厚生委員会速記録第二号

平成十四年三月四日(月曜日)
第七委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長曽雌 久義君
副委員長野田 和男君
副委員長吉田 信夫君
理事河西のぶみ君
理事古賀 俊昭君
理事佐藤 裕彦君
東村 邦浩君
山加 朱美君
柿沢 未途君
萩生田光一君
山口 文江君
小松 恭子君
樋口ゆうこ君
野村 有信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉局局長前川 燿男君
次長藤堂 義弘君
総務部長上條 弘人君
生活福祉部長上野 純宏君
高齢者部長若林 統治君
子ども家庭部長笠原  保君
障害福祉部長高橋 義人君
保険部長吉川 和夫君
企画担当部長村山 寛司君
施設調整担当部長反町 純夫君
参事有留 武司君
参事菅原 眞廣君
衛生局局長今村 皓一君
総務部長櫻井  巖君

本日の会議に付した事件
 陳情の取り下げについて
 福祉局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 福祉局所管分
 付託議案の審査(決定)
 ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 厚生委員会所管分

○曽雌委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一三第一〇〇号、社会的養護施策の拡充に関する陳情につきましては、議長から取り下げを許可した旨通知がありましたので、ご了承願います。

○曽雌委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、平成十三年度関係の付託議案の審査を行います。ご了承願います。
 これより福祉局関係に入ります。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、福祉局所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉田委員 補正予算は、国の補正予算に連動したものが主でありますけれども、その中でも、離職者支援資金の貸付制度について、新たに初めてスタートする制度でもありますから、都民の皆さんの願いにこたえる運用となるようにしていきたいという意味合いから、若干基本的な問題について質問させていただきます。
 ご承知のとおり、東京都内でも失業者が増大をし、しかも、なかなか解決する見通しが現時点で見えにくいという状況の中で、本来私どもとしては、貸し付けではなく、給付ということもあり得るのではないかと要望してきましたけれども、貸し付けにせよ、こうした制度が進むということは、都民の願い、失業されている方々の願いに合致をするものだと思います。
 問題は、そのために百億の原資を積むわけですけれども、第一にお伺いしたいのは、この制度、この金額によって、どの程度の規模を想定していらっしゃるのか。もちろん一〇〇%というわけにはいかないとは思うんですが、今日の東京の失業者の状態との関係で、どの程度そのことでカバーされるというご判断なのかをまずお聞きしたいんです。

○上野生活福祉部長 本制度は、失業により生計の維持が困難となった世帯に対して、再就職までの間の生活資金として本資金を貸し付けることにより、失業者世帯の自立を支援することを目的とした制度でございます。
 制度のこうした考え方のもとに貸付対象が定められており、雇用保険の枠外の自営業者及びパート労働者で失業した方や、雇用保険の求職者給付期間切れになった方が対象で、生計中心者の失業により生計の維持が困難となった世帯であること、生計中心者の離職の日から二年を超えないことなどの貸付要件がございます。
 都内で、その要件を満たす世帯は約一万世帯と見込んでおります。貸付原資として百億円を計上しておりますので、規模としては十分と考えております。

○吉田委員 もう一度確認いたしますが、そうすると、百億円で一万世帯が賄えるというご判断だということですか。

○上野生活福祉部長 単純に申し上げますと、一世帯百万円で、一万世帯が借り受けができるという数でございます。この数につきましては、東京都と全国との完全失業者数の比率あるいは人口比などから計算いたしまして、国が約一千億円の、全体としての計上でございます。その一割である百億円を都は計上しております。
 また、百万円で一万人という中の百万円という計算につきましては、例えば、現在、生活福祉資金の中で生活資金というのがございますが、その借り受け希望金額あるいは借り受けを希望する期間、そういったものも勘案いたしまして、妥当な数字ということで推計しております。

○吉田委員 対象世帯が一万世帯だというお話ですけれども、最近の東京都における完全失業者の数でいいますと三十二万人、世帯数じゃありませんけれども。したがって、対象世帯一万世帯というのは、その中からすると極めて限られた部分でありますし、ましてや今、百万という金額を出されましたけれども、この制度の場合には、単身の場合には一カ月十万、一年間で百二十万、しかし、二人以上の家族の場合には月額で一世帯二十万円ということになりますと、カバーする分野というのはかなり狭められてしまうのかなという印象を持たざるを得ません。ただ、スタートでありますから、初めからこれで不十分だからだめだとはいいませんけれども、やはりできる限り今後、現実の必要な方々に対応できるような方向でご検討願いたいなというのが第一点です。
 二つ目にお伺いしたいのは、償還の猶予期間の問題であります。
 貸付期間は一年間、それから、最大で六カ月間が猶予期間であると。そうしますと、一年半後には仕事について、そして返済できなければならないということになるわけですよね。しかし、もちろんそれで就職できる方もいらっしゃるでしょうけれども、そのときに、現実にまだ再就職できないというような場合には、この償還猶予期間の六カ月というものは、運用上さらに延長できる、そういうふうに理解していいんでしょうか。

○上野生活福祉部長 据置期間といたしましては、ただいま副委員長がおっしゃいましたとおり、貸付期間の終了後六カ月以内となっております。その後、災害その他やむを得ない理由により償還が著しく困難になった場合につきましては、原則として、一年間を超えない範囲で償還の猶予ができることになっております。

○吉田委員 その災害という事例だけは挙がっているんですが、あとは、やむを得ないという言葉で要綱上なっていることは、私は承知しております。そのやむを得ないの中に、確定的にいえないかもしれませんけれども、現実に努力はしているけれども、再就職、就職先がその時点で見つからないというような場合も当然考慮していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○上野生活福祉部長 やむを得ない理由によりまして、償還期限までに貸付金を償還することができない方がありました場合には、償還猶予の申請をしていただきます。そして、東社協の運営委員会で審議し、決定することとなっております。

○吉田委員 そういう場合に、災害という文言はありますけれども、その時点で就職先が確保されていないというようなことも、当然対象として考えられるんでしょうね、ということをいっているわけです。

○上野生活福祉部長 災害その他やむを得ない理由によるという場合の、やむを得ない理由の中では、例えば病気をなさったことにより就労ができない、そういった方なんかは具体的に償還猶予の資格を検討することになろうかと思います。

○吉田委員 どうも明快なご答弁がないんですけれども、国の失業期間の統計というものの調査があるんですよね。例えば、一カ月未満、あるいは一年から二年、さらには二年以上というふうな統計がありますけれども、一年から二年、あるいは二年以上という方々を見ても、全体の失業者の中で、そういう方々が三割程度を比率として占めているという現実があります。
 そういう現実に立って検討するならば、当然病気ということだけではなくて、努力はしているけれども、その時点で就職先が確保できないということも当然考慮されるべきだし、していただきたいということを、この点で要望として、改めてこの機会に述べさせていただきます。
 次に、利子の三%の問題ですけれども、今日の金融状況から見ても、また、現実に三%という金利負担という金額から見ても、決して低いものだとは私はいえないと思うんですけれども、この三%という利子負担というのは、どのような根拠で国は決めたものなんでしょうか。

○上野生活福祉部長 生活福祉資金につきましては、今回できましたこの制度のほかに他の貸し付けがございますが、基本的には三%の利子負担ということで組み立てられております。
 また、この制度は、失業者の自立を支援するための施策であるということからも、他の貸し付けと同様に、基本的に利子を負担をしていただくという形にしております。

○吉田委員 従前の生活福祉資金の中では、分野によっては無利子というものもあると思うんですが、いかがですか。

○上野生活福祉部長 例外として、療養介護に関する資金や三宅島の特例貸付などは、無利子または利子補給をしております。

○吉田委員 私も、今後の課題として、そういう無利子で実際に状況次第で運用している制度もあるわけですから、この場合についても、東京都が利子補給を--都から見ればそんな大きな金額じゃないと思うんですが、することは、当事者の方々にとって大変大きな支援になるかと思うんです。そういう意味で、ぜひ東京都としての利子補給ということを今後の検討課題としてご検討いただきたいと、これは意見を述べさせていただきます。
 次に、現在の生活福祉資金、これだけ経済悪化が進む中で、私、利用者が当然ふえているものだと思ったんですけれども、必ずしも既存の生活福祉資金の利用者がふえていないというふうに聞いているんですが、どんな傾向、状況なんでしょうか。

○上野生活福祉部長 現在、生活福祉資金の中には、更生資金とか障害者更生資金、あるいは生活資金、福祉資金、住宅資金、修学資金などいろいろございますが、例えば十二年度を例にとりますと、全体といたしまして十二億三千二百万ほどの貸付実績の中で、修学資金につきましては八億二百万の貸付実績ということでございます。
 また、この年度は三宅島の特例貸付をいたしまして、七千五百万円の貸付実績がございます。他につきましては、件数あるいは金額といたしましても、それほどの伸びを示していない、そういう状況でございます。

○吉田委員 私は、なかなかふえていない、部分的にはかなり減っている分野もあるという現実に立って、この制度開始に当たって大事な問題として、やはり周知徹底ということが非常に大事だと思うんですよ。しかも、これは区市町村がやる事業じゃなくて、区市町村の社協ということになれば、多くの皆さんは、自分のところの社会福祉協議会がそもそもどこにあるのかということも含めて知らないような事態というのは、現実にあるかと思うんですが、この周知徹底というのはどんな形でされようとしているのか、ご説明願いたいのです。

○上野生活福祉部長 従来の生活福祉資金につきましては、東京都社会福祉協議会あるいは地区の社会福祉協議会、あるいは東京都、区市町村、そういったところで、さまざまな広報資料等の中で制度の周知を行ってまいりました。
 また、今般の離職者支援資金につきましては、本議会で補正予算の議決をいただきました後、直ちに相談と貸付開始をいたしますけれども、それにつきましては既に準備中でございまして、東社協あるいは地区社協の中での広報、または東京都の広報とか含めまして、離職者ということで国のハローワークとかにも関係がございますので、ハローワークやその他関連機関、税務署とかも含めて連携協力をお願いいたしまして、活発な周知徹底を行ってまいりたいと思っております。

○吉田委員 せっかく制度を立ち上げるわけですから、必要な方々に、こういう制度が始まったということを、さまざまな媒体を通じて、ぜひ周知徹底していただきたいというご要望を述べまして、私の質問を終わります。

○曽雌委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。

○曽雌委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、厚生委員会所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了いたしております。
 これより採決を行います。
 第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、厚生委員会所管分を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認めます。よって、第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、厚生委員会所管分は、原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十一分散会

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