委員長 | 森田 安孝君 |
副委員 | 長吉田信夫君 |
理事 | 松原 忠義君 |
理事 | 青木 英二君 |
理事 | 佐藤 裕彦君 |
東村 邦浩君 | |
山加 朱美君 | |
柿沢 未途君 | |
萩生田光一君 | |
山口 文江君 | |
田代ひろし君 | |
大山とも子君 | |
小林 正則君 |
欠席委員 一名
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 櫻井 巖君 |
経営企画部長 | 押元 洋君 | |
サービス推進部長 | 中井 昌利君 | |
参事 | 宮川 雄司君 |
本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第二十一号議案 平成十五年度東京都病院会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第九十五号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
・第九十六号議案 東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都立病院改革実行プログラムについて
○森田委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第二十一号議案、平成十五年度東京都病院会計予算、第九十五号議案、第九十六号議案及び報告事項、都立病院改革実行プログラムについてを一括して議題といたします。
本案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○押元経営企画部長 去る一月三十日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
それでは、お手元にお配りしております厚生委員会要求資料をごらん願います。
資料は、目次にございますように、1の都立病院における人事考課制度の概要から、8の都立病院における職務住宅の状況まででございます。
まず、一ページをお開きください。都立病院における人事考課制度の概要でございます。(注)にございますように、東京都職員の人事考課に関する規定による都立病院における人事考課制度について、内容と実施時期及びその活用について、それぞれ記載してございます。
次に、二ページをお開きください。都立病院における職種別職員定数の推移でございます。二ページから三ページにかけまして、平成十年度から平成十五年度までの各年四月一日現在の職種別職員数を都立病院ごとに記載してございます。
次に、四ページをお開きください。病院会計における一般会計繰入金の推移でございます。平成十一年度から平成十五年度までの一般会計から病院会計への繰入金を記載してございます。
なお、平成十一年度から十三年度までは決算額、平成十四年度は予算額、平成十五年度は予算案となっております。
次に、五ページをごらんください。都立病院における平均在院日数の推移でございます。平成九年度から平成十三年度までの平均在院日数を都立病院ごとに記載してございます。
次に、六ページをお開きください。都立病院における平成十三年度及び平成十四年度の十月、十一月、十二月の入院・外来患者数でございます。六ページから七ページにかけまして、平成十三年度及び平成十四年度の十月、十一月、十二月、それぞれの月におきます都立病院ごとの入院患者数を左側の表(1)に、外来患者数を右側の表(2)にそれぞれ記載してございます。
次に、八ページをお開きください。豊島病院に係る東京都と板橋区との検討経過でございます。豊島病院に関する東京都と板橋区との検討経過を記載してございます。
次に、九ページをごらん願います。小児医療に関する八王子市、清瀬市との検討経過でございます。小児医療に関する東京都と八王子市との検討経過を表中上段の(1)に、東京都と清瀬市との検討経過を表中下段の(2)にそれぞれ記載してございます。
次に、一〇ページをお開きください。都立病院における職務住宅の状況でございます。平成十四年十二月一日現在の都立病院における職務住宅の整備数、入居室数及び入居率を記載してございます。
以上、甚だ簡単なご説明でございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○森田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
発言を願います。
○松原委員 私の方は、電子カルテについて、きょうはこちらの方で質問をさせていただきたいと思っています。
日本は、近代史の中で大きく三つの変革のときがあったといわれております。ご承知のとおり、明治維新のときと第二次大戦のときと、それから今日ということでございますが、その今日の変化というのは、明治維新や第二次大戦以上のスピードで行われているというふうなことの認識がよくいわれております。
その中で、特にIT関係のものというのは、この十年もたっていない、そういうところで、それを各分野においてどういうふうに活用していくかというのが、非常に大きな課題になっています。そういうところで、東京都においても、こういうところにIT化を進めていこうという、そういうふうな非常に大きな流れがあると思います。
そんなところから、医療分野においても、高度化するITを活用して患者サービスの向上を図ろうとする動きが顕著であります。電子カルテシステムの普及が唱えられていることはご承知のとおりであります。
そこで、今回発表されました都立病院改革実行プログラムは、電子カルテシステムを含めた新たな病院情報システムを導入すると明示しています。我が党としましては、東京発医療改革の実現に向けて、患者サービスの向上を図るための手法として、電子カルテシステムを都立病院が積極的に導入することについて、これは高く評価するものであります。しかし、電子カルテシステムの導入は決して安価なものではありません。システム導入のために相応の経費を投入する以上、医療サービスの向上の視点から、その効果が求められるのは当然であると思います。
そこでお伺いいたしますが、まず、電子カルテシステムといっても、都民にはイメージのつかみにくいシステムであります。都立病院に導入する電子カルテシステムとはどのようなものか、取り扱う情報も含めて、わかりやすくご説明をいただきたいと思います。
○中井サービス推進部長 都立病院に導入いたします電子カルテシステムは、診断の結果や画像などの診療情報を記録し表示する電子カルテシステムと、処方、検査、放射線等のオーダリングシステム、さらに会計計算を行う医事会計システム等で構成される総合医療情報システムでございます。
また、電子カルテシステム内に保存された処方薬や診療材料等のデータを活用いたしまして、診療科など部門別の的確な原価計算を行う経営管理システムを導入いたします。
○松原委員 ただいまの答弁によりまして、概要はある程度理解はすることができます。
今までの医療というのは、どちらかというと、お医者さんというか、特殊のものであったというふうに思いますが、やはり昨今の患者に対する保護、こういうものが非常に求められているときに、患者中心の医療の実現に向けて、電子カルテシステムという医療における最新鋭のシステムを導入する以上、その効果は、患者に対するサービスの向上に資するものでなければならないと思います。
そこで伺いますが、都立病院の電子カルテシステムについては、患者にとって具体的にどのようなメリットが生じるのか、お伺いいたしたいと思います。
○中井サービス推進部長 電子カルテシステムは、医療活動に伴うさまざまな診療情報を有機的に結びつけ、これらを一元的に管理することで、医療スタッフ間での情報の共有化を可能といたしまして、チーム医療の実施やクリニカル・パスの活用に大変有用なツールとなります。この結果、患者さんに対しまして、スピーディーでわかりやすい医療を効果的かつ効率的に提供することができるようになります。
また、電子カルテシステムの情報を患者と医師とが共有することによりまして、インフォームド・コンセントの実施や情報開示にも即応できることなどから、患者の選択を尊重した医療の実現につながり、患者さんにとって開かれた医療、安心できる医療の提供を受けやすくなります。
○松原委員 今の答弁のように、私はこのことは、やっぱり患者と医師とが共有できること、これが大変大事なことだと思います。
ところで、新たにシステムを導入する場合に、さまざまな課題が生じてくると思います。とりわけ個人情報の最たるものである診療情報を扱う電子カルテシステムでは、情報のセキュリティーの確保に万全を期す必要があると思います。昨日も私はこの点について健康局の方にお願いをしておきましたけれども、患者情報に関するセキュリティーが不十分では、患者は安心して病院で受診はできないと思います。
そこで伺いますけれども、電子カルテシステムの導入に当たっては、患者情報のセキュリティーについて万全の対策を講じるべきだと思いますが、どのように考えているのかお尋ねをいたします。
○中井サービス推進部長 電子カルテシステム内の患者情報のセキュリティー確保につきましては、厚生労働省から出ておりますガイドラインにのっとった対応をとることはもとより、二十四時間のシステム管理体制をとるなど厳重な情報セキュリティー対策を講じてまいります。
また、独自に都立病院電子カルテシステム運用管理規程を定めまして、セキュリティー管理に関し、きめ細かく規定を設け、適切かつ厳格に運用してまいります。
さらに、医師や看護師等、システムを取り扱う職員に対しましては、セキュリティーに関する研修を行うなど、セキュリティー意識の高揚を図ってまいります。
○松原委員 答弁の方から、電子カルテシステムの導入が患者中心の医療を実現するために大きく寄与していくものであるということ、また、患者情報のセキュリティーについても、今の答弁のように、万全を期していきたいと、そういう姿勢はよくわかりました。
しかし、患者情報が一度でも、もし万が一漏えいした場合、患者本人が迷惑をこうむるだけではなくて、都立病院の信用も失ってしまう、こういうこともあるわけでございます。
そこで、職員が万が一、情報を漏えいした場合には、罰則を科すといったような姿勢で臨むことが、情報漏えいを未然に防いでいくことになるのではないかと思っております。個人情報保護法が現在では成立していない状況の中で、または地方公務員法等の法的制約があって、厳しい罰則を個別に設けることは難しいということは理解できますけれども、しかし、患者情報のセキュリティーの確保については二重三重の対策を講じることが必要だということでございますので、この辺を強く要望しておきたいと思います。
ところで、都立病院改革実行プログラムには、電子カルテシステムの導入について明記はされていますが、計画的に、しかもできるだけ早く導入して、患者サービスの一層の向上を図るべきであると考えます。都立病院の電子カルテシステム導入における具体的計画はどうなっているのか、ここで改めてお伺いいたしたいと思います。
○中井サービス推進部長 都立病院の電子カルテシステムの導入につきましては、平成十五年度には府中、駒込の二病院、平成十六年度には広尾、大塚、墨東の三病院に導入し、その後順次、都立病院全体へ導入していく予定でございます。
○松原委員 今のご答弁ですと、これからであります十五年度には府中と駒込の二病院、平成十六年度には広尾と大塚と墨東の三病院にやっていこう、その後順次、全体に広げていこうということでございますが、私は昨日、健康局の厚生委員会において、診療所への電子カルテの導入を支援する情報開示・地域医療連携推進モデル事業について質問をいたしました。電子カルテシステムは、都内の医療機関を対象に導入し、医療連携などのネットワーク化を図ってこそ、患者サービスの一層の向上につながっていくものと考えております。
そこで、都立病院における電子カルテシステムの導入については、短期間に複数の病院に導入する計画だということを伺っておりますが、多くの医療機関における電子カルテシステムによるネットワーク化の先駆けとして、都立病院間における電子カルテシステムによるネットワーク化を実現していくべきであると考えますが、都の方の見解をお伺いいたしたいと思います。
○中井サービス推進部長 都立病院に導入する電子カルテシステムは、都立病院間の診療情報を一元的に管理いたしまして、相互に参照できる仕組みを装備しております。これを活用することによりまして、都立病院間の医療連携が一層進み、ご提案のネットワーク化に大いに寄与するものと考えており、その実現に向けて取り組んでまいります。
○松原委員 今のご答弁のとおり、都立病院に新たに導入する電子カルテシステムによって、都立病院間のネットワーク化が実現します。また、患者サービスの向上を図っていくとのことでありますが、本来、電子カルテシステムを活用して、民間の医療機関を含む都内の医療機関との医療連携を実現してこそ、さらなる患者サービスの向上につながっていくと思います。
健康局では、平成十五年度から診療所への電子カルテの導入を支援する情報開示・地域医療連携推進モデル事業を実施するとのことであります。したがいまして、将来は、電子カルテシステムを活用して、都立病院と民間医療機関との東京全体に広がる医療連携の実現を目指していくべきものと思います。都立病院の電子カルテシステム導入においては、今後、こうした方向で施策を展開していくことを期待したいと思います。それを要望して、質問を終わらせていただきます。
○青木委員 私からは、都立病院における医療安全管理対策と都立病院の公社化についてお尋ねをしたいと思います。
まず最初に、都立病院における医療安全管理体制からお伺いしたいと思います。
本年一月に発表されました都立病院改革実行プログラムの冒頭にもございますように、心身ともに健やかな生活を送ることは、すべての人の願いであります。都民は、万が一、病気やけがをしたときなど、信頼できる医療機関で受診し、患者の立場に立った確かな診断と治療技術に裏づけられた質の高い医療を受けることを強く望んでおります。このため、医療機関が医療を提供するに際しては、患者の安心、安全、信頼の確保、これを最優先に考えていく必要が当然あると思います。
しかし、本来、都民の生命、健康が守られるべきはずの医療機関において、残念ながら事故が相次ぐ中で、都民は医療に対する不信感、不安感を大変強めております。ですから、今や医療安全の確保は、医療政策上、最重要課題だというふうに私どもは考えております。そして、医療安全対策を推進し、患者の安心、安全、信頼を確保していく上で、私なりに特に重要と考える点を指摘しながら、まず最初に、都立病院における医療安全管理対策について数点お伺いしたいと思います。
第一に、都立病院において実施されている医療安全対策について、これは一番大事なことは都民と情報を共有することだと思うんです。都立病院においてはこれまでも、リスクマネジャーの配置やインシデント・アクシデント・リポート制度の導入など、医療安全対策については積極的に取り組んできておられる。これは私どもも評価をいたしております。ですが、大事なことは、こうした取り組みが実際なされていることが、多くの都民の皆さんの間に共有された情報として発信されていなければ、これは全く意味がないというふうに思います。それがなされなければ、都民の医療に対する不信感や不安は決して払拭はされないと思います。
そこで、まず最初にお伺いしたいのは、都立病院ではこれだけきちんとした安全対策をやっていますよと、だから、平たくいうと、安心ですからぜひ受診してくださいという、そういうシグナルが都立病院から都民の皆さん、患者の皆さんに発信されなければ、病院の中でどういうことがされているかというのは全くわかりません。どういうシグナルがどういう方法で出されているのか、まず最初にここを伺いたいと思います。
○中井サービス推進部長 ご指摘のとおり、医療安全対策への積極的な取り組みも重要ではございますが、都立病院におきましてそうした取り組みが実際になされていることを都民の皆さんに伝えていくことは、患者の安心、安全、信頼を確保する上で極めて重要でございます。このため、都立病院で実施している医療安全対策につきましては、可能な限りホームページへの掲載やプレス発表を行うことなどを通じまして、情報提供に努めております。
また、全都立病院に共通する医療安全対策の検討機関でございます都立病院医療事故予防対策推進委員会につきましては、審議過程を含めて公開といたしまして、都民との間の情報共有に努めているところでございます。
今後も引き続き、情報提供の方法などをさらに工夫いたしまして、都民の理解と信頼を深めるよう取り組んでまいりたいと思います。
○青木委員 今ご答弁いただいたように、いいことをやっていますという、その情報を外にきちんとした形でシグナルとして出していただくということは大変大事なことだと思います。これだけのことをやっていますから、ぜひ安心してくださいということをお願いしたいと思いますし、一層の努力を要望しておきたいと思います。
それでは、次に指摘をしておきたいのは、現に講じられている医療安全対策の検証とその改善のことについてお伺いします。
あるミスを防止するために一定の予防策が講じられたとしても、その予防策が確実に実施されているか、また、その予防策は実際に有効に機能しているかといった視点で常に検証がなされていなければ、いかなる安全対策が企画立案されても意味がないと思います。
例えば、医療事故予防マニュアルの整備は、医療事故を防止する上で有効な手段の一つでありますけれども、実際にそのマニュアルがきちんと守られていなければ、これは全く絵にかいたもちになるわけです。さらに、時には内部評価と異なる目で、外部の評価やチェックがされるという、このことも大事なわけでございます。
私は、地元ですから、広尾病院によくかかっていますけれども、実際に私どもの医学の知識では、きちんとした治療がされているかどうかということは残念ながらわからないわけですから、実際にかかっている患者さんにかわって検証を行う目というのも非常に大事だというふうに思います。
今回、病院経営本部が策定した都立病院改革実行プログラムの中でも、リスクマネジメント活動の外部診断の実施が、新たな医療安全対策の取り組みの一つとして示されておりますけれども、まずこの具体的な中身をお伺いしたいと思います。
○中井サービス推進部長 医療事故予防マニュアルの遵守状況やリスクマネジャーの活動状況、インシデント・アクシデント・リポートの活用状況、研修の実施状況など、病院のリスクマネジメント活動全般につきまして、外部の専門家が直接病院に赴いて、机上診断及び実地の診断等を行うものでございます。
○青木委員 その診断の結果というのは、今度はどのように肝心な医療安全対策の中に活用されていくんでしょうか。そのこともあわせてお伺いしたいと思います。
○中井サービス推進部長 この診断結果を踏まえまして、これまで実施してきた医療安全対策の改善を行うこと、また、外部診断を通じて得られた指摘やノウハウをもとに、各都立病院の実情に合った自己診断手法を確立いたしまして、継続的に自己診断と改善を行っていくことなどへの活用を考えております。
○青木委員 それから、もう一方、その医療安全対策の改善に際しても大事なことは、やはり患者さんのサイドの意見や要望をどうやってきちんと吸い上げていくかということが大事だと思うんです。先ほど私がお話を申し上げた、こういったことをやっていますよというシグナルが患者さんに送られる、今度は逆に患者さんから、これは全部が全部じゃないわけですが、当然、苦情等も含めて、ある意味のシグナルが送られてくる方法が、私は大変必要だと思いますけれども、それをどういう形で形成されているんでしょうか。その辺の仕組みづくりをお伺いしたいと思います。
○中井サービス推進部長 ご指摘のとおり、医療安全対策の改善等を行うに際しましても、患者さんから見た視点、患者さんの視点は重要であると認識しております。このため、都立病院改革実行プログラムにおきましては、平成十五年度から新たに全都立病院に患者の声相談窓口を設置することといたしまして、医療安全対策はもとより、患者サービスの向上など病院運営全般につきまして、患者やその家族などから寄せられた意見や苦情、要望等を改善活動に反映していくつもりでございます。
○青木委員 一番根本は、医療は患者のために行うわけですから、医療安全対策に限らず、都民本位、患者本位の声を吸い上げていただくシステム、ここでいうと、今お話があった患者の声相談窓口ということになるんでしょうか、できるだけ早期に設置していただきたいのと、できるだけわかりやすいところに設置していただきたいなというふうに思います。
話はもとに戻っちゃうんですが、私も都立病院に行くと、広尾などは憲章が張ってありますけれども、余り見やすいところではないような気がしております。それは一つの実例ですが、設置をしていただくんだったら、ぜひわかりやすいところに、特に大きな字で書いていただきたいというふうに思います。
次に、第三点目になりますが、医療安全管理対策のさらなる充実強化ということです。
昨年四月に厚生労働省の医療安全対策検討会議が発表した医療安全推進総合対策は、先ほど私もお話を申し上げましたが、医療安全対策を医療政策の最重要課題というふうに位置づけをしておりまして、医療安全を医療システム全体の問題として体系的に実施する必要性を強調しております。きょうの新聞各紙にも、厚生労働省が医療事故報告義務化というようなことを進めていくという記事も出ておりました。こういう報告書を踏まえて、厚生労働省は、医療法施行規則を改正したり、すべての病院や有床診療所に対して一定水準の安全管理体制の整備を昨年十月に義務づけをするとともに、全国的レベルで医療機関における安全管理体制の整備強化が現在求められております。
また、大学病院などの高度な先進医療を提供する病院においては、厚生労働大臣の承認を受けました特定機能病院については、ことしの四月から、一般の病院や有床診療所が整備すべき安全管理対策にさらに上乗せをされるというふうに伺っております。
こうした中で、高水準で専門性の高い病院、これはある意味では都立病院の行政的医療ということになるんでしょうけれども、都民にこういった行政的医療を提供する都立病院にあっては、一般の病院や有床診療所が整備すべき安全対策以上のものを当然していくことが大変必要なことだというふうに思います。
そういうことを踏まえて、特定機能病院が四月から義務づけられるといわれている上乗せですが、かさ上げされる部分の中身、これをまず最初にお伺いしたいと思います。
○中井サービス推進部長 特定機能病院が上乗せして整備すべき安全管理体制は三つございまして、一つが、専任の医療安全管理を行う者の配置、二つ目に、組織横断的に病院全体の安全管理を行う部門の設置、三つ目が、患者からの苦情、相談に応じられる体制の確保、以上の三点でございます。
○青木委員 私どもの都立病院は特定機能病院ではないわけですが、今まで大変ご努力をされて、東京都独自の取り組みをされているわけですから、私は、特定機能病院並みの医療安全管理体制というものを整備していく必要があるのではないかと思います。その辺はどうなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中井サービス推進部長 都立病院独自の医療安全管理対策といたしまして、全都立病院につきまして特定機能病院と同等の安全管理体制を整備することを目標に、現在、詳細の検討を進めているところでございます。
○青木委員 ぜひ検討が実るように期待をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。
どちらにしても、十分という、パーフェクトにはなかなかならないということは私もよくわかります。病院管理者の事故撲滅に対する強い決意とリーダーシップで、適切な体制整備と組織管理を行って、全都立病院を挙げて継続的にリスクマネジメント活動の活性化に取り組んでいくことが極めて重要だと私は思います。
都立病院はこれまで、医療安全対策にとどまることなく、カルテの開示を初めいろいろな先進的な取り組みを行って、それぞれ一定の成果を上げてきました。そうした都立病院だからこそ、都民の都立病院に寄せる期待も当然大きくなると思います。都立病院は、こうした都民の大きな期待に十分こたえ、全国の病院の範となるべく、特に私が質疑をしている医療安全対策はもとより、患者中心の医療を積極果敢に推進することを強く要望して、第一点目の質疑を終わらせていただいて、次に移らせていただきたいと思います。
都立病院改革実行プログラムの中では、大久保病院、荏原病院、多摩老人医療センターを東京都から東京都保健医療公社に移管いたします。また、豊島病院や老人医療センターを統合、今度は民営化していく。これらが、都立病院が実際に東京都の手から離れていって、それぞれ地域病院として、ある病院は公社、また、ある病院は民間の手に経営がゆだねられていくわけです。
ただ、患者さんにとってみれば、その病院の経営主体が--多分多くの方々は、都立病院という名前は、都立病院と書いてあるからわかるんでしょうけれども、これは公社に移行されたんだろうか、また民間にされたんだろうか、それは全く認識しないということはないかもしれませんが、最も大事なことは、患者さんサイドでいえば、どこが経営主体かということよりも、自分が受けている医療サービスに低下がないんだろうかという、このことが最大の関心事だというふうに思います。当然、皆さんもそういう認識に立っていらっしゃることは間違いないと思います。
特に、こういった中で、例えば公社化によって、今いったサービスの低下、そういったことに対する不安がありますし、移管をされて、病院の経営が行き詰まってしまって、地域に必要な病院が、極論でいえばなくなってしまう心配はないだろうか、そういったことも当然あります。そういうときに東京都は、いや、それはもう民間ですよ、それは公社化ですから私どもに関係ありませんというわけには当然いかないと思います。
私は、ここで一点伺っておきたいんですが、この公社化に当たって、移管後の一番大事なことは、都立病院として今まで行ってきた程度、逆にいうと、それ以上の医療サービスの提供がなければ、何のために移管をしていったかという意味がないというふうに思います。
そういったことで、まず具体的なことを伺いたいんですが、保健医療公社は、聞くところによると、現在、東部地域病院と多摩南部地域病院の二つの地域病院を経営していると伺っております。公社は、これらの病院の経営に関してどういった実績を今日まで上げているのか。地域病院化する都立病院の受け皿として、よって立つそれだけの資格があるんだろうかということが大変心配でございます。率直にいって信頼に足りるんだろうかということを、具体的にちょっと伺っておきたいと思います。
○宮川参事 保健医療公社では、平成二年七月に東部地域病院を、そして平成五年七月には多摩南部地域病院をそれぞれ開設いたしております。両病院は開設以来、それぞれの保健医療圏におけます中核的病院といたしまして、地域の医療機関と積極的に連携を図りながら、地域の住民の方々が必要といたします医療サービスを提供しております。
両病院とも、約三百の病床を持ちまして、いずれも平成十三年度におけます一日当たりの入院患者数が二百七十人を超えており、二次救急医療についても積極的に取り組んでおります。
また、両病院とも、救急医療のほかに、循環器医療など地域のニーズが高い医療を重点医療としておりますとともに、それぞれ、かかりつけ医との共同診療や医療機器の共同利用についても多くの実績を残すなど、医療連携に積極的に取り組んでおります。保健医療圏の中核的な病院として、地域医療の充実に大きく貢献をしております。
保健医療公社は、ただいま申し上げましたように、二つの地域病院の運営を通じまして、地域医療において着実に実績を上げており、経営のノウハウも有しておりますので、これから地域病院化いたします都立病院の受け皿といたしまして、信頼できる、ふさわしいものである、このように考えております。
○青木委員 私は、二つの大きな問題をずっと質疑をさせていただきましたけれども、都民の立場ということでいえば、新たに公社化をされても、それからまた民間に経営をゆだねることがあっても、中のいろんな細かいこと、努力をされていることは、それはそれとして評価をいたしますけれども、何といっても都民本位の改革であるということでいえば、それは一にかかって、公社化になっても、また民間にゆだねられても、今まで自分が受けていた医療のサービスが低下するということでは、すべての改革が都民のためにならないというふうに私は認識をいたしております。これはあってはならないことだというふうに思いますが、その辺の強い決意を本部長に伺っておきたいと思います。
○櫻井病院経営本部長 公社移管を予定しております大久保病院や荏原病院などの都立病院の医療機能につきましては、現行の医療資源を活用しながら、地元自治体や地区医師会等、圏域の意見及び医療資源、医療ニーズなどの圏域の実情、こういうものを踏まえまして弾力的な対応を図ってまいります。
また、重点医療課題の一つとしまして、緊急を要する患者さんに迅速かつ的確に対応する救急医療、これにも引き続き取り組んでまいります。
さらに、圏域の医療機関相互の連携の中心的役割を果たすことによりまして、患者中心の医療、都民が安心して利用できる医療、こういう医療提供体制を構築しまして、先生、きょうご心配いただいておりますように、圏域全体の医療サービスのレベルアップ、こういうものを図ってまいりたいと存じております。
○青木委員 ぜひその決意が現実化されることを私も期待しております。
私は、都立病院における医療安全管理対策等、病院がそれぞれ公社化、また民間に移行されていく中の質疑をさせていただきました。これはつまるところ、東京都が行う都立病院改革の本質が、安全管理を徹底して、そして、今もご答弁いただいたように、都民、患者本位の医療を実現するということでなければ、これはやる意味がはっきりいってないというふうに思います。大前提は、都民の利益を最優先するという前提があると思っております。ぜひこの病院の改革が都民の目線で行われる改革であるということを改めて要望いたしまして、質疑を終わりたいと思います。
○東村委員 それでは、第一回定例会の一般質問でも都立小児病院の統廃合問題について取り上げたんですけれども、私は、くどいようですが、府中に小児総合医療センターをつくるなと、決してこういうことをいっているわけじゃなくて、むしろ積極的に小児総合医療センターをつくってもらいたい。ただ、この抜けるであろう地域医療の穴を、しっかり責任持って都が市と協議をして、この問題については、逃げるんじゃなくて、むしろ積極的に取り組んでもらいたい、こういう思いでいってきたわけでございます。
そこで、きょうは、むしろ小児総合医療センターを積極的に建設する、支援していくという意味で、再編整備におけるPFI手法の活用について何点か質問させていただきたいと思います。
平成十五年一月に、まさに都立病院改革実行プログラムが発表され、そこで都は、府中病院の全面改築や小児総合医療センターの新規建設、さらに駒込病院の全面改修などにPFI手法を導入して、一つは建設コストの縮減を図り、もう一つは民間のノウハウを生かして患者サービスの一層の充実を図る、このようなことを、プログラムの一番最後の方でしたけれども、書かれてありました。
この中で、私はまず伺いたいんですけれども、都立病院の再編整備に当たってPFI手法を導入する利点としてどのような点が挙げられるか、まさにこの都立の病院にPFIの手法を導入することによって、どのような利点があるのかということを具体的にお伺いしたいと思います。
○押元経営企画部長 都立病院でPFIを導入いたします利点といたしましては、設計、建設、運営、これらを一体として発注いたしますことから、建設効率や、長期間にわたります維持管理、さらには運営効率の向上が可能となりまして、財政支出の削減が図られること。また第二に、起債を適用できない改修などの場合に、財政支出が長期にわたって平準化することが可能となること。また第三といたしまして、これまで単年度契約で個別に発注いたしました委託業務を、長期かつ包括的に委託をすることによりまして、業務の安定性、専門性が高まること。これら三点、利点として挙げられると考えております。
さらには、民間事業者と都立病院を経営いたします都との明確な役割分担のもとで、病院本来の診療行為に今まで以上に力を集中することができます。その結果、より質の高い医療サービスを提供できるということが、PFI導入の重要な意義であるというふうに考えているところでございます。
○東村委員 何点か具体的に述べてもらいましたけれども、私は、最後のご答弁が一番大事だと思うんですね。病院本来の診療行為に集中できる、ここが一番--先ほど、医療の安全性という話もありましたけれども、医療の安全性の確保からも、やはり本来の診療行為に集中できるということが物すごく大事なんだろうなと。そういう意味で、PFIというのはどうも財政的な面しか取り上げられていないんですけれども、このPFI手法の活用というのはこれから非常に重要になってくるんじゃないか。
特に今回、再編整備の中で、PFIの手法を何病院かに取り入れられるわけですけれども、その一大プロジェクトが、今回、府中病院の全面改築と小児総合医療センターの新規建設が一体となってできる多摩メディカルキャンパスの整備事業なんだろうなと、こういうことを思うわけなんです。
そこで、都立病院改革実行プログラムの中で、PFIの手法によって見込まれる事業費と書いてありますが、恐らくこれは建設コストだと思うんですね。運営コストというのはなかなか今の段階では読めてこないと思うんですけれども、建設コストは八百四億九千五百万円、こういう数字が具体的に出ていました。
そこでお伺いしたいんですけれども、仮にこの多摩メディカルキャンパスにPFIの手法を導入しなかった場合、この建設コストとしての総事業費は幾らになるのか、これについて伺いたいと思います。
○押元経営企画部長 PFIを導入する場合の試算は、先行事例でございます教育庁の区部ユース・プラザなどを参考に試算をしたものでございますが、都立病院改革実行プログラムでお示しいたしました病床数を前提といたしまして、過去の都立病院の建設費などを参考に試算いたしますと、PFI導入をしない場合の整備費は約八百七十億円程度になろうかと考えております。
○東村委員 ユース・プラザと規模は根本的に違うんで、余り参考にならないと思うんです。後でいいますけれども、全国的にもなかなか事例がないものですから、参考になるのがなくて難しい、恐らく大変だろうなとは思っているわけなんです。
その上で、仮に導入しなかった場合八百七十億。約七十億削減できる。私は、建設コストというのは、建設の効率化ということは、そんなに大きな削減にはならないだろうと。むしろ運営費の削減ですね。PFI手法を導入して運営費の削減が大きな効果になってくるんだろうと思いますから、これはこれから期待するものとして、今いいましたように、これは日本ですけれども、全国的にも自治体病院にPFIの手法を導入しているのは、導入しているというか、これから導入しようということで着々と計画が進められているところは、高知県と高知市がつくった病院組合の高知医療センター、それから近江八幡市の近江八幡市民病院の二病院だけなんですね。私は、これができ上がっていたら、現地に行ってこれをしっかり見てこようと思ったんですけど、両方ともまだ実施計画の段階で、見に行っても結局土地しかないという状況ですから、まだ行っていないんですけれども、この二つしか事例がない。
さっきいいましたように、この二つの病院と比べても、資料を取り寄せてくまなく見ましたけれども、東京都が取り組む府中病院の全面改修と小児総合医療センターが一体となってやる多摩メディカルキャンパスのPFI手法の導入は、恐らく前例を見ない大きな規模のものになるんじゃないかと思っております。
そこで、今述べましたけれども、この二つの病院でも、PFIといってもいろんな手法があるわけなんですね。手法が全く異なるわけです。例えば高知医療センターについては、BTO方式といって、民間事業者が設計し、施工後直ちに病院組合に、そのできたものを移して、それから運営のみを民間事業者に委託する、これが高知のやり方なんです。これに対して近江八幡市民病院はBOT方式。民間事業者が設計、施工して、そして一定期間運営をした後、最後は近江八幡市に病院そのものを移管するというやり方で、二例しか事例がないんですけれども、二例ともやり方が違うんですね。
そこで私は、このおのおのの手法にはメリットとデメリットがあると思うんですけれども、東京都が都立病院にこのPFIの手法を導入しようと思ったときに、BOTとBTO、それぞれの方式についてきちっと評価をして、都としてどちらの方式が都立病院に適合しているかということをきちっと見きわめていくことが一番肝要だと思っているんです。
そこで、今現在の段階かもしれませんけれども、具体的にどちらの方法が東京都として適合しているのか、あわせて伺いたいと思います。
○押元経営企画部長 BOT方式でございますが、これはただいま東村委員のご説明がございましたように、施設を民間が所有することになりますので、民間の創意工夫を生かす余地が大きくなる反面、リスクの分担が複雑になると。また、金利や固定資産税などを民間が負担しなければならないために割高になるというデメリットがあろうかと思います。
一方、BTO方式でございますけれども、これは施設を行政側、都でございますが、所有することになりますので、民間の創意工夫の余地はBOT方式と比べると若干少なくなる可能性がありますものの、リスク分担は比較的容易な形になります。また、民間の税負担がないために割安になるということでございます。
以上申し上げましたように、BOT、それからBTO、それぞれにメリット、デメリットがございますが、BTO方式の方がBOT方式に比べますと、施設の改修などについては迅速に対応ができるということがございます。また、固定資産税などの負担を要さないことから、財政負担がより縮減できるといった効果が期待できると現時点では考えております。
どちらの手法をとりますかは、現在実施しております調査結果ですとか、あるいは先ほどお話に出ました高知や近江八幡などの先行事例、また各都立病院ごとの事情などを踏まえて、慎重に検討してまいりたいと存じます。
○東村委員 今それぞれ、BOTとBTOのメリット、デメリットをいってもらいまして、最終的には明言されなくて、慎重に検討していくといいましたけど、私は暗に、最後の部分で、BTO方式の方がBOTに比べて、特に固定資産税等の負担を要さないから財政負担が縮小、縮減できると、暗にBTOの方がいいのかなということをいわれていたのかなと思うんですけれども、私は、専門的な立場からすると、本来のいわゆるPFIというのは、BTO方式じゃなくてBOTなんだろうなと思うんですけれども、都立の場合、私もやっぱりBTOの方かなと思うんです。
なぜかといいますと、固定資産税を払うとなったときに、市がやるのであれば、結局、自分のところに固定資産税が入るから全然問題ないんですけれども、東京都が仮にBOT方式をとった場合、固定資産税は全部、府中市に行っちゃうわけなんですね。私は、府中にこんな立派な病院をつくってあげて、さらに府中市に固定資産税を払うっていうのは--東京都は、その払う分、もっときっちり多摩の小児医療の確保に努めてもらいたいと思うんです、そんな暇があったら、それだけのお金を出すのであれば。
だから、そういう意味で私は、明言は避けられていたんですけれども、BTOをね……(「二十三区だったらいいんだ」と呼ぶ者あり)今いったように二十三区だったらいいんですよ。市になっちゃうと府中市に取られちゃうんですよ。
そういう意味で私は、できれば、一番適合するのはBTOなのかなと。これは個人の見解で、これから東京都は検討していかれるんでしょうけれども、ばかにならないんですよ、これだけの広さのものを固定資産税を払うとなると。そういう意味で私は、この問題、慎重によく検討してもらいたい。財政面からも、少しでも財政的に縮減できるんだったら、縮減できるコストをね、いろんな意味で多摩の地域医療に使ってもらいたいなと思うんです。
もう一つ、PFIの手法を導入する上で最も大事だといわれているのは、民間事業者と都との役割分担、どういう役割分担をするのかということと、リスクですよね。役割だけじゃなくて、やっぱりリスクを伴いますから、リスクの分担をきちっと明確にしていかないと、本当の意味でのPFIの手法というのは成功しないと思っています。
そこで、仮に、資料を読んだ段階なんですけど、近江八幡市の場合は、私はよくここまできちっとつくったなと思うんですけれども、実施計画の段階において、五百二項目にわたって民間事業者と市の役割分担を全部書いてありました。ここまで細かく書いているなと。さらに、リスクについても、やっぱり六十三種類のリスクをきちっと明確化して、本当に問題が起きないように慎重にやっているんですね。
都としても、やはり民間事業者との役割分担、細かい分担というのはこれから考えていかれるのかもしれないんですけれども、大まかな基本的なコンセプトというのはきちっと持っていかないと、そこが出発点になりますから、その基本的なコンセプトはどのように考えているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
○押元経営企画部長 病院PFIの場合ですと医療法などの制約がございますので、病院の本来業務でございます診療行為そのものを民間の事業者に委託するということはできません。したがいまして、民間の事業者に委託することができる部分は、施設の設計、建設、完成後の建物の維持管理、それから、診療行為を除きます周辺業務というところまでであろうかと考えております。
PFI事業の導入に際しましては、委託する範囲などとあわせまして、非常に困難な作業ではございますけれども、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
○東村委員 私もさっきいいましたように、診療行為そのものにやっぱり集中してもらいたいですから、ここまで民間委託しろとは決していっているわけじゃないんです。ただ、今おっしゃったように、周辺部分については、私はできる部分はたくさんあると思うんです。この前、世田谷の国立の成育医療センターへ行って非常に驚いたのは、売店が従来の売店でない。床屋も、本当にディズニーランドかと思うくらい使いやすくなっている。いろんな意味で民間のノウハウを入れることによって、患者さんが非常に喜んでくださるような設備だってできていくわけなんです。
そういった意味で、できる部分についてはどんどんどんどんPFIの手法を導入して、本来やらなきゃいけない業務、これは診療行為そのものですから、これにはやっぱり都が力を入れてやってもらいたいなと思っております。
もう一つは、近江八幡市民病院の実施計画を読んでいますと、PFI手法の導入を決定してから新病院の開院まで約五年半見ているんです。そんなにかかるのかなと思いながら見ていくと、やっぱりいろんな、リスクの分担から、実施計画から始まっていって、最後は建設があるんですけれども、事細かにつくっていくには五年半は必要なんだろうなと、こういうことを見ていて感じたわけなんです。
そこで、この多摩メディカルキャンパスというのは平成十九年度に開設を予定しているわけなんですけれども、そうすると、既に平成十五年度には--近江八幡市民病院、あの規模ですら五年半見ているわけですから、一大プロジェクトとなると、これはなかなか大変だろうなと。恐らく病院経営本部の人はこれから物すごい心労があるんじゃないかと思っているんですけれども、私は、十五年度には既に実施計画ができていなければならないんじゃないかと思っているんですね。
先ほどから、慎重に検討していきますとか、なかなか具体的な--まあ、考えているんでしょうけれども、今の段階では発表できないということで、恐らく慎重に検討しているという答弁になったのかもしれませんけど、具体的にPFIの手法を導入して、スケジュールをきちっと組んでいかなきゃいけないんですが、現時点でこのスケジュールはどのような形になっているのか、この辺について答えてもらいたいと思います。
○押元経営企画部長 整備に関しまして、現在予定しておりますスケジュールでございますが、平成十五年度内に民間事業者との契約の締結、さらに十六年度に設計、十六年度後半ないしは十七年度当初にずれ込む可能性はございますけれども、建設の開始、そして十九年度内に開設というスケジュールで、これから作業を進めてまいりたいと考えております。
○東村委員 今、具体的なスケジュールについて話してもらったんですけれども、もう一つ、冒頭にもいったんですが、PFIの導入というのは単なる財政的な縮減効果しか見られない、それしかないように、逆に誤解してとられがちなんですけれども、決してそうじゃないんです。民活を導入するというPFIの手法はそういうものじゃないということをぜひともいいたいんですけれども、箱物の維持管理にとどまらない、そういうのが本当のPFIの手法だと思うんです。むしろサービスは向上していくという、ここが大事なんです。やっぱりサービスが向上していかなければ、PFIを導入する根本的な意味がないんじゃないかなと私は思っているわけなんです。ぜひとも東京都も、サービスが向上するという観点を、当然入れられていると思うんですけれども、判断材料として入れてもらいたい。
そこで、都として病院建設にPFIを導入する取り組み方針というんですか、こういう方針でこれからやっていきますよというのを具体的にお伺いしたいと思います。
○押元経営企画部長 病院のPFIでございますけれども、先ほどもご説明申し上げましたが、PFIの事業範囲が、施設の設計、建設、建物の維持管理、さらに診療行為の周辺業務に限られているということがございます。特にこの周辺業務は、医事あるいは給食、リネン、それから滅菌消毒など多岐にわたっております。PFIを導入する意義は、これら周辺業務をより効率的に運営し、患者さんあるいはご家族に対するサービスを充実させますとともに、民間事業者との明確な役割分担のもとに、都立病院本来の仕事でございます診療行為に今まで以上に力を集中し、より質の高い医療サービスを提供していくことであると考えております。
このため、都立病院にPFIを導入するに当たりましては、単に財政負担の軽減といった視点のみならず、患者さんあるいはご家族に対するサービス向上の視点、よりよい医療を提供していくといった視点、そういった視点に立って取り組んでまいりたいと考えております。
○東村委員 今、約六点にわたって、都立の小児総合医療センターを建設するに当たり、しっかりPFIの手法を導入して、具体的にどうしていけばいいのかということをやりとりさせてもらったんですけれども、さっき冒頭にもいったとおり、そういう意味で、私は決して建設に反対しているわけじゃなくて、むしろ積極的にいいものをつくってもらいたい、そういう思いで、今、質問したんです。
さっき、しっかり縮減をし、医療に集中するという話がありました。先ほど公社化の問題で質問があったんですけど、個人的にいわせてもらえば、八王子の小児病院は別に公社化でもいいんです。公社化でも残してくれれば、だれも文句はいわないです。ほかが公社化が嫌だったら、八王子小児病院だけ公社化してくださいよ。それでも結構ですよ。極端な話、民営化になったっていいんです。今の機能がきちっと残れば、地元の人はだれも文句はいわないです、サービスさえ向上すれば。それくらいの思いでみんないるわけなんですね。
きのうも健康局で質問させてもらいました。そのときに、最後、小児総合医療センターができたときに--現在の、十八年度まで二百床、NICUを整備するという目標を立てているけれども、これができたときに区部と多摩の状況はどうなるんだという話をしたら、この小児総合医療センターができたときに、区部は百三十八床、多摩は三十六床、全体で百七十四床だと。区部は約四倍なんですね。しかも、この三十六床のほとんどが、府中だとか杏林大学病院だとか、二十三区に隣接している方に行ってしまう。結局、八王子を含む西南部地域の方には、このNICUは残らない。
もっとよく考えてもらいたいといったのは、地域が広いんだと。二十三区も広いというかもしれないけれども、多摩の地域というのは二十三区なんか幾つも入るんですよ。それくらい大変な地域なんだ。それですっぽり、ほとんど都心部へ都心部へと。はっきりいって都心部です。都心部へ都心部へ行ってしまう。
だから私、冒頭、公社化だっていい、何だっていい、残してくれればいいんだということをいいました。そういう意味で、一般質問でも、今の機能をしっかり残してもらいたいと。答弁で健康局長が立たれました。私は病院経営本部長にも立ってもらいたかったんですけれども、健康局長が立たれました。そして、一体となってといいながら--私は、一体というのは非常に都合のいい言葉だと思っているんですよ。どっちかに責任をなすりつけ合うんじゃないかと非常に危惧しているわけなんですね。今、健康局はどうも消極的なんです。櫻井病院経営本部長はなかなか積極的に進めてくれて、ある日突然、一体という話になってきまして、何となく引いているんじゃないかと心配しているんですけど、最後に、やはりこの当初の地域--いろんなやりとりで、萩生田委員ともそうでした。私とのやりとりでもそうでした。やはり積極的に責任を持って、この地域の今ある機能を、全部とはいわない、本当に必要な機能をきっちりこの地域に残していくということを、積極的に前向きに取り組んでおられた櫻井病院経営本部長の決意を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○櫻井病院経営本部長 都立病院の改革の関係、大変ご心配いただいておりまして、ありがとうございます。
お話のとおり、多摩地域における周産期医療を含めました小児医療体制の構築、これは、都としまして今後取り組むべき最重要課題の一つでありまして、また緊急の課題であると理解しております。
都立病院改革実行プログラムにおいて示しました、区市町村が主体となって取り組んでいく住民に身近な小児の初期救急医療体制、これと小児総合医療センターなどの都立病院が提供していく小児の専門高度医療体制がいわば車の両輪でありまして、どちらか一方欠けても、都民が安心していただけるような小児医療の全般的な提供の仕組みが構築できないだろう、こういうふうに考えております。
今後、八王子市を初めとする多摩地域の小児医療の確保に向けまして、病院経営本部としましても、健康局と連携協力して全力を尽くしてまいります。
○大山委員 私も、都立病院改革実行プログラムについて幾つか質疑をしながら、意見を述べていきたいというふうに思います。
今もかなり問題になりましたけれども、マスタープランについて、都民や利用者、さらには自治体、議会が反対の運動、これほどまで大きくなったということは、本当にめったにないことだというふうに思っています。だからこそ、マスタープランの根本的な再検討が求められていたんだというふうにまず申し上げたいと思います。
しかし、都立病院を十六カ所から八カ所に半減させるというマスタープランを前提にして、基本的にはそのまま実行プログラムに具体化したものだという問題です。これは、住民が都政の主人公であるというところに立てば、違うんじゃないかというふうに思います。
とりわけ八王子や清瀬の小児病院は残してほしいというのが都民の願いだということは--非常に強い願いですね。地元も都立として存続してほしいとの姿勢を変えていないわけです。ところが、実行プログラムではあくまで廃止となっているということは、本当にとんでもない話だと思います。
具体的に伺いますけれども、この実行プログラムの二〇ページの中には、地域医療の確保ということで、都としても、これまでの支援策にとどまることなく、地元自治体や関係機関と十分協議を重ね、地元の地域特性を十分踏まえた上で、多面的で有効な支援方策を講じていく必要があるというふうに書いているわけですけれども、具体的にはどういうことを意味しているんでしょうか。
○押元経営企画部長 今、大山委員ご指摘のありました、二〇ページに記載をしてございますけれども、これまでの支援策にとどまることなくというところと、それから、自治体や関係機関と十分協議を重ね、地元の地域特性を十分踏まえた上で、多面的で有効な支援方策を講じていく必要があるということで、この実行プログラム、考え方を述べたわけでございまして、その検討については、先ほど本部長からも申し上げましたように、今後、健康局の方と一致協力をいたしまして、病院経営本部の方でも地域医療の確保に向けて努力をしてまいりたいということでございます。
○大山委員 健康局と協議をしながらということですけれども、それでは、昨年十一月二十日に押元部長さんが八王子小児病院の利用者との話し合いをしていらっしゃいますけれども、どういう目的で、どんな話をしたんでしょうか。
○押元経営企画部長 八王子小児病院を利用されている障害を持ったお子さん方の保護者の方々から、都立病院改革マスタープラン、とりわけ再編整備構想について話を聞きたいというご要望がございましたので、私どもの方でそれに応じてお話をさせていただいたものでございます。
○大山委員 私も、そのときのお話し合いに出た方々の話を伺いましたけれども、押元部長さんは、医者、土地、建物は残してもいい、お金の半分くらい市に負担してもらう、市に丸投げはしないというふうにいっておられたようですけれども、こういう発言をしたことは事実ですか。
○押元経営企画部長 保護者の方々からいろんなご質問が出ました。そのご質問というのは、当然、体系立ってなされたわけではございませんので、ご質問なさる方も、例えば断片的にお聞きになったり、あるいは非常に個別のことについてお聞きになったりということでございまして、それに対して私どもがいろいろな仮定を置いて、言葉をかえて申し上げますと、こういった条件では、あるいはこういった前提ではということでお話をさせていただいたということでございます。
○大山委員 こういうことをいったのかということについては、直接はお答えがないわけです。こういう公式の場でははっきりいえないのかもしれませんが、利用者の方々には期待を持たせるようなことをいっているわけですよね。はっきりここの場で、そうなんですというふうに答えられないということは、住民に対しても空手形だということになるんじゃないかと思います。
この十一月二十日というのは、そのころというのは、市は廃止前提の話し合いには乗れないというふうにいっている膠着状態の時期ですよね。そのときに押元部長さんは住民に対して、五十二万人の人口で市立病院がないのは全国で八王子だけ、市にもっと努力してもらいたいなどと話しているわけです。住民や利用者と直接話し合うことは私は重要だと思いますよ。やらなきゃいけないことだと思いますけれども、市と市民、それから病院の利用者が共同で存続を要請しているときに、それを分断するような、誤解を招きかねないやり方はしないようにということを強く申し上げておきます。
第二にですけれども、この実行プログラムですが、経営効率最優先で、都立病院全体の利用者サービスをかえって後退させるのではないか、患者にしわ寄せが来るのではないかという問題です。
わかりやすい例が平均在院日数です。第三章の経営革新という中で、具体的には七一ページの病床運用の効率化というのが出されておりまして、その一番最初に、平均在院日数短縮による病床の有効活用ということが書かれています。同時に、一六一ページには、財政計画の経営改善努力というものの中に、平均在院日数を短縮というふうになっていて、効果的な病床運用で生み出す額が百十三億円、経営改善努力で生み出す総額が百八十一億円ですから、そのうちの六割以上を効果的な病床運用等で生み出すということです。
患者さんはもちろん早く治って早く帰りたいというふうに思っているわけで、在院日数の問題というのは、そういう患者さんの立場で、その願いにどうこたえるかという問題で検討しなきゃいけないことだというふうに思います。ですから、患者の立場から在院日数を短くするという努力は、もちろん賛成なんですね。
しかし、この実行プログラムは、今いったように、財源対策として努力するというふうになっています。これはとんでもないことなんですね。今でも、高齢者などが救急車で運ばれているのに、そのときに最初から、ここには長くいられませんからほかを探してくださいねっていわれて、不安になっている方たちは多いんです。スパゲッティ症候群というふうにいわれるように、医療機器をつけたままの退院なども聞いています。
ここに書いてあります平均在院日数の目標十四日という根拠は何なんでしょうか。
○押元経営企画部長 それぞれの病院ごとに役割分担がございます。急性期の病院、それから長期療養型の病院。で、急性期で運ばれた患者さんは急性期の病院で治療して、ある程度の段階となったら療養型の病院にお移りいただくというのが、患者さんご自身にとっても非常に利益のあることであるというふうに考えております。
また、都立病院のベッド数は限られております。限られたベッドに対して、都立病院に入院をしたいという都民の方々が大勢いらっしゃいます。そういった意味からも、都立病院のベッドを有効に活用するということが必要であるというふうに考えております。
そういう前提に立ちまして、十四日という平均在院日数の目標でございますけれども、これにつきましては、各都立病院での患者さんの治療に対する回復の度合いですとか、過去の平均在院日数の推移、そういったものを総合的に勘案して、十四日というふうに目標を決めたものでございます。
○大山委員 まさに今おっしゃったみたいに、患者さんの回復の度合い、安定して帰れますというところで、退院というのは決めるべきだと思うんですね。
さっき、過去五カ年の在院日数の実情というふうにおっしゃっていましたけれども、この実行プランにも平均在院日数は十八・六日というふうに書いてありますね。で、資料でいただいた五ページに書いてありますけれども、ここでも、それぞれ平均在院日数の推移というのが書いてありますが、二十日から十八日、十九日というような状況ですね。医学的な根拠などあるんでしょうか。五年間で、今、十八・六日の平均在院日数を、四日間平均を短縮するといったら大変なことだというふうに思います。これでは、長引く患者さんだとか重い患者さんはとらないということになってしまいかねないんじゃないでしょうか。
○押元経営企画部長 患者さんの平均在院日数の短縮化を図るというのは、国の保健医療政策に基づくものでございまして、急性期の入院医療と慢性期の入院医療の評価をそれぞれ通じまして、入院医療の機能分化を図るという考え方に立って、急性期入院加算の算定要件は、昨年の十月以降、それまで二十日以内とされておりましたのが十七日以内というふうになっております。こういったことから、患者の特性に応じた効率的な医療提供体制の確保を図るための評価基準として定着をしているものでございます。
もちろん、患者さんそれぞれの容体に合わせて、入院期間が短くなったり延びたりするというのは、これは当然のことでございまして、治療している患者さんを無理やり退院させるといったようなことは一切ございません。
○大山委員 結局、今いったみたいに、患者さんの状況だとかといっておきながら、診療報酬上の問題で、財政的に効率的に運営するには、結局、短くしていくんだということなんですね。財政的な動機をもって、しかも目標を持たせてやったらどうなるかということですよ。
新宿にも民間の大学病院などありますけれども、大学病院に救急車で高齢者が運ばれたときに、ぐあいが悪くて動けないような状況であるにもかかわらず、家族の方がせめて朝まで寝かせてほしいというふうにいっているのに、処置をしたら、どうぞ帰ってくださいって、待合室に押し出されちゃうんですよね。そういう相談というのは一件や二件じゃありませんよ。経営効率第一にしたら、こうなる心配があるんだということなんですよ。都立病院だからこそ安心してかかれることが一番であって、在院日数の問題は、患者のQOLを向上させる立場から検討することが必要だというふうにいっておきます。
医療サービスにとって、看護師などの配置は決定的ですけれども、これでも実行プログラムは問題があります。
まず最初に伺いたいんですけれども、医療の質、それから医療の水準を高める上で、看護師などの人、つまり医療従事者の配置の重要性についてどう認識していますか。
○押元経営企画部長 都立病院として高水準で良質な医療を提供していくためには、医師や看護師など医療従事者の適正な人員配置と、研修などを通じた資質の向上が必要と認識をしておりますが、それらは、患者さんの状態ですとか、あるいは病院の提供する医療などを総合的に勘案した、あくまでも適正な人員配置でなければならないと考えております。
○大山委員 今、重要だといいながら、適正ということを強調されたわけですけれども、来年度の職員配置を見ても、専任リスクマネジャーをつけるというのは、これはもちろんいいことですね。しかし、ほかはどうでしょうか。職員の増減が全体でどうなっていて、そのうち看護師の増減はどうなっていますか。
○押元経営企画部長 平成十五年度の職員定数は七千二百四十八名、うち看護要員の定数は四千六百四十四名でございます。これを前年度と比較いたしますと、全体では六十一名の減、看護要員では六十名の減となっております。
○大山委員 看護師が六十名ですか。全体で六十一名。
○押元経営企画部長 先ほど申し上げましたが、全体では六十一名の減、看護師を含む看護要員の減が六十名でございます。
○大山委員 今、看護師を含む看護要員が六十名ですけれども、看護師はマイナス三十名ですね。
○押元経営企画部長 職種で申し上げますと、看護師は三十名の減でございます。
○大山委員 そうやって、重要だといいながらも、職員全体、そして看護要員も減らしているということなんですね。
プランの一六一ページ、財政見通しを見ても、コスト削減、業務の委託化、定数の適正化で四十九億円のマイナスということになっています。この四十九億円の中身というのはどういうことなんでしょうか。
○押元経営企画部長 実行プログラムの四十九億五百万円の中身でございますが、平成十五年度の業務の委託化、定数適正配置による削減額、これを今後五年間にわたり積み上げたものでございます。
○大山委員 今のご答弁ですと、十五年度分の業務の委託化と定数の適正配置の分だけを五年間累積したということなんですよね。そうしますと、十五年度以降、実行プログラムのもとでは人員は減らさないということになるんでしょうか。
○押元経営企画部長 あくまでこれは計画でございますので、今後いろいろな再編整備が行われます。それから、新しい医療サービスを実施する、あるいは業務の委託化等をさらに促進する、そういういろいろな要素がございますので、そのまま同じ状況で続くということではございませんが、あくまで削減額の五カ年の累積額という、そういう意味でございます。
○大山委員 今後まだまだ削減が続いたりするということですから、結局、経営努力、約百八十一億円といっていますけれども、これ以上の削減になる可能性が高いということですね。病院に求められているのは、経営努力だといって看護師を初めとした医療職員を減らすことではありません。
昨日、健康局の質疑で明らかになったのは、昨年立てた看護師の供給計画、それは今まで以上に看護師の急激な増員を求めていることです。それは、医療事故防止のためにも増員が必要だし、それから、看護師の定着対策のためにも大幅な増員が必要だからなんですね。医療サービスを充実していくのであれば、人の配置を充実させることが中心になるべきことです。この点でも、東京都が進もうとしている方向は逆方向だといわざるを得ません。
第三にですけれども、実行プログラムでは経営改善というのがキーワードになっているようですが、そういいながら、結果的には借金がふえていくことになっていくという問題です。
ちょっと伺いたいんですけれども、病院事業に占める公債費の割合はどのぐらいの水準が適切だと考えておられるんですか。
○押元経営企画部長 公債費の割合でございますけれども、病院会計の場合は、新たな病院の建設などが集中をした場合には、短期間にわたりまして公債費の比率が上昇するということがございます。これは、いわゆる公営企業会計ということでございますので、投資をしなければならないという場合には、その分の公債費が当然ふえてくるということでございます。
したがいまして、一般会計でいわれておりますような、公債費を一定の比率にしなければならないという基準は、講学上も設けられていないというふうに認識をしております。
○大山委員 特に適切な水準はないということだと思うんですけれども、一六〇ページの(2)で資本的収支及び資金収支という表がありますが、その企業債のところが、十八年度までは着実に減って、十八年度には二十五億円まで下がるわけですね。で、十九年度は何と、その三十倍の七百八十一億円にはね上がるわけです。
私たちは、もちろん病院の改築だとか充実するための投資は否定しません。しかし、今やろうとしていることは何かといったら、母子保健院をなくして、大久保病院と荏原病院を公社化するために、その機能をほかに移すわけですね。さらには、八王子や清瀬や梅ケ丘の小児病院をなくすといっているわけです。そのため、今いったような廃止や公社化などを前提にして、都立として残そうとしている駒込や府中や大塚などの建設や改築計画があるわけです。
借金をふやせば、医業収入は診療報酬で決められているわけですから、保険外の収入を患者から取るしかなくなるわけですね。鈴木都政の時代にも、病院改革だといって一斉に建てかえて、その中で、紹介外来制にするなど、住民との矛盾を広げてきたわけです。病床利用率を上げるとか、差額ベッドや駐車場の料金を上げることなどまで行ってきました。石原都政でまた一斉の建てかえですね。医療の質の向上ということでは、もちろん建てかえだとか医療機器の購入などもあるわけですけれども、何といっても人のサービス、人がサービスの中心なんですから、人を中心としたサービスを充実することです。今ある病院だとか機能を大切にしながら、都民への医療を充実していくことを考えることこそ必要なことだと思います。経営改革だといって、結局、巨額の借金が膨らむという計画は再検討するよう求めておきます。
もう一つ、PFIについて少し触れたいんですけれども、PFI事業、ここの中では、一六二ページに再編整備ということで、原則としてPFI手法を前提とするというふうになっているわけですね。たしか東京都は、PFI事業に関するアドバイザリー業務委託をしたと思いますけれども、この業務委託の概要と目的というのは何でしょうか。
○押元経営企画部長 アドバイザリー契約の目的でございますが、PFIの導入の可能性の調査、それから、こういった事業に意欲を持っている民間事業者の調査などを実施したものでございます。
○大山委員 ここに、PFI事業に関するアドバイザリー業務委託という仕様書がありますけれども、その目的に、今おっしゃったように、乙の助言を参考にして、これは委託された先の事業者ですね、PFI事業の導入の可否、迅速かつ確実な推進、事業の公平性、透明性を確保し、事業関係者間の役割と責任を明確にすることであるというふうに、目的に明確に書かれているわけですね。PFI事業の導入の可否というところも、この仕様書に基づいた、提出された書類を参考にして、可否も含めて検討するということが目的なわけです。
そうしますと、この事業者からは、回答といいますか、結果は提出されているんでしょうか。
○押元経営企画部長 現在、請け負いました業者の方でいろいろな条件整理を行っておりまして、私ども、まだ正式な報告を受けておりません。
○大山委員 提出書類というところには、十四年十一月二十九日までに一番から五番までは提出してくださいよというふうに--去年の十一月二十九日までに提出する分も、今のご答弁ですと提出されていないということなんですね。ですから、PFI手法が本当にいいのか悪いのか、適切なのかどうかということの検討もまだされていないというのが現状なわけです。
にもかかわらず、この実行プログラムの中には、原則としてというふうには書いてありますけれども、PFI手法を前提とするというふうに書いてあるんですね。ですから、これは手順からいっても、それから、本当に都民の立場に立ってどうなのかということを考えなければならない立場としても、こういうふうに書くということ自体がおかしいというふうに指摘せざるを得ません。
次に、患者サービスの女性外来ということについて伺いたいと思います。
大塚、府中、墨東への女性外来の設置についてですけれども、各病院の現場や職員への説明はどうなっていますか。
○押元経営企画部長 女性外来の設置に当たりましては、実行プログラムは、これは各病院と私どもが密接に協議をして記入をしたものでございます。そういう意味では、病院と私どもの間にしっかりとした相互の認識がございます。
○大山委員 相互の認識があるということは、現場や職員への説明は既にされていて、論議されているという理解でいいんですか。
○押元経営企画部長 先ほど来申し上げておりますように、女性外来の設置については、各病院と十分打ち合わせの上で、私ども、これから進めていこうと、これまでもそうしてまいりましたし、これからもそうしていこうというものでございます。
職員への説明というのが何を意味するのか、ちょっと私、理解しかねるところがありますけれども、病院の方にはしっかり説明をしてございます。
○大山委員 現場への周知がなされていないという声もあります。やはりこれは、よりよくしていくという立場で進めていっていただきたいと思うんですけれども、現場の声を、それから現場の知恵を合わせていくということが重要だからこそ、しつこいようですけど、いうわけですね。
昨日の健康局での質疑でも、女性外来を、民間病院も含めて、せめてすべての二次医療圏にということを提案したわけですけれども、ただ女性の医師がいればいいということではなくて、やはり女性外来の特徴というのは、チーム医療が大きなかぎだというふうに認識しています。ですから、充実することが求められているわけです。
都立病院で診療されているお医者さんの中でも、積極的に女性外来を進める活動をされている方もいらっしゃることですし、それから、女性の都民であります当事者も含めて、女性外来のあり方検討会というようなものを、皆さんの知恵を合わせるという立場で立ち上げることを提案しますが、どうですか。
○押元経営企画部長 先ほど申し上げましたように、女性外来の設置につきましては、各病院と私ども十分に話し合って、その設置に向けて準備を進めたいというふうに考えております。現在のところ、今のご提案のようなお話をするという計画は私どもにはございません。
○大山委員 今のところは計画はないということですけれども、もちろん職場の中で、現場で論議をするというのは重要です。そして同時に、やはり都民、当事者の声も入れるということでは、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
ところで、女性外来の来年度の予算なんですけど、どれぐらいかというのはわかりますか。
○押元経営企画部長 専門外来の予算ということで五百万円ということでございますが、必ずしもこれはすべてが女性外来ということではございません。
○大山委員 専門外来すべてで五百万というわけですけれども、例えば千葉県では、二つの県立病院に二億百万円でマンモグラフィーと骨密度測定器などを設置するということで、そういう予算をつけたわけですよね。やはりきちんと予算も確保して、チーム医療で充実させてほしいという要望をしておきます。
最後に、大久保病院のことで幾つか質問したいと思います。
大久保病院の公社化について、区や医師会と具体的にどんな協議をしているのかということ、それから、どんな要望や意見が出されているのかということを伺います。
○宮川参事 現在、保健医療公社と大久保病院とで、区西部地域病院、これは大久保病院が地域病院化した場合の仮の名称でございますけれども、運営協議会の準備会、これは現在、地域からのいろいろなご意見を承るということで、地域の自治体、あるいは都、地区の医師会などの代表から成る準備会におきまして、地域の医療ニーズを踏まえた公社化後の病院の医療機能を中心に検討している最中でございます。
○大山委員 具体的な要望だとかというのはどんなものか、出されているものがありましら。
○宮川参事 ただいま申し上げましたように、現在検討している最中でございまして、現時点では、それぞれの要望、ご意見というものを取りまとめ中ということで、内容についてはまだこちらに伺っておりません。
○大山委員 公社化してほしいという要望は、肝心の地元区や地元医師会から出ていないというわけですよね。
私は、ことしになってから区の医師会長さんと懇談する機会があったんです。そのときにいわれたことは、やはり不採算の部分はしっかりやってもらわないと困るというふうに話されていたんですね。決して公社化してほしいという要望ではないんです。
多くの皆さんの切実な要望もあって、透析医療の実施は実行プログラムに書かれていますけれども、充実しているというふうに好評のリハビリだとか、非常に切実な精神科外来については書いていないわけですが、これらはまさに不採算の分野です。これはどうするつもりなんでしょう。
○宮川参事 地域病院化をするからといって、決して、不採算だからそれを切り捨てるというような考えはございません。典型的な例といたしましては、不採算とされています救急医療には真剣に取り組んでおります。
○大山委員 そうすると、リハビリや精神科外来についても、これはやっていくということでいいんですか。
○宮川参事 実行プログラムに記載してございますのは、マスタープランに従いまして、要はそれを具体的にどうするかということでの基本的な考え方をお示ししているものでございます。一四二ページ、ごらんいただきますように、現行の大久保病院の医療機能を踏まえつつ、地域ニーズを踏まえた検討を行って決定する、そのようなことでございまして、現在そういったプロセスを踏んでいるところでございます。
○大山委員 地域ニーズを踏まえつつということで、不採算の分野もきちんと、不採算の部分も都立病院だからこそ責任があるということなんです。
一四一ページ、大久保病院の今後の運営理念として、常に医療の質の向上を図りということ、それからその二行下には、常に医療水準の向上に努めるとともに、それから少し下には、良質なサービスを継続して提供するためにと、医療の質に関することが強調されているわけですね。こうやって書いてあるんですが、要求資料でいただきました二ページの中でもわかりますように、来年度、大久保病院は看護師が三十人も減っているんですね。そこのページにあります総合病院で比較しますと、広尾病院はプラス十二人、大久保病院は三十人マイナス、大塚病院が三人プラス、駒込病院が九人マイナス、豊島病院四人マイナス、荏原病院二人マイナス、墨東病院九人のプラス、府中病院四人のマイナスということで、ほかの総合病院と比較しても突出している減員だというふうに思います。
都立病院全体の看護師の減員は、来年度は全体で三十人。大久保病院だけでも三十人の減。どうしてこれで質の向上、良質なサービスの継続などといえるんでしょうか。
○押元経営企画部長 大久保病院の看護要員の減員は、大久保病院の病床利用率の減少などを初めとする稼働率の低下に見合った適正な人員を配置したものでございます。医療の質の向上という点では、例えば医療安全に専任で対応するリスクマネジャーを配置したり、あるいは臨床工学技士、これは例えば東京女子医大で人工心肺装置の事故などがございましたけれども、ああいったことが起こらないようにということで、臨床工学技士を配置したりということで医療の質の向上を図っておりまして、決してご懸念のような結果にはならないと考えております。
○大山委員 リスクマネジャーを置く、それから医療事故を防ぐための配置をする、それはもちろんいいことですよ。しかし、実際の現場で患者さんに接する看護師さんをこんなに減らすわけですね。
先ほど、病床利用率が低いんだというふうにおっしゃいますけれども、そうやって七、八〇%台だからそれに見合ってということだったら、病床はあるのに看護師さんが七、八〇%分しかいないわけですから、一〇〇%稼働できなくなるか、それとも七、八〇%に見合った看護師の数で看護師に無理を強いるということにならざるを得ないと思います。
それだけではなくて、事務事業概要質疑のときに私は明らかにしましたけれども、大久保病院と多摩南部、それから東部病院は、病床数は同じだけれども、看護師の人数は、大久保病院が二百二十三人、東部病院が百七十七人、多摩南部病院が百八十二人。公社病院は正規の看護師の定数が少なくて、パート職員が多くなっていることを明らかにしました。今回の大久保病院の看護師三十人の減というのは、要するに公社病院に近づけていくということではないんですか。
○押元経営企画部長 大久保病院の病床利用率の傾向を長期的に見ますと、この地域の医療特性、例えば信濃町には慶應大学の病院が、それから都庁舎のすぐ近くに東京医大の病院が、また河田町には東京女子医大の病院があるというようなことで、高度専門医療を提供する医療機関がこの付近に非常に集中をしております。
また、今まで大学病院は、どちらかというと一般の患者さんに対しては関心が低かったという面が否めなかったわけでございますが、昨年四月の診療報酬制度の改定以降、いわゆる患者さんの囲い込みが始まっておりまして、非常に熱心にそれぞれの医療機関が、いってみれば患者さんの争奪戦をするようになったというようなことで、競争が非常に激しくなっているというようなこともございまして、病床利用率の減少傾向が否めないわけでございます。
したがいまして、私どもとしては、都民に対する責任を果たす上からも、適正な病床利用率に対しては適正な人員配置をということで、今回の看護師の定数の削減を行い、その一方で、先ほど申し上げましたが、リスクマネジャーですとか臨床工学士などの増員ということで、いわば医療の現代化に対応した人員の配置をして、医療サービスの実質的な向上を図ろうというふうにしているものでございます。
○大山委員 看護師の需給計画を急激にふやさなきゃいけないというのは、東京都が決めているわけですよね。それは、質を向上させるために、医療事故をなくすためにも、ふやさなきゃいけないというふうにいっているわけですよ。それに逆行して、しかも病床利用率がそんなに低いかといったら、それほど低いというわけでもないわけですよね。十二月で見れば、広尾病院八五・二%、大久保病院八四・二%、大塚病院九一・四%、駒込病院八四・七%。ほかの病院ともほとんど同じぐらいですよね。十四年度だってこんなものです。ほかの政令市のところも見せてもらいましたけれども、札幌だって八五・七%、千葉だって七九・三%というように、七、八十%台というのは、八〇%前後というのはそれほど低いという状況ではないんですよ。
あれこれいいますけど、これは総務局の資料です。増員、減員というふうにプリントがあって、大久保病院は医師マイナス一、薬剤師マイナス一、看護師マイナス三十一、診療放射線マイナス一というふうになっていて、大久保病院の運営ということで何て書いてあるかといったら、公社化移管体制の整備というふうにはっきり書いてあるんですね。
これも事務事業で明らかにしましたけれども、大久保病院が財団法人日本医療機能評価機構の評価で、看護部は多数の職員を包括し、意欲的な活動により病院の中心的役割を果たしている。看護婦は都の職員としての身分保障があり、退職者は少なく、定着率が高い。これに対して東部病院は、看護部門の理念は職員に十分周知されているとはいえない。看護基準、看護手順も定期的に見直し、クリティカル・パスなどを積極的に導入し、さらなる看護ケアの質の向上が望まれるというふうになっていて、大久保病院はその講評で、貴院の評価は総じて高いものであると、こういうふうに書いて、経営、幹部、職員一人一人が、貴院を他の医療機関のモデルとなる施設となるよう、さらなる積極的な取り組みに期待したいと評価されているんですよね。
結局、幾らプログラムには、一ページの中に質の向上というような内容を三回も出そうが、水準の維持だというふうに書こうが、実際にやろうとしていることは、この客観的に評価されている医療水準を崩していくということじゃないんでしょうか。そうしてはならないということを指摘して、質疑は終わります。
○山口委員 私は、都立病院における医療用具のポリ塩化ビニール製品について伺います。
ポリ塩化ビニール製品の医療用具は、素材が化学的に安定であること、また、柔軟性、耐久性等にすぐれていることなどから、国の内外において医療の現場で広く使用されています。しかし、ポリ塩化ビニール製品には、柔軟剤として使用されているフタル酸エステルが溶出し、特に環境ホルモンとして有害な生態影響のあることが、一九九九年後半から、動物実験により強く懸念されてきました。また、ポリ塩化ビニール製品は焼却する際にダイオキシンが発生し、環境にも悪影響を及ぼすということは周知のことです。
医療器材からの溶出は、治療行為を通して直接、血管経由、口から消化器官経由で人体に取り込まれるため、高度に暴露されるケースが想定されるとの結果が溶出検査で確認されています。我が国でも、厚生労働省がポリ塩化ビニール製品の医療用具について考え方をまとめ、医療関係者に対して注意を喚起しているところと聞いています。
こうした背景を踏まえ、私たち生活者ネットワークでは、未然防止の観点から、より安全とされる非塩ビ製品への代替を促すよう、たしか二年前に提案してきました。
そこで伺いますが、そのときは輸液セットについて注意を喚起しましたが、その後、塩ビ製品についてどのような対応がとられてきたのでしょうか。
○中井サービス推進部長 塩ビ製品につきましては、脂溶性、これは油に溶けやすい性質でございますけれども、脂溶性のある薬剤等を使用する場合に、柔軟剤として使われているフタル酸エステルが溶媒中に溶け出すおそれが高いことから、脂溶性の薬剤を使用する場合には、以前から輸液セットなどで非塩ビ製品を使用しております。
その後、輸液セット以外にも、体内に留置するカテーテルや栄養チューブ等について、適時、非塩ビの代替品に切りかえてきております。
○山口委員 都立病院において、中心静脈カテーテル、導尿カテーテル、気管吸引チューブなど、取り組み品目が拡大してきているようですが、病院間でばらつきがあることや、品目数が少ないような感が否めません。そうした点では、まだまだ取り組みは不十分ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○中井サービス推進部長 ポリ塩化ビニール製の医療用具等につきましては、原則的には使用しない方が望ましいことは十分認識しております。
ただ、血液バッグなどすべての製品に対応する非塩ビ製品についてのメーカー側の開発が十分ではないこと、また、代替品は、素材の単価の違いや開発に高いコストがかかるなどの理由から、同じ性能のポリ塩化ビニール製品に比べまして割高になることなどの問題が挙げられます。
○山口委員 現在、厚生労働省では、製造業者の集まりであるところの医療機器関係団体等に対して、フタル酸エステルが溶け出さない代替製品について開発状況などの情報を調査していると聞いています。この調査結果がオープンにされれば、どういう製品が安全なのか、どこまで代替品の開発が進んでいるのかがはっきりしてくると思います。
そこで、こうした市場の状況を踏まえて、都立病院における代替品の使用状況を都民に積極的に公表していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○中井サービス推進部長 公表に当たりましては、代替品の開発が進み、どの医療機関でも非塩ビ製品が容易に入手できるような状況になるなど、市場の十分な成熟が重要であると考えております。
各都立病院におけます代替品の使用状況の公表につきましては、こうした市場の成熟を踏まえた上で、ホームページ等で情報発信することなど、今後の検討課題としてまいりたいと考えております。
○山口委員 非塩ビ製品の導入に関し、メーカー側の開発と病院側の努力だけでは解決できない問題があることは理解できました。また、病院側にとってはコストの問題も大きな理由とは思います。
しかし、こうしたメーカー側の問題やコストの問題については、医療機関がどんどん非塩ビ製品の導入をふやせば、メーカーの開発や価格も改善されていくものと考えられます。患者側からしてみれば、人体への重大な影響という、お金にかえられないことですので、この点はより一層努力していただき、都立病院が非塩ビ製品を積極的に導入していくことこそが肝要であるかと思います。
非塩ビ製品の使用拡大について今後どのように取り組んでいくのか、病院経営本部の所見を伺います。
○中井サービス推進部長 厚生労働省では、各医療用具メーカーに対しまして、代替製品の開発を進めることを通知するとともに、各メーカーごとの代替製品の開発状況につきまして調査をまとめているところでございます。
都立病院では、医療用具や診療材料等を購入する際には、院内の診療材料委員会で意思決定しておりますけれど、今後は、厚生労働省の調査結果をもとに、この診療材料委員会を活用いたしまして、非塩ビ製品の導入を進めてまいります。
○山口委員 次に、本年一月に都立病院改革実行プログラムが発表されました。都立病院改革を進めていくに当たって、多くの具体的な方策が盛り込まれていますが、中でも、納得して安心して医療を受けることができるために、私は、インフォームド・コンセントが医療機関に受診したときなども含め大変重要だというふうに感じています。都立病院が患者中心の医療に取り組んでいくということは、単なる提唱だけではなく、医療の現場で実践的に行われていかなければ全く意味がありません。
医師を初め、病院で働くすべての職員が患者の権利を尊重し、患者に対して疾病等に関する十分な説明と情報を提供し、安心で安全な医療を提供していくためには、インフォームド・コンセントをより一層充実させていくことが必要であると考えます。
そこで伺いますが、都立病院改革実行プログラムでは、インフォームド・コンセントの取り組みとして、技法向上活動としての研修実施とリーフレットの作成が記載されていますが、具体的にはどのような研修を計画しているのか伺います。
○中井サービス推進部長 患者中心の医療を推進していく上で、インフォームド・コンセントの充実は大変重要なことであると認識しております。このため、内外の講師を活用した実践的な研修を考えておりまして、説明のポイントなどにはリーフレットなどを活用しながら、効果的な研修を行ってまいります。
○山口委員 患者の求めているのは、自分の病気に医師がどのように対処するのかを知ることです。医師は治療方針を患者に理解してもらうことが何より重要です。そのためにも、職員の接遇研修はもとより、インフォームド・コンセントの技法習得の研修も必要だと思います。ぜひ研修内容を充実していただきたいと思います。
次に、実行プログラムには、インフォームド・コンセントの充実を図るため、患者用の質問カードを配布するとの記載がありますが、どのようなカードで、どんな使い方を考えているのか伺います。
○中井サービス推進部長 患者さんが受診される場合に、医師等に質問したいことをあらかじめ記載しておいたり、前回受けた説明でよく理解できなかったことなどをメモしておき、受診時にそれを示して改めて説明を受けるなど、コミュニケーションの補助手段として活用することを想定しております。
○山口委員 最後に、医療サービスの充実、中でもセカンドオピニオン専門外来の設置についてお伺いいたします。
患者は、だれもが、自分のけがや病気に対して最善の治療方法の選択を望みます。昨日も、委員会の質疑の中でも、病院の対応によっては本当に、もしかしたら死に至ったかもしれないというようなお話がありました。それは家族も同様なわけです。しかし、現在の治療方法あるいは主治医の診断が本当に最善なのか、不安になることがいっぱいあります。多くは、インフォームド・コンセントが不十分であるためにこうした不安を抱くことになるのではないでしょうか。こうした患者やその家族の不安を解消し、患者中心の医療を実現していくために、セカンドオピニオンが都立病院において実現すれば画期的なことと考えます。治療方法、またその結果など、きちんとしたデータ等情報があれば、患者はより一層安心して医療を受けることができるわけです。都民の期待は大きいものと思います。
そこで、セカンドオピニオン外来は具体的にどのような検討を行っているのか伺います。
○中井サービス推進部長 セカンドオピニオンに関しまして、都民の期待が大きいことはよく認識しております。
そこで、セカンドオピニオンにつきましては、都立病院が先導的に取り組むことが必要であると考えておりまして、都立病院改革実行プログラムでは、平成十六年度を目途に駒込病院への設置を計画しております。しかし、実施に当たりましては、医師の責任範囲や費用負担のあり方など検討すべき課題も多々ございます。具体的な方法等につきましては今後十分に検討してまいりたいと考えます。
○山口委員 セカンドオピニオン外来の実施にはさまざまな問題があると思います。しかし、都民は、セカンドオピニオンのような医療の実現を望んでいます。患者の権利として早期実現に向け十分検討していただき、都立病院の高度専門医療を提供されることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○柿沢委員 私は、電子カルテシステムによる後発医薬品の取り扱いについて何点かお伺いをいたします。
今回発表されました都立病院改革実行プログラムでは、電子カルテシステムを含めた新たな病院情報システムを導入するということが明記をされております。この新たな病院情報システム、先ほどの質疑にもありましたとおり、カルテ情報を一元的に管理をして、質の高い医療を効果的かつ効率的に提供できることを初め、病院の経営情報の迅速な出力と経営分析が行えるなど、患者さんにとっても病院側にとっても極めて有効なシステムであるというふうに私も考えております。
ところで、私の方は、昨年十一月、この委員会の事務事業質疑で、都立病院における後発医薬品の使用促進の状況について質問をいたしました。そこでは、都立病院での後発医薬品の使用率がわずか二・四%であるという実情、安定供給の確保や安全性の確認などの問題からも、使用促進が不十分であるということが明らかになったわけでございます。
しかし一方で、後発医薬品の効能や効果については、先発の医薬品とも変わらないというふうにされている。また価格も低廉であるということから、患者の薬剤費負担の軽減、また病院経営のコスト削減に資するものであるというような認識も皆さんからいただいたところでございます。その上で、病院経営本部として後発医薬品の使用促進に今後とも取り組んでいくというご答弁をいただいたわけでございます。
私は、今回の新しい都立病院情報システムの電子カルテシステム、その中での薬剤の処方のオーダリングシステムの導入、これが後発医薬品の普及拡大、使用促進の大きなきっかけになるのではないかというふうに考えております。
そこで伺いますけれども、まず都立病院の今回の電子カルテシステムにおいては、後発医薬品の処方オーダーというものは可能なのかどうか伺います。
○中井サービス推進部長 各都立病院で使用いたします薬剤につきましては、医師、薬剤師、事務の代表で構成されます院内の薬事委員会で決められ、そこで使用することが決まった医薬品につきましては、先発品、後発品のいかんを問わず、データベースであるマスターに登録され、処方オーダーに応じられるようになります。
○柿沢委員 後発医薬品についても、電子カルテシステムの処方オーダーで処方はできるということがわかりました。
そのオーダーのことについてですけれども、電子カルテシステムは、診察中においてカルテの画面を患者さんに見せることができる。先発医薬品に対して、例えば同じ薬効の後発医薬品の有無、あるのかないのか、その薬品名の比較というものも画面上で見せることができるようになるわけですね。そういうことができるようなシステムにすれば、お医者さんも患者さんに対して説明をして、患者さんの意思で後発医薬品の選択が可能になるということになる。これはささいなことのようですけれども、開かれた医療にも通じますし、患者中心の医療という都立病院改革の基本理念にもつながってくることだというふうに思います。
また、電子カルテシステムというのは、先ほどもありましたインフォームド・コンセントの非常に有効な手段であるというふうにもいわれております。私は、今申し上げましたとおり、こうしたインフォームド・コンセントのもとに、後発医薬品の処方も進めていく方法をとるべきだというふうに考えております。
そこで伺いますけれども、医師または患者さんが後発医薬品を選択できるような、今申し上げたようなオーダーのシステムを考えているのでしょうか、伺います。
○中井サービス推進部長 ご指摘のように、後発医薬品の選択に当たりましては、医師が適切な医療品、医薬品情報を把握いたしまして、患者さんに対して薬効や薬価等について十分説明した上で処方していくことが望ましいと考えます。
このことから、先発医薬品と後発医薬品の対比が可能となるシステムを現在検討しているところでございます。
○柿沢委員 先発医薬品と後発医薬品の対比が可能なシステムを今検討しているところだというご答弁をいただきました。大変期待をしたいと思っておりますし、今まさに国家的な課題となっている後発医薬品の使用促進に大変資するものだと思います。こうした電子カルテの上で比較をして、例えば、こっちの方が安いですけれども、どちらをお選びになりますかということが簡便にできる薬剤処方のオーダーシステム、仮に都立病院の情報システムでできたとすれば、これは多分、全国でも初めての取り組みになるのではないかと思いますので、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
この電子カルテシステムは、平成十五年度中に府中病院から導入されるということになっておりますけれども、後発医薬品に対する今おっしゃられたような取り組み、この府中病院における段階において実施されるのでしょうか、お伺いいたします。
○中井サービス推進部長 後発医薬品につきましては、マスター登録を行うことで処方オーダーは可能となりますが、先発医薬品と対比して見ることができるようにするためには、システム上、両者を関連づける仕組みをつくる等の課題が残っております。このため、先発医薬品と後発医薬品の対比等が可能なシステムにつきましては、電子カルテシステムの導入の第二段階において完成させる予定でございます。
○柿沢委員 先発医薬品と後発医薬品の対比が可能なシステムというのは、今申し上げたとおり、全国でも初めてとなる取り組みになるわけでしょうから、電子カルテシステム導入の第二段階で完成させるというのは、新たな開発を行うわけですから、そのための時間が必要だということについては、私も理解はしたいと思います。
ところで、第二段階で電子カルテシステムが導入される病院は、このシステムが完成をすると。大変いいことだと思いますけれども、これができた場合は、府中病院の第一段階でできた電子カルテシステムに、第二段階でできた薬剤のオーダリングシステムというのは反映することはできるんでしょうか。第二段階でできたものが第一段階でも反映されるということになるんでしょうか。そこのところを確認したいと思います。
○中井サービス推進部長 電子カルテシステムを順次導入していく過程で、必要の都度、新たなシステムの開発や修正が行われてまいります。そうしたシステム開発や修正の結果は、基本的には既に導入された電子カルテシステムにも反映させていきます。したがいまして、第二段階での開発を予定しております先発医薬品と後発医薬品の対比等が可能なシステムにつきましても、第一段階で導入された府中病院の電子カルテシステムに反映させてまいります。
○柿沢委員 都立病院の電子カルテシステムにおいては、先発医薬品と後発医薬品の対比等が可能なシステムを開発して、すべての電子カルテシステムに反映をしていくということです。都立病院が採用する後発医薬品について、こうしたことが行われれば、使用促進がかなりの程度図られるのではないかというふうに期待をいたしております。
これまでのご答弁の中で、都立病院で採用している、薬事委員会が決めて、今、都立病院で処方をしている後発医薬品については、これでオーダーができるということになったわけですけれども、そうすると、都立病院では採用されていない後発医薬品のオーダーというのはどうなるんでしょうか。
例えば、ほかの医療機関から都立病院を紹介されてきた患者さんが、そこで使っていた後発医薬品をこれからも使っていきたいという場合などは、電子カルテシステムのマスターの中には、その後発医薬品は入っていないわけでしょうから、この場合どういう扱いになるわけでしょうか。都立病院が採用していないけれども院外の調剤薬局等で取り扱う後発医薬品について、電子カルテ上ではどのような対応になるのか伺わせてください。
○中井サービス推進部長 電子カルテシステムによる処方オーダーが可能なものは、後発医薬品に限らず、マスター登録されている院内での採用医薬品のみでございます。したがいまして、都立病院で採用していない医薬品を処方する場合は、マスターがございませんので、手書きによる処方せんを発行することになります。
○柿沢委員 都立病院の採用医薬品だけマスターに登録される、これは当然のことでしょうから理解はできるんですけれども、それ以外の医薬品については手書きで処方せんを出すということになると、手間も大変でしょうし、お医者さんも後発医薬品を勧めにくくなったり、患者さんの方もいいにくくなったりというようなこともあるのではないかと思います。これはちょっとした障害になると思うんですね。システム的には、マスターの中に入っていなければ、電子カルテ上ではオーダーできないというのはわかりますけれども、かといって、院内外ですべての医薬品をマスターの中にわあっと入れるとなると、これはこれでまた膨大かつ、そんなことをやるのはむだだということにもなると思いますので、そうすると、電子カルテシステムの問題というよりは、院内でどれだけ後発医薬品を採用していくかという問題になるわけですけれども、院内でできる限りの後発医薬品を採用して、そのマスターの中に登録をしていくということが大切になってまいるわけです。できるだけ多くの後発医薬品を採用してマスター化を図るということが、普及拡大につなげるには大変大事なことだと思いますけれども、その取り組みについてご所見を伺います。
○中井サービス推進部長 都立病院においては、これまでも後発医薬品の使用促進に努めてきたところでございます。電子カルテシステムの導入に当たりまして、患者中心の医療を推進していく観点から、今後さらに後発医薬品の情報収集等に努めまして、院内採用薬品への登録をふやすことによって、後発医薬品の使用促進に取り組んでまいります。
○柿沢委員 都立病院の電子カルテシステム導入に当たって、後発医薬品の利用の増大に向けて、処方のオーダリングシステムの開発、あるいは薬剤マスターデータへの後発医薬品の登録の増大ということについて検討されているということで、都立病院の中で後発医薬品が選択できるという環境が整いつつあるということは評価をしたいと思います。
ただ、スタートラインが二・四%ですからね。後発医薬品の使用が非常におくれているといわれている日本でも、全国で一〇%程度は使われている中で、都立病院は二・四%なわけですから、まだまだこの取り組みは緒についたばかりだというふうに思います。
いずれにしても、私は、この処方オーダーシステムの開発というのは、患者の薬剤費負担の軽減、また病院経営のコストの削減にも資するものだと思います。今まさに国家的な課題となっている医療費の増大を抑制する大変有効な手段だと思いますので、できるだけ早期に運用を開始して、後発医薬品の使用拡大が図られることをご期待申し上げたいと思います。
そういう意味では、きのうも健康局の質疑で、私は意見として、健康局が進めている診療所を含めた電子カルテシステムによる医療連携の中で、何とか後発医薬品を選択できるような薬剤のオーダリングシステムを、健康局さんの電子カルテでもちゃんとつくってくださいよということを申し上げました。私は、医師会さんの意向に大変影響を受けるので、この問題、があんとやるのはなかなか難しい部分があるんじゃないかと思って、きのうは余り質疑の形はとらなかったんですけれども、都立病院ですから、東京都さんがこうと決めたらできるわけですから、私は、都立病院の方はどんどんこの問題を皆さんのご意思で進めていっていただきたいと思うんですね。それがひいては東京都全体に、民間の医療機関にも広がるし、全国にも大きな影響をもたらしていく。その意味で、皆さんのお取り組みに大変ご期待申し上げたいと思いますし、全国初のものですから、東京発医療改革というものに大変大きな原動力となるものだと思いますので、その点、大きな期待を表明させていただいて、私の質疑を終わらせていただきます。
○萩生田委員 最後に一点だけご指摘をし、本部長のご決意を聞きたいと思います。
私が申し上げたいことは、先ほど東村委員が、同趣旨の質問を最後にしていただいたので、本来は聞かなくてもいいわけですし、予特であれだけ質疑をしてまいりましたので、十分理解をしていただいているというふうに思います。
実は昨日も健康局に同趣旨の指摘をしました。さっきから仲間の委員の皆さんの質疑を聞いていますと、ほとんどかぶるんですよね。だから、委員会は一緒にやった方がいいんじゃないかと、後ほど理事会の皆さんにご提案したいなと思うんですけれども、例えば、きのうはNICUの件を議論したわけですよ。本当はドクターカーのことも聞きたいんだけど、そうなると健康局は、NICUはうちですけど、ドクターカーは病院経営本部ですと、常にこういう議論になっちゃうわけですね。
率直に申し上げて、多摩地区の小児医療のあり方というのは、今、大きなテーマになって質疑が集中しているところなんですけれども、再編のスケジュールを考えれば、これはもう時間がないわけです。待ったなしの事業だというふうに思っています。
多摩地域の小児医療のあり方を改めて考える引き金になったのが、文字どおりの都立病院改革だというふうに私は思いますので、いうならば、きっかけをつくった病院経営本部として、これから健康局と一体となってこの問題に取り組むことは当然のことだと思います。
予特でも指摘をしましたけれども、都立病院のツールではないはずのドクターカーがたまたま八王子病院にあるがゆえに、今回の実行プログラムの中でも、府中につくる総合医療センターに配備をするということだけが示されていて、複数配置の必要があるんじゃないですかと予特でも聞いたところなんですよね。
先ほども、お話を聞いていて思ったんですけれど、例えば府中に置くことはいいことだと思うんです。また置くべきだと思うんですね。ところが、今、八王子を起点にして離発着が一時間四十四分という過日の資料があったとおりでございまして、これを府中からスタートするということになると、確かに府中寄りの自治体に対しては時間が短くなるのは明らかなんですけれども、率直に申し上げて、今の出動方向を考えれば、西多摩、南多摩が圧倒的に多いわけですから、府中病院への距離はふえるわけですよ。ふえるんだから、当然、搬送時間がかかるというのは、だれが考えたって、小学生だってわかるわけなんだから、それを、府中につくるから大丈夫ですという議論は、私は、地元の皆さん、あるいは都民の皆さんが納得しないというふうに思うんです。
ただでさえ、今、時間がかかっているのに、府中をスタートするということになると、再三議論が出ているんですけれども、府中は二十三区に非常に近くて、周産期医療が整備をされた大学病院等々との連携も幾らでもできるわけです。で、必ず二言目に出てくるのは、M-FICUの整備をして、要するに母体搬送を原則にするので、ドクターカーの複数需要というのは果たして必要かどうか、今後、実績を見ながら検討したいと、こういう答えが返ってくるわけですけれども、去年の予特の東村さんの質疑でも明らかになったように、三割以上は出産後、その必要性があって、緊急出動している実態もあるわけですから、これはどう考えても、都立病院にたまたま今、委託でお願いしているから、ドクターカーは皆さんに聞かなきゃならないんだけど、そうじゃなくて、やっぱり健康局として、どのエリアに周産期医療が不足しているのか、今後もドクターカーの搬送に頼らなきゃならないエリアはどこなのかということは、本来は二局がきちんと連携をとりながら、当然のこととしてプログラムの中に示してこなきゃいけないんじゃないかというふうに私は思うんです。
仮に、仮にというか、もうほとんど移転を前提に我々は質疑をしているわけなんですけど、八王子病院が移転をした場合、地域の小児医療支援のために都立病院としては何ができるのかということも、同時に検討していただかなくてはいけないことだと思います。
大変しつこくて申しわけないんですけど、繰り返しになりますが、都は、医療を取り巻く環境の変化というのを理由に、八王子市内で移転改築する予定だった当時の周産期センターというのを府中キャンパスに移転をして、小児の総合医療センターとして整備をすることにしたわけです。ならば、小児病院の移転を含めた多摩地域の小児医療を取り巻く大きな環境変化を十分に改めて認識をしていただいて、これらについては健康局と一体となって、地域の小児医療の確保に向けた支援を積極的に行っていくべきだというふうに思います。
そこで、この辺の問題は、ここまでは健康局、ここは病院経営本部という、そういう議論じゃなくて、ぜひ一体となって、これからの小児医療をどうするかというのは、とにかくメニューを出してくれと、こういう段階に来ているわけですよ。NICUの件でもさんざんしつこくいいましたけど、幾らやってくれ、やってくれといったって、やるところがないわけです。きのうは健康局にきつくいいました。例えば本気で整備する気持ちが、当時、衛生局にあったんだったら、民間の病院は嫌だ嫌だといって逃げ回ったとしても、南部病院、公社病院なんかは、ちょっとさじかげんを変えるだけでできたはずなんですよ。だけどそういうことをしてこないで、たった五年間で三つしかNICUがふえないで、これからも地元自治体と連携をとりながら努力していきますと、こういう答弁を平気でまだ、きのうの時点でしているというのは、僕はちょっとナンセンスだと思うんだよね。だから、この辺を、特に衛生局の総務部長を経験されて、今日、病院経営本部長としてその指揮をとられている本部長のご決意を、確認の意味でお聞かせください。
○櫻井病院経営本部長 核家族化による家庭内応急処置の困難だとか、あるいは小児科医師の不足などの環境の変化、こういうさまざまな環境の変化の中で、小児医療の確保は、今や行政側が、言葉は悪いかもしれませんけれども、イニシアチブをとりまして医療提供体制の再構築をすること、これが重要な課題というふうに理解しております。
都ではこれまでも、専門家を交えて小児救急の仕組みづくりに取り組んでまいりました。また、都立病院改革と連動して、早急な仕組みづくりが急務だと思っております。その際には、医療の仕組みづくりの基本的な考え方をきちんと踏まえてやっていかなくてはいけないだろうと思うんですけれども、医療機関あるいは行政体相互の役割分担と連携、これをしっかり認識した上でやっていかなくては、うまくいかぬな、こう思っております。
きょうもお話が出ておりましたけれども、急性期と慢性期医療の関係、初期と高度専門の関係、あるいは地域医療と広域医療の分担、こういうものをきちんと踏まえていかなくてはいけない。特に、多くの医療機関が混在している東京においては、こういう視点でしっかり新しい医療の仕組みをつくっていくということが大事だと思っております。
小児医療も、このような役割分担の仕組みづくりが、この場合は初期と高度専門医療ということでございますけれども、十分でなかったために、現在の危機的状況にあるというふうなこともいえるかと思います。そういう仕組みをきちんと踏まえまして、医療サービスの確保に向けまして、今、先生からいただきました、八王子市を初めとした多摩地域の周産期医療を含めました小児医療の確保に向けましては、市町村との役割分担のもとに、健康局と一体となって--一体となってというのは、合同で、ともに検討するということでございます。これについて具体的方策づくりに向けまして全力を挙げて取り組んでまいります。
○佐藤委員 関連で。
そういう話になるとちょっと黙っていられない。休憩もなしに大変申しわけないんですが、簡潔に二つだけ話をします。
一つは、今の多摩地域の小児医療の問題ですね。きのうも健康局で同じような話が出て、今の本部長の答弁と、健康局と病院経営本部と入れかえただけの答弁をしているわけですよ、健康局長は。我々の会派の代表質問の中でもこの質問をさせてもらって、要するに具体的に何をするのかということを質問しているのに、これから具体的に進めていきますという答弁が出るわけですね。きのうもその答弁の域を出ないわけで、きょうも結局、歩調をそろえちゃったのかどうかわかりませんが、そういう話になってきて、本当にこれから、もう時間が大分切迫してきた中で、たまさかこの厚生委員会には地元のお二方もいる中で、具体的に一体何をしていくのかということがはっきり明示されていかないと、少しずつでも解き明かされていかないと、移転は前提とはするけれども、じゃあ、もろ手を挙げて、さあどうぞという話にはなっていかないと思うんですね。両先生とも非常に物わかりがよくて、もうここまで決まったことだから、東京都の進めることに協力してやろうという前提のもとで、厳しい意見も出ているわけだけれども、本当に何を具体的に検討していくのか。
健康局そして病院経営本部一体となって検討の場合を設けるというんだけど、もう検討している場合じゃないんじゃないかな、こういう感じはするんですね。ですから、これからきちっと、もう実行プログラムが出ているわけだから、どういうことを関連の市町村としていくのかということをそろそろいってもらわないと、なるものもならなくなってくるんじゃないかという一つの心配があるんですが、いかがですか。
○櫻井病院経営本部長 多摩の小児医療について大変ご心配をかけて、本当にありがたいというか、私どもも一生懸命汗をかいていかなくてはいけないと思っていますけれども、今、佐藤先生からお話がありました具体的に何かということなんですけれども、現時点で私どもの方が検討事項ということで考えておりますのは、八王子市を初めとした多摩地域それぞれの市町村レベル、それを単独でいくのか連合でいくのか、それはさまざまありますけれども、そういう地域での小児の初期救急医療を中心とした仕組みづくりをどのようにしていくかということ。それと、先ほど萩生田先生のご質問にもありましたけれども、多摩地域の周産期医療を、全都的に二百床整備ということになっておりますけれども、なお百七十床、現時点で百七十一床でございますけれども、そういう中で、これも先ほど出ましたが、区部と多摩部の格差があるということも我々は承知していますので、そういう周産期医療を具体的にどう確保していくのか。それと、八王子小児病院に配置し、新生児救急に大きな効果を上げてきておりますドクターカーの配置、こういうものをどうしていくのか。こういうものに対する小児総合医療センターの支援策が具体的にできるのかできないのか、こういうこと。こういう主な四点の柱を中心に、先ほどお答え申し上げましたように、具体的支援策について、健康局と合同で、場を同じにして、市町村の意見も酌み取りながら検討策を練っていきたい、こういうことでございます。
○佐藤委員 ひとつ早急に具体的なものを示してもらいたいと思いますけど、何か縦割りの悪いところが出てきちゃっているなという気がするんですね。せっかく分けたのが、また一緒になった方がいいんじゃないかと思うような、ちょっと辛口な話をしますけれども、これは健康局長が答弁すべきじゃないかとか、これは病院経営本部長が答弁すべきじゃないかというようなこともあるようでありますし、その辺ひとつしっかりと連携をとっていただいて、一日も早く地元が安心できるような形での具体案をお示しいただきたい。これは要望いたしておきます。
それから二点目が、先ほど来、電子カルテ、電子カルテという話が出ていまして、一番心配なのはセキュリティーだと思うんですね。先ほど松原理事からも話があった中で、これは健康局の方も、医師会のこういうのをやるといっておりますけれども、万全、一〇〇%安心ということはあり得ないと私は思うんです。今、ハッカーされたのもわからないような、痕跡も残らないような時代ですし、無線でもやられちゃうような時代になってきて、いわゆるハード的なもので、何かそういうセキュリティーをこれから考えていくことを考えているのか、それとも、まだそれは考えていませんと、これからの課題ですという形なのか、その辺は都立病院ではどうですか、電子カルテ導入に当たって。
○中井サービス推進部長 セキュリティー対策というのは一番頭の痛いところでございまして、幸い病院の場合はクローズドのシステムでございますので、例えば無線LANからの侵入とかそういうことは当然あり得ないわけでございます。ただ、こういうことについては、それこそ二重三重のセキュリティー対策を講じないといけませんので、これはいろんなところでこれから、発展途上の事業でもございますので、先人の知恵をかりながら、あるいはみずからがいろんな面で研究しながら、万全な対策をとっていきたいと考えております。
○佐藤委員 これ以上お聞きしませんけども、電子カルテ導入に当たっては、この問題が一番心配というか、一番のネックになってくるだろうと私どもは思っておりますので、一〇〇%のセキュリティーというのはあり得ないとは思いますけれども、本当に万全が上にも万全を期していただくようにお願いをしますし、また、これね、民間に委託なんかしちゃうと絶対漏れますな。防衛庁だって今、職員から漏れちゃうんじゃないかという話があって、もう職員でさえ信用できないような世の中になってきて、非常に難しい問題であると思いますけれども、ひとつ総力を挙げて対応していただくように要望して、終わります。
○森田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「意義なし」と呼ぶ者あり〕
○森田委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時三十四分散会
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