厚生委員会速記録第十五号

平成十四年十一月十二日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長森田 安孝君
副委員長吉田 信夫君
副委員長古賀 俊昭君
理事松原 忠義君
理事青木 英二君
理事佐藤 裕彦君
山加 朱美君
柿沢 未途君
萩生田光一君
山口 文江君
田代ひろし君
福島 寿一君
曽雌 久義君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
健康局局長長尾 至浩君
技監長岡 常雄君
総務部長浅井 憲彦君
医療政策部長奥田  匠君
医療サービス部長金田麻里子君
食品医薬品安全部長河津 英彦君
地域保健部長齋藤  進君
参事酒井 洋一君
参事梶山 純一君
参事海老原 繁君
参事木村 豊彦君
参事丸山 浩一君

本日の会議に付した事件
 請願の取り下げについて
 健康局関係
  事務事業について(質疑)

○森田委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、請願の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一四第六三号、東京の保育水準の向上に関する請願については、取り下げを許可した旨、議長から通知がありました。ご了承願います。

○森田委員長 本日は、お手元配布の会議日程どおり、健康局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより健康局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○浅井総務部長 去る十月二十二日の本委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明を申し上げます。
 お手元配布の厚生委員会要求資料をごらん願います。資料は、目次にございますように、1の東京都保健所の専門職員定数の推移から、20の保健医療情報の提供まででございます。
 まず、一ページをお開き願います。1の東京都保健所の専門職員定数の推移でございます。
 平成十年度から十四年度までの東京都保健所における専門職員の定数を職種別に記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。2の二次保健医療圏別保健所所管区域の人口及び面積でございます。
 二次保健医療圏別の各保健所所管区域につきまして、平成十四年四月一日現在の人口及び面積を記載してございます。
 次に、三ページをごらん願います。3の東京都歯科医療連携推進事業の概要でございます。
 同事業の目的、開始年度、事業内容及び実施状況について記載をしてございます。
 続きまして、四ページをお開き願います。4の慢性肝炎等の医療費助成に係る低所得者等に対する経過措置の申請及び認定状況でございます。
 この秋からのウイルス肝炎総合対策の開始に伴います低所得者等に対する医療費助成の経過措置につきまして、本年十月三十一日までの申請件数、認定、非認定の数を記載してございます。
 次に、五ページをごらん願います。5のB型・C型ウイルス肝炎入院医療費助成の申請状況でございます。
 ウイルス肝炎総合対策の一つとして、新たに開始いたしました入院医療費助成の本年十月三十一日までの申請件数及び認定件数でございます。
 続きまして、六ページをお開き願います。6の都内のリハビリテーション科標榜医療機関数でございます。
 平成十二年十月一日現在の、都内においてリハビリテーション科を診療科目として標榜する医療機関の数を、二次保健医療圏別に記載をしてございます。
 次に、七ページをごらん願います。7の都内のリハビリテーション専門病床数の推移でございます。
 平成九年度から十三年度までの各年度三月三十一日現在における都内のリハビリテーション専門病床の数を記載してございます。
 続きまして、八ページをお開き願います。8の小児の救急搬送人員の推移でございます。
 東京消防庁の資料に基づきまして、一年間に救急搬送した人員の総数と、そのうち十四歳以下の小児の人員を平成四年から平成十二年まで、二年置きに記載をしてございます。
 次に、九ページをごらん願います。9の休日・全夜間診療事業(小児科)参画医療機関でございます。
 平成十四年四月一日現在におきまして、三百六十五日二十四時間、小児科医師が常時診療できる体制を確保している都内四十七の医療機関の一覧を、二次保健医療圏別に記載してございます。
 続きまして、一〇ページをお開き願います。10の都内の小児科標榜医療機関数の推移でございます。
 都内において小児科を診療科目として標榜する病院及び診療所の数を、一般病院、一般診療所の総数とともに、平成四年から平成十二年まで、二年置きに記載してございます。
 次に、一一ページをごらん願います。11の精神障害者保健福祉手帳の交付数、都営交通乗車証の発行数(平成十三年度)でございます。
 平成十三年度における、精神障害者保健福祉手帳の交付数及び精神障害者に対する都営交通乗車証の発行数を記載してございます。
 次に、一二ページをお開き願います。12の精神障害者社会復帰施設の設置状況(区市町村別)でございます。
 平成十四年三月三十一日現在における、各種精神障害者社会復帰施設の設置状況を区市町村別に記載してございます。
 次に、一三ページをごらんください。13の都内精神病院の入院患者数の推移でございます。
 厚生労働省の調べによります各年度六月三十日現在の精神病院入院患者数を、平成九年度から十三年度まで記載してございます。
 なお、注にございますとおり、表に記載の入院患者数には、精神病院以外の病院に設けられた精神病室への入院患者につきましても含まれるものとなっております。
 次に、一四ページをお開き願います。14の精神障害者福祉ホーム、グループホームの施設数の推移及び目標値でございます。
 都内の精神障害者福祉ホーム及び精神障害者グループホームの施設数を、平成九年度から十三年度まで記載してございます。また、グループホームにつきましては、東京構想二〇〇〇の三カ年の推進プランによる整備目標を記載してございます。
 次に、一五ページをごらん願います。15の精神障害者授産施設運営費補助に係る対象経費(身体障害者施設・知的障害者施設との対比)でございます。
 精神障害者授産施設への運営費補助に係る対象経費につきまして、国基準に基づくもの、都加算によるものとに区分し、平成十四年度の補助基準による項目を記載してございます。表の右側には、身体障害者及び知的障害者の授産施設と対比したものをそれぞれ記載してございます。
 次に、一六ページをお開き願います。16の精神障害者保健福祉手帳受給者が利用できる施策(身体障害者・知的障害者との対比)でございます。
 精神障害者保健福祉手帳受給者が利用できる施策を、年金、各種手当、税控除などに区分して記載してございます。表の右側には、身体障害者及び知的障害者の手帳受給者が利用できる施策をそれぞれ記載してございます。
 なお、注にございますとおり、精神障害者の入院医療費助成につきましては、満十八歳未満の方を対象としてございます。
 次に、一七ページをごらん願います。17の精神障害者社会適応訓練事業実績の推移でございます。
 平成九年度から十三年度まで各年度の精神障害者社会適応訓練事業における訓練生の実人員と受け入れ事業所数を記載してございます。
 次に、一八ページをお開き願います。18の本庁・事業所における助産師・保健師の配置状況と有資格者数でございます。
 本年九月一日現在におきまして、健康局の本庁各部及び保健所、看護専門学校、児童福祉施設等における助産師職、保健師職の配置状況と、助産師免許、保健師免許を有する職員の数を記載してございます。
 次に、一九ページをごらん願います。19の東京都保健所における保健師の年齢分布でございます。
 本年九月一日現在において、東京都保健所に配置されております保健師について、十歳ごとの年齢区分により、その分布を記載したものでございます。
 なお、注にございますとおり、表中の職員数には再任用職員が含まれております。
 次に、二〇ページをお開き願います。20の保健医療情報の提供でございます。
 健康局における各種広報媒体を通じた保健医療情報の提供等の実績を記載してございます。(1)の東京都提供番組等の活用実績及び(2)の報道機関への情報提供等の件数につきましては、平成九年度から十三年度までの各年度の実績を、また、(3)の局のホームページへの一日平均のアクセス件数につきましては、平成十一年度の開始から十三年度までの実績を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料についてのご説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○森田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○萩生田委員 それでは、何点かお尋ねをしてまいります。
 まず初めに、母子保健事業における助産師の活用について資料要求をさせていただきましたので、お尋ねをしたいと思います。
 我が国の母子保健は、二十世紀後半において乳児死亡率などの保健指標が世界最高の水準に達しました。しかし、二十一世紀を迎え、ますます少子化が加速をし、女性が一生の間に産む子どもの数をあらわす合計特殊出生率を見ても、平成十三年に東京都は、何と一・〇一という過去最低を更新しているところであります。さらに、核家族化、女性の職場進出やライフスタイルの変化などもあり、子どもとその家族を取り巻く環境は大きく変化しております。
 そうした社会状況を背景に、近年、子どもの虐待やドメスチックバイオレンスなどの新たな課題も出現し、都民の母子保健ニーズはますます多様化してきていると認識しております。地方分権化の流れの中で、母子保健事業は住民に最も身近な区市町村で行われており、それぞれの地域においてマンパワーの有効活用が、より一層求められております。
 こうした中で、私の地元八王子市においては、地域の助産師たちが無料電話相談などで、個々の家族状況や個人の価値観に配慮したきめ細かな対応を行っており、住民からも大変感謝をされているところです。地域の母子保健の向上のため、助産師の有効活用について何点か、お尋ねをしたいと思います。
 まず初めに、区市町村の保健所、保健センターにおける助産師の配置状況をお尋ねします。

○丸山参事 本年十一月、六十二区市町村で調査しましたところ、保健所や保健センターにおける常勤職員で助産師資格を持つ職員はおりましたが、助産師として配置されている職員はおりませんでした。

○萩生田委員 助産師として配置されている常勤職員はいないということでありますけれども、現在、区市町村の母子保健事業において、助産師の活用実態はどうなっているのか、お尋ねします。

○丸山参事 助産師の活用実態でございますが、六十二区市町村のうち五十八区市町村におきましては、雇い上げ等により、例えば、妊産婦訪問指導、新生児訪問指導や母親学級、あるいは産婦健康審査や乳幼児健康審査、その他相談事業など、助産師を活用されております。
 なお、出生数の極めて少ない島しょ地域の四村においては活用しておりません。

○萩生田委員 今、いみじくも佐藤先輩から、助産師というのはお産婆さんかいというお言葉があったんですけれども、私も、つい最近までは、助産師、助産婦というのは、ある意味ではお産婆さんというイメージがありました。ところが、今、参事がご答弁をされたように、実際の母子保健事業では、配置されていない助産師が、各自治体の最前線で母子保健事業や新生児の訪問指導に当たっているという実態は明らかになったと思うんです。
 少子化で、なおかつ核家族化が進展する中で、親としての役割の認識が低下をしている中、私は、この助産師の皆さんの活用というのは、まさに東京に課せられた新しいテーマじゃないかというふうに思っているんですね。なぜかといいますと、有資格者の一覧を見ても、保健師は、それぞれの施設に、あるいは支所に十分に配置をされております。これは、条例上や法令上のさまざまな根拠があるんだと思うんですね。ややもすると、保健師がいれば、助産師はそれで賄えるんだという認識が、それぞれの区市町村ではあるんじゃないかという危惧が、私はございます。
 実際問題、私のささやかな経験ですけれども、私の地元の自治体では、保健師がいることによって、助産師を常勤させる必要はないんだ、こういう答弁を明確に当時の市議会の中でもしております。
 ところが、じゃ、実際どうかといいますと、年齢分布図の中にもありますように、保健師の中には、二十代、学校を出たての有資格者もいるわけですよ。そうしますと、母子保健事業、初めての出産を控えて非常に不安なお母さんたちの心のケアをしたり、あるいは、初めての子どもが産まれた後の産湯の使わせ方だとか、おしめの取りかえ方だとか、おっぱいの上げ方を、二十代前半、しかも、自分も結婚したことがなければ子どもを産んだことのない人が教えたときに、相手がどういう不信感を持つか、不安感を持つかというのは、おのずと推察できると思うんですね。
 ややもすると、助産師というのは非常に軽んじられてきた傾向がありますけれども、私はこの際、今東京で一番必要なのは--もう既に子育てが終わった、あるいは子育ての十分経験のある、年輩のというと語弊があるかもしれませんけれども、ベテランの助産師の皆さんが、ある意味ではいろんな意欲を持って頑張っていらっしゃる。
 私の地元では、電話の無料相談などで感謝されているというふうに冒頭申し上げましたけれども、これは実は、実態としてこういうことが始まっちゃったんで、本当は一回だけの訪問指導が希望者に与えられている権利なんですよ。ところが、一回行くと、もう親や、おじいちゃん、おばあちゃんが近所にいませんから、相談相手がなくて、年がら年じゅう、その訪ねた助産師さんに電話で相談が来ちゃう。時には泣きながら連絡が来て、あわてて飛んでいくという、こういう実態の中で、結果としてボランティアで無料電話相談みたいなことが始まっちゃったというのが現実で、そういうニーズは都民には非常に多くあるんじゃないかというように、私は実態として認識をしておりますので、今後、東京のこれからの母子保健事業の充実に当たっては、保健師の皆さんの役割も十分必要なことだというふうに思いますけれども、助産師は、妊娠、出産、育児などを中心に、女性や家族の健康を支援するエキスパートであり、また、ベテランの助産師の積極的な活用が有効だと思います。
 そこで、母子保健における助産師の必要について、都はどのような認識を持っているか、お尋ねしたいと思います。

○丸山参事 先生のご指摘のとおり、妊娠、出産、育児などにかかわる豊富な知識と経験を持つ助産師は、地域における貴重な人的資源であり、女性と家族の健康支援に関して、その専門性を生かしていくことは重要であると認識しております。
 都としては、区市町村との連携等を通じて、母子保健事業に関する情報交換や、助産師の活用事例の紹介などを行うなど、今後とも区市町村が実施する母子保健事業の支援に努めてまいります。

○萩生田委員 時間の関係で、もう質問しませんけれども、ぜひこの際、東京の助産師というのは、どういう分布で、どの自治体にどのぐらいのマンパワーがあるのか。また、助産師会に所属している人もいるでしょうし、あるいは、個人資格を持っているけれども、そのことをつまびらかにしてない人もいらっしゃると思うんです。せっかくの機会ですから、調査をしていただいて、その東京じゅうに散らばっている助産師の皆さんのマンパワーを、いろんな意味で活用していただきたい。
 警視庁にも我が党から要請しましたけれども、はり・きゅう・マッサージの人たちが、駐車禁止除外車の特殊車両の駐車証を持っているにもかかわらず、救急で駆けつける助産師の皆さんは百円パーキングを見つけなきゃならない。あるいは、ほんのちょっとの相談のつもりで寄ったのに、一時間も二時間も相談相手にならなきゃならない場合もあるわけですから、このことも踏まえて、やっぱり助産師の有効性というのを、一度きちんと認識をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 続きまして、小児医療についてお尋ねをしたいと思います。
 東京都では、平成九年度に周産期医療対策事業を開始し、NICUを都全体で二百床整備することとしておりますが、現在の整備状況についてお尋ねいたします。

○海老原参事 現在の整備状況でございますけれども、平成十四年十一月一日現在で申し上げますと、周産期母子医療センターは二十施設、NICUは百七十一床となっております。これを地域別に見ますと、区部では十七施設、百四十四床、多摩地域では三施設、二十七床となっております。

○萩生田委員 平成九年度の事業開始以来、NICU病床数は区部及び多摩地区でどのようにふえたのか、また、多摩地域の整備がおくれているようですけれども、なぜ多摩地域で整備が進まないのか、その理由をお尋ねいたします。

○海老原参事 平成九年度からの整備状況でございますが、都全体では百四十八床から百七十一床へと二十三床ふえているところでございます。これを地域別に見ますと、区部では百二十四床から百四十四床へと二十床ふえ、多摩地域では二十四床から二十七床へと三床ふえている状況にございます。
 多摩地域のNICU病床数が少ないことについてでございますけれども、多摩地域は、区部に比べて周産期医療に対応し得る総合的な診療基盤を整備している医療機関が少ないことに加えまして、新生児医療を専門とする医師、看護要員等の確保が難しいことなどが理由であると考えております。

○萩生田委員 そうしますと、いいかえると、NICUどころか、医療施設、医療人的パワーが不足をしているのが多摩地区だ、こういうことになると思いますよね。NICUの目標二百床に向けて、今後どのような取り組みをしていくのか。現在、区部に百四十四床、多摩地区に二十七床整備されているということですけれども、今後のNICUの整備について、当然のことながら多摩地域を重点的に行っていくべきだと考えますが、ご認識をお尋ねします。

○海老原参事 多摩地域の医療機関に対しましては、周産期母子医療センターとして整備するよう、機会あるごとに働きかけを行っているところでございます。今後とも、多摩地域の周産期医療の充実に努めてまいります。

○萩生田委員 周産期母子医療センターとして八王子市内に整備するといった病院すら府中へ移そう、こういうことでしょう、東京都としては。だから、いっていることとやっていることが、全然かみ合わないと私は思うんですよ。四年間で目標を掲げて、たった三床しかふやせない。どういう努力をしたら三床になるのか、逆に私は聞きたいと思うんです。
 民間の病院でNICUを設置をしていただく場合に、どんな補助制度がありますか。

○海老原参事 民間病院への補助制度でございますけれども、周産期母子医療センターの運営に関しては、運営に必要な職員給与費、材料費などの経費の一部を補助する制度がございます。また、高度専門的な周産期医療のための施設整備及び設備整備に要する経費に対しても補助する制度がございます。

○萩生田委員 仮にですけれども、今、都立病院の改革マスタープランの中で、八王子小児病院、清瀬小児病院が府中へ統合されるという案で進んでおります。例えば、八王子小児病院、清瀬小児病院がなくなるとすると、西多摩はもともとありませんけれども、多摩南部医療圏、あるいは北多摩北部の医療圏には、周産期医療体制が全くゼロということになるというふうに思うんですね、現在の分布から考えると。
 こういう質問をすると、周産期というのは、NICUの配置については医療圏ごとには考えていないというのが健康局のお決まりの答えなんだけれども、こういう体力のない子どもたちの医療施設というのは、当然身近にあってしかるべきだと思うんですよ。国が何といおうと、東京都が、本来だったら医療圏ごとにNICUの整備計画を立てるべきだったと思うんです。それは、国のいうことをきちんと聞きながら、東京全体で二百床整備すればいいんだ、二百床整備するんだと九年にいったきり、全然遅々として進まない。その一方で、既存の病院がなくなったときに、NICUがゼロになる、三多摩の三医療圏でゼロになるわけですね。このような状況をどのように認識しているのか、お尋ねいたします。

○海老原参事 多摩地域においてNICUが不足している、そうして早急な整備が必要であることは、私どもとしても十分に認識をしているところでございます。

○萩生田委員 だから、認識をしているんだったら、やっぱり病院の統合問題とNICUの地域ごとの整備計画というのはセットで示さなかったら、みんな不安でしようがないんじゃないですか。そういうのが全然きちんと出てこないから、当然、いたずらに反対する人もいる。ああいうテレビの番組で、ハレーション、強く取り上げられちゃうわけですから、この辺は東京都の政策を考える健康局として--再三申し上げていると思うんですけれども、私は小児病院の移転統合については、将来的に考えれば、センター的機能は府中につくるのはやむを得ない、こういっているわけですよ。だけど、政策的に東京の小児医療をどうするのかと考えるのは、まさに皆さんなんですよ。今ある病院、しかも、数少ないNICUが一カ所に集中してしまって、東京全体では二百になりましたよといったって、医療圏ごとにゼロになっちゃうようなところが出てくるのが明らかなのに、その代替案をきちんと示さない。認識はしていますというけれども、そういう努力もなかなか見えない。これじゃ、都民が不安になるのは当たり前ですよ。
 これらについて、そういう認識をお持ちだとすれば、ぜひ、きちんとした地元の代替案というのを政策的に考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 続きまして、ドクターカーについてお尋ねをいたします。
 現在、都立八王子小児病院にドクターカーが配備をされておりますけれども、このドクターカーについては、どのような理由で配備をしたのでしょうか。

○海老原参事 ドクターカー配備の理由でございますけれども、多摩地域に高度の周産期医療機関が少なく、新生児の三角搬送という特殊な対応を行っているという状況を踏まえまして、搬送中に適切な医療を提供するため、八王子小児病院にドクターカーを配備したものでございます。

○萩生田委員 ドクターカーが八王子小児病院に配備をされる際に、当時の衛生局の幹部が、ドクターカーの配備により新生児の救命率が上がるというごあいさつをしたのを、私、前に衛生局時代にもお話ししましたけれども、鮮明に覚えております。ドクターカーの配備によって、どういう効果が上がったというふうに思われますか。

○海老原参事 ハイリスクの新生児に対しましては、出生直後から治療を開始することが重要であると考えております。そこで、ドクターカーでは、保育器、人工呼吸器等の高度医療機器を搭載いたしまして、専門の医師等が人工換気等の適切な処置を行っているところでございます。こうしたことから、ドクターカーの配備によりまして治療効果は上がっているものというふうに考えております。

○萩生田委員 ということは、いいかえると、このドクターカーがなかったら大変だったということですよね。幾つの命が落とされたかわからない、こういうことになるんじゃないかと思いますよ。
 実際にドクターカーが配備をされ、平成九年の三月に策定された東京都における母子保健医療体制についての最終報告によれば、当面、八王子小児病院に配備をし、その成果を検証した上で、将来的に複数の総合周産期センターへの配備について検討していく必要がある、こういう記述がございますけれども、検討の状況は今日どうなっているのか、お尋ねいたします。

○海老原参事 八王子小児病院におけるドクターカーの運行実績を見てみますと、一日一回を超える場合もございますけれども、地域で要請されるドクターカーの出動にほぼ対応できているものというふうに考えております。
 なお、ドクターカー出動中に別の要請があるようなこともございますけれども、そういった場合には、次善の対応策として、東京消防庁の救急車により搬送を行っているところでございます。今後とも運行実績などを踏まえながら、新生児搬送に適切に対応してまいりたいと考えております。

○萩生田委員 たまたま病院経営本部に私が資料要求をしましたのは、十三年度の新生児の搬送用ドクターカーの運行実績という資料を要求したんですよ。ここであえて苦言を呈しておきたいと思うんですけれども、ドクターカーの配備というのは、これは周産期が不足をしている多摩地区の次善の策として、やむを得ず、その穴を埋めるべく、苦肉の策として緊急避難的につくったのがドクターカーだというふうに私は認識しているんです。本来、別に都立病院に置かなくてもよかったわけだけれども、多摩地区の場合は、小児の総合医療に対応できる病院がほかになかった、こういう理由で八王子小児病院に置いたというように認識しています。
 そうすると、ドクターカーの運行実績を聞くと、これは確かに病院経営本部の資料なのかもしれないんだけれども、あたかもドクターカーイコール都立病院みたいな感覚が健康局にあるんじゃないかという点を、私、非常に危惧を持っているんですよ。これは、そうじゃなくて、先ほども申し上げたように、衛生局が政策的に周産期医療に欠ける多摩地区を何とか補完しなきゃいけない、新しく八王子に周産期センターをつくるまでの間、少なくとも小さな子どもの命を落とすわけにいかぬということで、やむを得ず補完的に運行を始めたのが今のドクターカーであって、小児病院のツールじゃないと僕は思うんですよ。都立小児病院の一つのメニューとしてドクターカーが運行されているんじゃなくて、東京の小児医療の政策的なツールとしてドクターカーという新たな政策を掲げて、たまたまその配置場所が八王子の小児病院、都立病院にあるだけのことであって、それをどうも健康局の皆さんは、認識が違っているんじゃないかと思う。政策的に、皆さんが危ないからといってつくったのが今日のドクターカーなわけですから、この点はぜひご認識を新たにしていただきたいというふうに思います。
 そこで、お尋ねしますけれども、ドクターカーの平成十三年度の運行実績を病院経営本部の方に資料要求をしました。平均で一件当たり走行距離が三十三・六キロ、走行時間が一時間四十四分というふうになっております。出産前にリスクがないにもかかわらず、突発的に緊急事態が生じることも当然あります。これは私どもの地元の公明党の東村議員が、ことしの予算委員会の中でも質疑をして、立ち会い分娩の数などを確認しておりますけれども、明らかに突発的にこのドクターカーが必要になった事態が三割以上あるわけですよね。
 仮に八王子小児病院がなくなったとすると、ドクターカーが府中から来る事態になる、こういうニュアンスでの説明をたびたびされているわけですけれども、多摩西部にあっては、現在、八王子にあっても一時間四十四分の搬送時間をもって子どもたちの搬送をしているにもかかわらず、これを二十数キロ離れた府中に病院を移して、そこから、いうなら発着をするということになると、当然、八王子市内、あるいは多摩西部地区における搬送時間というのは、この倍ぐらいかかるんじゃないかという危惧がありますけれども、この搬送時間の問題はどのようにとらえているのか、お尋ねいたします。

○海老原参事 都立病院改革マスタープランによりますと、府中キャンパスに整備される小児総合医療センターは、M-FICUを備えた総合周産期母子医療センターとして整備される予定となっております。一般的には、出産時等のリスクが予測される場合は母体搬送を行い、M-FICU等で対応することにより、新生児搬送が必要な子どもについては少なくなると考えられております。
 ただし、不測の事態によりまして新生児搬送が必要になるケースがあることは想定されるところでございます。多摩西部地域におきまして、新生児搬送が必要な場合の対応については、ドクターカーの運行実績等を踏まえ、今後さらに検討していく課題であると思っております。

○萩生田委員 確かにM-FICUを配置して、母体ごと搬送して出産に控える、当然このシステムは今後必要だと思いますので、これは府中にぜひ整備をしていただきたいと思いますよ。しかしながら、再三申し上げているように、突発性の、突発性というとおかしいですけれども、実際に超未熟児として出産を余儀なくされるというケースもあるわけですし、今お話しの予算委員会の質疑の答弁の中でも、千グラム以下で、十五名のうち立ち会いは十二名しかしていない、こういうお話も明らかになっているわけですから、この点を考えたら、ただでさえNICUが不足をしている多摩地域に、府中に大きな病院をどかんとつくって、そこにNICUを幾つ置くんだか知りませんけれども、ドクターカーまでも府中に配備をするんだなんという前提でもしお考えになっているとすれば、これは東京の子どもたちの命を東京都はどう考えているのか、そういう問題になるというふうに私は思いますよ。
 少なくとも、とりあえず八王子病院に配置をして、その運行実績を精査しながら、複数、周産期医療に対応できる配備をしたいというのが当初のスタートなわけだから、これらについてはきちんと切り離して、病院の移転とドクターカーの移転というのは全く異質のものだと。先ほどから申し上げているように、ドクターカーは、たまたま配置場所がなくて、前の衛生局長は、置き場がなかったからと、こういいましたけれども、そうじゃなくて、政策的に当時の衛生局がドクターカーという新しいシステムを導入して始まったのが、たまたま便宜上都立病院に配備をされているだけなんだから、これは、きちんとその地域の医療実態を考えて今後整備をしていただくように強く要望しておきたいと思いますし、いろんな機会の答弁の中で、ややもすればドクターカーごと引っ越すような認識のご発言がありますけれども、これはもう一回局内でよくきちんと整理をしていただいて、今後気をつけていただきたいなというふうに思います。
 そこで、八王子小児病院が仮に廃止をされると、NICUの病床数はもとより、ドクターカーの配備も含めて、多摩地域間での格差が生じると思います。都としては、この格差を埋めるべく努力をするのは当然だと思いますけれども、ご認識をお尋ねします。

○海老原参事 都といたしましては、多摩地域の医療機関に対して、NICUの整備を行うよう、今後引き続き働きかけを行ってまいりたいと考えております。また、多摩地域周産期医療連携強化事業といたしまして、NICUは有していませんけれども、新生児医療に対応可能な医療機関において新生児の受け入れを行っているところでございます。
 区部と比較して多摩地域のNICU病床数が少なく、早急な整備が必要なことは、私どもとしても十分に認識をしているところでございまして、今後とも多摩地域の周産期医療の充実に向けて努力してまいりたいと考えております。

○萩生田委員 言葉じりをとるつもりはないんですけれども、NICUの整備を行うように引き続き働きかけていく、こういっても、NICUが整備がおくれている理由は何なんだと聞いたら、総合的な医療基盤が不足をしているというのが問題なんでしょう。多摩地区の総合的医療基盤が不足しているのに、NICUだけつくってくださいよといったって、やる人がいるわけないわけですよ、全体に面で考えていかなかったら。
 だから、これは二十三区内では百四十四、もう既に整備をされていて、極論から申し上げれば、これ以上二十三区に無理無理整備をしなくてもいいわけです。ところが、多摩地区については、そのNICUを設置できる基礎的な医療基盤が不足をしているわけだから、今までのようなNICUの補助政策だけでは、なかなかやってくれるところがない、あるいは、やれるところが僕はないと思うんですよ。
 この辺を、まさに健康局が司令塔として、政策的にどういうふうに受け皿づくりをつくっていくのかというのを考えてくれないと、ただ既存の病院をぐるぐる回って、NICUを幾つか置いてくれませんかといったって、どんなにやったって、これは置くわけない、数えるほどしか病院がないんだから。その辺をきちんともう少し精査をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 仮に八王子小児病院の廃止ということになれば、八王子市や地域の病院などで、今後の小児医療の確保について、当然協議を行っていかなくてはいけないというふうに思います。さっきの本会議の質疑の中でも、八王子との協議を始めたというようなご答弁がございましたけれども、東京都として小児医療の充実に向けた今後の取り組みについて、最後に局長に決意を聞きたいと思います。

○長尾健康局長 小児医療全体のレベルを向上させるためには、都と地元自治体や地域の医療機関等が、それぞれの役割に応じて医療機能の充実と連携を図る必要がございます。そのため、都といたしましては、地域の医療実態や地元自治体の考え方を踏まえまして、今後とも関係機関との緊密な連携のもとに、周産期医療や小児救急医療の課題も含め、東京発医療改革の一環として、小児医療の充実に積極的に取り組んでまいる所存でございます。

○萩生田委員 もう答弁は結構ですけれども、今、局長は、東京の医療改革の一環として、周産期医療や小児医療に積極的に取り組んでいくという決意をいただきましたので、その動向を期待して見守りたいと思いますけれども、私は、たまたま東京でこれだけ小児医療というのがクローズアップされたのは、病院改革会議の延長線にマスタープランができ上がったことによるというふうに思うんですよ。再三申し上げているように、効率的な都立病院の運営をする上で、センター的機能を持った新しい病院を府中につくろうということは、私は反対はしておりません。そのことは東京にとって有効なことであり、必要なことだと思う。ところが、既存の病院がなくなることによって、実態としてその地域に、心配や、あるいは医療過疎的な問題が発生するとすれば、これはやっぱり東京の行政課題として取り組まなきゃならないことだというふうに思うんですね。
 ですから、私は、はっきり申し上げて、病院の移転統合の穴埋め案としてどんなことができるんだとか、こういうレベルじゃなくて、東京都が、これからの東京の小児医療というのはどうあるべきか、どうするべきかというのを、都立病院改革マスタープランと同時に、きちんと政策的に考える時期に来ているんじゃないかと思います。そのことで、例えば行政的医療で不採算で、やり手がなくて、受け手がなくて、だけど子どもたちのためには必要なんだという、こういう医療に新たな予算の配付をしたり、あるいは施設の拡充をすることに、議会も都民も、私は反対する人はいないと思いますよ。
 もっと自信を持って健康局が、政策的に東京の小児医療をどうするんだということを明確に打ち上げていただいて、そのことに幾らかかるんだということを堂々と財務局にいうべきですよ。金の話は全部ほっかぶりをしちゃって、あいちゃったなあ、だけど、あいちゃったら困りますよね、何かしなきゃいけませんよね、地元はどうしてほしいんですかというようなのが、いうならば世田谷の結末だったような気が私はしますよ。
 そうじゃなくて、世田谷は世田谷でこういうものがあるんだから心配ないんだ、だけど、こういう新しいメニューで世田谷の皆さんと手を携えて、初期医療はお互いに頑張っていきましょうよ、二次、三次は国と東京都がバックアップしますよ、そういう姿勢がないから、みんなが不満に思って、ああいうテレビで勝手なことをいわれちゃうんですよ。あのテレビだって、だれか出て、きちんと答弁すればよかったんだよ。まあ、たかが12チャンだから、出なくてもいいけれども。
 だけど、その辺が、まさに今、都民が不信を持っているところだと思いますよ。答弁は結構ですけど、ぜひ健康局、もうちょっと--病院改革会議は、何だか病院経営本部のお鉢みたいな、そんな感覚が僕はどうしてもしてならないんで、もともと一つの局を便宜上二つに分けて、より充実させようといって、まさに健康局と病院経営本部ができたんだから、その意味というのをもう一回、今の皆さんは認識しているけど、これから職員異動があって、また新しく入ってきた人が、ああ、それは経営本部です、これは健康局ですとやられた日には、都民はたまったものじゃないですから、何のために二つに分かれて、より充実をするということになったのか、もう一回皆さんで認識をしていただいて、局の連携をしっかりとってもらいたいと思うし、この機会に、東京都としてやるべきことは全部洗いざらい出して、堂々とその必要性を主張してくださいよ。
 そのことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○福島委員 健康局は、本年四月に、都民から五十五年余りにわたって親しまれてきた組織の名称を衛生局から健康局に変更し、都民の生命と健康を守る担い手として、都民の日常生活に密着した広範多岐にわたる各種施策を実施いたしているところであります。そうした日常生活の中で、近年、動物が、かけがえのない存在として広く浸透しつつある世情を踏まえて、今回は動物行政に絞って質問をさせていただきたいと思っております。
 ペットブームといわれて久しいわけでありますけれども、多種多様な動物が飼育されており、全世帯のおよそ三分の一の家庭で動物が飼育されているといわれております。ペットは、今や愛玩動物ではなしに、心の通い合う人生の伴侶であり、家族の一員として、都民の心を支え、心身の健康の維持に欠かすことのできない存在になっていると理解をいたしております。
 東京都では、これまで動物行政を推進する中でさまざまな施策を行ってまいりましたが、動物の飼養に関するトラブルは依然として多く、これらの動物に対する理解と、飼育に関する知識不足や責任意識の欠如が主な原因となっており、また、人と動物との関係が密になればなるほど、人と動物との共通感染症の危険性も懸念されております。
 こうした状況を背景に、本年四月に、東京都動物の愛護及び管理に関する条例を改正し、買い主などの責務の明確化、人と動物との感染症対策とあわせて、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向けた施策の構築を進めているところであります。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、今回の条例改正で新たに規定された動物愛護推進員制度は、極めて意義深いものと理解をいたしておりますが、この制度は、動物の愛護及び適正な飼養の推進について、熱意と見識を有する都民のうちから知事が委嘱するとなっておりますが、まず、この動物愛護推進員の基本的役割についてお伺いをしたいと思います。

○齋藤地域保健部長 動物愛護推進員の活動内容ですが、動物の愛護と適正な飼養の重要性についての普及活動や、住民の方々に対する動物の選び方あるいは適正な飼育方法、あるいは不妊手術等に関する助言の活動、また、動物に適正な飼養を受ける機会を与えるための譲渡のあっせんその他の支援の活動、並びに行政施策への協力などとなってございます。
 動物愛護推進員の基本的な役割は、こうした地域の方々に対する助言、支援の活動並びに行政施策への協力等を通じまして、地域におきます動物の愛護精神の高揚、適正飼養の向上を図る上で中心的な役割を担っていただくものでございます。

○福島委員 ただいまのご答弁で、この制度が今後の動物行政を執行していく上で重要なものと改めて理解いたしましたが、地域の中にあって、動物愛護推進員の活動を通して、動物愛護推進あるいは向上を図っていくこととなり、あくまでもボランティアである動物愛護推進員がその中核をなす以上、当然のこととして、この活動を支援するための受け皿となるべき協議会などの設置は、この制度をより効果的に執行する上でも不可欠なものだと理解をしておりますが、その現状認識をお伺いいたしたいと思います。

○齋藤地域保健部長 この協議会は、動物愛護推進員の活動に対する支援などに関しまして必要な協議を行うために設置する組織でございまして、動物愛護団体の方々や獣医師会、区市町村等のご協力を得て設置することとしているものでございます。この協議会は、行政とそうした関係団体等が連携協力して、動物愛護推進員に期待される役割、活動を支援できるよう、必要な協議、調整を行っていくものであり、条例の目的でございます動物愛護の推進、ひいては人と動物との調和のとれた共生社会の実現の上で大変な意義を有するものと考えているところでございます。

○福島委員 現在、協議会の設置に向けて鋭意準備を進めているとのご答弁でありましたけれども、この制度の意義や性格、あるいは性質を考えたとき、協議会との連携相まって一層の相乗効果が期待できるものだと理解をいたしておりますので、さらなる設置方に向けてご努力をいただきたいと思っております。
 そこで、先ほど来の質疑のとおり、今後の動物行政の中核たる動物愛護推進員の本年度の委嘱予定と、進捗状況並びに今後の計画を、より具体的にお示しをいただきたいと思います。

○齋藤地域保健部長 本年度におきましては、百名程度を予定してございます。また、今後の計画についてでございますが、地域での活動状況や、愛護団体、区市町村などの意向も十分に踏まえまして、段階的に委嘱の推進を図っていきたい、そのように考えているところでございます。

○福島委員 本制度は、その意義のとおり、地域における動物愛護や適正飼養に対する買い主意識の向上と責任の確保のためにも重要でありますので、ぜひ制度の充実強化を図っていただきたく要望させていただきたいと思っております。
 次に、三宅島噴火災害に見られたとおり、獣医師会などによる動物救援本部の運営や避難動物への医療の提供など、緊急災害時における動物の保護、救援については、行政と獣医師会などの関係団体との協力が不可欠であるということを、災害時に参加、協力をいただいた、私の地元である渋谷獣医師会の先生方にそのご苦労話を聞くにつけ、その重要性を新たにしているところでありますが、三宅島の現状や、いつ起きるかわからない一朝有事に備えて、今後とも、日ごろからの連携強化こそが最善の方策であり、さらなる体制整備を図っていく必要があると認識をいたしておりますが、ご所見をお伺いしたいと思います。

○齋藤地域保健部長 災害等の発生時におきましては、人ばかりでなく、ともに生活をしております動物にもさまざまな、あるいは多大な被害が及ぶことが十分に想定されるところでございます。都としては、そうした大規模な災害発生時におきます動物の救護活動につきましては、ご指摘のございましたとおり、三宅島の噴火災害におきまして、獣医師会を初め、関係団体との協力連携を図って対応してきたところでございます。
 今後とも、そうした関係団体との協力連携関係は重要であり、その強化に向けまして、日ごろから連絡体制を一層密にするなど体制整備に努めていきたい、このように考えてございます。

○福島委員 ご答弁のとおりでありますけれども、今後とも、さまざまな災害に対応し得るあらゆる角度、場面からの連携を強化していただきたいと思っておりますし、災害時の人への安全と健康の確保とあわせて、動物に対しても危機管理の体制整備に努めていただきたいと思っております。
 次に、東京都においては加速度的に都市化が進み、残された自然環境保全に努めるとともに、豊かで潤いのある質の高い都市生活を実現するために、既成市街地において人工的に自然環境の創出、再生に取り組んでおられます。
 先日、自然再生の取り組みが予定されている東京港中央防波堤内側海浜公園予定地を、多くの皆様方とともに視察、見学をさせていただきました。その際いただきました資料がこちらでありますけれども、中央防波堤内側海浜公園予定地という資料でありますが、その基礎データには、海浜公園予定地面積、約八十七・九ヘクタールという広大な面積を有しており、都市再生プロジェクト、これは平成十三年十二月、第三次決定分でありますけれども、大都市圏における都市環境インフラの再生、自然環境を保全、創出、再生することにより、緑と水のネットワークを構築し、生態系を回復、ヒートアイランド現象の緩和、自然との触れ合いの場の拡大などを図ると記されており、東京都海上公園審議会答申、これは平成十四年二月でありますけれども、自然再生の取り組みのところには、首都東京の入り口に当たるシンボル性の高い場所で、緑と水のネットワークの核となる公園をつくり、将来の日本を代表する公園へと育てていく。そのスケールメリットを生かし、自然環境を再生する。風の通り道の確保や多様な生物の生息域の確保、発災時の救援活動の場など、企画段階から整備、運営に至るまで広範な都民の協力を求め、これまでにない新しい公園づくりを行うとしております。整備の例の中には、豊かな森のある公園とする、あるいは水辺と触れ合える公園とあります。
 資料に基づいて若干説明をさせていただきましたが、大規模な森を整備し、自然との触れ合いの場の拡大を図るなど、これまでにない新しい公園づくりが検討されております。この計画は直接健康局の所管でこそありませんが、動物あるいは自然との共生、調和が叫ばれている昨今、動物との触れ合いを通して動物の愛護を学ぶ、あるいは育てる環境づくりの視点からも、この計画は極めて重要であると認識をいたしておりますが、動物行政を所管する健康局としての見解をお伺いしたいと思います。

○齋藤地域保健部長 人と動物との調和のとれた共生社会を、この大都市でございます東京で実現していくためには、動物たちが健康で、かつ安全に生き、地域の中で人とともに暮らしていける環境につきまして、広く都民の方々に理解と関心を持ってもらうことが必要であると考えてございます。そのため、動物との触れ合いを通して都民が動物愛護の精神を学べる場、そうした場を確保することは、ご指摘のとおり重要なことと考えてございます。

○福島委員 ただいま担当の部長から、大変意義深いご答弁をいただいたと理解をいたしております。中央防波堤内側埋立地を緑の島に蘇生させることは、東京都の自然再生のシンボルとなることは言をまたないところであり、自然環境の再生は、昨今大きな社会問題となっているヒートアイランド現象の緩和はもとより、昆虫類、鳥類などの多様な生物の生息域の確保、動植物と都民が触れ合える憩いの場の提供など、はかり知れない成果をもたらすものであり、森の自然環境保全は、野生鳥獣の生息と水際に生息する生物によって証明されるものであり、森と動物は切り離すことのできない相互関係にあると理解をいたしております。動物行政の所管たる健康局こそが、率先して関係局との連携を図っていただき、本事業を推進していただきますよう、切に要望させていただきたいと思っております。
 最後に、これまで動物行政全般、各般にわたって質疑をさせていただきましたけれども、最後に局長から、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向けての決意をお伺いしたいと思います。

○長尾健康局長 少子高齢化や核家族化が進む中で、動物と一緒に暮らすことは人の心をなごませ、いやしてくれるなど、生活に潤いと喜びを与えてくれます。今後とも動物が社会の一員として人と共生していくためには、買い主が動物を理解し、愛情を持って接していくとともに、地域社会が広く受け入れることができるように、買い主に対し適正な飼養の推進を図っていくことが重要でございます。
 また、動物による事故防止を初め、人と動物との共通感染症の危機管理体制の整備を図り、飼いやすく、動物とともに暮らしやすい社会の実現に向けた取り組みを行ってまいります。

○福島委員 最後に局長からご答弁をいただきました。この質疑、あるいは私の要望を受けとめていただいて、人と動物との調和のとれた真の共生社会実現に向けて、さらなるご努力をお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○曽雌委員 初めに、小児医療対策について伺いたいと思います。
 健康局は、去る十月十七日に、平成十三年東京都人口動態統計年報を発表いたしましたけれども、これによりますと、一人の女性が生涯に平均何人の子どもを出産するか、その推計値であります合計特殊出生率、この数が、東京は過去最低の一・〇一、全国最低の数値となったということが発表されました。
 こうした現象が生じる原因は、さまざまなものがあるというふうに考えられますけれども、少子化対策として、労働、福祉、教育、住宅、税制など多岐にわたる周辺環境の整備が必要であることはいうまでもありません。現在の核家族化が進む中にありまして、育児に携わる若い世代の親の不安をなくし、安心して子どもを産み、育てるためには、特に保健医療施策の一層の充実が必要であると考えます。
 本年九月には、まことに残念でございましたけれども、岩手県で、高熱を発した生後八カ月の男の子が、救急病院や総合病院などをたらい回しにされまして、適切な処置を受けられないままに死亡してしまうという、実に悲しい事件というか、事故が起きてしまったわけであります。
 こうした事件の発生を防ぎ、夜間や休日に子どもが急病になった場合の親の不安を解消するためにも、小児医療の充実は非常に重要な課題であるというふうに考えております。こうした観点から、東京都における小児救急医療対策の現状と課題について伺っていきたいと思っております。
 まず初めに、東京都では、従来の内科系、外科系に加えまして、新たに小児科を含めた休日・全夜間診療事業を開始したところでございますが、この事業の内容と実績、さらには課題についてどのようにとらえておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

○奥田医療政策部長 二次救急医療対策として平成十三年度から開始いたしました小児科の休日・全夜間診療事業でございますが、固定通年制で三百六十五日二十四時間、常時小児科医師が診療する体制を整備しておりまして、現在、都内四十七医療機関の参画を得て、合わせて七十三床を確保しているところでございます。
 平成十三年度の事業実績でございますが、患者取扱総数は約二十七万人、このうち入院を必要としない軽症の初期救急患者は約二十五万五千人で、全体の約九五%を占めているところでございます。
 入院患者を対象といたしました二次救急医療機関に軽症の初期救急患者が多数集中しているのが現状でございまして、都といたしましては、区市町村が実施主体である小児初期救急医療の充実が急務であると考えているところでございます。

○曽雌委員 入院を必要としない軽症のいわゆる初期救急患者は、総患者数の約九五%を占めているというただいまの答弁を聞いて、私は、二次救急と初期救急との役割分担というものが有効に機能していないんじゃないのか、その結果、一部の二次救急医療機関に軽症の患者さんが集中してしまって、負担が過重になっていることが問題であるというふうにも考えます。
 小児の初期救急については、従来から、住民に身近な区市町村が実施主体となって取り組むこととされておりますけれども、東京都では、区市町村の取り組みを支援していくために、昨年度から、小児の初期救急医療体制整備支援事業を実施しておられます。
 この事業は、先駆的に取り組む区市町村に、当該自治体、地区の医師会、さらには二次救急医療機関、所轄の消防署等の関係機関で構成する協議会を設置していただいて、そこで小児の初期救急医療事業の運営にかかわる諸課題への対応策の検討や事業実績の分析等をしていただいて、その結果をさらに未実施の区市町村にも普及をしていく、こういうねらいを持って技術的な支援策を東京都が実施をしている、このように聞いております。
 これに加えて、本年度からは、新たに小児の初期救急医療事業を実施する区市町村に対しまして財政的支援策を開始をしたところでございますが、この補助事業を開始した目的と、区市町村における現在の取り組み状況、さらには、今後の展望についてお示しをいただきたいと思います。

○奥田医療政策部長 今年度から新たに開始をいたしました小児初期救急平日夜間診療事業補助でございますが、地域における小児初期救急医療体制を確保して、都が実施いたします小児二次救急医療体制の整備とあわせて、小児救急医療全体のレベルアップを図ることを目的としておりまして、本年度は十四区市町村を補助対象として予算化しているところでございます。
 区市町村における取り組み状況についてでございますが、現在、中野区、杉並区、葛飾区、練馬区が、各地域の実情に合わせて創意工夫をしながら事業を実施しているところでございます。
 今後の見通しでございますが、品川区、江東区、町田市で、本事業の実施にかかわる補正予算が可決されているところでございます。このうち、品川区は十一月から既に事業を開始しており、江東区、町田市も、本年度内にはそれぞれ事業を開始する予定でございます。都といたしましては、区市町村の小児初期救急医療への取り組みを引き続き積極的に支援していく考えでございます。

○曽雌委員 それぞれの自治体の取り組みについては、各地域の実情に応じて創意工夫を凝らしているという答弁でございましたけれども、例えば中野区では、地域の中核となる中野総合病院、この病院を固定施設として利用いたしまして、中野区内の開業医師が交代で診療しているなど、大変に注目すべきユニークな取り組み事例もあるというふうに聞いております。
 このように、先進的かつ自主的に小児初期救急医療事業を実施する区市町村が着実に増加しつつあるということは、大変に喜ばしいことでございますけれども、しかし、東京都が十四年度に予算化をいたしました十四地区に比べますと、現状の六区一市では、まだまだ量的には不十分であるといわざるを得ません。
 今後、本事業が着実に区市町村に拡大していくためには、東京都及び区市町村それぞれの条件整備が幾つか必要と考えますけれども、今後、区市町村が小児初期救急医療事業に取り組むに当たって、解決すべき大きな課題は何であるというふうに考えておられるのか、所見を伺いたいと思います。

○奥田医療政策部長 非常に厳しい財政状況にある中で、各区市町村とも、この事業を実施するための財源確保に苦労しておりまして、事業開始がおくれがちになっているという実情もございますが、都内の小児科医師は減少傾向が続いており、また、他の診療科の医師に比べても高齢化しているということなど、事業を担う小児科医師の人材確保が大きな課題であるというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 小児初期救急医療事業を実施する区市町村に対する財政的支援、これが重要であることはもちろんでございますけれども、ただいま部長から答弁ございましたように、地域における小児科医の不足が事業実施を阻害する大きな原因の一つとするならば、東京都といたしましても、小児初期救急医療体制の整備に向けて、人材確保に努めるべきことは当然のことだというふうに考えております。
 そこで、東京都では、今年度から新たに開業医に対する小児医療の研修を開始したところでございますけれども、実施状況はどのようになっておられるでしょうか。

○金田医療サービス部長 開業医に対する小児医療の研修についてでございますけれども、今年度の研修は、受講者数四十名程度で九月から開始いたしました。参加している地区は十一区二市であり、小児科の休日・全夜間診療事業を実施している病院のうち、十七カ所の病院において実施しているところでございます。
 都といたしましては、受講者が本研修終了後、各区市町村が実施する小児初期救急医療事業等へ参画するよう協力を求めてまいります。

○曽雌委員 ただいまの答弁を聞いて気になることは、区部に比べまして多摩地域からの参加者が少ないのではないのか、そんなふうに思えてなりません。多摩地域に対して参加を促していくべきであると考えますが、今後はどのように事業を展開していくお考えなのか、示していただきたいと思います。

○金田医療サービス部長 先生のご指摘のとおり、今年度は多摩地域における受講希望者が少なかったため、次年度は多摩地域に対して重点的に働きかけを行ってまいる所存でございます。今後とも、区市町村における小児初期救急医療体制の整備状況を踏まえ、小児医療基盤の確保に向けて着実に事業を展開してまいります。

○曽雌委員 この項で最後に要望しておきたいと思っておりますが、小児医療は、次世代の子どもたちをどうやって育てていくかという点で、考えなきゃならない大きな社会問題だというふうに私たちは思っております。
 そうした観点から、東京都も区市町村も厳しい財政状況にあることはよくわかりますけれども、しかし、将来を見据えた施策の展開を図っていくことが必要であるというふうにも考えております。核家族化や共働き家庭の増加、さらには小児科標榜医療機関の減少など、さまざまな要因が相互に関連しながら問題を複雑化させておりますけれども、小児医療の中でも、特に保護者のニーズの高い救急医療の確保、充実を図るためには、まず第一に、救急医療に対応できる小児科医師の確保が重要な課題であります。
 現行の診療報酬制度における小児医療の不採算性の問題など、国レベルでの解決が求められる問題も多いと思いますけれども、都としても、東京発医療改革の一環として、引き続き小児救急医療や、その基盤ともいえる開業医小児医療研修事業の充実に努めていただけますように、この際強く要望しておきたいと思います。
 次に、食の安全の問題について伺っておきたいと思っております。
 食生活は、国民、都民の健康生活を維持、増進していく基礎をなす重要なものであり、食品の安全に対する関心も日に日に高まっております。食品衛生行政においては、食中毒防止や食品添加物等の安全性確保と、近年の科学技術の発達に伴い、遺伝子組みかえ食品や化学物質の未知の健康影響など新たな課題が生じてきております。
 平成十二年の夏には、雪印乳業食中毒事故や食品への異物混入事故が多数発生いたしまして、改めて食の安全推進の重要性が指摘をされてきたところでございます。さらに、中国野菜など、食の安全が大きな社会問題となってきております。特に、輸入食品の問題につきましては、現行の国の検疫制度では輸入食品の一割弱しか検査ができず、一たん食品が市場に入れば、あとは自治体による監視にゆだねられているという実態を目の当たりにいたしまして、改めて、食の安全に関する自治体の責務の重大さを感じているところでございます。
 そこで、伺いますが、国の輸入食品監視統計を見ますと、平成十三年度の我が国の食品輸入量は三千二百五十万トンであり、三年前の平成十年と比較をいたしますと、約一二%、また、十年前の平成三年と比較をいたしますと、約三七%増加をいたしております。この量は、国民一人当たりの摂取量に換算いたしますと、約二百七十キログラムになり、摂取カロリーベースでは、約六〇%に相当するのでございます。このように統計からも、非常に膨大な量の輸入食品が我が国に流入し、また、年々増加していることがわかるのでございます。
 そこで、まず、東京都においては、都民の食に大きな比重を占めております輸入食品の監視、検査について、検査件数も含め、どのように行っているのか、また、問題点は何なのか、伺っておきたいと思います。

○河津食品医薬品安全部長 まず、輸入食品の監視・検査体制について申し上げます。
 輸入食品は、港湾や空港にある国の検疫所において、書類審査とともに抜き取り検査が行われますけれども、平成十三年度は、輸入届け出件数に対する検査率が六・八%でございます。この輸入検疫を通過した後は、ご指摘のとおり、都道府県などの自治体が監視を行うことになるわけでございますが、東京都におきましては、輸入食品は、都独自の輸入食品監視班などを有しております食品指導センターというのがございます、これと、都と区における保健所等に配置されます食品衛生監視員約六百名が、主としてスーパー等の販売店や飲食店から輸入食品を職権で収去してまいりまして、都立衛生研究所等において検査を行っている、こういう仕組みでございます。
 これらの輸入食品に対する検査ですけれども、都の食品指導センターを中心に行われておりまして、全体の八割を超えて食品指導センターでやっておりますが、検査件数は、平成十三年度で二万一千八百二十件でございます。都の食品検査件数全体の約四分の一を占めております。
 次に、問題点でございますが、近年、食品流通のグローバル化や食生活の変化に伴いまして、輸入食品の種類や量が増大するとともに、その流通の経路が多様化、複雑化してきているということなどが挙げられると思います。

○曽雌委員 大変多くの件数の監視を行っており、その機動力とご苦労には大変敬意を表するものでございますけれども、輸入食品の種類や量が増大をし、また、流通経路も複雑になってきている、このような答弁をなされましたけれども、そういわれるのであるならば、小売段階を中心とした監視だけでは安全確保が難しいのではないか、このように思えてならないわけであります。
 食品流通の実態を踏まえ、より効果的、効率的な監視を行っていく必要があるというふうに思いますけれども、この点についてはどのようなお考えを持っておられるでしょうか。

○河津食品医薬品安全部長 輸入食品は、まず、輸入業者の倉庫などにストックされまして、そこを経由して広範囲に流通をしていきますので、食品流通の特徴を踏まえた、より効果的、効率的な監視体制を整備していくことが重要と考えております。
 ただ、ただいまご指摘のありましたように、消費者にとって身近な一般小売店といいますのは、必ずしもそういう大きな流通経路を通ってくるものだけではなくて、さまざまな形で都内に食品というのは流れ込んでまいりますので、一般小売店などを対象とした保健所による地域監視、これもやはり大事ではあると思っております。
 そういう意味で、保健所の地域監視との役割分担を図りながら、食品指導センターの方は、広域監視の重点を輸入業者等、食品流通の川上部分へ移していくということで、両方相まって監視、指導の充実強化を図っていきたい。特に、都としては川上の方により重点を移していきたい、このように考えているところでございます。

○曽雌委員 いわば食品流通の川上の部分へ監視を充実強化していくということでご答弁がありましたけれども、特に東京の場合は、輸入食品倉庫などが多数集まっておりますので、こうした方法は大変に効果的であるというふうに思います。対象を絞って効率的な監視を行うという考え方は理解はできますけれども、そうだといたしましても、量的にはかなりのものが予想されるわけであります。内容の検査などのやり方についても工夫は必要ではないか、このように考えますけれども、この点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○河津食品医薬品安全部長 内容や検査などのやり方についての工夫ということでございますが、まず、現状をご説明させていただきますと、輸入食品の違反処理におきましては、輸入業者の所在地と、それから違反品の保管場所が異なる地域にあるということなど、調整に時間を要するケースが多くございます。このため、現在、輸入食品対策に関する連絡調整係、これを私どもの部といいましょうか、本庁に設置しております。それから、食品指導センターには輸入食品監視班という専属班を設置いたしまして、輸入食品の特性に合った効率的な監視、検査を実施しているところでございます。
 ただ、今後は、輸入食品の違反内容などの動向を踏まえまして、これまで以上に監視の重点をリスクの高い食品群に移す、こういったようなことも考えながら、一層の迅速かつ効率的な監視、検査の実施に努めてまいります。

○曽雌委員 現在、東京都の方では、ご答弁がありましたけれども、輸入食品対策に関する連絡調整組織を本庁内に設置をして取り組んでいただいているというのはよくわかっておりますけれども、そういうことも考えながら、特に、この食の安全を確保するためには、関係各局の連携が重要であるということも認識をいたしております。
 そういう面で、取り組んでいただいていることは、それで理解をさせていただいておりますけれども、生産段階を担当する産業労働局、市場を経営する中央卸売市場、消費者問題などを扱う生活文化局など、それぞれの局がそれぞれの立場で対策を講じていただいているわけでありますが、その関係局との連携強化について、主導権といいますか、どこがその中心になって、この食の安全政策というものを進めていくかということを考えたときに、やはり私は、食の安全確保の中心的な役割を果たさなきゃならないのは健康局ではないかというふうに考えておりますけれども、健康局は、こうした強いお考えを持って現在取り組みをされておられるのかどうなのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○河津食品医薬品安全部長 ただいまご指摘のありましたように、食の安全確保は、生産から流通、消費に至る各段階において、それぞれ安全対策が図られなくてはならないものでありまして、関係局との連携は不可欠と考えております。
 東京都におきましては、平成二年に、東京都における食品安全確保対策に係る基本方針を策定いたしまして、食の安全に関する各局が、それぞれ施策を実施しております。また、関係各局による食品安全行政連絡会、こういうものも持たれておりまして、各局の施策の総合的な推進と連携の強化を図っているところでございます。
 ただ、今申し上げましたのは、事務局はこれまで生活文化局が所管をしてきたところでございます。今後、食の安全確保に向けて、関係局がより一層緊密に連携していかなければなりませんし、食品医薬品安全部というものができた健康局といたしましては、今後、積極的な役割をその中で果たしていきたいと考えております。

○曽雌委員 今の部長の答弁を聞いて、期待をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 食の安全確保の問題は、食品が工業製品のように生産されるようになってきました現代にありましては、かつての自然の恵みを食にしていた時代とは異なりまして、複雑かつ多岐にわたる一方であります。そうした今日の食の問題に適宜適切に対応していくことは、並大抵のことではないというふうに考えます。それだけに、ご苦労も多いと思います。
 昨今は、都民の食の安全に寄せる関心も相当高くなってきておりますし、監視体制を充実強化していくことが重要であることはもちろんでございますが、食の安全について第一義的に責任を持たなければならないのは企業や事業者であります。その意味で、行政は企業や都民と共同して食の安全を確保していくことが求められていると思いますけれども、これからの食の安全確保についての局長の見解をお伺いしたいと思います。

○長尾健康局長 食の安全確保は、都民の命と健康を守ることを使命としております私ども健康局にとりまして大変重要な課題であり、ことしの四月からは食品医薬品安全部を設置し、食品と医薬品の安全対策を総合的に実施できる体制を整えたところでございます。
 ご指摘のように、食の今日的問題に対応していくためには、都民や事業者の果たす役割も大変に重要であると考えております。今後とも、都民、事業者、行政がそれぞれの責任をよりよく果たし、全体として食の安全を確保していくことができるよう、効果的な施策の展開を図ってまいりたいと考えております。

○曽雌委員 昨年の九月に我が国最初のBSE感染牛が発見されて以降、食品の偽装表示事件、違法な食品添加物使用問題、近くは、果実に無登録の農薬が使用されていた問題など、食の安全をめぐってさまざまな問題が続発いたしまして、食の安全と安心を求める都民の声はかつてないほど高まっております。
 こうした都民の声にこたえていくためには、欧米では既に常識化しております安全対策の考え方、すなわち、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの具体化が、今求められているのではないでしょうか。食の国際化、流通の多様化が加速する現代においては、食品の安全には絶対はないわけでありまして、こうした考え方を消費者にもきちんと説明をいたしまして、情報公開を図りながら、安全確保に向けた、行政を初め都民や事業者の果たすべき役割について社会的合意形成を図っていくことが、最も重要なことというふうに考えております。
 食は、都民にとっても、社会にとっても健康の礎であります。揺らいでいる食への信頼を回復し、都民の生命と健康を守っていくためには、これまで食の安全対策において国や他の自治体をリードしてきました東京都が、一層のリーダーシップを発揮いたしまして、食品安全行政のさらなる展開を図っていただきますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○大山委員 まず最初に、八〇二〇運動についてということでお話を伺いたいと思います。
 八〇二〇運動というのは、歯の健康だけでなくて、おいしく物を食べるとか、健康に過ごすということからも大変重要なことだというふうに思っています。兵庫県の国保連合会と歯科医師会が八〇二〇運動の調査をしたものがあると聞いていますけれども、まず、この内容をちょっと教えてください。

○梶山参事 この調査は、兵庫県歯科医師会と兵庫県国民健康保険団体連合会が平成十三年六月に、七十歳以上の老人保健受給者のレセプトを対象に、ご自分の歯を二十本以上有している方とそうでない方について、以下における診療費と診療日数を比較することにより、歯の状態と全身の健康がどのようにかかわっているのかを検証するために実施したものでございます。
 この報告では、二十本以上の歯を有している方の医科レセプト一件当たりの診療費は約二万円で、そうでない方の約二万五千円に比べて低くなっており、また、感染症や呼吸器疾患など十七の疾病分類ごとの診療日数を見ると、十五項目において、七十歳で二十本以上の歯を有している方の方が診療日数は短いという結果になっております。

○大山委員 元気に過ごすということと同時に、医療費の抑制にも効果があるというような大変興味深い内容なわけですけれども、インターネットなんかで八〇二〇運動というふうに検索しますと、かなり膨大なものが出てきておりまして、それだけ重要なことだなということもわかるわけです。例えば、愛知県なんかで、やはり歯科医師会と調査をしたら、健康管理も、骨の強さも、握力も、かむ力も、それから老化度をあらわす開眼片足時間も、達成者の方が優秀だという結果も出ているというようなことも書いてありました。
 ところで、現在の東京の、八十歳で自分の歯が二十本ある人の割合、そして、八〇二〇運動で目標値を設定していると思いますけれども、それはどうなっていますか。

○梶山参事 都は平成十一年に、都内の一般歯科診療所を受診された成人約一万人の方を対象といたしました歯科診療所患者調査を実施しておりますが、この調査によりますと、満八十歳でご自分の歯が二十本以上あるという八〇二〇を達成している方の割合は、約二七%でございました。この結果を平成十二年の国民調査による都内の満八十歳人口約五万六千人に掛け合わせますと、一万五千人程度が八〇二〇を達成していると推計されます。
 また、八〇二〇の具体的な目標についてでございますが、都は八〇二〇の実現に向けた具体的な目標といたしまして、平成三年に西暦二〇〇〇年の歯科保健目標を設定し、さまざまな施策を進めてまいりましたが、その後、平成十二年には、東京都歯科保健対策推進協議会で検討の上、新たに西暦二〇一〇年の歯科保健目標を設定したところでございます。この西暦二〇一〇年の歯科保健目標は、歯の喪失の抑制、歯科疾患の予防、健康習慣の普及などについて、五十項目の具体的な数値目標を設定しておるところでございます。
 具体的には、八十歳で二十本以上の歯を有する者の割合を、現状の二七%から三〇%以上にふやす、また、三歳で齲歯のない人の割合を、現状の七〇%から九〇%以上にふやす、さらに、一日一回は十分な時間をかけて丁寧に歯を磨く者の割合を、成人で現状の二〇%程度から五〇%以上にふやすなどの数値目標を定めております。

○大山委員 この二〇〇〇年のときの調査と目標ということでは、五十項目もの目標が立ててあるということですね。運動としてやっていくという点では、調査をするということ自体も啓発ということにもなりますし、それから、十年間という長い期間ですから、中間段階でどうなっているのかということでは、把握する必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。

○奥田医療政策部長 歯科保健目標の中間評価ということでございますが、この目標が盛り込まれております東京都健康推進プラン21が、平成十七年度を目途に見直しをするということになっておりまして、この中で歯科保健目標の中間評価を行う方向で検討したいと考えております。

○大山委員 それは中間できちんと総括していただきたいということと、それから、口の中の健康というか、歯を失わないということでは、虫歯と同時に総合的な目標があるわけですが、歯周疾患ということについてもかなり重要になってきているようですが、歯周疾患についての検診の全都の状況というのはどうなっているでしょうか。

○奥田医療政策部長 歯周疾患検診事業でございますが、十三年度は全都で二十五地区にわたって事業を実施しているところでございます。

○大山委員 今のところは、まだ全区市町村にはなっていないということですけれども、今後、きちんと全区市町村で実施できるように支援していくということが必要と思いますが、どうですか。

○奥田医療政策部長 歯と口腔の健康づくりに関するさまざまな事業でございますが、すべて八〇二〇の実現を目指している事業であるといえようかと思います。この八〇二〇の実現を目指すことが、都民一人一人の健康を守り育てる上で非常に重要であるという認識から、今後とも区市町村等とも十分連携しながら、検診を初めとしまして、健康教育、あるいは普及啓発活動の推進等、歯科保健対策の推進に取り組んでまいる考えでございます。

○大山委員 ぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、難病患者さんへの対策なんですけれども、ALSなどを初めとして神経難病などの方々は、人工呼吸器をつけないと入院もできなかったりという状況にあるわけですが、東京都では神経難病の専門病院といったら神経病院という状況ですけれども、そこしかないという中で、難病団体の皆さんだとかは、緊急一時のベッドだとか、それから、レスパイトのための対応だとかということが、まだまだ不足しているというふうに聞いているわけですけれども、この人工呼吸器対応の医療機関が必要な人がいるわけですね。
 現在、この人工呼吸器をつけて在宅になっている患者さんの数ですけれども、どれぐらいで、これは増加傾向にあるのかどうかということも含めて教えてください。

○金田医療サービス部長 平成十四年五月時点で、保健所で把握している人工呼吸器を使用している在宅の難病患者は、百六十一人でございます。平成十一年、十二年、十四年という形での調査を見ますと、増加傾向にございます。

○大山委員 人工呼吸器をつけながらも生活できるようになってきているということでは、医療の進歩と同時に、より生活も向上させていくということは重要だと思います。
 それから、家族の皆さんが少し休憩したいということは、継続した在宅看護をしていく上では不可欠なことだというふうに思いますが、現在、緊急の場合だとか、家族のレスパイトなどには、どのような対応をしているのか、教えてください。

○金田医療サービス部長 ALS患者等の在宅難病患者さんがレスパイト等で緊急に入院したいということでございますけれども、現在、東京都といたしましては、在宅難病患者緊急一時入院事業というものを行っておりまして、十三医療機関に委託して十四床を確保しております。また、それと同時に、在宅難病患者の緊急対応につきましては、昨年度開始いたしました神経難病医療ネットワーク事業におきまして、急性増悪期等の入院に対応する拠点病院と、安定期の受け入れに対応する協力病院を指定しております。

○大山委員 緊急一時のベッドの確保と、それから病院の契約の二つだということですけれども、在宅での人工呼吸器をつけていらっしゃる患者さんが増加傾向にあるということ、それから、ことしの五月の時点でも百六十一名いらっしゃるということから見ても、なかなか十四床という確実なベッド、それから協力病院に東京都は手配をしているというふうにおっしゃっているところも、かなり苦労して手配しているということを聞いていますけれども、引き続き充実させていく、緊急一時も協力病院もふやすことが必要だというふうに思いますが、どうでしょうか。

○金田医療サービス部長 在宅難病患者緊急一時入院事業につきましては、現在、七五%ぐらいの実績でございますので、そのまま推移していけるのかなと思っております。
 また、神経難病医療ネットワーク事業におきましては、協力病院が昨年度末でまだ六病院でございますので、本年度も関係医療機関に協力依頼を行いまして、協力病院の拡大などネットワーク事業の充実に努めていくこととしております。

○大山委員 ぜひ、引き続き拡充していってほしいということを要望しておきます。
 それでは、保健所の問題について質疑をしたいと思います。
 昨年の十月、「二十一世紀の東京都保健所」を出して、現在の十二カ所の保健所から五カ所の保健所に統廃合するという計画が、ここで出されたわけです。市長会も住民の皆さんも議会も、サービス低下になるということで反対の意思をはっきりと表明して、都と区市町村の間で検討会が持たれてきたという経過ですね。その中間のまとめが十月に出されています。我が党は、一貫して統廃合には反対してきています。私は、これは多摩だけの問題ではなくて、東京全体の公衆衛生、それから保健サービスの重大な問題として質問をしたいと思います。
 この十月に出されました中間のまとめでは、多摩地域の保健所と保健センターなどを合わせた一床当たりの人口が、昭和五十三年の十二万人から平成十四年度の七万人に減少して、大きく改善だというふうにしているわけです。保健関係の施設数、保健師のみの比較では、人口当たりが区部よりもよいというふうに、この中で述べているわけですね。
 まず、その施設の数ということなんです。中間のまとめでは、市町村の保健センターの数は四十四というふうになっています。保健サービス施設ということで、中間のまとめでは、分室だとか、分館だとか、健康福祉会館だとか、いろいろなところが同列になっているんですね。四十四となっているこれらすべての施設に、保健師などの専門職は、常駐というか、そこに配属されて保健業務を日々行っているということになっているんでしょうか。

○齋藤地域保健部長 市町村の保健センターの中では、必ずしもすべての施設において職員が常駐しているということではないと承知してございます。

○大山委員 四十四というふうに保健センターの一覧の中には入っているけれども、今ご答弁されたように、必ずしも配置されていないところもあるということは知りながら、わざわざ保健サービス施設で同列に入れているということなんですね。それ自体、ちょっとおかしいというふうに思いますけれども、私も調べてみました。
 例えば、八王子市ですけれども、保健センターというところと西寺方分室、南大沢分室というのが合計で三カ所あります。この西寺方分室だとか南大沢分室というのは、ふだんは無人で、健診のときだけ保健センターから保健婦さんだとか栄養士さんたちが車に乗って出張していくという状況です。それから、町田の鶴川分室、これも今と同様の状況。それから小金井市の福祉会館保健会場も、日野市の福祉支援センターも、予防接種のみというふうに、ふだんは保健師などの配置もない、無人のところもあるということで、そういうところまで数に入れているわけです。
 今、私が申し上げた小金井、町田だけではなくて、ほかの自治体も同じような状態のところがあります。区部の保健センターと名前は同じなので、局は同列にして、人口当たりの箇所数は多摩地域の方が多いというふうにいっているわけです。保健センターという名前だけ、これを比較するわけですけれども、何かを比較する場合に、名前が同じだからといって、必ずしもその内容が同じとは限らないというのは、よくあることです。
 区部の保健センター、例えば、私は新宿ですけれども、現在は一つの保健所と四つの保健センターで成り立っています。地域保健法改定前は、四つの保健所と一つの保健相談所でした。ですから、保健センターになっても、保健所機能も重なっていますから、保健センターの所長はドクターです。歯科衛生士も栄養士も正規職員で配置でき、放射線技師や検査技師も正規で配置できています。
 市町村の保健センター、ここの専門職の職員配置はどうなっていますか。

○齋藤地域保健部長 市町村保健センターの保健部門での人員配置でございますけれども、多摩地区では、保健師の場合でございますが、合計で二百三十八名ほど配置されてございます。

○大山委員 今、保健師さんの配置だけの数を答弁されたわけですけれども、医師や歯科衛生士さん、栄養士さんというのは、対人の母子保健などでは本当に欠かすことができない方々ですね。専門職です。例えば新宿の場合だったら、四つの保健センターで、医師は四人、保健師は三十四人、栄養士が四人、歯科衛生士が四人です。
 同じぐらいの人口のところで比較してみますと、調布、狛江の管内と同じぐらいの人口なんですね。そうしますと、調布と狛江の市の保健センターを合わせますと、保健師が十九人、新宿は三十四人ですね。栄養士が二人、新宿、四人。歯科衛生士さんは、嘱託で三人です。人口は同じで、名前が同じ保健センターでも、専門職の配置は違うということですから、これは同じ名前だとしても、専門職の配置からいっても、人数からいっても、同列というか、同じ内容にはなっていないということはいえると思います。
 保健師さんに聞いてみたんですけれども、健診というのは、法定ですから、やらなければならないことですし、それだけで忙殺されているところがあるというんですね。しかし、なぜ健診をやるのかというところを考えれば、早期発見で早期対応が一つと、あとは健診の後のフォローが大切だというふうに保健師さんもおっしゃるんです。継続した相談だとかフォローというのは、パートさんだとか非常勤では、やりたくてもできないというのが現状です。
 最近は、育児に悩む親御さんだとか、孤立している親御さん、虐待につながりそうな状況、それから医学的な判断や行政的な判断、こんなことも含めて、ドクターがいるということは、いろいろな面でバックアップ体制が非常に充実されることなんだとおっしゃっています。また、栄養士さんだとか、歯科衛生士さん、医師が、専門職がいるということは、歯科医師会だとか医師会などとの関係、それから政策面でも専門職が重要な役割を果たしているんだというふうにいっています。このように現場の職員、専門職もいっている。
 それから、市にも聞いてみました。実際、栄養士さんもきちんと配置したい、そういう気持ちがあるんですね、市にも。しかし、例えば栄養士さんだったら、学校なんかでほかに職場があるから、正規で配置することも可能なんだけれども、例えば歯科衛生士さんとなると、一カ所の保健センターで少数職種になってしまうので、人事交流なんかの関係もあって、どうしても正規配置ができないんですというような市の悩みというのも、これもやりたいけどできないということが語られています。
 この中間まとめの保健所と保健センターを合わせた箇所数の比較というのは、内容からいっても、比較対象は成り立たないということがいえると思います。
 次に、都の計画どおり保健所を再編した場合、管内の人口と面積、これがどういう事態になるかということなんです。まず、保健所管内の面積ですけれども、一カ所当たりの平均所管面積を特別区の平均所管面積と比較すると、どうなりますか。

○齋藤地域保健部長 現在の多摩十二所体制のもとでの所管面積の平均は、約九十七平方キロメートルでございます。また、区部の方でいきますと、平均で見ますと約二十七平方キロメートルでございます。

○大山委員 特別区と比べると、現在でも約四倍の広さを持っているということですね。それでは、人口はどうでしょうか。

○齋藤地域保健部長 人口は、多摩地域では、十二所体制のもとで約三十二万八千人でございます。また、特別区の方は、現在約三十五万七千人でございます。

○大山委員 多摩地区平均では三十二万、区部平均では三十五万という現在の状況ですね。それでは、現在でも面積は約四倍、人口は、多摩の方が所管の人口は少し少ないということですけれども、これが五保健所と町田と八王子の二保健所の七保健所になるとすると、面積と人口はどうなりますか。

○齋藤地域保健部長 七所体制のもとでは、人口ですと約五十六万、また、面積ですと百六十六平方キロメートルでございます。

○大山委員 七保健所にしますと、面積が約六倍に広がってしまいます。人口でも三十五万と五十六万ですから、一・八倍ぐらいですか、特別区と比べて広大な面積と人口を持つことになるということがいえます。これによって保健所サービスは、対人のサービスも対物のサービスも、さまざまな深刻な問題が起こるということは明らかだと思います。
 局は、昨年の十月に「二十一世紀の東京都保健所」というのを出して、保健所統廃合に向けての方針を示したわけですけれども、具体化するために、それぞれの分野で検討会などは行っているんでしょうか。

○齋藤地域保健部長 現在、保健所再編を含みます保健所機能の強化等につきまして、健康局内では実務者レベルの検討会を着実に進めているところでございます。

○大山委員 検討会を着実に進めているということですけれども、どのような分野で検討会をやっているんですか。

○齋藤地域保健部長 昨年お示ししました「二十一世紀の東京都保健所」に示されてございます、今後の保健所が果たしていく四つの分野、これは地域保健医療の推進に関する分野、あるいは生活環境に関する分野、保健対策に関する分野、健康危機管理に関する分野等でございまして、この分野と、それぞれお示ししてございます七つの機能ごとに、機能強化策などについて、局、所の職員から成る検討会、あるいはプロジェクトチーム、もしくは局の所管部課において検討を進めているところでございます。

○大山委員 医療監視だとか環境だとか、いろんな分野で検討を進めているということですけれども、雪印の問題から始まりまして、BSEの問題から端を発した偽装牛肉、それから残留農薬だとか無許可香料と、食をめぐっては、ますます都民の関心は大きくなっているわけで、保健所が食の問題でかかわるというのは、大変大きな役割を持っているわけですね。
 私、都保健所における環境監視及び食品監視の在り方検討部会食品分科会報告という局の内部の検討文書、今おっしゃっていた文書ですけれども、手に入れたわけですね。これで、例えば食品の監視のところで見てみますと、再編後の状況を見ると、全国比、保健所ベースで二・五倍、それから監視拠点ベースでは三・五倍にはね上がり、特別区との比較でも、保健所ベースで一・二倍、監視拠点ベースでは一・六倍もの対象施設を抱えることになるというふうに書いてあるわけですね。
 食品に関する都民の関心、それから心配がこれだけ大きくなっている現状の中で、全国から比べたら二・五倍や三・五倍の箇所数、それから二十三区と比べても、保健所ベースで一・二倍や監視拠点ベースで一・六倍もの対象施設を抱え込むことになる。これだけの関心がある中で、心配がある中で、どういう認識をしているんですかというふうに私は問いたいんです。

○齋藤地域保健部長 ご指摘の食品衛生あるいは環境衛生等の分野でも、健康被害を未然に防止するという予防原則に立った対応が重要だと考えております。このため、都の保健所におきましても、こうした生活環境分野の企画調整、調査機能の強化を図りますとともに、マンパワーや機能の集約により、より効果的、機動的な監視指導体制の充実に、それぞれ所管部局とも連携をして努めていきたいと考えております。
 また、いろいろな危機管理に当たっては、平常時からのいろんなネットワークを構築することが重要でございますので、そうした体制にも配慮し、保健所として地域における中核的な役割を果たしていきたいと考えております。

○大山委員 私が聞いたのは、ここに書いてあるんですよ。一カ所当たり、一保健所当たりの監視の施設、それが二十三区との比較でも一・二倍、それから監視拠点ベースで一・六倍もの対象施設を抱えることになるというわけですよ。これはネットワークだとかなんとかいう問題じゃないわけです。これは再編後の状況ですね。
 じゃ、今はどうかという話ですけれども、法で定められている回数、監視に行かなきゃいけないという回数がありますね。保健所統廃合前、だから前回の統廃合前の平成八年と、十三年、去年の状況を比べると、法で定められた監視回数に対して、実際、監視指導に行ったといういわゆる監視率、これはどういう変化がありますか。

○河津食品医薬品安全部長 監視の状況でございますけれども、保健所再編がありましたのが平成九年度でございますので、平成八年度、前年を見ますと、多摩地区の保健所で抱えている監視に当たるべき施設数、これが十二万三千八十一ありまして、監視指導実施件数は十六万七千六百二十五で、一施設当たりの監視回数は一・三六回でございます。最近のところで平成十二年ですと、施設数が十二万六千六百九十、監視指導実施件数が十五万八百四十一件ということで、一施設当たり監視回数は一・一九回ということでございます。

○大山委員 今答えていただいたのは、多摩の地域の保健所で食品衛生関連施設、関係施設の監視指導の状況を、一施設当たり何回行ったかという回数を答えていただいたわけですね。平成八年のときには一・三六回、そして十二年には一・一九回というふうに、もう既に監視回数自体が減っているわけですね。さっき私が話した監視率、これはどうかというと、平成八年度は、多摩も全部、全都を合わせて二七%でした。十二年度は二二・三%。このように法で決められた回数を行く到達度は、二七%から二二・三%に減っているわけですね。この監視回数が減っているのは、どのような原因だと考えているんでしょうか。

○河津食品医薬品安全部長 ただいま先生がおっしゃられました法定監視数といいますものは、昭和二十年代に国が定めたものでございます。これは、基本的には施設種別によりますけれども、例えば、飲食店の場合などは毎月一回行くような形になっております。これはとても全国的にも守れませんものですから、都におきましては都の独自の基準を設けまして、飲食店であるとか、お総菜屋さんとか、お弁当屋さんとか、いろいろリスクが比較的高いといわれているところは年四回入るというような形で、現実にはやっているところでございます。
 そんなことで、実情に合わないということはご指摘のとおりでございますが、こういうことで長い間、都も指導してきたということでございます。
 理由でございますけれども、一つは、食品衛生監視員の業務内容も変わっております。例えば、平成八年度に堺市等で発生いたしました腸管出血性大腸菌、O157による集団食中毒事件がありましたので、その後の国の通知を受けて、平成九年度からは学校給食施設を対象に、それから平成十年度からは社会福祉施設に、かなり詳細な点検、改善指導をしております。そういう形で職員の動き方も変わっていることもございます。
 ただ、私どもの方は、食の安全とか、食の安全性の向上、これは食品監視員だけに頼るのではなくといいましょうか、食品監視員の足だけではなくて、全体としていかに向上するかということで、これまで力を尽くしてきたつもりでおります。ですから、例えば、企業とか営業者も内側から変わっていただかなければならない。それから、消費者も選択をして、みずからの安全はみずからも守っていただかなければならない。そんなことで、自主管理のようなものは、逆に平成九年以降、食品衛生推進員制度もつくって、二百人からの委嘱もしておりますし、さまざまな形で進めてきております。
 それから、条例改正も十三年に行いましたけれども、これによって、集団給食を届け出制にするとか、液卵の施設を許可施設にするとか、そういうことで衛生基準を守らせる、そのための講習会も行う、そういうこともやってきております。それから、庁内の連携体制とか、仕事の進め方とか、あるいは危機管理のマニュアルもつくったり、実施訓練をしたりしておりまして、全体として力を尽くしてきておりますので、決して手を抜いているわけではないということだけ申し上げさせていただきたいと思います。

○大山委員 今お話があったのは、食品に対する問題が、より大きな量、それから複雑な問題が出てきているということだと思うんですね。だからこそ、監視もそうですけれども、監視と同時に、さっきご答弁された給食施設への監視強化、これらは一件行くだけで本当に大変な長い時間がかかるわけですよね。だから、それだけ人員も必要だし、それは対応しなくちゃいけないということが、この間の事件だとか事故だとかで明らかになってきているからこそ、ふえた業務なわけですよね。これはきちんとやらなくちゃいけないし、それから法で定められているもの、これは昭和二十何年にできたといっても、それが向上していくならいいですけれども、監視件数も監視率も減っていっているというのは、これはもう動かしようがない事実なわけですね。
 みずからの安全はみずからで守りなさいというふうに部長さんはおっしゃいますけれども、これだけ表示がきちんとしていなかったり、それから、残留農薬なんか、見たってわからないわけですよね。しかも、HACCPの施設だといっても、間で、HACCPに申請していないところで事故を起こしたということですから、みずからの安全をみずから守りなさいなんというのは、やはりきちんと行政がやるからこそ実現できることだというふうに思います。
 ですから、ここの保健所における環境監視及び食品監視の在り方検討部会食品分科会報告書案という報告を出す前の検討には、非常に率直な意見が書いてあります。違反処理及び苦情処理というところでも、これらの業務も、食品媒介感染症同様、突発的に発生し、即応することが求められる。次々と発生する違反食品、それを背景として生じる食品の安全性に対する不安と苦情発生が、次第に保健所食品衛生業務を圧迫していると。これは大きな仕事として出てきているわけですよね。だからこそ、充実させるということが今必要なわけなんじゃないですか。
 と同時に、この報告書案には何が書いてあるかというと、輸入食品への依存、かつ、結果として国内において農畜産物に対する効果的な規制がなされてこなかったことを考えると、この状況は相当の期間にわたり続くものと思われる、このように書いてあるわけです。検討されているわけですよね。現場の皆さんが、率直に意見を出し合っているわけです。それは、今後も継続するということは、突発的に量が多くなっただけじゃなくて、継続するということなんですよね。
 例えば、そういうふうに量が多くなってきているんだということでどうするかといったら、今、部長さんがおっしゃったような自主管理だといって衛生管理を認証して、民間の自主努力にゆだねるとか、局長通知で定められている、さっきおっしゃった年間の監視回数を減らす、こういうことをやりましょう、やらなきゃできないですよというふうにいっているわけですね。これはさらに都民の不安を大きくするようなものですよ。
 さらに、何をいっているかというと、広域化で、営業者が講習会に出やすいように有料の会場を借りるとか、車の確保、それから、運転できない場合があるので、タクシーの利用ができるように大幅な旅費の増額。結局、都民の安全のところは回数を減らす、それで正当化して、現在なら必要ない旅費などを増額しよう、これが機能強化ということなんですか。

○齋藤地域保健部長 現在、そういう保健所再編に向けて、さまざまな機能強化等について検討しているところでございますが、例えば、現在のご指摘の食品監視ということで申し上げれば、所管部との調整も含め、保健所としても、より機動的な、あるいは専門的な、あるいは政策的な対応が求められているというふうに考えてございます。必ずしも広域化したからといって監視指導を怠るということではなくて、むしろ重点的、機動的な監視を工夫、改善し、また、専門職種の職員を集約化して機動力を確保していく。あるいは、先ほどもお話し申し上げましたが、営業者等の自主管理体制の促進も指導していく。そういう全体としての枠組みの中で、食品安全を含めた監視の効果的な実施を進めていきたい、そのように考えてございます。

○大山委員 だれも、効果的だなんて都民は見ませんよ。それから、この検討の中で皆さんは何といっているわけですか。皆さんはというか、現場の方たちですね、保健所の所管区域の広大化は、現場対応が常に求められる食品衛生業務にとって、基本的かつ重大な障害になると。自分たちの検討会で、こうやっていっているわけですよ。みずから、基本的かつ重大な障害、そういうふうに認めながら、機動的だとか効率的だとか、とんでもない、そういうふうに指摘せざるを得ません。
 今後についてですけれども、中間のまとめが出たわけですけれども、次は最終のまとめということになるのか、中間のまとめのさらに二番目ということになるのか、どういう段取り、予定を持っているんでしょう。

○齋藤地域保健部長 これから、中間のまとめの経過を踏まえまして、さらに検討会におきまして精力的に意見交換、検討を進めていく予定でございます。その状況を見きわめながら、最終報告については取りまとめられていくというふうに考えてございます。

○大山委員 今、検討会を見きわめるというふうにご答弁ですけれども、市町村との協議をきちんと行っていって、期限を切らないで、後ろを定めないで、きちんと協議していただきたいというふうに要望します。
 きょうは、中間のまとめでいわれている、市町村の保健サービス施設が区部よりも充実したかのように単純に比較していることのごまかし、それから食品問題などに限って質疑をしました。これだけでも、統廃合どころか、現状をさらに拡充することこそ求められていることは明らかです。十二保健所を堅持して、さらに市町村の保健サービスへの財政も含めた支援の強化をすることを求めて、質問を終わります。

○森田委員長 議事の都合により、おおむね十五分休憩をいたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時二十八分開議

○森田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。質疑を続行いたします。

○山口委員 核家族が多い中で、家庭内において、ささやかなことにも対処できない状況から、医療機関に頼るまでもないことでも、医療対応を求める人も多くなっている現状です。
 現在進めている健康案内「ひまわり」は、医療相談も含め、医療情報を得ることができ、とても有効であると思います。都民ニーズに適切に対応するためには、都民にわかりやすい医療情報を提供することが求められていると思います。
 そこで、何点か伺います。
 東京都保健医療情報センターの昨年度の相談実績のうち、医療機関案内の実績について伺います。

○梶山参事 東京都保健医療センターでは、平成十三年度一年間に約十六万件の電話相談を受けており、このうちの九割に当たる約十四万件が、医療機関の案内に関するものでございました。

○山口委員 東京都保健医療情報センター健康案内「ひまわり」には、非常に多くの都民から照会があるということですが、都民ニーズと現行システムの中での医療機関情報が、必ずしもマッチしているとは限りません。今後、さらに充実していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○梶山参事 委員ご指摘のとおり、都民の医療に関する情報ニーズは、近年ますます多様化してきており、現在、ひまわりが保有している情報だけでは十分に対応できないケースも少なくないものと考えております。
 このため都は、医療機関について、これまで以上に詳しい情報を収集し、提供することにより、都民の期待にこたえることが必要であると考えております。

○山口委員 また、「ひまわり」の提供しているホームページでは、基本的な情報でありますので、今後、都民のニーズを満たすためには、具体的に、医療機関における詳細な情報をも掲載していく必要があると思います。
 例えば、入院に対しての保証費が幾らかかる、差額ベッド代などがどれぐらい取られるのか、また、どの病気についてはどの病院、果ては、どの医師にかかればいいかといった、いろいろな情報を望んでいるかと思います。平成十五年度から新しいシステムを稼働させるために、現在検討中であるということですが、改善内容について伺います。

○梶山参事 新しいシステムで提供されます情報は、当該診療時における中心的な診療科目や病院の差額ベッド代などのほか、診療情報の開示の有無、手話や外国語による対応の可否、バリアフリーの状況など、都民が医療機関を選択する際に参考となると思われる情報を充実する予定でございます。

○山口委員 情報内容とともに、都民が手軽に情報を手に入れることができるということは重要な点になりますが、都民が医療情報を入手する方法についてですが、都民への医療機関情報の提供は、どのように行われているのか伺います。

○梶山参事 都民からの情報の求めに対しては、東京都保健医療センターで三百六十五日二十四時間、電話やファクスで応じております。
 また、インターネット上でも、パソコンと携帯電話で医療機関の検索サービスを提供しております。

○山口委員 都民が情報を得るために、さまざまな方法が用意されていますが、実際に情報を得ようとするときに、本当に使い勝手のよいものであるかは疑問です。
 例えば、携帯電話で、自分がいる現在地の付近でジャンル別飲食店を検索すると、場所やメニュー等が検索できるシステムがあります。自宅から医療機関を検索することも可能かと思いますが、今後の検索システムは、アクセスの利便性を高めていくことが求められていると考えますが、いかがでしょうか。

○梶山参事 現在のシステムでは、基本的には、町名から医療機関を検索することになっておりますため、最寄りの医療機関をスピーディーに探したい場合には、いささが不便であることは、委員ご指摘のとおりでございます。
 このため、現在開発中のシステムでは、自分の家の郵便番号や最寄り駅などを入力すれば、区市町村や町名にかかわりなく、その地点を中心として距離の近い順に医療機関を表示することが可能となる予定でございます。
 こうしたことから、医療機関を探す都民の利便性は飛躍的に向上するものと考えております。

○山口委員 新しいシステムに対しても、都民から実際にさまざまな要望が出されることと思いますが、都民要望をシステムの改善に結びつけるべきと考えますが、所見を伺います。

○奥田医療政策部長 新しい医療システムでございますが、都民から実際にどのようなニーズが多く出されているのか、これまでの電話相談の対応状況などから分析をいたしまして、それをもとに情報内容や検索方法について検討を加え、開発を進めてまいりました。
 十五年度には、この新しいシステムが稼働いたしますが、その後も、引き続いて都民からの要望を踏まえ、情報内容の充実に向けて絶えず必要な見直しを行い、都民が利用しやすいシステムとしていく考えでございます。

○山口委員 今、電話の相談件数が十三年度で十六万件ですか、それから健康案内「ひまわり」には、三十万件以上のアクセス件数が記録されています。このアクセス状況及び内容を把握できるようにすることや、このホームページ上に都民要望を書き込めるようにするなどして、より多くのニーズを把握し、システム改善につなげていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○奥田医療政策部長 十五年の春のサービスインに向けて、かなり準備が進んでおりますすが、そうした声も踏まえまして、使っていく中でシステムの改善に努めていきたいというふうに考えております。

○山口委員 新しいシステムが、より多くの都民が活用できるように、よりよいシステム改善が望まれます。今、佐藤委員も、「ひまわり」が宇宙衛星ではないかといった発言がありましたが、このシステムが都民に十分周知徹底されてこそ果たされることと思いますので、今以上に積極的な広報活動を展開されていくことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○柿沢委員 盛り上がり中のところですけれども、私から、二点、質問をさせていただきます。
 今、山口委員からも「ひまわり」のお話が出ましたけれども、私もそれにちょっと関係をいたしまして、医療連携に活用するツールとして、これを考えてみたいというふうに考えております。
 医療に対する都民のニーズが高まっていく中で、効率的な医療提供体制をつくるためには、病院や診療所などの役割分担、いわゆる医療連携を進めることがますます重要になっているのは、皆さんもご承知のとおりだと思います。
 医療連携、病診連携と、口では常々いうわけですけれども、しかしながら、現状を見ますと、患者の大病院志向というのは依然として強く残っておりますし、病院から診療所への患者紹介、逆紹介、こういったことも、地域によっては依然としてスムーズに行われていないところも多いというふうに聞いております。医療連携という看板は、高く掲げてはいるわけですけれども、その看板に実態が伴ったものにするためには、医療連携を推進するための新たな仕組みというか、努力が必要なんではないかというふうに思えてなりません。
 私は、この春の厚生委員会でも、都立病院と地域の医療機関との医療連携を進めるための一つのツールとして、電子カルテというものを都立病院に本格的に導入すべきだと、そういう医療連携を進める上でも、電子カルテというのが重要なんだというお話を、世田谷の用賀アーバンクリニックという、先進的な電子カルテを導入している地域の診療所を例として申し上げました。
 今回は、都立病院だけではなくて、民間の医療機関を含めた医療機関相互の幅広い情報共有化をどうしていくかということで、テーマで取り上げていきたいと思っております。
 病院や診療所が連携を円滑に進めるためには、ほかの医療機関の診療機能や、施設や設備の情報を知ることが不可欠になるわけですけれども、医療機関個々の取り組みでは、ほかの病院がどういう施設を持っているか、そういった情報については、得られる情報は限られたものにならざるを得ません。限られた医療資源を有効に活用して、都民の健康を守るためにも、行政による具体的な支援が求められているというふうに思います。
 そこで、まず、都がこれまで実施してきた医療連携推進事業の中では、地域の病院・診療所間の情報の共有化に関して、どのような取り組みが行われてきたのでしょうか、伺います。

○奥田医療政策部長 医療機能連携推進事業でございますが、病院や診療所が、それぞれの機能の分担と連携を図って、効率的な医療供給体制を確立することを目的として実施してまいりました。
 具体的には、地区医師会に医療連携室を設置いたしまして、患者紹介や高額医療機器の利用等に関して連絡調整を行うと同時に、地域の医師に対する研修会や症例検討会等を開催しているところでございます。
 この取り組みの中で、医療機関名簿あるいは医療マップ、それから診療情報提供書の統一様式の作成というような形で、地域の医療機関等にこれを利用してもらうということで情報の共有化にも努めてきたところでございます。

○柿沢委員 地区の医師会などが医療マップを作成しているということですけれども、医師会という単位でいいますと、エリアとしては限定された情報にとどまらざるを得ない部分もあるんではないかと思います。医療機関の専門分化が進んでいる現在、医療連携の実効性を高めていくためには、より多くの医療機関の広域的な情報が幅広く共有化されることが望ましいというふうに考えていいんではないかと思います。
 私ごとですけれども、私も六月にちょっとした病気をしまして、神経関係の難病でしたけれども、どこの病院に連れていってもらえるかというのを非常に苦労しました。渋谷区のある健康診断センターで最初診察をしていただいて、神経関係の病気だという判断をしてもらって、そこから最終的には慶応大学病院の方に入院したんですけれども、それに当たっての病院の選定が、お医者さんとお医者さんの間の人的なつながりによって何とか確保されているというのを、身をもって体験をいたしました。これは、さすがにちょっと心もとないなという思いを、みずから体験をいたしましたので(「よく生きて帰った」と呼ぶ者あり)おかげさまで、今こうして元気なんですけれども、こういうことがないように、病院から病院へと紹介をしていく上で、この病気だったら、この病院に診てもらうのがふさわしいということが的確に判断できる、何か方法が必要なんだということを私自身も強く痛感しました。そのためには、やはりこの時代ですから、ITの活用というのが求められるというふうに思います。
 都は、保健医療情報センター「ひまわり」で、また「ひまわり」ですが、都民に医療機関の情報を提供するネットワークのシステムを持っているわけですね。このシステムが保有する情報を、もっと医療連携に活用すべきではないかと思います。先ほども山口委員のご質問にありましたけれども、このシステムを現在改良して、来年度の稼働に向けて新たな情報システムを開発しているというふうに聞いております。
 そこで、医療連携への活用方法等について伺いますけれども、現行のシステムでは、この点に関してどのような情報を提供されているのかということを、まず伺いたいと思います。

○梶山参事 現行のシステムでは、都民への医療機関案内として、都内の病院、診療所、歯科診療所の名称、所在地、診療科目、電話番号、最寄り駅などの基本的な事項を中心とした情報を提供しております。

○柿沢委員 都民への情報提供のため、医療機関の基本的な情報が中心であるということですけれども、名称とか所在地、診療科目、電話番号、最寄り駅、これは医療機関相互の連携に使うには、ちょっと不十分ではなかろうかというふうに思います。病院や診療所には、これだけの情報だと余り使われないんじゃないかと思いますし、現に、どうなんですかというふうに、うちの江東区のお医者さんに聞きましたけれども、使ったことないというケースが、ほとんどのようにも聞いております。
 医療連携のツールとして活用できるものにするためには、現行のシステム、さまざまな課題があると思いますけれども、どのような課題があるというふうに認識しておいででしょうか。

○梶山参事 医療連携の活用についての課題としては、現在のシステムが都民への医療機関案内を主な目的として構築したものであるため、情報内容として、医療連携に必要な専門的な情報が盛り込まれていないこと、さらに、データベースの更新が、調査票の発送、回収により、原則として年一回であるため、情報内容と医療機関の現状との間に、時として、一部相違が生じるケースもあるのではないかと考えております。

○柿沢委員 医療機関向けのシステムとしては、余り機能していないようですけれども、現行のシステムは十年以上前につくられているものですし、仕方のない部分もあろうかというふうには思います。
 それでは、今度新たに開発中のシステムでは、それらの課題に対してどのように対応するのでしょうか、伺います。

○梶山参事 新しいシステムでは、まず、情報内容を大幅に充実し、各医療機関の診療科目などだけではなく、専門的な検査、治療法や、在宅医療、日帰り手術の実施状況など各種の診療機能に関する情報や、医療機関が保有する診療機器設備など、医療機関に必要とされる、きめ細かな情報を盛り込むこととしております。
 また、情報の更新についても、インターネットを通して、いつでも医療機関みずからが更新できるようにすることとしており、常に新しい情報が提供できるものと考えております。

○柿沢委員 今のご答弁でも、情報内容が充実するということですけれども、医療機関にとってみれば、専門家ですから、かなり専門的な詳しい情報が必要なんだろうと思いますので、例えば、専門的な治療方法や医療施設、診断治療機器について、具体的にどういう情報量があるのかということをお伺いしたいと思います。

○梶山参事 対応可能な医療機能といたしましては、例えば、皮膚科領域の凍結療法、肝臓・胆道領域の体外衝撃波結石破砕術、歯科口腔外科領域での人工歯根など、また医療施設面では、例えばICUや無菌室、緩和ケア病棟など、また診断治療機器については、MRIや超音波診断装置、骨密度測定装置など、医療連携を進めるのに参考になると思われる、全体で数百項目の情報を盛り込む予定でございます。

○柿沢委員 数百項目ということですから、先ほどの電話番号とか住所とかいうものに比べれば、飛躍的と、文字どおりいえるのではないかというふうには思いますけれども、ただ、このシステムを医療連携に活用するためには、ほぼすべての医療機関の情報がそこで得られるということでないと、いけないわけですね。そういう意味では、できる限り多くの医療機関から、この数百項目の情報を集める、これはなかなか大変なことだと思いますけれども、その情報収集については、どのような進捗状況なのかお伺いしたいと思います。

○梶山参事 医療機関情報の収集については、都内のすべての病院、診療所、歯科診療所、合計約二万カ所を対象に調査票を順次発送し、情報提供を依頼しているところでございます。
 これまでの回収状況を見ますと、膨大な調査項目にもかかわらず、約七割の医療機関からご回答をいただいております。

○柿沢委員 七割ということでございますけれども、スタートまでに、ぜひ十割を目指してご努力を続けていただきたいというふうに思います。
 今までの質問のご答弁にありましたとおり、新しいシステムについては、これまでと比べると、確かにきめ細かな情報が提供されるということで、医療連携、ひいては都民サービスの向上にも大いに活用していただくことを期待したいと思います。
 地域医療システムの構築については、医療機能連携推進事業などで、地域における医療マップの作成とか、高額医療機器を共同利用するとか、そうした医療連携の取り組みを都としても進めてきたということでございますけれども、医療機関情報システムの活用を踏まえて、今後の地域医療システムをどのように構築していくのかということについて所見を伺って、この項目については質問を終わりたいと思います。

○奥田医療政策部長 都は、都民のだれもが、身近なところで症状に応じた適切な医療を受けられるようにするため、医療機関の機能の分担と連携のもと、かかりつけ医を中心とした地域医療システムの構築に努めてまいりました。
 このシステムが有効に機能するためには、医療機関が相互の情報を共有化することが極めて大切であり、これまでの医療連携の取り組みに加えて、新しい医療機関情報システムの情報を医療機関や関係団体にも十分活用していただくことにより、医療連携を一層推進していく考えでございます。

○柿沢委員 次に、私は、目の成人病ともいわれる緑内障に対する都の対策について伺います。
 緑内障は、タイプによっても異なるんですけれども、眼圧の上昇などにより視神経に異常が起きるため、視野が欠けるという病気です。しかも、一度失われた視力や視野は、もとには戻らないため、放っておけば失明にもつながるという恐ろしい病気でもあります。最近では、去年、美智子皇后様が、この緑内障の軽度の症状があるというふうに診断をされて、レーザー手術、予防的な処置を受けられたということが大きく報道されたりして、このところとみに関心が高まっている病気でもございます。
 実は、プライベートなことになりますけれども、私の母も、今から十年ほど前に緑内障を患いました。お医者さんにかかるのが遅かったため、左目は完全に失明して、右の視野の九〇%が欠けるということになってしまいまして、当時、私はまだ高校生だったんですけれども、(「十年前は高校生か」と呼ぶ者あり)十三年前ですから十八歳でございまして、緑内障という病名も全く当時は知られていませんでしたので、私は、白内障のように手術を受ければ治るんだろうというふうに思ったんですけれども、一度失った視野は、もとに戻らない、完全な視覚障害者ですと。白いつえを持って手帳を持ってくださいというふうにいわれて、頭の中が本当に真っ白になったことを覚えております。
 日本全国で、緑内障の潜在患者は約三百万人といわれておりまして、四十歳以上の三十人に一人の割合で発症するというふうにいわれております。中高年の女性に特に多いことでも知られております。中途失明の原因としては、緑内障は、糖尿病による網膜症と並んで二大原因とされておりまして、年間では約二千人もの人が緑内障が原因で失明をしております。
 そこで、まず伺いますけれども、目の成人病といわれる緑内障について、どういう病気であるか、都としての認識について伺いたいと思います。

○丸山参事 緑内障は、先生がおっしゃるように、中高年に有病率の非常に高い疾患であり、緑内障により失明した場合、精神的な苦痛に加えて、ご家族を含めた日常生活に及ぼす影響は大きいものと考えております。
 緑内障は、早い段階で発見し適切な治療を行うことにより、その進行をおくらせることができる疾患であり、早期発見、早期治療が重要であると認識しております。

○柿沢委員 今、まさに丸山参事からも、早期発見、早期治療が重要だというお話がありましたけれども、、発見のおくれが失明という最悪の結果につながったのが私の母のケースでありまして、みずからの経験を踏まえて、私の母が中心となって、平成十二年に緑内障フレンド・ネットワークという団体ができました。緑内障の患者団体であるとともに、緑内障の早期発見のためのキャンペーンを今行っているところでございます。緑内障の早期発見には、やはり一人でも多くの人に緑内障という病気を知ってもらって、そして検査を受けてもらうということが大切だと思います。
 ところで、緑内障を発見するための検査方法、どういうものがあるかということを、まずお伺いしたいと思います。

○丸山参事 緑内障の検査方法としては、視力検査、眼圧検査、眼底検査、視野検査等がございまして、これらの検査結果を総合的に判断し、緑内障の診断がされております。

○柿沢委員 今、検査方法についてお話がありましたけれども、実は、検査というのは受けてもらえないとしようがないわけで、そこで、ちょっと驚くべき数字をいいたいんですけれども、実は日本では緑内障患者のうち、実際に眼科で治療を受けている人というのは、二〇%にすぎないというふうにいわれておりまして、アメリカでは約五〇%が治療を受けているということですから、日本は著しく低い数字にとどまっているわけです。
 要するに、日本は緑内障を患っている人の八割が、自分が緑内障であることも気づかないまま医者にもかからない、そのままになっているわけですね。放っておけば失明につながる病気だというのに、これは、僕はゆゆしき問題ではないかというふうに思っております。
 そこで、私も、緑内障フレンド・ネットワークとしてもおっしゃられているようですけれども、自治体が行う健康診断の中で、緑内障の検査を行っていただくことを提案しております。緑内障フレンド・ネットワークの調査によれば、都内の自治体で緑内障を見つけるための眼底検査や眼圧検査を行っているのは、荒川区、中野区など五区、武蔵野市、小金井市など三市の、合わせて八自治体だけだそうです。都内の全自治体で緑内障の検査を行えば、早期発見にもつながりますし、また、二〇%という大変低い治療率、受診率も上がるのではないかと思います。
 そこで伺いますけれども、緑内障の検診を、都としても行っていくべきだというふうに私は思うんですけれども、いかがでございましょうか。

○丸山参事 今、先生が、潜在的な患者さん、有症者というか、三百万人ぐらいいらっしゃる、そしてまた、その患者さんの中で実際病院にかかっていらっしゃる方が、その二〇%にすぎないと。確かに、直近の十一年の患者調査では四十万九千人という数字でございますので、有病者の数からすると少のうございます。
 ただ、現在、緑内障の検診に関しましては、スクリーニングとして有効な検診方法が確立されていないということ、また、眼圧が正常でも緑内障の場合があり、眼科専門医が十分時間をかけて検査を行わなければ、緑内障を正しく診断できないということから、現段階では、スクリーニングとして実施することに関しましては課題が多いと考えております。

○柿沢委員 今おっしゃられたように、最近では本当に正常眼圧緑内障といって、昔は眼圧が高いと緑内障の疑いが高いという話だったんですけれども、眼圧が正常でも緑内障になるというケースが日本人では特に相次いでおりますので、なかなか簡便に緑内障と判定できる診断方法、検査方法が確立していないという状況は、私も存じております。
 そうはいうものの、最近は網膜にレーザーを当てて、神経繊維層の厚みを調べるという方法で、わずか一秒で緑内障の可能性があるかどうか検査ができるという、スクリーニング検査のための器械なども開発されて、先ごろの八月の緑内障学会でも、その有用性を確認する調査報告などが行われたというふうにも聞いております。
 先ほどの質問に対するご答弁からも、緑内障の早期発見が重要な課題であるという認識は、都としても持っていただいているわけですので、有効な検査方法があれば、ぜひ今後ともご検討をお願いいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、緑内障患者の八〇%は緑内障であることも気づいていないわけで、緑内障という病気があることすら知らないかもしれないという状況に、まだまだございます。うちの母もそうでしたけれども、視力が悪くなるのと違って、視野が欠けるというのは、なかなか本人が気づきにくい部分がありまして、顕著な自覚症状がないというのは、非常に厄介な問題だと思います。
 そんな中で、少なくとも緑内障という病気がある、また、中高年になったらだれでもかかる病気である、そして、放っておくと失明につながる恐ろしい病気なんだという認識を都民の皆さんに持っていただきたい。そして、ある程度の年齢になったら、自主的にでも結構ですから、眼科医の検査を受けるようになってもらいたいと思います。
 そのためには、都民への普及啓発というのも、一つ大事な仕事ではなかろうかというふうに思います。緑内障の早期発見につながるような普及啓発、また都民へのPR活動について、都としても積極的に取り組むべきと考えますけれども、ご見解を伺います。

○丸山参事 都民に対する普及啓発でございますけれども、ホームページ等による都民への情報提供や保健師等を対象にした研修の実施など、早期発見に向けた普及啓発について今後検討してまいります。

○柿沢委員 今、中途失明の問題が世界的にクローズアップされております。WHO、世界保健機関も二〇二〇年までに全世界から中途失明をなくそうという、ビジョン二〇二〇というプロジェクトをスタートさせております。そんな世界的な潮流の中で、この先進国である日本が、中途失明の危険性の高い緑内障の患者の五人に四人が、緑内障であることも気づかないで放置されているというのは、非常に恥ずかしいことなんではないかというふうに思います。
 先ほども申し上げましたように、日本における緑内障の潜在患者は約三百万人ともいわれています。となると、単純計算ですけれども、東京都内には三十万人の潜在患者がいるわけで、都としても、緑内障対策に本腰を入れていただきたいと思う次第であります。発見がおくれて失明という最悪の事態に至った、私の母のような人をつくらないためにも、都が緑内障対策に本格的に取り組むよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○田代委員 医療というのは、今いろいろ委員の先生方からお話がありましたけれども、今までの医療のあり方、病気になったから医者にかかるという時代ではなくて、なるべく医者にかからないにはどうしたらいいかということを模索しなくちゃいけない時代。しかも、国民健康保険の財政の悪化、あるいは、それにあわせて徴収されていきます介護保険料、こういうものの将来を考えていきますと、どうやったらひどくならない、どうやったら医者に会わなくていいのかということを模索していくことが、一つの医療行政の根幹をなすものだと思っております。
 今、各先生方のご質問の中に、質の問題、仕組みの問題、いろいろお話しいただきました。これは大変重要なことですけれども、これはこれでしっかりと取り組んでいただかなくてはならないんですが、やはり双方向の案内というもの、PRというものがなくちゃならないわけでありまして、千二百万人というこの膨大な数の都民が、一人一人が、東京都がどういうことを考えているか、あるいは、自分の健康を守るためにはどういうふうにしたらいいかという知識を得ていかなくちゃならない。
 そういう観点で、二、三質問させていただきたいんですけれども、知事は、東京から日本の医療を変えるということで、東京発医療改革というのを提唱しまして、医療の透明性を高める、そして信頼性、効率性の向上を目指して、三百六十五日二十四時間の安心、こういう医療提供と、患者さんを中心とした患者中心の医療、こういうものを実現しようということをおっしゃっています。
 このうち、患者中心の医療を実現するための具体策の一つとして、患者の声相談窓口というのを昨年五月に設置しているわけですけれども、本委員会の古賀副委員長も、さきの平成十三年度の各会計決算特別委員会第二分科会で、患者さんの声の相談窓口について質問されたことがあるわけですけれども、初日の相談数は二百件、平成十三年度は十一カ月で九千五百二十二人の相談者、延べ件数は一万二千件近くまで上がった。医療に対する不信や不安というのは、どこにでも聞かれる。最近、どの週刊誌を読んでも、どの新聞を読んでも、必ず医療過誤でありますとか、医療についての不満、不安というものを訴える記事が大変大きく出ているわけですけれども、逆にいうと、どこへ相談したらいいかわからないというのが、多分、現実なんだろうと思います。
 この患者の声相談窓口というのは、そういう中で都民にとっては大変強い味方になっているわけでありまして、これが着々と進んでいくことが、患者中心の医療の実現策としては有用であるとは思いますが、先ほど申し上げましたように、仕組みは仕組みとして、当然つくっていただかなくちゃならないわけですけれども、こういう保健医療情報の提供というものを、しっかりと都民の皆さん方にどうやって伝えていくかということも、同時に考えていかなくてはならないと思うんです。
 この、患者の声相談窓口、確かに件数は多いんですけれども、千二百万人にしてみたら、多いか少ないか、また論のあるところだと思いますけれども、都は、これまでどうやってこの周知というものを図ってきたんでしょうか、お教えをいただきたいと思います。

○梶山参事 都は、患者の声相談窓口の開設に当たっては、区市町村や保健所などはもちろんのこと、福祉や法律面などの関係する数多くの相談実施機関へ周知を図るとともに、知事会見での報道機関への情報提供を初め、都の広報紙やホームページへの掲載も行っているところでございます。
 また、一人でも多くの都民の皆様の知るところとなるよう、都が作成いたしました案内パンフレット三万部を、多くの都民が利用する区市町村や保健所の窓口などに配布し、周知に努めてまいりました。

○田代委員 それでは、都民がこの窓口の存在というのは、どういう方法、手段で知り得たのでしょうか。そういう調査があったら教えてください。

○梶山参事 窓口では、相談に際しまして、患者の声相談窓口を知った手段についても、可能な限り質問しております。
 昨年度に協力が得られました約二千三百名の相談者についてみますと、区市町村や保健所の紹介が約四三%と最も多く、次いでテレビや新聞が約一七%であり、パンフレットは二・三%でございました。

○田代委員 都民に身近な行政機関、メディア、こういうものが圧倒的に多いわけですね。保健所などでパンフレットを示されながら紹介を受けるということを考え合わせると、それは当然だと思うんですが、しかし、そのパンフレットだけの場合は二・三%、ちょっと少ないような気がするんですけれども、このパンフレットというのは、都の職員の方々が皆さんで作成したのか、それとも民間に委託してつくられているものがあるのでしょうか。

○梶山参事 このパンフレットでございますが、患者の声相談窓口の設置の趣旨や利用方法などを、都民の皆様にわかりやすく周知するために、当時の衛生局の職員が、その内容、サイズ、レイアウトなどを企画した上で民間の作成業者に委託したものでございます。

○田代委員 ここに、「患者の声相談窓口」の現物というのがあるんですけれども、かなり立派なパンフレットですね。三万部ということです。三万部という量が多いのか、少ないのかは、これはまた大きな問題だと思うんですけれども、立派なものであることも必要なんですけれども、やはり、もっともっと多くの人たちにしっかりと周知するということが、非常に重要なことなんじゃないかと思うんです。
 また、もう一つ、これは「ひまわり」の方ですけれども、いいんですよ、非常に持ちやすくて、どこにでも入れやすくて、とても便利でいいんですが、僕は、この字ではもう読めないんですね。我々の年齢になると、こういう大きさの字は非常に苦痛を伴う。だから、いろんなタイプのものをつくれというわけじゃないんですけれども、やはり年代に合わせて、しかも、だれにでも、いつでも手に入るような量を工夫して出していかなくてはならない。
 こういう印刷物、立派だから悪いというわけじゃないんですよ。あるいは、小型すぎて悪いというわけじゃない。それはそれなりの意味があるんですが、それで全部、千二百万人都民をカバーできているとは、ちょっと思えないんですね。その工夫というものをしなくちゃならないんですが、一般都民に事業を周知する際に、健康局ではどういう広報というのを行っているんでしょうか。

○浅井総務部長 毎月、新聞折り込みで全戸配布されております「広報東京都」がございます。あるいは、テレビ、ラジオの都の提供番組、これらを通じまして都民広報を行っております。また、都のホームページですとか、プレス発表等によりまして、幅広く都民に情報を提供しているところでございます。
 あわせて、事業に応じまして、今、先生お持ちのようなパンフレットあるいはポスター等の個別広報によっても、都民に周知を図っているところでございます。

○田代委員 多くの媒体を利用して広報を行っている。しかしながら、こういうニュースというのは大体一過性でありまして、こういう印刷物が長く都民の目に触れるということは、なかなか今ないんじゃないですかね。それが、きちっと長く続けられて初めて理解が深まっていくわけで、また、そういうものの中に使われている言葉あるいは表現なんてものが、専門用語の羅列であったり、いわゆるお役人言葉であったり、一般の方々から見て、非常にわかりづらいなんていうレイアウトであれば困るわけですね。
 ですから、やはりそういうもののプロである民間の広報のプロに、余り東京都がいろんなことを、細かいことを指示しないで、目的をきちっと話をしてアウトソーシングしちゃった方が、値段的にも効果的にも、非常に安くていいものができるといったら申しわけないんですけれども、かなり効率のいいものができるんじゃないかと思うんですが、その点、どうお考えでしょうか。

○浅井総務部長 これまでも印刷物の作成に当たりましては、企画、内容、デザイン、印刷、配送などの各段階におきまして、効果ですとかコストを勘案の上、外部委託を行っております。ご指摘の点も視野に入れながら、今後とも適切かつ的確な広報を行ってまいりたいと考えております。

○田代委員 先ほども申し上げましたけれども、仕組みづくりって大変必要なんですね。仕組みづくりと同様に、それをどうやって広報していくか、その広報が必要だということを今申し上げているんですけれども、やはりその仕組みづくりというのは、きょうは発言者じゃない佐藤先生の名前が随分出ますけれども、医者のランクをどうにかしなくちゃいけないというお話がさっきありましたが、まさしくそうなんですね。医者のランクをどうやってつけるか、三つ星にするのか、五つ星にするのか、だれが藪井竹庵であるのかを決めるのは非常に難しいことだと思うんですが、中身をまずきちっとしていかないと、どうしても医療費というものを削減することができない。三角形の二辺を通るような医療であれば、医療費は幾らあってもかなわないわけですね。それをしっかりと都民の方に理解していただくためには、やっぱり広報って、とても必要だと思うんですよ。
 ですから、中身を精査して、きちっと仕組みをつくっていくこと、今までずっと委員の先生方がおっしゃられたことも確かなんですが、それにプラスして、やはり広報をしっかりしていく。広報をしっかりして、こういう相談窓口があると、中には患者さんが、五分じゃ何となくおなかが痛いの治らないんだけれども、三十分も医者と話していると、ちょっと落ちついてくるなんてこと、ざらにあるんですね。
 ですから、何ていうんですかね、先ほどちょっとお話がありましたけれども、小児科の先生方が足りないから、それにプラスアルファを出すということも、とてもこれ必要だとは思いますが、それと同時に、やはり医者のそういう気持ちを駆り立てていくようなもの、値段とか対価というものだけではない部分が医者の世界にもたくさんあるわけですから、やはりその小児科医が働きやすいような状況をつくっていくためには、相談窓口がある程度分けていく。直接、一次救急、二次救急、三次救急、どこにどういうふうに行ったらいいかというもののガイドラインを、ある程度ナビゲーションしてくれるような、そういうような相談窓口になると、とてもいいと思うんですね。
 そういうものの窓口づくりは、当然医師会と一緒にやるということも必要でしょうけれども、いつまでも医師会という一つの単一の組織だけを考えるのではなくて、例えば、小児科の医者のボランティア活動をしているようなグループとも話をしてみる。何でも、その業界で、一つだけで話をするのではなくて--競争させるとか、そういう意味じゃないんですけれども、いろんな立場の医者のボランティア活動参加みたいなものもふやしていかなくちゃならない。そういう気持ちになっていくのは、やはり患者さん、あるいは困っている人たちからの相談窓口がしっかりと機能していくということが、各医者のモチベーションを上げていくことだろうと思うんですね。
 ですから、長い目で見て、医療費の削減にも寄与し、しかも、それが医科学というものの発展のための財政に振り分けることもできるような結果になるということがわかれば、かなり医者たちも努力をすると思うんで、ぜひとも都民の皆さん方に、東京都がどういうことをやって患者さんたちの不安をなくそうとしているのかということが、姿勢がわかるような、しかも、その後電話をしてきたときに、ある程度の答えが出るような状況をつくっていただきたい。
 それについて、いろんなスコアのつけ方というのがありまして、病院とか医者のスコアのつけ方って非常に難しいんですよ。長くだらだら診ている医者が必ずしも悪いとは限らない、非常に手早い医者が全部いいとも限らないわけですから、スコアづけというのは非常に難しいんですけれども、そういうことを恐れずに、行政は試行錯誤しながら、やはりそういうもののスコアづけというのをやっていかないと、いつまでたっても、健康保険証といいながら疾病保険証ですから、いわゆる病気にならないと使えないという保険ではなくて、病気にならないために医療費を使うというような時代を迎えなくちゃならないわけですから、そういうものの一助として、こういう都民の声を聞く、そういうシステムをもうちょっと活用して、だれにでもわかるようなPRをしていただきたいと思います。
 終わります。

○青木委員 私は、薬局、薬店における薬剤師の状況調査について、何点か伺いたいと思います。
 保険点数の是正によって、昭和四十九年度ころから医薬分業が本格的にスタートいたしました。平成十三年度の医薬分業率を見てみますと、東京都は分業率五七・九%で、上から四番目ということになっております。医薬分業の進展や、一般用医薬品の拡大による薬局、薬店での医薬品を購入するという機会が、とみに都民自身もふえているという状況もあります。
 そういった状況で、また社会のニーズということなんでしょうか、夜間や深夜帯に営業している薬局、薬店も増加をいたしております。そういった中で、薬事法第八条で、薬剤師がいることが義務づけられているにもかかわらず、この薬剤師の不在のまま営業をしているというケースの指摘も多々あります。
 そういった中で、薬局、薬店における薬剤師の不在の問題について数点、お伺いをしたいと思います。
 まず最初に、都内の薬局、それから薬店の数ですね、どのぐらいあるのか、また、深夜まで営業している薬局、それから薬店の数、それぞれどのぐらいあるのかを伺いたいと思うんです。

○木村参事 都内における薬局と、薬剤師の配置が必要な薬店の数についてでございますが、平成十四年三月末現在では、合計七千六百五十六軒となっております。内訳は、薬局が五千四百七十四軒、一般販売業、いわゆる薬店が二千百八十二軒でございます。
 また、このうち午後十時以降も営業している薬局、薬店は、届け出上、約三百五十軒で、内訳は薬局が二百軒、薬店が約百五十軒でございます。

○青木委員 今のご答弁で、八千軒をちょっと切るぐらいの数なんでしょうか、薬局、薬店が約八千軒弱、それからまた、夜間がトータルで三百五十軒ぐらいということになっているわけですが、薬剤師の皆さんの勤務状況はどうなっているのか、これをお伺いをしたいと思います。
 また、東京都が平成十三年度に多分初めて夜間を調査されたというふうに伺っておりますが、それぞれの薬局、薬店の調査を実施したその結果と、それから、それぞれ問題があった不適格な店舗に対してはどういう指導を行ったのか、これもあわせて伺いたいと思います。

○木村参事 薬局、薬店における薬剤師の勤務状況と、夜間営業店舗の調査結果等についてでございますが、平成十三年度における都内の薬局、薬店を対象とした薬剤師の勤務状況の調査結果では、営業時間に対する薬剤師の業務従事時間の割合が七五%未満の不適店舗は、調査した六千八百七十九軒のうち六百六十九軒で、九・七%でありました。内訳は、薬局が五千六十九軒のうち七十軒で一・四%、薬店が千八百十軒のうち五百九十九軒で三三・一%が不適でありました。
 また、平成十三年度に初めて都と特別区が連携して、主として午後十時以降営業している薬局、薬店百三十三軒を対象にした夜間一斉監視指導の調査結果では、百三十三軒のうち七十八軒で、五八・六%において薬剤師が不在でありました。内訳は、薬局が二十四軒のうち八軒で三三・三%、薬店が百九軒のうち七十軒で六四・二%が薬剤師不在でありました。
 薬剤師が不在であった店舗に対しましては、営業中は薬剤師を常時従事させるよう指導するとともに、薬剤師が不在になるときには、その旨を張り紙等で店頭に掲示し、医薬品の販売を自粛するよう指導しております。

○青木委員 今挙げていただいた数字で、それぞれ薬剤師の方がいないところが、全体で五八・六%、薬局で三三・三%、薬店で六四・二%ですか、そういう数字が出ているわけですが、その薬局、薬店にそれぞれ立入調査をして、薬剤師の不在が確認できた時点で、今ご答弁いただいたように、薬剤師の方の常駐を指示するとか、また、薬剤師がご不在のときには張り紙をして、店舗に薬剤師さんがいませんよと。また、当然それに伴って、売ってはいけない医薬品については販売を自粛するというような指導をされているということですが、大事なことは、こういう調査というのは、一度だけではなくて、やっぱり何回か--八千軒行って、皆さんの数がどのぐらいいらっしゃるか、よくわからないんだけれども、何といってもフォローするという、一回こっきりじゃなくて、フォローを繰り返すということが非常に大事なことだと思うんです。
 また、そのフォローをしたときに、一回行ってそれを全部直してくれれば、それでいいわけですが、再度行ったときにいろんな問題があったときには、もう一度どういう指導を--二度目ということになるのかしら、そういうときには、どういう指導をされているのか、これをちょっと伺いたいと思います。

○木村参事 フォロー調査と改善の指示についてでございますが、平成十三年度の夜間一斉監視時において、薬剤師が不在であった薬局、薬店につきましては、おおむね一週間以内に再度立入調査を実施し、その時点においてもなお改善が見られない店舗に対しては、口頭による厳重注意や、文書による改善事項の指示、改善計画書の提出を求めるなど、改善を強く指導したところでございます。
 しかし、これらの店舗は、再び薬剤師の勤務状況が変化する可能性があることから、その後も必要に応じまして立入調査を実施し、監視指導に努めております。

○青木委員 今伺ったように、改善事項を文書で提示をしたり、さらに悪質といったらいいんでしょうか、その改善計画書を出してもらうというようなことで、いろいろと指導されているんだと思うんですが、実は私もいろんな議事録を読んでみたんですが、いろんな議員が何回か、この問題は質問をしているんですね。ということは、率直にいって、努力をしていただいているんだけれども、遅々として改善がされていないという一つのあかしだと思うんです。
 その遅々として進まない最大の根本的な理由、それはどこにあるんでしょうか、それを伺いたいと思います。

○木村参事 薬剤師の勤務状況が改善されない根本的な原因といたしましては、薬局、薬店が増加する中で、夜間における薬剤師の確保が困難なことなどにあると考えております。こうした状況は放置できませんから、今後とも、営業中は薬剤師を常時従事させるよう指導するとともに、夜間営業している店舗の監視指導を強化してまいります。

○青木委員 今、夜間における薬剤師の方の確保が困難だと。当然、さっき数字も挙げていだいたように、社会の必要性に伴って、夜間それから深夜に、薬局、薬店がどんどんふえれば、それはもう追っかけるように薬剤師さんの数が足らないということもあるんだと思うんです。私、それはもちろん否定はしません。否定はしないんだけれども、同時にもう一つは、率直ないい方をすれば、経営者の方がその薬剤師の方をそこで雇用すれば、それだけ負担がかかるという、ある意味で営利優先ということも、私は、さらに根本的にはそういう理由があるんじゃないかというふうに思うんです。
 例えが適切じゃないけれども、当然お金もかかる話なので、車に乗るときに、免許証を取るのにお金がかかるから、免許証を取らないで無免許でその車を運転してしまうというような話と、非常に似ている話だと思うんです。
 私は、これから薬局、薬店の役割というのは、三つの点ですごく重要になってくると思うんです。それは、今まで病院だけでしか使われていなかった医療用の薬品が、どんどん一般的に町の中の薬局や薬店で買えるという問題が一つあると思うんです。それからもう一つは、カウンター越しの、オーバー・ザ・カウンターというのかしら、そういう販売をしていくということが、安全性の上からも非常に重要なことになってきます。三つ目は、これはずっと今、質疑で繰り返してきた話なんですが、当然これからさらに医薬分業が進んでいくという、この三つの要素から考えていったって、私は、薬局それから薬店の重要性というのは、どんどんどんどん増してくるというふうに思います。
 もう一つは、いただいたこの事業概要を私も読ませていただいて、局としても、薬局に対して、患者本位の医薬分業の推進及び地域に信頼されるかかりつけの薬局の育成を目指しますというふうに書いてあるわけです。
 ただ、今私もお話ししたように、理由はいろいろあるんでしょう。理由はなかなか見つからないという問題もあったりとか、人件費もかかるというような問題、いろいろあるんだけれども、やっぱり薬事法できちんと義務づけもされているという最も重要な根幹の部分が欠落されて、それがなかなか改善されずに、ずっと今日まで来ているということであれば、それはもう全く、皆さん方が信頼されるかかりつけの薬局というものをつくっていくという上でも、非常に困難な問題だというふうに私は認識をしています。
 だから、私だけではなくて、今まで同じように質疑がされていたのは、そういうところにあったんだと思うんですが、皆さん方に信頼される薬局を目指すという中で、この辺の今後の問題を、局長にちょっと認識を伺いたいなと思います。

○長尾健康局長 医薬分業の推進や医薬品の適正使用を確保するためには、従来にも増して信頼される薬局、薬店を育成することが必要であり、専門家たる薬剤師の役割は一層重要となっております。
 都といたしましては、特別区と連携し、薬局、薬店に対する監視指導を強化するとともに、あらゆる機会をとらえ、薬剤師の資質や経営者の遵法意識の向上を図るなど、薬剤師不在問題に積極的に取り組み、薬局、薬店に対する都民の信頼を高めるよう努めてまいります。

○青木委員 私も、さっきこの事業概要、ずっと薬事衛生のところを読ませていただいて、例えば、監視の中で、医薬品等の監視指導をしていますとか、それから医薬品市販後の調査の監視指導とか、いろいろ努力をされているわけですけれども、要は、皆さん方が監視をしていないときは、薬局や薬店の方々がその販売をされているわけですから、何といってもそこで働いている方々、やっぱり人というのは最も重要なことに私はつながっていくと思うんです。
 私、ちょっと不満というか、残念だなと思うのは、その辺のいろんな指導はたくさんしていますというんだけれども、一番根本の今いった問題について、全く触れていないわけです。平成九年から、今局長のお話にあったように、部分的には二十三区に移管をされている部分もありますから、それはよくわかりますが、ぜひ今後、この概要の中にも、私が今問題にした、こういった問題もぜひ触れていただくような検討をお願いしたいということを要望して、質疑を終わりたいと思います。

○吉田委員 私は、まだきょうの委員会で取り上げられておりません精神障害者対策、精神保健の問題、そして地域リハビリの問題、さらに、できたら慢性肝炎の問題についても取り上げていきたいと思っております。
 まず、精神障害者対策ですけれども、ご承知のとおり、他の身体や知的障害者対策と比べて大変おくれた分野となってきました。しかし、九三年の障害者基本法の制定、九五年の精神保健法から精神保健福祉法への改正などを通じて、全体としては、入院から社会復帰施設へ、さらに地域社会へということが行政の大きな課題と、今日なっていると思います。
 東京都も、九七年の地精審、東京都地方精神保健審議会の答申を受けて、九七年、平成九年を精神保健元年というふうに高らかに強調されたことは、今でも私、鮮明に覚えております。その後、念願だった都営交通乗車証の発行などの一定の努力がされていることは評価できると思うんです。
 しかし、きょうの委員会資料にも出されているとおり、都内の精神病院に入院をしている患者の方々が二万三千四百九十九人、一般的に、その三割が社会的入院だというふうな評価の仕方もありますけれども、なかなか本格的な社会へという流れが築かれていないのが現状ではないでしょうか。
 また、既に地域の中で暮らしている精神障害の方々にとっても、社会参加やあるいは就労、そういう普通の人間としての要望を実現するという点では、まだまだバリアが存在をしているというふうな状況もあると思うんです。
 それだけに、私は、やはり東京都健康局のこの分野での努力というものは、非常に大きな課題があり、役割があると思うんですが、まず基本的に、この精神障害者対策、精神保健をめぐる今日の課題と東京都の役割をどんなふうに認識をされているのか、まず、そこからお話を伺いたいんです。

○金田医療サービス部長 東京都における精神保健福祉施策の基本的認識あるいは課題ということでございますけれども、我が国の精神保健福祉施策は、先ほど先生がお話しございましたように、入院中心の医療から地域ケア中心の施策へという流れが定着してきております。
 東京都といたしましては、地域社会における精神障害者の自立と社会参加の促進に向けて、必要な施策を実施しているところでございます。

○吉田委員 この間の大変歴史的な経過もありますから、一気に施策を拡充したり、また格差を埋めるということは容易なことでないというのは承知しています。
 例えば、格差という点で、これまでも取り上げてまいりましたし、きょう改めて委員会資料としても出していただきましたけれども、例えば身体障害、知的障害者のための施策で、同じように手帳を持っていながら、精神障害の場合には、東京都が実施している諸手当関係、もう一つはJR及び私鉄等の交通運賃の割り引きということを、はっきりとした格差として、いまだに継続しているという状況があるわけですよね。
 それで、基本的に、精神も知的も身体も障害者として同等に扱わなきゃならないというのが、国の法的にも確立されているにもかかわらず、同じ都民でありながら、受けるサービスに格差があるということは、私は基本的に、その公平なサービスを受けるということからしても、解決をしていかなきゃならないのが基本原則ではないかなと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○金田医療サービス部長 交通乗車証の関係で申し上げますと、精神障害者の自立と社会参加のより一層の促進を図るためには、運賃割引についても他の障害者と同様の取り扱いが必要と考えております。
 このため、都では国に対しまして、他の障害者と同様に交通機関の優遇措置が受けられるよう関係機関に働きかけるよう提案するとともに、社団法人東京バス協会に対して、身体、知的障害者と同様、精神障害者に対しても運賃割引について特段の配慮を要望しているところでございます。

○吉田委員 必要性は認められているわけですけれども、事前にお聞きしましたら、しかし都内の民間鉄道機関等への要望書の提出は、たしか都営乗車証を発行したその直後に出されているもので、最近は、文書としてはされていないというふうに承知しています。
 一方、国においては請願が採択をされまして、その請願が全国の都道府県にも、こういう請願が採択されましたよというふうに流されていると聞いていますし、さらに広島県などの地域では、これは県がどういうふうにかかわり合ったか、私、詳細は承知しておりませんが、民間鉄道などについても、自主的な割引が運行事業者によって行われているというふうに聞いているんですが、その辺の状況はどう把握されていますか。

○金田医療サービス部長 広島県のことでもございますけれども、厚生労働省の調査によりますと、精神保健福祉手帳を所持している者が受けられる民営バスの運賃割引、減免が行われているところは、六県市となっております。

○吉田委員 既にそういう努力をされているわけですよね。しかも、精神障害者の方々のニーズ調査というのは、全都的には十分な形で行われておりませんけれども、例えば私の杉並区が実施した調査の中で、医療を受けるに当たって困っていることという問いの第一位の回答は、通院または入院している精神科あるいは神経科が遠いと。遠いということは、それだけ交通費がかかる、移動が大変だということがありますし、片や八王子市が行った調査をたまたま見る機会がありましたが、外出で不便を感じることは何ですかという問いに対して、第一位が、移動に経費がかかることという要望を出されているんですね。ですから、一般的な格差があるということだけではなくて、当事者の要望からしても、この分野というのは、都営交通だけではなくて、民間の割引が広がる努力をすることが求められていると思うんです。
 もう一つ、この点で指摘をさせていただきたいのは、先ほどから多摩格差的なご発言もありましたけれども、逆に、例えば精神病院は、区部と多摩を比べた場合には、病床数は多摩地域の方が二倍ぐらい多いというのが、ざっと見た計算では出てきます。また、通所授産あるいは共同作業所などの数も、多摩地域の方がはるかに多いと。
 いわば、一番この都営交通が敷かれていない地域に、逆に病院も福祉施設も多いということから見たら、これは本当に急務だと思うんですが、改めて、やはり文書等きちんとした形で、この実現方を働きかける、また、そのために東京都としても必要な支援をしていくということを要望しておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○金田医療サービス部長 先ほど先生がちょっとおっしゃいましたように、国会で請願なども採択されまして、国土交通省自動車交通局長から日本バス協会に対し、精神障害者及びてんかんを持つ人への運賃割引制度の適用についての請願が採択され、採択された請願の趣旨を各事業者へ周知するような通知が出されております。
 東京都といたしましては、引き続き国等に対しまして、身体、知的障害者と同様、精神障害者に対しても、運賃割引についての特段の配慮ができるよう要望していきたいと思っております。

○吉田委員 私が要望しているのは、国と同時に、都内の民間事業者にきちんと、国からそういう請願採択の文書も出ているわけですから、要望していただきたいと。かつて、何年か前にやりましたよということでは、やはりいけないと思うんです。
 それで、都営交通のことをいわれたんで、その話から入ったんですけれども、それと福祉手当ですよね。これは完全に国がどうこうじゃなくて、まさに東京都の単独事業として、知的、身体の方々には実施をされているのに、おくれてスタートをしたからという理由をもってかどうかわかりませんが、精神の方々には全くこれがされていないと。
 かつて私、この問題を取り上げたときに、そのときには、まだ都営交通乗車証の発行がされていませんでした。まず、都営交通乗車証を努力いたしますと。そんなに一度に全部できませんから待っててくださいということをいわれた記憶が、今でも鮮明に私覚えているんですよね。
 しかも、ここはちょっとお伺いしたいんですが、私は正確な統計で確認できないんですが、例えば就労だとか収入だとかということを見ても、精神障害の方は手当なんかは要らないよという状況はないと思うんですよ。同じか、あるいはそれ以上に、収入なり就労状況というのは、身体障害などの方と比べてみても厳しいというのが現状だと思うんですが、そういう認識はされませんか。--答えられないならいいですよ。

○森田委員長 どうですか。

○金田医療サービス部長 ちょっと、済みません……。

○吉田委員 いずれにしても、格差があるという形式論だけじゃなくて、都営交通の問題もそうですけれども、こういう手当も、やはり身体障害の方以上に、例えば精神障害の方々は就労の困難さというものがありますし、当然収入が、これは、ある市の調査ですけれども、月収で月五万円と。あるいは、収入が全くないというような方も半数近くいらっしゃるという状況からすれば、当然手当についても検討していくことをぜひ要望したいんですが、いかがでしょうか。

○金田医療サービス部長 先ほどのご質問の件で、申しわけございません。完全にうまく比較できるわけではございませんが、年間収入状況ということで、百万未満か、それ以上かという形で比較した資料が手元にございますが、それは百万未満の方が全体のパーセントですと、精神障害者の方が六四・七%、身体障害者の方が三五・四%、知的障害者の方が五七・六%というような状況になってございます。
 それで、今、心身障害者手当と同様の手当の支給についてでございますが、現在の限りある財源を緊急性、必要性の高い施策に重点的に配分するためには、まず、サービス供給体制の整備に重点を置くべきと考えております。

○吉田委員 あれかこれかということじゃなくて、今ご答弁あったように、精神障害者の方々は、知的あるいは身体の方々と比べてみても、収入が最も低い分野だっていうことが明らかなわけですよね。しかも、たとえ後からか先からかということは別にしても、行政としてサービスに不公平があっては、私はいけないと思うんです。それはもう土台だということを強く求めていきたいと思うんです。
 次に、やはり社会復帰を促進していく上で、施設を、いかに量的にも質的にも拡充していくのかということが求められていると思うんですよね。それで、私もこの間、そうした社会復帰施設のあり方について検討された中間まとめと最終まとめを、改めて勉強させていただきました。ただ、参加した委員の方からも直接意見を聞く機会もありましたけれども、直接の当事者の意見が反映していないという厳しい意見があったことも、この機会に紹介をさせていただきたいと思うんです。
 まず、社会復帰施設といっても、住宅やあるいは就労のための施設から各種あるわけですが、きょうはグループホームに絞って、住宅に絞って質問させていただきたいんです。
 例えば、この中間まとめのところで、住居的な生活施設の不足人数の推計として、五千五百八十三人分の施設が不足をしているという表がありますよね。この五千五百八十三人が不足していますというふうに出したから、ちょっとわかりにくくて、お聞きもしたんだけれども、よくわからなかったんです。今後も、社会的な入院状態という言葉が適切か否かはありますけれども、いずれにしても、可能な方は病院から退院を促すということを促進すれば、不足数というのは当然もっとふえてくると思うんですが、それを見込んだ数というふうに理解していいんでしょうか。これじゃ少ないんじゃないかというご批判もあるんですが、いかがでしょうか。

○金田医療サービス部長 今回の必要量の試算をしたものは、平成五年の日本精神神経学会社会復帰問題委員会が行った調査の手法を用いて行っております。
 ただ、それ以降、新たな算出根拠がございませんので、現状ではこれが妥当であると考えております。

○吉田委員 平成五年のときの計算方法を使って、それしかなかったんだといわれれば、私もいいようがないんですけれども、やはり今日の退院促進という状況にふさわしい数字というものが、当然あるのではないのかなということを述べさせていただきます。
 ただ、それを前提にして、グループホームは十五年間で約三百施設という計画を明らかにしましたよね。ところが、きょうの資料でもあるんですけれども、平成九年、すなわち元年というふうにいった年ですが、それから昨年までに、グループホームがどれだけふえたのかというふうに、きょう出された資料で見ますと、四年間でふえた数は十六ですよね。しかし、その中間まとめが出している、十五年間で約三百のグループホームをつくらなきゃならないということになれば、一年間でも機械的に二十カ所、しかし四年たっても二十カ所に、この間の伸びが到達していないと。これ、この間の延長線上じゃない、よほどの取り組みが必要だっていうことを示すものだと思うんですが、具体的な達成計画というのはお持ちですか、あるいは検討中なんですか。どういうふうにされるんですか。

○金田医療サービス部長 グループホームの整備についてでございますけれども、精神障害者の社会復帰を促進するために、今後とも、東京構想二〇〇〇あるいは社会復帰施設あり方検討会の中間報告を踏まえまして、計画的な整備に努めてまいりたいと思っております。

○吉田委員 他の知的そして身体の障害者の分野は、来年度から支援費が始まるということに絡んで、福祉局、東京都としては緊急三カ年を十五年度、来年度まで進めて、どうもそれもさらに延長するようなことが伝えられておりますけれども、やはり状況からすると、計画的にということは、大変恐縮ですが、年間二十戸は上回らなきゃならないわけですよ。それにふさわしい、きちんとした実施計画を立てて臨んでいくというふうに受けとめてよろしい--局長、どうですか、突然いわれてもあれかもしれないけれども、そういうふうに理解していいですね、年間二十戸実現のために努力しますと。いいですね。

○森田委員長 質問ですか。

○吉田委員 では質問しようか、せっかくだから。

○金田医療サービス部長 精神障害者のグループホームにつきましては、まず、東京構想二〇〇〇で示した目標がございますので、まずそれに沿った整備を進めてまいり、それができた段階で、またその次に社会復帰施設あり方検討会中間報告の目標に向かって、着実な整備へ努めてまいりたいと思っております。

○吉田委員 だから、目標どおりやっていくというのは、もう当然のことですから、ちょっと愚かな質問をしたかもしれません。
 それで、住宅という点では、グループホームだけじゃなくて、多様なやり方がありますし、私も当事者に聞いたんですけれども、借り上げ住宅的なもの、あるいは精神障害の患者さんで、生活保護を受けていれば住宅扶助を受けるわけですから、それを工夫すれば、たまたまあいたときの家賃保証さえあれば、グループホームほどの補助金がなくたって、ある程度の住居の確保もできますよというお話も聞きました。
 そういう意味では、借り上げ住宅その他多様な形でこの住居の確保、同時に、これは中間まとめ、最終報告でも出ていますが、民間の借家に入ろうとしたときに、保証人の問題が必ず出てくるという意味では、やっぱり公的保証人制度、既に世田谷区は実施しています。ただ、これも話を聞いてみますと、区長が保証人ということになると、では、結局この人は保証人がだれもいない人だなというお墨つきを与えたのと同じだというご批判もあるんですけれども、私はよくわかりませんが、そういう総合的な対策も求められていると思うんですが、公的保証人制度は報告書でも出ている、指摘されていることだと思うんです。こういうことを含めて努力をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

○金田医療サービス部長 精神障害者が地域で安心して生活していくためには、居住の確保は非常に重要であると考えております。
 公的保証人制度などのきめ細やかなサービスは、世田谷区でも実施していることもございますし、身近な区市町村が主体となって展開していくことが適当なのかなと考えております。

○吉田委員 次に、施設の運営に限って、これもさまざまな要望が出されている関係で、なかなか焦点を絞りにくい面もあるんですが、きょう二つの点を指摘させていただきたいと思うんです。
 一つは、これも格差の話なんですが、当事者の方々から繰り返し要望されているのが、例えば授産施設であったとしても、今年度までは知的障害の場合には措置ということで、措置費という形になっていますが、精神の場合には補助金という性格上の違いもありますけれども、同じ規模の同じ施設で、たまたま精神と知的両方でやっていた場合に、片方は、知的では年間六千九百四十五万円、精神では、出されてくる運用のための補助金が三千八百二十四万円と、半分ぐらいの違いがある。しかも、これに級地格差が加わったために、さらに格差が開いているんだという説明があります。
 これは、東京都単独でこの格差を埋めることはできませんし、措置制度への移管の問題もありますけれども、ぜひ、東京都としてのそうした格差が生まれないような対応をしていただきたいというのが、第一点の要望です。
 第二点では、全体として精神障害者施策がまだ過渡期といいますか、始まったばかりという面もありますから、グループホームだけれども、そこの世話人の方々が就労の支援もしなきゃならない。福祉ホームだけれども、世話人がそういう世話をしなきゃならない。また、支援センターができつつあるけれども、グループホームなり福祉ホームを出た後の方々のアフターケアも、結局そういう従前グループホームの方々が、世話人がしなきゃならない。あるいは、ショートステイが十分完備していないから、グループホームの一室を使ってショートステイ的な事業もせざるを得ない。
 しかし、そういうことについては、行政としての支援策というのは、ある程度機械的な対応にならざるを得ませんから、出されていないんですね。しかもグループホームについても、十人程度の規模とする福祉ホームについても、世話人はたった一人だけと。非常に孤独な仕事を強いられるということがあるんですが、こうした問題についても、ぜひ状況に応じたその機能や仕事の内容に応じた、柔軟な人員配置や補助金が出されるということも、ぜひ検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○金田医療サービス部長 精神障害者のグループホーム等に、今以上の、今これだけ制度が動いているところでの世話人をというようなことでございますけれども、現在の職員配置は、障害特性の必要に応じて配置基準が設けられております。
 これから、今後のことにつきましては国に要望していきたいなというふうに考えております。

○吉田委員 あり方検討会の中間まとめ、最終報告、どちらか忘れましたけれども、そこでも複数配置や、あるいは非常勤配置など、状況に応じてそういう配置にすべきだということが明記されておりますから、もちろん国の責任もあるでしょうけれども、東京都として必要な対策をとっていただきたいということを要望しておきます。
 次に、就労対策、これはやはり住居などと並んで、社会復帰、地域の生活を促進していく上で大きな改善の課題だと思うんですが、いろいろお聞きしましたけれども、皆さん方が直接かかわる就労支援策といえるものが、残念ながらないんですよね。唯一、職親制度、社適といわれている社会適応訓練事業ですか、あくまでも訓練にすぎないというご説明を受けました。
 しかし、この社会適応訓練(職親制度)も、それも何度も私たちいわれておりますけれども、例えば、通っても当事者は交通費が支給されない、手当が一日千円だと。やっぱりそういう意味では、なかなか意欲がかき立てられないという問題がありますし、きょう資料を出していただきましたけれども、職親の担い手となる事業所の皆さんも、若干でこぼこはありますが、この職親となる事業所も大きくふえていないというのが状況だと思うんです。ぜひこれは、もう少し職親企業の拡大の努力だとか、今いった交通費なども含めた手当の増額を検討していただきたいと思うんですが、いかがですか。

○金田医療サービス部長 社会適応訓練事業は、訓練として実施されているというところでございまして、先生今、手当が低いということでございましたけど、国の制度では訓練手当はないところに、東京都では、独自に訓練手当として千百円を支給しているというのが現状でございます。

○吉田委員 発言をする意欲が、だんだんなえてきたんだけれども……。
 あくまでも社適は訓練にすぎないと。やっぱり本格的な就労支援ということが求められていると思うんですね。この点で、地域生活支援センターが今つくられつつあるわけです。ぜひ、この支援センターが、機能が多様な分野にわたって仕事があると思うんですが、就労支援ということも位置づけて取り組んでいくべきではないのかなということと、それと昨年、厚生労働省が精神障害者の雇用の促進等に関する研究会をもって報告書が出されました。そこで、いわばジョブコーチ制度だとか、トライアル雇用の拡充ということが指摘をされましたけれども、こうした問題も含めて、社適だけでなくて、就労促進のための東京都としての施策が、検討、努力されていくべきだと思うんですが、いかがですか。

○金田医療サービス部長 就労対策支援につきましても、これからの部分がございますが、精神障害者に対する就労支援につきましては、今、先生もお話しございましたように、国が行うジョブコーチやジョブガイダンスに協力するとともに、福祉局との共同により、身体、知的、精神障害者を対象とする都独自の障害者就労援助モデル事業を、現在、区市町村で平成十三年度から始めたところでございます。

○吉田委員 精神障害に係る問題の最後の課題で、住宅や福祉施設などの基盤整備と同時に、現実に、今入院をしているんだけれども、退院できる、可能であるというような方々が、いざ退院して社会生活に入ろうとすると、自分で住宅を探すだとか、就労の場を探すということは非常に困難だと思うんですね。ある程度、そういう方が社会復帰できるところまでの支援をする仕組みというものが不可欠だと思うんですが、残念ながら東京都では、そういう仕組みがまだ構築されていないと思うんです。
 他方、大阪府は、そうした仕組みづくりが、平成でいうと十二年からされているというふうに聞いているんですが、どのように大阪府の仕組みを認識していらっしゃるのか。ぜひ東京都でも、そうした仕組みについて検討することが、もう避けがたい課題となっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○金田医療サービス部長 大阪府の方でございますが、社会的入院解消(研究)事業及び自立支援促進(会議)事業という形で、平成十三年の中間報告書の概要版をいただいております。
 国におきましても、平成十五年度概算要求において、社会的入院解消のための退院促進支援事業を新規要求していると聞いております。国の動向も踏まえながら、対応していきたいと思っております。

○吉田委員 府が既に実施をされている制度ですから、ぜひ東京都としても検討していただきたいと思うんです。
 それで、幾つかの点を挙げましたけれども、精神障害者の社会復帰に係る施策から見れば、これでも本当に一部を触れたにすぎないと思うんです。
 私、感じたんですけれども、社会復帰施設については、いろんな意見もあるようですけれども、こういう検討会で中間まとめ、そして最終まとめがありました。しかし、これはあくまでも施設だけですよね。
 例えば、では就労をどうするのか。今、国の動向を見てというふうにいいましたけれども、大阪のような、実際に入院状態から社会復帰をつなげる仕組みづくり、トータルな社会復帰ということについて、かつて平成九年の地精審の答申はあるかもしれませんが、今日段階では、そういうトータルの施策について、ちょっと見ることができなかったんですけれども、もしないとすれば、もともと地精審という公的に定められた機関があるわけですから、そこの検討課題として、トータルで、精神障害者の的確な形での社会復帰、社会参加ができるような総合的なあり方が、今こそ検討されるべきだと思うんですが、ここはぜひ局長、大いに力を入れてやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○長尾健康局長 精神障害者の問題、私どもにとりましても大変大きな課題でございまして、今先生、具体的な提案がありましたけれども、精神も含めて保健医療計画全般について、現在さまざまな検討を行っております。
 今後とも、都民の皆様の期待に十分こたえていけるような、さまざまな施策を展開していきたいと思っております。

○吉田委員 ぜひ、私は地精審という場で協議をすべきではないかなと。その際に、これは福祉局の所管事業かもしれませんが、社会福祉基礎調査を毎年行っていて、来年度は障害者を対象とした基礎調査を実施する、その中には精神障害も入っているというふうに聞いているんですけれども、ぜひ、こうしたきちんとした実態調査に基づく施策検討がされていくことを要望しておきます。
 次に、リハビリテーション、とりわけ地域リハの問題について若干質疑をさせていただきます。すべて金田部長に集中する形になりますが、よろしくお願いします。
 リハビリも非常に間口の広いものでして、よくリハビリの病院が都内にないと。近県で長期入院をしていて、東京の病院を紹介してくれないかというふうな相談は、率直にいって割と多い相談なんですがね。それ自身の問題もありますけれども、きょう私が取り上げたいのは、地域リハビリテーション、地域リハの問題です。私たちは機会あるたびごとにリハビリテーションの強化、とりわけ地域リハということを取り上げてきましたし、ことしの一定では、パワーリハビリというような問題も積極的に提案させていただきました。
 これも、ようやく東京都としては、リハビリテーション協議会が発足をして、施策が始まったという段階だと思うんですが、そのリハビリテーション協議会の報告の一つのポイントとして、二次医療圏ごとに地域リハビリテーションの支援センターを設置をするということがうたわれておりますが、まだ一カ所しか設置されていないと。墨田地域にありますリハビリ病院ですね。二次医療圏ということになると、十二医療圏があるんですか、島しょを含めると十三なんですかね。島しょを除けば十二医療圏なんですが、一体どれだけのテンポで、この地域リハビリテーションの支援センターを設置していこうとしているんでしょうか。早くこれを促進すべきだと思うんですが、どうでしょうか。

○金田医療サービス部長 地域リハビリテーション支援センターにつきましては、今、先生がご指摘のとおり、平成十三年度から整備事業を開始しておりまして、現在、東京都リハビリテーション病院一カ所を指定しておりまして、平成十四年度は、今年度でございますが、同病院に加えまして新たに一カ所の指定を計画しております。
 今後の整備計画につきましては、リハビリテーション協議会などの意見を踏まえ、引き続き、着実にその整備を進めていきたいと思っております。

○吉田委員 参考までに何県か調べたんですけれども、例えば三重県は、平成十一年度に県のセンターが発足しました。そうして、十一年度のその年のうちに、六つの医療圏がありますが、六つの医療圏すべてに支援センターが設置されました。
 大阪府も、きょう聞きましたけれども、ここは十二年度に府のセンターが発足しましたが、その年度内に八医療圏中、六つの支援センターが設置をされると。だから、そんなに毎年一カ所というふうなペースじゃなくて、基本的には、府や県のセンターができると同時に支援センターも立ち上がって、リハビリが進んでいくという状況ですよね。
 三次保健医療計画の現在の案を見ました。十八年度というふうに書かれておりましたけれども、ぜひ、おくれているこの地域リハを促進するかなめである、この支援センターの設置に、大いに取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 同時に、数と同時にその機能が、多くの場合には民間医療機関ということが他の県でも行われ、東京都でもそうなると思うんですけれども、やはり自分の医療機関としての仕事だけじゃなくて、二次医療圏全体を見渡しての仕事をするという点では、大変大きな責務を担っていると思うんですね。そういう役割が真に果たせるように、東京都あるいは東京都のセンターとしても、協議会としても、きちっとした対応をしていくことが必要だと思うんです。
 ただ、この点で、質問を準備する過程でパソコンで、東京都リハビリテーション協議会あるいはセンター、あるいは東京都リハビリ病院、引いたんですけれども、リハビリについての情報が非常に、私が見た限りでは少ないんですよ。
 他方、三重県の三重県リハビリテーション支援センターというふうに引くと、さまざまなメニューが出てくるんですね。例えば、県内のリハビリ医療機関一覧だとか、それを見れば県内のリハビリ関係の情報が、すべてインターネットでわかるという状況なんです。
 ですから、多くの皆さんが、今、インターネットでどなたでも情報をとる時代ですから、これは直ちに、こういうインターネットなどでのリハビリ関係の情報は充実させていただきたいなというふうに思うんですけれども、いかがですか。ちょっと私の見間違いかもしれないけど、どうも見当たらなかったんだけれども。

○金田医療サービス部長 三重県より引きにくいのかもしれないんですけれども、一応東京都といたしましても、都内の医療機関におけるリハビリテーション医療の実施状況を調査しておりまして、医療機関名簿として公にしております。
 また、東京都保健医療情報センターでは、リハビリ科を標榜する医療機関の案内も行っております。
 今後、医療機関情報のほか、リハビリに関する最新の情報などを定期的にホームページに掲載するなど、広く都民に提供していきたいと思っております。

○吉田委員 では、私も大いに活用できるように努力いたしますけれども、ぜひ(発言する者あり)いや、私はできますよ、あえて控え目にいっていますけれども。基本的には使えるんですけれども……。
 それと、地域リハということを考えたときに、最近、数字を見てびっくりしたんですが、例えば、これは介護保険の世界ですけれども、やっぱり訪問リハというのは地域リハの中で、通所できなくても在宅でリハを受けることができる、それは非常に大きな課題だと思うんです。
 しかし、東京都全体の目標に対して、この訪問リハがどの程度実施をされたのかという数字が最近発表されたんですが、昨年度は、訪問リハの実績は目標に対して二四%ですよ。杉並区の調査では、一四%です。非常に訪問リハがされていない、本来、されなきゃならないという目標数と比較しても。
 さらに、皆さん方がつくられた実態調査報告があるんですけれども、これを見ますと、地域リハに協力する意思を問う欄があるんですけれども、そこで、協力しているというふうに答えた医療機関は一五・五%、また、訪問リハを実施しているか否かという問いもあったんですが、訪問リハを実施しているという医療機関は全体の一三%、その中で、基準実施施設という概念もあるらしいんですが、そこでも約二〇%ですよ、訪問リハを実施しているというのは。
 だから、これから地域リハをやらなきゃならない、強化しなきゃならないけれども、実際に医療機関は、自分のところに入院したりしている人のリハはやるんだろうけれども、訪問リハまで、体制もないし時間もないというふうに答えているんですね、この皆さんがつくられた調査報告を見れば。
 そういう点では、お聞きすると、PT、OTの数がふえているから安心せよということを盛んにご説明されるんですけれども、現場で地域リハを担うような形には、医療機関あるいは介護保険事業者は、多くの場合にはなっていないと。あるいは、十分そういう人材が配置されていない。そこをやはり強化していかないと、地域リハがなかなか進まないと思うんですが、いかがでしょうか。

○金田医療サービス部長 地域におけるリハビリ体制整備を促進する要因の一つとしては、リハビリに対する需要が挙げられ、需要が高まることにより、リハビリ実施機関等における人材確保を含めた医療供給体制の整備が進むものと考えられます。
 介護保険についていえば、制度発足から日が浅く、ケアプランを立てる介護支援専門員等に、リハビリの有効性や必要性が必ずしも十分に理解されていないことが、利用実績を低くしている一因とも思われます。
 東京都といたしましては、地域リハビリテーション支援センターにおける介護支援専門員など関係従事者への研修や援助等により、リハビリに対する理解の促進を図っていく考えでございます。

○吉田委員 あと、地域リハに関して二つ意見を述べさせていただきたいんですが、一つは、自主グループです。世田谷の先生、いなくなっちゃったけど、世田谷の桜新町の非常に有名な長谷川幹先生の本を読みましたけれども、やはり医療的な努力と同時に、その後の自主グループの活動が、後遺症などを持った方々が継続的なリハをするだけでなくて、お互いの交流を通じて、いわば生きる意欲を培いつつリハビリを継続するという役割を、自主グループが果たしているというような内容の記述がありますし、杉並でも六十近い自主グループがあり、かつ、杉並区はそれを財政的にも支援をするという形で、自主グループ活動が展開されています。杉並の自主グループの活動は、かつて衛生局が、寝たきりゼロ運動の事例集としても評価していただいたということが、たしかあったと思うんですが、こうした自主グループ活動に対する支援促進策ですね、この調査を見たら、自主グループ支援をしているという区市町村は、たしか半分じゃないですか。
 もう一つは、やっぱり二次医療圏も大事なんですが、この前、杉並区に行って、杉並区の地域リハはどうなっていますかというふうに聞いたんですけれども、トータルな説明ができないんですよ。介護保険は、介護保険の説明をする、保健所は、保健所の説明をする、トータルで杉並の地域リハはどういう計画で、どう進むんですかというと、トータルでは、そういう文書も何もない。
 ですから、やっぱり地域リハというのは、全体の調整、連絡、全体のプログラムが必要ですから、区市町村段階での地域ケアのネットワークや、総合的なプログラムの確立ということもぜひ位置づけて、すべて二次医療圏の支援センター任せにしない努力ということが大事ではないのかなというふうに思っております。
 駆け足で、慢性肝炎、どうしてもこれはいわせてください。
 ご承知のとおり、いろんな意見がありましたが、私たちは何としても、たとえ難病というカテゴリーから外すとしても、置かれた症状からいっても、通院の医療費がやっぱり助成されるべきだという思いがありました。ただ、これが九月いっぱいで打ち切られてしまいました。
 それで、せめてもということで、非課税世帯の低所得者に対しては、三年間は継続しますよということで説明があったわけです。だから私は、少なくても非課税世帯ならば三年間は継続されるかなと思ったら、いろんな苦情が来たわけですよ、申請したけど切られたと。お医者さんからも来ました。
 それで、資料をそういう意味で要求しましたけれども、そうしたら、申請したにもかかわらず、千三百八人、申請者の二六%の方が非認定になった。よく聞いてみたら、住民税非課税世帯はクリアしていると。すなわち低所得者で、かつ新規じゃなくて、これまで継続して医療費助成の対象だった人が、二六%、千三百人もなぜ切られたんですか。判断基準を何か変えたんですか、これは。

○金田医療サービス部長 今回の慢性肝炎等の制度改正における経過措置につきましては、住民税非課税世帯に属する方であっても、従来の難病医療費助成制度を継続するには認定基準に該当していることが必要でございます。今回、非認定となった約一千人以上の方は、治療の効果などにより難病の認定基準に該当しなくなった方でございます。
 なお、難病の認定基準は、特別、格段の変化はございません。

○吉田委員 ですから、基準が変わったわけじゃなくて、今までの基準で医療費助成の対象だった方なんですよ。
 私に意見をいわれた、杉並区の在住なんですけれども、肝臓学会の大変有名な幹部の方で、国の検討会の委員も務めていらっしゃる、名前をいわなくても有名な方がいらっしゃるんですけれども、要するに、慢性肝炎は治療をするから数値が下がるんだと。ところが、数値が下がったことをもって医療費助成の対象から外し、すなわち、もう治療が必要ないということになれば、またこの数値は上がるんだと。したがって、GTP、GOTが継続的に、例えば五〇以上でなければ、もう外しますよというやり方は、慢性肝炎というその病気の性格からすれば、あるいは、医療継続を求める立場からすれば、余りにも機械的なものだと。今までも多少でこぼこがあったとしても、完治したわけじゃないわけですから。完治した人ならいいですよ。たとえ一回でも二回でも、とにかく五〇以下になったりすれば、だめだよと。全部五〇以上で続けなきゃだめだというのは、余りにも機械的だと思うんですよね。
 それは、どうしてもそういう意見をやっぱり君、いいなさいというふうに叱咤激励を受けましてね、いわせていただいているんですけれども(「自分の考えじゃないの」と呼ぶ者あり)それほど、私も怒っているけれども、関係者も怒っているんだということをいいたかったわけです。
 あと、若干専門的なことなんですけれども、例えば、その人は診断書に書き込んで出したわけですよね。そのときに、極めて専門的なことで、私も一〇〇%のみ込んでいるわけじゃないんですが、HCVコアたんぱくの検査で、そのウイルスの確認を出したんだけれども、その方が安く上がるんだそうですよ、検査方法としては。しかし、このHCVのたんぱくの検査はだめだということで突っ返してきたけれども、これだって確実にウイルスの存在を確かめられるし、あるいは、その方がはるかに、三分の一安いんだと。そういうやり方で、同じ精度ならこれでいいじゃないか、何で東京都健康局は機械的なんだということをいわれました。
 二つ目に、精密検査を実施し始めたんだけれども、血液検査だけじゃなくて、たとえウイルスがあったとしても、治療の必要性があるかないかというのは、違うんですよ。ウイルスがあっても、治療の必要性のない方がいらっしゃるわけですよね。そういう意味では、エコーを精密検査で実施すべきじゃないか、これが二点目。
 三つ目に、こういう医学の進歩なりに応じて、検査の方法にしても、判断の仕方にしても、あるいは、さまざまな問題が起きるんだから、やっぱり一定期間で、ぜひ関係する臨床医の意見を聞くような場を、きちんと保証すべきではないかという意見も出されました。
 ぜひ、ご答弁をお願いしたいんですが。

○金田医療サービス部長 一番最初のご質問でございますけれども、HCVコアたんぱく質の件でございますが、C型肝炎ウイルスに関する検査につきましては、診断時にHCV-RNA検査が必要であり、治療経過によって変動があるため、更新時にも求めております。HCVコアたんぱく質検査につきましては、専門家の中では実施されているようでございますが、まだ一般的とはいいがたいため、現在の認定基準では、HCV-RNA検査を適用しております。
 二番目のご質問といたしまして、精密検診の検査項目に腹部超音波検査、エコーを入れるべきではないかということでございますが、都のウイルス肝炎精密検診事業の検査項目を決めるに当たりましては、東京都新たな感染症対策委員会でご意見を伺い、今後の治療内容を決める初めの検査として、血液検査で肝炎ウイルスの量やタイプ等を調べる内容となっております。腹部の超音波検査、エコーにつきましては、腫瘍等の合併症の有無を把握するためなど、治療の進行状況に応じて実施されるものと理解しております。
 三番目の、臨床医の意見を聞くべきということでございますが、精密検診の検査事業自体は、今年度から実施したところでございます。それで、東京都新たな感染症対策委員会の中に専門家の先生、たくさんいらっしゃいますので、この事業を実施した後で、また来年度になって検証したりすることは、当然やる状況になっているかなと思っております。

○吉田委員 最後、意見だけ述べて終わりますけれども、我々は、低所得の非課税世帯の三年継続ということだけではなくて、通院医療費の助成を打ち切ったということは、受診抑制をつくり出して、やはり医療の継続、治療の継続なしには、その方々の一定の症状を抑えることができませんし、それが打ち切られたときには、やっぱり慢性肝炎に移行する危険性があるということをいい続けてまいりました。
 これから、どういう形でこの問題が現実に出てくるかということを、私たちはよく医療機関の皆さん、専門の方々とも意見を聞いて、改めてぜひ復活すべきだということを、また委員会の場を変えて強く要望していきたいということを述べて、きょうの私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。

○山加委員 私は、地域医療を確保するための病院整備について質問させていただきます。
 都内の病院を開設主体別に見ますと、民間病院が九割以上、国全体でも同様の状況ですが、これは、我が国の医療提供体制が民間医療機関の主体性を基本として構築されてきたためであります。こうした国の方針が、医療サービスを国民が容易に利用でき、また、多種多様に増大する国民の医療ニーズに対応できる医療提供体制が効率的に整備されたという点では、評価できるものであると考えます。
 しかし、その一方では、民間病院主導で築かれた今の医療提供体制の中には、病院の地域偏在、不採算となりがちな分野の医療提供が不足するなどの課題が残りました。
 私は、このような課題に対応して、民間病院の医療資源を最大限に活用しながら、これを補完し、住民が身近な地域で症状に合った適切な医療を受けられる体制を整備することは、行政の大切な役割であると考えております。
 都の保健医療の基本計画であります東京都保健医療計画を見ますと、東京都全体を、身近な区市町村の単位であります一次保健医療圏から、都全体を単位とする三次保健医療圏までの三層に分割して、それぞれの圏域にふさわしい医療機能を整備する計画となっています。
 この中で、病院の病床については、複数の区市町村から成る十三の二次保健医療圏ごとに必要な病床数を定め、これにより病床の偏在を解消し、基本的な入院機能を確保することとなっておりますが、住民が身近な地域で、三百六十五日二十四時間の安心、いつでも、どこでも必要な医療を受けられるようにするためには、これだけではもちろん十分とはいえません。
 そこで、まず、都は圏域の中で不足する医療機能を確保するために、どのような取り組みをしているのか伺います。

○奥田医療政策部長 都といたしましては、都民に必要とされる医療機能を確保するため、救急医療や災害時の医療体制の整備を初めといたしまして、老朽化した病院の療養環境の改善あるいは療養病床に対する整備補助など、個別の医療課題に対応するための各種の施策を実施するとともに、医療機関相互の機能分担と連携に基づく効率的な地域医療システムの構築に努めているところでございます。

○山加委員 必要な医療機能の確保、地域医療のシステムの構築に都は努めているということですけれども、地域の医療を確保するためには、都のみでなく、基本的自治体である区市町村の役割も大きいと考えます。
 医療提供体制の整備における基本的自治体である区市町村の役割は、どのようなものであるのか伺います。

○奥田医療政策部長 区市町村は、住民に最も身近な基礎的自治体といたしまして、住民の健康の保持増進に大きな役割を果たしており、医療の分野においては、かかりつけ医機能の充実や初期救急医療など、プライマリーケアから一般的な入院医療を含む、住民に身近な地域医療を確保する役割を担っているものと考えております。
 こうした中、地域の実情に応じて市町村公立病院を設置運営し、民間病院の誘致など病院の整備に、みずから取り組んでいる区市町村もございます。

○山加委員 ただいまの答弁に、公立病院の運営というお話がありましたけれども、都では、区部と多摩の自治体の性格が歴史的に異なっていたという経緯もあり、多摩地域の市町村では昔から公立病院を運営しておりますが、区は公立病院を運営しておりません。
 しかし、近年では、住民生活に密接にかかわる分野については、区市町村の役割が大きくなっております。私は、区市町村がプライマリーケアの確保にとどまらず、地域の病床不足を解消するために積極的に病院整備に取り組み、住民が必要とする医療機能を確保することが重要であると考えます。
 私の地元の練馬区では、練馬区が属する医療圏、十三の圏域中では病院数は最も多く、病床数は東京都全体の平均となっております。しかし、練馬区だけで見た場合、六十七万人の人口を抱える練馬区でありますけれども、病院数は最も少なく、病床数は二十三区の中では最も少なくて、区部の平均の三分の一程度でしかありません。
 区内には、中核となる大規模病院は、区が誘致した練馬光が丘病院のみでありました。このため、私も区民の一人といたしまして、区が、真に区民のためになる病院整備を実現することを期待していたところであります。しかし、区の新病院整備基本構想によれば、練馬区民の入院患者の七割、救急患者の五割が区外の医療施設を利用するという状況であります。
 特に、がんや循環器疾患などの場合には区外の病院を紹介されることが多いという実情からも、区内に、何としても地域医療の中核となる病院を整備してほしいというのが、長年の練馬区民の切なる願いでありました。
 そこで、練馬区では、区の財政状況にもゆとりがあるとはいえない状況の中で、区有地を提供し、建設費の補助をするなどの財政負担をして病院を誘致いたしました。区内の病床不足と総合的な医療機能を確保するという取り組みを進め、先月の二十日には、運営主体となります学校法人順天堂と基本協定を締結するに至っております。
 練馬区のこの例のように、各区市町村がそれぞれの実情に応じ、地域医療を確保するためにさまざまな取り組みを進めている場合があるかと思われます。区市町村が病院の整備にかかわっている例は、ほかにはどのようなものがあるのか伺います。

○奥田医療政策部長 練馬区の例のほかには、台東区が小学校跡地を提供して建設費の一部を補助した永寿総合病院、こういった例であるとか、八王子市が土地の提供と、それから救急医療等の運営費を補助して、東京医大八王子医療センターあるいは東海大八王子病院を誘致した事例、さらに、府中市が土地を提供いたしまして榊原記念病院を誘致した事例などがございます。

○山加委員 ただいまの答弁にもありましたけれども、病院経営が厳しさを増しているといわれている中で、区市町村は、直接公立の病院を経営する以外にも、誘致や補助など多様な方法によって病院整備に取り組んでおります。都は、こうした取り組みをどのように評価しているのでしょうか。

○奥田医療政策部長 区市町村が地域医療の確保の観点から、民間病院の誘致など病院運営の自律性、効率性にも配慮した、さまざまな取り組みを主体的に行うことは大変望ましいことと考えているところでございます。

○山加委員 区市町村が関与して整備する病院は、医療機能の分化が進められる中で、かかりつけ医との連携、救急医療、災害時の医療体制の確保など、まさに地域に必要な医療を提供する中核病院としての役割を期待されている病院であります。都は、地域医療の中核的な役割を果たし、地域に不足する医療を提供している市町村公立病院に対しては、一床当たり百二十二万円の運営費補助や、増改築にかかる整備費の四分の一相当の補助を行っておりました。
 しかし、区に対しては、区立病院が今までなかったことから、現在、このような補助はありません。仮に、区が区立病院を設置運営する場合には、こうした補助制度の適用を考えることは当然であると思いますけれども、民間病院を誘致するような場合には補助制度があるのでしょうか。
 区に対しても、誘致した病院がその機能を十分に果たせるように、機能に応じた支援策を講じていくべきと考えますが、その所見を伺います。

○奥田医療政策部長 病院誘致を行う区市町村に対する支援策についてのお尋ねでございますが、病床不足地域において、区市町村が民間病院に対して病床整備資金の利子補助を行う場合、都としても、これを補助する事業を実施しているところでございます。
 また、都は現在、都民が必要とする医療機能の整備を誘導する目的で、例えばリハビリ専門病床の整備に対する補助など、さまざまな支援を行っていますが、区が誘致した民間病院がこうした機能を担う場合には、これら補助制度を活用して必要な支援を行っていく考えでございます。

○山加委員 このたび、東京発医療改革の核として都立病院改革が行われ、そして都立病院の役割は、都全域あるいは複数の二次医療圏を対象とした行政的医療という明確な位置づけがなされたところであります。
 このような中、住民に最も身近な基礎的自治体である区市町村が、きめ細やかに地域に不足する医療を補完することの重要性は、ますます高まっていると考えられます。区市町村が土地を提供するなど積極的に誘致した病院は、たとえ公立病院ではないものの、地元自治体を交えた運営協議会を設けるなど、密接な連携のもとに公立病院と同様の役割を果たしていく病院であると考えられます。
 今後、区が、さまざまな方法でこのような病院を整備する場合には、どうか、その機能が十分に発揮され、区民の切実な願望がかなえられるように、都として、現行の市町村公立病院への補助制度を参考にしながら、財政面も含めて積極的な支援に努めていただくよう強く、重ねて強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○佐藤委員 さっきから番外で名前ばかり出ていますけれども、最後までおとなしく座っていたという証左に、禁煙の問題についてちょっとお伺いをしたい。
 まず、たばこは、がんのもと、健康に悪いと断言してよろしいんでしょうか。

○長岡技監 たばこの肺がんの関係につきましては、二つの見方がございます。有名なイギリスのドクターの、たばこを吸うグループと吸わないグループを、長年にわたって経過を見たデータがございますけれども、その中で、たばこを吸うグループは一万人に百四十人の死亡者がある、たばこを吸わないグループは一万人に十人の死亡者があると。ということで、たばこを吸うグループと吸わないグループでは、十四倍の差があるということでございますけれども、たばこを吸う方の考え方とすれば、一万人の方の中で、たばこを吸っても死ぬ人は、たかだか百四十人ということで、七十数人に一人というようなことでございますので、見方によって、同じデータであっても考え方が違うということで、ある見方とすれば、やはり医学的には十四倍のリスクがございますし、また別の見方をすれば、たばこを吸っていても七十人に一人しか死なないという見方もあると。
 ただ、私たちの方の公平な見方とすれば、やはり、たばこは肺がんのハイリスクであるというふうに考えております。

○佐藤委員 何かちょっと禅問答みたいな話になっちゃったけれども、まあ害があると。
 千代田区は、私、大英断だと思うんですが、歩きたばこを禁止をいたしましたね。罰金を取るようになって、不特定多数に迷惑をかけることはやめましょう、こういう話になったわけでありますが、余談ですけれども、これを批判して、猪瀬何とかという作家の、道路公団でわめいているおじさんが、空気まで支配はできないんだと、ばかなことをいっていましたが、支配できない空気だからこそ発がん性のあるたばこの煙を、しかも、他人が吐いたやつを吸わされる身になって物事を私は考えるべきだと思うんですよ。要するにマナーが悪過ぎるんだね、たばこを吸う人の。
 これは、地下鉄の駅の入り口とか、私の事務所もバス停の前にあるんだけれども、バス停のところとか、あるいは横断歩道を見ると、必ずたばこがおっこっている。何か、どこかで、それを掃いているおばあちゃんが持って帰ったら自分の家が焼けちゃったなんて、悲惨な話もありましたけれども、非常にマナーが悪い、たばこを吸うやつらは。
 勝手に毒ガスを吸って死ぬのは結構なんです、それは。たばこを吸わない人まで巻き添えにすることは、絶対にこれはやめるべきだと思うんですね。副流煙の害というのは、ほぼ証明されていると私は伺っておりますが、この辺の千代田区の英断、あるいはマナーが悪い現状というものを、健康局はどのようにおとらえになっていらっしゃるか。ちょっと局長、どうですか。

○長尾健康局長 まず、マナーの点でございますが、健康局といたしましても、たばこを吸うマナーということは非常に重視しておりまして、特に公共施設の分煙という問題に取り組んでおります。特に、たばこを吸わない人に迷惑をかけないことを最優先課題として取り組んでおります。
 千代田区の問題につきましては、私ども注目して見ておりますが、正直に申し上げて、事務的にまだ内部で検討はしておりません。推移を注目して見ていきたいと思っております。

○佐藤委員 分煙の話が出たんですが、委員会室でたばこを吸うなんて、もってのほかだと私は思っていますよ。もし百歩譲って喫煙を容認するんであれば、分煙をもっときちっとするべきだと私は思うんですよ。少なくとも不特定多数が出入りする室内では、禁煙というのは、もう当たり前だろうと思う。
 昨年、オーストラリアのニューサウスウェールズへ友好都市との関係で参りましたけれども、シドニーの市内は、もう建物の中は全部禁煙、吸えるのは、てめえの部屋だけ、こういうようになってきて、もちろん議員会館の中でも、みんな表へ出て吸っていましたよ、非常口のところで。そういうような、きちっとした厳しい禁煙政策がとられているわけでありまして、これは東京都でも、たばこの税収に目がくらんで、金に目がくらんで、一千二百万都民の健康を売り渡すようなことは、絶対してもらいたくないと私は思っているんです。
 たばこを吸う人は、よくいうんですよ、命を張って税金を払っているんだと。体を張って税金払っているんだから文句いうなと。それは、自分の殻の中でやってもらえばいいわけであって、ここで吸われて、こっちで吸っているというのは、こっちはばかみたいなもので、私なんか体が弱いから、すぐそういうふうになっちゃうんでね。ぜひとも分煙というものを、もっともっと厳しく、はっきりとしていくべきであろうと思いますし、たばこがなくなったら、医療費というのは大分安くなるんじゃないかと思うんですよ。
 それから、寝たばことか、ポイ捨てによって火事がなくなったり、いいことずくめだと私は思うんですが、これからの分煙、禁煙政策の決意をお伺いして、これでやめます。

○長尾健康局長 人間の健康にとって非常に大事な問題ですので、各方面からいろんな意見を聞いて、十分検討してまいりたいと思いますが、少なくとも公共施設での分煙ですとか、他人に迷惑をかけないマナー、これは、今までどおり今後も徹底してまいりたいと考えております。

○森田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○森田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で健康局関係を終わります。
 これをもって本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十四分散会

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