厚生委員会速記録第九号

平成十五年七月三日(木曜日)
第七委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長森田 安孝君
副委員長吉田 信夫君
副委員長古賀 俊昭君
理事松原 忠義君
理事青木 英二君
理事佐藤 裕彦君
柿沢 未途君
山口 文江君
東村 邦浩君
山加 朱美君
萩生田光一君
田代ひろし君
大山とも子君
小林 正則君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉局局長幸田 昭一君
総務部長吉川 和夫君
生活福祉部長笠原  保君
高齢者部長福田  豊君
子ども家庭部長白石弥生子君
障害福祉部長有留 武司君
保険部長野村  寛君
参事並木 勝市君
参事清水 克則君
参事朝比奈照雄君
参事岩井 令雄君
健康局局長平井 健一君
技監長岡 常雄君
総務部長浅井 憲彦君
企画担当部長酒井 洋一君
医療政策部長奥田  匠君
医療サービス部長梶山 純一君
食品医薬品安全部長中井 昌利君
地域保健部長齋藤  進君
事業調整担当部長海老原 繁君
参事桜山 豊夫君
参事木村 豊彦君
参事小松 博久君
参事丸山 浩一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百五十六号議案 社会福祉協議会の行う事業の補助に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百五十七号議案 東京都母子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
  ・第百五十八号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
 健康局関係
  報告事項
  ・重症急性呼吸器症候群(SARS)について(質疑)
  ・東部地域病院における患児死亡事例について(説明・質疑)

○森田委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 最初に申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、当委員会室の喫煙の取り扱いについて協議した結果、禁煙にすることといたしましたので、ご了承願います。
 意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○森田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○森田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の付託議案の審査を行った後、健康局関係の報告事項の聴取を行います。
 これより福祉局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百五十六号議案から第百五十八号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○古賀委員 それでは、議案について、第百五十七号、第百五十八号について簡単に質問いたします。
 私の手元に今、平成十二年度決算審査意見書がございます。東京都監査委員が出したものです。
 この中に、監査の意見として、東京都母子福祉資金貸付金の未収金の回収に努めるべきものという指摘がございます。
 歳入について、このように書かれております。東京都母子福祉資金貸付金の未収金の回収に努めるべきものという項目がありまして、当該年度、平成十二年度末現在の貸付金償還状況が説明してあります。
 そして、現年度分及び過年度分とも、毎年度増加していることが認められるというふうに書かれておりまして、一として、このようなことが指摘されております。貸付対象者の状況把握。二、未償還者に対する督促、報告等の措置。三、連帯借り受け人及び連帯保証人に対する返済の請求など、未収金回収のための事務処理が十分行われているといいがたい状況が見受けられた。局は--この場合は福祉局ですね、未納者に対する速やかな督促の送達、連帯借り受け人及び連帯保証人に対する納入通知など、区市に対する指導助言を積極的に行い、未収金の回収に特段の努力が望まれるという意見、指摘であります。
 そこで、この母子福祉資金、それから女性福祉資金というのは、ご存じのように、母子家庭、それから経済的に困窮する女性世帯の自立を促すために、また安定した生活を送ることを支援するための貸付金制度であります。重要なものです。
 しかし、両資金の償還率については、先ほどの平成十二年度の監査委員の指摘にあるとおり、好ましい数字には達していない状況があるわけです。
 そこで、現在のこの償還率等はどうなっているのか、ご答弁ください。

○白石子ども家庭部長 二つの資金の償還率についてでございますが、平成十三年度の償還率について申し上げます。
 まず、母子福祉資金でございますが、現年度六三・五%。現年度といいますのは、平成十三年度に返済していただくべきものに対する率でございます。それから、過年度八・七%。過年度と申しますのは、平成十二年度までに返済していただくべきでありましたが、返済されずに滞納されているものに対する率でございます。全体で二八・九%でございます。
 続きまして、女性福祉資金でございますが、現年度分六九・一%、過年度五・三%、全体で二四・〇%となっております。
 両資金とも、現年度、過年度を合わせた償還率は三割弱となっております。

○古賀委員 今答弁にありましたように、三割弱という数字は非常に低いという印象を受けるわけです。
 これは、この数字を見ますと、一般的にはほとんど資金が回収されていないというふうに理解されがちでありますけれども、これはあらかじめ決められた計算方式があるということでありますので、実態はどういうことなのか、局の方の弁明もしたいところだろうというふうに思いますので、いかがでしょうか。

○白石子ども家庭部長 今の点でございますが、まず現年度、過年度を合わせました償還率が低い理由でございますが、この償還率の計算方法は国の計算方法に準拠しておりまして、事業開始当時からの累積の償還未済額と現年度の償還すべき額の合計に対する当年度の償還額の比率をあらわすことになっております。
 すなわち、過去に既に償還された資金につきましては、償還率の計算からは除外されております。つまり、三割弱という償還率は、事業開始以来十二年度までに償還されました資金を含んでいない数字でございます。
 十二年度までに償還されました資金を含めました資金運用全体といたしましては、まず母子福祉資金でございますが、母子福祉資金では、償還してもらうべき額二百二十四億円強に対しまして、償還額百九十一億円強の償還を受けており、その回収の率は八五・一%となっております。
 同様に、女性福祉資金では八九%の償還を受けております。

○古賀委員 三割弱ということは、実態を示す数字ではないんでありますけれども、八割五分という数字が、決してこれまた高いとはいえないということです。
 よく国保会計等で、多額の一般会計からの税金が国保会計を維持するために投入されているわけです。これも大体、国保で苦しんでいる自治体の収納率を見ますと八割台。ですから、この母子福祉資金、それから女性福祉資金の制度も、実態の回収率というのは八五%、八割台でありますけれども、これも決して高い数字ではないわけです。
 局は、この償還率が低い理由は一体どのように受けとめているのか、局の考え方をお聞かせください。

○白石子ども家庭部長 償還率が低い、その原因でございますが、まず第一に、長期不況のもとで、借り受け人の就労状況が一層不安定になっているということが挙げられます。
 第二に、特に事業開始資金の償還率が低いわけですが、これは長期不況の中で事業者競争がますます厳しくなっており、事業の成功が困難となってきているというふうに考えられます。
 最後に、第三に、滞納されている方の場合ですが、転居が激しく、場合によっては他県に行くこともあり、督促を行うのが困難な場合があることなどが挙げられます。

○古賀委員 この制度は、母子世帯、それから真に援助を必要とする女性の世帯の自立を促すための制度でありまして、これを充実させていくということは私も大賛成です。
 しかしながら、この償還金というものが貸付財源となっていく仕組みになっているわけですので、償還の促進に一層努めるというのは当然のことなんです。
 都として、今後、償還促進のために--監査の指摘もあって、余り改善されていないんですよ、どのように取り組んでいくのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。これは、給付金じゃないんです、返していただく制度ですから。いかがでしょうか。

○白石子ども家庭部長 償還促進への取り組みについてでございますが、ご指摘のとおり、福祉資金のこの性格から、借り受け人の生活実態を考慮しつつも、貸付財源の確保のために償還の促進に努めていくことが重要だと認識しております。
 そこで、東京都は、実際の貸付償還事務を行っております区や市などと連携を図りながら取り組みを行っております。
 具体的には、平成十三年度から十四年度にかけまして、全区市に対して事務調査を行い、滞納が始まった段階での速やかな対応の徹底を指導しております。
 それから、また、今年度からは連帯保証人に対する保証債務の履行を強化する取り組みを実施しております。
 このほか、毎年開催しております区市等との償還促進会議や事例検討会等を通じまして、償還促進についての検討や指導助言を行うなど一層効果的な償還促進に努めてまいりたいと存じております。

○古賀委員 監査の指摘を受けて、それなりの取り組みについて改善が見られることを期待したいんですが、やはりこれは数字であらわれてきますので、結果をちゃんと出してもらいたいと思います。
 女性福祉資金は、昭和三十三年の制度開始以来、不納欠損、つまり逃げ得といいますか、取りっぱぐれ、約二千万円生じていますし、母子福祉貸付資金については七千五百万円以上あります。両者合わせると一億円の額が消えたわけです。回収できなかったということでありますので、この数字の重みというものを忘れないでいただきたいですね。
 そのほか、福祉局はいろいろな貸付制度を、貸付金の制度を持っていますけれども、中には、同和生業資金、収入率六三・九%という回収率が低いものもあります。
 そのほか、一覧表を見ますと、改善に取り組んでいただかなければならない収入率の悪い制度が幾つか散見されます。
 きょうは、女性福祉資金と母子福祉資金についてお聞きいたしましたけれども、いろいろな資料を見ていますと感じますのは、償還率を上げる、改善するために今やっておられる項目は幾つかお聞きしましたけれども、保証人の適格性というのも、きちんと私、もう少しお調べになった方がいいのではないかというふうに思います。親子で保証し合うという、これは余り当てにならない場合が多いですね。
 それから、回収部門があって、これは市町村、区が行っているわけですけれども、東京都から外に出た場合には、東京都が実際に回収業務を行うということで、実際、実務に当たる市区町村の職員の職務に対する意欲であるとか、それから研修等を含めて、回収部門を強化するという視点で指導してもらいたいというふうに思います。
 ほかの、先ほど申しましたような福祉局所管のさまざまな貸付制度についても同様のことがいえると思いますので、これをひとつ他山の石として取り組みを進めてもらいたいというふうに思います。
 以上です。

○森田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○森田委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終了いたします。

○森田委員長 これより健康局関係に入ります。
 初めに、重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSについての報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○浅井総務部長 去る六月二十日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元配布の厚生委員会要求資料をごらん願います。
 資料は、本委員会におきまして重症急性呼吸器症候群(SARS)についての報告をいたしました際にご要求をいただいたものでございます。
 内容は、目次にございますように、1のSARSに関する相談実績から7のSARSに関する広報実績までとなっております。
 それでは、一ページをお開き願います。
 1のSARSに関する相談実績でございます。
 上の表は、都保健所及び東京都保健医療情報センター「ひまわり」へ、この四月から六月までに相談をお寄せいただいた人数を月別に集計したものでございます。
 下の表は、都保健所及び「ひまわり」に寄せられた相談について内容別件数を記載したものでございます。
 なお、注にございますとおり、一人の方から複数の内容の相談が寄せられた場合につきましては、重複して件数を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。
 2の二次保健医療圏別感染症指定医療機関及びSARS診療協力医療機関数でございます。
 二次保健医療圏ごとに、圏域内の保健所名、人口、感染症指定医療機関の施設数及び病床数、並びにSARS診療協力医療機関数を記載してございます。
 なお、注にもございますが、感染症指定医療機関につきましては、特定、第一種及び第二種の指定種別がございまして、それぞれの機能や役割あるいは指定に当たっての配置基準が異なっておりますが、資料では、当該二次保健医療圏に所在する施設数及び病床数を、指定の種別にかかわりなく、合計数で記載してございます。
 また、SARS診療協力医療機関についてでございますが、これは、SARSの国内発生も懸念される中、疑い例患者の初期診療を円滑に行うため、外来診療に対応できる医療機関をSARS診療協力医療機関として指定いたしまして、都としてSARSに対する医療提供体制の強化を図ったものでございます。
 次に、三ページをごらん願います。
 3の都内のSARS疑い例・可能性例の報告数及びSARSコロナウイルスの検査結果でございます。
 上の表は、平成十五年七月一日までの都内のSARS疑い例及び可能性例の患者の発生につきまして厚生労働省へ報告しました件数でございます。
 下の表は、SARS疑い例・可能性例とされた患者の方々についてのSARSコロナウイルス検査の結果でございます。
 現在まで、検査結果が陽性となった方はございません。
 なお、注にございますとおり、疑い例患者として報告された十九件の事例のうち四件につきましては、厚生労働省の通知で行政検査の指針が示される以前の事例でありましたために、SARSコロナウイルス検査は実施しておりません。
 続きまして、四ページをお開き願います。
 4の都立の感染症指定医療機関におけるSARS疑い例及び可能性例の患者数でございます。
 感染症指定医療機関となっております都立の四つの病院で診療した平成十五年七月一日までのSARS疑い例及び可能性例の患者実数でございます。
 次に、五ページをごらんいただきたいと思います。
 5の全国の特定感染症指定医療機関及び第一種感染症指定医療機関でございます。
 上の表にお示しした特定感染症指定医療機関は、厚生労働大臣が指定するものでございまして、現在国内に二カ所でございます。
 第一種感染症指定医療機関は、都道府県知事が指定するものでございまして、国の示す配置基準では、都道府県に一カ所、二床とされておりますが、下表のとおり、現在、十の都府県で指定が行われております。
 都では、表にありますとおり、都立荏原病院、墨東病院の二カ所、四床を指定してございます。
 続きまして、六ページをお開き願います。
 6のSARSに対する保健所の医師及び保健師の役割でございます。
 SARSの真性患者の発生時と未発生時に分けて、それぞれ保健所の医師、保健師が担う役割を記載してございます。
 最後に、七ページでございますが、7のSARSに関する広報実績でございます。この四月から六月までに行った各種媒体を使っての情報提供、広報活動の実績を記載してございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料についての説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○森田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 それでは、SARS対策について何点かお伺いいたしたいと思います。
 さきの第二回定例会の代表質問で、私どもの方でも、患者発生時の医療体制の充実が必要である旨の質問をさせていただきましたし、また各党の方々からもそれぞれの質問がありました。
 今は、おかげさまで終息に向かっておりますので、ほっとしているところでございますが、今後のこともありますので、改めて順次何点か質問させていただきたいと思います。
 都は、本年六月には、SARS対策専門家会議の意見も踏まえ、SARSの疑いのある者に対する外来初期診療をより一層適切なものにするために、新たに協力医療機関を都で独自に指定し、既に感染症法の施行に伴い指定された感染症指定医療機関との連携を緊密にするなど、医療体制を充実しているとのことでありました。
 また、今後、協力医療機関の拡充や、感染防御のための医療資器材や設備の拡充等に万全を期すとの決意を伺ったところであります。
 私は、国に先駆けて--ここが大事だと思うんですが、今回は国に先駆けて健康局がいち早く対策本部を立ち上げました。都立病院を中心とした医療体制の確保とともに、保健所を初めとした相談体制、防疫対策の確保を図ったことについて高く評価しているところでありますが、今なお多くの都民が不安に思っていることについて何点か具体的にお伺いいたします。
 まず、基本的なことから伺っていきたいと思いますが、SARSについては、発生の初期段階において多くの不明な点がありましたが、これまでの経緯や、世界じゅうの英知を集めた研究の中でわかってきた原因及び感染経路などについて改めて確認いたしたいので、ご説明をいただきたいと思います。

○梶山医療サービス部長 本年二月下旬、中国を経由してベトナムのハノイに到着した中国系アメリカ人の男性が重篤な呼吸器疾患を発症し、入院したことを端緒として、その後、ハノイ、香港などにおいて同様の症状を呈する多数の患者が発生いたしました。
 三月中旬、WHOは、これを重症急性呼吸器症候群(SARS)として、全世界に向けて警告を発しました。
 また、四月中旬、WHOは、SARSの原因は新種のウイルスであると断定し、本疾患をSARSコロナウイルスを原因とする新たな感染症であるといたしました。
 なお、感染経路は、感染者の唾液などによる飛沫感染が主なものと考えられております。

○松原委員 ただいまの報告のとおりなんですが、海外、とりわけ中国、香港、台湾等でのSARS感染拡大に伴い、これらの地域との往来が多い日本にもSARSが上陸する可能性が高まってきたわけですが、都は四月の初めにいち早く対策本部を設置して、危機管理対策の強化を図ったわけであります。
 そこで、都におけるSARS対策本部の設置や基本方針策定の経緯についてお伺いいたしたいと思います。

○梶山医療サービス部長 都は、香港、ハノイなどでのSARSの感染拡大を受け、四月四日に、健康局、病院経営本部が合同でSARS対策本部を設置いたしました。
 また、四月七日には、感染症に詳しい学識経験者などによるSARS専門家会議を開催し、ここでのご意見を踏まえ、同日、都としての基本方針を策定いたしました。
 その基本方針は、第一に、情報不足による不安を解消するため、正確な情報を都民に積極的に提供する。第二に、外国で感染し、帰国された方への対応や二次感染防止に十分な対策を講ずるの二点といたしました。
 以後、SARS対策本部を中心に、ホームページなどを通じた迅速な情報提供や症状に応じた適切な医療提供体制の整備など、国に先駆けたSARS対策を実施してきております。

○松原委員 東京都としては、今回のこの対策について、できる限り早期に万全を期して対策を講じてきたというふうに私は思っております。
 そういうわけで、幸いにして、現在までの間、国内ではSARSの真性患者は発生していないわけであります。
 また、都内においても、SARSの疑い例、可能性例の患者が数例報告されていると聞いております。
 また、今の資料の中で、都立病院の中でも疑い例が十、可能性例が三ということで、合わせて十三、報告が出されたところであります。
 そこで、SARSの疑い例、可能性例についての定義と、SARS患者が発生した場合、どのように真性患者と判定されるのか、その仕組みについてお伺いしておきたいと思います。

○梶山医療サービス部長 まず、SARSの疑い例についてでございますが、SARSの伝播確認地域から十日以内に帰国または来日され、三十八度以上の急な発熱及びせき、呼吸困難などの呼吸器症状が見られた方がこれに該当いたします。
 さらに、胸部レントゲン写真で肺炎の所見のある方が可能性例に該当いたします。
 都内でSARSの疑い例、可能性例が発生しました場合には、三月十二日付の厚生労働省通知に基づき、国に報告しております。
 国は、都道府県などから報告されたSARSの疑い例などについて、国立感染症研究所所長など専門家で構成されるSARS対策専門委員会において、真性患者かどうかの判定を行っております。

○松原委員 そこで、さきの本会議で、ちょっとだれも聞いていなかったと思いますので、聞かせていただきたいと思うんですが、SARSの治療法なんですけれども、最近の新聞報道で、HIVやC型肝炎の治療に用いられるグリチルリチンがSARSの治療に有効であるということを目にしました。
 または、以前にも、リバビリン、多少副作用があるかもしれませんが、香港で治療に使用されて効果があったという報告を見たことがあります。
 そこで、現在、SARSに有効な治療薬があるのか、また、都立病院において、どのような治療が行われているのか、以上二点について伺いたいと思います。

○梶山医療サービス部長 治療薬についてのお話でございますが、お話のグリチルリチンあるいはリバビリンなど、幾つかの薬が有効であるとの報告もなされておりますが、いずれも確証は得られておりません。
 現在、WHOが中心となり、全世界の研究機関が協力して、治療法の研究やワクチンの開発が精力的に進められております。
 次に、都立病院における治療法については、SARSに対する治療法が確立されていない現在では対症療法が中心となりますが、各病院の感染症専門医がネットワークを組み、情報交換を行いながら、最新の知見に基づく治療を実施しているところでございます。

○松原委員 それでは、続いて、都における医療体制について伺いたいと思います。
 SARSの診察については、他の患者となるべく接触を避け、別室で診察するなど、二次感染を防止することが肝要であります。
 一般の医療機関の中には設備などの面から対応が難しいと考えられる病院等もあることから、都が協力医療機関を指定し、SARSの外来初期診療を確保したことは、評価できるものであります。
 そこで、協力医療機関について、どのような考え方で指定したのか、また、指定後の医療体制はどうなっているのかを具体的にお伺いいたしたいと思います。

○梶山医療サービス部長 ご指摘のとおり、一部の一般医療機関の中からは、設備などの面で外来初期診療への対応が難しいとの意見も寄せられており、また、SARS専門家会議でのご意見等も踏まえ、都独自に協力医療機関を指定したところでございます。
 この協力医療機関の指定に当たっては、その要件として、第一に、他の患者より優先して早期診療ができること。第二に、別室での受け付けや診療など、他の患者と接触しない患者の動線が確保できること。第三に、ディスポーザブル式のガウン、手袋、高性能なN95マスクなど、医療従事者の標準的感染予防対策が万全であることを基本的考えといたしました。
 協力医療機関を指定することにより、万が一感染者が発生した場合にも、患者の症状に応じた適切な診療が行える医療体制を整備いたしました。

○松原委員 先ほども述べましたけれども、現在はSARSの猛威は終息に近づきつつあるとはいえ、急な発熱やせきなど、インフルエンザの初期症状との区別が非常につきにくいということですから、この冬に向けた対策に万全を期する必要があると考えられます。
 都は、感染防御のための医療資器材や設備の拡充などの支援を進めていくとのことでありますが、具体的な対策についてお伺いいたしたいと思います。

○海老原事業調整担当部長 SARSとインフルエンザとの関係でございますけれども、ご指摘のとおり、SARSとインフルエンザは、その初期症状が極めて似ているということのため、インフルエンザが流行する冬場に向けまして医療体制を充実強化することは極めて重要であると認識しております。
 現在、国におきましても、SARSの外来診療に対応する医療機関への補助について検討を開始していると聞いております。
 都におきましては、既に協力医療機関に対し、N95マスクなどの感染予防資器材の提供に着手しているところでございまして、施設設備の整備に関しましても、今後の国の動向を踏まえながら積極的に対応してまいります。

○松原委員 今、協力医療機関への積極的な支援を行うという答弁がありました。ぜひ、そのようにしていってほしいと思っています。
 疑い例患者に対して迅速かつ的確な医療を提供するためには、一般医療機関と協力医療機関の連携も重要となります。
 都は、既に東京SARS診療ネットワークの仕組みを構築し、円滑な診療の流れを確保しているとのことであります。
 この中で、保健所は、疑い例患者をトリアージし、一般医療機関または協力医療機関へ紹介するなど、このたび大変重要な役割を担っていると聞きましたが、具体的にお伺いいたしたいと思います。

○海老原事業調整担当部長 保健所の役割でございますけれども、保健所は相談窓口や疫学調査などのSARS対策における重要な役割を既に担っているところでございますけれども、SARSを疑う都民の方などから保健所に相談があった場合、医師等が病状を確認し、疑い例に該当する場合は確実に協力医療機関を紹介し、該当しない場合には一般医療機関を紹介することとしております。
 このように、保健所は、東京SARS診療ネットワークを円滑に機能させる窓口として、より明確な役割を担い、一般医療機関、協力医療機関、感染症指定医療機関が連携した診療体制の一層の強化を図ることができたところでございます。

○松原委員 今回の一連のSARS対応で、保健所の役割が再認識されました。私ども二十三区、特に私、大田区ですが、大田区におきましても、かなりこれは広報活動で保健所というものを、身近なものだからよく行きなさいというのを積極的にやりました。
 そういった意味で、大変保健所というのが再認識されたというふうに思っておりますが、都保健所は健康危機管理機能をさらに強化していくべきと考えますけれども、東京都における見解をお伺いいたしたいと思います。

○齋藤地域保健部長 SARSなどの新たな健康危機に的確に対応するためにも、分散している人材や機能を集約化し、平常時に万全の備えを講ずるとともに、危機発生時には迅速かつ重点的に人員を投入するなど、危機管理機能を高めていく必要がございます。
 こうした点からも、多摩地域の都保健所の再編整備を進め、二次保健医療圏における広域的、専門的、技術的拠点として、より一層機能の充実強化を図ってまいります。

○松原委員 これまでの質問を通じまして、東京都がSARS対策に一生懸命取り組んでいるということがよく理解できました。
 しかし、国際都市東京の特性を踏まえますというと、SARS患者、感染者の発生は今後も予断を許されないところであります。
 国は、SARSを感染症法上の指定感染症として、政令により指定することを先般の閣議で決定したと聞いています。
 また、これにより、SARSの患者発生時には、国の指導助言を仰ぐことなく、都独自の責任において迅速な対応が求められていくことになると聞いております。そういうことですから、自治体として都の責任がますます重くなることでございます。
 一千二百万都民の安全を守るために、今後も万全の対策を講じることを期待しておきたいと思います。
 そこで、最後に、冬場におけるSARSの再流行の予測を踏まえながら、さらなるSARS対策の充実に向けて、局長も新たになりましたので、局長の決意をお伺いいたしたいと思います。

○平井健康局長 都は、これまで、国に先駆けて、防疫あるいは医療体制の整備に取り組んできたところでございます。これは、委員の皆様方からも評価していただきまして、本当にありがとうございます。
 これまで、都内での感染者は発生しておりません。また、世界的にも鎮静化の方向にございます。しかしながら、ご指摘のように、この冬に向けてさまざまな事態が起こることは予想せざるを得ません。活発な国際交流が行われている昨今、もとより我々の力も無限ではございません。
 そこで、検査体制、検疫体制の強化など、国の体制強化を求める一方、都は、警視庁、消防庁などとも、起こり得るさまざまな事態を想定し、体制整備に万全を期してまいりたいと考えております。
 よろしくご支援をお願いします。

○東村委員 それでは、第二回定例会の我が党の代表質問でも、このSARS対策についてはかなり角度を絞ってご質問いたしました。そして、今、松原委員の方からもご質問がありましたので、重複しないようにポイントを絞って何点か質問したいと思います。
 本年二月にハノイ、香港から発生し、アジア諸国で猛威を振るいました重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSについては、ようやく鎮静化の状況を迎えようとしつつあります。
 幸いにも、日本ではこのSARSの真性患者が出なかったことで、中国、香港や台湾など、世界の国々で起きたような二次あるいは三次感染などによるSARS患者の大量発生は免れております。
 しかし、これらは、WHOによりSARSの流行地域がすべて解除され、検疫体制が緩和されることや、SARSが再発すると予想されている冬場に向けて、今から、万一SARSが大量発生した場合の、私は最悪のことも想定しておくことが大事なんだろうと。
 どうも日本という国は、物事が起きてから何かをしようというような、とにかく後手後手の体制が多いわけで、やはりこういう状況が起きてもおかしくないという可能性があるのであれば、私は先手を打つべきだろうと思っております。
 そこで、SARS患者が入院可能な陰圧病床がある都内の医療機関は、今七病院で六十六床あるとお聞きしておりますが、現在の病床数で果たして今後の患者の発生に対して十分対応できるのか、まずこれについて伺いたいと思います。

○梶山医療サービス部長 SARS患者への対応でございますが、現在、ご指摘のとおり、都内には陰圧制御可能な病床が七病院に六十六床ほどございます。
 都内にSARS患者が散発的に発生した場合には、発生初期の段階から、都内にございますこの六十六床を活用し、万全の対応を期すこととしております。

○東村委員 今、部長から、確かに散発的な事例に対しては、都内にある陰圧病床がある医療機関で十分対応できるという話なんですけれども、先ほどいいましたように、感染が二次、三次と拡大していって、患者が大量に発生した場合に、今のこの七病院、六十六床で果たして対応できるのか、こういうところを心配しているわけですけれども、これについていかがでしょうか。

○梶山医療サービス部長 この間、SARSに関しますさまざまな知見も明らかになってきておりますので、健康局ではこうした最新の知見を、ホームページなどを通して、都民あるいは医療関係者の方々に適切に伝えていきたいというふうに考えております。
 また、病床の件でございますが、SARS患者が大量に発生した場合につきましては、例えば病棟単位で感染症に対応する体制を整えるよう、都内の感染症指定医療機関などに対し強力に依頼するなどして、医療体制の充実拡大を図って対応していくこととしております。

○東村委員 今、一般的な、いわゆる日常生活をしている都民、それから普通の方々、こういう方々について大量発生しても、病棟単位で感染症に対応する体制をつくっていく、こういうお話がありまして、都としても医療体制の充実拡大をきちっとやっていきますということを、医療サービス部長からご答弁いただきました。
 しかし、これは代表質問でもお話ししたんですけれども、SARSはアジアが発生源だと考えられているんですね。まだ特定はされていないんでしょうけれども、考えられているわけです。
 日本に今、働きに来ている外国人の方、この方の出てくる先というのは、アジア諸国が中心なんですね。その中には、正規のルートで来られる方もいらっしゃるでしょうけれども、密入国という不法な手段で日本に上陸される方がいらっしゃるわけなんですね。上陸してくるわけなんですけれども、SARSに感染している場合も、恐らくこれは想定できるだろうと。
 特に、ああいうコンテナにぎゅうぎゅうに詰め込まれてやってくるわけなんですね。ただでさえ、ああいう状況で来ると、死人も出るし、病気にもなるんですけれども、たった一人だけSARS患者が出て、それが陸揚げされて散らばってしまえば、これは大変なことになるんです。恐らくこういう人たちの行き先というのは、繁華街といわれているところなんですよ。
 そういったことも関連して、これ、非常に怖い問題だなということで、代表質問でこの不法入国に関するSARS対策について健康局長にお伺いしたわけなんですけれども、その際、臨時収容の対策など、必要な措置はこれから講じていくし、国に対しても--これは本来不法入国のことに関しては国の責任だとおっしゃいまして、国に対して強く提案要求していくと、こういうことをいわれたんです。
 確かに、不法入国した人間を留置場に入れるわけにいかないんですよ。留置場に入れたら、留置場に蔓延するわけですね。そういうわけにもいかない。じゃあ、どうするんだということで、国に対して提案要求していきますという話がありました。臨時収容など必要な措置を講じますとおっしゃったんですけれども、もうちょっと具体的にどうしていくのかということを明らかにしてもらわないと、正直いって、これは私は怖い問題だなと思っていますので、この点についてちょっと具体的に部長から述べてもらいたいと思います。

○梶山医療サービス部長 不法入国者の問題は、ご指摘のとおり、基本的には国において対処すべき問題であり、都は、検疫体制の強化や不法入国者に対する隔離、防疫体制について、これまでも国に強く提案要求しているところでございます。
 現在、近隣諸国での感染拡大は終息に向かいつつありますが、不法入国者にかかわるSARS対策については、国の対応を待つだけではなく、まさに危機管理の観点から都独自の対応も検討していくべきものと考えております。
 このため、六月九日、総務局を中心に、健康局、病院経営本部、港湾局、警視庁など関係機関が参加し、SARS対策に関する全庁的な連絡会が設置され、具体的な検討を開始しているところでございます。
 収容措置を含めた特別な対策につきましては、庁内関係各局のみならず、国の関係機関などとの調整が必要な大変大きな課題でございますが、早期の対策確立に向け、鋭意調整を図ってまいります。

○東村委員 なかなか突っ込んだ答弁は出てこないんですけれども、きのう、知事もくしくも、一昨日我が党が代表質問した内容を、危機管理という観点から、知事自身が不法入国者に対するSARS対策ということは認識していなかったと。これは、やっていかなきゃいけないんだということをおっしゃっていました。
 早急にやる、立ち上げたというのはわかるんですけれども、不法入国の人間というのは、いつやってくるかというのがわからないから、やっかいなわけなんですね。いつやってきますよなんてわかったら、不法入国できないわけですから、いつやってくるかわからないわけで、そういう中で、国に要求していきます、都としても今検討していますというのは、なかなかこれは起きたときに手がつけられないんです。
 すぐそこでSARSだとわかった人は、この病院とかに措置ができるかもしれないんですけれども、かかっていない、ただ、ひょっとしたら感染しているかもしれないという人たちは、ある一定のところに収容しなきゃいけないと思うんですね。
 これは、私の個人的な見解なんですけれども、採用されるかどうかは別にして、この水辺ということで、コンテナ倉庫、東京都でいろいろな意味でコンテナ倉庫を管理するところがあると思うんですけれども、このコンテナ倉庫に一時的に収容していくという方法も一つの案じゃないのかなと、私は、いろいろ私なりに心配していますから、考えたわけなんです。
 コンテナ倉庫なんかは、一つの方法なんじゃないかと思いますし、できればこれ、早急に具体的にどうするのかというのは、都の責任じゃないという気持ちもわかるんですけれども、国の対応を待っていたら、万が一起きたときに、東京都に広がったら、東京都、責任ないのかといったら、東京都の責任も問われてくるわけなんですよ。
 そういう意味で、やはりこれは早急に対応策を考えていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。

○吉田委員 私も、今のお二人の方の質疑に続いて、SARS対策について質問させていただきます。
 初めに、この事態が起きて以来、文字どおり二十四時間、部長、課長を先頭に、あらゆる事態に対応できるように対応されてきた、この間のご努力に対して敬意を表したいと思います。
 やはり都民の命と健康にかかわる問題であり、しかも極めて広い影響力を持ち得る危険性を持った事態として、私たちもこの間、都立荏原病院あるいは東京検疫所、そして旧衛生研究所なども訪問して勉強してまいりました。
 その上に立って、先日、都知事あてのSARS対策の申し入れ書を福永副知事に提出させていただきました。その主な項目は、SARS対策を盛り込んだ感染症予防対策の前倒し策定ということや、初期診療、さらに専門医療機関の拡充と、そのための支援、その関連で、都立病院統廃合計画の再検討あるいは保健所の機能強化と統廃合の見直し、そして、今も話題になりました、国に対して防疫体制の強化を求めていくべきではないかというような、概略、内容でありました。
 そうした申し入れの上に立ちまして、その実行を求めて何点かについて質問したいと思います。
 第一点は、やはり今日のSARSをめぐる状況をどのように見、都としてどのように対応していくのかということについて質問を予定しておりましたが、既に議論がありました。決して鎮静化したからとして油断することなく、逆に冬場の流行の危険性、しかもインフルエンザと同時並行した場合の最悪の事態を想定して、今のうちから、より全面的、本格的な対応の努力をしていくということで、大いに頑張っていただきたいなというふうに思います。
 その関連で、私は、本来ならば感染症予防計画は前倒しで改定すべきだというふうに思い、申し入れいたしました。しかし、健康局のご回答は、国の改定と対応して進めていきたいということでありました。
 しかし、感染症予防計画全体の改定は国と連動するにしても、現時点で、SARS対応だけに絞ってでも、総合的な対応策というものを改めてまとめ、整理して臨んでいくということが求められていると思うんですが、いかがでしょうか。

○梶山医療サービス部長 現行の感染症予防計画は、都の感染症対策の基本計画となるものであり、この基本計画に基づき、都はいち早くSARS対策本部を設置し、基本方針を定め、対策本部を中心に、常に国に先駆けた具体的な対策を講じてきたところでございます。
 今後、これらの対策を踏まえ、また事態の推移などを見守りながら、国の法改正の動向などを見極めながら、適切に対応してまいります。

○吉田委員 私は、基本的には、さまざまな方針なり計画、あるいは病院に対するマニュアル等をつくって、普及努力をしていることは承知しています。
 しかし、そうしたものを全体像として整理し、不十分な点はさらに補っていくというふうな計画策定というものが、どうしても必要ではないのかなという意見を引き続き持っております。
 同時に、こうした全体的、総合的な対応に関連して、今、国の方も、たしか夏ごろに向けて、関東規模での何らかの訓練というものを検討しているようですけれども、これは東京都あるいは東京都保健所だけではなく、区部の保健所、さらに医療機関なども含めて、現実に、例えば陽性患者が確認された場合、発生した場合の移送、対応、そのときの装備、そのときの保健師の行動のあり方等々については、既に行われているかもしれませんが、一度全体像について予行演習すると。その上に立って、不備な点や不明確な点については補っていくようなことが早急に具体化されるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○海老原事業調整担当部長 訓練、予行演習の話でございますけれども、東京都としては、これまでも、この四月十八日でございますけれども、一類感染症患者やSARSの患者が発生したということを想定いたしまして、専用車両を用いた患者搬送訓練を実施するなど、適宜実践的な訓練を行ってきたところでございます。
 今後、都といたしましては、国が予定しております大規模訓練に協力するとともに、区市町村とも連携いたしまして、都として主体的に必要な訓練を実施してまいりたいと考えております。

○吉田委員 ぜひ、そうした訓練に基づいて、さらに不十分な点は補っていくという万全な努力を改めてお願いしたいと思います。
 次に、少し各論的に質問させていただきますが、検疫体制あるいは防疫問題ということについてであります。
 伝播確認地域が次々と解消していくということになった場合には、そうすると空港や港湾施設での検疫ということは解消されてしまうのかという心配をするわけですけれども、それが事実、どうするのか、果たしてそれでいいのかどうかというのが第一点目であります。
 二つ目に、検疫体制の強化は、もう会派を超えて共通した要望になっておりまして、確かに不法入国の問題もあるんですけれども、今の状態で、東京検疫所、この前、大山委員とも一緒に調査に行って、これはちょっとどうかなというふうに思った点が一点あるんです。ほかにもありますが、特に疑問だった点は、無線検疫なんですよね。
 要するに、東京港に来る船についての検疫は、旅客船については一応東京検疫所の係官が検疫する。ただ、貨物船については、船長から無線で、乗員何名、異常なしという連絡があれば、それでよしと、尊重するという無線検疫で対応している。
 しかし、東京港に接岸し、検疫する船の大多数は貨物船だということなんですね。ほとんどが無線検疫で済まされているということでは、心配を感ずるのは私どもだけではないんじゃないかなというような具体の問題も含めて、今後とも検疫体制の強化を具体的に国に求めていく必要があるかと思うんですが、いかがでしょうか。

○梶山医療サービス部長 本日現在、伝播確認地域は台湾のみとなっておりますが、検疫所では、原則として海外からのすべての到着便についてサーモグラフィーなどを用いた体温測定を実施しております。
 さらに、伝播確認地域と、台湾などSARSの感染リスクが依然として高い地域からの到着便については、質問票による健康状態の確認も行うなど、検疫における警戒体制を現在も維持しておるところでございます。
 また、ご指摘の検疫体制の強化についてでございますが、検疫業務は本来国の業務であり、都といたしましては、検疫体制の充実強化、あるいは病原体の国内侵入を未然に防止するために、これまでも国に対し機会あるごとに提案要求してまいりました。
 今後とも、機会をとらえ、検疫体制の強化を国に要求してまいります。

○吉田委員 東京検疫所の東京港を担当する検疫の係官は五名だったんですよね。ですから、船舶に対する無線検疫の見直しを話題にしたときには、到底今の体制ではやれませんという旨のお話だったわけですが、それでよしというわけには私はできない問題だと思うんで、ぜひ国に要望していただきたいというふうに思います。
 次に、初期診療体制の問題について質問させていただきます。
 やはりもう既にご努力はされていますけれども、第一に、どこに相談したらいいのかと、どこに行ったらいいのかと、自分が心配になった場合には。そういうことに対する、保健所を中心とした、どこに行ったら相談に応ずるのか、そういう広報活動を強めるということが第一に必要だと思うんですね。
 第二に、SARSネットワークでは、初期は一般の医療機関に行ってくださいと。そこで診るんですということが示されました。しかし、現実的には、保健所の方のお話を聞きましたけれども、やむを得ない面もありますが、医療機関では、SARSが心配なんですけれども診てくださいといった場合には断られるというケースが多数起きた。
 そういうふうに断る事態の背景には、医療機関の中で院内感染対策だとか施設の整備だとか、十分でない中では、受け入れがたいという対応をせざるを得ないということも理解できると思うんです。
 しかし、身近なところで相談の窓口が拡充されるということは、専門の医療機関や協力医療機関の整備も必要ですけれども、引き続き重要な課題だと思うんですが、そうした初期の対応の拡充、そしてそれに対する支援策、そうしたことについてはどのように考えて対応されているんでしょうか。

○梶山医療サービス部長 都民の方が安心して初期診療を受けられるような体制を整えることは、非常に重要なことであると考えております。
 このため、都は、一般医療機関への支援といたしまして、四月にSARS専門家会議のご意見をいただき、院内感染の予防や職員の安全確保などが図られるよう、医療従事者等感染防御のガイドラインを作成し、医療機関向けSARS講習会の場や東京都医師会を通じて各医療機関に配布するとともに、都のホームページ上でも公開しております。
 また、六月からは、設備などの面から外来初期診療への対応が難しい医療機関に対する支援として、協力医療機関を指定いたしました。これにあわせて、ガイドラインも一般医療機関における感染防御マニュアルに改定いたしました。

○吉田委員 やはり初期はかかりつけ医、地域の医療機関でということをこの間、繰り返し説明されましたけれども、本当に初期で、たとえ疑い例以前の不安例であったとしても、どういう事態が起きるかわからないわけですから、初期で対応せよというならば、そういう医療機関に対する支援策というものはもっと強めるべきだというふうに思います。
 同時に、杉並の場合には、すべての医療機関で初期対応ということは現実的じゃないという状況のもとで、協力医療機関にはなっていませんが、三つの医療機関が対応しますということで、保健所と協議し、対応しているようですけれども、そうしたところに対する支援というものも大いにしていただきたいと思うんですね。
 次に、協力病院、協力医療機関なんですが、きょう資料で示されましたけれども、二次医療圏で見た場合、例えば品川、大田区は協力医療機関はゼロですね。杉並、中野、新宿の区西部ではわずか一カ所と。杉並区には協力医療機関はありません。ということから見たら、相当この協力医療機関そのものも拡大していくべきだと思いますし、一体どの程度を目指して努力しようとしているのか、既に国からは、設備に対して二分の一補助ですか、ということが検討されていますが、都として、関係者の要望を受けて、よりそれに加算するような支援策を早急にとるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○海老原事業調整担当部長 外来初期診療機関に対しましては、現在、国において、こうした医療機関への補助について検討を開始しているというふうに聞いているところでございます。
 都といたしましても、既に独自にその支援策について検討を始めているところでございます。
 協力医療機関の拡充についてでございますけれども、今後、この冬場に向けまして想定されるさまざまな事態に対応できるよう、医療体制の拡充を図っていくこととしておりまして、その中で取り組んでいきたいというふうに考えております。

○吉田委員 それと、申し入れ書の中で、この協力医療機関の名前は公表すべきではないのかということを申しました。しかし、公表すると、そこの病院に差し支えが起きるからできないんだというお話でした。
 ただ、日本医師会の発表している資料を見ますと、北海道を含むたしか三十道県では、氏名を公表しているという対応をとっているんですよね。私も、話を聞いたときには、確かに公表するのは不適切かなと思ったんですが、既に三十の道県では協力医療機関名は広く県民に公表し、利用できるよう促進しているということになれば、必ずしも絶対公表はできないということだけではないんじゃないかと思うんですが、この辺はどうなんでしょうか。

○梶山医療サービス部長 協力医療機関の公表についてでございますが、先生ご指摘のとおり、全国の状況を見ますと、公表しているところはいずれも人口規模が小さな県でございますので、実質的にSARSの協力医療機関の公表をしてもしなくても、県民の方には、ああ、この病院だろうということがわかるものではないかというふうに考えております。
 ただ、公表している県は、ほとんどが公立病院でございます。ですので、人口の多い東京など、大変多くの医療機関が集中しているところでは、今回の事態に対応するため、医師会の協力を得て、現在のところ非公開としております。

○吉田委員 それは、医師会のご意見もあるでしょうから、それは尊重いたします。
 それと、そういう院内感染対策というものを本格的に強めていくことが、中国などの例から見ても、病院が感染のもとになったり、逆にトロントでは、従事した看護師の方が亡くなられるという痛ましい事故もありましたが、そういう意味では院内感染対策というのは非常に重要であり、私たちはその一つの事業として、感染症の管理を行う認定看護師、略称ICNの配置を促進する。そのための講習会なども大いに進めていくべきだというふうに要望したところなんですが、この点はいかがでしょうか。

○梶山医療サービス部長 先生ご指摘のICN、感染管理認定看護師でございますが、これは救急看護あるいはホスピスケアなど、十一の特定専門看護分野の一つとして、一般的な院内感染防止のための感染管理にかかわる認定資格であり、重要なものであるとは認識しております。
 しかし、今回のSARS対策にかかわる感染症専門医療に直接かかわるものではないことから、今回のSARSを契機とした養成研修につきましては、認定機関である日本看護協会の動向を踏まえ、対応を検討してまいります。

○吉田委員 それなら、SARSに対応したような、いずれにしても、こうした職員の研修体制というものを大いに強めていただきたいというふうに思います。
 次に、専門医療機関にかかわって三点ほどお伺いしたいんですが、都立荏原病院に伺って、専門のドクターからもお話を聞きました。可能性例も含めて、疑い例も含めて、敷居を低くして、積極的にそういう患者さんを受け入れて努力しているんだという力強いご発言が担当のドクターからありましたけれども、そのために常に一定のベッドは確保しておかなきゃならないという問題ももちろん、看護師の方から装備をその場で見せていただきましたけれども、キャップから、ゴーグルから、そして装備、そのたびごとにかなりは使い捨てせざるを得ないわけですけれども、備蓄するにも相当財政的な負担もかかると。
 国にもそういうことは要望されていると思いますけれども、きちんとして、病院がその犠牲を負うことなく必要な器材などが用意できる、あるいは安心してベッドを確保できるという措置がとられなきゃならないと思いますし、そのために国にも要望していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○海老原事業調整担当部長 都は、これまでも、感染症指定医療機関の負担を軽減するために、国の基準額に上乗せして運営費の補助を行っているところでございます。
 また、国に対しましても、運営費補助の増額など、積極的な支援を図るよう提案要求しているところでございます。
 今後とも、都といたしまして、その充実に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

○吉田委員 それで、病院経営本部が進めている都立病院の統廃合計画との関連なんですけれども、今、都立病院で感染症は四病院。その中でも、患者数、この間一番多く努力してきたのが荏原病院。
 荏原病院は、もともと歴史的にも、感染症について先駆的に取り組んできた病院であり、また、私も陰圧室、全室見させていただきましたけれども、設備面においても、またドクターを初めとするマンパワーにおいても整備されている。
 ところが、実行プログラムでは、この荏原病院の感染症病床は公社化に伴って廃止し、移転するということが現プログラムでは明記されておりますし、また豊島病院についても、感染症病床はこれは廃止するという旨のことが明記されていて、それだけではなくて、そうすると全体に四つの都立病院のうち二つが感染症対応ではなくなってしまうということにこの計画上ではなってしまうわけですが、こうした点について、私は健康局として、病院経営本部ともこの問題を再検討、協議を求めていくということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

○海老原事業調整担当部長 感染症病床でございますけれども、これは東京都保健医療計画では、都全体として九十二床を整備することとしております。現在は、必要な病床数は確保しているという状況でございます。
 なお、今後でございますけれども、健康局といたしましては、都立病院改革の動向を見ながら、関係機関にも働きかけるなど、今後とも必要な病床数は確保していきたいと考えております。

○吉田委員 この場ですから、それ以上のことをいいませんけれども、ただ、例えば荏原病院でもいわれたんですが、陽性患者が搬送された場合には公表するということになっていますよね。それが何人かということもありますけれども、当然同じ病棟の中で入院している患者さんから転院の希望が少なからず出るであろうということにも、覚悟して対応せざるを得ないんだということもいわれました。
 したがって、感染症に対応する場合には、そうした発生時のことを考えれば、きちんとした病棟、病床の確保などということも念頭に置いて対応することが求められているし、そうしたことも、病院の統廃合計画の再検討を求めるに当たっては、当然念頭に置くべきことだと思うんですが、そうした危険性というか、可能性ということはどんなふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

○梶山医療サービス部長 ただいまもお答えいたしましたけれども、東京都保健医療計画では、都全体として九十二床整備することとしております。現在、必要な病床数は確保しております。
 引き続き、健康局として、関係機関に働きかけるなどして、感染症病床の確保に最大限の努力を図ってまいります。

○吉田委員 ですから、例えば転院するような事態も想定して対応が求められているんじゃないですかということなんですが、いかがですか。

○梶山医療サービス部長 患者さんの転院につきましても、病院間の適切な連携のもと、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○吉田委員 私も、適切に対応してくださいといわざるを得ないんですけれども……。
 次に、最後、この問題の大きな項目で、保健所について質問させていただきます。
 改めて感染症予防計画を読ませていただきましたけれども、その中では、保健所の役割として、保健所は住民への情報提供、保健指導などを行うほか、市町村その他の関係機関への情報提供、技術的、専門的指導に当たるなど、地域における感染症対策の中核機関としての役割を果たすということが明記されておりました。
 現実に、この間のSARSの危険性が大きな問題になってからの対応というのは、そういう意味では非常に保健所の、これはもちろん区部の保健所もそうですけれども、都立の多摩保健所の皆さんも大変なご苦労をされてきたことだと思うんです。
 こうした中核的機関ということなんですが、改めてちょっと確認させていただきたいんですが、健康局は、現在の十二保健所を五保健所に新基幹型保健所として統廃合するという計画を発表し、今、市町村と協議していると思うんですが、当然この感染症対策は、市町村事業として移管するのではなくて、都の保健所の基本的な任務ということで対応されるということでよろしいんですね。

○齋藤地域保健部長 健康危機管理対策は、基本的な都の保健所の責務でございますので、きちんと適切に対応していきます。

○吉田委員 そうしますと、このSARS対応というのは、この間の経過を見ても、また大阪の事例などを見ても、非常に地域密着的な仕事がこれまで以上に求められる。さらに、非常に機動的な対応というものが求められるということを改めて浮き彫りにしていると思うんですね。
 資料でも、具体的な保健所の作業が出てきますけれども、例えば日常的な相談業務、医療機関の紹介、さらに「ひまわり」に配置して、「ひまわり」での相談活動も対応するという問題や、もし医療機関から可能性例、疑い例ということが通報されれば、直ちにその医療機関に医師あるいは看護師の方が直行して疫学調査を行う。その検体を入手して、旧衛生研究所に移送する。で、必要な消毒などの業務を行う。また、ラッサ車でその患者さんが移動するということになれば、そのラッサ車に同行して感染症指定医療機関まで対応すると。
 ただセンター的役割だけじゃなくて、まさに第一線の仕事をしていくという意味では、非常にこれまで以上に密着的で機動的な作業というものが増大すると思うんですが、いかがですか。

○齋藤地域保健部長 現在、SARSに対します対応では、ご案内のとおり、保健所で、「ひまわり」も含めまして二十四時間の相談体制を組んでおるところでございますけれども、対応としては電話による相談がほとんどでございます。
 また、仮に発生した場合の対応としては、保健所は、先生、今いわれましたとおり、感染症法上の手続、具体的には医療機関への移送ですとか、あるいは疫学調査あるいは消毒の指示等講じることになります。感染者の方が保健所に来所することは基本的になく、保健所が出張、電話あるいは通信手段等により、こういう対策が中心になろうかと思っております。
 SARSに限らず、SARSや、あるいは食中毒を含めまして、健康危機への対応としては、人員を分散して薄く広く配するということよりも、むしろ必要な専門職を拠点に集約化して、平常時には専門性を養いつつ、備えを万全にし、また危機発生時には重点的に人員を投入するなど、スケールメリットを生かし、迅速かつ効果的な対応を図ることが重要であると考えているところでございます。

○吉田委員 いろいろいわれましたけれども、例えば大阪の事例がこの前、全国の集会で報告されたんですけれども、要するに感染している台湾の医師が回った、該当するレストラン、ホテル、遊園地、そこに保健所の職員が行って、そこの従業員あるいはお客さん等の健康診断まで対応するという点では、大変な作業が求められたわけですよね。
 大阪でも統廃合問題が進められているようですけれども、明らかにこうした、一つの事例ですけれども、見ても、これまで以上にそれぞれの地域で密着した保健所としての役割が浮き彫りになっているんじゃないのかなというのが私の思いであります。
 しかも、これは市長会の要望でもあるんですけれども、例えば五カ所に集約するという構想を見た場合に、一番広い面積でいいますと西多摩地域になると思うんですけれども、一カ所、四市二町一村で五百七十二平方キロメートルというエリアを対象とするわけですよ。この五百七十二平方キロメートルというのは、区部の全面積に匹敵するんですよね。
 人口でいいますと、別なある保健所の例を出しますが、例えば府中、小金井と狛江、調布、三鷹、武蔵野を全部一つにしようという計画ですけれども、その対象人口は六市で九十三万五千二百六十一人なんですよ。
 区部では二十四の保健所があるじゃないかと。なぜ、多摩地域はこれだけの面積あるいは人口がありながら、五カ所なのか。明らかに、機動的に活動する点や、地域住民の皆さんと密着して、相談業務なり、あるいは消毒、その他の具体的な活動をした場合に支障が起きるではないかということは、もうだれが考えても当然だと思うんですが、なぜ五カ所なんですか。本格的には別な場でやりますよ。なぜ五カ所なんですか。

○齋藤地域保健部長 SARSやO157などの健康危機事例の対応を含めまして、地域保健をめぐる今日的な課題に対し、都道府県行政としての都がより的確に、かつ効果的、効率的に対応していくためには、都保健所は、市町村との適切な役割分担のもとで、より広域的、専門的、技術的拠点としての機能強化が求められているところでございます。
 都保健所の再編は、このような考え方のもと、市町村支援や健康危機管理など、二次保健医療圏における総合的な保健医療施策の拠点として、都保健所の専門的機能の充実強化を目指しているものでございます。
 なお、二次保健医療圏は、都における保健医療施策を遂行するための基本的な地域単位でございまして、それに整合性を持たせたものでございます。

○吉田委員 結局、二次医療圏ということだけなんですよ、いろいろ集約とか機能強化といわれますけれども。
 ただ、私も調べてみましたけれども、お隣の埼玉県は二次医療圏は九カ所ですよ。しかし、県の保健所は二十一カ所存在しています。
 千葉県の二次医療圏は八カ所ですけれども、県の保健所は五カ所なんです。
 埼玉の例をいいますと、二次医療圏で東部保健医療圏というのがありますが、そこには春日部保健所、草加保健所、越谷保健所、吉川保健所というふうに四カ所あるんですよね。西部第一医療圏というのが同じく埼玉にありますけれども、そこには川越保健所、朝霞保健所、所沢保健所、狭山保健所というふうに四カ所あるんです。
 ですから、それぞれ地域の実情に応じて、たとえ二次医療圏があったとしても、必要な体制というものをきちんと組んで対応しているんです。
 最後に、やはりSARS対策という新たな事態が発生し、それに基づいて感染症予防計画をもう一度改定していくという段階に来ているわけですから、当然そうしたことも含めて、市町村と慎重な協議というものを進めていただきたいということを要望すると同時に、市町村との協議、今どういう段階なのか、どのようにしようとしているのかをお答えください。

○齋藤地域保健部長 先生ご案内のとおり、昨年六月、多摩地域の保健サービスのあり方につきまして都と市町村の間で意見交換、検討を行うための多摩地域保健サービス検討会を設置してきたところでございます。検討会は精力的に作業を進めまして、昨年十月には中間のまとめを行い、市長会、町村長会において報告させていただきました。
 その後、引き続き意見交換、検討を重ね、実務者レベルでの意見交換、検討の場としては一定の取りまとめを行い、現在、市町村のご理解をいただくべく、調整協議に入っている段階でございます。

○吉田委員 やはりSARS対策における保健所の役割というものは、皆さん自身が、中核的、基幹的な、中心的な役割を果たさなきゃならないということを定めているわけですから、今日の状況にふさわしく、保健所の統廃合計画というものは再検討すべきだということを改めて述べまして、質問を終わります。

○柿沢委員 私は、SARSの感染の広がりを防止する対策について、特に医療機関から排出される廃棄物の取り扱いについて伺います。
 まず最初に、本当に基本的なことですけれども、SARSの感染経路、どのようにして感染するのか、まず伺いたいと思います。

○梶山医療サービス部長 SARSは、WHOにより、新種のウイルスであるSARSコロナウイルスを原因とする新たな感染症であるとされました。
 その感染経路でございますが、当初はさまざまな感染経路、例えば爆発的な感染拡大を引き起こす最も恐ろしい空気感染、あるいは患者のせきやくしゃみなどによる飛沫感染や、やはり患者の喀たん、便などとの接触による接触感染、さらには蚊や昆虫などの動物を介した媒介物感染などの可能性があることが想定されましたが、現在では飛沫感染が主な感染経路と考えられております。

○柿沢委員 今、吉田副委員長のお話にもありましたけれども、SARSの患者あるいは死者の多くが医師、看護師などの医療関係者であったということが知られております。ある統計によると、SARSの患者全体の大体一五%から二〇%ぐらいが医療関係者だというふうにもいわれております。
 中国、香港、台湾の病院では、百人規模の院内感染が次々と起こって、数千人の隔離が行われております。中国では、七十歳代の患者を診たお医者さんがSARSにうつって、そのままその病院で治療を受けているときに、奥さんがお見舞いでおかゆを持ってきて、その奥さんにまた感染して、奥さんが死んじゃったと、そんなこともあるみたいで、本当にこの感染力の恐ろしさというものがあらわれていると思いますけれども。
 今申し上げましたように、このSARSというのは病院内で感染拡大化するというリスクが非常に大きいことが知られておりますけれども、院内感染を防止する手だてをどのようにとられておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。

○梶山医療サービス部長 医師、看護師などの医療従事者は、感染防御のための最も基本的な手段である標準予防策を講じ、二次感染を防止しております。
 具体的には、患者の血液や体液などに触れた後には、必ず手洗いを行うことを基本とし、また触れるおそれのあるときには、あらかじめ手袋やガウンなどを着用するというものでございます。
 なお、SARSが強く疑われる者に対しては、陰圧制御が可能な病床に収容し、高性能なマスクであるN95マスクなどを着用し、対応することが原則でございます。

○柿沢委員 SARSを診療した医療機関で、さらに感染が広がってしまうようなことがないように、さまざまな防止策がとられているということはわかりました。
 やはり中国や台湾などで医療機関での感染拡大が非常に騒がれましたので、それなりの対策はとられていることだというふうに思います。
 考えてみると、ここのところ、日本では院内感染が非常に強く社会問題化するケースが非常に多くて、私もこの厚生委員会に入ってから、院内感染、セラチアの問題で取り上げさせていただいたことがありますけれども、この近年で、多分日本の医療機関は院内感染対策、物すごく急速に進んだんだろうと思うんですね。そういうところにSARSがやってきたということで、ある意味では対策が打たれた状況の中でSARSが起きたという点もあろうかというふうに思います。
 しかし、医療機関の中で、だれにもうつしませんということは大変いいんですけれども、実は私は病院から排出するごみの中に感染が拡大する可能性が秘められているんじゃないかという気がするんです。ここは、少し盲点のようになっているような気もしております。
 例えば、医療機関に限りませんけれども、医療機関から出る紙おむつ。こうした紙おむつには、いわゆる汚物がついているわけです、排泄物が。先ほどの答弁では、SARSの主な感染経路というのは飛沫感染だと。いろいろ疑われたけれども、唾液などの飛沫感染が主な原因になっているんだというお話がありましたけれども、それでは汚物を通じたSARSの感染、排泄物を通じた感染というのはあり得ないんでしょうか、あり得るんでしょうか。また、今まで汚物によるSARS感染が疑われている例というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

○梶山医療サービス部長 WHOの報告によりますと、患者のふん便中からもSARSコロナウイルスが検出されております。
 ふん便等の汚物による感染が疑われる事例といたしましては、三百名を超える住民がSARSに感染し、十日間にも及ぶ隔離を余儀なくされました香港の高層住宅での集団発生事例があり、その感染経路として、患者のふん便などの排泄物がまじった汚水が下水管を逆流し、ウイルスが室内へ侵入した可能性が指摘されております。

○柿沢委員 今お話がありました香港の集合住宅で三百人が集団感染した。アモイガーデンという場所ですけれども、まさに、排泄物が感染源になったことが公式に疑われているケースであります。
 実は、このアモイガーデンでの集団感染の引き金になったといわれているメトロポールホテルというホテルがあるんですけれども、ここも実は、そこに泊まった大学教授、これが、ゼロ号患者といわれる、SARSの世界じゅうの爆発的な感染のもとになった人なんじゃないかといわれている人ですけれども、その方が泊まったメトロポールホテル、ここから何人かの感染が出ているんですけれども、ここも実は大学教授の方の使われた部屋のトイレが感染源になっているんじゃないか。これ、報道ですけれども、海外の報道によれば、そういうことがいわれております。
 一説には、その便器を清掃作業員が清掃して、同じものを使って各部屋を清掃していて、どんどんウイルスをまき散らしていったんじゃないかというふうにいわれています。これは報道の話でありますけれども、こうして見ると、排泄物によるSARS感染というのは、あり得るなんてものではなくて、かなり深刻なSARSの感染源になってきたことがわかっていただけるんではないかというふうに思います。
 さて、それでは、排泄物の中に含まれるSARSウイルスというのは、一体体外に出てどのぐらい生き延びることができるんでしょうか。何日間ぐらいというふうにいわれているか、教えてください。

○梶山医療サービス部長 SARSウイルスの生存期間についてでございますが、WHOによると、摂氏二十五度前後の室温においては、尿中で約一日、ふん便中では約二日、そして下痢便中では約四日間生存したとの報告がございます。

○柿沢委員 今お話がありましたとおり、ふん便中で、あるいは下痢便--済みませんね、本当に下痢便とか汚物とか紙おむつとか、そんな話ばかりで大変恐縮なんですが、大事な話でありますので。四日から、あるいは五日、そうした期間、ウイルスは生きているということになります。
 となると、医療機関から、例えば紙おむつをごみとして出す、排出される段階では、汚物などに、仮に含まれているとすれば、そこに含まれたSARSウイルスは生きて感染力を保っている可能性が十分にあるということになります。
 そう考えると、医療関係者だけでなくて、ごみとして排出した紙おむつとか、そうした廃棄物を取り扱う清掃作業員、清掃業者の皆さん、こうした皆さんも、実はかなりのSARSの感染リスクにさらされているというふうに考えなければいけないんじゃないかというふうに思います。
 そこで、廃棄物の取り扱いを聞きたいんですけれども、医療機関から出る紙おむつなど、こうした廃棄物について、どのような取り扱いを行っているのか、教えてください。

○桜山参事 ふん便等汚物のついた紙おむつ等の感染性廃棄物は、平成四年の厚生省通知により、丈夫なプラスチック袋を二重にするか、あるいは堅牢な容器に入れまして、バイオハザードマークを表示した上で、他の廃棄物と区別して保管し、事業者の責任で施設内で処理するか、または適正な処理業者に委託することとされております。

○柿沢委員 感染性のものに関しては、二重に密閉して、とにかく外にウイルスみたいなものが漏れ出さないように--感染性ですから当たり前ですよね、そうしたものが出ないように、ちゃんと処置しているんだと、そういうお話だったと思うんですけれども、感染性のものですから、当然そういうふうにコンテインして封じ込めするのは当たり前だと思いますけれども。
 そうすると、確認ですけれども、非感染性--感染性じゃないとみなしたものについては、例えばそういう紙おむつとか汚物が付着したものであっても、通常の産業廃棄物あるいは事業系の一般廃棄物として取り扱っていいということになっているわけですね。

○桜山参事 先ほど申し上げました厚生省の通知の中で、医師等の専門知識を有する者が感染の危険がないと判断したときは、紙おむつでありましても事業系の一般廃棄物として取り扱って構わないということになっております。

○柿沢委員 今お話がありましたとおり、医師などの専門家の方が、これは感染性のあるものではない、非感染性のものだということになった場合は、いわゆる一般廃棄物として処理することができるということであります。
 それは、ちょっとどうなのかな、まずいんじゃないかなというふうに思うんですよね。SARSの場合は、発症当初は、今お話ありましたけれども、通常の肺炎とかインフルエンザと見分けがつきづらいというふうにもいわれておりますし、ましてや高齢者、慢性疾患のある場合、これも私、報道で確認した限りですけれども、感染しても発熱などの初期症状が出なくて、かぜ、あるいはまた全然別の病気として、一般病棟で治療を、気がつかないまま行われてしまうケースというのがあるというふうに聞いております。
 例えば、台湾ですけれども、集団的な院内感染で医師や看護師など二十人が死亡した台湾の和平病院というところがありますけれども、ここでも、感染源となった女性は、当初肺水腫と誤診されて隔離措置がとられなかったということが、一般病棟にいたということが感染を爆発的に広げてしまったというふうにいわれております。
 肺水腫というと、インフルエンザとか肺炎と違って、ウイルス性のものですらないわけですから、この患者の方が使ったもの、あるいはこの患者の方の診療に使われたものというのは、恐らく普通の感覚で判断すれば、非感染性のごみとして排出されることになったんじゃないかと思うんですね。
 そういう形で、全くSARSと気づかないまま診療を行った場合、その患者の例えば体液が付着したガーゼとか、それこそさっきの紙おむつみたいなものを、非感染性のごみとしてそのまま出してしまうというケースがあり得るんではないかというふうに思うんです。このようなSARSウイルスに感染した廃棄物が非感染性のごみに紛れ込んでしまう可能性、否定できないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○桜山参事 ご指摘のように、感染性廃棄物が不適切に扱われる可能性はゼロとはいえないと思いますが、健康局としては、医療法の清潔保持の観点から、定期的な立入検査の中で医療廃棄物の排出方法についても指導しております。
 問題となる事例については、環境局とも連携しながら指導してまいります。

○柿沢委員 可能性はゼロとはいえない、否定できないというお話でした。それはそうだと思いますけれども。立入検査をやって、しっかりと医療機関を指導していくんだというお話もありましたが。
 この感染性と非感染性の区別というのが十分になされているかというと、必ずしもそうでないという現状もあるようです。三年前の数字ですけれども、ほかならぬ都の調査で、都内の五百床以上の大病院のうち、感染性と非感染性の廃棄物の分別が適正になされていない病院というのが一四%あったというふうに報告されています。一割以上の病院で、ある種の不適正な分別処理というのが行われていたということを、都の調査で報告されているわけであります。
 そういう意味では、今、本当に医療機関をきっちり指導していくんだという話がありましたけれども、現状において完璧にそこがなされているかというと、そうはいえないというふうに思います。
 この感染性にしろ非感染性にしろ、こうしたごみを取り扱う現場の清掃作業員、大体今、外部に委託していると思いますけれども、医療機関から排出されているごみというのを、驚くほど無防備な姿で取り扱っていることがよくあります。
 例えば、私が専門の方に聞いた話ですけれども、マスクもないとか、手袋もしていないとか、あるいは、針の問題が騒がれてからは、袋に入って出されたものを一たんばらして、注射針とかが入っていないか確認する。そのために、例えば汚物のついた紙おむつとか、こうやってかき分けて確認する。しかも、それは手袋をしていなかったりする、そんな状況だというお話を、結構これがままあると聞きます。
 非感染性のごみというのは、特にそもそも二次感染がないとされているものですから、なおさら扱いというのは、ずさんというんじゃないんですけれども、荒っぽいものになってしまうんだと思うんですね。
 そんな状態で、例えばですが、SARSウイルスとか、あるいは全く新しい感染症のウイルスに汚染されたごみを取り扱ったら、現場の清掃作業員は一発で二次感染してしまうんではないかと思うんです。極めて危険な話じゃないかと思うんです。
 万が一、清掃作業員がこうした形で医療機関から排出された廃棄物からSARSなどの感染症に感染した場合、排出した医療機関の責任も問われると思いますけれども、いかがでしょうか。

○桜山参事 排出側の病院の不適切な処理によって万が一感染につながった場合には、排出側の病院の責任も問われることもあり得ると考えております。

○柿沢委員 だとすると、医療機関には、感染性のものだけでなくて、非感染性のごみについても、SARSなどの全く新しい感染症のウイルスを、例えばまき散らす原因になるようなことが間違ってもないように万全の措置を講ずるとともに、廃棄物を取り扱う現場の清掃作業員に対しても、例えばマスクをしなさいとか、手袋を着用してくださいとか、そうしたことを、二次感染の防止策を講ずるよう医療機関が責任を持って、こうした指導というか、指示をすべきではないかというふうに思うんですね。
 この辺は、特に感染性がないというふうにお医者さんが判断して出したごみだということになると、現場の人は、ある意味では医学的な専門性はないですから、これは普通に扱って大丈夫なんだという感覚で取り扱っているケースが結構あるようです。
 そういう意味で、SARSを見ればわかるように、全く新しい感染症がいつどこで発生するか、もう今の時代、全くわからない、そういう時代になっている。その観点からすると、今の医学的知見からはこれはもう非感染性のごみであるというふうにみなされるものであっても、もしかするとSARSあるいは未知のウイルスに感染しているかもしれないという前提に立って、医療機関は排出に当たり厳重な取り扱いを期すべきではないか。
 都としても、医療機関をそのように指導すべきではないかというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○桜山参事 紙おむつに限らず、医療廃棄物を適正に処理することは、病院として遵守すべき重要な課題であると認識しております。
 健康局では、本年五月に、医療安全管理体制や放射線障害防止体制など、病院の適正な管理運営のために必要な項目を盛り込んだ病院自主管理チェックリストを作成いたしまして、都内の全病院に配布し、日常的に自己点検を行っていただくよう指導したところでございます。この中で、廃棄物の処理につきましても、十一のチェック項目により、管理の徹底を図っております。

○柿沢委員 ぜひ医療機関に対する、より厳しいというか、徹底した指導を求めてまいりたいと思います。
 まさに医療機関が一つの感染源、発信源になって、SARSがこれだけ、中国、台湾ですけれども、蔓延したということが事実としてあるわけですので、医療機関の中の問題は、私は日本は結構進んでいると思いますので、それほど心配は要らないといういい方をしていいのかわかりませんけれども、それなりの策は打たれていると思うんですけれども、実はそこから一歩出た先というのは、意外と盲点に陥りやすいところなんじゃないかというふうに思いますので、これはSARSウイルスに限ったことじゃないですけれども、ぜひこの点に視野を持っていただきたいと考えている次第であります。
 それは、現場の清掃作業員の安全を守ることにもなろうと思いますし、一般廃棄物ということになると、これはまた行政の責任になってくる部分もありますので、ぜひその点、ご留意いただければと思っております。
 また、これは医療機関だけではなくて、初期症状の段階は、まさに在宅でいるわけですから、例えばお年寄りで在宅医療や介護を受けている、そうしたご家庭、あるいは老人福祉施設などについても、こうした紙おむつとか、そうしたものの排出を通じて感染症を広げてしまう可能性はあるというふうに思います。
 こうしたところには、特に医療機関と違って、感染がまだわかっていない段階の初期の患者がいるわけですから、発症後の患者を取り扱うケースも多い医療機関以上に、知らず知らずのうちにそうしたものを排出してしまっていたという危険が高いといえるんではないかと思います。
 そういう意味で、最後に、こうした家庭や施設などについても、環境局のマターにつながってくる部分もあると思いますけれども、紙おむつなどの廃棄を通じてSARSなどの感染症が広がることが万が一にもないように、十分な指導を行うように求めまして、質問を終わりたいと思います。

○大山委員 済みません、突然ですが、基本問題は吉田副委員長がやりましたけれども、さっき外国人の対策も出てきましたので、ちょっとその点だけ質疑させてください。一つだけ。
 外国人の対策というと、やはり不法入国者だけの問題ではないというのが一ついえると思うんです。例えば、外国人向けの日本語学校などは、私、地元新宿ですけれども、かなり多いんです。
 その入学生が、四月入学生、七月入学生、十一月入学生というように、年間に何回も入学するんですね。四月のときには、伝播地域というのがありましたから、そこから入国した方には十日間はうちにいてくださいというような対応ができたんですが、これから各国が終息する中で、そういう対応もできなくなってしまう、それは一つあると思うんですね。
 同時に、その方たちは、来たばかりですから、日本語がよくわからない。日本語の広報では伝わらない人たちが大勢いらっしゃるわけですね。そればかりではなくて、不法の入国をした方などは、非常に表には出たがらないというか、出るのが恐ろしい状態ですから、潜在していくわけですね。
 しかし、SARSのウイルスというのは、選んでできるわけではないですから、日本語が通じない、それから不法に入国している方、オーバーステイの方も含めて、感染という面では、やはり今、日本にいるすべての方に情報が伝わるようにする、これがやはり感染症という対策では、基本の問題と同時に、非常に重要なことだというふうに思っているんです。
 それで、新宿で以前、大久保だとか歌舞伎町を中心に、不法滞在の方を中心にエイズがかなり広がってしまって、大きな問題になったことがあるんです。それで、NPOの方たちを含めて、東京都も一緒にやったと思うんですが。
 そういう本当に表に出たくない、出られない方も含めて、きちんと情報が伝わるようにということで、一つの例ですけれども、新宿では、留学生をお世話しているNPOの方たちと協力して、中国語、ミャンマー語、タイ語だとかハングルだとか含めて、各国語のビラをつくって一緒に配布したんですね。
 それだけじゃ足りないというのは、NPOの方たちのいい分なんです。やはり信頼できるところに行く、もちろんAMDAだとか「ひまわり」だとかというのが外国語の対応をしていますということなんですけれども、「ひまわり」に、AMDAにというところまで届かない人たちというのは大勢いるんですね。
 ですから、例えば留学生のお世話をしているNPO団体の方たちは、本当に広いネットワークを持っていますので、そういう方たちの力もかりながら、本当に信頼できる、その方たちも信頼できる、どこに連絡したらいいのかということがわかればいい。まず、それが第一歩だと思うんですね。
 ですから、そういう対策も含めて、NPOの方だとか、それから自治体の問題--新宿だけの問題ではないと思いますので、こういう問題は広域自治体であります東京都が広域的に見ていく、対応していくということが必要だと思いますので、ぜひ相談しながら対応していただきたいと思うんですが、どうでしょう。

○梶山医療サービス部長 外国人の方々への適切な情報サービスの提供についてでございます。
 現在、都は、東京都保健医療情報センター「ひまわり」において、AMDA、国際医療情報センターを開設し、英語、中国語、ハングル語、タイ語、スペイン語の五カ国語で情報提供を行っております。
 引き続き、これらサービスの充実に努めてまいります。

○大山委員 「ひまわり」、AMDAだけじゃなくて、やはりきちんと、今まさにいる方たちへの情報提供ですから、もちろん不法滞在者は本国に帰るというのが、帰すというのが基本ですけれども、区別がないだけに、例えば新宿のビラだったら、そこのNPO団体の電話番号も入れたビラになっているんですね。
 だから、密入国だけじゃなくて、ほかの方たちも含めて、それは大変な問題なわけですから、やはりきちんと話し合って、相談していただきたいと思いますが、どうですか。

○梶山医療サービス部長 外国人の方々が多く居住している新宿区などの特別区におきましても、これらの方々への情報提供については、きめ細かく既に対応しているところでございますので、区市町村などとも連携して対応の充実に努めてまいります。
 また、日本語学校協会などにおきましても、在校生に対して適切な情報提供をしているところでございますので、これら機関とも連携を強めてまいりたいと考えております。

○大山委員 ウイルスだけに、区別が、本当に手が届かないところへのフォローをどうするのかということを含めて、感染予防という観点でぜひ引き続きよろしくお願いします。
 以上です。

○森田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○森田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○森田委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○奥田医療政策部長 東部地域病院における患児死亡事例について、六月二十七日、公社から報告書が提出されておりますので、ご報告申し上げます。
 お手元には、資料といたしまして、「東部地域病院における患児死亡事例について」と「小児科腸閉塞患者死亡事例に関する調査報告書」をお配りしてございます。今回の報告は、このうち「東部地域病院における患児死亡事例について」に基づきましてご説明申し上げます。
 まず、資料の一枚目をお開きいただきたいと存じます。
 1、東部地域病院事故調査委員会報告書についてでございます。
 東部地域病院では、本事例について事故調査委員会を設置いたしまして調査検討を行ってまいりましたが、六月一日に死因が絞扼性腸閉塞との報道があったことから、委員会に外部の専門家を加え、より精緻な検証を行いました。
 六月二十七日、その検証結果が報告書として取りまとめられ、公社から都に提出されたところでございます。
 報告書の概要についてご説明いたします。
 (1)、事例の概要でございますが、平成九年十二月二十五日生まれの五歳の患児さんは、腹痛を訴え、本年三月九日午前四時五十五分ごろ、小児科を救急受診いたしました。このときは、夜勤当直医のA医師が診察、浣腸を施行し、痛みが軽減いたしましたので、帰宅となりました。
 しかし、帰宅後、顔色不良で頻繁に寝返りを打っているため、七時三十五分ごろ、再度救急受診いたしました。診察を行ったA医師は、腹部エックス線検査、腹部CT、点滴等を施行いたしました。救急室で経過観察後、十一時に、急性胃腸炎の疑い、麻痺性腸閉塞の疑いにより、小児科病棟に入院となりました。
 十三時三十分ごろ、側臥位の状態で鼻腔、口腔から嘔吐物が流出し、呼吸、心拍が停止いたしました。日勤当直医のB医師が来棟し、直ちに蘇生を試みましたが、十六時三分、お亡くなりになりました。
 恐れ入りますが、二枚目をお開きいただきたいと存じます。
 (2)、事故調査委員会の検証結果でございます。
 絞扼性腸閉塞の診療経験のないA医師にとって、患児の症状が典型的ではなかったこともあり、重症な腸閉塞であると判断することは困難であった。医師の経験不足と、それを補うはずの医師間における引き継ぎ、連携の不適切さが本事例の発生につながり、また病棟看護師の観察内容にも影響を与えたとしております。
 一方、九時三十分ごろから急変までの間は、A医師及びB医師は患者の診察を行っていないが、輸液治療を継続しつつ、看護師が容体の観察を行っていたとしております。
 なお、二回目の診察開始に要した約十八分間が患児の急変の原因に結びつくとは考えられないが、A医師がすぐに診療に応じなかったことは医師のモラルとしては決して許されるものではないとしております。
 (3)、再発防止策でございます。
 以上の検証結果を踏まえ、再発防止策として、地域や患者さんからの信頼を回復し、質の高い医療サービスを提供していくため、報告書では、引き継ぎ方法の改善、救急医療に関する知識・技術の向上、チーム医療の推進、患者中心の医療の実現、緊急時における院内体制の再点検、医療安全管理体制の強化、小児科救急診療体制の強化に取り組んでいくとしております。
 恐れ入ります、三枚目をお開き願います。
 2、公社の対応でございます。
 公社は、このたびの検証結果を踏まえまして、昨日、夜勤当直医に対して諭旨退職処分、日勤当直医と診療科部長に対して減給処分、前院長に対しまして三日間の出勤停止処分、現院長に対しまして譴責処分、K看護師に対しまして厳重注意を行ったところでございます。
 3、公社に対する都の対応でございます。
 (1)、平成十五年六月一日には、病院の判断とは異なる、死因は絞扼性腸閉塞との新聞報道があったことから、都は直ちに公社に対して、遺族に対し誠意ある対応を図ること、調査委員会に外部の専門委員を加え、診断・処置の妥当性について、徹底的に検証すること、検証結果について公表することを指示いたしました。
 (2)ですが、きのう、六月二十七日に公社から提出された報告書を踏まえまして、公社に対して、報告書に掲げられた再発防止策の着実な実施を図ること、公社所管病院の診療体制の総点検を実施することを改めて指示いたしました。
 (3)、今後の対応でございますが、都としては、東部地域病院がこれまで地域に果たしてきた役割を踏まえ、一日も早く信頼回復を実現することが最大の課題であると考えており、公社から適宜報告を受けながら、その取り組みについて積極的に指導していくということを申し上げて、ご報告を終わります。

○森田委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 まず、質問に先立ちまして、患者さんのご遺族には心より哀悼の意を表させていただきますし、ご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 質問に先立って、まずそのことにプラスして、こういう事例の質問というのは、私自身も、三十二年間、救急外来の一端を担っている者としての知識だけを頼って、あるいは過信して質問するのではなくて、一都民として、議員として質問していくべき、厳粛に取り組むべき事例だと思っております。
 きのうもちょっと申し上げましたけれども、北朝鮮の問題以来、非常にそれを政治的に利用しようとする議員がたくさんふえておりますので、特にこういう人の命にかかわったことに関しては、マスコミ受けをしようとか、何分しゃべったとか、いったからいいとかという態度で話されることは、非常に亡くなられた方に対する冒涜だと思いますので、それは議員としては厳じてしてはならないことだと思っております。
 ですから、そういう意味で、私も、医者だからとか、医療を知っているから、あるいはそういう経験者だからという立場で質問するのではなくて、それもあわせて、一都民として、こういうことが二度と起きない、それを踏まえて質問させていただきたいと思いますし、行政の方々もそれに対して誠意を持ってお話をいただきたい。
 また、ためにするような質問があれば、それに対しても、こういう事例についてはしっかりと議員にもたしなめるようなところが皆さん方にあってもいいのではないかと思っております。
 それでは、まず質問に入りたいと思いますけれども、この報道自身、新聞から、皆さん方、例えば週刊誌ですとか、そういうものを通じて知られたと思うんですけれども、この中で一番大きなインパクトを与えたというか、嫌な、不快感を与えたのが、その当直のA医師という、今お話がございましたけれども、二度目に患者さんがいらしたときに、いいから待たせておけと医師が発言したということが書いてあります。そして、十八分間待たせていた。
 これは、これ自身が、先ほどもお話ありましたように、我々救急外来を持っている人間からしますと、これ自身でその後の病態がどうなるこうなるという、この場合の症例ではないわけです。これは、ほかの、例えば脳血管障害の患者さんなんかでしたら、もうとんでもない話で、十八分なんていうのは致命的以上のことが起きるわけですけれども、少なくとも絞扼性のイレウスというのは、ご存じのとおりというか、これにも書いてありますとおりに、余り多くない。我々も数多く診るものではない。腸重積ですとか絞扼性のイレウスというのは、滅多に診ることがない。一般的に、年がら年じゅう診るイレウスというのは、麻痺性の、いわゆる今はやっております、私もこんな声で申しわけないんですが、風邪を引いたりしたときに起きる、これは日常茶飯に我々が当直外来で診る、そういうイレウスなわけです。
 そういう中で、じゃあ、絞扼性のイレウスというもの自身が大体どのぐらいで急変して最悪の状態を迎えるかというと、たとえ腸重積という一番重症な形になってエンドトキシンショックを起こしたとしても、二十四時間以内ということは医学的には余り見られることはないんですね。多分、そういう症例というのは今まで報告がなかったような気がしますけれども、少なくとも十二時間以内というのは、それだけで亡くなられたという症例はないはずだと思います、発生してから半日以内に亡くなられるということは。
 そういう意味で、このときにすぐ外科にコンサルテーションをお願いして診てもらったら、あるいは、その場ですぐ開腹したらどうだった、仮定の上に仮定を重ねるのは、ちょっと難しいところがありますけれども、それでも、これは僕自身の意見というよりも、何人かの内科系の医者の意見ですけれども、多分手術したことによって、手術性の外因的なショックで、この方の体質としては亡くなる可能性も高いんじゃないだろうか。
 これは、決めつけているわけでは全くないですよ。それほど腑に落ちない亡くなり方であることは間違いないんです。
 ただし、問題は、このA医師が、当然すべき他科に対するコンサルテーションをお願いするということ、特に外科的な処置をとる可能性がないわけではないわけですから、このときに、麻痺性といったわけですから、開腹する必要はないだろうと。ニボー像が、鏡面形成というんですが、半月様に、おまんじゅうみたいにぽこっとガスが、イレウスのときにはおなかに出てくるんですけれども、それが余り特徴的に出てなかったからということで、それから全体の安定感も見て、一般的な風邪によるイレウスであろうという判断をしたんだと思いますけれども、やはりこの判断がまず一番、この医師としては間違っているだろうと僕は思うんですね。
 そのときに、裁判とは違うんですから、疑わしきは罰せずじゃなくて、我々の医療というものは、疑わしきものは罰していかなくちゃならないわけです。そういうもののいわゆる他科に対する依頼というものが行われなかった。一緒に診ていくということさえしていれば、また違う反応が遺族の方々から、あるいは周りからも出ていたんじゃなかろうかなと思います、それはある程度これにも書かれておりますけれども。
 やはりそこが一番問題で、今度のこの問題というのは、幾つか整理していかなくちゃいけない点があるんですけれども、まず一番大切なことは死因なんですね。亡くなられた原因。どうしてこういう結果になったかということが、まず第一番目です。これはまだ監察医務院の資料がありませんし、法律的な手続、遺族の方が所有権を持っているということもあって、我々はわかりませんけれども、監察医務院でどのような剖検の結果が出ているのか、また、その証拠がどうなっているのか、とられた臓器なりあるいは血液がどういう反応を今起こしているのかということが全く手元にありませんから、何のためにこういうショック状態になられたか、今のところ残念ながらわかりません。
 例えばエンドトキシンショックではなくて、誤嚥をした、何か吐いたものがのどに詰まってということがないとはいえない。当然すぐ処置をしたわけですから、それも考えられないことではないけれども可能性は低いとしても、そういうものは全く死因がわかってないということが、とても大きな問題だと思うんですね。
 ですから、これについてここで、証拠が何もないものについて、仮定として、医学的にこうだったら、ああだったらということ自身は、とてもナンセンスなことなんで、私自身はそれはしないつもりです。
 そして、次に大切なことは、その中で医療ミスがあったか、なかったかということなんですね。医療ミスがあったかなかったか。私自身も実は、もともとこのA医師、B医師も、それから院長も存じ上げているわけではないんですけれども、名前は院長の方は知っていましたけれども、A医師とB医師の上司に当たる、あるいは同じ大学の小児科の同窓会の責任者何人かと話をしましたところ、一部から非常に感情的な話がありまして、このA医師というものが、この病院の中でスタッフと余りうまくいってなかったんだと、そして、それに対する感情的な何か対立感があって、内部告発という看護師さんからの形になったんだという話だったんですけれども、それだけを聞くと非常に、何か一人A医師だけが今度スポイルされてしまって、やみに葬られてしまう。あるいは、ある医師から聞いた話は、裁判になったら、すべて東部病院の内部告発をそのA医師もするだろうとかという人もいたんですね。
 これを聞くと、あたかも何か逆にA医師も犠牲者みたいなことをいうような政党もあるかもしれないんですけれども、実は、我々の行っている医療というものは、本質はまさしくサービス業なんですね。よく僕は、ふざけていうわけじゃないんですけれども、本質的にいうと我々は水商売でありまして、サービスを提供するのが本分でありまして、結果、経過、ともに大切なんです。経過がよければいい、結果がよければいいじゃなくて、両方がよくなくてはならないサービス業ですから、そのときにチームワークをとるということは当たり前で、医師として、人と話ができない--例えば、自閉症の人が悪いというわけでは全くないんですよ、ですけれども、臨床医としては、自閉症の人はなってはいけないんです。では、どうすればいいかというと、基礎の研究をすればいいわけですね、医学部へ入っては悪いというわけじゃないんで。やはり対面的に患者さんと接するという場合には、人と話せない、あるいは人とコミュニケーションをしっかりとっていけない、スタッフと仲よくしていけないというものは、その人自身の問題ではなくて、その人にかかる患者さんが非常に大きな迷惑を受けるので、そういう医師がチームの中に入るということは、医師という国家試験によって特定に守られている、権力を持っている立場の者は、厳じてしてはならないことなんです。
 ですから、この場合、この医師が処分されたのはごくごく当たり前のことでありまして、ただし、こうなった経過というのは、問題は、三つ目、医療ミスがなかったか、あったかということはちょっと後で申し上げますけれども、医療ミスがあったんですけれども、では、その医療ミスがあったもとは何かということが一番大切であって、都立病院あるいは公立病院のシステムの中に無理がなかったかどうかなんですね。
 このA医師だけをスケープゴートにしてやめさせてしまえば、全部終わってしまうわけではなくて、その中で、今お話しいただいたように、他科とのコミュニケーションをどうする、救急医療をどうする、もろもろのことをちゃんと考えていかないと、なかなか患者さん、この亡くなられた患児のお父様、お母様、あるいはおじいちゃま、おばあちゃまたちの悲しみというものは、ただ医師がここで処分されたからいやされるものでもなくて、そのことによって、また安全な、信頼のある東部病院ができるということも、大きな希望の一つだと思うんですね。
 ですから、その三点について、一つ一つを順番で、まず死因について特定できるだけの努力をする。それからその中で、医療ミスがあったとしたら、どういう医療ミスがあったか。それがシステム的な問題であるとすれば、例えば今から医者を雇うときに、感情的な対立によってチームワークができないような医師は、やはり現場は排していかないと、ただ医学部を優秀な成績で出たから、あるいは国家試験が優秀であったから、あるいは専門医の資格を持っているから、医学博士を持っているからということではなくて、やはりサービス業である、一番基本的なサービス業。
 実は私、今厚生労働省の方の仕事をしているんですけれども、この一番闘いになっている相手は、経済産業省なんですよ。国のレベルの考えでは、医療というものは厚生労働省が持つ必要ないんだと。サービス業だから、患者さんというお客さんに対して一〇〇%のサービスをしなくちゃならないんだから、経済産業省でやるべきだという、国はちょっと一歩進んだ考え方で、今、上でもめて--これはもめてはいるんですけれども、そういう考え方になりつつある。これは諸外国はどこでも同じです。諸外国がいいといっているわけじゃないんですよ、日本は日本のやり方で全然構わないんですけれども。
 やはり患者さんに対して満足いく--例えば、ここで、このA医師じゃなければこの事件は、実をいうと百人が百人、まあ百人はうそですけれども、十二、三人の医者、この関係者の医者だれに聞いても、事件にならなかっただろうといっています。絶対内部告発はなかったはずだと。いわゆるセクハラと同じですよ。嫌な人にさわられたら嫌だけど、好きな人にさわられたら何かよくなっちゃうようなもので、嫌な医者にごちゃごちゃいわれると、看護師さんも、よし、どうにかしてやろう、暴いてやろうと。
 そしてそれが感情的に、この十八分というわけのわからないものだけがひとり歩きして、十八分待たせる、待たせない、これは、僕たちも十八分待たせることはあるんですけれども--もっと待っていただくことがあります。例えばやけどの救急患者さんが先に入っているときには、その後からじんま疹の患者さんが急に来ても、待っていてもらわないと、処置に入っちゃっていると、もうそこをやめていっちゃうというわけにいかないわけですね。
 そうすると、この東部病院の中でシステム的に、先ほど申し上げました三つ目のシステムというのは、小児救急外来の医者が足りないということなんですよ。
 ところが、小児救急外来の医者が足りないということは、これは僕は何か変な党にくみするわけじゃないので、間違えちゃ困るんですけれども、もうちょっと都立病院も東部病院もしっかりと予算を立てて、きちっとその中で患者さんたちに対応できるようなシステムをつくっていくべきであって、何でもかんでも経済的に減らせばいいというわけじゃないんですね。予算を立てて、それがみんな労働組合に取られてしまうような、そういうことを望むような意見を僕はいっているわけではなくて、患者さんにフィードバックできるような、そういう予算の使い方をどんどんしていかなくちゃならないところが、残念ながら、今予算的な規模で、特にそれから小児科の医者が全くいない。
 八王子の先生には大変申しわけないですけれども、八王子の方も大変今困っていると思うんですね、小児科の先生たちを集めるのに。それは現実でもうおわかりだと思うんです、萩生田先生自身も。僕たちも小児科医を集めたくても集まらない。
 だけれども、そこで、せんだって予特で、自分のことを引くわけじゃないですけれども、あのときに、都立病院にいて、あるいは医療公社にいて誇りが持てるようなシステムをつくりましょう、お金の問題じゃないんですと。研究施設がしっかりあれば、どんな医者でもそこに残ろうとするんですが、そういうものが全くなくて、こうやってトカゲのしっぽ切りのように--職員全員が知っているんですよ、これはやったぜと。たたき出してやったぜとみんないっているわけですよ。これが全く新聞にも出ない。だれにも出ない。ましてわけのわからない政党は全くわからないで話が進んでいくとすると、とても、この問題自身は遺族の方にとっては非常に無念な状態になってしまう。
 だから、ここをよく考えて、まず医者というものを雇うときに、成績なんというのは、どうでもいいわけじゃありません、ある程度今までのやってきた自分のペーパーがどのぐらいあるとか、どのぐらいの腕があるというそのランクを見て、スコアをつけていくことは必要だけれども、まずスタッフと一緒に仲よくできるということがなくては全くいけない。
 まして、日本というのは変な国でありまして、医者が一番上にいて、歯医者が下にいて、薬剤師がいて、看護婦がいる、今看護師というんですけれども、こういうヒエラルキーができちゃっているんですね。これがとんでもないことでありまして、医者も看護師も全く平等で仕事をしていかなくちゃならない。しかし、それは、わけのわからないところがいっているみたいに、ただの平等ではなくて、それだけのシステムをつくって、平等になるようにステップアップさせてからの話です、当然。そういうことを都立病院がやっていくことによってチームワークができて、看護師も当然医者に対して意見がいえる。
 先ほど東村委員から、ちょっと個人的な話ですけれども、このK看護師もどうなんですかと意見を求められたので、僕もこれは大問題だと思っています、この人がこの程度で終わってしまうということは、とんでもない話なんですが、では、その人がいえる立場にあったかというと、いえないんですね。これが大変、彼女か彼氏に--看護師といっても、多分彼女でしょうけれども、大変つらいことであった。それに感情的なものが足されたか足されないか、これは僕はわかりません。そういうものをすっきりとしていかないと、今から同じような事故が幾らでも起きて、しかも、嫌われてない医者であれば、もうこれはやみの中に葬られて終わってしまうわけです。
 そういうことがないように、皆さん方が的確に医者を選んで、的確にシステムをつくっていって、むだを徹底的に排して必要な予算を立てる。さっき申し上げましたけれども、わけのわからない労働組合だけに一方的に流れることをやっていくような話はどうでもいいですから、基本的に患者さんにフィードバックできる、患者さんの税金ですから、患者さんにフィードバックできるような、そういう形をつくっていただくことが一番大切なんだろうと思いますが、ちょっと質問に入ります。
 この問題、特にさっき三つの問題を申し上げましたけれども、死因については追及しませんというか、できっこないことですから、してはならないことで、まして証拠がない、監察医務院にあるものが我々の手に入っていない。どこかがこっそり手に入れたとしても、それが科学的に検証されるかされないかは、また全然別の問題ですから、死因については特に質問はしませんけれども、まず、今度、システム、あるいは医療過誤がなかったかどうかということについては、どこが順番に責任をとっていくかという、そのシステムがわからないとどうにもなりませんので、この東部地域病院事故調査委員会の調査報告書が委員に送られているわけですけれども、東京都と公社との指導監督関係というのは、実際どうなっているのか、そこからお聞かせいただきたいと思います。

○奥田医療政策部長 公社は、都が継続的な財政支出を行いまして、また、公社の求めに応じまして人的支援を行っている監理団体でございます。
 都は、団体の自主性を最大限尊重しつつも、適正な公社運営の実現に関与するという立場から、包括的な監督指導を行うことになっているということでございます。

○田代委員 では、今回のような病院での個別の事例、こういうものについては、基本的にだれが対応することになっているんでしょうか。

○奥田医療政策部長 この事例のように、極めて専門的な医療問題につきましては、当然のことながら、公社の責任におきまして、病院が対処するということになろうと思っております。
 都といたしましては、監理団体である公社に対して、事業の適正執行を確保するために包括的な指導監督を行うという立場から、二度とこうした事例を起こさないためにも、適切に、かつ積極的に指導、支援を行っていく必要があるものと考えております。

○田代委員 この指導監督関係や今回の事例に対する都の基本的なスタンスはよくわかりましたけれども、しかし、結果として患者さんのご遺族あるいは一般都民が、今度のことは、我々からしてみると決して忘れ去ることのできない大変大きな傷を残した事例ではあるんですけれども、それを乗り越えて、なおかつ、何か都民の医療に対してプラスになるような方向性をつくっていくためには、今までのシステムだけで皆さん方が解決しようとするんじゃなくて、もう一歩踏み込んだような責任関係を持っていかれたら大変ありがたいと思うんですけれども。
 小児の場合は、普通、変化の度合いというのが、我々、うちの医局員にも話すんですけれども、大人に比べて約三倍なんだと。別の話でよく糖尿病は二倍だという話をするんですけれども、糖尿病があると、悪いことは全部倍になって、いいことは全部半分になっちゃうんですけれども、小児の場合は、それが三倍なんですね。異様に速く変化していく。
 その異様に速く変化していく中で、先ほど申し上げましたように、小児救急というのは、わかりやすくいえば、倍の、あるいは三倍の人手が必要である。しかも、救急というのは予約がなくて来るわけですから、順番を待てないわけですから、それでも倍来る。三倍掛ける倍、六倍の人数が必要ということは、予算も六倍必要になるというわけですから、そこをよく考えていただいて、責任追及する中で、あるいは公社と都、あるいは公社だけで、あるいは病院だけで解決する原因の中で、やはり三位一体でしっかりと話し合っていかないと、現場も、あるいは公社も、あるいは東京都も、三位一体で話を進めていかないと解決しないことが、たくさんこの中に入っていると思うんですね。
 ですから、今おっしゃられたような責任体系、それは今までのことでわかりますけれども、そこを今度は乗り越えてでも、一つの新しい方向性を決めていただけたら大変ありがたいと思うし、先ほど申し上げましたように、都立病院こそ--あのとき予特で申し上げましたけれども、都立病院こそですよ。だって、首都圏にある最大の、しかも一番しっかりとした公立病院であるべきなんですから、日本の医療の方針を見せるためにも、今度は、このことに対してあらゆる角度から、感情的にならないで、特にこうやってマスコミに取り上げられると、ポピュリズムで、非常に迎合主義で議員も質問する者がたくさん出てくると思いますけれども、そういうものに負けないで、しっかりと、本質がどこにあるかということと、それから、それをどうやったら解決できるかということを皆さん方が考えていただけるとありがたいと思うんです。
 最後に、この事例自身、もう一回ゆっくり考えてみますと、特に十八分間の問題が、待たせたことが問題であったわけではなくて--待たせたことがいいことじゃないですよ。こんなこと許せることじゃありません。ただ、これが表に出たのは、おもしろおかしく、看護師さんが嫌いな医者のことをこういっていた、ああいっていたというので、これは水かけ論で、待たしておけといったのが、本当にふざけた口調で、ううん、眠たい、ちょっと待たしておいてといったのか、それとも、待たしておけといったのか、これは全然僕もわかりません、現場が。ただ、異様にA医師が嫌われていたという話だけを、どこかからもこっかからも嫌になるほど聞かされて、どんなやつだろうと僕は思っているんですけれども、これは、さっき申し上げたように医者として--人間としては許されますよ、医者としては許されないんです、臨床医としては。僕も好かれている方には入りませんけれども(笑声)少なくとも好かれるように僕だって努力はしますよ、どうにかこうにか。だけど、それができてなかったというのは非常に問題なんですけれども、この十八分について、とかく今いうことは、非常にナンセンスなことで、全く物事の本質をどこかに変えていこうという意図があるとしか思えないんで、これは週刊誌的な考えですから、いいとして、問題は、こういうときに、他科の医師に相談をするというシステムを、ここにも書いてあるように、やはりきっちりつくっていかなくちゃならない。そうすべきですというご意見は出ているけれども、では、現実にどうするか。
 そうすると、例えば僕たちも、交通事故でよく耳がとれたとか鼻がとれたというのを紹介されるんですね、夜中に起こされて。あるいは、僕たちがやけどの手術をしている最中に、夜中にやけどの患者さんが来たときに、オートバイで倒れてヘルメットが飛んで鼻が飛んじゃった。塩漬けにして持ってきたんだと、きれいにつけたいと。でも、脳挫傷も起こしている。どうするんだというときに、我々はもうこっちで仕事しているわけですから、そんな話聞いている暇もないわけです、物理的には。
 やはりここで、これは手前みその宣伝じゃないんですけれども、現実だから申し上げますけれども、僕が勤めている日本医科大学というのは、日本で最大級の、一番高度の救急医療ができるということで、トリプルA以上のものを唯一とっている病院なんですけれども、これは理由はたった一つ。我々のレベルが高いわけでは全くないんです。我々は、仲間であるほかの公立病院、国立病院の医者と全く同じレベルでしか仕事をしていません。たった一つほかと違うのは、ふんだんに医者がいるということです、うちには。必ずそのときに対応できるような、例えば我々が皮膚をとっているときに患者さんを押さえる人が必要なんですね。看護師さんの手も足りない。そのときに押さえてくれる猫の手があるんですよ、うちには。それは全国から日本医大で勉強したいというのが、だまされてどんどん無給医局員で来るものですから、それは女中さんがわりという--これは差別用語でいけないんでしょうけれども、男中さんがわりでもいいや、それに使えるわけです。
 どこでも、いつでも、みんなで対応できるというシステムは救急医療でやっていかなくちゃならない。そうすると、他科にコンサルティングを求めるというときに、もしか僕が外科手術をしている外科の医者だったら、うるさいになっちゃうと思うんですね。そんなことコンサルしている暇もないわけです、物理的に。日曜日ですから、人手も少なかったのかもしれませんけれども。そういうときに、電話でも、あるいはある種のイントラネットでも何でもつくっていただいて、これが、先ほど申し上げた、東京都が手本を示すべきだ。そういうものの予算はいいんですよ。余分な、わけのわからない労働組合の予算じゃなくて、きちっとしたIT化の予算は、幾らやったっていいんですよ。いや、正しい労働組合はたくさんいますよ。僕たちもよく知っている。僕たち自身も労働組合に入っているわけですから、医者としても入っているところがあるんで、それは全然ないですよ。中に変なのがいるだけの話で。
 ただ、IT化だとか患者さんに役に立つようなものの予算というものは、そんなものはまじめな医療をやっていてもうけが出るはずもないんだから、赤字になるのは当たり前なんですから、そこはきっちりやっていただかなくちゃならないので、今これをコンサルティングできるようにします、しますと口でおっしゃっても、現実には、ではどうするか。きょうは、気の毒だからその質問はしません。それは、予算があとにないものをやりなさいというのは、どこかの党みたいで揚げ足取りになっちゃいますから、僕はそれはやりませんけれども、きちっとここで、やろうと思っていることを現実のものにしていただくことは、ちゃんと頭に入れておいていただきたい。
 それからもう一つ、この当直の形態が非常に不鮮明である、これはそのとおりだと思うんですね。A医師とB医師とのいわゆるやりとりが、確かに救急外来にあったからこそ、いろいろなニボー像が出ているような、B医師の方が先輩らしいですけれども、そういう現場で撮ったレントゲン写真であるとか血液のものが行ってないわけです。
 では、これはどうすればいいか。すごい簡単ですよね。もう答えは出ている。電子カルテですよ。こんなことはとっくに昔から我々がいっている。電子カルテがあれば、どこで、当直室で受け答えしても、そこにパネルがあれば、ちょっとタッチすればばっと出てきて、これはおかしいよ、これだけニボー像が出ていれば、おれだったら外科にやるぜという話になる。そうすると、B医師もずっとだらだらと--じゃないですよ、多分一生懸命なさっていたんでしょう。だって、救急外来もやっていたというし。
 それから、これはわかりません、--(九十字削除)--そういう、何かどうも判然としないことをいう人が余りにも多過ぎて、僕、嫌になっちゃったんですよ。中にはA医師がかわいそうみたいなことをいうから、それは全然関係ないよと、それはもうA医師は一番悪いよとはいったんですけれども、やはりそのときにきちっとA医師とB医師が、そういうものがないとすれば--たまたまうちは今タイ国にずっと医師団を派遣しているんですけれども、向こうはCTもMRIも何にもないんです。その中でやっていく。そのときは本当に原始的な物理的なことで、原始的なやり方で、一対一で対面で話していくしかないのでやっていくわけですけれども、ここも、タイほど原始的じゃないでしょうけれども、下にあって上に持ってこれないのであれば、やはりもうちょっとA医師はB医師に詳しい話をすべきだったし、他科の先生も見やすいシステムをつくっていただきたい。
 それから、少なくとも入院患者が出たら、A医師がこれは担当になったんですね、これで今説明なかったけれども。話によると、順番からすると、受け持ち医がA医師になったというので、十一時までいたと。A医師は早く帰りたかったらしいんだけれども、九時から十一時までいて、逆にいえば、十一時から一時過ぎまでの範囲は、B医師の今度は対応になるわけですから。ただ、そのときに思い込みとして、A医師が余りにも軽いことをいったから、B医師も看護師さんも、それに対してある程度洗脳されちゃったのかもしれませんけれども、B医師自身の責任も果たしてこれでいいのか。この程度のことでいいのか。B医師を責めろといっているんじゃないですよ。B医師がそうなっちゃった理由はどこなのかということを、もうちょっとしっかりと考えていただきたい。
 それから、看護師さん。先ほど申し上げましたけれども、看護師さんにもうちょっと都立病院の中で権限を与えていただきたい。医者にも文句がいえ、威張ったり怒ったり--うちにも名物看護婦長がいて、その人の顔を見ると下向いてないと怖くてというのは確かにいましたけれども。それは、我々若造はよくその人にどつかれるんだけど、そういう名物はともかくとして、対等に看護師と医師が、あるいは患者さんが話せるようなシステムを、ぜひとも都立病院あるいは東部病院、南部病院の中でつくっていただきたい。やはり医者とどうも話しづらいという意見が患者さんから一番苦情として多いんですよ。ですから、セカンドオピニオンではなくて、看護師さんは医者と患者さんを結びつけるような説明をするようなところが、特に救急は必要なんですよ。
 我々は急に患者さんが来ると、血まみれになって、ある我々の仲間は、子宮外妊娠の患者さんを治療したために、実は梅毒になってしまって、その人が梅毒だったものですから、大変な騒ぎになったんですけれども、我々戦場ですから、来たら、手袋するとか眼鏡かけるなんて暇がないんです。飛び込んでいっちゃうわけです、血を見れば。
 そのときに、患者さんにしてみれば、でも、うちの大切な子、あるいは自分、あるいは自分の家族がこういう目に遭った、ここに来ている、結果がどうなるか早く知りたいというのが患者さんの希望なわけですよ。それが救急外来では、うるさい、ちょっと待ってろ、今一生懸命やっているんだという言葉で無視されてしまう。
 これは大変、患者さんの家族にとっては精神的な苦痛を与える言葉になってしまうので、そういうところに、都立病院だけは、プラスアルファ、今こういう状態でこういうことが考えられていて、こういうことをやっていますみたいなことが患者さんにもわかるような、そういうスタッフを配する。そしてそのためには、今の医療法の値段では絶対できないんです。そんなことやったら全部倒産しちゃいますから。それを都立病院は特別に措置するような予算であれば、これは全然問題にはならない。ただ、そのやり方は、都立病院だけが突出したものでは困るので、ほかの病院とも協力関係とか協調関係は持ってもらわなくちゃいけませんけれども、そういうものを考えながらやっていかなくてはならない。
 そこで、最後に、亡くなられた段階での処置というのは、見せていただく限りは、我々医師の立場から見ると、特に問題があったわけではなくて、その間、看護師さんがもうちょっと詳しく見る、そして看護師さんがもうちょっと見るようにA医師もB医師も指示をする。A医師はB医師に、最悪の場合を想定したような報告ができる。そのもとは、先ほど申し上げましたように、電子カルテをつくらなくては、残念ながら、スペース的な、あるいは物理的な距離があると、なかなかそういうことができないのですが、先ほどおっしゃられたような処罰だけで、ご遺族の方が納得するとすれば、もうちょっと時間をかけて、わからないところで討論するより、さらにもう一度こういうものの調査をしっかりしていただいて、どこが問題点であったのか、先ほど申し上げたのと重なりますけれども、死因と、それから医療過誤がなかったのかどうか、そしてそれがシステム的にどういう問題が日本の医療であるのか、都立病院であるのかということを、患者さんのご遺族の方に説明をすれば、ほんのちょっとでしょうけれども、心は少し安らぐかなという感じがします。
 地域病院として安心してかかることができる東部病院であってほしいという願いが一番地元の方からあるんですが、今申し上げたことをしっかりと取り組んでいかない限りは、この問題は解決することがないわけですから、そこをよく踏まえていただいて、今からしっかりと対応していただくということを希望いたしまして、私の質問は終わります。
 ありがとうございました。

○萩生田委員 済みません、今、我が党の田代議員の方から極めて専門的な、また、現場を浮き彫りにするような質疑がありまして、この後長々と時間をいただいて質問するのはいささかはばかりますので、関連して、特に、ご指摘のあった、幼児の容体というのは急変をするんだという、こういうドクターとしての発言も踏まえて、一点だけ私は指摘をさせていただいて、後ほどの質問は撤回をさせていただきたい、こんなふうに思っております。
 今回の事件は、五歳のお子さんが亡くなるという大変痛ましい事件で、先ほどからお話があったように、あってはならない事件であることは私も十分承知をしております。
 ただ、今、田代委員の質疑の中で聞いていますと、たまたまこのAというドクターが社会的あるいは人間関係的ないろんな背景があってこういう報道がされたのかということを聞きますと、ああ、なるほどなと、素人ながらに思うんですけれども、例えば逆に、仮定の質問として、このドクターが、この病院の中では仲間、スタッフあるいは後輩から極めて信頼の高いドクターだったとすれば、これは私は、まさに救急外来、特に小児を扱う小児科のドクターが、いよいよ、こんな大変な仕事は危険でやりたくない、こういう危惧を感じるような大きな事例の一つだったんじゃないかなということを大変心配をしております。こんなことでもし処分をされるんだったら、私もとてもじゃないけれども小児科医としてこれから先は続けていけないというふうに、もしかすると、この人の人格や人柄によっては、ほかの皆さんがそういう決断をせざるを得ないようなことの先例的なものだったんじゃないかなという気もしているわけでございまして、たまたま、いなくなってよかったみたいなお話がございましたから、その辺は院内のことなんでよくわかりませんけれども、そのくらい今小児科の、特に夜間の救急に対しては、大きな負担がドクターの皆さんに与えられているということは、局の皆さんもご理解いただけるんじゃないかというふうに思うんです。
 それで、こういうことが処分云々ということだけで始末をしてしまうということになると、私は、率直に申し上げて、先ほど田代先生からお話があったように、かねや太鼓でたたいても小児科医がいないという今の東京の実態を考えますと、いよいよ若いドクターたちが小児科を希望しなくなるんじゃないか、あるいは、小児科医として現場にスタートしたとしても、率直に申し上げて、名のあるベテランの小児科ドクターが夜勤を務めていただけるという社会環境にないわけですから、結果として、そういう若い人たちがかなり無理をして交代で夜勤をやらなければならないというのが、今の東京の小児医療の実態だというふうに思います。これは小児医療に限らないかもしれない。
 それをシステム的に、民間と違う、採算のみで病院経営をしなくていい都立病院や公社病院というのは、そういうところを手厚くしていくべきじゃないかなというふうに、私も今質疑を聞いて感じたところでございまして、これは今回の問題を機に、隠れた一面でありますけれども、やっぱり深く受けとめて、今後の検討をぜひ期待をしたいというふうに思います。
 一部では、公社化--公社病院だから問題があったかのような質疑が、もしかしたらこれから出るのかもしれないんですけれども、それは私は全く本末転倒だというふうに思っていまして、これは、公立病院であれ、直営病院であれ、公社病院であれ、大学病院であれ、すべて危険と背中合わせにあるわけですから、そのことを、東京都はいささかもぶれることなく、今進めようと思っている改革は、私は進めていただいて結構だというふうに、あえて申し上げておきたいというふうに思います。
 しかしながら、私、この間常に発言してまいりましたのは、とにかく幼児の場合は容体が急変をして、局がおっしゃっているような、一次医療は、プライマリーケア、地域医療として地元でやってもらいたいというその区別は非常に難しいですよ、どこまでが一で、どこまでが二で、さあここからが東京都の出番だというこの区別は、皆さんおっしゃるほどきれいに世の中で線引きができませんよということを繰り返し申し上げてきた大きな例が今回の事件だったんじゃないかな。私としてはすごく残念なんですけれども、私が常々繰り返し主張してきた、その主張どおりの事件が起きてしまったじゃないですかと、こんな思いで今いるわけでございます。
 そこで、限られた医療資源を有効に活用して、より高い、高水準の医療サービスを提供するという都立病院改革には、私は、先ほど申し上げたように理解を示しますけれども、事小児医療については、単に、府中に小児の専門病院、医療センターを整備すればそれでいいんだと、ここからここまでが東京都で、あとは地元でやってくれという今のルールでやったとすれば、必ず第二、第三のこういう事件が起きますよ。必ず起きます。
 ですから、そのためには、センター的機能としての東京都の役割と、それを補完する地域医療の中での東京都の役割というのを同時に考えていかなきゃいけないということを、私、常々主張してきたところでございまして、現在東京都では、多摩地域における小児医療の体制の検討をしていただいているところなんですが、当然のことながら、小児の場合は、今回の東部地域病院のような、症状がわずか数時間のうちに急変する可能性があるわけですから、これまでのように、初期、二次、それらは医療は別々のものだとして考えるのではなくて、地域の実情に応じて一体のものとして整備をするといった総合的な対応が必要になるということを改めて再認識をしていただいたんじゃないか。それを踏まえて、これからつくる多摩地域の小児医療体制の結論、八月以降に出してくる提案には、そのことがきちんと盛り込まれているんじゃないかということを、念のため確認をさせていただきたいと思います。

○奥田医療政策部長 小児の救急医療体制につきましては、医師や病床といった医療資源が極めて少ないということがございまして、住民に身近な医療は区市町村、あるいは広域的な対応が必要な医療につきましては都といった役割分担に基づいて、これまで整備をしてきたということでございます。
 今後は、都と区市町村の役割分担を基本にしながらも、ご指摘のように、一次と二次との連携を強化して、適切な小児医療サービスが提供できるように、従来の施策についても、地域の実情に応じた検討を加えていく必要があろうというふうに考えております。

○森田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時四十五分休憩

   午後三時五十八分開議

○森田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○東村委員 それでは、ただいま田代委員から、医学的な、また、いろんな現場の医師としてのさまざまな角度から、質問というか、ご講演に近い質疑がありました。
 私は専門家じゃありませんけれども、この小児の患者の死亡事例の調査報告書を何度も読ませていただきました。私も、一言最初にいいたいんですが、この事件で、すなわち公社化がすべてだめなんだ、公社病院がすべてだめなんだ、こういう認識じゃないんです。これだけは最初前置きしたいんですね。本当にこれはどの病院でもあり得ることですし、私は、自分の娘が私のお隣の市の市立総合病院で大変な目に遭ったことがありますから、公社病院だから必ずこういうことが起きるんだという、こういう誤解は、きっちりこれは東京都も皆さんに語る責任があると思うんですね。
 確かに、これは調査報告書ですから、素人が読んでそんなにわかりやすい報告書じゃないと思うんですけれども、これを読んでいて、確認の意味で、普通の人が読んだら誤解を生むというんですか、読んでいて誤解を生むような点が何点かあるので、そこはまず誤解を解いていただきたいというか、すっきりさせていただきたいなと思いまして、何点か質問をして、最後の対応策の部分についても、何点かご質問させていただきたいなと思います。
 これは三月九日に発生したということなんですけれども、先ほど詳しい説明がありましたけれども、かいつまんでいいますと、この小児科の救急外来を受診した五歳の男の子が、入院後約二時間三十分後に容体が急変したと。それからさらに約二時間三十三分後に死亡した、こういうことだと思うんですけれども、この調査報告書によると、この死亡した時点では当然死因が不明であり、着院後二十四時間という短時間の死亡であったために、慎重を期して、まず亀有警察署に連絡をした、このようにありました。その上で、東部地域病院でも、診療経過の検証が必要であると--これは私は非常に素早い対応だなと思ったんですけれども、診療経過が必要であると考えて、院内に事故調査委員会を設置したとあるんですね、この報告書で。
 この調査報告書の資料からいろいろ読んでいって、最後の審議の経過なんかを見ていく中で、類推するに、この事故調査委員会は三月十日に設置されたと考えていいのか、まず、これについて簡単に答えてもらいたいと思います。

○奥田医療政策部長 報告書にもあるとおりだと思いますが、急変の状況等を踏まえまして、やっぱり検証する必要があるということで、翌三月十日の日に院内に委員会を設けたということでございます。

○東村委員 では、三月十日ということでよろしいんですね。
 そこで、この調査報告書によりますと、院内の事故調査委員会で調査を行ってきたけれども--非常に私、この文章の流れから理解できなかったんですが、六月一日に死因が絞扼性イレウスと--絞扼性イレウスというのは、私も生まれて初めて調べました、麻痺性イレウスと絞扼性イレウスというのを調べましたけれども、新聞報道があったと。そのために、ここがちょっと大事な点だと思うんですが、そのために精緻な検証を行う必要があるとして、委員会に外部委員二名の専門家も参加していただいた。そしてこの報告書を取りまとめた、こう書かれているんですね。
 事実、六月一日に外部の専門家が入ってからわずか一カ月足らずで、この調査報告書が出されているんです。誤解を生まないようにいいたいんですけれども、他方、院内の事故調査委員会は、四カ月たっても、こういう形で報告が出てなかった。そこに、六月一日にマスコミの報道があって、絞扼性イレウスだと報道されたから、外部の専門家をわざわざ入れたと。こういう書き方を読んでいくと、余りいいいい方ではないかもしれませんけれども、検証結果を公にする気はなかったのではないかと、そういうとらえ方をする人も出てくるんじゃないかと思うんですね、この見方をすると。
 そこで、一つお聞きしたいのは、四カ月間ずっとこの検証をやってきて、マスコミの報道があって外部委員を入れた。なぜ外部委員を入れたのか。そして、しかも一カ月足らずで調査報告が出るようになった。四カ月間にわたってはなかなか出てこなかった。こういういろんな見方ができるんじゃないかと私は思うわけなんですけれども、一つは、院内事故調査委員会は四カ月間どういう内容でこれを検証していて、で、このような形になったのか。その辺ちょっと明らかにしてもらえれば、私なんかもすっきりするんじゃないかと思うんですね。どうでしょうか。

○奥田医療政策部長 報告書から読む限りということになりますが、当初つけられた診断に基づく転帰が大変急変で、激しいということがありまして、三月十日の日には、もう既に院内でその検討を行おうということで、当初は、Aドクターのつけた死因を、データ等を見ながら、診療経過をたどる形で検討を進めていきました。その中には当然医学的判断として、あるいは検討要素として絞扼性イレウスというものも検討材料として浮かんでいたんじゃないかなというふうに、詳しい内容はともかくといたしまして、聞いております。
 ただ、六月一日になりまして、新聞報道ではっきり絞扼性イレウスということが報道されたということで、病院側は解剖所見について確定的なものを手に、今も入れてないわけですが、入れてない状況の中で、新聞報道を頼りに、それではその絞扼性イレウスが、というところから出発したら、今までの検証経過が正しいのかどうなのかということを、改めて、院内ではなく外部の小児科もしくは小児外科のドクターをお招きして、今までのものを見ていただいて、それで最終的な結論というものを、できる限りの結論をここでつけていこうということで、六月以降外部の委員に入っていただいて、改めて違う角度から検証をしていただいたというふうに聞いております。

○東村委員 ほかの人はどう見られたかわかりませんが、私は聞いていて、この事故調査委員会でもきちっと絞扼性イレウスということはある程度絞り込まれてきたんだけれども、いきなり今度は新聞報道が横から来て、さらにそれをきちっと自分たちがやったことも裏づけるために、外部の委員を入れたと。新聞報道が横から入ったから、仕方なしにやったということじゃないということなんですね。そこをもう一度確認したいんですけれども。

○奥田医療政策部長 今ちょっとお話がありましたが、絞扼性イレウスも視野に入れながら検討を進めていたということで、絞扼性イレウスだというふうに検討が進んでいったということではございません。それで、新聞報道があったということで、はっきりと絞扼性イレウスというものに焦点を当てた形で、外部委員をお招きして検討を加えたと。
 いずれにいたしましても、社会的に大変大きな影響を与えたということがございまして、当然、新聞報道がその大きな原因をなしたわけですけれども、そういった状況も踏まえて、公社の独自の判断として公表をしていこうというふうに考えたわけでございます。

○東村委員 非常にここは大事な点なんで、念を押すんですけれども、部長とのやりとりは非常に、部長は慎重な答弁をされているんですが、大事な点なんですけれども、要は、事故調査委員会はきちっと解明をして、要するに明らかにしていこうという方向で進んでいたということなんですね。要するに、新聞報道があったから改めて動いたということじゃないということなのかどうか、そこをまずはっきりしてもらいたいなと思うんですね。

○奥田医療政策部長 六月一日に絞扼性イレウスということを聞いた中で、社会的影響等も考慮しながら判断をしたということでございます。

○東村委員 なかなか真意が、私が今話を聞いている中では、要するに、新聞報道で自分たちが具体的に取り組んできたことが動かされたのかどうかということを聞いていたわけなんですけれども、その辺なかなか真意が伝わらなかったみたいで、非常に大事なといったのは、要は、当初いったように、公社病院だからこそこういう問題が起きたんじゃなくて--私は非常に評価しているんですよ。最初起きたときに、隠さないでまず警察に届けて、すぐ調査委員会を設けて、真剣になってこれを解明しようとした。ただ、この報道の見方によっては、要するに報道されて初めて隠していたものを何か明らかにしたようなイメージを何となく持たれているわけですね。そうじゃないんじゃないかと、私は、もっとちゃんとやっていたんじゃないかということを確認したかったんですけれども、なかなか答弁が何かかみ合わないので、この辺は私自身は、やりとりして、さっきの最初の説明を聞いていて、なるほどそのとおりなんだなということを思ったんですけれども、なかなか部長は要を得ていないんですけれども、次にちょっと進ませてもらいたいんですね。
 その中で、私は(「怖がっちゃっている」と呼ぶ者あり)済みませんね、別に詰めているわけじゃないですから--その中で、東京都は、そういういろんな中で、私も、確かに亡くなった方は本当にお気の毒だと思うんですけれども、これは私は医師一人の責任じゃないだろうなと思っているんです、これ読んでいて。いろんな要素があって、先ほど萩生田委員もいっていましたけれども、小児医療というのは大変な状況で、田代委員からの先ほどの話の中でも、三倍かかると。こういう中にあって、恐らく、その当事者になってみなければわからないんですけれども、大変な状況にあったんだと思うんですよね。これは当直ですから、何回も何回も、人によってはその日何回も重なる人もいれば、一回で済む人もいるでしょうけれども、そういういろんな要素が重なって、しゃべり方もまたいろんな--人間ですから、寝起きというのは本当、不機嫌な一言発したかもしれないですし、いろんな要素があるかもしれないんですけれども、そういう一人の人間の責任じゃなくて、やっぱりこれはいろんな意味で、これから小児の救急医療というものは東京都も真剣に考えていかなきゃいけないだろうと。
 その上で、この調査報告書に、東京都は約七点にわたって、具体的にこれからこういう取り組みをしていきますということをおっしゃってくれたんですね、一四、一五、一六ページに書かれていますけれども。
 いっていることは非常によくわかるんです。いっていることはよくわかるんですけれども、ここの、特にチーム医療の推進というところで、先ほど、私がいいたいことを実は田代委員がくしくもおっしゃってくれました。どうも今の日本の医療現場というのは、医師がやっぱり頂点にいて、看護師がその下にいる。だから、さっき私、K看護師の話も聞いたときに、K看護師の状況というのは恐らく、先生を呼んだら怒られるんじゃないかとか、そういう心の葛藤がある中で、自分としてどう判断していいのかという最大限のところで判断してしまった部分もあるのかなと。だから、その辺の過失の問題とかも、どうするんですかという話を聞いたら、K看護師も全くないわけじゃないけれども、ただいろんな状況の中にあって、K看護師だってやっぱり責められない状況にあるという話をされて、私は、なるほどそうなんだなということを思ったわけなんですね。
 ここでチーム医療ということを書かれて、チームワークが不十分だと書いてあるんですけれども、私は、チームワークの前に、やっぱり医師、看護師、さまざまな技師との関係ですね、この辺の関係を日本の医療の現場で改善していかない限り、恐らくどんなに、チーム医療をこうやって進めていきますよ、研修します、研修してこうですよといっても、結局それは絵にかいたもちになってしまうんじゃないか。この辺の実態を踏まえて、チーム医療というものはどうしていくのかということをもう一度お聞きしたいなと思いまして、お願いします。

○奥田医療政策部長 医療そのものが各職種によって連携の中で提供されている、高度化につれてその度合いが深まるという状況の中で、各職種間の情報の共有であるとか、ともに働く協働であるとか、そういうことがかなり必要になってくるというのはつとにいわれていることですが、現実的になかなか難しい。これに着眼いたしまして、この委員会でも、報告の中に、チーム医療の推進ということを取り組むべき一つのテーマという形で取り上げております。
 私ども都といたしましては、この七つの、非常に苦労してまとめ上げた公社の結論を、一つ一つ着実に実現するように、都としても最大限関与しながら、この支援を行っていきたいというふうに考えております。

○東村委員 ここで掲げたことを現場でどうやって進めるかというのは、上から指示を出したって、これは多分変わらないと思うんですね。最大限関与というのは、私はそこに含みを持たせているのかなと思ったんですけれども、やっぱり現場に行って一緒になって変えていかない限り、本当の意味での改革というのはできないと思うんですね。
 例えばもう一つ、「『患者中心の医療』の実現」とあるんです。これは非常にすばらしいことが書いてあるんです。この際私は、これが今回の結論なんじゃないかなと思うんですよ。「このことを個人の資質による問題と限定せず、病院全体として『患者中心の医療』の原点に立ち返る必要がある。」という、先ほど田代委員の話を聞いていても、これがまさに今回の本質なんだろうなと。個人の資質による問題と限定しないで、病院全体として患者中心の医療の原点に立ち返る必要があるということで、そこで東京都は、二〇〇一年の五月に、患者の声相談窓口という、今まで患者のいろんな現場からの声が届かない、これを届くようにしてくれた。これはすごいことだなと今評価しているんですけれども、ここで、実は昨年よりもことしのいわゆる相談件数というのは八%ふえている。ところが、医師や病院に対する苦情は、前年比で二〇%もふえているというんですね、実態として。ほうっとおっしゃっていますけれども、ご存じだと思うんですね。
 内容として、これは新聞が書く書き方ですから、非常にセンセーショナルな書き方をしているかもしれませんけれども、診療中に医師に質問しても無視されたとか、症状が軽いのに病院に来るなといわれたとか、あげくの果てには、診断書を出す見返りに交際を迫られた女性患者からの相談とか、これは新聞の書き方かもしれないんですけれども、相談件数が、苦情が二〇%ふえているということは、患者の相談窓口をつくって、その反面、ここは大事なんですけれども、医療計画でしっかりと、いわゆる患者中心の医療をどう進めるかというのを具体的に明らかにされていると思うんですね、医療計画で。
 その医療計画の中に、私もこの医療計画を読んでいて、患者中心の医療の実現、この実現の中で、都立病院の患者権利章典を策定したと。ここで、患者の権利を尊重するとともに、患者の医療に対する主体的な参加を支援する必要を明確にした。その次が大事なんです。この権利章典を幅広く都民や民間医療機関に周知することによって、患者中心の医療の実現に役立てていくとあるんですね。この冒頭がまた私、泣かせる文句だなと思うんですよ。本当によくここまで踏み込んでくれたなと。要するに、患者は人間としての尊厳を有しながら医療を受ける権利を持っていると。そして、医療は、患者さんと医療提供者とが互いの信頼関係に基づいて、協働してつくり上げていくものであり、患者さんに主体的に参加していただくんだということが書いてあるんです。
 今回、東京都保健医療公社は、患者中心の医療推進計画をつくる、これを着実に進めていきますと、これ、すばらしいことなんですけれども、さっきからもいうように、保健医療計画でもこれを挙げて、しかも東京都の権利章典までつくって、それを現場の民間医療までずっとやっていくという話をしていました。私、冒頭で申し上げましたように、こういう問題というのは、保健医療公社だけじゃなくて、私も体験しているんですけれども、市立病院だって起きているんですね。民間の病院だっていろいろ起きているんです、医者との問題とか、看護師さんとの問題とか、いろいろ起きています。こういうのを本当に現場に浸透させるためには、確かにいいことをいっているんですけれども、私がいいたいのは、こういうのを進めようといいながら、実際は窓口には、ふえている相談件数八%にかかわらず、医師や病院に対する苦情は二〇%にもなっている、こういう実態をよく踏まえて、これだけではだめで、どうやっていけば、本当の意味での患者中心の医療ができるのかということを、私は、東京都が本気になって考えなければ、同じことをまた踏んでしまうと思うんですね。これについて、部長並びに局長の意見も聞きたいなと思いまして、お願いしたいと思います。

○奥田医療政策部長 患者の権利章典につきましては、都立病院のみならず、公社の病院もほとんど同様の患者中心の医療のコンセプトでつくりまして、院内に掲示をするということでやっております。
 東京発医療改革ということで、患者中心ということが中心テーマに据えられまして、公社病院におきましても、都立病院の取り組み等を見ながら、あるいは、冒頭お話にございました患者の声相談窓口を背景にして、よりよい関係を考える会等々が、患者中心の医療を実現するための具体的な検討を行っておりますので、そういった検討内容も踏まえながら、公社としても、患者中心に焦点を当てた形でもって計画をつくろうとしておりまして、それが、おっしゃられました患者中心の医療推進計画ということでございます。
 これにつきましては、連携から患者サービス、あるいは医療安全であるとか質向上であるとか、極めて多彩にわたっておりますが、これが近々五年計画ということでできるというふうに聞いておりますので、これが着実に実行されますように、今回の事例を一つの契機としながら、より内容を精査して、五年計画として実行されて、それで公社病院が前と違った形でもって質向上をして信頼を回復するということを実現できるように、私どもとしても支援をしていきたいというふうに考えております。

○平井健康局長 先ほどから田代先生にかなり大変なアドバイスをいただきまして、その先生の前でこういうことを申し上げるのもなんですが、患者さん中心の医療というのは、とりあえずいろんな多面的な取り組みが必要かと思うんですが、私が今考えているのは、先ほど田代先生からもございましたように、病院というのは、これは一般論でございますが、士農工商社会であるというふうに私は理解しているわけです。士はお医者さんですね。農は看護師さんです。工は、コメディカルといわれている診療放射線技師とか検査技師とか、商は、事務あるいは現業の職員でございます。
 これが縦でコミュニケーションが悪い病院は、不親切で事故が起きやすい、そういう傾向を持っていると思うんです。これが横に並んで、メスの切れ味と思いやりと、それと写真をピンぼけで撮らない、検査の結果はきちっと出す、それで商は、その三つの努力を高く診療報酬として売って、また医師、看護に戻す--何よりも農というのが患者さんとともにいるわけです。この農の訴えを聞く士、これが重要だろうと思うんですね。農というのは、患者さんを代弁しているわけなんですね。看護師さんは患者さんを代弁しているわけです。その意味で、聞く耳を持つ侍を育てるのが院長であり、ないしは副院長であるというふうに思っております。
 それから看護師さんも、先ほど先生も怖い看護師さんがいるというふうにおっしゃいましたけれども、やっぱり看護科長、看護部長は、若い医者のおごりや少し怠惰な部分が見えたら、士農工商を乗り越えて文句をいえる。これが全体としてそういう横の役割分担のうまくできた病院をつくっていく。これが、今私の考えている一つのアプローチとしての患者中心の医療であろうかというふうに思っております。
 そのために、院長あるいは看護の部長あるいは事務の責任者、これに適度に権限を与える。事実上の権限でございますが、与えていくというふうな工夫をやっていく必要があるんだろう。これはともに走っていかなければいけない話でございますが、そういう形で具体的に改革を進めていきたいというふうに考えております。

○東村委員 先ほど部長から、権利章典も公社にもきちっと張ってあります、こういう話があったんですけれども、張ったって、結局それが実現されてなければ、本当に絵にかいたもちなんですね。
 私は、何が大事かなと思うのは、皆さんこれを本当に進めようと思ったら、上からだけ指示を出すんじゃなくて、先ほどもいいましたけれども、やっぱり現場に行って、現場の本当に苦労している人たちと一緒にディスカッションをして、こうすればいいんじゃないか、こうすれば変わるよということを、ぜひともやっぱり現場に行って進めてもらわなければ、ここにおっしゃっている改革というのは、指示を出せばできるという問題じゃないと思うんです。会社だってそうです。何の団体だってそうだと思うんです。上から指示を出せばすぐ動くなんてことは、今はもうないわけなんですね。
 そういう意味で、やっぱり現場に行って改革をするということをお願いしたいし、ここまで今回やられたんですから--私、冒頭にいいましたように、即日すぐ委員会をつくってきちっと明らかにして、それを次につなげていこうというここまでやったということは、評価しているんです、本当に。亡くなって、医療ミスがあったということは痛ましいことなんですけれども、これを次に生かしていかなければ、結局これは、いい方は悪いですけれども、亡くなった子の思いが次に生かしていけないわけですし、退職した医師という問題もありますけれども、これをどう実現させていくかということを本当に真剣に考えていかなければ、またそれを、つくるだけじゃなくて、どう実行させていくのかということをするのが、今本当に健康局、大事なんじゃないかということを、生意気かもしれませんけれども、私はつくづく感じまして、特に、さっき、張ってありますという答弁をされましたけれども、張ってあってこうなったということは、やっぱりこれはもっと本当にどんどん入っていってディスカッションしなければ変わらないんだなということを痛感したわけですから、頑張ってもらいたいと思いまして、一言質問させていただきました。
 ありがとうございました。

○小林委員 そんなに何遍もではありませんけれども、これを読ませていただきまして、東村委員も最初の方でいいましたけれども、今回の事故調査委員会が何で開かれたのかなというのが、読んでいて、いわゆる大きな事故とか明らかにミスみたいなところになると、これはマスコミに取り上げられるとかそういうことじゃなくて、当然のように調査委員会が開かれるわけですけれども、そういうことからすると、この報告書の最後の方になってくると、医療ミスがあったとか、事故であったというふうな文言が余り見られないんですね。そういうふうに考えてくると、やっぱり何かどうしても、新聞報道やマスコミに出たから調査委員会ができたのではないかみたいな、そういう多少勘ぐりをするんですけれども。
 そこで冒頭、普通こういう冊子が出ると、事故とか医療ミスとかというのが大体表題に出るんですけれども、今回の場合は、死亡事例に関する調査報告書ということになっているんですね。事故とか医療ミスとかというふうには、この表題にはないんですね。
 そこで、最初に、今回のこの事件というのか事故というのか、これは医療ミスなんですか、そうじゃないんですか。その辺、最初に押さえたいと思うんですけれども。

○奥田医療政策部長 現在時点におきまして、行政解剖の結果を直接確認したわけではないわけですが、死因が絞扼性の腸閉塞であるということであるならば、当初、麻痺性腸閉塞というふうに診断したことは結果的に誤りでありまして、そうした意味では、広い意味で誤診であろうというふうに考えております。
 ただ、死亡との関係につきましては、これは報告書に書いてございますが、急死の原因は、「一般的には、吐物の誤嚥による窒息、エンドトキシン・ショック、内臓神経反射などが急変の原因として考えられるが、その特定はできなかった。解剖所見の結果をもって再度検証」というような形になっているような状況でございます。

○小林委員 ちょっと何かまだわからないな。誤診であったということは--誤診といわざるを得ないみたいな感じですね、どちらかというと、そういう判断というふうになるんだろうと思いますが、そこで、この後、解剖の結果の話に移っていきますが、遺族との関係ですね、遺族との関係は今どのようになっているでしょうか。

○奥田医療政策部長 これまでの経過といたしまして私どもが把握しておりますのは、三月九日、死亡された当日でございますが、入院中の患者さんの容体が急変して、その蘇生措置中に何回かにわたって説明をさせていただいたということ。それから、死亡確認時において、患者さんが二十四時間以内の死亡ということで、原因が不明のために警察に届け出る旨の説明を行って、ご遺族の了承をいただいたこと。それから、四月の十四日、月曜日には、カルテ等の開示の際に病院職員からご説明をし、何か疑問の点があれば医事課長にお問い合わせいただくようにというふうにお話をしたという点。それから、五月二十六日に院長謝罪ということで謝罪がされた。その際に、検証結果が判明した段階で、改めてご説明をするというようなお話をさせていただいた。
 その後は、ご遺族との関係は、一連の報道が挟まりまして、ご遺族の方も弁護士を代理人として指定されまして、病院とのやりとりは、すべて弁護士さんを通じて行うことになったという状況でございます。

○小林委員 患者さんと弁護士を通してやられたということなんですが、遺族との関係というのは、いいんですか悪いんですか、どうなんですか。あんまりよくないとかあるじゃないですか。それはどうですか。

○奥田医療政策部長 報告書にも書かれていないのと、直接そこまで立ち入って聞いておりませんので、いいか悪いかというデリケートなあたりはちょっと差し控えさせていただきたいんですが、ただ、すべて弁護士を通じてという関係に徐々になっているということと、それから、院長が謝罪に伺った際に、例の行政の解剖所見を見せていただきたいというお願いをしたわけですが、その際も十分なご協力をいただけなかったというのが、我々が見ているご遺族と病院との現在の関係というか、そういう状況であろうと思っております。

○小林委員 それを解釈すれば、あんまりいい関係じゃないということですよね。
 この報告書の中にも、解剖の所見の結果をもって再度検証するというふうになっておりますけれども、遺族の方が、その所見の要求、要望に対して拒否をされているんですよね。同意を得られてないということなんでしょうけれども、この報告書にはそういうふうに書いてありますけれども、解剖の所見の結果が、遺族の方から同意を得てこちらの方でいただければ、そこでまたいろんな外部の検討委員会で調査されるんでしょうけれども、どのような日程で、どういう内容で--もらったというふうに仮定をした場合、それはどういうふうになっておられますでしょうか。

○奥田医療政策部長 ただいま先生お話がございましたとおり、監察医務院の解剖所見そのものはご遺族が入手をするということで、ご遺族の同意がどうしても必要となるということですが、もちろん、今後ともご遺族の同意が得られるように誠実にお願いしていく中で、解剖所見が得られた場合には、また事故調査委員会等で、この所見を検討材料として検証を行うというふうになると聞いておりますが、具体的にどういう内容で、いつやるかというところまでは、まだ具体化はしていないというふうに聞いております。

○小林委員 遺族の方が同意してくれなきゃ前に進めないわけですから、これは粘り強くやっていくしかないんだろうと思いますから、ぜひ引き続きやっていただきたいと思います。
 それから、再発防止に向けて、今後の取り組みとして、一番目から七番目、各項目にわたって載っておりまして、医療ミスとか医療事故、あるいは薬害なんかも、歴史的に何か周期的に繰り返されているようなところがあって、そういう事件あるいは事故が起きたときには、しっかりとこの体制をつくっていくんですけれども、また少し間があいたりすると、また少し緩んできたりというようなことが見受けられますから、そこで、再発防止に向けた七つの項目がありますが、これを着実に実行に移していくために、どのような機関で、だれが責任を持って--急に変えられない部分もある、多少時間をかけてやらなくちゃいけない部分、多少再発防止に向けた動きの進捗みたいなものも、ある程度だれかがちゃんと見ていかなきゃいけないということもあると思うんです。その辺の体制は、どういうふうになっていますでしょうか。

○奥田医療政策部長 東部地域病院が委員会を設けまして検討した結果でございます、ただいまの七点の再発防止のための取り組みでございますが、これについては、公社が責任を持って取り組んでいくということになります。
 都といたしましては、公社に対しまして、着実に実施されるよう必要な指示をするということと、そのために、今後公社から進捗状況について随時報告を受けまして、積極的に関与をしていくというつもりでおります。

○小林委員 東京都がいろいろ指導しながらやっていくということですから、それはそれで結構なことだと思いますけれども、それをやっぱり明らかにしていくということも非常に、何というんですか、明らかにすることで責任が生まれてくる、あるいは明らかにするということで逆に、再発防止に向けた具体的な内容を充実させていかなくてはいけないということになるかと思うんです。
 そこで、その結果を、成果をどんな形で公表していくのかは、いかがでしょうか。

○奥田医療政策部長 ご指摘のとおり、公社が失った信頼を取り戻すためにも、病院の改善に向けた取り組みの成果を目に見える形で地域に訴えて、理解していただく必要があろうというふうに考えております。
 そのために、都といたしましても、公社であるとか病院のホームページ、広報誌、あるいは公社が持つあらゆる広報媒体を活用いたしまして、その状況を公表していくよう指導してまいる考えでございます。

○小林委員 では、最後になりますけれども、先ほど田代委員の方から、聞いたら、A医師は中で、看護師さんとの関係が余りよくなかったという話がありましたけれども、さっきの、患者の権利章典ですか、ただ張っておいたり、あるいは指示をしたりということじゃなくて、やっぱり中で相当議論をしていかないと、ただ七つの項目を一つ一つ、しかるべき人が指導でやるということじゃなくて、全体、チームとして再発防止に向けた、私は相当中の議論があっていいだろうと思うんですね。そうしないと、結局はだれかが悪いみたいなところで終わってしまうような気がしますので、そういった内部の議論を、これを機会に積極的に起こしていって、改革に向けてぜひ歩んでいただきたいということを要望して、終わります。

○大山委員 今大分論議がありましたので、なるべく整理しながらやりたいというふうに思っています。
 今るる論議がありましたように、医療事故が多発していて、社会問題になっているというのが今の現状だというふうに思うんです。先日も、小児夜間救急を行っている日大光が丘病院の夜間の時間帯に訪問をして、話も伺ったんですけれども、そのときに、お医者さんたちも院長先生たちも、いつ事故が起こってもおかしくないというふうに真剣に訴えられていました。
 東部地域病院での今回の事故も、本当だったらあってはならないことだと思うんですけれども、この子の命をむだにしないためには、やはりきちんと事実を正確に把握して、なぜ起こってしまったのかということを客観的に判断すること、そして、そこから引き出した教訓を再発防止の対策を立てて実践することだというふうに思っています。しかも、都の公社の病院ですから、責任も問われているというのが今回の状況だというふうに思っています。
 今いろいろ質疑を聞いていますと、事件の調査はこれだけでおしまいにするわけではないというふうに聞き取っているんですけれども、それはそれでいいわけですか。それとも、この調査、それからこの調査報告書は、これでおしまいなんだという位置づけになっているんでしょうか。ちょっと先に確認させてください。

○奥田医療政策部長 先ほどもちょっとご説明したとおり、東京都監察医務院で行政解剖が行われたその結果が入れば、最終的に特定できなかった問題解明に再度挑むというふうに、この報告書には書いてございますので、そのようになろうかと考えております。

○大山委員 私もこれでおしまいというわけにはいかないというふうに思うんですけれども、一ページ目に「はじめに」という項目がありまして、短時間に予期しない急変、急死であることから、診療経過の検証が必要であると考えた。そこで、事故調査委員会を設置し、というふうにあるわけですけれども、事故調査委員会をつくったことはいいことだと思っています。まずは、その上で正確に事実を把握することが重要で、客観的に事実をつかむということですけれども、「関係者からの聴き取り」とありますけれども、この場合の関係者といいますと、素直に考えれば、病院のドクターだとかナースだとか、と同時に、本人と一緒にいたお母さんだとかおばあちゃんだとかなども考えられるわけですけれども、お母さんだとかおばあちゃんだとかからのお話は伺っているんでしょうか。

○奥田医療政策部長 ご遺族からのお話は伺っていないというふうに聞いております。

○大山委員 やはり正しい情報というか、多面的に聞くということが必要だと思うんですが、調査するということが必要だと思うんですけれども、お母さんからどうして聞けなかったのかというのが率直な疑問ですが、聞けない理由とかというのはあるんですか。

○奥田医療政策部長 この調査委員会では、症状あるいは診療経過について検証を行うために、カルテであるとかレントゲンフィルム、あるいはCTなどのデータから事実を追求することに主眼を置いて検討に着手したということでございます。

○大山委員 カルテだとかデータだとかから事実を追求するんだということですけれども、正しい事実を把握するということは基本なわけですね。それは、一面的なものではなくて、あらゆる考えられる多面的なところからきちんと話を聞く、調査をするということは基本だと私は思っているんです。
 私、先日、お母さんにお会いして、弁護士さんも同席してくださって、お話を聞くことができました。とてもしっかりした方で、病院で事務をされているということでして、医療についても比較的詳しい方でした。お母さんから伺ったお話と報告書とちょっと違うなというところだとか、気になるところというのが幾つかあるんですけれども、正確な事実ということでしたら、やはりそういうところもきちんと精査していくということが、まず必要なんじゃないかというふうに思うんですね。
 例えば時間のことでいっても、病棟に入ったのは、報告書では九時半だけれども、お母さんは、入院だと思っていて時計を見たら十時半だったというふうに、それがちょっと異なるとか、また、十二時半ごろに外来のときでも戻しちゃったり、浣腸液も漏れているので、息子さんの着がえが必要になって、一度家に帰るわけですね。その前にお母さんは、点滴をやっていて容器もかえているのに、こんなに点滴をやっているのに全く排尿していないということを、非常に心配されているんですね。そのこともいって、それで先生にすぐ伝えてほしいというふうに看護師さんに話しているんです。でも、報告書には排尿のことは全く触れられていないで、とてもぐあいが悪く、気になるといわれたということだけ書いてあるんですね。
 これはやはり一方からだけの情報ではなくて、より正確に客観的に事実を把握するというんだったら、やはりお母さんからお話をきちんと聞くというのは最低限必要なことではないかなというふうに思うんですけれども、どうですか。

○奥田医療政策部長 この事故調査委員会での検証は、高度に医学的な観点から行ったものでございまして、今後ご遺族に十分時間をかけてご説明する中でお話を伺っていくというふうに考えております。

○大山委員 今後ご遺族の方のお話を聞くというご答弁でしたから、これは本当に大事なことだと思いますので、ぜひ誠意ある対応をしていただきたいというふうに思っています。
 それにしても、お母さん自身も、やはり正確な事実に基づく検証でなければ、それは納得できないというふうに、幾ら説明しても納得できないというふうに思うんですね。先ほどからのご答弁の中にも、高度に医学的な観点からとか、カルテなどのデータからというふうに答弁されているんですけれども、解剖所見の内容を確認しないまま検証に入ったわけですね。解剖所見という情報は、先ほど、手に入ったら検討するということですけれども、医学的な観点から、それから今答弁された理屈からいえば、非常に重要なものだというふうに思うんですけれども、どうでしょう。

○奥田医療政策部長 何人かの委員からもご指摘がございましたとおり、大変重要なものでございます。

○大山委員 非常に重要なものだ、それから、医学的な観点から行ったものだという調査であり、事故調査であるからこそ、やはり入手する努力を本当にされたのかなということが疑問にならざるを得ないんですね。
 先ほど、五月二十六日に謝罪しに行ったときにお願いしたということで、そのときは断られてしまったということなんですけれども、経過をずっと追っていきますと、五月二十日にマスコミが病院を取材して、その二日後の二十二日に、お母さんに謝罪したいからと病院から電話があって、それで二十六日に、院長先生含めて謝罪に行くという流れの中での二十六日なんですね。ですから、お母さんにしてみれば、マスコミに取り上げられて、慌てて謝罪したり解剖所見を求めてきたというふうに思ってしまうというのは、これは仕方がないことだというふうに思うんですね。きちんと取り組むという姿勢があったんだったら、病院側もそれから東京都も、監察医務院で解剖しているということはわかっているわけですから、事実を、先ほどおっしゃっているような、高度に医学的な観点から行うということがあるんだったら、なおさらきちんと、解剖の所見が出るであろうころから入手する努力をするべきだったんじゃないかというふうに思うわけです。
 先ほどの質疑の中で、六月一日の、死因は絞扼性イレウスという新聞報道を踏まえて、もう一回きちんと、解剖所見が出てきたら検証をするんだというふうに--違う、専門家を入れたんだという、六月一日の新聞報道があったから外部の専門家も入れたんですというふうにさっきご答弁されたわけですよね。お母さんの話を聞かないとか、解剖所見が重要だというふうに認識しながら、入手する努力をしなかった、二十六日にはしましたけれども、事前にしなかったというのは、やはりきちんと事実を把握するという基本的な姿勢が欠けていたということじゃないかといわざるを得ません。
 客観的な検証をするには、やはり客観的な事実を積み上げなければ、客観的な検証はできないんじゃないかというふうに思います。マスコミが取り上げたから、慌てて外部の委員を入れたり、慌てて解剖所見を求めたり、そういう基本的な姿勢では、事故調査委員会をつくっても結局形だけということになって、関係者を処分して終わりというふうになりかねないということを心配せざるを得ないわけですね。それが基本姿勢にかかわる問題です。
 もう一つ、一番重要なのは、やはり再発を防ぐということなんですけれども、先ほどからチーム医療ということの重要性がいわれているわけです。状況報告書の中にも、状況報告書を受け取った当時の院長が、言動は許されないこと、それから、より早急に対応すべきということで、厳しい指導が行われているというふうに九ページに書いてあるわけですけれども、先ほどから問題になっていますように、ここで問題なのは、言動も許されないことなんですけれども、四時五十五分に来院したときよりもさらに悪い状態なので、看護師さんは重症だというふうに考えて、再三呼び出して、外科医へのコンサルテーションだとか大学病院への紹介などをドクターに勧めているわけですね。しかし、それはその後経過観察になるということですけれども、やはり専門職同士、対等平等の立場で議論できるような職場づくりということで、なお一層--先ほどからご答弁あって、横に並んでというふうにご答弁されていますので、それで本当に民主的な職場、対等平等な職場ということで、専門職のそれぞれの仕事が生かされるような職場にしていってほしいというふうに思っています。
 次の問題ですけれども、第三者機関についてです。
 医療事故がこれだけ社会問題になっている中で、日弁連は、「医療事故被害者の人権と救済」という本の中で、医療被害防止・救済機構構想ということで、医療被害者の早期救済を図ると同時に、医療現場等への再発防止策をフィードバックすること、あわせて診療レベルの向上、医療制度の改善、患者の権利等に役立つ活動をすることを目的に、第三者機関の構想を提案しているんです。医療を受ける側の人たちの声が反映できるような仕組みをつくっておくというのが、この構想の中にも入っているわけですけれども、この第三者機関については、ジャーナリストの柳田邦男氏だとか東京都病院協会なども、航空・鉄道事故調査委員会などをイメージして、第三者機関の創設を提案しているようですけれども、このような第三者機関の設置というのは必要なんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょう。

○奥田医療政策部長 一点、ご訂正をいただきたいんですが、今のお話の中で、報道があったので慌てて委員会をつくったというようなお話がございましたが、あるいは外部の委員を入れたというようなお話がございましたが、そうではなくて、絞扼性イレウスという報道があったので、それを真摯に受けとめて、さらに客観的に検証するということで外部委員を入れたということでございますので、ぜひこの点ご理解をいただきたいと存じます。
 それから、ただいまの第三者機関のお話ですが、国においても、第三者機関の設置について一定の議論がなされているというようでございますが、その結論が出たというふうには聞いておりません。

○大山委員 国でも検討しているということですけれども、やはり東京で病院がたくさんあるし、それから、医療事故がこれだけ社会問題になっているということでは、東京都としてもきちんと検討していってほしいというふうに思っています。
 先ほどの、六月一日に絞扼性のイレウスということを新聞報道されて、外部の委員を入れたという事実ですから、それはそれでいいわけですよね。--その前に、本当だったら、五月二十六日以前だって、ちゃんと監察医務院の解剖所見を入手しようという努力をされていれば、報道より前に、当然、医学的な高度な検証をするための資料という重要な資料が手に入ったということじゃないですかと、私はいっているわけです。
 もう一つですけれども、ドクターだとかナースの質の向上についてなんですけれども、きのうも松村議員が一般質問で提案しましたけれども、PALS、つまり看護師や医師の小児高度救命法の普及についてです。
 PALSというのは、米国の心臓病協会が米国小児科学会などと協力をして提唱をしている小児のための高度救命蘇生法のことで、国際的に検証され、認められている小児の救急法だということなんですね。二日間の実技を中心にした講習を受けて、試験を受けて認証されます。二年ごとに試験を受けて更新するので、質の管理もできるということなんです。
 私、日本での普及の中心的な役割を果たしている成育医療センターの宮坂勝之医師にお会いして、お話を伺ったんですけれども、その中で私、思ったのは--思ったのはというか、先生がおっしゃっていたのは、このPALSを身につけることが、百人の患者のうち重症の子どもは一人や二人ぐらいしかいないんだという、その重症の子どもたちを見分けて命を救うことにつながるということがわかったんですね。その先生がおっしゃっていたのは、日本で、はしかにかかる人は年間十万人ぐらいいて、そのうち百人ぐらいが亡くなっているというんですよ。私、百人も亡くなっているのかなというふうにびっくりしたんですけれども、宮坂医師がいうには、日本の医師養成は医科大学で行われているから、小児科病棟があっても三十床ぐらいがせいぜいで、重症例などに出会うことは余りないんだと。
 この報告書の中でも、A医師は、卒後八年目であり、小児の急性腹症の臨床経験はあるが、本事例を麻痺性イレウスと判断してしまった背景には、絞扼性イレウスの診断経験がなかったことが挙げられるというふうになっているわけですが、自分の体の状況だとか苦しいとかというのがよく口で説明できない子どもに対して、正しい判断をするためには、医師や看護師などの質の向上は欠かせないというふうに思いますし、この医師だけでなくて、今の医師養成の中ではというか、こういうことは十分あり得るというふうに思うんですね。
 きのうの答弁では、医療従事者がみずからの資質向上のために講習会等に参加し、自己研さんを重ねることは重要であると考えると、大事な答弁をしていただいたわけですけれども、報告書でも一五ページに、「院外講師等による院内研修の充実や、院外研修等への積極的な参加を促すなど」といっているわけですから、具体的に踏み出すべきだというふうに思いますが、どうですか。

○奥田医療政策部長 ただいまお話のありましたとおり、院外講師等による院内研修あるいは院外研修等への積極的な参加、プライマリーケアに関する知識、技術の向上を図るというのが今後の改善策で挙がっているわけで、こうした公社の再発防止のための今後の取り組みについて、都としても支援をしていきたいというふうに考えております。

○大山委員 成育医療センターでは、教育プログラムに具体的にPALSを位置づけているんですね。ですから、東京都でできないわけもないというふうに思いますけれども、こうやって研修強化だということだったら、促すんだということだったら、例えばこのPALSについても、有効性を検討するとか、有効性を検討して積極的に参加できるようにするとか、そういうことを検討するぐらいはできるんじゃないですか。

○奥田医療政策部長 ただいまも申し上げましたとおり、研修をどういう形でもって取り組むかということにつきましては、公社が主体的になって考えるべきことでございまして、この取り組みを都としてバックアップしていくということでございます。

○大山委員 では、ちょっとこれも視野に入れてほしいということをいっておきます。
 最後にですけれども、公社病院のあり方についてです。
 先ほどからいろんな委員が議論されているように、心配されているわけですよね。それで、先ほどからいろんな意見が出ていますけれども、採算を考えないでよい公社病院、これならいいわけですね。しかし、実際はどうかということなんです。
 公社病院への補助はどのように推移しているんでしょうか。最初の年と昨年の決算でお願いします。

○奥田医療政策部長 最初の年というのは、平成二年ということでよろしいんでしょうか。--約の数字ですが、決算で、平成二年が十六億、平成十四年が約三億六千万ということでございます。

○大山委員 これは補助金の額ですけれども、平成二年のときには約十六億八千三百万円だったのが、十四年度には三億六千九百万円。年度によってでこぼこはあるんですけれども、最初から比べると、二二%にまで激減しているという状況です。
 一昨年、私、東部地域病院に伺って、院長先生のお話も伺いました。そのときに資料もいただいて、その話の中で非常に印象的だったのは、補助金をいかに少しでも多く返納するかということに心を砕いているというのが、私の率直な印象です。
 実際にこれまで、都の補助金を減らせることだとか、人員もスリムにできるということが公社病院のメリットだというふうにされてきたわけです。例えばそれはどういうことかというと、都立病院改革会議の小委員会、これは平成十三年の六月二十七日の議事録ですけれども、これは東部病院の前院長の発言だと思いますが、委員が、東部地域病院が三百床で大久保病院も三百床、比較してみますと、医師の数は大久保の五十人に対して東部は四十二人、看護要員が大久保の二百二十九人に対して東部は百七十七人、人員をかなりスリム化しています、大久保病院は病棟の看護体系は二対一ですが、東部地域病院は二・五対一ということで、人員についてはかなり絞り込んでいますという発言がされています。大久保病院に比べて、医師も看護師も人員をスリム化している、こういう報告があるわけですね。
 先ほどから、医師が足りないという指摘がそれぞれの委員からあったわけですけれども、また、今回の事故報告書でも、小児科の医師の不足が、一六ページにも書いてありますけれども、指摘されているわけです。今までの公社病院のあり方がやはり根本から問われているんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょう。

○奥田医療政策部長 公社に対する補助金のお話でございますが、公社の支出額と収入額の差額について補助するという仕組みになってございまして、効率的な経営をする一方で、安全で良質な医療を提供するための取り組みを行ってまいりました。
 数字的には減っておりますが、この間の経営上の努力といたしまして、例えば急性期特定入院加算の取得であるとか、あるいは業務のアウトソーシングであるとか、さまざまな改善を行う一方で、この間も、救急医療体制の強化であるとか看護師の増員、あるいは臨床工学士の増員など、安全で良質な医療を提供するための努力を一方で行っておりまして、決して補助金を返納させるために事業を犠牲にするというような事実はございません。

○大山委員 実際に、足らず前補助だということで差額を補助しているわけですけれども、実際その補助金が減っている。そして人員をスリム化している。今この委員会の中でも論議があったのは、小児科は非常に手がかかる、三倍も手がかかるというお医者さんからの発言もありました。(「三倍も手がかかるんじゃないよ。三倍急変するといっているんだ」と呼ぶ者あり)そして救急もやるということでは、先ほど医師が足りないということが指摘されたわけですよ、この中でも。(「六倍手がかかるといっている。三掛ける二なんだ」と呼ぶ者あり)では六倍ね。
 だから、いかに小児科の医師が、人を診ることですから、足りないんだということがこの委員会の中でも出されたわけですから、やはり根本的に公社病院のあり方、スリムにすればいいんだ、お金がかからなければいいんだ、そういう東京都の方針を根本から問われているんじゃないかというふうに思います。
 例えば専任のリスクマネジャーでも、都立病院は今年度から配置をしているわけですよ。しかし、公社病院は、ここの報告書では今度は配置するというふうに書いてありますけれども、配置はしてないわけですよね。そういうことから見ても、やはり問われているといわざるを得ない。
 それから、医師の質についても小委員会では話題になっています。都立病院改革会議の小委員会で、十三年の五月八日にこういう議論がされています。今は都立病院という名前だから人も来るだろう、大学から人も出してくる、だけど、都立ではなくなって、民営化だとかいわゆる公社化というと、いい人材を採るとか、何かその辺は考えておかないと、名前が変わるだけで大分違うというふうに委員が発言したら、委員長代理が、それは事実ありますね、医療界における都立病院というもののステータスはあります、確かに、というふうにやりとりがされているわけです。公社化というのは、都立に比べて医師の質の確保の点で難点があるというのが、この小委員会でも指摘されているわけですけれども、その点についてはどう考えていらっしゃるんですか。

○奥田医療政策部長 都立の大久保病院が三百床病院ということで、ちょうど比較の対象としてよろしいということでお話に出たのかと存じますが、大久保病院の看護要員と東部地域病院の看護要員は、実質戦力を比較して約十人程度の差があるかと思いますが、総じて二百二十人から二百三十人の幅の中の話でございまして、歴然と東部地域病院が戦力ダウンしているというふうには考えてございません。
 それから、医師の質の問題でございますが、非常にデリケートな問題で、いずれにいたしましても、今後あらゆる研修の機会等を活用しながら、その向上に努めていきたいということでございます。

○大山委員 今、それほどスリム化じゃないんだみたいな話でしたけれども、これは、スリム化していますよという報告が小委員会の中でされているわけなんです。
 それで、非常にデリケートな問題だということですけれども、今回の事柄についても、やはり人員の問題だとか、質の問題だとか、研修の問題だとか、チームワークの問題だとかということが、いろいろと解決策としても出ているわけですよね。同じ五月八日の小委員会の中では、医療に一番大事なものはということで、委員が発言しているんですけれども、思いやりのある温かい医療がなきゃだめなんですと、そのことが触れられていないんです、思いやりのある温かい医療が提供できれば、患者さんには開かれた医療につながり、質の高い医療にもつながって、安全な医療にもつながる、大事なのは、思いやりのある温かい医療の提供というものがないといけないというふうに委員が発言しているんですね。
 この一番大事なことが、やはり公社病院に欠けていた部分があるのではないかというふうに思うんです。思いやりのある医療ができるなんというのは、やはりきちんと人材を手厚くすることも必要だし、そのために必要な補助を積極的に行わなければ、思いやりのある温かい医療というのは、基本的な条件としては難しいというふうに思うんですね。
 以上、今述べてきましたけれども、今回の問題から浮かび上がってくる公社病院のあり方について全面的に再検討することなしに、大久保だとか荏原などの公社化を推進することはやめてもらいたいということを述べて、おしまいにします。

○山口委員 私も、翌日にできた事故調査委員会、それから六月一日の新聞報道後にできた外部委員を投入してのさらなる検証ということには大変疑問を思う、これはだれでも同じだということで、先ほど来も再三答弁がありましたので、一つだけちょっと確認させていただきたいのは、この間に、行政解剖の結果を入手するためにご家族に話をされたのは五月の二十六日が最初で、それ以前はあったのかなかったのかだけ、ちょっと一点確認させてください。

○奥田医療政策部長 先ほどもちょっとご説明いたしましたが、三月十日の死亡退院当日、それから四月十四日のカルテ開示当日、それから五月二十六日、謝罪に伺った。解剖所見をいただきに二十六日に行ったのでなく、謝罪に伺ったときに、ついでにこちらの方からそういうお願いをしたということでございます。それ以降は、弁護士との接点の中でもってやっていると。(山口委員「その前にはなかったんですか」と呼ぶ)さようでございます。

○山口委員 多分この六月一日以前の事故調査委員会では、要するに行政解剖の結果が出ていない、わかっていないということで、いろいろな最終的な報告書は出せなかったと私はとらえたんですが、ただその前に、行政解剖の結果が出たときには、ぜひそれを提示していただきたいという話が、では、それまではなかったということで判断してよろしいんですね。五月二十六日前まではなかったと判断してよろしいんですか。

○奥田医療政策部長 五月二十六日に謝罪に伺った際に、検証中であるので、その検討結果が出れば、その段階で改めてご説明に伺うというお話をしてきたというふうに理解しております。

○山口委員 では、五月二十六日までいってなかったと解釈させていただきます。
 それから、その間の遺族への対応についても既に答弁をいただきましたので、一点だけですが、調査報告書が、先に記者会見がされまして、遺族への報告が後になったということを、私はちょっと適切な対応とはいえないと思うのですが、その点についていかがでしょうか。

○奥田医療政策部長 病院といたしましては、新聞報道等マスコミに大きく取り上げられた事例であって、社会的影響を考えると、調査結果がまとまり次第公表する責務があると考えていたようでございます。
 それで、ご指摘のとおり、ご遺族に対するご説明というのが第一なわけで、弁護士を通じて、公表の前に説明を実施をさせていただきたいというふうに再三お願いをしたわけでございますが、日程の調整がつかずに、結果的に公表が先になってしまったというふうに聞いております。
 ただ、まずご遺族に十分説明し、しかる後に公表するというのは当たり前のことで、道理でございます。いかなる事情があったかはちょっと定かではありませんが、とにかく不適切ということは間違いございませんので、今後改めて日程をとって、ご遺族に十分説明させていただくなど、何度でも誠意を持って対応していくように指示してまいりたいというふうに考えております。

○山口委員 また、二度目の来院の際に、十八分間の診察までの時間については、田代委員の方からの指摘もあったように、これは、確かに小児救急の医療体制など大きな問題があるかと思いますので、その点について、余り新聞に乗せられてはいけないのかなということを私自身もちょっと実感をいたしましたが、ただ、九時三十分の検査結果報告後、入院病棟に移り、急変するまでの四時間、医師の診察が一度も行われていないことについて、検査結果を踏まえ、輸液治療が継続して行われていたし、一部不適切なところはあったとしても、看護師が容体の観察も行っていて、放置したわけではないという検証結果が出ております。
 ただ、このような事態において、患者本人や家族にとっては、医師の診察等、何らかの対応が一番必要とされているのではないかと思うんですが、心理的に放置されていたと、患者の家族にとってはいえるのではないかと思いますが、見解を伺います。

○奥田医療政策部長 報告書によりますと、九時三十分から十三時三十分ごろまでの約四時間、医師の診察は行われていないけれども、この間、看護師によって、入院時にはバイタルサインの確認、あるいは点滴、おむつ交換等がなされている。で、看護師が容体の観察を行っているというふうにされているわけでございます。
 ただ、最愛のお子様を突然失われたご遺族のご心情を拝察すれば、こうした状況を放置というふうにいうとしても、それはやむを得ないことで、お気持ちは本当に十分理解できるところでございます。

○山口委員 ぜひ、患者中心の医療を目指す東京都としては、そういった十分な配慮をして診療を行っていただきたいと思います。
 それから、東部地域病院においては、外来患者満足度調査が実施されているということですけれども、この調査に救急患者は含まれているのかどうか、ちょっと伺います。

○奥田医療政策部長 外来患者満足度調査でございますが、年一回、病院運営の改善に生かすということで、外来患者さんを対象に行っているアンケートでございます。
 この調査対象には、救急患者は含まれておりません。ただ、救急患者のうち入院された方につきましては、その後日、退院時にこの満足度調査をやらせていただく。それで、病院へどういうご意見をお持ちかを調査をするということをやっているところでございます。

○山口委員 この満足度調査では、おおむね東部地域病院の医師の対応に対しては、ほぼ満足されているというような回答が多く出ているということも聞いておりますので、ぜひこういったことも継続しながら、患者の声を反映させていただきたいと思います。
 昨今、相次ぐ医療事故等により、医療に対する国民の信頼が揺らいでいる現状があることから、今後、総合的な医療の安全対策を進めて、医療に対する国民の信頼を回復するために新しい対策を講じる必要があることから、厚生労働省としても、医療を提供する体制の整備や医療に対する情報提供の推進、医療従事者の資質の向上を基本的な柱とした医療提供体制の全般にかかわる施策を進めています。そして、医療従事者の質の向上、育成、確保は、いずれも国民に対する医療の提供のあり方に大きな影響を与えるものであることから、医療ミスを繰り返すリピーター医師を減らすことが医療への信頼回復につながるものとして、医師免許を剥奪することも検討されています。
 そこで、何点か伺います。
 医療は、医師を中心としたチームで取り組むものであるがゆえ、医師が独善的な態度に陥れば、周囲のアドバイスが機能せず、診断ミスの可能性は高くなる傾向があるのではないか。プライドの高さから、周囲の意見に耳を傾けない若い医師がふえている現状を指摘せざるを得ないと思います。
 報告書の今後の取り組みにある引き継ぎ方法、引き継ぎ内容の明確化として、引き継ぎマニュアルなどがあれば、このような事態にならずに済むのではないかと思いますが、見解を伺います。

○奥田医療政策部長 ご指摘のとおり、今回の事例の大きな問題点といたしまして、引き継ぎの不徹底がございます。このため、報告書では、今後引き継ぎ漏れがないように、診療録だとか検査データを手元に置いて引き継ぐということであるとか、当直医師間のダブルチェックを行うということ、あるいは、引き継ぎ方法や内容を明確化して、医師宿日直勤務要領に規定し、全医師に徹底を図っていくというふうにされておりますので、その実現を目指したいというふうに考えております。

○山口委員 都立病院医療事故予防対策推進委員会に常設の下部組織として、リスクマネジメント部会、医療事故予防対策部会、医療事故検証部会などを設置してきていますが、東京都監理団体である財団法人東京都保健医療公社では、医療従事者にこれらの情報の共有化を図っているのか、また、リスクマネジャーの設置状況について伺います。

○奥田医療政策部長 病院では、医療に関する安全管理上の問題点を組織横断的に検討するために、医療安全管理委員会というものを設置いたしまして、定例的に問題点の検証を行い、職員にその内容を周知しているところでございます。
 また、リスクマネジャーにつきましても、この委員会の定めた方針に基づいて医療事故の予防対策を個別に推進するために、医師あるいはコメディカル、看護等の各部門にマネジャーを設置しておりまして、医療安全管理委員会委員長である副院長が、そのゼネラルリスクマネジャーというふうになっているところでございます。

○山口委員 副院長がゼネラルマネジャーをしているとのことですが、副院長業務との兼任ではなく、専任として設置すべきではないでしょうか。再発防止策として医療安全管理体制の強化とありますので、ぜひこういった方向でも検討していただきたいと思います。
 病院自主管理チェックリストが現在各病院に配布されていますが、その活用方法については再検討する必要があるのではないかと思いますが、見解を伺います。

○奥田医療政策部長 病院自主管理チェックリストでございますが、これは、都が医療法に基づいて立入検査をする際に、安全管理体制整備の確認を行うのに先立ちまして、医療機関みずからが日常的に点検を行ってもらおうということで、このほど都内全病院に配布したものでございます。
 東部地域病院においても、医療安全管理委員会メンバーがこのチェックリストに基づいて定期的に自己点検を行って、安全管理向上のために、より有効活用を図るように、都としても徹底をさせていきたいと考えております。

○山口委員 最後に一点伺います。
 東部地域病院の小児科は、腸閉塞の手術ができなく、転院が必要だったということですが、同病院ではどのように対応しているのか、その一点だけ最後に伺います。

○奥田医療政策部長 より高度専門的な治療を要する患者さんであるとか、あるいは東部地域病院ではその機能上対応できないような患者さんにつきましては、その症状であるとか病態に応じまして、都立墨東病院などの病院、あるいは女子医大の第二病院などの大学病院、あるいは近隣の二次医療機関に適宜紹介をするというふうになってございます。

○山口委員 報告書では、再発防止のための今後の取り組みとして、引き継ぎ方法の改善など、七つの項目を掲げています。これらは病院として着実に実施していただきたい。
 また、今回のような事例を二度と繰り返さないために、特に重要なのは、先ほど来出ているチーム医療だと思います。医師、看護師、薬剤師、検査技師、それぞれ職種の異なる職員が、命を預かる者として互いに対等な立場で物がいえなければならないと思います。今、行政と例えば市民とのパートナーシップなどといわれる言葉が大分出ていますけれども、ぜひこうしたチーム医療もパートナーシップで行われてこそ、今後の医療の原点として私は大切なことだと思っています。
 都と公社と病院は、新しい病院を再構築するつもりで、一体となって改善に取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。

○佐藤委員 先ほど来、大勢の委員の方から質疑がありまして、私がいおうかなと思ったことは、もう八割方出尽くしておりますが、質問に入る前に一言だけ申し上げるんですが、先ほどどなたかの質疑の中で、このお子さんの死をむだにしないで云々というフレーズがありました。これは、お子さんの親なり親族なりがいう言葉なら理解できますが、第三者がいう言葉ではないんじゃないかなと、私は憤りを感じました、これを聞きまして。
 質問に入りますが、ある小児科のベテランの方がこういう話をしたんですね。小児科の救急というのは、あるいは小児科医療というのは、百人の軽症者の中に一人の重症患者を見つける、これが小児科なんだと、こういう話をされた。大変重い言葉だなと私、思いまして、改めて、いろんな今回の一連のご説明あるいは報告書を拝見して、小児科救急の現場の厳しさというのも再認識をさせていただいたところでありますが、テクニカルな部分あるいは専門的な質問は、我が党の田代ドクターから代表質問がありましたので、私は、いささか主婦感覚といいますか、ワイドショー感覚といいますか、平たい、いわゆる一般都民の疑問に思っていることを少しお聞きしたいなと思っています。
 というのは、まず六月一日に新聞が出た。私、新聞というのは信用していませんから、特にこの報道した新聞社は余り好きじゃないですから、一〇〇%信用はしませんし、かなり割り引いて記事を読みましたが、日曜日ということもありまして、母親といいますか、子を持つ世代の方々が、かなりの数の人たちが読んだ。非常にセンセーショナルな印象を受けたのは事実です。これがどこまで本当かうそかはわかりませんが、非常に厳しい現実が書かれている新聞記事でありました。
 まずお聞きしたいのは、最初の六月一日の某新聞の記事の中で、看護師と当直医のやりとりがありますと。何ですか、これ、状況報告書というんですかね。ここに掲載されている文章というのは、一〇〇%一言一句間違いないんですか。

○奥田医療政策部長 状況報告書についてのお尋ねでございますが、これは、看護科の各セクションが、患者さんと職員、あるいは職員間、それから施設設備等で改善すべきような課題があるというような形で考えられる場合に、随時スタッフから上部に提出される報告書で、病院幹部の方からは、こういうことによって問題点を把握する、あるいは……(佐藤委員「そんなこと聞いてないんだよ。事実かどうか聞いているんだよ」と呼ぶ)ということで、今回の報告書によりますと、夜勤当直医に対して聞き取りを行ったところでは、会話の内容は、状況報告書の内容とほぼ同じであったというふうになっております。

○佐藤委員 そういうまだるっこしい答弁をしないで、こういう文書が残っているんでしょう。残っているんですか、状況報告書というのは今あるんですか。あるんだったら、この新聞に書いてあるのと違うのか同じなのかと聞いているんだよ。どうですか。

○奥田医療政策部長 状況報告書の内容と新聞の内容と比較したところでは、ほぼ同じだろうと、同じだというふうに思います。--同じでございます。

○佐藤委員 そうすると、非常に、この当直のドクターというのは、先ほど田代先生も指摘がありましたけれども、おかしいですよね、こういうことをいうこと自体が。感情的になっちゃいかぬと、田代さんは私にいいましたけれども、やっぱりこれ、何回読んでも腹が立ちますな。もしこれが本当にこういう内容で、救急の看護師さんが三回呼んで三回ともこういう対応で、おまえ、頭おかしいんじゃないかぐらいのような対応をされたのであれば、このドクターというのはやっぱりおかしいですよね。
 そうしますと、処分がきのう決まったといって書類いただきましたが、諭旨退職といったら、まずこれはどういうペナルティーなんですかね。

○奥田医療政策部長 本人の意に反して退職を求めることでございます。処遇上も退職金等が出ない効果を伴います。

○佐藤委員 この人の場合は、退職金が出る年限いなかったという話ですが、非常に、我々から、はたから見ますと、甘いなという気はするんですよ。実際上は非常に厳しい、ドクターに対する措置としては非常に厳しいということも頭の中では理解をするわけでありますけれども、先ほど来いいますけれども、感情的になってはいけないといわれながらも、これを見ますと、このままで本当にいいのかなという私は感じがするんですね。先ほどの田代さんの質問にもありましたけれども、医師として不適格だったんじゃないか、臨床の医師としては不適格だったんじゃないかというお話がありましたけれども、全くそのとおりなのかなと。私なんか、これ、医療審議会にでもかけて医師の生命を絶ってやりたいというぐらい、同世代の子どもを持つ親として、一人の親としても、そういう気持ちは否定できない感じがしますね。諭してやめてもらうんじゃなくて、もう市中引き回し、はりつけ獄門にしたいというぐらいの、私は--本当に幼稚園のお母さんたちが聞いたら、そういう感覚になると思いますね。
 先ほど来話も出ていますけれども、医師免許というのは、一回取ったら、精神病院に入ろうが何しようがずっと続いているというおかしな免許でありまして、更新も何もなくて。これからはやっぱり何か、サッカーだってへますればイエローカードが出るので、免停制度みたいなものを考えていくようなことも先々考えていかないと、なかなか医師の質というのは上がっていかないんじゃないかなと私は思います。
 それで、全然また話は変わるんですが、報告書にしても、処分の内容の知事あての文書にしても、全部仮名なんですね。なぜこれは実名じゃないんですか。新聞ではもう亡くなった坊やの名前も出ているし、院長は鈴木さん、前院長足立さん、そこまで出ちゃっている。どうしてこれ、Aだ、Bだ、Xだ、Kだとかいう形にするんですか。何か隠そうとしているんじゃないかという変な勘ぐりを呼ぶんじゃない、こういう文書をつくると。それはいかがですか。

○奥田医療政策部長 東京都には懲戒処分の指針というものがございまして、その中に、職員の懲戒処分の公表基準というようなものがございます。例えば相当重い免職を行った、あるいは刑事事件でもって、あるいは争議事件等々でもって既に名前が出ているとかいうようなケースについては名前を出すよということですけれども、その他については、被害者の人権等を総合的に勘案しながらということで、この基準を一つの参考としながら、このAとかBとか、こういう扱いになっているものというふうに考えております。

○佐藤委員 そういう基準があるというんなら、まあしようがないかもしれませんが、少なくとももう新聞で名前が全部出ちゃっているわけですから、何かAだ、Bだ、Xだ、Kだというのは釈然としない思いがあることだけは申し上げておきます。
 それから、看護師さんは何で厳重注意という処分を受けるんですか。

○奥田医療政策部長 患者さんが入院された後に、母親とおばあさんから二度の訴えがあったわけですが、これに関して医師への報告を怠ったという点でございます。

○佐藤委員 何度も、医師がベッドサイドまで足を運ぶまできちっと声をかけて診察をさせるべきだった、こういうことなんでしょうね。今、外野の声がそういう声がありますが。(「一回も医師に報告してないんです。それはまずいんです」と呼ぶ者あり)素人目に考えますと、看護師さんは何で処分されるのかなと、こう思うんですが、今そういうお話を聞いて、ふうん、そうかなと思いましたが、先ほどから難しい言葉でいろいろ皆さんおっしゃっているが、要は病院内の風通しが悪いんじゃないの、これ。すべて、例えば医師対看護職員もそうだろうし、医師対医師の問題もそうでしょう。外科に素直に聞かなかったという話もあるし、それから、聞くところによると医局間のいろんなわだかまりもあったという話も聞いているし、要するに風通しが悪くて意思の疎通ができないような雰囲気に東部地域病院がなっている、なっていた。「た」といいたいけれども、いるんでしょう、まだ。院長さんがかわられて、大分指導が厳しくなったということも聞いておりますけれども、そういう非常に風通しの悪い病院だったのかなと、私は今までのお話を聞いていて、思いました。
 皆さん方を責めるわけじゃないので、これ以上私も申し上げませんけれども、これ、私がいったんじゃないですよ、地元の方に聞いたらば、死にたいんなら東部病院に行けとみんないうんだって。死に急ぐんなら、東部地域病院に行きなさいと、こういう、半分笑い話になっちゃっている。救急車に乗ったら、いや、東部地域病院だけは行かないでくださいと、こういうという。そういううわさといいますか、地元の方々というか都民の方々の不安が、この問題で増幅されてしまった。なかなか、この信頼を取り戻すというのは大変なことだと思いますよ。
 これは公社の病院だと皆さんおっしゃるかもしれないけれども、一般人から見ると、東京都の病院なんですよ。都立病院なんだか公社病院なんだか、みんなわからない。東京都がやっている病院だというとらえられ方をしているわけでありまして、そこら辺、東京都としてのこれからの、東京都が関与する病院あるいは東京都全体の医療行政に対する信頼をどう取り戻していくか。私は、大変な時間もかかるだろうし努力もしていただかなきゃならないだろうし、今回のこのことが表に出てきたことによって、ある意味ではよかったのかなということもありますけれども、非常にこれは大変な努力が要るだろうと思います。
 最後に、局長ひとつ、総括、全員の皆さんの、質問者の方々の意をしっかりと酌み取っていただいて、今後の東京都の病院に対するさまざまな姿勢というものをこれからどうしていくか、断固たる決意をひとつ表明していただいて、終わりにしましょう。

○平井健康局長 六月一日新聞報道ということで、私が健康局長になったのが六月一日でございました。日曜日に、早速、私、新宿庁舎に出勤いたしまして、担当の職員が情報収集等に動いているところに同席いたしました。はやばやに病院を直接訪問して、これは公社の病院ではございますが、直接訪問させていただきまして、院長などと幹部に集まっていただきまして、フェース・ツー・フェースの関係で、誠実な対応、原因の究明、さらには今後の対応ということでお願いをしてまいりました。現場は、まだ新聞に出て何日もたってなかったですから、非常に戦場でございました。ですから、私がそこに長居をするのは邪魔になるので、時間は短くやりましたけれども、院長の顔を見て、具体的に信頼感を持って帰ってまいりました。
 本日の質疑につきましては、事の性格上、推測で物がいえないという部分がございまして、一部靴の上からかゆいところをかいているような、もどかしい部分が委員の先生方にもあったかと思いますが、その辺は、事の性格上ご理解をいただきたいというふうに思っております。
 都の監理団体でございます保健医療公社の病院において、このような痛ましい事例が発生したことは、公社を指導監督する立場にある者として痛恨のきわみでございまして、まことに残念に思っております。亡くなられた患者さんのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族には、改めて衷心より哀悼の意を表させていただきます。
 今後は、ご遺族への誠実な対応とともに、公社と病院とが一体となって事件の再発防止策に取り組み、失った信頼回復に全力を尽くしますように、公社と病院に対して、従来にも増して強い関心、関与を行って、都として指導を強化してまいります。
 なお、本日は、委員の皆様方には大変ご指導、ご鞭撻をいただきまして、本当にありがとうございました。ちょっと長くなりましたけれども、お礼を申し上げて、私の答弁にさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○佐藤委員 局長のお気持ちもよくわかりましたし、心構えもよくわかりました。
 ただ、先ほど来皆さんもいっているんだけれども、ご冥福、ご冥福というんだけれども、この子、ご冥福なんて言葉でちょっと私、いえないね。いえませんね。とても安らかな眠りなんていうのはあり得ないと私は思っていますので、こうしたことが本当に二度とないように、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 それから、再発防止のための今後の取り組みって七つあるんですが、当たり前なんですよね、これは。七つ挙がっているけど、これがされてなかったのかと思うだけで、実はぞっとします。ひとつ本当に今後こういうことがないように、健康局、頑張ってしっかりとやっていただきたいと要望して、終わります。

○森田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○森田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で健康局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十五分散会

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