委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | 大山とも子君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 初鹿 明博君 |
理事 | 野村 有信君 |
東村 邦浩君 | |
柿沢 未途君 | |
大河原雅子君 | |
河西のぶみ君 | |
田代ひろし君 | |
渡辺 康信君 | |
古賀 俊昭君 |
欠席委員 一名
出席説明員福祉局 | 局長 | 幸田 昭一君 |
総務部長 | 吉川 和夫君 | |
生活福祉部長 | 笠原 保君 | |
高齢者部長 | 福田 豊君 | |
子ども家庭部長 | 白石弥生子君 | |
障害福祉部長 | 有留 武司君 | |
保険部長 | 野村 寛君 | |
参事 | 並木 勝市君 | |
参事 | 清水 克則君 | |
参事 | 朝比奈照雄君 | |
参事 | 岩井 令雄君 |
本日の会議に付した事件
理事の互選
福祉局関係
事務事業について(質疑)
○藤井委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
○藤井委員長 次に、委員の退職について申し上げます。
去る十月二十八日付をもって、萩生田光一議員が、公職選挙法第九十条の規定により議員を退職した旨、議長から通知がありました。
次に、委員の所属変更について申し上げます。
去る十一月六日付をもって、鈴木あきまさ議員が、公営企業委員会から本委員会に所属変更になった旨、議長から通知がありましたので、ご報告いたします。
この際、鈴木あきまさ委員をご紹介いたします。
○鈴木委員 鈴木あきまさでございます。どうぞよろしくお願いします。
○藤井委員長 よろしくお願いいたします。
○藤井委員長 萩生田理事の退職により理事一名が欠員となっておりますので、これより理事一名の互選を行います。
互選の方法はいかがしましょうか。
○柿沢委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名をいただきたいと思います。
○藤井委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認めます。よって、理事には鈴木あきまさ委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認めます。理事には鈴木あきまさ委員が当選されました。
次に、議席について申し上げます。
議席は、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
○藤井委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料につきまして理事者の説明を求めます。
○吉川総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会資料にまとめてございますので、説明させていただきます。
表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、全部で十一項目となっております。
順を追って説明させていただきます。
まず、一ページをお開き願います。民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築における基本補助単価算出の考え方といたしまして、(1)には算出手順について、(2)には基本補助単価及び構成項目について、児童養護施設を例に記載してございます。
二ページをお開き願います。民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築における努力・実績加算補助単価算出の考え方といたしまして、(1)には算出手順について、(2)には努力・実績加算項目及び単価につきまして、児童養護施設を例に記載してございます。
三ページをごらん願います。サービス提供責任者研修の概要でございまして、目的、事業内容及び平成十四年度の実施内容を記載してございます。
四ページをお開き願います。児童相談所における児童虐待相談処理件数の推移といたしまして、平成十年度から十四年度までの相談処理件数を記載してございます。
五ページをごらん願います。子ども家庭支援センター及び子育てひろばの内容及び実施状況でございます。(1)には子ども家庭支援センターの事業内容を、(2)には子育てひろばの事業内容を記載してございます。
六ページに参りまして、(3)には、子ども家庭支援センター及び子育てひろばの区市町村別の実施状況を記載してございます。
七ページをごらん願います。認可保育所の整備費及び整備箇所数の推移でございまして、平成十一年度から十五年度までの補助額と、創設、増改築及び大規模修繕等の整備箇所数を記載してございます。
八ページをお開き願います。訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーションのエリア別実績の推移でございます。(1)には訪問リハビリテーションにつきまして、九ページに参りまして、(2)には通所リハビリテーションにつきまして、それぞれ平成十二年度から十四年度までのエリア別の実績を記載してございます。
一〇ページをお開き願います。生計困難者に対する介護保険サービス利用者負担額軽減措置事業の実施状況といたしまして、事業実施区市町村と、平成十五年三月末及び八月末現在の確認証交付人数などを記載してございます。
一一ページをごらん願います。区分支給限度基準額に対する居宅介護(支援)サービス利用率といたしまして、要介護状態区分別の区分支給限度基準額に対する平成十二年度から十四年度までの利用実績とその利用割合を記載してございます。
一二ページをお開き願います。介護サービス種類別の目標に対する実績といたしまして、平成十二年度から十四年度までの、サービス種類別の目標、実績などを記載してございます。
最後でございますが、一三ページをごらん願います。国民健康保険における被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付並びに被保険者証未交付の状況につきまして、区市町村別に、一三ページから一四ページにわたりまして記載してございます。
以上、ご要求のございました資料につきまして説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○古賀委員 今回、総選挙が終わりまして、国の将来にかかわる大切なそれぞれの政党のいろいろな主張がぶつかり合ったわけです。各政党の公約ですね、マニフェストという言葉も初めて登場しましたけれども、政権公約と訳されておりましたが、私は政権誓約の方がいいのではないかと思います、国民との約束、誓い合いということで。
その政権公約、誓約の中身を、それぞれの政党のものを読んでみました。いろいろな主張がありますけれども、家庭について、家庭基盤の確立とか家庭機能の充実とかを掲げた政党は一つもなかったんです。これは意外な気がいたしました。
たまたま選挙の応援から帰ってきましてテレビを見ていましたら、各党首の討論会がございまして、民放だったと思いますけど、小泉首相が自民党総裁として出ていまして、子育てについて、日本に古くから伝わっている子育ての要諦について発言をしていました。それは、しっかり抱いてそっとおろして歩かせろということで、政権公約には自民党は家庭基盤についての項目はなかったのですけれども、首相が自民党総裁としてそういうご発言をしているから、私は救われた気がしたんですけれども。
先日、一日でしたか、大阪で起きました、大学生が親を、家族を殺傷して、つき合っていた女子高校生も両親を殺そうという目的で包丁を買っていたというようなことが報道されていたですね。これは間違いなくこの両方の家庭は崩壊しているわけです。しかも女子生徒のご家庭は、報道によれば、ご両親が学校の教師だというふうに書かれてございました。いろいろ考えさせられる事件であります。
そのほかさまざまな、沖縄では、中学生を含む少年四名による殺人死体遺棄事件等がございましたし、枚挙にいとまがないわけです。
そういうことを踏まえて、東京都が今進めています福祉改革STEP2の目玉であります認証保育所、それからもう一つは民間社会福祉施設サービス推進費の補助制度についてお聞きをしたいと思います。
今回、私先ほど申しましたように、いろいろマニフェストと呼ばれる各政党の公約を見ても、家庭についての記述がないものですから、私の方へ送られてくるいろんな雑誌等を見ておりますと、大体、新聞記事も含めて、やはりいろんな問題の根源には、家庭機能、親、また母親、父親の役割が見直され、それらが復権しなければならないのではないかという視点からの印刷物がたくさんある、意外と多いな、識者はきちんと指摘をしているなということを私は感じたところです。
最近どういう傾向にあるかといえば、昨年の十月に発表されました厚生労働省の調査で、子どもを持って負担に思うと答えた人が、実に親の八割を占めている。その理由の第一は、自分の自由な時間が持てないということがその理由になっています。これらの背景には、子育てというものが親の自由を束縛するとか自分の自己実現の機会を奪ってしまうという、いわゆる損か得かという、そういう尺度で親は子育てをはかっているのではないかと。そういったところに少子化の原因もあるのかもわかりませんけれども、そういう指摘も新聞にございました。
それから、これは中里東洋大学教授、この方は、子どもの思いやり意識や親子の心理的距離について国際比較調査を長年やってきておられる方ですけれども、この方の記事を読みますと、最近、子育てが楽しくないという親が多いということについて、いろいろな調査結果を踏まえて、母親が子育ては大変だと思っている傾向が非常に強いと。子育てのため、やりたいことができないと、自分のアイデンティティーが失われてしまう、そういう考え方のもとで、本当は子どもはかわいいはずなんですけれども、子育てよりも個人主義的な発想がまさっているという傾向が強いということを、国際比較の調査で発表しています。
つまり、我々はもともと家族であるとか子どもというものを大切にするという気持は強いわけですけれども、戦後の教育のせいか、個人主義との間でねじれ現象が起きているというのを、国際比較をする研究の中で指摘をしているわけです。
それから、私のところに来ただけでもいろいろそういうものがあるのですが、これは、現在慶応大学病院の小児科外来医長で、小児精神保健医である渡辺久子さんという方がいらっしゃいます。「子どもを伸ばすお母さんのふしぎな力」とかいろいろ本を書いておられますけど、この方も大体同じような指摘をされています。
最近はうつ状態になるお母さんが非常に多い。子どもがそれの影響をもろに受けているということ。それから、キレる子どもが最近よく問題になりますけれども、脳は環境依存型の臓器といわれ、人生早期の体験の影響を受けて子どもは育っていく。困ったとき、泣いたときによくわかってもらえた体験があると、それがよい記憶となって、人や自分を信頼し共感する脳の回路ができていくということを書いておられます。
そのほかいろいろ書いておられますね。心のあけぼのの幼児期は、日々を楽しく温かい、安心できる感覚体験で満たしてやる必要があります。満たす人は第一にはお母さんとなれば、まずお母さんがハッピーであることが大事ですと、こう書いていますね。
それから、この方は三十年間小児の精神医療にかかわって臨床経験があるわけですけど、その経験を通して感じるのは、お母さんが成熟しハッピーになると、子どもはあっという間に回復するということです。つまりいろいろな症状から回復する。お母さんがやはりかなめですと。心身症になる子どもさんの治療に当たった経験から、こういうことをいっておられます。
もっといろいろあるのですけれども、そういう識者の指摘がある中で、東京都の、現在、福祉改革の目玉の一つといわれている認証保育所の考え方に、私は異論があるわけです。私の主張、いわんとするところは大体おわかりいただいたのではないかと思いますが、子育てに関する第一義的な責任は親、家庭にあるというふうに私は思いますけれども、改めて、東京都の見解はいかがですか。
○白石子ども家庭部長 子育てに関しましては親が第一義的に責任を負うものということにつきましては、基本的にそう認識しております。また、親だけではなくて、祖父母などの家族、それから地域社会で子育てを支えて、愛情豊かに子どもをはぐくんでいくことが重要であると思います。
さらに、子どもはこれからの日本を担う大切な宝でございまして、親が安心して子どもを育てられるように、行政を含め社会全体で子育てを支援していく必要があると思います。特に都市化の進展や核家族化に伴いまして、家庭や地域における子どもの養育力が低下しております現状を踏まえますと、すべての子育て家庭への支援を社会全体で行っていく必要があるというふうに考えております。
○古賀委員 ある部分では、私が申し上げたことを容認もされるし、しかし、子育ては社会がと、社会全体でということもおっしゃるんですね。もちろんそれも必要だし、その施策を具体的には、認可それから認証という保育所等も担っているわけで、それは私も理解できるんですけど、第一義的にはだれの責任で行うべきかという視点は、非常に大事だというふうに思うんです。
まあしかし、親に責任が第一義的にはある、家庭が大事だということはおっしゃったので、ここでいろいろやりとりは、時間を費やしてもいけませんので、それを踏まえて、認証保育所のことになるわけですけれども、この認証保育所については、一つ、うたい文句は、十三時間保育ということなんですね。
私も近所におつき合いしている保育園の設置者の方もいらっしゃいますし、そういう現場に携わっている方とも会話をする機会もありますので、いろいろお聞きするのですけれども、これには賛否があります。
確かに必要があって、そういうご家庭の事情を満たさなければいけない行政側の責任は当然あるわけですけれども、それをあまねく施すということが、逆に新たな保育需要を生むということも考えられるわけでして、十三時間保育ということがうたい文句になっているこの認証保育所については、東京都の資料にいろいろ書かれますけれども、このうたい文句は改めた方が、私はいいと思います。十三時間預かってくれるということは、十三時間親から引き離されている時間が、間違いなくそこにあるわけですから、できるだけ親の責任を全うしてもらうということを考えれば、保育時間は短い方が、子どものためには理想的だというふうに私は思います。
そこで、認証保育所の十三時間開所というこの時間数だけがひとり歩きしているような気がするのですけれども、これを、キャッチフレーズを改めたほうが私はいいと思うんですけど、その点はどう考えるのか。
それから、実際には今、認証保育所ではどういう実態にあるのか。利用実態、現状どうなっているのか、ご説明をお願いします。
○白石子ども家庭部長 ただいま、十三時間保育というお言葉でございましたけれども、認証保育所は、十三時間以上の開所を義務づけているものでございます。これは、大都市で働く保護者の多様な就労形態に対応するためのものでございまして、例えば夜型の勤務とか残業とか、あるいは通勤時間が長い、そういう利用者の切実なニーズにこたえようとしたものでございます。
ただし、今も申し上げましたように、十三時間というのは開所時間でございまして、一人一人の子どもがすべて十三時間保育されるということではございません。
認証保育所の保護者のお迎えの時間について昨年調べた例がございまして、これを見ますと、午後五時までにお迎えに来る方が大体四分の一でございます。遅い方では、午後七時以降のお迎えというのは約二割弱でございました。このように、実際の認証保育所の利用ということになりますと、必ずしも子どもが長時間保育されているということではないということがおわかりいただけると思います。
なお、小さな子どもにとりましては、長時間にわたる保育というのは望ましいものでは必ずしもないわけですけれども、東京にはそうしたニーズがあることも事実でございまして、そのようなニーズにこたえることは必要であろうというふうに考えております。
○古賀委員 子どものためよりも、親の利便性のための保育所であってはいけないわけですからね。利用実態を今お聞きしますと、すべての子どもさん方を十三時間預かってはいない。午後五時までが四分の一ということですので、十三時間丸々親と離れて保育されているという実態ではないという、その実際の姿は私わかりますけれども、それでも十三時間の方もいらっしゃるわけですので、長時間保育というある特別な理由の方については、行政がきちんと対応していくというのは当然必要ですけれども、そのことが一般化してしまいますと、新たな保育需要が生まれる可能性があるわけです。
ですから、保育所を幾らつくっても待機児は一向に減らないという現象は、ある面ではこういう行政側の、一つの、需要にこたえていかなければならないという使命感からやっておられるのかもわかりませんけれども、新しい需要を掘り起こしているという可能性もあるわけです。ですからそういう点も、視点として、保育行政を充実させていく上では忘れてはならないというふうに思うわけです。
私たちの周りには、いろいろな時代の変遷に合わせて、考え方やそういう行政に対して求めるものが次々と生まれてくるということを私も承知しておりますけれども、子どもを預かる、子どもを育てるということは、最初に申しましたように、第一義的には家庭が担うべき役割であるということにまた戻っていかなければ、保育に関する行政というのは、迷路に迷い込んだような状態になってしまうのではないかというふうに私は思うわけです。
認証保育所については、いろいろ批判もあったり、それから評価する声ももちろんありますけれども、現在、百八十カ所認証保育所が開設されています。五千人以上の子どもさんを保育しているわけです。
これまで東京都が都市型のいろいろなニーズ、都民要望にこたえてきたということは確かであると思います。石原知事の福祉分野における一つの新たな施策として、国をも動かす非常に大きな実績にはなると思いますけれども、ある面では私は、知事は、私が今申し上げているような視点でこの事業に踏み切ったかどうか、ちょっと心配な面もあるんですよね。ですが、認証保育所をもう誕生させたわけですから、これから適正に運営されていくということが非常に大事になってまいります。株式会社も参入してくるわけですし、これからいろいろな試みが行われるわけで、きちんと東京都が指導をしていかなければ、認証保育所の創設した意味というものは損なわれてしまう可能性があるわけです。
東京都は、産み落としたわけですから、育てなきゃいけないわけです。今後、指導や検査について、監督ですね、これはどうやっていくのか。ひとつ明確にしておいてください。
○白石子ども家庭部長 認証保育所で適切な保育水準が確保されるためには、指導監督というものが非常に重要だというふうに認識しております。このために、認証保育所におきましては、都独自の指導監督基準を設けまして指導監督を行っております。
具体的に申しますと、開設した翌年度以降、すべての保育所に対しまして、施設の運営状況等の必要な事項について、年一回以上文書による報告を徴収するほかに、年一回以上の立入調査を実施します。そして、保育の状況、職員配置等を詳細にわたって調査いたしまして、必要な指導監督を行っております。
○古賀委員 ちょっと先ほどのやりとりに戻るんですけれども、十三時間保育ということがひとり歩きしている嫌いがあるということを私ご指摘しましたんでね、これは余り強調しないようにしてもらいたいんですよ。さっき、実態は違うということをおっしゃったのですけれども。まあ幼児虐待とまではいきませんけど、長時間保育というのは、ある面では、子どもにとっては虐待といえる状況になるのかもわからないんです。ですから、この表記や表現については工夫するということをちょっと答えてもらえませんか。どうでしょう、十三時間保育。
○白石子ども家庭部長 先ほどもお答えいたしましたように、十三時間保育ということではなくて、十三時間保育所を開所するということを今いっておりまして、また、表現につきましては、今後検討はしていきたいと思いますが、いずれにしても、十三時間保育ではないということは、今明確に出しております。
○古賀委員 十三時間というのがやたら売りになっているわけですよ。それを誤解のないようにね、親御さんたちにもきちんとそのことが誤解なく伝わるように、今後、行政文書等の表記には意を配ってもらいたいというふうに思います。
子育ては非常に難しい親の仕事なんですよ。ですから、子育て支援、カウンセラーとか精神科医とか、そういう--身近な人間関係で、従来我が国の場合は、近所の人とか、おじいちゃん、おばあちゃんとか、知恵者が周りにいて、大体のことは解決できたわけですけど、そういう人間関係を断ち切ったために、何とか支援センターというのをつくらなきゃいけないようになってきまして、そういう機械的な機構だけで、今のいろいろな子どもの問題が解決できるというふうには私、思いませんので、認証保育所というものも確かに需要にこたえるという面はありましたけれども、今までの子育てのさまざまな日本の知恵というものもあるわけですから、子どもを親から引き離す方向での保育行政ではなくて、できるだけ子どもは親に近づける方向での保育行政というものを、これからも心がけて取り組んでもらいたいというふうに思います。
家庭のことをちょっと申し上げましたので、そのことについて最後に触れておきたいと思います。
小津安二郎という日本を代表する映画監督がおられましたけれども、ことしは生誕百年、没後四十年に当たるそうです。有名な「東京物語」であるとか「父ありき」、こういう作品を皆さんもごらんになったことがあると思いますけれども、原節子さんという方が映画に登場しまして、こういうせりふをいっています。品行の悪いのは直せるけど、品性の悪いのは云々と、こう原節子をして小津安二郎監督はいわせています。
人間の品性とか、日本の伝統的な気品であるとかそういうものを、家族を主題にして、テーマにして、小津安二郎さんは描いたのだというふうに私は思うわけです。そういう役割というものをできるだけ家庭の中にもう一度見直して呼び戻すというような視点が、行政にもある程度ないと、みんな戦後教育を受けまして、新人類が親になり、今はもっと次の世代が子育て世代になってきているわけですので、小津安二郎監督の映画を見ても、何がいいのかさっぱりわからないという世代が多くなってきているというふうに思うんです。
この小津監督の言葉に、こういうことが書いてありました。どうでもいいことは流行に従う。大事なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従うと。大事なことは道徳に従うというこの言葉は、私は非常に心に響くのですけれども、戦後の教育は、道徳というと嘲笑する、あざけり笑うというような、そういう風潮が今大変強くなっているというふうに思います。何か古臭いというふうに、すぐ排除してしまう。
私がこういっていることを聞いても、何て古いやつだと思う方もいるかもわかりませんけれども、今の社会のいろんな問題は、突き詰めていけば、行き着くところは、やはりこういうところに行くのではないか。幼児虐待のための法律をつくったり、夫婦間の暴力の禁止の法律をつくったり、法律をつくっても減らないんですね。実際はふえている。何かもっと根本にあるものを問い直す時期に今来ているのではないかと私は思うわけです。
ですから、認証保育所も、拍手喝采で、これを、よかったよかった、東京の福祉は前進をしている、そういう視点だけで浮かれるのではなくて、絶えず子育ての原点というものを踏まえて保育行政に当たってもらいたいというふうに思います。
もっといろいろあるんですけれども、時間を節約をして、次のテーマにまいります。民間社会福祉施設のサービス推進費の補助制度について伺います。
これは昨年の八月以来、東京都社会福祉協議会との間で懇談会を設置いたしまして意見交換を続けてまいりました。ことしの九月三十日、私も引き続き委員を務めておりますけれども、前の厚生委員会で再構築の基本的な考え方について報告がございました。質疑もありました。これは、基本的な考え方について、第十回の懇談会において施設関係者との合意が得られたとの報告についてのやりとりでございました。その後、二回の懇談会が開かれまして、一昨日、十一月十一日に開催された第十二回の懇談会で、民間社会福祉施設の施設代表者との間で基本的な合意が得られたということであります。
そこで、まず議論の入り口として、基本的な合意の具体的な内容を承りたいと思います。
○並木参事 先日開催いたしました第十二回の懇談会におきましては、基本補助の考え方及び単価、努力・実績加算の項目、考え方及び単価について基本的な合意を得ております。
このうち基本補助は、都として望ましいサービス水準の確保に必要な経費を補助するものでございまして、施設種別及び定員区分ごとに、利用者一人当たりの単価を設定したものでございます。
また、努力・実績加算は、利用者の状況に応じた加算、施設における新たな取り組み、努力に応じた加算、実績・実態に基づいた加算を基本とし、それぞれ利用者一人当たりの単価を設定しております。
さらに、今回の再構築により施設運営に影響が生じないよう、経過措置として激変緩和のための措置を行うとともに、増額となる施設への調整を行うことについても合意を得ております。
○古賀委員 大まかな再構築の内容については大体わかりましたけれども、先般の厚生委員会で、我が党の松原委員と福祉局との間で質疑がございました。局長の方から、再構築に当たっては、再構築後の施設種別ごとの単価や努力項目、経過措置等の具体的な内容について、施設運営に支障が生じないよう十分配慮してまいりたいという答弁がございました。
その後、具体的な内容について慎重な検討を行ったと思いますけれども、施設運営に支障が生じないように、どのような具体的な配慮を行ったのか。施設代表者との間で十分な意見交換を経ているわけですので、これは先方が納得をされたから合意したというふうに思います。どのような配慮が具体的に行われたのか、それを詳しく説明してください。
○並木参事 九月三十日の厚生委員会の質疑を踏まえまして、今回の再構築により施設運営に支障が生じないよう、次のような対応を行うことといたしました。
まず、基本補助及び努力・実績加算につきまして、単価の引き上げを行っております。
また、経過措置については、施設運営への影響を勘案し、激変緩和を図るため、当初提案した三年間から、五年間へ延長することといたしました。
さらに、経過措置期間においては、現行の補助額と比較して再構築後の補助額が大幅に減額となる施設への影響を考慮し、限度額を額及び率で設定し、減少額に歯どめを行うとともに、増額となる施設については額による歯どめを設けることといたしております。
○古賀委員 福祉局長の前回の答弁を踏まえて、私設の民間社会福祉施設運営に支障が生じないように、補助単価の引き上げ、それから経過措置期間を延長したと。都としてはこれで十分な対応をしたという判断だと思います。
しかし、私どものところに、郵政公社が喜ぶほどたくさん、はがきとか要望書がたくさん来ました。かなり組織的にこれは行われているというのはよくわかるんです。文面がほとんど同じですし、印刷されたものがほとんどなんですけれども、保育関係者であることは間違いない。今回の見直しによって実質的にB経費が廃止されるということですね。そうすると、書いてあることはですよ、経験豊富な職員の雇用を継続することができないということがかなり強調されているわけです。あらゆる職場--議会でもやはり、何期も期を重ねてベテランの人もいたり、新しい人もいて、組織として議会はうまくやっていくわけです。会社でも同じだし、都庁も同じだと思うんですね。
経験豊富な職員の継続した雇用が不可能になるというようなこの指摘、果たして今回の都の再構築によって、実際に、経験大変豊かな、長年保育に携わってきた職員が、施設をやめなければならなくなるのかどうか。これをはっきり答えていただくと、この問題は一件落着ということになると思うのですけど、いかがですか。
○並木参事 まず、基本的に、国の定める基準に基づく施設運営は、国の措置費それから支援費で運営できるというふうに考えてございます。
都は、こうした基本的な経費に加えまして、今回の再構築においては、質の高いサービスの提供に資する職員を各施設で継続的に確保することができる補助として、コア人材加算を設定してございます。これにより各施設において、質が高く経験もある、施設の中核となる人材、いわゆるコア人材の雇用を確保できるというふうに考えてございます。
なお、こうした利用者サービスの中核を担うコア人材、施設の将来を担う若手職員など、施設においてどのような職員を、人員を配置するかについては、利用者サービスの向上を図るという観点から、各施設が自主的かつ柔軟に、法令等で定める範囲内において創意工夫すべきものというふうに考えてございます。
○古賀委員 答弁を聞けば、そうかなあということになるわけですが、まあいろいろな考え方、見解はあっていいわけですけれども、今の答弁を聞く限りは、施設において福祉サービスを提供してきた、直接それに携わった質の高い人材については確保できるというお話です。
能力の高い経験豊富な人材というのは、もちろんいろいろな職場でも必要なわけですけれども、こういう福祉関係の施設においてはやはり欠くことのできない人材だというふうに、それは私も全く異論がないわけです。
しかし、社会状況やいろんな時代背景というのは変わってまいりますので、都民の要求もおのずから変化をしてくる。各施設がこういう時代の変化に対応していくためには、施設自身ももちろん努力をしなければいけない。それをきちんと評価をして、それに報いる補助金の制度であるというのが理想の姿です。だから、不断に絶え間なく見直しを行っていくということについては、私ももちろん賛成ですし、必要だということを、私はむしろ議会側からも強調したいというふうに思います。
今回、経過措置に関する合意は、三年目、あとは、さらに十分意見交換を行っていくということでありますけれども、各施設が常に利用者の求めに応じてサービスを向上させる、サービスを提供していく、そのことを今後都は、基本的にはこの制度をどのように充実させながら取り組んでいくのか。この制度自体の今後の都の考え方、取り組みについて、最後にお聞きいたします。
○並木参事 ご指摘のとおり、経過措置については十六年度から三カ年の合意となっております。四年目以降の措置につきましては、今後、各施設における利用者サービス向上のための取り組みや施設の運営状況など、今回の再構築を検証するとともに、その間の社会経済状況等の変化を踏まえながら、施設代表者の方々と適宜意見交換を行っていく予定でございます。
また、施設代表者との意見交換の中では、施設に求められる努力の内容、その時代状況や社会的状況、経済状況、利用者のニーズ等の変化によって変わるものでございますので、努力加算項目についても、必要に応じて見直すことが必要であるという認識でも一致してございます。
今後とも、利用者サービスの向上に向けた施設の努力が真に報われる補助金にするという今回の再構築の考え方を踏まえまして、利用者と直接接し、利用者の方々のニーズを、あるいはニーズや状況を把握されている施設代表者の方々との意見交換を行っていく所存でございます。
○古賀委員 ちょっと確認なんですけれども、三カ年については合意をしたと、それ以降については、施設代表者と改めて意見交換を行っていくということですけど、それ以降についての今後の意見交換についても合意したのですか。それはどうなんですか、三年後の意見交換も合意したのですか。
○並木参事 合意の内容につきまして、十六年度から三カ年について、経過措置について合意と。四年目以降については、その後の状況等を踏まえながら適宜意見交換を行っていくということで合意してございます。
○初鹿委員 初めて厚生委員会で質問をさせていただきます。
ちょっと順番をかえまして、今、古賀委員から民間社会福祉施設サービス推進費補助についての質問がありましたので、重なる部分がないように若干補足の質問をしていきたいと思います。
先ほど古賀委員からのお話もありましたとおり、経過措置の三年間に含めては、単価、努力加算項目について合意がなされたということでありまして、大変ご苦労をされたなというふうに感じております。
そうはいいましても、さまざまご意見がありまして、きょうもたくさん来ていますけれども、いろいろな考えの方がいらっしゃるのだろうなと思いますから、その辺も含めて、恐らく誤解や錯覚をしている部分も非常に多いのじゃないかなと思いますので、その辺をはっきりと説明をいただく意味で、何点か質問をさせていただきます。
先ほども古賀委員の質問の中でもありましたけれども、職員の経験年数についてです。
経験年数について、補助がないと保育のサービスの質が低下してしまうというような指摘があるわけでありますが、保育において保育士の資質というのは非常に重要なのは当然ですけれども、職員の経験の重要性ということについて、福祉局としてはどう考えて、どのような考えに基づいて再構築を行ったのか、改めて、もう一回伺います。
○白石子ども家庭部長 ただいまのお話のとおり、保育サービスというのは対人サービスでございまして、そのサービスの水準というのは、保育士の持つ知識、情報、技術、技能など、職員の資質によるところが大きいわけです。そのために保育士の資質というのは重要であるというふうに思っております。
この保育士の資質には、経験に裏打ちされたものがあることは事実でございますが、経験年数の長い保育士がすべて資質が高いというふうにはいえないと思います。また、勤務する職員の平均経験年数が長い保育所において提供するサービス水準が、全部、そうではない保育所に比べて高いというふうには必ずしもいえない。
そういうことで今回、職員の平均経験年数に応じた画一的な補助制度を改めまして、保育所のサービス向上に向けた努力が真に報われるようにということで再構築したものでございます。
今回の見直しに当たりましては、保育所を利用する人の立場に立って、多様なニーズに対応でき、サービスの提供をマネジメントできるなど、質の高い一定割合のコア人材を継続的に確保することができるように、コア人材加算というものを行っていくわけでございまして、これにより、都として望ましいサービス水準を確保することができるというふうに考えております。
○初鹿委員 今お答えにありましたとおり、経験年数が長ければ長い職員がすべて資質が高いはずではないというのは、ごもっともなのかなと思います。
簡単にいえば、保育士個人個人に対して補助を出すという考え方ではなくて、その保育所全体のサービスのよしあしについて、努力したところにはたくさん補助金を出すというような考え方に変えていくということでありますよね。私は方向性としては間違ってはいないのかなと思いますので。
ただ、十分にコアな人材というんですか、経験年数云々ではなくて、優秀な保育士として資質を持っている人材が能力をきちんと発揮できるような、そういう補助制度というものをしっかり行っていただきたいなと思います。
続きまして、いろいろ関係者の方から私のところにも手紙やらファクスやら送られてくる中で、父母の声というのも幾つか来るのですが、それを見ていると、半分ぐらいは、だれかが書いたんだなという文章の丸写しだったりするんですけれども、中には、自分で考えて書いているのかなというのもありまして、その中に非常に誤解をしているところがあって、保育料にも反映するのじゃないかという誤解をされている方がいるようなんです。
恐らく一般の方からすれば、行政からの補助が何に幾らどういう形で出ているかって、さっぱりわからないと思うんですよ。国から出ているのもあるし、市区町村から出ているのもあるし、東京都が出しているのもある。今までA経費、B経費とあって、A経費って何なんだ、B経費って何なんだというのが全くわからない中で、ただこのサービス推進費補助という新しい考え方が出てきて、それで大まか、東京都から出てくる補助金の額は減らされるのじゃないかと。そうなったらどうなるんだということで、保育料まで影響があるのじゃないかというような錯覚、誤解をされている方も多くいるわけで、その辺をきちんと説明をしていただきたいなと思うんです。
当然私も、この再構築と保育料の設定というのは全く関係ないと思ってはいるのですが、そういうのを都民の方がわかるように、きっちり説明をいただければと思います。
○白石子ども家庭部長 今回の再構築によって保育料が上がることはないというふうに考えます。その理由ですが、保育料は、国基準において基本的に必要と定めた保育に要する費用、これを保育の実施主体である区市町村が、家計に与える影響を考慮いたしまして、条例または規則により定めているものでございます。
今回のサービス推進費補助金の方は、都として望ましい保育水準を確保するために、保育所の、今申しました運営費に加算しまして、都が民間の保育所に直接補助しているものでございます。ですから、額に増減がありましても、区市町村が徴収する保育料に直接はね返るものではないと思います。
したがって、両者が連動するということではなく、サービス推進費補助金の見直しによって保育料は上がることはないと考えるものでございます。
○初鹿委員 僕は今の説明どおりだと思うんですけれども、やはり一般の方はよくわからないんですよね、その補助金が。国の補助金がどうなのか、都の補助金がどうなのか、市区町村がどうなっているのか。ですからその辺が、こういう再構築する場合には、何かわかりやすく、皆さんが理解できるような、そういう努力も今後必要なのかなと思いますので、頭に入れておいていただければと思います。
今回、懇談会の中で、努力項目や単価の見直しなど、いろいろこうやって出されて、今後も意見交換を行っていくということで、先ほどのお話ですと、三年度までは合意をしている、そして四年度、五年度についても意見交換を順次行っていくということですよね。これは四年、五年、この経過措置を実施するということは間違いないということでいいのだと思うのですが、その経過措置の四年、五年の中身についても、十分に意見を聞いていただきたいなと思います。
また、補助金という形で東京都から税金を使うわけですから--この努力や実績加算ということでたくさん項目が出ていますよね。これを読んでいくと、自己申告になるんですね。本当にこれやっているかどうかというのをきちんと調べないといけないのだろうなと思いますので、その辺も運営指導や指導監督にしっかり取り組んで、我々が払った税金が使われるわけですから、しっかりとそれが運用されるように、別の目的に使われないように、しっかりと監督していただきたいなと思います。
このサービス推進費については以上で終わらせていただきまして、続いて、養育家庭について何点か質問をさせていただきます。
先月の終わりでしょうか、国の社会保障審議会児童部会というところの、社会的養護のあり方に関する専門委員会の報告書というものが出されまして、これを読みますと、まず、社会的養護の重要性ということと、その中で家庭的養護、里親の役割を広げていこうということ、また、施設養護については、小規模なグループホームを充実させていこうというような中身になっておりまして、読んでいくと、東京都が既に先駆的にやってきたことを国が追認する形になっているなというふうに見させていただいているのですが、その中で、里親についてですけれども、この報告書の中でも指摘をされているのですが、まず、なかなか里親の登録数がふえないということが一点。それと同時に、登録されていても、子どもを委託されていない、未委託のところが非常に多いというような指摘をされております。
現在、東京都においても、登録をしながら委託されていないという家庭が多くいると思うのですが、この未委託家庭の解消について、これまでどのような取り組みをしてきたのか、それをお伺いいたします。
○白石子ども家庭部長 養育家庭の委託を促進していくためには、個々の養育家庭の諸事情を的確に把握いたしまして、きめ細かくその養育家庭と委託児童の組み合わせを行うことが重要だというふうに思います。
そこで、平成十四年度に、児童相談所と児童相談センターに新しく設置いたしました里親担当の部署が連携いたしまして、未委託となっている全養育家庭を訪問いたしました。そして改めて家庭状況や希望の児童について調査を行いました。このような調査結果やその後の訪問調査に基づきまして、養育家庭への委託促進に努めているところでございます。
○初鹿委員 これは十四年度ですか、行ったということですけれども、一回調査するだけではなくて、ある程度一定の期間を置いて、定期的にそれぞれの未委託の家庭を訪問して、希望がもしかしたら途中で変わることもあるかもしれませんし、家庭の状況も変わるかもしれないので、きめ細やかに連携をとって、なるべく委託が進むように努力をしていただきたいなと思います。
続きまして、養育家庭制度そのものの普及について何点か質問させていただきたいのですが、この報告書の中でも指摘をされているのですが、そもそも里親制度自体が知られていないのじゃないかということが挙げられております。
東京都は昨年、ことしもですか、十月、十一月が里親月間ということで、二十三区各地、東京都内各地で体験発表会をして、普及に努めている、また、中吊り広告など出して普及に努めているのは大変評価をするところなのですが、昨年私も、私の地元の江戸川区で体験発表会をやった際にちょっとお伺いをしてお話を聞かせていただいて、非常にいいお話を聞かせていただいて、里親制度の重要性というか、大きな役割を担っているのだなということを改めて認識したのですが、その会場に集まっている人たちなんですよ。
江戸川区が、区が多分主体になって、あいてはいけないから一生懸命集めたと思うんですが、ほとんど知っている顔なんですね。何で知っている顔かというと、来ていた人の大半、恐らくほとんど一〇〇%に近いと思いますが、民生、児童委員の方でした、江戸川区の場合は。そうでもしないとなかなか集められないという実態があるんだと思います。実際には、もっと普通の人が集まれるように広報活動に力を入れるべきだと思うのですが、それも難しいのかなと思います。
では、まず段階的にどういう方に普及させていくのがいいのかなと考えたときに、養育家庭や、また養育されているお子さんと接する機会の多い人から、順次そういう体験発表会なり普及活動をしていくことが、ある意味、有効なのではないかなと思うんです。
そう考えますと、子どもさんが通っている学校ですね、小学校や中学校、この関係者に対して普及していく、理解を求めていくというのが重要なんだと思うんです。ですから、体験発表会なども、個別にやるというのは難しいのかもしれませんけれど、PTAや、あと学校の先生に対してやっていくような方法というのも、今後検討すべきではないかなと思うんです。
今まで、学校関係者に対してはどうやって普及してきたのかというのと、今後、学校関係者に対しての理解をどのように求めていくか、その点についてお伺いします。
○白石子ども家庭部長 学校関係者にとりまして、この養育家庭制度を理解していただくことは大変重要だというふうに考えております。特に学童期の児童はほとんどの生活の時間をそこで過ごすわけですので、そう思っております。
これまでにも、私どもから東京都教育庁に対しまして、養育家庭制度や養育家庭で生活している子どもたちに対し、いろいろ教育上の配慮について要望しているわけですけれども、昨年、養育家庭制度の拡充を行ったことに伴いまして、平成十四年の五月に、改めまして、新制度の趣旨等を含めて、教育庁の方に要望を行いました。
さらに、本年の十月には、養育家庭やそこで生活する子どもが困っている具体的な事例、例えば名字のこととか、あるいは授業で取り上げる生い立ちのことですね、そういうことを添えた要望をつくりまして、教員一人一人に周知していただくようにお願いしたところでございます。
今後とも、このようなお願いを繰り返しやること、それからさらに、先ほどの養育家庭体験発表会などのご案内もすることによりまして、学校関係者へも周知に努めていきたいというふうに思います。
○初鹿委員 引き続きお願いをいたしたいと思います。
今お話がありましたように、具体的な困っている事例を先生たちに知らせていくというのは、非常に重要だと思うんです。恐らく、養育家庭というのはこういう制度でありますよ、こういう子どもたちが預けられていますよというようなことを聞いても、じゃあ、それによって生じる問題、子どもたちが感じる気持ちというんですかね、そういうものがどういうことかというのがなかなかわかりづらいのじゃないかなと思いますので、今おっしゃられたように具体的な例を挙げて周知していくというふうなことを続けていただきたいなと思います。
学校についてはそれでいいと思うのですが、学校と同時に、医療機関についても、恐らく周知徹底を図ってはいると思いますが、なかなか十分に行き届いていない面があるのかなと思うんですね。
具体的な例で挙げさせていただきますと、東京都の養育家庭連絡会からも皆様方のところにいろいろ要望が挙がっている中で、医療券の問題があります。(実物を示す)こういうぐらいの医療券ですよね。この医療券を病院に持っていっても、理解していない医療機関があるということですから、まずその辺の徹底をしていただきたいのと、現状の大きさについて、例えば学校の修学旅行とかそういうときに、みんな保険証を持っていくときに、保険証というのは、今このぐらいのカードになりましたよね。カードになっていて、みんながカードの中で、自分だけ大きい医療証を持っていくと、非常に目立って出しづらいなというので、保険証と同じ大きさのカードにしてくれないかという要望も出ています。この辺についても検討をしていただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
○白石子ども家庭部長 養育家庭制度におきます医療費につきましては、養育家庭で生活する子どもたちが病気やけがなどにより医療機関にかかった場合、医療受診券というものを提示することによりまして、本人負担分を窓口で支払う必要がなく、公費で負担される制度となっております。
この医療受診券が、通常の保険証とは形状が異なっている、それから、医療機関が養育家庭制度を十分理解していないということで、養育家庭が窓口で制度の説明から始めなければならないというふうなことがあって、窓口で手間取る例がございます。そういうことで現在のこの医療受診券の形状等にも課題があるというふうには認識しております。
医療機関におきましては、養育家庭制度についての理解を深めていただきまして、窓口での混乱が生じませんように、医師会それから歯科医師会、薬剤師会等を通じまして、この制度の周知にこれから鋭意取り組んでいこうと思っております。
○初鹿委員 ほかにもそういう、医療券というんですか、ひとり親家庭用とかいろいろあると思うんですけれど、そういうのがポスターになって、病院へ行くと張っていますよね。同じような形でポスターでもつくるとか何か工夫をしていただきたいなと思いますので、お願いをいたします。
続きまして、里親の会である東京都養育家庭連絡会、ご承知のとおりの会があるのですが、この会の活動についてなんですけれども、現状、はっきりいってしまえばボランティアのような形で、里親の方々が集まって活動しているということで、里親さんの相談なども受けているということなのですが、非常に活動が厳しいと。事務所の機能も、会長さんの個人のお宅になっているという状況で、どうにかその辺を、都としても連携をとって支援をしていただけないかという要望が上がっていると思うのですが、その点についてはどのようにお考えになっているのか、お伺いします。
○白石子ども家庭部長 養育家庭連絡会への支援でございますが、今、都の二カ所の養育家庭支援センターの場所を使いまして、ここで養育家庭連絡会の会議とか親睦会等を行えるように配慮をしております。また、養育家庭支援センターが連絡会の活動への協力を行うというふうな支援も行っております。今後とも、養育家庭制度の発展に向けまして、養育家庭の交流会を、連絡会と児童相談所が協力して実施するなど、連携及び支援に努めていきたいと思います。
○初鹿委員 うまくこの会を活用するといういい方も変かもしれませんが、うまく連携をとっていただいたらいいのじゃないかなと思うんです。
現状で養育家庭に対する見守りというんでしょうか、児童相談所の職員の方が一定期間で回ったり相談を受けたりしていると思うのですが、ただでさえ児童相談所の職員の方々は、今一人一人が受け持ついろいろな問題が多くて四苦八苦されていると思うのです。その辺をある一定量を、養育家庭の実際に子どもを預かっている方々に担ってもらうようにすれば、かなり皆さん方行政の方のやる役割というのが少なくなってくるのではないかなと思います。その辺、役割分担と連携をしながら、うまく活用をしていただいて、その会自体も発展させていくような方法というのも今後検討していただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
続いて、今、養育家庭に委託をされている子どもの委託の期限というのでしょうか、十八歳になると委託措置が切られてしまいますよね。そうはいいながらも、十八歳で高校を卒業したら自立をしなさいというのは、ほとんど不可能な今の世の中だと思います。
また、進学をしたいといったときに、大学だったら二十二歳まではストレートでいって学生を続けるわけだし、専門学校でも二年間学生でいるわけで、じゃ、そのときの生活費や学費などはどうするのかという問題が生じると思うんです。現状ですと、養育家庭の家族の中には、自己負担でその辺もすべて面倒を見てあげているようなところもありまして、はっきりいえば善意に頼っているところがあると思うんです。
社会的な養護の中で、この養育家族制度というのは非常に重要だという位置づけをしているわけですから、善意にだけ頼っているというのは、限界があるのではないかなと思います。十八歳という年齢の切り方というのをやはり見直していく必要がそろそろあるのではないかなと思います。
そうはいいましても、国の方の法律上の制約もありますので、その辺を皆さん方がどう考えていくかというのもあると思うんですが、都として単独でやるのか、それとも国の制度を変えていくような努力をするのか、その二点になってくると思いますが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
○白石子ども家庭部長 今おっしゃられましたように、現在のところ、児童というのは満十八歳に満たない者をいうという児童福祉法の規定がございまして、養育家庭への委託措置もこの児童福祉法に基づいて行っておりますので、原則として十八歳までとされております。
例外措置といたしましては、十八歳を超えても普通高校や定時制高校に在学している場合などは、限定的に認められております。
現状では、十八歳を超えての措置継続というのは非常に困難でございますが、しかし現実に、今おっしゃられましたように、十八歳を超えても半数以上がそのまま引き続き養育家庭で生活し、学校や勤め先に通っている状況もあります。十八歳以上の措置継続につきましては、今後の課題だというふうに認識しております。
○初鹿委員 ぜひ今後の検討課題として、東京都として取り組むのか、国に対して要求していくのか、それは皆さん方ご判断していただくとして、積極的にやっていただきたいなと思います。
続いて、施設の養護について何点か質問をさせていただきます。
社会的養護ということの中で、養育家庭とあわせて施設の養護ということになるのですが、先ほどいいました報告書の中でもありますけれども、大規模な児童養護施設からグループホームへ移行していこうということで、東京都も取り組んできていると思うんですけれども、これはなかなか進んでいかない実態があるのではないかなと思います。特に東京のような大都市圏ではさまざまな制約があって難しい面があるのではないかなと思います。
その一番大きな例として見ると、やはり地価が高いということだと思うんです。国の制度のグループホーム、地域小規模児童養護施設というものは、建物の自己所有が原則になっているということで、なかなかやはりこれだと、数をふやしていこうというと、東京の特に二十三区になってくると難しいのではないかなと思いますね。
ですから、土地の確保とか建物の確保が難しい大都市ですから、家賃を補助できるように、国の制度を変えていくような働きかけというのも、このグループホームをふやそうと考えるなら必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○白石子ども家庭部長 大都市におきましては、借家形式の方が実施しやすいのは事実でございまして、東京都の制度のグループホームでは、家賃補助を実施しております。
国制度の地域小規模児童養護施設に対する家賃補助につきましては、ことしの七月に十四大都市児童福祉主管課長会から国の方へ要望いたしました。
今後、都としても機会をとらえまして働きかけていきたいというふうに考えております。
○初鹿委員 ぜひ一つでも数が多くなるように、現状でも施設がなかなか足りないような状況にもあると思いますので、お願いをいたします。
いうまでもないと思いますけれども、近年、虐待などが明るみになることが多くて、児童相談所で一時保護をしたりする児童の数も非常に多くなっていると思うんですけれども、一時保護をした際に、委託先を決めていくと思うのですが、そのときに、養育家庭をもっと積極的に活用したらいいのではないかなと思うんです。
特に未委託の家庭がかなりあるわけですから、未委託で、例えば更新まで二年間ある中で、一回も子どもが来ない家庭というのも相当数あるのではないかなと思うんですよ。そうすると、だんだんと養育家庭として今後やっていこうという意欲がうせてきちゃう家族も出てくるのじゃないかなと思いますので、積極的に一時保護についても養育家庭を活用できるようにしていった方がいいのではないかなと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
○白石子ども家庭部長 これまでも、一時保護をする場合におきまして、子どもの状況に応じまして、例えば住みなれた地域で学校等の生活環境を変えることなく生活が継続できるようにした方がいい場合、あるいは心身ともに安心して生活できるようにというふうなことで、養育家庭を活用して一時保護委託を行っていた例はございます。
これからさらに、未委託家庭の状況等も把握する中で、一時保護の委託先といたしまして、未委託養育家庭を含めまして、養育家庭の活用を図っていきたいというふうに考えております。
○初鹿委員 事前に、一時保護をしなければならない児童が出たときに受け入れてくれるかどうかというのを、各家庭に先にアンケートなりをとっておいて、どこが受け入れてくれるかというのを把握しておくと、こういう緊急な事態に対して緊急的に対応できるのではないかなと思いますので、その辺を調査というか、見守りなどやりながらいろいろ児童福祉司さんが接するわけですから、調べていただいて、その蓄積をしておいたらいいのではないかなと思いますので、お願いをいたします。
最後になりますけれども、児童虐待を解決をしていくためには、まず早期発見、予防、対応を早目にやるというのが重要だと思います。この前もありましたよね、名古屋でしたか、児童相談所も一回関与をしながら、お子さんが亡くなってしまうような事件がありましたが、皆さん一生懸命やっているのでしょうけれども、対応を一回間違えるとああいう悲惨なことになってしまいますので、そういうことがないようにしていくためには、やはり予防や発見というのをしっかり行う必要があると思うんです。
そうしたことを考えますと、児童相談所だけでも無理ですし、さまざまな機関と連携をしていくことが必要だと思います。例えば保健所や病院、それと最近注目されているのは歯科医師ですね、歯医者さん。虐待ということじゃなくて、特に育児放棄、養育放棄などの場合には歯が一番発見につながるというようなことも聞いておりますので、こういう関係機関と連携をしっかりとつくっていくということが必要だと思います。この連携のあり方についてどのように考えているのかお伺いしまして、質問を終わらせていただきます。
○白石子ども家庭部長 都におきましては、地域の身近な相談機関であります子ども家庭支援センターが核となりまして、保健所、学校、それから児童相談所等の関係機関の連携を図る児童虐待防止区市町村ネットワーク事業というものがあり、これに支援を行っております。
歯科につきましては、児童虐待と口腔内の状況が大きな関連があるということが、都の調査でも明らかになっていることから、この児童虐待防止区市町村ネットワークへの歯科医師の参加を促進しております。このようなことを通じて、虐待の早期発見につなげていきたいというふうに考えております。
○東村委員 先ほどから話題になっています民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築の問題についてですが、これにつきましては、九月三十日の厚生委員会の、基本的な考え方のところで、かなり突っ込んで質疑をさせていただきました。
特に私の方としては、激変緩和ですね、この激変緩和の措置と、補助単価を引き上げてもらいたい、こういうことを強く訴えてまいりまして、それに都はこたえていただきまして、補助単価の引き上げと、今回激変緩和の措置をしていただきました。したがいまして、今回この問題についてはもう質問はいたしません。
その上で、先ほど質問がありましたけれども、養育家庭制度の問題と、高齢者介護の問題、これは特に今、児童虐待の問題で、通常の養育家庭でなかなか対応ができない、いわゆる専門的なケアを必要とする虐待児や知的障害児を養育家庭で受け入れる専門養育家庭制度、これが本年度から新たに創設されたわけなんですけれども、我が党も第二回定例会の代表質問でこの問題を取り上げさせていただきました。
そこで、現時点でのこの専門養育家庭制度の進捗状況について、まず伺いたいと思います。
○白石子ども家庭部長 専門養育家庭制度を実施するに当たりましては、専門的な知識と技術を身につけさせるために、専門養育家庭研修を実施する必要がありまして、東京都では、今年度この研修を東京都社会福祉協議会に委託して実施しました。
まず、六月末までに養育家庭から十四人の応募がありまして、これらの者を受講者として決定いたしました。研修は七月から開始しまして、通信教育八科目、スクーリング三日間、施設実習七日間の日程を、十一月二日までに修了したところでございます。現在、受講者の研修の評価を行っており、その結果を待ちまして十一月中に研修修了書を発行いたします。
今後、専門養育家庭としての申し込みを受けまして、来年一月に開催の児童福祉審議会里親認定部会からの答申を得まして、専門養育家庭として認定登録を行う予定でございます。
○東村委員 今十四人の受講者という話がありました。この専門養育家庭の研修を受けた大部分の人は、養育家庭の里親だと伺っております。そこで、この研修を受け修了した里親さん、また、受け入れた施設側からどのような声が上がっているのか、お聞きをしたいと思います。
○白石子ども家庭部長 研修の最終日に、受講者それから実習受け入れ施設などによる意見交換会を行いまして、そのとき出た感想について述べたいと思います。
受講者からは、今まで養育家庭としてかかわったことのない被虐待児や知的障害児のことを知ることができた。それから、養育家庭としてではなくて、専門養育家庭として、虐待を受けた子どもにどう接するべきかを学ぶことができた。それから、現在も養育家庭として子どもを預かってはいるが、専門養育家庭となるためには今まで以上に知識、技術のレベルアップが必要だと感じたというふうな感想が述べられております。
また、施設の方からは、養育家庭の家庭でのきめ細かなかかわり方を知ることができて、施設処遇においてもさらに工夫をしていく余地があると感じた。また、今後、施設と養育家庭とがもっと連携して子どもたちをケアしていくことが大切であるというふうな意見が出ております。
○東村委員 今、声として話をしてもらいました。両者にとっても非常に有意義な研修なんだと私は思っています。
その上で、やはりこれからどんどん虐待を受けた子どもがふえていく中で、専門養育家庭が果たす役割というのは非常に大きくなってくるのではないかと思います。これはさらにふやしていくべきなのじゃないかと考えるわけなんですけれども、特に今受講をされた養育家庭以外、これらの分野にもどんどん普及をさせていく必要があると思いますが、これについて都の見解を伺いたいと思います。
○白石子ども家庭部長 専門養育家庭制度は、今年度から始まったものでございまして、今後さらにふやしていきたいというふうに考えております。
そのために、養育家庭連絡会で発行しております機関紙とか、それから養育家庭を対象とした研修などの機会をとらえて、現在の養育家庭に呼びかけますとともに、専門養育家庭の要件といたしまして、児童養護施設それから乳児院で直接処遇職員として三年以上経験がある者というものがございますので、児童養護施設や乳児院の協力を求めまして、それらの施設の退職者とか退職予定者というふうな方にも働きかけていきたいというふうに考えております。
○東村委員 退職者とか退職予定者、まだまだ六十五歳は若いわけですから、どんどんまた社会に戻ってきてもらう、そういう仕組みづくりの上でも、またそれを必要とされる、それだけのニーズもありますから、ぜひともこの辺のところを進めていただきたいと思います。
その上で、先ほどお話もありました、この養育家庭連絡会はまだボランティアの集まりの段階だと。今後NPO法人の取得に向けて鋭意努力をされているとは伺っております。そういう中で、この養育家庭連絡会でいろいろさまざまな事案について対処するという考え方も大事なんですけれども、何といっても、やっぱり都が養育家庭をサポートしていくということが物すごく大事だと思うんです。
養育家庭支援センターがなくなったときに、児童相談所がこの役割を担っていくから大丈夫だと、こういう話がありました。そこで各養育家庭の皆さんも納得をされたのですけれども、確かに一生懸命、今やっていただいているんです。ただ、制度上ちょっと私はこれを変えていかなきゃいけないのじゃないかなと思うところがあるんです。
それは、児童相談所の里親担当児童福祉司、これは今、子どもについているわけなんです。例えば八王子の里親さんが北区の子どもさんを預かった、足立区の子どもさんを預かった、それから品川の子どもさんを預かった、そうしたときに、八王子の里親の中に、それぞれ足立区の児童相談所からその子どもに指導に来る、北区の児童相談所からその子どもに指導に来る、そして品川区の児童相談所からその子どもに指導に来る、こういう仕組みになっていますから、受け入れている里親さんは、三つの児童相談所からいろんなアドバイスを受けなきゃいけない、そういうところで非常に困っているわけなんです。
一番いいのは、八王子の児童相談所が八王子の養育家庭をきちっとアドバイスしてくれる、そういう仕組みに変わってしまえば、先ほどいっているいろんな問題もダイレクトに児童相談所に相談できることになるわけなんですね。
私はやっぱりこの際、抜本的に、子ども担当中心から、親担当中心の仕組みに変えていくことが、本当の意味でのこの里親さん、養育家庭をサポートする仕組みになるのじゃないかと思うのですけれども、これはいかがでしょうか。
○白石子ども家庭部長 養育家庭制度を推進していくためには、養育家庭をサポートする仕組みをしっかりと構築することが必要と考えております。
今委員おっしゃいましたように、現在は、子どもを委託措置した児童相談所が養育家庭をサポートするという仕組みになっておりますが、日ごろからきめ細かく養育家庭をサポートするためには、養育家庭が居住する地域の児童相談所の方が適切だなというふうに考えております。
そこで、今のご提案も踏まえまして、今年度中には、養育家庭が居住する地域の児童相談所を中心とする仕組み、いわゆる親担当中心の仕組みに変更いたしまして、きめ細かな養育家庭支援に取り組んでいくことを考えております。
○東村委員 これは大変ありがたいことで、養育家庭にとっては非常にうれしいことなんです。やっぱりこういう制度が始まったばっかりですから、いろんな矛盾点も出てくると思いますけれども、そういう矛盾点に対して速やかに都が対応していただけるということは大変ありがたいことだと思いますし、感謝をしております。
また、さらに、子育ての相談や、例えば自分が、養育家庭の里親さんがかぜを引く場合だってあるわけなんです。ちょっと体調を崩す場合がある。こういったときのレスパイトケアなど、児童養護施設の協力というのがやはり何といっても不可欠になりますし、さらに、施設と児童相談所との連携も必要となってくると思います。
そこで、今後、この双方の協力関係、レスパイトケアの問題も含めた都の取り組みについて伺いたいと思います。
○白石子ども家庭部長 養育家庭にとりまして、子どもについての相談とかレスパイトケアについて非常にニーズが高い状況にあります。まだなかなかサポート体制が整っていないという状況もあります。
今回、こういう状況も踏まえまして、都が働きかけまして、民間の児童養護施設と乳児院の施設長から成ります里親制度支援委員会というものをこの七月に設置いたしました。この委員会におきまして、現在、養育家庭からの相談への対応とか、レスパイトケアの受け入れ促進等につきまして検討しております。この検討結果をもとに、養育家庭をきめ細かく支援するサポート体制の構築に向けまして、児童相談所と施設との連携強化を図ってまいります。
○東村委員 実はこの問題、一昨年、前にも私、これを取り上げたと思うんです。ようやくここまで体制構築に向けて今検討していただいているということなんですけれども、一刻も早くこの体制を構築してもらうことが、養育家庭をさらにふやしていく一つの要因になってくると思いますので、速やかにお願いをしたいということをお願いいたします。
もう一つ、私の地元の里親さんの坂本洋子さん、「ぶどうの木」、この本を書かれて、石原知事にも絶賛され、家庭まで訪問されて、今度これがドラマ化になったわけですよね。そのドラマ化になったときの実は新聞発表、これは読売新聞だったのですけれども、新聞発表のところに、「ぶどうの木」ドラマ化というタイトルとともに、下に、これは八王子市の問題なんですけど、八王子市道路里親第一号決まるという見出しがあって、片や里親、子どもの感動的な「ぶどうの木」のドラマが新聞発表になって、記事を書く方ももうちょっと配慮してくれたらいいなと思ったのですけれども、その真下に、道路里親第一号決まると、こう出ているんですね。この記事が出た瞬間、私のところにいろんな方から、こういう問題、何とかしてくれないのか、非常に傷ついたというか、お子さんも傷ついたという切実な電話がかかってきました。
例えばこれだけではなくて、この里親、里子という名称は、ペットの里親にも使われているんです。こういう動物の飼い主の募集に使われたり、先ほどいいました道路などの公共物の、八王子の場合は、これは舗道の清掃や除雪といった維持管理を市民ボランティアで行うという道路里親なんです、こういった公共物の管理ボランティアにも使われたりしているんです。
これはやっぱり、一人の人間として、同じ名称がペットや道路の維持管理に使われるというのは、やっぱり非常に傷つくわけなんです。これは八王子市にもいいました。八王子市にいったら、これはもうそういう名称を使うことに決まっているから仕方ありませんと逃げられましたけれども、これはぜひとも都からも指導していただいて、関係者への申し入れや改善を図る、こういうことを都がやっぱり積極的に進めていくべきではないかと思うんです。
こういう事例が起きた都度、発見があった都度、申し入れを行っているのでしょうけれども、引き続き、いろんな意味で、これをどんどん周知徹底に努めてもらいたいと思うのですが、これについて意見を伺いたいと思います。
○白石子ども家庭部長 里親という言葉は一般に、預かり育てるという意味で、いろいろな場面で使われていることがありまして、確かに行政におきましても、道路里親とか公園の里親あるいは動物の里親などという使われ方をされている例がございます。
その結果、養育家庭とか養育家庭で生活している子どもがつらい思いをされている現状があり、養育家庭連絡会などからも、不適切な言葉の使い方を改めるよう東京都から働きかけてほしいとの要望があります。
都としてはこれまで、このような言葉の使い方を発見した場合、また通報があった場合には、その都度、その該当となった機関に申し入れを行ってまいりました。今後とも適宜申し入れを行っていきますとともに、養育家庭制度について都民の理解と関心が高まりますように、区市町村などと協力いたしまして、広報活動に努めていきたいと思います。
○東村委員 ぜひとも区市町村の方にも指導していただきたいと思うんです。担当者が里親制度ということが余りよくわかっていませんでしたから。自分のエリアの仕事しかわかっていないわけなんですね。だから、何で悪いんでしょうかという意識になっているんですよ。その辺のことをやっぱりしっかりと指導してもらいたいなと思うんです。
次に、高齢者介護の問題について質問をしたいと思います。
これは、人間、必ず老いていく問題があるんです。これからどんどんどんどん老いていく問題がある。若い人も必ずこの問題には直面します。したがって避けては通れない大きな問題で、私は、たとえ介護を受けても、人間が人間として生きていくという、こういう尊厳を絶対に失わせてはいけないなと思っているんです。
その上で何点か質問をしたいと思うのですけれども、平成十二年度にこの介護保険制度が実施されました。ことしで四年目を迎えました。新しい制度としてはおおむね順調に推移をしてきたのじゃないかと、私はこのように思っているわけですけれども、半面、さまざまな課題があることもやっぱり事実でございます。これまでの実績を踏まえて、見直すべき点は見直し、よりよい制度に変えていく必要があるのじゃないかと思います。
私の知人にも、よく知っている方で、要介護度三の方がいらっしゃるのですけれども、介護保険のサービスを利用しているわけなんですが、なかなか近くにないものですから、タクシーに乗って月一回リハビリに通っているそうなんです。施設でリハビリを受けていると、家に帰ってくると、施設でのリハビリの状況と家のリハビリの状況というのは、違うんですね。施設で受けたリハビリを家で生かせるかといったら、なかなか生かせない、なかなか効果がないんだと、こういうことをいっていました。
その点で、私は、訪問で受けられるリハビリ、要するに、家庭でリハビリを受けられる状況、自宅の状況や家庭の事情に合わせた個別的な指導を受けられますから、非常に効果が高くて、例えばほとんど寝たきりだった人が、定期的な訪問リハビリによって、自分でトイレが行けるまでになった、そこまで回復したという例があります。この方は相当重い介護度だったのですけれども、今非常に改善をされたという話を聞きました。
こういうことを踏まえて、私はこの訪問リハビリについて何点か質問したいと思うのですが、この三月に第二期東京都介護保険事業支援計画が発表されました。この支援計画の中で、訪問リハビリテーションや訪問介護などの医療系の在宅サービスの利用がなかなか進まないと、このように聞いております。
まず、最近の利用状況についてお伺いしたいと思います。
○野村保険部長 平成十四年度におきます在宅サービス利用者に占めます各サービスの利用割合を比較いたしますと、訪問介護は、全国が四四・七%でございますのに対し、都は六四・三%。訪問看護は、全国が一二・〇%に対しまして、都は一五・四%。通所リハビリテーションは、全国が一九・〇%であるのに対しまして、都は八・一%。訪問リハビリテーションは、全国が一・〇%に対しまして、〇・八%となっております。
全国と比較いたしますと、訪問介護は特に高うございますが、医療系居宅サービスでは、訪問看護は若干高いものの、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションの利用率は低い状況となっております。
○東村委員 今述べていただきました、福祉系の訪問介護の利用率は六割を超えているんだと。相当高いのですけれども、一方で、訪問リハビリテーションなどの医療系の在宅サービスの利用率は低くなっています。
その原因や背景について、都としてどう認識をしているのか、お尋ねしたいと思います。
○野村保険部長 医療系サービスの利用が低調であるという原因でございますけれども、第一の要因といたしましては、介護保険の目的でもある保健、医療、福祉の連携が十分ではないことから、介護サービス計画、いわゆるケアプランに医療系のサービスが十分に組み込まれていないこと。第二の要因といたしましては、訪問リハビリを提供できる人材など、地域におけるサービス提供基盤が不十分であることなどが考えられます。
○東村委員 今答えていただいたように、ケアマネジャーの圧倒的に多いのは、いわゆる福祉系という、ヘルパーさんが多いんですね。中には看護師さんもケアマネジャーの資格を取られていますけれども、どちらかというと看護師さんは、本業である看護師の方を仕事をされていますので、なかなかケアマネジャーの方に進出をしてこないわけなんです。
そこで、その知人の方に聞いたところによると、訪問リハビリの話はケアプラン作成に当たっては一切出てこなかったと、全くといっていいほど出てこなかったんだと。で、何とか通所という形で頑張っているんだけども、という話をされていたんです。
そういう意味で、どうしても今、ケアマネジャーさんは、福祉系のケアマネジャーさん、いわゆるヘルパーさん出身の方が多いわけで、なかなかこの辺のことが、いい方は悪いですけれども、そこまで理解されていないというんですか、そこまでケアプランの中でおすすめできないという状況にあるわけなんです。
そこで、平成十五年度のこの事務事業の概要を拝見いたしますと、新規事業として、都市型在宅サービス普及促進事業を実施する、こういうことになっております。この事業の目的は、この中を見ましたら、東京という特性を踏まえて、要介護高齢者ができる限り在宅で自立した日常生活を営むために、訪問リハビリテーションや多様なデイサービスの普及促進を目指す、こう書かれてあるんです。
その上で、現在までの都市型在宅サービス普及促進事業の取り組みについて伺いたいと思います。
○野村保険部長 本年度実施しております都市型在宅サービス普及促進事業では、訪問リハビリテーションの普及促進を図るため、事業者の新規参入やサービス利用の促進に向けまして、都内の先進的な取り組み事例の収集、紹介などを行っております。
具体的には、保険者でございます区市町村とともに構成いたします都市型在宅サービス普及促進事業検討委員会を、本年六月に設置をいたしまして、その中で先進的な事業者の調査をもとにした検討を進めるとともに、公開ヒアリングなどを通じて普及促進を図っているところでございます。
○東村委員 今、先進的な事業調査や公開ヒアリングを行っているという話がありました。ぜひともこのような結果を踏まえて、今後積極的にこの訪問リハビリテーションの充実に向けてもらいたいと思うんです。そういう意味で、今後の都の取り組みについて再度伺いたいと思います。
○野村保険部長 訪問リハビリテーションなど医療系サービスの積極的な活用を図るためには、都民や介護支援専門員に対する普及啓発が重要な課題と認識しております。
都民向けの普及啓発といたしましては、今年度、区市町村と共同して四十三万部配布する予定の介護保険活用読本の中に、リハビリの効果や重要性について盛り込みまして、都民に対しリハビリの意義の普及を図ることとしております。
また、今年度の検討成果を活用いたしまして、ケアプランの中に医療系サービスが積極的に取り込まれますよう、介護支援専門員の研修やケアプラン指導事業の取り組みに反映させるなど、一層の普及に努めていきます。
○東村委員 今、介護支援専門員の研修やケアプラン指導事業の中に、この訪問リハビリテーションを取り込んでいくという。本当に自分の自宅でこのリハビリができれば、まずは、自分の家の中で自由に歩くことができるんです。わざわざ入所する必要もなくなってくるわけなんですね。また、通所までのいろんな交通機関の問題も解決されてくるわけでございます。
そのためには、やっぱり窓口になるケアマネジャーさんが知らなければ、結局その人たちはそれを受けることができないわけです。先ほどもいいました、圧倒的に福祉系のヘルパーさんが多いわけですから、どれだけ訪問リハビリが効果があるのか、これをぜひとも研修をしていただいて、積極的に進めていただきたい、このように思うわけです。
また、最近では、要支援や要介護一といった比較的軽度の新規認定者が急激にふえていると。要介護高齢者の支援の仕組みとともに、介護を必要とする状態にならないようにするための取り組みも、私は必要であると思います。いわゆる介護予防が今後ますます重要になるのじゃないかと考えております。
そこで、都は平成十五年度の新規事業として、介護予防開発普及事業を実施することになっていますが、現在までのこの取り組み状況についてお伺いをしたい、このように思います。
○福田高齢者部長 平成十五年度から実施いたします介護予防開発普及事業は、東京都老人総合研究所が長年にわたって培ってきましたノウハウを活用し、地域における効果的かつ効率的な介護予防への取り組みを進めるために、本年度から老人総合研究所に委託して事業を開始しております。
具体的には、本年四月、老人総合研究所は介護予防緊急対策室を設置し、現在まで、延べ三十七回にわたり、区市町村の介護予防担当者、指導者等の研修、あるいは地域における介護予防事業の実践指導者の研修を開催しております。
また、本年九月には、七区市を本年度の技術支援実施地域として指定し、その現場に出向き実地の技術指導を開始しております。さらに、介護予防セミナーやパンフレットの作成など、普及啓発事業にも取り組んでいるところでございます。
○東村委員 私も、この老人総合研究所の、介護予防プランを考えるというこのパンフレットを見るまでは、誤解をしていたのです。生活習慣病予防を徹底さえすれば介護予防につながると私も思っていたのですけれども、どうやらそれだけではないと。もちろん生活習慣病の予防は大切なんですけれども、介護予防のためには、違った観点が必要なんだということを、これを読んで認識をいたしました。
生活習慣の改善は、まあ自己責任として、長期的かつ継続的な取り組みをしていかなければならないわけなんですけれども、老年症候群の予防は、七十歳から八十歳になって取り組んでも、これを読むと、効果があると書かれてあります。介護予防では、この老年症候群に対する早期発見、早期対処の体制づくりが緊急課題だということもこれに書いてあります。
そこで、この課題に対する都の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○福田高齢者部長 都は、老人総合研究所が長年の研究調査により開発いたしました、高齢による衰弱あるいは転倒骨折、痴呆など、いわゆる老年症候群のリスク判定手法であるお達者健診を、介護予防開発普及事業の研修プログラムや、実地技術指導の重要なメニューとして、区市町村への普及拡大に取り組んでおります。
また、ひとり暮らし高齢者などで援助が必要な方を早期に発見し、見守りや介護予防などのサービスにつなげるため、高齢者地域自立支援ネットワーク緊急整備事業を、本年度新たに実施しました。
これら新たな取り組みにより、リスクを抱える高齢者の早期発見と、予防のための地域における体制づくりを鋭意進めていきたいと考えております。
○東村委員 今おっしゃった介護予防開発普及事業、これは、先ほどもいいましたけれども、今年度から行われた新たな取り組みであります。今後、この介護予防の取り組みをさらに普及拡大していくための課題や、これからやるべきことについて、都の認識をまず伺いたいと思います。
○福田高齢者部長 今後の普及拡大のためには、要介護状態になったり、状態が悪化する可能性の高い高齢者の発見から、適切な介護予防プランの作成及び個別メニューの実施まで、一連の取り組みが必要であると考えております。
このような介護予防の総合的なシステムの構築を目指し、区市町村や都民、関係団体の取り組みをさらに促進していきたいと考えております。
○東村委員 今、介護予防の総合的なシステムを構築したいと、そういうお答えがありました。そのためにも、まずそれぞれの取り組みの方法や効果について、やっぱり検証をしていかなきゃいけないのじゃないかと思うんです。やっぱりきちっと評価することが必要なのじゃないかと考えます。
ただ、都内すべての取り組みの検証、評価というのは非常に難しいのじゃないかと思うんですけれども、例えば一定の地域に限って、そこでモデル事業を実施するならば可能じゃないかと私は考えるんですけれども、これについて都の考え方を伺います。
○福田高齢者部長 ただいまの東村委員のご指摘は、介護予防を今後さらに普及拡大していく上で大変重要なことと考えております。対象地域や評価、検証の方法などについて、今後十分検討していく所存でございます。
○東村委員 これは地域の検証、評価をぜひとも行ってもらいたい。そのためにモデル事業を実施してもらいたいと思います。
最後に、この介護予防については、区市町村と連携をすることが大事だと思いますし、引き続き充実をさせていただきたいと思います。
リハビリテーションというものは、冒頭申し上げました、人間が老いて人間らしく生きる権利の回復だと私は思っております。それを目指すために、どうしても、高齢者が介護を必要としないで生き生きとして暮らしていくことも大事ですが、仮に介護が必要になったとしても、できる限りその人なりに豊かな人生を送ることができるように支援していくことが求められているものだと考えております。これから若い人も必ずこの老いという問題は避けて通れない問題で、私自身もそうですけれども、この高齢者の尊厳ある生活を支えるために、総合的な施策の推進が必要だと考えますが、最後に局長のご所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○幸田福祉局長 介護保険制度の施行後五年の見直しに向けまして、都は、これまでの東京の介護保険を育む会での議論や、区市町村との実務的な検討などの成果を踏まえまして、先月、都独自の制度改善提案の試案を公表したところでございます。
その中で、今後、東京の高齢者介護が目指すべき方向性として、高齢者が自立して尊厳ある生活を送る、できる限り介護が必要な状態にならない、要介護になっても住みなれた地域で生活できるなど、都民の視点から十の目標を定めまして、これを達成するために、さまざまな具体的提案を行ったものでございます。
私は、これからの本格的な高齢社会におきましては、ただいま申し上げたように、高齢者が社会の一員として生きがいを感じながら、できる限り健康を維持するとともに、介護が必要になりましても、その人の人としての尊厳を保持しつつ生活を続けていけることが大変重要だというふうに考えております。
今後とも、介護予防やリハビリテーションの充実を初めといたしまして、大都市東京における高齢者の多様なニーズ、これに適合した総合的な高齢者福祉施策の展開に努めてまいりたいと存じます。
○渡辺委員 私は一つだけお聞きしたいと思います。高齢者の在宅酸素療法の中断についてお伺いをしたいと思います。
昨年の十月に老人保健法が改定されまして、それまで一回八百五十円の定額制、これが一割から二割の定率負担となって、今日に至っているわけですが、この引き上げで何が起こっているかといえば、私たち日本共産党都議団も、あるいは患者さんから、あるいはお医者さんから、いろいろな訴えや要請、こういうものを受けておるところなんです。それは在宅酸素療法が危機に瀕しているといってもいい過ぎではないという状況なんです。
在宅酸素療法は、慢性呼吸不全や心不全などによって心肺機能が弱った方々に、在宅でも酸素吸入ができるようにするもので、生活の質を向上させる、寿命を延ばす大きな役割を果たしているわけです。福祉局はこれまでも、在宅ケアあるいは在宅療法、こういうものを強調してきました。この在宅酸素療法は、在宅療法の草分け的な存在の一つといってもいいと思うんです。
この在宅酸素療法をしている患者さんが、その在宅酸素療法を中断せざるを得ない、そういう状況になっているし、またそれが続出している、危機に瀕している実態、これはご存じだというふうに思うのですけれども、何がそうさせているかということについての認識をまず伺いたい、こういうふうに思うんです。
○野村保険部長 私ども、保険医協会等とか、そうした要望があることは存じております。ただ、そうした事態が続出しているかどうかということについては承知しておりませんが、もしそういうことがあれば、一つは、医療費の改定ということがあるのかと思いますけれども、この医療費の改定につきましては、私どもは現在、この対象者の方につきましては、老人医療費助成制度、それから心身障害者医療費助成制度というものを適用いたしまして、かなりの助成をしているというふうに理解しております。
○渡辺委員 助成されていればそんなに問題は起きないわけですけれども、そうでないから問題が大きくなっているというふうにいえると思うんです。
在宅酸素を受けている患者さん、いわゆる六十五歳以上のお年寄りの自己負担が、一気に五倍だ十倍だというふうに負担が引き上げられたために、在宅酸素を中断せざるを得ない、こういうところに追い込まれたわけですね。
中断すればどういう状態になるかというのは承知の上で中断しているのですから、大変なことなんですよ。中断すれば、体を動かさないでじっとしているほかに方法はないんです。トイレに行くだけでも息切れして、苦しい苦しいと。こういうような状況になっているわけで、本当に大変な事態になっています。動かなければ、次第に体が弱ってくる。風邪や気管支炎を併発しやすくなって、そうなると一層苦しくなると。命にも危険が及ぶといわれておるわけです。
在宅酸素を中断した患者さんの事例を、幾つか具体的に申し上げたいと思うんです。一つは、七十二歳の女性の方、肺気腫によって呼吸困難。この方は、昨年の老人保健法が改正される前ですけど、九月までは、月に一回ということで八百五十円。それが十月よりこれが十倍の八千円と。それから、八十三歳の男性、この方も肺気腫、気管支ぜんそくを持っておられる方。昨年の九月までは三千四百円、これが十月からは一万二千円。三・五倍。それから八十歳の男性、多発性脳梗塞、器官切開、人工呼吸器、こういう方ですけれども、この方は、昨年九月までは三千二百十円、それが十月から三万八千九百六十円。十二倍ですよ。
こういう幾つかを例示しましたけれども、これは定率制を踏まえたものの事例です。在宅酸素を中断する方は、主にささやかな国民年金生活者が多いことはいうまでもありません。国民年金からは国保料だとか介護保険料などを差し引かれますけれども、その残った中で、今いいましたようにやっと生活している状態の中で、一気に医療費が八千円だ一万円だという、そういう負担はとてもではないけれども払い切れない、こういうふうにいわれている。そういうことから在宅酸素を中断をせざるを得ないと、こういうふうになってきておるわけです。
こういうような在宅酸素中断という患者さん、都内ではどれくらいいるかということについて、ちょっとお聞きしたいと思います。
○野村保険部長 私ども、データとしましては、国保連合会の医療費のデータを持っておりますけれども、疾病別にはとっておりませんので、個別的に何人いるということは掌握しておりません。
○渡辺委員 全患者さんを対象にしたものではないということを前提にして、全国保険医団体連合会、これは全国の開業医師と歯科医師九万八千人が参加している団体なんですけれども、ここが在宅酸素を取り扱っている業者の聞き取りアンケート調査というのをやりました。昨年の老人医療費の負担増で、在宅酸素療法を経済的な理由で中断した患者さんということで調査したのですが、十九都県で千九百十六人に上っている、こういうことを発表したのです。そのうち、東京では三百五人だということでした。これは先ほどいったように、全患者さんを対象にしたということではありません。
それからまた、二十三区を対象にした都内の在宅酸素業者の統計によりますと、平成二年四月から九月までの在宅酸素器の引き上げ数は、月平均百四十七件でした。これは死亡したりあるいは病院を転院したりと、いろんなことがありましてこういうことになるのですけれども、それが平成二年の十月から--これは法改定ですね、老健法が改定された後ですが、十月から十一月の月平均ということになりますと、二百二十一件、五割増しということになっております。その半分、五割が経済的理由によるものだと、この業者の方々はおっしゃっているわけです。ですから、経済的理由で中断する患者さんは、今の調査だけでいいますと月平均百十件、百十人ということにもなるということですね。
在宅酸素療法患者というのは、全国で十万とも十一万人ともいわれておりまして、その一割が経済的理由でこの酸素を中断しているというふうにもいわれておるわけです。これは本当に命にかかわる重大な問題だと私は思います。
我が党は、昨年の第三回定例会で、心身障害者医療費助成条例の一部改正の提案を行いました。この提案の趣旨説明の中で、障害者医療費を、昨年の老人保健法の改定に連動して、負担上限額の引き上げを強行することは間違いであるということを指摘して、せめてお金の心配なく安心して医療を受けられるように、心身障害者の医療費助成を無料制度に戻すべきだということを提案をいたしました。それがまさに今指摘したとおりの事態になってきているということを申し上げておきたいというふうに思います。
この論議の中で福祉局は、患者負担の平均値で見ると影響が少ないと、こういうことで答弁しておられるんです。今日の事態はそんな事態ではないというふうに私は思います。障害者にとって医療とは命綱の問題です。
そこで、改めてお聞きしますが、心身障害者医療費助成を無料に戻すということをすべきだと思いますけれども、それについての見解をお伺いしたいと思います。
○野村保険部長 まず、お答えする前に、先ほどお話がありましたけれども、同じことになりますが、改正前と改正後を比較しまして、心身障害者の医療費助成に係る医療費の動向がどうなっているかということをお話ししたいと思います。
対象者の月当たりの平均受診日数は、平成十四年三月から九月は一・六九日あったのに対しまして、改正後の平成十四年十月から平成十五年三月につきましては一・六〇日となっておりまして、大きな変化はございません。
また、一部負担がございます対象者--八二%程度の方は、住民税非課税ということで一部負担はございません。一八%程度の一部負担がございます対象者の月当たりの患者負担額は、平成十四年三月から九月は千九百六十円であったのに対しまして、改正後の平成十四年十月から平成十五年三月末では千五百六十円、これは定率で計算しますと千五百六十円となりまして、四百円減少しておりまして、そうしたことからも、制度改正による大きな影響はないと考えております。
第二点の、平成十二年度の制度改正をもとへ戻すかということでございますけれども、あの改正は、社会経済状況の変化とか、それから介護保険制度が創設されたなど、そうした諸事情を勘案いたしまして、またあわせて、心身障害者医療費助成制度というのが心身障害者世帯への経済的な支援策であるということも勘案いたしまして実施したものでございまして、もとに戻す考えはございません。
○渡辺委員 医療費の改定によりまして安くなったという話がありますけれども、それは多少安くなる人もいるんですよ。全体的にはそうじゃないですよ。報酬の一割ということだからね。ですから、報酬がどれくらいかということでその一割ということですから、定額で決められた額よりも、全体の報酬の一割ということで、それは安くなる場合もあり得るわけだ。だから、そういうことで議論するつもりはありませんけれども、そういうことだと思いますよね。
それから、障害者の医療費の定額制というものを、いわゆる国の老健法の改定に連動させるということで、それは実際には大きく引き上げたのだから、だから、大きく影響しないなどということはあり得ないことだというふうに思うんです。さっき具体的な事例を幾つか挙げただけでもそういうことになるわけでしょう。だから、東京都がいうようなことにはならないと私は思うんです。
今酸素を吸わなければ死んでいくということがわかっている患者さんにですよ、何の手だてもしないということなんですか。今まで酸素を吸っている、酸素を吸っているから、いわゆる命をもっているわけですよ。それをね、外さざるを得ないという、この現実というのがあるわけですよ。あなたたちは何人いるかわからないということなんだけれども、私どもも具体的にはまだ全部はつかんでおりませんが、いろんな団体が調査をした中で、やっぱりいろんなところから数多く報告されているんだ、実際に。だから、局がいうように、その実態を無視して、そして余り影響がないなどというのは、私は極めて遺憾だと思う。
そういうことで、今申し上げましたけど、酸素を吸わなければ死んでいくんだと、こういう人たちを目の前にしてどうするんだということなのよ、実際には。本当に人間としての良心があれば、そういう点ではほうっておけないはずだと私は思うんです。そういう点ではどうですか。
○野村保険部長 先ほども申し上げましたとおり、東京都におきましては、老人医療費助成条例、それから心身障害者対象の医療費助成を行っておりまして、こうした今のお話のような方につきましても対象といたしておりまして、例えば心身障害者につきましては、先ほどもお話ししましたけれども、対象者の八二・三%につきましては全額助成をしております。
なお、一部負担をいただいている方につきましても、一万二千円の限度額でとめると。この一万二千円の限度額をいただく方は、年収がおおむね二百四万という方でございますので、相応な負担ではないかというふうに考えております。
また、老人医療費の助成条例の対象になる方につきましても、自己負担限度額を、低所得の方については八千円、それから一般の方につきましては一万二千円で、一万二千円いただく方は、ちなみに申し上げますと、単独世帯で収入が二百六十七万円以上の方でございまして、この負担につきましても、まあ無理のない負担ではないかというふうに考えております。
○渡辺委員 今のあなたたちの問題ですけれど、収入の関係でいうと八〇%云々ということで、定額にしているということをいっていましたけども、その定額にならない人、それから、おたくたちが決めたいわゆる六十五歳前からそういう疾病というか、そういう病気にかかっておられる方は、七十歳を超しても、それはそういうことで助成の対象になるわけだ。ところが、こういう酸素を吸わなければ生きていかれないという、こういう病気というのは、主に六十五歳以降に起きているということなんですよ。あなたたち、六十五歳以降にこういう問題が起きたら、それじゃ助成しているんですか。
○野村保険部長 六十五歳以上で新たに重度障害となられた方につきましては、平成十二年の改正で、新規の参入は認めないということで、心身障害者の対象とはいたしておりません。
その趣旨は、六十五歳以上でそうした状態になれば、老人保健法で寝たきり要件に該当しまして、老人保健法の適用は受けられるということで、対象を外したものでございます。
ちなみに、老人保健法に基づく負担を申し上げますと、外来の場合、高額医療の限度額は八千円、それから先ほど申し上げました単独世帯で二百六十七万円以上の年収がある方につきましては一万二千円ということで、応分な負担をしていただいて、その範囲で対応できるというふうに考えております。
○渡辺委員 あなたたちはそうはいうけど、現実にこういう問題は起きているわけですよ。六十五歳以上になってから主に酸素を吸入しなきゃならない、そういう患者さんというのは、六十五歳以降起きる人たちですよ。それは適用されないと。
で、老健法の改定に連動された医療費、この医療費でもって適用されるというんだけれども、実際問題として、現実の問題として、今、例えば年金を四万あるいは五万ということでもらっている。この人たちはたくさんいるわけですよ、実際に。国民年金の満額をもらったって六万六千円でしょう。その人たちが、実際問題として今、介護保険料だ国民健康保険料だと、こういうものを払って、そしてなおかつここへ来てそういう在宅酸素療法ということで、酸素を吸わなきゃ生きていかれないという状況になったときに、本当にもうこれ以上手持ちのお金もないということになったら、自分の命を縮めてもそれは廃止せざるを得ないんです、中断せざるを得ないんですよ。だから問題にしているんです。東京都はもう少しその辺は実態を、後でいいますけれども、しっかりとつかんで取り組んでほしいというふうに私は思うんです。いずれにしても、そういう人たちを目の前にして、それでほうっておくということはできない。
あるいはまた、一方的に医療費を引き上げて、そして医療が受けられない。こういう状況がつくられて、なおかつ放置しておくということは、私は犯罪的に等しいというふうにいわざるを得ないです。いずれにしたって、息絶え絶えの人ですから、そういう意味では。その人を前にして、病人から金がないといわれたら、それじゃ仕方ないですねということでほうってはおけないでしょう。そういうことで、この問題については本当に真剣に取り組んでほしいというふうに思います。
それで、実際問題として、こういう福祉の問題については、お金がないということでいろいろと厳しい状況をつくり出しておきながら、片や、都の財政が厳しいというけれども、例えば、いつも私は引き合いに出しますけど、自動車専用の大型幹線道路というのがあるでしょう。こういうところについては一メートル一億円もかけて、年間一千億円もつぎ込む。あるいは六本木の六本木ヒルズの問題じゃないけど、ああいう大規模開発、私、調査しましたよ。東京の上位十カ所、そういうところにどれくらいの補助金を入れるんだ。一千億円ですよ、補助金。そういうようなところにそういうものはどんどん入れながら、片方では、酸素も吸えないと。そういうような人を放置しておくということ自体が、やっぱり問題だと私は思うんです。
そこで、もう一回質問いたしますけれども、先ほどは、できませんというお話でしたね。もとへ戻すつもりはないと。そうしたら、定額制、条例改正の前のいわゆる定額制のところへ戻すということは、お考えはありませんか。
○野村保険部長 ただいまお話のありました定額制でございますけれども、これは医療保険制度改革全体を見ますと、そこだけを取り外すわけにいきません。確かに、定額制八百五十円を月四回、三千四百円でとまったものが、外来についてはそういう制限がなくなって、高額医療費ということで八千円と一万二千円になりました。
しかしながら、この制度、十月における制度改正全体を見ますと、従来でいくと、外来については高額医療費の適用はございませんでしたものを、現在では個人ごとにすべての病院を合算いたしまして、それで、低所得の方については、月八千円を超えると還付。それから一般の方については、一万二千円を超えると還付。なおかつ、従来は世帯合算をいたしておりませんでしたけれども、入院と外来を全部合わせまして、それで世帯合算をいたします。したがいまして、高齢者の方は、両方がかかっているケースが非常に多いものですから、この世帯合算をいたしますと、例えば低所得の方については二万四千六百円、一般の方については四万二百円を超えると全額を払い戻すというふうに、いろんな制度改正がありました。
したがいまして、定額の部分だけを取り出して制度改正を云々するのは、ある意味では、制度全体を見ていないと思っておりまして、私どもは、一概に、この八百五十円掛ける四が変わったことが、負担が重くなったというふうには見ておりません。
○渡辺委員 そんな理屈は通らないよ。だったら、ひとり暮らしで、実際問題として、今いろいろな事例をいいましたけど、実際に本当に生活していかれない、命すら奪われかねないという、そういう状況になっている中で、そういう理屈を並べ立てて、本当にもう息絶え絶えのそういうお年寄りを放置する。もうそういう人たちを救済もできない、手だても打てないと。こういうふうなそんな冷たい行政なんていうのは、あっては困るし、とるべきじゃないですよ、そういう態度は。
本当にひとり暮らし、老夫婦ね、先ほど所得の問題をいっていますけれども、所得以下になっちゃっているんですよ、今その人たちは。そういうことで、何とかしてほしいと。だって、そうでしょう。みずから、酸素を吸えば寿命は延ばすことができるわけだから、それをあえてその酸素吸入を外しちゃうわけだからね。困ってなければそんなことまでやるはずないでしょうが。だから、そういう点では私は本当に冷たいと思いますよ。
だったらもう一回聞きますけど、無料にもできない、そしてもとの定額にも戻せないというんだったらば、この人たちに対して、酸素吸入をしている、いわゆる在宅酸素療法、これをしているお年寄り、この人たちに限って、何とかその対応策というのかな、そういうものをとるという気持はありませんか。
○吉川総務部長 先ほど来、保険部長が、医療保険制度及び医療費助成制度の仕組みについて答弁をさせていただいておりますが、先生のご指摘の、私どもの医療費助成制度を改正する考えは、全くございません。
なお、先生の方から先ほど、犯罪という言葉がございましたが、万が一……(渡辺委員「犯罪に等しいと」と呼ぶ)犯罪に等しいにしても、犯罪というお言葉がございましたが、仮にそういう酸素の療法を、どうあっても、所得がなくて受けたいということであれば、生活保護制度というのがございますから、ぜひご活用をいただきたいと思います。
○渡辺委員 生活保護を受けなさいと。だったら生活保護を受ける人はたくさんいますよ、そういう対象になっている人は。だけど、生活保護だけは受けたくないということで頑張っておられるという人は、これまたたくさんいるんですよ。そこは話が食い違うかもしれないよ。(「どっちが食い違っているの」と呼ぶ者あり)いや、本当だよ。生活保護を受けろと、いつもあなた方はそういうけど、生活保護は受けたくないと。いずれにしたって、いろんな意味で、これは地域においていろんな目で見られるということがあるから、皆さん受けたくないということになっているんですよ。
だって、そうでしょう。例えばですよ、年金生活者、この方たちの六万六千円ということだったらば、生活保護は十分に受けられるんだから。そうでしょう。そんなこといってたら、もう本当にどれぐらいいるかわからなくなるでしょうが。それはここでは論議しませんけれども、そういう考え方は改めなさいよ、もう、そっちは。
まあ、いずれにしても、とにかく福祉局はそういう点で、こういう命にかかわる問題についても、それに対してしっかりと対応するという、そういう立場には立っていない、やる気はないと、こういうことですね。それはそういうことで、福祉局の立場はわかりましたから、次の問題です。
次に、在宅酸素療法に必要な電気代の助成というんでしょうか、補助というんでしょうか、この問題についてちょっとお伺いしたいんです。
在宅酸素療法というと、月々大体四千円から五千円というふうにいわれておるんですね。この電気代が高いために、夜は電源を切ろうか切るまいかと、これまた一つ心配事としてあるというんです。もちろん切ればそれは不安でしようがないということがある。だから切らない、ということになれば電気代が高くなる。そういうことで非常に、先ほど来の話の延長ですけれども、医療費が高くなって払えない。その上に電気代ということだから、余計大変なわけですよ。
そういうことで、例えば北海道を初めとして仙台とか、あるいは東京でも東村山などでは補助金ということで出しているんですね。これが今だんだん広がりつつあるということになっているのですが--長野市では見舞金ということで、これは何か支給しておるのだそうです。
こういう電気代補助ということについて、東京都としてはお考えはどうなんでしょうか。さっきいったように、全くないと、こういう立場でしょうか、お聞きしたいのですけれども。
○有留障害福祉部長 在宅酸素療法につきましては、基本的に公的医療保険制度が適用されておりまして、このような費用についても、基本的には医療保険制度の中で解決すべき問題だと考えております。
委員ご指摘のように、各区市町村で地域の実情に応じてさまざまな単独事業を実施していることは承知しておりますが、東京都が行う補助につきましては、都と区市町村の役割分担あるいは財政的支援の必要性、他施策との均衡を総合的に勘案した上で判断しているところでございます。
したがいまして、東京都が電気代について助成することは困難であるというふうに考えております。
○渡辺委員 たかだか何百万円という補助金ですよ。それさえも、命を本当に落とすかどうかという人たちに対しての援助もできないと。全く冷たい福祉局だと私はいわざるを得ませんね。
じゃ、次に、呼吸のリハビリなどの地域ケア体制づくり、これも一つは重要になっているというふうに思います。
従来病院で行っていた酸素療法が、今では在宅でやられているようになりましたが、在宅酸素療法のみでは、どうしても体力が低下して寝たきりになることもあると。在宅酸素療法をしている患者さんにとっては、残された肺の機能や呼吸筋を最大限に使って、上下肢の筋力、これを訓練するということで、呼吸困難を改善するためのリハビリ、これは極めて重要だと指摘されておるわけなんですね。
そういうことで、在宅酸素療法の患者さんが社会復帰をするためには、地域の専門医や訪問看護婦あるいは医療機器メーカーなど、医療関係者のケアシステムの体系づくりが最も必要だというふうにいわれておるんです。
それで、東京都の心身障害者福祉センターでは、内部障害者の地域支援事業ということで、呼吸リハビリ教室というものを実施しているわけなんですね。区市町村と連携を強めながら、各保健所だとか身近なところの福祉施設を借り上げてそういうものをやる、こういうことを考えてもらえないか、こういう要求なんですけれども、いかがなものでしょうか。
○有留障害福祉部長 現在、心身障害者福祉センターでは、呼吸器リハビリ教室というのをやっておりまして、十三年度を例にとりますと、区市町村との連携のもと、計二十回開催しております。この教室には、保健師、看護師、理学療法士など延べ約二百名、それから障害者ご本人及び家族延べ約二百四十名の参加がございました。
今後とも、区市町村と連携し、事業を実施してまいります。
○渡辺委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
最後ですけれども、もう一つは実態調査なんですけれども、先ほど、一番最初にお聞きしたときに、そういう疾病ごとに調査していないということですが、私はどうしても、やはり命にかかわる問題ということだから、特別この問題を取り上げてお願いしたいと思うんですが、実態が正確に把握できないということだからなかなか対応策も出てこないというふうに思うんです。また、認識も全然違うというふうに思うんですよ。ですから、やっぱりこの実態調査ということをやって、しっかりと実情を把握するということを要求したいと思うのですけれども、それはどうでしょうか。
○有留障害福祉部長 東京都では、障害者等からの意見、ご要望などの聴取の場として、東京都障害者団体連絡協議会を設置して、障害者の生活実態やニーズの把握に努めております。また、各障害者団体ごとに、障害の特性に応じた要望などについてきめ細かに聴取する機会を設けております。さらに、障害者の生活実態をトータルに把握するため、今年度、東京都社会福祉基礎調査を実施しているところでございまして、呼吸器の障害者を含む内部障害者も調査の対象となっております。
○渡辺委員 そういう調査を始めているということであれば、ちょうどいいと思うんですね。したがって、こういう点もひとつ積極的に調査の対象に入れてほしいと。例えば、在宅酸素療法の患者、何人いるのかという問題とか、あるいは年々どれぐらいふえているのか。そしてまた、人数だけじゃなくて、患者が何を求めているのかと。あるいは患者の生活実態、そして、在宅酸素の中断ですね、その理由。そういうものをひとつ積極的に調査の対象にしていただいて、しっかりとつかんだ上でやはり対応できるようにしてほしいと。
やはり調査なくして発言権なしじゃないけれども、調査がないから対応策も出てこないし、あるいは、我々が要求しても、局との差というのかな、ずれというのか、そういうものがあるんだと思うんですよ。ですから、しっかりとその辺は調査をして、実態を把握した上でひとつ対応してもらう、そういうふうにお願いしたいと思います。これは要望にしておきます。
以上で終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時三十六分休憩
午後三時四十七分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大河原委員 私からは、高齢者介護、特にホームヘルパーの確保と地位の向上に向けて、何点か伺っていきたいと思います。
改めて事業概要を見まして、ことしの十五年一月の時点で、東京の六十五歳以上の高齢者は二百六万人、一七・一%ですか、高齢化率が本当に上がってきている。そして、二十七年までにはこれがもう直線的に上昇し続けていくということで、重要な点は、もちろん、高齢者の数がふえるということだけではなくて、その中の要介護高齢者の数が、高齢者人口の増加を上回る、そういうスピードで急増するということだと思います。
特に平成十四年度から十九年までの五年間に、高齢者人口に占める要介護高齢者の割合は一三・九%から一七%へ上昇するというふうに予想されておりまして、二十九万人から四十一万人、十二万人ふえるわけですね、五年間で。ですから、家庭での介護や、身の回りのお世話をして、在宅の要介護高齢者の生活の場から支えていく、こういう現場のかなめが訪問介護員、ホームヘルパーだというふうに考えます。それですから、いかに質量ともに十分なホームヘルパーを養成するかが課題であるわけですけれども、超高齢社会を乗り切るための本当に大きなポイントだと思います。高齢者の皆さんの生活の質を決めてしまうということですから、非常に私は関心を持っているところです。
そこで、ホームヘルパーを取り巻く状況と課題について伺っていきたいと思いますが、まず、現在、人材育成また確保の観点から、東京都としてどのような取り組みをなさっているのか、その点から確認をしていきたいと思います。
○笠原生活福祉部長 多様なサービス提供事業者が、それぞれの特色を生かしながら、互いにサービスを競い合い、そして利用者ニーズにこたえていく、こういう福祉改革の考えを踏まえますと、やはりヘルパー等の人材養成につきましては、基本的には個々の事業者が、みずからの責任において個々に必要な人材の養成確保を図っていくべきものというふうに、私ども考えてございます。しかしながら、事業者の中には、新規にこの訪問介護事業に参入したもの、あるいは小規模な事業者がまだ多数おりまして、これらの事業者は職員の人材育成のためのノウハウを十分持っていない、こういうのが現状であるというふうに思っております。
このため、都は、平成十四年度から、三カ年事業といたしまして、こうした訪問介護事業者を対象にいたしまして、訪問介護計画の作成など重要な役割を担うサービス提供責任者に対して、必要な知識の習得及び技術の向上を図る研修を実施しておるところでございます。
昨年度は、お手元の資料にもございますけれども、九百五十二人のサービス提供責任者に対しまして研修を実施いたしまして、今年度も九百人規模の研修の実施を予定してございます。
また、みずからが自主的に研修を行うことが難しい事業者などに対しましては、職場の中で研修を推進していくコアとなる人材を養成いたします研修リーダー養成講座を実施してございます。昨年度は三百人規模で実施いたしまして、今年度につきましても、昨年度と同規模の実施をいたす予定でございます。
さらに、職場内の研修のモデルテキストの作成も行ってございます。昨年度は、訪問介護とショートステイの二つの研修テキストを作成いたしまして、研修リーダー養成講座の参加者に配布いたしまして、職場内研修の定着に役立ててございます。
○大河原委員 ご紹介いただきましたが、基本的にはヘルパーの人材養成というのは事業者の責任だということですが、東京都が取り組んでおられる養成事業も非常に評価をするところです。
地域において訪問介護サービスが定着してきている、非常に大勢の方々がヘルパーとして働いていらっしゃるわけなんですが、この介護の最前線、残念ながら、一番苦情が出ているのも、このヘルパーに対する利用者さんからの苦情だと思うんです。それでは、これ、どのような苦情が出されているんでしょうか。
○野村保険部長 区市町村、東京都及び東京都国民健康保険団体連合会に寄せられました介護サービスに関します苦情を収集、分析いたしました、平成十四年度東京都における介護サービスの苦情相談白書によりますと、訪問介護に関する苦情といたしましては、ホームヘルパーが家庭のプライバシーに配慮しないなど、従事者の態度に関する苦情や、掃除が雑であるとか、派遣時間に行き違いがあるなど、サービスの中身に関する苦情が多くなっております。
○大河原委員 国保連の苦情相談白書、これを読みますと、やはりいろいろあるもんだなというふうに思います。やはり対人サービスですから、非常に細かな苦情も出てきていて、この点では非常に指導も難しいのかというふうに思いますけれども、基本的にこのような苦情が出てくる背景、原因というのは、どのように認識されておられますでしょうか。
○野村保険部長 ホームヘルパーにつきましては、身体介護や生活支援に関する技術の未熟さとか、接遇面での配慮不足など、個々のヘルパーによりサービスの質にばらつきがあることが苦情発生の最大の原因ではないかというふうに考えております。
○大河原委員 実は、今、利用者の方からのヘルパーの態度とかサービスの中身について苦情が多いというご紹介でしたけれども、利用者の方でもまだまだ意識が変わっていなくて、どうしてもヘルパーの方々を余り専門家として扱っていないんじゃないかと思われるような節もございます。
ですけれども、先ほどご紹介いただいたように、一方では一生懸命人材養成をしていて、質の確保を図るための努力はかなりされてきていると。でも、現在は、訪問介護の分野でもさまざまな事業者が参入しておりますので、その点では中小零細の事業者、介護報酬が低いためでしょうか、常勤のヘルパーの採用ができずに、登録ヘルパーに頼らざるを得ないというような事情も聞いています。私はそういうようなところも非常に大きな問題になってきているんじゃないかと思うんですが、現在の指定訪問介護事業者において、常勤、非常勤ヘルパー、そしてまたいわゆる登録ヘルパー、この割合はどんなふうになっているんでしょうか。
○福田高齢者部長 財団法人介護労働安定センターが平成十四年八月に報告しました事業所における介護労働実態調査によりますと、常勤の方がおよそ三割、非常勤の方が二割、いわゆる登録ヘルパーの方が五割となっております。
○大河原委員 登録ヘルパーが五割というのは、私も改めて伺いますとちょっと驚く割合なんですけれども、研修をして資格を取られてもきちんと仕事につかない方もいらっしゃるということがありまして、まだまだ労働条件が整っていなくて、そういう仕事をしようという意欲がわいてこないような状況があるんじゃないかと思います。
そこで、伺っておきたいのは、登録ヘルパーと一般の民間パートタイマーですね、短時間労働。ここで、平均、時給でどのぐらいの差が出ているんでしょうか。そして、登録ヘルパーの方の平均的な月収というものがあるなら、それはどのぐらいの額になっているんでしょうか。
○福田高齢者部長 やはり財団法人介護労働安定センターが平成十三年十一月に報告しました介護労働者の労働環境改善に関する調査研究報告書によりますと、一般のパートタイマーの時間給が九百八十七円であるのに対しまして、登録ヘルパーの時間給は千三百五十三円、それから、平均月収は六万六千九百三十四円となっております。
○大河原委員 伺うと、今の時給は登録ヘルパーの方の方が多いんですけれども、登録ヘルパーというのは、いつ仕事があるかわからないわけですよね。ですから、生計も安定しない。そして、同じ仕事ではありますけれども、大変な仕事という割には報酬が低いというふうに感じられたり、また社会的な評価も低い、そういうふうに扱われているというふうなストレスもあると思います。専門性や、移動、待機時間が出てくる仕事の特殊性というのもあると思うんです。
今は賃金のことを伺いましたけれども、正社員と比べて、じゃ、登録ヘルパーの方々への処遇、これはどうなっているんでしょうか。
○福田高齢者部長 財団法人介護労働安定センターが平成十四年八月に報告した介護労働者就業意識実態調査結果報告書によりますと、例えば通勤手当の適用割合ですが、正社員が七八・八%に対し、登録ヘルパーは二六・四%。それからボーナスの適用割合は、正社員が七五・九%に対し、登録ヘルパーが九・九%。退職金の適用割合は、正社員が五五・八%に対し、登録ヘルパーが〇・四%といったような違いがございます。
○大河原委員 改めて伺うと、すごい格差ですよね。やはりヘルパーの仕事は、一人でそのお宅へ出かけていって、かなり孤独な仕事だというふうに思いますけれども、そういった意味では、そのヘルパーさんご自身が、苦情とか不満をぶつけるそういう場所もなくて、特に介護の技術的な、専門的な悩みもあるでしょうし、また、ケアハラスメントというんでしょうか、利用者さんからの扱われ方だとか、場合によってはセクハラなんというのもあるかもしれませんし、そういった深いストレスを持つと思うんです。
そこで、こういうヘルパーの方々を対象とした身近な相談機能が必要だというふうに私はかねがね思っているんですが、この点はどんなふうなご見解をお持ちでしょうか。
○福田高齢者部長 ホームヘルパーの仕事上、業務上の相談につきましては、適切なサービスを提供するという観点からも、第一義的には登録ヘルパーを雇用している事業者が責任を持って対応すべきことであろうと考えております。しかしまた、個別のケアに関する具体的な問題によっては、サービス担当者会議など、サービスにかかわる人々の連携によって解決することも多いと思われますので、都としてもケアマネジメント体制の充実などに努めていきたいと思っております。
なお、法律的なこと、あるいは労働問題に関するようなことなど、専門性のある問題につきましては、その内容に応じまして、例えば労働基準監督署あるいは東京都の労政事務所あるいは福祉局等、場合によっては区市町村など、それぞれの機関が対応しているところでございます。
○大河原委員 ホームヘルパーの方々は、相談したい場所がなかなか見つからないわけです。もちろん、自治体は、利用者からの苦情は受け付けるけれども、ホームヘルパーの苦情とか相談を受け付ける場はありませんし、今、事業者が基本的にはそういう声を受けとめるべきところだというふうにおっしゃったんだけれども、それをいったとたんに自分に次の仕事が回ってこないかもしれない。そういうこともすごくブレーキになって、そういう相談は雇われている先の事業者にはなかなかいえない問題じゃないかというふうに思うんです。
シンポジウムで、ヘルパーがいない、これでいいのかヘルパーの地位、こういうシンポジウムもありましたので、この資料などを見せていただくと、やはりこういう個人で働いていらっしゃる、個人加盟の労働組合、ケアユニオンですね、これがことしの三月に結成されているんですけれども、ここに、労働相談よりは、むしろそういう悩みの相談とか介護の問題での相談とか、そういう問題がかなり寄せられているという事実もあるわけなので、ぜひケアマネジャーと同様に、ホームヘルパーの方々が相談できる場所、そういう機能をつくっていただきたいというふうにお願いいたします。
また、実際に在宅サービスを提供しているヘルパーからは、ケアマネジャーがつくったケアプランが、実は利用者の人の状況と合っていない、こういうことも発見できるわけですよね。でも、そういうケアプランの見直しというものも、丁寧に行われているはずなんですが、やはりプランの見直しなど、フォローの機会というものは少ないんじゃないかというふうに聞いています。ケアマネが非常に忙しいということもあると思うんですが、ケアマネジャーとヘルパーがどの程度相談や情報交換をしながら、ケアプランの見直し、また作成などを行っているのか、この点についてはどう把握していらっしゃるでしょうか。
○野村保険部長 ケアプランの作成やその見直しに当たりましては、サービス担当者会議などを通じまして、ホームヘルパーを初め介護サービスに携わる方々の意見を反映するとされておりますけれども、現状では、こうした仕組みがうまく機能していないケースも多いのが実情でございます。
現在、都では、ケアマネジャーの業務に関する実態調査を進めているところでございまして、その結果も踏まえまして、ホームヘルパーを初めとするサービス担当者との緊密な連携を推進するための方策について鋭意検討しております。
○大河原委員 建前どおりに運営されていないことが利用者からの苦情につながり、また、ヘルパーの方々の不満にもつながっているというふうに思います。ホームヘルパーなどとの緊密な連携を推進する方策について検討していくというただいまのお答えですので、これに期待したいと思いますが、実際に地域でのケア会議にヘルパーが出席をする、ここに参加するというためには、その時間ですとか、そのための報酬、見返りですね、手当、こういうものを基本的にそろえていかなければ、現実的なものとは思われませんので、ぜひこの点での改善を求めたいというふうに思います。
それで、東京都は、東京の介護保険を育む会という会を設置して、これまで議論をされてきているわけですけれども、ホームヘルパーに関してはどのような議論をなさってきたのか。ちょっと外から見ると見えないんですけれども、いかがでしょうか。
○野村保険部長 介護保険制度について、東京の大都市特性を踏まえた検討、協議を行うために、先生、今お話しのとおり、平成十三年度から設置しております東京の介護保険を育む会では、平成十四年三月の報告書の中で、ヘルパーを初めとする介護の専門職の能力向上に資する取り組みを強化する必要があるという提案を行っているところでございます。
○大河原委員 在宅サービスの中心でありながら、さまざまな課題を抱え込んでいるのがこのホームヘルパーというふうに思いますけれども、ケアマネジャーについては、資格要件ですとか報酬など、提案も数々されてきていると思いますけれども、やはりホームヘルパーについては提案が少ないんじゃないかなというふうに思っております。
この介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案、これでも、具体的な提案として、在宅及び施設において介護サービスを担う人材について、適宜適切に、資質向上が図れるよう、教育、研修を体系化し、その受講を義務づけるなどの仕組みを構築する、こういう提案があるんですけれども、やはり、福祉人材、介護人材といったときに、並んではいるんですよね、名目としてケアマネジャー、ヘルパーさんと。でも、それじゃ、ヘルパーのために何をしているかと、ちゃんと突き詰めて見ていくと、やはりそのサポート、地位改善に向けては、なかなか提案が薄いというふうに思います。
何度も申し上げるのもあれですが、研修の義務づけだけではなくて、やはり、この間改定があったばかりですけれども、訪問介護報酬のあり方についてぜひとも提案をしてもらいたいというふうに思っています。
それで、ここのところですけれども、せっかくこの試案に、こういう受講を義務づける、研修が大事というふうに書かれているわけですから、それなりの認識があるんだというふうに思いますので、その点について最後に伺いたいと思いますが、どうでしょうか。
○野村保険部長 介護サービスの質を向上させていくためには、先生お話しのとおり、ヘルパーを初めとする介護サービスを担う人材の資質向上を図ることが重要でございます。特に、ホームヘルプサービスにつきましては、先ほどのお話にもありましたが、家庭の中で一対一のサービス提供を行うため、ホームヘルパー一人一人の資質の向上が不可欠でございます。そのための具体的な方策といたしまして、研修体系を整備するとともに、その受講を義務づけることが有効であると考えまして、提案したところでございます。
○大河原委員 何度も申し上げておきますけれども、ホームヘルパーがやはり専門的な仕事だという認識をだれもが持つこと、このことがやはりホームヘルパーの方々ご自身の自信にもなってくるので、このことは非常に大事だと思います。そして、仕事の特性上、ケアの前後の時間のことですとか、小間切れの時間帯になってしまうことですとか、かなり働き方としても特殊な働き方になると思うんですけれども、こういう仕事の特性に配慮した賃金が得られるように、今後とも介護報酬の設定、ぜひとも国に働きかけ続けていただきたいというふうに思います。
そして、二点目にぜひ要望しておきたいのは、申し上げましたように、ケアマネジャー同様に、ヘルパーの専門的な相談窓口、この設置は早急に必要だと思っているんです。
私の周辺にもこういうヘルパーの仕事をしている人たちがたくさんいますけれども、何件も受け持って、本当に高齢者の方々と親身になってやればやるほど自分が落ち込んでくる、その思いをだれにも伝えられないということがあるんですね。やはりそれが仕事への意欲を失ってしまうことにもなりかねませんし、ぜひそういう相談の窓口、またヘルパー同士が情報交換をする場所ですとか、こういう交流の場なども必要かというふうに思います。もちろん、介護保険制度を運用する自治体自身の責任というふうにも思いますけれども、なかなか突破口が開かれませんので、ぜひ東京都としてもこの問題を強く取り上げていっていただきたい。
そして、新規参入事業者が出てくる。これが、続々とということであれば、やはり質の面でのでこぼこが出てきてしまいますので、今東京都が取り組んでいる中小零細事業者への支援にもなると思いますが、この研修をすること、ぜひ継続的に行っていっていただきたい、そこまでが私は東京都の責任じゃないかというふうに思うんです。サービス提供者研修、それから人材育成事業の継続はぜひともお願いします。
そして、ホームヘルパーの方々の質の確保、それから、量の確保といういい方はちょっと失礼かもしれませんが、資格を持っている方の数は確かに足りているのかもしれませんが、本当に働く意欲があって、そしてそういう中身の伴った数が確保されているのかどうか、その点については、やはり実態がどういうふうになっているかというような調査も必要で、それに合わせて実態の上から必要な研修というのも中身が出てくるんだというふうに思いますので、ぜひともヘルパーの確保と地位の向上に向けてご奮闘いただきたいと思います。幾らケアマネジャーがいいプランをつくっても、本当の現場でそれが実行されない、技術的にも未熟だということであれば、これは元も子もなくなりますので、ぜひお願いいたします。
高齢者のヘルパー問題はこれで終わりまして、民間社会福祉施設サービス推進費補助、これについて、もう何人もの方が質問に立たれましたので、私は最後に一点だけ伺っていきたいと思います。
今回の再構築は、都として望ましい水準の確保と施設の努力が報われるものへと補助体系を大きく変えていこうということですよね。利用者サービスを向上させようというふうにするものだと理解しております。
しかし、福祉サービスは対人サービスであって、専門性の必要な仕事であることも確かなことです。サービスの向上を目指した今回の再構築によってサービスの質の低下が生まれるようであっては、本末転倒といわなければなりません。少子高齢化が進み、都民ニーズが多様化する社会状況において、例えばさまざまな保育のニーズが出てくると思いますけれども、こういうことにも対応することが求められているというふうに思います。
こうした中で、十一日に、望ましいサービス水準を確保するための基本分と、地域子育て支援推進費の加算、これを含めた施設の努力、実績に応じた加算の二つを補助体系の大きな柱とする再構築の内容が示され、また、三年までの経過措置について、施設代表者の皆さん、そして東京都の間で合意がなされたというふうに聞きました。
これまで東京都が十二回にわたって懇談会を開催して、そしてまた、部会や、保育関係者と意見交換を行ってきたこと、そして今回の合意に至ったというふうに理解しますけれども、一方では、各施設、そしてまた利用者の皆さんの声、こういうものを聞きますと、本当の意味でこの再構築の目的とか内容が理解されているとは思えないんです。これまで十分な周知が行われてきたというふうには残念ながら思えません。そのために多くの不安の声が生まれておりますし、また、きょうもたくさんの傍聴者の方がおいでです。今までの合意に至るまでの東京都の情報提供、こういうものが不十分であったのではないでしょうか。
それで、今回の再構築の実施は、来年の四月一日からということですよね。少なくとも、実施までに、行政の責務として、施設や利用者に十分な情報開示を説明責任として果たすことが求められていると思います。また、努力目標、実績の項目については、都民のニーズに対応できるよう、関係者などから意見を十分に聞いて適宜見直しを行うべきというふうに考えますが、最後に見解を伺いたいと思います。
○並木参事 再構築の検討に当たりましては、施設代表者との懇談会のほか、各施設を所管する部署においても、部会との意見交換を積み重ねまして、再構築についてのご理解を得てまいったところでございます。また、その過程においては、懇談会に出席している方々などからも、それぞれの施設に対しまして意見交換の内容等についてご説明をいただいてきたというふうに理解してございます。
都としましては、今後、再構築の目的が十分に周知され、理解されるよう、再構築の内容や事務手続等について、各施設、法人に対する説明会等を開催するなど、円滑な実施に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。
また、努力加算等につきましては、今後の社会状況等の変化や都民ニーズの変化などに的確に対応するため、関係者との意見交換を行いながら、必要に応じて適宜見直しを行いたいというふうに考えてございます。
○山加委員 去る八月の下旬に、第四期の東京都福祉のまちづくり推進協議会から、知事あてに、二十一世紀の福祉のまちづくりビジョンのあり方についての意見具申があり、私も大変興味深く読ませていただきました。
その冒頭には、本格的な少子高齢社会を迎えた今、高齢者や障害者を含むすべての都民が、社会の構成員の一人として生きがいを持って生活、活動できるよう、ノーマライゼーションの社会の一日も早い実現を求められている、そのためには、生活者としての権利と自己決定権が尊重され、住みなれた地域で自立を支えるまちづくりを推進する必要があると、このように述べられています。
こうした理念に基づいて、都民の身近な日常生活にかかわる公共施設、例えば道路の段差解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置、公園の手すりやだれでもトイレの設置など、さまざまなバリアフリー化への取り組みが進められてまいりました。私は、こうした取り組みによって、高齢者や障害者などの毎日の生活は、昔と比べ格段に行動しやすくなったと思っております。しかし、まだまだたくさん見直すべき課題も多くあります。そういった課題に取り組むことによって、この東京のまちをもっともっとだれにとっても暮らしやすいまちにしていくことができるはずであり、また、そうでなくてはなりません。
私は、そういった観点から、都は今月下旬に第五期の福祉のまちづくり推進協議会をスタートさせましたが、前期の提言等を踏まえまして、私たちにとって東京がより一層暮らしやすいまちへと変わっていくためには、都としてどのような検討を推進協議会にお願いをしたのか、まず伺います。
○笠原生活福祉部長 現在、福祉改革の一環として取り組んでおりますバリアフリー化緊急整備事業、この取り組みの成果もございまして、歩道、公園などの公共施設あるいは建築物、公共交通機関などにおけるバリアフリー化は着実に進んでございます。
しかし、こうした取り組みの成果も、個々の施設のスポット的な整備、いわば点としての部分的な整備にとどまっておりまして、これを連続性のある線あるいは面的な整備へとどう進めていくのか、あるいはまた、ハード的な整備に加えまして、都民と事業者が共同してまちづくりに取り組む仕組みを構築することなど、ソフト面をより重視した取り組みを図っていくこと、さらにはユニバーサルデザイン、情報バリアフリーなど、新たな課題に積極的に対応していくことなどが、今後の福祉のまちづくりの主要な課題であるというふうに私ども認識してございます。
こうした都の認識と、本年八月の第四期推進協議会からの提言を踏まえまして、今期の協議会では、ユニバーサルデザインを基本としたまちづくりの推進。第二点目として、小規模建築物、既存建築物のバリアフリー整備の一層の推進。三点目といたしまして、子育てをしている人が安心して社会参加できるまちづくりの推進。四点目といたしまして、だれもが必要な情報を入手できるようにするための多様な情報提供の推進策など、主として四つのテーマについて検討していく予定でございます。
○山加委員 ただいまのお答えの中に、ユニバーサルデザインという言葉がたびたび出ております。最近は、テレビのコマーシャル、また新聞広告などでよく耳にいたしますし、また目にする言葉ともなってまいりました。
このユニバーサルデザインという考えが急速に広まり始めた背景には、二十一世紀が人権の世紀、高齢者の世紀、また環境の世紀であることが挙げられますが、これからは、だれもが今まで以上に一人の人間として尊重され、それぞれの個性が大切にされる時代となってきております。また、世界的にこの日本は、世界に類のない速さで高齢化が進んでいるわけですが、今から将来への備えも必要であります。加えて地球環境に優しい循環型社会の構築も同時に求められております。
私たちが直面しているこうした今の時代状況を考えましたときに、ユニバーサルデザインは今後の社会のあり方を占う一つのキーワードであり、また二十一世紀の社会を形づくる上での基本となる概念といえると思います。私は、こうした位置づけ、意味合いを持ったユニバーサルデザインについて、行政だけでなく、都民や事業者を巻き込んだ具体的な検討を推進協議会の場において早急に行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
○笠原生活福祉部長 先生ただいまお話しのとおり、私どもといたしましても、少子高齢化が急速に進み、そして循環型社会への転換が求められる今日、だれもが障害の有無あるいは年齢等にかかわりなく快適に暮らし、そして社会参加できるまちづくりを進めていく上で、ユニバーサルデザインの理念の普及拡大、これは早急に取り組むべき課題であるというふうに認識してございます。
このため、今月初旬にスタートいたしました第五期の福祉のまちづくり推進協議会のもとに、ユニバーサルデザインを審議いたします専門部会を設置いたしまして、都民や事業者を交えて重点的に検討を行うことといたしてございます。
専門部会におきましては、ユニバーサルデザインの考え方の整理、それから普及拡大に向けた具体策、あるいは指針の作成、それから推進体制、仕組みづくりのあり方などにつきまして検討を行い、平成十六年度の七月ごろを目途に検討内容を取りまとめていく予定でございます。
○山加委員 ぜひとも積極的なご検討を期待したいと思います。
また、高齢者や子ども、障害者などの目線に立って、実効性のある方策を早期に実現していくことも重要であります。
そこで、外部のこうした協議会の検討に多くをゆだねているだけではなくて、都みずからも、ユニバーサルデザインの普及拡大に向け、できるものについてはすぐに取り組む、そうした対応が必要と思います。
例えば福祉機器について見ますと、例えば車いすや松葉づえ、それは、利用者にとっては、道具、器械ではなく、体の一部としての機能としているわけですから、その人の体の成長や老化に合わせて機能や形状などを調整する必要が出てまいります。器械の開発や改良などへの対応が必要となってまいります。それには、それを毎日使っている利用者個々のニーズをつくる側に伝えていくなど、まさにつくる側と使う側をマッチングさせていくような仕組みづくりも考えていくべきであると思っております。
また、ユニバーサルデザインという用語自体の理解を都民の間に広げていくことも大切であります。バリアフリー、ユニバーサルデザイン、ユビキタス社会、世界の福祉レベルは物すごい速さで向上しております。日本では、バリアフリーという言葉は、やっと日常語となってきたかなという感もいたしますが、まだユニバーサルデザインという言葉は--私もよく、老人クラブや敬老会に行って、ユニバーサルデザインという言葉を使いますと、まだまだ高齢者の皆さんにはほとんど理解されていない、浸透されていないというのが現状であります。今後は、ユニバーサルデザインを都民の間に浸透させていくためには、都としても普及、推進活動に取り組んでいくことが必要と考えます。ぜひとも積極的なご検討を期待したいと思います。
そこで、都自身が今後、まず隗より始めよという考えに立って、協議会での検討と並行して、このユニバーサルデザインの普及、推進に向け、どう取り組んでいかれるのか、所見をお伺いいたします。
○笠原生活福祉部長 ユニバーサルデザインは、バリアフリーよりも広い概念でございまして、建築物や道路などのいわゆる施設だけではなくて、製品、サービス、それからシステムなどのソフトウエア的なものまでも含めた多岐にわたる概念でございます。こうした考えに基づきまして、今後の福祉のまちづくりへの対応を考えた場合、そこで生活をしている人が、障害の有無や性別、年齢などにかかわりなく自由に利用でき、そして快適に行動し、暮らしていけるよう、都市の施設だけにとどまらず、身の回りの生活用品に至るまで、すべてをユニバーサルデザインの視点から見直していくことが必要でございます。
そのためには、先生、今ご指摘のとおり、製品、機器の開発、改良などのものづくりや、情報やサービス提供に関するソフト的な取り組みも重要でございます。また、都民や事業者のユニバーサルデザインに対する理解の促進と意識の醸成も今後の大きな課題というふうに考えてございまして、そのためのPRや、普及、推進に向けた仕組みづくりも必要でございます。
今後、都といたしましては、ただいまのご提案の趣旨を踏まえまして、多くの都民が利用する都立施設などにおいてユニバーサルデザインを普及、推進していくための検討組織の設置、検討の結果や取り組みの成果についての区市町村への情報提供、あるいは区市町村における取り組みの働きかけ、事業者等の取り組み状況の調査と、それを踏まえた情報提供の仕組みづくり、ユニバーサルデザインの普及や、製品開発、改良を推進していくための利用者と事業者を結びつける交流の場づくりなどにつきまして、早急に検討してまいりたいというふうに思ってございます。
○山加委員 ユニバーサルデザインのソフトの一つに含まれると思うんですが、次に、私は、昨年の五月に身体障害者補助犬法が成立した直後、第二回都議会定例会におきまして、この法律は、身体障害者の自立と社会参加の促進にとって、やっと世界の常識に追いついた、日本としては画期的な法律であることを申し上げました。昨年十月の法の施行から一年が経過した現時点での法の施行状況を踏まえまして、改めて都としてこの法律をどのように評価しておられるのかを伺います。
○有留障害福祉部長 この法律は、盲導犬、介助犬及び聴導犬を身体障害者補助犬として明確に法に位置づけるとともに、障害者が補助犬を同伴して利用する場合、各種施設に受け入れを義務づけるなど、障害者の自立と社会参加を促進する上で非常に重要な意義を持っております。法の施行以降、マスコミでの報道などにより、身体障害者補助犬についての社会的認知は、従前に比べれば進んできているのではないかというふうに考えております。
また、従来の盲導犬の訓練事業者に加えまして、介助犬、聴導犬の訓練事業者についても、本年十月一日現在で、東京都内の事業者一カ所を含む全国十四カ所の事業者が社会福祉事業としての届け出を行っており、育成基盤も徐々にそろいつつあるというふうに認識しております。
○山加委員 盲導犬につきましては、ただいまのご答弁にありましたように、これまでも比較的知られておりましたけれども、介助犬そして聴導犬については、この法律の施行により初めて知ったという方も多いのではないかと思います。
ご存じのように、本年の十月一日からは、公共施設や公共交通事業者に加え、不特定多数が利用するホテル、デパート、レストランなどの民間施設についても補助犬の同伴を拒否できなくなりました。身体障害者にとっては、補助犬は自分の目となり耳となり、あるいは手足となって動くものであり、補助犬の同伴を断ることは、障害者自身の店舗利用を妨げることにもなります。
最近マスコミ等でも身体障害者補助犬を取り上げることがふえ、社会の理解が進んできているとは思いますが、いまだに一部ではペットと同じ扱いを受け、入店を断られるという話を聞きます。法には罰則等に基づく強制力がなく、努力義務にとどまっておりますけれども、障害者の方の自立と社会参加を果たす上では、民間の施設が身体障害者補助犬を同伴する障害者を積極的に受け入れることが非常に重要であることを、もっと訴えていく必要があるのではないかと思っております。
都として、法の趣旨、都民の理解を得るための周知、広報活動に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
○有留障害福祉部長 先生ご指摘のように、補助犬を使用する障害者が民間の施設を円滑に利用できるよう、民間事業者への周知徹底を図ることが何よりも重要であると考えております。都としても、「広報東京都」やホームページなど、さまざまな広報媒体を通じて周知を行っております。また、ホテル、旅館、飲食業関係、理容・美容団体など、多くの民間事業者団体に説明に行ったり、あるいはポスター、リーフレットを配布して、法の趣旨や内容等の積極的な周知に努めております。
さらに、本年九月には、民間の補助犬普及啓発団体の作成による、補助犬法の趣旨をわかりやすく解説したビデオ、これは「心のバリアフリー 社会のバリアフリー」というタイトルでございますけれども、約二千四百本を、都が協力いたしまして、区市町村や都立高校、図書館、都内の小中学校に順次配布し、補助犬についての周知を図っているところでございます。
○山加委員 最近では、補助犬を受け入れることを表示いたしましたシールを入り口のところに張っているデパートやスーパーが、この法の施行とともに大変ふえてまいりました。しかし、そのシールを見ますと、さまざまなデザインがありまして、統一的なものはありません。
私、今、手元にあるんですが(実物を示す)盲導犬協会は割と古くからあります。日本で九団体、東京都には二団体ありまして、これがやはりそれぞれシールが違います。そしてまた、この法の施行に伴い、関西方面の介助犬協会が、これが介助犬のシール。それと、東京都内に一団体、聴導犬、盲導犬、介助犬すべてを一括した補助犬の協会がありますが、そこのシールがこれですね。それで、厚生労働省が出しているのが、これが一番遅いんですけれども、このシールであります。
このシールは、いずれも補助犬の育成団体がそれぞれ独自につくっているもので、育成団体にはそれぞれの歴史があることから、直ちに統一的なデザインにするということは難しいかもしれませんが、やはり都民が一目でわかるためにも、デザインは統一すべきではないかと私は思っております。
そのためにも、東京都として、例えば、予算的なこともありますけれども、東京都の中で出している団体のシールが、どんなものがあるかということを告知するのもまた一つの例だと思いますし、また東京都として、独自に同じようなデザインのものをつくってもいいかと思います。そしてまた、逆に、厚生労働省のこの統一シールを普及啓発するのもまた一つのやり方かもしれません。
いずれにいたしましても、盲導犬というのは全国に約九百頭近くおりますけれども、まだまだ世界的に見たら数は少ないわけであります。そしてまた、介助犬に関しましては、今まだ数の把握というのははっきりできていないようでありますけれども、日本全体で約四十頭、聴導犬に至っては約十五頭近くといわれております。アメリカでは三千頭近くの聴導犬が活躍しているわけですから、それに比べますと、まだまだ数の部分では、補助犬法がスタートいたしましても、実際にその犬を見るという都民は非常に数が少ないと思うんですね。
そういう意味でも、このようにばらばらなシールが入り口で張られているようでは、やはり普及啓発という部分でも一つの課題を残しているかなと思いますので、どうかその部分、要望しておきたいと思います。
それから、都の大きな役割は、私は、法の趣旨、内容を都民に積極的に周知することと考えますけれども、補助犬の育成、給付についても、都として取り組んでいく必要があると考えます。
盲導犬の育成、給付事業は、既に昭和四十四年から実施されておりまして、都内でもこの事業により育成、給付された盲導犬が多数活動しております。しかし、介助犬、聴導犬につきましては、先ほど私が申し上げましたとおり、まだ数十頭しかおりません。都内での聴導犬は、今月初めて一頭目が認定されたところであります。
補助犬を必要としている障害者の方は多数おられるはずであり、補助犬給付により障害者の行動範囲を拡大することができます。そのためにも法の整備がなされたはずであります。障害者の自立と社会参加の促進のために、新たに給付事業を、介助犬、聴導犬に加え、私は都として補助犬の育成全体を支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
○有留障害福祉部長 お話のとおり、盲導犬については、都は、国に先駆けまして、昭和四十四年から育成、給付事業を実施してまいりまして、十四年度末までに延べ二百五十一頭の盲導犬を視覚障害者に給付し、視覚障害者の自立と社会参加に大きな役割を果たしてきたと考えております。新たに補助犬法に位置づけられた介助犬と聴導犬につきましても、今後の需要や訓練事業者の実態等を踏まえ、事業実施について検討してまいります。
○山加委員 ただいまの答弁の数字によりますと、現在日本で活躍している約四分の一の盲導犬が東京都の助成によって給付されたということ、その数字は大変高く評価をしたいと思います。
しかし、給付の際なんですが、盲導犬、聴導犬は、障害者の機能欠損、目がご不自由、耳がご不自由と、大変はっきりしていますから、訓練がほとんど終了してからユーザーとパートナーが組まれ、最後の仕上げとなるわけですけれども、しかし、介助犬の場合には、機能欠損を補うように、ユーザーとの個々のオリジナリティーな訓練が、最初から犬とパートナーを組みながらスタートされるわけであります。したがって、給付の際は、ユーザーの希望に合わせて育成団体の指定ができるよう、偏りのない支援がなされなければならないと思いますので、どうか公正公平になるように努めていただきたいと思います。
次に、障害者のホームヘルプサービスについて伺います。
在宅サービスの中でもホームヘルプサービスは、障害者の地域での自立した生活を支えるまさに基本的なサービスでありますが、私はことし、第二回定例会の一般質問におきまして、ホームヘルプサービスの充実と国庫補助金の問題について、都の見解と対応について伺ったところであります。
この問題はもともと、昨年の末、国がホームヘルプサービスの国庫補助金に上限を設けることを検討していることが明らかになり、社会的に大きな混乱を招いたことが発端であります。現在の状況がどうなっているのかを伺う前に、まず、確認の意味で、この問題についての経緯を改めて伺いたいと思います。
○有留障害福祉部長 この問題は、昨年末、国が突然、国庫補助金に全国一律の上限を設けようとしたことが発端となりまして、全国の障害者団体などが国に大規模な抗議行動を行う事態となったものでございます。東京都は、いち早く要望書を国に提出しまして、上限設定は、負担を地方にしわ寄せするものであることから、国庫補助金に一律的な上限を求めないこと、また、十分な財源の確保について強く申し入れを行いました。
その後、他の自治体が追随する中で、国と粘り強い協議を進めてまいりました。その結果、国は、全国の自治体、障害者団体等の要望を踏まえ、従前の補助額を確保する経過措置を講じることとしました。
また、本年五月には、学識経験者や障害者団体などで構成され、都も参画しております検討会を設置し、現在、ホームヘルプサービスなどを初め、地域生活支援に関するさまざまな議論を行っているところでございます。
○山加委員 ことしの四月からホームヘルプサービスは支援費制度へ移行し、利用者がみずから必要なサービスを選択できることになりましたが、東京都内、区市町村のホームヘルプサービスの提供状況がどうなっているのか、あわせて、全国的に見てサービス提供の動向がどうなっているのか、伺います。
○有留障害福祉部長 都が行った調査によりますと、都内区市町村におけるホームヘルプサービスの利用時間は、本年四月の支援費制度移行後、大きく増加しております。一人当たりの月平均利用時間を見ますと、重度の全身性障害者の日常生活支援は二百三十時間、視覚障害者の移動介護は二十三時間、知的障害者の移動介護は十三時間で、昨年度と比較しますと、例えば日常生活支援では一・五倍となっております。この調査結果から事業費を試算いたしますと、平成十五年度の事業費は、十四年度と比較しまして三四・一%の伸びが見込まれます。
また、厚生労働省による平成十五年四月分についての全国調査結果では、平成十三年度と比較して、一人当たりの利用時間は、移動介護についてはほぼ同水準でございますが、重度の全身性障害者の日常生活支援は百三十五時間で、一・六倍となっておりまして、全国的に見ても大きく増加しております。
○山加委員 全国の自治体、障害者団体が、昨年末以来、この国庫補助金の確保については大変注目をしております。全国的に見ても、ホームヘルプサービス提供量が増加している中で、国は国庫補助金問題にどのように対処しようとしているのか、現在の国の動向について伺います。
○有留障害福祉部長 国は当初、従前の補助金額を確保するため、昨年度までの利用実績をもとに国庫補助金を配分する意向を示しておりました。しかし、全国的にサービス量がふえている状況を踏まえまして、今月に入りまして、ブロック別に各都道府県の意見を聞いておりますが、その中で、財源確保のためなお最大限の努力をすること、さらに、国庫補助金の配分方法について検討を進めることを明らかにしております。
東京都といたしましては、全国的にサービス利用時間が大きく増加している現状において、サービス提供量に見合った国庫補助金が確保できなければ、結果的に地方に負担がしわ寄せされることを強く懸念しております。
○山加委員 増加したサービス量に見合った国庫補助金が交付されなければ、今後の事業運営には大きな影響を及ぼすことは明らかであります。また、利用者の障害の状況に応じてサービス支給量を決定するという支援費制度の仕組みの根幹にかかわる重要な問題でもあります。国の動向等を踏まえ、都としてこの問題にどのように取り組んでいくのか、最後にその決意を伺い、私の質問を終わります。
○有留障害福祉部長 ホームヘルプサービスは、障害者が地域生活を送る上で基幹的なサービスでございまして、障害者のニーズに沿った適切なサービス量の提供が必要でございます。このサービスの必要量を確保し、充実していくためには、国の責任において財源を確保するのが不可欠であると考えております。
都の独自の推計によりますと、平成十四年度実績をもとにした従前額と、十五年度の実績見込みを比較いたしましたが、事業費ベースで九億円を超える国庫補助金の歳入不足が見込まれております。このため都は、国庫補助金が適正に交付されなければ、区市町村が決定するサービス量の抑制にもつながりかねない、そういうことから、先月二十八日に国に緊急要望を行ったところでございます。この間、関西など七府県知事連名による緊急要望、あるいは十二大都道府県障害福祉主管課長会議が国に要望を行うなど、その動きは、障害者団体等も含め、全国的に広がりつつあります。
今後とも、全国の自治体等と連携をとりながら、あらゆる機会をとらえて国に強く働きかけてまいります。
○大山委員 私は、まず最初に、サービス推進費について伺いたいというふうに思っています。私たちは、第三回定例会代表質問、それからこの厚生委員会でもこの問題を取り上げました。きょうも、保育園のことを中心に質疑をしていきたいというふうに思っています。
それで、最初に、ちょっと先ほどの発言に関連して、国基準で運営できるものと考えているというふうにご答弁がありました。これは、第三回定例会で初めて答弁として出てきたものですけれども、また、きょうも答弁されています。
それで、この国基準というのがどういうものであるのかということなんですけれども、例えばある園の園長先生が、国の運営費だと我が園では--その方の園では、二億円の一年間の運営費が九千万円になってしまうというんですね。これでどうして運営できるのかということで、この国基準で保育ができるというところに足を踏み入れたのは間違いだというふうに指摘しているわけです。
国に認証保育所を国のスタンダードとして認めさせるように東京都が目指していっているわけですから、より水準を低くしてしまうという方向が都が目指しているものだというふうにいわざるを得ないというふうに指摘しておきます。
サービス推進費についてですけれども、保育の質を高めるためには人の確保が重要であって、人の確保のためには給与が大変重要な役割を果たしている、これは公私格差是正事業の創設以来の考え方ですけれども、この考え方は、サービス推進費への変更のときも変わらないということは、知事からも表明されたことです。
しかし、今回の再構築案というのは、この考え方を根底から崩すもので、まさに東京の保育、福祉の基本的な考え方、あり方の根本問題にかかわることだというふうにいえます。だからこそ、多くの方々が、東京の福祉や保育が危機的な状況に今あるんだ、そういう認識を持っているわけです。このときに、今、すべての関係者や、そして都民的な議論が不可欠なものだというふうに私はまず述べたいというふうに思っています。
まず、合意をしたということなんですけれども、福祉局が出した単価案での試算ですね、影響額と削減率は総額でどうなるのかということと、保育の分野でどうなるのかということを示してください。
○並木参事 再構築後の補助の状況ですけれども、基本補助と努力・実績加算とで構成されるわけですけれども、努力・実績加算については、今後の施設の努力によって補助額が大きく変動いたします。そういうことがございますけれども、そういった前提のもとに、各施設の現在の取り組みや利用者状況等を勘案して推計いたしますと、十四年度決算額が約二百五十六億円ですが、これをベースとした再構築後の推計額は約二百三億円でありまして、影響額は約五十二億でございます。約二割のマイナスでございます。
なお、保育所につきましては、A経費相当が区市町村補助となっておりますので、そちらを勘案しますと、十四年度決算額は約三百六十六億円、再構築後推計約三百三十四億円となり、影響額は約三十二億、八・七%の減でございます。
○大山委員 保育園は、A経費はもう区市町村への補助金になっているわけだから、今回は関係ないわけですよね。きちんと示してください。保育所の現在の十四年度の決算額、それから本則適用後の額、そして影響額と増減率。
○並木参事 今回の再構築は、A経費、B経費を合わせて見直すこととしてございます。保育所につきましては、B経費のみが対象となっておりまして、A経費相当は区市町村補助及び都区財政調整交付金により補助しているものでございまして、今回の見直しの対象となってございません。他の施設種別と同様の比較をするためには、A経費相当とB経費の合算額でお示しすることが適当ということで考えてございます。影響額について議論するのであれば、措置費、支援費を含めた施設運営費全体で行うべきであるというふうに考えてございます。
○大山委員 そういうごまかしは最初からやめてくださいよ。全くごまかし--じゃ、B経費相当額の影響額は何ですか。
○並木参事 保育所のB経費相当額の影響額でございますけれども、十四年度決算額が九十三億円に対しまして、再構築後は約六十一億円でございまして、約三割のマイナスでございます。
○大山委員 三四・二%のマイナスですよね。それで、約八十園の私立保育園で試算をしてみたんですって。そうしたらば、十五年度の交付額の四八%になってしまうと。これは、いろんな努力項目を細かいところまでは詰めていませんけれども、こういうことなんですよ。減額する園は八割の園だ、増額する園は二割の園だという試算がされています。ですから、ほかの施設種別と比べても非常に大きな、三割以上の削減額があるんだということが今の保育園への影響額だということなんです。これが皆さんが提案したという単価での試算ですね。
それで、先ほどから合意をしたとかご理解を得てきたとかということがありましたけれども、現場は納得していません。園長先生や職員や父母会から続々と毎日、皆さんのところにも行っているという話がさっきもありましたけれども、私のところにもたくさん反対の声が届いています。
それで、十月二十九日に豊島公会堂で、東京都三多摩地区保育連合会、それから日本保育協会の区部支部、多摩支部、それから東京都私立保育園連盟が共催をして、あすの東京の保育を考えるセミナーという集会が開かれたのはご存じかと思います。この集会というのは、平日の午後で、しかも、十月二十一日に各園にお知らせが送られて、二十九日の集会ですから、準備期間はわずか八日間なんですね。そこの資料で出されたという名簿を見せていただきましたけれども、その名簿に、事前に行きますよというふうに報告があっただけで参加者が五百六十人、それで、それ以外にも当日参加していらっしゃるという方もおられますから、保育の現場にとっていかに重大な問題であるのかということだというふうに思います。
その集会の最後に、緊急アピールも採択されて、ここにアピールもらってきましたけれども、それには、いろいろありますけれども、何と書いてあるかと。東京の保育の水準が低下しないように、今回のサービス推進費補助の再構築に当たっては、拙速な改革ではなく、我々現場の声が十分反映される内容にしていただきたいと思います。保育の現場は、経験豊かな職員が専門職として、保護者とお互いに信頼し合いながら日々子どもの成長を援助していきます。それには、職員の定着率を高め、安心してなおかつ意欲的に働き続けられるよう、しっかりとした保育制度が必要です。最後に、そして、職員が安定的に働き続けられるよう、東京都の特段のご高配を期待し、ここに要望しますというふうに、こういうアピールも採択されたということなんですね。
福祉局にも、集会の報告と、アピールも提出したというふうに聞いていますけれども、この保育四団体といえば、東京の保育団体すべてですよ、そこのすべてがそろった集会とアピールをどのように受けとめて、どう対応しようとしているのか、答えてください。
○並木参事 六月の懇談会以降、いろいろな意見が寄せられておりますけれども、関係団体からは、職員処遇の低下を来さないように検討すること、あるいは職員の経験年数に基づいた補助方式を維持すること、あるいは保護者等からは、経験豊かな保育士をやめさせないでほしいとかいう意見、あるいは保育所職員からは、給料を減らされると生活できないという意見をいただいております。こうした意見等も踏まえながら懇談会の方で議論してまいりまして、今回十一月十一日に合意に至ったということでございます。
○大山委員 私が質問したのは、この集会の報告を福祉局に報告に行って、それで、このアピールももらったわけですよね。もらったんですよね。報告に来て、アピールをもらって、それをどのように受けとめて、どう対応しようとしているんですかというふうに聞いたんですけれども。
○白石子ども家庭部長 この緊急アピール文につきましては、私の方でこの団体の構成をされています方々からお受け取りをいたしました。このような団体の意見も踏まえまして今回の再構築を行っているものでございます。
○大山委員 こういうのも踏まえて合意したというふうに、今、聞こえたんですけれども、今回の合意したという中身に、経験年数を加味してほしいというこの中身、アピールの要望というのは、具体的に生かされているんですか。
○白石子ども家庭部長 先ほども申し上げましたけれども、保育サービスにつきましては、対人サービスでございますので、保育士の資質が重要であるとは考えております。そして、この保育士の資質には、経験に裏打ちされたものがあるということも事実でございまして、そういうことで今回、見直しに当たって、保育所利用者の立場に立って多様なニーズに対応できる、あるいはサービスの提供をマネジメントできる、そういう資質が高い保育士、いわゆるコア人材ですけれども、そういう人が継続的に確保できるような制度にしておりますので、そういう資質が高い保育士になるためには、経験に裏打ちされたものもあるということもありますので、生かされているというふうに考えております。
○大山委員 経験年数は加味されているんだと。どこに加味されているんですか、具体的に。いってくださいよ。
○白石子ども家庭部長 経験年数を加味しているということではございません。良質なサービスを提供できる人材を雇用できて、良好な保育サービスが提供できる、そういうサービス推進費補助に再構築したということでございます。
○大山委員 さっきから合意したとかご理解を得ているとかといっていますけれども、この十月二十九日の集会でも、東京都の案に賛成という意見というのは全くなかったんですよ。
例えばどういう意見が出ていたかというと、すべて網羅できるわけじゃありませんけれども、東京の保育を荒廃させるものだとか、例えば保育に経験は要らないという再構築案が通ったら大変なことになってしまうとか、示されているメニューも経験豊かな保育士がいなければできないことばかりだとか、しっかり職員を育てて勤続年数が長いところが大変になってしまうとか、経験が加味されていないとか、国基準で保育ができるというところに足を踏み入れたのが間違いだとか、主催者側の四団体それぞれからの代表の意見表明でも、それからフロアからの発言でも、批判が相次いでいるんですね。その批判の共通していることは何かといえば、経験年数を加味していないというのが共通しているんです。つまり基本的な考え方に対する批判なんですね。根本的に見直す必要があるのはこの再構築案なんじゃないんですか。
○吉川総務部長 先生の方から、アピール文について、ご紹介というかお話がございましたので、私どもの方にも提出をいただきましたから、きちっと受けとめはさせていただいております。
ただ、今回は、先生もたしか冒頭でB経費についてみずからおっしゃられたとおり、職員の平均経験年数に基づいて画一的に補助をする仕組みから、質の高いサービスの提供ができる一定割合の職員、いわゆるコア人材を継続的に確保するための補助にゼロベースからの視点で再構築したのが今回の案でございまして、大変ご批判があるというのがご発言の中に多々ございますけれども、その後、私どもは、十一月に入って、さらに施設の代表者の方々ときちっと丁寧にお話し合いをし、先日合意をいただいたということでございますので、ぜひご理解いただきたいと思います。
○大山委員 私が何をいったのかというのがちょっとはっきりしなかったんですけれども、経験年数を加味していないというところに根本問題があるんだということが、この集会でも指摘されたんだということなんですよね。だから、小手先で経過期間がどうとかということをあれこれやっても、根本問題を撤回しない限りまずいんだというのが多くの意見なわけですよね。これだけの反対の声があるというのに合意するというのは納得できないというのは、私だけじゃないんですよ。
いろいろ関係者の話を伺いますと、どんなことをいわれているかというと、私も、複数の特別委員の方々から、懇談会がいかに対等、平等の関係ではないか、そういう中で進んでいるかというのを聞いています。何人かの人から、経験年数を何とか入れようとして頑張ったんだけれども、最終案だといって突っぱねられた、だから了とせざるを得なかったなどと話してくれているわけです。
それで、福祉局は、十月十七日の懇談会で示した単価表について、私たちも説明を受けましたけれども、最初に、最終案として示したんだというふうに説明をしましたよ。私たちが、どうして最初なのに最終案なのかというふうに問い返したら、ちょっと考えて、正式案だというふうにいいかえたわけですよね。結局、後がないよというふうに追い込んで返事をさせたんじゃないんですか。
○吉川総務部長 今、先生のお言葉の中で、対等、平等でないというようないい方がございましたけれども、私どもは施設の代表者の方々と、十二回にわたって、大変お忙しい中、繰り返し繰り返し話し合いをやってきたわけでして、私どもが意図的に、何というんでしょうか、対等、平等でないような姿勢でやったとか、我々が交渉した相手に対しても、私、交渉当事者として、甚だ不適当な表現だと思います。
ですから、交渉のというか、話し合いの過程でいろいろあったにしても、今先生がおっしゃったようなことはございませんので、ぜひご理解いただきたいと思います。
○大山委員 東社協の役員さんからも、東京都としてだれが何をいおうが都が決め実施するということを、そういうふうにいっているというのを聞いていますよ。このとおりのいい方ではないにしろ、このようなニュアンスの対応だとかいい方をしているんじゃないんですか、対等、平等だといったって。断じて対等、平等の立場だったといえるわけですか。
○吉川総務部長 私どもは、真摯に対応してまいりましたので合意をいただいたというふうに理解をしております。
○大山委員 そういうふうに認識しているんだと、全くの対等、平等の立場での懇談会だったというふうにいうわけですね。しかし、多くの当事者の方はそう思っていないんですよ。そういうふうに思われていないわけですよね。対等、平等の立場だと。だから結論を押しつけていないというわけですよね。それだったら、当事者の方も本当に対等、平等の関係だというふうに認識できるようにして、改めて協議をやり直すべきじゃないですか。
○幸田福祉局長 私どもが今進めておりますこの福祉改革の基本は何かというところをちょっとお話をしないと、どうも話が側面的なところからの議論になっているようですので、ちょっとお許しをいただいて……。
まず、福祉改革の目的は、社会経済の成熟化に伴いまして、今日行き詰まりを見せている既存の福祉の世界から、これまでの仕組みを改めよう、ここがまず私どもが進めている福祉改革の基本でございます。
そこを、もう一つ別のいい方をすれば、利用者本位の福祉を構築するんだ、こういうことでございます。社会のサービス化、あるいはまたこれまでの供給主義からいわゆる需要主義への移行というのが社会全体の流れでございます。
一例を申し上げますと、高度経済成長の時代は、物を安くつくる、そのために大量生産をする、そして、大量生産をするためにもいわゆる画一的な物でなければならなかった。しかし、現在の製造業の形態というのはそうじゃないわけです。いわゆる消費から、あるいは選択からものづくりが始まっているわけです。
一方、社会福祉の世界というのは、平等に、そして安くサービスを提供しようという考え方が中心でありました。この理念においては正しいところも多々あったと私は思っております。しかし一方では、利用者の利便には必ずしもそぐわないものがあったんではなかろうか。これは今日私どもが進めております例えば一つの例でございますが、認証保育所制度もそうでございます。
そういう意味では、福祉の仕事も、供給主義というような形ではなくて、需要、つまり利用者本位の福祉を進めようと。私どもは、貴重な税を補助金という形で交付をするわけでございます。そういう意味では、いわゆる利用者側に立った福祉をつくっていくんだ、こういう観点でございますので、供給側だけの議論では不十分だというふうに思います。
そういう意味では、私どものこの、都市東京から発信する新しい福祉というのは、まず、これまでのいわゆる供給側だけではなくて、利用者というところにも大きく目を向けた福祉改革だ、ここがスタートだというところをぜひご承知おき願えればなというふうに思います。
○大山委員 利用者本位だとか、供給側に立った--子どもたちの発達を保障して、そして親御さんの仕事を保障する、それが基本ですよ。それを保障するためにどうするのか。この保育をしたいんだからこういう条件、この子どもたちの発達をこう保障するためにはこういう条件が要るんだ、そうやって積み重ねてきたわけですよ。いいですよ、利用者本位については、また後でやります。
さっき、税金を補助金として使っているんだ、本当にこれは重要なことですよね。それで、懇談会の中身をいいましたけれども、関係者の間では、ある都議にお世話になって八月末に示された単価案から十一億円ふえた、ここで福祉局の案を受け入れないと、せっかく十一億円ふえたのがだめになる、その都議にも申しわけない、そういうことがいわれているんですよ。もちろん議員がいろいろな団体の正当な要望を実現するために働くのは、当然のことですよ。しかし、このサービス推進費の問題は、第三回定例会の厚生委員会で議論しています。そのときは、施設に示している単価案だって全く明らかにしなかったわけですね。その一方で、ある特定の議員が非公式な形で動いて十一億円上乗せになった、そういうことはあってはならないと思うんですけれども、どうですか。
○吉川総務部長 今、委員の方から、特定の議員の方が云々というお話がありましたけれども、どういう事実でおっしゃっているかは、私は逆に伺いたいぐらいですが、私どもは、このサービス推進費の話し合いにおきましては、第三回定例会の前の厚生委員会で、基本的な考え方について代表者の皆さんから合意をいただいたという報告をいたしましたけれども、九月の中で、都議会自由民主党の幹事長名で、基本補助単価については引き上げること、また、施設種別の状況に応じて、努力・実績加算項目について項目数をふやすとともに単価を引き上げること、これが一点目。二点目は、経過措置については、各施設における運営に支障が生じないよう、十分な期間設定を行うことという幹事長名での申し入れをいただきましたし、また公明党さんからも、今申し上げた二点についてと同様の申し入れをいただきました。さらに公明党さんからは、民間施設に入所している処遇が難しい重度障害者への十分な配慮についても申し入れがございました。そういう過程を経まして検討も進め、それで、先ほど申し上げているように最終的な合意に至っているわけですから、逆にそういうご指摘をされる根拠がわかりませんので、私ども。
○大山委員 いわれていることなんですよ。神藤元福祉局長に補助金不正受給の事件で有罪判決出ましたけれども、元都議の口ききへの便宜を図ることが発端だったわけですね。もちろん事柄の対象は全く違います。しかし、都民の税金の使い道について、局と特定の議員が不明朗な形でやりとりをして十一億円増になった、そういうことが集会の発言の中でもあるわけですよね。ですから、その一方で議会にも報告をしない、都民にも明らかにしない、そういうことが万が一でも、万が一でもあるんだったら、政治への信頼を根底から損なうものだというふうに思います。
それで、合意したというふうにさっきからおっしゃっていますけれども、もう一つ、その合意したという問題で聞きますけれども、懇談会の位置づけというのはどういうもので、設置の要綱というのはどうなっているのですか。
○並木参事 この懇談会は、サービス推進費の再構築等につきまして意見交換を行う場でございまして、施設関係者等で構成される東京都社会福祉協議会の中に設置されました民間社会福祉施設サービス推進費補助に関する特別委員会の代表者との間で、都は総務部長を中心とした関係職員により組織立って対応しているものでございます。
この懇談会との合意の意味でございますけれども、懇談会の場におきましては、施設代表者等からのさまざまな意見をいただいた上で、都としてサービス推進費の再構築について検討を進め、具体的な案をお示ししたものでございます。この再構築案につきまして、特別委員会の代表者のご理解をいただいたということで、合意ということで考えてございます。
○大山委員 その懇談会の設置の要綱というのはあるんですか。
○並木参事 ただいま申し上げましたように、懇談会は、都と東京都社会福祉協議会の中の施設の代表者の方と行う懇談の場でございまして、都の内部の組織ではございませんので、そういったことでは特に要綱等は定めてございません。
○大山委員 懇談会は、設置要綱もない、意見交換する場だということなんですね。関係者からも、懇談会というよりはせいぜい面接会という感じだった、事合意なんて権限も与えられていないんだということがいわれています。局が合意という言葉を使うのはおかしいという厳しい声を聞いているんですよ。要するに、合意というのは、福祉局の一方的ないい方にすぎないということを指摘しておきます。
ところで、昨年の九月二十七日の厚生委員会で、東社協の代表の意見を聞くことはいいが、同時に、その代表になれないようなさまざまな末端の法人経営者の皆さんの意見を聞く機会を持ってほしいというふうに委員が質問をしたら、質問に答えて福祉局長は、「東社協ばかりでなくと。これも委員おっしゃるとおりだと私は思います。したがって、これからはできるだけ多くの施設の意見も聞きながら進めていきたいと、こう思います」と。この答弁は重要な答弁だというふうに思っていますが、この答弁は生きているんですよね。
○吉川総務部長 先ほど委員の方から、一方的というまたお言葉がございましたけれども、大変私ども心外です。
前回の十一年の見直しの際、都議会で付帯決議で何とついたかというと、再構築案の実施に当たっては、東社協に参加している民間社会福祉施設の代表者などの理解を得るまで云々という付帯決議がついております。
また、その年の予算特別委員会で、共産党の先生の方から、団体当事者との合意を大切にして誠意を持って話し合えというふうに、当時の知事に迫ってご質問があったはずです。ですから、そういう経緯も踏まえて私どもは東社協の代表と誠心誠意話し合ってきているわけでして、それを一方的だとかいわれたら、私どもだけじゃなくて、代表という立場にあった施設の方々にとっても大変心外だと思いますので、訂正を願いたいと思います。
○大山委員 これ、心外かどうかは、実態を見ていった方がいいというふうに思います。
話し合い、それから意見をきちんと聞くというのは、当然ですよ。それだから、この東社協の代表の意見だけじゃなくて、ほかの代表になっていないような施設の意見も聞きながら進めていきたいというふうに答弁されているわけですよね。これは非常にいい答弁だと思いますよ。それは生きているんですよねと聞いたんです、私は。
○吉川総務部長 その答弁は否定するものじゃございませんし、先ほどのアピール文も受け取っておりますし、私ども、懇談会の意見交換以外にも、それぞれの部の所管課の方においても、いろいろな方々からの意見は丁寧に聞いているつもりであります。
○大山委員 聞くというのは、意見を聞いたけれども福祉局の考えどおりやらせてもらいますということじゃないんですよ。聞いたらきちんと生かす、それが聞くということじゃないんですか。
私たちのところには、こんなにファクスや手紙やら、これ十月と十一月に来た分だけですけれども、これ十月分でしょう、十一月分はもうとうとうあふれて入らないですよ。こういうのがたくさん来ています。
例えば一つの市、例えば三鷹市の私立保育園の園の園長先生の連名であったり、杉並区の私立保育園の園長先生の連名であったり、それから、九園の保育園の父母会が一緒に要望書を出したり、それから、園長先生と親と職員と組合と一緒にやっているところもありますよ。それから、三十人しか子どもたちがいない一つの保育園で、千百二十五人というたくさんの署名を集めて提出しましたという要望書もありますよね。この父母の一言集だとか、手紙だとかと、本当にたくさん来ているわけですよ。
もう全部読みたいぐらいですけれども、例えばこれは保育園のお母さんですよ。初めての子育てでわからないこと、戸惑うこと、不安を感じること、母親も父親もたくさんあるのです。そんなとき、経験を積んだ保育士の方々の言葉に何度励まされたことか。二人目を産んでも働き続けても大丈夫と思えたのは、そんな保育士の皆さんの支えがあったからこそです。それとか、これはお父さんですよ、学校の先生や病院の医師、看護師等は皆、経験を積んでこそ一人前で、経験豊かな人に見てもらいたいと思うのが普通でしょう。同じように子どもを見守り、育て、命を預かる保育士の質がなぜ低くてよいのでしょうか。こういうふうに、たくさん来ていますけれども、ほとんどの方が、経験を積んだ保育士と若い保育士の両方いることを望んでいるわけですよね。
例えば十月二十九日のセミナーでは、フロアから発言した園長先生が、具体的に内容を聞いたのは、自分は十月十七日なんだと。また正式に説明を受けたのは、このセミナーが初めてだと。それで既に了としたなどと全く非民主的だ、こういう意見も出ているわけですよね。まさにそのとおりだというふうに思いますよ。
先ほどの答弁でも、利用者本位なんだと局長さんはおっしゃいましたけれども、父母にはほとんど知らされていないんですよ。利用者本位--保育園の利用者というのは、お父さん、お母さんと子どもたちだというふうに予特のときに発言されていましたけれども、父母にはほとんど知らされていないんですよ。
しかし、どういうことになるのかということを知らされたお父さん、お母さんたちは、びっくりしてこうやってたくさん願いを書いているわけですよね。不安だとか怒り、それから、いかに重要なのかということを書いてくれているわけですよ。その利用者の父母が、こんな再構築はやめてほしいということを、こんな大勢の方々がいっているわけですから、利用者本位だというんだったら、まず利用者の意見を聞くべきじゃないんですか。
○吉川総務部長 利用者ということになれば、都民の方々でございまして、そういう意味では、私どものところにもいろいろな都民の方々から声が寄せられておりまして、先生の方では、反対、心配、そういう声のご紹介がありましたけれども、私どもには、補助金の使途に疑問を持ちながら経理を行っているという福祉関係者の声がありまして、その中では、民間よりも高い賞与、保育士の資質が低い、管理職の管理能力が問題、常勤ばかりが優遇される現状、抜本的な構造改革を望みますというふうな声も寄せられております。
そういう中で、先ほどアピール文を引用されまして、保護者とお互いに信頼し合いながら、日々子どもの成長を援助する、安心してかつ意欲的に働き続ける云々というお話を引用されましたけれども、私は、前回の委員会でも申し上げましたけれども、経験を全く否定をしているわけじゃなくて、経験を踏まえた高い専門性で、本当に保護者の方、それからお子さんの方々に喜んでいただける保育サービスが少ない経費で提供されるというのが一番望ましいというふうに考えております。
○大山委員 今のところ、この示されている単価で計算したら、一人や二人はいなくなっちゃうような減額だというところがあるわけですよね。それで、安く提供するというのは、結局働き続けられない人をふやすということにつながるわけですよね。経験者がやめたら、じゃ、短時間の非常勤の保育士を二人雇用しようかとか--働き続けられない、大体次の生活を維持できない、再生産できないような状況で働き続けられますか。今だってホームヘルパーさんが、低い雇用関係の中でいかに働き続けられないかというのが非常に大きな問題になっているわけですよね。安ければいいというのは、きちんと生活を保障していくということ、それから雇用を保障していくということと、保育内容を充実させていくというのは、切り離せないことなんですよね。それで、これほどまでに批判的な意見が出ているわけですよ。もっと違う面での意見が出ているといいますけれども、山のように来ているわけですよ、批判的な意見が。
それで、きのうも園長先生だとか職員、それからお母さんたちも一緒に要請に見えましたよ。例えば北区の保育園に預けているお母さんは、最近いろんな事件が低年齢化している、だからこそ乳幼児期に手をかけて、命の危険から守ればよいというだけじゃなくて、豊かな発達を保障することが必要だと思っているんですと。私も初めての子育てのときに、経験豊かな保育士に随分と救われましたというふうに話してくれたんです。そこで参加していた保育士さんの方は、育児ノイローゼかというふうに思うようなお父さん、お母さんも多く目立つようになってきたというのですよね。虐待の問題もあるし、それから高い専門性と時間も必要なんだということなんです。
私たちのところにもこんなにたくさん来ているわけですから、サービス推進費補助の再構築の考え方が示された以降、つまり、九月十七日以降に、都民の皆さんや団体から、局の方にもどんな要望だとか要請だとか申し入れなどが来ていますか、大体主な内容。
○並木参事 六月四日に開催しました懇談会におきまして、再構築に係る考え方についての案を提示しまして説明を行った以降、寄せられた意見、要望の主なものにつきましては、まず関係団体からは、施設における技術支援、権利保障のための再構築を行うこと。あるいは、利用者の生活向上や発達保障を目的とした独自の増配置や利用費加算を継続すること等が記載されております。
また特に、保育関係団体からは、先ほども申し上げましたけれども、職員処遇の低下を来さないよう検討すること、あるいは職員の経験年数に基づいた補助方式を維持することなどの意見が寄せられております。また、これも先ほど申し上げましたけれども、保育所に子どもを預けていらっしゃる保護者の方からは、経験豊かな保育士をやめさせないでほしいという意見、あるいは、職員の方からは、給料が減らされると生活できない等の意見をいただいております。
○大山委員 局に来ているものも、私たちのところに来ているものとほぼ同じ内容が来ているわけですよね。ですから、それらの要望にどういうふうにこたえようとしているわけですか。
○吉川総務部長 繰り返し申し上げておりますが、都民の皆様、それから先生のご紹介されている方々のほぼ同趣旨の大変大量の声は、きちっと受けとめております。ただ、総合的な判断をしまして、東京都として責任を持って提案し、代表の方々から同意をいただいたところでございます。
○大山委員 きちんと受けとめていれば、こんなに大きな批判はあるわけないですよ。せめて批判が多く出ている保育関係者だとか父母の意見を聞く会とかを持つというのが、去年の九月の局長答弁を実践する道じゃないんですか。
○藤井委員長 どなたが答弁されますか。
○大山委員 聞く会を持つことが必要だといっているんですよ。
〔「委員長、答弁させなきゃだめだよ」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 では、今の、再度ですけれども……。
○吉川総務部長 繰り返しはできるだけ避けたいんですが、都民の皆さんからいただいている声については、きちっと受けとめまして、総合的な観点で責任を持ってまとめて提案し、合意をいただいたというところでございます。
○大山委員 昨年の九月の局長の答弁とは違うというふうにいわざるを得ません。都民の皆さんの意見を聞くぐらいやればいいじゃないですか。聞いて、聞いたら聞きっ放しで、自分たちはそのままやりますというんじゃ、聞いたことにならないんですよ。
それで、サービス推進費について、昨年七月以降、区長会や市長会や区市町村議会などから要望や意見書が出ていると思いますけれども、どういうのが出ていますか。
○並木参事 サービス推進費補助に関します意見書は、これまでに特別区長会、市長会及び六区十三市の議会から都に対して提出されております。その主な意見は、人件費補助の廃止、削減、あるいは区市町村による肩がわり措置を行わないこと、社会福祉法人からの意見聴取を十分に行うこと等でございます。
今回の再構築は、利用者サービスの向上に向け、都が施設に対してのみ行っている現行のサービス推進費補助のあり方を見直すものでございますので、施設代表者との意見交換を行ってまいりました。しかし、区市町村とは、所管部において定期的に意見交換を行っておりますし、この十一月五日には市の福祉主管部長会、十一月六日には特別区厚生部長会において今回の再構築の取り組み状況等について説明をしてございます。
都としては、こうした区市町村との意見交換を踏まえながら、施設の代表者等と意見交換を進めてまいり、今回の合意に至ったものでございます。
○大山委員 市長会からは、福祉サービス提供者と運営実態について十分協議し、あわせて市町村の意見も聞くこと。それから、区長会からも、社会福祉法人からの意見聴取を十分に行うこと、あわせて特別区と今後の法人改革の進め方について十分な協議、調整を行うことというふうに出ていますし、六区十三市の議会からは、そのほとんどの文章の中に区市町村との協議というのが書かれているわけですよね。
これは、今、施設に直接出しているからということを強調されていましたけれども、例えば保育は、児童福祉法で区市町村が実施主体なわけですから、実施主体が区市町村で、その区市町村の保育内容にかかわる重大な問題ですから、きちんと区市町村との協議をやってもらいたいと。十一月五日、六日というのは、その取り組み状況の報告をしたということですけれども、今後も協議をやっていくということでいいわけですか。
○吉川総務部長 私どもの今回のサービス推進費は、全額東京都の予算で執行しております。そういう中で、保育行政の実施主体は確かに区市町村ですので、私どもとしては、市長会等のご意見については承って、先ほど来答弁しておりますように、総合的に検討した上で都としての責任で提案し、合意をいただいたものであります。
○大山委員 聞いたといっても、聞きっ放しというんじゃなくて、東京の福祉、保育をもう根底から覆すものだということが、保育関係者、福祉関係者の認識なんですよね。だから父母からも、園長だとか職員からも批判がこれだけ出ているわけですよね。ですから、非常に強引だというふうにいわざるを得ない。今からでも遅くないですから、これだけの反対があるんですから、まずは引っ込めるということが局に求められているというふうに指摘しておきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移ります。
介護予防と訪問リハビリについてですけれども、高齢者になっても健康で元気に暮らしたい、自分らしく過ごしたいということは、多くの都民の願いですし、そのためには、重層的で連携がとれた施策が必要だということで、私たちも、元気高齢者対策だとかパワーリハビリの提案などを初め、重視して取り組んできたつもりです。
高齢者になっても比較的介護度が低い方たちが介護を必要としないで済むように予防するのが介護予防だというわけですけれども、ちょっとした段差のところで転んでしまって、骨折をして寝たきりになってしまったとか、失禁が心配で外出をためらってしまうという方も多いものなんですね。
こうやって寝たきりになったり、引きこもってしまうと、どんどん筋力も落ちてきてしまって虚弱になり、転んだり、自力では歩行困難になるということで、介護が必要になってしまうということなんですが、先日、私、東京都老人総合研究所を訪問しました。老人総合研究所では、虚弱化予防対策として、お達者健診というふうに呼んでいる、転倒だとか失禁だとか低栄養だとか痴呆、それから生活機能低下などに関する健診を開発して、介護予防の対応が必要な対象者を発見して、個々に合わせたプログラムをつくって対応するということが行われているということを伺ってきました。
そのときにビデオを見せていただいたんですけれども、プログラムを実施する前は、健診のときには、足元がおぼつかないでゆっくりしか歩けなかった方が、実際にこのお達者健診を受けて、筋力トレーニングなどを受けると、決して早回ししたんじゃないんですよといいながら、二倍ぐらいの速度でしっかり歩行ができるようになったという様子を見せていただきました。失禁が心配で外出をためらっていた方も、リハビリで回復して外へ出られるようになるということで、元気に過ごすことが実際にできていることを伺いました。
今年度、老人総合研究所は、介護予防緊急対策室を設置して、都内の全区市町村の介護予防担当者だとか保健師さんなどの実践者を対象に従事者研修を始めたというふうに聞いていますけれども、どのような内容なんでしょうか。
○福田高齢者部長 先ほども関連の答弁をいたしましたが、今年度から始めました介護予防開発普及事業における従事者研修の主なものは、先ほども紹介がありましたけれども、いわゆる転倒とか失禁、あるいは軽度の痴呆のような老年症候群のリスク判定のための健診であるお達者健診の概要やその実施方法を説明し、それを実践できるような研修、そして、それ以降介護予防を実際にやっていくための筋力向上トレーニング、あるいはマシンを使わない筋力増強プログラム、あるいは転倒、痴呆、尿失禁、栄養面からの問題に対する予防プログラムなどの研修、そういったものを行っているものでございます。
○大山委員 各区市町村で、介護予防事業をしたいけれども事業提供の方法がわからないとか、人材がない、それから対象者をどのように把握してよいかわからないということが出されていて、その要求にこたえたものだということなんですが、東京都老人総合研究所で三十年にわたって積み重ねてきたというその研究成果を、実際に区市町村に反映するという非常に画期的な取り組みだというふうに考えています。
従事者研修を受けた自治体はどれぐらいあって、実際にお達者健診を実施している自治体というのはどれぐらいになったんでしょう。
○福田高齢者部長 介護予防に関する全体的な説明の研修については、ほとんどの区市町村が参加しておりますが、特にお達者健診の研修につきましては、今まで五回程度実施しておりまして、その従事者研修を受けた区市町村は二十八、四十二名の方が参加しております。
それから、このようなお達者健診を使用した一連の介護予防につきましては、本年度からこの介護予防開発普及事業によって技術支援を行うということで始めましたので、老人総合研究所が所在しております板橋区の地域を除きましては、今のところまだそういった一連の介護予防の実践は行われておりません。ただし、今年度じゅうにこれから実施しようというところが既に数カ所出ております。また、来年度にはより多くの数の区市町村がそのような取り組みをすることと思います。
なお、個別の転倒防止介護予防とか、そういったものにつきましては、多くの区市町村が今まで既に行っているところでございます。
○大山委員 これから充実していくことなんだというふうに思うのですけれども、例えば今おっしゃっていた板橋の地域では、老人総合研究所が板橋区の協力を得て、お達者健診と、必要な方への筋力トレーニングだとか、転倒予防、失禁予防教室などを行っているということだとか、杉並区でも、筋力トレーニングも含めた介護予防教室の参加者を公募したら、定員の二倍を超える申し込みがあったということなんですね。
これらの教室を始めるに当たっては、杉並区なんかでも、老人総合研究所の介護予防緊急対策室が行った従事者研修だとか、区民向けの老人総合研究所の研究者を講師に迎えての講演というのが大きな動機づけになったと担当者はおっしゃっているんです。そうはいっても、先ほどのご答弁にありましたように、まだまだこれからと。すべての区市町村が取り組んでいるわけではないということで、お達者健診で対象者を把握して、個々に合ったメニューで、実施はこれからだということなんですね。
各自治体がお達者健診を行えるようにすることや、それから、個々に合わせた介護予防教室を全区市町村で実施できるようにすることが必要だと思うんですけれども、どうでしょうか。
○福田高齢者部長 介護予防につきましては、多くの区市町村が非常に高い関心を持っておりまして、これまでも、先ほども申しましたように、個別的な転倒予防の講習とか、そういうものはいろいろやってまいりました。しかし、効果がやはり散発的な面もあるということから、東京都では、先ほども紹介がありました老人総合研究所の長年の研究によるノウハウを活用いたしまして介護予防開発普及事業を今年度から実施し、技術支援あるいは直接的な指導等も含めた支援を進めております。
そのような支援をもとに、区市町村が、例えば国の国庫補助のついております介護予防・地域支え合い事業を利用するとか、あるいは東京都の高齢者いきいき事業などを利用しまして、意欲的にこのような総合的な介護予防を実施していくことを期待しております。
○大山委員 ぜひすべての自治体が実施できるように充実していってほしいというふうに思います。
介護予防と同時に、高齢者には病気や転倒などが大いに考えられることなんですけれども、そうなったときも寝たきりにならずに、再びその人らしい生活、暮らしを続けるためには、リハビリテーションが重要だというのは、先ほども述べられたとおりです。
私と同じ町内の方なんですけれども、昨年の六月に病院から退院してきたときは、寝たきり、寝返りもできないような七十代の男性なんですよ。病院にいるときは、リハビリは嫌いだといって、本当に嫌々やっていたんですが、それでとうとう寝たきり状態で帰ってくるということになったんですけれども、介護も大変だし、やっぱりこれは寝たきりじゃまずいということで、奥さんが、訪問リハビリを何とか毎日来てもらえるようにできないかということで、毎日来てもらえるようになったんですね。
それで、リハビリとマッサージが毎日来てくれて、病院ではあんなに嫌がっていたのに、だんだんだんだんリハビリを喜んで受けてくれるようになったと。それはもう激励したりしながらやっていくわけですけれども、すぐに寝返りができるようになったりして、そうしますと、要介護五だったんですけれども、今では自分でつえをつけばトイレに行けるように回復したんですよ。つえで立ち上がれるようになったら、訪問リハビリはちょっと減らして、今度は、器械もある、筋力トレーニングもできるデイケアに行くようになって、より充実してきたわけですけれども、要介護三になったんです。そうすると、多くのことに関して意欲的になってきたんですね。
食事だとか排泄だとか入浴だとか移動ということの、生活するための日常の動作の改善に効果があったというのはこの方ばかりじゃないということもわかっていて、台東区にある在宅総合ケアセンターの調査では、訪問リハビリを受けた百十三人のうち、日常生活動作が改善した人が四九%、維持した人が三七%で、訪問リハビリが日常生活動作の向上に大きな役割を果たすことは明らかだというふうにいえると思います。
しかし、訪問リハビリは、供給が圧倒的に少ないというのが現状で、先ほどのご夫婦も、奥さんが、訪問リハビリを毎日受けたいということで介護支援センターに相談に行ったんですけれども、一カ所目では、供給するところがない、二カ所目でも供給するところがないと断られて、ようやく三カ所目で、いいですよということで、訪問リハビリとマッサージを組み合わせて毎日訪問を受けることができるようになったんです。
現在は、訪問リハビリを利用している人は、居宅サービスを利用している人のわずか〇・九%だということなんですね。東京都介護保険事業支援計画によると、二〇〇七年度までの六年間での伸びは一三一%だと。供給量が同じように少ない高齢者グループホームの計画はというと、九九一%に設定してあるんですね。これは約十一倍ですけれども、最初の供給自体が圧倒的に少ないわけですから、せめて高齢者グループホームと同じぐらいに、十倍ぐらいにする設定をすることが求められているというふうに思うんですけれども、どうですか。
○野村保険部長 本年三月に作成いたしました第二期東京都介護保険事業支援計画における居宅サービスの目標値は、各保険者でございます各区市町村が地域の実情を勘案して推計するサービス見込み量を積み上げたものでございまして、一三一%増、つまり二・三一倍という目標は、適正な水準であるというふうに考えております。
○大山委員 区市町村からの数字の積み上げだから適正だというふうにおっしゃるわけですけれども、やはり必要だという人に対して供給をどうするのか。十分に供給できるようにすることが自治体としての役割だというふうに思うんですね。だからこそ、自治体が供給量をふやせるように支援するというのが東京都の役割だというふうに考えるわけです。
それで、重要なのは人材の問題だというふうにいえると思うんです。現在訪問リハビリを行っている事業所というのは、診療所それから訪問看護ステーションが主なところです。訪問リハビリは、病院や施設でのリハビリと違って、それぞれの自宅でよりよく生活できるようにするために、より個別的で、本人とその家族を丸ごと受けとめ、対応する必要があるわけです。経済的なことや家族の状況、それからその家庭で過ごすために何が必要かということなどを総合的に判断し実践するという、療法士でもより高いレベルの専門性が求められるために、豊かな知識と経験が不可欠だというふうに考えます。
現在、東京では、訪問リハビリができるような人材が圧倒的に不足していると考えますが、どうですか。
○野村保険部長 都内では、リハビリテーションの担い手でございます理学療法士及び作業療法士の全体の数としては、おおむね充足してきております。
ただし、要介護者の自宅において行う訪問リハビリテーションは、病院や施設内でのリハビリとは異なりまして、要介護者の心身の状況のみならず、その人の住まいや日常生活の状況等にもきめ細かく対応することが求められているのでありまして、そのような相当高度な知識や技能を有する人材の育成につきましては、今後とも十分配慮していく必要があるというふうに認識しております。
○大山委員 訪問リハビリができるような人材が不足しているという現状認識は一致しているということなんですね。
そこで、どうしたらふやしていけるかということなんですけれども、理学療法士や作業療法士は、老人保健施設を初めとして、一人職場というところが中心でした。集団的に事例研究もしながら訪問リハビリの質を向上させていくことができるには、療法士が複数で数人いるところが必要だというふうに考えています。訪問看護ステーション整備に対しては補助があるということですけれども、それと同様に、訪問リハビリステーションを東京都が率先して設置、促進していくことを求めたいんですけれども、いかがですか。
○野村保険部長 訪問看護ステーションからも、訪問看護の類型の一つといたしまして理学療法士または作業療法士が派遣されておりまして、リハビリが提供されております。
都としては、先月公表しました介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案の試案の中で、一定の条件を整備した上で、訪問看護ステーションからのリハビリを訪問リハビリテーションとして位置づけるよう国に提案しているところでございまして、当面、都独自に実施する考えはございません。
○大山委員 ぜひ積極的に進めていってほしいというふうに思います。
それで、同時に人材の育成が求められていると思うのですが、先ほども述べましたように、そしてご答弁でもありましたように、より個別的であって総合的な対応が求められている訪問リハビリは、特別の知識が必要なんだと。訪問リハビリに取り組むOT、PTのための研修を行う必要があるというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
○野村保険部長 確かに、訪問リハビリにつきましては、先ほどお話ししましたとおり、通常のリハビリとは違う特別のリハビリがございますので、それなりの研修は当然必要だというふうに考えております。
○大山委員 積極的に研修を行っていってほしいというふうに思っています。
最後に一つだけ聞いておきたいんですけれども、聴覚障害者を初め、障害者にとっても、インターネットなどIT機器を使いたいと思う人が使えるように支援することが重要だというふうに考えています。それぞれの自治体や教育庁などが主催の聴覚障害者向けIT講習会なども行われているということなんですけれども、初期設定だとかインターネットの接続方法などが機種によってさまざまであって、講習会だけではとてもパソコンを使えるようにはならないということなんですね。
それで、聴覚障害者の方たちは、手話のできるパソコンボランティアの派遣をということを要望してこられたわけです。国では今年度からパソコンボランティアの派遣が事業化されたというふうに聞いていますけれども、ボランティアといっても、パソコンを使いこなせるということと、聴覚障害者向けなら手話を使えなきゃいけないとか、また、それぞれの障害について理解と適切な対応ができる人を養成する必要があるというふうに思っています。
東京都は、今年度はまだ実施していないということなんですけれども、当事者は一日も早い実施を望んでいるわけですね。聴覚障害者の方たちも毎年の要望で切実に要望しているように、今年度から補正予算などでパソコンボランティアの養成事業を始めて、いろいろ準備があると思いますので、そういう段取りをつけて、それで来年度当初から派遣できるように段取りを組むというふうにしたらどうかと思うんですけれども、どうですか。
○有留障害福祉部長 障害者の自立と社会参加を推進するため、来年度新たに障害者のITに関する利用相談、情報提供や障害者向けパソコン教室を行うITサポートセンター事業の実施を検討しております。その中で、障害者に対してパソコン機器等の利用に関する支援を行うパソコンボランティアの養成、派遣事業の実施も検討している段階でございまして、今後、実施の可否も含めて庁内調整を進めていくわけでございまして、仮に実施するにしても、効果的な実施方法であるとか、適切な受託法人を確保する、あるいは適切な場所の選定だとか、さまざまな環境整備が必要でございますので、今年度、補正予算等で対応することは考えておりません。
○大山委員 必要だということは認めていらっしゃるわけですから、今ご答弁されたように、いろんな段取りが必要だということでは、やはりなるべく一日でも早くパソコンボランティアの派遣が実施できるように努力してほしいということを要望して、終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十七分散会
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