委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | 大山とも子君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 初鹿 明博君 |
東村 邦浩君 | |
柿沢 未途君 | |
かち佳代子君 | |
大河原雅子君 | |
河西のぶみ君 | |
田代ひろし君 | |
古賀 俊昭君 | |
佐藤 裕彦君 |
欠席委員 一名
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 碇山 幸夫君 |
経営企画部長 | 押元 洋君 | |
サービス推進部長 | 菅原 眞廣君 | |
経営戦略・再編整備担当部長 | 宮川 雄司君 |
本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第二十号議案 平成十六年度東京都病院会計予算
○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査を行います。
第二十号議案、平成十六年度東京都病院会計予算を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたした資料は、お手元に配布してあります。
要求した資料について理事者の説明を求めます。
○押元経営企画部長 去る二月二十日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
それでは、お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1の病院会計における一般会計繰入金のうち施設整備関連経費の推移(過去五年間)から7の広尾病院、墨東病院、府中病院における救急患者数の実績及び東京ERの職員配置まででございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。病院会計における一般会計繰入金のうち施設整備関連経費の推移(過去五年間)でございます。
病院会計における平成十年度から平成十四年度までの一般会計繰入金と、そのうちの施設整備関連経費につきまして、それぞれ記載をしてございます。
恐れ入りますが、二ページをお開きいただきたいと存じます。病院会計における一般会計繰入金の推移(過去五年間)でございます。
各病院及び本部におきます平成十年度から平成十四年度までの一般会計繰入金につきまして記載をしてございます。
恐れ入りますが、三ページをごらんいただきたいと存じます。都立病院における平均在院日数、病床利用率及び入院外来患者数の推移(過去五年間)でございます。
(1)でございますが、各病院における平成十年度から平成十四年度までの平均在院日数について記載をしてございます。
四ページをお開きいただきたいと存じます。(2)は、病床利用率でございます。各病院におきます平成十年度から平成十四年度までの病床利用率について記載をしてございます。
五ページをごらんいただきたいと存じます。(3)、入院患者数でございます。各病院における平成十年度から平成十四年度までの入院患者数について記載をしてございます。
恐れ入りますが、六ページをお開きいただきたいと存じます。(4)、外来患者数でございまして、各病院における平成十年度から平成十四年度までの外来患者数について記載をしてございます。
恐れ入りますが、七ページをごらんいただきたいと存じます。都立病院における職種別職員定数の推移(平成十四年度から平成十六年度)でございます。
七ページから次の八ページにかけまして、各病院における平成十四年度から平成十六年度までの職員定数について、職種別に記載をしてございます。
恐れ入りますが、九ページをごらんいただきたいと存じます。各病院におけるPFI導入の検討状況及びPFI関連予算でございます。
今後整備を予定しております各病院におきますPFI導入の検討状況とPFI関連予算につきまして、それぞれ記載をしてございます。
恐れ入りますが、一〇ページをお開きいただきたいと存じます。大塚病院における女性専用外来の実績、平成十五年七月から平成十六年一月でございます。
大塚病院における平成十五年七月から平成十六年一月までの女性専用外来の受診患者数について記載をしてございます。
一一ページをごらんいただきたいと存じます。広尾病院、墨東病院、府中病院における救急患者数の実績及び東京ERの職員配置でございます。
(1)は、広尾、墨東、府中の都立三病院における平成十三年度から平成十五年の十二月までの救急患者数の実績について記載をしてございます。
(2)でございますが、各病院におきます東京ERの職員配置について記載をしてございます。
以上、簡単でございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 それでは、松沢病院を中心として、精神科医療について少しお尋ねさせていただきたいと思うんです。
昨日も精神科領域の治療について委員会で意見が交わされたところでございますけれども、まず我々が一番今念頭に置かなくてはならないのは、この精神病にかかっている患者さん方を、どのようにきちっと対処していくか。これは、今まで大変長いことなおざりにされてきた分野でありますけれども、特に医療の中での精神科の分野というものがおくれているわけでありまして、病院経営本部としても特段に力を注いでいただきたいということを、まず最初に申し上げておきたいと思います。
この精神病をなくすためといううたい文句で、ナチスドイツにおいては、遺伝であるというある偏った考え方から、断種という不妊手術が強制された。また、障害者の安楽死計画という、名前を聞くだに恐ろしいそういう計画が実行されたという歴史があるわけですけれども、現在は精神科の治療というのは大変進んでおりまして、その治療の中にも、今までのように定型的な薬物、いわゆる対症療法で強引に患者さんの自由を奪ってしまう、そういう薬物療法だけではなくて、オランザピンのように、いわゆる副作用が非常に少ない非定型型の精神病薬というものが臨床で盛んに使われるようになってきたわけです。しかし、残念ながらまだまだこの精神科領域の治療というものは、完治したという状況に持っていくのが非常に難しいのが現実であるわけです。
しかし、今我が国では、ノーマライゼーションをうたわれるようになって、障害者の方々がすべて平等に社会参加がされなくてはならないという方向性に向いているわけでありますが、この精神障害者の方々が実社会において共生していくという現実の問題になりますと、なかなかその仕組みがうまくでき上がっていないわけです。
そこで、外国を見てみますと、アメリカでは、約四十年前には私立病院を中心に五十万床あった精神科の病床を、一九六〇年度のケネディ教書の発表を機に、脱施設化という、どこかに閉じ込めて強制的に一つの考え方だけで精神病の患者さんたちを治療しようという考え方が改められて、コミュニティケアへ移行していこうということが現実に行われているわけです。
そしてまた、英国では、一九七〇年からウィングらの--ウィングという、疫学の研究をした団体ですね、人たちが、病院から地域ケアに動かさないと、施設病という、施設の中にいることによって悪くなってしまうということを証明したわけです。ですから、アメリカも英国も、またほかの国々も、精神科領域についてはただただやみくもに入院させればいいという状況から、少し考え方を変え始めて、着実に進んでいるわけですけれども、残念ながら日本においてはまだまだそういう状態になっていない。
ということで、国においては、精神病院の長期入院の問題、とりわけ受け入れ条件が整えば退院可能ないわゆる社会的入院、よく昔からいわれている社会的入院、これは昨日申し上げたのですが、一般の病院の社会的入院と精神科領域の社会的入院はかなり意味合いが違うところがあるのですけれども--というのは、患者さんが戻ってきた場所の地域での理解というものが、精神科領域以外の病気であれば当然とかくの問題はないわけでありまして、ご家族だけの負担で済むのですが、逆に精神科領域の患者さんが帰られたときには、意外と地元が、人道的な立場をとっていながら、いざ帰ってくるとなる、あるいは地元にそういう施設をつくるということになると、非常に問題が出てくるわけです。
そういうことになって、一昨年の十二月に新障害者基本計画を策定して、今後十年のうちにいわゆる社会的入院患者七万二千人の退院と社会復帰を目指すということは、もう盛んに今いわれているわけで、これは意見としてはもう皆さんが知っていることで当たり前のこととして受けとめられているのですが、実際はどうかというと、WHOの統計でも、人口十万に対して二十七床という、精神科の病床が多過ぎるということで、慢性のいわゆる精神障害者がナーシングホームなどの居住施設にいる欧米と日本というのは随分--日本は精神科の病院にいるわけですから、違いがはっきりしているわけです。しかも、日本では入院医療から地域でのケアに進めようというわけですから、ここでやはり先駆的な意見を持ち、その方向性を決めていくのは、まさしく都立病院であろうと考えております。
ですから、この十六年度の予算に精神医療センターの整備経費が計上されておりますけれども、都立病院の精神医療のあり方について幾つかお聞きをしたいと思うのですが、先ほど申し上げましたように、我が国の精神医療政策は、現在、入院医療中心から地域生活中心へという時代を迎えておりますけれども、社会復帰施設や地域生活支援サービスの不足などの問題がやはり大きいわけです。やっと国の方では、精神保健福祉対策本部を立ち上げて、精神病床、いわゆる病院の機能分化、それから急性期の医療の充実など、精神医療改革を目指して検討がやっと始まったわけです。
また、東京都の方は、都立病院改革の中で、精神医療体制の強化、都が取り組むべき喫緊の課題として挙げているわけですけれども、やはり都民の立場からすると、都立病院はいつでも安心してかかれるということを都民は希望しているわけでありまして、その意味では夜間や救急、いわゆる一番医療が手薄になるときの特に精神科の救急医療というのは、これはご家族の方、あるいは第三者、周りで心配して見守っていらっしゃる方、それから当然地域の担当医、あるいは救急隊の方々も非常に対処に苦慮することがあるんですね。いわゆる発作時にいろいろな障害が起きているということを治療するのは、なれていない人にはできないわけでありますし、当然人手が大変かかる。ですけれども、逆に残念ながら夜間ですとか休日のように一番手薄なときにそういう問題が起こりやすいという、皮肉なことがあるわけです。
そこでまず確認までにお伺いいたしますけれども、都の精神科救急医療体制において松沢病院というのはどのような役割を果たしているのか、お教えいただきたいと思います。
○押元経営企画部長 松沢病院の精神科救急医療体制に果たす役割でございますが、緊急措置入院などの精神科の緊急医療に対応いたしますために、精神科病床を有します他の三つの都立病院とともに、毎夜間それから休日に四床ずつ病床を確保しておりますほか、一般の医療機関では対応が困難な精神科身体合併症患者の救急医療にも対応をしております。
今後も引き続き東京都の精神科救急医療体制におきまして松沢病院は重要な役割を果たしていくものと認識をしております。
○田代委員 大変だと思いますが、やはり一番重要なことですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、東京都の精神医療におけるもう一つの重要課題であります精神科の患者さんの身体合併症医療、これがまだまだ体制が不十分なわけです。かなりおくれているところがある。というか、これに対して今までは、精神科の治療を優先するのか、急性期のものは当然それに対応するのは当たり前ですけれども、いろいろな薬物療法を行っているということによって、思う存分合併症に対して力を発揮できないという医学的なこともあったんですけれども、それと同時にやはり体制が不十分です。
逆に、普通の一般の病院では、病院のほかの患者さん方をきちっとケアしなくちゃいけないということがありますから、精神科の既往があるということで、ほかの病気が見つかってもなかなか受け入れがしづらい。これは大変大きな問題で、せんだってもハンセン氏病の患者さん方が旅館に泊まるときにという問題もありましたし、また、せんだってもう一つ似たような事例もあったわけですけれども、診療拒否というのは当然我々医師はできないんですけれども、やはり病院のほかの患者さん方を守るという立場からすると、いたし方がない、あるいは現実に精神科領域の患者さんが入られて、スタッフが困ってやめてしまうなんていうことになれば、ますます大きな地域医療の欠損になるわけですから、これは大変両者が苦労していると思うのです。患者さん、あるいはご家族の方も、それから病院側も苦労していると思うのです。
大学病院なんかでも、私のところも精神科を持ってはいるのですけれども、やはり大学病院というのはある意味では医学教育の場所でありますので、余り急性期の方ばかり入っていらっしゃると、ほかの方に手が回らないということになると、これはもう現実のものにならない。
しかし、どこかで受けなくてはならないということになれば、当然、行政医療の中心である、また、東京都の中でというより、前にも申し上げましたように松沢病院というのはアジアの松沢病院ですから、アジア全地区でこれ以上高水準の精神科専門病院はないわけですから、やはり精神科の身体合併症の患者さんは全部松沢病院でいつでも診られるという体制にしていただきたいと思うのですが、精神科身体合併症の医療について精神医療センターとしての松沢病院の機能強化を図っていくべきと私は考えますが、それについてどのようなお考えだか教えていただきたいと思います。
○押元経営企画部長 松沢病院では、精神科の身体合併症医療を重要な医療課題として位置づけておりまして、これまで積極的に取り組んできたところでございます。今年度、平成十五年度には、精神科身体合併症患者に対しましてより適切な診断治療を行いますために、MRIを整備いたしまして、体制を整えたところでございます。今後も、精神医療センターとしての整備を進めてまいる中で、精神科身体合併症医療への取り組みを一層充実させてまいりたいと考えております。
○田代委員 それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、長期在院、いわゆる社会的入院ですね、患者さんが松沢病院にも大変多いということを伺っているのですけれども、これは病院経営本部だけが責任を負うなんてことはもう絶対不可能なことでありまして、国も都も、それから地方自治体もすべてが一致してやっていかなくちゃならないことであることはわかってはいるのですが、やはりその社会的入院患者さんを減少させて、いわゆる地域にしっかりと根づいた生活拠点をつくっていくというのは、言葉では簡単なんですけれども、簡単にただ退院させればいいというものでは全くないわけです。
ご家族の中でも、なかなか精神障害を持っていらっしゃる方と一緒に暮らしていくことが厳しい。これは非常に悲しい事例ですけれども、よく新聞なんかにも家族内のそういう事件になって頻繁にあらわれるところからもわかると思うのですけれども、そういう人たち、社会的入院を区切りとして地域に戻っていく人たちをきっちりと受け入れていくセーフティーネットとなる施策が何といっても大切であって、これは病院経営本部だけが、何回も申し上げますけれども、取り上げることではないことはわかっておりますけれども、やはり実社会の中で精神障害者とともに共生できる仕組みというものをどうしてもつくっていかなくてはならないわけですね。
松沢病院は、急性期対応を基本とする精神医療センターの機能を十分に発揮するためにも、逆にある程度余力がないとそういうものを受け入れていくスペースがないわけですから、社会的入院の解消に向けて取り組んでいくことが必要なわけですけれども、現在、松沢病院では、長期入院患者の退院の促進や早期の社会復帰支援に、病院としてはどのように取り組んでいるんでしょうか。
○押元経営企画部長 松沢病院におきます長期入院患者の社会復帰などについてでございますけれども、松沢病院では平成十四年度に退院促進検討のプロジェクトチームを結成いたしまして、長期入院患者の転退院の促進と社会復帰の支援に向けての取り組みを開始いたしました。また、平成十五年の四月には、精神科の医師を室長といたします社会復帰支援室を設置いたしまして、入院患者を対象といたしました付添外出ですとか、あるいは訪問介護の充実を図るなど、社会への適応に向けてより一層の取り組みを行っているところでございます。
また、来年度からは精神科デイケア部門の充実強化を図ることとしておりまして、今後も引き続きまして長期入院患者の退院の促進、社会復帰の支援に取り組んでまいります。
○田代委員 なかなか大変な仕事だと思います。一般の病院でも、いわゆる社会的な入院の患者さん、長期入院、長期滞在になってしまう患者さんを出すというのは非常に難しいことなんですけれども、さらにそれに精神科の領域ということは、ぱっと治ってしまうという病気ではないわけですから、なかなか取り組み方は大変だと思いますけれども、頑張って続けていただきたいと思います。
私、たまたま自分の経験でいいますと、私が十四年間精神科の病院に形成外科医として勤務してきた中で、やはり一番我々が見ていたのは、精神科領域の患者さんの薬物性肝炎が物すごく多いということなんですね。薬物性肝炎が非常に多いということは、向精神薬を大量に飲みますから、これは必然の結果として薬物性肝炎になってしまうわけですね。肝炎になってしまえば、またもろもろほかの臓器も悪くなってくる。いわゆる解毒をする工場ですから、その工場が悪くなればほかのところにもマイナスが出てくるわけでありまして、やはり精神科領域の治療というのは、薬も必要ですけれども、そこの院長のテーゼでもあったのですけれども、薬プラス医師プラス看護師、いろいろもろもろ大切でしょうけれども、中心となるのは青空と空間と緑、この三拍子が精神科領域の治療のもとだという、僕も院長も全くそこの意見が一致していたものですから、私も形成外科医としてそこで働いたわけですけれども。
松沢病院というのはご存じのとおりに非常に広大な敷地があって、今でこそ周りにいろいろ住居が建っておりますけれども、昔は大変のどかな田園風景であったわけです。まだまだ東京では貴重なそういう緑の多い空間のある青空の見える場所ですから、ぜひともここを先ほど申し上げたようなアジアの中心的な精神医療のセンターとして大きくしていただきたいわけですけれども、今回の松沢病院の精神医療センター整備に向けて、病院経営本部長の決意というものがいかがなものか、教えていただきたいと思います。
○碇山病院経営本部長 精神科領域に関するお尋ねでございます。都立病院改革におきまして、平成二十年度以降に今お話にございました松沢病院を精神医療センターとして整備していくということでございますが、これはお話にもございましたように、今後私どもの都立病院改革の中で私自身極めて重要な事業である、重要な領域であるというふうに強く認識してございます。その意味で、若干長くなりますが、ご答弁をさせていただきたいと思います。
よくいわれますが、うつ病が心の風邪といわれておりますが、いわゆる精神疾患というのは、現代社会の変化の激しい中におきまして、だれでもかかる可能性がある病気であるというふうにいわれております。ちょっと私も物の本を調べたんですが、国際的にもよく引用される米国の疫学的調査研究結果によりますと、過去一年間でアメリカ人の少なくとも一五%はある期間精神障害の状態にあったというようなことはよくいわれてございます。また別の研究--これは米国の研究者でケスラーさんほかの研究だそうですが--によりますと、その数値は何と二八・一%であったというような数値もございます。こういういい方が当たっているかどうかはわかりませんが、二八・一%という数字は、風邪を含みます呼吸器系疾患の約半分に当たるということですから、そういう意味では精神疾患というのが風邪に近い程度の身近な疾患であるということをここではいいたかったんじゃないかなというふうに私自身思っておるわけでございます。
これまでの松沢病院でございますが、先ほど田代委員からもお話がございましたが、我が国を代表します精神病院として長い歴史を有してございます。重度の精神疾患や精神科特殊医療等、民間の病院では対応困難な専門性の高い疾患に対応して、精神医療の発展に大いに貢献したところでございます。
精神疾患というのは、いうまでもなく、早期に適切な治療を行いまして、円滑な社会復帰に結びつけていくことが何よりも重要でございますが、これまでの我が国の精神医療はともすると入院偏重の医療であったかと思いますし、田代委員からも施設病というお話もございましたが、私も同じような思いがするわけですが、結果として多くの社会的入院患者を生み出してきたというふうに考えてございます。
今後におきましては、このような中で入院中心から地域生活中心へと脱皮いたしまして、患者の早期の社会復帰を促進するという精神医療の基本的スタンスのもとに、我が国の精神医療を、あるいはアジアの精神医療をリードしていくという中心的な施設として、今後の精神医療センターの整備に万全を尽くしてまいりたいと考えてございます。
○田代委員 大変力強いご答弁をいただいて、意をまた新たに我々医者もしっかりと立ち向かわなくちゃいけないなという感じがするのですが、今お話にもいただきましたように、施設病というものを新しく考えを変えていくというのは、これは逆に日本の方がおくれているわけですけれども、アジアの中心として新しい地域に根づいた精神科医療をしていく。しかもそれが一つの考え方として、うつ病は心の風邪とおっしゃられたように、非常に身近なといったらおかしいのですけれども、それほど変わった病気じゃないんだ、我々もいつでもどうなるかわからない。
これは、大学の名前はちょっと秘しますけれども、我が国のベストスリーに入る国立大学の医学部の入学合格者の精神鑑定を行ったデータが、二十年ちょっと前ですけれども、出ましたけれども、約二割、百人のうち二〇%が精神病質であるということがわかったのですね。これは当然ベストスリーですからいろんなところで活躍して、公立病院の院長なんかやっている人はたくさんいるわけですね。そういう、我々医者でも二割が精神病質があるということが、あるデータでわかっているわけですから、身近な病気といったら変な話なんですけれども、いつでも軽度のうちにケアできて、もしもかかってもきっちりした対応ができるような形を、ぜひとも松沢病院が中心となってつくっていただきたい。
また日本という国は--これはそれぞれの国で経済発展の度合いによって精神病に対する治療の対応が若干違うのは当たり前だと思うんですね、具体的にできる、できないという意味で。ですけど我が国は、少なくとも経済的に、昔のような右肩上がりではないとしても、非常に安定した経済大国ですから、それに見合った国民に対する医療というものの提供ができなくちゃならないんで、そこの中で精神科領域が非常に今おくれているわけですから、ぜひとも精神医療センターの整備にしっかりと取り組んでいただきたい。
また、先ほどちょっとこの資料の中にもご説明がありましたPFI、これは病院の中でPFIを使っていくということは、我が国ではほとんど考えられなかった、五、六年前までは想像すらできなかったことですけれども、今、一般病院でも随分されるようになりました。しかし、一般病院と精神科の領域のPFIはおのずと、細かいことは時間がかかりますから避けますけれども、ただアメニティーがよければいいというだけじゃないわけです。病院の建築、運営、設計については、PFIをどのように精神科領域では入れていくかということのガイドラインをつくることも、またアジアのためにはプラスになると思うので、そこもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
最後に、荏原病院の公社移管についてちょっと一言伺いたいのですが、公社への移管が予定されている荏原病院は、現在さまざまな医療機能を有しているわけですけれども、都立病院改革実行プログラムによると、公社移管後も基本的に現行の医療機能及びこれに関連する施設設備の有効活用を図っていくということになっているのです。
私自身も、自分の所属しております医師会で会長をやっていたときに、初めて荏原病院と病病、病診連携の契約を責任者として取り交わした覚えがあるのですけれども、非常に地域医療にとってプラスになる、大田区、品川区、渋谷区、目黒区、世田谷区にとって非常に重要な都立病院であるわけですから、やはりきちっと有効活用はしていただかないと、住民としても心配なことだと思うのですね。
特に荏原病院は、感染症の指定医療機関として感染症医療に取り組んでいるわけですけれども、現在、SARSですとか鳥のインフルエンザなど、新しい感染症というものが社会的な問題になっておりまして、都民が感染症医療に寄せる関心というのは、今までに比すことがないほど大きなものになっているわけです。
私自身も、公社移管の後、荏原病院における感染症医療の確保については大きな関心を持っておりますけれども、感染症医療の確保の件については、私の後に我が党の鈴木理事がその詳細について質問をしていただけるということですのでお願いしますが、私自身が申し上げておきたいことは、当然のことですけれども、病院は施設あるいは設備が整っているだけではだめでして、すぐれた人材が確保されなければ良質の医療というのは提供できないわけです。名前だけで病気が治ればいいんですけれども、やはりそこに実際に働いているスタッフということが非常に重要になるわけです。今後荏原病院は地域の中核病院となっていくのですが、この荏原病院が担うべき医療機能に必要な医師や看護師などの、当然技術の方あるいは事務の方も全部含めて医療スタッフが確保されるか、大きな問題となっているわけですけれども、この点について見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○押元経営企画部長 荏原病院の公社移管後の人材確保でございますけれども、これまでの医療の継続性を確保することを踏まえました上で、医療サービスが低下することのないように、地域病院として提供する医療機能に必要な優秀な人材を確保してまいる所存でございます。
○鈴木委員 田代委員の質問に関連いたしまして、四点ほど伺ってまいりたいと思います。
都立病院の感染症医療体制について伺っていきたいんですが、来月の一日に都立大久保病院が財団法人東京都保健医療公社に運営移管されるわけです。大久保病院の移管に当たっては、現在の医療機関を前提に救急告示医療機関、エイズ診察協力病院、災害拠点病院など行政的な要請に基づく医療や、透析医療やリハビリテーション医療などの機能も継続するとともに、生活習慣病を新たに重点医療とするなど、地域の実情を踏まえて地域医療の充実に貢献していくこととしたのは、大変意義のあることであると考えています。
大久保病院についての検討経過は、今後公社に移管する予定の多摩老人医療センターや荏原病院にとっての貴重な前例として役立てていくということが、二つの病院の円滑な移管に欠かせないことであると考えています。そこで、平成十八年度に公社への移管が予定されている荏原病院について、移管後の医療機能、とりわけ感染症医療について基本的な考えを伺いたいと思います。
そこで、まず荏原病院の公社移管について、現在までの検討状況はどうなっているのか伺います。
○押元経営企画部長 荏原病院の公社移管についてでございますけれども、現在、都立病院改革実行プログラムに基づきまして、移管後の医療機能などについて内部で検討を行っているところでございます。医療機能の詳細につきましては、大久保病院の公社移管における例によりまして、庁内の検討組織を今月末に設置をいたしまして検討をしてまいります。あわせて、今後設置を予定しております運営協議会の準備会におきまして、地区の医師会、あるいは地元の自治体などから地域のご意見や医療ニーズを十分に伺いました上で、医療機能等の検討に反映をさせてまいります。
○鈴木委員 荏原病院の医療機能に関しては、第四回の定例都議会の厚生委員会におきまして、私の生活習慣病に関する治療実績を有している病院の機能を十分に活用していくべきであるという意見に対して、脳卒中専門の病床を設置するなど、現行の医療機能の充実に向けた取り組みを続けていくということを明言いただきました。その上で、荏原病院の公社移管に当たっては、生活習慣病に関する医療機能をさらに充実するようにも要望したところです。
ところで、荏原病院の医療機能のうち、都立病院が担うべき行政的医療の一つである感染症医療の扱いについては、移管後の都の感染症医療体制というのですか、感染症の医療体制全体を見据えて検討していくことが大変重要だと思うわけです。
そこで伺いたいのですが、現在、荏原病院は都の感染症医療体制の中でどのような役割を担っているのか伺います。
○押元経営企画部長 都内の感染症指定医療機関は、エボラ出血熱ですとか、あるいは重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSなどの一類感染症を主に扱います第一種の感染症指定医療機関といたしまして、荏原、墨東病院の都立二病院が指定をされております。また、コレラですとかジフテリアなどの二類感染症を扱います第二種感染症指定医療機関といたしましては、荏原、墨東、駒込、豊島の都立四病院と、その他の六病院、合計十病院が指定をされているところでございます。
このうち、ご質問のありました荏原病院につきましては、第一種の感染症に対しては二床、第二種の感染症に対しては十八床を備えておりまして、一類感染症及び二類感染症に対応できます都内の医療機関の中心的な施設として重要な役割を果たしていると認識をしております。
○鈴木委員 荏原病院がほかの三つの病院とともに都の感染症医療の中で重要な役割を果たしていることを今改めて理解させていただいて、また評価もしているところです。都立病院改革マスタープランにおいても、感染症医療を都立病院が担うべき行政的医療と位置づけていますが、その後、SARSや昨今の鳥インフルエンザをめぐる一連の動きに見られるように、感染症を取り巻く環境というのはいうまでもなく変化をしてきているわけでございます。
荏原病院の医療機能について、地域の意見や医療ニーズを踏まえて検討をするのであれば、感染症をより一層充実してほしいという都民の願いを踏まえるべきであると考えます。平成十三年の十二月に策定された都立病院改革マスタープランにおいては、荏原病院の感染症医療について、受け皿となる都立病院の整備の進捗に合わせ順次移転していく、ただし、機能を移転した後も引き続き重点医療として提供していくことを妨げないと述べられています。
また、都立病院改革実行プログラムでは、感染症病床が駒込病院に移転される予定であるとしつつも、医療機能などの設定や現行の医療資源の活用策については、医療ニーズを踏まえて今後詳細に検討をしていくというふうにされております。
これらの考え方や、必要な医療機能は継続して提供していくという大久保病院でのよい前例、また都立病院以外の病院も感染症指定医療機関に指定されていることを踏まえれば、感染症を取り巻く環境の変化に対応して、荏原病院で感染症医療を引き続き提供していくことも十分考えられるわけです。
そこでお伺いしますが、荏原病院の感染症医療については、公社移管後も引き続き私は提供すべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
○押元経営企画部長 ご指摘のとおり、新たな感染症の出現などによりまして、感染症医療に対する都民の期待はますます大きくなっておりまして、こういった意味で感染症を取り巻く状況が変化をしてきているというふうに考えております。このため、荏原病院が担っております感染症医療機能につきましては、東京都における感染症医療体制確保という観点から、今後、健康局など関係局間で前向きに検討してまいりたいと考えております。
○鈴木委員 今、感染症医療について、公社移管後の荏原病院においても引き続き提供していくことを前向きに検討するという、一歩進んだ答弁をいただきました。今後、医療ニーズを踏まえ、都民の期待にこたえる方向での検討をぜひとも期待したいと思います。
最後に、都立病院の感染症医療体制はどのようにあるべきと考えるのか、本部長の見解をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○碇山病院経営本部長 今、お話にもございましたSARSや鳥インフルエンザなどが大きな社会問題になっておりまして、改めて医療におきます感染症医療というものが問い直されているのではないかと思います。
都立病院におきます感染症指定医療機関としましては、先ほど経営企画部長からお答えしたとおりでございます。とりわけ第一種感染症指定医療機関は都立病院がすべて担っているというようなこともございまして、都におきます感染症医療体制の中で都立病院が重要な役割を果たしておるというふうに考えてございますし、特に、ただいま申し上げましたSARSや鳥インフルエンザなど、新たな感染症には都立病院が中心となって対応していく必要があるというふうに認識してございます。
これは昨年の六月でございますが、私が着任したその週の早速の木曜日、英国海軍の駆逐艦「リバプール」の、船員といいますか乗員の発熱事例がございまして、かなりの危機管理体制をとったわけでございますが、そのような中でもやはり都立病院が中心となってこれに対応しようということで、都立病院の方で受けた。結果的には全く何でもなかったということで胸をなでおろしたわけでございますが、そういう必要があるのかなというふうに考えてございます。
これまで、患者の搬送訓練や近隣の医療機関等を対象とします講習会を行ってまいりました。さらには、感染症診察室の機能の充実や、感染症用の資器材の整備などに努めてきたところでございます。
今後も、引き続きでございますが、必要な施設整備や感染症用の資器材の整備を行いますとともに、感染症医療の充実に努めてまいります。健康局や他の地域の医療機関、あるいは保健所など、関係機関との密接な連携、ここら辺も十分図りまして、感染症患者の診療に万全を尽くしてまいりたい、かように考えてございます。
○河西委員 私は、都立病院の医療連携、特にセカンドオピニオンについてお尋ねをさせていただきたいと思います。
まずお伺いいたしますけれども、平成十一年十一月の公営企業決算特別委員会で、私は都立病院における医療連携の取り組みにつきまして、特に医療連携室あるいは登録医制度の充実を図るべきだということで質問を行いました。その後、都立病院では、こうした医療連携の取り組み、どのように推移をしているのか。着実な前進が見られるのではないかなと思いますが、その後の状況についてお尋ねさせていただきます。
○菅原サービス推進部長 平成十五年度の取り組みでございますが、まず医療連携室の設置をこれまでの八病院から十一病院にふやしたところでございます。
次に、登録医制度を六病院から七病院、そして登録医の控室の設置を三病院から七病院にふやしまして、それぞれ充実を図っております。今後とも、地域の医療機関等との医療連携の充実に努めてまいります。
○河西委員 前回も私申し上げたのですけれども、今後の都立病院改革の最も重要なポイント、これは患者中心の医療だというふうに思います。これを推進する上で、都立病院の持つ高度専門医療機能を十分に生かして、限られた医療資源を有効活用するためには、大学病院や地域の医療機関との医療連携が重要な課題だと考えております。ぜひ着実な前進、まだ拡大のできる都立病院も残っております。大改革の中で、すべての病院にということにならないかもしれませんが、その充実について引き続きご努力をいただきたいというふうに思っております。
ちょっと昨年来私のところに相談が持ち込まれました事例を紹介させていただきながら、セカンドオピニオンについての質問をさせていただきたいのですけれども、都民の方で、既にその患者さんは亡くなられた後ご相談に見えました。数年間患って、どうもはっきりした治療が、的確な治療が行われていないんじゃないか、こんな思いを持ちながら、がんではないかという疑いをご本人も家族も持ちまして、がんの検査をしてくれと再三要求したんだけれども、していただけなかった。それでも粘ってやっていただいて、膵臓がんだということがわかって、それから三カ月もたたないうちに他界をされたというケースなのです。どうしてあんなに診療してくれ、検査をしてくれといったのにやってくれなかったのか。家族にしてみれば大変不本意な結果でありますし、納得がいかないということでご相談に来たのです。
経過を聞いてみましたら、亡くなられた後に他の病院でセカンドオピニオンを申し出てやっていただいた。そのときには、かかっていた前の病院からデータをちゃんといただいて見ていただいたということなのです。やはり、見ていただいた先生は、これはがんだということで、もう少し早くわかっていればよかったですねということで、本当に残念がっていました。
これは都立病院じゃありません、共済病院なんですけれども、総責任者に会わせていただけないかというお申し出があったり、どうしてもあれなんで医療事故なり診断ミスなり専門にやっている弁護士さんを紹介してくれないかと。訴訟をして勝つ可能性があるかどうかやってみたい。高齢になった妻なんですけれども、非常に熱心に足しげくご相談に見えたケースがあるんです。亡くなる前にセカンドオピニオンもしてきちっとやっていれば、もう少し、いずれ他界はされたかもしれないけれども、本人も家族も納得した形で見送ることができたのかなと、そんな思いを強く持っています。
それで、セカンドオピニオンを今度試行を始めるということです。さきの予算特別委員会で病院経営本部は、駒込病院において四月からセカンドオピニオン外来の試行を始めるということが明らかにされました。そこで、まずセカンドオピニオン外来の現状と課題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
○菅原サービス推進部長 都内におきますセカンドオピニオン外来の現状でございますが、国立がんセンター、東邦大学医学部附属大森病院など一部の医療機関で実施していると聞いております。
次に課題でございますが、患者が診療データ等を持たずにセカンドオピニオンを求めるケースや、あるいは主治医がセカンドオピニオンに協力しないケースがございます。そういったことで、まだまだセカンドオピニオンの仕組み自体が社会的に定着していないこと、これが大きな課題でございます。また、保険診療における位置づけが不明確など、制度的に成熟していないということも課題としてございます。
○河西委員 今ご答弁いただきました。新聞報道で、三月に入ってからですが、厚生労働省の二〇〇二年受療行動調査、この結果が発表されておりましたが、これによりますと、同一の病気や症状で複数の医療機関を受診した患者は一八・一%、二割弱を占めています。多くはセカンドオピニオンを求めていたと見られる。医師から詳しい説明を受けたと感じている患者は、外来の四割強、入院患者の六割にとどまっている中、主治医以外の意見を求める声も広がってきている。同調査では、複数の医療機関を受診していることを医師に伝えていると答えた患者は半数にとどまるなど、セカンドオピニオンを求める際にも医師に相談しにくい現状も浮かび上がっている。病院側が積極的に専門医を紹介する制度が定着すれば、主治医の説明に納得できない患者にとって、治療の選択肢が広がることになりそうだ。こういう新聞記事でございます。
そこで、ただいまご答弁もございました、さまざまな課題があるわけですけれども、セカンドオピニオンの考え方や料金についても明確にされていないのが現状ではないかと思います。昨年十月、国は、中央社会保険医療協議会、診療報酬基本問題小委員会に対して、セカンドオピニオン外来の特定療養費化について提案いたしましたが、答申には至っておりません。
一方、この四月から独立行政法人となる国立病院におきましても、今後五年間の中期計画においてセカンドオピニオン外来を実施していくことが先日新聞報道されています。全国レベルでセカンドオピニオンが普及する契機となることが期待されていると考えます。
このような中で、都では国立病院に先んじて四月から駒込病院においてセカンドオピニオン外来を試行的に実施するとしたわけでございます。
そこで、幾つかお伺いしたいと思います。駒込病院での試行の内容はどのようなものか、具体的にお伺いをさせていただきたいと思います。
○菅原サービス推進部長 駒込病院で試行いたしますセカンドオピニオン外来は、主治医の紹介状や検査データを持参した患者さん、またはその家族を対象といたしまして、診療科ごとに専用の予約枠を設けまして、完全予約制で実施するものでございます。
セカンドオピニオン外来の対象疾患といたしましては、駒込病院の専門性を生かすために、がん、HIV感染症、C型肝炎などを考えております。
また、セカンドオピニオン外来の料金につきましては、これを診療の一部と位置づけまして、患者本人の場合は保険診療として算定してまいります。また、家族の場合は、患者本人が受診した場合の算定に準じた料金となります。
なお、この試行状況を検証いたしまして、課題を整理した上で本格実施を目指してまいります。
○河西委員 ただいま、対象となる患者、それから外来の料金等についてお答えをいただきました。やはりまだセカンドオピニオンの意義も社会的に定着していないために、患者側の理解不足、同時に医師の説明不足などもあって、患者の医療不信や不安が新たに発生する可能性もあるかと思います。
そこで、セカンドオピニオンを受診する患者への説明はもちろん、主治医への情報提供には十分な配慮が必要だと思います。現在治療中の病院との信頼関係を崩すものであってはいけませんし、また、セカンドオピニオンを行う医師は主治医と同等、またはそれ以上の知識を持っているということが必要でありますし、専門性を十分発揮することが期待されているかと思います。しかし、どんな専門知識があったとしても、セカンドオピニオンを受けようとする患者や家族に対して、患者の立場に立った説明が必要であります。言葉を選んだり、慎重な対応ができる、そういう医師でなければならないと思います。
そこでお伺いいたしますけれども、駒込病院ではどのような医師がセカンドオピニオンを担当されるのでしょうか、お伺いさせていただきます。
○菅原サービス推進部長 担当します医師は、それぞれの専門分野で豊富な知識を有し、経験を積んだ専門医で、部長あるいは医長などで対応する予定でございます。
なお、セカンドオピニオンの内容はもちろんでございますが、ご指摘のように、セカンドオピニオン外来における患者等への接遇は重要な要素でございます。特に接遇研修を実施するなど、患者等への配慮について十分留意してまいります。
○河西委員 患者には十分な説明と情報提供を受ける権利もありますし、原則としては治療法など自分の意思で選択する権利があろうかと思います。この権利を支えるために、医療提供者が常に患者の利益を考えながら支援していく、このことが重要かと思います。このための有効な手法の一つが、セカンドオピニオンだというふうに考えています。患者中心の医療の実現にとって、セカンドオピニオンを普及させるということは大変重要なことでしょう。
そこで、セカンドオピニオンを実施するに当たりまして、都民や患者に対する普及啓発、これがポイントになると思いますが、具体的に何か方策をお考えでいらっしゃいますでしょうか、お伺いいたします。
○菅原サービス推進部長 ご指摘のように、普及啓発は極めて重要でございます。セカンドオピニオン外来、これは試行でございますが、このPRにつきましては、ホームページに掲載するとともに、専用の受付窓口を設置いたしまして、都民からの相談に応じてまいりたいと思っております。
○河西委員 この四月から駒込病院で試行ということで実施されるわけですけれども、今後、各都立病院への実施の拡大、これに当たってはぜひきめ細かなPR、お願いをしたいというふうに思っています。
一方、セカンドオピニオンを希望しても、検査データの貸し出しを渋る医師がいたり、患者の方からなかなか頼みづらいというのが現状ではないかと思います。このために、患者さんの申し出を待つのではなくて、主治医の方からセカンドオピニオンの趣旨を積極的に説明するということも大事なことだと思います。駒込病院がセカンドオピニオン外来をPRするのは大切ですけれども、逆に都立病院で受診中の患者さんに対しても、セカンドオピニオンという仕組みがあることを医師の側から伝える配慮、これが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○菅原サービス推進部長 都立病院では、これまでも患者さんがセカンドオピニオンを希望する場合には積極的に対応しているところでございます。さらに、がんや心臓病など治療法が日進月歩している分野では、治療法の選択肢が多岐にわたるため、特に患者さんに対してセカンドオピニオンという仕組みをお知らせしていく必要があると認識しております。
○河西委員 この四月から試行されます駒込病院のセカンドオピニオンの具体的な方法論なども含めてお尋ねをしてまいりました。このセカンドオピニオンが定着するには、まだまだ時間もかかるかと思います。今回の実施を契機に、患者自身が、自分が受ける医療について自分で決定できる、自己決定できるような、そんなことも、このセカンドオピニオンが定着し、本当に医療に対する患者の信頼をきちんとしたものにしていくためには必要かというふうに思います。ぜひ試行の実態経過、必要に応じてご報告をいただくということもあわせて、広く都民に普及されるよう期待をして、質問を終わります。
○東村委員 それでは、都立病院の経営努力と経営管理手法について伺いたいと思います。
都立病院は、東京ERを初めとした救急医療体制の充実や、SARSなどの新しい感染症対策など、先頭に立って都民の安全・安心を支える重要な役割を担うと同時に、収益向上や経費節減に努めるという大変難しい課題を背負っていると思っております。もちろん、単に利益を上げることのみに走っては公立病院の意義が問われるわけなのですが、地方公営企業法の趣旨は、公共の福祉と経営の効率化という、この非常に難しいことを実現しろと、こういうことをいっているわけです。そのためには、やはり普通の民間病院と違ってかなりの努力をしなければいけないんじゃないかと思うわけです。
特に病院経営に占める人件費の割合というのは非常に高いわけでございまして、都立病院ではこの医業収益対比約七〇%が給与費であります。そういう話をすると、一番手っ取り早い経営改善は人件費のカットだとか人員削減だと、こういうことに安易に走りがちなのですけれども、私は事病院に関して、人員削減はやはりサービスの低下につながるのではないかと、このように考えているわけであります。
それならば、職員一人一人が、高い人件費といわれているこの職員一人一人が意欲を持って、このような人件費以上の成果、仕事、患者サービスを向上させていけば、多くの都民の方も評価するのではないか。ただ、残念なことに現在の都立病院はまだそういった評価を受けられておりません。私はそこで、都立病院は今こそやはり基本的な戦略を持って、職員一人一人の仕事の進め方から改革を起こしていく必要があるんじゃないかと思います。そのために、発想の転換、抜本的な取り組みが必要なのではないでしょうか。
そのような視点に立って、まず、財政的な改革のみではなくて、このような職員の意欲を高め、なおかつ患者サービスを向上させるような仕組みづくりを、今こそ都立病院はつくっていく必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○押元経営企画部長 病院経営本部におきましては、ただいま東村委員の方からお話がございましたように、基本戦略に基づきまして、職員一人一人が、みずからの仕事の進め方から改革を促します新たな経営管理の手法といたしまして、バランススコアカードというものの導入を予定、検討しているところでございます。
これは米国で開発された手法でございますが、従来、ともすれば財務指標のみに偏りがちであった目標管理にかえまして、企業の目指すべき方向性、組織が長期的に達成をしたい事業目標でございますが、これをビジョンというふうに称しておりますけれども、この長期の事業目標を基礎といたしまして、それを実現するための各目標、それからその達成度をはかります評価の指標を、四つ視点を設けております。一つは財務でございますが、もう一つは顧客、いわゆるお客様の視点でございます。それから目標達成に至ります業務のプロセス。それから、その目標達成に携わります職員の学習と成長。以上四つの視点を抽出いたしまして、これらをバランスよく組み合わせてカードを作成するというものでございます。
このバランススコアカードを活用いたしまして、逐次目標に向けての進行管理を行うことによりまして、継続的な経営改善を推進していこうと考えております。このバランススコアカードは、職員みずからが自分の行動がどのように長期の行政目標を達成することにつながるかを容易に理解できるように、それぞれの目標を矢印で結びまして、その長期の業績目標、ビジョンの達成に至る道筋を図示した戦略マップ、これを策定いたすということでございます。
病院経営本部では、以上申し上げましたバランススコアカードの導入を今準備しておりまして、来年度から導入をしていくというふうに考えております。
○東村委員 今、バランススコアカードという話がありました。この四つの視点、財務、さっきいいました顧客の視点、そしてプロセス、そして学習、成長という、この四つの多面的な側面から戦略マップをつくっていくという話がありました。
そこで、非常にこれは興味深い話だと思いますので、もう少し具体的に掘り下げて、私たちが聞いてもわかりやすいような形で、どのような形でバランススコアカードというのが機能するのか、これについて説明をしてもらいたいと思います。
○押元経営企画部長 病院経営本部におきましては、先ほど申し上げました長期の事業目標でありますビジョンを、三百六十五日二十四時間の安全・安心、患者中心の医療の実現に置くことといたしました。また、その実現のかぎとなります戦略といたしまして、七つの目標を抽出いたしました。第一に、患者の満足度の向上、第二に、地域医療との連携、第三に、強い経営体質、第四に、業務の効率化、第五に、安全・安心な質の高い医療、第六といたしまして、職員の知識、技術の向上、それから最後に、職員の意識改革という、以上の七目標を抽出いたしました。
これらの各目標の達成度を定量的にはかります指標といたしまして、患者さんの満足度、未収金の対策、それから医療安全推進活動の取り組みの度合いなど、十八の評価指標と目標の数値を設定いたしまして、これらを一枚のシートにまとめたわけでございます。これが病院経営本部のバランススコアカードということでございますけれども、これを受けまして、各都立病院、各病院の診療科あるいは看護、薬剤などの専門の各部門におきましても、それぞれのレベルにおきまして同様の考え方でバランススコアカードを策定いたしまして、それぞれの部門、レベルで、この長期目標ビジョンの達成に向けまして、医療現場の職員から院長、病院経営本部長に至りますまで、全職員の参加で、業務改善を進めていこうということでやろうとしているところでございます。
○東村委員 今詳しい説明を受けた中で、ポイントは、局全体から現場部門まで各レベルで一枚の業務改善シートをつくり、その局が決めた目標達成に向けて取り組んでいく、こういうことではないかと私は理解しているのですが、その中でも特に、今まで、業務の効率化とか強い経営体質と同じ指標の中で、患者の満足度だとか安心・安全の質の高い医療とか職員の意識改革が同じレベルで論じられることはなかったのですけれども、これが一つの大きな同じ土俵の中でともに論じ合える、これは非常に私は大事なことじゃないかと思いました。
そこで、病院経営本部では、このバランススコアカードのメリットをどのようにとらえているのか。このメリットについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
○押元経営企画部長 バランススコアカードのメリットでございますが、この手法を採用いたしますと、患者中心の医療を目指します都立病院の基本戦略が、病院の職員一人一人の行動の指針、道しるべとしてはっきりと明示をされまして、これまで以上に機能をするようになると考えております。こうした主体的な経営改善の取り組みがますます促進をされるというところが、一つのメリットであろうと思っております。
また同時に、この結果を生み出しますプロセスに注目をいたしまして、目標達成度に対しまして進行管理を適時適切に行うことによりまして、業務改善の持続的な推進が図れるという、これもまた大きなメリットであろうと考えております。病院経営本部では、この手法を職員全員が主体的に取り組める新しい仕組みと考えておりまして、来年度から各病院の導入を目指しているところでございます。
○東村委員 今メリットをお聞きした中で、先ほども私いったんですけれども、二つ注目したいことがあるんです。一つ目は、患者の満足度、医療安全などの非財務的な、こういった長期的なスパンに立った視点も取り入れた目標を管理していく、こういう姿勢が感じられました。もう一つは、医療現場の職員が現場のレベルから主体的に取り組める効果の高い手法なのではないか、今までとは違う目新しい部分ではないのかなと私は思いました。
ただ、私は心配しているのは、とかく日本人は進行管理されるのを嫌がるんですけれども、こういうことを導入するとノルマという感覚に陥ってしまうんじゃないか。産業界も最初はなかなか抵抗があったそうなんですけど、ここ十年でこの手法が定着して、従来の財務指標にかえてこのバランススコアカードが導入されてきている、こういう話を聞いているのは、まさにノルマの管理ではないんだと、ここが大事だと思うんですね。これをしっかりと都はアピールしてもらいたいと思いますし、また、ある意味で医療サービスの向上という非常に大事な基本命題を有している都立病院には、最適な手法ではないかと思っております。
また、局から現場に至るまでの年度目標を示す、そして進行管理をするというのは、私は都立病院版のマニフェストに相当するんではないか、こういった印象を受けたんですけれども、そういう意味でこれからは都立病院改革の柱の一つとなってくるんじゃないか。この有効な手法をやはりきちっとしたものとして位置づけるためには、これは病院経営本部だけじゃなくて、当然多くの都民の声を吸い上げてつくり上げていかなきゃいけないんじゃないかと思います。そこで、当然このバランススコアカードというものも、先ほど都立病院版のマニフェストといういい方をしました、したがって、都民に公表をしていく必要があるんじゃないか。単なる病院内の自己満足で終わるんではなくて、広く都民に公表をしていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○押元経営企画部長 病院経営本部のバランススコアカードの公表に当たりましては、手法の趣旨を正確に伝える工夫などの課題がございます。また、先ほども申し上げましたが、この進行状況によりましての修正がかなり行われるというところもございます。こういった課題はございますけれども、東村委員のご指摘を踏まえまして、公表に向けて前向きに検討を進めてまいりたいと考えております。
○東村委員 ぜひ都民の方に向かって公表していただきたいと思うんです。
私は、都立病院というのは都民の重要な財産だと思っています。したがって、この都立病院のレベルアップのためには、ともに議論ができる素地をつくってもらいたいと思います。それとともに、あくまでも、先ほどもいいましたけれども、これはノルマの管理ではなくて業務改善のツールにしていただきたい。ノルマの管理となった場合、これはもう現場レベルからやるわけですから、現場の人がノーといったときにはなかなか成功しないと思います。そういう意味で、ノルマの管理ではなくて業務改善のツールであり、このスコアカードの指標を一つ一つ評価することによって翌年度の取り組みに反映させられる、そういった仕組みづくりを行ってもらいたいと思います。
今、都立病院改革のいろんなプランが打ち出されている中で、私はいろんな病院を視察させてもらって思ったのは、職員の方が非常に腰を落ちつけてないというか、いろんな意味でそわそわしている。いい意味でも悪い意味でもそわそわしていて--一人一人の業務改善、経営努力というのは、短期間ではなかなかできないと思います。そういう意味で、長いスパンで見たこのバランススコアカード、導入来年度からという話がありましたけれども、導入する上でもやはり長いスパンで考えていかないと、これは成功しないんじゃないかと思います。そういう意味で、地道な取り組みを大切にして、一過性でない、長いスパンでの着実な改善効果を上げてもらいたいということを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、女性専用外来について伺いたいと思います。
昨年の七月、都立病院では初めて、都立大塚病院において女性専用外来がスタートいたしました。これは平成十四年第三回定例会での我が党の野上議員の一般質問を皮切りに、我が党としても都議会での質問や知事への要望を行ってまいりました。これに対して、都は積極的に対応してくれた。このことについては非常に感謝をいたしております。また、昨年、第三回定例会におきまして、我が党の代表質問で、開設後二カ月間の実績や利用者の反響について伺った際には、大変評判が高いという趣旨の答弁がありました。
大塚病院での開設後に、実はこの女性専用外来、今全国的に広がりつつあります。多くの公立病院においても、この女性専用外来が広がってきている。これはまさに、都立病院が進めている医療改革が他の医療機関にも大きな影響を及ぼしているという一つの証拠であると評価をいたしております。
そこで、まず現在の大塚病院における女性専用外来について伺いたいと思います。きょうの資料にも月別の大塚病院の女性専用外来の実績が出ていました。そこで私は、この女性専用外来の初診患者と、その疾患別の診療実績について、大きな枠組みで結構ですから伺いたいと思います。
○菅原サービス推進部長 昨年の七月一日から週三日の診療を実施しておりますが、本年一月までの七カ月間の取扱患者実績は、再診も含めまして延べ一千七十名でございます。そのうち初診患者は三百七十二名でございまして、初診患者を疾患別に見ますと、四三%が更年期障害、二一%が婦人科疾患、二〇%が精神科疾患となっております。
○東村委員 七カ月で千七十名という、この表にも出ていますけれども、一月当たり百五十名の方が受診をしたという、非常に多くの方が受診をされていることがうかがえます。
一方、都立病院で初めてのことでもあり、実際には女性専用外来を実施してみてさまざまな課題も出てきたんではないでしょうか。私も今、疾患別に見て二〇%が精神科疾患だという、こういう事例も見て、いろんな意味でさまざまな課題がもう出てきているんではないか。そこで、この都立大塚病院で実施した女性専用外来、この女性専用外来の課題は何なのか、これからクリアしていかなければいけない課題は何なのか、これについて伺いたいと思います。
○菅原サービス推進部長 幾つかの課題がございますが、まず第一に、再診の患者さんが増加しているということでございます。この結果、担当医師の受け持ち患者が増加いたしまして、医師の負担が大きくなっております。また、初診患者の早期受診にも影響を及ぼしております。
第二には、受診後はそれぞれの症状に応じた専門の診療科に紹介することとなるため、院内外の医療機関等との連携を強化していく必要があるということでございます。さらに、女性専用外来を担当する医師には、カウンセリング能力はもとより、幅広い対応能力を持った医師の確保が要求されるということが改めて認識されたところでございます。
○東村委員 これは本当に大事なことだと思います。
ところで、昨年一月に発表されたこの都立病院改革実行プログラムによりますと、平成十六年度には府中病院及び墨東病院に女性専用外来の設置が予定されております。特に多摩地域の住民にとっては、府中病院での早期開設が待たれるところです。しかし、先ほど答弁がありましたように、さまざまな課題がある。例えば再診患者さんが増加している。恐らく精神科疾患の方というのは、その先生に診てもらえば再診というケースがほとんど、その先生にずっとついちゃうだろう、こういう話もあるわけでありまして、また、最初は女性専用外来ですが、その後はやはり専門の診療科に紹介していかなきゃいけない、院内外の医療機関と連携しなきゃいけない、こういった課題もあるわけです。
そこで、これらの課題をクリアするために、府中病院での女性専用外来を開設するに当たってどのような対応をしていくのか、これについて伺いたいと思います。
○菅原サービス推進部長 女性担当医師の確保につきましては、そもそも女性医師が少ないということもございまして、大変難しい問題を抱えておりますが、十分な診療体制を組めるよう担当医師を確保してまいるとともに、院内の他の診療科との連携強化を図ってまいります。
なお、診療日等の詳細につきましては、現在、府中病院におきまして検討を重ねているところでございます。
○東村委員 ぜひ十分な体制での開設をお願いしたいところであります。
ところで、十六年度の開設とはいえ、できるだけ早急な開設を望むという声がたくさん出ております。府中病院や墨東病院での開設はいつごろになるんでしょうか。
○菅原サービス推進部長 医師の確保、診療室、診察室等の環境整備等を進めながら、診療日、診療内容等を十分検討いたしまして、本年秋ごろまでには開設したいと考えております。
○東村委員 ぜひとも早い開設を、少しでも早い開設をお願いしたいと思います。
この女性専用外来は、東京都が掲げている患者中心の医療を実現していくための方策として、非常に高く評価をされています。今後、女性専用外来に限らず、各種専門外来の拡充に努めていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
○かち委員 最初に、荏原病院のことで一言確認をしたいことがあります。
先ほど荏原病院の質疑がありましたけれども、荏原病院は、田代議員もいわれましたが、大変地域の開業医さんや地域の皆さんとの連携も非常によくできている病院だという発言がありました。私も実際地元に住んでいて、そういうふうに思っております。それは荏原病院が百年の歴史を持って、開設当初は感染症から始まったということです。そして、それを一般病棟化に拡大していく。そういうときに、いつも地域の皆さんと相談しながら、地域の中で支えられてきた歴史を持っている病院だということなんですね。
先ほど、今後の感染症対策として、公社に移っても、ある機能を生かして、公社になっても感染症病棟を確保していきたいというようなご答弁がありましたけれども、実際これ、なかなかいうにやすく行うはがたしということだと思うんですね。感染症法によりまして、東京都では二次医療圏ごとに感染症ベッドを確保するということが基本原則になっていながら、東京の場合は二十三区では七医療圏中まだ四つしか確保できていない。これは私も一般質問の中で質問をいたしまして、そのときには、厚生省と約束でベッドの数だけ確保できていればいいんだというようなことをおっしゃられました。しかし、今のようなSARSだとか、鳥インフルエンザも、今のところ鳥だけですけれども、これが感染を繰り返していったら人へ感染する可能性も高まるし、人から人へとなったら一気に、今の鳥に広がっているような状況が人間の中に広がるわけですから、それは大変なことなんですよね。そういうときの危機管理としても、これは、私は行政的な役割だというふうに思っております。
それで、荏原病院が、昨年SARS問題が起きたときに、このSARS対策としていち早く院内マニュアル--ラッサ熱を受け入れた経験もありますので、院内マニュアルに沿って院内体制をつくって準備をしてきたわけですけれども、このSARS対策にかかった荏原病院での経費、準備、設備等を含めてどのぐらいになったのでしょうか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 資器材の整備といたしまして、防護服、呼吸保護具、マスクや検体搬送ケースなどの整備に二千万円余り、それから感染症病棟の陰圧性能を改善するための工事実施設計に九百九十七万円余り、合計三千万余円を支出してございます。
○かち委員 現実的には、あのとき十三例の疑い例が出て、そのうちの七例を荏原病院で対応してきたというふうにも伺いました。実際これがどういうことなのかということなんですけれども、一人でもSARS疑いの方があらわれれば、あの当時どこの病院でも高熱が出てせきが出ている人は別の入り口から入ってくださいみたいなことを表のドアのところに張ってありましたけれども、別のルートから入院するという設備もできております。しかし、実際にこれに対応するためには、荏原病院でさえ、一類を持っている荏原病院でさえ新たに陰圧性能の改善をするための工事、施設整備に九百九十七万円をかけているんですよね。
そして、あれは三月、四月、五月、六月ぐらいまでの間だったかと思いますけれども、実際にその間に患者さんが来れば、今一つの病棟は四十床単位になっていますよね。その感染症病棟といわれるところは、四十床のうち半分、二十床は感染症で対応します。その二十床のうち二床は一類対応ですよね。そうすると、あとの半分、二十床は本来なら使えるんです。使えるけれども、そういう疑いの人が入るときに一緒に一般の人も入れられるかといったら、それはやっぱり入れられないことなんですよね。私、実際に病院へ行って、感染症部長さんにお話も伺いましたけれども、本当に危機管理にまともに対応しようとしたら、入院している人も転院してもらうか別の病棟に移ってもらうかして、そこを本当に感染症対策病棟に切りかえなくちゃいけないんだと。そして、これから何人来るかわからないけれども、その対応をしなきゃいけないし、一気に来てもそれに対応しなきゃいけない。大変不採算だし、リスクの高い対応なんですよね。これにかかわっただけで三千万余かかっているわけですよね。
一般病院でこのベッドを確保する、先ほどお話がありましたけれども、ただ設備があればいい、ベッドがあればいいということではなくて、専門職、きちんとした、対応できるスタッフがいなければ、これにも対応できない。そういう意味では、一般の病院でなかなかこのベッドを確保できないというのも今の現状だと思うんです。だからこそ、これは行政的医療として位置づけて、荏原病院に位置づけているわけですよね。
そういう意味では、地域に根差した病院としての地域医療の役割、そしてある施設は生かすんだという点でおっしゃられました。荏原病院には高圧酸素療法というとても高い脳卒中の治療機器があります。都内にある公立病院--都立病院の中で、たった一つあそこにしかないんですよね。そういう貴重な治療機も備えていて、感染症の抜本対策ができる、しかも脳卒中とのかかわりではリハビリも設備がある。これだけ行政的な準備のある病院をなぜ公社に移管しなければいけないのか。そういう点では、全く私は今なお理解できないということを最初に申し上げておきます。
それで本論に入りますけれども、資料を出していただきました。資料によりますと……(発言する者あり)行政的医療でやるべきだということで、私たちの立場は明確ですから、これ以上繰り返してもしようがないので、また別の機会にやります。
資料を出していただきました。資料を見ますと、都立病院の病床利用率、入院患者、外来患者数、いずれにおいても、個々のでこぼこはありますけれども、トータルとしてこの数年全般的に減少傾向にあります。この状況をどのように分析されているでしょうか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 病床利用率それから外来患者数等の減少といいますか、病床利用率につきましては落ちている、この辺についてどのように分析をしているかということでございますけれども、病床利用率につきましては、都立病院は各病院におきましてクリニカルパスの活用などによって計画的で円滑な入院治療を行っております。治療の標準化を進めることによりまして、入院期間の適正化に努めた結果、新たな入院患者は増加をいたしましたけれども、結果として延べ入院患者が減少した、このようにとらえております。
また、外来患者数につきましては、平成十四年四月の診療報酬改定におきまして、投薬処方の期間制限が廃止されたことによりまして、再来院される患者さん、これが減少したことが原因だろう、このように考えております。
○かち委員 別の見方もあると思うんですよね。国の診療報酬改定のせいだということもちょっといわれましたけれども、とりわけ昨年は、入院加算、短期入院加算の算定基準が二十日から十七日と短縮をされた。これが現場にとっては大変大きな要因になっていると思うんです。
実際そのことがどういう現象を生み出したかといいますと、とにかく入院をしたときから、病状のいかんにかかわらず退院の準備を始めなければならない。いかにベッド回転を早くするかということが病棟管理者の最大の課題にもなっているようなところがあります。これは都立病院だけではなくて、一般病院でもそういう状況です。在院日数、この資料によりますと十四日などという数字も出ておりますけれども、それは現場ではもう毎日毎日入退院対応に忙殺されるという状況なんです。一生懸命退院を促進しているうちに、入院の方の数が追いつかなくなってしまって、結局あいてしまい、ベッド満床率が下がってしまったというのが現状ではないでしょうか。これが本当に患者中心の医療といえるでしょうか。
大もとには、国の診療報酬の無理な改定、そして健康保険の改悪や老人医療費の定率制の導入など、受診抑制を引き起こしている、こういうことが原因ではないかと思いますけれども、ご見解はいかがでしょうか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 入院期間の適正化を図っていくということにつきましては、私どもの方は、例えば身体、体への侵襲度、負担の低い術式の採用の拡充を図ったり、あるいは迅速な検査を実施したり、そして、先ほど申し上げましたけれども、クリニカルパスの活用、さらに治療の標準化を進める、こういうようなことで進めているわけでございまして、先生がおっしゃるような、在院日数を短縮したり病床の回転率を上げるために、治療が必要な患者さんを必要な治療を受けられないで出していくというような、そういうような準備を都立病院がさせているということは断じてございません。
○かち委員 断じてありませんとおっしゃいますけれども、現実的には、患者さんが、こんな状態で退院できない、気管切開をつけたまま、頭の手術をしてまだふたがつけられない、そういう状況の中でも、次の病院を探してくださいと現実にいわれている。そういう状況があるわけです。(「どこの病院だ、はっきりいいなさいよ」と呼ぶ者あり)私は都立病院だけとはいってないでしょう。一般病院もあるんですよ。(「どこの病院だよ、民間だって問題だから」と呼ぶ者あり)問題だといったって、今の現状ですよ。(「どこの病院かいってみなさいよ」と呼ぶ者あり)やじに答えません。そういうことがあるということ、そして……(発言する者あり)皆さんは経験がありませんか。(発言する者あり)私は相談を受けているからいってるんですよ。(発言する者あり)
○藤井委員長 先に質問を続けてください。
○かち委員 はい、続けます。(「質問じゃない、こんなのは」と呼ぶ者あり)質問をいってるんですよ。結局そういう状況を生み出しているということなんです。ですから、国の診療報酬の改定とか健康保険の改悪、こういうことが非常に重要な影響を及ぼしている、そのことを申し上げておきます。
そして、今、病院改革プログラムに沿って具体化が進んでいますが、あと十日余りで都立大久保病院も公社に移るという状況になっています。大久保病院は、移管に当たって職員を派遣するに当たり、当初は六〇%ぐらいの派遣ということを合意をしていたようですけれども、公社としての看護師定員が二百六人のうち、実に百七十六人、八五%も都から送り込まなければならない、こういう状況になっています。それだけ固有の採用が難しかったということも聞いております。そういう意味でも、今後この後に続く予定になっております多摩老人医療センター、そして荏原病院の動向にもかかわります。大久保病院の今後の動向をしっかりと見きわめていきたいと思っております。
改革の一環として、資料に出していただきましたけれども、各病院におけるPFI導入の計画が進んでいます。この状況及び関連予算では、府中病院と多摩小児医療センター病院の複合施設化、もう一つは駒込病院のがん感染症病院の大規模改修です。この二つの計画について、アドバイザリー契約で平成十四年に七百八十二万三千円、十五年には七千七百六十四万八千円も導入しているんですね。さらに来年度は、精神医療センターも加わって二億六千七百六十五万八千円予算計上されています。しかし、一体この中でどういうことが検討されてきているのか、そういう進捗状況などがよく見えないのですが、その説明をお願いいたします。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 先にちょっと大久保病院の件でございますけれども、大久保病院について、先生は、要は固有職員の採用ができなかったからというようなお話がございましたけれども、私どもの方は、この委員会でも申し上げましたように、医療の継続性、安定性を確保するためにきちっとした基幹要員を継続的に派遣していく、このようにお答えしてございます。私どもはそのお答え申し上げた線で人員を確保して派遣をしているということを、この際はっきりといわせていただきます。
続きまして、PFIについての検討内容等の状況についてでございますけれども、これは現在、平成十五年の一月に、都立病院改革実行プログラムで、PFI導入を詳細について検討していく、これは既に明らかにしているところでございます。この実行プログラムの公表に当たりましては、都議会に報告をさせていただいております。また、プレス発表で、都のホームページへの掲載などの方法によりまして、広く都民に周知をさせていただいているところでございます。
国のPFIの基本方針では、公平性及び透明性の確保の観点から、PFI事業としての実施を決定する前の実施方針策定の段階で公表することを求めております。そこで私どもの方は、現在アドバイザーを交えて病院とともに施設整備、運営、諸手続等に関する検討を行っておりまして、早期の実施方針の策定、公表に向けて検討を進めているところでございます。
○かち委員 必要な人材を送るというのは当然のことですけれども、それを大体三年ぐらいでだんだん入れかえていくというのが方針なわけですよね。それを八五%も送り込まなければいけなかったというところに難点があったのではないかということを申し上げたんです。
それで、今公開をしているというお話がありましたけれども、十四年度では二つの病院で、日本総合研究所、日本工営というアドバイザリー会社がPFIの導入の可能性について調査をしているわけですね。それで、十五年度には、それぞれ事業方式等の検討、助言ということになっているわけです。もう足かけ二年経過をしているわけですけれども、それでは十四年度のそれぞれの調査検討結果報告というのは、この委員会には報告されているのでしょうか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 あくまでも現段階ではPFIの導入の可能性に関するアドバイザーからのいろいろな意見を承っているわけでございまして、これは私どもの方の検討材料として使用するものでございます。その中には、民間事業者の資金調達に大きく影響する事業機関であるとか、あるいは民間事業者の選定方法、都と民間事業者のリスク分担、こういったものなどがございまして、今後変更される可能性が高い情報、いまだ判断に至っていない内容が多く含まれております。こうした検討途上の事業案をもとに、民間事業者が発案の準備に入ってしまったり募集を見合わせることがないように配慮する必要がございます。検討案の取り扱いについては慎重を期さなくてはならないというふうに考えております。
国のPFI基本方針も、民間事業者にとってPFI事業への参入のための検討が容易になるように、公表される実施方針には相当程度の具体的内容を備えたものであること、これを求めております。したがいまして、私どもの方は報告書の公表につきましては考えておりません。
○かち委員 民間事業の経営状況を守らなければならないから、だから公表できないとおっしゃいましたけれども、しかし実際には七千万ですか、かなりの税金を投入しているんですよね。これからも投入するという、こういう計画の中で、税金を投入する以上はその情報は都民に明らかにするのは税金の公平性という点で当然ではありませんか。それができないまま進行していってしまう、そのことは私は大きな問題があると思います。
医療という特殊な経営体、しかも今回は新築ではない、それぞれ条件がある中でのPFI手法ということなんですね。民間のノウハウを生かすといいますけれども、病院へのPFI導入そのものがまだ、全国でも幾つかの病院しか行われていない状況の中で、これらの契約先、今回示されている契約先というのはどういう会社で、そして医療現場でのこうしたやり方についての経験を積んでいるんでしょうか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 例えば駒込病院についての例で申し上げますと、平成十五年度のアドバイザリーの業務委託の受託者、財団法人日本経済研究所でございます。また、アドバイザリー業務の履行に当たりましては、法務面では三井安田法律事務所、病院設計面では株式会社伊藤喜三郎建築研究所、病院運営面では株式会社病院システム、こういったところが加わりまして、より専門的な見地から検討を進めているところでございます。
○かち委員 一つお答えがなかったので、医療現場の経験、こういうPFIに基づく医療現場での経験はどうなんですか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 日本経済研究所は、近江八幡市民病院におきますPFI事業を初めといたしまして、各種PFIのアドバイザリー業務に携わっております。
○かち委員 十五年度のアドバイザリー契約で、日本経済研究所、このもとに三井法律事務所とか伊藤何とかというのとか病院システムとか、こういうことがいわれましたけれども、こういうことをやっぱり委員会でも報告されているんでしょうか。どこが何をやっているのかわからないというのが今の現状だと思うんですよね。日本総研は、今同時並行的にやや少し早目にやっている病院での経験があるというけれども、やっぱり検証されていない問題を今東京都としてもやろうとしているわけで、だからこそ、そうであれば情報公開をきちんとすべきだということを重ねていっておきます。
先日私は、宮城県の県立こども病院を見学してきました。この病院は、一昨年十一月開業ということで、まだぴかぴかの病院でした。ここは県が建設をして、東北医大の関連医療法人が経営を委託されているという病院でしたけれども、二つのことを印象深く見てきたんです。
その一つは、病院づくりは、医療スタッフはもちろん、関係する患者さんなど広く意見を聞きながら進めていくことだということです。子ども病院の建設ということですから、何よりも子どもを中心にした理念に基づいた基本構想、設計、建設になっているということを改めて感じました。そのためには、チャイルドライフ、子どもの生活を息づかせることを基本理念としていることです。子どもの生活というのは、中心に遊びがある。プレー、遊びをやっぱり除外してはならない。いつもそれが子どもの生きる力だということが理念としてうたわれていました。
そのため、県は設計段階からチャイルドライフスペシャリストを採用して、さらに利用者である患児、お子さん、その家族、地域住民、関係医療機関などあらゆる関係者の声を聞きながらつくってきたと聞きました。その一つの例が、例えば病院には霊安室というのがあります。子どもが亡くなるという親の思いほど切ないものはありません。こういうものをつくるときにどうしたらいいかというのを、元患児、亡くなったお子さんの親御さんの意見も聞く、こういうことをして、病院の霊安室というのは大抵地下室にあって、薄暗かったりお線香のにおいがしたり、こういうのでは耐えられないということで、地下室は嫌だ、宗教にこだわらず明るい雰囲気をつくってほしい、そういうことで、本当に子どもらしい霊安室がちゃんと一階の部分につくられていました。
病院建設、改築などに当たっては、最も身近な患者さんやそこに働く医療スタッフや関係機関の意見が十分反映されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 まさにそのとおりでございまして、私どもの方は病院現場の中でのそれぞれの専門家がおりますので、そういった意見を十分に聞きながら進めていっているところでございます。
なお、先ほど、PFIの点でございますけれども、アドバイザリー契約について、要は極めてオープンになってないというようなお話がございましたけれども、これは一般競争入札できちっと処理をしてございますので、すべてオープンになってございます。
○かち委員 経過をきちんとお示しいただきたいといっていることで、進んでいるわけですからね、十五年度だってもう終わるわけですからね。
もう一つは、子ども病院における入院生活の質の向上の導入について申し上げたいと思います。宮城県立こども病院では、開設当初からチャイルドライフスペシャリストが採用されて、そのもとで保育士やボランティアによる独立したチームを置いて遊びのプログラムをつくり、子どもたちが生き生きと喜んで生きることができる環境をつくり出す試みがなされていました。日本ではまだ養成機関がありませんが、私たちが訪れたときにお話を聞いたスペシャリストのFさんは、アメリカでライセンスを取った、病院経営に効果という点では、子どもを主役に据えた理念で、痛い注射だとか苦しい検査だとか手術などについても、きちんと対象の年齢や理解度に合わせて理解できる説明や対応をすれば、信頼関係をつくってスムーズに処置ができる、その後の病状経過にも大変プラスになるということを話してくれました。このことは、愛知県立母子保健医療センターでも、非常勤でありますけれども導入しています。
日本ではまだ確立されていない資格ですが、カナダやアメリカでは多くの小児病院に配置されていて、効果が確認されています。アメリカの小児学会では、一九七五年に既にこのチャイルドライフのためのプレー専門員、ワーカーをどんな小さな病棟でも一人は置くこととか、最低三十人に一人は置くことというようなことが基準化をされています。こういう効果の出ているチャイルドライフスタッフを、ぜひ八王子や清瀬小児病院などにもモデル事業として東京都に導入すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○押元経営企画部長 ただいまお話のありましたチャイルドライフスペシャリストでございますけれども、通常こういった専門職は、ある程度の人数がまとまりますと、全国的な協会を設置いたしまして、資格の国家資格化とかそういった運動をするのが通例でございます。しかしながら、このチャイルドライフスペシャリストの皆さんは、まだ、日本チャイルド・ライフ研究会という極めて少数の研究会を結成しておりまして、その中で日本で早く養成できるようにするということを行動の目標に掲げているという段階でございます。
先ほど、かち委員からお話がございましたけれども、我が国においてはいまだ確立されている資格ではないと私ども認識をしております。アメリカはアメリカ、日本は日本ということでございまして、私ども東京都といたしましては、既に都立病院改革実行プログラムにおきまして、小児総合医療センターの建設に当たりましては、病気のお子さん、病気という負担を負ったお子さんがゆったりと安心して治療を受けられるよう、また院内における診察など、あるいは治療などにおきましては、病院内のあらゆる職員が工夫を凝らしまして笑顔を絶やさないように心がけたり、あるいは、これは病院に行って実地にご視察をいただければご理解いただけると思いますけれども、小児病院は本当にいろいろ、アニメのキャラクターとかそういったものをあちこちに張り出したり、あるいは子どもさん向けの治療の介助具を工夫したり、そういったことをやっております。
先ほども申し上げましたが、小児総合医療センターの建設に当たりましては、私ども、ご指摘を待つまでもなく、子どもさんが快適に、また病気のお子さんを抱えるご家族も本当に安心して治療に専念できるような環境整備に努めてまいりたいと考えております。
チャイルドライフスペシャリストにつきましては、現在のところ配置を検討する考えはございません。
○かち委員 アメリカはアメリカ、そうですよ、もう。カナダはカナダとか、それは当たり前のことなんですよ。ただ、今どうなっているかということを比較検討する上で、こういうふうに進んでいますよということを私は例としていったものです。
そういうことで、まだ検証されていないからできないんだというのでは、やや後ろ向きではないでしょうか。いいと思うことは積極的に研究をして前に出ていく、これが東京都の姿勢ではないんですか、今。そういうことで、ぜひ検討していただきたいと思います。未来を生きる子どもたち、傷ついたり悩んだりしている子どもたちが生きる力を取り戻し、家庭に帰ることができる病院として、都民の安心と信頼を培う病院のあり方を検討する、今がそのときだと思うんです。今は小児病院でどこでもやっているよというのは、私も医療機関にいた者としては重々承知の上でいっていることなんです。
いろいろ聞いていると、PFI手法はいかにローコストで効率的な運用ができるか、それが最大の課題になって、先ほどバランスが難しいんだ、大変だというお話がありましたけれども、ともするとそこが中心になっていきかねない、そういう危険性、リスクを抱えていると思います。そういう意味では、医療のような人を扱う現場で、人手が中心な現場にこうした手法はなじまないということを申し上げて、質問を終わります。
○初鹿委員 最後になりました。三日間、活発な議論が行われてきましたけれども、私の質問で最後になりますので、手短に進めていきたいと思います。
きのう、三日間、委員会がありまして、きょうも大切な委員会ですので、珍しく早く家に帰りましたら、テレビで「白い巨塔」という、皆さんもご存じの最終回をやっていました。けさニュースを見ていると、三〇%台後半の視聴率だというんですね。何でなのかなというのを、内容の問題とか、あと出ている役者が人気があるとかいろいろあると思いますけれども、やはり医療とかそういうものに対しての国民の関心が非常に高い結果ではないかなと思うんですね。最近の医療事故が報道されるということに対しての医療の不安とか、いろいろ医療制度の問題とか、ニュースになっておりますから、関心が高いということだと思います。
そういう意味では、皆さん方唯一この都庁内で医療の現場を持っているわけですから、非常に都民からの期待というのが大きい職場ではないかなと思いますので、ぜひ患者中心の医療という視点で病院経営を考えていただきたいなということを、まず冒頭お願いをさせていただきまして、質問に入らせていただきます。
昨年の事務事業質疑の際には、待ち時間の対策などを含めて病院情報システムについて、電子カルテを含めて質問をさせていただきました。そのときにもお話がありましたけれども、府中病院で導入されて以来、駒込病院など、順次都立病院で導入を検討しているということでありますよね。
この電子カルテというのは、データを集約できて、複数の人間が情報を共有化できるとか、情報開示が非常にしやすい、インフォームド・コンセントに適しているとか、いろいろな利点があります。しかし、この電子カルテだけでは十分に対応できない部分もあるんではないかなと思います。
先日、私の知人が入院している病院にちょっとお見舞いに行って、入り口を入って受付の前を通ったときに、何人かの人が機械の前に並んでいるんですね。それは何かなと思ったら、キャッシュディスペンサーみたいなのが置いてあって、それは何かというと、診療費の自動支払い機なんですよ。その病院を利用している人にいろいろお話を聞くと、最初それができたときは、どうやって使うのかわからなくて手間取ったんだけど、だんだんなれてくると非常に便利だというんですね。
日本人って非常に律儀でして、番号を出して、その番号が出てきたら会計払いに行くというシステムになっても、なぜかみんな待ってるんですよね。待って、出たらすぐに行かなきゃいけないという、そういう何となく律儀なところがあって、待ち時間をどんどん短縮していっても、待って座っているのは余り変らないんですよ。ところが、自動支払い機になると、待っている必要もなくなって、患者にとっては非常に便利だし、ちょっと買い物に行って戻ってきて支払うということもできるし、本当に患者中心という意味では非常にいいシステムなんじゃないかなと思うんですね。
ところが、府中病院は、電子カルテを導入したけど、まだここまでは至っていないですよね。そういうことも含めて、この自動支払い機とか、こういうサブシステムというんですか、こういうものも検討していった方が、より患者サービスの向上につながると考えるんですが、こういったシステムの導入について、計画はどのようになっているんでしょうか。
○菅原サービス推進部長 電子カルテシステムと連動いたしますサブシステムにつきましては、府中病院におきまして、先ほど委員からお話がありました自動支払い機を来月から稼動させる予定でございます。また、駒込病院におきましては、患者さんへの待ち時間対策といたしまして、診療時間が近づいたことをお知らせする外来患者呼び出しシステムというものを導入する予定でございます。
○初鹿委員 ぜひこれを順次導入していっていただきたいんですが、平成十六年度にこれから予定をしている大塚、広尾、墨東の三病院については、今までの府中や駒込と比較をしてどのような機能の向上を考えているんでしょうか。
○菅原サービス推進部長 十六年度にシステムの導入を予定しております都立三病院におきましては、救急医療に対する機能強化を図るとともに、周産期医療などそれぞれの病院の医療特性に対応した機能を付加してまいります。
○初鹿委員 今のところ、今挙げた五つの病院に電子カルテを導入するということが明らかになっております。しかし、これ以外にも都立病院ありまして、例えば精神医療センターとして整備される松沢病院や、神経難病医療センターとして整備される神経病院、そして小児総合医療センターなどありますけれども、これについてはまだ電子カルテを導入するとか、そういう話は一言も今まで出ていないと思うんですが、このような専門的医療を提供する病院についての今後の展開はどのように考えているんでしょうか。
○菅原サービス推進部長 都立五病院への電子カルテシステムを導入した後の新たな事業計画といたしまして、現在、第二次導入計画を検討しているところでございます。この計画におきまして、神経病院、松沢病院、それから小児総合医療センターへの導入など、平成十七年度以降のシステム展開を盛り込む予定でございます。
○初鹿委員 ぜひ全都立病院でこのような電子カルテの導入を進めて、まず都立病院間での医療連携を一刻も早く具体化していっていただきたいなと思います。
先ほども女性専用外来のところでも話が出ましたし、河西委員の質問のセカンドオピニオンのときにも出てきましたけれども、やはり都立病院だけじゃなくて、院の内外のその他の医療機関との連携というのが、やはりこれから先の課題になってくると思うんですね。そういったことを考えたときに、きのうも健康局に実は質問をしたんですが、公社の病院にもまず電子カルテを導入して、その公社の病院と都立病院との連携を進めていくべきではないかなと考えているところです。
ご承知のとおり、大久保病院は四月から公社の病院に移管をされます。そして多摩の老人医療センター、荏原病院と、順次公社病院になっていくわけですから、こうした病院においても当然電子カルテが必要になってくると考えるわけです。このような都立病院から公社に移る病院も含めて、公社の病院と都立病院のネットワークを強化していくべきだと思うんです。この電子カルテのシステムの情報の共有化ということについて、ぜひ進めていただきたいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○菅原サービス推進部長 お話にございました都立病院と保健医療公社病院における電子カルテシステムの情報の共有化につきましては、医療連携の向上を図っていくためにも、その実現に向けて早急に検討してまいります。
○初鹿委員 ぜひ都立病院、そして公社の病院、将来的には、きのうも健康局の質問でいたしたんですが、地域のその他の医療機関とのネットワークを構築して、今までの医療連携を点から面へと広げていっていただいて、より医療サービスの向上へとつなげていただきたいと思います。
これから大学病院とか民間病院とか、その他の病院でもどんどんとこのような電子カルテなどの病院情報システムというものが導入されていくと思いますので、ネットワークの構築について強く要望をいたしまして、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございます。
○佐藤委員 初鹿理事、大トリだといった後で申しわけないんですけれども、ちょっと一点だけお聞きしたいんですが、豊島病院が板橋区と協議をして、区立病院として継続をしていく云々と、こういう話が聞こえておりますが、直近の板橋との協議状況というか、話し合いの状況をちょっと教えていただきたいと思います。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 ただいま板橋区との間では、年度内にそれぞれの区立病院構想に沿ってこれからどのような体制を組んでいくかも含めまして協議を行う、そういう準備を今進めております。ですので、年度内には具体的な協議に入れるものと、このように考えております。
○佐藤委員 年度内といっても、あと十日かそこいらしかないわけで、その中でとりあえずそういった機関が立ち上がっていくというふうに理解をしてよいのでしょうか。
その中で、今、自治体が病院を持つというのは非常に厳しいんじゃないかという意見もある。板橋区の皆さんのお話を聞いても、賛否両論とまではいかなくても、積極的に推進をしようという方と、それから慎重論で、ちょっと待てよという方といらっしゃるようでありますが、多摩の方の自治体が持っている病院というのは大分経営が苦しいということも聞いております。我々のところに入ってくるのは、どうも悪い、悪いという話ばかり入ってきて、多摩の自治体立の病院が今どういう状況になっておられるかはつまびらかでありませんけれども、いい話は余り入ってこないで、悪い、悪いという話ばかり入ってきますけれども、具体的にその自治体が、板橋区は恐らく人口四十万ぐらいですか、のところが区立病院としてあれだけの四百床という大きな病院を経営していくに当たっての、病院経営本部が今考えているところの課題というのは何でしょう。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 病院経営本部といたしましては、基本的にはやはり地域医療をどのように区は中心になって担っていけるのか、病院運営において区はどのように地域の医療の政策を反映できるのか、この辺が大きな課題であろうかと思います。そういったものを組み立てていく中で、経営の面で具体的などういうような手法をとることによって、できるだけ財政的な負担を抑えながら区民のためになる病院になるか、この辺が非常に大事なことであろうかというふうに思っております。
○佐藤委員 この豊島病院も、感染症の病棟とか、それから緩和ケア病棟ですか、こちらを持っていたり、かなりお金がかかるといいましょうか、不採算部門もたくさんあるわけですが、これは区はどうしようとしているんでしょうか。
○宮川経営戦略・再編整備担当部長 基本的には、やはり地域医療にとって役に立つものについては積極的に考えていこうと。例えば緩和ケアなどは、区として対応を検討してよいのではないだろうか。ただし、例えばNICUであるとか、あるいは精神科の緊急をどうするか、この辺はよく東京都の方とも、今後の対応も含めて検討したいというようなお気持ちを持っているやに聞いております。私どもの方も、この辺は大変重要なことでございますので、関係局、特に健康局などを中心に、いろいろと積極的な検討を踏まえて遺漏のないようにしていきたい、このように考えております。
○碇山病院経営本部長 大変大事なことですので、私の方から重ねてご答弁をさせていただきます。
都立病院改革プログラムによりますと、私どもでは当初、大山にございます老人医療センター、これと統合民営化というふうに考えておったわけでございますが、そういう過程の中で、板橋区が区立病院として運営したいというような話がございました。
私どもの病院改革のプログラムでも、そこら辺は備考的に、板橋区長から申し出があった場合にはそういう方向でも考えるというようなことがございましたが、いずれにしましても、私どもの病院の位置づけとしますと、豊島病院は、どういう手法をとるにせよ、いわゆる東京都が将来とも持ちます、区部、多摩地区で持ちます広域基幹病院でもない、それから、いわゆる専門特化を図っていくセンター病院でもないということで、地域病院なのかなというような位置づけでございます。
その地域病院として、今後、先ほど来からご議論がございましたように、保健医療公社というような位置づけの地域病院もあるかと思いますし、区立病院というような地域病院もあるかと思いますし、私どもに特に必要なのは、地域病院としまして今の医療資源が、いわゆる開業医の先生方の診療所、それから中規模程度の病院、それから大規模病院とありますけれども、それぞれに動いているような感じがしますので、私どもの都立病院改革の中では、いわゆる都立病院の中の地域病院が地域の開業医さんのリード役を果たして、役割分担を図っていきたいというような考え方がございます。そのような意味で、今後板橋区と協議をするということで、年度内幾らも残っておりませんけれども、早速、これは本会議で私もご答弁申し上げましたが、板橋区との協議を開始させていただきます。
それから、本年夏ごろに、いろいろな問題、今、佐藤委員からお話がございましたようないろいろな行政上の問題だとか問題がありますから、そこら辺も含めまして、今後、年度内に立ち上げました協議機関の中で詰めまして、可能な限りということで、本年夏ぐらいを目途にある程度詰めていきたいというふうに考えてございます。
いずれにしましても、ちょっと話が飛ぶかもわかりませんけれども、そういうことを含めまして、本日いろいろご議論が出ました、例えばセカンドオピニオンの問題ですとか、それから先ほどございました電子カルテの問題、ここら辺の問題の究極の目的の一つは、患者中心の医療と申しますけれども、私はやはり従来お医者さんにお任せしていたものを、私ども、患者ないし家族が病気と向き合うということが一番必要なのかなというふうに思います。それが、がんというような重篤度の高い病気であればあるほど必要だというふうに考えております。
そういう意味で幾つかの手法を講じて、セカンドオピニオンもそうですし、電子カルテもそういう目的に資していきたいなというふうに思いますし、地域連携という意味でもやはりそういう役割分担を図っていきたいということで、問題は多々いろいろあろうかと思いますけれども、板橋区とも十分協議を進めまして、またご報告をさせていただきたいと思いますので、よろしくご支援のほどお願い申し上げます。
○佐藤委員 さすが察しのいい本部長で、私が次に聞こうと思ったことを今全部答えていただきましたので、これで終わりにしますけれども、本部長が触れられましたように、板老の問題が残るだろうと思うんですね。今までセットで考えていたものが、例えは悪いけれども、セットで同じ箱に入っていた商品が半分先に売れちゃった、しかもいい方が売れちゃって、賞味期限が来ているような古い方が残っちゃって、どうしようかと、こういう今状況だと思うんです。これは福祉の方の所管だろうと思いますけれども、その辺もしっかりちょっと詰めていただいて、今ご決意がありましたように、板橋区とも十二分に、本当にこれから基本的なこともいろんな問題が出てくると思いますけれども、しっかりとお詰めいただいて、いい地域の中核病院として豊島が存続していくように頑張っていただきたいと思います。
以上です。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時八分散会
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