委員長 | 森田 安孝君 |
副委員長 | 吉田 信夫君 |
副委員長 | 古賀 俊昭君 |
理事 | 松原 忠義君 |
理事 | 青木 英二君 |
理事 | 佐藤 裕彦君 |
山加 朱美君 | |
柿沢 未途君 | |
萩生田光一君 | |
山口 文江君 | |
田代ひろし君 | |
福島 寿一君 | |
曽雌 久義君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉局 | 局長 | 川崎 裕康君 |
総務部長 | 吉川 和夫君 | |
生活福祉部長 | 反町 純夫君 | |
高齢者部長 | 福田 豊君 | |
子ども家庭部長 | 笠原 保君 | |
障害福祉部長 | 有留 武司君 | |
保険部長 | 野村 寛君 | |
企画担当部長 | 内海 憲二君 | |
団体改革担当部長 | 片岡 貞行君 | |
連絡調整担当部長 | 菅原 眞廣君 | |
山谷対策担当部長 | 廣田 正志君 | |
参事 | 中島 滋夫君 |
本日の会議に付した事件
陳情の取り下げについて
福祉局関係
事務事業について(質疑)
○森田委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
お手元配布の一四第四一号、第三種・第四種郵便制度に係る現行サービスの存続に関する陳情につきましては、取り下げを許可した旨議長から通知がありました。ご了承願います。
○森田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料につきまして理事者の説明を求めます。
○吉川総務部長 過日の委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会資料にまとめてございますので、説明させていただきます。
表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、全部で十九項目となっております。それでは、順を追って説明させていただきます。
まず、一ページをお開き願います。福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてにおける都立福祉施設改革対象施設の状況として、各施設の運営主体、入所定員、職員定数などにつきまして、一ページから二ページにわたりまして記載してございます。
次に、三ページをごらん願います。福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてにおける都立福祉施設改革の説明状況として、各施設ごとの利用者等への説明状況を記載してございます。
次に、四ページをお開き願います。中井児童学園の在籍児童数の推移として、平成九年度から十四年度までの定員と在籍児童数を記載してございます。
五ページをごらん願います。保育所入所待機児童数の推移として、区市町村別、年齢別の十月一日現在の待機児童数につきまして、五ページから九ページにわたりまして、平成九年度から十三年度までの状況を記載してございます。
次に、一〇ページをお開き願います。認可保育所の定員数及び入所児童数の推移として、平成十年度から十四年度までの定員及び年齢ごとの入所児童数を各年度四月一日現在で記載してございます。
一一ページをごらん願います。認可保育所の創設、増改築に係る整備費補助及び箇所数の推移として、平成九年度から十四年度までの補助額、創設数及び増改築数を記載してございます。
次に、一二ページをお開き願います。認可保育所の大規模修繕に係る整備費補助及び箇所数の推移として、平成九年度から十四年度までの補助額と整備箇所数を記載してございます。
一三ページをごらん願います。認可保育所の保育士配置基準として、設置認可基準及び補助基準につきまして、国と東京都の基準を記載してございます。
次に、一四ページをお開き願います。認可保育所数及び専任保育士数の推移として、平成八年度から十二年度までの都道府県別の施設数及び保育士数を記載してございます。
一五ページをごらん願います。支援費対象施設に対する民間社会福祉施設サービス推進費補助の交付実績として、グループ別の算定額いわゆるA経費と、施設の規模別等の算定額いわゆるB経費を施設種別ごとに記載してございます。
次に、一六ページをお開き願います。知的障害者入所更生施設での措置費と支援費仮単価といたしまして、一六ページには措置費の一月当たりの平成十三年度単価を、一七ページには本年九月に国が示しました支援費の一月当たりの仮単価を記載してございます。
次に、一八ページをお開き願います。心身障害者施設緊急整備三カ年計画の実施状況といたしまして、平成十三年度から十五年度までの施設種別ごとの計画と実績につきまして記載してございます。
一九ページをごらん願います。現行制度と支援費制度における利用者費用負担といたしまして、知的障害者入所更生施設を例といたしまして、利用者本人負担額につきましては、一九ページには現行制度の、二〇ページには支援費制度のそれぞれの負担額を記載してございます。また、扶養義務者負担額につきましても同様に、二一ページには現行制度の、二二ページには支援費制度の負担額を記載してございます。
次に、二三ページをごらんください。盲聾者向け通訳・介助者養成講習会等の実施状況といたしまして、(1)では盲聾者向け通訳・介助者要請講習会を実施している府県を、(2)では盲聾者通訳・介助者派遣事業を実施している府県及び派遣単価を記載してございます。
次に、二四ページをお開き願います。第二期事業運営期間におけます介護保険料の見込み額を記載してございます。
二五ページをごらんください。生計困難者に対する介護保険サービス利用者負担額軽減措置事業の実施状況として、事業開始年月、事業実施区市町村、確認書交付人数、利用者負担額軽減実績などを記載してございます。
次に、二六ページをお開き願います。区分支給限度基準額に対する居宅介護(支援)サービス利用率といたしまして、要介護状態区分ごとの区分支給限度基準額に対します平成十二年度と十三年度の利用実績とその利用割合を記載してございます。
二七ページをごらんください。介護サービス種類別の目標に対する実績といたしまして、平成十二年度と十三年度におけますサービス種別ごとの目標、実績などを記載してございます。
最後になりますが、二八ページをお開き願います。国民健康保険におけます被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付並びに被保険者証未交付の状況につきまして、区市町村別に二八ページから二九ページにわたりまして記載してございます。
以上、ご要求のございました資料につきまして説明を申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○森田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山加委員 福祉局関係の事務事業質疑に当たりまして、私の方からは、子ども、障害、高齢者の各分野にわたって幾つか質問をさせていただきます。
まず、認証保育所についてですが、都が昨年の八月、独自の基準を設け、新たにスタートした認証保育所ですが、先日、百カ所を超えたと伺いました。順調に設置が進んでいるようですが、現在の設置箇所数はどのくらいでしょうか。また、駅前型でありますA型の設置主体の内訳はどうなっているか伺わせてください。
○笠原子ども家庭部長 認証保育所の設置数についてでございますけれども、先生今お話のございましたとおり、本年十月に百カ所に達しまして、十一月現在の設置数でございますけれども、A型が六十カ所、それからB型が四十七カ所の合計百七カ所となってございます。
駅前設置を基本といたしますA型六十カ所の設置主体別の内訳でございますけれども、株式会社が三十六カ所、有限会社が八カ所、学校法人が三カ所、社会福祉法人が一カ所、財団法人が一カ所、個人が十一カ所でございまして、多様な事業主体が参入いたしまして、それぞれの特性を生かしたサービスを競い合っているというふうに考えてございます。
本年二月に策定いたしましたTOKYO福祉改革STEP2では、本年度のA型の設置計画、これを四十カ所といたしておるわけでございますけれども、既に六十カ所と大幅に上回って設置が促進されてございます。
○山加委員 今の答弁で、計画を上回る勢いで設置が進んでいるのがわかりました。このことは、認証保育所が多様な事業者の参入により、現在の厳しい不況の中で、利用者の切実な声に対して的確にこたえていることのあかしでもあると思います。しかし、この認証保育所制度に対して、民間企業の参入は、利益を追求する余り、保育のレベルを低下させるものではないかという批判の声も聞こえてまいります。
私は、多様な事業者の参入は、事業者の創意工夫を生かし、利用者のニーズに的確にこたえることができるという観点から、大いに歓迎すべきものと考えております。しかし一方では、大切なお子さんをお預かりするわけですから、保育所には、当然でありますが、認可、認可外を問わず高い水準の保育サービスが求められます。
都は、事業者に対して、適正な保育サービスの提供が図られるように指導監督を実施していく責任があると考えます。認証保育所についても、認可保育所に対する指導検査と同様に立入調査をきちんと行い、基準に基づいた指導監督を実施するべきであると考えますが、都は認証保育所に対する指導監督基準を整備したのでしょうか。また、整備したのであれば、その基準をもとに今後どのように指導監督をしていくのか伺います。
○笠原子ども家庭部長 認証保育所につきましては、認証保育所実施要綱で、保育所保育指針に沿いました保育内容の実施を義務づけまして、これに基づきました開設時における事前指導や開設後の現場状況の調査などを、これまでも日常的に運営指導をしてまいりました。しかしながら、制度がスタートいたしまして一年を経過いたしましたことから、認可保育所と同様の監督体制で立入調査を実施することといたしまして、適正に運営内容を評価するための詳細な項目を盛り込みました認証保育所指導監督基準、これをこのたび新たに策定いたしました。今後は区市町村や事業者への説明会を、これは来月予定してございますけれども、実施した後に、この指導監督基準に基づきまして、区や市と共同いたしまして、すべての認証保育所に対して順次立入調査を実施していく予定でございます。
○山加委員 立入調査による指導監督はとても重要であります。ぜひ適正に実施していただきたいと思います。そして、こうした指導監督だけでなく、利用者サイドに立った保育水準の維持向上策も必要であると考えますが、今後、都はどのような取り組みを行っていこうと考えているのでしょうか。また一方、行政サイドだけでなく、事業者自身の資質向上に向けた実質的な取り組みもまた必要であると考えますが、具体的にどのようなものがあるのか伺います。
○笠原子ども家庭部長 認証保育所は、事業者の創意工夫を生かして利用者ニーズに的確にこたえることのできる新しいスタイルの保育制度でございます。したがいまして、保育水準の維持向上につきましては、本来、まず事業者みずからが切磋琢磨して行っていくものでございますけれども、行政といたしましても、そこを利用する子どもが安心して生活できる環境を適切に確保するという観点から、さまざまな指導監督あるいは誘導策、こういったものを講じていく必要があるだろうというふうに思っております。
このため、ただいま申し上げました指導監督を適正に今後行っていくほか、事業者による利用者への情報公開、こういったものも徹底させること、さらには第三者によるサービス評価を積極的に受けることを促すことなどを実施してまいります。
一方、今月十五日でございますけれども、認証保育所の事業者みずからが自主的に相互に連携いたしまして、全体のサービスの維持向上を図っていくために事業者団体、仮称でございますけれども、東京都認証保育所協会を設立いたしました。そこでは、これまでの事業者単位の取り組みに加えまして、この団体が主体となって、経営者や保育従事者の資質向上のための研修、共通の課題や新しい取り組みなどについての情報交換などの活動が行われるというふうに聞いてございます。東京都といたしましては、こうした事業者みずからの資質向上に向けた取り組みに期待をいたしておるところでございます。
○山加委員 今後も、保育のレベルを維持向上させていくことは決して怠ってはいけないことであると考えます。認証保育所のより良質な保育水準確保のために、今後とも都が積極的に対応していくことをお願いしたいと思います。我が会派としても、引き続き都の取り組みを支援していきたいと思いますので、ぜひ、施設の設置促進と保育内容の充実を積極的に進めていただきたいと考えております。
そこで、認証保育所を含めまして、保育サービス充実に向けた今後の取り組みについて局長の決意を伺います。
○川崎福祉局長 東京の保育サービスに求められていることは、大都市特有の多様で切実な保育ニーズに柔軟かつ的確にこたえ、東京の保育総体のサービス向上を図っていくことであると認識しております。
このため、実施主体であります区市町村及び事業者が、延長保育、ゼロ歳児保育などの利用者ニーズに対応した積極的な取り組みを行っていくことが必要であると考えております。今後、認証保育所のさらなる設置促進を図り、都市型の新しい保育サービスへの転換を先導していくことにより、東京の保育の大宗を占めます認可保育所のサービス水準が一層向上していくよう、区市町村や認可保育所の積極的な取り組みを引き続き働きかけ、支援してまいります。
○山加委員 次に、私は今年の二定の一般質問でお伺いいたしましたが、身体障害者補助犬法に関しまして、その後の状況を含めまして、都の取り組みについてお伺いいたします。
身体障害者補助犬法は本年五月に成立、十月一日から施行されました。この法律は、盲導犬、聴導犬及び介助犬を我が国が身体障害者補助犬として正式に位置づけたという点では、障害者の社会参加促進にとっては、ほかの先進諸国にも例を見ない極めて意味のある法律であります。法の施行によりまして、公共施設、公共交通機関では、障害者が身体障害者補助犬を同伴することを拒むことができなくなりました。この法律ができたことで、今まで大変おくれておりました補助犬の社会的認知と受け入れ体制が進み、障害者が大切なパートナーである補助犬と、行きたいときに行きたいところへ今まで以上にどこへでも不自由なく行くことができ、障害者の自立と社会参加が促進されることとなるよう期待するものであります。
しかしながら、補助犬法をどのように運用していくのか、そしてまた、訓練所、訓練士、訓練犬、その基準はどうなっているのか、その周知を初め、まだ多くの課題がたくさん残されております。
そこで、まず東京都内における補助犬の状況は現在どうなっているのか伺います。
○有留障害福祉部長 都内において活動している補助犬の状況でございますが、認定済みの補助犬で都が把握しているのは、平成十三年度末現在、盲導犬七十一頭でございます。なお、都内の介助犬、聴導犬については把握しておりませんが、国資料によりますと、全国では介助犬二十六頭、聴導犬十九頭となっております。
○山加委員 二定では、補助犬についてどのように取り組んでいくかという私の質問に対しまして、都民に対して積極的な周知を図るというお答えをいただきましたが、これまでに具体的にどのような周知を行ってきたか伺います。
○有留障害福祉部長 都といたしましては、法の成立時及び施行時におきまして、「広報東京都」への掲載を初め、局の広報紙やホームページなど、さまざまな広報媒体を通じ、都民への積極的な普及、啓発を図ってきたところでございます。さらに、都の各局はもとより、全区市町村に対してポスターやリーフレット及び独自に作成いたしましたQアンドAを配布し、周知したところでございます。
○山加委員 来年十月からは、さらに不特定多数の人が利用するレストラン、デパートなど、民間施設にも受け入れ義務が課されるわけでありますが、今後、身体障害者補助犬の普及のためには、都としてどのような取り組みを考えているのか伺います。
○有留障害福祉部長 身体障害者補助犬の普及のためには、補助犬について障害者や都民の理解が広がり、補助犬の受け入れがスムーズに行われることが必要でございます。都は、これまでもさまざまな広報媒体を通じ、積極的に普及、啓発を図ってきたところでございますが、今後ともあらゆる機会をとらえ、都民の理解促進に努めてまいります。
また、平成十五年四月以降は、都内で活動する育成団体からの訓練事業の届け出が始まります。この受理に当たりましては、適正な育成がなされ、良質な補助犬が障害者のもとに届くよう指導してまいります。
○山加委員 法の施行からまだ一月しかたってはいないものの、身体障害者の自立と社会参加の促進あるいはバリアフリー化を進めていく上では、この補助犬の普及は前提条件の一つともいえると思います。我が国では、盲導犬は日本全国でも約八百頭、東京都内は先ほど七十一頭という答弁でございましたけれども、盲導犬は比較的テレビやラジオ、マスコミでも皆様、目にする機会が多くございます。しかし、聴導犬はまだ十九頭、恐らく都内には一、二頭しかいないと思います。しかしアメリカでは、この聴導犬はヒアリングドッグと呼ばれ、八千頭近くがいるわけですね。ですから、比較すると、その数はまるで比較にならないわけであります。
外国では盲導犬、聴導犬、そしてその聴導犬はオレンジ色の首輪、リール、そしてマントをつけて、これは世界共通でありますけれども、法に定めなくとも普通に町の中を歩き、人々がそれを認知をしているわけであります。まさに、我が国は恥ずかしいくらいおくれているといわざるを得ないわけでありますけれども、やはり都が我が国の中で先導的役割を担うくらい、そのくらい大きな気概で取り組んでいただくことを期待したいと思います。
続きまして、来年度の予算要求されている介護予防開発普及事業について幾つか質問をさせていただきます。
我が国は、世界でも類を見ない速さで高齢化が進んでおり、それに伴い、要介護老人対策が長寿社会に向けての緊急課題となっております。介護保険制度施行三年目となりまして、現在、高齢者の保健福祉計画の改定中と思いますが、まず要介護高齢者の予測がどうなっているのか、伺います。
○福田高齢者部長 要介護者の予測でございますけれども、平成十四年一月と比較しまして、平成十九年度には約五割、四六%増加することになると予測しております。すなわち、平成十四年一月一日、二十四万三千人から平成十九年度は三十五万五千人に増加すると予測しております。
○山加委員 平成十九年度には介護を必要とする高齢者は約三十六万人、現在の約一・五倍になるわけでありますが、要介護高齢者の増加は、高齢者本人や介護者である家族の負担だけでなく、介護保険給付費や老人医療費など、国や地方公共団体の財政圧迫や保険料等の住民負担増を招くこととなります。私たちは、介護が必要となる高齢者の増加といった将来の不安を解消する視点から、介護予防の充実が必要と考えております。
まず、現在の介護予防に関する施策やメニューはどうなっているのでしょうか。
○福田高齢者部長 介護予防に関する施策やメニューには、一般健診、生活習慣病予防、栄養保健指導といった保健医療の分野から、生きがいデイサービス、地域リハビリテーション、社会参加の促進といった福祉分野など多種多様のものとなっており、これらにかかわる機関、また人的資源等も大変多岐にわたっております。
○山加委員 保健、医療、福祉の分野でさまざまな施策やメニューがありますが、これらについては身近な地域において総合的に取り組む必要があると考えます。区市町村における取り組みと、その効果についてはどうなっているのでしょうか。
○福田高齢者部長 区市町村においても介護予防の重要性については十分認識され、取り組みが行われております。しかしながら、その対象者、メニュー、関係セクション及び関係者が余りに幅広く、理論的にも技術的にも明確なモデルが確立されていないことから、効果的な取り組み方法やノウハウがないため、まだ目に見えるような成果が上がっているとはいいがたいと考えております。
○山加委員 福祉局では、新規事業として介護予防開発普及事業を予算要求しておりますけれども、こうした課題についてどのような支援を行うこととしているのでしょうか。
○福田高齢者部長 介護予防の成果を上げるには、個々の高齢者の状況に即し、効果的介護予防メニューを実施していくことが重要であると考えております。そのため、老年症候群など介護リスクが大きい対象者の把握方法や転倒予防プログラム等、それぞれの高齢者に合った介護予防メニューの企画、実施方法など、区市町村においてプログラムが効果的に実施できるよう健康局とも連携し、実施者への継続的な指導と技術的支援を行っていきたいと考えております。
○山加委員 介護予防のメニューは、まだ未開発な部分があると思います。人が相手なだけにマニュアルどおりにいかないこともたくさんあると思います。その人に応じた効果的な介護予防に取り組むため、都としても新たなメニューの開発や普及も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○福田高齢者部長 介護予防開発普及事業を活用いたしまして、ご指摘の件についても、例えば三カ月の短期間で体力や活動能力の回復を図るパワーリハビリテーションなど、先駆的個別メニューを実施し、その効果や手法を検証した上で、マニュアルなどを開発して区市町村への普及拡大を図りたいと思っております。
また、各区市町村における取り組み状況を評価、検証し、介護予防を効果的に発展し得る総合的な取り組み手法についても開発していきたいと思っております。
○山加委員 人は、だれもが生涯いつまでも元気のままでいたいと願っているはずであります。しかし、老いることは人生の条理であります。願わくば、介護を必要としない、あるいは介護が必要となる時期を少しでも遅くする、介護が必要な時期が少しでも短くなる、そんな取り組みが進むような期待をしたいと思います。
そうした観点から、次に、高齢者の方が住みなれた地域の中で暮らし続けるために必要となる痴呆性高齢者グループホームの整備について伺います。
先日の新聞報道では、要介護一の方でも特別養護老人ホームの入所対象となっていることから、特養入所を希望される方が急増しているとありました。しかし、多くの方々は、本当は施設に入所するよりも、住みなれた地域で継続して生活することができればそれにこしたことはない、地域に暮らし続けることができないから施設への入所を希望せざるを得ないとお考えになっているのではないでしょうか。
そこで伺いますが、都民は、介護が必要となったときに、施設を希望されているのか、在宅を希望されているのか、そのどちらなのか、都としては把握をなさっているのでしょうか。
○福田高齢者部長 東京都では、社会福祉基礎調査として都民の生活実態と意識について五年ごとに調査を実施しており、昨年、平成十三年ですが、六千世帯、約一万二千人の都民に対して調査を行いました。
昨年の調査では、お尋ねの都民の介護必要時の対応についても調査いたしましたが、回答のあった約八千五百人のうち、施設への入所を希望される方が一五・四%であり、一方、自宅や高齢者向けの住宅による介護サービスの利用を希望される方々は六六・八%でございました。
○山加委員 六六・八%、六割を超える方々が在宅での生活を継続することを希望されているわけですが、福祉局では、TOKYO福祉改革STEP2の中で、高齢者がそれぞれの価値観や生活スタイルに合わせて地域で安心して暮らし続けることのできる多様な住まいの整備を進めるとしています。その中でも、高齢者人口の増加に伴って増大する痴呆性高齢者への対応策として、痴呆性高齢者グループホームの整備が求められてくると思います。痴呆性高齢者グループホームは、痴呆の進行をおくらせる効果があるとされており、痴呆となっても地域の中で生き生きと暮らし続けることのできる在宅サービスとして、非常に有効であると考えられております。
そこで伺いますが、都の整備状況は全国と比較してどのような状況にあるのでしょうか。
○福田高齢者部長 平成十四年十月三十一日現在、痴呆性高齢者グループホームの整備状況は、全国の二千三百二十五カ所に対し東京都は五十三カ所であり、全国で十五位、十五番目でございます。
○山加委員 全国で十五位といっても、高齢者人口に比べると下位のレベルにあると思います。さらに整備を積極的に進めていくことが必要と考えます。都では設置促進を図るために、民間企業が痴呆性高齢者グループホームを設置する場合についても、本年度新たに整備費を補助する都独自の制度を創設しました。新たな補助制度に対する民間企業の関心がどうなのか、また、具体的な申請は何件くらい出ているのでしょうか。
○福田高齢者部長 本年七月二十九日に都単独補助に関する事業者説明会を行いましたところ、百三十七の団体が参加されました。そのうち、民間企業の出席者は四十七社、六十八名でございました。また、現時点で内示を行ったのは四カ所五ユニット、四十五人分でございます。
○山加委員 時間的な問題もあるのでしょうけれども、大変多くの参加者があった割には、補助制度を具体的に活用した件数がちょっと少ないように思えます。都としても、先日発表されました重要施策において、民間企業の参入がさらに促進できるよう、さらなる整備費補助の拡大を期待してまいりたいと思います。
しかしながら、整備費補助の拡大だけで、痴呆性高齢者グループホームの整備状況が全国トップ水準になることは可能なのでしょうか。グループホームの数がふえ、それなりの量が確保されたとしても、しっかりとした事業者による質の高いサービスが提供できる条件整備ができていなければ、都の施策としては画竜点睛を欠くものとなるのではないでしょうか。
整備費に関する課題以外に、痴呆性高齢者グループホームの設置や運営上の課題はないのでしょうか、それらについて都は把握しているのかどうか伺います。
○福田高齢者部長 やはり平成十四年七月に痴呆性グループホームの実態調査を実施しましたが、それによると運営上の課題の主なものとしては、一、職員の募集、育成、定着化の難しさ、二、初期投資分の回収の難しさ、三、利用者の退所時あるいは緊急時の対応問題などが大きな課題として挙げられております。
○山加委員 痴呆性高齢者グループホームは、さまざまな課題があることがわかりました。比較的新しい制度であるため、これらの課題については都の支援策が必要なのではないでしょうか。
○福田高齢者部長 先ほど申し上げました実態調査の結果に基づき、痴呆性高齢者グループホームの課題についてさらに検討しているところでございます。また、利用者のケアや施設の経営等に関する具体的な事例に対して、専門家等による経営相談会を実施することといたしております。今後とも区市町村や関係団体と連携し、ソフト面の支援も含めた設置促進策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○山加委員 痴呆性高齢者グループホームは、これから東京が迎えようとする四人に一人、三人に一人といういわゆる超高齢社会にとっては、痴呆となっても住みなれた地域の中で生き生きと暮らし続けることのできる、都民にとっては大切なサービスの一つであると考えます。
痴呆性高齢者グループホームの一層の量の充実を図るとともに、都民が安心して利用できる質の確保にも十分留意をされ、真の都民本意、利用者本意の新しい福祉の実現がされるよう期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○青木委員 障害者福祉についても、いよいよ来年四月から支援費制度がスタートするわけです。この支援費制度の基本的な理念というのは、障害者がみずからサービスを選択、利用して、なおかつ自立を支援するということだと思うんです。東京都がことしの二月、TOKYO福祉改革STEP2の中でも、地域で自立して生活を営もうとする障害者を支援していくということをいっております。しかし、現時点では、依然として施設待機者が多く存在するなど、まだまだ施設偏重ということをいわざるを得ないのが現状だというふうに思います。
すなわち、知的障害者生活寮を中心として、地域で障害者が安心して暮らすことのできる場の不足ということがあるために、本来ならば地域の中で生活をすることを希望する人が地域で生活できずに施設に引き続き入所せざるを得ない。逆のいい方をすると、本来は施設の中で生活をしていきたいという人が待機者として施設に入れない、こういったことがあるわけです。また、障害者にとって、施設が永住の場となって地域に復帰することが非常に難しくなっているという現状もございます。こういった観点で、障害者の自立に向けた東京都の取り組みについて幾つかお伺いをしたいと思います。
まず最初に、知的障害者生活寮についてですが、東京都は心身障害者施設緊急整備三カ年計画を立てて、今その施策を進めているところなんですが、十三年度が初年度ということですが、十三年度の実績と皆さん方が立てた計画目標、この比較を伺いたいと思います。
それからもう一つ、定員については、これは福祉改革推進プランの方で定めているわけですが、こちらも実績と皆さんが立てた目標値、これの比較をまず最初に伺いたいと思います。
○有留障害福祉部長 心身障害者施設緊急整備三カ年計画における知的障害者生活寮の十三年度の整備計画数は、重度生活寮も含めて二十四カ所でございます。それに対する整備実績は十二カ所でございます。ただし、生活寮はマンションの借り上げなど整備を伴わないものもあり、これらを含めますと、設置数は二十二カ所となります。それから、福祉改革推進プランの十三年度末計画定員数は一千百十五人でございますが、実績定員は九百六十四人でございます。
○青木委員 生活寮については、若干ですが、下回っています。定員についても下回っているというようなことになっているわけですが、この辺の理由ですが、どうして下回らざるを得なかったのかということと、それから今後の計画達成の見通しもあわせて伺っておきたいと思います。
○有留障害福祉部長 平成十三年度において計画を下回りましたのは、心身障害者施設緊急整備三カ年計画の発表時期が平成十二年末ということでしたので、周知期間を十分にとれず、区市町村における予算対応が困難であったこと、それから、設置者である社会福祉法人等の準備が間に合わなかったことなどが考えられます。さらに、平成十五年度からの支援費制度移行に当たりまして、生活寮についての制度の詳細が不明であったことがございまして、区市町村等が設置について、やや消極的にならざるを得なかったということも原因と考えられます。
しかし、今年度に入りまして、区市町村や法人等に対して制度の周知を図るなど、計画達成に向けて働きかけておりまして、現在、相談を多数受けている状況にございます。今後とも最終年度までの間に計画数を達成できるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
○青木委員 達成に向けて、最大の努力をこれからもお願いをしたいと思います。生活寮、借り上げも含めて、その器のことだけではなくて、器をつくっても中に入る人がいなければ意味がないわけですから、ぜひ引き続き、その定員の拡大についても一層の努力を要望しておきたいと思います。
次に、今後の生活寮の設置を促進するために、運営面において支援の充実というのは大変必要になってくると思います。私も生活寮の関係者の方から、少数なんですが、何人かの方からいろいろ聞き取りをしてみたんです。
生活寮に入る方の生活費というのは、大きく分けて食費、それから家賃、被服費、それから小遣いで、非常に個人差もあるんでしょうけれども、平均十二万から十三万ぐらいと。今度は出る方のお金の話なんですが、福祉的な就労の場合、年金、それから手当が、これは障害者福祉手当になるんでしょうか、一万五千五百円、それから工賃、工賃も相当差があるんですけれども、平均してみると、私が聞いた範囲では九万ぐらいです。あとは、これに家賃助成として上限二万四千円を利用しても、足してみるとほんとにぎりぎりという方も非常に多いんです。さっき私は、定員をふやしてください、利用者をふやす必要がありますよという中で、これが非常に一つの障害になっている感じがしております。
もう一つ、現在、東京都は生活寮の利用者一人に対する委託料が八万九千円になっているわけですが、運営する法人が良質な世話人を確保する、それから質の高い、一番重要な安定した経営ということを行っていく上にも、今後一層の充実ということが必要だというふうに思います。
それからまた、これも非常に重要なことなんですが、地域の中で理解をしてもらうということも必要なことになってまいりますし、それから物件や世話人を確保していくためにも、生活寮に関しての積極的なPR--生活寮、こういったことに関係している人は非常によくわかっていますけれども、広く都民の間には、生活寮というのはどういうものかという理解が、率直にいって足らないという感じは一致していると思います。ですから、そういった広報活動も必要になってくると思います。
私は、生活寮の設置というのは、こういった今幾つか挙げたお金の問題も含めて、それから認知の問題も含めて、総合的な施策の展開がなければ、質的、量的なことができない。そこで、総合的な施策についても伺っておきたいと思います。
○有留障害福祉部長 生活寮は、地域で自立した生活を営もうとする知的障害者の居住の場として大変重要な役割を果たしており、都は、先ほど来申し上げています緊急整備三カ年計画により特別助成を行い、設置促進を図っているところでございます。
また、設置後においても、安定した運営が図られ、利用者が安心して利用できるよう、都では委託料に独自の加算を行い、生活寮運営を行っているところでございますけれども、生活寮の運営のために支援の充実が必要であることは承知しております。
今後、自立を目指す障害者が地域で生活できるよう、設置促進のための施策の充実について、ご指摘のPRの充実も含めて検討してまいります。
○青木委員 今ご答弁いただいたように、自立を目指す障害者が地域で生活できるように、設置促進のためにいろいろと施策の充実を検討していくということでございますので、検討から一歩前に進んで、実現ということにぜひ一層のご努力をお願いを申し上げたいと思います。
もう一つ、重要な視点でお尋ねをしたいんですが、施設に入所の方々の地域への移行の取り組み、このことについてちょっと伺っておきたいと思います。
先ほどからもお話を申し上げているように、支援費制度の最大のポイントというのは、何といっても障害者の方々の選択の幅を広げる、選択の幅を広げてその自立を支援していく、そういうことにあると思うんですが、そういうことでいうと、生活寮など生活の場の整備を進めるとともに、施設においても、自立意欲のある入所者については、積極的に地域の中へ移行していく支援というものが非常に重要だというふうに思うんです。
この際伺っておきたいんですが、現状では、知的障害者の方々が施設に入所している割合と、通勤寮や生活寮に、通勤寮の場合には通っているということになるんでしょうが、その辺の割合がどういうふうになっているのか、ちょっと伺っておきたいと思うんです。
○有留障害福祉部長 平成十四年四月一日現在、知的障害者で施設に入所されている方と、生活寮及び通勤寮を利用されている方の割合でございますが、おおむね八対二となっております。
○青木委員 八対二という、相当アンバランスで、今のところ施設に偏重ということがいわざるを得ないと思うんですね。さらに、もう一つの入所施設から地域へ移行、自立をした知的障害者の方、これは十三年度に何人ぐらいいらしたのかも数字として伺っておきたいと思います。
○有留障害福祉部長 平成十三年度、自活訓練事業を行った都立及び都内施設における地域移行の実績でございますが、八人でございます。
○青木委員 この数も非常に少ないなという感じがしております。やっぱりこういう数だとなかなか待機者の数というのは減っていきませんし、先ほどの八対二という数字も、なかなかこれは変更にならないなという感じがします。
私は、基本的な考えは、施設ではなくて自立して地域の中で生活をしていきたい人、それからいろんな事情で入所して生活をしていきたい人と、それぞれの考え方、立場、状況というものがあると思うんですね。こうやって施設に非常に偏っているということは、本来は地域で自立する人が依然として施設の中にいる、それから、逆にいうと施設の中に入って生活をしたいという人が、今いったように、そのようにならないということでいえば、これから支援費制度がスタートしていく中では、サービスの幅が広がるということには残念ながらなっていかない、双方にとってなっていかないというふうに思います。
そこで、東京都としては、自立を希望する障害者の施設から地域への移行については、今後どのような取り組みをされていくのか、伺っておきたいと思います。
○有留障害福祉部長 都は、国の知的障害者自活訓練事業をさらに推進するため、今年度より独自の取り組みといたしまして、訓練用のアパート借り上げ経費を補助する知的障害者地域移行支援事業を創設しまして、施設入所者の地域生活への移行促進を図っているところであります。
さらに、都立事業団施設がございますが、ここには七尾福祉園とか千葉福祉園とか、中・軽度の地域への移行が可能な方が多くいらっしゃいます。そういう中・軽度や重度の人たち、それから最重度施設も含めて、地域自活訓練事業の充実を強く働きかけているところでございます。
さらに、施設職員向けの地域移行マニュアルや、利用者、保護者向けのリーフレットを作成しまして、自立を希望する障害者の施設から地域への移行について理解を深めているところでございます。
今後、これらの施策を通じ、希望する知的障害者の地域移行支援を強力に進めてまいります。
○青木委員 今、障害者について、生活の場の確保、それからもう一つは地域の中に移行してそこで生活をしていくという両面、それぞれ補完をしながら重要なことだということで幾つか質疑をさせていただいたわけですが、片方が欠けても障害者が自立をするということも進みませんし、それからまた施設の中で生活を希望するという人にとっても、さっきからお話をしているように待機者が減らないということですから、それぞれ双方にとってはマイナスということになってくると思います。
さっき私がこの一つ前の質問でも伺ったように、支援費制度が真に意義あるものということになっていく一つのポイントは、いかに必要なサービス基盤を整備し、障害者の選択の幅を広げていけるかどうかにかかっていると思います。そういうこともあって、最後に福祉局長に障害者の地域における自立支援の決意を伺っておきたいと思います。
○川崎福祉局長 障害者の方々が可能な限り地域で自立して暮らすことができるよう、一つは入所施設から地域生活移行への支援、もう一つは、自立した地域生活を支える仕組みの構築、この二つを施策の方向としてただいま取り組んでおるところでございます。
その中で、地域生活の場であります生活寮、グループホームなどの設置促進を図るとともに、入所施設におけます地域移行支援を推進しております。今後ともこれらの施策を強力に推進して、障害者の方々の自立生活を積極的に支援してまいります。
○青木委員 要望だけしておきたいと思いますが、ここに十一月十三日の朝日新聞の社説があるんですが、「障害者プラン 地域で暮らせる仕組みを」という社説なんですが、長いのでポイントだけちょっと読みたいんですが、「施設から地域での暮らしへ。この流れを確かなものにできるかどうかは、自治体の熱意と取り組みにかかっている。」という社説があります。私もまさにそのとおりだというふうに思うんです。
先ほどから何回もお話を申し上げているように、いよいよ来年四月一日からは、障害者福祉の今までの措置、行政が提供する措置から契約型に大きく踏み出していくということです。この契約というのも、先ほどからお話を申し上げているように、障害者がみずから利用、選択ができる、そういったことが最大のポイントになってくるわけです。そういう点からいくと、何といっても向こう側の幅が広くなければ、幾ら広い選択をしてみようと思っても、向こう側が前と変わらなければ全く意味がない、絵にかいたもちになるわけですから、そういう点でもぜひ、地域で自立する社会を築く上でも、今ご答弁いただいたように、特に生活寮など地域における生活基盤の一層の整備を一点、強く要望しておきたいと思います。
この際、事務事業全般ということなので、もう一点だけ要望しておきたいんですが、医療保険制度に関する要望だけちょっとさせていただきたいんです。
平成十四年七月成立した保険法等一部改正に伴い、医療保険制度と、世代を通じた給付の公平が図られることとなりました。しかしながら、長引く不況、金融不安の中、一部国民健康保険組合は、加入の減少や医療技術の進歩による医療費の増嵩などにより、財政負担の限界ともいえる状況に現在置かれております。こうした状況に十分配慮していただくこともあわせてこの際要望して、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○曽雌委員 初めに、三宅島の避難島民への生活支援について何点か確認させていただきたいと思っております。
ご案内のとおり、三宅島の全島避難が始まりまして、この九月で丸二年が経過をいたしましたけれども、まことに残念ながらいまだに帰島の見通しが立っていない状況にございます。島民の方々も、なれない東京を初めとする避難地での生活を続けていく中にありまして、大変なご苦労をされているわけでございますが、それぞれご努力をされて、就職先を見つけたり、そして自立をして懸命に頑張っている方もいらっしゃいますけれども、しかし、そういう方たちはごく限られた方ではないのかなというふうに思えてなりません。一方で、日々の生活が大変に厳しいものですから、貯金を取り崩して生活をしている方もいらっしゃるでしょうし、生活そのものに大変困窮されている方たちも数多くいらっしゃると、このように私たちは聞いております。
そこで、東京都といたしまして、こうした避難島民の方たちに対して、今日までさまざまな支援策を講じてきていただいているわけでございますが、確認の意味も含めて、福祉局として、今日まで生活困窮者への支援という観点から、どのように避難島民の方たちに対する問題について取り組んできたのか、まずお示しをいただきたいと思います。
○反町生活福祉部長 三宅島避難島民の方々への生活支援についてでございますが、福祉局といたしましては、これまで避難直後におけます生活必需品三十一品目の供与を初め、被災者生活再建支援金の支給や生活福祉資金の特例貸付、義援金の配分などを実施してまいりました。また、特に生活困窮されている方に対しましては、生活保護制度をいわゆる災害保護として適用を進めてまいりました。
○曽雌委員 今、部長の方から生活困窮者に対して生活保護制度、いわゆる災害保護を適用して云々ということでお話があったんですが、いわゆる災害時における生活保護の適用というのはどういうことなのかなというふうに思います。
というのは、通常、私たち生活保護というようないい方をしていて、憲法で保障された最低限度の生活が営めなくなってきてしまった場合には、当然それは公の力で応援をさせていただいているわけでありますけれども、今回この生活保護の考え方というものとあわせて、今のお話では生活保護とはまた別の形で、災害時における生活保護の適用を進めてきたということでありますけれども、災害保護の適用を進めるという話ですね。この災害保護の適用というのは、どういうふうに進めてきたのか、また、進めてきたことによって、今日ではどういう結果が出てきたのかということでお答えをいただきたいと思うんです。
○反町生活福祉部長 災害保護についてでございますが、災害保護は、義援金、支援金を帰島時の生活再建のために使う資金として社会福祉協議会等へ通帳を預託していただきまして、その上で生活保護を適用するものでございます。この場合、ある一定の蓄え、例えば二人世帯の場合ですと約二百万円程度になりますから、これを保有したまま生活保護を受けることができますので、帰島時の自立のためにつながるという効果がございます。
災害保護の周知に当たりましては、生活の困窮が予想される世帯に対しまして、世帯ごとの訪問調査や電話による特別相談を実施するとともに、村の広報紙への掲載、チラシの各戸配布など、積極的に進めてまいりました。あわせまして、私ども生活福祉部の職員をケースワーカーとして三宅支庁の方へ兼務発令するなど、支庁の相談体制の強化を図ったところでございます。
その結果、生活保護の受給世帯は、避難前には十七世帯二十人でございましたが、十一月十五日現在では七十六世帯九十七人となっております。
○曽雌委員 いわゆる生活保護と災害保護というのは違うんだということを明確にしておいた方がいいと私は思うんですね。というのは、三宅島の避難島民の方たちと話をしている中においては、生活は厳しいんだけれども、しかし生活保護を受けることについて非常にちゅうちょしておられる。生活保護という言葉そのものにも非常にちゅうちょしているし、そこまでお世話にならないで何とか自分でやりくりできないだろうかといいながら、懸命に頑張っている方たちがたくさんいらっしゃったわけですよね。
それで、生活保護というのは、既に皆さんご案内のとおり、決められた世帯なら世帯の一カ月間の最低生活をしていくに必要なお金を生活保護基準に基づいて計算をして、足りない分について生活保護としてお金が渡されているわけです。ところが、三宅島の方たちは、義援金が渡された、それから、そのほかにもいろいろと支援金をいただいたりすると、それなりに収入がある。だけど、本来、そのお金を生活保護という場合には全部使い切ってしまわなければ生活保護は受けられない。ところが、帰島が実現をして島へ帰ることになりました、しかしお金は全くないという状況の中ではなかなか島に帰れない、だから、少しでもお金をためておかなければならないという意識もあって、大変な苦労をしていたわけですよね。だから、本来なら生活保護を受けてもいいんじゃないだろうかという生活実態であるにもかかわらず、生活保護を受けないでいる人たちも相当数いらっしゃった。
そういう中にあって、今回、福祉局の方でいろいろと考えていただいて、この災害保護の適用ということでやっていただいて、島に帰ったときに使うであろう生活再建のお金、この分については別途、社会福祉協議会がお預かりをしておきますよ、二百万なら二百万預かっておきますよと。預かっておいた上で、その上で生活するお金が手元にないわけですから、それはいわゆる災害保護ということでお金の面で応援をさせていただきますよと、こういうシステムを考えていただいて、それで帰島にも備えていこうということでやっていただいた制度だというふうに僕は思うんですよね。
この辺の私の考え方が合っているのか合っていないのか、解釈の仕方が違うのかどうなのか、その辺もう一度部長の方から見解を伺いたいと思います。
○反町生活福祉部長 今、先生がおっしゃったとおり、帰島後の生活再建に使う目的のために、義援金、支援金等二百万程度を預託していただいて、それを条件として生活保護を適用するものでございまして、おっしゃるとおりだと思います。
○曽雌委員 いわゆる二百万といわれている額よりも、少しでも逆にいえばお金がある方は、それを今回いわれている災害保護の適用ということで社協なりにお金を預けて、それで生活保護を受けられるかというと、それもやっぱり限度額があって受けられないという状況があって、そこのラインすれすれで頑張っている人にとっては、また非常に厳しい問題が現実問題あったんではないかと思っております。
そこで、今、部長がいわれた災害保護の適用ということについては、もっともっとPRもしていただきたいと思っておりますけれども、生活保護を受給するまでには至らないけれども支援が必要だという方も、相当数いらっしゃることは事実だと思います。
そこで私たち公明党は、国会議員を中心として東京の都会議員も何人か入れていただいて、三宅島の復興対策本部をつくっているわけでありますけれども、この公明党の三宅島復興対策本部におきまして、島民の方々への支援策の一つとして、離職者支援資金の活用というものを検討してきました。そして、その貸付要件の大幅な緩和に向けまして、坂口厚生労働大臣に対して、じきじきに陳情にも行ってまいったわけであります。
その具体的内容としましては、例えばこの離職者支援資金というのは、離職後二年以内というふうに対象期間が決まっているわけでありますけれども、三宅島の実態にかんがみれば、二年以内では非常に厳しいということもありますので、対象期間を避難後三年とすることや、連帯保証人の数も今までは原則二人でしたけれども、何とかこれを一人に改めてもらえないかということ、あるいは、お金の貸し付けについても、一括貸付ということで、二百四十万円の一括貸付の実施など、こういった問題について具体的内容を詰めて、私たちは先ほど申し上げたように坂口厚生労働大臣に陳情してまいったわけであります。
これに対して、国や東京都は我が党の要望を受けまして、三宅村民に対する離職者支援資金の特例措置を速やかに決定していただきまして、ことしの八月から要件緩和に踏み切って実施をしていただいているところでございます。
そこで伺いますけれども、現在までの三宅村の村民に対するこの離職者支援資金の特例貸付の実績、これはどのような状況になっているでしょうか、お示しをいただきたいと思います。
○反町生活福祉部長 三宅島避難島民に対します離職者支援資金の特例貸付についてでございますが、先生がおっしゃったとおり、国と協議を重ねてまいりまして、要件緩和の通知を受けまして、八月十四日実施してございます。
これまでの実績でございますが、十一月十三日現在で貸し付けが二十五件、四千八百八十万円となっておりまして、相談件数は累積で二百六件となってございます。今後とも三宅村など関係機関と連携しながら、引き続き積極的な活用を図り、島民の生活再建に努めてまいりたいと思います。
○曽雌委員 この項で最後、部長に要望だけしておきたいと思っていますが、要件緩和に踏み切っていただいた、これは国と東京都の連係プレーの中ででき上がったすばらしい制度だと私は思っておりますが、このことによって、今ご答弁ありましたように、貸し付けが着実にふえていることは大変うれしいことでございます。三宅島民の方々への支援を行っていくに当たりましては、まずは既存の制度を十分に活用してもらうということが必要なことでございます。離職者支援資金につきましては、せっかくの制度でございますので、十分に活用していただけるように、今後とも国や社会福祉協議会など関連機関とも十分連携をとっていただきまして、周知をするなど積極的な取り組みをお願いしたい、このことをご要望してこの項の質問を終わりたいと思います。
次に、養育家庭制度について何点か伺いたいと思います。
我が公明党は、虐待などさまざまな理由で実の親や家庭に恵まれない子どもたちの少しでも多くの人たちが、温かい家庭的な環境のもとで健やかに養育されることを願っておりまして、里親制度、東京都では養育家庭制度といっておりますが、この充実を訴えて国への要望書の提出も行ってきたところでございます。
そうした中、まことに残念でありますが、先ごろ、栃木県の宇都宮市におきまして、里親が、預かった子どもを虐待死させた疑いがあるとして逮捕されるという非常に残念な事件が起きてしまいました。子どもにとっては最後のよりどころとなるべき里親によって、こうした事件が起きてしまったということは非常に残念であり、何ともやりきれない気持ちでいるのは私だけでなくて、ここにいらっしゃる皆さんも同じ思いだというふうに思っております。
しかしながら、この事件をもって、せっかく緒についたばかりの里親制度の推進にブレーキがかかってしまうようなことがあってはならないと思っておりまして、東京都も福祉改革STEP2で、家庭的養護へシフトしていくという方針を打ち出しておられます。今回の事件を教訓にして、養育家庭における養育環境の質の向上に一層努めていかなきゃならないというふうに考えておりますので、こうした観点から幾つか質問をしたいと思っております。
まずお聞きをしたいのは、里親の選定の問題でございます。児童相談所では、どのように子どもを預ける養育家庭を選び、そして委託を決定しておられるんでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 養育家庭の選択、委託につきましては、この四月から大きく仕組みを変えまして、これまで児童養護施設に併設しております養育家庭センターが行っていたものを、児童相談所が直接実施する形に改めました。養育家庭の選定方法につきましては、これまで毎月一回、選定会議というものを開いてまいりましたけれども、そこでは里親と子どもの組み合わせというものを決めていたわけでございますけれども、これを新たに、委託を必要とする子どもが出る都度、措置をする児童相談所から児童相談センターにございます養育家庭担当の方に協議する形に改めました。私どもとしては、これによって、以前よりも迅速に養育家庭を選定できるようになったんではないかなというように思っております。
そして、こうした形で協議をした結果、適当な養育家庭の候補が決まりますと、次のステップといたしまして、里親と子どもとの面会を開始いたします。そして、外泊を重ねなどして交流を行いまして、里親と子どもとの相性や好ましい関係ができているかどうか、こういったことを見きわめてまいります。こうした交流を通常一カ月から三カ月程度続けまして、良好な親子関係が築かれたというふうに判断できた時点で、子どもともよく話し合い、そして子どもの気持ちをも尊重して、児童相談所は委託することを決定してございます。
○曽雌委員 児童相談所で直接実施する形に改めていただいたり、また、迅速に養育家庭を選定できるようにということで、いろいろとご努力していただいていることについては、それはそれで大変にいいことだと思っております。
しかし私は、先ほど申し上げたように、今回宇都宮で起こってしまった事件の反省点として考えてみますと、里親に対して子どもを預けっ放しにしてしまっている、いわゆる、きちっとしたフォローアップ体制がとれていないんではないのかなということが気になってならないわけであります。
子どもさんを里親として制度を利用してお預かりする側と、子どもは逆にそこで親として育ててもらうわけですけれども、行くことについて子どもが自分の意思でどこまで決められるかというと、年齢だとかそういったことを考えたときには、必ずしもそうではない部分もあるんだろうと思うんですね。そうなると、里親制度で、利用していただいて預けたからということで終えてしまうんではなくして、きちっとした体制がとれていなければ、宇都宮で起きてしまったような事件が、また起きてしまうのではないかという一方の心配も出てくることは事実だというふうに思っています。
そこで、東京都におきましては、養育家庭に子どもを預けた後の見守り体制、これについては現在どういう体制をとって対応しておられるのかが気になる点でございますので、お示しいただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 確かに先生おっしゃるとおり、見守り体制というものは大変重要だろうというふうに思っております。子どもを預けた後の養育家庭の見守り支援につきましては、児童相談所のほかに養育家庭支援センターや養育家庭支援員の配置等によりまして、きめ細かな対応を図っているところでございます。
まず、措置をした児童相談所についてでございますけれども、担当児童福祉司が家庭訪問や電話などによりまして養育家庭の状況把握、相談支援等を行っております。これに加えまして、養育家庭が居住いたします地域の児童相談所も、養育家庭が抱えている子育ての悩みの相談などにも対応いたしております。また、本年四月には、養育家庭支援センターを都内の二カ所、新宿のセンターと立川でございますけれども、に設置いたしまして、親同士の交流や親子の交流の促進を図りまして、悩みや、あるいはお互いに話し合う場の提供などを行っております。
これに加えて、養育家庭が悩みなどを気軽に相談できるように、養育家庭の経験の豊富な養育家庭支援員を新たに地域ごとに配置いたしまして、日常の悩みや子どもの育て方などの身近な相談に応じております。
○曽雌委員 当然のこととして、養育家庭は、血のつながりのない人が親がわりになって、さまざまな養育歴を抱えている子どもたちと生活をともにしていくわけでありますので、日々の養育にはさまざまな精神的な負担があるでしょうし、ご苦労もあるというふうに思います。これは経験した方でないと、なかなかつかみ切れないご苦労だと思っておりますけれども、そういうことがあるであろうことは容易に私たちも想像ができるわけであります。こうしたことから、養育家庭関係者の方々からは一様に、制度が受け入れられ発展していくためには一層の支援策の充実が不可欠である、ぜひ、もっともっと支援策を充実してほしいと、こういう声が寄せられていることも事実でございます。
また一方で、養育家庭自身の養育力そのものを高めていくということも重要な課題ではないかというふうに思っておりまして、特に虐待を受けた子どもさんを里親として預かっていくというような形になった場合の対応は、従来の考え方ではなかなかできない部分があるのではないかと思うのです。専門的なことについても相当勉強もし、今、部長いわれたように、同じような経験を持った人たちとの意見交換会というんですかね、そういったものを十分にやっていく中できちっとした知識も得ていかなければ、虐待を受けた子どもを里親として預かった場合には、難しい問題を抱えるんではないかなということをで危惧をしております。
そこで、養育家庭を支援していくとともに、その養育力を高めていく施策を充実するということも、当然重要な課題であるわけでありますけれども、この点について、福祉局では具体的にどのような方策を講じていくお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 家庭的養護を必要とする子どもに対しまして、きめ細かなケアを行うためには、先生お話しのとおり、養育家庭の養育力を向上させることが大変重要であるというふうに私どもも考えてございます。そのため、東京都では今年度から研修体制を整備いたしまして充実を図りました。
具体的に申し上げますと、新たに養育家庭に登録した方全員に対しまして、里親新規登録研修の内容を充実したほか、子どもを受け入れるための知識を付与いたします委託前研修、それから委託後に生じます問題をテーマ別に取り上げた委託後研修、さらには先生今お話のございましたように、被虐待児などへの対応などにつきまして専門的な知識を付与する専門研修、こういったものを実施することにいたしました。
また、今年度は、アメリカの経験豊かな里親を招いたシンポジウムを十月の五日でございますけれども開催いたしましたほか、ただいまやっておる最中でございますけれども、養育家庭の方々による養育家庭体験発表会の実施などによりまして、内外の養育家庭経験者の豊富な知識や経験に接する機会を設けて養育力の向上に努めてまいりました。
さらに、養育家庭制度の充実強化を図るために、部内にプロジェクトチームを設置いたしまして、ご指摘の養育家庭に対する支援策や養育力の向上策を含めまして、今後、積極的に対応してまいりたいというふうに思ってございます。
○曽雌委員 今、部長から、今年度アメリカの経験豊かな里親を招いてシンポジウムを開催されたというお話と、それから、現在、体験発表会を開会中だということですが、例えば、シンポジウムで議論された内容だとか、それから体験発表会をやられたときの主だったものとか、そういったものの要点を何かまとめるなりして、いわゆる里親として頑張ってくれている方たちのところに--すべての方はここに恐らく参加できてないんだと思うんですよ、時間的な制約が当然ありますから。例えばそういったものを、簡易なものを、小冊子でも何でもいいんですが、何かまとめられて、こういうことの議論もありました、こんなこともありましたということで、ぜひ読んでいただくなりして、知識をまた新たに吸収してもらうことも大事なんではないかと思いますので、ひとつその点についてご検討してほしいと思っていますが、これはちょっと後で答弁いただきたいと思います。
この件で最後に要望しておきますけれども、家庭的な養護の充実というのは、当然のこととして、単に数が拡大すればいいってものではなくて、質の向上もしっかりとされなければならないということは至極当然だと思っています。高いレベルの養育家庭が数多く育っていくことが制度全体の拡充へもつながっていくわけでありますので、私たちとしては、数の拡大だけにとらわれるんではなくて、ぜひ質の向上も図ってほしい、このようにお願いしたいと思っています。
そして、恵まれない子どもを救いたい、社会のお役に少しでも立ちたいという崇高な意識で他人の子どもを養育してくださっている養育家庭のご苦労に思いをはせるときに、この制度を何としてでも拡充をしていきたい、こういう思いを私たちは持っております。
そのためにも、都の一層の制度充実に向けた強い取り組み意欲と、さらには施策の拡充の決意が必要だろうというふうに思いますけれども、この要望とあわせて、その前にお願いしました件で、何か簡易なパンフレットみたいなものをつくって関係者にお配りすることができるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 今、先生の方からシンポジウムの内容あるいは里親の体験発表会の内容、こういったものについて記録を作成して配布したらいかがかと、こういうお話をいただきました。私どもも大変貴重な提言だというふうにとらえておりますので、ぜひそういう方向で検討させていただきたいと思ってございます。
○曽雌委員 次に、障害福祉関係ということで伺いたいと思いますが、先ほども議論ありましたけれども、支援費制度の施行に向けてということで何点かお聞きをしたいと思っております。
ご案内のとおり、来年の四月には、障害者福祉サービスの利用の仕組みが措置制度から支援費制度に変わります。残された期間はあと四カ月余りとなってまいりましたけれども、導入に当たりまして、解決すべきさまざまな課題が残っていると思っております。
そうした視点から何点か伺いたいと思いますが、これまで措置制度のもとで、障害者のための福祉サービスは行政が内容を決定してきました。しかし、支援費制度では、行政にかわって利用者が契約の当事者となって、みずからサービスを選択し、事業者と対等の立場で契約をしてサービスを利用することになる、このようになっているわけであります。
また、事業者も利用者から選択される立場になりますから、事業者同士、お互いに競い合って、利用者の多様なニーズに十分こたえられるようにサービスの質の向上にも努めていかなきゃならない、こういうことにも当然なってくるわけであります。
しかし、我が党はこれまで繰り返し主張してきましたけれども、利用者のサービス選択に役立つ情報提供や、選べるだけのサービスが確保されないままに支援費制度への移行がなされるとするならば、自己決定の尊重やサービスの質の向上といっても、絵にかいたもちになってしまうんではないかということを危惧しているところでございます。
また、障害を持った方、特に判断能力が不十分な障害者の方の場合は、自分でサービスを選び、事業者と対等に契約をするんだといっても、実際それができるかというと、なかなか難しい問題を抱えているんではないかというふうに思っています。現に、私どものところにも、どのようにして事業者と契約を結べばいいのかといったことや、不利益な契約を結ばれてしまうのではないかといったことの不安の声が数多く寄せられております。
こうした声にこたえられるように、障害を持つ利用者の方を支援する利用者保護の仕組みづくりなど、準備に万全を期すべきだというふうに思いますので、こうした考え方をもとにして、まず伺いたいことは、本人の判断能力が不十分なために、みずから契約することが困難である方の場合、支援費制度における契約というものは現行の法制度上どのようにして行うことになるんでしょうか。
○有留障害福祉部長 知的障害者など判断能力が十分でない利用者につきましては、同じような状態の高齢者の場合と同様、成年後見制度を活用し、後見人などの支援を受けて契約を結ぶのが法的には望ましい姿であると考えております。
○曽雌委員 成年後見制度を活用するということでお答えがありましたけれども、この制度は平成十二年の四月から施行されましたが、判断能力が不十分な方にかわって、裁判所が選任した後見人など援助する人が預貯金の管理のような財産の管理、福祉サービスの利用契約などを行う制度だということで承知をしておりますけれども、身寄りのない方につきましては、区市町村長に審判の申し出をして権限が認められているなど、一応の配慮はされております。
そこで伺いますけれども、都内の区市町村長による成年後見制度の審判の申し立て状況、これはどのようになっておりますでしょうか。今まで申し立てを活用した自治体の数と件数、全体と、特に知的障害者に係るものとに分けてお答えをしていただきたいと思います。
○内海企画担当部長 審判の申し立て状況でございますけれども、新たに成年後見制度が施行されました平成十二年四月一日から、本年、平成十四年の八月末日までの成年後見制度の都内区市町村長による審判の申し立て件数は、二十六自治体、六十九件でございます。そのうち、知的障害者に係る申し立て件数は二自治体、二件となってございます。
○曽雌委員 この成年後見制度を活用するんだというふうにいっていても、高齢者の場合で今答弁をいただいたわけですけれども、実際に成年後見制度がどの程度利用されているかというと、今のお話では、制度が新しいということもあるのかもしれませんけれども、活用状況は、大変にすばらしいものだとはとてもいえるような状況ではないというふうに思いますし、非常に低いのが現実だと思っています。今後、契約によるサービスが基本になる以上は、区市町村は、積極的に成年後見制度の普及定着に取り組むことが求められておりますし、身寄りのない方たちのためには、積極的に申し立てを行っていくべきではないだろうかというふうに考えます。
本来ならば、成年後見制度を活用すべきところでございますけれども、今や制度の開始までわずか四カ月しかありません。昨年提出されました福祉局の契約支援に関する報告書というのがありますけれども、これを見させていただきましたところが、区市町村長の申し立てによる成年後見制度の審判に要した期間が、平均五カ月というふうに出ているんですね。そうしますと、仮に、きょう申し立てを行っても間に合わないということになってしまうわけです。
判断能力が十分ではない障害者の方にとって、成年後見制度はすぐには活用できないとするならば、どのようにサービスを提供する事業者と契約を結べばいいんだろうかということの当然の不安が、この方たちには起きてくるわけでありますね。これについては東京都はどのようにおこたえになられるんでしょうか。
○有留障害福祉部長 成年後見制度の十分な活用、普及が図られるまでの間は、制度が変わっても引き続きサービスを利用していくために、利用者本人の意思を踏まえ、家族など本人が信頼する者が本人にかわって契約することが当面の現実的な対応であると考えております。
○曽雌委員 そうしますと、実態は何も変わらないのかなと思えてなりません。せっかく契約制度をつくってやっていこうとなっても、実態は何も変わらない。そうなると、支援費制度が目指した本来の目的というものは全く達成できないまんまでいってしまうんではないかと思っていますが、そのためには、後見人であれ、家族であれ、代理もしくは代行して契約を行う人が、本人の意思を十分に尊重しなきゃならないことは当然必要なことであります。同時に、契約の当事者である事業者の側が、契約に当たって障害者への配慮を十分に行うことも重要であり、これについては事業者の指導に当たる東京都が積極的な役割を果たしていかなければ、この問題の解決にはならないというふうに思います。
そこで、契約にかかわる障害者の権利を守り、事業者のサービスの質の向上を図るために、事業者が契約に当たって留意すべき事項について、東京都が何らかの基準を定めて、その遵守を事業者に働きかけるということも必要ではないかと、このように思いますけれども、見解を伺います。
○有留障害福祉部長 都では、学識経験者等を交えて東京都事業者向けガイドライン検討委員会を設置いたしまして、サービス提供事業者としての役割を盛り込んだ独自のガイドラインを作成する予定でございます。その中で、支援費に移行する施設や在宅サービスに係るモデル契約書を作成しまして、事業者等に配布し、積極的な活用を働きかけてまいります。
○曽雌委員 福祉局の障害福祉部では、私たちの要望を受けて「障害福祉分野の支援費制度」というパンフレットをつくっていただきましたね。このパンフレットの中にもありますけれども、東京都では、答弁にもありましたけれども、現在モデル契約書を作成していますと。いわゆる判断能力が十分でない利用者とかいう人たちも含めて、モデル契約書を作成していますというふうになっていますが、これは、今年度中にでき上がるということでよろしいのかどうなのか、確認をさせていただきます。
○有留障害福祉部長 ガイドラインと、その中で盛り込まれる予定のモデル契約書でございますが、普及に向けて一定の周知期間が必要でございますから、できるだけ早期に作成いたしまして、年明けには配布できるようにしてまいりたいと考えております。
○曽雌委員 モデル契約書を作成していただいて、今のご答弁ですと、周知期間も考えれば年明け早々には配布ができるということでございますので、しっかりしたものをつくっていただきたいと思っています。
同時に、障害に応じたきめ細かな配慮を考える必要がありますけれども、例えば視覚障害者、こういう方たちに対してはどのような配慮が考えられますか。
○有留障害福祉部長 それぞれの障害の対応に応じたさまざまな工夫が必要であると考えております。
ご指摘の視覚障害者に対しましては、その求めに応じまして、契約書などの写しを点字版やテープ版で事業者が用意する必要があると考えております。また、聴覚障害者に対しては、手話通訳などのコミュニケーション手段を確保したり、知的障害者に対しては契約書等についてわかりやすい説明を実施したりすることについても、ガイドラインの中で規定するように検討しているところでございます。
○曽雌委員 それでは、サービスを受ける側とサービスを提供する側が対等にということはよくいわれていますよね、今回の支援費制度では。そうなったときに、どう見ても、社会的に弱い立場の中で、先ほど申し上げた知的障害者や、そして細かくいえば視覚障害者、聴覚障害者の方たち、いろんな障害を持った方たちが悪戦苦闘しながらこれから契約を結んでいくわけでありますから、やはり東京都の方は、事業者の側に立つというよりも、いわゆる社会的に弱い立場で頑張っているサービスを受けようとする側の方たちに、うんとやはり重きを置いていただいて、事に当たっていただきたいなというふうに思います。
障害者サービスにおいては、これまで幾つか質問してきましたけれども、契約の当事者が、サービスや契約内容等を判断する能力が不十分な場合が非常に多いわけであります。このような方々がさまざまなトラブルに巻き込まれずに地域の中で安心して暮らすことができるように、福祉サービスの利用を支援する仕組み、利用者を保護する仕組みをきちっとつくっていく必要があると考えております。
そのためには、例えば区市町村に行けば、一カ所でさまざまな相談に対応していただける、あっちに行きなさい、こっちに行きなさい、ここじゃないからあっちへ行けとか、こういうことではなくて、区市町村のある一カ所に行けば、そこでさまざまな相談に対応していただける、そういった支援策も総合的に考えてくれるような一体的で総合的な利用者支援の仕組み、こういったものもしっかりと構築をすべきではないのかなというふうに考えております。
東京都は、今年度から福祉サービスの総合支援事業、こういうものを始めていただいておりますけれども、これは今私が申し上げたような考え方に基づいて立ち上げていただいた事業だというふうに思っております。ところで、障害者がサービスを利用するために契約を結ぶその前提として、当然のこととして区市町村に支援費の支給を申請することが必要になってきます。
そこで伺いますけれども、みずから支給申請することが困難な障害者を支援する仕組みや適正に支援費が決定できるように、区市町村をバックアップする仕組みを構築するということも非常に重要な課題だと考えておりますけれども、東京都としましては、この点についてはどのような取り組みをしておられるんでしょうか。
○有留障害福祉部長 地域で暮らしていこうとする障害者などが無理なく支援費の支給申請ができるようにしていくことは、利用者本意の支援費制度を実現するために大変重要なことと認識しております。そのため、これまで申し上げてきたとおり、事業者向けガイドラインなど都独自の仕組みを構築しているところでございます。さらに、先生ご指摘の点について、支援費の支給申請に援助が必要な障害者の求めに応じ、相談支援を行う仕組みをつくる区市町村をバックアップする支援費制度利用援助モデル事業の実施を検討しております。
また、支援費の支給額が区市町村によって大きく違うことのないよう、都独自に作成した障害程度区分の判定マニュアルがございます。これを使いまして、区市町村の支給決定担当職員九百人を対象に研修を実施したところでございます。
○曽雌委員 支援費の支給に関して、さまざまな都独自の仕組みづくりについて積極的に取り組んでいただいているところでございますので、ぜひ利用者の不安を解消していくためにも、積極的に進めていただきたいということでお願いしておきたいと思います。
初めにも申し上げましたとおり、国が定めた支援費制度に単純に移行させるだけでは、障害者、とりわけ地域で自立をして生活をする障害者の自己選択や自己決定という理念は、現実のものとはなり得ません。そこで、これまでお尋ねをいたしました仕組みづくりに加えて、障害者の入所施設、通所施設、生活寮といったインフラの整備も当然、重要な課題になってくるわけでございます。
従来の心身障害者施設緊急整備三カ年計画におきましては、障害者の地域生活を支える基盤整備を進める点で一定の成果を上げてこられたと、このように思っておりますけれども、支援費制度への移行に対応していくためには、これでは私はまだ不十分だと思っておりまして、さらなる基盤の充実が必要ではないかと、このように考えます。
我が公明党は、第三回都議会定例会の代表質問におきまして、支援費制度の円滑な運用と障害者の地域自立を支援する施策を充実をしていくために、さらに新たな施策の展開が必要だということを指摘させていただきました。これに対して局長からは、具体的な検討を進めるとの答弁をいただいたところでございますけれども、今改めて局長の決意をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○川崎福祉局長 これからの障害者福祉につきましては、支援費制度の円滑な運用と、障害者の地域生活を支援する施策の充実が重要な課題であると考えております。このような認識のもとに、先日発表されました重要施策におきましても、障害者地域生活支援緊急三カ年プラン、それから、支援費制度利用援助モデル事業が重点事業として選定されました。先生のご質問にありましたように、この二つの重点事業、これがまさに地域生活での基盤整備、それから、もう一つはサービスを利用する障害者の方々の支援と、この二つになると思っております。
これらも含めまして、今後ともサービス基盤の一層の拡充など強力に推進し、真に障害者のニーズにこたえられる支援費制度の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
○大山委員 私からも幾つか質問させていただきます。
まず最初は、都立福祉施設の民間移譲の問題です。
都立福祉施設の民間移譲の方針は、都の福祉施設からの撤退であり、我が党は一貫して反対してまいりました。報告書が出た以降に、七月に福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてというものが出たわけですけれども、その中では、当面五年間の取り組みの方向が示されていました。九月二十七日の厚生委員会の議事録を私読んだんですけれども、その中では、名前が出ているところを五年間で実施して今後の検討をするという旨の答弁が福祉局長からされていました。名前が出ているところは五年間で実行していくということですね。私は、五年間の計画自体に問題があるというふうに考えておりますので、その立場で質問をいたします。
まずは児童養護施設の問題です。この福祉サービス提供主体の改革への取り組みについての中では、児童養護施設について、養育家庭など家庭的養護の充実を図りながら、施設定員の充足状況などを考慮しつつ、都内の施設や養育家庭での受け入れなどにより、規模の縮小を図っていくというふうになっています。都立福祉施設改革推進委員会のこっちの報告書ですね、この報告書の中では、都外の施設について、規模の縮小を図り暫時廃止していくことが適当であるというふうになっています。
最近、民間の都外施設、つまり、都外にあるけれども都内の東京の子どもたちを独占的に措置している児童養護施設で、児童虐待だとか体罰など重大な問題が起きていたことが明らかになったわけですけれども、この筑波愛児園の事実の経過をわかりやすく説明してください。
○笠原子ども家庭部長 児童養護施設筑波愛児園で起こった今回の事件でございますけれども、少なくとも二年前まで、複数の職員による児童への体罰等が日常的に行われたというものでございます。東京都では、昨年の五月、学生の学習ボランティアからの施設内での体罰の指摘を受けまして、直ちに調査を実施し、改善指導と改善計画書の提出を指示いたしました。改善計画案が適切に実行されるよう、これまで継続的な指導を行ってまいったわけでございますけれども、園側の改善状況が不十分でございまして、児童に対します処遇の対応が適切にできていなかった、こういう状況でございます。
このために、本年十月に新規入所措置の停止を行うとともに、抜本的な施設運営の刷新が図られるように、強い姿勢で法人に対して臨みまして、運営体制の確立に向けた改善指導通知を出しました。
一方、児童福祉法上の指導監督権限を持つのは茨城県でございまして、茨城県とも連携しながら、十月の二十三日、合同調査を行い、この調査をもとに茨城県は十一月の十一日に施設運営及び処遇に関します改善勧告を行った、こういう経過がございます。
○大山委員 二年前まで日常的に行われていたということと、それから十三年の五月に学習ボランティアの方から指摘があったということですね。新聞報道がいろいろあったわけですけれども、新聞の報道では十年間も検査は行っていなかったというふうに書かれているんですけれども、本当ですか。
○笠原子ども家庭部長 児童養護施設の指導監督権限、これは児童福祉法の第四十六条に規定されてございまして、法律では、児童福祉施設の所在する都道府県にある、こういうふうになっております。したがいまして、法律上は茨城県にあるわけでございます。東京都が実施いたします調査というのは、地方自治法上、二百二十一条の補助金につきまして、この委託費が適正に執行がなされているかどうか、こういったものを予算執行上の立場から実地調査をいたすものでございます。
筑波愛児園につきましては、平成五年までは施設処遇面について実地検査--実地調査でございますけれども、行っておりましたが、平成六年度以降十二年度までは実施しておりません。しかしながら、運営指導という形で、これまで、筑波愛児園を含みます児童養護施設の運営につきましては、毎年、施設長会あるいは指導員を集めまして、施設の適正な運営や、法令あるいはそれぞれのいろんな通知、こういったものの改正など必要な情報を提供いたしまして指導を行ってまいったわけでございます。また、このほかに個別指導を行うなどの対応もいたしました。
○大山委員 六年から十二年までは現地には行っていないということですよね。六、七、八、九、十、十一、十二ということですから十年にはなりませんけれども、七年間は現地には行っていないということです。
同時に、今いろいろおっしゃいましたけれども、地方自治法上きちんと補助金は出している。それ以前に、東京の子どもたちが入所しているわけですから、やはり東京の子どもたちに責任を持つ東京都としては、きちんと現地にも行くし、どういう内容をされているのかというのは、やはり把握しておかなくちゃいけないというふうに思います。
とりわけ、ここだけじゃなくて、都内でも今井城学園の問題だとか、それから千葉県の恩寵園の問題だとか、いろいろと問題もある。それは個人の問題ではなくて、やはり子どものかなり困難な状況に対して、人が足りないとかっていうことも含めて対応しなきゃいけないことがあるわけですけれども、少なくてもきちんと現地にも行って実地調査を、検査をするということは最低限の責任だと思っております。
都外の民間の児童養護施設は、今回の筑波愛児園だけでないというふうに聞いていますけれども、何カ所あって、東京の子どもが何人措置されていて、また、それらに対する指導は、現地での調査などはどうなっていますか。
○笠原子ども家庭部長 東京都の子どもたちだけを措置しておりますいわゆる都外独占施設でございますけれども、これは今の筑波愛児園を含めまして三施設ございます。一つは、静岡県沼津市にございます松風荘、定員二十五名、それからもう一つは、長野県の軽井沢にございます沓掛学荘で定員三十名ということで、合わせて五十五名が都外独占施設ということになってございます。
筑波愛児園を除く二つの独占施設につきましては、施設の設置者が東京都内にあることから、法人の指導検査というものは東京都が行ってございます。施設が所在する静岡県並びに長野県とは現在、立入調査を行うことについて協議を進めておりまして、今年度中に施設調査を実施するというふうに私ども考えてございます。
○大山委員 今年度実施するように県と相談しているということは、今までは、いつから行っていないんですか。
○笠原子ども家庭部長 都外独占施設につきましては、三施設とも、私ども古い指導検査というものはちょっと手元にございませんでわかりませんけれども、最近では行ってございません。ただ、法人指導検査という形ではやってございます。
○大山委員 筑波愛児園も現地に行っていなかったということで、発見するのが遅くなっちゃったということと関係あると思うんですね。ですから、きちんと現地に行くということは重要だというふうに思います。
同時に、先ほど独占施設では五十五人、筑波愛児園のほかに二カ所だというふうにお話しありましたけれども、それ以外にも、例えば茨城県の道心園ですか、ここは百十五名の施設定員ですけれども、そのうち六十一名が東京都の子どもたちを措置されている協力定員ということになっていますし、成田学園は五十名のうち四名は協力定員だということで、都内の子どもたちが措置されているわけですね。ですから、都外に、民間の社会児童福祉施設に措置されている子どもたちは、独占も含めて五カ所、百六十人ということでよろしいですね。
○笠原子ども家庭部長 都外民間養護施設の合計は、定員百六十名に対しまして在籍が百四十六という数字でございます。
○大山委員 一生懸命少なく少なく出したいというのは気持ちはわかりますけれども、定員は百六十人ということなんですね。再発防止に全力を尽くす、万全の対策をとるということは、先ほどもご答弁ありましたけれども、それはいうまでもないことだというふうに思います。
しかし、私ちょっと確認しておきたいのは、どういう理由でこうした都外に民間の施設があるのかということを確認させてください。
○笠原子ども家庭部長 都外施設がどのような経過で設置されたかということについては、ちょっと古い経過でございまして、私どもは細かい経過は承知してございません。
○大山委員 かなり古い施設が多いですから、設置のところまでさかのぼるというのは難しいと思いますけれども、筑波愛児園は比較的新しいと思いますが、どうですか。
○笠原子ども家庭部長 都外五施設の中で都外独占施設、筑波愛児園につきましては、比較的新しくて昭和四十八年にできたということでございます。筑波愛児園につきましては、ちょうど時代が、昭和四十八年というのはベビーブームの時代だということで、都内の児童養護施設の定員というものが非常に逼迫していたという状況等もあって、都外施設が、筑波愛児園ができたというようなことも聞いてございます。
○大山委員 都内の施設では足りなくて、都外につくらざるを得なかった、措置せざるを得なかったということなわけですね。今回の都立施設の見直しで、都立の都外施設はできる限り身近な地域でといっているわけです。そうやっていって規模の縮小だとか撤退の方向を打ち出したわけですけれども、その過程の中で、都外のこうした民間施設が五カ所、百六十人も定員があるということでは、実地検査もできないような不十分な体制で、体罰だとか虐待の問題が起こってきたわけですね。そういうところでは、都立の施設では撤退だ、縮小だというふうにいっているんですけれども、民間の都外の施設については何か検討したんでしょうか。
○片岡団体改革担当部長 今回の都立施設の改革の検討を行いましたが、具体的に都立でない施設の検討というのは行ってございません。
○大山委員 局の方針では、民間施設が充足してきたからとか、それから民間でできることは民間でというようなことで、都立施設の見直し、検討を始めてきたわけですね。それなら、民間施設の実態がどうなっているのか、それを吟味するのは当然だというふうに思っています。ところが、こういうまともな検討は行わないままで、都立だけ役割が終わったなどということは成り立たないと思います。結局、九月にボランティアの主婦から東京弁護士会子どもの人権救済センターに人権救済の申し立てがされる事態になって、マスコミが取り上げて明らかになったというわけですね。
こうした経過を見れば、利用者本意などといいますけれども、結局、都立施設の縮小先にありきの検討だったんではないかというふうに思うんですけれども、どうですか。
○片岡団体改革担当部長 児童養護の関係につきましては、身近なところで処遇を進めるべきである、こういうことにつきましては児童養護全般の話としていえる話であるというふうに考えてございます。その中で、都としまして、まず都みずから施設を運営しております都立施設につきまして、あり方を検討し、方針を出したということでございます。よろしくお願いいたします。
○大山委員 いや、だから、その検討をするのが、民間のできることは民間でだとか、民間でかわれるものは民間がやるんだというようなことが出発になって都立どうするのかという話をしているわけですから、検討されているわけですから、その民間が、出発点になった民間がどういう状況になっているのかというのは、当然、吟味しなきゃいけないし、調査しなきゃいけないし、把握してなきゃいけないというふうに思うわけです。
私だって、身近なところで養護を受ける、養護が必要な子どもたちが都内で生活できる、これはもう重要だと思いますし、そういう方向にいかなきゃいけないというふうに思います。
しかし、そんな中で民間の状況を把握もしないで--もちろん家庭養護も重要です。しかし、さっき質疑があったように、かなり困難な状況で、なかなか数もふえないという状況ですね。しかも、児童養護施設の措置状況といったら、十三年の児童養護施設の入所状況、予特の資料で見ましたけれども、一月が九七・五%、一番減るであろう四月であっても九三・五%、十月が九五・七%と、ほとんどあきもないという状況なわけです。
ですから、こういう先に撤退ありき、都立の施設撤退先にありきということではなくて、児童養護施設については、この間ずっと話がありますように、児童虐待だとか増加する中で、さっき私、数をいいましたけれども、施設が不足しているというのが事実なわけですね。同時に、民間施設の質の確保についても、大きな課題が出ていることを直視しなくちゃいけないというふうに思っています。都立施設の役割を改めてしっかり位置づけることこそ、質の充実、それから量の確保ということが同時に実現する上でも重要だと思っています。
次に、中井児童学園について聞きたいと思います。中井児童学園は児童養護施設なわけですね。取り組みでは、自立援助ホーム的な就労支援を行っているということで、施設種別の見直しを行いつつ、民間移譲等を進めるというふうになっています。
まず最初に伺いたいのは、中井児童学園の果たしている役割と特徴というのは何でしょう。
○笠原子ども家庭部長 中井児童学園の役割でございますけれども、主として義務教育終了後の児童に対しまして一定期間、自立に向けての日常生活、就労、就学、一時宿泊などの援助を行い、社会的自立を助長することでございます。社会的な自立援助を必要とする中卒就職児童や、高校中退児童に対する即応体制のニーズに合わせまして、自立援助機能重視型の施設として運営してきたことが特徴でございます。
○大山委員 私も地元なんで、話も伺ってきました。中学を卒業した子どもたちが、今おっしゃったように仕事をしながら自立していくことを支援する施設で、半年から一年間を目安に、社会に出て自立できるように援助するんだということと、施設長さんも、失敗しながらも自分で自覚できるように自立へ援助するというのが大きな役割だというふうにおっしゃっていました。
実際に中学を卒業しての就職ですから、並大抵のことではありません。職業も、いわゆる三K、塗装だとかクリーニングだとか製本だとか職人さんなどが多いようなんですけれども、正規の雇用は皆無だというふうにいっていました。それでも、食費も家賃もかからないわけですから、月に最低九万円は貯金しましょうということになっていて、退園のときに備えるようにしているんだということなんですね。
中井児童学園に入所してくる子どもたちの中にも、知的なおくれのある子だとか、女子の場合は大体、性的虐待を受けたことによる精神的な疾患の子が多いんだというふうにおっしゃっていました。親御さんの過干渉だとか、家族崩壊、家庭崩壊、また、親が精神疾患だとかギャンブル狂などで子どもが育ち切れていないなど、大人たちの矛盾が子どもたちに凝縮されて、子どもたちが背負っているような気が私はいたしました。それでも、たくましく失敗しながらも生きていくということなんですが、園長先生も、働いて自立する子どもたちの処遇はどこかで見なければならないというふうに語られていました。実際に入所している子どもたちだけでなく、卒園した子どもたちへのアフターケアの重要性も随分述べておられたのは印象的でした。
中井児童学園は、このように地味なんですけれども大事な役割を果たしてきたことになるわけですが、その取り組みに書かれている内容について、具体的に何を、どのように検討をしているんでしょうか。
○片岡団体改革担当部長 中井児童学園につきましては、七月に策定した方針におきまして、高年齢児を対象に自立援助ホーム的な就労支援を行っているという施設の現状を踏まえて、施設種別の見直しを行いつつ、民間移譲等を進めるといたしました。今後、この方針に基づいて、施設の現状を踏まえまして、施設種別の変更を含めて具体的な移譲等のあり方について検討をしてまいります。
○大山委員 取り組みの中身をおっしゃっていただいたという感じなんですね。なかなか具体的に今のご答弁ではわからないわけですけれども、例えば私思うんですけれども、中井児童学園の建物ですね、小規模なんです。全室が個室、それから二つのフロア、二階と三階になっていて、各フロアに食堂がついているわけで、ほんとにアットホームな感じ、あったかい感じがするんですね。そういう施設のつくりになっているわけです。
この周りは何になっているかというと、商店街が駅からちょっと続いていて、住宅街が坂の上の方にずっと続いているという、そういう地域の中にある小規模な児童養護施設なんですね。こういう児童養護施設、小規模の児童養護施設は、先進的で重要なものだというふうに思うわけです。このよさを生かす方向で検討することが必要だと思うんですが、そのためにも、その他の都立児童養護施設とも連携を密にして、中井児童学園を生かしていく方向で検討するべきだと思っています。
一つ聞きたいのは、自立援助ホームなどの種別の見直しというふうにいわれているものですから聞くわけですけれども、自立援助ホームの補助はどうなっているのかということなんですが、中井児童学園がもしも自立援助ホームだったら幾らの補助になるんでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 自立援助ホームに対します平成十四年度の補助金の単価でございますけれども、運営費は児童一人当たり月額十四万円でございます。そのほかに損害賠償責任保険、一ホーム当たり年額一万五千七百五十円、無職の期間を補助する自立生活促進費がございます。この単価を中井児童学園に当てはめて積算いたしますと、平成十四年度の予算ベースで見ますと、三千三百八十万円になるというふうに想定されます。
○大山委員 三千三百八十万円という非常に、人件費でいったら、六百万としても五人分あるかないかというところで、そういうわずかなものなんですけれども、すぐ隣ともいうような、歩いて五分もかからないようなところに自立援助ホームの新宿寮というのがあるんですね。ここも訪ねまして、施設長さんにも話を伺うことができました。ここ、自立援助ホームですから、今とおんなじ計算で出された補助金で運営していますから、圧倒的に少ない運営費でのやりくりで献身的にやられていました。
ここの通信を、お便りをいただいたんですけれども、その中に、職員は寮生、OBへの対応に忙しく、とてもじゃないが体が幾らあっても足りないというのが現状です、そのような中で授産を進めていくことができるのかと考えてしまうこともあるのですと、率直な感想が載っていました。
自立援助ホームは、平成十年に第二種社会福祉事業にようやく位置づけられて、補助制度も非常に貧弱なわけです。青少年福祉センターのホームページを見ますと、児童自立生活援助事業実施要項が載っていて、その前文に書いてあることは、法制化されたといっても現在は過渡的な段階であるというふうに書いてありました。自立援助ホームのことをいうのだったら、中井児童学園をいまだ過渡的な段階の不十分なところに任せるというようなことではなくて、自立援助ホームへの支援を強めることこそ必要なことだというふうに思っています。
新宿寮の寮長さんは、中井児童学園が都立として公的に高齢児の自立支援を位置づけてやり始めてくれたことが、どんなに励みになったかというふうにおっしゃっているんですね。ここでも中井児童学園の経費を下げるとか、施設種別の見直しをいう前に、自立援助ホームへの支援を強めていくことが必要ではないかと思うんですけれども、どうでしょう。
○笠原子ども家庭部長 自立援助ホームは都内八カ所、定員七十六名という形で現在運営をしてございます。自立援助ホームは、それぞれのいろいろないきさつがあってやっておるわけですけれども、私どもとしては、現在の形で、自立援助ホームが必要な対応をある程度できるんではないかなというふうに思っておりまして、今後、自立援助ホームの運営状況等を十分勘案しながら、もし必要であれば適切な対応を図ってまいりたいなというふうに思ってございます。
○大山委員 ぜひ自立援助ホームの実態も、それから内容も把握していただいて、今おっしゃったように、必要なところにはきちんと必要な手当てをしていただきたいという要望を述べておきます。
もう一つですけれども、養護老人ホームについてです。吉祥寺老人ホームと大森老人ホームは、十五年度に民間移譲等を行うというふうになっています。十五年度といえば来年度なんですね。それで、私たちは都立できちんと継続することが必要だと考えています。その立場です。
九月の厚生委員会では、大森と吉祥寺老人ホームの運営法人選定に当たっては、利用者サービスや施設運営の健全性、効率性等の観点から、最も適切な法人を選定していく旨の答弁がありました。これによって現場は大変な不安が広がっています。吉祥寺が平成五年ですね、大森が平成九年と聞いていますけれども、そもそもその二つの老人ホームは板橋の養育院の分散改築でつくったところですから、十年もたっていないというものですから、福祉施設の歴史としては、まだ非常に浅いものです。
健全性、効率性の観点といっているわけですけれども、この間に、受託している法人にこれらをめぐって何か問題でもあったというのでしょうか。
○中島参事 大森、吉祥寺両老人ホームの受託法人につきまして、これまで特段の問題があったものと認識しているわけではございません。
○大山委員 観点でいっている健全性だとか効率性の問題で、特段問題があったわけではないということですね。それでは、どういう選定方式をとろうという考えなんでしょうか。
○中島参事 法人の選定方法につきましては、現在検討中でございます。
○大山委員 どういう方法でやるのかも決まっていないということですね。
潮見が同じようにというか、使用許可の方式なんだということですが、今後、潮見は五年間が契約期間だというふうに条例になっているわけですけれども、大森や吉祥寺の場合も、今度選定したらまた選定し直すということはあるんですか。
○中島参事 先ほどご答弁させていただきましたように、選定方法につきましては現在検討中でございます。また、民間移譲等の方式につきましても現在検討中でございまして、仮に潮見老人ホームと同様の使用許可方式を採用した場合におきましては、条例及び規則によりまして、使用許可期間は五年となっておりまして、また、原則としてその都度公募を行うものとなってございます。
○大山委員 今おっしゃったように、五年ごとになるんだということですね。これは、効率性、健全性の選考というのが内容なわけですから、これ一回で終わりということには、局の理屈からいってもならないというのは明らかですね。
ところが、福祉施設で、例えば五年ごとに法人を入れかえるとか公募をするなどとかということを取り入れたら、大変なことになるというふうに思います。福祉施設というのは、やはり継続性だとか安定性というのは一番の大前提ですし、何より利用者との信頼関係がなければできないというものです。
先日、大森老人ホームを訪ねましたけれども、特養で働いていてここに来た方もいるんですが、特別養護老人ホームでは、おむつがえだとか排せつの介助だとか食事の介助だとか、必ずやらなければいけないことは明確だけれども、養護老人ホームの場合はそういうことは明確じゃないんだけれども、軽い痴呆があったり妄想がある方が結構いたり、アルコール依存症だったりということで、メンタルな部分が多いということですね。ですから、それだけに、利用者と職員の信頼関係をきっちりと築いてきた、積み重ねてきたというわけです。地域との関係も営々として築いてきたんですが、地域ボランティアの方も来てくれていて、地域との信頼関係も、こんな五年ごとにとか、次に何人になるかわからないとかということですと、そういう信頼関係も崩れてしまうということですね。
職員だって、ただごとではないわけです。今いる職員というのは、大森老人ホーム開設のために採用された方たちですから、ここがなくなれば行き場がなくなるということ、それから、潮見老人ホームは、受けたのが埼玉の法人で、東京に比べれば安い賃金で雇用しているということはいわれていることですね。五年ごとにだとか、五年だけじゃなくても、そういう効率性でやっていたら、そのたびごとに若い低賃金の職員を雇用するということになってしまうわけです。だから、法人も職員も、利用者のことを考えたら心配になってしまうわけです。
しかも、こういう不安定な状況が、今回だけじゃなくて、五年だったら五年ごとにあるということなんですね。最悪の場合は五年ごとに職員がかわってしまうことになるし、かわらなくても不安定な時を過ごすことになる。利用者サービスの向上だというふうにいっておきながら、全く逆行だと思います。
そもそも吉祥寺、大森のことを見ても、都がやろうとしていることは、福祉のあり方からかけ離れた経済効率最優先ということから、このような方針が出るし、こうならざるを得ないわけですね。民間移譲の方向は直ちにやめて、都が都立施設として、利用者にも地域の住民にも責任を持った運営をしていくことが求められているというふうに意見を述べます。
都立施設の問題で最後ですけれども、大泉と練馬の就労支援ホームのことです。
私は、この二つの施設にも行ってきました。簡単に、統合等も視野に入れつつ民間移譲等を進めるというふうになっているわけですが、片や重度視覚障害者の授産施設、もう一つは重度身体障害者の授産施設ですね。同じ就労支援ホームという名前ですけれども、開拓して職員の人がとってくる仕事も、障害が違いますから、全く違うという状況です。皆さんは、この不況の中、施設が一番苦労しているのは何なのかということは把握していらっしゃるんでしょうか。
○有留障害福祉部長 重度身体障害者施設である大泉就労支援ホームと練馬就労支援ホームでございますが、ご指摘の両施設については、長引く不況の中で、受注の開拓がちょっと難しくなっており、十分な仕事量が確保できない。その結果、利用者にお渡しする工賃も低額となっております。
特に大泉就労支援ホームにあっては、視覚障害との重複障害のために、作業内容が限定されやすく、新しい授産科目の開拓が厳しい状況でございます。
○大山委員 本当にそのとおりなんですよね。新しい仕事の確保、開拓、それが一番大変なんだ、仕事がない、これが何とかしてほしいことの一番なんだというふうに、この施設の方たちはいっているものですし、これが率直なところだというふうに私も実感しました。ですから、統合だとか民間移譲とかいっている場合じゃない、そういうふうに思います。不況の中で、障害者ができる仕事、障害者の障害に合った仕事を確保することに責任を持つ、これが今、東京都の仕事だと思います。五カ年計画そのものを根本から再検討、撤回することを求めておきます。
それでは次に、少子化対策のことです。
我が党は、この間一貫して少子化対策の強化を述べてきました。安心して子どもを産むことができる社会をつくるには、子育て支援、それは、例えば保育園にも幼稚園にも行っていない乳幼児を持つ親の育児の相談に乗れるような専門家や子育ての仲間も必要だし、子どもを産み育てられる住環境、それから父母の子育て期間中の働き方など労働条件にかかわること、それから圧倒的に少ない父親の育児への参加、そういうことで、保育園や学童保育の充実や、教育費を初めとした子育てに係る費用の高さなど、ざっと挙げても、福祉分野だけでは対応し切れないことがたくさんあります。しかし、東京都の対応はどうかといったら、余りにも遅いような状況です。
厚生労働省が十月に発表した人口動態統計では、東京では、女性の合計特殊出生率がついに一・〇〇まで落ち込んでしまったということがあります。都として総合的な少子化対策の確立が急務だと考えますが、認識を伺います。
○笠原子ども家庭部長 少子化への対応についてでございますけれども、子どもを産み育てたいと願う都民が安心して子どもを育てられる環境を整備すること、これがまず重要だろうというふうに考えてございます。そのために、女性の社会参加が進む中、子育てと仕事の両立のための環境づくりを図るとともに、社会的に孤立しがちな親たちに対しまして、子育てを地域の中でバックアップする仕組みを構築することが必要だろうと思っております。
こうした観点から、福祉局では、TOKYO福祉改革STEP2におきまして、大都市の保育ニーズにこたえる都市型保育サービスの充実に努めてございます。
また、子育てを地域社会全体で支援するために、子ども家庭支援センターの整備による総合的な相談、支援の仕組みの確立に努めるとともに、子ども家庭在宅サービス等の拡充も図ってございます。
私どもといたしましては、これらの施策を、関係局との連携のもとに進めているところでございますけれども、今後とも、施策の充実に努めてまいりたいというふうに思ってございます。
○大山委員 関係局との連携をというふうなご答弁ですが、一昨年の第三回定例会で、これ、吉田理事の質問ですけれども、少子化対策に本気で取り組むには、産業、労働、教育、福祉、子育て支援などの各分野にわたる総合的な計画が必要であること、同時に、その計画を推進する全庁的な独自の体制を整備し、少子化の現状や要因について調査、分析していく本格的な取り組みが必要だというふうに提案しました。二年以上たつわけですが、いまだ具体化に着手されていません。
最近、小泉内閣が発表した少子化対策プラスワンというのがあるわけですけれども、対策の推進方策として、地方自治体ごとに行動計画の策定など少子化対策の推進体制を整備するということが示されています。
都として、これにどう対応するのかということが問われているわけですね。局を超えた全庁的な少子化対策の体制をつくって、少子化マスタープランのような総合計画と行動計画の策定がいよいよ必要だというふうに思いますが、どうでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 局を超えた横断的な総合的なマスタープランをつくれということでございますけれども、私ども福祉局といたしましては、子育てに関します総合的な対策という形でいろんなことをやっておるわけでございます。
まず、子育ての心理的、肉体的な負担の解消のために、ただいまお話し申し上げました子ども家庭支援センターの整備であるとか、あるいはまた、虐待問題に積極的に対応するための児童相談所の改革であるとか、あるいは子ども家庭の在宅サービス事業の充実等を進めておるわけでございます。このほか、子育てと仕事の両立のための施策といたしまして、都市型保育サービスの拡充、それから、子育てに係る経済的負担の軽減策といたしまして、各種手当あるいはひとり親家庭の福祉施策の実施、さらには、子どもの健全育成のための環境整備といたしまして、児童館あるいは学童等の充実、それから子どもの権利擁護のためには、児童相談所を中心とした、先ほど申しました児童虐待防止体制の整備ということについても、重点的に進めておるわけでございます。
こういったことに加えまして、例えば各種シンポジウム、少子化に対しますシンポジウム等開きまして、総合的な対策を実施してきたわけでございまして、改めて各局を横断的に束ねてマスタープランをつくれということになりますと、福祉局としてはいかがかなという思いでございます。
○大山委員 今、福祉局としては総合的にやっているんだというお話がありました。しかし、私先ほども述べたように、子育てをするといっても、働き方だとかというとやっぱり産業労働局とも関係あるし、いろんな局と関係あるわけですよね。教育も関係あるし、いろいろなところがあるわけですから、子どもというところは、やはり福祉局が音頭をとって、きちんとほかの局にも呼びかけて、少子化対策の総合計画と行動計画というのを、ぜひ主導的にやっていっていただきたいというふうに思います。
少子化対策にはさまざまな課題があるわけですけれども、その一つとして、子育てに係る費用負担の軽減ということも大変重要な課題だと思いますけれども、それについてはどういう認識でしょうか。
○笠原子ども家庭部長 私どもの基本的な認識といたしまして、これからの社会は、多様な価値の選択に基づく生き方が可能になる社会になっていくことが求められているのだろうと思っております。これを子育ての視点から考えますと、子どもを育てたい、あるいは育ててよかったといえる社会、あるいは子育てという選択をする生き方が不利にならない社会の実現、これが必要だろうというふうに思っております。
こうした観点からいいますと、確かに先生おっしゃるように、経済的負担の軽減、これも重要な要素の一つでございますけれども、それだけではなく、やはり育児の負担感あるいは仕事との両立の負担感など、社会的、経済的あるいは心理的阻害要因、こういったものを取り除くような環境整備、これを図っていくことがまず大切だろうというふうに思っております。
○大山委員 私も、経済的な負担だけが少子化対策の課題だというふうにいっているわけじゃないんですね。さっきから述べているように、局も横断したような総合的な対策が必要だと主張しているわけですから、その中で、経済的な負担の軽減ということは、さっき笠原子ども家庭部長さんが答えたように、重要な課題の一つだということでいいというふうに思います。
そこを一致点として、次の質問をしたいんですけれども、都の乳幼児医療費助成制度は、対象年齢については、ようやく全区市町村が小学校入学前まで引き上げることができました。しかし、所得制限については、まだ自治体間の格差が残されていて、所得制限撤廃は都民の切実な願いになっています。今、所得制限をなくしている自治体は、二十三区で幾つ、市町村で幾つというふうに、それぞれ幾つあるのかということを教えていただきたいのと、都として所得制限撤廃に踏み出すよう求めますけれども、どうでしょう。
○野村保険部長 まず、第一点目からお答えいたします。
区市町村の数でございますが、平成十四年十月現在で申し上げますと、就学前まで所得制限なしとしている区市町村は、区部で二十、市町村部で三、合計二十三区市町村でございます。
第二点目の、都として所得制限をなくすべきじゃないかというご質問でございますが、私どもとしては、二つの理由から所得制限はなくすべきではないと考えております。
まず第一点でございますけれども、仮に新たに所得制限を撤廃するということにどの程度の費用がかかるかということを試算いたしますと、十四年度の平年度ベースで六十四億円という巨額を必要とすることが一つ。
それからもう一つは、諸制度間のいろんな負担の公平、それから社会的な公平等々を考慮いたしますと、乳幼児医療費助成制度というのは子育て家庭への経済的な支援策でございまして、また、そのほかの老人医療費助成制度、老人も含めまして、心障もありますが、所得制限を行っているということも考え合わせますと、所得制限は、そういう意味でも撤廃すべきじゃないというふうに考えられます。
○大山委員 負担の公平だというふうにおっしゃいますけれども、みんな人生、生まれてからずっと年齢を追っていくわけですから、その時々のシーンによっていろいろな支援があるということで、それは負担の公平というか、受益の公平というか、その時々でいろいろなサービスがあるということこそ重要だというふうに思いますし、それから、何よりも今、二十三区中二十区は所得制限がないわけですね。
例えば、つい最近、東京都の生計分析調査が出ましたけれども、乳幼児を持っているであろう二十代、二十から二十九歳の生計中心者の平均収入は三百十五万円です。三年のときの調査よりも、そして八年のときの調査よりも収入が減っているんですね。ですから、こういう事態を、少子化対策は重要だというふうにおっしゃるわけですから、どういうふうに解決していくのかということでは、積極的にやっていかなきゃいけないと思います。
同時に、六十四億円かかるんだというふうにおっしゃっていましたけれども、ことし十月からの医療保険制度の改悪をやったわけですけれども、唯一ともいえる改善として、三歳未満の乳幼児の医療費自己負担が、これまでの三割から二割に引き下げられたわけですね。これによって、乳幼児医療費助成に対する都の支出額、必要な予算が軽減されるはずですけれども、平年度ベースでどれぐらい軽減されると見込まれていますか。
○野村保険部長 減額の効果として影響がございますのは、十四年度で申し上げますと、平成十四年十月から平成十五年一月までの四カ月の診療分で、四億八千万円程度の助成額を減額できるというふうに見込んでおります。これを、四カ月分を十二カ月に直すということで平年度ベースに直しますと、約十四億円程度の減額があるだろうと見込んでおります。
○大山委員 新たに十四億円程度の軽減がされるということですね。国が三割から二割に負担を下げたというのは、これは保険の負担ですから、それこそ所得制限なんか何にもないわけですよね。だからこそ、この新たな財源を使って所得制限の撤廃に踏み出すよう、これも活用して踏み出すよう求めるものです。
少子化対策からいっても重要というか、保育問題のことですけれども、働きながら子育てできる環境をつくるということは、なくてはならないことだというふうに思います。産休明け保育や延長保育は、現在の日本の働き方ではどうしても必要な保育ですし、看護師さんだとか医師だとかサービス業だとか、二十四時間営業のお店や、企業でもサービス残業を含めた、男女とも過労死するほどの劣悪な労働条件になっている。子どもの健全な成長、発達を保障するという点から考えても、家族という基本の暮らしを考えても、ルールなき資本主義といわれる日本社会の働き方を含めて、改善しなければならないことです。
ですから、さっきからいっているように、全庁的な組織は必要だというふうに思うわけですが、その上でも、夜間も含めて働かなければならない人はいますから、よりよい保育の保障、これが必要です。
ところが、保育園に入りたくても入れない状況にある待機児ですけれども、用意してもらった九ページですね、十三年度の十月一日付でゼロ歳から五歳児まで合わせて一万二千二百十一人の子どもたちが、保育園を必要としていながら待っている、申請しながら待っているわけです。保育園を必要としている子どもたちが、年度の途中であっても必要なときに入園できるということは基本です。ところが、十月一日付、年度の途中でもう既に一万二千二百十一人もの子どもたちが入りたくても入れずに待っている、これは大変な状況だと思います。この待機児解消は重要な課題です。
そこで、児童福祉法二十四条は、「市町村は、保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により、」云々、「保育所において保育しなければならない。」というふうになっていますけれども、ここでいう「保育所」とは、認証保育所は入るんでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 入っておりません。
○大山委員 児童福祉法の二十四条の「保育所」には入っていないということですね。さらに二十四条にはただし書きがあって、「付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護をしなければならない。」というふうに書いてあります。認証保育所に入った場合、ただし書きでいう「適切な保護」になるんでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 児童福祉法上、二十四条あるいは二十四条ただし書きをどう読むかということでございますけれども、児童福祉法第二十四条というのは幾つかの要件がございます。今先生おっしゃったように、保護者の労働あるいは疾病ということで、保護者の労働は、保育の実施基準では、昼間労働をすることを常態としているということが一つの大きな要件でございます。それから、先生、先ほどお話がありましたように、保育に欠けるという要件がございます。それから、保護者から市町村への申し込みがある、こういった要件の上で、それらを必要とする児童について市町村は保育しなければならない、こういうふうになっておるわけでございます。
しかしながら、認証保育所制度というのは、利用者と園との直接契約という形をとっています。それから、保育に欠けるという、児童福祉法二十四条の要件を必要としない、こういう基本的なコンセプトから成り立っておりますので、ただし書きには該当しないということでございます。
○大山委員 二十四条でいう保育所でもないし、ただし書きでいう適切な保護にもならないということなんです。私がいいたいのは、待機児の解消というのは、やはり児童福祉法に定められた認可の保育所で行うことを第一義とすることが重要なことだといえるし、それが自治体の責任だというふうに思っています。
その認可保育所の状況はどうかといったら、昨年の十月の新聞記事を見ていたら、満杯という記事が載っていました。ところが、きょうの新聞を見たらさらに大変な状況になっていて、保育所定員オーバーという報道がされています。
これは全国の状況ですが、東京はどうかということです。認可保育所の十月一日付の入所率の推移を、九年度から教えてください。
○笠原子ども家庭部長 十月一日現在の過去五カ年の入所率の状況でございますけれども、平成九年度が九二・八%、平成十年度が九四・六%、平成十一年度が九六・四%、平成十二年度が九七・八%、平成十三年度が九八・四%。ただいま先生、厚生労働省ですか、総務省ですかの発表で一〇〇%を超えているというお話がございましたけれども、東京都は、十三年度の十月一日現在では九八・四%、こういう数字でございます。
○大山委員 九年度が九二・八%で十三年度は九八・四%、着実に入所率は上がっている。しかも、これは三月末日の数字じゃなくて、十月一日の年度途中の数字なんですね。それで九八・四%というのは、この全国の発表でもあるように、満杯だと。全国も満杯、東京も満杯ということなんですね。
さらに伺いますけれども、認可保育園の十三年の、昨年のですよね、ことしはまだ出ていないと思いますので、十月一日付の各年齢別のあき人員を教えてください。
○笠原子ども家庭部長 平成十三年度の十月一日現在のあき人員でございますけれども、ゼロ歳児がマイナスの五十四、一歳児がマイナスの七百五十四、二歳児がマイナスの九百六、三歳児が百八十六、四歳児が三千五百五十七、トータルで二千二十九、こういう数字でございます。
○大山委員 ごめんなさい。急に聞いて済みませんでした。
今おっしゃってくれたのが、十月一日のゼロ歳児がマイナス五十四ということは、五十四人オーバーして入っているということなんですね。一歳児は七百五十四人オーバーして入っています。二歳児も九百六人、定員以上にオーバーして入っています。三歳児は百八十六人あきがありますけれども、全都の認可保育園が約千六百カ所ありますから、まあほとんどのところは満杯だということですね。四歳以上、四、五歳児が三千五百五十七人ですから、一園で四歳児に一人、五歳児に一人ぐらいずつあきがあるかな、そういう状況なわけですね。そういうことなんですよ。
東京都は、ミスマッチだとか、あきがあるといっているわけですけれども、実態は、今おっしゃったみたいに、十月一日付で既にオーバーしているというのが実態なんです。認可保育所の整備をきちんと位置づけて進めることが必要だと思うわけですが、東京都は認可保育所の整備にどういう方針を持って臨んでいるのか、教えてください。
○笠原子ども家庭部長 保育所の整備につきましては、保育の実施主体でございます区市町村がその地域のニーズを把握、分析いたしまして、実情に即した対策を講じていく、これが基本だろうというふうに思っております。
したがいまして、都といたしましては、事業の実施主体でございます区市町村がこうした地域の保育ニーズの把握を適切に行った上で、保育所の整備が必要であると判断して計画した場合には、予算措置等も勘案しながら的確に対応してまいりたいと思っております。
○大山委員 区市町村がニーズを把握して申請すれば、予算措置をしたいということですね。
私、ことしの六月十九日付で保育所施設整備の基本的な方針についてという子ども家庭部のを持っているんですが、これは、基本的な認可保育所の整備の方針だということでいいわけですね。
○笠原子ども家庭部長 法人審査会等に協議いたします際に必要な保育の基本指針ということでございます。
○森田委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○森田委員長 速記再開してください。
○大山委員 保育所施設整備の基本的な方針についてということで、新たに整備する場合または増改築する場合の具体的な指針ということで、大規模修繕の場合のものも持っているわけですよね。私は、この基本的な方針を持ったことは、これは重要だというふうに思います。しかし、この待機児の状況は、さっきるるありましたように尋常ではないわけですね。さらに具体的な整備目標を持って、計画的に予算もつけて、きちんとつけて、年次計画を明らかにして取り組むべきだということを要望して、終わります。
○森田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時四十五分休憩
午後三時五十八分開議
○森田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山口委員 介護保険制度について何点か。
介護保険制度も、来年、保険料や介護報酬等の見直しが実施されようとしています。東京都の社会福祉協議会の介護保険制度に関する区市町村アンケート集計の居宅介護支援利用者満足度調査によれば、今後の課題として、ケアプラン作成等介護支援専門員の質の向上が挙げられています。東京都も介護支援専門員支援会議から提言を受けていると思いますが、介護支援専門員の質の向上に対する都の取り組みについて、何点か伺います。
国のリーダー研修受講者は二十人、東京都ではどのように生かされているのか、その取り組み内容について伺います。
○野村保険部長 ケアマネジメントリーダーとして必要な技能の習得を図ることを目的とした国の研修は、五月及び六月に二回にわたって実施されたところでございます。
都では、ケアマネジメントリーダーの役割としては、個々の介護支援専門員のケアマネジメント能力の向上に対する支援、さらには、医師、保健師など福祉、保健、医療にわたる多職種間の協働の推進などを考えているところでございます。
リーダーの活用先といたしましては、主なものは、この八月に開設いたしました介護支援専門員サポートセンターの相談員や、十二月に実施いたします都のリーダー養成研修の講師などを予定しているところでございます。
今後とも、区市町村とも協議をしながら、さらに一層具体的な活用場面を検討してまいります。
○山口委員 今後は、区市町村にも、介護支援専門員がより質の高い居宅支援をしていくために、介護支援専門員サポートセンターのような相談窓口が必要であると思いますが、現状と、都としての見解を伺います。
○野村保険部長 現在の状況でございますけれども、区市町村では多くのところで、一般の方や介護支援専門員を対象としました介護保険の相談窓口を設置いたしております。しかしながら、介護保険制度のかなめでございます介護支援専門員の重要性からいたしますと、将来的には、区市町村という身近な地域におきまして、介護支援専門員の抱えるさまざまな問題について、きめ細かく、丁寧に相談に応じることができる専用の相談窓口が必要であろうかと考えております。このため、都といたしましては、十五年度にモデル実施をすべく予算要求を行っているところでございます。
また、現在設置されております区市町村の相談窓口や、今後設置を進めていく専用窓口の相談員には、先ほどご答弁しましたけれども、区市町村の推薦を受け都が養成する六十四名のケアマネジメントリーダーが、地元の状況に詳しく、最適であると考えておりますので、その活用について区市町村に協力をお願いしているところでございます。
○山口委員 この介護支援専門員の現任者研修が二十一区十四市で実施されています。都と区市町村が連携し、有意義な研修にしていく必要があると思いますが、都としての役割をどうとらえているのか、伺います。
また、都の現任研修は二〇〇〇年度から行われていますが、受講生が数千人に上り、研修も単一的な内容にならざるを得ないと聞いています。二〇〇二年度については、国は専門研修と基礎研修を区分するようにいっています。都として、介護支援専門員支援会議の提言を踏まえ、今後どのように実施していくのか、伺います。
○野村保険部長 現在、各区市町村が、地域におきまして、その実情に合わせた現任研修を行われているところでございますけれども、都が実施する現任研修については、区市町村と緊密な情報交換を行いまして、講義内容等が重ならず、相互に補完できるような連携を図っていきたいというふうに思っております。
また、今年度、都が実施いたします現任研修につきましては、国のカリキュラム改正も受けまして、専門研修と基礎研修に区分いたし、受講者のニーズに的確に対応できるような改善を図ったところでございます。
また、先生お話しのとおり、介護支援専門員支援会議の提言等も積極的に取り入れまして、介護支援専門員の受講を促すため、まず第一に、できるだけ少人数のクラス分け、第二に、受講者のニーズに合うよう講義内容の選択制を導入、第三に、日曜日や多摩地域を含めた都内各地域での開催など、受講者の利便の向上に努めているところでございます。
その結果でございますが、十三年度の申込者数が二千五百八十八名でございましたのに対しまして、十四年度は、十一月十一日現在で既に四千百名を超えているという状況でございます。
○山口委員 介護支援専門員の質の向上には、こういった個人の研修の場だけではなく、実践的な事例検討や情報交換が、人材を育成する機会として重要な位置を占めると思います。居宅介護支援事業者連絡会を何らかの形で行っているのが九区十八市、介護支援専門員連絡会を実施している区市は、十区九市という現状です。区市町村がこうした位置づけを理解し、定着させるために、都としてどのように考えて取り組んでいるのか、伺います。
○野村保険部長 保険者でございます区市町村と、介護保険の現実の担い手でございます居宅介護支援事業者や介護支援専門員が相互に、事例検討や情報交換などを通じまして連携を深めていくことは、地域のケアマネジメント体制の確立にとりまして、大変有意義なことだというふうに考えております。
このため、都といたしましても、その実態把握に努めるとともに、本年二月と七月には、都それから区市町村、東京都介護支援専門員研究協議会等、区市町村の介護支援専門員団体の四者による意見交換会を行いまして、意見の交換や各地域での取り組み状況について協議を行ったところでございます。
今後とも、こうした取り組みを積極的に推進いたしまして、地域におけるケアマネジメント体制の一層の確立に努めてまいります。
○山口委員 利用者から聞こえてくる声は、介護支援専門員に契約時に一度会ったきりで、あとは電話の応対でケアのプランを続けているとか、あと、介護支援専門員の所属していない事業者以外のサービスを依頼しにくいという声です。また、区市の独自の事業サービスについてほとんど説明がされていないというような状況のようです。専門員のほとんどが給付管理者となり、支給限度額に見合ったプランを作成すればよしとしている感がありますが、現状の報酬単価から見ても、その程度に考えるしかないのかもしれません。
しかし、介護支援専門員をいわゆるケアマネジャーというのであれば、本来、生活全般をとらえて利用者の生活を支えるプラン作成はもとより、目標を設定し、より自立度を上げていくためのプラン作成を考えるべきです。また、同居家族がある場合には、家族とのかかわりを含めたプラン作成が求められるはずです。そのためには、医療・保健機関との連携はもとより、ボランティア、市民事業など、幅広い社会資源を活用していかなければならないのではないでしょうか。
そこで、東京都は、専門員のあり方をどのようにとらえて制度の確立を進めるというか、支援専門員の質の向上を図っていくのか、見解を伺います。
○野村保険部長 介護保険制度が利用者本位の仕組みとして、介護の質を向上させ、ひいては高齢者の生活の質を改善させるためには、介護支援専門員の役割が極めて大きいことは、先生おっしゃるとおりでございます。しかしながら、その一方で、利用者や家族から、介護支援専門員が本来の職務を果たしていないとの指摘や調査結果が多いことも、残念ながら事実でございます。このままでは利用者からの介護支援専門員への信頼を損ね、ひいては介護保険制度の基盤が揺るぎかねないと私どもも危惧しております。
このような観点から、都といたしましては、居宅介護支援事業者への適切な指導とともに、まず第一に、介護支援専門員の努力が報われるような介護報酬制度の確立を国に要望していること、第二に、介護支援専門員現任研修等の充実によって人材の育成を促進すること、第三に、個々の支援専門員の指導に当たるケアマネジメントリーダーの働きを今後さらに強化すること等によりまして、介護支援専門員の資質の向上に努めてまいります。
○山口委員 いろいろな機関との連携、ただ事業者をつなぐネットワークをするだけということではなく、そのネットワークの中に魂を入れるというか、利用者が主体になるケアプランが作成されるよう、ぜひ介護支援専門員の質の向上のために都も努力していただきたいと思います。
次に、二〇〇三年四月実施されます支援費制度について、何点か伺います。
障害者福祉施策が措置から契約へと大きく変わろうとしています。十月から区市町村での利用者の申請も始まりました。この制度における東京都の役割の一つに、事業者の指定があり、七月から申請受け付けも開始されました。
そこで、現在、事業者の申請の状況はどのようになっているのか、また、現行のサービス水準を保つのに十分な事業者が確保できるのか、見解を伺います。
○有留障害福祉部長 申請の受理件数でございますが、十一月十四日現在、居宅支援事業者合計で二百十三件でございます。九月に支援費の仮単価が国から示されたことや、今後ともさまざまな場で区市町村や関係機関に働きかけていくことで、申請が進むと考えております。
さらに、基準該当事業者という制度がございまして、区市町村が簡易な基準で事業者を認定する制度でございます。このような区市町村による基準該当事業者の認定も行われることから、現行のサービス水準を維持するのに十分な事業者が確保できるものと考えております。
○山口委員 国が示した施設訓練等支援費は全国一律の基準で、大都市東京において必要なサービスを確保することができるのか、大変疑問にも思います。都は、サービス推進費の見直しを行っているとのことですが、見直しに当たっては、重度、最重度障害者の受け入れ体制や地域生活への移行ができるように、施設を支援する制度として都独自の取り組みが必要であると考えますが、見解を伺います。
○内海企画担当部長 国の定める基準による施設運営は、基本的には、支援費あるいは措置費で賄われるものでございまして、国制度として財政的措置がなされるべきであると考えてございます。それらの内容に不十分な点や問題がある場合には、今までも国に対して提案要望等を行ってございまして、今後も必要に応じて行ってまいります。
都が独自に民間社会福祉施設サービス推進費補助を実施しておりますのは、単に施設を安定的に経営できるように支援するためではなくて、国の定める基準を、都として望ましいと考えるサービス水準に引き上げるためでございます。
しかし、現行の制度は、利用者サービスの向上など施設における努力にかかわらず、一律に補助する仕組みであるなどの課題がございます。そのため、障害者施設での、先生ご指摘のとおりの、重度の方の受け入れの促進、障害者の地域生活移行への支援など、施設における利用者サービスの向上に向けたそういう努力が真に報われるような仕組みとするよう、現在検討を進めているところでございます。
○山口委員 支援費制度においては、職員配置基準が常勤換算方式に変更になりましたが、非常勤職員で利用者サービスの質の確保はできるのでしょうか。
○有留障害福祉部長 従来の措置費制度におきましては、職員配置基準により、利用者定員に対し常勤職員の配置人数を画一的に義務づけていたものです。常勤換算方式は、利用者の障害程度に合わせて、常勤職員と非常勤職員を効率的に組み合わせて配置し、柔軟な対応ができる制度と考えております。
利用者に対するサービスの向上を図っていく上で、資質の高い人材の果たす役割は非常に大きいといえます。しかしながら、常勤職員である、あるいは勤務経験年数が長いということだけで職員の資質をはかることは困難であると考えております。現に、常勤職員に加え、福祉施設経験者や養護学校教員経験者など処遇技術の高い非常勤の職員を活用して、効率的できめ細かな利用者サービスの提供を行っている施設もございます。
今後は、こうした柔軟な体制をとるなどの施設の創意工夫により、非常勤職員の活用により、サービスの質を十分確保できるものと考えております。
○山口委員 私も、あるシンポジウムで、障害者当事者の声で、実は長い間施設で暮らしているけれども、本当はやっぱり自立して地域で生活をしたかったという声を聞いています。
障害者が地域で自立した生活を送るためには、居住の場や生活支援のためのサービスなど、さまざまなサービスを利用する必要があるため、サービス利用を援助する仕組みが整っていなければなりません。
ケアプラン作成が義務づけられている介護保険制度と異なり、支援費制度にはケアマネジャーの制度が位置づけられていません。都として、障害者のサービス利用を援助する仕組みを検討するべきであると考えますが、見解を伺います。
○有留障害福祉部長 支援費制度の利用に当たりまして、知的障害者など、みずから支給申請することが困難な障害者がいらっしゃることは、ご指摘のとおりでございます。都としては、区市町村において支援費の支給申請に援助が必要な障害者の求めに応じ、相談、支援を行う仕組みとして、支援費制度利用援助モデル事業の実施を検討しておるところでございます。
○山口委員 また、利用者の自己選択、自己決定を保障するためにも、在宅サービスの質と量の確保が求められます。しかし、生活寮など地域生活を支えるサービス整備に当たっては、区市町村の負担が非常に大きいため、都として支援すべきと考えますが、所見を伺います。
○有留障害福祉部長 都は十三年度から、心身障害者施設緊急整備三カ年計画により、生活寮などの設置促進を図っております。支援費制度のもとで選択と自己決定という理念を実現するためには、多様なサービス基盤の確保が求められます。
今後とも、先般重点事業として策定されました障害者地域生活支援緊急三カ年プランにより、生活寮など居住の場、通所施設など地域生活を支えるサービス基盤の整備に取り組む区市町村等への一層の支援に取り組んでまいります。
○山口委員 今、障害者の方もこの制度に関心が高まり、また不安の声も聞いております。ぜひ当事者の声も十分に聞いた配慮をしていただけたらと思います。
次に、児童の社会的養護システムについて、何点か伺います。
七月一日現在で、東京都内そしてまた都外の施設に約二千七百五十人の児童が生活しているということです。共同生活では、一人一人の人格が尊重され、人間としての権利が守られなければなりません。
一九九九年から、児童養護施設、児童自立支援施設に入所中及び新たに入所する小学生以上の子どもに、困ったときの連絡先として、担当の児童福祉司と子どもの権利擁護委員会の連絡先や、一人の人間として大切にされる権利から、体罰やいじめなどから守られる権利等が記載されている子どもの権利ノートが一人一人に、内容も説明して手渡しされていると聞いています。しかし、先般、茨城県の養護施設で職員による体罰が発覚し、子どもたちへの人権侵害が明らかにされました。このノートが活用されていれば、未然防止になっていたかもしれないという思いもあります。今後、せっかくある子ども権利ノートが人権侵害の未然防止の観点に立って活用されるよう、職員の研修も含め、十分な検証をする必要があると考えます。
また、二〇〇〇年度からは、児童養護施設に苦情解決の仕組みを構築するよう指導していると聞いていますが、その苦情処理の仕組みはどのようなものなのか、また、子どもたちから施設へ寄せられた苦情の件数や内容、解決方法について伺います。
○笠原子ども家庭部長 入所児童等からの苦情の適切な解決に努めるために、児童養護施設に苦情解決の仕組みを整備することが、平成十二年度の法改正で義務づけられました。苦情解決の仕組みの内容、大きく三点挙げられます。
まず第一点目は、責任を明確にするため、苦情解決責任者を定めることでございます。それから二点目といたしまして、利用者が苦情の申し出をしやすい環境を整えるために、職員の中から苦情受け付け担当者を任命することでございます。それから三点目といたしまして、苦情解決に社会性や客観性を確保するとともに、児童等の立場や特性に配慮した適切な対応を推進するために、第三者委員を設置するというものでございます。
児童から寄せられた苦情等の件数についてでございますけれども、十二年度から十四年度の九月までの受け付け状況を調査したところでは、これまでに合計七百八十九件の苦情を受け付けてございます。苦情の例といたしましては、施設での生活への要望、それから職員の対応に対する苦情、児童間のいじめなどでございまして、必要に応じて第三者委員等を活用いたしまして解決を図っているところでございます。
○山口委員 第三者委員の設置が決められているということですが、構成メンバーと選出方法について伺います。
○笠原子ども家庭部長 平成十四年十一月一日現在で、都が所管いたします民間の児童養護施設四十六施設のうち、四十四施設が第三者委員を設置しておりまして、二つの施設が現在調整中でございます。
第三者委員の要件といたしましては、一つといたしまして、苦情解決を円滑、円満に図ることができ、二つ目といたしまして、世間からの信頼性を有する者であること、この二点が必要となってございます。
また、人数については、公正性の確保のため、複数配置を東京都としては指導いたしております。都が行った調査では、委嘱されている第三者委員は、民生委員や人権擁護委員等の地域関係者、それから学校長などの教育関係者及び弁護士などが、主なその委員の内訳となってございます。
○山口委員 質の確保のための諸施策、それから苦情解決のシステムが有効に働かなければ、施設は、身体的、心理的虐待、放任、金銭的搾取など、さまざまな権利侵害の発生の温床になります。施設を閉鎖的にしないことが重要であり、人権感覚を持った市民の目に、施設のサービスや運営の現状がオープンに映し出されるようにすることが必要ではないでしょうか。苦情解決のための第三者委員の役割もそこにあると思いますので、今後、このような観点で進めていただきたいと思います。
続きまして、ドメスチックバイオレンス、DV被害者の一時保護について、何点か伺います。
夫の暴力による相談件数が、東京ウィメンズプラザでは、二〇〇一年四月から九月まで三百十一件、二〇〇二年四月から九月までが千五百四十三件、東京都女性相談センターでは、同じ期間、それぞれ千二十七件と千八百四十九件と増加しています。また、女性相談センターの一時保護を受けた人は、同じ二〇〇一年四月から九月まで百十七件、二〇〇二年四月から九月までが二百四十九件で、一時保護の約六〇%がDVによるものと聞いています。
女性センターの現状や受け入れ体制について伺います。
○笠原子ども家庭部長 女性相談センターの一時保護施設でございますけれども、これまで、夫の暴力等から避難する女性や生活困難な女性など、緊急に保護を要する女性等を対象にいたしまして一時保護を行ってまいりました。
これに加えまして、本年四月からは、DV防止法に基づく配偶者暴力相談支援センターとしての機能を担うことになりました。DV被害者等が一時保護の中で占める割合、これは、先生今お話しございましたように、一時保護件数の約六割、これがDV被害者で占められてございます。
それに対します受け入れ体制についてでございますけれども、施設定員、新宿が三十人、立川が十五人、合わせて四十五人でございまして、休日あるいは夜間の緊急保護など、二十四時間体制で対応いたしてございます。
一時保護をいたした利用者への対応についてでございますけれども、食事の提供など日常生活の援助はもとより、医師や心理職員などの専門職員を配置いたしまして、心身の健康を回復させるためのケアを実施してございます。また、福祉事務所とも密接に連携をいたしまして、健康あるいは住まい、就労など、幅広く自立に向けた相談支援あるいは情報提供を行ってございます。
○山口委員 あるDV救済保護活動を行うNPO団体では、保護を求める人の二件に一件は断らざるを得ない状況ということを聞いていますが、今後の増加も予測される中で、その保護施設の拡充が求められますが、増加に対してどのように対応していくのか、伺います。
○笠原子ども家庭部長 昨年十月の法施行後、相談件数とともに、一時保護を必要とする配偶者からの暴力被害者、これは、先生先ほどご指摘のとおりふえてございます。今年度から新たにDV防止法に基づく一時保護委託の制度をスタートさせまして、区部で三カ所、市部で一カ所の婦人保護施設と委託契約をいたしまして、法施行に伴う受け入れ体制の充実強化を図っております。
一時保護の委託先として婦人保護施設を選定いたしましたのは、婦人保護施設が従来から、配偶者からの暴力被害者を含む家庭生活の破綻、生活の困窮などにより保護を必要とする人を受け入れまして、その後の円滑な自立を支援してきた、こうした実績を考慮したものでございます。
これらの施設に一時保護されたDV被害者に対しましては、女性相談センターや福祉事務所との連携のもとに、女性相談センターで行っている一時保護と同様、医師による医療面からのケアやカウンセリングなどの心のケアなどとともに、自立に向けた援助が行われております。
○山口委員 DVに対して独自の活動を行っていますNPOとの連携を図るべきだと思いますが、その見解について伺います。
○笠原子ども家庭部長 NPOなどの民間団体は、それぞれの団体がみずからの考えに基づきまして、DV被害者等に対する相談、保護あるいは自立支援のための活動等を展開しており、DV被害者の支援に関するいろいろなノウハウを蓄積されておることから、こうした団体と連携していくこと、これは極めて有意義だろうというふうに思っております。
このために東京都では、従来から関係機関連絡会などの場を設けまして、これらの民間団体と情報交換を行ってまいりました。また、一時保護所を退所した後、自立生活に向けて長期的なケアが必要な人に対しましては、自助グループ活動を行っているNPOを紹介するなどの連携も図っております。そのほか、外国人女性の保護体制の充実を図る東京都来日外国人女性緊急保護事業補助や、婦人保護施設入所者などの円滑な社会復帰を図る東京都要保護女子自立促進事業補助を通しまして、それぞれの実施団体の活動を援助しております。
○山口委員 ここ二、三年、児童虐待防止法を含めて、ストーカー行為規制法やDV防止法など、女性や子どもにかかわりの深い法律が成立しました。こうした法律が社会の意識を変える意味は本当に大きいとは思います。しかし、女性や子どもはまだまだ社会的な弱者です。子どもへの虐待や女性への暴力と人権にかかわる問題が後を絶ちません。こうした女性や子どもへの救済、また回復への支援策とともに、また、加害者となってしまった親ですとか夫、そういった人たちへも一つの救済方法が必要かと思います。今後は、ぜひそういった観点からも施策を進めていただきたいと思います。
さらに、福祉というのは、やはりこういった人権問題というのは大変大きな要素になりまして、一人一人が本当にきちんとした人間として社会の中に位置づいていれば、多くの問題が私は解決されるのではないかと思っておりますので、そうした観点からも、福祉施策を今後進めていただきたいと思います。
質問の最後に当たりまして、医療保険制度の改定と予算編成にかかわって一言申し上げます。
医療制度の改革は必要とはいえ、全体のビジョンが不鮮明なままに国民負担が先行しております。こうした中で、都内の国保組合の中には、長引く不況が生活基盤を直撃している組合があります。こうした組合への支援や対応については、現行水準を基本に慎重に対応されるよう要請し、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○柿沢委員 私は、福祉改革、中でも都立施設改革について、この機会に改めてお伺いをしたいと思います。
この件については、発表以来マスコミでも大きく取り上げられて、また、厚生委員会でもこの報告書に関する質疑が行われるなど、いろいろなところで議論が行われていまして、今さらという感じもしますけれども、ちょっとこの間、都立施設からの撤退というのが余りにもクローズアップされ過ぎていて、どうも報告書の意義とか、その時代的要請というのがいささか見えにくくなっているような気がいたしまして、改めて少し確認の意味で見ておきたいというふうに思っております。
特に私が気になっていますのは、こうした都立施設の改革がなければ、都の財政がどうなってしまうのかということです。新しい福祉のあり方ですとか、その中で都の果たすべき役割というのは何か、こういったことについては、かなりの議論がこれまで積み重ねられてはいますけれども、実は率直にいって、この都立施設改革の議論の背景には、財政の問題も大きくあるのではないかと私は思うんです。それは、いってみれば当たり前のような気がするんですけれども、実は、だれも余り積極的には口にしないことでもあります。それを口にすれば、たちまち、財政難を理由に福祉を切り捨てたとか、行政としての責任放棄をしたというようなことをいわれるからですね。先ほどの質疑でも、そういう内容のものがあったように感じられました。
しかしながら、これ以上無責任な膨張を続けていたら都財政はもたないというのも事実なわけですよね。都財政の収支見通しを見ると、これから平成十八年度まで、三千億から四千億の歳入不足がずっと続くなんということが平気で書いてある。そうした現実から目をそむけるわけにはいかないというふうに私は思うんです。
都立福祉施設改革推進委員会が立ち上げられて報告書がまとめられたというのは、そうした破綻寸前の都の財政状況の中で、福祉の支出をどう抑えていったらかいいかという危機意識みたいなものが背景にあったのは間違いないんじゃないかと私は思っています。
こういうことを、そうでしょうというふうに質問したとしても、いやいやそうではないと、あくまで総体としての福祉サービスの向上のためですというふうに答えるでしょうから、この件については質問はいたしませんけれども、まずは、これから福祉の支出がいかにふえていくかというのを少し見たいと思います。
例えば介護保険制度において、都は、介護給付分から利用者負担を除いた額の一二・五%を負担しているわけですけれども、そこで、平成十三年度の介護給付費総額と都の負担額、それが今後五年後、平成十八年度にどうなっているのかということを、大ざっぱでいいですけれども、予測をどのようにしているか伺いたいと思います。
○野村保険部長 介護保険の給付費についてでございますけれども、平成十三年度の実績による介護給付費総額は、およそ三千七百七十億円でございまして、都の負担額はその一二・五%でございますので、およそ四百二十億円でございます。それが、ことし六月時点での都内区市町村による介護サービス料等の見込みによりますと、五年後の平成十八年度には、介護給付費総額はおよそ六千五十億円、都負担金はおよそ六百七十億円になるものと推計されておりまして、したがいまして、向こう五年間で、都の負担額ではおよそ二百五十億円の増加が見込まれているところでございます。
○柿沢委員 今のご答弁にもありましたとおり、五年後には約二百五十億円負担が増加すると予測されているわけですね。この費用は、介護を必要とする高齢者の方々に福祉サービスを行き届かせるためには必要不可欠というか、避けがたい負担といっていいと思います。都税収入がふえないとすれば、どこかで二百五十億円削って、この二百五十億円を捻出しなければいけないということにもなるわけです。
このように、都の財政力が今後伸びないことが想定される中にあっては、あらゆる福祉施策について常に点検するとともに、必要なものについては、より効率的かつ効果的な施策へと再構築していかなければならないというふうに私は考えております。
都立福祉施設改革推進委員会報告書を読むと、都立福祉施設のそれぞれが、それぞれの歴史的経緯のもとで設置されてきたということが非常によくわかります。設置した当時には、それぞれ都民ニーズにこたえていたのだと思いますけれども、しかし、時点時点で、それは存在意義を常に検証していかなければいけないというふうにも私は思います。中には、都民ニーズがなくなって定員を大幅に割っている施設もあるということです。民間福祉施設のサービスの水準や実態が変わらないのに、都立ということで膨大なコストをかけているという施設もあるようです。
ここで、都立施設の運営コストについて、少しお尋ねをしたいと思います。
まず、都立の高齢者施設ですけれども、都立施設の全体の経費、介護報酬の額、差し引いた一般財源の額を、平成十三年度の決算ベースでお答えください。
○中島参事 都立高齢者福祉施設の平成十三年度の決算についてでございますけれども、歳出は約八十八億四千万円、歳入約五十四億二千八百万円、差引一般財源充当額は約三十四億一千二百万円となってございます。
○柿沢委員 歳入の一・六倍の経費を使って、一般財源を三十四億円投入しているということになります。いってしまえば、都立の高齢者施設は大幅な赤字なわけですよね。
先日厚生労働省から発表された介護事業者の経営実態調査によれば、特別養護老人ホームは一施設当たり平均で月に二百八十万円の利益を上げて、利益率は一二・二%に上っているということが発表されました。介護保険導入前の九九年の四月の時点では、特別養護老人ホーム一施設当たりマイナス五・六%、赤字だったということですから、この二年の間に、特養に関してこれだけ経費の節減が進んだというわけですね。この間、痴呆高齢者の受け入れは都立施設と同等まで進んでいるわけで、利益率のアップは、必ずしもサービスの切り下げによるものでもないということがいえると思います。
となると、膨大な赤字を出していながら維持している都立施設のコストパフォーマンスというのは、一体どういうことなのかという気が少ししてくるわけでございます。
高齢者施設と違って、障害者施設や児童養護施設については、単純なコストパフォーマンスで割り切れない部分もあるとは思いますけれども、同じようにちょっと見ていきたいと思います。
都立の障害者施設ですけれども、都立施設全体の経費、措置費等の額、それを差し引いた一般財源の額、平成十三年度決算でお答えいただきたいと思います。
○有留障害福祉部長 十三年度決算におきまして、都立障害者施設運営経費としての都の歳出額は約二百二十三億四千万円、これに対し、措置費等の歳入額は五十八億七千六百万円、歳出額から歳入額を差し引いた一般財源は、約百六十四億六千四百万円でございます。
○柿沢委員 障害者施設については、歳入の三・八倍の経費を使って、一般財源を約百六十五億円使っているということになります。
最後に、都立の児童施設ですけれども、都立施設全体の経費、措置費等の額、また差し引きの一般財源の額、平成十三年度の決算でお答えください。
○笠原子ども家庭部長 都立児童養護施設の平成十三年度決算でございますけれども、歳出は四十四億一千万円、歳入は七億六千六百万円、差引一般財源充当額でございますけれども、三十六億四千四百万円でございます。
○柿沢委員 児童施設については、歳入の五・八倍の経費を使って、一般財源を約三十六億円使っているということになります。
都立の福祉施設全体の運営に要しているコストは、年間で約三百六十億円であり、また、そのうちの措置費等を差し引いた一般財源の投入額で見ると、約二百三十五億円ということになります。
ここで思い出していただきたいのは、先ほど介護給付における都の負担額の増加について聞いたんですけれども、五年後に約二百五十億円増加するということでしたけれども、ちょうど同じ程度の額になるわけですよね。これはあくまで偶然の一致でありまして、都立施設に投入する一般財源を介護給付の将来の負担増に充てればとんとんになりますよというような乱暴な話をするつもりはありませんけれども、しかしながら、介護給付における都負担のような避けられない財政負担が今後も増加し続けて、放置しておけば、都財政はこれらの負担にたえられなくなるのではないかという懸念は、私は強く持っております。
しかも、それにとどまらず、先ほどから話が出ていますけれども、福祉改革STEP2の事業計画にのっとって、心身障害者施設緊急整備三カ年計画を着実に実行する、さらにはその拡充をする、グループホームを大幅に拡充するということになれば、さらなる財政支出が生まれてくるのは、当然考えられるわけでございます。
そういう中で、一つの解決策として、都立施設の民間移譲などを通して、その結果生じた財源を都民の新たな福祉ニーズに振り向けて、総体としての福祉を充実していくという理念を打ち出していくことは、当然と考えていいのではないか、当然考えるべき方向性ではないかというふうに私は思っているわけでございます。
もちろん、民間移譲等に当たっては、一つ一つ、都立施設についてその役割を検証しながら、また利用者の理解を得ながら進めなくてはいけません。なかなかこれ、厳しいプロセスが待ち受けているということも事実だろうというふうには思います。しかしながら、ここで、福祉切り捨て反対という声に押されて、都立の直営を維持したはいいけれども、あれもやる、これもやるで、あげくの果てに予算全体が膨張して、都財政全体が破綻に至ったのであれば、これは元も子もないわけであります。ここを踏まえておかないと、いかなる議論も議論として成立しないのではないかと私は思っているわけでございます。
破綻寸前の厳しい都財政の状況を直視し、スクラップ・アンド・ビルドの考え方に立って、より効率的な財源配分のあり方を考えて、都立福祉施設改革推進委員会の報告書はまとめられたのではないでしょうか。そうした時代的な要請だけは、この場で改めてしっかりと踏まえておきたいというふうに私は考えているわけでございます。
最後になりますけれども、福祉改革に向けた局長の決意をお伺いして、次の質問に進みたいと思います。局長、よろしくお願いします。
○川崎福祉局長 今の先生の福祉改革につきましての議論ですけれども、我々は、今までの東京都の役割は、直接サービスを提供していくということを中心に進めてきたけれども、サービス提供事業者が、特に東京の場合は多様な事業者が出てきているということから、今までの都の役割を、直接サービス提供というものから基盤整備のための支援、それから利用者の支援等、役割を変えていこうというような大きな趣旨から改革を進めているわけでございます。
結果的に、先生がおっしゃったような数字が出るかもしれませんけれども、先ほどの数字、単純に引いて出したわけでございまして、我々が進めている民間移譲するに当たりましても、民間にも当然サービス推進費というのが出ますので、簡単にここでいっている差引一般財源がこれだけだということで、これだけ浮きますよというわけにはならないと思います。
と同時に、先ほど先生おっしゃっていました、グループホームも大幅に拡充することによってまた財政支出が生まれると。私どもは、自前で都立施設としてグループホームをつくるつもりはございません。これも民間の事業者が設置するということでございますので、そういう意味からいえば、これから先は都立施設を新しくつくるという考えはございません。これが先生の質問を聞いて感じたことでございますけれども……。
ちょっとまともな答弁をしたいと思いますけれども、これまでの福祉は、基本的に、戦後ずっと社会福祉法人、それから地方公共団体というこの二つを軸に枠組みがつくられてきて、国が制度をつくって、国が補助金という形で地方公共団体に財源をおろし、そして実際に仕事をやるのは地方自治体だ、こういう仕組みで全国一律の画一的な福祉システムが行われてきたわけでございますけれども、これだけ社会が成熟してきますと、やはりその地域、地域で生活実態が違うということもあり、やはり地域をよく見た福祉というのが必要だということから、東京都としては、多様な利用者のニーズに合った新しい東京の福祉というものを目指して進めているわけでございます。
都立福祉施設改革に当たりましても、この利用者本位という観点は第一に考えながら、一つ一つの施設についてそれぞれの役割を検証しながら、私ども七月の二十六日に出した基本方針に基づきまして実施をしていきたいというふうに考えています。
○柿沢委員 次に進もうと思ったんですけれども、都立福祉施設改革推進委員会の報告の中で、利用者本位というのは、基本的に納税者が負担をするという意味において、効率性を目指すことも利用者本位の一つのあり方なんだということが、たしか書かれていたのではなかったかというふうに思います。
そういう意味では、いささか乱暴な議論はいたしましたけれども、やはりこれからの行政機関の財政のあり方というのは、効率性をもっと追求しなければいけないというのも事実だと思いますので、そのことを重ねてお願いというかお話をいたしまして、次に、高齢者施策について幾つか伺いたいと思います。
平成十四年一月現在の都内の高齢者の数は百九十八万人ということで、高齢化率は一六・六%になっております。これが平成二十七年には、高齢者の数は一・五倍、高齢化率は二五・二%になると予測されているわけでございます。高齢期の入り口に立った六十五歳の人の場合、その平均余命は女性で二十三年、男性が十八年ありまして、女性の場合は、平均で八十八歳まで生きることになるわけですね。このような長寿社会のもと、将来展望に立った施策を構築して実施していくことが必要になっていることは、いうまでもないことだと思います。
私自身はまだ三十一ですので、石原知事みたいに、老いてこそ人生というような境地には達してはいませんけれども、年をとっても元気で、生き生きと日々の生活を送れるということが一番の幸せであって、いわゆるぴんぴんころりの生き方が理想であるというふうに思っております。これ、結構はやっている言葉なんですけれども、ぴんぴんころり、最近はPPKなんていって頭文字とっていわれたり、最近は、GNPなんというのはご存じですか。元気で、長生き、ぽっくり(笑声)、そんなこともいわれるようですけれども、こういう生き方が実は人生の、高齢化社会の理想像なんじゃないかということがいわれ始めております。
しかしながら、私は1/2の会とかいうことでやっておりますので、これ、老人医療費の抑制の観点からも非常に重要なことで(「年が二分の一か」と呼ぶ者あり)違う、違う。財政支出等を二分の一にしようと、そういうような意味でございまして……。
老人医療費の抑制の観点からも、非常にこれは重要なことではないかと思います。例えば長野県は平均寿命が男が七十八・八五歳、女が八十五・七四歳、全国トップクラスの長寿県でありながら、一人当たりの老人医療費は、四十七都道府県中最も少なくなっています。一番多い北海道と比べると半分で、全国平均と比べても、年間で二十万円も老人医療費が低い。もし全国各県の老人医療費が長野県並みになれば、二兆円もの医療費の節約につながるというふうにもいわれているわけでございます。
老人医療費や介護保険費用のいたずらな増大を断ち切るためにも、元気な高齢者がいつまでも元気で居続けられるための施策、いわばPPK、ぴんぴんころり推進プランというものが求められているのではないかと思います。
そういった趣旨で、高齢者施策について何点か質問させていただきたいと思います。
都では、先ほどもありましたけれども、介護保険事業計画の見直しに合わせて、高齢者保健福祉計画の改定作業を行っているということですけれども、計画改定に当たっては、高齢社会はこれからどうなっていくのか、また、どうなっていくべきなのかという、高齢社会の今後のあり方を踏まえた基本理念が必要だというふうに思います。都としての今後の高齢者施策をどのように進めていくおつもりなのか、その基本理念をまず確認したいと思います。
連続のご登板で申しわけありませんけれども、局長のご答弁をお願いします。
○川崎福祉局長 私は先生と違ってもう五十六でございますから、先のことを考えますけれども、私個人では、施設に入って最後施設でということは、余り自分では望んでおりません。私の家族は施設に入れた方がいいと思うかもしれませんけれども、私自身としては、やはりできるだけ住みなれた地域で、自分が選択した福祉サービスを受けながら、安心して生き生きと暮らしていきたいというふうに望んでいますし、私どもの福祉局の高齢者施策も、これからはこういう方向で進めていきたいと考えています。
○柿沢委員 川崎局長の大変実感のこもったご答弁をいただいたわけですけれども、高齢者が自立して安心して暮らし続けるということが、高齢者施策を進めるに当たっての基本理念だというふうなことであります。では、この高齢者が自立して安心して暮らし続けられるという理念を実現していくために、具体的にこれからどのような課題があるというふうに認識しておられるのか、伺いたいと思います。
○福田高齢者部長 課題といたしまして、大きく三つ挙げたいと思います。まず第一は、だれもが生きがいを持って地域の中で暮らすことができるよう、介護予防の充実や高齢者の社会参加の仕組みづくりをやっていくこと、二番目としまして、介護などのケアが必要になっても地域とのかかわりを維持しながら暮らし続けることができるよう、いわゆるケアリビングの推進とか、介護サービスや生活支援の基盤整備を行っていくこと、三番目といたしましては、医療とか介護の連携、あるいは医療、保健、福祉を含めた連携ということが今いわれておりますが、そういった連携を踏まえた地域のネットワークシステムをきちっと構築していくこと、この三点が大切かと思っております。
○柿沢委員 今まさに介護予防の充実というお話がありましたけれども、さっきいったようなぴんぴんころりの高齢社会をつくっていくためには、まさに重要なのがこの点だと思います。介護が必要になっても安心して暮らせるようにというだけではなく、元気なお年寄りが死ぬまで元気でいられるような社会づくり、そのための施策展開が求められているわけです。
介護予防関連では、国の包括補助金として介護予防・生活支援事業というのがありますけれども、この補助制度にはさまざまなメニューがあって、区市町村が選択できるという制度になっております。そのメニューのうち、介護予防に直接関係をしている介護予防事業と生きがい健康づくり推進事業の補助を受けている区市町村数とその額、一体どうなっているか、お伺いしたいと思います。
○福田高齢者部長 平成十三年度の実績で見ますと、転倒あるいは骨折予防などの介護予防事業メニューの実施区市町村は二十七カ所、交付額は約八千五百万円であります。それから、リズム運動やゲートボール大会など生きがい健康づくり推進メニューの実施区市町村は十五カ所、交付額は約三億三千九百万円となっております。
○柿沢委員 それぞれ二十七カ所、十五カ所ということですけれども、逆にいえば、介護予防については三十五カ所が行ってない、生きがい健康づくりについては四十七カ所が実施してないということになりますよね。全体に区市町村の取り組みは低調のようですけれども、その原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
○福田高齢者部長 介護予防は保健と福祉にまたがったものであり、また、比較的新しい取り組みでもありますため、各区市町村とも、どのような事業展開をしていけばよいか、また、実際にどの程度の効果があるのかなど、現在まだ模索している段階にあるためと考えております。
○柿沢委員 介護予防については、どのようなことをすれば効果があるのか、まだまだ模索中である、だから、区市町村も、予算があってもどういうことに使ったらいいのかということをまだつかみかねている、そういうことなんでしょうかね。
そこは大事なポイントだと思うんですね。介護予防については、これをやればいいという、まだ確立した方法論がない。逆にいえば、それを見つける途上にあるわけですね。こうした状況の中では、区市町村があらゆることをやってみて、試行錯誤、トライアル・アンド・エラーをやってみて、これは効果がなかったとか、これは非常に効果があった、また、効果があったものについては全国に紹介して、それが一つのモデルとして広まっていく、こういうことを通じて、介護予防はこうやったらいいという一定のモデルが次第に確立していくということが大事なんじゃないかと思うんです。そういうことを促すために、包括補助の予算が使われるべきなんじゃないかというふうに私は思います。
東京都でも、包括補助制度の高齢者いきいき事業というのがあります。介護予防について区市町村の積極的な取り組みを進めていくためには、国の補助制度だけではなくて、高齢者いきいき事業を活用して、区市町村の創意工夫を引き出せるようにすべきではないかと思いますが、見解はいかがでしょうか、伺います。
○福田高齢者部長 国の補助制度は、区市町村が直接実施する、あるいは委託して実施する事業が対象となっております。このため、民間事業者の自主的な実施に対する助成事業は対象にならないなど、地域の実情に応じたきめ細かな事業展開がしにくい場合もございます。区市町村の自主的な取り組みについて、柔軟かつ幅広く認めている都の高齢者いきいき事業も十分活用して、区市町村における介護予防事業の取り組みを促進するための支援を行っていきたいと思っております。
○柿沢委員 高齢者いきいき事業は、国の事業と比べてもっと柔軟なんだ、幅広いんだというお話がありましたけれども、それでは、高齢者いきいき事業のあり方について少し伺います。
この高齢者いきいき事業というのは、共通、選択、独自、先駆的という四つの事業区分に分けられているということですけれども、今までお話ししてきた介護予防の場合は、この共通、選択、独自、先駆的、この四つのどの分類に分けられるんでしょうか。
○福田高齢者部長 基本的には、独自事業に当てはまることになると思います。ただ、特に新たな課題に先駆的に取り組む事業と認められる場合には、先駆的事業として採択する場合もございます。
○柿沢委員 独自であるかもしれないけれども、先駆的かもしれないということですね。共通とか選択、独自、先駆的、この独自と先駆的というのはどう違うのか、どういう趣旨の事業区分になっているのかわからないのですけれども、どういった考え方でこの四つの区分を設けているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○福田高齢者部長 平成十四年度につきましては、まず、共通事業は、共通する課題に対応するため、すべての区市町村の取り組みが望まれている事業と考えておりまして、高齢者の社会参加の仕組みづくり、あるいはかかりつけ医、歯科医の定着促進、特養退所者への対応の三メニューを設けております。
選択事業は、地域の実情に応じて区市町村が選択して実施する事業でありまして、例えばコミュニティバスの導入など、九つのメニューを設けております。
独自事業は、地域特性を踏まえて区市町村が独自に企画し、実施する事業で、特にメニューは定めておりませんが、地域の高齢者ニーズに積極的に対応した、独自性や企画性の高い事業を優先的に採択するものとしております。
最後の先駆的事業ですが、新たな課題に先駆的に取り組む事業であり、例えば痴呆性高齢者のグループホームの質の向上、高齢者のかかわりづくり支援事業、その他そういった先駆的事業に対して補助を行っているものでございます。
○柿沢委員 共通、選択、独自、先駆的それぞれについて、実施状況と交付額を教えてください。
○福田高齢者部長 十三年度の実績では、共通事業の実施区市町村数は四十二で、交付額は約一億八百万円、選択事業の実施区市町村数は五十九で、交付額は十四億五千七百万円、独自事業の実施区市町村数は五十九で、交付額は約十六億四千八百万円、先駆的事業の実施区市町村数は十七で、交付額は約一億一千五百万円となっております。
○柿沢委員 区市町村が独自に考えて行う独自性や企画性の高い事業ということで、そういうことになっている独自の事業というのが五十九区市町村で十六億四千八百万円、結構多いようですけれども、独自事業の内容としては、どのようなものがあるんでしょうか。
○福田高齢者部長 十三年度の実績で、額の大きいものとしましては、入浴券の支給とかおむつの支給であり、また実施数の多いものでは、敬老イベントとか生涯学習、趣味講座などがございます。
○柿沢委員 独自というので、どんな個性的で先進的な取り組みが紹介されるのかと思ったら、多いのは入浴券とかおむつの支給ということなんですね。まあありきたりとはいいませんけれども、どこがこれ独自なのかという感じもしますし、独自性や企画性の高い事業を優先的に採択するとしている、どうなんだろうという感じが多少するわけでございます。その独自が十六億四千八百万円ですから、高齢者いきいき事業の事業費の半分は、この独自事業なわけですね。極めて乱暴にいえば、いきいきの予算の半分というのは、入浴券やおむつの支給に使われているということになるわけであります。どうなんだろうという感じがします。
一方、先ほどもいいましたけれども、先駆的事業については十七で一億一千五百万円、大変少ない額にとどまっているわけで、こうしたことを見ると、いきいきの使われ方というのが、先駆的な施策を区市町村が進んでどんどんやるというよりも、ほかで手当てできないような支出を、いきいきで何とかカバーしているという感が否めない気がするんですよね。高齢者施策の見直しがこの間あったり、介護保険への移行があったりという経緯を踏まえると、現在の高齢者いきいき事業の仕組みや使われ方がこうなっているのは、ある程度仕方がない面もあるとは思うんですけれども、しかしながら、今後新たな施策展開を図っていく上では、現在の事業の仕組みの組み立てでは限界があることも明らかだというふうに思います。
そういう意味では、区市町村が新たな高齢者施策をもっともっと積極的に開発して取り組んでいける仕組みをつくっていくべきではないかと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○福田高齢者部長 高齢者いきいき事業につきましては、制度創設後三年を経過しております。今回の高齢者保健福祉計画改定を契機に、介護予防等の自立支援や地域のネットワークの構築など、今後積極的に取り組むべき課題も明らかにした上で、これらの課題に対する各区市町村の積極的な取り組みをさらに促進していけるよう、事業区分の見直しを含め、新たな仕組みの構築について鋭意検討していきたいと考えております。
○柿沢委員 きょうは、介護予防と高齢者いきいきについて先駆的に取り組んだ事例集、これ、ちょっと拝見をさせていただきましたけれども、こういった取り組みがどんどん出てくることがやっぱり重要なんではないかというふうに思います。
最初にも申し上げましたけれども、私は、介護予防の充実を通じて、元気なお年寄りが死ぬまで元気でいられるという、またもう一回いいますけれども、ぴんぴんころりの世の中をつくることが何よりも重要だと考えております。そのためには、今の高齢者いきいき事業の仕組みを抜本的に見直して、介護予防関連にもっと重点を置いて、先ほど申し上げたような、区市町村によるトライアル・アンド・エラーというのを積極的に支援していくべきだというふうに思います。
また、区市町村がもっと新しい施策を積極的に展開できるように、先進的な取り組みを行ったところには予算上のインセンティブをつけるとかで、高齢者いきいき事業の内容をさらに充実させるなど、都の補助制度や支援体制を再構築すべきであるという意見を申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。
○吉田委員 若干重なる点もありますけれども、私、大きくいって、来年からの見直しとなる介護保険事業と介護予防事業について、もう一つは、障害者分野における支援費制度の移行に伴う幾つかの問題について質問させていただきます。
今さまざまな議論がありましたけれども、来年度からの介護保険事業の見直しをめぐっても、いろんな課題があります。解決すべき問題があります。
その中でも、やはり都民の皆さんにとって直接影響があって深刻な問題は、保険料、利用料の負担がさらに上がるのではないかという問題があると思うんですね。今の国の介護保険の仕組みでいえば、事業総量がふえるたびごとに、それはストレートに保険料、利用料の負担増としてはね返ってくる。三年ごとの見直しのたびに、何百円という単位で値上がりするのではないかという問題があります。これは、東京都自身の努力だけではもちろん解決できる問題ではありません。国の今の介護保険の仕組みそのものを、国もこれはたしか年度を区切って全面見直しの時期を設定していると思いますけれども、そういう中で解決をすることが求められていると思いますし、同時に、東京都としても、保険料についても、まだ実施されていませんが、独自の軽減制度の検討なども本格的に今求められているということを、まず指摘をさせていただきます。
きょうは、その中で、早急に解決が求められる問題として、今、各区市町村が来年度の保険料の算定作業を進めているわけですけれども、そしてきょうの資料で、現時点での平均的な保険料の見込みが示されております。問題は、この金額そのものも値上がりなんですけれども、特に、区市町村の中では非常に大幅に保険料を上げざるを得ないという自治体も生まれていると思いますし、中でも私心配なのは、先ほど曽雌委員からも指摘がありましたけれども、三宅島の保険料なんです。たしか六月時点で八千円を超える、最近では五千円を超えるということがいわれていますが、来年度の区市町村の保険料で非常に高いところがどうなっているのか、三宅島の場合はどうなっているのか、ご答弁をお願いしたいんです。
○野村保険部長 ただいまのご質問で、各区、高いところの区市町村とそれから三宅村のということでございましたけれども、ただいま中間値を推計しているのは、六月の中間値を集計しております。これにつきましては、現在まだ進行中であるということで、各区市町村別の個別の保険料については、国の方も公表しておりませんし、私どもも公表しておりませんので、その点はご容赦願いたいと思いますけれども、平均で申し上げますと、まず、平成十四年六月以前における見込み額を見ますと、都内保険者の加重平均では三千二百十三円となっておりまして、今期が三千五十六円でございますので、五・一%の上昇となっておりまして、全国平均と比べますと、全国平均は三千二百四十一円、上昇率は一一・三%ということになっておりますので、額と改定率で全国平均を下回っているというふうに理解しております。
○吉田委員 個別の自治体の状況についてはご答弁できないというふうにいわれていましたけれども、既に新聞報道では、高いところで東京でも五千円を超えるというふうにいわれ、三宅の場合には、六月の試算では八千円を超えるということがいわれております。全体抑制すると同時に、こうしてそれぞれの財政状況なり介護事業の増大に伴って異常に伸びる保険料が生まれるような場合には、やはり東京都としても国と相談して、しかるべき対策をとるべきだと思うんですが、これはいかがですか。
○野村保険部長 具体的には、上がるのは、まず小規模保険者、それから島とか、そういうところが非常に多いんですが、原則的には、介護保険というのは保険制度でございますので、先生先ほどご案内のとおり、保険料の算定は、第一号被保険者につきましては、給付費総額からある程度自動的に決まってくるというところがございます。制度発足のときにも、それが著しく高額になるというところにつきましては、国の方で、五千円以上のところについてとか入れまして、国の方でそうした助成を行っておりますので、私どもとしては、そうしたことを踏まえまして、高いところにつきましては、国と十分相談しながら、積極的に国の助成を入れていきたいというふうにも考えております。
○吉田委員 私も、三宅島の問題はやはり特別なことですから、直接厚生労働省の介護保険課長にお会いしてご相談しましたが、課長もやはり特別交付金等の活用について努力をしていくと。東京都としても、安定化基金の柔軟な活用ということを認めますから、大いにそれを使ってほしいというお話がありましたが、ぜひそうした個別的な、可能な限りの対応をしていただきたいということを求めておきたいと思うんです。
次に、保険料の問題と同時に、これは東京都にストレートにかかる問題なんですが、利用料の問題です。
東京都は、国制度に若干の上乗せをして、一定の所得以下の方々に対する利用料の軽減施策を昨年から進めてまいりました。しかし、問題なのは、この低所得の方々の規定といいますか、所得制限ですね。これがやはり区市町村の皆さんからも、東京都の規定は非常に厳し過ぎるのではないか、範囲が狭くなるのではないかという声が寄せられておりますし、現実に、東京都の規定以上にこの所得制限の枠を、あるいは規定された預金額を緩和するという自治体が生まれていると思うんですが、私が直接聞いたのは東久留米などの例なんですが、そういう状況についてどのように認識されていますか。
○野村保険部長 ただいま先生ご案内のとおり、東久留米におきましては、預金額につきまして、私どもは六十万としておりますけれども、それをおおむね二百十一万まで緩和するというふうな制度を市独自の制度として創設していると伺っております。ただ、これにつきましては、私どもとしましては、基本的には、都制度の中で実施をしていただきたいということをご要望しておるところでございます。
○吉田委員 東久留米は、あくまでもわかりやすい一例として私は紹介したんですけれども、東京都の所得制限では、年収の場合百二十万、そしてあわせて預金が六十万と。これは昨年の事務事業質疑のときにも議論をさせていただきました。しかし、それは極めてごく少数の人しか対象になり得ない。東久留米の場合には、預金の上限の計算の仕方が、生活保護基準の十二カ月分プラス市民葬祭代金、その合計が多分二百万を超えるということになると思うんです。
これがいかに厳しいかということは、きょうも資料でお示しをしていただきましたけれども、最新の数が出ておりませんが、少なくとも、この対象として申請をして確認証が交付をされた方の数が、ことしの七月までの数が出ていますが、千四百四十六人ですよね。もともと、低所得ということについては国は具体的な所得制限は設けていませんでしたけれども、東京都は、この施策を発表した際、低所得としては要介護認定の方々の大体どの程度の方を想定して打ち出したんでしょうか、これは昨年議論させてもらいましたが。
○野村保険部長 対象範囲は、第一号被保険者の大体一割ということで見込んでおります。
○吉田委員 実数はいわれませんでしたけれども、そのうち、実際には千四百四十六人と、これはもう明らかに東京都自身が想定した数から見ても極めて少ない現状にとどまっているというふうにいわざるを得ないと思うんです。これは全く将来にわたって検討しないということですか。
○野村保険部長 現在の基準でございますけれども、国民生活基本調査によりますと、所得金額百五十万円未満で貯蓄が七十五万円未満の者は一四・七%というふうに推計されておりまして、収入基準額の、私どもが設定しています百二十万円及び預貯金の額六十万円というのは、先ほど申し上げましたけれども、対象範囲を第一号被保険者の一割程度の範囲までとするという国の基準に照らしても、現在妥当なものではないかというふうに考えております。
○吉田委員 たとえそうであったとしても、現実の数が出てきている。さらに、状況の変化ということがあるわけですよね。そういう現実をしっかりと直視をして、私は再検討を望みたい。
何が現状の変化かといえば、ご承知のとおり、国は、低所得者の方々の、従来からホームヘルプサービスを受けていた方々に対しては、その所得状況なりを判断し、利用料の軽減を進めてまいりました。それは三%に抑制するというものでしたけれども、今のままでいきますと、来年度はこれが六%、そしてその後には完全にこれがなくなって、低所得の方々も一割負担ということが広がっていくわけですよね。それだけでも、こうした新たな国が撤退をする中で、東京都として、また区市町村としてどのように対応していかなきゃならないのかということは、当然私は検討課題だと思うんです。
そういう意味で、各区市町村も、武蔵野市などにも問い合わせしましたけれども、今検討中であるという答えが出ましたけれども、そういう状況が進むわけですから、ぜひこれは検討していただきたいということを、私の要望として述べさせていただきます。
次に、先ほどから重ねて議論がありました介護予防の問題なんですけれども、やはり介護保険制度の改善と同時に、介護を必要とする状態をつくらないために次善の策、あるいはそうなったとしても、そこから改善できる方向にどう支援するのかということは大きな課題だと思います。それは何よりも高齢者自身の願いであると同時に、医療費や介護保険の事業費総額を適正な形で抑制をするということにも結びつくことだと思います。
我が党は、この問題について第一回定例会でも取り上げ、ことし一定の委員会でも、私、介護予防対策の強化をすべきだということを指摘させていただきました。
先ほどからの議論の中で、介護予防策、いろいろなことが取り組まれているけれども、まだ都内では目に見えた成果がないというようなニュアンスのご答弁がありました。そうかなという気はするんですけれども、ただ、少なくとも全国を見渡せば、例えば私どもが提唱しましたパワーリハビリ一つをとってみても、かなり現実的な成果ということが、部分的な地域かもしれませんが、出ているというふうに私は思うんですが、どのように評価されていますか。
○福田高齢者部長 今ちょっとお話に出ましたが、パワーリハビリについてでございますけれども、現在我々としては、全国で三十カ所程度、東京都内でも数カ所程度の病院あるいは老人保健施設で実施していると聞いております。
自治体が介護予防施策として取り組んでいる例は、神奈川県の川崎市あるいは奈良県大和高田市など数カ所ございます。先進例として、川崎市が今年度モデル事業として実施しておりますが、身体状況の改善などが見られた実例があるというふうに聞いております。
都としましては、先ほどお話ししましたとおり、介護予防開発普及事業を活用して、パワーリハビリテーションなどの効果についても検証してまいりたいと考えております。
○吉田委員 全国で急速に今こうした事業が展開をされております。有名な例ですが、東京都も介護予防の全国例として指摘をした茨城県の大洋村では、これは筑波大学と連携して進めている施策ですけれども、同じ県内の他の地域と比べて、医療費の伸びが県全体では八%であるのに対して、この村の場合には一%にとどまっていると。また、風邪の免疫も非常に強化されているというようなことがいわれているわけであります。
一定の委員会で私は、介護予防策として大きくいって二つの分野、一つは、いかに引きこもりという状態をつくらせない、積極的に可能な限り社会参加を促進する、二つ目に、パワーリハビリのような適切な身体・筋力トレーニングということをやはりやるべきだということを提案させていただきましたが、改めて現時点での、東京都は介護予防策を総合的にどのようにやろうとしているか、ご答弁をお願いします。
○福田高齢者部長 先ほどからも答弁いろいろしておりますが、介護予防の中心的な考え方といたしまして、一つは、健康面で要介護にならないようないろいろな対策を行う。特に虚弱高齢者等につきましては、先ほどからお話の出ておりますパワーリハビリなども活用することを、今後検証していきたいと思っております。
また一方、引きこもりということも非常に大きな問題でございまして、そういった引きこもりを防止するために、特に東京の場合はサラリーマンのOBが多いということもございますので、退職等によって職域から地域社会へ生活の場が移行して、新しい人間関係を築くことが必要になったりします。そういった面に対しても、高齢者いきいき事業などによる社会参加の仕組みづくり等を活用して、引きこもり予防など、そういった面でも総合的に対応していきたいと考えております。
○吉田委員 その引きこもり問題と関連して、シルバーパスなんですが、一点だけいわせていただきたいんですけれども、今までは、シルバーパスについては新規の高齢者にきちんとした案内がされてまいりました。しかし、直接的なサービス事業者がバス会社にかわったということ、それと老健の医療証が誕生日を前にして郵送されるという仕組みが変わったということをもって、今、十月になっても新規の対象者に案内状が郵送されないという事態が生まれていますが、私は趣旨を一人一人の高齢者の方々にお伝えをして、大いに参加を、押しつけるわけにいきませんけれども、自主的に生かしていただきたいという点では、もともと敬老乗車証という精神でスタートしたものですから、きちんとやはり東京都が一人一人の対象者に、新規の方々に周知徹底される仕組みを支援すべきだと思うんですが、この点いかがですか。
○福田高齢者部長 新規対象者に対しましては、東京都も、都あるいは市町村の広報紙への掲載とか、高齢者が利用される施設にポスター、チラシ等を掲示する、また配布することにより、制度の周知を図っております。
今話にございました個別の通知につきましても、区市町村の協力を得て、七十歳以上の方を対象とした通知を送付する際に、シルバーパスのお知らせを同封していただいており、本年十月以降も、二十八区市町村において、例えば国民健康保険高齢者受給証等に同封するなど、個別通知を実施していただいております。
今後も、七十歳以上の方を対象にした通知等を送付する際にシルバーパスのお知らせを同封していただけるよう、引き続き区市町村に対して協力を依頼していくものでございます。
○吉田委員 介護保険に関して最後に二点提案をし、質問させていただきますが、その一つは、寝たきりゼロ運動というものを、かつて衛生局が中心になって推進してまいりました。そのために推進会議というものを立ち上げて、当時の寝たきりゼロ推進委員のメンバーを見ましたら、現副知事の青山さん、福祉局高齢社会対策担当部長という方も入っていれば、衛生局の方も入っていれば、お亡くなりになりましたけれども、荻野さんが教育庁生涯学習部長ということで入っておられましたし、養育院の事業部長も入っておられました。
やはりこういう介護予防を本格的に強めようとすれば、福祉局だけじゃなくて、福祉局や衛生局を中心とした総合的な推進体制というものをつくって、戦略的にこれを推進するということが求められているんじゃないかというのが一点と、もう一つ、先ほど話がありましたが、介護保険の支援計画とあわせて、高齢者の保健福祉計画を策定しているわけですけれども、この中心にやっぱり介護予防を位置づけるべきだと思うんですね。ところが、この保健福祉計画についても、策定するからには、公開で、また専門家などの意見が反映できる、そういう仕組みがとられるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○福田高齢者部長 福祉局ではこれまでも、保健、医療、福祉の相互連携を図りながら福祉施策を実施、推進できるよう、関係部局と調整を図ってまいりました。今後も、地域で高齢者が健康で生きがいを持って生活を送ることができるよう、介護予防事業などの推進に、保健、医療、福祉の連携に努めていきたいと思っております。
二点目にありました高齢者保健福祉計画についてのことでございますが、高齢者保健福祉計画は、介護保険事業支援計画と一体となって作成しているものでございます。また、高齢者保健福祉計画の中核をなすものが介護保険事業支援計画だと考えております。現在改定中の介護保険事業支援計画では、公募による都民代表とか学識経験者、あるいはいろいろな介護施設の代表、そして区市町村の関係者等が作成委員会に参加しており、こうした都民の声を高齢者保健福祉計画の改定にも活用する予定でございます。
また、区市町村や関係者等に対するヒアリングの機会をとらえ、平成十二年度に行った高齢者の生活実態調査や、平成十三年度の都民の生活実態と意識の調査などを活用するなど、広く都民の意向を反映されるよう取り組んでいるところでございます。
○吉田委員 次に、障害者施策、とりわけ支援費の移行問題について質疑をいたします。
障害者分野は来年度から支援費に移行するわけですけれども、この支援費制度に都としてどう対応していくかということが大きな課題となっています。もちろん積極的な側面があるかと思いますが、しかし、支援費制度は、大きくいって、例えば自治体が本来これまで果たしてきた公的な責任が後退をするというような点はないのかという問題だとか、自由な選択といいながら、先ほどから話がありましたサービス基盤が十分整っていないではないかという危惧の点や、あるいは障害者、家族に対して新たな負担増になるのではないかというさまざまな問題をはらんでいるわけであります。
そこで、各論的な質疑に入る前に、大前提について確認をさせていただきたいんですが、これは福祉改革の前回の質疑のときでも出されましたけれども、やはり支援費制度への対応に当たっては、現在の利用者サービスの現行水準は後退させない、守り、さらにこれを前進させるという立場から、この支援費問題についてどう対応するかということが、私は東京都福祉局の姿勢としては大前提にあってほしいと思うんですが、この点いかがでしょうか。
○内海企画担当部長 現在、支援費制度に移行する施設につきまして、民間社会福祉施設サービス推進費補助の関係でいろいろ検討を進めさせていただいてございますけれども、民間社会福祉施設サービス推進費補助につきましては、現在いろいろな課題がございます。その課題を改めまして、施設における利用者サービスの向上に向けた努力が真に報われるとともに、サービス内容に応じた補助の仕組みとなるように、再構築の検討を行っておるものでございまして、利用者に対するサービス水準を低下することのないように、施設代表者の意見などを聞きながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○吉田委員 そこで、以前は、この支援費の問題も国自身がその全容を出さなかったので、非常に議論としては抽象的にならざるを得なかったんですが、九月に仮単価等が示されました。まだあくまでも仮ですけれども、大体の状況がわかってきたと思うんですね。
それでお伺いするわけですが、これまでの国の措置費と比べて、この仮単価で推計した場合には、支援費制度になることに伴って、施設等の運営費はトータルでどういうことになるのか、そこはどのようにご判断しているでしょうか。
○有留障害福祉部長 支援費制度と措置費では基本的なつくりが違いますけれども、例えば知的障害者施設を例にとりますと、措置費と支援費仮単価はおおむね均衡しております。ただし、小規模施設では、加算を含めた一施設当たりの金額で比較した場合、措置費の方がやや高くなったり、逆に大規模施設では支援費の方がやや高くなる、そのような傾向でございます。
○吉田委員 東京都社会福祉協議会の関係者からお聞きしましたら、その時点での話ですけれども、大体、東社協の調査で、該当する施設の中で、支援費に変わった方が措置費で受けるお金よりも上がるというふうに答えた施設と下がるというふうに答えた施設が、それぞれ半々であるという話でした。ただ、トータルで見た場合には、支援費と措置費はほぼ同レベル、中で一定のでこぼこが生まれるんだというのが説明でありました。
それで、もし支援費と措置費が大体レベル的には同じようなもの、中で若干のアンバランスがあるということならば、措置費のときには、現時点ではA経費、B経費というサービス推進費補助があって、今日の施設が成り立っていた。もし介護保険のように、支援費に移行することによって措置費より大幅にアップになるよということならば、検討の余地があるかもしれませんが、そうでなくて、基本的には支援費も措置費と現行だということになれば、当然、現行のサービス水準を維持するためには、やはり東京都が基本的に、細かい仕組みは別にしても、それを補う、レベルを引き上げるための加算というものは、必然的に継続することが求められていると思うんですが、その点いかがですか。
○内海企画担当部長 支援費制度に移行する施設に関しましての再構築を今進めているところでございますけれども、再構築に当たりましては、先ほど申し上げましたとおり、施設における利用者サービスの向上に向けた努力が真に報われるとともに、サービス内容に応じた補助の仕組みとするように検討を行っているところでございまして、予算額の削減を目的としているものではございません。今後とも、事業に必要となる予算について確保してまいりたいというふうに考えてございます。
なお、制度改正によりまして、利用者サービスの向上に向け努力する施設と努力しない施設とでは、現在の補助額に比べると、ふえることやあるいは減ることがあるというふうな状況にはなるかと存じてございます。
○吉田委員 一定の加算は継続していくということは間違いないですよね。
○内海企画担当部長 先ほど申し上げましたような再構築の理念に基づきまして、加算を進めていきたいというふうに思ってございます。
○吉田委員 問題は、その再構築の理念の話にも関連するんですけれども、これまでの東京都の基本的スタンスというものは、サービスを向上する上では一定の職員配置が必要であると。そして、その職員配置を保障するためにA経費が出されてきたというものだと思うんですが、これからもそうした、ただその施設の、お金は出すけれども、それがどう使われるかということではなくて、やはり必要な職員配置を保障するというものは、当然その中に盛り込まれなきゃならないと思うんですが、いかがですか。
○内海企画担当部長 先ほど来申し上げてございますように、現在再構築を進めてございますけれども、再構築は、施設における利用者サービスの向上に向けた努力が真に報われるとともに、サービス内容に応じた補助の仕組みとするように検討しているところでございまして、その中で検討してまいりたいというふうに考えております。
○吉田委員 検討、検討という言葉が続くわけですけれども、東京都自身、国に対する予算提案要望の中では、やっぱり国自身に対して、支援費の単価を適切に設定せよということを求めているわけですよね。それは、やはり現行のこれまでの制度では十分なサービスが保障されないという判断があり、そして、例えば知的障害入所施設の重度の指導員配置は、国基準では三対一ですけれども、それでは不十分だということで、東京都は二対一の職員配置を定めて、そしてそのための必要な経費をA経費として負担をする、そのことで、冒頭いわれました利用者サービスを保障するということが進められてきたわけですから、見直し、見直しということをいわれますけれども、当然、こうした原則は絶対外さないで継続することが私は求められていることだというふうに思います。
しかも、前回の委員会の質疑の中でも、サービス推進費はまだ本則適用が始まったばかりである、したがって、その推移をよく見守っていきたい、幾らああいう提言が出たからといって、直ちにやるものではありませんという旨のご答弁がありました。したがって、もちろんサービス推進費、支援費に移行することによって若干の制度的な手直しが必要だからといって、これをどうするかということまで一緒に、一気に切りかえるということは、前回の委員会の答弁と矛盾するものだというふうに私は指摘をしておきたいと思うんです。
次に、利用者負担の問題なんですけれども、基本的には、支援費制度に移行しても利用者負担は変わらないということが一般的にいわれていたと思うんですが、しかし、分野的には新たな負担が生ずるということが明らかになってきたと思うんですが、皆さん方はどのようにご認識されているでしょうか。
○有留障害福祉部長 支援費制度への移行に伴いまして、例えばショートステイ、デイサービスなどについては、従来実費負担でございましたけれども、利用者負担金が入ることになっております。
○吉田委員 ちょっとわかりにくいご答弁かなと思うんですが、要するに、ショートやデイに通ったときの食事代は実費負担としてもらっていましたけれども、それ以外の利用者負担はなかったわけでしょう。ところが、今度、支援費制度になった場合には、ショートもデイサービスも利用者負担が新たに発生すると。その方々の数は、私どもが承知している数では、両方合わせて約五千人近いというような状況になって、私も区の担当者から聞きましたけれども、もともと実費以外負担がなかったところにこうした負担が発生するということを、何らかの形で抑制したいということをいっておりました。
それだけではなくて、知的障害の更生施設、授産施設の入所者についても、日用品相当額が必要経費として認められなかったために、これも解釈がいろいろあるようですけれども、結果的には負担増になるということも伝えられておりますが、こうした負担増もできる限り抑制できるように国にも働きかけ、また区市町村とも連携した対応がとられるべきだと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
○有留障害福祉部長 負担増についても、いろいろございますけれども、例えばショートステイ、デイサービスについては、お話しのとおり、従来は実費弁償、昼食代だとか原材料費のみかかっていたわけですが、それに対して費用徴収、利用者負担が導入されたということでございますけれども、応能負担の原則でございまして、また、十八段階の非常にきめ細かな所得階層ごとの単価設定がなされております。また、被生活保護者あるいは住民税非課税等の低所得者は、引き続き無料でございます。さらに、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービスの三つのサービスを合わせて、利用者負担額の合計について新たに月当たりの上限額が設けられております。
そういうことで、この費用負担の導入については、他とのバランスを勘案いたしましても、合理的なものであるというふうに考えております。
○吉田委員 国の制度を説明されましたけれども、各区市町村の方は、新たな負担はできるだけ抑制する方向で、何らかの対応を都や国とも相談したいという声が上がっているわけですから、やはりそうした直接的な当事者の方々の声を踏まえて、私は対応していくことを強く求めたいと思うんです。
それと、ホームヘルプサービスの問題なんですけれども、単価がこれまでよりも一定額上がることに伴って、区市町村のいわば予算が一定増加をするという事態が支援費によって発生するということが、区市町村の皆さんから指摘をされております。もし予算が大幅にふやせないということになれば、逆に利用回数、利用者数の抑制というふうなことに働かざるを得ないという事態もあるというふうに聞いていますけれども、そのような状況について、担当部としてどのように把握されていますか。
○有留障害福祉部長 ホームヘルプサービスでございますけれども、この支援費基準は、サービス提供に当たっての人件費や管理費等を構成要素として算定されております。したがいまして、事業者の安定的な運営を確保するためには、適切な単価が設定される必要がございます。
一方、各区市町村は、実施主体として、障害者の状況に応じて、厚生労働省令に定める勘案事項などを踏まえまして、サービスの適切な支給量を定めなければならないとされております。したがいまして、財政負担の増のみをもって現行のサービス水準が切り下げられることはないと考えております。区市町村に対しては、支援費制度が適正に適用されるように必要な助言等を行ってまいります。
○吉田委員 下がることはないというふうに断定できないわけですから、現実的にかなりの大幅な負担増ということが伝えられて、東京都自身が実施したアンケートでも、サービス量確保は困難だというふうに回答した事例もあるというふうに聞いているから、あえてこの問題について質問させていただきました。
いずれにしても、支援費制度の導入が、これまでのサービスの後退を引き起こすというようなことは絶対あってはならないわけですから、それは区市町村とよく連携して対応していただきたいということを述べておきます。
最後に、基盤整備の問題については、これも既に繰り返し各委員から出されました。緊急三カ年計画についても、私どもは区市町村に調査をした結果、東京都の三カ年計画に十分対応し切った区市町村の計画が策定されてないということも本会議で提起をし、三カ年の継続ということを主張してまいりました。新たに、この三カ年の問題は再度、十五年を機に新たな三カ年を進めるという方向性が進められておりますけれども、そうした施策はもちろんのこと、総合的に基盤整備に努力をしていただきたいというふうな要望を述べさせていただきます。
それと、この点についても、きょう何人かの委員から指摘がありましたけれども、最後にこれは要望ですけれども、国保組合に対する支援の問題です。国保組合は、自分たちで組合の運営を通じて大変厳しい状況の中でも努力をしてきましたし、また国保組合は支援していくということが、これまでも繰り返し東京都としても出されてまいりました。また、給付率はそれぞれの組合が自主的な努力で決定をするという仕組みもありますけれども、そうした国保組合に対する引き続き支援を強化していただきたいということを述べまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○森田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四十四分散会
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