厚生委員会速記録第十号

平成十四年九月二十七日(金曜日)
第七委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長曽雌 久義君
副委員長野田 和男君
副委員長吉田 信夫君
理事河西のぶみ君
理事古賀 俊昭君
理事佐藤 裕彦君
東村 邦浩君
山加 朱美君
柿沢 未途君
萩生田光一君
山口 文江君
小松 恭子君
樋口ゆうこ君
野村 有信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉局局長川崎 裕康君
総務部長吉川 和夫君
生活福祉部長反町 純夫君
高齢者部長福田  豊君
子ども家庭部長笠原  保君
障害福祉部長有留 武司君
保険部長野村  寛君
企画担当部長内海 憲二君
団体改革担当部長片岡 貞行君
連絡調整担当部長菅原 眞廣君
山谷対策担当部長廣田 正志君
参事中島 滋夫君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百一号議案 東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
  ・第二百二号議案 老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百三号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
  付託議案の審査(決定)
  ・第二百二号議案 老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百三号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・福祉サービス提供主体の改革への取り組みについて
  ・社会福祉法人に関する補助金等検討委員会報告について

○曽雌委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽雌委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽雌委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 付託議案につきましては、一括して質疑を終了まで行った後、平成十四年十月一日を施行日としております第二百二号議案及び第二百三号議案について採決を行います。
 その後、報告事項に対する質疑を一括して終了まで行います。ご了承願います。
 これより福祉局関係に入ります。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百一号議案から第二百三号議案までを一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○吉川総務部長 過日の委員会で要求のございました条例案に関する資料につきまして、お手元の厚生委員会資料にまとめてございますので、説明させていただきます。
 表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、条例案関係資料が全部で七項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。条例案の概要でございまして、今回ご審議をお願いいたします三件の議案の概要を、一ページから三ページにわたりまして記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。老人保健制度における医療費の一部負担金の推移として、平成十年四月以降の一部負担金の内容について記載してございます。
 五ページをごらん願います。老人保健法の患者自己負担限度額の改正内容として、左側に現行制度、右側に改正後の自己負担限度額を対比して記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。都道府県の障害者医療費助成制度における自己負担の状況として、都道府県における自己負担の有無及びその内容について記載してございます。
 七ページをごらん願います。心身障害者医療費助成制度の対象者数及び内訳として、平成十四年七月末現在の対象者数と一割負担の有無について記載してございます。
 次に、八ページをお開き願います。心身障害者医療費助成制度の予算額・決算額と対象者数として、平成十一年度から十四年度までの予算額、決算額及び対象者数の推移を記載してございます。
 九ページをごらん願います。都内保険医療機関数と定額制届け出診療所数として、平成十四年八月一日現在の状況を記載してございます。
 以上、要求のございました条例案に関する資料につきましてご説明申し上げました。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽雌委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○東村委員 今回、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部が改正される提案がなされました。これに関して何点か質問いたします。
 今回の条例改正案では、老人保健法の改正により、定額制を廃止し、一律一割負担の定率制とし、その上で自己負担限度額を改定するとしています。他方、老人保健法の改正にかかわらず、自己負担が二割の適用になる方、つまり一定以上の所得のある方についても一割にとどめるということがわかりました。私は、都として大変な英断をしたと非常に評価をいたしております。
 ところで、心身障害者医療費助成制度の対象者は、一カ月当たりどれくらいの医療費がかかっていて、そして患者の自己負担は幾らぐらいになっているのか、説明を求めます。

○野村保険部長 まず平成十三年度の実績を見ますと、外来診療は月平均約二・九回、医療費は月平均約二万五千二百円でございまして、うち自己負担は、現行の定額制では、月平均二千四百六十五円というふうになっているところでございます。

○東村委員 今回の改正では、定額制が廃止されて一律一割の定率制となり、一カ月の限度額も一万二千円に引き上げられる、こういうことのようですが、これによる患者一人一人への負担の影響額はどの程度あるのか、これについて説明を求めます。

○野村保険部長 先ほどお話ししました平成十三年度実績の一カ月当たり医療費約二万五千二百円から試算いたしますと、定率になった場合の患者負担は一割でございますので、月に二千五百二十円になると推計しておりまして、したがいまして、現行の自己負担限度額二千四百六十五円と同程度と考えているところでございます。

○東村委員 現行の定額制での負担が二千四百六十五円、改正後の定率制での負担が二千五百二十円ということです。そうすると、あくまでも平均の話ではございますが、自己負担限度額が一万二千円に引き上げられるといっても、私は、平均的な考え方ですが、実質的な影響はなく、これをもって大幅な負担増であるというような主張には根拠がないと、このように考えます。
 そこで、次に、都とよく比較をされる他の県との制度の違いを見ながら質問したいと思いますが、都は老人保健法に準じて自己負担の導入をしております。ところが、自己負担がないという県が三十四あるとのことです。ただし、私、ここが大事だと思うんですが、幾ら自己負担がなくても、その入り口の所得制限が厳しければ、制度そのものにも入ってこれない。ここをよくいわないで、自己負担をしていないから、いいんだ、いいんだといいます。ところが、この入り口に入らなければ、自己負担だけをもって議論をしても、私は無意味なんじゃないか、このように考えるわけです。
 そこで、よく東京都がこの他の四十六道府県の制度より手厚いといわれている、その特徴について説明してもらいたいと思います。

○野村保険部長 東京都が他の道府県に比べてすぐれている点は幾つかあると思いますけれども、そのうちの一つの例として挙げさせていただきます。
 まず、都の特徴としましては、対象者の範囲について、身体障害の一、二級に限定している県が二十七と半数以上ある中で、都におきましては、これに加えまして、医療ニーズが極めて高い腎臓、それから心臓、膀胱、呼吸器、直腸などの内部障害についても、三級まで対象範囲を広げているというところでございます。

○東村委員 今、具体的に結構細かくいってくれたんですけれども、私が特に考えるのは、東京が他の道府県より非常に手厚いと、このように考えるのは、他の県というのは、市町村事業に県が経費の一部を補助し、実施するかどうかはあくまでも区市町村の判断にゆだねられているんですね。ところが、東京都の場合、あくまでも都の事業として、全額都の負担で、都が責任を持って全区市町村で実施をしているということなんです。これは大きな違いであり、東京都はかなり手厚いことをやっているんだなということを私は改めて実感したわけなんですね。
 今定例会でいろんな問題が出てきました。ただ、私はいいたいのは、自己負担の有無で、その内容だけで制度の優劣を議論するんではなくて、もっといえば、制度全体の仕組みも考慮して議論すべきなんじゃないか、こういいたいわけです。
 今定例会において、理事者の側から心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部改正案が提出され、それに伴って共産党からも条例の一部改正案が出されました。否決されました。つまり、二年前の状態に戻せという、こういう趣旨なんですね。
 そこで、二年前の見直しは、そもそも自己負担や所得制限だけの問題ではなくて、もっと大きなビジョンのもとで見直しを皆さんで議論されて行われたはずなんですが、確認の意味で、もう一度ここで伺いたいと思います。

○野村保険部長 心身障害者医療費助成制度は昭和四十九年に創設されたわけでございますけれども、年金制度の充実、それから老人保健制度や介護保険制度の創設など、社会経済状況の大きな変化を踏まえまして、平成十二年において、負担の公平の観点から、一部負担の導入などの見直しを行ったところでございます。
 その負担額といたしましては、医療保険制度の中でも最も低く、年金生活の高齢者にもご負担いただける程度の負担をしていただくということで、老人保健法に準拠することといたしたものでございます。
 同時に、今先生のお話があったように、新たに策定しました福祉改革ビジョンに基づきまして、障害者の自立支援への新しい展開を図るという観点から、ホームヘルプサービスや知的障害者生活寮など、在宅サービスを中心とする福祉サービスの充実を図ることとしたところでございます。

○東村委員 今お話があったように、二年前は、一つは負担の公平という観点から、しかし、最低限というレベルでこれはとどめたわけなんですね。その上で、新たな障害者の方に対する施策をやっていく、それは自立支援だということをいっていました。
 確かに、障害者が生き生きとした生活を送るためには、やはり私は、何よりも、身近な地域で居住の場や活動の場がないと安心して暮らせないと思うのです。東京の場合は、それを実現するために、いわゆる経済給付型という医療費助成制度などを見直して、在宅サービスを中心とした基盤整備に重点を移したと思うのです。その後も、福祉改革推進プランや、TOKYO福祉改革STEP2において、引き続きこのことが進められている。そして、制度は今着実に進んでいると、私は今実感をしております。
 そこでもう一点、重要な点がありました。それは、二年前の見直しの際にも、強く我が党が要望したことなんですが、本当に配慮すべき方々に対してはきちんと対応すべきであるということなんです。その点については、いささか心配しているわけですが、これらの低所得の方々については、現在どうなっていて、今回の見直しでどのようになるのかということを伺いたいと思います。

○野村保険部長 区市町村民税が非課税でございます低所得の方々につきましては、現行制度では、入院の際の食事代は、これはだれでもが必要なものとしてご負担願っているところでございますけれども、それ以外の医療費につきましては、都が全額を助成しまして、本人は無料となっているところでございます。
 今回の改正案におきましても、この考え方は同様に対応することとしておりまして、変更する考え方は毛頭ございません。

○東村委員 今、確認の意味で質問させていただきましたが、国の老人保健法で導入される二割負担も適用しない、こういうことなんですね。低所得者の方々への配慮についても、約束を守ってくれた。そういった意味で、今回の条例改正案には反対する理由は私はございませんし、今後とも、都として障害者の生活実態をしっかり見据えて頑張ってもらいたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

○河西委員 本議案に対して、ただいまの質疑応答を含めて、この間、私どもは障害者からの声を聞きながら、また議会での質疑を通して、賛成の立場を決めたところでございます。
 それに当たりまして、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について、民主党の意見を一言述べさせていただきたいと思います。
 今回の条例改正で、医療費助成を受けている十一万四千人の障害者のうち、九万四千人の障害者は、引き続き入院時の食事代を除いた無料制度は維持されます。老健法に準じて、高齢者と同様の負担をしている二万人の障害者のうち、法改正により影響があると思われるのは、定額届け出制の診療所に通院している障害者と自己負担限度額を超える医療サービスを受けている障害者であります。
 月四回を限度に、一回八百五十円の負担から定率一割負担と変わりますけれども、十三年度の障害者に係る医療費の実績で平均額を見てみると、障害者の負担額はほとんど変わりません。もちろん平均額ですので、複雑な、また高度な医療を要する重症な障害者の負担がふえるとの指摘もございますが、むしろ重症な障害者は、定額届け出制の診療所ではなく、一般病院や大病院に通院しているのではないでしょうか。
 また、自己負担限度額を超えるような医療サービスを必要とする障害者については、大病院で五千三百円の限度額が一万二千円となってしまうわけですが、これまで病院ごとに設定されていた限度額が、世帯での上限額とされたことで、多くの医療機関に通っている障害者にとっては、デメリットだけとはいい切れません。
 老健法では収入に応じて自己負担限度額を定めており、年金生活者も負担をします。障害者であっても、一定の所得のある世帯は、これに準じた負担額が設定されることは適切ではないでしょうか。
 もちろん、障害者の医療費負担が高齢者と同じでいいのかという疑問もありますが、それは医療面も含めた障害者の生活実態調査を実施し、その上で、全体的な制度設計の中で私たちも検討していかなければならないと考えています。
 今回の条例改正に当たり、一部の人たちが、この制度の趣旨や内容、さらに改正後の自己負担の正確な変更、そしてその影響など、詳細な説明を省き、障害者の不安をいたずらにあおるような宣伝をしているとの声についても、同様な感を抱いております。来年度の支援費制度の導入を前に、障害者は大きな不安を抱いているのは事実でございます。今回の騒動は、こうした障害者の不安に便乗した、実りのないものであったのではないでしょうか。
 私は、支援費制度の導入を前に、障害者の不安を解消することが東京都に課せられた最大の課題であると認識しています。そのためには、心身障害者施設緊急整備三カ年計画を着実に実施するとともに、生活寮や通所施設など地域で生活できる基盤整備の充実に向け、新たな施策を展開していくことが必要であります。その実行を改めて東京都に強く求め、私の意見を終わりたいと思います。

○吉田委員 それでは、高齢者と障害者の医療費助成制度の条例改定案について、若干質疑をさせていただきます。
 まず、老人医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例についてですけれども、障害者の分野でさらに詳しく見解を述べますが、いずれにしても、二割負担を導入しなかったにせよ、資料で示されているとおり、八割を超える都内の医療機関は定額制を採用してまいりました。その定額制が一切廃止をされて、完全一割定率制、しかも上限額は二倍から三倍を超える形ではね上がる、これは明らかに高齢者の方々に対する負担を押しつけるという結果になります。
 しかも、これは高齢者の方々の実感によるものですけれども、今日の不況が深刻になり、収入が低下している、その一方で、介護保険の保険料、さらに利用料等々のいわば社会保障にかかわる負担は年々増加をしているという中で、今回のマル福に対する国の医療改悪に連動した負担増は、二重、三重の負担を押しつけるというものだと思います。
 二つ目に、今回の条例改定に当たって、従来は、その助成の対象は六十五歳以上、そして老人保健法の対象に当たらない方々という規定でした。しかし、今回の条例改定で、七十歳未満ということを明記するということが提案されています。
 ところが、今までは七十歳からが老健法の対象でしたけれども、皆さん方ご承知のとおり、この老健対象年齢というものは段階的に引き上げられて、いよいよ七十五歳になるということになります。にもかかわらず、マル福の対象年齢は七十歳で打ち切るということは、この間の議論の経過からしても、私は、やはり整合性がとれないのではないか。
 しかも、私たちは、マル福を段階的に廃止すべきではないということを主張してまいりました。現時点で改めて、そもそも国のいわゆるマル老、老健の対象年齢、あるいは負担のあり方そのものの全面的ないわば見直しがされているという条件下ですから、私は、そういうマル福の廃止を決めた当時と比べても、さまざまな制度的な諸条件の変化があるわけですから、改めて廃止決定をそのまま続けるのかどうかということが再検討されるべき事態ではないのかという、以上三点を申し上げまして、この老人医療費の助成に関する条例の一部改定に反対であるということをまず述べさせていただきます。
 次に、障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例についてです。
 今議論がありましたので、若干それにかみ合わせて発言をさせていただきたいと思いますが、大幅な負担増になりかねないということが、何か極めて現実を否定した誇大な宣伝であるかのようないわれ方がされました。
 しかし、現実に上限額は、定額制を利用していた方々は、一回八百五十円、月四回、すなわち上限三千四百円、大学病院を使われていた、二百床以上のベッドを持つ医療機関を使われていた方も、月額五千三百円、これが今度の上限が一万二千円ということになるわけですから、二倍、三倍を超える上限額の負担増になるということは、もうこれは議論する余地のないことだと思うのですね。したがって、あえてこのこと自身について質疑はいたしません。
 しかも、在宅サービスが充実をされた、福祉施策全体は向上しているではないかという議論がありました。それで、当初予定はしておりませんでしたけれども、ちょっとお聞きしたいんですが、マル障の自己負担を導入する以前の一九九九年の予算と今年度予算を比べたときに、障害者の福祉予算は果たしてふえたんでしょうか、減ったんでしょうか、まずそのことをご答弁ください。

○野村保険部長 ただいまご要求のございました時点は、ちょっと持ち合わせがございませんので、ちなみに、ご要求のございました厚生委員会資料で申し上げますと、平成十一年度の予算額が二百三十三億二千万、それから平成十二年度が二百二億七千六百万、それから平成十三年度が百五十六億七千九百万、平成十四年度が百六十八億五千万というふうになっております。

○吉田委員 私は、だから、一部負担を導入したこともあるけれども、在宅福祉など福祉施策を強化されたかのようなご答弁があるから、トータルで障害福祉費の予算はふやしたんですか、減らしたんですかということをまず確認したいんですよ。

○有留障害福祉部長 心身障害者福祉施策予算の推移について申し上げます。
 平成八年度、六百五十三億九千四百万円が一般会計の心身障害者福祉費でございます。これに対しまして平成十三年度は、八百七十八億二千万円でございます。

○吉田委員 間違いありませんか。私の認識では、障害福祉費は百億からの単位で予算上では減っているはずなんですけれども、私の認識、間違いですか。もう一度、もし私のいい方が間違いだったら訂正してほしいんですけれども、障害福祉費全体ですよ。

○内海企画担当部長 福祉費の心身障害者福祉費でございますが、十一年度の予算額が一千二十三億六千二百万円、それから十四年度におきましては七百二十七億二千二百万円でございます。ただし、これは科目間、若干のまちづくり等の変動がございますので、そのまま差額が心身障害者福祉費の減ということにはならないと思っております。

○吉田委員 医療費助成の部分が保険費用に移されておりますけれども、それをもとに従来型に計算しても、以前、計理課の方から資料を出していただきましたけれども、障害福祉費はこの間、見直しをやった直前と最新の今年度予算では、総額で約百億のマイナスだというのが現実の経過なんですよね。
 しかも、在宅福祉の強化ということをいいますけれども、例を挙げれば切りがありませんが、例えば視覚障害者の方々の点字図書、まさに社会参加をするためには不可欠の一つの手段ですけれども、この点字図書の発行図書数は、この間、半分に減らされているということもあるということを、私は指摘をさせていただきます。
 次に、障害者の医療費助成の問題について、先ほど、月二千四百六十五円、さらに今度の改定で二千五百余円というふうにご答弁がありました。これはあくまでも平均値ですから、個々の障害者の方々の実態には合わないという方が当然いらっしゃると思うのですが、まずこの数そのものもなんですが、これは障害者一人一人で割り返した数じゃなくて、レセプトの件数で割って出した数じゃないんですか。

○野村保険部長 まず、算定方法について申し上げます。
 算定方法でございますけれども、これは、平成十三年度の東京都国民健康保険団体連合会のレセプトの請求件数実績に基づきまして、請求のあった総日数をレセプトの総件数で割り、平均受診日数の二・五日を出しまして、それに定額制の一回当たり単価八百五十円を掛け、二千四百六十五円と算定したところでございます。お話の趣旨からすれば、レセプトをもとに算定したところでございます。

○吉田委員 これは私、数字について疑問があったものですから確かめたんですけれども、結局一人という単位じゃなくて、一人の方が、例えば二つの医療機関になれば、レセプトが二件なんですよ。それで割り返すということになりますから、そもそも、たとえ平均値であったとしても、正確な一人当たりじゃないわけですよね。一人当たりで割り返したら、どのぐらいの金額ですか。

○野村保険部長 今お話しの趣旨で計算をいたしました。ちなみに申し上げますと、平成十三年度の平均受給者数は十一万六千九百三十四人でございますので、一人一月当たりのレセプト枚数、先ほどの枚数を割りますと、一・一六枚となります。つまり、一人で一・一六枚のレセプトを出しているということになります。これに基づきまして補正をいたしますと、自己負担額は、現行の定額制では二千八百九十円、改正後の定率制では、一割負担では二千九百二十円となります。
 ちなみに、先ほどの数字を申し上げますと、定額制では二千四百六十五円、それから定率制では二千五百二十円ということで、算定の方法は違いますけれども、数字的にはそう大きく違いはございません。

○吉田委員 一人当たりであるかのような印象を与えると思いまして、あえて、細かい点ですけれども、たださせていただきました。
 さて、先ほど、医療費の無料化に戻すべきだという条例について、我が党の提案についてお話がありましたけれども、そういうことをいうなら、昨日、本会議で、委員会付託をしない、否決をするというんじゃなくて、この委員会に付託をしてほしかったですよ。(「そんなのいったってしようがないよ」「議事運営の問題は」と呼ぶ者あり)いや、議事運営の問題じゃないですよ。そうして議論すべきことじゃないかということを、まず私は……(「審議方法は議会運営委員会で決めるんだよ」「そんなのは議運でやってくれよ」と呼ぶ者あり)触れるならば、ここでやるべきだったんですよ。(「議運じゃないか」と呼ぶ者あり)議運じゃないよ。皆さん方が否決したんじゃないですか、付託することを。そのことをいいたいんだよ。(発言する者あり)
 さて、負担の問題ですけれども、私はやはり障害者の方々の実感からすれば、今示された平均値で、たとえ一割負担、上限が上がったとしても軽微であるというのは、到底そういう受けとめにすることはできないと思うんです。もちろん、中には負担の軽微な方もそれはいらっしゃるでしょう。しかし、障害者医療ということを考えた場合には、もう継続的に定期的な入院、検査、在宅での投薬、外来を受けなければ生き続けられないという方々が現実にいらっしゃるんですよ。すなわち、上限額に到達し、さらに超えるような方々がいらっしゃるんです。そういう方々の問題について、皆さん方はどのようにお考えですか。

○野村保険部長 お話のとおり、今のようなケースがあるということは我々も十分承知しております。ただ、一言申し上げますと、私どもが施策を進めていく場合には、やはりあくまでも都民大多数の利益を、幸福を追求するということでございますので、私たちとしてはあくまでも大多数の方を中心に施策を構成いたします。したがいまして、その際には、先ほど申し上げましたとおりの医療についても、平均値でどうなんだという議論をまずいたします。
 ただ、それですべてよしというふうにしているわけではございませんで、当然そこから、はみ出していく部分があるということは十分承知しておりまして、それにつきましては、謙虚に声に耳を傾けながら施策に反映していきたい、かように思っております。

○吉田委員 やはりそういうケースがいらっしゃるということを今いわれましたけれども、例えば私どもに寄せられている声を、一、二紹介しますけれども、子供が生まれて十一年、何度も肺炎にかかり入院し、外来訓練は欠かせず、病院なしの生活は考えられません、二十四時間の私たちの生活をよくご理解いただいた上で何事も決定してください。また、私の娘は、一日八種類の薬を毎日服用しています、一カ月の医療費負担はとても大きいのです、まだこれからも薬を飲み続けなければなりません、どうか医療費の全額補助をお願いしますと。こういう声が現実に少なからずあるんですよ。したがって、軽微だ、あるいは平均であるということをもって、このような方々の実態を切り捨てるということは、私は行政のあり方として、あってはならないと思うのです。
 さらに強調したいのは、医療費だけではありません。例えば通院にかかる交通費、障害を持つがゆえに、一般の電車ではなかなか大変で、タクシーを使わざるを得ないだとか、また、検査入院等々の場合でも、障害のために、大部屋ではなくて、負担があったとしても個室に一定期間入らざるを得ない、そういう医療費以外のさまざまな医療に関連した負担というものも、私たちはやっぱり目を向けるべきだと思うのですが、そういう実態についてはいかがお考えですか。

○吉川総務部長 先生がおっしゃる個々のケースについて、全部つまびらかに承知しているとはいえません。ただ、いろんなケースがあるということは十分わかります。
 先ほど来、先生のお話を伺っていて、障害者を切り捨てるというようなご発言がありました。今回、私ども福祉局の方で条例案としている背景として、来年の四月からは国民全員が三割負担をするという中で、東京都は障害者の方々の医療費の自己負担一割は堅持して、二割負担は導入しないという決断をしたということを、ぜひご理解いただきたいと思います。

○吉田委員 答弁してよ、私のいったことに。だから、医療費以外の負担があるでしょうと。

○有留障害福祉部長 障害をお持ちの方は、それに伴ってさまざまな費用が負担になるということは事実としてございます。ただ、障害を持つ方の生活実態というのは、障害の程度だとか、就労の有無、家族の状況により、さまざまでございまして、一概に申し上げるのは困難でございます。
 そのため、経済給付においても、障害程度に応じて、障害基礎年金、あるいは東京都独自に心身障害者福祉手当などを行っておりますし、それから、生活上のさまざまなハンディについては、ホームヘルプだとか、あるいはリフトつき乗用自動車の運行助成などの輸送サービスだとか、さまざまな在宅サービスを提供しております。
 さらに、生活寮などの居住の場であるとか、通所施設など日中活動の場の整備を、心身障害者緊急整備三カ年計画などにより、東京都は全力でもって整備しているところでございまして、私どもはこのような全体の障害者施策の前進を通じて、さまざまな障害を持つ方が地域で自立して生活できるように支援を行っているところでございます。

○吉田委員 お話がありましたけれども、やはり平均値で見るのではなくて、上限を超えるような負担の方がどの程度いらっしゃるのか、また、そういう方々の場合、医療費だけじゃなくて、その他の負担がどの程度あるのかということについて、実態調査だとか、あるいは、今回に当たって、ご要望だとかいうことを、何らかの形で調査検討されたんですか。

○野村保険部長 まず、いろんな各種団体などからご要望がございました。ちなみに申し上げますと、例えば東京都障害者団体連絡協議会は、直近で申し上げますと、六月二十六日に開催されましたけれども、その席上、心身障害者医療費助成制度についての意見は特段出ておりませんが、障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会については、平成十五年度予算要求に向けた団体の要請が二回あったほか、二度にわたって個別の申し入れを受けまして、その趣旨は、平成十二年九月の改正前の制度に戻していただきたい、こういう趣旨でございました。

○吉田委員 それは要望があったわけですし、私が聞いたのはそうじゃなくて、皆さん方から積極的にその調査なりをされたのかということですけど、多分それはされてないわけですよね。一例を申し上げますけれども、例えば私の住んでいる杉並区が、障害者の実態調査を行いました。その中で、障害者施策に望むこと、第一位が医療費の助成なんですよ。
 これはあくまでも杉並区だけの固有のものですから、東京全体の調査が、最新のものではありませんから、これしか紹介できませんけれども、私は今後の問題も含めて、きちっとした障害者の方々の生活実態なり要望なりの調査というものは、皆さん方が施策を検討する上で大前提として、大いに努力をしていくべき課題だと思うのですが、改めていかがですか。

○野村保険部長 一つは、私ども今、心身障害者医療費助成の中でご負担をいただいている額、これがまず多いか少ないかということがあると思います。これは限度額として、今後一万二千円になりますけれども、これは現在の医療保険の中で一番低い水準でございます老人保健法を準用いたしておりまして、これは年金生活の高齢者の方もご負担いただくという額でございます。そういうことが一点。
 それから、先ほど申し上げましたとおり、これは平均でございますけれども、私どもが推計しましたところ、あくまでも現在の負担とそれほど違わない負担であるというような推計もしております。こうしたことを踏まえまして、私どもは、今回の改正は決して無理な改正ではないというふうに理解しております。

○吉田委員 後でも議論させていただきますけれども、障害者の医療に対して行政がどう対応するのかということと、高齢者の医療制度というものを、全く同一で私は議論すべきではないと思うのです。やはり法的にも、あるいは実態的にも、個別のそれぞれの固有の問題があるんですよ。高齢者の負担を持ってきたからいいではないかということは、私は障害福祉、東京都としての態度ではないと思うんですよね。
 それで改めてお聞きしますけれども、例えば障害者基本法という法律があります。その中で、障害者の医療あるいは障害者に対する経済的支援、こういうものはどのように規定されていますか、自治体の責務として。

○有留障害福祉部長 障害者基本法第四条に「国及び地方公共団体の責務」という項がございまして、「国及び地方公共団体は、障害者の福祉を増進し、及び障害を予防する責務を有する。」などという規定がございます。

○吉田委員 その部分しか読み上げられませんでしたけれども、障害者基本法の中には、医療についても、また経済的な支援についても、国と自治体の役割というのを明記をしているんです。そういう観点から、この問題について、私は、それはさまざまな評価や考え方の違いがあるかもしれませんけれども、その上で議論すべきであって、単に高齢者の医療負担とレベルが一緒だから問題ないじゃないかということにならないと思うんです。
 やはり障害者の医療については、障害者基本法という規定があるから、したがって、この間、議論がありますけれども、全国の四十七都道府県の中で、三十四府県が無料ということを続けていると思うんですよ。(「所得制限もあるよ」と呼ぶ者あり)全国の七割の自治体が--もちろん所得制限その他の部分的なことはありますけれども、基本的には負担はなしという制度を続けているということについて、どのようにお考えですか。

○野村保険部長 先ほどもお答えしましたけれども、やはりこの制度は、一部負担があるかどうかという一点をとらえて制度のよしあしという議論をするのは、若干違うのではないかというふうに思っておりまして、私どもは基本的には、一番大きな特徴、先ほど一つは内部障害の話もお話ししましたけれども、東村委員からもお話がございましたように、基本的に東京都の責任において、全区市町村でやっておるというこの東京都の優位性というのは揺らがないと思っておりまして、そうした東京都の状況というのは、今お話があった障害者基本法にいう趣旨にも十分合致するというふうに考えております。

○吉田委員 他の県に比べてすぐれている点は否定するわけじゃないですよ。しかし、そのことをもって、七割を超える自治体が自己負担なしで努力をしていることに対して、私はやはりしっかりと--その優位性のみを強調して、それに目を向けないというのはおかしいと思うのです。
 しかも、自己負担十三、東京を含めてですけれども、ほかにも自己負担があるじゃないかということかもしれませんが、障害一、二級という、いわば主な対象者に対して、老健に連動した負担を求めているところがありますか、自己負担しているところの中で。

○野村保険部長 北海道と青森がございます。

○吉田委員 私が知っているのでは、青森は、一級、二級は老健対応じゃなくて、三級のみが老健対応じゃないですか。北海道の場合には、初診のみの一部負担じゃないんですか。私は北海道に電話したんだから。

○野村保険部長 北海道につきましては、負担は初診時に、医科五百八十円、歯科五百十円、柔道整復二百七十円、訪問看護のみ老人保健法に準拠となっております。それから青森は、身体障害一、二級は負担なし、三級のみ老人保健法に準拠というふうになっております。

○吉田委員 ですから、中心的な重度の障害者である一、二級の方々に対して、一律に老健負担を適用する、たとえ所得制限上の配慮があったとしても、それは東京だけなんですよ。それが何らおかしいと思わないというご異論がありますけれども、それは障害者の方々は納得できないんじゃないんでしょうか。
 しかも、全国を調べられたというふうに聞いておりますけれども、長崎県が十月から見直しをすると私も聞きましたが、どのように承知していますか。

○野村保険部長 私どもが承知しておりますところは、従来は定額八百円を月四回、三千二百円を負担いただいたものを、十月一日から、八百円の二回、千六百円にするという予定だというふうに聞いております。

○吉田委員 もともと定額制で低い負担を、それでも障害者の方々、他県の状況を配慮して、上限を四回から二回、すなわち三千二百円から千六百円に下げるという努力をしている県まであるということを、私は自治体の本来の姿として、大いにやっぱり勇気づけられる思いですよ。
 それでお聞きしたいんですけれども、主な対象者に対して老健準拠というシステムをとっているのは東京だけなんですよね。そうしますと、国の老健法あるいは高齢者医療費の負担が変わるたびごとに、自動的に障害者の負担もふえていくということになりますね。

○野村保険部長 ただいまのお話でございますけれども、今回、私どもが提案をしております条例では、老人保健法に単純に準拠いたしますと、一部の一定以上所得者については二割負担が入ってくるということになります。これにつきましては、私どもは、心身障害者の方の実態を踏まえまして、一割にとどめるという結論をしたところでございまして、単純に、老健法が改正になったから、そのまま二割に上がるというものではないと考えております。

○吉田委員 しかし、そうはいいますけれども、ベースは老健法なんですよ。あくまでも、二割負担を導入しないというのはただし書きなんですよ。老健法そのものが今どうなるかわからないときに、私は改めて、全国で東京だけという老健法準拠そのものを再検討するときなんではないかということをいいたいんですよ。
 しかも、これは障害者の、障害児をお持ちの方々の声ですけれども、老人医療と障害者医療は全く別の存在、同じ負担をさせるなんて理不尽な理屈です、絶対にやめていただきたいという声があるんですよ。なぜ障害者の医療費の自己負担を高齢者の医療費の自己負担と連動させるんですか。

○野村保険部長 まず一点、確認から申し上げます。老人医療費の助成条例と、それから心障の医療費助成条例が、対象者に同じ負担をさせているというふうなご発言がございましたけれども、これは私どもは、心身障害者の医療費助成条例につきましては、対象者十一万四千人、そのうちの九万四千人に当たる方につきましては、住民税非課税ということで負担をいただいておりません。一部負担をいただいておりますのは二万人でございます。それが一点。それに対して老人医療費助成条例というのは、基本的にそういう点で、かなり制度的に違うだろうというふうに思っております。

○吉田委員 私がいったのは、マル福とマル障の関係をいっているんではなくて、国の高齢者の医療費の負担制度というものを、なぜ障害者の自己負担に、一〇〇%でないにしても、基本としては持ち込んでいるんですかということをいっているんですよ。

○野村保険部長 私どもは、これは都だけの問題ではなくて、やはり国全体の中での整合性をとるべき問題だろうというふうに考えております。現在の高齢者と心身障害者、確かに状態的には違うものございますけれども、その両者の方の全体の医療保険の中の位置づけ、それから国民の整合性、公平の負担等々を勘案いたしますと、やはりこれにつきましては、同じような所得のある方につきましては同程度の負担をしていただかないと、国民の間の負担の公平は図れないだろうというふうに考えておりまして、心障の医療費につきましても、これは医療保険の中では一番軽い負担でございます老人保健法の考え方を準拠してとっているところでございます。

○吉田委員 そういう考え方が、やはり障害者基本法の立場とずれている。それは、何か私が声高にいっているようですけれども、全国の都道府県の所得基準その他さまざまな、部分的には東京が優位な点もありますけれども、一番大きな問題である自己負担という点では、三十四県が無料にし、一部負担を導入しているところも、極めてその負担額がわずかだという事実を見ても、そうした他県の状況を見ても、東京都の国の老人医療費の自己負担と基本的に連動させるという考え方、やり方、それをこの機会に私は再検討すべきだ。そういう意味で、私たちは無料化に戻す条例提案をさせていただいたものであります。
 最後に、先ほど障害者団体との関係のことがありましたけれども、障害者の施策にとって、医療費助成制度というのは、一つの大きな分野だと思うんですよね。これを、私が聞いた限りでは、何ら事前に障害者団体、関係者に対して説明し、意見を求めるというふうなことがどうもされなかったような印象なんですけれども、どのようにこの間、条例準備の過程でされてきたんでしょうか。

○野村保険部長 先ほどは二団体についてのお話をいたしましたけれども、ほかの団体の要請についてもお話しいたします。
 まず、東京都腎臓病患者連絡協議会さんとは六月二十五日、それから社会福祉法人東京都知的障害者育成会さんについては六月二十七日、それから障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会さんにつきましては七月五日と七月十五日、それから東京高齢者共同行動さんにつきましては七月三十日、それから東京視力障害者の生活と権利を守る会につきましては八月六日と八月十九日、それから三多摩肢体障害者協議会及び清瀬障害者と回復者を守る会につきましては九月三日、それから障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会につきましては九月六日、それから東京都知的障害者養護学校PTA連合会につきましては九月九日、それから東京都肢体不自由養護学校PTA連合会につきましては九月十日、それぞれ要請を受けまして、その要請を十分承った上で決断したものでございます。

○吉田委員 だから、それは先方から皆さん方に、要請行動に来られたわけでしょう。そうじゃなくて、例えば障害者基本法でも、各都道府県ごとに、障害者施策についての協議会を設置する、そこで必要に応じて協議をするという仕組みだってとられているじゃないですか、公的に。そういうところで、そういう場で皆さん方から積極的に、今度こうしたいんだけど、どうだろうかという意見を求めるという行動はされたんですか。

○野村保険部長 今お話しのようなことはしておりませんけれども、今るる申し上げましたとおり、各種団体さんの要望は十分承った上で決断したわけでございまして、その趣旨においては変わりはないというふうに了解しております。

○吉田委員 これはやはり、障害者は障害者にかかわるすべての施策について意見を述べ、参画することができるというのは、障害者福祉の国際的な到達点なんですよ。これだけ医療という大きな分野であるにもかかわらず、結局、要望が来た団体はちゃんと話は聞きましたよというだけでしょう。しかも、いわせていただきますけれども、その出された要望というものは、東京都の今回のやり方について、多数が了解というスタンスですか。

○野村保険部長 種々意見がございますけれども、確かにお話のとおり、十二年九月の改正前に戻していただきたいという意見が多々ございました。ただ、これはあくまでも、私どもはそういう要請を受けまして、さまざまな観点から、都民全体のバランス、高齢者とのバランス、都全体のバランス、そうしたものを考慮いたしまして判断しているわけでございますので、その判断に誤りはないと考えております。

○吉田委員 誤りはないということを強調されましたけれども、結局、皆さん方のところに切なる思いで要望された方々の意向とは、全く反対の方向だということなんですよ。それでは私は、何のために障害者の方々の意見を聞くのかという問題にもさかのぼっていわざるを得ないわけですね。
 したがって、私は障害者基本法に基づく本来の行政の責任という点でも、また他県との現実の努力という点でも、さらに障害者団体の現実の要望という点でも、それに今回の条例改定は反するものだということを述べさせていただきます。
 もう一つ、今回の条例案で、老人医療センターの百八十日を超える長期入院者について、診療報酬の改定に伴って、いわば診療報酬が削減される部分を患者負担にするということが提案されている件についても、一言いわせていただきます。
 私どもも調べましたけれども、診療報酬上はそういうふうにマイナスになる。しかし、自動的にそれを患者負担にするかどうかは、いわば医療機関の判断でできることだというふうに承知しています。現実に民間の医療機関の中でも、百八十日を超えた分を新たな負担にしないという方向で努力をしている医療機関もありますし、また自治体病院の中でも、新潟、そして栃木ですか、それは徴収しないということを既に意向として表明をされている自治体もあるというふうに聞いております。
 また、該当者は極めて少ないというご説明がありますけれども、それだったら、あえてこの百八十日を超えて診療報酬が一定下がる分を、ストレートに患者負担にはすべきではないということを、この点についても述べさせていただきます。
 以上で終わります。

○山口委員 今回の医療費助成条例改正について何点か伺います。
 医療制度改革に伴い、東京都がとった医療費助成改正のスタンスと概要について伺います。

○野村保険部長 老人の医療費の助成に関する条例につきましては、平成十二年の第一回都議会定例会で、平成十九年六月三十日をもちまして制度の廃止が決定されておりまして、現在は経過措置期間であることから、現行の医療費助成の水準を基本的に維持するという観点に立ちまして、改正案をまとめてございます。具体的には、先ほど申し上げましたとおり、一定以上所得者の二割負担は導入しない、自己負担限度額の引き上げ、定額制の廃止は実施することとしております。
 また、心身障害者の医療費の助成に関する条例につきましても、一定以上所得者の二割負担は導入せず、平成十二年の第一回都議会定例会で一部負担を導入したときの老人保健法準拠の観点に立ちまして、自己負担限度額の引き上げ、定額制の廃止を提案しているところでございます。

○山口委員 では、国の限度額設定の根拠について把握されているのかどうか、伺います。

○野村保険部長 今回改正されました老人保健法の自己負担限度額についてでございますけれども、国の方からは、各制度、各世代を通じた負担の公平の観点から、政府と与党との間の調整により決まったものであるとの説明を受けているところでございます。

○山口委員 先ほど来、そこの平均的なというところで大変大きな問題を呼んでいるのですが、障害を持つ人、特に高度医療を要する重度、重症の人にとっては、やはり限度額が外来千二百円、今までの約三倍になるという負担増になります。
 外来の場合ですと、一カ月の合計医療費による上限一回一割負担の方が、実質的には負担が軽減される人もいます。しかし、一般に該当する人が約二万人の中、そしてまたごく少数といえども、一回の診療費が高い人にとっては負担増となる点についてどうお考えでしょうか。私は、こうした人たちにとってこそ、行政が守る役割があるのではないかと考えますが、ご所見を伺います。

○野村保険部長 今回の老人保健法の改正では、従来は、かかった病院ごとに自己負担限度額を定めまして、二つの病院にかかりますと、自己負担限度額が二倍になっていましたけれども、改正案では、個人ごとに算定をいたしまして、幾つの病院にかかっても、外来一カ月の限度額を一万二千円としたところでございます。
 この額は、医療制度改革の中で、各制度、各世代を通じた負担の公平の観点から定められたものでございまして、医療保険の中で最も低い額であり、年金生活の高齢者の方にもご負担をいただいているところでございます。
 ただ、今、先生のお話があったとおり、いろいろな事情の方がございます。その方につきましては、我々も十分配慮していきたいというふうに思っております。

○山口委員 では、外来は個人で、入院は世帯の限度額という、両方が一カ月に生じた場合について、各医療機関の合算をどのように把握するのか、また、限度額を超えた場合の償還払いの方法について伺います。

○野村保険部長 受給者が各医療保険機関等に支払った一部負担金のデータは、都が委託しております審査・支払い機関でございます東京都国民健康保険団体連合会が、一カ月ごと、また各個人ごとに集計をいたしまして合算等を行っております。
 また、自己負担限度額を超えた場合には、東京都国民健康保険団体連合会の方から区市町村に連絡をいたしまして、区市町村から高額医療費相当額として、該当する受給者の方に個別に通知をいたしまして償還することとしております。

○山口委員 障害者家族の医療費負担増の実態について、先ほど来伺っていますので、今回質問の時間もなるべく短くするようにということですので、このことについては、さらに具体的には伺いません。
 一昨日ですが、私どもの生活者ネットワークの代表質問におきましても、障害者の生活実態調査がどうなっているのかということを伺いました折、局の方からも、五年ごとに調査をしていると。ちょうど来年がその調査報告の時期となるということですが、この機会に、障害者家族の医療費負担や生活の実態とリンクした総合調査を進める必要があるかと思います。
 先ほど吉田委員の方からありました、杉並区ではそういったことも実施しているというのであれば、東京都とそれぞれの区市町村との連携の中で、特にプライバシーにかかわるとなれば、抽出した何人ということはできないかと思いますが、せめて区市町村との連携の中で、一定の方の了解を得て追跡調査というような形で、ぜひ今後、医療費と、それから生活実態のリンクした総合調査を要望いたします。
 次に、七十歳から七十四歳の人の場合は、一定所得を超えると二割負担が生じるが、六十五歳から六十九歳のマル福該当者については、これが適用とされないものです。とすると、七十歳の誕生日を迎え、二割負担となる人には矛盾が生じると思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

○野村保険部長 先生お話しのとおり、今回の老人保健法の改正によりまして、七十歳から七十四歳までの高齢者につきましては、医療保険が適用になりまして、基本的には老人医療費助成制度の対象者と同様に、一割負担で医療を受けることができますけれども、一定以上所得者につきましては、二割負担となるところでございます。
 確かに、この部分で逆転現象が生じますけれども、しかしながら、二つ理由がございます。一つは、老人医療費助成制度のもともとが、所得制限を超える所得があって助成の対象とならない方、これは現在でも半分近くおりますけれども、この方は三割負担をしております。それから二つ目としては、そもそも七十五歳以上の老人保健法の対象の方につきましても、やはり同じように一定以上所得者については二割負担が生じるということがございますので、それらの諸事情を勘案いたしますと、私どもとしても、非常に矛盾は感じながらも、やむを得ないものかなというふうに判断しております。

○山口委員 このように大変複雑な今回の医療制度の改革なんですが、私もさまざまな広報で、この老人保健法改正の説明を見ますが、どれも大変理解しにくい、今回こういった細かいところについては、なかなか気がつかない部分もあるかと思います。今回の条例改正について、採択されるものとしても、翌日施行されるわけですね。対象者への周知徹底については、どのように東京都としては考えておられるのか、伺います。

○野村保険部長 ただいまの広報の中身が理解しにくいという点につきましては、率直に反省をいたしまして、今後わかりやすい広報に努めていきたいと思っております。
 あと、どのような広報をしてきたかでございますけれども、まず七月には、老人医療費助成の医療証を更新いたしますけれども、その際、また、九月に心身障害者医療費助成の受給者証を更新する際に、全対象者にこのくらいの小さい手引書を配布しておりまして、その手引書の一番最後に、一部負担金に変更があり得るということをお知らせしたところでございます。
 それからまた、四百六十七万世帯でございますけれども、都内全戸に配布いたします「広報東京都」の九月一日号でも、同様のお知らせをしたところでございます。またさらに、近々発行いたします十月一日発行の「広報東京都」にも、自己負担限度額の変更及び高額医療費の支給について登載する予定にしております。
 今後も引き続き、各区市町村や東京都医師会等とも密接に連携しながら、あらゆる方法を活用して、都民への周知に努めてまいりたいと思っております。(「議会議決がない前にもう印刷に行っちゃってるの」と呼ぶ)

○山口委員 そういった書物とかパンフレットというのも、高齢者の方、また障害者の方にとっては、もう本当に見ることすらもおっくうになってしまうというような状況の中で、今後はこれも大いな課題だと思います。
 今、小松委員からもありましたが、新しいシステムに向けて着実に準備が進んでいるとなると、今議会採択されると見越しての提案となると思います。もう少し早めにこうした重要な審議をする必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

○野村保険部長 先ほどちょっと説明が足りませんで、恐縮いたしました。
 私ども「広報東京都」とかでさまざまに広報はいたしましたけれども、これはあくまで議会のご議決がないと動かないものでございますので、あり得ます、そういうこともあり得ますという、そういう広報をいたしておりますので、そこら辺、誤解のないようにお願いいたします。(小松委員「十月一日のはもう印刷できているんでしょう」と呼ぶ)それも、すべて予定ということで全部記載してございます。
 それから、今お尋ねの老人保健法の改正の件でございますけれども、老人保健法の改正案につきましては、国会においてはさまざまな論議がさらになされた後に、七月二十六日に成立いたしまして、八月二日に公布され、八月の五日になって初めて国から都道府県に対して概要の説明がございました。
 しかも、法律の施行日は十月一日というふうに決められておりましたことから、都といたしましても極めて限られた時間の中で条例改正作業を行うことになりまして、これまで準備を進めてきたところでございます。

○曽雌委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 これより第二百二号議案及び第二百三号議案に対する決定を行います。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 初めに、第二百三号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○曽雌委員長 起立多数と認めます。よって、第二百三号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第二百二号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○曽雌委員長 起立多数と認めます。よって、第二百二号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で第二百二号議案及び第二百三号議案の審査を終わります。
 なお、第二百一号議案につきましては、十月三日の委員会で採決を行いますので、ご了承願います。

○曽雌委員長 次に、二件の報告事項、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについて及び社会福祉法人に関する補助金等検討委員会報告についてに対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○吉川総務部長 過日の委員会で要求のございました報告事項に関する資料につきまして、先ほどの厚生委員会資料にまとめてございますので、説明させていただきます。
 表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、中ほどから報告事項関係資料をお示ししてございます。全部で十八項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 恐れ入りますが、一一ページをお開き願います。都立福祉施設の運営経費として、高齢者施設、児童施設、障害者施設の歳出と歳入について、平成十三年度決算額を記載してございます。
 次に、一二ページをお開き願います。都立福祉施設の施設整備費の推移として、過去十年分の決算額を記載してございます。
 一三ページをごらん願います。施設入所待機者等の状況として、高齢者施設、障害者施設、児童施設の待機者数等を施設種別ごとに記載してございます。
 次に、一四ページをお開き願います。職員配置に関する比較として、特別養護老人ホーム、児童養護施設、知的障害者入所更生施設別に、利用者定員、職員定数、職員一人当たりの利用者数、職員団体要求の趣旨について、比較的規模等の類似している都立と民間の施設を対比して記載してございます。
 一五ページをごらん願います。板橋ナーシングホームの直接処遇職員定数として、特別養護老人ホーム分の平成十二年度から平成十四年度までの利用者定員と定数を記載してございます。
 次に、一六ページをお開き願います。都立高齢者施設の居室状況・利用者数として、板橋及び東村山の老人ホーム、ナーシングホームそれぞれにおける居室状況と利用者数を記載してございます。
 一七ページをごらん願います。民間社会福祉施設サービス推進費補助の概要として、グループ別の算定によるいわゆるA経費と、施設の規模別等の算定によるいわゆるB経費、それぞれの目的、基本的な考え方、補助方式等を記載してございます。
 次に、一八ページをお開き願います。民間社会福祉施設サービス推進費補助の施設種別ごとの交付実績として、平成十三年度決算におけます施設数、定員、交付額を、A経費とB経費別に記載してございます。
 一九ページをごらん願います。民間社会福祉施設サービス推進費補助の施設所在地ごとの交付実績として、平成十三年度決算における各区市町村ごとの施設数、定員、交付額をA経費とB経費別に、一九ページから二一ページにわたって記載してございます。
 次に、二二ページをお開き願います。民間社会福祉施設運営費への都の任意補助の状況といたしまして、施設種別ごとに、民間社会福祉施設サービス推進費補助とその他の補助に分けて、平成十四年度予算額を記載してございます。
 二三ページをごらん願います。福祉サービス提供主体の改革への取り組みについて等に対する主な要望として、都に寄せられた要望の中から抜粋したものを記載してございます。
 次に、二四ページをお開き願います。認可保育所への企業参入の状況として、企業が設置したものと自治体が設置したものに分けて、保育所の名称、所在地、設置者、運営者について記載してございます。
 二五ページをごらんください。認可保育所及び認証保育所の保育従事職員配置基準を記載しておりますが、認可保育所につきましては、国基準と都加算補助基準についてお示ししてございます。
 次に、二六ページをお開き願います。認可保育所と認証保育所との比較として、保育担当職員の平均年収と保育料について記載してございます。
 二七ページをごらんください。知的障害者入所更生施設における支援費と利用者負担の基準として、(1)では一月当たりの支援費の単価について、二八ページ、(2)では利用者本人の負担額について、二九ページ、(3)では扶養義務者の負担額について、それぞれ国から示された案を記載してございます。
 次に、三〇ページをお開き願います。都立知的障害者児施設障害程度別一覧表として、平成十四年四月一日現在におけます各施設ごとの定員と入所者の障害程度を記載してございます。
 三一ページをごらんください。都立知的障害者更生施設における自活訓練事業実施状況として、平成十四年九月一日現在におけます各施設ごとの実施状況を記載してございます。
 最後になりますが、三二ページをお開き願います。元高齢者施策推進室長の逮捕、起訴に係る事件の概要を記載してございます。
 以上、要求のございました報告事項に関する資料につきましてご説明申し上げました。
 よろしくお願い申し上げます。

○曽雌委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 私は、まず福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてから質問をさせていただきます。
 今まさに都は、地域での自立を支える新しい福祉を目指し、福祉改革を行っております。私は、去る二月に策定されましたTOKYO福祉改革STEP2を大変興味深く拝見いたしました。そこでは、子供、障害、高齢の各分野で、地域での自立生活を支援していく施策を掲げ、新しい福祉を充実させながら、都立福祉施設を改革していくと描かれております。
 これまでの福祉が、とかく提供する側の都合に合わせてサービスが提供されてきたことに対し、利用者本位を徹底するとの理念が掲げられております。そのために、サービスの提供主体の改革が必要とされています。私は、この改革の方向については賛同いたします。
 しかし、改革は広く都民の理解を得る形で行われなければならないと思います。利用者の立場に立ち、広く都民の理解を得ながら、この言葉は、きのうまでの代表質問、一般質問における川崎新福祉局長の繰り返される答弁の中からも、福祉改革に対する力強い熱意を感じることができました。しかし、これが断じて絵にかいたもちであってはならないわけであります。我が党は、都民の目線を持って、その視点から、まず都立福祉施設についてお伺いをしたいと思います。
 福祉改革STEP2には、都立施設と民間施設の利用者一人当たりの経費の比較が書いてあります。知的障害者施設で約二・六倍、児童養護施設で約一・七倍となっておりますが、都立施設が都民の税金で賄われる以上、福祉施設といえども効率性が求められると思いますが、この差の要因が何であるのか、団体改革担当部長にお伺いをいたします。

○片岡団体改革担当部長 都立施設は、利用者一人当たりの直接の処遇職員の数が多いこと、職員の平均年齢が高く、人件費の単価が高くなっていること、また、施設の構造上の問題により、修繕費や光熱水費等の施設の維持管理費コストが高いことが主な要因でございます。

○山加委員 職員の数が多いのが一因ということですが、それはなぜでしようか、お伺いいたします。

○片岡団体改革担当部長 都立施設におきましては、従来、民間施設では対応が困難であった最重度の障害者などを受け入れてきたような経緯がございます。そのようなことから、民間施設より多くの直接処遇職員を配置してきたものでございます。

○山加委員 確かに、かつては障害者施設でいえば、最重度、重度障害者の受け入れが都立施設での役割でした。しかし、今は民間施設においても最重度、重度障害者の受け入れが進んできております。それにもかかわらず、職員配置は、民間では利用者二人に対し職員一人であるのに対し、都立は利用者と職員が一対一となっております。利用者からの視点からいえば、自分のニーズに合った質の高いサービスが受けられることが必要なことであって、都立でしかそれができないということではないと思いますが、障害福祉部長にお伺いをいたします。

○有留障害福祉部長 民間施設に対する加算でございますが、民間施設に対しては、重度障害者二人について一人の職員となるよう加算しております。都立施設におきましては、最重度、あるいは処遇の非常に困難な重度障害者を処遇するということで、一対一の処遇をしているところでございます。
 ご指摘のとおり、入所施設における重度障害者の受け入れ状況を見ますと、都立施設では七五%、民間施設では六二%となっております。したがいまして、民間において大分受け入れが進んでおりまして、民間においてニーズに応じられるサービス提供体制が整えば、重度障害者の処遇は十分可能であると考えております。
 また、重度と中軽度の障害者を一緒に処遇すること、ボランティアの大幅な導入など、地域社会の連携を図るとか、民間施設の創意工夫を生かした特色ある運営で、より質の高いサービスの提供が期待できると考えております。
 今後、民間施設においても、重度障害者や最重度障害者が安心して生活できるようなサービス体制づくりに努めてまいります。

○山加委員 都立施設といっても、それぞれの施設で状況も役割も異なってくると思います。これらを踏まえた上で、都立施設改革を実施していくべきと考えますが、団体改革担当部長の見解をお伺いいたします。

○片岡団体改革担当部長 既に介護保険が導入されておりまして民間の進出が著しい高齢者の分野、また、来年度から支援費制度が導入されます障害者の分野、措置制度が維持されておりまして新たな事業所の参入が少ない児童養護分野など、分野ごとに置かれている状況が異なっております。また、同じ分野の中でも、施設によって定員、規模等の違いがある。そういった意味で、個々の施設の状況にも異なる点がございます。この点はおっしゃるとおりかと存じます。
 都立施設の改革に当たりましては、お話のとおり、これらの状況も踏まえながら、七月に定めました方針に基づいて実施していくことが必要であるというふうに考えております。

○山加委員 都立だから、民間だからということではなく、東京都の責任は東京の福祉総体の充実を図ることであると考えます。都民の多様な福祉ニーズにこたえ、地域での自立を支える新しい福祉を目指すためにも、都立施設の運営から、例えば生活寮の重点整備、地域移行支援の仕組みづくりなど、役割の重点をシフトしていくべきと考えますが、企画担当部長の見解をお伺いいたします。

○内海企画担当部長 東京における福祉全体のレベルアップを図ることが都の使命でございまして、利用者本位の福祉を徹底する新しいシステムを構築することを目指しまして、現在、福祉改革を推し進めているところでございます。
 この改革を進め、地域での自立を支える新しい福祉を実現するために、ご指摘のとおり、都は、直接的福祉サービスの提供者という立場から、福祉サービス基盤の充実や新しい福祉システムを適正に維持向上させていくことに、みずからの役割の重点を移していくことが必要であると考えているところでございます。

○山加委員 続いて、社会福祉法人改革についてお伺いをいたします。
 民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築が外部の委員会からも提言されておりますが、人件費補助であるいわゆるB経費は、本日提出されました厚生委員会の資料によれば、一施設当たり年間一千七百三十万円補助とされております。これは平均ですけれども、補助が一番多い施設と一番少ない施設では、それぞれどのくらい出ているのでしょうか、お伺いいたします。

○内海企画担当部長 平成十三年度実績で、B経費を一番多く補助している施設には、年間で約九千万円の補助を行っております。その一方で交付されていない施設もございます。

○山加委員 今、年間で約九千万円の補助を受け取っている施設がある一方で、全く交付されていない施設もあるということですが、どうしてこのような差が生じるのでしょうか、お伺いをいたします。

○内海企画担当部長 民間社会福祉施設サービス推進費のいわゆるB経費は、利用者一人当たりの単価に、施設利用者数と施設職員の平均経験年数をもとにした助成率を乗じて、補助額を算定しているものでございます。この助成率について、保育所を例にとりますと、平均経験年数が五年以下だと、その助成率がゼロ%、十年で一八%、十八年以上では五一%となるというような状況でございます。
 このように、B経費は各施設職員の平均経験年数に着目して補助を行っておりますために、職員の平均経験年数が長い施設には多くの補助金が交付される反面、平均経験年数が短い施設では補助金が交付されないことになるわけでございます。

○山加委員 今お話を伺っていますと、施設職員の平均経験年数が長くなれば補助金が多くなるということですけれども、経験年数が長い職員が多い施設が、サービス水準が高いと果たしていい切れるのでしょうか。職員の資質には、確かに経験に裏打ちされたものがあるということはわかりますけれども、若い経験年数の少ない方にも優秀な方はたくさんいらっしゃいます。経験年数が長い職員すべてが資質が高いとはいえないと思います。現在検討中ということですが、どのような方向で検討をしているのか、お伺いをいたします。

○内海企画担当部長 B経費につきましては、サービスの提供内容ではなくて、先ほど申し上げましたとおり、施設職員の平均経験年数に着目した補助制度となってございます。
 先ほどの福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会の中間提言でも、利用者サービスの向上を確認するすべはなく、その補助効果があらわれるのかの保証のない補助の仕組みとなっていると指摘されているところでございます。
 またA経費も、利用者一人当たりの単価をもとに、施設ごとに固定化した補助となっております。そのため、例えば重度の障害を持つ方を受け入れても、施設から地域へ移行するための努力をいたしましても、施設が受けるA経費の額に変わりはない、そういう制度となってございます。
 このように一律に補助する仕組みとなってございますサービス推進費補助のいわゆるA経費、B経費を、サービス向上に向けた努力が真に報われるものとするように、現在検討を行っているところでございます。検討に当たりましては、施設の代表者との懇談を行う場を設けまして、意見を伺っておりまして、既に二回の会議を持ったところでございます。

○山加委員 マニュアルどおりではなくて、まさに努力する施設が報われるという補助制度に対する方向は、私も正しいと思いますし、それは当然のことだと思います。当たり前のことが当たり前でなくてはなりません。既に施設の代表者の方と懇談会を設置し、意見交換をしていると聞いておりますけれども、理念や理屈だけではだめなこともたくさんあります。実際に福祉施設というまさに現場の声を、生の声を重視しながら、それを運営している施設の代表者の意見を十分、十二分に聞きながら、どうか検討をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○東村委員 それでは、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについて何点か伺います。
 我が党は、本会議の代表質問で、都立福祉施設改革や社会福祉法人改革が、利用者本位の改革となり、いささかも福祉後退となるものであってはならないとして、慎重に検討すべきであると主張しております。私も、福祉改革問題を検討する党内のプロジェクトの一員として、施設の視察や各種団体のさまざまな意見を聞いてまいりました。そこで、代表質問で大きな観点からお伺いしましたので、具体的に今回お伺いしたいと思います。
 まずは高齢者施設についてお伺いしたいと思います。
 最初に、板橋、東村山ナーシングホームは、大部屋改善等の居室改善を進め、そして順次規模の縮小を図っていく、このようにありますが、一部、追い出しに遭うんじゃないかという声が上がっておりますけれども、ここでいう順次規模の縮小を図るとは具体的にどのようなことを意味しているのか、答えてもらいたいと思います。

○中島参事 板橋ナーシングホームの居室につきましては、国の最低基準でございます四人部屋を下回る六人部屋が中心でございます。また、一人当たりの居室面積で見ても、両ナーシングホーム、東村山と板橋でございますが、国基準の十・六五平米を下回っている部屋が大多数でございまして、居住環境の点で問題があると認識しております。したがいまして、国基準を達成し、利用者の快適な生活環境の確保を図るため、一部屋当たりの利用者数を減らし、あわせて施設定員規模も縮小するものでございます。
 なお、現在の利用者には引き続き当該施設で生活をしていただきながら、規模縮小を図っていくものでございまして、このことにより退所を求めることはございません。

○東村委員 要は、自然減以外追い出しをしないということでよろしいですね。
 次に、老朽化の進んだ板橋老人ホームなんですけれども、東村山老人ホームに統合されるということなんですけれども、そこを現在利用している人たちが、ぜひとも不利益をこうむらないようにしてもらいたいと思うんです。その点と、利用者や家族に対する十分な説明が行われているのか、この点についてお聞きしたいと思います。

○中島参事 板橋老人ホームの利用者には、本人の意向なども十分確認させていただきました上で、基本的には東村山老人ホームに、ご本人の希望があれば移転していただけるようにしていきたいと考えております。移転に際しましては、現在の二人部屋から個室へと環境を改善することとしておりまして、東村山老人ホームの居室改善の進捗に合わせまして、一定の時間をかけながら進めることといたしております。
 また、利用者等への説明でございますが、両ホームにおきまして、四月、九月にそれぞれ利用者全員の方を対象に、十分な説明を行わせていただいたところでございます。特段の心配の声というものは聞いていないところでございます。
 今後とも利用者が安心して生活が送れるよう、相談窓口の設置、個別相談等行うなど、きめ細かな対応をしてまいりますので、利用者に不利益を与えることはないというふうに認識しております。

○東村委員 ポイントは、本人の意向を十分に確認をするということですね。
 今まで民間法人に委託して運用されてきた吉祥寺、大森老人ホームがあるんですけれども、これが平成十五年度に民間移譲される、こういうことになっています。そこで、現在委託をしている法人にそのまま移譲するのか、それとも、新たにきちっともう一度見直しをして、選定をして、適当な法人に委託をするのか、また、その際に都は助成を行っていくのか、お聞きしたいと思いますし、さらにあわせて、他の児童養護施設や障害者施設についても同様なことをやっていくのか、これについてお聞きしたいと思います。

○中島参事 民間移譲等の運営法人の選定に当たりましては、利用者サービスや施設運営の健全性、効率性等の観点から、適正に行われることが求められるところでございます。吉祥寺、大森老人ホームの運営法人の選定に当たりましても、このような視点に立って、最も適切な法人を選定していくことといたしております。
 また、両ホームの運営法人への助成につきましては、両ホームともいずれも他の施設との合築でございまして、ほかの民間施設と比較いたしますと、維持管理経費がかさむなどの施設の特性を考慮することが必要であると考えております。

○片岡団体改革担当部長 高齢者分野以外の分野の施設でございますけれども、今回の方針では、既に民間法人委託により運営しております障害者施設などについて、民間移譲等行うことといたしております。
 これら施設の移譲先法人につきましても、先ほど参事からご答弁申し上げましたと同様、利用者サービスや施設運営の健全性等の確保の観点に立ちまして、最も適切な法人を選定してまいります。
 また、都の助成につきましても、施設の特性などを考慮しつつ検討してまいります。

○東村委員 民間移譲に際して都が助成する際に、今、非常に大事な点をいってくれたと思うんですね。やたらめったら何でも助成するんじゃなくて、都の助成はやはり施設の特性をしっかりと考慮しながらやっていく、ここをやらないと非常に危険になってくると思いますので、ここをぜひともよろしくお願いしたいと思うんですね。
 続いて児童施設についてお伺いしたいんですけれども、今回、都外施設について、いわゆる養育家庭制度の充実や都内の受け入れ施設をしっかりと探して、規模の縮小を図っていくとあります。
 先日、養育家庭制度について、この充実と社会的な養護システムの再構築をすべきではないかという要望書を、国の坂口厚生労働大臣の方に持ってまいりました。坂口厚生労働大臣も非常に興味を示しまして、特に、国として法的規制の緩和などもしていかなければならないということを考えるといっておりました。
 私としても、やはり児童養護施設、規模の縮小を図っていく上で一番大事なのは、家庭的養護を充実させていかなきゃいけない。いわゆる一人の子どもに対する絶対的な愛情を注ぐという意味で、やはりこれからは家庭的な養護をどんどん進めていかなければいけないんじゃないか。
 そこで現在、施設ではなくて養育家庭で養護を受けている児童の割合はどれくらいいて、そして、ある意味で、都は、この割合がどれくらいまで達成されれば家庭的な養護が充実されると考えているのか、答えてもらいたいと思います。

○笠原子ども家庭部長 本年八月現在の養育家庭に委託をお願いしている子どもの数でございますけれども、二百二十五人でございまして、全体に占める割合、これは七・五%となってございます。
 じゃ、この割合をどのくらいまで高めたならば、家庭的養護が充実されたのかというお尋ねでございますけれども、社会的養護のシステム転換を図る上で一つの目安となるのは、本年二月に策定いたしましたTOKYO福祉改革STEP2、この中で、養育家庭とグループホームを合わせまして、家庭的養護の社会的養護全体に占める割合、これをおおむね五年を目途に、全体の二割から三割程度というふうにうたってございます。私どもとしては、この二割から三割は、ある程度中期的な目標であろうというふうに踏んでおります。
 ただ、この割合につきましては、ここ十年来におきます養育家庭にお願いしている子どもの数、これはほぼ二百人前後で横ばいに推移している、こういった状況を見ましても、大変高いハードルであるというふうに私ども認識いたしております。しかし、私どもとしては、これは克服しなければならないハードルであろうと考えてございます。
 このために、東京都は本年度、養育家庭の充実に向けまして、広報活動や児童相談所の体制強化など制度の抜本的な見直しを図ったところでございまして、今後、この目標達成に向けまして全力を挙げて取り組んでまいりたい、こういうふうに考えてございます。

○東村委員 ぜひとも養育家庭の充実を図ってもらいたいんですね。これがなくして児童養護施設の規模の縮小というのは絶対にできないと私は思っております。ここがしっかりしてくれば、ある意味で、都がいっていることも私は理解できるわけです。
 先日、八王子児童相談所にも行ってきました。感心したのは、八王子児童相談所は随分変わったな、よくなったな、非常に意気込みが違ってきているなということを現場に行ってよく感じましたし、東京都が本当に今、養育家庭制度に力を入れているなということもよくわかりました。そういう意味で、しっかりと広報活動も含めて頑張ってもらいたいと思います。
 その上で、都外施設を規模縮小する場合に、都内の施設で受け入れるとあるんですけれども、ある一部のところから、これを受け入れた後、すぐにまた民間移譲しちゃうんじゃないか、結局は同じじゃないかという話が出ているんですけれども、これについてどうですか。

○片岡団体改革担当部長 今回定めました方針は、当面五年後の平成十九年度に向けての取り組みをお示ししたものでございますが、この中で、都内の児童養護施設につきましては、一般の児童養護施設と異なりまして、就労支援のための高年齢児の短期的な受け入れを行っております中井児童学園を除きまして、民間移譲等の対象とはしておりません。

○東村委員 特殊な中井児童学園を除いて民間移譲の対象としていないということでいいんですね。
 次に、障害者施設について、先ほど障害の分野でいろんな質疑がありましたけれども、この障害者施設について何点かお伺いします。
 知的障害者施設で、比較的規模の小さい小平、町田、日の出の各福祉園については、民間移譲を進めていくとあります。そこで先日、日の出の福祉園について、都議会公明党として視察に行ってまいりました。重度の障害者を受け入れている日の出の福祉園では、一人当たり約一千八百万の経費がかかっていました。このように多額の経費がかかる施設が、民間で果たして簡単に受け入れられるのかどうか、その辺を東京都はどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。

○有留障害福祉部長 ご指摘のとおり、相当多額の経費がかかっていることは事実でございます。これは、重い障害者を受け入れるために必要な人員を配置していること、建物が大きいことなどのため、運営費の大半は人件費や建物維持管理費であり、その割合は約九〇%でございます。民間移譲により、柔軟な創意工夫によって、より効率的な運営が図られるものと考えております。
 また、民間移譲に当たっては、重度の障害者が多いことを踏まえて、利用者本位の理念のもとに、サービス水準の確保に十分配慮し、関係者の理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。また、受け入れ法人につきましては、質の高いサービスを提供できる法人を選定してまいりたいと考えております。

○東村委員 効率的で質の高いサービスが提供できる、重度についてもできるということなんですが、私の地元に八王子福祉園というのがあるんですけれども、同じように東村山にも東村山福祉園というのがありまして、ここなんかは医療設備を擁して、重度の障害者を受け入れているわけなんですね。この福祉園については、やはり今まででも民間の施設で受け入れが困難な障害者を受け入れてきたわけです。
 そこで、福祉局は、基本的な方針の中で、非常に大事な一言を入れていただいているんですね。民間施設でも重度の受け入れを促進するとしているが、ある意味で、重度の分野については十分な配慮をしていくという文言を入れてくれてあります。
 そこで、民間施設でも確かに重度の促進が進むと思うんですけれども、私は少なくともそういう状況になった後でないと、やはり全施設についての方針を出すべきではないんじゃないか、このように考えているわけです。そこで、局長のこれからの見解を伺いたいと思います。

○川崎福祉局長 東京都では、当面五年後の平成十九年度に向け、既に民間法人委託により運営されている施設や比較的規模の小さい施設等について、民間移譲等を行うという方針を出しました。今先生お話しの施設を含めまして、この方針に含まれてない施設の取り扱いにつきましては、今回の方針を実施していく中で、移譲後の施設の運営状況などを検証しつつ、今後の対応を決めていきたいというふうに思っております。

○東村委員 今、非常に大事な点を話してくれました。いわゆる今回の東京都が出した方針を実施していく中で、移譲後の施設の運営状況を検証しながら今後の対応を定めていきたいと。ぜひともそうあってもらいたいと思うんです。
 もう一歩踏み込んで質問させていただきたいんですが、この福祉改革STEP2では、障害者の入所施設から地域生活移行を支援するということを明言しているんですけれども、きょうの厚生委員会の資料の中にも、都立施設における実施状況が書かれてあります。都立施設や民間施設で自活の訓練を行って、自立する先である地域に生活寮や体験型の生活寮、そして重度の生活寮などが整備されていかなければならないと思います。
 そこで、地域生活支援という観点から、さらに新たな施策が必要と考えますが、見解を伺いたいと思います。

○有留障害福祉部長 ご指摘のとおり、施設から地域生活への移行を促進するためには、入所施設における自活訓練事業の実施などとともに、生活寮などの地域生活を支えるサービス基盤の整備が必要であると強く認識しております。
 都は、心身障害者施設緊急整備三カ年計画により、施設整備費の特別助成を行うなど、生活寮や通所施設の増設に努めております。また、生活寮につきましては、体験型生活寮や重度知的障害者生活寮など、多様なニーズに対応した生活寮を整備しているところでございまして、平成九年度から十三年度末までの五年間に、定員約五百六十人から九百六十人へと、二倍弱に整備を促進しております。
 今後、自立を目指す障害者が地域で生活できるよう、ご指摘の点を踏まえまして、新たに必要な施策について具体的に検討を進めてまいります。

○東村委員 特に障害者の方の親亡き後の施策、これはぜひともしっかりと進めていってもらいたいと思うんです。私が一番不安として聞く声は、確かに助成の問題等もあるんですけれども、自分がいなくなった後、この子はどうなるんだという声が一番強いんですね。そこの親亡き後の施策を、ぜひともこれから進めてもらいたいと思います。
 そこで今度は、社会福祉法人改革、いわゆる民間社会福祉施設サービス推進費補助についてお伺いします。
 こちらも社会福祉法人施設の関係者に大きな不安をもたらしているわけですが、どうも人件費の補助の廃止ばかりが強調されています。そこで、我が党の代表質問でも、福祉局長から、サービス向上に向けた努力が真に報われるものとするよう、施設の代表者の意見を聞きながら検討を進めていくという答弁がありました。
 そこで、現行のサービス推進費補助はどういう点で努力が報われないのか、これについてお聞きしたいと思います。

○内海企画担当部長 サービス推進費補助のうち、いわゆるA経費は、各施設ごとに利用者一人当たりで設定した単価に定員を乗じて補助額を算定しておりますけれども、重度の障害を持つ方を受け入れましても、また、先ほどお話がございましたような、施設から地域へ移行するための取り組みなどのさまざまな創意工夫をいたしましても、施設が受けるA経費相当の補助額は、こうした努力にかかわらず一定でございます。また、いわゆるB経費についても、提供するサービスの内容とは関係なく、施設におけるサービス向上の努力が報われない仕組みとなってございます。
 この点が、提言委員会の中間提言でも、利用者サービスの向上を確認するすべはなく、補助効果があらわれるかの保証のない仕組みと指摘されているところでございます。

○東村委員 今説明のあったことで、検討の趣旨は理解いたしますが、これによって補助総額が減るのか、ふえるのか、わからないままでは、なかなか判断できないわけなんですが、福祉の現場に混乱をもたらさないためにも、ぜひとも施設の代表者の方々の意見を十分に聞いていただきたいと思うんです。
 そこで、これまでどのような意見を聞いているのか、お伺いします。

○内海企画担当部長 先般、七月二十六日に私どもの福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてを策定いたし、発表いたしたところでございますけれども、早々に各施設種別を代表する方々と、民間社会福祉施設サービス推進費補助についての懇談を行う場を設けまして、既に二回の会議を持っているところでございます。これまで、提言委員会の中間提言における問題提起に関することや、福祉をめぐるさまざまな状況変化などについて、意見交換を行ってきているところでございます。
 その懇談会の中では、施設の代表者の方々からは、経験豊富な質の高い人材の必要性、あるいは障害者福祉分野に平成十五年度から導入される支援費制度に関すること、あるいは施設種別によって取り巻く状況やサービスの内容がいろいろ異なっていること、そういうふうなご意見をいろいろいただいているところでございます。
 今後、都といたしまして、民間社会福祉施設サービス推進費補助につきまして検討を進めるに当たりましては、こうしたご意見をこれからも十分お聞きしながら、A経費、B経費とも一律に現在は補助している仕組みでございますが、そこからサービス向上に向けた努力が報われるもの、そうするようにきめ細かな検討を慎重に行っていきたいというふうに考えているところでございます。

○東村委員 七月二日に提言委員会から報告が出て、七月二十六日の段階で、そういった意味で、具体的な方針が出ないで、これからさまざまな団体の意見を聞いて、慎重に検討を進めていくということで、東京都が早急な結論を出していないことには評価をします。サービス推進費の補助についても、やはり検討しなければならないという理由はわかるんです。ただ、今年度は、十一年度から三カ年にわたって経過措置が終了して、ようやくサービス推進費補助が本則実施になった年なんですね。にもかかわらず、この七月に提言委員会から中間提言が出た、報告が出た。サービス推進費補助に関する中間提言が出た。私は、まさにこれは朝令暮改といわれても仕方ないんじゃないかと思うんです。
 来年度に措置から契約に移行する障害の施設はともかく、民間社会福祉施設のサービス推進費の補助の問題について、私は早急に結論を出すのではなくて、今年度の結果を見てからゆっくりと判断すべきである、このように思いますが、見解はどうでしょうか。

○内海企画担当部長 社会福祉法人は、制度創設以来、五十年余にわたりまして、福祉ニーズに対応するため、地域に根づいた努力を行い、福祉サービス提供主体の中核的存在として大きな役割を果たしてきたところでございます。
 しかし、多様な事業者の参入など、福祉をめぐるさまざまな状況の変化のもとで、社会福祉法人もこれらに対応しながら、利用者本位の福祉を担っていくため、自己改革を実現する必要がございます。サービス推進費補助につきましても、こうした自己改革を支援するものとして、これまでの一律に補助する仕組みを、先ほど申し上げましたように、サービス向上に向けた施設の努力が真に報われるものにしていくように検討する必要があると考えてございます。
 なお、その際、ご指摘のとおり、平成十五年度から支援費制度に移行する分野は別といたしまして、民間社会福祉施設サービス推進費補助が本年度から、先ほどご指摘がございましたように本則適用になってございますので、本則適用による本年度のサービスの状況等を十分把握した上で、慎重に検討してまいりたいと考えてございます。

○東村委員 最後に、本年度に本則適用になったので、本年度のサービスの状況を把握した上で、これから慎重に検討していきたいという答弁がありました。ぜひとも今いったことを忘れないでいただいて、多くの方の意見をしっかりと取り入れて、その上で真に報われる改革ができるように、ぜひとも福祉局に頑張ってもらいたい、このように考えまして、私の質問を終わります。

○曽雌委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十三分開議

○曽雌委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○河西委員 それでは質問させていただきます。
 私は、社会福祉法人のサービス推進費を中心に、また、その中でも障害者施設についてを中心にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず冒頭に、政策決定のプロセスに関する問題点として、合意形成のとり方についてお尋ねをしたいと思います。
 いわゆる報告書、そして中間提言が出まして、七月二十六日に東京都の取り組み方針が発表されました。この過程に、一般都民はもとより、施設関係者、利用者、そしてその家族等の合意形成、この努力が決定的に不足していたのではないかという印象を持っております。
 その後、先ほども出ましたが、八月十二日には、民間社会福祉施設サービス推進費補助等に関する懇談会がスタートをしております。その後、話し合いが継続されていると思います。私は、施設職員との合意、施設の経営者だけではなくて職員との合意、あるいは入所者、その家族の意見の反映、一般都民を含めて、こういった広く福祉施策にかかわる都民の合意が不可欠ではないかというふうに思っております。
 そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、現在、民間社会福祉施設サービス推進費補助等に関する懇談会がスタートいたしておりますが、今申し上げましたように、施設代表者に限らず、施設職員、入所者、家族などの合意形成、これが不可欠だと思います。今後広く都民の意見も聞いていくべきだと思いますけれども、これに対しますご所見をお伺いいたします。

○内海企画担当部長 都が進めます福祉改革は、行政が広範囲にわたってコントロールする既存の仕組みを根本から改めまして、利用者本位を徹底する新しいシステムを構築することを目指すものでございます。今回、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてということでお示しいたしました都立福祉施設改革及び社会福祉法人改革につきましても、その一環の取り組みでございまして、これらを進めていくためには、施設の関係者を初め、広く都民のご理解を得ることが必要であるということは、先生ご指摘のとおりでございます。
 現在まで、この都の取り組みに関しまして、各種の団体、あるいは施設、個人の方々などからさまざまなご意見、ご要望を寄せられているところでございます。都といたしましては、今後取り組みを進めるに当たりまして、引き続きさまざまな機会をとらえまして、広く都民のご意見をお聞きしていきたいというふうに考えているところでございます。

○河西委員 そういった合意形成を丁寧におやりいただくということを前提に、サービス推進費の具体的な問題に入っていきたいと思うのですが、経営改革の必要性、そしてサービス推進費廃止が前提となっています社会福祉法人の経営改革、これの現状認識についてでございます。
 利用者本位のサービス確立に向けた社会福祉法人の経営改革の必要性については、私も異論はございません。今後、福祉改革の推進に当たりましては、補助制度を含む施策制度に聖域を設けずに、総合的に見直していく必要があるとも認識しております。そこで、民間福祉施設に対する運営費補助について、サービス向上への効果、先ほども出ておりましたけれども、この効果が検証できないとの認識が、提言の中にも書かれてございます。民間社会福祉施設サービス推進費補助はスタートしてからまだ期間が短く、現時点での評価は拙速ではないかとの指摘がございます。ご所見を伺います。

○内海企画担当部長 民間社会福祉施設サービス推進費補助制度は、平成十二年の一月から実施しているところでございますけれども、その後、福祉改革の具体化あるいは介護保険制度の実施、社会福祉法の制定、障害者福祉分野への支援費制度の導入など、福祉を取り巻く状況は大きく変化しているところでございます。
 また、今回、提言委員会の中間提言におきまして、この民間社会福祉施設サービス推進費補助につきまして、今ご指摘のございましたように、サービスの効果というふうなものも含めまして、さまざまな問題提起がなされたところでございます。
 都といたしましては、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてを策定して、この問題提起を受けとめまして、その内容を吟味いたしながら、改革のあり方及びその進め方について検討していくということとしたものでございます。

○河西委員 ただいまの、この四月から本則実施になった現行推進費制度の問題に加えてもう一つ問題になっているのが、現在の施設の指導検査あるいは運営指導のあり方の問題だと思います。中間提言でも、従来の行政による指導検査、そして運営指導のあり方が、施設側の経営努力、創意工夫を拒んできたという指摘がございます。
 指導検査の見直しを先行すべきで、補助は当面、現行制度を維持すべきではないか、こういった意見に対してご見解をお伺いします。

○内海企画担当部長 これまで社会福祉法人の経営者の自主性や経営意欲を阻喪させることとなった要因といたしまして、中間提言では、施設に対して一律に補助する仕組みとなっている運営費補助及び外形的な確認を中心としてきました運営指導、指導検査について指摘されているところでございます。
 福祉サービス提供主体の改革への取り組みの中でも明らかにしてございますように、運営費補助及び運営指導、指導検査といった都の施策等につきましては、サービス向上に向けた法人の主体的な自己改革への取り組みを支援する観点に立ちまして、今後、そのあり方について十分検討してまいりたいと思っております。

○河西委員 東京都あるいは中間提言を出した検討委員会もみずから認めている、現在の社会福祉法人の改革に伴うサービス推進費の見直しの一つの根拠になっています、その指導検査、運営指導について不十分であるという中での縮小なり廃止という見直しは、やはり時期尚早で、十分な今後の検討が待たれるところだというふうに思います。
 そして、この推進費の見直し、B経費については廃止というこの提言の根拠となっていますもう一つに、先ほども自民党の委員さんからもお話しありました、サービスの維持あるいは向上、これと職員の質あるいは量の問題です。
 施設の中でも、特に障害者児あるいは被虐待児、乳幼児などのサービス施設では、職員の数と、そして質についてはきちんと問われなきゃいけないし、これを確保しなければいけない、これは私は不可欠だというふうに認識しています。
 もちろん、経験がイコール、サービスの向上につながると一概にいえないことはわかっておりますけれども、それでは経験とサービスは比例しないとする人件費抑制の根拠というのは正当かどうか、これについてお伺いいたします。

○内海企画担当部長 福祉施設におけます利用者に対するサービスの向上を図っていく上で、資質の高い人材の果たす役割は非常に大きく、これは施設の種別を問わず、同様であるというふうに考えております。そして、その職員の資質は経験に裏打ちされた部分もあると考えておるところでございます。
 しかし、現行の民間社会福祉施設サービス推進費補助は、平均経験年数に着目した補助制度となっているために、補助の効果があらわれるかの保証がないというふうに、中間提言において指摘されているわけでございます。経験年数だけで職員の資質を図ることが困難である、そういう問題提起がなされたと認識しているところでございます。
 実際、サービス推進費補助のB経費が交付されていない施設のサービスが、補助金を多くもらっている施設よりも劣っているというようなことは明白にはいえるものではないと思います。今後、民間社会福祉施設サービス推進費補助制度について検討していく上での論点というふうになるのかと考えてございます。

○河西委員 確かに言葉ではそうだと思います。ただ、施設の現場に行きますと、さまざまなケースが発生します。そのケースに立ち向かう職員の具体的な姿を見ますと、やはりある程度の経験がサービスの質に連動しているというのが、逆に否定できない実態もあると思っています。
 六十歳までということで、経験、勤続年数がそのまま賃金に、人件費にスライドしていること自身を全面的に認めるわけではありませんけれども、この福祉の分野、特に障害者児、あるいは今増加しています被虐待児、あるいは手をかけなければ、行き届いたサービスをしなければならない乳幼児、こういった施設で提供されるサービスにつきましては、やはり人という問題は大変大きな要素になっている。それが、ある程度の経験に裏打ちされた、そういった質の提供がなければ、やはりサービスの十分な効果は上がってこないというふうに私は認識しております。
 そして、その補助効果、あるいはそこにかけられるサービスをはかるすべがない、そのすべを、物差しをやはりきちんとつくっていくということも、大変難しいと思いますけれども、私は大変重要なことだと思っています。それがない中で、みずからすべがないといいながら、あたかも経験年数だけではサービスの質がとれないといい切ることには、現場からいえば、大きな疑問、納得がいかないという思いが出てくるのも、私はやむを得ないんじゃないかというふうに思います。
 まさに改革あるいはサービスの維持向上に努力をしている、そういう施設や職員に真に報いる、そういう補助制度として、そこに視点を置いて、きちんとした検討をお願いをしたいと思っています。
 続いて、次に移りますけれども、私は、サービス推進費の再構築をいっているわけですけれども、この再構築に当たっての留意点を何点か申し上げ、ご所見を伺いたいというふうに思います。
 サービス推進費の再構築に当たっては、施設のサービスの提供の実態、これを問題にしなければいけないと思っています。これまで施設偏重だった福祉、特に障害者のサービスにつきましては、東京都も緊急三カ年整備計画を出しているとおり、地域への生活移行、自立支援というところにポイントが移ってきている、このことはそのとおりだというふうに思います。
 けれども、いうは易いんですけれども、すぐにその地域へ、あるいは児童の場合、養育過程の問題も含めて、地域に移行するということがなかなか進まないという実態を考えてみると、私は、それなりの時間をかけてきちんとしたサービス提供のシステムをつくっていかなければいけないと思っています。
 このテンポは数年なのか、二、三年なのか、五年なのか、ありますけれども、私はこれまでの戦後の社会福祉法人あるいは福祉のサービスの変遷、到達点、そして条件整備、施策の到達度等々、総合的に見ますと、やはり十年、二十年の単位じゃないかなという感じもしております。
 そして、まずお伺いしますのは、地域の自立生活支援の仕組みはできているわけですけれども、施設入所中心の実態が解消されていません。この点についてどうお考えなのかをお尋ねしたいと思うのです。比較的軽度の入所者が多いにもかかわらず、自活訓練が進んでいない、これはなぜなんでしょうか。

○有留障害福祉部長 障害者の入所施設から地域生活への移行のための自活訓練事業は、平成十年度から開始いたしました。今年度からは施設内に実施スペースのない民間施設でも対応が可能なように、施設近隣のアパートの借り上げ料を東京都独自に予算化しております。
 さらに、地域生活移行支援検討会を設置いたしまして、地域生活移行支援マニュアルを作成することなどにより、利用者や保護者の不安の解消に努めていきたいと考えています。
 今後も、地域生活移行の条件整備を進め、事業の着実な推進に努めてまいります。

○河西委員 自活訓練事業につきましても、具体的ケースについては、例えば八街学園等私どもも視察をしてまいりましたが、これは同僚委員に譲るといたしまして、先に進みたいと思います。
 もう一つは、地域生活への移行、地域生活実施に向けた受け皿不足、受け皿の整備等々についてお伺いするわけですけれども、圧倒的に受け皿が不足していると思います。また、その他の支援サービスの不足あるいは近隣養護体制の不足、こういったものが、私は地域生活移行が進んでいない理由だというふうに認識しています。
 施設の規模の縮小、統廃合と地域生活資源の整備、これは車の両輪だというふうに思いますけれども、現在の都のご認識についてお伺いいたします。

○有留障害福祉部長 都は、TOKYO福祉改革STEP2を策定し、障害者が可能な限り、地域で自立して生活できる社会を目指しております。そのため、施設や親元からの地域生活への移行を進めるとともに、ご指摘の地域での受け皿となるサービス基盤の整備が重要であると考えております。
 このため、施設の整備を促進するとともに、地域生活への移行などのための受け皿、そういうような多様な形で施設入所待機者の解消を図ってまいりたいと考えております。東京都は、心身障害者緊急整備三カ年計画により、施設整備費の特別助成を行うなど、生活寮や通所施設の増設に努めております。
 今後、自立を目指す障害者が地域で生活できるよう、新たな施策も含めまして、さらに設置を促進する方策について検討してまいります。

○河西委員 これは私からいうまでもなくて、これまでの福祉施設、大規模隔離収容、そして与えられた生活、こういった施設偏重型のサービスから、小規模で、そして地域に開放されて、みずから選択できる生活スタイル、こういうものを求めるという大きな流れがございますし、それに合った施策を東京都も展開をしたところでございますが、ちょっと一点だけ、心身障害者施設の緊急整備三カ年計画について、進捗状況だけお尋ねしたいと思うんです。
 今年度は二年目に入って、十五年度で三カ年計画終わるわけですけれども、到達地点と目標達成の見込み、その後どうされるのか、そのことをあわせてお尋ねします。

○有留障害福祉部長 心身障害者施設緊急整備三カ年計画の進捗状況でございますが、これは十三年度から十五年度までの三カ年計画でございまして、現在、今年度は二年度の半ばという状況でございまして、途中の段階で進捗状況について、進んでいるとか進んでいないのかというのはなかなか申し上げにくいところでございますが、全体としては順調に推移しているのではないかというふうに考えております。

○河西委員 順調かどうかというのはちょっと、大きなクエスチョンマークがつくんですけれども、初年度、そして今年度二年目で中間地点に来ています。計画の半分が終わったわけですけれども、残り半分で目的が達成されるかどうか、これから十四年度の後半、十五年度、全力で頑張るんだということであれば、三カ年計画ですから順調に進んでいるというご答弁でもいいかもしれません。
 今後の目標達成の見通し、これについてだけ、この場では一点お伺いしておきます。

○有留障害福祉部長 十五年度、最終年次でございますので、計画の達成に向けて全力で努力してまいります。

○河西委員 私、施設の当事者あるいは利用者、関係者からいろいろ意見を聞いております中で、言葉が美しければ美しいほど、実態は逆比例しているんだというような言葉を一人だけではなく聞きます。私も実際、これまでは東京都でなくて、基礎自治体の議会で検討してまいりましたけれども、往々にしてそういうことがございます。
 したがいまして、福祉改革STEP2もそうなんです。読んでいきますと、そのとおり、こうなったらいいなと思いますけれども、その思いを具体化するというところに一番の努力が払われなきゃいけないし、そこには人と物とお金というのが不可欠だというふうに思っています。今のご答弁、信じたいと思いますけれども、今のご答弁に沿って最大限のご努力をしていただきたいということだけ、この場では申し上げておきたいと思います。
 次に、サービス推進費と来年四月から導入がされます支援費制度の関係についてお伺いをしたいと思います。
 このところで、支援費の単価なども発表されました。従来の措置制度における施設の費用徴収、これについて扶養義務者の範囲と費用徴収の水準は、今度の支援費制度に移ってどのように変化するのか、お示しをいただきたいと思います。

○有留障害福祉部長 知的障害者入所更生施設を例に申し上げたいと思います。
 まず、扶養義務者の範囲についてでございますが、二十歳以上の障害者の場合、配偶者及び子ということで変更はございません。二十歳未満の場合ですが、従来ありました祖父母、兄弟姉妹等が除かれまして、配偶者、父母及び子と範囲が限定されました。
 次に、施設入所者及び扶養義務者に対する利用者負担基準でございますが、これは区市町村長が国の基準を上回らない範囲で決めるということになっております。今般、国から示されました利用者負担基準案によりますと、従来から行われていた応能負担による負担水準は変わりません。利用者負担の一カ月限度額におきまして、入所三年未満の者で三万円から三万二千円と、二千円の増となっております。利用者負担の一カ月限度額でございます。

○河西委員 もう一点、その支援費と運営費補助の関連でお尋ねをしたいと思いますが、ヒアリングのときに私が申し上げた順番が逆になっているかもしれません。
 サービス推進費の見直しの再構築に当たっての留意点で、支援費との関係でもう一点お尋ねしますのは、全国一律の基準である支援費基準の実施に当たっては、都特有の事情、大都市特有の事情に配慮して、不足をカバーする都加算が必要であるというふうに思います。この制度の沿革と目的に照らして、この都加算の必要性にお尋ねをいたします。

○内海企画担当部長 サービス推進費補助は国基準でございます措置費を前提として、その上乗せという形の補助となってございます。今お話しの平成十五年四月から導入されます支援費制度につきましては、措置費制度を廃止して支援費制度ということになるわけでございます。民間社会福祉施設、そのサービス推進費補助がよって立つ基礎がなくなるわけでございます。
 したがいまして、都における障害者福祉施設のサービス水準の向上を目指すために、現行の補助方式について根本から見直しまして、支援費制度との整合性を図った上で再構築する必要があると考えているわけでございます。

○河西委員 今後の再構築の必要性のところがわかりにくいんですが、これまで国基準の措置費、これが支援費になった、措置費に上乗せしていた推進費、運営費補助、これは支援費になっても上乗せされていくんだというふうに理解をしてよろしいですね。もっとも、その推進費そのものの見直しも今後課題である、こういうことでよろしいんでしょうか。

○内海企画担当部長 措置費制度と支援費制度とは若干形が異なることがございますので、全面的に根本から見直しまして再構築をしていきたいというふうに思っております。

○河西委員 けれども、サービス推進費のこの補助制度は、まだ実施時期が決まっておりませんし、私は先ほど、それなりの十分な時間をかけての見直し、切りかえに移るんだとしたらすべきである、こういうことで申し上げました。
 支援費は十五年の四月からの導入ですから、根本的な見直しは了解いたしますけれども、四月以降、当面の間は、先ほど私が申し上げたような位置づけということで間違いないかどうかだけお尋ねしておきます。

○内海企画担当部長 平成十五年の四月からは措置費制度が廃止されまして、支援費制度が導入されることになります。先ほど申し上げましたとおり、今までのサービス推進費補助がよって立つ基礎がなくなることになりますので、改めて根本から見直しをいたしまして、十五年の四月に間に合うような形で制度を再構築していきたいというふうに考えております。

○河西委員 よって立つ基盤がなくなったけれども、支援費に措置費が変わるわけですから、四月に合わせて、サービス推進費を全部見直した新たなシステムでスタートするというご答弁ですか。違いますよね。

○内海企画担当部長 支援費制度につきまして新たな導入がございますので、それにそごのないように、どういうふうな方向で再構築をしていくかということについて、民間の社会福祉施設の代表者の方々と今、具体的に検討を始めているところでございます。今後、遺漏のないようにしていきたいと考えております。

○河西委員 サービス推進費、いわゆる運営費補助は、支援費制度との整合性を図った上で再構築していくということでよろしいですね。
 もう一点、この再構築に当たっての留意点ですけれども、福祉の役割が自立生活支援へと転換している中で、施設の役割も転換していくべきだと思います。そのために、施設の運営費補助についても、そうした施策をきちんと反映させ、地域生活支援を実施するものに対して報いるべきだ、こういうふうに考えます。具体的にこれらについての見解を伺います。

○内海企画担当部長 ご指摘の施設における地域生活への移行支援につきましては、都の福祉改革の取り組みにおいても重点としているところでございます。今後のサービス推進費補助についての検討に当たりましては、その点も含めまして、さまざまなご意見をお聞きしながら進めていきたいというふうに考えてございます。

○河西委員 この推進費の再構築の留意点で、ちょっと角度を変えましてご質問させていただきたいんですが、利用者に質の高いサービスを提供するためには、事業者が健全な施設運営を行っていく、そのためにサービスの内容、事業内容を常に第三者が検証していくということが必要ではないかと思います。
 そのためには、例えば外部による評価、また苦情処理の機関、情報公開など、さまざまなチェック体制の構築、充実が必要だと思いますが、東京都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○内海企画担当部長 事業者が利用者本位の質の高いサービスを提供するためには、また、障害者や高齢者など、だれでもが質の高いサービスを選択して安心して利用できるようにするためには、ご指摘のとおり、第三者の視点で事業者のサービス内容や事業内容を評価するとともに、相談や苦情に適切に対応できる体制づくりや、利用者に総合的に情報を提供する仕組みの構築など、利用者支援の仕組みづくりが重要でございます。
 そのため、都は来年度から利用者の視点と経営やマネジメントの視点から、多様な評価機関が福祉サービスを評価する第三者サービス評価を本格実施する予定でございます。
 また、利用者の相談、苦情、権利侵害などに対応できるよう、住民に身近な区市町村がワンストップで対応する仕組みづくりを支援するとともに、来年度からは事業者の情報や第三者の結果情報などを含めて総合的な福祉情報を、多様な媒体を活用しながら一体的に提供する福祉情報総合ネットワークを構築する予定でございます。
 今後、こうした取り組みを一層進めながら、福祉サービスの向上に一層努めてまいりたいと思います。

○河西委員 第三者評価の必要性、重要性については、これまでも委員会の中で、あるいは予算委員会等でも指摘をさせていただきました。いよいよ来年四月から本格的に、この認証のシステムがスタートします。
 現時点での問題点につきましては、同僚委員から後ほど詳細についての質問があると思いますので、この点は以上で終わりますけれども、要は支援費の導入あるいは支援費への移行、このことをもって、まさに措置から選択、契約へというふうに変わる障害者部門のサービス、利用者が必要なときに必要なサービスを必要な形で受けられる、この原則に立って選択が可能なサービス提供システム、ここで第三者評価が不可欠である。そして、苦情処理あるいは情報公開など言葉だけではない、実体を伴った今後の拡充に向けた努力をお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、都立施設の民間移譲について、一点だけお伺いをさせていただきたいと思います。
 私は、都立の施設と事業団、あるいは民間施設、NPO、民間企業等々の参入、幅広い形でまさに利用者が選択できるサービス、これのメニューをそろえるというのも行政の役割だと思います。その中で都立施設の役割ということを再度明確にしていく、このことは必要な作業だと思いますけれども、これまでの福祉分野、特に障害者の福祉行政、障害者行政の歴史、そして到達地点、そして障害者のサービスが独自に持っているその性格上から、ほかの分野の施設の再編、見直しと、ちょっと変わってしかるべきだろうというふうに思っているんです。
 これは、最終的な、具体的なコストの問題も含めた提案ではございませんけれども、多くの都民の皆さんが感じている問題として、障害者児の、特に最重度のサービス提供施設はやはり都が直接運営する、あるいは公的なものとして事業団が運営するということを通して、都立並みのきちんとした公的責任を果たせる形で残すべきではないか、このようにも思っています。
 この最重度の障害児者の施設の都立から民間移譲ということについては、疑義があるんですけれども、ご所見を伺います。

○有留障害福祉部長 従来、都は先駆的な役割を持って、都立施設への最重度障害者の受け入れを進めてまいりました。ただ、今日では民間施設の整備が進みまして、例えば、重度障害者の受け入れ状況を見ますと、都立施設で七五%、民間施設で六二%、重度障害者を受け入れております。
 このように、民間施設においても体制が整えば、都立のいわゆる最重度障害者を受け入れることは十分可能であると考えておりまして、さらに、民間の創意工夫に富んだ運営によって効率的な運営が図られるものと考えております。
 都としては、みずからの役割を転換させて、障害者の選択と自己決定でサービスを利用するシステムを構築するとか、あるいは民間施設等における入所者の地域生活移行を支援するとか、そのような仕組みをつくることなどを通じて、障害者施策全体の推進ということを強く進めてまいりたい、そのように考えております。

○河西委員 今のご答弁で納得をするわけではございませんが、市場原理導入と今後の社会福祉法人、この問題についてお伺いしながら、採算性に合わない、あるいは今民間の施設でも最重度六二%、都立が七五%という数字を挙げましたけれども、都立の七五%が、それではゼロになって民間にあるいは事業団に移るという、それはいつなのか、本当にそれができるのかというところで、都立施設の改革推進委員会の方では、もう方針をお出しになっていますが、すぐに着手できる施設は幾つか列挙されております。そうではない施設については難しいという環境にあるということが、裏を返せばいえるのではないかというふうに思っています。
 今後の検討の中で、もう一度、福祉施設、特に障害児の重度の施設の効率性という言葉とか経営努力という言葉とか、いってみれば市場原理の導入ということ、これについては慎重に、私は今後も検討すべきだと思っています。
 で、市場原理の導入と社会福祉法人の役割、この点について申し上げたいと思います。
 私たち民主党は、福祉サービスの提供主体に民間事業者が参入することについては、その必要性も認めています。しかし、NPOや株式会社など民間事業者の参入に際しては、条件整備が必要であるというふうに思います。その点について、今後の課題として、ぜひこの条件整備についての具体的な検討をお願いしておきたいと思います。
 また、多様な事業者の参入によって、不足している施設の供給体制が充実、拡大すること、これは期待されておりますけれども、民間事業者の特性として事業の安定あるいは継続性、これが確保されないなどのデメリットもございます。例えば、民間事業者が撤退する際、他の施設による入所者の引き受け体制など、利用者の視点からサービスの継続性に不安が出てくるのもまた事実だろうというふうに思っています。この点も十分に留意をすべきだろうと思っています。
 そのような状況の中で、運営上の安定性がある程度法的にも担保されている非営利団体である社会福祉法人の果たす役割、これは逆に今後も増大していくのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○内海企画担当部長 社会福祉法人は戦後、福祉サービス提供の中核的存在として創設されました。以来、半世紀にわたって福祉ニーズに対応するため、地域に根づいた努力を行って大きな役割を果たしてきたところでございます。この間培ってきた経験とかノウハウなどを有する社会福祉法人は、福祉サービスにおいて、今後とも重要な役割を果たしていくことが期待されるところでございます。
 しかし、今日、社会福祉法人に求められているのは、これまで果たしてきた役割を踏まえた上で、社会経済状況等の変化に対応して、福祉サービスの充実を図る新しい福祉を担っていくために必要な自己改革を実行していくことであると考えております。
 したがいまして、都としても、広く都民の視点から利用者本位の福祉の実現を目指しまして、サービス向上に向けた法人の主体的な自己改革への取り組みを支援する観点に立って、社会福祉法人改革を進めていきたいというふうに考えてございます。

○河西委員 わかりました。ちょっと戻りますけど、サービス推進費の中間提言が今回出ました。今後のスケジュールなんですけれども、この秋に最終答申、十二月までには最終答申を出して、その後、都の方針を決定していくというようなお話も伝え聞いているんですけれども、私は、この委員会でのこれまでの議論、これからもありますが、十分にしんしゃくをして、拙速なシステム転換ということではなくて、本当に福祉を必要としている人たち、利用者の納得と、そして関係者、施設経営者、職員の合意形成を図りながら、しっかりとしたシステムの再構築、これを図っていただきたいというふうに思っています。
 最後に、申しわけありません、局長に、今後の福祉改革の施設の分野ですけれども、改革を進めるに当たっての基本的な認識と決意についてお伺いをして終わりたいと思います。

○川崎福祉局長 都立施設改革を進めるに当たりましては、一つには利用者についての十分な配慮、一つには民間も含めた受け皿の整備、この二つを中心に、絶対に福祉の後退ととられないようにやっていくつもりです。

○小松委員 今回の都立福祉施設改革推進委員会報告及び福祉サービス提供主体経営改革に関する提言、そしてそれを受けての福祉サービス提供主体の改革への取り組みについて、これは今後、取り組みと呼ばせていただきますが、これらがともに、発表直後の各新聞は、読売の一面トップを初めとしまして、一斉に都が福祉施設から撤退と報じたわけです。
 この取り組みは、最初に改革の理念として、行政が広範囲にわたってコントロールする既存の福祉の仕組みを根本から改め、利用者本位を徹底する新しいシステムを構築することを目指すとしているわけですが、これは報告でも示されたものでありまして、都立施設の廃止や移譲、または後から出てきます民間施設への人件費カット、これが本当に利用者本位なのかどうか、この点でまず伺っておきます。
 先日来の本会議、またはきょうの委員会質疑の中でも、利用者本位、利用者本位という言葉が大変繰り返されておりますので、これをまず最初にお伺いしておきたいと思います。

○内海企画担当部長 私ども七月二十六日に、報告及び提言を受けまして、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてということで、取り組みの方針についてお示ししたところでございます。
 その中で、改革の理念として、都が進める福祉改革は、行政が広範囲にわたってコントロールする既存の福祉の仕組みを根本から改めて、利用者本位を徹底する新しいシステムを構築することを目指すものであるとしてございます。この方針のもとで、改革への取り組みについて積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○小松委員 全く答えになっておりません。これが本当に利用者本位なのかということでお聞きしたわけです。非常に抽象的な質問だったかもしれませんので、それでは、一つ例を挙げながら具体的にお伺いしたいと思います。
 現に、先ほども話が出ました日野療護園、この療護園入所者自治会がことしの八月にアンケート調査をされております。それによりますと、ナースコールの待ち時間、一日平均が、回答者の半数が十分ほど待たされ、三十分以上待たされたと答えた入所者が一五%もいたということです。夜間の対応では、十分以上待たされたケースは六割を超えた。一時間以上待たされたというケースが出ているということなんですね。
 この調査をされた自治会の方が、これ以上民間移譲で職員を減らされたら、入居者のQOLはおろか、最低限のADLサポートすら、さらに困難になって、全般的なサービス水準は根底から覆され、大幅に後退させられてしまう、このように訴えられております。
 この施設はと申しますと、この施設は数年前、社会福祉事業団に委託された施設であるわけですね。このときも都は、社会福祉事業団に委託すれば、利用者本位に柔軟な施設になる、このように強調されていたわけですね。
 しかし、利用者対職員の比率、それまでの一対一・二五から、一対一になった結果が今の状況です。すなわち、これは他の重度の障害者施設でも同じわけでありますが、事業団委託になったときに人が減っている。重度障害者などが、この一対一・二から一対一になっている。民間移譲に伴って、さらに職員や予算のカットがあるのかと心配されておりますが、いかがでしょう。

○有留障害福祉部長 まず、日野療護園の入所者の自治体アンケートの結果についてでございますが、私ども、これについては利用者のうち四割のみを対象に調査をしたと聞いておりますが、詳細は承知しておりません。
 ただ、平成十三年度に実施した入所施設サービス評価事業で、施設オンブズマンが評価した結果がございます。それによりますと、評価した七十四項目のうち、A、B、C、Dまであるんですが、A、Bが、望ましいサービス水準以上でございます。これが四十五項目。C、最低基準は満たしているが二十七項目でございまして、全体として、七十四項目のうち七十二項目で基準を達成しており、利用者処遇に影響が出ているとは考えておりません。
 それから、今後の対応でございますが、ご指摘の日野療護園については、現在、七月に示された方針では、まだ具体的な形での方針は出ておりませんが、一般論で申し上げますと、先ほど来申し上げているとおり、移譲に際しましては、サービス水準を確保する、関係者の十分な理解を得る、そういうことを基本としながら、関係者の合意を得ながら慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。

○小松委員 そうしますと、この重度障害者における今の一対一、これは守られていくんでしょうか。確約できるんでしょうか。

○片岡団体改革担当部長 民間法人に移譲するということに当たりましては、サービス水準の確保等の観点を踏まえながら、最も適切な法人に移譲するという考え方でございます。そして、民間法人は自主的な運営を図っていくというのが基本ということでございます。
 ただ、それに当たりましては、当然サービス水準の確保、特に障害者の施設につきましては、入所者の状況に即した必要な配慮をするということでございますが、民間移譲等ということは、民間が自主的な運営をするということが基本でございます。

○小松委員 具体的な話の中で、この一対一が守られると確約できるのか。サービス水準が下がるということは、やはり今の一対一--ちょっと一対一というと、本当に職員が一人で、それに対して入居者、あ、いいねという感じがしますけど、でも、この方たちは二十四時間三百六十五日の入所施設なわけです。
 ですから、一対一といっても、働く職員は二十四時間働くわけではありませんから、どうしたってこれが一日働く--まあ八時間としても土曜も日曜もあります、有給休暇もあるでしょう。ということになれば、具体的にはその方に一日ついているわけではないわけです。だから、先ほどいったように、今までは一対一・二五だった、それが一対一になって、先ほど四割だし、影響が出ていると考えていないということでしたけれども、これはこの入所者の方々にしっかり伝えてまいりたいと思いますが、これは日野の話ではないんです。
 私は、別の療護園など重度の施設の方々からもお聞きして、あの民間委託になった後、社会福祉事業団になった後、どちらにしても本当にコールの対応が遅くなった、それでも職員は必死になってやっているから、何とかやれているんだ、こういっているわけですね。この一対一が守られるのか守られないのかは、大変な基準だと思うんです。
 事実、報告書は、民間移譲等の後の都立福祉施設の利用者サービス体制については、他の民間福祉施設と同様の取り扱いとすることを基本、このように述べています。そして、さらに民間への補助、先ほどから出ております人件費補助B経費の廃止の提起もされているわけです。これで本当にサービス水準は下がらない、確約できますか。

○有留障害福祉部長 最重度施設の職員配置でございますが、東京都では、直接処遇職員は利用者一人に一人という形でございます。これが国基準になりますと、三・一人に一人ということで、東京都では大幅に加算をしているところでございます。それで、来年四月から支援費制度に移行いたしますので、従来は一人に一人とかという定数管理の発想でございますが、今後は、支援費制度のもとでは職員配置について規制緩和がされます。常勤換算方式という形で呼んでおりまして、何人をつけろという形の方式ではございません。
 そういう職員配置の規制緩和などを踏まえながら、サービス水準の確保を基本としまして、そのあり方について今後検討してまいります。

○小松委員 先ほどの質疑のお答えでも気になって、後で伺おうと思っていたんですが、今のお答えを聞いていると、来年の支援費、これは障害者にとって決して前進でも充実でもないわけですね。規制緩和というお言葉が出ておりました。職員配置の規制緩和ということで、職員がたくさんついた、こんな話はないんですよね。職員の配置の規制緩和、減らされるんですよ。そうじゃありませんか、今でも大変だという--国基準が一対三・一だということで、国基準までいいですよということになるわけでしょう。事実、そういう話じゃないんだ、今度はそういう基準じゃないんだ、支援費なんだ、だから規制緩和が行われるんだということですけど、これは二重三重に、障害者にとっては大変な思いではないでしょうか。
 私が訪問した幾つかの最重度施設でも、医療的ケアを常時必要とされる居住者が増加しておられることを、この目で見てまいりました。実際に人工呼吸器を使用されている、器官切開での酸素吸入または吸痰、胃瘻、導尿ケア、こうしたものを受けながら暮らしておられる方々が何人も入所されているわけですね。こうした入所者にとって、この規制緩和による人員削減、万が一これでコール対応のおくれがあったとしたら、これは生命の危機に直結するのではないでしょうか。
 もし仮に、この人員削減がこれ以上進めば、先ほど申し上げた医療的ケア、本来なら、これは医師の資格なくしてはできないことなんですが、この施設で入所されて暮らしていらっしゃる方々が、病院暮らしを余儀なくされて、病院に戻らなくちゃならないんですよ。これでは全く逆行ではありませんか。
 地域で、地域でとおっしゃいますけれども、この方々にとっての施設での生活、これはまさに地域での居住そのものなんです。事実、私の訪ねました施設、どこも地域との交流を盛んにやっておりました。また、外出の自由も保障されているなど、都立施設に見られる管理主義とおっしゃいましたけれども、これはどこにも見られなかったんです。こうした実態、どう受けとめていらっしゃいますか。
 この施設が今のままで、なぜまずいんでしょう。いいんじゃないですか。今のような支援費の導入も含めて、そして民間移譲する二重三重の障害者への負担、なぜこの時期に移譲しなければならないんでしょうか。利用者本位というなら、まさに現状を守ることではないんでしょうか。所見を伺います。

○片岡団体改革担当部長 若干、都立福祉施設改革の基本的な考え方の部分から申し上げますと、これからの福祉につきましては、多くの事業者が競い合いの中から多様なサービスを提供して、利用者が自分に最も合ったサービスを選択できる仕組みをつくると。
 その中で、都が直接サービスを提供するのではなくて、そういった枠組みをつくり、その実現に向けて、区市町村や民間事業者を支援していくということに重点を移していくことが、そういった新しい福祉を実現することになるんだ、こういう考え方のもとに、都立の福祉施設は民間移譲等を進めることを基本にして方針を定めたということでございます。この辺の考え方をもとに進めております。

○小松委員 いいですね、言葉は。最も合ったサービスを障害者が選ぶ。そうですか、来年の四月になったら、今の施設はちょっと嫌だから、じゃ、ほかの施設に行きたい、行けるんですか。行けないんですよ。そんなに今、余裕ないでしょう。受け皿ないでしょう。本当に言葉というのは便利であって、事業者が競い合いをする、質のいいサービスが生まれる。それを皆さん、選択していこうじゃありませんかという競い合い、選択の--地域という言葉も入りますけれども、そうしたこれからの東京の福祉の基本というところに行ってしまいました。しかし、今お話ししているのは、私は最重度ということで申し上げました。最重度の方が選択できるんでしょうか。それだけの受け皿、あるんでしょうか。
 先ほど、三カ年計画では順調にいっている、こういう話もありました。本当に順調にいっているんでしょうか、サービス基盤は本当にそろっているんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○有留障害福祉部長 三カ年計画につきましては、まだ計画の途上でございまして、来年度までの三カ年でございますから、現時点で進んでいる施設区分もあれば、例えば生活寮など、地価の高い地域ではちょっと設置がおくれているとかという部分がございますが、計画のまだ一年半の段階で、これがいいとか、進んでいるとか進んでいないとか、また、今年度末の見込みも今いろいろ協議中でございますので、全体としては私どもは順調に進んでいると考えておりますし、足りない部分につきましては、来年度に向けて全力を尽くしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 それから、先ほどちょっと、お言葉でございますが、支援費制度で規制緩和ということが、人員削減というふうにご理解されているようでございますが、支援費制度では、先ほど申し上げたとおり、定数管理、一対一だったら、必ず一人つけなさい、そういう発想ではなくして、非常勤職員の活用なども非常に弾力的にできるということでございます。
 私も、ある施設を見てまいりましたけれども、特に民間施設では、レベルの高い非常勤職員を活用しております。例えば、三分の一とか半分近く活用しているところもございます。養護学校の元先生、それから施設の職員で子育てが終えた方とか、そのようなレベルの高い方を--施設は一日じゅう忙しいわけではございません。例えば障害児施設でいえば、昼間は学校に行っているわけでございます。朝食の時間帯、夕食、入浴の介護の時間帯、それによって必要な人員を弾力的に活用ができる。
 支援費制度の常勤換算というのはそういう制度でございまして、イコール、人員を削減するとかということではございません。再三申し上げているとおり、利用者が安心して生活が送れるよう、サービス水準の確保という観点から、そのあり方を考えていきたいというものでございます。

○小松委員 サービス基盤の三カ年計画は、私、ここできょう論議するつもりも全然ありませんでしたので、きょうは資料も持ってきていませんけれども、一言だけ申し上げておけば、私ども、このサービスの受け皿、基盤整備を全都を全部調べました。二十三区、それから二十七市、あとは町村ですね。
 そうしましたら、特に私は多摩の市におりますけれども、多摩の中でこの計画がつくられているのは四市しかないんですよ。まあ来年見てくださいと胸を張っておっしゃったようですけれども、皆さん希望は、三カ年じゃなくもっと延ばしてほしいんだ、そんないわれたって急にできない、これが区市町村の答えなんですよ。ぜひこれはしっかりやってもらわなくちゃならないから、それを延ばすとか、それからもっと支援するとか指導するとか、しっかりやっていただきたい。でも実際には、この基盤整備も非常に難しく、区市町村が進めるんですから、東京都がじかにやるんじゃないんですから、非常に難しいということが今いわれております。これはちょっとおいておきますね。
 それで、先ほど申し上げた支援費は、レベルの高い非常勤をつけるからいい、その辺、私もちょっと驚くんです。いいですよ、工夫は。全然資格がなくて、福祉も何もわからない方が突然行くより、やはり養護学校の先生が、または保育をかつて経験された方が、本当にそれはいいと思います。でも、これはどんなにその方がレベルが高くても、非常勤は非常勤なんですよ。基本は正規職員がここをやっていかなくちゃならないんですよ。実際に正規職員が何人いるかなんですよ。非常勤というのは、その勤務年限も、ずっと非常勤でいられるなんてこともない、契約かもしれない、いつやめてもいい、そういう責任もありません。
 正規の職員というのが、この入所されている障害者と本当に--これは、ただ世話をすればいいというんじゃないんですよ。心と心が通じ、私もびっくりいたしました。最重度の方が必死になって私に訴えられる。残念ながら、私にはその言葉がわからなかったんです、はっきりいって。そうしたら、職員の方が、通訳といっていいかどうか、それをしっかり聞いて、私に本当に通訳されるんですよ。やはりこれは長い間、正規職員として、そして施設の中で一緒にやってきたからこそできるんですよ。施設の職員て、そういうものなんですよ。
 今、何か、レベルの高い非常勤を三分の一、とんでもないことだと思います。そういう方々で埋めていく、いいですよ、こういう方が入っちゃいけないとはいっていません。しかし、ここが中心ではないということをしっかりいっておきます。
 そして、きちっとした、今までと同じようなサービスがちゃんとなされる、ここが基準であるということ。これはこれ以上論議しても、そちらがそういう形なら、本当に残念ですけれども、非常勤ではやれないよということ、それは申し上げておきたいと思います。
 しかし、この重度障害者施設や医療ケアを伴う障害者施設、この多くは、今までやっぱり都立だからやってこられているんではないでしょうかね。例えば、私が住む東村山の隣に、清瀬の喜望園というのがあります。先ほどから療護園の話が出ておりますが、この清瀬療護園と清瀬喜望園が隣合わせで、真ん中は診療所でつながっているという施設ですけれども、今回は、大変こういう複雑なところだったので、五年間に入らないということでした。しかし、この喜望園では、もちろんご案内と思いますけれども、六〇%以上の方々が、二十四時間酸素を吸っていなければ生きていけない方々なんですね。(「みんなそうだよ」と呼ぶ者あり)いや、ごめんなさい。今、大変失礼いたしました。いいご指摘を受けました。酸素濃縮器という機械があるんですよ。それで常に医療的ケアを受けながら、二十四時間過ごしておられる方々なんです。
 そして、そのほかに、ふだんはその機械をつけていなくても、この喜望園の中には、トイレの中にも、おふろの中にも、また廊下だとか、あちらこちらにこの酸素設備があるんです。途中で苦しくなったら、すぐそれが吸える。この苦しさは、私たちは本当にわからないんですが、こうした大変重度な方々、見れば五体満足という形の中で、自立したように見える方々、しかし、この方々もこうやって酸素設備がないと生きていけない。
 ところが、酸素というのは非常にお金が要るとおっしゃっていました。私たちの三度の食事より、この酸素がお金がかかるんだ、都立だからこそ安心してここにずっといられる、これが民間移譲になったら一体どうなるんだろうと、大変心配されておりました。これは全国では唯一の施設ではないでしょうか。
 それでも、今は都立といっても直営ではなく、ここはアフターケア協会といいますけれども、民間に委託をしている。それでも都立民営ということで都が責任を持っている。こうしたことが大切なんじゃないでしょうかね。今回は五年に入っておりませんけれども、民間移譲するとか、または廃止をしていくとかということはないと思いますが、そんな方向になったら、この方たちは外へ、いわゆる地域に戻れといわれても、身寄りもない、地域で暮らせないからここにいる。病院に戻らざるを得ないんですよ。こうした方々のこういう施設に対しての対応、都立の位置づけ--都はすばらしいことをやっているんですよ、もっと胸を張って自信持っておっしゃっていただきたいと思いますね。

○有留障害福祉部長 お話の清瀬喜望園でございますが、民間の施設がさまざまな医療的ケアをしている障害者を受け入れることが困難なときに、医療体制のある都立施設において処遇してきたところでございます。
 お話のような本施設の今後については、方針にも出しておりません、検討委員会報告に出ておりますけれども、長期的視野に立って慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。

○小松委員 長く答えなくても、都立はしっかり守っていくんだという一言でよかったんですけれども、慎重にということですから、ここでは本当にこういう施設は守ってほしいということを強く要望しておきたいと思います。
 そこで、先ほど論じられておりました支援費問題での施設ですね、これは小さな施設を含めてといって、これから五年間に八施設も民間移譲しようというのが出てきているわけですね。そして、先ほどのお話では、支援費に合わせて、制度は四月からだから、それにそごのないようにやっていきたいということは、この民間移譲ということとの関連ではどうなっていくんですか。

○有留障害福祉部長 さまざまな在宅サービス、施設サービスとも、支援費に基本的に移行するわけでございますが、それが都立であろうが、民間福祉法人であろうが、基本的にあらゆる移行するサービスには適用されますので、それが都立であるとか、あるいは民間法人立であるとか、そういうことには直接の関係はございません。

○小松委員 支援費導入があるから民間移譲を急ぐということはないということですね。それは別として、民間移譲は民間移譲として、反対ですけど、そちらはやっていく、支援費は支援費なんだということで割り切っていいということですね、確認をします。

○有留障害福祉部長 支援費制度への移行とは関係なく、サービス水準を落とさない、そういう観点で、関係者の理解を得ながら慎重に移行を進めてまいりたい、そのように考えております。

○小松委員 介護保険の導入で、特別養護老人ホームが希望者が急増したということがあるように、やはりこういうことが考えられると思うんですね。支援費の導入と同時に希望者がふえるということになると、先ほど申し上げたように、本当にさまざまなところが不足してくる。そういうときに、どんどん大きな施設は規模を縮小して、これから民間移譲も考えて、五年の間には、そういう形じゃなくて小さいところだけですけれども、やはり縮小というのは、それこそ、そこは縮小して--私も大きい施設がいいと思わないんです。これは過去、ああいう大きい施設をつくっていくというのは、一つの反省かと思うんですけれども、縮小するのはいいけど、その分どこかにつくるんならいいけど、どんどん減らしていく。
 希望者はたくさんいるんですね。待機者を見ますと、これは障害者でも知的障害者、資料いただきましたね、入所更生施設千百三十五人。在宅待機は二百二十人といいますけど、待機者そのもの、病院にいたりいろいろあるのでしょう。または身体障害者の療護施設二百三十人、これは老人ホームや特養なんかの待機とはまたちょっと質を異にします。こんなに待機者がいる。もちろん高齢者も待機がいます。そういう中で規模をどんどん縮小していく、ますます足りなくなっていく、これはどういうふうにお考えでしょうか。
 特に、今の障害者に限ってもいいです。来年、支援費できっとまた希望者がふえていくだろう、そういうことが考えられませんか。そういうときに縮小していく方向というのがどういうことなのかということです。

○有留障害福祉部長 入所施設待機者の解消についてでございますが、一つは緊急整備三カ年計画で、知的障害者更生施設及び療護施設などの建設を進めているところでございます。さらに、私どもとしては、施設だけでなくて、今後は希望する障害者が地域で生活できるよう、先ほど来申し上げているとおり、生活寮などの大幅な増設を図っているところでございます。そういう多様な形で入所待機者を解消していきたい、そのように考えております。

○片岡団体改革担当部長 先ほど、都の方針によって規模縮小というようなことに触れられましたが、障害者施設において、都の方針においての規模縮小ということはうたっておりませんので、一つ申し上げておきたいかと存じます。
 それから、民間移譲におきましても、都の施設に入っている方に出ていただくとか、そういった不安を抱く方がいらっしゃるかは私ちょっとわからないんですが、そういった考えは持っておりませんので、民間に移譲していくということでございますので、その辺、誤解のないようによろしくお願い申し上げます。

○小松委員 なぜこういう不安が、声が出るかというと、それはそちらのやり方の手続上の問題があるからなんですね。今回のこの手続上の問題で、どうですか、ちゃんと皆さんがわかっていてこれが出されたんでしょうか。実は、私も厚生委員の一人ですが、皆さんもお感じになったと思うんですけれども、この報告や中間提言、新聞で出されて、新聞で見てびっくりしたんですよ。
 六月二十六日の議会最終が終わって、それでその日の夜、吉田さんと、我々は六月議会、二定が終わったけど、三定までこんなにあるから、今後の厚生委員会を迎えるために、こういう調査をしようね、こういうことで頑張ろうねと、一生懸命計画立てたんですよ。
 そうしたら翌日、この新聞発表でしょう、そんなものどこか行っちゃってね。そしてまた七月二日、あの発表でしょう。本当にこの間、振り回されてきたんですね。委員会の委員が知らないところで--いや、実をいいますと、委員会が設置されたことも知らなかったんです。よく見てみれば、片方は去年の十二月から、片方はことしの四月からやられているんですよ。
 こういうふうに、ご存じでしたか、皆さん。(「知らない」と呼ぶ者あり)知らないでしょう。こういうやり方というのは、本当に許せない。それがあるからですよ。同じこういう結論を出しても--結論は私たちは反対ですよ、でも、これは反対、賛成があってもいいの、そのやり方で納得していれば。みんなも何回も話し合った、何した、だけど、最後は平行線だけど東京都はこれでいく、じゃ、ここではこうしてと、そういうものがあってならいいですよ。
 その報告はあくまでも委員会、だけど東京都はそれをもとにしてというのは百歩譲っても、今後はということで、そこで徹底的に話されるならいい。そういうものもないでしょう。それで大体が、サービス推進費の方は後から吉田議員がたっぷりとやりますけれども、どちらの委員会も当事者は全然いないんですよ。利用者の声を聞かない、当事者もいない。こういうやり方、いっぱい受けているでしょう、一体どういうふうに思われますか。思われますかというより、どうしてこういうことになったんでしょうね。

○川崎福祉局長 私も読売新聞見てびっくりした方でございますけれども、そういうことは反省するとして、これからは、先ほどから我々答弁しているように、多くの方のご意見を聞きながら、私どもが目指す福祉改革を進めていきたいというふうに思っています。

○小松委員 そういうことは反省すると局長がいっていただきましたので、それは大事なことで、新しい局長、本当にきちんと--ただ、反省だけでは猿もできるから、そこで口だけではなく、今後の取り組みの中で、入居者や、それから現場の職員、大切ですよ、施設長だけ聞いて、話をして終わりじゃだめなんですよ。局長は何回か現場に行かれているのを存じております、あちこちですれ違いましたからね。よくいらして、精力的にやられている。
 しかし、管理職も含めて皆さんが、やはりこうした都立施設、ただ担当者の一部の人だけが、職員や係長ぐらいまでが訪れるんじゃなくて、今回新しい方々ですから、すべて自分の足で実際に見ていただきたいと思うんですよ。
 それと同時に、詳しい実態調査をしていただきたい。先ほどの調査は、四割の人が答えていませんよなんて、澄ましておっしゃるけど、そうおっしゃるなら都がやられたらどうですか。やっぱり入居者がやったんじゃ弱いんですよ。都がきちんと丁寧に、今後そういうことをやれる約束できますか。

○川崎福祉局長 その前に、先ほど反省をしたというのは、厚生委員会の先生方もご存じないということについて私は反省したということでございますので、すべてに反省したわけではございません。

○有留障害福祉部長 施設の運営実態についてでございますが、毎年度オンブズマンが入っておりまして、報告書を出すことになっております。それから二年に一遍程度、指導監査に入ります。
 それから私自身、障害福祉部長として、全都立施設及び民間施設を含めまして、主なところで三十数施設回ってまいりまして、現場を見させていただき、それから職員とも議論をさせていただきました。こういうことを私だけではなくて、課長以下も日常的にやっております。今後とも現場の実態把握に努めてまいります。

○小松委員 残った施設まだありますね、ぜひ全部回ってくださいよ。それで、実態調査をきちんとして、資料として欲しいということ、それをお答えいただきたいのと、それからいろんな要望が今回あったでしょう。どのぐらい、どんなものがあったんですか。この資料の中に入れていただきました。ありがとうございました。これを見ても、本当に特徴的なことがいえますが、いかがでしょうか。

○内海企画担当部長 福祉サービス提供主体の改革への取り組みに関しまして、意見、要望、たくさんの各種の団体、施設、個人の立場から、さまざまと寄せられているところでございます。賛否両方のご意見、要望につきまして、私も全部見させていただきました。そういうご意見、ご要望を反映いたしまして、これからの改革に生かしていきたいというふうに思っております。

○小松委員 先ほどの吉田都議の質問に対しては、何とか団体、何とか団体と全部おっしゃったけど、いえないということは、いえないほどたくさんあるということなんでしょうね、そう見ておきますよね。だから、本当にそういうさまざまな要求をきちっと反映させてもらいたいと思います。
 この主な要望を見ましても、ちょっと触れておきたいのは、例えば市長会、それから区長会も出ましたね。やはり市長会や区長会がこうやってきちっと出して、そして関係区市町村の意見を十分聞くことというのは、これは大変大きな重い要望なんです。
 それからまた、台東だと思います、山谷地域ではと書いてありますから。台東以外に山谷地域ってないよね。ですから、これを見ましても、台東がこうやって山谷地域の問題、ここにも書いてありますように、この山谷地域では養護老人ホームが今後も必要な状況だ、廃止や縮小となると困るんだということをいっているわけですね。
 ということは、台東に限りません、路上生活の方々、まだまだ都内にはたくさんいらっしゃるし、まさにこうした人々のセーフティーネットになるのではないか。路上生活だけではない、今ふえているアルコール依存症や精神、大都市だからこそ起きるこうしたさまざまな問題に対応する養護老人ホームを縮小したり、またはなくしてしまうというのはとんでもないんだ。少なくとも板橋を東村山と統廃合する、そんなことはやめてほしい、そう思います。
 東村山の住民としては、市民になるから、そのおかげで介護保険が上がってきますから非常につらいんですが、とにかくこの老人ホームの中の養護老人ホーム、特養は特養でありますけれども、こうした台東の要求に対してどういうふうに受けとめて、どう対応されますか。

○福田高齢者部長 台東区からの要望の趣旨については承知しております。養護老人ホームはこれまで、経済的理由及び精神、身体的理由により、地域での在宅生活が困難な高齢者に生活の場を提供する役割を担ってきました。養護老人ホームの入所者のうち、一定程度の方々は、住宅施策や他の福祉施策の充実により、地域での自立した生活が可能であると考えられます。
 しかしながら、精神疾患あるいはアルコール問題等を抱え、社会的に自立困難な方々もいることから、養護老人ホームのあり方について検討していく必要があると考えております。

○小松委員 これはしっかりと残していただきたい、板橋の統合はぜひやめていただきたいという強い要求をしておきます。
 大分時間も過ぎましたので、最後、意見を述べて終わらせていただきますが、国が進める社会福祉の基礎構造改革路線の先取りで、都はこの二〇〇〇年の福祉改革推進プランに続いて、ことし二月のTOKYO福祉改革STEP2、これを策定したわけです。
 これらの共通は、措置制度は戦後のナショナルミニマムを築いたと評価はしつつも、その後、今はもうその役割を終わってしまったんだ、こういっているわけですが、果たして都立施設の役割、終わったでしょうか。これはもう聞きません、終わってないんだといわせていただきたい。
 特養にしても、そしてまた養護にしても、先ほど述べましたが、今、被虐待児がふえている児童養護にしても、都市問題固有のニーズに対応した受け皿こそ、都立施設としての役割ではないでしょうか。都立福祉施設からの全面撤退は、これは公的責任の放棄であり、これまで築き上げてまいりました東京の福祉、全国一と胸を張ってきた、この東京の福祉水準を引き下げて、だれもが安心して生活できる仕組みを破壊することといってもいい過ぎではないでしょう。当然容認できるものではありません。改めて、全施設に対する詳細な調査も求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○山口委員 福祉サービス提供主体の改革への取り組みについて伺います。
 今回の改革への取り組みについては、都が運営する福祉施設から実質撤退するというような内容に思えます。入所施設偏重から、地域での生活を支える施策を充実させていくことは大切かつ重要ですが、入所施設が果たす役割も重要なものがあります。
 この報告に対して、先ほど来多くの委員の方からの質問に対し、関係する利用者や職員等の意見を聞きながら実施していくものとの答弁ですが、改革というのであれば、今こそ現場の職員、あるいは利用者といった現場に近い人の声を聞き、反映させるべきと思いますが、いかがでしょうか。

○片岡団体改革担当部長 今回の方針の策定に当たりましては、改革の進め方について検討をお願いした都立福祉施設の改革推進委員会において、高齢者、児童、障害の各分野について、それぞれ都立施設と民間施設の現場の状況を調査いたしております。また、施設の運営や処遇の内容についても、都立施設の施設長などから話を直接聞いておりますし、委員会のメンバーにつきましては、民間施設の関係者あるいは現場の第一線で活躍していらっしゃる民間施設の方からのご意見もいただいておるわけでございます。そして、この方針あるいは報告については、直ちに各施設に対してご説明をしているところでございます。
 そういった意味で、この都立福祉施設の改革の部分について、委員会自体、公開でやりましたんですが、その辺の周知が不十分であったというご批判はあろうかと思いますが、私どもとしてはオープンの席で議論をしてまいったというふうに考えております。
 なお、今後、改革の具体化に際しては、利用者に不安の生じないよう十分な説明を行ってまいりたいと考えております。

○山口委員 今後、こうした大きな改革に当たっては、都民への公募枠などもぜひ検討されていくことを要望いたします。
 続いて、高齢者施設について何点か伺います。
 都立施設の定員を縮小するとしていますが、介護保険制度実施後も、在宅重視といわれながらも、特別養護老人ホーム入所希望者数は都内で約二万五千人に上っています。このような多数の入所申込者の実態はどうなっているのか、伺います。

○福田高齢者部長 都内での特別養護老人ホーム入所希望者数は、平成十三年十月一日現在、二万五千四百九十五人で、一人平均二・六カ所の施設に申し込んでおります。そのうち四千人の方々を抽出して意向等を調査いたしました結果、入所希望者の約半数は、現在、介護保険施設、病院、社会福祉施設等で生活しておられます。
 また、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、いわゆる介護保険施設に入所していて特養ホームの入所を希望している方は、約三割の七千人と推計しております。介護保険施設に入所している方を除いて、いずれは特養ホームに入所したいが、現在は在宅での生活を続けたいと希望する人は、全体の約四割の一万一千三百人、一年以内の入所を希望している人は、全体の約三割の七千二百人と推計しております。

○山口委員 その中には予約的な申込者も多数あり、また、介護保険の入所施設に入っていながら、地域の特養に転入を希望している人も多いということは、入所まで数年待たなければならないという状況の中で、いざというときになれば施設に頼らざるを得ないという実情が、今までと変わっていないということだと思います。このような状況に対して、今後どのように対応していくのか伺います。

○福田高齢者部長 都としましては、特別養護老人ホームも含め、地域のケアつき住まいなど、身近な地域で暮らし続けられるよう介護サービス基盤の整備などに対する積極的な支援をしてまいりたいと考えております。
 また、特別養護老人ホームへの優先入所に関する国の省令改正を受けまして、入所希望者の状況を十分把握して、必要性の高い方が優先的に入所できるような仕組みを、特別養護老人ホームの経営者そして区市町村が協力して構築できるよう、都としても支援してまいりたいと思っております。

○山口委員 今後、施設に入所したいというような希望者が四〇%近く申請しているということは、やはり在宅で暮らし続けるには、まだまだ不安があるというサービス基盤の不足があるかと思います。在宅支援に欠かせないショートステイサービスについて、一応利用数は拡大していると聞いています。
 しかしながら、利用が集中したときなど、利用者の希望にこたえられない現状があります。特に、緊急のショートステイは著しく不足していると聞いています。介護保険の制度下においては、措置時代と違い、事業者は空きベッドを確保できるほど経営にゆとりがありません。緊急用には行政がベッドを確保する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○福田高齢者部長 いわゆる緊急用のショートステイでございますけれども、もう既に幾つかの区市町村において制度として設けております。また、東京都においても、要介護者を一時的に都立施設で介護するモデル事業を現在実施しております。
 介護保険制度導入後、ショートステイの利用についても、利用者と施設が直接契約するシステムになっております。そういったことから、利用者にとってショートステイの空き状況が把握できることが必要であると思っております。都としても、東京都介護サービス情報の中で、空き情報が検索できるようにしておりますが、今後、各施設がこのシステムを十分に活用して、ショートの空き情報が都民に十分提供できるよう働きかけてまいりたいと思っております。

○山口委員 現場では、ケアマネジャーの方々は、この緊急用のショートステイがないということで非常に困っている状況を聞いておりますので、今後ともぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 地域で高齢者が安心して暮らし続けられるように、今、ケアハウスなどの取り組みが進められていると思いますし、必要であると考えますが、見解を伺います。

○福田高齢者部長 地域の中で、これまでと同様に暮らしが継続できる、ケアハウスもその一つですが、いわゆるケアリビング、あるいはケアつき住宅のようなものを、現在、東京都はケアと連携した高齢者向けの多様な住まい方ということで、強く推進しているところでございます。
 九月一日現在の状況でございますが、痴呆性高齢者グループホームが五十二施設、六百七十一人分、ケアハウス十九施設、定員八百九十八人、有料老人ホームが九十七施設、定員七千六百十七人、シルバーピアが八千九百八十六戸となっております。
 取り組みの状況につきましては、グループホームにつきましては、民間企業に対する整備費補助の創設などによって設置の促進を進めており、ケアハウスについては、民間事業者等の活力を生かしたPFI方式の導入を図っております。また、有料老人ホームにつきましては、良質なサービスを確保するための、都としての設置者等に対する指導指針の作成に努めております。
 このようなことで、いわゆるケアリビングの推進に取り組んでおるところでございます。

○山口委員 民間企業に対する整備費補助の創設などで設置促進に努めているグループホームですが、住みなれた地域で最も在宅に近い暮らし方として、痴呆性高齢者グループホームは期待される社会資源です。
 現在、都内五十二カ所、六百七十一人とまだまだ足りません。TOKYO福祉改革STEP2では、本年度末までに九百二十一人分、十六年度目標を大幅な拡大と挙げています。量も必要ですが、質の確保も必要であると考えますが、今後、実現への具体的な取り組みについて伺います。

○福田高齢者部長 まず、量の拡大でございますが、先ほども申しましたように、今年度から民間企業に対する整備費補助制度や、先般新聞にも出ましたけれども、暮らしの福祉インフラ緊急整備事業を創設し、一層の設置促進に努めているところでございます。
 また、質の確保につきましては、第三者サービス評価制度の導入や、あるいは職員に対する痴呆介護実務者研修などによりまして、サービスの質の確保、向上に努めているところでございます。
 しかしながら、痴呆性高齢者グループホームは何分にも制度化されてから間もない新しいサービスでございます。整備や運営のノウハウ、あるいは利用者に対するケアのあり方など、必ずしも確立しているとはいえない面もございます。
 今後、グループホームの実態などを十分に把握し、ソフト面も含めたグループホームの普及、拡大を図るため、さらなる取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○山口委員 今、ソフト面と申しましたが、確かに、市民事業などで地域にグループホームをつくりたいといっても、なかなか地域住民の理解が得られずに、思いを断念したというような話もあります。今後、地域住民のいわゆる痴呆性高齢者、そしてまたグループホームの理解も含めて推進していくようなソフト面の政策を、東京都としてもぜひ検討していただきたいと思います。
 続いて、児童養護に関して質問いたします。
 虐待児の受け入れなどで、養護施設の定員がいっぱい状態であると聞いていますが、現状はどのようになっているのでしょうか。

○笠原子ども家庭部長 本年八月一日現在の施設入所率でございますけれども、九六・一%でございます。最近の状況といたしまして、被虐待等による要保護児童がふえておりますことから、入所率が高くなっているのではないかというふうに受けとめております。

○山口委員 こうした養護を必要とする児童への取り組みも、施設から家庭的養育へと変わろうとしています。これは私も大変期待するところですが、養育家庭の現状と今後の見通しについて伺います。

○笠原子ども家庭部長 養育家庭の現状でございますけれども、まず登録家庭数でございますが、昨年の八月、これは二百九十七家庭でございました。本年の八月では、二百九十四家庭でございます。それから、委託家庭数につきましては、昨年の八月が百五十五に対しまして、本年八月は百六十六、それから委託児童数につきましては、昨年の八月が二百八に対しまして、本年は二百二十五人となってございます。
 今後の見通しについてでございますけれども、今年度から社会的養護システムの再構築とするということで、家庭的養護を充実していくために、執行体制の抜本的な見直しを初めといたしまして、いろんな改革をいたしておるところでございます。
 例えば、児童相談所を養育家庭支援の中心に初めて位置づけをいたしました。また、児童相談センターの中に養育家庭を専管とする組織を設置いたしました。それから、児童相談所とともに養育家庭を支える仕組みといたしまして、養育家庭支援センターあるいは養育家庭支援、こういったものも今年度から新しくつくっていくことにいたしました。
 また、こういったことに加えまして、ソフト面では、養育家庭をふやすために、六月に東京都ホームページにPR広告を掲載いたしました。それから、五月から六月にかけましては、電車、バスなどに交通広告をいたしましたし、それから「広報東京都」などのさまざまな媒体を用いまして広報を行いました。また、リーフレットあるいはポスター、こういったものを都の出先事業所あるいは区市町村の窓口、それから民間企業、こういったところにも配布をいたしまして制度の周知に努めてまいったわけでございます。
 こうした執行体制の整備あるいは効果的なPR活動の充実、こういったことに今まで一生懸命取り組んできたわけでございますけれども、こういった取り組みによりまして、今後、養育家庭制度は着実に拡充していくもの、こういうふうに私どもは考えておるところでございます。

○山口委員 また、養育家庭制度とともに、むしろ私は推進しやすいかなと思いますグループホームの現状と見通しについて伺います。

○笠原子ども家庭部長 十三年度末現在でございますけれども、二十六のグループホームが設置されまして、その中では、百三十八名の子どもたちが小集団によるきめ細かな個別処遇により生活をいたしております。
 今年度に入りまして、これに加えまして二つのグループホームが開設いたしました。合計で二十八カ所となってございます。また、新たに国制度の地域小規模児童養護施設三カ所の設置を、現在国に協議いたしておるところでございます。
 今後も社会的養護システムの転換を図る中で、養育家庭の着実な拡充に努めるとともに、グループホーム拡充に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○山口委員 おおむね五年を目途に、今の七・五%から、二〇から三〇%の子どもたちがこういった家庭的な養育へ移るようにという目的ですが、実際に、ある程度の子どもたちには、子どもたちの意見を聞きながら、また、そのニーズに合った枠組みの整え方というようなことも、調査などを通じてぜひ検討していただきたいと思います。
 続きまして、社会福祉法人に関する補助金と検討委員会の報告についての質問に移らせていただきます。
 今回の福祉サービス提供主体の改革への取り組みについては、都立福祉施設改革と並んで社会福祉法人改革への取り組みについても触れています。この前提となるのが、福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会中間提言です。この中間提言では、民間社会福祉施設サービス推進費補助について、A経費の再構築、B経費の廃止が提言されています。現在の民間の福祉施設の支出項目を見ますと、人件費が全体経費の半分以上六割を占める施設がほとんどです。
 このような中で、国基準の人件費に上乗せする形の都独自の補助であるサービス推進費のB経費が廃止されることになれば、施設では、即人件費のカットにつながることは否めません。また、人件費を削除するために、スタッフの削減あるいは職員の非常勤化を図るようになる施設も出てくることが想像されます。スタッフの数が削減されたり、非常勤の職員ばかりの施設で、果たして今までと同じようなサービスが提供できるのか、私のところにも数多くの私立保育園から同様の声が寄せられており、現場の施設あるいは職員は大変大きな不安を抱えています。
 取り組みでは、このような施設にB経費の廃止を提言した中間提言について、その問題提起を受けとめた上で改革のあり方、進め方を検討していくとしていますが、都はこのB経費に係る問題提起をどのように認識しているのか、伺います。

○内海企画担当部長 サービス推進費補助のいわゆるB経費につきましては、今回の提言委員会の中間提言で指摘されているような、一度加算されると、以後は経常的経費として一律に補助されており、各法人施設の努力の度合いを的確に反映するものとはなっていない、また、職員の平均勤続年数に着目して補助額を算定しているため、その補助効果があらわれるかの保証のない補助の仕組みとなっている、こういう課題が指摘されてございますが、そのことは事実であると認識しているところでございます。
 また、本補助制度の実施以降、福祉改革の取り組み、介護保険制度の実施など、福祉をめぐる状況は大きく変化しておりまして、本補助制度を含め、都施策全般にわたって利用者サービスの向上につなげるような仕組みづくりを進めていく必要があると考えてございます。

○山口委員 さらに、中間提言における問題解決では、国における施設職員の常勤職員配置の義務づけに係る規制緩和の動きにも触れています。これも現場である施設の実態、また、現場を担う人材の役割を無視した議論といわざるを得ません。専門的な知識を持ち、現場でさまざまな利用者の処遇を通じてケアのノウハウを積み上げてきたベテランの職員の役割の大きさは、いうまでもありません。それが非常勤職員で代替できるというのでしょうか。ベテラン職員すべてがいいとはいいませんが、ベテラン職員がいてこそ、利用者本意の質の高いサービスが実現できると考えますが、見解を伺います。

○内海企画担当部長 福祉施設における資質の高い人材の果たす役割は、利用者に対するサービスの向上を図っていく上で非常に大きいと考えております。そして、その職員の資質は、経験に裏打ちされる部分があることについても認識しているところでございます。しかし、客観的に経験年数が長いということだけで職員の資質を図ることは困難であるという点で、中間提言において指摘されていることについては、十分そういうことであろうというふうに認識しているところでございます。
 民間社会福祉施設サービス推進費補助制度につきましては、これまでの職員の平均勤続年数の多寡により一律に補助する仕組みを、資質の高い人材によるサービス向上に向けた努力が真に報われるものにしていくよう検討してまいりたいと思っております。

○山口委員 経験の長さ、多さだけでサービスの質は必ずしも担保できないということですが、それでは提案ですが、現在、障害者の入所施設を中心に、ベテランの職員の苦労もあって、利用者の地域生活への移行支援を行っているところが少なくありません。
 そこで、民間社会福祉施設サービス推進費補助について、こうした独自の取り組みを行う施設に対して、重点的に補助を行う方向での検討が必要かと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○内海企画担当部長 都が目指します利用者本意の福祉の実現のためには、先ほど来申し上げておりますように、社会福祉法人も、社会経済状況等の変化に対応いたしまして新しい福祉を担っていくため、自己改革を進めていく必要があると考えてございます。都も、こういう取り組みを支援していくという観点で、社会福祉法人改革を進めてまいりますけれども、ご指摘の施設における地域生活への移行支援というものにつきましては、都の福祉改革の取り組みにおいても重点としているところでございます。
 今後、民間社会福祉施設サービス推進費補助についての検討に当たりましては、その点も含めまして、さまざまなご意見を聞きながら検討してまいりたいというふうに思っております。

○山口委員 今後検討していくとのことですが、中間提言のB経費廃止の提言をそのまま実行することなく、施設、さらには職員の意見を十分に聞き、慎重に検討されることを要請して、次に移ります。
 最後に、利用者がサービスを選択するに当たり、判断材料として、福祉サービス事業者に対する第三者サービス評価については、重要な役割を担うことになると思います。東京都は指導検査、監督を実施していますが、来年からは、利用者の選択とサービスの質の向上に資するため、東京都福祉サービス評価推進機構が認証した多様な評価機関による福祉サービスの第三者評価を本格実施する予定です。
 既に、前期執行事業は終了したところと聞いていますが、今後、第三者サービス評価の普及、定着を図り、指導監督とは同じ役割ではなく、充実を図る必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○内海企画担当部長 都は、これまで福祉サービス事業者に対する指導監督といたしまして、ご指摘のとおり、法令等の基準に基づく指導検査を行うとともに、適切なサービス提供という観点から、運営指導をあわせて実施してきております。
 また、平成十五年度からは、利用者の選択のための情報提供と事業者のサービスの質の向上を促進することを目的にいたしまして、東京都福祉サービス評価推進機構が認証した多様な評価機関が、共通評価項目や独自の視点で策定いたしました評価項目を用いまして、事業者と契約を結んで行う第三者サービス評価を本格実施する予定でございます。
 このように、行政が行う指導監督と第三者サービス評価は、実施主体が行政なのか、NPOや民間企業も含めた多様な評価機関なのか、法に基づいて事業者が必ず受けるものなのか、任意に事業者が受けるものなのかといった点などで異なっておりますけれども、利用者本位の新しい福祉を実現するためには、それぞれ実施することが必要でございます。
 今後、都は第三者サービス評価の普及、定着を図るとともに、行政の責任として指導監督を確実に実施していくことによりまして、福祉サービスの向上に一層努めてまいりたいというふうに思っております。

○山口委員 評価項目の重複をどういうふうに整理しているのかが、今後問われるところだと思います。検討に当たっては、利用者、サービス提供者、ケアマネジャーといった、ある種の現場の実態を本当に知っている人たちの声をぜひ反映させての評価項目の検討をしていただきたいと思います。
 先ほどの答弁に、新しい福祉についてという答弁があったんですが、この新しい福祉についてどのようなイメージを持たれているのか、それだけお伺いしまして、質問を終わります。

○内海企画担当部長 先ほど来申し上げてございますけれども、都が進める福祉改革というものは、行政が広範囲にわたってコントロールするものから、既存の福祉の仕組みを根本から改めて利用者本位を徹底する、そういう新しいシステムを構築するものでございます。そういう意味で改革を進めていきたいと思っております。そういうものが新しい福祉というふうに考えてございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○古賀委員 私は、報告事項の社会福祉法人に関する補助金等検討委員会報告について質問いたします。
 具体的には、特別養護老人ホームの施設整備に関する補助金の不正受給事件についてであります。
 今回の事件では、社会福祉法人の理事長などの関係者だけではなく、東京都の元高齢者施策推進室長が本年の五月に逮捕されるという、ゆゆしき、また異例の事態となって今日推移をしているわけです。この事態を受けて、福祉局として今日までどのようにこの事件に対応してきたのか。補助金等の事務にかかわる東京都の事務がどのように今後改善されていくのかということを前提に、今までの対応についてお聞かせください。

○吉川総務部長 元高齢者施策推進室長が、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の違反容疑で逮捕されたことにつきまして、福祉局として真摯に受けとめ、今後このような問題が発生しないよう、五月十四日に逮捕されたわけでございますが、当日、直ちに福祉局に社会福祉法人に関する補助金等検討委員会を設置したところでございます。
 本事件を契機といたしまして、施設整備費に係る補助金交付事務全体を見直し、本年六月二十八日には、当面急がれました十五年度の補助金申請手続に向けまして、当面の取り組みとして四項目を取りまとめ、公表し、直ちに実施に着手したところでございます。
 さらに、その後、東京都監査委員が実施いたしました八月七日の随時監査報告、また、総務局所管の補助金関係事務適正化委員会からの八月三十日の報告を踏まえまして、同日、私ども福祉局の検討委員会からも、最終的な報告を取りまとめ、公表したところでございます。

○古賀委員 世の中には、常に利権を目ざとくかぎつけて、法の網を巧みにすり抜けようとする悪いやつがいるわけです。ですから、多額の公金や税金を使って進める今回のような施設整備にかかわる一連の事務手続は、厳格に、厳正に行われることが求められるのは当然です。
 今回の社会福祉法人による施設整備に関する補助金の不正受給事件は、私たち納税者、都民にとっても許されざる重大な事件であるということは論をまちません。現在、事件は、二回の公判が行われておりまして、係争中ということです。
 今後、関係者に対する判決が下されることになりますけれども、福祉局として、今回改善策をまとめるに当たって、この事件の背景にあるもの、問題点は何だと認識をしているのか、見解を示してください。

○吉川総務部長 今回の事件は、当該社会福祉法人が特別養護老人ホームの建設に関して、不正の手段により補助金を申請したにもかかわらず、元高齢者施策推進室長が補助金の交付決定を行ったことが、先ほど申し上げました補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の違反であるというふうにされたものでございます。
 そういう観点で、補助金の交付手続に関しましては、問題事例の発生予防、第二として補助金交付、法人設立認可等に係る意思決定の厳格化、第三として事後チェックシステムの確立などの視点から、再点検すべきであるという問題意識で検討してきたところでございます。

○古賀委員 いうまでもありませんけれども、今回のような事件が二度とあってはならないということで、改善策は再発防止を確実に図るものでなければならないということです。
 今、世間では、官僚、政治家、それから企業の経営者、ありとあらゆる分野でさまざまな不祥事が発生し、報道機関を前に頭を下げる場面に、国民はうんざりしているわけです。ですから、具体的に実効のある方策が今後講じられなければならない。
 報告書を読みますと、丹念に二十二項目にわたって改善策が取りまとめられて公表されたわけです。じゃ、例えば具体的に今後、再度不正な申請がなされようとした場合に、今回発表された改善策を実施することによって、都の意思決定における一つのチェックがきちんとできるのかどうか、透明性はちゃんと確保されるか、確実に再発防止ができるかどうか、いかがでしょうか。

○吉川総務部長 私どもも、二度とこのような不正な申請がなされることはないようにしたいというふうに思っております。先ほども答弁させていただきましたけれども、私ども福祉局の検討委員会では、問題事例の発生予防、意思決定の厳格化、事後チェックシステムの確立などの三点の視点から検討を行い、二十二項目の改善策をまとめたところでございますが、特に第二の視点の意思決定の厳格化の視点からは、これまで設置してまいりました法人審査会の審査機能を強化するため、外部委員中心の委員構成に改めるとともに、同法人審査会を適宜開催し、報告と審査を繰り返し行うことで、審査の一層の透明性と厳正性の確保に努めることといたしました。
 報告にも盛り込まれておりますように、これらの事項については、今年度末までに実施していきたいと考えております。これらの取り組みにより、不適切な補助金の交付決定は防止できるというふうに考えております。

○古賀委員 意思決定、補助金交付の決定は厳格に行われるということは理解いたします。
 事務手続の過程で、いろいろ我々伝え聞くところによりますと、この社会福祉法人は、偽造した残高証明書を使った、そして、法人認可を受けた後に補助金の交付を受けていたということであります。これは、いわゆる資金計画というものをきちんと東京都が確認する上で大変重要な役割を果たしている、従来の残高証明の確認の仕方が十分でなかった、不十分だったということですね。
 いろいろ多岐にわたってお聞きしなきゃいけないんですが、きょうは、残高証明の確認する手だて、方法については今後大丈夫かどうか、いかがでしょうか。

○吉川総務部長 ご指摘の残高証明の確認手続につきましては、既に平成十一年度から金融機関の残高証明書を過去三年にわたり提出させるとともに、十二年度からは預金通帳などの原本も提示させるなど、当該申請者におけます自己資金が確実に確保されていることを局が把握した上で、施設整備費補助の手続を進めるよう見直しを行ったところでございます。
 これらの見直しと、今回、先ほど申し上げました報告のあった改善策などを実施することにより、事務手続の公正性は確保され、残高証明の確認は徹底できるものと考えております。

○古賀委員 今後、この残高証明は事務手続の中でも非常に重要だと思いますので、今の答弁、都民はみんな聞いているわけですので、ひとつごまかされないように、事務を進めてもらいたいというふうに思うんです。
 今回、福祉局からありました報告の中にある改善策については、確実に都政への信頼確保のために、回復のために進めてもらわなければいけないわけで、こういう事件が起きますと、この報告書の中にも書いてあるのですけど、以前、平成八年度に、大変これも新聞でやかましく報道されました、埼玉県の方で起きました、たしか彩福祉グループといいましたか、特養ホームの整備にかかわる不正事件、これを受けて東京都は、足元の事件ではなかったんですけれども、みずから補助金の交付の仕組みについて改善策を図ったんですよね。図ったにもかかわらず、こういう事件が今回惹起されたということですので、再発防止という視点をしっかり踏まえて、この改善策二十二項目、万全を期して実施をしてもらいたいというふうに思います。
 これは最後に、川崎局長にお聞きいたしますが、その再発防止に向けた局長としての姿勢をひとつ示してもらいたいと思います。

○川崎福祉局長 この事件に関しましては、当委員会の先生方にも大変ご心配をおかけしております。改めておわびを申し上げるところでございます。
 福祉局では、この事件を真摯に受けとめまして、監査委員による随時監査報告、それから総務局が行いました報告も踏まえまして、実施時期をできるだけ明らかにした改善策を取りまとめました。
 今後とも、関係事務の厳正な執行に努めることはもちろんのこと、今年度中に今回報告された改善策のすべてを実施することによって、局を挙げて適正な執行の確保に努めてまいります。よろしくお願いいたします。

○曽雌委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時二十四分休憩

   午後五時三十八分開議

○曽雌委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○樋口委員 それでは、質問させていただきます。
 福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 私どもの民主党では、暮らし部会というのがあります。暮らし部会で、九月の九日、今話題になっております都外施設の視察に行ってまいりました。そして都外施設の中では、千葉の八街学園と、知的障害者・障害児施設である千葉福祉園について視察をさせていただきました。
 八街学園は、千葉県八街市にある大変豊かな自然の中で、十年前、三十三億をかけて建築された、居住棟や中庭に面した大変立派な体育館、野球のできる運動場、プール、テニスコート、そして点在するオブジェ。地域にも一部開放し、交流を図るとともに、児童が豊かな環境の中で生活をしているということがよくわかりました。
 しかし、その中で、二七%の児童が被虐待児であり、施設側の対応、そして努力、また改めてこの問題の複雑さというものに、私は考えさせられてしまいました。
 また、次に訪れました千葉福祉園、そこは袖ケ浦にあるんですけれども、六十年近い歴史を持つ千葉福祉園では、一つの丘、丘というか山なんですけれども、十万坪の広大な敷地の中に点在するいろいろな施設、そこを視察させていただきました。その施設の規模の大きさについて、とても強い印象を持ちました。そこで、陶芸や手芸、そして小規模授産などの作業を拝見し、入居していらっしゃる知的障害者の方々の生き生きとした表情、その表情に何かふわっとした感銘を受けました。定員規模が六百人の大規模施設となっており、さながら一つの町のようになっています。利用者の居住棟が並び、その風景は圧巻といえるものでした。
 しかし、このような施設の姿は、本来望ましい姿であるかどうかということについて疑問を覚えました。これまでの知的障害に対する福祉サービスは、行政の主導により施設を中心に行われてきましたが、現時点では、このようにたくさんの知的障害者や知的障害児の方々を大規模な施設に集め入所させるという考えは、これからの利用者本位の考え方の中では見直す方向にあるのではないでしょうか。
 障害を持つ人が可能な限り地域で自立して生活することこそが、今後の社会には求められていくと考えられます。その点で、現在都が進めている福祉改革の考え方である、地域での自立を支える新しい福祉、それはあるべき姿であり、積極的に推進していくべきものだと考えています。
 しかし、千葉福祉園というのは、障害児で入所された方で最年長の方は三十三歳、三十三年の間そこで過ごされていらっしゃいます。そして、障害者の方では、長い方で五十七年、平均三十年間もその施設で暮らされているという話を聞きました。地域に戻るといっても、結局、その方にとっては地域がそこの施設であり、そこの周りというのがとても都会とはかけ離れた場所なものですから、なかなかそこの地域にまじるということができにくい地域にあります。また、このような大規模な施設が民間で運営できるのかどうか、そのことも大変心配になりました。
 さて、今から、最初にお話をしました八街学園に関連して、何点かご質問をさせていただきます。
 児童虐待防止法が施行されてもなお、虐待問題は深刻化を増すばかりです。次から次へと報道される痛ましい事件に胸が張り裂けそうになり、また私自身、焦りを感じております。その上、東京都の養護需要も逼迫していると聞いています。都内の施設や養育家庭での受け入れなどにより規模の縮小を図っていくと、都は都外児童養護施設について方針を打ち出しております。
 そこで伺わせていただきます。都外の児童養護施設は都内の児童養護施設に比べたとき、どのようなメリット、デメリットがあるのか、お答えください。

○笠原子ども家庭部長 都外に施設があることのよい点でございますけれども、先生、八街学園にいらしたということでございますが、一般的には非常に自然環境に恵まれているということがいえるかと思います。それから、大変厳しい虐待等で、どうしても親から遠く引き離すことを必要とするケース、そういった場合には都外が極めて有効だろうというふうに思っております。
 一方、都外施設のマイナス面といたしましては、一つは子どもの処遇という観点から見ることができるんだろうと思います。大きく三点くらい挙げられるだろうと思っております。
 一つは、距離的な要因によりまして、児童相談所の福祉司さん等がなかなか訪問調査などに行けないということがございます。その結果、その児童処遇に関しますアフターケアだとか、あるいは関係者間のいろんな連携、調整ということが、どちらかというと都内施設に比べておろそかになりがちだということが、一点目として挙げられるというふうに考えられます。
 それから二点目といたしまして、病虚弱児、こういった子どもたちに対します対応でございますけれども、それに必要な小児精神科等の専門医療機関、こういったものはなかなか地方には不足している、こういう状況がございます。
 それから、最終的にその施設で社会的な自立を図るという観点から見ますと、やはり周辺等に就職口が都内に比べて比較的少ないという、就労支援の難しさということも挙げられます。
 それから、そういった子どもの処遇という観点ではなくて、将来の家庭への復帰という観点もやはり考えてみる必要があるんだろうというふうに思います。いろんな子ども、例えば虐待等を受けて、やむなく親元から引き離すという子どもでも、最終的にはやはり親と子が一緒になって家庭の中で過ごしていくということが望ましいわけでございまして、子どもがそれまでの生活の場所から遠く引き離されることによりまして、地域だとかあるいは家族、お友達、そういったものとのつながりというものが希薄になり、その結果、家庭や地域への復帰が難しくなるという点が挙げられるだろうと思っております。
 こんなことを考えますと、やはり都外施設はマイナス面の方が大きいのではないかというふうに考えてございます。

○樋口委員 確かに子どもにとって、小さくなれば小さくなるほど、幼くなれば幼くなるほど、親と離れるのが大変つらいことだと思います。親は子どもにとって絶対であり、そして一番最初に触れた親なんですから、親のそばにいたいという子どもの思いというのは、どんなにか強いものなのではないかと、私自身、子を持つ母親として非常に痛烈に感じております。できるならば親と一緒の生活が望ましいし、それが無理な場合には、なるべく住みなれた環境、住みなれた地域で住み続けることができるようにするなど、心身ともに疲れた子どもたちにとって、それまでの生活や環境を激変させないということは大変大切なことだと思っております。
 で、お尋ね申し上げます。社会的な養護が必要な子どもを、それぞれの状況を踏まえながら、なるべくそれまでの生活環境を変えないようにケアするため、東京都ではどのような方策をとっていくか、お考えをお示しください。

○笠原子ども家庭部長 社会的養護が必要な子どもにおきましても、地域の中で、家庭的な雰囲気のもと、愛情に包まれながら生活することが基本だろうというふうに思っております。こうした考えから、子どもたちが地域に根差した家庭的な雰囲気の中で健やかに育っていきますように、養育家庭や、あるいは小集団によるきめ細かな個別処遇が可能なグループホームなど、家庭的養護の推進に東京都としては積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○樋口委員 養育家庭やグループホームを活用するというお答えがありましたが、養育家庭もグループホームも、まだまだとてもとても十分な数とはなっておりません。そのために現状では、養育家庭やグループホームに子どもを委託する場合でも、都内とはいっても選択の幅はほとんどなくて、運がよければ住みなれた地域で、でもほとんどが遠く離れた地域の養育家庭やグループホームに委託されると聞いております。こうした状況では、都外施設のデメリットが、養育家庭やグループホームの活用で解決できるとは思えないんです。
 都では今後、養育家庭やグループホームを地域にふやしていくためにどのような努力を行っていくのでしょうか、お答えください。

○笠原子ども家庭部長 先生ご指摘のとおり、今後、養育家庭やグループホームを大きくふやしていくことによりまして、地域の中にこれらがバランスよく存在いたしまして、身近な地域の中で社会的な養育を必要とする子どもたちがはぐくまれていくことが大切でございます。
 養育家庭の登録数、これは平成十四年八月末現在で二百九十四家庭でございます。また、グループホームは都内二十八カ所でございます。今後、地域での自立を支える新しい福祉の実現という福祉改革STEP2で掲げました方向に沿いまして、家庭的養護へのシステム転換の当面の目安でございます家庭的養護の割合を全体の二、三割にする、こういう目標達成に向けまして全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○樋口委員 都外児童養護施設について、規模縮小という考えが示されています。本当にそのことを実現させようとするならば、養育家庭やグループホームの充実を着実に進めていかなくてはならない。具体的な方策としてはさまざまな施策があるということを、先ほどお答えくださいましたけれども、国に先駆けて始めたこのグループホームというものが、NPOではだめで、社会福祉法人でなければつくることができないという事実があります。これももう少し緩和することができないものなのかどうなのか、お尋ね申し上げます。

○笠原子ども家庭部長 国の地域小規模児童養護施設、これをNPO等ができないかどうかということでございますけれども、児童養護施設、これは児童福祉法上の社会福祉施設でございまして、児童福祉法上の社会福祉施設というのは、社会福祉法人だけができるという現行の法律の建前になってございます。そういった意味では、現在の法律の中では、NPO等はできないということでございます。

○樋口委員 子どもを取り巻く環境が、そして状況が激変していく中、旧態依然とした社会的養護のあり方ではならないということは認識しており、都立の児童養護施設についても改革の必要性があります。ぜひグループホームについては、これから柔軟に検討課題の中に入れていただきたいと心から思っております。
 改革には、最適な養護を、このお子さん一人一人に関して真摯に議論していっていただかなくてはならないと思います。そのお子さんによって、また年によって、生まれ育った環境によって、さまざまに対応が違ってまいります。単なるコスト論、要するに都立の場合、八街学園は一人頭、月七十万円かかるそうです。そして、民間に移譲されることによって三十万円の経費で済むという話を聞きました。しかしながら、その数字だけがひとり歩きをするのではなくて、利用者本位、つまりお子さんの立場に立って、身も心も疲れたお子さんの立場に立って、ぜひその視点に立って取り組んでいただけたらと願っております。
 都立福祉施設の改革推進委員会の報告及びこれを受けて作成された都の方針では、都立福祉施設の規模縮小、そして民間移譲の考えを打ち出しております。児童養護施設については、先ほどもお答えがありましたが、民間移譲は行わないという話を聞きまして、少しだけ安心はしております。介護保険制度や支援費制度の導入など福祉の環境が激化する中で、東京都の福祉が後退することなく、そして一層の充実を図っていただけたらと思いまして、次の質問に移らせていただきます。
 現在、福祉は、措置から契約へと大きく変わろうとしております。福祉サービスの提供主体の改革への取り組みでは、都の役割は、福祉サービス基盤を充実させていくとともに、直接的福祉サービスの提供者という立場から、新しい福祉システムを適正に維持向上させていくことへと、みずからの役割の重点を大きく移していくこととしています。
 こうした都の役割をきちんと果たすために、また真の意味での利用者本位を実現するために、我が党の河西のぶみ理事からいっていただきましたが、利用者の相談、苦情、権利侵害にこたえる体制、福祉情報の提供、第三者による客観的なサービスの評価といった、総合的な利用者支援の仕組みを構築していくことが求められているのです。
 その中でも私は、利用者が必要なサービスを選択できるようにするために、第三者によるサービス評価のシステムに求められている役割は大変重要なことだと感じております。第三者評価については、国に先駆け、東京都はことしの四月に、そのサービス評価全体を支える第三者評価機構として、東京都福祉サービス評価推進機構を立ち上げ、平成十五年度の本格的な実施に向かって、システム全体の試行を行っていると聞いております。
 そこでまず、都の第三者評価はどのような点の特徴があるのか、また、システムの試行の現在の状況はどうなっているのか、お尋ね申し上げます。

○内海企画担当部長 都におけます福祉サービスの第三者評価の特徴でございますが、主に四点ございます。
 まず、大都市東京の特性を踏まえまして、数多く存在するNPOや株式会社のシンクタンク等を評価機関として活用すること。二点目といたしましては、利用者が事業者やサービスを比較することが可能なように、各評価機関が共通に活用する評価項目を策定すること。三点目といたしまして、利用者のサービスに対する意向等を把握する利用者調査と、事業者の組織やマネジメント、サービスの内容や質を把握する事業評価をあわせて実施すること。四点目といたしまして、評価結果を福祉情報総合ネットワークにおいて公表すること。この四点ございます。
 また、平成十五年度の本格実施に向けたシステムの試行の状況でございますが、評価機関の認証基準の策定とか評価機関の募集を二度行ったこと、また、評価者養成講習のカリキュラム策定等を実施してきたところでございます。
 さらに現在、評価を希望する団体から申請を受けまして、第一回の評価者養成講習を実施しているところでございます。

○樋口委員 評価機関の募集を二度行ったんですか。

○内海企画担当部長 二度の募集を行ってございます。

○樋口委員 これは二回に分けて行ったということではないですか。

○内海企画担当部長 失礼いたしました。二回に分けてという意味でございます。

○樋口委員 ありがとうございます。そうなんですよね。たくさん応募が来て、それで二回に分けて……。
 お答えにあったように、都の第三者評価の特徴の一つは、社会福祉法人、そしてNPO、民間企業など多様な評価機関により認証した上で、サービスを評価することです。また、八月、評価機関の募集を行い、現に評価者の養成研修も行っていると今お話がありました。私も、これらを育成、活用することは、基本的にとても賛成です。ですが、それぞれの人のニーズに合わせて提供する福祉サービスを評価することは容易なことではないと思っております。本当に客観的な評価を行える評価機関があるのかという疑問があるのですが、現在、評価機関として第三者評価を行いたいと考え、評価推進機構に申請してきた団体数と、NPO、民間企業など、その内訳は一体どうなっているんでしょうか。

○内海企画担当部長 評価推進機構へ評価機関として申請してきました法人の数でございますが、第一回の募集時が五十二団体、第二回募集時に新たに申請してきたものが十三団体の計六十五団体でございます。その内訳は、株式会社等の民間企業系が三十四団体、NPO等非営利団体系が三十一団体と、ほぼ半数ずつとなってございます。

○樋口委員 今、お話を受けまして、五十二団体と十三団体というふうにありましたけれども、これはどうやって分けて、こういう形になったんですか。一回の募集にそれが入ってきたと私は認識していたんですが、それがばらばらに入ってきたんですか。お答えください。

○内海企画担当部長 二回の募集を行いまして、第一回が六月の二十七日から七月の二十二日、第二回が八月二十九日から九月六日と、二回募集したということでございます。

○樋口委員 ということは、先ほどのお話は違っているということでございますか。

○内海企画担当部長 第一回の募集時に五十二団体、第二回の募集時に十三団体と申し上げたつもりでございます。

○樋口委員 ありがとうございました。この数のことは大した問題じゃないんです。ごめんなさい。(笑声)
 しかし、これら申請している団体の中には、企業経営は見ることができる、けれども福祉のことは大してやったことがない、むしろ未経験だというところもあるんです。そして、今まで全く関係がなかったコンサルタント会社なんかも含まれておりまして、そのような方々にそういうものを見ることができるんでしょうか。

○内海企画担当部長 第三者サービス評価の普及、定着を図るためには、ご指摘のとおり、多様な評価機関が行う評価の信頼性を確保するということが必要であると思います。そのため、評価機関を認証するに当たりましては、評価者に対して養成講習を実施するということとしておりまして、評価に必要な技術と評価の視点や基準の共有化を図るために、専門家による講義とともに、異なった評価機関に属する者同士でチームを組んで、実際に現場に行って評価実習を行うということとしてございます。
 また今年度は、本格実施に向けたシステム試行として、認証を受けた評価機関がサービス評価推進機構の委託を受けまして、八十二業者を対象に実際に第三者サービス評価を実施して、課題を把握して改善を図るということとしているところでございます。
 一方、評価機関の信頼性を確保するために、不正な行為を行う等、評価機関にふさわしくないと認められるような場合には、認証・公表委員会の審議を経まして、評価機関の認証の取り消しも行うということとしてございます。

○樋口委員 福祉サービスは、先ほどの話に戻ってしまうかもわからないんですが、例えば知的障害者の入所施設のように障害者を対象とするものから、認可保育所のようにお子さんを対象にするものまで、対象者、そしてまたそのサービスの内容も非常に多種多様なものがあります。また、サービスの特性も全く異なっていると考えられます。このように多様な福祉サービスを評価するために、それぞれのサービスの特性によく精通していることが求められていると思うんです。
 認証された評価機関がきちんと評価を実施できるためには、どのような方策を講じようと考えていらっしゃるんですか。もし、先ほどお答えになったので足りない部分がありましたら、お答えいただきたいと思います。

○内海企画担当部長 福祉分野におきます第三者サービス評価は、これからつくり上げていくものでございまして、福祉サービスの世界では新たな試みでございます。そのためには、今後、実際の評価を実施する中で、絶えず評価システムの改善をしながら、福祉サービス全体の質の向上を図っていくということが必要だと考えてございます。そのため、第三者委員会でございます評価・研究委員会、そういうところにおきまして共通評価項目の見直しや、認証・公表委員会におきましてよりよい評価結果の公表方法の見直しなどを随時行っていくとともに、評価者に対しましても、認証時に行う養成講習に加えまして、ご指摘の評価者に対するフォローアップ研修というようなものについても実施をしていきたいというふうに考えております。
 さらに、評価機関やそれに属する評価者のレベルをできる限りそろえまして、質の向上を継続的に図れるように、今年度、第一回目の評価機関認証を行った後に、評価機関の連絡会を設置するという予定でございます。

○樋口委員 今、そのことをご提案させていただきたいと思いまして、うずうずしていたんですが、お話をしていただきまして、安心いたしました。ありがとうございます。
 さて、ぜひしっかりと機能するものとしていただきたいと思っております。都が実施する評価システムは、全国に先駆けて実施するものであり、予想以上の多くの申請者があらわれた、そして二回も募集をして、こんなにたくさんの評価者になろうとなさっている方々が申し込んできたということからわかるように、都が実施する評価システムというのは全国に先駆けて実施していくわけなんですから、他の道府県に与える影響は大変大きいものだと考えております。そしてまた、そこの中から、多店舗展開をしていきたい、そう思っているような企業さんもたくさんいらっしゃると思います。
 ただ、この講習会なんですけれども、東京都はそれぞれの評価者に研修を行っていくということなんですけれども、私も今年度の評価者養成講習のカリキュラムを拝見させていただきました。実習を中心にしていることはとても大切だとは思っておりますが、たったの五日間、たった五日間で講習を受ければ、どんな方であろうと、また、一定の条件をクリアすれば、評価者として認められると聞きました。私も評価者になりたかったと思われている方は、この委員会でも何人かいらっしゃるかと思います。この評価者がきちっと評価できるような体制づくりをぜひしていっていただきたいと心から願っております。
 今回、お聞きした段階でも、本当のことをいうと、難しい点が大変多いというのが正直な感想なんです。今後、中立的な第三者評価を通じて、利用者が良質のサービスを選択でき、事業者もサービスの質の向上を図れるようにするためには、何よりも評価機関の信頼性を確保すること、そしてそのために、実際に現場で評価する人のスキルアップが必要だと思っております。
 今後とも、このシステムのかぎを握る評価機関について、決して都民の期待を裏切ることがないよう、質の確保を図りながら、普及、定着を図り、第三者評価システムが真に有意義なものになるように強く要望して、次の質問に移らせていただきます。
 これは最後の質問になるんですけれども、既に民主党の河西理事によって質問をさせてはいただいておりますが、民間社会福祉サービス推進費補助の見直しについて、保育の焦点に絞って若干お尋ね申し上げます。
 福祉をめぐる状況は激変していますが、福祉サービスを担う人材の役割は普遍のものと思います。中でも、ベテランの人材の役割はとみに大きくなってきていると思います。保育を例にとりますと、子どもを預ける親の立場からすると、少子化、核家族化、それが進んだ昨今、保育経験が豊富な親というのは、そう多くはないんです。保育所に子どもを預ける親にとってもこれは同じことであり、こうした親にとっては、保育所の保育士さんは、とても頼りにするものなんです。そして、我が子の状況を聞いたり、小さなアドバイスを受けたり、それが、親にとっては、保育所に預ける親にとっては、その子の手がかりになる大きな大きなアドバイスだと思います。
 その保育士さんが、専門的な知識を持って、保育経験も豊富であれば、その保育内容も質の高いものが期待でき、子どもを預ける親にとっても大変安心できます。それが、若いからいけないっていうことはちっともないんですけれども、学校を出て間もない若い保育士さんに比べて、ベテランの保育士さんの言葉そしてアドバイスというものは、とても大きいと私は考えています。実際、私自身も、私は五歳の子どもを持っているんですけれども、その先生なり何なりにいろんなアドバイスを受けて、ああ、こんなところがあるんだっていうことで、親子関係の中で大きなきずなを持つこともできるんです。
 そこで、お伺いいたしますが、保育サービスにおけるベテランの保育士さんの重要性をどのように認識されていらっしゃるか、お聞かせください。

○内海企画担当部長 先ほど来申し上げておりますように、福祉施設における利用者に対するサービスの向上を図っていく上で、資質の高い人材の果たす役割は非常に大きいところでございます。これは保育事業においてももちろん同様であると考えてございます。また、その職員の資質は、経験に裏打ちされた部分があるとも認識してございます。
 しかし、平均経験年数に着目した補助制度となっておりますために、補助の効果があらわれるかの保証がないと、中間提言において指摘されてございまして、経験年数だけで職員の資質をはかることが困難であると問題提起されていると認識してございます。実際、サービス推進費補助のB経費が交付されていない施設のサービスが、補助金を多くもらっている施設よりも劣っているかということは明白ではございません。今後、民間社会福祉施設サービス推進費の補助制度について検討していく上での論点となると考えているところでございます。

○樋口委員 保育士さんの経験の長さと資質については直接関係がないというお話ですよね。ある程度現場での経験を踏まえなければ、保育士さんの資質は確保できないのではないかと私は感じております。現行の民間社会福祉施設サービス推進費補助B経費の仕組みは、経験年数にのみ着目した一律の補助の仕組みとなっていますが、豊かな経験を持ち、保護者、そして職員から信頼され、また他の職員を指導育成する人材、いわばコア人材の確保という点を踏まえて検討すべきではないかと思っております。
 若い経験の余りない保育士さんに、先輩の保育士さんの、こんなことがある、あんなことがある、こうしたらどうかというアドバイスは、この若い保育士さんを育成するためには、そしてまた、もっともっといい保育を確保するためには、私はとても大切だと思っております。ぜひこの辺をお伺いさせていただきたいと思います。

○内海企画担当部長 都が目指します利用者本位の福祉の実現のためには、社会福祉法人も、社会経済状況等の変化に対応して新しい福祉を担っていくために、自己改革を進めていく必要があると考えてございます。都も、この取り組みを支援していく観点で、社会福祉法人改革を進めていきますが、ご指摘のコア人材の確保は、これからの施設において重要であると認識してございます。
 今後の民間社会福祉施設サービス推進費補助についての検討に当たっては、その点も含めまして、さまざまなご意見をお聞きしながら進めていきたいというふうに思っております。

○樋口委員 保育事業においては、延長保育、休日保育、夜間保育、障害児保育、また病児保育など、さまざまな利用者サービス事業に関して加算措置がとられています。国基準の人件費に対する上乗せである、都独自の加算措置であるB経費補助は、保育事業においては、これまでの人材確保の面では役割が大きかったのではないかと思います。こうしたB経費のこれまでの役割を踏まえて、新たな人材確保のために再構築することなく、廃止提言がそのまま実行されてしまえば、保育事業においてはまさに人材の危機なのではないかといえます。
 今後の検討に当たっては、関係者のご意見をよくお聞きになって、慎重に検討すべきことを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○吉田委員 お疲れかと思いますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
 かなりダブる点もあるかもしれませんが、私は、民間福祉施設に対するサービス推進費補助の見直しの問題を中心に質疑をさせていただきます。
 東京の福祉を考えたときに、児童養護施設にしても、あるいは知的障害者の施設にしても、その八割は、民間の法人の方々がこれを担って運営をされております。また、保育園を見た場合でも、五百を超える保育園は民間の福祉法人、私立の保育園として運営されています。したがって、この民間の福祉法人の方々に対して行政がどのような対応をとるのかということは、東京の福祉全体に大変大きな影響をもたらす問題として、私たちはこの問題を考えていくべきではないのかなと考えております。
 取り組み方針、すなわち福祉局の取り組みについての方針では、中間提言の問題提起を受けとめて検討していくというふうになっています。ところが、この中間提言の内容は、先ほどから話がありましたけれども、人件費補助は基本的に廃止、A経費に当たる運営費補助についても全面的な見直しと、まさに東京の福祉のあり方を大きく左右する重大な問題を、中間提言という形で提起をしている。私は、こういう提言を、たとえ今後の検討にゆだねるとしても、そもそも問題提起として受けとめることができるのかという疑問をまず抱かざるを得ません。
 若干、まず手続的な問題について確認をしておきたいんですけれども、例えば、先ほどから議論がありました、いわゆるB経費、人件費補助が、事実上役立たないかのような判断がベースとしてあって、廃止が打ち出されている。しかし、これは、本則適用、今年度からですから、しかもこの対象施設たるや、七百を超える施設があるかと思うんですけれども、そのB経費が本当に役立っているのか役立たないのか、どういう効果を発揮しているかということを検証するということは、簡単にはその結論を出すことは難しいことだと思うんですが、この中間提言を出すに当たって、提言委員会は具体的にどの程度の調査をB経費について行ったんでしょうか。

○内海企画担当部長 社会福祉法人の取り組みにはそれぞれ差がございまして、さまざまな経営改革に取り組んでいる法人も数多く存在してございます。そういうことにつきまして、中間提言で用いている法人のデータにつきましては、五十五法人、五十六施設に関しまして、例えば経営改革モデル事業あるいは特別養護老人ホーム経営支援事業の経営診断や経営改革の結果をもとにいたしまして、現状に対する検討を行ったものでございます。

○吉田委員 それは、経営改革についての数が五十幾つであって、B経費そのものが果たしてどういう効果があり、あるいは効果がないといえるのかというような結論が出るようなデータじゃないんですよね。ヒアリングも行っていますが、それは極めて限られた施設であって、東京の福祉の根幹にかかわる問題について廃止という提言を出すに当たっては、経過として、極めて不十分な検討の上で出されたものだなというふうに私は思います。
 それと、この提言委員会の構成なんですけれども、もう既に公表されておりますが、六名の委員のうち、半分の三名の方が経営コンサルタント。それはそれで一つの役割を持たれると思うんですけれども、残りの三人の方が学者である。福祉法人などの当事者の方々は参加されていない。それで福祉法人の経営のあり方を議論するのは、一つのあり方として考えられると思うんですけれども、まさにB経費やA経費のあり方という、東京の福祉のあり方に直結するような問題まで、果たしてこのメンバーで十分有益な客観的な提言が出し得るのかという点については、私は疑問を持たざるを得ません。
 そして、そういう大きな影響を持つ問題について検討するならば、例えば東京都社会福祉審議会、これは社会福祉法に基づく公的な組織ですよね。これまでも、公私格差のあり方は、この社会福祉審議会の答申に基づいて議論をしてきたという経過があったと思うんですが、こういう問題について、なぜ社会福祉審議会に諮問しなかったんですか。

○内海企画担当部長 社会福祉審議会についてでございますが、平成六年の社会福祉審議会答申「社会の変化に対応する地域福祉の展開とその基盤整備について」におきまして、当時の給与公私格差是正制度の評価を踏まえた今後のあり方について、国の社会福祉をめぐる制度の改正の動向も視野に入れながら、将来に向けて検討していくことが望まれるとされてございまして、改めて諮問を行うことは考えていなかったわけでございます。

○吉田委員 そのことは、私、かつて公私格差の見直しのときに、さんざん当時の石川福祉局長と議論したんですけれども、その社会福祉審議会の答申に基づいて、今、本則適用で進めているのが現在の制度なわけですよ。その答申は、廃止すべきだなどというような意味合いはそもそも全くないわけですね。
 したがって、改めて廃止や全面見直しというような、東京の福祉の基本にかかわる、そして、そのことによって利用者サービスや職員や都民に大きな影響をもたらす問題について検討するならば、私はあえていわせていただければ、社会福祉審議会へかけるべきだと。もちろん、結論をそのまま提言のとおりやるというふうに、これまでの答弁もいっていないわけですけれども、しかし、少なくとも問題提起を受けとめてと、それを前提とされるような形であったとしても、適切ではないのではないかというのが、まず手続といいますか、述べておきたい点なんですね。
 それで、具体的なその提言、前提にしようとする提言の中身が果たして妥当か否かということを若干議論をしていきたいんですけれども、その前に、もう既にこれ、議論がありました。都立施設の廃止、民間移譲の問題もそうなんですけれども、やはり現行の利用者、都民へのサービス水準は絶対に低下させてはならない、逆にサービスの向上のために努力をするんだというのが、私たちがお互いに議論をする大前提だと思うんですけれども、これは何度もそういうやりとりがありましたから、もう質問いたしません、うなずいていらっしゃいますから。
 それが、例えば運営費補助の全面見直しやB経費の廃止が、そうしたサービス水準を維持し、あるいは向上することに本当に結びつくのかどうかということで議論をしていきたいと思うのです。
 それで、提言では、A経費について全面見直しの一つの論拠として、国基準が引き上げられて役割は既に達成されたという分析があります。すなわち、A経費は、もう皆さんご承知のとおり、職員のいわば増配置、国の基準の低さを東京都独自の増配置で補うということがベースになって行われていますが、提言がいっているように、国の基準が引き上げられて、もう既に東京都独自の職員配置の都加算は必要なくなってきたんだというような分析をしていて、これは非常に、わずか一部はそういうものがあるかもしれませんけれども、極めて一面的、断定的な決めつけだと思うんですが、この点はどのように認識されていますか。もし同じ認識だとしたら、その具体的な事例を示していただきたいのです。

○内海企画担当部長 まず、私どもは中間提言につきまして、先ほど来、吉田先生等から問題提起を受けとめというお話がございますが、その受けとめた上で、また、その内容を吟味しながら、改革のあり方及びその進め方について検討していくというスタンスで考えてございますので、それをまず申し上げたいと思います。
 それから、国の基準が引き上げられた結果でございますが、国の基準でございます措置費でございますが、都加算や公私格差是正事業を開始した時点に比べまして、処遇等を行う常勤職員の配置の基準とか、あるいは産休代替職員経費等の改善とか、あるいは措置費算定の職員給与基準、そういういわゆる格付ですか、その辺の見直しが行われてきてございますので、そういう面も踏まえまして、都加算ということを検討していきたいというふうなことでございます。

○吉田委員 個々に上がった分野があると思うんですけれども、要するに、もう都加算、大勢は都基準まで国基準が上がったんだという判断が前提なんですね、役割は既に達成されたという分析ですから。それと同じ認識ですか、福祉局は。あるいは、じゃ、今はもう都加算、都基準はなくなったんですか、現実的に。

○内海企画担当部長 改めて申し上げますけれども、その中間提言につきまして、問題提起を受けとめまして、私どもとしてこれから、現在もでございますが、その内容を吟味しているところでございます。

○吉田委員 お答えできなかったということは、結局、そのとおりであるというふうにいえなかったわけですね。現実に、これはもう皆さん直接、各施設種別ごとに見ればわかるとおり、国基準ではやはり職員配置が不十分、東京においては利用者処遇が不十分だという判断で、障害者施設についても先ほどからありました。保育でもありますけれども、さまざまな分野で、東京都独自の職員配置を高めるための都加算を行ってきているというのが現実であって、役割は既に達成されたということをベースにして、A経費の全面見直しという結論を導き出すやり方自身が、本当にこれは一面的な判断だと思うのです。
 しかも、これは福祉局にお伺いをするんですけれども、今後、国基準だけでいいんだと、要するに人員配置の都加算、都基準を設ける必要はなくなったというご判断ですか、福祉局自身としては。

○内海企画担当部長 本日のご答弁で何度も申し上げているところでございますけれども、私どもといたしましては、補助の形につきまして十分検討いたしまして、再構築をしていくというふうなことで申し上げているところでございます。

○吉田委員 だから、国基準でよしというスタンスじゃないということですね。もう一度明快な答弁、そのあり方は別にしても。

○内海企画担当部長 基本的に、先ほど申し上げたように、再構築を検討していくわけでございますが、これから十分検討してまいりたいというふうに思っております。

○吉田委員 局長、ちょっとどうですか。もっとわかりやすく答えてくださいよ。

○川崎福祉局長 先生おっしゃったようなことも含めて、これから検討していくと。

○吉田委員 知事は日ごろ、要するに、東京においては全国一律基準ではだめなんだということを盛んにいいますよね。まさにそこまでいうならば、本当に東京のさまざまな諸条件、あるいは東京が目指そうとする福祉のあり方を考えれば、国基準でよしということはやっぱりあり得ないわけですから、本当に利用者処遇、サービスの向上という観点に立って考えていくならば、私は、役割は果たされたということを前提にして全面見直しという提言の趣旨というものを、そのまま機械的に持ち込むことは当然されないとは思いますけれども、ぜひ大いに利用者処遇の立場に立って、国基準をさらに上回り、それを前進させるという観点から努力をしていただきたいということを申し上げておきたいのです。
 というのは、なぜそのことを念を押すかといえば、盛んに競争によってサービスが向上されると。それももちろんあるでしょう。否定はしません。しかし、やはり利用者処遇を本当に向上させようとすれば、一定のそれにふさわしい職員配置なしに、人数を減らしてとにかく競争だけでできるなんていうことはあり得ないと思うのです。サービスのためには、一定の職員配置というものが必要なんだというのは当然のことだと思うんですが、どうですか、局長。

○川崎福祉局長 サービス向上のための一つは人、それ以外にもいろいろと工夫があると思います。人が多ければサービス向上につながる、イコールではないと思います。

○吉田委員 しかし、人がサービスのかなめなわけですよ。先ほどからさまざまな施設の事例が出されましたけれども、やはり入所している障害者の方々に対してどれだけの職員の配置があるかということは、これはもうサービスのベースですよ。多ければそれでいいというものでは、単純ではありませんが。
 例えば私が訪問した施設も、それだけじゃなくて、職員集団が、さまざまな意見の違いがあったとしても、みんなでよく議論をして、本当に入所者一人一人の要望にこたえるためにどうやって努力をするかという、本当に気持ちの通った努力、それもまたサービスを引き上げる大きな要因ですね。しかし、やはり土台となっている職員配置が--それは多ければ幾らでもいいという、私、そんなことをいっているわけじゃないんですよ。適切な職員配置というもの、そのために努力をしてきたんだということを改めて述べさせていただきます。
 次に、先ほどから非常に議論になっている、人件費補助の廃止の問題について議論を進めていきたいと思うんです。簡潔にお願いしたいんですけれども、本則適用に至るこのB経費の経過について、概括、まずご説明していただけませんか。

○内海企画担当部長 民間社会福祉施設サービス推進費補助につきましては、東京都社会福祉協議会の各部会の代表者の方々との協議を重ねた上で、ご理解を得まして、平成十二年の一月から実施いたしまして、三年間の経過措置を設けることといたしましたところでございます。

○吉田委員 それだけ。本則適用……。

○内海企画担当部長 失礼いたしました。
 その協議を行う中で、三年間の経過措置後の本則適用に当たりましては、少なくとも一年前から、本則適用によって生じる諸問題について、施設運営上支障を来さないよう十分な協議を行うとの申し入れがございました。平成十三年一月に、本則適用に向けて意見交換を行う場として、推進費補助に関する懇談会を、都と東京都社会福祉協議会の各部会の代表者の方々との間で設置いたしました。
 この懇談会の場では、制度開始後の社会状況の変化など、さまざまな意見が出されまして、その中で、本則適用に当たって、いわゆるB経費についての措置を講ずることとしたわけでございます。

○吉田委員 そういう当事者との長い検討、協議、しかも、その前提では都議会の議論がありまして、執行に当たってはやはり当事者との協議が大前提であるという経過の中で、本年度本則適用になったという積み重ねの上に、今年度からの本則適用があると思うのですね。それを、先ほどから議論がありますけれども、軽々しく全くそれと反対の方向に直ちに進めるべきだというふうな提言自身が、そうした経過そのものを踏まえないものだというふうに思うんです。
 この問題を議論するに当たって、先ほどいろんな方々からもご意見がありますけれども、改めて、福祉職場、福祉事業における職員の問題についてまず確認をしておきたいのです。
 この公私格差の見直しを議論した予算特別委員会のときに、当時の知事、青島知事ですけれども、こういうご答弁をされました。「福祉はまさに人材であり、施設職員は福祉サービスの重要な担い手でございます。このような事柄から、よりよい施設サービスを提供してまいりますためには、高い専門性と実践的な技術を兼ね備えた意欲あふれる人材の確保が最重要であろうと考えております」。
 これはもうある程度普遍的なお話だと思うんですが、改めて、福祉サービスにおける経験性、専門性のある人材の確保の意味や役割について、どのようにお考えでしょうか。

○内海企画担当部長 先ほど来申し上げておりますように、福祉施設におきまして職員の果たす役割は、利用者に対するサービスの向上を図る上で非常に重いものであると考えてございます。

○吉田委員 答弁が少しそっけなかったけれども……。
 ところが、この提言は、そういう職員の経験というものが必ずしもサービスの向上に結びついているとはいいがたいというような判断が、このB経費の廃止の前提の判断としてあると思うのです。これについて福祉局はどのようなお考えですか。

○内海企画担当部長 施設におきまして職員の果たす役割は非常に大きいわけでございますけれども、職員の資質には経験に裏打ちされたものがあることもまた事実でございます。しかしながら、経験年数が長い職員のすべての資質が高いのかというような観点も含めまして、今後検討してまいりたいと思っております。

○吉田委員 お疲れとは思いますが、ひとつよろしくお願いします。
 私、ちょっと確かめたかったのは、要するに、今のサービス推進費のB経費補助が、そういう経験ある職員の配置を保障し、サービスの向上に結びついているとはいいがたいという判断をしているんですかということなんですよ。

○内海企画担当部長 経験年数が長い職員がすべて資質が高いのか、あるいは、施設職員の平均経験年数が長いことをもって施設が提供するサービス水準が高いのか、あるいは、B経費が交付されていない施設のサービスが補助金を多くもらっている施設よりも劣っているのか、こういう点につきまして明確に確認できないということがございます。その意味で、経験年数に応じた画一的な補助制度について、現在の補助制度につきまして、その存在に立ち返って抜本的に見直せというのが提言の趣旨だと思っております。

○吉田委員 福祉局の見解を聞いているんですよ。

○内海企画担当部長 福祉局につきましては、その提言につきまして十分検討していきたいというふうに考えております。

○吉田委員 少なくとも、私もこの問題については福祉局といろいろ議論をしてきましたけれども、もともとの公私格差から比べると、今のサービス推進費のB経費はサービスの後退になるのではないかという問題提起を、機会があったときにさせていただきました。
 そのときに、当時の、今の内海さんの前任者であります村山部長は、いや、今、本則適用が始まったばかりなんだから、そんなことをいわないでしっかり見守ってくださいよ、この制度はいい制度なんです、そういうふうにいい切ったんですよ、一年前に。その判断が変わったんですか。必要なら議事録を読み上げますよ。この本則適用を見守ってください、これによってサービスが向上するんです、しかも、画一的じゃなくて柔軟な、主体的な努力ができるんです、努力した者が報われると。今と同じようないい方をして、これこそ定着すべきなんだということを主張したんですよ。その答弁、その判断と今は変わったということですか。

○内海企画担当部長 サービス推進費補助につきましては、従来のさまざまな個別都加算あるいは公私格差是正費を包括化いたしまして、施設で非常に使いやすい形に整理をして、新たな制度として構築したものでございます。その意味で、従来の制度をよりいいものとして本則まで持ってきたというふうに考えてございますけれども……(「これから始まるんじゃない、本則というのは」「始まったばかり」と呼ぶ者あり)始まっているんですが、そういう中で、その本則の適用の経過を十分踏まえまして検討いたしまして、新たな、より利用者に対するサービスの向上を図れるような補助制度に構築していきたいというふうに考えてございます。

○吉田委員 当時の部長といったって、一年前なんですよ、この議事録は。これは各決の議事録ですけれども、その中で、私に対する答弁なんですが、「いろいろご意見はあろうかと思いますが、ここはひとつ、制度の円滑な定着に向けてご協力いただければと思います。」と。(「いいじゃない」と呼ぶ者あり)だから、いい答弁なんですよ。
 まず、定着もしていないわけですよ。定着が始まりつつあって、そのときに、もうこれは今や役立たないなんていうことを、結論を前提にして見直そうというのは、こういう経過からしても--先ほど局長も反省の弁を、手続的にちょっとね、ちょっとだけというか、あえてそう私がいっているんですけれども、いわれましたけれども、やはり東京の福祉の基本にかかわるような問題について、こういうやり方は後々にとっても非常に重大な問題を残しかねない。したがって、まず、この定着とその推移というものをしっかり見るということが大前提だと思うんですね。
 もう一つ、この見直しの論拠として、認証保育が例に挙がっているんですね。先ほどから例に出している、要するに、補助を受けていなくても、補助を受けているところと同じぐらいのサービスがされているじゃないかというようなお話があって、それは認証保育をもしかしたら例に出しているのかもしれませんが、この提言は、認証保育が認可を上回るサービスを提供している、受けている補助金が少ない認証の方が、認可を上回るサービスを提供しているということを、B経費のいわば廃止の一つの論拠に挙げているんです。これも、そんな乱暴なといいますか、単純な決めつけができるのかというふうに思うんですが、保育をめぐって、すべての分野にわたって、認証の方が認可を上回るサービスを提供しているというふうに断定することに対して、福祉局としてどう思いますか。

○内海企画担当部長 認証保育所につきましては、十三時間開所あるいは休日保育等、大都市の保育ニーズに対応するために、十分先駆的な事業をしておるわけでございます。そういう意味で、むしろ認可保育所を上回るサービスを提供しているといえる部分もあるということでございます。

○笠原子ども家庭部長 認証保育所が認可保育所を上回っていると。いかがか、というご質問でございますけれども、私どもとしては、例えば延長保育の実施状況一つとってみても、認可は認証に比べて大変おくれているということを数字で申し上げてみたいというふうに思います。
 例えば、二時間以上の延長をやっている認可保育所は全体で十九カ所でございまして、率にして一・二%しかございません。認証保育所では、すべての認証保育所で十三時間開所ということで、二時間延長の保育サービスをいたしてございます。
 産休明け保育でございますけれども、これにつきましても、例えば公立では実施率は二七・一%しかやってございません。私立におきましても四〇・五%でございます。全体でも三二・一%という形で、大変低い実施率でございます。
 そういったいろんな面で、大都市住民のほとんどが要望しているニーズに認可保育所はこたえていない。それに対して、そういったものを利用者本位の立場に立ってサービスを提供していく、こういう立場から認証保育所ができたわけでございまして、そういった意味では、認可保育所を認証保育所のサービスがいろんな面で上回っているということは、これはできるんだろうというふうに思います。

○吉田委員 これはちょっと聞き過ごすことができない問題なんですよ。子どもたち一人一人に対する保育サービスが、認証保育所の方が認可保育所よりも上回っているというふうに断言できますか。子ども、乳幼児一人一人に対する対応ですよ。

○笠原子ども家庭部長 どのような形が上回っているか上回っていないか、それはやはり利用者サイドが判断する話だろうというふうに思います。特に保育サービスの世界では、これまで供給サイドの判断の中でサービスが行われてきたわけでございます。私ども福祉改革の中で目指しているものは、これまで供給サイドで行政側が一方的にコントロールしながらサービスしてきた、それをやはり利用者サイドに立ったサービスに変えていこうということでやっておるわけでございまして、その判断は利用者が判断する。そのための一つとして、いろんな第三者サービス評価だとかそういったものを、これから東京都として構築していこうということでございますので、一概に先生がいったような言葉は当たらないのではないかというふうに思っております。

○吉田委員 大多数の方々は認可保育園を望み、認可保育園に入っているんですよ。認可保育園に入る待機をされている方で、どうしてもという思いから認証に入っている方が多数なんですよ。多数というか、大多数は認可保育園なんですよ。
 しかも、あなた方は、保育レベルを上げるために、また保育によって事故やマイナスなことがあってはいけないために、検査基準を設けて、そして保育サービスを向上させるために努力をしているでしょう。認可保育園には検査基準があって、それに基づいて指導監督をしている。認証保育所には検査基準は現在あるんですか。

○吉川総務部長 子ども家庭部長が答弁する前に、一言だけ申し上げますが、先ほど来、副委員長の方から、中間提言の認証保育のところを引用されてご発言いただいているわけですが、そこをよく読み返してみますと、介護保険の問題と認証保育の事例は、いわゆる都独自の補助がなくなった介護保険の世界でも、それから、都独自の施策として国の基準内で運営が行われている認証保育所でも、比較として、認証保育所の場合は認可保育所をむしろという感じで書いてありますが、そういう手厚い補助がなくても、良質なサービスが提供されている事例で紹介されているわけでございます。ご理解いただきたいと思います。

○笠原子ども家庭部長 認可保育所の保育内容につきましては、保育所保育指針に沿ったものとしておるわけでございます。認証保育所もこれを準用してございます。同指針では、三歳未満児については、個別的な計画を立てるなどの配慮を求めておるわけでございます。したがいまして、認可保育所は義務づけられているわけではございません。都では、認可保育所において、特にゼロ、一につきましては、個別指導基準を作成するよう指導監督基準で定めてございます。認証保育所におきましても同じような考え方でやっておるわけでございます。
 ただ、昨年の八月一日が第一号の開設ということでございます。指導・検査につきましては、開設後一年たってからということがこれまでの慣例でございまして、それまでは運営指導、開設指導という形で対処しておるということで、そのために今、基準を作成している最中だということでございます。

○吉田委員 認可保育園は児童福祉法に基づいて運営されている施設であり、その円滑な運営のために努力をするのは、東京都あるいは区市町村の基本的責任なんですよ。それをあたかも投げ捨てて、認証こそがサービスで上回るというようなことを担当部長がなぜいうのかというふうに、本当に私はちょっとあきれ返る状況ですよ。
 私たちは、代表質問のときにも紹介しましたけれども、それを観念論、空論でいっちゃいけないと思って、五十三の認証Aのうち、全部は、相手のアポイントとの関係で行けませんでしたけれども、一つ一つ訪ねて実態を調査し、そして、施設それぞれ努力をされているところもある、しかし、やはり施設基準あるいは職員配置等々、例えばさっきの話に若干関連しますけれども、ある認証では正規の職員は一人だけ、残りは全部パートさん、こういう実態だってあるんですよ。(「パートが悪いようないい方をする」と呼ぶ者あり)いやいや、それはパートが悪いとか何かじゃなくて、資質の問題なんですよ、全否定するわけじゃないんだけれども。そういう実態があるわけです。
 したがって、個々の面で認証の努力やすぐれた面もあるでしょうけれども、それをもって、そもそも人件費補助は要らないんだというふうな結論の出し方は、やはり極めて不正確なものだというのが、私のいいたいことなんですよ。

○笠原子ども家庭部長 ただいま吉田先生がおっしゃった件につきまして、若干事実誤認がございますので、私の方からお話をさせていただきたいと思います。
 認証保育所におきましては、職員のうちの六割、これは正規という形になっておりまして、六割を下回っているところは一件もございませんので、その点についてはご訂正をお願いしたいというふうに思います。

○吉田委員 我々は一つ一つ直接訪ねた上でのお話ですから、撤回なんかしませんよ。あなた方こそ本当に実態を見ていないんですよ。(「違うよ、今の。有資格者が六割で、正規職員六割なんていっていないよ、認証。今の部長の答えが間違っているよ」と呼ぶ者あり)部長の答え、間違っているってさ。
 話をちょっともとに戻しますけれども、現実にB経費の廃止ということになれば大変なことになるということで、施設関係者の方々は大変な危惧を抱いていらっしゃるわけですね。それは、私も、関係する私立の保育園だけじゃなくて、児童養護施設も含めて随分回りましたし、同僚議員ともかなりの施設を回っていますけれども、やはり多く出される声は、施設運営や職員処遇が低下するというだけじゃなくて、そのことが直接的に、例えば保育の現場だったら、子どもたちの保育に重大な影響を及ぼすと。
 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど、一施設当たり、今のB経費を見た場合、千七百三十万円ですか、というようなご答弁がありました。職員数で見た場合、一人当たりどのぐらいの削減に、あるいは削減の前提を抜いてもいいですから、一人当たりでいうとどのくらいの金額になるのでしょうか。

○内海企画担当部長 職員一人当たりの補助額でございますが、サービス推進費補助につきましては、A経費、B経費とも、利用者一人当たりの単価に施設利用者数等を乗じて補助金を算定することになってございます。そのため、補助額に対する利用者数は把握してございますけれども、補助対象となる職員数の把握は、補助金交付において行ってございません。このため、申しわけございませんが、職員一人当たりの補助額の平均を出すことはできないところでございます。

○吉田委員 それは、いろんな職員それぞれ違いがあるかもしれませんが、少なくとも一施設当たり、先ほどの話だと千七百三十万円というふうにいったわけでしょう。とにかくその施設の職員数全部で割った場合にどのくらいになるのか、少し乱暴かもしれませんけれども、イメージをつかむ上でお答えください。

○内海企画担当部長 A経費及びB経費で補助している人件費につきましては、施設における人件費であれば、常勤、非常勤にかかわらず対象経費となります。したがいまして、B経費が交付されている施設の常勤職員をもとに職員一人当たりの補助額を平均するということは、適切ではないと考えてございます。

○吉田委員 わかった。では、それはそれ以上私も質問しませんけれども、ただ、いずれにしても、一つの施設当たり千七百三十万円。もちろん施設によっていろんなでこぼこはあるでしょうけれども、例えば一職員当たり年間百万の減になるとか、あるいはまた、少な目のところでも五十万の減があるとか、大体百万から五十万の間のような施設が割と多いんです、私が訪問してお話を聞いた限りでは。それは、それだけもろに個々の職員に、給与のカット、ボーナスのカットという形で出るだけではなくて、結局どういう選択をせざるを得ないかといえば、一定の経験ある職員はできる限り減らさざるを得ない。それと、パートを全部否定するわけじゃありませんけれども、やはり常勤を減らして、パートをかなりふやさざるを得ないというような、ある面でいえば非常に不安定な雇用条件に、量的にじゃなくて、質的に変わらざるを得ないという面があると思うんですよ。それで私は、先ほどから議論がありました福祉職場における経験性とか専門性とか、そういうものが本当に維持できるのかという議論になると思うのです。
 今後も、そういう意味では、競争だ、競争だ、努力だということで、人件費をいかにやりくりするかというようなことになれば、ますますパートが福祉職場に増大せざるを得ないということになると思うんです。福祉職場における雇用条件とか労働条件というものは、やっぱり安定化させることがサービスの向上に結びつくと思うんですが、そういう福祉職場における雇用条件の基本的なあり方というのは、福祉局としてはどんなふうにお考えなんですか。

○内海企画担当部長 サービス推進費補助につきましては、その名のとおり、利用者のサービスの向上を目的として補助するものでございます。職員の処遇向上を第一義的な目的としているものでございません。各施設におきます職員の雇用条件につきましては、あくまでも経営者の問題であるというふうに考えてございます。

○吉田委員 もちろん直接的には経営者の問題ですけれども、トータルで福祉職場における労働条件、雇用条件がどうあるべきかということは、福祉局がやはり関心を持ち、そのために必要な対策をとるというのは当然のことだと思うのです。そういうことを、それぞれの雇用の、それぞれの経営者任せでどうぞやってくださいということは、行政としての責任が問われることだと思うんです。
 それはだって、教育の分野にしたって、保育の分野にしたって、やっぱり一人一人の将来の人格形成に対して大きな影響を及ぼすという、職員の方々の果たすべき責任というものは非常に重いものがあると思うんですよ。また、そういう努力もされていると思うんです。そういう仕事、職種にふさわしいような雇用の安定化のために努力をするというのは、極めて当たり前のことだ、ただ安上がりならばいいというわけにいかない分野だということを、改めて強調しておきたいと思うんですね。
 ほかにもちょっとあるんですけれども、最後に、結局、改めて都立施設は廃止ないし民間移譲を進めていきます、基本的には、直接サービスからは撤退いたしますと。じゃ、民間を応援するのかといえば、民間に対する人件費補助は、提言では廃止、運営費補助は全面見直し、明らかに縮小の方向ですね。こうしたことを今、先ほどからの従来の経過も十分踏まえないでやろうとする。どういう意図、ねらいを持って、こういうことをされるのですか。

○内海企画担当部長 先ほど来申し上げておりますように、提言につきましては、それをきちんと受けとめまして、吟味をいたしまして、今後、東京都としての方針を定めていくものでございます。検討するに当たりましては、関係の施設の代表者の方々等のご意見も十分踏まえまして検討していきたいというふうに考えてございます。

○吉田委員 STEP2の中では、公立社会福祉法人中心の供給体質を改めると。では、それ以外の多様な参入といえば、いわゆる企業ないしはNPO。しかも、そういう企業が参入し得る、福祉法人とも競争できる、そういう競争条件。すなわち、同じ基盤で争うために、皆さん方が盛んにいっているイコールフッティングですか、そのためには、企業には直接的な補助が出せないわけだから、その企業が参入し得るためには、民間法人に出されている補助は打ち切らざるを得ないんだ、そうとしかとらえられないじゃないですか、このSTEP2の考え方というのは。
 公立福祉法人中心の供給体制ではなくてそれ以外の、すなわち、それ以外といえばNPO、企業の参入を促進するために、その障害となっているものについて、いわば大胆になたを振りおろすというようなことになれば、企業参入促進のために、東京の福祉を支えてきた極めて重要な施策が破壊されかねないという懸念を持つことは、決して誇大な見方じゃなくて、あなた方がそう書いているんだ。しかも、それはもちろん財政削減のためじゃないというふうにいわれるでしょうけれども、あわせてそういう結果にも結びつくというものだと思うんですよ。
 私は、改めて最後に、そういうことであってはいけないと思いますし、先ほどからも話がありました当事者団体だけじゃなくて、二十六市の市長会、そして二十三区の区長会の会長からも、この問題について知事あてに、極めて重要な意味を持つ要望書も出されております。そういうものをぜひ真剣に受けとめて、この問題については当たっていきたいと思うんですけれども、局長、どうですか。

○川崎福祉局長 私たちが進めている福祉改革は、あくまでも利用者のサービス向上でございます。そのために、いろいろと工夫をして改革に当たっているということでございまして、先生のおっしゃることと目的は一緒だけれども手段が違うというところだと思います。

○吉田委員 いや、ちょっと区長会の……。

○川崎福祉局長 多くの人の意見を聞きながら、これから私どもの目指す福祉改革について進めてまいります。

○吉田委員 終わります。

○萩生田委員 もう多くの皆さんからご質疑がありまして、十分さまざまな角度からご指摘されていると思いますので、私も心配している社会福祉法人改革について、サービス推進費のお話が今ございましたけれども、一点だけ確認の意味で、先ほど他の委員から、答弁もいただいているんですけれども、私からも一点ご指摘申し上げ、お答えをいただきたいと思います。
 東京都の急な方向転換ということで、各現場が戸惑っているわけですけれども、私も、病院改革会議で小児病院の件で、東京都の急ハンドルには余りびっくりしなくなりましたので、これぐらいのことはあるのかなと思いますけれども、ただ一点、三年間の経過措置の中で、いうならば東京都の方針をまともに受けて、まじめに経営改革をして、そして三年後を目指してきちんと準備をしてきた法人からすれば、これは非常に戸惑いがあることだというふうに思うのです。今戸惑っていない団体はどういう団体かというと、この三年間、余り大した努力をしないで、普通にのうのうとしていた人たちが、今、ああ、また変わったんだというところで、余りびくびくしていないと思うのですね。
 ですから、いいかえれば、本来そういう緊張感のない、安穏としている社会福祉法人に対して改革をするべきだというのが今回の大きな意義であって、もっと早く目覚めた人からすれば、もう私たちはやっているじゃないですか、そういう思いはきっとあると思うんですよ。そういった意味では、今回のこの方向の急転換というのは、率直に、皆さんからいろんなご指摘もあったように、反省すべき点は、一定の反省があるんじゃないかと思います。特にまじめにいうことを聞いてきた皆さんからすれば、再三申し上げるように、大きな戸惑いがあるということは否めない事実だと思います。
 先ほど、一口に社会福祉法人といいましても、いろんな団体、業務がありまして、大きく分ければ、児童福祉の分野もあるし、老人福祉の分野もあるし、あるいは詳しくご説明のあった心身障害者等々の福祉分野もございますね。そういう中で、今回の答申というのが、私自身の所見を申し上げると、老人福祉の社会福祉法人に対して、ある意味では改革を促したり、あるいは競争原理を入れて、もう少し緊張感を持つべきじゃないかというのが原点にあって、そこに児童福祉等々が巻き込まれてしまったという感がしてならないんです。
 これは、つくった人たちの思いというのはどこにあるか、これからいろんな機会に明らかになってくるというふうに思いますけれども、そういった中で、先ほどお話がありましたように、七月の二十六日以降、現場の声を聞く意味で、団体の皆さんと会合を既に複数開いているというお話がありましたけれども、どういう団体のどういう人たちとお話をしてきたのか、お答えください。

○内海企画担当部長 私どもは、サービス推進費の補助について、懇談を行う場を設けているところでございますけれども、その懇談を行う相手方の方々は、児童、障害、高齢分野、各施設種別ごとの代表する施設長の方々と懇談を行う場を設けているわけでございます。

○萩生田委員 どういう団体なのか。

○内海企画担当部長 団体は、東京都社会福祉協議会の中の各施設部会の代表者の方々でございます。

○萩生田委員 先ほど吉田副委員長の質疑でもありましたように、四年前に、この三年間の経過措置が始まるときに東京都が相談をしたのも東社協。今まさに方向が変わって、お話をして、現場の声として聞いているのも東社協。その団体の本当に末端の皆さんからしてみれば、東京都に不信感を持つのと同じように、東社協の幹部の皆さんのあり方というのにも当然不信感を持つと思いますよ。なぜなら、その東社協のあり方を信じて、三年間の経過措置をやってきたのに、またその東社協の代表の人たちに現場の声として意見を聞くというのは、私、いささか問題があるんじゃないかと思います。
 すべての団体から意見を聞けませんから、東京都の社会福祉協議会というのがあって、そこの代表の皆さんとお話をするというのは、一つの方法として否定をしません。ですけれども、東社協という団体は、限りなく東京都の方針をいろんな意味で先進的に理解をし、また、ある意味では、国の動きなんかにも敏感に対応ができる、そういう人たちが幹部を務めていると思うんですよ。要するに、末端で、東京が右にハンドルを切るのか、国が左にハンドルを切るのかわからないけれども、とにかく現場で汗して頑張っている社会福祉法人の経営者の皆さんとは、若干スタンスが違うと思うんですね。ですから、その人たちのご意見を聞けば、東京都が新しく目指す福祉の改革の方針というのは、多分そんなにもめることなく簡単に理解していただけると思いますよ。けれども、その上部団体の皆さんの意見を聞く、末端の現場の人たちにしてみると、これは大変なことですよ。
 ですから、私は、たった四年間でこれだけの大きな方向転換をするんだとすれば、もう少しきめ細かく、各現場の福祉法人の皆さんの実態というのを調査し、また、ヒアリングの機会を設けていただきたいというふうに思うのです。
 例えば、一口に社会福祉法人といいましても、その生い立ちがいろいろ違うということを過去にお話ししたことがあると思うんです。すなわち、同じ保育園でも、本当に多角経営をしている社会福祉法人もございます。あるいは、私どもの地元には公立の保育園もなく、私立の保育園もない中で、町会の皆さんが、当時、遊休地を出し合って、結果として、歴史的な経過の中でそれを社会福祉法人格に格上げをして、当時の町会の役員の皆さんが理事に全部おさまって、地域の子どもたちの保育をしてきた、こういう歴史的な社会福祉法人もあるんですよ。ですから、そういう難しい問題が起こるんだったらやめたい、やめたいけれども、ほかに多分やり手はないだろう、こういう福祉法人もあると思います。
 あるいは、児童養護施設につきましても、私ども八王子は福祉のデパートみたいなところですから、ありとあらゆる社会福祉法人のジャンルの施設がありますよ。ただ、同じ児童福祉施設でも、茨城でもやっている、静岡でもやっている、九州でもやっているけれども、たまたま八王子の調整区域でできそうだからといってきた児童福祉施設もあれば、本当に地元の皆さんが親の代から、身寄りのない子どもを預かったり、あるいはまた、やむを得ず家庭にいられない、そういう子どもたちを預かって、施設として頑張ってきたものが、戦後、時代の変化の中で、たまたま社会福祉法人というくくりの中で法人格を取得した、こういう生い立ちの施設もあるんですよ。そこに、競争原理なんてないですよ。その人たちがやめちゃったら、あと、やりたい人なんかいないですよ。そのくらいに現場で頑張っている社会福祉法人もあるということを、私はぜひ理解していただきたいというふうに思います。
 あるいは、同じ保育園でも、先ほどから、保育内容あるいは法人の自主努力というお話がありました。確かにさまざまな保育内容がありますけれども、今まさに尺度としています、先ほど笠原部長からお話があったように、例えば延長保育をやっていればいい保育園、あるいはゼロ歳児保育の枠を広げればいい保育園という、ただこれだけの尺度で見てしまったのでは、子どもたちにとって気の毒だというふうに思うんですよ。
 やっぱりその保育内容がどう充実をしているか、まさに国が保幼一元化といっている中で、ここまでが保育園ですよ、ここまでが幼稚園ですよ、保育園はこれ以上余計なことをしなくていいですよ、幼稚園の分野ですよということまで踏み込んででも、子どもたちにいろんな経験をさせてやろうと思って頑張っている保育園も、東京の中にはたくさんあります。そういう実態を、この機会ですから、やっぱり東京都はよく目をあけて見ていただきたいと思うんです。
 例えば、日曜日に保育園の運動会をやりますと、保育士の皆さんは当然働いているわけですから、月曜日に代休をとってあげたい。東京都の指導としては、月曜日に保育園が閉まってしまったら、月曜日に働く親たちが困るからあけろといって、やむを得ず保育をやりますね。だけど、平日に運動会をやって、親が見に来ても来なくても、保育園の運動会が終わってしまう保育園と、日曜日におじいちゃん、おばあちゃんたちも参加しながらやる保育園の運動会だったら、子どもたちのためにどっちがいいかといったら、日曜日にやる方がいいに決まっているんですよ。そのために月曜日どうしても休みたいというんだったら、私は、一年に一回ぐらい親も休むべきだと思いますよ。そういう努力をお互いにしていかないと、もたれ合いで利用者側の甘えも出てしまう、提供側の甘えも出てしまう。
 ですから、ただ単に東京都のいうことを聞いたり、各区市町村の福祉のいうことを聞いて、それの尺度に合った保育園が熱心で、いい保育園なんだ、そこから外れたものはだめなんだという感覚は、この機会に、せっかくこれだけの大改革をやるんだから、ぜひ変えていただきたいというふうに思うんです。
 そういう生い立ちの違いによって、たまたま今は社会福祉法人というくくりですけれども、そうじゃない、今申し上げたようなそういう生い立ちの中から立ち上がってきた社会福祉法人も、都内には幾つもあると思いますし、別に東京じゃなくてもよくて、たまたま開設が認められたからやっているという、いうなら限りなく企業に近いような、そういう社会福祉法人も、老人福祉も含めてたくさんありますよ。
 ですから、この辺の差別化というのをこの改革の中できちんとしていただかないと、本来の、せっかく--たった四年間で大きく東京都がカーブを切って、新しい福祉を目指すんだとすれば、そういう現場の努力や何かを、きちんとした尺度を持って考えていただくように、お願いをしたいと思います。
 最後にしますけれども、ぜひサービス推進費の今後につきましては、今申し上げたような社会福祉法人のそれぞれの性格、あるいはその一つ一つの施設の生い立ち、こういうものまで掘り下げて--東社協の代表の皆さんの意見を聞くことはいいことです。同時に、さまざまな、その代表になれないような、そういう末端の法人経営者の皆さんが、自分たちはこういうことをやってきました、自分たちはこういうふうにしたいんですというのがあったら、そういう聞く機会や、あるいはレポートを出すような、そういう幅広い声を聞く機会を持っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○川崎福祉局長 私ども、この補助金を見直すに当たって、真に努力が報われるということを、私も本会議で何回も答弁しています。今、委員がおっしゃったとおり、我々、これから真に努力とは何か、これについてきめ細かく精査して、それぞれの分野ごと、それから地域も含めて、我々が望む、利用者が望む本当の努力とは何かというのを見きわめていきたいというふうに思います。
 もう一つ、東社協ばかりでなくと。これも委員おっしゃるとおりだと私は思います。したがって、これからはできるだけ多くの施設の意見も聞きながら進めていきたいと、こう思います。

○曽雌委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十四分散会

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