委員長 | 森田 安孝君 |
副委員長 | 吉田 信夫君 |
副委員長 | 古賀 俊昭君 |
理事 | 松原 忠義君 |
理事 | 青木 英二君 |
理事 | 佐藤 裕彦君 |
東村 邦浩君 | |
山加 朱美君 | |
柿沢 未途君 | |
萩生田光一君 | |
山口 文江君 | |
田代ひろし君 | |
大山とも子君 | |
小林 正則君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉局 | 局長 | 川崎 裕康君 |
総務部長 | 吉川 和夫君 | |
生活福祉部長 | 反町 純夫君 | |
高齢者部長 | 福田 豊君 | |
子ども家庭部長 | 笠原 保君 | |
障害福祉部長 | 有留 武司君 | |
保険部長 | 野村 寛君 | |
企画担当部長 | 内海 憲二君 | |
団体改革担当部長 | 片岡 貞行君 | |
連絡調整担当部長 | 菅原 眞廣君 | |
山谷対策担当部長 | 廣田 正志君 | |
参事 | 中島 滋夫君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
福祉局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉局所管分
・第五号議案 平成十五年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成十五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十二号議案 東京都保育士試験手数料条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都母子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都肢し体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
・第七十九号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
・第八十号議案 東京都心身障害者福祉手当に関する条例の一部を改正する条例
・第八十一号議案 東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第八十二号議案 東京都医療扶助審議会条例を廃止する条例
・第八十三号議案 東京都城北福祉センター条例を廃止する条例
・第百四十二号議案 社会福祉協議会の行う事業の補助に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都立養護老人ホームの民間移譲等について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 東京都老人福祉手当に関する条例の一部を改正する条例
○森田委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
平成十五年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成十五年二月二十四日
東京都議会議長 三田 敏哉
厚生委員長 森田 安孝殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、二月二十四日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 二月二十八日(金)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為分
厚生委員会所管
第五号議案 平成十五年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成十五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第二十一号議案 平成十五年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
○森田委員長 次いで、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○森田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
会議順序は、初めに、予算、知事提出の付託議案及び報告事項につきまして一括して質疑を終了まで行った後、議員提出議案につきまして説明を聴取し、質疑を終了まで行います。ご了承願います。
これより福祉局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
初めに、第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉局所管分、第五号議案、第六号議案、第七十二号議案から第八十三号議案まで、第百四十二号議案及び報告事項、都立養護老人ホームの民間移譲等についてを一括して議題といたします。
本案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○吉川総務部長 過日の委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会資料にまとめてございますので、説明させていただきます。
表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、全部で十四項目となっております。
それでは、順を追って説明させていただきます。
まず、一ページをお開き願います。福祉局予算・決算額の推移として、平成十一年度から十五年度までの各項別の予算額、決算額を記載してございます。
次に、二ページをお開き願います。東京都城北福祉センターの概要として、設置目的及び事業、開設年月日、所在地及び事業実績を記載してございます。
三ページをごらん願います。東京都社会福祉総合学院の経緯として、平成十一年の福祉人材養成機関の整備指針の策定から、平成十四年の運営業務委託契約等の締結に至るまでの主な経緯について記載してございます。
次に、四ページをお開き願います。路上生活者緊急一時保護センター及び自立支援センターの利用状況として、四ページには緊急一時保護センターについて、五ページには自立支援センターについて、それぞれ入退所者の状況、路上生活の期間などを記載してございます。
次に、六ページをお開き願います。高齢者緊急相談センターの概要として、目的、委託先、業務内容、対象者などを記載してございます。
七ページをごらん願います。吉祥寺・大森老人ホーム運営経費の推移として、平成九年度から十三年度までの決算額をそれぞれ記載してございます。
次に、八ページをお開き願います。高齢者地域自立支援ネットワーク緊急整備事業の概要として、目的、実施主体、事業内容及び補助内容を記載してございます。
九ページをごらん願います。保育所入所待機児童数の推移といたしまして、平成五年度から十四年度までの年齢別の待機児童数を記載してございます。
次に、一〇ページをお開き願います。支援費制度指定事業所数として、各サービス種別ごとの事業所数と法人種別の内訳を記載してございます。
一一ページをごらん願います。全身性障害者ホームヘルプサービスに関する国庫補助基準及び東京都の実績といたしまして、本年一月に示されました国庫補助基準案と東京都全身性障害者介護人派遣事業の平成十三年度実績を記載してございます。
次に、一二ページをお開き願います。心身障害者(児)ホームヘルプサービス事業の派遣実績として、派遣世帯数、総派遣回数、総派遣時間数及び一世帯当たり月平均利用時間を記載してございます。
一三ページをごらん願います。心身障害者(児)ホームヘルプサービスの利用者負担基準として、支援費制度と東京都の現行制度におけます利用者負担基準を記載してございます。
次に、一四ページをお開き願います。心身障害者施設緊急整備三カ年計画の実施状況として、平成十三年度から十五年度までの施設種別ごとの計画と実績を記載してございます。
最後になりますが、一五ページをごらん願います。介護保険施設、通所介護・通所リハビリテーションの定員及び要介護認定者数等に対する割合でございます。一五ページには、介護保険施設について、都道府県別の要介護認定者数、施設種別ごとの入所定員及び要介護認定者数に対する割合を記載してございます。
一六ページをお開き願います。通所介護・通所リハビリテーションについて、都内の要介護、要支援認定者数と、各サービスごとの利用定員及び要介護・要支援認定者数に対する割合を記載してございます。
以上、ご要求のございました資料につきまして説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○森田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
発言を願います。
○青木委員 近年、急速に進む高齢化社会を踏まえまして、東京都は平成七年三月に福祉的配慮のあるまちを実現するため、東京都福祉のまちづくり条例を制定いたしました。同条例は、ご案内のとおり、高齢者や障害者が自由に行動し、社会参加ができるように、円滑に利用できる、都内における施設の整備やサービスの向上を図ることを目的といたしております。そして、あわせて条例が対象とする施設は、駅舎、建物、道路、公園という非常に幅広い範囲に及んでおります。
その後の福祉を取り巻く環境の変化に対応するため、平成十二年にはこの条例の見直しを行い、地域に住み続けるために必要な取り組みとして、共同住宅のバリアフリー化などの指導などを新たに盛り込んでおります。また、子育て支援環境やオストメートに対する新たな項目も追加をして、平成十三年一月に施行されております。
また一方、国では平成十二年に、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用して移動することに対する利便性、安全性を図ることを目的といたしまして、公共交通機関並びに旅客施設及び旅客施設を中心とした一定の地域に交通バリア法も施行されております。こういった東京都の条例、それからまた国のこういった法整備によりまして、鉄道内の駅舎のエレベーターやエスカレーターの設置が進められているところだと思います。
また、歩行が困難な高齢者、障害者に対しましては、身近な、非常に重要な交通機関としての路線バスにはノンステップバス等の導入も図られておりまして、福祉のまちづくりというのが着実に進んでいるという感じはいたしております。
そこで、東京都福祉のまちづくり条例の目的を達成するために都が具体的な支援を行っている、こういったことに関連して何点か、最初に伺っておきたいと思います。
交通の結節点でもあります鉄道駅のバリアフリー化というのは、これは高齢者、身体障害者、また、けがをした人等も含めまして、すべての人が目的に合わせて自由に行動し、社会参加を容易にする意味で非常に重要なことだというふうに思います。
まず最初に、都内の駅舎のエレベーター等の設置状況というのはどうなっているか、また、これに対して東京都はどのような支援を行っているのかを伺っておきたいと思います。
○反町生活福祉部長 都内には、平成十三年度末現在、六百八十六の鉄道駅がございます。そのうち、エレベーター等が整備された駅は三百四十一駅となっております。
都は、平成八年度から鉄道駅エレベーター等整備事業を実施して、区市町村が事業者と共同してエレベーター等を整備する際に財政的な支援を行っております。
○青木委員 今のご答弁でいくと、駅舎が六百八十六で、そのうちエレベーターが設置されているところが三百四十一ですから、五割が設置が図られているということだというふうに思います。
私の住んでいる目黒区にも駅が八つほどございます。今まで幾つの駅にエレベーターが設置をされたのか、また今後の予定、伺っておきたいと思います。
○反町生活福祉部長 目黒区につきましては、区内八駅のうち、平成十三年度までに五駅にエレベーターが設置されており、さらに平成十四年度には、中目黒駅について整備を行ったところでございます。
なお、区内ではございませんが、多くの区民の方が利用していらっしゃいますJR目黒駅は、平成十四年度に整備を行い、間もなく供用開始予定となっております。また、世田谷区と目黒区にまたがっております池尻大橋駅につきましては、平成十五年度の事業化を目指して、地元区と事業者と検討を進めているところでございます。
今後も、事業者と連携しました地元区の取り組みにつきまして、都は必要な支援を行ってまいります。
○青木委員 私もよく目黒区内の各駅で朝、駅頭をやっていますから、そこから電車に乗って都庁に来ますので、各駅の状況、よくわかります。そういう点では、目黒区については鉄道事業者等多くの方の努力があって、バリアフリー化が非常に進んでいると思うんです。ただ、都内全域についていうと、まだまだ整備が五割ということでございますから、今後も、それぞれ区市町村に対して一段の支援を要望して、次の質疑に入りたいと思います。
今、私がお話し申し上げたエレベーターの設置ということでいうと、これはもちろん大事なことなんですが、あくまでもピンポイント、駅舎の点の整備ということになるわけですが、高齢者や障害者が安心して外出するためには、ピンポイントだけじゃなくて、やっぱり面の整備ということも非常に大事なことだと思います。
例えば、歩道の段差の解消ですとか、視覚障害者誘導用のブロックの設置、だれもが利用しやすいトイレ、また歩道の要所、要所にベンチを設置するというような、高齢者、それから障害者、子育てをする人たちへの配慮というのは、私は急がれる課題だというふうに思います。
そこで、だれもが生き生きと暮らすには、地域におけるバリアフリー化、面としてのバリアフリー化の取り組みが一層推進されなければならないと思います。
そこで、目黒区内の駅や駅周辺の、ピンポイントではなくて面としての取り組み状況というのはどういうふうになっているのか、これを次に伺っておきたいと思います。
○反町生活福祉部長 目黒区におきましては、区民のだれもが公共交通機関を利用して円滑に移動できるよう、区内鉄道駅周辺地区のバリアフリー化を促進し、交通バリアフリー法や東京都福祉のまちづくり条例を踏まえたまちづくりを具体的に進めるため、目黒区交通バリア推進基本構想の作成に取りかかっております。その中で、都立大学駅周辺、中目黒駅周辺、自由が丘駅周辺を重点整備地区として予定しております。
○青木委員 今、都立大学、自由が丘の話もありましたし、目黒区でも基本構想の策定を進めているわけですけれども、当然これは規模的にも、財政的にも非常に大変なことだと思います。これは区だけでは進めることが困難なことですから、福祉局、それから都市計画、道路を管理する建設局等の、東京都とそれぞれ市区町村、私のところでいえば目黒区ということになるんですが、連携して計画を進めていくことが大切であり、その際、東京都の助言ですとか支援が不可欠だというふうに思います。
そこで、こうした市区町村の取り組みに対して、東京都は具体的にどのような支援を行っているのか、これを次に伺っておきたいと思います。
○反町生活福祉部長 都は、平成十年度に福祉のまちづくり地域支援事業を開始いたしまして、都民、事業者、行政の協働による福祉のまちづくりを推進しております。同事業におきましては、福祉のまちづくりに関しまして、必要な町村についても補助の対象としており、区市町村の取り組みを支援しております。また、目黒区が取り組む基本構想の検討に当たりましては、都市計画局や福祉局を初め、都の関係者も出席し、必要な助言等を行っております。
○青木委員 そういった取り組みを私も歓迎いたしますけれども、どんな都市の整備においても、やはり一番大事なのは、それを利用する利用者、一番割合としては当然都民ということになるわけですが、そこで日常的な生活を営んでいる方々の意見が十分に反映されていく、そういうことを進めながらまちづくりをしていくということが非常に重要なことだと思います。
例えば、知的障害者についていえば、日常を自立、安心して生き生きと暮らせる生活を可能にするには、例えば生活寮への個別的な支援と並行して、社会参加という視点から、身近な地域のバリアフリー化を推進する必要があるかというふうに思います。高齢者や障害者を含めた、その利用者の意見を取り入れた整備を進めるために、東京都はどのような取り組みというか、行っているのか、これも伺っておきたいと思います。
○反町生活福祉部長 都は、地域住民等が福祉のまちづくりに積極的に参加できる仕組みを確立し、自由で安全、快適な生活環境の整備を、都民、事業者、行政の協働によって推進していくため、区市町村に福祉のまちづくり推進協議会等を設置するよう、助言、指導しております。
○青木委員 社会のあらゆる分野に福祉的な配慮の行き渡ったまちを築くためには、大事なことは、整備して終わるということではなく、常にフィードバックというか、利用者の視点が生かされていくということが大事なことだと思います。また、社会問題となって久しい放置自転車などは、これはどこの区でも、私ども目黒区も含めてそうですが、そこを歩く障害者の方や高齢者の方、利用される方にとっては非常に大きな問題で、こういうことが行われているということは、まだまだこういった福祉の視点というのが不十分な一つの証左だというふうに、私は残念ながら思っています。
このため、東京都は、都民の意識面のバリアフリー化というか、心の面のバリアフリー化というのも当然、あわせて積極的に私は推進していく必要があるというふうに思います。まちづくりというのは、私がお話をするまでもなく、ハードの面とソフトの面と両面にわたる不断の活動だというふうに理解もしておりますし、福祉のまちづくり条例の理念を実現するためには、行政の積極的な支援に加えて、住民や、それから事業者の役割についても十分な理解が得られるようにしていくなど、取り組むべき課題は山積をしていると思います。
そこで、心のバリアフリー化というか、意識のバリアフリー化、これはいうに簡単なんですが、なかなか難しい問題だと思いますが、これはどういうふうに醸成をされていくか、また意識の形成をされていくのか、このことをちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○反町生活福祉部長 理事お話しのように、住民や利用者等のバリアフリーに対する意識の醸成は極めて重要でございます。都におきましては、都民代表が参加する福祉のまちづくり推進協議会や事業者団体等連絡協議会などを設置して、意見や情報の交換を行うなど、福祉のまちづくりの普及、推進に努めております。
また、意識面におきますバリアを解消するため、区市町村と共同して、中学生等を対象とします心のバリアフリーハンドブックを作成するなど、ソフト面における取り組みも推進しております。
さらに今年度は、新たに福祉のまちづくりの趣旨を効果的、広範囲に伝達する目的で、福祉のまちづくりステッカーを公募により作成中でございます。それから福祉のまちづくりに顕著な功績のあった個人や団体の顕彰を予定するなど、都民、事業者、行政の協働による普及、推進に努めております。
今後とも、こうした取り組みを強化いたしまして、意識面におけるバリアフリー化を推進してまいります。
○青木委員 ありがとうございました。
駅周辺などは、先ほど部長からもお話が出た自由が丘などは非常に権利関係が複雑で、国だったり、都だったり、区だったり、また、民間のいろいろな権利関係が非常に入り組んだ地域です。都市はほとんどそういう状況だと思います。そういった中で、市区町村の基本構想づくりというのは大変な困難が私はあると思いますけれども、こういった市区町村への支援を都は積極的に行っているということですが、今後とも、特に交通の結節点でございます駅のバリアフリー化を進めるとともに、これは法律では区市町村の役割となっているわけですが、トータル的な、一つは面的なバリアフリー化に向けて一層の支援をお願いをしたいと思います。
そしてまた、段差解消や点字ブロックの設置を初めとしたハードな面のバリアフリー化が進んでも、例えば、今いった点字ブロックにかぶさるように自転車がとまっている、駐輪している、また放置自転車が置かれているというようなことで、多くの皆さん、障害者の方含めて、人が歩くことが非常に困難な状態の歩道もたくさんございます。そこに暮らしている皆さんには、障害者やお年寄り、また、子どもを連れた親御さんなどに対する理解と配慮を持っていただくということがなければ、すべての人々が生き生きと暮らせる社会の実現というのは非常に困難だというふうに思います。
ぜひ、ハードな面だけではなくて、ソフトな面でのバリアフリー化についても積極的に東京都は取り組んでいただくことを要望して、私の質疑を終わります。
○東村委員 それでは初めに、福祉予算全般について何点か質問したいと思います。
福祉予算というのは、確かに前年比の伸びを比較するという場合が多いんですけれども、むしろ私は、毎年ふえたり減ったりしている都税収入の中で、福祉予算がどれだけ全体の予算の中で割合を占めているか、これが非常に大事であるということを、実は今回、予算委員会でいろんな方のやりとりを聞いていまして、福祉局長の答弁を聞いて、大変に明快になってきたんじゃないかと思っているわけでございます。
その中で、革新都政といわれた美濃部都政の最後の時代には、六・四%の構成割合を持っていた。鈴木都政で四年間で六・四%、さらに青島都政で四年間で八・一%になった。私も、これは非常に努力をしている成果だと思うんですが、石原知事の時代に、四年間で九・二%まで構成割合が上がっているわけなんです。こういう現実を考えたときに、いろんな意味で、都税収入というものと、この福祉の予算を確保する問題というのは相関関係ですから、お金が幾らでも無限大にあるわけじゃないんですから、そういう限られた都税収入の中でどれだけの福祉予算を確保していくかというのが、非常に大事な視点だと思っているわけです。そういう中、やっぱり福祉局は相当努力をしていると私は思います。
今回、平成十五年度の都税収入が三兆九千億円ということです。過去の予算の中で三兆九千億円の都税収入の時代はあったのか。もしあったのであれば、その時代を教えていただきたいということと、そのときにどれだけの福祉予算を確保していたのか、こういうことについてまず教えていただきたいと思います。
○内海企画担当部長 お話しの、平成十五年度予算案に見込んでいる都税収入は、細かく申し上げますと、三兆九千八十六億円でございます。過去の予算において、都税収入がほぼ同額でございましたのは、昭和六十二年度の最終補正後の予算、三兆九千五十七億円でございます。昭和六十二年度でございますが、そのときの福祉局予算額は二千九百七十二億円でございます。
○東村委員 平成十五年度の今回の福祉予算が五千二百八十三億円、そして平成十五年度の都税収入三兆九千億円とほぼ同額の予算が昭和六十二年度にあったと。このときの福祉の予算が二千九百七十二億円。これ、単純に比較してみますと、平成十五年度は昭和六十二年度の約一・八倍の--その同じ都税収入の中にあって、今回の平成十五年度は、福祉予算は一・八倍も確保している。私はこのような実態を考えたときに、福祉局、努力をしているんだなということをしみじみと感じたわけでございます。
ただ、この予算委員会でもおっしゃっていたんですけど、日本共産党さんは、東京の福祉予算が、福祉が後退していると決まり文句のようにいわれて、中には石原都政は逆立ち都政であると、このようなことをいろんなところでいい続けられているんです。この前、テレビの放映の中でもこういわれていたことを見ました。皆さんは知っているからいいんでしょうけれども、やっぱり知らない人が聞くと、石原都政は逆立ち都政なのか、福祉が後退しているのかということを思われても仕方ないような気がするんです。ただ実態を調べると、先ほどいいましたように、同じ都税収入の中であっても、努力をして、福祉予算を一・八倍も確保しているという、こういう実態をだれも知らないわけなんです。そういった意味で私は、本当に努力をして、必要なところに財政を投入して、福祉局は頑張ってきているんだなということを、しみじみと、総額ですけれども、全体のデータを調べる中で感じたわけです。
そこで、このようなことをずっと福祉局は--特に福祉局が一番ターゲットになったわけなんですけれども、福祉が後退をしているということで。福祉が後退をしているといわれ続けて、逆立ち都政の原因のみたいなことをいわれているわけなんですけれども、福祉局の局長として、福祉を担当する局長として、いわれ続けて、これだけ努力をして、どのように感じているのか、まず冒頭に述べてもらいたいと思います。
○川崎福祉局長 福祉局はこれまでも、時代、時代に応じた都民の福祉ニーズに的確に対応すべく、必要な施策に全力を挙げて展開をしてきているところでございます。そして現在は、真に利用者本位の福祉をということで、我々、全員で全力で取り組んでいるところであるわけでございます。
福祉というのは、都民生活の中においても大変重要な課題でございます。都民の生活に直結する、そして生活の中でも生命、安全という面で、都民の安心を確保するという面でも、いろんな都政の中の分野がございますけれども、最も重要な分野の一つであると、私は認識しております。
したがって、予算においても、本当に必要な福祉ニーズに対応するための予算が、その時々によって十分に確保されてきている、これからも多分、確保されるだろうというふうに認識をしております。
○東村委員 今、その時々のさまざまな情勢、そして、予算の中で確保すべき予算は確保していくという答弁がありました。まさに、福祉のニーズも時代によって変わりつつあるわけです。その中において、限られた都税収入の中で、本当に困っている人を助けていくのが東京都の福祉局の使命だと私は思っていますし、これからも努力をしてもらいたいと思っています。
その上で、今回、本委員会に対して、用賀技能開発学院の廃止を内容とする条例改正の提案、及び大森、吉祥寺両老人ホームに関し、都立養護老人ホームの民間移譲等についてとする報告が先日なされたところでございます。
そこで、何点かお聞きしたいわけですが、このうち用賀技能開発学院は、少ないとはいえ、現在でも入所者がいらっしゃることから、現在の入所者の廃止後の処遇については、その家族を含めて、決して不安を持たれないようにして、これから対処していくべきじゃないのかと、こういうことを改めてまず都に要請をしておきたいと思います。その上で、大森、吉祥寺の両養護老人ホームの民間移譲について何点かお伺いします。
まず、前回の厚生委員会でも、私は簡単に大森、吉祥寺の両老人ホームに触れました。そのときに、福祉局も何点か説明をしていただきました。その上で、今回は改めて、それぞれの施設がどのような運営状況になっているのか、また、何か運営自体に問題があるのか、この点について伺いたいと思います。
○中島参事 吉祥寺、大森両老人ホームは、板橋老人ホームの分散改築の一環として整備されたものでございまして、両ホームとも開設以来、社会福祉法人に運営を委託しているところでございます。
なお、吉祥寺老人ホームは武蔵野市の特別養護老人ホームと、また、大森老人ホームは大田区の福祉施設等及び都営住宅との合築施設でございます。両ホームとも全室個室でございまして、洋室、和室、車いす対応タイプなどに分かれておりまして、利用者の身体状況でありますとか、生活習慣に配慮した施設となってございます。四季を通じまして、さまざまな行事や各種のクラブ活動などを行っており、管理運営委託施設としては、特段問題なく運営していただいているというふうに認識してございます。
○東村委員 両ホームとも福祉施設との合築施設だということなんですけど、ついでにお聞きしたいんですが、これについては、それぞれ大森、吉祥寺ですから、区と担当の市というのはそれぞれ理解を示しているのかどうか、まず聞きたいと思います。
○中島参事 地元自治体の理解ということでございますが、区市に対しましては、民間移譲等の趣旨、内容等を説明し、基本的に理解を得ているところでございまして、現在、施設の共用部分の扱いなど実務的な課題の検討につきまして、実務的に協議を進めさせていただいているところでございます。
○東村委員 現状についてはよくわかりました。
そこで、私、さっき問題ないのかという話をしたんですけれども、今、お話を聞いていると、特に現状の委託施設でも問題なく運営されている、こういうお話でした。そうなると、その上で、なぜあえて民間移譲するんだという声が出てくるわけなんですけれども、実際に民間移譲することによって、やはりプラスにならなければ、あえてここで民間移譲する意味がないわけなんですね。ただ、そういう打ち出しをするからやるんだじゃなくて、プラスにならなきゃ--利用者にとって、こういう点が改善される、だから民間移譲するんだということをやっぱり打ち出していく必要があるわけです。また、さらに具体的な方式として、両施設はどういう形でこれから民間移譲していくのか、あわせて伺いたいと思います。
○中島参事 民間移譲を行うことによりまして、従前の管理委託によります委託契約上の仕様でありますとか基準等の制約が外れることになり、施設を運営する社会福祉法人の創意工夫でありますとか自主性が発揮でき、そのノウハウを生かした特色ある利用者サービスが期待できるものと考えてございます。
具体的には、予算執行でありますとか職員配置などの面で、法人独自の判断や裁量の幅が広がり、利用者の状況でありますとか、そのときのニーズによりまして、弾力的かつ迅速な対応が可能となるということで、利用者サービスの一層の改善を図ることができるものと考えてございます。
また、民間移譲の方式ということでございますが、都の財産である施設を社会福祉法人に貸し付け、貸し付けを受けた法人がみずから養護老人ホームの設置者となって運営するという方式を予定してございます。
○東村委員 それをちょっとお聞きしたいんですけど、今、施設を社会福祉法人に貸し付けし、運営していく方式という話がありました。これは有償ですか、無償ですか。
○中島参事 無償ということで検討していきたいと思っております。
○東村委員 無償で貸し付けをしてくれるということなんですが、民間移譲になって、どういう点が本当によくなるのか。今までがちがちに管理されていて、予算はこれしか使っちゃいけないよという、なかなか裁量の幅がなくて弾力的運用ができなかった。ところが、入っている人というのは、人によってまちまちな状況にあるわけなんですね。したがって、弾力的に、予算だって裁量を持ってやっていかなきゃいけない部分が結構あるわけなんです。そういうところは、これから民間移譲になれば、独自の判断でできるんじゃないか。こういうことを考えると、やはりその辺のことも踏まえてしっかりとやってもらいたいなということを考えるわけなんです。
さて、昨年九月の第三回定例会の厚生委員会で、民間法人委託の大森、吉祥寺両老人ホームは、現在委託している法人にそのまま移譲するんですかということを私はお聞きしました。そのときに、移譲等の運営法人の選定に当たっては、利用者サービスや施設運営の健全性、効率性の観点から適正に行われることが求められると。さらに、大森、吉祥寺両老人ホームの運営の選定に当たっても、このような視点から最も適切な法人を選定していく、こういう答弁をしていただきました。
そこで、改めてきょうお聞きしたいんですけれども、この両施設は現行の委託法人に移譲することになるのかどうか。また、前回委員会の説明では、公募により適切な法人を選定すると、こういうことをおっしゃっていましたけれども、どのような移譲法人の選定方法を考えているのか、これについてお伺いしたいと思います。
○中島参事 運営法人につきましては、適切な法人を公募により選定していくことといたしております。また、その際、応募した法人には利用者サービスや職員の育成策等の計画を提案していただき、公平性、公正性を確保する観点から審査基準を定めまして、事業主体としての適格性や事業計画の妥当性などにつきまして、有識者を入れた選定委員会で審査し、選定していく予定でございます。
○東村委員 今、公平性、公正性の観点から、さまざま有識者も入れて選定をしていくという話がありました。都立の施設を移譲していくんですから、当然、公平性や透明性が求められるというのは当たり前のことだと思うんです。したがって、恐らく複数の法人によって公募選定になるということが非常に可能性が高い、そうでなければ、むしろいけないのかなとも思います。そこで、新たな移譲先法人に現在の運営法人が移るということがあるかもしれない、こういうことが起こり得るということは、恐らく可能性としてあるわけなんです。
そこで伺いたいんですが、民間移譲は、移譲したその法人にずっと永久的に無償で貸し付けをして運営をお願いするのか、それとも、ある程度期間を区切って、その中で契約をして行っていくのか、この辺のことについてどう考えているのか、まずお聞きしたいということと、もう一つは、今回公募で選定された法人というのが、次回も引き続いてずっと選ばれ続けることになるのか、それとも毎回毎回、契約期間が来たら、そのたびに公募によって法人が入れかわっていくのか、この辺についてお聞きしたいと思います。
○中島参事 法人に施設を貸し付ける期間は、都の規則等に照らしまして五年間を予定してございます。最初に民間移譲等を実施する際には、運営形態が非常に大きな変更であるということがありまして、法人の選定に当たりましては、公平性の確保等の観点から公募を実施することが必要であろうと考えております。
なお、次回以降の更新時における取り扱いにつきましては、法人の五年間の施設運営の実績にもよりますが、利用者へのサービスの継続性、安定性を考慮し、継続して運営させることも可能かどうか、今後検討していきたいと考えております。
○東村委員 非常に今、大事なことをおっしゃったんですね。次回以降の更新時については、継続して運営が可能かどうか検討をしていくということなんです。可能かどうか検討していくということは、不可能な場合だってあるということなんですよね。その不可能な場合というのはどういう場合なんですか、想定される場合としては。
○中島参事 先ほど申しましたことと関連いたしますが、五年間の法人の運営実績等を踏まえて、やはり改めて公募する必要があろうということが判断されれば、そういったこともあり得るかなというふうに思っております。
○東村委員 非常に通り一遍のわかりにくい説明なんですけど、要は、五年間やっていて、その法人が不適切だという場合だって出てくるということですか、どうなんでしょうか。
○中島参事 そういうことを前提としているわけではございませんが、その時点で、五年間の法人の運営実績等を改めて評価させていただくということになろうかということでございます。
○東村委員 私、民間移譲のいいところでもあるし、悪いところでもあると思うんですけれども、実際運営していて、さまざまな問題が起きてきた、その時点で変えなきゃいけないという部分については、その期間内で変える必要は当然あるんですけれども、どうしてもそこで変わらない場合については、やはり改めて選定し直すということもあり得るんじゃないかと思うんです。
逆に私は、継続運営が可能かどうか判断していくということですから、法人が変更になるというデメリットとして--利用者というのはずっと一緒なわけです、そこに一回入った利用者というのはなかなか出ないわけです。その人たちにとって、ああ、五年間なれた、ようやくそのサービスにもなれてきた、じゃあ、またこれから、自分たちもこういう対応をしていけばいいんだ、こういう選択もしていけばいいんだという、そういう思いでやっていけるんですけれども、そこですぽんとある日突然、法人が変えられてしまった。その法人が適切かどうかというのは、恐らく審議会か何かできちっと選ばれるんでしょうけれども、実際受けている人にとって、法人が変わるということは非常に不安なわけなんです。
今回、恐らく民間移譲になる問題についても、民間移譲になることが不安だというよりも、法人が変わってしまうんじゃないかという不安な部分、どうなるんだろう、サービスはどうなるんだろうと、そういうことで不安を覚えている人がたくさんいると思うんです。
そういった意味で、やはりここは担保してほしいなと思うんですけれども、いろんな意味で利用者が不安にならないように、そして不利益をこうむらないように、サービスの継続性というものを、これからきちっと民間移譲していく中で確保してもらいたい、担保してもらいたい、このように切に望むんですけど、どうでしょうか。
○中島参事 今回、公募により最も適切な法人を選定していくこととしてございますけれども、その結果、仮に法人が変わったといたしましても、今、ご指摘のように、利用者の方々や家族の皆様に不安や動揺を与えることのないよう、サービスの継続性、安定性に配慮して、引き継ぎなどの準備期間を十分に確保するなど、円滑な移行に努めてまいりたいと思っております。
○東村委員 仮に変わったとしても、不安や動揺を与えないように、サービスの継続性、安定性に配慮して--結局は引き継ぎなんですよね、引き継ぎでやらざるを得ないんですけれども、私は基本的に、法人が変わってサービスの継続性を担保するということはかなり厳しいんじゃないか、しんどいんじゃないかなと。東京都は一生懸命やろうとされているんで、水を差して悪いんですけれども、かなりこの問題は厳しいんじゃないかなということを思うんです。
そこで、民間移譲に当たって大事なことは、都がこういう方向で持っていくということも大事なんですけれども、やっぱり一番大事なのは、そこを利用している人の声、そして、利用者と一緒にこの問題について取り組んでいる家族の声、これをやっぱりじっくり聞いてもらいたいなと思うんです。それを聞いた上で、都がサービスの継続をしていくということに取り組んでもらいたいと思うんです。
以前、板橋や東村山老人ホーム、私、この問題についても伺ったんです。そのときに、これまで十分説明しており、不安の声はないという答弁をいただいたんです。そういう声を聞かれたので、私はそれを信じているんですけれども、ぜひとも、この大森、吉祥寺両老人ホームについても、そのような声を聞いてもらいたいと思います。現実、そのような声は起きていないのか、まずお聞きしたいと思いますし、また移譲に当たって、今後、利用者や家族に不安を与えないように東京都はどのように対応していくのかということについて、お伺いをしたいと思います。
○中島参事 昨年七月の福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてを策定、発表いたしました後、大森老人ホームにつきましては八月五日に、また吉祥寺老人ホームにつきましては十一月六日に、いずれも利用者全員の方々を対象に、改めて民間移譲等の説明をさせていただきました。その際、これまでの支援内容を維持してほしい旨の要望等もあり、これまで以上に努力していくということを申し上げますとともに、利用者の方々の一層のご理解を求めたところでございます。
今後とも、節目に応じまして全体説明会等を開催するとともに、個別相談の機会を設けるなど、きめ細かな対応をやりまして、利用者、家族の方々に対し、不安を与えることのないようにしてまいりたいと思っております。
○東村委員 今、利用者に不安を持たれないように、きめ細かく相談をして、きちっとその声を反映していくという話をされていましたけれども、大事なことだと思うんです。こういう改革をしていく、こういう方向性を出していくということとともに、そこを使っている人、そしてその家族の声を聞いて、双方から意見を出し合って新たな仕組みづくりをしていくということは大事なことだと思うんです。それがないから、不安にあおられて、いろんなところからぼんぼん声が上がってくるわけなんです。やはり事前に、先に東京都が手を打って、きちっと声を聞いていけば、そういう声だって出てこないわけなんです。そうやってつくっていくのが一番いいわけですから、そういうことをぜひともこれから取り組んでもらいたいということとともに、私、最後に一つだけ、これは強く申し上げたいんです。
都立の福祉施設の改革によって、施設の民間移譲ということが今進められているんですけれども、私はいろんな施設を、今回の問題が起きてから見てまいりました。特に、先日亡くなった曽雌委員とともに結構回らせていただきました。その中で一番感じたのは、施設によって、例えば重度の施設、特に医療ケアをしている重度の施設、これは民間移譲するのはかなり厳しいんじゃないかということを率直に感じています。民間移譲することも大事なんですけれども、いわゆる重度の医療ケアの必要な施設については、民間移譲は厳しいだろうなということを、私はいろんな意味で、民間移譲という部分で、いろんな視点から見ましたけれども、その上でも、やはり重度の医療ケアがついている施設については厳しいんじゃないかと思っております。もう一度、こういう施設について、東京都はよく現状を見ていただいて、ぜひともこういう施設は都で最後まで行ってもらいたい。ここは、やはり最後の東京都のとりでなんじゃないかということを強く感じました。
したがって、このことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○吉田委員 私は、障害者分野での支援費制度への移行の問題と、この三月三十一日で廃止されかねない老人福祉手当の問題について質疑をさせていただきます。
その前に、今、石原都政の福祉の四年間の評価及び予算の評価について、我が党の見解に絡んだご発言がありました。これは予算特別委員会でも議論をし、かつ締めくくりの質疑の場もありますし、私、その場で質疑を予定しておりますから、全面的な議論はその場でさせていただく予定ですから、どうぞよろしくお願いします。
ただ、この場でいわせていただきますが、私どもは、やはり木村幹事長の発言でも強調しましたけれども、他の分野以上に福祉の分野というのは、率で伸ばしたかどうかということではなくて、実額でどれだけ伸ばしたかどうかということが、一番鋭く福祉施策の前進か後退かという問題では問われる局であり、分野だというふうに思うんです。それで、石原都政の四年間で見た場合には、福祉費の予算はほぼ三百三十億円の減額となっている。これは、さまざまな理由があるかと思いますけれども、現実に福祉施策の後退によって、こうした金額が示されているのではないのかというのが、私どもが指摘をした点であります。
実額で見るべきであるということの一つの例を申し上げれば、一番わかりやすい例は、高齢者の介護保険です。これは財務局の資料でも示されておりますけれども、一般的に、高齢者人口が増加すれば必要経費が増大せざるを得ないというのは、いつの時代もそうです。したがって、国の社会保障予算も、さまざまな切り捨て、削減はありますけれども、トータルとして見れば、毎年、社会保障予算というのは伸ばされているのが現実です。介護保険の予算も、これは平成十二年度からですけれども、例えば、無条件で仕組みとして八分の一負担などの制度で執行しなければならない予算額は、きょう詳しい資料を持ってきませんでしたけれども、たしか十二年度が四百億円台だと思うんです。それが、来年度は六百億円台まで上がっているわけです。三年間で、介護保険の制度の仕組み上でどうしても出さなきゃならないお金だけで二百億円の増なんです。そのときに、逆にトータルでもし三百億余の減があるとすれば、じゃ、一体どこを削ってそれだけの減をつくったのかという問題が具体的に示されるわけです。
しかも、個々の当事者の方は個々の分野としてしかわかりませんけれども、トータルで東京の福祉関係者の多くの見方は、まず経済給付的な事業というのは、そのやり方、段階的な経過措置、その他ありますけれども、基本的には軒並み削減と。社会福祉法人に対しては、公私格差是正事業を廃止してサービス推進費に転換して、これだけでも何十億もの削減です。都立施設で見れば、直営方式から事業団委託をして、これだけでもまた相当金額の削減です。それをさらに、今度は人件費補助を廃止する、あるいは都立施設については廃止ないし移譲をするという方向まで出ているわけです。
もちろん、努力をしていることもありますよ。それは、努力をしている分野なり一定の予算が増加している分野もありますけれども、トータルとして見たら、やはり金額的にも施策的にも、私どもは後退だというふうに判断せざるを得ないし、かかわっている当事者の皆さんは、それに違和感を持つようなことはないんじゃないのかなと。
しかも、東京都の施策の基本方針そのものは、たしか東京構想二〇〇〇が出されて、我々見て、改めて非常に衝撃を受けましたけれども、そのときに示された福祉施策の基本姿勢というものは、自助、共助が基本なんです。公助は一番最後に来て、かつ、それは小さい政府で対応するんだという図式が書いてありましたよ。そういう方向、できる限り福祉施策の直接的なサービス提供やそういう分野は、なるべく公的には撤退していこうという方向が東京都の基本方針として出され、かつ、財政再建推進プランでは経常経費の見直しということで、五億円を超える事業についてはもう聖域なく見直していこうと。
で、現実にその見直しがされてきたというのが、この間の経過だったんじゃないかなというのが、この問題でちょっと一言だけいわせていただきますけれども、改めて、具体的な議論については石原知事のいる場で大いに議論したいと思いますから、ぜひその節はまたよろしくお願いいたします。(「答弁要らないの」と呼ぶ者あり)いいです。予算特別委員会でやりますから。
具体的な問題について入らせていただきますが、最初に、障害者分野の支援費の実施の問題についてであります。
障害者施策は四月から、これまでの措置制度から支援費、すなわち利用者は事業者を直接選んで契約をし、行政は支援するというような仕組みに移行しています。私たちは支援費制度そのものについては、やはり行政責任の後退になりかねないという立場で、国会では反対いたしました。そうはいっても、現実に進められようとしているわけですから、現行の福祉水準の後退は許さないという立場から、私はこの都議会の場でも何度か質問をし、また、昨年の第四回定例会では文書質問も出させていただきました。
きょうは、私が出した文書質問で回答も得られていますが、その後で変化、発展もあるようですから、その上に立って質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、上限の設定問題です。これはことし、春、年が明けてにわかに浮上した問題であります。厚生労働省がホームヘルプサービスの利用時間に上限を設けようという意思を持っていることが明らかになり、障害者団体からすれば、障害者福祉の大後退、逆行だと。しかも、支援費制度の自立支援という公約にも反するじゃないかということで、大きな問題になりました。厚生労働省は、その後、個人の上限を定めるものではないという説明をいたしましたが、今後も完全にこの問題が解決されたわけではないと思います。
とりわけ東京都の場合には、きょう、資料も出ていますが、例えば全身性の場合には、国は基準額百二十五時間ですが、都の実績は百六十二時間ということですから、東京がこれまで積み重ねてきた実績を本当に保障するという点では、やはり制限があってはならないし、現場での後退があってはならないと。
それで質問させていただきますけれども、厚生労働省の現時点での見解によれば、かなり不明確な点が残されております。例えば基準を超えた分は、これまでの実績で調整交付金で補うということは示されているようです。しかし、疑問なのは、じゃあ、これから新たに対象となる障害者の方々がふえていった場合には、そういう新規の増加分についても、これまでの実績水準で調整交付金が交付されるのか。二つ目に、経過措置という言葉がいわれていますが、これは何年かの経過措置であって、その後はどうなるのかという点では、どのように福祉局としては認識しているんでしょうか。
○有留障害福祉部長 新規の対象者の取り扱いについてでございますけれども、国は、国庫補助金への基準導入につきましては、本年一月二十八日の支援費制度担当課長会議において正式に示されたものでございます。しかし、その後、国は新規の対象者の取り扱いなど、補助金の具体的な算定方法については明らかにしていないのが現状でございます。都としては、今後とも補助金の適切な運用が図られるよう国と協議を継続してまいりたいと考えております。
さらに、経過措置ということでございますが、国においては、経過措置について具体的にいつまでというような形での期間の明示はしておりません。先生ご指摘のように、基準交付金と調整交付金で当面対応しますということでございますが、さらに、この四月以降に補助基準の見直し等を検討するために設置する検討会というのがございます。その中で、基準のあり方等を、障害者団体あるいは区市町村などを交えて検討するというように聞いております。
都といたしましては、東京都の実情を適正に反映した基準となるよう、この検討会に対しても強く働きかけ、財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○吉田委員 今の説明によると、やはり新規の対象者にまでこれが拡大をされて、交付金が出されるか否かということは、いまだに不明であると。しかも、経過期間については、いつまでかが定かではありませんが、いずれにしても恒久的な制度ではなくて一定期間であるということは、ほぼ類推できると思うんです。
したがって、今もご答弁ありましたけれども、いずれにしても、現場で、現行のこれまでの水準が後退を余儀なくされる、こういうことがあっては絶対いけないと思いますし、やはり重要な問題として引き続き国に対して大いに働きかけると同時に、東京都としても、区市町村でそうした後退が起きないように努力をしていくべきだと思うんですが、改めてご答弁をお願いします。
○有留障害福祉部長 東京都といたしましては、いち早く国に抗議して、具体的な提案をしながら協議を重ねて、今回の実績でやりますというような形での決着について、建設的な協議を重ねてまいりました。
今後とも、先ほど申し上げましたけれども、検討会が開かれるということでございますので、東京都の実情、実績を確保できるような形での基準のあり方、あるいは財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
○吉田委員 次に、支援費の対象となる施設への補助、具体的にサービス推進費の取り扱いの問題ですけれども、私は文書質問で、約五十カ所の施設からのアンケートの結果に基づいて、利用者サービスを後退させないためには、やはりサービス推進費を継続的に進めていく必要があると。確かに、制度が変わるから一定の仕組みは変えなきゃならないかもしれませんが、少なくとも目前の来年度は、拙速な見直しは避けて現行水準を確保すべきだということを質問の中で行いました。その時点での答弁は、あくまでも関係者との話し合いを踏まえて適切に対応するというものだったんですけれども、これは現時点ではどういうふうになっているんでしょうか。
○有留障害福祉部長 本会議質問におきまして福祉局長がお答えしましたとおり、平成十五年度の障害者施設の補助につきましては、経過的な取り扱いといたしまして、現行の運営費に配慮したものとするということにしております。
○吉田委員 その現行の運営費に配慮をしたという文言についてなんですが、具体的には各施設の、もう四月、待ったなし、直前なんです。施設からすれば、定かでないと非常に設計上困るわけですけれども、具体的に、各施設の今年度の運営費が維持される方向で検討準備がされているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○有留障害福祉部長 その運営費でございますが、これまでは措置費とサービス費ということで施設が運営されてきたわけでございます。ただ、措置費が支援費制度に変わりますが、それに際しまして、施設規模などにおいて若干の増減がございます。これについては、国の方が激変緩和措置として、就労地域生活資金支援対策事業交付金というのを設けてありまして、激変緩和をすることとしております。したがって、ベースについてはほとんど変わりがないということでございます。
一方、平成十五年度の障害者施設への都の補助につきましては、現行の運営費に配慮した経過措置的な取り扱いということといたします。このため、全体の施設運営費については大きな変動はないと見ており、施設運営に支障が生じることはないというふうに考えております。
○吉田委員 続いて利用者負担の問題についてです。
私、文書質問では、支援費への移行に当たって利用者負担の増加を招かないようにというような立場から、具体的には、ホームヘルプサービスに対して都独自の軽減策を継続すること、新たに利用料が設定されるショートステイ、デイサービスについても負担軽減を図ることを求めて質問いたしました。
文書質問に対する答弁は、ホームヘルプは負担軽減について今後検討していきますというふうにご答弁がされ、その後、本会議答弁でその具体的な結論が示されましたけれども、きょう改めて、幸い委員会資料で一三ページですか、都の現行の所得階層ごとの料金と支援費制度の料金が示されていますけれども、国基準の利用料金制のどの部分までを都独自に無料というふうにするのか。それは今まで八割が無料だといわれてきたわけですが、それで何割程度が無料になるというふうに推測されているのか、ご答弁をお願いいたします。
○有留障害福祉部長 恐縮でございます、厚生委員会資料一三ページをお開きいただきたいと思います。下段の表が東京都の現行制度でございます。その第Ⅰ階層、所得基準額三百四万五千円以下の方を現在、都は独自に無料としております。一方、上の表が支援費制度になります。上から見て、AからD3階層まで、すなわち所得税十四万円以下の方を引き続き無料とするものでございます。私どもの試算によりますと、平成十三年度実績をもとに試算した場合、現行制度では全世帯の約八三%、支援費制度実施後を試算してみたんですが、約八四%が無料になると試算しております。
○吉田委員 非常にすばらしい努力だというふうに私は思います。できることならば、ショートやデイについてもやはり負担は抑制していただきたいと。(「共産党が褒めた」と呼ぶ者あり)褒める分野もあると。
次に、基盤整備の問題についてです。
支援費制度の実施に当たって解決すべきさまざまな問題がありますけれども、その大きな一つが、サービス基盤の整備の問題です。我が党は支援費制度実施に当たって、都下全区市町村に対してアンケート調査を実施いたしました。そこで出された共通の要望は、やはり施設整備に対する支援を強化してほしいということでありました。
また、「きょうされん」という団体が、都内の施設の整備状況について各種別に調査をいたしました。これは私の文書質問でも紹介しましたけれども、例えば知的のデイを実施している自治体は九自治体、身体のショートを実施している自治体は十八自治体、これは一例ですけれども、こういう全体も低いし、かつ地域的なアンバランスも非常に残されている。
それだけに、都として、このサービス基盤、施設整備に対する本格的な強化ということが求められていると思うんですが、福祉局としてはどういうふうにこの問題に臨もうとしているんでしょうか。
○有留障害福祉部長 都は、支援費制度を真に利用者本位のものとするため、障害者地域生活支援緊急三カ年プランを策定いたしまして、知的障害者生活寮などについて、例えば三カ年で三百八カ所、二千八百五十人分の増を図るなど、地域のサービス基盤の充実を図っております。
これらに基づきまして、例えば、設置者負担が通常は四分の一のところを八分の一に軽減するという特別助成などを行います。さらに、生活寮に対する運営費の補助など、施策の充実もあわせて行っております。このような新三カ年プランを強力に推進することによって、支援費制度の理念である選択と自己決定という理念を早く、この東京で実現してまいりたいというふうに考えております。
○吉田委員 新しい三カ年計画を進めていくんだと。それではこれまで以上の厚い支援策をとるんだというご説明なんですけれども、ただ、いわゆる平成十三年度から十五年の現時点まで継続している緊急三カ年がとられたわけですよね。しかし、区市町村の当事者にこの問題を聞いてみたら、突然出されて、しかもたった三カ年だったから、これに対応して区市町村の計画をつくれといっても、まず用地の確保から、それを整備する、運営する当事者を選定するのから、東京都の現三カ年計画に対応せよといわれても、到底無理だという声が寄せられました。
それで、今回の新三カ年も心配なのは、新三カ年というのが適切ないい方かどうかわかりませんが、今回の三カ年計画策定に当たっては、具体的な区市町村の担当者の方々の声や要望というものが反映されているのかなというのが第一点の質問なんです。
もう一つ、これは文書質問でも要望させていただきましたが、やはり明確な年次計画をもってこれを進めていくということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○有留障害福祉部長 一点目のご質問でございますが、各区市町村の要望を踏まえたのかというようなご指摘でございますが、当然ながら、私ども日常的にあらゆる場で区市町村の課長会、あるいは個別事案につきまして、さまざまな段階で区市町村の職員の方々の声を聞く場、あるいは障害者団体の声を聞く場を持っております。そういう場を通じて、いわゆる区市町村等のご要望については十分踏まえて、この計画を策定したところでございます。
次に、年次計画ということでございますが、三カ年プランということで平成十五年度が初年度になるわけですが、平成十五年度の計画につきましては、今回予算化してお示ししたところでございます。計画全体の詳細につきましては、今後明らかにしてまいります。
○吉田委員 この問題の最後に、施設整備をめぐって、先ほどもいいましたけれども、区市町村からの要望が多かったんですが、その中身は、その中でもやはり用地の確保なんですね。今、地域、地域ということが非常に強調されておりますけれども、なかなか東京のような、特に区部のような場合は、地域の中で、たとえ小規模であっても一定の施設を整備するというのは非常に困難な問題だったと思うんです。どうしても安易な方向に、八王子の方もいらっしゃいますけれども、多摩地域に依存するという傾向に走らざるを得なかったという面があったと思うんです。ですから、本当に地域ということに根差した福祉ということを強調するからには、区部における用地確保問題にどう取り組むのかということなしに、地域での福祉の充実というものは現実的にはやはり困難だと思うんです。
要望の中では、用地確保、とりわけ国有地や都有地については無償は無理だという声はありますけれども、当事者の区市町村の担当者の声は、やっぱり無償貸与を何とか東京都の努力でやってもらえないのかということでありました。これは福祉局だけじゃなくて財務局も含めて、こういう問題については大いに検討して、これまで以上の抜本的な努力をしない限り、地域での福祉の充実ということはあり得ないんだというふうに私は思います。これは意見として述べさせていただいて、この支援費の問題については終わらせていただきます。
続きまして、老人福祉手当について質疑をさせていただきます。
前提としては、私たちはできる限り寝たきりや介護の状態はつくらないと。介護予防や寝たきり予防の施策を強化する。さらに、もし一定の身体介護を必要とするような障害が起きても、できる限り訓練その他で回復を目指してもらうし、それを支援するという施策を本格的に強めていくということが私は求められていると思うんです。そういう立場で質問してきたつもりです。
同時に、やはりどうしても介護を必要とする状態になれば、安心して、収入の大小にかかわらず介護サービスが保障できるという状況をつくっていくということも、当然の自治体としての責務だと思うのです。そういう点で、老人福祉手当は寝たきり高齢者とその介護を支援、激励するものとして、大きな役割を果たしてきたことはいうまでもありません。とりわけ低所得者の方々にとってみれば、在宅の介護生活にとって、いわば欠かせない役割を果たしてきました。しかし、二〇〇〇年以降、新規の供給は廃止をされて、かつ、これまで受けていた人も段階的に手当額が削減をされ、ことし四月から廃止されようとしています。
三年前、この廃止の問題の可否を、私も厚生委員でしたから議論をいたしました。福祉局は、まず廃止の理由として、こういうことをいったんです。介護保険制度では、そもそも併給が禁止されていると、介護保険の法的に。したがって、老人福祉手当は出せませんというのが当時の第一の理由でした。私はこの問題について、厚生労働省まで行って確認をしたところ、法的にはそうではないと。東京都の判断で経済給付、介護支援の手当を出すことはできるんだということでありました。
もう一つ、これがきょう議論したいわけですが、法律論ではなくて、介護保険によって介護サービスが拡充されるから、サービスを受けることができるようになるんだから、手当は要らないんではないかというものでした。
しかし、私はそうした主張に対して、これまでは、例えば低所得者の方々は、介護保険以前は八割程度がたしかホームヘルプサービス利用者は無料でした。しかし、介護保険は応益、利益によって負担をする、能力によってではなくて、サービスをどれだけ受けたかによって負担をするという根本的な制度変更に変わったと思うんです。したがって、どんなに所得の低い方であっても、基本的には、受けたサービスの量に応じて利用料なりを払わなければならない。それだったら、逆に経済支援が必要ないのではなくて、経済支援がなければ、とりわけ低所得者の方々は、これまでのサービスを受けることができなくなる危険性があるではないかという問題提起をいたしました。
それで、そのときも二百人程度の方々の実態調査をもとに質疑をさせてもらいました。それから三年が経過をしたんですけれども、私は、最近の調査でも、また各種の統計でも、やはり低所得の方々を見た場合に、介護保険制度によって重い負担が強いられる、したがって、必要なサービスも抑える、ないしはその介護費用を負担するために逆に家計の支出を押さえ込む、そういう事態が起きているというふうに認識していますけれども、福祉局としては、この三年間の現実の経過を見て、こうした私が指摘をしたような事態は起きていないと断言できるでしょうか。また、どういうふうに認識しているでしょうか。
○野村保険部長 まず第一点目の、低所得の方が利用できないではないかということでございますけれども、現在の介護保険制度につきましては、これは介護保険料、それから利用料の面におきまして、さまざまな手厚い配慮がされております。一つ例を申し上げますと、例えば保険料でございますけれども、原則五段階で所得階層別になっております。それと、さらに六段階制を設定して、低所得の配慮をさらに厚くできるということもございまして、現に十五年度におきましては、十五の自治体がそれを導入する予定でおります。
それから、さらに利用料でございますけれども、利用料につきましても、これは高額介護サービス費を設定いたしまして、低所得の方につきましては、高所得の方に対しているよりも手厚い配慮をしておりますし、それから国の特別対策、都の特別対策も実施しておりまして、こうしたことで十分配慮をしているというふうに考えております。
ちなみに、三年間の利用実績はどうかというお尋ねでございますので申し上げますと、基本的にはサービス事業者等も当然ふえておりまして、特に、現在問題になっております例えば老人福祉手当ですね、受給者層となります要介護三以上の方についての三年間の実績、数字を申し上げますと、訪問介護につきましては平成十二年十月と平成十四年十月、二年間の比で申し上げますと、伸び率で三一・七%、それから通所介護につきましては、同じく要介護三以上の方につきましては三三・八%の増、短期入所生活介護につきましては五九・六%の増というようになっておりまして、基本的には介護保険制度の充実に伴いまして対応できていると考えております。
○吉田委員 今のご説明は、介護サービスの総量が伸びているというご説明だと思うんです。所得の低い方々の場合では、今までホームヘルパーは無料でした。たとえ上限額が新たに設定されたといっても、その上限額はたしか二万五千円程度ですよね。ですから、介護が重い方の場合には、その程度のものを払わなきゃならなくなるわけです。そのために、介護サービスを本来ならば一〇〇利用できる介護度にあるんだけれども、それを四〇とか五〇とか三〇とか、抑圧せざるを得ない。ないしは、そうはいっても、もうどうしてもサービスを受けなきゃだめだから、その分、収入が変わらないわけですから、無料で受けていた分が例えば二万数千円払わなきゃならないとなれば、家計の支出を二万数千円減らすということになるわけじゃないですか。そういう事態が起きているんじゃないですかと。そうじゃないというなら、私がいった部分に関して何ら後退はないということを証明する資料を示してください。
○野村保険部長 まず第一点目ですけれども、高額介護サービス費の上限でございますが、現在は、一般の世帯の方については三万七千二百円、それから世帯全員が住民税非課税の場合が二万四千六百円、それから、老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税または生活保護受給の場合については、一万五千円となっております。
それと第二点でございますけれども、これはちょっと直接当たらないかと思いますが、国の方の調査で、要するに利用料が重いためにサービスを控えているんではないかと。そうしたことがあってはならないということで、国がした調査がございます。平成十四年一月に厚生労働省が行った調査によりますと、利用者負担が払えないから、要介護認定を受けながらもサービスを利用しないという人は三%にとどまっておりまして、多くは、家族介護でやっていけるからというのが五九%、それから自分でできるからという方が三六%というふうになっておりまして、この結果を見ましても、そうした今のお話のようなことはないと考えております。
○吉田委員 東京都における、あなた方が問題ないという根拠を示してください。
○野村保険部長 私どもは直接の調査をしておりませんが、この調査は厚生労働省が全国的に七十七保険者を対象にして行ったものでございまして、全国的な傾向としては東京も変わりはないだろうというように考えております。
○吉田委員 結局、東京都民に関して私が具体的にいった、低所得層でどういう事態が起きているかという調査結果は持っていないんですね。低所得層ですよ、一般的な利用料の問題じゃなくて。
○野村保険部長 私どもは直接の調査はしておりませんが、先ほど申し上げましたとおり、介護保険料についても低く設定している、それから利用料についてもさまざまな施策をやっておりまして、例えば、国の方の制度を拡充しましてサービスを九種類ふやす、それから、国の方の制度では社会福祉法人と区市町村のみとなっておりますものを、全事業者を対象にした制度に拡充するなどというふうにしておりまして、低所得の方についても十分対応していると思っております。
○吉田委員 対応している、対応しているといいますけれども、私が指摘したような矛盾や現実が生まれていませんかと。あなた方、生まれていないというなら、それを証明する資料を出しなさいといってるんですけど、それは資料がないわけですね。
それで、予算特別委員会のときに私たちは、これはことしの一月に財務省印刷局が政府刊行物として発刊いたしました、介護保険導入後の介護費用と家計というレポートです。私も一生懸命調べて、確かに、なかなかないのは事実なんです。皆さん方はそれだけの組織があるんだから、本当は調べることができるんですよ。このデータについて、予算特別委員会では--なぜこれを取り出したかといいますと、これは全国調査じゃなくて、中野区と協力をして、中野区の高齢者夫婦について調べた調査結果なんです。これは、ごらんになりましたか。
○野村保険部長 存じております。
○吉田委員 存じていれば、詳しいことは割愛しますけれども、この中では、要点だけいえば、世帯月収が二十五万以下の場合には家族介護が四二・九%、要するに他の場合と違って、どうしても所得の低い方ほど家族介護が多いという結論を下しているんです。もう一つ、そうはいっても、所得が低くても、どうしても介護は抑制できないケースがあるわけです。それで、平均で見れば、介護費用という場合には、利用料だけじゃなくて医療費を含めて計算していますから、もろもろの介護にかかる費用を合わせて、平均三万六千十八円の介護費用を捻出していると。そのために、予算特別委員会でも紹介しましたが、介護費用以外の消費支出は、全国で調査をした高齢者世帯の消費支出に比べて五三・九%、消費支出を半分減らしているんですという結論を出しているんです。
こういう事実が、政府刊行物で、かつ、民間といっても財団法人家計経済研究所という信頼性の高い公的な調査機関のレポートです。それも全国じゃなくて東京都中野区ですよ。個々の事例を挙げれば、本当に悲惨な話はいっぱいあるんですけれども、公的にもまとまった形でこういう事実が示されているじゃありませんか。やっぱり低所得の部分に関していえば、介護サービスを我慢するか、どうしても必要な介護サービスのために家計を抑圧するか、消費を抑制するか、そういう傾向が生まれているじゃないですか。どう思うんですか、このことを。
○野村保険部長 財団法人家計経済研究所の調査でございますけれども、今、委員もお話しになりましたけれども、この三万六千十八円の中には、寝具衣類関係四千二百八十六円、排せつ関係千百四十六円、医療関係一万六百三十四円、その他の介護用品二千八百六十六円、介護福祉サービス関係一万三千九百二円、その他の介護費用三千百八十二円、合計で三万六千十八円となっておりまして、純粋に介護だけではないというふうに理解しております。
それから、ちなみに、消費支出の話が今ございましたんで、消費支出をご参考までに、これは全国消費実態調査を十一年度にやったものがございますので申し上げますと、六十五歳以上の夫婦のみの世帯の場合には、平均収入月額は三十九万三千三百三十三円、それから保険医療は一万三千三十一円というような支出でございまして、必ずしも高齢者全体が低いということはないというふうに思っております。
○吉田委員 それはいろいろ解釈するのはご自由ですけれども、少なくともこのレポートの中心的結論は、やはり所得の一定以下の層では、確実に介護サービスの抑制ないしは消費支出の抑制という傾向が出ているという結論です。これを覆す資料がありますか、これ以外の資料で。ないでしょう。しかも、この場合、二十五万以下で今いった金額をいっているんですが、月々世帯月収二十五万以下というのは、年間で計算すれば三百万以下ですよね。高齢者のみ世帯で、三百万以下の収入というのはどのぐらいの比率ですか。
○野村保険部長 私どもの局の出しております高齢者の生活実態調査、平成十二年版でございますけれども、これによりますと、高齢者全体で申し上げますと、百万未満の世帯が二五・三%、百万から二百万未満の世帯が二一・五%、二百万から三百万未満の世帯が一八・八%というふうになっております。(「ちょっと合計してくれない」と呼ぶ者あり)合計すると、四六・八に一八・八足しますので、六五ぐらいになるかと思いますけれども。
○吉田委員 もちろん、だから個々いろんな方々がいらっしゃいますけど、トータルで見た場合には、これだけの層の方を対象とした金額で見た場合に、先ほどのような結果が示されているんです。
さらにお聞きしますけれども、年金受給額についてなんですが、国民年金受給額、都民の平均受給額、年額でも月額でもいいですけど、どの程度ですか。(「掛け金も一緒にいってほしいな」と呼ぶ者あり)
○野村保険部長 ちなみに厚生年金を申し上げますと、平成十二年度では月額十二万一千二百円、国民年金は五万八千九百円となっております。掛け金は、かなり額を掛けておりますので、それに見合う額は当然ありますので、保険制度というのは、自分が掛けた額を年をとってもらうというのが原則でございますので、それなりの応分の負担はしているかというふうに思います。
ちなみに今、フローの議論がされておりますけれども、ストックの、いわゆる貯蓄がどの程度あるかということも、資料を若干ご説明したいと思います。
総務省の統計局の家計調査でございますけれども、平成十四年一月期から六月期まで申し上げますと、六十歳以上の方の貯蓄が、平均しますと二千三百四十七万、それから七十歳以上が二千五百七十九万、それから無職世帯の六十歳以上が二千三百五十九万というふうになっておりまして、かなりストックは多いものがあろうかと思っております。
○吉田委員 ストック論についても、部長はそういいましたけど、この中にちゃんと書いてあるんです。預金が二百万以下の場合はどうなのかということで、先ほど平均でいいましたけれども、トータルで見れば金額は上がるかもしれませんけれども、低所得層のストックたるや、本当に今いった金額とは全く乖離しているのが現実です。
いずれにしても、皆さん方は三年前も問題ないと述べました。それはその時点でそう判断したわけですけれども、現実にこうしたデータもあり、先ほど政府のデータといいますけれども、内閣府が発表した資料では、一定の低所得層の場合には、介護保険前と比べて利用サービスが十割ダウンしたという結論だって、全国調査としてあるんですよ、それは全国調査だからいわなかったんですけれども。やはり現実の三年経過した推移に立って、私は老福手当の廃止問題というのを再検討、見直すというのは当然のことだというふうに思います。
さらに、それだけではなくて強調したいのは、これからますます老福手当の必要性というものは私は増していくと思うんです。なぜなら、例えば介護費用と同時に医療費用の負担という問題があるわけです。ご承知のとおり、昨年十月から高齢者の医療費は増大いたしました。また、介護保険の保険料だけではなくて、利用料負担なども増大する可能性があります。さらに、受ける年金の受給額は、戦後初めて来年度から削減するわけでしょう。そういう意味では、いや、施策が充実しているから大丈夫ですよというならまだしも、今、私が承知しているのは、負担はふえる、収入は減少するというマイナス要因だけです。いや、そんなことはないということがあるんなら、いってください。
○野村保険部長 私どもはいろいろなケースが、お話しのケース、あろうかと思います。ただ、行政がやる場合については、やはり基本的に全体のトータルでどうかという問題と、それで設計をしまして、なおかつそこから漏れる方々につきまして、例えば低所得対策をどうする、こうするという細かい施策を構築しておりますので、そうしたことで十分対応していると理解しております。
○吉田委員 だから、具体的に私は今、負担という点では医療費の負担が上がりましたと。さらに、ホームヘルプなどの利用料負担でいえば、低所得で従前受けていた人は三%に軽減されていましたよね。来年四月から、今のままいったら六%です。新規の人は六%条項じゃなくて、あくまでも一〇%です。しかも、単価がもちろん上がっている。さらに年金の受給額は削られる。そういう要素からすれば、ますますこうした一定所得以下の方々にとって矛盾は集中するわけです。それは事実でしょう。事実じゃないですか、私のいったことが。
○野村保険部長 ただいま医療費のお話がございましたので、ちなみに医療費で申し上げます。平成十四年に大きな改正がございましたので、平成十四年を境としまして、平成十四年三月から九月期と、平成十四年十月、十一月で医療費がどういうふうに変わったかということで申し上げますと、老人医療、国の制度でございますけれども、これは受診回数は以前三・四八回あったものが三・二五回と、〇・二三回減少いたしました。老人医療費助成制度でございますけれども、これにつきましては受診回数が二・五六回から二・四九回に減少いたしましたが、定率制で計算いたしますと、定率が、従前は千三百六十円だったのが千三百八十円と二十円ふえますけれども、従来の定額制で計算しますと、従来は定額制で二千百八十円であったものが、現在では、平均すると千三百八十円ということでマイナスとなっておりまして、医療費につきましても、一概に上がったとかいうことはないと考えております。
○吉田委員 在宅の医療費は一番矛盾が集中しているんです。これ、たまたまきょう見た「週刊朝日」の最新号ですけど、親の介護に幾らかかるか。自己負担額月額二十五万円という例が出ておりますけれども、これは深刻な問題なんです。もちろん、私は老人福祉手当だけでこういう問題に対応すべきだというふうにはいいません。トータルの施策が必要なんです。国の責任もあるんです。しかし、現実にそれが十分でないときに、あえて今までやってきた老人福祉手当を必要がなくなったという判断は、違うでしょうということをいいたいわけです。(「それは共産党の判断だからいいよ」と呼ぶ者あり)別に共産党の判断だけじゃなくて、きょうは江戸川区選出の方はいらっしゃいませんけれども、江戸川区は二万五千円ですよ、独自の介護手当が。なぜ二万五千円かといえば、先ほど上限額二万何千円というのがありましたよね、世帯非課税の場合の自己負担額が。これをカバーできるという思いがやはりあるんですよ、これを出せば。すばらしいことじゃないですか、自治体の判断として。
練馬区の方はいらっしゃいますけれども、練馬区はもっと高かったんです。しかし、最終的にどうなるかわかりませんが、区長の方針としては一万五千円と。一万三千七百円の今の東京都の額より上ですよね。それは、やはり区単独ででも今後継続していきたいという判断をしているわけです。だから継続という判断は、自治体の判断として当然選択し得るものだと思うんです。
やはり多くの方々が廃止に不安を持って、署名活動に取り組んで、きょう、知事のところにたしか一万名の署名を届けられたというふうに聞いていますけれども、多くの方々が、ぜひ老人福祉手当は廃止しないでほしいという声が署名に託されております。そういう意味からも、私は、やはり老人福祉手当の廃止は見直して継続すべきだということを述べて、質疑を終わらせていただきます。
○山口委員 介護保険制度が、いよいよ四月には第二期の事業計画に入ります。平成十五年度の介護報酬の見直し案が、社会保障審議会からも答申されました。居宅介護支援事業については、生活者ネットワークでは、マネジメントの実態を踏まえた報酬改定を提案してきました。そういう中で、介護支援専門員の介護報酬が一七%引き上げられました。いわゆる介護支援専門員が利用者につくるケアプランの良否が、高齢者の生活の質を左右されているといわれますが、今回の介護報酬改定の特色、また都としての評価について伺います。
○野村保険部長 今回の介護報酬の改定のうち居宅介護支援、いわゆるケアマネジメントについての特色は四点ほどございまして、一つは、これまでは要介護度別に分かれておりました報酬単価を月額八百五十単位に一本化したこと、第二に、四種類以上の居宅サービスを盛り込んだケアプランを作成した場合には加算する仕組みを導入したこと、三点目には、利用者宅への定期的な訪問などの一定の要件を満たさない場合には、所定の単位数の七〇%に減算する仕組みを導入したこと、四点目としましては、一単位の単価に地域差を導入したことなどが主な特色となっております。
今回の改定は、昨年七月に都から国に緊急提案要求した内容が反映されておりまして、ケアマネジメントをより充実させる方向にあるというふうに私どもは評価をしております。
○山口委員 地域加算など、都から国への介護報酬についての要望が実現したことは評価をしますが、月に一律一件当たり八百五十単位となったものの、この報酬水準では、仕事の内容とか責務からいっても、まだまだ十分であるとはいえないと思います。特に、サービス提供事業者から独立した居宅介護支援事業者が経営できるかどうかが疑問です。
東京都介護支援専門員研究協議会が最近まとめた調査によると、ほぼ八割の介護支援専門員が、サービス事業者から独立して活動すべきであると考える実態が明らかになっています。十五年度の予算案には残念ながら計上されませんでしたが、改めて独立型居宅介護支援事業所についての認識を伺います。
○野村保険部長 居宅介護支援事業所の実態は、居宅介護支援事業及び介護支援専門員業務の実態に関する調査報告書によりますと、サービス提供事業者に併設されている事例が圧倒的に多く、単独型は四・三%にすぎないといわれております。東京都としては、事業者の競い合いとサービス推進の向上を進めるためにも、サービス事業者から独立した居宅介護支援事業所がふえることは大変意義のあることだと考えております。
○山口委員 今後、予算上の措置はされてはいませんけれども、創意工夫をされまして、この独立型の居宅介護支援事業所の検討をぜひ進めていただきたいと思います。
一方、都の国保連が公表している調査によれば、介護支援専門員の作成するケアプランなどについて不満を抱いている利用者も多く、このため、都は介護支援専門員会議で、ケアプランの作成技術を高め、介護支援専門員の質的な向上を図るケアプラン指導チームを検討されているとの新聞報道がありました。この事業の概要及び十五年度における事業展開について伺います。
○野村保険部長 介護支援専門員が作成いたしますケアプランの質の向上を図るため、介護支援専門員支援会議等で検討し、新たにケアプラン指導チーム制度を導入することになりました。事業の内容といたしましては、区市町村ごとにケアマネジメントリーダーが中心になりまして、ケアプランの評価等を行うことにより、介護支援専門員の技術向上や医師、保健師などとの共同体制の構築を図るというものでございます。
平成十五年度におきましては、ケアプラン評価手法の開発などについて都が支援を行いまして、七カ所程度の区市町村でモデル事業を実施する予定でございます。
○山口委員 ケアプラン指導チームにおいても、ケアマネジメントリーダーの働きが非常に重要であると理解できましたけれども、本年度初めて行われた都のケアマネジメントリーダーの研修の内容、及び十五年度についてどのように実施されるつもりなのか伺います。
国ではケアマネジメントリーダーの研修を三日間で行ったのが、都は地域特性のある研修を実施したと聞いていますが、今年度の都の研修の状況と来年度の予定について伺います。
○野村保険部長 今年度はケアマネジメントリーダーを要請する国の研修に二十名、また都の研修に六十名が参加をいたしました。都の養成研修は、リーダーの役割や業務に関する実践的な講義及び演習など、国の定めますカリキュラムに沿って三日間の全体研修を行った後に、都内を十地域に分けまして、それぞれの地域の抱える固有の問題につきまして検討するため、一日の事後研修を行いました。
平成十五年度につきましては、そうした研修のほかに、四半期ごとに国及び都の研修受講者を集めまして、相談援助技術などのさらなる向上のためにフォローアップ研修を行う予定となっております。
○山口委員 ケアマネジメントリーダーの地域での活動をいかに都が支援していくかが、介護支援専門員制度の発展ために重要なことであると思いますので、強く要望しておきます。
また、リーダーが地域で研修会のテキストとして用いたり、介護支援専門員になられて間もない人のために、都は業務マニュアルを作成中とのことですが、この業務マニュアルの目的とするところや概要について伺います。
○野村保険部長 現在作成中の介護支援専門員に対します業務マニュアルは、介護支援専門員がその業務について再確認し、居宅介護支援業務の質的向上を図るための手引として初心者向けに作成するものでございまして、研修会等で積極的に活用されることをねらいとしております。
具体的な内容といたしましては、利用者からの相談に始まる介護支援専門員の業務の流れ全体に沿ったポイントを具体的に説明するとともに、介護保険制度を運営していく上で不可欠な制度上の知識を盛り込むなど、居宅介護支援サービスの向上を図るものとなっております。
○山口委員 介護支援専門員は、介護保険上のサービスだけではなく、保険外のサービスを活用しながら高齢者の生活全体を考えていく専門家であり、業務の広範さのために多忙な日常生活を送っています。現在都が検討している業務マニュアルが活用され、介護支援専門員の業務の効率化に役立つようになればと思い、期待しております。
次に、これも介護保険が始まりまして、制度に位置づき、大変大きく伸びております痴呆性高齢者グループホームについて伺います。
都内で今、五十八カ所、利用者は七百三人ということですが、全体を見ますと、まだまだ数は足りないかと思いますが、この痴呆性高齢者グループホームの対象者はどの程度の人なのか伺います。
○福田高齢者部長 痴呆性高齢者グループホームは、利用者がそれぞれの役割を持って、家庭的な環境のもとで日常生活を送るものでありまして、共同生活を送ることに支障がある著しい精神症状や、あるいは行動異常がある者は対象から除かれます。こういったことから、一般的には軽度から中程度の痴呆性高齢者が対象と考えられております。
○山口委員 では、実際に入っている人の要介護度別の状況について伺います。
○福田高齢者部長 平成十四年七月現在での調査結果でございます。平成十四年七月現在では、全体五百三十四人となっておりますが、その中で、要介護一が百四十二人で約二七%、要介護二が百九十九人で約三七%、要介護三が百五十四人で約三〇%、要介護四が二十八人で約五%、要介護五が十一人で約二%となっておりまして、やはり要介護一、二で過半数を占めているといった状態でございます。
○山口委員 痴呆性高齢者グループホームの職員の体制等から、入所者が重度化した場合、特別養護老人ホームなどへ入らざるを得ないのではないかと考えられますが、退去者の状況についてわかりましたら、お示しいただきたいと思います。
○福田高齢者部長 平成十三年七月から平成十四年六月までの一年間のグループホーム退去者九十五人を調べましたところ、主な退去理由としまして、重度化で対応できないとした数が二十九人で約三〇%、長期入院のため退所が十七人で約一八%、死亡が十一人で約一二%となっておりまして、退去者の約六割が、重度化または身体状況の悪化によって退所したものと考えられます。
○山口委員 その退去先はどのようになっているのでしょうか。
○福田高齢者部長 主な退所先でございますが、医療機関が三十人で約三二%、特別養護老人ホームが十六人で約一七%、自宅が十五人で約一六%、老人保健施設が十四人で約一五%となっております。
○山口委員 せっかく地域で、比較的自分の地域で暮らし続けることができるということで、グループホームに入られ、家庭的な生活が営めるようになっても、心身の状況が悪化すれば、また施設に入ることになるのでは、東京都が目指しています施設入所から在宅へという、さらに利用者本位のサービスといった観点からも問題があるのではないでしょうか。グループホームがついの住みかとなるよう、都としても検討すべきではないでしょうか。
○福田高齢者部長 グループホームのターミナルケアの可能性につきましては、国はかかりつけ医や訪問看護ステーションとの連携のあり方、他の入居者に与える影響、関連する諸制度、諸条件について検証する予定であるというふうに聞いております。
都としましても、このような国の調査に加えまして、地域のさまざまな社会資源との連携、あるいは人材の育成、確保策、また、果たして重度化に本当に対応できるのかどうか、対応のあり方などについて、今後、調査検討を行っていきたいと考えております。
○山口委員 確かに終末までというのは、今の状況では大変厳しい面があるかと思うんですけど、やはり痴呆性高齢者の方にとって、状況が悪くなって、またさらに別のところに移るということは、かえって痴呆の度合いを強めてしまうというような結果にもなりますので、ぜひその辺は、重度化が進んだから、すぐに出なければならないというようなことが避けられるよう、都でも検討していただきたいと思います。
さて、福祉サービスの質の向上ですけれども、大変これは重要な点なんですが、そのために第三者による評価サービスの実施を行っています。これをきちっと位置づけていくことと、また、その結果を公表していくことが大事だと思います。痴呆性の高齢者グループホームは、今年度からこの評価事業の実施が義務づけられていますけれども、他の事業所では医師に任されているのが実情です。来年度から、三十五の福祉サービスを対象に第三者評価を本格実施することにしていますが、特にNPOや小規模の事業所にとり、評価費用は大きな負担となり、受けることができないのではないかと思っています。福祉サービスの第三者評価を普及、定着させていくためには、東京都として何らかの支援を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○内海企画担当部長 第三者サービス評価は、本来的に事業者がみずから提供するサービスの向上のために自主的に行っていくべきものでございます。そのため、評価に要する費用は、本来的に事業者が負担すべきものと考えてございます。しかしながら、福祉サービスに関するわかりやすい情報を知りたい、みずからサービスを選択する際に比較可能な情報を得たい、また、今受けているサービスの水準を知りたいなど、サービスの内容や質などの客観的な情報を知りたいという都民ニーズにこたえていくためには、一日も早く第三者評価システムの普及、定着を図る必要がございます。
福祉サービスの第三者評価は、都民が安心してサービスを選択し、利用できるための情報を提供する点で、都が進める福祉改革のかなめともいうべきものでございます。この仕組みを普及、定着させることは都の責務でもございます。
こうしたことから、来年度からの本格実施に当たりまして、第三者評価を積極的に受けようという先進的な事業者に対しまして、その費用の一部を支援することといたしてございます。
○山口委員 第三者評価の普及、定着を図るためには、一年間の支援では十分に図れるとは思えませんので、来年度の実施状況を踏まえ、改めて検討をお願いしたいと思います。
では次に、本委員会に付託されました城北福祉センター条例を廃止する条例について、幾つかの確認をさせていただきます。
今の日本経済は停滞期にあり、昨年十二月の完全失業率は〇・二ポイント上昇して五・五%と、平成十三年十二月、十四年十月と並んで史上最悪の状況となっています。完全失業者数は三百三十一万人で、前年同月に比べ六万人減少はしたものの、平成十四年の完全失業率は五%台の高水準で推移するとともに、就業者数も一年を通じて前年同月を下回り、平成十三年四月以降、二十一カ月連続の減少となっています。
今回の廃止提案は、既に平成十二年度末、都政改革ビジョンⅠで示されたものでありますが、こうした厳しい労働情勢の中、かつての高度成長期には日本経済を牽引する労働力の供給がなされた山谷地域においては、もはやその面影もなく、高齢化した住民には、より一層不況の波が追い打ちをかけています。切実な状況は、この十数年の間に城北福祉センターに寄せられた相談件数の急増にもあらわれており、平成十一年度には十三万八千件に上っています。
城北福祉センターの廃止に伴い、これまで行ってきた相談業務等の窓口事業はどのように引き継がれ、かつ充実していくのか伺います。
○廣田山谷対策担当部長 城北福祉センターは、山谷地域の労働者に対し生活相談等の事業を行っておりますが、今回の一体化により、現にセンターで実施している事業は、財団法人山谷労働センターを改組した、これは仮称でございますが、財団法人城北労働福祉センターで引き続き実施いたします。一体化後は、福祉と労働を一体的に行う総合相談体制が構築され、情報の一元化を基礎に、相談者の実情に応じた自立の支援につながるきめ細かな相談が行われるものと考えております。
○山口委員 財団法人山谷労働センターとして一本化していくといいますけれども、都の直轄として継続する必要がある事業はないのでしょうか。
○廣田山谷対策担当部長 一体化後の財団法人は、基本的に城北福祉センターの事業を継続実施いたしますが、地元区を初めとする多くの関係機関との調整等が必要な越年越冬対策事業や、ゴールデンウイーク対策事業等は都が実施する事業といたしております。
○山口委員 都の組織の見直しによるセンターの廃止なのですから、財団化しても関係局や地元区、支援団体と緊密に連携し、支援を必要とする人に適切な対応がとられるよう、引き続き事業の充実に責任を持っていただきたいと考えます。
これまで、都は山谷地域の地元区である荒川、台東両区とはどのような連携協力を行ってきたのか、改めて伺います。
○廣田山谷対策担当部長 東京都は、知事を本部長といたします山谷対策本部会議に台東区長、荒川区長の参画を得るなど、地元区と緊密な連携を図ってまいりました。こうした連携のもとに、具体的には、越年越冬対策事業や道路清掃など環境整備事業、緊急入院が必要な者への福祉事務所等との連携による迅速な対応などを行ってまいりました。これからも、地元区と連携を図りながら対策の充実に努めてまいります。
○山口委員 山谷地域に居住または移動する都民については、高齢化とともに複数の病気を抱えて労働につくことが困難になるなど、緊急かつ適切な対応をしなければ生死にかかわる場合が数多く、実際に、ことしのように雪も多く、寒さの厳しい季節には、凍りつく路上で餓死、凍死される方が出ています。今後とも、個々の状況に応じて継続した生活支援を行っていくことが必要であり、一人一人の人命、生存権にかかわる課題に真摯に向き合っていただきたいと思います。
こうした観点から、財団化に伴い、これまでにない柔軟な対応が期待されるところですが、どのようにお考えでしょうか。
○廣田山谷対策担当部長 城北福祉センターは昭和四十年に開設されて以来、約四十年が経過しております。山谷地域の日雇い労働者を取り巻く状況は、ご指摘のとおり、高齢化が進み、失業が常態化するなど大きく変化しております。財団化は、山谷地域の変化に適切に対応し、迅速かつ多様な事業展開など、効果的、効率的な事業運営を目指して行うものでございます。
○山口委員 運営の効率化も結構ですが、ぜひ、財団として事業を一体化したことによる成果として、福祉と労働の両面からの真に必要とされる支援を十分にしていってください。
近年、ホームレス対策と並んで、山谷地域ではNPO団体などの市民活動の活躍による成果が上がっています。折しも都では協働の推進指針を策定し、昨年三月には社会貢献活動団体との協働マニュアルをつくり、各局に対してNPO等との取り組みを促進しているところです。平成十二年の山谷対策の今後のあり方についてにも指摘されているように、東京都の協働の推進指針も参考にしつつ、今後、NPO等市民活動との連携、支援体制の構築が必要ではないでしょうか。
○廣田山谷対策担当部長 山谷地域におきましては、自立のための生活訓練や健康管理など、NPOやボランティア団体がそれぞれ特色を生かした活動をしております。城北福祉センターでは、情報交換を目的といたしましたボランティア連絡会や敬老会の開催などを行っております。一体化後の財団は、より柔軟な運営ができることから、地域住民との交流、文化活動の活性化、日常生活における健康づくりなど、さまざな連携協力がより活発に行われるよう、都としても財団に働きかけてまいります。
○山口委員 現場で直接対応に当たる職員の方々には、さまざまなご苦労があることとお察しします。が、山谷地域が抱える課題は、私たちが歩んできた現代日本の経済発展と停滞がもたらしたものであり、都市生活特有の問題が凝縮しています。最近では、協会関係者の長年の努力により、他県農家への援農作業を経験し、労働の意欲、生きる意欲を回復したり、またNPOがヘルパー資格を取得するよう生活の自立を促すなどの、応急援護に頼らない支給活動が注目されています。
先ほどお答えいただいたように、財団が他団体とも連携し、継続した生活支援や就労支援に柔軟に取り組んでいくよう、都としても責任を持っていただくことを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○佐藤委員 二点ほど関連でお伺いしたいんですが、一点は、今、山口委員がお話しになったように、痴呆性のグループホームの問題で、去年、何かスリーユニット以上はもう補助金を国は出さぬというような話になってきて、ツーユニットを基本にこれから考えていくような形になっていくのかなとは思うんですが、正直いって、ツーユニットだとそろばんが合わないと、みんないうんですよね。国の方は、スリーユニットになると目が行き届かないからサービスが低下すると、こういう趣旨で通達が来ているようでありますが、これから東京都は痴呆性のグループホームの問題について、建設はもちろん急がなきゃいかぬ問題の一つであろうと思いますけれども、そろばんが合わないものをつくれ、つくれというわけにいかないだろうし、かといってサービスが悪いものをつくれというわけにもいかないだろうし、その辺の兼ね合いをどうとっていかれるのか。
○福田高齢者部長 最近ですけれども、今、佐藤先生のお話しになったようなことが国で発表されまして、まだ余り期日がたっていないんでございますけれども、我々もその内容について、プラスマイナスといいますか、長所短所を目下検討しているところでございます。
先生がご指摘になりましたように、東京都としましては、目下グループホームの整備に非常に精力的に力を入れているところでございますが、やはり経営の安定化ということを考えますと、人件費等も高い東京ですと、ツーユニットだとちょっと大変だという話は聞いております。やはりスリーユニット、すなわち利用者でいうと二十七人程度いた方が経営は安定化するというような問題がございます。
一方、国が指摘しているような、そういったきめ細かなサービスというものが、果たしてスリーユニットだと本当に足らなくなるのかどうか、必ずしもそうでもないんじゃないかというような面もあるかと思いますので、その辺のところ、できるだけ早急に各部とも意見等まとめまして、国に必要な要望等はやっていきたいと思っております。
○佐藤委員 それはよろしくひとつお願いをしたいし、早急に都としての方針を決めていただきたいと思っております。
それから、もう一点だけ。今、山谷の話が出ていたので、資料を見ていたんですが、四ページ、五ページを見ますと、緊急一時保護センターと自立支援センターの利用状況が出ているわけですけれども、退所状況、退所理由がともに(3)にあるわけですが、期間満了とかその他というのが多過ぎるんじゃないか。期間満了というのは、結局三カ月終わったから出ていったよと。その後、どうしているのだということが知りたいのが一点。
それから、自立支援センターの方では、自立困難、それから規則違反二つ合わせますと四百七十八人ですね。千九百四十八人のうち、四百七十八人が自立困難、規則違反ということで退所する、その他が四百四十五人。これ、合わせると九百人、半分ぐらいが退所した後、どうなっているかわからないんですね。これは把握されているのかどうか、その二点伺います。
○菅原連絡調整担当部長 資料の四ページと五ページをお開きいただきたいと思います。委員ご指摘のように退所後の状況、これがどうなっているかということなんですけれども、基本的には生活保護、あるいは入院であるとか、また路上に戻るとか、そういったことがございます。現実問題といたしまして、約半数の方は就職しておりますけれども、あとの半数の方につきましては、長期入院であるとか、生活保護にかかっているとか、そのほか、そのうちの半分はまた路上に戻るというような状況がございますので、我々といたしましては路上に戻らない、そういった対策を今後とっていきたいというふうに考えております。
○森田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時十五分休憩
午後三時二十八分開議
○森田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○柿沢委員 私も、介護保険の制度がちょうど区切りの節目を迎えますので、それに関連して一点、ご質問申し上げたいと思っております。これは、私の素朴なある種の疑問から端を発したことでありますので、もしかすると、ばかなことをいっているなというふうに聞こえるかもしれませんけれども、お許しを願いたいと思っています。
介護老人保健施設のことについて、ちょっとお伺いしたいと思っております。聞くところによると、きょうの資料にも出ておりますけれども、東京都内の介護老人保健施設の設置率というのは全国で最低の割合になっているそうでありまして、入所定員が一万七百一人と、この一五ページに書いてありますけれども、要介護認定者数に対して四・四%ということで、設置率としては全国で最も低いレベルになってしまっている。そういう意味では、老人保健施設の絶対数が足りない、もっと設置が必要だということは確かなようでございます。
ただし、私も最近、この厚生行政というのにかかわりを持ち始めて、さまざまなことを見聞きすることを通じて感じるんですけれども、一体、老人保健施設というのは役割がどこにあるのか。例えば、特別養護老人ホーム、あるいは療養型病床群といったものとどこに違いがあるのかというのがよくわからないというか、だんだんよくわからなくなってきているんじゃないかという気がするんですね。
私どもの地元の江東区でも、ここのところ、医療法人立の介護老人保健施設が幾つか新たにオープンしております。地元の江東区では、新砂の複合施設で、今度、四月の開所でメディケアイーストという施設が、三つの複合施設の中の最後でオープンをしているわけですけれども、これについても、地元でいろんな方が紹介をする際に、老人保健施設という老人ホームのようなものができましたとか、そんなふうにいわれたり、そういう意味では、老人保健施設というのは一体どういう施設なのかということが、一般に余りちゃんと理解をされていないんではないかという気がしております。
私自身も、特別養護老人ホームに入りたいというご相談を受けた方々のご依頼を受けて走り回った結果、その方が老人保健施設に入所するというような経験を何度かしておりまして、そういった面で、この老健施設の役割ということについて大変疑問に感じる点があるので、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、大前提の大前提でございますけれども、老人保健施設というのは何であるか、特別養護老人ホームというのは何であるかということを、確認のために伺いたいと思います。
○福田高齢者部長 老人保健施設は、症状が安定期にある要介護者を対象に、看護、医学的管理のもとにおける介護、機能訓練、その他必要な医療と日常生活の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるようにするとともに、居宅における生活に復帰を目指すことを目的とした施設でございます。
特別養護老人ホームは、要介護高齢者を対象に、入浴、排せつ、食事等の介護、その他の日常生活のお世話、あるいは機能訓練、健康管理、療養上のお世話などを行うことを目的とした施設でございます。
○柿沢委員 今、老人保健施設とは何であるか、特別養護老人ホームというのは何であるかというのを伺ったんですけれども、一般都民が聞いて、今の話でわかるんですかね、余計わからなくなるような答えだったような気がします。要するに、老人保健施設というのは家庭への復帰を目指す施設で、特別養護老人ホームというのは必ずしもそうではないということなのかというふうに思います。
そのほかに、この二つの施設について相違する点はないのかどうか伺います。
○福田高齢者部長 老人保健施設は、医療ケアを必要とする要介護者を対象としておりますけれども、特別養護老人ホームの場合は、必ずしも医療ケアの必要にはかかわりございません。また、特別養護老人ホームのサービスは、基本的には入所者を対象に行うものであります。併設でデイサービスセンター等あるところは多いですけれども、特別養護老人ホームそのものは、基本的に入所者を対象にサービスを行うところでございます。それに対しまして老人保健施設は、入所サービス以外にも通所リハビリテーションなど、地域の要介護者に対する在宅サービスなども実施している施設でございます。
○柿沢委員 それでは、老健施設の整備状況について改めて伺いますが、国の採択基準においては、老健の整備率というのは高齢者人口当たり一・一%ということになっているわけですけれども、現在の全国の平均の数字、その一方で都内の老健の整備率、それぞれどのような状況にあるかということをお伺いしたいと思います。
○福田高齢者部長 ちょっとデータ的にふぞろいなところがあって恐縮なんですが、平成十三年十月現在の高齢者人口に対する、平成十四年八月現在の老人保健施設の整備率について見ますと、全国平均は約一・一%、それに対しまして東京都は約〇・五%、大体半分ぐらいということになっております。
○柿沢委員 今、お話にありましたとおり、現在の都内の老健施設の整備率は全国平均の半分ということであります。資料の一五ページにありますけれども、都内の老健施設の定員は、今、一万一千人ぐらいということですけれども、これを全国平均まで定員をふやしていくには、老健施設を、簡単にいえば倍増するだけの施設整備が必要になるわけでありますね。これは本当に大変なことだと思います。
今度の介護保険事業支援計画の中間まとめでは、老人保健福祉施設サービスの給付見込みが、平成十九年度で一万九千十四人ということになっております。その一方で、整備見込み数でいうと、一万六千百人ということになっておりますけれども、給付見込みが一万九千人で、整備見込みが一万六千人ということで、必ずしも数字こそ合っていないんですけれども、この二千九百人、三千人分の差、給付と整備の人数の差というのはどこから生まれてくるんでしょうか。
○福田高齢者部長 平成十九年度の介護老人保健施設サービスの給付見込みと施設整備の見込み数の差、約二千九百人につきましては、これは都外施設を利用する人の分であると考えております。
○柿沢委員 一万九千引く一万六千ですから、約三千人の都外施設利用者が出るだろうというふうに見込まれているわけでございます。今でも、東京都内にお住まいだった方々が都外の老健施設に入所するというようなケースが多々あるということは、実感としては私どももつかんでいるところでありますけれども、例えば、いわゆる都県境の町田市の話がよく出てきますけど、都県境で隣の県の老健施設の方が近いとか、そういったケースはともかくとして、遠隔地の老健施設に入所するというようなケースがもし多数あるとすれば、これは、在宅に復帰するために老健施設に入所するということに果たしてなるのかどうか。そうでないとすると、老人保健施設の趣旨からいって、都外施設を都民の皆さんが多数利用しているという現状は、大変問題なんじゃないかというふうに思うんです。
先ほどの答弁でもありましたけれども、特養と老健の大きな違いというのは、在宅復帰と、在宅サービスを提供していることであるというふうにいわれていたわけですので、老人保健施設の役割としては、通所リハビリなど、在宅支援があるということが大変重要な役割であると思います。ところがその一方で、現実として都外施設の利用が多くて、ともすれば増加しているということであるとすれば、利用者にとっては、もしかすると老人保健施設というのは特養と何ら変わらない、ある意味では物として意識をされて、利用されているということではないのだろうかというふうに思えてなりません。
これは全国のデータですけれども、厚生労働省の二〇〇一年介護サービス施設・事業所調査の結果でも、老健施設の入所期間の長期化ということがいわれております。一年以上、老健施設に入所している人たちが三九・九%ということで、実に四割が老人保健施設を一年以内に退所することができずに、一年、二年と過ごされているという現状が見えてまいります。
一方で、家庭から老人保健施設に入る、あるいは病院から一たん老人保健施設に入所したけれども、また病院に戻る、こうした流れも無視できない割合に上っております。例えば、今の調査の結果で見ると、老人保健施設の入所者の四六・九%が、家庭から老人保健施設に入所している。また、病院から老健施設に入所した人が全体の四三・六%を占めていますけれども、そこから家庭に戻った人というのは、全体の九%でしかない。こうした数字を見ますと、実態として、病院から老健施設を経て在宅に復帰するという老健施設の役割、あるいは定義されている機能というものが、ほとんど現実としては形骸化しちゃっているんじゃないかという気がしてなりません。
特に介護保険制度がスタートして、入所が長期化すると、給付の水準が減らされるという、いわゆる逓減制といわれるのがなくなったせいで、理論上は老人保健施設、幾らでも長く入所できるようになってしまったわけです。その結果として、入所期間の長期化に現状として余計拍車がかかっている。先ほど老健施設の入所期間が、一年以上入所しているという人が四割近くなっていると申し上げましたけれども、これは去年発表のデータで四割で、その前の年はたしか三二%ぐらいで、一年のうちに、一年以上長期入所している人たちの割合が八%も上がっちゃっている。そういう意味では、老健施設の入所者というのは、入所期間の長期化が急速にどんどん進んでいるという状況なわけでありまして、これは、もう明らかに老人保健施設の第二特養化というのが進んでいるということをいわねばならないと思います。
そういう状況にあるということを念頭に置いた上でお伺いいたしますけれども、特別養護老人ホームについて、入所申込者の状況調査を行って、約二万五千人の申込者がいるということが、特別養護老人ホームについてはわかっております。では、都内の老人保健施設の利用申込者数がどのぐらいあるかということを、皆さんとして把握しておられるのかどうか伺いたいんです。
○福田高齢者部長 今、先生、いろいろご指摘ございましたけれども、それにいたしましても、特別養護老人ホームと比べますと、長期間待たなければ入所できないというような状況はないこともありまして、都としまして、全体の利用者が何人ぐらいいるかということは把握してございません。
○柿沢委員 特養のようには入所申込者の状況を把握はしていないということですけれども、昨年八月には、老健など介護保険のいわゆる三施設について、サービスを受ける必要性が高いと認められる申込者を優先的に入所させる努力義務が課せられました。特養については、優先入所の指針に関する国の通知も出ましたので、都内の施設、自治体合同で優先順位というか、入所に関するガイドラインをつくっていこうという検討を行っているというふうにも聞いております。
この老人保健施設については、こうした入所基準といいますか、入所に関するこういうガイドラインみたいなものを設定しようというような動きが、皆さんのサイドで検討事項としてあるのかどうか、ちょっとお伺いしたいんです。
○福田高齢者部長 老人保健施設につきましては、現在のところ、国も含めまして、お話のような指針とかガイドラインをつくるといった動きはございません。
○柿沢委員 老人保健施設の入所に関するガイドラインみたいなものを策定するというような動きは今のところはないということでありますけれども、ある意味では、このガイドラインをつくろうとすると、老人保健施設に入所すべき人はどんな人なのかという詳細な検討が必要になってくるわけでありまして、現状として第二特養化していて、理念としては本当は違うんだという状況であると、なかなかこういうものをつくるだけの一つの明確な指針というのが見当たらないということが、ガイドラインをつくる動きがないということに反映をされているんじゃないかと思います。老健施設の理念と、実際のニーズというのがミスマッチを起こしている。老人保健施設がこれからどのような位置づけの施設として都民の皆さんに活用されていくべきものかということについて、はっきりとした明確な指針というのをこの際、つくっていくべきではないかと思います。
私は、先ほども申し上げましたけれども、老人保健施設の本来の機能というのは、在宅生活のための支援というふうに考えています。リハビリあるいは自立支援、そうしたものに特化していくべきではないかと思います。老人保健施設が、単に特養の代替をするとか、あるいは特養に入るまでのある種のステップとして、入所待ちの人たちを受け入れるというような入所施設ということではなくて、住民の皆さんに、身近なところに、通所や訪問サービスと入所サービスをミックスさせながら、地域の在宅要介護高齢者を支援する核となるような施設にしていけば、東京都のように人口が密集をしている地域では、何も国の基準に見合った整備率でなくても、地域の在宅の要介護高齢者の皆さんのニーズに的確に対応できるような、効率的な機能を発揮することができるようになるんじゃないかと思うんです。
本来の老人保健施設サービスを活用すべき方々はどのような人なのか、老人保健施設が地域で効率的に、その本来の機能を十全に発揮するためには、どんなことが必要なのかということを、今、ある意味では白紙に戻って、原点に返って考えるときが来ているんではないかというふうに思います。そのためには、まず利用希望者の実際のニーズや、施設経営者がどのような意識を持って老健を運営しようとしているのか、こうしたことについてきちっと把握をしていかなければいけないと思います。その上で、利用者やケアマネの皆さんに対して、老人保健施設の役割というものをきちんと理解していただいて、本来の老人保健施設の役割というものに少しでも近づけていかなければいけないと思います。
そういう観点から、東京都として、どのような取り組みをこれからしていくのかということを伺いたいと思います。
○福田高齢者部長 東京都では、来年度、高齢者の暮らしに関する各種施設等の現状や課題について調査するとともに、今後の高齢期における住まい方と各種施設の役割等について検討する予定でございます。
お話しのように、老人保健施設は効果的な機能訓練により、在宅復帰を目指す中間施設というその目的から見ても、また、在宅サービスと入所サービスを結びつける施設としても重要であると考えております。ご指摘の趣旨も踏まえ、利用者のニーズ、経営者の意識、運営上の課題などについて調査し、他の施設との関係も含め、今後、そのあり方について検討していきたいと考えております。
○柿沢委員 これから調査をされるということですので、ぜひ、この機会に、国が設定をしてやってきたことと現実とのギャップを埋める努力をしていただきたい。恐らく全国でこの問題、発生していることだろうと思いますので、一つのモデルを、この東京都からつくれるようになればと思っております。特に東京の場合は、在宅の高齢者に対するサービスのニーズというのが大変高い地域でありますので、ある意味では、老人保健施設が本来の機能を発揮するには最もふさわしい場所であるはずなんですね。その意味で、この東京において、老人保健施設のこれからのあるべき姿というものを検討して立ち上げていく、このことは大変重要な意義の深いことだというふうに思っております。
ややもすると、老人保健施設そのものも、やはり施設に面倒を見てもらいたいという家族のニーズに押されて、今まで、本来の趣旨から離れた利用のされ方をしてきた部分があろうかと思いますし、それが、ある種のニーズに合致してきた側面もあるんだろうとは思いますけれども、やはりここは、いろんな意味で介護保険制度がスタートして以来の大きな課題ですけれども、施設から在宅へという橋渡しをする老人保健施設の役割を再認識して、皆さんとしても、これからのあり方を模索していただきたいということをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○大山委員 私は、都立施設の民間移譲と廃止の問題、それから社会福祉総合学院の問題、そして城北福祉センターの問題ということで質問をしたいと思います。
先ほど、大森老人ホームと吉祥寺老人ホームについては質疑があったわけですけれども、そこで明らかになったのは、今、運営委託を受けている法人自体には別に問題があるわけではないということ、それから、民間移譲すると裁量の幅が広がったり、それが利用者サービスの向上につながるんだという答弁をされたと思うんです。
私、ここで心配なことは、社会福祉法人というのは、やはり安定性だとか継続性ということが求められているわけですけれども、今、東京都がやろうとしていることは、社会福祉法人に一番求められている安定性や継続性について逆行するのではないかということが非常に心配です。
そもそも大森老人ホームだとか吉祥寺老人ホームだけでなくて、社会福祉法人、安定性、継続性が問われているということ、これは確認しておきたいんですけれども、どうですか。
○吉川総務部長 法令等に明確に、今、先生がおっしゃられた法人の安定的、継続的なというような趣旨の規定はございませんが、社会福祉法人というのは、社会福祉事業という公益性の極めて高い事業を実施している法人でございますので、私どもとしては、利用者の皆様方のために、法人みずからが安定的、継続的に経営をしていくことが重要であるというふうに認識しております。
○大山委員 明記はしていないけれどもということですけれども、社会福祉法の中の社会福祉法人に関する記述ですけれども、経営の原則ということで、「社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。」というのが経営の原則であって、それを守るための要件として、「社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない。」ということで、ここで資産の要件が出ているわけです。
それで、これは政府からの通知ですけれども、各都道府県知事、政令都市市長、そして中核市の市長あてに厚生大臣、厚生省から出ているわけですけれども、その中にも、社会福祉法人については、その公益性を担保し、事業経営の安定性、継続性を確保する必要が高いため、その設立を認可するための所用の資産要件等が定められているところですというふうに、法律のことをいっているわけです。
ですから、社会福祉法人というのは、事業経営の安定性、継続性を確保する必要性が高いんだということが非常に重視されているということなんです。だからこそ、こうやって決まっているし、廃止だとか変更の厳しい規定があるわけです。
養護老人ホームなどは、三百六十五日二十四時間の生活を保障する第一種社会福祉事業ですから、特に厳しくされているわけです。事務事業質疑の中で私もいいましたけれども、養護老人ホームは、軽い痴呆があったり、アルコール依存症があったり、妄想があったりという方もいて、メンタルな面も含めて、より利用者との信頼関係が必要だということを、職員の方もいっているわけです。
現在、大森にしても吉祥寺にしても、委託を受けている二カ所とも、委託を受けて運営を始めてから十年もたっていないということなんですね。東京都は、安易な撤退だとか変更をしないように社会福祉法人を指導している側なんじゃないんでしょうか。
○吉川総務部長 東京都としては、今、先生がおっしゃったような趣旨で継続的、安定的な法人運営、経営を実現するように指導はしております。
○大山委員 継続的、安定的な運営ができるように指導をしているわけですね。指導する立場の東京都が、あえて不安定にしようとしているわけですから、とんでもないことだというふうに思っています。公募するというふうにいっているわけですけれども、受託している法人が変わったら、大森だとか吉祥寺のために採用した職員はどうなっちゃうんでしょうか。その方たちと、職員と信頼関係を結んで安定している利用者というのは、どうなっちゃうんだろうかというのが心配なんですけれども、どうなんですか。
○中島参事 仮に法人が変わった場合ということだと思いますが、職員につきましては、基本的には職員と、本人と法人との間の関係でございまして、両者間において適切な対応が図られるべきものと考えております。
また、利用者につきましても、先ほど申し上げましたように、仮に法人が変わるというようなことになりました場合には、サービスの継続性、安定性という観点から十分な引き継ぎ期間を設けまして、利用者サービスに影響がないように努めてまいりたいと思っております。
○吉川総務部長 安定的、継続的という、私どもが、社会福祉法人が本来そういう経営をしてほしいということについて、今、先生がおっしゃられたようないい方でいえば、現在の大森、吉祥寺については、管理運営委託という形でやっているわけでございまして、これは一年ごとに委託を契約という形でやっておりまして、現在、私どもが考えている方向性でいえば、先ほどの東村委員の更新時の問題は別途あるにしても、基本的には最初に公募をして、新たな法人になるか、現在の法人になるか、それは公募の審査の結果だと思いますけれども、その後の当該施設の運営という意味では当面は五年間、継続的な運営が図られるというふうに認識しております。
○大山委員 委託は一年ごとの契約でやっていますけれども、その受託している法人に、ここの大森なり吉祥寺なりの老人ホームを運営委託するということで、職員も雇用して、そして東京都としては委託をしたわけですよね。ですから、これは継続して運営をしていくというのが基本的なところなわけです。それを、わざわざ、まだ十年ぐらいしかたっていないところに公募をして、そして不安定にしようというわけですから、社会福祉法人を指導している立場からしてもおかしいわけです。
先ほど五年間、様子を見ていくけれども、その後、継続して法人を変えないでやっていくことも検討するというような旨の答弁がありましたけれども、それこそ安定性だとか継続性だとかを認めているからこそ、そういう検討をせざるを得ないということなんじゃないんですか。
○吉川総務部長 先ほど担当参事の方から東村委員のお尋ねに対して答えた趣旨は、要は利用者の皆さんに対しての、質のいいサービスの継続的安定性という観点からの答弁だというふうに思っております。ですから、仮に五年間の実績で、やはり再度公募をかけるべき法人施設運営の残念ながらの実態があれば、それは利用者の観点から考えれば、また再度というような趣旨で答弁したわけでございまして、私どもは利用者本位という観点で対応しております。
○大山委員 本当に利用者本位だというんだったら、安定性だとか継続性を、法律でも求めているわけですよね。それを実現していくことこそ、利用者本位だというふうにいえるんじゃないでしょうか。
社会福祉法人、それから社会福祉施設の場合は、人が人をケアするものですから、それは人間的な信頼関係、それから場所の安定というのは、もう基本的なことです。これは社会福祉としては、だれも疑う余地はないというふうに思います。
ところで、民間移譲ということですけれども、民間移譲するということは、その後の運営の費用ですけれども、措置費とサービス推進費で運営するということになるんだと思うんですが、試算すると、それぞれどれぐらいになりますか。
○中島参事 民間移譲後の措置費とサービス推進費の推計額でございますが、措置費につきましては、養護老人ホームの場合ですと、病弱者等介護加算など、ちょっと不確定な要素もございまして、正確な数値は申し上げることはできませんが、おおむね二億五千万円程度になるのではないかと見込んでおります。また、同様に都のサービス推進費補助につきましても、概算でございますが、五千万円余というふうに試算してございます。
○大山委員 措置費で約二億五千万円、サービス推進費は概算で五千万円ということですけれども、きょうのいただいた資料の七ページには、6として、吉祥寺・大森老人ホーム運営経費の推移というのがあって、十三年度の決算額で運営経費が、吉祥寺が四億八百万円、それから大森老人ホームの方が四億一千四百万円ということですよね。約四億円の運営費が一年間かかっているということですけれども、措置費とサービス推進費を合わせても、大体一億円は足りないわけです。この一億円というのは、どういう費用なんでしょう。
○中島参事 一億円余の差ということでございますが、両老人ホームとも、いずれも他の施設との合築でございまして、ほかの民間施設と比較いたしますと、維持管理経費がかさむなどの施設の特性がございます。そのために、お手元の資料七ページにございますように、運営経費は約四億円かかっているわけでございますが、この差額一億円の大部分は、この施設特性に伴う維持管理経費というふうにご理解いただければありがたいと思っております。
また、これにつきましては、経費の圧縮を引き続き図りながら、都としても対応を考慮することといたしております。
○大山委員 合築したものですから、かなり維持管理経費がかかるということで、おおむね一億円ということですね。
施設の維持管理経費ということは、東京都が維持管理しようと、法人が維持管理しようと、こっちの法人が維持管理しようと、民間移譲しようと変わらないんだというふうに思うんですけれども、どうなんですか。だれが運営したって、かかる額ということなんじゃないのでしょうか。
○中島参事 基本的に施設の維持費というものは、それに要する設備等を動かす、そういった経費でございますので、一定の必要経費はかかるわけでございますけれども、さらに努力をすることによって圧縮することも可能だと思っておりますし、そのための努力というものにつきましては、私ども東京都としても、さらに一体となって進めてまいりたいと思っております。
○大山委員 今おっしゃったみたいに、施設を維持管理するわけですから、それはだれが担おうが、かかってしまう額はかかってしまうんです。ですから、必要でしょうからということで、東京都も何らかのことを考えなければいけないというふうにおっしゃっているわけです。ですから、私、今いってきたように、安定性だとか継続性という社会福祉法人の本来の役割からいっても、今やろうとしていることは逆行することだというふうに思いますし、同時に創意工夫だといっても、その一億円はだれがやってもかかる維持管理経費ですから、そのどちらを考えても、今回の民間移譲の方針は道理がないというふうに申し上げるしかないと思います。
もう一つですけれども、都立施設の用賀技能開発学院の廃止の問題です。
最初にいっとかなきゃいけないと思うんですけれども、私、東京都用賀技能開発学院のホームページを開いてみました。これを見ましたら、昭和四十四年に設立され、三十二年が経過しましたが、平成十四年度末をもって事業を廃止することになりましたというふうに書いてあるんです。廃止はまだ決まっていないんですよね。条例が出ているのは今の議会ですから、せめて予定というふうにするべきじゃないかと思いますし、さらに廃止の記念式典まで、三月十五日です、との掲示があるわけです。
今、条例がかかって、議会で決めてもいないわけです。議決もしていないのに、堂々とホームページに載せる、しかも正式のホームページに載せる、これは議会軽視ですよ、皆さんが軽視されているんですよ。議会軽視だといわなければならない。これはどういうことなんですか。
○有留障害福祉部長 用賀技能学院の廃止につきましては、昨年七月二十六日に福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてということで、東京都の方針を発表しておりまして、廃止の方向を打ち出しているところでございます。廃止に向けて、施設利用者、あるいは保護者、地元区などの十分なご理解を得るということで、例えば、入所者については個別援助計画に基づいて新しい場で社会的自立を目指していくとか、そのような準備期間を十分にかけた指導あるいは調整などが必要でございますので、そういう経過になったというように理解しております。
○大山委員 くどくはいいませんけれども、条例設置なんですよ。条例設置のものを、議決もしていないのに廃止することになりましたと。せめて予定ですぐらいにするべきだと私は思います。(「予算と条例の関係なんて全部そうですよ」と呼ぶ者あり)決まってないですよ。
じゃあ聞きますけれども、この施設、東京都用賀技能開発学院が果たしてきた役割と廃止の理由は何でしょうか。
○有留障害福祉部長 用賀技能開発学院は、雇用されることの困難な身体障害者に印刷技術の指導、訓練を行うことにより、就労につなげるなど、社会的自立を推進する身体障害者授産施設として一定の役割を果たしてまいりました。
しかしながら、本施設の授産科目である印刷技術につきましては、急速な技術革新に対応できず、社会的需要が著しく低下してきております。さらに、印刷業全体がOA化の進展等により構造不況となっておりまして、厳しい雇用状況の中、習得した印刷技術を役立て、印刷関係へ就職できる者が少なくなり、平成八年度の二名の就職が最後となっております。利用希望者は年々減少しておりまして、施設の存続意義がなくなったため、廃止するものでございます。
○大山委員 本当に印刷・製本業界というのは厳しいというのはわかります。しかし、利用者が減ったということなんですけれども、新宿って地場産業が印刷、製本なんで、いっぱい印刷屋さん、製本屋さん、あるんですよね。そこでもよくわかるんですけれども、本当に技術革新が著しいわけなんです。去年の夏に同僚の議員が調査に行ったんですけれども、当時としてはすばらしいドイツ製の印刷機械なんかがあるようなんですけれども、きちんと今の技術革新に伴って機械を更新してきたんでしょうか。
○有留障害福祉部長 本施設ではパソコンを導入するなど、新しい技術の導入に可能な限り努力してまいりました。しかし、利用者の障害が重度化する中で、本施設における授産指導によって、日進月歩のOA機器を活用した印刷技術を習得するのは非常に困難であり、一般就労には結びつかなくなってきたということでございます。
○大山委員 最近、何を更新しましたかということで出してもらったんですけれども、平成十一年の四月一日に、デスクトップのアプリケーションと版下作成訓練の八台のコンピューターですね、それから写植の八台、それから電子組版のための組版用の二台、それから十三年にはアプリケーション訓練ということでパソコンを三台、そして十三年にはもう一回五台ということでやって、平成九年、稼働を始めたのが名刺印刷用のソフト組み込み済みのコンピューターだということなんですね。
学院で聞いたんですけれども、写植では就職できなくなったので、パソコンへの技術転換をしたんだけれども、予算的に設備全体を一新するところまではいかなかった、利用者のニーズと施設のギャップが大きくなったというふうに語っておられるんです。自分たちで、東京都自身で利用者のニーズに合わないようにして、利用者とのギャップを大きくしてきたのではないかといわざるを得ません。
利用者が減ってきているといいますけれども、十年度からの利用者はどうなっていますか。年度の初日の利用者でいいです。
○有留障害福祉部長 平成十年度四月時点の利用者数は三十四名でございます。(「十年度から」と呼ぶ者あり)経緯でございますか、失礼いたしました。
過去五年間の年度当初の利用者数でございます。平成十年度三十四名、十一年度三十一名、十二年度二十三名、十三年度十五名、十四年度十名で、現時点、平成十五年二月現在の利用者は六名で、入所者四名、通所者二名でございます。
○大山委員 用賀の廃止方針が出たのが去年の七月ですね。それで昨年調査に行ったときに、十三年の秋から、入所の問い合わせに対しては入所を断ってきたというふうに学院では話しています。ニーズがなくなったとか、利用者が減ったとかというふうにいっていますけれども、自分たちで減らす原因をつくってきたんじゃないかというふうにいわざるを得ません。
ところで、この施設ですけれども、バリアフリーになっていて、身体障害者が寝泊まりもできるし、食事もできるし、訓練のスペースもあるという立派な施設なわけです。中身を更新していけば十分使えますし、その点でいえば、障害者のために生かしていくことが求められていると思うわけです。このままやめてしまって利用しないというのは、いかにももったいないし、知恵がないんじゃないかというふうに思うんです。
廃止した後に障害者のために活用することが求められていますけれども、どうするつもりなのかということと、都として利用しようというようなことになっているんでしょうか。
○有留障害福祉部長 ただいまのご質問お答えする前に、東京都みずから首を絞めたんじゃないかということでございますが、先ほど申し上げたとおり、ここは福祉施設でございまして、障害が重くなっている、中途障害もございますし、知的とのダブルの障害の方々もいらっしゃいます。そういう中で、パソコンの基本的訓練、あるいは印刷にしても名刺レベルということで、可能な限り、障害の態様に応じた訓練をやってきたわけでございまして、決してみずから首を絞めたわけではございません。
今後の利用でございますが、福祉局においてさまざまな内部検討を重ねました。また、地元世田谷区にも照会いたしましたけれども、活用予定がないということで、現時点において具体的な活用計画の策定には至っておりません。貴重な都有財産でございますので、今後とも有効活用の方策について慎重に検討してまいります。
○大山委員 首を絞めたというのはちょっと、そういういい方はしていません、意味はそうかもしれませんが。でも実際、今おっしゃったみたいに重度化している、それから重複化しているというのは全体的にいえることなんです。だからこそ、ニーズに合わせていくというのが必要なんだと思うんです。障害者のニーズに合わせる、それから障害の重さだとか重なりだとかに合わせて、その方たちが社会復帰するためには、社会的に自立していくためには、どういうふうに支援すれば社会的な自立が促せるのかということを、それこそ、こんないい施設があるわけですから、例えば印刷にこだわらなくたっていいとも思うんです。
どういうふうにやったら役立てていけるのかということを、東京都の歴史の中だって、いろんな施設が時代とともに役割を変えながら、例えば養育院だって、最初の出発と、だんだん歴史の中で姿を変え、役割を変えて、成長、発達してきたわけです。これだって、東京都の障害者の社会的な自立を促す施設として、今の障害者の皆さんにどういうふうにしたら促せるかというのを、知恵を絞る、それから条件を整えるということこそ、東京都がやらなきゃいけないことだというふうに思います。それを思います。
十年前に、二十歳のときにバイクで交通事故に遭った若者がいて、やっと仕事をしようと思って続けていたのにということで、パソコン課程の一年目の車いすの男性はそういうふうにいってますよ。中高年の方の脳血管障害だって今多いですし、それから交通事故だって減ってはいませんよね。ですから、中途障害の可能性というのはあるわけですし、それから障害者自身、この不況の中でリストラの対象になっていたり、就職だって厳しいわけです。ですから、みずからの力をつけるということでも、やはり障害者の社会的自立を促進することに支援するということは、ますます求められていることです。ですから、こんなときに、どういうふうに役に立てていくのかということに知恵を絞ることこそやらなければならないことなのに、こんなことで廃止に賛成することはできないということです。
次ですけれども、社会福祉総合学院です。来年度の予算案の概要に、用賀と並んで廃止、休止する主な事業という中に、東京都社会福祉総合学院の運営費補助というのがあります。この学校は、たしか平成十三年の四月に開校したばかりだというふうに思うんですけれども、一体どうなっているのかということも含めて、質問をしながら意見を述べていきたいと思っています。
この学校は、高等保育学院と社会事業学校という、この間ずっと保育士だとか社会福祉の優秀な専門職を輩出してきた学校を廃校にして、新たに都として人材養成に責任を持つんだということでつくったというふうに記憶しています。
まず最初に伺いますけれども、この社会福祉総合学院をどんな学校にするのかという基本の考え方は、何に基づいているんでしょうか。
○反町生活福祉部長 都は、本格的な少子高齢社会を目前にして、社会福祉をめぐる環境の変化に対応した福祉人材を養成するため、既存の養成機関を見直し、新たな福祉人材養成機関を整備する観点から、そのあり方を検討してまいりました。
具体的には、平成六年の福祉人材養成機関のあり方検討委員会最終報告書、平成九年に作成しました新たな福祉人材養成機関の基本計画などの基本的な考え方を踏まえ、その後の状況変化に対応しつつ、平成十一年に福祉人材養成機関の整備指針を決定し、社会福祉事業団に、リカレント教育を柱とする実践的な人材養成を行う施設の整備をさせることとしたものでございます。
○大山委員 社会福祉施設の代表の方だとか、それから研究者も含めた、これは検討委員会の報告ですね。それがまずあって、みんなで、外部の方も入れて検討会が報告を出して、そして局がそれに基づいて基本計画をつくるというふうに順序を踏んで、きちんとやってきたわけです。その基本になっている基本計画という内容ですけれども、簡潔にいってください。
○反町生活福部長 平成九年に策定いたしました基本計画は、多様化、高度化する福祉ニーズに的確に対応できる、実践的で専門性の高い人材を養成すること、それからリカレント教育を柱としまして昼夜間開校制、科目履修制度を取り入れて、社会人実務者が学びやすい仕組みにすること、それから学科としましては、ソーシャルワーク学科、介護福祉科一部、二部、子ども家庭科及び研究コースを設けること、さらに、社会の変化に的確に対応できる人材養成機関とするため、その時代に求められる人材を量的、質的ニーズに機敏かつ柔軟に対応し、学科や研究コースの内容を柔軟に変更しつつ運営すること等、人材養成機関の基本的な事項を定めたものでございます。
○大山委員 基本計画の中は、リカレント教育なんだということと昼も夜も開校するということですよね。十二年の四月開校をめどにして、新たな福祉人材養成機関として、用地及び建設規模も書かれています。十一年の一月二十九日付で、先ほど答弁されました整備方針が、東京都社会福祉事業団あてに福祉局長から出されるわけです。ここでも基本は変わりません。
ところで、社会福祉事業団に、この時点で委託するから検討してほしいというふうに整備方針を伝えたわけですけれども、どうして事業団に運営を任せるということになったのか、理由は何でしょう。
○反町生活福祉部長 第一に、学科、コースの見直しや教員の採用等において柔軟性を発揮することができ、社会の変化に的確に対応した人材養成を実現し得ること、第二に、社会福祉事業団は、都立の障害者福祉施設、児童福祉施設の運営を受託しており、それらの施設を活用することによって、実習教育の強化が可能となること、第三に、運営協議会への参画、予算決算の知事承認などを通じて都は運営に関与することができるなどの理由から、社会福祉事業団を設置運営主体としたものでございます。
○大山委員 現場も持っているということや、それから東京都も関与しやすいということで事業団に委託をしたんだということですけれども、リカレント教育と昼夜開校ということは、十一年のときにはそうだったわけです。実際に十三年四月に開校した学校というのはどういう学校になったんでしょう。
○反町生活福祉部長 社会福祉総合学院は、本格的な少子高齢社会を迎え、複雑、高度化しているさまざまな福祉ニーズに的確に対応することのできる、実践的で高い専門性を備えた人材や、福祉サービスのあり方の変化に対応し得る中核的な人材を養成し、もって福祉サービスの向上を図ることを目的として設置されました。
学科につきましては、福祉経営コース、ソーシャルワークコース、子ども家庭コース、介護福祉コースから成る研究科、定員八十人でございますけれども、それに社会福祉士の養成通信科、定員が一学年二百人でございますが、これを設けました。社会人実務者が学びやすいように、平日の夜間、土曜日の昼間の授業帯といたしました。
○大山委員 中心的な仕事を担うリーダー的な再教育ということで、リカレント教育というのは基本方針と変わらないわけですけれども、昼夜開校だったのが、今ご答弁されたように、夜間と通信ということで、実際には、学校に主に通うのは夜間だけだということになったわけです。
この学院に行ってみますと、二つの種類のというか、二つの学校の入学案内が置いてあるんです。夜間のコースと、それから通信のコースということで、これは社会福祉総合学院の入学案内です。これと同じところに、同じ社会福祉総合学院の建物に、学校法人敬心学園臨床福祉専門学校という学校案内が一緒に置いてあるんです。この社会福祉総合学院と敬心学園、ですから、敬心学園というところと事業団と東京都というのが出てくるわけですが、この三者の関係というのはどうなっているんでしょう。
○反町生活福祉部長 都は、東京都公有財産管理運用委員会の決定を経まして、事業団に対しまして、福祉人材養成機関設置のための土地等を無償貸し付けしております。また、事業団の施設建設に伴います元利償還に対する補助を行っております。
事業団は、敬心学園に対しまして、学院の事業である福祉経営科、福祉サービス科等の業務を委任するとともに、建物を有償で貸し付けております。敬心学園は当該施設で学院の受託事業を実施するとともに、自主事業として福祉人材養成事業を実施することとなっております。都と敬心学園との間には直接な関係はございませんが、学院の事業連絡調整会議等を通じて、学院の委託事業につきましては間接的な関与をしてございます。
○大山委員 社会福祉総合学院という学校であるんですけれども、どうして新たに学校法人に運営を任せることになったんですか。
○反町生活福祉部長 社会福祉事業団におきましては、第一に、平成十二年におきます介護保険制度の導入や社会福祉法の改正、都の福祉改革推進プラン等によります状況変化に対応できる実践的、効果的な教育内容に変えていく必要があること、第二に、施設全体の利用をより効率的なものに変えていく必要があること、第三に、都の運営費補助に頼らない自立的な運営が求められていること等を踏まえまして、学院の抜本的な見直しを行いました。そして、平成十三年十月に、民間事業者に基づきます創意工夫を生かした福祉人材養成事業の実施と施設全体の有効活用を図るため、事業者を公募したものでございます。
○大山委員 結局、今のお話ですと、施設の使用が非効率だと。あいている教室がたくさんあるから、使ってもらうということで運営も委託したんだということなんですね。外部の方たちを入れて、基本的な考え方、東京都としての人材養成校の基本方針を決めたわけですね。これが都民との約束なんです。それは、リカレント教育であり、昼夜開校、昼間来る人もいるし、夜来る人もいる。ですから、当初の学校は昼夜開校予定でつくりましたので、それなりの学校としての規模があるわけです。しかし、十二年の福祉改革推進プランだとか何だとかがいろいろあって、結局、夜間しか開校することにはならなくなったということで学校としてのスペースが余ってしまって、それこそもったいないということで、民間の学校法人に建物を有償で貸し付けて、その学校に、学院の本来の事業である福祉経営科、それから福祉サービス科の業務委託をするわけです。結局、講座を任せるということですよね。
さらに、あいている教室を使って、この学校の、敬心学園の授業をするというわけです。社会福祉総合学院とは名ばかりで、内容は敬心学園ということになってしまうんじゃないかと思います。
この建設費ですけれども、事業団が借り入れをして、その返済は東京都が行っているというふうに聞いていますけれども、全部で幾ら借り入れて、利子は毎年幾ら払っているんですか。
○反町生活福祉部長 社会福祉総合学院の建設に伴います事業団の借入額でございますけれども、平成十二年三月と平成十二年八月に借り入れを行っておりまして、合わせて十八億八千四十三万六千円の借り入れとなってございます。償還額でございますけど、十三年度は利子のみでございまして、三千五百九十四万一千円になってございます。
○大山委員 十八億を借り入れして返済をしていくということですけれども、税金ですよね。昨年度は三千五百九十四万円の利子を税金から払っていると。結局、結果的には、民間学校法人のための学校を税金で建ててあげたようなものじゃないかというふうにいわざるを得ないですね。
ところで、東京都が担う人材養成というのはどういうふうに、定義というか、考えているんでしょうか。
○反町生活福祉部長 福祉は人といわれますように、人材の養成確保は重要な課題であると認識しております。現在、福祉サービスの多様化がますます進む中にあって、サービスを担う職員、質の高い人材を養成することがますます求められております。事業者が、みずからの特性に応じた人材を確保する必要があることから、研修はサービス提供事業者の責任により実施するのが原則でございます。
都は、政策目標のための研修、法令等に定められます研修、市場性、代替性のない研修を重点的に実施することとしております。また、民間主導の研修実施体制への転換を促すため、研修基本テキストの作成、研修企画に役立つ情報、資料の提供や職場内研修リーダーの養成などの支援策を実施していきます。
こうした役割分担を明確にした取り組みを通して、事業者に人材育成やサービス改善についての自発性、主体性が根づき、事業者主体の継続的人材育成が図られ、その結果、資質の高いサービスを提供するものと考えております。
○大山委員 東京都も、福祉は人だということで、人材育成に力を入れていかなきゃいけないということですけれども、例えば今のご答弁を聞いて思うんですけれども、民間事業者のヘルパー研修というのはやらなきゃいけないわけですが、膨大な事業者がいらして、ヘルパーさんも大勢いらっしゃるわけです。会場に困っているわけです。
さらに、例えば手話通訳だとか、盲聾通訳の介助者だとか、知的障害者の介助ヘルパーだとかというのは、本当に専門的で、より高度な、非常に専門性の高いものが求められているわけですけれども、採算はとれないですよね。こういう採算はとれないけれども、きちんと養成しなきゃいけない人材というのはいろいろあるわけですけれども、例えば盲聾通訳者の助成事業などは、養成事業の予算自体をなくしてしまったわけですね。こういう不採算だけれども必ずいなきゃいけないというような職業というか専門職、人材育成こそ、団体に委託するだけではなくて、このような必要な養成に、積極的に学校なども活用していくべきだというふうに思いますけど、どうですか。
○反町生活福祉部長 社会福祉総合学院の施設は、事業団が敬心学園に有償で一括貸し付けとしております。十五年度からは敬心学園が本格的な自主事業を、例えば音楽療法学科ですとか、言語聴覚療法学科、あるいは臨床福祉学科等、新たなニーズが求められます人材育成を行うことになっておりまして、そういった状況でございますので、仮にあいている教室等があった場合でも、その利用方法については借り受け者である敬心学園の判断となると思われます。
○大山委員 みずからで計画を立てても、福祉改革推進プランだとかでつぶしてしまって、成り行き任せにするんじゃなくて、やっぱり今必要なことは、東京都の人材養成のあり方を前向きに位置づけることだと思います。ですから、このやり方というか、非常に社会的にというか、都民に約束したこともやらない、それから結局、もったいないから貸しちゃうというようなやり方ではなくて、本当に人材養成、どうするのかということが、この出来事は問われていることだというふうに思っています。
最後ですけれども、城北福祉センターの廃止についてです。
城北福祉センターは、先ほども質疑がありましたけれども、山谷の地域の福祉センターとして、生活全般の相談だとか、医療や娯楽や応急援護などを初め、日雇いの仕事をしている人たちになくてはならない施設となっているようです。相談件数は、十三年度で約九万人。私、急いできのう行ってみたんですけれども、ちょうど雨だったせいもあって、娯楽室が二階にあるわけですが、二百人ぐらいの人たちが座るところもないぐらいにいらしたわけです。簡易宿泊所などに宿泊している方たちの年齢が、六十歳以上が五四%だということを伺いました。それぐらい高齢化は進んでいるんだということです。だからこそ、応急援護にとどまらないで、総合的な対策が求められているというふうに思います。
したがって、仕事と福祉を含めた総合的な相談体制をつくっていくということに関しては、反対ではありません。しかし、その方向に進めていくためにも、本当に進むことができるんだろうかということで、幾つか質問しながら意見を述べたいと思います。
まず、最初なんですけれども、福祉局は、以前というか、平成十一年度ぐらいには山谷対策室というのがありましたが、現在はないようですが、どうなってしまっているんでしょう。職員体制はどうなっていますか。
○廣田山谷対策担当部長 平成十三年度に、山谷対策室は山谷対策課に変わっております。この理由は、山谷地域が変容する中で山谷対策を有効に推進していくため、他の関係する諸施策との連携を強化するということから、関係する局や区との相互調整機能などは引き続き確保しながら、福祉局内の関連部門との一体化を図ったものでございます。山谷対策室の当時は管理職二名を含む十名、山谷対策課は管理職二名を含む八名となっております。
○大山委員 山谷対策室という、山谷の対策を中心的に担うというところ、それは部長さんが室長さんなわけですよね、それがなくなって、人員も十名から八名に減っているということです。
それでは、一緒になります産労局の山谷労働センターというのは財団の運営ですけれども、財団への補助金というのはどうなっているかということですが、十一年から十五年度の予算の数字でいいですから、教えてください。
○廣田山谷対策担当部長 山谷労働センターの予算額でございますが、平成十一年度二億四千九百九十一万円、平成十二年度二億九千七百八十六万円、平成十三年度二億七千七十九万円、平成十四年度二億五千五百七十四万円、平成十五年度は一億九千七百二十八万円でございます。
○大山委員 財団への補助金も減っているわけですね。十四年度が二億五千、十五年度が一億九千ということですけれども、産労局に、どうしてこれ減っているんですかと聞きましたら、シーリングがかかっているから減っているというんですね。こういうところは相談だとか仕事の手配ですから、ほとんどが人件費なわけです。そこにシーリングがかかっているというわけですから、削るところがないわけです。そして、どうなったかというと、仕方なく管理職の方が五%の賃金カットでしのいでいるということなんですね。統合すると、シーリングから外れるということになるんでしょうか。
○廣田山谷対策担当部長 一体化によりまして、新しい体制は財団となります。東京都の監理団体というふうになると考えております。
○大山委員 監理団体には一〇%のマイナスシーリングだというのが、この間の方針ですよね。産労局と福祉局が、両方が一緒になるんだということなんですけれども、所管はどちらになるんですか。
○廣田山谷対策担当部長 福祉局と産業労働局の共管法人ということになります。
○大山委員 一緒にやっていくということなんですけれども、どちらに責任があるのかというのが、いま一つ大丈夫なのかなという心配はあるわけです。
それで、この城北福祉センターと山谷労働センターの統合と、財団への業務委託というのは、どこから出てきたんでしょう。
○廣田山谷対策担当部長 バブル経済の後、城北福祉センターでは平成四年度以降、応急援護相談が急増しております。その当時から、城北福祉センターの現場では、相談体制についての問題意識はあったというふうに聞いております。具体的には、平成十一年に山谷対策本部の事務局長であります福祉局長からの諮問を受けまして、山谷対策検討委員会が設置されまして、平成十二年四月に山谷対策の今後のあり方という報告が出されております。その中で、生活福祉の相談機能と就労機能との連携強化の必要性や、団体機能の統合についての考えが示されております。
直接の契機は、その後、平成十二年十二月に都庁改革アクションプランが出されまして、ここで城北福祉センターと財団法人山谷労働センターを再編し、一体化した運営体制とするという方向が出されたところでございます。
○大山委員 山谷対策の今後のあり方についてということでは、これは財団への委託ということは書いていないわけですよね。ですから、相談機能だとか、総合的に必要なんだということも含めてあるわけです。具体的には、今、ご答弁されたように、アクションプランで統合と財団への委託なんだということが出てきているわけです。
これ、アクションプランですけれども、城北福祉センターについて、より効果的に行うため、都と区の役割の明確化、福祉局と労経局の役割分担の明確化について検討しということで、再編し、一体化しますと書いてあるわけです。
山谷のあり方から見て、よいのかということなんですけれども、アクションプランで、同じ事業のあり方の検討というところに出ているのが渋谷の児童会館です。この児童会館は、図書館が業務委託になっています。受託しているところは一生懸命熱心にやっているんですけれども、どうなったかというと、都からの委託費は人件費を賄うので精いっぱいだということで、必要な本の購入が難しくなってしまいまして、必要な図書のリストをつくって、都民に、こういうのがあったらぜひ譲ってくださいというふうに寄贈を募っているんです。これは、去年もことしもです。相談室は廃止になってしまいました。
それから、そこにやはり一緒に書いてある障害者福祉会館はどうなっているかといったら、結局、会館自体の事業はほとんどなくなってしまって、限りなく貸し館事業のみになっていると。その次に出ているのが、この城北福祉センターです。さらに続いて伊豆山老人ホーム、これは廃止になりました。それから成東児童保健院、これも廃止になりました。同列に並んだものがすべて、廃止だとか縮小だとかサービス低下ですよね。城北福祉センターだけが充実するとは思えないといわざるを得ません。
山谷対策室はなくなって、人員は減り、財団への補助金は今見てきたように減って、共管だといっても、責任の所在は本当にはっきりするのかということでは、これは心配をせざるを得ないというふうにいわざるを得ません。高齢化もありますし、福祉だとか労働だとか住宅、医療などの総合的な対策は求められています。
きのう訪問したときも、仕事がないということで娯楽室に大勢いらしたわけですけれども、本当にぎしぎしに詰まっているような状況です。どうしても、これでは気持ちもすさんでしまうんじゃないかというふうに心配せざるを得ません。建物も含め、もう少し余裕があるようにすることだとか、仕事がもうできないような体力の方もいらっしゃいますし、デイサービスのような施設も含めて、総合的な対策を求めて質問を終わります。
○森田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森田委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○森田委員長 次に、議員提出議案第一号、東京都老人福祉手当に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
本案について、提出者の説明を求めます。
○吉田委員 それでは議員提出議案第一号、東京都老人福祉手当に関する条例の一部を改正する条例について、簡潔に説明をさせていただきます。
本条例は、本年三月三十一日で失効となる老人福祉手当条例を継続し、手当の支給を継続されるようにするため、失効を規定した附則第四項及び第五項を削除しようとするものです。また、三年前の改定で対象から除外された新規該当者も対象といたしました。さらに、手当額については段階的に削減されてきましたが、現段階の七十歳以上の場合は月額一万三千七百五十円としました。
なお、金額の適否や所得制限などの問題については、検討課題はあります。しかし、この条例改定の趣旨は、あくまでも手当を廃止させない、継続に眼目を置いたものです。その上で、こうした課題については今後の課題として検討すべきであると判断いたしました。
こうした老人福祉手当継続のための条例改定を提案した理由は、介護保険制度によって、介護サービスの利用者は所得の多寡にかかわりなく利用料を払わざるを得ず、医療費負担とも重なって、介護費用の負担により、必要な介護サービスを抑制する事態や、あるいは介護費用負担のために家計支出を削らざるを得ない事態が浮き彫りになってきたからであります。
また、三年間の経過とともに医療費の負担増や、経過措置として進めてきた利用料負担率の引き上げ、その一方で年金支給額の削減など新たな事態の進行を見ても、必要な介護を保障するために手当はますます必要となっていると考えます。
都内でも、江戸川区、練馬区は独自の介護手当を来年度も継続しようとしております。また、埼玉県でも市町村選択のメニュー事業として、介護手当を支給しているなどの例があります。
以上の理由から、老人福祉手当継続のための条例改定を提案したものであります。皆さんの賛同を心から願って、趣旨説明を終わります。
○森田委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
○森田委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十二分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.