厚生委員会速記録第十一号

平成十六年十月四日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長藤井  一君
副委員長山加 朱美君
副委員長大山とも子君
理事鈴木あきまさ君
理事初鹿 明博君
理事野村 有信君
東村 邦浩君
柿沢 未途君
かち佳代子君
田代ひろし君
古賀 俊昭君
大河原雅子君
佐藤 裕彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長幸田 昭一君
次長帆刈 祥弘君
技監梶山 純一君
総務部長吉川 和夫君
指導監査室長岩井 令雄君
医療政策部長菅原 眞廣君
保健政策部長丸山 浩一君
生活福祉部長笠原  保君
高齢社会対策部長野村  寛君
少子社会対策部長朝比奈照雄君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長中井 昌利君
企画担当部長野口 宏幸君
感染症・環境安全担当部長小松 博久君
参事杉村 栄一君
参事桜山 豊夫君
参事大村 信夫君
参事狩野 信夫君
参事長谷川 登君
参事清水 克則君
参事浅井  葵君
参事佐藤 恭信君
病院経営本部本部長押元  洋君
経営企画部長奥田  匠君
サービス推進部長徳毛  宰君
参事織戸 正義君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
報告事項(質疑)
・東京都多摩老人医療センターの公社移管について
 病院経営本部関係
報告事項(質疑)
・多摩広域基幹病院(府中病院)及び小児総合医療センターの整備について
・都立豊島病院の板橋区移管に関する基本的方向について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書七件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議した結果、生活保護費国庫負担金の負担率引下げに関する意見書(案)については調整がついた旨、その他の意見書については調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件について、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、調整のついた案文の朗読は省略いたします。

生活保護費国庫負担金の負担率引下げに関する意見書(案)
 政府においては、昨年十二月の「三位一体の改革に関する政府・与党の合意」を踏まえ、現在、生活保護費国庫負担金について、負担率の引下げを含めた見直しを検討しており、平成十七年度から実施することとしている。
 しかしながら、生活保護制度は、憲法第二十五条の理念に基づき、国が自らの責任のもと、国民生活の基盤を支える基礎的な行政サービスとして実施すべきものであり、直接執行するか否かを問わず、その経費は、本来国が、そのすべてを負担すべき性格のものである。
 したがって、負担率の引下げは、国の責任放棄であり、「三位一体改革」に名を借りた地方への一方的な負担転嫁に過ぎないものと言わざるを得ない。
 また、見直しが実施されると、厳しい状況に直面している地方公共団体の財政運営に大きな影響を及ぼすこととなり、断じて容認できない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方分権時代にふさわしい地方財政基盤を確立する観点に立ち、生活保護費国庫負担金の負担率の引下げを行わないよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月 日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて

○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局及び病院経営本部関係の報告事項に対する質疑、並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 東京都多摩老人医療センターの公社移管についての報告事項に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○吉川総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明させていただきます。
 資料は、目次にございますように、全部で五項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。大久保病院の経営指標として、平成十五年度及び平成十六年度の四月から八月までの外来延べ患者数、患者紹介率、病床利用率、平均在院日数及び医業収益について、それぞれ記載してございます。
 二ページをお開き願います。大久保病院の職員定数及び現員数といたしまして、(1)には職種別の職員定数及び現員数を、(2)には非常勤職員の現員数を、それぞれ平成十六年八月一日現在で記載してございます。
 三ページをごらん願います。多摩老人医療センター外来診療体制一覧といたしまして、診療科ごとの診療体制について記載してございます。
 四ページをお開き願います。多摩老人医療センターの利用者負担といたしまして、非紹介患者初診加算料、診断書交付手数料、証明書交付手数料及び紹介患者加算の利用者負担額をそれぞれ記載してございます。
 最後に、五ページをごらん願います。地域医療機関からのアンケート調査結果といたしまして、平成十六年二月に、北多摩北部地区医師会及び歯科医師会に属するすべての病院、診療所を対象に実施をいたしましたアンケート調査の結果を記載してございます。
 以上、ご要求のございました資料につきまして説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 多摩老人医療センターについて、一、二質疑をさせていただきたいと思います。
 これは今までもいろいろお話を伺っておりますので、おおよその方向性はわかっているわけですけれども、最近の高齢化、大変スピードの速い高齢化に向けて、当時、昭和六十一年ですか、東京都の方で将来の高齢化に向けて一つの施策を打とうということで、老人専門の医療センターというのをつくられたわけですけれども、これは大変大きな意義を持って、時には国よりも都が一歩、二歩先んずるという形で今まで仕事をして、結果が出ているわけです。
 我々東京都医師会としても随分お世話になりましたし、また、緊急の場合、なかなか地域の診療所あるいは私立の病院では対応できないものも、協力体制のもとで患者さんにいろいろな医療を提供していただいた、こういう歴史があるわけですけれども、ここまで高齢化が進んでまいりますと、当然高齢者の医療だけを特別に見るというわけではなくて、高齢者の医療自身がごく普通の一般医療になっているわけですから、そういう中で行政医療として特別に高齢者の医療だけを見ていくということが、また時代にそぐわなくなってくる。
 そして、小児救急を初めもろもろの、新しい治験を得ている悪性の新生物のようなものに対しても当然対処していかなくちゃいけないということで移管していくということなんですけれども、しかし、そうはいっても、現実にこの高齢化の中での医療というものが、一〇〇%、一般外来の中で、あるいは一般の医療の中できちっとした制度ができていて、もうこれ以上手を加える必要がないんだ、パーマネントにそのまま流れていけば高齢化社会の中で老人医療ができるんだという形にはまだできてないわけですから、やはり行政的医療としての必要が全くないとは私は思えないんですね。ですから、これからの高齢者医療というものを、移管後、これだけふえてきた、一般化してきた高齢者医療というものをどういうふうに扱っていくのか、その点について最初にお答えいただきたいと思います。

○菅原医療政策部長 高齢者医療は、高齢化の急速な進展に伴い、一般医療の中で非常に大きな部分を占めるようになっております。都立病院を初めといたしまして、可能な限り多くの医療機関において積極的に取り組む必要があることから、現在は一般医療に含めております。しかし、このことは、高齢者医療の重要性を否定するものではなく、多摩老人医療センターが高齢者専門病院として培ってまいりました全人的医療等のノウハウは今後も継続して実施していくとともに、研修、医療連携を通じて地域の医療機関にもこうしたノウハウを提供し、ご利用していただくことにより、高齢者医療の普及、拡大に努めていくことが重要であると考えております。

○田代委員 今お答えいただいたように、今後の高齢者医療を充実する、これは大変必要なことなんですね。少なくとも、予測では二〇二五年といいますけれども、これがまたどういうふうに外れるかもわかりませんし、当面、今から十年以上の間、高齢者医療というものは、健康保険制度の中でも非常に大きな問題に--いい悪いではなくて、大きな問題になっているわけです。これは全体で国の経済にもインパクトを与えているような大問題であり、東京都という大都市が一つの方向性を出すということは、国に対しても方向性を示す一つのいいチャンスにしていかなくちゃいかぬわけですから、それをこの移管ということによって生かしていただきたいと思うんですけれども、やはりその中で一つ、老人総合研究所との連携というものが必要になると思うんですね。
 シンクタンク、いわゆる実行するところと考えるところ、立案するところ、それぞれが責任を持って協調し合って医療というものを行っていくわけですけれども、現在の多摩老人医療センターと老人総合研究所との協力体制というのは、場所的にも離れていて云々という話があるんですが、今一番東京都の医療の中でおくれているのは、情報交換のシステムができてないということなんですね。場所的にどうだこうだなんて、二十年、三十年前の考え方を東京都が持っていては困るので、どんなに離れていようと、例えば、せんだって厚生委員会が視察に行った沖縄でも--あれは日本の方式じゃないんですね。ありがたいことに、進駐軍の考えがあったからああいうことができているので、日本ではあんなことはできてないわけですけれども、いいところ、悪いところ、アメリカの悪いところは幾らでもあるわけで、特に保険制度というのは最悪の保険制度を持っているわけですけれども、しかし、システム自身は非常にいいのであって、どうやってその中で情報イントラというものをつくっていくかということをもうちょっと考えていただきたい。場所的になんていう言葉はもう今は全く死語になっているわけですから。リアルタイムに情報交換ができる、医療情報というものを対面的に伝えていくのではない時代がとっくに来ているわけでありますから、そういうシステムを東京都がつくることに役に立つような移管でなくてはならないと思うんですね。
 ですから、今の、そういうとあれですけれども、非効率なそれぞれの情報交換というものを変えていっていただきたい。変えていくことによって、これからの、最終的には公社、五病院体制になっていくわけですけれども、これは何度も何度もお尋ねしているので、同じことの繰り返しになるかもしれませんけれども、そういう新しい考え方を踏まえて、こういう五病院体制になっていくことが--再度明確なお答えをいただけたらありがたいんですが、都立病院から公社化移行というもののメリットですね、メリットが出てこなきゃこれは意味がないわけですから。そういうことを踏まえて、決意をお聞かせいただきたいと思います。

○菅原医療政策部長 都立病院の公社移管は、地域医療機関に対する支援を通じまして地域医療の充実を図るため行うものでございます。
 移管病院につきましては、各病院ごとに都立病院として運営されてきた経緯、地域の医療機関や医療ニーズを踏まえ、それぞれの特性に応じた医療機能を設定してございます。また、医療スタッフにつきましては、都から医療スタッフを派遣し、順次固有化を図ることで医療の継続性、安定性を確保してまいります。
 今後、既存病院も含めまして、公社病院がそれぞれの地域で住民の期待にこたえる医療を提供するとともに、医療面におきましても、また経営面におきましてもスケールメリットを発揮していけるよう、都としても公社を強力に指導、支援してまいりたいと考えております。

○田代委員 確かに、しっかりしたお答えでありがたいんですが、その一つ一つの実現性が問題なわけですね。地域医療機関に対する支援を通じて地域医療の充実というのは、じゃ具体的にどういうふうにしていくのか、そして、それのメリット、デメリットは何であるのか、問題点はどうであるのか、その問題点の解決方法はどう考えていくのか、こういうことがきちっと説明されていかないと、なかなか公社化というものに対しての賛意が得られていかないわけです。
 それから、病院ごと、都立病院として運営されてきた経緯、あるいは地域の医療環境や医療ニーズを踏まえ、それぞれの特性に応じたという、その特性に応じた、どう応じているのか、具体的なことですね。地域的に今まであったことと、これから地域的に差異が出てくるところと、さらに出てくるところと出てこないところが、東京都はどんどんどんどん変わってくるわけです。これは当然住民の異動によって変わってくるわけです。
 それから、医療スタッフも、派遣して固定化していくことが大切じゃなくて、量に偏っていくのか、質に偏っていくのか。量に偏っていくとすればどうすればいいのか、質に偏っていくとすればどうすればいいのか。特にことしから始まった研修医制度というものは、将来、今まで一番医療の中核の、それがいい意味でも原点であり、非常に問題もたくさん含んでいた医局制度というものが完全に消えていくわけですから、そうすると、看護師さんたちのレベルアップを図っていかないと、ただただ医者に頼っていけばいいということでは、もう時代が違うわけですね。
 そして、医療費が高騰するというのは、都民から見ると、内容がよくて納得できて、医者のいうことも看護師さんたちの対応も満足がいくのであれば、多少の高騰は文句はいわないんです。ところが、費用対効果ですね、何となく、取られているお金と--病院で払うときに、例えばうちの病院でも、何で大学病院だからといってこんなに高いんだろうと思われては意味がないのであって、公社化された病院も、都民の皆さんがいらしたときに、このぐらいはもう仕方がないなとわかるような、そういうアカウンタビリティーもなくちゃならない。
 こういうものの内容を一つ一つ、文言でこういうふうにします、ああいうふうにしますということは非常に簡単なことなんですが、私の勤めている大学病院もそうですけれども、いつも将来検討委員会になるとこういう言葉ばかりなんです。具体的にはどうする、婦長さんの言葉遣いをどうする、看護師さんの言葉遣いをどうするというと、そこではみんな出てこなくなるんです。やはり具体例というのが非常に必要なので、そういうことをきちっと、公社化するとこういうふうにメリットがありますよということを指し示していただいて、なるほど、東京都が考えている医療というものは、いわゆる医療の質を高めてサービス向上、費用対効果がしっかりしている、都立病院に行ってよかった、あるいは、都立病院をみんながまねしていこう、あるいは公社化病院をまねしていこうという形の原点になるような取り組みをしていただくことを強く要望して、質疑を終わります。

○東村委員 多摩老人医療センターの公社化は、今年四月の大久保病院に続く都立病院公社化の第二弾になります。そこで、この際、大久保病院の移管後の状況について何点かお尋ねし、それから、今回報告のあった多摩老人医療センターについて触れたいと思います。
 まず、大久保病院は地域病院として再スタートを切ったわけですが、地域病院の役割とは、かかりつけ医との連携を通じて、患者さんに継続性のある一貫した医療を提供していくことにあると私は理解しております。この連携は、患者さんの理解を得ながら、紹介、そして逆紹介を通じて、かかりつけ医との間に信頼関係を構築して初めて可能となるものであり、登録医制度を導入したからといって一朝一夕にできるものではありません。地域病院としての取り組みの成果があらわれるのはまだまだ先のことだと思います。移管という一大転機があったわけですから、移管当初は問題が幾つか生じることも当然考えられることと思います。
 ところで、大久保病院については、移管前に、診療費が高くなるとか、また、移管後は、部医長クラスの医師の退職が相次いでいる、信頼する医師がいなくなったのだから患者も減るのが当然だというような話が幾つか出ております。そうした話が事実なら何らかの対策を講じる必要があるだろうし、また既に講じているものと私は思っております。
 そこで、まず、医師の退職が相次いだという点について、公社移管後の医師の退職者数と補充の状況についてお答えいただきたいと思います。

○菅原医療政策部長 ご指摘の点は内科医師のことと思われます。ことし四月から八月までの退職医師はいずれも内科医で、八月末現在で部医長三名が退職しております。退職理由は、二名が開業によるもの、一名が派遣元大学の異動によるものでございます。
 ちなみに、病院におきましては、年間を通じて退職及び採用が行われておりますが、退職補充につきましては、九月に都立病院から派遣で一名、それから公社で一名採用しております。残り一名につきましても、公社で十二月に採用予定となっております。

○東村委員 内科というのは、病院の中で最も多くの患者を診察する基本となる診療科だと思います。この欠員がここ数カ月の患者減に結びついているのではと受けとめました。また、今の話では、開業が二人もいたということですが、恐らく部医長クラスの年齢層は、勤務医を続けるか、開業するかの決断が迫られる時期なのではという感じもいたしました。幸い、十二月に向けて欠員補充のめどもついているようですが、公社としては、新たに勤務する方も含め、医師の定着に向けた努力を今後行っていただきたいと思います。
 ちなみに、年度当初、医師の定数を削減したそうですが、それが病床利用率の低下につながったとは考えられないでしょうか。

○菅原医療政策部長 定数削減につきましては、地域の医師会の皆様方の意見も十分に踏まえまして、東洋医学科あるいは歯科など外来中心の診療科につきまして非常勤医師の活用に切りかえたものでございます。病床利用率の低下への影響は少ないものと考えております。

○東村委員 確かに、病床利用率は、わずかとはいえ回復傾向にあり、また、内科医の補充についてもめどが立っているとのことですから、今後の展望が見えてきたのではないかと思います。私は、この間に、並行して、登録医の開拓を初めとした地域病院としての機能を充実させることが重要であると考えます。
 そこで伺います。大久保病院では、地域医療の充実に向けてどのような取り組みを行っているのでしょうか。これについてお伺いしたいと思います。

○菅原医療政策部長 移管後、大久保病院では、医師会ごとに医療連携の説明会をほぼ毎月開催して、登録医の確保に努めております。そのほか、五月一日付で介護型病院の承認を得まして、共同診療を開始しております。また、オフィス街という地域特性を踏まえまして、七月に女性専用外来を開設したほか、在宅療養患者の検査入院の実施、急性期を脱した患者の在宅復帰支援を行う亜急性期病床の整備等、地域病院として地域医療支援機能の拡充に取り組んでまいっております。

○東村委員 地域医療の充実に向けた、今おっしゃったような取り組みが、ひいては病床利用率の向上にもつながる、このように思います。
 移管前には、公社化すると特別室料や紹介状のない患者さんの初診料が値上げされるとか、特別室がふえるとか、紹介状のない患者さんは診てもらえなくなるとか、こういった話が一部にはありました。結局これらは現在どうなっているんでしょうか。

○菅原医療政策部長 医療の継続性を考慮いたしまして、特別室料、紹介状のない患者さんの初診料などの料金、また特別室などについては、都立のときと何ら変更してございません。また、都立のときと同様、原則として紹介制ではございますが、これまでの経緯も踏まえ、紹介状のない患者さんについても、総合外来を設置して対応してまいっております。

○東村委員 公社に移管しても、医療の継続性を考慮し、料金や紹介状のない患者さんの取り扱いなど、従来どおりとしているわけです。事実と異なる風評によって幾ばくかの人々がいまだに誤解をしているのではないか、このことを懸念するものであります。病院としては、地域病院としての機能を充実させていくのと同時に、今おっしゃったような正しい情報を提供していく努力を続ける必要があるのではないでしょうか。いずれにせよ、公社病院に移管して成果が出てくるのは非常に時間を要することだと思います。引き続き取り組みをお願いして、多摩老人医療センターに質問を移したいと思います。
 今回の報告事項ですが、基本的には現行の医療機能を継承しながらも、小児科の設置や救急医療の強化と、医療機能の充実が顕著にあらわれている内容となっています。これは一般的に考えられている公社病院のイメージとは一線を画すものではないでしょうか。
 そこで、まず伺いたいと思います。多摩老人医療センターの移管後の医療機能の設定における基本的考え方はどのようなものでしょうか。

○長谷川参事 多摩老人医療センターの公社移管に当たっては、現在、高齢者専門病院として運営している病院であること、地域に急性期病院が少ないこと、診療対象の拡大を図ることなど、既存の公社病院とは条件が異なっております。このため、これまで培ってきた高齢者医療のノウハウや医療資源を生かすと同時に、地域の中核病院として、地域で求められる現時点の医療ニーズを十分把握し、これにこたえ得る医療機能を設定することを基本的な考えとしております。

○東村委員 移管病院と既存の公社病院とは設立経緯も医療環境も異なる中で、画一的な医療機能の設定の仕方をしているのではなくて、地域の医療ニーズを十分に把握した上で医療機能を設定した、その結果として今回の報告書なんだと私は思っております。
 次に、本日、資料として、多摩北部地域病院(仮称)運営協議会準備会において実施された地域医療機関へのアンケートの調査結果を見せていただきました。この中で要望が高かったのは、脳血管疾患、がん、それから循環器となっていますが、心臓疾患に対する医療で、いわゆる三大疾病に対する要望がほぼ同率となっております。
 高齢社会の本格到来を迎えて、この三大疾病は今後ますます増加が予想されております。開業医では対応できない重篤な患者に対して、二次医療機関として高度専門的医療を提供するのが地域病院の役割ですから、これらの地域の要望には的確に対応していく必要があります。このような状況の中で、重点医療をがん医療とした理由はどこにあったんでしょうか。

○長谷川参事 がん医療につきましては、地域からの要望が高いことに加え、多摩老人医療センターにおいて入院患者に占めるがん患者の割合が高いこと、及び伸び率が最も高く、今後もこの傾向が続くと予想されることにございます。また、がん医療に対応できる医療スタッフや医療機器、検査機器等が配置されているなどを総合的に勘案しまして、重点医療と設定したものでございます。

○東村委員 確かに、地域ニーズと現行の医療資源の活用の視点から、がん医療を重点医療としたことは、それはそれで理解できるんですが、では、残りの二つの脳血管疾患及び心臓疾患、これらも重点医療に設定してもよいのではないか、このように考えるんですが、いかがでしょうか。

○長谷川参事 脳血管疾患及び心臓疾患においては、いずれも迅速な救急対応が必要とされることから、もう一つの重点医療でございます救急医療の中で位置づけまして対応を強化していくこととしております。具体的には、心臓疾患につきましては、治療方法の範囲の拡大を図り、バルーンパンピングやステント留置等の冠動脈形成術の導入を図るなど、またもう一つの脳血管疾患につきましては、専門医の確保に努め、二十四時間体制でのMRI、CTの稼働、リハビリテーションの充実を図っていくことにしております。

○東村委員 ただいま話がありました脳血管疾患、心臓疾患についても、救急医療の中で位置づけ、強化を図るということですので、ぜひとも前向きにお願いしたいと思います。
 次に、専門外来について伺います。
 報告書にもありますように、専門外来は、病名や病状がそのまま外来名となっていることから、患者さんにとってイメージしやすく、地域の医療機関からも紹介が行いやすい、こういった特徴があり、病院側としても特色を打ち出せる分野です。多摩老人医療センターは、これまで高齢者専門病院として、物忘れ外来やペインクリニック外来等、高齢者を対象としたさまざまな専門外来を実施してきました。移管後は一般病院となるのですから、当然そのニーズも変化してくるものと考えられます。
 そこで伺います。多摩老人医療センターでは今後、小児や成人を対象とした専門外来にも取り組むべきと考えますが、所見を伺います。

○長谷川参事 小児や成人一般にかかわる専門外来についてのお尋ねでございますが、例えば小児ぜんそく外来や小児肥満外来、成人におきましては不整脈外来などが考えられております。今後、実際に診療を行っていく中で医療需要を把握し、地域の意見を踏まえた上で新たな専門外来の設置について積極的に対応していきたいと考えております。

○東村委員 ただいま、新たな専門外来の設置についても積極的に対応していきたいというご答弁がありました。
 平成十三年からスタートした都立病院改革の主要なコンセプトの一つは、地域医療の充実、向上であります。この地域医療の充実、向上の実現のために、大久保病院を初めとする一連の都立病院の公社化が進められているわけですが、この公社化によるメリットが地域の住民の方々に見える形で還元されて、総体としての東京都の医療レベルが向上する、これこそが東京発医療改革の大きな目的の一つではないのでしょうか。私は、公社化するこれらの病院が、名実ともに地域病院として地域医療の充実、向上に寄与するよう、引き続き最大限の努力を行っていくことを強く希望して、質問を終えたいと思います。

○かち委員 私からも、多摩老人医療センターの公社化についてお聞きしたいと思います。
 今、両委員の方から質疑がありましたけれども、多摩老人医療センターが公社に移行することがどんなメリットがあるのか、大久保病院が公社に移管されてこんなによくなったということは私自身なかなか見えてこない、そういう状況のもとでお聞きしたいと思います。
 公社化を検討するに当たっては、本年四月から移管しました大久保病院の実態を分析せずには前に進めないと思うんですね。そこで、資料を出していただきました。大久保病院は四月から既に移管して半年がたちます。それぞれ経営状況を出していただきましたけれども、外来延べ患者数、減っています。計算して平均で出してみると、一カ月二千五百十二人マイナスです。紹介患者は少し上向きのようですけれども、病床利用率、これも一カ月マイナス十一人。そして、平均在院日数が約一日延びていますね。ですから、先ほど、八月になって少し上向きだとおっしゃいますけれども、この一日の在院日数の増というのも影響しているのではないかなというふうに思います。医業収益は七千二百万円の減収、こういう状況を見ますと、とても先行き展望が見えるという状況ではないように思うんです。
 そして、二枚目に職員定数状況を出していただきましたが、これも医師がマイナス二、医療技術がマイナス一、事務がマイナス一ということです。医師については、十二月ぐらいにやっと定員を満たすというような状況ですけれども、開院して半年以上も医師が欠員状態というのは、医療現場に非常に大きな影響をもたらしているんじゃないかというふうに思うんですね。
 こういう状況を半年間振り返って、局としてはどのように分析されているのか。これで多摩老人医療センターも公社に移って順風満帆うまくいくよ、そういう展望を持っていらっしゃるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。

○菅原医療政策部長 病院の基本となります診療科で最も多く患者を診察する内科に欠員がございました。また、新しい臨床研修医制度の影響もございまして、補充がおくれたこと、これらが患者数や医業収益などの経営状況が前年を下回った大きな要因であると考えております。
 内科医師につきましては、この九月に二名を採用したほか、十二月にも一名を補充する予定でございます。また、十月には事務を採用し、医療技術も今後採用予定となっているなど、体制を整備し、改善に努力しているところでございます。
 なお、大久保病院では、医師会を対象とした病院見学会や登録医説明会を開催しておりますが、紹介患者を確実かつ迅速に診てもらえるなど、地域医療機関からの評判もよく、地域の中核病院としての責務でございます医療連携は地域の医療機関に浸透しつつあるものと考えております。

○かち委員 研修医制度が始まったのが、医師確保に非常に厳しい状況があるというふうにいわれましたけれども、これはどこの病院でも同じような状況かなというふうにも思うんですね。先ほどの医師の欠員の理由というのが、三人のうち二人は開業だという実態からしても、この研修医制度がストレートに大久保病院に当てはまるとも思えない状況だと思うんです。そういう意味で、大久保病院の先行きというのはまだまだ大変不透明だというふうにいえると思うんです。
 移管後一年もしないうちから、次は多摩老人医療センター、そしてその次は荏原病院だというふうに計画が着々と進められようとしているんですけれども、一つ一つの病院の行く末が見えないまま、次から次へと計画だといって進めてしまうのが本当にいいのかどうか、公社自身がパンクしてしまうのではないか、そういう懸念さえ抱きます。
 多摩老人医療センターは、高齢者専門医療と福祉施設との連携医療ということで、区部の板橋老人医療センターに合わせて、多摩に一カ所として位置づけられた病院ですよね。ですから、所管局も、当時の福祉局ということであり、高齢者のための福祉目的性の高い医療センターの役割があったというふうに思うんです。だから、大久保病院の公社化、これは、今までの医療をそのまま地域医療に移行する、公社に移行するという中身とはやっぱり大きく内容が違うだろうと思いますし、今回はそればかりではなくて、一般医療化するという面もあります。そういう意味で、福祉局の範疇からかなり変わっていく要素があるわけですね。そういうことに対して、今までの多摩老人医療センターの果たしてきた位置づけ、役割と比較して、今度の公社化、地域病院化するということの大きな違いについて、局としてどのように考え、位置づけておられるのでしょうか。

○長谷川参事 多摩老人医療センターは、昭和六十一年の開設以来、高齢者の専門病院として、高齢者の生活の質に配慮した医療に取り組んできたわけでございますが、地域の高齢者医療の発展に大いに寄与したものと考えております。
 今後は、地域全体の医療サービスの一層の向上を図るため、高齢者医療の機能を継続しながら、新たに一般成人、小児も対象に加え、地域の医療機関、福祉施設等との連携を図りながら、地域病院として運営を図っていく所存でございます。

○かち委員 形は病院という形ですけれども、総合的な福祉施策、福祉施設の一部としての、トータルとしての高齢者総合福祉施策の中の病院施設ということですから、その内容も、その重みといいますか、福祉的な目的というものはやっぱり堅持すべきだというふうに思うんですね。それが公社化、地域病院ということで大きく変わってきてしまうというのは、やっぱり一つの問題があると思うんです。
 多摩老人医療センターは、老人研究所などとも連携をして、高度な高齢者の医療分野に大きな力を発揮してきたということは十分私もわかっておりますし、以前視察もさせていただきまして、最新のすぐれた検査機器だとか治療機械が入っているというのも見させていただきました。都民の財産を有効に活用する、これは当然のことであります。そして、地域に不足している医療要望にもこたえて、その医療要望に拡充していく、それも大変重要なことだと思います。ですから、二次救急や小児救急にもこたえる、これは大変結構なことなんです。しかし、だからといって、これを公社に移管しなくても、今までの目的からしたら、都がやればいいことではありませんか。これまで、高齢者専門の医療提供を行ってきたセンターが、今度は公社に移管して、小児から成人まで間口を広げる、一般病院化するということですよね。しかし、その枠組み、収容できる、診られる枠組みは変わらないわけですね。今までのように三百四十四名ですか、その患者さんしか診られない、こういうことになりますと、おのずと高齢者分野というのは縮小、狭められていく、こういう状況になるわけですね。(発言する者あり)質はもちろん高めなければなりません。
 こういうことで、非常に老人医療分野に幾つかのひずみが出ている。きょうは三つの点について確認したいというふうに思います。
 一つは、患者負担の増大という問題が出てくると思うんです。先ほど、公社化して患者の負担なんかふえてないんだというお話がありましたけれども、センターは公社化して、地域医療支援病院を目指すというふうに書いてありますよね。すぐにはしないけれども、いずれ地域支援病院ということになるわけですね。そうなりますと、今の患者負担とどういうふうに変わっていくかということなんです。
 資料を出していただきまして、四ページのところにありますけれども、今の多摩老人医療センターの患者負担はこのようになっています。そうしたら、現在公社が運営している他の地域医療支援病院では実際にはどうなっているのか、そのところを教えてください。

○菅原医療政策部長 現在、都内唯一の地域医療支援病院でございます東部地域病院及び多摩南部地域病院におきましては、紹介状を持参せず診療を行った場合に負担いただく非紹介患者初診加算料、これは四千二百円でございます。また、紹介状を持参した患者にご負担いただく紹介患者加算、これは老人保健法の対象で一割負担ということになっておりますけれども、多摩老人医療センターは、現在二百五十円に対しまして、四百円でございます。診断書、証明書交付手数料は、ほぼ同額でございます。
 また、東部及び多摩南部地域病院では、特別の療養環境を提供するいわゆる差額ベッドといたしまして、部屋の広さや備品等に応じまして、二千円から一万四千円の間で設定してございます。また、駐車場料金につきましても、外来患者は一回二百円、入院患者は一日六百円となっております。

○かち委員 今教えていただきましたけれども、やっぱり負担がふえるじゃありませんか。非紹介患者の場合は、千三百円が四千二百円に、紹介患者加算も二百五十円が四百円に、今は個室料を取っていないわけですけれども、それが二千円から一万四千円、駐車料が二百円とか六百円とか、結局かかってくるわけですよね。これが大きな違いということです。一人一人の患者さんについて見れば大変な負担になるわけですよ。紹介を原則とするために、紹介状がなければ四千二百円ということになるわけですよね。
 もう一つは、これまでの高齢者医療の領域が狭められるということですね。多摩老人医療センターは、都のリハビリテーション協議会認定の地域リハビリテーション支援センター、これが昨年から指定されるようになりまして、このセンターは第一号の指定病院でもあります。これが公社化されたときに、リハビリについてはどのように継続されていくのか、これまでのリハビリレベルや普及啓発など継承できるのかどうか、この辺が懸念されるわけですけれども、いかがでしょうか。

○菅原医療政策部長 地域リハビリテーション支援センターは、地域におけますリハビリテーションの拠点病院といたしまして、医師、理学療法士、作業療法士等、あるいはソーシャルワーカーが配置されております。また、地域の医療機関、福祉施設等のリハビリテーションを支援する体制を有し、地域との連携協力関係を有していることを指定基準としております。こうした基準に基づきまして、多摩老人医療センターにつきましては、平成十五年三月に支援センターとして指定されたものでございます。
 今回、多摩老人医療センターが公社化され、地域医療を支援する病院として再発足するわけでございますが、地域リハビリテーション支援センターの設置趣旨と合致するため、今後とも現体制を継続してまいります。

○かち委員 ぜひ継続すべきだというふうに思うんですけれども、医師も今、常勤で五人、それから専門職もそれぞれ常勤で配置しているわけですよね。ところが、実際には小児から成人まで大変一般の窓口が広くなって、老人、高齢者特有の脳血管障害とかそういうものに対しての分野が狭くなると思うんです。そういう中でこれだけの重装備体制を維持できるのかどうかということが、私は大変懸念されます。
 といいますのは、大久保病院では、公社に移管されるときに、透析患者さんがいました。大久保病院は透析医療も重点医療として掲げていたんですよ。患者さんからも、透析をやっていらっしゃる方からも、この領域はぜひ継続してほしいという強い要望もありました。何度かやりとりした中で、公社としても、それは継続をしますという答えであったわけですね。ところが、ふたをあけてみたら、透析という標榜もなくなってしまいました。結局、透析は内科に吸収されたんです。スタッフ体制も、看護師は定員が減員になっています。こういうことを見れば、明らかにこれはもう縮小していく傾向にあるということだと思うんですね。
 そういうふうにして、はっきりいって、リハビリテーション支援センターを維持していくというのは大変な経費も要ることになるわけです。公社という地域医療支援病院が本当にここを維持していける力量を持てるかどうかというのも、大変私は懸念されるところなんですね。そういうように、やるよ、やるよといっても、実際ふたをあけてみたら違ってしまった。これでは本当に利用者をだますことにもなると思うんですね。その辺は本当にしっかりと維持するということを確認したいと思うんですけれども、公社に移っても大丈夫でしょうか。

○菅原医療政策部長 ただいまの大久保病院の腎透析の件でございますが、大久保病院におきましては、内科と腎内科がございました。これを統合いたしまして、現在内科を標榜しているわけでございます。腎透析につきましても、従来どおり万全の体制で行っているというふうに自信を持っていえるものと思います。
 また、先ほどのリハビリテーション支援センターの取り扱いでございますけれども、これは多摩老人医療センターが公社化されて、地域支援病院として目指すという中で、その趣旨と合致するセンターとして地域リハビリテーション支援センターを今後とも現行体制で継続してまいりたいと考えております。

○かち委員 なぜ内科と腎内科が一緒になってしまったのかといえば、腎内科の先生がいなくなってしまったということなんですよね。そういう意味では、やります、やりますと今お答えいただいても、実際、本当に維持できるかどうかというのは大変大きな疑問があります。
 先ほど、紹介してもらえばいいじゃないかというお話もありましたけれども、公社化ということになって、今度は、施設の中に養護老人ホームという施設があるんですけれども、そこに新たに診療所、これは医務室というのだそうですけれども、医務室をつくらなければならないという話があるんですね。なぜそういうふうになるのか、そしてその医師体制というのはどうなるのか、その辺をお聞きします。

○長谷川参事 多摩老人医療センターは、従来、施設の附属病院として発足した経緯がございまして、一体となって運営をしてきた経緯がございます。今後、公社に移管されることになりますと、センターは入院加療の二次医療中心、施設は健康管理、一次医療を行うことになります。そのために、今までは一体となっていたわけでございますが、老人ホームの中に健康管理や一次医療についての施設利用者の利便も考慮した診療所を設ける必要が出てきたわけでございます。これは、厚生省令により、医師、看護師の配置が義務づけられている結果でございます。

○かち委員 今、医師体制はどうされるんですかというお答えがなかったようですけれども、お答え、ありますか。

○長谷川参事 医師等におきましては、診療所を設けることになっておりまして、現在、診療所の運営方法の中で、予算あるいは来年度の予算、人員等を絡めて検討しているところでございます。

○かち委員 利用者の利便性も含めて診療所をつくることにしたとか、公社に移る、で、公社は二次医療、二次救急をやるんだから、一次救急は診療所で診ろという話なんですけれども、今までは利用者の方は、その施設、その敷地の中に病院があったわけだから、すぐかかれたわけですね、その病院に。ところが、今度は直接行くことはできない。医務室の先生に診てもらわなければならない。しかもこの先生は、基準では二十四時間体制ということではないようですね。八時間でも半日でもいいみたいな状況です。そこに全部の科の先生がいるわけでもありません。そうなりますと、内科とか耳鼻科とか眼科とか、それぞれ毎日日がわりで来るかわかりませんけれども、自分がたまたま急に耳が聞こえなくなった、突発性難聴みたいになっちゃった、すぐセンターの方へ行きたいと思っても、行くわけにいかない。診療所の先生は内科だから、診てもらうこともできない。わざわざ外の耳鼻科へ行って診てもらう。そうしたら、あなたは、ちょっとこれは大変だから、入院して治療計画をつくってもらった方がいいですよといわれて、紹介状を書いてもらってセンターにかかる。紹介状加算も取られるわけですよ。今度は入院して、もう退院して、急性期を過ぎたから後は地域の耳鼻科にかかりなさいと、またここで逆紹介で紹介加算が取られる。これは全然利便性がないですよね。こういう状況がかかってくるわけですね。
 もともと千人近くの福祉施設の利用者の方々の附属病院として生まれたこのセンター病院の、その福祉的な要素というのは全く阻害されてしまう、そういう問題が出てくるわけです。もちろん、病院をもっと有効活用しようということでは、さっきからいっているように、それは必要なんです。だからといって、今の第一の目的である、利用者に対するさまざまな負担や不便をかけていいということではないと思うんですよ。その辺をぜひ検討し直していただきたい。そして何よりも、今の公社に移った大久保病院の先の展望が見えない中で、とにかく計画だからといって淡々とこのまま進めてしまうようなことは絶対にやめていただきたい、そのことを申し上げまして、終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。

○藤井委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 二件の報告事項であります、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備について、並びに都立豊島病院の板橋区移管に関する基本的方向についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○奥田経営企画部長 去る九月十六日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の厚生委員会要求資料をごらん願います。
 資料は、過日ご報告させていただきました、多摩広域基幹病院(府中病院)及び小児総合医療センターの整備について、都立豊島病院の板橋区移管に関する基本的方向についての二件の報告事項について、ご要求のありましたものを一冊にまとめさせていただいたものでございます。
 目次にございますように、資料は九項目でございます。資料1から6までと9につきましては、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備に関するもの、資料7と8は、都立豊島病院の板橋区移管に関する基本的方向に関する資料でございます。
 一ページをお開き願います。1、小児総合医療センターにおける家族宿泊施設及び小児医療情報センターの概要でございます。
 家族宿泊施設と小児医療情報センターについて、それぞれの概要を記載したものでございます。
 次に、二ページをお開き願います。2、小児総合医療センター整備における充実、強化の内容でございます。
 平成十五年一月に策定いたしました都立病院改革実行プログラムと、九月十六日の本委員会においてご報告させていただきました多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備についてを対比し、充実、強化内容を記載したものでございます。
 続きまして、三ページをごらん願います。3、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備に関し、自治体、各種団体から寄せられた主な意見と要望でございます。
 市長会及び各種団体からいただいた主な意見、要望の内容を取りまとめ、記載したものでございます。
 なお、注にお示ししましたとおり、平成十五年一月に都立病院改革実行プログラムを公表した以降に寄せられたものでございます。
 次に、四ページをお開き願います。4、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備等事業におけるPFI導入の検討経過状況でございます。
 平成十四年度から十六年度までのPFI導入の検討事項とその内容について記載してございます。
 続きまして、五ページをごらん願います。5、清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院の概要でございます。
 三病院の所在地、特色、職員定数、診療科目、予算定床、患者実績をそれぞれ記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。6、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備に係るPFI事業の手続とスケジュールでございます。
 平成十四年度から平成十八年度以降に至るPFI事業の手続と内容を記載してございます。
 続きまして、七ページをごらん願います。7、豊島病院の企業債残高及び償還計画でございます。
 発行総額、平成十五年度末の償還累計額、未償還残高と、平成十六年度から平成四十一年度までの償還計画を記載してございます。
 次に、八ページをお開き願います。8、豊島病院における一般会計繰入金の内訳(平成十四年度決算)でございます。平成十四年度決算における豊島病院の一般会計繰入金の区分と金額を記載してございます。
 続きまして、九ページをごらん願います。9、小児総合医療センター建設予定地等の概要でございます。
 (1)で多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター建設予定地の概要図を、(2)で平成十六年度から平成十九年度までの送電線移設に関するスケジュールを記載してございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料についての説明を終わらせていただきます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 初めに、小児総合医療センターの整備について伺います。この問題は、まさに都立病院改革の重要課題でもあり、都民へのさらなる医療サービスの向上を目指してもらいたいという趣旨において質問させていただきたいと思います。
 平成十五年三月に、病院経営本部と当時の健康局において、多摩地域における小児医療体制検討会が設置されました。その検討会では、多摩地域の小児医療の課題についての基本的な考え方と、小児総合医療センターの整備を含めた今後の取り組むべき具体的施策のあり方がまとめられたところです。今回報告を受けた多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備に関する計画についても、この検討結果を盛り込んでまとめられたものというふうに受けとめております。
 この計画では、限られた小児の医療資源を最大限に有効活用し、心から体に至る、総合的で高度、なおかつ専門的な医療を提供する病院として、小児総合医療センターを平成二十一年度に開設するということになっております。少子化対策あるいは子育て支援は都政における重要課題と私自身も認識をいたしております。小児医療を取り巻く状況が厳しい中、東京都における小児医療の拠点として小児総合医療センターを整備することは、大変意義のあるものと評価しておりますが、これに関連をいたしまして何点か質問をしていきたいと思います。
 まず、平成十五年に示された都立病院改革実行プログラムでは、小児総合医療センターの開設予定は平成十九年とされておりました。そこでお伺いしたいんですが、今回、開設時期を二年変更して平成二十一年度とした理由はどこにあるのか、いろいろと今資料も出ておりますが、確認する意味からも質問させていただきます。

○奥田経営企画部長 ただいまご指摘がありましたとおり、今回の計画には、多摩地域における小児医療体制検討会における検討結果も十分反映させて、当初の構想を上回る機能の充実強化を行い、施設規模の拡大を図ることといたしました。具体的には、小児の救命救急に対応する小児ICUなどや、救急車などの緊急搬入路の複数整備、それから救急・災害用ヘリポートの整備、さらに障害を持つ患者さんの在宅療養を支援するための体制整備、また小児科医等の人材の育成の取り組みや、患者さん、家族を支えるサービス機能の強化策としての小児医療情報センターの整備などでございます。
 こうした施設の拡充整備の支障となるキャンパス内の超高圧送電線の移設が不可避となりますが、これにつきましては、平成十九年度当初には移設を完了し、これに合わせて小児総合医療センターの開設時期を平成二十一年度末としたものでございます。

○鈴木委員 小児救急や障害を持つ患者への対応など、今後都内においても一層充実を図るべき分野において小児総合医療センターの機能を充実強化していく、そして対応していく、そのために開設時期を変更したというふうに確認させていただきました。
 そこで、答弁をいただいた小児総合医療センターの機能の充実強化策の中から何点か伺います。
 まず、小児ICUによる救急対応ということですが、具体的にはどのような機能が充実されることになったのか、伺います。

○奥田経営企画部長 具体的には、生命危機を伴います三次救急患者の受け入れが可能な救命救急用小児ICUとその関連施設を整備いたしまして、他の医療機関では対応が困難な患者の受け入れを積極的に行う中で、小児救急医療の基幹施設としていく構想でございます。救命救急用の小児ICUの整備は、都といたしましても我が国といたしましても初の取り組みということになろうと考えております。

○鈴木委員 まさに都として、なおかつ我が国初めての取り組みだということを今伺いましたが、しっかりと整備していただきたいというふうに思っております。
 次に、障害を持つ在宅患者等に対する専門医療を提供していくということですが、これについても、具体的にはどのような取り組みを考えているのか、伺います。

○奥田経営企画部長 神経障害などの障害を持って、在宅で人工呼吸管理等が必要な患者さんに対しまして、専門医療を提供する立場からきめ細かく的確に対応していく必要がございます。このため、具体的には、容態急変時などに迅速に対応するための小児ドクターカーの整備であるとか、症状安定後、在宅療養へ早期に移行していくことを実現するために、親御さんと子どもさんがともに行えるような機能訓練、あるいは在宅療養のための訓練施設の整備、さらに在宅患者さんを支援する地域の小児医療機関や療育機関との連携体制の構築などの取り組みを考えているところでございます。

○鈴木委員 今伺ったような機能の充実強化は、将来の小児医療の発展を視野に入れ、小児医療をリードする東京における小児医療の拠点を構築する上でも非常に重要であり、ぜひ実現をしていただきたい、このように考えております。
 一方、小児総合医療センターの母体となる清瀬小児病院、八王子小児病院、それから梅ケ丘病院など、築三、四十年たっていると思うんですが、いずれも老築化が進んでいるわけなんです。このため、小児総合医療センターへの移設、統合までの間、現行の小児病院での診察機能が十分維持できるように、必要な改修や機器の整備など、こういうことを行うなどの配慮をするというんですか、必要であると考えますが、いかがでしょうか。

○奥田経営企画部長 ご指摘のとおり、整備スケジュールの変更に伴いまして、現行の小児病院における診療機能を維持、確保することが非常に大切な課題であるというふうに認識をしてございます。このため、建物の維持補修はもちろんのこと、医療機器の更新等も必要に応じて実施をいたしまして、移転時まで現行施設における診療機能をしっかりと維持して、患者さんへのサービスの提供に支障を来さないように適切に対応していく所存でございます。

○鈴木委員 小児総合医療センターの開設までは、これから五年間ぐらいという時間をまだ要するわけですが、ただいま答弁にもありましたとおり、それまでの間の現行の小児病院における円滑な診療の提供にも十分配慮することを強く要望したいと思います。
 ところで、小児総合医療センターの整備については、PFI手法の導入を目指して今手続を進めているわけなんですが、PFIの導入は都立病院では初めての取り組みということになるわけですが、このPFIについて何点か伺いたいと思います。
 まず、PFI導入に向けたこれまでの経過について伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 これまでの検討経過でございますが、平成十四年度にPFIの導入可能性調査を実施したところ、長期包括契約によって、現行のサービス水準を維持向上させながら、施設整備も含めた全体で費用効果の改善、いわゆるバリュー・フォー・マネーの達成が見込まれるという結果が得られました。このため、平成十五年度からは、PFI導入検討に関するアドバイザー契約というものを締結いたしまして、整備、運営手法等に関して専門的な分析であるとか調査、情報提供を行わせているところでございます。
 現在、PFI導入の基本的方針となる実施方針でありますとか、あるいは病院の整備、運営に関して求めるサービス水準を示します要求水準の作成など、このアドバイザーを活用しながら作業を進めているところでございます。

○鈴木委員 費用対効果の改善、バリュー・フォー・マネーの達成ということをしっかりやってもらいたいと思います。
 多摩広域基幹病院と小児総合医療センターを合わせると、病床数は千三百五十ですか、千三百床を超える大変な規模となるわけです。これは病院という専門的な機能を持つ分野のPFI事業としても非常に大規模な事業ですね。これだけ大規模な病院のPFI事業は、日本国内に例があるのか、その辺をお伺いしたいと思います。

○奥田経営企画部長 先行事例といたしましては、高知県の一部事務組合が整備中の高知医療センターの整備、これは大体六百数十床程度の病院でございます。また、滋賀県の、市が整備中の近江八幡市民病院、約四百床の病院、それから大阪府の八尾市が開設いたしました八尾市立病院三百八十床というものがございますが、二つの病院を合わせまして千三百床を超える、施設整備から業務運営に至る大規模なPFI導入は、我が国初のものであるというふうに認識しております。

○鈴木委員 今回の病院PFIは、我が国に例を見ない大規模なものだということがわかりました。こうした大事業だからこそ、民間の創意工夫を積極的に活用することで効率的かつ効果的な整備、運営を可能とするPFI手法を導入して、そのメリットを享受すべきだと考えております。
 さて、この二つの病院は、医療機能の面はもとより、施設としても、多摩地域における象徴的なものになるというふうに考えております。これだけ大規模な施設の整備では、設計、施工、完成に至るまでの監理をしていくこと、これ自体が非常に大変な作業だと思いますが、さらにPFIという新しい手法で事業を進めて、都立病院としてふさわしい、安心して療養することができる施設の整備を行わなければならないわけです。
 そこでお伺いしますが、PFI手法の導入に当たっては、これまで以上に高い水準の都立病院となることをどのように実現しようと考えているのか、その辺についても伺っておきたいと思います。

○奥田経営企画部長 PFI手法による病院整備の手順に準じた形でご説明をさせていただきますと、まず、医療機能の提供に必要な施設の質を要求水準という形で都があらかじめ提示をいたします。応募事業者は、その要求水準を満たして、さらに創意工夫を重ねまして、都立病院としてふさわしい施設案を提出してくるという段取りになります。都は、そうした多くの提案の中から、機能面においてもコスト面においても最も効率的な施設整備の提案を採用するということになります。したがいまして、PFI手法では、都が要求する高い水準の病院整備が実現されることはもとより、民間の自由度の高い創意工夫が加わることによって、よりすぐれた施設の整備が図られるものと考えております。

○鈴木委員 今の答弁でわかりますように、PFI手法の導入により、民間の創意工夫を生かすことによって高い水準の施設整備を実現できる、そのように確認をさせてもらいました。
 ところで、これだけ大規模なPFI事業ともなると、ややもすればというんですか、ともすれば中小企業の参入機会が減ってしまうんじゃないかと懸念をするところです。そこで伺いたいんですが、今回の病院の整備、運営に関するPFIの実施に当たっては、地元業者の活用や、地域から従業員を積極的に雇用する、こういうような視点も入れるべきだと考えますが、その点はいかがでしょうか。

○奥田経営企画部長 PFIにおきましては、この事業のために設置されます特別目的会社というものが事業の契約担当者となります。運営に関する個々の業務につきましては、その特別目的会社が、各協力企業との間で個別に委託契約を締結してサービスを提供するという形になろうかと思います。警備、清掃、食器洗浄など、朝早くから深夜にわたる対応や、緊急時に迅速な対応が求められる業務等につきましては、地元業者の活用や地域からの積極的な雇用といった手段によって初めて都が示す要求水準を事業者が達成できることになるものと考えられます。

○鈴木委員 今答弁いただいたように、今回の新病院の整備、運営に当たっては、地元の企業の力を活用していくことが必要だ、こういうふうに考えます。
 この事業は、地域における雇用をつくり出して、地域経済の振興にも大変貢献できる大きな機会であると思います。そこで、今後PFIを進めていく上で、東京における新たな取り組みとして、地域経済の振興にも配慮していってはどうか、この点伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 ご提案の趣旨を踏まえまして、今後公表を予定しておりますPFI法に基づく実施方針におきまして、都における独自の項目として、地域経済振興の観点からの具体的な記載を盛り込みますとともに、さらなる工夫をしてまいります。

○鈴木委員 PFIによる小児総合医療センターの整備と運営が、都における小児医療の拠点としての整備のみならず、大企業が一手に事業を引き受けるというのではなくて、雇用機会の創出と地元企業の育成に寄与して、地域経済の振興にも貢献するものとなるよう十分に配慮いただくことを要望しておきたいと思います。
 地方公共団体の財政状況が厳しいこの時代に、民間の活力や創意工夫を取り入れて、施設の効率的な建設、運営などに寄与するPFIは、これからの公共施設整備を推進していく重要な手法の一つだと思います。今後さまざまな工夫を凝らしながら、我が国における公立病院整備の範となるような、東京方式のPFIとでもいうべき新たな手法を全国に発信してもらいたい、このように期待をしているところでございます。
 さて、次に、豊島病院の板橋区への移管について、二点ほど確認をしておきたいと思います。
 板橋区への移管については、引き続き区と協議していくことになっておりますが、豊島病院のような規模と重要な機能を持った病院の将来については、拙速な議論は避けてもらって、十分な検討をしてもらいたいと考えています。とかく、移管というと、移管方法など移管それ自体に目が奪われがちとなりますけれども、常に、何のために移管するのかということを念頭に置いて議論をすることを忘れてはならないと考えます。
 都立病院改革実行プログラムにおいて、豊島病院は地域医療の充実を図る病院として位置づけられております。そこで、豊島病院が地域に果たしてきた役割を踏まえて、板橋区に移管されることで地域医療にどのようなメリット、効果が期待されるのか、その点を伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 豊島病院でございますが、感染症や精神科救急などの行政的医療を提供する一方で、板橋区民が外来患者の六割を超える、あるいは紹介率も約六割程度に達するということで、実態としても地域医療に大きな役割を果たしてまいりました。
 区移管によりまして、区民の医療ニーズをより的確に病院運営に反映させることが可能になると同時に、地域の医療機関はもちろん、保健福祉関係機関との連携が強化されることによりまして、地域住民からは、地域の中で今まで以上に医療、保健、福祉が緊密に連携した一貫したサービスを受けられることになるなど、一層充実した健康の保持増進策が期待できるということになろうかと考えております。

○鈴木委員 確かに、区の保健福祉施策と医療との連携が深まることは、住民にとってもメリットが大きいというふうに考えます。この連携関係をより充実させていくためにも、地元の関係機関等の意見を聞きながら十分な検討をしてもらいたいと思います。
 もう一点確認しておきたいことは、今の答弁の中にもあった、豊島病院の行政的医療についてなんですが、豊島病院では、精神科救急医療、感染症医療、緩和ケアなど、民間では確保が困難な医療を提供しているわけです。これらの医療は、都民の安心・安全を守る上で大変重要な役割を果たしているわけです。そのため、区への移管に当たって、豊島病院が担ってきたこれらの行政的医療について、都としてどのように今後確保していくのかということを明確にして、都民の理解をしっかり得ることが必要であると考えています。
 区移管に当たって、豊島病院がこれまで提供してきた精神科救急医療などの行政的医療の確保について、都としてはどのように考えているのか、伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 区と都の協議会の中間のまとめでは、緩和ケア医療など地域としての医療ニーズがあるものについては、区立病院として確保する医療機能の中で対応を検討することとし、精神科救急医療、感染症医療などについては、行政的医療の重要性にかんがみ、区としても、都が担うべき役割を踏まえ、可能な協力をする方向で協議をしていくという方向で区との間で合意を見ているところでございます。
 また、板橋区が設置いたしました病院検討委員会の中間報告書では、感染症医療、緩和ケアに取り組むというような方向性が示されているところでございます。
 今後は、こうしたこれまでの協議内容や検討経過を踏まえながら、行政的医療の確保についてさらに区と検討を重ねてまいります。

○鈴木委員 区移管により、地域医療のより一層の充実が図られることは大切なことではありますが、同時に、都における行政的医療の提供についても万全を図り、都民が安心して暮らしていける医療体制をつくっていかなければならないと考えます。
 今後、移管に当たっては、このことを十分に踏まえて区との協議に臨むとともに、医療行政を主管する福祉保健局とも十分に調整をしながら取り組んでいただけるようお願いをしておきたいと思います。東京において初めての区立病院となるわけですから、地方自治の観点からもぜひしっかりやっていただきたいと思います。
 さて、これまでの質疑を通じて、小児総合医療センターを初めとする病院をどのように整備し、機能の充実を図っていくべきなのかが明確になった、こういうふうに思います。これらの病院の整備や移管を着実に進めていくことが、都立病院改革の目指す、都民に対する総体としての医療サービスの向上につながっていくことになると大変期待しているところです。
 そこで、ぜひこれらの事業にこれまで以上に積極的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、最後に、小児総合医療センターの整備と豊島病院の板橋区への移管に向けた押元病院経営本部長の強い決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

○押元病院経営本部長 現在、喫緊の課題となっております小児医療の充実、発展のために、その重要な拠点となります小児総合医療センターの整備に当たりましては、東京から小児医療の新しい形を全国に向けて発信できるように全力を尽くしてまいります。
 また、その施設整備、運営に当たりましては、ただいま鈴木理事から東京方式のPFIという貴重なご提案をちょうだいいたしましたので、地元の経済振興という視点も含めました新たなPFIの手法を生み出してまいりたいと存じます。
 さらに、豊島病院の板橋区への移管でございますが、地域医療の充実を図りますために、区移管によるメリットを最大限に発揮できますよう、今後区との協議を重ねますとともに、都といたしましても、行政的医療の確保に万全を図ってまいります。
 このように、今後医療サービスのより一層の向上を図りまして、都民の皆様の安心・安全を守るという目的を常に念頭に置きながら、都立病院改革を着実に推進してまいります。

○東村委員 私も、平成二十一年度開設予定の多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターのPFI事業における整備について伺います。質問が重複しないように、角度を変えて質問したいと思います。
 このPFI事業による公共サービスの提供が実現すると、それぞれのリスクの適切な分担により、事業全体のリスク管理が効率的に行われること。加えて、建設、維持管理及び運営の全部また一部が一体的に扱われることによって、事業期間全体を通じての事業コストの削減、ひいては全事業期間における財政負担の縮減ができると期待されております。また同時に、質の高い社会資本の整備及び公共サービスの提供を可能にするものでもあります。
 そこで、私は、適切なリスク分担という観点から、現在都立病院が担っている医療業務、これはぜひとも都が担わなければならない、このように考えますが、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターのPFI事業に際し、東京都と事業者の業務分担はどのようにするのか、都の見解を伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 ご指摘のとおり、医師による診療、看護業務、薬剤業務、放射線による画像撮影などのいわゆる診療行為そのものについては、従前どおり都が直接実施をいたしまして、都立病院が担うべき行政的医療を安定的かつ継続的に提供してまいります。一方で、診療行為以外の業務、具体的には清掃、警備などの建物維持管理業務、あるいは滅菌消毒、洗濯、物品管理、医事事務など、いわゆる医療の周辺業務につきましては、事業者に包括的に委託をいたしまして、民間の活力であるとか、あるいは創意工夫を活用していきたいというふうに考えております。

○東村委員 今、明確に、医療業務そのものは都が直接的にやっていく、それ以外の、いわゆる診療行為以外の業務、付随業務等々は、これをPFI手法によりしっかりと創意工夫を重ねていく、こういう話がありました。
 日本の場合、PFIの手法がまだまだ成熟しておりません。PFI事業というと、どうも今まで日本がやってきたPFI事業の大部分が、事業期間全体を通じての事業コストの削減、もっといえば建設コストの削減ばかりクローズアップされてきています。ただ、PFI事業において最も大事なことは、PFI事業により質の高い社会資本の整備及び公共サービスを提供することであります。つまり、先ほど部長も答弁されていました、バリュー・フォー・マネーとおっしゃっていました、支払いに対して最も価値の高いサービスを供給するということであります。
 そこで、都は、事業者の選定に当たって、サービスの質をどのように評価していこうとしているのか、これについて伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 病院の運営のように、毎日毎日安定的にサービスを提供することが求められる事業におきましては、PFI事業導入に当たりましても、いかに良質のサービスが確保できるかということが大変重要な課題になります。事業者の選定に当たりましては、コスト削減による効率性の確保はもとより、例えば快適性や利便性に配慮した設計であるとか建設、それから豊富な食事メニューなど、患者サービスの向上にも十分に配慮した提案に高い評価を与えまして、PFI事業者として採用していくことを考えているところでございます。

○東村委員 そこで、PFI事業の、先ほどもプロセスの説明がありましたけれども、このプロセスの中で、公共側の立場に立って専門的見地から意見を述べる、助言をするアドバイザーの役割は非常に重要であります。このアドバイザーの考え方がPFI事業における事業者の選定を大きく左右するといっても過言ではないと思います。
 現在、都では日本総合研究所とアドバイザリー契約を結んでいますが、事業者の選定に当たり、競争性や手続の透明性、さらに公正な情報提供、これらをどのように確保していこうとしているのか、これについて見解を伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 国の基本方針でも、民間事業者の募集及び選定に関しては、公平性原則にのっとり、競争性を担保しつつ手続の透明性を確保した上で実施するよう留意することというふうにされております。そこで、事業者の選定に当たりましては、PFI事業に精通した外部の有識者から成ります事業審査委員会で、前もって事業者の募集、契約書あるいは業務要求水準書、落札者の決定基準等に関する事項を検討して、これを公表いたしまして、事業提案にかかわる審査及び評価を行うとともに、応募事業者の当否にかかわる選定結果についても公表するなど、透明性や公平性あるいは客観性の確保に十二分に留意してまいります。

○東村委員 ただいまもご答弁ありました、一つは医療業務をきちっと都は直営でやるということ、それから、サービスの質をしっかり確保するために、単なるコスト削減だけ、効率性だけを求めるのではなくて、あくまでも患者さんを中心とした、患者へのサービスを提供する上でどこがいいのかをきちっと選ぶ。また、公平性、透明性、これらのためには、事業審査委員会を設け、終わった後も選定結果をきちっと公表すると。非常によく体制を整えられていると思いますし、よく考えられていると思います。
 先ほども、我が国最大の、我が国初のという話がありました。既に近江八幡市民病院とか、それから高知県と高知市の共同でやる高知病院のPFI事業が先行して進んでいますけれども、恐らく規模からすると全然府中のキャンパスのPFI事業には及ばないと思います。そういった意味で、日本のありとあらゆるところがこのPFI事業を注目しておりますし、これからの日本の中で病院がPFI事業で進むかどうかも、非常に厳しいいい方かもしれませんが、東京都のこの先例が大いに注目されるわけでございます。ぜひとも成功されることを私は祈っておりますし、皆様方も努力をされたいと思います。
 その上で、次に、今回の報告事項の多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備の今後の課題と対応という部分がございました。ここで、本当にありがたい話なんですが、八王子小児病院移転後の対応として、地域における小児医療の確保について主体的に取り組めるよう、都は必要な支援策を講じるなど、医療実態、地域特性等を踏まえた小児医療の提供体制を整備していく、こう記載されてあります。このことについて二点だけ伺いたいと思います。
 平成十四年八月以降八回にわたって、八王子市と東京都は、八王子地域の保健医療に関する検討会を持ってこられました。そして、いよいよ近々この検討会のまとめを取りまとめる、こういう予定だと聞いております。そこで、検討会で、八王子地域における小児医療施策の今後のあるべき方向について、それぞれ率直な意見交換を行ったと伺っていますが、市側、都側からどのような意見が出たのか、まずこれについて伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 八王子市からは、都立八王子小児病院が特にNICUやドクターカーによる新生児救急医療を初め三次医療に対応できる施設設備を保有しており、八王子地域における小児医療にとって欠かすことのできないものであるという主張がなされているところでございます。
 東京都からは、都立八王子小児病院の移転、統合に当たっては、地元の地域特性を十分踏まえた、多面的で有効な支援策を講じるなど、地域住民が安心して医療が受けられるような医療提供体制を確保した上で、当初の計画どおり小児総合医療センターを整備することにより、都における小児医療の充実を推進していくという意向を伝えているところでございます。

○東村委員 ただいまの答弁の中の八王子市の主張にもあるとおり、実態としても、一次と二次は、中核病院とか地域の診療所でかなりカバーされる体制ができてきました。八王子市も積極的に中核病院--東海大学病院と東京医科大学八王子医療センター、ここで二次までは、偶数日、奇数日に分けて、救急も三百六十五日二十四時間やっていただけるところまで来ました。そういう意味ではかなりカバーされていまして、結局一番大事なところは、統廃合されて一番穴があくのは、NICUや小児の心臓血管外科等の三次医療なんですね。
 都は、当初のスタンスとは随分異なってきていただきまして、多摩地域の絶対的な小児医療資源の不足と広大な地域性、これを認識して、私の本年第一回の定例会での質問に対して、東京都は、八王子市内を初めとする多摩地域における民間医療機関でのNICU整備に向けて、人的、財政的支援の具体策を検討するなど周産期医療の充実を図ると、ここまで答弁していただきました。
 そこで、都は、八王子市内を初めとする多摩地域における民間医療機関でのNICU整備に向けて、人的、財政的支援の具体策を検討し、周産期医療の充実を図っていく旨をさらに八王子市に対して積極的に示していくことが--先ほどの答弁で若干まだ食い違いがあると思うんですけれども、八王子市に対して積極的に示していくことが八王子市の扉を開くことになるのではないか、このように考えるんですが、いかがでしょうか。

○奥田経営企画部長 ご指摘のとおり、周産期医療の充実に向けました具体策を関係局と十分調整をとりながら今後検討してまいります。また、こうした姿勢を市に対して示すことで市の理解を得ていきたいというふうに考えております。

○東村委員 ぜひとも、今おっしゃったように、積極的に市に対して示していただきたいと思うんですね。そうすれば私は必ず扉は開く、それがひいては八王子地域の、また西多摩地域の住民の医療的なさまざまなケアができる体制が、特に小児の医療のケアができる体制が整うことになっていくんだと思います。大事なことは地域の住民でありまして、これは市でも都でもなくて、地域の住民のためにぜひともお願いしたいと思います。
 それで、先ほど財政的支援という話もありまして、この財政的支援も当然当たり前の話なんですけれども、何よりも重要なことは人的支援なんです。先日、八王子小児病院をやめられて、地元八王子市で開業されている小児科の先生方と懇談をさせていただきました。その際強くおっしゃっていたのは、NICUを整備した中で最も懸念されるのは、NICUを担当するドクターが少ないということだとおっしゃっていました。さらに今、東京都で一台だけ、八王子小児病院にドクターカーがあります。このドクターカーの中でカテーテルもできるし、すべて救命できる装置があるわけです、特に新生児で千グラム、千五百グラム未満で生まれた赤ちゃんに対して。この中でドクターカーに乗れる先生が、NICUができてもドクターカーに乗ることができる先生がいないということらしいんです。一人で完結しなきゃいけないから、相当な訓練と研修と実務を経ていなければならない。
 そういった意味で、平成二十一年度に小児総合医療センターが開設されるとともに八王子小児病院というのは統廃合されるわけなんですけれども、それまでの間にしっかりと八王子地域にNICUの設備を残さなきゃいけないんですけれども、ドクターの育成をぜひともこの五年の間で都立病院で行っていただきたい。これが本当の意味での人的支援になるということを最後に強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○初鹿委員 私からは、都立豊島病院の区への移管について何点かお伺いいたします。
 中間のまとめが報告されましたけれども、まだこれを読んでも、今後検討すべき課題というものが非常に多く残っているなというふうに思いますので、まず、移管後の病院の医療内容、また建物など資産の取り扱い、そして板橋区の病院経営能力に関して何点か質問いたします。
 まず最初に、区への移管ということですけれども、一連の都立病院改革の中で出てきたということで、都立病院改革のマスタープランをもう一度読み直してみたんですけれども、これは非常によくまとまっているなと思うんですね。まず、医療の機能によって病院を三種類に分類しておりますね。広域基幹病院、センター的機能病院、そして地域病院ということで分けております。その中の広域基幹病院、センター的機能病院は行政的医療を行うということで、都立の直営でやると。その一方で、地域病院に関しては、地域性が高く、近隣の地域の医療機関と連携をとるということが必要だということ、それで二次医療を行うということで、これについては、地域の医療機関との連携のノウハウのある公社に移管をするというふうになっておりますね。さらに豊島病院についていえば、老人医療センターと統合して民営化するというふうになっているわけですね。この計画が今回、板橋区へ移管という、つまり公立病院、行政の病院となるということに関して、どこかで方向転換なり考え方が変わっているのかなと思うんですけれども、板橋区への移管を検討することになったその経緯を確認したいと思いますが、お願いいたします。

○奥田経営企画部長 平成十五年十一月に板橋区から、地域医療の充実、保健、医療、福祉の連携の推進あるいは災害時等における拠点病院の確保などの面で、豊島病院の区移管が区民にとっても大きなメリットがあるという考えから移管の申し出がございました。都といたしましては、区市町村から都に対して、住民ニーズにこたえて地域医療を確保するとの観点から移管等の要望があった場合には、これを前向きに受けとめるという都立病院改革マスタープランの方針を踏まえまして、区の申し出にこたえて、本年三月に協議会を設置して、都と板橋区との間で協議を行っているというところでございます。

○初鹿委員 今、非常に重要な答弁だと思うんですが、区の側から移管の申し出があったということですね。都としては、民間でも地域の病院として十分な医療機能を提供できると考えていたところを、区の方は、自分たちの、区民にとってのメリットは区営でやることだと、そういう判断だと思うんです。
 ところで、まず現状を確認したいんですが、現在、豊島病院周辺の医療状況というのはどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

○奥田経営企画部長 板橋区内で比較的規模の大きな病院といたしましては、豊島病院のほかに、東京都老人医療センター、これが約七百床程度、それから帝京大学の医学部附属病院、これは大きくて千二百床になんなんとする病院でございます。そのほか、日大の医学部附属病院、千百床程度、このほか、さらに民間病院が一病院、これが五百床強というところでございますが、ございます。ただ、このうち老人医療センターは高齢者の専門病院、二つの大学病院は高度で専門的な、先駆的な医療を提供いたします特定機能病院ということでございまして、それぞれ特別な役割を持った病院というふうになってございます。

○初鹿委員 今のお話ですと、板橋区は非常に大きな病院がたくさんあると。今聞いた答弁ですと、三千五百床ぐらい、今の病院だけであるわけですね。ただ、それぞれ特定な、特別な役割を持っている病院ということで、やはり区の側からすると、そうはいってもまだまだ欠けている地域医療というものがあるのではないかという判断で区への移管ということになっていったんだと思うんですが、それならば、区立病院で具体的にどのような医療機能を確保するかということが非常に重要だと思うんですね。この医療機能を、どのようなものを確保していくかということについて、どういう考えでいるのか、お伺いいたします。

○奥田経営企画部長 板橋区は、ことしの六月に地域の医師会代表であるとか有識者などから成ります病院検討委員会という委員会を設置いたしまして、区移管後の病院の基本方針であるとか医療機能等について検討を行ってございます。九月にまとめられました病院検討委員会の中間報告によりますと、重点医療といたしましては、区民ニーズの高い小児医療や、高齢社会の進展に伴いまして地域でも大きな医療課題となりつつありますリハビリテーション医療に取り組むべきというふうにされております。また、現在の豊島病院の医療設備を生かしました特色ある医療といたしましては、緩和ケア医療や糖尿病を初めとする生活習慣病医療に取り組むべきという提言が出されているところでございます。

○初鹿委員 現在、区の側で検討が進められている、そういう答弁だったと思うんですが、これは皆さんにいうことではないと思いますけれども、本来でしたら、区が移管を申し出た段階で、豊島病院の周辺の板橋区の中で区がやるべき医療機能というのは何なのかということが明確になった上で手を挙げるべきだったんじゃないかなと思うんですよ。先に手を挙げて病院を欲しいといっておいて、後で医療の内容を考えましょうというのは、ちょっとどうもわかりにくいような気がするんですよね。本来やはり、民間への統合、民営化ということが方向として出された段階で、区の側が、それだと確保できない医療機能が出てしまうから、そこを埋めるために区立でやるんですよというのが筋だったと思うんですよ。ですから、そういう意味では、今になって内容を検討しているということ、それは十分検討していただかなければ困るんですけれども、ちょっと印象としては、単に病院が欲しかったのではないかなというような懸念を持たざるを得ないなと思います。そういう意味では、できるだけ早く医療の内容というものをしっかりと区民の側に示すことが必要だと思いますので、東京都としても、区に対してその辺を厳しく申し述べていただきたいなと思います。
 次に、区への移管に当たって一番大きな問題だと思われるのが、資産の取り扱いについてであります。この中間まとめを見る限りですと、資産の取り扱いについては随分と都と区で考え方が大きな隔たりがあるのかなと思われるんです。
 ところで、特別区が病院を運営するという例として、台東区が旧都立台東病院の跡地を活用して区立の病院を設置するということを目指しているわけですけれども、台東区の場合は、東京都が計画していた病院整備の構想を区が引き継ぐという形で、板橋区とは逆なわけですね、どちらかというと。そういう意味で、東京都は都有地を区に提供する際に、七割公共減額を行ったということですけれども、つまり七割分は区は相応の負担をしたということであります。つまり今回板橋区が、板橋区の側が手を挙げて移管を要望しているわけですから、都民の貴重な財産である豊島病院を譲り受けるに当たっては、やはりそれ相応の負担をするのが当然だと思うわけです。区に適正な負担を求めていくということが当然であると考えますけれども、都としての見解をお願いいたします。

○奥田経営企画部長 都と区の協議会の中間のまとめにおきましても、資産の取り扱いにつきましては、今後さらに検討を重ねていくというふうになってございます。今後の協議に当たりましては、豊島病院が都民の貴重な財産であるということを十分踏まえて検討を行ってまいります。

○初鹿委員 きょうの資料要求に出ている資料でも、企業債の残高がまだ三百億近くも残っているわけですから、この辺をぜひ考えて検討していただきたいと思います。
 あと、区の財政運営ということ、財政負担ということを考えると、病院を移管してからの運営についてもやはり考えておく必要があるのではないかなと思うんですね。きょうの資料要求を見ますと、一般会計への繰入金が現状で四十一億円あるわけですよね。単純に同じ内容の医療を継続するということになるわけではないと思いますけれども、公立病院でやる以上は、民間病院ができないような不採算の分野についてもやるということになると思います。そうすると、当然ながら幾らかの一般会計からの繰り入れを区もしなければならなくなる。ただ、現状、どこの自治体も同じだと思いますけれども、非常に財政状況が厳しい中で、それこそ何億円単位で新たに財政負担をできるかというと、やはり疑問に思われるわけですね。そういったときに、じゃあ東京都で幾らか援助してくれというような話も出てくるのではないかなと想像ができるわけで、都は、病院に対する補助というのは一定のルールのもとで行っているわけですから、こういう面でも区が過度な期待をしないように協議をしっかりと進めていく必要があると思いますので、これは要望としてお願いをしておきます。
 次に、移管に当たって、病院経営能力を区がしっかりと持っているかどうかということが重要だと思うんです。簡単に病院を移管するといっても、病院の医療機能という分野だけじゃなくて、やはり経営面というのも非常に重要だと思うんですけれども、現状で区の職員の中で病院の経営についてノウハウを持っている職員はいないわけですね、今まで全くやってないわけですから。そう考えると、こういう能力のある職員がいない中で果たして区は病院経営ができるのかということをしっかり見きわめる必要があると思うんです。区への移管に当たって、病院経営能力を早期に見きわめていくことが必要だと考えますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○奥田経営企画部長 現在、区は、病院検討委員会におきまして、移管後の病院の運営形態であるとか医療機能等について検討を行ってございまして、財政状況等も踏まえて最終的な意思決定をしていくことになろうと考えております。都といたしましては、地域医療の充実という基本的視点に立ちまして、この病院検討委員会での検討状況や運営体制についての区の考え方も十分踏まえまして協議を進めると同時に、移管後の病院運営が円滑に行えるよう、必要な支援も検討してまいります。

○初鹿委員 この中間まとめによりますと、移管後の運営形態について、区が指定管理者方式も視野に入れた運営形態を検討するということとなっております。私も、この指定管理者方式というのは非常に有効な手段の一つだなと思っております。先ほどもいいましたけれども、病院の経営のノウハウがないわけですから、病院経営を事実上やっているような指定管理者が運営をするということでしっかりとした運営ができるのではないかなと思うんですけれども、この指定管理者に対して、地域医療の充実という区の意向を十分に反映させていくことが本当にできるのかという疑問があると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○奥田経営企画部長 指定管理者方式で病院運営を行う場合でございますが、具体的に板橋区は、指定管理者が行う業務の範囲あるいは内容などにつきまして具体的に明記して募集を行うという段取りになります。その後、区が求める医療内容や水準等について条件に合った指定管理者を選定し、運営に当たりましても、指定管理者から業務報告を受けまして必要な指示を行うなど、区が病院運営に関与していくこととなりますので、この方式によりまして区の政策や意向を反映することは十分可能であるというふうに考えております。

○初鹿委員 指定管理者の選定、また業務報告によって区が病院管理に関与できる機会が設けられていると。これはあくまでも制度上のものだと思うんですね。業務報告を受けて必要な指示を行うという答弁でしたけれども、必要な指示ができる職員がいなかったら何にも意味がないんじゃないかなと思うんです。
 先ほどの話に戻りますけれども、やはり病院経営に関する知識とか経験を有する職員を確保していくということが、病院を運営する上では非常に重要だと思うんですね。また、病院を運営するノウハウは都にはあるわけで、都として職員を派遣するなど、そういう方法で区を今後支援していく考えがあるのか、その辺をあわせてお伺いいたします。

○奥田経営企画部長 病院の運営形態のいかんにかかわらず、区には、区立病院が適切に運営できるように、病院運営全体に関する知識やノウハウを有する職員を育成して確保していく必要がございます。そのために、都といたしましても、病院運営に関して必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

○初鹿委員 しっかりと職員の育成などをしていただきたいなと思うんです。
 今、質問を幾つかさせていただきましたけれども、まだまだ区への移管に関しては解決しなければならない課題が多くあるなと感じるところなんですけれども、本来でしたら、平成十六年度には、当初の予定ですと高齢者医療センターと統合、民営化されて、新たな体制でスタートしている時期ですよね。そういう意味では、区が手を挙げたことによって計画が予定からおくれているという状況にあるわけですから、やはり早い段階で結論をしっかり出していかなければならないと思うんですよ。いつまでも区の、何となくゆっくりしているというか、スピードが遅いというんでしょうか、なかなか方向性の定まらないのに都がつき合っている理由もないのかなと思います。あくまでも皆さんが求めていくのは、豊島病院という都民の財産が地域の中で貢献できるような病院になっていくということだと思いますので、区と積極的に協議を行って、できるだけ早く結論を得るべきだと考えますけれども、この点について見解を伺いまして、私の質問を終わります。

○奥田経営企画部長 住民に対しまして一刻も早く充実した地域医療の提供ができますよう、今後とも区との間で積極的に検討を重ねまして、年内を目途に結論を出していきたいというふうに考えております。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時十一分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大山委員 私は、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備についてという報告に関して質疑したいというふうに思います。
 PFIでの建設、運営ということがいわれているわけですけれども、まず最初に確認しておきたいんです。PFI事業を導入するかどうかの検討を、アドバイザリー契約によって十四年度から受けた企業が検討を行って、その報告をもとに現在の整備計画をつくったということなんですけれども、提出していただいた六番目の資料に、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備に係るPFI事業の手続とスケジュールという表がありますが、この表でいくと、1と2の間に今いるということでよろしいんでしょうか。

○織戸参事 今のご指摘の点でございますけれども、ちょうど1と2、このたび整備計画を定めましたので、その時点にいるということで結構でございます。

○大山委員 何でそんなことを確認したかといいますと、つまり1と2の間ということですから、この事業にとってはまだとば口だ、出発点に立っているという状況だと思うんですね。ですから、やり方についても、PFIでやることが既定の事実として、既に決まったこととして進めるのではなくて、出発点に立ってきちんと、都立病院として、都民の病院としてどうしていくのが一番よいのかということを議論することが必要だというふうに思っています。
 まず初めに、PFIで行うことについてです。PFI導入の動機で、自治体の事業コストの削減ということと、より質の高い公共サービスの向上ということがいわれているわけですけれども、これについて果たしてどうかということなんですね。
 多摩広域基幹病院と小児総合医療センター、ともに東京都民にとっては基幹病院になるわけですね。PFIという、イギリスで始まって、既にイギリスではかなり多くの問題点が指摘されているという事業ですね、あえて進めようというふうにしているわけです。PFIの手続を進める理由は、先ほどの答弁の中では、一定の事業想定のもとで、バリュー・フォー・マネーの達成が見込まれるということがあったから進めていくんだというふうに答弁されたわけですけれども、例えば小児総合医療センターの場合の一定の想定というのは何を指すんでしょう。

○織戸参事 一定の事業規模ということでございますけれども、これにつきましては、平成十五年一月に策定をいたしました都立病院改革実行プログラムにおきます多摩広域基幹病院、それから小児総合医療センターを合わせた入院病床千三百五十、それから一日当たりの外来患者数二千二百五十人、これらの規模を想定して試算をしたところでございます。

○大山委員 その状況が、いただいた資料の2にあるわけですね。今回、多方面からの意見を入れて小児総合医療センターを--先ほどおっしゃった事業の試算の前提となる都立病院改革実行プログラムが十五年一月のところですね、当初計画があったわけですね、意見をさまざま入れて、右側の十六年九月に小児総合医療センターの整備についてということが拡充されたわけですね。項目だけ見ても、拡充されたことというのはたくさんあるわけです。一つ一つ見ていきますと、項目だけ見ても、より不採算の部分であったり行政的な部分が多いというふうに思うわけです。試算する場合に、かなり前提条件が違ってくるんじゃないかというふうに考えるわけです。にもかかわらず、拡充する前の想定で、バリュー・フォー・マネーが見込まれたからPFIで進めていく。結局どんなに条件が変わろうと既定の路線を進めていくというだけのことじゃないかというふうにいわざるを得ません。
 物事というのはやはり最初が肝心なんですね。ボタンのかけるところ、これが重要です。今回の拡充された、十六年九月に、整備、こうやって拡充するんですよというふうに出された中での試算をやり直すべきだというふうに思いますが、どうですか。

○織戸参事 PFI事業につきましては、国の方針、これは、公共サービスの提供に際しまして、民間事業者に行わせることがサービス水準の向上に資すると考えられる事業についてはできる限りPFI手法を活用すべきというのがございまして、それらを受けまして、都立病院改革マスタープランにおきまして、PFIについて十分検討した上で導入を図るというようなことが出てきたわけでございます。
 このため、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターにおきましても、内部でアドバイザーを交えました整備、運営手法の検討を行うことといたしまして、先ほど申し上げました、平成十四年度に都が直営で病院を経営する条件のもとでPFI手法の導入可能性調査を実施したところ、一定規模の事業規模のもとでバリュー・フォー・マネーが達成されるということや、それからサービスの向上、これらを踏まえまして、今回のPFI手法の手続に入るということにしたわけでございます。

○大山委員 結局、PFIをやるということを前提にして進めてきたということですよね。1の事業の発案ということで、PFI手法を導入するかどうかの検討ということをしてきたわけですよね。にもかかわらず、もうやることが既定事実なんだということを今答弁されているわけですね。同時に、導入するかどうかの検討をする場合に、バリュー・フォー・マネーが重要なんだというふうにして、それで試算までしたわけですよね。しかし、その試算は、これだけ前提条件が違った中での試算ですから、これをやり直さないというのはおかしいというふうに指摘せざるを得ないわけですね。
 それじゃ、拡充前の想定での試算、これは具体的にどの程度の削減率になったんですか。数字で示してください。

○織戸参事 十四年度に行いました導入可能性等調査でございますけれども、これでもって試算いたしますと、削減率につきましては、約一三%の削減率があったということで、実施できる結果としたわけでございます。

○大山委員 一三%といいますけれども、その一三%という結果がどうやって出てきたのかということです、そういう数字を使って。

○織戸参事 大変失礼いたしました。従来の方式で都立病院を設計、建物を建てた場合に比べて、PFIで試算した場合、約一三%の削減率が出たということでございます。

○大山委員 ですから、従来のやり方でやったら幾らかかる、それから、PFIでやったら幾らかかる、そして運営はどうだ、利息はどうだということをちょっと数字で教えてください。

○奥田経営企画部長 ただいまのご質問で、ちょっと補足をさせていただきます。
 十四年度に導入のための調査をいたしましたのは、あくまでも、その施設整備はともかく、運営形態等につきましては、幾つか事例を設定いたしまして、その中で、どういう試算ができるのかという形でやったところ、幾つかの方式、組み合わせの中で、今ご答弁申し上げましたような数字の効果があるというようなことがあったわけで、これが最終的なバリュー・フォー・マネーになるわけでは、当然ございません。
 それで、今後、今回ご報告いたしました個別の整備計画等に基づいて、その前に実施計画を提示いたしまして、各応募事業者等から、さまざまな意見であるとか提案を承るわけですが、それで最終的な計画を固めまして、その上で、バリュー・フォー・マネーをこの段階でやり直すと。それで、なおかつバリュー・フォー・マネーがあるということであれば事業決定をしていくということで、ただいまご説明申し上げました数字のものが、最終的なものでは決してございません。
 十四年度にやりましたバリュー・フォー・マネーは、あくまでもこの話の検討を進めてよろしいかどうかというのを、十四年度時点で試みに計算をしてみたと、そういう内容でございます。

○大山委員 これから、今進めようとしているわけですね。ですから、十四年度のは試算なんだ、一定の条件での試算なんだっていうわけですよね。
 その一定の条件の試算、そのときのことを、一三%削減できるんだというふうにおっしゃられたわけですけれども、幾つかの組み合わせがある、しかし、その前提条件というのは、あくまでも病院改革実行プログラムのときの前提なわけですよね。そうですね。それで、今、これだけの規模が、先ほど資料2で見ているように、行政的な医療、多分不採算の医療がかなり出てきた段階での試算も当然するべきじゃないんでしょうか、決める前に。どうですか。

○織戸参事 導入可能性調査でございますけれども、十四年度調査は、先ほど部長の答弁もありましたように、あくまでも導入の可能性を探る内部検討用の資料として位置づけてございます。
 民間事業者に対して都が最初に公表するのは実施方針ということでPFI法で定められておりまして、内容が異なる可能性のある情報を提供することは、民間事業者に無用な混乱を与えることになるため、導入可能性調査の内容の公表を行っていないということになってございます。
 したがいまして、今度策定をいたしました整備計画等により、現在、バリュー・フォー・マネーの正式な算定、作業中でございまして、その結果は、特定事業を選定する際に公表してまいることになってございます。

○大山委員 やはりその実施方針を策定して公表したら、それぞれの事業者がどんどん申し込んだり、それから質問に来たりするわけですよね。そうすると、もうスタートしていっちゃうわけですよね。その特定事業者の選定公表のときに、初めて都民に明らかにするといったって、都民が本当にこれで--私たちだってわかりませんよ、大丈夫なのか、PFIでやって大丈夫なのか。前提条件がこれだけ変わっている中で、やり直した試算も、実施方針を策定する前にやってみないというのは、これはちょっと納得しがたいというふうに思っています。
 もう一つ、財政的な面でいいますと、直営だったら全く要らない費用というのは、アドバイザリー費用ですね。既に十四年度からアドバイザリー契約が実施されていますけれども、各年度のアドバイザリー契約にかかった費用というのは幾らですか。

○織戸参事 アドバイザリー契約でございますけれども、十四年度に約五百万円、十五年度に約五千五百万円、十六年度に約九千六百万円となってございます。

○大山委員 十四年度五百万、十五年度は五千五百万ですけれども、これは下半期だけですね。一年間だったら、十五年度の場合だったら一億円以上ですし、十六年度は約九千六百万円ということですから、一年間の平均の予算というのは、大体約一億円ぐらいかなということだと思うんですね。
 このアドバイザリー契約というのは、いつまで必要なんですか。

○織戸参事 アドバイザリー契約の期間でございますけれども、現時点では、開設するまではアドバイザリー契約は必要だと思っております。

○大山委員 開設したら、もうさっさと要らなくなるということでいいんですか。

○織戸参事 この点につきましては、その時点で、もう一度検討させていただくことになってございます。

○大山委員 今まで、約一億五千万円ですか、これから平成二十一年までだとしても、約七億ぐらいはかかるということなんですね。
 アドバイザリー契約というのは、どうして必要で、どんな内容をアドバイスしてもらうんでしょう。

○織戸参事 アドバイザー契約でございますけれども、財務面、法務面、技術面を総合的に統括をいたしまして、民間の意向を把握するということでございまして、PFI事業を魅力あるものとして構築できる民間企業のことでございます。
 これには、先ほど申し上げましたとおり、当該事業を、民間事業者側から見ても魅力あるものとすることで、より多くの参加を促し、適切な競争状態をつくることが重要であることから、先ほど申しました財務面、法務面、技術面について、幅広い知識、新しい情報を用いて多様な検討が必要となるため、アドバイザーを選定する必要があるということでございます。

○大山委員 財務面、法務面、技術面ということですけれども、本来、直接東京都が行うんだったら、PFIの法律がどうとかこうとかということは要らないわけですから、不必要な費用だというふうにいわざるを得ないわけです。PFIでやらなければ、必要ないわけです。
 PFIで行おうとしているわけですけれども、PFI事業で行うということに関しては、もちろんメリットがあるからやろうといっているわけですけれども、デメリットも検討しているというふうに思いますが、どうですか。どういうことがデメリットだというふうに考えていますか。

○織戸参事 デメリットと申しますよりも、課題になるんですけれども、バリュー・フォー・マネーの検証や契約までの手続に多くの時間を要する、それからまた、長期契約になるため、委託業務の水準の確保についての仕組みを検討する必要がある等でございます。

○大山委員 さっきから問題になっているバリュー・フォー・マネーの検討だとか、契約までの手続に多くの時間を有するとか、長期契約だから委託業務の水準の確保について仕組みをつくる検討をしなきゃいけないということが課題だというふうにご答弁されたわけですね。
 イギリスでは、病院PFIがかなり実施されていて、イギリス病院PFIに学ぶ日本版病院PFIというレポートが、NTTデータ経営研究所というところで出ていました。JAPICなんかでも出ているんですけれども、このレポートの結論というのは、PFIによる病院整備が医療サービス提供へ及ぼす影響については、まだ不透明な部分が大きい。中を省略しますが、何のための民間活力導入なのか、何のための効率化なのかということに常に立ち戻って考える必要がある云々となっているわけですね。それで、イギリスでは、PFIによって整備された病院が、開院するに従い幾つかの課題も顕在化し始めている。今後も病院整備にPFIを適用し続けることについて批判的な意見も提起されており云々と、こうなっているわけですね。
 そこのレポートの中で、課題としては、一番目にはプロジェクトの遅延、二番目には高額なPFIアドバイザリー費用、三番目には病床数の削減、四番目には医療スタッフのレベルの低下、五番目には質の低い病院施設などが指摘されているわけです。
 患者にとって重大なのは、医療スタッフのレベル低下や質の低い病院施設ということになるわけですが、先ほどの質疑のご答弁の中で、診療行為そのものについては都が担うということですから、直接の診療、医療レベル、スタッフのレベルの低下ということは、直接の心配はないんでしょうけれども、医療を支えるものすべてがPFIになるわけですね。ですから、バリュー・フォー・マネーを上げようと思えば、人件費を削減するしかないわけですね。医療を側面から支えるスタッフの質の低下は考えられることです。
 質の低い病院施設も、バリュー・フォー・マネー次第だとはいえないんでしょうか。

○奥田経営企画部長 先ほどからご議論がございましたが、PFI事業でこの病院の整備を進めるかどうかというのは、これから最終的に決めると。その際に、今の事業計画も精査いたしまして、もう一度VFMをやってみるということで、まだ決して最終的な決定をしたわけではございません。決定に際しては、議会の方にご報告をさせていただくという考えでおります。
 それから、サービスの向上の関係でございますが、サービスが著しく損なわれるということがあれば、いかにコスト面で効果があろうと、この手法を採用することは、当然できないというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

○大山委員 今、まだPFIで実施を最終的に決めたわけじゃないんですということですね。だからこそ、きちんと事業決定--議会に報告するというのは、この6の表で見ますと、もう実施方針を策定して公表して、決める前に、最終的にPFIでやりますよという決定をする前に報告するということなんですか。

○織戸参事 事業者を決定してから公表するということになってございます。

○大山委員 事業者を決定してから議会に報告するというのは、もうPFIを実施するということを決めてから発表するということですよね。違うんですか。

○奥田経営企画部長 PFIを用いることが適当な事業であるというふうに決めることが、すなわち特定事業の選定でございますが、その選定に際しまして議会の方にご報告をさせていただくということでございます。

○大山委員 やはり前提条件が違った後での試算もした--特定事業の選定をする前に、きちんと議会に報告するべきだというふうに思います。
 それで、コストを削減されて、サービス低下をしてはいけないというふうにご答弁しているわけですけれども、例えば、既に東京都の事業でも、区部のユース・プラザは、PFIで始まっていますね。財政負担の軽減についても、当該の委員会では問題になりました。結局、当該の委員会で明らかになったのは、利息負担のため、建設費については直接執行よりPFI方式の方が二割程度高くなったと。これを埋め合わせするために、民間による運営費の人件費分を低く設定したり、教育庁に入るわけではない、東京都への税金還流分まで計算に入れなければ、PFIの財政メリットが出てこなかったんですね。
 PFIによって六%程度安くできるという説明だったんですけれども、この程度のコストの差というのは、建物維持管理の工夫だとか努力などによって、直営でも十分カバーできる範囲のものであって、PFIにより都財政負担が確実に軽くなる根拠はないということが当該の委員会では明らかになっています。
 PFI事業で強調されていることの一つに、透明性の問題というのがありますね。透明性とは、公共事業の全プロセスの透明度を一〇〇%とすることといっているのは、日本PFI協会専務理事さんです。
 資料の4、PFI導入の検討経過状況を出してもらいました。この表は、どんな項目について検討したのかということは書かれていますけれども、どのような内容をどういうふうに検討したのかというのは、全くわからないわけですね。
 記録見せてくださいというふうにお願いしたら、ほとんど墨塗りのものが出てきたんですね。どうしてこれが透明度一〇〇%っていうふうにいえるんでしょうか。

○奥田経営企画部長 先ほど織戸参事からご報告というか、回答いたしましたように、さまざまな角度から検討をしていきます。で、アドバイザリー契約に基づいてアドバイザーに指示をして検討した結果等につきましては、これから特定事業として一般に公表していく際に、契約書あるいは要求水準という形で内容を確定させた上で公表するという段取りになります。

○大山委員 やはり、その経過が重要なんですよね。
 それで、公共事業の全プロセスの透明度を一〇〇%にすること、これ、全く透明でも何でもないですよね。公表できないことばっかりだということなわけですよ。これは、この検討というのは--これ二ページとも真っ黒--この検討というのは、一番最初の検討ですからね、これは本当に重要なもので、どういう経過でやったのかというのが公表できないというのは、企業で競争して行うことの限界だというふうに思うわけです。
 都民にとって大切な病院なんですから、どんな病院をつくるのかという合意が大切だというふうに思います。いろんな立場の人だとか、医師だとか看護師だとかを初めとして、病院で働く専門職だとか、医療を支える多くの業務に携わる人々だとか、欠かせないのは、利用者であります都民だとか、小児科の患者の父母だとか、患者だった方だとか、いろんな意見を入れて、出し合って、練り上げてつくっていくというのが基本だと思うんですね。それには、競争ではなく、ともにつくり上げていく、都民とともにつくり上げていくということが重要だというふうに思いますけれど、どうですか。

○奥田経営企画部長 ただいま、一回目にやった十四年度のVFMの関係でもって、黒塗りだというようなお話がありましたが、それはあくまでも試算としてやったものであり、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、最終的にもう一度、最終的な姿で確定し直した後に、これはあわせて公表すると。実施方針にあわせて、そういったものについても公表していくというのは、国の方針でございます。
 もし仮に、途中で検討している最中のものを随時オープンにしていくということになれば、特定の事業者を利するか、あるいは応募することを志している関係事業者に無用の混乱を来すと。こういうことが公共セクターにあってはならないというふうに私どもは考えております。

○大山委員 さっきの質問は、競争ではなくて、ともにつくり上げていくことが必要だと思うんですが、どうですかという質問なんですけれど。

○織戸参事 いろいろ寄せられている意見につきましては、貴重なご意見として真摯に受けとめ、これから要望の都度、誠意を持って対応してまいりたいと思っております。
 このたび、こうした意見も踏まえまして、小児総合医療センターの充実強化を含めて、今回の整備計画を策定したところでございます。

○奥田経営企画部長 ただいま、貴重な意見と申し上げましたのは、現場等の意見を十分踏まえながら、よりよい医療機関をつくるために、そういった意見をできる限り採用していくという意味合いでございます。

○大山委員 ですから、今いろいろな意見を生かすことが重要なんだ、都民の意見を生かすことが重要なんだということですよね。
 しかし、先ほどの答弁は、その途中の経過を示すことは、随時オープンにすることは特定の企業を利することになっちゃうんだというのは、結局、企業の中で競争することによってつくっていこうという事業の限界なんじゃないんですかといっているわけですよ。既に、当初の計画よりも拡充せざるを得ない状況になっているわけですね。
 しかも、その改革プラン、プログラムというのも、大まかなことが書かれているわけですよ。それから拡充されたわけですね。具体的には、一つ一つの病院をどう具体化していくのかということを話し合わなければならないことだというふうに思うんですね。だから、基本設計もあるし、実施設計もあるわけですね。設計する段階で、どんな病院にするかっていうのが具体化するというふうに思うんですね。ですから、本当にこのPFIの限界というのは、そういうことなんだということなんです。
 それで、小児総合医療センターができたとしても、清瀬や八王子小児病院、それから梅ケ丘病院を廃止する理屈もないということも、指摘しておかなければならないわけですね。
一つは、小児総合医療センターと清瀬、八王子、梅ケ丘病院の役割の違いについてなんですけれども、事務事業概要をそれぞれの病院についてもらいました。
 清瀬小児の運営理念というのが書いてありまして、高度専門医療とともに、地域の小児医療や小児保健に貢献するというふうに書いてありました。八王子小児も、運営理念というのは、多摩西部地域における小児医療の中心的病院というように、地域医療に責任を持ってきたわけですね。梅ケ丘病院も、梅ケ丘の地域で、福祉のまちづくりの中心として五十年以上診療を続けてきました。
 小児総合医療センターの役割というのは、どういうことになりますか。

○織戸参事 小児医療センターの役割ということでございますが、これは整備計画にも記載してございますとおり、現下の小児医療を取り巻く状況の変化だとか、これまでの多摩地域の小児医療充実に関する要望、それから多摩地域におきます小児医療体制検討会報告によります小児医療の充実に向けた提言等ございまして、この中で、重点的に挙げてございますのが、救急、障害者対応だとか、小児科医療の環境整備だとか、それから障害者の家族支援サービスだとか、こういったものを、これまで以上の充実強化を図っていくということでございます。

○大山委員 東京都における小児医療の基幹的な役割だということだと思うんですけれども、位置づけが、やはり小児総合医療センターと、清瀬や八王子、梅ケ丘が違うというふうにいえると思うんです。
 もう一つは、例えば、資料の3で出していただきましたが、市町村からの意見、市長会からは、多摩地域に存続及び機能拡充整備を図られたいということであり、八王子市も、さっき欠かすことができないところなんだというふうにいっているわけですね。
 各種団体からの意見、要望というのが一緒に書いてありますけれども、たくさん要望が寄せられているわけです。都立清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の存続を要望するという項目で、東京都知的障害者育成会ほかというふうに書いてありますけれども、一つにくくられていますが、どのような団体から、幾つの要望が出されているんでしょう。

○織戸参事 知的障害者育成会外三団体からの要望となってございますが、これにつきましては、障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会、それから東京都知的障害者養護学校PTA連合会、それから東京社会保障推進協議会でございます。
 また、東京都腎臓病患者連絡協議会外七団体となってございますが、この七団体につきましては、東京高齢者共同行動、それから東京保険医協会、東京都民生医療機関連合会、東京歯科保険医協会、東京都肢体不自由養護学校PTA連合会、国民生活要求大行動東京実行委員会、重税反対諸要求実現東京地域総行動実行委員会の七団体でございます。

○大山委員 それこそいろんな団体から出されているわけですよね。十五団体、二十五件ですね。これは十五年一月以降ですから、それだけでも十五団体、延べ二十五件出ているということなんですね。
 東京都に出されているものだけでもそれだけですが、議会にこれまで出された請願陳情を拾ってもらいました。これを見ましたら、十二団体から請願陳情が出されています。それらについている請願署名ですね、合わせたら四十一万一千二百九十六筆ですよ。都民の意思というのは明確だというふうに思っています。小児総合医療センターをつくったとしても、現在の八王子や清瀬や梅ケ丘は存続拡充してほしいということなんですよね。地域で小児医療の核として果たしてきた役割は、かえがたいということなんです。
 もう一つ心配なのは、規模の点でも心配です。今回、多方面からの意見を聞いて、拡充するということで整備計画が出されていますけれども、三つの小児病院とほぼ同じ規模の病院をつくるということになっていますけれども、三つの病院を合わせた敷地面積というのは、足し算をしましたら十七万七千二百九・一五平方メートルなんですね。資料のここ、出ていたので見ましたけれども、資料の9にありましたけれども、建設予定地五万二千平米というふうに書いてありますが、清瀬、八王子、梅ケ丘、三つ合わせただけでも十七万七千平米。それで、ここの建設予定地というのは五万二千平米ですけれども、これは多摩の基幹病院と小児総合医療センターと、両方で五万二千平米ということなんですか。

○織戸参事 多摩基幹病院と小児総合医療センター合わせた数字で、五万二千平米ということでございます。

○大山委員 今の敷地面積だけでも、三つ合わせたのが十七万七千ですね。それで、府中病院の事業概要を見ますと、敷地面積は十七万四千なんですね。非常に、敷地だけを比べた場合に狭いという印象があるんですけれども、こうなりますと、病棟は高層にしなければならないという計画なんでしょうか。

○織戸参事 先ほどの三病院の敷地面積の合計でございますけれども、大山副委員長の方は十七万幾らといわれていましたけれども、その三病院だけの合計ですと、約七万七千平米でございます。

○大山委員 事業概要で敷地面積を拾って足したんですけれども、では七万七千にしても、府中病院十七万でしょう。それで合わせると、やっぱり高層にしなきゃならないんですかという質問は、どうですか。

○織戸参事 先ほど申しました小児病院三病院を合わせた約七万七千、それから府中病院が約十七万平米でございますので、それを合わせますと、現在の予定しております五万二千平米ということになりますと、小さい敷地面積でございますので、高層化せざるを得ないということでございます。

○大山委員 小さい敷地面積なので高層化せざるを得ないということなんですね。清瀬小児病院も梅ケ丘も、分教室に子どもたちが通って、窓からは風を感じながら過ごすことができる、非常に落ちついた環境にありますね。
 梅ケ丘病院の患者の父母の方たちは、やはり子どもの精神医療を支える重要な要素として、自然と触れ合える緑豊かな敷地と二階建ての病棟、敷地内に備わった病院内分教室、グラウンド、体育館、プールなどの教育施設、それからデイケアや個別、集団指導などのリハビリテーション施設、それから地域関係機関との連携、子どもの通院、入院の見舞いなどに欠かせないアクセスのよさ、これらは長い年月をかけて梅ケ丘病院が築いてきたものなんですと話しておられます。
 梅ケ丘病院がどうして二階建てなのかというと、やはり、うつだとか自閉症などの子どもたち、多動な子どももいらっしゃるわけですね。走っていって、飛びおりるとかということもあるからなんだと。
 府中キャンパスは、必ずバスに乗らなければならないんですけれども、デイケアに通う場合も、閉所恐怖症の子どももいるし、パニック障害だとか、普通に電車に乗ることも大変なんだというんですね。
 また清瀬なども、長期入院の子どもたちがいるわけですけれども、本当に高層の病院でいいのか、マンションなどで、高層マンションの精神的な影響なんていうのもいわれているわけですけれども、というふうに心配しているわけですね。
 二日の日には、都立病院統廃合ではなくて、存続させてほしいという集会がありました。そこで、清瀬病院にかかっている東村山の女性は、小児科を標榜していても、レントゲンや点滴は難しいのでやってくれないことが多いというんですね、開業医さんがね。それで、清瀬小児がなくなったら本当に困ってしまう。私の周りには、障害を持つお子さんや重症アレルギーのお子さんなどを持つお母さんが多くいる、清瀬小児があるからと、わざわざ転居してきた人もいる、府中へ行ったら、また転居しなければならないのかと不安が募っている、二十四時間いつでも診てくれる病院、専門外来のあること、退院後の受け皿があることが切実な願いですというふうに語っています。
 八王子小児だとか清瀬小児があるから、わざわざ転居して集まってきているわけですね。未熟児で生まれて、障害を持ちながら、でも清瀬や八王子という、信頼できる、二十四時間専門に診てくれる小児病院があるから安心できるということなんですよね。
 夜間救急ということが問題になっていますけれども、夜間救急だといっても、やはり通常の夜間救急とは違うというふうにいわざるを得ないわけです。これらの心配には、どうこたえるんですか。

○織戸参事 環境整備の問題でございますけれども、先ほど申しました高層化の問題であれば、世田谷にできました国立の成育医療センターも高層でございます。また、小児総合医療センターについては、グラウンドだとかプール、それから体育館に加えまして患者家族のための宿泊施設を整備するなど、子どもさんにとってさらに快適な療養環境を提供していく考えでございます。

○奥田経営企画部長 もう一つ、地域医療の確保の問題でございますが、病院整備に当たりましては、地域医療の充実というのを、先ほども質問にございましたが、常に念頭に置いて進めていこうということで、具体的には、清瀬であれば、地区の医師会あるいは市等とも協議いたしまして、役割分担に基づきまして、地域医療の充実を図るということで、今その協議を進めているところでございます。
 また、具体的には、多摩老に新たに小児科を設置して、これについては十七年四月に予定どおり開設をして、地域医療の充実あるいは二次医療の充実を先倒しで実現していこうということで、具体的な取り組みをしているところでございます。

○大山委員 地域医療の充実を念頭に置いているんだ、それなら廃止する必要なんか全くないんですよ。それで、成育医療センターが高層化だから、東京都の小児総合医療センターも高層化でいいんだというのは、それはちょっといただけないというふうに思っています。
 今、いずれにしても、初めて整備計画が明らかになったところなんですね。清瀬や八王子や梅ケ丘の廃止が前提ではなくて、これから説明会も繰り返し開いて、意見を聞いて、議論して、煮詰めていく、これから始まるということだというふうに思っています。せっかく新しい都立病院をつくるんですから、東京の小児医療をどうするのか、その中で小児総合医療センターはどういう役割を果たすのかということを、東京全体の小児医療を検討することが必要だというふうに考えています。
 宮城県は、県立こども病院をつくるとき、徹底して議論しています。小児総合医療システムの整備についてという検討会で、宮城県全体の小児医療をどうするのかということを総合的に検討して、それで県立こども病院は具体的にどういう病院にするかということを、両方、車の両輪として議論しています。
 都は、都立病院改革検討会議を立ち上げたものの、小委員長の代理が小委員会で発言しているように、財政問題から発しているものですからと、改革会議の議論の出発点が、財政支出をいかに減らすかが一番のねらいだとされて、縮小民営化の結論が前提というものだったわけですね。しかも、東京の小児医療をどうするのかという全体の議論はされていません。
 宮城県の小児総合医療システムの整備についての検討委員会の最初の会合のとき、宮城県知事があいさつの中で、県立こども病院は中核的な小児病院だという位置づけだという話をして、その後、こう述べているんです。ややもしますと、こういった中核的な小児病院ができますと、一将功成りて万骨枯るというのは、ちょっといい過ぎの表現ではありますが、ここにすべての機能も人材も集中してしまい、地域の医療、小児医療というものが今まで以下になってしまう、それは文字どおり元も子もないわけでございます、というふうに発言しています。
 東京でも、まさにこうならないように、中核的な小児総合医療センターと、地域の核として役割を果たしている都立小児病院をなくしてはならない、地域の医療を枯らしてはならないということだというふうに思っています。
 東京の小児医療全体をどうするのかという問題では、小児医療の多摩のあり方というのが出されましたけれども、二十三区のそれはありません。きちんと、東京全体の全体像を議論することが必要ではないんですか。

○奥田経営企画部長 現在の小児病院の状況から始めますと、それぞれかなり老朽化をしておりまして、例えば梅ケ丘にしても、八王子にしても、あの地で、もう一度あの規模の病院を立ち上げることは、現実的には、物理的に不可能な状況です。何よりも小児に関する医師の確保、あるいは、これからだんだんと強化されていくというか、進んでいく方向である小児専門医療に携わる医師の確保というところに及べば、これを十分確保していくというのが極めて厳しい状況であることは、この厚生委員会においても何度かご議論をいただきました。
 こういった限られた資源を、まさに、これから東京の小児医療が進むべき方向というのを十分念頭に置きながら結集したのが、小児の総合医療センターということで、私どもは、地域医療の重点と、区市町村と協力して地域医療を充実するということを常に念頭に置きながら、しかし、小児総合医療センターについては、東京に冠たる、あるいは願わくば世界に冠たる小児医療の拠点として整備をしていくという考えでございますので、ぜひご理解をいただきたいと存じます。

○大山委員 まさに、その医師の確保だとか、専門医療にかかわるその医療の確保、困難なんだっていうふうにおっしゃいましたよね。それはもう、医師の確保も、それから研修も養成もしていかなきゃいけないというのが課題としてあるというのは、ここで何回も話し合われたことです。だからこそ、その核となる病院と、それから東京全体の小児医療をどうするのか、成育医療センターとの関係どうするのかということを含めて、やはりきちんと議論するべきだというふうに思っています。それこそ、一将功成りて万骨枯るということになってはいけないというふうに思っています。
 たびたび出しますけれども、宮城県立こども病院をどのような病院にするかということも、やはり設計段階から、チャイルドライフスペシャリストも採用して、関係医療機関はもとより、元患者だとか小児医療病院で子どもを亡くされた父母などを含めて、徹底した話し合いが持たれているんです。チャイルドライフスペシャリストというのは、アメリカでは一九五〇年代から始まっている専門職ですけれども、日本では、宮城県立こども病院に常勤雇用されています。これは県立病院ですね。浜松医大附属病院と静岡県立がんセンターに非常勤で雇用されています。
 病院というのは、大人にとっても脅威になるというか、ちょっと怖いというか、子どもにとって、入院するという経験がもたらす影響というのは、はかり知れないというふうにいわれています。検査や手術だとかその他の処置など、その子の理解水準に合わせて、理解できるように働きかける。子どもは、理解することによってトラウマもなくすことができますし、病気に立ち向かおうという構えもできるんですね。入院している乳幼児、子どもたち、中高生などにとって、病院は、病気を治すということと同時に生活の場なんですね。発達保障も欠かせないことです。
 宮城県立こども病院は、チャイルドライフスペシャリストの積極的な意見も、さまざまなところで反映していて、子どものための充実した図書館とかプレールーム、それから中高生の居場所などを初め、子どもの立場に立った病棟や診療場所の設計となっています。子どもを亡くした父母の願いも取り入れられて、霊安室は、すがすがしい集会室になりました。これらは、もちろんすべて公開で行われました。
 これも、東京都の都立病院改革会議が、実質的な議論はすべて非公開の小委員会で行って、今またPFIで、全く都民参加もない中に、さらに都民に見えないところで行っているのとは、大違いだといわざるを得ません。
 小児病院には、病気を治すことと同時に、子どもの生活と発達を保障して、子どもの生きる力を引き出すことが、引き出せる場所にするということが求められているわけですね。最先端の病院だというんだったら、日本では最先端のチャイルドライフスペシャリストを採用する必要があるんじゃないんでしょうか。

○織戸参事 今回の整備計画におきましては、小児総合医療センターの運営理念としまして、子ども中心の医療の提供として、発達過程にある子どもの特性、それから生活の質や快適な療養環境に配慮するなど、患者さんと家族の視点に立った質の高い医療を提供するとしてございます。この方針のもとに、小児総合医療センターの整備が円滑に進むよう、現在、具体的な運用方法などについては、病院職員とともに検討を進めているところでございます。
 お話のチャイルドライフスペシャリストにつきましては、日本でまだ確立されているところではございませんので、現時点では採用は考えてございません。

○大山委員 現在のところでは、というのがありますけれども、せっかく子ども中心の病院にするんだ、それで発達過程にある子どもたちの療養環境を整えるんだというふうに答弁されているわけですから、ほかの県立病院でも採用している、自治体病院でも採用している、そのチャイルドライフスペシャリストについても、ぜひ検討していってほしいというふうに思います。
 同時に、先ほど話題になりましたけれども、もちろん私たちは、八王子や清瀬や梅ケ丘の三病院を存続させることが前提ですけれども、先ほどの質疑の中で、三病院の維持や補修や機器の更新、これについては現行の医療水準を落とさない対応が必要なので適切に対応していくという答弁がありましたので、繰り返しませんけれども、PFIだとか統廃合を既定の事実として、しゃにむに進めるのではなくて、きちんと都民の意見を聞いて議論を重ねて、財政問題を第一とするのではなくて、東京の小児医療をどうするのかという視点での検討をしていくことを再度求めて、きょうの質問は終わります。

○大河原委員 私も、小児総合医療センターについて伺いたいと思います。
 この委員会になりまして、初めて質問させていただきます。議事録も見てきたんですけれども、多少ダブりはあるかと思いますが、ご容赦をいただきたいと思います。
 世の中は、少子化ということで、あらゆるものが減少傾向にありますけれども、小児精神科にかかる子どもの数というのは、逆にふえていると。子どもを取り巻く環境が非常に厳しくなってきているというふうに私は考えるわけですが、小児精神の現状と傾向について、どのような把握をしていらっしゃるでしょうか。

○織戸参事 近年、核家族化を初めといたします家族関係の変化、それから地域社会におきます人間関係の希薄化など、子どもを取り巻く社会環境の変化の中で、学校におきます不登校やいじめの問題など、家庭内暴力や児童虐待など、精神医療とかかわりの深い社会問題が深刻化してきていると考えております。このような社会的な状況は今後も継続していくと思われまして、児童、思春期における精神科医療の必要性は高まっているところでございます。
 したがいまして、今後も児童、思春期の診療に対する需要は増大すると考えられ、医療も含めた総合的な対応が考えられると考えます。

○大河原委員 教育庁の方では、特別支援教育ということで、通常の学級にいる子どもたちの中には、特別な配慮や教育的な支援を必要とする生徒がいるということで、これも国及び自治体の教育行政の中で新たに課題になってきたものかと思います。
 以前と比べまして、また学校の教室を見ていても、やはり自閉症あるいは学習障害、多動性の障害など、こういった子どもたちが多くなってきているというのは、実際、自分の子どもたちのクラスメート、そういう学校現場を見るにつけても、実感しております。
 LDやADHDや、また自閉などの出現率というんでしょうか、潜在的なニーズがあると思うんですけれども、それはどのような把握をしていらっしゃるんでしょうか。

○織戸参事 東京都の教育庁の調査では、知的発達におくれはないものの、学習面か行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は、四・四%程度であるとしております。ただし、この調査は、通常の学級の担任等の判断に基づくものでございまして、自閉症やLD、ADHDの割合を示すものではないとされております。
 また、これらのうち、治療が必要な児童はどのくらいいるかについてのデータは、現在のところございません。

○大河原委員 自閉症の子どもを扱ったテレビドラマが最近登場したり、非常に身近なところで、一般の人たちの意識も変えるような動きも出てきております。しかし、実際自分の子どもを見る、そういう中に、そのような症状を見て、どこかに相談しなきゃというふうに思ったときに、恐らく大勢の人たちが、かかりつけの小児科のお医者様があれば、まずはそこを初めに訪れるんじゃないか。そして、そこからもう少し専門的な治療が必要、あるいはアドバイスが必要ということであれば、もう少し専門的なところをというふうに考えるのが自然で、今、インターネットが発達しておりますから、恐らくほかの方に相談できないようなことは、ご自分で解決しようとして、ホームページなどをいろいろ探すというようなこともあるんじゃないかと思います。
 私も、この質疑を前に、探してみたんですけれども、なかなか都内で小児精神科、この対応が可能な病院というのが、すぐに実は見つかりません。しかし、実際には、診療科目にこのことを掲げているところはたくさんあるはずなんですけれども、現在、小児精神科など対応可能な病院、社会的資源になるかと思いますが、これはどのぐらいあるものでしょうか。

○織戸参事 小児精神科は、医療法に基づく標榜診療科目でないため、正確な数字としての把握はできておりませんけれども、精神科、神経科医療機関名簿、これは平成十四年三月末でございますけれども、これによりますと、都内百三十六医療機関において、児童、思春期における精神疾患の診療を行っているとされてございます。
 百三十六医療機関の所在地でございますけれども、特別区が九十三医療機関、多摩地区が四十三医療機関となってございます。
 また、専門病床を有する医療機関でございますが、公立学校共済組合関東中央病院と都立梅ケ丘病院の二病院でございます。

○大河原委員 数を聞いて、多少驚くわけで、このようにはインターネットでは探せません。何らかの形でこういうところに東京都のホームページからリンクさせていく、あるいはこういった情報が渡るような広報は、必要になってくるんじゃないかとも思います。
 しかし、専門病床となりますと、本当に数が少なくて、この関東中央病院は、これも世田谷区にありますけれども、これは主に先生のリハビリというんでしょうか、そちら方面のことで、もちろん思春期の子ども向けのこうした診療もありますけれども、余り同じ病院で鉢合わせしない方がいいような気もしまして、ちょっと複雑な思いがございます。
 特に、都立の梅ケ丘病院は二百四十二床ということで、これはもう断トツ、専門的な医療機関ということで、その存在の大きさがわかるところです。都立病院の中でも、また全国的にも、梅ケ丘の特質というのは傑出しております。平成五年の実績でいえば、外来規模で一日平均百三十六人、入院規模で二百八人という、非常に代表的な存在なわけですけれども、都立病院の中でも、専門機能病院として、初期の発見から専門医療へと流れていく受診ルートの形成も含めて、こういったものも含めて構想されてきたと思うんです。
 今回の小児総合医療センター化で、見かけ上、小児精神科というのは、その一部分というふうになります。ニーズというのはふえ続けているということなんですけれども、実際、ちょっと病床数も若干減っておりますので、縮小というふうな思いが否めないんですけれど、この点はいかがでしょうか。

○織戸参事 精神科医療が、これまでの入院中心から、地域の中で生活しながらの治療に移行しつつあり、今後は可能な限り早期退院を目指した治療を行っていくこととなっていくと考えてございます。
 さらに、病院施設だけで対応するのではなく、教育機関や福祉施設等との連携を強化する中で運営していこうと考えてございます。
 この結果、小児総合医療センターでも、現在と同程度の規模での対応が可能でございまして、一般病床の活用も含めて、心から体に至る、総合的で高度専門的な医療を提供する病院として充実強化を図ってまいりたいと考えております。

○大河原委員 現在と同程度の規模で対応が可能ということなんですけれど、梅ケ丘病院の現在の状況、例えば、入院の待機者も多いと聞いていますし、また新たに新規の予約をとろうとすれば、外来診察の待ち日数、これもかなり多いというふうに聞いているんですけれど、実際どうなんでしょうか。

○織戸参事 現在、都立梅ケ丘病院への入院を予定されて、入院時期を調整中である患者さんの数は、九月三十日現在、三十三名でございます。
 それからまた、新来患者さんの外来診療予約時間の待ち時間でございますけれども、おおむね二カ月程度となってございます。
 なお、入院、外来とも、症状の悪化により至急対応が必要なケースにつきましては、随時、適切に対応を図っているところでございます。

○大河原委員 私が梅ケ丘病院をお訪ねしたときに伺ったときよりも、例えば、待ち日数なども、そのときはたしか一カ月半というふうなことだったんで、延びてきている。ニーズはますます高まっているんじゃないかというふうに思うわけなんですね。多少、先ほどのお答えをいただいた中では、不安が残ります。
 この機能を持っている病院が東京都内に一つというところでは、確かに世田谷からこの病院を利用していらっしゃる方というのは、地域の、また小さいお子さんを持つ方が多い、そういう傾向も見られる、そういうご説明もいただきました。
 そして、数的にも、二十三区の方が多いですし、多摩からいらっしゃる分と同じ分だけ、都外からも見えているということで、いかにこの種の信頼できる専門医療機関が少ないかということがあると思います。もちろん、それだけ期待が大きいということです。
 梅ケ丘での特徴というのは、医療と療育、それから教育、ここの連携なんですけれども、今後、小児総合医療センターにおいても、これらの連携がすべて保障できるんでしょうか。

○織戸参事 整備計画の基本方針にあるとおり、小児総合医療センターでは、他の医療機関や保健、福祉、教育機関等とも密接な連携を図りまして、相互のネットワークを構築していくこととしております。
 梅ケ丘病院では、これまでも、院内の治療活動にとどまらず、院外においても、地域の医療活動とのネットワークづくり、教員に対する講演や児童相談所との調整など、さまざまな活動を行っておりますが、小児総合医療センターに移転後も、これらの動きをさらに充実すべく取り組んでまいります。
 また、大塚に小児精神の外来が設置をされますので、外来については、これまで以上の充実が図れると考えてございます。

○大河原委員 東京都の特別支援教育推進計画でも、保健医療、福祉、労働、その他の分野との積極的な連携が必要というふうにいわれています。新たな連携体制の整備を行うというふうにされていて、これについては、連携協議会の設置が、こちらの方では構想されております。今お答えいただいたように、この連携をしっかりとつくっていくこと、そして、治療の最終目標というのは社会復帰であって、そのためのデイケアや作業療法、地域との関係性をつくっていくことの必要性がますます高まるわけです。
 先日、この場所をぐるりと回ってみましたけれども、大変大きなメディカル・キャンパスになるということで、一体この中ですべてのことが事足りてしまって、地域との関係はどんなふうになっていくんだろうかと、少し不安になっております。地域との連携と関係性をつくるということは、この分野では大変重要なことなので、小児総合医療センター化で、この点がクリアできるのか、どのような地域連携を構想しているのか、その点についてはどうでしょうか。

○織戸参事 小児総合医療センターには、リハビリテーション部門も設置をいたしまして、心から体の両面の生活に不可欠な機能の早期回復を図っていくこととなってございます。
 また、キャンパス内施設はもとより、都内のさまざまな療育施設、福祉施設と密接な連携をとりながら、早期退院、早期社会復帰の実現を目指していくこととしてございます。

○大河原委員 物理的なことばかりではなくて、梅ケ丘には、長年培ってきた地域との関係性がありますから、病院の中から外に買い物に出たり、あるいは、場合によってはアルバイトもしているというようなことが、社会復帰なり、その方の生活の質を高めるというんでしょうか、そういったものにも寄与している部分なんですね。
 ですから、この大型のメディカル・キャンパス、そしてその中での小児総合医療センター、ここでの連携というのは、かなり難しいものがあるというふうに私は感じております。
 小児精神医療というのは、多くの専門的なスタッフを擁し、現行制度のもとでは、十分な収入の確保というのは難しいわけですから、典型的な不採算部門だと思います。民間にこうした役割を期待するのは、同時に難しいといえるのではないかと思うんですが、都立病院の改革、このプランの中で、小児精神医療は、新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療とされ、時代に応じた新たな医療課題に対して、一般医療機関の医療提供体制が確立するまでの間対応する医療というふうに書かれております。
 医療提供体制の確立というふうに目標を掲げているわけなんですけれども、これはどのような見通しでここに掲げられているんでしょうか。

○織戸参事 平成十四年度の診療報酬改定で、小児精神に関する診療報酬が改定されまして、社会的にも小児精神医療の必要性が認知されつつあり、将来的には、小児精神医療の提供体制が進展されていくものと期待してございます。
 また、こうした今後の進展を支援していくため、小児総合医療センターでは、教育関係者等を対象に、梅ケ丘小児病院で従前から行っております梅ケ丘セミナーの実施はもとより、専門スタッフの教育、研修、技術的支援等にも積極的に取り組んでいくことにより医療提供体制の充実が図れるものと考えてございます。

○大河原委員 この専門スタッフの教育とか研修、この部分、非常に重要だと思うんですね。この改革でも、開所が平成二十一年末にずれ込むということが報告されておりますけれども、例えば、この間、梅ケ丘はこれまでどおりこの機能を発揮する、それが責任だと思いますし、その後、この機能は小児総合医療センターでも引き続き確保していくというご答弁だと思うんですが、それでよろしいんでしょうか。
 先ほど伺いました地域資源の中には、数々の医療機関、挙げられておりましたけれども、こうしたところの連携も含めて、そのように機能を保持するというお答えと理解してよろしいですか。

○織戸参事 小児総合医療センターができるまでにつきましては、各小児病院で持っております機能等につきましては、従前どおり行っていくことになってございます。

○大河原委員 この総合医療センターの建設、送電線の移設に関連して、二年おくれるというふうに報告されております。資料として、どの場所に送電線が通っているのか、図を出していただいたんですが、なかなか日本では、この送電線のラインを地図上に落としてもらうというのは、電力会社もなかなか情報を出してくれないというふうに聞きましたけれども、実際に私もこの場所に行ってみて、これは送電線只見線という二十七万五千ボルトという、大変すごい高圧線で、この周辺には国分寺線、これは東電が管理している線ですが、そういった電線もある地域でした。この送電線、二十七万五千ボルトということで、低周波電磁波の影響を私は懸念しております。
 と申しますのも、二〇〇一年六月に、WHOの下部機関である国際がん研究機関、IARCが、五十ないし六十ヘルツの超低周波電磁波を、人体の発がんの可能性があるかもしれないという発がんランクの二Bというのに位置づけました。以前はダイオキシンもこの二Bに位置しておりましたので、可能性があるかもしれないというのは、そんなに安心できるものではないんじゃないかという感触を私は持っております。
 そして、一九七九年以降、アメリカやスウェーデンなどでは、さまざまな調査が行われておりまして、特に九つの疫学調査からは、四ミリガウスを境に、小児白血病の発症が二倍にふえる、こういうふうに結論づけられ、こうした二Bという位置づけもできたというふうに聞いております。小児医療センターである以上、普通以上の配慮が必要だと思うわけなんですが、未然防止、予防原則で送電線の移設が計画されるべきだというふうに思います。
 この送電線は以前からあるものなので、例えば、この下での電磁波の影響など、測定をなさっているのかどうか。なさっていれば、その数値も教えていただきたいです。

○織戸参事 送電線の調査でございますけれども、平成十六年二月に、送電線を所管してございます株式会社電源開発が、我々都職員の立ち会いのもと、現地の送電線下部での電磁界の調査研究を実施してございます。その調査結果では、送電線下部での地表での電磁界の影響度でございますが、最大値でも電気カーペットの十分の一以下の弱さ、電気毛布の五分の一の弱さ、テレビと同程度の弱さとなってございまして、身近な通常生活環境と比較しても、十分に小さい値であり、心配ないと考えてございます。

○大河原委員 この実測した数値というのは、伺いましたら〇・〇一ガウス、一ガウスが一〇〇〇ミリガウスですので、一〇ミリガウスということになります。アメリカですとか、あるいはスウェーデンなどの疫学調査の二・五倍ということなので、私は、そんなに安心できる数字だというふうには思えないんです。
 そして、はかったのも、都庁の職員の方が立ち会ってはいるけれども、電源開発という電力関連の、安全性は、とうの昔から安全性をいうことのみしてきている方たちの実測値なので、またこの点については、もう少し詳細な調査が必要じゃないかというふうに思っています。第三者機関を通じて行うなり、あるいは東京都が独自に実態調査をするというのは、とても簡単なことなんですね。
 しかも、その実測値というのも、どのぐらいのポイントあるいはどのぐらいの時間帯で割り振ってとったかということも問題になります。送電線の送られている電流の量にもよるわけですし、その点では、この実測値を──今、家電の数値と比べられたんですけれども、基本的に家庭電気製品というのは、使う、使わないという選択があります。それから、被曝というふうにいうわけですけれど、電磁波被曝の被曝量というのは、その強さと、それを浴びている時間、それの掛け算で見なきゃいけないわけなんですね。
 ですから、今、電気カーペットの十分の一の弱さというふうにおっしゃったんですが、それは十分の一の強さともいえるものですし、そういった意味で、日本全体の電磁波の研究がおくれているということも含めて、私は、ここに小さい子どもたちが集まってくる施設を建てようというわけですから、これはもう一つ工夫が必要だというふうに思います。
 特に、幼い子どもたちが電磁波に被曝した場合には、中枢神経系とか免疫系、その他の器官が形成される時期に相当するわけですし、後々深刻な健康影響が生じる可能性がある。こういったことも、外国の研究で既に明らかになってきている部分があるわけですね。この点については、やはり今の大人よりも、これから育っていく子どもの方が、被曝量は当然大きくなるわけですから、特に小児病院の先生方の中にも、この研究について、日本でも、もちろんこの疫学調査を、去年、最終発表がされまして、この結果についても私は少々──外国と同じ結果が出ましたけれども、最終の評価で、その研究に対する評価が余りにも低いものが、文科省のホームページに載っております、何らかの圧力があったんじゃないかと思いたくなるような書き方でございますので、例えば、化学物質のガイドラインを特につくっている東京都としては、こうしたところは未然防止という考え方、予防原則という考え方を、さらに発揮しなきゃいけないんじゃないかと思います。
 電源開発に任せないで、東京都独自の調査などなさったらいかがかと思うんですけれど、この点はお答えになれますか。

○織戸参事 一九七九年以降のアメリカやスウェーデンなどで行われた九つの疫学調査では、生活環境での電磁界による健康影響への有無に関する確実な証拠が発見されていないと聞いてございます。
 いずれにいたしましても、現在の都の計画では、送電線の位置を変更いたしまして、病院の建物をできるだけ離すことや、それから小児総合医療センターを敷地の西側に配置すること等、それらの施設整備などに十分配慮をしてまいります。

○大河原委員 WHOは、環境健康クライテリアというんでしょうか、そういったものも発表しておりまして、最近のものを見ますと、医療健康分野の全般にわたって、そのクライテリアを出しているわけですけれども、電磁波関連のものが三つもあるんですね。携帯電話などの高周波、こういったものについては、例えば、男性が携帯を電源入れたままポッケに入れておくというと男性機能が落ちるというようなことも、かなり実験で実証されているということもありますし、この送電線の下の影響というのも、私たちはもう既にアメリカなどで、例えばカリフォルニアなどでは、学校へどのぐらい離して、学校まではどのぐらいの距離を置かなきゃいけないというようなことが、もう既に規制として、法律で規制が決まってきているわけなんです。
 だから私たちは、この医療機関である小児総合医療センター、ここの設計には十分な配慮が必要ですし、もともとここに送電線があったということを考えれば、私は、ここの場所にわざわざ何で建てるのというふうな思いまで持つわけなんです。これは、私の一方的な考え方かもしれませんけれども、これは後日、事務事業のときにでも、電磁波問題は追ってやらせていただくといたしますけれども、ぜひとも設計上の配慮は当然です。
 そして、この中心線は、送電線の位置を移設で変えるわけですけれど、現在の病院がある場所の方へ寄らせるわけですよね。ですから、この場所の周辺の実態、これは必ず調査を行い、公表していただきたいというふうに思います。
 それで、残念ながら、これまで都立病院、小児病院では、患者の権利の章典というのは、大人用にはつくられているんですが、小児病院では、同じものが無造作に掲げられているだけです。ホームページを見てもそうです。小児病院でも患者中心医療を貫く、先ほども子ども中心、また子どもの家族、そのためにも十分な配慮を持った医療を行うというふうに宣言されておりますので、子どもとその家族のために、わかりやすい権利の章典を掲げるべきだというふうに思いますけれども、既に国立成育医療センターなどでは実践しているのを見ております。どのようなつくり方をなさるのかも注目をしたいところですが、この点について、ご見解はいかがでしょうか。

○織戸参事 都立病院の患者権利章典でございますけれども、これは、患者中心の医療を築き上げていくための倫理的な規範として、平成十三年七月に制定したものでございます。その対象は、子ども、大人の別は問わず、都立病院に受診されるすべての患者とそのご家族でございます。都立病院では、単に院内に掲げるだけではなく、患者の権利に対する意識向上を図るための職員研修をも実施するなど、患者中心の医療の提供に努めているところでございます。
 なお、委員ご指摘の、子どもとその家族に特有の権利を反映させた権利章典についての必要性は、これまでも認識してございまして、現在検討中でございます。

○大河原委員 既に小児病院に入院しているお子さんたち、またそのご家族の方がおられるわけですから、その権利の章典づくりには、ぜひその方たちの意見が反映されるよう、直接的な参加があってもいいかもしれません、ぜひ工夫をしていただきたいというふうに思います。
 質問を終わります。

○田代委員 今回のこの整備計画というのは、現在の府中病院を多摩の広域基幹病院として、また清瀬、八王子、梅ケ丘の病院の移転統合を行って、小児のいわゆる総合医療センターとして再編整備して、相互に連携して医療を提供していくということなんですが、この中で、特色の一つに、これは特色にならなくちゃならないんですが、実際になるか、ならないかは今からなんですが、患者さんと家族の利便性を図るために、家族のいわゆる宿泊施設、あるいは小児医療情報センターの整備というのがあるわけです。
 こうした整備というのは、当然どこの国でも、日本だけではなくて、どこでもやらなくちゃならない一番大切なことの一つなんですが、なかなか私立の病院あるいは自治体病院なんかで、小さなところは、ここまで手が回らないということがあります。患者さんの声、あるいは家族の声が、特に小児領域の病気については、なかなか、親御さんが若いということもありまして、病院とのコンタクト──これはもっと翻ってみると、教育現場の問題ではあるんですが、それはここへおいておいて、医療機関の対応のまずさもあって、満足したいろいろな情報が得られないこともあるんで、それを直していくためには、やはり都立病院が手本となって、率先して実施していくことが非常に重要なことだと思うんですね。
 この家族の宿泊施設の整備例としては、一番身近なのは小児総合医療センターの先輩格に当たる世田谷区にある国立成育医療センターで、十八室が整備されているわけですけれども、これは成育医療センターの建設の際に、アメリカの小児病院にあるような、家族の人たちが宿泊──長期のいわゆる疾病を持っているお子さん方が、お父さんやお母さんたちから離れて、あるいはご家族と離れて入院治療を受けるということに対するリスクを少しでも軽減しようということで、何でそういうものが今まで日本になかったのか。
 これはいろんな理由もあるんですけれどね。アメリカと日本の地域の実際的な大きさもあるし、家族構成というものもあって、それから病院というものが、もともとアメリカあるいはヨーロッパのように教会から発生したものと、日本のように私立の小さな診療所から発生したものという、大きなもともとの差があるからなんですけれど、最近は、日本にないのは大変不便であるということで、新しい日本の医療文化をつくるという観点に立って、民間企業の協力を募って整備されたもので、ここには企業の名前を冠して施設としているわけです。
 アメリカでは、かなり前から社会への貢献として、さまざまな企業が、病気と闘う子どもたちとともに家族への支援活動として、家族の宿泊施設の整備を行っているわけですけれど、世田谷区にあります成育医療センターの開設セレモニーにも、僕、一緒に出させてもらったんですけれども、あのときには、たしか小錦さんが、お相撲さんをやめて間もなくだったと思いますけれど、来て、マクドナルドがお金を出すということで、そんなに大々的じゃないんですけれども、ささやかですけれど、しっかりと開所式をやって、中を全部見せていただいた。
 マクドナルドは、ご存じのとおりにドナルド・マクドナルドハウスチャリティーという財団で、アメリカでも、しっかりとこういうものをかなり長い歴史を持ちながらやっているわけですけれども、僕は見たときに非常に感心したのは、やはりボランティアというものを使っていく制度が定着している。実際問題、一泊千円という値段で運営していくためには、あるいは当然そこにはお父さん、お母さんが仕事から帰ってきて、子どもたちの顔を見て、また遠く田舎に帰るわけにいかないというときに、そこで生活していくわけですから、普通のホテルと同じ値段を出すということは、これはできないわけですから、それを費用の面である程度補助していくのは、ボランティアの、あるいは今までのそういうお世話になった人たちのボランティアだけではなくて、世田谷区、地元の人たちのグループがボランティアをしてやっているわけですけれども、こういう協力がある。
 そして、病院の医療スタッフが必ずアドバイザーとして入ってくる。それから、このマクドナルドの、ドナルド・マクドナルドハウスの場合には、地元のマクドナルドの会社が、それに支援をしていく。こういう形ができているわけですけれども、日本でも当然こういう形のもの、企業が何でもかんでも入ればいいというのは、ちょっと危険なところはあるんですけれど、今いったような、ある程度病院とのきちっとした交流があって、経済的なことは企業がしっかりと支え、そして地元の人たちがその活動意義を理解して、ボランティア活動として参加していく。こういう動きというのは、民間企業の成熟した取り組みとして、社会貢献として、大変期待されるわけですけれども、東京都は、この家族宿泊施設をどのような考え方に基づいて整備するのか、伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 子を思う親の気持ち、あるいは親を慕う子どもの気持ちというのは、病気になれば、なおさら強くなるというふうに考えております。そうしたご家族であるとか子どもさんに安心と安らぎを与える施設として、家族宿泊施設を整備することといたしました。
 患者さんのご家族に宿泊という利便を提供することを通じまして、病気に立ち向かう子どもさんたちの気持ちを励まし、あるいは、いやされる環境を提供するということによりまして、患者さんと家族のきずなをより深くすることはもとより、ひいては患者さんのケアに生かしていきたいというふうに考えております。

○田代委員 この家族とのきずな、子どもとのケアに生かしていくということは、当然大切である。これはもう皆さん、よくおわかりになると思うんですけれども、やはり子どもさんが病気になったときに、親御さんと長いこと離れているということは、当然治療にしてマイナスである。これはもう、だれでもわかることだと思うんですけれども、直ちにアメリカのような水準──アメリカはもうそれこそ、いろんな団体を入れますと三百を超えるぐらいこういう施設がある。もっと小さいものを入れると、もっと多くなるわけです。それから民間でボランティアで、病院のそばで個人的にそういうものをやっているという人たちもいるわけで、これはもう企業だ何だじゃなくて、個人的なものですけれども、そういう水準に達するのはなかなか難しいと思うんですけれども、やはりつくるとなれば、日本にも幾つかあって、仙台にあるマクドナルドハウスのその財団がやっているやつですとか、あるいは江東区にあるものですとか、このアフラックのやっているものですね、そういう幾つかの、大体利用料としては一泊千円から、多くて二千円ぐらい、それできちっと運営していけるような形で、しかも中身がよくなくちゃいかぬわけですから、量も大切ですけれど、やはり質も、海外に遜色のない形にしていかなくちゃいけない。
 そうすると、そういうものを現実のものにしていくためには、ただつくればいいというわけではなくて、今まで利用した人たちの意見もちゃんと聞いていただきたい。日本は日本で、独特の何か文化の違いがあって、アメリカ方式を入れれば、あるいはヨーロッパ方式を入れればすべていいというわけではないわけですから、まず、その聞き取りをさせていただく。
 それから、インターネットを使えば簡単なことなんで、アメリカで、こういうものに対しての苦情などは全部出ているわけですから、ヨーロッパでも出ているわけですから、そういうところで問題点になっているのは何であるかということは、やっぱり東京都はきちっとリサーチすべきであると思うんですね。そのリサーチをしっかりした上で、独自の、やはり東京というまちに合った形のものをつくっていただくことを進めていきたいと思います。
 次に、小児医療情報センターについて伺いますけれども、この医療情報センターの整備としては、昨年の六月に東京女子医大が、からだ情報館、また十月には国立病院大阪医療センターにおいて患者情報室をオープンしておりまして、全国に今、約二十を超える病院が、情報センターや患者図書館などをオープンさせています。一番アクセスが多いのは、前に申し上げたとおりに、築地のがんセンターなどでは一日に五万以上のアクセスがあるという。
 いろいろな情報が、今こうやって交錯している中で、その一番大きな快挙というのは、正しいインフォームド・コンセント、いわゆる医者が自分の権利を守るためにアメリカ式の、もう患者さんには伝えたんだから、もう十分こちらは、やるべきことをなしたんだから、後でどういうことがあっても患者さんから文句をいわれないという形の、アメリカ式のインフォームド・コンセントではなくて、十分な説明のもとにおける十分な理解という、そのインフォームド・コンセントになるような時代が、今から日本にとって必要であるということで、患者さんが治療法の選択に積極的にかかわるという風潮、当然これは正しい流れですけれども、そういうことだった意識の変化があるんだと思うんですね。
 このインフォームド・コンセントをしっかり進めていくために、都が考えている小児の医療情報センターの目的というのはどういうものであるのかをお伺いしたいと思います。

○奥田経営企画部長 多くの患者さんやご家族には、病気のことをもっと知りたいという強い願望があろうかと存じます。
 小児医療情報センターでは、そうした患者さんやご家族が病気と向かい合う際に、例えば、検査、治療方法などの情報が容易に得られる場として、あるいは患者さんやそのご家族同士が交流するための場として提供して、具体的には、図書あるいは雑誌の閲覧、インターネットによる検索、ボランティアからの協力、こういったものが得られるようなセンターとして整備をしていきたいというふうに考えております。

○田代委員 小児総合医療センターでは、やはりその家族同士が、いろんな情報も、正しい情報が交換できて、しかも利用するのにハンディキャップがないように、当然、大変暗い立場にあるわけですから、精神的にプレッシャーがかかっている中でも、明るくて親しみやすい空間づくりをしていきませんと、なかなか利用者というのはふえていかないと思うんですね。
 そして、その中で一番大切なことは、正確な、そして的確な情報を受け取っていく。ただ、代替医療が悪いというわけじゃないんですけれども、今一般的にされている医療に比べて、代替医療というものが対岸にあるわけで、最初から一般的に行われる、あるいは行われるべき医療以外のものが提供されても、これは混乱しちゃうだけですから、やはり医師あるいは看護師などが、きちっとした情報に基づいて、その情報を精査して、患者さん方に伝えていく。
 しかし、そのときに、勝手に医者や、あるいは看護師さん、医療サイドが、それを意味もなく──意味もなくというか、勝手に自分たちで情報を操作というか、その中から選択をしていくべきではなくて、ありとあらゆる情報、正しいと思われる情報について、あるいは正しいであろうと思われるパーセンテージを付加してもいいですから、すべてを患者さん方に、しかしわかりやすいように提供していく、これがなくちゃいけないんだと思うんですね。
 これだけいろんなインターネットとか本ですとか、情報がふえてしまうと、逆に民間療法で、かなり怪しげなものまで出てきちゃうと、その精査が非常に難しくなる。それについては、やはり大変でしょうけれど、都というものが責任を持って管理、編集をしていくようなこともある程度やっていかなくちゃならない。しかし、その中で情報を狭めることがないようにしていただきたい。
 先ほど、宿泊施設のことも話しましたけれど、何でもかんでもお父さんやお母さんがいればいいというのではなくて、この情報というものがまず一番的確に必要であって、親御さんと、患者さんであるお子さんが理解できるような情報がまずあるということがないと、施設が幾らあって、二十四時間お父さんやお母さんの顔が見えたから、では病気がよくなるか、そんなことは全くないわけですね。極端なことをいえば、月に一回の手紙のやりとりであっても、まともな手紙であれば、子どもはお父さん、お母さんの気持ちがわかるし、子どもの気持ちもお父さん、お母さん方がわかる。二十四時間いるからいいんじゃなくて、いる、このもとになることは、情報が正しく両方に伝わっていくということが非常に重要だと思うんです。
 ですから、都としても、この将来の医療環境の変化を十分視野に入れて、専門性の高い、しかも的確性の高い医療情報を提供する職員をしっかりと配置し、またその配置するために養成しなくちゃなりませんから──それから医療情報の集め方の制度もある。入れていただいて、どこの病院でどういうことをしている、どこの病院でどうしているというのは、なかなか一元的に患者さんに届かないんですね。皆さん方、理事者の方もおわかりのとおり、自分が病気になったときに、どこにどうしていいのかって、やっぱり一番それがわからないんですよ。どこの医者がいいか、どこが悪いかって、こんな単純なことがわからない。
 そういうことがはっきりわかるようにしていく。そういうことをしっかり進めながら、ちょっと別になりますけれども、小児の医療体制というのは、もともとあった医療資源ですから、梅ケ丘の医療資源もむだにしないで、それぞれ、もともとあったところもむだにしないような医療資源として再活用することをしっかり進めてネットワークをつくっていくことを強く要望して、質問を終わります。

○柿沢委員 三年間、厚生委員会をやらせていただきましたが、実は、これが私の最後の質問に、今期はなる予定でございまして、なるべく十七期においても厚生委員会で質問ができるように、頑張ってまいりたいと思います。
 きょうは、多摩広域基幹病院と小児総合医療センターに関するPFIについて、幾つかお伺いしたいと思います。
 このPFI事業は、まさに、先ほど東村委員の質疑にも出てきましたけれど、病院のPFIにおける一つの先例をつくることになるものとして注目を集めておりますし、また私自身も、どういう形で、公立の病院でPFI事業を成功させ、軌道に乗せることができるのかという意味で、大変注目もし、期待をいたしているところでございます。
 多少、重複になるかもしれませんが、まず最初に、そもそもこの病院をPFIで事業を行おうということに方針として打ち出されたのはなぜなのかということを伺いたいと思います。

○織戸参事 PFIの検討についてでございますけれども、これは、公共サービスの提供に際しまして、民間事業者に行わせることがサービス水準の向上等に資すると考えられる事業については、できる限りPFI手法を活用すべきという国の方針を踏まえまして、都立病院改革マスタープランにおきまして、今後の都立病院の建設に当たっては、PFIについて十分検討した上で導入を図るとしたものでございます。
 このため、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターについても、内部の整備、運営手法の検討を行うことといたしまして、平成十四年度に、都が直営で病院を経営する条件のもとで、PFI手法の導入可能性調査を実施したところでございます。一定の事業規模のもとでのバリュー・フォー・マネーが達成され、これには財政支出の削減効果が見込まれるとともに、患者さんのサービスの向上や、民間事業者の参加意欲も見込まれた、こういう結果を踏まえまして、PFI事業を、手続を進めることといたしました。

○柿沢委員 今お話の中に、サービス水準の向上に資すると判断したものについてPFIを検討するというようなお話であるとか、皆さんの調査の結果、財政支出の削減にも効果が見込めるというようなことが見通しとして明らかになったので、PFIの手続を進めることにしたというようなお話があったかと思います。
 実際に、PFIというキーワードを耳にして、まず普通の一般の都民の方、あるいは私たちも含めて念頭に起きるのは、確かにサービス総体の向上ということもあるんでしょうけれども、事業の効率化であるとか、あるいは民間の経営手法、ノウハウというものを公の部分に生かしていく。そうしたことがPFIの導入によって図られるという、一つの効果が望めるということが、一つPFIという言葉を聞くとイメージできるわけでありますけれども、実際に、ここもちょっと多少重なりますが、PFI事業になると、民間の特別目的会社、SPCというのをつくって、事業を担っていただくわけですけれども、民間会社が、SPCが担うのはどこの部分に当たるのか、確認のために一応お聞きします。

○織戸参事 SPCが担う部分でございますけれども、都が直接実施する医療業務や看護業務以外の部分、具体的には、清掃、警備などの建物維持管理業務、滅菌消毒業務、洗濯業務、薬剤や医療機器の購入などの物品調達の事務、それから物品管理業務、医事事務など、いわゆる医療の周辺業務をこのSPCで担っていただくことを考えてございます。

○柿沢委員 今のお話にもありましたし、これまでの質疑にもありましたけれど、診療行為そのものは都が担うということになるわけですね。ということは、ある意味ではコアという、そのコア業務というものは、都が直営で、ある意味では公務員を使ってというか、やり続けるわけですから、医療機関としての収支等々については、改善をする効果というのは、一つ限定的になるのかなという感じもします。
 医療サービスの提供に直接かかわる医師や看護師などは公務員のままですので、病院で金を稼げる部門というのは、ここしかないわけですから、医業収益を上げるとか、あるいは医療にかかわるコストを下げるということが病院経営の効率化の最大のポイントになるとすれば、そこが公営というか、のままで、このPFIの導入がどれだけ効率的な経営につながるのかというのは、一つ難しい点もあるのかなと私は感じるんですね。
 特に、病院のPFIというのは、先ほどからおっしゃっているとおり、コア業務は官が担って、その周辺のサービスの提供を民間の特別目的会社、SPCが担うということで、一つの病院の中で、オペレーションの中に、官と民が混在をする形になるわけですので、ここの点、どのように一つの目的を目指して調整を図っていくのか、そしてPFIの本来の事業目的というのを達成していくのか、なかなか難しい点があるんではないかというふうに思います。
 現に私も、高知医療センター、また近江八幡市民病院で、東京都に先行してPFIの事業を手がけておられるその事業者というか、実際に特別目的会社を担う一翼を担っている関係者の方と、少し意見交換をさせていただく機会がありましたけれども、その点、官と民が混在して行う事業であるということの難しさを語っておられました。まだ具体的なオペレーションに入っていませんので、結果が出ている段階ではありませんので、余り成功するとか失敗するとかいうことはいえませんけれども、実際に官と民が混在して物事をやるということが非常に難しいという具体的な点を、ちょっと二つぐらい申し上げたいと思います。
 例えば、今、SPCが担う業務の部分として、薬剤や医療機器の購入などの物品調達事務という部分が出てまいりました。実際に、こうした医療機器を、どんなものを選定をする、薬剤についていえば、どんなものを選定をして、購入をしていくのか、こうしたことは、病院の経営効率を高めるという上では、非常に重要な部分なんだろうというふうに思います。
 私もこの質疑では、再三申し上げてまいりましたけれども、例えば、後発医薬品の使用の促進というようなことをやっていく上で、仮にSPCの側、民間目的会社の側が、後発医薬品をどんどん使いましょうとか、あるいは、こういう医療機器が同じ性能でもっと安く調達できるから、これを使いましょうといったときに、実際に医療を行う医師の方々が、ではそれでいこうということになってくれるのかどうかということは、なかなか難しい点もあるんじゃないか。
 特に、やっぱりそのことをいう民間会社の側は、医療を実際に行う医療の専門家ではないわけですから、こういうことをやったらどうかという、その民間会社側からの提案というものが、本当に病院の方針として決定ができるのかどうか、非常にこの点、今、例えば高知の医療センター、近江八幡の市民病院でも、病院というか、医師の側と民間会社の側の力関係というのが、非常に難しいということをいわれております。
 例えば、今申し上げたような薬剤の購入であるとか、新しい医療機器の導入など、調達業務に関して、民間会社、SPCの側と医師の側、どちらがイニシアチブを持つのか、どちらが最終的な決定権を持つのか、この点はいかがなんでしょうか。

○織戸参事 今回のPFIでは、医療を提供する都と、それから医療周辺業務を提供するPFI事業者が、明確な役割分担のもと、いわゆるパートナーシップを発揮をいたしまして、協力して、効率的で効果的な病院運営を行い、よりよい病院にしていこうということをねらいとしております。
 そこで、病院経営に関しましては、設置者である都が最終的な決定権を持ちますが、一定範囲の薬剤や医療機器の購入などの調達業務に関しましては、民間の創意工夫を積極的に活用いたしまして、効率的な、経済的な購入を実現してまいりたいと考えております。

○柿沢委員 今、ご答弁がありました。パートナーシップを発揮して、協力して効率的な病院運営を行う、民間の創意工夫を積極的に活用して、効率的、経済的な購入を実現していくという話ですけれども、言葉でこれをいうのは非常に簡単なんだとは思うんですけれども、実際問題として、経験則でも、また一般的にもいわれていますけれども、この病院という世界は、本当に医師がある種の絶対的な力を持っている世界だというふうに思うんですね、現在では。
 先ほども申し上げましたけれども、実際に医療にかかわる皆さんは、必要性もあって公のセクターのままなわけですから、こういうことをやりましょうといった提案をしたときに、あんた医者でもないのに何でそんなことをいえるんだということを仮にいわれてしまった場合に、本当にそれに対して民間の創意工夫なり、今言葉で織戸参事がおっしゃられたようなことが実現できるのかどうかというのは、本当に難しいところだと思うんです。
 この間、お話を伺った、今まさにPFI事業を高知や近江でやられている方々の関係者のお話の中で出てきたのは、今までは、医療をやっている人たちも、事務をやっている人たちも、公務員ということでいえば、公対公の力関係だったら、ある意味では、対等に話ができた部分もあったと。今度は、医療は公、そしてオペレーションは民ということになると、公対民ですから、かえってその医療部門、コア部門に対する発言力というのは、民間会社が担うことで、かえって弱まる部分もあるんじゃないか、そんな心配すらされておられたような状況でした。
 その点、もう一度繰り返しますけれども、病院は、本当に日本の病院は特に、医師が絶対的ともいえる発言権を持っている世界ですので、そういう意味では、このPFI事業の最初のご答弁になったような目的を達成するためには、民間の特別目的会社がオペレーションの部分について担っていく、また薬剤や医療機器の購入について、調達について、創意工夫を発揮をしてやっていく、そうした権限を、民間の特別目的会社、SPCが持っているんだということを、何らかの形に明記をして、ある意味では、医師の側は、いうことを聞かなきゃいけないというところまで明記できるかどうか、わからないですけれども、そのぐらいの強い発言権を保障してあげる必要があるんじゃないかと思うんです。そうでないと、PFIを導入をしました、病院の実態としては余りかわりばえがしませんでしたということになって、PFIということだけ、形だけやりましたよ、効率化したかしないかは、ちょっとは効率化しましたぐらいの話に終わってしまうんじゃないかなというふうに、ちょっと心配をしているところなんです。
 その意味でお伺いいたしますけれども、民間のSPCの側が、経営効率化などの観点から、医師たちに対してきちっと物をいえる、発言力を発揮できる環境をつくらないと、PFIの導入、意味がなくなってしまうと思うんですけれども、これをどのように確保していくのか、伺います。

○織戸参事 今回の病院のPFI事業についてでございますけれども、柿沢委員ご指摘のとおり、官と民が協力していく、それによって効率的、効果的に病院運営をしていこうという初めてのものでございます。
 このため、病院の各種会議などに、具体的には民間会社の代表者が出席するなど、PFI事業者が担う業務について、ご指摘のことも含めまして、今後、責任を持って臨める仕組みを検討してまいるつもりでございます。

○柿沢委員 この点は、非常に抽象的なことのようでいて、非常に大事な部分なんじゃないかと思うんです。皆さんがこの多摩広域基幹病院、そして小児総合医療センターについて、PFIを導入をして取り組もうという、本当にその目的が達成できるのかどうかということにかかわってくる部分だろうというふうに思いますので、今までも十分に念頭におありだと思いますけれども、まさに病院PFIの大きなものとしては一つの先例をつくるものですので、ぜひ今後もご留意をされて、新しい公立病院の経営のあり方というものを皆さんのお力で切り開いていただきますように、心からご期待を申し上げまして、質問を終わります。

○かち委員 最後です。もうしばらく、よろしくお願いします。
 質問に入る前に、今のご議論を聞いていて、私は別の心配がやっぱりありますね。PFIによって、民と官が共同でやらなければいけないということですけれども、むしろ効率性、収益性を優先するという状況の中で、公として本来守らなければならない、その専門性の分野まで民の力で入って、侵食されてしまうというようなことは、決してあってはならないと思いますので、その辺は十分検討していただきたいと思います。
 それで、豊島病院の区移管に関する基本的方向についての、中間のまとめについてお聞きしますけれども、先ほども質疑がありました。マスタープランは、平成十六年に豊島病院と板橋老人医療センターを統合民営化という方針が出されたわけですね。それが出されたので、板橋区から、板橋老人医療センターと豊島病院を切り離して、豊島については区が引き受けて、地域医療として継続させたいと。それで老人医療センターは、モデル実践的な大きな役割を果たしてきているのだから、都として継続してほしいという要請があったというふうに思うんですね。
 なぜ板橋区がこのような申し入れをしてきたのかということを、私なりに推測をしてみますと、同じ敷地の中に、片や豊島病院という、できたばかりの新しい四百数十床の大きな病院がある。もう一つは、築三十年を超えた老朽化した板橋老人医療センターがある。このマスタープランの発想そのものが、財政的な視点から発想されているということもありまして、民に直接移管するということであれば、民としての魅力がなければ、だれもそれを引き受けようというふうにはならないわけですよね。そういう意味では、板橋区というのは大変医療機関が多いという地域性から、地域医療部分はできるだけ縮小しても、その板橋老人医療センターを新しい病院の中で展開する、二つの病棟が閉鎖をしているというわけですから、そこも使いながら一定の増築をして、一つの病院として、民間として送り出してあげたいというのが都の考え方だったというふうに思うんです。
 そういうふうにしたら、これまで都立病院として豊島病院が果たしてきた行政的な医療、また広域的な医療、そういうものとともに地域医療を提供してきたわけですけれども、その辺が、本当に失われてしまいかねない。それならば、区として何とかその地域医療の部分を受け持とうではないかというふうに考えるというのも自然かなと、理解できるところもあるわけです。
 板橋として、では何もしてこなかったのかといえば、そうではないわけですね。十三年にマスタープランが発表されて、板橋としては、十四年九月に、板橋区が目指す基本的方向という中間のまとめも出しました。そして、調査会社に、区立病院可能性調査ということで、ここで区立病院としての可能性があるかどうかという調査もさせているわけですね。こういう報告書も出されました。それに基づいて、昨年の十一月に、正式に都に要請があって、ことしの三月二十九日、正式な協議会が発足したわけですけれども、実質、四月からですから、半年余りというところだというふうに思うんですね。そして、今回、中間のまとめが出ましたけれども、年内に結論を出して、平成十八年に移管という、こういう強行スケジュールというふうになっているわけです。
 板橋区としては、区の中でも、病院検討委員会というのをつくりまして、本年六月に立ち上げて、九月に中間の報告も出しています。この間、いろいろ私も議事録等々読ませていただきましたけれども、区の委員会等でも、相当な議論を重ねてきているわけです。この間の議事録では、行政側と議会が一丸となってこの区移管を推進しているというふうには、とても思えない状況があります。
 先ほどもありましたけれども、一番大きな問題は、やっぱり財政問題、土地、建物、企業債の処理をどうするかという問題ですよね。残債務だけでも約三百億円、この処理をどうするのか。また、区で地域医療を引き受けるということであれば、運営費補助もしてもらわなければ困るとか、行政的医療をやるならば、それなりの支援もしてもらわなければ困る、こういう意見が続出をしていたわけですけれども、マスタープランでは、現在の豊島病院の施設及び建設に要した借入金の残債務については、地域病院化する他の病院、都立病院と同様に扱うとしておりますけれども、今後都としては、この豊島病院移管について、どのようなスタンスで臨むのでしょうか。

○織戸参事 豊島病院を板橋区に移管することによりまして病院施設の所有権が区に移った場合の企業債の取り扱いでございますけれども、これは現在検討しているところでございまして、今後、都区間でさらに協議を進めたいと思っております。

○かち委員 中間のまとめを見ても、それほど多く検討委員会をやっているとは思いませんけれども、二回にわたって資産取り扱いについてやっていますけれども、今のような状況ですよね。両者の歩み寄りというのは、ちょっと見えないような状況なんですけれども、このままベースとなるその問題の解決なしに合意が得られるのか。もし合意が得られなければ、この計画は振り出しに戻るということではないのでしょうか。

○織戸参事 現時点のお話でございますので、何ともいえないんですけれども、年内をめどに、合意に向けて精力的に検討を行っていくということでございます。

○かち委員 年内めどといっても、あと二カ月ちょっとですよね。その間に、本当に合意ができるかどうかというのは、大変疑問です。
 そして、この計画そのものが、当初の統合民営化ということから、片方を区移管ということになった場合に、残る板橋老人医療センターをどうするかという問題、一定の本会議でも出ましたけれども、それは単独で民営化するというような福祉局の答弁でもありましたけれども、それが現実性があるかどうかということも疑問ですし、夏ごろまでにめどをといっても、まだそういうものが描けていないという状況であれば、これはもう最初からもう一回検討し直すべきだというふうに思います。
 そして、豊島病院の周辺の医療環境というのは、いろいろな調査結果でも、二次医療圏の中では最も対象人口も多い。そしてベッドも病院の数も一番多いという、そういう特徴があるわけですね。こうした中で、今日まで豊島病院が果たしてきた役割というのは、やっぱり行政的な医療、二次救急とか緩和ケアとか感染症、リハビリ、周産期医療、精神科救急、こういう医療に対して、大変大きな役割を果たしてきた、こういうことだというふうに思うんですけれども、その辺の都としての認識はどうでしょうか。

○織戸参事 精神科救急などの行政的な医療についての取り扱いでございますけれども、これらにつきましては、広域的な観点から、東京都といたしまして確保していくものでございまして、今後、その重要性にかんがみまして、都区間で十分に協議をしてまいりたいと思っております。

○かち委員 移管については、区としての意向というのもあるわけですよね。区の方では、それぞれ検討してくれば、どの行政的医療もみんな大事だと。できればここで展開したいというような中身も、ここには出ているわけですよ。では、区は引き受けるといったときに、東京都がそういうことを本当に支援していけるのかどうかということが非常に問われているというふうに思うんですね。
 資料で見ますと、いかに豊島が大きな役割を果たしてきたかという点では、十三年の実績統計を見ますと、精神科救急医療、どうなっているかといいますと、救急で来て入院をした患者さんの中では、内科や小児科、その他の疾患の患者さんよりも一番多いんですね。他に病院いっぱいありますよ、救急もやっていますといっても、やっぱり救急の精神で、入院を必要とする、そこを引き受けているというのは、やっぱり豊島病院なんですよね。そういう重要な役割を果たしている。
 また、小児科でも、周産期医療で、見せていただきましたら、NICUやGCU、こうしたベッドの回転率というのは、年によっては一〇〇%を超えるぐらいの状況もあるわけです。周りに大学病院が幾つかあるといっても、行政的医療としてこの病院を頼ってくる、その需要が本当に高い、このことを示しているのではないでしょうか。そういう意味では、ここの場所で、やはり豊島病院として行政的医療を展開していく、継続させていく、このことが非常に求められているというふうに思います。
 豊島病院は、平成十一年に改築、再開をして、一次、二次の開設を進めてきましたけれども、本来なら十三年に三次開設をする予定になっていた。ここで全オープン、フルオープンする予定になっていたものを、いまだに二病棟、九十六床分も開かれていないというのが現状ですよね。既に再開から五年がたっている。高額の税金を費やして建てた病院、ベッドは、都民の財産でもあります。これを都の都合で、使わないまま老朽化させてしまうというのは、大変不合理な話だというふうに思うんです。ぜひこれは、すぐにも全開すべきだというふうに思います。計画どおりに稼働すべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○織戸参事 豊島病院についての、未開設の病床のことでございますけれども、これは、都立病院改革の一環として計画されました再編整備の方向性を見きわめるため、全面開設を見合わせているものでございます。

○かち委員 プランが出る前に、病院の改築計画ができていたものです、プランができようが、できまいが。病院の計画がどうのこうのという前に、やっぱりそれは都民のために活用するというのは、当たり前ではありませんか。紹介率が五〇%を超えている、だから地域医療だという、短絡的な決めつけをするべきではないと思うんです。
 豊島病院は、行政的医療に幅広く取り組んできているからこそ、医療連携ができているというふうに思えるんですね。入院、外来患者比率を見ましても、入院は約五〇%です。外来は、約六〇%。十三年の調査では、入院は五〇%を切っているぐらいが、板橋の利用者です。それ以外は、練馬とか北区とか豊島区とか埼玉県とか、かなり広域的なところから、患者さんが利用をしているというのが実態ですよね。こうした状況を見れば、豊島病院を区民のために、地域医療として区がやっていくというのには、余りにも余りがあるというふうに、抱え切れない状況だというふうに思うんです。
 それから、このたび地域リハビリテーション支援センター、こういうものにも指定されたところです。不足しているリハビリ技術や関係者への普及啓発活動の拠点として指定された機能からしても、広域的、行政的医療として、豊島病院は都立として存続させるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○藤井委員長 請願陳情及び特定事件について、お諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手許配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○藤井委員長 この際、所管局を代表いたしまして、幸田福祉保健局長から発言がありますので、これを許します。

○幸田福祉保健局長 お許しをいただきまして、当委員会所管両局を代表いたしまして、一言御礼の言葉を申し上げます。
 藤井委員長を初め委員の皆様方におかれましては、昨年十月のご就任以来、数々のご指導、ご鞭撻をいただき、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でちょうだいいたしました貴重な意見、ご指摘等につきましては、十分に尊重させていただきまして、今後の事務執行に反映させてまいりたいと存じます。
 また、今後とも両局連携を図りまして施策の充実に努めてまいる所存でございます。
 委員長を初め委員の皆様方の、ますますのご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げまして、まことに簡単ではございますが、御礼の言葉とさせていただきます。まことにありがとうございました。

○藤井委員長 この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
 この一年間、厚生委員会を担当させていただきまして、大変にありがとうございました。この一年間で、主な議論、いろいろな議論がされました。大久保病院の公社化、あるいは多摩地域の保健所統廃合、あるいは民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築等々、また食品安全条例の新たな制定ということで、本当に多岐にわたり、また委員の皆様には、前向きあるいは活発な議論を一年間していただきました。この間、両副委員長、理事並びに委員の皆様には、大変ふなれな委員長でございましたけれども、大変ご協力をいただきまして、円滑な委員会運営をすることができたものと確信をいたしますとともに、厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 また、ことし八月に、福祉局と健康局が合併し、福祉保健局という、都庁の中でも最大の局になったわけでございまして、ますます重要な役割を担うことになったと思います。そういった意味で、今後ともこの厚生委員会が都の中において大きな役割と使命を果たされますようお祈り申し上げますとともに、一生懸命この委員会を支えていただきました書記の皆さん、そして、さらに今後福祉行政の発展に寄与される理事者のご活躍をお祈り申し上げまして、一言御礼のごあいさつとさせていただきます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十七分散会

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