請や災害援護資金につきましては、事前相談、こういう形で、既に今月一日から九日まで、立川防災センター、それから都庁、それから公文書館、この三カ所におきまして、相談会場を設けまして、土日も含めて、これまで順次実施をいたしております。今後も、常時村の事務所で受け付けていくということでございます。
 今回の新たな制度につきましても、条例が可決お願いできたならば、村民が制度を十分活用できますよう、きめ細かな周知、事前の相談受け付け、こういったものを村と連携いたしまして積極的に取り組んでいく考えでございます。
 また、その他の支援制度につきましても、これにあわせまして、村民が活用できますよう周知、PRに、村と協力しながら努めてまいりたいというふうに思っております。

○藤井委員 ぜひこの支援制度についてのPRにしっかり取り組んでいただきたいと要望したいと思います。
 さて、来年の二月以降、帰島する村民の方々が、この支援金を初め、国の制度の支援金を帰島に合わせて速やかに支給ができるよう、そして生活再建に役立てていけるように、東京都として最大限配慮する必要があるというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○笠原生活福祉部長 国制度でございます被災者生活再建支援制度、災害援護資金につきましては、既に十二月一日から事前申請を開始して、九日現在で、既に六百六十軒の世帯から申請、相談をいただいているところでございます。
 今後、申請をいただきましたものの内容チェック等の作業などをいたしまして、帰島後、速やかに支援金を支給できるように準備を進めてまいりたいと思っております。

○藤井委員 いろいろとお聞きをいたしましたけれども、局として、三宅の復興支援に一生懸命努力をされている、しているということがよくわかりました。今回の条例も、そうした局の三宅の方たちに対する、住宅再建を一日も早くしてもらいたい、そういう姿勢のあらわれだというふうに評価をしたいと思います。
 約二十億円、この生活再建でかかるというふうに聞いております。先ほどのご要望にもありましたとおり、やはりこの金額を決める際、いろいろご苦労があったかと思いますけれども、そういった金額の多い少ない、いろいろ議論があるかと思います。多い方がいいのは決まっています。しかし、そういう中で、やはり全体の局、あるいは東京都全体の中で、既に三宅に対して道路の整備、橋の整備、砂防ダムの整備、そして村営住宅の建設の補助等々、約六百億円のいわゆる東京都からの支援がなされている中で、今回新たにこの二十億円の生活再建のための支援がなされたということを、私は評価したいと思っております。
 ところで、今回の条例には、我が党も第三回定例会におきまして、この住宅再建のための支援策を行うべきだということを求めました。また、自民党さんも同じく第三回定例会で住宅再建のための支援をすべきだということを一緒にあわせて要望したところでございます。
 ご存じのとおり、一つの政策、一つの条例をつくるには、やはり簡単にはできません。我々都民の代表として、皆さんの声を都議会で発し、そして理事者の皆さんとともに必要な政策を、一緒に汗をかきながら--そして実現するためにはいろんなプロセスがあるわけでございまして、ようやくこういった一つの住宅再建についても、今回の定例会で出されたということでございます。
 そういう意味では、都民に対してどう責任を持ち、具体的に政策を実現させていくかということが、我々の大変大きな役割であります。
 ところで、ここに「赤旗」の十一月十七日号、そして十一月二十五日号に、こういう記事が載っております。ちょっと読んでみたいと思います。見出しは、「消極的な都を動かした村民らの運動と共産党」という見出しでございます。
 その中に、共産党は住宅再建への公的支援を一貫して求めてきたというふうに書いてあります。さらには、九月の都議会総務委員会で、古館和憲都議が三宅村の再生に行政の責任が問われているとし、都が独自の住宅再建支援に踏み出すよう迫りました。そして、最後には、こうした村民らの運動と結んだ党都議団などの粘り強い活動が、東京都の消極的な姿勢を変えさせ、今回の支援策を引き出したものといえます。こういうふうに出ております。
 あるいは、十一月二十五日号の「赤旗」では、このように出ております。日本共産党は住宅再建に対する公的支援を他党に先駆けて要求、国会や都議会、村議会で質問や都予算組み替え提案などを行い、財政的に難しいと石原知事の発言がありましたけれども、独自支援に消極的だった都の姿勢を変えさせてきましたというふうに出ているんです。これが本当ならいいんですけれども。
 そこで、まさに自画自賛しておりますけれども、私は、先ほど申しましたように、新しい政策をつくるにはいろいろとプロセスがあり、苦労があり、そしてまた理事者の皆さんを説得していかなきゃならない。そういう中で、あたかも共産党の成果のごとく、こうやすやすと自分たちの成果だということが果たしていいのかどうか。これは大変大きな問題でございます。
 そこで伺いますけれども、共産党のこのような、消極的な都を動かしたとか、自分たちがいったからこの住宅再建ができたんだという、こういう提案に結びついたのかどうか、率直なお答えをいただきたいと思います。

○笠原生活福祉部長 本年七月の二十日でございますけれども、村は来年二月の帰島方針を決め、その方針に基づきまして、九月には帰島計画を発表し、村民の皆さんに対します説明会が行われたわけでございます。また、先月には、村民に対しまして、具体的な帰島手順の説明が行われるなど、帰島に向けた取り組み内容はより具体化してきております。
 こうした村の動きに合わせまして、東京都といたしましては、村民の生活再建支援について、既存の国制度及びこれに上乗せいたしました都制度の活用を含めまして、さまざまな観点からその充実方策、検討を重ねてまいったわけでございます。
 こうした中で、ただいま先生からお話ありました九月二十八日の第三回定例会代表質問におきまして、公明党、それから自民党両党から、新たな支援制度を創設すべき、こういったご質問がございました。この質問の直後の十月一日、知事は記者会見の中で支援制度についての事務方に対します検討の指示を表明いたしました。
 都といたしましては、帰島時期をにらみながら、適時適切な対応策を積極的に、そして計画的にこれまで講じてきましたわけでございます。今回の代表質問での強い申し入れ等を踏まえながら、知事の指示を受け対応したものということでございます。

○藤井委員 今答弁にありましたように、第三回定例会で自民党さんと私どもの党がこの問題を取り上げ、そしてなおかつ知事の最終的な決断というご答弁でした。
 ちなみに、第三回定例会で、我が党は、代表質問の中で、国の被災者生活再建支援制度では、直接の住宅建設経費に使えないこと、あるいは使える品目の対象が制限されることなど、避難者にとって必ずしも十分な支援策とはなっていない。だから、国の制度に加えて東京都独自の生活再建支援制度を創設すべきだというふうに議会で訴えたところであります。
 同じく、議事録を見ますと、自民党の代表質問の中でも、今回の災害の状況にかんがみ、村民の自立支援を一層促進するなど、東京都独自の新たな支援制度を創設することも必要と考える、このように述べられております。
 それに対して、知事は、我が党の代表質問に対して、このように答弁しております。今後も、帰島に備えて、住宅、医療、教育などの生活関連施設の復旧や枯損木対策を中心とする緊急支援事業を実施してまいります。来年二月の円滑な帰島に向けて、都としても全力で支援をするつもりでございますというふうに知事が答えております。さらに、福祉保健局長の答弁でも、今後、ご提案の趣旨を踏まえて関係局と密接な連携を図り、適切に対応してまいりますという答弁でございました。これは自民党さんに対する答弁も同じだということです。
 ところが、もうここで、代表質問で、自民党と公明党が生活再建、住宅再建をやれ、知事もしっかりやる、福祉保健局長もやります、適切に対応しますというふうに答弁があったその次の九月三十日に、東京都の総務委員会で、先ほどありましたように、共産党の古館議員が質問をしているわけです。どういう質問をしているかといいますと、まるっきりこの代表質問の内容と同じであります。すなわち、東京都独自で住宅再建の支援をしろということをいっているんです。
 ですから、もう方向性が見えているところに来て、自分たちが総務委員会でやった、だから消極的な都を動かした、我が党がやった。これはちょっとおかしいんじゃないですか、皆さん。やはり、先ほどいいました、自分たちが苦労しないで、自民党と公明党が苦労してつくった、提案した制度を、さも自分たちがやったというのは、石原知事がいうように、これはハイエナ政党というんですよ。そんなことを許しちゃいけないんです。都民が知らないからといって、自分たちの宣伝でやっていれば、それが本当だと思う都民もいるでしょう。こういったことを許しちゃいけない、私はこのように思います。
 なおかつ、去年、新しく知事が就任した際、共産党の代表質問で、どなたか忘れましたけれども、知事に、いわゆる二期目に当たりまして、知事の基本姿勢をいえと迫りました。その前はさんざん福祉の切り捨てだとかゼネコン奉仕だとか、都民に対して苦しみばかりやっているとさんざん批判した上で、知事に対して二期目の基本姿勢は何かと代表質問で共産党が聞いたときに、知事は何と答えたか、皆さん覚えていますか。知事は、私の基本姿勢は、共産党のいうことを聞かないことが私の基本姿勢だといったんですよ。
 そういうふうに、やはり都民の本当の政策を実現するために苦労しているということを、ぜひ都民に知っていただきたい、このことを要望したいと思います。
 最後に、三宅の村民の方も大変厳しい条件の中で、困難を乗り越え、来年、新しい生活、そして再建に向けた準備を進めております。四年半ぶりにふるさとへ帰れるという、そういう強い思いが、これからの困難もいとわない、そういう決断を促したと思います。
 そういった意味で、そういった皆さん方を行政が支援をする役割というのは大きく、また責任が重いと思います。今後とも、局は積極的にこれらの支援策を進めていただくよう要望して、私の質問を終わります。

○初鹿委員 私からも、三宅村への生活再建支援について何点かお伺いしますが、鈴木副委員長、そして藤井委員から質問がありましたので、重複しないようにしたいと思います。特に、先ほど鈴木副委員長からかなり私がいいたいことをいっていただいたと思いますので、ちょっと視点を変えまして、私の方からは、さきの代表質問で我が会派の富田議員が質問をしました、その流れに沿って質問をさせていただきます。
 まず、私はこの三宅村民の方々への生活再建というのは、今回の百五十万円の支援金だけではなくて、やはり高齢者、また子どもも含めて、保健、医療、福祉にかかわる幅広い支援分野を総合的に支援していくことが、皆様方福祉保健局の役割であるというふうに考えております。
 また、村民の生活再建を考えるときに、代表質問の際にも申しましたけれども、自助、共助、公助、この考え方を忘れてはならないと思います。つまり、村民の方々の自助努力に加えて、今回の支援金や貸付金などの公助、そして義援金といった形の共助の組み合わせがあってこそ、この生活再建がなし得るのだというふうに考えます。そこで、こういったトータルの支援を考えたときに、支援策は十分なのかという観点で、幾つかの質問をしていきたいと思います。
 まず、いわゆる国制度といわれている被災者生活再建支援制度についてです。
 この制度は、今回条例提案をされた都の独自の支援制度と密接不可分の関係にあるわけで、つまりは、国のこの制度が、住宅の解体、撤去、整地費といった周辺経費にとどまっていて、住宅の本体について結局踏み込まなかった。このことが、結果として、今回東京都がこの支援制度を創設するきっかけとなった。というよりも、創設せざるを得ないことになったといってもいい過ぎではないのかなと思います。
 この国の制度の特徴としては、まず一つは、平成十年に議員立法で成立をしたということ。そして、二つ目は、ことしの三月の見直しで、家財道具の購入等のいわゆる生活再建だけでは不十分だという考え方から、都道府県などからは住宅本体へ支援をという強い要望があったにもかかわらず、結果としては、その支援の内容は、壊れた住宅の解体、撤去などにとどまってしまったということ。そしてもう一つ、三番目として、三宅村民に対しては引っ越し経費が支給されるということなどでありますけれども、この制度がいまいち理解がきちんとされていないなというふうに感じております。
 そこで、まずこの制度の内容や支援金の支給の仕組みがどのようになっているのかをお伺いいたします。

○笠原生活福祉部長 先生、今お話しありましたように、この被災者生活再建支援制度は、阪神・淡路大震災をきっかけといたしまして、議員立法によりまして平成十年にできたものでございます。法の所管は国でございます。しかし、支援のもととなる基金、これは都道府県が、当初、平成十一年度でございますけれども、三百億円を拠出して創設いたしました。そして、今回、平成十六年度の居住安定支援制度の創設に伴いまして、新たに三百億円を追加して拠出、そして現在六百億円になってございます。また、基金の運営は、全国知事会内にございます財団法人都道府県会館に委託をいたしてございます。
 このうち、国が支援金の原資として支出するのは、財団法人都道府県会館が支給する支援金額の二分の一の負担だけでございます。今年度の国の当初予算は、約三億円というふうに聞いてございます。

○初鹿委員 今の答弁で明らかになったとおり、この制度というのは、基本は、災害が起きたときに、都道府県の相互扶助の仕組みであって、都道府県がつくった基金への拠出金がその原資になっている。しかも、六百億円という非常に大きな金額だということです。
 それに比べて国の方は、今年度の予算だと三億円ということですから、国の制度、国の制度というけれども、国が十分に責任を果たしているかというと、ちょっと疑問に思うわけでございます。
 ところで、この基金へ都も当然拠出をしているんですけれども、都の拠出額は幾らになるんでしょうか。

○笠原生活福祉部長 平成十一年度、新制度の創設に当たりまして都道府県が拠出した三百億円のうち、均等割と国勢調査に基づきます世帯割の方法により定められた約二十八億五千万円を支出いたしております。
 それから、平成十六年度、新たに居住安定支援制度が創設されたことに伴いまして、改めて都道府県全体で三百億を拠出することになったわけでございますけれども、同様の方法によりまして、約二十八億九千万円を支出いたしております。合わせまして五十七億円を東京都はこれまで負担いたしてございます。
 こうした中から、平成十二年度の避難時に際しまして、家財道具の購入費として、最大百万円が支援金として三宅村民に支給されたわけでございます。また、今回の帰島に際しましても、最大二百万ということが支給される予定になってございます。

○初鹿委員 都も、応分の拠出をしていて、特に東京都は世帯数割で、当然世帯数が多いわけですから、全体のおよそ一割程度の負担ということで、大変な協力をしているということだと思います。つまり、都道府県の相互扶助の制度で、この制度の主役というのは都道府県だと思うんです。ところが、国が法律を握っていて、制度の改正は国が行うということで、国の方が動かない限りは、主役であるはずの都道府県が幾ら制度についての要望をしてもなかなか変わらないという非常に矛盾している制度になっているなというふうに思います。
 東京都も、これまでも、全国知事会などを通じて、住宅本体の支援を対象に含めるように再三再四要望してきていると思いますが、残念ながら今回の改正でも実現にこぎつけなかったということです。
 災害というのはいつ起こるかわからない、三宅島だけの問題ではないと思いますので、これからも国に対して引き続き要望を強めていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

○笠原生活福祉部長 先生お話しのとおり、本年三月の法の見直し時期に合わせまして、住宅再建支援制度の創設を提案要求し、その中で、住宅本体に適用するよう強く国に要望してきたわけでございます。
 こうした都などの要望が受け入れられまして、居住安定支援制度という形で創設になったわけでございますけれども、内容的には、先ほど来繰り返し申し上げましたとおり、住宅の解体、撤去、整地費など、いわゆる周辺の経費に限定されるにとどまってございます。
 今後とも、引き続き住宅本体を対象とするよう、国に粘り強く要望してまいりたいと思っております。
 なお、強調しておきたいんでございますけれども、今回の十六年の法改正の見直し時期に合わせまして、長期避難解除世帯特例があわせて創設されたわけでございます。これは、長期避難を余儀なくされております三宅村の現状というものを考えまして、国に対し再三、帰島時にも支援金が支給できるように、東京都といたしまして強く要望活動を行った結果、それが実現した、こういうことでございます。

○初鹿委員 今お話にありましたこの長期避難特例をかち取ったということは、本当に大変な努力だったと思います。本当に敬意を表するところでありますけれども、裏返していえば、粘り強く提案を行っていた結果、かち取れたわけですから、この住宅本体についても、今後ほかの都道府県と連携をして、ぜひとも国に対してしっかりと責任を果たすように要望を、提案要求をしていっていただきたいなと思います。
 ところで、先ほどの鈴木副委員長のお話の中でもありましたけれども、今回百五十万円の支援金を東京都は出すと。また、国の支援金が、最大で帰島時に二百万円、合わせて三百五十万円が基本となってくると思いますが、実際に住宅を再建するとなると、それだけで済まない方々も多く出るのではないかなと思います。
 五百万、一千万という大規模な改築や建てかえなどを計画をしている人もいるかもしれません。こういった多額の資金を必要としている人に対してはどのような対策があるんでしょうか。

○笠原生活福祉部長 支援金以外にも、貸付制度といたしまして、さまざまな既存の制度が用意されてございます。こういった制度を最大限に有効に活用いたしまして、生活再建に役立てていただくように、村民に周知、PRしていきたいと思っています。
 例えば、災害援護資金でございます。当面の生活資金として、住宅に限らず、幅広く使える制度でございます。国制度の三百五十万円に、東京都は百五十万円の上乗せをし、合わせて最大五百万円まで無利子で借り受けが可能となっております。
 また、住宅金融公庫の災害復興住宅融資によりまして、木造新築で最大一千四百万の借り受けと、それに対します都の利子補給が利用できる制度もございます。さらには、事業の再開等に対する中小企業等への支援策といたしまして、災害復旧資金融資制度、こういったものもございます。
 こうした制度を支援金と合わせまして、先生お話しのとおり、トータルとして活用していただくことによりまして、早期の生活再建が可能になるものというふうに考えております。したがいまして、その活用、周知、PRを、村とも連携し、努めてまいりたいと思っております。

○初鹿委員 今お話がありましたとおり、災害援護資金また住宅金融公庫の災害復興住宅資金などを活用して、トータルでということなんですが、いずれにしても、どの制度も融資という形なわけで、いずれ返さなければならない。三宅村の方々は高齢の方も多いということで、果たして返すめどが立つのかということを考えると、やはり少々この制度だけでは十分ではないのかなというふうに感じるわけで、そう考えたときに忘れてはいけないのは、自助、公助、そしてもう一つの共助の部分である義援金だと思うんです。
 先日の代表質問で、富田議員からもこの義援金について質問をさせていただきました。その際に指摘をさせていただきましたが、三宅島の災害に対して集まった義援金が、ほかの災害と比べると非常に少ないのではないかなと。例えば、先々月ですか、起こりました新潟中越地震ですと、一カ月足らずの間に百億円も義援金が集まったということなんですが、三宅島の災害については、大体十九億円程度だということですよね。この義援金の集め方というものを工夫して、もう一度帰島に合わせてPRをして募金を集め直すということをする必要があるのではないかなというふうに考えます。
 きょうの新聞を見ますと、義援金五回目の配分ということで、一世帯当たり九万円で、一人当たり十二万円、二人世帯だと三十三万円が配分をされるという記事が出ていましたけれども、配分されるということは非常にいいことだなと思うけれども、やはり金額を見ると、これだけなのかなと、これだけしか配分できないのかなと、少々同じ都民として寂しく思ってしまうんです。
 そこで、現状、この義援金の状況というのはどうなっているのかをまずお答えください。

○笠原生活福祉部長 七月二十日でございますけれども、村の帰島方針の決定を受けまして、村民の帰島後の生活再建を支援するため、直ちに帰島に向けた義援金の募集活動を都として開始いたしました。これまで庁内各局、それから区市町村等への協力依頼はもとより、社会福祉協議会あるいは民生、児童委員、日本赤十字社等の社会福祉団体、あるいは商店会連合会、商工会議所等の商工団体、さらにはNHK、新聞社等の報道機関等に対しまして、幅広く募金活動への協力を、要請を、お願いしてまいりました。
 今週の月曜日、「クローズアップ現代」で、三十分の番組があったわけでございますけれども、あれも、NHKさんに、これまで東京都がお願いしてきた、そういう流れの中で、今回これまで収録してきたものを放映いたしたわけでございます。
 しかし、災害から四年以上が経過いたしまして、人々の関心が薄れている、これもまた事実でございます。そういったことに加えまして、夏以降例年になく台風の上陸であるとか集中豪雨によります風水害の被害が各地で多発いたしております。それから、ご案内のとおり、新潟中越地震、こういう大きな災害が発生いたしております。こうした理由などから、現時点では約一億円、それから、これまでの残高を合わせまして、現在約二億六千万円ということで、伸び悩んでいるというのが現状でございます。

○初鹿委員 ぜひ、二月の帰島というきっかけを逃してしまうともう集まらないと思いますので、PRをしていただきたいと思います。
 特に、何となく、帰島ということで、これで決着がついたという印象を持たれている方が多いんじゃないかなと思うんですが、実は帰島してから、これからが三宅村の村民の方々の本当の生活再建というのが始まるわけで、これからが一番お金がかかってくるということになるのではないかなと思いますので、ぜひその点をしっかりとアピールをしていただいて、この義援金の募集というんですか、募金というのを行っていただきたいなと思いますが、今後の見通しについてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○笠原生活福祉部長 先生お話しのとおり、これからがようやくふるさとへの帰島がかなう、こういうことで、私どもとしては、今後、来年二月の帰島時期、これを逃さずに、ここに照準を合わせまして、交通機関、飲食店等におけるポスターの掲示、これは今ポスターをつくっている最中でございますけれども、それから報道機関と連携した効果的なPR活動、各種のイベント等における募金の働きかけなど、さまざまな取り組みを、今後強力に展開してまいりたいというふうに思っております。

○初鹿委員 ぜひ村民の皆様の生活再建のために、自助、公助、そして共助の部分の共助の意味というものをしっかりPRしていただいて、一円でも多くの義援金を集めて村民の皆さんに配分できるように、事務局の皆さんも奮闘をお願いしたいと思います。
 最後に、この前視察をさせていただきました。その際に、実際に帰島をした段階で問題になるのではないかということで気になった点を、二点ほど質問させていただきます。
 先ほど藤井委員からも質問がありましたので、重複をしないような形でさせていただきますが、一つは、藤井委員からもありましたけれども、高齢者の問題です。
 特別養護老人ホームが現在あのような状況で、これでは施設に入居している方はなかなか帰るのは難しいのではないかなと思うわけで、そうなってくると、じゃ在宅の介護サービスということで、基盤整備を間に合うように行うというお答えがありましたが、訪問介護をする上では、やはり一番重要なのは、ホームヘルパーなどの人材の確保だと思うんです。
 島という特殊な状況を考えますと、応援で行くということもなかなか難しいのではないかなと思います。やはり、そこに住んでホームヘルパーの職につくという方をちゃんと確保できるのかという問題が出てくると思いますが、現在、この状況と東京都としての取り組みについてお伺いいたします。

○野村高齢社会対策部長 三宅村では、避難前に行っておりました訪問介護やデイサービスなどの在宅介護サービスにつきましては、避難指示解除後に開始するといたしております。
 今お話しのホームヘルパーなどの人材確保につきましては、村が今後、帰島する高齢者の意向を個別に調査した上で、個々のサービスの必要量を把握しながら整備する予定にしておりまして、都といたしましても、関係団体に協力を働きかけるなど、適切に対応してまいります。

○初鹿委員 高齢者の方、帰るということが決まったにもかかわらず、ヘルパーの方が不足をして十分なサービスが受けられないという状況だけは、ぜひならないように、しっかりと帰るまでの間に整えていただきたいなと思います。
 もう一点は、保育所の問題ですけれども、先ほども質問がありまして、三カ所のうちの一カ所を再開をするということで、二月までに大体めどがついてきたということであります。定員が六十名のところ、入所予定は三十四名ということですけれども、恐らく入所される子どもの大半は、こちらの方に避難してきてから生まれたお子さんが大半を占めるのではないかなと思うんですけれども、そう考えると、母親も子どもも今までこちらで子育てをして、新たに島に帰って環境が変わって子育てをするということですから、非常に不安もあるのかなと思います。
 そういう意味では、先ほど育児相談などにも取り組むということですから、しっかりとその辺のフォローをしてあげてほしいなと思います。
 そこで、一つ気になるところは、今まで三カ所があって、一カ所になるわけですよね。つまり、送り迎えの負担が今まで以上にかかるんだろうなと思うんです。車で送り迎えをするということなのかもしれませんけれども、島に視察に行って感じたんですけれども、四年半あの島に置きっ放しになった車はとても動くとも思えない。じゃ、こちらから車を持って行ける方がどれだけいるのかなというと、当然お子さんが小さい世帯ですから若い世帯で、それもままならない家庭が多いんじゃないかなと思うんですが、その辺の子どもの送迎について、何か対策等がとられているようでしたら教えていただきたい。

○朝比奈少子社会対策部長 送迎バスでございますけれども、現在、三宅村におきまして、送迎バスの利用の希望に基づきまして調査をしております。この調査結果に基づいて、今月中にはバスの必要性について村として判断をする予定であるというふうに聞いております。

○初鹿委員 ぜひ帰島をしてしっかりとした生活が営めるような態勢をつくっていただきたいなと思います。
 いずれにしましても、三宅村、来年の二月に帰島をしてから、それがまた新たな始まりだと思いますので、この百五十万円の支援金を決定をしたということで満足するのではなくて、やはり二月以降も引き続き東京都として村民に対してできる限りのご支援をしていただくように要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○大山委員 ちょっと、本論に入る前に、先ほど私どもの「しんぶん赤旗」の記事について云々がありましたので、きちんと発言しておきます。
 「しんぶん赤旗」の中身を紹介して、議事録にまで私たちの活動を残していただいたということです。同時に、その中にもありましたように、私たちは七月に帰島が決まってからいい出したわけではなくて、予算要望にも、それから何度も申し入れをするということ、それから記事の中にもありましたように、予算の組み替えの提案の中にも入れる。これは、予算の組み替えの提案というのは、きちんとここを削ってこちらに回す、財源の根拠も示して提案する。数%変えればこのように都民に充実した施策ができるんですよという予算の組み替え提案の中にも入れるということですから、一貫して住宅再建の支援をということは私どもが活動してきた中身だということを再確認しておきたいというふうに思っています。
 本論に入りますけれども、私、委員会として三宅島に視察に行ったということは、本当によかったというふうに思っています。視察をして、そして地元の村の村議会の皆さんの話を聞いて、委員会の中で本当に認識が一致して、問題意識もほとんど一致してきているということでは、あの視察というのは大変有意義だったというふうに思っています。
 同時に、本当に短時間ではありましたけれども、当日、偶然にも小噴火があって、飛行場に着いたらみんなでせき込んでしまうとかということもあったり、それから泥流、土石流に土砂で埋もれた住宅があったり、ガスの被害がいかに大変なものなのか、そして四年半という年月がどういうものなのかということを、かいま見たという程度だと思いますけれども、同時に、委員会の皆さんの話を直接伺った、しかも、委員会として伺ったということが非常に有意義だったというふうに思います。
 私は、浅沼委員長さんが、島民は二月の帰島を控え、復興に向け準備をしている。しかし、四年半はいかにも長い。多くのものを失った。島民は頑張っているが、自助努力には限界があるというふうに最初におっしゃったんですね。それは本当にそのとおりだというふうに思っています。だからこそ、私たちは東京都として最大限の支援をすることが必要だというふうに思っています。
 その懇談の中で、やはり委員会としてまとめてくれた要望は三つですというふうにおっしゃってくれたんです。一つは、生活支援資金について、高濃度地域の皆さんにも適用できるように、その場で再建するのにも使えるようにというのが一番の要望でした。二番目は、特別養護老人ホームの再開ということでした。三番目は、国の被災者支援法の側面からの援助をということでした。村議会の委員会としてまとまった意見なんですということですから、私はこれを本当に重大に受けとめ、そしてそれを最大限努力していくという立場で質疑をしたいというふうに思っています。
 今までの質疑で大分解明されてきたわけですけれども、私、課題としては、この条例には基本的にもちろん賛成の立場で質疑するわけですけれども、条例の内容で、課題というのは、やはりこの間も出されてきていますように、高濃度地域の人たちが、今は自宅には帰れないけれども、解除されたら帰りたい、その方たちが支援の対象にならないんだということ。視察に行ったときも、屋根だとか外壁などを補修していらっしゃる家もありましたけれども、高濃度地域だから、今のやりとりの中では対象にならないんだということなわけです。
 もう一つの課題は、現在はさまざまな理由で帰島できない人に対して、本当に一年の時限の条例でいいのだろうかということが一つです。
 それから、あと金額というのがこれでいいのだろうかという、主には三つの点だというふうに思っています。
 高濃度地域のことをまず質疑したいんですけれども、私たち村議さんとも協力をして、三宅島支援センターというのがありますけれども、そこでアンケートをしました。それで、高濃度地域の方たちの思いはかなり語られています。
 視察に行ったときも、指定が解除されたら住めるようにしたいので直していたというのを目撃したわけですけれども、例えばそのアンケートの中でも、高濃度地区が解除になったとき、三池の自宅を直して住みたく思いますという方がいたり、また、高濃度で帰れないんだけれども、そのままにしておけば崩れるでしょう、できる限りの援助をお願いしますという方がいたり、また、都独自の支援策を高濃度地区住民にも適用すべきです、高濃度は住民の責任ではないんです、行政の手厚い保護がないと、物心両面で立ち直れません。本当に自立を援助するということから考えれば、高濃度地域の方たちも、解除されたら自分の家に戻りたい、そのとき、改修したり建てかえることは、もう不可欠なわけです。
 ほかの地域以上に家は大変な状況になっているわけですから、支援するというのが当然のことだというふうに思いますけれども、どうですか。

○笠原生活福祉部長 先生のところでアンケートをした、対象者百通回答があったというふうに聞いておりますが、今回の制度では、帰島し、みずから所有する住宅に居住する、こういう世帯に対しまして支援を考えておるわけでございます。
 帰島する高濃度地区の村民が、島内の他の地域に住宅を再建する場合については対象となりますけれども、村営住宅に入居する世帯などは対象にならないと考えてございます。

○大山委員 ほかの会派からも、高濃度地域の方たちにも当然支援すべきだという声は上がっているわけです。そして、村議会の方もおっしゃっていましたけれども、帰島したとしても、高濃度地域の人は避難生活なんだということですよね。ですから、避難生活から解放されて、自宅に戻る、自宅を再建するというときは支援する、これは、今回の条例のねらいなんじゃないんでしょうか。

○笠原生活福祉部長 期間の問題だろうと思うんですけれども、先ほどご答弁しましたとおり、本年九月に定めた帰島計画、ここでは、避難指示解除から大半の村民が帰島するまでに必要な期間、これを本格帰島期というふうに設定しているわけでございますけれども、その期間はおおむね三カ月に設定しております。
 また、住宅が再建中であるなど、この期間に帰島できない世帯も、次の三カ月には帰島することを前提にしております。すなわち、平成十七年七月末までには村民が帰島することを前提に村の帰島計画は定められておりまして、本制度では、こうした計画を前提にいたしまして、十七年度末までの条例という形でご提案を申し上げておるものでございます。

○大山委員 期間を延ばせば、もちろん一定の高濃度地域の方たちにも適用できる可能性というのは高くなるというのは、それは一つあると思うんです。期間の問題は、もちろん高濃度地域の方たちにも関係しますし、これから述べますけれども、いろんな理由で帰れない、帰りたくても帰れないという方たちにも、期間の問題というのが問題になってくるというふうに思っているんです。
 ですから、高濃度地域の方たちに対して、本当に避難から自分の家に戻る、たとえ村営住宅に入っていたとしても、それは避難状態であるという認識で、きちんと対応していただきたいというふうに思っています。
 高濃度地域の方たちの要求というのは、やはりさまざまなんです。これだけではなくて、例えば帰島しても、高濃度地区の、長い間住めないんだったら、買い上げも検討してくださいだとかという意見も幾つかあります。それから、なるべく我が家で生活できるようにしてほしいという意見もあります。それから、自宅に早く戻れる、そのように願望していますというような意見もあります。
 高濃度地域の方たちが対象外となるのが、先ほどのご答弁ですと百十世帯あるんだというふうに答弁されていましたけれども、百十世帯の皆さんが、本当にどういうことになるのか。年代も違いますし、若い方もいらっしゃるでしょうし、高齢者の方もいらっしゃるわけですから、きちんと把握をして、高濃度地域の方たちが避難生活から、島での避難生活からも解放されて自宅に戻るときに、きちんと生活再建できるような手だてをとらなきゃいけないというふうに再度述べておきます。
 今、期間のお話が出たんですけれども、もちろん、一定の期間の中で一斉に帰る、ある程度まとまって帰るというのは、復興のことなどを考えれば、それは当然必要なことだというふうに思うわけです。しかし、そう一律にはいかないというのは、やはり四年半の長い年月があるということなわけです。
 すぐには帰れませんという方はどういう理由があるかというと、例えば病気の者がいるとか、世帯主が入院中だとか、ガスが出ている期間は無理だとか、家族の中に病人や小さい子どもがいる、だからちょっとすぐには帰れない、迷ってしまうという方たちもいるわけです。
 それから、本当に四年半、長いなということを実感するのは、柱として頼っていた長女に急死され、次女も病死で、頼る子どもはおりません。それでも、後に残された孫がおりますが、それぞれ世帯を持っておりますので、三宅に一緒に帰るわけにはいかず、私が一人で帰ることになりますという九十八歳の女性です。
 本当にさまざまな方たちが、すぐには帰れないんだということも含めて述べているわけです。一律にいかないからこそ全体でも、島民の皆さん、三千二百六十人でいいんでしょうか、きめ細かく対応することが求められていると思いますが、それについてはどうですか。

○笠原生活福祉部長 先ほど来申し上げたとおり、村は、十七年の七月末までにはほとんどの世帯が帰島するものと考えておりまして、十七年度末までの一年間があれば、制度的には十分な期間を確保しているというふうに考えてございます。
 また、今回制度設計の考え方の中で、今回の支援制度は、村の帰島方針、それから帰島計画、こういったものを踏まえまして、東京都として、村民の帰島に際し、集中的な支援を実施することによりまして、早期に生活再建を図ることをそのねらいとしておるものでございます。
 さまざまな事情によりまして一年以内に帰島できない村民に対しましては、今回の支援制度の対象とはならないというふうになるわけでございますけれども、こうした村民に対する支援は、基本的には村が対応すべき問題というふうに考えてございます。

○大山委員 帰島できない島民がいるということは認識されるわけですよね。したくてもできない。しかし、それは村が対応するべきだというのが今の答弁ですけれども、村で、この状況の中で支援しなさいというのは、それは酷だというふうにいわなきゃならないというふうに思います。
 今回の制度の中では対象にならない人がいるんだということを認識しているんだったら、きちんと村と相談をして、そして、おくれるけれども帰りたい方には、きちんと対応をするべきだというふうに思っています。
 期間の問題ですけれども、例えば国の被災者生活再建支援法に基づく支援金の申請の期間がありますね。それは、住宅再建に関するものは三十七カ月なんです。ですから、三年一カ月です。都の制度も、住宅の再建ですから、せめて国の制度と同じ三十七カ月というのは、これは根拠のある数字だと思うんですが、どうですか。

○笠原生活福祉部長 先生、国の制度三十七カ月というふうに申されましたけれども、国は国で、国制度というものは日本全国さまざまな事情を考慮して適用される制度でございまして、今回の都制度とは制度創設の経緯等の設定条件が異なるわけでございまして、それを同一には論じられないというふうに思っております。
 ただいま申し上げましたとおり、今回の期間設定というものは、村の帰島方針、帰島計画、こういうものを十分踏まえて設定をいたしたものでございます。

○大山委員 説明してくれるときに、国の制度よりもいい制度をつくったんですというふうに、それはもうおっしゃってくれたわけですよね。国が、さまざまな全国の状況があるから三年、三十七カ月、するんだ。いろんな状況といったら、四年半の避難生活といったら、こんなに避難生活しているところなんかないですよ。だからこそ、東京都は、せめて国の制度並みに、期間だって設定することが必要だというふうに思います。
 先ほど局長さんが答弁しておられましたけれども、介護保険法は社会経済状況によって見直し条項があるんだというふうに例を引いていらっしゃいましたけれども、私はこれは重要なことだというふうに思っているんです。例えば、今、介護保険だったら社会経済状況ですけれども、三宅島だったらガスがどうなるのかというのは、それこそ不測の事態ですし、きちんとやはり見直しを入れておく、見直しをするということを明記するというのは、これは重要だと思うんですが、どうですか。

○笠原生活福祉部長 繰り返しの答弁になりますが、村が定めました帰島計画、これは、住宅が再建中であるなどの理由で三カ月以内に帰島できない世帯を含めまして、六カ月以内に帰島することを前提としてございます。十七年七月末までには村民が帰島することを前提に三宅村の帰島計画は定められておるわけでございます。本制度は、こうした計画を前提に、十七年度末までの条例としてご提案申し上げたものでございます。
 ただ、先ほど局長がご答弁申し上げましたとおり、その後の火山ガスであるとか、自然災害でございますので、いろいろな状況があるかもしれませんが、そういった際には、先ほど来局長が答弁申し上げましたとおりの対応をするというふうに考えております。

○大山委員 局長がいった答弁というのは、柔軟に適切に対応しますということなわけですね。

○幸田福祉保健局長 私は、重要なご指摘と受けとめ、島民の帰島状況や火山ガスの今後の状況を十分見据えながら、適切に対応してまいりたいと考えております、こう申し上げました。

○大山委員 適切にということの範囲というのはどういう範囲なんですか。
   〔発言する者あり〕

○大山委員 わかりました。指摘は重く受けとめ、帰島の状況を見ながら対応したいということですね。適切に対応したいということですね。
 そしてもう一つ、金額が本当にこれでいいのかということなんです。行ってみて、やはり私たちも、これは大変な状況だというふうに思うわけですけれども、復興するというのは大変なことだというふうに思っています。それで、いや、これはなかなか状況が大変なんですが、例えば二年前に帰ったきりで行っていらっしゃらないんですって。その二年前のときに、既にカヤでいっぱいだった。人の話では、裏の戸がさびてあけられない。ネズミたちが家の中で走り回っていたということがあったり、住宅再建、修理等は年金生活のためかなり難しいんだということだとか、生活するとなると、あらゆるものが全滅です。家具にしても、冷蔵庫、冷凍庫、井戸のポンプ、トイレの浄化槽等、大きな問題がたくさんあり、経済的にも大変ですとか、いろいろと書かれているわけです。
 京都だとか鳥取県を見ましたら、三百万円が限度額になっています。せめてこれぐらいというのは別にとっぴな額じゃないというふうに思うんですが、どうですか。

○笠原生活福祉部長 金額の問題につきましては、先ほど来お答えしておりますとおり、三宅島におきます住宅の被害状況、それから国の支援制度の状況、それから他県の支援制度、これはただいま鳥取県のお話がありましたけれども、鳥取県は、国の制度ができる前の金額でございます。できてから、おおむね他県の状況というのは、国の制度に持ち出し、上乗せ百万、これが平均的な姿でございます。そうした他県の支援制度の状況、こういったものを総合的に勘案して、決定をいたしたものでございます。

○大山委員 鳥取県は国の制度ができる前だといいますけれども、京都府も同じですね。それで、本当に四年半という大変な長い時間を考えたら、きちんと再建できる目安というか、それが必要だというふうに思っています。
 次は、特養ホームのことです。
 「あじさいの里」の再開ですけれども、村議会の方たちの二番目の大きな要求の柱だったわけです。特養ホームだとか老人保健施設、今四十二人の方が入所しているということですが、もちろんガスの状況などもありますから、慎重にやらなければならないわけですが、それにしても、島に帰りたいというのを考えているのも高齢者の方々だということは確かですね。
 特養ホームをどうするのかというのは、もちろん法人と村で話し合って進めることが必要なわけですけれども、どうも現地で再開というのは、高濃度地域のぎりぎりのところだし、困難だということ。それから、別の土地に建てるということは一致しているようだと思うんですけれども、あとは障害となるものを一つ一つ取り除いていくということだと思います。
 衆議院の厚生労働委員会で、我が党の委員の質問に、中村政府参考人という方が答弁をして、帰島される皆さんのご意向ということを一番に考えて、どちらの形であっても--というのは、現在の場所で建てかえるにしても別の場所に建てかえるにしても対応できるように、よく東京都ともご相談しながら対応してまいりたいと思っていますというふうに答えています。
 国、都が設置主体である社会福祉法人からは、確定した計画書の提出はないけれども、村だとか法人だとか東京都の協議している状況や内容は国にも伝えてありますよというのがさっきのご答弁でしたね。
 それで、大きな問題の一つは、比較的新しい施設なので、残債があるということだという話です。厚生労働省に聞きましたら、免除する制度はあるんだということなんです。債権管理規程で決められているんだと。現在のところ、法人からも村からも東京都からも免除の話は来ていないということでした。法人から福祉医療機構に免除の申請が来て、初めて話が進むんですよというふうにいっていました。
 借入金の償還については、三宅村の債務負担行為があって、支払い利子については東京都から利子補給をされています。借入金は定期的に償還されているということでしたけれども、借りたものを返すというのはいいんですけれども、これだけの状況の中で、やはり再建していくということをしなきゃいけないわけですから、免除の制度があるというのですから、まずは免除の話を進めるというのが必要だと思いますが、どうでしょうか。

○野村高齢社会対策部長 独立行政法人福祉医療機構の債権管理規程によりますと、災害等によりまして社会福祉法人が償還不能に陥ったと判断した場合には、償還の免除をすることができるという規定がございます。しかしながら、今回の社会福祉法人あじさいの会の場合は、「あじさいの里」の施設整備の償還原資を法人ではなく三宅村が負担しております。したがいまして、今後、償還の免除について福祉医療機構と鋭意協議をしてまいりますが、今回の「あじさいの里」のケースにつきましては、償還免除の適用を受けることは難しいのではないかというふうに考えております。

○大山委員 これが独立行政法人福祉医療機構債権管理規程の中に、四十条というところに免除の条項が入っているわけですね。それで、今、難しいんじゃないかというような話がありましたけれども、これだけの四年半という状況の中で、しかも村には特別養護老人ホームは何としても必要なんだということがあるわけです。
 それを考えたときに、村だって、これ以上の負債は負えないという状況もあるわけですから、本当に打開していくという方向で村と一緒に、それから村と法人と東京都ときちんと相談をして、こじあけていくという立場で取り組んでもらいたいというふうに思いますが、どうですか。

○野村高齢社会対策部長 私どもも、残債をなるべく少しでも少なくするということは、当然法人のためにもいいというふうに思っておりますけれども、やはり現在のこの機構の制度というのがございまして、これには、私どももいろいろ照会いたしました。照会をいたしましたところ、これはやはり、今回のような、実質的に社会福祉法人が債務を負っていないという場合についてはかなり難しいという返事を受けておりまして、しかしながら、我々としても鋭意協議はしていきますけれども、可能性としては極めて薄いということを申し上げておきます。

○大山委員 だから、今まで全国でも適用したことがないような制度らしいですから、それこそほかの災害、全国的に見たってこんな状況の災害というのはなかったわけですから、そこで適用させるということに、ぜひ道を開くこと、それから国にもきちんと要請をするし、国からもきちんと力を得て、切り開いていってほしいというふうに思っています。
 今後、帰島始まってからも、それから残る方にも、それから帰った方にもいろんな状況が出てくると思いますけれども、ぜひ積極的に生活を、すべての島民の皆さんの生活が再建できるようにという立場で、きっちりと頑張ってもらいたいというふうに思っています。
 以上です。

○大河原委員 ほぼ議論が出尽くしているところなので、私は一つ確認をして、そして意見を少し述べさせていただきたいというふうに思います。
 先日は、三宅島を視察、二度目の視察をさせていただきましたけれども、本当に生活再建の厳しさを感じて帰ってまいりました。三宅村で七月の基本方針の発表、それから、火山ガスとの共生を柱として、村民個々人の自己責任に基づく判断によること、また行政のとるべき対応などを示され、具体的な帰島計画を進めてこられたことには、まさしく自治が生きているんだなというふうに感銘を受けた次第です。
 被災から四年半ということで、島民の方々の一日も早い生活再建を願う者として、関係者の皆様のご努力に敬意を表しますし、また、これを新たな村づくり、島づくりのチャンスともとらえていただきたいなと強く感じて帰ってまいりました。
 島の内外、海でつながっているということを考えれば、国内だけではなくて、外国の知恵もかりる、外国の市民の知恵もかりるというようなことが浮かんできまして、実は役場の壁に張ってあったポスター、モイヤーさんと子どもたちのポスターでしたけれども、非常に触発されるものがありました。
 一つ確認は、十一月一日現在で、三宅村には、約四十人の方々の外国人登録があるというふうに資料で読みました。どのぐらいの外国人住民の方々が島に戻られるかいまだわからないわけですけれども、十分な情報を得て、以前の島のように暮らしていけたら本当にいいわけですので、この点、どうなっているのか。国の支援、都の支援とも、日本人住民と同じく、等しく受けられるというふうに思いますが、受けられないものはないというふうに思っていいんでしょうか。
 そしてまた、この支援を受けるに当たっての情報提供、特に手続などは、日本語が堪能な方たちにも結構難しいんじゃないかなというふうに思うんですが、その点、どのような対応をするのか、伺っておきたいと思います。

○笠原生活福祉部長 先生お話しのとおり、十六年の十月末現在、村には二十八世帯三十六人の外国人登録者がおられます。その内訳でございますけれども、そのうち約三分の二は、外国籍ではございますけれども、日本国籍を持った方の配偶者になってございまして、残りの人たちもほとんど日本語が堪能な方です。それから、中には、本国の方へもう帰国している方もいらっしゃいます。
 これらの人たちに対しまして、村は、情報伝達の方法でございますけれども、通常の村民と同じ情報提供などを行っても何ら問題はないというふうに判断いたしまして、これまで対応してきてございます。
 したがいまして、今後の帰島に際しての情報提供あるいは支援の説明などにつきましても、これまでと同様に適切に対応していくということでございますので、東京都も同様の対応をしてまいりたいというふうに思っております。
 それから、支援につきましても、これは条件としては、帰島し、みずから所有する住宅に居住する、こういう条件あるいは年収等の条件、そういったものをクリアすれば、等しく対象となるというふうに考えてございます。

○大河原委員 対象になる方は非常に少ないというふうに思いますが、確認だけさせていただきました。
 私にとっての三宅島のイメージは、先ほども申し上げたジャック・モイヤーさん、海洋生態学者の方の印象が強くて、子どもたちが環境学習に取り組む姿などもホームページなどで見ていたものですから、モイヤーさんの件については、亡くなられている、そういう残念な状況も存じ上げております。
 それぞれの方たちの自助努力だけでは生活再建ができない、また村の財政的なところでもできない、で、東京都が今回の独自制度、国の制度で不足のものについてするということについては大賛成です。
 しかし、きょうの委員会の質疑の中にあったように、やはり時限であること、あるいは金額の問題、そして高濃度地区が対象になっていないこと、これについては、ここで幾らこれ以上伺っても不足は補えないということもわかりました。
 ただ、逆説的にいいますと、恐らく三宅島のことだから今回これができたのかなという思いも同時に持つわけです。その意味では、私ども生活者ネットワークは、阪神の震災以降、もちろん国が制度をきちんとつくることが必要だと主張もしてきましたけれども、この状況を見ていましても、被災者生活再建支援法の拡充というのは、東京は強く求めても、他県の状況も、これにもろ手を挙げて参加をしてくる、拡充をそれぞれが求めてくるというふうにはなかなかならないんだなというのも改めて感じるところです。
 今回の三宅島支援、このことが、実は大都市行政をつかさどる東京都としての自助努力として、東京都が独自の基金を持つ、そして生活再建のための支援を基金をもとにつくっていくという、本当はこのスタートになるといいんじゃないかなというふうに私ども思っておりまして、長年予算要望もしてまいりましたけれども、改めて今回それを強く感じております。ぜひこういった超党派で、それこそ東京都独自の生活再建支援について、議会の中でも議論を進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 終わります。

○前島委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩をいたします。
   午後四時四十六分休憩

   午後四時五十三分開議

○前島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○田代委員 多摩老人医療センターに関係して少しお尋ねしますけれども、医療公社、いろいろ私も医療公社については話をしてきたつもりなんです。今からもずっとしていこうと思うんですけれども、時間も問題ですから、手短にコンパクトに行きたいと思いますけれども、保健医療公社の設立目的というのはそもそも何なんでしょうか。

○菅原医療政策部長 東京都保健医療公社は、地域医療のシステム化を推進し、包括的、合理的な医療供給体制の確立を図ることを目的として設立されております。
 東部、多摩南部地域病院は、設立当初から住民の理解を得ながら地域医療連携を推進し、平成十年には、全国に先駆けまして地域医療支援病院の承認を得るなど、医療連携のモデル病院として高く評価され、今日に至っております。
 なお、都内におきまして、地域医療支援病院の承認を得ているのは、この公社の両病院のみでございます。

○田代委員 南部病院、私の医師会の地元なんで、いろいろ意見はあるんですけれども、時間の関係でそれは省いて、こうしたコンセプトに従って、例えば大久保病院では、地域病院として地域医療の充実に向けてどのような取り組みを行っているのか、教えていただきたいと思います。

○菅原医療政策部長 大久保病院におきましては、移管後、医師会を対象に説明会を行いまして、十月末現在、連携のパートナーでございます登録医が五百九十八名となっております。また、五月一日付で、開放型病院の承認を得まして、地域の医師との共同診療を開始しております。
 そのほか、地域の要望を踏まえまして、女性専用外来や亜急性期病床の整備、それから地域病院として地域医療支援機能の拡充にさらに取り組んでいるところでございます。

○田代委員 女性専門外来、これ、非常に行政医療としては必要なことなのでありまして、ちょっとここで今詳しく話す時間がないんですけれども、これはしっかりやっていただきたい。
 それから、登録医というのは、私が医師会長やっていたときも、登録医全員、医師会はすべて強制的に登録医にしちゃった経過もあるんですけれども--都立病院、荏原なんかですね。
 もうおわかりのとおり、我々、行っても、いる場所もない登録医ですから、現実には名目だけで、やっぱりこれを改善していかなくちゃならない。病診連携やりましたと、僕も立場上、医師会長としてはいわなくちゃいけないからそういっているのでありますけれども、残念ながら--これは東京都が悪いとか都立病院が悪いということでは全然ないんですよ。ある意味では、町のお医者さんたちの非社会性というか、人とコンタクトをとるときの最低限のルール、礼儀みたいなものが、ともすると問題になることも、私は自分の会員でありますけれども、たまに思うときもありました。ですから、これはどこの問題というわけじゃなくて、みんなで協力して直していかなくちゃいけないと思うんですけれども。
 前回、多摩老人医療センターの公社化に際しては、メリットをはっきりしてくれ、どんなことでも変えるのであれば、いいことがどれほどあって、悪いところがこれだけ改善されますということをはっきりさせてくださいということをお願いしたんですけれども、今度の多摩老人医療センターの公社移管によって、地域の住民や医療機関ですね、東京都にとってというんですか、東京都民にとって具体的にどのようなメリットがあるのか、教えていただきたいと思います。

○菅原医療政策部長 多摩老人医療センターの公社移管に際しましては、高齢者専門病院として培ってまいりましたノウハウを継承しながらも、地域に急性期病院が少ないという、そういった事情を踏まえまして、診療対象を小児から一般成人にまで拡大するなど、地域病院として必要な機能を充実し、地域全体の医療サービスの向上を図ってまいります。
 また、地域の診療所等と紹介、逆紹介を推進することで、患者さんが身近な地域で症状に応じたこれらの医療を受けられるとともに、より多くの人がかかりつけ医を持つことができるようになるわけでございます。
 さらに、開放型病院といたしまして、かかりつけ医とセンター医師による共同診療が可能となるなど、患者さんが安心して一貫性のある医療を受けることも可能になります。

○田代委員 かかりつけ医という言葉、非常にいろんな人がいろんなふうに解釈するんですけれども、今一番もめているのは混合診療という言葉ですね。それぞれによってみんな考え方が違う。まさしくこんな混乱している混合診療はないんですが、かかりつけ医も非常に似ているところがあるんですが、地域の方にプラスになるようにしていただきたい。
 そのために、病院の医療機能とか診療体制などについて周知するために、今後具体的にどのような広報活動を行っていくかということを教えていただきたいんですけれども、都立病院というのは、先ほども病院経営本部の方でお話をさせていただいたんですけれども、日本という国の中に東京という国が別にあって、そこでの一つの手本が日本全体に広がっていくわけですから、とても大きな役割を皆さん方が担っていると思うんです、東京都にというより日本に対して。もっと広い意味でいえば、アジアの広域の保健医療に対して一つの指針を示していかなくちゃならない立場にあるわけですから、そういうときに、よく三多摩格差なんて言葉を聞かされますけれども、医療に格差はなるべくないのがいいのでありまして、どこにいてもユビキタスで医療が受けられなくちゃならないんですけれども、やはり差別ではなくて区別がある地域というのはあると思うんです。
 医者の数と住民の方々の数、あるいは行政の取り扱っている面的な広さ、いろいろ問題があると思うので、全部一括して皇居の周りから多摩の奥まで全部同じやり方でやれということを申し上げているわけでは全くないんですけれども、広告宣伝あるいは情報を周知していくときに、やはり地域性というものをよく考えてやっていただきたい。
 先ほどもちょっと病院経営本部のときに申し上げたんですけれども、昔からよくいわれていることで、市中の町医者というか開業医の、中小の病院が一生懸命つめに火をともして頑張って納めた税金でどんどんどんどん公的病院がきれいになってしまって、つぶれざるを得ない現状があるんだと。これは話半分で、実際は、やはり放漫経営であり、いろいろな問題もあるんだということは僕もわかってはいるんですけれども、一方的に公的病院だけが、しかも一部の公的病院だけが伸びてしまうということは、やはりバランスの問題--伸びない方がいいといっているわけじゃないんですよ。全体が伸びた方がいいわけであって、その中心となってこういう公的病院が伸びてくれる、公社化された病院がみんなを、牽引力を持って平均点を上げてくれるようにしていただけると大変ありがたいので、そこも含めて広報活動というものは行っていただきたいんですが、どのようにお考えであるかを伺って終わりたいと思います。

○菅原医療政策部長 公社化後の医療機能、あるいは診療体制等につきまして、地域住民に周知すること、また地域の医療機関に対しましても周知することは重要であると認識しております。
 これまで都立病院改革マスタープラン発表以降、院内窓口にお知らせを置いたり、院内にポスター掲示したりするなど、患者さんに不安を感じさせないよう、十分周知に努めてまいりました。
 公社化につきましては、今議会におきまして承認を得られた後、地区医師会や地元自治体への協力依頼や、ホームページ、広報紙等々、さまざまな手段を活用いたしまして、地域病院化に向けた広報活動を行ってまいります。

○かち委員 もうしばらく、よろしくお願いします。
 今定例会には、三宅島の被災者の再建支援条例外、全部で五本出ておりますので、私は三本について質疑をしたいと思います。
 最初に、二百三十六号、東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例、関連して、二百三十七号、東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例についてお聞きしたいと思います。
 多摩老人医療センターの、今回は廃止条例ということで出てくるんですけれども、前回、十月四日の委員会で、公社化検討会の報告について質疑をさせていただきました。今、田代委員からも質疑がありましたけれども、公社化というのは、大久保病院に次いで、今度は二つ目の病院ということになるわけですけれども、これは、私どもは賛成をしていない立場ですけれども、病院改革プログラムに沿って出てきているわけですね。
 ことし四月から大久保病院が公社に移管をされました。その動向がどうなのかということは大変懸念されるところだったんですが、十月四日の時点では、まだ移管後間もないということで、その後の経過を見ていくということで申し上げておいたわけですけれども、四月からの移管で、五月を迎え、六月ということで、この当時、医師も欠員のまま、必要な専門職員も欠員というような状況の中で大久保病院への移管がスタートしたわけですけれども、半年過ぎて八カ月ということなんですけれども、現時点において、大久保病院の経営状況、現況、必要な人材の確保というのはどのようになっているでしょうか。

○菅原医療政策部長 大久保病院の経営状況につきましては、先ほどご答弁申しましたように、医療連携を推進するとともに、亜急性期病床の設置、あるいは総合外来の設置など、機能強化を図った結果、病床利用率は、十一月に七七・九%、十二月に入っては九〇%に近い日もあった結果、きょう現在、八〇%を超える病床利用率となっております。
 また、経営状況に大きく影響いたします内科医師の欠員の問題についてでございますが、九月に二名を採用し、十二月にも固有職員として一名を採用いたしました。一方、医師一名が医局ローテーションの都合で十一月末に退職しておりまして、現在では、定数十三名に対し、現員十二名という状況になっています。

○かち委員 スタッフは一応そろいつつあるけれども、医師は依然として一名欠員ということですよね。ベッド稼働率はかなりよくなったというふうに今お聞きしましたけれども、ただ、在院日数がやや伸びているという状況もありますよね。外来患者数はそう伸びていないんじゃないかと思いますけれども、外来の方はどうですか。

○菅原医療政策部長 外来患者につきましては、現在、これは十月現在でございますが、月一万九百九十六人でございます。

○かち委員 それだけ答えられても状況はよくわからないんですけれども、私が見せていただいた資料では、そう伸びているようには見えませんでした。まだ大久保病院のこの先というのは不透明な状況にあるといっても過言ではないと思うんです。
 そういう中で、次は、来年は多摩老人医療センターを公社に移管するということですけれども、公社というのは、東京都が九〇数%出資をして、東京都医師会とともにつくった第三セクターということで運営をしているわけです。
 都立病院とは違って、自前で運営をしていかなければいけないということで、かなり経営的には厳しい環境の中に置かれていると思いますし、今二つの病院、それから大久保病院も含めて、決して好転しているという状況ではないというのは共通していると思うんです。
 そういう中に、また一つふやし、その後は荏原病院ということなんですけれども、こういうことで、本当に公社の将来がちゃんと成り立っていくのかどうかという点でも、大変まだ懸念を残しております。
 私は、前回、三つの問題で指摘をしました。多摩老人医療センターが歴史的に果たしてきた役割や位置づけの問題です。これは、都立病院という病院形態をとっておりますけれども、もともとは養護老人ホームなどのあの施設の中に複合的な福祉施設の一環として、いわば附属病院として位置づけられた歴史があるわけです。だから、公営企業事業ではなくて一般会計の中で賄っているという特徴があると思うんです。そういう病院だということ。それから、利用者負担になる問題もさまざま質疑させていただきました。それから、病院の特徴である地域リハビリテーション支援センターなど、こういうことが本当に将来にわたって維持できるのかどうかという点でも、大変懸念される問題でした。
 きょうは、公社化された状況の中で、今の医療レベルや人員体制を本当に確保して、維持していくことができるかどうかという点で、確認したいと思います。
 病院医療というのは、何といっても二十四時間三百六十五日患者さんを見ているのは、看護スタッフなわけです。この看護体制がどうなっていくのかというのは、大変気になるところです。
 今、都立病院では、現在、新看護基準制度をとっておりますよね。これは、患者二人に対し看護師一人という体制です。夜勤は、三交代で、三人で月八日が一応基準になっているわけです。大久保病院が移管されるときもそうでしたけれども、移管の前に数十名削減されました。多摩老人医療センターでも、ことし、移管を前にして定員が四十名ほど減らされているんですけれども、その理由は何でしょうか。

○長谷川参事 お尋ねの件でございますけれども、平成十六年度の看護師定数は、利用率の低い特定集中治療室ICUを減少したのを初めとしまして、病床ごとの病床利用率や診療科目構成等を勘案しまして、また診療科の看護実態も踏まえまして、夜勤体制を見直し、適正な人員配置を行ったものでございます。
 また、外来看護部門におきましても、看護実態等を踏まえ、非常勤の活用などにより、常勤職員の定数の削減を行ったものでございます。

○かち委員 実態に合わせて見直しをしたというふうにおっしゃいましたけれども、公社が抱えている多摩南部病院と東部病院、そして公社化された大久保病院の現況をちょっと調べてみたんですけれども、この病院は、いずれも二人夜勤体制が各病棟の中で七割を占めているんです。大久保病院も、約六十数%でした。
 ところが、この大久保病院が都立病院だった時代には、三人夜勤がむしろ逆転をしていた。六十数%あったということなんです。そういう意味で見ますと、公社病院は、押しなべて看護体制は二人夜勤という大変薄い体制でやっているというのが実態ではないでしょうか。
 多摩老人医療センターの現在の夜勤体制はどうなっていますか。で、今外来のことをおっしゃいましたけれども、外来の看護定員というのはどうなっていますか。

○長谷川参事 病棟の夜勤看護体制については、平成十六年度の定数ベースで、いわゆる二・二体制の看護体制をとる病棟は、全八病棟のうち五病棟であります。六二・五%でございます。また、外来常勤看護師の定数は、平成十六年度は三人でございます。
 なお、病棟の夜勤体制は、運用上、定数を超える実員を確保し、実質的に十五年度と同様な看護体制の確保を図っているものでございます。外来看護師についても、非常勤の活用、病棟からの応援体制等により、必要な体制を確保しております。

○かち委員 多摩老人医療センターの今の二・二夜勤体制は、八病棟中五病棟で六二%というふうにおっしゃいましたよね。だけれども、これは定員を削減される前には、二人体制のところは一一%しかなかったんですよ。整理をした段階で二・二体制をふやしているというのも実態ですよね。それから、外来看護体制、現在定数は三人ということですけれども、削減される前は十名いたわけですから、そういう意味では非常に全体的に定員をそぎ取っているというのが実態だというふうに思うんですね。
 この地域医療支援病院を目指した公社化をした段階で、来年、今度は小児医療も、小児救急も、そして小児ベッドもふやして、二次医療で拡充をしていこう、そういう目標を持ってやるわけですけれども、看護体制そのものをこんなに削っちゃって、本当にやれるんでしょうか。その辺の見通しはどのように考えていらっしゃいますか。

○菅原医療政策部長 夜勤の問題でございますけれども、準夜帯及び深夜帯の看護体制は、病棟ごとの診療科構成や患者の状況等により必要な体制が定まるものでございます。同じ病床数の病棟であっても、体制の多い少ないというだけで看護水準を比較することはできないものと考えております。
 例えば、多摩南部地域病院におきましては、準夜帯の繁忙時に看護助手を配置するなど、看護師が看護業務に専念できる体制を組んでおります。したがいまして、二・二が三・三より看護水準が低いということはないものと考えております。

○かち委員 人手が足りなければ無資格者の人も一緒になって働くから大丈夫だというふうにおっしゃいますけれども、やっぱりそれは、二次救急を標榜していても、体制がなくて受けられないという方だって、実際に出てくるわけです。それは、多摩南部だけではなくてほかの病院でも、実際に受け入れる力量がなければ受けられないという現状、こういうことを生み出すようなことは絶対にしてはならないと思います。
 関連してお聞きしますけれども、養護老人ホームに、今度は医務室、診療所を設置するという条例案が出ているわけですけれども、改めて伺いますけれども、なぜこのような診療所を設置しなければならないのでしょうか。

○長谷川参事 多摩老人医療センターの公社移管によって、老人ホームと地域病院の設置主体が、東京都と公社ということで異なることになります。
 老人ホームには、厚生労働省令により、医師、看護師の配置が義務づけられることになります。このため、老人ホーム利用者の健康管理や一次医療については、ホーム内に診療所を設けることになります。また、入院治療が必要な場合、あるいは救急医療は、従前どおり地域病院が対応することで、施設利用者の医療確保を図っていきたいと考えております。

○かち委員 わざわざ、同じ敷地にあるのに、病院を公社化する、都立から引き離してしまうということによって、こういう養護老人ホームの方に診療所をつくらなければならないという問題が出てくるわけです。
 これまで養護老人ホームの利用者が、実際に多摩老人医療センターの外来を一日どのぐらい受診していたのか、受診状況というのはどうなっていたのでしょうか。

○長谷川参事 平成十五年度の多摩老人医療センターの健康管理外来における福祉施設利用者の受診者数は、述べ八千九十七人であります。この受診者を、東村山老人ホーム診療所で診察するような場合には、年間約二百六十日の診療日を予定しておりますので、一日当たりの診察者数は約三十一名ということになります。このため、十分に対応できるものと考えております。

○かち委員 一日平均すれば約三十一名だから、そこに診療所をつくれば十分にそこで対応できるだろうというふうな予測をされたわけですけれども、今までは、高齢者福祉施策の附属病院として、いつでも受診、療養できた利用者さんですよね。今度は、公社病院になって、地域支援病院になるからということで、紹介患者専用の病院になってしまう。そのために養護ホームのところに新設をするわけですけれども、これは診療報酬請求ができる診療所ということですから、当然施設外の一般対象、一般の方々も受けることができる診療所というふうになるわけですよね。
 何かおかしいと思うんですけれども、母子保健院を廃止するときに、あれだけ小児の一次救急も含めて残してほしいという地域要求が高まったにもかかわらず、小児救急とか一次医療、地域医療は、区市町村の仕事だとか役割分担だといって、母子保健院を廃止し、そして診療所もつくらなかったわけですよね、東京都としては。
 しかし、今度は病院を公社に移管するということで、都立の診療所をこの敷地の中につくるということですよね。やっていることが本当にご都合主義というか、こっちにはできないといって、こっちにはやるというようなこと、一貫性がないと思うんですよ。
 そのためには、法に照らしても、この診療所に常勤医師を確保しなければなりませんけれども、そういう体制のめどというのはできているんでしょうか。

○長谷川参事 養護老人ホームには、国の人員配置基準に基づき、医師の配置が義務づけられております。また、新たに設ける診療所は、基本的には先ほど申し上げました多摩老人医療センターの健康管理外来の受診者を引き継ぐことになるため、現行の医療サービスを継続できるよう、常勤及び非常勤の医師を確保するため、現在関係部署と調整を行っているところです。

○かち委員 きょう出していただいた資料を見たら、多摩老人医療センターにおける医師及び看護職員の推移を見たら、看護婦は四十人減っているんですけれども、医師が、定数が六十に対して、昨年は五十四、ことしは五十二というふうに、常勤医の定員をかなりはるかに下回っている、こういう状況があるわけですけれども、この辺、どのように分析されているんでしょうか。本当に診療所で常勤医師を確保できるというめどが立つのでしょうか。いかがですか。

○長谷川参事 過去三年間の部長、医長クラスのベテラン医師の転出入の状況をお話ししますと、退職者が上回っている状況なんでございますけれども、一般の退職者数、一般職員を含めますと、十四年、十五年、十六年にかけまして、退職者数、十四、十五、十六の三年間、十六年度におきましては十一月末日でございますが、採用転入者が五十七名、退職者が五十三名ということで、三名ほど三年余りでふえているという状況でございます。

○かち委員 今のは部医長級の先生方の異動の状況だと思うんですけれども、この定数に満ちていないという医師体制については、やっぱりまだ疑問が残ります。
 それで、こちらの養護老人ホームの方には診療所をつくる。で、この敷地の中には病院と廊下続きでナーシングホームというのがありますよね。老健施設と、下には特別養護老人ホームがあるわけですけれども、老健施設は、医師が開設者ということですから、ちょっと別だと思うんですけれども、養護老人ホームと病院との関係というのはどういうふうになるんでしょうか。

○長谷川参事 今回の改正によりまして設置主体が変わることによりまして、老人ホームは一次医療、健康診断、健康管理をする部署、セクションということで、二次医療についてが地域病院という振り分けになります。

○かち委員 今の質問、養護老人ホームでもし何か起きたときには、今までは病院から先生が行って、必要があれば入院という、全く境のない関係ができていたと思うんですけれども、今度は公社病院になります。こちらは公社だからといって診療所をつくりました。でも、特別養護との関係は、公社だから、廊下がつながっていたって壁一つで別世帯というか、先ほどからの説明によれば、それは簡単に何か事があったからといって、ツーカーといって対応できる条件ではないという状況が想定されるんですけれども、いかがでしょうか。

○長谷川参事 ナーシングホーム及び東村山老人ホームとの関係ですが、地域病院とは設置主体が異なるものでございます。
 そのため、特別養護老人ホームについても、施設における設置医師を確保するため、所用の人員を今行っているところでございますが、利用者の健康管理、一次医療は、その配置医が行い、介護棟を巡回する形で、引き続き提供していきます。必要に応じて、当然今までの地域病院である多摩老人医療センター等の受診を行うことになります。
 今後も、専門の診療科及び救急時の対応などにつきましては、引き続き地域病院との連携を図るので、関係は変わらないものと考えております。

○かち委員 でも、組織的に違ってくるんだから診療所をつくらなくちゃいけないという議論は、こちらの特養ホームとの関係だって同じなわけですよ。特養ホームに配置医を、今までは多摩老人医療センターの方から先生が融通していたかもしれないけれども、今度は改めて配置医という形で、別のところから先生にやっぱり来てもらわなければいけない、定期的に来てもらわなければいけないという状況も生まれるわけです。
 しかも、こちらで問題が生じて、入院が必要だとか様子を見るために入院をさせたいといえば、今度は紹介状を書いて多摩老人医療センター、センター病院の方に紹介をしなければいけないという、そういう関係ができてくるわけでしょう。だから、今までの全体としての関係とは全く違う対応がここにも求められるわけですよ。だから、全体の利用者にとっては大変不便な、負担のかかる問題になるんだということは、改めて申し上げておきます。
 この問題が、本当に今この地域を中心にして運動が巻き起こっております。それで、多摩老人医療センターを守る会という住民の皆さんの運動がありまして、その方々がこの秋にアンケートはがきをとりました。私も、その一部を見せていただいたんですけれども、一千通近く寄せられているんです。
 数を正式に分析してありませんけれども、見た段階では、圧倒的に都立として残してほしい、そして、高齢社会を迎えているときになぜ老人医療を縮小するのか納得できない、母が精神科に入院していた、本当に助かった、精神科を何とか残してほしいという声も数多く上がっております。
 こういう願いにやっぱりこたえていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この高齢者医療の中でも、痴呆やアルツハイマーなど、大変高齢者の医療にとって大きな課題となっている精神科医療を、なぜ公社に移るからということでなくしてしまうのか。その辺は、本当に納得ができないんですけれども、その理由は何でしょうか。

○長谷川参事 多摩老人医療センターの精神科の患者は、身体合併症のある痴呆やうつ病等の患者が多く、精神疾患を主疾患とする重症の患者は少ない状況にあります。したがいまして、地域病院におきましては、外来治療及び一般病棟の病床を弾力的に活用することによって、精神疾患を有する合併患者への対応を引き続き図っていきたいと思っております。
 また、精神疾患を主疾患とする患者につきましては、都立病院などの、例えば府中病院ですが、そういう地域における他の医療機関も含めまして、連携を図りながら対応していきたいと考えております。

○かち委員 もともとは老人を対象にしていた病院であって、しかもノウハウも一番持っている病院なんですから、そこを生かしていく。今、一番社会的な課題にもなっているわけですから、そこでの研究、啓発というものが本当に求められている、このときに、ベッドを外してしまうというのはどうしても納得いきません。
 一九九五年に、老人医療センター運営基本指針というのが出されていますけれども、このときには、高齢者疾患の特徴として、多臓器特有の疾患、日常生活上の機能障害、回復遅延などを明らかにしているわけです。経営改善についても、一般病院とは異なる特色を持ち、通常の診療報酬で賄うことは不可能である。そして、老人医療センターは、地方公営企業の病院事業とせず、引き続き一般会計で運営していくというふうに明記しているんですよ。
 そういうことを見ても、それを、改革だという名のもとで、病院の一般化、充実という名のもとで、人員体制も削られる中で、都立から切り離してしまうという道理は、全く認められません。よって、都立多摩老人医療センターを条例から外す条例案には反対です。
 続きまして、第二百三十五号の東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例案について少しお聞きします。
 今回、使用料改正ということで出されてきた資料、本当にたくさんあって、事前にお聞きしたんですけれども、大変複雑な中身であってわかりにくいんですけれども、多数の料金新設と改正の中身もあるんですけれども、こういうものが出されてきた背景と理由をお聞きします。

○中井健康安全室長 来年四月一日に施行されます改正薬事法の主たる目的は、医薬品や医療機器等が販売された後に副作用や不具合が発生した場合、迅速かつ的確に対応できるようにすることにございます。
 具体的には、従来の製造業から製品を市場に出荷する行為を分離いたしまして、これを製造販売業という新しい業態として許可する制度が設けられました。このことによりまして、製造販売業者は、製品の品質管理と市販された後の安全対策をより一層強化する責任を負うことになりました。
 今回、この新しい業態にかかわる許可等の各種手続について、手数料を設定したものでございます。

○かち委員 手数料、新設以外にも改正しているものもありますよね、一部。それについてはどうですか。

○中井健康安全室長 従来からある許可業態につきましても、法改正によって、審査内容や事務処理手続に変更があったため、手数料算定の見直しを図ったものでございます。

○かち委員 今いろいろご説明ありました。日進月歩の医学医療に伴って、医薬品や医療材料や医療機器なども多種多様化して、高度化したり、いろいろ変化をしてきております。こういう中で、重大な副作用や被害の生ずる問題も出ているのも事実です。こうしたことに対応するために、品質管理や安全確保の観点から、国際的な整合性や科学技術の進展、企業行動の多様化に伴う見直し、規制は必要だと考えます。
 資料として出していただいた新料金設定の一覧を見ますと、対象項目が九十八項目もあるんです。高いものは二十万円から。百四十円というのもありますけれども、大体十万円前後とか、結構高目ですよね。これ、重複してかかってくるものもあるんだろうというふうに思うんですけれども、この料金設定の算出根拠というものはどういうふうになっているんでしょうか。

○中井健康安全室長 当該事務従事者の人件費、あと事務執行のために直接必要となる消耗品や印刷費、印刷物等の物件費、さらに実査が必要なものにつきましては旅費等を加えて算定したものでございます。

○かち委員 この手数料条例の改正の根拠となった薬事法改正があるわけですけれども、これらの影響を受ける事業者というのは、一体対象者はどのぐらいになりますか。

○中井健康安全室長 薬事法改正により影響を受ける事業者数についてのお尋ねでございますが、都内の医薬品等の製造業あるいは輸入業の許可件数で申し上げますと、現時点で二千九百八十件と把握してございます。
 来年四月に改正薬事法が施行されますと、医薬品等の製造業が、約三千五百件、同じく製造販売業が約三千四百件になると予測しております。

○かち委員 現在二千九百八十件が、これはダブるところもあると思いますけれども、約七千件にふえるわけですよね。対象もふえるし、皆さん方の仕事量もそれだけふえるということになるわけですけれども、この対象は決して一部に限られたものではなくて、この医薬医療品メーカー、製造業、すべてにかかわってくるわけですね。大手メーカーもあるし、中小の零細企業にもかかわってくるということなんですけれども、医療材料、医療機械屋さんというのは、本当に圧倒的には零細の中小業者の方が多いわけです。
 特に、文京区などには医療材料機器の製造業の方が大変集中している地域でもあるんですが、こういうところでちょっとお話も聞いたんですけれども、法律全体が変わってかかってくるというのもありまして、非常に大変だと。実務量もふえるわけです。品質管理から履歴を追跡する、調査をしなければいけないとか、情報を集めなければいけないとか、管理者を三人置かなきゃいけないとか、そういうことも含めて、これではもうやっていけないという声をたくさん聞きました。
 この金額そのものも、新設にしてばっとかかわってくるのが、二十万からというのは、これはなかなかちょっと急激過ぎるのではないかというふうに思うんです。
 今回の薬事法の見直しでは、三つの点で行われているわけです。医療機器に係る安全対策の抜本的見直しで、多様な技術、素材が用いられる医療機器の特性に対応した分類や生物由来製品の安全確保対策の充実、市販、販売後の安全対策責任の明確化と製造承認制度見直しなどということで、こういうことが一気にかかってくるということで、今、もうてんやわんやしているのが実態なんです。
 こうした急激な、激変に対して、都としてやっぱり緩和処置というものが必要ではないか。一律に、国が法律を変えたんだから、すべて同じようにかけるというのではなくて、本当に今営業して成り立っているその方々が、この制度改正でつぶれてしまう、なくなってしまうということがあってはならないというふうに思うんです。
 先ほど料金設定の根拠は人件費ということが入っておりましたけれども、東京都がこの間、料金改定のたびに算出根拠になっている人件費の算出の仕方が、基本給のほかに福利厚生だとか手当だとかすべてがベースに入ってくるということで、その上げ幅も大変大きくなっているというのも、私は大変問題だと思います。
 そういう意味で、本当に法改正による零細中小業者への影響を最小限に食いとめるための対策をとるべきであって、このまま条例を認めるわけにはいかないということを申し上げて、質問を終わります。

○佐藤委員 長時間の審議になりまして、局の皆さんがエコノミー症候群になるといけないので、私はちょっと三宅島の問題で、私の意見を述べさせていただいて、質問を終わりたいと思うんです。
 平成十二年の全島避難の直後に、私は初めて三宅視察に行きました。若干時間があきまして、この六月と、せんだっての十一月三十日、三度、噴火後、三宅の視察をさせていただいたんですが、行くたびに状況はやっぱりひどくなっていると思います。家屋の被害もだんだん大きくなってきている。我々素人にも目に見えてわかるような状況になってきています。
 ただ、東京都の努力で、大変なご尽力で、四百億円余りのお金をかけて、インフラはきちっと整備をされたわけでありますけれども、個人の住宅の傷みというのは、惨状は厳しいものがあるわけであります。
 そんな中で、今回の提案されている条例、百五十万円の資金が支給されるということ。条例の期限の問題でありますとか、百五十万という金額には正直いって不満があるところでありますけれども、この条例の底流に流れる皆さんの心意気というんでしょうか、石原知事を初めとする現場の皆さん方、そして総務局やあるいは福祉保健局の皆さん方の心意気には、非常に私ども大きな賛意を表したいと思いますし、大変いい条例をつくっていただいたなと、基本的にはこう思います。
 ただ、先ほど申し上げましたように、非常に家屋の状況は厳しい状況になっている。しかも、ご存じのとおり、三宅島というのは、前回が昭和五十八年、その前が昭和三十七年、その前が昭和十五年、ほぼ二十年に一遍火を噴いている、噴火をしているわけであります。そういう厳しい過酷な自然環境の中でも、やはり島に帰って、ふるさとに帰って生活を、どんな困難があっても再建をしていこうという島民の皆さんの心意気は、ひとつ皆さんも意気に感じていただきたいと思います。
 それから、先ほど来お話し出ております高濃度地区の方々。いつかはガスが薄くなって我が家に戻れる日が来るだろう、こういう希望を捨てないで、できる限りの修繕をして、来るべき日に備えている、こういう方々もいらっしゃるということを、ひとつしっかりとご認識をいただいて、高濃度地区の方々にも、何かしら、大変に知恵のある東京都の皆さんでありますから、特に福祉保健局は優秀な方が多いわけでありますので、どうかその辺のことも十分に配慮していただくことを要望させていただいて、終わります。

○前島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 付託議案及び陳情に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認め、付託議案及び陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会をいたします。
   午後五時四十一分散会

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