厚生委員会速記録第二十号

平成十四年十二月十六日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長森田 安孝君
副委員長吉田 信夫君
副委員長古賀 俊昭君
理事松原 忠義君
理事青木 英二君
理事佐藤 裕彦君
山加 朱美君
柿沢 未途君
萩生田光一君
山口 文江君
田代ひろし君
曽雌 久義君
大山とも子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉局局長川崎 裕康君
総務部長吉川 和夫君
健康局局長長尾 至浩君
総務部長浅井 憲彦君
病院経営本部本部長櫻井  巖君
経営企画部長押元  洋君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 付託議案の審査(決定)
 ・第二百二十九号議案 東京都立成東児童保健院条例を廃止する条例
 ・第二百三十号議案 東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例
 ・第二百三十一号議案 クリーニング業法施行条例
 ・第二百三十二号議案 化製場等の構造設備の基準等に関する条例の一部を改正する条例
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○森田委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 さきに理事会にご一任いただきました意見書中、大気汚染による健康被害者救済制度の創設に関する意見書、B型・C型ウイルス肝炎総合対策に関する意見書、精神障害者の保健福祉施策の推進に関する意見書及び食品安全基本法(仮称)制定に関する意見書につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

   大気汚染による健康被害者救済制度の創設に関する意見書(案)
 東京における自動車排出ガスによる大気汚染は、全国でも最悪の状況にあり、改善するどころかますます深刻なものとなっている。こうした中で、大気汚染は、多くの健康被害者を発生させている。都条例による大気汚染医療費助成制度の認定患者数をみても、国が公害健康被害補償法(以下「公健法」という。)の指定地域を解除した昭和六十二年度末の一万六千九百四十一人に対して、平成十三年度末では五万一千五十八人と三倍を超える急激な増加を示している。
 この間、公健法による健康被害者の新規認定が打ち切られたことにより、新たに気管支ぜん息などを発病した健康被害者は、都の医療費助成を受けられる十八歳未満の都民以外には、何らの救済も受けられないまま、病気の苦しみに加えて、重い医療費負担のゆえに満足な治療も受けられていない。また、職を失っても何らの生活補償も無く生活苦にさいなまれるといった、二重三重の被害に苦しめられている。
 こうした中、去る十月二十九日、東京地方裁判所は、東京大気汚染公害訴訟において、公健法未認定患者に対する損害賠償を命じる判決を下した。このことは、新たな被害者の救済制度の創設が急務となっていることをより一層明らかにしたものと言える。
 また、この判決を踏まえて、石原都知事も、自動車排出ガス規制の強化と健康被害者の救済は、行政の使命であるとした上で、大気汚染による健康被害者救済制度を国の責任で創設することを強く求めている。
 大気汚染がますます深刻化する状況下で、健康被害者の窮状を放置しておくことは、もはや許されるものではない。国民の生命と健康を守る国の責務として、一刻も早く対策が講じられねばならない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、メーカーによる費用負担のあり方を検討し、大気汚染による新たな健康被害者救済制度を、国の責任で創設するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年十二月 日
         東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
環境大臣  あて

   B型・C型ウイルス肝炎総合対策に関する意見書(案)
 B型・C型ウイルス肝炎患者は、全国で二百万人から三百万人と推計されている。肝硬変から肝がんへと進行することが多いウイルス肝炎の患者の方々は、長期にわたる継続的な医療が必要であり、中には高額な医療費の負担で苦しむ方がいる。また、いまだ就労・就学など様々な面で社会的な差別や偏見にさらされている現実もある。
 国は、今年度から老人保健法の基本健康診査に肝炎ウイルス検査を制度化したが、精密検査や治療体制の確保など、専門的な医療体制を早急に確立することが必要である。
 さらに、旧ミドリ十字のフィブリノゲン製剤によるC型肝炎の感染被害に対する国の対応が急務となっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、B型・C型ウイルス肝炎についての総合的な対策を推進するため、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 社会的な差別と偏見を解消するため、更なる正しい知識の普及・啓発を行うこと。
二 ウイルス肝炎の治療体制の充実のため、専門医療機関の確保を図ること。
三 ウイルス肝炎に対する新しい治療法の確立と医療費負担を軽減するため健康保険の適用を促進すること。
四 フィブリノゲンを始めとした血液製剤などによる感染の実態を明らかにし、適切な対応を図ること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年十二月 日
         東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣 あて

   精神障害者の保健福祉施策の推進に関する意見書(案)
 我が国における精神障害者施策は、医療保護に重点が置かれてきたため、いまだ入院医療中心の施策にとどまっており、身体・知的障害者の施策と比べ、地域におけるケアを中心とした体制に向けての整備が大きく遅れている状況にある。
 また、精神科医療の現場では、社会的入院患者や療養環境の改善などの課題を抱えている。これらの課題を解決するためには、地域での生活の基盤である社会復帰施設の整備やこれを支える各種の在宅福祉サービスの拡充が急務であり、医療と福祉が一体となった総合的な施策展開が求められている。
 現在、国においては、社会保障審議会の場で、今後の精神障害者保健医療福祉施策の在り方等について検討を行い、「精神保健福祉総合計画(仮称)」を策定することとしている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、精神障害者の保健福祉施策について、次の事項を重点にその推進を図るよう強く要請する。
一 精神障害者に対する理解を促進し、偏見や差別のない社会を実現するため、様々なメディア・広報媒体を用いた普及啓発活動を強化すること。
二 長期入院患者のうち、地域でのケア体制が整えば退院可能な、いわゆる社会的入院患者の退院支援施策を推進すること。
三 診療報酬の大幅な改善など、精神科入院医療の充実に向けた医療機関の取組を支援すること。
四 精神障害者の社会復帰の基盤である各種社会復帰施設を計画的に整備すること。特に、居住の場の確保については、緊急に整備促進すること。
五 精神障害者の地域療養を支えるホームヘルプ等の居宅生活支援事業の一層の普及を図るとともに、その実施主体である区市町村に対する財政支援を拡充すること。
六 精神障害者の就労支援策として、現在の福祉的な就労支援対策にとどまらず、一般就労に向けた支援策を強化すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年十二月 日
         東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣 あて

   食品安全基本法(仮称)制定に関する意見書(案)
 食の安全・安心への消費者の関心の高まりと、BSE(牛海綿状脳症)、O157(腸管出血性大腸菌)、ダイオキシン、無登録農薬、偽装表示などによる、食品にまつわる事故・事件が日本国内外で続発し社会問題化したことが相まって、消費者は、かつて無い程食品に対する不信・不安を募らせている。
 食品にまつわる事件・事故は、ときに消費者の健康のみならず生命にも取り返しのつかない被害を与えるものであり、故意、過失にかかわらず、決して許されるものではなく、実効性のある食品の安全・安心確保対策は、現在、最も対応を急がなければならない課題である。
 また、既に政府は、事件発生後の対応が中心であった我が国の食品安全行政を抜本的に改革し、リスク分析という予防と危機管理を重視する考え方を導入することや、食品安全基本法(仮称)を来年の通常国会に提案することを明らかにしている。
 こうした背景の下で同法が制定されようとしていることに鑑み、その内容は真に実効性のあるものとして行かなければならない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、食品安全基本法(仮称)制定に当たり、次の事項を盛り込むよう強く要請する。
一 食の安全確保において地方自治体が果たす役割を早期に明確にするとともに、施行に当たっては必要な技術的・財政的支援を行うこと。
二 食品の安全性確保のために、実効性のあるリスク分析を実施すること。
三 食の安全性を、生産から消費に至る各段階において確保すること。
四 食品の安全性に関する行政への消費者の参加を確保すること。
五 食の安全性の確保に関する施策の決定に際して、消費者、事業者その他関係者の意見を聴取し、その過程の公正性及び透明性を確保すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年十二月 日
         東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣 あて

○森田委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書につきましては調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○森田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査及び請願陳情並びに特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百二十九号議案から第二百三十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○大山委員 第二百二十九号議案、東京都立成東児童保健院条例を廃止する条例に反対する立場から意見を述べます。
 成東児童保健院は、全国的にも、ここと、みちのくみどり学園の二カ所しかない病院と児童養護施設を併設した施設です。だからこそ、病気を持ちながら全員が地元の学校に通学し、普通の生活をすることができる医療と福祉と教育を保障している施設です。
 質疑を通して成東児童保健院の機能である病院併設の児童養護施設の必要性が、改めて明らかになりました。都が廃止の第一の理由にしている、結核や気管支ぜんそくが減ったからということは、現代の病弱、虚弱児の病気は多様であり、複雑であるということからも全く理由にならないことです。
 また、虚弱児施設としての役割が減ってきているとはいうが、なくなったとはいえないことに廃止条例の道理のなさが示されていると同時に、疾病と家庭崩壊が結びついているケースが多く、子どもたちは家庭での受け入れ先がないか、受け入れが難しい状況であること、知的発達も幅が広く、多様であることなどが明らかになりました。これらのことは、医療と福祉が同時に必要であるということです。
 また、今回、児童養護施設に入所することになった児童も、成東児童保健院があったからこそ病気への適切な対応があり、体力もつけ、児童養護施設で受け入れることができたという具体的な事例については、成東の処遇の結果と答弁せざるを得ないように、現在入所している子どもたちが他の施設に行くことができるからといって、今後の子どもたちにとって成東児童保健院の役割が不必要だとはいえません。
 さらに、受け入れ先の児童養護施設の実態は、被虐待児、情緒障害、人格障害などの難しい子どもたちを初め、あらゆる子どもたちの受け皿になっており、そこに成東の子どもたちが入所することになれば、現在でも現場からはもちろんのこと、児童相談所長会からも、多様な子どもたちに対応するために人員配置基準を見直してほしいと要望が出ているほどのところであり、既に子どもたちに影響が出ていることも明らかにしました。
 児童養護施設ではとても対応できない、障害児施設では複雑な病気の子には対応できない、重症心身障害児施設ほど障害は重くないという子どもたちのために、成東児童保健院の役割はどうしても必要です。むしろ、千葉、埼玉、神奈川などと連携し、首都圏の拠点施設として生かしていく方向を検討すべきです。
 必要性がある施設を、そして実際に子どもたちが入所している施設を強引に廃止するために、子どもたちの最善の利益を優先しなければならない東京都が、公然と子どもたちの権利侵害を推進したことも決して許されることではありません。成東児童保健院を廃止するということは、第三回定例会で母子保健院が廃止されたのに引き続き、子どもたちの医療と福祉を切り捨てることにほかありません。成東児童保健院が、病気を持ちながら虐待などを初め養護が必要な子どもたちの、ほかにはない施設であることを考えれば、最も弱いといっても過言ではない、自治体として最も責任を持たなければならない子どもたちを容赦なく切り捨てるということであり、決して許すことができないことです。
 よって、成東児童保健院の廃止条例に反対であり、東京都がやらなければならないことは、廃止ではなく、東京の病弱、虚弱児の実態把握と総合的な支援策であることを再度求めて意見とします。

○森田委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第二百二十九号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○森田委員長 起立多数と認めます。よって、第二百二十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第二百三十号議案から第二百三十二号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○森田委員長 異議なしと認めます。よって、第二百三十号議案から第二百三十二号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○森田委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○森田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。
 また、閉会中に会議規則第六十条の規定に基づく委員の派遣が必要となった場合につきましては、その取り扱いを委員長にご一任いただきたいと思います。ご了承願います。
 この際、所管三局を代表して、長尾健康局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○長尾健康局長 お許しをいただきまして、当委員会所管三局を代表し、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 本定例会にご提案申し上げました議案につきまして、ただいまご決定を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でちょうだいしました貴重なご意見、ご指摘等につきましては、十分に尊重させていただき、今後の保健医療行政における事務執行に反映させてまいりたいと存じます。
 また、今後とも、福祉局、病院経営本部とともに三局の連携を強め、都政の充実に努めてまいる所存であります。引き続きご指導、ご鞭撻をいただけますようよろしくお願い申し上げます。
 まことに簡単ではございますが、これをもちまして御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○森田委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十四分散会

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