委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | 大山とも子君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 初鹿 明博君 |
東村 邦浩君 | |
柿沢 未途君 | |
かち佳代子君 | |
大河原雅子君 | |
河西のぶみ君 | |
田代ひろし君 | |
古賀 俊昭君 | |
佐藤 裕彦君 |
欠席委員 一名
出席説明員健康局 | 局長 | 平井 健一君 |
技監 | 長岡 常雄君 | |
総務部長 | 浅井 憲彦君 | |
企画担当部長 | 酒井 洋一君 | |
医療政策部長 | 奥田 匠君 | |
医療サービス部長 | 梶山 純一君 | |
食品医薬品安全部長 | 中井 昌利君 | |
地域保健部長 | 齋藤 進君 | |
事業調整担当部長 | 海老原 繁君 | |
参事 | 桜山 豊夫君 | |
参事 | 木村 豊彦君 | |
参事 | 小松 博久君 | |
参事 | 丸山 浩一君 |
本日の会議に付した事件
健康局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 健康局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第九十五号議案 東京都食品安全条例
・第九十六号議案 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
・第九十七号議案 食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
・第九十八号議案 東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
・第九十九号議案 東京都健康局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百号議案 プール等取締条例の一部を改正する条例
・第百一号議案 興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・第百二号議案 東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
・第百三号議案 東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
・第百四号議案 東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
・第百五号議案 保健所運営協議会条例を廃止する条例
・第百四十八号議案 東京都立東部療育センターの指定管理者の指定について
○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、健康局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより健康局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、健康局所管分、第九十五号議案から第百五号議案まで及び第百四十八号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○浅井総務部長 去る二月二十日の本委員会におきましてご要求のございました資料について説明を申し上げます。
お手元配布の厚生委員会要求資料をごらん願います。資料は、目次にございますように、十一項目から成ってございます。
まず一ページをお開き願います。1の都立看護専門学校再編整備計画でございます。
質の高い看護職員を養成するため、規模の適正化を図る必要があることなどから、都が計画しております看護専門学校の再編整備につきましてお示しした資料となってございます。
次に、二ページをごらんください。2の東部療育センターの指定管理者の選定経過、理由及び業務内容でございます。
東部療育センターの指定管理者につきまして、(1)として、募集から応募状況、選定委員会の開催までの経過を、(2)といたしまして、選定の理由を、(3)といたしまして、指定管理者の業務内容を記載してございます。
次に、三ページをごらん願います。3の市町村への事務移譲に係る協議対象事務でございます。
平成十四年四月、東京都は、市町村に十の事業につきまして事務移譲を提案し、そのうち、十五年四月から精神保健福祉の一般相談業務を移譲いたしましたが、資料には、現在引き続いて市町村と協議を行っております九つの事業につきまして記載してございます。
続きまして、四ページをお開き願います。4の老人保健事業報告におきますがん検診受診率でございます。
厚生労働省の資料をもとに、各都道府県、政令指定都市別に、がん検診の受診率を記載してございます。
次に、五ページをごらん願います。5の各都道府県及び政令指定都市におけるがん死亡率でございます。
同じく厚生労働省の資料によりまして、がんの部位別に人口十万人当たりの死亡者数を指数でお示ししてございます。
続きまして、六ページでございます。6の区市町村別合計特殊出生率でございます。
都内の各区市町村の平成十四年の合計特殊出生率をお示ししてございます。
なお、欄外(注)にも記載がございますとおり、東京都の合計特殊出生率は一・〇二となってございます。
次に、七ページでございます。7の都内の自殺者の推移でございます。
厚生労働省の資料による平成五年から十四年までの各年の都内の自殺者数を、十代刻みの年齢別内訳とともに記載いたしてございます。
続きまして、八ページでございますが、8の食品安全条例と消費生活条例の比較でございます。
八ページから一〇ページまで、今回提案させていただきました食品安全条例と消費生活条例の内容につきまして、目的や基本理念などの事項ごとに対比した形でお示ししてございます。
次に、一一ページをごらん願います。9の食品安全条例の各条項と関係局でございます。
食品安全条例の各条項に基づきます事業等の主体となる局及び関係局を記載してございます。
続きまして、一二ページでございます。10の食品安全条例と平成元年の直接請求に基づく条例案との比較でございます。
一二ページから一三ページにかけまして、今回提案いたしております食品安全条例と、平成元年の第三回都議会定例会において提出されました直接請求に基づく条例案の内容につきまして、対比した形でお示ししてございます。
最後に、一四ページでございますが、11の食品の安全確保に関する条例の他県の状況でございます。
食品の安全性の確保を目的とした条例に関しての、他県の現時点での状況を一覧にまとめたものでございます。
以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料について説明を終わらせていただきます。
よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 本日は、精神病の患者さん方の精神保健福祉の問題についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、私自身も、十四年間、精神科の病院の部長として奉職したことがあるものですから、そのときにいろいろ感じたことが、今もってまだ解決されていない。そういうことを今から東京都がしっかりと取り組んで、新しい政策、いわゆる精神障害を持っていらっしゃる方々に対しても、人権というものを尊重して、きちっとした社会復帰ができるような政策をつくっていこう、何かそういう方向性が見えてきたものですから、その観点から質問させていただきたいと思うのです。
基本的に、精神病の患者さん方の今までの取り扱いというのは、長い歴史の中で、不当というか、余りにも残酷な取り扱いが大変長いことされてきまして、皆さん方もご存じのとおりに、断種なんていうのは、ナチスドイツで行われた障害者の安楽死計画というふうなとんでもない計画が実行に移されたこともあるわけでありまして、これは一部間違えた考え方があって、精神疾患というものはすべて遺伝で起きるんだ、遺伝で起きるんだから、その種を絶やしてしまえばいいんだという、非常に浅はかな、科学的ではない--当時は科学的に立証されたといわれていたわけですけれども、それは全く根拠のないものだったわけです。そういうことによって断種の手術が行われたというような悲惨な状況があるんですけれども、現在、かなり精神障害の方々のことがわかってきました。
十年、十五年前まで、特に私が医者になったころというのは、更年期なんていう言葉は男性にはなかったんですね。女性で、しかも我々がよく診断がつかない、何をおっしゃっているんだかよくわからないときに、じゃ、それは更年期ですからという言葉で逃げるのが三十年前は常識だったわけですけれども、十年前から更年期は男性にもあるということがよくわかってきて、この不況と相まって、先ほどの資料にもありますけれども、自殺者がふえてきたというのは、リストラだけではなくて、リストラされる年齢によっても、非常にうつ状態に男性がなりやすい。そこに合わせてリストラされちゃったりすると、もう闘っていけなくなっちゃうわけですね。まさしく皆さん方、その適齢期にあるわけですから、そういうことにならないように、あすは我が身も考えて、いい政策をとっていかなくちゃいかぬと思うんです。
精神障害者の人が実社会でしっかり生きていく、共生していくという仕組みをつくっていかなくちゃならないのが、東京都の今からの大きな課題なんですが、残念ながら、まだまだ臨床の状態では、新しいいろいろな向精神薬ができてきて、今までとは違って、全く新しい治療法というのは考えられてはいるんですけれども、じゃ、それで結果がよくなったかというと、残念ながらそこまでは進んでいないわけです。
しかし、その一方で、すべての障害者の方々がノーマライゼーションをうたわれるようになって、障害者の社会参加というものを進めていかなくちゃならない時代になってきたわけですけれども、国においては、精神病院の長期入院の問題、とりわけ、受け入れ状況が整えてあれば退院ができるであろう、退院可能であろうという、いわゆる社会的入院とよくいわれるものですけれども、精神科の疾患を扱う専門病院、私が奉職していたところもそうですが、そういうところの社会的入院と一般の老人病院の社会的入院は、基本的に全く意味合いが違うんですね。
老人科を中心とした社会的入院というのは、うちにおじいちゃん、おばあちゃんがいると大変だから、その分お金も払うから、病院で預かってよ式な、ホテルとしての考え方が基本にあったわけですけれども、精神障害を持っていらっしゃる方たちの社会的入院というのは、まず受取手がいないということが大きな問題になる方がいます、ごく一部ですけれども。収容されたとき、発見された土地の名前を上と下につけて、仮名をつけなくちゃいけないような患者さんも随分いるわけですね、記憶が残っていないとか、保護者が出てこないとかということで。
それとは別に、保護者がちゃんといて、しっかりとある程度家では受け取れるんですが、障害を持っている人が家に戻ってくることに対して、地域の反対であるとか、また家族の体面的なものかもしれないんですけれども、マイナスになるという、家族愛とはかなりかけ離れた状態になっちゃうわけですけれども、そういうことがあって社会的入院をする。あるいは、もっとはっきりいうと、もうちょっときちっとした施設で、ちゃんとした治療を受ければいいんですが、そういう社会的な余裕もないために、外に出ると、もしかすると犯罪を犯してしまうかもしれない危険性があるから中にいるということで、一般の病院の社会的入院とは違って、精神病院の社会的入院というのは、いろいろ複雑なファクターがあって社会的入院を余儀なくされているわけですけれども、これを今から解決していかなくてはならないわけです。
そして、一昨年十二月に新障害者基本計画を国が策定しまして、今後十年のうちに、いわゆる社会的入院患者七万二千人の退院、社会復帰を目指すということになっているんですが、これに対応して、東京都においては、昨年六月に、東京都地方精神保健福祉審議会から、精神障害者の長期入院の問題についてという提言が出されているわけです。
こういう緊急に取り組むべき事項については、平成十六年度の予算の中で、退院促進の取り組みを始めるんだということを伺っているわけですけれども、これは我が国だけではなくて、外国でも随分昔から問題になっていて、社会的入院を解消しよう、それから、イギリスなんかでは、施設に入っている、収容されていることによって、新たな病気をつくってしまうというようなこともわかってきたわけであります。
これは手前みそなことをいうんじゃないんですが、私が奉職していた病院というのは、テーゼが一つありまして、青空と空間と緑という、一番お金にならない治療をする。いわゆる広い空間とさわやかな空気があることが、まず精神障害者の人たちの治療のもとになるということで、最初、私が奉職したときには、二万四千坪の病院だったんですけれども、退職するときには、皆さん方もよくご存じだと思いますけれども、五千坪になってしまいました。倒産しちゃったわけですね、ある意味で。
薬を薬漬けで使わない限りは、医療というものは--これは都立病院の経営なんかでもそうなんですけれども、特に精神科領域というのは、薬を使って薬漬けにしていかないと経営が成り立たないという、非常におぞましい一面もないとはいえないんですね。それに対抗して、我々は緑と空間と青空ということでやったんですけれども、やはり病院経営は行き詰まってしまった。そういうものを行政医療として皆さん方が今から取り組んでいただかなくてはならないんだろうと思っています。
欧米においては、いつまでも精神障害の人を病院に閉じ込めておくのではなく、なるべく現場復帰をしていこうということで、受け入れ態勢をつくっているわけですけれども、果たしてそれが今から東京でもうまくいくのかどうか。
WHOの統計では、人口一万に対して二十七床という、ほかの国に比べて多過ぎるような精神病のベッド数があるわけですけれども、こういうものの違いをなるべく解消していくためには、東京都がやはり大きな決断を持って進めていかなくちゃならないし、またしっかりとした具体策ですね、理想を述べるだけではなくて、具体的にこういうところをこういうふうにして、予算をこういうふうにしていきますということができないと、これはどうにもならない。これは福祉局一局だけでできることではなくて、それこそ医師会も、それから一般の方々でも、皆さん方が取り組んでいただかなくちゃならない、その知識を持っていただかなくてはならない。
三多摩で、問題がありますから、どこということは申し上げませんけれども、そういう関連施設をつくろうという話で、そこの市長さんは大変福祉に前向きであるということが有名だった方のところです、といえば大体どこだかわかるかもしれませんけれども、やはり地元住民の反対があって、そういう施設がつくられなくなってしまった。
これは世田谷でもあることなんですね。総論は賛成だけれども、各論は、うちの隣にできるのは嫌だという話があって、実は医師会関係の人の横にできるんで、医師会の関係の人から陳情があって、どうしても困るというので、僕は大げんかした覚えがあるんです。医者がそんなことをいってどうするんだという話をしたんですけど、でも、都民感情として、なくちゃ困るけど、うちのそばは嫌だというようなことがあるわけですね。
そういう意味で、具体的なところをしっかりとお答えいただきたいんですが、きょうすぐ、予算について具体的なことについてはなかなか話はできないと思いますけれども、まず、東京都は昨年十二月に、入院医療中心から地域生活中心へという精神保健福祉の抜本的な構造改革について、東京都地方精神保健福祉審議会に諮問して、広範な検討をお願いしたということなんですが、そのねらいというのはどこでしょうか、お教えいただきたいと思います。
○梶山医療サービス部長 精神障害者の自立と社会参加の促進を図るためには、こうした方々に対して、適切な精神医療を提供することはもとより、地域での生活を支援するためのさまざまな施策を充実させるとともに、広く都民に向けて、正しい知識の普及啓発や心の健康づくりなどをより積極的に推進していく必要があると考えております。
このため、都は、東京都における今後の精神障害者施策のより一層の向上、発展を図るため、学識経験者や区市町村代表、さらに障害を持つ当事者などから構成される東京都地方精神保健福祉審議会の場において、多岐にわたる検討をしていただくこととしたものでございます。
今後とも、国の動向を踏まえながら、精神保健医療福祉施策のあるべき姿を東京から発信するとともに、実効性のある総合的な施策を着実かつ効果的に推進してまいりたいと考えております。
○田代委員 今、ご答弁いただいたように、大変すばらしいご答弁なんですが、残念ながら、具体例というものにはまだ切り込む時期ではないというか、まだまだ時間がかかると思うんですね。やっぱりそういうものに皆さん方が真摯に取り組んでいただいて、せめて欧米並みの--いわゆる間違えた形の社会的入院というものは、精神科領域においても解消されるようにお願いしたいと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、適切な医療がいつでも、どこでも受けられるようにしなくちゃならない。
これは医師会を含めた医療関係者のこれからの研さんというものが望まれるわけですけれども、それと同時に、精神障害者の方々のことを、コミュニティというか、地域の人たちがしっかりと理解していただかないと、先ほどのように、総論と各論の差があって、偏見や差別というものが生じてしまうわけですから、これをまず行政としては取り組んでいただかなくてはならない。
そして、これは東京都だけで当然できることではありませんから、国とも、あるいは区市町村とそれぞれが連携をしながら、チームプレーを持ちながら、精神科領域の--いわゆる医療費の問題とは全然別のところに大きな問題があるわけですから、そういうものの解消に向けて鋭意努力をお願いしたいということを申し上げて、次に移ります。
二点目は、食品の安全についてなんですけれども、当然、今一番一般の人たちの興味、関心があるのは健康であるということが、よく調査でいわれているわけです。その中で幾つか、ある程度わかり切ったところがあるかもしれませんけれども、改めて東京都としてどう考えるかということをお尋ねしたいと思います。
まず、鳥インフルエンザですけれども、対応に対して、犠牲者が出たり、いろいろと社会的混乱を招いているわけですけれども、道義上、一義的な責任というのは養鶏場の事業者にある。それは当然あるんでしょうけれども、法制度そのものも、こういうものに対応してつくられているわけではないので、大変不備もあり、我が自民党では、今度、家畜伝染病予防法の改正案を国会に提出する方針を決めているわけです。
鶏の伝染病が発生した鶏舎、いわゆる鶏小屋の中で作業をするなど、病鶏、病を持っている鶏との濃厚な接触をする人を除いて、鳥肉を食べたり何かしても全く大丈夫だ、リスクはないということがわかっているわけです。これは当然、ウイルスと宿主、宿る人、病気に侵される人との関係というものが科学的に説明されるわけであって、宿主が違えばそう簡単にはうつらない。それが豚を介したり、あるいはその他の動物を通じて、例えば昔、ミドリザルのウイルスは人間にうつらなかったものが、二百年ぐらいの経過を経て、人間にエイズウイルスという形で入ってきたように、いつどこで人間に入ってくるかわからないわけですけれども、そういうものに対する不安というものが、都民はまだまだあると思うんですね。
意外と、のど元過ぎればみたいなのがあって、BSEなんかは、牛どん食べなきゃみたいなことになって、昔、牛どんなんか絶対食べない人たちでも、今随分食べているわけです。しかし、少なくとも、都民にとっては情報公開というものが非常に重要ですし、業者にとっては風評被害というのも大変大きなことになると思うんですね。
今回の輸入停止や自主回収というのは、まず何を目的として行われているのか、都の考え方を伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 輸入停止などの措置は、生きている鳥の間で鳥インフルエンザの感染が広がり、養鶏場の経営に甚大な影響を与えることを防止するという、家畜防疫の観点から行われているものでございまして、食品衛生の観点からのものではございません。
これまでに、食品として鳥肉や鶏卵を食べることによりまして、人が鳥インフルエンザウイルスに感染したという報告はございません。
○田代委員 確かにそのとおりなんですね。新聞なんかにも出ていて、だれでもわかっているかと思うんですけれども、先ほど申し上げたように、こういう場合には、結論だけではなかなか都民というのは納得しない。その経過もわかっていたいという希望が大変都民にもあると思うんですね。ですから、どんな方法でもいいんです、インターネットなんかでも構わないんですけれども、都民の方々が、結論はこうだ、安全なんだ、いわゆるたんぱくの変性が行われる七十度前後の加熱、それ以上のことを長時間すれば大丈夫なんだということをわかるような--結論だけではなくて、大丈夫ですよ、食べなさいといわれても、そうなんだろうけど、なぜ大丈夫なのというクエスチョンマークが残ってしまうといけないので、こういうことの情報提供というものを、今まで以上にしっかりと東京都はやっていただきたいと思います。
次に、BSEについて伺いますけれども、平成十三年十月から全国の食肉の衛生検査所で、今、すべての牛を対象にBSEの検査を我が国では行っているわけです。全頭検査の必要性については、いろいろ議論があることは、今のニュースでもいろいろいわれているわけですが、安心という視点でも、これは大変重要な、やっている、やっていないでは、やっぱり我々日本国民として安心感が違うわけですから、当然評価されるべきだと思うんです。
ところが、昨年暮れには米国においてBSEが発生して、現在、米国からの牛肉の輸入がとまっているわけです。そこで、東京都の食肉衛生検査所におけるこれまでのBSE検査の取り組み状況、これは内容を余り詳しくというわけじゃないんですけれども、やっぱりこれも、ただやっていますじゃ都民はわからないので、その状況と、米国のBSE発生に対して、そのときの東京都がとった対応はどうであったのかを伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 ご案内のように、都内には、一日三百五十頭の牛を処理する、全国一の規模の芝浦屠場がございます。そこに設置された私ども健康局所管の食肉衛生検査所では、平成十三年十月以来、本年二月までに十八万頭を超える牛のBSE検査を実施しております。
昨年暮れ、米国のBSE発生に際しましては、食肉関係の輸入業者等を対象に、既に輸入され、国内に流通していた米国産牛の脳や脊髄などについて、いち早く取扱状況を調査し、販売自粛等の指導を行ったところでございます。
○田代委員 わかりました。BSEに対しては、これからこれまで以上にしっかりと対応していただきたいと思います。
もう一つ、私たちの身近なリスクとして、これからのシーズン、だんだん暖かくなってきますと、食中毒というと問題があるんですけれども、どなたでも一回や二回、飲み屋さんに行って生ガキ食べて、おなかが痛くなっちゃったという覚えがあると思うんですね。じゃあ、そのときに、全部……(「ないよ」と呼ぶ者あり)大丈夫ですか、そういう立派な胃腸をお持ちの方もいらっしゃるんですけれども、大体みんな、一回や二回嫌な目に遭っても、じゃ、それをわざわざ保健所に届けたりしたかというと、そういうことはないと思うんですね。大体みんな泣き寝入りになっちゃう。
外食というのは、香港なんかへ行くと、家で食べないで、全部外で食べるのがいいということになっているみたいです。これは家で食べたっていいし、外で食べることも、それぞれ半々いいところがあるわけですから、外食も大切だと思うんですけれども、特に外食の中で、輸入されている食品がかなり多く使われているわけです。輸入食品の安全対策には東京都はどういうふうにかかわっているのか、どういう対策を行っているのか、教えていただきたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 輸入食品を専門に監視する輸入食品監視班を初め、食品機動監視班、市場衛生検査所、保健所などで総合的に監視を実施しております。特に輸入食品監視班は、従来の一班体制を二班体制へと強化いたしまして、輸入業者、輸入食品の保管倉庫など流通の根元で監視を実施いたしまして、違反品の拡散防止を図っております。
また、食品製造業及び飲食店で使用されている輸入原材料につきましても、監視を行い、安全を確認しております。
○田代委員 最後に、二点ほど伺いますけれども、都は、都民に対して、食品についての安全のみならず、安心感を与えるためには、今後どのような施策を考えているんでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 大都市東京は、大消費地、流通の拠点であります。こうした東京の地域特性を踏まえました食品安全確保対策を推進するつもりでございます。
今回提案いたしました食品安全条例を中心に、関係局と連携し、生産、流通、消費の各段階を通した総合的な食の安全確保に取り組みまして、都民に安心感を与えることができるよう努めてまいります。
○田代委員 今回提案されている食品安全条例を中心に取り組んでいくということですけれども、先日の代表質問で、今回提案している条例は、消費者を含むさまざまな立場の委員で構成する食品衛生調査会において、都民や事業者の意見を踏まえて審議され、その答申をもとに策定したものと知事から答弁があったわけですが、昨今の食に対するもろもろの事件、事故の中には、企業のモラルを問われた事例もたくさんあり、厳しい規制や指導を求める声が一般都民から大変高くなっているわけです。
偽装表示のような事例というのは、当然、厳罰をもって臨んでいかなくちゃいけないんですけれども、多くの事業者というのは、やはり地道な努力を重ねているわけです。そして、食品の安全は、まず供給者である事業者が一義的な責任を負うべきとの考え方に異論はないわけですが、都民の健康を守るという目的のもとに、必要に応じて一定の義務を課すことも必要なのではないでしょうか。
その一方で、都民が食の安全に不安感を余り重大に、過剰に反応して消費行動をとってしまうような状況というのは、食に対する都民の選択肢を狭めることになってしまうので、食品安全条例の制定というのは、こういう状況を打破しようとするものだと思うんですが、それについてのお考えを伺い、質問を終わります。
○中井食品医薬品安全部長 食に対する都民の不安が高まる中、食品の安全義務が急務となっております。そのため、食品安全条例では、法の規制だけでは対応できない課題につきましても、独自の未然防止措置を制度化いたしまして、事業者に一定の責務を課すことといたしました。
しかし、事業者だけではなく、都、そして食品を選択する側である都民も、食の安全に関する当事者として参画し、それぞれの取り組みについて相互理解と協力を深めることが不可欠でございます。
この点を条例の最も重要な基本理念といたしまして、施策を推進してまいります。
○田代委員 相互理解と協力は大変重要なことですね。ぜひともそういう体制で、都民、そして事業者の協力を得ながら、食品の安全確保という目標を達成されるように強く要望して、質問を終わります。
○河西委員 本日は、私は二つの問題についてお尋ねをしたいと思います。一つは、多摩地域の保健所の再編の問題です。もう一つは、今回委員会に付議をされています食品安全条例についてのご質問をさせていただきたいと思います。
まず、保健所の再編と今後の諸課題についてということで、何点かお尋ねをいたします。
多摩地域の東京都の保健所の再編に当たりましては、厚生委員会におきまして、私、これまで二度にわたって質問をさせていただきました。再編、地元からすると統廃合といっておりますが、それへの市町村への対応策、支援策を中心にお尋ねをしてきたところですけれども、こうしたこれまでの審議も踏まえて、十二月の定例会におきましては、保健所再編に関する条例が改正され、この四月からは七カ所での保健所体制がスタートすることになっています。
既に今週の日曜日には、保健所再編をお知らせするカラーのリーフレットが多摩地域全域の新聞の朝刊に折り込まれました。四月の再編に向けて着々と準備が進んでいるようでございます。
四月に向けた準備に万全を期しているとは思いますけれども、これまでの議論の中で、今後調整していくとされていた点や、今の段階で確認しておきたいこと等、関連事項について質問をさせていただきたいと思います。
まず、今回の保健所再編にかかわる市町村の地域特性を踏まえ、関係市町村との協議の上、保健所の分室的機能を存置するなど必要な方策を講じることとされておりました。前回の厚生委員会で、この分室的機能の存置などの個別の措置について、関係する市町村との協議状況についてお尋ねしてきたところですけれども、その後の市町村との協議の結果、この分室的機能についてはどのような形で存置をされるようになったのか、この点についてお伺いいたします。
○齋藤地域保健部長 分室的機能についてでございますけれども、この間、保健所再編にかかわります市町村の地域特性等を勘案した措置といたしまして、お尋ねの分室的機能の存置や出張事業、所外事業の拡充等につきまして、該当する市町村と個別の協議を重ねてきたところでございます。
その結果、二次保健医療圏の人口ですとか面積要件、あるいは鉄道等の交通要件、あるいは環境衛生施設、食品衛生施設等の集積など、地域特性を十分に勘案いたしまして、現在の秋川保健所の所管区域と三鷹武蔵野保健所の所管区域を対象にいたしまして、飲食店や理容所、美容所の申請届け出、あるいは保健相談などの保健所事業の一部を実施する拠点といたしまして、二カ所の保健所地域センターを置くこととしたところでございます。
また、この二つの地域以外では、個別の協議を踏まえまして、保健所からの定期的な出張事業を実施するなどの措置を講ずることとしたところでございます。
○河西委員 この分室的機能につきましては、今ご答弁にありましたように、現在の秋川保健所の所管区域、それから三鷹武蔵野保健所の所管区域、ここには保健所地域センターという形で、保健所の事業の一部を実施する拠点として設置をされることになったと。
私が住んでおります狛江市、地元選挙区は調布も兼ねますが、調布、狛江などは、今回、六市が合併されて、狛江調布保健所は廃止されるわけなんです。しかも、このセンターが設置されないというエリアです。
二つの地域以外では、個別の協議を踏まえて、保健所からの定期的な出張事業を実施するというご答弁が今ありましたが、それでは、事例として地元を挙げさせていただきますが、調布、狛江についてはどのような対応を具体的に図っていこうとされているのか、お願いいたします。
○齋藤地域保健部長 調布市、狛江市についてでございますけれども、北多摩南部保健医療圏の人口要件等を勘案いたしまして、お話にございましたように、都の保健師によります定期的な相談窓口を設置することとしておりますほか、精神の専門医によります相談事業ですとか、精神保健のグループワークにつきましては、地域の会場を活用いたしまして、定期的に開催することとしております。
また、食品衛生の講習会につきましても、調布市、狛江市の地域を対象に、毎月、計画的に開催いたしますとともに、講習会に合わせまして、許可更新の手続等の窓口も開設することとしてございます。
なお、狛江調布保健所土地建物についてでございますが、保健医療福祉施設関係の施設として、調布市に減額の上譲渡する方向で現在調整を進めているところでございます。
○河西委員 わかりました。地元では、飲食業の皆さん、それから環境衛生--理美容、浴場等の関係者から、更新手続など、今まで調布にある狛江調布保健所に行けば用が済んでいたのに、今度は府中までかということで、何とかならないかということで、大分大きなご要望をいただいております。
今ご答弁にありましたように、許可の更新の窓口も、両市に計画的に開催される講習会の場などを利用して、受け付けていただけるということになりました。
それから、十二月の委員会のときにも申し上げた施設の問題ですが、保健医療福祉関係施設として調布市に減額譲渡ということで話が進んでいるようでございます。使用目的あるいはこれまで活用されてきた活用内容等もしっかりと実績を評価されて、ぜひ地元市に大きな負担にならないようなご配慮をお願いしたいというふうに思います。
次は、市町村に今提案している、きょう関連資料も若干提出されておりますが、未熟児の指導等の九事業の事務移譲についてお尋ねをしたいのですけれども、これは十五年十一月に再提案して、協議を再開したと聞いております。その後、その協議の経過がどうなったのか、少し先延ばしになったというご報告もいただいているところですが、この協議経過等についてお尋ねしたいと思います。
○酒井企画担当部長 市町村への事務移譲につきましては、市から東京都への回答期限であったことしの一月二十日に、継続協議という回答がございました。このため、四月からの移譲は見送られ、現在、引き続き協議しているところでございます。
継続協議となった理由でございますが、協議を下命された市福祉主管部長会から市企画財政担当部長会への回答が、検討項目の具体的事務内容及び人的、財政的支援などの協議が不十分であるため、今後とも引き続き協議するというものであったことを踏まえた対応というふうに聞いております。
なお、町村につきましても、市と同様、現在、引き続き協議しているところでございます。
○河西委員 この事務事業につきましては、早期の移譲が必要だろうというふうには思いますが、今後の見通しについてです。また、住民に不便を来さないように、当面の対策が必要だというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○酒井企画担当部長 今後の見通しについてですが、今後とも、市町村に対し、必要な資料やデータを提供しますとともに、市町村の疑問に適切かつ迅速にこたえ、十六年度の早い時期に移譲ができるよう努めてまいります。
また、本年四月には保健所再編が行われるため、九事業が移譲されるまでの間、住民の方々に不便をかけないよう、廃止する保健所が所在する地域に保健所の出張窓口を設置することとしております。
さらに、多摩地域のどの保健所でも申請や届け出を受け付ける域外利用を引き続き実施しますとともに、更新手続については郵送でも受け付けるなど、住民の利便性の確保に努めてまいります。
○河西委員 医療費の申請のような事務というのは、身近な市町村で実施されることが市民サービスの向上の面では望ましいと思っております。市町村との協議の中では、移譲事務についての支援策についても十分にお話し合いをされて、なるべく早い時期に円満に事務移譲がされるように、精力的なお取り組みをお願いしておきたいと思います。
次には、保健所が再編された後の地域保健の協議体制についても、大変重要な問題であるというふうに認識しています。これまで保健所運営協議会において、保健所の運営等についての議論を行い、地域保健医療推進協議会においては、地域保健医療推進プランの作成などの施策面を協議してきたと思います。今回、この再編に合わせまして、二つの協議会を発展的に改組、統合して、新たな協議会として発足させ、現在の保健所運営協議会条例は廃止するということであります。
私は、一つの事業所に似たような性格を持つ協議組織が複数置いてあるということは、ある意味では必要ない、統合することにも賛成できるという立場をとりますけれども、それでは、新たな協議会の考え方について二、三お尋ねをさせていただきたいと思うのです。
今度の協議会は、条例ではなくて要綱での設置ということですが、その理由は何でしょうか。
○齋藤地域保健部長 これまで条例で設置しておりました保健所運営協議会につきましては、平成九年度の地域保健法の全面施行を機に、必置から地方公共団体の任意設置へと、その位置づけが変化しているところでございます。
これを受けまして、既に全国的にも、全国の道府県の半数以上が、条例による協議会を廃止いたしまして、地域の実情に応じた任意の協議体によりまして協議を行う体制を整えているところでございます。
こうした全国的な状況も考慮に入れまして、今後の新たな協議会につきましては、地域保健の急激な環境変化にも機動的に対応できますよう、所掌事項ですとか定員、あるいは組織体制などにつきまして、より柔軟な運営を確保するため、条例ではなく要綱設置としたところでございます。
○河西委員 この保健所運営協議会につきましては、そもそも条例で設置されるほど意義のある重要な協議会であったというふうに私は考えておりました。要綱設置になるにいたしましても、運営方法に配慮し、圏域の保健医療課題が総括できる、見識のある会議体として、ぜひ設置、運営していっていただきたいというふうに思うのです。
また、保健所運営協議会に委員として参画しておりましたのは、我々地元の都議、そして地元市町村長がメンバーとして参加をしていたわけです。今回、条例設置ではなくて要綱設置になり、しかも、メンバーから市町村長、都議が外れるというお話をいただいて、賛否両論で、一生懸命議論に参加してきた、トータルな視点で保健所運営に関与してきたと自負するメンバーからは、とんでもないことだというご意見もありましたし、形骸化しているというエリアもあったかに聞いております。
そんな中で、新たな協議会では、都議会議員あるいは市町村長の扱いはどのようになるのか、お尋ねをいたします。
○齋藤地域保健部長 保健所再編後の所管区域の状況から、新たな協議会の委員に都議会議員の方あるいは市町村長の方、全員ご参加していただくということは、規模的にといいましょうか、物理的にも困難であると考えたところでございます。このため、都議会議員の方あるいは市町村長につきましては、例えば協議会の特別委員等といたしましてご参加いただきまして、圏域の状況に応じた方法によりまして、保健医療施策あるいは保健所運営に関する情報提供、意見交換、あるいは十分なご議論をいただく、そういった仕組みを構築してまいりたいと考えているところでございます。
○河西委員 私は、都議会議員は、都議会本会議あるいは委員会の場で、保健医療について発言ができる機会が保障されているわけですけれども、実態的に、これまで見てきますと、やはり地域の関係機関の皆さんと一堂に会して議論を深めていく、こういうことも保健所の協議会として意義が大きかったんじゃないかなという思いもございます。
今のご答弁で、特別委員という位置づけで意見反映をということでございますので、新たな協議会の設置に際して、都議、市町村長の意見が保健所の運営に反映できるようなことを配慮していただいた方がいいのかなというふうに、一応申し述べておきたいと思います。
次には、八王子市と町田市の保健所政令市への移行の問題について、二、三お尋ねしたいと思います。
市長会での保健所再編の決着を踏まえまして、政令市移行に向けた本格的な取り組みの段階に来ているのではないかと考えますけれども、現在どうなのか、今後どのように進めていくのかについてお尋ねをさせていただきます。
○齋藤地域保健部長 多摩地域の保健所再編につきまして、市長さんの合意が得られ、また一定の整理がついた段階でございますので、今後は、ご指摘がございましたとおり、両市の保健所政令市への移行に向けまして、具体的な検討、協議を進める段階に来ていると認識しているところでございます。
この間、予備的な話し合いといいましょうか、意見交換を両市とも進めてきておりまして、今後は、市側の体制整備等の状況も勘案しながら、まずは政令市移行に向けた検討、協議の場の設置につきまして調整を図っていく考えでございます。
○河西委員 今後、協議、検討の場をつくって、そこで具体的な対応を見ていくということですが、一つ、八王子あるいは町田の保健所政令市移行については、これも今までも触れたかと思いますが、財政負担、職員の扱い、施設の扱い等、クリアすべき課題が多いのではないかというふうに思いますが、現時点で東京都としての対応の方針はどのようなものか、お聞かせいただきたいと思います。
○齋藤地域保健部長 保健所政令市の移行に向けましては、ご指摘のございましたとおり、市側の財政負担の問題ですとか、職員の確保の問題、あるいは保健所施設の取り扱いなど、解決すべき課題があることは認識しているところでございます。
今後、市との具体的な検討、協議の場におきまして、市のご意見を十分にお聞きしながら、これらの課題とその対応について整理をしていきたいと考えているところでございます。
○河西委員 それで、先ほど触れました保健所運営協議会なんですね。八王子と町田市が保健所政令市になった場合、この保健所運営協議会など保健所の協議組織についてはどうなるのでしょうか。
○齋藤地域保健部長 保健所を設置運営することとなる市のご判断によりまして、それぞれ市が必要とされる協議組織を任意の方法で設置することが可能となるものと考えております。
○河西委員 それでは、八王子市、町田市の保健所政令市移行までの間、この保健所運営協議会はどうなるのかということなんですが、四月、条例が廃止されますと、宙に浮くと--表現が余り妥当じゃありませんね、宙に浮いては困るのですが、保健所運営協議会はどのようになるのかについてお答えいただきたいと思います。
○齋藤地域保健部長 お話がございましたとおり、今回、多摩地域全体の保健所の再編に合わせまして、条例設置によります保健所運営協議会は廃止となるわけでございますけれども、圏域内に南多摩保健所と八王子保健所、それから町田保健所の三つの保健所がございます南多摩保健医療圏の場合には、南多摩保健所に設置する新たな協議会に加えまして、八王子保健所、町田保健所につきまして、その運営等について協議する合議体、会議体をそれぞれ設置していく考えでございます。
○河西委員 今のご答弁、私なりに受けとめますと、町田と八王子につきましては今の形で存置される、存続されると。で、新たに政令市になったときには、それぞれの市の独自判断で協議組織を任意に設置することができる、こういうことだというふうに思います。
質問は以上なんですけれども、保健所政令市への移行については、先ほど述べましたように、解決すべき課題も大変多くて、地域の意見をどう集約するかも大変重要なかぎを握るというふうに思います。地域の実情を踏まえた協議体制の活用を図りつつ、政令市移行についての地域の意見を十分に聴取しながら進めていただくように要望いたします。
また、今回の保健所の再編総体につきましても、サービスは、身近なところで十分なサービスが受けられれば、それがベストだと思います。ただ、第二次医療圏という大くくりのところでの保健所の機能、今までとは違ったものとしてさらに整備されるでしょうし、身近な地元市町村が請け負うべき役割も鮮明にしつつ、サービスが低下しないように、必要があれば東京都が十分にバックアップしていく、こういう姿勢でこの再編統合を今後見守っていきたいというふうに思います。
次に、食品安全条例について質問させていただきます。
食品安全条例は、多くの消費者、多くの都民が期待していた東京都の条例として今回提案されました。これは、私、一昨年の一般質問でしたでしょうか、東京都が食品安全の確保を重点事業の一つとして位置づけて、条例制定まで見越した方針を出された後、ずっと注目してまいりましたし、できるなら全国に先駆けて、非常に水準の高い、実質的に食品の安全が確保できる、そういうものを引き出す条例にしてほしいと思っておりました。
私は食品衛生調査会のメンバーとしても参加させていただきまして、その中でも、六回にわたる調査会が開かれ、専門委員の方は、本当に精力的に、かなり細かい、また多角的な検討を加えて答申をおまとめになった。その答申を受けて、今回条例が制定されているわけですけれども、今回の条例案を見まして、一つは、調査会の答申と照らしてどうなのか、調査会の答申がどれだけ尊重されて、具体的に条文に盛られているか、こんな視点から何点か質問させていただきたいと思うのです。
まず第一問は、食品安全の確保は、都民の健康で豊かな生活を営む上で欠かせない基本的条件であるということを明確に目的に規定すべきではなかったか、こういう問題意識でお尋ねをしたいのですけれども、答申にありますこの認識は、都民の食品安全に関する権利性を表現する極めて重要な認識であるというふうに私は考えております。ところが、条例の目的規定からは、この表現は欠落しております。条例の目的規定あるいは理念規定に追加をしてもいいのではないか、このように考えているんですけれども、お考えをお聞かせください。
○中井食品医薬品安全部長 食品安全条例は、食品の安全を確保し、現在及び将来の都民の健康保護を図ることを目的としております。
この目的規定は、食品衛生調査会答申で示されました、食品の安全確保は都民が健康で豊かな生活を営む上で欠かせない基本的な条件の一つとの認識を踏まえたものでございます。
今後、健康への悪影響を未然に防止する観点から、最新の科学的知識に基づいて安全確保を図るなど、目的の実現に向けて施策を展開してまいります。
○河西委員 今のご答弁で、条文としては、同じ文言は規定に入っていないけれども、趣旨としては、あるいは認識としては、この目的規定に、食品の安全確保は都民が健康で豊かな生活を営む上で欠かせない基本的な条件の一つだということが盛り込まれているんだというご答弁だというふうに認識いたします。
それでは引き続き、この条例の中でポイントになる一つが食品安全推進計画だというふうに思います。条例上の構成を見ますと、食品安全推進計画が食品安全施策の全分野をカバーするものであります。同時に、今庁内で作業が進んでいます食品衛生監視指導計画がございます。この関係を実はお尋ねをしたいのですが、私は、推進計画が上位計画で、その全部を網羅しているかどうかはともかくとして、下位計画として衛生監視指導計画が位置づけられているのかな、こういう受けとめ方もするんですけれども、ここら辺についてお尋ねしたいと思うのです。
推進計画は、調査会の議論の中で、中期計画にするというお話し合いがありました。これは明確に五年にするとか何年にするとかということはございませんが、通常、中期計画というと、五年かなと。場合によっては、社会の変化、物事の急速な変化があれば、もう少し短い期間で中期計画がつくられることもあるかもしれませんが、中期計画だろうというふうに思っておりますので、そこら辺、あわせて食品安全推進計画と食品衛生監視指導計画の関係についてお伺いしたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 食品安全推進計画は、食品の安全確保対策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されるものでございます。内容といたしましては、生産から消費に至る各段階における都の施策の体系化とその方向性などを盛り込んだ、ご指摘のように中期的な計画を想定してございます。
一方、食品衛生監視指導計画は、食品衛生法の規定に基づきまして、同法を所管する健康局が実施いたします食品衛生監視業務の内容を体系的に示した単年度の計画でございます。監視指導計画の内容は、食品安全計画に盛り込む事項の一部を構成すると考えられますが、両計画の間には上位、下位といった関係はございません。
○河西委員 今のご答弁で、二つの計画の間には、上位だとか下位だとか、そういう関係はないということでございます。
監視計画は、食品衛生法に基づいて単年度でつくられる計画ですけれども、その指導計画の策定に際して、食品衛生監視指導指針が出されております。ここでは、法で規定する事項や食品衛生に関する事項以外の事項についても、各都道府県等の実情に応じて計画に記載することは差し支えないというふうにされています。
このような視点に立ちますと、監視計画を推進計画の年次計画と位置づけるということが可能だろうというふうに私は考えます。条例制定後はそのように位置づけて、狭義の食品衛生監視にとどまらない、食品安全確保施策全体の計画とするということを展望すべきであろうと思いますが、いかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 先生、今ご指摘いただきましたように、監視指導計画の策定に際しましては、国は、都道府県等や国が行う監視指導の実施に関する統一的な考え方を指針として示し、監視指導計画の中に記載すべき事項について規定しております。
この指針を受けまして、東京都では、食品衛生監視部門である健康局が中心となって行います、食品衛生法等に規定された監視指導等を計画に盛り込むこととしたもので、中でも、大消費地という地域特性を踏まえて、重点的に取り組む事項といたしまして、広域流通食品対策や輸入食品対策等を規定しております。
また、生産から消費に至る各段階における都の施策の総合的な体系を示すものといたしまして、食品安全条例に基づき食品安全推進計画を策定するといたしております。
○河西委員 若干見解が違うので、このままいっても平行線かなという感が否めませんけれども、要は、いいたいのは、今度、画期的なと申し上げていいと思います、東京都の食品安全条例を、多くの委員の皆さん、それからパブリックコメントも行って、都民、事業者の意見も反映してつくり上げて、提案されたわけですから、こういった趣旨を食品衛生の監視指導計画の根底に置きながら、ぜひ監視計画の方もつくっていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
次は、条例でいいますと七条の七項なんですが、推進計画の実施状況の公表についてです。
この七条の七項では、知事が推進計画に基づく施策の実施状況について公表するという規定になっておりまして、条文には実施状況の取りまとめの期間が限定されておりません。私はこれは少なくとも毎年行うべきだろうと思いますし、これをめぐってリスクコミュニケーションの機会を設定すべきであるというふうに思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 食品安全推進計画につきましては、今後、食品安全審議会の審議を経るなど、都民、事業者の意見を踏まえながら策定することといたしております。
計画の具体的な期間、実施状況の公表時期やその方法などについては、計画の策定過程において検討していくべき問題であると考えております。
○河西委員 公表時期やその方法というところで、私が申し上げた、実施状況の公表においてもリスクコミュニケーションの機会をつくるべきだということが含まれているのかなというふうにご答弁を聞きましたが、計画策定時、策定過程で、その方法についても検討していくんだということですけれども、それもリスクコミュニケーションの機会を設置することも考慮するよというふうに受け取ってよいのかどうかということなんです。
今度の条例の趣旨あるいは目玉は、リスクコミュニケーションであるというふうに私も思っていますが、そういうことで、特に監視指導計画が食品安全推進計画の単年度計画ではないということであれば、なおさらこの設置の必要性は高いというふうに考えています。今申し上げたことも、今後の検討の際の材料としていただきたいということを指摘させていただきたいと思います。
次に、推進計画からちょっと離れますが、十九条に関してです。
第十九条では、都民及び事業者の意見反映について必要な措置を講ずるものとするという規定がございます。これに関連しましてお尋ねしたいのは、消費生活条例の第八条に基づく知事に対する申し出制度との関係を明確にする必要があるのではないかと思っています。
これまでの申し出の多くは、食品安全に関する問題について提出されているのが実態だと思います。今後は、消費生活条例における食品安全に関する申し出を、食品安全条例に規定される措置につなげていく、継続していくべきであるというふうに考えますけれども、ご見解を伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 消費生活条例に基づきます申し出制度は、食品を含む商品、サービスを対象としておりまして、従来から食品についても多くの申し出に対応してきたところでございます。
食品安全確保対策を進める際には、都民や事業者からの意見を施策に反映させることが重要であるとの観点から、食品衛生調査会答申では、既存の制度も活用しながら、都民、事業者が施策に参加できるようにすることを提言しておるところでございます。このことを踏まえまして、重ねて制度化することを見送ったものでございます。
消費生活条例に基づく申し出制度につきましては、食品安全条例制定後も、食品安全確保対策への都民参加手段の一つといたしまして活用してまいります。
○河西委員 次に、推進体制の確立について何点かお尋ねをしたいと思います。
この条例案では、第十一条で、指導、監視の体制の整備を図るものとしておりますけれども、食品安全確保のための施策は、健康局を中心に広範囲にわたっています。そのことから、食品安全行政全体の推進体制の整備が必要であるというふうに思います。
そこで、この推進体制についてどのようにお考えになっているのか、お知らせをいただきたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 食品の安全確保対策を総合的、計画的に推進するための庁内連携機関といたしまして、健康局、産業労働局、生活文化局、中央卸売市場及び環境局で構成いたします食品安全対策推進調整会議を設置しているところでございます。
条例制定後は、この調整会議を通しまして、食品安全推進計画の進行管理など、食品の安全確保に向けた都の施策の総合的、計画的な推進を図ってまいります。
○河西委員 平成十三年になりますか、BSEが発生して大変な状況になったときに、現実に東京都庁内では、関連局が頻繁に連絡会議を持って対応策を考えてきた、対応してきたというふうに思います。
私、今回、ちょっとうっかりしておりまして、食品安全対策の連絡会議は前にあったんですね。二年前ですか、食品安全条例をつくろうという意思を決めるころなんでしょうか、それを、推進調整会議ということで要綱を改めて設置しているということでございます。
この推進調整会議のメンバーは、現在、五局でありますけれども、私は、食品の安全確保には教育の分野は欠かせないと思っていまして、教育庁を中心にした食の安全に関する教育、これをぜひ考えていただきたいなというふうに思っています。
今後、ぜひ推進調整会議に教育庁もメンバーとして入っていただく、あるいはまた必要に応じて委員以外の関係者にも会議へ出席を求めたり、意見を聞くということができると思いますので、ぜひ柔軟に、機動的に、実効のある庁内連携を進めて、当たっていただきたい。そのことをして庁内の推進体制の確立をぜひお願いしたいということを要望させていただきます。
次に移りますけれども、条例の第十二条で、食品表示の適正化についても定めております。条文は、「都は、食品等の表示について法令の適正な運用を図るとともに、都民に食品等に関する情報を正確に伝達するために必要な措置を講ずるものとする。」とございます。
これは消費生活条例の表示規定を取りこぼしているかのように思いますけれども、ここでいいます食品表示の適正化に消費生活条例の表示規定が含まれるのか含まれないのか、この点についてお知らせください。
○中井食品医薬品安全部長 消費生活条例に基づく危害発生防止のための表示や、商品内容の識別、適正使用のための品質等の表示は、食品を含む商品またはサービスを対象としておりまして、現に品質表示については、四品目の食品について品目指定を受けているところでございます。
この点につきましては、食品安全条例の第十二条で、都民に食品等に関する情報を正確に伝達するために必要な措置を講ずると規定しておりまして、この規定を踏まえ、四品目を初めとする消費生活条例の表示規定についても適切な対応を図ってまいります。
○河西委員 最後になりますけれども、先ほど庁内推進体制ということで、推進調整会議の機能の確立といいますか、拡充といいますか、私は常設されているというふうに認識していますが、場合によっては定例化というのも必要なのかななんて思いながら、庁内の推進体制について強化、充実するようにというお話をさせていただきました。
それに対して、もう一つ、この条例のポイントでありますリスクコミュニケーションを有効に推進していくということが何よりも大事じゃないかなというふうに思っています。そのためには、都民、行政、事業者の三者で構成する推進機関が必要だというふうに考えております。この機関は、三者が対等に企画、運営に参加し、リスクコミュニケーションの実施過程を点検して、その有効性を高めることを任務とするものとして考えております。調査会の議論では、このような組織の検討は、新設される予定の食品安全審議会の審議に先送りされております。
この問題は重要だというふうに考えておりまして、さきの予算特別委員会の総括質疑におきましても、我が会派の青木副委員長より、都としてリスクコミュニケーションをどのように充実させていくのか、そのお考えをただしたところでございます。
これに対しては、食品安全審議会も活用しつつ、今後のリスクコミュニケーションのあり方を検討し、さらなる充実を図っていくとのご答弁を局長からいただいております。
そこで、最後に局長に、条例の目的の実現とリスクコミュニケーションの推進に向けて、決意をお聞かせいただきたいと思います。
○平井健康局長 食品の安全を確保するためには、都、都民、事業者がそれぞれ一定の責務と申しますか、役割を担いまして、お互いの取り組みについて理解と協力を深めることが不可欠でございます。また、理解と協力に基づくパートナーシップの確立に向け、リスクコミュニケーションを通じて、関係者が食品の安全について共通の認識を持てるようにすることが大変重要だと考えております。
今後とも、リスクコミュニケーションの推進により、食品の安全を確保し、都民の健康保護を図ってまいる所存でございます。
○河西委員 何点かにわたって質問させていただきました。食品安全確保対策の基本的な考え方として、今回、調査会、また庁内議論もそうだと思いますが、一つは、事業者責任を基礎とする安全行政を行っていくんだということ、二つ目には、科学的な知見に基づく安全行政を行っていくんだということ、三つ目が、関係者の相互理解と協力に基づく安全行政を行っていくんだ、この三つの考え方を、今回、条例あるいは安全行政のよりどころにしているんだろうというふうに思います。
東京都の食品安全確保の対策が、このような視点、考え方によって進められていくわけですけれども、既に先行的に食品の安全情報評価委員会などがスタートしていますし、私は、首都東京という地理的なメリットも生かしながら、全国の地方自治体のお手本になるような食品安全行政をぜひ精力的に進めていただきたいというふうに思っています。
そのためには、繰り返しになりますけれども、リスクコミュニケーション推進機関の設置も欠かせない大きなポイントですので、そのことも含めて頑張っていただきたいというエールを送って、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○東村委員 私も、先ほど若干触れられましたけれども、保健所の政令市移管、地元でございますので、これについてと、食品安全条例についてお伺いしたいと思います。
最初に、政令市移管の問題ですが、保健所の再編については、平成十五年の第四回定例会で保健所条例の改正が可決されたところであります。私も、基本的な対人保健サービスのほとんどが市区町村の役割となっている現在では、保健所には、東京都の保健所がやるべき役割、つまり、地域拠点としてより専門的、広域的な機能が求められてくるのは当然のことではないかと思うのです。そういう意味で、今後は、東京都の保健所が担うべき役割は、まさに今問題となっています新興感染症などのさまざまな健康危機への迅速な対応と被害の拡大防止、それから、何といっても市町村の保健サービスの総合的な支援、そして指導、これらの活動を通じながら保健医療の水準を向上させていく、これが大きな役割ではないのかと思っております。
さて、この保健所の再編、移管に際して、統廃合に際して、これからやらなければいけない課題が幾つかあると思うんですけれども、私は、ある意味で、一応の流れはできたんじゃないかと思っています。その上で、今後もう一つやらなければいけないのが、先ほども出ていました八王子、町田市の保健所政令市への移行、いわゆる保健所移管の問題だと思っています。
政令市になると、精神保健、結核感染症等の業務や、公衆浴場法、そして食品衛生法に基づく経営許可、これらの事務や権限が一括して市に移譲されるということになります。地域の実情に即した食品や環境衛生等の施策が、現在市で行っている保健福祉の施策と連携がとれた総合的な施策になるのではないか。そういう意味で、市民にとっても大変意義深い制度ではないのかと思っております。
今や、余り大きな声ではいえないんでしょうけれども、人口五十万以上の市で保健所を設置していない市は、わずか八王子市のみでございます。ただ、市においても、今まで黙って何もしなかったわけではなくて、政令市移行に向けて、かつてもいろんな検討がなされてきたんですね。今回ようやく、大きな実現の第一歩の入り口に入ってきた、このように思っております。
そのために、内部でも今、相当検討を行ってきておりますし、先ほど、どういう課題があるんだという話で、例えば専門職員の確保や現保健所施設の取り扱いや、これからの財政負担の問題、これらが課題となる、これらに対処していきたいというお話がありました。
私は、この問題を解決していくためには、かつて都内の自治体--区移管ですね、昭和五十年に都から保健所の移管を受けた特別区の例がございます。この例をしっかりと踏まえていく必要があるんじゃないか。
そこで、特別区への保健所移管に当たって、先ほどいいましたさまざまな政令市移行に向けた課題に対して、都は具体的にどのような対応を行ったのか、これについてお聞きしたいと思います。
○齋藤地域保健部長 特別区への保健所の移管に当たりましては、都と区でそれぞれの事項につきまして十分協議を行いました。
職員の確保につきましては、移管当時の保健所職員の区職員への身分の切りかえを行ったところでございます。
また、保健所の施設の取り扱いでございますけれども、二十年間の用途指定を付した上で、区に無償で譲渡したところでございます。
また、財政措置に関しましては、通常、保健所政令市の事務につきましては、地方交付税の基準財政需要額の中に算定されることとなりますけれども、特別区におきましては、都区財政調整制度のもとでの基準財政需要額に算定されているところでございます。
○東村委員 昭和五十年当時、特別区に対しては、都から必要な一定の支援が行われた、今こういう答弁がありました。確かに、当時と今では財政状況の違いもあると思うんですけれども、また、特別区という内部団体への分権と、八王子、町田という一般市への権限移譲とでは、確かに単純に比較することはできない部分もあると思うんですが、私は、共通していえるのは、円滑な移管のためにはぜひとも都からの支援が必要だ、こういうことだと思います。特に、医師や獣医師等の専門職を市が独自に確保するというのは、やはりなかなか困難なわけでございまして、これに関して、都はどのような支援を現在想定しているのか、まずこれについて伺いたいと思います。
○齋藤地域保健部長 先生のご指摘のとおり、保健所の専門職種は、医師、保健師のほかにも、獣医、薬剤師、食品監視員あるいは環境監視員など多岐にわたっておりまして、市が一括して確保することは困難であるというふうに考えております。
このため、都職員の身分切りかえのほか、一定期間、都の職員を市へ派遣したり、あるいは事前に市の職員が保健所において長期の研修を行い、人材育成を図る等の方法も考えられると思っております。
また、特別区におきましては、医師の採用と配置を都が一括して行っておりまして、今後、市と協議する中で、こうしたことも参考としていきたいと考えているところでございます。
○東村委員 先ほどいいましたように、ぜひともある程度の期間は都が責任を持って、こういった専門的な職業を持った人たち、医師や獣医師の方々、またいろんな食品監視員や薬剤師の方々などを一定期間派遣していただきたいし、今、事前に職員の方を研修するということも一つの方法であるというお話をいただきました、これを行っていただきたいなと思います。
その上で、都と市の人事交流は、保健所行政の一体性の確保という点でも非常に有効なんですが、もう一つお願いしたいのは、人の手当ての次は、箱、いわゆる施設の確保だと思うんですね。市が政令市へ移行するに当たって、新たに保健所を建設するという方向もあるかもしれないんですが、私は、やっぱり租税をつぎ込んで建設された現在の保健所を継続して市が活用することは、何といっても社会全体の財政効率の面からも当然検討されるべきなんじゃないかと考えているわけです。
そこで、保健所の市への譲渡という、この譲渡の方法になるんですけれども、八王子市も、町田市も、現在保健所が建っているところは一等地なんです。いわゆる駅前。都内に比べたらそうじゃないかもしれませんけれども、八王子でいうと、八王子駅と京王八王子駅の真ん中でありまして、ここが一番いいところなんですね。この一等地に建っておりまして、決して安いところではないわけであります。
そこで、都が保健所政令市への移行を積極的に進めるというのであれば、私はぜひとも、区移管の際の扱いと同様に、一定期間用途指定をした上で無償譲渡するなど、保健所施設の譲渡の条件にも配慮していく必要があるんじゃないか、このように考えるんですけれども、都として保健所施設についての取り扱いはどのように考えているのか、これについて伺いたいと思います。
○齋藤地域保健部長 都財政が大変厳しい折でもございまして、市町村への譲渡とはいえ、条件等につきましては厳格な取り扱いが求められているところでございます。
しかしながら、一方、保健所政令市制度によりまして、市に包括的に権限が移譲され、市において保健所サービスが引き続き円滑に実施されることの政策的な意義を十分に勘案する必要もあると認識しているところでございます。
一定期間用途指定をした上で無償譲渡いたしました特別区との経緯も念頭に置きながら、関係部局とも協議の上でございますけれども、局としてはできる限りの対応を図っていく考えでございます。
委員ご指摘の趣旨を踏まえまして、今後、市と具体的な検討、協議を行う中で、市の意向もお聞きしながら検討していきたいと考えているところでございます。
○東村委員 大変に前向きな力強い答弁をいただきました。特別区との経緯も非常に大事なわけですから、これも念頭に置いて、一定期間用途指定をした上で無償譲渡するという方向もぜひとも検討いただきたい、このように思うわけであります。
人と箱と来て、最後は保健所移管に伴う財政負担の扱いなんですけれども、保健所政令市の事務運営にかかわる経費については地方交付税で措置される、こういうことなんですけれども、八王子市も町田市も現在ともに不交付団体なんですね。したがって、都が保健所を運営してきた経費はもとより、都庁の本庁事務で処理している事務費や関連する単独事業の負担も、丸々すべて市がかぶらなければいけない、こうむることになる、こういうことになります。単純に考えて、こういう事態が起きたら、恐らく市は喜んで受けるということはあり得ないだろうなと。
そこで、このような事態を踏まえて、先ほども、都は、要するに、都区財政調整制度があるわけなんですけれども、市は交付か不交付かによって天と地の雲泥の差があるわけなんです。一生懸命努力して不交付団体になったにもかかわらず、不交付団体であるがゆえに財政的な支援が受けられない。こういうことになったら、やっぱり八王子市は受けようと思っても、なかなか受けられないわけなんですね。
そこで、政令市の移行に向けて、都としても財政的な支援を積極的に行っていくことが不可欠だと考えますけれども、これについていかがでしょうか。
○齋藤地域保健部長 財政支援についてのお尋ねでございます。都の方で平成十二年度に作成いたしました第二次東京都地方分権推進計画というのがございますけれども、その中で、ただいまの保健所政令市制度のような権限移譲制度によりまして、区市町村への事務、権限の移譲を積極的に進めていくということから、必要に応じて経過措置としての財政支援を行うことを検討していく、そういうふうにされているところでございます。
こうした地方分権推進計画の趣旨も踏まえながら、今後、市と協議を行う中で、必要な支援について検討してまいります。
○東村委員 恐らくずっとというわけにはいかないと思うんですけれども、必要に応じて経過措置として財政的支援を行うということが、円滑に移行するポイントであるだろうなと思います。ぜひとも皆さん、優秀なんですから、かつて、個別法の権限移譲制度というような制度がある、こういうところもよく工夫して、活用して、円滑に運営できるように、移管できるように、財政的な支援を行っていただきたい、このように思うわけであります。
もう一つ、財政支援が政令市移行に向けて最大の課題になるのは、やっぱり財政事情が厳しいというところで、移管するまでの間に、長期的な財政効率も十分に考えていかなきゃいけないんだろうなと。コストを低減させるということも、やはり考えていく必要があるんじゃないかと思うのです。
そこで、ちょっと観点が変わるかもしれないんですけれども、今、東京都は、東京都の環境衛生協会に環境衛生自治指導員制度を導入して、いわゆる自主的な管理点検をやらせているわけなんですね。
まず、環境衛生自治指導員制度の趣旨は何なのか、これについて伺いたいと思います。
○齋藤地域保健部長 この自治指導員制度でございますけれども、理容所ですとか美容所などの環境衛生関係施設の営業者あるいは従事者の中から、環境衛生問題に関心を持ち、積極的に活動できる方を自治指導員として選出し、地区内の施設を定期的に巡回させ、相談指導等を行い、自主的に衛生水準の確保、向上を図ろうとする趣旨のものでございます。
○東村委員 そこで、この指導員制度は、お金を払って研修を受けて、一生懸命自主管理をやっているんですけれども、例えば私の地元の八王子なんかでは、百八十の事業所が組合に入っている。百八十入っていて、その中から約九名がお金を出して自治指導員として研修を受けて、自治指導をやっているわけなんですね。この規定の中にも、年に二回、半年に一回、一巡しなければいけないということで、一生懸命チェックをしてもらっています。
ところが、実態はどうなっているのかといいますと、組合に入っているところは、こうやって一生懸命自主管理して、保健所にいろんなアドバイスを受けながらやっているわけなんですけれども、実際、保健所が監視に入るときにどこに入るかというと、組合に入っているところに入ってくるんですね。入りやすいところに入ってきて、自主管理して、一生懸命チェックをしているにもかかわらず、そして自分のところだけじゃなくて、九名の指導員が全組合を回っているにもかかわらず、結局、保健所は、まずは組合に入ってくる。組合に入っていないようなところには、なかなかチェックに回ってこない。把握すらできないというところもあるという。そうなると、ますます組合に入る加盟率というのがどんどんどんどん減ってきて、一生懸命やっているところはチェックが厳しく、組合に入っていないところはそれだけ野放しにされて、なかなか把握もされない、こういった現状があるというのも事実なんです。
そこで、私はぜひとも提案したいんですけれども、自主管理点検票というのがあるんですね。この票をもとに、今は提出義務がありませんけれども、保健所に提出していただいて、これを見て、ここに問題があるんだったら、ここだけチェックしよう、そのほかの部分については自主管理に任せて、本来もっともっと監視で入らなければいけないところを監視していく、そういった効率化の視点も大事なんじゃないか。
これから市に移管するに当たって、やはり東京都はこういった効率化を目指していかないと、やれるところだけやって--人数も限られているわけですから、こういった自主管理制度をもっときちっと制度として尊重して活用していくということが必要なんじゃないかと思うんですけれども、これについていかがでしょうか。
○齋藤地域保健部長 環境衛生関係施設の施設衛生管理を徹底していくためには、ご指摘のように、営業者によります自主管理の推進と、また保健所によります監視、指導が、いわば車の両輪により、それぞれ効率的に組み合わされてやっていくことが必要だと考えております。
このため、施設の衛生水準の向上の観点から、自治指導員制度等によります自主管理の一層の推進を図りますとともに、保健所による監視、指導をより効率的、効果的に実施していくところでございます。
○東村委員 効率的にやるというのはいいんですけれども、今いったように、ここまで、人もある程度これから減らしていかなきゃいけないという中で、制度はしっかりつくっているんだったら、これを活用するということを本気になって考えないと、今いった効率的にやっていきますとか、効果的にやっていきますだけであれば、抜本的に私はこれは解決しないと思いますので、ぜひともこれは一度検討していただきたいということを要望したいと思います。
その上で、最後に、食品安全条例について何点か伺いたいと思います。
国において食品安全基本法を昨年五月に制定したところでありますが、この食品衛生法の改正や安全基本法の制定によって対策の強化を図るということを行いました。食の安全というのは、何といっても大きな課題でありますので、国もようやく動き出した。当然、都としても、対策の強化が必要であるということで、その手段として条例という形でしっかり方針を示そうという、こういった姿勢は評価できると思うんです。特に、今回上程されています条例案は、単なる理念規定にとどまらず、未然防止の措置を盛り込んでおり、健康への悪影響を未然に防止する観点からも、条例の必要性については我が党としても理解するものであります。
一方、都民が毎日摂取している食品の安全が確保されていることは、都民が安定した消費生活を営む上でも必要なことであります。都は、消費生活条例に基づいて都民の消費生活の安定と向上を図っており、中には、食の安全についても、消費生活条例を改正し、対策を強化することで対応できるんではないか、こういった意見もあるわけなんですね。
都は今回、生産から消費に至るすべての段階において適切な対応をし、かつ、その段階における関係者の役割を条例として明示する、そして法制度の補完をするために未然防止策を講じていく、こういうことを趣旨として食品安全条例を制定されたわけであります。
その中で、基本理念の一つに、未然防止の観点から、最新の科学的知見に基づき食の安全確保を図る、こういうことを掲げています。私は、今回、これが非常に大事な点ではないかと思っています。
確かに、健康保護を図るためには未然防止の観点は欠かせないんですけれども、これに科学的知見に基づく分析、評価がない限り、なかなか厳しいのではないか、その結果を施策に反映させることはできないんじゃないかと思っております。これをやらないで、不安だからといって、いたずらに都民や事業者が混乱を来すようなことはあってはならないんじゃないかと思っているんですね。
例えば、今、本当に日本人は健康について非常に敏感になっています。花粉症にヨーグルトが効くというテレビ報道がされれば、ヨーグルトを買いあさって、コンビニからヨーグルトがなくなってしまうという事態があったり、最近では、しょうちゅうが血液をさらさらにするといったら、酒屋に主婦がしょうちゅうを買いに殺到している。これはテレビの大きな影響だと思うんですけれども、本当にそこに科学的知見があるのかどうか、これが食品安全条例の中でも最も大事な部分じゃないかと私は思っているわけです。
そこで、この理念を具現化するために、つまり、科学的知見に基づき食の安全確保を図るという理念を具現化するために、どのようなシステムを構築しようとしているのか、これについて伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 食品の安全性につきましては、最新の科学的知見に基づき分析、評価を行うために、関係する分野の専門家の参加とともに、評価に至る過程の公平性、透明性の確保が不可欠でございます。
そこで、専門家を中心に構成されます食品安全情報評価委員会におきまして、発生し得る危害や解明されていないリスクについて情報を集め、最新の科学的知見に基づき分析、評価を実施しております。
その結果を、都民への注意喚起、事業者への指導、あるいは条例に盛り込みます安全性調査、措置勧告の実施などの施策に反映させまして、健康への悪影響の未然防止を図ってまいります。
○東村委員 確かに、安全に対する感覚というのは、私は人によってまちまちであると思っているんですね。漠然と不安に思うものすべてについて排除したくなるという気持ちもわからないものではないんですが、しかし、今いったように、科学的知見に基づく安全対策を推進するというからには、都民の不安に配慮しつつも、客観的かつ多角的なデータをもとに公正な判断をしてもらいたい。これを厳に求めたいと思います。幸い、食品安全情報評価委員会には、都民の委員も含まれるということが想定されていると聞いております。この点にも期待をしたいと思います。
そこで、冒頭でも触れたんですけれども、消費生活条例と食品安全条例の関係であります。消費生活条例においては、生命及び健康を侵されない権利など消費者の権利を明記し、その確立に向けた施策を規定しています。他方、食品安全条例においては、確かに都民の健康保護を目的に明記している一方で、権利には言及していません。
もとより、都民の健康保護を目的に掲げ、これを最優先にするんだという姿勢を明示している以上、食の安全における権利というものを否定しているものではないということは明らかだと思うんですけれども、その一方で、昨今の食に関する事件を見ると、この食品は安全かどうかわからないとか、何となく不安だから避けようといった消費者の選択が、事業活動を大きく左右している事例も目立っています。都民自身の食の安全をいかにして守るか、また進んで考え、行動していく時期に来ているのではないか、このように考えるわけであります。
食の安全に関する権利の取り扱いとともに、食品安全条例における都民の位置づけを明確にすべきであると私は考えるんですけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 食の安全における消費者の権利は、否定されるものではなく、都では、消費生活条例において明確に規定し、その確立に向けた施策を推進しているところでございます。
一方、食品の安全を確保するためには、都、事業者はもとより、都民も、食品の安全について正しく理解し行動するなど、一定の役割を果たしまして、三者の相互理解と協力に基づく取り組みを進めることが不可欠でありまして、このように、食品安全条例では、都民も主体的な役割を果たす存在として位置づけられております。
○東村委員 この健康保護されるべき都民が施策の策定過程に参加できるようにすることは、都民ニーズにこたえる施策を展開し、その積極的な参加を促すためにも必要なことであると思います。しかし、我が国最初のBSE発生当時を振り返ってみても、食肉の安全性に対する風評が相当広まって、最終的に焼き肉店や精肉店といった末端の事業者が甚大な被害をこうむった。こういった事実を考えると、安全対策を進める上でも、現場の事業者の声を十分に酌み取って施策に反映させる必要があるんじゃないか、こう考えるわけであります。
そこで、先ほども何点か触れられていましたけれども、この条例を踏まえて、都民、事業者の意見が施策に反映されるリスクコミュニケーションの仕組みづくりをどのような形で進めていくのか、これについて伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 ご指摘のように、都民、事業者の理解と協力のもとに食品の安全を確保するためには、その意見が反映される仕組みが必要でございます。そこで、昨年創設いたしました食の安全都民フォーラムや、食品安全ネットフォーラムに参加を求めまして、都、都民、事業者相互の意見の交流を図り、互いの理解を深めるとともに、条例に基づき策定いたします食品安全推進計画の策定、改定時には、都民、事業者の意見を聞くなど、既存の制度も含めまして、さまざまな機会を通じて、その施策に反映してまいります。
○東村委員 ぜひとも、今おっしゃってくださった、策定、改定時には、都民、事業者の意見を聞くなど、既存の制度も活用しながら、さまざまな機会を通じて、この意見を反映してもらいたい。特に、食品安全条例というのは、消費者のためだけでもなく、事業者のためだけでもない、生産から消費のすべての過程における食の安全というものを守る、私は画期的な条例だと思っております。そういう意味で、生産者、事業者、消費者、都民、そして行政、これらの本当にしっかりとしたリスクに対するコミュニケーションを図っていただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わります。
○かち委員 三つの課題で質問いたします。
まず、百四号議案、都立看護学校条例の一部を改正する条例についてです。
まず、今回、豊島看学と大塚看護学校、これは准看の二年制の進学課程ですが、廃止条例が出されています。では、東京都の第三次保健医療計画に合わせた看護職員需給計画の見通しと実績をお聞きします。
○桜山参事 第三次東京都保健医療計画の中で示されました看護師の需給の見通しでございますけれども、平成十四年スタート時の就業者数を完全に捕捉することが困難でございましたため、平成十三年度に実施いたしました東京都看護職員就業者等実態調査に基づいて把握いたしました年当初就業者数を、新卒の就業者数、再就業者数及び離職者数の推計値で補正いたしまして算出しましたものでございます。
○かち委員 そういう意味ではなくて、今の第三次看護職員需給計画というのは、二〇〇六年までに需給達成見込みということで出ていると思うんですけれども、その達成見込みというのはどのぐらいなのか、そして現状の実績はどうなのかということを聞いているんです。
○桜山参事 二〇〇六年の時点での需要数というものを十一万八千九百人と推計しております。二〇〇六年までに供給数も十一万八千九百人ということで、そこで均衡するわけでございますけれども、実績でございますけれども、供給数全体の実績を各年ごとに把握いたしますことは、その都度大規模な調査が必要となりますために、供給数全体をリアルタイムに把握することは極めて困難でございます。
ただ、参考までに申し上げれば、ナースバンクの事業の再就業者数というものは出ておりまして、平成十四年度は、計画数千九百人に対しまして、千八百五十六人、平成十五年度は、この十六年二月末でございますが、計画数二千百人に対して、二千百二人という実績になっております。
○かち委員 計画は立てるけれども、実績をリアルタイムではかるのは難しいというのはよくわかるんですけれども、この看護婦の需給計画というのは、一九九一年から通算三回にわたって見直しをされてきているわけですね。九一年のときには、二〇〇〇年までに見通しとして立てた計画が、結果的には七千五百人不足するという状況になって、九八年に第二次計画を立てました。これも二〇〇二年の時点で六千人が不足見込みということになって、今回の第三次計画になっているわけです。いずれも、需給計画は立てるけれども、実態がそれに追いついていない。計画とはかなり乖離があるというのが今の実態だと思うのです。
時代の変化、医療形態のあり方も変化してきており、高齢社会の中で、介護保険制度への対応なども相まって、看護師の職務範囲は大幅に広がってきて、介護分野でもその需要は急増しています。
二〇〇三年度に財団法人介護労働安定センターというところが調査結果を出しました。介護現場における看護師不足が目立ちます。都道府県別では、鳥取県が第一位で、不足率六一・五%、次いで茨城県、富山県、その次が東京都で、充足率五〇%という状況なんです。こういう状況の中で、都が看護師養成学校を次々と廃止していくというのは、行政責任が問われているのではないでしょうか。
二〇〇〇年四月に、都における看護職養成に関する検討のあり方という答申が出ておりますが、この中には、少子化進行とともに、一般の看護職員養成が不採算性の高いものであることを十分配慮して、都立看護学校は、長い歴史の中で培ってきたノウハウを最大限に生かして、引き続きその役割を担っていく必要がある、このように述べています。
その年の八月に第二次アクションプランが出されましたね。これです。保健医療従事者の養成機関再編整備計画というのが出ています。これをよく見ますと、今回の資料の一ページと比較しますと、今回の一ページは、非常に簡素に、廃止、廃止、廃止ということしか目に入ってこないんですが、こちらの方では、統廃合、再編ということが明記されているんですね。
例えば、今回問題になっている豊島看学と板橋看学、豊島は定員百五十人、板橋は八十人ですが、これを十五年度で再編統合して、適正な定員に見直すというようになっています。そして、保健科学大学院は十六年度から博士課程を設置するとか、北多摩の三年課程においては大学教育への移行、こういう計画も立てられていたわけですが、今回の資料によりますと、一切そういう新たな取り組みというのはなくて、単に廃止のみという計画になっているんです。これはどういう状況を示しているのでしょうか、その考え方をお示しください。
○桜山参事 基本的には、衛生局アクションプラン第二次で示されました都立看護専門学校再編整備計画に沿っているわけでございますが、先生おっしゃいましたように、当初の計画では、北多摩看護専門学校を廃止し、大学教育に移行する予定でございましたが、その後、十三年に作成されました東京都大学改革大綱の中では、新大学は、現在都立大学があります南大沢、現在都立科学技術大学があります日野、それから都立保健科学大学があります荒川の三カ所が拠点キャンパスと定められ、北多摩看護専門学校での大学移行計画が不可能となりましたため、状況の変化に合わせまして、一部計画の変更を行ったものでございます。
新しい計画では、施設が新しく、教育環境が良好な北多摩看護専門学校は廃止せず、校舎などの施設が古く、実習病院を近隣で確保することが困難であるなど、運営上の問題の多い松沢看護専門学校を廃止することといたしました。
なお、北多摩看護専門学校で、十五年度に廃止する予定でありました二年の進学課程につきましては、都内の養成機関の状況などを勘案いたしまして、十九年度に廃止することといたしました。
また、当初の計画では、豊島看護専門学校と板橋看護専門学校については、規模を適正化した上で統合することとなっておりました。今回の条例改正では、豊島看護専門学校を廃止することとなっております。両校において統合委員会を設けて、お互いの教育内容のすぐれた部分を生かした教育課程を板橋看護専門学校で実施していくこととしておりまして、豊島看護専門学校の教育理念を生かすなど、実質的には統合したものと考えております。
なお、入学定員規模についてでございますが、平成十二年四月に、都における看護職員養成に関する検討会最終報告を踏まえまして、一クラスの規模を適正化することといたしまして、一クラス四十人二クラスで、一学年の定員を八十人としたものでございます。
○かち委員 今のご説明を聞いていますと、豊島は百五十人規模、板橋は八十人規模、これは検討過程の中で、豊島のいろいろな授業内容について板橋に生かしていくんだという説明がありました。規模要件というのは一体幾らになるんですか。
○桜山参事 新しい板橋の学校では、一学年八十人を予定しております。
○かち委員 わかりました。ということは、八十人定員ということになるわけですね。要するに、百五十人の豊島をなくして、板橋の八十人にするというだけの話なわけですよね、規模としては。ですから、適正な規模に見直すといっても、結局、廃止ということに変わりはないということなんです。
大学については、北多摩については難しいということで、結局、三年制を続けるというお話もありました。しかし、医療の現場は日進月歩です。高度な医療技術への対応とともに、高度な看護教育の供給も必要だということで、大学課程の検討もされてきた経過があるわけですけれども、それが、ここ数年のうちに、再編整備どころか廃止一辺倒、こういうことになっているわけです。
都立病院への看護師の供給と東京都の役割である中小病院への供給、一千二百万都民の医療、看護、介護を支える都の看護職員養成の役割をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
○桜山参事 医療技術の高度化や専門化などにより、看護の質の向上が求められております。その中で、都立看護専門学校は、都立病院等の都立施設及び養成所を持たない都内の医療機関に対して、看護職員を供給する役目を果たしてまいりました。引き続き、質の高い看護職員を養成していくため、看護学科の三年課程校を中心として、教育機能を一層充実強化していきたいと思っております。
○かち委員 そのようにおっしゃいますけれども、やっていることは次々と廃止していくだけという状況ではありませんか。今の社会状況の中で、民間の看護学校というのは、採算が合わないとなればすぐにやめていく、こういう状況でもあるわけです。行政責任ある東京都が市場原理を最優先にする民間と同じようなことをやっていて、将来の需給計画を満たすことはできない。破綻してしまうというようなことを生み出す。そういうことは行政責任として許されないことではないかというふうに思います。
今回の豊島看学の廃止、また准看の進学課程二年コースの廃止、これを改めてやめるべきだと申し上げます。
もう一つ、大塚二年課程についてもお聞きしますが、准看護師制度は、一九五一年、戦後の深刻な看護師不足を補うための暫定措置として国が発足させたものです。医療現場では、看護業務を行うけれども看護師ではないと、発足当時から矛盾を持つものでした。しかし、その後も、安上がりな養成を目指して、政府はこの制度を温存してきたんです。そのもとで、お礼奉公などという前近代的な扱いをされてきた実態が明らかになる中で、国の責任ですべての准看護師を看護師にという大きな世論となってきたものです。
日本看護協会の専務理事、岡谷恵子さんは、在宅医療が広がり、看護師には判断力や質の高いケア、技術が求められている。准看護師の教育課程では対応し切れないといわれています。そういう意味でも、この二年課程のコースを都として確保することが重要なのではないでしょうか。
准看護師と二年課程の都内養成規模は、この十年間でどのように変わってきているでしょうか。
○桜山参事 准看護師養成所については、平成六年度入学定員が千三百四十五人に対して、平成十五年度には八百三十人、また二年の進学課程でございますが、平成六年度入学定員が千七百四十人であるのに対し、平成十五年度は九百二十人となっております。いずれの課程の養成規模も、十年前と比較して大きく減少しております。
○かち委員 准看護学校自身もどんどんやめていく経過の中にはあります。しかし、今なお一千人近くの准看護婦がいて、進学課程に行きたい、こういう思いを持っている方もいらっしゃるわけです。
この十年間を見ますと、看護学校そのものが、進学課程が十六も減ってしまっている。准看護学校は九校しか減っていないんですが、進学コースが減ってしまう。これが将来看護婦になりたいという道を閉ざす大きな原因になっているわけですね。
それともう一つは、今なお一万九千人以上の准看護師が現場で働いているわけです。看護師希望者への門戸を開いておくのが行政の役割だと思いますけれども、この准看護師の就業状況というのは、都としてはどのように把握していますか。
○桜山参事 看護師等業務従事者届の集計報告がございまして、それによりますと、准看護師の就業者数は、都内でございますが、平成六年には一万九千八百二十八人であったものが、平成十四年は一万九千六十二人ということで、やや減少しております。
○かち委員 やや減少しているけれども、依然として一万九千人の准看護師さんが働いているわけです。そういう方は、十年以上たっていると、家庭を持ったり、働きながらということで、なかなか困難な中でも、看護婦への道というものをなくさないでほしい、それが願いなわけです。
こういう中で、本年四月から、世論の高まりの中で、厚生労働省もやっと二年課程の通信制をスタートさせることになりました。これは看護師制度の一本化と移行制度を求めてきた長年の運動が、非常に不十分ながらではありますけれども、やっと実を結ぶことになるわけです。
全国的にはまだ三校というふうに聞いておりますけれども、東京では計画がないんですね。東京都は、二年課程を廃止するなら、せめてこの通信教育をやるべきではないかと思いますけれども、ご見解はいかがでしょうか。
○桜山参事 准看護師の看護師になる道を確保するという考え方は大切でございます。働く准看護師も含めて、現に二年課程の応募者数が減少していることから、都といたしましては、民間の准看護師養成所などの動向を踏まえまして、二年課程を順次廃止していくことといたしたものでございますが、働きながら学べる通信制課程というものも、就業している准看護師のキャリアアップのためには有意義であると考えております。
十七年度に向けて、現在、都内でも通信制課程の開設を申請している学校があり、また全国でも数校申請していると聞いております。都としては、こうした申請中の学校、これから申請しようとしている学校が開設できますよう、指導やアドバイスをするなど支援を行ってまいります。
○かち委員 重要だとお認めになりながらも、やることはやるという状況で、廃止することだけはやるけれども、代替措置もとらない。これでは関係者へのサービス低下、責任放棄ともいえるものです。本条例は認めるわけにはいかない。(発言する者あり)都がみずからやるべきだと私はいっているんです。それは、将来質の高い看護労働を東京都内に提供していく、その役割が都にあるからということでいっているわけです。ですから、本条例案は認めるわけにはいかないということを申し上げて、次の質問に行きます。
九十五号議案の食品安全条例について、先ほど来皆さんが質疑されておりますし、認識も幾つか共通しておりますので、限られた点についてだけお聞きします。
私も一昨年、定例議会で、食品メーカーによるモラルハザード、輸入食品の残留農薬問題、化学物質、BSEなど、食の安全が著しく脅かされている中で、都民の命と健康を守る上で、実効性のある条例制定が都として必要だということを主張した者として、今回ようやく条例制定につながるという点では、非常に歓迎するものです。
その上で、そのときにも確認した点について、緊急に確保する必要があるという問題について一、二伺います。
大量消費地である東京都は、食の七割が輸入食品で占められており、水際のチェック体制の強化を国に求めることはもちろん必要ですが、都内輸入食品業者の出荷前でのチェックが重要だと申し上げ、千二百の事業者に対し、輸入班は、その当時はたった三人でやっているという体制でした。東京都の食品監視員の増員や検査体制の強化を求めていった際に、輸入食品への監視を重点的に強化するというふうにご答弁があったと思います。その後どのように改善されてきたのか、お聞きします。
○木村参事 輸入食品の安全確保につきましては、東京都ではこれまでも、輸入食品を専門的に監視する輸入食品監視班を設置するなど、重点的に取り組んできたところでございます。本年度からは、これまでの一班体制から二班体制とするなど、監視指導体制を強化したところであります。
今後とも、輸入食品の監視を重点的に実施するなど、効果的、効率的な監視、検査に努めてまいります。
○かち委員 もう一つは、ベビーフードから農薬が検出された問題で、食品添加物や農薬の残留基準設定に当たっては、乳幼児、妊婦、病弱者への影響を最大限配慮して定めることを国に求めるとともに、都としても、ベビーフードについては早急に実態把握をすべきだということも申し上げました。
今回条例制定がされ、こういうことがどのように実行されているのかということですけれども、その取り組みについてお聞きします。
○木村参事 都は、これまでも、農薬等の残留基準を整備するに当たり、食生活の実態、特に乳幼児について配慮するよう、国に提案してきたところでございます。
また、都内に流通しているベビーフードにつきましては、これまでも農薬や添加物等の検査を行ってきたところであり、今後とも引き続き検査を継続し、実態の把握に努めてまいります。
○かち委員 先ほどから出ておりますけれども、どのように食の安全を確保していくのか、未然防止の事例に立ってどのように実効性を持たしていくかということでは、リスクコミュニケーションを具体化していく問題が必要だというふうに思います。
食品安全情報評価委員会の構成が、学識経験者のうちから知事の任命する者というふうにありますけれども、委員の中に生産者や事業者も含めるべきではないかと思います。食をめぐる関係者が対等、平等に検証することが重要だと思いますけれども、ご見解はいかがでしょうか。
○木村参事 食品安全情報評価委員会は、食品等の安全性に関する専門的事項について、科学的な分析、評価をすることが主な役割であり、利害の調整を行う機能は有しておりません。
また、評価結果を都民にわかりやすく情報提供を行うために、都民の視点から見て理解しやすいものとする必要がございます。そのため、客観的かつ中立的な立場にある都民及び学識経験者で委員を構成しているわけでございます。
○かち委員 利害の関係ではなくて、情報提供を求める対等、平等な立場ということで私は申し上げておりますので、リスクコミュニケーションを有効に推進していくという点では、ぜひお考えいただきたいと思います。
それで、基本的な考え方のところで、都民の位置づけなんですけれども、先ほど来出ておりますが、東京都消費生活条例の中には、都民の権利とか請求権が明記されているのですが、今回の条例の考え方としては、都と都民と事業者の相互理解と協力に基づいて推進していくのだという考え方、先ほどから何回か質疑がありますけれども、何か平行線を私も感じるのです。
そして、私は、都民と都が対等な立場で、協力、協働でやるのだということは、積極的な位置づけとしては十分理解できるのですけれども、安全な食を有する、それは都民に課せられた固有の権利だというふうに思うのですね。そういう権利をやはり明記すべきだと思うのですが、本会議の質問の中で、知事は、消費条例が主文のようなものだから、書かれているのだから、必要ないのだというふうにもおっしゃられましたけれども、この消費条例と食品安全条例の関係はどういうふうになっているのでしょうか。消費条例が上位条例で、食品安全条例が下位条例、こういう位置づけなのかどうかということなのです。
○木村参事 消費生活条例は、消費者の権利という視点から、その確立に向けて、食品を含む商品及びサービスに対する施策を規定したものでございます。一方、食品安全条例は、食品を対象とし、その安全を確保するための理念や施策を規定したもので、食品の安全確保という視点からの都の施策を包括する性格を持つものでございます。
食品安全条例は、消費生活条例を初めとする他の諸条例と一体となって食品の安全を確保するという目的を有するものであります。上位、下位といった関係ではなく、いわば消費生活条例は一般法的に当たり、食品安全条例は特別法的な関係にありと考えまして、それらが互いに補完し合うことにより食品の安全確保が図られるものと考えております。
○かち委員 説明はよくわかりました。そういうものであればこそ、消費生活条例と同じ理念に立っていいではないかというふうに思いますので、都民の権利、請求権、そういうものも明記されるべきではないかなというふうに思います。
そういうことなどを述べまして、今、質疑の中でも、今後リスクコミュニケーションがどのように推進されていくのか、あるいはいろいろな委員会や中長期的な食品安全推進計画をどのようにつくって進進されていくのか、いろいろと課題が、今後進めていく中でチェックをしていく必要があると思うのです。どれだけ実効性を持った条例として推進していくのか、そういうことを含めまして、一定期間をめどに、やはりこの条例を見直しをする、そういうことも必要ではないかということを申し上げておきます。
次に行きます。次はSJS、スティーブンス・ジョンソン症候群についてです。
医薬品は効能、効果とともに副作用被害の危険性をあわせ持っており、薬事法に基づく医薬品製造、販売等に係る諸規定は、過去の副作用被害の反省の上に立って築き上げられたものであり、医薬品の品質、有効性及び安全性を確保し、国民の命と健康を守るために設けられたものです。
こうした医薬品の安全性を確保するため、情報公開や情報提供の仕組みを整備していくことが、今、求められていると思います。適切な情報が、薬販売店でも、医師や医療従事者においても認識されていないために、大変な薬剤副作用被害にさらされている実態があります。
ある四十九歳の女性は、十年前にインフルエンザにかかり、かかりつけの病院で抗生物質の点滴を受けました。それは始まりで、その後体調がどんどん悪化し、病院を転々としました。でも、他の病気と間違えられて、日々悪化していくばかりであり、最後に救急車で運ばれたときには、手のつけられない状態でした。
手足のむくみから始まり、爪の先から水ぶくれになり、全身一部のすきもないくらいのやけど状態と化し、目も鼻も口も、皮膚、粘膜すべて焼けただれたようになり、爪も、手足二十本とも脱落し、目がふさがりました。
一命をとりとめたものの、究極の痛みとかゆみに数年苦しみ、現在も両目の痛みがあります。よいと思われること、あらゆることを試みたけれども、結局失明し、その後も手術を繰り返して、右目が〇・〇一まで回復しましたが、ドライアイのために十五分置きに点眼しなければならない生活に追い込まれています。
これはSJS、スティーブンス・ジョンソン症候群の患者さんの訴えです。SJSは重篤な医薬品の副作用被害で、皮膚粘膜眼症候群、中毒性皮膚壊死症ともいわれています。解熱剤や抗生物質、市販の総合感冒薬など、ごく一般的に使用されている薬が原因となり、特別アレルギー体質がなくても、だれにでも起こり得る可能性のある副作用症状です。
発症率は百万人に一人ですが、毎年三百件の症例報告があり、過去五年で千五百人以上の被害が出ています。初期症状は咽頭痛など感冒様の症状から始まり、全身の発疹と高熱が続き、やがて全身やけど状態となり重篤化する。致死率も二〇%と高く、目や肺や内臓などに重い後遺症を残します。
都として、SJS被害者が都内にどれだけいるのか、その実態把握をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
○木村参事 スティーブンス・ジョンソン症候群などの医薬品による副作用が発生した場合は、医療機関、薬局、医薬品メーカー等は、薬事法に基づき直接厚生労働省へ報告することが義務づけられております。
副作用情報は、厚生労働省が一元的に管理しており、都では、都内における患者の実態を把握しておりません。
○かち委員 厚生労働省が一元的に管理をしていると。もちろんプライバシーの保護というものは大事ですけれども、いかに早く解決をするのか、早期発見するのか、そういう理念に立てば、こういう情報は、国としても各自治体にも流す必要があると思いますし、自治体としても積極的にやはり情報収集をする、その姿勢が必要だと思います。
身近な薬で起きているにもかかわらず、一般的には余り知られていない問題です。医師の経験や知識不足から、誤診や、病院をたらい回しされ、重症化させてしまうケースが後を絶たないのです。
私は、SJS患者会のYさんからお聞きしましたけれども、病院を三回たらい回しされ、三回目の病院で八カ月入院して、痛みで死ぬ思いだった。十数回角膜の手術をしたけれども、片方は失明しました。医師の診断がもっと早ければ、こんなことにならなかったと、訴えられています。
この問題は、昨年六月、NHKのテレビ番組でも特集されました。その中で、薬剤雑誌編集長のK氏は、発症メカニズムも予防法も確立していない現在、いかに早期発見、早期治療ができるかであり、情報の公開がかぎですといわれています。
都として、薬剤師、医師を初め医療従事者に対してSJSに対する認識の徹底を図るため、研修や講習課題に位置づけるよう働くべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○木村参事 都では、これまでも、医療機関や薬局等に対し、医薬品情報誌の発行や講習会の開催などにより、医薬品副作用被害救済制度の周知を図ってまいりました。
また、被害救済制度を運用している医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構では、医療機関や薬局等に対し、この制度に関するリーフレットやポスター等を配布し、周知を行っているところでございます。
○かち委員 都としてのもっと積極的な姿勢を私は求めているのです。
薬剤の添付文書というのがありますけれども、SJSについて書いてはありますけれども、並列的であり、わかりにくいのです。使用者に注意を喚起する表示方法の工夫なども必要です。製薬メーカーへの指導を都として行うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○木村参事 医薬品の添付文書につきましては、厚生労働省で定めた記載要領により作成することになっております。
この要領では、例えば警告など重要事項につきましては、添付文書の初めの方に書くことや、赤枠で囲むこと、あるいはゴシック体で書くなど、きめ細かく決められております。
都としては、今後も引き続き医療関係者や都民に対しまして、添付文書の重要性について啓発してまいります。
○かち委員 添付文書というのはすごく細かく、必要なこと全部書いてありますので、あれをなかなか全部読むというのも難しいのですよね。(「どうすればいいんだよ、読まないんだったら」と呼ぶ者あり)だから、読まない人も含めて、わかりやすい表示方法、記号とか、こういうものはだめよとか、こうなったらどうしますというのを、もっとわかりやすい表示、そういうことの工夫、ほかの面では、製薬メーカーもいろいろ工夫されていますので、この問題についても、ぜひそういう点、またインターネットなどを駆使しての情報公開、そういうことにもぜひ積極的に取り組むように指導を強化していただきたいと思います。
SJSの患者さんを苦しめているのは、目に残る後遺症です。皮膚や粘膜が改善しても、目が回復する人は三割にとどまるといわれています。数分に一回目薬を差さなければならない、この目の痛みとの闘いを二十八年続けている人もいます。逆さまつげで、痛みのために目をあけていられない人、十数回角膜手術を繰り返すことも、患者さんの苦しみは想像を絶するものです。角膜手術は、特殊な膜を用いるため二百万円もかかる人もいます。極度の視力障害や内臓障害のために仕事もできなくなり、人生が大きく狂わされてしまうのです。長期にわたる眼科通院、目薬、コンタクト代で五十万円も月にかかります。経済的負担も大変です。
こうした患者さんへの救済制度があることはあるのですけれども、大変不十分です。一九八〇年に国によって設立された薬剤副作用被害の救済制度では、医療費も入院費に対応するものという限定つきですし、年金給付も両眼合わせて〇・〇八以下という厳しい基準のために、多くの被害者が利用できずに、救済されていません。また、八〇年以前の被害者は適用になっていないのが状況です。
何よりも、こうした制度があることすら知られていない現状の中で、SJS患者会や励ます会の皆さんの努力によって、インターネット情報などを提供していますけれども、実際この制度を利用している人は、患者さんの一、二割だともいわれています。SJSの症状が出たらどうしたらよいか、また、都民向けの救済制度の紹介など、都民に対する啓蒙、情報提供を、医療機関を初め薬販売店でも明示するよう指導を強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○木村参事 都では、医薬品の正しい使い方や被害救済制度について、ホームぺージへの掲載や都民向けパンフレットの発行などにより周知しているところであり、今後さらに啓発活動の充実に努めてまいります。
また、都ではかかりつけ薬局の育成に努めているところであり、医薬品の副作用を早期に発見し、適切な対応をとるためにも、薬局等における相談機能の充実を図ってまいります。
○かち委員 八〇年以前の被害者への救済も必要なんです。救済対策の基準の緩和など、国へ働きかけるとともに、都自身の救済策も求めますけれども、ご答弁をお願いします。
○木村参事 被害救済制度は、副作用による被害者の迅速な救済を目的としており、医薬品メーカーの拠出金により医療費等の給付を行っております。この救済制度は、法に基づき医薬品機構により一元的に運営されており、都独自の助成は考えておりません。
都としては、都民がこの制度を理解していることが重要であると認識しており、今後も引き続きこの周知に努めてまいります。
○かち委員 なかなか救済には道遠しという感がありますけれども、おっしゃるように、都民にこのことを周知することが非常に重要だと思います。薬剤副作用はだれにでも起こり得るものだということ、そのメカニズムが解明されていない今日、重要なのは、いかに早期発見、対策によって重症化させないかということだと思います。
そのために、都としては、都民、医療関係者への周知の普及啓発に一層努力することを求めまして、質問を終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
午後三時二十六分休憩
午後三時三十六分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大河原委員 私からも、第九十五号議案、東京都食品安全条例について伺っていきたいと思います。
この食品安全条例は、長い間都民が待ち望んでいた条例です。これまで質疑をなさいました委員の方々も、このようにおっしゃっていただいておりますけれども、一九八六年のチェルノブイリ原発の事故で、世界じゅうに放射能がばらまかれて、大きな食品危機が地球を襲った、世界を襲ったということがございます。
そして八七年に、この東京で、都民十一万人が食品安全条例の制定を求めて、その声が請願となって都議会に提出されました。八九年には、五十五万人の署名を集めた条例制定の直接請求が行われております。直接請求の有効署名というのは、有権者の五十分の一ですから、当時十八万二千くらいあれば有効なんですけれども、五十五万人で、有効署名数四十八万以上を優に超えていたということで、いかに多くの都民が、食の不安に抗していくために、みずからこの東京でそうした食の安全を確立したい、そういう思いを一致させてきたのか、そういうことがわかると思います。
資料も出していただいておりますけれども、当時、都政は鈴木都知事によって--リーダーがございまして、鈴木知事は、その当時、東京のそれまでつくっている条例とか施策で食の安全はカバーできる、確保できるというふうにお考えになりまして、新規に条例の制定の必要はないという意見をつけて、都議会に条例案を提出したわけです。八九年の九月議会から九〇年の三月議会まで、実に三次にわたる審議の末に、条例案は残念ながら否決されております。
しかし、条例はできませんでしたけれども、消費生活条例の改正ですとか、あるいは食品の監視体制、検査体制の強化が行われ、そして食品安全行政の実質的な前進をした、それが新しい施策ですとか予算の面でも大きく反映されたと聞いております。資料として提出していただいた当時の条例案には、当時の都民の思いがこもっていたわけですから、私もその中の一人でございましたので、非常に感慨無量でございます。
そして、この間に、東京都がこれらの都民の要望を受けとめて進めてきた食品安全行政というのは、もちろんここにおいでになる職員の皆さんが本当に努力されて、国をリードしてきた、一千二百万人の大消費地である東京の先導力といったものが本当に発揮されたと私は評価をしております。
ですから、今回提案されておりますこの条例についても、都議会生活者ネットワークは、この条例提案、都からの提案を歓迎しております。しかし、願わくば、さらに都民の意見を反映して、国及び他の自治体をリードする、そういう条例に育てていきたい、そういう強い思いを持っておりますので、その立場から質疑を進めていきたいと思っております。
まず、条例制定のプロセスですけれども、一昨年の予算特別委員会で生活者ネットワークの質問に答えた知事は、条例化について前向きの発言をなさいました。そして、昨年の八月十五日に、東京都として条例制定に向けた基本的な考え方を公表して、パブリックコメントをとり、そして同月、八月二十八日、知事の附属機関である東京都食品衛生調査会に、この条例についての考え方、食品の安全確保に向けた今日的課題に適切に対応し、食品生産から消費に至る各段階での安全確保対策を総合的かつ計画的に推進するための条例ですけれども、その考え方について、諮問をしたわけです。
調査会の皆さんの精力的な活動もありました。専門委員会が設置されて、意見を聞く会を含めて三回の専門委員会、それから三回の調査会を経て、十一月の二十一日、第七十回の食品衛生調査会で、知事に答申が出されているわけです。
で、この答申を受けて条例がここにあるわけなんですけれども、この条例制定に向けて市民が意見表明をする機会を設け、またパブリックコメントでも都民からの意見聴取が行われたわけですけれども、内容も公表されております。この答申にも一部出ておりますけれども、ホームぺージなどでも公表をするということがあります。
しかし、どういうふうにその意見が反映されたのか、されなかったとしたら、それはどういう理由なのか、そういうことも、ぜひ公表していく必要があったのではないかというふうに思っているのです。今後の都民の意見聴取のあり方は双方向で行うべきだと思っておりますけれども、まずこの点、いかがでしょうか、
○中井食品医薬品安全部長 本条例の策定に当たりましては、昨年八月に、条例制定に向けた基本的な考えを公表いたしまして、それに対する意見を募集をいたしました。また、九月には、食品衛生調査会専門委員会におきまして、意見を聞く会を開催し、直接都民や事業者の方からご意見を伺う機会を設けました。
こうして寄せられた意見は、食品衛生調査会において参考としながら審議が進められ、昨年十一月に条例の考え方について答申をいただいたものでございます。
なお、寄せられた意見がどのように食品調査会の答申に反映されたかにつきましては、本年二月に、ホームぺージを通じまして公表しているところでございます。
今後とも、都民、事業者とのよりよい意見交流を図りまして、施策への関係者の意見の反映に努めてまいります。
○大河原委員 今ご報告ありましたけれども、都民意見を聴取した場合、一方通行にならないように、なぜそれが入らなかったのかというのは大変重要なポイントです。
答申なんか見ておりましても、やはり事業者の方々も積極的にここにご発言があるわけで、それに対して都はどう思っているのか、それは都民にとって、いわゆる消費者にとっては非常に興味のあるところなんですね。
ですから、都民、事業者、それから東京都、相互のということがあればなおさらのこと、丁寧に都民意見反映の状況について情報提供していただきたいというふうに思います。
それでは、条文の順を追って質疑をしていきたいと思うのですが、まず第一条の目的です。
国の食品安全基本法は、BSE問題や偽装表示など、食への不安から制定された法律ですが、その中でも地方行政はその地域に応じた施策を実施することになっております。
都においては、基本的な考え方においても、また調査会の答申でも、仮称食品安全基本条例というふうに考えられておりました。一般的に、基本条例というふうに名を持つ条例ならば、その対象とする分野については、ほかの条例に優先する性格を持って、他の条例がこの条例に誘導される関係にあるのじゃないかというふうに思うのですが、今回の条例を基本条例としなかった理由について伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 本条例は、食品の安全確保という視点から、都の施策を包括する性格を持つものでございまして、消費生活条例を初めとする他の諸条例等と一体となって、食品の安全の確保という目的を達する関係にございます。
また、理念だけで構成されておりますいわゆる基本条例とは異なりまして、安全性調査や自主回収報告制度など、条例に基づく規制などの具体的な施策もあわせて規定しております。
以上のことから、名称を食品安全条例といたしたところでございます。
○大河原委員 理念だけで構成されているいわゆる基本条例というふうなご説明もありまして、じゃあほかの基本条例というふうにつくものはどうなのかなと、一つ一つチェックしてみたくなるわけなんですけれども、そこで重要なのが、基本条例なのか普通の条例なのかということでは、もちろんありません。
何を目的とするかの中に、私は、この条文の文言の解釈の確認になると思いますけれども、一つやはり重要だ、ここがポイントだというところがあると思います。それは、条例の目的という中に「食品の安全を確保し、もって現在及び将来の都民の健康の保護を図る」、こういうふうに書いてあるわけなんです。
将来の都民、この将来の都民というのの意味するところは、私は、次世代を担う子どもとか、芽生えている命というものを想像してしまうのですけれども、都民の健康に被害を及ぼすことのないように、未然防止の策などを想定していると思いますけれども、この点の見解はいかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 本規定は、将来にわたって食品による健康への悪影響を未然に防止する観点から、常にその時点での最新の科学的知見に基づき、食品の安全性に関する情報を広く収集、分析、評価し、その結果を施策に反映させていくことを明示する趣旨でございます。
○大河原委員 本条例の最大の特徴は、未然防止を中心に据えたことであるといわれているわけです。今のご答弁もそうかと思いますが、基本理念について伺います。
食品の安全の確保は、食品等の生産から消費に至る一連の行程の各段階において、健康への悪影響を未然に防止する観点から、今の最新の科学的知見に基づき適切に行われなければならないというふうに、未然防止という観点が盛り込まれております。
では、この条例上において未然防止というものの定義、また、これを予防原則としなかった理由については、いかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 本条例でいう未然防止は、最新の科学的知見に基づき、健康への悪影響の重大性、蓋然性の観点から看過できないものに対して適切に対策を講じていこうとする趣旨でございます。
科学的知見とは、その時点で到達されている水準の科学的知見でございまして、客観的かつ中立、公正な根拠を持つものでございます。
なお、予防原則につきましては、さまざまな考え方がございまして、食品の安全確保の分野では、国際的な機関でも明確な定義はなされていないことから、本条例では、科学的知見に基づく未然防止としたところでございます。
○大河原委員 何か言葉遊びになっちゃいけないと思いますけれども、予防原則というのは、疑わしきは使用せずということなんですよね。ですから、今おっしゃっている最新の科学的知見、これが何を指すのかということが、私は非常に重要になってくると思うのです。
例えば日本で使っているさまざまな基準は、諸外国が使っている基準に比べて甘いものになっている、こういうことは、みんなよく知っているわけなんですね。じゃあ、国が定めていても、それ以上上回る、例えばWHOのガイドラインであるとか、そういったものを東京都が率先して使っていく、そういうふうにもこれはなかなか読めないのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
私は、化学物質とか遺伝子組みかえなどの新技術、生態系の保全など幅広い分野を対象にしている、人の健康や環境に悪影響を及ぼすおそれがあれば、因果関係が科学的に十分証明されていなくても規制や措置を可能にする制度、またはそういった考え方は、本当に危険を回避していくという上では、非常に重要な考えであろうというふうに思います。
EUでは、アレルギーや発がん性など、日常生活に使用されている、新規のものも、また既存のものも含めて、すべての化学物質の安全評価を企業に義務づける、こういう規制の最終案が公表されておりますけれども、リスク評価をしているだけでは、私は間に合わないのじゃないかというふうに思っております。
今回の条例は未然防止ということで、科学的に証明されているということがなければならないわけなので、私は、国がそもそも甘い位置にあるというふうに思っておりますから、ぜひ未然防止から予防原則に--世界の環境に配慮した、先進国というのでしょうか、そういうところでは、そちらの方へ考え方が広がってきているように思います。予防原則は、今のところいろいろな考え方があって、これをこの中に入れられない、今回はこれではないということのお答えは、ここでやりとりしても、既に調査会の方でやられたことなのでいたしませんけれども、やはりそういう思いを強く持って、この新しい条例を見ているわけなんです。
次に移りたいと思うのですけれども、都民の役割なんですが、食品の安全の確保に関する施策について意見を表明するように努める、積極的な役割を果たすというふうに書いてございます。
都民の申し出調査などは、これまでのお答えの中でも、消費生活条例の中の申し出制度を利用するということなんですが、調査結果の公表や、リスクコミュニケーションの必要性を考えれば、申し出制度あってのこの食品安全条例じゃないかと思うのですが、その点の見解はいかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 例えば化学物質による健康影響を調査する場合、食品だけではなく、大気、土壌などの環境からの影響など、幅広い調査が必要となります。
食品に特化した申し出制度を設けますと、都民がこのような広範な調査を求める場合に、二つの条例に基づき、それぞれ申し出を行わなければなりません。また、申し出者が食品の安全に関する事項と判断して食品安全条例に基づく申し出を行っても、実際には条例の対象外の調査事項であったり、再度申し出が必要となるなど、都民の利便性という点からは、問題が生じるのではないかと思います。
以上のことから、消費生活条例に基づく一元的な運用によりまして、窓口が統一され、都民にとっては利便性を確保できるものと考えております。
○大河原委員 消費生活条例を使って、食品分野でもさまざまな申し出が行われて、これが本当に東京都の食品安全行政を進めてきた、そういうふうに思います。
もちろん、消費生活条例で申し出されたものについて、食にかかわる部分はもう既に以前は衛生局、そして健康局というところで今やってきているわけですから、ワンストップではございませんけれども、窓口は一元化して、そこからさらに消費者にわかりやすいようにつないでいくというただいまのご答弁は、ぜひとも都民にわかりやすく説明も加えていただきたいというふうに思います。
次に、第七条の食品安全推進計画について伺っていきたいと思います。
ここでは、食の安全の確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために推進計画を定めるわけですが、その中で、食品の安全確保に関する施策の方向、また、食品の安全確保に関する重要事項、これを計画内容とするとのことでございます。
今回の定例会の生活者ネットワークの代表質問に対して、知事のご答弁は、消費者の権利を明記している消費生活条例が憲法であれば、主文であり、前文であり、それを具体化して施行するこの食品安全条例は附帯条項という形になるというふうに答弁なさったのです。
で、生命や健康を侵されない権利とか、適正な表示を行わせる権利とか、不当な取引を強制されず、不適正な取引行為を行わせない権利とか、不当に受けた被害から公正かつ速やかに救済される権利、また、条例、情報を速やかに提供される権利、消費者教育を受ける権利、いわゆる六つの権利ですけれども、これを定めております。
消費生活条例の中に明記されているこの権利、私たちは、推進計画をつくるならばもちろんこの権利を踏まえたものになるようにしていく必要があるというふうに思っているわけなんですけれども、ご見解はいかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 食品の安全確保には、生産から消費に至るすべての段階で適切な対応が必要となってまいります。
このため、食品安全条例を中心に、申し出制度を初め消費者の権利の確立に向けた施策を定めております消費生活条例など、関係する諸条例が連携し合うこととしております。
今後策定する食品安全推進計画におきましても、こうした趣旨を明確にする必要があると考えております。
なお、推進計画につきましては、食品安全審議会での審議を経るなど、都民、事業者の意見を伺いながら策定してまいります。
○大河原委員 消費者の権利というと、なかなかかたいもののようにも思うのですけれども、最初のところで、この条例は、都民、事業者、東京都の役割といっていますが、今、この現代社会において、消費者じゃない人は一人もいないのですね。事業者でさえ、生産者でさえ一人一人の消費者である、そのことがきちんと確認されていれば、例えば、今いろいろな偽装事件とか起こりましたよね。つくっている人、生産をしている人、そういう人たちも、それがだれの口に入るのか、もちろん、回り回って自分の口に入るということもあるわけですから、そういうことを考えれば、消費者というのはすべての人であること、そしてもちろん、そこにある権利というのは、だれもが保障されていかなければならないもの、そういうふうに思います。
なかなか文言としてこの条例の中に盛り込むことはできませんでしたけれども、ぜひともこの推進計画をつくるときには、それがベースになるようなものを私どもは望んでおります。
次に移りたいと思うのですが、その消費者の中でも、小さい消費者、子どもたちの問題があると思うのです。
子どもたちというのは、非常に汚染に敏感であるといわれております。子どもたちの環境を考える場合に、十二分に注意を払わなければなりません。なぜそうしなければならないのかというのは、お話をする必要もないかと思いますけれども、一番大きいのは、生理的な違いがあって、子どもにとっては、食品をとっても、例えば体重当たりの分量は大人よりも子どもの方が圧倒的に多くなる。子どもは、よりたくさんの空気を吸って、よりたくさんの水を飲んで、よりたくさんの食べ物を食べていることになります。
そして、子どもたちの成長力というのも大変目覚ましくて、大人が年を重ねるよりも驚異的なスピードで大きくなっていくわけです。そして、子どもたちの、すごく変ないい方ですけれども、体の表面積というのは、実は単位当たりにすると、大人よりも大きく広くなる。だから、成人男性の体重の約二十分の一の者であっても、例えば乳児の体表面積というのは、成人男性の八分の一以上ある。
そういうふうに考えると、例えば化学物質による暴露なんというのは、大人の基準じゃだめなんですね。そして何よりも行動形態が違いますから、子どもは何でも口に入れたりします。それから、背も違いますから、下の方の低い部分の空気を吸っている。地面に近いですから、地面に落ちているさまざまな有害な物質に触れる機会がたくさんあります。
そして何より、発達がまだ途中ですから、未発達の段階で物が入ったり、物質が出せなかったり、非常に機能的な違いがあります。そしてもう一つ、何よりも、大人よりもこれから先長く生きていく、それが私はすごく大きいことだと思うのです。何よりも、いろいろな物質にさらされる時間も大きくなるということです。
私は、こうした安全の基準を考えるときには、やはり子どもに合わせた基準が必要であろうと、ずっといってきました。
例えばベビーフードの残留農薬調査なども、東京都が続けて毎年しているわけですけれども、ああいった調査を行う、それから化学物質の子どもガイドラインを東京都がつくろうということで、あとは食べ物に関する食物由来のガイドラインをつくる、そういう段階になっているわけですね。
東京都がそうした小さな消費者、小さな子どもたちに目を向けて食の安全対策を進めてきたこと、このことを私は評価をしていますし、国より本当に進んでいるな、食べる側の、消費者のそういう思いを受けとめた行政なんだなというふうに思っているわけです。
そこで、成長期にある子どもたちの健康への影響を未然に防止していくには、食における子ども基準が必要不可欠だと思っています。特に遺伝子組みかえ作物は、人体に抗生物質耐性菌を増大させ、未知の毒性によってアレルギーや内臓疾患、内臓障害を引き起こす危険性があるなど、安全性にも疑問があります。
遺伝子組みかえ作物については、実質的同等性が得られていればよいというふうに国は判断して、催奇形の検査、これは実施されておりません。将来世代への子どもの健康影響については、不安が残っているわけなんです。
推進計画の中で、乳幼児や子どもの食品の安全確保について施策を展開していく必要があるというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 どのような施策を推進計画に盛り込むべきかは、計画の策定過程におきまして議論すべき問題であると考えております。
したがいまして、現時点では、推進計画に盛り込む具体的な施策について申し上げることはできません。
○大河原委員 お立場上、今のようにしかお答えになれないというのは十分によくわかります。しかし、これまでやってこられたことがあって、評価も全国から受けているわけですので、その点はぜひこの推進計画に盛り込まれるように期待しております。
国の姿勢の中には、実質的同等性が得られていればよろしいということで、遺伝子組みかえ作物についても、ゴーサインを出しているわけなんです。
しかし、地方行政というのは地域に応じた施策を実施する、こういうふうにその役割があるわけなので、例えば北海道では、来年二〇〇五年に向けて予定されております食品安全条例づくり、これに当たっては組みかえ作物の栽培も対象として、条例制定までまだ時間があるわけなんですけれども、その経過措置としても、ガイドラインづくりを急ピッチで進めているというふうに聞いています。
それから岩手県では、これまでも一般圃場での作付は一度も報告されておりませんけれども、県内の一般圃場すべてで遺伝子組みかえ作物の作付を規制する方針を決めております。遺伝子組みかえ作物が県内で栽培されれば、県産食品の消費者への不安が生じかねない、そういう判断です。
そしてまた鳥取県知事も、安全といわれても、消費者が不安な気持ちはわかる。環境、安心・安全を重視して、不安のないものだけをつくるように呼びかける、こういうふうに、指針づくりに力を入れようという意思をあらわしておりますし、山形県の藤島町では、ここは大豆栽培の盛んな土地ですけれども、有機栽培、有機農業に取り組む農家の多くが、当然ながら遺伝子組みかえ作物とは相入れません。遺伝子組みかえ作物の栽培禁止、これを条例化しているわけなんです。
自治体の自主性というのがやはり生かされてしかるべきだというふうに思っているわけなんですけれども、科学的に、適切に定義をされたことがない遺伝子組みかえ作物だというふうに思いますし、どう定義すべきかの法的ルールは、基本的には今現在ないのじゃないかというふうに思います。
例えば大豆に除草剤をまかなくてよい新たな遺伝子を導入したとしても、それ以外は同じだというふうになっているわけなんですね。ぜひこの遺伝子組みかえ食品、組みかえ作物について、東京都ではつくらないという方針を打ち出すべきじゃないかというふうに思います。
第十条なんですけれども、食品等の生産から販売に至る監視、指導等についてということで、ここで私はそのことを伺いたいと思います。
私は、この条文に「都は、農林水産物の生産の行程での生産資材の適正な使用を図るため、農林水産物の生産に係る事業者その他の関係者への指導及び当該事業者の事業に係る施設又は場所に対する監視、生産資材の安全を確保するための検査その他の法令に基づく必要な措置を講ずるものとする。」というふうに書いてあるのです。遺伝子組みかえ作物についても、食品の安全の観点から重要な問題だと思いますが、消費者が受け入れない状況にある遺伝子組みかえ作物について、これは措置の対象になっているのでしょうか、これに含まれるのかどうか、見解を伺います。
○中井食品医薬品安全部長 本条項は、生産資材の適正な使用を図るために必要な措置を規定するものでございます。
ここでいう生産資材には、遺伝子組みかえ作物は含んでおりません。遺伝子組みかえ作物の栽培に当たりましては、国の認可が必要でございまして、認可を受けずに栽培されたものは、条例を適用するまでもなく、法による措置の対象となります。
○大河原委員 国の安全審査を通過したとはいえ、ゼロリスクではないのですね。仮に都内で組みかえ作物が栽培されて、これは風評被害も含め、花粉の飛散による被害が起きた場合、だれが責任あるのか、東京都としてどういう対応が必要となるのか、こういうこともぜひ考えていただきたいというふうに思います。
次に移りたいと思いますが、食品の表示の適正化については、先ほど委員からありましたので、短く意見を述べたいと思いますけれども、ここでは、東京都が、JAS法とか食品衛生法に基づく表示規制に加えて、消費生活条例で独自に表示を義務づけるとともに、景品表示法に基づく不当表示の排除に取り組んでこられました。
こういったところには、食品にかかわるさまざまな表示に、都民の意見を踏まえて対処されることが必要であると思っております。
何より、表示というのは、正しい消費者の選択を確保していく、消費者保護というよりは、消費者の自己決定を応援する、そういうために大変重要なものです。条例で決められているわけではございませんけれども、東京都が独自にバイオテクノロジー応用食品のマーク表示ガイドライン、いわゆる遺伝子組みかえ食品やクローン牛など、こういうものを対象に、見やすくてわかりやすい表示の推進を図ってこられたこと、この点については、私は非常に評価をするものです。
そして次、私が伺いたいのは、十九条の都民及び事業者の意見の反映についてです。
ここでは、東京都は「第七条第三項に定めるもののほか、食品の安全の確保に関する施策に都民及び事業者の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずる」というふうにしておりますけれども、必要な措置というのは、どのような内容でしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 都民、事業者等の意見交流につきましては、食品の生産から消費に至る各段階で、あらゆる機会をとらえて実施することが必要でございます。本条項は、こうした意見交流を踏まえまして、その内容を施策に反映させていこうとする趣旨でございます。
具体的には、消費生活条例に基づく申し出制度、ネットフォーラムや都民フォーラムの開催、食品安全審議会での推進計画の審議など、さまざまな場で、都民、事業者の意見反映を図ってまいります。
○大河原委員 この中で意見反映を確認、確保していくことの重要性というものが非常に大きいわけなんですが、さまざまな場で、都民、事業者の意見反映を図るということでございますし、答申の中でも、この場の重要性というのはいわれておりました。私は、この点についても、もちろん進めていってほしいわけです。ぜひともよろしくお願いいたします。
それで、一つ、私、肝心なことを聞き忘れたと思います。もう一つ聞きたいことがあったのです。雪印乳業の事件を覚えていらっしゃるかと思うのですけれども、大阪の工場でつくられた低脂肪乳、これで食中毒事件が起きまして、平成十二年の六月でしたけれども、最初の届け出があってから、報告者の数は一万四千七百八十人を超えて、例を見ない大規模食中毒事件となっておりました。
二〇〇〇年の三月に、実はこの工場で停電の事故があって、そのときに黄色ブドウ球菌ができて、毒素に汚染された脱脂粉乳が生まれてしまった。それで、実はそれを廃棄しないで再利用してしまった、出荷しちゃったということなんですね。その結果、六月下旬、七月上旬に大阪工場で製品化されたものが消費者の口に入って、食中毒を起こしているわけです。
担当者は、問題の脱脂粉乳が原料に使われた可能性があることを知っているわけですけれども、行政処分を恐れて、うその作業報告書を保健所に提出して、食品衛生法違反にも問われました。
ここで私、びっくりしたのは、罰金が十二万円だったのですね。食品衛生法違反の両罰規定で、法人としての雪印乳業も略式起訴されて罰金刑を受けておりますけれども、もちろんこれにとどまらず、会社の存亡にかかわる、会社がつぶれるという社会的なペナルティーも受けているわけです。事業者が、自分がつくる製品についてどれだけの責任をどこまで持ち、情報公開をするかということは、非常に難しい問題だと思いますが、第二十三条の自主回収報告制度について伺っていきたいと思います。
雪印乳業に見られたように、賞味期限切れの乳製品を再商品化していた実態を考えれば、食品の安全を確認するためには、トレーサビリティーの確保、食品履歴が追跡できるということは当然のことだと思います。究極は、私は、余り食品にはなじみがないかもしれないのですが、マニフェストの視点を踏まえた食品安全管理が必要であるというふうに思っております。
事業者が自主管理、自主回収した場合には、最終的にこの回収した食品がどのように処理されたかを確認する、こういうことが重要だと思うのですが、公表の仕方によっては風評被害を起こすことも懸念されますので、非常に難しいところです。
自主回収報告制度というものについて、報告内容またそれに伴う義務など、こういった問題についてお伺いしたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 本制度は、事業者みずからが取り扱う食品等につきまして、食品衛生法違反や健康への悪影響のおそれに気づき自主的な回収に着手した場合に、都への報告を義務づけまして、その内容を都民に公表することにより回収を促進し、健康への悪影響の未然防止を図ろうとする、都独自の制度でございます。
また、回収を開始した時点だけではなく、回収が終了した後の回収数量や、回収された食品等の処分方法などにつきましても、報告を義務づけるものでございます。
さらに、これらの内容はインターネット等で都民に公表し、都民が無用な不安を抱くことがないよう、努めていく制度でございます。
○大河原委員 事業者が自主回収したものが最終的にどういうふうに処分されたか、それがこの制度でわかるというふうにお聞きしました。こういう把握というのは非常に重要な制度ですし、これが東京都独自の制度だということで、非常に評価できるものだというふうに思います。
第二十六条の、食品安全審議会に移りたいと思いますが、審議会の構成員については、四項で、審議会は、都民、事業者、学識経験を有する者の中から、知事が任命する二十五人以内の委員で組織するというふうにあります。
第十九条にあるように、都民の食の安全の確保に関する施策に関して、より都民の意見を反映していくというふうに十九条に書いてあるわけですから、あらゆる場で都民の参加を保障していく、こういうことが必要だろうと思います。
そのために、これまでの食品衛生調査会での都民枠をさらに拡大すること、特に、公募の都民を入れていただきたいというふうに思うのですが、この点の見解はいかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 条例で定めますのは委員の属性でございまして、公募だとか団体推薦の別にかかわらずでございます。
具体的な人選方法につきましては、審議会を構成する都民、事業者、学識経験者の意見反映が適切に図られるものとなるよう、検討してまいります。
○大河原委員 この審議会は知事の諮問機関ですので、非常に枠も厳しいのかと思いますけれども、この答申を読んだときに、審議会と呼ばずに、ここは食品調査会というふうに仮称でありまして、その中にはかなり活動できる調査会のイメージがあったのですね。
私は、この審議会の委員の過半数の方々から審議会の開催請求があった場合は、必要に応じてその座長、会長さんが審議会を招集することもできるようにしたらどうかというふうに思うのです。その点はいかがでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 地方自治法第百三十八条の四、第三項によりまして、審議会を初めとする知事の附属機関とは、執行機関の行政執行のため、または行政執行に伴い必要な調停、審査、審議または調査を行うことを職務とする機関でございまして、執行機関とは異なり、執行権を有しないものとされております。
したがいまして、ご質問にあるような規定は、この附属機関の性格を逸脱するものでございまして、妥当ではないと判断してございます。
○大河原委員 地方自治法の枠がなかなか超えられないということがありますけれども、知事の諮問というものがあって、それにこたえるだけではなくて、審議会の中での議論の度合い、熟度によって、その中からたくさんの意見具申を知事にできるような、そういう審議会になるように、期待をしておきます。
次に、食品安全情報評価委員会について伺いたいと思いますが、この情報委員会には、「都民及び学識経験を有する者のうちから、知事が任命する二十名以内の委員で組織する。」というふうに書いてあります。この都民というのは、公募によって選出される者を含んでいるのでしょうか。
○中井食品医薬品安全部長 先ほどの審議会と同様でございますが、条例で定めるべきものは委員の属性でございまして、公募だとか、団体の推薦の枠別だとか、そういうことはかかわりはございません。
具体的な構成等につきましては、情報評価委員会の安全性に関する情報の分析、評価など、所掌事項を適切に実施できるものとしていきたいと考えております。
○大河原委員 先ほどどなたかのご質問に、この安全情報評価委員会は学経と都民だけですね、事業者はどうしたのだというお話がありましたけれども、ここに書いてある都民と学識経験者、二者といいますか、そういうふうに構成されると、都民の方たちがその場で意見を出していく、専門家に対して物申すというのは、なかなかできないことなんじゃないかなというふうに想像いたします。
もちろん、素朴な都民の疑問などを解決するということが必要になってきますけれども、例えば二十人以内の委員ということですが、都民と学経の比率は、限りなく半々にすべきだというふうに意見を述べておきたいと思います。
それから次の、食品の安全性に関する情報分析、評価を踏まえるということで、都民、事業者の参加と連携を進めるためには、限りなくリスクコミュニケーションを図るということが必要ですし、そのリスクコミュニケーションの場を設けることは、私は別建てに必要だというふうに考えております。この点について、ご見解を伺いたいと思います。
○中井食品医薬品安全部長 食品の安全を確保する上で、都、都民、事業者とのリスクコミュニケーションは不可欠でございまして、都が関与するリスクコミュニケーションは、さまざまな場面において、さまざまな手法により行われることが必要でございます。今後とも、現在進めております取り組みを積み重ねまして、よりよいリスクコミュニケーションを実現してまいりたいと思っております。
なお、食品衛生調査会の答申にございますように、条例の改廃や食品安全推進計画の策定、都の食品安全確保対策におけるリスクコミュニケーションのあり方などは、食品安全審議会で検討されるべき事項であると考えております。
○大河原委員 審議会でそのあり方などを議論していくということですけれども、都が関与するリスクコミュニケーションというのは、リスク管理と一体に行われることが重要だと思いますので、食品安全情報評価委員会にリスクコミュニケーション部会を設けることとか、食品保健懇話会をリスクコミュニケーションの場として改組することも、私は方法であると思いますので、ぜひご検討をいただきたいと思います。
最後になりますが、雑則ですけれども、二十八条、環境への配慮ということが一項ございます。この点、都、都民、事業者は、食品の安全確保に関する取り組みを推進するに当たって、当該取り組みが環境に及ぼす影響について配慮しなければならないというふうに書いてありますけれども、実は、資料要求いたしました食品安全条例の各条項と関係局のところには、雑則だからでしょうか、関係局というところに丸がついておりません。
この環境はどういう範囲を想定されているのか、どういうことをいっているのか、ぜひご見解を伺います。
○中井食品医薬品安全部長 消費活動や事業活動に伴う廃棄物や二酸化炭素の排出抑制など、環境への負荷をできる限り低減することを意図しております。
○大河原委員 一問追加させていただきたいと思いますが、私、遺伝子組みかえ食品のことは、やはり東京都が自治体として独自の施策をすべきだというふうに思っております。
そこで、最後に確認の意味でさせていただきたいのですけれども、東京都は、遺伝子組みかえ作物というものは生産資材には適用しないというふうにお考えかと、ヒアリングをしている中で聞いているわけなんですけれども、この遺伝子組みかえ作物についても、消費者が受け入れない状況にあることを考えれば、私は、生産資材の安全を確保するための検査とか、その他法令に基づく必要な措置をする、これの対象だというふうに思えるのですけれども、この点、どうでしょうか。第十条です。
○中井食品医薬品安全部長 先ほども申し上げましたが、本条項は、生産資材の適正な使用を図るため必要な措置を規定するものでございまして、ここでいう生産資材には、遺伝子組みかえ作物は含んでおりません。
○大河原委員 遺伝子組みかえ作物の栽培にあっては国の認可が必要で、認可を受けずに栽培されたものは、条例を適用するまでもなく、法の措置の対象だということだと思いますけれども、一般の人が普通の自宅のベランダとか、さまざまなところでつくってしまった場合のことなんかもありますので、私は、やはりわかりやすい東京都の対応というのを、行く行く、条例とか推進の計画、こういう議論をする中でも示していっていただきたい。最後に、お願いを重ねまして、質問を終わります。
○柿沢委員 私は、精神障害者の社会復帰施設、中でも、都が来年度予算で整備費補助を新たに計上しております精神障害者福祉ホームB型について伺います。
先ほど委員会の質疑の中で田代委員からもお話ありましたとおり、今、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の、いわゆる社会的入院の問題が大変重要な課題になっております。
国においては、精神障害者の社会的入院の解消を図るため、新障害者プランにおいて社会復帰施設の整備目標等を示して、今後十年間で約七万二千人の退院、社会復帰を目指すということになっております。
都でも、精神障害者の地域生活支援ということで予算を増額して、一億二千万円ほど予算の増額をして来年度の予算を組んでいるわけですけれども、精神障害者の退院後の受け皿として、また地域生活を支援する施設としては、生活訓練施設、また福祉ホームといった入所施設や通所授産施設、地域生活支援センターといった、さまざまな社会復帰施設がございます。
都は、これまで、東京都の保健医療計画に基づき社会復帰施設の整備を進め、この中で福祉ホームは、回復途上にある精神障害者を対象に、一定期間生活の場を提供してきました。都は、これまでの福祉ホームに加えて、平成十六年度から新たに福祉ホームB型というのを設置する予定ということであります。
そこで、福祉ホームB型というのは何なのかということを、まず伺いたいと思います。福祉ホームB型と、今までの福祉ホームとどういう違いがあるのかということを伺いたいと思います。
○梶山医療サービス部長 国の要綱によれば、精神障害者福祉ホームB型は、症状が相当程度改善し、入院治療を必要としない精神障害者の方々の社会復帰の促進と自立を支援することを目的として、生活の場の提供や必要な助言、あるいは指導などを行う施設であり、このため、管理人のみの従来型の福祉ホームと比べ、福祉ホームB型では、精神保健福祉士の資格を持つ指導員なども加えた、手厚い職員配置となっております。
この福祉ホームB型の利用対象者は、一定程度の介助があれば地域で日常生活を営むことができる高齢の精神障害者などとされており、入居できる期間は、福祉ホームが二年以内であるのに対し、新たな福祉ホームB型では五年以内を原則としております。
○柿沢委員 国においては、平成十一年度からこの福祉ホームB型の制度をスタートさせています。全国でいいますと、この福祉ホームB型は、既に平成十五年四月現在で六十八カ所が整備されているというふうに聞いております。既にこれまでに全国で七十カ所近くがもう整備されているわけですけれども、東京都では、これまで設置をしてこなかったわけです。
東京都において、平成十六年度から新たに福祉ホームB型をこれから設置していこうということになったのは、一体どういう理由からなんでしょうか、伺います。
○梶山医療サービス部長 精神障害者の社会復帰に関しましては、昨年六月に知事の諮問機関である東京都地方精神保健福祉審議会から、一定の条件が整えば退院が可能な長期の入院患者に対応した施設が必要であるとの緊急提言を受けたところでございます。
このため、都は、従来の福祉ホームでは対応が困難な、日常生活上の動作能力が著しく低下した高齢の精神障害者などにも対応できる施設として、また社会復帰のための多様な受け皿を整備していく観点からも、平成十六年度から、新たに精神障害者福祉ホームB型を設置していくことといたしたものでございます。
○柿沢委員 今、福祉ホームB型を設置するに当たっての、こういうことでやるのだという話がありましたけれども、しかし、この福祉ホームB型というのが社会復帰施設であるにもかかわらず、社会復帰施設が目指している地域生活への移行というのには全然つながらないのじゃないかと危惧する意見がございます。
そもそも福祉ホームB型というのは、設置されているのはほとんどが精神病院の敷地内なんですね。入所期間も原則五年ということにはなっておりますけれども、医師の診断によって期間の延長ができることになっていまして、医師の判断次第では、事実上ほぼエンドレスに入居し続けることも可能な仕組みになっているわけです。やり方によっては、退院はしたけれども、精神病院の中にずっといるということにもなり得るわけですよね。
また、先ほどの答弁では、従来の福祉ホームと比べれば濃厚な人員配置をして、手厚くケアをするのだという話がありましたけれども、例えば生活訓練施設でいえば、二十人という同じ定員で社会復帰指導員が四人ということで配置をされているのに比べると、福祉ホームB型は二人だけということで少なくなっていますし、いろいろ聞きますと、入所者に対する社会復帰のための支援も不十分なんじゃないかという声もあります。
例えば福祉ホームB型の入所者が日中どんなことをしているかというと、何のことはない、同じ敷地の精神病院でデイケアを受けているということが、よくあるのだそうですね。精神病院と同じ敷地で入所生活を送って、日中は精神病院でデイケアを受けている、これで一体精神病院を退院したというふうにいえるのかという疑問が出てきても当然なんじゃないかというふうに思うのです。
精神病院と同じ敷地内にあっても、福祉ホームB型の入所者というのは、その分は精神病床のベッドからカウントされなくなりますので、それだけ精神病床のベッド数というのは、見かけ上減ったことにはなるわけです。
このため、福祉ホームB型というのは、社会復帰施設というふうに銘打ってはいますけれども、結局は精神病床のベッド数にカウントされない社会的な入院の施設を新たにつくって、国が掲げるベッド数削減のための単なる数合わせをしている、そのための施設にすぎないのじゃないかという批判をする人もいるわけなんですね。
実際、厚生労働省の資料をいただいたのですけれども、福祉ホームB型を退所した人が、まだ始まったばかりですけれども、平成十三年度六十五人いたそうですけれども、そのうち四十人が精神科に再入院している。ちなみに、生活訓練施設でいうと、二千二百人が退所して、精神科に再入院している人は六百二十人だけです。A型、いわゆる従来の福祉ホームも、三百八十六人退所している中の、精神科に再入院しているのは百四十五人、だから、六十五人中四十人が再入院をしているというのは、極めて高い数字なんだと思うのですよね。
だから、地域生活への復帰というか、移行のためのものだといいながら、地域生活どころか、六〇%に当たる人たちが精神病院に逆戻りしているわけです。この再入院というのも、入所のときと同様、基本的には医師の判断で可能ですから、精神障害者は病院の都合で、病院と福祉ホームB型の間を行ったり来たりさせられるようなことにも、場合によってはなりかねないと思うのです。
精神障害者ご自身の自己決定能力というか、自分で判断して決定をするという力が弱いということも考えると、病院あるいは施設のサイドの恣意的な判断で、入所するのも、期間を延長するのも、あるいは精神科の病院に再入院するのも、これは病院サイドの判断で自由自在ということにもなってしまう危険があるのではないかと思います。
そうした入所も、期間延長も再入院も、何のことはない、これはすべて同じ精神病院の敷地内での例にすぎないわけですから、地域生活への移行のために福祉ホームB型を整備するのだといっても、結果的に、精神障害者を病院の敷地の中に一生閉じ込めて、囲い込んでしまうということにもなりかねないわけで、これはもう、まさに時代に逆行する動きになってしまう危険をはらんでいるのだといわざるを得ないと思うのです。当然、都が来年度から福祉ホームB型を導入するに当たっては、このようなことにならないように、いろいろなことを対策として考えていかなければいけないと思うのです。
病院と利用者の間の直接契約といいますか、相対での決定ということになりますと、どうしても相互の関係から、やはり病院の意向、あるいは病院と施設一体とみなせば、施設サイドの意向というのが結果的に決定を左右するということになるわけで、ある意味では、そうしたことにならないようにするためには、病院と利用者の間の第三者といいますか、そうした立場に立った意見が、その中でうまいぐあいに加味されるということが必要なんだと思います。
そういう意味で、十六年度から福祉ホームB型を導入するに当たって、東京都は病院サイドと利用者だけでない、第三者が入った協議の場を設けるとか、制度のスタートに当たっての十分な配慮というのが必要になってくると思いますけれども、ご意見を伺います。
○梶山医療サービス部長 平成十六年度から新たに精神障害者福祉ホームB型を導入するに当たっては、一部の関係者の方からは、委員ご指摘のような点を心配する声も伺っているところでございます。
都は、こうした施設が地域の中で有効な社会資源の一つとして活用され、精神障害者の方々の社会復帰につながることが重要であると認識しておりますので、ご指摘の点を踏まえ、地域の保健医療分野や福祉分野の関係者など、第三者の意見を反映できる仕組みづくりを検討することなどを通して、適正な施設運営が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○柿沢委員 この点について、障害者福祉にかかわる方々の団体は、福祉ホームB型の入所の決定に当たって、病院あるいは施設サイドと利用者だけでなく、市民を含んだ、いわゆる入所審査会というようなものを設けて、そうした外部の目が届いた形で入所の決定の判断を下すという仕組みをつくるべきだということを求めています。ぜひとも、都としてもこういう仕組みづくりを考えていただきたいというふうに思います。
社会的な入院を解消する、そして地域生活に移行してもらう、こうした理念については、恐らくだれも異論はないところなんだと思います。また、地域生活への移行といっても、精神障害者に関しては、その受け皿を現実につくっていくことに非常に困難が伴うという事情も、ある程度、皆さん共通した理解としてあるのだと思います。
そういう意味では、病院の敷地内といっても、運用のやり方によっては、まさに地域生活に移行をするための施設として福祉ホームB型を活用する方法はあるのだというふうに思うのです。
そういう意味では、健康局が精神障害者の心身両面の状況を考慮しながら、入院から地域生活への円滑な移行を目指して、そのための一つの社会資源として福祉ホームB型を整備しようという姿勢については、理解しないわけではありません。しかし、関係者の中には、さっきの数値を見てもわかるように、とにかく六十五人中四十人が精神病院に逆戻りしているわけですからね、これが本当に精神障害者の社会復帰につながる施設なのかという懸念をしている人も、実際に多いのは事実だと思うのです。
こういう声を都としてもしっかりと受けとめて、真に精神障害者の社会復帰に資するものとなるように、よりよい運営をしていくことを都に要望をいたしまして、私の質問、終わらせていただきます。
○大山委員 私は、保健所のこと、それから東部療育センターについて質疑をしていきたいというふうに思っています。
まず最初に、保健所のことなんですけれども、私、第四回定例会のときにも、保健所の強引な統廃合によって都民サービスが低下になるということを指摘しました。この危惧は、残念ながら現実のものとなりつつあるといわざるを得ません。都民サービスの低下を最小限にとどめるために、質疑をいたします。
第一に、保健所の統廃合問題ですけれども、第四回定例会のときにも、SARSだとか新興感染症、結核などの再興感染症の問題が大きくなった中での統廃合だという指摘をしました。その後、さらに鳥インフルエンザが他農場に飛び火し、カラスに広がりました。感染症対策の根本が危機管理であることを考えれば、今どうして保健所を統廃合するのかと、都民の皆さんが疑問を持つのは当然です。
そこで伺いますけれども、保健所を統廃合するに当たって、分室的機能を設置するということが第四回定例会のときの答弁ですけれども、どこにどういう理由で設置するのでしょう。
○齋藤地域保健部長 分室的機能についてのお尋ねでございますけれども、地域特性等を踏まえた保健所の分室的機能の存置につきましては、市長会での再編の決着後、関係する市町村と個別に協議を実施してきたところでございます。
その結果、西多摩保健医療圏の面積要件、交通要件等を勘案し、あきる野市役所五日市出張所内に西多摩保健所秋川地域センターを、また、北多摩南部保健医療圏の人口要件、交通要件等を勘案いたしまして、現三鷹武蔵野保健所内に多摩府中保健所武蔵野三鷹地域センターを、それぞれ設置することといたしました。
○大山委員 結局、二十三区の面積とほぼ同じ広さを持つ西多摩保健医療圏に一カ所の保健所では、余りにも守備範囲が広過ぎるし、七十四万人という莫大な人口を持つ北多摩南部保健医療圏に一カ所というのも現実的ではないし、交通機関を考えても、JRだとか京王線、小田急線などが並行しているから不便ということ、最初からわかっていたことではないでしょうか。
西多摩保健所秋川地域センター、これの業務内容と職員体制はどうなっていますか。
○齋藤地域保健部長 秋川のセンターについての業務内容と職員体制のお尋ねだと思いますけれども、実施する事業といたしましては、食品関係事業者や環境関係事業者の各種申請の受け付け、指導、相談、苦情への対応、あるいは都保健師、専門医等による事業の実施、専門相談等でございます。
また、保健所各事業分野におきます講習会等の開催、あるいは保健医療関係各種会議の一部の開催でございます。
職員体制でございますけれども、環境監視員、食品監視員あるいは事務等を常駐させ、それ以外の職種につきましては、西多摩保健所から出張による対応を考えているところでございます。
○大山委員 環境衛生、食品衛生、保健サービスということでは、かなり大きな範囲のことを行うわけですけれども、二十三区の大きさとほぼ同じような広大な地域で、交通機関も余り便利とはいえない地域だからこそ、環境監視員も食品監視員も常駐しないと仕事にならないということなんじゃないでしょうか。しかし保健師は常駐していない。現在の多摩川保健所に十四人、それから秋川保健所に七人、保健師さんたち、いらっしゃいますけれども、遠くに出張しなければならない保健師さん、増員するのでしょうか。
○齋藤地域保健部長 今回の定数査定では、今年度と同様の保健師の数がそれぞれ確保されておりますので、大変集約化されて、それぞれの計画的な職務ですとか、あるいは相談業務ですとか、より専門的、効率的にできると思います。
増員することは、考えてございません。
○大山委員 移動時間が長くなったけれども増員しないということは、結局、都民のサービスにかかわる時間というのは少なくなるということじゃないのですか。明らかなサービス低下だといわざるを得ません。
ここに都民向けのビラ、多摩地域の新聞に折り込んだということなんですけれども、統廃合後の保健所で、現在の保健所以外の庁舎を使うのは多摩府中保健所だけですけれども、合同庁舎のどの部分を保健所として使って、保健所の施設として必要な改修ですね、エックス線機器などの設置を含めて行ったのでしょうか。
○丸山参事 庁舎内の保健所施設の件でございますけれども、四階建ての中の三階が事務所、そして四階を診察、健診、地下一階に検査室を設けております。ということで、診察室、それから相談コーナー、そしてまた検査室等の整備など、保健所としての必要な改修はいたしております。
また、レントゲン検査に関しましては、設置しておりません。
○大山委員 四階診察室、三階事務室、そして地下一階は検査室ということですけれども、そこの改修は行ったけれども、エックス線の機器は設置していないということなんですね。
保健所では、零細の事業所だとか障害者の作業所などの健診、これを行っていますけれども、多摩府中保健所管内の健診はどうするのでしょう。
○丸山参事 先生ご指摘の健診に関しましては、保健所健診という形で、結核検診の定期内検診、それから定期外検診、そしてまた一般健康相談という形の中で受託健診、そしてまた小規模健診というところが、先生の懸念される部分ではないかと思います。
先ほど、所内にレントゲン設置をしませんと申し上げましたけれども、CR車、いわゆるコンピューテッドラジオグラフィーという装置を搭載しましたいわゆるCR車ですね、それを使いまして検診を行っていくというようなことで考えております。
○大山委員 多摩府中保健所にはエックス線の機器を設置しないで、わざわざCR車で検診を行うということですね。今まで使っていたエックス線機器があるのですから、設置すればいいことなんじゃないかというふうに思うのですけれども、何か設置できないような理由というのがあるのでしょうか。
○丸山参事 今回の多摩府中に、所内装置という形で設置しない理由としましては、今後、国の方で直近、想定される結核予防法の改正の動向、そしてまた最近の財政状況というような形で、所内装置に関しましてはCR車ということで決定いたしました。
○大山委員 一つは、結核予防法の改正で検診の動向を国がどうも変更するようだから、動向を見てからということと、もう一つは、予算の関係だということですよね。
予算の関係でいえば、都民の反対を押し切って保健所を統廃合するのに、予算がないから保健所にエックス線機器もつけないでというのは、これは都民が聞いたら納得しがたいことだというふうに思います。
それから、結核予防法の改正が予定されているから、動向を見てからということですけれども、現在はエックス線機器がないけれども、今回、保健所の統廃合で新たにエックス線の機器を設置する保健所があるということを聞いていますけれども、そうではないのですか。
○丸山参事 先生のご指摘の、今回新たに所内装置をということに関しましては、北多摩北部の多摩小平保健所に関しましては、所内装置を設置いたします。
先ほど予算の云々と申し上げましたけれども、これは国の方の結核予防法の改正の動向と、そしてまた今回CR車の五年間使いましての評価という形で、CRは何とか継続していきたいというような考えでの考え方でございます。金がないからというだけではございません。
○大山委員 今まではなかった多摩小平保健所には、今回エックス線を新たに設置するわけですよね。それなのに、もともとあった府中の保健所、それが合同庁舎のすぐ駅の反対側に移動したところにはエックス線の機器はつけない、同じ動向が、多摩小平保健所には結核予防法の動向が影響しないで、じゃあこっちの多摩府中保健所には影響するのかといったら、これだって整合性がないというふうにいわざるを得ません。CR車の使い道がなくなっちゃうので困っちゃうのかなというふうに、予測せざるを得ないわけですね。
この合同庁舎は、耐震診断の結果がBランク、つまり耐震工事は必要というふうになっているのじゃないでしょうか。
○丸山参事 先生が今ご指摘になりましたBランクと申しますのは、平成五年度、都の都市計画局で行いました耐震診断結果ということで、公共建築物の耐震安全性の統一基準というところでおっしゃったのではないかと思います。
私どもは、Bランクというようなことに関しまして、今後対応していくべきであるという認識は、持ってございます。
○大山委員 耐震補強は必要だけれども、これから耐震補強をするということなんですよね。三カ所の保健所を一カ所にするために、これまでの保健所では三カ所とも入り切らないので耐震補強もしていない、それから、エックス線機器もないところを保健所として使うことになるわけです。
耐震補強のときに、エックス線機器を入れることを考えるべきじゃないのでしょうか。
○丸山参事 耐震補強工事の必要性とエックス線機械の設置の必要性ということに関しては、全く別の問題と考えております。
○大山委員 別の問題--もちろん耐震診断をして、ちゃんとしっかりしたエックス線の機械を入れられるように、四階ですものね、しなくちゃいけないわけですけれども、しかし、さっきもあったように、整合性がないわけですよ。動向を見たっていったって、こっちは動向を見ないでつけるというし、こっちは動向を見てつけないということは、本当にちぐはぐだというふうにいわざるを得ません。
保健所の健診を受けるのは、主にはだれなのかということだと思うのですよ。例えば、数字をいただきましたけれども、保健所の健診の実績のうち、十四年度で、この三つの保健所の中で約二割が障害者の作業所などが利用する受託健診になっています。東村山の保健所で、CR車で検診を行うことになったとき、着がえる場所のことだとか、体が不自由だったり、車いすだったりするわけですよね、だから、そのことだとか、雨の日のことをどうするのだとか、当事者の皆さんからぜひ室内でエックス線も撮れるようにしてほしいという要望が、このときも出ていたわけですよね。にもかかわらず、またCR車で、外でやるのだということなんですよ。
東村山のときは、その後、当事者の皆さんと相談をして、屋根をつけたり、着がえる場所の確保をしたりして、改善をした経過があります。しかし、多摩府中保健所の庁舎になるのは、四階が診察室ですから、一階と四階を障害者の人も含めて移動しなくちゃいけないという、非常に受ける人にとっては使い勝手が悪いというか、サービス低下になるというふうに思うのですよ。大変なことになるというふうに思っています。
せめて、障害者などが使いやすいように、利用者の意見をきちんと聞いて改善することは、必要じゃないのでしょうか。
○丸山参事 まさしく受託健診という形で利用していただいている方々に対する説明、周知ということは必要だという認識は、非常に持っています。
関係者の施設管理者に対しましては通知文を出しまして、移転するということ、それからCR車を使うということ、そしてそれに対して、所内で四月の中旬くらいから内覧説明会をやらせていただくということ、それからもう一つは、三鷹武蔵野、それから狛江調布に関しましては、説明会を既にやってございます。
先生、当事者とおっしゃいましたけれども、管理者に関しましては、そういう形で粛々とやってございます。
○大山委員 四月中旬に内覧説明会をするということでしたら、ぜひ耐震補強工事を--どうせ工事をするということになるのでしょうから、それも待たずに、ちゃんと内覧したときに、こういうふうに改善してほしいという要望をぜひ受けて、それで改善していってほしいというふうに要望しておきます。
○丸山参事 利用者の声を聞きながらということに関しましても、障害者の健診受診者に対しまして、負担が極力少なくなるような動線の工夫ですとか、それからまた誘導のための保健職員を配置するとか、さまざまな方策を、今、検討してございます。
また、今後、利用者の声をお聞きする中で、さらに改善を図っていきたいと考えております。よろしくお願いします。
○大山委員 ぜひ改善、よろしくお願いいたします。
次に、保健所統廃合と時期を同じくして行おうとしている市町村への事務移譲についてなんですけれども、このことも、昨年の十二月十一日の委員会で、健康局は四月一日からの移譲だというふうに断言していたわけですね。市町村との話し合いも、そのときはこれからというところで、期限を決めないできちんと丁寧にやってほしいということを指摘しておいたところです。
この前の委員会の中でも、移譲については、まだ市側からは継続協議としますという回答があったということで、現在も継続協議中なんだということ、それから、したがって四月の移譲は見送られることになったということですけれども、幾ら都が四月一日からやるのだというふうに、勝手にやろうとしても、できないことは当然だというふうに思います。
ところで、市町村からどのような意見が出されているのでしょう。
○酒井企画担当部長 市町村から出されている意見についてでございますが、移譲を受けるに当たりましては、保健師を採用するなどの人的手当てが必要な場合もあるので、提案の移譲日での移譲は難しいとか、移譲の前後にわたって研修や説明会などの技術的支援を十分に行うことなどの意見が出されております。
○大山委員 本当にごく当然の意見ということだと思うのですけれども、さっきのビラを見ますと、第四回定例会の中で、移譲する協議をしているという事業が九事業ですか、ありましたけれども、その中でも、重度心身障害児の訪問申請だとか、精神の社会適応訓練の申し込みというのは、引き続き保健所で行うということになっていますよね。
つまり、保健師の相談、対応がこれらには不可欠だということだというふうに思います。ですから、さっきの市町村の意見というのは、保健師の採用だとか研修を要望するというのは、ごく当然の要望だというふうに思っています。
市町村の意見をきちんと聞いて、丁寧にやっていただきたいと思うわけですけれども、つまり、移譲する予定だった事務も、統廃合されて少なくなった保健所で行うということですね。そして、この都民向けのビラにありますように、出張して窓口を開くわけですね。保健所を統廃合しなければ、例えば難病だとか小児慢性疾患などの医療費の申請に来たときに、保健所ですから保健師さんがいるので、療養相談もできます。しかし、出張窓口には事務職しか配置されていないようですけれども、療養相談は、改めて保健所に行かなければならないということなんでしょうか。
○齋藤地域保健部長 今回の出張窓口は、市町村への事務移譲までの間、あくまで医療費助成の申請を受け付ける窓口として設置するものでございます。
件数として、更新分が多くなることが見込まれました出張窓口での申請すべてに保健師の相談が生じるものではないと考えておりますけれども、新規の申請などで保健師への相談が必要なものにつきましては、申請の内容に応じまして、保健所から保健師が家庭や身近な施設等に出張し、または電話等によりまして相談を実施していきます。
また、申請当日でも、出張窓口におきまして、必要に応じ保健所の保健師と電話相談ができるようにするなど、工夫してまいります。
○大山委員 現在だったら、やはり未熟児だとか、それから小児慢性疾患だとか、難病医療だとか含めて、申請だけじゃなくて、ちょっと療養相談もしたいというときには、すぐに対応してくれるわけですけれども、結局、出張窓口は利便性だということで設置するわけですよね。しかし、相談がある人は、次の機会に今度は保健師さんが来ますよとか、ここの出張所にいますから、今度また来てくださいというふうにするわけですから、これだって、利便性だとかいっても、ちぐはぐだというふうにいわざるを得ないのですね。
保健所の統廃合で、広大な区域になるから、分室的機能を部分的に持たせる、それから統廃合して保健所の庁舎が使えないので、エックス線の機器も置かない、また、事務移譲を無理やりやろうとするから、結局、医療申請に出張窓口に来ても、療養相談は別の日にということ、まさに、さまざまな面で都民へのサービス低下といわざるを得ないというふうに思います。
少なくとも、事務移譲も協議の途中で保健所だけを廃止してしまうなどということは許されないということを、厳しく指摘しておきます。
しかも、先ほどの他の委員の質疑にもありましたけれども、条例設置の保健所運営協議会をなくしてしまうということに関してですけれども、住民の代表である議員が、基本的には入らないことになるわけですね、首長さんも。なるわけですよ。結局、地域住民の意見をくみ上げることから遠のいてしまうということにならざるを得ないということを指摘して、次の質問に移ります。
東部療育センターなんですけれども、今回の議案は重症心身障害児施設であります東部療育センターの指定管理者の指定についてですね。私たちは、重症心身障害児施設は、高い医療技術や医療ケア、それから療育技術が求められている施設であるだけに、それにこたえられる専門家を配置して、重症心身障害児のよりよい療育や、父母のニーズに積極的にこたえていくことが必要だというふうに考えています。
そのためにも、本来、都立直営でやるべきことが重要だということをこの間も指摘してきました。幾つか質問しながら、意見を述べます。
この東部療育センターは、父母の方々だとか、養護学校のPTAの皆さんなど関係者が健康局と話し合いを積み重ねてきたものが、やっと具体化したものだといえます。ですから、この積み重ねの内容を最大限に実現できるように保障する、これは必要なことだというふうに考えています。
まず最初に、第四回定例会では渡辺委員が指定管理者制度について質問して、幾つかただしていました。そのとき、指定管理者として適切か否かを判断する基準の詳細については、検討中ということでした。具体的にはどのような基準で選定したのでしょうか。
○海老原事業調整担当部長 具体的な選定基準でございますけれども、これは東京都立重症重度心身障害児者施設条例施行規則第十条で定めているところでございまして、指定管理者の指定の基準という規定がございます。これで具体的に定めているところでございます。
具体的な選定に当たりましては、外部委員を含めました七名の委員により構成する、東部療育センター指定管理者選定委員会を設けまして、法人の事業運営能力の適格性として、法人の経営状況、あるいはこれまでの重症心身障害児施設の運営実績等について、審査を行ったところでございます。
また、東部療育センター運営計画の適格性につきましては、各種事業の実施計画案や医師等の医療スタッフの採用の考え方等が適格かどうか、専門の見地から審査をしたところでございます。
○大山委員 専門的な見地から判断したのだということなんですけれども、四定のときにも、質疑の中で出てきたことなんですが、公募して選定をするということに関しては、公平性、中立性、それから透明ということが原則だというふうに考えています。
そこのときに、選定委員会を公開することを検討してほしいというふうに要望しているのですけれども、そのことについて検討してくれたのかどうかということと、同時に、局とも話し合いを重ねてきたつくる会の意見というのは、選定に当たってどのように反映されたのかということを教えてください。
○海老原事業調整担当部長 選定委員会の公開ということでございますけれども、これもこの前の委員会の場でお答えしているかと思いますが、具体的に法人のプライバシーに関するような問題が入ってございますので、公開することは適当ではないというふうに考えているところでございます。
また、東部療育センターをつくる会からの要望、どんなふうに反映をしたかという点でございますけれども、東部療育センターの建設に当たりましては、つくる会から何回かというか、たびたびご要望がございまして、私どもは意見交換をしたりしているところでございます。そうした要望も踏まえまして、入所機能などに関する東京都の基本的な考え方を取りまとめたところでございます。
今後とも、関係者の方々からのご意見、ご要望をお聞きする機会は必要に応じて設けまして、可能な限り取り入れてまいりたいと考えておるところでございます。
○大山委員 今後とも要望を聞いて、可能な限り取り入れるというその姿勢は、引き続き持っていっていただきたいというふうに思っています。
公開ということについては、四定のときの答弁がそれなので、やはり公開することを検討してほしいということを要望していたわけですから、この後もまた出てくるかもしれませんので、選定委員会の公開ということは、ぜひ検討事項に入れていただきたいと思いますが、どうですか。
○海老原事業調整担当部長 指定管理者の指定でございますけれども、これは法人の経営状況、あるいは人事案件など、具体的にプライバシーに差しさわりの出るような部分もございますので、公にするのは、改めて申し上げますけれども、適切ではないというふうに考えております。
○大山委員 今の到達段階がそういうことだというふうに、理解しておきます。
とりわけ、重症心身障害児施設ですから、安定性とか継続性というのが重要だというふうに思っています。そのためにも直営というのは重要だと思っているわけですが、指定管理者制度では、何年間というふうになっているのでしょうか。
○海老原事業調整担当部長 指定管理者の指定の期間でございますけれども、今、委員からご発言ございましたように、私どもといたしましては、利用者へのサービス提供を安定的に行うこと、あるいはまた、施設で働く人材の育成、確保などを総合的に考慮いたしまして、開設の日から平成二十七年三月三十一日までとしたところでございます。
○大山委員 開設の日から十年間ということだと思うのです。具体的に聞いていきますけれども、東部療育センターは、超重症児についてはどういう位置づけというか、どういう受け入れになりますか。
○海老原事業調整担当部長 東部療育センターにおける超重症児の位置づけでございます。人工呼吸器など、医療的ケアを常時必要とする、いわゆる超重症児への対応は、都立施設であります東部療育センターにおいて重要な課題であると考えているところでございます。
このため、医療ガスの配管を病室に行うなど、超重症児へ対応できる設備、装備の整備を進めまして、超重症児の受け入れ体制を整えることとしております。
○大山委員 施設的には整っているということがいえるわけですね。東部療育センターは重症児施設なので、幼児もいるし、それから学齢期の子どもたちもいるということですが、指定管理者に選定されようとしているところは、どのようなところの運営を行っていますか。
○海老原事業調整担当部長 指定管理者の予定となっております、全国重症心身障害児(者)を守る会の施設の運営状況でございます。
これは、現在、都立施設を受託しているところでございまして、都立の東大和療育センターを平成四年八月から、同じくその分園でございますよつぎ療育園を平成八年八月から運営の受託をしておりまして、いずれも良好な運営をしているところでございます。
また、世田谷区から、世田谷区立つくしんぼホームというのを昭和六十三年から受託していると聞いております。さらに、法人みずからが設置あるいは設置運営している施設といたしまして、平成十三年の六月から足利の森足利病院というのを、国立療養所のモデル移譲を受けまして、この中に重症心身障害児病棟を設けて運営をしているというふうに聞いております。
さらに、通所の施設といたしまして、法人がみずから設置運営している施設として、あけぼの学園を設けて、いずれも良好な運営をしているというふうに聞いております。
○大山委員 いろいろな施設も運営しているし、それから通所だけでなくて入所の重症児も病院にはいるのだということですけれども、学齢期の子どもたちもいるということでは、分教室になるのでしょうか、義務教育の保障については、どういうことになりますか。
○海老原事業調整担当部長 学校の話でございますけれども、具体的に学校は教育庁の所管ということになりますので、これから教育庁とお話し合いをするということになるかと思います。
○大山委員 ぜひふさわしい義務教育ということでは、相談をしていただきたいということと、あと超重症児ということで、ドクターの確保というのが大変なというか、絶対的な人員、人数が少ないということもあるので、なかなか難しいというふうに聞いているのですが、その点についてはどうなんでしょう。
○海老原事業調整担当部長 重症児施設、ご案内のとおり医療の施設でございますので、とりわけ医療の中でも障害児医療をやっていただく医師の確保は重要な課題であるというふうに考えているところでございます。
指定管理者となる予定の法人でございますけれども、団体として既に四十年近い活動実績を有しまして、また全国規模で活動する団体でございます。満を持して医師の確保に当たると、強い決意でいるところでございます。
こうした点や、これまでの法人の重症心身障害児施設の運営実績等から勘案いたしまして、施設運営に必要な医師など医療スタッフを確保することは可能であるというふうに考えております。
○大山委員 ドクターも頑張って確保するのだということですけれども、今後、東京都は、この指定管理者制度で行われる東部療育センターにどのようにかかわっていくのでしょう。
○海老原事業調整担当部長 東部療育センターに関します、今後の都のかかわり方でございます。
東部療育センターは、東京都の条例により設置する施設でございまして、その運営の最終的な責任は都にあるというふうに考えております。
東京都は、施設設置者といたしまして、施設の運営に関し、指定管理者に対する指導監督を行うとともに、密接な連携を図り、適正な施設運営を図っていくこととしております。
○大山委員 最終的な責任は東京都なんだということが明確に発言されたわけですけれども、これまで積み重ねてきたことがきちんと実現できるのかどうかというのが、やはり今大きく問われているところだと思うのです。ですから、予算的な裏づけも不可欠だというふうに思います。
建物についても、先ほどもありましたけれども、つくる会の皆さんの意見をよく聞いて、改善されてきたのだというふうに聞いています、今後も、ぜひ、つくる会の皆さんたち、それから父母の皆さんたちと話し合いを継続させること、それから東京都は予算の面でも、また運営面などでもしっかりと支援してほしいということを要望して、質問を終わります。
○初鹿委員 随分と各委員のご協力で、早く時間が進んでおります。私、最後になりますので、私も手短に要点を押さえて質問させていただきたいと思います。
きょうは、まず公社病院のIT化、電子カルテの導入について、幾つかお伺いいたしますが、都庁を初め、あらゆるところでIT化というものが進んでおります。病院や医療の世界では、電子カルテというのがIT化として挙げられると思うのですが、電子カルテについては、都立病院においても、都立病院改革実行プログラムに基づいて、既に昨年の四月から府中病院、そして平成十六年には駒込病院、その後、広尾、大塚、墨東病院でも導入される予定になっております。
電子カルテは、病院にとっては、患者の病歴や診療経過に関する情報を蓄積して、部門間で共有化することによって、チーム医療を一層促進し、医療の質の向上を図ることが可能となるといわれています。また、患者にとっても、診療情報の共有化により、十分なインフォームド・コンセントを受けることができるというメリットがあるとされております。
このように、病院にも患者にも大変メリットがあり、また都立病院でも導入が進められてきているわけですから、当然、都が監理する監理団体である東京都保健医療公社が運営する地域病院でも積極的に導入を進めていくべきだなと考えるのです。
そこでまず、現状、公社の地域病院においてはどういうシステムが入れられているのかをお伺いいたします。
○奥田医療政策部長 公社の病院では、現在、待ち時間の短縮による患者サービスの向上、あるいは、業務の効率化を図るために、投薬や検査、手術、それから給食の指示などに加えまして、診察予約や病床管理、あるいは医事会計などに、いわゆるオーダリングシステムを導入しているところでございます。
○初鹿委員 現在、オーダリングシステムが多くの病院で導入されていて、今までシステムがないところでは当然手作業でやっているような投薬の処方や会計処理などが、このシステムでかなり時間が短縮されるということで、これはこれで大変いいことだなと思うのです。特に待ち時間が短縮されるというのは、患者にとっては一番ありがたいことだなと思うのです。
しかし、そうはいっても、先ほども申し上げましたが、診療情報の適正な管理、または医療スタッフ、看護師さんやお医者さんによる情報の共有化など、あとインフォームド・コンセントの充実、そういったことについては、現在のシステムでは十分に対応ができないということになります。
そういう意味では、やはり今後、電子カルテの導入も進めていかなければならないと思うのですが、公社は、昨年の四定でしょうか、大久保病院が移管になってくるということが決まりました。そして、今後も、多摩老人医療センターが次ですか、その次が荏原病院ですか、順次都立病院が移ってきます。二つのところが、こうやってどんどんと都立病院が移っていくわけですから、新しく移ってくる病院、都立病院も含めて、今後どのように電子カルテの導入というのを考えているのか、お聞かせください。
○奥田医療政策部長 電子カルテシステムでございますが、現在のオーダリングシステムの機能に加えまして、画像データを含めて膨大な診療情報を蓄積して、これを医療の各部門間で同時に活用したり、あるいは画像を医師と患者さんとが一緒に見ながら説明したりするなど、医療の質の向上とともに、患者サービスの向上にも大きく寄与するものと考えております。
こうしたことから、平成十六年度は多摩南部地域病院に電子カルテの導入を予定しておりまして、その後、公社に移管される予定の都立病院も含めまして、順次、導入を図る方向で検討をしていきたいと考えています。
○初鹿委員 まず、多摩南部地域病院を第一号として、これからも順次導入していくということは、よくわかりました。
ところで、電子カルテの導入のメリットは先ほど挙げましたけれども、もう一つ大きな機能というか、重要な点があると思うのです。それは、この病院だけじゃなくて、ほかの医療機関と診療情報の交換が双方向でやりとりできる、そういう非常に大きなメリットがあると思うのです。この情報をお互いに活用することによって、高い医療の提供が可能になっていくということです。
公社で導入をしていく、公社の病院というのは地域病院ですから、ほかの多くの地域の医療機関とネットワークをつくって、情報の共有化を図っていくことが非常に重要ではないかなと考えるわけですが、こうした観点から、これから公社で電子カルテを導入していくことについて、地域の医療機関と連携をして活用していく、特に、情報がちゃんと互換性があるような形で、情報の共有化ができるようなシステムというものをつくるべきではないかなと思うのですが、その点はいかがですか。
○奥田医療政策部長 東京都は、本年度から情報開示・地域医療連携推進モデル事業という事業に取り組んでおります。
この事業は、診療所への電子カルテ導入を促進いたしまして、電子化された診療情報を患者さんに開示するとともに、地域の中核病院に患者紹介する場合など、情報交換にも活用するようにするためのモデル事業ですが、今ご指摘のとおり、公社病院は地域医療連携の推進を理念としている、地域のための病院でございまして、この事業に積極的に加わっていく予定となっております。
○初鹿委員 ぜひ、公社の地域病院という特性ですか、それを大いに活用していくためにも、ほかの診療所など、ほかの医療機関と積極的に診療情報共有化を進めていっていただきたいと、お願いをいたします。
そして最後になりますが、冒頭も申し上げましたけれども、都立病院にも順次、電子カルテが導入をされていきます。当然ながら、地域病院ですから、近隣の診療所との連携というのが一番重要なんですが、それと同時に、やはり都立病院やまた大学病院など、高度な三次医療機関とも連携ができるように、情報の共有化を図ることが必要だと思いますので、ぜひその点も考慮に入れながら、今後、電子カルテの導入を進めていただきたいと要望をいたしまして、私の質問を終わりにいたします。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で健康局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時二十六分散会
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